第072回国会 決算委員会 第9号
昭和四十九年四月二十四日(水曜日)
    午後一時十六分開議
 出席委員
   委員長 臼井 莊一君
   理事 井原 岸高君 理事 唐沢俊二郎君
   理事 松岡 松平君 理事 綿貫 民輔君
   理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君
   理事 庄司 幸助君
      赤澤 正道君    中村 弘海君
      吉永 治市君    稲葉 誠一君
      東中 光雄君    坂井 弘一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 山中 貞則君
 出席政府委員
        防衛庁参事官  大西誠一郎君
        防衛庁参事官  長坂  強君
        防衛庁参事官  岡太  直君
        防衛庁長官官房
        長       丸山  昂君
        防衛庁防衛局長 久保 卓也君
        防衛庁人事教育
        局長      高瀬 忠雄君
        防衛庁衛生局長 鈴木 一男君
        防衛庁経理局長 小田村四郎君
        防衛庁装備局長 山口 衛一君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局第二局長  柴崎 敏郎君
        決算委員会調査
        室長      東   哲君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  田代 文久君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     田代 文久君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十六年度政府関係機関決算書
 昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計算書
    〔総理府所管(防衛庁)〕
     ――――◇―――――
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、総理府所管中防衛庁について審査を行ないます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。まず、稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 きょうは、防衛庁関係の問題で基本的な問題といいますか、私もわからないことが一ぱいありますから、変なことばじりをとらえるとかなんとかいうことではなく、基本的な問題をいろいろお尋ねをしたいというふうに考えるわけです。
 そこで、最初の質問は、いま進んでおります四次防ですか、これが具体的にどういうふうに進捗をしておるかということからお尋ねをしていきたい、こういうふうに思います。
○山中国務大臣 一応順調に進行していると申し上げたいのでありますけれども、昨今の資材、原料、人件費等も含めました異常な高騰によって、四十八年度中に調達を済ませなければならなかったもの等において、艦船三隻等は契約を行なえないまま四十九年度に入りました。これは、会計法上はそれが可能であります。さらに、国庫債務負担行為で昭和四十八年度末までに契約をしなければならなかったもののうち、小型LST輸送艦については一隻、建造を見送ることにいたしました。これは二億円を大蔵省に返上手続をいたしたわけであります。
 将来の展望でありますが、これらのことを踏まえますと、今後の装備品調達等においての単価の値上がりというものに、これはひとり防衛庁だけではございませんが、どのように対処できるのか、するのかという問題が、やはり見通しがつきかねておる状態である。しかし、五十一年度までございますので、それまでには四次防の、国会に御報告申し上げました内容の達成については全力を尽くしたい、そう考えます。
○稲葉(誠)委員 党の立場から言うと、率直に言うとこうした問題はなかなか質問しづらいわけです。誤解されても困るものだから質問しづらいのですが、そうするとあれですか、これが終われば、今度はまた五次防という形にいくのですか。そこら辺のところの検討はどういうふうに考えておられるのかということですね。
○山中国務大臣 これはいまだ確たる方針の樹立あるいは手続等の段階に時期的にも至っておりませんが、しかし、過去を振り返ってみますると、一次防、二次防、三次防の次は四次防と、自動的に継続されてきた感じがいたします。しかしながら、やはり先ほど例をあげましたような、今後そのような、突然襲い来たるような大きな変化というものはないかもしれませんが、四次防の次は自動的に五カ年計画の五次防であるという考えがはたして妥当なのかどうか、その問題については昨年来検討を進めております。これは内部の問題として、私の疑問を率直に検討の素材といたしておるわけでございます。
 しからば、どのようなことを考えて検討をしておるのかということでありますが、単年度予算で国会の御審議をいただいても差しつかえのないもの、たとえば糧食費、もちろん人件費は優先いたしますが、人件費、糧食費、被服その他の単年度の経済環境によって、その予算の範囲内において、これは国会が御承認をいただければさしたる問題でないもの等は、単年度予算でいいではないか。かといって、一方、シビリアンコントロールの最終権能は国会にあるわけでございますので、長期にわたり、あるいはまた単年度を越えて調達しなければならない金額も相当な金額にのぼり、そういう新たなる性能、諸元を備えたものを装備するというようなこともございますから、そういう場合においては、やはりある一定の期間を要するものというのは、全体を踏まえて議論してもらうために国会に審議してもらう必要があるのではないかというようなことを考えておりますが、まだ日限もあることでございますので、そのような方針をとれるかとれないか等については目下研究中の段階でございます。
○稲葉(誠)委員 その中で自衛官の充足状況ですね。これは朝雲新聞社――これは防衛庁の事実上の外郭団体みたいなものですが、「日本の安全保障」七三年度版を見ますと、これは去年の三月三十一日現在ですが、四十七年度までですかね、欠員が陸で二万四千七百三十二名、こういう数字が出ておるのですが、この陸上の自衛官の場合にこういうふうな欠員が出ておる理由ですね、これはどこら辺にあるわけでしょうか。
○山中国務大臣 一番根本は、日本の青年諸君が自衛隊に自分の生きがいを見出す場所として入っていくための自衛隊の国民的なコンセンサスと申しますか、そういうようなものがいまだに日本に
 おいて、私どもの立場からいえば不幸にしてでき上がっていないことを示すものであり、傾向的に現実の社会情勢その他からとらえていきますと、今後その傾向はいよいよ顕著になると思いますが、高校進学率の九〇%、あるいは大学進学率の、昭和五十五年あたりには五〇%にいくのではないかというようなこと等が推測されますけれども、そういうような状態を踏まえますと、十八歳から二十四歳の適齢、私どもから見てその資格のある人口というものが、一般社会あるいは家庭の後継者、そういうものを含めてだんだん数が少なくなっていく傾向にございます。こういうようなことから、充足率の向上ということを一生懸命やっておりますが、量、質ともに望ましき状態に現在のところないし、近い将来を展望いたしましても、この望みはなかなか簡単にかなえられそうにないという、残念ながらそういう気持ちでおるところであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、変な聞き方をするので恐縮なんですが、二万四千七百、約二万五千近くの欠員がある、こういうわけですね、正欠員かあっても現在の日本の防衛には差しつかえはない、こういうことですか。
○山中国務大臣 これは差しつかえがないというのはおかしいんでありまして、差しつかえがあるわけであります。したがって、九千人師団、七千人師団ということを一応編成はいたしておりますが、いずれもそのような欠員のままの状態でありますから、ことに一番大切な士の階級の諸君において欠員の率が高い。そのために、本来士の行なうべき仕事を曹がやらなければならないというようなこと等もありまして、実際上九千人、七千人の編成の装備はあっても、それに対する充足率の対応が一致していませんので、われわれとしては整備計画から考えて、すみやかにこの目標を達成する努力をしなければならないことは当然でありますが、現状においてはその点において遺憾な点がある。すなわち、私どもの編成装備をいたしておりまするものに対応する人員というものが、下にいくほど欠員が多くなる。これは階級の意味で下でありますが、そういうことで、これはやはり影響があるかと聞かれれば、影響が大いにありますということを言わざるを得ないと思うのです。
○稲葉(誠)委員 影響がないかというと、ないと答えればおかしな話で、それじゃそれだけ削っちゃえという質問が出てくるから、それは影響があると答えざるを得ないんでしょう。
 そこで、これは共同通信か何かの調査に出ておったのですが、ちょっとそれを持ってこなかったのですが、自衛隊に入って、入ったはいいけれども蒸発しちゃう。蒸発というかどっかへ行っちゃう。無断で長期欠勤しているのか何かで、どこへ行ったのかわからぬというのが約千人ぐらいいるように出ておったのですが、これは実際には、いわゆる蒸発ということばは通俗的なことばですが、そういうふうなのがどの程度いるんですか、どういうふうな理由からでしょうか。
○高瀬(忠)政府委員 行くえ不明の隊員が大体、おっしゃるように毎年千人前後ございます。実は最近はいろんな指導などで若干減ってはきておりますけれども、大体そういうような傾向で進んでおります。
 それで、この原因でございますが、私どもいろいろ、どうしてそういうことが起こるのかというようなことを慎重に検討していますけれども、大まかに申し上げまして、入隊後、いまの若い人は団体生活になかなかなれにくいというような傾向があるようでございますが、そういう団体生活になれない。団体生活でどうしても規律ある生活自衛隊というのは特に規律ある生活を守りますので、そういった規律ある生活になれないというようなことが原因でありまして、傾向といたしましては、入って間もなく、入ってからそう時間のたたない期間ですね、教育訓練期間中にやるというような者が多いようでございますが、こういったことは、せっかく採用いたしました隊員に対しまして、お互いにたいへん不幸なことでございますので、いろいろ部内で上の者が、下の者に対して親切な指導をするとか、あるいは本人たちの悩みを聞いてやるとか、そういった親身のある生活、それから隊内における生活のいろんな環境改善、これは人間関係に限りませんことはもちろんでありますが、物的な環境改善というようなことでそういったことの発生を逐次減らしていきたいというふうに私ども考えております。
○稲葉(誠)委員 いまの毎年千名ぐらいのいわゆる蒸発というのは、この数字の中には入っているんですか、それが一つ。
 それから、これはそのままの状態で、ある年月実際には勤務しているようなかっこうというか、すぐやめさせない形で置いておくんですか。そこのところはどういうふうになっているんですか。この中に入っているのかな。
○高瀬(忠)政府委員 行くえ不明になりました隊員につきましては、私どもは極力さがします。親元に連絡をする、あるいは友人のところ、関係のところに連絡するというようなことで極力さがしますが、大体二十日以内に帰ってまいりました者につきましては、離隊をしました事情などをよく調べまして、その事情によりまして、それぞれ懲戒の法規に照らしまして処分をいたします。それから、二十日以降を過ぎましてわからない、帰ってこないという者につきましては、いろいろさがしますけれども、さがしてわからない場合におきましては、本人の日ごろの言動とかあるいは物的な証拠、そういったものによりまして、明らかに部隊を離れて帰ってくる意思がないという者につきましては懲戒免職の処分をいたします。
 そういうようなことで二十日過ぎと二十日以前の区分をいたしますが、さらに二十日後におきましてもそういった事情がわからない者につきましては、大体六カ月くらいの期間同じような捜索をいたしまして、いつまでもそれを置くのはどうかということでございますので、六カ月で一応身分を切りまして、その後本人の意思で離隊をしたのじゃないというようなことがわかりますれば、さかのぼりましてもとに身分を戻すというようなことにしようということで、いま考えております。
○稲葉(誠)委員 いまの充足率が低いというか、それだけの欠員が集まらないということ、それから蒸発の人が相当いるということ、これらの原因を大臣、どういうふうにお考えでしょうか。一つは、いまの若い人の中にある、団体生活を非常にきらう、規律をきらうというのか何かよくわかりませんけれども、そういうような話がありましたが、たとえば憲法九条がある。そこでいろいろそれについての議論もある。それから長沼裁判というふうなものも出てくる。あるいはいろいろな問題の中で教育の問題などもいま出てきつつある。これは私には私なりの考え方があって違うのですけれども、いずれにいたしましても、憲法なり、あるいは日本の教育のあり方なり、そういうふうなものがこういうことに影響があるというふうに考えておられるのでしょうか。そこはどうでしょうか。
○山中国務大臣 憲法の問題と自衛隊というほどそう深くみずからに問いかけて、なおかつどっちかにきめるというのは、わりと少ないのじゃないかと思います。しかし、自主志願というのがだいぶ少なくなりまして、それでも十何%おりますが、その連中はやはり、自分に問いかけている内容の一つにあるのかもしれません。現象としては、長沼判決後札幌地裁に一人飛び込んで助けを求めたという隊員がおりましたから、影響皆無とは申しませんが、在隊の者も、その後の募集についても、そのことが影響しているようには思いません。
 なお、教育の問題とおっしゃいますとよくわかりませんが、戦後の日本の教育というものが、若者たちを自衛隊のようなところに来ないような教育をしておるからだというふうに考えておるかということでありますが、そこまでは実は考えておりません。先ほど申しましたように高校進学率がもう九〇%になっただけで自動的に、自衛隊の門をたたく、あるいは勧誘に応ずるという者は当然少なくなってくるわけでありますし、私どもとしてはやはり、先ほど人教局長が申しましたように、今日の若い青年諸君が、みんなのための自分とか、あるいは公のための個とかいうものについてあまり関心を払わない風潮というものは否定できないと思うのです。あるいはまた身辺のごくささいな問題だとえばいつまでもゴーゴー喫茶にでも行きたいとか、あるいはロングヘアにしたいとか、恋人とのデートをいつでもしたいとか、そういう身辺のささいなことが――やはり集団生活の時間に縛られた起床、就寝が余儀なくされるし、出ていける日もきまった日しか出ていけません。そうして、これは当然のことでありますが、やはり隊内には規律ある生活と上下の秩序、命令服従関係が存在いたします。このような問題について、今日の一般の若者の傾向として、それをすなおに受け入れるには、相当時間がたたないとそれに入っていけないものがあるだろう、心理状状態があるだろうと思います。あるいは肉体的にも、こんな匍匐前進というようなものはとてもがまんできない、そういう単純なものもあるかと思いますが、そういうものも含めて、これはとてもじゃないが、見ると聞くとは大違いという気持ちで早期に出ていってしまう者が大部分である。しかし、その後は定着率が向上していくという傾向を見ますと、やはり隊に入ってきた青年たちの心理というものを、身近な上官たちが自分の立場から親身になって相談相手になってやる、兄貴やおやじのかわりになったような気持ちで遇するということが必要じゃないかという気持ちもいたしますが、何しろ各個ばらばらでありますから、どういうわけで蒸発したのだということを自分はつかめませんし、そこらのところは確固とした統計的なものというまでにはまいらないと考えます。
○稲葉(誠)委員 いま十八万という数字が出てきているわけですね。これは従来もいろいろの議論があったことだと思いますし、議論のむし返しみたいになってあれだと思うのですが、十八万というのはどこから出てきた数字なんですか。それで、十八万というのがあれは大体――これはどうなのかな。いろいろなことがいわれているわけですけれども、この十八万の根拠はどこから出てきたのかが一つと、率直に言って、これはアメリカからはもっとふやせという要求が過去にあった。過去ですよ。いまじゃないですよ。二十五、六万にしろという要求があったけれども、それは日本の憲法なり国内の国民の考え方その他からいって無理だというので、これはけったのか何というか、そういうようなことで、一応この数字がそのまま継続しているというような話もちょっと聞くのですけれども、一体この根拠はどこにあるのですか。
○久保政府委員 十八万人という陸上自衛隊の定員は、第一次防衛力整備計画のときにすでに出されておるわけであります。そこで、表面的には、十八万というのは池田・ロバートソン会談のときに出された数字というふうにいわれておりまするけれども、私自身、当時、その下案をいろいろ勉強さしてもらっておりましたから承知しておるのですけれども、いろいろな案をつくりましても、日本の防衛を考えまする場合に二十万前後という数字が出ておりました。したがいまして、その数字の中の一番下の数字を池田さんがお持ちになったのだろうと思います。
 ところで、米側との関連で申しますると、ディビジョン・スライスということばがありまして、全体の総数をつかまえる場合に、一個師団当たり何名、その師団が幾つ必要だというような計算のしかたがございます。当時の米側の計算では、ディビジョン・スライス、一個師団三万人という数字がありました。そして三十万とか三十二万とかいうことが、日本の防衛につきまして米側内部ではいわれたことでございます。しかし、それは米側の計算であって、われわれは、本土の純粋の防衛であり、後方関係を本土の各機関に依存できる、日本側としては日本自身で計算し直すということで、一応最低の十八万という数字がそこで確定されたものと思います。
