第072回国会 外務委員会 第14号
昭和四十九年三月二十七日(水曜日)
    午後三時十五分開議
 出席委員
   委員長 木村 俊夫君
   理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 水野  清君 理事 河上 民雄君
   理事 堂森 芳夫君 理事 松本 善明君
      足立 篤郎君    加藤 紘一君
      小坂善太郎君    小林 正巳君
      深谷 隆司君    福田 篤泰君
      宮澤 喜一君    石野 久男君
      土井たか子君    渡部 一郎君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        外務政務次官  山田 久就君
        外務大臣官房長 鹿取 泰衛君
        外務省アメリカ
        局長      大河原良雄君
        外務省欧亜局長 大和田 渉君
        外務省条約局長 松永 信雄君
 委員外の出席者
        外務省アジア局
        次長      中江 要介君
        海上保安庁警備
        救難部長    船谷 近夫君
        外務委員会調査
        室長      亀倉 四郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○木村委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 先般来、植村ミッションがソ連を訪問されまして、ブレジネフ書記長あるいはコスイギン首相あるいはソ連のゴスプランの首脳部等と精力的な会見を終わられまして、きのう帰ってこられました。記者会見をしておられるのでありますが、これに関連しまして、日ソ貿易経済関係等について二、三の点について質問を行ないたいと思います。
 先般の委員会でも、時間もなかったのでありますが、大半大臣にいろいろ質問を申し上げたのでありますが、どうも肝要な点になると答弁をされませんので、一体外務大臣がどう考えておられるのか、私としては判断にたいへん苦しんだ点がありますので、私がお尋ねすることについては、大臣はもっとはっきりと明確な御答弁を願うように、まずお願いをしておきたい、こう思います。
 まず第一は、日ソの経済関係、貿易関係の数字を少しく調べてみますると、七三年、昨年におけるわが国の対ソ貿易は、西独、アメリカに比べ相対的に停滞しておるのではないかというふうに数字を見ると考えられるのであります。
 まず、対ソ往復貿易総額について見ますると、第一位は西独で、貿易額は十八億九千百万ドルになっておる。前年比を見ますると、六七%の伸びが見られるのであります。日本は十五億六千二百万ドルでその次になっておる。それから三位がアメリカで十四億四百万ドル、こうなっておるということが数字を見るとわかるのでありますが、特にウエストジャーマニーは対ソ連、東欧貿易を中心に着実にその貿易額を伸ばしておりまして、七三年実績では日本との差をさらに大きく広げておる、こういうような結果が出ておるのであります。
 わが国の対ソ貿易は、七三年で輸出が四%減っております。そして相変わらず大幅な入超と、貿易不均衡が再び拡大して、日ソ貿易についてはそう意味でやはり問題がたくさんあるということがいわれると思うのであります。それに反しアメリカにおきましては、ニクソン大統領の国際経済報告が明らかにしておりますように、アメリカの七一年当時の対社会主義圏貿易総額はわずか六億ドルしかなかったのが、昨年七三年では約三十一億ドルとここ二年間で五倍以上の規模に拡大、しかも特徴的なのは、アメリカの出超傾向が非常に強くて、アメリカの貿易収支黒字分の半分が対ソ貿易によるものと見ることができるのであります。対ソ貿易における西独の着実な伸び、米国の急激な貿易規模の拡大等に対し、わが国の対ソ貿易が相対的に停滞傾向が目立っているのではないかということが数字等をこう見ておりますと、見られられるのでありますが、これに対しまして、どういうわけでこうなってきておるのであろうか、あるいは具体的な数字等こまかいことについては、局長がおられますが、政治的な意味で外務大臣はどうお考えになるか、それもあわせて御答弁願えたらありがたいと思います。
○大和田政府委員 まず、具体的な数字等について御説明申し上げます。
 七三年の日本の対ソ貿易、ドイツ、アメリカの対ソ貿易の数字は、いま先生のお示しになられたとおりでございます。日本の対ソ貿易は、御指摘のように七三年十五億六千二百万ドルでございますが、七二年には十億五千九百万ドル、七一年は九億五千二百万ドル、いわば数字として見ましても順調に伸びているということが申し上げられるのではないかと思います。
 それからドイツの場合を例にとりますと、確かにドイツは一昨年と比べまして昨年かなり伸びております。ただ、この内容を調べますと、独ソ間の天然ガスの供給契約、これに基づいて鋼管、スチールパイプの対ソ輸出が非常にふえた、全体の輸出量の約四分の一を占めております。
 それからアメリカの場合は、御承知のように食糧の輸出がかなりふえまして、特にニクソンの七二年の訪ソ以来全般的に伸びておりますが、この実際の数字の示す約四分の三が食糧でございます。そういう関係で非常にふえたのではないか、こう考えております。
○堂森委員 西独からソ連へ輸出されておりますところの大口径の鋼管等が非常に大きな輸出の内容を占めておることは知っておるのでありますが、全体としてやはり停滞のきみに来ておるということは言えるのではないかと思いますが、外務大臣、どうお考えでございましょうか。
○大平国務大臣 私は、米ソ貿易が伸び、独ソ貿易が伸びるということはたいへんけっこうなことだと思っております。東西間の貿易がふえてまいるということは歓迎すべきことと思うのであります貿易はいわば平和のミッションでありまして、これが拡大してまいりますことは、世界の安定にとりまして歓迎すべきことと思うのであります。
 第二に、しかしこの米ソ両国に比べまして、わが国の貿易が停滞ぎみにありはしないかという御指摘でございますが、いま欧亜局長からも御説明申し上げましたように、わが国自身の対ソ貿易は着実な前進を見ておるわけでございまして、ただ、米ソに比べまして伸び率が少ないということ、あるいは片貿易に片寄っていやしないかという御指摘は、御指摘のとおりでございまして、このアンバランスの是正という点につきましては、今後留意していかなければならぬと考えております。しかし、貿易をやってまいります以上は、互恵平等の立場でやるわけでございまして、ソ連だから無理してやるというわけにもいきませんので、そこは着実な前進こそが私は望ましいことと思うし、今後もそういう方向で努力してまいりますならば、相当の前進は期待できると考えております。
○堂森委員 ただいま局長からの数字的な説明がありましたが、ソ連貿易で西独及びアメリカが大きく伸びてきたということは事実でありますが、それにはやはり大きな理由があると私は思うのであります。
 と申しますことは、一般に共産圏の国々は、他の国から輸入をやっていく、あるいは国内の開発をやっていくという場合に、一番困っておる問題点はやはり外貨の不足である。こういう意味で、西欧諸国との間に、長期のしかも有利なクレジットの供与を受けるというような外交を展開して、そしてその結果、たとえば七〇年から七二年にかけて鋼管、パイプを西独から買った。そしてその際十二億マルクにのぼるところの巨額のクレジットを西独が供与して、その返済のためにソ連から天然ガスを二十年間に千二百億立方メートル西独が供給を受ける、こういうような信用供与方式をとって、それが西独からのソ連への貿易の大きな伸展に影響した、こういうことであろうと思うのであります。これは共産圏の国の悩みである恒常的な外貨の不足ということを、信用供与方式で解消しておる、こういうことであろうと思うのであります。
 わが国の今後の対ソ貿易、共産圏との貿易、他の国との貿易にも、それと同様なことでありますが、クレジットの供与、信用の供与ということは今後の大きな課題である。これは後ほどお尋ねしますところのシベリア開発にも同様の問題がある。今後の日ソ両国のそうした経済協力が実を結べるかどうかというかぎをきめるものの一つは、やはり信用の供与、クレジットの供与ということが大きな問題となってくると思うのであります。
 西独あるいはその他西欧諸国と共産圏の国との貿易と、わが国の貿易とが開いていくということが生まれてくるとするならば、この信用供与方式が大きな問題点になってくるということは否定し得ない重要な問題であると思うのでありますが、外務大臣はどのようにお考えでございましょうか。
○大平国務大臣 信用供与の問題は、政府の手によって信用供与するか、民間の手によってやるかという大きく分けて二つのカテゴリーがあると思うのでございます。政府がやる場合におきましては、開発途上国に対しまして先進国が有利な条件で長期の信用を供与するということが普通行なわれておるわけでございます。その面におきましては、各先進国に比べまして、日本はまだ分量の面でも条件の面でもたいへん立ちおくれておるわけでございまして、OECDその他から指摘されておるところでございます。私どももその改善に今後は努力してまいらなければならぬと思うのでございます。
 ところが、対ソ関係から考えますと、ソ連は開発途上国ではないわけでございます。ソ連であろうとどこの国であろうと、これは民間の当事者とソ連の当事者の間で商談が進みまして、条件が整いまして、そしてそれに信用を与えてしかるべしということになりますならば、それが実行に付されるわけでございまして、政府として特に国別に差別をして、共産圏であるから安くするあるいは高くする、そういうことは考えていないし、考えるべきでもないわけでございまして、問題は当事者間の商談の結果、それが満足すべきものでございますならば、それを実行に移すということになるべきものと思うのでありまして、政策的にこれを左右するというべき性質のものではないと考えるわけです。
 ただ、しかしながら、その国々によりまして信用供与能力に差異がございましょうし、金融上の制約も、度合いもいろいろ違いましょうし、よその国が有利な条件で与えておるから日本が与え得るかというと、必ずしもそういうわけにまいらぬ場合も多いと思うのでありますが、われわれといたしまして、原則として、民間の当事者において十分のフィージビリティースタディーをやりまして、そして満足すべき商談がまとまった場合には、それに政府関係金融機関が信用を与えるということには積極的に考えていくべきものと思います。
○堂森委員 外務大臣は、昨年の十月の田中総理の訪ソの際、一緒に行っておられるわけであります。そしてこの日ソ首脳の会談によって、大型プロジェクトのシベリアにおける開発についての協力が確認されたと思うのであります。ところが、その後停滞ぎみであったということは、これは両国の間のそうした経済協力についての話し合いは比較的停滞的であった、あまり進んでいくというふうにはわれわれに印象を与えていなかったと思うのであります。
 ところが、今回植村ミッションが向こうに行かれるときに、田中総理の親書をブレジネフ書記長に持っていった。そしてこの植村ミッションは向こうの首脳部と、たとえばコスイギン総理と長時間にわたって会談をやった。それからブレジネフ書記長は、アメリカのキッシンジャー国務長官が来ておる最中に、しかもキッシシンジャー長官との会談中の時間をさいて、クレムリン官殿で植村ミッションの植村さんあるいは永野さん、工藤さんと三人の日本のミッションの一行とも会って非常に熱心な会談をやった。いわば今度の植村ミッションの訪ソによって、何か一応急激に進展をするようなかっこうになったという印象をわれわれは受けるのであります。
 そこで、総理の親書を持っていったについて、この親書の中に何か新しい提案でも総理はやられたのか、あるいは新しい何か構想を田中総理が向こうに伝達したのか、何かあったのでございますか、この点について、大事なことでありますから、御答弁を願いたいと思います。
