第075回国会 大蔵委員会 第34号
昭和五十年六月二十日(金曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 山下 元利君 理事 山本 幸雄君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 増本 一彦君
      越智 伊平君    大石 千八君
      金子 一平君    瓦   力君
      小泉純一郎君    原田  憲君
      坊  秀男君    宮崎 茂一君
      山中 貞則君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    武藤 山治君
      山中 吾郎君    横路 孝弘君
      荒木  宏君    坂口  力君
      広沢 直樹君    内海  清君
      竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
 出席政府委員
        経済企画政務次
        官       安田 貴六君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁物価
        局長      喜多村治雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    小島 英敏君
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房審
        議官      岩瀬 義郎君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        大蔵省理財局長 吉瀬 維哉君
        大蔵省銀行局長 高橋 英明君
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本銀行総
        裁)      森永貞一郎君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十七日
 辞任         補欠選任
  横路 孝弘君     岡田 哲児君
同日
 辞任         補欠選任
  岡田 哲児君     横路 孝弘君
同月十八日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     熊谷 義雄君
  宮崎 茂一君     中尾 栄一君
  村岡 兼造君     吉川 久衛君
  松浦 利尚君     下平 正一君
同日
 辞任         補欠選任
  吉川 久衛君     村岡 兼造君
  熊谷 義雄君     大石 千八君
  中尾 栄一君     宮崎 茂一君
  下平 正一君     松浦 利尚君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  坂口  力君     岡本 富夫君
同日
 辞任         補欠選任
  岡本 富夫君     坂口  力君
同月二十日
辞任          補欠選任
  藤田 高敏君     堀  昌雄君
  米原  昶君     荒木  宏君
同日
 辞任         補欠選任
  堀  昌雄君     藤田 高敏君
  荒木  宏君     米原  昶君
    ―――――――――――――
六月十九日
 社会保険診療報酬課税の特例に関する請願(寺
 前巖君紹介)(第三七五八号)
 同(寺前巖君紹介)(第三八〇一号)
 同(寺前巖君紹介)(第三八三三号)
 たばこ小売定価及び酒税の引上げ反対に関する
 請願(増本一彦君紹介)(第三八九五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
○上村委員長 これより会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 なお、本日の議事に関し、十一時二十分から参考人として日本銀行総裁森永貞一郎君が出席することになっておりますので、御承知を願います。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日は、十六日に不況対策の第三次の方針が経済閣僚会議で決定をされましたが、日本経済の今後の情勢について政府がこの対策を含めてどういうふうにお考えになっておるかという問題をお伺いし、あわせて、今日きわめて不安定な状態になっておる雇用状態について、将来の見通しを含めて少しお尋ねをしてまいりたいと思います。
 先ほどの委員長のお話にございましたように、きょうは十一時二十分から森永日銀総裁がお入りいただくそうでありますので、金融関係の問題は切り離すというのも実はちょっとむずかしいのでありますけれども、それ以後に取り上げさしていただくことにして、最初にもっぱら財政関係を中心とした問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 最初にお伺いをいたしたい点は、今回の不況対策が三回にわたって行われてまいったわけでありますが、この三回の問題をずっとこう並べて見てみますと、大体中身については、一つの路線の上の問題が最初、二回、三回と量的には拡大をされたりいろいろありますけれども、大体大まかに言いまして、一つの路線の上で三回問題が提起をされたという感じがいたします。金融政策についての問題点あるいは開発銀行を通じての公害あるいはその他に関する融資関係の問題点、中小企業の金融関係の問題あるいは住宅金融公庫の融資の関係、公共事業の施行の問題、一つの一連の線の上に並んでおるように思います。
 そう考えてみますと、政府が今日の不況対策を考えられる中では、おおむね手段は限られているなというふうに私は感じておるわけであります。
 まず、福田副総理にお伺いをいたしますが、この一次、二次、三次を通じて、私がいま申し上げましたような方向というのは限られた手段だというふうに理解されるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 申し上げるまでもございませんが、経済は総合的なものである。非常に重要な物価政策を抱えておる。同時に、経済は冷え過ぎてもまた困ります。また、財政の健全性ということも一方においては考えなければならぬ。そうしますと、おっしゃるように、どうも政策手段というものは選択の幅というものが非常に狭められておる。第一次不況対策では、不況が深刻な状態になりつつある、その際にどうしても中小企業の立場を考えなければならぬだろうというので、それを中心にいたしまして対策を講ずる。それから第二次対策となりますと、これは中小企業ばかりじゃない、一般的な対策としてこれを考える必要があるだろうというので、公共事業の円滑なる執行というような点を中心とした考え方をとりたい、こういう考え方になったわけです。
 第一次、第二次の不況対策をとってみますと、その影響も確かにあったと思う。中小企業なんかの金融問題は、わりあいに円滑に実施されたと思うのです。しかし、経済全体として見るときに、不況状態は底に来たというふうには見られるのだけれども、どうも浮揚力が少ない。そこでわが国の経済、五十年度の運営として見ますと、一方においては物価の安定、これを推し進めなければならぬが、同時に経済のなだらかな上昇過程への転換、これも考えておるわけなんで、そのなだらかな転換というものがどうもそのきっかけをつかむことが困難だ。そこで、底には来たものの、その浮揚力、そのきっかけを与えたい、こういう考え方をとったわけです。
 そのきっかけを一体どこでつかむかということになると、個人消費、これもそう自由にこれを操作するわけにもいかぬ。それから設備投資につきましては、これはいま稼働率が非常に低いという状態でありますから、金融をつけますれば、たとえば公害あるいは安全のための設備投資は行われるでしょう。あるいはボトルネック産業という種類のものにつきまして、これも設備投資は起こりましょうが、しかし一般的に設備投資は、景気の浮揚のきっかけをつくるという程度の動き方はいたすまい。そうすると、どうしてもこれは政府自身が持ち得る手を使うほかはない。
 ところが、財政の方は税収がどうなっているか、これは予断を許さぬという心配な状況である。そこで財政投融資、こっちの方は預金の増加が非常に順調です。これを主として使う考え方をとった方がよかろうというので、住宅政策を進める。しかし、かたがた公共事業もあわせ考えないと、住宅の融資ばかりで問題は解決しないというふうに考えまして、上半期の契約率を引き上げるというようなことを考えたわけです。これで大体金融政策の適正な運用と相まって景気は第二・四半期ごろからはなだらかな回復過程に入っていくだろう、こういうふうに私は見ているわけであります。
○堀委員 いまお述べになりましたことは、私が今度の不況対策で限られた政策手段ではないかと言うことを具体的に副総理がお述べになったと思うのであります。
 そこで、ここでいま個人消費はなかなか刺激の手は見つからない。設備投資も稼働率が下がっておって、公害なり安全なりボトルネックの問題は別としても、なかなかこれもむずかしい。輸出も最近の情勢はだんだんと下り坂になってきておる。在庫はまだ依然として、底入れをしたとはいうものの、なおかつ必ずしも在庫調整が終わっておると言いにくいものもある。こうなってきますと、確かに構造上から見て手を打つところは、政府の財貨サービスのところをさわるということにならざるを得ないのだと思うのです。
 そこで、二、三伺っておきたいことは、第三次では、第二次の対策でやったことをここまでやってますとここで明らかになさったことは、私はこれまでの政府の政策発表に対して非常に前進だと思うのです。どうもこれまでは言いっ放し、やりっ放しで、後のトレースが行われない。私は当委員会でよく申し上げてきたのですが、トレースをしてみて初めてその政策の適否なり今後の対策なりが考えられるのであって、どうもそのトレースが不十分だという点を私は強く感じてきたわけであります。
 そのトレースに関連して、第一次は四十九年度中のことですからこれはちょっと差しおくといたしまして、この二次、三次の不況対策というものがいま実施されて、たとえば公共投資については今度は上期七〇%ということがすでに述べられておるわけでありますけれども、実は過去の公共事業の上期における契約の状態は三つに別れておるようですね。
 要するに、大体ニュートラルな処理をするときと、それから圧縮をして景気の進行に歯どめをかけたいということで逆に上期を少し減らすという考え方のときと、それから景気浮揚刺激をやろうというので上期にシフトさせる、いまもそうでありますけれども、四十一年、四十六年、四十七年というのはまさに上期にシフトをさした。それから四十八年、四十九年というのは下期の方へ、これまでの平均から言うとシフトさしておる。
 こういう情勢があると思うのですが、これは結果でありましょうけれども、四十一年は契約率が上期七四・九、四十六年上期七六・七、四十七年上期七三・九。四十一年、四十六年というのは例の不況対策として行われたのですが、計数だけで見ると約五%ぐらい今度の方が低いように思うのですね。四十一年は七四・九ですから約七五、四十六年は七六・七ですから約七七くらいになっている。ここでは上期のシフトを大変大きくしているのですが、ことしは七〇です。
 確かに相当不況不況と言われておるが、実はこの四十一年、四十六年不況に比べると、不況の程度というのは今度が一番深いと見ていいのじゃないかと私は思うのです。それがどういう意味で七〇にとどまったのでしょうか。これは経済企画庁長官からお答えいただくのがいいのか、大蔵大臣からお答えいただくのがいいのかわかりませんが、どちらからでも結構ですから、これは過去の例から見ると、まだ少し低いような感触もあるのですが、いかがでしょう。
○大平国務大臣 お趣旨のとおりでございますて、七五、六%まで上期に契約を消化した年もあったわけでございますが、ことし七〇%程度に上期に契約の消化を期待しておりますということは、一昨年と昨年は御案内のように契約を規制してきたわけでございます。契約を規制した年は御案内のように五四、五%と上期の水準はそういう程度に抑えてきたわけでございます。それで、去年の補正予算の後、景気の状況、物価の状況を見まして、政府としてはこういった強い規制を続ける必要はまずないのじゃないかという判断をしたわけでございまして、したがって、抑制もしないが促進もしないということにまず帰そうじゃないかということを考えて実行してまいったわけでございます。そういたしますと、促進する年が大体七五、六%程度でございますので、六五、六%というようなところへなってまいるのがわれわれの見当であったわけでございます。
 ところが、実際は、各省庁が相当勉強をしていただいたとみえまして、最近の契約状況というのは非常に順調に進んでおります。とりわけ大口の、たとえば電電公社なんかを見てみますと、すでに八〇%に近づいておるわけでございます。したがって、六五、六%とわれわれが見積もっておったよりは相当高目にいきそうだということでございますので、この傾向をさらに促進する必要があるかどうかということを判断いたしました結果、ともかく一応突っ込みにいたしまして七〇%程度というところで上半期はお願いするのが、いまの呼吸としては一番いいのじゃないかということでございます。
 もっとも、これは上半期の状況を見ておるばかりでなく、過去における契約の消化状況を見まして、景気の状況、物価の状況を見ながらわれわれは常に対策を考えてまいらなければいかぬわけでございますので、何もこの姿勢で相当な長期間にわたっていこうとは考えていないわけでございまして、もう少し状況の推移を見た上で、もう少し進める必要があるのか――いまは全体として予算とか財政の計画そのものには触れていないわけで、下期の予算を繰り上げて上半期に契約を集中しようという考え方までいっているわけでございますから、今後の状況を見まして、下半期に残された三〇%というようなことで十分なのかどうかという問題は確かに出てくると私は思いますけれども、この上半期のいまの状態におきましてはまずそのあたりが、過去の経緯から見まして、それからいまの経済の景況から見まして妥当なところじゃないかという感じでございます。
○堀委員 まだいま六月ですから、上期というのは四月から九月までですから、まだ今日のことだけですべてを律することはできないと思いますが、私は、この景気対策というものは、まあ何にしても対策を決めてからそれが実際に効果が上がるまではかなりのタイムラグを生じてくる、こう思うのですね。
 そうしますと、景気対策をやるときにちびちび何回かやるというのは、結局全体がずれてオーバーラップしながらいくわけでありますけれども、さっき企画庁長官がどうも景気に対するきっかけをつかむことが困難だから、なだらかな上昇に対してきっかけをつかむことが困難だからやったというふうにおっしゃったのですが、きっかけをつかむというのは、要するに車なら車を考えてみますと、いま十キロで走っておる、どうもエンジンの調子がよくないというようなときに、何かともかくぐっとアクセルを踏み込むことによってぴゅうっと出す、そこを私はおっしゃったのだと思うのですね。
 要するに、加速度をちょっとつけて、この加速度をつけるもの自身の力はそんなにない、全体の日本の経済から見て部分的な力だけれども、これに加速度をつけてやったときに、それがその他に、そして全体に波及をしてようやくなだらかな上昇に乗るようになるという意味だと私は理解をしているものですから、そうなると、やれることは少しぐんとやらないとまずいのじゃないかという感じがしたものですからお尋ねをしたわけです。
 過去の四十一年、四十六年のときに七五%まで来ている。確かに昨年は当初は五二%ぐらいで物価抑制のために上期は抑制されていて、しかし下期になってかなり第四・四半期を含めて公共投資がしっかりとやられたわけですね。四十九年については、公共投資はすでにかなりこういう上向きなカーブに乗っていたと思うのですが、このカーブに乗っているやつをひとつここで加速をしていくということなら、何か五%というとそんなに大きくないかもしれませんが、いまはもちろん物価の問題がありましょうが、公共投資というものは急激にさっと効かないものですから、その点は私はちょっと何か福田長官のおっしゃった意味の内容のことと実際に行われたことが少し幅があるような感じがするわけです。これが一点。答弁は後で伺います。
 それからもう一つ、第三次対策が発表されたときに、通産大臣は直ちにこれでは不十分だという意見をお述べになっておるのですね。これは新聞で拝見しているわけですから、どこまでが真実か私も確かめておりませんけれども、私はどうも内閣で第三次の対策というものを発表されて、そうして特に企画庁長官のお話か何かでは、これでひとつ当分様子を見たいのだとおっしゃっているときに、同じ閣内からこれでは不十分だという意見が出るというのは、私はまことに内閣の一体性から見ておかしいなあ、こういう感じがするのですが、企画庁長官、それはどういうことでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 河本大臣は、閣僚会議のときも金利のことを力説しているのです。企業の採算のことを考えても、景気の先行きを考えても、金利をもっと下げてもらいたいのだ、こういう御発言をしております。自民党の方でもそれに類似した発言がありました。そういう発言を踏まえて金利問題について自分の所感を述べた、こういうことでありまして、今度決められました第三次不況対策の位置づけということにつきましては、これはもう閣内何の意見の違いもない、そういう金利政策についての希望を込めてああいう発言をされておる、そういう理解をしております。
○堀委員 金利の問題はもう少し後で触れさせていただきますから、もう少し財政関係の問題でお伺いしていきたいのであります。
 そこで、この二次、三次の公共事業あるいは住宅金融公庫の貸し出し等、開銀の融資もいいのでありますけれども、これが実際に実需となってはね返る時期というものは一体どのくらいかかるのか。要するに、契約が済みましてもそれで景気が上がるわけではないのでして、契約が済んで、それに基づいて実施計画がつくられて、工事が実行されて、最終的なお金も払われる。その工事が進行する過程の中で実は実際の実需が起こってくる、こういうことになると思うのですね。
 そうしますと、大体公共投資のそういう時間のずれ、タイムラグでありますが、これは大体どのぐらいと理解をしていいのでしょうか。大蔵大臣、ひとつお答えをいただきたい。
○大平国務大臣 常識的に数カ月、実体経済に浸透してまいるにはタイムラグがあると思います。ただ、経済は申すまでもなく先の展望に立って今日の決断をすることを意味するわけでございますから、今日こういうことが景気対策として行われるということのいわばアナウンスメントエフェクトというものは、私は非常に大きなものがあるのではないかと考えております。
○堀委員 いま大蔵大臣の言われたアナウンスメントエフェクトということは私も承知しておりますが、いま一番問題になっておりますのは、実需がないために実際は景気が上がりにくい。要するに品物が売れない。在庫減らしが思うようにいかない。その在庫減らしが思うようにいかないというので、実は稼働率が上げられない。これが全体にぐるぐる回って、設備投資もいかない、個人消費もいかない、こうなっているのだと思うのですね。
 ですから、そういう心理的な波及効果というものはもちろんありますが、これはちょっと計測できないファクターでありますから、これはちょっと横へどけて、実体経済に対してどれだけの実需をもたらすのか、それの時間的な波及効果を伺っておりますのは、恐らくこの第三次対策が行われても私は向こう三カ月ぐらい目に見えるような効果は出てこないだろう、こう見ているわけです。そうすると、要するにいま六月ですから、ようやくこういうものの影響が出だすのはまあまあ九月ごろからになるのではないか。