 ところで、それが地政的に申しまして今日妥当な数字であるかと申しますると、大体日本の地勢を見ますると、山脈その他で考えまして大体十三から十五個師団ぐらい必要であります。それの最低ということで十三師団をとっておりますが、それに後方関係をいろいろつけてみます。それが積み上げで十八万になったということであります。
 もう少し大ざっぱに由しますると、現在地方方面隊というのが五つございまするけれども、その中で中部方面隊というのが非常に広いのでこれに一つの師団をつけ、それから北海道は地政的な意味で四つ必要でございます。そこで一方面隊としては各二個ずつつける。その二個に、地勢を考えてさらに二個を北部方面につける。これで十三個師団になる。それにいま申し上げた後方関係を積み上げてみると十八万になるということで、今日の体制から見ましても、まず最低の体制としては十八万というものが適当であるというふうに検証できるように思っております。
○稲葉(誠)委員 問題は二つですね。一つは、その十八万というのが、安保条約というものがあるということを前提として考えられた数字であるかどうかということが一つ。それからもう一つは、十八万、十八万と言うけれども、いいですか、一体どのような考えられるアグレッシブというか、ジンゴイズムでも何でもいいか、そういうふうなものに対して、どういうものに対してどうなんだという形でないとそれはおかしいでしょう。そこですよ、問題は二つ。それはどういうふうに理解されているわけですか。
○久保政府委員 いまの問題につきましては、実は二つの面からのアプローチのしかたがあります。つまり、相手方がどれぐらい来るからそれに対応してどれぐらい兵力を持つべきであるというような見方、軍事的な考え方もありましょう。しかしながら、そうではなくて、一応日本の地勢を考慮して、どのような事態になりましても最小限の日本の防衛はできるという観点から、いわば座ぶとん部隊的な――と言うとことばは悪いのですけれども、そういう言い方があるのですが、そういうようなことで薄く全体をカバーできるように配備をするという考え方と両方あります。
 そこで、相手方、どこかの国が日本を攻撃した場合に、それに十分対応し、日本を防衛できるような体制をとるというようなことになりますると、これはおそらく相当の兵力が要りましょう。二次大戦末期八月には百数十万ですか、二百数十万ですかの陸軍がいたということがいわれるくらいでありますから。そこで、いま私たちが考えておりまするのは、日本の地勢を考慮して薄く全体を一応とにかくカバーする。その上でどの程度のことができるかと申しますると、現在の中規模程度の外国からの攻撃があった場合に、それに対処することができるでしょう。もちろん、それがだんだんと大きくなれば、あるいは中規模程度でもすでに米側の援助というものが必要でありましょう、あるというふうに考えますが、それよりも大きくなればなるほど米側の支援というものが必要になってくる。しかし、小規模の武力侵略に対してはわが国独力でも十分に対処できるというような兵力であろう。これは非常に軍事的な脅威が顕著であるというような国柄であるならばともかく、日本としては、万一の事態ということは予想されましょうけれども、全般的には一応平和的な情勢で続いてきている。そういうような情勢では、いま申し上げた兵力を持ち、日米安保体制を背景にして考えれば、そういう体制で日本の防衛はおおむねできるであろうという考え方のもとにできておるわけであります。
○稲葉(誠)委員 前の海原さんの「日本列島守備隊論」というのかな、なかなかセンセーショナルなあれですが、これを読んでみますと、なかなかおもしろいことがいろいろ書いてあるのですな。前提として、自衛隊は何日間戦うかということをきめないと一切の計画が策定できない、このことを前提として、ずっと海原さん、やっていますね。海原さんの考え方がいいか悪いかは別ですよ。これは防衛庁の防衛局長をやっていた人だけれども、いろいろな見方があるのです。ところが、伝えるところによると、一カ月なら一カ月ということを前に言っているらしいですね。正式に言ったのかどうかわからぬけれども、一カ月持ちこたえればあとはアメリカが来て助けてくれる、こういう考え方ですか。ぼくの言い方はちょっとラフだけれども……。
○久保政府委員 その期間の考え方は一次防以降今日まで変わっておりませんけれども、どういうことかと申しますと、日米安保体制を前提にいたしますると、米側の支援、来援ということを考えるわけであります。その場合に米国の、たとえば七艦隊でありますとか、極東にある空軍というものの来援は非常に早いと思います。しかしながら、たとえばハワイあるいは米本土からの応援、特に単に、陸軍で申せば陸軍の師団が来るだけでなくて、それに対する兵器弾薬、それから後方関係、そういうものが本格的に日本に到着する期間といいますると、規模によって異なってまいりまするが、一カ月ないし三カ月ぐらいはかかる。その間、日本の防衛のために自衛隊が壊滅してしまったのでは、これは防衛は成り立たないわけでありまするから、最小限、米軍とともに日本を防衛するまでの期間を、自衛隊の独力で、あるいは一部米側の支援を得ながら、つまり海空の支援を得ながら防衛できる、そういう期間を維持できなければならぬ、そういう思想であります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、意地の悪いことを聞きますけれども、アメリカが助けてくれなかったらどうするの。これ一体どうなの。アメリカが日本をそうやって一〇〇%助けてくれるということ、その点については、どうしてそういうふうに楽観的なんですか。そういうところに一つのかけがあるのじゃないの、いやな言い方をしますけれども。まあ、それはアメリカを信頼する以外にないのだ、こう答えるに違いないでしょうけれども、あらゆる場合にアメリカを一〇〇%信頼していいの。その上に立っているのですか、どうですか、防衛庁長官。
○山中国務大臣 これは基本的に意見が分かれるかもしれませんが、安保条約を締結しているということは、そのような相互の信頼あるいは相互の信義、そういうものを確信し合わないとそのワク組みはできないわけであります。でありますから、安保条約を基調としてはじめて日本の現在の防衛構想というものが成り立つ。今日のミサイル、MIRV等の進展を見れば、とても単独で、日本がどこかの国に攻められるのを守るということは困難である。そこで私たちとしては、自由主義陣営としてアメリカとの間に安保条約というものを締結しているのだ。これは現にNATO諸国でも同じ考え方でやっていると思いますが、NATO諸国がばらばらで自分たちで対処できないでNATOというものを持ち、そしてやはりアメリカの来援というものもNATOの計画の中にはあるということを考えれば、これは相互信頼というものがなければ成り立たないわけです、おっしゃるとおり。しかし、私たちは、その相互信頼は存在しているし、それがくずれるという徴候もいまのところないということで、根本的に考えを変える必要はないのじゃないかと思っております。
○稲葉(誠)委員 そうすると相互信頼、条約だから相互信頼ですね、アメリカは日本に対してどういうことを期待しているわけですかね。これが一つ。
 それからもう一つ、いま言う話を聞くと、日本の防衛というのは未来永劫アメリカにたよっているのですか、そういうことなの、これ。
○山中国務大臣 未来永劫と言われますと困るのですけれども、それは国際連合憲章の示しているような、国連のみが唯一の武力の所持者であって、したがって諸外国はそれぞれ個別の国の力というものを持たないという時代を私たちは念願しますし、それが国連の考え方であると思います。したがって、安保条約においても国連というものを踏まえてものを言っておりますし、したがって、それまでの間は、当然そういう二国間もしくは多国間というものが、それぞれにおいてやむを得ざる措置として、ワク組みの中で安全保障条約を結んでいるということであります。未来永劫といえば、なるべく早くなるべく近い未来に国連軍というものに、全地球の人類が共同体として紛争その他の処理をする力を与える、ほかの国は全部がそれに対して従うという時代の早いことを祈るということでありまして、アメリカと日本だけで永遠にこの関係を続けていくというのには、第一、米ソの関係も大きな変化等もあらわれておりますし、米中関係の顕著なデタントへの方向も進みつつあるわけでありますから、その意味において私どもは、好ましい時代への移行期にある、ただ、それでもって、自分たちはもうこれでいい、アメリカとも手を切り、日本も自衛力をやめるという時期にはまだなっていない、そういう判断をしておるわけであります。
○稲葉(誠)委員 それは模範答案としてそうなんですけれどもね。それはだれが答えたってそういうふうに答える以外にないわけですね。それはそうなんですが、それじゃね、現在の日本を取り巻く情勢ね、あとで台湾のことも触れますけれども、情勢を見てみると、どうなんですかね、たとえば四十五年のあの当時と見て、安保の再開というか延長ですか、そういうときから見て、現在はどういうふうな状態で、どこにどういう緊張が日本を取り巻いてあるというふうに判断をするのでしょうかね。そして、そのいわゆる緊張なるものがどういうように今後、今後ったって長い間は別として、近い将来というか、変化をしていくんだろうか。また、変化をさせなければいけないとすれば、どういう方向に変化をさせなければいけないのか。これは防衛庁長官だけの答えじゃないかもわからないですよね、最後のほうは。総理大臣に近い人というか、そこら辺のところのあれでなくちゃいけない。そこら辺になったつもりでひとつ答えてください。
○山中国務大臣 一般的に国際情勢が緊張緩和の方向へ動きつつある、このことは米ソ核不戦の誓い、これには二国間の既存のワク組みあるいは複数のワク組み等もお互いに踏まえた上での了解となっておりますが、そういうこと等は非常に顕著な緊張緩和への好ましき徴候であると思いますし、また、米中というものの間においても好ましい情勢が見られるし、日中においても見られる。そうして日ソの間においても、徐々であるけれども対話というものが進められておる。軍事上の話はしておりませんけれども、対話が持たれておる。好ましいことだと思うのです。
 反面、しかし、ソ連のMIRV、御承知でありますからもう説明いたしませんが、複数個別誘導核弾頭ミサイルについて、皮肉にも第二次SALT交渉の始まったその日からソ連が実験を始めまして、それが非常に顕著な成功を、これはみずからも、また、ミッドウェーの北のほうに落下したわけでありますから、観測しておる米側もこれを確認しているというようなことから、SALTIIと呼ばれておる交渉がどうもうまく進展しなかったようである。このこと等はやや不安な要素を持ちますし、そのために、長い間定着しておったアメリカの世界戦略、言いかえますとミサイルを中心とした戦略構想というものを、シュレジンジャー長官になって、基本的に変えてはいませんが、対応のしかたを変えておる。すなわち、それまでは大都市もしくは工場地帯、双方一億ずつ報復力において死亡する、そういうことでもって恐怖の均衡といえる、使えない兵器として考えていた。ところが、それがもし一方が、自分の国の国民も一億死ぬということにちゅうちょを感ずる、人道上にしてもあるいは国策上にしてもちゅうちょを感ずるとなれば、他方はそれに対して、そのちゅうちょしたときに第一撃を加えるかもしれないというようなことがあっては戦略上問題がある。いわゆる大陸間弾道弾の脆弱性という表現を使っておりますが、そういうことから、目標を御承知のようにミサイル基地その他の軍事地帯というようなものに多目的に振りかえていくというような戦術等をとること等については、私ども、これが米ソ両方にとのように一これは核超大国でありますから、この二大国がどのようにその変化を受けとめていくのか、これについては慎重な検討が必要であり、見守っていかなければならぬ要素だと思います。
 それと、地中海をめぐる顕著な、印パ戦争のころより顕著にふえましたソ連の艦隊の存在というものに対する米ソ、ことに米の対応がジエゴ・ガルシア等を通じていろいろと取りざたされておりますし、これらの問題も、周辺諸国のみならず、やはり日本としても大いに関心のあるところでありまして、これもある意味で無視できない問題ではなかろうか。
 そして、ソ連と中華人民共和国との間においても、国境において少なくとも正常でない状態の兵力あるいは動きというもの等が見られる。これまた私どもにとって、よその国同士のことだといっておられない身近な問題として、そういうことが日本に波がかぶったらという心配もやはりしておく必要のある要素ではなかろうか。
 さらに、すぐそばの朝鮮半島の南北の間の、これまた南北対話が始まってわれわれも喜んでおりましたが、その後いろいろなことで、西海岸の島をめぐる問題等で、若干それが緊張の方向に向かいつつある要素等もうかがえます。
 こういうことを考えますと、やはり私たちは、世界の緊張緩和が確実なものとなり、そして人類の描く平和像、未来の人間社会像というものが達成されることに近づきつつあることは認めますが、しかしながら、その間において、いま申し上げましたようないろいろの要素が、無視できないものとして動いておるということを考えますと、やっぱり日本としては、一応安保条約というものの中における現在までの行き方というものを、きちんとみずからを処しておかないといかぬという体制をいまくずしてはならぬのじゃないか、こういうふうに思います。
○稲葉(誠)委員 ソ連と中国のいまの問題についていろいろと説明をされたわけですが、そこで何があってどうしたのですか。よくわからなかったのですが、あなたのお知りになっている範囲内で教えていただきたいのですが、それが何か、日本に身近な問題のようないまの説明ですね。ちょっとわからないですが、どうしてそれが、どういうルートをたどって、どういうあれで日本に身近な問題となってそれが来るでしょうか。
○山中国務大臣 同じ共産主義国家の大国同士で、かつては一枚岩といわれた、ひびも入らないといわれた間柄が、その後、説明するまでもなく顕著な変化を遂げて、現在は口に出して相手の政府を攻撃し合うという現象も見られますし、実際上国境において両国ともに、その国境線上の近いところに相当数の師団、機甲部隊等を配置している。小さくは先般の、患者輸送のために飛んだヘリが燃料切れで不時着した、早く返してほしいというソ連の言い方に対して、中国側は、それはスパイをやるために入ったんだから返さないというようなやりとりをしておるようでありますけれども、これが何も戦争を誘発するとは言っておりません。しかし、正常な状態で国境を接しておる状態とは思えないという問題がやっぱり存在することは疑えません。これは単に中ソばかりでなくて、日本がシベリア鉄道というようなもの等の話が出ますと、やはり中国側は無関心ではいられないという態度を表明するというようなこと等から考えましても、われわれとしては、そこで問題が起こることは日本に対しても心配なできごとの一つであるというふうに思うのは当然であろうと考えます。
○稲葉(誠)委員 前からのお話をお聞きしておりますと、非常によく勉強しておられて、ぼくも感心したのですけれどもね、ありがとうございますというか、よく勉強しておられるのですが、いまの話の前半はわかりますよね、後半のほうははしょっちゃって、答えが出てこないですね。言いづらいというか、いろいろ影響があるからわかりますけれども、中ソがどうこうして、それがどうして日本に身近な問題となってくるのかということなんですよ、ぼくの聞いているのは。それの答えはないわけでしょう。まあ、いろいろな判断がありますからわかりますけれども、それが日本の何に関係してくるのですか。日本の防衛に関係してくるのですか。そこですよね。よくわからないんだけれども――こっちはわかっていて聞いているのかもわからぬけれども、それはわからないで聞いているんだから。そこのところですよ、問題は。
○山中国務大臣 ですから、私、申し上げたように、よその国同士のことだ、共産主義国間のことだといって全然気にもとめないにはあまりにも距離的に近過ぎるし、日本はソ連、中共ともに国境を接する国であります。ソ連のウラジオ艦隊等の力等から考えて、当然中国も海岸線をたくさん持っておるわけでありますから、そういうことあるいは空の問題、そういうことで日本側に全く関係なしに、影響なしにトラブルが起こり、処理されるというふうには考えにくい。たとえば、NATOの問題はヨーロッパの問題だといっても、NATOとワルシャワ諸国の間でもし事が起こった場合に、やはりそれは日本にも心配でたまらない事態になることは、これは私は、論理的にも現実的にもそうだと思います。ですから、私たちは中ソがそのようなことになってほしくないし、仲よくあってほしいことが東洋全体のために好ましいことである。逆にいうと、それの逆な現象が起こった場合には、東洋の中の一国である日本としても非常に心配なできごとになるということを申し上げておるわけで、中ソがもし何かトラブルを起こしたら日本が直ちにどうなるという、論理的にも現実的にもそのようなことの推論はできないと思います。
○稲葉(誠)委員 話はわかりますけれども、中ソのあれが日本の経済や何かに影響があるということは、これはわかりますよね。ですけれども、あまりこっちが聞くと、こっちも少し変な聞き方になってきちゃってあぶないからここら辺にしておきますけれども、しかし、それはそれとして、もう一つの問題は、アジアにおける緊張というものはどういうふうに変化してきているかということですね。その中の一つとして日中共同声明、それ以後、特に今度の中国との航空協定に伴う台湾のほうの打ち切りですか、そういうようなことの通告ですね、これらに関しての問題が、日本の防衛に現実にどういう影響があるかということを聞きたいわけですけれども、その前にお聞きをしたいのは、よくわかりませんが、ADIZ、防空識別圏、それからFIR、飛行情報区というのですね、これは局長でいいですけれども、日本と台湾の間にはどういうふうになっておるのかということを先に説明を願いたい、こういうふうに思うわけです。