○大平国務大臣 植村、永野、両氏に対して、総理から親書を託したという事実はありません。御両氏をソ連の首脳に紹介する紹介状を携行しただけです。
 それから、第二の点は、植村、永野両氏は、第二回の日ソ、ソ日経済委員会の合同幹事会に出席いたしまして、ソ連の首脳とシベリア開発を中、心に意見の交換を行なったと承知いたしております。
 したがいまして、田中総理、すなわち政府から新しい提案をしたとか、そういうことではございません。
○堂森委員 まあ新聞報道ですから、親書を持っていって向こうへ渡した、こう報道されておるわけですが、それは外務大臣が、そんなものは持っていっていないと言うなら、それはほんとうでありましょう。
 ところで、もちろん行かれる前に総理や外務大臣とも植村ミッションはいろいろ話し合いがあったというのが常識だと思うのですが、いろいろな条件等について何か話し合いとか、そういうことについて新しい方向の何か構想でもあったかどうかということも承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 親書の話は、別な話はあるわけでございまして、三月二十日、重光大使からブレジネフ書記長にあてて田中総理が親書を出しましたけれども、これは植村・永野ミッションとは関係ないことでございますので、それと植村さんたちに渡した紹介状とは別でございますので、御了解を得ておきたいと思います。
 それから、訪ソの前に御両氏は、田中さんとも私とも会いました。これは訪ソにあたってのごあいさつでございまして、私どもは、ソ連首脳との会談におきましては、シベリア開発を中、心にいたしました経済協力問題は、日本側では日ソ経済委員会を窓口にしてソ連側の当事者と話をいたしますよということにいたしてあるわけでございまして、その当事者同士が十分いろいろなデータを駆使されて十分な話し合いを、意見の交換を遂げられて、互恵平等の原則のもとに、満足すべき結果が出れば、政府としてもそれは尊重していくというたてまえになっておるわけでございますので、御両氏が訪ソされて、ソ連の首脳並びに当事者と十分意見の交換を遂げられて理解を深められることは非常に歓迎すべきことと存じておるわけでございまして、そういう意味で、両氏の訪ソを多とし、それを御祝福申し上げたわけです。
○堂森委員 それでは、重光大使を通じて田中親書を渡しておる、これはもうおっしゃるとおりでありますが、もちろん親書の内容についてすべてを公開することは外交儀礼上できないという場合もありましょうが、公表されてもいい、されるべきものもあってもいいと私は思うのであります。また、どうしても公表できないという面もあるかもしれませんが、重光大使を通じて渡された親書は、日ソの経済協力問題等について、従来とは変わったような新しい構想とかそういうものは盛り込まれていなかったのでありますか、いかがでありますか。
○大平国務大臣 これは先般駐日ソ連大使からブレジネフ書記長の書簡をちょうだいいたしたわけでございます。それに対する返書の意味を持っておるわけでございます。この親書におきましては、互恵平等の原則のもとにシベリア開発全般に関して円滑な実施をはかるという従来の大筋を経済開発の面におきましては確認いたしておるわけでございまして、新しい提案は別にないように私は承知いたしております。
○堂森委員 それから、ただいま外務大臣は植村氏等が、植村ミッションが訪ソされるについて儀礼的な訪問にすぎなかった、こういうようなお話でありますが、たとえば私は日本のいまの経済界は、特に石油ショック以来、石油資源等について、これの確保のために非常な熱意を持っておるということは、これは否定し得ないことだと思うのであります。そして私の知っておるところでは、ソ連のシベリア開発というのは何でも総額一千億ルーブルをこえるようなたいへん大きな資金を要するものである。したがって、ソ連邦としては西欧諸国の技術あるいは信用の供与であるとか多方面にわたった協力を求めておる、こう思うのでありまして、その一環としてわが国への協力を強く求めてきておるのであろうと思うのであります。
 これに対して、私は見ておって、経済界の動きと政府の態度というものと何かちぐはぐであって、もちろんいまあなたが説明されたような、経済界が独自の立場で、そして民間ベースでいろいろな開発等を海外でも行なう、これは当然でありますが、政府の態度と経済界の態度とが何か格差があるといいますか、そういうふうな印象を受けるのでありますが、いかがでありましょうか。
○大平国務大臣 別段格差はございません。石油危機は、仰せのようにいまわれわれが当面しておる緊切な課題でございますけれども、これはいまから資源開発、協力というようなことをやりましても間に合いませんので、時間の要素から考えますと当座の間に合わないわけでございますので、石油危機が始まる前からわが国としてはできるだけ資源供給圏を多元化していくという方向で施策をいたしておるわけでございまして、シベリアばかりでなく全世界にわたりまして、ずっと先の展望に立ちまして、わが国の資源供給圏を確保しておくということは大事なことでございますので、それは前からやっておることでございまして、いまに始まったことではございません。
 そういうことを民間も考えられて、各方面に話し合いをいたしておりますことも御案内のとおりであります。政府は、民間のほうの話し合いが満足すべきものでございますならば、それを促進する役割りを果たしますよというたてまえをとってきておるわけでございまして、官民の間には何らの意見の相違はないわけでございます。
○堂森委員 話の方向を変えまして質問を続けてみたいと思うのでありますが、アメリカの輸出入銀行は去る二十二日に、これは新聞報道でありますが、十一日以来停止していたソ連など共産圏四カ国に対する輸銀の借款供与の手続を再開した、そして同日に四カ国に対し計七千三百万ドルの借款供与を承認したと発表しておる、こう報道されておるのでありますが、これはこのたびのキッシンジャー国務長官のモスクワ訪問を控えての対ソ関係の当面の配慮から行なわれたものであり、今後アメリカがシベリアのエネルギー資源開発への巨額の資本参加に進む可能性は依然かなりむずかしいのではないか、こういうような報道が新聞等にされておるのであります。
 そこで、従来からわが国はシベリア開発については、日ソだけではなしに、あなたもこの席でアメリカも加わることが望ましい、第三国が入るほうが望ましい、こういうふうに答弁されておったのでありますが、アメリカにおける議会内のいろいろな動きを見ておりますと、対ソ連の輸出入銀行の借款供与ということは非常にむずかしい問題である、こう報道されておるのであります。わが外務当局はこのアメリカの輸出入銀行の対共産圏への借款供与の問題をどうお考えになっておるのでありますか、これも承っておきたい、こう思います。
○大和田政府委員 去る三月二十二日にアメリカの輸出入銀行は、いままで一時停止していたことをやめまして、借款を供与する決定をしたということは承知をいたしております。
 問題は二つございまして、第一はアメリカの新通商法案の問題でございます。これは開発援助のために米輸銀を使わないようにするという趣旨の法案がございまして、これは下院を通過してまだ上院で審議中という段階でございます。いまの輸出入銀行そのものの問題はその法案によるとしても、かりにそれがアメリカにとって不利でない、有利であるという決定を大統領が下せば、輸出入銀行は活動し得るということでございますが、アメリカ大統領がこれはやってよろしいという決定を包括的になし得るのか、あるいは個々の案件について一々大統領の認定が必要なのかという問題で、アメリカ国内法上の問題で輸出入銀行がとりあえず差しとめていたということでございます。
 このように、はたしてそれがしからばおっしゃるように、ただいまソ連に行っておりますキッシンジャー国務長官の問題と関係があるのかないのか、これはむしろアメリカ国内法の問題でございまして、ただわれわれとしては、日本の姿勢としては、そのようなアメリカの国内法上の問題もさることながら、やはり第三国の参加はきわめて望ましいということには変わりはないと思います。
○堂森委員 それでは局長、もう一ぺんお尋ねいたしますが、国内の法律上の点から問題があるので共産国への信用供与、借款供与は差しとめる、こういうことのような御答弁でございますが、私はそれだけではないと思うのです。もっと複雑な問題がやはりあると思うのです。
 そこで、あなたに御答弁願いたいことは、日本政府はこの問題をどういうふうに判断をしておるのか、これはやはり重要なことだと思うのであります。その点もう少し……。
○大和田政府委員 国内法上の問題でと申し上げましたのは、要するにアメリカの輸銀法に基づいて資金を貸し出す場合に、その個々の承認が要るかどうかということで、それが会計検査院の検査規定に合うかどうかという国内法上の問題があったわけでございます。その結果、そういう問題がないという判定で、いままで停止していたのを開始したという事実でございます。
 それで、われわれといたしましては、やはりアメリカはアメリカで、その事柄のメリットに応じて資金も出すでしょうし、また出さないこともあり得るということではないかと思います。ただ、アメリカと日本及びソ連という関係で考えます場合は、やはりアメリカが日本が期待するように参加することが望ましいということだけははっきり申し上げられると思います。
○堂森委員 そうしますと、もう一ぺんお尋ねしますが、アメリカの輸銀によるシベリア開発へのアメリカの借款供与は可能である、そうなるであろうという判断でございますか。
○大和田政府委員 われわれが実際にシベリア案件を担当しておられます民間の方々から伺った範囲内では、いまだアメリカの側、具体的には特定の石油会社であり開発会社でございますが、そういうところからおそらく輸銀資金は出ないだろうという話はいままでないというふうにいっております。
○堂森委員 新聞報道なんか見ておりますと、ソ連の当局も、アメリカからはシベリア開発には参加できないという連絡は一回もないのだから、必ず参加してくるであろうという判断をしているのだ、これは新聞報道ですが、そういう判断をソ連ではしておる、こういうふうにいつかの新聞にも書いております。
 そうすると、これは仮定論になりますけれども、アメリカが加わってこないときには、一体シベリア開発に対する日本の態度はどうなるのでありましょうか。これはもうこの委員会でもたびたびどなたかからも聞いておられますが、その場合はどうなるのでございますか。大臣でもどちらでもいいですが……。
○大和田政府委員 アメリカが参加しないということがはっきり日本側にインフォームされた段階で、その事態を踏まえて考えたいと思いますが、現在は、先ほど申し上げましたように、先方からそういう意思表示があったことはないというふうに承っておりますので、われわれとしては、依然として従来の基本方針のとおりに考えております。
○堂森委員 そこで、シベリアの開発につきまして日ソ合同委員会ですかで今後ずっと詰めていって、そして田中総理が行かれてきめたパルプの資源開発のプロジェクトは別にして、他の五つは六月か七月ごろまでに具体的な詰めをして調印をしよう、こういうふうな話し合いになっている。――これは新聞報道でございますよ。こう報道されておるのでございます。
 局長にお尋ねしますが、従来から輸銀の総裁との、これも新聞の報道しか見ていないのですが、従来とは違って、たとえば十億ドルぐらいの話であったのが二十億ドル、倍くらいになった。あるいは全体のシベリアのいろいろな各種の開発について先方の輸出入銀行からの融資等は四十八億ドルにものぼるのではないか。まあ新聞報道であります。
 さらに今回、後ほどお尋ねしますが、第二シベリア鉄道をブレジネフ書記長から言明があって、そしてこのシベリア第二鉄道というものは、従来からいわれてきた五つ、六つの大きな開発プロジェクトを協力してやる、協力して日ソでこれを進める上においての一大前提となるような意味の新聞報道をぼくは見ておるのですが、そうすると、さらにわが国に要望されるクレジットですか、そういうものはもっと大きくなると思うのでありますが、従来から今日までの話し合いというのはどういうふうなことでございますか、お尋ねいたしたい。
