第072回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和四十九年四月三日(水曜日)
    午後一時二十六分開議
 出席委員
   委員長 安井 吉典君
  理事 伊藤宗一郎君 理事 小宮山重四郎君
   理事 佐々木義武君 理事 田川 誠一君
   理事 石野 久男君 理事 瀬崎 博義君
      加藤 陽三君    海部 俊樹君
      羽田  孜君    粟山 ひで君
      河上 民雄君    近江巳記夫君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      森山 欽司君
 出席政府委員
        科学技術庁原子
        力局長     牟田口道夫君
        科学技術庁原子
        力局次長    伊原 義徳君
        科学技術庁原子
        力局次長    生田 豊朗君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局第一局長  高橋 保司君
        参  考  人
        (動力炉核燃料
        開発事業団理事
        長)      清成  迪君
        参  考  人
        (動力炉核燃料
        開発事業団理
        事)      宇佐美 勝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興対策に関する件(原子力開発に関
 する問題)
     ――――◇―――――
○安井委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤宗一郎君。
○伊藤委員 大臣が来ましてからまた続けますけれども、とりあえず、原子力局長その他の方々に質問をいたします。
 原子力行政の推進について、たいへん多難な局面でありながら、各位には日夜御奮発を賜わっておりまして、当委員会の委員としても、心から敬意を払っております。そのことについては、それぞれの委員各位からいろいろお話があろうと思いますけれども、私は、先般新聞にもちょっと出ました、核融合の問題に限って、きょうは御質問を申し上げたいと思います。
 すでに言い尽くされておりますけれども、核融合は、人類の夢のエネルギーといわれておりまして、その開発と実施が人類全体の期待でもございますけれども、その早急な開発が期待されております。しかし、そのためには、非常に高度の技術とばく大な資金を要すると聞いておりますけれども、現在、日本以外の国でどの国が一番進んでおるのか、その現状を、ホットニュース、一番新しい状態で、詳細に御説明いただきたいと思います。
○牟田口政府委員 技術的な詳しい点については、技術の次長から御説明いたさせますが、御承知のように、世界で核融合をやっておりますところは、アメリカ、ソ連が最も進んでいるかと存じますが、そのほか西ドイツ、イタリア、フランス、イギリス等におきまして、核融合に関する装置を持っておると聞いております。
 それで、どういう段階まで進んでおるかということにつきましては、いろいろな基準があるかと思いますけれども、プラズマ温度と、それからそれを閉じ込める時間ということではかるのが一つの基準だそうでございますので、それら両方の数字の段階的に高いところにあるのは、ソ連とアメリカと承知いたしておりますが、それに、現在は日本がその水準に近い、劣らないところにあるというぐあいに考えております。
○伊藤委員 何か補足説明がありましたら、お願いします。
○伊原政府委員 補足説明をさせていただきます。
 先生御高承のように、核融合につきましては、第一回のジュネーブにおきましての原子力平和利用の国際会議、これは一九五五年に開催されたわけでございます。そのときに、インドの原子力委員長のバーバー博士が、今後二十年以内と申しますか、核融合の開発というのには、さらに今後二十年かかるという話になってもおかしくないほど、核融合というものはむずかしい技術である、こういう発表がありまして、それからほぼ二十年たっておるわけでございますが、なおいまだに、核融合につきましては、それが制御された状態で取り出せるという形にはなっておらないわけでございます。
 したがいまして、どこが一番進んでいるかということにつきましても、これはいろいろな見方がございまして、先ほど局長から御説明申し上げましたように、プラズマの密度と閉じ込め時間というものからの評価が一つあるわけでございますが、いま一つは、各国でどれくらい予算を使っておるか、あるいは各国でどれくらい関係の研究者がおるかというふうなことも、また一つの目安になろうかと思うわけでございます。
 歴史的に申しますと、やはり核融合につきましては、先ほど局長からも御説明がございましたように、ソ連と米国とが進んでおるわけでございます。それから、最近は、西独、日本などがかなり力を入れておりますが、一時はイギリスが相当進んでおった時代がございます。そういう歴史的ないろいろな時代を経まして、現在の時点になっておるわけでございますが、その予算で申しますと、たとえば一九七三年の予算で見ますと、米国が年間に約百二十億円を使っております。それから、西独が約八十億円、英国が三十五億円、それに対しましてわが国は、少し少なくて、六億二千万円程度でございます。しかしながら、四十九年度におきましては、この政府予算案におきましては約十億円ということで、前に比べると伸びてはおりますが、しかしながら、四十九年度予算といたしましても、外国に比べればまだ一けたぐらい少ない、こういう数字でございます。しかしながら、この少ない数字のもとにおきまして、関係研究者の非常な協力、努力によりまして、相当の成果が出てきておるということは、先ほど局長から御説明のあったとおりでございます。
 それから、どれくらいの研究者がおるかということでございますが、それにつきましては、まずソ連でございますが、これが一番人数が多いということでございまして、いま私どもでわかっておりますところで、九百人程度という数字が出ております。もちろんこれは、研究者、技術者の定義によりまして、どこまでを研究者というか、どこまでが補助員かとか、いろいろな議論もあるかと思います、国によって違うわけでございますけれども、大体ソ連が九百人、それに対しまして、アメリカがその半分ぐらいの四百人程度、このように聞いております。それから、西ドイツが最近非常にふえてまいりまして、アメリカと同じ程度、それからイギリスが二百人程度、フランスと日本が百人程度。この百人と申しますのは、日本原子力研究所に相当、四十人ぐらいおるわけでございますが、そのほかに通産省の電子技術総合研究所、あるいは大学関係、そういう方々を含めまして、百名前後というのが、日本の状態でございます。
 そういうことでございますので、今後核融合の開発につきましては、相当わが国といたしましても、予算面、人員面での努力が必要かと思われます。
○伊藤委員 いまのお話で大体わかりましたけれども、わが国の核融合の研究開発は、正式にはいつから始めたのですか。また、世界各国の水準にいま並んでいるようなお話でしたけれども、正確にはどういう段階に来ておりますか。
○牟田口政府委員 核融合に関しまして、正式にと申しますか、計画というものをつくってこれを取り上げましたのは、原子力特定総合研究というのが、御承知のようにございます。その原子力特定総合研究に、昭和四十三年七月に指定されまして、そしてこの特定総合研究に指定いたしました場合には、基本計画という一つの総括的な計画をつくってやるわけでございますが、それで核融合研究開発基本計画というものをつくりまして、そして、これはいわゆる第一段階ということで始まりましたのが、昭和四十四年からちょうど昭和四十九年度、本年度までがその第一段階ということでございます。
 それで、第一段階におきましては、一番初めのすべり出しといたしまして、中間べータ値トーラス装置というものを使いまして、先ほどちょっと申し上げました高温プラズマの閉じ込めの実験をいたしたという段階でございまして、これが先ほど御説明いたしましたように、イオン温度では二百万度前後で、その閉じ込め時間が二十五ミリ秒――〇・〇二五秒でございます一という成果をおさめている、これが第一段階の成果ということだと存じますが、そのいまの温度と閉じ込め時間というのが、たとえば閉じ込め時間だけとれば、世界で一番長い時間だそうでございます。
 そういう意味で、あと温度の高低なんかあるわけだと考えますから、いろいろ総合しないと、世界的水準がどの程度ということは、はっきりは位置づけられないかもしれませんけれども、そういう非常に高い水準にまで成果をあげているということに相なっております。
 そこで今度は、じゃ、その次はということで、ちょうど昭和五十年度、来年度からは第二段階ということを考えておるわけでございまして、そのために、昨年の五月に、原子力委員会に核融合研究開発懇談会というものを設けまして、今後はどうするかということを検討いたし、技術的には、技術分科会というところで、その答申を十一月三十日に報告をいたしているということに相なっております。したがいまして、今後の課題といたしましては、臨界プラズマ試験装置とか、あるいは実験炉炉心モックアップ試験装置等を経まして、核融合動力炉の建設と試験をするということが次の課題に相なると考えております。それで、御承知のように、ずっと先のほうには、その動力炉には、実験炉と原型炉と実証炉、そういう課題が残っておる、かように考えます。
○伊藤委員 大臣もお見えになりましたけれども、あと二、三、事務当局にお聞きいたしまして、その後に大臣としての御所見を伺いたいと思います。
 いまのお話の続きですけれども、現在わが国の核融合の研究開発の計画は、一本でどこかでまとめていなければなりませんけれども、どこでまとめておりますか、また、研究開発はどこの研究機関で行なわれておりますか、御説明いただきたいと思います。
○牟田口政府委員 先ほど申し上げましたように、第一段階の特定総合研究に指定されましたときに、核融合研究開発基本計画なるものをつくっておりまするので、これが中心的な基本計画と考えます。それで、今後もそういう形になっていくものと考えます。
 それからなお、研究機関といたしましては、いま主として日本原子力研究所が、先ほど申し上げましたような装置を使ってやっておりますけれども、そのほか、電子技術総合研究所、それから理化学研究所などが、また別途の研究をいたしております。
○伊藤委員 いままでのお話で、わが国の大体の水準がわかりましたけれども、将来、またいつの時点に、日本は諸外国の水準を抜くことができる見通しを持っておりますか。また実用段階の時点などの見通しなどがあれば、お聞きしたいと思います。
○伊原政府委員 ただいまの先生のご質問は非常に重要なことでございますが、またなかなか非常にむずかしいことでございまして、多少私見も入るかと思いますが、将来、日本がどの程度外国に比べてやれるかという、その点かと思います。
 それにつきまして、先ほどの局長の説明の多少補足ということにもなるわけでございますけれども、わが国では、先ほど話の出ました、原子力委員会の中の核融合の関係の懇談会におきまして、将来計画ということをひとつ立てておるわけでございます。これはすでに先生御案内のとおりかと存じますが、その中で、臨界プラズマ試験装置というものを、昭和五十年度ごろからつくり始めるということを考えておるわけでございます。この臨界プラズマ試験装置と申しますものが、諸外国、特に米国、ソ連あるいはヨーロッパのユーラトム諸国、それが考えております装置と比べまして決して劣らない、比肩し得るようなものをつくりたいという計画が現在あるわけでございます。米国及びソ連におきます施設につきましては、ただいままで私どもの入手しております情報では、特に米国が最近のエネルギー危機、それに関係しての研究開発の強化ということで、相当核融合関係の研究費を増加する、そういうことで、わが国が考えております臨界プラズマ試験装置とほぼ似たような、あるいはもちろん向こうのほうがもう少し大きいのかもしれませんが、そういう装置で、たとえば米国では現在、プリンストン大学におきましてPLTという装置をつくっておりますが、それのさらに大きいものを米国では考えておる。ただ、PLTの1と称しておりますが、それに対しまして、日本の臨界プラズマ試験装置は、いま少し性能がいいと申しますか、たとえばPLTの1で申しますと、摂氏二千万度から五千万度程度を達成しようとしておりますときに、日本は五千万度から一億度を達成いたしたい、これが目標値でございます。
 それからユーラトム諸国でJETという装置を考えておりますが、これが日本が考えておるのと同じ程度の装置でございまして、また完成の時期も同じ程度のことを考えておるようでございます。
 それから、ソ連はT10という装置を今年度完成する予定でございまして、これがやはりイオン温度で二千万度程度でございます。
 そういうところから考えますと、わが国もかなり、将来計画がもし認められるといたしますと、相当いい線まで行き得るのではなかろうか。ただ、この臨界プラズマ試験装置と申しますのは、それそのものが臨界になってエネルギーを出すというところまではまだいっておりませんで、ある条件のもとに、核融合が制御された状態で、エネルギーをプラスで取り出せることを実証するための一つ手前の段階でございます。これの完成に五、六年かかるということでございますので、たとえば、これは核分裂のほうと比較してお考えいただきますと、核分裂の臨界ということが達成されましたのが、御承知のように一九四二年の十二月二日でございます。例のエンリコ・フェルミがやりましたシカゴパイルの1と申しますのが一九四二年でございますから、もう三十数年前に臨界入りになった。それに比べまして、その状態にまで行くのにまだ五年ぐらいかかるというのが世界の状況でございます。したがいまして、これは非常に息の長い仕事でございまして、国際競争といたしまして、わが国が多少出おくれておりますけれども、息が長い、二十一世紀を目ざしての、ある意味での国際的な技術開発競争である。したがいまして、わが国の、何と申しますか、日本人の英知、能力、それに先生方の御努力によりまして、十分な開発費予算というふうなものが将来確保されるといたしますと、相当なところまでやれるのではなかろうかと考えております。
○伊藤委員 わが国がこういう研究開発を進めていくのに、水準も非常に外国並みになっているということですけれども、わが国が置かれておる状況は、核融合の研究開発を進めるにあたって、条件的にはどうなんですか、有利であるのですか、その点、御説明をいただきます。
○牟田口政府委員 核融合は、核融合炉の段階に至りまして、もしそれが実用化された場合の資源というものを考えますと、これは重水素であると考えますが、これは海水の中からとれるということだそうでございまして、そうであるとすると、いろいろなエネルギー、日本がいろいろな資源に乏しいという中にあって、そのための障害というものが、この件については非常に有利というか、不利ではないのではなかろうか。
 もう一つは、技術と申しますか、学問と申しますか、そういう知的水準、能力の問題でございますけれども、これがこの方面では、理論的にも技術的にも、世界的に非常にすぐれた学者及び科学者が日本におるそうでありまして、この点でも非常に心強いのではなかろうかと思います。そういたしますと、資源とあとは人的能力というのが、日本にとっては非常にすぐれた期待が持てる点となるのではなかろうか。そうしますと、あとは先ほどの資金ということになりまするけれども、これは冒頭に伊原次長から申し上げましたように、現段階では、諸外国に比べてきわめて低い水準にございますけれども、この辺はいまの前二者が有望であるということを考えますと、そういうことに特段の配慮をいたしまするならば、これは前途非常に有望な分野ではなかろうかというぐあいに考えております。
○伊藤委員 核融合の進みぐあいについては、大体承知いたしましたけれども、それと、大体わかっておりますけれども、核融合が実現した場合において、新しい夢のエネルギーとして、有利な点がたくさんあるということでございますけれども、環境問題との関連も含めて、どういう点が有利なのか、一般の国民にわかるようにひとつ御説明いただきたいと思います。
○伊原政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、これはいろんな観点から有利性というものが出てまいると思いますけれども、まず一つには、これは世界的に見て、エネルギー資源として、人類が将来にわたってエネルギー資源の心配がなくなる、そういうような有利性を持っておる。これは御高承のとおりでございますが、ごく簡単に御説明いたしますと、現在世界全体で毎年使っておりますエネルギーの量、これが約〇・一Qという数値で表示されております。このQというのは非常に膨大な数字でございまして、大体三十兆キロワットアワーに相当する。非常に膨大な数字で、エネルギー問題の将来予測をいたしますときに、学者がこういう単位を使うわけでございますが、Qという単位が一つございまして、いま年間では〇・一Qぐらいを使っております。これが西暦三〇〇〇年ごろ、つまり昭和七十五年ごろになりますと、〇・四五Qぐらい、つまり五倍ぐらいになる。それから西暦二〇三〇年ぐらいになりますと一・四Qというふうに非常にふえてまいります。これは人口も増加いたしますが、世界的に生活水準が高上してくるということで、そういたしますと、既存の化石燃料、つまり石炭、石油、天燃ガス等では、全部を燃しましても二十Qから、相当楽観的に見ても三百Qぐらいしかない。