 そうすると、まだ七、八とありますと、まだ不況がちっとも解決せぬじゃないか、何とかしろ何とかしろという声がまた出てくるだろうと思うのですね。実際は、いまその時点でまた何かやったって、それが出てくるのは私は大体全体としては六カ月ぐらい、半年ぐらい、一クォーターから二クォーターの幅の間に徐々になるのではないかと見ているのです。それは後で確認をしますが、全体がずれるのですから、いつも問題が起こるのは、こういうふうにいろいろやってきて徐々に問題が動いているけれども、経済統計では必ずしもそれが完全に把握できていない。
 そうすると、不況感は依然として残っている。またやれ、またやれと言われてやってきた経過が、私は過去のこう来たやつがまたぴゅうっとなって問題を繰り返したような気がするわけですから、いろいろやっているけれどもこれは不況感をなかなか払拭できないのだということを政府が明らかにしておかないと問題が残るんじゃないだろうかという気がするので、私はいまこれを伺っているわけなんです。
 それで、どのくらいのタイムラグがあって、実際にはこれが本当に効果をもたらすのは大体この辺からになる、このものの効果はこの辺から出てくる、それはほかの問題にも関連してきますし、途中にもありますし、いまの大蔵大臣のおっしゃったアナウンスメントエフェクトというものもあるのですが、これは計測できませんから、計測できるものだけで見たらこういうことなんだということを政府は明らかにしておかないと、三次対策をやったら何か好況感がすうっと来るようなふうには政府も考えておられないだろうと思うのです。私もこれで好況感が出るなんて思っていないものですから、そこのところをひとつ明らかにしておかないと、今後の政策の運営上にまた誤りを来すおそれがあるのではないか、こう感じますので、ちょっとその点をもう一回お答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 好況感という問題のとらえ方の問題があるのですが、わが国は過去十数年にわたりまして高度成長だ。そういうときの実質成長率は一〇%を超えるという状態で、そういう中で一三%成長、一四%成長。そうすると、これは大変な好況感。ところが一〇%、これは国際水準の倍です、これをちょっとでも割るというようなことになるとこれは不況感だ、こういうような状態で、わが国の好況、不況のとらえ方というものがまさに異常な状態であったと思うのです。そういう異常な形の好況感というもの、これをまた再び復元しよう、こういうようなことを考えながら好況感ということを期待する、そういうことがありとすれば、これはそういう意味の好況感というものは当分はこないというふうに私は考えます。
 私どもが国民に申し上げたいのは、そういう意味の好況感はもう期待できません。しかし、四十九年度中はとにかくマイナス成長、戦後初めて経験した事態ですが、これからはそうじゃない、一歩一歩なだらかな成長過程には入るんだ、そのことをもって満足してもらわなければならぬ、そのことをもって将来への希望というふうに考えてもらわなければならぬ、これはよくその辺はわかってもらわなければならぬ、こういうふうに思うのですが、そういうなだらかな成長過程への足取り、これが定着するようになれば、私は日本の経済の運営としては大変結構だというふうに思い、それをもって国民には満足していただかなければならぬだろう、そういう道筋はぜひ実現をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
 いま私は、日本経済は底に来た、こういうふうには見ておるのです。一月になってから在庫は久しぶりに減り出しておる。ずっと今日まで減り続けておるのです。それから在庫が減れば、経済循環の過去の実績から言うと、ややおくれて生産が伸びる。今日もその状態になってまいりまして、三月、四月、月末あたりになるとまた五月の統計も出てきますが、さあこれがどうなりますか。六月あたりはまた伸びる、こういうようなことになれば、生産上昇の路線というものがかなりはっきりしてくるような次第です。
 出荷の動きも非常に頻繁になってきた、こういうような三、四月の傾向でございます。操業率も一時は七六%だというのが、生産の活動につれましていま七九まできておる。雇用の方の悪化、これも頭打ちの状態、こういうことになってきておるわけです。ここでちょっとそういう流れに対しまして刺激を与えるということになると、この流れというものがなだらかな上昇過程、これが定着していくのじゃないか、そういうふうに考えておるのです。それを考えながら第三次不況対策ということをやってみたのですが、これでいけるのじゃないかという見通しのもとに情勢の推移を注視してまいりたい、こういう考えでございます。
○堀委員 好況感、不況感の問題はこれは感じに過ぎぬですから、確かに企画庁長官がおっしゃったようなことだと思うのですが、国民も経済界も長い間そういう好況の中にいたものですから、四十年不況のときでもあれは実質たしか五%ぐらいだったですね。しかし、大変な不況だと言って大騒ぎしたわけですね。先進諸国は大体五%平均のところにあって、向こうはそれで大体好況だと言われているときに、同じ実質成長率で不況だというのはどこに問題があるか。
 これはまさに日本の企業の企業体質にあると思っているのです。損益分岐点が非常に高いものですから、ちょっと生産が下がってきたら金利コストによって非常に問題が起こる。だから、さっきの河本さんの金利問題のお話は後で触れますけれども、企業はともかく過去において何か超過利潤を求めるために、本来先進資本主義国ではあり得ないような財務構造、借り入れ方をしておいて、そしてその借金の金利が高いから下げろという話は大変虫のいい話だなという感じが私はしているのです。これはやはりそういう財務構造から直していかなければ、今後国際競争の上でも大きな問題になってくるだろうと思っているのです。
 成長が許されているときはまだいいのでしょうけれども、いまの副総理のような話になりますと、要するに福田さんは、これからの成長のあれは西欧先進諸国の高い方の水準にいけばそれが大体適正だ、こうおっしゃっているわけですから、成長の足並みが並ぶわけですね。足並みが並んだときに損益分岐点の低い国と高い国というのじゃ、これは基本的に競争になりませんね。だから、そこらはいまのこういう情勢を考えながら、やはり企業がみずからの反省の中でそういう財務構造を転換していくということを政府が積極的に指導なさらないと、長期的に見れば輸出競争力の大幅な低下につながってくるだろうと思うのであります。
 しかし、それは後に残しまして、不況感と言った方がいいと思うのですが、不況感がずっと続くのだということですね。これをあたりまえなんだというふうに本当に皆さんが言い切るのなら、私は今後の景気対策のあり方というものはそれなりに変わってくると思うのですよ。だから、そこのところは非常に重要な問題なんですね。
 それから、さっき私が触れましてまだお答えいただいていないラグの問題ですね。これも、ここまでくれば大体こうなりますよということがある程度自信を持って言えれば、もっとやれもっとやれに対して、それはこういうことですということがはっきり言えると思うのですが、そういう問題も必要だ。両方あると思うのですね。その点は大蔵大臣どうでしょうか。公共投資の実体経済に対する影響、これをどのくらいのラグがあると大蔵省は見ておられますか。
○大平国務大臣 いま大変微妙な内外の状況でございまして、堀さんも御心配のように、ある景気政策のパターンを実行して立ち直りが期待できるというやさしい状態ではないと思うのであります。ただ、こういう状態におきましてこういう時代の困難さも知らなければなりませんし、また事態が容易でないから相当時間がかかる、苦労が多いということも、政府も国民も承知してかからなければいかぬ問題だと思うのであります。だけれども、そういう中にあって大体の見当をつけないといかぬじゃないかというお尋ねだろうと思うのであります。
 ここでやや明るいことを申し上げたいのだけれども、私、これはどうも薄氷を踏む思いでやっておるわけで、いつまでごしんぼういただけばこうなりますよというようなバラ色の展望がなかなか出にくい状態にございます。ただ、一月以降の日本の経済の足取りを見ておりますと、こういう困難なときにもかかわりませず、いま福田さんもおっしゃったとおり、経済指標を一つ一つ綿密に見てみますと、内外の諸条件が非常にむずかしい中にありながら輸出と輸出以外の計数、指標は、徐々ではございますけれども比較的着実な立ち直りの徴候が見えておると思うのであります。これは去年からことしにかけましての政府の施策が、このごろになって少しずつ効いておるのじゃないかと思うのであります。
 したがって、あなたのタイムラグ半年見当、数カ月というようなところで浸透のテンポがそうなるのではないかというような考え方は私もあなたも余り違わぬわけでありますが、だといたしますと、この夏から秋にかけて、いまの状態よりはやや展望が明るくなってこなければならぬはずではなかろうかということでございますので、ここは困難も知ってもらわなければいかぬし、足るを知ってもらわなければいかぬけれども、同時に、お互いにまずトンネルから抜け出しかけたじゃないか、ここいま一息のしんぼうじゃございませんかと申し上げたい気持ちでございます。
○堀委員 私は、いまの御答弁を聞きながら、政府は自信を持っていないなという感じが痛切にするのですね。私は、いまの御答弁を聞くと、アナウンスメントエフェクトはゼロかマイナスという感じがしてならないのですね。私はこれからうかがえるのは、政府は経済見通しというものを一応出しているわけですね。これはもう福田さん、閣議で決まっているのですから、政府の一つの方針なんでしょう。だから、この一つの方針を掲げたのなら、改定をしないうちは政府はこれに拘束をされる、こうなるのじゃないでしょうかね。
 そうすると、経済見通しを皆さんの方でつくられて、実質四・三という成長を考え、まあ名目をこう考えたというときには、ただ漠然とこれを鉛筆なめて数字を入れたわけじゃないでしょう。いろいろやはり計測をしながら、第一・四半期はどうなって、第二・四半期はどうなって、第三・四半期、これをずっと考えてみた上ですべてのファクターが構成されているのだと私は思いますから、そうすると、やはり何らかの目標を提示して、われわれはこれだけやったら少なくともここまでは財政の効果でいきますよ、しかし、ここまでいくのなら、それにつけて、要するに他の諸要素も動くような配慮はまたそれなりに産業界も考えてくださいということでないと、いまのお話を聞いていますと、もう何だか自信がない、まあ何とかなるでしょう、そこが民間の側からしますと非常に不安でたまらない。一体、政府は本当にやる気があるのかないのかというように受け取れて、結果的にはますますさっき大平さんがおっしゃったアナウンスメントエフェクトというのはゼロとかマイナスの方向へいってしまいはしないか、率直に言いましてこういう感じがしてならないのであります。
 そこで、時間があれですからちょっと前に話を進めさせていただいて、四月十五日に大蔵大臣は大蔵委員会で、今後の経済運営について現状と見通しのようなものをお話しになりましたね。そこで要するに財政欠陥が生ずるかもしれないということをお触れになって、あわせて各種の公共料金やその他についてお触れになったわけですね。
 そこで、財政欠陥がふえるということは、いま私が申し上げた経済見通しが実際には狂ってくるから、経済見通しで見通した状態が予想のようにいかないために財政欠陥が起こるのだというふうに私は理解するのですが、大蔵大臣、それでよろしゅうございましょうか。
○大平国務大臣 それだけではないのです。ことしの経済の見通しは、去年の補正予算をつくりました当時の見通しをベースにして立てておるわけですね。ですから、ことしの見通しが見通しのとおりにまいるということが一つと、それからそのときがわれわれが考えておったより落ち込んでおったということでございますので、発射台がすでにレベルが低かったわけです。したがって、二つが埋められなければ予想どおりまいらない。理屈としてはそうなるわけです。
 ただ、経済は、しかしながら内外の諸条件に支えられた生き物でございますから、ことしこの後十カ月いろいろの経済政策もやるし、どのように推移してまいりますか、どのように活力を取り戻してまいりますか、これはまだわかりませんけれども、冷たく理屈で言いますとそういうことになるんじゃないかと思います。
○堀委員 いま二つの問題についてお触れになりました。見通しが見通しどおりにいくかどうか、これが一つですね。それからもう一つ、見通しを立てたときのベースが実は違っていた。これもしかし見通しのうちなんですね。中身なんです。ですから同じことだと思うのです。総括すれば、見通しが狂ってきたという場合に財政欠陥が生ずるのだ、こういうことになるわけですね。よろしゅうございますね。
 そこで、大蔵省は、福田さん、見通しは狂うんだろうという心配をしておるわけですね。だから財政欠陥が出るだろう。狂うか狂わないか、これはさっきお話しのようにまだ後十カ月からあるのですから、これは予測の問題でしょう。だから、それは私は余り触れませんが、どうも大蔵省の方も福田さんも、さっき財政は非常に窮屈な状態に、なっておるということをお触れになっていますから、政府一体として財政欠陥の起こるおそれがあると思っていらっしゃるのでしょうから、そうすると、いまの経済見通しというのは、これは改定する時期とかなんとかは別として、改定を必要とするところにきておるんではないか、これが第一点。
 それから、改定を必要とするときにきているのではないかというのは、いまいみじくも大蔵大臣がおっしゃったように、考えた土台のベースが違っていたということが一つはっきりしているわけです。同時に、少なくとも経済見通しを立てたのは最終的には一月の閣議だと思いますから、それから六カ月の経済運営をやってみた結果、これはかなりどうも問題が出てきている、この二つの問題があるんですね。
 そうすると、私は、こういうような実施が可能でない経済見通しを立てておいて、実はこれは狂うから、財政欠陥が出るからこうしましょう、ああしましょうという話は論理的でないんじゃないか、これはこの際ひとつこの時点において、あなたの言われたなだらかな上昇というものを予測した形での経済見通しを改定して、政府はこれについて責任を持ちます、だからひとつ国民の皆さんこの目標に向かってがまんをするところはがまんをし、努力をするところは努力をしてくださいというような経済運営をすることが今日求められているのではないかと思うのですが、福田さん、いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 お話のとおりだと思います。つまり財政欠陥問題ですね。五十年度には大蔵省としては計算上は九千億程度の欠陥が生ずることになる、これは計算上はですよ、一応の計算としてはそういうことになる。それはどういうことかというと、経済見通しの問題じゃなくて、税収入をはじき出した発射台が低くなってきた、そういうことからそういうことを一応言うのです。
 しかし、実際経済はこれからどういうふうに動いていくか。政府としては実質四・三%、それからノミナルで一五・九%、こういうことを言っているのです。コンマ以下まではどうのこうの、そんなこと言ったってなかなか大きなずうたいの経済がそうぴしっといくわけにはまいりませんけれども、この考え方というものは、景気はなだらかな上昇をずっとしていくであろう、またそうさせたい。それから物価は、卸売物価は七・七だ、それから消費者物価の方は九・九だ、その見当でひとつおさめたい、こういうことが前提になっているわけです。
 つまり、そういう経済見通しの物価の安定基調を堅持しながらなだらかな経済成長をやっていくんだ、そういう展望につきましては、私は今日いささかも変わるところはないのです。ぜひその方向でやっていきたいし、またやることが可能である、こういう見解でありまして、経済見通しをいまこの段階で変える必要はない。
○堀委員 企画庁の調整局長と、それから主税局長にちょっとお伺いしておきたいのですが、いま企画庁長官は、財政欠陥は計数的には九千億だ、しかし、これは経済見通しの問題ではない、こう言っておられるわけですね。しかし、それじゃ皆さんは、財政収入の見通しを何で立てるのか、法人税の収入というのは何で立てるのか、所得税の増収というのは何で立てるのか、これは大蔵省が経済見通しに無関係に立てておるのかどうかをひとつはっきりしてもらいたい。これが一点です。
 調整局長には、ともかく経済見通しを立てたときと今日から見ると段差があって、スタートの高さが違うんだというのですね。それはポイントが幾らになるかは別としても、何らか全体のいわゆるシフトがあるのだろう。そうすると、いま福田さんのおっしゃるように、経済見通しには関係ないとおっしゃっても、段差があるということなら、いまの見通しはそれだけで――どこか一つだけ例示してもらってもいいですよ、実質四・三というのが、コンマも入れてもらっていいから段差の部分だけで幾ら補正しなければならぬのか、ちょっと事務当局から両方答えてください。
○中橋政府委員 税収の見通しを立てます場合に土台になりますところは、まず第一に、私どもが常々持っておりますところの課税実績でございます。その課税実績を将来に向かって延ばすわけですが、そのときにいろいろな手法をとります中で、主な手法としましては、やはり経済見通しの中にいろいろな、たとえば生産、物価あるいは給与、個人消費支出といったものが一体どういうような伸びをするだろうかということがありますから、そういうものを使いまして延ばすわけでございます。
 そこで、昭和四十九年度におきましても、補正予算を見積もりました段階では、一番最近におきますところの課税実績というものをもとにいたしまして、それから同じようにそのころ策定されておりました昭和四十九年度の経済見通しの見直しの状況も勘案しながら策定したわけでございます。
 それからまた、その段階で五十年度の当初予算の税収の見通しを立てます場合には、そういうことで立てましたいわば四十九年度の課税実績がこの程度になるであろうという見通しの金額をベースにいたしまして、それから四十九年度から五十年度におきますところの生産、物価、給与その他の伸びがどの程度になるかということを経済見通しから借りたわけでございます。
 したがいまして、基本は課税実績あるいはその見通しでございます。それから、その伸びのいわば角度は経済見通しに非常に依存しておる、こういうことになるわけでございます。
○青木(慎)政府委員 四十九年度の実態でございますが、現在私どもが入手できます資料は、国民所得統計の速報でございます。速報は当然三カ月後にまた直されるということがございますので、これに基づいて余り確定的なことを申し上げるのは適当でないかもしれませんが、ただいま入手できます一番新しいもので申しますと、四十九年度のその発射台のところでございますが、名目は、私どもが見込みました百三十六兆八千億円に対しまして、速報では百三十五兆九千二百億円でございまして、約八千八百億円ほど低くなっております。
 それから、逆に実質の方は、私どもの実績見込みは八十八兆六千六百億でございましたけれども、速報では八十九兆六千四百億円でございますので、これは九千八百億円程度高くなっております。
 いずれにしましても、非常に微差でございますので、これをもって直ちに五十年度の経済見通しを動かすほどの差ではないし、あるいはまた三カ月後に動くかもしれませんので、ただいまのところは経済見通しは変えない、こういう考え方でおるわけでございます。
○堀委員 いまの発射台の話は、確かに一%程度ですから、全体から見ますとそんなに大きなことはないでしょうからいいのですが、いま福田さんは経済見通しの問題でないとおっしゃったけれども、財政欠陥というのはやはり経済見通しの問題じゃないですかね、いまの主税局長の答弁を聞きますとね。
 ここが要するにカーブですからね、この角度、土台になっているところだけは課税実績でしょうけれども、それをどうやって延ばすかというこの角度が経済見通しを使っているのですから、角度が違っていれば、先に行けば必ず間違うのです。ですから、その角度の振れの大きさだけ誤差が出るということで、要するに、これは二者択一の話なんですね。財政欠陥が出ます、こう言うのなら、経済見通しは狂いました、こうなるのですね。財政欠陥は出ません、経済見通しは正しくいく、こうなるのでないと……。これは同じものの両面じゃないのですか。