○大和田政府委員 この六月ごろには、いまの第二シベリア鉄道なるものを除きまして、ほかの問題についておそらく調印されるだろうというのは、あくまで推測記事であろうかと思います。いつぞやの委員会で私、現状を先生に御説明申し上げたことがございましたけれども、あのような状況で個々に進んでおることは事実でございます。ですから、うまくいきますればという前提をつければ、幾つかはあるいは可能かもしれないという程度でございます。
 それから、第二シベリア鉄道の問題でございますが、この話がコスイギン首相から永野、植村両氏にあった模様でございます。ただ、昨日、お二人がお帰りになったばかりで、まだ具体的に、しからばどういうような提案でどうであったのか、あるいは新聞に報道されているようにそれが前提というような言い方をしたのかどうなのか、この点、実はまだ御両氏にお目にかかっておりませんので、詳しくお話を伺ってから、われわれの基本的な考え方を固めたいというふうに考えております。
 それから、クレジットの問題でございますが、四十八億という数字が新聞に報道されておりますが、これはあくまで固まって向こうから要求してきたという数字ではございませんので、個々の案件についての先方の言い方あるいはほのめかし等を積算するとかなりの金額になるということだけははっきり申し上げられる、こういうわけでございます。
○堂森委員 それでは外務大臣にお尋ねしますが、シベリア第二鉄道の提言があった。これはもちろん経済的な、純粋な経済的な面から見ても大きな問題でありましょうが、しかしさらに、この第二シベリア鉄道ができるということについては、これはやはり大きな国際的な問題を提起してくることはこれはもう想像できるのであります。
 これはあくまで新聞記事ですが、永野重雄氏は、この第二シベリア鉄道については、われわれは経済人だから、国際関係のこととかそういうことは抜きにしてということは、そういう前提はあるけれども、第二シベリア鉄道について協力することにも積極的な態度で臨みたいというような意味の、これもあくまで新聞報道ですから、その真偽のほどははっきりわからないとしても、経済界は何とかしてやっていきたい、こういう態度のようでありますが、外務大臣として、第二シベリア鉄道についてのわが国の協力というものに一体どのようなお考えを持っておられるのですか。それは、仮定だといえばそうでありましょうが……。
○大平国務大臣 新聞を通じて、そんな話が出ておったことは承知しておりますが、それについて政府で意見を述べるなどという段階ではございません。
○堂森委員 しかし、そんなことでは外務大臣として私はおかしいと思うのです。もう新聞には堂々と発表されており、それからわが国の信用すべき経済界の代表的な人である植村さんとか、あるいは永野さんという人が行って、記者会見もして、そしてそれについても触れた発言をしておるのでありまして、私は外務大臣が答弁できないということでは済まされぬと思うのですが、いかがですか。外務大臣としてそんなことでは、私は引き下がるわけにいかないと思うのですが、いかがですか。
○大平国務大臣 そういうことで堂々と答弁なんかしたら、またあなたにしかられる、こう思うのです。
○堂森委員 どうも大平さんの顔を見ていると、それ以上言えないから言いませんけれども、そんなことではいかぬと私は思うのです。外務大臣、新聞には出ておるが、私はこう思うぐらい言われてもいいと思うのですが、言われぬ人を押さえつけて言わすわけにもいきませんから、やむを得ませんけれども、時間があまりありませんので……。
 それから、局長にお尋ねしますが、西独におきまして国策会社であるフェーバーという会社がございます。政府の出資が四八%ですか、その石油会社が、ソ連の石油を本年じゅうに三百万トンを輸入するといわれておった。この会社が三月末をもってソ連からの原油の輸入を中止したということが報道されておるのであります。
 理由を調べてみますと、ソ連の原油の値段が大幅に上がった、そしてまた供給量が、今年は三百万トン輸入するという約束であったのが、どうも予約量に達しないのだ、こういう事情が出てきた、こういわれておるのでありますが、この国策会社がそういうふうな態度に出てくるというのは、西独政府の対ソ連資源外交あるいは外交一般について、何か大きな変化が来ているのではないかという疑いも持たれておるのでありますが、どういうふうに考えておられますか、御答弁を願いたいと思います。
○大和田政府委員 フェーバ一社がことしの四月以降ソ連からの原油を引き取らない。その理由は、七三年度の契約を完全にはソ連側が履行しない。契約量は三百五十万トンでございますが、実際には二百九十万トンしか供給しなかった。それからもう一つは、ソ連側が要求している価格が非常に高い。一バーレル当たり最高十七ドルをソ連側が要求したといわれておりますが、この二つの理由で、先ほど申し上げたように四月以降は引き取らないという旨をフェーバ一社が発表いたしました。しかし、その後フェーバ一社とソ連側とは話し合いまして、結果といたしましては、七三年中の契約未達成量は必ず追加引き渡しをするということをソ連側が認めまして、また価格も新しい価格はバーレル当たり十二ドル弱とするという話し合いがまとまりまして、その後本年以降も引き続きソ連原油を引き取るということの合意を見たこ聞いております。いま御指摘の、ドイツの国策会社がそういうような態度をとったので、しからばドイツ政府の対ソ資源外交について何か変化があったのかどうかという御質問でございますが、これは、第一次的にはあくまで契約の不履行、その問題についての双方の話し合いというパターンでございまして、結果といたしましては、おそらく全体のパッケージという形で話がまとまったもの、したがってドイツ政府が特に政策を変えたというようには受け取っておりません。なお、フェーバ一社の七四年度の輸入量はまだ未定と聞いております。
○堂森委員 時間がもうございませんので、これ以上シベリア開発に対するわが国の協力問題等について質疑をする時間が残念ながらございませんから、次の機会にしたいと思います。
 そこで、まだ少し時間がありますので、日中航空協定について二、三の点をお尋ねしておきたいと思います。
 わが国が、日中共同声明の第二項で、日本国政府は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認し、さらに第三項では、台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分に理解した上で中華人民共和国政府を承認し、国交を設定したという、この日中共同声明との関連におきまして、政府の見解を二、三承っておきたいのであります。
 わが国の台湾に対する関係はどういうものであるのか。ことばをかえていいますと、わが国から見て、いまある台湾の政府といいますか、これは亡命政権ではないと思うが、いかがでありましょうか。
○松永政府委員 ただいま御指摘がございました日中共同声明第二項によりまして、わが国は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であるということを承認したわけでございます。これが意味するところは、日本といたしましては、中国という国を代表する政府としては、それまで承認しておりました中華民国政府にかわって中華人民共和国政府を承認するということでございまして、いわば国際法上の問題としては、中華人民共和国政府に対しまして政府承認を与えたということだと考えております。
 そこで、その結果といたしまして、わが国は、中華人民共和国政府を承認しました時点、すなわち共同声明が発出された時点以降台湾にあります政府を日本としては中国を代表する政府として認めるものではない。またわが国から見る限りにおきまして、台湾地域に国際法上の地域としての国家あるいはそれを代表する政府というものの存在を法的に認めるものではないということになった、こういうふうに考えております。
○堂森委員 そうすると、亡命政権というものではないと思うがどうですか、こう私はお尋ねしたのです。亡命政権ではないのですか。何ですか。
○松永政府委員 私どもの法律的な観念の中に、台湾にあります政権が中国の亡命政権であるという考え方はないわけでございます。
○堂森委員 そうすると未承認国ですか。未承認国にも当たらぬですか。
○松永政府委員 未承認国ということばを使います場合には、そこにある国家が存在をしていて、それを承認していな評ということだと考えるわけでございますが、先申ど申しましたように、日本の法律的な認識の中には、台湾という地域には国家はないということだろうと思います。したがいまして、これを未承認国という形でとらえるということは適当でないと存じます。
○堂森委員 私もそう思うのです。亡命政権でもないし未承認国でもない。そうしますると、台湾のいまある政府ですね――政府といえるかどうかは別として、どういうものでございますか。そうすると中華人民共和国の黙認を得ておる一地域と
 いうことでしょうか。どういう表現が使えるのでしょうか。
○松永政府委員 他方、台湾に対しまして中華人民共和国政府の実効的な支配が及んでいないという事実はあるわけでございます。現に台湾という地域はそこに存在しておりますし、また事実問題といたしましては、その台湾にあります政府も承認している国、外国の国も三十数カ国ある、そういう事実はあるわけでございます。
○堂森委員 わが国は関係があるのですよ。たとえば飛行機は両方から飛んでいったり来たりしておる。それからまた経済的ないろいろな関係が深いでしょう。そうすると、この台湾というのはわれわれが事実上の関係を持っている地域、こういうことだけにしかならぬのですか。どういうことですか。
○松永政府委員 台湾において新しい国が存在するという観念は私どもの立場からは出てまいらないわけでございますから、そこに対して、台湾に新国家としての承認を与えるあるいは台湾の独立を支援するということはそこからは出てまいらないと思うのでございます。そういう意味におきまして、そこの地域、台湾という地域と日本との間には事実上の関係としての往来でありますとか交流とかいうものがあるということだろうと思います。
○堂森委員 そうすると、台湾というよりはわれわれが事実上のいろいろな関係を持っておる中華人民共和国の地域である、こういうことでございますか。
○松永政府委員 それは事実上の問題としてそのとおりであろうかと思います。ただ、いわゆる国家とか政府の承認とか申します場合には、基本的な考え方においてとらえるわけでありますから、そこで法的な意味においての地域というものは、ちょっと私はっきり正確には私自身実はどういうふうにとらえるべきかということはわからないわけでございますが、事実上の問題としまして、台湾という地域がそこにあることは、これはもう厳然としてあるわけでございますし、わが国との間に往来、交流その他の関係が維持されているということであろうと存じます。
○堂森委員 それでは条約局長、もう一ぺん言ってください。国際法上台湾というのはどう定義できるのですか。
○松永政府委員 わが国の立場から見ます限り、そこに国家としての承認を与えるあるいは政府の承認を与える国際法上の主体というものはないということであろうと存じます。
○堂森委員 そこで現在、日中航空協定の折衝が北京で行なわれておりますね。と同時にまた日本と台湾との間に、これは民間交渉であるといわれておるのでありますが、交渉が行なわれておりますが、これは中華人民共和国政府の黙認のもとにそういう日台間の交渉が行なわれておる、こういうことになるのでございますか。
○中江説明員 日台間の航空路線の問題につきましては、先ほど条約局長が答弁しましたような台湾の地位を踏まえまして、日中共同声明発出の時点で両国首脳との間で、台湾との間には事実上の関係を継続していかなければならない立場にある日本の立場に対して、中国側が理解を示したということが出発点になっているわけでございます。