 ところが、たとえば核分裂で申しますと、ウランの資源が、特に高速増殖炉が完成いたしますと、四百万Qぐらいになる。非常に大きくなる。核融合炉が完成いたしますと、核融合炉にもいろいろな段階がございますが、三重水素と二重水素の反応というのがとりあえず比較的容易である。それでやりまして千三百万Q。重水素と重水素の反応というのがさらに将来考えられるわけでございますが、重水素と重水素の反応が完成いたしますと、百億Qという膨大な数字になりまして、一年間に〇・一Qしか人類はまだ消費しておりませんのに対して、百億Qあるということは、要するに無限だ、こういうことになるというわけでございます。しかも資源の賦存のしかたは、先ほど局長からも御説明いたしましたように海水中に含まれておりますので、地域性というふうなこともございませんし、非常に有利になる、そういうことがございます。資源が豊富であり、かつ燃料の入手が容易である。
 それから、その次に安全性の問題でございますが、安全性につきましては、基本的に申しますと、燃料として非常に大量に核融合炉の中に入っておるという状態ではございませんで、必要に応じて少量ずつ燃料を混合いたしまして運転をするという一つの特色がございます。そういう観点から申しますと、非常に大きな事故がありまして、燃料が大量に周辺に放出されるというふうなケースは非常に少ないのではなかろうか。これも実際に核融合炉ができてみた段階でございませんと、必ずそうだということはまだ十分はわかりませんけれども、私どもが現在考えておりますところでは、大体そういうことのようでございます。したがいまして、将来さらに技術が進めば、わりに都市に近くそういう発電施設を置くということも、あるいは可能かもしれないというふうなことが現在いわれております。
 それから、いま一つ有利な点といたしまして、定常的な放射性廃棄物処理の問題が、核分裂炉に比べると少ない。これもまたいろいろな見方がございますけれども、たとえば先ほど御説明いたしました三重水素というものを燃料の一つとして使うわけでございますが、この三重水素というものが人体に摂取されますと、やはり放射性の物質でございますので問題がございます。したがいまして、三重水素の漏洩は防がなければいけませんけれども、いわゆる核分裂炉で申します核分裂生成物、これが出てこないという一つの大きな利点がございます。したがいまして、核分裂生成物が大量に原子炉の中に生成する、それをどう処理するか、そういう技術的な問題はたぶんないであろう、こういわれております。
 ただ一つだけ、多少問題があるといわれておりますのは、核融合炉では非常に高いレベルの中性子が発生されます。それが核融合炉を構成しております構造材にぶつかりまして、構造材が放射件の物質に変わる。放射化といっておりますが、そういう構造材の放射化という問題が一つございます。しかしこれは、いわゆる環境をよごすような、汚染というような問題を生ずるわけではございません。構造材が放射性を帯びるということでございますから、それの処理は、普通の放射性物質による汚染よりは簡単である。
 少しごたごた申し上げましたけれども、廃棄物というもの全体で考えまして、確かに核融合のほうが、核分裂よりは有利ではなかろうかということが一般にいわれております。
 それから環境との関係でございますけれども、環境保全ということで考えました場合に、この核融合発電自身が、エネルギー変換効率の高い発電方式、たとえば直接発電などにもあるいはつながる可能性もございますし、そういたしますと、いわゆる熱汚染というものも減ってまいるかと思います。化石燃料を燃していろいろ環境に汚染が広がるということがいま問題になっておりますが、それは、核分裂によって百分の一程度には環境への影響が減らせるということもいわれておりますが、核融合になりますと、さらに環境への影響が減ってくるということがいわれておるわけでございます。
 そういうふうなことでございまして、あらゆる面で、これが完成すれば非常に有利であるというのが、大方の御専門の方の御意見であろうかと思います。
○伊藤委員 大体いまの進みぐあいはわかりました。先般新聞で、核融合研究専門の研究所の設立を科学技術庁のほうで検討しておる、というような記事も散見しておりましたけれども、いまの御論議を通じましても、いままでにも増して、この研究開発を促進しなければならない必要性をお互いに痛感しておりますが、この研究に取り組む長官としての決意、並びに研究所設立の構想なども、固まっておるならば、ひとつこの際大臣から御披露していただきたいと思います。
○森山国務大臣 来年は昭和五十年であります。昭和七十五年が西暦紀元二〇〇〇年でありますから、二十世紀余すところあと二十五年、四半世紀ということに相なります。私どもは、当面の原子力発電の立て直しとか、あるいは分析研の再建問題とか、その他いろいろな問題、重要ではありますが、目先の問題に真剣に取り組んでいかなければならないこと、もとよりでございますが、同時に、政府の科学技術行政あるいはエネルギー対策、長い将来のことも考えた施策をやっていかなければならないわけでございますから、残されました二十世紀の最後の四半世紀に、かねてから問題になっております核融合の仕上げをしなければならぬ。先ほど来、核融合がどういう利便があり、またどの程度の段階にあるかということは、いろいろお話がありました。すでに原子力研究所をはじめとして、何カ所かでこの問題に真剣に取り組んでおり、また相当の成果があがって、しかもその成果は国際水準を越えるものがあるというふうに聞いておるわけでございます。ついては、気の長い話のようではございますけれども、目先の重要問題もさることながら、長期に考えて、わが国のエネルギー政策確立のために、何と申しましてもやはり油で悩み、現在の軽水炉発電にいたしましても、ウラン鉱、濃縮ウランを使うわけでございますし、これを十分に効率的にやるためには、高速増殖炉等にまた切りかえていかなければならないという問題もございますが、ウラン資源とて有限であるわけでございますから、そういう資源のないわが国といたしましては、そういう資源にたよらないで、容易に入る、豊富にあるもの、すなわち海水二十五リットルの中に一グラムあるといわれる重水素をもとにした核融合動力炉、実用的な動力炉を、できるならば今世紀の終わりには実用に供したいという目標を立てて、これから真剣にやっていく必要があるというふうに考えた次第でございます。そういうことで、昨日は閣議が終了いたしましてから、総理にも、こういう問題を、昭和五十年度から真剣にひとつ取り上げてやってまいりたいということもお話を申し上げ、新聞記者にも話をし、新聞発表もいたしたわけでございますし、また科学技術庁内部におきましても、先ほど政府委員から話がございましたとおり、昨年の五月に核融合研究開発懇談会というものができまして、約一年後に結論を出したいということでございました。そのうちの技術部会――伏見康治先生が主査になりました技術部会は、昨年の十一月三十日に結論を出しました。私が科学技術庁長官に就任いたしましたのは十一月の二十五日でございますから、就任いたしまして数日後に、この答申がすでに出ておるわけでございます。ただ、研究開発の体制をどういうふうに確立するかということにつきましては、御案内のとおり、そのころからいろんなむずかしい問題が起きてまいりましたために、その方面に必ずしも手が十分回っておらないわけでございます。そこで、この原子力委員会内に設けられました核融合研究開発懇談会で十分に検討して、早急に結論を出してもらいたい。いままでもそういうことで検討を進めておったわけでございますから、その続きとして、早急に結論を出してもらって、そうして五十年度から、本格的体制でこの問題に取り組んでもらいたい、こういうことを、昨日記者会見後に、原子力委員各位と御相談をいたしたわけであります。そういうことの中で、これは現在は原子力研究所で相当に進んだ研究をやっておる。そのほかのところでも手がけておるわけでございますけれども、将来のことを考えますと、これは専門の研究所ということで、相当金をかけて取り組んでいかなければならない問題であるということは、私は何人も異議のないところであろうというふうに思っております。技術部会の試算によりますと、昨年のことではございますが、当面五年間八百億円くらい予定しておるわけでございますが、その後いろいろ経済事情の変動等がありますから、おそらく実際には五年間一千億をこえる資金を投じて、そして体制を整備していかなければならない。それが直ちに核融合研究所というような形になっていくかどうかは、これから原子力委員会内部において、実情に合った研究開発体制を確立するものであろうかと思いますので、その原子力委員会に設置されました核融合研究開発懇談会の結論を待って、原子力核融合研究所の設立というようなことも必要があれば考えて、この問題に対処したい。いずれにしても、六月ごろまでには一応の結論を得て、来年度予算に――ただこれが必要だという必要論を説いたり評論するだけではなくて、もう予算要求にこの問題を取り上げてまいりたい、そういう決意でおる次第でございます。何とぞ御支援のほどをお願いいたします。
○伊藤委員 ただいま長官の御発言の中にもありましたように、ある意味においては、当面の多難にくじけることなしに、いまお話しのとおりの二十一世紀を目ざしての核融合研究のなお一そうの推進のために、ひとつ長官はじめ当局の御奮発を要望いたしまして、私、質問を終わります。
○安井委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 分析研のデータの捏造事件、これに伴いまして、わが国の原潜の放射能監視体制というものが事実上崩壊したように私思うわけであります。それで原潜の入港につきましては、外務省のほうから米軍当局に要請があったとかなかったとかということも聞いておるわけでありますが、米軍の態度というものはどういうものであったか、また最近において、米軍の早期入港の要請はなかったかどうか、これについて、まずお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 分析研の不始末ということが、アメリカの原子力軍艦の入港に相当の影響を与えておることはまぎれもない事実でございます。私どもは、この現行監視体制の再建のために、いま鋭意努力をいたしておる次第でございます。そしてまた、その経過につきましては、随時科学技術庁より外務省に対して連絡をいたしております。外務省は、これを米軍側のほうに伝えておるようでございます。ただ、私どもの立場から、こういうことであるから入ってもらっては困るということを言えた義理ではございませんから、ただこれに対する立て直しがどの程度進んでおるかということを、外務省に対して報告しておるという段階であり、外務省も、そのことについては実情がこうなっておるということを伝えておるようでございます。ただ外務省のほうも、だからどうだとかいうことを言っておるわけではないようでございますし、米軍側のほうも、それによって、早くやってもらいたい、そういうような、要求が何かあったかのごとき新聞記事が先般出ておりまし方が、外務省のほうからあらためて連絡がありまして、そういうことが新聞紙には伝えられておるけれども、そういうやりとりはなかったということを言っておるわけであります。ただ一つ、二月の下旬ごろに、三月中の入港を見合わせるということについては、アメリカ側本国のほうから、そういう決定があったということが通報された事実はございますが、それ以外に、早くしてくれとかあるいは入港をいつまで取りやめるとか、そういうことについては、一切私どもには情報は入っておりません。
○近江委員 原潜の放射能汚染問題は、当委員会におきましても、過去何回も取り上げてきたわけでありますが、この監視体制につきまして、分析研の事件は事件としまして、この体制自体にやはりいろいろな問題があるんじゃないかということを指摘してきたわけでありますが、現行のこの監視体制はどういうようになっておりますか、内容を簡潔にひとつお伺いしたいと思います。
○牟田口政府委員 現在は、御承知のようにモニタリングポストというものがございます。一般的放射能水準の測定を主たる目的といたしましてございますほか、モニタリングポイントというものを設けているわけでございます。そのほかモニタリングボートで海上を巡航いたしまして測定をするということになっておりますけれども、そのほか第四番目といたしまして、核種について、出港後及び定期調査といたしまして分析を行なっているわけでございます。なお、この時期につきましては、定期調査と非寄港時調査と寄港時調査の三つの時期について行なっております。
○近江委員 現在の監視体制が決定された際、専門家によりますこまかい技術的な検討がされたと思うわけでありますけれども、原子力軍艦放射能調査指針大綱、こういうものを見ていきますと、材料のサンプリングの方法あるいは試料の分析方法、こういうものについて、どこまで科学的根拠に基づいて決定されておるのか。外国と比較してみますと、私は、その点の根拠というものが非常に薄いように思うわけです。
 ここでまずお聞きしたいと思うのですが、世界の軍港におきまして、原潜が入港する軍港でありますが、どういうような調査監視体制になっておるのですか。何例かありましたら、お伺いしたいと思います。
○伊原政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますが、わが国の監視体制というものが、世界各国と比べてどういう位置づけであるかという点につきまして、少し御説明させていただきます。
 まず、私どもといたしましても、わが国の体制がほんとうに合理的なものであるかどうか、こういうことを検討する意味もございまして、世界各国の状況を調べましたところ、ただいままでにわかっております情報といたしましては、アメリカ合衆国、西ドイツ、イタリア、スぺイン、フランス、イギリス、フィリピン、こういうところについての調査が一応あるわけでございます。この中で、放射能調査体制が全然ないというところもございまして、たとえばフィリピンなど全然そんな調査はしておらぬというところがございますが、ほかの各国では一応その調査体制がある。
 まず担当部局といたしましては、海軍省がやっておるというふうなところですとか、あるいは海軍省と原子力委員会が共同でやっておる、そういうふうないろいろな例がございます。
 それからその次に、先ほど局長から御説明申し上げました、現地における放射能調査監視体制といたしましてのモニタリングポスト、モニタリングポイント、モニタリングボート、こういう施設によります監視体制というものはどこの国でもやっておらないようでございます。それではどういうことをやっておるかと申しますと、試料を採取いたしまして、その中に含まれておる放射性物質を調べるというのが一般のやり方のようでございます。たとえば、アメリカにおきましては、年四回定期調査をやる、こういうことでございます。それから西ドイツあるいはイタリア、こういう国々では定期的ではございませんで、入港した場合に試料を採取して分析する、こういう考え方のようでございます。
 それから、どういう試料をサンプリングするかと申しますと、たとえばアメリカ合衆国の場合は、海水及び海底のどろ、こういうふうなことでございますが、場合によっては、たとえばイタリアなどでは海産生物などをやっている例もあるようでございます。しかし大体は、水とどろというのが主体のようでございます。
 それから分析の対象としてどういう核種を核種分析しておるかと申しますと、半分ぐらいは核種分析をしない、ベータ線のトータルの量をはかる――失礼いたしました、一部の国では、べータ線のトータルの量をはかるというようでございます。それから核種分析をしておる国でも、たとえばアメリカの場合はコバルト60だけをはかるということでございまして、核種の数が非常に少ないようでございます。
 それから分析の方法は、これは機械を用います機器分析と称するものが各国とも主力のようでございまして、国によっては化学分析も併用しておるところもあるようでございますが、主として機器分析である。
 それからどこまで測定するかというこまかさでございます。どこまでの精度を要求するかということでございますが、いわゆる検出限界として、大体各国の検出限界は、たとえば海の水の場合は一リットル当たり百ピコキュリーぐらいが検出限界であるということのようでございます。ちなみに、日本の場合はこの検出限界がさらに一けたぐらい低いところをやっておるということでございます。
 いずれにいたしましても、こういうふうに各国の状況をいろいろ調べてみまして、それを参考にいたしまして、わが国におきましての体制につきましても十分効果的、合理的なやり方をいたしまして、国民の皆さま方の御不安を一日も早く取り除くということが、私どもに課せられた義務だと思っておりますので、先生の御指摘ございますように、今後さらに十分検討しなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
