第075回国会 地方行政委員会 第25号
昭和五十年六月十七日(火曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 大西 正男君
   理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君
   理事 島田 安夫君 理事 高鳥  修君
   理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君
   理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君
      伊能繁次郎君    古屋  亨君
      井岡 大治君    岩垂寿喜男君
      細谷 治嘉君    山田 芳治君
      和田 貞夫君    多田 光雄君
      林  百郎君    小川新一郎君
      折小野良一君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        警察庁長官   浅沼清太郎君
        警察庁警備局長 三井  脩君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
        自治政務次官  左藤  恵君
        消防庁長官  佐々木喜久治君
        消防庁次長   森岡  敞君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房人事課長   山地  進君
        行政管理庁行政
        監察局監察官  長野 正明君
        防衛施設庁総務
        部施設調査官  杉森 一秀君
        防衛施設庁施設
        部連絡調整官  秋山 房夫君
        厚生省薬務局安
        全課長     代田久米雄君
        厚生省薬務局監
        視指導課長   花輪 隆昭君
        運輸省船舶局検
        査測度課長   辻  栄一君
        海上保安庁警備
        救難監     船谷 近夫君
        建設省都市局都
        市政策課長   豊蔵  一君
        建設省都市局公
        園緑地課長   三好 勝彦君
        地方行政委員会
        調査室長    日原 正雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十七日
 辞任         補欠選任
  小川 省吾君     和田 貞夫君
同日
 辞任         補欠選任
  和田 貞夫君     小川 省吾君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 石油コンビナート等災害防止法案(内閣提出第
 六六号)
 警察に関する件(三木内閣総理大臣に対する暴
 行事件)
     ――――◇―――――
○大西委員長 これより会議を開きます。
 警察に関する件について調査を進めます。
 この際、昨十六日発生した右翼による三木総理暴行事件について、警察庁当局から説明を求めます。浅沼警察庁長官。
○浅沼政府委員 昨日、右翼による三木総理暴行事件が発生をいたしましたので、御報告を申し上げます。
 昨六月十六日、都内千代田区北の丸公園、日本武道館で執行されました佐藤榮作元総理の国民葬儀に、葬儀委員長として出席中の三木総理大臣に対し、大日本愛国党員による公務執行妨害並びに銃砲刀剣類所持等取締法違反事件が発生いたしました。警備、警護の万全を期しておりましたにかかわらず、かかる不祥事件の発生を見ましたことは、責任者といたしましてまことに申しわけなく存ずる次第でございます。今後十分に検討をいたしまして、再びこの種の事件が発生しないように十分な対策を考えたい、このように考えます。
 以下、その概要を申し上げます。
 被疑者は、大日本愛国党員筆保泰禎、昭和十五年十月二十五日生まれ、三十四歳でございます。経歴は、筆保は、岡山県の津山市に生まれまして、津山工業高等学校を卒業後、昭和三十四年三月二十五日に航空自衛隊に入隊、三十七年三月二十四日に空士長で除隊をいたしまして、直ちに大日本愛国党に入党、以後本部党員として活動しております。現在、書記長兼青年隊長の職にありまして、赤尾総裁に次ぐ愛国党内の実力者でありまして、現在までに暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、公務執行妨害罪、道路交通法違反等で八十一回の検挙歴を持つ者であります。
 逮捕の罪名は、公務執行妨害罪、これは三木総理が国民葬儀委員長として公務の執行をされておりましたのを暴行により妨害した罪であります。及び銃砲刀剣類所持等取締法違反、登山ナイフを携帯いたしておりました件であります。
 事案の概要でございますが、六月十六日午後一時五十三分ごろ、三木総理が御遺骨を出迎えますために日本武道館正面玄関の歩道近くに立っておられましたところ、筆保が報道陣の後から、核防条約批准阻止を目的として「核防条約批准反対」と叫びながら飛び出し、総理の背後から正面に回りまして、右の手をもって総理の顔面を殴打し、その場で直ちに警察官に取り押さえられたわけであります。
 筆保は総理あての勧告書のほかに、刃渡り十四・五センチメートルの登山ナイフを所持しておりましたので、国民葬儀執行中の総理の公務を暴行により妨害した罪及び銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で現行犯逮捕をいたしました。
 当日の警視庁の警戒、警護の状況でございますが、警視庁では、この国民葬に伴います警衛、警護及び警備を実施いたしますために、日本武道館横に第一方面警備本部を設置いたしました。警察官千四百二十一名を武道館の外周、会場内及び沿道に配置し、警戒に当たっておりました。事件の発生時には武道館の西口玄関前に二十三名が警戒に当たっておりましたが、被疑者が弔間者と同じ黒服、黒ネクタイを着用しておりましたので、その飛び出しに気がつかなかったということであります。
 対策でございますが、このような警備、警戒体制の中で今回のような事案が発生いたしましたことについては、警護、警戒体制に徹底した検討を加えまして、また警戒心を旺盛にするほか、右翼虞犯者に対する視察の一層の徹底を図るなど、この種事案の未然防止に万全を期しますよう直ちに全国警察に指示をいたした次第でございます。
○大西委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 ただいま報告を受けました昨日の総理に対する暴行について、若干の点について質問をいたしたいと存じます。
 警察庁が、最近、例の爆弾事件の捜査に非常に大きな苦心の結果、りっぱに目的を達せられて犯人を検挙せられたことに対して、国民はひとしく喝采を送り、そして日本警察は高く評価を受けておったところへ、きのうのような大変お粗末な事件、しかももし過ったら重大な結果を招いたであろうと思われるような大きな事件が起こったことについて、私は深く遺憾に思う次第であります。ただいま長官から昨日の警備について、いろいろその計画等のお話を承ったのでありますが、若干納得のいかぬ点について質問をいたしたいと存じます。
 まず最初に、この大日本愛国党というのは札つきのいわゆる右翼の党であります。そうして、これがことに核防問題について非常に活発な反対運動を起こしておったことは衆人の知っておるところであります。したがって、これは警察の方においても十分その点は承知をして、これらの対策について警備の万全を期しておられたと思います。ことにこの間から国会の周囲をボリュームいっぱいに上げた拡声機でがなり立てて、核防の反対運動をやっておる。これに対して、国会の側においても、各党からもいろいろな意見があり、これはああいうことのないようにぜひ取り締まってほしい、こういうふうに要望があり、警察庁長官も十分注意をしますということで返事をしておられたのであります。それについて、ことに核防条約の強い推進役であると彼らが見ておる総理に対する態度というものは、これは警察の方でも十分あらかじめ納得いくはずであります。そうすれば、昨日の問題を前に置いても、この大日本愛国党に対して厳しい目を光らせておらなければならぬはずであると思います。
 こういうことに対して、警備局長にお伺いしたいのですが、あらかじめいかなる態度でこれらの右翼団体、特にこの愛国党に対して警備を重点的にやっておられたか、そういう点について私は伺いたいと思います。
○三井政府委員 各種の右翼団体の中でも愛国党は、いままでにも愛国党自身もしくは過去に愛国党と関係のあった人たちがいろいろの事件を起こしておるわけでございます。ことに最近の場合には、ただいまお話のございました核防条約を中心として街頭宣伝その他格別に活発に行動しておる、こういうことでございますので、今回の国民葬に当たりましても、他の右翼団体とは異なりまして、愛国党員の一人一人についてこれを厳重に視察をして、われわれの視野の中に入れて不穏行動に出ないようにということで対処してまいりました。
 当日も、愛国党の本部が大塚警察署管内にありますが、ここを早朝から監視いたしまして、彼らがマイクロバスに乗って出たというのを追尾してこれの動向を見ておったわけでありますが、愛国党本部を出るときに、愛国党員の中でも特に問題のこの被疑者筆保の顔が見えない、まだ彼は出ないので愛国党本部の中にいるのじゃないかということで見ておりましたが、依然として出ないので、あるいはわれわれの警戒のすきをついてもっと早く出たのじゃないかということで、筆保が愛国党本部を出ない、行方不明であるということを警戒員に無線等によりまして指示をいたしまして、これを見ておったわけでございます。
 本人は、警戒員が配置につくずっと以前の早朝にひそかに党本部を出まして、紙袋に礼装用の黒い服、黒いネクタイを入れて、地下鉄で何回も時間つぶしをし、さらに大丸百貨店の便所に行ってこれを着込んで、それから一時前に竹橋を経過をいたしまして、竹橋からタクシーで来たわけでございますが、その際に配置についておりました警察官がタクシーをとめて、きょうは国民葬儀があるからということでチェックをしたわけでありますが、私は礼服を着ておりましてこれから葬儀に参列するのだということを言いましたので、一般の警察官は全部が筆保の顔を知っておるというわけにはまいりませんので、葬儀関係者ということでそこは通過させました。その後彼が一時ごろ会場の正面玄関前の受付の付近、報道陣の後ろにおってすきをうかがっておったということでございます。ただいま長官から報告いたしましたように、事件当時警察官二十三名、その前はもう少し少ないわけでありますが、総理の直近警備に当たっておる数名も加えまして二十三名が、事件当時そこにおったわけでありますので、これが、筆保が行方不明であるという情報も流しておりますので、もう少し警戒心を旺盛に発揮すれば、あるいは防げたのではないかと思って、くれぐれも残念であるというように考えておるわけでございます。
○片岡委員 ただいまの説明を聞きまして、いよいよどうも警察の方は少しぼんやりし過ぎておったと思うのです。それはただいま伺いますと、事前に本人がいない、そしてそれに特に注目をしてどこへ行ったかということを捜しておる、そういう状態において警備の現場でそれがどうして発見できなかったのか。また、跡をつけてどこへ行ったかということの追跡が非常に不十分であった。だからその追跡をどうして途中で断念したのか。それがまた現場へどう結びついておったのか。そういう点について私はやはり警備の係として十分な注意を払っていなかったというふうに思うのですが、筆保がそういう不穏な行動に出ようとしておったという情報は何かあらかじめあったのかなかったのか、そしてその追跡がどうして途中で切れたのか、その点わかっておったら説明してください。
○三井政府委員 ただいま申しましたように、愛国党本部をマイクロバスで出た愛国党員の一団は追尾いたしました。この中には筆保の顔が見えない。したがってこれに乗っておらない。つまりまだ愛国党本部におるのか、あるいはそのマイクロバスが出る以前に彼がすでに愛国党本部を出てしまったのか、この二つの可能性を考えまして、さらによく注意をいたしましたところ、愛国党本部にもおらないようである。そこでこれはわれわれの視線に入る以前に出てしまっておる、こういう判断の上に立ちまして、全警戒員に筆保は行方不明、われわれは把握しておらない、したがって不穏行動に出るおそれありということで注意を喚起したわけでございます。
○片岡委員 注意を喚起せられたことは当然のことですが、それなら私は今度現場の警備についてお話を伺いたいのですが、当日は国民葬ですから国民一般が心からお弔いしお送りする、こういう気持ちでありますから、それを警察が中に入って国民の誠意を邪魔するようなことをしてはいけないことはこれは当然のことで、その点大変警備はむずかしいだろうと私は思います。土田総監も、こういうときの警備はあるがごとくなきがごとく、しかも八方にらみでどんなことが起こってもそれに対処できるような態勢におらなければならぬ。そういう点を特にここで述べておることが新聞に載っておりますが、それだけに、筆保はいない、そしてどうもおかしいということなら、現場に筆保の顔が見えないか――もう八十一回も検挙されてこの係の人はよく知っておると思うのです。当然そういう顔をよく知った者が、筆保の顔は見えないか、また見えたとしたら、いままで暴行その他で非常に札つきの男であるということがわかっておるのでありますから、その一挙手一投足に当然注目をして万全な構えをすべきであったと私は思いますが、二十三人の警護員がおりながらどうもその行動が事前につかめなかった。そしてそれは突然出たのでありましょうか。何かもさもさしておったと思うのです。そういう者を事前に見て察知してそうして警戒すべきであったと思いますが、どうも人数だけは警護員は二十三人おったけれども、さっぱり節穴ばかりおったということに、国民はやはり一つの憤激を感ずると思うのでありますが、その点どういうふうに答えられますか。
○三井政府委員 お説のとおりでございまして、筆保がいなくなった、そうすると武道館に来るということを警戒しなければいかぬ。なるほど警戒しておりましたが、どうも重点は、武道館の中に入って多くの警護対象者がおられるわけですから、その辺に注意が行き過ぎたのではないか。その中で総理は一人で出てこられる。警護対象者の中から総理は一人で出てこられる。その辺のことを十分考慮に入れて、総理が出てこられたその時間に周辺に危険がないか、筆保はいないかという点について、もっとよく検索をする、発見するということの努力が足りなかったのではないかと思いますが、筆保の顔さえ発見すれば、彼の平素の言動から、いまお話しのように、説得をいたしまして、何のために来たのだ、こう言えば、おそらく佐藤元総理の葬儀の参列というのはいわば仮装であって、他の違法の目的を持っておったということになりましょうから、これは直ちに隔離する、あるいは内容によっては検挙する。刃物を持っておったわけでありますから、発見さえすれば刃物を持っておるということも職務質問によって発見できて、銃刀法違反の現行犯で逮捕できたもの、こういうふうに思うわけでありますが、何分にも総理の出てこられたその時間帯における状況把握という点に手抜かりがあったものというように考えて、はなはだ残念であると思う次第でございます。
○片岡委員 もう時間がないようでありますので、最後に一つだけお伺いいたしますが、まだ私はいろいろ納得のいかぬところがたくさんあるのですが、結果から見て大事に至らなかったということはまことに結構なことだったと思います。これがもし本人に殺意があり、あるいはまた傷害の意思があったとしたら、これは相当大ごとになったであろうというふうに思いますときに、前からいろいろこういう事件があったことを考えまして、非常に戦慄を覚えるのであります。
 そこで、起こった以上、この警備について国民は警察に対する責任を追及する感情を持っておると思います。私は、そういう意味で長官はこの事件に対していかなる責任を感じておられ、またこれについていかなる責任追及の措置をとられようとしておるか、まだ決心がついておらぬかもしれませんが、いま考えておられることを伺いたいと思います。それで私の質問を終わります。
○浅沼政府委員 先ほど御報告いたしましたように、私どもとしては警備の責任を全うできなかったことに対し、責任を感じておるところでございます。事件の真相を早急に究明いたしまして、警備の問題点がどこにあったかというような点を明らかにいたしました上で、責任の所在を明確にし、適切な措置をとりたい、このように考えております。
○片岡委員 終わります。
○大西委員長 山本弥之助君。
○山本(弥)委員 ただいま片岡さんから御質問がありましたように、昨日の筆保の暴行事件につきましては、私ども全く遺憾に存じておるわけでありますが、どうも右翼に対する取り締まりといいますか、しかもいまの核防条約だとか、あるいはそれらに関連いたしまして首相官邸周辺における愛国党の宣言カーの無軌道ぶり等につきましては、十分警察としては警戒をしておったと思うのでありますが、宣伝カーが出動した後の最高幹部である筆保の行動といいますか、その把握が十分でなかったということは警備局長からのお話もあったわけであります。しかも会場における総理の身辺の、どういうときに警備をすべきであるかという身辺警備につきましては、私は限られておると思うのでありますが、ことに正面玄関に遺骨を出迎えるという時期は非常に身辺警護は手薄になると思うのであります。その事前においても、会場に向かうであろうということを把握しながら、筆保の所在を確かめ得なかったということにも私は手落ちがあると思うのであります。かつて愛国党の事件というのは、古くは淺沼わが党の委員長刺殺事件あるいはミコヤン・ソ連副首相殺人予備事件だとかあるいはグロムイコ・ソ連外相の爆竹事件とか、皆この愛国党の一連の動きによって起こされておるし、しかもわが党の成田委員長の刺殺未遂事件等にも関連をしておったと思うのでありますが、それらのことを十分把握しながら、肝心な場所における、警備が手薄になることが想定されるような時期の警護、このことに手落ちがあったということはまことに遺憾でありますが、ああいうときの機動的な警備員の行動というものは、局長どういうふうにお考えになっておりますか。未然に防止できないような情勢だったのでしょうか、どうでしょうか。どういうふうな事後判断をしておられますか。
○三井政府委員 総理が五十三分ごろあの位置に立たれたわけでありますが、あのときには周辺に自衛隊の儀仗隊あるいはカメラマン等がおりまして、比較的整然として儀式的な形でありますから他に不穏な行動をする人間は目立ちやすい、こういう状況でありました。そのかわり警護員が無用に動くとこれはまたその場の空気を乱す、こういうこともあるわけでありますが、私が考えますには、何よりも総理がそこにお立ちになる直前の状態において、不穏な人間、不審な人間はいないかということを、そこに配置になった警察官は十分にこれを見て歩かなければならぬ、視察しなければいかぬと思うわけであります。筆保の顔を知らない人が見れば、一般の葬儀関係者と同じ服装でありますから、これはなかなか発見がしにくいということもあると思いますけれども、しかし筆保の顔を知っておる係員もおる、こういうことでありますので、その辺の注意がもっぱら武道館の中における多数の警護すべき人たちのことに頭が行き過ぎて、あるいは筆保を何としても武道館の建物に入れるところでは取り押さえなければいかぬということの方に注意が行き過ぎて、総理が一人出てこられた御遺骨出迎えの儀式といいますか、この辺に対する配慮、注意が少し緩慢になったのではなかろうかというように考えて、大変申しわけないと思っておるわけでございます。
○山本(弥)委員 新聞記者、報道関係者の背後から出ていって総理の正面から暴力をふるったというふうに新聞報道されておるわけでありますが、とっさの出来事であるとは言いながら、その間に、やはりそういう緊張した場面でありますので相当の時間的な余裕もあったと思われるし、そうなりますと、新聞記者の背後の関係の方の警護員の関係あるいは総理の左右の関係、十分阻止し得る態勢にあったように思います、事後の新聞記事によっての判断でございますが。その辺が、何といいますか、対処できなかったというような印象を深くするわけですが、これは局長、その辺はどうなんでしょうか。そこまで暴力を、二回も殴り倒すというようなこと、事前に取り押さえることが可能だったような印象を新聞記事から受けるのですがね。
○三井政府委員 総理の直近の警護員は、総理から一番近い人で五メートル、これはカメラマンの列の前に立っておりました。それからカメラマンの列の一番左端に、つまり総理から遠いところに一名立っておる。それから総理の真横には総理府の参事官が立って総理に遺骨出迎えのやり方を説明をしております。それからその前、音楽隊の前に警護員が立っておりますが、これは総理から七メートルぐらい離れておるわけであります。被疑者はカメラマンの後ろのところから、葬儀の関係者が総理に何か物を言うような、連絡をするようなスタイルでどうも動き出した、こういうようなことでありまして、五メートルないし七メートル離れております警護員が、総理の方に近づいてくる筆保を認めたなら、これは何事かといってそばに近寄ったと思いますけれども、何分総理が見ておられる視線の方向に顔が向いておったようでありまして、どうも総理の背後から、斜め左の方から近づくことの視認、現認がおくれたというところが問題だと思います。したがいまして、筆保、被疑者が総理のところに左後ろから近づいて、そして前へ回り込むわけでありますけれども、これは走っておりますから、走った勢いで回り込んだというようなかっこうでありまして、わざわざ特に回り込むというようなことでもないようでありまして、筆保が調べの中で言っておりますのも、総理に勧告書を渡そうというねらいで走り出したけれども、多少勢い余って前へ回り込んだ、総理の顔を見たら殴るという気になったというふうなことを言っておりますけれども、いずれにいたしましても、警戒員というのはそれぞれ違った方向を向いて、皆が同じ方向を向いているというようなことで注意力の盲点を生じないようにするのが身辺警護員の基礎的心構えでありますので、この辺についてのいわば油断と申しますか、これについてはさらに十分な注意力の喚起等を図りたいと思うわけでございます。
○山本(弥)委員 いずれまた御質問する機会もあろうかと思うのでありますが、全く盲点をつかれたということだけでは済まされないような感じがいたしますので、今後とも十分注意を願いたいと思うのであります。それにいたしましても、今後の愛国党の行動につきましては、最高幹部の一人でもあるということでもあるし、背後関係がないとか殺意がなかったとかいうようなことでは済まされないような印象を私受けるものですから、今後愛国党の動向につきましては、十分取り調べもし今後の参考にしてもらわなければならぬと思うのであります。
 それにいたしましても、犯人が自衛隊の出身であるということは非常に重要な問題だと思いますが、これは警察にお聞きしても管轄違いであるわけでありますが、自衛隊員の在隊中の教育の問題等も私は非常に欠陥があるのではないかというような印象を受けるわけでありますが、その辺の、やめられた方のこういう党に入党した者の調査といいますか、これは手落ちのないような調査を今後十分進めて、こういった不祥事件が起きないような態勢をとっていただかなければならぬと思いますので、その点十分警察としても気をつけておいていただきたいと考えるわけであります。
 いずれまたその他の重要な案件につきましての、爆破事件等につきましてもお聞きしなければなりませんので、いずれ日を改めて御質問する機会もあろうかと思いますが、幾つか重要な人物に対する前歴といいますか、過去の事例がある上にこういう事例を積み重ねていくということは今後絶対に避けていただかなければならぬ、かように考えていますので、十分善処を願いますように強く要望いたしまして、一応質問を終わります。
○大西委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は、時間の関係上、四点ほどにしぼって質問したいと思います。
 国民が今度の事件を見てはなはだ警察の警護の点で疑問を持ちますのは、犯人の筆保というのは、社会党の淺沼委員長の暗殺事件その他を起こした狂暴な前歴をもっておる大日本愛国党の書記長であって、本人自身も暴力行為などで検挙歴六十一回とかいう男でありますが、これをなぜ発見できなかったかという点であります。これは愛国党の本部を出るか出ないかの前に、彼の宿舎があるわけなんですから、マン・ツー・マンで、これはもう当然こういうときには警護の対象にしなければならないわけですが、何か筆保が早起きをしたので見失ったというようなことも新聞に書いてあるわけなんですが、どうしてこれを、少なくとも前日あたりから、あるいはその日の早朝からマークできなかったのですか。その点が第一点。
○三井政府委員 筆保は愛国党本部に寝泊りしておりますのでこれを見ておったわけでございますが、当日視察を開始いたしましたのが午前八時でございました。その後、十時過ぎにマイクロバスに乗って他の隊員が数人出ていったのは現認をし、かつこれを追尾したわけで、その中に筆保がいないということで警戒を強化する、注意を喚起するという措置をとったわけでありますが、調べによりますと、筆保は実は六時過ぎにもう出ておったということであります。したがいまして、結果論から申しますと、彼が出るもっと前に視察をするということもやり方としてはあるわけでありますが、また六時でありますと、われわれが前の晩に出かけることもあるということで、当日出るところは発見できなかった。しかし葬儀でありますので、葬儀の現場でいわば受けて、この辺で発見をするというところに重点を置いたと思いますが、この辺のところがただいま申しましたような手抜かりがあったと申しますか、十分徹底をしなかったということで申しわけないと思うわけでございます。
○林(百)委員 申しわけないで済むわけじゃないんで、六時ごろ出るとするならば、当日、もし本当に愛国党が危険な右翼行動隊の組織だということならば、その筆保の出てくるころにはそこを警備してしかるべきじゃないですか。そうして顔見知りの刑事だっているはずなんですから、彼が一人で出ていったとすればなお不思議じゃないですか。当然私は追跡できたと思うのです。しかも検挙経歴六十一回ですか、そんな経歴を持った男が六時ごろ出ていくのに、警察はのこのこ出していって、そして混雑する国民葬のその中で見つけてそのように特別な警戒をしようなんという考え方は、これは警察の考え方が甘いと思うのです。
 第二の問題は、そのことに見られるように、右翼に対して警察が非常に甘いのではないかという点ですね、今後どういう態度をとるのか。たとえば現にこれまで右翼によって起こされた戦後の事件を見ますと、岸首相の刺傷事件があります。社会党の淺沼委員長の刺殺事件がございます。河上丈太郎社会党委員長の刺傷事件があります。ライシャワー駐日米大使刺傷事件があります。これはいずれも防止されずにそのまま既遂になっている。未然に防げたのは池田首相の福島遊説の際だとされている。共産党の宮本委員長も熊本空港で暗殺未遂事件の危険に瀕しられた。
 こういう点を見ますと、今度の場合も、先ほどの同僚議員の質問にもありますように、もし犯人が本当に三木首相を殺そうと思えば殺せる状態なんですね、刃物もちゃんと持っているわけですから。こういうことが行われるということは、これは何としても警察が右翼に対して非常に甘さがあるということだと思うのですよ。したがって、今後警察は右翼に対してどういう態度をとるか、これは警察の基本的な姿勢の問題だと思うのです。左の方のことについては、よく浅沼警察庁長官がいろいろ言っておることをわれわれは聞いておりますけれども、右翼に対して警察がもっと峻厳な態度をとらないと、これは取り返しのつかないことになると思うのです。したがって、今後どういう態度をとるのか、行動右翼がどのくらいあって、それに対してこの事件を契機としてどういう態度を警察がとるか、それを具体的に説明されたいと思います。
○三井政府委員 右翼につきましては、左翼と同様に厳重な体制で視察、取り締まりに臨んでおるわけでございます。しかしながら昨日のような事件が現実に発生をいたしましたので、どこに問題があったかという点につきまして、しさいに徹底した検討を加え、その検討の上に立ちましてさらに取り締まり体制の問題について検討改善を加えていきたい、こういうふうに考えておりますが、私たちとしては、いままでも一生懸命に厳しくやってまいりました。したがいまして、それに対するどの点にどのような改善を加えるかということについて十分検討してまいりたいと考えるわけであります。
○林(百)委員 長官、私は警察の根本的な姿勢について尋ねているわけですから、長官から答弁を願いたいのですが、この機会に右翼に対してどういう態度をとるか、これは政治的にも考えなければならないのですが、赤尾敏がこの国民葬に招待をされている。もともと天皇制擁護、再軍備促進あるいは労働組合のストを敵視する、そして国会の民主的な審議を妨害するというような、こういう団体の総裁を招待するということも問題があると思いますけれども、いずれにしても、警察の態度自身からいってもこれは非常に右翼に対する甘さがある。このことが今度の事件の必然的な結果として起きてきていると思うので、これを契機にしてどういう態度を今後とるのか、行動右翼というのは、数だけでいいですからどのくらいの団体があって、どういう方針をとったのか、もうテレビではけさ放送しているのですけれども、国会ではその答弁が出ないのですか。
○浅沼政府委員 私どもは右翼であるとあるいは左翼であるということに関係なく、違法行為については絶対に看過しないという方針で従来も臨んでまいっておるわけでありますが、ただいまも御指摘のように、特に最近は核防条約の批准問題をめぐって右翼が相当に刺激をされまして、不穏な動きもあるということで、かねて要人の警護について十分な警戒をするように措置をしておりましたが、このような事件が起こりまして、なお今後これらの行動右翼を中心にこれらの違法行為を十分封じ込めるよう体制を検討いたしまして、厳重な警備措置をとりたい、このように考えております。
○林(百)委員 私の聞いているのは、厳重な措置をすでにとられて、何らかの通達を出されたのかどうか。けさのテレビでは、警察庁では厳重な措置を右翼に対してとるように通達をしたというように報道されているのに、国会の答弁では検討中検討中と食い違っているのですか。どうなんですか。団体数まで出ている。
○浅沼政府委員 昨日、いま申し上げたような趣旨で、右翼の視察、取り締まり及び警護、警備の強化徹底について指示をいたしております。また、行動右翼につきましては、現在私どもが把握をいたしておりますのは、四十団体、構成員二万一千人ということでございます。