 したがいまして、これを航空問題に即して申しますと、日本と中国との間では、政府間の協定で国家間の問題として協定の交渉がいま行なわれておるわけでございますが、日台間については政府間の関係を持つことができませんので、事実上の関係、本件の場合は民間の取りきめを結ぶことによって日台航空路線を継続するという日本政府の考え方に中国が理解を示している、こういうふうに私どもは認識しているわけでございます。
○堂森委員 そうしますと、よく日中両国の国交回復前に貿易は政経分離ということばを使われて行なわれておりました。そうすると日台間の航空、あるいはこれからの貿易等についても、日台間の交渉というものは政経分離ということばでいえるようなやり方で今後いく、こういうことになりますかどうですか。
○中江説明員 日中正常化前の政経分離ということばの意味というのは、非常に微妙なものがあったと思うのでございますけれども、それは当時の時点では、中国にあります中華人民共和国政府との間に政治的な関係を持つこと、すなわち政府承認をしていくという余地が残されている場合でも、その点について踏み切る以前の段階として事実上の交流はやっていこう、こういう意味で政経分離ということばが使われたかと思うのでございますけれども、現在の時点では、先ほど条約局長が申しましたように、台湾との間で政治的な関係を持ち得る余地があっての政経分離ということはもう理論上許されない状況でございまして、分離をいう以前の、分離をいうことなく、事実上の関係のみということでいろいろの交流が行なわれている。そういう意味で、政もやろうと思えばできるがそれは差しおいて経をやるというのでなくて、政をやる余地のない状況のもとでの事実上の関係である、こういうふうに認識しておるわけでございます。
○堂森委員 いまの答弁は私はへ理屈だと思うのです。やはり厳密な意味において政経分離だと私は思うのですよ。政経分離というものの使い方についての幅がいろいろあるというようなこともいえるかもしれませんが、やはり政経分離だと私は思うのですね。
 そこで、もう時間がありませんからやむを得ませんが、日台間の航空業務についての交渉はいまどのような状況になっておるのでありますか。交渉妥結の見通し等についても御答弁願いたい、こう思います。
○中江説明員 これは先生も御高承のとおり、日中関係正常化後の日本と台湾との関係をつかさどるために、わがほうでは交流協会というものを設け、台湾側では亜東関係協会というものを設けたわけでございますので、この航空の問題も事実上の問題として処理していく窓口はこの両協会になるわけでございます。したがいまして、一月にわがほうの交流協会の板垣理事長が台湾に参りまして日本側の考え方を述べ、また最近は具体的に民間取りきめで日台路線を維持するという構想について、詳細に台湾側の亜東関係協会の張研田理事長に説明をして、張研田理事長はそのわがほうの説明を多とし、これを関係の向きに報告し、検討いたします、その結果はすぐにはお知らせできないかもしれないけれども検討いたしますということでございまして、そのままいまのところはまだ先方からの反応が得られていない、こういうのが現状でございます。
○堂森委員 この前の委員会で、石井委員からFIRのことについて質問がありました。その際、政府側の答弁は、日本政府は台湾と交渉して、今後打開をはかっていくということがあったと思うのですが、一体日本政府の相手の主体はどこになるのでしょうか。向こうの政府はないというのでしょう。日本政府はどこと交渉をしていくのですか。答弁を願っておきたいと思います。
○中江説明員 これは台湾のFIRとわがほうのFIRとの間に何らかの取りきめ、調整がない限り国際航空の安全が維持できないという共通の利益といいますか、目的があるものですから、関係者の間でどこかで話が行なわれなければならない。どういうふうにしてその話し合いの糸口をつかむかということにつきましては、台湾との間で、政府間といいますか、公のルートというものは持つことができないということが日中共同声明の当然の結果としてあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、そういう場合でも事実上の関係を続ける場合の窓口として、交流協会と亜東関係協会がございますので、このルートを使って本件をどういうふう持っていくかという相談をすることになろうかと思います。
 しかし、両協会の間で話し合いましても、事柄がきわめて技術的な特殊な問題でございますので、その問題を直接つかさどっている当事者間の話し合いはいずれ必要になろうかと思いますけれども、そのことは政府と政府の話し合いの問題というふうには私どもは考えておらないわけでございます。
○堂森委員 きょうはもう時間がありませんので、いずれ日中貿易協定の審議が行なわれますから、そのときにもう少し詳しく質問をしたいと思います。これをもって終わります。
○木村委員長 小林正巳君。
○小林(正)委員 二、三の点について大臣にお伺いをいたします。
 まず一つは、日中航空協定の問題でございます。
 きょうの新聞報道によりますと、中国との航空協定の交渉を、台湾側は台湾側として、ともかくいわゆる見切り発車でやるような御意向であるかのように報道されておるのでございますが、それは事実であるかどうか、お尋ねをいたします。
○大平国務大臣 私は、日中の政府間の航空協定はすみやかに結ばなければならぬと考えております。あわせて、日台間の民間協定による航空往来は維持したいと考えておるわけでございまして、そのことを達成すべく努力をいたしておるわけでございます。あなたの言われる見切り発車というのは何を意味するのか、世上よくいわれておりますけれども、そういうことばは私は申し上げたことはないわけでございまして、私といたしましては、いまお答え申し上げましたようなことを実現すべく努力をいたしておるわけでございます。
○小林(正)委員 現在、北京で行なわれておる日中航空協定の内容は、お尋ねをいたしたところでお答えしていただくわけにいかぬでしょうから、そのむだを省きますが、この日中航空協定には賛否があるわけでございます。基本的に日中国交改善がなされたという前提に立つ人の間でも賛否が分かれておるというのが実情でございます。そこで、それに反対をする側の人たち、急ぐべきでないとする人たちは、それなりに理由をつけておるわけでございます。
 私は、前提として申し上げますが、私なりに日中航空協定は大臣お考えのようにできるだけ早い機会に締結すべきであるという認識に立っておるわけであります。しかし、それはそうとして、国民の側から見て、一方で非常に大きな論議を呼んでおるこの日中航空協定についてなぜ急がなければならないかという説明が政府側からいままでなされておらぬように思うのです。大臣がこの航空協定を急がなければならぬとおっしゃっておる背景には、やはりそれを急ぐことによる外交的なメリットの整理されたものがあるのではないか。逆に裏返していうならば、これをおくらせることによる外交的なデメリットというものが非常に大きいという判断に立っておられるであろうと思います。ところがそういうものが、いままで整理された形で国民の前に提示されていないということではないか。
 そこで、おっしゃりにくい面もあるかもわかりませんが、なぜ航空協定をすみやかに行なわなくてはならぬのか、またもし行なわなければ、それにはこういう外交的なデメリットがあるのですぞということを、もう一つ整理した形でお話をいただく時期ではないかと思うのでございます。それについて大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 第一に、日中共同声明が発出されまして一年半たつわけでございます。共同声明第九項には、日中間の実務協定、平和友好条約等の締結を急ごうという両国の合意があるわけでございます。まずその合意のラインに沿いまして進めてまいることは当然の道行きだと考えておりまして、私といたしましては、もうすでにおそきに失しておると考えておるわけでございます。とりわけ日中航空協定はその性質上、日中間の実務協定のいわばハイライトになっておりまして、日中関係の一つの象徴的な案件となっておるわけでございますので、これを早く取り結ぶということは、日中両国にとりまして外交上の非常に重大な任務であり、当然の道行きであると考えております。
 それから第二には、日台路線というものは、日中共同声明、日中の国交正常化にあたりまして、日台間の実務関係は維持したいという日本の立場に対して中国側は理解を示して、従来、日本と中華民国との間に結ばれました国家間の条約、協定は一切失効いたしたわけでございますけれども、今日まで事実上運航されてきたわけでございます。こういう不安定な状態というのはすみやかに解消いたしまして、安定した基礎の上に、維持すべきものは維持するような措置を講ずることが、これまた当然の任務であると思うのでございます。
 言いかえれば、日中航空協定がおくれたらおくれている期間はいつまでも日台路線は維持できるということは幻想でございまして、そういうことはいつまでもそれが許されるわけのものではない。いつかこれはちゃんとした、安定したベースに置かなければならぬものでございますので、その点をこの際きちんとする必要がありますし、急いでやる必要があると私は考えておるわけでございます。
 それから第三に、航空路の開設というような問題は、地球上結滞を起こすところがなくて、できるだけスムーズに開設されて、各国民の需要に応ずる体制ができることが望ましいわけでございまして、日中間の航空航路は、国際航空路として大事な、幹線的な重要性を持っておりますので、これを開設することによって日中両国民ばかりでなく、第三国の国民の需要にも提供できる状況を早くつくるべきである、またそういう責任が日本にあるのじゃないかと思うわけでございます。すでに、この問題が問題になりまして一年有余をけみしておるわけでございまして、案件を処理いたすにはもう必要以上の時間をかけておるわけでございまして、一日も早くこの問題について終息をもたらすことが政治の責任であると私は考えておるわけでございます。
 それで、これを結ばない場合のデメリットは何かということでございます。当然なすべきことを怠るということは、国際信用の上から申しまして致命的なデメリットになることは間違いないことでございまするし、またこれを要望し希求しておる国民の期待に一日も早くこたえるということは、国民に対する政治の責任としても当然のことで、それにこたえられないということは国民に対する責任を果たすゆえんでない、政治信用をそこなうことになると思うのでございます。どう考えてみても、この問題は早く決着をつけなければならない、相当切迫した課題であると私は考えております。
○小林(正)委員 確かに大臣がおっしゃるように、向こうへ日本の外務大臣が行かれて約束をされてきたことがすみやかに実行されないということでは、外務大臣すら当事者能力がないというふうなことになるわけでございますし、それによる外交的なデメリットというのは非常に大きいかと思うのです。しかし、それは一方は、精神論ではなくて具体論、現実論として急ぐことに対して疑問を差しはさんでおるのに対して、ただ精神論だけでは説得力が薄いのではないかというふうに私は思うのでございます。しかし、よくわかりました。
 もい一つ、総理の東南アジア旅行あるいは中東の油問題に関連をして、外務省の機構上の問題といいますか、たとえば情報収集の能力の問題であるとかいろいろな面で、外務省、日本外交が批判の対象になっておるわけでございます。外務省の機構だけがその原因であるというふうにきめつけることは、単純過ぎるわけでございますけれども、それにしても戦前の外務省の人員と今日の人員の比較、そういう面で非常に行政需要がふえておるのに、人員のほうはさっぱりふえないというふうなことにも一つの要因があるかと思うのですが、もう一つ大きな問題として、外務省の人事機構そのもの、たとえば私が伺うところによると、外務省の職員というのは千八百名くらいですか、二千八百名ですか、そのくらいおる。そういう中で、いわゆる上級外交官試験というのですかを通ってきた人、いわゆるキャリアは五百人しかおらない。あとの八三%くらいはいわゆるノンキャリアと称せられる人たちであります。外務省の重要な政策決定がどういうふうなメカニズムで動いておるかということは、私も若干実地に勉強をさせていただいたことがございますが、これは記者としてでございますが、その経験から照らしても、いわゆるノンキャリアの人たちというものの知識とか、考えとか、判断とかいうものが外務省の政策決定にまず反映をされない仕組みになっておるように思うのであります。