○近江委員 ぼくは、手元にアメリカの資料を持っておるわけです。これはハワイのパールハーバーと周辺の放射能汚染調査の資料であります。これで見ますと、パールハーバーの場合、サンプルの採取点は総計で百六地点、そのうち特に汚染がひどい二平方キロメートルの地域におきましては、八十三カ所にもわたって採取しておるわけです。しかも事前に、港湾全体をシンチレーションカウンターで海底の汚染状況をくまなく調べておるわけです。こういう点からいきますと、横須賀が六カ所、佐世保が七カ所、ホワイトビーチが六カ所、これは全然違うわけですね。しかもパールハーバーの場合、百六カ所のうち、放射能が検出されておらないのはわずか二十一カ所、残りの八十五カ所では平均十ピコキュリーの放射能が検出されております。最高は八十三ピコキュリーになっているわけです。また、米国のコネチカット州のニューロンドン港におきましては、全部で五十六カ所のサンプリングが行なわれておりまして、三十四カ所の川底からコバルト60の放射能が検出されております。最高は二十六ピコキュリー。こういうことを見ますと、世界のこういう原潜の入港する港も必ず放射能汚染があるということがいえるのじゃないかと私は思うのです。これはパールハーバー等の例でありますが、その点におきましては非常に充実しているわけですね。そういう点、わが国においてはこれだけの地点しかやっておらないし、私は、これはもっと改善する必要があると思うのです。その点についてはどのようにお考えですか。
○伊原政府委員 ただいま御指摘の点、私ども十分検討さしていただきたいと思いますが、実は、日本でとっております体制は、たとえば米国でやっておりますように四半期ごとの定期調査というだけではございませんで、現地におきまして時々刻々の変化を常につかまえられるような、非常に充実した体制が一つあるということがございます。それから、その次に、いろいろサンプリングをいたしまして、それを分析する。確かに先生御指摘のように、日本の場合、サンプリングの数は少ないわけでございますが、定期調査のほかに、原子力軍艦が入ってまいりますつどまたサンプリングをいたしておりますので、そういうところから申しますと、全体のサンプリングの数量は非常に多いわけでございます。それから、先ほど先生の御指摘のございましたパールハーバーあるいはほかの港におきます汚染でございますが、先生の御指摘の数字、私どももそういうふうに承っておりますけれども、十ピコキュリーというのは、これはたしかグラム当たりの数値だと思いますのでで、私ども日本ではキログラムで表示しておりますので、キログラム当たりでございますと平均一万ピコキュリー、最高が八万三千ピコキュリー、こういうことかと存ずる次第でございます。そういうことで、こういう高い数字というのはアメリカの港のレポートでは出ておるようでございますが、ただ、そのアメリカの場合の表示のしかたも、私どもが調べました範囲では、キログラム当たり三千ピコキュリーに満たないものは、これはもう問題なしということで、一々分析の数値を表示しないというふうな、非常に簡略化した扱いになっておるようでございます。わが国の場合は、非常に分析関係の方が優秀であり、かつ良心的であると申しますか、非常にこまかい数字まで数値を出しておるという事実がございますのと、いま一つ、実際問題といたしまして、こういう高い数値、たとえば一万とか八万三千とか、こういう数字は日本では出たことがないという事実がございます。この事実をどう理解するかということについていろいろ御議論、御見解もあるかと思いますが、私どもが現在のシステムとしてやっておりますことは、もちろんアメリカなり諸外国と比べてさらに検討いたしまして合理化する必要があると思いますけれども、一応いまのシステムでもって十分国民の健康と安全は保障されておると考えておる次第でございます。
○近江委員 科学技術庁としましては、今回の分析研事件に対処するために、緊急の措置として、理研なり放医研等へ分析を依頼されておられるわけでありますが、早く新しい分析機関を設立する必要があると思いますし、その努力はなさっておられると思うのですが、そのときに、この放射能の調査指針大綱、いま科学技術庁がつくっておられますが、これは当然もう一度見直しをして、外国におきましてもこれだけの綿密な調査はやっておるわけでありますから、十分参考にして、私は見直しをする必要があるのではないか、このように思うのですが、この点についてはどのようにお考えですか。
○森山国務大臣 たいへんいい御質問をいただきました。先ほど政府委員から話をいたしましたように、たとえばアメリカの場合、放射能調査体制は、現地の放射能調査、ポスト、ボート等による、空間、海中放射能測定はやっておりません。アメリカだけでありません。西ドイツ、イタリア、フランス、イギリス、どこもやっていないんであります。やっておるのは、スぺインが若干やっておるようであります。そういうよそではやってないこともやっておる。それから、試料採取による放射能調査は、日本の場合は入港のつどでございますが、アメリカの場合は年四回の定期調査のみ、これは海軍省のやる調査、原子力委員会では年に一回、こういうことでございますし、そういうことの中で、ただいまお話がありましたようなやり方で調査をしておるわけでございます。アメリカの調査する個所が非常に多いというお話がございましたが、一方アメリカにおいては、海底土中のコバルト60を三千ピコキュリー以下、三千ないし三万ピコキュリー、三万ピコキュリー以上、いずれもキログラム当たりでありますが、この三種類に分けておって、数ピコキュリーあるいは数十ピコキュリーを分析しているわが国と大きく異なっておる。これは少し率直に言いますと、ばか丁寧ではないかとさえ私は思います。でございますから、よその国がやっていないことを、大部分の国がやっていないことを、わが国でやってみたり、それから近江委員がおっしゃるごとく、何カ所やるのもけっこうでございますが、しかしながら、それは年四回あるいは年一回、その程度しかやっていないのでございますから、しかもその分け方が、三千ピコキュリー以下とか以上とか、きわめて大まかであるわけであります。私はもうそれでいいのじゃないかと思っている。いままでのように、実際分析の専門家に聞きますと、何十幾つのピコキュリーだと、精緻を誇るようではあるが、プラス、マイナスまた誤差がついておるということでございまして、精緻は誇るけれども、はたしてそれで問題がないかという問題もあろうかというふうに私は考えておる次第でございまして、近江委員がおっしゃられるような点について、外国のやり方で、そのことだけを取り上げるのはいかがかと思います。全体としてどうなっているかということを考えて、それがいいやり方であるならば、それは果敢に取り上げるべし。それから、従来やっておりました仕事についてばか丁寧である問題はどんどんやめたらよろしいと、私は思っておる次第でございます。しかも近来、分析の機械は非常に発達しております。その機械の分析という点も考えて、近江委員仰せのとおり、再検討をいたしまして、装いを新たにしてこれらの体制に臨みたい、そういう考え方でございます。
○近江委員 大臣、誤解してもらっては困るのですよ。よそが日本の国より劣っておるようなものをやっておるからわが国も簡素化すればいい、これはむちゃくちゃですよ。全然そういうこととは違います。私の言っておるのは、佐世保にしたって横須賀にしたって、これだけの地点しか採取していないじゃないか、アメリカはこれだけの地域でこれだけのことをやっているじゃないか、そういうことを見習いなさいということを言っているのです。全然逆じゃないですか、そういうことであれば。私はそういうことで申し上げておるのじゃないのです。だから、わが国が厳密にやっておられるなら、それになお重ねて、そういう採取地点においてももっとふやしなさいということを言っているのです。全然違いますよ。誤解ですよ。
○森山国務大臣 やかましく言われているのだけつまみ食いして、そういう点だけ言われては困るのであります。やはり分析は全体の体系の中の一環でございまして、それは部分的に検査制度を見ますと、場所によってはゆるいところもある、場所によってはきついところもある。そのきついところだけをとって、それをやれ、それをやれというふうにおっしゃられては困ります。ですから、再検討しろとおっしゃるならしましょう。しかしいまの体制はうんと変えなければなりませんよ、そしてそのことはどこへ出しても恥ずかしくないような形で大いに論議をいたしましょう、これが私の基本的考えでございまして、それは先生の御意図とは違いますけれども、たいへんいいところに着眼をされて御質問願ったと、感謝を申し上げます。
○近江委員 この問題は、あす理事懇もやるわけでありますし、これはたいへんな問題であります。そういう意味にとってもらうと、これはたいへんなことです。少なくとも、わが国は原爆の刻めての体験国でもありますし、やはり放射能問題であるとか、特にこの原子力問題については世界各国の中で一番シビアでなくちゃいかぬわけです。むしろ世界各国がわが国のそういう監視体制等を見習っていくような、模範をつくっていかかければならぬわけです。そういう低いレベルに合わせていくような考え方というものは絶対に許せません。これは他の党の理事の皆さんともよく話し合って、これは重大問題として、今後政府の体制について私はチェックをしていきたいと思っております。ですからこの問題については、私はこういうすぐれた面をさらに十分取り入れてもらいたいということを申し上げておるわけですから、その辺をひとつ取り違えないようにお願いしたいと思うのです。
○森山国務大臣 ただいまのような御議論がありましたから。
 近江委員は、私の言う趣旨で御発言になったのじゃないかもしれません。しかし再検討されるという結論については、私は全く同感でございますから、再検討いたしましょう。とにかくよその国より安直にやれなんということは私は言っておりませんよ。よその国と同様の程度に、平均値でいいじゃないか。何で日本だけやかましいことをいわなければいかぬのだ。これは理屈のやりとりをいたしますと、相当いろいろな問題が出てくるのじゃないかと思います。願わくはひとつそういう点もお考えになられて、いろいろ御教示を願いたい、こう思います。
○近江委員 この問題は、先ほど申し上げましたように非常に大事な問題点でありますし、大臣のお答えになられた点については、まだ私も十分納得できませんし、今後これは非常に重要な問題であると思っております。政府におきましても、そういう安易な方向には絶対に流れないように、これはひとつ強く申し上げておきたいと思います。
 それから、実際にこういう放射能の汚染を調べる場合におきまして、いろいろな調査が事前に行なわれなければならぬわけですね。地形であるとか、海底図であるとか、海流の出入り口の状況であるとか、潮流の方向、渦の存在の有無、潮流の強弱、河川の流入の模様、船舶の航行に伴う海底土への影響の有無、湾内への工業排水の有無、こうしたいろいろな予備調査あるいは海水中の浮遊物の集積しそうな地点を中心に、相当数の地点を採取地点として選んでいく。その結果の核種分析を、少なくとも長期間のオーダーで定期的に連続的に測定して、その過程で、地点による相関を見ながら、意味のある採取地点というものを選別して、最終的サンプリング地点として残していかなければならぬわけです。こういうようなこまかいような、そういう分析までやっているかということなんですよ。この辺だって厳密に、実際に海洋専門家がメスを入れていきますと、相当問題が出てくるのですよ。私が申し上げておるのは、徹底した、シビアな、そういう調査をしてもらいたいということを申し上げておるわけですよ。私、専門家に聞いたわけでありますけれども、そういうことをやっていますか、原子力局長。
○森山国務大臣 ただいまのことは事務当局よりお答えをいたさせます。
 しかしこういうものの分析等のやり方につきましては、総体のシステムとして行なっておるわけでございますから、やはり相当に時日もたっており、それから分析の機械、器具等の進歩発達もあるわけでございますから、この際再検討するということは一つの時期であろう。しかし、それは国際的な一般的なやり方から見て、それより安易なものであっていいなんと、私はいささかも言っておりません。ただやり方というものは、やはり時代が変わると同じように、再検討していく必要があるのじゃないですか。必要な点で抜けているかもしれません。ばか丁寧なことをやっているかもしれません。そういう点をよく再検討いたしまして、そうして時代の実情に合うようなやり方に切りかえていく必要というものは、私は何人も否定できないと思うのでございます。近江委員は何か、私がそういう分析みたいなものをみんないいかげんにしていいようなお受け取り方をされたわけでございますが、決してそうではございませんから、どうかその点はひとつ十分御理解を賜わりまして、どの程度のところでいいかということについては、それは意見の相違という場合も出てまいりましょう。しかしながら、いつまでも同じやり方でやっていていいかどうかということは、やはり考え直していかなければならぬ問題の一つであるというふうにどうか御理解を願って、ただいま近江委員からお話がありました点等につきましても、そのことが必要であるといたしますならば、われわれは果敢に取り入れてやっていかなければいけないのじゃないか、そういう点を申し上げているわけでございますから、どうか御理解賜わらんことをお願いいたします。
○牟田口政府委員 現在行なっておりますサンプリングの地点につきましては、軍艦の出港後は、停泊しておりましたところの地点とその周辺から、試料を集中的に採取いたしておりますが、定期調査のときには、これは港湾全体から見て、地形、海流等を考慮して、一般的放射能水準が把握でできるような地点を選んでこれを行なっておるわけでございます。
○近江委員 そういう点につきましては、海洋の専門家等も交えて、最もそのポイントとしてふさわしい、そういう設定について誤りのないようにしていただきたいと思うのです。
 きょうは非常に限られた時間でございますので、これで終わりたいと思います。
○安井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 原子力開発に関する問題調査のため、本日、動力炉・核燃料開発事業団理事長清成進君及び同理事宇佐美勝君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承題います。
 石野久男君。
○石野委員 私は、いまの近江委員からの質問の中で、大臣が、日本の分析なりあるいはモニタリングのばか丁寧なものはもうやめたほうがよろしい、こういう御発言でございました。あるいはまた、外国は三万ピコキュリー以上のものに焦点を合わしているけれども、もうそれ以下のものはやっていないのだから、そんなばか丁寧なことはやらないほうがいいという御発言でございました。この点について近江委員も非常に怒っておりましたが、私はやはり大臣のこの考え方はきわめて重大だと思うのです。われわれは、ピコキュリーというものは非常に微細なものだからというので、これを軽視するということは許されないことだと思います。どんなに微細なものでも、数多く重なれば、これは障害になってくるのです。今日放射能の問題は、その微細なものの累積によって被害が出てくることを非常におそれているわけですから、大臣がそういう考え方であることは絶対に許せないと思うのです。特に海水なり海底土の調査にあたって、諸外国が非常に軽視しておるのだから、日本もその程度でいいじゃないか、ばか丁寧なことをやらなくてもいいのじゃないかという、この発言は許せないですよ。わが国のいま一番当面している問題は、石油で困っている、私はこの次はすぐ食糧だろうと思うのです。しかし食糧の中で、特に海産物の持っておるたん白資源は、日本の食糧のうちの約四五%から五五%を占めているといわれている。こういうものに、海底土、海水がみな影響してくるのですよ。私はこういうようなことを全然考慮もしないで、ただ諸外国がそうだからというような安易な考え方で、大臣が放射能管理の問題を指導するとしたら、これはたいへんなことですから、私はこの考え方は徹底的に、大臣にやはり改めてもらわなければいけない、そう思います。ひとつ大臣の所見をお聞かせください。
○森山国務大臣 国際的にはICRPというのがございます。国際放射線防護委員会、そこにいま一応基準がありますが、しかしそれは一九五一年の会議でもありましたように、アズ・ロー・アズ・ポシブル、一九六二年にアズ・ロー・アズ・プラクティカブル、一九六五年にアズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルということで、それより低いほうがまあいいわということでやることは事実でございますし、私どもも、その精神で行くことには異存はございません。しかしながら、何事も、過ぎたるは及ばざるがごとしという格言がございまして、あまりおかしな議論が出ると、私は非常におかしな感じを受けます。
