第075回国会 外務委員会 第8号
昭和五十年三月七日(金曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 栗原 祐幸君
   理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 小林 正巳君 理事 水野  清君
   理事 毛利 松平君 理事 堂森 芳夫君
   理事 正森 成二君
      宇野 宗佑君    小坂善太郎君
      細田 吉藏君    綿貫 民輔君
      土井たか子君    三宅 正一君
      渡部 一郎君    永末 英一君
 出席政府委員
        外務政務次官  羽田野忠文君
        外務省経済局次
        長       野村  豊君
        外務省条約局外
        務参事官    伊達 宗起君
 委員外の出席者
        外務省経済協力
        局外務参事官  菊地 清明君
        大蔵省関税局輸
        入課長     小田 和美君
        農林大臣官房企
        画室長     森実 孝郎君
        食糧庁総務部企
        画課長     小野 重和君
        通商産業省通商
        政策局国際経済
        部国際経済課長 真野  温君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  森山 欽司君     加藤 紘一君
  正木 良明君     大久保直彦君
同月七日
 辞任         補欠選任
  中村 梅吉君     綿貫 民輔君
同日
 辞任         補欠選任
  綿貫 民輔君     中村 梅吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦
 貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に
 関する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第三号)
 関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更
 に関する第二確認書の締結について承認を求め
 るの件(条約第四号)
     ――――◇―――――
○栗原委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第二確認書の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 私は、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第二確認書の締結について承認を求めるの件、ただいま上程されておりますこの件につきまして、若干の質問を行いたいと思うのであります。
 まず最初に政府に伺いますが、わが国の譲許表に掲げる品目分類を訂正することは、本邦、わが国の税関における関税賦課業務等、税関事務の合理化が促進される、こう言っておるのでありますが、これによりまして、輸入業務に携わるこれら関係者の輸入手続事務等に関し、その複雑さの改善、合理化はどのように是正されるのでありますか。この点についてまず御答弁を願いたい、こう思います。
○小田説明員 お答え申し上げます。
 輸入される貨物に関税率を適用いたします場合、その税率には実は四種類ございまして、基本税率あるいは暫定税率それから協定税率、つまり先ほどの譲許税率でございますが、そのほか特恵税率とか、こういういろいろの税率が実はあるわけでございます。したがいまして、ある貨物が輸入されたときにどの税率を適用してよろしいか、実際にはそのうちの一つを選んで適用する、こういうことになるわけでございます。
 ところが、それぞれの税率が違った分類でつくられておりますと、ある輸入された貨物を分類表に基づいて探し出して、その税率を探さなければならないわけでございますが、その場合に各税率を定めておるそれぞれの分類体系が異なっておりますと、探し出すのに非常な不便が実はあるわけでございます。ところが現在はそれが実は食い違いがあるわけでございます。と申しますのは、国定税率を定めております定率表の方は、実はBTNの改正――BTNという、国際条約に基づいて定められておりますブラッセル品目分類表というのがございますけれども、これが改正になりまして、わが国の関税率表もそれに従って実は一九七二年に改正されたわけでございます。したがいましてそれ以前からあります譲許表の分類と現在のわが国の関税率表との間に食い違いが生じた、こういうことになったわけでございます。そこで先ほど申し上げたような理由から食い違いがあると非常に不便がございますので、これを一致させていただくということによりまして税関実務上は非常な簡素、合理化ができる、税関職員としてはその点非常に不便が解消される、こういうことであるわけでございます。
○堂森委員 そういう答弁でございますから、確かに簡素化、合理化という方向には進んでいる、こういうことは言えると思うのであります。複雑多岐にわたる譲許表の簡素化を図るため、さっき言われたような政府の方針に基づいて簡素化をするという考えであることはよくわかりますが、これで従来とは非常に合理化され簡素化されたと言うのでありますが、その点ではまだまだもっと合理化を図っていくような、そういう方針をさらに持っておるのでありますか、これで十分満足であると思っておるのでありますか、さらにこれも聞いておきたいと思います。
○小田説明員 分類の問題につきましては、先ほど申し上げたような点で簡素、合理化が考えられておるわけでございますが、そのほか税関業務一般につきましても、御承知のように貨物の量は年々ふえておりますし、私どもの立場といたしましては、できる限り合理化を進めるということでこれまでもやってまいりましたし、今後ともやってまいるつもりでございます。もちろんその場合、実施に当たりましては適切な行政が運営できるようなことも当然あわせ考えてやってまいるつもりでございます。
○堂森委員 その点は了承しますが、そこで具体的に表について事実関係を少しお尋ねしてみたいと思う。
 「第三十八表 日本国の譲許表」のうち、ページ数で言えば第三十九ページに登載されておる「録音機又は音声再生機を自蔵するもの」がラジオ受信機ということで品目分類されているが、なぜこれがラジオ受信機として分類されているのか理由があろうと思うのでありますが、この説明をしてもらいたい、こう思います。
○小田説明員 お答え申し上げます。
 ラジオ受信機だけでございますと、これは三十九ページにあります八五・一五というところに分類されるわけでございます。それからテープレコーダーだけの場合でございますと、これはここにありませんが九二・一一というところに分類されるということになっておるわけでございます。ところが御質問のように、テープレコーダーつきのラジオ受信機はどこに分類されるか。これは、いまのこの分類表ではラジオ受信機の方に分類されておるわけでございます。その理由といたしますのは、二つの物品が組み合わさって一つのものが構成されておるような場合の分類の仕方の問題でございますが、その場合には一般に当該結合された物品に重要な特性を与えているものはどちらであるかということによって分けるということになっているわけでございます。このテープレコーダーつきラジオ受信機の場合は、これはラジオ受信機の方が重要な特性を与えている物品であるという考えでございまして、これは非常に技術的な話になりますけれども、ラジオ受信機の機能にテープレコーダーとしても使えるところのいろいろな録音用ヘッドであるとか、そういうものを付加することによりまして、そういう物品をつくっているわけでございまして、むしろラジオ受信機の方が重要な特性を与えるものである、こういう考え方が妥当であろうかと思うのでございます。そういう観点から、現にBTNの方におきましても、これはラジオ受信機に入れるということになっておるわけでございまして、わが国の関税率表もそれを受けましてラジオ受信機に分類している、こういうことでございます。
○堂森委員 こういう分け方は国際的な常識というわけですか。
○小田説明員 これはBTNというブラッセル関税率品目表によりましてそういう分け方が決められておりまして、そういう意味では国際的なものでございます。
○堂森委員 そこで、政務次官出ておられますから政務次官にお答えを願いたいと思うのでありますが、一九七三年の九月に世界貿易の拡大を目指し、多国間貿易交渉の実施を決めた、いわゆる東京宣言がガット閣僚会議で採択されましてからもうすでに一年半を経過しておるのであります。この東京宣言の第十一項で、貿易交渉を七五年中に完結することとなっておったのでありますが、その実質交渉は本年の二月にスタートしたばかりで、この七五年中に完結するというようなことは恐らく不可能ではないだろうか、こう私は考えるのでありますが、政府としてはこれに対してどのような見通しを持っておられるのか、どういう展望を持っておられるのか、この点を政務次官にお尋ねしておきたいと思います。
○羽田野政府委員 堂森先生御指摘のように、東京宣言はその第十一項におきまして、新国際ラウンド交渉を一九七五年中に完結することを意図するという旨をうたってございます。ところが現実には、アメリカの行政府に交渉のための権限を与えますアメリカの通商法の成立が大幅におくれておりまして、最終成立は本年の一月三日というふうになりました。こういう事情から、新国際ラウンドが本年末までに完了するということはもはやむずかしい状態になってまいっております。しかしながら、東京宣言を採択しまして以来、交渉参加国は交渉の各分野で準備作業を進めております。そしてこの準備作業は、今後の本格交渉で非常に役に立つような状況でございます。そこで、御指摘のとおり、二月十一日から開催された貿易交渉委員会によりまして交渉は実質的段階に入りまして、この委員会では各国とも、国際経済情勢が非常に悪化している、こういう現状においてこそ新国際ラウンド交渉を積極的に進めるべきである、こういう意見に一致をした次第でございます。
 新国際ラウンド完了の時期につきましては、この段階ではっきり申し上げることはできませんが、交渉の最終目的に関する関係国の見解は全く一致しております。目的が後退しておるというようなことは全くございません。そこで、わが国といたしましては関係国とも協議をいたしまして、東京宣言にうたわれておりますような関税、非関税障壁等の各分野におきまして、世界貿易の一層の拡大が行われるように努力をいたす所存でございます。
○堂森委員 そうしますと東京宣言の第十一項でうたわれておるように、七五年中に新国際ラウンドのいろんな取り決めというものは完了するであろう、こういう確信を持っておられるのでございますが、もう一遍承っておきたいと思います。
○野村政府委員 ただいま政務次官からお答えになられましたとおり、この東京宣言にうたわれました、七五年の終わりまでに交渉を完了するということは非常にむずかしいというふうな状況になってまいったわけでございます。すでに政務次官から御指摘がございましたとおり、アメリカの通商法案がおくれましたわけでございますが、しかもアメリカの通商法案によりますと、大統領は五年間にわたりまして権限を持っているわけでございます。そういった意味から、現在の見通しといたしましては、七五年中に終わることはむずかしいわけでございまして、それがいつ終わるかということは、まだ必ずしもいつまでに終わるというふうな意思決定がございません。ただ、なるべく早く交渉を、すでに始まっておりますけれども、交渉を終わりたい。ただし、御承知のとおりわが国のように貿易立国でございます場合には、関税引き下げその他のいろいろな関税交渉が多岐にわたる、大きな範囲にわたりまして交渉が行われる方が望ましいわけでございまして、そういった意味から、余り早急にせいて事をおさめる、そうなりますれば、非常に小さな交渉のパッケージということで終わってまいりますので、その辺は今後の交渉を見ながら、いつ終わるかということにつきましては、交渉の進展を見ながら考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○堂森委員 そうしますと、今年中に新国際ラウンドの協定といいますか、そういうものはどうなるのか、今後の様子、経過を見ないと、いつになるかはっきりとは断定できない、こういうことでございますね。
○野村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、アメリカの大統領が通商法案によりまして、五年間、権限を得ておるわけでございますので、それまでには必ず完了しなければならないということは、一つの制約となっておるわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げましたとおり、その間、たとえばアメリカの大統領選挙とかいろいろなアメリカの国内的な事情もございましょうし、そういったものも踏まえて、どういうふうな時期に終わるかということにつきましては、必ずしもいまの段階では明言できませんけれども、そういったいろいろな事情、並びにいま進めておりますところの関税交渉のいろいろな交渉の進みぐあいというものを見ながら考えていく。しかし、各国とも、ただだらだらと交渉を進めるというのではなくて、なるべくその交渉の中身を詰めまして、交渉をなるべく早く終わろうという決意には各国とも変わりないというふうに承知してございます。