 そうした人事のやり方というものについて、さきに大臣の手によって老齢大使の若返りとか、あるいは幹部職員の若返りというふうな措置がとられましたが、それはキャリアの中での話であって、いわゆるノンキャリアの人たちとは関係のないところで行なわれたものだろうと思うのです。大学生のときに一度の試験でいわゆるキャリアになるか、あるいは中級職の外務職員になるか、あるいは語学研修生というふうな形で採用をされた者が、もうそれが決定的に外務省における地位を左右しておる。ノンキャリアの人は、まず絶対に上へ昇進をするという可能性はないわけでございます。これは実態的にそうである。たまたまあってもアフリカか中東あたりの、いわゆる外務省から見て三流、そういうことばはいけませんが、ウエートの低い国の大使に二人くらいなっておるか、あるいは公使に二人くらいなっておるかということではないかと思うのです。
 かりに現在の人員をそのままたとえにしますと、五百人のキャリアはまず一人残らず大使になる資格があるのか。あと二千二百人くらいのいわゆるノンキャリアの人たちの中からは、大使のポストも百くらいある、大使、公使合わせるともっとあると思うのですが、わずか三、四人しかなれないのは、これはどういうわけでそういうことになっておるのか。法律的な裏づけがあるわけではない。だとすれば、何らかの基準がなければならぬと思うのです。これは外務省だけに限ったことではなくて、各役所の機構について全般的にいえることでありますけれども、特に外務省の場合はその差別が私はひどいように思うのです。それによって一般ノンキャリアの人たちの将来の展望もない。それが働く意欲を失なわせるという結果にもなるわけではないか。
 官僚機構もそうですが、一般の組織、いわゆる人間集団としての組織の機能を発揮させるためには、それぞれの人が能力あるいは努力によって自分の力を発揮できる場を持てるということでないと、組織としての力というものは発揮ができない。これは一般論でございます。組織論一般論として、そういうことがいえると思う。そういうことから考えると、特に外務省の人事というものは、八三%の人たちは働く意欲というものを失なわせるようなメカニズムになっておる。これが慣習的に行なわれているものかどうかわかりませんが、一体、大臣はそうした実態についてどういうふうにお考えになっておるのか、基本的な考えを伺いたいと思います。
○鹿取政府委員 初めに、事実関係について若干説明をさせていただきます。
 先生御指摘のような問題は、これは先生も言及されましたように、外務省だけでなく、日本のほかの官庁にも程度の差はあれあるわけでございますし、また特に外務省はという御指摘がありましたけれども、確かに各国とも外務省につきましては、普通のほかの官庁よりも先生の御指摘になったような傾向はやや強いということはある程度事実だと私ども承知しております。したがいまして、戦後、特に最近になりまして、先生の御指摘の問題点をいかに改善するかというようなことで漸次改善策を進めておりますけれども、それを進めるに際しましていろいろな問題がございます。
 第一は、入省したときの資格の差でございまして、これは上級試験それから中級試験、語学研修生試験のほか初級試験がございます。外務省の外交官の上級試験は、外務省だけがやっております資格と同等に採用試験でございますけれども、ほかの官庁では上級試験というもので資格の試験がございます。したがって、ほかの官庁の上級試験と外務省の外交官試験というのは、先生のおっしゃったいわばキャリアになる資格を持つのに一番早道の資格試験であるという点について同じでございますが、問題は、そのほか初級試験というのは各省、これは外務省も含めまして同じ試験がございます。
 人事政策として一番問題になりますのは、上級と初級の間におきます中級試験――外務省の場合には、中級の試験の一つのバリエーションといたしまして語学研修生試験というものがございますが、このいわば上級と初級の間にあって、大学を卒業して相当の学歴もある人を採用するのに、上級のほか、いわばグレードの若干下がるというような感じの中の中級試験、それから専門家としての語学研修生試験、この試験があることが妥当かどうか、まず第一にその問題がございます。私どもは、語学研修生試験というものは外務省の特別な任務上、世界で使用されております重要なことばにつきまして専門家を養成するという必要がございますので、語学研修生試験を通った者を語学別あるいは各国別の専門家に育てていくという必要は今後ともあると思うわけでございますけれども、中級試験というものが必要かどうか、これは各省との横の問題もございますけれども、これも検討中でございますし、特に中級試験を受かった人々の入省後のいろいろな昇進その他の問題についても、さらに検討しているところでございます。
 それから、試験がそういうふうに分かれていることのほか、入省後そういう試験系列に従って昇進が非常に固定化されているのではないかという御指摘の第二の問題がございますけれども、この問題につきましても、試験制度そのものを直ちに改革できなくても、先ほど申しました特に中級とか語学研修生でうかった人の中で優秀な人を上級並みなしていくということで、いま一歩一歩実行案をつくりつつありますけれども、この問題が現実には一番重要な問題ではないかと思います。中級、語学研修生試験を合格した人の中で現在大使になっているのはわずか二名でございますけれも、今後そういう人たちの大使への昇進の道を開いいていくということは、外務省の方針として確立しております。ただ問題は、大使となるにはやはりそれだけの力量と経験と能力が必要でございますので、いきなり中級や語研をうかった人を大使にするということはできないわけでございますので、中級、語研で入省した人も、外務省における間に仕事の間を通じて館長になる資格を付与させていく、そういうくふうが必要かと思いまして、漸次そういうふうな道を開いていくようなふうに努力しております。
 先生御指摘になりました問題に対しましては、まだ問題を取り上げて間もないものでございますから、不十分ではございますけれども、先生御指摘の問題点についてはその重要性を認識しておりますので、今後さらに検討して、特に中級、語研出身者の処遇について格段の努力をしたいと存じております。
○小林(正)委員 人事の場合は、一ぺんに急速に変えるということはなかなかむずかしいと思うのです。現在のいわゆるキャリアとノンキャリア、これは入ったときから、一方はいわば総括的な立場にあり、一方は非常に局限された仕事しか与えられていない。そういう形のままでずっといくわけですね。とすれば、その中からは、大使あるいは公使というふうな大所高所からものを見なくちゃならぬような素養というものはつかないわけです。ですから、いきなりそういうことをやろうといっても無理ですから、将来、大使あるいは公使として十分な資質を備えておるかどうか最初からわからないのだから、それはそう最初から役割りを区別するというやり方に間違いがあるのではないかというふうに思います。
 もう一つ、いまの外務省の登用というものは、いまおっしゃったように、外務職員の上級試験、ともかく国家公務員と別の試験をしている。人事に
 ついても、外務公務員法十一条か何か、それから外務省令という昭和二十六年ころ施行されたものを基礎にしておる。それはつまり外務省の人事に関する限りは、ものさしは外務省自身が持っておるのですよということなんですね、手っとり早く言って。ほかの省にはそういうものはないわけです。その辺からして私はいかがなものかというふうに思うのです。これは、そういう人事をやっておる人はキャリアの人たちばかりですから、やはりどうしてもそこに片寄りが出てくる危険性があると思う。そこで、事務的にやっていくとなかなか改革はむずかしいと思うのです。そういうところは、やはり人事権を持っておる大臣がそういうときこそ人事権を発揮していただかなくてはならない。
 ともかく外交官は、言うなれば日本国民一億一千万の運命をになうことになるわけです。それはほかの省の役人よりもそういう意味では非常に重要な責任を持っておるのです。ところが、いまのような外務省の人事のあり方でいきますと、キャリアとして入省した人は、ばかでもちょんでもともかく年がくれば大使くらいにはなることになっておる、ポジションは悪くても。ですから、どうしても積極的なことはしない。大過なく過ごすということになるわけです。そして一方で八三%のノンキャリアの士気を阻喪してしまう。これはどうしても組織体としてうまくない。
 ヨーロッパの外交的にたけた国々の場合は、百年とか二百年とかいう非常に幅の長いものの見方をして外交を進めておる。にもかかわらず、日本ではそういう先取りはできないのではないかと私は思うのです。いまのように大過なくという行き方で行きますし、それからノンキャリは実際かなり専門的な知識を持っておっても、外務省の外文的に重要な政策決定に対して意見が反映できないしかけになっておるのですから、私はそういう意味で、大臣はこの問題についても単なる事務にまかしておくということでなしに、率先してそれを指導していただかないとなかなか改革はむずかしいのではないか、そういうふうに思うわけでございます。もう時間でございますから答弁は要りませんから、いま私が要望申し上げたことを体して、ひとつ有能な外務省にしてくださるようにお願いをいたしておきます。
○木村委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 相模補給廠で戦車その他の戦闘車両の修理が行なわれ、そしてそれが深夜荷台にほろをかけて搬出をされる、そして横浜港のノースピアからさらに海外に搬出をされている、こういうことがたびたびいまでも報道をされております。この問題について、外務省に若干の質問をしたいと思うのでありますが、ことしになってからの戦闘車両の相模補給廠での修理台数、それから搬出入の状況、それから横浜港からの搬出状況、こういうことについて御報告をいただきたいと思います。
○大河原(良)政府委員 ことしの一月から三月二十六日までに横浜のノースピアから相模の補給廠へ搬入されました戦闘車両の数は六十五台でございます。また同じ期間に相模の補給廠から横浜のノースピアに搬出されました戦闘車両の数が二百二十一台、こういう数字でございます。
○松本(善)委員 この戦闘車両がどこへ行っておるかという問題でありますが、この戦闘車両がどういう船によって搬出され、どこに行っておるかということは外務省では把握されておりますか心
○大河原(良)政府委員 その点についてつまびらかにいたしておりません。
○松本(善)委員 横浜港から出港する際の船は、一般的に行く先を届けるということになっておりますか。海上保安庁に伺います。
○船谷説明員 一般の船につきましては、港則法に基づきまして仕向け地を届けることになっております。
○松本(善)委員 アメリカの軍艦あるいは軍用船についてはどういうことになっておりますか。
○船谷説明員 地位協定によりまして船舶の名称、トン数、長さ、喫水、出入港の日時、それを適当な方法で通告することになっております。
○松本(善)委員 すると、行く先は通知をしないのですか。
○船谷説明員 通告されておりません。
○松本(善)委員 すべてアメリカの軍用船は、日本の船をチャーターした場合であっても、アメリカの船であろうと、軍が使用するという場合は、一切慣例上もその届け出をしていないのですか。それともその義務がないというのか。どちらですか。すべてのアメリカ軍のチャーターした船は、一切行く先について届け出ないで出港しているという実情なのかどうか、それを伺いたいのです。