 だから、そこのところはどうも自分らに都合のいいことばかりを、片一方では財政欠陥が出る、ひとつ公務員給与も抑えましょう、米価も上げましょう、こういう話にして、こっちでは、いや経済見通しはもう間違いなく真っすぐいくのですよなんという、こういう矛盾したことを国民の前に言われたら、ますます国民はいまの政府の態度に不信を持つだけだと思うのですね。だから、ちょっとそこはどうなのか、御両者のうちどっちでもいいから、国民が納得できるような整合性のある答弁をひとつしてもらいたいと思います。
○大平国務大臣 副総理がおっしゃったのは、五十年度の政府が立てた経済見通しはそのまま踏襲して変えるつもりはないということでございまするし、またそれを私ども参考にしながら、その他の資料も駆使しながら五十年度の歳入の見積もりを立てておるわけですが、それはいまのところ変えないわけです。
 問題は四十九年度なんです。四十九年度におきましては、いま企画庁の方からも御報告がありましたように、速報値が出てまいったわけでございまして、当初の見積もりと若干の違いが出てきておるようでございます。これは従来とも計画と実績の間には若干の違いがあったわけでございまして、別に不審ではないと思うのであります。
 ただ問題は、そういう状況からどれだけの税収が期待できるかという場合に、やはり税務当局としては、一つの法人税なら法人税、所得税なら所得税、その他の税目なら税目にどれだけの減収が出るかあるいは増収が期待できるかという、いわゆる弾性値というものですか、それを適用してまいるわけでございます。去年は経済の変化が非常に大きい年でございましたし、私は、主税当局のベテランをもってしてもこの弾性値を適実に適用してまいるというようなことがなかなかむずかしかったのではないかと思うのでありまして、そういう技術的な誤差はわれわれが予想以上に出たのではないか。それはわれわれ税務当局として反省せねばいかぬことであると考えております。
○堀委員 どうもお話を聞いておりますと、何か技術的な誤差だとか、見通しもいまの誤差だとか、誤差で解消できるぐらいなら、私はそんな大した問題ではないと思うのですよ。たとえば、いま四十九年度の問題が出ましたけれども、七千億とか八千億とかという財政欠陥になるということになったのですね。これは補正予算を組んだのはたしか十一月でしょう。十一月に組んで、それで半年後にこんなことが起こるというほど変動があったということは、そういう技術上の問題よりも、経済の変化が非常に予想したより大きかったということじゃないのでしょうか。
 実際には、鉱工業生産が大幅に落ち込んできたのは十月からですからね。十月、十一月、十二月、一、二、三月と、がたがたがたっと落ちてきたということで、これがやはり全体へ影響してきたのだろうし、経済指標というのは早いものでも大体一カ月おくれ、長いものは三カ月おくれぐらいでないとよくわからないということがありますからね。だから、私は、いまの経済見通しという問題は、その時期で改定の見通しを使ってもなおかつ誤差が出たんだと思うのですよ。
 だから、いまの問題というものの原因の所在を明らかにしておきませんと、要するに税務技術の問題で起きたのではなくて、経済の実態の動き方が予想したようにいかなかったから出てきたところが一番大きいのではないか。それでないと半年で八千億とかということにならないだろうし、伝えられるところによると、ことしの財政欠陥でもいま計算上九千億という話が出ましたが、中橋さんに伺いたいのですが、一体計算上九千億というもののベースは何ですか。経済見通しはいまのとおりちゃんといきますよ、しかしなおかつ九千億出るというのは、一体これは何から来るのか、ちょっと明確にしてもらいたいのです。
○中橋政府委員 約九千億五十年度に計算上欠陥が予想されますと考えましたのは、先ほども御説明申しましたように、四十九年度の課税実績がこの程度で終わるであろうということをベースに、五十年度の伸びをそれぞれ見まして五十年度の税収をはじいたわけでございますから、そのいわば発射台が落ちまして、四十九年度に七千六百八十六億円の税収の減が生じました、そのベースの落ちを落としまして、そして伸びは、当初見込みました五十年度の伸びを仮にそのままを使ってそれぞれ税目別について計算をやってみますと、七千六百八十六億円という四十九年度の税の減収が約九千億円になるということでございます。
○堀委員 そうすると、それは発射台の違いだけですね。言うなれば、いま調整局長が言ったGNPベースで八千億か九千億の差が、税収でも九千億になるということですか。
 いま、GNPベースで名目で九千億ぐらいだと言いましたね。そうすると、GNPというのは百三十六兆ですよ。税収というのはいま十七兆ですか、一けた違いますね。片一方のGNPの影響と一けた違う影響が同じように税収に出るなんというのはどうも私には理解できないのですが、いまの発射台発射台と言って、片一方ではGNPの一%以下だなと私はちょっと見たんだけれども、どうもそこらがちょっと私には理解できないのですが、これはどういうことになっているのですか。
○中橋政府委員 GNP全体で、また年度間全部を通じての誤差はそういうことになったと思いますけれども、税収でそれぞれの減収を生じましたいろいろな税目別の要因を見てみますと、確かに全体のGNPの影響よりはかなり部分的に強く出たものがあったと思っております。それがまた私どもの見積もり違いを生じた原因でもあるわけでございまして、たとえば、十二月のボーナスの見込み違いとか、あるいは三月におきますところの申告所得税の確定申告の見積もり違い、特に土地の譲渡所得の見積もり違いというようなことになってまいりますと、やはりGNPの結果としましての差異よりは、税収に大きな影響を及ぼしたのではないかというふうに考えております。
 それで、そういう落ちをベースにいたしまして、先ほど申しましたように、五十年度の伸びをそのまま乗じましたところが九千億でございますから、そういった事態がさらにたとえば土地の譲渡所得につきまして一体どういうふうになるのかというのは、これはまた全体のGNPの動きとはかなり違ったものがあるのではないかというふうには思っております。
○堀委員 時間がありませんから、資料としてひとつお願いをしておきたいのですが、七千六百八十六億円というものが見込み違いで出てきた分析を出してくれませんか。要するに、あなたがいま言われた幾多のファクターがありますね、課税実績の見込み違いもあるし。その課税実績のベースの違いと見込み違いと、それからいまの経済見通しが予想したようになっていなかった部分、いろいろな部分が影響してこうなったのでしょうから、ひとつ七千六百八十六億円についての分析したデータを出してください。
 これが出れば、それをもとにして私どもはさらに今度の五十年度の税収について、すでにもう狂っているところがありますね、要するに、あなたの言うように発射台の違いというのは五十年度ベースでも出てくるわけだから、そこで、それはどうなるのだと、こう積み上げてみれば、いまの経済見通しの変動を除いてみてもこうなるという問題が出るでしょうから、これはひとつデータとして当委員会にお出しをいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○中橋政府委員 できるだけ早く調製しまして提出いたします。
○堀委員 そこで、森永総裁もおいでをいただきましたので、これから金融政策を含めての不況対策の問題について話を進めさせていただきたいと思います。
 最初に、さっき福田企画庁長官から、要するに河本さんが金利問題について不満があったからああいう発言になったのだ、金利問題を除けばあれでよかったのだ、こういうお話がございましたね。
 そこで、今度の第三次不況対策の中の金融面で、「金利負担の軽減 企業経営面における金利負担を軽減し、物価の安定に資するため、市中貸出金利の引下げが促進されるよう配意するとともに、事業債発行条件の低下のための環境整備に努める。」金融の問題はこういうふうにありますね。そうすると、河本さんはこれに不満なんですよ。第三次対策に不満があるのは、金利部分についての不満だ、こうおっしゃいましたね。金利部分がないのかというとそうではなくて、この中に、いま私が読み上げたようなことがあるんですね。しかし不満だと言われるのですね。これは何が不満なのか。それは河本さんでないからあれでしょうが、福田さんはこれはどういう不満と理解されたのか、お答えいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 河本通産大臣は、かねがね産業界の金利負担の軽減を強力に進める、こういうことを主張しておるわけなんです。この間の経済対策閣僚会議でも同様の発言があったわけでありますが、あの決定がなされた直後の記者会見で、なお景気対策が必要であるという発言をしておるのは、恐らくその企業の金利負担の軽減を一層進めてもらいたいという強い意思表示をしたのだろう、こういうふうに思います。
○堀委員 ここには「企業経営面における金利負担を軽減し」と、こう書いてあるんですね。「金利負担を軽減し」と書いてあるだけではだめだ――これは通産大臣がおいでになれば一番はっきりするのですけれども、きょうは商工委員会があるようで無理ですからお呼びしなかったのですが、率直に言いますと、どうも私は理解に苦しむのです。
 新聞の伝えておるところによると、結局ここの「金利負担を軽減し」というのは、通産大臣は公定歩合の引き下げもあり得ると理解をしたということのようだし、大蔵省側は、いやそんなことはこの中には含んでいないのだと、こういうことになっておりますが、大蔵大臣はここはどういうことでしょうか。この「企業経営面における金利負担を軽減し、物価の安定に資するため、市中貸出金利の引下げが促進されるよう配意する」と書いてあるこれは、公定歩合というものは別個として、要するにこういうふうになることを指導したいということなのか、あるいはこれは公定歩合を含めて今後そうしようということなのか、この政府の文面は何を意味するのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 公定歩合政策は申すまでもなく日本銀行の政策委員会の専権事項でございまして、政府がとやかく言うべき性質のものではないと思います。ただ、金融機関を指導監督する立場といたしまして、そこに書かれてあるような趣旨で金融行政をやってまいることは私どもの務めと考えております。
○堀委員 福田さんもこの点は同様な御見解でしょうね。
 そこで、この間から、六月十日と六月十四日に、六月十日はどうも福田さんの御発言ではなかろうかと思うのですが、預金金利はそのままにしておいても公定歩合の引き下げ余地はあるのじゃないかというような趣旨の新聞の記事を拝見した覚えがありますし、十四日には、日銀総裁の定例記者会見でやはり同様の趣旨の御発言を私は拝見したわけですが、これはどういう趣旨に基づいての御発言なのか、ちょっと福田さんと森永さんからお答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 私が積極的に発言をしたわけじゃないのです。ですから、どういう趣旨という趣旨はないわけなんですが、問われるままに新聞社の記者会見の質問に答えまして申し上げたわけなんですが、私は、預金金利をそのままにしておいてさらに公定歩合を引き下げる余地がないか、こう言うと、私は専門的に検討したわけじゃございませんけれども、いろいろな有識者の意見等も聞きまして、まだ多少のとこはある、こういうふうに思っているのです。それを率直に申し上げた、こういうことでございます。
○森永参考人 記者会見で申しましたのは、先般の〇・五%の引き下げが預金金利の据え置きということから来る限界であったのか、そういう質問に対しまして、預金金利を据え置くことは限界であったとは思わない、もちろん今後さらに公定歩合を引き下げる場合には、金融機関の収益に影響するわけでございますが、その収益の面から、程度の問題ではございますが、これ以上の公定歩合引き下げを不可能にするという決め手はないのではないか、そういう趣旨のことを申したわけでございます。
 もちろん、公定歩合を引き下げますれば金融機関は、いろいろ業態によって影響は違いますが、収益は圧迫されるわけでございますけれども、今後の資金量の伸びという問題もございましょうし、また金融機関相互間においてすでに収益力の格差もあるという現状がずっと続いてきておるわけでございますので、その収益の観点だけから申しまして、どうも公定歩合をこれ以上下げられないという決め手にはなっていない、そういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
○堀委員 福田さんは、計数的には検討したわけじゃないけれども、まだ多少やろうと思えばやれる、こういうお答えでありました。それから森永さんも、収益から見て多少問題はあっても、これもやろうと思えばやれないことはないんだ、こういう趣旨でございますね。
 そこで、ちょっと私、これは事務当局の方でお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、過去の例を調べてみますと、一年の定期預金の金利が、四十五年四月二十日に五・七五%となりましたね。これは九年ぶりの改定で五・七五%。そうして四十六年の五月八日に公定歩合が五・五%に下がりましたね。四十六年不況の中での金利改定がそれからだんだんスタートをするわけですね。そうして四十六年五月八日五・五%、七月二十八日五・二五%、十二月二十九日四・七五%、それから四十七年六月二十四日四・二五%と、要するにこの間四回の公定歩合の引き下げが行われて、定期預金金利と公定歩合の乖離が一・五%に達しておるという歴史的な経過があります。
 それじゃこのときの、いまのお話の金融機関の収益状況というのは一体どういうことだったのだろうか。期間的に言いますと、四十五年四月二十日の五・七五が四十六年五月八日から徐々に格差を拡大しながら、一番大きく開いてきたのは四十七年六月二十四日で四・二五だ。ただし、四十七年七月十七日に、私が大変反対をしたけれどもついに預金金利を五・二五に下げるという過剰流動性を発生させた非常に大きな問題点が起きた改定があって、ここで一%差にまた戻るのですけれども、しかしなお引き続き、次に五・二五%を公定歩合が超えるのは四十八年五月三十日ですから、約十カ月後までさらにその乖離が続いておる。長期にわたって公定歩合と預金金利が逆ざやのような現象になっておった時期があるのですね。この間の金融機関の経理状況というのは一体どういうことだったのだろうか。どなたからでもいいですから、事務当局でも結構です、お答えをいただきたい。細かいことはいいですよ、大綱をひとつ。
○高橋(英)政府委員 余り資料を持ち合わせておりませんが、ちょうど四十六年度、四十七年度あたりの収益状況ということで申しますと、四十六年度の経常利益で、都市銀行の資料で申し上げますと、四十六年度中はさほどまだ影響がございませんでした。そして四十七年度に入りまして、上期で四・六というのが出、下期で二・八という伸びになった。それまでは大体経常利益では一一%あるいは一三%、七%といったような伸びをしておったわけでございます。そういうぐあいで、経常利益で申しますと、四十七年度あたりで伸びが急激に落ちた。
 それから、金融機関の利ざやで申しますと、都市銀行の数字で申しますと、これは貸出金利回りと預金コストとの利ざやでございますが、四十五年度上下それぞれ一・三ぐらいでございました。それが四十六年度上期に一・一、下期が一・〇、四十七年度の上期で〇・七、下期で〇・六九というぐあいに利ざやが非常に狭まりました。これは総資金利回り並びに総資金コストという総資金利ざやで申しますと、四十五年度は上期が一・〇七、下期が一・〇九、四十六年度の上期は若干上がりまして一・一七ですが、下期に一・〇五になり、四十七年度で初めて一を割りまして〇・八二、下期で〇・七八、それ以来ずっとこの利ざやは下がりつつあります。
○堀委員 そうすると、これはいまはまだ七・七五に対して八ですからね。仮に〇・五今度下げると、一年の定期預金金利で見ると七・五対七・七五で、乖離差は〇・二五だということになるのですね。いまの御両者のお話からすると、これは過去の例から見ても〇・五くらいは可能なのじゃないか、いまの御答弁からするとそういう感じがするのです。大蔵大臣あるいは日銀総裁、これは計数の話なしに抽象論を言ってても仕方がないので、やるとすれば〇・五%以下はあり得ないですから、〇・五%ということではどうなのかをちょっとお答え願いたい。
○森永参考人 先ほど申し上げましたように、金融機関の収益面からは絶対的な決め手はないと思います。程度のいかんによってさらに引き下げることも可能な範囲があろうかと思います。
 ただ、私ども一つ心配いたしますのは、仮に〇・五下げました場合に、お説のように七分五厘になって、標準貸出金利が七・七五になるわけでございますが、一年ものの金利が七・七五、まあ一年もので同ざや、二年ものでは逆ざやということになるわけでございます。そういうことも金利体系上絶対あっては困るということでもないかと思いますが、過去の事例で見ますと、この預金金利と標準貸出金利が逆ざやになりました場合には、とかく金融機関におきましてさやを量の面で埋めようという動向が出てまいります。要するに貸し急ぎ、貸し競いといったようなことが出てまいります。また企業の方でも、借り入れて預金をしても損にはならないわけでございますので、いつ何どきでも支払いができるようにというような意味での過剰な流動性をそこで準備するというような傾向が過去の場合見受けられたのでございます。
 したがいまして、金利体系の問題として考える場合にはそういうことが果たして起こらないだろうか。起こった結果、総需要抑制ないしは資金需給の管理という当面必要な、まだ必要だと思っておりますが、そういう必要性に対して何らかの支障を来しはしないか。そういう面の金利体系上の問題をやはり慎重に考えなければならないのではないかというふうに考えております。
○堀委員 いまのお話で、要するにそれは政策上の問題なんだということがはっきりしました。私は後で申し上げますけれども、預金金利というのは、過去の例でもそうですけれども、そう頻繁に動かす性格のものじゃありませんね。公定歩合は御承知のように経済政策の一つの手段でありますから、これは必要に応じて適切に動かされることが私は望ましいと思うのですけれども。
 さっきちょっと触れたのですけれども、私は、いま申し上げた四十七年七月十七日に定期預金の金利が五・二五%に〇・五%下がりますときには、当委員会でも予算委員会でも非常に強い反対をしたわけです。当時は、大蔵省の中に国際収支の関係から、何としても景気刺激をやりたいということで、公定歩合をこのようにどんどん下げさえすればそれで何か国際収支対策になるかのような錯覚を持って、実は四十六年一月二十日に五・七五であったものが、四・二五まで約一年半の間に一・五%も下がったという経過があったのです。私は、もう後半はそういう処理をすることは適切でないということをずいぶん主張したけれども、結果的には最後の公定歩合も引き下げ、預金金利も下げて、過剰流動性の異常な状態の端緒をつくった、私はこう思っておるわけです。ですから、定期預金金利というものはそう軽々に動かすものでないというのがまず第一点の考え方です。
 あわせて、実は昨年以来この異常な物価高の中で国民は目減り問題というのをもう痛いほど感じさせられてきて、もう申し上げませんけれども、昨年の三月当時の福田大蔵大臣に私どもは具体的な案を含めて、ひとつ目減り対策をやってくださいと申し上げた。しかし、そのときはできなかった。ことしになって、企画庁長官も目減り対策は何らかやるべきだ、こうおっしゃった。しかし、実際に行われたものは目減り対策ではなかった。こういうことになっておるわけですね。目減り対策は何ら行われていない、こう私どもは考えておるわけですが、福田さんもそういうふうにお考えになっておるか、ちょっと伺っておきたい。
