第072回国会 商工委員会 第25号
昭和四十九年四月五日(金曜日)
   午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 濱野 清吾君
  理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君
   理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
   理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君
      稲村 利幸君    浦野 幸男君
      木部 佳昭君    近藤 鉄雄君
      島村 一郎君    丹羽喬四郎君
      橋口  隆君    八田 貞義君
      松永  光君    保岡 興治君
      加藤 清政君    上坂  昇君
      佐野  進君    渡辺 三郎君
      米原  昶君    近江巳記夫君
      松尾 信人君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      内田 常雄君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 熊田淳一郎君
        経済企画庁長官
        官房参事官   有松  晃君
        経済企画庁物価
        局長      小島 英敏君
        科学技術庁原子
        力局次長    伊原 義徳君
        通商産業政務次
        官       森下 元晴君
        通商産業省基礎
        産業局長    飯塚 史郎君
        資源エネルギー
        庁長官     山形 栄治君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 岸田 文武君
 委員外の出席者
        通商産業省立地
        公害局石炭課長 原木 雄介君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       井上  力君
        日本国有鉄道貨
        物局総務課長  藤井 智明君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月五日
 辞任         補欠選任
  越智 通雄君     保岡 興治君
同日
 辞任         補欠選任
  保岡 興治君     越智 通雄君
    ―――――――――――――
四月三日
 石油需給の適正化等に関する陳情書外一件(宮
 城県議会議長木村喜代助外一名)(第四二三
 号)
 農業用石油等の優先確保に関する陳情書外四件
 (彦根市元町四の二彦根市農業委員会長野口常
 吉外十七名)(第四二四号)
 灯油、プロパンガス等の価格及び供給安定に関
 する陳情書(赤平市議会議長高江良男)(第四
 二五号)
 中小企業の緊急金融対策に関する陳情書外五件
 (関東一都九県議会議長会常任幹事東京都議会
 議長醍醐安之助外二十六名)(第四二六号)
 発電用施設周辺地域の整備促進等に関する陳情
 書外一件(和歌山県議会議長土肥正敏外十四
 名)(第四二七号)
 新エネルギー資源の開発促進に関する陳情書
 (関東一都九県議会議長会常任幹事東京都議会
 議長醍醐安之助外九名)(第四二八号)
 水力発電の開発促進に関する陳情書外一件(東
 海北陸七県議会議長会代表岐阜県議会議長米野
 義久外十二名)(第四二九号)
 中小企業金融公庫出張所の支店昇格に関する陳
 情書(近畿二府六県議会議長会代表和歌山県議
 会議長土肥正敏外七名)(第四三〇号)
 冠婚葬祭互助会法制定に関する陳情書(八代市
 松江城町三の一四冠婚葬祭互助会法獲得期成同
 盟会長木下勇外一名)(第四三一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 資源エネルギーに関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○濱野委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、資源エネルギーに関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 通産大臣にお伺いしますが、国連の資源総会に対するわが国の考え方――資源国のほうでは資源の恒久主権を主張している、また資源に対する国有化あるいは所有権の移転をする権利を主張しているといったこと、また国際石油資本に対する、国際石油資本のあり方というものはどうあるべきか、今回の石油の値上げに対しても、日本に対する支配権を持っているという立場から相当圧力をかけてきたということも事実であるわけです。それらの点から大臣の忌憚のない考え方というものをお示しいただきたい、こう思うわけです。
○中曽根国務大臣 まず基本原則は、先進国と発展途上国が、特に資源保有国が共存共栄、相互補完という道を歩むということが必要であると思っております。その場合、先進工業国の立場は、ある意味においては、先進という意味におきましても優位な立場があるわけでございますから、資源保有国、発展途上国の立場に十分の理解と同情を持ちながら、お互いに互恵平等の政策を進める必要があると思っております。今回の国連の会議におきましては、日本政府は水田君を代表として送り込むわけでございますけれども、基本的にはそういう精神と態度をもって臨むと思います。
 それで、具体的な問題につきましては、いろいろ決議等が出てきます場合に訓令を仰いでくるであろうと思います。その場合に、外務省とも相談をして、わがほうの具体的立場は明らかにしていきたいと思いますが、やはり歴史の動向から見ましても、資源を持っておる国の主権というものを十分に尊重して、そうしてその資源保有国の立場にわれわれがある程度同調しつつ、お互いに共存共栄の道を発見し合って提携していくということが妥当な政策ではないかと思います。
○中村(重)委員 この前の石油消費国会議でも、アメリカはイニシアチブをとるといったような点が露骨にあらわれておった。そのことがフランスをしてあのような態度に追い込んだということも言えるのではないか。先進国とそれから資源国、消費国と資源国の関係というものは対立ではなくて、いま大臣がお答えになったような協調でなければならないと思います。十分その点に対する慎重な態度をもって臨まれることを強く要望いたしておきたいと思います。
 次に、電気料金の問題についてお尋ねをいたしますが、二十六日と二十九日に私はこの問題についてお尋ねをいたしました。二十六日の参議院における午前中の商工委員会における答弁と午後の当委員会における私の質問に対する答弁というのは、二十七日の新聞を見まして完全に食い違っておるとは思いませんが、少なくとも相違点があるというようなことを私は指摘をいたしましたが、その際、大臣は、予算委員会、参議院商工、衆議院商工と回って疲れておったという点もあるということで遺憾の意を表しておられたわけです。その際、私は、重要度という点について大臣が明らかにされましたから、重要度の高いところは申請があったならばこれを受理せざるを得ないであろう、そういう前提に立って、九電力全部が申請をしようとするかまえを固めておるようだが、大臣としては、重要度の高くないところと大臣が判断をしている電力会社の申請であっても、これを受理する方針なのかどうかという私の質問に対しまして、大臣は、重要度の高いところの申請も含めて申請そのものを自重させるというお答えが実はあったわけであります。ところが大臣御承知のとおり、その数日を出ずして、東京電力と中部電力の値上げの申請ということがなされたというこの事実であります。
 さらにまた、もう申請について通産省と、むしろ政府側と申し上げてよろしいと思うのでありますけれども、十分意見の交換がなされておった、三つに分けて申請させる、そういうスケジュール的なものもきまっておったということがその後の新聞報道等を通じまして十分考えさせられたわけであります。そうなってまいりますと、少なくとも大臣の私に対する答弁は、心にもないことを答弁をしたということになるのではないか、そのように思います。私は、否定的な立場に立って質問しているわけではありません。石油が六二%上がったというこの現実の上に立って、まあ電力会社も相当大幅な赤字が出るであろう、これに対しては、石炭政策の中に見るように、価格差補給金か何かを出すといったような特別の措置をしない限り電力会社の収支というものは償わないのではないか、したがって、値上げ申請というものがなされることは避けられないであろう、そういう理解の上に立って私は質問をしてきたのであります。ならば大臣は、率直に私の質問にお答えになるべきではなかったのか。にもかかわらず、心にもないと私があえて言わざるを得ないような態度をもって答弁をされたということに対しては何としても理解できないし、また納得できないのであります。したがいまして、大臣は、この際こだわることなく、どういう態度でお臨みになるのか、すべての会社の申請を受理されるという態度なのか、それらの点に対してひとつお答えをいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 先般の中村委員の御質問に対して明快な御答弁ができなかったことはまことに申しわけない次第であります。
 事態は、金曜日から土曜日にかけましていろいろ各省間の内部調整をやっておりまして、まだ受理するということに各省が一致するところまでいっておらなかったわけでございます。それで今週の月曜日に総理に対して事務的にいろいろ御説明いたしまして、そうして総理の認識を深め、理解を深めるような努力をいたしまして、火曜日の段階になりまして受理やむなしという方向がまとまって出ました。したがいまして、主として大蔵、経企、通産、三省間の事務レベル及び上級レベルにおける意見が一致しない間に私が飛び出した明快な答弁をすることはできなかったというのが実情であります。それは今週の火曜日になりまして一致ができましたので、明確にそれ以後はお答えできる、それまでの段階は、電力各社から早く申請をやらしてくれと非常に強い要請がありましたけれども、待て待てと言って自重を促して、当方としては、先方に対して提出しないようにというふうに強く要請しておった段階であったのであります。やはり受付というようなことは公のことでありますから、そういう点はこちらの受け入れ内部体制をしっかり整えてやらないとできにくいことでもあったわけであります。それで、東電と中部電力が申請してまいりまして、そのほか各九電力おのおの自己の計算に基づいて申請をする気配でございますけれども、この段階になりますと、今後の経済政策全般も踏まえ、物価政策もよく注意しながら受け付けていかざるを得ない、そういう考えに立っております。
○中村(重)委員 けさの新聞でも「万全だった根回し 通産省・業界」「呼吸ぴったり」、そうして三つのグループに分けて申請をする。第一回は東京電力と中部電力だ。それから第二回、第三回と――私も一昨日、昨日とどういう動きを示しているのかというようなことを調査をいたしてみましたが、私の調査も、けさの新聞に報導されておるようなことであります。これは単に記者の推測記事だと見ることはできません。いまの大臣のお答えも私は事実とは相違している。しかし、私は、この場で、まあ大臣の答弁がこの新聞報道にありますようなこととぴったり寸分も違わないというような答弁であるべきだということをあえて求めようというのではありません。
 私は大臣に言いたいことは、少なくとも委員会、本会議等国会における答弁には責任を持っていただきたいということであります。でなければ、私は国会を軽視しておるという批判を大臣は免れることはできないのではないかと思います。言いたくないことばでありますけれども、中曽根通産大臣の答弁を聞いていると、その場その場で適当に答弁をしていると言う人すらあるのであります。少なくとも大政治家としての中曽根通産大臣は、そういう批判を受けるのであってはなりません。誠意をもって真実を語るという態度であるべきであると考えるのであります。国際的な秘密を要する外交の問題等に対しまして私はそのままそのことを明らかにしろと言うのではないのであります。今回の電力料金の値上げの問題、少なくとも石油の値上げの際に、大臣の頭の中に政府全体の考え方の中に描いたものが私はあったというように思います。緊急度の高いものの申請そのものも自重を促す、少なくとも大臣にはそういう真意というものがあったというようには受け取ることができません。そのことに対して私は大臣に自重を促しておきたいというように思います。
 そこで大臣、値上げはお認めになるというようなことはいまの答弁からうかがわれるのでありますが、その値上げも、全部の会社を参議院選挙の前に認可することは問題があるのではないか、参議院選挙の前に緊急度の高いものの値上げを認めて、緊急度の高くないものは参議院選挙のあとにすべきではないかとか、あるいは認可は一応五月の末くらいに一斉に認可をするが、実施時期をずらしていくというやり方がいいのではないか、いろいろなことが伝えられているのであります。電力の経営そのものの問題もありましょうし、総需要抑制の問題、物価にはね返ってくる問題等々いろいろあろうと思いますから、通産大臣、経済企画庁長官、それぞれひとつお答えをいただきたいと存じます。
○中曽根国務大臣 私の日本経済に対する考え方を申し上げますと、昨年来いわゆる狂乱物価といわれたものは鎮静しつつあり、もう大体鎮静したと見ていいと私は思います。また、いわゆるギャロッピングインフレーションといわれておったものも終息しつつあり、もうほとんど終息した、そう私は観測しております。
 それで、これらのわれわれの仕事は、石油の価格を国際並みに引き上げて、そして日本の経済を新しい均衡水準、特に国際水準に目を配りながら新しい均衡水準に秩序立てをつくっていくということであると思います。われわれは、これを経済の段階的正常化という名前で呼んでいきたいと思っております。正常化の過程に入れたいという意味は、去年以来物資の不足やあるいは石油危機ということによりまして、行政介入あるいは標準価格等々、国家権力による介入がかなり行なわれたわけであり、これは緊急避難としてやむを得ざる処理であり、まだ情勢によっては当分持続しなければならぬと思っておりますけれども、この状態をいつまでも続けていいという状態ではないと思います。国際的なそういう水準に目を配りながら、日本の物価あるいは国際収支あるいは資源問題あるいは環境問題、こういうものをよく考えつつ、日本の新しい経済諸元の均衡水準を秩序立ててつくっていくということがわれわれ経済当局の仕事であり、そういう方向をいまや明示し、宣言するときに入ったという気がいたします。
 その一つの過程として第一に出てきているのがこの電力問題でありまして、その次にはおそらく運輸問題があると思いますし、また秋になれば消費者米価の問題等も出てまいります。これらのいろいろな案件を乗り切って、そうしていまのような情勢に目配りをしながら日本の新たなる均衡水準をつくって、日本国民及び企業者に対して努力目標を設定するということが非常に重要であると考えます。それらの基準は、やはり石油の価格とか電力料金というものが重要な基本をなしておりますから、それらが早く水準が決定されればそれだけ正常化への努力が早まるとわれわれは考えております。しかし、その段階にあって特に注意しなければならぬことは、いわゆる狂乱物価といわれるものをここで再現してはならないということであります。そのためには、一面において総需要の抑制をさらに持続していく、厳にこれを持続していくということが大事でございましょうし、また石油、電力等の乱費が再び起こらないように、われわれは総需要抑制とともに需給関係を見合いつつ、この政策を適正に進めていかなければならない。したがいまして、いまの規制の解除ということについては慎重にやっていかなければならないと思っておりますけれども、これらは経済の進展度合いに応じてわれわれは弾力的に逐次措置していくべきものであると思っております。
 そういう考えに立ちまして、電力の問題は私らはある決断をしようと思っております。その時期は、これはエネルギーの問題とも関係しておりますけれども、まあ五月の中旬から下旬くらいまでの間にいま申請されたものについては結論を出して、そして逐次申請されるものについても同じような結論を出して、そして石油並びに電力の基礎条件を国民経済の上に提示して、それに見合うような新しい均衡水準を次々につくっていく、その間に思惑的なものや投機的なものや仮需要が再び起きないように、われわれは財政金融あるいは行政指導その他諸般の政策によってこれを引き締めつつ、いまのような形で妥当な正常化への過程を進めていこう、そういうふうに考えています。
 私の考えでは、これは今後の国際経済の推移にもよりましょうが、日本のそういう正常化を達成するためには、来年の夏おそくとも秋ぐらいまではかかるであろう、それくらいの長期見通しのもとに、どういう段取りでいまのようなことをやっていくか、実は通産事務当局に対して私は最近指示をいたしまして、その検討をいま通産省内においても一生懸命やっておるところであります。
 以上のような考えに立脚いたしまして電力問題も処理していきたいと思います。
○内田国務大臣 経済企画庁では、かねて申し述べておりますように、公共料金につきましては極力これを抑制する、あるいは慎重に対処する、そういう立場に立つものでございます。しかし、それはどういう意味かというと、公共料金は物価構成の要因でありまするし、また国民生活にも密接な関係があるからでございまして、むやみに料金の改定をはかればよい、こういうことは考えておりません。しかし同時にまた、私どもが物価に対処する態度というものは、昔の物価の構成そのままの姿において今後の物価を抑制すれば済むものとも考えません。日本の経済の構造というものは、内部的要因あるいはまた外的要因によりまして非常に大きく変わるこの時期でございますし、当然これは油の供給あるいは食糧、飼料等々の海外からの輸入やその価格について考えてみましても、日本経済の構造変革に応じて価格構造、物価水準というものは全体としては低く押えるにいたしましても、その内的な構造というものは変わっていかなければならないものだとも考えておるわけであります。
 そう考えますときに、いまの電力料金問題というものも、いつまでもこれを押えておけばよいわけではなしに、中曽根通産大臣から言われたと同じ趣旨でありますが、いまの経済の変革の実態に応じた料金制度というものは、この料金制度そのものにおきましても、またその水準におきましても、これを検討すべき時期にあると思うわけであります。一方、幸い卸売り物価、消費者物価におきましても、二月あるいは三月の段階から安定の徴候を見せておりますので、そういう物価安定の状況を一方においては総需要の抑制というような受けざらをつくりながら、その間に公共料金の問題というものを適宜に織り込んで処理していく、こういうことが一番適切であろうと考えるものでございまして、したがって電力料金値上げの幅とか、あるいは時期とか、また各社についての料金改定の順序、段階というようなものにつきましては、これはまた今後通産省と十分な協議を重ねていくつもりでございますけれども、電力料金問題につきましては合理的な解決をはかるのが今日私どもの立場からいっても矛盾はない、こういうふうに私は考えております。
○中村(重)委員 経済企画庁長官のお答え、通産大臣が主務大臣として第一にはこの問題に対処するということはわかりますが、物価担当大臣として、この具体的な問題となってまいりました電力料金の問題については相当煮詰まってきているのではないか。いま通産大臣も、五月中旬から下旬にかけて申請のあったものに対して一つの結論を出していくというお答えが実はあったわけです。経済企画庁長官としても、そこらは値上げをしなければならないのではないかという考え方なのか、総需要抑制、物価にこれがはね返ってくるというような点から、もっとこれは引き延ばしていくべきだという考え方の上に立っているのか、そこはもう少しはっきりしたお答えができるのではないでしょうか、いかがでしょうか。
○内田国務大臣 これは電力料金ばかりでなしに他の公共料金についてもいえることでございますけれども、物価の重要な構成要素でありますから、これを押えておけば、それだけ物価全体の水準を低くすることには当然貢献することでありますけれども、しかし公共料金というものは、先般、昨年末からことしの一月くらいに至る狂乱的な物価上昇の間においても、公共料金として認可料金でありますので、他の物資の価格と違いまして先取りをして蓄積があるというものではありません。したがって、これをいつまでも押え込んでおくということは、その事業に対する資源の適正なる配分が妨げられて、そして別途財政的措置を講ずるようなことができますものにつきましては、それはその道があるかもしれませんけれども、私企業であり、公益事業でありますものにつきましてその公共料金をいつまでも押え込んでいくということになりますと、とどのつまりはその事業の運営を困難ならしめまして、結局経済の運営や国民生活に大きな支障を与えるという点も考慮しなければならない一面があります。そういう情勢を考えてみますときに、私は、これから先、物価の一般的水準を鎮静させる過程において公共料金の問題は吸収をさせることができるし、またそうするのが今日の段階においては一番よい時期である、こういうふうに考えるわけであります。しかし、いま申しましたように、具体的な値幅をどうするかというようなことにつきましては今後詰めていく問題である、こういうことはもちろんでございます。
○中村(重)委員 電気事業審議会料金制度部会の中間報告がなされて、これを受けて通産省は新しい電気料金制度というもののあり方をおきめになっていらっしゃるわけですが、値上げ申請がもう現実になされたわけです。これを審査されるにあたっての重点というものは何かということについてお答えをいただきたい。