○堂森委員 それでは、言葉を変えてお尋ねしますが、ガット閣僚会議が東京で開会されて以来、一年半をたっておる。その間に、私が申し上げるまでもなく、世界の経済情勢というものは非常な激変をしておるわけですね。すなわち世界的なインフレ、不況、国際収支の点で各国がいろいろ大きな悩みを持っておる。そうして景気はますます後退して好転しないというような色彩がいずれの国にも強い。したがって、そこで保護貿易の機運が台頭してきておるという、必然的にそうなるという傾向が出てきておる。そこで政府は、この多角的な貿易交渉を通じて、各国の保護貿易主義的な強い傾向に対し、果たしてわれわれが満足できるような歯どめになるような取り決め、そういうものを今後決め得るかどうかということ、私は大変な問題だと思うのでございますが、これについて歯どめというものができるだろうか、多角的な貿易交渉というものでは、各国の貿易を守ろうとするこの保護貿易主義的な傾向をとめ得るかどうか、その機能を果たせるだろうかどうかという大きな疑問を私は持つのでありますが、その点いかがでございますか。
○羽田野政府委員 一昨年末からの石油危機等によりまして、世界的にいわゆるスタグフレーション的な状況があらわれておることは事実でございます。こういう状況下におきまして、各国が安易に保護貿易主義的政策に傾斜するおそれがあるということも御指摘のとおりであります。しかしながら、世界的に保護主義が蔓延した場合の結果は、戦前にもそういう例がございましたが、貿易に多くを依存しておりますわが国に対する影響は、特に大きなものがあると考えられます。アメリカの通商法が成立した直後の本年二月の貿易交渉委員会におきまして、わが国だけでなくして各国が、かような困難な時期だからこそラウンドを推進していくべきであるという意見が一致いたしましたし、これがまた保護主義を防止することに最善の手段だということが軌を一にして強調されました。これは非常に重視さるべき点だと思っております。したがいまして、こういう意味からも、新ラウンドの必要性はますます増加しているというふうに認識をいたしております。
 そこで、政府としましては、従来にも増して新ラウンドを推進していく、こういう立場を維持することによりましてラウンドの成功に努める、これが先生のおっしゃられる保護主義に歯どめをかける最良の方法だというふうに認識し、強力に推し進めております。
○堂森委員 政務次官、せっかくの御答弁でありますが、そういうことは観念的にはわかるのでありますが、現実的にはそうでしょうか。通産省、来ておりますね。現実はさっき政務次官が答弁されたような――それは観念的にはそうであろうと思うのですけれども、現実にはそうでしょうか。この多角的な貿易交渉というものを通じては、各国の保護貿易主義というものの壁は果たして破れるかどうだろうか、通産省としてどうお考えになっておられますか。具体的にはまた後ほどいろいろ聞きます。
○真野説明員 ただいまの堂森先生の御指摘のように、確かに現在の国際経済の情勢というのはラウンド当初、いわゆる東京宣言当時に比べまして悪化しておるのは事実でございます。また、若干そういうような動きも見られないわけではございませんが、同時に、このラウンドを推進することによって、そういう保護貿易主義の歯どめをかけるということに非常に効果を見出そうというのも各国、先進国、後進国を問わず一致した考え方でございますので、やはりこういう国際経済の情勢のもとにおいて、できるだけ現在の自由貿易体制を維持するということにあらゆる努力を傾けてまいりたい。もちろん、交渉の過程には紆余曲折ございましょうけれども、それを乗り越えてやはり長期の国際経済の体制を固める意味において、ぜひこれを推進したいというのが私ども日本に限らず関係国の考え方でございますし、またガット以外でも、OECDその他の場において同じようないろいろな努力が続けられておりますので、そういうような国際的な状況にかかわらず、成果を上げることを私どもとしては期待できるというふうに考えております。
○堂森委員 そういう答弁でありますけれども、私は、現実はそうではない方向へ向かっておるという面の方が強いのじゃないか、こういうふうに考えます。
 そこで、具体的に昨年五月でありますか、イタリアにおける輸入担保金制度の強化が行われた。そして西欧諸国の輸入制限措置が実施されてきておる。それから、近くはオーストラリアの自動車を対象とする輸入数量制限措置が新聞報道で伝えられておるなど、ガット十九条違反と考えられるケースが次々と国際的に目立ってきておることは否定できないのでありますが、その実情はどんなふうでありますか。
 それからまた、わが国としては、ガット十九条に基づく協議をすべく、ECの諸国あるいはオーストラリアなどとこれら問題に関し話し合いを進めておるのかどうか。その対策、現在何をやっているかということについてもあわせて――これはもちろん通産省からもあるいは外務省からも御答弁を願っておきたい、こう思います。
○羽田野政府委員 現在の困難な世界経済情勢のもとで、各国ともインフレ、失業等多くの問題を抱えております。イタリアの輸入担保金導入もこういう困難な事情が反映したものでありまして、これにつきましては、その後、ガット等国際的な場で検討された結果、現在ではこの措置は可能な方向に向かっております。また、ことしの一月末にオーストラリアが乗用車それから小型商用車、こういうものに対するガット十九条に基づく輸入数量制限、こういうものをいたしましたが、このオーストラリアにおける需要減退、失業問題、こういういろいろな特定部門上の困難さがこういうことに反映してきたものと思います。
 この措置につきましては、すでに二月三日のガット理事会におきましてガット十九条二項に基づく協議をわが方から申し入れております。オーストラリア側もこれを受諾しており、わが方としてはこの協議を早急に行って、この協議を通じて、オーストラリア側の被害の実態と十九条発動に至った状況とを十分に説明を求むるつもりでございます。現実にどういう制限をしたかという点につきましては、政府委員の方からまた説明をしてもらいます。
○野村政府委員 ただいまの政務次官のお答えをさらに補足さしていただきたいと思います。
 豪州の自動車の輸入制限でございますけれども、豪州は乗用車に対しますところの輸入割り当てというものを実施いたしまして、本年の二月から四月にかけましては月五千五百台、五月以降明年の一月までは七千五百台というふうな一つの数量を設けておるわけでございます。その後の措置につきましてはまだ何も決まっておらないようでございますけれども、いずれにいたしましても、この措置につきまして、わが国の乗用車の輸出というものが相当な打撃を受けるわけでございまして、そういった意味から、ただいま政務次官の申されましたとおり、こちらはガットの十九条に基づきますところの協議をとにかく申し入れておるというふうな状況でございまして、いずれ近くそういった話し合いに入るかと思います。
 なおかつ、若干先ほどのイタリアの輸入担保金の制度がございまして、先ほど政務次官がおっしゃいましたとおり、この問題につきましても、ガットそれからOECD、その他の国際的な場でも検討されておるわけでございまして、もう少し事実環境を詳しく申し上げますと、一九七四年四月にイタリアがこの措置をとったわけでございますが、その後ガットにおきまして、五月三日に緊急理事会を開きまして、この制度を審議するための作業部会ができたわけでございます。その後そういった作業部会が数回開かれまして、その中におきまして、わが国といたしましては、こういった輸入担保金制度がガットの精神に非常に反する、かつまた、なるべく早く軽減ないし撤廃されること、運用に当たっては差別的にならないようにというふうな趣旨のことをかねがね従来から申し入れておったわけでございまして、先ほど政務次官からもお話しのございましたとおり、この輸入担保金の制度も少しは緩和の方向に向いてきておるというのが実態でございます。
○堂森委員 いまの答弁では、イタリアにおける輸入担保金制度の強化に対しては、これはわが国も抗議を申し入れ、それからOECD等でも具体的に協議が行われて、これが緩和といいますか、そういう方向に行っておる、こういうことですね。
 それからオーストラリアの自動車輸入制限割り当て制というものについては、これから話し合いが行われる、こういうことでございますか、もう一遍。
○野村政府委員 そのようでございまして、これから豪州との間に細かい協議に入るわけでございまして、特に、まずこの豪州側がとりました措置の背景、そういったものにつきましていろいろわが方から事情を聞きまして、この制度が一体どういうふうに制度化されるかどうかというふうな問題につきましても、今後話し合っていきたいというように考えておるわけでございます。
○堂森委員 じゃまだ話し合いは行われていないのですね。これから行おうというのですか。ちょっと遅いのじゃないですか。
○野村政府委員 これからでございます。ただ、先ほど先生遅いとおっしゃいましたのでございますけれども、こういったガットの手続というのは、一様のそういった国際的な手続がございまして、いろいろ先方の準備あるいはまたその事務局の準備等もございまして、若干の時日がかかるというのが従来の慣例でございます。
○堂森委員 さらに今後のわが国の外交的な措置によって好転といいますか、そういうことをぜひやってもらわなければならぬわけですが、さらに欧州共同体九カ国とアフリカ、カリブ海、太平洋諸国四十六カ国との新連合協定がさきに調印をされておるのであります。これはロメ協定といっておるのでありますが、これが発効してまいりますと、全く新しいタイプの地域連合が創設されるということになってくるのであります。そうしますと、ECブロックが世界的な規模にまで拡大されて、ガットなどの場におけるECの発言力は一段と強化されることになると思いますが、ロメ協定のわが国に与える影響並びに新国際ラウンドにおける貿易交渉面でのECの圧力など、関係面に及ぼす影響は大きいと思うが、政府はこの事実に対してどのような受けとめ方をしておられるのでありますか、対策、見通し等について伺っておきたい、こう思います。
○野村政府委員 ECとアフリカ、カリブ海及び太平洋地域の、従来主としてフランスとかベルギーとか英国の植民地でございましたいわゆる開発途上国、あわせまして四十六カ国との間で特別な関係の設定に関するロメ協定が、先般二月二十八日にトーゴの首都ロメで署名されたことは、先生の御指摘のとおりでございます。この協定の中身は、従来のEC諸国とフランス語圏アフリカの十八カ国の間にございましたところのヤウンデ協定というのがあったわけでございますけれども、それと似たような協定でございまして、ECの方からこういった四十六カ国に対しまして、貿易上の特恵とか、あるいはまた経済援助を与えるというふうなことがうたわれておるわけでございます。
 ただ、今回前と違います点は、ECに対しますところの逆特恵というものが廃止されたという点が大きな違いであるわけでございます。いずれにいたしましても、そういった協定ができますことによりまして、ECというものは、すでに従来から域外十数カ国との間にいろいろな協定関係も結んでおりましたので、従来よりもガットにおきますところの発言権というものも確かに大きくなっておることは、先生の御指摘のとおりでございます。そういった事情をわれわれといたしましては十分留意いたしまして、先ほど来お話の出ておりますところのこれからの国際ラウンドというものにおきましては、今後ともそういったECとの間の意思流通というものを図りまして、それをさらに強化していこう、と同時に、また米国等、いわゆる日本と同じように域外に立つ国との間の協調もしくは協力関係というものを推し進めることによりまして、わが国の国益をも踏まえていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○堂森委員 いまの御答弁ですが、わが国への影響というものはどういうふうに判断をしておられるのか。広く新国際ラウンドのそういう、外務省がこうあるべきだと考えておられる方向に大きな悪い影響を及ぼしてこないか、強い影響を及ぼしてこないか、こういうことをお尋ねしておるのであります。もう一ぺん……。
○野村政府委員 ECとは、先ほど申し上げましたロメ協定によりまして、主として開発途上の国との間での特別な協定関係を持ったわけであります。いわゆる開発途上国がそれぞれのこういった協定を通じまして、今後ある程度の経済の安定あるいはまたその発展というものができますれば、それは世界経済全体にとっても望ましいことでもございますし、特にわが国といたしましても、後進国援助というものをやっておるわけでございますけれども、いわゆる開発途上国の民生の安定あるいは福祉の向上ということが図られるということは非常に望ましいわけでございまして、そういった意味におきましては、われわれとしてもそういった角度から一応そういうふうな認識を持っておるわけでございます。
 特定の貿易に関しますところの影響につきましては、必ずしもまだ十分に詰めておりませんけれども、主としてそういった開発途上国からのECに対します輸出というものは、熱帯産品でございますとか、そういったものでございますので、日本の貿易関係というものと直接に競合するというような面は、全然ないとは申しませんけれども、いろいろな点で必ずしもそんなに大きな影響ではないというふうに考えております。
 かつまた、先ほど来お話もございましたとおり、ECとアフリカ、カリブ海、太平洋諸国との間にいろいろな関係ができるわけでございますけれども、新しい国際ラウンドというものを進めることによりまして、今後世界的な関税障壁というものをだんだんと引き下げていくということになりますれば、一般的な関税水準とECとACPの国の持っております特恵関係というものが将来薄められるというわけでございまして、そういった意味におきましても、わが国といたしましては、今後の国際ラウンドというものにおきまして、関税交渉において前向きな態度をとっていくということが、結局わが国の国益にも合致するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○堂森委員 わが国の外務省、政府としては、ロメ協定は、これら地域の発展途上国の発展に大きな貢献をするであろう、これがひいては国際ラウンドの今後のそうした関係の発展のためにもプラスになっていくだろう、こういう判断である、こういうことでございますね。