 たとえば先般、沖繩の沖でコバルト60が検出された。それはハリセンボンという魚だそうでありますが、それに六十ピコキュリーが累積されて、これはどうじゃというお話があった。しかしこれは、六十ピコキュリーのハリセンボンという魚を毎日百グラムずっとって五十年間食べても、それが全部累積したといたしましても、それは国際許容水準の一万分の一だ、こういうのですね。どうしてそういうことを問題にされるのですかというのが、しろうとの私の疑問ですよ。だから、それはほどほどにされたらいかがか。先生のおっしゃるとおり、私もアズ・ロー・アズ・ポシブル、アズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブル、そういう考え方でいくのに異存ございませんよ。しかし、ものには程度があるのではないか。低ければ低いほどいいというのではないのであります。そこに、おのずからなる常識の線がある。ただ、われわれは知らぬものですから、六十ピコキュリーのコバルト60があったら、何だと言われた際に、こっちはわからぬから、それはそうですなと首をかしげて返事ができないか、あるいは質問される委員の顔色を見て、同調するというようなことになってしまうのですね。そんなことはいけませんね。私も、だんだんものがわかってきてみると、ずいぶんおかしな議論を国会でやっておるのではないか。大体、これは国会でやる議論であるかどうかというので、ときどき私は疑問にさえ感じておるわけでございます。ですから、先生のおっしゃる基本線は、私も、ICRPの精神でございますから、それは尊重するにやぶさかではありません。しかしものには限度があり、あまり行き過ぎない程度に、お互いにやっていく必要があるのではないかということでございますので、あるいは私が申し上げる点につきまして、過ぎたるは及ばざるがごとしというような一つの格言でございますが、そういう線で私が発言しているのだということに御理解を賜わりたいと思います。基本的なものの考え方は、アズ・ロー・アズ・ポシブルであり、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルであり、アズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルであります。
○石野委員 より少なくあるほうがよろしいということは、だれでも考えることですし、私たちも非常識なことは言いたくない。ただしかし、ものには、十分解明されてだいじょうぶだよという信念を持てるものと、まだ不安がたくさんあって、次から次へいろいろなものが出てくる、そういう未解明なものがたくさんあるものとがございます。放射能は、まさにその一つです。
 いま大臣は、微細なものはと言う。いま原子炉を開発する方々は、たとえば温排水の問題をとって、一度ぐらいのものはたいしたことはない、とこう言う。一度ぐらいの海温がたいしたことはないということは、どこからきているかという問題について、私は、それならば現実の問題について聞きたい。漁業者にとって、海水一度の問題はどんなに影響してきますか、大臣は知っていますか。
○森山国務大臣 私は、先ほど来、一般論を述べて言っておるのでありまして、私が述べる一般論については、御理解を得られるであろうということでございまして、個々の問題について、私は石野委員のようにそう勉強しておりませんから、いま直ちに返事をするわけにいきませんけれども、しかしそれが非常に問題だという人もあり、問題じゃないという人もある、そういうふうに私は聞いておるわけでございますが、問題であるという人があれば、やはりその意見について耳を傾けていくというのが、テクノロジカルなアセスメントをやっていかなければならない、この新しい産業であり技術である。私は原子力産業は、あるいは原子力の技術は、いつも申し上げるわけでありますが、軍事利用から発達したことは間違いありません。そして平和利用が実用化になりましてから二十年足らずであって、歴史も短いわけでありますから、だから技術的にアセスメントをやって進めていく、安全性その他の問題に気をつかってやっていくという点には、全く異存はないのです。しかし、あぶないぞ、危検だぞというのはおかしいのではないかとだけ言っておるのでございまして、気がまえといたしまして、念には念を入れてやっていくということについては、いつもそういう点については主張をしておりますし、したがって、石野委員から累次にわたっていろいろ御質疑がある事項につきましても、とにかく一つの産業なり技術が一人前になる間、これは通らなければならない関門である。一つ一つ、真面目に、石野委員の御質疑に対してお答えをいたしておるつもりでございますので、どうかひとつ御理解賜わらんことをお願いいたします。
○石野委員 大臣、あまりばか丁寧にやらぬでもいいということを、きのうも決算委員会で言われた、きょうもまた言われている。私は、この問題は考え直してもらいたいと思うんです。大臣は、原子力はわかればわかるほど、国会でやっていることはばか丁寧なことをやっておって、ばかばかしいと、こう言うんだ。そうじゃないですよ。大臣はもう少し他の面も見なくちゃいけないと思います。たとえば、海水温度一度違ったとき、どういうような状態が出てくるか。北海道に行ってごらんなさい。岩内の発電所のところに行きますと、あそこはスケソウダラのとれるところですよ。スケソウダラのはえなわ漁をやっておる人たちは、温度八度のところまで、はえなわを持っていくけれども、温度九度になったら船はスタンバイして、はえなわはもうそこへは投げないんですよ。スケソウダラ、そこにはいないんですよ。これはわずかですよ、一度ですよ。それほどにまで水産物は違ってくるんですよ。そういうことも知らないで、たった一度は何だ、こういう言い方は僭越ですよ。もう少し勉強してから言いなさい。そういう自分かってなことを、幾ら大臣だからといって、言っちゃいけませんよ。ことに、われわれは原爆の被害を受けている。そして、まだわずかに三歳か四歳の子供が長崎や広島で被爆をした。その子供たちが成人になって結婚して、そしてその子供たちはどういうような子供を胎内に宿したかということは、あなたわかっているでしょう。わずかばかりの線量の被曝が、その染色体を侵して、どんなに奇形児をたくさん産んでいるか、皆さんわかっているでしょう。アルコール詰めのものを見ているでしょうが。放射能についての危険性は、どんなにわれわれが神経質に考えても、決して過ぎちゃいません。ことに、たん白質の約半分以上を海産物からとっている日本が、海を汚染さしたらどうなるんですか。私は、もっともっと、そういう点についてやはり慎重であってほしい。大臣がもしこういう発言をするんでしたら、もう半年ぐらい勉強してから言ってくださいよ。私は、大臣のこういう発言はまずいと思いますよ。大臣が、こういうようなことを、ばか丁寧だなんというようなことを言われるとするならば――それは、電力業者はそれを言っていますよ。しかし業者は、どのようにしてもうけるかということを真剣に考えているんですよ。物価の問題で、どんなに大企業や大商社がめちゃくちゃなことをやっているか、あなたわかっているでしょうが。私は、こういうような大企業や大商社が、もうけるためにやっている考え方、資本主義の社会で利潤を追求する人々が考えているやり方を、すべての人に押しつけようとする考え方を、もし大臣がとるとするならば、これはたいへんなことだと思う。特に放射能の問題は、党派をこえて、われわれはいま真剣に考えなければならぬ問題であり、本委員会は、このことのために真剣に努力してきているんだ。われわれの論議を、ばか丁寧だなどというようなことばで言われることは絶対に許せない。このことばは取り消しなさいよ。
○森山国務大臣 どうもあなたは、私の言っていることをちゃんと聞いておられないようですね。先ほど、海水温度一度云々というお話があったが、私は、そういうことの専門的知識はないけれども、しかしながら、それで影響ないという人もあれば、あるという人もある。しかしテクノロジーアセスメントというものを旨としてやらなければならない産業であり技術であるから、そういう点もいま問題になるでしょう。ほかにも石野委員から、累次にわたって、いろいろそういう問題についてお話があるが、やはり一人前の一つの科学になり技術になるためには通らなければならない関門であるから、真面目に取り組んでおるではないですかと、私がお答えしたことに対して、あなたからただいまのような御発言があるというのはまことに心外です。
○石野委員 私のなには、別に私が捏造したものではありませんよ。あなたが発言したのは、ばか丁寧ではないか、そんなものやめたらよろしい、国会の中でこんなことをやっているのはばかばかしい。こういう発言だから、私は言うのですよ。
 それから、私がいま一度の問題を言ったのは、別にそれがいいとか悪いとか言っている人がいるんじゃないんですよ。漁労者にとって、温度八度のところまでははえなわはいくけれども、九度のところに行けば、はえなわは幾ら伸びてもスケソウダラはいないという現実があるんですよ。この現実は客観的ですよ。これは幾ら大臣が、いいと言う人もあれば悪いと言う人もおると言ったって、そんなことは通用しませんよ。スケソウダラはいないんだから、そこには。こういう現実は率直に認めなければいけませんよ。少なくとも、国会で論じていることはばか丁寧ではないか、あるいは、そんなことやめてしまえ、というようなことばだけはやめてもらわなければ困る。
○森山国務大臣 いまわかったのですが、そうすると、沖繩沖の話は石野委員の御発言だったわけですか。私は、そういう種類の発言があったけれども、私には理解ができぬということを申し上げたわけです。
 もう一回申し上げますと、沖繩の沖でコバルト60が出る。六十ピコキュリーですね。しかし、そういうピコキュリー入ったハリセンボンを毎日毎日食べても、そして五十年間食べても、累積するコバルト60は許容量の一万分の一以下であるというようなことは、本来問題にならないことじゃないですか。そういうことは、国会議員の立場において言うことも自由であると同時に、特別職である国務大臣が意見を述べることも自由なはずであります。そういうことについて、私から見ればこれはばか丁寧じゃないかと思う、こう申し上げたことは、決して悪意をもって申し上げたわけではありません。そういうことばがあるからで、もしあれでございましたら、少し丁寧過ぎるのではなかろうかというふうに言い直しをさせていただきたいと思います、ことばの使い方が悪ければ。しかしそれは石野委員が言われたとは別に思わないで発言をいたしたものでありますから、そういう意味で申し上げたわけではないが、もし、ばか丁寧ということばが失礼であるならば、委員長、丁寧過ぎるのではあるまいかというふうに直していただいてけっこうでございます。
○石野委員 近江委員に対する答弁あるいは昨日の決算委員会でも、同じようなことを言っておられる。ただ問題は、ピコキュリーがどのくらいだとかなんとか、これはわれわれいま論議しているのは、そのピコキュリーそのものではなくして、いわゆる採取土あるいは採取海水、そういうものを、どういう地点で、どういうふうに取ったかということが内容なんですよ。だから、その取った地点とかあるいは取ったものによって、放射能がどれだけあるかどうかが変わってきます。その採取土が、ほんとうに科学的に客観的に、われわれが信頼できるかどうかという問題の究明がまだ行なわれていない。先ほど近江委員が、パールハーバーの問題を出した。そしてそのときに、パールハーバーの問題についても、いわゆる採取地点というのは相当多岐にわたって、そしてしかも至近地においても、やはりずいぶんと放射能の含有量が違っていますよ。だから、それらのものは、数多く出した中で、特に放射能度の高いところのものについて真剣な対策を立てなければならぬということを言おうとして、近江委員は質問しておったと思います。だから、大臣が言うように、小さいものであればなんというような、われわれはそういう仮想のものを言うのじゃないのですよ。現実のものにぶつかっていきたいから、その調査方法をどういうふうにしているのかということをわれわれは聞こう。その聞こうとするときに、ばか丁寧なことがどうだこうだということになったら、われわれは究明できなくなるのですよ。訂正されたようですが、丁寧過ぎるとかなんとか――丁寧過ぎやしませんよ。もしそうであるならば、たとえば佐世保とかあるいは横須賀とか、あるいは沖繩において調査が行なわれているとするならば、行なわれていることについて、私は資料を要求します。
 委員長にひとつお願いしたいのですが、とにかく港湾の調査をしましたときのその港湾の地形、あるいは海底図というようなものをまず出してください。
 それから海流の出入り口の状況、とにかく潮流の方向だとか、渦の存在の有無、これを図面にして出してください。潮流の強弱、それから河川の流入の状況、こういうようなものの図面がおそらくあるでしょう、これがなければ調査できないのだから。そういう資料を出してください。
 それから、船舶の航行に伴うところの海底土への影響の有無と程度、これは特にスクリューによる巻き上げ等によって、ずいぶん違ってくるはずですから、そういうものをひとつ出してほしい。
 五番目には、港内の工業排水、特に製鉄所から出るコバルト60、製鉄所がもしありましたら。これは横須賀なんかそれがあるはずですから。こういうようなものの有無とその弁別と量、こういうようなものをはっきり出してもらいたい。こういうようなものを出していただいて、その上に、海水浮遊物の集積しそうな地点を中心に、相当数の地点を採取地点として選ばなければならぬわけです。その結果として、核種分析が非常に長期にわたって検査されなければならぬと思う。その過程で、相関を見ながら、意味のある採取地点というものをちゃんと選んでいくべきだろうとわれわれは思うのです。だから、このサンプリングしておるところの地点だとか、地点として残してきた経緯というものをひとつ明確に示してください。こういうようなものをしっかりと示してもらった上で、モニターの際の一般的な手続である、バックグラウンドの状態というものをはっきりと示してもらいたい。
 私はやはりこういうようなことをしっかりやった上で、まだそれでも丁寧過ぎると言われるなら、これはもう私どもは何をか言わんですけれども、そういうものはちっともわれわれはわからないのだから、それを明確に示してほしいと思います。これは委員長から、出せるかどうかひとつ聞いてください。
○安井委員長 いまの石野委員の御請求の資料について、政府側のお考えをお聞かせいただきたい。
○森山国務大臣 ちょっと私からお答えしますが、ずいぶんたくさん列挙されましたので、事務方は書いておるかもしれませんが、できるならば、委員長にお願いしたいのでございますが、与党の理事諸君もおいでになることでございますし、ひとつ御相談願いたい。私どものほうも検討させていただきたい。いま直ちに返事はできません。
○近江委員 関連。いま石野委員から資料要求がありましたが、私も全くこれは同じ立場で、資料要求いたします。これをひとつよろしくお願いしたいと思います。
○安井委員長 それでは、いまの資料の扱いについては、後刻理事会で相談したいと思いますが、それでよろしいですね。
○石野委員 はい。私はせっかく参考人を呼んでおりますから、参考人に御質問したいのですが、その前に、やはり問題はきわめて重要でございますので、資料が出ました上でまた討議をします。けれども、私は大臣に申し上げますけれども、われわれはばか丁寧なことでじゃんじゃん言っておるのと違うのですから、これはあくまでも、このことをやらなければ安全性の確保はできないのだという視点を、大臣自身が持たないというと困る。この点だけは大臣にはっきりと念を押しておきたい。そうでないと、科学技術庁は案外、財界とかあるいは業者の方々の要請をまともに受けて、前へ前へ進んでいくから、うしろのほうにはいろいろな落ちこぼれが出てきたり、問題が出てくるのだと思うのですよ。たとえば決算委員会で、私はきのうも決算でお聞きしようと思ったのですが、手順が悪くて、実は事業団の理事の方々においでいただけませんでした。きょうは決算とは違いますけれども、科学に関係することでございますので、清成理事長ほかおいでいただいてお聞きするわけですが、その前に、決算委員会が出しました意見、特に昨日、私は高橋局長からいろいろお話を聞いて、高橋局長は、部分的な問題だからということで、注意をしたのだということで、そしてまたこの次の来年度の報告ではそれがどういうふうになっているかをはっきりしてもらいます、こういう御答弁でございました。大臣もそれをお聞きだったと思います。大臣は、昨日の決算委員会での私の質問を聞いておられたと思いまするので、そのときのなにを基礎にして、ひとつきょうは事業団に対する質問に対するお考えを、またあとで聞かしてもらいたいと思います。
 お尋ねいたしますけれども、事業団は会計検査院から幾つかのことにつきまして注意を受けております。「動力炉等の建設事業にかかわる建築、土木工事の予定価格の積算について処置を要求したもの」として、九件に対していろいろな事項が書かれております。これは最初にちょっと会計検査院にお聞きしますけれども、この初めのほうに書かれておりますように、四十七年度までの建設費の合計七百七十八億九千三百三十二万円のうち、九つの「原子炉建て家等の建築及び土木工事」計九件だけを扱ったわけですね。そしてその九件の総額は百八億九千九百四十八万円、したがって四十七年度までの七百七十八億円の約七分の一だけについて、いわゆる張面を当たった、こういうふうに読み取ってよろしゅうございますね。
○高橋会計検査院説明員 ただいま石野委員の指摘されたとおりでございます。