○岸田政府委員 電気事業法によりまして、私ども料金算定にあたりましては、能率的な経営における適正な原価に適正な報酬を加えたものであるということが審査の一番大きなポイントであろうかと思っております。その意味におきまして、申請された内容を厳重に審査をいたしまして、燃料費、人件費、資本費、その他の諸費、各項目につきまして、この原価計算機関において、これらの活動が真に必要であり、また能率的に経営されるという前提に立っておるかどうか、これらの見通しを十分審査をし、値上げ幅についてもこれらのことを頭に置きながら極力圧縮をはかるという方向で進めてまいりたいと思っております。
○中村(重)委員 そうすると、審査するにあたっては、石油製品の価格が六二%値上がりになった、その石油製品の値上がり分に見合う料金だけを上げようというのではなくて、その他の点ですね。関西電力とそれから四国電力は昨年値上げを認められた。いろいろな賃金の問題その他資材の値上がり等はこれに織り込み済みではないかというように思われるのですが、その他の会社は十数年値上げをしていない。したがって、石油製品の値上げ分だけではなくて、その他の諸経費の上昇という点も十分加味して、原価主義の上に立って、新しい答申に基づいて値上げを認めていこうとする考え方なのかどうか、その点いかがですか。
○岸田政府委員 いまの状態は、二社の申請が行なわれただけでございまして、その他の社については申請が出されておりません段階でございますから、具体的な内容についてのお答えは多少留保させていただくことになろうかと思いますが、いずれにせよ算定要領がきめられております。これは従来からの原価主義の基本に立ちながら、新しい政策的要素を加味した新しい算定方針でございますので、この方針を頭に置きまして、個別に内容を審査しながら答えを出していくという方針でございます。
○中村(重)委員 東京電力が六八・一%、中部電力が七七・七%、この中身を見てみると、この新しい制度に基づいての申請にはなっておりますが、百キロワットの値上げ幅というのは一八・六%になっている。家庭用平均は三一・八七%ということになっているわけですが、家庭用でありましても四〇%以上の値上げというものもある。この家庭用料金の値上げ率を見てみますと、昭和四十年当時、前回、三十六年あるいは三十七年と値上げをした会社もあるわけですが、その当時の値上げ幅からいたしますと、新しい制度によっての申請でありましても、大幅の値上げ幅という形になっているわけであります。少なくとも家庭用の電気料金の値上げというものは、もっとこれを押えていくということでなければならない。百キロワットの値上げ幅というものを一八・六%も上げるということであってはならないし、また平均も三一・八%というようなことであってはならない、もっとこれを押えていくというような態度でなければならないと思いますが、その点はいかがなんですか。
○岸田政府委員 かねてから電灯と電力の料金格差ということが一つの議論の中心でございました。従来は、電灯料金は、電力料金に対して九社平均で大体二・三倍であるという状態でございました。ただ、今回申請された両社につきまして電灯、電力の比率がどのようになっているかということを見てみますと、これは申請の数字でございますから、その後、査定によって動くことは十分あるわけでございますが、申請値のとおりといたしまして一・五二倍という比率になっておるわけでございまして、従来の格差は非常に改善をされております。また、欧米諸国の実情を見ましても、それらの国とほぼ匹敵する水準にまでなっておるという実情でございます。御指摘がございましたように、家庭用電気料金につきましては、家庭のすみずみまで電化が行き渡っております今日におきましては、私どもとしても非常に重要な関心を払わざるを得ません。御指摘のような点を十分頭に置きながら審査を進めていきたいと思っております。
○中村(重)委員 通産大臣にお答えをいただきたいのですが、いまの私の質問に対する答弁は、まあ具体的な事務的な問題であるということにはならないのではないか。少なくとも政府の一つの考え方、石油製品が六二%上がった、したがって、石油製品の値上げ分だけをこの電気料金の値上げという形で、それに見合うものを値上げをすべきなのか。審査の重点となっております燃料費の値上がり、人件費の増加の見込み、不要不急の設備投資の有無といったようなことがあげられているわけなんですが、燃料費の値上げだけではなくて、その他の資材あるいは人件費等の上昇というものも今回の値上げに織り込むべきであるかどうかという点、なお、電灯料金というものはできるだけ低く押えていくことが当然ではないかという私の主張、それらの点に対しては、考え方としては大臣からお答えをいただくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 やはり民生安定、家庭生活を大事にする、そういう面からの考慮を強くひとつ考えに入れていきたいと思います。それから産業構造として省資源、省エネルギー、知識集約型への産業に日本を転換させていく。そういう意味のインセンティブになるような考慮も強く入れていきたいと思っております。
 それからもう一つ忘れてならぬことは、春闘の問題があります。春闘で労働者の賃金がとれぐらいアップするか。これもやはり原価の中にはある程度算定して入れておかなければ長続きする料金制度とはなり得ない。そういうような諸般の情勢、それから資材その他の値上がり、賃金の引き上げということになりましょう。そういうような要素も入れて料金の基本を計算しなければならぬと思っております。今回の計算にあたりましては、いままでは大体三年ぐらいを目途にすべての諸元を想定して条件を計算して入れたわけでございますが、今回は一年を想定して諸般の経済条件を勘案しながら、その原価生産費の中に入れていくという形になります。しかし、それは一年でまた上がるという意味ではなくて、それでやってみて、それで持続できればそのまま継続していきたい。そういう考えに立って、できるだけ石油の代金とか、あるいは電力料金のようなものは長期安定することが望ましいことでございますから、そういう考えに立って実行していきたいと思っております。
 なお、先ほど私がお答え申し上げた中で、来年の夏、また秋ごろまでに正常化していきたいと申し上げたのは、やはり価格の機能あるいはわれわれがかねてから考えておる市場機能とか価格機能というものが正常的に動くような形で経済を回復してきて、できるだけ規制や行政介入を排除した形に経済関係を持っていきたい、それが正常化という一つの大きな意味でもあるわけでございますが、もちろんこれらは現在の国際情勢を背景にして、これが順調に平和的に進むものであるならばという前提があることをこの際申し添えさせていただきます。
○中村(重)委員 経済企画庁長官に伺ってみたいのですが、福田大蔵大臣は地方行政委員会で答弁をしておられますが、今回の電気料金の値上げによって卸売り物価へのはね返りは一%という答弁をしているわけであります。大体どの程度の申請がなされるかということは、東京電力と中部電力が値上げ申請をしたわけですが、まあ大体そこらあたりが値上げの申請の幅であろうということが考えられますが、卸売り物価にどの程度はね返るのか、それから消費支出に占めるところの電気料金のウエートというものはどの程度なのか、その二点についてひとつお答えをいただきたい。
○小島政府委員 まず最初の点でございますけれども、現在産業の、工業でございますけれども、全生産額の中に占める電力費の割合というものが、これは産業によってまちまちでございますけれども、平均しますと約一%でございます。したがいまして、一%のものが、今度の場合どうしても産業用の電力のほうが上げ幅が大幅になります。七割とか八割とか九割とかいう数字になるわけでございますけれども、かりにこれを一〇〇%、二倍上がったといたしましても、したがって生産額全体の中では一%しかふえない、そういう意味で大蔵大臣はそう言われたんだと思います。
 次に、間接的影響については、現在までの段階で最近数カ月の間にかなり先取り的な値上げが行なわれておると思いますので、現在の需給状況からしまして、要するに、かなり需要が狭まって総需要調整の効果が出てきておりますから、コスト的にはさらに一%上のせになる計算になりましても、これが卸売り物価に一%ほんとうに転嫁されるかどうかということはかなり消極的に考えていいんではないか。したがって、さらに一%上がることは現実にはないんではないかというふうに考えております。
 それからあとの問題につきましては、現在CPIのほうは、これは電灯料金というものがそのまま計算に入っておりますから、一時的に直接的にCPIを押し上げることになるわけでございまして、現在のところ、全国の場合ウエートが約一万分の百九十七と記憶しております。ですから、約二%のウエートを持っているということでございます。
○中村(重)委員 時間の関係がありますから次に進みますが、私は意見を申し上げて見解を伺いたいのです。
 先ほど私申し上げましたように、審査の重点としての三つの要件の中に、人件費の増加の見通しということがあげられております。たとえば九州電力の従業員の平均年齢というものはすでに四十三歳になっているという事実であります。これはどうしてか。合理化がどんどん進められます。したがって、若い人を採用しない。平均年齢は上がりっぱなしということに実はなるのであります。高くなっている。賃上げはどうなっておるかと申しますと、昨年の賃上げは私鉄が一万四千七百円、九州電力は一万五千円であったわけです。しかし、私鉄の従業員の平均年齢は三十一歳ないし二歳であるということであります。このことを見ますと、電力会社の賃金というものはむしろ低くなってきている。数字だけで見るわけにはまいらないということをまず審査にあたっては考慮すべきであるということを意見として私は申し上げたいのであります。その点についての考え方というものはどういう考え方を持っておられるのかということを一応お答えをいただいてから、次の質問に入ります。
○岸田政府委員 人件費の査定にあたりましては、電力会社の人員構成を検討いたしまして、それらの人員構成が能率的に活動するということを前提にいたしました上で、必要な人員について必要な経費を見込むという方式でございます。いまお話がございましたような事情も私どもかねていろいろ聞いております。これらのことも頭に置きながら処理を進めたいと思います。
○中村(重)委員 それから減価償却ですね。これは定率法によっていると思うのですが、その定率、何%程度いま償却がなされているわけでしょうか。原子力の関係だけでもけっこうでございますからお答えをいただきます。
○岸田政府委員 私どもの料金算定基準によりますと、本来であれば資本構成の是正あるいは技術革新への対応という意味で定率法がより望ましいということが書いてございますが、しかしながら、料金へのはね返りを考慮いたしまして、原価算定の際には定額法をもって算定をするということになっております。現実の各社の対応といたしましては、大体定率法で実施をするという会社が多いし、またそれが続いてきたわけでございますが、昨今、数社につきましては定率法から定額法へ移行しつつあるという状況でございます。お話のございました原子力発電施設につきましてはたしか耐用年数十五年ということになっておるかと思います。この法定耐用年数に応じた必要な定額を私どもは料金の算定の際に織り込むということになろうかと思います。
 なお、建設中の資産につきましては、建設工事の資本額に一定の比率をかけたものをベースとするというようなやり方になっております。
○中村(重)委員 現実には定率で一〇〇%行なわれておるということが私の調査では明らかになっているわけです。この減価償却が過大に行なわれているということは建設資金の調達というものを電気料金の値上げにあたっては織り込んで申請をしているのではないかというように思われるわけでありますが、審査にあたって、この点はどういう態度でお臨みになりますか。
○岸田政府委員 建設資金の算定方法につきましては、いま若干申し上げましたような算定方式がきめられております。問題は、その建設がその前提となる原価計算期間中におきまして実際に行なわれるかどうか、またその進行状況の見通しいかんという点が実際の審査にあたってはおもなポイントになろうかと思います。これらの点につきましては、私ども審査を受け付けました後に各社別に特別監査を実施いたしまして、その内容が真正妥当なものであるかということをチェックしながら審査を進めてまいりたいと思っております。
○中村(重)委員 私が申し上げるのはこの新全総の中でエネルギー基地をつくる計画というのがあるわけですね。超高圧送電網を張りめぐらす、原子力発電所をつくる計画というものが考えられている。そうした建設資金を料金で取るということを政府も電力会社も考えているのではないかというふうに私は考えるからいまの点をお尋ねをしたということであります。したがって、次の点についてお答えをいただきます。この原子力発電で稼動しているのは東京電力は福島一号炉、出力が四十六万キロワットだろうと思います。運転実績は四十八年の九月現在で二年六カ月になる。この点、帳簿価格は幾らになっているのかという点であります。それから減価償却の積み立て金は幾らになっているか。したがって、差し引き帳簿価格は幾らになっているのか。
 それから、時間の関係でお尋ねをいたしますが、関西電力は美浜の一号炉、それから二号炉が現在稼働をいたしております。一号炉の運転実績は二一年十カ月、二号炉の運転実績は一年三カ月であります。平均をして二年になる。以上二つの帳簿価格及び減価償却の積み立て金は合計幾らになっているのか、この点に対してお答えをいただきます。
○岸田政府委員 お話ございました福島発電所につきましては取得価格が四百二十三億円でございます。その後償却を重ねまして、四十八年下期の帳簿価格が二百四十七億円と計上されております。
 それから美浜発電所につきましては取得価格が六百五十八億円でございます。対応いたします四十八年下期の帳簿価格が三百六十八億円と報告をされておりまして、取得価格と簿価との差額がいわば償却費という形で従来償却されたものの累計額になろうかと思います。
○中村(重)委員 原子力発電所の耐用年数は何年になりますか。
○岸田政府委員 十五年でございます。
○中村(重)委員 大臣、いまお聞きのとおりであります。時間の関係がありますから数字は申し上げません。原子力発電炉の耐用年数は十五年ないし二十年といわれるのであります。この点はもう大臣は科学技術庁長官をしておられましたから一番精通をしていらっしゃる。ところが、東京電力でもって二年六カ月でございますね。いまの答弁からいたしますと減価償却は四〇%になります。私の調査では大体三九%ということですが、答弁のほうが若干数字が上回っております。これは四〇%。関西電力の場合は平均いたしまして二年でありますが、これも大体お答えの数字と私の調査もあまり変わっておりませんが、償却は四〇%であります。十五年ないし二十年の耐用年数があるものが、わずかに二年内外でもって四〇%の減価償却は正しい減価償却でございましょうか。
○中曽根国務大臣 原子力発電の耐用年数が十五年という長い長さに比べてみますとお説のとおりである要素もあると思います。この辺は今回の査定にあたりましてよく検討してみたいと思います。
○中村(重)委員 そのとおりだと思います。明らかにこれは過剰償却であります。したがって、私が指摘をいたしましたように、建設資金を電気料金で生み出すという考え方があるのではないかというように私は思います。この点を審査にあたっては十分正確に審査をする、そうして大臣がいまお答えになりましたように、これは表現といたしましては過剰償却という表現をお使いになりませんでしたが、ことばの意味するものは私はそういうように受け取りましたし、また、大臣もその点はお認めになってのお答えであったというように理解をいたします。
 そこで、今回の値上げ申請にあたって、原子力発電施設周辺を整備する法律案というのが実は当委員会に付託になっているわけであります。それから大蔵委員会には発電税というものが徴収される形によって法律案が提案されているのでありますが、今回の料金値上げにあたってその点を配慮して認可をするというお考え方を持っておられるのではないかと思われますが、その点いかがでございましょうか。
○中曽根国務大臣 料金問題といまの問題とは別系統の問題でございます。周辺整備の問題は、料金問題が起こる前からもう長い間、私が第一回目の科学技術庁長官をしておるころからの問題でございまして、そして法案として上程され、前回はまことに残念でございましたが、継続審議ということになったいわれのあるものでありまして、今回の国会におきまして、ぜひとも成立を期したいと考えておる問題でございます。それから、大蔵委員会にかかっております二法は、原子力発電推進のための税関係の法でございますが、これもまた新しい石油危機という事態が出てまいりまして、それに対応して原子力発電を推進しようという考えに立脚しておるものであります。われわれのほうの事務当局が試算した計算によりますと、十ドル原油の場合に油を使う火力が一キロワットどれぐらいになるか計算してみますと七円三十七銭くらい、それに対して原子力発電の場合は四円十四銭という形で、大体石油火力がやや倍に近い値段をいまや払わなければならないという事態になっておる。こういう面を見ますと、これは経済上から見ましても、また、いままであまりにも石油にたより過ぎて偏食をし過ぎた日本経済を直していくという面から見ましても、原子力発電を推進することは、国際的にも非常に重要な時代に入ってきたとわれわれ考えておりまして、そういう観点からいまの原子力三法というものが提出されておるわけでございます。
○中村(重)委員 それでは、公正取引委員会の委員長にお尋ねをいたしますが、この電気料金の問題について申し上げておきます。
 いまの原子力発電所の減価償却、過剰な減価償却をやっている。このことは、料金値上げがそういう形で織り込まれていくということだけは間違いないということであります。減価償却の問題一つをとらえても、そのとおりであります。すべての点に対して、私は、水増しした申請というものがなされておるということを否定することはできないと思います。したがいまして、その点に対して、先ほども触れましたが、きびしい審査をやる、できるだけ値上げ率を押えていく、どうしても値上げが避けられないとするならば、他の方法をもってやることが不可能であるといたしますならば、その点は、総需要抑制の立場からこの物価上昇というものをさらに加速させるという形にならないように、十分配慮されることを私は強く要求いたしておきたいと思います。この電気料金が値上げをされるということになってまいりますと、いま押えております基礎物資の値上げという形に発展せざるを得ません。そうなってまいりますと、狂乱物価というものは延々としてこれが続いていく、日本経済の破壊という形につながっていくであろうということを強く私は警告をいたしまして、次の質問に入ります。
 公取は、去る三月二十八日、石連に対して、四十六年のやみカルテル破棄の審決を命じたわけですが、この審決において、通産省の行政指導がなされたというように報道されているわけですが、これに対して委員会等の質問に対しても、公取委員長はお答えになっていらっしゃる。法律上の強制権限に基づいて行なったものではない、したがって、違法状態は消滅するものではないというようなお答え、あるいは新聞談話等をしておられるわけでございますが、この点に対して明確にひとつお答えをいただきたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 事件は、御承知のとおり、四十六年に行なわれたものでございまして、協定を行なったのは二月の二十二日である。その後間もなく、それほどの時間を置かずして公正取引委員会の立ち入り検査が行なわれた。そして勧告が出たのは七月の六日なのですが、その中間において行政指導が行なわれたわけです。これはすでに御承知かと思いますが、三月の下旬に口頭をもって当時の石連の会長、これは出光興産の社長でございますが、に対して通産省から行政指導が行なわれた。それからさらに、通産省内部において省議決定という形をとりまして、これは内輪、内部のことでありますが、四月の二十二日に石連の営業委員会に出向いて、そして行政指導を行なっている。これはみな同じ趣旨のものでございます。わかりやすくいえば、値上げ幅が、当初の二月二十二日の協定が大き過ぎるんじゃないか、したがって、これに対して若干は企業努力によって吸収せいというふうな趣旨のものでございますが、ですから、その内容からいえば決して不届き千万というふうなものではございません。しかし、私どものほうの見方からいえば、当初の二月二十二日の協定はそのまま生きて、そして三月一日から揮発油の引き上げが行なわれ、四月からその他の油種の引き上げが行なわれたわけでございまして、行政指導というものは、もうすでに私もたびたび申し上げておりますが、それによって価格を決定するものではございません。したがいまして、業界がどういうふうにそれに対して対処するかということは、早くいえば業界の、といいますか、事業者自身の自由でございます。自由であるということは、事業者がそれによって動かされようと動かされまいと、それはつまり、決定された価格をのむということじゃないんで、そこに違いがございます。大事な点は、きめられた価格を守るということじゃないんです。業界、業者自身がそれをお互いに協定してのむかのまないかというようなことでございますが、いずれにしても、この場合は、私どもは、四月から新たに価格がきめられてそれを実行したという、この見解をとりません。そういうことについて、事実認定についても、私どもといいますか、公正取引委員会は、重きを置きません。行政指導が行なれても行なわれなくとも、二月二十二日の決定は実施されておる。これは一部の油種につきましては、確かに値上げの予定を変更したものはございます。たとえば灯油のごときものについては、シーズンが二−四月でございますから、四月になってから値上げをするといっても、灯油の場合などは通用しないわけでございます。ですから、そういうものについてはおそらく値上げを取りやめたという点はありましょうが、たとえば揮発油の重要なものをとってみますと少しも変わっておりません。当初の案どおりに値上げをしておる、こういうことでありますから、行政指導は法律によって価格を決定するというものとは性質が異なる、こういう見解をもちまして、いまおっしゃいましたように違法状態は消滅しておらない、こういう認定をとったわけでございます。