○野村政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、基本的にはそういった認識に立っておるわけでございまして、そういった特殊な自由貿易地域というものができるわけでございます。ただ原則論はいま申し上げたとおりでございまして、その個々の具体的な施策におきましては、そういった自由貿易地域が今後ともいわゆる内向きな政策をとらない、外向きに対しましても相当な自由な政策をとるというふうにわれわれとしては事を期待し、かつ望んでおるわけでございまして、いま申し上げました今後の関税交渉もそういった角度から臨んでまいりたいというふうなことでございます。
○堂森委員 それではほかの点に進みましょう。
 東京宣言の第六項には、先進諸国は発展途上国に対し、貿易に関する特別優遇措置を認める、こう書いておるのでありますが、元来ガットというものは無差別が一つの大きな柱である。こう私は考えておるのでありますが、東京宣言で無差別であるべき原則というものの一角が崩れるということを示しておるのではないかと思うが、この点についてはどうでございますか、御答弁を願いたいと思います。
○羽田野政府委員 開発途上国が、新国際ラウンドに当たりまして、その成果が実質的に開発途上国の貿易に十分及ぶこととなるようにということを強く要求をいたしております。そのためには、先進国と開発途上国の経済力の差を考えますときに、開発途上国に対して特別の優遇措置がとられるべきであるということを強く主張いたしております。こういう背景から、先生がいま御指摘なさいましたように、ガット閣僚会議で採択された東京宣言におきましては、その目的の一つとして、開発途上国の国際貿易上の追加的利益の確保というものが掲げられております。また、随所に開発途上国に対する配慮がうたわれております。しかしながら、これは必ずしも無差別原則からの逸脱ということを意味するものとは考えておりません。わが国といたしましては、これら開発途上国の発展の必要性は否定しがたいものでありまして、ラウンドを通じまして、これら諸国の貿易が拡大して、一層経済発展が図られるということを望んでおります。そしてそのことは、究極的にはわが国にとっても望ましいものだということを考えております。したがいまして、わが方といたしましては、ガットの無差別原則を確保すべきことは確実に確保していく、しかしながら、開発途上国の要求に対しても、その要求を受け入れるところは受け入れていくという方向でございまして、これをするがゆえに、一概にガット体制の一角が崩れるというふうには考えておりません。
○堂森委員 私も発展途上国に対して優遇されるということが反対、こういう意味ではないのでありますが、ガットの精神というもの、大きく広くこれを解釈すれば、そういうことになることも当然であるというふうには解釈しておるのですが、従来からの形式から行くと、やはり東京宣言というものはガットの従来の立場が変わってきた、これはいい意味でそう変わってきた、私はこういうふうに解釈をしたいのです。
 そこで、現在の国際経済を大きく撹乱しておるといいますか、重圧を加えておる問題は、石油の問題があると思うのです。特に、またとみに大きな世界的な世論を呼んでおる食糧の問題がございます。これは何とかして世界経済のスムーズな発展といいますか、そういうもののためには早く鎮静化されなければならぬ大きな問題であると思うのですが、しかし、ガットというものがこれに対して十分な機能を発揮していない、ある意味においては無力化しておる、世界貿易の正常なといいますか、国際ラウンドにおけるスムーズな貿易というものの発展を図っていくような力がもうガットにはなくなってきたのではないか。これは国際的な経済の基本的な条件が大きく変わってきた、こういうことでありますが、これについてどういうお考えでございましょうか、承っておきたいと思います。
○羽田野政府委員 石油問題等に端を発しました現在の国際経済上の諸困難、これは早く鎮静化の方向に向かうことがわが国にとってもきわめて望ましいことでございます。これは先生が御指摘のとおりでございます。
 特に食糧問題につきましては、きわめて重要な問題でございまして、新国際ラウンドを通じで輸出制限問題に関する国際的ルールの確立を目指す等、海外からの食糧供給の安定化を図るための努力をしていく所存でございます。
 石油問題につきましては、産油国の多くがガットに加盟していないというような事情もございまして、今度のラウンドでは直接、交渉の対象とはならないものと考えられますが、そのほかの資源につきましては、今次ラウンドを通じて、貿易の自由な流れを確保するという方向で対処していきたいということを考えております。
 貿易の自由な流れを確保して、世界経済の拡大を図るというガットの目的は、現在の国際経済上多くの新たな問題が台頭しているとはいうものの、きわめて重要なものと考えております。特にわが国におきましては、これまでガット体制のもとで多大の利益を享受してきたということは事実でございます。今後ともわが国にとりましては、ガット体制は望ましいものであるという従来の認識は変わっておりません。したがって、わが国といたしましては、この認識に立って、新国際ラウンド等を通じまして、ガット体制の維持強化に貢献していくことが必要であり、そしてこれがわが国の国益に合致するものであるというふうに考えております。
○堂森委員 もう時間が来ておりますから終わりますが、確かにいま政務次官が御答弁になったように、六〇年代はガット体制のもとに、発展途上国も先進国も輸入制限措置を軽減、撤廃するという旗印のもとに自由貿易の推進を図ってきた。そのために、多くの先進国は、それに対応して経済規模を拡大し、対外依存をお互いに強めてきた、こういうことは言えると思うのでありますが、ところが今日のように国際的な経済混乱というものが大きく起きてきた。そしてあなたのさっきの答弁と逆みたいになりますが、自由貿易主義、ガット、国際ラウンドによる、その秩序による貿易の自由主義というものが、国際的な経済混乱をも防いで、そしてスムーズな自由主義貿易の体制を維持していくようなことが、かえってそれぞれの国の経済混乱を防ぐことができなくなってきたのではないだろうか。そうすると、今度は逆に、それぞれの国が自分で自主的に貿易制限等を行う方がそれぞれの国の経済が鎮静化といいますか、混乱が鎮静化して、そしてかえってその方が国際経済の動揺を防ぐようになるのではないだろうか、こういう疑問を持つのでありますが、あなたの御答弁は、いやそうではない、やはりガットの体制を今後も進めていくことがいいのだ、こういうことでございますか、そういう答弁になると思うのでありますが、しかし、私は、今日のガット体制というものに多くの疑問を持たざるを得ないのが現実だと思うのでありまして、今後のわが国のこうした方面への真剣な努力というものを期待しまして、私の質問を終わりたい、こう思います。
○栗原委員長 土井たか子君。
○土井委員 きょうは、私は、小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に関する議定書について主にお尋ねをするわけでありますが、日本国憲法の七十三条に言う「条約」の中に議定書は入りますかどうですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 日本国憲法に申しております条約というものは、私どもは国会の承認を受けなければならない内容を含んだものを実態的にとらえまして、条約と解釈しておるわけでございまして、その意味におきまして、議定書という肩書きを持ったから、憲法上に言う国会の承認を求めるべき条約であるというふうには考えておりません。やはりその議定書に規定してございます内容によりまして、国会に御提出する条約であるかないかという判断をしている次第でございます。
 したがいまして、多くの場合に、実行といたしましては、私どもは議定書という言葉を用いますときは、大体において国会に御提出して、条約として承認を求めるものについて議定書という言葉を使い、そのほかのものにはなるべく言葉を使わないようにしてございますけれども、しかし、国際間の会議で、やはり議定書というのが適当であろうということで、プロトコルという言葉を使ったものにつきまして、日本国の国内法上考えまして、憲法に言う条約に該当しないというものもあるかと思います。
○土井委員 おっしゃるとおり、これは法の体裁からいいますと、形式的な面と実質的な面と両面から考えなければならないということだろうと思うのですが、一応憲法で言うところの条約からすれば、形式的には典型的ないわゆる条約、それから協定、宣言、取り決め、議定書、決定書、覚書、交換通牒等々、全部を一応ひっくるめまして、形式的には条約と呼んでよろしいというのが、いわゆる通則であります。有力説というのはそういうことになっている。したがいまして、そういう点から考えていくと、憲法上も、形式的には一応条約というふうに考えていいけれども、しかし内容から考えると、国会の承認を得ることが必要でないことのために、憲法上言う条約から排除して考えてよかろうという場合もあるというふうな御答弁の趣旨なんですね、いまお伺いした限りでは。
 そうしますと、これは一体だれが憲法上言う条約に当たるか当たらないかということを最終的には決めるんですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 内容が憲法上に言う条約に該当するかしないかということは、内閣におきまして判断をいたしまして、決めているところでございます。
○土井委員 内閣における判断というのは、それは国際会議においていろいろ御発言の途次それをお考えになるのか、それとも国内に持ち帰って、国内的な関係からそういうことを判断なさるのか、いずれでありますか。
○伊達政府委員 国際会議におきましては、交渉でございますので、実質的な内容が決まるわけでありまして、国内に持ち帰りましてから、果たしてこれが憲法上のいわゆる条約であるか、それともそうでないかという判断を下すわけでございます。
○土井委員 ただその際に、やはり日本国憲法は、御承知のとおり九十八条で、確立された国際法規、そして日本が締結した条約については、これを遵守するという義務があります。いわゆる国際法のパクタ・スント・セルバンダということになると思うのですが、それからしますと、やはりその法上、国内における憲法上の手続に基づいて承認が必要であるというふうに規定している場合は、もう当然のことながら、国会での承認を日本の場合にも持たなければならないということになるわけでしょう。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 表現的に見ますると、憲法上の手続に従って承認されなければならないというような表現が、条約ないしは国際約束中に含まれております場合には、多くの場合、いわゆる日本国憲法上の条約であるというふうに解される場合が多いのでございますが、必ずしもその場合には、憲法上の条約として当然国会の承認を求めるものばかりとは限らないわけでありまして、日本国の憲法上の手続と申しますのは、私どもは国内法及び予算において行政府に憲法上与えられている権限の範囲内において、処理し得べき事項と考えられますことについては、これはすでにその条約上申しますところの憲法上の手続というものは行われているという解釈でございまして、そのような場合には、行政取り決めということで処理をいたしている場合もございます。
○土井委員 これは非常に重大なことだと思うのですよ。国際法上、これは、はっきり確立されたパクタ・スント・セルバンダという原則に従って、しかもそれが日本の国内においては、日本国憲法九十八条で確立された、国際法規というのは遵守しなければならないという国家義務があるわけですね。しかも、その締結しようとする条約の条文の中に、国内法上必要な手続を経て締結せよということが明示してある場合においても、いまの御返答からすれば、場合によったら国会での承認を得ずしてやる場合もある向きの御趣旨の御答弁であります。
 そうなってくると、非常に大事なのは、極端な場合は国会承認を得ない条約だってある。ちゃんと条約という名称が付されているけれども、しかしその条約が中身からすると、内閣の認識に基づいて、国会での承認を得る必要なしという場合だってあり得る。一体どういう場合に国会承認が必要であり、どういう場合に国会承認が必要でないのか、その決め手になるところというのが非常に重要になってくるわけであります。内閣に任せよと言われたら、何のために国会があるのかという意味すらなくなる。事前に、あるいは時宜によっては事後に、国会の承認を必要とするというのは、憲法上の鉄則ですからね。何のために国会の承認ということを憲法上決められたかという意味がなくなるわけでありますから、したがって何でもかんでも内閣に任せてくれ、締結権者は内閣だ、だから内閣が国会の承認を得ようとしたら、これは得てもよいけれども、国会の承認が必要がないと言えばその限りで、はいそれまでで終わっちゃうというかっこうになるわけですね。一体その国会承認を必要とする、必要としないという決め手、基準というものは、どこに置かれているか、そういうことはどこら辺に置いてありますか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘になりました問題は、大変、従来の日本国憲法成立以来の国会におきまして、いろいろと問題になった点でございますことは、先生に申し上げるまでもなく、御承知のことだと思います。
 実は昨年の七十二国会におきましても、この点が当外務委員会におきまして、非常に問題となりまして、先生も御承知かと思いますが、時の大平大臣から、外務委員会に対して何が政府として国会承認条約であり、何を行政取り決めとして判断しておるかという基準を、たしか昨年の二月でございますが、御発言なさったことがございます。ただいまちょっと時間を拝借して、その概要を申し上げますと、実はわが国の政府といたしまして、国会の承認を経るべき条約というものには三つある。
 第一のカテゴリーといたしましては、いわゆる法律事項を含む国際約束である。憲法第四十一条は、国会は国の唯一の立法機関である旨定めておるので、日本のその憲法の規定に基づく国会の立法権にかかわるような約束を内容として含む国際約束の締結には、当然国会の承認が必要であるという、第一カテゴリーの条約としての判断をその当時お示しになっております。
