第074回国会 本会議 第4号
昭和四十九年十二月十七日(火曜日)
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 議事日程 第四号
  昭和四十九年十二月十七日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
   午後二時三分開議
○副議長(秋田大助君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
○副議長(秋田大助君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。金子満広君。
  〔金子満広君登壇〕
○金子満広君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、三木内閣の政治姿勢と内外政策に対して、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 金権、腐敗政治に対する国民のきびしい追及の中で退陣した田中総理にかわって、新しく登場した三木総理が、はたして、就任前公言してきた事柄を、真に、ことばどおり実行するのかどうか、いま国民は、その一つ一つの言動をきびしく注目しているのであります。私は国民の注視の中で質問をいたしますので、明確に答弁をしていただきたいと思います。
 まず、質問の第一は、田中前総理にまつわる金脈問題の解明についてであります。
 この問題は、まさしく国政上の重大問題であり、政府と閣僚が国民に負っている責任の根幹にかかわる問題であります。したがって、国会の場におけるこの解明こそ、三木総理に課せられた第一の義務であり、みずからの責任において率先して行なわなければならないものであると考えます。(拍手)
 ところが、金脈問題をめぐる三木総理の発言は、回を重ねるごとに後退して、ついに所信表明においては、金脈問題に触れることを避けるまでに至ったのであります。
 三木総理、あなたは次のことを記憶しておられますか。「疑惑は党の名誉にかけて真相を明らかにすべきだ」「違法性がなければ済むという問題ではない。問題は、一国の指導者が疑惑を指摘されること自体の道義性、政治姿勢にある」「臨時国会ではっきり解明すべきだ。」
 総理、これはすべてあなた自身がつい最近発言されたことばであります。総理の態度のあまりの変化に国民は大きな不信を抱いていると思います。いま総理に要求されていることは、ことばより実行ではなく、ことばどおりの実行そのものであります。
 そこで、三木総理の決意を含め、具体的に質問いたします。
 まず、総理は、田中金脈問題の性質を国政上どのように考えているのか、またこの問題を、内閣として、国会の場でどのように解明されるのか、総理としての所信を伺いたいと思います。
 次は、国政調査権といわゆる守秘義務の関係についてであります。
 この問題は、国権の最高機関である国会の権限にかかわる問題であります。これを主管大臣の判断にまかせるなどということは、きわめて無責任な態度であります。清潔で偽りのない政治を強調しておられる三木総理は、この問題の解明に必要とされる資料は国会に提出されると思うが、念のため明確にただしておきたいと思います。
 次に、金権政治と関連して、政治資金の規制問題について伺います。
 金権、腐敗政治の根源が、財界と一部政界の醜い黒い結びつきにあることは、もはや天下周知の事実であります。わが党は、企業、団体からの政治献金を禁止することを早くから提起をしてまいりました。三木総理も、政治献金は個人に限るべきだとの見解を表明してきました。総理には、いまこれを将来の理想だなどといってたな上げするのではなく、その具体的計画を示す責任があります。献金を個人に限るという改正を今日実行する意思があるかどうか、そうして、その改正案を通常国会に提出することを確約するかどうか、総理の明確な答弁を伺いたいと思います。(拍手)
 さらに私は、政府、閣僚が国民に負っている責任の重大さにかんがみて、いやしくも地位利用など、恥ずべき行為が今後絶対に起こらないよう、閣僚には営利企業の役員を兼職させないこと、職務上知り得た情報を私的にまたは第三者に利用させないこと、さらに、閣僚には、国との契約上、財政上または金融上交渉関係にあるものからの金品の授受を禁止すること、自己資産の公開、この点について明確な規律を法的に定めるべきだと考えますが、総理の所見を伺いたいと思います。(拍手)
 第二に、国民生活と日本経済の問題についてであります。
 今日、物価高は、敗戦直後の一時期を除いて、最高の上昇率を続けています。しかも、今年は一万二千件になろうとする企業倒産、八十万近い完全失業者の発生など、インフレと重なり合って襲来した不況の中で、国民生活と日本経済はかつてない危機に直面をしております。
 しかも、この危機は、すでに石油危機以前から高度成長政策とともに進行し、田中前内閣の日本列島改造計画がさらにこの危機を激化させ、大企業の土地買い占め、株式投機、商品投機を横行させたことは、万人ひとしく認めているところであります。(拍手)
 この危機が西欧諸国と比べて日本で特に激化していることは、まさにこのような歴代自民党内閣の大企業優先の経済政策の結果であります。
 いまこの危機から脱出する道は、これまでどおり、大企業本位の財政経済政策によって、国民に総がまんを強要して危機の打開をはかるか、それとも、大企業の横暴を規制し、国民本位の財政経済政策の断行によって危機を克服するか、この二つの道のどちらかを選ばなければなりません。
 この不況下、九月期決算でも大企業三百八十二社は、狂乱物価、悪徳商法でばく大な利益を記録した三月期決算を何と一五%上回る八千六百億円もの厚い利益をあげているのであります。これこそ自民党政治の新価格体系や総需要抑制政策が、国民に犠牲を転嫁し、大企業の利益をはかるものであったことを、事実をもって明らかにしているのであります。
 総理は、日本経済の体質改善をはかると述べていますけれども、真に国民本位の立場でこれを行なう決意があるなら、何よりもまず大企業の急速な資本蓄積を促進してきた税制、財政、金融の仕組みをこそ、大胆に転換をさせなければなりません。
 このような方向は、決して自由経済か統制経済か、あるいは資本主義か社会主義かの論争ではありません。わが党がいま政府に要求していることは、経済の民主主義の問題であり、大企業の横暴、大企業のぼろもうけの「ぼろ」の部分を規制し、また、政府が大企業に不当に与えている特権的なものを規制するということであります。この点を明確にして総理に伺います。
 まず、総理は、今日の経済危機を打開するため、大企業ほど税金の安くなる現在の逆累進の税制を改める意思があるかどうか。また、大企業への融資は保障し、中小企業向けは極度に制限している金融のあり方にメスを入れる考え方があるかどうか。また、産業基盤づくりに二、生活基盤づくりに一の割合となっている現在の公共投資のやり方を逆転させて、生活基盤づくりに二、産業基盤づくりに一の割合にする決意があるかどうか。また、独禁法の改正については、カルテルに対する取り締まり強化と不当な価格の引き下げ命令など当然でありますけれども、三菱、三井など独占企業グループ、多国籍企業の横暴の規制、原価公開などを内容とするものでなければなりません。
 以上の基本点について、総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 次に、当面の緊急問題について質問します。
 今日、インフレ、不況のあらしの中で、多くの国民は生活困難にあえぎ、中小企業、自家営業者はきびしい経営危機にさらされています。特に、お年寄り、身体障害者、母子家庭、交通遺児、生活保護世帯など、社会保障の問題は一刻を争う切実な問題になっております。こうした中で、郵便、電報、電話料金、酒やたばこの値上げなどは、直ちに中止すべきであります。
 わが党は、緊急措置として、三木内閣成立と同時に、補正予算について次の具体的な要求を、財源対策を含めて提出をいたしました。
 第一に、老齢福祉年金二万円への引き上げ、生活保護費、社会福祉施設費の五〇%アップをはじめ、インフレから社会保障、福祉を守る緊急措置。第二に、不況に便乗した不当な解雇の制限など、失業防止、失業対策。第三に、経営困難に苦しむ中小零細企業に対する金融、税制面での特別助成、自家営業、たとえばとうふ、クリーニング、軽印刷など、中小零細企業の固有の分野への大企業の進出規制など、危機打開の対策。第四に、畜産、牛肉など農業経営を守る緊急対策。第五に、勤労者に三万円の所得税の追加減税。第六に、地方自治体への緊急地方財政交付金一兆円の交付などであります。
 これらの緊急政策について、社会的公正を述べている三木総理及び関係閣僚の答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三に、外交政策について質問をいたします。
 総理は所信表明の中で、「わが国外交の基本路線は、不変、不動である」と述べました。また、先般の田中・フォード会談によって発表された日米共同声明を忠実に履行することを表明をいたしました。これは日米安保条約の維持強化をさらに推し進めるものであります。この日米安保条約が日本国民に何を強要しているかは、その歴史の経過と現実がそれを明白にしているのであります。戦後三十年になろうとしている今日、わが国にはなお治外法権のもとに置かれた米軍基地が全国に百四十七カ所もあります。日本の主権を侵し、周辺住民に耐えがたい痛苦を与えているこの基地が、ベトナムや朝鮮をはじめアジア侵略の基地として使用されてきたことは周知の事実であります。外交政策の不変、不動を強調する三木総理は、安保条約のもとで、わが国土が国民の意思に反して、アメリカの戦争基地として利用されてきたこの歴史的事実に対して何の反省もないのか、また、今後アメリカがアジアで戦争行動をとるとき、再びこの危険な事態が繰り返されても当然と考えているのか、基本的な見解を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、核兵器の問題について質問をいたします。
 わが国にアメリカの核兵器が持ち込まれているという疑惑は、いよいよ決定的なものになっています。にもかかわらず、政府は常に、事前協議の申し入れがないから核は持ち込まれていないとか、アメリカ政府は日本国民の核に対する特殊な感情を理解しているとか、さらには日米間の信頼などを繰り返し述べるだけであります。このような答弁が、核持ち込み否定の科学的な論証にならないことは、少しでもものの道理を考える人であるなら、だれにでもわかることであります。まさに、日米合作の核隠しといわなければなりません。しかも事態は、日本政府の否定にもかかわらず、アメリカ側からも次々に核持ち込みの証言や報道が相次いでなされているのであります。
 また、さきに私が衆議院決算委員会で明らかにしたことでありますが、沖繩には、復帰後も核兵器の組み立て、点検、修理だけを日常業務とする核兵器専門要員がいまもなお配属されているのであります。
 さらに、わが党が国会で追及したことでありますが、政府は、安保条約締結以来今日まで、核兵器の日本通過が事前協議の対象になるかどうかについては、日米間で一度も話し合ったことがないというのであります。事態はきわめて重大であります。政府には国民の重大な疑惑を解かなければならない責任があります。もし核が持ち込まれていないということを言うのであれば、日米間の信頼などという見え透いたごまかしではなく、科学的な裏づけをもって明確に答えていただきたいと思います。(拍手)
 三木総理、あなたはみずから非核三原則の推進者だと述べてまいりました。しかし、もし三木内閣がこれまでの政府と同じ態度をとり続けるならば、核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずという非核三原則は、あなたの手によって、つくらず、持たず、確かめずということに変質させられ、空文化してしまうのであります。もし三木総理が真に非核三原則の推進者であるならば、まずアメリカの政府に対して、日本政府は、核兵器の通過、一時持ち込みを含め、いかなる形においても、絶対に核兵器の持ち込みを拒否することを通告すべきであります。
 同時に、疑惑の基地となっている沖繩、横須賀をはじめとする米軍基地を日本政府として立ち入り調査すべきと考えるが、これをやる意思があるかどうか、国民の前ではっきり答弁をしていただきたいと思います。(拍手)
 さらに、この際、被爆者援護法の制定について伺いますが、昨日総理は、被爆者の実情をこれから調査し、対処するような答弁をされました。一体広島と長崎に原爆が投下されてから何年になろうとしているのですか。あなたには三十万の被爆者のあの血の出るような声が聞こえないのですか。被爆者はもう待つことができないのです。いつこの援護法をつくるのか、この席で被爆者に答えていただきたいと思います。(拍手)
 次に、わが国の石油問題と関連して、政府の中東外交について質問をしたいと思います。