○山中国務大臣 これは沖繩に米国が施政権を持っておりましたために、米国側の、主として軍でありますが、米国と中華民国、いま台湾と言わなければならぬでしょうが、その間においてそういう線が引かれておる。FIRのほうは石垣島と西表島の中間を通っております。そしてADIZ、防空識別圏のほうになりますと、これが与那国島の中央を通っておる。これは、ことしの五月の十五日に運輸省が完全に米側から管制業務を引き継ぎまするにあたって、現在おそらく運輸省の係官二名が台北に行って交渉中であると思いますが、それらの問題についての引き継ぎを日本側としてどのようなことにするかという問題で相談をしておる問題であると考えます。
 ただ、ADIZの問題は、これはその国が自分の国防上そのような線を設定するわけでありまして、これはどこかの国と協議して定めるものでございませんので、したがって、われわれとしては、日本の領土である与那国の上を通過するADIZというものは、日本側としてはそれを認められない。これは協定も何も要らないわけでありますから、私どものほうとしてはそのような存在というものは認めませんが、しかし、外交交渉しなければならぬ問題ではない、また、外交交渉のできない立場に置かれておる。しかしながら、目下のところ、航空協定の日中間の取りきめに従って台湾のほうからの打ち切りがありました後も、南西航空という沖繩の航空会社が飛ばしております与那国の定期便、これは米側の与那国周辺の情報を台湾から提供された嘉手納経由のものがそのまま、これまでどおり送られてきておりますし、また台湾側も、与那国の定期便その他について立ち入った行動をするつもりはないということが表明されまして、現実に支障なく飛んでおりますし、そこらのところは直接の脅威と関係のない状態で保たれているということは、たいへんしあわせなことであると思っております。
○稲葉(誠)委員 台湾の外交部長ですか、これが何か声明を発表しておるというふうに出ておるわけですが、二十日の夕刻発表したんですかね。これによると、中華民国の航空機は、日本の管制下にある飛行情報管区と防空識別圏を一切飛行せず、同様に日本の航空機も、台湾の管制下にある飛行情報管区と防空識別圏を飛行することを許されないであろう、こういう声明を出しているようですね。
 そこで、この声明との関連で、日本の航空機というのは、これは自衛隊の航空機も当然含まれるのだ、こう思うのですが、このADIZなり何なり、これを台湾の管制下にあるここのところを飛ぶことを許されないということは、具体的にどういうふうなことなのか。それから、そのことによって日本の防衛なり何なりに影響というふうなものが実際にはあるのでしょうかどうでしょうか。
○山中国務大臣 これは、航空協定の締結に伴って、民間航空において最悪の事態を台湾との間においては迎えたといわなければなりません。かといって、台湾側が日本に対していわゆる領土侵略とか戦端を開くとかいうそういう物騒なことは何も言っておりませんで、在留邦人の安全もあるいは旅行者や船員等も含めてだいじょうぶである、あるいは資産その他についても別段心配要らないという態度をとっておりますし、まあ大人だと私は見るんですが、そういうことでありますから、ただ、民間航空機は非常な影響を受けるであろうことは間違いないと思います。現在台湾側が設定いたしておりますADIZの太平洋側――台湾海峡はとても通れない、全部覆域されていますから通れないんですが、太平洋側を回ると、おそらくきょう福田大蔵大臣は四十分ないし五十分、飛行機のスピードに関係なく、到着がいままでに比べておくれると思います。そういう影響はあると思います。しかし、これがやはり識別圏の中に入りますと、不明飛行体としてアラート、スクランブルの対象になる。直ちに撃ち落とすということではありません。域外に出ろあるいは着陸しろ、そうしなければ撃墜もあり得るということになるでありましょうが、反面、日本の民間航空機が不可抗力の場合に緊急着陸等をしなければならない、そういう場合には台湾の空港を使うことは認めようということまで言ってくれておりますし、不幸中の幸いで、いわゆる脅威の問題として今回私どもが軍事的にこれをとらえなければならないという問題は派生しそうにない。その意味では不幸中の幸いであると考えます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、この今度の問題に関連しては、防衛庁としては、新聞などによると、これを静観するというふうに出してあるものもあるようですけれども、しばらく事態を見守るというんですか、あるいは結局見守るけれども、それによって防衛庁自身としては、あるいは日本の防衛というふうなことについては、別に特段の変化というふうなものはない、こういうふうな考え方なんでしょうか。
○山中国務大臣 私どものほうは、台湾側にそのような意図がないということを不幸中の幸いだと思っておりますが、そのために自衛隊として軍事的な対応というものは必要はない。しかし、与那国に着陸する民間機に対して、自衛隊が一番南の島では宮古にレーダーを持っておりますので、できるだけ宮古のレーダーを、自衛隊として民間航空のために精一ぱいお役立てする。与那国上空一万フィートまでは大体飛行しておることを確認できる状態にあります。しかし、それよりか、もちろん着陸しますから下がりますと、それに対してレーダーサイトとしては何もしてあげられないということでありますが、せめてそれだけのことはしたい。しかし、幸いにして台湾側のほうから、嘉手納経由で情報が民間航空の気象条件その他についてもらえておるということで、そのような努力も特別にする必要はないという状態にあるということであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いまのその識別圏の中で、台湾のほうの中で漁船の遭難とか航空機の不時着があった場合の救難活動では、台湾の協力が得られないということが考えられるのですか。問題はそこのところでしょうね。そこはどうなんでしょうか。これはあなたの直接の問題じゃないかもしれませんけれどもね。
○山中国務大臣 私どもが閣僚として承知いたしております範囲は、さしあたり航空協定の問題なものですから、日本の民間機が不幸にしてエンジントラブルその他でどうしても緊急着陸の必要があるという場合においては、台湾側の空港を使ってもよろしい、事前に通報しなさいということがありますので、たいへんその意味ではけっこうなんでありますが、その他、主として沖繩南方海域において操業中の船の、今日までも間々ありました遭難、漂流その他についての救急活動、そういう場合においては、これは事前に台湾側のほうに、今日までは、識別圏を越えますよ、P2Jが入りますよということを申し上げると、そのまま協力をしてもらったわけでありますが、ケースが起こっておりませんので、何もこれを相談をいたすごとができないし、いたす必要がないわけでありますけれども、もし、そのようなことが起こりましたならば、やはりその飛行機に対して示している台湾側の立場から見て、不可抗力の災害等に対して人命救助にわれわれが出なければならない、あるいは海上保安庁が行かなければならないという場合においては、私は間違いなく協力を得られるのではないかという見通しを持っておりますが、これはいまのところ具体的なケースがありませんので、また向こう側もそこまでは触れておりませんので、したがって確たる見通しを申し上げられないわけであります。
○稲葉(誠)委員 そこで、問題をかえるといいますか、自衛隊の目的、任務ですね、これは第三条にあるわけですが、その中に、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」というのがありますね。「必要に応じ」というやつですね。これは具体的にどういうことを想定をしてこういうふうなことの条文ができ、考えておられるのでしょうか。
○山中国務大臣 これは治安出動、海上における警備行動、災害派遣、領空侵犯措置こういうようなこと全体を踏まえていっておるわけでありますが、しかし、直接及び間接の侵略というものに対してわが国を防衛するということが目的の一つにあるわけでありまして、このことから、明白な直接、間接の侵略に伴う公共の秩序が通常の警察力をもって維持できないという場合等において、いわゆる治安出動というものが想定をされる。しかし、現実にはそれに対する実際上の必要な法的な整備等はまだまだ、現実にはそのようなことが起こると想定されませんし、不必要な物議をかもすことも問題でありますから、法制上の整備はなされていないのが現状であります。
○稲葉(誠)委員 そうするとあれですか、現在の状態では直接侵略、間接侵略――間接侵略というものの定義が、最初のころは、外国からの模倣というか、そういうふうなものにおける国内の暴動というか何というか、そういうふうなものだというふうにいわれておったようですけれども、いまはどういうふうになっているのですか。そうすると、直接侵略なり間接侵略というものは、現在――現在といったっていますぐという意味ではなくて、現在を中心としてある相当期間にはこれは考えられないということになるのでしょうか。
○山中国務大臣 直接侵略も私たちは備えてはいなければなりませんが、いますぐに日本の国土を攻める国があるかということについては、そういうことは考えられない、しばらくはそういうことを予測するデータというものはないというふうに考えますし、間接侵略も、いわゆるゲリラ的に外国の戦闘力、組織等がわが国に入り込んできて起こす明白な形のもの、あるいは、あり得ないことでしょうが、そういうもの等は表に出ないけれども、資金、武器その他の外国の援助を受けて、通常の警察力でそれが処理できなくなる状態というようなもの等を一応は自衛隊設置の目的として、そういうものに対応できるための組織でもあるということが掲げてあるということであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、ここに書いてある「必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ということは、直接侵略及び間接侵略に伴うものに限定されるのですか。従来ともそういう解釈ですか。伴うということでしょう、あるいは起因するというか、それに限定をされるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○山中国務大臣 この限定というのは私はなかなかむずかしいと思うのですが、しかし、そういうことと関連なしで、通常の警察力でもって処理できない状態がわが国に起こるということはいまのところ考えられない。したがって、いまのところ考えるとすれば、そういうようなことに関連して、通常の警察力をもってしては制圧しがたい状態が起こるということであろうと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、自衛隊がいろいろな訓練をやっているのだと思いますが、その訓練にいろいろ名前をつけるわけですね、名前というのか種類というのかな、訓練の内容にどういうような種類があるのですか。
○久保政府委員 ただいま大臣が一般の直接侵略あるいは間接侵略に関連して申し上げたのは、治安出動でありまして、したがいまして、一般の戦闘に関する訓練、これは直接侵略あるいは間接侵略のものでありましょうし、それに関連する治安出動の場合は治安出動の訓練であります。さらにそのほかに海上における警備行動というものもありますし、災害派遣、領空侵犯措置、これはそれぞれの名称を冠してそれぞれの訓練を行なっているということであります。つまり災害派遣の訓練というような言い方をしております。
○稲葉(誠)委員 私が聞いているのは、治安出動でしょう。治安出動の騒乱があるとかないとか、そんなことを聞いているんじゃないですよ。直接侵略と間接侵略に伴うものだ、こう言うんでしょう、いま大臣は。従来からもそういうふうな考え方であったのかということを聞いているわけですよ。必ずしもそうではなかったんじゃないですか。それとは切り離して、独自に日本の国内であれが起きたときには、それが出ることがあり得るというふうに言っているのではないですかと、こう聞いているのです。
○久保政府委員 治安出動は法律で特別の条文が出ておりますので、条文上、直接侵略及び間接侵略がなければ治安出動はあり得ないということではございません。大臣が言われましたのは、国内の実態から申せば、独立して治安出動をするような事態はまず起こるまい、もし起こるということを想定するとするならば、それは直接侵略あるいは間接侵略があった場合にそれが関連して起こるであろうということであります。
 ただ、訓練といたしましては、防衛出動の場合と治安出動の場合には、法的根拠は違います。したがいまして、防衛出動の中で治安出動の訓練を行なうということは、これは不適当であります。ですから、訓練そのものは治安出動の訓練として行なうということになります。
○稲葉(誠)委員 だから、私が聞いているのは、治安出動の訓練というのをやっているのでしょうと聞いているのですよ、これは法律に書いてあるのだから。やっていていいとか悪いとか言っているのじゃないですよ。ちゃんと条文があるのだもの、それに伴って当然、やっているのはいい悪い別として、やっているのでしょう、こう聞いているのですよ。それはやはり、治安出動なら治安出動の訓練という名目をつけて、ちゃんとやっているのじゃないですか。この前なんかいろいろな、羽田の事件なんかあるときには、夜中にもうほとんど自衛隊を集めて、羽田に行っているかいないかは別ですよ、それにどういう事件が起きるかわからないというので、その準備のような訓練はやっているのじゃないですか。現に、それでいま裁判になっているのが一つあるでしょう。
○久保政府委員 いま申し上げましたように法律、つまり防衛出動の場合と治安出動の場合とで、根拠となり得る法令が異なります。つまり治安出動の場合には警察行動的なものでありますから。したがって、これはそのものとしての訓練、つまり治安出動としての訓練を、防衛出動の訓練とは別にやるのは当然であります。
○稲葉(誠)委員 当然でありますというのはそのとおりなんですよね。そのとおりということは質問が誤解されるけれども。だから、直接侵略の危険性というものはまずない。間接侵略も、あなた方の定義による間接侵略というものはほとんどない。こうなってくると、残ってくるのは国内におけるいろいろな問題でしょう。そうなってくれば、防衛出動じゃなくて治安出動に、いまの自衛隊というものは当然重点を置きかえて、その訓練というものをやっているのではないでしょうか。そこですよ、問題は。やっているならやっているでいいのですよ、それは。だってもう自衛隊法という法律があるのだから。あるのですから、これはもうとうにでき上がっているのだから、そのことを隠す必要はないので、現実に警察力を補うためのというか、あるいはそれでもって処理し切れない場合を想定をして、そして自衛隊の中の訓練というのは、治安出動があるとかなんとかということじゃなくて、実際には治安出動に伴う訓練というものを何回となくというか、それを中心にやっているのではないですか、こういうことを聞いているわけですよ。中心にと聞いたからいや中心ではないからと答えるかもわからぬけれども、それはやっているのはあたりまえでしょう、それは法律の規定なんだから。やらないのはおかしいですよ、法律に書いてあるのだもの、あなた。やっているのじゃないですか。やっているとすれば、その具体的な内容というものをお聞かせ願いたいと思うけれども、その具体的内容ということをここで答えるわけにいかぬというなら、その理由は理由でそれはしようがないかもわからぬけれども、やっていることは事実じゃないのですか。
○山中国務大臣 これは治安出動の場合も、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、」ということになっておりまして、やはりこのときも、間接侵略というものがまず想定されておるわけです。間接侵略に準ずるような状態というものはいま考えられませんが、もし起こった場合においては治安出動命令というものを、国会手続その他がうしろにありますが、そういう手続をとって総理大臣が命令をするということになっておるわけでありますから、それは当然、その部分についての訓練はいたしております。しかし、そればかり重点を置いているのじゃないかということになりますと、海、空の自衛隊は要らないということになりますので、そうじゃないので、海、空等はもちろんそういう訓練等はほとんどないわけでありまして、これはもっぱら外部に備えるということであります。陸において、そういう自衛隊法の目的に書いてあることに対しての訓練というものを行なっておるということであります。
○稲葉(誠)委員 だから、いまの大臣と防衛局長の答弁というのは法律解釈の答弁で、食い違っているといえば食い違っているし、あるいは食い違ってないといえば食い違ってないかもわからぬけれども、それは別として、だから空と海のほうは、これはちょっと違うから外敵に備えるのが中心かもわからぬですが、陸の場合は、あれじゃないですか、実際にはそういう侵略なんというのはいま考えられない状態だから、だから治安出動というものを――治安出動のほうも、もちろん条件は厳格ですよ。厳格だけれども、それに備えての訓練というものは、いま大臣が言ったように、やっていることは事実じゃないですか。しかもそれは、羽田や何かにいろいろな事件があるというときに備えてやっているんじゃないですか。それはいま一つ裁判になっているでしょう、埼玉県で。朝霞かどこかで、車がとまっていて、そこへぶつかって死んじゃったのがいるでしょう。死んじゃった人が業務上過失致死か何かで、熊谷で裁判をやっていますよ。その前にとまっていた自衛隊の車というのか、夜中に非常呼集で――羽田の事件のときですよ。四、五年前の事件、京都大学の学生がなくなったときですよ。そのときに、夜中にみんな自衛隊を集めていったわけですよ。集めていって、とまっていたわけだ。それで、テールライトをつけていたかつけていなかったかということで争いになって、やっているわけですよ。それはそれですけれども、やっているならやっているでいいんですよ、別に――だから、治安出動に伴う訓練というものを、そればかりやっているというふうにぼくは聞いていないので、中心としてと聞いたら中心じゃないと言われるから、これはまずかったなと思っていたのだけれども、陸上ではやっているのですよ。それでなくては、ある意味において法律に違反しているということにもなるので、それはあれじゃないですか。どの程度やっているのですか。それはもうはっきりさせたほうがいいじゃないですか。やっていることはやっているんだから、そんなことは。