○中村(重)委員 通産省の行政指導が行なわれたが、その行なわれたということであっても違法状態というものは消滅するものではないんだという見解も公取から明らかにされたわけでありますが、公取の審決に対して、通産大臣の見解はいかがでございましょうか。
○中曽根国務大臣 これは、公取は独立して職務を行なう機関でございますから、われわれが批判をすべき限りではないと思います。しかし、行政権というものは、立法権、司法権に対峙して、国家の三権の重要な要素を占めるものであり、内閣がこれを推進し、実行するように憲法上もきめられているものであって、その行政権の発動として行政指導というものはなされておるわけであります。したがいまして、その行政権を実行する行政指導というものは、法律に基づいて行なうということはもちろんでありますが、その法律に基づいて行なうという場合に、かなり自由裁量の余地があるわけであります。そこが行政権の一番大きな特色であるわけであります。したがって、通産省設置法第三条第二号等に基づいていろいろ諸般の行政指導を行なって、中小企業のめんどうとか、物価の抑制とか、消費流通関係の調整とか、通産省は公共の利益のために毎日の仕事をしておるわけでありまして、そういうような職務に基づいて行なう行政指導は、これを一がいに違法ときめつけることは間違いであると私は思います。今回の審決につきまして、私はここで批判する立場にありませんけれども、行政指導とか行政権というものは公取の目をかすめてこそこそやるものじゃなくて、やはり国権の、三権の重要な機能として正当な根拠に基づいて堂々と行なえるものである、そういうように私は思っております。
○中村(重)委員 行政権というものは法律に基づいてなさるべきものであるということは当然であるし、大臣もそれはお認めになる。ところが、いま通産省がやっている、通産省だけではありませんが、政府がやっておるいわゆる行政権というものは多分に乱用されておるということを指摘しなければならないと私は思います。立法権を侵害する行為というものは許されてはならない。具体的な問題について、また適当な機会にこの点については議論をいたしたいというように私は思います。
 公取委員長いかがでしょうか。この審決について石連はこれを受け入れるか、それともこれは争うということになるのか、見通しはいかがでございましょう。
○高橋(俊)政府委員 見通しという点になりますと、やはりこれは三十日以内でございますから、今度の場合には、先般新しい法の次元について東京高裁に訴訟を提起した問題とは違います。当初から異議を申し立てて審判請求をしたわけでございますから、これは筋道としてはかなっておるわけでございまして、高裁に訴訟を提起されることは理不尽なことにはならない、つまり、理屈としては、手続的には少しもおかしくないと思いますが、内容的に申しまして、争う余地があるとお考えならばこれはするし、私どもはそれに対して制約的な文句を言うべき立場にない、こう考えます。ですから、その点の見通しについては何とも申しかねる。私がここで、いやそれはおかしいんだというふうなことを力説することは、訴訟の資格のあるものに対して制約を加えるおそれがありますから、それは申し述べないのが適当であると思います。
 なお、先ほどの行政指導の点でございますが、私、一言つけ加えさしていただきたいのは、最近でも即席ラーメンの例が非常にぴったりくるんですが、こちらのほうが臨検検査を行ないました。勧告をするまでの間、時間が短かった、二月ぐらいの間ですが、勧告から幾ばくもたたないうちに農林省が行政指導を行なっているのです。つまり、末端価格を、これは希望価格でございますが、最初、一食分を六十円としようというのが希望価格であったものを五十円に改めろ、こういうふうなことで、実際に、即席ラーメンの場合は過当競争もありましたから、値段そのものも六十円が維持されておりません。くずれたわけです。そう言われますと、途中でとにかくこちらが立ち入り検査をして、価格協定の疑いありとして勧告するまでの間に行政指導が行なわれますと、もし、その行政指導が非常にほんとうに法律上効果があるんだということになりますと、私どもでやった勧告はみな無効になってしまうわけです。その途中に行政指導が入ったために、それで性質が変わってしまうということであれば、すべて業界は行政指導をお願いすればいいですね。行政指導をお願いしましてやってもらえばそこでパーになってしまう。何事もなかったことになる。勧告はできなくなる。こうなります。これは私はまことにもって理屈に合わない話だと思います。これは逆説的な言い方でございますが、行政指導はそういうふうな強い性格を持ったものではあり得ないと申し上げたいわけであります。
○中村(重)委員 いまお答えになりました行政指導の弊害ですが、今回の石油製品の値上げに対する行政指導、これは、公取委員長は当然のことながらずいぶんこれに抵抗された。ところが、最近は若干公取の姿勢が変わってきたような感じがしてならない。伝えられるところによると、これは緊急避難であるから、遠からずこれは標準価格に引き直すのだというので、田中総理と公取委員長との間に合意がなされたというように伝えられているわけですが、この点についてはいかがでございますか。
○高橋(俊)政府委員 いま中村さんのおっしゃったとおりと申し上げてよろしいと思います。だからあの文言が、実は私は総理とお会いしましたときに、文言につきましては長い時間ごたごたやったってしようがないので、ですから結論が大事なのでございまして、とりあえず行政指導でいく、行政指導でもっていくが、しかし適当な時期に標準価格に移行するように努力する、こう言われました。ですから、そのようにまとめたんですが、その前には前提がございます。考え方として、つまり行政指導でいくのが本則とは書いてないわけです。行政指導でいくのはとりあえずそうするのであって、適当な時期にということは、私は適当な時期では困ります、その解釈については、公正取引委員会は公開の席において可及的すみやかにというふうに解するというふうに述べますがよろしゅうございますか、こう言ったら、総理はそれはけっこうだ、こういうわけです。適当な時期というのは非常に長い時期をさす、二カ月、三カ月間というふうな単位でものを考えられるのでは困りますということをきつく申し上げました。ですから、おのずからその辺に私は限界があろうと思います。
 ただし、為替相場の問題は別としまして、原油の価格に非常に大きな、無視できないような変動が早急に起こった場合、これは私は行政指導であろうが標準価格であろうが同じだと思いますが、変更を要する場合には変更するというのが本来のあり方だと思います。その点につきまして、いま直ちに標準価格にできない理由が何であるのか、これはいま少しく私どもも立ち入ってお聞きして、できるものならばなるべくすみやかに標準価格に移行していただきたい、かように考えております。
○中村(重)委員 通産大臣も経済企画庁長官も、いま行政指導によって値上げをさせたこの石油製品は遠からず標準価格にこれを移行させるという態度だと理解をしてよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 条件が安定して、標準価格に移行することが可能になり次第、できるだけ早くやりたいと思っております。
○内田国務大臣 標準価格にきめられ得るものはきめたほうが取り締まり上も、また、消費者の信頼上もいい面が多々あると思います。しかし、原油を蒸留して石油製品をつくる場合に、八つか九つかの石油製品ができるわけでありますが、その八つか九つかの全部の種類について標準価格を設定し得るような標準品目といいますか、そういうものが得られない品質のものもあるようでございます。そこで、少なくとも標準価格をつけ得るような種類の石油製品については、たとえばガソリンがいいのか、あるいは軽油がいいのか、あるいは重油、A、B、Cとあるようでありますが、それらの中で、硫黄分なんかの相違によって値段がまるで違ったり、あるいはまたその引き渡し場所が、A重油というようなものは、海上で渡したり、港で渡したり、地域で渡したりするたびごとに御承知のとおり非常にばらつきがあって標準価格がつくれるかどうか知りませんけれども、先般末端価格までも国か監視するといった、いま私があげたような品目についてはでき得る限りすみやかにこれを標準価格設定の方向に持っていく、こういうことで私どもは了解を通産省との間でもいたしておるわけでございます。
○中村(重)委員 そこで、私は通産大臣と経済企画庁長官に申し上げておきますが、物価がどんどんどんどん上昇する。いわゆる石油問題が起こってから、石油のストックをやる、値段はさらに上がる、これに関連をしてすべての物資が狂乱状態に値上がりをしてくる。政府はこれに対して手をつけない。そのときに両大臣がおっしゃったことは、なかんずく通産大臣が言われたことは、早く石油二法を通してくれ、これができなければ手はほんとうに打てないのだと強くその点を要請をされました。私どもは、日曜を問わず、昼夜を問わず、この法案の審議、成立に懸命な努力をしたということであります。にもかかわらず、この石油二法が成立をいたしますや、何をこの法律によって標準価格としておきめになったか。依然として行政指導という形でやっていこう、これがやりやすいという考え方の上に立っていることは間違いであるということであります。いま経済企画庁長官がお答えになったように、この点がひっかかる、あの点がひっかかるということになってまいりますと、いろいろひっかかる点もあるでしょう。しかし、公正取引委員長が言っているように、法律に基づいて行政を行なっていくということでなければ、行政指導価格というものは高位安定という形になるということであります。少なくとも政府が、私どもに対して、国会に対して、早く成立をさせてくれ、これによってやっていくのだ、価格の安定をはかっていくのだということを強く要請されたということをお忘れにならないように思いをいたして、法に基づくところの行政運用をやってもらいたいということをはっきり申し上げておきたいと思います。
 次に、公取委員長にお尋ねをいたしますが、最近一年間のあなたのほうの勧告を見ると、カルテルの事件数というのが圧倒的ですね。やみ再販に対するところの事件というものが非常に少なくなっているというように感じるのですが、この点に対してはどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょう。
○高橋(俊)政府委員 最近特にということでもないのです。もともとやみ再販等のそれを含めた不公正な取引事件は、どちらかというと取り上げる件数はわりと少なくない。数十件取り上げたとします。しかし、一番私どもでやっかいなのは、そういう再販の違反であれ、それからそのほかの不公正な取引にしましても、事前にやめてしまうのです。こちらが排除命令を出す、それにはその状態を置いておかなければならぬ。景品表示法と違うのです。景品表示法の場合は、事件が済んでしまってなくなってしまっても、あとから排除命令を出し、公告をさせるということができますが、不公正な取引方法の場合にはそれができない。カルテルの場合ですと、これまたそれに相応する破棄の措置がとられない限りはいけないというふうにしてあるのですが、そうでないやみ再販のような場合には、やみ再販をやめましたというので契約書等を全部取り消す、こういうことをやりますと事件が消えてしまっている、こういうことでございます。ですから、結果から申しますと、まことにわれわれ何というか非常に仕事をしていないような、実際の勧告件数はゼロにひとしいような場合もございます。事件としてはある程度取り上げておるのですけれども、そういう事情でございまして、これらに対してどうするか。確かにほかの審査件数が多過ぎたといいますか、そういうこともあって、四十八年度の場合には少ないということは申し上げざるを得ません。
○中村(重)委員 時間がございませんからあと一、二問で終わりますが、公取委員長、あなたが御存じにならないことが非常に多いということです。いまはほとんどやみ再販なんです。あのパンといえどもやみ再販です。小売り価格というものはほとんどメーカー、問屋がきめるのですよ。そして政府が行政指導価格なんかをきめるでしょう。そうして値段がかりに下がったといたしますね。その場合でも、高いときに卸した価格そのまま、小売り価格だけが下げなければからない。卸価格、仕切り価格というものは下げないんですよ。しかも、それに小売り店が抗議をすると、もうおまえさんのところには品物は卸さぬ、これで片づけられるんですよ。やみ再販は横行しているんです。秋葉原に行ってみませんか。あれだけ値段をどんどん下げておりました秋葉原の家電は、いま下げないんですよ。まけない。これはやみ再販をやっているということの裏づけなんです。だからいま委員長がお答えになりましたように、何か警告したらすぐやめてしまう、そんなものではないということを申し上げておきます。もっと人手が足りないんだったら人手をふやしていく。そうしてカルテルもきびしくやっていただかなければなりません。やみ再販も私はきびしくこれを取り締まる、この根を断つ、そういうことをやっていただかなければ、弱い零細企業や消費者だけが泣いておるというこの現実を見失ってはならないということを申し上げておきたいと思います。いわゆる監視体制を強化していくということを強く望んでおきたいと思います。
 それから不公正取引ですね、これは二十八年に制定をしたわけです。一度も見直していないわけですね。経済情勢は大きく変わっているんです。もうこれはそぐわなくなってしまっている。これはあなたのほうでできるんです。法律事項ではございません。したがって、不公正取引というものはもう見直す時期に来ているのではないかと思います。この点に対する委員長の御見解を伺いたい。
○高橋(俊)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、不公正な取引の、おそらく言われんとするところは、一般指定の問題だと思うのです。結局一般指定で取り締まる場合が多いのでございまして、たいへんわかりにくい表現にもなっておりますし、仰せのとおり二十年もたってから、だいぶんいまの時勢にそのまま当てはまらない。したがって、不公正な取引を規制するのに不便である、こういう事実は否定できません。ことに私ども最近は商社問題なども考えておりますから、そういうものにもっとぴったりくるような表現といいますか、規制の内容を変えていったらどうか。一般指定を書きかえるという問題については鋭意努力しておるわけでございますが、たまたまいまその担当課長が他の課長のために併任になっているとか、部長も併任であるとか、たいへん申しわけないんですけれども、取引部が扱うんですが、その取引部の部長が兼務であり、それからその下で直接やる課長が兼務であるというようなことでおくれておるわけでございます。おくれておりますけれども、できるだけ御要望、御趣旨に沿うように努力をはかっていきたいと思います。
 なお、先ほどおっしゃいましたやみ再販のあれでございますが、決しておことばを返すわけではないんですけれども、パン屋にしても何にしても、みなやみ再販じゃないかとおっしゃるんですが、希望価格とあれとの区別が非常につきにくい。結局は出荷停止を行なったという事実が把握できれば、これは幾らでも摘発できます。ですから、問題はそこにポイントを当てて監視体制をとるんですが、私ども一番困るのは、弱いほうの立場にあるものからの訴えがないということです。商社を調査をさせました、あのときにも、同じことが起こるんです。決して自分の名前を出してくれるな。そうしますと、名前を出さないで調査した場合にどうなるか。不可能に近いんですね。こういう小売り業者に対して出荷停止をしたであろう、こうやりますと、そこから、じゃ通告したな。すると今度その小売り商がしっぺい返しを受けるんです。それでしっぺい返しを受けるから、ぜひ自分の名前は出さないでくれ、つまり弱者と強者の立場にある場合にそういうことが起こるんですが、一般にそういうことが主たる原因で、おそらくおっしゃるとおりケースはもっとずっと多いと思うのです。言ってこないということが問題ですね。それから、発覚してもどうぞそれを表に出さないでくれというふうな妙なことになっているのです。そこら辺のところをどういうふうに勘案したらいいのか、たいへん頭の痛いところでございます。これは具体例が幾らもございます。国会議員の方でもそういうことをおっしゃって、ただし名前は出さないでくれ、こうおっしゃる。名前を出さないで、被害者を出さないで加害者のほうを独禁法で取り締まるということがいかにむずかしいかということでございまして、その辺はもっと一くふう二くふうなければいかぬのじゃないか。私どもも、その点が一番の盲点でございますから、そこを研究したいと考えております。
○中村(重)委員 公取委員長、価格引き上げ命令と、それから寡占度の非常に高い企業の分轄について独禁法を改正するという方針、次期通常国会には提案をしたいということを表明をされたわけであります。また、委員会等においてもそういうお答えをされたわけでありますが、いまの作業の進捗状態はどういう状態ですか。いつごろ結論が出るのかという点が一点であります。
 それから、わが社会党も、その価格引き下げ命令、それから企業の分轄、罰則の強化ということについて、独禁法改正の考え方を発表いたしました。近く提案を本国会においてすることにいたしておりますが、この社会党案に対して公取委員長はどのような御見解を持っていらっしゃるのかという点、この二点をお答えいただきたいことと、この公正取引委員会が考えている独禁法改正については、大臣のお答えの中からは、方向としてはこれは賛成だという気持ちを私の質問に対して明らかにされたようでもございますが、きっぱりことばで賛成であるというようにはお答えになっていらっしゃらない。最近、業界からの抵抗も、財界からの抵抗も出ておると伝えられておるわけでございますが、通産大臣は、この独禁法改正について賛成なのかあるいは反対なのか、その点に対して明確にひとつお答えをいただきたい。
○高橋(俊)政府委員 問題は非常に大きゅうございまして、簡単にお答えするのはいかがかと思いますが、なるべく簡単簡明にお答えしたいと思います。
 いま私どものほうで取り上げておりますところの改正案につきまして価格引き下げ命令や分轄の問題については、確かにすなおにはまいらぬ面がございます。皆さんがお考えになっているところと私ども公取委員会が考えているところは非常に近いのでございます。ほとんど符合しているところが多いと思います。これに対しまして一部の専門家、一部と申し上げていいのかどうか知りませんが専門家の間に、引き下げ命令のごときは独占禁止法のワクを越えてやせぬかというふうな感覚的な反対がございます。これは感覚的と申し上げては失礼かもしれませんが、そういう空気が一部にございます。私どもとしては、そうじゃない、これは立法政策の問題ですから、どういう政策の目標を持って立法するかという問題であって、必ずしも独禁法というのはもうきまってワクで一歩もそこから出てはならぬというものではないだろう、独禁法の大きな目的というものに沿っていればそれでいいではないかという、こちらはそういう考えでございますけれども、必ずしもそうでなくて、狭い考え方で考えればおかしいというふうな議論があったりいたします。でありますので、かなり難航も予想されるのでございますが、しかしそのことはそのこととして、公正取引委員会としては、できるだけ当初の考えに近いものでまとめ上げたい。その時期としては、どうやったって九月か十月ごろをめどにしなければ間に合いませんから、これはもう法律一つ出すにしても容易ならぬ問題でございますし、二十年ぶりの大改正ということになりますからそう容易でないので、時間的には九月の終わりか十月には一応の素案を仕上げてしまわなければならぬと思っております。
 それから社会党案に対しまして、私いまここに手持ちでもってお話しできませんけれども、私の頭にあるところで申しますと、おおむね私どものほうのやつを一そう強化したものであって、何といいますか、これ以上強い改正はないと思われるくらいに強いものだと思います。私どもとしては、その点たいへんありがたく聞かせていただいてきているわけでございますが、中には、それをそのままでやったんでは、独禁法、公正取引委員会の権限があまりに強大になり過ぎまして、他のおしかりを受けるものが中に入っております。そういう点は、まあやむを得ずこれは別途研究ということにせざるを得ないのでありますけれども、しかし全体としての流れ、考え方というものにつきましては、私は十分な敬意を表して、これを研究というか私どもの資料、資料と言っては失礼でございますが、参考にさしていただきたいと考えておるわけでございます。
○中曽根国務大臣 伝えられる独禁法改正というお考えについては、私は賛成でもなければ反対でもない、目下の立場は白紙であります。いま独禁研で研究中の案のようでございますから、いずれ独禁の公正取引委員会を経て案が出てきてから、私たちはそれを慎重に拝見をし、検討をし、いずれ産業構造審議会の意見も聞いてきめなければならぬと思っております。経済は生きているものでありますから、単に法的なことだけでものが済むというものではない。生きているものを相手にするというときには、非常に深い周到な用意、考え方が必要であります。行政指導の問題に関しましても、具体的な問題になりますと公取と通産当局の間には不協和音が必ずしもないとはいえない、こういうようなところでも多少公取の立場と通産の立場は変わったところがあります。しかし、消費者のためあるいは国民経済の健全な運営、円滑な運営をはかるという目標においては完全に一致していると思います。そういう具体的な問題についてはやはり深く詰めてみないと、賛成とか反対とか軽々しくここで表現できません。白紙であるというのが目下の立場であります。
○中村(重)委員 これで終わりますが、公取委員長、財界はこれに反対をしてくるということは十分考えられる。しかし、勧告命令を出しても価格を下げない、シェアはどんどん拡大をする、合併だけを認めて弊害が出ているのに、これに分割命令が出せないなんて、そんなばかなことがあってはならない。国民は強くこれを支持する。間違いないです。自信をもってやってもらいたい。また、政府はこれに反対すべきではないということを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、化粧品等の再販が国会でも取り上げられたように、値段を上げるために再販からはずして値上げをする、そういう傾向が非常に多い。したがって、いま再販商品か再販商品でないのかということがわからない。再販商品は再販商品としてはっきり表示させる、これでなければならないと思います。公取委員長は、これに対して表示をさせるのかどうか、お答えをいただいて、これで終わります。