 今日、中東情勢は、石油問題と関連して、第五次中東戦争の危険をはらんでいることは否定できない情勢になっています。アメリカの産油国に対する圧力は、軍事力を背景にペルシャ湾や産油国一帯に及んでいることは周知のことであります。しかも、キッシンジャー構想にも見られるように、いまアメリカは、石油消費国が産油国に共同で圧力をかけることを、日本を含む先進資本主義国に強引に押しつけようとしていることもまた明らかであります。このような方向が産油国との友好、石油問題の解決とは全く相いれないものであることは言うまでもありません。
 総理は、昨年十二月、政府特使として中東諸国を歴訪し、アラブ諸国人民の戦いを正義の立場だとして、それに対する支持を約束されました。私は、三木内閣が、アメリカの中東政策、石油政策に追従し、メジャーに身をゆだねるのではなくて、平等互恵の原則に基づいて適正な価格で産油国との直接の取引関係を持つように中東政策の転換を求めますが、総理の見解を伺いたいと思います。(拍手)
 第四に、教育問題について若干質問をいたします。
 教育の危機は深刻であります。授業についていけない子供がますますふえています。高校増設や私学助成に対するこれまでの自民党政府の失策が、入試地獄を激化させ、今日の学校教育をゆがめていることは、多くの人々が指摘しているとおりであります。
 そこで伺いますが、新しい知育を妨げ、受験本位の勉強に子供をかり立てている大きな原因の一つに、あの悪名高い五段階相対評価があります。文部大臣、あなたの年来の主張からしても、このような五段階相対評価方法を廃止して、正しい学力の評価方法の採用を行なうように教育委員会を指導する用意があるかどうか。
 もう一つ、教育が時の政府に従属をせず、自主性を守らなければならないことは、文部大臣自身が認めてきたことであり、教育基本法の立場から見ても当然であります。そこで、文部大臣もその必要性をかつて強調してきた教育委員会の公選制について具体化する用意があるかどうか、伺っておきたいと思います。(拍手)
 最後に私は、民主主義の重要な課題の一つとして、国民生活から無法な暴力を一掃する政府の責任について質問をいたします。
 すでに政府当局も一定の範囲内で承知していることと思いますが、去る十一月二十二日、兵庫県養父郡八鹿町で、法治国日本では絶対に許されてはならない集団暴行事件が発生をいたしました。
 県立八鹿高校教師約七十名が、部落解放同盟朝田派数百名によって白昼襲撃をされ、十数時間にわたる残虐な集団リンチを受け、瀕死の重傷を含め二十九名が入院し、数十名が負傷したのであります。しかも、これは八鹿町だけの孤立した事件ではなくて、この集団は但馬地方一帯で、糾弾という名のもとにさまざまな脅迫と暴力の行動を行なっており、少なからぬ地域で住民は自由にものが言えない状態さえ生まれているのであります。これは明らかに国政上の重大問題であります。
 八鹿高校集団リンチ事件についていえば、そのリンチの残忍さは、十一月二十五日、兵庫県議会警察常任委員会で県警山田警備部長自身が、この糾弾は、牛乳びんで頭をなぐる、髪をつかみ壁、床に頭を激しくぶっつけた、たばこの火を顔、首などに押しつける、ピンでからだを刺す、割りばしで指を詰め、ねじった、水をぶっかける等を行ない、失神した者もあったと述べていることでも、その一端がうかがえるのであります。
 わが党国会議員団の調査によれば、このリンチで肋骨、腰椎、肩肝骨など骨折した者だけでも十三人に及び、女教師まで裸にして水をかけるなど、破廉恥で野蛮な行動が続きました。
 ところが、この集団リンチを組織した解同朝田・丸尾派はもちろん、一部の政党は、これほど多数の犠牲を出したこの事件について、何ら暴力はなかったという宣伝をしています。警察当局はすでに十一名を逮捕していますが、今日までの調査で、どのような事態が起こっていたのか、その点をここで国家公安委員長である自治大臣から説明をしていただきたいと思います。
 さらに重大なことは、この暴力事件が教育行政や地方自治体の責任ある地位にある者の支持と激励のもとに行なわれてきたという事実であります。兵庫県教育委員会は、次長、参事を数日前から派遣し、この集団暴力に協力、加担し、校長とともに学校をそのリンチの場に提供しました。また、この暴力集団の使っている二十台の解放車というマイクロバスや、乱闘服、さらに食費に至るまで、その大部分が周辺自治体の財政によってまかなわれているなど、きわめて重大な問題が引き起こされているのであります。(拍手)さらに八鹿町当局は、当日朝から町職員を動員して彼らを激励させるなど、平然と行なってきたのであります。
 警察当局は、当日この暴行現場にいながら、十数時間にわたるリンチを放任したのであります。この状況は、現場で生徒やその父母などが口々に、先生が殺されてしまう、なぜ警察は助けないんだと泣きながら抗議したことでも明らかであります。現場を撮影したフィルムなど動かしがたい証拠が出てきた後、おそまきながら事件後十日にして警察当局は暴力集団の一部を逮捕しましたが、これで現場において暴行を放任してきた警察当局の行動を合理化することはできないのであります。
 そこで私は、政府が次の措置を緊急にとることが必要であると考えますが、総理、関係閣僚の責任ある答弁を求めるものであります。
 まず、政府及び国家公安委員会は、その責任において、このような暴力から市民生活を守るため、機を失せず暴力に対しては厳正な措置をとること、また政府は、地方自治体当局に対して、このような暴力集団に便宜をはかり、彼らの計画する集会への参加を住民に強要するがごとき行動、また自治体財政をそのために不当に支出することなどは、即時やめさせるよう行政指導を強めること、さらに政府は、教育行政の任にある者がこのような暴力集団のリンチに協力、加担し、学校を暴力の場として提供し、暴力による教育への介入を許す行為に対しては、直ちに厳正な措置をとること、以上の点について、総理並びに関係閣僚の答弁を求めます。
 この集団は、自分たちとその同調者だけを同和行政の対象とせよと、同和行政を自分たちの組織の独占的な管理にゆだねろと主張し、この差別行政を地方自治体に強要しようとして、兵庫県だけでなく、すでに大阪、京都、東京などでさまざまな行動を繰り広げています。糾弾の名による不当な脅迫、暴力の被害を受けた団体、学校、個人はすでにたいへんな数にのぼっています。暴力の否定は、民主主義の基礎であります。(拍手)暴力一掃は政党政派の相違を越えて断固としてやらなければならないことであり、いやしくもこれを党利党略に利用するがごときは絶対にあってはならないことであります。
 このような暴力集団の行為に対し、多くのまじめな未解放部落住民はもちろん、広範な人々の中から抗議の声があがっているのは当然であります。
 わが党は、創立以来五十二年、一貫して、未解放部落住民の解放と差別の一掃を日本の民主主義の重要な課題の一つとして、あの戦前の困難な中でも戦い続けてきた政党であります。(拍手)それだけに、われわれは、部落解放の名を悪用したこのような不法な暴力を一掃し、民主政治確立のために奮闘することをここに表明して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 金子君の御質問にお答えをいたします。
 金脈問題についていろいろと御質問がございました。この問題は、田中氏個人に関連する問題でありますので、田中氏自身が詳細に調査をして国民の疑惑を解きたいと申しておるので、近い日にこれが発表されるであろうことを期待しておるわけでございます。また、国会が独自の権能として調査をされる場合に、政府としてできる限りの協力をすることは当然でございます。
 ただ、いま守秘義務の点について、私が責任を回避しておるというようなお話がございましたけれども、責任を回避する意思はないわけです。国家公務員法によって、秘密というものの認定については主務大臣がすることになっておりますので、それを申し上げたまででございます。
 また、政治資金の規制について、個人の献金がいいという考え方、私もそのように考えておるわけです。しかし、まだ日本は個人の献金という社会的慣習というものが熟していないわけでありますから、私が政治資金の問題について提案をいたしたときにおいても、やはり経過規定が要るということをちゃんと申しておるわけでございます。そういう慣習が日本の社会で熟する間、ある過渡期は、やはり経過期間が要るわけで、そういうことを申しておるわけでございます。
 政治資金というものは、政治活動には当然に伴うもので、政治資金が悪というものではない。ただ、その政治資金の集め方、使い方に対して、これを節度といいますか、また公明正大なものでなくてはなりませんから、そういうものについて、現行の政治資金規正法には改正を要する点が私は相当にあると思いますので、この点は通常国会を期して政治資金の改正案を提案できるようにしたいと考えておるわけでございます。(拍手)
 また、大臣の営利会社、企業との兼職を禁止することを法制化せよということでございますが、現在初めての閣議で、いつの内閣においてもこれをちゃんと申し合わせて、営利企業との兼職は禁止するという申し合わせを行なって、これが実際に行なわれておるわけです。これは立法化する必要もなくして、大臣に就任する場合には、これはもう当然のこととして行なわれておりますので、いまこれを立法化する必要はないと私は考えておるわけでございます。
 また、金子君の、税制とかあるいはまた財政、金融、これが大企業本位であるというのは、少し独断に過ぎると思うわけであります。われわれは中小企業というものに対して絶えず配慮をいたしておるわけで、こういう金融引き締めのさなかにあっても、中小企業だけに対しては特別な配慮をいたして、大企業本位の財政、金融、税制政策をとっておるというような批判は独断に過ぎるという感じがいたします。
 また、公共投資について、産業基盤よりも生活基盤を充実せよという見解については、われわれもさように考えて、したがって、住宅とか下水とか、あるいは公園とか、その他の福祉施設というものに今後は重点を置いてまいりたいと考えております。
 また、いろいろと、共産党の御提案として、こまごました問題がございましたが、公共料金についても、これは原則は受益者負担というのが原則でございますけれども、この内閣が物価安定を至上命令として生まれてきた内閣でございますから、この時期における公共料金の引き上げというものは極力抑制をいたしていく考えでございます。
 また、社会福祉のための諸経費、これについては、共産党はこの臨時国会でということでございましたが、臨時国会ということはわれわれは考えておりません。来年度の予算編成に最大限度の増額をいたす所存でございます。
 また、安保条約についていろいろと共産党の立場からお話がございましたけれども、われわれとは全然立場が違っている。私どもは、日本防衛の義務をアメリカは負うておるわけで、日本の安全のために安保条約が果たしておる役割りを高く評価するわけでございます。安保条約は必要でないという、こういう立場とは異なるわけでございます。したがって、この点については、結局見解が大きく違っておるわけで、安保条約を中心としていろいろ御発言がありましたけれども、われわれとは見解が違っておる。
 核に対しては、政府としては、先般ラロック発言がありまして、国内に大きな波紋を描いたので、米国政府に対して見解を求めたわけであります。ところが、十月の十二日に米国政府より、安保条約における事前協議にかかる事項については、日本国政府の意思に反した行動をする意図はない、また、日本国民の核に対する特殊な感情を十分理解する旨を言明してまいりまして、さらに、フォード大統領が来日の際、日本国民の核に対する特殊な感情を深く理解する旨を述べるとともに、日米安保条約に対しての約束を厳重に、誠実に守るということを確認したのでございまして、われわれは、米国政府のこの見解というものに対して、これを信頼するものでございます。したがって、これはついこの間、米国政府の見解を求めたのでありますから、さらにもう一ぺん米国政府の見解をいま求めることは考えておりません。
 また、中東情勢についてお話がございましたけれども、中東情勢は、私も昨年十二月に中東地域を回ってみて、現地の事情等にも相当理解を持っておるわけですが、イスラエルとシリアとの兵力の引き離しに関する国連軍が駐留しておるわけで、これは期限が来ておったわけですが、これが延期となったわけでございますから、イスラエルとシリア間の対立というものは、非常に国連軍によって保障をされておるわけで、こういう点においては、直ちに軍事行動が始まるということではないと思いますが、とにかく中東の和平というものが達成するまでの間は、中東情勢というものは予断を許さないものがあるわけでございます。
 また、中東政策については、日本は、一九六七年、私は当時外務大臣であったわけですが、国連決議二百四十二号というもの、これが中東和平の今日の基礎になっておる、これについて、これを日本は支持したばかりか、当時は国連の安保理事会の非常任理事国であったわけですから、この決議の推進の役を果たしたわけで、これに対して、今日もこの線で中東の和平というものが動いておるわけでありまして、日本の中東政策が変わったという点はない、終始日本の中東政策というものはこういう線で動いてきておるということでございます。