 また次に、第二カテゴリーといたしまして、いわゆる財政事項を含む国際約束も国会承認条約に該当する。憲法第八十五条によりまして、「國費を支出し、又は国が債務を負推するには、國會の議決に基くことを必要とする。」と定めてございます。したがって、すでに予算または法律で認められております以上に財政支出義務を負うような国際約束の締結は、国会の承認が得られなくてはならない。
 第三のカテゴリーといたしまして、ただいま申し上げたような法律事項または財政事項を含まなくとも、わが国と相手国との間、あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味におきまして、政治的に非常に重要な国際約束であって、それゆえに発効に批准という非常に重い手続をとっておるような条約、これは国会承認の条約として取り扱われるべきであるという、政府のこの三つの基準と申しますか、そういうものをその当時御説明申し上げた次第でございます。現在におきましても、その考えは変わっておりません。
○土井委員 いまの御説明を承っておりますと、国内法である憲法の立場から言えば、七十三条の三号を見れば「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」とだけしか書いてございませんので、事前あるいは事後の交通整理――必ず事前に国会の承認を必要とする場合、しかしこういう場合に限っては事後承認であってもいたし方ないという場合、その場合の交通整理としての意味はあると思うのです、いまの御答弁ですと。いまも考えは変わっておりませんとおっしゃいますが、しかし、条約の中身はこういうものだということを明示している他の憲法上の規定はないのですよ。何にもない。したがいまして、国会で承認を経なくてもよろしいというふうに外務省として認識される場合の事例について、いま、逆に言うと御答弁から推測が出てくるわけでありますけれども、そういうのは外務省見解そのままにとどまっているわけでありまして、憲法上の根拠は何らないのです。そんなこと御説明なさる根拠というのは憲法上どこにあるかと私は聞きたいのです。何にもない。原則的には憲法は、あらゆる条約について、事前あるいは時宜によっては事後に、国会の承認が必要であると書いてあるのにとどまるのですよ。だから、どういう場合においても国会の承認が必要だ、ただ、承認の仕方には事前と事後がある。原則的には事前なんだ、けれども場合によったら、これは時宜によっては事後という場合もいたし方がないというものの書き方です、それ以外何もない。
 だから、いまの御答弁からもう一つ進めていってみれば、こういうことになるんじゃないですか。憲法上言うところの条約というのは、こういうふうに認識いたしております、これから言うところのそれぞれの項目に該当しないのは条約ではございませんというふうな解釈にもなるわけです。そういうふうに理解していいですか。
○伊達政府委員 先生の御理解は、私の説明をよく御理解してくださったものでございまして、そのように私どもは考えております。このような考え方は、先生もただいま御指摘のように、憲法では何が国会承認を要する条約であるかというそのものの内容というものは何ら規定してございません。したがいまして、どのようなものが憲法の要求する国会承認条約であり、どのようなものが行政取り決めとして処理し得べきものであるかということは、長年の慣習と申しますか、そういうものによって先ほど申し上げましたような判断と基準というものが確立してまいったわけでございます。したがいまして、それに基づきまして過去三十年以上にわたりまして政府はそのように処置をしてきておるということでございます。
○土井委員 ならば、ここで一つお尋ねしたいのですが、そういう慣例に従って考えてきたとか、国際慣習上そういうふうな取り決めというものに基づいて処理をしてきたということが基本にあると思うのですが、そうすると、そういう国際慣習とか慣例、そういうものの方を憲法よりも上位に置いて考えられているわけでありますか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 私がいま慣例と申しましたのは、国際慣例ということを申し上げたわけでございませんで、日本の憲法慣行であるという趣旨で申し上げたわけでございます。
○土井委員 ちょっと私耳なれないことをいまお聞きしました。ケンポウ カンポウというのはどんなものですか。
○伊達政府委員 発音が明瞭でなかったので失礼いたしました。憲法慣行ということを申し上げたわけでございます。
○土井委員 憲法慣行というのはどんなものですか、私にはよくわかりません。どういうものを指しておっしゃっていますか。
○伊達政府委員 ただいま、とっさにどういうものと言って具体的な例を申し上げることはできないのでございますけれども、やはり法の解釈といたしまして、ただいまの場合のように憲法に言う条約とは何であるかということについて、具体的な規定がございません以上、いろいろとその内容について判断をしなければ、先ほども先生がおっしゃいましたように、あらゆる覚書のたぐいまでが憲法上の条約になってしまう。それでは実際の行政の機能というものは、この複雑化した社会において非常に阻害されて困るというところから、その実際上の要請と、憲法上の要請というものから、合理的な判断として先ほど申し上げたような解釈ができ上がってきているわけでございまして、それを、果たして言葉が適当であったかどうかわかりませんが、私が憲法慣行と申し上げたわけでございますが、従来の慣行であると申し上げてもよろしいかと思います。解釈につきましての定説と申しますか通説と申しますか、そのようなものと御理解願えればありがたいと思います。
○土井委員 憲法の七十三条に対する解釈上のいわゆる通説、有力説というのは、いまおっしゃったようなものじゃないのです。したがいまして、条約についてこういうふうに取り扱いをしたいとおっしゃった先ほどからの長ったらしいあの御説明は、外務省の憲法に言う条約に対する認識そのままじゃないですか。これを憲法慣行なんて、もってのほかだと私は思います。思い上がりもはなはだしいですよ。憲法慣行なんて、そんなものはありはしません。憲法七十三条に言う条約に対する外務省の見解でございます、外務省の認識がこのようなものでございますとおっしゃるのなら私はわかります。それを称して憲法慣行なんておっしゃるのは私はおこがましい限りだと思う。憲法慣行というものはございませんよ。私はいま初めて聞きました、そんな言葉は。有力解釈とかまた憲法に対しての有権解釈とかいうふうなことで問題になさるのだったらまた意味がある。だから、憲法七十三条三号に言う条約について、外務省の有権解釈はこうでございますとおっしゃるのなら、私はそれは正確だと思います。いかがです。
○伊達政府委員 表現が不正確であったことはおわびいたしますが、私が申し上げたのも、これは先ほど御説明申し上げました憲法上の条約、何が条約であり何が条約でないかという判断の基準といいますのは有権解釈でございます。ただ、外務省の有権解釈と申しますよりは、政府の有権解釈として従来ともそのように御説明申し上げているところでございます。
○土井委員 もう一つつづめて言うと、便宜的にとられる行政上の慣行だとおっしゃっていただきたいのです。要はそうだと思うのですよ。便宜的にとられるところの行政上の慣行なんです。果たして憲法に言うところの条約の中身は、そういうことを憲法自身が期待しているかどうか、これは私は別問題だと思いますよ。私には異論があります。けれども、それは別の機会にまた改めて徹底的にやりましょう。
 きょうは小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に関する議定書についてでありますから、この議定書自身は憲法に言うところの条約というふうに認識をなすっているわけでありますね。
○伊達政府委員 本件議定書は、憲法に規定してありますところの国会の承認を要する条約であると認識いたしております。
○土井委員 そこでお尋ねをしたいのは、この議定書について、事前に、あるいは時宜によっては事後に、国会の承認を必要とするというふうな認識がおありになるから、ただいま審議をしているわけでありますが、七十三条の三号から考えれば、これは事前の承認に当たるのですか、事後承認に当たるのですか、いずれでございますか。
○伊達政府委員 本件の議定書の御承認につきましては、事前の承認でございます。
○土井委員 そうしますと、昨年の六月十八日という日に暫定的適用宣言をアメリカ合衆国政府に寄託なすったという行為がすでにあるわけであります。これは行政行為の一つでありますが、これはどういうことになるのですか。
○伊達政府委員 この議定書には、食糧援助規約で申しますと第八条でございますが「暫定的適用」という条項がございまして、それによりまして、それぞれの国におきまして、日本で申しますれば国会の承認を得る時間のない国等に対しましての便宜的な措置といたしまして、いま先生が御指摘になりました暫定的適用の宣言をすることができるということが規定されているわけでございます。
 私どもは、この暫定的適用の宣言は、何らこの議定書の本来的な義務と申しますか、ちょうどこの議定書を締結いたしましたときと同じ、イコールな義務を負うものではないという解釈でございまして、これはこの条約に関しての暫定的適用の解釈のみに限らず、最近特に国際関係が複雑になり、非常にスピード化されてまいりますと、いろいろな条約の中で、それぞれの国がそれぞれの国へ持ち帰りまして、憲法上の手続を踏む時間的余裕がないという場合があり得るわけでございまして、その場合には暫定的適用というものを宣言させることによりまして、その条約自体の発効を早める。つまり発効要件といたしましては、批准書ないしは正式の受諾書と申しますか、簡単に申しまして、正式の批准というものをした国の数がある程度に達しますれば、条約が正式に発効をするということになるわけでございますが、条約の発効を早めますために、暫定的適用を宣言した国もその批准を正式に行った国の中に数えまして、条約の発効を早めるということをいたしておるわけでございます。したがいまして、この暫定的適用と申しますのは何ら条約本来の義務といいますものを一〇〇%受諾したものではなく、日本国について申しますれば、日本国が現在の法令及び予算において許されます範囲内において、この条約上の義務を実施すれば足りるという解釈で暫定的適用が行われているわけでございます。
○土井委員 大変くどくどと御説明賜ったわけでありますが、整理すればこういうことになるんじゃありませんか。本来、一九七一年の国際小麦協定というのは一九七四年の六月三十日に失効する。ところが、これを一年間延長させるということについて、六月三十日以前の一九七四年六月十八日までに批准をする、受諾をする、承認をする、そして締結をするというこの国際間の行為をとれば、さらにこれが延長されるということが有効になる。ただし、その批准をする、受諾をする、承認をする、締結をするという行為が正式にとれない場合については、この八条で暫定的適用という宣言をアメリカ合衆国政府に寄託すればよろしいということになっているんでしょう、順序から言うと。
○伊達政府委員 時間的な順序といたしますれば、先生のおっしゃったとおりでございます。
○土井委員 そうしますと、端的にひとつ御説明いただきたいのです。余り微に入り細にわたった御説明をいただくと、事がかえって混乱いたします。簡単に御説明いただけばこういうことになるんじゃないですか。つまり、昨年の六月十八日に日本はアメリカ合衆国政府に対して暫定的適用宣言をすでに寄託しているわけですね。そうしますと、昨年の六月三十日で本来失効すべきはずのこの協定について、さらに延長させていくということを日本自身も認めているんでしょう。つまり、昨年の六月三十日以降についてもこの協定というのは有効であるということになっているんじゃないですか。
○伊達政府委員 昨年の七月一日以降、この一九七一年の小麦協定を延長させるということについては、日本国といたしても、その暫定的適用宣言において承認いたしているわけでございます。ただ、その際に、この暫定的適用宣言というものをいたしまして、正式の受諾とか批准とかいうことをいたしておりませんのは、その延長された一九七一年の小麦協定の義務というものは、その限りにおいて、暫定的適用宣言の限りにおいて日本は適用していきますよということを明示したに等しい行為なのでございます。
○土井委員 暫定的適用でそれだけこの協定についての条件が違ってくるという根拠は、どこかに明示してございますか。
○伊達政府委員 この協定にはどこにも明示されておりません。しかし、暫定的適用と申しますのは、先ほど申し上げましたように、この条約に限らず、他の商品協定あるいはその他の条約においても多く用いられているものでございまして、国際的には、ただいま私が申し上げましたような解釈が確立しているところでございます。
○土井委員 国際的に確立していると言われる以上は、何らかそれについての取り決めなり覚書なりがあるはずでありますが、そういうものが具体的にございますか。
○伊達政府委員 そういうものが具体的にあるかということでございますが、そういうものを国際間で、暫定適用とはこういう意味であるということを決めたものは残念ながらございません。しかし、一つの傍証として挙げられますのは、条約法に関するウィーン条約というのがございまして、先生も御承知だろうと思いますが、第二十五条に、暫定的適用という項目を設けまして、それについて規定してございます。その二項によりまして、暫定適用をした国であるからといって、暫定適用をやめたいと思うときにはいつでもやめることができるんだという趣旨のことを述べてございます。と申しますのは、つまり暫定適用を宣言したからといって、この協定を締結する意図を明らかにしたものでも何でもない。いつでもやめることができるし、暫定適用をやめたよと言えば、その条約に何ら縛られることがないということを規定しているわけでございます。これは一つの、私どもの先ほど申し上げました解釈の傍証ぐらいにはなるかと存じます。
