第075回国会 商工委員会 第6号
昭和五十年二月二十八日(金曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長代理理事 田中 六助君
  理事 稻村左近四郎君 理事 塩川正十郎君
   理事 武藤 嘉文君 理事 森下 元晴君
   理事 佐野  進君 理事 中村 重光君
   理事 神崎 敏雄君
      天野 公義君    内田 常雄君
      浦野 幸男君    粕谷  茂君
      近藤 鉄雄君    丹羽喬四郎君
      萩原 幸雄君    深谷 隆司君
      山崎  拓君    板川 正吾君
      岡田 哲児君    加藤 清政君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      上坂  昇君    野間 友一君
      近江巳記夫君    松尾 信人君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 野上 正人君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁国民
        生活局長    岩田 幸基君
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
        通商産業大臣官
        房審議官    大薗 英夫君
        通商産業省産業
        政策局長    和田 敏信君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        通商産業省基礎
        産業局長    矢野俊比古君
        資源エネルギー
        庁長官     増田  実君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
        中小企業庁長官 齋藤 太一君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      浦野 雄幸君
        海上保安庁警備
        救難部長    山本 了三君
        消防庁予防課長 永瀬  章君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  山崎  拓君     西村 直己君
  野間 友一君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  西村 直己君     山崎  拓君
  中川利三郎君     野間 友一君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  玉置 一徳君     受田 新吉君
同日
 辞任         補欠選任
  受田 新吉君     玉置 一徳君
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  松尾 信人君     正木 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  正木 良明君     松尾 信人君
    ―――――――――――――
 二月二十八日
 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第四五号)
同月二十六日
 中小業者の経営安定に関する請願(高沢寅男君
 紹介)(第九三一号)
 中小企業に対する融資わく拡大等に関する請願
 (下平正一君紹介)(第九三二号)
 公営電気料金算定基準の改定に関する請願(下
 平正一君紹介)(第九三三号)
 外国産絹織物及び絹製品の輸入規制に関する請
 願(下平正一君紹介)(第九三四号)
 同(中澤茂一君紹介)(第九三五号)
 同(原茂君紹介)(第九三六号)
 大島つむぎの振興対策に関する請願(山中貞則
 君紹介)(第九九六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三二号)
 通商産業の基本施策に関する件
 資源エネルギーに関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○田中(六)委員長代理 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、資源エネルギーに関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