 また、いろいろと最近の暴力行為についての御発言がございましたけれども、暴力行為は民主主義を否定するものであることは申すまでもない。暴力行為に対しては厳重に取り締まる考えであることは申すまでもございません。
 私の答弁漏れがございましたら、他の閣僚から補足いたします。(拍手)
  〔国務大臣永井道雄君登壇〕
○国務大臣(永井道雄君) 御質問は三点にわたっておりましたので、順次答弁をさせていただきます。
 まず第一は、五段階評価、この五段階評価という相対評価を現在学校で行なっておりますが、これをどう考えるかという問題でございます。
 繰り返しになりますけれども、現在日本の学校教育の非常に深刻な問題は、受験体制でございます。そこで、教育評価をどうしていくべきかということを非常に重要視して検討していかなければなりません。
 そこで、五段階評価の問題について申し上げますと、これは申すまでもなく相対評価でございますが、現状におきましても若干これに絶対評価が加味されております。そこで私は、これを今後引き続き検討すべきであると思いますけれども、絶対評価、相対評価という、主として学力に片寄った、そういう評価だけでなくて、全人的な評価、こういう評価の問題まで考えなければいけないと思っておりまして、そこで実はこの間の日曜は、そういう教育評価のことを勉強している学者の方たちと会って、勉強したわけでございます。そこで、この問題は、非常に重要でございますから、私は、文部省といたしましても、検討を続けるべきことであると考えております。
 次に、教育委員会制度についてどう考えるかという問題でありますが、教育委員会制度についての考え方というのは、幾つか重要な点がありますけれども、三つあると思います。
 第一は、これは、地方自治というたてまえと、そして教育委員会制度というものが、表裏の関係になっておりますが、地方自治が重要であって、教育行政が中央集権的な方向で進んでは、これはほんとうに力にならないという意味合いにおきまして、地方自治の強化、したがいまして、その角度からの教育委員会制度というものの重要視というものが大事であることは申すまでもございません。
 その次に教育委員会について考えるべきことは、これは現在におきましても、一般行政から独立いたしまして教育の中立という立場で仕事をしているわけでありますが、そういう形で、当然一般行政との協力関係あるいは調和関係というものがございますが、しかし、教育の中立を守って、一般行政とは違った役割りを果たしていくというその角度は、また今後もちろん重視して、強化していきたいというのが私の考えでございます。
 第三番目の問題といたしまして、教育委員会制度というのは公選制というので進んできたという事実がございまして、これも一つの理想であります。ところが、他方におきまして、現在任命制度というものがあり、これは住民の選挙によった地方自治体の長が議会の承認を得まして、そうして任命しているという形をとっております。これにつきましては、私はやはり検討しなければならないと思っておりますが、現状において、これを変更しようという考えは持っておりません。
 さて、次に、八鹿高校の問題でございます。八鹿高校の問題は、学校の中に暴力があるという不祥事でございまして、これは非常に遺憾であるというほかないのであります。
 そこで、文部省としてどうすべきか、そして地方教育行政に対する文部省の責任について御質問がございました。十二月三日に山崎政務次官が兵庫県においでになりまして、兵庫県の教育委員会委員長、それから教育長、それから副知事にお目にかかりまして指導助言をいたしました。
 では、その指導助言の内容というのは何であるかと申しますと、これは、まず教職員の安全というものに配慮して授業の回復をいたしまして、正常な学校運営を確保するということでございます。その結果、授業が再開されるに至っております。
 そこで、同和教育というものを進める場合には、同和対策審議会の答申というものがございますが、その原則というものは、教育の中立性でございます。私は、この立場に沿いまして、文部省は当然、地方教育委員会に対して指導助言いたすべきものと考えております。
 以上、三点にわたりまして私の考えを申し述べて、答弁といたします。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) ただいま金子議員から、兵庫県八鹿高校における集団暴力事件について質問がありましたので、説明をさせていただきます。
 事件の経緯は、本年七月、八鹿高校の生徒の一部から、クラブ活動として部落解放研究会を結成、正式なクラブ活動として認めるよう学校側に申し入れましたところ、同校教職員会議は、部落解放研究会は外部団体の指導によってつくられたものであり、正式なサークル活動として認められないとの理由でこれを拒否しました。これについて、部落解放研究会の生徒は、十一月十八日から教職員室前ですわり込みを、同月二十一日からはハンガーストライキに入りました。一方、学外では、部落解放研究会の生徒を支持する部落解放同盟南但馬支部協議会が八鹿高校差別教育糾弾共闘会議を結成して、全面支援を行なうことをきめ、十一月二十一日から八鹿町において支援デモを行なうに至りました。
 本件は、このような情勢の中で発生したものでありますが、事件の概要を申し上げますと、十一月二十二日の朝出勤した同校教職員約七十人が、同日午前九時五十分ごろ校長の説得に反して授業を中止し、集団で下校を始めました。これを知った八鹿高校差別教育糾弾共闘会議側十数人は、校門付近において授業を続けるよう教職員側に申し入れましたが、教職員側がこれを拒否して下校したため、直ちに約百五十人を動員し、同校から約三百メートル離れた八鹿町一〇五七番地立脇はきもの店前路上でピケを張って阻止しました。ピケにより進路をはばまれた教職員側がその場にすわり込んで対抗したところ、これに対し、八鹿高校差別教育糾弾共闘会議側は、集団でなぐる、けるなどの暴行を加え、同高校第二体育館まで連行し、さらに同体育館及び会議室等で、再度なぐる、ける等の暴行を加えた上、教職員らをして同和教育のあり方が間違っていた旨の自己批判書、あるいは確認書を作成させ、同日午後十時ごろから同十時四十五分ごろまでの間、同校第一体育館において糾弾会と称してつるし上げ、同校教職員ら五十八人に対し、治療約二カ月から約一週間を要する傷害を与えたという事件であります。
 なお、本件については兵庫県警察において捜査を進め、現在までに十一人を逮捕監禁致傷及び強要罪で通常逮捕し、引き続き鋭意捜査中であると承知をいたしております。
 以上でありますが、御質問のこの問題の行政面についてお答えをいたしますというと、私は同和行政には深い認識を持っておるということをまずもってお答えをいたします。しかし、地方団体の同和行政というものは、地域の実情に応じた適切な措置が必要でございまして、自治体は同和対策事業特別措置法、同和対策審議会答申の趣旨にのっとって、事態に即した自主的判断で適切な同和行政を遂行すべきであると考えます。もとより、行政の自主性を失うようなことがあってはならないと思いますし、また、予算の支出は公正、適切に行なうべきものであると思うのでございます。
 なお、暴力をいかが考えるかというお話でございましたが、ただいま総理からもお答えがありましたように、暴力と民主主義とは絶対に相いれるものではございません。したがいまして、国家公安委員長といたしましては、いかなる種類の暴力、あるいはいかなる階級の暴力にいたしましても、断じてこれは取り締まる方針で、確固たる態度で臨んでまいる所存であります。(拍手)
  〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
○国務大臣(河本敏夫君) お答えをいたします。
 中小企業の現状は、その生産、販売、在庫等の数字から見まして非常に不況である、一言にして言えばこういう状態であろうと思います。
 そこで、基本的には、中小企業の近代化であるとか、あるいは経営改善等を指導いたしまして競争力を強化していく、当然のことでございます。さらにまた、大企業がみだりに中小企業の分野に出てこない、こういうことも行政指導しなければならぬと思います。
 ただ、しかし当面の問題といたしましては、何と申しましても、資金の関係がたいへん重大になっておりますので、政府関係の三機関をもちまして、年末金融といたしまして七千億を出すことにいたしております。あわせて、民間の金融機関にも指導いたしまして、一定のワクを確保するようにさせております。でありますから、この金融面では、大体手配は終わっておると私は思うのです。
 しかしながら、金がありましても仕事がないというのが現状でございますので、たとえば、官公需の仕事を回すとか、あるいはまた新しい仕事を確保していくとか、こういう仕事をどうすれば確保できるか、むしろこういう指導が必要でなかろうかと考えまして、さような方向で努力をしておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(秋田大助君) 浅井美幸君。
  〔浅井美幸君登壇〕
○浅井美幸君 私は、公明党を代表して、三木総理をはじめ、関係閣僚に御質問をいたします。
 まず私は、国民から政治を信託された議員の一人として、日本の政治、経済、社会を刷新し、国民の平和と生活を守るため、山積する難問題に、三木さん、真剣に取り組み、ともどもにがんばってほしいと最初に申し上げたいのであります。(拍手)願わくば、三木総理、ぜひこの国民の切実な、血を吐くような期待にこたえてもらいたいのであります。
 しかし、先日の所信表明演説を聞いて、私ははなはだ失望せざるを得ませんでした。国民の心を政治の根幹に据えると、あなたは所信表明で申されましたが、それならば、今日の自民党保守政治の金権体質への深刻な反省のことばがなぜ聞けなかったのでしょうか。政治資金規正法を改正し、企業からの献金を禁止するという決意がなぜ聞けなかったのでしょうか。インフレや物価問題について、福田副総理の統括のもとでなどと他人ごとのような、あるいは遠慮し、こびへつらう言い方をなさらないで、一国の宰相らしく、みずから陣頭指揮で、いかなる障害をも排除するとの決意がなぜ聞けなかったのでしょうか。(拍手)また、いま深刻に苦しみ悩んでいる中小零細企業、社会的弱者への年度内の緊急救済対策の具体案がなぜ聞けなかったのでしょうか。
 いま国民が聞きたいことは、きれいごとの評論家的お説教ではありません。総じて、あの所信表明は、八方美人的美辞麗句はありましたが、現実の政治として具体策を示すことを避け、終始逃げの姿勢が目立ち過ぎたという批判を、三木総理、あなたはかみしめ、甘んじて受けねばなりません。(拍手)しかし、あれは決意を述べた所信表明であって、具体策を述べる施政方針演説ではない、だからやむを得ないのだと弁護されるかもしれません。
 そこで、私は、以下具体的に国民のほんとうに聞きたいこと、いま国民が迅速に実施をしてもらいたいことを逐次お伺いいたします。
 まずその第一は、政治姿勢についてであります。
 田中前内閣が総辞職に追い込まれたのは、金脈の黒い霧について、痛烈な国民の批判があったからであります。しかも、これは田中氏個人のことであるとともに、自民党金権政治の氷山の一角といわれ、田中前総理が辞任すれば、自民党全体の金権政治が改善されるものなどと国民は一向に考えていないのであります。
 三木総理、あなたは国民の協力を要請なさる前に、協力に値する、信頼できる清潔で公平な政治の確立こそ先決問題であることは、十分御承知だと思いますが、それならば、従来、田中金権問題は、国会の場で解決すべきことと言われていた正しい主張をいつの間にか変更し、記者会見においては、「田中氏個人の問題であり、田中氏が調査結果を公表することにより疑惑を晴らすことを期待する」などと、国会での解明を最近ではなぜ逃げられるのか。この三木総理の発言変更の意義はきわめて重大な意味を含んでいます。国会の場での解明を避けようとする三木総理の姿勢は、国政調査権の発動に妨害を試み、守秘義務の名のもとに、くさいものにふたをしようと、まさに議会軽視そのものであります。総理の立場で、大蔵大臣ほか関係閣僚に指示して、金脈問題に関する一切の資料の公開、また、わが党の要求する調査に協力する決意があるのかどうか、明確に伺いたいものであります。(拍手)
 また、わが党の調査によれば、三木総理御自身の金脈についても数多くの疑問があります。いずれ具体的解明は予算委員会などでわが党議員より質問をいたしますが、三木氏が主宰していると見られる政策懇談会、近代化研究会の二つの政治団体に、巨額の政治献金が大企業、商社よりなされております。公平な政治を実現するためには、当然大企業のエゴを押え、国民、消費者の立場でびしびし反社会的企業活動を押えなければ効果がないことは、三木総理、よくおわかりのはずであります。石油や電力、ガスなどの大企業から巨額の政治献金を受け入れて、はたして資源問題や公共料金の押えが、ほんとうにできるのかと国民のだれもが思います。