○土井委員 非常に苦しい傍証であります。これはすでに有効か無効かということを問題にしていきますと、一九七一年の国際小麦協定それ自身は、さらに延長させていくということを日本自身も認めたんでしょう、昨年の六月十八日の行為によって。したがって、それ自身はいまも有効に働いていると考えなければならない。いまも有効に事実働いていると考えなければならない。ただ、非常な弱点を持ちながら有効に働いていると考えなければならない。今回、その有効に働いてきた、一年間更新してさらにこの時期を延長させたこの議定書に対して、どうか認めていただきたいという追認の形で問題になすっているんじゃないですか。本来これは、批准が正式になされればそれにこしたことがないんです。国会承認を得た上でこれに対しての正式の手続をとるということが本来はとるべき態度であり、望ましいことなんですよ。ただ、それができなかったからというので、便宜的措置として暫定的適用宣言というものを日本はやったんです。昨年の六月十八日ですがね。その宣言後は、したがって、この一九七一年の小麦協定というのは有効に日本においても働いているという認識がおありになるんじゃないですか。そういう協定に日本も縛られているんだぞ、有効にこの協定というのはあるんですよということを事実確認をされ、それに縛られるということも事実確認をなすっているんじゃないですか。現に有効に働いているんでしょう。そういう状況について、今回、すでになさった行為、暫定的適用宣言ということをすでになさった行為について、追認のような形でこの議定書に対して国会承認をここで受けるというかっこうになっているんじゃないですか、いかがです。
○伊達政府委員 先ほど申し上げましたように、この条約の締結について追認を求めているということではございませんので、暫定適用と申しますのはあくまでも暫定的な適用でございまして、日本はこの条約が一九七四年七月一日以降も有効に働いているということは認めているわけでございますが、その日本国に対する働き方というものは、日本国政府が現在の現行法令及び予算の範囲内において、執行し得る限りにおきましてその義務を負いますよといういわば条件つきでその延長を認めているということでございまして、その限りにおきましては、国会の条約審議権というものを何ら侵しておりませんし、また締結自体でもないということでございます。
○土井委員 条件つきでとおっしゃるその条件つきなんというふうな条件は、どこにもないんです。これは明示していただきたいですね、条件、条件と先ほどからおっしゃるから。これはどこにもそういう条件はなくて、暫定的適用ということを第八条でこの議定書自身が明確に言っているんですよ。だから、暫定的適用について、日本はすでに昨年の六月十八日に適用宣言をやってしまっているんです。そうでしょう。アメリカ政府に寄託しているんですよ。それに基づいて、いやだと言ったって現にこの協定に縛られているんです。義務についてはどういう条件があるとかこういう条件があるとかおっしゃいましたけれども、それに対してそれを裏書きするものは何もないです。覚書がございますかといったら、それもない。ただ、ウィーン条約を引っ張り出して、それを援用なさっておっしゃるけれども、それも心もとない話であります。したがいまして、昨年の六月十八日以降、もうこの協定自身は有効であるということをひとつお認めいただきたいと思うのです。現に有効に働いているという事実をひとつお認めいただきたいと思うのです。いかがですか、それを認められませんか。
○伊達政府委員 一口に申しまして、一九七四年七月一日以降も有効に働いている、つまり生きている条約である、したがいまして、それによりまして、ここに定めてございます小麦貿易理事会というようなものが存続して機能をしておるということは事実でございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、これにつきましての議定書というものから生ずる日本国が負います義務は、国会の御承認を経ることなしに日本国政府として果たし得る義務しか負っていないわけでございまして、したがいまして、現行法令または予算の範囲内におけることしか負わないんだということがこの暫定的適用の解釈でありまして、この解釈が国際間に何もないではないかということでございますが、それはこの条約で初めて暫定的適用というものが出てきたわけでございませんで、過去にもしばしば出てきた規定でございまして、それをときどきは暫定適用したこともございますし、それ以来のずっと一貫した解釈でございまして、これは国際的にも何ら抗弁されることもなければ、反対もないという解釈でございます。
○土井委員 抗弁や反対があったらこういうことになりはしないし、あったとしたらそれ自身大変問題だと思います。
 いま、それは国内的にいろいろ暫定的適用の結果予算の上で縛られることもないし云々とおっしゃいましたが、私が最初から言っているとおり、憲法の九十八条をごらんいただくと、締結された国際条約というのはこれを遵守する義務が日本の国内に及ぶのですよ。日本の国家義務として生じているのですよ。日本国憲法というのは国外法じゃないでしょう。日本の国内法ですから、あれは日本の国内を覇束する法です。したがって、そういう点から言うと、一たん締結した条約、協定というのは、やはりこれは国内において守る義務が生じますよということをあそこは明示している。そうなると、私が先ほど有効ですね、動いていますねという意味は、有効というふうにお認めになった以上は、いやがおうでも国内を縛っていますよということの認識を持っていただかなければなりませんよという意味も含めて言っている。これはもう御賢察の上での御答弁だと思うのです。だから、そういう点から言うといまの御答弁はちょっとおかしいのですよ。一たん認めましたら、義務はその点においては国内に及びませんとかなんとかおっしゃいましても、それはそうはいかない。もしそうであるなら、そのこと自身を明確に明示した何かの覚書がなければならないはずです。そういうことを話し合いの席で、暫定的適用というのは国内においてはこういうふうにしか及びませんよ、便宜的措置として一時保留というふうな形で認めるにとどまるのだからとかなんとかいう取り決めなり覚書なりがはっきりなければならない。何にもないわけでしょう。したがって、これは外務省の意に反してこの協定の中身というものは全部つかつかと国内に及んでいるということになっているのです。先ほどからの御答弁を引用して申し上げればそういうことだと思います。だから、それからすると、これは事前承認だとおっしゃることは、事実関係からするとちょっとおかしいです、いま私が申し上げていることからずっと理屈を展開していくと。もうすでに期間を更新することを事実としては認めていらっしゃるわけでしょう。そして今日に及んでいるわけです。そのことについていま新たに国会承認を問題になすっているということは、そういう事実をどうぞ御追認くださいというかっこうじゃないですか。
 お尋ねしますが、いま国会承認が得られなかったら、どういうふうに善後策をおとりになりますか。
○伊達政府委員 これが事後の追認ではないかという最初の部分の御質問でございますが、私が先ほど来御説明申し上げているとおり、日本はこの条約をまだ締結していないわけでございます。憲法上では、日本国が締結した国際条約は遵守しなければならないと書いてあるわけでございますが、日本はこの延長議定書はいまだ締結いたしておりません。ただ単に、先ほど来申し上げました意味におきます暫定的適用という宣言をいたしておるだけでございます。
 なお、この延長議定書が承認されなかった場合にはどうするかということでございますが、これはこの小麦理事会等から脱退するということだけになるわけでございます。
○土井委員 脱退することになるだけとおっしゃるけれども、その脱退するということが時間的にいうと遡及してなされるということが事実上可能なんですか。
○伊達政府委員 実際問題といたしまして、過去の小麦貿易理事会、特にこの協定におきます理事会と申しますのは、実体的な経済条項を含んでおらない理事会でございますから、ただ単に情報の交換でございますとか、それから市況の調査でございますとか、それから将来の経済条項を含んだ条約をつくり上げるための研究でございますとか、そういうことをしているわけでございまして、そのような作業というものに参加してきた事実、これは消しようがございません。しかし、それ以上の何らのコミットメントをしているわけではございませんので、脱退しても、特に法的な義務関係において、遡及効果を生じて非常な困難な法律問題が起こるということはないというふうに考えております。
○土井委員 いろいろそういうふうな遡及した結果の行為については、国会の承認が得られなかった場合というのは恐らくは想定なすっていらっしゃらないだろうから、十分にいまお考えになっていらっしゃらないという向きも私はわかるわけでありますが、一つこの協定についてお尋ねしたいことは、そういうふうな御認識がおありになるから、実は国会承認の手続を得るのにも、いままでにあった機会をずっとおくらせて今日に及んだといういきさつもあるのじゃないかと私は思うのです。いままで再々こういう問題を取り上げられて、この席で質問の都度、御答弁ではいろいろとその事情説明をなすっておりますから、恐らく、これは私が今日ただいままた申し上げれば事情説明にとどまるであろうと思いますが、少なくともこの暫定的適用宣言ということを昨年の六月十八日にアメリカ合衆国政府に寄託されて後 今日に至るまで時間が十分にあったわけですよ。参議院の選挙後の国会もございましたし、臨時国会もあったわけです。そういうことからすると、今日までこの国会承認というのを引き延ばされてきたということは決して好ましい状態とは言えない、できる限り早い機会にこの第六条に従って、その議定書が政府によって、自国の憲法上または制度上の手続に従って批准され云々と書いてあることを正式に行うのが本則であります。だからできる限り早い機会に、この制度上の手続に従って正式に締結されるということが好ましい。そういう点からすると、十分な努力を払ってこられたとは私たちは考えられないのですが、なぜ今日まで、この正式の手続というものについて国会承認を得るということがおくれてきたか、御説明を賜わりたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 正式な手続を踏みまして国会の御承認を得て、この条約に正式に参加するということは、なるべく早い機会にやるべきであるという先生の御指摘は、まことにそのとおりでございまして、私どももそのように考えております。ただ、この議定書につきましては、この議定書ができましたのが昨年の二月でございまして、それから署名のために開放されました期間が四月二日から二十二日でございました。わが国は四月の十九日にこの議定書に一応の署名をいたしたわけでございますが、そのときにはまだ七十三国会は開会中でございましたので、そのときに御提出できればということを考えていたわけでございます。ところが、これは食糧援助規約との関係でございますが、EEC、欧州経済共同体が食糧援助規約につきまして、その援助の規定そのものに対して問題がございまして、EECは若干その態度を明確にしなかった、すなわち食糧援助規約の食糧援助にEECが参加するという態度を保留したわけでございます。そして、わが国もEECが入らないような食糧援助規約は無意味であるということで、わが国も態度を保留いたしましたし、アメリカも同様な態度をもちまして態度を保留したという関係がございまして、これがEECが態度を明らかにしたのが、正確な日付は存じませんが、六月に入ってからでございました。したがいまして、その時点においてはもはや国会が終了いたしておりまして、七十三国会に御提出することができなかったという事情にあるわけでございます。
 なお、参議院選挙の後の臨時国会におきましては、新しい条約案というものを御提出する時間もないというふうに判断されましたので、やはり通常国会に通常の手続によって御審議を仰ごうということで、今回御審議を仰ぐようにした次第でございます。
○土井委員 時間の前後についての説明というのは、それは一つの弁解でありますし、幾ら聞いても、それはやはりできる限り早い機会に正式の国会承認を得る手続というものをおとりになるということが、条約であれ、協定であれ、議定書であれ何であれ、本来必要であるということは言うまでもないことなんです。したがいまして、この議定書それ自身につきましても、やはり早い機会に国会の承認を得るだけの努力というものを十分なすってこなかったというふうな由来はどうしてもぬぐい去れない。特に一九七五年の六月三十日というのが目の前だということで大急きで今国会にという向きも、私は客観的に見た場合に、これは感じ取れるのではないかというふうにすら思うわけであります。したがいまして、種々まだまだこれは規定の上で、条文の上でお伺いしたいこともありますが、さらに私は、事実関係できょうは二、三お伺いしたいことも準備はしてまいりました。しかし、特に外務大臣がきょうは参議院の予算委員会の方に御出席ということで、本委員会への御出席が不可能でございますから、外務大臣御自身のお考えも含めて、私は事実関係についてはやはりお尋ねをしたいという向きがございますから、次回にこれを保留させていただいて、次の機会にひとつ食糧問題、それから食糧と人口の問題とか、あるいは食糧に関係をして外国との輸出、輸入の今後の見通しなどについてもお尋ねをしたいと予定をしておりますから、どうかよろしくお願いをいたします。
○栗原委員長 正森成二君。
○正森委員 私は、いわゆる国際小麦協定について若干質問したいと思います。
 まず最初に、この国際小麦協定というのは、通常言われるところの国際商品協定の一種であるというように思いますが、そうですか。
○野村政府委員 そのとおりでございまして、通常言われますところの国際商品協定の一種でございます。
○正森委員 国際商品協定の場合に、その要素、エレメントとして通常入ってくる物はどういうものですか。