○岡田(哲)委員 私、非常に石油の備蓄については重大な関心を持っているのでありますが、最近水島の石油流出、四日市のタンクの火災、また昨年の秋には東京湾の中ノ瀬航路付近における大型LPGタンカーの貨物船との衝突事故、さらに四十八年などでは伊良湖水道で西ドイツの貨物船とタンカーが衝突いたしまして沈没をし、しかも沈没をした船から重油が長期にわたって流出をする、こういうようないろいろな事故を経験をしているわけであります。こういうようなことを考えますと、国民の中でも特に関係住民といいますか、そういう住民の中には非常に不安な気持ちが強く出ていると思うのであります。問題は、こういう事故に対する対処の仕方あるいはこういう事故を起こさないという措置をやはりきちっとつけない以上、今後の備蓄その他の問題を考えますとなかなか大変だというふうに思っているわけであります。
 こういう点で、まず通産大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、現在、石油タンクの関係は自治省、消防庁、それから高圧ガスは通産省、タンカーは運輸省石油企業関連の監督は資源エネルギー庁というふうに分かれておりますし、また防災の関係に関しましては、法律規則などが各種各様に入り乱れておりまして、複雑になり過ぎている。こういうために、三木総理大臣が指示いたしまして、自治省を中心にいま総合的な防災法の立案を急いでいるというふうに聞いているわけでありますが、特に石油関連企業の所管庁であります通産省として、この自治省の立案とは別に、独自の立場で通産大臣が指示をして、いま具体的な防災法の作業に取りかかっているというふうに言われているのでありますが、この機会に通産大臣に、どのような発想でどのような具体的な方法をいま進められておるのか、お伺いをいたしたいと思うのです。
○河本国務大臣 いまお話がございましたように、去る一月下旬の予算委員会の総括質問におきまして、江田先生の御質問がございまして、それに呼応いたしまして総理の方から、コンビナートの保安体制、防災体制というものを早急に一元化しなければならぬ、このために自治省が中心になって至急に検討するようにという御指示がございました。関係の各省からそれに基づきましていろいろな資料を出しまして、現在自治省が作業中でございます。ただいままでのところ、三月の中旬過ぎには大体の基本的な構想が固まるというふうに聞いております。通産省からも必要な資料を自治省の方に提出をいたしております。
 それはそれといたしまして、通産行政の立場からコンビナートを中心とする防災体制はいかにあるべきかということについて検討をし、あわせてその法律ができるまでじんぜん日をむなしゅうして待っておるわけにもいきませんので、先般来具体的にいろいろな手を打っておるわけでございます。たとえばコンビナートの主要企業の責任者であるとかあるいは関係業界の代表等を集めまして、具体的に防災体制についての指示をするとか、いろいろな手を次から次へ打っておるわけでございまして、自治省は自治省としての先ほど申し上げましたような作業を進めておるわけでございますし、通産省は独自の立場からいろいろな手を打っておるわけでございます。
○岡田(哲)委員 私のお伺いしたいと思うのは、そういう災害の起こった場合の措置ということよりも、問題は、いままでいろいろな、先ほども言いましたようなケースが出ているわけでありまして、わが国のとってきている形を見ますと、どうも非常に後手後手になっているという点から見ますと、どうしてもそういう災害が起こらないという立場をきちっといたしまして、そのためにはどうするか、起こった場合にはどうするか、こういう発想でなければならぬと思うのです。