 さらに、政策懇談会、近代化研究会は政治団体の届け出がなされており、収支報告もされておりますが、その支出を見ると、政治団体の届け出もしていない架空の政治団体で、しかも、その事務所の住所はすべて三木さんの関係のある場所、つまり番町会館、議員会館になっている四つの団体に、この政策懇談会、近代化研究会より、四十六年から四十八年のわずか三年間に数億円の資金が支出されている。そして、三木さん個人の政治団体と思えるこの四つの団体は、何の収支報告もなされていないのであります。詳細は予算委員会で資料に基づいて質問いたしますが、一体どのようなことにこの巨額の資金が使われたのか、なぜ届け出や収支報告をしていないのか、こんな不明朗な、不透明な政治資金の使い方がよい、正しいと三木総理は考えておられるのか。清潔が売りものの三木総理、これでよいのでしょうか。
 また、記者会見で、「政治資金は個人献金が理想と思う」と述べておられるが、このような大企業からの献金受け入ればとかく癒着の原因となり、政治姿勢を疑われるものであります。政治資金規正法の改正は、あくまでも献金は一定限度を設け個人に限るということを骨子に、勇気をもって断行すべきであるが、どう考えておられるのか。もしいろいろの事情で急にそれができないというのであれば、少なくとも三木総理御自身が、李下に冠を正さずの精神で、みずからの政治資金について企業献金を拒否するという誓いを立てるべきであり、みずからがやれないで、どうして政治資金の改正ができ得ましょうか。国民の政治不信を解消するため、みずから率先実行の約束をされるべきだと思いますが、その所信を伺いたいものであります。(拍手)
 次に、物価、インフレなど、国民生活にかかわる重要諸問題について、総理の決意と具体的方策について伺いたいと思います。
 資源が高騰したから、国際インフレだから日本の国内価格が上昇するのはやむを得ないのだと、政府は国民に説明してまいりました。しかしながら、はたしてほんとうにそうでありましょうか。同じように石油危機の洗礼を受けた諸外国とわが国の物価値上がりを比較しますと、本年九月、消費者物価の対前年比値上がり比率は、西ドイツは七・三%、イギリス一七・一%、アメリカ一二・一%、フランス一四・七%、しかし、わが国は実に二六・二%で世界最高ではないですか。自民党政府はこれを国民にどのように説明されるのでしょうか。国際環境のきびしさだけでは説明できないわが国固有の原因、つまり、それが自民党政府の大企業優先、弱者切り捨て、国民無視の大失政、大悪政にこそ、わが国のみのまことに異常な並はずれた値上がりの原因があることを、三木総理は深く自己批判されるべきであります。(拍手)
 あなたの所信表明演説は、何の責任も、何の反省もない評論に終始しているのであります。あなたは、歴代自民党政府の閣僚であり、田中インフレ内閣の副総理であったことをいつの間にお忘れになったのですか。評論家的なきれいごとはもうやめていただきたいと思うのは、私一人だけではありません。(拍手)
 自民党政治は、日本列島改造論など、超インフレ促進政策とその予算を組み、お金、過剰流動資金を大企業に片寄ってばらまいたことは、天下周知の事実であります。そのあり余った大企業のお金が、土地や生活必需物資の買い占め資金として狂乱物価を招いたことも事実であります。物価が上がり過ぎた、これはいかぬということで、総需要抑制政策を昨年末よりとり出した。お金をばらまくときには大企業、お金を締めるときには中小零細企業や一般国民、これではあまりにも不公平ではありませんか。そのため、年末を控えた昨今、中小零細企業の倒産が続出し、また老人、母子家庭、病気や身障者の方々は深刻な苦しみにあえいでいます。このような大企業優先のワク組みを依然として変えないで残しながらの不公平な総需要抑制政策、これでは、社会的公正どころか、弱い者いじめではありませんか。
 しかも一方で、インフレ対策と逆コースの公共料金の相次ぐ値上げ、ガス料金、私鉄運賃、地下鉄、バス料金、消費者米価をすでに大幅に引き上げ、また来年からたばこ、酒、電報電話料金、郵便料金などを引き上げる、さらに大企業の商品、鉄などを引き上げるなど、悪性インフレを解決するため金融引き締め、総需要抑制政策はやむを得ないとしながら、つまり中小零細企業や一般国民には、インフレ克服の名のもとに一方的に苦しみを押しつけながら、他方ではインフレ解決と逆のことばかりを自民党政治はやっているのであります。これで三木総理、はたして国民の協力や理解が得られるでありましょうか。なぜわが国のみが、諸外国に比べこのような異常な物価高になったのか。また、いま申し上げた矛盾をどう説明されるのか、しかとお伺いしたいのであります。(拍手)
 さて、社会的公平とは、口先だけであってはなりません。弱者の救済とあわせて強い者、理不尽な者をどう押えるかが明確にされなければ、公平や公正は実現しないのであります。その立場からへ以下逐次お伺いいたします。
 まず、公共料金についてでありますが、公共料金の値上げの影響は、低所得者層ほど大きいのみならず、政府主導によってインフレ心理をますます刺激いたします。だから、当面、公共料金は物価の安定を見るまで万難を排して据え置くことを強く要求するものであります。同時に、利用者負担の原則に基づく現行の料金体系を、低所得層の利用する公共サービスの価格を大幅に引き下げる応能負担の原則に転換し、いわゆる福祉型料金体系を確立することが緊要であります。総理の所信を明らかにされたい。
 次に、深刻な苦境に立たされている中小企業を救済するために、緊急融資をはじめ、構造政策、事業活動分野の調整、官公需配分等、山積する課題に対しどのような具体策をとろうとしているのか。三木総理のきれいごとの演説を幾ら聞いても、切ない思いの中小零細企業の期日の迫った手形の決済はできないのであります。差し迫った倒産からのがれるすべがないのであります。いま中小零細企業が求めているのは、差し迫った金融事情への救済も当然のことながら、お金もほしいが、もっと仕事がほしい、その切実な悩みにこたえることであります。大企業は、好況の忙しいときには設備、人員の増強を強要し、不況になれば、全く冷酷にこれら中小企業を突き放しております。いま必要なことは、大企業向きの公共事業などではなく、中小零細企業向けの有効な需要を喚起する政策、たとえば民間小住宅の建設促進、中小零細産業のストック買い上げなど、具体的な対策をとるべきであります。
 また、根本的な課題として、中小企業省を早期に設置すべきであると考えますが、これに対する所見を伺いたいのであります。(拍手)
 一方、来年初頭には失業率二%、失業者は約百万人に達するであろうと予測されております。人員整理、希望退職、一時帰休、中高卒、学卒者の雇用延期など、いわゆる人減らし方策がとられている現状では、失業者はもちろん、最も弱い立場に置かれている臨時雇いや失対労務者、寡婦、中高年者及び身障者等の雇用と生活を守ることは、当面の重要課題であります。この深刻な諸問題に対し、雇用保険法案のみで解決するものではありません。具体的に答弁を求めるものであります。
 次に、十一月二十七日、国民生活審議会が中間報告として提言している「物価上昇下の分配等の歪み是正策について」は、年金の物価スライド制など社会保障の充実強化、零細貯蓄、老後貯蓄の目減り対策、中・低所得向けの物価調整減税、マイナスの所得税制度の検討等、いずれも物価高騰下にあって、いわゆる社会的弱者に対する当面の緊急政策を述べております。総理は、これをどう評価し、実行に移そうとされるのか、それぞれ具体的に答弁をお願いするものであります。(拍手)
 また、物価攻勢のあらしの中で、母子家庭、身障者、施設入所者、老人世帯及び生活保護受給者などの救済は急務であります。その効果ある対策はどのようになさるのか、お伺いしたいと存じます。
 さらに、今日、車社会の中で起きた悲劇ともいうべき、全国十二万人に及ぶ交通遺児と母親の問題は、社会全体が受けた便益の代償として社会全体で補償、救済すべきであり、母親たちの職場確保のために、仮称、寡婦雇用促進法の制定を急ぐべきであり、また、子弟の進学に対する交通遺児育英資金の補助金増額に思い切った施策が望まれているが、これに対する明確な答弁を望むものであります。(拍手)
 さらに、犯罪被害者の気の毒な生活に対する救済制度を新設すべきであると思うが、この際、あわせてお答え願いたいのであります。
 社会保障の制度とその質的充実は、社会的公正を確保する根本課題でありますが、福祉後進国といわれているわが国において、社会保障水準とその達成のために、すみやかに中期計画を立て、国民に明示することは、三木内閣に課せられた責任であると考えます。これに対する総理の見解と決意を承りたいのであります。
 激化するインフレ、物価高騰により、勤労者はせっかくの賃金上昇も、実質所得の低下と名目所得に対する課税というダブルパンチを受け、資産を持つ者との不公正な所得は格差を拡大し、また、大企業と中小零細企業との税負担の不公正など、税制による社会的不公正は加速度的に拡大しています。したがって、勤労者、農民、中小企業等、社会的、経済的弱者を守るために、直ちに不況、物価減税を実施するとともに、昭和五十年度税制では、従来の大企業、有資産者を優先する租税特別措置の廃止をはじめ、不当な土地売却利益への大幅課税など、現行税制の抜本的改革を断行すべきであります。
 とりわけ、中・低所得者層に対する課税最低限の大幅引き上げ、中小企業に対する軽減税率適用区分の大幅引き上げと税率の多段階方式による税負担の軽減、一方、大企業の税率の引き上げと累進課税方式の実施に対する考え方を合わせ、税制改革に対しての決意を具体的に伺っておきたいのであります。(拍手)
 また、地価高騰によってもたらされた農地相続のための異常な重税は、農地の切り売り細分化を迫り、後継者の就農意欲をますます減退させるという憂慮すべき状態にあります。農地の評価を農業収益によるものとし、将来農業を続ける意思のある者に限り、農地の相続税の抜本的な軽減措置を講ずべきでありますが、総理及び大蔵大臣の所見を求めるものであります。
 今日、経済的公正を確立するためには、独占禁止法の改正は急務であり、同法の改正は、いまや国民世論の大勢となっております。すでに公正取引委員会により、その改正試案も公表されております。これに対し、政府は、審議会の設置あるいは公正取引委員会改組論を持ち出し、その改正を阻止しようとさえしてきたのであります。わが党は、前国会に引き続き、本臨時国会に改正案を提出し、早期改正を要求しております。三木総理は、次の通常国会に同法改正案を提出するとしておりますが、少なくとも公正取引委員会改正試案よりも後退すべきではないと考えます。総理の所信を率直にお答え願いたいのであります。(拍手)
 次に、総理はかつて、環境問題こそ政治の出発点であり、われわれに課せられた至上命題であると、力強く決意を述べられたのであります。ところが、この二年前に国民に公約した自動車排ガス五十一年規制は、自動車メーカーの圧力によってあえなくついえ去り、その規制は大幅に後退し、実質的には無期延期にひとしい状態に置かれているといえます。総理は、みずからの所信をいまこそ貫くべきであり、国民の期待にこたえる当初の方針どおり、五十一年規制の実施に踏み切るべきであると思いますが、明確に御答弁をいただきたい。(拍手)
 次に、地方財政について質問いたします。
 国の機関委任事務と普通建設事業による超過負担は、ますます増大しております。しかるに、今回の政府補正予算案においても、建設単価をわずかに引き上げたのみであり、地方自治体の年来の要求である補助の範囲、数量には何ら配慮もされていないため、政府には根本的に超過負担を解消する意思がないと思うものであります。超過負担の解消をはかるためには、現行の標準額制度を、産業基盤整備事業と同じように、実額精算の方式にまず改め、また、機関委任事務に対しては全額国庫負担とすべきであります。この地方自治体の要請に対し、いかなる所信で臨まれるのか、御答弁を伺いたい。
 また、地方自治体の本旨を達成するために、補助制度の抜本的な改革と、あわせて地方の自主財源の拡大をはからねばなりません。当面、地方自治体の強い要望である一定規模以上の事業所を対象にする事務所、事業所並びに大企業に対する法人住民税等の大幅増額及び交付税率の引き上げを行なうべきでありますが、これについての考え方を述べてもらいたいのであります。(拍手)
 さらに、超過負担と並んで、国民健康保険財政の窮迫は、その打開に万策が尽き、ややもすれば老人医療無料化によるものとして、その責任を転嫁するという、まことに憂慮すべき現状にあります。当面、この窮状を打開するためにも、老人医療を全額国庫負担にすべきでありますが、以上の諸点について、総理並びにに大蔵大臣の見解を承りたいのであります。(拍手)
 いまや、地球的規模で食糧不足の危機はますます深刻化の様相を呈しておりますが、先進諸国の中で、わが国は最低の自給率、世界最大の食糧輸入国となったのであります。衰微する日本農業の現状をこのまま放置することは、断じて許されないのであります。農業を軽視して衰退しなかった国がないととは、歴史的教訓であり、日本農業の再建と食糧自給率の高度化が、いまほど緊急かつ重要な課題となっているときはありません。また、わが国の漁業は、外には経済水域拡大、内には公害による漁業の著しい荒廃等により、きわめてきびしい局面に立たされていますが、国民食糧の安定確保について、総理の決意と具体策を伺いたいのであります。