○林(百)委員 長官も言うように、政治的な情勢が右翼を刺激するという側面があるので、この点も私、第三点として、これはできたら国家公安委員長、閣僚が来ていたらそれに聞きたいと思うのですが、ちょっと警察庁長官ではこの責任までということは無理かもしれませんが、特に注意してもらいたいと思いますのは、たとえば岸内閣による六〇年の安保条約改定のときだとか、あるいは田中内閣による小選挙区制強行のたくらみだとか、政府のいわゆる反動的な姿勢が強まるときには、それに激励されて右翼の活動が活発になるということがあるわけなんです。今回も、三木内閣の公選法の改悪だとか、あるいは稻葉法相問題、あるいは核防問題等に見られるようなこういう政治的な要因が、ことにこういう反動的な政治的な要因が右翼を刺激する、鼓舞激励する、そういうような結果となってその被害を結局政府当局者自身も受けることになる、こういうはかり知れない事態が発生してくると思うのであります。その点から言って、今日の政治情勢から右翼の蠢動が鼓舞激励されるといういろいろの要因が考えられますので、この右翼の蠢動の根を断じて断つ。これは私は右翼のことを聞いているわけですから、右翼の蠢動の根を断つということは急務だと思いますけれども、この点については警察当局としてはどういう決意でしょうか。長官にお聞きしたいと思います。
○浅沼政府委員 先ほども申し上げましたとおり、右翼の、特に虞犯性の強い右翼の違法行為につきましては、今後これを十分に警戒をいたしまして、この種の事案が再び起こらないように対策を立てたい、こういうふうに考えております。
○林(百)委員 じゃ、これで終わりますが、先ほど警察庁長官も言われましたように、私たちも、いかなる暴力も、暴力は断じて許すべきでないと思います。私たちの党の考え方は、いま考えられる暴力としては、こういう右翼等の政党幹部に対する暴力行為がある。もう一つは、無差別に市民の生命に危害を加えておる爆発物による暴力もある。これは幸いにして警察当局の努力によって事態の究明がなされておる。第三は、中核だとか革マルというような、こういうトロツキストによる暴力集団の大学の内外での暴力テロ、これがそのまま置き去りにされておる。また第四は、兵庫県の八鹿高校事件で見られるような同和問題等をめぐってのいわゆる糾弾に名をかりる集団暴力などの組織的、計画的暴力事件がある。大体この四つの範疇の暴力行為がいま厳重に取り締まられなければならない対象になっていると思うわけですね。こういうすべての暴力、これは民主主義と絶対に相入れないものであるし、政党政派を超えて、国民の協力のもとに解決していかなければならない暴力事犯だと思うわけなんですね。こういう暴力に対して、政府、司法当局はもちろんでありますが、警察当局はこれを黙認することのないように警戒を強めて、万全の措置をとることが国民の側からも要望されておると思うのです。そして国民の生命、身体、財産の安全が警察によって保障されるということが警察に期待されていると思うのですね。この点について具体的にどういう措置をとられる考えか、改めて警察庁長官の見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。長官に答弁を求めたいと思います。
○浅沼政府委員 申すまでもございませんが、民主主義社会の基盤は法と秩序であると私は考えております。したがいまして、この法と秩序を維持するために、警察の職責を誠実に果たすということがわれわれに課せられた使命であり、また国民が期待されるゆえんもそこにあるというふうに考えております。私どもはそういう気持ちで、国民の生命、財産の保護と公共の安全、秩序の維持という職責に今後とも真剣に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第であります。
○林(百)委員 簡単に一つだけ。これで済みます。
 先ほど長官が、通達を昨日出されたと言われましたが、これは各府県警本部へ出されたということですか。
○浅沼政府委員 各管区警察局長、警視総監及び各県の警察本部長あてに出したわけであります。
○林(百)委員 終わります。
○大西委員長 小川新一郎君。
○小川(新)委員 昨日の事件はまことに遺憾な事件でありまして、わが党といたしましてもこの問題については重大な関心を払っております。なかんずく、わが党の委員長である竹入委員長が日中問題のときに腹部を刺されまして、それ以来の事件だと言われておりますが、そういった中で、時間がありませんので簡単にお尋ねいたします。
 まず、行動右翼及び左翼、特に破防法の容疑団体になっていると思いますが、その行動右翼団体というものはどれぐらいあるのか。朝鮮総連はなっておるやに聞いておりますが、その辺の点についてまずお尋ねしたいと思います。
○三井政府委員 破防法の方は公安調査庁が所管しておりますので、私たちは正確なことはちょっと申し上げかねるわけでございます。いま挙げられた団体も、公安調査庁では容疑団体と見ておるということも聞いたことはありますが、しかしいろいろ情勢も変わり、あるいはそうでなくなったのか、よく私たちは存じません。ただ、私たちとしましてはもっぱら違法行為を行うかどうか、犯罪を敢行するかどうかという観点から見ておりますので、公安調査庁の観点とは角度が違うということでありますが、そういう観点から申しますと、ただいま申しましたように、右翼団体のうちわれわれがそれについて関心を持っておらなければならない団体数及び数というのは、四十団体、二万一千人の構成員ということで、これは視野に入れるように非常に努力しておる対象でございます。
○小川(新)委員 私はいまの御答弁で残念に思うことは、破防法の容疑団体に適用しているか適用していないかということを警察当局がつかんでいるかつかんでいないか、この国会の席上で明確にされないということは、まことに私は遺憾だと思うのです。そのくらいのことは基本的な問題であって、大事な問題だと思うのです。これらの横の連携というものがはっきりいたしませんところに、いまお話がありましたような右翼に対する甘さということが指摘されるのであって、まずこの点は明確にしていただかなければならぬが、これは長官いかがでございますか。
○三井政府委員 ただいま御指摘の公安調査庁との協力のことにつきましては、私たち十分に協力をしてやっておるつもりでございます。ただ公安調査庁の場合には団体に対する解散とかあるいは活動の制限とか、団体規制という行政処分の権限を持っておるわけでございますが、そのかわり取り締まり権限は公安調査庁は持っておらぬ。私たちは行政権限はゼロでございまして、ただ取り締まり権限がある、こういうことで、両者立場は違いますが、協力をするということはありますが、ただいまの容疑団体として認めておるかどうかというのは、もっぱら公安調査庁の内部的なことでありまして、法律上そういうふうに容疑団体として指定したからどういう効果が生じるというものでもありませんので、もっぱら公安調査庁内部の事務を円滑に進める、あるいは能率的に進めるための内部的な措置、こういうふうに理解をいたしておりますので、それについて私たちが特に正式の通報をいただくとか、こういうことであるというような関係になっておりませんので、一応のことは聞いておりますけれども、私たちの方から申し上げるについては、少し立場は違うということで御了承いただきたいと思う次第でございます。
○浅沼政府委員 ただいまは警察と公安調査庁の事務の主管の問題の角度で御答弁したわけでございますが、ただいま御指摘のように対象は同じでございますから、今後それぞれの主管を通じて十分協力をいたしまして、その間にそごのないように協力を進めたい、このように考えます。
○小川(新)委員 容疑団体に指定しているかしてないかということが所管の問題であるとかないとかの問題が、一国の総理また各党、野党等の党首、国家的重要人物の警護、こういう問題でそごを来たしてはならないから、私はその問題についていま御指摘をしたわけです。そんな基本的な問題、わかる、わからないの問題を私はここで議論しようということ自体がまことに困ると思うのです。その点ははっきりしておいていただきたいと思います。特に行動右翼の中でマークしている団体は、名前を言えますか。
○三井政府委員 ただいまの愛国党を初め、多数の者がおるわけでございます。
○小川(新)委員 これからの取り締まりのことについてお尋ねしたいと思うのですけれども、きょうの新聞によりますと、各閣僚、宮澤外務大臣も含めてと書いてありますが、また各党の委員長、こういった国家的重要人物に対する警備の体制を強化する。これらの行動右翼が多数あると言っておりますが、担当官の数が一体それに充当できるのかどうか。これが交代制でもってやれるだけの要員がいるのかどうか。そういった警備体制というものが一体万全であるかどうかということが一番大事な問題でございます。いかにその決意があっても、このような事件が起きます。竹入委員長の場合においても、腹を刺され、瀕死の重傷を負う。幸いに本人が健康を回復したからいいようなものの、一命を落としてしまったのでは、これはもう取り返しのつかないこと。ましてや、今度の三木さんの場合も、殺意があったら完全に殺されたと報道されている。殴られた程度だからこれでよかったかもしれません。災いが非常に軽かったから幸いという問題ではありません。そういう体制はどうなっておりますか、これが一点でございます。
 二点目は、国会周辺の異常な騒音、右翼がガーガーでかいマイクでどなりつけております。これは皆さんも私たちも毎日のように見聞しております。核防条約反対ということを叫んでおりますが、こういう問題を取り締まれるのか取り締まれないのか、これが第二点。
 第三点は、今回の事件で日常苦労しております末端責任者には絶対責任をとらしてはならない。本当に苦労しております警察官の立場に立てば、アメリカのシークレットサービスのように、SS方式のように、前に立ちはだかって、見苦しいのも構わず要人警護に当たるようなシステムでない、日本の警護体制の中でやっていくということは非常に容易ならないけれども、それを今後どう改めるかということは第二点の質問でお答えいただくとしましても、いま言ったような、日夜骨身を削って警護しております末端警察官に対して厳重な責任を取りつけるようなことがあってはならぬと私は思います。この点が第三点であります。
 四点目は、使用したナイフは凶器になるのかならないのか。これは市販されておりますが、今後これは取り締まりの対象になるのかならないのか、これが第四点目であります。
 五点目は、赤尾敏のことについてお尋ねいたしますが、元議席に衆議院議員元議員として赤尾愛国党総裁がおりましたが、昭和三十三年に与野党が対立した警職法改正法案の審議中、本会議場の傍聴席からビラをまき、バッジを返還されております。それから本議場には登院停止をされております。そういった男を、少なくとも愛国党の党首を、元衆議院議員の議席に招待したのはだれなのか。また、ひとりでに入ったものなのか。これこそその責任も非常に大きな問題でございますので、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○三井政府委員 まず第一点の、この種警備、警護に当たる警察官の数その他体制はどうかという点でございますが、一つは一今回の場合は右翼団体でありますから、これについて視察をする、取り締まりをするという警察官がおるわけでありますが、これは全体として任務を多数持っておるということで、右翼にだけ専従するというわけにまいらない。県によってはそういう県もありますけれども、全国的にはそういうことにはなっておりませんで、いろいろの対象をあわせ持っておる、こういうことでありますが、数として多々ますます弁ずという点もありますけれども、われわれとしてはできるだけの努力をしてまいるということであります。
 もう一点、身辺警護するという観点から申しますと、相手がいわゆる精神障害者である場合にもやることにおいては同じであるということで、いわゆる右翼、左翼といったようなそういうものに限らず、何人であれ、危害を加えるおそれがある、その危害に対して警戒する、これが警護員でございますが、警護員は現在でも相当数の、警護対象三十名くらいにいま上っておりますけれども、それにそれぞれ警護員がついておるということで、いわばフルに働いておるという状態でございます。したがいまして、それに張りつけになっておる警護員のほかに、たとえば警視庁の場合には、機動隊員の中から予備警護員というものを訓練を平素しておきまして、足りなくなるといいますか、警護対象の数がふえるとか、外国から要人が見えるというときには、その人たちをそういう意味におきまして補充していく、こういう運用をやっておるわけでございます。そういう意味におきまして、増員になります警察官につきましても、この辺について重点的に充員をしていくというような方針でやっておるわけであります。
 次に、国会周辺その他で街頭宣伝で人が迷惑をするようないろいろな騒音を出しております。この点につきましては御存じのように、法的に申しますと騒音規制法及びそれに基づく騒音防止関係の条例では取り締まりができない、こういう条文になっております。したがいまして、いまできますのはもっぱら軽犯罪法。軽犯罪法で、周囲に迷惑をかけるような騒音を発した場合に当該職員がこれを制止する、その制止を聞かない場合にこれを逮捕できる、こういうことでありまして、いまそういう場合に該当する場合もありますが、ただいまの愛国党員の筆保のように、それを追尾しておる警察官が、筆保であり、住所がわかっておる、こういう場合には、現行犯逮捕は刑事訴訟法によってできないことになっております。というようなことで、もっぱら制止それから任意による取り締まりと、こういうことに努めておるわけでございます。
 それから、その次の末端警察官の責任でございますが、これはいまお話しのように、警護員というのは、本当に警護される人のいわば大盾といいますか、体で壁をつくるという気持ちで、いわば体を張って警護に当たっておるわけでありまして、その苦労は並み並みならぬものがあるわけであります。したがいまして、今回のような事件が発生いたしましたのも、いわば万に一ということで、九千九百九十九は彼らの努力によって防止されておると私たちは信ずるわけでございます。しかしながら、警護の使命、性質から申しますと、万一の危害が現実に発生する、それが問題であるということでありますので、今回の現場における状況、それから視察の状況その他を十分に検討いたしました上、適当なるそれにふさわしい責任は、われわれも、そういう末端に至るまでとらなければならぬ、こういうふうに考えております。
 それから、四番目のナイフでございますが、登山ナイフは市販されておりますけれども、これを登山に使う、つまり正当な目的に使うために販売が許され、かつ携帯所持が許されておるわけでありまして、その目的外に携帯をするということは携帯自身が違法であるということになりますので、今回の事件の場合には、これを登山その他正当な目的でない目的外携帯ということによりまして違法であるということで、銃刀法違反ということになるわけでございます。
 最後に、赤尾敏愛国党総裁の国民葬儀への招待の件につきましては、私たち、どういうことで招待されているのか、警察としては存じ上げないということでございます。
○山地説明員 赤尾敏氏の招待につきましては、内閣の方で元国会議員、野党の方全員に対しまして招待状を御送付申し上げました。いま私どもの手元にございます資料によりますと、元衆議院議員が六百三十四人、元参議院議員が二百九十七名、そのうち自民党の方でお扱いいただいたのは除きまして、野党と思われる方々は、衆議院が二百六十一名、参議院が百四十二名でございます。自民党の方は今回の主催者の一員でございますので、これを選別いたしまして四十名ぐらいにしぼったわけでございますが、野党の元国会議員については、私どもとして選別する能力がございませんで、(「選別とは何だ」と呼ぶ者あり)――大変失礼いたしました。これは国会の方の資料によりまして、元国会議員全員について招待状を出したということでございます。
○小川(新)委員 そうすると、赤尾敏総裁の場合については、本会議場の傍聴席からビラをまき、元議員としてのバッジを剥奪され、国会に出場を停止されている身分の人は、やはりそういうことがあっても、また行動右翼の総裁として、ふさわしからぬということからいっても、これは元議員としていつまでも残っていって、いろいろなそういう公式の場には元議員の資格で招待されたり、待遇を受けるのですか。
○山地説明員 私どももその点については反省をいたしておりまして、元国会議員のお扱いについて、いま先生が言われた剥奪の問題は、議員の処遇という国会の内規があるのを初めて伺ったわけでございますが、そういう内規がございますれば、私どもとして、いかなる元国会議員をお呼びすべきかについては国会の方に御相談をするという制度を今後つくりたい、かように考えます。
○小川(新)委員 先ほども同僚議員からお話がありましたように、こういった国民的、大きな反社会的、また国家的な問題についてのいろいろな事件を起こす、またはおそれがある、そういった問題について、反省の一言だけで、少なくとも国民葬、そこで事件を起こしておる、こういう問題についていままでチェックがなされていなかった、それは私はまことに遺憾だと思いますし、その責任だって問われなければならなくなりますが、私は責任問題を云々して言っているのではありませんけれども、そういった面が甘いと批判されてもいたし方ないのではないか。これが平和憲法下における国民の生命、財産を守らねばならない、暴力に対する私たちの憤り、憎しみという問題を抱えたわが国の姿勢としては本当に遺憾なことと思いますので、十二分に喚起しておきます。
 最後に、それに対する御感想、所見を聞いて、私としてのこの質問を終わらしていただきます。
○浅沼政府委員 私どもといたしましては、今回の事件を契機として十分反省、検討を加えたいと思っております。警察の直接関与する問題もございますし、あるいは警察としては直接関与できないが、意見を申し上げるべき問題もあろうかと思いますが、そこら辺も含めまして十分に検討いたして、今後この種の事件が起こらないような努力をいたしたい、このように考えます。
○大西委員長 折小野良一君。
○折小野委員 昨日の事件は大変遺憾な事件でございました。しかし私どもといたしましては、将来にわたってこういうような事件が再び起こらないように、そういう立場で十分な対策を講じていくことが大切だと思います。
 こういう問題に対する対策といたしまして、一つは現場における対策がございましょう。しかしより大切なのはふだんの対策、これが一番大切なことだというふうに考えております。先ほど来の質問に対しまして、いろいろと行動右翼等に対する対策というものが講ぜられておるようでございますが、これはもちろん行動右翼に限ったことではございません。いわゆるテロ行為は民主主義の敵だというふうに言われておりますので、どういう団体あるいはどういう人物であろうと、テロ行為に走るおそれのある者に対しましては、かねて十分な準備がなされておらなければならない、こういうふうに考えます。
 そういう面からいたしまして、警察庁、こういう者に対するふだんの対策、こういうものがどういうふうに行われておったのか、そしてまたそれは十分であったというふうにお考えになっておるのか、その辺のところをちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○三井政府委員 多くの右翼団体とそれに属する構成員がおるわけでありますが、同時にまた私たちが称します潜在右翼というのがあるわけであります。つまり既存のわれわれの視野に入っておる団体やその構成員ではないが、やはりそういうような過激な行動をする、虞犯行為があろうという人物を新たに発見していくということが大事でございます。
 今回の場合はわれわれの知っておる人物でありますけれども、過去におきましては、われわれの知らない人物が突然行動を起こすということもありますので、その両面について視察をし、そういう者を把握をしていくということに努めておるわけであります。
 今回の愛国党並びに筆保につきましては、先ほど来のお話のように、十分これを視察しておるという態勢でありますので、ことにこの種行事等があります場合に、彼らはどういう行動をするかということについては、十分な視察をしておる。したがいまして、今回もこういう葬儀の際でありますので、この種行動に出るおそれあり、こういう判断のもとに手配をし、徹底した視察をしておったということでございます。
○折小野委員 今度の場合は右翼の中でも特に著名な愛国党ということでございますが、この前の企業爆破事件におけるアナキスト集団、いろいろなそういうおそれのある団体あるいは人物、こういうものがあろうかと思うのです。しかしそういうものの中におきまして、ふだんはなかなかわからない、こういう団体も多いわけでございますし、それであるからといって危険が少ないということも言えないわけでございます。そういうものを把握するのは現実の問題として非常にむずかしいということは、私どもよくわかるわけでございますが、しかしそういうような万全の準備をふだん整えておかなければこういう不測の事態に対応できない、こういうことがあろうと思います。したがいまして、そういう面について特にどういうふうに配慮しておいでになるのかお伺いをしたいわけであります。
○三井政府委員 ただいま申し上げましたように、すでにわかっておるものについてわれわれが常時その行動を視野に入れる。それは直接その対象者の住居をひそかに監視をする、また彼らが行動するときにはこちらも追尾をするということがあります。今回の場合は、マイクロバスに乗って数名出発いたしましたので、これをわが方も車に乗って追尾をする。途中しばしばこれを交通混雑その他によって見失うという危険も多いわけでありますが、それをいろいろと苦心をしながら彼らの行動、行き先を視野に入れておくという努力をしておるわけであります。
 もう一つは、そしてまた特に政治情勢といいますか社会情勢といいますか、彼らそれぞれの団体の持っておる主義主張、その主義主張との関連において、この問題はこの団体は大変厳しい問題、重要な問題として受けとめるであろう、あるいは受けとめておるに違いない。こういうものについて重点的に見ていくということがあるわけでございます。
 もう一つは、先ほど申しました現在視野に入っておらないけれども、その言動が大変過激で、要人に対して違法行為に訴えても彼らの考えを押しつけるといいますか、明らかにしなければならぬ、こういう言動等のある者について、これを逐次視野に入れながら掘り起こしていくといいますか、こういう作業をやっておるわけでございます。
○折小野委員 なかなかむずかしい仕事だと思います。しかし、そういう面の対策はできるだけ万全を期していかなければならないということになりますと、それならどうすればいいか。先ほど来人員の問題等もございました。いまお考えになって、今後どういう具体的な対策を講ずればより万全な対策ができるのか、この点お考えになっていることがありましたらお聞きいたしたいと思います。
○三井政府委員 今回の事件はいわゆる視察あるいは監視するといいますか、われわれの視野に入れるという問題でありますけれども、しかしポイントは警護対象者、この場合、総理が行動されるその現場における直近警護、それからまた先着警護と称しておりますが、その警護員、それからその場所を警戒する任務を持ってあらかじめ配置されておる警戒員、この辺の連係動作の問題であろうということでありまして、直接には右翼の視察の問題ということとは少し違って、もっぱら警護上、警護のやり方の問題、それから不審者が飛び出す場合に敏速に行動するとか、総理が立っておられるときにその周辺にそういう不審者はいないかというところへの心の配り方の問題により重点があるというように考えますが、しかしそういう行動をするのはこういうように右翼団体、過激な行動をやろうとする虞犯的右翼、こういうものが多いわけでありますから、その辺も手抜かりなく視察、取り締まりを進めてまいりたいと考えるわけであります。
○折小野委員 今度の場合に公務執行妨害罪それから銃砲刀剣等取締法違反ということで逮捕されておるようですが、異様な、異常なと申しますか、自殺勧告書というようなものを出し、特に今度の場合はそれに刃物を添えて出す、こういう行為はどういうふうに判断をしておいでですか。
○三井政府委員 この点は内容によって脅迫罪の成立の余地があろうかと思います。これは本人の調べの中でいろいろまた出てこようかと考えております。
○折小野委員 要人の警護あるいはこういうような場合における警戒、非常にむずかしい問題だと思っております。そしてまた関係の方々もそのために非常に陰の苦労をしておいでになるということはよくわかるのでございますが、特にそういう中におきまして考えなければならないことは、こういうような事故が起こったから直ちに警戒を厳重にしなければならない、警戒を厳重にすることによって、もちろんこういう事故を少なくするという意図はわかるのでございますが、ただ単に人員をふやすとかあるいはいろいろな行事等を非常に窮屈なものにしてしまう。こういうようなことになるということは必ずしも望ましいことじゃないのじゃないかというふうに考えます。先般フォード大統領がわが国を訪れられたときに、歓迎の人がきの中にフォード大統領自身が入っていかれた、こういう行為を見てみますと、警備を担当しておいでになる警察側としては非常に困ったことだというふうにお考えになるだろうと思うのでございます。そういうことがあらかじめ連絡されておって、十分な態勢ができておって行われたことかどうか、その辺はよくは存じません。しかし民主主義、特に政治家の場合におきましては、ああいうような行為というのはいわゆる政治的な効果というのがねらわれておるわけでございます。特に要人と申しましても政治家という立場におきましては、余り国民との間に壁ができるということは必ずしも好まれないところであろうと思いますし、特に民主主義の立場からいきまして、そういうことは好ましいことでない、こういう考え方もあろうと思います。そういう中におきましてなおかつ要人の警護は万全を尽くしていかなければならない。これは非常に困難なことであろうかと思いますが、そういうようないろいろな面の考え方の中で今後要人の警護の万全を期していかれる、その責任者としての長官の今後の問題についてのお考え方あるいは御決意、こういうものを最後にお伺いをしておきたいと思います。
○浅沼政府委員 私も今回の事件を反省いたしました場合に、直ちに人をふやすとか警備を機械的に厳重にするだけで防げるかどうか疑問もあると思います。その点もよく検討いたしまして、実質的に効果のある警備、また先ほどもお話しのように何といいましても常時の警戒態勢、視察態勢ということが重要でありますので、そこら辺の態勢につきましても十分に検討いたしまして、このような事故が起こらないような対策を十分に立ててまいりたい、こういうように考えております。
○折小野委員 終わります。
     ――――◇―――――
○大西委員長 次に、内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますのでこれを許します。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 この法案が早期に提出されることは、国民の皆さんが、特に石油コンビナート等の周辺に住んでいなさる多くの住民の皆さんが、非常に大きな期待をかけておられたことだと思うわけでございますが、結果的にこの法案の内容を見てまいりますと、そのような国民の大きな期待に反して、全く国民の期待外れの法案になり下がってしまった、こういうように私は見るわけでございます。国民の皆さんの要望やあるいは国民の各層のいろいろな意見というものは、今日までの防災行政というものはそれぞれの個別立法の主管官庁である縦割り行政の中で対策を講ぜられたり、あるいは取り締まりをしていったり、あるいは指導をしていったところの弊害が、今日まで防災行政が十分でなかった、事故を防止することができない大きな原因をつくられておったというわけであります。ところが、総合立法で国民が安心して過ごせるようなという大きな期待に反しまして、たとえば高圧ガス取締法の改正が通産のサイドで先行してしまった、あるいは今回の法律の中でも、タンカーの火災あるいは海面の火災等に対する災害防止の措置というものが全然含まれなかった、ただ、消防法の改正によって、従来からの規制基準というものを上乗せするというようなことが含まれた中でこの法案が出ておるという経緯になっております。先ほども申し上げましたように、非常に大きな国民の期待外れの法案であるというように私は思うわけでございますが、提案されておる自治省としてそのような考え方に立っておられるかどうかについて、まず基本的な法案についての考え方についてお聞かせ願いたいと思います。
○左藤政府委員 御指摘の点につきまして、これは現行法上とのつながりというものをどういうふうにまとめていくかという点が一番この法案の作成の段階においていろいろ議論をいたしたところでございます。その点につきまして消防法あるいは高圧ガス取締法、災害対策基本法その他いろいろたくさんの災害の防止に関します現行法がある。こういった問題については縦割り行政というようなこともございますが、すでに現在、それぞれの法律によっていろいろな対策が講じられておる。これを石油コンビナート地域におきまして、この法律のそれぞれの分野でカバーできない問題をどういうふうにやっていくかという点で、石油コンビナート地域の特色と申しますか、特質に適合した形でそれに上乗せするといいますか、それにもう一つ網をかぶせるという形のものがとりあえずの形として、根本的な問題として、御指摘のような点で非常にいろいろな問題を含んでおりますので、それを全部完璧なものに一挙にするということはなかなかむずかしいものでございますから、とりあえずの形として、こういった問題を不十分なところを充足していく、そういう意味の補完的な意味においてこの法律を提出したわけで、いまお話しのように、そういった根本的な問題までなかなか一挙に到達することができないために、とりあえずの形といたしましてこの法律案を提出したような次第でございます。
○和田(貞)委員 防災行政は、いまも申し上げましたように、従来の欠陥というもの、従来の弊害というものを取り除くためには、やはり一元化した上でこの行政を進めるべきだ、こういうように思うのですが、その考え方には変わりないですか。
○左藤政府委員 基本的にはそうした形として、御指摘のように完全な一元化ということは非常にむずかしいわけでありますけれども、一元化を目指してわれわれ努力しなければなりません。その段階におきまして完全に一元化できないまでも、十分各省間の連絡を密にいたしまして一元化の実を上げなければならない、そういう形で一つの目標を、このコンビナートにつきましてもそういった一元的な運用というものを十分考えた上で、それをまた目的とした上でこの法律案を提出したような次第でございます。
○和田(貞)委員 一元化を目指しておると口では言われるものの、やはり個別実体法がある限りにおいては、総合的に行政指導というものはできない。何といいましても、やはり防災行政の一番主管省というのは自治省であるわけですから、自治省が中心になってそのことをやっていかなくちゃならないのですが、こういう法律ができましても、結果的にはやはり個別立法によって取り締まらざるを得ない、こういうことになるわけでございますが、いかに目指しておりましても、この法律によっては一元化というのは困難であろう、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○左藤政府委員 この法律だけではもちろん完全な一元化ということはできないわけでありますけれども、すでに、たとえば消防法あるいは高圧ガス取締法、そういったようなそれぞれの法律によっていろいろな施設ができておりまして、そうしたものでいろいろな防災体制というものがすでに一応できておるわけでありますから、そういう意味の既設の防災体制に、さらにそれを強化する意味で今回の法律ができたわけでありますから、完全にいまお話しのような形で役所の機構そのものも全部変えていくとか、あるいはそういったことまではとてもいまの段階では私は言うべくして行われがたい問題だと思いますが、しかしそういった問題で、現実に非常に災害の危険というものがあるわけでありますので、そうした欠陥を補う意味で、今回の法案を提出したような次第でございます。