○高橋(俊)政府委員 再販商品で、これはしかも同じ会社が出しているものの中に再販であるものとないものとございます。すでに出てきているわけです。私どもも当然再販商品であるものについてはそういうマークが必要ではないかというふうに思って指導しておるわけです。結局、事務当局のいろいろな説明を聞いてみますと、この指導というものはだいぶ前から実はやっていたことなんです。それがなかなか業界のいろいろな抵抗にあってできなかったということですが、私ども今度の場合は、さすがに八月末で期限切れになってしまう三つの品目については多少無理だといたしましても、その後に残る――いまのところ期限が定めなく残るわけでございますが、医薬品と化粧品なんです。これについてはもうすでにやっておるところは別でございますが、そうでないところには、ぜひともそういう再販品であるということの表示、それから価格の表示、これをぜひやるように、事務当局が強力に指導をして、必ずそういうふうに実施するように持っていきたい。そうでないとこれは理屈が立たないんですね。業者が反対しておる理由があるんだそうです。ここでいま申し上げませんが、いろいろ反対理由を言って、つまり消費者の消費者運動にどうこうというふうなことまで言ってきておるわけです。しかし、これはいまの時代ではそんなことはないので、ぜひともおっしゃるような表示をさせるように努力をして必ずそうなるようにしたいと思っております。
○濱野委員長 板川正吾君。
○板川委員 電力料金値上げに関連して二、三質問をいたしたいと思います。
 通産大臣に伺いますが、過日、御承知のように、行政指導による石油製品の価格が決定をされました。その価格の決定は、いわば業者と政府だけはわかっておるが、国民にはなぜそういうデータできめられたかということがわからない。いわば密室の中できめられたわけであります。ところが、今回値上げ申請がありました電力の八〇%は石油であります。電力料金あるいは近く提出が予定されておりますガス料金、こういったものは、認可料金として事前に資料公開をして、認可をもらって、価格の変動を行なう、こういう制度になっておる。しかし、電力やガスよりももっと国民生活に重要な関係のある石油が行政指導というあいまいな形できまっていくということは、私は大いなる矛盾を感ずるのでありますが、大臣その点どうお考えでありますか。
○中曽根国務大臣 石油の価格決定に際しまして、通産省が業者ときめたということはございません。いま御発言の中に、そういうふうに承れるような響きがありましたけれども、これは通産省、関係政府機関と協議して、そして行政指導価格として業者に強く要請して、個々の業者の協力を求めて実行している、そういう性格のものであります。この行政指導価格につきましては、当委員会におきましてもいろいろ御論議がありましたので、ここで重ねて申し上げる必要はないと思いますけれども、これは総理と公取委員長との話し合いの趣旨をよく尊重いたしまして、われわれは運営していきたいと思っております。
○板川委員 通産省が一つの見解を持って個別に指導して価格を決定した、こういうことでありますが、八千九百四十六円ですか、なぜその値段がきまったかという根拠については国民に明らかにされない、こういう点が問題であろうと思います。先ほど大臣は、中村委員の質問に対して、行政権は国家の重要な内閣の権限である、だからこの行政権を行使する、こういう意味で、行政権があたかも憲法を越えた、あるいは他の立法、司法よりも非常に優位にあるやに発言をされておるのでありますが、行政権はもちろん憲法の定めに従って行なうということになろうかと思いますが、どうお考えですか。
○中曽根国務大臣 もちろん憲法並びに法律に基づいて行なうものであります。
○板川委員 憲法四十一条には、申し上げるでもなく「國會は、國権の最高機關であって、國の唯一の立法機關である。」とありまして、最高機関であることを忘れてはならないと思います。これは第四章でありますが、第五章に内閣があり、「行政権は、内閣に属する。」とあります。これはもう三権分立の近代国家からすれば当然でありますが、憲法七十三条には「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」ということを規定してあり、「法律を誠實に執行し、國務を總理すること。」というように内閣は法律を誠実に執行しなくちゃならない、こういう憲法の規定があるわけであります。大臣は、さっきの石油製品の値上げ決定は通産省設置法三条の二号によると、この前から再三主張されておるのであります。この通産省設置法というのは、いわば通産省の所掌事務の規定をしたのであって、実体法じゃないのです。だから、他に実体法がある場合には、内閣はそれに従わなくてはならない立場にあるわけであります。この設置法の第三条二号で価格決定権がある、こういう解釈は、私は間違いだろうと思います。これは予算委員会で議論になりました。それは他に法律がない場合に、この三条二号による通産省の任務としてあり得るわけでありますが、他に法律があった場合、当然法律を忠実に守るという行政責任からいって、私は、標準価格制度という国民生活安定緊急措置法をつくった以上は、その標準価格制度によって価格決定をすべきであったと思います。それを何か、その点は先ほど公取委員長も言われましたように、法律ができたてであり、精密な調査が間に合わない、だから緊急避難的にこの行政指導はこの際認めよう、今後こういうことがあっては困る、こういう気持ちであろうかと思います。だから、この法律があるのにやらなかったのは、今回は緊急避難的な行為である、こういう解釈ならば、われわれもまあまあと譲歩してもいいと思うのですが、先ほど大臣の話を伺っていると、行政権というのは国家の重要な権能である、だから行政権を行使するのだ、こういうものの言い方は、この憲法の規定を無視する傾向にある。この前から私は気にしているのでありますが、この点は、私は、大臣の考え方というのは是正されなくてはならないと思いますが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 行政指導価格は、通産省設置法第三条第二号に、生産、消費、流通の調整を行なう、そういうような趣旨の文章があります。それに基づいて、価格につきましても、これは生産消費流通に非常に重要な影響を持つものであり、そして、もちろん価格の決定は法律でなければできませんが、しかし通産省がその方向に行政あるいは国民経済、国民の消費生活を誘導しようと思って、ある方向をきめて、そのガイドラインに対して企業に対して協力を求める、そして企業はそれに対して協力をするということは、これは行政の範囲内であって、そのことは法律違反であるとは私は思いません。そういう見解に基づいて、先般の石油の行政指導価格はきめられたのであり、適法であるとわれわれは考えておるところであります。もちろん価格の決定というものは、法律によって、公定価格とかその他できめる、あるいは自由経済の場合、市場機能、需要供給によって自動的にきまる、そういうことがあり得ますけれども、大体後者の性格の範囲内にあって、行政が誘導して、そして企業の協力を求めてきまる、そういう場合もあり得る、そう考えておるわけであります。しかし、石油二法をつくっていただきまして、その石油二法の発動によって、いま需給調整とかネオンサインを消せとか、いろいろな規制も現に行なわれて、しかもそれが背景に伝家の宝刀としてあるがゆえに行政指導も強く行なわれてエフェクティブに、有効に行なわれている要素があると思ってこの二法をつくっていただいたことは、私たちは非常にありがたいことであり、有効であるといまでも感謝しておるところであります。
 行政権につきましては、憲法並びに法律の条章に従ってこれは当然行なうべきでありますが、内閣は、あるいは条約を締結し、あるいは法律を執行し、国民生活について毎日毎日のことを処理していくという裁量の仕事、行政裁量による仕事を持っておるのであって、この権限はやはり三権分立の機能に基づいて行政各部に属する、そういう意味でもあります。でありますから、私は、なるほど国会は国権の最高機関としての権能をお持ちであり、それは私たちは憲法を守る以上最大限に尊重しなければならぬと思いますが、行政権自体も無視していいというものではない。それは毎日毎日の国民生活に密着して指導し、あるいは処理していくという大きな問題をかかえておるのでありまして、その範囲内において行なうものであるということを申し上げるものであります。
○板川委員 私は別に行政権を無視しようというのじゃないですよ。しかし一行政権の行使は法律に基づいて行なうべきだという前提に立ちます。ただし、緊急の場合とか、想定されない事態とか、こういう法律が用意されていないような場合には、一般規定である設置法の通産省の任務ということを背景にある種の行動はできますよ、こういう意味で言っておるのであります。ただし、どうも大臣のいままでの発言からいうと、行政権の権能が立法を侵しても、何か優位にあるようなものの言い方をするから私は気になるのであります。これはファッショの思想になります。行政が立法の上にある、あるいは司法を支配するということはファッショの政治になるわけでありまして、そういう点で、その考え方の芽を私どもは非常に危険な感じがするわけであります。これはまたいずれ議論をあらためていたしたいと思います。
 大臣は、三月二十六日の当委員会で、中村議員の発言に答えて、先ほども議論がありましたように、電力会社が値上げをしようという場合にどうするかという質問に対して、極力物価抑制の立場から押えますとずばり言ったのです。三月二十六日の当委員会であります。そのときには受け付けるという意味のことは言わない。申請を出さないように指導をする、こう言っておられました。ところが新聞によりますと、四月三日に東京電力が六八%、中部電力が七八%の値上げ申請をされた。値上げを申請されたらとたんに四月三日、その日からこの審査を開始する、そして五月の末には結論を出す、こういうようなことが新聞に報道されております。きのうとりました資源エネルギー庁公益事業部で出した新しい電気料金制度の解説という資料がありまますが、これは四十九年三月にできたものであります。三月二十六日の質問のときには極力値上げは押えるために受け付けないと言いながら、四月三日になると手のひらを返したごとくこれを受け付け、しかも即日審査を開始する。一体その間の急変といいますか、態度が変わった理由というものを国民に明らかにしてもらいたいと思います。一週間前までは、これは値上げはいたしません。四月に入ったならば、三日に出されたら三日から審査を開始します、全く百八十度の転換でありますが、大臣どういうふうにお考えですか。
○中曽根国務大臣 三月二十六日に中村先生にお答え申し上げましたのは、申請について自重させる、できるだけ自重させておくらせたい、そういう趣旨のことを申し上げたと思います。それはなぜかといえば、先ほども申し上げましたように、政府内部において受け付けを受理するかどうか、その辺についてまだ意見の一致を見なかったからであります。しかし、電力問題は早晩解決しなければならない国民経済上の重要問題でありますから、政府内部においてはいろいろな考えをもって各省間で協議をしておったのは間違いないところであります。しかし、その協議がととのわないという状態において、この申請問題を通産省が独断でお答えすることはできない状態であったわけです。それが三月二十六日でございましたから、極力自重させる、そういうことを御答弁申し上げたのであります。しかし、それが四月に入りまして各省間の了解が成立して、政府としても考え方及びやり方等についてある程度の一致ができましたものですから、そこで申請を受理するという形の条件が整いまして、いまその段階に入ったわけであります。これは決して国会を軽視するという考えに基づくものでなく、そういう行政処理上の政府内部の統一ということが問題でございましたからそういうことになったのでございまして、当委員会において、先ほど申し上げましたように、その受理に関するポイント等について明確にできなかったことはなはだ遺憾なことであります。
○板川委員 一週間前までは受け付けない、一週間後に受け付け、しかも受け付けたらとたんに審査を開始する、あまりにもその豹変の――まあ君子は豹変するというのか知りませんが、あまりにも手のひらを返すがごとく変わったのは、われわれの立場として理解に苦しむところであります。
 先ほど中村議員も質問いたしておりますから重ねて申し上げませんが、結論としてこういう扱いをしようというんでしょうか。東京電力と中部電力が値上げを申請してきた。来週中には他の七社も値上げを申請するであろう。全部そろった場合に各社を一括して審議をして結論を出すのではなくて、先に出された東京電力一中部電力を五月末までには結論を出す。他の七社は自後その例に準じて結論を出していく。こういうようなことでありますか。そういう扱いをしようとされるんですか。その点を伺っておきたい。
○中曽根国務大臣 申請は順次受理せざるを指ない状態でありまして、これが一週間以内になりますか十日以内になりますか、準備が整って申請してくるものについて受理していかなければならぬと考えております。
 審査は、先ほど申し上げましたように、日本国民経済の新しい均衡水準の基礎条件を早く整えるという意味において、できる限り早くやったほうがいいと思っております。ですから五月の中、下旬にかけて決断を行ないたいと申し上げたのでございます。しかし、それも緊要度に応じてそういう決断の順序をきめていきたい、そういう考えに立って実行していきたいと思っております。
○板川委員 緊要度に応じて五月末を目途に、あるいはそれから前もあるかもしらないが、一つ一つ個別に結論を出していきたい、こういうふうに承ります。
 今度の料金改定は、家庭料金は比較的値上がりが少なく、工業料金が値上がりが高い。おくれればおくれるほど産業界に都合がいいという理屈にもなります。これは実はわれわれも、おくらしたほうがいいのか早くしたほうがいいのか、その辺の判断に苦しむところでありますが、いずれにしても大臣は、この電気料金の値上げを審査をして認めて、エネルギー高価時代における新しい価格構成を早く安定させよう、別なことばで言えば、高価格安定をすみやかに行なおう、こういうふうにお考えのようであります。新聞によりますと、政府は、電気料金は値上げの審査を聞始する、いま言ったような方法で結論を出していこう、ただし、便乗値上げを極力防止する方針だ、こういうことが報ぜられておりますが、電気料金の値上げによって、過日閣議了解をされておりました石油の値上げと同時にきめられた製品価格の引き上げについて主務省の事前了承を得るように指導する物資というので、これまた値上げを押える指導物資というのが指定されておりますが、この電気料金値上げによって、この主要基礎物資を押えていくということは可能でありますか。これまた行政指導で押えていこうということでありますが、押えられ得るかどうか、これはひとつ経企庁長官に伺いましょうか。
○内田国務大臣 先般石油の価格につきまして新しい体系をつくりました際に、それが一般の生活関連物資あるいは重要基礎資材に波及をいたしますことがないように、板川さんがいま御発言になりましたような措置を講じておるわけでございます。その上、今度は電気料金が上がるということになりますと、そこに問題が生ずることを私ども経済企画庁といたしましても一番心配をいたしておるわけでございますが、電気料金が物価に及ぼす影響というものをかりに算定をいたしてみますと、これはたとえば家庭用の電気は上げ幅を低くする、あるいはまた電気料金制度というものをいままでと違った体系のもとに新しく構成するというようなこともございますが、それにいたしましても、直接電灯等家庭で使う電力につきましては、いわゆる消費者物価にすぐに影響が出てまいりますので、これは当然それだけの消費者物価の押し上げになるわけでございます。もう一方の産業用の電力につきましては、新しい電気料金体系のもとにおいてはむしろウエートを高めていく、こういう新しい電気料金制度の組み立て方というものの上に料金が値上げをされ、しかもその値上げ幅は相当の値上げ幅ということになりますと、当然これは産業における製品コストに反映することになるわけでありますけれども、例の産業連関表等を使いまして、一般の各種のコストに占める電気料金の割合というようなもの、またそれの値上げへの影響というものを考えてみますと案外小さいようでございます。もっともアルミとかあるいは一部の化学製品などにつきましては、それは必ずしも小さいと言えないものもございますけれども、一般のものについては、案外はね返りが小さい。しかも、私どもが先般値上げ事前了承制というものをつくります際に、いろいろこれまた石油の産業連関表等によるはね返り等を調べてみますると、現在のそれらの個々の物資の価格の中にはかなりの余裕があるものも相当ありますので、全般的に見れば、私は、あの五十数品目の押え込み制度というものはそのまま続けていける。ただし、先ほど申しますように特殊の、電気のかたまりのようなそういう物資につきましては、これは事前了承制というものの運営によりまして、主務官庁である通産省が十分そこは精査をして動かさなければならないものもあるかと思います。もう一つ、しかも産業用電気料金がはね返って、それが私どもが消費をする物資になるまでの間、中間製品から最終製品に至るまでの間におきましては、それぞれの幾つかの企業の段階を経ますので、そこにおいて段階的にも吸収する余地がありますので、終局的にはそういう商品の消費者物価に影響するところもほとんどなしに済ませる、またそのようないろいろなはからいもしてまいる、こういうことを想定をいたしております。
○板川委員 こういうことですか。電力料金が上がっても、電力のかん詰めのようなアルミ、これはコストの中に一四%近い電力費があり電力のかん詰めといわれているんですが、このアルミのような場合は別として、他の五十三品目ですか、価格の抑制をする指導物資、これ等は、石油値上げの際に相当先取り値上げをしているようだから、今度電力が上がっても、これはこれで押えていける、結論としてこういうことですか。
○内田国務大臣 ことばは、板川さんのおっしゃるようなことばを私は使いたくありませんが、結論においてはそういう方向で当分の間はいける、こういうふうに考えます。
○板川委員 質問の時間がないものですから、ひとつ簡単に御答弁を願いたいと思いますが、東京電力が六八%の値上げ、中部電力が七八%、この大幅な値上げを申請した値上げの理由、根拠、こういうものを大まかに言ってください。詳しいことはまた他の機会に譲ります。
○岸田政府委員 申請の理由を拝見いたしますと、燃料費の高騰、人件費の高騰、資本費の高騰、各種の要因が並べられておりますが、やはり燃料費の高騰が一番大きな原因であるというふうに記載されております。
○板川委員 この資料をちょっと見ますと、確かに燐料費が東京電力が四三%、中部電力が四九%をコストの中で占めておりますが、この電気料金をこの前きめたときには、この燃料費はどのくらいの割合でありましたか。
○岸田政府委員 前の電気料金の認可をいたしましたのは東京電力で三十六年、それから中部電力で四十一年でございます。その当時の燃料費の割合はただいま手元に持ち合わせがございませんが、非常にラフに申し上げますと一〇%前後であったのではないかと思います。
○板川委員 それじゃあとで資料をいただきましょう。
 原油価格上昇に伴う各産業の生産品の価格上昇率試算、これは通産省が出したものですからおわかりと思いますが、これはわかっていますね。この通産省が出された昭和四十五年の産業連関表を用いて、そうして原油が大幅に値上がりした場合に各製品にいかなる影響を及ぼすか、こういう試算をしております。もちろんこの試算には一つの前提があることも承知をいたしております。ところが、この試算によりますと、原油の価格が十ドルになったといたしましても、ケースCのところにありますが、二六・五%電力料金を上げればよろしい、こういう試算がすでに発表されております。
 これは予算委員会でも取り上げられて、総理大臣は産業界にそういう試算を見せて、値上げするならこの範囲に押えてくれということを伝えよう、こういう発言さえあったのでありますが、この資料によりますと、十ドル原油になったとしましても、電力は二六・五%値上がりして、この範囲の影響を受ける。先ほど言いましたように、四十五年の連関表を使っており、その後の変化をとらえておりませんから、このままずばりということを私も申しません。しかし、この数字を頭に置いて考えた場合に、六八%、七八%、この値上げの率は過大に過ぎやしないだろうか、こういうふうな見解を持ちますが、どうですか。
○岸田政府委員 お示しの産業連関表、私ども資料を入手いたしました。お話にございましたように、十ドル原油を前提として二六%という数字になっております。ただし、この数字につきましては、先生もお話しございましたように、いわば一つの前提に立っての試算でございまして、私どもは、その前提となった前提条件と今回の電力料金の場合とは現実問題として幾かの相違点がすでに出てきておるということを感じております。一つは、四十五年当時とごく最近と比べますと、火力に依存する比率が上がりましたこと、第二番目には、当時はほとんど問題のなかった石油のなまだきの問題というのが非常にウエートが増してきたこと、それから第三番目には、電力会社の使用する油は昨今大部分がミナスになっております。このミナスにつきましては、先刻御承知のとおり、四月一日から十一ドル七十というような価格水準が決定を見ていること、その他さまざまな前提条件の違いということを織り込んで頭に入れておく必要があるという感じがいたしております。ただ、前回、二六%という数字が出たことにつきまして、私自身も納得のいく説明を得て進めていきたいと思っておるところでございます。
 参考までに申し上げますと、四十八年上期の電力会社の支出のうちで燃料費の割合が二二%でございました。ところが、その当時の油の値段と最近の油の値段と比べてみますと、三倍、ものによっては四倍近い値上がりになっておる。したがって、二二%が三倍とすれば四四%はみ出す、四倍とすれば三倍でございますから六六%はみ出すというような形でございます。これらのことにつきましてもさらによく詰めて、申請の内容の燐料費等が適正なものであるか、この辺の審査は厳重に行ないたいと思っております。
