第073回国会 石炭対策特別委員会 第2号
昭和四十九年八月六日(火曜日)
    午前十一時七分開議
 出席委員
   委員長 田代 文久君
   理事 金子 岩三君 理事 田中 六助君
   理事 多賀谷真稔君 理事 渡辺 惣蔵君
   理事 多田 光雄君
      倉成  正君    岡田 春夫君
      上坂  昇君    島本 虎三君
      細谷 治嘉君    正木 良明君
      松尾 信人君    小宮 武喜君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
 委員外の出席者
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高木 俊介君
        資源エネルギー
        庁石炭部炭業課
        長       広瀬 幾男君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月六日
 辞任         補欠選任
  中村 重光君     島本 虎三君
  鬼木 勝利君     正木 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  島本 虎三君     中村 重光君
  正木 良明君     鬼木 勝利君
    ―――――――――――――
七月三十一日
 一、石炭対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策に関する件
     ――――◇―――――
○田代委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので順次これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 北海道の朝日炭鉱の件について質問したいと思います。
 朝日炭鉱の会社側から組合に対して、閉山通告がなされておるわけです。それについて、通産省としてはどういうように対処されたのか、まずお聞かせ願いたい。
○中曽根国務大臣 朝日炭鉱につきましては、政府といたしましては現行石炭政策の中で限度一ぱいの資金の手当てをしてまいってきておるものであります。
 朝日炭鉱は御存じのように、昭和四十七年に大火災事故を起こしまして非常に苦境におちいりましたが、その後政府といたしましては再建に最大の力をかしまして、経営改善資金につきましても、財政当局との協議の上、貸し付け規定の緩和を行ない、限度一ぱいの貸し付けを行ない、貸し付け残が一億八百万円ございます。それから市中からの借り入れに対する事業団保証六千七百万円の残、近代化資金の貸し付け一億二百万円の残、安定補給金のかさ上げ二百五十円アップ等を懸命に努力をして実行したところでございます。さらに当炭鉱の坑内条件の悪化によりまして、非常に深部に移行したことと、それから断層が多い、そういう事態に直面いたしまして、操業継続が次第にむずかしくなりつつあることも予想されておりましたので、北炭の盤の沢鉱区への租鉱権設定を通産省としては、石炭生産のための安定策といたしまして、新鉱開発への道も開いてきたところでございます。
 しかるに、最近、労使関係の問題で円満を欠きまして、労使関係が非常に悪化をいたしてまいりました。そこで、通産省といたしましては、まず文書により、それからさらにそれぞれ、エネルギー庁長官が社主の野村氏を呼び、あるいは事務次官が大株主である新日鉄の平井社長を呼び、私も平井社長並びに野村会長等とも会いまして、でき得る限りの努力をして、労使間を円満に解決していって、閉山を阻止するように勧告をしたところでございます。しかし現在の事態におきましては、これが収拾にまで至らないということは、まことに遺憾でございます。
○多賀谷委員 さきにわが党の成田委員長並びに石炭政策闘争本部長の勝間田清一氏の名前で通産大臣あてに申し入れをいたしました。そうしてその結果、回答をいただきました。またこのことは、予算委員会の第四分科会で三月七日、島本委員の質問について通産大臣から御答弁があったわけです。そのことは、すなわち「今後の閉山については、自然条件の悪化、可採炭量の枯渇によるものであって、労使の間で了解されている一、二の事例を除き、政府としても閉山を避ける方向で指導したいと考えています。かりに経済規模の可採炭量を残して閉山するような事例があれば、各種の助成を講ずるとともに、当省及び石炭鉱業合理化事業団に置かれた管理委員会において、閉山をしないような方向できめこまかい指導をしてまいりたいと思います。」こういう御答弁がありました。
 また、本委員会では、去る五月の二十三日に決議をいたしました。新石炭政策の確立に関する決議をいたしまして、その三項に「今後の閉山は、真に止むを得ないものを除き回避させること。」こういうように決議をしておるのであります。
 御存じのように、いまや石炭政策は見直し、大転換をするんだ、こういう方向のやさきに、朝日炭鉱においては、閉山を通告をしてきた。これは、政府としては、ただ会社側を呼んで、ひとつやってくれないかと言うだけでは済まない。一体政府としては、閉山をしないように、この山を維持するためにどういう助成策を講ずるつもりであったのか。すなわち大臣の島本委員に対する答弁も、あるいはわが党に対する回答も、きめこまかい指導をする、こういうようにあります、あるいは各種の助成を講ずる、こういうようにあります。さらにまた、通産省並びに管理委員会においても、閉山をしないような方向で指導をすると書いてある。一体どういう指導をされたのか。私は、ただ呼んで、やらないかと言うだけでは、これは役所としては万全な策でなかったのではないか、こういうように思う。やれるようにどうされたのか。どういう方向でされたのか。これをひとつお尋ねをいたしたい。
○中曽根国務大臣 ただいま申し上げましたように、閉山を回避するために、通産省といたしましては、法律上、財政上できる限りの助成をいままでやってまいりましたし、それから事実上の支配力を握っておる社主の野村氏に対しましては、重ね重ね労使問題を円満に解決して、再開に踏み切るように要請をしたところでございます。しかし、通産省は労使問題の中まで介入することはできません。また通産省としてやり得る予算上や財政上、法律上の援助は目一ぱいもうやっておるという現状でございます。
 そういう情勢から、これは一面においては、大株主である新日鉄及び事実上支配力を握っておる会長に対して強い要請をして、労使問題につきましても、賃金について六百数十円と千四百円というような開きであったように記憶しておりますが、それをできるだけ詰めて、円満に解決するように、私たちとしては積極的に勧告するということ以外に道はなかったのでございます。そういう意味において、その努力をいたしたのでございます。
○多賀谷委員 私は、これは単に労使問題として見るべきではないと思うのです。また役所としても、単なる労使問題としてではなくて、政策的な問題という観点からいろいろいままで指導されたと思うわけです。でありますから、問題は、従来どおりの助成ではうまくいかないのはあたりまえであります。それは見直しでも何でもないわけです。ですから、私どもは常に、見直しというならば、現行の制度というのは本来、大規模なものだけをビルドして、そして閉山をするというのがたてまえではないか、だからつなぎがないということを盛んに言っておったわけであります。でありますから、政策の転換のつなぎが全然ないわけです。ないから、こういう事態が起こっても、ただ経営者を呼んで、あるいはまた関係会社を呼んで、ひとつ続けてもらえないかという説得以外にはない。役所としてこうしてやるからひとつやったらどうかというものがないわけです。私は、これはやはり行政の怠慢だと思うのです。制度の怠慢だ。ですから、水を飲まないなら水を飲むような方法を講じてやる必要がある。その用意がない。こういうように考えるわけです。
 そこで、一体この朝日炭鉱に対して、存続するようにどういう処置を役所としてはとられようとしたのか。役所はここまでやるからひとつ経営者はやったらどうか、存続したらどうかという処置をどうしてとられなかったか。この点をひとつ質問したいと思う。
○高木説明員 ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、先ほど大臣からも答弁いたしましたように、実は四月に経営改善資金の貸し付けのワクを拡大すべく財政当局、大蔵省のほうと話をつけまして、普通ならば貯炭量二カ月分に見合ういわゆる経営改善資金、運転資金の貸し付けをやったわけでございますけれども、中小に関しましては、これを三カ月分に伸ばすようにしたわけでございます。また、そういうことをいたしまして、限度一ぱいの貸し付けを当鉱にはいたしております。
 なお、安定補給金でございますけれども、これは全般問題といたしまして、四十九年度から一般炭と原料炭の格差是正あるいは石狩炭田における安定補給金の百円アップというようなことで、昨年度に比べましてトン当たり二百五十円のアップを当炭鉱には助成しておるわけでございます。
 先ほども大臣からお話がございましたように、二年前の事故後、当鉱が自然条件の悪化、及びいわゆる運転資金と申しますか、金のほうの窮屈さということが顕著にあらわれてきましたものですから、当局といたしましては、これに対処すべく金融面においては、ただいま申し上げたようなことを実施すると同時に、最悪の事態に至るようなことがないようにということを前提にいたしまして、実は先ほど大臣からお話がございましたように、北炭の盤の沢鉱区を租鉱の形で調整いたしまして、本鉱を採掘すると同時に、新鉱のほうに――漸減と申しますか、そういうものをとりながら、バランスをとったところで新鉱のほうに移転してもらうべく努力したわけでございます。しかし、その後、このような資金的な手当てをしたにもかかわらず、五月の賃金交渉以降労使間の円満な話し合いができなかったという点がございますけれども、これにつきましても当局といたしましては、できるならば運転資金をもう少し何か貸せられないだろうかというようなことも検討いたしましたし、なお当社の野村会長のほうには、借りていただけるならば、いろいろ問題はございますけれども、合理化事業団あるいは財政当局とも話し合いをしてみたいということも話したわけでございますけれども、会長のほうといたしましては、一応自分のところは借りる金はもう限度一ぱいであるというようなことでお断わりが来たというのが実態でございます。