○和田(貞)委員 なぜ一元化を目指して総合立法化するようなことの努力をもっとしなかったのか、那辺にそのような結果を生んだのか、そういう原因をつまびらかにひとつ説明してほしい。
○佐々木政府委員 防災体制を一元化してまいりますためには、このコンビナート地域におけるいろいろな施設について、技術的にもそうした防災行政に耐え得るような体制というものがなければならないわけであります。現実の姿といたしまして、消防法なり高圧ガス取締法というものが、これまで二十数年間のそれぞれの実績のもとに、市町村あるいは府県というものでそうした行政が行われてきておるその実績というものは、やはりこれからの防災行政の上にも十分生かされてこなければならない、こういう観点から、いま直ちにこうした体制を一元化するというためには、時間的にもあるいは人的にもその余裕がなかったわけであります。実際には、行政のまず許可段階からすべて一元化をしていくということは確かに望ましいのでありますけれども、そうした体制をとりますためには、いま申しましたように、相当な時間的な余裕と、あるいは人的な構成等もいろいろ検討しながらやっていかなければならないだろうというふうに考えられるわけでありまして、ただいま政務次官が申し上げましたように、とりあえず現行の個別立法を前提としながら、それらの法律の足らざる部分を補完をしでいって、総合的な網をかぶしていくという体制をとったわけでございます。
○和田(貞)委員 時間的な余裕さえあれば、それじゃそういう方向を目指した法案の可能性があったわけですか。
○佐々木政府委員 いま申しました時間的な問題、それから人的な問題、いろいろございます。したがいまして、単に法案を作成をするというような時間的な余裕のみならず、そうした体制をとり得るまでの時間的な余裕というものがなければ、なかなか一本化というものはむずかしい情勢にあると言わざるを得ないと思います。
○和田(貞)委員 ところが、通産のサイドで高圧ガス取締法がなぜ優先、先行して法の改正がなされるようになったのですか。
○佐々木政府委員 高圧ガス取締法につきましては、実は昭和四十八年ごろに石油コンビナート地域におきまして、特にガス関係を中心にいたしました爆発事故等が連続いたしました。その段階から通産省の方におきまして、高圧ガス関係の改正というものについて取り組んでおられたわけでありまして、そうした高圧ガス取締法の改正案がほぼでき上がった段階にこのコンビナート防災法についての立案という問題が出てまいりましたために、その間の調整に若干そごを来したという点はございます。
○和田(貞)委員 時間的な余裕とは言われますが、そこまで通産のサイドが高圧ガス取締法の改正について作業が進んでおれば、むしろその点が可能ではなかったのかというように私は思うわけなんです。通産、来ておられますか――てはその通産がそこまで作業が進んでおるのを、なぜ協力的な立場に立って防災行政の一元化のために自治省のこの立法作業の中に飛び込もうというようにしなかったのですか。
○佐藤政府委員 実はコンビナート地区におきますところの、特に石油化学関係の事故が、先ほど消防庁の長官がおっしゃいましたように四十八年ごろ、一昨年来相当頻発いたしまして、これを緊急にいろんな手当てをしなければならないということで緊急対策を当時やりましたが、その程度ではどうにもなりませんので、通産省の中にございますところの審議会に約一年半ほどかけて十分に審議していただきまして、それからヨーロッパとアメリカにも調査団を派遣いたしまして、その結果を踏まえまして、昨年の七月に答申をいただいて、それで今度の通常国会におきまして法律改正するという段取りをすでに進めておったわけでございます。
 それで水島事故が起きたのが十二月の末でございますけれども、その時点ではもうすでに法案が大体作成されておりまして、すべての準備が整っておった。したがいまして、そのさなかに、まだもちろん法案がかかって両院の通過をする前にこのコンビナートの問題が、水島事故が起きまして、それで一元的にやらなければならないという問題が経過的に発生してまいったわけでございます。もちろんわれわれとしましては、このコンビナートにおきますところの行政といいますと、通産省におきます高圧ガスと、それから消防庁におきます石油タンクと、それから労働省関係の労安法と大体三本が三つの大きな柱になっているわけでございます。この調整はぜひ図らなければいかぬということはかねがね考えておりまして、三省庁に連絡会議等も設けまして、そういう意識は十分にあったわけでございますが、コンビナートにおける一元的な問題というのは、確かにそれ自体として私はあるのだろうと思いますけれども、事保安の問題に関しましては、特に高圧ガスの関係につきましては、三十四、五年ころに海外から導入した新技術でございまして、非常にむずかしい技術的な能力がなければ現場チェックができない。それから保安基準一つを見ましても、相当高度の技術能力がなければできないという両面がございまして、われわれとしましては、そういうことで相当の長期間かけて抜本的な改正を図ったという経過を踏まえての今回の問題でございましたので、われわれとしてはこの実績はやはり十分に尊重していただいて、できるだけこの長い間の研究成果を今度のコンビナートの防災法の中に入れていただくということが通産省としての基本的な姿勢であったわけでございます。
 したがいまして、一元化そのものについてとやかく申したわけじゃございませんので、そういう非常に長い経過を経て、しかも相当長時間の学識経験者なりわれわれの努力の積み重ねの結果、今度の法律改正に結びついたという経過がございますし、特にコンビナートにつきましては、コンビナートだけに適用になるようなコンビナート保安規則というものも、ほかの地区よりもより厳しい保安技術基準等もつくったという経過等もございますので、それらを十分に尊重していただきたいということが一つの問題点であったわけでございまして、その辺がいろいろ自治省との間の折衝の段階で、現行法をむしろ高圧ガス法の中からコンビナート分だけ抜き出して一元化する方法とか、あるいはまた現行法を前提にしながら足りないものを補っていく方法とかいろいろなケースを想定いたしまして、それで議論して、そのために相当の時間がかかったということでございまして、われわれとしてはコンビナートにつきましては、所管産業でもございますので非常に重大な認識を持っておりますので、一元化そのものについてとやかく申す気持ちは毛頭ございませんし、前向きにそういうものについては考えておるつもりでございます。
○和田(貞)委員 どうも通産省というのは、国民の側から言うならば余りいい評判じゃないわけで、私的独占禁止法の改正にしても、横やりを入れたりちゃちゃを入れたりしているのはあなたの方で、だから当然国民の強い要望として、本来の防災行政の中心は自治省が所管しておる。そこで、やはり総合的な一元化した法案の立法化のための作業をするということになれば、さあ一大事だということでむしろ産業界の方からの強い圧力の中で早いこと進めなければいかぬ、こういうことで高圧ガス取締法を先行して改正を急いだ、こういうように見る向きもあるわけなんですよ。そういうような国民の疑惑というものも解消させるためには、やはりあなたの方がせっかく一元化の方向というものを是認しておるのであれば、自治省が今日まで用意されたその作業過程の中へ飛び込んでいく、こういう姿勢を、過去のいきさつはあるとしても、せっかくの機会であったのにもかかわらず、なぜその飛び込みをしなかったか、そのことをもう一度お答え願いたい。
○佐藤政府委員 結局所管と申しましても、確かに高圧ガスについては通産省であり、石油タンクについては自治省ではございますけれども、問題は、保安の場合は現場の施設をだれがチェックするか、これをきちっと能力のある者がだれがやっていくかという問題が非常に大きな問題でございます。
 それで自治省の御提案によりますと、これをこの際市町村の消防の方に高圧ガス関係も一元化したい、そういう御提案であったわけです。ところが、高圧ガスというのは過去の災害の原因等も十分に調べてみますと、非常に従業員の誤操作等もございますし、相当の事故が起きた場合の対処の仕方、非常に危険であり、高圧でございますから、単に水をかけるとかそういうことだけでは済みませんし、それからいろいろ毒性ガス等も扱っておりますので、災害が起きたときの態様等も石油タンクとは相当違います。そういうことを取り扱う現場の職員は、残念ながら分かれておるわけです。片っ方は市町村であり、片っ方は都道府県である。この辺の十分なコンセンサスを経て、現場の職員が意欲を持って毎日の監督をやっていただくというような体制がとられないとすれば、一方、東京においては確かに通産と自治が一本になったとしても、現場の監督が果たしてそこまで、短期間のうちにそういう状態になり得るかどうかという問題も、われわれとしては重視しなければならない。しかも保安の問題は、一日も手綱を緩められる問題ではございませんので、そういう実際的な配慮も十分にわれわれとしてはやったつもりでございます。
 そういうことは相当われわれとしましては、特に人的の、質的の向上の問題が伴う、産業の中では一番保安の水準の高い産業でございまして、そういう観点から、かねてから都道府県の職員等もしょっちゅう研修等もやってレベルアップをやっておりますけれども、それでもなおかつまだ不十分な点もございまして、今度の法律改正では、第三者の学識経験者が入ったような形でのいわゆる特殊法人の協会を強化いたしまして、それで専門家をさらに導入いたしまして、都道府県の職員の能力の足りないところを補ってやる等々の面もいろいろ配慮したわけでございます。そういういろいろな問題を解決できれば、私は一元化の方向は必ずしも不可能じゃないと思いますが、いま直ちに今国会においてそういう問題を一挙に一元化という名前のもとに実行していくには、時期的には余りにも尚早であるという感じをいたしておるわけでございます。
○和田(貞)委員 あなたの方でそうは言われますが今回のこの法案の中身を見てみましても、あなたが言われたとおり、市町村の消防機関の技術的な能力の格差というのは確かにあるわけですからね。だから今度の法案でも、国が技術面での指導あるいは援助ということがうたわれておるわけです。だから別に一元化したところで、その措置さえ、裏づけさえあれば、その点は可能になっていくわけなんです。どうも通産サイドのなわ張り根性が非常に強い、こういう感じを受けてならないわけなんです。それでは、あなたも言われたように、一元化の方向を目指すということについては異議はないということであれば、この法案が通過した暁においては、近い将来に一元化の方向に、さらにこの法改正に持っていくというような前向きの姿勢というものがおありですか。
○佐藤政府委員 コンビナートにおきますところの石油タンクあるいは高圧ガス関係の石油化学等々の生産の所管を通産でやっておりますし、そういう生産面におきましては一元的にいろいろ行政をやっておりますので、保安の問題につきましても十分に市町村と都道府県が一体になってやっていく方向が私としては望ましいと思います。ただ、先ほどからくどく申し上げておりますけれども、そもそもコンビナートの形成そのものが、日本においての発祥の歴史といいますのは、大体都道府県が主体性を持ちまして、都道府県の要請によっていままでコンビナートを形成してきたという歴史的な経過もございます。それから、先ほども申し上げました人的な問題もございます。それから、必ずしも一市町村だけではなくて、数カ町村にまたがる広いコンビナート等も現実にございますし、そういうところからいきますと、むしろ一元化の方向としては、もしするとすれば、私の方は都道府県の方に一元化していただきたい、そういう方向を実はお願いしたわけでございます。
○和田(貞)委員 従来からの消防行政は市町村が主体になっておったけれども、今度の法律に流れておるところは、都道府県が主体になった構想になっているわけですね。だからいまあなたの言われることと一致するわけです。口では一元化の方向を是認しておきながら、あなたの方の所管の個別立法をいつまでも後生大事にして、なわ張り的な従来からの縦割り行政的な面を貫いていくということになったら、これは抜本的な防災対策にはなっていかないわけです。防災行政の方向としてば決してよくないことなのです。だから近い将来にわたって、自治省の所管するこの防災行政の中にあなたの方の保安行政というものも飛び込んでいく、そのための法改正ということについては懸命な努力をする、もうすでにこの法改正がなされたのですから、近い将来にそういうような姿勢をお持ちであるかどうかということをお答え願いたい。
○佐藤政府委員 もちろん問題は若干どちらの方に――今度の問題でも争点になりましたのは、率直に申し上げますと、コンビナートについては、むしろ市町村の方に一元化したいとおっしゃるのは自治省の論点、われわれの方は都道府県知事に石油タンクも含めて一元化していただきたい、そういう論点があったわけでございますけれども、
 いずれにしましても、その点はコンビナートの保安を確保するという大きな目的については一致するわけでございますから、そういう面で自治省とも十分に今後とも前向きの形で協議を続けてまいりたい、こう考えております。
○和田(貞)委員 運輸省の方にお尋ねしたいのですが、先ほども申し上げましたように、タンカー火災あるいは海面火災についてはこの法案でチェックする、取り締まるということは抜けているわけです。通産省に質問いたしましたことと同じことになるわけですが、運輸省の方はなぜこの法案の準備過程の中で、作業過程の中で飛び込んで一緒に処理しようという考え方に立たなかったのか、お答え願いたい。
○船谷説明員 海上の防災に関しましては、まずは防御の方でございますが、船舶を大きい対象とするわけでございまして、その航行の安全あるいは港の安全等については、現在海上交通安全法あるいは港則法等既存の法律がございます。それから油が流れた場合に必要ないろいろな資機材あるいは防除活動等につきましては、海洋汚染防止法が現在ございます。しかもその資機材については、前国会で特に三十九条の二で追加されたものでございます。そういった現行法が相当に整備されてございます。
 今度のコンビナート法につきまして、海上部門をどうするかということが当然にございました。われわれといたしましては現行法のいろいろの体系と今度のコンビナート法との体系、これはコンビナートだけで、海上の点に関してはとらえることができない、船舶の航行全体についてとらえざるを得ないということがございまして、相当検討はいたしましたけれども、もう少し時間をかしていただきたいというように考えた次第でございます。目下そういったことにつきまして、体制なんかの強化についても単独法が必要かどうかということも含めまして、なおいま検討をしておるところでございます。
○和田(貞)委員 岸壁に係留されておるタンカーが火災を起こした、消防法なりあるいは今度の防災法で処理はできても、一メートルでも一たん岸壁から離れてしまったら適用にならぬ。そういう非常になわ張り的な点が出てくるわけですが、海のど真ん中でタンカーに火災があったというような場合はいざ知らず、やはり私の方の大阪におきましても過去にそういう例があるわけなんです。そういうところを考えたら、いまいみじくも口にされたわけでありますが、単独実体法で処理した方がいいかどうかということはまだ検討中だというけれども、やはり通産省もいま言われたわけでありますが、防災行政というものは一元化の方向を目指すということが当然の行政の姿であろうと思いますし、また国民がそれを期待しているわけなんですから、やはり単独立法で処理するというようなそういう考え方じゃなくて、あなたの方も一元化の方向を目指して飛び込んで入るというような姿勢に立たれないですか。
○船谷説明員 港内における岸壁付近の火災につきましては、消防機関とうちの海上保安庁の機関間で協定がございまして、責任の分野と協力の分野というものを非常にはっきりしてございます。海上におきましてのいろいろの防災等につきましては、港だけ、しかも港の中でもコンビナート地帯の前面だけ、それだけを取り出して一つにする方がいいのか、あるいはもっと全般の全国の港も含めあるいは港以外の海域も含めて一つにしていく方、そしてまた陸上との関連を緊密にしておく、穴のないようにしておくということがいいのかという是非論があろうかと思います。
 またもう一つは、海上におきましていろいろのことをやる場合、船舶あるいは海上自体の海潮流その他の問題、非常に特性がございます。そういったところから、われわれは海上ばかりを現在毎日毎日見詰めてやっておるわけでございますが、その特殊な面を一貫して海上保安庁なり運輸省なりが担当してやる方がいいという問題もありまして、
 コンビナート法だけについての海面の問題をすぐとらえてその方がよろしいとまでなかなか結論が出なかったといったところでございます。
○和田(貞)委員 いままでは結論が出なかったんだけれども、将来の方向を目指して結論を出すという、一元化の方向に結論を出すという考え方には立たれないですか。
○船谷説明員 そういった問題もよく見まして検討を進めたいと思っております。
○和田(貞)委員 自治省の方はどうですか。この法案が全く完璧を期した防災行政を進めるということにはなり切らないと思うのですが、運輸省の方なりあるいは通産省の方がそういう意見ですが、さらに近い将来この法案をそのような方向に改めていく、こういう考え方はおありですか。
○佐々木政府委員 こうした防災立法をいたします場合に、その法律のいわば守備範囲というものをどういうふうにするかというのが非常に立法に当たっての基本的な問題になるわけであります。
 ただいまの海上の問題につきましては、一般的な水域の防災という面になりますと、地方公共団体の行政というのがどちらかといいますと非常に不得意な分野でございます。一般の海面における防災という面になりますと、まずその地域が地方公共団体のいずれの地方公共団体に属しているのかというような問題もございまして、またさらには現在の消防体制というものが海面上の問題につきましては全く準備されておらないというような点もございます。その辺で、一般水域における問題はやはり実動部隊も持っております海上保安庁の方にお願いをしなければならないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
 ただ、やはり市町村なり府県なりの行政と非常に密接な関係がありますのは、港湾区域の問題でございます。この港湾区域における災害があります場合には、それが単に海面だけの災害だけではなしに、陸上部門にも及ぶ災害が出てくる可能性も非常に強くあるわけでありまして、こういう点から、この港湾区域についてこの防災体制をどういうふうにしていくかという点は、私どももこれからの研究課題であろうと思います。
 現在の消防法の規定にございますように、消防対象物というものが岸壁に係留されておる船舶までだというものも、これでいいのかどうかという点は確かに検討の対象であろうというふうに考えておりますので、いま運輸省の方で検討をされております海域における防災立法が成案を得られます過程におきまして、私どももこうした港湾区域における防災問題をどういうふうに扱うかという点を十分意見を調整しながらこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけであります。
 この石油コンビナート等災害防止法の立法に当たりましては、そういう観点からいわば陸上部分における災害というものについてどちらかというと重点を置いて立案をしたわけでありまして、したがってこの法律におきましては、陸上の災害をいわば海上の方に及ぼさないというようなことを目標にいたしまして、それについての防災体制というものを十分検討しながらこの立案に当たったわけでありますけれども、もちろん陸の災害が海に及ばないということのためには、それに必要な海上の防災体制もとる必要がございますので、そうした関係につきましては必要な規定をこの中に入れておるわけであります。
 それからこのコンビナート地帯の中における防災体制という問題になりますと、先ほどから御指摘がございますようにやはり防災体制の一元化ということが非常に望ましい。特にまた災害が発生いたしました場合には、市町村の消防といえども高圧ガス関係というものを知らなければそうした災害防除活動はできないわけでありますから、いずれにしましてもそうした防災体制というものは現在の実動部隊を持っておるところにやはり体制としては一元化するということが望ましいというふうに私どもは考えております。将来――市町村消防については御指摘のように非常に地域的な格差もございます。そういうものの解消というものに私どもはこれから大いに努力をいたしましてそうした体制づくりというものができますように対処をしていきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 ひとつ不十分な点をできるだけ充実させて、防災行政の一元化のために、この港湾をいつまでもそのまま置いておくのではなくて、将来にわたって充実してもらうようにお願いしたいと思うのですが、この法案をながめてまいりますと、実に本法自体で現実には法解釈が不十分な点が多々あるわけです。「政令で定める」云々というような個所、これが実に三十六カ所か三十七カ所ある。あるいはこの「主務省令で定める」というような字句、これが自治省、通産省にまたがっておるわけでありますが、これも二十一ないし二十二カ所、本来ならば政令で定めるというそれぞれの内容を具体的にやはり教えてもらわないと、果たしてこの法律でこの防災行政というものが可能なのかどうか、あるいは府県なり、市町村がその内容を十分わからないと、一体法律ができてもこの法律で府県の任務あるいは市町村の任務というのがどの辺まであるのかということがつまびらかでないわけです。政令あるいは各省令が今日どの程度まで準備されておるのか、お答え願いたい。
○佐々木政府委員 政令ないしは省令に規定をゆだねておりますのは、いわば具体的な計数のものでございまして、これらにつきましては、この立法段階におきましてもいろいろ検討はしてまいったわけでありますけれども、まだ時間的な余裕がございませんで、この法律の施行までの間にそうした問題の詰めを行いまして、でき得る限り早い段階に政令、省令というものを制定をしていきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 この法律が成立いたしましても、政令というところで逃げておる面、あるいは省令というところで逃げておる面、いま申し上げましたように、それが不明確でありますから、一つの疑問点として、法律のたてまえはこうであるけれども、いざ政令なり省令が具体化したときには、何だそんなのだったのかということで、たとえば政令で定める基準貯蔵率、あるいは取扱量、あるいは基準総処理量、基準総貯蔵量というような点がたくさんあるわけですね。そういうような疑問を持たれることは当然でありますが、まさかそのような省令なりあるいは政令をつくる過程において、国民の期待に反して、産業界の方からの圧力でできるだけその基準を下げて、そしてこの法のたてまえと異なった方向にこの法の運用がなされるというような結果にはならないでしょうね。
○佐々木政府委員 この石油コンビナート等災害防止法の適用になります地域につきましては、前から申し上げておりますように、従来石油コンビナート地帯というようなことで特別な防災体制を私どもが指導しております地域は、この政令指定の地域にまず全部入るというようなことを申し上げておるわけでございますが、そういう意味におきまして、これらの基準につきましては現在の実態というものに即した政令の基準を制定していくというつもりでございまして、この基準をいわば切り上げをいたしまして特別な規制を緩和していくというような方針をとる意思は全くございません。
○和田(貞)委員 たとえば地域指定の場合も政令によるということですが、その政令をつくる場合に、関係府県知事あるいは市町村長の意見を聴取するということがうたわれておりますが、そういう作業が、実際に市町村の意見というものをただ聞くに及ぶということじゃなくて、当該市町村やあるいは当該府県の意見というものは受け入れられるということに解していいですか。
○佐々木政府委員 現在、消防法あるいは高圧ガス取締法の規定に基づきまして、石油タンクあるいは高圧ガス施設等の許認可を行っておりますのが知事であり市町村長でございまして、このコンビナート地域における施設の実態というのは、むしろ地方団体の方が十分よく知っておるというふうに考えております。そしてまた防災の第一線の業務は市町村長、府県知事が行うわけでありますので、この地方公共団体の意見というものは、第一義的には私どもは尊重してこの地域指定は行いたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 具体的にコンビナートができつつある、できてしまった、そしてその立地条件に応じて進出企業がやってくる。当初の構想としてこれは石油ないしはガス関係の企業がこのコンビナート地帯に入り込むのだということで、これは速やかに地域指定をしてもらいたい、こういう市町村長の意見なり知事の意見があったといった場合に、あなたの方はまだどういう企業が来るかわからないので、あるいはまだ未知数なのでそれは指定できないというようなことはあり得ますか。
○佐々木政府委員 新しい石油コンビナート地帯等ができます場合には、必ず現在の情勢では府県知事、市町村長というものが具体的な立地計画を定めて、それぞれの企業というものと十分な打ち合わせのもとにそうした計画を具体化していくということになるだろうと思います。そういう意味におきまして、こうした立地企業が具体的に決まり、そしてまたその企業の規模等がはっきりしてくる段階におきまして、恐らく地域の市町村長の方からそういう意見が出てくるだろうというふうに考えますので、そうした計画の具体化に応じまして市町村あるいは府県の意見を聞いて指定を行りていきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 市町村なりあるいは府県がそういうコンビナートの計画のもとに地域指定を自治大臣に申し出る。しかしまだ企業が現実に決まっておらないからということでこの指定がされておらない。その法の盲点をくぐって、企業がいまのうちにということで計画の届け出をしなくても済むという間に工場が進出してしまう、建設が終わってしまう、指定されたときにはすでに、それから以降二カ月以内に届け出さえすればいいのだというようなことで、この計画についてチェックする、指示する、あるいは確認をするというようなことの処理というものができないというようなことにはならないでしょうね。
○佐々木政府委員 工場の計画の中で、立地企業がまだ決まらない段階におきましては、その地域にどういう工場が立地をするのかわからないわけでありますから、地域指定ということはできないかと思いますけれども、具体的にどの企業がこの地域に立地をするということが決まった段階におきましては、その企業の事業計画の内容によりまして、この地域が石油コンビナート地域になるということが明確になってくるわけでありますから、その段階におきまして地域指定ということが行われるであろうというふうに考えております。したがいまして、第六条以下第二章の規定が適用しないうちに、企業が施設を張りつけてしまうというようなことにはならないので、むしろ第二章の規定が十分な余裕を持って適用し得るような段階におきまして、地域指定ということは行っていきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 特定事業所の新設ないしは変更については規制されるということはわかりますが、既設の事業所については、特定防災区域の指定があった際、すなわちこの法律ができた後でないともちろんその指定がなされないわけですが、それがされて二月以内に届け出をする義務だけを負わしている。防災上、既存の事業所に対して変更の指示が必要であるとか、あるいは計画変更をなさなければならないというようなことがありありとわかっておるにもかかわらず、この法案ではどうもこうも対処することができないのですが、既存の事業所に対して防災上変更が必要であるというような場合に、変更指示をするというようなことが、法案の作成に当たってなぜ用意されなかったのですか。
○佐々木政府委員 この第二章の規定は、事業所全体のレイアウト、各施設地区の配置状況というものを防災上の見地から十分に点検をして事業所の新増設を行わせるという規定でございますが、すでにでき上がっております事業所につきまして、こうしたレイアウトを変えるということになりますと、現実的にはコンビナートの性格から見まして、いわば全面的な施設のやりかえということになるのと同じような状況になるわけでありまして、これは現実問題としては非常にむずかしいというふうに考えられるわけであります。ただ、私どもが昨年度からコンビナート地域の防災診断の事業等を行っておりますが、既設の事業所につきましては、こうした防災診断の内容に応じまして必要な防災上の措置をとらしていくというような形で、逐次行政指導をもって防災のための施設の配置等につきましてできる限り対処していきたいというふうに考えております。
 なお、既存事業所につきましても、この第二章の新設という各施設地区の配置を中心にいたしました事項につきましてはこの法律が適用にならないわけでございますけれども、その他の事項につきましては、すべて防災関係の必要な事項は適用になっていくわけでありますから、これらの規定によりまして、防災上の対策の万全を期していきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 たとえば大阪の堺・泉北臨海工業地帯では、昭和四十三年から今日まで大小の事故が合わせて五十一件に及んでおるわけです。さらにことしに入ってからも、たとえばゼネラル石油精製所というのがありますが、それが今日まで十三件、大阪瓦斯が二件、三井東圧が四件、大阪石油化学が二件、日新製鋼、丸一鋼管それぞれ一件、この数字は、先ほど申し上げました大小の発生事故以外に、別段企業の方から消防機関に通報もなし連絡もなし、いわば包み隠そうとした数字でありますが、ことしに入ってからでも、それだけの企業の社会的な責任というものは全くないわけであります。また、これだけの事故件数というのが挙がっておるわけですが、既設の事業所が、防災上の見地から当然変更をさせなければならないというような立場に立たされても、なお既設の事業所というものは変更することが非常にむずかしいということで、覆い隠そうとしているのですか、そのままで放置しようとしているのですか。それでは全くこの法律ができましても、既存の事業所については放任主義で、防災対策というのは全く立てられない、こういう結果になるじゃないですか。どうですか。
○佐々木政府委員 第五条以下の新設の届け出というところで、主務大臣が処理してまいりますのは、各施設地区の配置状況を中心にいたしまして、そうした事業所の各施設地区の配置が大災害につながるおそれのないように配置関係を考えていきたいということが、このレイアウトを規制していくという問題の趣旨でございます。