○板川委員 これはいずれその間の数字のデータをあとで出してもらいたいと思います。
 次は、都市ガスがこれまた相次いで料金値上げの申請が地方ではどんどんされておりますし、地方通産局が所管する事項でありますが、電力を上げて、都市ガスはどうされる方針でありますか。昔から電気、ガス、ともに公益事業令によって同じ企業体のように扱われてきたわけですが、電力は先ほどのような結論を出されておる。都市ガスはどうされる方針ですか。
○岸田政府委員 お話しございましたように、ガスも家庭生活に不可欠のものでございます。したがいまして、昨年秋以来の原油価格の高騰によりまして、各ガス会社は電力の場合と同様に経営が非常に苦しくなってきておるという事情を承知しながら極力値上げを抑制するということで、ガス事業者に対して指導を続けてまいったところでございます。
 ただ、電力会社と違いまして、ガス事業者は現在全国で二百五十社ございますが、二百四十社までは中小企業でございまして、特に中小企業の中でも非常に零細なものもかなり含まれておるわけでございます。これらの事情は、電気と違いまして、いわば対応力が非常に乏しいということを示すものではないかと思っておるところでございます。したがいまして、ガス事業の料金の取り扱いにつきましては、いわば個別事業ごとにその経営の内容を十分審査をし、このまま放置するときにはあるいは安全問題に悪影響を及ぼすのではないか、あるいは供給の安定性というものが確保できないのではないか、この辺の懸念を一つ一つ吟味をした上で、ケース・バイ・ケースに答えを出すというようなやり方で処理していきたいと思っておるところでございます。
 なお、かりに認めます場合におきましても、その値上げ幅につきましては極力厳正に査定をするという方針については、電力会社と同様であろうかと思います。
○板川委員 そうしますと、ガス料金も、御承知のように原料代が大幅に値上がりしておるからこれまたケース・バイ・ケースであろうが、最小限の値上げは認めざるを得ないというような御発言であります。
 ここで私は経企庁長官に伺いますが、私鉄料金も、きょうの新聞を見ますと、これは四十七年七月に値上げ申請をしておって今日まで押えられてきておるというようなことで、値上げをしようという運輸省の方針のようでもあるようです。私鉄料金が上がる、バス料金が上がる、そうして電気料金が上がる、ガス料金が上がる。こういう公共料金が相次いで値上がりするということは、公共料金を極力抑制するという政府の方針と矛盾しないでしょうか。そうして先ほど質問いたしましたら、この五十三品目について価格を抑制することは可能だ、まあ先取り値上げをしておるからだいじょうぶだろうというお気持ちのようでありますが、相次いで電力、ガス、私鉄、バス、こういう公共料金を値上げした場合に、なおかっこの一般の基礎物資、それから消費者物価、こういうものに影響はない、こうおっしゃられますか。
○内田国務大臣 板川さんも十分御承知のように、私どもは公共料金については極力これを抑制する、また、別のことばでいえば抑制をし得ない状態のもとにおいても慎重に対処する、こういうことでやってきております。いまもお話がございました、たとえば私鉄を例にとりましても、先回の値上げはたしか四十五年のままで、今日の申請も四十七年に出された申請をそのまま極力抑制をして、ここまで押え込んできていることはよく御承知のとおりでございます。しかし、これはそのものずばりで申しますと、これは私どもも非常に苦しんでおるわけでありますが、国鉄の料金値上げというものも、これは私どもがぜひそうでないと、それは一般の物資の標準価格の設定あるいは抑制というようなものができないというような政府の姿勢をも考えまして、そして一ぺん法律できまっている国鉄料金を押え込むとか、あるいは予算できまっている米の消費者価格も押え込むというようなことをやってまいったわけでありますが、それはそれでお認めいただけると思いますけれども、しかし公共料金というものはいつまでもそのまま押え込んでいけない性質もございます。他の一般物資のように先取り値上げとか便乗値上げというものが認可料金でありますためにできませんので、今日まで押え込んできておりまする料金というものは非常に限界を――そんなのと比べてみまするときには、何とかしないとその業態そのものが崩壊して、そして整備を欠かれることも憂慮されるような状態のものも出てくるわけでございまして、国鉄につきましても十月からはもとの法律による値上げに戻すということをいたすつもりでおりますけれども、そうした場合に、国鉄は上げることを認めるけれども私鉄のみを押え込むということになりますと、国鉄は国の財政がつながっておりますけれども、私鉄のほうは国の財政がつながらないということを考えますと、私は、これは慎重に対処しながらも、当然先ほどから問題になっておる電気料金引き上げのコースの中にそれを適当に織り込んでまいらざるを得ないと思います。
 しかし、一般的に卸売り物価、消費者物価とも二月、三月の状況が非常に鎮静をいたしてまいってきておりまするし、総需要の抑制もまだこれを堅持するつもりでございますから、そういう状況の中にいまおあげになりましたいろいろの公共料金の改定の問題を吸収して、なおかつ昨年のような物価の狂騰がないような状況をつくっていく、またそれが可能である、こういうふうに考えるものでございまして、こうした時期に公共料金につきまして慎重な措置をすることが、私は経済の今日の流れの上から考えましてもやむを得ざることである、こう判断せざるを得ないというわけでございます。
○板川委員 時間が一時までですからあと二問ほどにいたしますが、結局こういうことですね。公共料金の抑制というのは実は口だけであって、実際は個々にはしかたがない、こういうことのようです。しかし、いまのお話では、物価もようやく鎮静化しているから少しぐらい上がってもだいじょうぶだろうと考えているというのでありますが、物価というのは、石油がわずか上がってもすべてのものが石油価格よりも二倍も三倍も上がると同じように心理的な影響というのが大きい。公共料金がこういって先ばしって上がるということになりますと、そういう意味で、私は、一般卸にも消費者物価にも重要な影響を与えると思います。しかし、これはまた議論をあとにいたしましょう。
 今度電力会社が、新聞の資料によりますと、東京電力の場合には三月十八日以降、原油などが上がったために一日十四億円の赤字である、中部電力は七億円ほどの赤字になる、こうおっしゃられております。実態を調査をしてみなければ明らかでありませんが、その数字はさておきまして、石油会社のように、昨年の暮れの架空の、虚構の石油危機というのをあおって、そうして大幅な先取り値上げをした、あとからそれをみずから認めざるを得ない事態になったものでありますが、この石油会社よりは、こういう資料等を見ますと、電力会社はいわば良識といいますか、常識といいますか、持っておる感じがいたします。この新しい料金体系が発表されたのでありますが、実は社会党は昨年来こういうエネルギー政策を持ち、特に電力の項目ではこういっておるんです。「電力料金制度と値上げ問題」「現在の料金体系は約一四種に分かれており、一般家庭用の従量電灯料金は一キロワット時当り十二円に対し大口電力料金は三円四十銭と一般家庭用の三分の一以下で大きな格差がある。現在の制度は、たてまえとしては総括原価主義のもとで個別原価主義をとっているが、実際は戦後一貫して続いた産業優先政策をとっており根本的再検討が必要である。
 そのため、現行の料金制度を総括原価主義にもとづいて、1産業用大口電力料金の大幅引上げ、産業部門ごとの用途別料金制度の導入により産業構造の転換を促進するなどを原則にして改正する。2一般家庭が使用する標準消費量までは料金を安くする。
 また、電力消費税を」、一般家庭には消費税をかける、家庭電力には消費税をかけ産業用電力に課税をしないという矛盾を撤廃し、家庭用電力の税金は撤廃すべきだ、こういうことを主張し、さらに料金は国会の承認事項とすべし、こういう結論を昨年われわれは出しておるのでありますが、今度のこの料金値上げの中で一部こういう趣旨が取り上げられております。たとえばナショナルミニマムという制度を生かしたとしまして、そうして百キロワット時までは値上げ額を少なくし、あるいは家庭消費でもぜいたくの場合には割り増しをとるというようなことを取り入れたり、あるいは家庭用電力と工業用電力の格差を縮めまして、大体外国の例を見ますと、家庭用電力一〇〇に対して工業用がイギリスが一〇〇対八八、アメリカが一〇〇対六三、イタリアと西ドイツが一〇〇対五三、こういうことから比較すれば、日本は従来一〇〇対四二であったわけであります。今度のこの産業用電力を大幅に引き上げることによって一〇〇対六六ということになるようでありますから、ようやくイギリスを除くアメリカ程度の水準までなるという形であります。こういう体系をとってエネルギー全体を節約する、省エネルギー的な産業構造に変えていくという方針はわれわれの主張を採用しております。そういう点では、方向として、内容は別ですがわれわれは首肯し得るものがあります。
 そこで一つ伺いますが、百キロワット時という電力消費、家庭電力ですが、どの程度の生活が維持できるでしょうか。月間百キロワットということでこれは値上げを少なくする、三七%ですか、こういうことになっておりますが、これは家庭構成として四人ぐらい、普通に生活すれば百キロワット以内で済みますか。
○森下政府委員 従来の産業政策は、多く資源を使う場合、特に電力の場合におきましては多く使えば安くなる、そういうような消費型の料金体系であったように思います。しかしながら、石油の削減問題、また石油の値上げ問題が出てまいりまして、資源大国でないわが国といたしましては、消費経済から節約経済に向かわなくてはいけない。そして産業優先よりもむしろ国民福祉ということを中心にした指導でなくてはいけない。大転換したように私は思います。そういう意味で、今回の電気料金の改定も、先生がおっしゃいましたように、むしろ消費を押えるために多く使うところから多く料金をいただこう、そういうような精神がこの料金値上げの内容を見ましても盛られているように思います。また、通産省でもその方向で指導をしていく。
 ただ問題は、この百キロの数字というものがはたして国民福祉のためにどの程度貢献するのか、むしろ百キロという数字は少ない数字じゃないだろうかというような御意見でございます。大体百キロ以内の消費世帯は、これも御指摘のように三五%から三七%くらいであろう。それを具体的に申し上げますと、憲法で文化生活は保障されております。文化の程度というものは、やはり経済の伸展またいわゆる水準の変化によって変わると思いますけれども、われわれが常識的に考えまして、照明はもちろんでございますけれども、扇風機とか、こたつとか冷蔵庫、洗たく機、カラーテレビ、それから掃除機、こういうものは大体庶民の御家庭でお持ちになって、いわゆる文化生活を享受するための必要条件である、ただルームクーラとか電気がま、それから電気毛布、こういうものは入るかどうかということは疑問でございますけれども、先に私が申し上げましたような内容でございました場合、これを使った場合に大体百キロぐらいでおさまるような計算になっておるようでございます。(板川委員「何人家族で」と呼ぶ)四人家族でいま申し上げましたような内容のものを使った場合に何とか百キロに入るというような数字でございまして、とり方におきましては多少の誤差はあると思いますけれども、そういうことで百キロというのが一つの標準になる、こういうふうな見解をとっております。
○板川委員 電力をよけいに使う場合には、今度は逓減じゃなくて逓増方式を採用する、エネルギーを節約する方向に料金体系が変わってきたことは承知いたしますが、それにしてもちょっとおかしい点がある。きょうの新聞にもありましたように、百キロワット以下の場合には十二円二十銭で、三七%の値上がりである。百一キロから二百キロまでは十五円四十五銭で四六%値上げする。この間が三円二十五銭値上げである。ところが二百一キロ以上になりますと十六円九十五銭となって一七%の値上がりで、一円五十銭しかよけいに上がっていない。逓増方式をとるといいながら、この二百キロワットアワー以上使う場合に意外と安くなっておる。この辺がちょっとおかしいじゃないか。こういう議論もあります。
 それから、きのうわれわれもこの新聞を見て、四人家族で百キロワットという月間の使用料の場合に、こたつを使えば超過するということが出ております。国民的な最低限という意味で、こたつを使って超過というのはどうか、いまさら木炭、練炭を使うわけにいくまい、こんな話も出ましたり、あるいはクーラーを使った場合にはこれはぜいたく料金の方向へいくところに線を引くべきか、クーラーというやつは、長島選手じゃないけれどもどうも健康上よくないということもあって、これはぜいたく料金かななんて町の声も聞いておりますが、いずれにしましても、この内容についてはいま少し微細に今後検討してまいりたいと思いますが、とにかく通産省としては、この料金値上げ問題は、物価に及ぼす影響を考慮されて慎重に検討されますことを要望いたしまして、質問を終わります。
○濱野委員長 上坂昇君。
○上坂委員 私は、きょう福島第一原子力発電所について質問いたしたいと思いますが、その前に先週の金曜日にちょっと質問を保留しているところがありますので、それについて少し質問をさしてもらいます。
 日本電気計器検定所の問題でありますが、この前、私が出しました電気事業連合会から通産大臣あてに検定手数料改訂についてという文書が来ているかどうかということを申し上げたのですが、その結果はどうなっているか、お知らせいただきたい。
○岸田政府委員 先回お尋ねをいただきまして、私どもも通産大臣あての文書が到着しておるかどうか、部内へ帰りまして調査をいたしましたが、そのような形で正式の文書は私ども受け取っておりませんようでございます。
○上坂委員 私の持っている文書の中には、こういうふうに書いてあるのです。「今後における手数料長期安定化のため、検定所の合理化方策として次の事項を強力に推進するようお願いいたします。」そして一、二、三と書いてあって、最後に「なお、かねてお願いいたしております新型計器類の省令改正ならびに一部計器の検定期限延長についても促進されるようお願いいたします。」こう書いてあるわけです。どこにお願いするのかと思っていろいろ聞いてみた、検定所にお願いをしているのかと思って聞いてみましたら、検定所にはお願いはされてない。そうしますと、一体お願いするのはどこへやるかというと、これは通産しかないんですね。ほかにないわけです。そこで私は非常に疑問に思うわけだけれども、これは書きっぱなしで出さなかったのかどうかということなんですがね。口頭でこういう申し入れがありませんでしたか。
○岸田政府委員 前回の手数料の値上げの前後にやはり電気事業連合会のほうからいろいろ要望が行なわれたということは聞いております。口頭によりまして数点の申し入れがあり、それをもとに部内でも議論をしたという経過はあるようでございます。
○上坂委員 その内容は要約するとどういうことですか。
○井上説明員 口頭で御説明がありましたので、大体の御趣旨は先生がおっしゃっておりましたような御趣旨になるわけでございますが、日本電気計器検定所の事業所の整理統合あるいは労働生産性の向上をはかってほしい、あるいは検定業務の機械化、自動化あるいは検定事務の合理化、簡素化をはかってほしい、それから工場の出張検定、分離検定、抽出検定等の新しい検定方法について検討してほしい、新型計器類の検定方法について省令の改正あるいは一部計器の検定有効期間の延長等を行なってほしい、こういうような要望であったというふうに記憶しております。
○上坂委員 それはいつごろ要望されたのですか。
○井上説明員 八月の中旬であったという、ふうに記憶しております。
○上坂委員 私が持っている文書は八月十四日なんで、大体同じなんです。そうすると文書は出さないで説明をしたということになるのか、それとも、その文書はうまくないから、しまってしまって大臣だけふところに入れてしまったのかどうかというかっこうになるけれども、そういうことはないだろうから、口頭で申し入れがあったというふうにそちらの言うことを受け取りまして、そこで問題なんですが、その電気事業会の、そうした業者の団体からのそういう申し入れにどういうふうに答えるつもりであるか、また、いままではどういうふうに答えてきたかということについて、一言お答えいただきたい。
○井上説明員 先ほど御説明申し上げましたように、日本電気計器検定所の運営に関しまして、いろいろな合理化をはかってほしいという要望があったわけでございますが、検定所の合理化につきましては、検定所が自主的に考えるべきものであるということで、われわれのほうとしては、それを受けましても、一般的な合理化をはかってほしいという要望は検定所にやっておりますが、個々にどうせよというようなこまかいことは、われわれのほうとしては指導をしておりません。
 それから最後に要望として出ておりました省令の改正につきましては、その後内容をいろいろ検討いたしまして、これは妥当なものであるということで改正を行なっております。
○上坂委員 問題は、そうした事業団体からの影響というものが、この検定所の運営について行なわれないようにということを私は申し上げたいわけであります。それは、この検定所法が制定される時点で、衆議院の四十六国会で討議をされたときに、これは付帯条件としてそういうふうに出ておるということを十分注意をしていただきたいと
 いうふうに思うわけであります。
 それからもう一つは、大臣に答えていただかなければならぬのですが、大臣がいなくなってしまって、答えてもらいようがなくなったわけでありますが、実は三二・六%手数料を昨年の十月に上げた。その引き上げによってどの程度黒字になったか、赤字を解消できたかということをお聞きしましたら、約二億円の黒字になるだろうという計算が出た、こういうことを言っておられるわけです。ところが、よく聞いてみるとそうじゃなくて、最初は集めてみたら赤字だった、三二・六%も引き上げてなお赤字が出るということではこれはたいへんだということで、もう一回各地域の検定所に計算をし直させて、いろいろ節約したのかもしれませんけれども、そこからあがってきたものがようやく二億円の黒字になった、こういうことなんです。そうなりますと、検定所の運営そのものは、実際非常に困難であるというふうに思うのです。そこへ合理化をしなければならない、新型機械も入れなければならないということになると、これはとてもやっていけないのじゃないかというふうに思うのですよ。したがって、独立採算制だけでやれないということになれば、政府は一体これをどうするのか、いわゆる消費者の保護という立場に立って、どういう運営にしていかなければならないのかということが基本的な問題として再検討されなければならない、そういうふうに私は思うのです。そのことについて実は大臣にお聞きしたかったわけです。大臣がいないから、次官にはこの間だいぶいろいろお話し申し上げたので、また二度も三度もお話を承るというわけにいかないけれども、その点が実は非常に問題だったと思うのですよ。この点についてどういうような方針をとっておられるか。部長、これはどういうふうにやりますか、もう一度お答えをいただきたい。
○岸田政府委員 先ほどお話がございました中で、経費の見通しについて誤算があったのではないかということでございます。いま経過を聞いてみますと、当初単純に経費を積み上げていって、その結果収益の面で数字が少ないという結果になったことは事実のようでございます。実はそれをもとに個々の内容を審査をして協会としての見通しを整理したところ、先回申し上げましたような数字になったという経緯のようでございます。いまのような見通しがかりに正しいといたしますれば、検定所自体もこれからしばらく健全な運営が期待できる、こう私どもは考えております。独立採算制の原則自体ということが、いまお話にございましたけれども、これは設立当初からのいろいろの経緯があった件のようでございますし、いわばそういった独立採算制のもとに、能率をあげながら、しかも公正な運営を確保するというようなことが期待されて発足されたものであると承知をいたしておりますので、そのたてまえのもとに極力よい運営をはかれるよう私ども指導を続けてまいりたいと思っております。
○上坂委員 この問題でもう一つだけお聞きしておきますが、いま労使の紛争でだいぶ長いこと交渉が行なわれてきているようですが、その間に問題になっているのは、いま審議官からもお話のあった合理化の問題ですね。合理化というと、これは機械だけの問題ではなくて、やはり労働力の問題になってきて、労働者の削減というところに必ずしわ寄せがくるというところで合理化が問題になるわけでありますが、四十九年度からの五カ年間に百二十名から百三十名の人員を削減したいというふうに検定所のほうでは考えている、こういうふうにいっているわけです。そこで、予算上の要員算定というやつが出てくるわけなんです。そうして今度は実人員というやつが出てくるのですが、予算上の要員算定というのは一体どういうものであるか、そしてまた根拠はどういうところから出てくるのか、これを御説明いただきたいと思います。
○井上説明員 検定所の定員につきましては、四十九年度は定員が千二百十一名でございます。四十九年四月一日現在で実員は千百三十六名ということになっております。
 検定所の人員につきましては何人が適当であるかということでございますが、この点につきましては、本来、検定所がその運営の一環として判断するということが妥当なものだというふうに考えております。検定所につきましては、今後定員の面についてはある程度の合理化をはかっていきたいということがあるようでございますが、人員整理を将来にわたって行なうということはわれわれ聞いておりませんので、今後ともこういう考え方に沿って健全な経営をはかっていくように指導してまいりたいというふうに考えております。
○上坂委員 職員のほうには及ぼさないようにこれから十分注意していくということばでありますから、それを信用しまして、そういうふうな形でやっていただきたいと思いますが、いろいろ組織上の問題の中から問題が出てくるだろうと思います。しかし、そういうのは労使の間で検討され、あるいは解決されるべき問題であると思いますから私は言いませんが、とにかく発足当時に千二百名で四百万台ぐらい扱っていたものがいまは実に八百二十万台扱っているという倍の数字になって、たいへん労働強化にもなっているし、能率もあがっているという点も十分考慮されて指導されるように要望いたしておきます。この件は終わります。