○多賀谷委員 私の聞きましたところでは、要するに将来の問題として、朝日炭鉱が鉱量枯渇の時期を考えながら盤の沢の地域を開発をして労働者を移転する、いわば吸収する、こういう計画になっておったやに聞くわけです。私は、それはそれでよろしいと思うのです。ところが問題は、現行の朝日炭鉱は閉山をして盤の沢をやりたい、盤の沢の資金については会社のほうで、政府から一銭も援助を受けなくても自己資金でやります、こういうことを言っておるわけです。そうすると、盤の沢のほうは政府の援助を受けなくても自己資金でやる、それだけの余裕があるならば、なぜいまの朝日炭鉱を続けないのか。さらにまた、いやしくも新鉱の開発を小なりといえどもする場合に、政府の助成金が全然ないというのも政策として片手落ちではないか、私はこういうふうに考えるのです。ですから私はむしろ、盤の沢に政府の助成が全然なくても自分で、自己資金でやるというぐらいの余裕があるならば、政府が援助をして、その分の余裕金を、閉山しようとする現行炭鉱につぎ込めばいい、そうするときわめてスムーズにいくではないか、こういうふうに思うわけです。ですから、これがなぜできないのか。これは行政が、いわば制度上怠慢だからできない。これはおかしいでしょう。新鉱開発を認めて、そうして一銭の助成もないような新鉱開発を認めること自体もおかしいし、また、私は資金がありますから自分でやるという。そうすると、資金のないものは、そういうものにはやれないのかどうか、ここにも私は不公平が生ずると思う。ですから、なぜそれだけの資金――新鉱開発については金があるというならば、その資金をもって現行の炭鉱の維持につとめるべきではないか、そして、いわばその足らない部分あるいは新鉱から現行炭鉱に移した資金量は政府が補助していくべきではないか、私はこういうふうに考えるのですが、役所としてはどう
 いうふうにお考えですか。
○高木説明員 新朝日炭鉱のほうは、御存じのように、北炭の盤の沢鉱区を分けてもらいました租鉱権でございます。租鉱権炭鉱と申しますのは、御存じのように一応期限が五年間ということになっておりまして、申請によってそれを一回だけ延長できるということになっておりますので、最長限十年ということになろうかと思います。しかし一応制度的には租鉱権山は五年でございますので、五年の開発に対する融資制度ということが、不幸にいたしまして――現行の新鉱開発資金という制度がございますけれども、これは御存じのように地域指定、あるいは国として開発計画を立て、業界のほうから事業計画をもらい、そういうことで、全部マッチしたものに対する融資ということで、現在やっておりますのが九州の有明炭鉱と北炭の新鉱の二炭鉱だけでございます。いま新朝日炭鉱としての租鉱権山をこの制度に乗せるということにつきましては、いわゆる返済期間の問題――いまの新鉱開発の融資は七年据え置き、十三年償還というようなことで、いわゆる長期に操業できるという山を対象にいたしました開発資金でございます。しかし今後、先生のおっしゃるようないわゆる五年あるいは六、七年の中規模の新鉱開発というのも出てくるのではなかろうかというふうに考えられます。その場合、現行の新鉱開発の融資制度では乗りませんので、あるいは現在の近代化資金制度、これが大体中期に当たるのではなかろうかと思いますけれども、こういう制度の改正をやる、あるいは短期的には運転資金という制度もございますので、いわゆる中期の融資制度というのを考えるべきではないかということで、事務当局としては現在いろいろ案を練っている最中でございます。
 なおいまの、新朝日炭鉱に融資をして、その分を旧朝日のほうの維持のために使えばどうかというような御指示でございますけれども、これは、直接これとは関係いたしませんけれども、新朝日炭鉱のほうといたしまして、いわゆる野村会長のほうに金をお貸しするということで、新鉱のほうにお使いになる金を旧朝日のほうにお使いになって、できるだけ維持をしていただけないかというようなこともお話ししたわけでございますけれども、それについては、結論といたしましてノーという返事をいただいたわけでございます。
 なお、旧朝日のほうの生産状況を、もう少し生産をダウンしながらうまいぐあいに新鉱との結びつきということもできないかということをいろいろ検討したわけでございますけれども、これは当然会社のほうでも検討しておいでのようでございます。これにつきましては、たとえば現在、月に八千トン近く、これはかっての数字でございますけれども、生産していた朝日炭鉱を、人数を減らしまして二千トン、三千トンというようないわゆる経済ベースに乗らすような何か方法はないかというようなことでも検討いただいたわけでございます。それにつきましては、人員が減っただけでコスト的に安くなるというものではございませんで、御存じのように当鉱は四百六十メートルのレベルを採掘いたしておりまして、その間の切り羽関係におきましても、一応、平層と違いましてここは急傾斜層でございます。急傾斜層でございますので、充てんの問題あるいは保安上の通気の問題等もございまして、コスト的に下げるわけにいかぬ。なお四百六十メートルまでの間の仕繰りの問題あるいは運搬関係の問題というようなことで、人数を減らして生産を落とす以上にコストがアップするというようなことで、生産を落とす考えの存続ということは考えられないのではないかというふうに、会社のほうもそういう計算をいたしておりますし、私のほうでも一応そういうような結論が出たというのが実態でございます。
○多賀谷委員 私は、まず第一に、労使問題の起こっておるときに閉山というものでおどすというのは許されないと思うのです、いまの時期に。閉山通告によって労使問題を解決するというものの考え方、これはいまの情勢において、いやしくも石炭企業家として許されない、社会的責任を遂行できない、こういうようにまず考えるわけです。それはかつてはそういうことがずいぶんありました。ありましたけれども、今日の事態において、賃金紛争をした場合に、組合が要求することを会社がなかなか聞かないで閉山をかけてくるなんということは、そもそも現在の情勢を認識していない、こういうように考えざるを得ないのです。最初から会社がほんとうに――賃金だけの問題なら、会社は幾らも手があったと思うのですよ。ほんとうにその問題で解決をして山を維持しようという意思があったら、私はできたと思う。どうもこの問題は、新鉱開発が、租鉱権が許されてから、施業案が許されてから急遽、古い山はつぶしていこう、こういう腹をきめたのではないか。このこと自体は私は社会的にも許されない、かように思うのです。一体、当委員会が決議をし、大臣が答弁をしても何にもならぬじゃないですか。
 それで、いま部長から聞きましたけれども、新鉱開発の現在の融資というのは、地域指定をする、いわば大プロジェクトですね、大規模な開発計画、これだけが新鉱開発といわれておる。現実にはあなたのほうはそういう租鉱権の山を認めておるわけですから、認めた以上は、それに助成金も何もつかないというようなことでは、私はこれは役所として怠慢のそしりを免れないと思う。それならば、あなたのほうで近代化資金を出したらどうですか。近代化資金でもお出しになったらいいじゃないですか。それは新鉱開発よりも利子がちょっと高いてすけれども――新鉱開発は無利子ですから。しかし、近代化資金でも出す、こういうことをおっしゃったらどうですか。そして、いまここにすぐ金が要るわけじゃないのですから、業務方法書でもすぐ変えられるわけですから、業務方法書でも変えて近代化資金を出す、そういう手だてをしてそうして現行の炭鉱を維持していく、新鉱もやっていけるようにすべきではないか、こういうように思うのですがね。
○高木説明員 いま先生の御指摘の近代化資金でございますけれども、これも実は無利子でございます。開発資金、近代化資金、ともに無利子でございますけれども、現在近代化資金の対象項目として入っておりませんので、その点は、先ほど申し上げますように今後の検討といたしまして、租鉱、そういうものに対する短、中期の融資という制度をひとつ考えなくちゃならぬのじゃないかというふうには考えております。しかし、その前に鉄原の野村会長のほうに、かりにお金を貸す――これは融資にしましても貸す金でございますけれども、こういう貸す金ということを前提にして旧のほうの維持をはかっていただけないものかということは、何回も話してございます。しかし、野村会長といたしましては、借りる金はもうこれで十分である、御辞退するということでございますので、何回も申し上げるようでございますけれども、手の打ちようがなかったというのが実態でございます。
 また一方、旧のほうの朝日炭鉱につきましては、先ほども申し上げますように、自然条件の悪化、そういうものも入れまして、これ以上継続することは不可能であろうというような判断をされたのじゃなかろうかというふうに考えております。
○多賀谷委員 私もちょっと間違えました。無利子です。近代化資金も無利子ですが、その無利子の金をなぜいやがるのか。しかし、近代化資金じゃないでしょう、あなたのほうが貸すと言ったのは。
○高木説明員 お貸しすると言いましたのは、経営改善資金の一部を何かそういう方法で野村会長の保証のもとでお貸しするとした場合、どうされますかということをお聞きしたわけでございます。実は旧朝日炭鉱におきまして貸した経営改善資金、運転資金でございますけれども、六月の二十四日に返済すべき金が不渡りになっております。
○多賀谷委員 私は、制度を変えないでただ頼むということでは、役所としてはどうにもならぬと思うのですね。これだって業務方法書で近代化資金の条件を変えられるわけでしょう。十年以上の炭量、しかし、租鉱権で五年じゃないかという。しかし、それは変えればいいわけでしょう。それから、あるいは近代化資金はこれは租鉱権は入らない、こういう。これは法律を変えればいい、その約束をすればいいわけでしょう。でありますから、私は、そういう意味においては、そういうこともしないでおいて、ただ業者に水を飲めと言っても無理じゃないかと思うのです。そういう行政的な処置が全然なされていない、率直に言うと。
 ですから、大臣、あなたの答弁をされた、各種の助成をする、この助成というのは新しい制度ですよ。そうして管理委員会等においてきめこまかい指導をする。一体、大臣は答弁をされておりますけれども、この件については少なくともこの答弁のとおりなっていない、こう言わざるを得ない。また本委員会の決議にも違反している。とにかく、御存じのように、朝日炭鉱というのは岩見沢の中心部にあるわけです。そうしてこの動向は、石狩炭田、いな北海道、あるいは九州の全労働者に全部影響があるわけです。ですから、政府が幾ら炭鉱見直しと言っても、結局は業者のほうが閉山をしたいと言うならば、それはやむを得ない、手を上げざるを得ないんだ、いわば業者の恣意によって炭鉱の閉山がきまるんだ、こういう観念を植えつけるじゃありませんか。そうして炭鉱労働者を幾ら確保しようといっても、足元がくずれていって、どうして確保できますか。朝日炭鉱が閉山になったら、単に朝日炭鉱だけの問題じゃないですよ、これは。全部の労働者がやはり浮き足立つわけです。ですから、これはいわば政策の試金石ですね。政府はあの朝日炭鉱に対してこういう政策をやって朝日炭鉱の鉱命を延長した、これが必要ではないかと思うのです。
 なるほど政府から見ると、月に八千トンぐらいの山かもしれません。しかし、いま御存じのように、海外の一般炭を輸入する場合に、現実になかなか石炭がないでしょう。そして資源をできるだけ保護をして使うのだと言いながら、実は足元からくずれていく。こういう情勢では、幾らわれわれが石炭政策の見直しを唱えても意味がない。ですから、私は、将来に向かってこうこうこういうふうに直しますと言っても、現実くずれていったのでは何にもならないわけです。ですから、業務方法書で、あるいは政令で変えられるものはどんどん変えていく、そうしてこの山をつないでいくという方法が何ら、かけらも見えてない。全部将来の問題にしてしまった、経営の姿意にしてしまった。これはきわめて大きい問題ではないか。