 ただいま御指摘のような、いろいろな細かい事故が起きている、これについて企業側の方が何ら消防機関の方にも通報しないで何とかごまかしをしているようだというような問題につきましては、やはり企業の保安の問題が一番大きい問題になるであろうというふうに考えるわけでありまして、これらの関係につきましては、消防法関係の政省令なりあるいはまた高圧ガス取締法の関係における保安点検等の強化ということをさらに行っていきたいというふうに考えておりますと同時に、今回の法律におきましても、単に火災だけの通報ではなしに、異常現象について事業所の責任者は必ず消防機関に通報しなければならないという通報義務を課して、同時にこれについての罰則規定も設けるということにいたしまして、異常現象がありました場合には消防機関の方に必ず通報をするというふうな体制をとりまして、消防側からの、あるいはまた地方公共団体側からのそうした防災に関する体制をすぐとり得るようなことも考えておるわけであります。
 なおまた、いろいろな防災体制その他の保安基準といったようなものにつきましては、この法律とは別個に消防法系統の規定なり、あるいはまた高圧ガス取締法の系統なりにおきましてそれぞれの技術基準あるいは保安基準の強化を行っていくつもりでございます。
○和田(貞)委員 事業所内の施設の配置が防災上不適当である、こういう場合に、変更指示を既存の事業所についてはできるのですか。
○佐々木政府委員 この法律によってはできないわけであります。
○和田(貞)委員 それじゃ、既存の事業所というものはそのまま放置しておる。先ほど申し上げましたように、この事業所には社会的な責任というのは全くないんだから、そういう社会的な責任のない事業所を防災上施設の変更が必要であるということを認めておっても、この法律ではできないということでは、これは新しい事業所については何とかチェックできても、既存の事業所で住民が非常に不安を感じておるわけですから、そういうようなことで防災対策、防災行政というものはあり得るとお考えですか。
○佐々木政府委員 既存の事業所につきましては第十五条以下に規定しておりますように特定防災施設の設置の義務あるいは自衛防災組織の設置義務その他共同防災組織あるいはまた防災管理者の選任の問題、あるいはまたこのコンビナート地帯の周辺におきます緑地の設置の推進規定というような関係の防災措置をそれぞれ講じさせるようにいたしますと同時に、さらにまた消防法の関係あるいは高圧ガス取締法の関係におきましてそうした保安基準の強化というものを制定いたしまして、従来の事業所についての防災体制というものを格段に強化をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○和田(貞)委員 そういうようなことで、既存の事業所でその施設の配置というものが防災上好ましくないというように判断したことが、いま言われたようなことでカバーできると思いますか。根本的に施設の配置について欠陥がある、不備がある、防災対策上やはり問題がある、こういうふうに考えたときには、それ自体を変更さしていくということでなければ、根本的な防災対策にならないじゃないですか。どうですか。
○佐々木政府委員 確かにお説のように、施設地区の配置というものが非常に不安である、非常に問題があるという場合には、そうした施設地区の配置自体を直さなければ防災上は完全ではないということになるかと思いますけれども、ただ現実問題としてそうした措置がとり得るかどうかという点につきましては、やはり非常に困難であろうというふうに考えるわけであります。それに対処をいたしますために、そうした各種の施設についての防災体制というものを強化することによって当面は対処していくということにせざるを得ないだろうというふうに考えておるわけであります。ただ、これから実施してまいります防災診断というものを通じまして、その事業所とさらには住民の一般の居住地域との関係において問題のある部分につきましては、できる限り行政指導をもってこの改善を図るように努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけであります。
○和田(貞)委員 時間がなにですので、ひとまず終わりたいと思いますけれども、既設の事業所が配置されておるコンビナートの周辺の住民は、この法律ができたからということでこれは安心できませんよ。将来にわたって、困難だからということで放置していくというようなことじゃ、せっかくの法律の効果というものは全く意味がない、法律の効果というものは上げることができない、こういうように私は思います。あなたの方がこれを改正していこうというようなお考えがない限りにおいては、せっかく出された法案に対しまして満足をするものではございません。非常に不満でございます。国民もまたそうであろうと思います。全く国民の意思を尊重した、あるいは前向きになった、国民の要望にこたえた法案でないということだけはここに指摘さしていただきまして、あとの質問は、次の時間に譲らしていただきたいと思います。
○大西委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十三分開議
○大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題とし、質疑を続行いたします。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 建設省の都合で、三十三条以降、緑地の問題について質問したいと思います。
 緩衝緑地をつくるということ、これは事業所に対して社会的な責任を負わすためにつくるのか、あるいは地方公共団体が主体となってそのような計画を立てさせるのか、どちらにウエートをかけられておるのか、その点まずお伺いしたいと思います。
○三好説明員 私ども、現在まで緩衝緑地といいます緑地を始めておりますが、これは一つの町の都市計画の一環として進めております。
○和田(貞)委員 そうなってまいりますと、事業所に対して三分の一負担させるということは、言うならば無理をさせて出させておるんだということなんですね。事業所に対して義務づけて、緩衝地帯をつくらせるという社会的な責任を負わすということじゃないんですね。
○豊蔵説明員 この法案に基づきます緩衝緑地は、御指摘のように、企業者が三分の一、公共団体がその残りを持ちますが、そのうち国が二分の一補助いたしますので全体として三分の一ずつの負担になっておりますが、その根底に流れます考え方は、こういったような災害に対処いたします場合の緑地の制限について、企業者も本来の責任があるんだという立て方を基本としております。しかしながら、いま私どもの担当の公園緑地課長から申し上げましたように、都市整備の一環といたしまして都市公園として整備いたします関係上、そのような公共施設としての効用もありますので、そういうような意味で応分の負担をそれぞれに持ち合うというふうに考えておるわけでございます。
○和田(貞)委員 そういう施設、事業所ができることによって周辺の住民に不安を与える、住民に対して公害その他の被害をもたらすおそれがある、そのために事業所に対して当然社会的な責任として負担をさせていく、こういうところにウエートをかけないで、一般的な都市整備の観点だとかあるいは都市計画の観点だとかいうようなことでは、コンビナート法にあえてその条文を設けたという意義が薄れるんじゃないですか、どうですか。
○豊蔵説明員 たとえて言いますと、コンビナートの敷地の中で企業者がそれぞれ一定の空地なり緩衝的な施設を整備する場合がございますが、そういう場合につきましては当然企業者が全額負担するということになろうかと思います。しかしながら、そういう施設につきましては、一般の市民に開放され、また市民が一般的に利用するということにはならないわけでございまして、コンビナート地帯の周辺に、災害防止を考えながら、また一面公共施設としての公園を整備するということを考えました場合、両方相互に費用を負担し合うということが適当ではないかと考えておる次第でございます。このような制度につきましては、公害の緩衝緑地の制度がすでに発足いたしておりますが、これにつきましてもほぼ同様の制度となっておる、そういう点等も比較考量いたしましてこのような制度ができたのではなかろうかと考える次第でございます。
○和田(貞)委員 事業所がなければその周辺にそういう緩衝地帯なり緑地を設ける必要がないわけです。事業所が存在するから緩衝地帯が必要になってくる。たまさか、その緩衝地帯をつくり緑地をつくれば、これは一般の住民が利用するということになるだけの話であって、この法案の中にことさらに条文化している以上は、あくまでもコンビナート等の防災的な見地というものが主にならなくちゃならぬ。そのためには、事業所に対して当然社会的な責任として負担をさせて、そういうことを義務づけていく、こういうことでなくてはならないと私は思う。そうなってまいりますと、この三分の一という事業所の側の負担区分というのが果たして妥当かどうかというところは、私はやはり問題があると思う。そういう事業所がなければ、いま申し上げたようにそういうような緑地をつくる必要もないんだから、そのことを法的に明文化されることによって地元自治体がやはり、三分の一にしろ費用負担をしなければならない、こういう状態になっていくわけですから、今日の自治体の財政事情というものを考えるときに、単に法律をつくって、そうでなくても窮屈な思いをしているのに、法律をつくって自治体に仕事をさせていくとするならば、できるだけ公経費の軽減というものを図る、そういう考え方というものはあってしかるべきだ、私はこういうように思うのですが一そういう限りにおきましては、少なくとも三分の一という事業者の負担区分を、二分の一を負担区分にさせて、そしてあとの半額については、国と、国が援助して自治体に応分の負担をさせていく、こういうことでなければならないのではないかというように私は思うわけなんですが、そういう考え方に立ってもらえないですか。
○豊蔵説明員 確かに、御指摘のように、災害を防ぐための緑地として地方公共団体が整備するということでございます。また一面、災害というものはいつ起こるかわかりませんが、そのふだんの間はこれがまた都市公園といたしまして広く公共用として利用されているというような点も考えまして、先ほども申しましたような公害緩衝緑地との制度上のバランスも考えまして、この程度の負担が適当でないかと思った次第でございます。ただ、なお、今後新規のコンビナート等の地域が整備されていきます段階では、あらかじめ十分に事前にそういったような配慮をすることによりまして、公共団体が後から地域のためにまた再びそういったような投資をすることがないように配慮していくといったような進め方でいきたいと考えておる次第でございます。
○和田(貞)委員 新規のコンビナートをつくっていくという場合には、いま言われておるように、当然そういう緩衝地帯なりあるいは公共的な道路なりあるいはその他の施設なり一体とした計画の中で、それらの費用も当然分譲価格として新設の事業所にはこの負担をさせていく、こういうことになるわけですから、自治体は一銭の負担もしなくてもそういう緑地なりあるいは緩衝地帯というのはできていくわけですね。既存の地域についてもそういう新設と同じような考え方に立つのがしかるべきであろう。私は二分の一ということを言いましたけれども、現実の姿として、まるまるということであればここにまたいろいろな問題があろうと思うので、あえて二分の一という数字を出したわけですが、少なくとも三分の一という数字は、事業所に社会的な責任を負わせていく、こういう立場に立つならば余りにも僅少過ぎるのじゃないか、こういうように思うのですが、負担区分を改めるという考え方はないですか。
○豊蔵説明員 御指摘のように、企業者の負担の割合をどの程度に求めるのが最も適切かということにつきましては、いろいろの考え方もあろうかと思います。ただ、最近、通産省の方では、コンビナート地域に関しまして保安距離等の省令をおつくりになられまして改正が行われておりますから、そういったような規定の実施によりまして、コンビナート地帯の中でも相当程度の保安距離を確保しなければいけないという義務づけが行われております。そういったような保安距離、それからその周辺におきますところの緩衝緑地、それぞれあわせもちまして恐らく災害の防止に役立つことになろうかと思います。いま申しましたように、企業の敷地の中で整備される場合は企業者がみずから全額負担していただくことになりますが、そういったようないままでの制度の改正等を踏まえながら、その外側に一定の緩衝緑地をつくります場合は、先ほど申しましたような公用といったような考え、また一面、災害に対します国、公共団体、企業者、それぞれが責任を有することを考えまして、こういった程度の負担が、公害防止の先行しております制度とのバランスもありまして適当でないかと思った次第であります。
○和田(貞)委員 住民は責任ないですよ。住民はそういう危険なガスタンクに来てくれとか石油のタンクを建ててくれというような要求というのはないわけで、むしろ来てほしくないわけです。専らぬのです。しかるに行政がそういうコンビナートづくりということをやる限りにおいては、住民の負担というものがないようにしなくちゃならぬ。したがって、新設についてはそういうことで全額事業者負担になるわけですが、これは既存の事業所と新設の事業所と比べれば、余りにも既存の事業所は恩恵をこうむる。一つは営利のために事業所があるわけですからね。迷惑千万こうむっておるのは住民ですから、そういう住民の負担するところの自治体に残りの二分の一、すなわち三分の一を負担させていく、これは余りにも酷だというように思うのですが、事業所の方に負担をさせるのはいやだというのであれば、残額について二分の一を国が出すというのを、四分の三を国が出すというような考え方に立つというようなことは考えられないですか。
○豊蔵説明員 公共団体の負担に対します国の補助につきましては、一般的な公園の整備につきます補助制度がございますが、それによりますと、用地費につきましては三分の一、施設費については二分の一というふうになっております。これをこの法律によりまして、用地費につきましても二分の一というふうにかさ上げの規定を設けておるところでございます。また一方、さらに公共団体の裏負担となります部分につきましては、自治省の方でいろいろと手配していただいておりますが、起債であるとかあるいはまた交付税等につきましても配慮していただくことになっておりますので、そういう点で国としても特段の助成をして、支障なく緩衝緑地の整備が進捗いたしますよう進めてまいりたいと思っております。
○和田(貞)委員 これはすれ違いになるわけですが、私は、あくまでも事業所に全額を負担させていく、こういう基本がなければだめだ、そういうことが原則でなければ、これはこの法文をこの法案の中に盛り込むという意義がないと思う。全額事業所に負担させていく、こういう原則に立たなくちゃならぬと思うのですが、私はこの三十四条については納得することができません。
 さらに、既存の場合は新設と違いまして、そういう緩衝地帯をつくっていくということになりましたら、すべての地域に必ず空き地があるということにはならない。住宅ありあるいはその他の施設があり、住宅地域にも面しておるようなコンビナートがございますが、当然事業所の施設と住居との間に一定の距離を保つということになりましたならば、立ち退き、用地の取得がかなりむずかしい事態に立ち至る地域も出てこようと思う。そういうような場合に、移転の費用なりあるいは用地の取得の費用なりあるいは住民のその他の一切の生活にかかわる費用を含めて、国の負担あるいはその事業所の負担あるいは自治体の負担というように考えておられるのですか。
○三好説明員 現在地方公共団体または公害防止事業団が整備しております公害緩衝緑地につきまして、国はそれに要します経費の一部を補助しているところでございますけれども、その補助金の算定といたしましては実勢単価によっているわけでございます。本件の緑地等整備事業につきましても、公害型の緩衝緑地と同じように実勢単価に基づいて算定することとしておりますので、地方公共団体に対しまして超過負担にならないものと考えております。
○和田(貞)委員 目に見えない超過負担というのは現実の従来の、たとえば道路敷地の確保、河川敷地の確保、住宅用地の確保、そういうような場合にやはり目に見えない超過負担というのは自治体が持っておるのですよ。あなたの方は、あなた方の方の指導のもとにおける実勢単価かわからないが、それだけで、一足す一は二ということで立ち退きということはなかなか不可能な場合があるのです。たとえば移転に対するところの雑費とかというような形で現実的には解決しているというようなことがありますが、そういうようなものは表面的に出てこないために自治体が単独で負担をしておるけれども、あなた方の方のこの実勢単価の従来からの補助の計算というようなことには入れられておらない。全くいま言われるように、何もかも含めて実勢単価に基づいて負担区分というのは国の方なり事業所なりに負担をさせていく。事業所には負担をさせていく、国の方でも負担をしていく、そして自治体の方に超過負担をそういうところから起こるようにしないということは言えますね。
○三好説明員 そういう努力をしてまいりたいと考えております。
○和田(貞)委員 努力じゃなくて、そういうようにしてもらわないと、法律はつくっていくわ、それ以上に再び超過負担のこういう原因をつくり出していく、こういうことであったら、これはけしからぬ話でありますから、そういうことのないようにしてもらいたいと思います。公園課長、それで結構ですから。
 そこでこの条文についてひとつ解明をしてもらいたいと思うのですが、まずこの四条ですが、四条の最後に「必要な施策を講ずるものとする。」こういうように書かれておる。きわめて抽象的でありますが、この「必要な施策」というのはどういうことか、ひとつ説明してもらいたい。
○佐々木政府委員 第四条の規定は、国及び地方公共団体の一般的な施策についての考え方を述べたわけでありますけれども、具体的には、まず国の施策として考えられますものは、事業所の新設等に当たっては必要な規制を行う、あるいは国が設定いたします防災基本計画等におきましてこうしたコンビナート地域における防災計画の指針の設定でありますとか、あるいは防災本部についての指導、それから防災に関する調査研究、あるいは被害想定についての指導、あるいはまたただいまございました緑地等についての財政上の特別措置の実施といったようなものが当面考えられる施策であると思います。
 それから地方公共団体の施策といたしましては、特定防災施設等の設置あるいは自衛防災組織の設置それから防災資機材あるいは防災要員等の確保等についてのいろいろな規制が行われるわけでありますけれども、こうした規制についての具体的な実施の指導の問題、あるいは防災計画の作成、防災に関する情報の収集、伝達でありますとか、あるいはまた災害応急対策に関連いたします連絡調整、その他特定事業者に対する防災教育あるいは防災訓練といったようなものがその主な内容になってくると思います。
○和田(貞)委員 いろいろと並べられましたが、この法律を施行するに当たりましてそれぞれの条文をずっと見てまいりますと、新設の事業所については主務大臣に届け出をさせて本省の方でレイアウトを行って、後は関係府県や関係市町村あるいは関係消防機関にすべて仕事を押しつけていくという、機関委任事務として自治体に押しつけていく、こういうことになるわけなんです。一番大事な国の施策としてのそれに伴うところの財政的な援助措置というのはどの程度考えておられますか。
○佐々木政府委員 財政上の問題につきましては、特に市町村関係におきましては、石油コンビナート地帯等がありますために消防力につきましても他の市町村よりは若干の消防施設の強化を行わなければならない。それに伴う人員の増といったような問題もございます。それからさらに消防法の規制が強化をされるということになってまいりますと、それに伴ういろいろな事務あるいは実際の指導業務というようなものが増加してまいるわけであります。こうしたものにつきましては、現在私どもが通常市町村の消防費として交付税法上算定しております経費につきましては、コンビナート地帯があるというようなことで消防費に追加財政需要というものが生ずるわけでありますので、そうした算定について特に注意をして算定をしていきたいというふうに考えております。
 なお、消防施設の増加分に対応いたしましては、この法律の附則の方で規定してございますけれども、補助率の特例を設けて対処したいというふうに考えておるわけでございます。
○和田(貞)委員 四十二条の中で、防災組織に対する技術的な援助というようなことが書かれていますが、市町村の公設消防機関に対して財政援助なりあるいは技術援助というようなものが書かれておらないし、それから消防施設強化促進法の改正で当分の間めんどうを見るということですけれども、いま長官の言われたように人員増も出てくると思いますし、私は将来にわたりましてこの防災行政を一元化していこうと思いましたら、少なくともいまの府県に防災関係の一つの局、部的な機構を持って、そして人員の充実、技術者の常置というようなこともありますし、あるいは消防施設がかなり充足を図っていかなくちゃなりませんが、いま言われたようなことでは、間々あることでございますが、どうも仕事だけ押しつけられて後がめんどうを見てもらえない、自治体に残るのは、仕事だけ押しつけられて超過負担がまた出てくる、財政の赤字がさらに増大する、こういったような結果になりかねないと思います。
 さらに四十五条で「手数料」がうたわれておりますが、仕事は機関委任として自治体に押しつけて、手数料程度でお茶を濁そうというような考え方がおありじゃないですか。
○佐々木政府委員 この法律の施行に伴って、またさらには別に予定いたしております消防法関係の政、省令の改正に伴いまして、こうしたコンビナート地域におきます施設の点検、検査、指導というような面で市町村消防における事務分量というものは、相当にふえてくるであろうというようなことは予想されるところであります。ただ、これに対しまして、一面において市町村の消防職員の充足ということも考えなければならないわけでありますけれども、また人的な面におきまして、いずれの市町村におきましても、十分必要な人員を確保するということも事実上なかなか困難な問題もございますし、また市町村消防がコンビナート地帯にかかり切りになってしまうというような事態もこれまた問題であります。そういうことからこうしたコンビナート地域における、特に石油関係施設等につきましては、市町村の消防が行います点検、検査の業務の一部を代行し得るような第三者的な機関の設置の問題ということもただいま検討しているところでございまして、この点はすでに水島の事故調査委員会の中間報告における指摘にもございますので、そういうような第三者的検査機関の設置ということも検討しながら、市町村の消防におけるいろいろな、技術面の補完をしていくという制度を考えるべきであろうというふうに考えておるところであります。なおまた本年度の予算におきましては、そうした技術的な面の不足しております地域につきましては、技術援助チームの編成を行いまして、市町村の要請によって派遣をするといったようなことを考えておかなければならないというふうに思っておるところでございます。なお財政的な面は、私どもも毎年度の市町村の財政状況を見ながら、市町村において消防費につきましての財源面が不足を生ずることのないよう特段の注意を払って見守っていきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 やはりこの法の施行によって自治体は財政負担に私はなっていくと思うんです。たとえばその十五条で、いま長官も触れられておったわけでありますが、検査あるいは定期点検というようなことについてはやはり事業所に任せ切りというんじゃなくて指導面があるわけですから、立ち合うということが必要になってくればかなりの人員も必要になってこようと思います。これはいま言われたように、たとえば高圧ガス規制法に基づく高圧ガス保安協会と同じような、こういう保安協会的なものを自治体に直接人件費の負担にならぬように考えていく、こういうことですね。
○佐々木政府委員 ただいま御指摘のように、市町村の消防の仕事がふえてまいるということに対応いたしまして、予防関係の職員の増加ということも考えておかなければならない問題でございますし、また第三者的機関というのはいま御指摘になりましたような内容のものでございます。
○和田(貞)委員 十六条の「自衛防災組織」が義務づけられておるのですが、この政令がどういう政令かわからぬけれども、その政令に基づくところの人員の配置、政令に基づくところの資機材を義務づけましても、せっかくその組織ができましてもその組織が動かなくちゃ、効果を出さなければ、効力を上げなくてはだめなんですね。そのためにはやはり教育なりあるいは訓練なりが必要になってくるわけですが、そういう自衛防災組織の教育訓練はどういう施設で、一体どこがやるのですか。
○佐々木政府委員 自衛防災組織の備える資機材というものは、これまで消防法で規定しております自衛消防組織のものよりは格段に強化をされる内容のものと考えております。したがいまして、それに対応するところの教育訓練というものがどうしても日常業務として必要になってくるわけでありまして、これらの内容につきましては防災計画の中でそうした訓練規定というものも含めて考えるわけでありますけれども、やはり現実的には市町村の消防がこれに十分対応しての指導というものをやっていかなければならないというふうに考えております。
○和田(貞)委員 これは現場で、事業所は事業所で勝手に訓練をやれ、消防機関がそれを指導する、こういうようなことだけでは教育訓練ということにはならないわけですね。やはり必要によっては訓練施設で実際の、たとえば消防車の操作の問題であるとかあるいは知識を高めるための教育であるとかいうことはやっていかなければいかぬわけですね。現実的にいま、たとえば大阪でも府の消防学校に既存の組織を事業所から、もちろんその負担は事業所からいただきますが、この施設に一定の期間入れて、実際の実務訓練をやっていくあるいは教育をやっていくということをやっているのですが、これはいまよりもさらに強力な、いま長官が言われたような自衛防災組織になってくれば、いままで以上の訓練と教育というのは必要になってくるわけですが、そういうところからもやはり自治体の必要以上の経費というのはこれによっても出てくるんじゃないですか。
○佐々木政府委員 確かに御指摘のように、こうした自衛防災組織の技能を向上させるということのためには、一面においてそれぞれの事業所における保安組織との関係もございますし、通常の火災の場合と違った火災の発生もあります。あるいはまたその他いろいろな災害が予想されるわけでありますから、それらに対応する各種の訓練を行っていく必要があるわけであります。これらの組織の職員を、たとえば府県の消防学校に入れて訓練をするということも場合によっては必要になってくるかと思いますけれども、消防学校が現存常設消防の職員の訓練で相当いっぱいになっております関係で、さらにそれを訓練可能かどうかという点につきましては、地域によってまた大分差がございますが、そうしたことも当然これは考えていかなければならない問題だろうというふうに思っているわけでございます。
○和田(貞)委員 先ほど申し上げましたように、四十八条で明確になっているように「権限の委任」、主務大臣の権限に属する事務は都道府県知事あるいは市町村長に委任することができる、とこうありまして、とにかく実務は自治体にやらしていく、こういうことでありますから、これはかなりの財政援助というものがあってしかるべきであると思うのです。私はこの機会に申し上げたいと思いますが、あなた方の方の考え方は権限を委任、すなわち、機関委任をさせていくというようなこと、これはもう自治体としてはまっぴらお断わりなんです。むしろあなたの方の事務を市町村なりあるいは府県にやらしていくということであれば、本来あなた方の方の仕事でありますから、それを府県に委託をしていく、市町村に委託していく、それに相当したところの委託費を出していく、地方交付税の中でごまかしていくというようなことじゃなくて、やはり必要な経費を国が完全に自治体に保障していく、こういう考え方に立って権限を委任していくということでなければならないと思うのですが、どうですか。
○佐々木政府委員 ただいま仰せられた考え方についてはいささか異論があるわけでありますけれども、やはり地方公共団体の権限を幅広くしていくということは、いまの地方団体を育てていくということの上にも必要でありましょうし、そしてまた、特に防災に関する仕事というものは、地域社会を守っていくという上において地方公共団体がそれに対応する権限を持っているということは必要であろうというふうに考えるわけです。
 そうした権限の移譲に伴ってどういうふうな財政措置をしていくかということにつきましては、その財政措置の仕方にはいろいろあるのじゃなかろうか。その一つはまた、交付税の中での基準財政需要額の算定ということを通じて財源措置について考えていくということも一つの方法でありますし、そういう意味におきましては、いわゆる事務委託というような性格のものではなくて、こうした仕事につきましてはでき得る限り市町村あるいは府県に権限を移譲していく、そしてその財源措置の方法としてはいろいろな方法を考えていくということでいいのではないだろうかという考え方を持っておるわけであります。
○和田(貞)委員 今日の地方自治体の赤字というのは、人件費が非常に多過ぎるからということですね。こういうことをあなたの方は言うているわけです、――あなたの方じゃなくて自治省の方が言うているわけですが、これは本末転倒であって、たとえばこの法律のように、積み重ねる法律によって形としては自治体の権限の拡大ということでいいかもわからぬけれども、一方的にどんどん法律をつくっていって仕事を押しつけていく。仕事を押しつけていけば、これは人手不足でありますからどうしても人をふやさなくてはならない。それが地方自治体の赤字の、財政窮迫の原因をつくっておるわけでありますが、それを差しかえて、人が多過ぎるから財政が窮屈なんだというような論点に自治省はすりかえるのですから、だから私はあえて、ひとつこの法律を施行するに当たりましても、いま申し上げましたように、非常に水臭い言い方でありますが、仕事を押しつけて交付税の中ですでに財源の援助をしたんだというような不明確なやり方じゃなくて、やはりこれだけの仕事を自治体に押しつける以上は、それに見合うところの財政というものは、国が委託をしたのだから委託費を出していく、そういう考え方に立ってほしいというふうに私は思いますので、そのことを申し上げたわけなんです。そういうことを言いましても、なかなかあなたの方はそうかということは言ってくれないと思いますが、やはり権限を移譲し、仕事を押しつける以上は、それに見合った財政援助というものはこれはあってしかるべきだと思いますので、これは十分ひとつ財政的に自治体を窮屈に思わせないように、自治省としてはその援助策を講じてほしい、こういうように思いますが、自治大臣の方からひとつお答え願いたい。
○福田(一)国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、先ほどから承っておりましたが、確かにこの種の仕事をやりまして、それが非常なまた負担になっていくというようなことでも困りますから、十分その点も考慮して今後対処してまいりたいと思います。