○福田(赳)国務大臣 昨年堀さんから、私が大蔵大臣のとき強力に目減り対策を講ずべし、こういう御意見がありまして、あなたと何回も会談、懇談をいたしたことがあるわけですが、私は当時その問題には非常に関心を持っておったのです。しかし、あなたと話をしておる途中で私が内閣を去ることになりまして、その問題は中断をいたしたわけでございますが、あの当時と今日を比べてみると情勢は非常に変わってきたと思うのです。つまり、物価安定の基調というものがだんだんと固まりつつある、そういう状態で、あの当時の情勢とちょっと背景が変わってきておる、そういうふうには思います。思いますけれども、しかし現時点におきましても、とにかく消費者物価が軽微でありますけれども上昇過程にあり、政府の方の年度中の見通しといたしましても、まあ一けた台とは言うものの九・九%だ、こういうようなことを考えますと、やはりそこに目減りという問題は依然として、深刻さは薄らぎつつも実態は存在しておる、こういう状態です。
 そういう状態のもとにおいて、やはり何らかの対策を講ずる必要があるのじゃないかということで大蔵省にも御検討をお願いするということでありましたが、最近そういう運びになったことにつきまして、私は満足しておる次第でございます。
○堀委員 福田さんが満足しておられるということは、それじゃあの福祉預金は目減り対策だったという御認識なんですか。あれは私は目減り対策とは思っていないのですが、福田さんはあれは目減り対策だとお考えになっているのでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 これは私は堀さんにも常々申し上げているのですが、目減り対策というような包括的な考え方で施策をするということは非常にむずかしい、これは御理解されることじゃないかと思います。最大の目減り対策というものは、そんな問題が論議されないような状態に一刻も早く到着することである。つまり、物価を安定して定期預金金利以下の水準まで持っていく、こういうことが本当の決め手でありまして、それができない状態におきまして目減りというような問題を総合的、包括的にやろうとしたって、これは非常にむずかしい問題である。そういう認識のもとに、私は強力に物価鎮静、特に消費者物価の安定政策を進めておるわけでございますが、そういう中においてとり得る施策、こういうことになると、今回大蔵省で進められておる対策程度のものが、いまの施策といたしますとまあまあというところじゃあるまいか、そういうふうに見ております。
○堀委員 ちょっと前段の話と後段の話、食い違っているような気がするのですよ。前段では目減り対策は必要だと思った、こうおっしゃっているでしょう。後段では包括的な目減り対策はできないのだとおっしゃっている。これは福田さん、完全な論理的な乖離ですね。目減り対策というものは包括的なものがあるから目減り対策なんですよ。要するに、預金者全体に及ぼすものなら目減り対策。今度のは私は目減り対策だと思っていない。あれは一種の福祉対策です。私の意見から言うならば、福祉対策を金融機関の負担で私的にやらせるなんということは、金融行政としては間違っていると私は思うのですよ。そのこと自体がいい悪いの問題より、そういう視点で目減り対策を考えるという発想が私は間違っていると思うのですよ。だから、目減り対策に好感を持ったとかおっしゃるのなら、目減り対策というものをどうするかという論議であって、厚いか薄いかの話。私は具体案を提起しました。その中身の話を私はいまここで蒸し返すつもりは毛頭ないのですけれども、包括的にやるのが目減り対策で、ああいう特殊的、部分的にやるのは目減り対策でも何でもないのです。あれは福祉対策です。福田さん、そこのところは取り違えないようにしていただきたいと私は思っておるのです。時間がありませんからここは余り論議しません。
 そこで、結局、目減り対策を口にしながら目減り対策はできなかった。しかし、なおかつ今日ほぼ定期預金金利の倍近い物価上昇が進行しておる。それは二〇%以上、三〇%に近かったような時期に比べれば、確かにいま福田さんのおっしゃったようにややましになっているかもしれません。しかし、現実には、この状態のままでも債務者利得はふえて債権者損が進行しつつあるわけですよ。いまこの時間にも進行しつつあるわけですね。これは私はきわめて重要な問題だと考えておるのです。
 そこで、預金金利の改定問題というのは手続的には大蔵省の所管だろうと思うのですが、私はそういう過去における国民の大きな損失、計数的には申し上げませんが、はかり知れないと言っていいほど大きな債権者の損、預金者の損失を招いておるこの情勢を踏まえて、要するに預金金利というものを動かすときにはどういう環境になったら初めてそれを考慮するかというところを明らかにしておいてもらわないと、公定歩合の問題がいろいろ言われる過程の中で、結果的に企業の側に立った利益を守るために国民がさらにまた犠牲を転嫁されるというようなことは私どもは断じて許すことができない、こう考えておりますので、ひとつ大蔵大臣、預金金利がもし仮に動くというような状況というのは客観的には物価は大体どういう情勢だというようなことを含めて、お考えになっている点があればお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 預金金利に対する政策を考える場合、その背景といたしまして物価状況というものはやはり政府として十分考えておかなければいかぬと思うのであります。物価が相当高い状況において、なお騰貴を続けておるというような状態におきまして預金金利を下げるというようなことを考えることは、大変自己矛盾であるわけでございます。
 しからば、どういう水準に至れば預金金利というようなものの改定を実行的に考えていいものかということでございますけれども、物価が何%以下の騰貴の状況でなければならぬというパーセンテージをいま御提示申し上げる用意はございませんけれども、ともかく第一に、そして最も力点を置いて物価状況というものを前提として判断せなければならぬということは申し上げなければいかぬと思います。
 第二に、しかしながら同時に、預金を受け入れてそしてこれを貸し出していく、受信与信を行っておる金融機関といたしまして、資金の需給の状況というものから預金金利が完全に独立しているとは考えません。これはやはり連関を持っていると思うわけでございまして、金融機関の経営状況、資金の需給状況というようなものと無関係であるとは思わないわけでございまして、そういった点を勘案しながらこの問題につきましては慎重に対処していかなければならぬものと考えております。
○堀委員 大変抽象的なお話ですけれども、後段の方の金融機関の資金状況、経理状況も考えなければいかぬだろう、こういうお話、そこがいまの預金金利を据え置いて公定歩合を下げる問題に非常に問題があると思って、きょう実は私は論議をしているわけです。要するに、経理上はやれるのだ、こういうかっこうでおっしゃっても、収益が非常に圧迫されてくれば、金融機関側とすれば赤字になりそうだ、これはかなわぬということになるわけですね。
 私から申せば、過去において金融機関はずいぶん蓄積がありますから、短期の時期において多少のでこぼこがあったって、産業界がみんないまそういう情勢にあるときに、金融機関だけが、うちは年じゅう黒字でなければだめですよという話はないでしょうから、それは恐らく少しは収益が赤になってもがまんしろという話でやられるかもしれません。しかし、これがちょっと続いてくれば、これはかなわぬ、どうしても預金金利を下げてくれということになりかねない。だから、私がきょうここでこの問題を取り上げたのは、そこらに非常に預金金利を動かすおそれのある条件があることを少しきちっとしておきたいという気持ちがあったからなんです。
 少なくとも現在のような情勢が続いてようやく一けたになるのは、さっき福田さんもおっしゃったけれども来年の三月、目標時点ですね、来年の三月に九・九だ、こうおっしゃっているわけですが、これは大変むずかしいので後でちょっと触れておきたいのですが、仮になったとしても、なおかつ定期預金金利との乖離というのは約二・二四くらいあるわけですね。だから、それでもなおかつかなり目減りがあるということになるのですが、少なくとも私は預金金利というものは二けた台では絶対にやるべきではない、こう思うのです。いま二けたですね。一けたというのの限界が九・九でしょうけれども、これは経済論としては福田さんはどうお考えですか。
○福田(赳)国務大臣 経済論としては預金金利をそう上げるわけにはいかないです。定期預金金利をそう上げるわけにはいかない。そこでやはり物価の方を下げる、その努力をする、そしてなるべく早く定期預金金利以下の水準に物価水準の方を持っていく、これをやらなければいかぬだろう、こういうふうに思います。
 しかし、いま非常に変則的な状態ですから、そういう原則論で今日の問題を論ずるわけにはいかない。お話のようにいまはまだ一けたじゃないので、二けた台の物価水準、そういう状況でございまするから、預金金利を下げるということについては非常に広範な配慮が要る、慎重に対処しなければならぬ問題だろう、こういうふうに思います。
 具体的な問題になりますと、これはなかなか数字でどうのこうのと言うわけにもまいらぬ性格のものであることは堀さんも御理解願えると思いますが、預金金利の引き下げについては慎重でなければならぬという御所論につきましては、私もそういうふうに思います。
○堀委員 これは大蔵大臣が御所管ですから、いま福田さんには経済政策で伺ったのですが、大蔵大臣にはこれを行政上の立場から一体どう考えられるか伺いたい。
 しかし、こんなことは抽象論を伺ってもしようがないんですね。ですから、これは物価上昇が二けたである限り、目減り対策をやらなかったと言うのなら、その目減り対策に対する見返りを、預金金利を安定さすことによってやるということが常識的じゃないか。現在、多少幅が狭くなってきたがなおかつ目減りしている。けれども、これまでのひどい目減りに比べればまあましなんですね。だからがまんしてくださいと言うのなら話はわかるけれども、ともかくひどい目減りの損失を与えておいて、要するに企業側の赤字の問題で議論が出てきたら、まあ国民の皆さんはいいじゃないですか、企業がともかく赤字になるのを黒字にしさえすればというんじゃ……。
 私は金利を下げたからといって赤字が黒字になると思っていませんけれども、要するにそのことによって国民経済がよくなるのだから、結果としてはそっちにプラスがあるのだから、まあまあしんぼうしなさいというのが自民党政府の発想じゃないかという心配があるものですから、そこで私は、皆さんも恐らく企業ばかりに奉仕をする自民党ということじゃないでしょう、最近国民の側にやはり顔を向けようとしていらっしゃるのでしょうから、国民の側に顔を向けるのか、企業の側に顔を向けるのかは、まさにこの預金金利を動かすかどうかに非常に大きくかかってくると思っているのですよ。だから、そういう背景も含めて、大蔵大臣、ひとつ具体的に答弁をいただきたいのです。
○大平国務大臣 仰せのようにこれは行政の問題でございますが、行政をやる場合に当然なことといたしまして、そのことが社会各層の理解を得てやらなければならぬことは当然と思っております。したがって、金利の問題でございますけれども、そういった理解が得られないという非常に困難な状況のもとにおいて軽々に取り上げるというようなことはいたしたくないわけでございます。
○堀委員 そこで、この前わが党の武藤委員も取り上げ、最近も新聞にこれは事実かどうかわかりませんが報道された。その事務的な処理の問題は別として、法人預金と個人預金が区別されれば、法人預金は全体の預金量の約半分ぐらいあるのでしょうが、これはトータルとして企業側の貸し借りの問題でしょうから公定歩合に連動して金利が動いてもいいじゃないか、しかし個人預金の方はやはり安定的な金利でいくというのが筋だろうというようなことが新聞に伝えられておりますけれども、これはこの前武藤委員も論議をして、そのときはもう一つ発展性がなかったように思うのですが、大蔵大臣、これはいかがでございましょうか。
○高橋(英)政府委員 この間突然ああいう新聞記事が出たのでございますが、実は私どもごく最近あれを検討しているということはございません。いまから一、二年前に、法人と個人の定期預金というようなものを区別して金利の差をつけることが可能であるかどうかということを技術的に検討したことはございます。
 先生御承知のように、技術的にいろいろ困難な点もあるとか、あるいはまた逆に、別のことで怒られますけれども、法人の定期預金というのはいわば両建てのあれになっておりまして、金利を下げるということになるとまた実効金利が上がるのじゃないかというよけいな副産物も出たりするというようなデメリットもあったりしまして、いまのところ法人預金と個人預金とに金利差をつけるということはかなりむずかしいことではないかという感じでおります。
 ただ、あきらめたわけではございませんで、いまのような日本の企業、債務超過の企業が定期預金をたくさんやっておるということ自体がそもそもおかしいのではないかというような点からいたしますと、むしろ金利差というようなことの視点じゃなくて、法人の定期預金というのは一体どういうことなのかというような原点に返って検討すべき問題ではないかと、私はそう思っておる次第でございます。
○堀委員 いま局長が答弁しましたが、その後段のところですね、要するに法人の定期預金のあり方の問題、これは大蔵大臣はどうお考えでしょうか。これは諸外国に余り例がないのですね。
○大平国務大臣 これは好ましい傾向と受け取れないわけでございまして、あとうべくんばそういった弊風は漸次是正してまいらなければならぬものと思います。
○堀委員 森永さんに伺いますけれども、もし仮にいまの法人の定期預金というものが諸外国のように当座預金なりそういう形のものに振りかわってくるとすれば、実際には半分ほど定期預金があるわけですから、これは日本の金融機関の状態というものは非常に変わってくるし、同時にあわせて、それによって歩積みだとか両建てだとかいうまずい問題も一挙に解消するのじゃないかと思うのですが、金融政策上の観点からいま一遍にやめることはできないでしょうけれども、ある年次を限って法人の定期預金の解消という考え方、これをやってみたらどうなるか、ひとつ日銀総裁としてのお考えを承りたいと思います。
○森永参考人 法人の中にも中小法人みたいなところで、社長の個人の預金と法人の預金とを区別する技術的な方法があるかどうかとか、いろんな技術的な問題がたくさんあると思いますが、本来なら法人は定期預金するくらいならそれだけ借入金の方を少なくした方がはるかに健全かとも思う次第でございまして、お説のように現在の慣行を一遍に変更するわけにはいかないと思いますが、将来の問題としては検討に値する問題だと、私も個人的意見でございますが考えます。
○堀委員 私は当委員会で長く歩積み両建て問題というのをやってまいりましたが、これは本当に解消できないのですね。第二次不況対策ですかの中でも歩積み両建て問題に触れておられるわけですけれども、大体金融がタイトになってきたらふえるのですね。それでは金融が非常に緩んだらなくなるのかというと、どうしてもなくならない。やはりもとは定期預金の金利というものがあるために実は問題が起こってきているというふうな観点もあるので、ひとつそういう不公正な取引をなくすというためにも――これは定期預金がなくなってしまいますと、両建てにしようたって問題になりませんわね。金利が低いものを大変な金額両建てさせるわけにいかないのですから、そういう意味での金利上の問題というものが解決するし、あわせて、いまの貸出金利を下げるということのためには企業連帯の中で処理したっていいわけですから、要するに、貸出金利は預金金利を固定したままでも下げられるという道はあるのだということをここに明確にして、これは政府の施策の一つとして不況対策の一環と見たっていいのじゃないかと思うのですよ。
 これは第三次不況対策であなた方がお書きになった「企業経営面における金利負担を軽減し、物価の安定に資するため、市中貸出金利の引下げが促進されるよう配意する」ということに全く一致しているように思うのですが、福田さん、いまの私の問題提起はどうでしょう。
○福田(赳)国務大臣 傾聴いたしたわけですが、なおそういう方向の問題は検討していただきます。
○堀委員 そこでもう一つ、私はこの前の予算委員会で問題にして時間がなくて不十分だったのは、金利弾力化の問題ですね。どうも自由化と言うと語弊があるので、ちょっと言葉を厳密に言って弾力化の問題としたいのですけれども、あそこで私は西ドイツのブンデスバンクの総裁の言葉や経済相の言葉を引用して、ともかく物価が預金金利よりも高くなるなんというようなことは考えられないのだ、だから物価というものと預金金利の関係は、預金金利というか金利水準でしょうね、常に物価は金利水準より低目にあるべきだということを両者が当然のこととして強調されておることは、私は全く傾聴に値すると思うのです。
 さっき福田さんもおっしゃったように、物価というものは預金金利よりも下回っておるというのが正常な状態だということは、経済の大原則だと私は思うのですね。だがしかし、そういうことに到達していくためにも、私はある程度の金利の弾力化ということなくしてはなかなかむずかしいのじゃないかと思う。今後日本の物価問題というのは、福田さんのおっしゃっているようにうまくいくかどうかについては、なお多くの疑問があると私は思っておるわけです。これはちょっと最後のところで少し具体的に伺いますけれども、多くの疑問がある。ですから、そういう意味では金利の弾力化問題というものは今後やはり検討に値する課題ではないか、こう思っているのですが、ひとつこの点も経済政策として福田企画庁長官から、あるいは行政なり運営上の問題から大蔵大臣、日銀総裁から少しお考えを承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 経済の体質が硬直化するということは不幸なことでございまして、金利だけでなくていろいろな面で弾力的な体質を常にわれわれは保持していく必要があると思うわけでございます。そういう観点からも、金利の弾力化を図るということは経済政策の大きな柱の一つとして追求すべき道標である、かく考えます。
○森永参考人 金利水準というものはそのときどきの資金需給ないしはその背景としての経済全般の情勢に即しまして弾力的に動くべきものである、そのように政策運営を考えるべきであるということにつきましては、私ども全く同感でございます。
 ただ、今日のように物価の鎮静化がまだ本当に定着いたしておりませず、そのために総需要管理を続けなければならない、資金需給につきましてもそうたがを緩めるわけにいかないというような状態におきましては、やはりこれこそ弾力的運用の一面であるかもしれませんが、比較的高目に維持するということも必要だと存ずる次第でございまして、そのときどきの経済情勢に即してできるだけ弾力的に考えていくことを私どもも心がけなければならぬと思っております。
○福田(赳)国務大臣 金利の自由化、これは一つの大きな問題ですが、少なくともいまおっしゃる弾力化、これは目指すべき金融政策の目標である、私はこういうふうに思います。
 ただ、いまわが国の実情はどうか、こう言いますと、いままだ物価が相当むずかしい段階にもある。そこに持っていってわが国の金融界の構造というものが、これは千差万別というか、いろいろな金融機関があるわけでありまして、その点にも非常に大きな問題があるわけですが、とにかく金利政策の弾力化は、目標といたしましていろいろな施策を進めていかなければならぬ問題である。ただ、ただいまは非常に大きな物価問題それから金融構造、そういうところに障害があるのでなかなか具体化しにくい状態にある問題である、かようなとらえ方をしております。
○堀委員 いま福田さんがおっしゃったとおりだと私は思うのですけれども、それではそういう構造に何にも手をつけないでいれば、いつまでたっても言うだけで何にもできないだろうと思うのですね。やはり弾力化ということが必要だと皆さんおっしゃっているなら、いまの時期が適当だと言っているわけじゃないのですよ、非常に準備も要るし計画も要ることなんですから、要するに、そういうものをまず構造上の問題として環境整備を何かやっていかないことには、これではとてもむずかしいと私は思うのですね。