 次に、この前はちょっと調べてもらったのですが、福島原子力発電所二号炉が非常に営業開始がおくれておるわけでございます。計画によりますと、実は四十八年五月に開始されることになっておったが、それが九月に延長され、最近ではこれが六月ごろになるだろうというふうにいわれております。一年以上の延長になっておるわけであります。そこで、いろいろ問題が出てきて、実はきのうの読売新聞にもかなり大きく「原発燃料に設計ミス」があったという見出しで「営業運転また延期」というふうに出ておるわけであります。その内容を見ますと、これは問題なのは燃料棒にミスがあったというふうにいっているわけですね。私が報告を受けた中でも、燃料棒の制御装置のポイズンカーテンを今回のものでは別なものに取りかえて、ガドリニアを含ませたものにして、そしてポイズンカーテンの役目を果たさせている。こういう初めてのものを使ったからそれの調整におくれているんだ。こういうような形です。新聞にも大体同じようなことが書かれておるわけでありますが、一番最後のほうに、これはゼネラルエレクトリックでつくったわけでありますが、そのGE社に損害賠償、いわゆるペナルティーをつけることができない、こういうふうにいっているわけです。したがって問題は東電側にある、こういうふうに考えざるを得なくなってしまうわけでありますが、一番先に、まず原発建設についての契約は一体どういうふうになっているか。これは濃縮ウランの提供ということも含めて御説明をいただきたい。
○井上説明員 原子力発電所の契約につきましての御質問でございますが、この東京電力の福島二号機の場合のメーカーとの契約でございますけれども、この前の一号機につきましては、ターンキー方式といいまして、全部完成して完全にメーカー段階でまとめまして引き渡す、こういうことになっておるわけでございますが、二号機からは機器の供給をメーカーから受けるという方式に変わっておりまして、契約条文中には、今回のような、先生のおっしゃいますような場合の運転調整によるおくれに対するペナルティー条項はないというふうに聞いております。東京電力といたしましては、さらに専門家とも相談して本件を処理したい、こういうふうにわれわれ会社のほうからは聞いております。
 それからウランの燃料の契約についてでございますが、いわゆるウランの原料につきましては、海外のウラン鉱山会社と契約をいたしまして購入するわけでございますが、これを濃縮ウランに変えるという過程が必要になるわけでございます。ウランの濃縮契約につきましては、現在は昭和四十八年の十二月二十一日に改定されました日米原子力協定、これは政府間協定でございますが、これに基づきまして濃縮ウランの供給を受けるということになっております。もちろん具体的な契約はアメリカの原子力委員会とそれぞれの電力会社が行なう、こういうことになるわけでございます。
 そのほか燃料につきましては加工という段階がございますが、この段階はそれぞれメーカーとの間で加工の契約を行なう、こういうことになっております。
 なお、濃縮契約につきましては、アメリカ以外では現在フランスほか四カ国の共同出資によります濃縮会社でございますユーロデフ社でございますが、こことの間でウランの濃縮契約についての交渉が進んでおるという段階でございます。
○上坂委員 問題になっているその新しい型の燃料棒ですね、ガドリニアを加工したものですが、これはアメリカではどの原発で使用されているか、お調べになったことがありますか。
○井上説明員 福島二号機と同じ核燃料設計の原子炉は、米国内に九基あるというふうに聞いております。ちょっといま名前は調べておりますけれども、その一つはブラウンスフェリーという発電所でございます。ブラウンスフェリーの一、二、三号、それからピーチボトム二、三号などはこの設計を採用しているというふうに聞いております。
○上坂委員 この燃料棒はどこで加工したものですか。
○井上説明員 実際に燃料の加工をいたしておりますのは日本ニュークリア・フュエル株式会社という会社でございます。
○上坂委員 そうしますと、この会社は日本にあるわけですね。
○井上説明員 これは日本にある会社でございます。
○上坂委員 日本にあるその会社がつくったものであるとすると、私は、注文をしたほうは十分これを管理することができるし、その過程も十分見きわめることができたものではないかというふうに思うのです。それを計算ミスでガドリニアを必要量より十数%入れ過ぎたようだ、こういうふうに専門家が言っている、こういうふうに新聞にも書いてあるわけでありますが、この点は審議官としてはどういうふうにお考えになりますか。
○井上説明員 先生のおっしゃいます、予期いたしました数値を実際には達成できなかったという問題でございますが、この点につきましては、いろいろと設計のやり方あるいは設計をやる場合にはかなり複雑な計算をやりますが、その段階におきます計算ミスといいますか、ミスというよりはむしろ計算の誤差といったほうが適当だと思いますが、そういった問題によるところが大きいんじゃないかというふうに考えております。
 ただ、本件につきましては、ガドリニアの入れ方がやや多過ぎた――われわれの聞いておりますところでは五、六%程度というふうに聞いておりますが、これは出力を押える方向になりますので、われわれとしては安全上は非常に安全であるというふうに考えております。
○上坂委員 ガドリニアを入れるというのはペレットに入れるわけですか。
○井上説明員 ペレットに入れるわけでございますが、すべての燃料に全部入るというわけではございませんで、一部の燃料に入るわけでございます。
○上坂委員 燃料棒は東電の場合には七百本くらい集合体にしてあるわけですね。それをまた炉の中にたくさん入れていくわけですね。そうしますと、集合体にしている燃料棒の中でガドリニアというのが入っているのは一体どのくらいあるのですか。
○井上説明員 福島二号炉の場合、燃料体が五百四十八体ございますが、そのうちの四百三十一体にガドリニア入り燃料が含まれております。
 なお、この燃料体一体の中に燃料棒が四十九本ございまして、その四十九本の中の四本と、もう一つの形式はこの四十九本の中の五本にガドリニアが入っている、こういうことでございます。
○上坂委員 いわゆる出力を落とすということは、中性子を吸収さして、核分裂を少しおくれさせるということになるわけでしょう。そうしますと、これは入れ過ぎたからいいようなものの、少なかった場合にはどういうことになりますか。
○井上説明員 ガドリニアの効用につきましては、新しい燃料体の場合、非常に中性子を吸収するものが少ないわけでございますので、これを入れましてある程度反応度を押えるというのは先生いまおっしゃったとおりでございますが、原子炉の制御をやりますには制御棒というのがございまして、これを中に入れますと反応度は押えられますので、入れ足りなかった場合におきましても安全上は全く支障がございません。
○上坂委員 そこで、試運転はずっとやってきたわけですね。そして出力が八五%ぐらいまでしかどうしても上がらないということで、営業運転には入れない、こういうことになっているようであります。そうなりますと、いまの少なかったというのを今度は多いものに、正常なものに取りかえなければならぬというふうに思うのですね。その場合には、この燃料棒はどういうふうな処理をなさるのですか。
○井上説明員 ガドリニアと申します物質は、中性子を吸収することによって減ってまいります。したがいまして、ある程度運転を続けますと正常な出力が出る、こういうことになるわけでございます。
○上坂委員 わかりました。ガドリニウムの酸化物だと思いますが、それが減っていけば、規定の量のものに達すればそこで正常なものができる、そこまではそのまま運転をしていて、少し損をしてもいいから、がまんしてやっていろ、こういうわけですね、結局は。
 それはそれとして、そこでやはり一番問題なのは、燃料棒というのは、ほんとうのところをいうと、原発の一番もとになるものだと思うのですね。いわゆる原点といってもいいものだと思うのです。大体ここに設計ミスがあるとか、誤差があるということが一体許されるのかどうかという、私はこれが問題だと思うのです。しかもそれが日本の会社でつくられて、頼んだほうも日本の会社なのにこれを管理できないというのは一体どういうことですか。こんな品質管理をやっていて、はたして原子力発電所のような、いわゆる国民の、人類の安全性に一番大切なこの原子力発電所を許可するほうも許可するほうだけれども、やはりつくっているということは一体どういうことなんだ、これでも安全だといえるのかどうか、私は非常に疑問なんですね。原子炉の一番本体の燃料棒ですらこのとおりなんだから、安全装置だとかなんとかいったって、これはほかのものは推して知るべしだ、こういうふうに私は思わないわけにいかない。その点はどうですか。
○井上説明員 今回のガドリニア燃料の点につきましても、安全上は全く支障がないというふうにわれわれは考えております。先生御指摘のように、原子力の場合、安全性がまず第一の基本的要件でございまして、われわれといたしましても、今後とも、十分安全性の確保には全力を傾注してまいりたいというふうに考えておりますし、会社に対しましてもそのように指導をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○上坂委員 いま私は品質管理の問題についても質問しましたが、これで品質管理をしているというふうにいえますか、こんな状態で。こういうことは、ミスがあってもいいという判断でおたくのほうはおられるわけですか。
○井上説明員 本件ガドリニア燃料の場合につきましては、実際に設計の際に示された数値以上に現場でガドリニアを入れたという問題ではございませんで、設計の際の計算の問題だというふうに理解しております。
○上坂委員 計算の問題で済まされる問題ではないと思うのです。ただ、時間が来ていますから、あとの問題はあとにしたいというふうに思います。お昼になったわけでありますから、これは保留をいたします。
 国鉄の方が来ておられるので、忙しいと思うから一つだけお聞きしておきますが、国鉄の貨物取り扱いを廃止した駅がありますね。この廃止した駅について、再びそれから、臨時でもいいけれども、一時的でもいいけれども、貨物を取り扱うということができるのかどうか。
 もう一つは、そういう例が過去においてあったかどうかということをひとつ御説明をいただきたい。
○藤井説明員 国鉄の駅における取り扱い範囲につきましては、駅ごとに公示して、公示したところによって扱いをしております。しかし貨物のうちには、道路工事とかダム工事その他の関係で、貨物の取り扱いをしていない駅または駅と駅との間で、本線でございますが、取りおろししたい旨の申し出を受けることがときどきございます。このような場合、国鉄の約款で、臨時の約束として、国鉄が特に承認した場合に限り運送の引き受けをする旨明示してございまして、臨時的、異例の扱いとして承認することがございます。具体的には、その貨物、その線区の事情に応じて、他に適当な輸送方法がないものでございまして鉄道輸送上安全が確認されたものにつきましては特に承認しておりまして、永年社会的要請にこたえて、そういう異例の扱いをしてございます。
 先生のお近くでは、四十九年一月、常陸多賀から兵庫県の赤穂へ変圧器を輸送しております。この赤穂の駅は、三十六年九月に貨物集約してなくなっておりますが、やっております。また、四十八年十二月に常陸多賀から宮城県の岩切へ変圧器を送っております。この岩切は四十六年十一月に集約をしてございます。そういう事例は、あとコンクリート柱とか、ときどきございます。
○上坂委員 もう一点だけお聞きしますが、その場合は、たとえばその付近に貨物を取り扱う駅が何キロか先にあった場合、あるいは停車場二つなり三つなり先にあったりなんかする場合には、どういうふうになりますか。
○藤井説明員 何キロか先にあった場合は、できる限りその集約駅でなく、もよりの駅で扱っていただいております。ただ、道路事情とか橋梁の事情で、そこの集約した駅あるいは本線上でなくては運べないということが明らかになった場合についてのみ、そういう異例の扱いをしてございます。その場合、運賃は遠くのほうの運賃をいただいております。
○上坂委員 いまの点についての、あなたのおっしゃったことの条件とか何かに対する資料をあとで届けていただきたいと思うのです。
 それじゃ委員長、質問を保留して、あとにやらしてもらいます。
○濱野委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時六分開議
○稻村(左)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。上坂昇君。
○上坂委員 先ほどの福島第一原発の二号炉の問題ですが、私、先ほどから言っているように、燃料棒というのは原子力発電所の一番基礎になるものだと思うのです。そこにこういうミスが起きるということは、これは原子炉本体に関連する機器全体にこうした不安があり、またミスの可能性があるということで、結局は品質管理をやっていない、こういうことだと思うのですが、その点どうですか。
○井上説明員 先ほど御説明いたしましたが、燃料のガドリニアの入りぐあいの点でございますけれども、いろいろ計算コード、その他研究をしてやっているわけでございますが、実際に炉に適用しました場合、若干の誤差が出てくるということで、今度のような問題になったわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、現場におきます品質管理には問題はございませんし、また安全性に関しましても、本件は十分安全は確保し得る問題でございます。
○上坂委員 しかし、その管理に問題がないということがどうして言えるのですか。電力会社としては、要するにこれだけのミスがあったということでかなりの長期間営業運転に入れないという問題が出てきておるわけですね。この問題は、この新聞によりますと、GEのほうから連絡があってそれでわかったような、そういう形になっているわけです。そうすると燃料棒ですらとにかく全然品質管理ができなくてそういうミスを発見することができないような状況であって、全部アメリカのGEのほうから連絡がなければできないということになれば、これは全く品質管理をやってないということになるのじゃないですか。どうしてあなたは、はっきり品質管理は行なわれているということが言えるのですか。その点は通産省でちゃんとチェックしているのですか。
○井上説明員 先ほども申し上げましたとおり、製造工場におきます品質管理の問題というよりは、ガドリニアをどの程度入れるかという使用の問題というふうに考えております。
○上坂委員 管理の問題だけで費やしてもしょうがありませんから、そういう答えは不満でありますが、少し進みたいと思います。
 ずっと運転がおくれている原因としてそのほかにもたくさんあげられております。昨年の六月二十五日にはかなり大きな問題になりました廃液の漏れがありました。私たちもこれは調査をしたわけであります。それからタービンの復水器の目詰まりがあったり、フィルターからの水漏れもあるわけであります。そればかりじゃなくて制御棒がさかさまに取り付けられている、こういう問題があります。そしてあなた方のほうに聞くと、これはさかさまに取り付けても何でもないのだ、たいした影響はないのだ――たいした影響はないということならば、私は取りかえる必要がないと思うのだけれども、やはり取りかえなければならぬということになっているようです。こうなりますと、廃液漏れあるいはフィルターの水漏れは明らかに安全装置と、それから安全管理の手落ちであるというふうに私は思います。この制御棒のさかさまの取り付けということは一体どういうふうに考えておられるのか、その点について御説明をいただきたいと思うのです。
○井上説明員 制御棒のふぞろいの問題でございますが、本件は制御棒の中に入れますボロンカーバイトというものがあるわけでございますが、これは粉体であるわけです。これを振動によりまして振動充てんという形で中にコンパクトに詰めるわけでございますが、その詰めたところどころに粉体の上下方向に対します移動を極力少なくするためにボールを入れます。そのボールをさやの外側からへこみをつけまして下に落下しないようにするわけでありますが、本件の問題になりました制御棒はそのとめが下側でなくて上側につくというような形になったわけでございまして、新聞等にはさかさまというようなことで報ぜられております。
 本件につきましては、原子炉の運転上どのような問題があるかというような点につきましていろいろ検討を行なったわけでございますが、まず問題になりますのは、原子炉の制御のための制御能力にどういう影響があるかというような問題でございます。こういった問題に関しましては、原子炉の停止余裕という問題について確認をする必要があるわけでございますが、福島原子力発電所二号機についていろいろ検討いたしましたところ、かりに五〇%の中性子吸収材に逆転がございまして、その上さらにボールとボールの間隔が十五・四インチあるわけでございますが、この間の中性子吸収材が全部落下するというような極端なケースを想定いたしましても、五〇%の中性子吸収材がありましても、問題はないというふうに考えられたわけでございます。
 本東京電力福島二号機につきまして、実際に検査をいたしましたところ、百三十七体の制御棒のうち三十二体にふぞろいがございました。制御棒百三十七体の中には、先ほど申し上げましたボロンカーバイトを収納いたしますチューブが約一万一千本あるわけでございますが、このうちの約八%程度、極端に考えまして八%程度が逆転、こういうことでございましたので、五〇%よりはるか下だ、こういうことであったわけでございます。したがいまして、いろいろ計算その他検査におきましては、そのままでも原子炉の停止余裕の確認を行ないながら運転をすれば安全であるというふうにも考えられたわけでございますが、何ぶんにもまだ運転開始前の状態でございますし、やはり逆転のある制御棒は全部取りかえたほうが今後の運転の安全を確保し、かつ安定を確保する上にベターである、こういうことで取りかえた次第でございます。
○上坂委員 そのさかさまに取り付けたという制御棒の三十二体は全部取りかえたのですか。
○井上説明員 逆転がありましたものにつきましては全部取りかえております。
○上坂委員 その取りかえた制御棒は炉の中に入っているわけでありますが、それは汚染をされているということにはならないのですか。
○井上説明員 まだ試運転のきわめて初期でございますので、ほとんど汚染はございませんし、プールの中に格納しております。
○上坂委員 これは試運転の段階で見つかったから非常にいいと思うのですがね。見つからないでそのままいった場合にやはり予測しない事故というものが起きる可能性があると思うのですね。だからそういう可能性があるから、安全だといってもやはり取りかえたんだと私は思うのですね。八%でも一〇%でもとにかく原子力発電所ではそうしたミスは許されないと私は思うのです。それはちゃんと原発の安全基準の確保、原子力委員会の部会が報告したものでも載っているわけですね。そういうことが何かしょっちゅう起きているというような状況にある。この間の問題になっている美浜の二号炉ですか、ここでは今度曲がってしまったとか、そういう問題がたくさんあちこちに出ている。この点は非常に私は問題だと思うのです。それで制御棒をさかさまに、とにかく取り付け方がうまくなかったなんということは、これは全く初歩的な基礎的な技術の問題だと私は思うのですね。こういうところですらそのミスが行なわれている。また先ほどの燃料棒についてもそうです。全く基礎的なところで、初歩的なところでミスが行なわれているということは、非常に重要な問題だと思うのですね。こうなってきますと、一体わが国のこうした技術というものがはたして原子力発電所を建設するに足るだけの技術を持っているのかどうかということすら疑わざるを得ないわけです。そういう点を考えて、これは非常に問題になるし、最高の安全性を求められているところの原発の建設ということについて、これは住民が不安に思うのは当然だと思うのですね。その点についてひとつ考え方をお聞かせいただきたい。
○井上説明員 先生のおっしゃっております制御棒の逆転という問題でありますが、これは制御棒そのものは反対には入りませんので、制御棒の中に格納されております吸収棒というのがございます。これが一つの制御棒の中に八十四本入っているわけでございますが、その中に、先ほど申し上げましたボールのとめ方が上下反対のものがある、こういうことでございます。
 御質問の、安全性の問題でございますが、これにつきましては先ほど来御説明申し上げておりますように、かりに計算いたしまして安全だといったようなものにつきましても、さらに安全を期して取りかえておるというぐあいに、安全性につきましては万全を期しているわけでございまして、今後とも会社をそういった方向で強力に指導したいというふうに考えておりますし、われわれのほうも許可認可あるいは検査等におきましてさらに強力に安全性の確保については十分配慮してまいりたい、かように考えております。
○上坂委員 これは要するに技術的な未熟という形に考えざるを得ないのですが、そういうふうにはとれないのですか。やはり最高の技術の中でこういうことが出てきている、こういうふうに言うわけですか。
○井上説明員 御質問の技術が未熟だという点でございますが、御指摘のように本件制御棒の問題につきましてもこういうことがないのが望ましいわけでございますが、われわれとしては安全性の上では問題のないように十分配慮してやっている、こういうことでございます。ただ、おっしゃいますように、試運転がこの取りかえのために若干時日を要するというような問題が出てまいります。こういった点は、若干経済性を害する、あるいは発電所の、けさほど御質問のございましたがドリニアの問題に関しましては出力が若干出ないということがありますので、性能を害するという点はございますが、何よりも安全性第一ということで、現段階は技術の問題、安全の問題について十分力を尽くしましてやってまいりたい、かように考えている次第でございます。