 それからもう一つ、安定補給金の話をされましたけれども、格差の傾斜の補給金ということについてはすでにこの前の中間答申にも出ておるわけです。ですから、これから炭鉱を維持していこうとするならば、どうしても傾斜配分というものが必要なんですよ。少なくとも山別の傾斜配分というものをしなければ炭鉱の維持はできない。平均政策ではできないのです。いま平均政策でやろうとしておる。平均政策では残念ながら山を維持することはできない。これは労使の努力を越えての自然条件の問題があるわけです。これについて、一体、大臣はどういうように対処されるつもりであるか。あなたの答弁は全く実行されていないじゃないですか。これについてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
○中曽根国務大臣 当委員会の御決議もございましたから、できるだけ閉山を回避するという精神に従いまして、私もできるだけの努力をしたつもりでございます。
 それで、当面の問題といたしましては、閉山を回避するという点については、やはり具体的な、責任者である野村会長及び労働組合との話し合いが円満に行なわれるということが、当時の、また現在においても、そのキーポイントであるわけであります。こういう問題が起きたのは、やはり労使の交渉で賃金問題というのが発端になって起きておるわけでございます。その背景にはもちろん採算の悪化というようなものもございます。しかし、そういうようなものも、やはりいまの労使交渉からこういう閉山云々というような問題が起きてきておるわけでございますから、この点については労使間を円満に解決するようにやることが当面の即効薬である。もちろん租鉱権等の問題については、これは将来の問題として法改正等もやりまして、できるだけ円滑に石炭政策が進めるようにいまいろいろ考えて検討しておるところでございますけれども、当面は何といっても野村会長をその気持ちにさせるということが当面とるべき措置である、そういうふうに私考えまして、それでお約束に従いまして、平井日鉄社長も呼んでとくと懇談をいたしましたし、私はまた野村氏にも直接会いまして、いろいろ事情も開き、当方の要請も強く言ったところでございます。遺憾ながら野村さんという人は非常にがんこな性格の方のように見受けられまして、自分の経営については、経営の一つの考え方を強くお持ちでありました。私がいろいろ手をかえ品をかえてお話をいたしましたけれども、なかなか私の考えに同調しなかった。これはまことに遺憾でございます。しかし、これは今後とも努力を継続していくべき問題であって、私はさらに努力の継続方を強く要請して別れたというのが、遺憾ではございますけれどもその結果でございました。閉山の向きに至るということは、関係労働者はもとより、町当局にとりましても非常に大きな問題でございますので、できるだけ回避するように今後も努力を続けていくつもりでございますが、事態はきわめてむずかしい状態になっておると考えております。
○多賀谷委員 私は大臣が野村会長を呼んでいろいろ説得された、その努力を否定するものじゃないのですよ。しかし制度的に何らできていないじゃないか、政策的に一つも前進していないじゃないか、こう言っているのですよ。ですから、将来といいますけれども、一体今後の本格的な政策ができるまでのつなぎはどうするんですか。いま何もつなぎがないじゃないですか。この現行法というのはスクラップが主なんですよ。その現行法の中に乗っかっているのです。いまの制度は。それでつなぎがないわけですよ。ですから、こういう事態が起これば手も足も出ない。ただ呼んできて説得するだけだ、こういう答弁しか出ないじゃないですか。われわれはそれでは満足できないのです。もう、すぐ新しいつなぎの政策をしなさい。ですから、そのつなぎの政策を国家がしますからひとつ野村さん続けてください、こういうように言わなければならぬわけです。しかも新鉱開発というのは、いまここに、十月なら十月にどっと資金が要るわけじゃないのです。ですから、政府がつなぎの政策を約束すればできるはずですよ。しかもこれは労使問題というけれども、先ほどから申しましたように、私は悪いことばでいえば、新鉱が、施業案が認可されたから食い逃げをしたとしか考えられない。そういうことを経営者に許しておるならば、とても二千万トンの維持はできませんよ。二千万トンすら維持ができない。経営者はもうかるところへ資金をどんどんんつぎこむのですよ。もうみんな撤退作戦に入るのですよ。もうすでにいままで入ってきておるわけでしょう。ですからそういう情勢の中で、とやかく言うけれども結局は政府は何も見てくれないんだ、こういうことを労働者に植えつけるだけだ。これは非常に遺憾だ。一体、こういう気持ちを全炭鉱労働者に植えつけて、政府は新しい石炭政策をやる自信があるかどうか、これを最後に大臣からお聞かせを願いたい。
○中曽根国務大臣 衆議院の御決議もございますから、あの趣旨に沿いまして今後も努力をいたすつもりでございます。いろいろ法改正やあるいは行政上の措置について、新しい石炭政策上不備な点があると思いますれば、それはできるだけ早目に改革をいたしまして、衆議院の御審議もお願いいたしたいと思っておる次第でございます。
○多賀谷委員 最後に、私はこの問題は承服できないとともに、あなた方が考える以上に波及が大きい。そしてその波紋、影響するところがきわめて大きい。こういう朝日炭鉱をつぶして新政策はできっこない、こういうように思います。
 それから私は、次の政策までのつなぎをとにかくできるだけ早く、行政措置すなわち政令でやるとか、あるいは業務方法書を変えられる分はどんどん変えていく、こういう態度をとらなければ、あるいは次の国会には法律も改正していく、こういうようにしないとそのつなぎというものはできない、かように考えるわけです。
 このことを私は要求して、一応質問を終わりたいと思います。
○田代委員長 岡田春夫君。
○岡田(春)委員 私は朝日炭鉱の具体的な問題について少し伺ってまいりますが、まず第一点として、広瀬炭業課長はことしの春、この朝日炭鉱の現地調査を行なった。そのときに、坑内条件その他の状態も調べてきているはずでありますが、可採炭量その他から見て採炭が不可能であると考えているのか、通産省の考え方としては一体どうなっているのか、こういう点を伺いたい。
○広瀬説明員 お答えいたします。
 私が参りましたときは、ちょうど三つの切り羽を持っておりましたけれども、そのうち一つを実際に見てまいりました。たまたま五十メートルの払いでございましたけれども、大体半分くらいが石に食われておりまして、実際の能率の半分ということで二百トンそこそこの出炭ということでございました。そのときに、いままでの地質条件状況、二、三年前からの推移を、下に下がるに従ってどうだというようなことも調べてまいりましたけれども、断層褶曲の出現率が大体一片盤下がるごとに一・五倍から二倍くらいというような、きわめて悪い条件でございました。可採炭量としましては、大体一年分くらいがやっとだというような感じのことを見てまいりました。
○岡田(春)委員 一年くらいの可採炭量があって、これは採炭、坑内条件の問題等があっても現在の朝日炭鉱を閉山せざるを得ないというような状態であったのかどうか。
○広瀬説明員 物理的な可採炭量はもちろんいま申し上げましたようにあるわけでございますけれども、その当時の自然条件からいきまして、いまと一年前の経営条件と比べますと全然問題にならないというようなことで、非常に経営がむずかしくなっているというふうに感じました。
○岡田(春)委員 経営はむずかしいということになると、閉山するのは当然である、こういうことですね。通産省の見解は。
○広瀬説明員 われわれとしましては、その後何とかして閉山しないように努力をしなければならないということで帰ってきたわけでございますけれども、いまの段階では、先ほどからの答弁のようにあらゆる手を……(岡田(春)委員「それは政治問題だ。技術的な点を聞いているのだ。可能なのかどうなのかと聞いている。政治問題は大臣に聞くからいいですよ」と呼ぶ)非常に能率が低下いたしまして、これは経営を続行することは技術的に非常に困難だというような印象を受けてまいりました。
○岡田(春)委員 そうすると、これは非常に問題になるのだが、先ほど石炭部長の話では、本鉱を続けながら新鉱に切りかえていく、こういうこととだいぶ趣旨が違ってくるわけです。実際問題として、技術的に見て採炭が不可能な状態である。しかもそれにもかかわらず、採炭を続けてもらう、そして新鉱開発をやるという話と、これはだいぶ食い違ってきている。こういう点はあとで具体的に伺いますが、もう一点伺っておきたい。
 これは通産大臣に伺いますが、先ほどからお話のあったように、労使関係の問題だというお話だけれども、可採炭量はあるんだ、これはいま答弁のとおりです。しかし実際問題経営上の問題はあっても、可採炭量があるとするならば、石炭政策の面から言ったら、これほど少ないときに少しでも石炭を掘ってもらう、こういう点でやっていかなければならないのに、一方的にこれは閉山を通告してきた。これは単に労使関係の問題じゃないと思うのです。石炭政策の問題であり、資源問題である。特にここで私が伺っておきたいのは、賃金交渉の最中に一方的に閉山通告を行なった。これが経営者側の措置であった。これは妥当なものであったと思いますか、どうですか。
○中曽根国務大臣 通産省としては閉山を極力回避するという国策を持っておりまして、その線に沿っていろいろ助成措置とかそのほかの措置も進めてきておるところでございます。また石炭鉱業審議会の答申も近くいただきまして、それによって新政策をまた的確に前進させる考えでおるわけでございます。
 当面の、いま具体的な朝日炭鉱の問題につきましては、この問題の発端、いろいろ調べてみますと、基本的にはやはり自然条件の悪化、採算点の低下というようなことが出てまいりまして、そういう問題から労使の賃金交渉が非常に困難な状況に差しかかってきた、そういうところから今日のいろいろな問題が出てきていると私らは思うのであります。遠因はいろいろそういう、もっと基本的な部面がございますが、今日の事態を収拾するというようなポイント等を考えますと、労使問題を円満に解決するということがキーポイントである、そういうような点は、社会党の皆さんも私のところへおいでいただきまして、野村を説得せよという御意見も私は拝聴して、そしてその趣旨に沿ってもやってきたところでございます。そういうようにいまの事態は動いておりますので、その線に従って努力しておるところでございます。
○岡田(春)委員 私の質問に答えてないんだが、経営者が一方的な閉山通告を賃金交渉の最中に行なったのは、これは妥当なものと思うかどうか、これを伺っておるのです。
○中曽根国務大臣 通産省としては閉山をできるだけ回避するという国策を持っておりますから、そういう方向に事態が動くことは好ましくないと思いますけれども、具体的な経営内容というものは当事者間がきめることでございますから、賃金交渉の内容というものは当事者間がきめることでございますから、その経営者側の措置について官庁側としてコメントすることは、この際差し控えたいと思います。
○岡田(春)委員 これはまた食い違っておる。エネルギー庁長官は文書でいっているじゃないですか。賃金闘争の最中に一方的な閉山通告をしたのはきわめて遺憾でありますという通告をしているじゃないですか。文書で通告している。