○野村政府委員 現在国際商品協定といたしましては、小麦とか砂糖、コーヒー、ココア、すず等ございますけれども、それぞれの商品の問題に応じましてそれぞれ違うわけでございます。しかし、たとえば従来の小麦協定、六七年までの小麦協定でございますれば、一定の価格帯というようなものを設けまして、それに伴うところの輸出入国の権利義務というものを定めておるというのが実態でございます。あるいはまた、場合によりましては緩衝在庫というようなものを持つということも決めておる物もございます。
○正森委員 そのとおりですね。
 それで、一九七一年の協定を一年延長するわけですが、それ以前においては、一年間ぐらいの例外はあるそうですが、全部いわゆる価格協定というか、経済条項というものがございました。
 たとえば従前のものはどういうようになっていたかというと、最高基準価格及び最低基準価格を設けまして、市価がこの価格帯内にある場合には、輸入国は一年度内における商業的買い入れ総量に対して、加盟輸出国からの商業的買い入れ総量が、協定付表で各国別に定められた百分率、日本の場合は八五%だったと思いますが、以上になるように買い入れる義務があり、輸出国はこれに対し供給する義務がある。小麦の市価が最高基準価格を上回る場合には、この期間中輸入国は、過去四年間における加盟輸出国からの輸入量の年平均数量まで、最高価格で買い入れることができる。また、この期間中は上記の輸入国の義務は解除され、加盟輸出国以外から買い入れることも可能である。市価が最低価格に達し、または達しようとする場合には、執行委員会が市況に関する諮問委員会と協議し、事態を検討の上、関係国が最低価格の義務を果たしていないと認めるときは、理事会を開催し何らかの措置を講ずる。こういうぐあいになっております。
 で、当時価格に変動がありましたが、最低が大体一・七ドルぐらい、最高が二ドルとか二・二ドルとか、そこら辺のところで推移したと思うのですけれども、ともかくそういう価格帯があって、市価がその価格帯であるときにはその価格帯で輸入国は一定量を必ず買える、それよりも市場価格がずっと上がった場合でも、最高価格で過去四年間の平均量を買えるという、こういうメリットがあったのですね。で、輸出国側にしても、最低価格から下がるという場合には、執行委員会が会議を開いて措置を講ずる、だから、こういうのがあれば、なるほど商品協定として一定のメリットがあるなと、こういうぐあいになるわけですけれども、今回承認を求められております国際小麦協定というのは、その商品協定のエレメントと考えられることが一切ないのですね。こんなものを大体承認して輸入国としてのわが国にメリットがあるのかどうかですね、その点をまず伺いたい。
○野村政府委員 ただいま先生の御指摘のございましたとおり、国際商品協定におきましてはいろいろな価格帯とか出入国の権利義務というものが定められるのが通常でございまして、そういうことがあることによりまして、特にわが国のように、いろいろな物資を海外に依存する国に対しますところの供給が安定するということが望ましいわけでございます。
 したがいまして、われわれといたしましては、この小麦協定におきましても、貿易規約におきましても、そういった経済条項が成立することを望んでおったわけでございますけれども、その当時の、この七一年の交渉の当時におきまして、主として輸出国の中におきましていろいろな議論が分かれたために、結局そういった経済条項ができなかったという理由があるわけでございます。
 なおかつ、いま御承認を求めておりますのは、その延長の議定書でございますけれども、この七
 一年の小麦規約の中におきましても、将来そういった経済条項を含むところの新しい協定の締結について準備をするということがうたわれておるわけでございまして、そういった意味で従来からも準備が進んでまいったわけでございます。
 なおかつ、その経済条項がないということは事実でございますけれども、この経済条項がございませんけれども、小麦に関しますところのいろいろな情報の提供あるいはまた、交換ということによりまして、国際協力を進めていくというふうなメリットはあるわけでございます。
○正森委員 そうお答えになるより仕方がないと思うのですが、私が輸入食糧協議会報の七一年三月号というのを見ましたら、そこに「新国際小麦協定を語る」、一九七一年協定ですが、そう題して、食糧庁輸入課長の市原政治氏も参加して座談会をやっているのですね。市原輸入課長はこう言っておる。「これは新しく申すまでもないのですけれども、小麦貿易規約の骨子、本筋は何かというと、結局のところ、基準小麦というものを定めて、それの最高、最低価格をつくる。そしてその範囲内に――これはむろんFOB価格でございますけれども、その最高、最低価格内において世界の小麦を流通させよう。つまり、世界の小麦の価格安定と流通の確保を目的としております」こう言うておるのですね。だから、そういうものが結局できていない協定ということになると、下世話に言うところの魂のない仏である。仏つくって魂入れず、つまり魂のない仏をこの国会へ出しておるということになるのですね。これは食糧庁の課長がちゃんとこう言うておるのですから。私のような下世話的なたとえはしておりませんけれども、そういうことを言うておる。これは後でまた聞きますけれども、フォーカストその他の食糧情報というものは、これは相互に交換するというようになっておるようですけれども、それにしても非常に問題のある協定である。いわゆる商品協定の名に値しない協定である、こう思うのですね。
 そして私がなお指摘したいのは、一九七一年に輸出国側の事情でできなかったというのは、これは当時市況が非常に買い手市場でありまして、そして小麦がだぶついておったのですね。当時大体ブッシェル当たり一・五ドル前後、非常に低い価格であります。そこでそういう場合に価格帯をつくると、かえって輸出がしにくい、シェアを取るためにはかえって価格帯がない方がいいということで、大きな輸出国であるアメリカとカナダとの間に意見の相違があるというようなことで、第一、基準小麦をどうするかとか、あるいは基準地点をどうするかとか、そういうことさえ決まらないというような状況だったわけであります。
 ところが、一九七二年に御承知のようにソ連、東欧が非常に食糧事情が天候の関係で悪化いたしまして、大量の買い付けをやる。そうしますと、現在の世界情勢というのは一転いたしまして、これは売り手市場であります。したがって今度は穀物の値段が天井知らずに上がりまして、ブッシェル当たり一・五ドルくらいだったのが高いときには六ドルを突破する、現在はそれより落ちついておるようですが、そういう状況になった。したがっていまこそ最低、最高価格、特に最高価格が必要だ、これは後に農政の問題についても質問しますが、輸入を前提としているわが国としては、当然あるべき小麦協定というものになっておらないのですね。それに対してわが国はどう考えておるのか、それについて伺いたい。
○野村政府委員 ただいま先生の御指摘のございましたとおり、七一年の小麦協定ができなかった主たる理由の一つといたしましては、先ほど来御指摘のございましたとおり、輸出国の小麦の基準の選定、あるいはまた基準地点の選定というような問題についていろいろ意見がまとまらなかったというふうな事情があるわけでございます。
 しかしながら、先ほど来申し上げましたとおり七一年の小麦協定の中におきましても、今後新しい経済条項を含むところの新しい協定をつくろうというふうな準備には取りかかっておるわけでございまして、まだしかしながら、その後のたとえば国際情勢、なかんずく通貨の変動とか、あるいはまた石油の問題とか、多々いろいろな国際的な状況がございまして、七一年の協定の有効期間中には十分な作業ができなかったというのは事実でございます。しかしながら昨年の理事会におきまして、いろいろな基礎的な研究から開始しておるわけでございまして、さらに今後ともそういった作業を集中的に進めようというふうなことがすでにうたわれておるわけでございます。
 なおかつ、いま先生のおっしゃいましたとおり、小麦の需給状況というものは七一年当時よりは非常に変わってきたということは事実でございまして、小麦の需給状況が逼迫しておるということは事実でございます。したがいまして、わが国といたしましては、この新しい協定の作成にあたりましては、そういった新しい小麦の逼迫ぎみの状況に対処いたすようなものでなければならないというふうに考えておるわけでございます。そういった中で、特に輸入国としての適正な価格による通常輸入量というものがある程度確保されるように、われわれとしては今後とも持っていきたいというふうに考えております。
 なお、ちなみに、この小麦の問題はすでに御承知のとおり、先般来取り上げられておりますところの世界食糧会議でございますとか、そういった問題あるいはまた今後始まりますところの多角的な貿易交渉というような問題とも非常に関連いたしますので、そういった動きをも見ながら、いま、先ほど来申し上げましたわが国の立場というものを踏まえて参画していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○正森委員 いま食糧会議のことを言われましたが、食糧会議の問題は、世界的な問題ですから後で短時間聞きたいと思うのです。
 わが国は努力をすると言いますけれども、しかし一国の努力には限度があるので、その努力が有効に働くように決めるのがまさに商品協定であるべきはずなんですね。その中の一番大事な魂がないということでは、これは輸入国であるわが国にとっては決定的に大切なものが欠けておる協定であるというように言わざるを得ないのですね。しかもあなたは、価格協定等についても協議して定められるようになっているという趣旨のことを言われましたが、それは恐らく二十一条のことを言うておられると思うのですね。ところが、それに非常に関連した条文が六条にあるのですね。六条は少し長くなりますが、読んでみますと、こう書いてある。
 市況に関する諮問小委員会が、第十六条(2)の規定に従つて市況を絶えず検討している間に、市場に不安定な事態が生じており若しくは直ちに生ずるおそれがあると認める場合又は事務局長が、自発的に若しくはいずれかの加盟輸出国若しくは加盟輸入国の要請により、このような事態について同小委員会の注意を喚起した場合には、同小委員会は、直ちに執行委員会に対して当該事実を報告する。同小委員会は、執行委員会に報告するにあたり、市場に不安定な事態(価格の変動を含む。)をもたらし又はもたらすおそれがある事情を特に考慮する。執行委員会は、事態を検討するため及び相互に受諾することができる解決に達することが可能であるかどうかを考慮するため、五市場日以内に会合する。
 こういうぐあいになっておるのですね。そこで、一九七二年の七月から八月にかけてソ連が大量買い付けを行い、以後小麦の輸出価格が天井知らずに上り始めたときに、わが国の政府は、九月ごろだったと思いますが、この条約の第六条を発動すべきである、まさに市況に不安定な事態をもたらし、またはもたらすおそれがある事情であるというように判断をして申し入れをしたはずであります。それはどういう結果になりましたか。
○野村政府委員 ただいま先生の御指摘のございましたとおり、七十二年のソ連の小麦の大量買い付けという事態がございまして、確かにその当時、この問題に対しまして、国際小麦理事会が完全に十分には機能し得なかった点は若干あるわけでございます。これは、小麦の買い付けにつきましていろいろな情報の不足もあったわけでございますが、従来その小麦理事会というものが市況の検討におきまして、どちらかと言いますと中期、長期的な需給状況とかそういったものにやや重点を置いておったわけでございます。そういった意味から特にわが国が、先ほど来先生の御指摘がございましたとおり、ソ連の買い付けによりまして非常に小麦の需給が逼迫いたしまして、わが国としても困ったというような事情から、その短期的な小麦の供給、需要等の見通しについての作業を大いにやりなさいということを申しまして、特にそういった作業を七十三年以来やっておるというのが現状でございます。
○正森委員 何か聞いてもよくわからぬような答弁ですが。
 そこで、やはりこれは「第六十五回国際小麦理事会を顧みて」という雑誌の座談会の記事があるのですね。それに、わが国の政府代表で在イギリスの日本国大使館参事官の松浦昭という人がいますね。この人が出席して議長を務めたのですね。ですから、そこで座談会に出ておられる。これは輸入食糧協議会事務局調査部編であります。そこでこういうことを言うておるのですね。九月にこの問題を持ち出して、まさにいまの状態というのはインステーブルな状態であるということを言ったら、輸出国側はどう言ったかというと、「いや、そうではない、すでに市況はプラトー、といいましたが、いわゆる高原でもって安定しているではないか、(笑)」と書いてあるのですね。「すでにステーブルではないか。まあ、へ理屈だと思うのですけれども。」、こうちゃんと言うておるのですね。そこへ「(笑)」と書いてある。「それから、もともと価格が非常に安かったのだ」こういうことを言って、あの天井知らずに上がったのは、輸出国側はステーブルな状態だ、インステーブルではない、こう言ってぽんとけられたということが報告してある。で、しようがないからというので、フォーカストといって各国の食糧事情ですね、冬まきがどうであったか、春まきがどうであったか、南半球はどうであったかというようなことを一生懸命資料を集めてせめて対策を講じよう、実に輸入国としてはいじらしい努力であります。そういうことしかメリットがないというような状況になったのですね。二十一条の価格協定を設けるための会議というのももちろん不成功だ、こういうようにあなた方の会議でチェアマンを務めたような人でも、半ばあきらめも含めて、怒りを込めて、ああいう高値の状態を高原で安定しているではないか、ステーブルな状態だ、こう言われた、日本側はインステーブルだと言うた、こうなっているのですね。だから、こういう点を考えると、この国際小麦協定というのはまさに半身不随、そういうものではないですか。