○船谷説明員 米軍がタイムチャーターしておる船まで、要するに船全体をチャーターしておる場合は全部通告がありません。その他、船の一部を使っておるというような場合には、一般船舶と同様の扱いをしております。
○松本(善)委員 そうすると、軍用船で出港したものはことしになってから横浜港でどのくらいありましょう。
○船谷説明員 ことしに入っての集計はまだしておりませんが、去年一年間のものを申し上げますと、京浜港には百三十四隻入っております。
○松本(善)委員 この戦闘車両がどこへ行っているかということについては非常に国民の関心も大きいわけだし、中東戦争のときにはイスラエルに行っているのではないかということについての疑いもいろいろ持たれたわけであります。そのときにいろいろ国会でも質疑がなされましたが、去年の十一月二十一日に内閣委員会で大河原説明員の答弁ということで、「日本から積み出された以上、その行き先について日本は関知しないということではございませんで、イスラエル向けに輸送が行なわれた事実はないということをはっきりさせておきます。」という趣旨の答弁がなされております。いま海上保安庁の答弁でありますとかアメリカ局長の答弁をお聞きいたしますと、日本の港から軍用船が何を積んでどこへ行ったかということについては全くわからないという仕組みになっておるということがわかったわけであります。
 一体そういうことでいいのかどうか、それから大河原さんのこの答弁は間違っていたのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○大河原(良)政府委員 実際の運用のしかたにつきましては、ただいま海上保安庁から御答弁があったとおりでございます。昨年の十一月の時点におきまして国会で私が御質問をいただきましたのは、日本の港からイスラエル向けに弾薬類を輸送しているのではないか、こういう具体的な御質問がございまして、この点につきまして私どもとしては当然関心のあるところでございますので、米側に確かめましたところ、イスラエル向けに日本の港から弾薬類を搬出した事実はないということを確認したわけであったわけでございます。したがいまして、当時の私の答弁はそういう事実関係に基づいて行なわれたわけでございますが、一般的に米軍の船が日本の港に入り、また出てまいります際には、ただいま海上保安庁から御説明があったような形での運用が行なわれているというわけでございます。
○松本(善)委員 去年の暮れからモーマックグレインとかパイオニアコマンダーとか、そういう船が戦闘車両を積み込んで出たということの報道もあり、最近一月ではブロストムなどが兵員輸送装甲車のキャタピラ台を送っている、そういうようなこともあるようです。
 こういうことについて、日常的には日本政府としてはアメリカ軍がどこへこれらを送っているかということについては全く関心を払わない、わからないでいる、こういう状況でいるわけですが、それでいいということでありますか。
○大河原(良)政府委員 個々の軍用船あるいは輸送船等がどういう行動をしているかにつきましては、私ども一々その事実を把握いたしておりません。しかしながら、大きな関心を呼びますような問題につきましては、そのときどきに応じて適当な情報の入手につとめてきているところでございます。
○松本(善)委員 たとえばイスラエルの話は先ほど出ましたが、イスラエルとかジエゴ・ガルシアへ持っていくとか、そういうことが日本政府との関係でわからないうちにやられているということがいまのままではあり得るわけですが、そういうことがあってもいいということでしょうか。
○大河原(良)政府委員 ただいま具体的に御質問がありますのは、戦闘車両の搬出の問題でございますが、戦闘車両がたとえばジエゴ・ガルシアにいま搬出されるということは、港の設備等の点から見てもあり得ないことであろう、こういうふうに考えるところでございます。しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、一々の船舶の行動については必ずしも具体的な状況を把握いたしておりませんけれども、関心の払われるべき問題については情報の把握を怠らないようにしてまいりたいというふうに考えてやってきておるわけであります。
○松本(善)委員 それでは問い方を変えましょう。インド洋もしくは中東へ運ばれているということがあってもかまわないということですか。
○大河原(良)政府委員 戦闘車両の搬出先がどこであるかということにつきましては、一昨年の秋以来種々国会等で御議論いただいているところでございまして、当時から私どもが関心を払ってまいりましたのは、一体これらの戦闘車両がベトナムに搬出されるということがあるのか、あるいはそのほかの仕向け地であるのか、そういうふうなことであったわけでございますけれども、最近の状況におきましては、特に昨年の一月にベトナム和平協定ができまして以後は、協定に基づく一対一の差しかえ以外の戦闘車両の搬出がベトナム向けに行なわれておるということについては、その事実を承知しておらない、こういうことでございます。
○松本(善)委員 じゃ具体的にお聞きしますが、先ほどの御答弁ではノースピアに相模補給廠から送られたのは、ことしになってから三月二十六日までに二百二十一台。この二百二十一台はどこへ送られているというふうに政府は考えているのですか。
○大河原(良)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、その事実をつまびらかにいたしておりませんけれども、かねて国会等で問題になりました戦車につきましては、昨年の夏以来相模原の補給廠からの搬出の事実はない、こういうことを申し上げておきたいと存じます。
○松本(善)委員 私が聞いているのは戦闘車両です。これが一体どこへ――戦車という概念ということになるといろいろ問題がありますから、戦闘車両というふうに言っているわけですが、この二百二十一台は一体どこへ行っているのか。ベトナムでもない、中東でもない、インド洋でもないということなのか、そういう認識をしておるのかどうか、それを聞きたいのです。
○大河原(良)政府委員 具体的にどこに搬出されたかということについて、ただいま申し上げるためのデータを持ち合わせておりません。
○松本(善)委員 それは調べればわかるのですか。
○大河原(良)政府委員 これは米側に確かめてみませんとわからない点でございますが、米側がその事実を一々明らかにするかどうかについては、ただいまはっきり申し上げる立場にございません。
○松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、いまのような経過でありますが、こういうことになりますと、日本の米軍基地がどこの米軍のために使われるかということが全くわからないという状況であります。これはベトナムに送られているのか、イスラエルに送られているのか、それともインド洋に送られているのか、そういうことについては日常的にわからない。これは極東の範囲の問題でもたびたび国会でも議論をされていますけれども、一体米軍が軍用船でどこへ持っていくかということについては、全く日本政府としてはわからないという仕組みでいいとお考えになっているのかどうか、この点について外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○大河原(良)政府委員 戦闘車両がインド洋に搬出されているかもしれないというふうにとられるような御発言でございましたけれども、常識的に考えまして、日本の港から戦闘車両がインド洋に向けて現在搬出されるということはまずなかろう、こういうふうに考えるわけでございます。また、イスラエル向けにアメリカが弾薬類その他軍需品を送ったことはないということははっきりいたしておりますし、現在の状況において、イスラエル向けにまたそのような搬出が行なわれるということも、まず考えられないところではなかろうかと思います。
 そういたしますと、結局、ベトナムに行っていることがあるのかどうか、こういうことでございますけれども、これにつきましては先ほど御答弁申し上げましたように、ベトナム和平協定に基づいて一対一の差しかえが行なわれる場合以外には、米側としてベトナム向けにこのような車両を搬出することはないというふうなこともまた言ってきているところでございまして、おのずから行く先というものは限られてくるだろう、こういうふうに考えるわけであります。
○松本(善)委員 ではどこに行っているのですか、限られてくるというのは、どこですか。
○大河原(良)政府委員 これも一昨年の秋以来のことでございますから、米本土に送り出されているものもあると思いますけれども、ただいま具体的に御質問がありました二百二十一台のものが、具体的にどこを仕向け港として搬出されているかということについては、手元に情報を持ち合わせておらないわけでございます。
○松本(善)委員 だから、外務大臣にお聞きしたいのです。こういう状態でいいのかということなんです。日本の国民に対して責任を持っておる日本政府が、日本の基地からこういうふうにどこへ行っているのかわからない。ベトナムでもない、イスラエルでもない、それからインド洋でもないい、米本土かもしれない。米本土へ二百二十一台行っている、これはとても信じられない。これは一体どこへ行っているのか。それが国際法上問題がないのか、日米安保条約上問題がないのかということについて、当然日本政府はチェックをすべきではないか。この点についてはいまのままでいいというのが外務大臣のお考えかどうか、これを伺いたいのです。
○大平国務大臣 まず、私どもの任務は、安保条約並びに関連した取りきめを忠実に運営してまいるということでございまして、国と国との約束でございますから、それを誠実に守ってまいるということでございます。
 第二に、では現行の取りきめというものがいいか悪いか、それに判断を加えて正すべきは正し、直すべきは直さなければいけないものもあるのじゃないかというサゼスチョンでございました。それなりに松本さんのおっしゃること、理解できないわけじゃございませんが、まずわれわれとしてわが国のいわゆる米軍の施設というふうなものが拡充強化され、いま問題の相模補給廠というようなものが拡大されて、その補修機能というものも大きくなってまいって、日本の周辺にまた新たな緊張を呼ぶような事態があるかどうかということになりますと、全体として縮小の方向、整理の方向をたどっておると思うのでありまするし、したがいまして、現行の取りきめにつきまして、特にこれを改めて、こうしなければならぬというそういう意思はいま私は持ち合わせておりません。
○松本(善)委員 そうすると、日本政府としては、わからないままでもいいんだ、どこへ送っていっても関心を払う必要もない、こういうことでありますか。アメリカ側がどこへ送ろうと、それはかってだということでありますか。
○大河原(良)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、当然のことながら関心は払ってまいってきているわけでございまして、したがいまして、それぞれの状況におきまして必要な情報の入手にはつとめてきているところでございます。先ほど米本土にこのような戦闘車両を搬出することは問題があるじゃないか、こういう御指摘でございましたけれども、この点につきましては、昭和四十七年九月に相模原補給廠における米軍戦車等の修理についてということにつきまして、外務省としての見解を国会に対して明らかにしているわけでございます。
 その中におきまして、当時外務省は、わが国の施設、区域において米軍がその所有する戦車などを修理の後に、米本土等へ搬出するということについては、これは米軍が保有する装備を、たまたま米軍内部において転用するという行為であって、安保条約上に何の問題はない、こういう考え方を明らかにしているわけでございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、これらの車両がかりに米本土に輸送されているという事実があるといたしましても、ただいま御答弁申し上げましたような考え方に立って、安保条約上の関係を考えていってよろしいのである、こういうふうに考えております。