 それじゃ大臣、あなたはそのエネルギー庁長官の文書というのは間違いだと言うのですか。あなたのさっきから言っておるのは、閉山通告について何も言わないじゃないですか。これも食い違っておるじゃないですか。あなたは間違いだとおっしゃるなら間違いだとおっしゃってください。
○中曽根国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、通産省としては閉山を回避するという一般的方策、国策を堅持しておるわけでございます。そういう面からいろいろ行政指導等も極力しておるわけでございますが、私らはそういう意味から閉山通告が行なわれるということはできるだけ回避したいと考えております。しかし当面の問題について、労使関係の問題について介入するということは適当でないと考えるというわけであります。
○岡田(春)委員 また答弁を――委員長、答弁を食い違わさせてもらっては困りますよ。エネルギー庁長官の文書というのは、それじゃ間違いだったのかと聞いておる。一体それはどうなんですか。
○中曽根国務大臣 エネルギー庁長官が六月二十五日に文書を出しておりますが、そのことについては、「この通告は、きわめて遺憾なものといわざるを得ない。また、その後、労使対立のまま経過し、最悪の状態に立ち至っているので、直ちに労使の話し合いを行い問題の円満な解決を図るよう要請する。」こう言っておるので、ポイントは労使の円満な話し合いを行なって、そして円満に早く解決する、そういうことが趣旨であります。こういう趣旨は私が申し上げまことと変わっていないと思います。
○岡田(春)委員 これはだいぶ食い違っておりますが、こればかりやっていたらいけませんから、そこで大臣に伺っておきたいのは、今後も努力される、こういうお話だけれども、どういう努力をするのですか。ただ抽象的に努力するというお話だけでは、これはわれわれ納得できません。閉山阻止のために具体的にどういう努力をされるのですか。
○中曽根国務大臣 これは、労使問題につきまして円満に解決するように、われわれ経営者側についても今後努力をさしていきたいと思いますが、また労働組合の側におかれましても、円満な交渉を開始して、円満に妥結するように、社会党や野党の皆さんが御協力いただけばありがたいと思うのであります。
○岡田(春)委員 それでは了解できません。あなたは労使問題、労使問題とおっしゃるけれども、賃金問題のことでしょう。閉山問題は別個の問題ですよ。労使問題の賃金問題については歩み寄る可能性があるということは、再三炭労からも申し入れているのです。閉山問題をどう阻止するかということが、いま最大の焦点なんです。その問題についてどういう方法で通産省としては措置をとるのか。もう万策尽きたとおっしゃるのですか。それとも今後やるというのですか。やるんなら、どういうことをやるというのですか。
○高木説明員 先ほど炭業課長のほうから……(岡田(春)委員「簡単に話してください、時間がないんだから。」と呼ぶ)当鉱の調査をいたしました結果、技術的に見て相当継続の困難性があるのではないかというようなことを申し上げておりますけれども、これは私も同感でございまして、そういう点がございましたので、新鉱のほうにスムーズに移れるようにという点も考え、北炭からの租鉱権のあっせんに力を入れたわけでございます。
 なお、先ほど申し上げましたように、ではここの生産を落としつつ新鉱にうまいぐあいに移る方法があるのかというような一つの計算でございますけれども、それは先ほど多賀谷先生の御質問にもお答えしましたように、むしろ石炭鉱業は固定費が高いという一つの問題がございますので、なかなか困難である。しかしその困難を経営者のほうが十分理解してくれまして、その間相当な赤字を負担してでも続けていくという気持ちになってくれるのが第一ではなかろうかと思います。またそういう点で一部金をお貸しするというようなこともお話ししておりますし、いろいろなことを経営者のほうにもお願いしたわけでございますけれども、不幸にしていままでそれに対する回答はノーというような回答しか返ってきていないというのが実態でございます。
○岡田(春)委員 そうすると、高木さんに伺っておきますが、新鉱開発をやる前には、本鉱はだんだん経営は困難であるけれども、しかし閉山という意味ではなかったんでしょう。この点はどうなんです、新鉱開発の問題と結びつけて。
○高木説明員 私のほうは閉山を前提にした新鉱の租鉱権の設定というようなことは全然考えておりません。旧鉱が苦しいという実態は了承しておりますので、その点を、できるだけ続けながら円満に新鉱のほうに転換ができるようにということで努力したわけでございます。
○岡田(春)委員 それじゃ新鉱までには本鉱はともかく苦しくても続けてもらう、そして新鉱に移行していく、こういう考えであることは間違いないですね。
○高木説明員 いま先生の御指摘の意思を持っていたことは、先ほども申し上げたとおりでございます。
 なお、もう少し詳細に話さしていただきますと、実は当鉱に対する鉱区調整という問題で、一年半ほど前に、これは災害後でございますけれども、同じく北炭の露天掘りの鉱区を調整してやったことがございます。ただし、これは、北炭から調整してもらいました露天掘りにつきましては、朝日炭鉱のほうで調査された結果……(岡田(春)委員「それは質問に関係ないですよ」と呼ぶ)採掘可能でないということで、これもやめられたわけでございますけれども、そのときの考えというのも、旧鉱のほうが苦しくなるので、新鉱のほうでもうけつつ、それとバランスをとりながらやりたいのだというのが当時の御説明でございました。同じように、今回の租鉱権についても、苦しいということは十分理解しております。それで、その新鉱のほうとバランスをとりながらやっていただけるものというのが当初の私なんかの考えでございました。
○岡田(春)委員 それじゃ通産省としては、本鉱を続けながら新鉱に移る、こういう考え方が本心である。ところが今日の状態すらも非常にむずかしい状態になってきているということは、あとでまたやりますが、そこで、租鉱権の設定契約は五月二十五日に北炭と朝日炭鉱の間で結ばれている。ところがその後間もなくして、今度は北炭と新朝日炭鉱との間に再契約をやっている。これは一体どういうわけなんですか。いつ再契約が行なわれたのか。理由は一体どうなんですか。
○高木説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、租鉱権の設定ができましたのが、これは会社間の、北炭と朝日炭鉱との契約でございますけれども、六月五日になっております。この六月五日と申しますのは、新朝日炭鉱との契約でございます。その前に新朝日炭鉱のいわゆる登録、登記ということで、この点がおそらく一カ月、二カ月かかるんじゃなかろうかということで、朝日炭鉱としましては、旧朝日炭鉱と、いま先生の御指摘の日にちに、北炭との間で契約を結んだ。しかし、北炭といたしましては、今後、旧朝日炭鉱と結んでいては話にならぬのではないか、むしろ、将来続けられる新朝日炭鉱との間で契約を結ぶべきではないかというようなことで、その後、新会社が設立されたあと、契約を六月五日でやられたわけでございます。
○岡田(春)委員 それじゃあれですか、新朝日炭鉱との再契約というのは、やはり通産省があっせんをしたのですか。
○高木説明員 あっせんと申しますのは別に新炭鉱とやりなさいとか、あるいは旧朝日のほうとやりなさいとか、そういうようなことは私のほうでは指示しておりません。指示いたしましたのは、できるだけ北炭のいま掘ってない盤の沢鉱区を朝日のほうに譲ってもらって、朝日のほうに存続ができるようにやっていただきたいということでお願いしたのでございまして、あと、両者間における旧契約あるいは新契約というものの形態についての関与は全然いたしておりません。ただし、会社が契約した後、写しをうちのほうに持ってきておりますのでその当時のいきさつというものは全部記載して書類として残しておるような次第でございます。
○岡田(春)委員 あっせんということばをことさら使ったのは、私は五月二十五日の契約を見ても、その中に文面上明らかに通産省石炭部のあっせんに基づきということばが書いてある、これは非常に異例なことだと思う。しかもいまの話を聞くと、新朝日炭鉱の場合にも同様趣旨のことがあったんだと思うのだが、これほどあっせんということが文面上明らかになっておって、しかも先ほどからあなたが言っているように、本鉱はそのまま継続しながら新鉱に切りかえていくというような趣旨であったのが、今度は突如一般的に閉山を行なった。そして新鉱に対してそういう形の契約をしたんだが、ここら辺はペテンだといわざるを得ないじゃないですか。朝日炭鉱の野村会長がこういう形で新鉱の開発について租鉱権の設定契約を行なった。これを行なったとたんに本鉱のほうは閉山する、こういう意図のもとに、これはペテンで行なわれた契約であって、それをあなた方は、あっせんを行なったのだ。文面上にあっせんということばが出ているとするならば、通産省だって責任があるじゃありませんか。通産省は、単なるあっせんでございまして私は知りません、こういうような形で済ましてしまうわけにはいきませんよ。新鉱の開発問題についてこういう形ではさっきから何度も言っているけれども、本鉱が続くんだ、その継続のあとにおいて移行するんだということであっせんをしたわけでしょう。そのあっせんの責任を一体どうするのですか。あなたの場合、この閉山という今日の事態において、あっせんの責任をどういうように感じていますか。
○高木説明員 先ほども申し上げますように、租鉱権の設定契約は北炭と新朝日炭鉱の――野村会長の子供さんじゃなかろうかと思いますけれども、直接野村会長との間でやっておられるわけではございません。なお、これに対する裏づけとしまして、野村会長が保証したいわゆゆ付帯覚え書きというのを別途お取りになっております。これにつきまして、うちのほうが、いま先生の御指摘のように、閉山というものを前提にして契約のあっせんを通産当局がやったのではないかという御質問でございますけれども、そういう気持ちは全然ございませんし、うちとしましては、いずれは朝日炭鉱のほうは自然条件の悪化等で、先生も御存じのように、炭量的に見ましてもそう五年も十年も続く山ではございませんので、早くこういう点を租鉱の形でやっていただいたほうがいいのではないかという、変な言い方でございますけれども、親心から、朝日のほうには北炭にお願いして契約を結ぶようにしたわけでございます。その結果が、いま閉山というような問題が別途出てきているわけでございますけれども、この閉山問題は、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、事の発端は新鉱という問題ではなくして、賃金問題から起きたのではなかろうかというふうに考えますと、この契約と閉山というものが直に責任問題あるいはどうこうという問題ではないのではなかろうかというふうに考えております。
○岡田(春)委員 あなた、あっせんの責任を感じないのですか。あっせんの責任は感じないのですか。二度もこういう形で、待ってましたとばかりに閉山しているじゃないか。新鉱ができたから閉山したんですよ。そのあっせんの責任をあなたは感じないで平気でおれますか。そればかりじゃありませんよ。あなたは、この閉山を野村が踏み切るに至った、既定事実としていく突破口には施業案の認可の問題がある。施業案の認可はいつやったのですか。