○石野委員 ここで出ております問題は、一つは「積算関係資料の調査検討が十分でない」ということ、それからいま一つは「積算が施工の実態に適合していないもの」、こういう分類の中で、幾つかのものが意見を述べられ、あるいは処置を要求されております。いずれを見ましても、これは主として二重の帳簿記載という形で決算が行なわれておるわけでございまして、したがって、経費の使い方としては二重に経費計上がなされているということだと思います。そういう問題について、理事長は、この会計検査院の意見の表示がありましたときに、どういうふうにこれを受けとめられましたか。まず最初にそれからお聞きしたいと思います。
○清成参考人 清成でございます。
 御承知のとおり、私のほうの事業団は四十二年に設立をされました。燃料のほうは別といたしまして、動力炉のほうはほとんどゼロからスタートしたわけでございます。したがいまして、人手も非常に不足のままで推移しましたが、やっておる仕事は非常に大きな仕事でございまして、全体の人員から申しますと、その当時の人間は約七百名、現在の人員は約千六百名をこしております。それで、設立当時の管理方面と申しますか、総務、財務、そして業務、こういうような方面の人員と、それから現在のその部門の人間を君えますと、大体一・三倍になっております。全体の人員は二・何倍かになっておりまして、そういうふうな事務方面は節約をせざるを得ないような状況になっております。
 実は、今回会計検査のほうでやっていただきましたのは、四十七年の分でございますけれども、実際にやりましたのは四十五年とか四十六年とか四十七年、こういうふうなところの仕事をしたのが相当にございます。それで、御指摘を受けました点は、いずれもまことにごもっともな御指摘で、われわれ手落ちがあったということを率直に感じました。それでこれは、われわれできるだけ少ない人数でもって多くをこなさなければいかぬというようなことからやってきました。従来いろいろそういう面の手不足を感じまして、改善をしてきたつもりであったのでございますけれども、それがなお十分の効果をあげませんで、こんな御指摘を受けたということは、実は非常にありがたかったことでございまして、これを機会に十分な反省をいたしまして、科学技術庁からもいろいろと御注意がございました、そういう御指示にも従いまして、今後積算業務の審査の体制を新たにつくろうということにいたしました。それからまた、積算の資料を十分に整えるというようなことを急速にやっていきたいと考えておるところでございます。
 ただ、石野先生のニュアンスと私のニュアンスが少し違う点があるのでございます。これは、積算と申しますのは、私も長年民間におったのですが、民間ではこういうことをやったことがない。考えますと、積算ということば自身が私ちょっとわからなかったのですけれども、だんだん事業団でもまれますと、わかってくるのですけれども、われわれがこれは幾らかかるだろうという腹づもりをするものの材料を出すことを積算、こういうふうに言っておるわけなんでございます。したがいまして、この仕事はこうこうこういう材料をこれだけ使う、こうこうこういう人間がこういうふうにかかる、したがって値段としてはどのくらいはかかるだろうという、最初の予算の腹づもりをするときに使いますのが、この積算ということばでございます。したがいまして、私たちが今度は実際に業者とやりますのは、一括の契約でありまして、それらのものを全部向こうから出してくるわけでも何でもございませんし、こちらもまた出てきたものを一々――出てこないものですから、調べようもないわけなんですが、そういうことで契約をいたします。契約をするときには、全体のわれわれのところの仕様というものと、それから値段、それのギャランティーを向こうにさせるわけでございますからして、いまの積算が十分に行なわれていないとしますと、多少損な買い方をする結果にはなると思います。これは十分私たちも責任を感じまして、できるだけ損な買い方をしないようにという努力をやっておるわけでございますが、御指摘を受けたようなものは、まさにほんとうの意味で、じょうずな賢い方ではなかったというふうに、われわれ非常に反省をしておるわけでございます。われわれも、これは国民の税金を使った仕事をしておるものでございますから、そういうところの責任は十分感じますが、何ぶんにも、非常にたくさんの件数を非常に少ない人間で扱うものでございますので、そういう点はなはだ申しわけなかったと思っております。今後は、森山大臣からもわりあいに人をつけていただきまして、そういうような意味で、審査の体制強化その他に約五人を一挙に増そうということで、四月からそういう体制に移るつもりでございます。ですから、今後一つもないとはなかなか申し上げかねるのでございますけれども、こういうミスは何とかして減していきたいこういうふうに考えておるのでございますが、ただ、一つの感想として、実は石野先生に――石野先生だけじゃなくて、私皆さんに御納得を願いたいと思うことは、こういう仕事は、顧みますと、六、七年前にこの事業団の法案がこの国会で審議されますときにも、こういう不確定要素の多い、開発要素の強い大きなプロジェクトを、現在の会計制度あるいは予算制度のもとでやるということは非常にむずかしい、官僚機構の中でやっていくということは非常にむずかしいということを、石野先生からも御指摘を受けたと思いますし、佐々木良作先生からも御指摘を受けて、いろんな点で非常にむずかしいということは覚悟してかかってはおります。そこで、われわれのいまのプリンシプルとしまして、事業団はできるだけ少数精鋭な人間を持ちまして、キーメンバーでいろいろなデシジョンをやる、そして責任は負う。それでほんとうの業務は、各いろんな専門の機関があります。原研とか、大学とか各メーカーとか電力会社とか、そういうようないまありますところの機関を、組織として十分活用するような、委託なりあるいは請負なりというようなことをやっていって、非常に短期間にこの目的を達成するようにというようなことでやってきましたので、そういうようなのがいろんな面にあらわれてくると思います。ですから、そういうような面で、これから毎年の御審査にいろいろなことをおっしゃられるということはもう承知しておりますが、そういう意味で、われわれできるだけ一番有効に国の金を使おうという信念から発しましたことでございますので、そういう点はひとつ御理解を願って、いろいろと御審議を願いたい、こういうふうに考えます。しかし、これはたいへんミスをやりまして申しわけありませんでした。これは深く反省をして、改善をいたすつもりでございます。
○石野委員 もう一つは、私はちょっと高橋局長にお聞きしておきたいのですが、積算というのは、結局見積もりみたような形であるだけでなく、ここでいう積算方式というものは、もうすでに決算を終えているもの、そういうものとの関係はどういうふうに――その形で契約をし、支払いをしているということとは違うのですか。その点はどういうふうなんですか。ちょっといま理事長からの話を聞いておって、積算関係資料という資料と、決算との関係はどういうふうになるのですか、契約、決算との関係は。
○高橋会計検査院説明員 ここにあげましたものは、四十三年度から四十七年度までの、施行した工事を検査した結果、指摘したものでございますが、契約はここに書きましたように九件ございまして、百八億という金額になっておりますけれども、この工事の全額が完成したというものではなくて、まだ進行中のものも実はございますから、総額について決算が終わったというものばかりではございません。
○石野委員 そうしますると、ここで指摘したものは、現実には支払ったものもあるし支払ってないものもある、こういうふうに受けとめられるのですか。
○高橋会計検査院説明員 まだ未払いのものもございます。
○石野委員 この九件のうち、未払いになっているものはどれとどれとどれなんですか。
○高橋会計検査院説明員 ここに書きましたように、九件の工事総額百八億九千九百四十八万でございますが、うち六件の工事は、四十八年九月、検査日現在未竣工でございまして、その金額は九十七億三千九百八十九万円でございます。
○石野委員 百八億のうち九十七億と申しますから、ほとんどがまだ未完成でございますが、ただ私どもこの報告書を読むにあたって、ここに何件か指摘されておりますが、その指摘されているもののうちで、支払い未完了のものと、それからもうすでに完了してしまっているものは、どれとどれとどれなんですか。それだけちょっと指摘しておいてください。
○高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。
  検査報告一五一ページ以下にいろいろ書いてございますが、一五三ページの5というのがございますが、これが終わっております。
 それから次のページの一五四ページでございますが、それの3、これが終わっております。
 それから一五五ページの4が終わっております。
 ここには十件指摘申し上げましたけれども、この中では、終わっているのがいまあげました三件でございまして、あとのものはまだ未竣工のものでございます。
○石野委員 この終わっているものは、支払いが済んでいて、そしてその支払いの済んだものについて、会計検査院からいろいろと注意が行なわれた。これは金額の計算を、もし会計検査院の示したような方向で改めますと、私の計算が間違っていないとすれば、五の項では――ここでもし会計検査院の計算でいきましたときの金額はどのくらいの違いになるか、それから三項のところでどのくらいになるか、それから四のところでどのくらいになるか、これをひとつあとで示してください。
○高橋会計検査院説明員 はい。
○石野委員 それから、これは清成理事長に御質問しますが、いずれを見ましてもほとんど二重記載なんです。たとえばまだ未完了ですけれども、一の項でいきますると、これは労務費は別途に計算されているのだ。だからここで言えば、「別途にこれらの労務費を積算する必要はない」と、こういうふうに書かれておる。それから二の項でいきますると、これは価格の高いものと安いものがあるからなるべく安いものを入れなさいということです。三の項は、これはタワークレーンの損料率の問題ですから、私どもでちょってわかりにくいのですが、四の項になりますると、この四の項も、三十三メートルのところまではもうすでに積算、損料算定しておるのだから、それは重複しているじゃないかということ、それから2の1になりますトラッククレーンとタワークレーンの問題についても、これもやはりこれでやれるはずなのに、何も大きいものを使う必要はないじゃないかという意味ですね。
 いずれも二重の請求といいますか、二重の記載事項ということになっておりまして、そしてわれわれが見る場合においては、これは意識的にこういうふうな書き方をしているのじゃないかと思われるようなあやまちですよ。これは原価なんかをやっておるものからすればすぐ考えられる。特にいま済んでおるという新型転換炉原型炉建て家の面においての問題は、会計検査院は、こういっておるのです。「しかし、一般に、この種の配管工事は工場加工しないで現地で加工等を行うのであるから、工場加工費を計上する必要はなく、また、すえ付け作業はすえ付け専門の業者がこれを行っているのが通常であるから、すえ付け費は、工場間接費を見込むことなく当該工事現場地区における職種別賃金により積算すべきであったと認められる。」こういうように書いてあるわけなんですね。ですから、率直に申しますと、こういうことは、原価を扱っておるものからすればすぐわかることだとぼくは思います。しかもここで、工場間接費などを見込む必要はないとまで指摘しておるわけですね。ですから、このなには、ただ理事長が言われるように、人員が少ないからだけでこういうあやまちが起きてきたとばかり思えない、そういうふうに見受けられます。したがって、私はやはりこれはそういう観点から、この原価計算に対する会計検査院の勧告というものは十分受けとめて、そのあやまちを改めなければいけないだろう。したがって、3とか4、それから1の5等、すでに清算済みのものについて二重払いに該当すると指摘されたもの、そういうものはそのまま、今後は改めますではまずいと思うのですよ。二重払いの事実があるとすれば、この分は返す、もう一度それを支払いしたものから取り上げるべきでなかろうか。それでなければ、これは税金を使っているのだから、納税者に対して申しわけないことになるだろう。会計検査院のほうは、ここにはそういうことまでしろとはいってないのです。注意しなさい、こう書いてある。しかし事業団の理事長としては、こういうふうにはっきり指摘されたものを、まあまあしかたがないやというわけにいかないだろうと思いますから、これはあとで計算した上で、もし二重払いの事実があり、会計検査院の意見なり勧告というようなものが妥当だと思われる場合は、当然これをもう一ぺん取り戻すというやり方をすべきでないかと思いますが、理事長はどういうふうにお考えになりますか。
○清成参考人 一々の御指摘はまことにごもっともなことでございますが、どうもその積算というものに関しまして、先ほどから、石野先生と私の説明との食い違いがあるわけなんであります。それで、これを考えてみますと、私よりも石野先生のほうが実はよく御存じと思うのですけれども、これは先ほども申しましたように、どのくらいの金額になるだろうかという、こちらの腹づもりのための参考資料が、この積算なんでございます。したがって、向こうにこれを示したわけでもなければ、向こうから示されたわけでもない。われわれがこの腹づもりで、この見積もりは高いとか安いとかいうことを判断するための資料なんでございます。したがって、こちらでずっと積算して、これは百万円になる、こう考える、ところが向こうは百五十万円で出てきた、というときに、これはもっとまけろということを言うわけです。そのときにわれわれが、百万円と出たから九十万円にまけろとはなかなか言わぬわけで、これはどうも百万円くらいまではまけさせられるはずだというので、われわれは努力する。しかしどうしても向こうがまけなかったら、それは百五万円になるかもしれませんし、あるいは九十七万円になるかもしれませんけれども、ともかくもわれわれは、契約は百万円なら百万円、百五万円なら百五万円で契約をするわけなんです。契約をしましたら、それはわれわれは、この仕事を、それだけで、われわれの望むようなものを納めてくれれば、それで払わなければならぬ。この積算というのは、向こうは何も関係ないわけなんです。したがいまして、あとから取り上げるなんということは全然考えておりませんので、そういう点は、実は法学者の石野先生のほうが私よりも、そんなものを取れるか取れぬのかということは、はるかに御存じだろうと思うのです。これは私のほうは取るつもりは全然ありません。ただ私が非常に責任を感じますのは、こういうことのために、会計検査院の御指摘のように、もっと安く買えるはずだった、そこまでたたけるはずだったのを、われわれがずさんな資料を使ったためにたたけなかった、したがって、それだけ間接に国に損害をかけたことにもなるということなのでありまして、これは私が責任を負わなければならぬ。これは非常にまずい買い方をしましたという点では、私責任をどこまでも負うつもりでございます。ただ、私、返せと言われても、それはわれわれの財産とまるで違うような金ですから、とても返せばしませんけれども、私はその責任はとろう、こういうつもりなのでございまして、これは、工事が済んだからもう返せ、工事が済まないものはそれから差し引けというようなこととは、ちょっと性質が違うと思いますので、その点、先生少し誤解があるのじゃなかろうかと思います。
○石野委員 それは実は見積もりをとったときの向こうから出された資料、それに対して、会計検査院が、この1の(5)あるいは2の(3)、(4)というようなものはすでに支払い済みだとこう言いますから、支払い済みになれば――これは見積もりを出すにあたって出された積算資料ですね。そういうものだとしますと、それで契約が済んで、その契約に基づいた支払いも済んでしまったわけだ、この項目は。したがって、そういう積算に基づいて契約が行なわれ、契約に基づいた工事が完了して、支払いが済んだ。それはもう事実そういうことになっているけれども、しかし指摘している点は、これは二重に払っているということがはっきりしてきたわけてしょう。――理事長、首をひねっているけれども、こういうことなんでしょう。「この種の配管工事は工場加工しないで現地で加工等を行うのであるから、」云々ということになっておって、本来ならはずすべきであった。それを事業団のほうは、そのことをはっきりわからないで、だまされちゃったということなんでしょう。
○清成参考人 だまされるもだまされぬも、こちらのことですから……。
○森山国務大臣 これは事業団のほうの予定価格ですから、その予定価格で腹づもりをつくっていたわけです。そして実際の契約価格は、その腹づもりのワク内においてきめるわけですから、だから、これは契約価格じゃないのですよ。ここにも書いてあるように、動力炉事業団の予定価格の話であって、契約価格ではないのですから、それは事業団側の腹づもりの価格の積算間違いがあるということを、こちらに指摘してあって、契約価格はこれ以下である、そういうことになっておるわけですから……。