○上坂委員 先ほどのガドリニアの問題にもう一度触れたいと思いますが、ペレットの中に含ませるわけですね、それが数%よけいになっている、あるいは新聞によると一〇%以上よけいになっている、こういうふうな形で、それは中性子を吸収してだんだん減っていくわけですね。だから、その期間かえって安全の問題としては、出力のぐあいではおそく出るからいいんだ、こういう話だったですね。ところが私がさっき聞いたのは、もし数%多く入っていたというものが、仮定して、それが数%少なくペレットの中に含まれているという形になったときにはどういう結果が起きるのですか。
○井上説明員 ガドリニアを燃料体の中に入れますのは、新しい燃料が、初期におきまして、中性子を吸収するものが非常に少な過ぎるというようなことがあるわけでございまして、これを初期においてある程度反応度を押えて、それからしばらく運転したあと、だんだん分裂生成物の中に中性子を吸収するものがふえてまいりますが、その場合には、最初に入れましたガドリニアがだんだん減っていく、こういうようなことのために入れているわけでございます。いまの御質問の、ガドリニアを実際考えております反応度抑制効果よりも少なく入れた場合どうなるか、こういう御質問でございますが、原子炉はそのほかに、制御棒その他の反応度を押える装置を持っておりますので、安全性上は全く支障がないというふうに考えます。
○上坂委員 仮定の問題ですから、これは、少なく入れても、今度は制御棒があるからだいじょうぶだ、要するにガドリニアというのはポイズンカーテンの役目を果たすわけですから、それはわかるわけですね。その次、今度は、制御棒があるからだいじょうぶだ。ところが、その制御棒が今度は、さっき言ったように逆転に取りつけられていたりなんという形になると、これは全く、私たちは、しろうと判断で、たいへんなことだろう、こういうふうに思うのですが、皆さんに聞くと、全然これは問題にならない、安全はまことに確かである、こういう答えしか返ってこないわけですが、そういうふうにどうも私は思えないのですね。これは全くおかしなことだと思うのですよ。私は、いまの問題は、いままでは原子力の問題については安全装置、安全装置というような、そういう点にばかり、たとえば緊急冷却装置であるとか、そういうところに焦点が置かれてきたわけですが、こうした基礎的なところにミスが起きるということは非常にこれは重要だと思うのです。それをやはり完全に、そういうミスの起こらないようなそういう技術的な開発といいますか、発展といいますか、そういう段階において初めて私は原子力発電所というものが実用化されるべきものであるというふうに考えるわけです。したがっていまのところ、こういうほんとうに基礎的なミスをおかすということは、これは基礎的な研究というものがない。それから技術的にも非常に未熟だ。それを今度はチェックするのは、まあ発電所のほうでやっているんだから、電力会社でやっているんだからだいじょうぶだろうという形でのチェックしか、実をいうと政府のほうではやっていない、こういうふうに解釈せざるを得ないわけです。その点について、そうではないということを自信をもって言えるのかどうか、もう一度お話を承りたい。
○井上説明員 原子力発電所の安全確保に関しましては、まず、運転をしておりますのが設置者でございますので、設置者に十分安全についての配慮をしてもらわなくちゃいかぬということは当然でございますが、その安全性確保に関しましては、国も原子炉等規制法あるいは電気事業法等に基づきましてきびしい規制、監督を行なっている次第でございます。まず内閣総理大臣が行ないます原子炉の設置許可がございますが、この設置許可にあたりましては、原子力委員会の中に原子炉安全専門審査会という専門家の審査会が設けられておりまして、安全性の審査が行なわれております。また、原子力発電所につきましては、電気事業法によりまして設置の許可あるいは工事計画の認可というようなことが行なわれておりますが、この場合には、通産省におきまして、学識経験者からなります原子力発電技術顧問会あるいは環境審査顧問会といったような専門家に意見を聞きまして、通産大臣が許可、認可を行なっておる次第でございます。さらに、建設工事を行なうにあたりましては、全建設期間を通じまして、工事の工程ごとに検査を行なっております。また、運転に入りましたあとは、安全確保という観点から、年一ぺんは定期検査をやっております。また、必要がある場合には、随時立ち入り検査を行ないまして、法に基づく各種の規制を行ない、安全確保に万全を期しておるということでございます。
○上坂委員 最後に一つだけお聞きしますが、美浜二号炉の燃料棒をイギリスに持っていったという話を聞いているんですが、どれぐらい持っていったんですか。
○井上説明員 美浜二号炉の燃料をイギリスに持っていったという話は、私どもまだ聞いておりません。
○上坂委員 これは一部だそうですが、イギリスのほうに運んだということを私は聞いておるわけですが、持っていってないとすれば、全部これは水につけておくという形になるだろうというふうに思うのです。
 これで締めくくりますが、私はここでやはり一番問題にしたのは、ほんとの品質管理というものが行なわれていないし、第二号炉の場合の運転についてもこの間の廃液漏れのときにはバルブの締め方を忘れたとか、いろいろな問題が出てきて、繰作ミスも出てきている。したがって試運転の時期だからこれはミスという形で処理をされているけれども、これはほんとうの発電になったときには、これは事故であるというふうに考えるべきだと思うのですね。そうしますと、ミスと事故の区別というのは全くないと私は思うのです。これは事故と見るべきだ。特に原子力発電所等の場合には、こういうものは事故として、そういうものは絶対起こらないというところへ持っていくということが、これは一番必要なことである、そういうように考えるわけです。そういう点について最後にお聞きをして、私の質問を終わります。
○井上説明員 ただいま御指摘の放射能漏洩事故につきましては、試運転中といえども、私どものほうでは事故として扱いまして、その管理上の改善、それから設備上の改善を厳重に指示しております。また、科学技術庁と私どものほうと一緒になりまして立ち入り検査等も行ないまして、十分指導しているところでございます。先生の御指摘の安全性の問題につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、たいへん大事な基本的な問題でございますので、今後とも設置者あるいはメーカーをそういった方向に指導するとともに、われわれといたしましても安全確保という点から、従来に増しまして監督、規制、指導といったような点で十分力を入れてまいりたい、かように考えております。
○稻村(左)委員長代理 米原昶君。
○米原委員 本年の一月末に日本鉄くず備蓄株式会社、スクラップリザーブセンターが設立されました。この問題は、鉄鋼業と関連業者にとって重大であるだけでなくて、産業の米とまで称される鉄鋼の生産量と価格にかかわるという点で、わが国の経済全体にとって重要な問題であります。そこでこの際、若干の点について質問しておきたいと思うのであります。
 広く知られておりますように、昭和三十年の四月に鉄鋼独占体を中心とする鉄鋼メーカーの強い要求によって鉄くず合理化カルテルの結成が認可されました。これは戦後初めてのカルテル結成でありました。その後一時くずれたとはいえ、翌三十一年九月に再結成され、以来今日まで実に十八年間もこのカルテルが継続されております。
 そこで公取委員会にお聞きしますが、十八年間のカルテルは独禁法の例外措置としてはあまりにも拡大解釈に過ぎるのではないか、こう考えるのでありますが、この点について公取委員会の見解を聞きたいと思います。
○吉田(文)政府委員 確かに先生がおっしゃるとおり、くず鉄の合理化カルテル、これは昭和三十年以来十八年間にわたって続けられてきたわけでございます。非常に期間が長うございますけれども、くず鉄の特殊事情、これは供給の弾力性が少ない、価格が上がったからといってすぐふえるというような性格がないというようなこと、くず鉄につきましては、これはやはり粗鋼の原料でございますので、鉄鋼の価格安定のためにも必要である、独禁法二十四条の四の合理化カルテルの要件を満たしているということで現在まで参っているわけでございます。しかし、最近におきましては非常に鉄くずの価格が上昇しておりまして、合理化カルテルのいわゆる価格安定帯、一万三千円から一万七千円、それをはるかにオーバーしているというような状態で、もう現状においてはこれはあまり実効性があがってないというような状況にございまして、現在のくず鉄の合理化カルテルは本年の九月末で一応期限が参るわけでございますが、その点におきまして、これをどうするかということは、そのときの状況、諸情勢をいろいろ総合勘案しましてどうするかということについても慎重に検討いたしたいというふうに思っております。現状においては、これはほとんど有名無実化しつつあるものであるというふうに考えております。
○米原委員 現状においては非常に価格が高騰していて、ほとんど効果をあげてないというわけでありますが、いままでもこのカルテルは効果があったと一体評価ができるんだろうかどうだろうかと、私はこの問題を検討してつくづく感じたんでありますが、どうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 これは途中の段階におきましては、その安定帯価格の範囲内にとどまっていたという時代もございまして、必ずしも効果がなかったとはいえないと思います。
○米原委員 私はこの問題を検討したある学者の論文を読んでみたんですが、このカルテルは、鉄くずの購入価格をそのときどきのアメリカの市場価格、コンポジットプライスに準ずる仕組みとされていた。これで購入価格を押えられるのは主として国内の鉄くず業者であって、アメリカの鉄くず業者のほうは、日本の買い付けを予知して向こうの市場価格をつり上げることによって巨利をむさぼることができた。ルリア・ブラザース、ヒューゴー・ニュー、コマーシャル・メタルといったアメリカの鉄くず業者は笑いがとまらなかった、こういうようなことを指摘した論文を読みました。実際には少なくともアメリカから輸入する原料の価格を押える点ではほとんど効果がなかったのじゃないか。むしろ日本の鉄くず業者から買う価格を実態よりもはるか下に押えることに効果があった、そんなふうに感じておるわけですが、どうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 確かに先生おっしゃるような傾向はあったというふうに思います。
○米原委員 そうしますと、ことしの九月のこの更改は認めるべきではない。先ほども、もうそういう実態がなくなっているとおっしゃいましたが、認めるべきではないと思いますが、どうでしょう。
○吉田(文)政府委員 これは九月になりまして私どもの委員会でどうするかということを決定するわけでございますが、確かに先ほど申し上げましたように、あまり合理化の実はあがってないのじゃないか。したがって、これをどうするかということは、そのときの九月時点の諸情勢を見なければ何とも申し上げられませんけれども、私が先ほど申し上げましたとおり、こういう合理化の実があがってないという点に問題があるんではなかろうか。ただ、私は、ここですぐ認めるべきではないとか、あるとかいうことは、委員会の決定を待たなければいけませんので、申し上げかねます。
○米原委員 そこで、私、先ほど申しましたこの一月末に設立された日本鉄くず備蓄株式会社の問題ですが、この備蓄会社、スクラップリザーブセンターの設立は産構審の鉄鋼部会の中間答申に基づいてつくられたということだそうですが、中間答申が出る以前からそういう方向に通産省が指導しておられたようでありますが、この事実を認めますかどうか、通産省の御見解を承りたい。
○飯塚政府委員 昨年七月に産構審の鉄鋼部会の中間答申が出たわけでございますが、その中に今後の日本の七〇年代の鉄鋼業のあり方について幾つか指摘されておりますけれども、鉄鋼の中の原料として非常に大きなウェートを占めております鉄くずにつきまして、その安定確保対策をはかるべきである、そのために鉄くず備蓄の積極的な推進の必要性について指摘されておるわけでございます。通産省といたしましては、以前から鉄くずの安定確保対策についていろいろ苦心をしてきたところでございますが、先ほども公取のほうからも御説明ございましたように、鉄くずにつきましては、発生品であるという特性から非常に供給の弾力性がないわけでございまして、常に、過去の例を見てみましても、鉄くずの価格の乱高下がはなはだしいわけでございますが、これが平電炉メーカーのつくっております小型棒鋼あるいは中型形鋼の乱高下にも影響を与えるおそれが非常に多いわけでございまして、こういう観点から鉄くずの長期安定対策というのを一つの大きな課題として研究をしておったわけでございます。先生御指摘の日本スクラップリザーブセンターというのがことしの一月に設立されましたけれども、やはりこの産構審の答申、それから昨年のやはり夏にアメリカがスクラップの輸出規制を行ないまして一それを契機として、相当スクラップの供給量の不足と同時に価格の高騰を招いたわけでございますが、こういうことを契機にいたしまして、やはりこういう備蓄会社みたいなものをつくって鉄くずの安定供給に資する必要があるのではないかということはかねがね私ども通産省としても考えておったところでございます。
○米原委員 いまの御回答で、通産省としても大体同じような方向で指導されていたということだと思います。
 それでは聞きますが、備蓄会社への参加企業数、これはわが国の鉄鋼メーカーの何%になるか、また、スクラップリザーブセンターに加わった会社でありますが、社長、取締役の氏名と所属企業での位置を明らかにしていただきたいと思います。
○飯塚政府委員 備蓄会社に対する出資者は、高炉メーカー八社、これは普通鋼鋼材のほとんど全量を占めるわけでございます。それから平電炉、鋳鍛鋼メーカー七十七社、全部合わせますと八十五社が出資者になっておりますが、わが国の鉄鋼のほとんど大半を占めるというふうに考えてよろしいと思います。
 それから、この会社の社長でございますが、新日鉄の専務をやっておられます田部氏が社長になっております。なお、取締役といたしまして八名おりますが、これは各地区別の代表及び特殊鋼の代表をもって構成しておるわけでございます。
○米原委員 時間もありませんから、一々の名前は、これで大体わかりましたからけっこうですが、そうしますと、新日鉄をはじめ鉄くず合理化カルテルに参加した全企業が共同して、一つの独立した民間私企業を設立したということになりますが、これは事実上のカルテル強化であって、独禁法を空洞化させるものではないか、こういうふうに感ずるわけであります。この点について公取委員会の見解を聞きたいのです。
○吉田(文)政府委員 確かに、日本スクラップリザーブセンター、つまり日本鉄くず備蓄会社の株主構成を見ますと、これは高炉、平電炉メーカー合わせて八十五社ということで、もうほとんど全部の鉄鋼メーカーを網羅しておるわけでございます。本会社の設立につきましては、公取としては独禁政策上好ましくないということで一応反対したわけでございます。その理由としましては、この会社は需給調整的な機能を持っている。価格操作も可能である。いまやっておるということは必ずしも言えませんが、価格操作も可能である。それから鉄くずの合理化カルテルの恒久化と同じ意味を持ち、業界のカルテル行為の隠れみのに利用されるおそれがあるというような理由でこの設立には反対をいたしたわけでございます。
 ただ、現在鉄くずの価格がトン当たり三万七千円から四万円というふうに非常に高値になっておりますために、本会社は事実上活動していない、活動できない状態にあるということで、いま直ちに現状が独禁法上問題ありということはいえない。しかも、くず鉄の備蓄目標が当面二十五万トンということになっておりまして、くず鉄の年間消費量は約四千万トン、このうち、市中に出回っておるのが年間約二千万トンということでございまして、当面の二十五万トンというのは数量からいっても非常に少ない、しかも、現在くず鉄価格の高騰のために本会社は事実上活動していないというようなことで、現状で直ちに独禁法上問題ありということはいえないと思います。しかし、くず鉄の需要業界のほとんど全部が株主になっているという点から、くず鉄の価格操作のプライスリーダー的な存在として利用されるという可能性はあるわけでございます。そうなりますと問題ではないか。ただ、これは共同購入、共同販売の会社ではございませんで、いわゆる価格安定のために、その一部について備蓄をやるための会社でございますから、直ちにいま独禁法上問題がありということは考えられません。しかし、問題ははらんでいるということでございます。
○米原委員 問題をはらんでいるという点だけでも可能性はあるということですから、私、非常に重大だと考えるのです。
 そこで、通産省のほうに聞くわけですが、このスクラップリザーブセンターのねらいは、鉄くず価格を安くする、価格高騰を押える、こういう点にあることは事実だと思いますが、それは認めますか。
○飯塚政府委員 この会社のねらいは、先ほど申し上げましたように、鉄くずの長期にわたります安定確保対策に幾らかでも資するようにしたい、具体的には従来のような乱高下というものをできるだけ防止する役割りを果たしてもらいたいということを私どもは期待しておるわけでございます。公取からもお答えがございましたように、当面備蓄目標としては二十五万トンで、将来百万トンまでという計画はございますが、かりに百万トンになりましても、国内の購入、市中の購入鉄くずに対する比率からいきますと、二千万トンの中の百万トンでございますから量としてきわめてわずかでございます。したがって、先ほど公取からいろいろ御指摘がありましたような点について不安というのは、この会社の事業規模からいって直ちに起こるとは考えられないのではないか。なお、この株主は鉄くずのユーザーでございますので、ユーザーはやはり鉄くず価格の乱高下を防止し、できるだけ安定価格で買いたいというのが本来ユーザーのねらいでございますので、鉄くず価格をつり上げるとかなんとか、そういうことを考えることはないのではないか、かように思っておるわけでございます。
○米原委員 私、鉄くず業者にもいろいろ聞いてみたのですが、当面二十五万トン、しかし、百万トンという目標があるわけですね。そうでもなると、実質はたいへんなことになるんだということをしきりにいっております。それはともかくとして、もちろんいまの御説明でも価格を上げることをねらうということはないので、価格を押えるという方面にユーザーとしていくのは当然ですが、実際に価格形成に一定の影響力を持つ、何らかの支配力を持つ、そういう機能を果たせる段階になることを指向している、こういうふうに見ていいわけじゃないですか。
○飯塚政府委員 鉄くずの異常な暴騰とか暴落とか、そういう事態を極力避けたいということを指向していることは事実でございます。
 なお、先ほど私が、この会社の株主の構成から見て、鉄くずの価格を上げるというあれはないというお答えをしたわけですけれども、先生ただいま御指摘のように、むしろ鉄くずの価格を低位に押えるという方向に走りはしないかというような御心配の御指摘でございますが、これはやはり高いときに放出をし、かつ、安くなったときに買うということでございますから、その安くなったときに買うという点を考えますと、それ以上のさらに暴落するのを防止する役割りも果たすのではないかと考えておるわけでございます。ただ、量が、当面の二十五万トンというのはいかにもわずかなものでございますから、それほど効果として発揮できるかどうかはもちろん疑問でございます。
○米原委員 実際は、先ほども学者の論文を引用してちょっと言いましたけれども、つまりアメリカの業者にはほとんど影響を与えないどころか、たいへんな暴利をいままでむさぼってきたといわれているのです。これで影響を受けるのは日本の鉄くず業者です。その点、非常に問題だろうと思うのです。そしていまの御説明でも、結局価格形成を支配するような力を持つことをねらっておられるのは明らかだと思う。もっとも価格形成に何の支配力も持たないならこんな会社を設立するメリットというものは全然ないじゃないかということになるのですが、この点どうなんでしょうか。
○飯塚政府委員 価格形成の力を持つかどうかというのは、要するにこの会社がどれだけの量を扱うかということにかかってくるかと思いますが、ただ、ねらいとして、鉄くずの乱高下を防止するということをねらっていることは事実でございます。
 なお、この会社は国内のくずのみならず、外国からのくずの輸入ということも業務としてはあり得るわけでございます。
○米原委員 何らかの形で価格形成を支配するということになれば、明らかにこれは違法行為になるのじゃないかと思いますが、公取委員会の見解を聞きたいのです。
○吉田(文)政府委員 先ほど申し上げましたように、本会社の設立につきまして、公取としては、これは独禁政策上好ましくないということで反対をしたわけでございますが、その理由の一つに、需給調整的な機能を持っていて、価格操作が可能である、したがって、価格についてこれは実質的な影響力を持ってきますと、これは独禁法上問題か出てくるのじゃないかというふうに思います。
○米原委員 そうしますと、公取委員会の見解では、そういうふうに価格形成を支配するようになる可能性がある、そういうものだとすれば非常に疑義を持っている、いまそれが起こっているということじゃないから、いま独禁法違反として処置はとれない、しかし可能性がある、こういうふうに言われるわけでありますし、カルテルがなくなりましても、こういう形で事実上のむしろ強化したカルテルと同じ役割りをやるわけであります。そうして、民間私企業として利潤追求のために支配強化への画策をやることは十分考えられます。その可能性があるということを公取委員会でも認められておるわけであります。業界に混乱が起こるようなことになれば、価格形成を支配するようなことになれば規制すると公取委員会でも言っておられるわけでありますが、そうなりますと、何か犠牲者を出すことを初めから想定しているのじゃないかということさえ感ずるわけです。問題は、そういう混乱やあるいは中小のくず鉄業者の不安を起こさせないということこそ基本じゃないかというふうに考えますし、いまのうちにそれをやらなければいけないのだ、こう考えるわけであります。その点で、中小のくず鉄回収業者は、四十八年の十一月に至るまで業者に対しては、何ら業者の意向を聞こうとしていない。そういう設立の経緯はきわめて大企業寄りで、非民主的、不公正なやり方であったのではないか、この点で、通産行政のやり方は非常にまずかったのじゃないか、大企業寄りの姿勢じゃないか、この点を感ずるわけでありますが、いかがでしょう。