○久保政府委員 治安出動訓練に重点を置いているのではないかというお話でありますが、それは全然逆でございます。治安出動訓練につきましては時間数で五十時間前後、これは普通科の部隊であります。ですから、普通科の部隊以外ではもっと少ないわけであります。したがって、他の分野については災害派遣のものもあれば、むしろ一般の直接侵略あるいは間接侵略に対する防衛のための訓練あるいは教育ということが中心であります。
○稲葉(誠)委員 災害派遣は全然性質が違うから別として、直接侵略、間接侵略の防衛出動とそれに伴うところの治安出動というものとをはっきり――それは訓練でははっきり分けているかもわかりませんよ。実際はそんなに内容は違うのですか。空や海は別として、陸の場合は結局同じことじゃないのですか。それに伴うところの国内へのいろいろな問題に対するほうが、自衛隊としては現実に問題となってくるんじゃないのですか。実際どの程度訓練をやっているのですか。それを明らかにしてごらんなさいよ。それはいろいろな差しさわりがあるから言えないとかかんべんしてくれというならそれはそれでも、ぼくは何でもかんでもやっているものを明らかにしろと言っているつもりはありませんから。相当広範囲にこれは行なわれているんじゃないですか。だから、自衛隊に対して国民は、自衛隊は結局は国民にやいばを向けることになるのじゃないかということが考えられるから、国民の自衛隊に対する目もおかしくなってくるし、入った人も疑問を感じて、外国の敵に対する――外国の敵というとおかしいけれども、そういうものに対するなら、そんなにあなた――幾ら何といったって日本人が、それは考え方はあると思うのですよ、同じ日本人が日本人にやいばを向けるのはとてもこれはかなわぬ、やっていけないということのあれが、相当に若い人たちの間にも出てきて、そうしてこれでいなくなったり充足率が悪かったり何かしてくるのじゃないですか。どの程度やっているのですか、治安出動訓練というのを。明らかにしてごらんなさいよ。
○久保政府委員 別に秘密でも何でもありませんで、私の申し上げることをそのまま御信用いただきたいと思いますけれども、自衛隊の中には普通科とか特科とか機甲科とか各特殊の職域がありますが、その各職域を通じまして、つまり各科共通の治安行動の訓練は年間十六時間であります。それからそれに加えて普通科の部隊だけは、これは一般の昔でいう歩兵の部隊でありますので、治安行動をする場合にはその中心になりましょうが、この普通科の部隊は各科共通の十六時間に四十時間を加える、したがいまして年間で五十六時間であります。
 その内容というのはどういうことをやるかといいますと、部隊の指揮官、これは各級指揮官ございましょう、一番下のクラスまであるわけでありますが、それの指揮の要領でありますとか、それから部隊が出動しました場合の広報のしかた、それから検問のやり方、それから群衆に対してそれをどういうふうに制圧をするか、この制圧というのがおそらく中心になろうかと思いますけれども、それから要人あるいは特殊施設の警護のしかた、そういったものが教育訓練の内容になっております。
○稲葉(誠)委員 だから、そういうふうなものの教育訓練というものは、防衛訓練というふうなもの――一般的な両方に共通するものは基礎的にあると思うのですよ。それからこっち、防衛なら防衛関係、治安なら治安関係に分かれるものもあるかもわからぬけれども、分かれたとしても、治安出動に関連する訓練というのは、それだけで分離されたものではなくて、当然防衛の関係なり何なりというものにもそれも利用できるというか、活用できるものでなきゃおかしいわけなんです。そうはっきり分けて考えてしまうのは、ぼくはおかしいと思うのです。
 そこで、いま言ったようにいろんな鎮圧とかなんとかするのでしょう、結局。それも項目の中に入っているわけでしょう。とすれば、そういうことに対する一片の法律だけでなくて、あるいは行動の草案でもいいし、あるいはそんなものはないというのなら準則でもいいし、あるいは何かのものがなければならぬわけですよ。むやみやたらに相手方を殺傷していいと書いてあるわけじゃないでしょう。そんなことを教えるわけじゃないのですから、こういう場合にはこうしろとか、できるだけ相手方の損害も少なくするようにしようとか、あるいはこういう場合にはしょうがないからやっつけてもいいとか――まあ、やっつけるというのはことばが悪いけれども、いろいろなことがあるのじゃないですか。あるならあるでいいんで、そんなことを隠す必要がないんで、やっているならやっているでいいんですよ。そこのところは何も遠慮する必要ないんじゃないですか。もう少し明らかにしてもらってもいいのじゃないですか。何かよりどころみたいなものが、ある程度のものが内部的にできているのじゃないですか。
○久保政府委員 以前は治安行動草案でありますとかがありましたが、これは途中で廃棄されております。それから指揮官心得をつくりかけたこともありますが、これはつくられないままになっております。したがいまして、今日のところでは、現行の自衛隊法でありますとか、それから隊法の中に引用されております治安出動のときには、警察官職務執行法が準用されることになっております。そういうものでありますとか、それから警察との協定があります。それから、たとえば地方管区総監部のレベルでの警察との協定もございます。つまり中央及び地方の協定もあります。そういったようなもの。それから、それぞれの指揮官が、自分でそれぞれの教科の内容を研究をしまして、その内容に応じて教育をしているということでございます。
○稲葉(誠)委員 自衛隊と警察、それからその他いろいろなものがありますね。そういうものとの連絡会議みたいなものはどの程度やっているのですか。
○久保政府委員 これはおそらく師団レベルあるいは方面総監レベルでは年間一、二回ぐらいやっておるかもしれませんが、実情を把握しておりません。把握しておりませんといいますのは、常時はやっておらないのが常態でありまして、ただ非常に大きな事態が予想されるようなときに自衛隊側から警察の情報をもらってくるというようなことで、おそらく常時の連絡会議はやっておらないと思います。
○稲葉(誠)委員 それは常時やっていませんけれども、ことに警察でいうと大体管区ですね、管区で集まってやっていますね。そのときに入国管理局も入ってますね。入管は警察権はないけれども、入っているのですね。その他いろんなもの、公安調査庁も入るでしょう。どことどこが入って集まってやっていますか。
○久保政府委員 治安関係の機関が集まることは、これは当然あると思います。私も警察におりましたけれども、たとえば関係官庁が月に一ぺん昼めしを食う会などというものは県レベルではございます。そういうようなことの会議というのならば別でありますけれども、それでなければ、おそらく特定の事象があった場合に関係のところが集まってくる。たとえば密入国が多くなってきた場合に入管やら公安調査庁やら警察が集まる。その場合にはおそらく自衛隊は入っていないと思いますけれども、テーマ、テーマに応じて治安関係の機関が集まるのは、これは当然の義務であり、任務であろうと思います。
○稲葉(誠)委員 いまの自衛隊の任務というのが、考えられる現実の作用としては変化してきているんじゃないかということ、あなた方はそんなのは認めないけれども。外敵とかなんとかということじゃなくて、実際には日本人に対するというか、そこにやいばが向くという状態に現実には、あなた方が意図しているか意図していないか知りませんけれども、そこに向かってきているんじゃないかというふうに思うわけですよ。これはぼくらの思い過ごしであるかもわかりませんけれども、そういうふうに考えられるんですね。いずれ具体的なあれをもってお伺いしたいのですけれどもね。夜中に自衛隊の人が自分のうちにいるでしょう。それを全部集めて非常呼集なんかときどきやりますね。それはいままでたいてい、羽田や何かに事件がある、学生の何とかで大きな運動があるというときのようですね、私の調べた範囲では。そういうふうなところに変化してきつつあるんじゃないか、こう思うのです。
 そこで、最後にお尋ねをいたしたいのは、核ということについて、大臣どういうふうにお考えなんでしょうか。日本でもつくろうと思えばまずつくれるんですか、これが一つ。
 それから、核の抑止力というのは、これは具体的にはアメリカにあることによって核の抑止力としては万全だというふうに考えるのですか。あるいは日本の国内にそれが導入をされるということによって核の抑止力としては万全だというふうに考えるんでしょうかね。こういうふうなことについての考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。
○山中国務大臣 日本が核をつくる能力があるかといえば、原料のウランの問題もありましょうが、能力は完全にあると思います。しかし、これは御承知のように、国会の議決も踏まえた日本国政府の姿勢として、つくらず、持たず、持ち込ませずというんでありますから、そのようなことが前提として、核兵器というものがつくられることは全くありませんし、能力はあってもそれは放棄しておるわけでありますし、意思も持っていない。したがって、国内に憲法解釈上かりに許容される範囲の戦術核というものであっても、それも核兵器である以上はわがほうは持ち込ませない、こう言っておるわけでありますから、その点の考え方は私どもは持っていないし、そういう考え方の上に日本の防衛というものは仕組むべきでない。むしろわがほうは全く核は持たず、つくらず、持ち込ませずであるけれども、しかし世界の戦略構想というものは大陸間弾道弾、ことにMIRV化されたもの、あるいは潜水艦の水中発射等のもの、あるいはまたたいへんな飛しょう能力を持つ渡洋核攻撃といいますか、運搬手段というようなもの等によって、これがバランスが保たれておる。これはわれわれはアメリカとの間に、日本がもし不法に――日本か持てない、持っていない、持とうとしないものを利用して日本をどうかつし、あるいは外交の交渉を有利に導くための手段としてそれを行使するとか、あるいは具体的に日本の工業力というものを軍事力に転用するために日本を征服するとか、そういう意図を持ってこられた場合には、われわれ手も足も出ない。そこで、アメリカの安保条約に基づく義務というものによって、われわれの相互信頼によってそのようなことの以前に、そのようなことの起こらない核戦略の中において、私たちはアメリカの通常いわれておる核のかさというもののもとにいることが安全である、またそれなくしては、単独でわれわれが国土、民族を守ろうとしてもそれは無理であるという考え方の上に、これは確立された概念としてわれわれとしては立っているわけであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、考え方は、アメリカの核のかさの中にずっと入っていくということですね。そうすると、アメリカとの関係において、経済にしろ外交にしろその他の部門でも、日本としては結局においてアメリカのいうことを聞かざるを得ないと言うと語弊があるかもわかりませんが、ものによって正面からアメリカに反対をしてやっていくということについてもおのずから限度がある、限界というものがそこに出てくる。これは常識的に考えられるわけですね。言いたいことも、アメリカに対して一〇〇%場合によっては言えなくなるんじゃないか。このことは当然常識的に、きわめて卑近なことで言う常識的に出てくるのではないでしょうかね。こういう行き方を一体いつまでもとっていてもいいというふうには、あなた――あなたは憂国の志士なんでしょう、薩摩隼人で憂国の志士なんだから。それでいいのかな。あなたの答弁を変に引き出す意味でやっているのじゃ決してないのだけれども、これでいいのですかな、青嵐会とは違うかもしらぬけれども……。どうなんですか、これ。
○山中国務大臣 もし日米安保条約の関係のもとで私どもに限界がある意味で存在し、ある意味の壁が存在するならば、それは基地の提供という問題であると思います。
 たとえば周辺地区の住民の声というものが基地を撤去してほしいという場合に、もちろん私たちは日本の国の政治家であり、日本人でありますから、本来ならば基地を全部取り去ってほしいという交渉をするのがあたりまえでありますが、しかし、安保条約を結んでいる以上は、やはり基地機能というものの日米安保の上に果たす存在、役割りというものを無視したものの言い方ができない。この点は確かにあると思います。
 しかし、そのほかの問題については、たとえアメリカの軍とわれわれ自衛隊であっても、統率も指揮も命令も受けておりませんし、スクランブル等の場合においてもどっちかが統制して共同行為をとるものでもありませんし、そういうことのもとでちゃんと自主性を守っておりますし、むしろそれを反証できるものとしては、逆にここ四、五年来続いてまいりました日米経済戦争ともいうべき、お互いが感情的なまでにその国の経済のあり方、あるいは経済体質、あるいは貿易のバランス、そういうような問題について相当激しいやりとりをいたしましたし、異例のことばでありますが、ニクソン大統領が昨年の年頭教書で、これ以上の日米間の経済の関係の悪化というものは同盟関係を引き裂くおそれすらあるというような、これはある意味でずいぶん下品なことばを使うものだという気も率直に言ってします。そこまで来ておるぐらいでありますから、その他の制約は存在しない。
 したがって、われわれとしては、日本が独立国家として生きていく上において、アメリカ側と安保条約を結んでいるためにわれわれの経済的な成長も、あるいは国家的な存在、繁栄、国民の生活の向上も、そのためにわれわれが阻害する要因をつくっておる――局所的には基地の問題を私は認めました。それ以外には存在しない、そう考えます。
○稲葉(誠)委員 あなた、それはニクソンの国内向けの放送じゃないですか。それは別として、アメリカとしては、日本が別の完全な自主独立というか、あるいは別の圏内に入る、と言うとことばは悪いけれども、そうされたらばアメリカ自身にとって非常に大きな不利ですから、それはアメリカはそこを考えている。お互いにネゴシエーションだから、わかりますが、現実に外交、経済、あらゆる面で、おれはおまえたちをいざというとき守ってやるのだ、守ってやらなかったらどうするのだと言っておどかされたら、あなた、収拾がつかなくなってくるのじゃないですか。まあそれは別として……。
 それからもう一つ、最後の質問ですが、核を世界の国々はみんな、いわゆる大国ですよ、いわゆる大国は持っているじゃないか。そうすると、世界の現実の中で核を持たないというと、大国としての実際の行動ができないではないか、実際にいろいろな面でセーブされるではないか、こういう議論が確かに素朴にありますがね、ぼくの考えではありませんよ、そういう素朴な考えを持っている人もいるということですが、そういうことから考えて、どうなんでしょうかね、核を持たないと世界の外交あるいはいろいろな面での日本の立場が現実に弱くなってくるのではないかということについては、どういうふうに考えられるでしょうか。
○山中国務大臣 国連の安全保障委員会の常任理事国はいずれも核保有国であることは、これはまあ結果的に見て一致してしまっているわけであります。しかし、かといって、核拡散防止条約等に初めからフランス、中国等は、これに対して全く否定的な態度をとって加盟しようとしない、ここらに矛盾するところがありますけれども、しかし、現実はそうでありましても、日本は、唯一の核被爆国、国民、したがって核については絶対に、先ほど申しました三原則を守っていく。これはわれわれが、人類として初めて日本民族のみが受けた惨禍というものを、むしろ世界の人にいかに悲惨なものであるかを知ってもらう、そして平和の道こそ唯一の道であることを知ってもらうための私たちは生き証人だと思っておりますから、そのために、核を持たない政策によってわれわれが外交的に若干のハンデを負うとしても、あえてそのハンデは背負っていくべきものであろう、そういうように考えます。
○臼井委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 自衛隊でいわゆる精神教育がやられているわけですが、これは防衛庁長官の教育訓練に関する訓令に基づいてやられているわけですが、長官、精神教育というのは何のために何を教育するのか。これはいわゆる学校教育と違って、防衛庁が要するに国家機関としてやって、公務員がその教育を受けるということになるわけですから、いずれも公務に関することであります。そういう点で、この精神教育というのはどういうことをどういう観点からやられようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○山中国務大臣 基本論としては、自衛隊は他の国家公務員と異なって、先ほど来問答いたしておりましたように、外敵の侵略阻止というそういう目標を持つものでありますから、したがって、そういう事態は考えられないことでありますけれども、最悪の場合には、場合によっては命をかけなければならないというようなことも絶えず想定されなければなりません。そのために、普通の公務員としての存在ではないのだ、すなわち、そのような、究極的にはいわゆる自分の命を投げ出すこともあり得るということの前提においての存在でありますから、それぞれ法律の掲げる目標を遂行するために、やはり精神教育というものも必要であります。何のために何をやるのかということがわからないで、心がまえもなしにそういう行動演習だけやってみても、それは無意味でありますから、その意味において、われわれとしては精神教育というものの基本は自衛官の心がまえというものに置いて、それをすべての教育の基本として、国民のための自衛隊である、国民のために存在するのだという気持ちを、徹底させながら、そういう特殊な公務員である立場としての教育を行なっているということであります。
○東中委員 心がまえということを言われているのですが、特定の、あるいは特定の傾向の思想を導入するというか、そういうことではないのですか。