○石野委員 これはちょっと会計検査院にお聞きしますが、そうしますと、見積もりをするにあたってのこういう積算が行なわれた。しかし契約は別途な形で出ている。その別途な契約の中でどういうふうになったか知りませんけれども、おそらくこの積算基礎というものは契約の基礎になっており、そして契約の内容になっていたのだろうと思うのですよ。もし契約の内容になっていなければ、こんなものを問題にする必要はないのですからね。その点はどうなんですか。これは契約の内容にはなっていないのですか。
○高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 たとえば1の(1)でございますが、これは鹿島建設と契約をしております。契約金額が三十億六千万円ということになっています。
 こうなるに至りました過程をずっと申し上げますと、当初は指名競争契約ということで、予定価格を三十億六千万と立てまして、指名競争契約の入札をやったわけでございますが、五回やりましても落札に至らなかったものですから、予定価格である三十億六千万円で、随意契約を鹿島建設と取り結んだものでございます。ですから、この1の(1)につきましては、予定価格即契約価格というぐあいになっております。
 それから、ここにあげました九件のものはすべて随意契約で契約したものでありまして、結局1の(1)と同様な結果になったものでございます。
○石野委員 確かに、積算資料というものは契約の前段に行なわれるものだということはわかりました。けれども、この九件はほとんど積算資料そのままで契約されているということになっているということも、いま局長から言われたとおりです。したがって、積算資料そのものを論議すれば、確かに契約とは違う。契約そのものではありません。だけれども、いわゆる入札にあたってなかなかうまくいかなかったから、随意契約になる。随意契約になった基礎数字というのは、積算資料の数字である。だから、理事長が確かに言われたように、私もこの積算資料というものは即契約でないことはよくわかりましたけれども、しかしこの九件はまさに契約の内容である、そういうことになります。その数字と変わらないわけですね。(森山国務大臣「いや、最後の数字だけはそうだけれども、中身は違うでしょう」と呼ぶ)数字はそうなって、中身は違うのかどうか知らないけれども、しかしその積算の中には、こういうふうに重複した形での経費計上が行なわれたということになってくるわけですよ。だから、そこがどういうふうになるのか……。
○清成参考人 ちょっと、私のほうがしろうとのもので、石野先生にわかりやすいかと思うのです。
 まだ実はよく御納得がいかぬと思うのでございますけれども、かりに、いまのような(1)のコンクリートのつき固めという問題でもよろしゅうございますが、これをやろうとする。そうしますと、幾らか、わからないのですよ。そこで、いろんな参考資料から、これはどのくらいかかるだろうという予算をこちらで積算するわけですね。それには、これはこう、これはこうと出しておるわけです。そうしておいて、これは大体百万円ぐらいかという見当がつきますと、業者にいまのそれをやらせる。そのときには、向こうからは見積もりなんか来ないのです。幾ら、といってくるわけです。それを、それは高いとか安いとかいう、こちらの判断の資料としてはこれなんです、われわれの積算資料ですから。そこで、これで大体よかろうということで契約をするわけですね。会計検査のほうでおやりになっていただいたのは、その積算資料が正しいかどうか、妥当かどうかということを実は御検査願って、これは妥当じゃないじゃないか、こんなものは、おまえのほうは工場から出張して仕事をするように考えてこれを積算しているけれども、そうじゃなくて、このくらいのものはみんな現地でやってしまうんだよ、だから、こういうことをやったんじゃ高く買ったじゃないか、という指摘を受けているわけなんです。業者から、見積もりの内容として、こんなものが出てきたわけでも何でもないのです。したがいまして、その点、私のようなしろうとが御説明したほうがわかりやすいかと思って、ちょっと出しゃばったわけです。
○石野委員 結局、業者のほうでは見積もりは出ないわけですね。入札を幾らやっても落札しないわけだから、当然業者からは出てこないわけですよ。そこで、やはり随意契約になっていくわけですね。(森山国務大臣「高くて話がととのわないから、この辺で落ちつけ、こう言ったのだから」と呼ぶ)だから、随意契約になるときに、事業団のほうでこういう積算をしたわけですね。その積算の中にダブった計算をしているわけです。そういうことなんですね。したがって、清成理事長が言われるように、これは業者の問題ではなくして、私のほうの問題だ、そういうことになりますね。わかりました。それでは、業者に対する契約の問題は、それは業者に責任はないかもしれない。
 今度は大臣に聞かなくちゃいけない。これは、清成理事長は私の責任だと言っているのだから、それでいいようなものですけれども、しかし事業団の中でこういうようなダブった計算をするという、会計検査院がまさに注意をするようなこういうやり方をする計算で、しかも随意契約が行なわれていくとすると、今度はこれはたいへんなことですよ。私は実は契約の内容の問題として取り上げたのですけれども、そうじゃない。これはむしろ、やはり管理監督の問題になってきます。いま、すでに理事長から、私の責任だということですべては終わりますけれども、しかし、これを私、ずっと見ると、政府関係機関がずっと出ているうちで、動燃団が、注意を受けているのが一番多いのですよ。ページ数だけずっと見てみたら、ほかはみな一ページ、二ページで終わっているところが、動燃団は六ページかけてあるわけだ。実に多いのです。しかも内容はみなこういうような実情だとすると、これは内部の管理監督の問題であると思います。
 この種の問題について、大体事情がわかりましたけれども、この管理監督をどういうようにするかということについては、これは理事長のほうでもしっかりしなくちゃいけないし、同時に、すでに随意契約でやっている内容は、工事人はわからないのだということになりますが、しかしこの計算でいきますと、決して百万円や二百万円じゃないですよ、何千万という金なんですよ、この指摘された分だけで、一項目で。一項目だけで一億をこえるのですよ。そうすると、特に工賃なんかの計算でいって、それが工場間接費までかかってくると、相当大きなものになってきて、この買い方は、べらぼうな損をした買い方になっていると思います。事業団は、二千億円、いま増資しまして……。
 いま事業団の資本金は幾らでございましたか。動燃団の最初の資金は、二千億で始まりましたですね。それがいまどうなっているかを、それじゃちょっと……。
○宇佐美参考人 資本金というのが私どものほうにございまして、これが、こまかい数字じゃなくておおよそで申し上げますと、千五百億ぐらいになっております。それで、これは毎年、政府出資や何かがございまして、それがだんだん資本金になって、いままでずっとふくれてきております。
 それから、三千億という数字がよくいわれておりますが、二千億といいますのは、仕事の計画、プロジェクトに一体どのくらいかけるか、そういう関係の数字でございます。
○清成参考人 ちょっと補足しますと、いまのはっきりした数字は、四十八年の十二月二十八日で千五百三十三億です。
○石野委員 いま、事業経費千五百三十三億という非常に膨大なものの中で、これはその中の七百億、半分ですね。半分のうちの、また、調査したら百八億ですから、十三分の一です。十三分の一でこれだけの指摘を受けなければならぬような、しかもこれは積算にほとんど関係する、みな内部事情ですよ。これはもう、内部における管理監督のずさんさというものを示していると思います。これは明確にしておかなければならぬ、ほんとうにこんなことは二度と起きてはいけないということになると思いますから、やはりそのことの体制は人員をふやしただけではまずいのだろうと思います。指導が非常に大事じゃないかと思いますが、理事長はどういうふうにお考えになりますか。
○清成参考人 実はこれは大きな問題でございますけれども、この問題に対しましては、まことにこれは申しわけない、私の責任だということを申しましたが、この事業団の予算の執行ということ、事業の遂行ということは非常に大きな問題なんでございます。逆に申しますと、これは大きな事業を経営するという形でお考え願わぬといかぬので、こういうミスをやりましたので、私ここで決して胸を張って申すわけじゃないのですけれども、一方において、メーカーやらあるいはその他に非常に大きな損をさせている部分もたくさんあります。したがいまして、こういうものだけをとって、非常に国家に迷惑をかけたとか――国家に非常に得をかけている部分もあるわけなんです。したがって、これは簡単に、一がいに、これが何億になるから、もうとんでもないことだ、国の税金を何と考えているという形には、私は考えません。これはやはりオーバーオールで考えて、与えられた資金で、与えられたこの大きな仕事をどうやって一番効率よく遂行するかということに、私は骨身をやつしていることでございまして、しかもそれはできるだけマクロのことで問題を起こさぬ、これが私のほんとうの仕事だと思います。
 それで、少しばかりの小さなことは、私はいろいろミスがあると思う。これは取り扱いだけだって、一年に数千件ございます。この数千件のものを、今後一つも起こすなといわれても、幾ら人員を増強しても、一つも起こさぬという自信は、私にはございません。事業の経営というものはそういうものじゃないのです。したがいまして、私は石野先生ともっとひざを突き合わせて、何日か、何時間か、ほんとうにゆっくり時間をかけて、私は御説明申し上げたい。こういうものは日本のコンセンサスとして、大きなプロジェクトを実際にこういう制度の中でやるということの困難さというものも、初めからこの国会でも指摘されております。ですから、われわれも一生懸命これに努力してきたわけでございますけれども、いかんせん、こういうことが出てきたことは非常に申しわけない。責任を私は十分感ずるものでございますけれども、重大なことで、今後一つも出さぬようにせいということだけは、私、それを、かしこまりました、一つも出さぬようにしますという自信はございません。
○石野委員 理事長は、事業家としてリスクを事業家が負うということと、国民の金を使って、その金を厳格にしようということと混同しているようです。これはまずいと思います。われわれは、確かにこういう新しい事業をやって、しかもそれは国がほとんどの資金を出して仕事をしている、そのために、国民の英知をそこへ集中してやっていかなければならぬ問題がたくさんありますから、その間には試行錯誤がたくさんあることはよくわかっている。だけれども、現にここで問題にしているようなことは、会計の知識がある人なら、だれでも、どこでもこれは直せることですよ。一つもそんなことはできないとは言い切れませんなんというような問題とは違いますよ、ここに指摘されていることは、そうじゃございませんか。たとえばクレーンの三十メートルまでのところはすでにもう計算済みのところを、なぜその分までまたやるのだというようなこと、こんなことはすぐわかることですよ。あるいは労務費はここにもう計算されているじゃないか、それをあなた、新たに労務費をかけるとは何だ、こんなことぐらいはすぐにでも直せますよ。それを、非常に大きな仕事だのに、小さなもので、メーカーにはもっと大きい損をかけているのだからというようなことは、これは清成理事長は、民間の事業家として言うことならば、自分のリスクで言うことですから、これは幾らどんなことを言ってもいいですよ。しかし、国民の税金を使ってやっているときに、そういうことばはまずいですよ。国民はそんなことを聞いたら――一つもやることはできません、労務費を二重に取ることをやるなというのは、そんなことはできませんなんて、そんなことはだれも承知しませんですよ。理事長はひとつ、ことばが過ぎていますから、そのことばは取り消しておいていただいたほうがいい。
○清成参考人 いまの私のことばが不適当ということですけれども、いまここに指摘されたことについては、重々御指摘ごもっとも、われわれのところの、不注意。不注意であるということだけは、先ほどから繰り返し私は申し上げておる。それで、こういうことが今後絶対に起こらぬようにということが、石野先生のお話でございましたので、これはなかなか実際問題として、今後、私も何べんもこういうところへ呼び出されるだろうと思いますが、それは今後一件も起こらぬということは、なかなか不注意事故というものは、これはやはり注意しても起こらぬと保しがたいことなんでございます。したがって、私はそのことを申し上げておるのであって、ここに指摘されたようなことを直すことはできないことはないじゃないか。それは一つ一つごもっともです。したがって、それに対して私は責任をとる、私の責任だ、監督不行き届きだということは、重々申し上げておるつもりなんでございます。だから、こんなことはわれわれが努力をしてもできないというようなことを申し上げているわけじゃないので、実は非常にシビアなことを申されましたので、先ほど申し上げました。
○石野委員 理事長は、私の質問の範囲を越えたところでいろいろな答弁をなさるから、間違いが起きてくると思うのですよ。私は、ここで会計検査院が報告をし、いろいろ注意していることについてどうか、ということを聞いているわけですから、それに対して、自分で、まことに申しわけないと言うてあやまっておいて、それで、今後こういうようなことは一つもやらないとは言えませんというようなことを同じ答弁の中でやれば、先に言ったことはうそをついたことになってしまいますよ。そういう答弁のしかたなんてないでしょう。だから、そういうことは直すべきですよ。私は、事業の中に試行錯誤のあることはわかっています。だけれども、その試行錯誤があるということを、わずかばかりのことで、しかし事業経営の上では、メーカーだとかその他にはもっと大きい損をかけていますよ、ということばをお使いになられた。それもここでは通用しないことばですよ。そんなことばをここで聞いておったら、われわれこういうことを追及できないですよ。事業家は一定のリスクを覚悟して、それに参加していると思います。しかし、事業家は、それによって他日大きな成果をあげることを目的にしているはずですよ。そしてみずからの力でやることよりも、国家に協力することのほうがいいと思うから、参加してくれているんだと思いますよ。それは自分のリスクでやっていることですからね。そういうことまでもここで理事長が言うということは、こういう機関の長としては、そのことばは不適当ですよ。まずいと思います。やはりそういう点は改めていただきたい、私はこう思います。そういう点について、理事長にひとつ所見だけ聞いておきます。
○清成参考人 よくわかりました。いまのようなお話で、ここに書いてあることはまことにごもっともで、責任だけは、十分私の責任だということと、それから、いまの質問の範囲を少し拡大して、私がいろんなことを申したことは、何ぶんこういうところになれぬものですから、そういう話が多いので、まことに申しわけなかったと思います。今後よく注意いたします。
○石野委員 理事長、なれない、なれるよりも、やはり少しぐらいの損はあったけれども、メーカーのほうがもっと大きな損をしていますよというところに力点があったわけですから、やはりそういう発想が問題なんです。だからその点は、清成さんは事業家であった人ですし、いまも国家機関に一応働いていますけれども、事業家ですから、そういうことのあることはよくわかりますけれども、しかし税金を使って仕事をしているものについて、われわれが、税金を正しく使わなければならぬということから、いろいろな問題提起をしているのですから、そこのところはしっかりとけじめをつけてなにしていただかなくちゃ困ると思います。
 大臣に、時間がほとんどありませんから、お聞きしますが、やはりこういう問題は、いまは積算の中に非常に大きなあやまちがあった。けれども、これは契約とか支払いの問題とは直接には関係ないのだというお話でございましたけれども、しかし事実問題として、すでに支払いを終わってしまっているものもあり、しかもそれは契約の工事人の責任ではなくて、施工主の、注文主のほうの責任であるということ、しかも注文主というのは、監督官庁である森山長官の指揮下にあるわけですから、こういう点について、二度とこういうあやまちをおかさせないように指導する責任があると思います。すでに支払ったものの中の過誤は、それだけ過重な支払いをしておるという国家費の損失が出ておるわけでございますだけに、まだ継続中のものなどについては、当然これからでも改められる問題だと思うから、その点を的確に指示をし、そういう点の内容を改めさせるように、ひとつしっかりした指導をとってもらいたいと思いますが、所見をひとつ聞いておきたい。
○森山国務大臣 御説のとおりでございまして、会計検査院と十分連絡を密にし、今後積算などについては気をつけるようにさせたいと思います。
○石野委員 終わります。
○安井委員長 瀬崎博義君。