○高木説明員 坑口開設の許可を六月二十二日――施業案の申請が六月十七日に出てきております。認可は六月の二十二日に実施いたしております。
○岡田(春)委員 あなたは知っているでしょう。六月二十二日前、すなわち、日にちをはっきり言ってもいい。六月の十一日、炭労から正式にあなたのところにいっているでしょう。賃金紛争のさなか、施業案の認可をしてもらったら困りますよといっているでしょう。あなたは、それはわかりましたと言ってあるじゃないか。炭労のだれが言ったかも名前をあげてもいいですよ。相沢君ですよ。あなたは、それは絶対にいたしませんと言ったでしょう。それは事実でしょう。しかも相沢君はそのあと札幌へ戻って札幌通産局で、高木石炭部長は認可はしないと言ったからいいねと言ったら、わかりましたと言っているんだ。あなたはその事実知っているでしょう。
○高木説明員 施業案の認可問題につきましては地方通産局のほうで実施いたしておりますので、直接当方のほうでどうこうという問題ではございません。ただし相沢次長のほうから、施業案の提出の動きがあるということで、それに対する考えはどうかという質問があったのは事実でございます。それに対し、私といたしましては、それは地方の問題であるけれども、施業案の認可あるいはそれを阻止する――申請を受けた以上阻止することはできませんよということは話しております。
○岡田(春)委員 阻止することはできない――認めざるを得ないという意味ですか。そういう意味に言ったのですか。あなた、阻止することはできない、認めざるを得ないと言ったのですか。ここは重要だから、簡単に答弁してください。
○高木説明員 認めて悪いということは言っておりません。
○岡田(春)委員 認めて悪いというのは一体どういうことなんだ。認めないと言ったのでしょう。札幌通産局だってあなたの趣旨を体して認めないと言っているのですよ。あなた、いつの間にそういうように変わったの。閉山通告をそこで結びつけていこうとしているんじゃないの。しかも閉山通告があったのは六月十八日だ、しかもその二日後に坑口開設委員会が札幌通産局で行なわれた。開設委員会の部会長は北大の磯部教授だ。この人はこの認可については反対の意見だったのです。認可については反対の意見だったのに、わざわざ札幌通産局からこれを急いでくれと言ってきている。そのときに――これは重大だから、はっきり大臣も覚えておいてもらいたい。一つは、これをやることによって閉山が阻止できるんだよという意味のことを札幌通産局で言っている。もう一つ、あなたのことばなんです。通産省の石炭部長が圧力をかけている。早く認可をしろとあなた言っているじゃないか。相沢君に対しては認可は認めないように努力すると言いながら、今度は早く認可をしろと言って、あなた、二枚舌を使っているじゃないか。役人が一体これでいいのか。あっせんをしますとかなんとか言いながら、それに対して責任も感じないで、今度は二枚舌を使って野村と一緒になっているじゃないか。そう言われてもしようがないじゃないか。これは一体どうしたんだ。
○高木説明員 施業案の認可は通産局長の権限になっておりますので、私のほうで相沢次長に対して、認可をしないという約束をした覚えはございませんし、そういう約束をするはずもないと思います。
 なお、施業案の認可を急げと言ったことはございませんが、この施業案の認可をすることによって新鉱のほうと旧鉱のほうがスムースに転換されるであろうということは、石炭部長と話したことはございます。
○岡田(春)委員 そのこと自体がおかしいじゃないか。それを話したときには二日前に閉山通告があったんだ。閉山通告があったのに閉山しないで済ませるなんということができますか。しかも今日の事態がはっきりしているじゃないか。あなた、責任を感じないの。これで閉山通告で閉山が既成事実になっていたら、石炭部は石炭部長以下全部責任をとりなさい。もしこのままでなったのなら、石炭政策の上からいっても、あなたのとった行政措置からいっても、あなた、責任をとるべきですよ。閉山になったらあなた責任をとりますか。答弁しなさい。
○高木説明員 鉱区のあっせん、施業案の認可、そういうよかれと思ったことが結果的に悪くなった――まだ結果がどういうふうに出るかわかりませんけれども、いまそういう事態にあるということは十分認識しておりますし、なお、よかれと思ったことがそういうふうになったということに対しましては責任は感じております。
○岡田(春)委員 責任を感じておりますだけでは困るんだ。これは通産大臣も聞いておいてもらわなければならないが、結果においては野村会長の意図どおりになりつつあるじゃないですか。本鉱の閉山をやって新鉱をやる。新鉱を認めるんですか、通産大臣。こんなことを許してもいいんですか。こんなむちゃくちゃな――あなたさっき言ったでしょう。がんこな人であって、経営に対しては一つの考え方を持っている、これが野村さんでございますから云々と言った。これは労使関係の問題とは別だ。新鉱の経営の問題、この問題を、本鉱が閉山になったその上に立って、あなたは新鉱の開発を野村に認めるんですか。それで通産省の方針どおりだとおっしゃるんですか。通産大臣、意見を聞かしてください。
○中曽根国務大臣 せっかく租鉱権設定について通産省も努力して、できるだけ円満に事態を解決しよう、そういうような形で努力してきた結果でありますから、これは、租鉱権を設定して新鉱を開発しようという方針はやはり認めていくのが妥当であろうと思います。
○岡田(春)委員 それはあなた、租鉱権を認めることは私は反対していないですよ。何も野村に認めろと言っているわけじゃありませんよ。こういう形の経営者のやり方に対して、通産省はこれを認めるのはしかたがないなどといって済ませるわけにはいかぬはずだ。新しい別途の経営形態を考えて――何も私はここで社会党のいっている国営案の第一歩だなんて言っておりませんよ。こういう場合についての方法はいろいろあるでしょう。こういう形で少なくとも野村に対して新鉱開発を認めるというようなことをやめるべきだと思うんだが、通産大臣一この気持ちわかりますか。こういう形を許しておいていいんですか。少なくともこの租鉱権を別な経営形態あるいは経営者によってやるということを考えるべきだと思うんだが、これはどうなんだ。
○中曽根国務大臣 通産省としては、事態の悪化を防ぐためにできるだけの努力をして、その一環として租鉱権の設定の問題もかなり北炭に対して圧力を加えてせっかくやったことでありまして、事態をさらに悪化させないためにはそういう方向で進むことが妥当であると思います。
○岡田(春)委員 その答弁はわからない。そういう方法という意味がわからない。あなたは閉山阻止のために今後とも努力をするのでしょう。そして本鉱の閉山阻止に努力をしながら、それでどうしてもだめだった場合に、新鉱の問題についてはどうするかということについてもいま意見を聞いておいたわけですが、あなたは今後においてそういう方法で云々というお話だったが、具体的な話を答弁していただきたい。私、時間がありませんから、もうこの程度で終わりますけれども。
○中曽根国務大臣 閉山阻止の一環の努力としても新鉱開発ということを通産省は努力をしてきたわけでございます。したがって、その延長線上にあるいままでやってきた努力はそのまま継続するのが正しい、そうわれわれは考えております。
○岡田(春)委員 最後に、これで終わりますが、八月十日で閉山をするという通告が来ているんですよ。それに対してあなたは、閉山を阻止するためのあらゆる努力を今後ともおやりになりますかどうですか。十日になって、もうしようがないんだ、野村の言ったとおりでまあまあこうなって閉山になったんだ、そして新鉱はいま話のあったように野村にやらせるんだ、こういう形であるならば、もうまさにあなたの考え方は野村と一緒である。われわれからいうならば、石炭部を先頭にして野村と結託をしてやっている。こういわざるを得ない。こういう点をあなた方は批判を受けてもあえて平気で、十日までのこの差し迫ったときにおいて、ずるずるべったりにおやりになるのですか。私は通産大臣が平井社長にも会ってもらいたいという申し入れもした。あなたは努力もされた。しかしそんな努力だけでは足りませんよ。石炭政策について金を出してどうするということまで努力しない限りは、今日のつなぎの問題なんて解決しません。そういう努力を今後とも最後の最後まで、あと四日間努力をされますか、どうなんですか。差し迫った問題なんです。はっきりした答弁を最後に言っていただいて私は質問を終わりたいのだが、ひとつはっきりした答弁をしてください。
○中曽根国務大臣 閉山阻止の努力は今後とも継続してまいりますけれども、新鉱の問題というものは、通産省はことしの春以来一貫して努力して、できるだけ事態をさらに悪化させないためにやってきた努力の延長線の仕事でありまして、いままでの既定路線に従ってやるという考えをここで申し上げたいと思います。
○岡田(春)委員 これで終わります。ただ、それでは野村にやらせるということですね。それは世論が納得しませんよ。野村にやらせるなんということは、まさに通産省が施業案まで認めて、本鉱を閉山さして野村に新鉱をやらせるという、そういうたくらみのもとに通産省が進めたのだといわざるを得ない。最後までこれを申し上げて私は発言を終わります。
○田代委員長 多田光雄君。
○多田委員 実は七月の二十六日に閉会中審査を行なって、そしてこの朝日問題を審議をするということが一応きまっていたのですが、残念ながら今度の七十三国会、政府・与党の審議拒否、こういう異常なやり方のために、一週間、これは決して長い期間ではありませんでしたが、この間差し迫った朝日炭鉱の問題を一度も審議できなかった。そして再び閉会中審査ということできょう当委員会が開かれることになったわけです。つまり石炭特別委員会としてはこの朝日炭鉱の問題を、いまのエネルギー・石炭事情の中で非常に重視しているということでありますが、大臣、この朝日問題についてどのように受けとめているのか、政治的にどのように受けとめているのか、それをひとつお答え願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、当委員会の御決議もありまして、閉山回避にできるだけ努力をするというお約束をしておるおりからこういう問題が起こりましたことは、はなはだ遺憾でございまして、最善の努力を傾けていきたいと思っております。
○多田委員 どのように政治的にこの閉山問題を解釈しておられるのか、受けとめておられるのか、それを伺っておるのです。閉山問題を回避したい、それは一般論としてわかりますが、政府としてどのように理解しているのか、それを伺っているのです。大臣お願いします。
○中曽根国務大臣 その点は先ほど来申し上げますように、この春以来事態が悪化しつつあるのを見まして、通産省としてはいろいろ新鉱の問題やらあるいは経営改善資金の問題やら、財政上、法律上許す範囲内においてベストを尽くしてきたはずでございます。しかし賃上げの問題等がからみまして労使紛争がこじれてきましていまのようになったことは、はなはだ遺憾でございまして、この事態につきましても、いまストライキが起きておるようでございますけれども、できるだけ円満に解決するように念願をし、努力もしていきたいと思います。