○山中国務大臣 まあ、もう少しお聞きしなければわからないのですが、要するに、わが国の言論による議会制民主主義というもののもとにおいて、わが国は基本法たる憲法を踏まえて成り立っておるわけでありますから、そういう範囲内のわが国の政治の問題について、自衛隊は投票権の行使以外の政治活動は、あらためて読むまでもなく禁止条項が一ぱいあります。したがって政治活動は禁止されております。したがって、教育についても、先般来、おたくの松本善明委員とやりとりしておりますが、過去にはずいぶん整理未熟でいろんなものがあったようです。私はすなおに受け取りまして、やっぱり指摘されたようなものについては、誤解を受けるし、好ましくない、したがって整理しようということでいまやらしております。これはきちんとけじめをつけますが、要するに私たち
 は、特定の政党を支持し、あるいは反対し、ということがはっきりと書かれてありますし、そのようなことのための教育ももちろん行なわないということであります。
○東中委員 ちょっと聞いておきたいのですが、「教育訓練に関する訓令」が三自衛隊に対してあるわけですが、陸上自衛隊関係の訓令では、すべての教育課程で「精神教育」というのは課程の中に入っているわけです。それから航空自衛隊も同じです。海上自衛隊では全然ないというふうになっているのですが、同じ防衛庁長官の訓令ですけれども、これは何か意味があるのですか。
○大西政府委員 事務的な問題でございますので、私からお答えを申し上げます。陸海空の自衛隊につきましてそれぞれ「教育訓練に関する訓令」というものがございます。その中で、書き方に精粗がございまして、海上自衛隊につきましては、陸上自衛隊のように別表の形で精神教育についての項目はあげておりませんが、これは別に通達の形で出しております。
○東中委員 そうすると、同じ「教育訓練に関する訓令」、同じ様式のいわば規則ですね、訓令では違うけれども、実体は一緒だ、こういうことだと思うのですが、それで、いま「自衛官の心がまえ」というふうにいわれて、「自衛官の心がまえ」は確かに出ているわけですが、これの教育課程として入れている以上は時間をとってそれぞれ教育するわけだと思うのですが、いま長官の言われた参考資料は、十三項目にわたっていま総点検をしておるということですが、参考資料のほかに何か資料があってやっておられるのか。参考資料だから、使用テキストがあって参考資料というふうに感じるわけですけれども、そういうものはなくて、参考資料だけが教育資料であったのかどうか、その点を……。
○大西政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、自衛隊の精神教育の根拠は自衛隊法にございまして、具体的に申し上げますと、自衛隊法の第三条の「自衛隊の任務」と五十二条の「服務の本旨」というところに具体的に書いております。それを受けまして、精神教育の準拠ともいうべき「自衛官の心がまえ」を作成して配布をいたしておりますが、これにつきましても、旧軍隊のたとえば軍人勅諭のようなものとは違いまして、項目のほかにかなり詳しい「解説」を付しております。したがいまして、この「解説」を読みますと、自衛隊の精神教育の輪郭というものは十分わかるようになっております。
 そこで、いま御質問がございました、参考書以外に準則みたいなものがあるかということでございますが、そういう意味におきまして、この「解説」も加えた「自衛官の心がまえ」が準則に該当するもので、ほかにはございません。
○東中委員 そうすると、この薄っぺらい「自衛官の心がまえ」及びその「解説」、これが旧軍隊の軍人勅諭に相当するというか、そういうものだ、これを中心としてやっておるんだということになるわけでありますが、この間言われた、参考資料について廃棄をするあるいは整理をする基準が十三項目あります。「憲法の理念に反するもの」「法令に反するもの」「「自衛官の心がまえ」に反するもの」から「シビリアン・コントロールの否定」とか「軍国主義の是認」とかあるいは「特定の政党を支持し、又は誹謗すること」、こういったことは廃止していくという十三項目がありますが、この十三項目は、参考資料を整理するという基準であるだけじゃなくて、当然精神教育の内容についての基準にもなるというふうに思うのですが、参考資料はいかぬけれども、そういう内容のことを教官なり講師が自衛隊に教育してもいいということではないと思うのですけれども、その点、長官いかがですか。
○山中国務大臣 これは各幕僚長に対して、私の決済を経て事務次官名をもって通達をさせましたが、それにも「自衛隊における精神教育は、憲法を尊重し、自衛隊法にのっとり、「自衛官の心がまえ」を基調として行われるべきものである。」ということであって、このほかに参考資料というようなものがあったために、それがきわめて古いもの等の文書その他のやりとりで議論があって、あらためて整理すべき基準を私のほうで示したものでありますから、間もなくこの作業を終わりますが、作業を終わったら報告もいたしますが、このきちんと整理された基準によって、今後は参考資料といえどもその範囲をはみ出すということのないようにするということであります。
○東中委員 これは「陸上自衛隊公報」昭和四十五年八月十五日に陸上幕僚監部から出されておるものでありますが、これによりますと、「陸上自衛隊の教育訓練実施に関する達の一部を改正する達」が載っております。これでは自衛隊の陸曹候補生のいわゆる「生徒課程の教育基準は、昭和四十五年三月二十四日以後に採用された陸曹候補者たる生徒に適用」するというふうになっておりますけれども、現在もこれはそのまま適用されておるのかどうか。
○大西政府委員 ただいまお読みになりました達の内容、私、確認しておりませんので、いま明確なことをちょっとお答えできません。
○東中委員 陸曹候補生課程における「精神教育」の到達基準、教育内容というものについてはいかがですか。
○大西政府委員 新隊員あるいは陸曹候補生または一般幹部候補生等についてそれぞれ課程を設けておりますので、その課程の中で精神教育の到達基準を定めております。
○東中委員 それによりますと、「生徒課程(前期)」でありますが、「精神教育」として「わが国の歴史伝統について考えさせ、愛国心をかん養する。」こういうのがあるんです。それから一般教養のところではまた、日本史というのがあるんです。こういう課程が組まれておるわけですね、これは第一学年ですが。精神教育としての歴史と、それから教養としての日本歴史、これは違うんですか。あるいは、どういうことでそういう項目を分けているのか。いかがですか。
○大西政府委員 自衛隊の任務はわが国を防衛することにございます。そこで、自衛隊の使命を理解させるためにわが国の伝統、文化、そういう問題についても教育をいたしておりますが、その素材として歴史を使用するということはございます。
○東中委員 いや、私が聞いているのはそういうことじゃなくて、日本歴史は日本歴史として教育課程の中に入っている。それから精神教育の中にも歴史と伝統というのが入っておる。それはとらえ方が違うということになるわけですわね。そうすると、精神教育としての歴史と一般教養としての歴史、これをカリキュラムの中で別々にしているというのは一体なぜか。そういう方針でやっておられることはここに出ておるわけですから、それは一体どういうことなのかということを聞いているのです。
○大西政府委員 生徒の教育におきましては、御承知のように学校教育法の高校と同じような教育内容で教育をしております。で、その中で歴史の課目というものがございます。そのほか、生徒は自衛官でございますので、自衛官としての倫理と申しますか心がまえというものを教える必要がありまして、これについては先ほど申し上げましたように、一般の自衛官と同じように、わが国の文化とかあるいは伝統というものを理解させる面で、その中で手段として歴史上のできごととかあるいは人物とかそういうものを引用する、そういう意味でございます。
○東中委員 そうすると、自衛隊の特殊な任務という点からいって歴史、伝統を引用する。引用される歴史、伝統とは一体何か。たとえば、先ほど言われた、一般教養の日本歴史というのは高等学校の生徒と同じようだ、これはわかります。しかし、それ以外のものということになれば、たとえば戦前の木口小平とかいろいろありました。そういう要するに歴史、伝統として取り上げてくるものは、素材として使うと言われたのですが、何を素材として使ってくるのかということになりますね。それはどこできめているのか、参考資料をなくしてしまえばですよ。心かまえには書いてないのですから、だから、どこでだれがどういう内容のものをきめているのかということをはっきりしてほしいのです。
○大西政府委員 ただいま参考資料をなくすということをおっしゃいましたけれども、参考資料の全部をなくするわけではございませんで、また精神教育の参考になる資料として中央から配っているもののほかに、それぞれ教官は、自分の考えに基づいていろいろの文献を読み、それを頭の中でこなして、「自衛官の心がまえ」の線に沿って教育をしているわけです。一々中央で、この部分を取り上げろとかこれを強調しろということを申しておりませんし、また、こういうわが国の文化、伝統を理解させるというような問題につきましてそういうことはふさわしくないのでございまして、やはり担当する教官が、自分の体験とかあるいは知識を踏まえて、それを十分頭の中でこなして、しかもそれを受ける生徒の側の理解力というようなものも勘案しながらやるわけでございまして、中央で一字一句限定したテキストを配るとかあるいは項目を取り上げるということはいたしておりません。
○東中委員 わが国の歴史、伝統を考えさせるといった場合、わが国の歴史、伝統をどういうふうにつかむかということが前提にあるわけでしょう。それを自衛隊としては、それは各人てんでんばらばらにさしているんだというそんな無責任なことはないでしょう。大体、そういうものを規定してやっていくということに問題があるんじゃないかということを私は言っているわけなんで、それがてんでんばらばらにやっておって、何をやっておるのかわからない。日本の歴史、伝統について、ある自衛隊ではこういうものだと思っておる、ある自衛隊は別のものだと思っておるということで、それぞれがかってに理解させる。しかもそれが職務行為としてやられ、職務行為として教育を受けているということになると、これはあなたの言われている、あるいは教育課程として書いてある、歴史、伝統について考えさせるといっているものとは全く違ったものになってきますね。この「自衛官の心がまえ」に歴史、伝統のことについては何も書いてないのですから。
○大西政府委員 ただいま申し上げましたように、一方において、生徒の教育においては高等学校の教育における歴史と同じようなものを、文部省の検定の教科書でやっているわけです。もちろん、それと無関係に教育が行なわれるというわけはございませんし、先ほど申し上げましたように、歴史を教えるということは、普通の教育と同じように歴史を体系的にやるそういう時間もございませんし、そういう必要はございません。先ほど来申し上げておりますように、文化とかあるいは伝統、要するにわが国というものを考える上において、歴史を歴史的な事実に即して考えるということが適当であるという判断でそういう指針を出しているわけでございます。
○東中委員 それは、歴史的な事実というのはとらえ方によって違うわけですよ。そうでしょう。だから、それをどういうとらえ方をしてやっているのかということが問題なんで、そういう点は全く隠している。ただそれが課目として出されているというところに問題があると言っているわけです。
 第二、第三学年についていうならば、「国家と国民の基本的関係を理解させる」というのがあるんです。「国家と国民の基本的関係」といえば何かわかったようなもののように聞こえますけれども、このとらえ方というのは、これこそ、それぞれ千差万別ですね。防衛庁が自衛隊員に国家と国民との関係について理解させるといっているその理解させる内容はどういうものなんですか。
○大西政府委員 私、その自衛隊の少年工科学校のレッスンプランをこまかく見ておりませんから、その意味合いにおいてのお答えはできないかもしれませんけれども、当然その基礎にあるのは日本国憲法でありまして、日本国憲法における国家と国民の関係を踏まえて話をするというふうに理解しております。
○東中委員 あなたは、ここでその内容を言うこと自体がなかなかむずかしくて言えないのでしょう。外から定義をしているだけで、そのものずばりの定義をしていないわけでしょう。国家と国民との関係とはこういうものだというふうに、あなたはいま一つも言っていないですね。ところが、その国家と国民との関係を理解させるのが職務であり、そういう教育を受けて理解するのが職務だということでカリキュラムも組まれているのでしょう。しかもそれはそれぞれにまかしておるというんじゃ、これは話にならないんで、あなたがそういうふうに考えておられるなら、国家と国民との関係は、あなたの言われておるその日本国憲法の考え方からいって一体どういうものだとしてつかんでいらっしゃるのか。自衛隊員に理解させようとしているのはどういうことなのかということを端的に言ってください。
○大西政府委員 一口に申しますと国民主権であるということでございます。
○東中委員 そうしたら、内容は国民主権だということで教育する、日本国憲法のたてまえを教育するというんだったらいいわけですね。ところがそうはなってなくて、あなたの言われているようなふうにはなってなくて、国家と国民の基本的関係を理解させて国家に対する忠誠心を涵養する、こうなっている。日本国憲法の内容を理解させるということでやっているんだということを、はっきりここで明言されますな。
○大西政府委員 その通達の内容をしさいに検討し、また具体的にそれをかみ砕いてどういうレッスンプランを個々に立てるか、私、確認しておりませんので、その点については明言できませんけれども、ただいま私が申し上げましたように、日本国憲法それから自衛隊法、「自衛官の心がまえ」というようなものを流れる思想を踏まえて担当者のほうでレッスンプランをつくってやっているというふうに考えております。
○東中委員 思想を踏まえてと言うが、その思想というのは、まさに国がその思想を踏まえて、その思想を話をするというようなことをやるということが問題だ。特に次の課目にいきますと、これは第二、第三学年の一項目「使命の自覚を深めるとともに、国家に対する忠誠心を核心とする堅確な」――これは自衛隊用語だと思うのですが、「堅確な志操をかん養する。これがため次を重視する。」それで、アが先ほど申し上げた「国家と国民の基本的関係」イは「民主主義と共産主義・社会主義・全体主義との関係を理解させる。」こう書いてあるのです。
 長官、民主主義と共産主義との関係というのはどういうふうに思っていらっしゃるのか。あるいは民主主義と社会主義との関係、理解させるわけですから、どういうふうに理解させるのですか。
○大西政府委員 現在は非常に価値観が多様な時代でございますし、また実際に民主主義という概念も非常にいろいろの意味合いを持っているわけです。そうして一方においては、共産主義に基づく国家というものが世界に現存している。そういうようなことで、やはり民主主義というものを――民主主義というのは、私か申し上げているのは日本国憲法の基調となっている民主主義、それとそれ以外の主義との相違といいますか、そういう点を説明することによって日本国憲法の民主主義というものをより明確に理解させる、そういうねらいでございます。
○東中委員 いよいよたいへんなことをおっしゃるわけですが、じゃ社会主義というのは――主義ですよ、社会主義国家の現状というような問題と違うのです。社会主義あるいは共産主義あるいは全体主義というものと民主主義とは違うのですか。違うというたてまえに立って教育しているということですか。そして、日本国憲法にいう民主主義ということをいま言われた。ここにはそんなことは書いてない。日本国憲法にいう民主主義じゃなくて、民主主義と社会主義あるいは共産主義あるいは全体主義との関係について理解させるのですから、どういう理解をさせるのですか。
○大西政府委員 基本は、先ほど来申し上げておりますように、わが国憲法それから自衛隊法、「自衛官の心がまえ」という線にのっとってやるわけでございますけれども、日本国憲法の民主主義というのも、一つの歴史的な存在としての民主主義であるわけです。人民民主主義という民主主義もあるわけでございます。そこで、これを学術的に一々その区別を申し上げるだけの能力は私はございませんけれども、一般的な概念として、あるいは一般的にいわれているところからこういうものだという程度の教育をやるという趣旨でございまして、ここで、かりに大学でやったとしても、そこら辺のところはなかなかむずかしい問題があると思います。
○東中委員 大学でやったってむずかしいというのは、それはあたりまえのことですよ。そういうものを「国家に対する忠誠心を核心とする堅確な志操をかん養する。」ために、共産主義と民主主義、あるいは民主主義と社会主義との関係を言う、こういうことになったら結論が出ておるわけですよ。ここで言っている民主主義というのは一体何かということも問題になりますけれども、関係ということになれば――しかも、先ほど言われたように、高等学校の生徒程度の教育を一方でやっておるところですね。そして精神教育としてはこういう形で問題を出している。主義、思想、どの主義はどういうものであるかというふうなことは、簡単に言えるものでもなければ、国が特定の公務員に対して職務として、民主主義はこういうもので共産主義はこういうものであるというふうなことを、その関係というものを職務行為として説明し、それを理解させること、理解することがまた義務になるというふうな教育というものは、これは考えられぬわけですね。あなた自身が説明できないでしょう。ここで堂々と説明してみなさいよ。大学でもなかなかむずかしいのだと言っている。大学でもむずかしいことを、一生かかったって、学者が専門的に研究したって、それはいろいろむずかしい問題ですね。それをこういう形でその関係を理解させること、そのことが「国家に対する忠誠心を核心とする堅確な志操をかん養する。」ことになるのだ、こういう立場での精神教育というのは、これは明らかに思想教育、思想動員、特定の思想に対してどういう判断をしているか知りませんけれども、否定しあるいは曲げる、あるいは端的に言えば反共的な関係の教育をしているとしか考えられぬわけですね。だから、あなたはここで、民主主義と共産主義、民主主義と社会主義、民主主義と全体主義との関係、自衛隊員に自覚させようとしているその関係というものは一体、こまかいことはいいです、これは相反するものだということで言っているのか、あるいはこれはそうじゃないという教育をしているのか、何を理解させようとしているのか、その点をはっきりここで答弁してください。