○瀬崎委員 窮鼠ネコにかみついたといいますか、窮地に立って、森山長官、文字どおり居直った、本来の政治姿勢をむき出しにされた、というふうに、私はきょうの論戦を見て感じざるを得ないわけなんです。分析研の問題も、目先の問題だとおっしゃいましたね。しかし、この分析研の問題というのは、政府の科学技術行政全体がいかに非科学的であったかということを明らかにした問題であるし、だからこそ、なかなか事は重大なんです。ですから、この分析研問題にどのように対処するかということが、ほんとうに国民の立場に立った科学的な科学技術行政あるいは原子力行政になっていくかどうかの試金石だろうと思うのですよ。どうもここのところ、世界的な規模のエネルギー危機が強調されたり、またGNPとの関係で、原子力発電所の建設推進が強調されたりしているように思うのですけれども、こうした足元の地固めを正しくきちんと行なわないで、こういった大問題を提起してみても、おそらく私は、国民の政府に対する信頼、あるいはまた科学者の協力などはなかなか得られないと思うのですよ。そういう意味で、あすは理事懇談会も開かれることに一応なっておりますので、それを踏まえて、今日まで時間の関係や、また、あまりにも問題が多かったために、せっかく質問して政府が保留されている答弁について、もう結論は出ていると思うので、ただしておきたいと思うのです。
 そのまず一つは、この前問題を起こした分析研について、牟田口局長が、その教訓なるものを三点あげられたわけですね。非常にこれが抽象的なんです。どういう点をそういう教訓だとおっしゃったのか、あらためて答えていただきたい。ちなみに申し上げますと、その一つは、財団の性格が公共性を持っているものでなければならないわけだが、それがまず公共性を持つ財団にふさわしくないような形になっておったということ、それから二番目は、分析に携わる者の社会的地位というか待遇の問題等にも問題があった、それから三つ目が、仕事の上で固定的、あるいは弾力性のないような関係者の地位あるいは仕事ぶり、そういうことに問題があったのではないか、こういうふうに言われているわけなんです。その各項目について、何をさしてこのようにおっしゃったのか、答えていただきたいと思います。
○森山国務大臣 ちょっと、その前に。
 瀬崎委員からいまお話がありましたが、私が、核融合を本格的に取り上げなければならない、来年は昭和五十年で、あと二十五年今世紀末まである、その間に核融合動力炉、実用のものをつくり上げなければならない、そういう長期のことを考えて、目先の原子力発電の問題、分析研の処理の問題、あと始末の問題、いろいろありますと、こう申し上げたのですが、何かそれはいかにも私が軽んじているような御印象でございますが、そんなことありませんよ。目先ということばがお気に召さなければ、当面でございます。片言隻語をとらえて、あなたの御主観で、私が問題の重要性にかんがみて真面目をもって取り組んでいることを、いかにも軽々しく扱っているがごとくおっしゃられることはまことに心外でございますから、先ほどは、私のことばづかいが、ばか丁寧なんと言ったことがたいへん誤解を招くことばであるとすれば、私は取り消しました。丁寧過ぎるというふうに直したわけでございますが、目先というのはそんな悪い意味じゃございませんから、いささかも取り消す必要はないと思いますが、どうかひとつ、そういう問題を軽々しく扱っているのではないのである。核融合の問題を考えるものですから、二十五年先のことを考え体制をつくらなければならない。目先のことばかりに追われないで、そういうこともやらなければいかぬ。しかし、目先のことだからといって重要じゃないとは言いません。目先のことだって最も重要なことだ。夜も眠れないくらい、この問題に取り組んでいるわけでございますから、何かきわめて軽々しく扱っているようにいま御発言がございましたが、そういうことは全くございませんので、どうかひとつ御理解を願いたいと思います。
○瀬崎委員 私はあえて森山長官の答弁を求めたわけではないのですけれども、やはりそういうふうな、一応弁解的な答弁をなさること自身が、片言隻句とおっしゃるけれども、そういう片言隻句を使われること自身に、私は問題があるのじゃないかと思うのですね。だから、ことばじりをとらえている云々と言って、われわれ議員の側にいろいろ責任をなすりつけられるけれども、これはやはり長官のほうも、発言についてもう少し長官らしい慎重さがあっていいのじゃないかと思うのですね。そのために、しばしば不毛の論議におちいるわけなんです。私たちはもっと中身のある論議をしたいわけなんですね。こういう点を切望しておいて、ひとつ本論のほうの答弁を、牟田口局長にお願いしたいわけであります。
○森山国務大臣 まあそういう言い合いをしてもしようがありませんが、しかし、ばか丁寧というと、それは確かにちょっといいことばじゃありませんから、それはちょっと委員長にも申し上げて、不適当であったら取り消してくださいと申し上げたのです。しかし、目先というのは、そんな意味じゃないのだということだけははっきり申し上げておきませんと、私もことばづかいはうまくない、ボキャブラリーが足りない点はいろいろございましょう。それはお互いさまです。しかし、お互いの気持ちだけは通じないといけませんね。そういう意味で、私も申し上げる点だけは申し上げて、やっぱり委員会の場ですから、それは立場も違い意見も違うことはうんとありますよ。しかし、あいつはこんなことを考えているのだ、まあまあというふうに、お互いにさむらいのやりとりでございますから、そういう意味で、ひとつ理解を持って、お互いに当たっていかなければいかぬ。まあ足らざる面は私も大いに考えますが、ひとつ瀬崎委員におかれましても、いかにも現在最も重要な問題だと思って一生懸命やっているのに、おまえは軽く扱うじゃないかと言われると、やはり黙って聞いておるわけにはいかぬ、こういうことでございますので、どうか御了解願いたい。
○瀬崎委員 そこにやっぱり根本的な考え方の違いがあるのですよ。私どもの言うのは、たとえ核融合のような来世紀のエネルギー問題の開発を論ずるにいたしましても、やっぱり基本の科学的な態度としては、少なくとも測定分析などにあたって、少なくとも科学的な結果以外に、でっち上げや捏造があってはならないし、そういうことが起こり得るような行政でみじんもあってはならない。だから、これは目先どころか、今後永劫に続く科学的な問題の全く基礎だという理解があるのかどうか、ということを問いただしているわけなんですね。そういう意味で、目先ということばがわれわれは非常に理解に苦しんだことばなんですね。そのことだけをあえて申し上げまして、以下局長にお願いいたします。
○森山国務大臣 どうも私困るのですけれども、確かに分析研の問題は大事な問題であります。真面目に取り組んでおるわけでございます。いろいろお考えはございましょう。しかし、だからといって、わが国のエネルギーの問題を考えた場合、今世紀の終わりぐらいまでのことは、やはり長期でものを考えていく必要があるんじゃないですか。だから、その意味で、核融合の問題を今後ひとつ本格的に取り上げたいと、二十五年先のことを、四半世紀あとのことをひとつ考えなければならぬということを、私は先ほど発言したのです。だから、ただ目先の原子力発電――原子力発電は大事ですよ、これは軽く扱っていませんよ、これは非常に真剣に取り組んでおるわけです。分析研の問題の処理、これも真剣に取り組んでおる。しかしこれはとにかく現在の問題ですから。しかし現在の問題が片づかなければ先のことは言えないかというと、そんなことはないわけでございますから、その際に、現在の問題として目先ということばを使ったんで、何も決して――だからそれを軽んじている、だからいいかげんに扱っている、またそういう問題が片づかなければ先のことを言う資格はないとおっしゃるのもいささか――まあ、そういう意味じゃないのでしょうけれども、論戦がはなはだ長くなりますけれども、やはり気がまえというものは、ひとつどうか御理解を願いたい、こう思います。
○安井委員長 少し前に進みましょう。
○牟田口政府委員 先般、瀬崎先生の御質問に対しまして、私が先生いま御指摘のような二、三の点を申し上げました点の第一は、財団法人、特にこの場合国の仕事を頼む相手先である財団法人は、公共性を持っていなければならぬ、公共性が失われた感じがあると申し上げたと思いますが、これはいわゆる捏造事件というような事件も起こりましたし、また、あそこの財団は、会社でいえば、わりあいに同族的なところがあったようにも見受けられまして、本来、財団というのは非常に公共性を持って、人も広く各般にわたって片寄らないということが必要ではなかろうかと考えます。いずれにしても、今度つくるものは、そういう国の仕事を頼むにふさわしい、公共性ということを念頭に置かなければいけないんじゃないかという趣旨でございました。
 次に、仕事に携わる人の社会的地位と申しますか、待遇等の問題も十分考えていくべきではなかろうかということに関しましては、いわゆる分析をやっておる方は、非常に機械的な仕事を繰り返して、じみな仕事をしておられるので、分析屋さんの仲間の間では、自分らが仕事のわりあいに恵まれないというような感じを持っておられることもないかどうかということで、いずれにしても、こういうじみで重要で、繰り返してやっておられるような、しかもこれはよく聞きますと、技術的にも日進月歩のようであります。ですから、そういう点についても努力しておられる方々については、それなりの、明るい職場というとあれですが、今度つくるものには、それをも目ざしてやるべきではないかというような趣旨でございました。
 第三番目に、仕事及びその人々、中におられる方々が、固定的とか弾力的とかということばを使ったかと記憶いたしておりますが、これはたとえば財団で分析研をやっておりましたけれども、それじゃ財団じゃなくてほかの組織、といえば特殊法人とか、認可法人とか、あるいは国家機関とかいろいろあると思いますけれども、それにはそれぞれの長所短所もございまして、短所の一つは、やはり固定的で、弾力的でなくなってしまう。さっきの二番目にも関連いたしますが、非常に優秀な分析をやっておられる方を非常に優遇して、この分析に専心していただきたいと思っても、組織の性格によっては、組織の種類によっては、それが非常に困難であるかもしれない。その辺は、今後つくるものについては十分考えていかなければならない。そういう私は、分析研とそれにかわるものとを、どうあるべきかということをあわせて申し上げたようなことに、結果的にはなっていなかったかもしれませんが、趣旨は、そういうことでございます。
○瀬崎委員 その弾力性を失ったというのは、分析研の組織に問題があるというのですが、その組織とは、結局、財団法人なんでしょう。だから、それはいけないというお考えの上に立って、いまのお話をされているわけですか。
○牟田口政府委員 さっき申し上げましたように、分析研がどうであったかということと、これからつくるものはこういうぐあいな方向ではなかろうかということと、あわせて申し上げましたという点を、いま申し上げたつもりでございます。今後の組織については、おのおのの組織にはいろいろの性格と特色、短所長所があるので、それらを勘案して十分やっていかなければいけない、そのときの一つの考え方として念頭に置かなければならないものの一つに、そういうことがあるのじゃないかという趣旨でございます。
○瀬崎委員 それから第二点目の問題で、分析の技術をやっていらっしゃる方は、じみな機械的な仕事をやっておられる、何かいまのことばをそのままとれば、恵まれないという意識を持っているのではないかとおっしゃったけれども、だからああいう事件に結びついたのですか。ここは非常に重大だと思うのですね。もしそうだったとしたら、理事者側がそういうことをしむけたのではないかと思うし、そこはやはり反省されているならば、一体分析研のどこに第二点目の原因があったのか、はっきりさしてほしいと思います。
○牟田口政府委員 再三申し上げて恐縮ですが、私のこの前申し上げたのは、分析研にかわって新しいものをつくるとすれば、新しいものはこういうところを目ざしていかなければいけないのじゃないかということとあわせて申し上げましたので、いま先生御指摘のような御批判があるかと存じますが、私は、今度つくるものについては、単に分析を頼む、そういう機械的に事を頼む、その組織をつくるのだということだけじゃなくて、分析屋さんの地位の向上、そういうような点も前向きに考える中央機関みたいなもの、できれば、そういうことにもっていったらどうかというような趣旨で申し上げたわけでございます。
○瀬崎委員 全体を通じて、中央機関的な性格を持ったものにしよう、そういうことが総括的に言える、こういうことなんですね。いまそういうおことばをお使いになったのですが、確認しておきたいのです。
○牟田口政府委員 また、中央機関ということを申し上げましたのは、私としては、現段階では適当でなかったかもしれません。ということは、いずれにしても、こういうものをつくるときには、単に機械的に仕事を頼むということで考えるよりも、そういう分析という重要な仕事をしている人の前向きな面も、何らかのかっこうで前進させ得るようなことをも含めて考えていきたい、こういう趣旨でございます。
○瀬崎委員 言いかえて、答弁を後退させられたけれども、しかしことばとしてそういうものをお使いになった以上は、何らかそういうことも検討の中に入っているというふうな理解になるんじゃないですか。全くそういうことは間違った表現だったということなんですか。どちらですか。
○牟田口政府委員 中央機関というような点は、あるいは適当ではなかったかもしれません。ということは、現段階ではまだそういうような――いずれにしても、私のいま申し上げた三つの点は、そういうような基本的な方向で考えてはどうか、具体的にはまた別として、ということをこの前申し上げたと存じますので、今度何かそういう分析というものの組織をつくるときには、単に機械的に分析をする組織をつくるのだということだけじゃなくて、そういう分析をする方々に対しても、希望が持てるようなものというか、前向きに進めることができるようなものであることが望ましい、かように考えているわけでございます。
○瀬崎委員 それから、この間の答弁の中では、監督指導に当たっておりました科学技術庁側について、どういう点が悪かったか、あるいはどういう点を改めるべきであるか、そういうような反省はなかったのですね。科学技術庁、つまり政府側としての反省はどうですか。どこが悪いか。
○牟田口政府委員 分析研は当庁の所管の法人でございましたし、それからまた委託費を出しておったところでございますので、監督といたしましては、十分これを監督していくべきであったし、またおのおのの時点ではそうであったと思っておるのでございますが、結果的にはああいう結果が出まして、これは大臣も予算委員会で遺憾の意を表明しております。私どもは、その点ではきわめて責任を感じております。具体的な事項につきましては、目下実は細部にわたって調査が完了していない点もございまして、現段階では、一々申し上げるに適当な整理をいたしておりません。
○瀬崎委員 それでは具体的にお聞きしますが、去年の九月にこの委員会で山原議員がまず指摘をされた。それ以後、議事録をくってみられますとわかりますけれども、何回かにわたって当時の原子力局長などは、ちゃんと点検もし、きちんと分析の行なわれていることを確認している。不破議員から、あなたも共犯者になりますよという予告までされても、なお、ちゃんと点検をして、間違いのないことを確認している、こういうふうにおっしゃってきたわけなんですね。しかし現実には点検を行なっていなかったし、事実間違いはあったし、ほとんどがでたらめであったというわけでしょう。こういうふうな態度についての反省はありますか。
○牟田口政府委員 山原先生御指摘のときと、そのあと二、三日たってから、いわゆる立ち入り検査を行ないました。そのときに全然見ていなかったというようなことは全くございませんで、相当精細な調査をいたしたわけではございましたけれども、いわゆる捏造ということが、その時点におきましてなお発見できなかったということについては、かねがね関係者は遺憾の意を表明いたしております。
○瀬崎委員 これは指摘を受けても、事実に対して忠実であろうとしない。つまり非常に非科学的な精神というか態度が、科学技術庁の中を一貫しているから、こういうことになってくるのではないかと思うのです。そこが正されない、つまり政治姿勢がほんとうに科学的なものに正されないと、問題の根本は解決しないと私は思うのですが、大臣いかがですか。いままでの科学技術庁はほんとうに科学的な精神で貫かれておったのですか。