 そこで、六七年十月に海上安全審議会が運輸大臣に答申を提出いたしております。「海上交通規制に関する法制の整備について」の答申ということで、「海上交通を考慮に入れた工業立地政策の確立」の中では「海上交通に対する影響をも考慮した総合的、計画的な臨海地帯の開発と工業立地の規制」、こういうものが出されました。言うまでもなくいまのコンビナート、臨海工業地帯というものは、大型の鉄鋼、製鉄所あるいは大型の石油精製所、製油所、それに付随をいたしまして巨大な鉱石船それから巨大なタンカー、こういうものが組み合わせになって一つの臨海工業地帯というものができ上がっていると思うのです。そのために、六七年に海上の交通安全とあわせて臨海工業地帯の工場立地、こういうものについて実は答申が出されているわけであります。その後、交通安全法等海上の交通安全については法律もできましたし、工場立地法もできているのでありますが、問題は、いま申し上げたような点から見ますと、非常に不備な点が多いというふうに考えるわけでありますが、大臣、いま申し上げたように、最近起こっている事態、事故、災害というものから見て、いまのような工場立地計画ではこの災害の防止という点から見ましても大変な落ちがあるというふうに思うのであります。私は通産大臣が指示をしたという点を考えてみますと、起こった事態に対するだけでなしに、現状の臨海工業地帯のあり方というものに大きく考えをいたさなければならぬと思うのでありますが、そういう点について触れていただきたいと思うのであります。
○河本国務大臣 いまお話がございました点は、防災体制が一元化していない、後手後手に回っておる、工場立地計画にも問題がある、こういうお話でございますが、私もその点は全く同意見でございます。やはり防災体制というものは強力に行わなければなりませんし、強力に行うためには、これは一元化をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
 それから、この防災体制というものは、先手先手と回りまして初めて効果があるわけでございまして、おっしゃるようにすべて後手後手と回るようなことでは、これはもう大変なことでございます。でありますから、これは原則的なことのようでありますが、私は常に忘れてはならぬことだ、こういうふうに考えます。
 また、工場立地計画等につきましても、最近のいろんな災害事故等から考えまして、検討しなければならぬ点が多々あると思います。そういうことを総合的に考えながら防災体制というものを進めていきたい、こういうふうに思っております。
○岡田(哲)委員 そこで、いま通産大臣が指示をして通産省独自の立場での作業が進んでいるわけでありますが、この作業と総合的な三木総理大臣の指示に基づく自治省の作業との関係、これがいつごろどういう形で具体化されるということになるのか、その辺を明確にしていただきたいと思うのです。
○佐藤(淳)政府委員 ただいま通産省の方では、いま大臣が申し上げましたように、いろいろわれわれ事務的に検討いたしております。このわれわれの検討のやり方は二つございまして、まず第一点は、当面通産省が所管いたしております保安の問題につきまして、たとえば高圧ガス等は通産省の所管でございますが、こういうものにつきまして、水島の事故等の反省から見まして、現在われわれが運用いたしております技術基準が果たして妥当かどうか、不備なところは早急に改正しなければならないということでございまして、これをまず第一点大至急いま検討いたしておるわけでございまして、これはその成果を得次第、早急に保安技術基準の改正に踏み切りたい、こう考えております。
 それから、もう一つの点は、コンビナートにおきまして各省庁、特に通産省、それから労安の関係では労働省、それから消防庁、大体この三つが主たる所管の官庁でございますけれども、この辺の保安技術基準の調和の問題なり、あるいは総合的な事故対策をどうするとかという、コンビナートを一つのかさにかけまして、その中でどういうような最も機動的で効率的な防災体制をとれるかということを第二点として検討いたしておりまして、大体の見通しといたしましては三月の中旬から下旬ごろにかけて、われわれはわれわれなりの案をまとめまして、最終的にはこれは政府一本でございますから、自治省の方と十分に調整いたしまして、最終的には一本の形に仕上げていきたい、こう考えているわけでございます。
○岡田(哲)委員 一本にして最終的に出る時期といいますか、その見通しはいつごろですか。
○佐藤(淳)政府委員 総理の指示に基づきまして自治省が一応まとめ役になっておるわけでございますが、自治省の方の予定を伺ってみますと、大体三月中旬ごろまでには一応骨子をかためたいというふうに申しておりますので、大体その辺で大方の構想ができ上がるんじゃなかろうかというふうに考えております。