 米軍の日本への核持ち込み問題は、ラロック証言をはじめ、最近の米下院委員会におけるシュレジンジャー国防長官の発言からも推測されますし、わが党の核問題プロジェクトチームの調査によっても、かつて沖繩において核が存在したことが、米軍のホーレンバウフ司令官の証言によって判明しました。これらの具体的事実によって、国民の不信と疑惑はますます濃くなっております。従来のような一片の公式文書や、形式的な発表で事足れりとする事態ではありませんし、アメリカ政府の、日本国民の核に対する特殊な感情を理解するとか、日米安保条約の責務を誠実に履行するなどの発言をうのみに信頼する三木総理の考え方では、国民はその疑惑を晴らせないのであります。
 三木内閣はこの問題を重視し、国民の納得できる具体的な措置をもってこたえるべきでありますが、この際、少なくとも日本への核持ち込み禁止を明確にうたった新たな日米取りきめを行なうべきであると思います。(拍手)
 総理及び外務大臣の決意と方針を明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、アメリカの核戦略体制の転換を求めずして、日本とアジア諸国も非核政策をとることはできないのであります。政府は、アジア非核地帯の設置並びに核全廃のための日本の核政策をどうするのか、明確に示すべきであります。この点についてのお答えをいただきたい。
 総理、以上、私は当面する諸問題について重点的に御質問をいたしました。三木内閣の失敗はあなただけの失敗にとどまりません。国民全体のより一そうの不幸と貧困を拡大することになるからであります。
 三木総理、あなたは信なくして立たずとよく言われる。しかし、三木内閣は、自民党一部首脳の密室話し合いによるたらい回しで成立した内閣であることは、よもやお忘れではないと存じます。信なくしてと言われるが、国民が主権の行使によって三木内閣に信任を与えたものではありません。このことを総理は十分に銘記されるべきであります。
 いま、国民的課題に私の提案どおり迅速に的確な措置をとり、しかる後、すみやかな解散、総選挙を行なって国民の信を問うべきであります。(拍手)公明党は、主権者である国民を代弁して解散を強く要求いたします。これに対する総理の所信を伺いたい。
 私は、国民の声をそのまま率直にあなたにぶっつけ、提案と質疑をいたしたつもりであります。願わくは、三木総理、あなたが口舌の人、美辞麗句の人、有言不実行の人のそしりを受けないためにも、どうかまじめに、前向きに御答弁をお願いするものであります。
 以上で、私の代表質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 先般の金子氏の質問に対して、原爆被爆者の援護法をつくれというお話でございましたが、政府は、現行制度のワク内で健康とか生活について最大限度の努力を払っておるわけでございます。今後、原爆被爆者の立場というものは非常に特殊な立場で、われわれとしても非常に心を痛めるわけでありますから、生活の実態なども絶えず注目しつつ、福祉あるいは健康、生活、そういう点についていろいろと改革する場合には、これを改革してまいりたいと思うわけでございます。
 浅井君の御質問でありますが、私の所信表明、たいへんお気に召さなかったようでございますが、私自身の内閣の出発点でありますから、私の基本的な考え方を申し述べておくことが適当であろうということで、あの場合に、いろいろとこまかい詳細な問題に触れることは適当でないという私の判断から、ああいうことにいたしたわけでございます。
 また、田中氏の金脈問題についていろいろお話しになりました。このことを一番詳細に承知しておるのは田中前首相自身であります。御自身でこれは詳細に調査して、国民の前に疑惑を解きたいというわけでありますから、これは一番国民の疑惑を解く上において有力な一つの材料になると思います。国会においてこの真相を究明されるということであれば、それは国会の機能でありますから、そういう場合に、政府は現行の法規で許される範囲内で協力することは当然でございます。
 また、私の後援と申しますか、私とは独立の人格で、後援的な母体があるわけです。これについては、私自身もよく知らない。しかし、これは自治省に届け出をして公表になっておるわけであります。これについていろいろ御質問がございまして、私もよく存じませんが、しかし、この自治省に対する会計報告に対しては、何ら疑惑があるとは私は思っておらない。ただ、企業からの献金がその中に入っておるじゃないか、そのことはいろいろ考えるべきだという御批判は御批判として承るけれども、その報告に対して、何ら私自身が疑惑を持たれるようなことはないと信じておるわけでございます。この点は、そのように御理解を願いたいわけでございます。
 政治資金規正法の問題、私自身も改正というものをする必要がある。それは何かといえば、今日の政治資金規正法、もう少し国民から疑惑を持たれないような、もう少し明確と申しますか、政治資金規正法の中における一つの金の使い道、あるいは集め方、どこから集まってきたか、すべて公表主義がいいと思う。もう少し政治資金というものが公明正大に国民に映るような、そういう政治資金規正法にしたほうがいいと思います。政治には金がかかることは事実であって、政治資金を集めることが悪いことではないわけです。それを国民の疑惑を受けないように、明朗な政治資金というものの扱いをすることが必要である。そういう点では改正しなければならぬ点があると思いますので、私は、次の通常国会に政治資金規正法の改正を提案して、いまこういう点を改正すべきであるというような点に対しては、改正をいたすような考えでございます。
 また、総需要抑制と中小企業についていろいろお話がありましたが、われわれとしては、中小企業というものは弱い立場でありますから、こういう総需要抑制の中で特に悪い影響を受けがちでありますから、できるだけ中小企業とか下請というものに心を配って、金融引き締めなども行なっておるわけであります。最近においてもいろいろと特別の融資を行ない、また必要があれば今後も行なって、何とか立場の弱い中小企業や下請の人たちが、インフレのもとにおいて非常な打撃を受けないように配慮をいたしていきたいと考えております。
 また、公共料金については、受益者が負担をするのは、私は原則だと思います。したがって、普通はこの原則が適用になるわけではございますが、今日は、物価を安定さすということを至上命令として生まれてきた三木内閣でありますから、今回は、非常事態と考えて、極力公共料金の値上げというものは抑制の方向で検討いたしたいと考えております。
 また、公共料金について、低所得者に対しては特別な配慮をすべきではないか。こういう負担能力の弱い者に対する特別の料金というお考えでしょうが、まあ一部にはこういうことは実施されている面もありますので、今後こういう考え方というものは取り入れていく余地が多いと思いますので、できるだけ取り入れていきたいという考えでございます。
 また、雇用の問題については、言われますように、雇用保険法だけでは雇用の問題は解決されるわけではないわけであります。いま諸外国、アメリカとかヨーロッパに比べて失業率は高くはないわけです。それでも失業の防止というものは、今後総需要抑制というものが続けば、不況というものはある程度続くことを覚悟しなければならない。そういう場合に、失業をできるだけ防止していくことは必要であるし、また失業者が出たときの保障の処置ということも十分考えなければならぬし、労働者全体の福祉の増進ということもあわせて考えなければなりませんので、雇用対策というものを、雇用保険法だけというふうには考えておらないわけでございます。
 また、御指摘になりました国民生活審議会の答申、社会保障の充実であるとか、物価調整減税とか、金融資産の目減り対策というようなこの問題に対しては、傾聴すべき意見が非常に多いと思います。
 また、寡婦の雇用促進法という、これは公明党独自でいろいろお考えになった法案だと思いますが、職業安定法等もございますが、この問題は、いますぐにこういう法案をわれわれが制定しようという考えはないわけでございます。
 社会福祉の面で、老人とか母子家庭とか心身障害者という、こういう弱い人たちのために、社会福祉の面において積極的に社会福祉のいろいろな給付、年金を増額すべきであるという点は、われわれもさように考えまして、五十年度予算にこれを実現したい。交通遺児に対する育英資金なども、これは増額をいたしたいということで努力をいたしておるわけでございます。
 また、犯罪被害者の対策というものは、確かに考えなければならぬ一面だと思います。これは今後われわれとして、そういう考え方というものは大いに取り入れていかなければならぬと思います。
 それから、自動車の排気ガスというものに対して、私はできれば五十一年度規制も実施したいという考えでいろいろと最後まで努力をしてきたわけでございますが、辞任をいたした後に結論を出さなければならぬということになったわけでありますが、きょう中公審の総会においてとの問題が論ぜられておるわけであります。話を聞きますと、きょうは結論が出なかったようでありますが、これは国民の重大な関心のある問題でありますから、慎重に審議をして、そうして結論を出してほしいということを願っておるわけでございまして、この問題は、私が環境庁の長官をやめたからといって関心が薄くなったわけではない。公害防止、環境の保全ということは、これはやはり日本として非常に大きな課題であるという問題意識については、私は何らの変わりがないということを申し上げておく次第でございます。
 独禁法については、ただいま懇談会を設けて、そうして独禁法というものを――きょうの閣議できめたのですが、各方面の意見をオープンに国民の前にいろいろディスカッスしてみよう、討論をしてみようということで、近く各方面の代表者に懇談会の中に入ってきてもらって、いろんな角度から独禁法というものが、国民の納得のいかれるような形で、国民の支持を得られるような形で独禁法改正というものをぜひとも通常国会には成立せしめたい、こういうことで独禁法の制定を急いでおるわけでございます。自由経済体制を守っていくためには、ルールというものはどうしても必要で、ルールなしに自由経済体制が守れるような今日の時代ではないわけであります。そういう意味において、独禁政策というものは、やはり自由経済体制における大きなルールであります。必要なルールであります。これはぜひとも実現をさしたいと考えておるわけでございます。
 農業、漁業等についてお話がございました。食糧問題というものは、世界的に見ても食糧不足で、非常に大きな問題であります。
 農業についても、食糧の自給度を高めなければいかぬ。全部自給自足ということはできません。どうしたって海外から輸入しなければならぬ農作物も多いわけでありますが、それは長期に供給を確保する道を講じていくことはもちろんですが、日本の国内においても長期的な目標を立てて、自給率を高めるための総合対策を進めていくつもりでございます。
 また、漁業などに対しても、やはり国連の海洋会議などにおいても、発展途上国の領海とか、また水域というものが一方的に拡大するものですから、非常に日本の条件は悪くなっておるわけでございます。しかし、今後この遠洋漁業についても、関係国間で協調しながら、そして日本の海外漁場というものをやはり確保するように、これは最大限度努力をしてまいらなければならぬと思っております。
 また、沿岸漁業については、汚染を防止していかなければならぬ。瀬戸内海環境保全法なども、一面からいえば漁業とも関連があるわけで、沿岸の汚染を防止する、また優良な漁場を確保していく、またいろいろな栽培漁業と申しますか、そういうことも奨励していくということで、いろいろな手で日本の漁業の振興というものもはからなければなりません。
 核の問題に相当お触れになりましたが、核は、先ほどの答弁で申したように、アメリカの政府からも、ラロック発言があったけれども、アメリカはやはり安保条約においての事前協議に関する事項は、日本の政府の意思に反して行動はしない、また、日本の国民の核に対する特殊な感情は十分理解しておるという旨を、ラロック証言の後においても米国政府から言ってまいりましたし、先般、来日をされたフォード大統領もそのことを繰り返し確認いたしたわけでございまして、政府としては、もうアメリカの言うことは何も信用できぬということになれば、これはもう何をかいわんやでございますが、われわれは、アメリカの政府がこういう公式にわれわれに約束したことは守るものだと考えておるわけでございます。
 それから、公明党が最後に解散を御要求になりましたが、解散をいたす考え方はいま持っていないということでございます。