○和田(貞)委員 二十八条についてちょっとお尋ねしたいのですが、各府県に知事を本部長とする防災本部を組織する、そして本部員は一からずっと九まで掲げられておるのですが、その中に特定防災区域ごとに、その防災区域内の特定事業所に係る特定事業者を代表する者、いわゆる事業者の代表が本部員になって防災計画、防災対策というものを立てていこう、こういう考え方でありますが、私はこの中に事業者の代表だけではなくて、やはり実際にその事業所で働いておる労働側の代表、労働側の代表も中で経験しておるわけでありますから、経営サイドではなくて、働くという立場に立って一番よくわかっておるわけでありますから、そういう代表もこの本部員に入れるとか、あるいはコンビナートの周辺の住民の代表あるいは住民組織の代表、そういうような人もこの本部員の構成に含まれることによって、本当に住民サイドに立った防災計画の立案というようなものも講じられていくと思うのですが、そういうお考え方はございませんか。
○佐々木政府委員 この条文におきまして特定事業者の代表者を入れておりますのは、この法律の規定によりましてそれぞれ事業者に自衛防災組織あるいは共同防災組織の設置の義務づけ、一定の消防施設なり資機材というものの備蓄も命じておるわけであります。したがいまして、防災計画をつくります場合には、当然にその消防施設の運用あるいは応援、あるいはまた資機材の備蓄量について、特定事業者にどれだけのものを持たせていくかというような内容につきましては当然にこの防災計画で規定をしていかなければならない。そういう意味におきまして、特定事業者はやはり防災の相当な部分を担当するという意味におきまして、特定事業者の代表者を本部員に入れたわけであります。
 そのほか、本部員としてどういう人を必要として任命をするかという点につきましては、同じ項の九号に「当該都道府県の知事が必要と認めて任命する者」ということで、その地域の実情に応じまして知事が必要と認めて本部員を任命することができるようになっておるわけでございます。この辺の判断は、都道府県知事の判断にゆだねていきたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 それは、そういうふうなことでお逃げにならないで、やはり今後行政指導の中で――私が言いたいのは、確かに事業所の代表者がこの本部員に加わるということについて責任を感じせしめる、あるいはこの事業者に対しましてやはり責任を持たせていくということで事業者を本部員に入れるということは、私は、いま長官の言われたようにこれは意味があると思うのです。しかしそのことだけじゃなくて、実際にその事業所の中で働いておる労働者が、自分の経験の中でこういうように改めることがいいと思うとか、自分自身がその中で働いておるのでありますから非常にとうとい経験というものを持っておるわけです。むしろそういうような労働側の代表というものを本部員に入れるということは、この防災対策上、計画を立てるのにやはり生きた意見というのが述べられることにもなりますし、あるいはこの周辺の住民というのは非常に強い関心を持っておるわけでありますから、住民代表ないしはその住民の組織の代表というものを入れることもこの防災対策を立てていくについて非常に意義があると思うのです。そういう点を理解してもらうのであれば、法の施行に当たって、二十八条の防災本部の組織化は府県に任しておく、自治体に任しておくというのじゃなくて、消防庁自身が、あるいは自治省自身がそういうような行政指導があってしかるべきじゃないか、こういうように思うのですが、どうですか。
○佐々木政府委員 この防災本部の構成は、この条文にも規定しておりますように、平常時におきましては防災計画の立案に当たり、そしてまた災害発生時におきましてはその実動部隊のいわば指揮者になりあるいはまた実動部隊の連絡調整に当たるものでございます。そしてまた防災計画が作成されました場合におきましては、その防災計画は一般的に公表することになっておるわけでありまして、これらにつきましては、その防災計画の内容等は地域住民の方々なりあるいはまた会社、企業の従業員の方々等にも十分周知できる内容のものであろうというふうに考えております。またコンビナートを構成いたします企業の場合には、石油あるいは高圧ガスというものを主体にいたしますけれども、その企業の内容は非常に多様でございます。そういう意味におきまして、どういう方々をこうした防災関係の本部に本部員として構成をして、その防災に関する責任を持ってもらうかということにつきましては、やはりその地域の実態に応じてそれぞれ府県知事に判断していただければいいのではないかというふうに考えております。
○和田(貞)委員 もちろん最終的には都道府県の知事の判断によって、知事が必要と認めて任命したらいいわけなんですが“この種の防災計画を立てていく本部のそういう組織の中に、より経験を生かし、より住民の声を反映さしていくという見地に立つならば、私がいま申し上げましたように、事業所内の労働者やあるいは周辺地域の住民の代表というものをやはり入れていくように行政指導をしてもらいたいということを、まだこの法の施行については時間があるわけでありますから、私の意見を十分参酌をしてもらって行政指導をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
 その次に、これも先ほどちょっと触れたわけでございますが、市町村の消防機関というのは、財政上からもあるいは自治体の規模からも、能力、技術面に非常に格差があるわけなんです。ましてコンビナートということになりますと、海に面しておるわけでありますから、単に陸上の消火施設だけでなく海上からの消火施設というものがやはり必要になってくるわけなんです。そこで、海上保安庁来ておられるわけでございますが、いま海上保安庁で消防艇、消防船どの程度保有なさってどのように配置されておるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。
○船谷説明員 海上保安庁といたしましては、大型タンカー火災に対処するために大型の消防船、これは巡視船の部類に入れておりますけれども、それを三隻保有して東京湾、伊勢湾、大阪湾に配置しております。それから中型の消防艇を四隻、小型を四隻、消防専門艇を持っております。このほかに一般の巡視船艇でも消防能力を持っておりまして、巡視船二十一隻、巡視艇は百二十九隻が化学消防の能力を持っております。そしてまた四十九年度に中型消防艇を一隻増強いたしましたし、それから老朽の小型消防艇二隻を中型消防艇にかえました。そして化学消防能力を付与しました巡視船四隻と巡視艇十一隻を整備いたしまして、さらに五十年度には小型の消防艇二隻を中型にかえます。それから巡視船五隻と巡視艇三隻に化学消防能力を付与するようにしております。これらの配置につきましては、消防船はいま申し上げたとおり横浜、四日市、下津でございます。中型の消防艇は鹿島と千葉、堺、水島に置いております。それから小型の消防艇は横浜、神戸、岩国、徳山に置いておりまして、その他の一般巡視艇は全国の保安部署に配置してございます。
○和田(貞)委員 いまお答えになりましたように、海上保安庁で消防艇というのは十一隻しか保有されておらない。しかも大型消防艇というのは排水量二百五十六トン、消火能力が六トン二本、三トン四本、二トン一本、それだけの消火能力のある船が三隻しかない。あと中型ということになりましても、形は大中小でございますが、大型と比べましたら排水量にいたしましてもその三分の一強、消火能力がその二分の一しかない、そういう船が四隻です。あと小型船というのは、全く消火能力も疑わしいというような能力の小船が四隻というようなことで、ほとんどが市町村の消防機関に、たとえば港湾区域内で起こった事故等についても協力を求めなければならない。こういうことで、海上保安庁自体の消防艇というのがこういうような状況で、この特定地域を佐々木長官もこの間言われておりましたように七十カ所に及ぶ地域指定をするというような中で、この十一隻の消防艇で事足れりとお考えですか、どうですか。
○船谷説明員 消防能力についてはまだまだ足りないと考えております。しかしながらなかなか予算措置上、たとえばわれわれいろいろな任務を持っておりますが、老朽の巡視船も相当に代替新造しなければいかぬ、あるいは航空機がまだ不足する、その他海上警備業務のためのいろいろな資機材等も整備しなくてはならないというような点で、なかなか思うように予算の計上ができない点がございまして、不十分とは存じておりますけれども、官民一体になって事に処するという体制をもりてやっておる次第でございます。
○和田(貞)委員 建設省、あなたの方の所管じゃないのですが、港湾法で港湾管理者というのは必ず消火、救難及び警備に必要な設備を設けなければならないというように義務づけられておるのです。いま全国の大小合わせての港湾を管理しておる自治体の長、これは府県の場合もありますし市町村の場合もありますが、一体港湾管理者が港湾法に基づく義務づけられた消火に必要な設備を設けているところというのは何カ所あると思いますか。
○船谷説明員 個所数はちょっと持っておりませんが、港湾管理者が持っております消防能力を持った船は全国で二十七隻でございます。
○和田(貞)委員 消防庁にお尋ねいたしますが、港湾を持っておる市町村の消防機関で消防艇を持っておるところは何カ所ありますか。
○森岡政府委員 市町村数の前に、市町村の保有いたしております消防艇の状況を申し上げたいと思いますが、昨年末で全体四十七隻ございます。トン数別に申しますと、三十トン未満が十六、三十トンから五十トン未満が二十六、五十トン以上百トン未満が三、百トン以上が二、放水能力は毎分五千リッター未満が十五、五千から一万未満が十八、一万以上が十四、こういう台数であります。それから消防艇を保有いたしております重要港湾の所在しております団体数は十九でございます。なお、若干それと重複はございますが、いわゆる石油コンビナートが所在しております市町村で消防艇を所有しておりますのは十三でございます。
 以上のようになっております。
○和田(貞)委員 大臣、いまお聞きになりましたように、海上保安庁が十一隻しかないのです。それから港湾管理者が全国で二十七隻しか持っておらない。市町村の消防機関が四十七隻持っておりますが、その中でコンビナートを抱えておる市町村で消防機関が船を持っておるのは十三隻なんです。全部合わせたところで何ぼでございますか、五十一隻しかない。これは五十一隻が全部一隻ずつ配属されておるんじゃない。横浜のように三隻持っておるところもあれば、あるいは川崎のように一隻しかないところもあれば、ほとんどが持っておらない、小規模の消防機関を設置をしておる市町村は。そういうようなことで考えましたときに、海上からの消火設備というものはコンビナートの防災上ぜひとも欠かすことができないことでありますが、いまのような状況の中でこの防災法が実施され、しかも、この中で消防施設強化促進法を強化して、そして財政援助をやっていくということでありますが、この船の問題だけを考えましても、かなりの財政援助がなければ、万端整うというような防災対策、それに伴うところの施設の充実ということにはならないと私は思うのです。そういうような現実の姿を直視されまして、今後この法律を施行するに当たってどういうようなお考えを持っておられるか、ひとつ自治大臣お答えを願いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のあったように、海上におけるその種の施設というか船の数は非常に少のうございまして、それで十分対処できるかということであれば、心もとない気がいたします。したがいまして、今後は順次これを増強するように努めてまいりたい、かように考えるわけでございます。
○和田(貞)委員 これはひとつ自治大臣にお願いしたいわけなんですが、あなたの方の所管として消防機関に消防艇を配属するように財政援助をやっていくということだけじゃなくて、やはりいまお聞きになったようなことでありますから、運輸大臣にも言ってもらって、なかなか予算が取りにくいと言うとるのですから、これは十一隻しかないのですよ、やはりこの法の施行に当たって運輸省も本腰を入れて海上保安庁に、少なくとも三倍、五倍の消防艇を持つようにしてもらわないと、この機能は麻痺しているという状態です。建設大臣はきょうお見えになっておられませんが、建設大臣にもやはり言ってもらって、各港を受け持っておる港湾管理者の自治体に財政援助をしてもらって、本格的に消火設備である消防艇を持てるように、小さい自治体でなかなか持てないわけかんですからね、財政援助はぜひとも必要になってくるわけなんですが、運輸大臣にもあるいは建設大臣にも機会をつくっていただきまして、十分一の話をしてもらって、そして自治省ももちろんのことでありますが、こういう非常に不備な海上からの消火設備としての消防艇を充実するように努力してもらいたいと思いますが、もう一度ひとつお答えをいただきたい。
○福田(一)国務大臣 御趣旨はよく了解をいたしました。運輸大臣あるいは建設大臣等とも協議をいたしまして、できるだけその種の消防艇増強については努力いたしたいと存じます。ただ、言いわけをするわけではございませんが、いま財政的にも非常に苦しい時代でございますので、一挙にこれをふやしていくということもなかなか困難かと思いますが、事情の許す限り増強に努力するということをお誓いをいたしたいと思います。
○和田(貞)委員 財政援助をされるのですから、これはもうかなりの本腰を入れてふんどしを締め直して財政援助をしてもらわないと法が空文化していく、こういうことになりますので、再度強く要望しておきたいと思うのです。
 この後の質問者も待っておられることでございますので、もう一つで終わりたいと思いますが、最後に消防法の改正で罰則規定が書かれておるわけなんですが、新しく起こされた三十九条の二、せっかく罰則規定が取り入れられておるにもかかわらず、「ただし、公共の危険が生じなかったときは、これを罰しない。」あるいは三十九条の三についても同じことでございますが、ただし書きを入れて「公共の危険が生じなかったときは、これを罰しない。」なぜこのようなただし書きを入れたのか。こういうただし書きを入れることによって、公共の危険が生じなかったというのは、一体だれが判断するのか。最終的にはその訴訟によって裁判所が判断せざるを得ないというようなことになるじゃないですか。むしろ書かなかった方がよいにもかかわらず、あえて罰則規定を強化したという反面、こういうようなただし書きを入れたということについて、私は理由がわからないのであります。
 そのことについてお聞かせいただくと同時に、あわせてコンビナート法の中でもいろいろと罰則規定がございます一たとえば立入検査あるいは報告の義務、いろいろなことを事業所あるいは事業主に対して義務づけておるわけでありますが、極端に言うならば、この報告義務を怠った、あるいは立入検査を拒んだ、罰金は十万円だ。逆に言うならば、十万円出すことによって立入検査を拒む、報告の義務を怠る、こういうようなことにもなりかねないと私は思うのですが、そのようなことを含めましてひとつ御説明を賜りたいと思います。
○森岡政府委員 まず消防法に新たに設けました罰則規定について御説明申し上げます。
 申し上げるまでもないことでございますが、一定の規制を行いましてそれに違反した場合に罰則を設けます場合には、その行為あるいは不作為によって生じました法益の侵害を十分勘案いたしまして罰則を決めるということに相なろうかと思います。そういう意味合いでは、私どもはやはり罰則の犯罪の構成要件及びそれに対する量刑をどの程度に定めるかということは、法務省と十分協議をし打ち合わせましてこの規定を設けたわけでございます。基本的に危険物の漏出、流出、放出あるいは飛散ということで火災危険を生じさせた者を罰するわけでございますけれども、その結果公共の危険が生じたということが、この際新たに処罰をいたします犯罪の構成要件として、守るべき法益という観点からそういうふうな考え方をとるべきだ、こういう考え方に基づいた結果でございます。
 それから、報告なりあるいは立入検査を拒んだ場合のこれまた量刑の程度でございます。十万円以下の罰金に処することになっておりますが、これもやはり消防法あるいはその他の規制法全般を通じましての罰金、処罰規定との権衡を考慮いたしましてこのような規定にいたしておるということでございます。
○和田(貞)委員 十万円あるいはそれに似通った罰金を科して義務づけるということよりも、むしろ営業の停止、事業活動の停止命令ということの方が事業所としてはこたえるんじゃないですか。そういうような措置を講じないで、十万円というような量刑を並べておりますが、逆に言うならば、十万円出したらしまいやないかということで、かえって義務規定というものが軽率に取り扱われるというような感じがしてならぬのですが、そうは思われないですか。
○森岡政府委員 一定の義務を担保いたしますためには、御指摘のようにこういう規制法におきましては、単に罰則だけでなくて使用停止命令という形での処分を行う、その方が効果的であるという点は十分ございます。ただ、使用停止命令をかけます場合には、それに相応した不十分な点があるということでないと問題があるわけでございまして、この法律でも、すでに御承知のように措置命令あるいはそれに従わない場合の使用停止命令という規定は二十一条にも設けておるわけでございます。そういうことで、やはりこの法律でもってどうしても担保しなければならぬきわめて重要な事項につきましては、使用停止命令と罰則を併用するということもいたしておるわけでございますが、第五十一条に関連いたしましては、先ほど申し上げましたようなことから一応罰金の規定ということにいたしておるわけでございます。
○和田(貞)委員 やはり防災という行政の立場に立つならば、事業所に効き目があるようにすべきであると思うのでございます。十万円というような罰金よりも、むしろ使用停止命令の方を重視して法の運用に当たってもらいたいと思いますし、消防法の罰則のただし書きというのは、最終的にはあなたの方の判断じゃなくて、やはり裁判所になってしまいますよ。こういうただし書きというものを入れることによってかえって効果が半減した、私はこういうように言わざるを得ないと思います。なかなか言ったところで、あなたはそれを撤回するとかあるいは修正するというような考え方はないと思いますので、このただし書きを入れたということは私は非常に不満であります。このただし書きを撤回をすべきであるというのが私の意見であるということを申し添えまして、最後に一つ、先ほども申し上げましたように、この防災行政についてはやはり一元化の方向に向かって近い将来なお善処すべきである。さらに、この法の施行に当たりましては、これ以上自治体に財政のしわ寄せを来さないように万全の財政援助を講じてもらいたいということをつけ加えまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大西委員長 多田光雄君。
○多田委員 冒頭に消防庁、それから大臣にもちょっとお願いしておきたいのですが、きょう、議員の要求でこういう資料が出てきたわけですけれども、やはりこういう新法をつくる場合、できるだけ作業過程の資料は趣旨説明の前後に早々と出すというふうにしていただきたいと思うのですよ。これは当委員会だけじゃありませんけれども、要求しないと出ないという状況ではやはりまずいと思いますね。この点で私、大臣に一言御答弁願いたいのですけれども、今後こういう法案の審査あるいは重要な案件の審査の場合には、政府の作業過程において使用したもの、それは極力出して、そして議員の目を通して、そうして審議をしていくというようにしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。これは大臣にお願いしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 御趣旨ごもっともでございますので、御意向に沿うように努力をいたしたいと思います。
○多田委員 三日前の六月十四日なんですが、日本科学者会議と自治労千葉県本部が主催し、それから千葉県の住民運動連絡会が後援して、いわゆる生けるしかばねと言われている東京湾をよみがえらせるために、初めて東京湾シンポジウムというのを千葉で開いたわけです。これは一部新聞にも出ておりましたからあるいは目にとまった方もいると思いますけれども、同じようなシンポジウムが二十一日、東京で開かれるということも載っておりました。
 それで、千葉のシンポジウムで研究発表した船舶技術研究所の渡辺健次氏の、もし東京湾で新潟地震並みの、マグニチュード七・七の地震が起きた場合にどうなるかということで、京葉コンビナートだけで百五十万キロリッターの油が流出するんじゃないかという意味の報告を見ました。この渡辺氏の報告は、現在京葉コンビナートには石油類のタンクが、五万キロリッター以上のものが九十基、それから一万ないし五万キロリッターが三百五十基、一万キロリッター以下が約三千基あるというが、これらのタンクの一つ一つの基礎、地盤、それから使用年数、容量、タンク構造を区別して、それに新潟地震のときの調査結果をもとに算出した破壊確率を選んでこの被害予測を立てたもの、こう言われているわけです。それによりますと、タンクの五二%が何らかの被害を受けるのではないか、こういう意味のことも報告されているわけです。この種の予想というのは相当数多く科学者その他から出されておりますけれども、ともかく東京湾に限らず、コンビナートにおける事故というものが重大な被害、影響を与えるということは、これは常識ある者ならだれでもわかることだ、こういうふうに思うのです。
 それで、新潟の地震から川崎の直下型の地震に至る問題、あるいはまた水島事故の被害の、予想をはるかに超えた深刻な、しかも広範な影響、さらにまた相次ぐコンビナートのこういう爆発、火災事故、さらに東京湾などにおける石油タンカーの事故は枚挙にいとまがないわけですね。ですからこのコンビナートの事故に対する、地域住民はもとより国民の関心も非常に強くなってくる。そういう関心、あるいは当委員会でもずいぶん論議になりましたけれども、そういう世論、あるいはこの国会における審議、それを反映して今回、一定の改善点を含めた石油コンビナートの防災法案が出されたということ、これはこれとして私は一定の前進はあるというふうに考えております。ただ、問題は、われわれが考えているコンビナートの災害あるいはまた地震の場合のそういう大都市を中心にする工場地帯の災害というものが、一体この法案によって国民が期待するように防げるのかどうなのかという問題なんですね。
 したがって、こういう問題について私はきょうは基本的な問題で何点かお伺いしたいと思うのですが、大臣、四時にお帰りになるということなんで大変残念なんですけれども、これらの危険物、それから毒物劇物の一大集積所が政府の調査でも全国に六十一カ所あると言われている。そして六十三市町村ですかがこれに関係しているという。そういうコンビナートの災害を本当に防げるものになっているのかどうなのか。つまり最悪の場合を想定してなんです。私は、一週間後に地球が真っ二つになるなんということを空想小説みたいに言っているんじゃないのです。あり得ることなんです。そういうふうにお考えになるかどうなのか、これをまず大臣にお伺いしたいと思うのです。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になりましたような災害が起きたといたしました場合に、この法律ができれば全部救えるかということであれば、私は非常に困難であろうかと思っております。
○多田委員 大臣、国会が延期になってから、私どもから見れば大変取り急いでこの法案が出されてきた理由は一体何でしょうか。これは確かに対決法案とか重要法案と言われるものではないけれども、国民や住民のサイドから見るならば、地域の安全や住民の命にきわめて深刻なかかわり合いのある問題なんです。ある意味では重要な内容を持っているのです。これが国会の冒頭なり中間でも出されてくるというのならいざ知らず、延長になってから、しかも会期が非常に短くなってから出されてきたという、これは一体どういうわけでしょう。
○福田(一)国務大臣 われわれといたしましては、なるべく早く提案をいたしたいと考えまして法案作成に当たったわけでありますが、関係各省が非常に多いことと、また関係法令が非常に多うございまして、その間の調整をとるということは容易でございません。これは日本の政治の一つの弊害といいますか、官僚制度のある意味での弊害といいますか、その種のことはどうもいま一朝一夕にそのことをふつ切るほどのことが非常にむずかしい。また、それをそのようにすることが一方においてまた非常に弊害を伴う場合も起こり得ると私は考えております。いずれにしても、この法案を提出することが非常におくれたことについてはまことに遺憾であると考えておるわけであります。
○多田委員 この間の与党の高鳥議員の質問に対して大臣は、一元的指導の問題で、私もここにメモしているのですけれども、産業政策上関係の省庁から強く要望もあった、非常に難航したというようなことも言われているわけですね。統一的な管理の問題については御説ごもっともであるけれども言われたことは、やはりそういうものの必要性を担当の大臣としてお考えになっておることだろうと私は善意で理解するわけですが、それが思うようにいかなかった。しかも官僚主義的なものもあったということなんですが、私はその辺はわからぬわけじゃないのです。わからぬわけじゃないのだけれども、そしてまたそこに今日の日本の政治の重大な弱点の一つがあるというふうに思いますけれども、私は、やはりこのコンビナート法については、本当に国民の期待にこたえるような、行政上はどのようにしたらいいかは別にして、やってもらいたかったというふうに希望していますし、そして多くの人たちがこのコンビナート法に対して期待したものはそういうものだったろうと思うのです。だれよりも担当者の消防庁が一番苦労しておるのです、これは。後で申し上げますけれども、海があり、川崎なんかでは飛行機まで監視しているわけでしょう。国鉄が走りますわね。そして一たん火事が起きたらすべて消防の責任になるわけでしょう。それがうまくいかなかったということなんですが、きょうは産業政策をやるわけじゃありませんけれども、後でお伺いしたいと思いますが、かなり改善点があるだけに、非常に残念であったというように私は思いますし、したがって、この委員会における審議の内容を十分ひとつおくみ取りになって、この法案を一層よきものにしなくちゃならないというふうに考えているわけです。
 そこで、次に質問に入りますが、建設省の都市局来ていますか。――建設省て、昭和四十七年に「京浜臨海部防災遮断帯整備基本調査及び京浜臨海部防災遮断帯防災効果調査」というのを日本都市センターに委託してつくらせましたね。これはコピーしたもので非常に分厚くなっておりますが、これはどういう目的でつくられたのですか。
○豊蔵説明員 私ども、南関東地域におきまして大地震が発生いたしました場合の都市計画上の防災的な配慮をどのように加え、またどのような基本的な方針で都市を整備していけばいいかということで各般の調査をいたしておりますが、その一環といたしまして、川崎、横浜地帯におきますところの石油コンビナート地帯の災害がもし発生した場合における都市への災害の及ぶ程度であるとか、あるいはまた、それに対処いたします際の一つの構想としての防災遮断帯のあり方等について検討を加え、今後の施策の資料にいたしたいと考えたものでございます。
○多田委員 これを私一応読ましてもらいました。非常に膨大なものですが、中身は非常にりっぱなものなんです。これは消防庁長官も恐らく目を通されたんじゃないかと思いますが、非常にりっぱなものだし、その前に出ております「防災遮断帯整備効果の分析」もなかなかりっぱなできである。そして、この中身は四十年、五十年の科学的な検証の上に立って出されているわけです。つまり、恣意的に曲げられない要素が多分にあるわけです。たとえば輻射熱がどれだけの熱量を発生すればどれだけで人間が被害を受けるのかということなんか、これはもうわかり切ったことなんです。そういう科学的なものを根拠にしてこれだけのものをつくられているわけです。これはどうでしょう。施策に運用するということなんですけれども、どの程度これを利用されていますか。
○豊蔵説明員 四十七年度と四十八年度の両年度にわたりまして調査いたしましたいわば防災遮断帯の構想につきましては、特にコンビナート地帯におきまし、て大災害が発生した場合の被害想定、いわば被害単位等の想定及び防災遮断帯によりますところの防災効果等につきまして基本的な対策の考え方を検討したものでございます。また、これがさらに広く、都市の防災、安全化とともに、都市環境の改善といった都市構造自体の根本的な問題の解決の一つのモデルとして検討したものでございまして、そういうような意味でかなり意義があるものと考えております。
 ただ、この構想はあくまでも一つのモデルとして示したものでございますので、これを具体的に事業に移してまいります場合には、現地におきます土地の利用状況であるとか、あるいはまた具体的な事業の手法を、どのような事業種を選択するか、あるいはまた地元住民の意向等、いろいろさらに検討しなければいけない点がございます。私ども関係の両市といろいろと検討を加えておりますが、こういったような構想をさらに具体化するために、関係の機関とも協力いたしまして、なるべく早く事業計画が作成できますよう指導していきたいと思っております。
○多田委員 ちょっとつかぬことをお聞きいたしますが、これはどのくらい金がかかりましたか。委託してつくらしたもの……。
○豊蔵説明員 いま手元にちょっと数字を持ち合わせておりませんが、両年度にわたりまして約三千万から四千万程度の費用をかけたように聞いております。
○多田委員 これとこれ二つでね。
○豊蔵説明員 いまの防災遮断帯構想で、四十七年度と四十八年度二カ年にわたりまして、ほぼ同程度の金額の調査を行ったと聞いております。
○多田委員 恐らくこれは自治省だけでなくて、通産なんかも見ているんじゃないかというふうに思いますけれども、都市問題とあわせてやっているということで私は非常に感心して読ましてもらったのです。
 そこで、これは通産、建設両方に伺いますが、防災の立場から日本のコンビナートの特徴は、ヨーロッパのコンビナートと比べてみて一体どういう特徴があるのでしょうか、それをひとつ伺いたい。まずコンビナートの形態の違いをひとつ説明してくれませんか。
○豊蔵説明員 私もヨーロッパのコンビナートにつきましてまだつぶさには承知しておりませんが、日本のコンビナートにおきますところの実情は、この報告書等にも指摘しておりますように、もし一度災害が発生した場合には周辺に災害を及ぼすおそれがあるというような点において、いろいろと今後改善、工夫すべきところが多いかと思っております。
○多田委員 これに大変きちんと書いていると私思うのですね。これは大臣は恐らく目を通しておらないと思いますけれども。ちょっと私読んでみます。「日本のコンビナートのような企業体の異なる工場の密集した集合体ではない。」これはヨーロッパのことです。ずっと名前を挙げています。イギリス、フランス、オランダ、イタリアなど、これは集合体ではないと。「環境がよくて、保安物件あるいは隣接工場が密集するという問題がないうえに、コンビナートを形成する単位工場の規模が大きく、またそれぞれが広大な敷地を有する結合化学工場である場合が多く、日本のように密接な連携形態をなしているものは少ない。従って、コンビナート保安はある意味では日本独自の問題であると言える。」こう言っているのですね。つまり日本の場合は、三井とか三菱とかさまざまな企業がごちゃごちゃと集まっている。それぞれがやっているわけですよ。非常に狭いところに密集している。だから、保安問題は日本独自の問題だというふうに言っているのですね。それだけに、私どもはこのコンビナートの保安の問題を非常に重要視しなければならぬと思っているのです。