○岡田(哲)委員 実は二月二十日の新聞に載っているわけでありますが、堺・泉北臨海工業地帯を管内に持つ大阪府の堺市高石市消防本部がコンビナートの規制基準を取りまとめたということが発表になっております。これを見ますと、一つには「新設を含め全国のコンビナートを鉄鋼、石油化学、重化学などの種類に分け、市街地との距離と貯蔵物に応じて危険度一、二、三級などの地域指定をする」、それから二つ目には「指定地域ごとに危険度から逆算、消防力に応じて安全が確保できる危険物の総量を決める」、それから三つ目に「総量に基づいて防油堀の広さと高さ、タンク自体の大きさ、タンク間の距離などを決める」、こういう三つの段階の骨子で、総量規制方式に踏み切ったというふうに報じられているわけでありますが、これについて消防庁の次長の談話も載っておりますが、消防庁としてはどういうふうに考えられているのか、お伺いをしたい。
○永瀬説明員 新聞に報道されました堺市高石市消防組合の考え方につきましては、その後私ども消防本部の方にその資料の送付方を求めておりますが、いまだその詳細を送ってまいらないわけでございます。考え方としては持っているけれども、まだ外に出すほどまでは進んでいないような電話は受けておりますが、なお現在も早く出してくれるように、考え方の一部でもいいから出してくれるように話しております。
 次長が申し上げておりますように、この構想、一つの対策としての一方向でございますので、参りましたら十分それを検討いたしまして、取り入れるべきは取り入れていきたい、消防庁としてはかように考えております。
    〔田中(六)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
○岡田(哲)委員 この談話の中で、一つの方式としては注目できる、しかしだれもが納得できる科学的、客観的な基準を具体的にどう設定するかということだ、各コンビナートの立地条件も異なり、この方式を全国一律に取り入れることは、非常にむずかしい問題がある、こういうふうに言っているわけであります。いまのお答えのように、まだ正式な報告を受けていない、細かいことについては聞いていないというお話でありますが、私はこれを見て、いままでにない具体的な一つの大きな提起だというふうに判断をいたしているわけであります。
 そういうふうな立場で、この三段階方式といいますか――いまの工場立地法ても実はなかなかそういう中身がない。しかも、企業の大型化についての歯どめがなかなかしにくいというふうに考えるわけでありますが、いままでの徳山の爆発、先ほども申し上げましたが、火災が起こった、あるいはタンカーの問題その他を判断をいたしてみまして、一つの非常に大きな指針が与えられたような気持ちがいたすわけであります。消防庁はいま作業にかかっているわけでありますが、そういう三つの問題について、具体的にいままでの作業とあわせて、どのようにこれを考えているのか、その辺の考え方をお伺いしておきたいと思います。
○永瀬説明員 先ほど申し上げましたように、内容の細かい部分、これを送ってきておりませんので、思想の根底あるいはその取り上げます要素というものが、実ははっきりいたしませんので、それが来れば、先ほど申し上げましたように検討に入りたいと考えておりますが、確かに一つの考え方ではございます。しかし、現実にございますコンビナートを考えてまいりますと、石油の貯蔵タンクあるいは精製装置、また高圧ガスの装置、高圧ガスのタンク、また入ってまいります船舶、タンカー、こういうものはそれぞれ危険要素が違うものでございますから、それぞれの危険要素の排除について考えあわせなければなりませんし、また一たび事故が起こりました際に、どこまで被害をどのような形で及ぼすのか、これもあわせて考えた上で、総合的にあるべき姿というものを幾つかのパターンに分けて立てざるを得ないかと思うのでございますが、堺の考え方、かなり突っ込んでおりますれば非常に参考になりますし、今後の行政あるいは法令の上に取り上げていきたいと考えております。
○岡田(哲)委員 資源エネルギー庁にお伺いしたいのですが、工場立地法ができているのですが、この中身というものが御存じのような状態でありますので、いま申し上げた三段階方式、これはあくまで防災という点が主になりながらできてきているのですが、この工場立地の点についての中で、いま申し上げた三段階方式というのはどういう関係になり、またどういうふうにこれを生かしていこうかというようなことについてお考えでしょうか。
○佐藤(淳)政府委員 実は工場立地法の所管は私どもでございますので、私から御答弁させていただきたいと思います。
 工場立地法は、考え方といたしましては公害を頭に置きまして、特にコンビナートのような大型立地につきましては事前にアセスメントいたしまして、環境容量に応じた工場立地をさせようということの考え方があるわけでございます。それで、相当空き地をとりまして、いわゆる緑地帯を置かせるように準則で個別工場ごとに、産業ごとに決めておりまして、これから立地されるものにつきましては相当厳しい条件を付しておるわけでございます。