 私もこの間一つ経験をしたのは、目減り対策の問題を一つ出してみますと、農業協同組合の皆さんから、こんなことをやられたらわれわれのところはもちませんと言って強い御陳情がございました。私どももそうだろうという感じがしましたから、私の案を実施するのなら少なくとも財政資金の預託でもしてもらって、利ざやが出るように御配慮をいただくようにしなければ無理でしょうねと、こうお答えしたわけですけれども、いまの日本の金融構造の中における農業協同組合関係の要するに系統金融の問題というのは一体いまのままでいいのかどうか、今後金融構造上どういうふうに位置づけて、それは金融政策の中でどういうふうな影響を持つのかどうか、ここらも非常に重要なことだと私は今度の問題をやりながら痛感をした一部分なんですね。
 ですから、私は、そういう意味ではこの問題は金融制度調査会あたりに諮問をしていただいて、長期的な展望を含めながら構造改善等いろいろな問題を含めて考えていくというような作業が組み立てられない限り、委員会で私この問題を十数年来言っても何にも起こってないという実態ですから、ひとつこの際、新たに金融制度調査会も発足したことですから、大蔵大臣からこれに諮問をしていただいて、それは二年ぐらいのことでそういう諮問に答えられるものが出るかどうかは別として、ひとつ構造的な問題を含め、あるべき日本の金融政策の効率化という問題を含めて、いまの手の届かない部分がいっぱいあってどうにもならぬなんということのないような処理は当然考えられてしかるべきではないかと思うのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○大平国務大臣 検討さしていただきます。
○堀委員 そこで、金融政策の問題に入りましたからあわせてちょっと申し上げておきたいのですけれども、最近日銀の資料で拝見をいたしますと、アメリカと西ドイツはこれまでの金融政策の中でマネーサプライの問題に非常に比重をかけておるということが詳細に実は述べられておりました。私もこれを読ましていただいて、今日一体その金利政策の問題というのとマネーサプライから来る問題というのは、どうも私はマネーサプライの問題をもう少し重視する必要がある段階に来ておるというふうな感じがやはりいたします。
 しかし、そうは言っても、アメリカにはアメリカの過去におけるいろいろな金融政策なり金融構造の上からいろいろな指標がつくられておる。西ドイツには西ドイツなりの指標がありますけれども、いま日本で直ちにこれを適用するとしても、これはちょっと――結果的にはわかってきますからいいと思いますけれども、その点について何らか今後やはり工夫が必要であろう、こう思います。
 それからもう一つの点は、さっきも申しましたが、河本通産大臣が金利を下げろ金利を下げろとおっしゃっているのですが、金利を下げたら確かに企業の金利負担は減ります。これは私もそのとおりだと思います。金利負担が減ったら一体生産がふえるのか、稼働率が上がるのか。私はどうもそのことと金利の下がることと――まあ多少気分的な違いはあるでしょう、いわゆるさっきのアナウンスメント効果はあるのでしょうけれども、しかし私は実体経済として見る限り、金利を下げることが景気を押し上げる設備投資に対する直接の引き金にどうも私は必ずしもストレートにはならないような気がするので、そういう意味でも私は、いまの政策の問題というのは金融政策という面で見るならば金利政策よりはマネーサプライの問題としてものを考える方が筋道ではないだろうか、こう思うのですけれども、ちょっとその点についてお三人の方から御意見を承りたいと思います。
○森永参考人 前段にお話のございましたマネーサプライでございますが、お話のように、アメリカ、西独では金融政策運用の最も重要な基準として重視されておるわけでございまして、だんだん軌道に乗りつつあるように見受けられるのでございます。日本におきましても、従来はこのマネーサプライの問題に余り関心が払われていなかったのでございますが、過去数カ年の経験にもかんがみまして、私どもとしてはやはりこのマネーサプライの傾向を相当重要な反省の材料として金融政策を運用していかなければならぬのじゃないかと思っております。
 ただ、統計上の不備もございまして、計数がわかりますのがどうしても一月なり二月なりおくれるということでございますので、現在のところは、重要なる反省の材料にする、将来のターゲットにするにはもう少し検討を重ねなければならないのが現状ではないかと思っておる次第でございます。
 なお、企業のコストと金利との関係並びに生産の刺激になるかというような問題につきましてのお尋ねでございましたが、コストの問題として考えましても、総コストの中における金利の割合は実はそんなに高くはないわけでございまして、ただ、今日のように収益が減少しておりますときには、限界的に金利負担の重さを感じられるというようなことではないかと思います。
 私どもも、金利負担が下げられるような情勢が参りますれば、金利をある程度引き下げることについて決してやぶさかなものではございませんが、金利のもう一つの面である総需要を管理し、資金需給を調整するという作用を無視してはならないのでございまして、今日の状態におきましてはむしろその方にウェートを置いて、金利を下げ過ぎることによりまして需給環境がタイトになり、その辺からまた物価が奔騰してインフレ心理の再燃を招くというようなことがあってはならぬというようなつもりで金融政策を運用しておるつもりでございます。
 なお、今日の最終需要の状況から申しますと、仮に金利が若干下がったにいたしましても、設備投資がすぐに起こるという環境ではございますまいし、また個人消費は直接には無関係でございますし、強いて言えば輸出がどうなるかというぐらいのことでございますが、金利そのものが生産増強の刺激となる効果は、もちろん絶無ではございますまいが、そんなに大きく期待すべき状態ではないのではないかというふうに考えております。
○大平国務大臣 金融機関は扱った金を効率的に運用していくという任務を持っておるわけでございますので、政策上の配慮もございますけれども、金融機関自体といたしましてはできるだけ合理化に努めて、資金の供給をできるだけチープにやるということはいつの時代においても忘れては困ると思うのでございまして、そういう意味における努力は金融機関に常に要請してまいらなければならぬと思うのであります。
 とりわけ今日は、金融機関に対して世間が鋭い目で見ておる時代でございますし、金融機関がいまのままのあり方でいいかどうかというような問題も、構造上の問題もいろいろあるわけでございまして、私ども金融機関のあり方との関連におきまして、いま御指摘のように、今後審議会等においてもいろいろ御検討いただかなければならぬ問題であると考えております。
 金利の問題につきましてはそう考えておりますが、マネーサプライの問題につきましては、順次金融政策の手法が進歩してまいりまして、諸外国におきましてこれが一つの政策手段、政策を案出する場合の指標として有効に働いてくるような環境になっておるようでございまして、わが国におきましても、差し支えない範囲におきましてこの指標が活用されるような環境が熟してまいることは歓迎すべきことと考えております。
○堀委員 福田さん、金利が生産刺激になるかどうかだけをひとつ。
○福田(赳)国務大臣 私は金利が下がったらそこで設備投資が起こるとか、したがって経済界が活況を呈するかという直接的な影響は非常に少ないと思います。先ほどお話がありましたが、気分的な影響、そういうようなことはあろうと思う。
 ただ、いまこういう問題があるのじゃないか、つまり大方の企業は経営が非常に苦しい状態であります。赤字企業というものも相当ある。そういう中において、コスト要因である賃金問題がわりあいにいまはなだらかな形で動いてきた。そうすると、金利負担という問題が目につく。そういうようなことで、非常に苦しい企業の立場といたしますと、金利につきましてもこれを軽減せられたい、こういう期待、これは非常に強く出ておるし、赤字経営、企業経営が苦しい、そういうようなことで企業体質も弱体化しておる。そういう際であるだけに、この期待にこたえるということは、この厳しい経済環境の中で企業が耐え抜くという意味におきましてこれはかなりの効果のある問題じゃないか、そういうふうに考えます。
○堀委員 いまのお三方のお話を聞きまして、いま河本通産大臣が非常に主張しておられる金利問題というのは、景気対策としてそう有効な手段ではないというふうなお考えについては私も同感であります。ですから、その面からは、そう軽々に公定歩合をさらに引き下げるとか、その結果として預金金利が動くようなことのないようにだけはひとつ十分御配慮をいただきたいのですが、今度の第三次対策で言っておられることはこういうことではないでしょうか。
 要するに、過去の例を見ましても、公定歩合に対する引き下げの追従率、これが時によって非常に違うわけですね。四十年の引き下げのときには全国銀行で六五・一%だ、しかし相互銀行は五六%で、信用金庫に至ると三六・七%ぐらいしか追従率はない。これが四十三年のときには、全国銀行でも三九%ぐらいしか追従率はなかった。四十五年のときにようやく五〇%だった。こういうことから見ますと、公定歩合を下げたら貸出金利が下がるのかというと、実は貸出金利の方はまあまあ半分くらい下がっているというのが過去の実例なんですね。
 ですから、財界なりあるいは通産省の諸君が公定歩合を下げろ下げろと言っていますけれども、やはり今度のこの第三次対策の中にあるように、金融機関が公定歩合が下がったらもう少し追従率を引き上げて、できるだけ短期間にその公定歩合の引き下げが、それは一〇〇%まではいかないでしょうけれども、少なくとも八〇%というところまでいくのが金融政策として適切なあり方ではないのか。なぜそれが下がらないのかという問題ですね。これは私は非常に重要な問題だと思うので、まずやれることからやって、追従率を完全にやっても、なおかつさらに金利の引き下げが必要だというときに初めて次の問題を考えるということにしていただかないと、実は何をやっても余り効果がないということになりかねないと思いますので、この点について、これはどちらから伺えばいいのでしょうかね、総裁の方がいいのか、大蔵大臣がいいのかわかりませんが、どちらかからひとつお答えをいただきたいと思います。
○森永参考人 公定歩合と市中の短期の標準金利との関係につきましてはいろいろむずかしい法律上の問題もあるわけでございますが、私どもといたしましては、公定歩合を引き下げたその幅だけ短期金利を引き下げてもらうようにということで金融機関に要請をいたしておりまして、各金融機関におきましても、自主的に短期金利につきましては一〇〇%に追随をいたしておるわけでございます。ただし、現在貸し付け中のものにつきましては、期限までは約定金利ということになりますので、一〇〇%追随するのには若干の期間を要するわけでございます。
 長期金利の方は、これまた長期資金需給の関係ないしは金融機関のコストいかんという問題になるわけでございますが、だんだんに追随をされてきておるというのが過去における実例でございまして、今度の場合はまだ長期までは及んでおりますまいが、比較的追随のスピードが速いような感じで、四月、五月と、いままでの例になく早く引き下げが行われておるような状態でございまして、こういう非常にむずかしい経済の難局に処しまして、金融機関としても負担と申しますか犠牲を分かち合うというような気持ちがだんだんに起きてきておるのではないかというような期待をいたしておる次第でございます。だんだんに、そういうことが素早く行われますようにということを、私どもといたしましても衷心から希望いたしておる次第でございます。
○堀委員 これは三次対策にも明記されておることでありますから、政府としてもこの点については十分ひとつ行政的な機能を生かして、第三次対策に盛られておることが実施されることを強く要望いたしておきます。
 あと時間がございませんから、最後の締めくくりを少し申し上げたいのでございますけれども、福田さん、来年の三月九・九という物価目標は、私は一つの設定として大変結構だと思っておるのであります。努力してもらいたいのです。努力してもらいたいのですけれども、その九・九の物価が達成されたときに、一体雇用の状態というのは福田さんの頭には何かあるのでしょうか。
 要するに、物価がうまくいったけれども雇用は大変なことになったというのでは困るのです。やはり経済というのは整合性がなければいけませんから、物価が安定すると同時に雇用も不安のないような状況、とりあえずで言えば、有効求人倍率が一ぐらいのところですね。要するに、手を挙げて働きたいと言えば、さあどうぞいらっしゃいと、こうなる。何人も手を挙げて、そのうちの一人か二人が就職をするという、いま〇・七三か四に戻ってきつつあるようですが、有効求人倍率がまだ大分低いのですね。だから私は、政策目標としては、物価も重要だけれども、そういう雇用の問題も非常に重要なファクターだと思っておりますが、福田さん、これはどうお考えですか。
○福田(赳)国務大臣 経済政策は整合性を持たなければならぬ、これはもちろんそういうふうに考えております。そこで、ことしの経済運営は物価の安定、同時になだらかな経済成長、こういうことを考えております。
 そこで、いま雇用の問題にお触れですが、雇用の問題は経済の成長がなだらかにいくかいかないか、ここにかかってきておると思うのです。私はそういうふうな政策の誘導をすべきであると考えておりますが、有効求人倍率が一になる、これを本年度中の目標にする、これは非常にむずかしい問題ではないかと思います。しかし、経済が安定的な状態に入るという際には、私は求人倍率というものは一であることが望ましい、こういうふうに思っております。
 いま非常に低い。低いが、経済がなだらかに成長を遂げるに従いまして、雇用情勢というものも改善される。現に、求人倍率はずっと非常に悪化を続けてきましたが、これも頭打ちの状態です。それから失業者の状態はどうだ、これも頭打ちの状態になってきておる。これはやはり経済が成長するに伴いまして、少しずれがありますけれども、おくれて同じような傾向をたどるものであるというふうに考えますので、求人倍率につきましては逐次改善をするということもまた十分考えておる。そのためには経済のなだらかな成長ということを、これもまた重要視していかなければならぬ、こういう見解でございます。
○堀委員 実は昨年の求人倍率を見ておりますと、ずっと一より多かったのが、一を割り込んだのが大体昨年の九月ぐらいですね。八月、九月のところで一を割り込んでいるわけです。昨年の八月、九月の経済状態のところまで戻れば大体一になるということですね。そのときの稼働率というのは、さっき経企庁長官が七九まで来ておるとおっしゃったのですけれども大体八五%ぐらいですから、だから私はそう不可能なことではないと思うのです。ですから、物価も大変重要ですけれども、私どもの国民生活は物価だけで決まっているのではないのです。やはり雇用のない人にとっては、これは大変なことなんです。
 もう御承知だと思いますけれども、総理府の家計調査から見ますと、一番所得の少ない第一分位の方、この間予算委員会でも私どもいろいろ申し上げましたけれども、ここのところで消費性向が減って貯蓄性向が上がっているという問題です。ともかく九万九千円ぐらいの平均収入のところですが、その乏しい中でなお消費性向を縮めながら貯金をしなければならない。生活の不安、これは将来に対する不安ですね、生活防衛ですからね。そんなことを国民がやっておるのを政治が見逃してはならぬ、これは重要な問題だと私は思っているのです。
 そうした将来に対する不安を解消するには、働きたい者が働ける場所をつくるということ、このことが物価もさることながら非常に重要な政治課題だ、こう思っておりますので、これはもう当然のことですから御答弁は要りませんけれども、どうかひとつ経済運営の中にしっかり柱を立てておいてもらいたいということを申し上げておきたいわけです。
 それから最後に、ちょっとこれは企画庁に聞いておきたいのですけれども、消費者米価を一〇%上げたら消費者物価に一体幾らはね返るのか、ひとつ答えてください。
○喜多村政府委員 消費者米価を仮に一〇%上げましたときの計算でございますけれども、〇・四程度引き上がるという計算でございます。
○堀委員 すでに四月、五月と物価が上がっておりまして、ことしはまだいろいろな資料の統計から見れば、企業はともかくいま赤字の状態だからというので、値上げを考えられておられることはもう御承知のとおりで、政府も企業の値上げの自粛を求められておりますが、この間の閣議では、長谷川労働大臣と大蔵大臣の間にいろいろ御議論があったようにわれわれは新聞で拝見をしております。しかし、私どもは長谷川労働大臣の肩を持つわけではありませんけれども、労働者が賃金を抑え込まれてこういう情勢にあるときに、ともかく公共料金の問題というのはきわめて重要な問題でありますから、やはりその点では十分慎重な配慮をしていただかないと、要するに、政府は労働者の賃金は抑えるけれども、しかし、ともかく一四%台で済んだのだから後はいいのだということであってはならないと思います。
 同時に、私が最後に申し上げたいのは、ある一時点を限ってガイドラインを設定するというのは非常に問題が生ずるおそれがあるということを申し上げておきたいのです。九・九にするために各種の手段をそこへ集中してやるということになりますと、裏返せば逆の面のデメリットもある。メリットもありますよ。要するに、ここを目標に一点に集中してやろうということはメリットもあるのですけれども、デメリットもあるということですね。
 ですから、私はやはり一点に集中すると同時に、その年間の問題をやはりきちっと背景に据えておいてもらわないと、そこは一回下がったけれども後が上がるんだというようなことでは非常に困ってくることがいろいろ起こると思うので、この点だけをひとつ、一点に九・九を決めると同時に、そこから先の一年間についても責任を持つような経済運営をやるということで物価政策を考えていただきたいと思うのですが、企画庁長官の御答弁をいただいて終わります。
○福田(赳)国務大臣 まさに堀さんがおっしゃるとおりのことを考えているのです。ですから、私は、五十年度はとにかく一けた台、これは非常にむずかしいのです。ですから九・九、こう言っておるわけなので、非常にむずかしい問題ですが、これはぜひ実現したいという考えですが、九・九というのは非常に高いのです。それで満足するわけじゃないのです。その先を考えているのです。五十一年度におきましては、もうなるべく早い時期に預金金利以下に持っていきたい。その先はさらにその勢いで物価のさらにさらに定着化を図りたい、こういうことなのでありまして、決してことしだけを頭に置いているわけではない。全く堀さんのお話と同じことを考えておる、かように御理解願います。
○堀委員 終わります。ありがとうございました。
○上村委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十四分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。荒木宏君。
○荒木委員 先般、第三次の不況対策が政府の方から発表されました。私ども内容を拝見しまして、率直に申し上げて、形の上では抑制基調が貫かれて、実は中は小出しの対策というふうな感じに受け取ったわけですけれども、いまの時期でありますから、いろいろその辺の政策配慮があろうと思うのですが、同時に、大きな方向というものが大切ではないか。この点はいわゆる高度成長、高蓄積型から福祉優先ということで、しばしば政府の方も強調されておるところでありますが、今回の不況対策の中にもその方向が維持され、かつ具体化されているというふうに伺っていいものかどうか。
 そういった点について、まず大蔵大臣に簡単に御所見を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 ただいまの不況対策は、財政面から申しますと、予算あるいは財政投融資計画といった枠内におきまして、当面講ずべき政策を急ぐべきものは急ぐということにいたしておるわけでございます。