 御質問が非常に多岐にわたっておりましたので、もし答弁漏れがありましたならば、関係閣僚が補足をいたすことにいたします。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑の第一は、税制改正でございます。
 税制改正につきましては、御案内のよう兵政府としては、目下政府並びに与党の税制調査会に御相談をいたしておる段階でございまして、具体的に御答弁申し上げる段階ではございません。ただ、あなたが御指摘の物価調整減税を所得税ベースでどうするかというような問題、あるいは租税特別措置の改正問題、それから農地の相続税の改正問題等は、十分われわれも問題意識として持っておりまして、税制調査会と御相談をいたしておりますことを申し添えておきます。
 なお、御提案の法人累進課税の問題につきましては、昨日田邊さんにもお答え申し上げましたように、本来累進課税制度というものは、法人にはなじまない制度であると私は考えております。
 その次の問題は、地方公共団体の超過負担の解消問題でございます。
 この問題につきましては、政府としても鋭意努力してまいりましたことは御案内のとおりでございますし、今回の補正予算におきましても、文教施設、社会施設等の単価改正という名においてお願いをいたしておることは御案内のとおりでございます。今後も努力してまいるつもりでございますけれども、いま御提案にかかる、実費負担主義をとるべきであるという御提案には、私は賛成いたしかねます。政府といたしましては、能率的に事業を執行した場合の標準的な経費をベースに超過負担の解消を考えていきたいと思うのであります。
 第三番目の御質問は、老人医療につきまして、全額国庫負担を考えてはどうかという御提案でございます。
 四十八年一月から実行されておりまする老人医療の無料化は、御案内のように、医療費の自己負担分を公費で負担しようとするものでございまして、保険主体の負担分まで全部含めて国費で負担するということではないわけでございます。御提案のように、全額を国庫負担にするつもりもございませんし、また、そういうことをしてはならないと私は考えております。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理の御答弁を二点にわたって補足をさせていただきます。
 一つは、アジアの非核地帯構想についての政府の所見はいかんということであったわけでございますが、そのような構想がアジアの地域軍縮の措置に現実的につながりますならば、これはもう、もちろん有意義なことでございますけれども、現実にはアジア地域で、やはり大国間の力関係がかなり流動的でありますし、アジアの各国自身がどのような平和構想を持つかについても、必ずしも意見が一致しておりません。現実には、大国が核を保有しているという状態で世界の平和が保たれておるわけでございますので、そういう現実から申しますと、わが国としては、浅井議員が述べられました終局的な目標は、確かに私どももこいねがいたいところでございますから、それであれば、やはり核実験を全面的に、包括的に禁止する。たとえば、残されております地下実験についても、これもひとつ禁止をして、わが国が持っております地震学の知識でその検証に当たるというようなことのほうが、現実的にお互いに考えております理想に近づいていける道ではなかろうか、かように考えております。
 それからもう一点は、沖繩に返還前に核兵器があったかどうかということについては、政府としては、正確についに知り得なかったわけでございますけれども、はっきりいたしておりますことは、われわれは核抜き返還というものを実現したということ、そうして、その時点において核兵器がないということは、ロジャーズ国務長官がわが国にも通報をし、米国の議会でもはっきり証言をしておる、このことは明確になっております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(秋田大助君) 塚本三郎君。
  〔塚本三郎君登壇〕
○塚本三郎君 去る十四日行なわれました三木総理の所信表明演説に対しまして、私は、民社党を代表して、わが党の立場を論じつつ質問をいたします。
  〔副議長退席、議長着席〕
 田中内閣退陣後、庶民の声を代表する各新聞の投書を取り上げてみますと、三木新内閣の登場は、何といっても、清潔ムードに期待する声が端的に表現されております。たとえば、三木さんは、まじめでうそを言わないからとか、三木さんの登場は、田中首相の金脈問題によって生じた政府・自民党への不信感をかき消すための苦肉の策とも思われる、あるいは、三木さんの清潔度を売りものにする自民党の巧妙な演出ぶりはさすがである、等々であります。
 三木総理大臣、あなたは、私どもが多年国民に約束し続けてまいった多くの事柄を、ちゅうちょすることなく取り上げておられる点では、与党の中では数少ない野党寄りの政治家でありましょう。したがいまして、そのことばたるやよし、三木さんがそれを軽々と口ずさんでおられることに好感と、さわやかささえ覚えます。だが、反面、私どもは少なからざる危惧の念を抱いております。ことばは美しくあっても、はたしてそれが、いまのあなたに実行できるであろうかとの危惧であります。
 それは、過ぐる九日の組閣を見ましても、新総理の決意が、派閥の中の荒々しい閣僚争奪戦によって、痛ましく食い散らされていく姿をまざまざと見せつけられたからでございます。(拍手)もしそれ、新総理の政治姿勢として語られた、正直、清潔、誠実が三木総理の本物の決意であるならば、われらは、野党といえども政争に明け暮れるべきではなく、政策実現の時代へと姿勢を転換せしめるべきだと申し上げておきます。要は、その述べておられることが、どれだけ実行されるかにかかっております。
 私ども民社党は、対決の姿勢ではなく、三木内閣をして実行せしめるの方向で、もし必要とあれば、協力も惜しまないし、多くの国民が期待することであれば、よしんば一部の非難ありといえども、あえていとわない決意であります。是は是、非は非として、いさぎよい議会政治の新しい一ページを開くことに決してやぶさかではありません。(拍手)
 もはや三木さんの総論は十分わかりました。これからはそれを裏づけるための各論、すなわち実行への数々の具体策こそ、いま国民は両手を差し出して待ち受けております。したがって、直ちにその立場から質問をいたします。
 質問の第一点は、金権問題についてであります。
 三木内閣出現の最大の課題は、金脈問題にからむ田中内閣の政治不信から、自民党の威信回復をねらったものといえましょう。なればこそ、新総理は清潔な政治を第一番に打ち出されたに違いありません。われわれ野党は、引き続き自民党の金脈追及を申し合わせております。だが、一方において、国民はそれ以上に、インフレ抑止と不況克服に最大の期待をかけていることも否定できません。田中総理が責任を感じて辞職された今日、まさか御自身が国会の場で国民に納得される釈明をされるとは思われません。私どもは、いつまでも田中前総理を追及することによって、国会に混乱を招いたり、自民党を追い詰める手段に利用しようとは思っておりません。
 よってこの際、われわれ野党から一々質問と追及を受けるよりも、むしろ率先して政府みずからが調査をされ、把握せられている中身について、誤りはすなおに認めて、国民の納得のいく説明を付して、われわれの前に進んで結末をはっきりとつけられることこそ、三木さんのおっしゃる清潔な政治というべきではありませんか。その御意思がおありかいなかを、まず伺わねばなりません。(拍手)
 質問の第二点は、経済問題であります。
 今日の最大の政治課題は、インフレの抑止でありましょう。年間三〇%を上回る狂乱物価はさておくとしましても、年間一〇%を上回る様相もまた無政府のそしりを免れません。したがって、この際、これが抑止のための具体的提案をいたしますので、明快なる御答弁をいただきたい。
 その第一は、公共料金の据え置きであります。
 過日の総理初記者会見の言をかりるまでもなく、今日の経済社会は自由を基調としております。高い、安いの価格決定は、全く業者の裁量にまかされております。その場合、ただ一つ公共料金のみは、政府の認可がなければ、たとえ一円たりとも値上げは許されません。総理の手の中にあるものをまず押えておいて、しかる後に民間企業に向かって、いましばらく値上げは待てと叫ぶことが、ものの順序ではありませんか。(拍手)
 最近の物価値上がりの主軸が公共料金の値上げにあることは、すでに巷間に叫ばれております。自分の手の中のものを先に上げておいて、本来自由価格である他人の品物だけを値上げするなと幾ら叫んでみても、政府にインフレ抑制の意思なしと受け取るのは、けだし当然ではありませんか。もちろん、今日の公共企業体の赤字が危機的状態にあることの理由を私は知らないわけではありません。だがしかし、政府みずからがその立場を弁明することによって値上げを許すならば、民間企業には、さらにさらに多くの値上げの理由が用意されていることを覚悟しなければなりません。物価高の痛みは、まず政府みずからがこれを受けとめることが絶対条件であり、それは値上げストップ以外にはありません。公共料金の洗い直しはするが、値上げしないとの約束はしないと総理は述べておられるが、これではインフレ抑止の第一歩からして、その実行が危ぶまれます。総理の御決意のほどをあらためてお伺いしたい。
 インフレ抑制の第二は、独禁法の改正であります。
 広く社会的不公正の是正を求めると約束し、私の実行力が求められていると受けとめておられる三木総理の顔が、ごく一部の国民といわれる経済界から、多数の国民の方向に向きを変える一番大きな姿勢は、独禁法の改正ではないかと思います。
 とりわけ、価格独占に対する調査と告発の権限を公正取引委員会の専属告発にしているのを改めて、消費者の多くが、これは特別に高いとか、急激に価格上昇が目立つ場合には、消費者にもその企業に対する告発権を認めて、いやしくも不公正な価格形成が行なわれることのないようにすることが、改正の目玉であろうと信じます。この点が抜けたならば、画竜点睛を欠きます。そして言行不一致とならざるを得ないことは、さきの狂乱物価のときの国会審議で明らかにされたはずであります。この点、とくと総理の御決意のほどを伺わねばなりません。
 インフレ抑止の第三は、銀行法の改正であります。
 昨年末、大企業、大商社による物資買い占めと売り惜しみによって、価格つり上げが大きな社会問題とされ、本院においても参考人として各社長さんを招き、問題の解明がなされました。その際、私ども民社党は、これら商社、大企業の経済活動のルールをはるかに逸脱した行為が可能となっているのは、大きいことはいいことだと言わぬばかりに無制限に金を貸した銀行の貸し付けこそ、最大の犯人だときめつけてまいりました。(拍手)
 庶民大衆の金が銀行の窓口を通って商社に集中的に貸し付けられ、それが品物を買い占めて、値が上がるまで市中に流さない。国民は、結果的には自分の金で自分の首を絞めることになり、その悪役を銀行が果たしていることを、本年一月末、私は本院予算委員会で論じたことであります。当時、田中総理、三木副総理立ち会いの上、福田大蔵大臣が善処を約されたはずであり、しかも金融制度調査会、また、私の主張の線に沿った銀行法改正の答申が政府になされているはずであります。自己資本金わずか三・四%、借り入れ資金何と九六・六%、一社で一兆六千億円余の資金を握って、物資価格の操作を思いのままにしている現代の怪物たる総合商社も、もとをただせば、すなわち銀行の貸し出し制度の悪用にこそ問題点があるというべきでありましょう。一品をも生産することなく、一物をも商うことのない金融機関が、利息を払っているお客さまの間をこじ分け、押しのけて、町かどの特等地に宮殿のごとくそびえ立ち、中小企業者をせせら笑うかのごとき威容を誇っている姿こそ、まさに二十世紀の魔物というべきではありませんか。(拍手)そして大企業がごっそり資金をまとめて先取りするから、中小企業者が借り入れ申し込みにいっても、大企業にほとんどを貸してしまって残りがありませんというのが真相でありましょう。それがまた物価高の最も大きな原因ともなっております。
 この際、銀行は、自己資本金の一五%ないし二〇%以上は、同一企業にはまとめて貸さないという民社党提案の趣旨に沿った銀行法の改正を、次の国会に提出すべきだと思いますが、いかがでありましようか。
 質問の第三点は、不況の克服であります。
 インフレ抑制と裏表をなしているものに不況の克服があります。総需要抑制の直接の影響を受けている中小企業は、目下深刻な打撃を受けて、脆弱な体質のところはまさに将棋倒しの危局にさらされております。繊維、建設、木材加工、機械金属に至る広範な不況は、労働者の雇用不安をも招きつつあり、さなきだにうすら寒い年の瀬に、さらに無情な失業の風が中小企業の足元を冷やしております。
 総需要抑制によって仕事が少なくなったいま、大企業はいままで下請、孫請に出していた仕事を、採算に合わないことを承知で、なお自分で取り上げて仕事を食いつないでおります。精一ぱいの設備と担保限度一ぱいの借金を背負って、仕事がなく、在庫をかかえて、工場内の草むしりをさせている中小企業の不況は、社会不安をも招きかねない深刻さを増しつつあります。