 それで、コンビナート立地型の装置産業につきましては、大体工場の敷地が全体の一〇ないし二〇%ということでやっているわけでございます。ですけれども、考え方といたしましては、こういうことによりまして環境を保全していこうという考え方をとっているわけでございます。
 それから、しからばその保安問題としてどういうふうに規制されておるかということでございますが、これはたとえば私どものほうの高圧ガスの関係から申し上げますと、何と言いましても民家と設備との距離が一番の問題でございます。これはいわゆる保安距離と申しておるわけでございますが、やはりコンビナート地域については特に災害が大きくなるということを想定しまして、単独立地の化学工場よりも保安距離は特段に拡大しなければならないというふうに考えております。先生御指摘のように、四十八年に徳山工場等の被害が連続して起きましたので、保安距離を格段に拡大しなければならないということで、近いうちにわれわれの方で省令の大幅な抜本的な強化をいたしまして、その中に保安距離を拡大してまいろうという考え方を取り入れております。したがいまして、この工場立地法と、各省が持っておりますところの規制の中に保安距離というものを相当強く入れてまいりますれば、この二本立てで大体先生のおっしゃるような趣旨が生かされていくんじゃなかろうかというふうに現在考えているわけでございます。
○岡田(哲)委員 徳山の場合にはあくまで行政指導だったというふうに思うのです。問題は、法規制によらない、行政指導でやってきたんですが、やはりこれは法で規制をすべきだと考えますと、この立地法を改正をしなければならぬ、こういうことになると思うのですが、その辺どうでしょう。
○佐藤(淳)政府委員 確かに先生御指摘のように、立地法で規制したらどうかというのも一つの案だろうと思いますが、現実にわれわれ徳山の例をとりましても確かにただいまは行政指導でございますが、今度は保安距離は法律で義務づけるつもりでございますので、一応立地法の改正を待たなくても、現実われわれの方ではできるという見通しに立っておりますので、先ほど申し上げましたように、立地法では相当の空き地を考えておりますから、それと各法律の保安距離の拡大によりまして、両々相まって効果は期待できるのではなかろうか、こう考えております。
○岡田(哲)委員 海上保安庁にお伺いをしたいのでありますが、二月二十四日の読売新聞に出ているわけでありますが、各企業に指示をしてそれぞれ自己防衛の体制がとられていると思うのでありますが、この記事を見る限りでは、たとえばオイルフェンス一つをとってみますと、アメリカでは風速二十メーター、波高がニメーター、潮流二ノット、それに対してオイルフェンスの高さが九十センチ。日本では風速が二メーターから三メーター、波の高さが三十センチ、潮流が〇・七ノット、高さが二十センチ。こういう非常に大きなオイルフェンスの能力の違いが見受けられるわけであります。水島事故で考えてみましてもこういうオイルフェンスを使ったわけでありますから、フェンスの上を通り抜けたり下をくぐったりして、実際は効果を上げなかったということが報道されております。
 それからまた、油回収船の点で見ましても、全国で四十三隻、製油所の数が四十八工場あるうち、三十七ヵ所にこの回収船が備えられている。しかし、この回収船が実際出動をしてやってみたんですが、初めのうちはよかったんでありましょうが、次第にもうこの能力がなくなって、全然役に立たなくなってしまった。最後は、言われております結局ひしゃくでくみ上げる、あるいは関東防災の防災船が出ましても回収ポンプが役に立たずに、水切りの穴をあけたドラムかんで油を吸い取った。こういうために、いままで備えてあった設備というものが、回収船にいたしましてもオイルフェンスにいたしましてもその他の器材にいたしましても全然役に立たなかったというふうに私は判断するわけであります。せっかく設備されているものが役に立たないという現実から見ましてて、やはりこれは早急に事後の対策を考えなければならぬ。しかも、アメリカなどの能力から見ますとたいへんな違いが起こってきていると思うのでありますが、日本の国の石油事情その他から見まして、しかも世界的なコンビナートの関係から見まして、こういう点について一体どういうふうにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○山本説明員 先生御指摘の、アメリカにおきましてはオイルフェンスが非常に高性能である、日本では性能が非常に低い、そういう記事が確かに載っております。