○多田委員 大臣の答弁はやはり問題をはぐらかしていると思うのですね。おっしゃるとおり、さきの国会の石炭特別委員会で新石炭政策の確立に関する決議というのを行ないました。これは特に昨年のエネルギー・石油危機、この中で石炭特別委員会では四回にわたって学者、研究者、それから鉄鋼、電力の労使の代表、これら十数名を呼んで、約二カ月以上にわたって参考人を呼んで検討してきた結果、与野党一致して、あの石炭見直しのいわば基本的な方向、これがきめられて、政府にこれは出されたわけです。そうして越えて六月五日には、大臣自身が大矣田で、数年間に三千万トンは可能である、こういう談話、これは新聞で私は拝見したのですが、その談話が発表されている。そしてまた、この間出された石炭鉱業審議会の総合部会での報告ですね、ここでも国内炭は貴重なエネルギー資源である、こういっていましたし、そうして可採炭量の見直し、これはいままで政府は五億九千万トンぐらいといっていたのですが、今度は十億トンになった。これはあとでまた論じたいと思いますが、そういう十億トンからの可採炭量がある。そうしてまた新鉱開発とあわせて閉山鉱区の再開発の可能性、こういう問題についてもこれは触れていたわけです。そういう意味は、今度の朝日炭鉱、これは小さい山ではありますが、これに対して政府がどういう態度をとるのか、これはまさに今日のエネルギー・石炭問題の中で、いわば政府のかなえの軽重が問われている問題というように私考えざるを得ないわけです。
 そこでこれは大臣にお伺いしたいのですが、特別委員会の決議には閉山問題のところで「今後の閉山は、真に止むを得ないものを除き回避させること。」というふうに書いてあるのです。これは委員会の決議ではありますが、大臣はこの閉山は真にやむを得ないような閉山、会社の閉山通告は真にやむを得ないものというふうにお考えになるのかどうなのか、答弁願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 朝日炭鉱の問題につきましては、この春以来、先ほど申し上げましたように非常に深部に入って断層等があって、かなり経済採算は悪化してきておる、そういう事態を見て、通産省当局としてもいろいろ手を打って最善の努力を財政的にも法律的にもしてきたと思うのでございますが、賃金問題が一つの動因になっていまのような状態になったことははなはだ遺憾であって、事態がこういう困難な状態に直面した、それがしかも労使関係の問題でこういうふうになってきておるということを見ますと、通産省が行なう範囲内においてももうすでにある程度の限度がありまして、これは労使間において円満に解決するようにわれわれとしては側面からいろいろ積極的に努力をしていく以外にはない、そういう状態で、はなはだ遺憾な事態であると思っております。
○多田委員 いま大臣は賃金問題ということを言われたのですが、これははたして一体賃金問題が原因なのかどうなのか、これを少し検討してみたいと思うのです。
 そこで、これは高木部長にひとつ伺いたいのですが、盤の沢の租鉱あっせんのとき、六月閉山を政府は知っていたのかどうなのか、あるいはこんなに早く閉山が出されると知っていたのかどうなのか、これをひとつ伺いたい。
○高木説明員 閉山の問題は全然聞いてもおりませんし、会社からそういう話もございませんでした。なお私どもとしましては、先ほどから何回も申し上げますように、この山はあと二、三年しか続かない山であるだろうということは認識しておりましたので、よかれと思って租鉱権のあっせん等やったものでございまして、この租鉱権のあっせん途上あるいは途中において閉山という話は会社からも全然聞いておりませんし、相談もございませんでした。
○多田委員 そうすると、予想もしてなかったとすれば、先ほど御答弁で、現在の本鉱を掘りながら新鉱に移る、そういうふうに政府は考えておったということですね。これはひとつ確認しておきます。うなずいておるようですから確実だろうと思う。
 そこで伺いたいのですが、先ほども話があった五月二十五日の租鉱契約は今日の朝日炭鉱、これで契約しておる。ところが十日もたたないうちにこの新朝日炭鉱として再契約したわけなんだが、一体この変更について通産省は事前に知っていたのか知らなかったのか、それを伺いたいと思います。
○高木説明員 これは朝日炭鉱のほうからでございますけれども、当初旧朝日炭鉱と契約をやったというのが五月の二十五日じゃなかろうかと思います。それで北炭のほうからは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今後契約をして続けていく以上旧朝日炭鉱と契約しても、これは租鉱権期間が五年でございますので、五年先旧朝日炭鉱が続けられるとも考えられないので新朝日炭鉱のほうと契約を結んだほうがいいのではないかというようなことで、北炭のほうから話があったのも事実でございます。その間、おそらく新会社の設立というのは登記関係上二カ月くらいかかるのが普通のようでございますけれども、旧朝日鉱としましては新会社の設立を早急に急がれまして、北炭の意思に沿うような、六月の五日付で契約をされたのだというふうに聞いております。なお、六月五日の租鉱契約の本文につきましては、うちのほうが中へ入っていろいろお話し合わした関係もございますので、契約書その他一部うちのほうもいただいておるような次第でございます。
○多田委員 それでは北炭が新朝日炭鉱と契約したほうがいい、そしてまた野村会長もそういう方向に動いたわけだけれども、一体その目的は何なのでしょうか。また、政府はそれをどうゆうふうに理解していますか。
○高木説明員 旧朝日炭鉱のほうが、先ほどから申し上げますようにせいぜい続いても二年くらいというのは私も認識していたところでございますし、また北炭さんのおっしゃる租鉱権というのは五年でございますので、自分のところの鉱区がほしいということは、いわゆる朝日炭鉱が、旧朝日炭鉱でございますけれども、いつまでも続くというふうには思ってなかったのじゃなかろうかと思います。そういう点から、新しい会社をおつくりになったところで新しい会社と契約を結んでいたほうがいいというような北炭のお話もあったということで、普通ならば二カ月くらいかかる新会社の登記を急いでやられたような話を聞いております。
○多田委員 どうもさっきから問題の本質をはぐらかしているのだけれども、なぜ新会社のほうが彼らに得策だったのですか。旧朝日炭鉱、今日の朝日炭鉱はあと一、二年しか続かない、それは政府も知っていたわけでしょう。知っていたからあっせんしたわけでしょう。しかもいままで野村会長は組合に対しても、この朝日炭鉱で新鉱開発をやる、こう言っていたから労働組合も、全労働者を完全雇用して新しい山に移るということでそれを支持していた。ところが突如として新会社でやると言ってきた。一体この会社の目的は何なのかと聞いているのです。かりに現在の山の石炭がなくなってしまえばいまの朝日炭鉱で掘ればいいじゃありませんか。なぜ新朝日炭鉱でやるのですか。それを政府が全然考えなかったというわけじゃありませんでしょう。考えなかったとすれば、これは重大なことなんです。どういう目的で北炭や野村会長が朝日炭鉱でやらないで新朝日炭鉱でやるのか、それをどのようにあなた方が判断しているのか、そこを伺っているのです。
○高木説明員 現在の旧朝日炭鉱のほうは先ほど申し上げますようにせいぜい二年だろうというようなことでもございますけれども、もう一つの目的としては、これは私のほうの考えでございますけれども、新朝日炭鉱と旧朝日炭鉱との関係でございます。旧朝日炭鉱は御存じのように負債、累積赤字を四億八千万現在持っておりますし、そういう負債をそのままかかえまして新炭鉱に移転した場合、新炭鉱の朝日のほうの継続というのが困難になるというお考えもあったのじゃなかろうかと思います。しかし、四億八千万の累積赤字につきましては、これは事業団からの貸し付けも一部入っておりますけれども、保証その他で追求していき、また現にそういうようなこともいままで各社で起こっていることでございますので、負債の回収については極力努力するということでいま進んでおるわけでございまして、新会社で進んだほうが新炭鉱の経営としては健全な経営ができるという目的があったのじゃなかろうかと思います。
○多田委員 新会社でやったほうが健全な経営ができる。そして朝日炭鉱は負債を持っている。朝日のある経営者は、これは名前を伏せておきますが、労働者の中でこう言っているそうですね。初めは朝日炭鉱でやるつもりでいたけれども、借金があるので、これを投げて身軽に経営をやっていきたい。あなたの言っていることと同じなんだ。その借金とは一体、中身はどういう借金なの。国民の税金から、石炭を掘ってほしいということで何億という金を貸し付けているのでしょう。それから、いま地方自治体が財政難その他でたいへんな苦しみを味わっている。ところが、北海道にしても、岩見沢市にしても、産炭地を守っていかなければならないというので、北海道は一億ですよ、いろんな形で保証つきで融資をしているのが。岩見沢市も数千万の金を出しておりましょう。それから今日朝日炭鉱は、水道料の未払い、租税の未払い、電気料金の未払い。確かに借金を持っている。だから借金をていよく切り捨ててそして新鉱に移っていく。しかもこの現在の朝日炭鉱と新朝日炭鉱はだれがやっているのですか。野村一族でしょう。野村会長は昨年の所得番付でも全国の十六位です。しかも国民から何億という融資を受けながら、これをていよく投げ捨てて――もちろんその一部は払わざるを得ないでしょうけれども、そして新鉱開発に移っていく。それには自分の資金七億を出します。こういうやり方なんです。
 そこで私、高木部長に伺いたいのだけれども、新朝日炭鉱にかわったとき、あなたはこういう問題について判断して、野村会長なり朝日炭鉱の経営者に対して何らかの忠告、あるいは朝日炭鉱でやりなさいとか、そういうことを言いませんでしたか。
○高木説明員 先ほど申し上げましたように累積赤字が四億八千万あるわけでございますけれども、このうちの事業団関係が二億二千八百万ございまして、鉄原、親会社のほうから貸しておりますのが二億八千七百万ございます。そのほか道あるいは拓銀、開銀等々から借りまして、現在の借り入れ残高としての金額が八億三千万くらいになっている。この間の事業団の貸し付けにつきましては、先ほどからも何回もお話ししますように、何とかこの山が再建できぬかというようなことでいろいろな努力をし、経営次善資金も貸し、あるいは中小炭鉱の経営安定化資金のほうの手当てとか、そういうことをやってこういうような金額が残っているわけでございます。しかし、この金につきましてはいろいろ野村さんの保証あるいは会社の保証、裏づけ、子会社の明治海陸運という会社が保証いたしておりますので、そういうところの保証者から今後とるということで事業団はいま手続をやっている最中でございまして、この国の貴重な金を初めから捨ててしまう、あるいは未回収にしようという気持ちは毛頭ございません。ただし、新朝日にこれをそのまま持っていった場合、新朝日のほうが借金を背負いながらいきますと、その返済あるいは金利というようなことで経営が困難になるというのは事実でございますので、会社のほうから、切り離して、借金は借金として一応残していただき、これを年次を区切りながらお返しするということで了承していただきたいということでございましたので、それはそれなりに、新鉱を生かすということでは一つの方法ではなかろうかということで、会社から話がありましたときに、それに対して私のほうでだめだということは言っておりません。