 私どもは、これが克服のために、次のごとき緊急措置を要求し、総理の所信をただします。
 その第一は、雇用保険法の成立であります。在庫が何カ月分もたまって、生産価格を下回る出荷価格とならざるを得ないとき、従業員の一時帰休を容易ならしめるため、給与支給額の三分の二をこの保険が支給する制度を、一刻も早く成立せしめる必要があります。前国会では、本院を通過したこの法律案が、参議院で成立寸前で流産のうき目にあってしまいました。したがって、本臨時国会ではぜひ成立をせしめていただかねばなりません。
 その第二は、中小企業向けの仕事を与えることであります。設備と資材と労働力を持っておりながら仕事がなく、企業からは工賃さえ支払えなくなり、社長個人がいままでたくわえた個人資産をこれに充てているのが、これら中小零細企業の実態であります。
 したがって、この際、中小企業向けの需要喚起のために、庶民住宅の建設に一段の努力を払うべきだと信じます。庶民住宅はそのほとんどが中小企業向けの仕事であり、かつ総合産業であるから、これが大幅な建設は、住宅不足にあえぐ都市勤労者向けにも大いに歓迎されることでありましょう。
 その第三は、備蓄機構の活用であります。需要が少ないから品物が余って在庫がふえ、売れないから値が下がっても荷物が流れていかない。結局、手形の決済ができなくて、企業は倒産に追い込まれる。そのとき、ちょうど梅雨期にダムをつくって水をたくわえるように、品物も、ダムの水のごとく政府が買い上げてこれを備蓄し、品不足のときにこれを放出することを予定し、備蓄機構にある程度の金を融資しておくことは、単に不況克服の一面のみではなく、インフレや品不足に備えるためにも、欠くことのできない制度であると思います。
 政府は、この機構に融資することによって、不況の谷の底を埋め、やがてインフレによって品不足、物価高となった場合に、これを放出することによって、物価高の峰を低くすることを考えるべきだと信じます。業種によっては、こうした思い切った手を打つべきであると思うが、いかがでありましようか。
 質問の第四は、公共企業体とその労使関係についてであります。
 特に、国鉄のストと郵便の遅配は、物価高と不況の中でさなきだにいら立たしい国民の気持ちを、いやが上にもさかなでする役を果たしております。これは何とかならないのか、政治家は何をしているのかという政治不信をかき立てております。
 最近の国鉄は、ストが慢性化しているだけではなく、定時に発着することが珍しくなってしまい、事故の続発も常習化しております。一方、郵便は、同一市内でさえも四、五日はかかるという、スピード時代には考えられないことが定着しており、あまつさえ、年末ともなれば、またぞろ滞貨の山が積まれることでありましょう。
 これらのゆゆしい事態の根本は、労使関係の乱れにあることを指摘いたしたいのであります。私は、その責任が労使のいずれにあるかを詰めようとは思いません。だが、一般民間企業では考えられないような紛争が、国民というお客さまを犠牲にしつつ延々として何年も放置されており、その解決のめどさえ立っていないだけではなく、さらにどろ沼へと突き進みつつあることを憂うるものであります。(拍手)
 この際、公共企業体の労使問題に対して、根本的に検討をし直すべきではあるまいか。私どもは、公共企業体労働者のストライキの権利は、憲法に認められた労働者の基本的権利として回復すべきであり、その上で公共の利益の立場に立って、秩序を維持するために最小限の歯どめの措置をすることは、やむを得ないと思います。政府は、この際現行法を改正する意思はないかどうか、まずお尋ねをいたします。
 反面、現行法律は一切のストライキ、サボタージュを規制しております。しかるに、国鉄においては、十一月から一カ月の間に八日間もスト指令が出され、現に列車がとまり、また混乱を続けておりました。政府は一体これをどう受けとめておられるのか。これは法律違反であるのに、政府のどこからもとがめられず、昨年の暮れ以来どこでも処分をされておりません。いかなる違法行為も全くのたれ流しで、もはや法律は形骸化してしまっております。
 国労、動労は、あの上尾事件以来、順法闘争から大きく転換し、戦いの性格をストライキ行動の一形態と規定づけて、減産闘争を指令しています。減産闘争というのは、文字どおり生産を減ずると言い、これはすなわちサボタージュと規定しても差しつかえないと指令をいたしております。また、労働者の抵抗における最高の形態は、無期限に、しかも全労働者による労働の完全放棄であることは言うまでもないと指示しております。
 これら国労、動労の指令に対応する政府及び国鉄当局がどんな対応策を持っているのか。減産闘争というサボタージュが、何の規制も処分も行なわれない結果は、働かなくてもよいという気風や、検査や訓練をしなくても差しつかえないという気風を助長し、それが続発する事故と関係がないと、はたして言い切れるでありましょうか。(拍手)
 職場規律よりも労働組合の指令が優先するの風潮は、郵便局内部にも顕著にあらわれております。郵便もまた、国鉄ダイヤと同じように配達のダイヤが組まれておりますが、全く守られる気配はありません。特に業務規制闘争によって、郵便外務員が一日の配達分を持って出ながら、三分の一ぐらいで戻ってくることがしばしばであり、それが次々に配達を繰り延べ、遅延の最大の原因となっておるとさえ指摘する人が少なくありません。
 郵政事業は、その九〇%が人件費であるとされているとき、そのような職場規律の乱れから遅配が山積し、非常勤配達員を多量に配置しなければならぬ状態となっており、それが郵便料金値上げの最も大きな原因となっていることは、郵政当局が十分御承知のはずであります。労使間の乱れからばく大な郵便財政の赤字を誘い、ついにはがき三十円、手紙五十円という形で、労使間の怠慢のしりを国民の側に転嫁せんとすることは、許すことのできない問題であります。(拍手)
 まじめな職場の労働者に言わせしめれば、違法行為が放任されて、だれからもとがめられず、反対に、まじめに責務を全うする者が反労働者として非難され、一方的にいやがらせを受けております。その根源は、信賞必罰をとり得ない管理体制にあるといわなければなりません。(拍手)
 かくて、島根県松江市においては、三日に一度より配達されていないことに怒り狂った一市民が、郵便局に行き傷害事件を引き起こしたり、温泉地観光旅館組合が、ストによって足どめを食った結果、損害賠償を国鉄に求める運動が起きつつあることを、まさか政府は知らないはずはありません。
 総理は、従来の惰性に流れることなくと言明されたが、法を守り、国民の生活を守る立場から、正しい労使間の問題にどう対処されるつもりなのか、とくとその決意のほどを伺いたい。(拍手)
 法治国家として許すべからざるいま一つの問題は、暴力事件であります。
 さきの三菱重工、三井物産、帝人中央研究所、大成建設と続いた企業爆破事件は、師走のビジネス街に強い衝激を与えて、しかも、第五の事件をも起こしかねない空気であります。しかも、その被害者は、全く無関係な大衆を多数殺傷している、ことであり、いまだにその犯人逮捕の手がかりさえ発表されておりません。「狼」とか「大地の牙」とか称して事前に爆破を予告しているさまは、まさに警察権力に挑戦するがごとき態度であります。政府は、国民の不安と怒りを背景にして、総力をあげてこれが解決に乗り出していただかなければなりません。(拍手)
 それと同時に、学生間の内ゲバについても一言触れておかなければなりません。
 きのうの夕刊によれば、十六日朝五時ごろ、高輪ハイツ三〇一号室に、鉄パイプ、まさかりなどを持った七、八人の男が乱入し、同室内で寝ていた四人の頭、顔などをめった打ちにして逃走した。このうち二人が両手、両足をまさかりでなぐられ重傷、一人が軽傷を負った。また同日同時刻ごろ、墨田区菅民マンション六〇四号室に鉄パイプなどを持った七、八人の男が乱入、寝ていた六人を鉄パイプでなぐりつけたあと、電話線を切断して逃走した。このため、寝ていた二人が重傷、四人が軽傷を負った。襲撃グループは侵入の際、付近の電柱四本の電話線を切断、このため二千四百回線が不通になり、回復には二日かかる、とあります。いずれもきのうの夕刊でございます。
 彼らは攻撃目標に対する徹底した調査を行ない、綿密な計画を練って相手の住居を襲撃、街頭で待ち伏せ急襲するなど、悪化の一途をたどっております。使用する凶器も、鉄パイプ、バール、まさかり、とびぐち、かけやなど、相手を殺傷するための武器が目立ち、攻撃方法も、全身を乱打、特に後頭部をねらうなど、相手を平然と殺してしまう残虐きわまりない始末であります。これはもう内ゲバではない、戦争であります。
 新左翼の二大組織たる中核派と核マル派の組織をかけた血みどろの戦いは、すでに死者十数名、廃人同様の植物人間と化した若者、不具者、発狂者、自殺者の数は軽く百人をこえ、史上最も凄惨にして血みどろの抗争が、学校の内外できょうも続いていることに目をおおってはなりません。(拍手)彼らは、戦争ごっこによる組織の示威運動から死者が出るのもやむを得ないというぐあいにエスカレートし、ついには人を殺すことは必要なことだ、いいことだとさえ叫んでいるのであります。しかも、それが神聖なるべき学校を中心に繰り返されているようであります。学校は決して治外法権ではないはずであり、一般社会以上に神聖であるべき学園が、暴力事件の本拠につながっていることに驚きを禁じ得ません。
 政府は、この爆弾事件及び学生の内ゲバ事件にどう対処されるのか、その決意のほどを伺いたい。(拍手)
 最後に私は、アメリカ海軍元艦長ラロック氏の証言によって、日本に核持ち込みを暗示した問題についてお尋ねをしなければなりません。
 彼、ラロック氏の言によれば、私の乗っていたプロビデンスにしても、日本周辺にいる第七艦隊のオクラホマシティーにしても、明らかに核を積載する能力を持っており、そのような船が外国の港に入るとき、一々核兵器を取りはずして入港するなどということは、専門家としては考えられないことであると語り、日本だけが非核三原則をたてにとって核をはずせということは、船の安全上の理由からしてたいへんなことだといわなければなりません。
 なぜなれば、もし米国の艦船が日本の港に入る前に核を取りはずさねばならぬとすれば、食糧や燃料を積みかえる場合と異なり、まかり間違うと広島がもう一つ吹っ飛んでしまうような大惨事になりかねません。積みかえの際の事故が過去にももちろんありました。私のあとでプロビデンス号の艦長となり、第七艦隊の副司令官までつとめたレンプラント・ロビンソン提督は、五年前、ベトナム沖でこの積みかえ作戦に従事していた際死亡しましたと彼は語っております。核兵器積載の米軍艦が日本寄港の際、一々核弾頭をはずすための積みかえが危険な作業であり、それはできない相談だと、核持ち込みを暗示しております。
 核持ち込みの問題は、ラロック氏のみならず、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど、アメリカの新聞が相次いでその事実を指摘しており、核の神話のベールを一枚一枚はぎ取りつつあり、そのたびに危険な真相が明るみにさらけ出されつつあります。このとき、正直を誓われた三木総理の御答弁が、アメリカ政府が日本に約束していることをもって、日本外交の中心に置きたいとのきのうの御答弁は、三木さんにしてはあまりにも歯切れが悪過ぎるではありませんか。
 先月十九日、アメリカのフォード大統領来日の際、民社党春日委員長は、同大統領に対して、ラロック証言をめぐる米国の核持ち込みに対する日本国民の疑惑を一掃するため、この際フォード大統領が日本の非核三原則を尊重し、事前協議によって日本の承認がある場合のほかは、核兵器を一切持ち込まない旨を明らかにされたい、そのことは、核通過にあたっても同様であることを明らかにされたいとの質問をいたしました。大統領は、日本国民の核に対する国民感情をよく理解した、よって、日本国民の疑惑を解消するよう努力する、核の通過問題についても同様であるとの回答を得ました。したがって、三木総理は、積極的に両国政府間で疑惑解明のための処理を明らかにする義務があると信じますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 それとともに、被爆者に対しまして、一刻も早く被爆者援護法を制定しなければなりません。核に対する不信から日米間にあらぬ疑惑を生み、摩擦を増大させていることは、日米の友好と親善にとって決して好ましいことではありません。
 その意味からも、私ども民社党は、その土台に横たわる日米安保条約について再検討を行ない、米軍基地を撤去せしめるための駐留なき安保条約に改定することが、いまこそ必要なときがやってきたと信じております。
 三木総理の所信のほどをただして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 塚本君の党の立場を越えて、この難局に、国家、国民のために、協力するものは協力するという公正な態度に敬意を表します。