○松本(善)委員 私は問題があると言ったのではなくて、二百二十一台全部アメリカ本土へ行っているということは考えられぬじゃないか、これはどこへ行っているかということは当然調べて言うべきではないかということなんです。二百二十一台がアメリカ本土へ全部行っているというふうには考えられないでしょう。外務省がこれについては関心を払っているというけれども、もし関心を払っているならば、このことについて質問をするということを言ってあるわけですから、一体、この搬出された車両はどこへ行っているぐらいはアメリカに確かめて来るべきじゃないですか。そういうこともしないで国会へ出てきているということは何の関心も払ってないということではありませんか。これはどこへ行こうとそんなことは、国会で問われようと答えられなくてもかまわないのだ、その程度の問題だ、こういうふうに思っているという証拠じゃないですか。そうは思わぬですか。
○大河原(良)政府委員 米側から入手できる情報と入手できない情報があると申さざるを得ないと存じます。今回の場合におきまして、残念ながらこの二百二十一台につきまして具体的な行く先に関します情報の入手をいまのところまだ入手し得なかったわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、米側に聞いたけれどもわからなかったということですか。
○大河原(良)政府委員 いまの段階でその点を明らかにすることができない、こういう状況であるわけでございます。
○松本(善)委員 いや、状況であるというのは米軍がそういうふうに言ったということですか、知っているけれどもそれは明らかにできないということですか。
○大河原(良)政府委員 さっき御答弁申し上げましたように、入手し得ます情報とそうでない情報があるわけでございまして、今回はこの問題につきまして情報の入手に至り得なかったわけでございます。
○松本(善)委員 だから私は、もっと狭めて聞いているのですが、アメリカ局長はアメリカ側に聞いたのかということです。そして聞いたけれども教えてもらえなかったのかということを伺っているのです。
○大河原(良)政府委員 できる限りの情報の入手につとめてまいっておりますけれども、この問題については情報の入手に至らなかったわけでございます。
○松本(善)委員 私の問いに答えておるのかもしれないのですが、別のことばで答えているからほかのことを言っているのじゃないかというふうに疑っているわけだけれども、できる限りの情報入手の手段は尽くしたけれども入らなかったということと、日本政府としてアメリカ側に公式に聞いて答えられなかったということ、答えがなかったということは違うと思うのです。私が聞いているのは公式に問い合わせたかということです。これに対して問い合わせたか問い合わせてないかということを答えてほしい。そして問い合わせたものであるならば、それについての答えはどういうものであったか、この点について答えてほしいわけです。
○大河原(良)政府委員 私どもの立場として情報の入手先は米側でございます。米側から情報の入手ができなかったということでございます。
○松本(善)委員 公式に聞いたけれども答えはなかったというふうに受け取っていいですか。いけないならはっきりいけないと言ってください。
○大河原(良)政府委員 米側からの情報の入手をすることができなかったということでございますす。
○松本(善)委員 おかしいね。私、それを何べんも何べんも繰り返すということは非常に問題があると思うのですよ。国民の前に事実を明らかにすべきですよ。どういう手段で情報をとろうとしたのか、そしてそれはどういう結果であったのか、それを具体的に答えてほしいのです。もしあなたが具体的に答えることはできないのだというならら、その理由も言ってほしい。どういう手段で情報をとろうとしましたか、そしてその結果はどういうことであったのか、具体的に答えてほしい。
○大河原(良)政府委員 相模原補給廠における戦闘車両の搬入搬出の問題につきましては、最近国会等で御議論をいただいております。したがいまして、私どもといたしましてはこの問題についての最近の状況の把握につとめてまいりましたし、そのために何両が搬入され、何両が搬出されているということについての情報の入手もつとめてまいりましたし、その搬出された戦闘車両がどこに仕向けられたのかということについての情報の入手にもつとめたわけでございます。これらの点につきまして米側に問い合わせをいたしましたけれども、仕向け先につきましては情報の入手ができなかったわけであります。
○松本(善)委員 外務大臣にお伺いしたいのですが、米側に問い合わせたけれどもそれについての情報は得られなかったというのがいまのアメリカ局長の答弁であります。そうすると結局いまこの二百二十一台の戦闘車両、日本から搬出されていることしになってからのこの二百二十一台が一体どこへ行っているかということはアメリカ側は言わないという態度でしょう。一体それでいいのか、日本としてはそういうことを容認していいのかどうか、この点についての外務大臣のお考えをお聞きしたいのです。
○大河原(良)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもとしてもちろん関心の存するところでございますから、今後ともこの問題についてできる限りの情報の入手にはつとめてまいりたいと考えております。
○松本(善)委員 やはり外務大臣に、これは判断の問題だと思うのです。アメリカ局長は何べん言っても公式に問い合わせたのだけれども情報を得られなかった、今後ともそれについてつとめると言っても、公式に問い合わせていままで言ってないということは、これは期待できないと思うのです。それでいいのか。いけないというのならばやはり外務大臣のレベルでお考えになるべきことだ。これはこれでいいん、だというのなら、私は政治問題だと思います。それはそれで質問としてはそれ以上進みませんけれども、私どもはそういうことでは絶対許せないと思いますけれども、それについて外務大臣は政治家として大臣としてどうお考えになるかということを私は伺っておるわけであります。
○大平国務大臣 米国もその軍事行動の上から、それ自体固有の軍事上の秘密を持っておると思うのでありまして、われわれは仰せのようにできるだけ解明いたしまして、国民に知らすべきものは知らさなければならぬわけでございますが、事柄によりまして壁に逢着することは間々あるわけでございます。この問題につきまして何両がどこに仕向けられたかということにつきまして米軍が秘匿をいたしておるわけでございますが、これをさらに究明するということは運事上の秘密としていいかがなものかと私は思います。
○松本(善)委員 外務大臣、二百二十一台がイスラエルでもない、インド洋でもない、ベトナムでもない、米本土へ全部送るということはちょっと考えられないということになりますと、日本の国民にとっては非常な疑惑じゃないですか。それについて当然に解明されなければならない。私は、外務省としてはこれは明らかにすべきであるということを米側にあらためて申し入れをさるべきだというふうに思いますけれども、外務大臣、あらためてそういうことをやるというお考えはありませんか。当然日本の国民は黙って見ていなければならない、こういうお考えですか。
○大河原(良)政府委員 相模原補給廠の一般的な運用状況の詳細について米側は情報の提供に応じかねるというのが基本的な米側の態度でございますけれども、個々の問題について具体的な照会をいたします場合に、それに対する回答が得られる場合、それから確認が得られる場合、いろいろな状況がございます。したがいまして、具体的な問題につきましては、今後とも具体的な状況に照らして情報の入手あるいは米側の確認、こういうものの得られるようにつとめてまいりたいと思います。
○松本(善)委員 そうすると、この二百二十一台の行き先についてあらためて具体的に照会をしてその回答が求められる、求めるし、それから得られるという見通しがあるということですか。
○大河原(良)政府委員 見通しについてここで、云々ということを申し上げることは控えたいと思いますけれども、具体的な御質問をいただいておりますので確かめてみたいと考えております。しかし、見通しについては何ともわかりません。
○松本(善)委員 それではこの点については次回の委員会に答えられるようにしておいていただきたいと思いますが、そういうふうにやれますか。
○大河原(良)政府委員 時期を限っての御要求でございますと、その時期までにどの程度の御回答ができますか、わかりませんけれども、とにかく米側と当たってみたいとは存じます。
○松本(善)委員 それではこの問題はさらに引き続いてやろうと思いますが、これは日米安保条約の運用に関する重大な問題ですし、日本の国民、これはいまの時点だけにとどまらない、日本の基地がどういうふうに使われるかということについて日本国民はめくらにされておるという問題でありますので、きわめて重大な問題だというふうに考えます。今後とも、今後の問題として追及をしていきたいと思います。
 きょうはこの程度にしたいと思いますが、もう一つお聞きしたいのは、二十五日に日米安保運用協議会が行なわれたということでありますが、ここで原潜の問題についての論議が行なわれたということが報道をされております。この日米安保運用協議会で行なわれました原潜問題についてどういう論議があったかを御紹介いただきたいと思います。
○大河原(良)政府委員 一昨日、月曜日の午後、第十回の日米安保運用協議会が開かれました。久しぶりでございますので、安保条約の運用に関します日米の共通の関心事についての話し合いを行なったわけでございます。そのいろいろな話し合いの中の一つとして、原潜の寄港の問題についても話が及んだわけでございますが、その中で、日本側からはかねて、随時日本側の監視体制の問題、その他の状況を米側に通報してございますけれども、最近の状況をあらためて米側に伝えたというのが、会議の内容でございます。
○松本(善)委員 報道によりますと、アメリカ側から、放射能の監視体制が崩壊しているということで、それを早くやってほしいという趣旨のことがあったということでありますが、その事情を明らかにしてほしいと思います。
○大河原(良)政府委員 たしか二月の半ばであったと思いますけれども、アメリカの国務省のスポークスマンが、少なくとも二月一ぱいは原潜の日本の港への寄港は行なえないという趣旨のことを発言いたしております。したがいまして、米側といたしましては、この問題について、日本側の事情を心得つつ、いかなる計画を定めるべきかということを考えてきているというふうに私ども承知いたしております。今回の会議におきましても、日本側の状況を話をしたわけでございますが、米側は、これに対しまして、かねてより日本側の事情を十分心得ているという態度できているわけでございます。今回の会議の際におきましても、日本側の説明に対しまして、米側としては十分その事情をよく伺ったということであったわけでございますが、米側のいろいろな計画もあり、なるべく具体的なめどづけを考えたいというのが米側の態度であったわけであります。
○松本(善)委員 そうすると、結局具体的なめどづけというのは、いまは万全の監視体制ができていないので、その万全の監視体制ができるように早くしてくれという趣旨の話があった、こういうことですか。
○大河原(良)政府委員 監視体制の問題につきましては、かねて科学技術庁が国会で御説明いたしておりますように、寄港地における現場の監視体制については、昭和三十九年以来の基本的な安全体制の確立は十分行なわれている。しかしながら、各種分析を担当しておりました民間の研究所の研究、検査という体制が非常にずさんなものであったということによりまして、念のための体制の立て直しということが現在行なわれているという事情を米側に対してかねて伝えてあるわけでございます。したがいまして、日本の政府の立場といたしまして、寄港地における現場の監視体制については従来同様何の安全性に対する疑問も持っておらないという事情は米側には伝えてあるわけでございます。