○多田委員 いま大事なことは、石炭見直しと言っておるけれども、資源の一かけらも大事にすることなんです。それからいま一つは、石炭産業見直しの最大のネックというのは労働力の問題なんです。この問題を、やはり閉山問題を処理するときでも一番根底に置くべきものだと私は思っている。
 そこで、私は高木部長に伺いたいが、もし新朝日炭鉱にかわる場合に、現在いる三百名前後の労働者が完全雇用でいくとあなたは思っていますか。それを伺いたい。
○高木説明員 新朝日炭鉱のほうに完全雇用というのは、人数的にいきましてもなかなか問題があるのではなかろうかと思います。ただし、いろいろな方々の御忠告もございましたので、実は先週の土曜日に会社のほうを呼びまして、現在の旧朝日のほうの労働者全員を新朝日炭鉱のほうで採用になって、新朝日炭鉱のほうのいわゆる新鉱開発部門、あるいは鉄原のほうの輸送部門、あるいは旧朝日炭鉱のほうの残炭作業と申しますか、撤収作業というようなこと、あるいは一部おやめになる方も出てくるのじゃなかろうかと思いますけれども、そういうこと等をこれは一案としていろいろお考えになり、円満な労使間の話し合いができぬものかということは土曜日に野村会長のほうには申し上げております。野村会長は、一応その線に沿って組合のほうとも話をしてみたいということはおっしゃっております。
 とにかく全員を新朝日炭鉱のほうで採用していただきまして、円満にあとの処置というものができるならば、それも一つの解決の方法ではなかろうかということで会長のほうにはお話ししたような次第でございます。
○多田委員 これは会社も言っているけれども、新会社にしたねらいというのは、あなたもさっき言ったけれども、借金を捨てて身軽になっていきたい、それからいま一つは労働者を整理したいということなんです。それ以外考えられない。そうでなければ、朝日炭鉱でやればいいんだ。なぜなら、貴重な税金を石炭に投資してもらって、経営者としてはそのくらいの責任は負うべきなんだ。だから、結局これも企業サイドですよ。いままでの閉山みんなそうじゃありませんか。三井にしても三菱にしても住友にしても北炭にしても、炭鉱はまる裸に残して、炭鉱に蓄積された富は全部不動産会社その他に移してしまって、炭鉱は赤字だ、赤字だと言って政府から金を出してもらう。そしてそのつど会社を転々とかえていって、貴重な労働者を首にしていっている。それが今日の姿でしょう。それと同じことをいまこの中小の山の朝日もやろうとしているのだ。だから、いまの段階になって、よかれと思ったことが結果はそうならなかったと高木部長言っているけれども、それは労使の問題の賃金問題じゃないのですよ。その根底にあるものは依然として、資源を大事にする、労働者を大事にするというのじゃなくして、企業サイドのことであなた方は問題を考えているんだ。その限りにおいては、結果において野村会長はそういう赤字山はやっていけません、つぶします、それを認めざるを得ない、こうでしょう。そしてせいぜい大臣や長官が平井社長や野村会長にまるでお願いするような説得をする以外に道がないのです。問題は政策的な問題ですよ。いままでの閉山、みんなそうじゃありませんか。だから、政府は石炭政策を見直すとか云々言ってみても、これがポイントになるのだと私が言うのはそこなんですよ。結局、さっき大臣は野村会長はがんこだと言ったが、個人的な、がんこかがんこでないかというのは決定的な問題じゃないのです。依然としてこれからなお一年以上も掘れる石炭を持っている。十七、八万トンでしょう。一年以上掘れるのです。その資源を投げて、そしてもうかる次の山に移っていく、移るには身軽になったほうがよろしい、労働者も整理していきたい、ここでしょう。そんなことをあなたは、今度の新会社で契約を結んだときに考えもつかなかったのですか。考えつかなかったとすれば、あなた方は会社に対して金を出すのをあたりまえだと思っておる。だから、さっきも発言があったけれども、私はあっせんしたことを否定しておるのじゃなく、新鉱開発は大いにけっこうですが、朝日炭鉱でやらないで新朝日にやらした、ここに言うならば問題のペテンの根源がある、それを見抜けなかったのかどうなのかということを私は聞きたい。大臣に伺いたいのです。
○中曽根国務大臣 閉山通告が行なわれるというようなことは、われわれとしては考えておりませんでした。ともかく閉山を回避するというためにこの春以来あらゆる手を打って努力してきたところでございまして、そういうようなペテンというようなことがあるとはわれわれはとうてい考えませんし、会社側がそういう悪意をもってやったかどうかは疑問であると思います。
○多田委員 悪意であるかどうかは別として、そういう底意をもってやったということは会社の幹部自身が言っておることです。いままでの何十という閉山の経験がそれを物語っておる。だから、北海道では道知事をはじめとして何とかして閉山を食いとめていきたい、労働者を確保していきたい、これで大臣にも陳情に来ているでしょう。そして北海道は乏しい中でさらに保証して金を融資してもよろしい、賃金の千四百円アップができなければその差額について何とか援助してもいい、一億の金を出しながら、乏しい財政の中で北海道すらもそれを言っておるのです。
 そこで、これは私は大臣に伺いたいのですが、先ほど努力せられると言いました。どういう方向であと八月十日の閉山まで努力されるのでしょうか。その中身をもう一度具体的に言っていただきたいと思う。
○中曽根国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、事態は非常に困難な状態になってきて、きわめて悲観的な事態であるというのが率直なところであります。しかし、労使間においてまだ交渉も継続しておるところでもあり、通産省としてはできるだけいまの事態を改善するように経営者側にもいろいろ積極的に要望もし勧告もする、そういう考えに立っております。
○多田委員 事の発端は、確かに現象としては賃金問題です。しかし、すべての炭鉱が一万四千円上げたとき、この山だけはほかの山との賃金差が二万円から三万円もあった。労使協調でストライキ一回やったことがない山なんです。これがへその緒を切って初めてストライキをやった。あたりまえです。ほんとうに石炭を見直しするならば、労働者の労働条件、賃金を改善しない限り炭鉱には労働者が集まらないからです。しかもいまの物価高です。それを八百六十七円一発回答で、もうそれ以上上げない、こう言っておるんでしょう。しかも労使の慣行を無視して、争議の最中に今度は別な閉山を持ち出してきた。そういう非道なやり方だから、エネルギー庁長官があの勧告をしたわけでしょう。だから、ここで労使の問題と言っているけれども、問題の根本はその使のほうにあるのです。朝日炭鉱で新鉱開発をやりますといいながら、今度は新朝日でやる。賃上げしろといったら、一発回答ですよといって、その間の話し合いを拒否して閉山だ。それで、この問題をまずほんとうに労使の慣行に乗せるためには、もう一度でも二度でも勧告を出す必要があると私は思う。それには、閉山という最悪のああいう問題をまず下げさせて、そしてまずほんとうに賃金問題を解決していく、こういうことに政府は一体ほんとうに力を尽くすのかどうなのか、大臣に伺いたいと思う。そうでなければ、みそもくそも一緒になりますよ。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。
○多田委員 それからもう一つ、私どもは、新鉱開発で石炭を掘っていくということ、これは反対はしておりません。しかし、その場合大事なことは、金の卵とまで言っており、あの鉄鋼の稲山会長はまさに日本の戦士であるとほめ上げた炭鉱労働者、これの完全雇用を、かりに新鉱に行く場合でも、やるようなそういうサゼスチョンなり指導をされるのかどうなのか。それ抜きにしていけば、新朝日炭鉱をつくる経営者の全く意図どおりに労働者が首切られ、そして会社の思うとおりに閉山が進んでいくじゃありませんか。しかもまだ十七、八万トンの石炭があるのです。これは政府も認めている。資源も投げる、貴重な労働者も首にする、そして、おのがもうけのためには、また政府から何がしかの援助をその後もらってやっていくだろう。この繰り返しになるでしょう。完全雇用をやるかどうか、それを伺いたい。
○高木説明員 先ほども申し上げましたように、土曜日の日に、ある方のお話もございましたので、いま新朝日のほうで完全雇用をやって、それをベースにいたしまして新鉱開発あるいは現在の旧朝日のほうのいわゆる撤収作業、あるいは野村会長自身のところの鉄原の輸送部門でございますけれども、そういうところへの勤務というようなことを一応お話し合いになったらどうなんでしょうかということは話しておりまして、一応会社のほうからは、月曜日でございますけれども、そういうことを前提にして組合のほうと話し合ってみたいという回答はいただいております。ということは、土曜日申し上げました新朝日炭鉱における完全雇用ということが前提になっておるのではなかろうかというふうに理解しております。
○多田委員 労使の慣行に基づいた相互の話し合い、それが先ほど大臣は一番キーポイントだと言われた。そのキーポイントの一番の責任は、労のほうにあるのではなくして使のほうにあるのですからね。しかも完全雇用についても、いまあなたも言ったようにたいへんあいまいなことなんだ。そして努力しました、努力しました。朝日炭鉱閉山です。労働者は何名か首切りです。この道でしょうがね、はっきり見えることは。もしそれにあえて経営者が言うことを聞かなかった場合、どういう態度をとられますか。結局経営者の言いなりにさせますか。大臣どうですか、それは。資本主義社会、自由主義社会だからやむを得ないとおっしゃるのですか。
○中曽根国務大臣 ともかく非常に残念な、遺憾な事態でありまして、通産省としても閉山が出てくるということは極力回避するという国策を持っておるわけでございますから、この残された時間の範囲内におきましても、いま石炭部長等から申されましたように全力を尽くす考えでございます。
○多田委員 それから、もう一つちょっと伺いたい。
 朝日は、確かに、その背景には新日鉄があったとしても、中小の山です。そして租鉱山には開発資金も出ない。つまりいまの石炭合理化法というのはスクラップ・アンド・ビルドですからね。結局大手だけなんですよ。膨大な鉱区を持ち、金融的な背景も持ち。そして鉱区を持っていない中小の山は、つぶれる以外にないのです。ここも一つの問題なんです。一方では北炭新鉱を見てごらんなさい。第一次に百六十億ですか、それで足りなくて今度は二百二十四億。この間政府側に聞いたら、今度は第三次の改定をやって、三百億ぐらい金がかかるだろう。ここには何十億という、百億近い金を出しておりながら租鉱山には金が出ない。私は朝日の問題は、幾らその経営者個人ががんこな者であったとしても、こういう意味では大手の山とは同列には考えておりません。そういう意味で、私は、今日の朝日炭鉱を生んだ大きな責任は、政府のエネルギー政策、石炭政策。その根本は何かというと、日本の資源をほんとうに一かけらも大事にしていく、こういう姿勢にいまだに立ち切れないでいるということ、それから経営が依然として企業サイドであるということです。しかも大企業です。それからいま一つは、この石炭合理化法です。そういう意味では、石炭合理化法をほんとうに資源を見直すような方向で、石炭をビルドしていくような方向で再検討する考えを持っているのかどうなのか、それをひとつ伺いたいと思う。