○飯塚政府委員 そもそもこの会社の行なおうとしております事業内容が、くず鉄の集荷業者にとってほんとうに不利益になることかどうかというのは、私もそういうふうには言い切れないのではないか。先ほど申しましたように、鉄くずが暴落しそうなときに、もしこれが、量はわずかでも、かりに多少の影響力があるとすれば、その暴落の防止にも役立つ、これは集荷業者にとってもプラスになるのではないかと考えるわけでございます。
 なお、手続的な面で、先生御指摘のように事前に集荷業者の意向を聞いてなかったのではないかという御指摘でございますが、実は昨年の末、それからことしに入りまして、役所に対しましては集荷業者の方からいろいろなお話がございまして、それで私のほうの担当者から、これがほんとうに集荷業者のために重圧になるという面ばかりを考える必要もないのではなかろうかというようなお話も申し上げたようなこともあるわけでございます。
○米原委員 そういう説明があったそうですけれども、これは全然了解されておりません。私はそういう関連業者の意思をよくくみ取って、もっと民主的に運営されることを要求するわけですけれども、その点、考えてもらえるでしょうか。
○飯塚政府委員 この会社の事業の運営につきましては、この会社のスタッフの方々が、たとえば鉄くずの問屋の関係の代表の方の意見も聞きながらやるということは考えられると思いますが、ただ、この会社の中にまで入っていろいろやるというようなことになりますと、売り手と買い手との関係で、かえって何か問題が出てくるのではないかというような感じもいたしますが、いずれにいたしましても、形はよく検討しないといけませんけれども、可能な限り鉄くずを扱っておられる方々の意見も参考としつつ、この会社の運営に当たるように私どもとしても配慮をしていきたいと思っております。
○米原委員 先ほどの公取の意見でも、この会社の設立には公取委員会も疑義を持たれて反対の立場に立たれたわけです。現在でも業者の中にも強硬に反対している人はまだたくさんおります。
    〔稻村(左)委員長代理退席、田中(六)委員
  長代理着席〕
いまはとにかく鉄くずが暴騰しているためにそういう点では問題はないように見えますけれども、これは情勢の変化によっては非常な大問題になる可能性もありますし、そのときには公取委員会も乗り出さざるを得なくなるだろうと思いますが、そこまで行って乗り出されてももう手おくれじゃないかということを考えるので、どうしてもそういう業者の意見も聞いて意見調整をされる必要がある、そのために努力される必要があると思います。実際は、いまのところ、この会社は、ある意味では何もやっていないと言ってもよい動かない状態なんですが、動き出すときになると非常に問題が起こってくるんじゃないか、こう考えるわけです。この点について十分関連業者の要求や意思をくみ取りつつ運営していかせるようにすることを約束されるかどうか、この点を聞きたいと思います。
○飯塚政府委員 御指摘のように現在は鉄くず価格が非常に高騰いたしておりますので、いま買う時期ではないために、会社はつくりましたけれども業務はまだ行なわれていないわけでございますが、ただ通産省としてもこういう会社の存立の必要性は認めておるわけでございまして、鉄くずを購入するに適当な時期が参りましたら当然この会社は業務を行なうことになるわけでございます。いま御指摘のように、集荷業者等の意見もよく聞いて運営に当たらせるようにということでございますが、私どもは、この会社の運営につきましては公取のほうでいろいろ御心配もしておられることでもありますので、独禁法違反とかなんとか、そういうことにならないように十分監督は通産省としてもしていくつもりでおりますが、その過程におきまして集荷業者等の意見も可能な限りお聞きしてこの運営に取り入れることができるものは取り入れさせていきたい、かように考えておるわけでございます。
○米原委員 それでは、きょうは原則的な問題だけの指摘にとどめまして、またこの問題は具体的な問題が起こったときにさらに質問させてもらうことにして、質問を終わります。
○田中(六)委員長代理 松尾信人君。
○松尾委員 最初に電気料金改定の問題で二、三大臣並びに当局へお伺いしたいと思うのです。
 先般も大臣にいろいろ電力料金の改定の問題でお考えを伺ってまいったわけであります。大臣のお考えはよくわかっておりますが、いよいよ東京電力、中部電力のほうからこの改定の申請が出て、査定の段階に入ったわけでありまして、速急にこれは査定をされるということでありますが、そういう段階に参りまして、会社の申請の内容、そういう点で若干私が疑問に思い、明らかにしておくべきだと思う点を申し上げます。
 第一点でありますが、この両社が今回の料金改定で、四十七年の電力料金の収入と、今回の四十八年の収入と、今回の改定によってどのようにその収入が変わってくるかという点が第一点であります。これは大臣だけいらっしゃいまして、数字は大臣おわかりじゃないでしょうから――まだ事務当局が参っておらぬようでありますので、では大臣にお答え願える点を申し上げますが、具体的にこの申請の内容が出てまいりまして、いろいろ私も勉強させてもらったわけでありますけれども、数字は別にいたしまして、こちらから申し上げますれば、中部電力におきましては、四十七年が電灯が九百四十二億円、電力の収入が二千四億円、合計二千九百四十六億円の料金収入であります。東京電力のほうは電灯が二千五百四十八億、電力部門で三千七百六十六億、計六千三百十四億というのが四十七年の料金収入であります。これを今回それぞれ改定することによりまして、中部電力が電灯で一千五百億、電力で四千七百億、合計六千二百億円の料金収入ということになっていくわけでありますが、その値上げの率は七七・七四%であります。東京電力のほうは、私はいまそのような内容は、改定分につきましては調査未了であります。ですから、これは担当官のほうでお答えがあると思うのでありますが、何もその内容を詳しく聞きたいとは思いません。そういうことでありまして、ちょっと概算見ただけでも料金収入が中部電力で二千九百四十六億円から六千二百億円になる。二倍強であります。東京電力もたぶんそのような傾向であろうと思うのでありますが、そういうことがはたして妥当であるかどうかという基本的な問題ですね。でありますから、関連してまず聞きたいのは、両社の三月期における決算、それは要するに石油等の値上げで非常に燃料費が上がってきた、どのようにそれでは三月期の決算にそれがあらわれてきて、どのような三月期の決算になったかという概略を両社について述べていただきたい。
○中曽根国務大臣 まず東電並びに中電の申請は先生御指摘のとおりでございまして、東電の場合は四十七年度は六千三百一億円の収入、四十九年度は一兆二千五百三十七億円の収入となって一・九九倍、中部電力は二・一二倍になっております。これは大体申請の内容が、販売電力量の伸び率を四十七年度に対して四十九年度は一五%増加するものと予想しておるようであります。これらの内容については、目下事情聴取を行なっておる段階でありまして、これらの数字についても厳重に査定をしてまいる予定でございます。
 決算については係から申し上げます。
○岸田政府委員 四十八年度下期の決算は、いま電力会社は三月末の整理をやっております最中で、四月下旬から五月上旬になりましてその内容が固まってくるということになろうかと思っております。
 ただ、私どもが手に持っております資料をもとに試算をいたしてみますと、電力会社の経理は秋以降の油の高騰という要因によりまして、この期中に経営がかなり悪化しておるというふうに推察をされます。非常に概算でございますが、通常の収支の差額がやはり八百億余り不足をする。さらに従来から継続しております一割配当をかりに行なうということになりますと、それに加えてさらに五百億余りの資金が必要になってくる。合わせまして千三百ないし千四百億程度の収支不足が見込まれるのではないか、こう想定をいたしております。
○松尾委員 大体そのような説明になるわけであります。ですから、私がここで言いたいのは、この二千九百億の四十七年の収入、それが今度は六千二百億になると二倍以上になるわけであります。そういうことが申請の内容になっておるわけでありますから、この三月期の決算についてはよくよく目を光らせまして、この料金の新しい査定につきましても、この三月期の決算並びに今後の料金改定におきまして、両社の社内の留保金の問題ですね、いろいろそういうものをがっちり見まして、いままでの経理内容というものをすべて総点検しまして納得のいくようにやる決心があるのかどうか、これを最初に確認しておきます。
○中曽根国務大臣 特別に社内経理の検査、審査を行ないまして、御趣旨に沿って厳重な監査をいたす予定でございます。
○松尾委員 ですから、この燃料費の料金収入の中に占める割合、これは東電も中電も従来は約一〇%前後であったろうが、今回は東電が約四三%になる。中電が四九%見当だ。燃料費の料金収入の中に占める割合は、このように理解してよろしいですか。それが一つ。ですから、この燃料費というものがやはり料金改定の主力になると思うのでありますが、そういう比率をがっちり押えまして、はたして会社の言っているこの値上げの幅、そこから出てくる総収入というものを厳重に査定していかなくてはならない、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
○岸田政府委員 四十八年度上期におきまして電力会社の支出の中で燃料費の占める割合が大体二二%程度であったかと思います。四十八年度下期の見通しでございますが、試算によりますとやはり三三%か三四%程度になるのではないかと推定をされます。さらに引き続く四十九年度でございますが、提出されました料金改定の申請書によりますと、まさにいま先生の御指摘のような数字が出ておるようでございますが、これは査定をしてみなければわからないものの、大勢としては四〇%をこえる比率になるのではないかというふうに観察されます。
○松尾委員 それから基本的にはこの答申の案に沿って政府が査定していかれるという基本精神はよくわかります。そしていよいよ今度はこのように具体的な査定の段階に入ったわけでありますから、会社の申請によってほんとうに福祉型という料金制度が今回初めて確立できるかどうかというのがいよいよ具体的な段階に入ったわけですね。
 それから、そういう点で私がちょっと残念に思いますのは、先般の答えの中からも残念に思いますのは、この東電の一般家庭用の月平均使用量でありますが、これは百四十二キロワットアワー、中部電力が百四十四キロワットアワー、こういうところが大体標準家庭であります。それから、今度シビルミニマムとおっしゃる百キロワットアワー以下の家庭が、東電で三七%を占めており、中部電力で三〇%を占めておるわけでありますけれども、この段階におきましても、福祉型と言いながらも、それぞれやはり相当の値上げを考えておるわけであります。標準家庭は現行が十二円十七銭になるわけでありますが、これを十五円七十九銭にしたい、上げ幅は二九・七一%である、こういうことで電灯は三四・七四%の値上げ率であります。東電は平均いたしまして三一・七四%の値上げ率になるわけでありますが、福祉型というならば、こういう会社の料金改定というものを安易に認めていくんじゃなくて、やはり百キロワットアワー以下の家庭が三七%、三〇%ありますが、これは当分当然据え置くというようなことが必要でないか。その前提になりまするのは、いままで標準家庭で十二円十七銭、大口電力、これは大企業向けでありますが四円三十三銭ということで、約三倍も標準家庭が電灯料金を高く払っているわけです。事務の段階におきましては、いろいろな計算の方法がありましてそのようになるんだというような説明があるかもしれませんけれども、何としましても四円三十三銭と十二円十七銭、今回それが大口を大いに上げますと言いますけれども、大口が八円九十六銭、標準家庭が十五円七十九銭、このようにやはりそこに倍近くの格差が残るわけです。ですから思い切って、これを福祉型の政策料金と言われるならば、このような会社の考え方というものをもう一歩進めて福祉型にすべきであろう。ですから、さらに私が言いたいのは、この百キロワットアワーというような家庭は据え置きが当然でありますけれども、いま東電の一般家庭の月平均使用量百四十二キロワットアワー、中部電力が百四十四キロワットアワー、こういうところまでやはり据え置きを広げ、またはどうしてもそれは料金改定にある程度結ばなければいけないというならば、このような現在の料金改定の申請内容でなくて、これも福祉型に思い切って直すべきである、こう思うのですが、大臣の所感はどうですか。
○中曽根国務大臣 松尾先生の御指摘の点は、まさに非常に大事なポイントでありまして、はたしてシビルミニマムというものが百キロワットアワーを基点にしてよろしいかどうか、これはよほどいろいろもう少し広い観点で調べてみないといかぬと思っております。それは申請でございますから、われわれが査定するときにはさらに通産省独自の政策的考慮をもって査定すべきである、そう考えて、そのポイントはそれをどう動かすか、動かすべきか、動かすとすればどの程度まで持ち上ぐべきか、これは申請を受け付けたときから私が頭の中で考えている問題であります。
○松尾委員 それからもう一つ反省を求めておきたいのは、やはり何といってもこの大企業、大口向けに対してはいろいろの理由がありましても、政策料金的なものがありまして従来決定されておるということは否定できないと私は思います。ですから、今回はそのような使用量が伸びれば伸びていくほど、基本料金も上げておるし、使用量によってそれがだんだんふえていく、こういう型をとると言いますけれども、やはり従来の分を反省すれば、いま大臣がおっしゃったように、やはりそこには福祉型というものを今度から定着させて、そうしてもう一つは省電力型、省資源型というような方向へがっちりいけるような電力体系、料金体系を確立されるべきであろう。いま大臣おっしゃいましたけれども、内容を言えば私はそういうところに尽きるんじゃないか、こう思うのですが、くどいようでありますけれども、もう一回大臣から承っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 いま御発言の点は御趣旨をよく検討して慎重に考慮してみたいと思います。
○松尾委員 では、電力料金につきましてはいまから重大な査定の段階に政府が入るわけでありますから、ひとつ納得のいく、そして会社の経理内容もある程度はぴしっと見て、これはそういう面からも国民に発表のできるような姿で解決していただきたい。これを要望いたしまして電力料金の部分については終わりたいと思います。
 もう一つ、これは大臣にも聞いてもらっておかなくてはなりませんのでもうしばらくここに残ってもらいたいのでありますが、先般閉山いたしました長崎県の端島炭鉱であります。そこの沖合いで、いまガスが吹き出ております。三月下旬であります。だれが発見したかと申しますれば、ここは野母崎町の漁協が自分の漁場として働いておるわけでありますが、いつものように夕方網を張ろうと思って参りましたところが、その漁場に行って発見した。これは幅五メートル、長さ五十メートルにわたりまして一面にあわが吹き出ておるわけであります。でありますから非常に驚きまして、これは何か大きな事故の前兆じゃなかろうかというようなことで逃げ帰っております。それからあともそれが少しもおさまらない。薄気味が悪いというので、非常にいい漁場にいま近寄れないという実態でございます。いまちょうどクロダイがシーズンになっておりまして、それがとれない。やがて今度はイセエビがシーズンになって、三ツ瀬沖というのは非常にいい漁場なんですね。そこで生活している野母崎の漁協が閉口いたしまして弱っている。会社の閉山のときに閉山の処理がずさんではなかったんではないか、このような事故はどうもまれだ、こういう事故はほとんどない、初めてそういうところへ出てきますから、何事ならんといって驚いているわけでありますが、その事故はどういうわけで起きたか、それからそれに対してどういう対策をとられたかということをまず聞いておきたいと思います。
○原木説明員 御説明申し上げますが、端島炭鉱は昨年閉山いたしまして、ことし坑口を密閉いたしております。毎分でございますが大体十立方メートルくらいの海水が操業中にわいておったという話を聞いております。したがいまして、操業いたしました坑内はポンプをとめておりますので水が逐次上がってまいります。その段階におきまして、ちょうどこの炭鉱が非常に変わった掘り方をいたしておりましてこのような現象を起こしたというように考えております。すなわち、縦坑を約三百八十メートル程度掘りまして、それから横に水平坑道を掘りまして、その水平坑道から今度は上のほうに向かって掘ったわけでございます。したがいまして、坑内水がわいてまいるといいますか、海底からも漏れてまいりますが、だんだん下のほうからたまってまいりますと、坑道の採掘した部分につきましては空気の逃げ場所がなくなりまして、したがいまして、海底と採掘区域の間の亀裂等を伝わって坑外にあらわれたというように考えられるわけでございます。
 それが証拠といたしまして、その出てまいる空気でございますが、ガスとおっしゃられますが、大体普通の正常の空気というように考えられまして、三月の二十九日にとりましたときには酸素が一九%程度でございました。その後まだあわの発生がとまりませんので、四月の三日に、私どもの福岡鉱山保安監督局から監督官を現地に派遣いたしまして、三日の午後四時半ごろ船に乗りまして現地に参りまして、海水及び空気をすでにとっております。
 その分析結果が参っておりますが、それを見ますと、酸素が二一・二%、窒素が七八・七%、メタンガスはトレース、痕跡でございます。炭酸ガスが〇・〇四%といったような程度で、爆発といったような危険は考えられませんが、今後どういうことになるかわからないといったような問題もございます。したがいまして、私どもといたしましては、万一に備えまして危険のときにはどういう対策をとるかという点につきまして、門司にございます第七管区海上保安本部と福岡の監督局とで今後の処置等について四月の四日に協議をいたしております。それから炭鉱側に指導いたしまして、漁業協同組合に現状を、いま出ております空気でございますが、それの成分その他について連絡をいたしております。
 それからもう一方、四月の八日に九州大学の江渕教授にお願いをいたしまして、現地を調査いたしまして、今後の安全性について、なお再度念を入れて検討していただくという手を打ちたいと思っております。
 なお本日、炭鉱側が潜水夫を使いまして海中及び海底、あわの出ております周辺を調査を行ないましたところ、イシダイ、アラカブ、クロといったような魚がまだ非常に泳いでおりますし、岩盤あるいは海藻といったようなものについては、いまのところ異常はないという報告であったという報告を受けております。
○松尾委員 いま報告を聞いたわけでありますけれども、何といいましても正常な空気ではないわけですよね。そこにはやはりメタンも出ておりまするし炭酸ガスも出ておるわけであります。ですから、やはり正常な空気ではない。廃坑の中から圧搾されて、そして断層を伝わって三カ所もそういう亀裂といいますか断層から、廃坑の中のそのような空気が出ている。出るときに圧搾されておりまするから、いろいろ中の來雑物というかそういう含んだものが出て、それがメタンであり炭酸ガスになって出ておるわけでありますから、そして、いまのところはとおっしゃいますけれども、やはり今後のことはわからぬというようなお答えでありますから、これは予防的な意味で私も念を押すわけでありまして、やはり最悪の事態ということを頭に描きながら、きちっとした体制で全力をあげてひとつ速急にこれは解決する。黙っておりますると、このあわがいつごろなくなるのか、長引けば長引くほど不安がありまするし、漁場としての活用ができないわけであります。
 さらに、この点に触れてまいりますけれども、その漁業補償の問題も長引けば長引くほどやはり問題がからんでまいりまして複雑になる。速急にこれはそういう問題については手を打って、安全第一に、そしていま魚が下に泳いでおるとかなんとか言いましたが、やはりそれは漁民に対する安全感もありますけれども、どういうふうに変化するかわかりません。安全第一、そして漁業の操業第一というようなかっこうで速急にこれをなくしていくという対策は、どのように立てていますか。
○原木説明員 いまの危険性の点でございますが、これにつきましては、会社側に、毎日一回もしくは二回、現地の空気の採取をし分析をするよう指示いたしております。
 なお、長期的にこの問題をどうするかという問題がございますが、これにつきましてはボーリングが海上からできるかどうかといったこと、それから、はたしてそれがもうほかに実害を伴わないかといったような面を含めまして検討をいたすことにいたしておりまして、そのためにも九州大学の江渕先生に行っていただくということにいたしております。
 なお、今後の問題といたしまして、漁業組合等については、炭鉱側を指導いたしまして適当な措置をとらせるよう指導してまいりたい、こういうように考えております。
○松尾委員 大臣、お聞きのとおりであります。一体どういうことかというので、漁協の方々が発見して驚いて、そして魚もとれない、近寄れないというわけでありますから、漁協の方々とよく話し合って、そうして現状を詳しく説明すると同時に、政府の対策というものを納得させて、そしてなおそういう人々の意見というものを聞いて今後の万全な対策をとってもらいたい。とるべきであろうと思う。
 それから、やはり生活がかかっておりますから、この指導をするとおっしゃいますけれども、これは当然のことでありますから、最後にまとめて大臣から漁業補償の点も含めてお答え願って、私の質問を終わりたい、こう思います。
○中曽根国務大臣 いまお話を承ったところによりますと、漁協の皆さんの心配、一方ならぬところがあると思います。大事な漁場の問題もあり、生活の問題もあります。いま課長から御答弁申し上げましたように、当局としては炭鉱側と漁協とよく話し合いをさせまして、納得のいくような措置をとらせ、解決をはからせるように協力したいと思います。
○田中(六)委員長代理 次回は、来たる九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十三分散会