 私の所信表明について、総論はおおむね賛成である、問題は実行についての決意であるということでございますが、私はこういうことを申しておるわけです。約束したことは必ず実行する、実行できないことは約束しないということを私は申しておるわけでございますから、どうかこのことは、私がこれから申し、いままでここで申しましたことについては、実行する決意であるということを申し上げておくわけでございます。
 また、田中前総理の金脈問題のあと始末ということでございましたが、この金脈問題というのは、田中氏の個人に関連する問題でございますから、やはり一番知っておるものは本人である、本人が詳細にこの事態を明らかにして、国民の疑惑にこたえたいというわけでございますから、これは、われわれとしては、田中氏が一日も早くそういう形において、国民の疑惑にこたえられることを望んでおるわけでございます。
 また、国会がみずからの国会の機能でいろいろ調査をされるということに対しては、政府は、現在の法律の中において許される範囲内において協力をすることはもう申すまでもないことでございます。われわれとしても、こういう問題が一日も早く疑惑が解明をされて、むしろこういう問題を、政治に対する、いろいろな点でわれわれとしても教訓として受けとめて、われわれはわれわれの党の体質改善についても、今後積極的に取り組んでいきたい所存でございます。
 また、独禁法の改正でございますが、これはしばしば申し上げますごとく、私どもは自由経済体制が経済の運営にはよろしい、こういう立場から、自由経済を維持していくためからも、やはりルールが要る。ルールなしの自由経済ということは、今日ではもはや通用しない。そのためには、独禁法というものは、重要なルールの一つの要素である。通常国会にはぜひとも独禁法の改正を行ないたいということでございます。これはいま塚本君は、公取委員会に対する告発を消費者サイドから請求することのできるようなことにする考えはないかということでございまして、このこともまた一つの建設的な御意見だと思いますが、とにかく、政府としても問題の重要性にかんがみて、懇談会を設けて、片寄った人たちではなくして、国民各層の意見を反映するような懇談会にして、オープンで国民の前に独禁法の問題をいろいろと討議してもらいたいと思っておりますので、こういう御意見なども参考にしながら政府は原案をつくり、通常国会においてはぜひともこれを提案したいと考えております。
 また、不況の深刻化に伴って、諸外国よりも、失業率が一・三というのですから、率は少ないけれども、しかし、失業というものは大問題でございますから、この問題は、雇用保険法なども皆さんの御審議をいただいて、早期に成立をさすことが好ましいと考えて、御協力をお願いしたいわけでございます。
 特に、御指摘になった公共企業体における労使間の乱れ、国鉄とか郵便とかいうものに対しては、まことにこれは遺憾なことでございまして、いまいろいろ御指摘になった非常な秩序の乱れというものは、確かに御指摘のとおりでございます。こういう事業の公共性にかんがみ、また、国民にも多大の迷惑をかけるわけでありますから、一日も早く労使間の紛争というものが平和裏に解決をされる方法というものは、われわれとしてもこれは探求をせなければならぬわけで、その一つの大きな問題として労働基本権というものがあるわけでございまして、内閣は、いま内閣の中に関係閣僚協議会を開いて、三公社五現業の経営形態というものに対していろいろ検討を加えておる。塚本君はこれに対して、ある歯どめをして争議権を与えるという御意見でございます一貴重な御意見だと思いますが、とにかく、政府としても五十年度中にはこの問題に結論を出したい。このこともまたいろいろな労使間の正常化には問題の点でございますから、正常化には一つの役立ち得るものと思います。とにかくこの際労使間の関係というものを正常化するために、最善の努力を払っていく所存でございます。
 また、相次ぐ爆発事件で、国民の怒り、不安というものは非常に高まっていることはお説のとおりでございます。これについては、やはり爆発物の使用、こういうものをなるべく未然に防止することが一番よろしいのですけれども、容易ならぬ回もございますが、極力未然に防止して、その被告の拡大というものを防ぐ。最近はいろいろ新しいそういう被害の拡大を防ぐような装備といいますか、そういうものも発明されておるものがあるようで、できるだけそういう発明されておる効果のあがるものは取り入れて、被害の拡大を防止する、あるいはまた、犯人の検挙というものを急いでやる、こういうことで、一日も早くこういうことからくる国民の不安の解消ということに努力をいたしたい。とにかく治安、社会秩序を維持するということは、これは政府の大きな、重大な責任の一つでありますから、われわれとしても、これは今後とも非常に重要な課題として努力をいたしたいと考えております。
 次に、銀行法の改正に触れられましたが、十一月十四日の金融制度調査会の答申に基づいて、大口融資については規制を行なうということになっております。まあこの問題は、将来の課題だと思います。
 次に、核の持ち込みに関する国民の疑惑を解明せよというお話であって、われわれとしても、この核の問題というものは、実際、日米間に核の問題で疑惑があるということは、日米間のためにも不幸なことでございますので、アメリカ政府にもこのことに対しては、核に対する日本国民の懸念ということはしばしば言っておるわけでありますして、アメリカ自身も、これはよく承知しておるわけでございます。ラロック証言の場合も、米国政府のほうから、日本国民の意思に反したような行動はしない、また、日本国民の核に対する特殊な感情はよく理解しているということを言ってまいりましたし、フォード大統領が来日したときも、そういうことを、安保条約を誠実に守るということを確認したわけでございまして、われわれとしては、友好国の政府がこれだけ繰り返し言うことに対して、信用をするという立場をとることは当然でございますが、国民の疑惑というものに対しては、できるだけこれを解明する道を講じていく、こういうことで、日米の間の関係に対して非常に悪い影響を与えることを防いでいかなければならぬと考えております。
 塚本君の言われる、民社党が従来とも御提案になっておる、安保条約に対する駐留なき安保条約という考え方は、一つのお考え方ではありましょうが、政府としては、そういうふうなことを採用する考えは持っておりません。
 お答えをいたした次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 物価政策に対する御提案といたしまして、公共料金を据え置くべしという御提案でございます。
 政府といたしましても、従来とも公共料金を極力抑制してまいりまして、一般の物価、料金の水準よりも、いずれも低目に押えてまいりましたことは御案内のとおりでございますし、今後もそういう方針を貫いてまいるつもりでございます。ただ、公共料金といえども、あまりコストの実態から乖離いたしますと、あとでいやしがたい後遺症を残すことを憂えるものでございまするし、これに伴いまして、資金操作その他いろいろなくふうをしなければならないわけでございまするので、来年度の問題につきましては、予算編成の段階におきまして、とくと検討の上、慎重に対処したいと考えております。
 それから、銀行法の改正につきまして、いま、総理からもお話がございましたが、前の通常国会で本院で取り上げられました銀行の大口融資の規制問題でございます。これは国会が終わりまして早々、金融制度調査会に諮問いたしまして、いま総理が仰せになりましたように、十一月十四日、御答申を得たわけでございます。この御答申の趣旨は、銀行の融資は、一企業者に対する融資の合計額は、当該銀行の自己資本の二〇%をこえてはならないということを原則にすべしということでございます。しかし、これを実際実行するにつきましては、五カ年くらいの経過期間を置くべきであるということを骨子とした答申でございます。政府としてはこの答申を受けまして、いま銀行局長の通達を用意しつつあるわけでございまして、銀行法の改正を待つまでもなく、すみやかに実行に移したいと考えております。
 その次に、備蓄制度でございますが、在庫が急激にふえまして、これを公的資金によって備蓄をしておくことが、不況対策としても賢明な策ではないかという御趣旨の御提案でございますが、私といたしましては、制度として備蓄を行なう意図はございません。ただ、中小企業等に対する金融の疎通を鋭意はかりまして、いま明らかに御指摘のように在庫が過剰になっておりますので、滞貨を擁しておる企業の金融につきましての配慮は怠らないつもりで考えていきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 塚本さんにお答え申し上げます。
 公共料金の据え置き論でございますが、これはいま大蔵大臣からお答えしたとおりでございます。つまり、財政論からいいますれば、これだけ賃金が上がる、また物価も上がった、こういう際でございますので、公共料金もまたこれを引き上げなければ、これは公共企業等の運営が不可能になる、そういうことでございますが、しかし、今日は物価また経済、私はこれは非常、異常の事態だと思うのです。非常、異常の事態に対しましては、非常、異常な考え方をしてもいいんじゃないか、そういうふうに思うのです。
 そういうような立場から、五十年度の予算の編成ともからみながら、いま各省において公共料金の引き上げについていろいろ検討しておる、それが新聞にずらっとこう出ておるのです。ああいうようなものを見まして、これはそう安易な考え方はできないな、こういうような考え方でございます。そういうような気持ちをもちまして、予算の編成ともからみ、いままでの作業は作業として各省でやっておりまするけれども、全部白紙な立場で再検討する、そういうような気持ちでございます。
 それで十分御理解がいただけたんじゃないか、さように考えます。(拍手)
  〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど、中小企業の現状の分析についてお話がございました。私どもも、現場からの報告であるとか、あるいは数字の分析等を通じまして、事は非常に重大である、憂慮すべき状態である、こういうことを認識いたしております。現状についての認識は、塚本さんのお話と全く同様でございます。
 そこで、お話といたしまして、金融ももちろん当面の問題として大切であるが、仕事がなくて困っておるではないか、であるから、住宅を思い切ってやったらどうか、こういう御提案でございますが、このことにつきましては、政府部内におきまして関係閣僚が積極的にいま検討をいたしておるところでございます。近く具体化するはずでございます。
 なお、これとともに、あわせて中小企業向けの仕事が確保できますように、いろいろと対策を考えておる次第でございます。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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○議長(前尾繁三郎君) この際、御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員南條徳男君は、去る十一月一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る十一月八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
  〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰されさきに懲罰委員長災害地対策特別委員長の要職につきまたしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等南條徳男君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
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○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時四十七分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣 福田  一君
        国 務 大 臣 井出一太郎君
        国 務 大 臣 植木 光教君
        国 務 大 臣 小沢 辰男君
        国 務 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 佐々木義武君
        国 務 大 臣 坂田 道太君
        国 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 松澤 雄藏君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        外務省条約局長 松永 信雄君
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