○野村政府委員 先ほど来、先生が御指摘になられておりますとおり、小麦協定が経済条項を欠いておるというために、非常に重要な要素を欠いておるという点は確かにあるわけでございます。しかし、先ほど来――もちろんそれから情報の交換につきましても、ソ連のような問題もございますけれども、いろいろな公私の情報に基づきまして、いろいろな市況の検討と見通しの作業を毎月集中的にやっておるわけでございまして、それぞれそういった情報の結果というものを加盟国が参考にしておるわけでございます。したがいまして、現状におきましては、確かにおっしゃいますとおり、経済条項がございませんので、特定の輸出入国、特にわが国の場合、輸入国としての権利というものを主張し得ない点はあるわけでございますけれども、ただ、将来そういった経済条項を含む小麦協定というものができるということを期待しながら、かつまたそういう方向に持っていこうということで、現在の小麦協定の範囲内におきまして国際協力を進めていくということが日本の国益にも合致するのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
○正森委員 幾ら聞いても非常に不十分なものだということは否定できないと思うのですね。
 そこで、きょうは政務次官来ておられますので、一言伺っておきたいと思うのです。
 いまお聞きになりましたように、まさに経済条項がないということがこの小麦協定の中心的な部分なんです。ところが政府の出しました提案理由の説明にも、あるいはこの議定書の説明にも、そこが問題点であるということを一言半句も書いてない。あるいは一九七一年協定の一年延長であるだけだから、そうして一九七一年協定のときにはその審議があったのだから、一年延長にはそんなことは書かなくてもいいという考えかもしれないけれども、こういう提案理由の仕方というのは、立法府に対してはなはだ無責任である、自分の一番痛いところは隠しておいて、この仏には魂がないのだということは隠しておいて、そのほかのきれいごとだけを書いておるというように言われても仕方がないと思うのですね。多少煩をいとわずに、一九七一年のときにどういう点が問題であったかは調べればわかる。政府の提案理由説明だけを聞いてみれば、そういう一番大事なことは一言半句も触れてない。これははなはだ不誠実な態度だと思うがいかがです。
○羽田野政府委員 この協定に経済条項がないということは、先生御指摘のように非常に遺憾なことでありますし、その効用の面で非常に減殺されるということは私も同感でございます。しかし、この協定があることがいいか悪いかという面につきましては、やはり情報その他の面でこの協定の存在というものは価値があると思います。
 提案理由の中に、一九七一年小麦協定に経済条項がないということが述べられていないことについての先生の御質問でございますが、これは私ども答弁の段階におきましても、この点は十分御説明する準備をいたしておりますし、先ほどの質問に対してもお答えしておる、こういうことで御了解を願いたいと思います。
○正森委員 政務次官とは法務委員会でも二年余りのおつき合いをいたしましたから、私はこれ以上申しませんけれども、質問をしたから答えたではないか、こういうのは余り――しかし、なおこういうメリットがございます、こういうような書き方だったら非常に誠実ですけれども、これはちょうど子供が何か悪いことをして、親にしかられてから言うて出たからいいではないか、その段階で隠さなかったからいい子ではないか、こういうようなもので、私どもとしては、事前にこういうことであるけれども、なおいい点はあるんだ、――まああるとすればですね、そういうような態度が立法府に対する誠実な態度だ。そんなもの別に秘密協定でも何でもない、ちょっと調べればわかることなんですから。そしてこれこそがまさにこの国際小麦協定の一番不十分な点なんですから。そういう点を指摘しておきたいというように思うのです。これ以上は申しません。
 もう一つ聞いておきたいのですが、この議定書を見ておりますと、附表Bの「加盟輸入国」のところで「中国」というのが出てまいります。だれが署名したかというと「中華民国のために」と書いて「王」という人が一九七一年四月二十七日に署名しております。もちろんわが国は中華民国との関係はないはずであります。そこで、この議定書をわれわれが承認するに当たって、恐らくこの点は国際会議におきましてきちんと処理されたというように聞いておりますが、念のために、会議録に残すために答弁していただきたいと思います。
○羽田野政府委員 七一年の小麦貿易規約に署名したのは、先生のおっしゃるように台湾の代表でございます。台湾はその後、この規約を受諾いたしまして加盟国となったわけでございますが、中国の代表権問題に関する国連決議が一九七一年の十月に成立をいたしまして、その後、一九七四年の二月に中華人民共和国から、同国の在英大使館を通じまして、国際小麦理事会事務局長に対しまして、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法的政権であるということにかんがみて、台湾政府は、いずれの国際機関においても中国を代表する資格がないので、直ちに台湾を小麦理事会から追放すべきであるということを要請してきたわけでございます。
 この件につきましては、一九七四年の二月二十二日でございますが、第六十八回の国際小麦理事会におきまして検討された結果、一九七一年十月、第二十六回国際連合決議二七五八の趣旨を考慮して、中華人民共和国が小麦理事会において合法的に中国を代表し、かつ、中国のために一九七一年小麦貿易規約及びその延長議定書に関する事項を取り扱う権限を有する唯一の権威であることを認める旨の決議が採決されました。その結果、台湾は小麦貿易規約の加盟国というステータスを失うことになったわけでございますが、台湾にかわって中華人民共和国が自動的にその地位を占めるということにはなりませんで、現在、中華人民共和国は、この議定書への署名または批准、受諾の措置をとっておりません。しかしながら、中華人民共和国は、その後も事務局に接触いたしまして、議定書に参加する意向はないが、経済条項を含む新たな協定には興味を持っているというようなことを述べておる、これが現在の実情でございます。
○正森委員 はい、わかりました。つまり、台湾は追放されて、中国は、自動的には加盟しておらないけれども、興味を持って見守っておる、こういうことですね。
 そこで次に、食糧援助規約について若干伺いたいと思いますが、特に三条の「国際食糧援助」のところで、わが国は二十二万五千メートル・トンの援助を行うということで、署名の際に一定の権利を留保しております。これは「米」――麦じゃなしに「米の形態で又は受益国が要請する場合には農業物質の形態で援助を供与することによりこの議定書の第三条の規定に基づく義務を履行する権利を留保する。」この「米」というのは、括弧して「非締約国である開発途上にある国において生産されたものを除外しない。」ということが書いてあるわけですね。
 そこで、これについて簡単な説明と、それから、私の方の手元にありますので、時間の節約の意味で、これを見ますと、七三から七四年度のは、まだ全部完結してないのですね。完結しているのは七二年から七三年のがございますから、その一年分だけ、いかなる国にどれだけの額を何で援助を履行したかということについてを報告してください。
○菊地説明員 お答えを申し上げます。
 最初の方の御質問の、日本が食糧援助規約三条に留保いたしまして、通常でしたら小麦ないし粗粒穀物ということでございますけれども、日本の場合、米ないしその相手国の希望によりまして、農機具その他の農業物資というもので援助ができるということを留保していることは、御説のとおりでございます。
 この背景につきましては、日本が小麦の輸入国でありますこと、それからもう一つの理由といたしましては、日本の援助対象国が恐らくアジア中心ということになりまして、アジアにおきましては米が主食であるというようなことでございます。それから第三の理由としましては、当時わが国にいわゆる余剰米がございまして、余剰米処理計画ということもございました。そういった三つぐらいの理由から、日本といたしましては、米ないし農機具ということで援助するという態度を留保したわけでございます。
 それから第二番目の御質問でございますけれども、ちょっと詳細にわたりますが、七三−七四年度の援助状況を申し上げます。
 インドネシアに、ちょっと概数で申し上げますが、五十七万五千ドル、タイ米及びビルマ米……
○正森委員 それは、七三年−七四年じゃなしに、七二年から七三年で答えてくれますか。まだ七四年のは何か総トータルも出ていないわけでしょう。ですから、それだけでけっこうです。
○菊地説明員 七二−七三は、インドネシアが七百四十三万ドルで、タイ米及びビルマ米、カンボジアが八十一万五千ドルで、タイ米、ラオスが五十八万一千ドルで、農業物資これは小型の農機具でございます。それから、フィリピンの場合は、五十万九千ドル、この場合はごく少数の日本米とタイ米がございます。日本米が千五百六十一トン、タイ米が二千五百九十九トン、それからネパールにつきましては二十八万六千ドル、農業物資、この場合は肥料でございます。それからバングラデシュが二百二十八万ドル、日本米一万二千四百九十トン、そのほか旧セイロン、つまりスリランカでございますが、五十八万一千ドル、農業物資、これは農機具、アフガニスタン、四十万六千ドル、農業物資これは肥料、それから、中東の難民のいわゆるUNRWAという機関に対する援助でございますが、七十五万ドル、エジプト米でございます。それからマダガスカルに三十四万六千ドル、日本米千六百三十トン、それからニカラグアに対しましては、例の地震でございましたが、この場合は三十万五千ドル、地震の災害のためにアメリカの小麦粉を提供したのが、七二−七三の実績でございます。
○正森委員 締めて千四百三十万二千四百八十九ドル、こういうことになっておるのですね。
 そして、それの換算は、いま為替相場はフロートしておりますが、円は一ドル三百八円ということでやっているのですか、念のために答えてください。
○菊地説明員 そのとおりでございます。
○正森委員 それでは、先ほどお話が出ました世界食糧会議の問題につきまして、穀物事情と非常に関係がありますので、質問をしたいと思います。
 まず最初に、世界食糧会議は飢餓の絶滅に関する宣言をしたと思いますが、現在の食糧危機、特に開発途上国における食糧危機を何に起因するものと世界食糧会議は宣言しましたか。
○野村政府委員 近年におきますところの食糧の不足の原因の一つといたしましては、特に気候の変動等によりますところの不作というようなところにその原因があるというふうな認識が多かったように聞いております。
○正森委員 実にけしからぬ答弁ですよ、あなた。そうじゃないということを決めたんでしょうが。念のためにその前文を読んでみましょうか。「飢餓と栄養不良に悩まされている人々の地位は、彼らに対する社会的不平等、外国の植民地主義による支配、人種差別、あらゆる形での新植民地主義による差別および十分な解放を妨げている大きな障害を含む歴史的な環境から発生している」こういうぐあいに高らかに宣言したんです。そして、現在人類が困っている食糧飢饉あるいは飢餓というものは、決して人口増加や異常気象による自然現象ではないということを宣言したところに意味があるのですよ。わが国政府代表は一体何をしに行ったか。前文に書いてあるじゃないか。
○野村政府委員 世界食糧会議の問題につきましてはいま先生のおっしゃるとおりでございまして、私の説明が不十分であったことをおわびします。
○正森委員 不十分じゃないよ、間違っているんだ。言い直しなさい。そんな基礎的な大事なことが不十分で済みますか、あなた。明白に間違っているじゃないか。
○野村政府委員 この問題につきましては、できますれば資料をもう少し取り寄せまして、さらにお答えさしていただきたいと思います。
○正森委員 資料くらい持っているでしょう、あなた。調べてみなさい。世界食糧会議のことはあなたから言い出したんじゃないですか。だから私が聞いているのです。そんな認識で、一体あなた、国際小麦協定を結んで援助をしたり、あるいは開発途上国と協力したりできますか。これはアメリカも賛成した宣言なんですよ。それをいまさら、資料を取り寄せてみなければわからないと言って、何です一体。
○野村政府委員 もう一度申し上げます。
 この宣言におきましては、世界食糧問題の重要性を世界に訴えるとともに、世界食糧会議の成果をすべての人々に知らせることを目的として作成されたものでございまして、主たる内容は、先ほども先生からおっしゃいましたとおり、飢餓と栄養不良から逃れる権利の再確認、それから食糧増産及び食糧の国際的、国内的な公正かつ効率的な配分を行うこと、食糧問題を人道的立場から取り上げることの必要性、それから開発途上国における農業の総合開発及び小農をこれに参画させるための社会経済政策の必要性、そのはか水産物資源の合理的な活用の促進、開発途上国の食糧増産のための、先進国または能力を有する国による追加的な技術的、資金的な援助の必要性、天然資源を適切に守るための環境保全の必要性、食糧生産を優先する農業政策の調整というようなことがうたわれているというふうに承知しております。
○正森委員 そんなのは答弁にならぬですよ。それはどういうぐあいに対策を講じていくかということについて言われたことで、これから全部は聞かないけれども、そのうちの主なものは聞きます。しかし、一番大事なのは、開発途上国の七十七カ国グループというのもあって、大体食糧危機というのは異常天候だとかあるいは人口増加だというように言われていたのを、そうじゃない、特に開発途上国の飢餓と栄養不良に悩まされている人々の地位というものは、その国の人口が急激にふえたとかあるいは天候が悪いということではなしに、まさに彼らに対する社会的不平等と外国の植民地主義による支配に中心があったのだということを宣言して、それに対して先進国も協力して、どういうぐあいにこれを取り除くか、ここに大きな意味があったんでしょう。その認識からいろいろな対策というものが出てくるのですよ。そうでなければ、改めてもう一遍新植民地主義の進出をやるということにならざるを得ない。いいですか、あなた。大会宣言の前文にちゃんと書いてあるでしょう。しかも、私が言うている資料はいろいろありますけれども、世界食糧会議に出席した亀長友義さんが世界週報の中にちゃんと書いているのですよ。亀長さんという人は農林省の顧問じゃないんですか。亀長さんがちゃんと書いているじゃないですか。