 だから、基本になる予算あるいは財投計画自体の性格が、いま荒木先生が御指摘のような性格を持っておるかどうかということが第一に問われるべき問題であろうと思いますが、私ども予算を見ていただきましても、財投を見ていただきましても、生活重点と申しますか、生活環境改善を重点に置いておると申しますか、生産基盤の育成というようなところから漸次、生活、福祉の方に力点を移しておるわけでございまして、そういった予算や財政投融資計画を基盤にいたしまして、それの当面上半期において実行すべきことをやったわけでございますので、仰せのラインに沿ってできておると思うのでありまして、具体的に申しましても、住宅金融にいたしましても、あるいは公害防止金融にいたしましても、そういった方向を端的に志向いたしておると御理解をいただきたいと思います。
○荒木委員 たとえば財政面の措置という点から見ましても、今回の対策では公共投資の促進、また住宅建設の促進ということが出されておりますが、その中身は要するに繰り上げ措置、こういうことになっておるのでありますが、繰り上げということは当面下期の分を減らしてこっちへ移すということですから、私のいま言いました方向という点から言いますと、その都度の一時の措置ということはともかくとして、方向ということから言いましたら、当然下期はどうなるということがその裏として出てくるわけですが、上期繰り上げ住宅建設の促進という点から、同時に下期についてのこの面での方針、見通し、これを一言お伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 予算にいたしましても、財投にいたしましても、年度内の全体計画を崩していないわけでございまして、したがって、本来ならば下期に支出すべきものを上期に回す、下期に契約すべきものを上期に回すというようなことをやっておるわけでございます。したがって、当然御懸念のように下半期はどうするのだという問題が残っておるわけでございます。
 それに対しましては、いま私どもはまだどうするとも決めていないわけでございまして、上半期一ぱいあるいは下半期にかけてただいままで講じました施策の効果を見ながら、そのときの状況を見ながら、下半期は下半期として判断していきたいと思います。
 過去におきましても、上半期に契約が集中した年におきましても、下半期に二十数%ないし三〇%しか残らないというようなときでも補正しなかった年もあるわけでございます。したがって、直ちにこういう措置を講じたから補正を考えておるということにつながらないわけでございまして、それはそのときの状況を見て考えたいと思っております。
○荒木委員 今回の措置の効果を見守る、これは時の推移がありますから、一面そういう面もあろうかと思いますが、同時に、方向というものは仮に年度内であってもはっきりと打ち出されるべきものではないか。
 ことに住宅建設について申しますと、本年は五カ年計画の最終年度でございます。御案内のように、公的住宅は五十年度末で八三・三%、また民間は九六・一%で、なべて九一%ということで、当初計画でも五カ年計画の達成が満たされないという状態が出ておる。一方では、こういった生活関連、福祉優先という方向は出されておるが、さて、実際に寸足らずの結果が目先の問題として見えておって、同時に今回の不況対策が、いまの時期、つまり六月の時期、七月の時期というこの目先のことだけ――だけというのはなんですか、それも一つあり、同時に年度内の見直しということもあるならば、その点についての方向なり考え方なり見通しなりということを財政当局としても出していただく必要があるのではないか。
 端的に申しますと、この五カ年計画達成のために、財政当局として協力をなさるという方針がいまの段階で打ち出されてしかるべきではないか。確かに枠はございますけれども、しかし、たとえば財投の面では、今後の推移によって運用のいかんということが、どちらの方向へ水を流していくかということが一つの大きな論議にもなろうかと思います。そういう点も含めて、目標達成のための財政当局の努力、決意という点を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 それは、いまあなたの最初の御質問にお答え申し上げましたように、政府としては予算や財投計画をいまの段階で変えていないわけでございます。ただその枠内におきまして契約ないし支出の時期を早めておるということでございますので、この支出の性格は、予算や財投計画が持っておる性格に縛られておるわけでございまして、それから外れるわけにいかぬと思うわけでございまして、その性格自体が、あなたが言われる生活関連投資という方向を志向しておるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 そして第二に、しかしながら、そうは言うものの、下期になりましてどういう枠を増枠するのか、予算は補正するのか、そういったことが問題になることは私もよくわかっておるわけでございますけれども、いまの段階は、それについて増枠をするとか予算を補正いたしますとかいうようなことは申し上げられる段階でない、そのときの状況を踏まえて判断しなければいかぬと考えておるわけでございます。
○荒木委員 もう一言伺いたいのですが、今回の対策というものは、年度当初の年間計画の中で当然六月の時期には第三次の対策を打ち出すということが予定されておったいわば予定コースではなくて、やはりその後の推移を見守りつつ、いまの時期にこういうことが当面講ずべき対策として予定外に必要になった、予定外と言うと言葉としていろいろなニュアンスもありますけれども。
 だとしますと、当初に年度間に予定されておる財投一つとりましても、一般会計でも補正がありますが、いわば不時のこの六月に来て当面対策上の措置が別途に講じられたとすれば、その分だけ下期分については、当初計画の方針どおり福祉重点でいこうとするならば、同時にその裏として、対策の関連として繰り上げた分は別途下期に講ずるという方向はやはり打ち出されてもしかるべきではないか、こういう点で申し上げておるのでありまして、お考えはいろいろ伺いましたので、その点について、それでもなおかつ下期に至って、そのときの様子を見て、出たとこ勝負と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、そういったようなことであるのかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 住宅にいたしましても、四月の受け付けが予想より多かったことはあなたが御指摘のとおりでございまして、われわれの判断で四万八千戸というものはめんどうを見て差し上げたいと考えておるわけでございます。しからば、これは下半期に申し込みがあるべきものであったのが上半期に回ったのか、それはわかりません。それは実際現実にそれだけの申し込みがあったわけでございますから、まずそれを消化するということをやって、下半期は下半期でそのときの景気を見て考えたいと思っておるわけでございます。
 それから、公共事業にいたしましても、ことしは去年やおととしのように契約規制はやるまいということを決めたわけでございます。そうしますと、いままでの経験率から判断すると六五・六%ぐらいの契約になる。それを七〇まで持っていこうということになりますと、仰せのように、それは予算編成当時から見ますと、若干上半期に傾斜いたしました契約であろうと思うわけでございます。
 ですから、当初そういうことを全部われわれが見通しておったかと言うと、必ずしもそうではなかったと言わなければならぬと思いますけれども、全部が全部それじゃ新たな追加需要としてめんどうを見るべきものかどうかという点につきましては、先ほど申しましたように、下半期になりまして、そのときの状況を十分吟味した上で判断させてもらいたいと考えております。
○荒木委員 そのときの状況でなお必要な面があれば補正あるいは財投の運用を重点的にということ、これは当然そういう了解になると思うのですが、福祉、生活関連といいますと、住宅だけでなくて、言うまでもなく下水道、公園、学校施設、その他いろいろな種類がありますが、重点的に言いますと、地方自治体の地方債運用ということも財投との絡みでは問題になってくると思うのです。
 それで、一言伺っておきたいのです。これは実務当局からお答えいただきたいのですが、従来の地方債の運用部引き受けの比率はどういうふうな傾向になっておるか、簡単にお示しいただきたいと思います。
○吉瀬政府委員 地方債の財投掲上額でございますが、四十六年度からの推移を申し上げますと、地方債の政府資金で引き受けた比率でございますが、四十六年が五九・七、四十七年が五五・六、四十八年が五五・九、四十九年、五十年が六〇・三、こういうことになっております。もちろんこの政府資金比率は時の金融情勢その他で判断すべき面があるわけでございますが、特に五十年度は政府資金比率の維持に努力した次第でございます。
○荒木委員 そこで、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、いまこの推移を局長からお聞きをしたわけですけれども、いま郵便貯金がふえておるというふうなこともあわせて、五十年度の結果としての実績値といいますか実績比率、これを従来以上に減らさず、かつ福祉優先、生活関連という意味を含めて引き上げていくというふうな方向をひとつ検討されるべきではないかというふうに思うのでありますが、先ほどの住宅の問題とも絡みますけれども、確かに今後の推移という点も一つありますが、財政当局のこの点での方針をお聞かせいただきたいと思うのです。
○大平国務大臣 お答えになるかどうかわかりませんけれども、私はこう考えているのです。
 先ほど申しましたように、年度当初におきまして、予算という基本になる計画がございまするし、地方財政計画というものが立てられるわけでございます。それと見合って地方債の起債のもくろみも立てられるわけでございます。したがって、一連の中央地方を通ずる計画の枠内におけるものでございまするならば、それが時期的に上期になろうが下期になろうが、年度全体といたしましてそれだけの資金の手当てはできておるわけでございますから、その計画を変えない限り実行は可能なようにできておるわけでございます。
 つまり、ほかの事情がこれをディスターブしない限りにおいては、たとえばそういう計画を地方自治体の方で変えられるとか、計画でそういう予定をしてあったけれども自分の都合でこれはこうするんだというようなことで変えられると、それは計画は狂ってくるわけでございますけれども、そういうことがない限りにおきましては、計画どおりやることについて地方も責任を持って資金繰りができておるわけでございますので、心配なく遂行できると思うわけでございます。したがって、これを増すとか増さないとかいう問題は、先ほどの問題に返るわけで、下半期になって、またそのときの状況を見て考えなければならぬことと思うわけでございます。
○荒木委員 下半期のときに見て考える方向、重点、これは当初に伺いましたので、そのことを前提にいまの答弁を伺っておきたいと思うのですが、そのことと、今度の不況対策で重点だと言われております実需の喚起、こういう点から言いますと、一つは、契約時に渡す前渡金というのがありますが、前渡率がいま四〇%というふうに聞いておりますが、この前渡しの率を特に中小企業に向けてたとえば五〇%に引き上げるとか、そういった当面の措置としての官公需の中小企業受注増大ということにも絡めて、やりやすいように前渡率を引き上げるということを財政当局としても検討されてしかるべきではないか、こういうふうに思います。
 それぞれの所管庁の意向もさることながら、財政当局としては、すぐに渡す率の引き上げということについてどのようにお考えか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○辻政府委員 ただいま御指摘のございましたように、国の発注いたします公共工事につきましては、代金の四割を前払いすることができるようになっております。なお、地方公共団体の発注いたします公共工事につきましては、昨年の十月に従前の三割から四割に率を引き上げたところでございます。
 これをさらに中小企業につきまして五割にしたらどうかという御提案でございますけれども、前払い金制度の趣旨でございますとか、あるいは民間工事におきます前払いの慣行等も考えなければなりませんし、地方公共団体の財政事情もあるところでございます。また、大企業と中小企業によりまして支払い条件を異にいたしますことが、公正な競争という観点からしていかがだろうかという問題もございますので、なかなか困難な問題ではなかろうかと思っております。
○荒木委員 実務段階ではいま答弁された状況のように伺いましたが、これは今度の対策で出されております中小企業の受注機会の増大ということが、実際問題としては、技術の面あるいは規模の面、また発注に当たってのランクづけの点その他で、なかなか所期の効果が上げにくいということも指摘されておるわけですが、そういった点から、政治的な判断対象として引き上げる方向を大臣として御検討なさるべしということを私ども間々主張しておるわけですけれども、実務当局のいまの答弁を踏まえて、今後の方向として大臣の御所見を伺いたいと思うのです。
○大平国務大臣 それは発注の割合ですか、それとも前払いの……。
○荒木委員 前払いの率です。発注の割合はいままでも大分伺っておりますし、経過も伺っておりますから。
○大平国務大臣 その件につきまして若干の改善をいたしたところでございまして、まずその実効を確保するのが当面のわれわれの任務じゃないかと思いますけれども、なお改善するべきかどうか、その改善する是非についてもう少し検討さしていただきたいと思います。せっかくの御提案でございますので、いま直ちにお返事できませんけれども、検討さしていただきたいということにさしていただきます。
○荒木委員 たとえば公共投資の住宅ということで対策が出ておりますけれども、金融面からの措置については、対策の中では住宅ローンのことが取り上げられています。これは長期金利の絡みもありますので日銀総裁にお伺いをしたいのですが、公定歩合の引き下げに伴って短期金利が動いていく、それがまた事業債の発行条件整備ということも絡めていろいろ波及をしていきまして長期金利に及ぶ、こういう金利体系、金利構造がありますけれども、特に政府が政策として住宅ということを打ち出しているという場合に、この住宅ローンの金利の引き下げについて通貨当局としての日銀当局は、単に成り行きというとなんですけれども、そういった効果が及ぶのを待たずにこの点について味つけをし、それを下げていくというふうな方針、方策はとれないかどうか、この点について御意見を伺いたいと思います。
○森永参考人 住宅ローンにつきましては、その量的な面の確保、促進につきましては、私ども市中金融機関に対しましてできるだけ多くのものを確保するようにというようなことでお願いをしてきておるわけでございます。
 利率につきましては、そもそもが各金融機関が自主的にこの住宅ローンの利率を決定するべき性質のものでございまして、私どもが介入すべき立場にはございませんが、各金融機関における利率決定の基準といたしましては、金融制度調査会でも一つの指針を示しておりまして、預金金利ないしは長期の標準金利の動向によって決められるべきものだというようなことが言われておるわけでございます。
 公定歩合の引き下げに伴いまして、短期の方は直ちに追随して下がっていくわけでございますが、長期の金利、住宅ローンの金利を含めました長期のローンにつきましては直ちに追随するというような性質のものではございませんで、今後における長期資金の需給の状況によって決められていく、いずれは長期金利体系そのものとしてだんだんに下がっていくことが期待されるわけでございまして、その一環としての住宅ローンの金利につきましても、いずれは若干の低下を見るであろうことが期待されるというような気持ちでおるわけでございます。
○荒木委員 この点については、たとえば大企業に対する融資が採算割れになっておる事例がある、こういう指摘もあります。また一方、今度の対策でも、企業金融についてはそれが早く浸透するように特段の配慮ということもあります。また一方、いままでこのインフレの中で目減り補償が顧みられなかった、そういうふうなことから考えて、いまの参考人の御意見のようなことからさらに一歩進めて、この不況対策で出されておる方針と従来の経過と、それから片やこれ、こなたこれという対比から考えても、やはりその間に政策努力、方針、指導ということがあってしかるべしと考えておるのでありますが、その点は今後の問題として通貨当局の方でもひとつ善処方の研究、検討を要請したいと思うのですが、いかがですか。
○森永参考人 筋道としては先ほど申し上げたような筋道になるわけでございますが、市中金融機関におかれましても、もし将来引き下げを許すような環境が整備されるならば引き下げることに前向きの姿勢をとっておられる由の談話も承ったような次第でございまして、私どもとしては、できるだけ早い機会にさような環境になっていくことを期待しておるということでございます。
○荒木委員 問題融資といったものの個別のケースは間々指摘もされておりまして、本委員会でもいままで質疑もあったところでありますが、特に昨今チッソの開銀融資がいろいろ取りざたされておりまして、来週決定されるというような報道もあるのですけれども、大蔵大臣、この点は財政当局としてどういうように処置される方針ですか。
○高橋(英)政府委員 チッソに対します開銀の融資でございますけれども、現在のところは関係の省並びに開銀と検討しておるという段階でございまして、チッソそのものの存在をなるべく維持することが、補償といったようなああいう被害者に対するたてまえの上からもいいんではないかということでございますけれども、一方におきまして、開銀の融資というものは法律で厳重に条件とかいろいろ決まっておりまして、そういうものに抵触すればもちろんできないわけでございますので、そういう点を現在検討しておるという段階でございます。
○荒木委員 いままでの答弁の筋を伺っておりますと、国民の要求である生活関連、またその方での財政金融の措置というものについては、まことに消極的といいますか、あるいは様子を見た上といいますか――一方、たとえば今回の公害防止の投資、開銀の措置にしても五百億という純増措置がこの部分についてだけとられているというふうなことからも、中小企業金融については特に配慮されてしかるべしということを申し上げておるわけです。
 それから民間の特別融資、この点について銀行当局の御意見を伺いたいのです。
 三千二百億の枠の中でいままで何がしか支出をされてきました。そのときに、実情としては乗りおくれといいますか、希望があったけれども枠からはみ出たという分があった。すでに幾つかの業種が出ておりますけれども、私どもの方にはそういった乗りおくれの処置の要請がいろいろあり、また同時に、返済猶予の点については、民間の扱いではありますけれども、実際の経過としては、こういった特別融資にはまらなかった分を政府系でめんどうを見られて、その分については返済猶予ということが今回出されている、そういう兼ね合いから特別融資の点についてもそういった措置を行政指導として打ち出されてしかるべしということもあります。特別融資の扱いについて、乗りおくれ分、返済猶予といった点についての銀行局長のお考えを伺いたいと思います。
○高橋(英)政府委員 特別融資についての乗りおくれという問題でございますけれども、それは私ども、実はどういう場合があるのかなというのがちょっとぴんとこないわけでございます。と申しますのは、特別融資というのは、一応所管の官庁等からこういうものをそうしてくれいと言われて、いたしましょうというようなやりとりがございまして、それからその所管の官庁あるいは自治体といったところが一カ月ないし二カ月かかって皆さんを集めまして、そしてそれをまとめて所管の官庁から金融機関へ持ってきてこの制度の対象にしておるということで、その間、ぱっとやっているというんじゃなくて、業界あるいは地方の状態といったようなものを十分承知した人たちがやっておりますので、その乗りおくれというのはちょっとどういうことなのかわからないわけでございます。