 しかも大事なことは、そういうコンビナート自体がそうだというだけではなくして、その大半は東京だとか京葉、京浜、名古屋、大阪、つまり人口密集の大都市に隣接しているということです。これもここでは書いているのですね。このため、市街地、住宅街と文字どおり背中合わせと言っていいでしょう。たとえば、住宅に一番近いといわれるオランダのロッテルダム市のユーロポートコンビナートの例は、ロッテルダムからさえ五十キロメートルなんです。最も近接する民家とタンクの距離は五キロも離れているのです。日本では五十メートルか六十メートルです。それにパイプラインでございましょう、新幹線でございましょう、さまざまな状況が密集しているわけですね。これは通産省、ひとつ認可した立場なので、日本のコンビナートのある自然条件は一体どうでしょうか。これはもちろん防災の立場から見て。
○佐藤政府委員 通産省といたしましても、一昨年来の、特に高圧ガス関係の災害の頻発にかんがみまして諸外国の例を実態調査する必要があるということで、二班に分けまして相当の期間にわたってコンビナート地区の実態調査をいたしました。大体結果につきましては、集合の状況につきましては、いま先生がおっしゃったとおりでございますが、自然条件につきましては、何といいましても国土が狭い中にコンビナートを形成しなければならない。それから、日本の場合は特に資源がほとんどございませんので、コンビナート用の原料を海外に仰がなければならないという点から、臨海型のコンビナート群の形成にならざるを得ない。これは国際競争力の問題、あるいはできるだけ安いコストで供給するという両面からでございますけれども、そういうことでやむを得ず臨海型の形にならざるを得なかったということでございまして、これは、まさにほかの諸外国よりも特段と自然条件の差異として認められている点だろうと思います。
○多田委員 それは自然条件ではなくて人為的な問題ですよ。私の聞いている自然条件というのは、日本の場合は地震があるということなんです。しかも、東京とか大阪、名古屋、こういうところは沖積層の一番軟弱地帯にあるわけでしょう。そこへもってきて埋め立てでございましょう。そういうさらに大きなマイナスの条件を持っておるのです、日本の場合は。私はそのことを特徴として一つ伺っておきたかったわけなんですが、国土の狭隘とか人口の問題、確かにありますよ。私はそれは幾らでも政治的に克服できる問題だと思うのですね、その問題は。
 それからもう一つ。これは自治省に伺いますが、先ほど言ったように、コンビナートは危険物の一大集積地帯といっていいのですが、隣の一番条件のよくない川崎、ここでどれだけの各種の危険物、どれだけの毒物あるいは劇物を持っているでじょうか。――これもしわからなければどこでしょうか。通産省かな。
○佐藤政府委員 川崎地区内のコンビナートにおきますところの毒性ガスだけでございますけれども、(多田委員「いや、石油も全部言ってくださいよ」と呼ぶ)ただいまちょっと毒性ガスだけ申し上げますが、アンモニア、塩素、酸化エチレン等々の毒性高圧ガスの貯蔵は合計で七千四百トンでございます。そのうち塩素ガスの貯蔵は約五百七十トンになっております。
○多田委員 私は、石油だとか危険物、高圧ガス、それから有害ガス、主な有毒物質、その他を伺っているのです。これどうですか。
 じゃ、それは後で伺います。私のところに資料があるのですが、まことに膨大な、石油を例にしますと六百八十一万キロリッター、タンクが二千三百五十九基なんです、若干違うかもしれないけれども。それから高圧ガスが二十九万九千トン、これは液化石油ガスからエチレン、アセチレン、酸素、水素です。それから主な有害ガス、先ほど言っておりましたね、アンモニアガス、塩化水素から塩素を含めて。それから主な有毒物質、水銀、シアン、ナトリウム、シアン化合物、それから弗化水素酸、これは莫大な量です。五万数千トンですね。それから原油の陸揚げ量が三千六百五十万キロリッター。ついでに言っておくと、エチレン製造能力が年間百万トンの川崎。それからLPガスの貯蔵量が十八万三千トン。ともかく相当膨大な、数字の若干食い違いはあるにしても、危険物を貯蔵しておるところがこの首都のすぐ隣にあるということなんです。しかも横浜にもあるということなんです。
 そこで自治省に伺いますが、規模の大小はあっても、ともかく六十一地帯、六十九市町村あるわけですが、ここに住んでおる人口どれくらいでしょうか。私調べてないのだけれども。わかりませんか。わからなければいいです。恐らく膨大な量でしょうね。ともかくその近辺を含めれば恐らく数千万。日本の人口のかなりの量がこういう危険物の周辺で日常生活しているということになるわけですね。つまりコンビナートというのは、大災害を起こす条件が無数にあるということなんです、自然の条件から言っても、それから日本のコンビナートの形態から言っても、その内容物から言ってみても。だから私どもはそれを心配するわけです。
 そこで伺いたいのですが、そういうものに対して、一体住民の保安確保について、日本のコンビナート対策はヨーロッパと比べてどういう違いがあるのでしょうか。これはどこがいいのですか。自治省でよろしいでしょうか。
○佐々木政府委員 コンビナート地域におきましては、やはりその地域の単位面積当たりの集積量というものが非常に膨大であるということ、それから一般の住民の居住地域に非常に近接してコンビナート地帯がある、こういう両面の問題が一番大きい問題であろうと思います。そのほか、地質の条件のいいところにこうしたコンビナート地帯が必ずしも立地されておらないというような問題もあるわけです。
○多田委員 これを私は別にバイブルのように言っておるのじゃないのだけれども、政府がつくらしたものだし、内容が非常にりっぱだから私は引用するのですが、ここに安全性についてこう書いてある。「各国ともコンビナート地域の安全確立を図るためには、工場内の個々の施設の保安確保に力点をおいており、企業体の異なる工場の複合密集という点については問題意識をもっていないようである。」これは日本と違うのですね。「各国の政府の普遍した方針は、辺地への立地助成、人口ちょう密地域に立地する際の厳しい許可条件の設置などによって適正な工場立地の誘導をはかるなど、一般住民との問の保安上の問題を極力さけるために立地政策の面から対策を講じるということにあるようであり、この代表的なものに、イギリスの都市計画法がある。」この都市計画法云々とこう説明しているのですけれども、これだけの私はやはり違いがあると思う。つまりこの十数年始まった高度経済成長の中で、ともかく大変な資本蓄積をしてきた、これは相当な無理ですよ。これが五十年、百年かかってやったというんならもっと自然な条件があっただろうと思うのですけれども、わずか十数年にこれだけの蓄積と拡張をやってきたのだから、これは相当の無理がある。それがいま消防庁の肩にかかっているのですよ、長官。
 私、この間伺いましたら、中央防災会議というのはなかなか開かれないんだそうですね。この法律案には災基法も一緒にやるというように書いてありますけれども、資料を見ますと、中央防災会議ができてからの会議状況というのは、昭和三十九年に一回開いて、それから四十六年の五月二十五日に次を開いて、そして四十八年七月六日に一回開いたきりなんです。こういう状況なんです。そしてコンビナートの問題が災害計画に入ったのは四十六年の五月段階なんですね。これは手前みそみたいになりますけれども、同年三月に共産党の春日議員が参議院でこの問題を質問いたしまして、そして五月に会議を持たれてコンビナートの問題も入るという状況で、やはりコンビナートは防災の観点からの施策というものがおくれたのではないかと私は思うのですね。いずれにしても、私はそういう意味では政府の手落ちもあったというふうに考えますし、基本的には、このコンビナート建設のために相当地方自治体が下請になって動員されてきた、そして大変な赤字や困難をしょい込んできたという経過から見ても、コンビナートの問題にはもっと真剣に取り組む責任が政府にあるというふうに私は思います。
 そこで、ちょっとこれは長官に伺いますが、この法案で、企業の新設または変更の場合に、届け出の義務と許可制が課せられましたね。これは一歩前進だというふうに私どもも思いますが、現実に危険物の大集積所であり、そうして現実に数多くの災害を起こしている既設の企業、これにはこの届け出の義務や許可制が適用されておりませんが、これは間違いございませんね。
○佐々木政府委員 新設の第一種事業所につきましては、届け出指示という制度を設けたのでございますけれども、既設の事業所につきましては、増設の場合以外につきましてはこの規定の適用はないわけであります。
○多田委員 ということになりますと、こういうことでしょうか。現在コンビナートにある企業は、自分から移転をするとか自分から規模を縮小しない限りは現状のままということになりますね。どうでしょうか。
○佐々木政府委員 法律上の問題といたしましては、そういうことでございます。
○多田委員 ということは、既設の現在のコンビナートは、まあコンビナートの中の個々の企業については、場合によっては新設もあるかもしれないし、そしてこの増設もある。その場合には許可を得るわけだけれども、少なくとも現状でいくならばそのままということになるわけですね。そうしますと、ここで疑問が起きるのですね。この法案はいい法案だから早く通してくれ通してくれ、あす事故があったらどうなるというようなことをおっしゃっておるようだけれども、それほど急ぐのであれば、これから五年後か六年後になるかわからない新設の企業もさることながら、既設の企業にこそ一定のチェックを与えるべきではなかったか、こういうふうに私は思うのです。これはどうでしょうか。
○佐々木政府委員 既設の事業については、あるいはその施設地区の配置等について問題のある企業もあるであろうということは考えられるところでありますけれども、これを直ちにその施設地区の配置についての変更を行うということについては、やはりその事業所全体の見直しということと同じような結果になってくるわけでありまして、現実問題としてはなかなかその処理が困難であろうというふうに考えたわけであります。ただ、別途、昨年から始めております防災診断等の点検を通じまして、防災上特に問題のあります事項につきましては、その周辺地域との関係においてそうした防災対策というものを強化をしていきたいというふうに考えております。
○多田委員 長官も大変苦しい立場だろうと思うのです、さっきも大臣が言っているくらいですから。しかし、問題があるというのはどういうことでしょうか。やはり既設のコンビナートの企業について、本当に防災という観点からするならば、その危険度に応じて――私どもは、コンビナートを敵視しているわけじゃないのですよ。全部のコンビナートを一遍に撤去しろなんて言っているのじゃないのです。そういうむちゃなことを言っているのじゃないけれども、少なくとも既設のコンビナートがまさに火を噴いているのだし、過去にも噴いたし、あすあさってにないという保証はない。そういう場合に、既設のコンビナートに一定の手を触れるということは私は当然なことだと思う。たとえば間引きの問題であるとか、ある工場の移転の問題であるとか、あるいはまた縮小であるとか、そういう肝心なことが入ってないわけですね。まさに国民はそれを期待していた。そういうものはなぜ入らなかったのでしょうか、問題があるというふうに言われたけれども。まあ言いづらい面もあると思いますけれども、それをひとつおっしゃってください。
○佐々木政府委員 第五条の新設の場合の届け出、指示の規定は、その事業所全体といたしまして、各施設地区の配置あるいは面積というような観点から、全体としてのレイアウトが非常に防災上問題があって、大災害につながるおそれがあるというような場合にその計画の変更を指示するというような形になっておるわけであります。
 既設のものにつきましては、これを全体的な配置計画等を変更するというようなことではなしに、別途、最近の事故の状況等から見まして、消防法関係のいろいろな保安基準、技術基準というものの改定をいま準備いたしておりますけれども、その面での規制の強化という点でその多くの部分は対処してまいりたい。さらにまた防災施設等につきましては、さらにこの防災の面からの対策の強化という観点で、特別な防災施設等の設置を義務づけていきたい、これによって既設の事業所についての体制を強化するようにしていきたいというふうに考えております。
○多田委員 長官、ちょっと私の質問に対して的を射ていないな。
 私わかりますよ。その既設のものに対して、たとえば自衛組織をつくらせる問題だとか、それも一定の改善されたこと、私わかります。あるいは緑地帯をつくるということもわかります。それから地域指定としたことも、私は、これは前進だと思っている。しかしながら、いま危険物の最大の集積地帯である既設のコンビナート、あるいはそこの企業に移転なり間引きなり縮小というものをやらないでいて、受け身になって緑地帯をつくっていく、こういうことは一体どうなのかということなのです。私は、やはり既設のコンビナートや企業に対して思い切ってここで手を触れる必要があるのじゃないか。防災の観点から言えば産業政策は後であります。というのは、事故が起きてからの対策なんですよ、いままでの防災を主として見ますと。そうではなくて、事故が起きないような対策をとるということが大事なんですね。そうすれば、どうしても、だれが考えてみても既設のコンビナートに手をつけるというのはあたりまえのことだと思う。私は、特別防災地域の地域指定をしたことを悪いと言っているんじゃないのですよ。これはこれとして私は評価すると言っているのです。あるいは一種、二種を決められたということも、私はだめだと言っているんじゃないのです。それはそれとしていいけれども、より根本的なものに何で手を触れなかったのかということなのです。そして私は、多くの人に、この問題の研究者にも会いました。まだ法律案を読んでいない人、聞いてびっくりしているんですよ。既設のものに触れていないのですか、こう言うのですね。もしこの法律案が出て、多くの国民は、めんどくさいこの条文なんか読みませんから、既設のコンビナートに手を触れるものと思うんですよ。ところが実際はそうなっていない。そうすると私は意地悪く考えるのですね。またここでクリーン三木が顔を出してきた、きれいごとは言っているけれども、中身は、肝心なところに触れていない、こう思わざるを得ないのですね。ですからどうしてそこに触れなかったのか、それをひとつおっしゃってください。もう少し具体的に言ってください。
○佐々木政府委員 第五条で規定しておりますのは、この規定にございますように、事業所全体の各施設地区のレイアウトでございます。したがいまして、施設ごとのいろいろな防災体制の面というものは、こうしたこの法律による新設の届け出によって規制を強化していくということではなくて、それぞれの消防法なり高圧ガス取締法、それぞれの法律の規定によって規制の強化が図られるというような形になっておるわけでございます。この法律を立案いたします場合には、こうした施設地区の配置について手を触れていくということは、現実問題としては非常に困難だというような観点から、新設のものにこれを限定をいたしたわけであります。しかし各施設ごとのいろいろな規制の強化面というものは、これをできる限り既設のものについても適用していくという考え方から、いまそちらの方の基準の強化を図っていこうとしているわけでありまして、場合によりましては、一部の施設についての間引きということもコンビナート地域によってはあり得ると考えておるわけでございます。
○多田委員 いま既設の企業で一部間引きもあり得るというお話でしたけれども、それはこれからつくる政令の基準に基づいてやるということですか、どういうことでしょうか、もう少しはっきりと言ってください。
○佐々木政府委員 各施設の規制につきましては、消防法関係の政省令の規定の改正というような形で処理するということになるわけであります。したがいまして、その規定の改正ということになりますと、場合によりましてはそういう事態になってくるということでございます。この法律の規定はあくまでも施設地区の配置面積という大きい観点からの計画変更の指示の規定でございますので、そうした大きい利用区分の変更ということになりますと、現実問題としてはなかなか事業所全体のやり直しに通ずる問題になりますのでできないであろうということが考えられたわけであります。
○多田委員 これは、大臣がお帰りになったので次官に伺いますけれども、いま私聞いていますのは、既設のコンビナートには届け出の義務だとか、それから許可もないわけですよ。新設の場合は別ですよ。つまり一番危険物の集積地に、そしてまた国民が関心を持っているものに手を触れておらない。それはどういうわけでしょうか。地域指定をやっていることもわかりますよ。いま長官説明になったこともわかります。問題があるというふうに言われているし、そしてこの間、与党議員の質問に対して大臣は非常に複雑な御説明もなさっておられたようですが、これはどういうわけでしょう。その問題があるというのは、どういうことでしょう。
○左藤政府委員 大臣が御答弁になった、問題があるという点につきましては、恐らくこのコンビナートというものは非常に大規模で、しかも非常に大きな投資が行われてすでにそういうものはでき上がっておる、これに対するいろいろな対策というものは実際面におきまして非常にむずかしいということじゃなかろうかと私は思います。そういう点で、それじゃ全然手を触れないでいいのかということだと思いますが、たとえば個々の施設につきましては、消防法上の、たとえばタンクが不等沈下しているという問題につきまして、そういったものを防災の点でやりかえさせるかというふうなことはあると思いますが、レイアウト全体の問題についてそういったものを施設として取り上げるということは非常にむずかしいのじゃないか、そういう意味じゃなかろうかと私は思います。
○多田委員 実際にむずかしいということ、これは後でもう少し伺いますが、私は、個々の消防法だとかそれから高圧ガス取締法だとかその他でやるということ、それは否定しているんじゃないのですよ。
 ただ、もう一度私申し上げますけれども、この単体ごとにやるとか、それからこの法律、それから高圧ガスだとかその他の個々の法律でやれば全体としていくという、この考えなんです。一体コンビナートというものはそういうものなのかということです。もしそう考えているなら、今日の魔物と言われるコンビナートの実態をそれは知らない人だ。私、そう思うのですよ。
 もう一度これを引用しましょう。私、これを引用するのは、政府が委託してつくっているからなんですよ。これによって施策に貢献すると言っているから引用するのです。ここにこう書いてある。「川崎・横浜臨海部に限らず、日本のコンビナートは、基本的にはミクロな単位の積み重ねで作られてきたと言ってよく、マクロなレベルでのチェックはなされてこなかったと言っていい。これは言いかえれば、コンビナートの作られ方は単体規制による作られ方であり、一つの施設が単体としてのある基準を満足していれば、それが全体としてどのような連がり方をしようが広がり方をしようが問われなかったということであり、総体としてのあり方をチェックするような規準がなかったということである。」まさにそのことずばりなんです。ここが問題なんですよ。恐らく私はそれは消防署の関係の皆さん知らないわけではないと思う。単体といっても、後で徳山のことで聞きますが、無数のパイプラインで結ばれていて、確かに石油の貯蔵量は少ないけれども、そこにはパイプラインで引かれているとかガスのラインが引かれているとか、それが有機的に結びついているわけでしょう。そういうものを高圧ガスでやるのも結構でしょう。もちろん消防法も適用しなければならぬでしょう。しかし、いま求められているものは、ミクロの積み重ねじゃなくて、全体としてコンビナートを見る必要がある。ここが問題なんです。それに一体この法律案がふさわしいものかどうかということを私は聞いているのです。私はふさわしくないと思っているのです。繰り返し言いますけれども、私は消防法の改正や高圧ガス法が改正されたことについていちゃもんを言っているんじゃないのですよ。それは個々の法案の一定の改善点です。しかし、コンビナート全体をマクロでとらまえてそれをどう規制するかという観点に立たなかったならば、さっき言ったヨーロッパとも違うこの複雑な、そして一番日本的と言われるこの災害の問題、これを本当に防げるという自信がおありになるのか。私は逆にそう問い正したくなるのです。
 そこで私は次官にお伺いしたいのです。実際にはむずかしいということはどういうことでしょうか。お金の問題でしょうか、企業の抵抗でしょうか、どういうことなんですか。
○左藤政府委員 私は一つのそういった既設の問題について、個々の問題は別といたしまして、全体のレイアウトとかそういった問題をすっかりやり変えるということにつきましては、たとえばそういったものに対します国の補償とかそういうような問題を考えて移転させるとかいうような問題を含めますと、大変な膨大なお金がかかるという予算的な問題もありましょう。それからもう一つは、いま個々の既存の問題については不十分な点につきまして、まず第一に個々の法律でやれるだけのことをやってみて、その上でまたこのコンビナート防災法の問題について再検討してみたらどうか、このように思います。と申しますのは、現在の段階でどういったレイアウトでやればどういった問題点があるかということについては、その地区地区においてもいろいろ問題があろうと思いますので、これから新設する場合にはもちろんそういった科学技術を十分生かして、そして防災の点についての配慮をしたことをやらなければならない。それがこの法律の一つのねらいであろうと思います。すでに設備したものにつきましていまの段階でどういう問題があるか、技術的にも非常にむずかしいのじゃなかろうか、私はこのように思います。
○多田委員 私ちょっと誤解されているように思うのです。私はいまの既設のコンビナート全部レイアウトしろなんてことを言っているんじゃないのですよ。たとえばこれはいろいろな条件があったけれども、川崎で日本鋼管が現在地から今度埋立地をつくって引っ越しましょう。これはどっちがイニシアをとったか。これは防災の観点もあったろうと思うのです。それから、この間水島の方で私は聞きましたけれども、たとえばあそこに日鉱の十万キロリットル以上のタンクが四つあるのです、潮という部落ですか。地元の研究者に聞いたら、全部取ってもらいたいけれども、それはむちゃなことだ、一番人家に近いタンクをまず処理できないのか、こう言っているのです。そうだろうと思うのです。つまり、既設のコンビナートに本当にメスを入れるということになればそういう工夫が生まれてくるわけです。ところが既設のコンビナートは手を触れない、問題があります、防災帯をつくります、今度は民家の移動でございます。それは結局企業のために防災帯を地方自治体が膨大な金を出さされて、企業も国もその三分の一仮に出すとしても、住民はそこから引っ越ししなければならないわけでしょう。私は逆さまだと思うんですよ。一遍に何十社を移転できないなんということはだれだって知っていることです。そんなむちゃを私は言っているんじゃない。本当に防災の観点に立つならば、この既設の企業をどうするのか。本当に既設のものにメスを入れるというのだったら、やる方法は幾らでもあるということなんです。緊急の度合いに応じてやっていく。住民の意見を聞いてやっていく。住民はそんなむちゃなことは言いませんよ。私はその違いは、ただ小手先の問題じゃないと思っているのです。そういうことにどうして行かなかったのか、これはだれでも不審に思うところなんです。ところが、問題があります、実際にむずかしい、その中身を聞いても、長官もはっきりしたお答えにならない。次官もどうも私には納得できない。その重大な問題とは何なのか。政府の威令というのはそんなものなのか。数千万の国民の命と暮らしを守っていかなくちゃならないという場合に、一体企業は政府の勧告を無視するのか、そういう疑問はだれでも起きてくる。どうしてそれができなかったのか、私にはわからない。そこにやっぱり基本的に企業本位じゃないのかという憶測をわれわれはせざるを得ないのです。
 これは押し問答になりますから、そこで話題を変えていきたいと思うのですが、これは通産省に伺います。
 これから新設するコンビナート、あるいは少なくとも地域全体として石油が十万キロリットル以上、これは特別防災地域の基準の一つですが、そういう大型のコンビナートはこれからどことどこにできますか。そしてそのできる見通しはどうですか。
○佐藤政府委員 今後日本におきますコンビナートの立地計画につきましては、通産省といたしましては大体十年先の長期ビジョンを毎年いろいろ検討いたしておるわけでございますが、考え方といたしましては、すでに計画として織り込まれたものは除きまして、全く新規のものについては、東京湾とか瀬戸内海とか伊勢湾、そういうような非常に過密なコンビナートについては大型のものをつくっていくということはやらない方針でおるわけでございます。したがいまして今後の立地地点としましては、現在検討中でございます青森県のむつ小川原とか、北海道の苫小牧東部とか、あるいは鹿児島県、秋田県等々が一応の計画として検討されておるわけでございます。
○多田委員 わかりました。ともかく十年の長期ビジョンということですね。そしていま言ったようなところで進められている。だからあすあさっての問題じゃない。この間にもコンビナートでは事故が起きないという保証はないのです。
 そこでもう一つ、これも通産省に伺いますが、これは日刊工業に出ていました新聞記事ですが、こういうことを書いております。通産では立地公害局、基礎産業局が中心になって、仮称既存コンビナート等再開発法の検討に入る云々と書いて、五十一年度新政策として推進する考えであるということが出ているわけです。つまり低成長になってきた、安定成長だ、企業はそうばくばくできるものじゃない。しかしながら、企業はプラントを更新しなければならぬ。そうすると、プラント更新は現在地よりもどこかへ持っていった方がいいのか、こういうことは当然考えられることなんだけれども、こういうことを考えておられるのですか。
○佐藤政府委員 日刊工業に出ています新聞記事は、実は通産省の内部で毎年いまごろになりますと来年度の新政策の勉強を始める時期でございまして、いろいろなことを自由に考えておりますがその中の一部が新聞記者と話し合っているうちにああいう形で出たというのが真相でございます。通産省全体として来年度法律をつくって、ああいうようなコンビナート再配置計画を立法化するという考え方は決定はいたしておりません、ただ、通産省といたしましては、かねてから、過密地帯の工場の再配置問題あるいは工場立地につきましてはそれぞれ法律をもちまして規制をいたしておりますし、特に環境上の問題から、昨年の三月から工場立地ということで非常に厳密な準則をつくりまして、自然環境なりあるいは地域住民との、立地上の難点を解消していくという方向でいろいろ法律的にもやっておりますし、それから現実に行政指導もやっておるわけでございます。
 それから来年度、先ほど言いました新聞記事のような法律化は考えておりませんけれども、当然ある時期が来ればいかなる工場群も古くなるわけでございますから、その建てかえ時期には、当然できるだけ人家から遠いところとかいうことは指導として現にやっております。たとえば、いま先生もおっしゃいますように、日本鋼管が扇島に移転するとか、あるいは四国におきまして住友化学がエチレンセンターを従来の道路に近いところから沖合いに配置がえをするとか、こういうようなことは現実に行政指導としてやっておりますし、今後ともそういう考え方で進みたいと思っております。
○多田委員 夕べの新聞報道の中で、第三次不況対策、その目玉として住宅建設、公害防止投資、公共事業というふうに書かれております。私も大体そのようなところだろうと思いますけれども、この公害防止投資というのは、普通の意味での公害のことですか、それとも防災を含めての公害投資という意味ですか、もしこれがそうだとすれば。
○佐藤政府委員 景気対策として取り上げております公害投資は、いわゆる環境改善対策のための公害費でございまして、防災上の公害対策費は入っておりません。しかしながら、今度の国会ですでに成案を見ておりますところの高圧ガス取締法の一部改正によりまして、保安距離を十倍程度人家から離す等々の措置によります、あるいは防消火設備を格段と強化させますことによります企業負担は相当程度の額に達するわけでございます。これは別途予算の中に手当てをいたしまして織り込んでおるわけでございまして、先生おっしゃいました問題は別途の手当てで、これは環境改善対策費だけでございます。
○多田委員 次官、いま私やりとりしたのは、通産は通産でこういう考えを持っているのですよ、その内容のよしあしは別にして。いずれにしても施設は古くなるわけだから、五年、六年たちますと更新しなければならぬ。現在地で更新するか、そうかといって遠方まで行けない、労働者もいることだ、つまりこういう生きたものなんです。そうだとすれば、そういうことも含めて、私はコンビナート法というものが、先ほど言ったようにコンビナートをいますぐ全部なくせとは言っているのじゃないのですよ。つまり、最も緊急度の高いものに応じて手直しもできるのじゃないか、通産もそういう考えを持っているのです。そうだとすれば、そういう総合的な施策が必要だったのだということなんですよ、私が言うのは。これはちまたのあれによりますと、通産省はコンビナート法をつくる過程で相当自治省との話は難航したという。私は、どうも通産がごねたのじゃないかという勘ぐりもするんだけれども、そうでなければ幸せだけれども、そうだとするならば、ともかくそういう総合的なものをいまやらないと、繰り返し言いますけれども、東京湾周辺で一たん事故が起きたならば、どえらいことになるということはだれでも考えつくのですよ。企業だって、そういう災害に遭ったら、水島の事故じゃないけれども、元も子もなくなるのです。なぜそういう総合的な対策がとれなかったのか。消防庁の踏ん張りが弱かったのか、通産の出方が強かったのか、それともさっき自治大臣が言った官僚主義がはびこっていてそうなったのか、私はわからぬのです。ただ、私のわかることは、相当こういうことにはむずかしいものがある。そのむずかしいというのはやっぱり企業なんだ。なぜなら、はるかに多い人間の移転の方を考えているのですから。
 そこで、石油部長来ておりますね。もう一つこれと関連して伺います。これは新設の問題なんですが、いまエネルギーの最大の問題といえば九十日備蓄の問題で、いま商工の方でもこの備蓄法案の問題が出ておりますけれども、この備蓄計画の見通し、どこにその備蓄の貯蔵所をつくるのか。ともかく五年で九十日分でしょう。キッシンジャーも大分うるさく言っているようだ。それはどういう見通しなんでしょう。
○左近政府委員 いまお話がございましたように、日本といたしまして将来の石油の安定供給を確保するためには、やはり一定の備蓄を持たなければいけないということで、現在その備蓄計画を樹立する手順といたしまして、石油の備蓄に関する法案を衆議院に御審議をお願いをしておる最中でございますが、いまのところわれわれとして行政的に目標として考えておりますのは、五年間で大体九十日分、数量にいたしまして、九十日分というのはその前年の消費量の九十日ということでございますので、将来変わってまいると思いますが、五年後を考えますと、いまから大体三千万キロリットル弱を積み増すということでいろいろ検討しておるわけでございます。