○高木説明員 御指摘のとおり、現在の合理化法は、どっちかといいますと、社会政策上地域問題あるいは労働政策上というようなことが主体になりましたスクラップ・アンド・ビルドということが根にございますので、現在のいわゆる石炭の見直し、いわゆる長期に石炭を安定さすということからいきますと、法律の改正というのも必要になろうと思います。実は七月の二十二日に中間報告も出ましたけれども、今後新たに大臣のほうから石炭鉱業審議会のほうに諮問していただきまして、できるだけ早く結論を答申の形でいただき、それに基づきまして法律改正等を実施したいというふうに考えております。
○多田委員 時間が来ました。
 最後にもう一度、私はくどいですけれども申し上げておきたいと思うのは、一つは、最後の数日、残された期間、大臣もそれから通産省全体もそうですが、労働者の言っていることは正当ですよ、ですから閉山を撤回させて、ほんとうに正常な労使の慣行に乗せていくという方向、いま一つは、いまの山はまだ十数万トンの残炭を持っている。ほんとうにこれを掘り切っていくということ、それを掘らせるという指導です、それがかりに新朝日でやろうが、いまの朝日でやろうが、そういう方向で最後の努力をしていただきたいこと、そのことを抜きにして幾ら石炭を見直すといってみても、もう政府のエネルギー政策、石炭政策はだれも信用しなくなってくる。そのことを最後に申し添えて終わりたいと思います。
○田代委員長 松尾信人君。
○松尾委員 これは石炭部長にお尋ねするわけでありますけれども、四十九年度の出炭目標二千二百万トン、実績はどうですか。
○高木説明員 四十九年度の生産目標は、二千二百万トンということを目標として掲げております。実はそのベースになりますのは、各企業からいろいろ生産計画そのものをとりまして、局としましてもいろいろ検討したのでございますけれども、実際は二千百四、五十万のところが当時の会社計画でもあり、またうちのほうでもそういうふうに見ていたわけでございますが、需給関係からいきましても石炭の不足ということが考えられますので、二千二百万トンの目標を掲げさせ、経営者のほうにも、なお組合のほうにも御努力をお願いするということで二千二百万トンの実施計画を策定したような次第でございます。
○松尾委員 四十八年度も二千二百万トンだったと思うんですよ。それから四十八年度の実績、これはいかがですか。
○高木説明員 四十八年度の目標は、二千三百五十万トンという数字を出していたのでございますけれども、不幸にして、閉山その他によりまして、実績は二千百万トンでございます。四十九年度は、それに上乗せするような形でぜひ努力していただきたいということで、二千二百万トンを計画として策定したような次第でございます。
○松尾委員 四十八年度の実績は二千百四万トンですね、正確に言えば。結局、目標を立てながら実績は減ってきておる。過去数年の実績も、ほとんど毎年五百万トンずつ生産目標と実績のズレがあるわけです。ですから、閉山問題というものが結局、大きくそこに取り上げられていくわけであります。ですから、きょう朝日炭鉱の問題がこのように真剣に論議されておる。
 それから、新鉱の開発の問題、こういうことにつきまして、やはりわれわれが五月二十三日にこの委員会におきまして決議を出した。その中で、やはり新鉱の開発の問題、閉山の問題これにつきましても、われわれは慎重に各党がこぞって論議を尽くして、そしてあのような決議を出したわけでありますけれども、それを政府はどのように取り上げたか。特に、新しい石炭政策の中で、いま問題になっておる閉山の問題、新鉱の開発の問題、こういうことについて、あなたたち政府はわれわれに新しい政策を示さなくちゃいけない。次の国会において、そのような面において新しい政策を示されるかどうか。そうしますと、特に私は限定いたしますけれども、閉山の問題新鉱開発の問題についてきちっとした政策をお出しになるかどうか、これは大臣いかがですか。
○高木説明員 七月二十二日の日に、いわゆる現下のエネルギー情勢下における石炭の長期展望という形で建議をいただいたわけでございまして、この建議の中に、いま先生御指摘のいわゆる御決議の中にございます新鉱問題、これについては調査を実施しろというようなこともうたわれておりますし、なおその間、五十五年、六十年度の一応の生産目標二千万トン以上というようなことも記載してあるわけでございます。
 なお、いわゆる法律とマッチするような根本的な見直しということにつきましては、先ほど申し上げましたように、大臣から諮問いたしまして、できるだけ早い機会に答申をいただき、その線に沿って、法律改正等々を行ないつつ、新政策に乗せたいというふうに考えております。
 しかし、現時点におきます山の状態といいますのは、決して安易な状態ではございませんし、現状の山をつぶさないというためにはどういうことをやればいいかというようなことで、そのためには、先ほどから話がございますような、第一は労働問題であり、次いでは、現在各企業間いわゆる山間に大きな格差というものが出ておりますので、これを融資なりあるいは助成なり等によりましてできるだけ詰めていくということをしまして、現在の山をできるだけ長期に保つようにいわゆる予算的に処置することが第一ではないかということで、現在は予算編成に力を入れているような次第でございます。
○松尾委員 大臣も時間がなくて、一時十分には所用があるからということでありますので、もう要点だけを大臣に聞きますけれども、この過去の実績、それからいろいろな計画に対しましてもなかなか思ったとおりいかない。ですから、新しい石炭政策を新しい時代で見直していくんだ、これは大臣もしばしばお答えであります。特に私は閉山の問題と新鉱開発の問題にきょうはしぼりますけれども、そういうものを含めて、ひとつはっきりとした政府の基本姿勢というものはお示しにならないといかぬのじゃないか、このように思うわけであります。
 それで、先ほどからもいろいろ論議が尽くされておりますけれども、現在のようなかっこうでこの炭鉱経営を続けてまいりますると、炭鉱というものはだんだん行き詰まる。経済炭量の枯渇ということで、全部いままでの閉山はそのような理由でありますけれども、今回も帰するところはやはりそのようなことでありまして、炭量を残しながらも閉山するんだ、このようなことになってまいります。ですから、現在の炭鉱の経営者というものは、大炭鉱とか中とかという関係じゃなくて、もう経営者自体に閉山に対するほんとうの歯どめの力がない、新鉱開発の力もない。ですから、閉山も政府の助成にたよる、財政的な支出にたよる。それから開発にいたしましても、政府の大きな資金的な援助にたよる、このようなのが実態じゃないかと思います。損することをやるはずがありません。赤字になる炭鉱を続けていこうということは、私はいまの政策の中では、続けられるはずがない。そうしまして、新しい石炭政策を打ち立てていこうとするのでありますから、ここでは大きく発想を転換されまして、そうして基本的にこのようにやっていく以外に、閉山というものをなくすわけにいかぬ。開発というものも思ったとおり、政府もまた国民も期待する方向に伸びることはできない。そういうところからきちっとした政策をお立てになっていく。そうして閉山問題とこの新しい山の開発の問題だけは真剣に答えを出して、そして資源エネルギーの問題を解決するその糸口にする、その土台を開く、このような考え方が当然必要であり、速急にこの問題を解明されて、新しい政策を示すべきであると私は思うのでありますけれども、大臣、いかがですか。
○中曽根国務大臣 先生のおっしゃった点は、われわれの胸にびんびん響くところでございます。実は、八月中に来年度予算の概算要求を提出することになりまして、いま来年度における新政策を全省あげて検討している中におきまして、きょうも実はそれをやってきておるところでございますが、石炭政策というものはその中でもわれわれが非常に重要視しておる部面でありまして、先般来御決議をいただきました諸項目等について一つ一つ点検をしながら、この項目をいかにして具体化するか。たとえばすでに閉山した鉱区等についての再開発の問題について、国の力でやれという御決議の内容もございました。一体どこをやれるか、そういうような点も具体的に調べあげて、そしてそれに対する予算措置等も考えていかなければならぬところでございます。たとえばそういうような点につきましても、いまいろいろせっかく検討しておるところでございまして、御指摘になりました点につきましては、最大限来年度予算等において生かすように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○松尾委員 石油につきましても、石油開発公団があります。また外国資本の系統、民族資本の系統、こういうものをどのようにしていくかということも、いま非常に真剣に検討されておるわけであります。
 ところが、唯一の国内のエネルギー資源である石炭につきましては、そのような検討がなされていない。何もわれわれは主義主張でこれを公社とか公団等にしなさいというんじゃありません。現状からいって、やはり政府が一千億円も毎年この財政援助をしておる、国の予算を使っておる。だから、そういうものが個人企業の利益になり、そして新しいところに進んでいって、炭鉱労働者というものがだんだんなくなっていくというような使われ方は納得できません。同じ金を一千億円使うならば、やはり新しい石炭政策のもとに、そしてそれを国民の喜ぶ方向に使っていかなくちゃ相ならぬ、このように信ずるものであります。ですからもう私は、石炭というものは個々の企業というものの限界を越えておる。これは大きくやはり石油開発公団みたいなそのような経営形態に移さなければ、一千億円の金もむだなほうに使っていきまして、そしてわれわれの資源の増産、石炭の増産、閉山というような問題はまた解決されずにずるずる、ずるずると減少していくのじゃないか、これを心から憂えるものであります。
 くどいようでありますけれども、もう一回ひとつしっかりした政策をお立てになってわれわれにお示しなさるかどうか、一言でいいですからお答え願いたい。
○中曽根国務大臣 さきに総合エネルギー調査会に諮問をいたしまして、その中間答申が出てまいりました。いまそれを点検しておるところでございます。その内容は、大体先生がいままで御指摘になった内容に近いものであります。またそれに基づきまして、石炭鉱業審議会に諮問をいたしまして、来年度予算等において実行すべき将来の政策について、いま策定しつつあるところでございます。そういう点につきまして、いままで松尾先生がおっしゃいましたいろいろな御指摘の点は、われわれもきわめて共鳴する点が多うございます。そういう点を一つ一つ取り上げてみまして、至急検討して施策に移してまいりたいと思います。
○松尾委員 じゃ、それを大臣にさらにひとつしっかり、われわれに早くお示し願う、こういうことで、私のきょうの質疑を終わります。
○田代委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時十二分散会