 それから、返済猶予ということでございますけれども、昨年から始めました特別融資、これは大体運転資金なんでございますけれども、返済期間というものは大体三年ぐらいにしておりまして、しかも大体六カ月ないし一年の据え置き期間というのがついておる制度でございまして、現在償還期に来ておるというような事例はまだ実はないと思うわけでございます。したがって、返済猶予という問題もそうシリアスな問題になっているはずはないんではないかというように私は考えておる次第でございます。
○荒木委員 この点は、私は実情をもう少し実態に即してつかんでいただきたいというふうに考えますが、時間の都合がありますから、個別の問題提起は次の機会にしたいと思います。
 特にこういった不況対策について財界が、御承知のように、先日本院でも特別委員会へ経団連の会長が出られて、公定歩合の引き下げはまだ足らない、あるいは赤字公債の発行を考えるべしといったような不満の意が表明されたわけでありますけれども、私はこれはもってのほかだと思います。従来指摘をしてまいりましたさまざまな特別の措置による減免税、そういった出すべきものを出さずにこの期に及んでいろいろな要求が出てくる、こういったことについて繰り返しいままで論議をしてきたわけであります。
 先般、参議院の大蔵委員会で五項目の増税案というのが当局の方から提出をされました。時間がありませんからこの論議を個別にするわけにいきませんが、その中に各引当金の限度額の引き下げというのが項目としてあります。たとえば貸倒引当金、これも繰り返し論議のあったところでありますが、返品調整だとか、あるいは特別修繕だとか、また製品保証だとか、いずれも実績基準ということになっておるわけですけれども、この貸し倒れ引き当てについても限度額をどこまで引き下げるか、従来の貸し倒れ実績との見合いでそれをお決めになるか、またそうだとすれば大体その実績との比率がどのくらいの目安になるか、こういった点について、これは論議はきのうきょうの問題でありませんで、ここへきて財政当局として出された項目の貸し倒れ引き当てについての中身をどのように考えておられるか、ひとつ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
○中橋政府委員 いまおっしゃいました引当金の中で、貸倒引当金は従来からも実績に比べてかなり引き当て率が高いのではないかという御指摘がございました。私どもも、余裕があればこういう引当金の形で内部留保を高めるということも非常に必要ではないかというふうに従来考えておりました。
 たまたま今回のような非常に税収が足りなくなっておるという時期でもございまするので、目下、全面的に最近におきますところの貸し倒れの実績がどの程度になっておるかということの実態調査をいたしておる最中でございます。それはもちろん金融保険業だけに限りませんで、製造業から卸、小売業全般にわたりまして目下調査をしておるところでございます。そういうものを今回のいろんな引当金、準備金その他の問題を検討する際に参考にいたしたいというふうに思っております。
○荒木委員 時間が参りましたので、あとの質問はまとめて申し上げたいのですけれども、物価の問題でいままで一貫して物価高が続いて国民のインフレ被害というものが重なってきたわけですが、たとえば五年前、十年前、十五年前に比べて貨幣価値はどのくらい下落しているか。また、そういったことについて通貨価値の維持安定を主たる任務とする日銀通貨当局としてどのような反省があるか。
 端的にいいますと、財政でどんどんと過剰流動性をつくり出す、それに追随をしたというふうな点も指摘されておりましょうし、またそうしますと、今回の引き締めについてその反省がどのように生かされているか。現象面において前の四十五年のときの例を見ますと、たとえば引き締めから緩和に移るときに窓口指導が廃止をされた、今回はそれが維持されているという点があり、あるいはコールレートの方も当時に比べていまなお高水準だという点もある。ですから、そういうふうな従来の苦い反省に立って通貨当局として、通貨価値の維持の上で、いま引き締め緩和ということが言われておるわけですけれども、どういうふうな政策重点を具体的に打ち出そうとしていらっしゃるか、これをひとつ伺いたいと思うのです。
 それから、経済企画庁の方には、いま物価に対するいろんな行政指導として、波及効果の大きいもの、国民経済の上から見て重要なもの、国民生活に大きな影響を与えるもの、これは個別指導をする、こういうふうな話を伺いましたが、具体的にいまどのような業種、品目を考えておられるか。
 しかし、それについてはまだ事前了承とか凍結とか、そういった措置をとる時期ではないということを従来伺ってきたのですが、それじゃどういうときにそういうことをなさるのか。急騰のおそれという一般的な話がありますけれども、実際に聞いてみますと、企画庁の方では所管物資がないからそれぞれの窓口官庁から聞く、新聞報道を読む、こういう程度のように聞いておるわけです。それでは、従来の物価対策が御案内のような経過になり、国民生活に非常に大きな被害を与えた、この点での反省というものがいまの指導の上では見られないのではないかということを踏まえて、いまの二点について伺いたいと思うのです。
 それから、通産政務次官に出ていただいておるのですが、先日農機具業界といろいろお話しになり回答があったように聞いておりますが、これは具体的に今回の値上げは見送る、こういうふうに伺っておるのですが、この七月の全農との値上げ交渉を見送るということになりますと、これはサイクルとして一年に一回ですから、つまり一年間はそれでいくというふうにとっておられるのかどうか。
 それからまた同時に、いま鉄鋼だとか板ガラス、石油化学、これらの値上げの話が出ておりますけれども、これらについても先日の農機具業界と同じように、適切な時期にそういった個別指導をなさるというふうな用意があるかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
 なお、税制上の措置については先ほど伺いましたけれども、税制、財政を含めてスピードの点についていろいろ論議をされ、目先の当面のことについて、国民生活本位に転換する上できわめて憶病で、従来の路線が継続されておるという印象を非常に強く私は持ったわけですが、その点を指摘をしておいて、先ほどのそれぞれの質問について伺って、終わりたいと思います。
○森永参考人 過去両三年にわたりまする卸売物価並びに消費者物価両方の激しい物価騰貴は、その中には石油価格が四倍にも上がったという外的な要因もございましたが、私どもとしては初めての容易ならぬ事態であったわけでございまして、そのような事態に対処しまして、政府の総需要抑制策の一環として、私どもも強度の金融引き締め体制を維持してまいったわけでございます。
 その効果の浸透に伴いまして、本年初来、卸売物価は微落し、その後も続いておる。消費者物価の方もやや騰勢が鈍化したというようなこともございまして、一両年来続けておりました激しい金融引き締めには一応の区切りをつけるという意味で、四月に公定歩合の引き下げを実施いたしまして、またその後の情勢から第二回目の引き下げも実施したわけでございますが、今回の場合は、従来の引き締め期におけるがごとく公定歩合の引き下げに伴って量的な規制の方も全面的に解除するとかあるいは預金準備率を引き下げるとか、そういう措置は伴って実施いたしていないのでございます。
 それは、まだまだ私どもが物価の鎮静化が本物であるかどうかということにつきましてもう少し見きわめる必要があると考えておるからでございまして、いましばらくいまの需給状態を継続する必要がある、そのためには、金融の量的な面におきましては引き締めの基調を当分維持する必要があると考えておる次第でございます。過去におけるいろいろな経験をも十分反省しながら、今回の場合にはまだ直ちに金融の量的緩和を実施すべきではないと考えて施策に当たっておる次第でございます。
○安田政府委員 質問の第一点については、物価抑制の所管庁として重要な物資に対する抑制方策についてどういうような考え方を持っておるかという御質問のようでありますが、これは経済企画庁としてはどの物資にもかかわらず、すべての物資について、やはり国民生活上影響の大きくあるものについては特に関心を払い、その他の物資についても十分な注意を払いながら、物価の抑制のためには努力を払っておるわけであります。
 しかし、ことさらに取り上げて申し上げますならば、私は何といってもやはり日本の産業上必要な基礎資材、あるいはまた公共料金の対象になっておりまする諸般の物資、こういうものが一番物価抑制、物価安定という点から申しますと重要な物資であろうかと存じておる次第であります。したがいまして、経済企画庁としては、こうした物資に対しましては特にその抑制に努力を払ってまいっておるところでございます。
 しかし、経済企画庁は、御承知のとおり個々の企業あるいは個々の物資に対して直ちにその抑制措置をとるような立場にはないわけでありまして、それぞれの物資に応じまして所管庁が決まっております。したがいまして、各省庁のこの面に対しまする御努力というものを特にお願い申し上げておる立場でありまして、たとえば経済閣僚会議におけるところの経済企画庁長官の発言、あるいはまた経済界、金融業界、そういう方面に対しまする機会あるごとの経済企画庁長官としての発言、こういうものは新聞等にも報道されておりまするように、日常絶えずそうした面に対しましては鋭意努力を払っておるところでございます。したがいまして、この点については今後とも最大の努力を払わなければならぬ、かように実は考えておるところでございます。
 それから、第二番目の質問でありまする個別的な物資に対しまする、あるいは個別的な企業等に対しまする指導は一体どうするのか、その時期は一体いつになるかという御質問でございますが、これについては前段申し上げましたように、個々の物資について経済企画庁が直接指導するというようなことは実はやっておらないわけでございまするので、われわれは関係のありまする各所管省庁と特に一層緊密な連絡をとりまして、そして物価抑制のために、ひいては国民生活の安定のために、また産業界の今後の軌道の常道化を促進するために努力を払ってまいるべきであろう、かように存じておるところでございますので、御了承いただきたいと思います。
○渡部政府委員 六月の十六日、経済対策閣僚会議が行われて、第三次不況対策が発表されたわけでありますが、そのとき、御承知のように、厳に物価値上げを自粛するように産業界に要望するという基本的な政府の考えが明らかにされておりますので、この方向に沿って、先般、農機具界を代表するそれぞれのメーカーの代表者をお呼びして、七月に御承知のように農機具の価格改定期で全農との価格交渉に入りますので、農機具の値上げを厳に自粛するように要望いたしまして、また、それぞれ業界を代表する立場の方から協力するという返事を得たわけであります。
 ただこれは、従来は七月と、十一月かあるいは十二月と、二度改定が行われるというようなことも聞いておりますが、私が自粛を要望申し上げたのは、今度の七月期の改定に当たって値上げをしないようにということでこれは協力を得たわけでありますから、今度十一月、十二月にもしそういう時期があれば、またそういう必要があれば、その際に行われるということになると思います。
 また、先生御指摘のその他の品目等については、これは従来も通産省としては値上げ自粛の要請をしておりますが、今後もケース・バイ・ケースで、必要に応じて、情勢に応じて、値上げの自粛を求めてまいりたいと思います。
○上村委員長 広沢直樹君。
○広沢委員 当面します不況、それから物価問題、きょうは午前中からいろいろこの問題についての集中的な論議が行われておりますし、大蔵大臣を初め、参考人として出席された日銀総裁のお考えも伺ってきたわけでありますが、二、三私もそれに関連した問題をお伺いしておきたい、こう思います。
 インフレと不況が長期にわたって併存する不安定な社会、いま企業も国民も一番求めているものは何かと言えば、企業の経営の安定であるし、そしてまた生活設計に一応のめどをつける、安定ある生活設計を考えなければならぬ、そのための一応の目標を示してもらいたい、具体的なそういう対策といいますか、それを明確にしてもらいたいというのが今日の要求であるわけです。
 そこで、財政にせよ、金融にせよ、今日までの政策はいわゆる物価を重点にしてやってきた。これは私どもも、最重点に物価を考えていかなければならないということは主張してきたとおりであるわけであります。ところが、最近いろいろな角度から、物価最優先かあるいは景気浮揚かというような論議が行われるようになってきております。というのも、いわゆるインフレと不況が併存して、一時物価は狂乱状態にあった、消費者物価が二けたというよりも二〇%台というような、いまだかつてない異常な上昇を示していた、それが、その当時政府は物価に対しては何とか早急に二けた台というか一五%以内に抑える、こういうふうに公約をして、そのための努力をしてこられたわけですが、一応計数的には一五%以内におさまったけれども、そういう関係もあってだんだん不況が深刻化してきた。それで、第一次あるいは第二次不況対策を立てたわけでありますけれども、景気が落ち込んでいくのでなかなかそれに十分な対応ができない、こういうことから第三次の不況対策ということが考えられたわけであります。
 ここへ来て、考え方が二つに分かれているのじゃないか。先ほど申し上げましたように、景気浮揚策を強調していく、そのことがとりもなおさず物価対策になるのだという考え方と、それから今日、非常に今後公共料金の値上げ等、あるいはその他の企業においても値上げがメジロ押しというか、それを待っている気配が考えられるというようなことから、これはやはり物価が再高騰するという懸念があるところから、まず物価はいままでどおり引き締め基調でいかなければならない、こういう考え方と、二つあるわけですね。
 そこで、こういうような段階に至って、金融当局とそれから財政当局、この二人の首脳のお考えを聞いておきたい。
 特に、経済企画庁長官はいまいらっしゃいませんけれども、経済企画庁の事務次官がある場所において、物価問題は一応目的を達した、今後の経済運営は景気浮揚策を考えるべきだ、そのための財政支出の拡大あるいは金利の引き下げ、これは預金金利、貸出金利、両方あるのですがこの引き下げ、これは景気対策としては当然だろうとは思うのですけれども、通産省が言うならまだわかりますが、経企庁はどちらかというとかじ取りをするところでありますから、御当人がいらっしゃらないのでその真意を聞くというわけにいきませんけれども、経済企画庁の高官がそういう話をなさるわけでありますから、それについて経済企画庁としての考え方も、政務次官御出席でありますから伺っておきたいわけであります。
○森永参考人 物価の安定を最優先とする立場を私どもとっておるのでございますが、もちろん、だからと申しまして不況をいたずらに深刻化させ、長引かせた方がいいとは決して考えておりません。物価の安定を最優先の課題としながらも、個々の業種、業界等におきまして深刻な事態が起こりました際にはきめ細かい弾力的な措置を講じまして、事態の急変を避けるような配慮をいたしてまいったつもりでございます。
 景気は総体として二、三月ごろを底に、いわゆる底割れの危険がなくなった。非常にかすかではございますが、上昇の過程に移りつつある。生産、出荷ともに二、三カ月続いて増加いたしておりますし、在庫の状態も引き続き減少をしておる。マクロ的には確かに上向きの傾向が出ておるわけでございますが、ただ回復の基調は大変緩慢なものでございまして、かすかなものでございまして、それにはどうも個人消費の伸びがもう一つぱっとしないとか、あるいは設備投資の先行きが低迷ぎみであるとか、あるいは輸出も余り芳しくないとか、そういうようなことがございまして、急激な緩和は望まれませんというのが現状でございまして、私どもも、そもそも今日の事態におきましては、やはりきわめて緩やかな回復を着実になし遂げていくということこそ当面の事態から抜け出す唯一の方策であると思っておる次第でございます。
 もし急激な景気回復をねらって余りにも刺激的な方策を講じますと、そのために需給関係がタイトになりまして、再び物価の狂騰を招く心配もないとは言えないような状態でございますので、ここのところは慎重に金融政策を運営していかなければならない段階であると考えておる次第でございまして、緩やかな回復を図りつつ、大勢としては物価の鎮静化の定着を最大の課題として進んでおるというのが私どもの立場でございます。
○大平国務大臣 私はいまの事態の認識は非常にむずかしいと思うのです。海外を見ますと、世界経済の状況は、御案内のようにまず通貨がフロートしておりまするし、基軸通貨というものの信認が揺らいでおるわけでございますので、世界の経済の秩序が確立していないわけでございます。さればこそ石油のべらぼうな値上げが一晩のうちに行われたりするわけでございます。したがって、食糧や資源の供給につきましても安定供給が確立しているとは言えないわけでございまして、それにつき大きな政治的な不安、経済的な不安がいつもつきまとっておるわけでございます。
 したがって、世界でも国際収支が大幅に狂いまして、外貨が一方に偏在してしまって、多くの国が外貨不足に悩んでおるというようなことでございますので、世界経済が伸び伸びと着実な拡大を見るなんという事態ではないと思うのです。大変むずかしい局面で、最近の日本の輸出の急激な不振というものはそういうことと無関係ではないわけでございますので、今日景気の問題を考えるにつきましても大変むずかしい事態であるということは御案内のとおりでございます。
 また、ここ二、三年来そういった石油の危機を初めといたしまして、いろいろな状態を経験してまいりました国民といたしまして、ようやく何か安定の兆しをつかみたいということで今日政府も国民もやってまいったわけでございまして、従来よりは物価も安定の兆しを見てきたわけでございまするし、この春以来の生産や出荷にいたしましても、在庫にいたしましても、やや持ち直しの兆しが見えないわけじゃございません。ございませんけれども、一番基本になる消費が本当に着実に伸びておるかというと、そう言えないわけでございます。したがって、この事態は金を出して景気政策をやったからというて簡単に直るような事態でもない。しかし、そういうことをやらなければますます冷え込む事態でもある。
 それから、国民が内外の事態に対してどのように対応するかということをいま非常に考え込んでおると見えて、消費にも明るい、図太い展望がまだ出てきていない、そういう状況だと思うのです。したがって、景気政策といい、物価政策といい、とてもやりにくい事態であることをまず前提として考えなければいかぬと思うのでございます。したがって、これは相当時間がかかるのではないかと思うし、打つ手も、こういう手を打てばこのように響いてくるなんという従来のパターンで判断できる事態ではないと思うのでございます。したがって、非常にむずかしい事態であるということと、非常に時間がかかるということと、打つ手段の選択もなかなかむずかしい事態であるということを前提にいたしまして、まず国民も政府も相当忍耐強くこの事態に対処していかなければいかぬのじゃないかと思っておるわけでございます。
 したがって、政府はとりあえず決まっておりまする予算あるいはもろもろの財投計画その他決まりました計画の範囲内でやるべきことをまずやらしていただくということが、いまわれわれが景気対策としてやっておることでございまして、またそれがそれ以上まだ出ていないわけでございまして、それ以上出るべきか出るべきでないかということは、今後の事態の進展を待たなければいかぬと考えておるわけでございます。
○安田政府委員 経済企画庁の事務次官の発言に関連いたしましての御質問でありますが、事務次官の発言の真意については私も十分に承知をいたしておりません。したがって、どういう真意なのかはわかりませんが、申し上げるまでもなく経済企画庁はいま来年三月における物価の上昇率を一けたに抑えなければならぬ、一けた以内にしたいというその至上的な目標を持っておるわけでありまして、これを達成するために非常な努力を払い、また内閣自身も同じく御努力を願っておるわけでありまして、そういうやさきでございますから、経済企画庁としては、決して景気浮揚対策は必要ない、そういう立場はとりませんけれども、何といっても物価の抑制、それに物資の価格の引き上げの抑制という面に最重点を置いて今後の行政を運用していく、こういう立場をとっておりますので、御了承いただきたいと思います。