 それをどういう形で積み増すかということでございますが、現在若干の余裕は企業のタンクにもございますので、それをまず積み増していくわけでございますが、それ以後大体来年ぐらいから新しいタンクをつくっていくというふうなことも出てまいると思います。ただ、それをどこにつくってまいるかということになりますと、いろいろ立地上の問題点がございますし、また現在御審議願っておりますこの法律、あるいは従来の消防等々の規制の強化ということも考慮に入れた配置をしてまいる必要がございますし、またそれによって地域住民の方の御了解も得なければいけないということでございますので、いまのところまだ具体的に、どこに新規のものをつくるかということは決まっておりませんが、先ほど立地局長も申しましたように、今後の新しい備蓄基地の立地点というのは、現在非常に工業が稠密な地域にやるのは無理ではないかということで、いろいろ現在検討をしておる最中でございます。
○多田委員 当然なことながら、東京周辺のような稠密なところにはコンビナートはできっこないし、それから九十日備蓄の膨大なタンク群をつくるということは不可能だ。これはだれでも承知している。ですから、つくりやすい島だとかへんぴなところだとか、そういうところだろうと思うのですよ。そうすると、この法律が一体どうなるのかということなんです。これは、新設にはかなりいろいろなチェックをしておりますよ。これからの新設のときは、住民運動もあるから、みずからも相当な防災帯を自分の金でつくるということを言っております。ただ、この法律がまかり通っていくと、ある意味では私は新設は、かなり住民運動は水をかけられたということになるのじゃないですか。長官どうでしょうか。これは私のうがった、意地の悪い考え方かもわからないけれども、つまり既設はそのままにしておく、新設はチェックする。新設について言えば、東京や大阪その他にはもう大きなコンビナートはできない。そうすると、辺地に持っていく。辺地に持っていく場合にはこの法案がまかり通るのじゃありませんか、それは東京周辺でもまかり通ることだけれども。つまり、私の申し上げたいことは、現実の問題として、たとえば貯蔵タンクをつくっていく、その場合にはこういう法律があって規制しますよということなんですよ、これは。つまり、先ほど言ったように住民は、国民の多くは法律のむずかしいことはわからないから、既設のコンビナートも相当厳しく扱ってくれると思っている。ところがそうじやなかった。実際、これはそうじゃないのです、それは部分的には改善点はあるけれども。そして備蓄の問題、これからの新しい十年の長期ビジョンを持った、青森だとかむつ小川原の建設の問題、こういう問題にこれはかなり生きてくるのじゃないでしょうか。どうでしょう、長官。
○佐々木政府委員 この第五条以下に規定しております新設の届け出の規定といいますのは、第一種事業所の中で石油と高圧ガス、この両方を取り扱っております事業所の場合に、新設の届け出の規定が適用になるということでございます。したがいまして、今後いわゆる石油オンリーの備蓄基地というものにつきましては、この第五条以下の第二章の規定というものは適用にはなりませんで、これはもう消防法オンリーの規定が適用になってまいります。したがいまして、この法律と同時に、消防法の関係の規制というものも強化して、総合的にやってまいりませんと、このコンビナート防災法と消防法の規定が、この規制の点においてはずが合わないというような問題もございますし、また、いま御指摘ございましたような既設の事業所について、ただいま例示されましたような問題の場合には、むしろ消防法の規定の規制の強化という形で処理される問題ではないだろうかというような感じがいたすわけでございます。
○多田委員 次官、既設の問題で繰り返し言いますけれども、私はいま、全部レイアウトやれなんということを言っているのじゃないんです。問題は、個々の工場、一つのコンビナートをよく見て、その企業を見て、そしてこれは自治体と相談もしなくちゃならぬですよ。そういうふうにして、たとえば移転、間引きというようなものを入れることはできませんか。つまり大臣の、既設そのものの許認可をもっとはっきりさせていく。
○佐々木政府委員 ただいま御指摘になりました事項がいわば消防法なり高圧ガス取締法といった個別法とこの石油コンビナート等災害防止法との間の規定の分野の問題でございまして、どれだけのものを個別法で規制をし、どちらをコンビナート防災法の方で取り上げていくかという点の問題点であったわけでございます。そういうことで、いま御指摘ございましたように、この施設の一部が非常に居住地域に近くて、防災上非常に問題があるというような問題は、現在の消防法の規定による保安距離の問題、これが現在の情勢から見て非常に危ないのではないかというような問題になりますわけで、そういう場合には私どもの方で別途消防法のそうした保安距離その他につきましての規制の強化を考えておりますので、そちらの方の手当てでそういう問題は処理していくべきじゃないだろうか。こうした規制の強化面につきましては、できる限り既設の分について適用していくということを考えておりまして、それらの代替措置をも検討しながら、このコンビナート地域におけるいろいろな安全基準の強化というものはこの法律と相まって、そちらの方の手当てをすることによって処理していきたいというように考えております。
○多田委員 それではその距離ですね。たとえば、これから考えているのは、タンクからの距離はどれくらいになるのですか。
○佐々木政府委員 いま境界線における保安距離というのは、その最も近いタンクの直径相当分というのがいまの保安距離の考え方でございますけれども、輻射熱等の関係から申しますと、使用するタンクに貯蔵されます油の種類によって輻射熱の度合いが違ってまいりますので、その油の種類によってその保安距離というものには差をつけて考えていきたいというふうに思っております。
○多田委員 ですから非常に不満なのは、大事なところは、具体的な大事な数字的なものがみんな政令や省令に任されちゃっているんですよ。そこが問題なんです。果たして先ほど言った四十年、五十年の科学的な検証を経てきたような、たとえば輻射熱の距離にしても油によって違うわけだし、タンクの大きさによって違うわけですよ。そういうものこそをはっきりさせないと、ここで論議が進まなくなってくる。ただ、そうやりますと言うけれども、さあ、出てきてみたら余り科学的じゃない。二十メートルが三十メートルぐらいになったようだと。ですから、そういう問題があるから、本当に審議にならないんですよ、正直言って。肝心なところはこれで政令政令、私は赤線を引いてみたらものすごく多いんだ、一番肝心なところは。そここそがまさに当委員会においても、一体そういう距離が正しいのかどうなのか、それをしなければならないのだけれども、いまだにそれが出てこない。そして骨組みだけ通って、後は上げてみたら、大事なところはみんなそれが希望したようなものじゃなかった、こうなっていくんですね。私はそれは今度のこのコンビナート法で大変不満の多い一つなんです。ですから、基本的に私はここで申し上げたいことは、何キロメートルにするか、それはさらに検討いたしましょう、できれば早く出してもらいたい、もう作業を進めているわけですから。しかし私の繰り返し言っているのは、そういう既設のものにメスを入れるという姿勢でなければこれはだめなんだ。だから、もし大臣の許認可が無理であるならば、たとえば主権者である住民が、地方自治体が、ここも危険だからひとつ考えてくれ、こういう要望にこたえて積極的にそこの間引きの問題、縮小の問題やそういう問題を考えていくという措置なんかもここに入ってくるならば、それこそ竜を描いてひとみを入れることになるのです。長官、私は本当にそう思うのです。そういう意味で次官、どうでしょうか。この既設の問題は、私はこの法律案のやはり一番勘どころ中の勘どころだと思うのですけれども、そういう方向でひとつ御検討を願いたいというふうに思うのですが、どうでしょうか。
○左藤政府委員 まず、御指摘の点の消防法なり高圧ガス取締法の政令、省令の問題について、十分その御趣旨のことを生かすようにしなければならないということは第一点だと思います。
 次に、いまのコンビナート防災法の中身の問題につきまして、御指摘のいろいろな点につきましては、これは先ほどからお答えを申し上げておりますように、法的な措置というものをここでこれ以上に進めるということが非常にむずかしいわけでありますけれども、いまのそういった個々の法律で対処できないという問題が生じた場合には、この法律でもあるいはまた別の法律でも、とにかくそういった対策を講じなければなりませんので、その点については十分検討させていただきたい、このように思います。
○多田委員 もう一歩進めてみましょう。個々の法律でできると言うけれども、それが実際どうなのか。つまりいままでの消防法や高圧ガスにいろいろな不備があった。それが本当に守られたのかどうなのかという問題です。その姿勢を正さなければ、これから若干部分的に改正してみても事態の根本は変わらないということなんですから。
 そこで伺いたいのです。これは自治省に伺いますが、今日、いままでの消防法で企業の自衛消防組織が若干改善されて、今度はこちらの新法の方に移ることになりましたけれども、過去の企業の自衛消防組織、これの活動の実態はどうだったでしょうか、これは総括的に述べてください。そう長くなくてよろしいですから。――それはこういうふうにしてください。たとえば非常に抽象的になりますから、保安要員なんか決められておりましょう。それから、たとえば人数だとかその権限だとか、あるいはそれの持っている知識だとか、それからその資機材が本当に法律どおりにやられたのか、実態はどうであったのか、これをひとつ皆さんどうつかんでいるのか伺いたいのです。
○佐々木政府委員 従来の自衛消防組織は化学消防車、特にあわ消火剤を中心にした自衛消防組織であったわけでありますが、比較的新しい事業所においては基準どおりの自衛消防組織の設置が行われておったわけでありますけれども、一部古い事業所におきましてはまだその水準にまで達しておらないというのが現状でございまして、それを各消防機関におきまして指導しながら、そうした基準、少なくとも基準に達するまでの自衛消防組織を備えるということをこれまで努力をしてきたところでございます。
○多田委員 それでは、消防法が改正になって統括管理者というのができますね、これはどういう役職の人がどういう任務を持ってやるのでしょうか。まあ出ておりますけれども。
○佐々木政府委員 今回の災害防止法の中で消防法の一部改正をいたしました統括管理者は大体工場長クラスというふうに考えております。
○多田委員 工場長クラスということになりますと、つまりその企業の生産に直接携わっている人でしょう。
 そこで、四十八年七月七日の出光石油化学の徳山工場の第二エチレン製造装置からの爆発の問題ですが、事故の原因は何であったか、それから事故の経過がどうであったのか。つまり第一回に計器が故障しましたね、それからごたごたとあって、そして爆発しているわけですよ、時間があって。その辺の経過をちょっと言ってください。
○佐藤政府委員 出光石油化学の徳山工場における事故の原因並びに経過についての御質問にお答え申し上げます。
 発生月日は四十八年七月七日でございまして、この事故の発生原因でございますが、エチレンをつくるためにナフサの分解の加熱炉があるわけでございます。この加熱炉にはよく炭素分がたまりますので、それを排除するのをいわゆるデコーキングと申しておりますが、このデコーキングの操作を行うために作業員がプラント用空気管の六インチバルブを開きまして、そしてそういう操作をやる過程におきまして誤って計装用の四インチの空気管バルブをとめてしまった。したがって、計器類は全部中央コントロールにつながっておりますので、そのために全系統が緊急停止してしまったわけでございます。その後、約八分後に計器が正常に復しましたので正常作業に入るための準備であるところの整備作業に入ったわけでございます。それでアセチレン水添塔へのエチレン及び水素の供給を始めましたところ、装置の異常が出ましてそれに気づいたわけでございます。それでエチレンの制御バルブをとめましたが、このときに水素バルブの閉止が不完全でございましたために水素が過剰に流入いたしまして、それでアセチレン水添塔の内部におきまして異常に高度の、約一千度でございますが、異常反応が発生しました。相当の高温度に達しまして、それでモーターバルブに接続するエルボーという設備がございますが、それが破裂して火災となったということでございます。
 いろいろと専門的な用語を使って恐縮でございましたけれども、要するに作業員のバルブ操作の誤操作でございまして、しかも二回にわたって誤操作が続いたということが原因でございます。そういう問題につきましていろいろな対策をいままで講じてきておるという実情にございます。
○多田委員 私どもこれを直接調査に行きまして会社から詳しく聞いた。細かなところは、あなたがおっしゃることなんです。ただ、大事なところはここなんですよ。
 おっしゃったように、十八時五十分に全セクションの計器の不調を確認した。これは直後のことで、その後また時間のあれもあるから、若干時間は違うかもわかりませんよ。そして第二エチレン装置を緊急にシャットダウンして、大量の廃ガスを燃焼処分したということなんで、このときに黒い煙がものすごく出て、住民が見ているのですよ。
 その後十八時五十八分、大変細かで恐縮ですが、計器の整備点検の結果、正常に復帰したというので、異常なしと確認した。そして、その後またごたごたが続きまして、十九時二十分、これが計器不調に陥った原因はまだ解明されていなかった。いいですか、これは会社が言っているのですよ。計器不調に陥った原因はまだ解明されていなかったけれども、計器が正常復帰したので運転を再開したのです。ここなんです、問題は。そして、二十二時十分ごろ再び計器が不調になるのですよ。これは会社は二回目のトラブルと説明している。そして二十二時十三分、あの爆発が起きるのです。それで会社はこう言っているのですね、その現場に立ち会った下級職員の人は、技術者ですが。操業を一時停止し、装置内にブランクができた場合に二通りの対処の仕方がある。一つは、完全に操業をストップし、装置内の反応ガスを抜き取り、窒素ガスなど不燃ガスを充てんすることである。これを行った場合には完全復帰するには二日以上を要する。もう一つ、これはとった方なんです。今回とられた処置なんですけれども、装置内のブランク部分に原料供給のパイプと別の配管から、反応ガス(原料ガス)を注入し、穴埋めする方法であり、スムーズに操業再開に持っていける利点がある、こう言っているのです。この後の方を選んだのです。
 つまり、私がここで言いたいことはこういうことなんです。本来であるならば、異常な事故が起きた場合には停上して、点検をして、修理をして、原因をつかんで再開するというのがあたりまえなんです。ところが、いまはどうかというと、異常が起きる、運転を続行中に点検する、そして運転しながら修理する。これは、こういういわば方程式みたいなものなんです。つまり私がこの例を挙げたのは、こういう工場のモラルというもの、技術過程というものをチェックして仮に二日間とまってもそれをシャットダウンして原因を明らかにする――これはだれがやるのでしょうか。
 そこで私は長官に伺いたいのですよ。つまり工場長クラスの人というのは経営に参画しているのです。どうしても生産が優先するのです。するなと言ったって生産が優先してしまうのです。問題は、そういう物の考え方が――いままで消防法でもかなり適切な自衛消防組織をつくれと言いながら、私も市原からずいぶん歩いてみた。保安要員がいると言うのです。数が少ないのです。頭数だけ何か紙に書いて張っていますよ。じゃ、その人に会わしてくれと言ったら、会わしてくれない。ようやく会えたと思ったら自動車の運転手だ。おまえさんいままでどこへ行っていたんだと言ったら、いや、重役の車を運転していましたと言うのです。消防士の運転手だ。さて、保安要員がいる。あなた、あそこで事故が起きたときにどうするのかと聞くと、これが全然化学的な知識がないのです一それが大災害に通ずるものなのかどうなのかという判断すらできないのです。今度は少し強化されていますけれどもね。つまり、法律のよしあしも一つの大きな問題ですけれども、企業の物の考え方なんです。だから法律が必要なんです。そこで私は、工場長クラスをつけるのは同じことだと思うのです。長官、そう思いませんか。どうでしょう。
○佐々木政府委員 これは、この法律における防災管理者につきましても、あるいはまた消防法における統括管理者にしましても同じでありますけれども、その工場の運営についていわば責任を持っている者に保安あるいは防災の責任を同時にとってもらいたいというのがこの考え方でございます。
○多田委員 これからまた引用します。これはもう最後の引用ですけれども、先ほどの「コンビナート保安はある意味では日本独自の問題であると言える。」このすぐ後にこう書いてあるんですね。「ヨーロッパ各国のコンビナートに対する政策のもう一つの特徴は」と書いてあります。つまり、さっきの特徴は非常に保安に留意しているということですね。「もう一つの特徴は、中央政府では法規の改廃等の基本的な事項を処理し、法の運営は地方行政機関に大幅な移譲を行なっているということである。」この後なんです。「地方行政機関に属する工場監督官には大きな権限が付与されており、その監督官に優秀な資質(知識・人格)をもたせるために周到な配慮が払われている。工場監督官の権威は大きく、事故を起した場合に法違反が原因である時はもちろん、監督官の指導監督または勧告に反して起こした場合はこれを処罰することが出来る。」
 つまり、ヨーロッパと違って最も保安が特徴的だという日本の企業、しかも世界で最もがめつい企業、これに本当に保安を守らしていくためには、せっかくコンビナート法をつくるんならば、私はここまで思い切った処置をとらせなければだめだと思う。たとえば、これは長官もあるいは御存じだと思いますけれども、カナダだとかアメリカだとか西ドイツにはセーフティーエンジニアというのがいるんだそうですよ。これは企業の責任者と同じぐらいの権限を持って、危ないときにはシャットダウンをさせるのだという。こういうものをつくらないと、本当の企業の防災あるいはこの観念というものは、これは単にお説教だけじゃだめなんだ。そういう意味ではここはもっと工夫する必要がある。だから前に申し上げたように、仮にせっかくいい法律をつくったとしてもそれがどう実行されるのかということがあるから、先ほど、こういうものをやりました、ガス法でやります、あるいはまた消防法でやりますと言っても、私らが腹の底から信頼できないのはそこなんです。やれるのかと、これで。そういう思い切った処置、どうでしょう。これは長官に伺いたい。
○佐々木政府委員 確かに防災の面から言いますと、その権限がどこかの段階に一元化されておるという点は私どもも非常に望ましいということは考えておるわけであります。ただ、現実問題としていまの状況から見まして、コンビナート地域の全部についてそういう人が得られるかどうかという点が非常にむずかしい問題であろうと思いますし、また私どもが防災についての体制を、高圧ガス取締法、消防法をひっくるめまして市町村の消防機関に一元化するということになりましても、まあ大都市地域等におきましてはその能力はあるといたしましても、地方の市町村にはなかなかそういう能力がないというようなことで、その辺に私どもも非常に矛盾を感じたわけであります。
 ただ、一面また工場側におきましても、これまでのコンビナートにおける爆発、火災の事故は、保安体制と工場従業員の保安に対する教育というものが徹底しておらない。したがって誤操作が生まれ一誤操作が生まれた場合に対処する方式というものができておらない。また、保安要員が工場の流れというものを十分に知っておらないために、消防が駆けつけていってもそれを十分に誘導することができない。こういう情勢は、やはり工場側にもその体制を直してもらわなきゃならないというようなこともあるわけでありまして、そういう意味におきまして、工場自体が自分の事業所を守るという観念をまず第一義的に打ち立てなければ、いかに消防が活動しましても適切なる処理ができるかどうかという点に非常に問題があるわけでありますので、工場側についてはやはり工場長が陣頭に立ってそうした保安体制というものを十分につくり上げてもらう、そしてまたそれに対応して、工場の自衛組織におきましても、十分な専任職員を置きながら十分な資機材を備えた自衛体制もとってもらうということにいたしたわけでありまして、御意見のような方式は確かに望ましい方式でありますけれども、この点につきましてはもう少し私どもも、いわば地域的な格差というものをもっと直していって、その段階においてこの一元化体制をとっていきたいというふうに思っております。
○多田委員 消防にこれを持たしたらいいのか、いまのような消防の陣容、それから大体消防を田舎へ行けば火消し人足のようにまだ思っているし、そういう中で、国から来る交付税さえ消化しないなんというところがざらにあるわけなんだから、消防に持たしたらいいかどうかは別ですけれども、次官、これはひとつ検討してもらいたいのですがね。原子力の場合でも原子力安全審議会なんてあるわけでしょう。これは原子力にまさるとも劣らないのですよ、一たん事故が起きましたら。そうしますと、私はたとえばコンビナート安全委員会というようなものでもいいんですよ。それは相当な専門家を国が持つ。これを消防庁の機関に入れたらいいのか、どこに置いたらいいか、これは御検討願うとして、そういうものをどうしてもつくる必要がある。これは前に小委員会のときも私、長官にちょっと話したことがある。確かに一つの市町村で専門家を数名雇うということは、数多い工場だから大変なことだと思うのですよ。だからいまそういうものをどうしても国の段階でつくってみる必要があるのじゃないか。それから、たとえば地方の段階へ行けば幾つかの県が、あるいは幾つかの市町村が合同して、大体いま各県に官立の大学があるわけだから、あるいはまた私立の大学でもあるのですから、専門家がいるわけですよ。そういうふうにして思い切って企業の防災問題をチェックしていく。チェックというか、実態をつかんで、そして一定の権限を持ってそれを押さえていく、こういう構想すらも――これは私一人だけの構想じゃないのですよ。多くの専門家でそれを言っている人がいるのです。そういう一連の問題として、企業の中にたとえば安全だけを考えていく、そしてチェックする人を置くということは、いまの段階でごく常識的なことじゃないのか。次官、私はやはりそういう構想を考えてみる段階だというふうに思いますよ、どうでしょうか。
○左藤政府委員 来年度の予算の問題もございますし、そういった問題について御指摘の点については真剣に検討させていただきたい、このように考えております。
○多田委員 どうも真剣に検討するというのが、出ている法律がこういうふうになって既設を除いちゃうのでね。だから私は、この法律案、このままいったら、本当に正直言って、あすでも事故が起きないという保証は一つもないのだから。部分的には改正されているのだけれども。いまここでやれということを言っても、次官、それはあなたの立場でむずかしい面もあるだろう。しかし、少なくともそういう問題で真剣に取り組むという姿勢がなければ、この法律、若干改正点があったとしても、やはりいままでと同じなんですよ、部分的には改正されているけれども。コンビナート全体を統括してやれる体制にもどうもなさそうだし、一番がめつい企業の中からこれをチェックしていくという機能もない。しかも工場長クラスの人がやるんだ。工場長クラスにやらせたら、この不況の中で、さらに、さらに上から生産を上げろ、合理化しろ、こうなったら、どうしても生産第一主義になっちゃうのですよ。だから不況のときほど事故がまた多くなるとさえ言われている。そういう問題をリアルに考えて、どうですか、次官、真剣にひとつこういう問題を次官会議にでもかけてみるというくらいの姿勢を示してくださいよ。
○左藤政府委員 今回の法案の提出までのいろいろなやりとりとかいうことについては、先ほど来御説明申し上げたりいたしましたところでございますが、いま御指摘の点については確かにいろいろな今後まだ検討しなければならない問題がございます。これは各省庁との関連もありますし、ざらにまた現行法とそれから今回のコンビナート防災法との関係もありますので、実施の段階までにやらなければならないこと、また実施いたしました上でさらに検討しなければならない問題、いまの御指摘のような既存の、既設の事業所について指示できるような形のものができないか、そういう問題も含めましてさらに検討さしていただきたい、このように思います。
○多田委員 きょうは通産大臣もお願いしたのだけれども、来れないので、肝心の通産省、どうでしよう。
○佐藤政府委員 通産省といたしましては、先ほど問題になりました徳山の出光の工場の事件以来、高圧ガスコンビナート地区につきましては化学保安対策本部というものを常設いたしておりまして、これには学識経験者約七十人を常設の形でお願いしてございまして、一たび事故が起きますれば、この先生方が現地に駆けつけまして、事故原因の調査全部をやっていただきまして、われわれはその結果に基づきまして適正な処分あるいは行政指導等々をすでにやってきておるわけでございます。
 さらに、高圧ガスの関係は、日本の産業の中でも最も保安のむずかしい問題でございますし、単に都道府県職員の能力をもってしては不十分でございますので、今度の法律改正の中におきましても、特殊法人でございます高圧ガス保安協会の中にプールして専門家を常設いたしまして、この方々に問題地点のコンビナートを巡回していただいて、各コンビナートの関係知事さん方にアドバイスをするというような制度も織り込んでおりまして、すでにこの面につきましては実行を織り込み済みでございます。
○多田委員 通産省、何か化学的な調査委員会をつくったというのですけれども、事故の後に行くのはいいですよ。しかし、いずれにしてもいつも原因が後々になっちゃう。わからないんですよ。一カ月、二カ月たっても原因が不明だ。確かに複雑だから簡単にできないと思うけれども、何かうやむやになっちゃうんですね。必要なことは、事故を起こさせないということなんです。そういう意味で、ただ調査だけではなくて、思い切って権限を持ったものがやったらどうか。そういうものを思い切って通産はやってごらんなさい。そうすると通産省の株は上がるんだ。そういうものをどうなのかということです。
○佐藤政府委員 私の御説明が不十分でございましたが、もちろん事故が起きれば直ちにこの化学対策本部が現場に駆けつけるわけでございますけれども、われわれは単にそういう事故が起きたときだけの活動では十分ではないことは十分に承知いたしておりまして、予防措置といたしまして、常にこの保安協会の立入検査を今後はやらせていくし、また現実にやっております。それから予防的な手段につきましても、多角的な研究会をいろいろつくりまして、また新しい技術の導入等と相まって、そういう研究を常にやっているというのが現状でございます。
○多田委員 その調査委員会というのは、たとえば不備を見つけたときにはすぐ原因をはっきりさせるまで操業もストップしろと言うくらいの権限はあるのですか。通産省に来て通産省から言うわけですか。
○佐藤政府委員 通産省は一定の保安基準を定めておりまして、この保安基準が守られているかどうかということを現実に把握しているのは都道府県の職員でございますが、この職員には、保安基準の違反を発見したときにはそういうような措置がとれるような権限を付与しております。
○多田委員 都道府県がその機関の委任事務をしているからやれるというふうに言っているけれども、それができるかどうか。それじゃもうちょっと聞いてみましょう。
 これは長官に伺いますが、再三私が川崎の例を引きますのは、川崎が一番よくやっているからなんです。やはり直下型の地震ということで非常によくやっている。そこで、昭和四十九年度、川崎市の消防本部が管内の企業の立入調査をやったんですね。その結果を御存じでしょうか。これは行っておりませんでしたか。
○佐々木政府委員 まだ私どもの手元に入っておりません。
○多田委員 私の方からそれを調べてほしいというふうに言ってなかったと思いますので、それじゃ私の方から。
 昭和四十九年、いま言った立入調査の結果、千八十件の問題が出ているんですね。このうちに、たとえば危険物の撤去その他の命令が五件あるのです。それから千七十五件が指導、勧告。これは中身はずっとあります。ひどいのもあるんですよ。川崎のようにやっていても、これだけの立入調査で一年間に千八十件できるのです。これは全部企業がやっているのです。そして川崎だからある程度できるんですよ。一体ほかの消防署がこれだけやれるのかと言いたい。
 そこで、私これは長官にひとつお願いしたいのですけれども、思い切って川崎市のように各企業の中を全面的に調査してみたらどうなのか。川崎では、タンクの事故が大体わかるというんですよ。消防庁に聞きましたら、あそこは事故が起きるのではないかというふうなことさえもう手のひらにあると言うのです、コンビナートが。行ってみたら配管のルートから何から全部あります。堺なんかもあるようですけれども。こういうものを思い切ってやれるでしょうか、どうでしょう長官。
○佐々木政府委員 ただいまのような、消防がコンビナート地帯の配管に至るまでいわば詳細な調査を終わっており、そしてまた内容を十分熟知しておる体制というのは非常に望ましいことでありますけれども、現実の消防機関におきましては川崎に近い水準のところが何カ所かあるという程度であってまだそこまではいっておらないというのが現状であろうと思います。これは職員の構成にも関連する問題でありますけれども、川崎の場合には比較的そうした技術系の職員も採りやすい、また条件にも恵まれているというふうに考えます。私どももそういう意味におきまして、なかなか技術系の職員の採りにくい市町村、そうしたところにいろいろな安全の点検、保安の点検というものの代行がある程度でき得るようなこうした公的な機関の設置という問題につきましては、来年度の予算とまた消防法の改正の問題をからめまして具体的にその対策をとっていきたいというふうに考えております。
○多田委員 通産省は企業にやらせると言いますけれども、私は非常に不愉快なことなんだけれども、消防庁にお願いしましたね。四日市の大協石油の保安課長さんの、名前はあえて言いませんけれども、前歴と前々歴、それから第三コンビナートつまり霞共同事業所の保安担当責任者、これはお名前を言っておりますから私はここで名前を申しませんが、仮にKとしておきましょう、その人の前歴と前々歴、これをちょっと述べてください、どういう前歴の人か。
○佐々木政府委員 大協石油の保安課長の前歴は四日市市の消防長であり、その前の経歴は四日市市の警察の署長をやっておりました。
 それから二番目の霞共同事業所の関係でございますが、これは正式な決定はまだないようでございますが、現在その予定というのが四日市市の消防長であり、その前歴が四日市市の警察の署長であったということでございます。
○多田委員 こういうのが多いのですよ。天下りですわ。もう一人いるのですよ、四日市に。大事なところの某企業の自衛消防隊長。
 私は警察や消防庁がそういうところへ入って悪いと言っているのじゃないのです。ここで一体どういうことになるかということなんです。つまり公害の町の四日市というコンビナートで、そこの消防長が企業の消防担当になっている。一見、経験あるからいいと言えるでしょう。これは三月の三重県議会でも問題になったのです。企業が事故が起きたときにこれで本当に追及できるのかということなんです。できる人もいるかもわからない。大方は普通の人情としてむずかしいことなんです。