○栗原委員長 速記やめて。
○栗原委員長 速記つけて。
○正森委員 それでは、政府側も資料の関係等で、現在のところ十分確かめてないようでございますし、私もなお若干、日本の食糧政策について聞きたいことも残っておりますので、次回に質問を留保させていただきたいと思います。
○栗原委員長 永末君。
○永末委員 ただいま世界食糧会議に関する質疑と応答とを聞いておりましたけれども、政府の方は、この世界食糧会議に対する認識、きわめてあいまいでございまして、真剣にやはりこの種の会議の持っている意味というものを考えるべきだと思います。
 昨年は世界食糧会議、また人口会議あるいは海洋法会議、言うならば、資源無限時代から資源有限時代に移ったということを示す意味では重要な国際会議が持たれたのであります。世界食糧会議はそのうちの一つでありまして、伝えられるところによりますと、世界食糧会議の本会議の席上、開発途上国の大臣が立って、いわゆる工業的には発展いたしました国々の代表を指さして、あなた方は人食い人種だ、こう言う。その理由は、あなた方は肉を食べておる、肉のために飼料として穀類を使っておる、これは同じカロリーを出すのに、直接にこれを食用に供するのと、飼料に供するのとでは一対五、分量が違うんだ、したがって、君たちが食肉に供するために穀類を飼料に使っておることが、われわれ発展途上国の子供たちをして飢えしめておるのだ。これは一つの例でございますけれども、天然自然の現象によって凶作であるから食糧会議が持たれたのではなくて、むしろ一つの大きな原因が、いま人間のつくっておる社会制度、経済のシステムにあるということを鋭く指摘したのでありまして、わが国も、そういう一つの底流が世界食糧会議を動かしているドライブだということを見てかからなければならぬ。この辺で政府ももっと勉強してお答えを願いたいと思います。私も、この件に関する質問は留保をいたします。
 さて、一九七三年度以来、小麦価格は非常に騰貴をいたしておりますけれども、この価格騰貴の理由をお答え願いたい。
○森実説明員 お答え申し上げます。
 七二年にソ連それからインドあるいは輸出国といたしましては豪州等が干ばつによって凶作になり、ソ連が特に小麦を中心にいたしまして、三千万トンに近い大量の穀物の買い付けを実施したわけでございます。これが誘因となりまして、価格の騰貴が始まりまして、七三年はかなりの豊作でございましたが、引き続き貿易需要が堅調であって、また七二年の在庫の食いつぶしが非常に大きかったために市況が回復せず、七四年に入りましてある程度反落が予想されたわけでございますが、昨年の夏のアメリカの干ばつ等が起因いたしまして、再び秋口に反騰したという経過をたどっております。ただことしに入りまして、ことしの作付の期待が非常に大きいことから最近再び反落をしております。
○永末委員 騰貴前を一〇〇といたしまして、今後の見通しはどうなりますか。
○森実説明員 お答え申し上げます。
 いま指数で持ち合わしてございませんが、小麦について例を申しますと、過去の七二年以前の価格は大体ブッシェル当たり一ドル五十から六十の水準で推移しておりました。その後変動を続けまして、最高高値のときは七ドルに近い価格もつけた状況がございますが、最近時点では大体三ドル五十前後という形になっております。
○永末委員 今後の見通しはいかがですか。
○森実説明員 問題は、一つは短期的にはことしの作がどうなるかという問題だろうかと思います。現在の情勢ではアメリカが非常に作付をふやしております。そういう関係で市況は弱含みと見られております。ただ、これはことしのアメリカあるいはヨーロッパ等の作がどうなるかによって変動していくだろうと思います。長期的に考えますと、やはり発展途上国の人口の増加、農業生産の伸び悩み、それから先ほども御指摘がありました畜産需要等の動向から見まして、やはり従来とは違って強含みの比較的不安定な時代に入るのではないだろうか、このように一般的に予想されていると思います。
○永末委員 キッシンジャー構想の一つとして伝えられております食糧の貯蔵という問題がございますが、これらの点についてわが国が求められていることはございますか。
○森実説明員 キッシンジャー構想が、いわゆる世界食糧会議で提案されまして、その後FAOの事務局長のバーマが提案しました、比較的緩やかなガイドラインに沿った備蓄構想というもので食糧会議の話し合いは収斂されまして、その後アメリカの提唱でことしに入りまして、備蓄問題に取り組むという話が一回開かれたという状況でございます。わが国といたしましては、やはり大輸入国として備蓄の問題については基本的には前向きに取り組むべきものだろうと理解しております。ただ国際的な備蓄にどう関連づけるかという問題につきましては、貿易問題とも関連を持っておりますし、商品協定のあり方等とも関連を持っておりますので、なお今後情勢の推移を見きわめて判断してまいりたい、かように思っております。
○永末委員 わが国はこの小麦価格の決定について影響を及ぼし得る力を持っておりますか。
○森実説明員 御案内のように、わが国は小麦につきましては比較的数量的にも安定輸入国という立場に立っております。現在世界的な国際市況に対して影響を持ちますのは、やはりソ連、中国等に代表されますような不安定輸入国の動向あるいはその国の作況、こういったものが一番影響する。それ以外に輸出国の作況等が影響すると思いますので、わが国の買い方は比較的安定したベースで計画買い付けを行い、数量も固まっておりますので、そう大きく上昇下降に影響するそういう性格のものではないだろう、こう思います。
○永末委員 だといたしますと、わが国は小麦の価格に対して余り影響力を及ぼし得る立場にはない。ソ連、中国は、それぞれ単に食糧需要というだけの観点ではない、食糧輸入というものを行い得る国柄だと私は承知をいたしておりますけれども、もしそういうことによってこの小麦価格が非常に変動して、上がった場合にはこれをもろに、いわば利益を受けない、こういう結果になるわけでございますから、そういう構造について日本は何らかなし得ることはありますか。
○森実説明員 今回の世界食糧会議でも、私ども日本側から提案いたしましたいわゆる需給予測の世界的な組織化という問題、つまり生産の動向、需要の動向、貿易の動向について、遺憾ながら中国の参加は得られなかったわけでございますが、中国、ソ連等も含めて世界的な規模で需給予測の組織化を図ろうという提案をして採択されましたのも、そういう問題だろうと思っております。
○永末委員 わが国は安定した小麦の輸入国だということでございますから、一九七二年と七三年を比べますと、アメリカ合衆国からの輸入がきわめて大きく伸び、オーストラリアからの輸入がきわめて低額に落ち込んでおる。これは七四年実績は与えられた資料でわかりませんけれども、そういう急激な変動のある理由は何ですか。
○森実説明員 先ほどもちょっと触れましたように、七二年は輸出国としての豪州が非常な干ばつで凶作だったわけでございます。したがって豪州は全世界に対する輸出量を減らしております。特にこれ以外に中近東、中国等に対する優先輸出という政治的な事情もあったように聞いております。そういった関係から、やむを得ずわが国としてはこの年度に限っては、豪州からの通常輸入しております量をアメリカ及びカナダに転換した経緯がございます。しかし中期的に見ますと、わが国の輸入量はアメリカ五割、カナダ三割、豪州二割という形になっておりまして、大体世界の貿易シェアと平均した形で輸入しているという形になっております。
○永末委員 そうしますとオーストラリアとの関係は、オーストラリアの生産状況が好転すれば、一九七二年までにあったようなパターンに返っていくのがわが国の輸入方針である、このように承ってよろしいか。
○森実説明員 御案内のように、食糧庁が一元的に買い付けを行っておりますし、国別にもやっておりますので、大体主要輸出国間のバランスというものは一つあるわけでございまして、通常の作に戻れば御指摘のようになると思っております。
○永末委員 農林省はわが国の穀類でん粉の需給というものに対して、わが国の自給能力というものはどないしたらいいと考えておるのですか。
○森実説明員 御案内のように、この十年間の高度成長の中で消費が急速に伸びまして、特に畜産物の生産の拡大に伴って、わが国の国内で生産がほとんど困難になるトウモロコシ、マイロ等の輸入が急増したことが理由になりまして、穀物の自給率が四割前後まで下がってきていることは否定できない事実でございます。私どもやはり長期的に見ましても、わが国の資源、風土等の制約から見て、トウモロコシ、マイロ等については引き続き輸入に依存する政策はとらざるを得ない、輸入の安定化が必要であろう、こう考えているわけでございますが、やはり国内の状況を見まして、特に水田裏作を中心とした麦の増産、あるいは穀物ではございませんが、これに準ずる立場を持つものとして、主要作物の増産には最重点を置いて考えてまいりたい、かように思っております。
○永末委員 裏作の麦の増産と言われましたけれども、実際やっておるのですか。
○森実説明員 御指摘のように非常にむずかしい問題でございます。昨年から実は麦作の増産という視点で、一俵二千円の奨励金を交付して収益力の強化を図るという施策をとって、どうにか、四十九年産麦からいままで一方的に落ちてきた生産を若干ながら上向きに戻したという問題がございます。今後の問題といたしましては、やはり裏作の一番大きな問題は、規模の問題をどうやって確保するか。そういう意味で土地利用権の集積という意味で、国会で審議をお願いしております農振法の改正等による農用地利用増進事業、あるいはことしから実施しております裏作に対する集団生産組織の育成等の事業を通じて、利用権の集積等を通じて麦作の増産を図ると同時に、一方においては、やはり麦作について一番大きな問題になっております表作との作期の調整という技術問題についても長期的視点から取り組んでまいるつもりでおります。
○永末委員 食糧自給率というのは、国際経済がきわめていいぐあいにいっているときには見過ごされがちな問題でありますけれども、国力という点から見れば、これは長期的にはゆるがせにしてはならぬ問題でございまして、すべてを自給することは日本の国柄上非常にむずかしい問題でございますけれども、担当農林省はそういうロングランの見通しに立って手を尽くして、やはり一番の主たる穀類の自給率を高めるということをやっていただきたいと思います。
 さて、食糧援助で日本米が出ておるのでございますけれども、日本米は総量としてどういう傾向になっておるのですか。減っておるのですか、ふえておるのですか。
○菊地説明員 食糧援助規約の対象となっております日本米は、漸減の傾向でございまして、去年はカンボジアに出しただけでございまして、ことしから日本米は大体使用されないと御承知いただいて構わないかと思います。
○永末委員 どうして日本米は漸減しておるのですか。
○菊地説明員 先ほどお答え申し上げましたけれども、余剰米がなくなりましたので、余剰処理計画というものが大体終了いたしましたので、現物がないということでございます。それから、規約上はそれが許されているということの、二つの理由でございます。
○永末委員 政府全体の政策としても休耕田をやめて、また食糧増産をやろうというのですから、やればいまの日本の人口の日本米を摂取している度合いから見ますと、余剰米が出てくる、出てくればまた日本米の食糧援助をやろう、こういうことですか。
○森実説明員 お答え申し上げます。
 米の生産調整措置につきましては、四十九年から転作奨励措置だけに限って、休耕奨励措置は実施しておりません。現在、転作では飼料作物、大豆、野菜等が生産されておりまして、それぞれの分野で大体一割から一割強ぐらいのシェアを水田の転作が現に持っているという形になっております。
 五十年以降の対策につきましてどう考えるか、確かに御指摘のように米を援助輸出に充てて増産を図るべきだという御意見もあるかとも思いますが、いま申し上げましたように、他の飼料作物その他の増産に現に水田が供用されて相当高い実績を持っている事実があること、それからもう一つは、日本米というものを援助に考えるということは、国際的な問題、財政的な問題等でもなかなかむずかしい問題もございます。そういう意味で、いまの時点では米を国内で増産して輸出に充てるという方針は政府としてはとっておりませんが、五十一年以降の米対策の検討の一環としては十分議論を尽くしてみたい、こう思っております。
○永末委員 もともと食糧援助規約というのは、その国の食糧、並びに食糧増産をするいろいろな物資機具、そういうものの援助能力のある国が当たるのじゃないですか。金を出してどこかから買って移すというのですか、どちらですか。
○菊地説明員 お話のように、援助能力のある態様において援助するということはもちろん好ましいことであります。ただし、もしその議論を突き詰めますと、食糧の輸入国はこれを援助するのがそもそもおかしいという議論になるかと思いますが、しかしこれは、一九六七年に食糧援助規約ができましたときに、輸出国、つまり自分のところで援助物資があるという国のみならず、輸入国もこの食糧援助規約と言いますか、食糧援助をやるべきであるということが決まりまして、それがこの食糧援助規約の根本の精神になっておりますので、その分、日本は二十二万五千トンの小麦に相当する金額千四百三十万ドルを援助するということに決まりまして、それでその際に日本は、先ほど申し上げましたように小麦は輸入国でございますので、米その他の農業物資ということで援助する、しかもその押さえ方としては、千四百三十万ドルという金額の方で日本は義務を負っているということでございます。
○永末委員 きょうはこの程度で終わります。
○栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる十四日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
    午後一時十六分散会