○広沢委員 金融当局も財政当局も、また経企庁の方も一応これまでどおり物価が最重点である、よくわかりました。
 そこで、そういうことになりますと、これまでは物価を最重点にやってきたという関係で、不況対策についても若干のきしみがあったのではないか。ですから、そういうことに対して積極的に景気浮揚策をとってほしいという声も多いわけですね。そこで、その屈曲点というのは、物価を物差しにした場合に、いま二けたです。そしてまたいつ上がるともわからないような状況にあるわけですね。ですから、物価を物差しにするのであれば、どの点でこれを考えていくかということが当然考えなければならぬ一つの問題ではなかろうかと思うのです。
 いま政府は、経済企画庁が申しましたように一けた台にしたい、それは九・九%ということが政府見通しにもなっておりますけれども、その時点まではいま言うように今日までの対策で十分であるとお考えになっていらっしゃるのか、その点ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
○安田政府委員 これまでとってまいりました政策、方策によって十分かという御質問でございますが、基本的には従来とってまいった方針でよろしいと私は思っておりますけれども、ただ、経済界は端的に言うと生き物でございますし、また、したがいましてどういう変化が、月々といいましょうか、近い将来におきまして生ずるか、これはなかなか予測しがたい面もあると思います。
 しかし、われわれがいま予測しておる範囲におきましては、大体現在までの物価政策を踏襲し、また推移の変化によってはそれを強化するという場合も必要になってまいると思いますけれども、基本的にはやはり従来の方向を堅持して、総需要管理政策を中心とした方策を堅持して、そして関係各省庁の御協力をいただいてまいりますならば、また国民の御協力をいただいてまいりますならば、所期の成果は上げ得るのではないか、かように存じておる次第でございます。
○広沢委員 ちょっと質問がとっぴだったように思うのです。そこで、日銀総裁にちょっと具体的に伺ってまいりたいと思うのです。六月七日に第二次公定歩合引き下げ、続いて六月十六日には第三次の不況対策を行った。まだその効果がはっきりしないところですね、引き下げたばかりですから。ところが、第二次の公定歩合の引き下げの内容を見てだろうと思うのですけれども、その前後にすでにもう第三次引き下げを行うべきである、少なくとも七%ぐらいにすべきであるという声も強まってきているわけですね。そこで、第二次公定歩合を〇・五%にとどめた理由というのはどういうわけでしょう。
○森永参考人 四月に第一回の引き下げを行いまして、その後の経済情勢の推移を慎重に見守っておりました次第でございますが、物価の動向も落ちついておる、特に卸売物価については落ちついておるわけでございます。ただ、消費者物価について、四月、五月とやや異例な高騰を見ましたが、内容を分析しますと、季節的、特殊的要因によるものが多いようでございまして、消費者物価の騰勢鈍化の傾向がここでさま変わりしたとも見受けられない。
 他方、景気の動向につきましては、底はつきましたものの、その回復のテンポはきわめて緩やかなものである。なかんずく企業利益の大幅な削減ということがございまして、金利負担が限界的に大変重く感じられておるというようなことなどがございまして、この辺で第二回の引き下げをいたしまして、景気の緩やかな回復を着実なものにする措置をとりましても、物価の情勢には格別障害になるようなこともない、そういう見きわめをつけましたので、第二回の引き下げを実行したわけでございます。
 目下は、その効果いかん、その後政府におきまして第三次の対策も講ぜられたわけでございますので、それが実体経済にいかなる影響を及ぼしてくるか、その辺のところを冷静慎重に見守っておるところでございまして、一部には第三次引き下げ等の要請がございますことは承知いたしておりますが、私どもといたしましては、目下のところ第三次引き下げにつきましては、何ら考慮に上せておりません。ひたすら現在の経済情勢の推移を見守っておるというのが現状でございます。
○広沢委員 そこで、物価を最重点に考えるということですから私は当然のことだろうと思いますけれども、いま政府の方も本年度末までに九・九%にするのだ、一けた台にするのだということですね。そうしますと、けさもお話がありましたように、確かに一つの施策を打った場合においてはタイムラグがある、ずれがあるでしょう。そのずれによって今回の対策の範囲内で、物価に対する影響というものを考えて〇・五%の第二次を引き下げたということであれば、それで十分その目標が達成できるとお考えになっておるのか、あるいはこれ以上下げてしまうと、逆に景気を刺激し過ぎてその目標が達成できないという判断があったのか、その点をちょっと伺っておきたいわけです。
○森永参考人 第二回の引き下げを〇・五%と小幅にとどめましたのは、慎重な経済運営、なかんずく金融政策の運営を必要とするという状況のもとにおきまして、〇・五%の比較的小幅の引き下げにとどめるのが妥当であると考えたからでございます。
 今後さらにどうするか、これは先ほども申し上げましたように、今後の景気動向、経済諸般の動向、物価の動向等々の情勢を慎重に見守っておるところでございまして、現在のところ何も考えておりませんことを御了承いただきたいと存じます。
○広沢委員 そこで、金融政策をやる場合には預金金利というものを度外視して論ずるわけにはいかぬわけですね。ところが、公定歩合を引き下げると当然貸出金利が下がっていく。そうなりますと、預金金利の引き下げという問題もやはり論議に上ってくる。ところが、今日のように物価と不況とが併存しておるという形ですから、物価上から見ると、預金の目減り問題とも関連して、そう軽々に預金金利を動かすわけにはいかない、こういう問題があろうかと思うんですね。
 私も目減り対策でも申し上げましたけれども、やはり物価というか、それに対応した金利体系というものを考えなければならぬということを主張している一人なんです。ですから、当然私は、これは政策論から言えば考えられるけれども、政治的に考えていくならば、やはりここに十分な配慮を考えなければいけないと思うのです。
 ところが、これ以上公定歩合を仮に引き下げていくということになれば、当然銀行の経営問題に触れるということになろうと思うし、そうなっていくと、どうしても預金金利は引き下げなければならぬ、こういう問題が出てくるのじゃないかと思うのですね。その点をどう見ておられるのか。今回の措置については預金金利の引き下げはする必要はないのだというお考え、これも聞いております。ですから、次のこれ以上引き下げていく場合においては考えなければならなくなるのか、その点のお考えはいかがでしょうか。
○森永参考人 第二回の引き下げを〇・五%の小幅にいたしましたのは、預金金利との関係で金融機関の収益上からその辺が限界であると考えたからではないのでございまして、金融政策の運営を慎重にするという、もっぱらその観点から〇・五%にいたしたわけでございます。
 それでは、預金金利との関係でさらに引き下げる余地があるのかどうかということになるわけでございますが、この上引き下げますれば、引き下げの幅にもよりますけれども、金融機関の収益を圧迫いたしますことは当然でございますが、しかしながら、それがあるからといって、いまの公定歩合がもうこれ以上は下げられないという絶対的な限界であるとも思っておりません。
 もちろん、将来、この預金金利も重要な金利体系の一環でございますので、下げなければならぬときが来ますれば、これはやはり下げることを考えなければならぬわけでございますけれども、現在のところは、預金金利に影響を及ぼすほどこの金利を下げるべき状態であるとも思っておりませんし、また消費者物価の現状などから考えましても、いまのところは軽々に預金金利に手をつけるべきではないというふうに考えておりますが、さりとてそのことからしてもういまの公定歩合が引き下げの限界であるという絶対のものでもないというふうに考えております。
○広沢委員 そこで、こういうふうに非常にむずかしい情勢下における金融政策上では、やはりいまお答えいただきましたように、預金金利の問題については他に一つの大きな問題があってそれも勘案しなければ動かせない、政策論から金利の上げ下げをする場合は、公定歩合につれてそれが連動して動くという体制へ持っていけば最もその効果があらわれるのではないか、こう思われるのですけれども、そういう問題があるわけですね。
 そこで、ちょっと午前中にも出ておりましたけれども、いわゆる法人と個人の定期預金に対する区分をして、金利差を設けることをやったらどうか、これは私もそういうふうに考えるわけなんですよ。公定歩合の政策は景気対策上とるわけでありますから、景気と直接関係のある法人預金については公定歩合と連動して動くような体制がとれるのではないかと思うのです。しかもいまの調査によりますと、法人預金と個人預金というのは大体相半ばしている。本来は法人預金の場合はほとんど当座で動いているはずなんですけれども、しかし、実態的には半分ぐらいは法人預金だと言われているわけですね。私は銀行経営上預金金利の上げ下げが非常にむずかしいという問題があるならば、当然こういうときにはこれを具体的に考えるべきではないか、前向きに考えていく、あるいはいま検討中であるというようなお話もあったのですが、これは早急に考えるべきじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
○高橋(英)政府委員 法人と個人の定期預金につきまして金利差を設けろという一つの御提案であり、また私どもも実際検討したことはございます。ただ、午前中にも日銀総裁がお話になりましたように、法人と言いましても、中小企業などの場合、法人なのか個人なのかわからないといったような、これは一例でございますけれども、そういう技術的な困難さというものは非常にあるわけでございます。
 それから、そういう制度をそのままにしておいて金利差を設けるということ、それがまたいいのかなという問題もあったりしまして、一つのアイデアではございますけれども、実行するとなるとかなりむずかしい問題があるのではないかと思っています。ただ、全然話にならぬという問題ではないと思いますので、勉強は続けたいと思っております。
○広沢委員 非常に慎重なお考えのようですけれども、やはり私は、これはいまに始まった問題じゃないのですが、これからのこういうような複雑な経済運営をしていく段階においては、金利政策の中にも具体的なこういう一つの問題点を煮詰めていく必要があるのではないか、こう思うわけで、強くこれは要望を申し上げておきたいと思います。
 それから、時間もありませんけれども、第二の公定歩合と言われるコールレートについて日銀総裁にお伺いしておきたいと思うのです。
 過般の報道によりますと、いわゆるコールレートまたは手形レートを高水準に維持する方針であるという日銀総裁の御意見が報道されておりましたけれども、これは公定歩合との関係についてはどういうふうにお考えになっておられるのか、今後そういうような形で運営されていく方針なのか、この点ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
○森永参考人 コールレート並びに買い入れ手形の金利の問題でございますが、これは金融市場における短期資金の需給の動向によって決定されるというたてまえのものでございますが、日本銀行が金融市場の調節の任に当たっております関係上、しかもその金融調節が金融市場を通じて行われるというような関係上、日本銀行の政策運営の態度がある程度コールないしは買い入れ手形のレートなどに影響を持ってくるのは当然の勢いであると思います。
 いまのコールレートないしは買い入れ手形のレートが、もうこれ以上下がらないという性質のものではございますまい、短期資金の需給によって決まるわけでございますので、当然上下するわけでございますが、ただ、この金融全体の基調を引き締めぎみに維持する必要があるというような政策環境のもとにおきましては、余りにもコールレートあるいは買い入れ手形のレートを低くすることはいかがか、ある程度高目に維持する必要があるのではないかと考えております。
 と申しますのは、取り手の金融機関、すなわち都市銀行におきましては、コールが安ければ安いほど貸し出しにはやるわけでございますし、また出し手の方では、余りにもコールレートが安ければ、それなりに地方におけるいろいろな貸し出しにもそれが回っていって、結局貸し出し量の増大を招くという心配も出てくるわけでございますので、金融基調を引き締めぎみに維持しなければならない環境のもとにおきましては、コールなどの短資の金利も比較的高目に維持する必要がある、さように考えております。
○広沢委員 それでは、もう時間が残り少ないので、あと二、三点ありますからまとめてお伺いいたします。
 一つは税制の問題です。これは一応いま四十九年度について――五十年度も大きな歳入欠陥があるのではないかというようないろいろな予想がなされておりますけれども、そこで大蔵当局においては、全面的に見直すというよりも、いわゆる優遇的な税制をこの際見直していきたいというようなことで税制調査会に諮問されているやに聞いているわけであります。その中で具体的にどういう問題を諮問されているのか、その点をひとつお答えいただきたいと思うのです。
 それから、その中でいわゆる年度内に制度を見直して増税になる分というのはどこを考えているのか、あるいは来年度の実施になる分についてはどういうふうに考えているのか、この点もひとつまとめてお答えいただきたい。
 それからもう一つは、先ほど大蔵大臣も申されておりましたように、今回の不況は消費支出が非常に落ち込んでいるということが大きな原因である、私もそう思うのですけれども、それを浮揚さしていくためには、あらゆる面からその点の手だてを考えていかなければならないのではないだろうか。落ち込んだ原因については、狂乱物価の問題もあったし、いろいろなことで生活防衛という立場から消費がいま停とんしているということは言えると思うのですね。
 そこで、その対策の内容は何なのかというと、やはり消費者の実質収入がふえるということが消費支出を増大させていく一つになる。いままでの財政運営でもそういうような対策を講じてきているわけですね。それが税制上においては減税ということです。財源がこういうように窮屈なときに減税ということはどうだろうかということもあることはわかりますけれども、一つには物価調整減税というのを行ってきておりますが、来年度は非常に財政的に窮屈であるということで、減税は見送るのではないかというような考え方もあるのですが、物価調整減税についてはどう考えるか。
 さらに、消費支出を拡大させていくためにも、消費者、特に、低所得層の所得増を図るための減税が必要ではないだろうか、これについてのお考えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 税制につきまして、端的に申しまして、一般的に大きな税制改革を御諮問申し上げる気持ちはございません。当面物価の安定、経済の安定を極力図ってまいるというつつましい目標を考えていくべきじゃないかと思っております。
 しかしながら、御指摘のように歳入問題があるわけでございまして、五十年度内におきましても、歳入問題にわれわれが手をこまねいて予算編成まで待つわけにはいかぬと思うのでございまして、現行の税制の枠内におきまして増収の道はないものかという点につきましては、企業の引当金、準備金その他を初めといたしまして、きめ細かく拾ってひとつ検討してみたいと思っております。そういう検討の中で、国会に御相談しなければできないことにつきましては、そういうことがございますならば、改めてまた国会にお諮りしなければならなくなると思いますが、当面、財政事務当局といたしまして増収の道を検討いたしたいと考えております。
 それから、税制改革に関連いたしまして、消費支出を刺激する意味において物価調整減税をどう考えているかということでございます。これにつきまして、ことしこういう不況にあえいでおるのに、物価調整減税にとどめたのはいけないじゃないかという議論が指摘されておるわけです。しかし、ことしは御承知のように大きな減税計画が平年度化する年でもございます。それから、地方税では住民税が減税になる年でございますので、物価調整減税はなるほど二千億余りの微調整でございますけれども、それに住民税が加わり、それからさらに去年からの計画の平年度化が加わりますので、相当な減税効果になっているということは御承知のとおりでございます。
 それでは来年度はどうするかという問題でございますが、これは来年度の予算の編成に絡んで慎重に配慮せねばならぬ問題でございまして、いまから来年度のことについて申し上げる用意は私まだございません。
○広沢委員 最後に、経済企画庁に一つだけ聞いておきたいと思いますが、昨年の五月に経済企画庁に設置されました所得分配に関する研究委員会というのがありますね。この中間報告が先月になされて、それが明らかになっておりますけれども、それによりますと、インフレと不況、そういうスタグフレーション下で、所得格差のみならず金融資産とかあるいは物的資産、こういう格差が広がっている、そこで社会的不公平が拡大されている、そういう分析のもとに、三つだけじゃありませんが、主に三つの提言をしているわけです。
 それは、預貯金金利に対するインデクセーションの導入。それから、一定の所得水準を下回る所得層には、その差額の一定割合を給付金として給付する。いわゆる最低所得の保障、俗に言う負の所得税ということですね。それから財産形成政策の強化、これを提言しているわけですね。
 そこで、企画庁は五十一年から新しい経済計画をスタートさせるというふうに聞いているわけでありますが、こういった考えを盛り込んだ経済計画をお立てになるのか、これは非常にひずみがひどいので時代に合わせて研究した単なる研究会の研究論文なのか、その点ひとつお考えを聞いておきたいと思います。きょうは大臣に聞くつもりだったのですが、いらっしゃらないので、政務次官にお答えをいただきたい。
○安田政府委員 いま経済企画庁が長期経済計画を立てますための一つの準備的作業として、所得分配に関する研究委員会、こういうものをつくって勉強をいたしておるわけでありますが、その中でいろいろと中間的な報告として新聞等に出た内容がいま御指摘になっておられまする問題だと思うのでありますけれども、これらについてはまだ研究の段階でございまして、正式に経済企画庁に対しまする最終的な意見としては出ておりません。
 したがいまして、これをどう取り上げていくかということは今後の問題でございまして、ただいまこの場所におきまして、こうした中間報告に盛られておる内容と、これから新しい経済計画の中でそれをどのように取り上げていくかという問題について、これを詳しくあるいは正確にお答えするわけにはまいりませんけれども、ただ、現在の社会におけるいわゆる不公正でありますとか、あるいは所得と資産とのいわゆる分配面からくる国民生活に及ぼすところのひずみの現象でありますとか、そういうような問題が内在しておりますることはよく承知をいたしておるわけであります。
 したがいまして、そういう面を新しい経済計画の中でどの程度まで是正する計画を立て得るものなのか、これは今後のいわゆる社会福祉政策あるいは所得の再配分の問題、そういう課題との関連において十分に研究を積んでいかなければならない問題であろう、かように存じておりまするので、今後ひとつその面に対しまする研究をなお慎重に続けてまいる、そして適正な経済計画を立てたい、こう考えておるわけでありまするので、御了承いただきたいと思います。
○上村委員長 森永参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席賜り、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十一分散会