○森山国務大臣 科学的とか科学的でないとか、何をもって科学的というか私は存じませんけれども、ただ、この前の山原委員が指摘されたときは、私はその当時は全く関係はございませんでしたけれども、あとで調べてみますと九月の二十日でございます。昭和四十八年九月二十日、そしてその日に四名の者が分析研に調べに行ったようであります。それからずっと間があいて、約二週間たちまして、また四人の人が行って、御指摘はあったけれども、たいしたことはないと、たかをくくったように私は考えております。これはその後共産党の関係の方々が非常に勉強をされまして、この問題の真相を究明されたわけでございますが、私はやはりこういう姿勢には問題があったというふうに思っております。もちろんそういうことは、なかなか通常あり得べからざることがあったわけでございますから、確かに普通の常識では気がつかぬという点はあったかもしれませんが、これはしかし、私は落ち度であったと思っております。ですから、今回の場合は、不破委員から御指摘があったその日に七人たしか参りました。翌日二十八人詰めかけました。しかしながら、どうしてもその真相がわからない。その翌日に至りまして、若い技術者の人が、どうしてもこういう結果というものは理屈に合わないということで、理詰めに詰めました結果、化学分析の結果はいいかげんであったということがようやくにして判明したわけであります。ですから、もし同じような熱意をもって、昨年の九月の時期においてこれに対処したならば、必ずしもわからないということではなかったという問題だとも考えられますが、常識では考えられない事態でございましたので、昨年の時期は、そういうことで見のがしたわけでございます。今年はそういうことがあってはならぬということで、ともかくその日に七人、翌日に二十八人詰めかけて、もうあらゆる角度から検討した結果、最後にそれが事実であるということを確認するに至ったわけでありますから、私は、本気になってやっていればわからぬことはない事態であるが、その点非常に甘かったという問題点は、いまになってみるとあったと思っております。したがって、そういう安易な体制ではないように、これはかたきをおかして、科学技術庁に勤務しておる職員の気がまえの刷新に、いま鋭意努力をいたしておる次第であります。
○瀬崎委員 いま大臣がお認めになったような従来の科学技術庁の体制の中で、もし共産党の指摘がなかった場合、科学技術庁自身の手でこの問題を明らかにし得たとお思いになりますか。
○森山国務大臣 これは仮定の議論でございますから……。先ほどは仮定の議論ではあるけれどもと言って、昨年の事態に対して遺憾の意を表しました。しかしただいまのも仮定の議論でございまして、共産党にあらざれば事態は解決し得なかったとは、私の口からは、さような弱音は吐かないつもりであります。
○瀬崎委員 弱音を吐かないと言われるならば、じゃ、科学技術庁独自でそういうものを発見できるという根拠をあげながらおっしゃるなら、話はわかるのですが、どうですか。共産党の今度の指摘以外の方法でも、あれは必ず早期に発見できたのだと、何か根拠をあげておっしゃれますか。
○森山国務大臣 一月二十九日に、不破書記局長に対して平身低頭敬意を表した次第でございますから、この程度にさせていただきたいと思います。
○瀬崎委員 私が言いたいのは、そういうふうに、平身低頭敬意を表したとおっしゃるならば、ことば上の問題でなしに、中身を少し問題にしてほしいと思う。というのは、科学技術庁が一定の公表すべき資料を提出したからこそ、われわれといえども事態というものはつかめたわけですね。だから、ほんとうに分析研問題を率直に反省して、まだ未解明の問題もあるとおっしゃるくらいなんですから、資料の提出などについては、早期に私たちの要求に応じられるべきだろうと思うのですよ。ところが逆に、不破議員の追及以来、資料の提出を政府が非常に渋っておるというのは、もう長官御自身御存じのことですね。何か伝え聞く話によれば、長官は分析研問題を反省するにあたって、大体共産党に資料を渡したことに問題があるのじゃないかなんということを、これは私は伝え聞いておるだけなんですよ。よもやそういうことはないと思うのですよ。ないとすれば、もう少し資料問題に対して、科学技術庁が民主的な態度をとってもちいたいと思うのです。大臣の所信をお伺いしたいのです。
○森山国務大臣 また、その問題になると所見を異にいたすのでございますが、一月の二十幾日か、共産党の議員の方から資料要求があって、その資料を差し上げたという事実は、一月二十九日に不破委員から質問がありますまで、どういう御質問があるかもつかめませんでしたし、それから、そういう資料をお渡ししたということも、私には知らされておらなかったのであります。ただ、それは課長や局長は知っておったでしょうね。要するに、責任ある大臣が何も知らないように上のほうに乗せておいて、そしてああいう事態に私はぶつけられたわけでございますから、それはいままでみたいなルーズなことをやってもらっては困りますよということを、私は言ってあるのです。それはいろいろなことをよくしようということで、国会はいろいろ議論するわけでございます。しかしながら、どういう御質問があるかというようなこともわけわからず、資料だけは出して、見当もつかないというようなことでは、それでは役人は相つとまらぬことはもう当然でございます。
 それから、これは一般的に科学技術庁だけではございません。私も自由民主党の政務調査会の副会長をやりました。それで、たとえば大蔵省のほうに、執務上の参考資料として、こういう資料がほしいといいますれば、政調会の副会長でございますから、必要のある資料はおおむね出してくれます。しかし、それにいたしましても、いついつ何を出したということは、大蔵省のほうではちゃんと帳づけをしておりまして、明確にしてありますね。私はそれはりっぱだと思いますよ。ところが、大体そういう資料を出しておりながらも、課長や局長は知っておうたのかもしれませんが、大臣は一向知らない。しかも、そのことで質問になっても、大臣席に私がすわってからあとまで見当つかぬ、そういうあほうなことをやっておるのは、いささかどうかと思っておるのでございますし、これからも、とにかく資料を出す際に注意してちゃんとやりなさいよということ。それから役所の立場でございますから、何でもかんでも出せといったら、すべて出す――これは事と次第によりけりで、何でもかんでもそれはよろしゅうございますとは言えるものではございません。でございますから、しかし、できるだけ御便宜を計らうようにはいたしますけれども、そういう点について、いままであんまりけじめがなかったようですから、けじめをつけることも必要ではないかというように、私は考えておるわけでございます。
 瀬崎委員が私の座にすわって同じような立場に立ったとするならば、一体何をやっているのだと、あなたも言われるだろうと思う。あなたの言われそうなことを、いま私は言っておる、こういうことでございます。
○瀬崎委員 私がその座にすわるかどうかは、それは別問題といたしまして、要は、だから役所として踏むべき手続が踏まれるならば、そしてその資料が国政審議に、国権の最高機関である国会として必要なものであるならば、資料は出す、こういうふうに確認をさせていただいていいわけですね。
○森山国務大臣 それが適当と認められれば、であります。
○瀬崎委員 その適当ということの判断は、やはり主権者である国民の側がすべき今日の憲法上の立場じゃないかと思うのですね。だから、国会として審議に必要であるという判断のもとに要求をし、かついま大臣が言われたような手続が踏まれておるならば、これは当然大臣の論理からいったって、出さなければならないと思うのですね。ひとつ確認をしておきたいと思います。
○森山国務大臣 それが適当と認められるならば、いいと思います。その判断は、最終的には国務大臣である私にまかしていただきたいと思います。
○瀬崎委員 ということは、資料の提出のしかたを見ておれば、国務大臣森山長官――というとごきげんが悪いそうですから、森山国務大臣の政治姿勢もわかる、こういうことだと私は理解いたします。
 続いて、これは伊原原子力局次長にお尋ねをしたいわけであります。
 すでにこの前の委員会で文書にしてお渡ししておきました。それは電力会社の波高分析を、分析化研の一体どの機械で行なったのかという問題です。最終的に、何回かこれも質疑応答があった暁、少なくとも四十八年度の上半期までは、電力会社の波高分析は、政府が貸し与えているゲルマ半導体ヘッドの分析器は使っていない。沃化ナトリウムのシンチレーションカウンターのヘッドの波高分析器を使っている、こういうお話だったのです。いまでもその答弁を固執していらっしゃるのですか、どうですか。
○伊原政府委員 私が御説明申し上げましたときの先生の御指摘は、東京電力株式会社が福島発電所につきましてのいわゆる環境調査、その分析についての御指摘であったと記憶いたしております。したがいまして、そのときにおきまして、東京電力株式会社は、四十八年度上半期に、環境バックグラウンド調査の関係の核種分析を分析研に依頼しました分につきましては、いわゆる定期調査の環境放射能調査につきましては、沃化ナトリウムを使いました機械によって分析をいたしておりますと、こういう御説明を申し上げたわけでございまして、その点については、現在においても同様でございます。
○瀬崎委員 議事録をもう一ぺん読み返してほしいのです。私は何も最初からどの機械を使ったのですかという質問をしたのではないので、伊原次長が、念のため申し上げますが、電力会社関係は沃化ナトリウムヘッドの分析機械を使っております、こういうふうにお答えになっておるのです。ですから、あなた自身の御答弁からすれば、その後のいろんないきさつがあります。一番最後の答弁なんかでも、「なお、電力会社がゲルマの波高分析器を使っておったとするならば、これはおかしいことでございます。」とも言っておられるのですね。だからあらためて、そういう一連の答弁について固執をされておりますかと、こう聞いているのです。
○伊原政府委員 先生また、ただいま御指摘の点の、一般的に申しまして、電力会社が、国が分析研に貸与いたしました機械を――正確に申し上げますと、分析研が国から貸与を受けた機械を使用いたしまして、電力会社から委託を受けた分析を行なうことは適当でないと思う、という趣旨の、あるいは発言をしたかと思いますが、その意味は、これは国が貸与いたしましたので、貸与目的外の使用ということは問題があるということでございます。しかしながら、一方、分析化学研究所は、逆に申しますと、自分が所有しております機械、これを用いまして、科学技術庁から委託を受けた分析も行なっておるということが、その後の調査で判明いたしたわけでございます。したがいまして、国の所有にかかわる機械を、その目的以外に使用いたしましたことは好ましいことではない、これは変わらないわけでございますけれども、この実態を調べますと、好ましくはないけれども、一がいには非難ができないというのが実態であると、こういうふうに、私、現在理解しておる次第でございます。
○瀬崎委員 持って回ったようなややこしい答弁は不要なんで、要は政府の貸し与えた、つまり国の分析を行なうべき機械のほうで、電力会社の分析を行なうという好ましくない事態は事実あったということなんですね、なかったのですか。
○伊原政府委員 国が貸与した機械を用いて、電力会社の分析が行なわれた事実はございます。
○瀬崎委員 どうも調査されたようですから、これはまたあらためて、あす、理事懇談会で、その結果を詳しくお聞きしたいと思います。
 それから、これも報告が留保されております、東京電力福島原子力発電所の電力会社並びに県が行なっております環境放射能の測定について、サーべーメーターによる地点測定の測定時間に矛盾がある。いわゆるできないような測定が可能になっている、という問題を私指摘いたしました。調査して報告するとのことでありました。調査書を出していただければいいのですが、二言だけ、われわれの指摘した事実はお認めになりましたか。
○伊原政府委員 先生の御指摘をいただきましたので、私どもといたしましては、直ちに現地に調査員を派遣いたしまして−…。
○瀬崎委員 報告書を求めればいいのですよ。事実あったかなかったか。時間がないのですよ。
○伊原政府委員 職員に、実際に先生がおやりいただきましたと同様に、巡回測定をいたさせました。その結果、測定記録に残されました時間の範囲内で測定を実施することはおおむね可能である、こういう報告を受けております。
○瀬崎委員 その測定内容が、われわれがこの間電力会社で実験をしてもらったような測定内容で行なわれたとしてでありますか。そのことだけ……。
○伊原政府委員 前回先生御指摘のときには、一地点における測定に十分ないし二十分かかる、こういうお話でございましたが、現地で調査いたしました結果、四、五分程度で十分測定が可能であるということが確認されております。
○瀬崎委員 われわれは、当時の電力会社の説明もテープにとっておりますし、また、実際に測定に立ち会って時間をはかりましたが、政府がその報告書に基づいて、測定を妥当と判断したのかどうか。これはまた、あらためて私どもも検討を加えて追及をしたいと思います。
 それからいま一つ、東電の福島第二原発について、去年公聴会が開かれた。これに検討結果説明書なるものを政府はお出しになった。伝え聞くところによると、原子力委員会が答申を出すのは時間の問題というふうにも報ぜられているわけなんですが、まず第一点、そういう説明書を出されたとするならば、直ちに本委員会の各委員にこれを配られたいこと。それから、時間の問題と言われるほど、原子力委員会の答申は切迫しているのか。第一、言いっぱなし聞きっぱなし方式の公聴会の結果、初めて政府が回答を出した。当然それに対するいろいろな意見も、本来ならば聞き入れるべきだと思うのですね。一定の余裕は必要だと思うのですが、この二点についてお答えください。
○伊原政府委員 先生御高承のとおり、原子力施設の設置許可に際しまして、手続といたしまして、特に福島第二の問題は、原子炉安全専門審査会から原子力委員会に答申がなされ、ただいま原子力委員会において鋭意慎重に検討を引き続き行なっておる、こういう段階でございます。したがいまして、まだ原子力委員会として、設置してよろしい、あるいは設置してよくない、こういう結論が出ているわけではございません。
 それから、先ほどの公聴会に関係いたします検討結果説明書につきましては、その原子力委員会が結論を出した段階で同時に発表する、こういうことにさせていただきたいと思っております。
○瀬崎委員 これはぜひ委員長にお願いしたいのです。
 結論を出すと同時に検討結果の説明書を出したのでは、事実上、この説明書に対する論議というものはできなくなるわけですね。できないことはないけれども、やっても、答申そのものには反映できないということになります。ですから、直ちにこれは、少なくとも所管の委員会である科学技術委員会には出されたい、こう思うのですが、ひとつ政府をただしていただきたいと思います。
○安井委員長 いまの御発言について、政府、いかがですか。
○伊原政府委員 検討結果説明書は、まだ原子力委員会においても検討中のものでございます。原子力委員会の検討が終わります時点が、すなわち許可すべきかすべからざるかという結論が出る時点と同時点であるということでございますので、その検討の途中の資料をお出しするということは、適当でないかと存じます。
○瀬崎委員 すでに新聞にも一部その内容は出ているわけなんです。ですから、検討途中というのではなくて、もうまとめられたものとして出ているということになるのです。もしそれが結論ではないというなら、ちゃんとこういう報道機関に対する処置をここで明確にされないと、これはちょっと問題だと思いますね。
○伊原政府委員 新聞にどのような報道がなされたか、しさいに存じませんが、私どもといたしましては、こういうことであるということを発表した事実はございません。
○瀬崎委員 私は委員長を通じて、次のことを要請したいと思うのです。
 といいますのは、すでに新聞に内容も発表されている検討結果説明書なるものについても、これを科学技術庁側が発表しないで載せられるような記事の内容ではないのですから、まことに不可解千万といわなければならない。当然こういう資料の提出を要求する必要もある。一ぺんこれは理事会で御検討いただいて、理事会の決定としても、政府に、少なくとも新聞に発表された段階程度のものは出させるように、お願いしたいということ。
 それから、先ほど来、森山長官のおことばによれば、過ぎたるは及ばざるがごとしとか、ばか丁寧は言いかえて、丁寧過ぎるとかおっしゃったけれども、要は三千ピコキュリー限界くらいで示せばよいものを、わざわざ数ピコキュリー、あるいは数十ピコキュリー・プラスマイナス誤差範囲などをつけ加えているなんというのは実はばか丁寧なんだ、しかも、こういうことを論議する国会の態度はおかしいというふうにおっしゃっているわけなんです。しかし一方で、これはしろうとの疑問だ、常識的に考えて、ということもおっしゃっているわけですから、はたしてこういうしろうとの考え、常識が当を得ているものかどうかは、やはりいろいろな立場の専門家の意見を聞くにしくはないと思うのです。分析研の問題にいたしましても、前回私どもが質問いたしました結果から、同じような第二分析研に走ろうという傾向も見られます。こういうことからいって、まず第一に放射能監視体制そのものについて、大臣が言った、ばか丁寧ないまの日本のやり方なのかどうか、こういう問題、第二番目は、新しい分析研の正しいあり方の問題、第三番目には、いろいろなこういう疑義の中で、福島原子力発電所の検討結果が出された、こういうことに対する専門家の見解、こういうものを本委員会として聴取するために、参考人を呼んで、十分論議が尽くされるように、ひとつお願いをしたいと思うのです。ひとつ後日の御検討をお願いしたい。そのために、あす理事懇談会ということでしたけれども、こういうふうな事態になってくると、とりわけ森山長官の発言には非常に問題があるので、そういうことから考えて、私はこれはやはり正式の理事会として招集をいただきたい、こういうふうに思います。
○安井委員長 ただいまの瀬崎君の資料要求に関する御発言並びに参考人招致の御要求に関する御発言、いずれも後刻理事会で御相談をし、しかるべく取り計らいます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会