○大西政府委員 先ほどから申し上げておりますように、自衛隊の精神教育の中ではいろいろな分野がございまして、ただいまその思想の問題が非常に強調されておりますけれども、受ける者は御存じのように高校生でございます。したがって、一般的にこういうような言われ方がしているということが、一般的にはそういうことでございまして、そのときに、先ほど来私が申し上げておりますように、そこで書いている民主主義というのは日本国憲法の基礎であり、また日本国憲法に体現をされている民主主義でありまして、それとの比較において共産主義とかあるいは全体主義とかその他の思想の違いというものをごく常識的に理解させるというものでございます。
○東中委員 ごく常識的にとあなたが言っているものを言うてごらんなさい。どういう見解がごく常識的見解ですか、防衛庁として言うてごらんなさい。公的に教育をしている教育課目でしょう。理解させる内容でしょう。それがごく常識的なものだとあなたが言うんだったら、あなたが言う常識的なものだという内容を言うてごらんなさい。
○大西政府委員 日本国の憲法におきましては、先ほど申し上げましたように主権が国民にある、主権在民ということでございますね。それから基本的な人権については、旧憲法においては法律で留保しており、また国によっては法律で留保しているところもございますけれども、きわめて自由な形で基本的な人権が守られるような体制になっております。また、国際紛争を武力で解決しないというような理想もございますが、そういう日本国憲法の基礎になっている民主主義に対しまして、全体主義は国民を一つの権力者が支配をする、つまり個に対して全体を優先させるという考え方が基本になっているというふうに考えます。また、共産主義については、共産主義というものについても歴史的にいろいろ動いておりますけれども、まずわれわれが共産主義を理解するときには、マルクス、レーニンの著書というものから考えてまいりますと、そこに階級の対立とかあるいは国家観というものにおきましても、御承知のように――これは私か申し上げるのはたいへん恐縮に存じますけれども、階級支配の権力機構だという規定のしかたをしておりますもので、それと日本国憲法の基礎になっている民主主義というのは違うということでございます。
○東中委員 社会主義は……。
○大西政府委員 社会主義は、これも私が申し上げるのは恐縮ですけれども、いろいろな意味がございます。科学的な社会主義もあれば空想的な社会主義もある。むしろそういう意味においては社会主義と共産主義は同じかもしれません。しかしながら、現在共産主義と区別して使われている社会主義というのは、社会を漸進的に改良して社会主義に到達するという主義であるというふうに理解しております。
○東中委員 いま言われたのはあなたの常識的考え方ですね。あなたの常識的な考え方、いまここで言われたようなことを骨子にして自衛隊でそういうことを教育することが、国家機関としての自衛隊の仕事であり、今度は公務員としての自衛隊員がそれを理解することが仕事であるという関係にしているということですか。あなた、重大なことを言っておられるのですよ。第一、国家が支配と被支配の関係であるなんというのは、政治学の教科書見てごらんなさい、マルクス・レーニン主義者じゃなくたって、たくさん言っていますよ。むしろ通説でしょう。あなたの言ういわゆる日本国憲法の民主主義といっている――国家というのは本質的にどういうものなのかということになれば、被支配の関係であるというのは、いわゆるブルジョワ政治学の学者はみんな言っています。言っていない人は、皇国史観に立っている人は別ですけれども、むしろそれは特異です。それと、なぜ共産主義、社会主義、全体主義だけを取り上げたのか、どういうことですか。
○大西政府委員 すでに死んでいる思想は別といたしまして、これらの思想は最近まで生きておったものもありますし、あるいは現に生きている思想、つまりわれわれの身近にある思想というふうに考えられるからであります。
 それから、ただいま国家の問題が出ましたけれども、国家が統治機構というものを持っているということは、それは当然のことだと思います。
○東中委員 そうすると、あなた方はこういう社会主義なり共産主義なりというものを取り上げて、そしてあなたのことばによれば憲法がうたっておる民主主義というのですか、あるいは憲法の背景になっている民主主義というものとは違うということ、その関係について理解させると言うのだから――違うということをあなた、いま言われた。そういう教育を国としてやるのが、そしてそれを理解させるのが自衛隊の職務行為になってくるという形でやっておるということ、いまそういうふうに言われたわけですか、そういうふうに聞いてよろしいですか。
○大西政府委員 職務行為ということばが私ちょっと理解ができませんけれども、自衛隊は、御承知のようにわが国の憲法に基づいて、憲法の定める手続に従って、つまり国会の議決を経て成立をした自衛隊法に基づいてできているわけであります。したがって、そこで自衛隊が任務を与えられておるわけでございますけれども、その関係において自衛隊の任務、つまり自衛隊員の職責というものは、日本国憲法によって定められた、わが国というものを守るということにあるわけで、それを理解させる上において、いろいろの主義主張というものがわれわれのまわりにあるわけですから、その相違を理解させるということでございます。
○東中委員 長官にお伺いしておきたいのですが、いま参事官の話を聞いておりますと、こういう共産主義、社会主義あるいは全体主義、参事官が常識的に考えておるということと、これは何かよくわかりませんけれども、いわゆる民主主義というものとの関係を理解させることが、自衛隊の忠誠心を核心とする堅固なる志操を涵養するために必要なんだという立場、これをとっておるわけですが、長官、そういうことでいいとお思いですか。事は思想なんですからね。先ほど言いました、自衛隊公報第一六七三号、昭和四十五年八月十五日土曜日、陸上幕僚監部発行の公報です。そこに載っておる陸上自衛隊の教育訓練実施に関する達の一部を改正する達、陸上幕僚長陸将山田正雄、陸上自衛隊達第一一〇−一−八号、その中に「生徒課程」の教育基準として項目がずっと書いてある。そして「教育実施上の準拠」の中に、いま言った第二、第三学年、「国家と国民の基本的関係を理解させる」とか、先ほど言ったようなことが書いてある。これの内容は詳細には見てこなかったけれどもと言っておるが、これ自体の存在は否定されていない、こういうものです。そして大体、その主義、思想の関係を理解させるというふうなことが精神教育についてやられることによって、志操堅固になったとか、国家に対する忠誠心が高まってくるのだ。――共産主義と民主主義との関係を理解することがどうして国家に対する忠誠心を高め、そして堅確な志操を涵養することになるのか。これはまさに思想教育をやっておるわけですね。こういう体系でいいのかどうか。
 長官御存じないようですけれども、いまの論議を聞いておられて、これじゃ自衛隊が思想教育をやっていることになりますよ。しかも、きわめて常識的にという形で特定の――思想なんというものは、そういう常識的にきめつけてやるようなものじゃないのですね、本来、性質は。思想、良心の自由というのは憲法で保障されているわけですよ。自衛隊員といえども保障されているわけですよ、基本的人権なんですから。それを職務行為としてやる、職業としていろんな戦術上の訓練を受ける、通信訓練を受ける、あるいは匍匐前進をやる、これは、肯定するかどうかは別として、それはわかります。しかし、思想、良心の自由という内心の問題について、思考問題についてこういう、共産主義とか民主主義とか社会主義とかいうことの関係をいうことによって、それが国家に対する忠誠心を高めることになるんだという、こういう自衛隊のあり方というものあるいは教育のあり方というもの、これは根本的に考えなければいかぬ問題ではないか。大学でいろいろそれぞれの見解、学説に立って講義をする。それは聞きに行く人は、聞きたければ聞けばいいんだし、いやなら聞かなければいいんだから。そういう性質のものです。職務行為として公務員に対する、それを理解することが義務だという形で出されてくるというところに重大な問題がある、こう思うのですが、長官ひとつ……。
 あともう一点だけ申し上げて、その点についての検討をしてもらいたいと思うのですが、たとえば猪木正道氏、防衛大学校の校長さんでありますが、この人の出している、これは隊内資料でありますが、「防衛を考える」というのと合わせて「政治思想について」というのがあります。これはコピーしたものでありますけれども、これを見てみると、「政治思想というと、諸君はすぐに、たとえばマルクス主義であるとか共産主義であるとか、あるいは社会主義であるとか無政府主義であるとかを考えると思います。しかし政治思想はほかにもたくさんありますから、一回で一通りお話をするということになると、それはほとんど不可能です。そこで重要な点だけを取り上げて、私の考え方を諸君にお話して、諸君の勉強の助けにしてもらいたいと思います。」ということで、これは校長としての講義あるいは訓話か、まさに精神教育じゃないかと思うのですが、こう言っている。これを見ますと、こういうことになっていますよ。
 保守主義と自由主義というのは、人類数千年間の歴史の結晶のような思想で、これはいいものであるという論旨です。もっともっと学ぶべき点がある。日本では保守主義と自由主義を名のっているのは自由民主党である。一方、共産主義については、「共産主義とは何か、ということならば、十分ぐらいでその内容をいえます。これは一人か二人、あるいは三人ぐらいの人が考えたことですから、この内容はどうせそうたいしたことはない」こういう話であります。さらに、「プロレタリア革命が起こって、それからプロレタリアート独裁がはじまる。プロレタリアート独裁といっても、実はプロレタリアート独裁という名の下に共産党が独裁するわけです。」「共産党の独裁とは、実は共産党の中央委員会の独裁であり、またその実態は共産党のボスの独裁である」、はっきりそう言っております。しかもそれが印刷にしてあるわけです。さらに、共産主義とは、狭い意味の民主主義を推し進めるためのものである、これはヒットラーの考え方、すなわちファシズムも、現在の共産主義思想とたいへんよく似ている、こういう発言があります。さらに「現代の共産主義とは何ぞや」「私は、それは“共産党”である、と答えたらいいと思います。」というように言っています。
 ここで、先ほど共産主義と書いてあるけれども、一方では防大の校長が、共産主義とは「それは“共産党”である、と答えたらいいと思います。」「共産党というのは、国会には十四議席しかありませんけれども、党員の数は三十万人もおりまして、」「これはたいへん特異な――まあ政党といっても普通の政党ではない――政党なのです。これは、秘密の戦闘集団であるという性格をもっております。」とやっているんですよ。
 これは、防大の校長が防大生にやっておってこれなんですから、これがさっき言ったカリキュラムで民主主義と共産主義との関係、それを理解させることが国家に対する忠誠心を高めるものである、こういうことになってくると、これは自衛隊というのは、この前、特定政党を誹謗しあるいは特定の政党を支持するというような参考資料は排除するというふうに言われた点からいって、これは明らかにおかしいじゃないか。その点長官、そういう考え方を持っている人がおるなら、それはいいですよ。個人でそう思っている……それは、ぼくは間違っていると思うし、哀れな主張をしていると思います。それはそれぞれの考え方の自由でいいでしょうけれども、それを防衛大学の校長として、一学者としての見解じゃなくて校長として、そして職務行為として自衛隊員にそれを理解させる、自衛隊員がそれを理解しなければいけないんだということになったら、これは反共集団の、あるいは反共産党の立場での自衛隊づくり、それが国への忠誠心を涵養することになるんだ、こういうことになっていくと思うのです。長官、どうでしょう。
○山中国務大臣 第一点は、調べてみます。
 それから第二点の、猪木正道校長は、これは学者でありますし、防衛大学生は自衛官ではありませんで、卒業して、いやなら任官拒否もいたします。大体、自由な言論というものが学者には保障されていいと思うのですけれども、しかし、わが国の憲法というものは議会制民主主義、言論による政治というものを前提として、憲法の精神を踏まえてのわが国の政治形態がいまの政治形態であると思うのです。したがって、その限りにおいては、現在の政治形態のもとの合法性というものについて、特定の政党について誹謗をするための教育はしない。しかし現行議会制民主主義、言論政治というものに対して全く相いれないであろう極右極左、全体主義あるいはマルクス・レーニン主義というようなものは、わが国の憲法からこれは相いれないものであるということは、私は当然だと思うのです。
 それらの問題について、松本善明委員からの要望に対してこたえるべく通達も出して、いま整理中でありますから、第一点の問題は、調べた後でないと何ともお答えができかねます。
○東中委員 第一点の問題というのは、先ほど言った、国家と国民の基本関係を理解させる、あるいはさせる等により国家に対する忠誠心を涵養するとか、あるいは民主主義と共産主義、社会主義と全体主義との関係を理解させることによって国家に対する忠誠心を核心とする堅確な志繰を涵養するとか、これが、個人のそういう見解を持っているというんじゃなくて、教育実施上の基準として書かれておるということ、ここが非常に問題なんですがね、国の制度として。しかもこれは、長官の訓令の具体化ということで事務局がつくられているんですから、検討すると言われたんですけれども、この内容自体は事実あるわけですから、長官、実際どういうように思われるか、その見解をはっきり聞かしていただきたい。
○山中国務大臣 これはちょっと調べてみないと、私のほうはいま持っていませんし、答弁のしようがありませんが、やはり慎まなければならない範囲というものはおのずからきまっていると思うんですね。だから日本共産党・革新共同のほうでも、いままでそんなことはされなかったのですか、赤旗で京都の参議院補欠選挙について――京都府下には福知山、それから舞鶴等、自衛官がたくさんおります。したがって、この際、共産党の、自衛隊に対する政策を明らかにしておく必要があるということで、そして、あなたたちの上官のほうはどんどん天下りしていくけれども、あなたたちは対米従属の犠牲者であって、そして四十歳代でやめさせられる。――これは予算上もちゃんと措置して、五十歳までやめさせないようにしてあるのですけれども、そこらは事実とも違うわけですが、そういう呼びかけをされたことは初めてなんですね。私ども、これは意外に受け取りましたし、だからそういうことも、やはりどうかなと思う行為だと思うのです。だから私どもとしては、事実関係は調べますが、こういう問題はやはり冷静に考えて、日本の国の将来長きにわたって、自衛隊というものの存在というものが論議を呼ばないような形にしたい、そう思います。
○東中委員 たいへんなことをおっしゃっているんですがね。まさにそれこそ政治活動、言論の自由の範囲内のことであって、そうして自衛隊というものは、われわれは憲法違反の問題だ、だから、憲法違反の武力部隊が実際存在していることは事実ですから、それについてわれわれの見解を言おう、これはあたりまえのことだと思っております。
 ただ、いま長官が、マルクス・レーニン主義は日本国憲法と違うという趣旨のことを言われました。日本国憲法というのは制度なんですから、その制度の中では思想、良心、言論の自由を認めているわけでしょう。だから国家としては当然そういう立場でなければいけない、これが日本国憲法のたてまえでしょう。日本国憲法を守るのだったら、当然、そのマルクス・レーニン主義に対して国家として見解を言うのではなくて、それはそういう言論も介入をしない、そういう思想に対して国家として特定の行動をするということは、弾圧とかなんとかということは許されない、これが日本国憲法のたてまえじゃないですか。それが日本国憲法の民主主義の趣旨じゃないですか。だから、まさにその逆のことを言われているのであって、ところが、国家として、公務員として特定の思想について、こういう思想のとらえ方を――これは必ずしも十分じゃないですがね、共産主義のことを言うのだったら、共産主義とは共産党だという人も現におるわけですから、だから共産党が言っていることが共産主義なんであって、それだったら、主義の内容を知りたいのだったらわれわれに聞けばいいわけなんで、それをかってにいろいろ言うというのは、それは自由民主党の立場からものを言っているだけのことなんですから、だから特定の立場に立って共産主義あるいは社会主義、それといわゆる民主主義との関係なんということをいって、それに対して、それを理解させることが忠誠心を涵養していくというようなことになるのだという、こういうあり方自体は、これは思想に対して国家権力が介入していく、自衛隊員にとってそうであると同時に、今度は一般的に思想自体に対して国家が介入してくるという二つの問題があると思うのです。これは根本的に検討して、こういうことは、いま局長の言ったような、思想を常識的に歪曲するということの前提に立ってやるというようなことは許されない、こう思います。時間がありませんので、ひとつ検討をして調べてもらって、はっきりした処置をとってもらいたい。要望しておきます。
○山中国務大臣 もちろん、調べた上でないと確たる答弁はできませんから、調べます。