○松本(善)委員 私の聞いておりますのは、いまの政府の考えではなくて、アメリカ側が言った、具体的なめどづけをしてほしいというのは、いま万全の監視体制が不備であるので、それでそれを早くやってほしいということの話があったのか、その会議の中でのアメリカ側の趣旨、具体的なめどづけということについてのアメリカ側の意志表明というのはどういうものてあったかということを質問しているわけてす。
○大河原(良)政府委員 米側はかねて日本側の事情、状況、こういうものは十分日本政府から聞き、これによって事情を心得ている、こういう態度で対処してきているわけでございます。したがいまして、ただいま私が御答弁申し上げましためどづけというのは、かねて科学技術庁が行なっております民間の研究所の公認の機関の設定ということとは直接関連のない問題でございまして、米側といたしましては、日本側の事情を十分、心得つつ、米側の計画においてどういうふうに考えていくべきかということについて十分検討を進めてきている、こういうことであるわけであります。
○松本(善)委員 どうもおかしいのですが、いま各種分析をする体制が不備だから、そうしてそれとの関係で具体的なめどづけを急いでほしいというなら話はわかります。しかしそれと無関係で何が具体的なめどづけなんですか。いま監視体制がそろっているというなら、いまでも入るということですか。どういう意味で具体的なめどづけをしてくれという話があったのかという内容ですよ。そのことを聞いている。
○大河原(良)政府委員 米側としては日本側の事情を心得、かつ自分のほうの計画を考えながらどういうふうにこの問題に対処していくかというめどを自分でつけたい、こういう趣旨のことなんでございます。
○松本(善)委員 自分でめどをつけたいというのを何で会議で発言するのですか。それはちょっと理解ができないですよ。日本側に要望したのでしょう。要望したということは、経過やそれから報道から見ても、各種分析をするについての十分な体制を整えるようにしてほしいということ以外には普通は考えられないです。いまのようなアメリカ局長の話であれば、そんなことは会議で発言されるとも思えないですね。自分でめどづけを考えたいというのを、何で日米安保運用協議会で発言する必要があるのですか。先ほどあなたははっきりと、具体的なめどつけを考えてほしいということを答弁したじゃないですか。
○大河原(良)政府委員 一番最初に御答弁申し上げましたように、一昨日の運用協議会におきましては、安保条約の運用に関するもろもろの問題について話し合ったわけでございますが、その中の一つとして、原潜の問題についても話が及んだわけでございます。その中で日本側から、かねて米側に通報をいたしておりますものに加えまして、最近の状況について米側に話をした、こういう事実を踏まえまして、米側は日本側のかねての説明によって、通報によって、日本側の事情を心得てはいるけれども、いま私が御答弁申し上げましたような点について、米側の立場でめどをつけてみたい、こういうことを言ったという趣旨のことでございます。
○松本(善)委員 具体的にはどういうことなんですか。日本側の事情を心得ているけれども、具体的なめどを米側で考えてみたい、それはどういうことなのか。いまのアメリカ局長の答弁は、各紙が報道していることとも全く違いますよ。そして合理的な推理からもまことにはずれたことです。アメリカ側は核種分析の問題に関係して、万全の監視体制がないから、それを早くつくるようにということを日本側に要望したのと違いますか。
○大河原(良)政府委員 監視体制をどういうふうに固めるかということは、これは日本側の問題でございまして、日本政府の責任においてこれは処理すべき問題でございます。また、先ほどもこれは御答弁いたしましたけれども、米政府としてはは、スポークスマンが二月一ぱいは寄港の計画はないということを申した点、事実があるわけでございまして、そのときどきの状況に照らしまして、この問題をどういうふうに対処していくべきかということは、米側は自分の立場においてまた考えていく、こういうことであろうと思います。
○松本(善)委員 二月一ぱいは寄港の計画はない。いま三月ですよ。四月になろうとしているのに、そんなことが通りますか。そんな二月のころの話をしたのですか、あるいは報道されていることは全部間違いですか、その点をお答えいただきたい。とても納得できないです。
○大河原(良)政府委員 二月ということを私申し上げましたのは、会議の中で二月ということが出たということじゃございませんで、そういうふうな事実を踏まえて今回の会議の中で原潜の問題についても話し合いが行なわれた、こういうことであるわけでございまして、米側といたしましては、海軍としての運用計画が当然あることであろうと思いますけれども、二月は過ぎ、三月も終わろうとしているわけでございますから、時日の経過とともにどういうふうにこの問題に対処していくべきかということをいろいろ考えておる、こういうことであるわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、アメリカ側としては監視体制の整備を急いでほしいという趣旨の発言をしたということで報道された報道は全部間違いだ、こう言い切るつもりですか。
○大河原(良)政府委員 監視体制そのものについては、政府はかねて寄港の現場における監視体制について何の疑いを持たない。問題は、核種分析実施してまいりました民間の研究所の検査体制にあるということであるわけでございまして、この点はまさに日本政府の責任において処置すべき問題であるわけでございます。科学技術庁のほうでこの問題について鋭意取り組んでおられるというふうに私ども承知しているわけでございます。
○松本(善)委員 私の聞いたことに答えなくちゃいけないですよ。すでに報道がされているわけです。この二十五日の安保運用協議会でアメリカ側は、監視体制が万全でないから万全にするように急いでほしい、そして原潜が入港できるようにしてほしいということを求めたというのがそれぞれ各紙の報道するところでありまして、その報道しておるのは、あなたの答弁では全部間違いだということになるのですよ。あなたは、こういう報道がされているのは全部間違いだというふうに言い切るつもりかと言っているのです。
○大河原(良)政府委員 私は、新聞の報道につい
 て、それにあらがう気持ちはございません。ただ、各紙の報道ぶりにもいろいろニュアンスの違いはございます。したがいまして、会談のあとに私は記者団に対しましてブリーフィングを行なっておりますけれども、そのブリーフィングを記者団の方がそれぞれの立場でどういうふうにおとりになられたか、それがまた紙面にどういうふうなニュアンスの違いをもって書かれているかということであろうと思うわけでございます。
 いずれにしましても、米側といたしましては日本側の事情について十分これを心得、理解を持ってこの問題に対処してきているということをいってきているわけでございまして、監視体制の問題は、これはあくまでも日本政府が自己の責任において処理すべき問題であり、米側としましてはそのような事情を心得つつ、また米側の事情も踏まえてこの問題に取り組んでいくのである。しかし、その場合になるべく早くすっきりしたことになりますれば望ましいという気持ちは当然あるわけでございます。
○松本(善)委員 ある新聞は、早く入港ができるよう対策を急いでほしい、それからある新聞は、監視体制の整備がおくれている、監視体制の整備を急ぐよう日本側に要請したということですよ。あなたのきょうの話では、それはもう何にもそういう話はなかったということになりますよ。新聞の報道にあらがうつもりはないと言うけれども、実際は、そういう報道は間違っているということを言っていることになりませんか。私は、率直にお認めになったらいいじゃないか。もしあらがうつもりがないならば、そういうことがありましたということをここで言われたらいいじゃないかと思うのですよ。国民はわからなくなる。ますます疑惑は深まります。
○大河原(良)政府委員 ですから、先ほど御答弁申し上げましたように、新聞の報道ぶりにもそれぞれニュアンスの違いがあるわけでございまして、それは私の説明に対して新聞の方々がどういうふうにおとりになり、どういうふうに記事をお書きになられたかということによるのであろうと思うわけでございます。
 いずれにしましても、私、ただいま御答弁申し上げておりますような形で、原潜の問題についても運用協議会の中の一部として取り上げられているというのが実情でございます。
○松本(善)委員 非常に重要な違いがありますのは、あなたのきょうの話では、アメリカ側が自分でめどをつけたいということを言ったということなんです。とてもおかしな話ですけれども、そういうことを言ったということなんです。各紙の報道しているところは、アメリカ側が日本側に要請したといっている、あるいは要望したといっている。これは全く質の違ったことですよ。アメリカ側から日本側に要望ないし要請があったのではありませんか、監視体制の問題について。
○大河原(良)政府委員 日本側は米側に対して事情、状況の説明、通報をいたしてまいりましたし、月曜日にも最近の状況についての説明をいたしました。これに対して米側は、かねてよりその事情を心得ているという態度できているわけでございまして、今回も新しい状況を知らしてもらって、それはそれとしてわかった、ただ米側としては米側のまた事情もあり、すっきりした形でこの問題がめどがつけられることを希望しておる、こういう趣旨のことがあったわけでございます。
○松本(善)委員 私はとても説明に納得できないと思います。私はこういう問題、もしいまのアメリカ局長のような答弁であるならば、これはこの報道を否定されたらいいと思うのです、それは間違っていると。それを否定もしない。そして事実上違ったことを言っている。これはまことに私はずるい態度ではないか。間違ったことが報道されているならば、国民に対してこれは間違っているということを言うべきだと思うのです。そうでなくて、それについてはあらがうつもりはないというならば、おそらくそれに近いことを記者会見で言ったのではないかと私は思います。そして実際はそれを否定する発言をしている。
 私はそういうような態度は間違っていると思うのです。実際にあったことは、あなたが知っていることだから私はわかりませんけれども、しかし、国民に対して事情を説明する態度としてはきわめて不誠実です。そういうことは私は許しがたいことだと思うのです。これが最後ですけれども、あらためて答弁を求めます。
○大河原(良)政府委員 会議のあとで私は外務省の記者クラブの方々に対してブリーフィングを行ないました。いろいろ会議の状況を許される範囲内において説明をいたしました。その中で、米側としては早くこの問題がすっきりした形で取り組めることを希望したいという趣旨の、そういうふうな話はあったという趣旨のことを私御説明した記憶がございます。したがいまして、その点を記者の方々がそれぞれの立場でそれぞれ違ったニュアンスでまた記事にされた、こういうふうなことであろうと考えているわけであります。
○松本(善)委員 私は、その程度のことばであっても早く答弁をすべきだと思うのです。私はそれでもまだ納得はできませんよ。といいますのは、日本の新聞記者の諸君が全く違ったことをでっち上げて各紙が報道するとは考えられないから。私はむしろ、そういうふうに問い詰められて、あらためてそういうことをあなたが言ったということは、実際はきょう答弁をしたことはほんとうではないのではないかと非常に強い疑いを持っている。そしてこの問題については、さらに追及をしていきたいということを述べて、私の質問はこれで終わります。
○木村委員長 次回は、明二十八日木曜日、午後二時三十分理事会、午後二時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十分散会