 こういう企業と指導官庁との癒着などまだ根強くあるのです。ここだけじゃないのですよ。そういう中で本当に川崎のように、まだ不十分で、いま長官も言ったけれども数少ないのです、一体やれるのか。だから私は前に言ったように、そういう企業から独立して本当に権限を持った――安全審査委員会でもよろしいですよ、一定の権限を持った学識経験者、それがチェック機能を持つぐらいの権限を持たせる。下部にも持たしていく、工場の中にもそういうものを持たしていく。水島の三石のように、事故を起こして何百億の金を火を噴いて出さなければならないということになったら元も子もなくなるでしょう。つまりある意味ではいま防災の観念はペイするのです。そういうものをやったらどうかと言っているのです。だからあなたの言うようになまやさしいものじゃないのです。だから通産も真剣にそういう問題を考えてくださいよ。いままでのようにともかく馬車馬のように企業さえ大きくすればよろしい、生産性を上げればよろしい、そしてあとは消防庁に火事はお任せだ、こういうやり方ではなくて、前も後も見てつり合いのとれた産業政策というものが大事なんです。いまそれが求められているのだから、また企業の体質もあるのだから、思い切ってそういう権限を持ったものを、これはむしろ通産が先頭に立って消防庁に言うぐらいのことをやれば、長官だってこんな縦じわ寄せなくたっていいんです。そういうことはどうですか。本当はこれは大臣に言いたかったのだが……。
○佐藤政府委員 企業の監督体制の問題につきましては、特にわれわれの守備範囲でございます高圧ガスの頻発災害にかんがみまして、今度の法律改正におきましてわれわれが一番意を用いた点でございますし、またいろいろの審議会においても各方面から強く御指摘された点でもございます。内容をここで申し上げますと非常に長くなりますので、考え方だけ述べさせていただきますが、要するに第三者機関によるチェックも十分に入れるということで、先生が御指摘になったような考え方を、たまたま特殊法人でございます保安協会という組織がございますので、この中に中立の専門の学者をプールして常設いたしまして、そして単に企業あるいは都道府県の職員だけにチェックを任せないという形、もちろん通産局も八通産局ございますから、これらの職員も化学対策本部等の先生方とも十分に連絡をとりながら予防措置を講じていくという決意で、内容をごらんになっていただくとよくおわかりになると思いますけれども、そういう考え方で今国会でお認めいただいたということでございますので、この線に沿い、さらにわれわれは先生の御趣旨に沿った考え方で前向きに努力してまいりたい、こう考えております。
○多田委員 時間の関係もありますから、特に私はそれを通産に望んでおきたいし、消防庁も御苦労なさっていますけれども、やはり言うべきことは主張していただきたい、やられてもいるだろうと思いますけれども。とりわけ大臣もおりませんから次官にそのことを強く要望しておきたいと思います。
 次に移ります。毒物劇物は、今度のコンビナート法案では石油、高圧ガスが主たる対象であって、外されているわけですが、先ほど言ったようにコンビナートが大変な危険物を持っているということですが、そのコンビナートが消防関係は消防法だ、自治省だ、それから高圧ガスは通産省の高圧ガス法だ、毒物劇物は厚生省の毒物劇物取締法だ、ボイラー関係は労働省だ、こういうようにばらばらになっている。これは当委員会でもほかの委員もいろいろ指摘したところです。ところがさっきから言っているけれども、一たん事故が起きますと、火災になる、今度は全部消防署にくるのです。そして何をやっているんだという市民の批判からマスコミの批判、これは消防署が受けるのですよ。ところが消防署に言わせれば、それは管轄外なんです。消防以外のところは許認可権もなければ、そして起きた結果の火消しだけ、文字どおりこれはまるで火消し人足なんです。たとえば川崎でこの間LPGの建物ができたという。ところが、できてしまってから消防署はびっくりしちゃっているのです。一たん火事が起きたらこれはもう燃え尽きるまで待つ以外にない。それから有毒の問題について言えば、昭和四十八年八月十二日大分コンビナートの住友化学工業の大分製造所のFK三十一倉庫のスミチオン、パラチオンなどの農薬、染料、酸化防止剤など五十二品目の毒劇物が燃焼爆発している。付近住民に吐き気、のどの痛み、目の痛み、それから下痢、食欲不振、これが一・五キロぐらいまで影響を与えているという意味では、この毒物劇物というものが大量に貯蔵されているわけですよ。ですから、これもひとつ問題だろうというように思うのです。
 厚生省、来てますか。伺いますが、石油化学工場などで製造の過程で使用する毒物劇物、メタノールだとかその他のものがありますけれども、これは国、地方自治体に届け出の義務はあるのですか、ないのですか。
○花輪説明員 お答え申し上げます。
 義務がある場合とない場合がございます。
○多田委員 行管お願いしているのですけれども、来ていますか。じゃ聞きますが、去年の七月、行管の方から厚生省にこの毒劇物の取り扱いについて勧告をいたしましたね。どういう事情で、どういう内容なのか、それをちょっと言ってください。
○長野説明員 毒劇物に対します監察を取り上げましたのは、御案内のように山陰本線の江津駅構内におきまして爆発事故がございました。それから新潟県内におきましてタンク車のパイプ部分の欠損によります人身被害がございました。そういうようなことがございまして、つまり関係の人以外の一般の人に対する被害が起きてきたということを端緒にいたしまして、この監察を実施いたしたわけでございます。したがいまして、そういったことを中心にいたしまして、幾つかのことを勧告いたしております。
 その幾つかのことをこれから申し上げますが、たとえばタンクの貯蔵庫の構造規格の基準を強化する、あるいはタンク車の同じような規格につきまして具体的な基準をつくる、それから毒物劇物取扱責任者の危害防止を果たすべき責務を明確にする、それからその危害防止を図るために関係行政機関が相互に連携を密接にする、あるいは事故が発生しやすい事業者及び違反の多い事業者に対する指導監督を強化する、こういったことが主な内容になっております。
○多田委員 つまり毒物劇物の取り扱いの観念が大分変わってきたと私は思う。たとえば医者なんかわずかの麻薬を違反しただけでもってものすごくうるさいわけだ。ところがコンビナートは膨大な毒物劇物を貯蔵しているわけでしょう。
 そこで、厚生省、さっきは石油化学などの製造の過程で届け出の義務があるものとないものがあると言ったけれども、義務のあるものというのは一体何ですか。
○花輪説明員 毒物劇物取締法におきまして毒物劇物営業者の概念がございます。これは一定の原料を材料といたしまして最終的に毒劇物に該当する製品をつくる、あるいは毒劇物を販売をする、これが営業者になっておるわけでございますが、これにつきましては登録する、こういうことになっております。それから、最終製品は毒物劇物ではございませんが、中間帯に何らか毒劇物を使用するというふうなものがございます。こういうふうなものにつきましては格別届け出の規定がございません。
○多田委員 先ほど行管の方から話があった行管の報告も私見せてもらいました。届け出をしなくてもいい、レコードする、記録するだけでいいというものがあるのです。そこで、つまり届け出だから、劇毒物の中で常時国や市町村が知らない分野があるのです、企業がレコードすればいいのだから。
 ところで、神奈川県下のコンビナートには毒物劇物、どれだけありますか。
○花輪説明員 神奈川県下全般につきましての資料は持ち合わせておりませんが、横浜地区及び川崎地区……(多田委員「横浜、川崎でよろしい」と呼ぶ)県の方から資料を取り寄せてございますが、四十八年の年間の平均貯蔵量で申しまして五万六千九百四十七トン、こういうふうに承知いたしております。
○多田委員 ほかのコンビナートの量、知っていますか。
○花輪説明員 ただいま手元に持ち合わせておりませんが、コンビナート地域につきましては、都道府県におきまして特別の状況を把握いたしております。
○多田委員 つまりあなたがいま知っているのは、これを聞くからと言ったから調べたのです。だからほかは知らないのですよ。なぜ神奈川県がこの数字をつかんでいるのでしょう。私ほかの県に電話したら、とっても集積できませんと言っている。なぜ川崎、横浜はこれだけの膨大な毒物の量、五万六千九百四十七トン、これもアバウト、約と言っていたけれども、これだけの量をつかんでいるのでしょうか。それを厚生省、おわかりですか。
○花輪説明員 神奈川県のみではなくたとえば水島地域でございますとかこういうふうな地域につきましても、当然都道府県におきまして貯蔵量等を把握しているものというふうに考えております。
○多田委員 これは次官、長官も聞いておいてほしいのですが、私は冒頭申し上げましたように、きょうは基本的なことをお伺いするということで、いま私伺っているのは一元的な指導の問題で伺っているのです。つまり、劇毒物の中で国や地方自治体がチェックできないものがある。だからこれはつかめないのです。川崎は、厚生省がわかったのは、私が聞くからと言ったからです。それで川崎に聞いたのです。川崎がこれをつかんでいるのは、幸か不幸か直下型の問題が出てきた。そして防災体制をつくっていかなくてはならない。二年間かかってこの実態をつかんだ。しかも五万六千九百四十七トンの中で、高圧ガス取り締まりの対象になるものもあります。それから消防の対象になるものもあります。私調べてみましたら、五万六千九百四十七トンの中で、法の対象、いま言った高圧ガスとそれから危険物の対象になるのが二万トン強ですよ。あとの三万六千トンくらいは企業が記録さえしていればいいのです。ここに毒物の名前も全部、数量もありますけれども、こういう状況なんです。これが一たん事故が起きたら一体どういうことになるのか、国も知らない、地方自治体も知らないという状況なんです。ですから、地方自治体が非常に頭を痛めるのです。ここで私は主張したいことは、高圧ガスや石油だけじゃなくて、こういう毒物劇物も消防署なりがきちんと握れるような一元的な体制がコンビナートには必要なんだ、このことを私は言いたいからなんです。そういうことで劇物毒物の取り扱いの観点を変えなくちゃいかぬというふうに私は思うのです。
 そこで厚生省にお伺いしますが、コンビナートのいまの経験から言っても、この毒物劇物の取扱基準その他を、ひとつ法改正を含めて検討してみたらどうでしょうか。
○花輪説明員 コンビナートにおける毒劇物の問題でございますが、御案内のように毒劇物の指定は、たとえば青酸カリ等の例でも明らかなように、それが過ち等によりまして体内に摂取された場合に非常に少量で危害を生ずる、そういう経口毒性が強いという観点からいろいろ指定をされているわけでございますが、しかしそのような毒劇物でございましても、爆発性がある、あるいは非常に発火性が強いというようなものがあるわけでございまして、当然災害の際に問題になってくるわけでございます。御案内のように、それにつきましては消防法の危険物なりあるいは高圧ガス取締法というふうな規定で規制を受けているわけでございますが、毒劇物につきましてはいろいろ問題もございますので、これにつきましては今後本コンビナート法が公布されますれば、当然今後の問題といたしまして具体的な政省令の制定というものが段取りに入るわけでございますので、その際、われわれとしましても当然十分な意見を申し上げたい、かように考えております。
○多田委員 厚生省に私ひとつお願いしたいけれども、その法改正のことを含めて、やはりいま実態をつかむ必要があるんじゃないか。これは全国といっても大変でしょうから、少なくともコンビナートを消防署と協力をして実態をつかんでみる。県がやっていて国ができないなんということはないのだから。私はそういう責任があると思うのです。どうでしょうか。
○花輪説明員 実は毒劇物につきましては、化学工場でございますと非常に広く、酸化剤でございますとかあるいは還元剤として使われる、あるいはまた学校の理科の実験等に使われる、あるいはまた試験研究機関等でも使われる、あるいは農家あるいは園芸等にも使われるというふうなことで、非常に幅広く使用されているのが実情でございます。私ども実は現在コンビナート地帯における毒劇物の実情というものをいろいろ調べまして検討しておる最中でございますが、そういう観点から、特に今回の法案の具体的な政省令を決めます際に、当然われわれのサイドから、災害時に非常に問題になる毒劇物というようなものは何らか盛り込むべきではないか、こういうふうな問題意識のもとに検討をいたしておる次第でございます。
○多田委員 いや、私の聞いておるのは、学校の理科の実験室の云々という話がいま出たけれども、そういうコンビナートの、何千トンと持っておるのですよ、一つの工場で。そういうものを県や消防署と協力して、まず実態を明らかにするということで出発しなければならないから、それをやるかどうかということを聞いているのです。
○花輪説明員 現在、コンビナート地域の毒劇物の貯蔵の実情につきまして、いろいろ材料を集めまして調査研究をいたしておる段階でございますが、この毒劇物の種類が非常に多うございまして、たとえば青酸カリでございますと、このものはたとえば火災で燃えるというふうなことになりますと、炭酸ガスなり酸化窒素というふうな全く無害の物質になる、こういうふうな性質のものもございまして、その物の性質、貯蔵量等をいま貯蔵の実態を見つついろいろわれわれの方で検討しておる、こういうのが実情でございます。
○多田委員 どうも歯切れが悪いんだな。それはいろいろな変化もありますよ。火事でも起きれば化学変化もありますわ。しかし、現状の毒物劇物法に指定されているような品物をコンビナートでどれだけ持っているのかということぐらい消防署に協力してくださいよ。私は消防署の肩を持って言っているんじゃないんだけれども。コンビナートの問題について言えば、法の改正を含めて、そういうことをいま検討しなければならないんだ、そういうことを言っているわけなんですよ。幾ら言っても同じ回答しか返ってこないんだけれども。
 そこで、次官にお願いしたいのですが、今度のこの法案でも、石油と高圧ガスなんかとあわせてこういう毒物を、その他の中に入ってはいますよ、これは。真剣にやはり調べてみる必要があるんじゃないか。それからもう一つ、高圧ガスにしても、毒物劇物にしても、それはやはり地元の消防署のチェックを受ける。たとえば許認可権は高圧ガスの場合通産省が持っているとしても、それをやる場合に地元の意向を十分に聞く、あるいは地元のチェックかてきるような――地元の地方自治体あるいは消防署ですよ。こうしていかないと、消防署は結局自分の責任のないものには興味はわきませんわね。それはあたりまえのことなんです。やはり責任を持ってもらわなければならない。だから、どうですか次官、そういうことを思い切って考えてみてもらえませんでしょうか。
○左藤政府委員 確かに御指摘のとおり、この毒物劇物取締法と石油コンビナート災害防止法の関係でございますが、この防止法の問題についていろいろ法的な接点と申しますか、そういうものについての十分な検討をする余裕とか、いろいろな時間的なこともございましてそうしたことができなかったわけでありますが、引き続いてこの問題については、毒物劇物のコンビナートにおきます取り扱いを災害防止法でどういうふうに位置づけしていくか、これは検討すると同時に、いまお話がございました、現場のこういった問題を扱います消防署あるいは都道府県、こういったところでそういった問題について十分把握して仕事ができやすいような体制というものを引き続いて検討して、実現するように努力しなければならない、このように考えております。
○多田委員 その一元的な問題でもう一つ私伺いたいのですが、きょうは運輸省来ておりますね。――昨年の十二月十一日にアジア石油の桟橋で第六シェル丸が爆発して、死者二人、それから負傷二人でしたか出た。私は事件直後に行きました。ちょうど爆発した船から首と手が百メートルくらい飛んで、そしてアジア石油のタンクの付近に落ちているわけです。落ちた現場は私は見なかったけれども、そういう事故が起きたことは御存じでしょう。これは海上の事故というものは、過密のコンビナートの場合陸に移るということの可能性を十分に示しているのです。そのほか昨年の第十雄洋丸の事故に見られるとおりなんです。そこで、海上の防災についてちょっと伺いたいのです。いまどういうふうになっていますか。
○船谷説明員 海上の防災につきましては、われわれは、主としては船舶の方の安全保持ということがまずは未然に防止するという観点から肝要でありますので、それで海上交通安全法によって船舶の流れを規制し、それからまた港則法によりまして、港内においては古くから交通の安全保持に当たっておるわけでございます。
 一たん災害が発生した場合にどうするかという問題につきましては、海上保安庁としまして消防船艇あるいは油の流れた場合の防除資機材等の備蓄、整備に努めておりますとともに、地方公共団体や消防機関と一緒になりまして、また民間の企業体に対しましても防除資機材の備蓄の義務づけが最近の海洋汚染防止法の改正によってできました。それらのものを有機的にあるいは総合的に効果的に利用するための協議会をつくってございます。それを有効に活用してできるだけ災害の拡散を防止するということにしております。
○多田委員 これは長官に伺いたいのですが、たとえば接岸しているタンカーが火災が起きた場合に、これはどういうふうになるのですか。どこが責任を負ってどうなるのでしょうか。
○佐々木政府委員 接岸している船舶についての火災は消防機関の担当でございます。
○多田委員 実は私、第六シェル丸の事故が起きたとき行きまして、原因は何なのかわからないですけれども、これはどうでしょうか、消防庁の方わかっておりましょうか。――これは消防庁の責任じゃありませんね。運輸省か、どこになりますかな。第六シェル丸のあの爆発の原因は何でしょうかね。まだわかりませんか。
○船谷説明員 原因の調査につきましては、消防責任が消防機関であるということと、刑事責任追及の面から警察が指導いたしました。で、海上保安庁が協力をし、共同捜査をいたしました。最終的なまとめは警察がやることになっております。
○多田委員 まだわからないということ……。まあ地元の消防では静電気ではないかというふうなことも言われているのです。これは私は根拠よくわかりません。しかし静電気説というのは当時新聞その他でも出たわけなんですが、その静電気のために行ってみたら陸からアースを船につけるわけですよ。アースの先にリップがありまして、それを陸から引っ張っていって、そして船につけるのですよ。この責任がはっきりしないのですよ。責任はっきりしているんだろうと幾ら聞いてもどうもはっきりしない。接岸しているわけだから、それを統括して、だれがどうなるのか。これは消防庁どうなるのですか。だれの責任でしょうか。
○辻説明員 ただいまの問題につきましては船舶安全法がございまして、その関係省令で危険物船舶運送及び貯蔵規則というものがございます。この規則の中に、油タンクの貨物油管と陸上油管との電気的連続をしなければならないという規定がうたってあります。
○多田委員 そうすると、その責任は運輸省の方ですか。
○辻説明員 これは船舶所有者あるいは船長に課せられた義務になっております。
○多田委員 つまり火事が起きれば消防だ、リップを引っ張ってつけるのは違う、こういうようになっているのですよ。
 もう時間もありませんが、そこで私これも次官に一つお願いしたいのですが、少なくともジェット燃料なんかの危険物について言えば、接岸の場合、たとえばパイプの通過量を消防署が押さえるとかいうふうな消防のチェックをやはりする必要があるんじゃないか、少なくとも火災の場合に。あるいはまた、外国船は仮に無理としても、内航船の場合、接岸している場合は消防法の適用を受けるようにする、こういうようなことも考えないと、これほど船の事故が起きているわけですから、まさになわ張り争いじゃないのですよ。もう接岸しているんだから、火事になったら消防署なんだから、そういうことも今度考えてみる必要があるんじゃないか。確かに消防法の中には除外規定もありまして、航空と船ということはありますよ。どうでしょうね。いや本当にこれは考えてみてください。
○佐々木政府委員 通常は、船舶の場合は船舶安全法の規定によりましていろいろな安全対策がとられることになっておりますが、やはり陸と海との接点の部分における災害という問題は、水島とは逆に海から陸へ及ぶという問題がございますので、この辺はまたさらに運輸省がいまいろいろ御検討願っております海上防災法等が成案が得られる過程におきまして、私どもその辺の接点について十分検討して対処してまいりたいと思います。
○多田委員 問題は法と法との接点ですね。これがいつも死角になったりなんかするわけで、御検討ということですが、何か具体的な案をお持ちなんですか。
○佐々木政府委員 内容につきましては運輸省の方で御検討願っております段階で、具体的なものとして私どもに協議をいただく段階にはまだなっておりません。
○多田委員 運輸省はそれはどうなんですか。
○船谷説明員 海上の特性を踏まえまして、また外国の事例なんかも参考にして、いま具体的な問題検討中でございます。
○多田委員 いつまでにできますか。
○船谷説明員 早ければといいますか、まだ時期的なことははっきりしたものは置いてございませんけれども、次の国会には是非提案したいという考え方で検討を進めております。
○多田委員 是非それはひとつ急いでください。そういうものこそまさに急ぐ問題ですからね。
 そこで、時間もなくなりました。次官、私いろいろ伺いましていまだにこの法案について、いろいろ改善点あるけれども、その不安まだ全部ぬぐい切れているものじゃありません。ですから私第一歩として、これは消防庁がやったらいいのか自治体がやったらいいのか、全国のコンビナートを調査してコンビナート白書のようなものを、これはむずかしいですけれども、思い切ってつくるぐらいのことをしてもらえないかどうか、そうしてその調査の結果を住民に知らせていく。このことが、たとえばこの法を一層よくする意味でも、それから住民の防災意識を高めていく意味でも、そういう真剣な努力をいま払うときなんだというふうに思いますが、そういうふうな手だてはどうでしょうか。
○左藤政府委員 個々のタンクというような問題についてはこの前に全国的な調査をいたしましたが、全国のコンビナートについてそういった調査をするかどうかという御質疑でございます。
 一応、コンビナート防災のことにつきましてのこういった法律も今回できますので、こういった法律が成立いたしましたら直ちに防災計画というものを提出させなければなりませんので、その段階におきまして、その防災計画を一つの権威づけるといいますか、しっかりしたものにするための資料としてそういったものをまとめまして、そして災害防止法の運用に遺憾のないようにしたい、このように考えております。
○多田委員 全国一遍に調べるというのは大変でしょうけれども、いま冒頭に申し上げましたように、東京湾をどうするかということがもうすでに研究者あるいは自治体関係の問題になっているわけですから、むずかしければ東京湾全体だけでもいい、そういうやはり調査を是非して、それをひとつ発表していただきたい、こう思います。
 なお、これにちょっと関係ありますので、防衛施設庁来ておりますか。
 実は新聞に一部出ましたし、私どもの党が地元調査ではっきりしたのですが、これは油に関係があるので、いまこの間ちょっと関連でやるのですが、長崎県佐世保市の庵ノ浦町にある米軍横須賀補給所佐世保分廠の庵崎貯油所の地下タンクから油が長期間にわたって漏れ出ていた。そして付近住民の井戸水や海岸、漁港も汚染させたという事実、これがいまはっきりしてきたわけなんです。
 そこで一つ伺いたいのですが、この事実を防衛施設庁は知っておりましたか。知っていたとすれば、いつから知っていたか。
○秋山説明員 庵崎貯油所の油漏れにつきましては、ことしの三月八日に漏れていることが発見されました。米軍は直ちにオイルフェンスを設置しまして、流出油をポンプでくみ揚げ、またオイルマットで吸着する等流出油の処理を行いました。一方、漏れたと思われる一号タンクの油を抜き取りまして原因究明を行った結果、修理個所を発見しまして、目下修理中と聞いております。
 さらに五月の二十九日にも油漏れが発見されましたので、米軍は直ちに流出個所の周りに囲いをつくり、油が海へ流出するのを防ぐとともに、流出油の回収を図っております。また流出油については前回と同様に処理を行っております。原因につきましては、六月の九日、十日の両日、三号タンクの油を抜き取り、現在検査を行っております。
○多田委員 この米軍のタンクが何基あって、幾らの油を持っているのか、どういう油種を持っているのか、それをちょっと報告してください。
○秋山説明員 八基ございまして、容量は約二十二万キロリットルでございます。そして油の種類は主としてジェット用燃料油でございます。
○多田委員 さっきの御答弁で、三月にわかったというけれども、七、八年前から地元の漁協の組合長は防衛庁に要求しているのですよ。それをあなたは知りませんか。――失礼、三年前に地元の漁協の組合長がいろいろなことを防衛施設庁に要求しているのです。
○杉森説明員 お答えいたします。
 私の知っている範囲では、四十六年に油の流出があった。その場合にも米軍の方で処置をいたしまして、タンク一基については修理を行った、かように聞いております。
 それからさらに漁業補償の方は、申請がございまして、補償をしている、そういうふうに承知しております。
○多田委員 私どもの党の地元がこの間、二日ほど前調査に入ったのです。ここに写真があるんだけれども、こういうことなんですよ。行ってみたら、その油の漏れるところに四人の基地の作業員がいた。深さ約一・五メートル、幅畳三枚ほどの広さに掘った穴の中に石油と地下水の混合物が三分の一ほどたまっていた。これをひしゃくでドラムカンに移しているわけです。いいですか。これを連日やっているのです。揮発性のにおいが強烈だった。作業員は毎日欠かさずドラムカン三分の一ほどくみ出している。その専属のがいるのです。そして小庵浦漁港の浜には、基地内からしみ出る油が一面ににじ色の薄膜を張っていた。そして基地の海岸線に積んだ石垣の下部からは透明な燃料がにじみ出て海に流れ出ている。そして漁協の森山正芳さんという人は、「この部落二十三戸のうち、基地に近い数戸は井戸水に油が入って使いものにならなくなり、もらい水をしている。何とか早く水道をひいてほしい」、こういうことがあなた方の耳に入っていませんかどうなんですか。
○秋山説明員 油の流れた実態は、三月のときには一日約六百リッターで約三十九日ほど流出しております。それから五月のときにはいままでのところ五千リッターほど流出しておるのではないかという情報が入っております。井戸水にどうこうという点については、まだ私の方で調査未了でございます。
○多田委員 五百リッターの油が流れている。しかも実際は三年前、もっと早くから出ているのです。そして地元の防衛施設庁に言っても、あなた方の耳に入ってない。米軍は取りつく島もない。地元の人はどうなるのですか。防衛施設庁はアメリカの味方じゃないでしょうがね。そこで、どうですか、皆さん現地へ行って調査されますか、これ。調査してくださいよ。防衛施設庁から行って、二十数戸の人の井戸水が飲めないのです、日本人が。そして五百リッターの油が三十日間出ている。おとといわが党の人が調査に行っても、そのとおり油をくんでいるのだ。その事実を、国会でもう出たんだから、あなた方現地に行って調査してください。それをやりますか。
○秋山説明員 はい。現地の局をして調査をさせまして、できるだけ善処をしたいと思います。私の方では、実際に被害があった場合には、その被害者からその補償等の請求を受けて、それらの実態をよく調査した上で、実際にその補償の対象になるということになった場合には補償するというようなやり方で進めていきたいと思います。
○多田委員 補償はあたりまえの真ん中なんですよ。まず油をとめることです。油をとめることですよ。そのために行かなくちゃならないのです。補償は二の次なんです。油をとめて、住民に補償をする。しかも三年前から漁協の組合長が言っているけれども、音さたがないと言っているのです。だから、地元にやらせるのじゃなくて、こういう問題があると、各省ではいち早く飛んでいくのですよ。だから防衛施設庁の本部から実際行ってみて、そして地元の施設庁の人と一緒に行って実態を見て米軍に早急にやらせる、そういう措置をおとりになるかどうか、それを伺っているのです。
○秋山説明員 基地内は米軍の管理権下でございますので、日本政府の立場で中に入ってとめるというわけにはまいりませんので、施設庁としましてはいままでに数回、現地の米軍司令部の方にもまた施設特別委員会を通じてそれの防止方を申し入れております。しかしなお今後とも米側に対して申し入れを継続するつもりでございます。
○多田委員 なぜそれは米軍は手当てしないのですか。オイルフェンスを張ったとか基底部を直したとか言っても、依然として出ているのです。そしてあなた方は立入調査はできない。困るのは住民なんですよ。私はその問題から外交問題まではここであえて言おうとは思わないけれども、たとえ一人でも日本の国民がそれで困っているのでしょうが。米軍がいまだにそれをやってないとすれば、どういう手を打たれますか。
○秋山説明員 私たちの施設庁側といたしましては、施設の提供、返還という業務に携わっておるものでございますので、施設の管理、運営上から起きてくる問題については、外務省を通じていろいろお話を具体的には進めさしていただかざるを得ない、かように考えております。
○多田委員 それで、そうだとすれば、私は防衛施設庁がその権限でできることを、調査を含めてやっていただきたい、外務省とも話し合っていただきたい、その結果をひとつ報告してもらいたいと思うのです。
 委員長、それでひとつ計らっていただけませんでしょうか。
○大西委員長 委員会へですか、どういう形で……。
○多田委員 その結果を、ここ近々やってもらって、文書でそれをよこしていただきたいと思う。そして問題点を明確にしてください。油をとめるために、米軍がどう言っているのか、外務省がどう言っているのか、そのことをひとつ文書にして出してください。委員長、ひとつそれをお願いいたします。
○大西委員長 秋山連絡調整官、意見はいかがですか。
○秋山説明員 外務省と相談いたしまして、そのように処置したいと思います。
○多田委員 外務省と相談じゃないですよ、防衛施設庁として折衝した範囲を防衛施設庁として責任を持って出してくれと言っているのです。何で外務省と出す出さないの相談をする必要があるのですか。あなた方の折衝した事実をここへ出してくれと言っているのです。
○秋山説明員 施設庁において折衝した範囲のことについては、後ほど提出いたします。
○多田委員 それでは、そのことをひとつお願いいたします。
 いずれにしても、先ほどから長時間にわたっていろいろ問い合わせ、そしてこちらから要望もしたわけですが、コンビナートの災害の問題というのは、原子力の災害に匹敵するほどの重大なものをもたらすだけに、私はこの法案の審議にしても、本当に慎重にやっていかなくちゃならないという意味で、ぜひひとつ委員会の意見をいろいろ反映さしていただきたいことを申し上げて、私の質問を終わります。
     ――――◇―――――
○大西委員長 この際、お諮りいたします。
 本案について、商工委員会、災害対策特別委員会及び公害対策並びに環境保全特別委員会から連合審査会開会の申し入れがあります。これを受諾し、連合審査会を開会するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間の協議の上決定いたしますが、六月十九日木曜日に開会の予定でございます。
 次回は、明十八日水曜日、午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十四分散会