 しかし、猪木先生がどう言われたかということは別にして、学者はいろいろなことを、なるべく自由にしてあげたほうがいいと思うのです。しかしながら、マルクス・レーニン主義は共産党であるとかなんとか言っておられたというのですが、しかし、それは最近、だいぶ違いますね。共産党の人たちも、現時点では自衛隊は認めるというようなことも言っておられますから、先ほど、憲法違反で認めぬとおっしゃいましたけれども、それはどっちが本音なのか、そこら、いろいろ変わりますしね。(東中委員「変わってないですよ。」と呼ぶ)いや、だいぶ変わりましてね、プロセスが非常に大事なんですね。終着駅は何だという議論もやはりあると思うのです。しかし、やはりそれは、合法政党日本共産党・革新共同を誹謗するような教育をしてはならぬ、これはそのとおりだと思う。しかし、マルクス・レーニン主義というものはわが国の憲法の議会制民主主義とは相いれざるものである、このことはまた明らかであります。
○東中委員 そういうふうに自民党の山中貞則氏は考えておるというだけのことなんですよ。だから、まさにそういう思想とか考え方というのは立場によって違うんだから、それを国家機関の中で義務づけて教育するとかなんとかいうことをやるのは、これは自衛隊としてあり得べからざることだ、けしからぬことだ、こうわれわれは思うわけです。その点ははっきりしておく。
 それからもう一つ、猪木正道氏が学者として個人的見解を言っているというのは、これはどうこう言っているわけじゃないのです。ただ、校長として、もし自衛隊員の精神教育としてそういうことを言っておるとすれば、これは必ずしもはっきりしないわけです。防大生は自衛隊員そのものじゃないから、これは違うということはわかっていますけれども、しかし、そういう防大の校長が言っておるようなことを隊内で言えば、当然あの基準からいけば、もっとひどいことになっているだろうという推測をするにかたくないですね。そういう点を言っているわけです。これを強く――事実を知らぬと言われるのだったら調べて、対処して改めるべきだ。
 以上です。
○臼井委員長 次は、坂井弘一君。
○坂井委員 最初にあらまし伺っておきますが、防衛医料大学校が本年度から開校されました。入学者の定数が八十人でございますが、実際入学した学生が非常に少ない。いま実数、何名なんでしょうか。数だけでけっこうであります。
○山中国務大臣 四十六名でございます。
○坂井委員 この原因でございますが、御説明を伺ったのですが、私には非常に理解がしがたいのであります。ずいぶん応募数が多かったのですね、三千四百五十九名。で、合格数が八十三名、補欠が七十三名。
    〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
 ところが、辞退が相次ぎまして、補欠の中から十名加えまして、現在の入学数が四十六名、こういうことだそうでございますけれども、原因は何なのでしょうか。
○山中国務大臣 まず最大の原因は、私どもの見方が甘かったということであります。ということは、試験に際して腕だめしに一ちょう受けてやろうか、あるいはすべりどめと俗にいいますね、そういうつもりで応募した者がだいぶいたらしい。しかもきわめて成績の優秀な者が多かったものでありますから、これはまさかと思っていたのですけれども、実はこのきわめて優秀な成績の諸君が、東大その他のほうに一緒に受かっておりまして行ってしまった、そういうようなことで、補欠まで募集をいたしました。結果としては四十六名でありますが、御承知のようにいろいろな建設工事その他がおくれまして、当初入間基地の隊舎を借りて教育したりなどいたしまして、教育資材、設備その他環境かたいへん悪うございますので――これを八十名にしようと思えば可能なわけであります。応募者の数から考えて八十名にはできるわけでございますが、この際五十名前後で打ち切って、それでもって、最初の入校生でありますし、むしろこれを集中的に優秀なものとして、なるべくマン・ツー・マン方式の教育ができるような意味でとらえて、それ以上の合格発表を追加してやらないということをきめたわけであります。したがって、本来八十名で発足すべきところ四十六名というものは、私どもの見込み違いというものはいま言ったような点の見込み違いでありまして、それを埋めようと思えば簡単でありますが、この際それを四十六名でとどめて、そして教育の充実をはかって逐次それを向上させていこう、こういうつもりであります。しかし、ことしの教訓は、来年は十分生かしてまいりたいと思います。
○坂井委員 たいへん甘かったというようなこと、あるいは腕だめしということをおっしゃっているのですけれども、来年はだいじょうぶでしょうか。私は、実はこの理由は、原因はもっと深いのじゃないかなという感じがするわけなんですね。
    〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
 先ほどの長官のいろいろな御答弁の中でも、やはり自衛隊に対する国民的な考え方の中からくるそうした自衛隊そのものに対する考え方、その辺の迷い、そういうものが、こうした実際の入学者が少ない――半分ですね。こういうことは他の大学においてはかつてなかったし、自治医大なんかのこともおっしゃっておるようでありますけれども、これでもやはり開校時においても一〇〇%入っていますね。もちろん同じように、県の指定するいわゆる無医地区に九年間の勤務が義務づけられておる。条件においては同じだと思うのです。そういうことから考えまして、次の対策としては、来年度は募集日程を全般的に早めるようにしたいというようなことが対策の中にあるようですけれども、単にそれだけの対策でもってはたしてこの防衛医科大学を満足な状態に置くことができるかどうか。いままで申しましたような私の考え、非常に私自身も真因がつかみかねるわけでありますけれども、そういう点をあわせ考えなければ、せっかくのこの大学が所期の目的を果たすことができないのではないか。したがって、長官としても、こうした真因を究明する中で次の対策をこれは慎重に考えなければならぬのじゃないかというように、実は私は思うわけです。
 そういう点をひとつよくお考えいただきたいということで、一つだけ、学生に対する手当あるいは食事の問題とか宿舎、衣服等、これは無料で支給いたしておりますけれども、かなりの不用額を生ずるのではないかと思うのです。その点についてはどうされますか。予算措置に対します実際の入学者が少ないために起こるところの予算上の不用について。
○山中国務大臣 まず第一点の、これは考えろというお話でしたから答弁しなくてもいいことであるかもしれませんが、私もその点は、やはりおっしゃることも十分参考にしなければならぬと思います。ただ、私どもも、八十名、一〇〇%にしようと思えばできたんだ。これはできます。しかし、それはやらなかったんだということだけは理解していただきたいと思います。
 やはりいまの若い諸君が、医者といえども将来医官たる自衛官になるんだということになると、普通の医科大学校でやらない教育訓練、執銃訓練なども加えてやらされるだろうというようなことなどを考えると、やはりおっくうだなという、魅力よりもしり込みする要件のほうが多いのかもしれぬ。ここらは謙虚に来年度からひとつ考えてみたいと思って、検討開始を命じております。
 それから、いまの予算については、人頭割り経費を計上しておりますから、人頭割りの分については、もちろんそれは、人頭割りの達しなかった分については国庫に対して不用額をもって立てて、結果、返納という形にしなければならぬと思います。
○坂井委員 では、医科大学校については慎重に御検討いただくということにいたしまして、次に、実は航空機の減耗状況についてでございますけれども、かなり減耗が出ているようであります。
 そこで、四十五年、四十六年、四十七年度、三年間、陸海空に分けまして、それぞれトータルでけっこうでございますが、件数と金額を御説明いただきたいと思います。
○山口政府委員 昭和四十五年度から四十七年度までにつきまして申し上げますと、これは事故によりまして破壊されてしまったもの、つまりいわゆる喪失状態になっておるもの、あるいは耐用年数等が来まして老齢機として用途廃止したもの、合計いたしますと四十五年度で三十二機でございます。四十六年度二十八機、四十七年度六十五機、合計いたしまして現在百二十五機というような状態になっております。
 また金額でございますが、このような破壊あるいは用途廃止というものを含めまして、またその他航空機全般につきましては、国有財産でございますので、大体五年ごとに評価がえをするたてまえをとっております。このような評価がえを全部含めまして計算をいたしますと、実際に書面上に減耗として出てまいります金額は、四十五年度に全体で約九百八十億円、四十六年度に、これは評価がえの時期に当たりませんので少なくて八億四千万円、四十七年度には七億七千万円というような状況でございます。特に四十五年度に多いのは、繰り返すようでございますが、九百八十億円の中で約九百五十億円程度が評価がえでございまして、残りが減耗というふうに計算しております。
○坂井委員 この減耗の理由でございますけれども、返還、取りこわし、それから喪失。なお、いまの価格改定、これは四十五年度にありますが、返還と取りこわし、これは別といたしまして、喪失というのは墜落でございまますか。なお、喪失の分につきまして、原因別に件数と金額をひとつ御説明いただきたい。
○山口政府委員 喪失は、法規的にいいますと、国有財産台帳からも落ちますし、それからまた残存の物品としても計上されず、すなわち形がなくなるような状態でおりますので、航空機の場合でございますから、墜落、海没等でございます。取りこわしは国有財産台帳からは落ちますが、物品に変わりまして、物品台帳にのぼってくるというようなものでございます。その内容につきましては、関係者のほうから御説明いたします。
○大西政府委員 喪失の原因について申し上げます。
 四十五年から四十七年度までの喪失の原因となっている航空機の大事故の件数は二十九件でございますが、その原因別の内訳を申し上げますと、操縦上の過誤によるもの十二件、監督上の過誤によるもの三件、器材の欠陥によるもの八件、整備上の過誤によるもの二件、気象の急変によるもの一件、原因不明三件となっております。なお、航空機の機数との関係では、最初の操縦上の過誤による十二件に該当する機数が十三機であるほかは、件数と機数は一致しております。
○山口政府委員 先ほどの御答弁の中で金額を落としましたので、簡単に申し上げますと、先生は喪失というふうに限定されましたが、取りこわし等も、実際にこれは事故によりまして取りこわしというものがございますので、ただいま参事官のほうから御説明しましたように、いわゆる航空事故による減耗機数として把握いたしますと、昭和四十五年度十二機でございますが、この金額は十五億四千三百万円でございます。四十六年度は十一機、六億四千万円、四十七年度は七機、二億七千五百万円。この三年間合計しまして、三十機、二十四億六千万円というふうに計算しております。
○坂井委員 数がたいへん多うございますね。取りこわし必中にも墜落というのがあるのですか。それはございませんか。
○山口政府委員 墜落と申しましても、海没してしまって手に入らないものはございませんが、いわゆる物品として回収し得たものは取りこわしの範囲にございます。
○坂井委員 それは何件ございますか。
○山口政府委員 個々の件数につきまして、明細に調べたいと思います。現在、取りこわしの中で、墜落によって取りこわしたもの、その他によって取りこわしたもの、明確でございませんので、その点は調査いたします。
○坂井委員 では、喪失ではっきりしました墜落あるいは海没でございますね、二十九件ということですね。いまお聞きいたしますと、操縦上の問題、それから監督上の問題、次に機体の整備の不備でございますか、八件は機体の欠陥と受け取ってよろしゅうございますか。
○大西政府委員 それは器材の欠陥でございまして、機体の中のある部分の器材に欠陥があったことに起因するという意味でございます。
○山口政府委員 ただいまの八件の器材の欠陥と称せられるものでございますが、そのうち四件はF86Fでございまして、御承知のとおりF86Fは、取得年度はたしか昭和三十年度から三十五年度まででございますか、かなり老朽化したものでございますが、その材質上いろいろと老朽化が進んでまいりましてこのような欠陥を起こしたものというふうに考えております。残りの四機はバートル107とMU2、T34でございます。バートル107が二機、MU2一機、T34一機というようなものが含まれております。
○坂井委員 器材の欠陥といいましても、これは墜落ということに結びついた重要な欠陥だ。だから、飛行機全体の状態から見まして、この器材の欠陥が、墜落という事故を起こすに至った非常に重要な欠陥であったと見なければならぬと思うわけです。
 いま二十九件と御説明ございましたが、私のほうから一応申し上げますから御確認いただきたいと思います。
 四十五年度、航空自衛隊、F104J、これが一機、金額といたしまして二億九千七百二十八万二千円。次にF86F、これが喪失が二機、これは金額が、あと取りこわしの一機がございまして、合わせますと四千三百十八万五千円。次にT33A一機、五百五十万四千円。それからT34、これが喪失が一機、取りこわしが一機、合わせまして四百七万四千円。それからMU2、これは喪失です。一機、一億八千六百一万二千円。これが四十五年度における喪失であります。したがって、この喪失は全部で五機になると思います。
 次に、四十六年度、四十六年度は陸上自衛隊におきましてV107一機喪失、三千一二百五十九万九千円。海上自衛隊におきましてはP2V7、これは返還と喪失、取りこわし、三機になっておりますから、喪失は一機でございますか、三機の合計が二億五千七百十三万五千円。それから次に航空自衛隊、F04J三機喪失、三億一千七百四十六万六千円。次にF86F三機喪失、三千二百九十八万八千円。次にRF86F一機喪失、一千二百十三万三千円。次にT33A一機喪失、五百五十万四千円。したがって、四十六年度には、合わせますと十一機喪失ということになると思います。
 四十七年度、これは海上自衛隊におきまして、P2V7一機喪失、九千六百四十五万五千円。それから航空自衛隊におきましてはF104J、これが三機となっておりますが、喪失は一機で、取りこわしが二機かと思います。合わせまして一億七千六百十五万四千円。次にF86F、これは四機喪失、四千三百九十九万六千円。それからT1一機喪失、これが千六百万円。それからV107一機喪失、七千六百六十七万一千円。四十七年度をトータルいたしますと、八機喪失。
 以上御確認をいただきたいと思います。
○山口政府委員 ただいま先生御指摘の中で、四十五年度でございますが、たしかいま五機と御指摘ありましたが、私のほうの計算では喪失六機というふうに考えます。
 それから四十七年度におきましては、私の計算では七機でございます。もう一ぺん確認しますと、御指摘の海上自衛隊でP2V7が一機、それからF104が一機、F86Fが三機、それからT1が一機、バートル107が一機ということでございまして、合計七機になろうかと思います。
○坂井委員 そういたしますと、いずれにしましてもトータルでは二十四機ということになりますか。
○山口政府委員 喪失は三年間で二十四機でございます。
○坂井委員 このトータル金額は出ませんか。
○山口政府委員 ただいますぐ計算すれば出ます。
○坂井委員 じゃ後ほどにお願いします。
 人命の損傷でございますが、いかがなことになっておりますでしょうか。
○大西政府委員 四十五年度が十名死亡、四十六年度が二十四名死亡、四十七年度が十二名死亡ということになっております。そのほかに重傷が若干おりますが、死亡だけ申し上げました。
○坂井委員 たいへんな人命を失ったわけですね。ここで私は非常に注目しなければならないと思いますことは、先ほど申した機体の欠陥です。
 一つ事例を申し上げますが、いま申し上げました機種の中には欠陥機がありましたね。ずいぶん御検討をされたと思いますけれども、欠陥機の機種名をまず明らかにしていただきたいと思います。その上でその内容についても触れたいと思います。まず機種名をおっしゃっていただきたい。
○山口政府委員 器材の欠陥による八件につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、四十五年度、六年度、七年度を通じまして、F86F、これがこの八件のうち四件を占めております。それからバートル107、これが二件でございます。あと一件ずつMU2及びT34、合計八件の機種でございます。
○坂井委員 では、まずその中のバートル107、V107でございますね、二機、これはいつの事故でございますか。なお、その内容についてもあらましお伺いしたいと思います。
○大西政府委員 バートルは、昭和四十六年の三月一日とそれから昭和四十六年の十一月十二日でございます。
 器材の状況につきましてこまかい資料、申しわけありませんが現在持っておりませんが、これはパイロンと申しまして、飛行機の回転翼のうしろのほうの部分のつけ根のところが、振動によってはがれまして、そうして回転翼の回転が正常な回転を失って機体を傷つける、その結果機体が破壊をして落ちたというのが、四十六年の三月に起こった事故でございます。
 それから四十六年の十一月に熊本で起こった事故につきましては、ちょっと私の手元に資料がございませんので、あとで取り寄せて御報告いたします。
○山口政府委員 先ほどの喪失機につきましての金額でございますが、合計しまして十四億四千万円でございます。
○大西政府委員 バートルの事故の器材の欠陥の態様を申し上げます。
 先ほど私が記憶で申し上げた点に事故の取り違えがございましたので、それを訂正させていただいて、ただいま申し上げたいと思います。
 四十六年の三月一日の事故は、SASと申しまして操縦安定装置の空気圧を受けるところ、空気圧受感部と申しますが、そこの配管が摩粍によって穴があきまして、そこで操縦安定装置が正常に作動しなかったということによるものでございます。
 それから四十六年の十一月十二日のバートルの事故は、先ほど申し上げましたが、後部回転翼台座、これはパイロンと申しておりますが、そのパイロンが疲労をいたしまして破壊をする、その結果ブレードが切れたという原因ではなかろうかというふうに推定をいたしております。
○坂井委員 バートル107はどこでつくりましたか。
○山口政府委員 川崎重工業でございます。
○坂井委員 これは、もともと開発は米国のボーイング・バートル社ですね。いま国産で川崎重工でつくっておる。これは自衛隊の主力大型ヘリですね。二十六人武装兵員を搭載できる。現在主力ヘリ、大型ヘリとして採用されているということでございますけれども、現有機は何機でしょうか。
○山口政府委員 バートルにつきましては、御承知のとおり各自衛隊におきまして使用しております。したがいまして、各自衛隊につきまして申し上げますと、四十八年度末の保有量、すなわちことしの三月末保有量で申し上げますと、陸上自衛隊におきましては、バートル川三十九機、バートル107A、改造機でございますが、四機。それから海上自衛隊におきましては、バートル107を掃海用として使っておりますが、このバートル107が二機、バートル107Aが五機でございます。次に航空自衛隊でございますが、航空自衛隊ではこれを救難用に使っておりまして、バートル107十五機、バートル107A一機、以上でございます。これが三月末の保有量でございます。
○坂井委員 そういたしますと、陸上ではトータルで四十三、海上が七、航空が十六という機数になると思いますが、なお四次防におきまして、原案においてはこのバートル107、何機くらい購入する予定になっておりますか。
○山口政府委員 バートル107につきましては、それほど大きい代表的な機でございませんので、特に主要項目でありますとか、これらのところに数字としては掲げておりませんが、これは毎年度の予算によりまして機数が認められてきておりますが、一応の予定として考えておりますのは、陸上自衛隊におきましてのバートル107は、現在では、四次防全体として契約調達予定は四十七、四十八、四十九年度で十機。それから海上自衛隊につきましては、予定としましては四次防全体で五機、このうちで四十九年度までに一応三機と予定しておりますので、あと二機残っております。航空自衛隊におきましては、107は契約予定としましては十二機の予定です。以上のような予定でおります。
○坂井委員 そういたしますと、先ほどの四十八年度末でバートル107の現有機数がトータルいたしますと六十六機かと思いますが、さらにこの四次防の完成末の予定しております機数は何機になりますか、現有機と合わせますと。
 いまわからなければけっこうです。あとでお調べいただきまして、お願いいたします。
○山口政府委員 正確にはこれは予算上の問題でありますが、予定としましてはあと約十七機くらいかと思います。
○坂井委員 そうしますと合わせますと八十三機ということになるわけですね。
 問題はバートル107の墜落事故でありますが、最初四十六年三月一日とおっしゃいました。次の事故が四十六年十一月十二日。原因につきましては、先ほどのようなことが原因であったようでありますか、非常に大きな欠陥――私ははっきり欠陥機だと思うのです。そのあとで事故ございませんか。四十七年度におきまして航空自衛隊、これで一機喪失したと思うのですが、これはいかがでしょう。
○大西政府委員 四十七年の八月八日に大事故がございまして、一機喪失しております。
○坂井委員 合わせて、バートル107につきましては三機、こういうことになりますか、この三年間におきまして。
○大西政府委員 そのとおりでございます。
○坂井委員 実は、この四十六年度におきます事故が二件相次いだバートル107は、川崎重工でつくっております大型ヘリ、これは自衛隊の主力ヘリコプターですね。非常に重要な欠陥があるのではないか。一時、訓練等も中止されて、原因の究明等に当たられたようでありますけれども、それがその後また四十七年続いて事故を起こした。事故でなくて墜落ですね。この四十七年八月八日の墜落は、原因は何ですか。
○大西政府委員 四十七年の八月八日の航空自衛隊のV107は救難機でございまして、当日夜間墜落をした米軍機の捜索救難活動中接水をして炎上海没をしたということでございまして、機体が海没をいたしましたので、原因は必ずしも確定はできませんけれども、操縦上のミスがあったのではないかというような推定をいたしております。
○坂井委員 そうすると、原因別の中の操縦上のミスという中に入っておるのでしょうか。原因不明の中の一機に入るのでしょうか。
○大西政府委員 原因不明の中には入っておりませんで、操縦上の過誤の中に入っております。
○坂井委員 これは必ずしも操縦上の過誤ということが確認されたわけじゃありませんね。やはり機体あるいは器材の欠陥ということもかなり考えられるのじゃないかと思いますね。
 いずれにいたしましても、これは相当連続してこういう重大な事故になったということ、この点については、これはやはり欠陥の内容をもっと慎重に検討されて対策を講じなければならぬのではないかと思われますが、なおMU2が一機、T34が一機ございますが、これはどういう原因でしょう。
○大西政府委員 MU2は、これも新田原の救難隊の所属でございますが、飛行中に片肺が停止をいたしまして推力が下がって墜落をしたという状況でございます。それからT34は離陸直後に、これも器材の不調によって墜落したということでございます。
○坂井委員 MU2は遭難の捜索機ですね。これは三菱重工が自主開発している機種でしょうか。
○山口政府委員 そのとおりでございます。
○坂井委員 これは三菱重工に対しまして、その後この事故にかんがみて何らかの検討ないし調査なりされましたか。
○山口政府委員 これはただいま御説明申し上げましたように、エンジン故障を生じましたものでございまして、エンジン故障の場合には、エンジンそのものの瑕疵の問題及びエンジンにつきましては常時航空部隊におきまして点検整備をやっておりますが、この両面から追及する必要があると思います。したがいまして、自衛隊関係におきましては点検整備の強化措置をとりました。また三菱重工側には、エンジンそのものにつきましての再点検をその直後に直ちに依頼をいたしております。
○坂井委員 T34というのはレシプロ練習機で、これは富士重工でしょうか。
○山口政府委員 そのとおりでございます。
○坂井委員 F86F、戦闘機、これが四機ですね。これは三菱のライセンス生産かと思いますが、これはいかがでしょう。
○山口政府委員 そのとおりでございます。
○坂井委員 この欠陥の内容はどうだったんでしょう。
○山口政府委員 F86Fの四件につきましては、先ほど大西参事官のほうから概略の御説明がございましたが、昭和四十五年の事故の場合には材質不良または欠陥という推定をしておりまして、これにつきましては、対策としてエンジン燃料系統それから作動油系統、配線等の点検整備の強化措置を部内でとりました。また三菱側にも、同じような点につきましての再点検を依頼しております。
 それから、四十七年におきまして生じております三件でございますが、これにつきましては、二件はエンジン関係の事故でございますが、これにつきましてはやはり同様に、同じような対策をその際講じました。一件につきましては、これも燃料ポンプのスプラインが完全に摩耗して、エンジンのフレームアウトを起こしたというような原因が推定されますので、これにつきましては、エンジンのオーバーホールの時期におきましてスプラインの摩耗度測定の確実な実施を対策としてはかるというような措置を現在とっております。
○坂井委員 大臣、いまお聞きのとおり、かなり多くの航空機が喪失、つまり墜落事故を起こした。その中には、重要な機体の欠陥ということが墜落の原因であった。しかも、それがとうとい人命の死亡事故につながった。これはやはり、この原因を徹底的に究明する中で、少なくとも今日、航空機が日本において三菱あるいは川崎重工あるいは富士重工というようなところで生産される、ライセンス生産の場合もございますが、このような器材の欠陥を生むような生産がなされたという、結果的にはそういう事実ですね、これは私はゆるがせにできないと思うのですね。これをただ安易に考えておりますととんでもないことでありまして、もちろんそういうことはないと思いますけれども、しかし、少なくともこの数字の上にあらわれてくるものを見る限りにおきましてはきわめて多い。特にバートル107等に至りましては、これはかねがね欠陥ヘリではないかというようなことがずいぶん指摘されたような経緯もあるようでございまして、それがその後におきましても、つまり四十六年の事故以来、四十七年においてもやはり海没事故を起こした。原因、まず不明でしょう。まあ操縦ミスというようなところに原因を求められているようでありますけれども、必ずしもそうとも言い切れない。そういうことから考えまして、これは人命の損傷とともに、金額的にも多額のやはり国損につながる。そういうことでありますので、やはり事故を起こさないような対策、これは慎重に検討し、かつ具体化しなければならぬ問題だろうと私は思うわけです。
 大臣は、こういう点につきましてかなり実態等についても報告等も受けられて、御検討もされていることかと思いますが、どうされますか、一応、大臣としてのお考えを承っておきたいと思います。
○山中国務大臣 大切なお子さんをお預かりして、自衛官として戦闘機あるいは偵察機、あるいはヘリ等に搭乗してもらっておるわけでありますから、物損いわゆる国損の問題も戒めなければならぬことは当然のこととして、問題は、やはり貴重な人命を、しかも平時、訓練中において失う、このことは、御両親に対しても御家族に対してもまことに申しわけの立たないことでありますので、これが不可抗力によるもの以外、すなわち、ただいまいわゆるメーカーないし整備等の、本人の責めに帰すべきでないような原因でそういう事故の起こることを厳に戒めよというお話でありますが、私は全くそのとおりで同感でありますし、そのことを現にきびしくやっております。
 その後、ファントムの墜落等がありまして、これ等も炎上海没したわけでありますけれども、アメリカの例等も詳細に追跡して、やはり同じくわからないような事態において発生した件数が、アメリカにおいても二件あった。それらの原因等も、まあその他の原因は全部突きとめたのでありますけれども、結局それに対して、定期整備点検のサイクルを短くするとか、あるいは欠陥ではなかったかとか思われる場所についてきびしい点検をする、そしてメーカーについても、現在製造中のものについてさらにきびしい点検を要望する、こういうようなことで再発防止ということに重点を置いております。
 これはもう、自衛官を乗せているという人ごとではなくて、私がしょっちゅうこれに乗って飛んでおりますし、その点、自分自身ならどうするということも当然しょっちゅう体験をしておるわけでありますから、安心して、少なくとも性能あるいはまた機体、器材、整備、そういうものは完全なんだということで、自分さえしっかり操縦しておればだいじょうぶだという信念を植えつけてあげませんと、やはりこれは何ものにもかえがたい人命の問題でありますから、そういう迷いというようなものがかえって事故につながるというようなことを考えますので、お話しのとおり重大な問題として、一件といえども、一ミスといえども見のがすことなく、徹底して追跡して、そしてその原因を解明して、その対策を完全に講ずるということをやっていかなければならぬだろう、現にそれを実施させております。
○坂井委員 願わくは、この防衛力増強というものがただ量を求めるのあまりこのような事故につながったというようなことのないように、これはひとつ厳に慎しんでいただきたい、注意をしていただきたいと思います。
 時間がございませんので、最後に一点だけ簡単にお聞きいたしますが、同じように物品喪失、それから損傷、これまた相変わらず非常に多いわけですね。特に魚雷ですね。訓練用魚雷、浮き上がらないで沈むのですな。どうもうまくないですね。これは全部三菱重工一本にプライムとして契約をしておる。以前にも当決算委員会においてわが党の鳥居委員が指摘したわけでありますけれども、相当改善されたような御説明を聞くわけですが、なおかなりな本数が沈んで浮き上がらない。これもやはり国損につながるということでありますの、で、これはどこの部分が改善されたのですか。三菱重工には相当強く交渉されたとは思うのですが、どう改善されたのですか。
○山口政府委員 ただいま先生の御指摘は、まさに先般、昭和四十四年度におきまして院の議決を得まして、それに対しまして防衛庁からは四十七年に文書をもちまして実は御報告を申し上げたわけでございますが、その際におきまして、私どもが魚雷亡失でやはり一番苦労をしておりますのはマーク44でございますが、御承知のとおり、船から発射いたしましても、また空から落としましても、非常に深度深くもぐる魚雷でございますので、また深度が浅ければ実は演習の用にもならぬものでございますので、二百とか三百とか、かなり深くもぐりますので、この浮上装置が一番問題であります。それからまた、浮き上がってまいりましたときに、湖のような非常に波のない平静なところですと、ボートを近寄せまして、棒の先にロープがついておりまして、これで、鉛筆のようなかっこうで波の上に先頭部が出てくるわけでありますが、その先頭部をロープでひっかけて引き寄せる。考えてみればかなり原始的な方法しか、この回収の対策がないわけでございます。最近では、これに対しまして、これもまた原始的と言われるかもしれませんが、その最初の輪のまわりに深い網を、投網みたいなものをつけまして、魚雷全体をすっぽりその網で、たまですくうようにするような対策も現状ではとっておりますが、何ぶん非常に荒天のもとでこのような演習が行なわれますと、頭部が見えることすらも非常にまれなような状態も起こります。そういうときに実は喪失が生じているわけでございます。
 また、御指摘の企業側の対策としましては、二件、おもな対策をとらせましたが、一つは訓練用の頭部に装着します鉛鍾という鉛の部分がございますが、この鉛を放出しまして浮かび上がってくるわけでございますが、これを確実に鉛の放出装置を作動させるように、その中の電流の配線等に対しましてそれが明確に作動し得るように確実な措置をとるという対策が一つ。それからもう一つは、航空機等から上から投下する場合がございますので、その場合にパラシュートの不開傘問題がありまして、この不開傘を防止する対策としまして、自動索の取りつけ方法等の改善もはかるように対策をとらせております。
 それからまた、部隊におきましてはいわゆる調整技能、すなわちひっかけるやり方でございますが、この講習を魚雷に関係する調整員にはなるべくこまかく、また何回も実施をいたししておりまして、これは実際にその訓練、練習によりまして技術を高度化する以外に方法がないわけでございます。
 以上のような対策をあわせとっておりますが、私どもとしましてはなお一そうこの亡失を防ぐようにしなければならない。たとえば昭和四十七年度でございますが、発射数はこの一年間に、マーク44は約百五十本程度発射いたしまして、そのうち十四本がやはり亡失をしております。これは一〇%を切るわけでございます。アメリカなどの実例を見ますと、大体一五から二〇%というふうにいわれておりまして、日本の場合には例年一〇%前後でございます。したがいまして、米国の場合よりいいのでございますけれども、一〇%で足れりとするわけにはまいらないわけでございまして、今後ますますこの辺の対策を強化したい、このように考えております。
○坂井委員 これはひとつ十分対策を考てください。アメリカに比べて云々という話が前にも出ておったようですけれども、マーク44が主力魚雷でありまして、ほかのマーク32あるいは34、37あるいは54式、これはほとんど事故がないわけですよ。うまく機動しているわけですよ。ところが、マーク44に限ってこれだけの件数が、四十五年には十九件。大臣、大体一本千百五十万円ばかりするそうです。撃って、発射して沈んでしまって上へ上がらなかったら、それで海のもくず、終わりです。一千万パアですよ。これは全く国の損だと思いますから、これはひとつなお改善をお願いしたいと思うんですね。
 一つだけお聞きしておきますが、マーク44にかわる新式の魚雷、これの開発をいま進めておりますか。もしおるとすれば相手はどこでしょう。
○山口政府委員 開発につきましてはただいま調査いたしますが、マーク44にかわるといいますか、これと補完関係にありますいわゆるG−9Bという七三式の魚雷を四十六年度から調達いたしております。このほうが幾ぶん値段が多うございまして、大体一本二千万円程度のかなり大型の魚雷でございます。なお、開発につきましてはただいま調査いたしております。
○岡太政府委員 マーク44に次ぎます新しい魚雷、いまG−9Bというお話がございましたが、これは完全に開発を終了いたしております。そういたしまして、四十六年度二発、四十七年度二十八発、四十八年度四十三発購入いたしております。そして、納入にあたりましては全部発射試験をいたしております。非常によく、技術上の問題はございません。
 以上でございます。
○坂井委員 これで終わりますが、大臣に一言だけ御所見なり御見解をお伺いしておきたいと思いますけれども、私が言いたいことは、先ほどちょっと申しましたように、つまり数をそろえようというようなことにあせりまして、ともすると欠陥の航空機であるとかあるいは魚雷等にいたしましても――ほかもそうであります。DASHでありますとかあるいはりゅう弾砲でありますとかあるいは車両でありますとか、損耗、減耗、損失というようなことがかなり数が多いようでございますので、そうしたことの原因の一つに、やはり何とかして量を確保しよう、そういうあせりの中からくる欠陥というようなこともあるのではなかろうかという懸念がいたしますので、そうしたこと等もあわせ、大臣として、この種の事故というものは人命の損傷につながるという、やはり非常に重要なことでありますので、何回も繰り返す、あるいは今後においてそういう点が改善されないということになりますときわめて遺憾なことだと思いますので、その点についての大臣の御見解を承りまして、質問を終わりたいと思います。
○山中国務大臣 全く仰せのとおり、そういう心がけを持ってやらなければなりませんし、ことに人命は取り返しがつかないわけであります。器材等は、その原因を究明することによって、二度と同じケースの事故が起こらないようにつとめることは人為的に可能な範囲もあると思いますが、一たび失われた人命はもとに戻りませんし、そのために私たちは、絶対に一人も失うことのないように、ただいまの御意見も重々踏まえて、さらに努力、戒心いたしたいと存じます。
○坂井委員 終わります。
○臼井委員長 次回は明二十五日木曜日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十八分散会