私ども海上保安庁といいますか、運輸省におきましては、従来から防除資器材の開発には鋭意力を注いでいるわけでございます。外国の器材の開発状況等についても詳細に情報の収集等に当たっております。アメリカのオイルフェンスが流速二ノットにも耐える、そういう記事がございましたので、私どもの従来入手いたしておりました情報と若干違っております。私どもの情報によりますと、最大一ノットまでは何とか油をとめ得る、そういうふうな情報を従来から入手しておったわけでございます。私どもの見解では、アメリカにおいてもまだ二ノットに耐えるオイルフェンスはない、そういうふうに一応考えておりますけれども、なお早急にこの情報の確認をいたしたい、そういうふうに現在考えておる段階であります。
 日本のオイルフェンスその他の防除資器材につきましては、四十二年にイギリスで起きましたトリー・キャニヨン号の大量の流出油の事故以来、オイルフェンスあるいは油処理剤、それから回収機、こういったものの開発について海上保安庁あるいは船舶局、港湾局、運輸省の各部局がそれぞれ鋭意努力いたしておりますけれども、現在のところ、先生御案内のとおり、十分に油をせきとめ、それを回収し、防除をきわめて効果的に実施する、そういった器材は世界にもまだない、そういう現状でございまして、われわれもまだ開発の途上にある、そういう段階でございます。
 回収船につきまして、水島の事故に関連して御指摘がございましたけれども、この回収装置が実は世界各国とも一番おくれております。まだりっぱなものはできておりません。そういった関係から、現在で最も能率のいいといいますか、効率がいいといいますか、そういったものを備えつけてもらう、そういう考え方で従来指導いたしております。
 それから、この回収装置でございますが、油というものは、時間がたちますと、粘度その他において流れた当初と非常に性質が変わってまいります。流出の当初は十分に役に立つ回収機でも、時間がたちますと、回収が不能になります。したがいまして、私どもといたしましては、流出油対策といたしましてはその当初に、始末のしやすいときに極力回収する、そういう考え方で従来開発を急いでいるわけであります。水島のような事故、たとえば一週間とか十日たちますと、油はごらんのような状態になります。そうしますと、現状では、実際に作業いたしましたああいうふうな人海戦術以外にはちょっと器材では役に立たない、そういうことにもなります。回収機あるいは処理剤あるいはオイルフェンス等はそういう現状でございます。
 なお、私どもといたしましては、水島事故にかんがみましてこういった資器材の開発には今後とも鋭意力を注いでいかなければならない、そういうふうにいま考えて対処いたそうといたしております。
○岡田(哲)委員 時間がありませんので、最後に通産大臣にお伺いをしたいのでありますが、いま海上保安庁からも話がありました。この新聞で見ますと、アメリカではアダプツというのが二十四時間で二万キロリットルの油の抜き取りをする。この前のマラッカ海峡での祥和丸のときに、これが出動をして相当な成果を上げたということが報道されているわけであります。日本の場合には新潟で一万五千キロリットルが二ヵ月かかった、こういう新聞記事を見まして感ずるのと、さらに次々と起こる災害、火災、爆発、それから流出、さらにいままでまだ例を見ないのですが、地震の場合もあるでしょうし、飛行機がタンクに墜落する場合もあるでしょうし、おそらくこの石油タンクを付近に控えている住民の不安というものは相当強いと思うのです。
 そこで、今後さらに備蓄を九十日にふやしていこうというわが国の立場から判断をいたしますと、そういう住民の協力を得ながらいかなければならぬと考えますので、問題は、工場立地のあり方、災害をどういうふうに防ぐか、起こった場合には、いま申し上げたように非常に短時間の間に、国民の目から見ても、非常に機動力があって頼りがいがあると、こういう気持ちを持つか、水島を見ましても、いま言ったように、ひしゃくでくみ上げる。最近のような巨大なコンビナート、巨大なタンカー、こういう時代のときに、ちょうど原子爆弾に対して竹やりというような感じで非常に不安が強いと思うのであります。こういう不安がある以上、これから備蓄政策を推進していく立場から見まして、私はいかに備蓄が大事だというふうに考えようとも、国民のこういう気持ちをなくさない以上協力を仰ぐことはできぬ、こういうふうに非常に心配をするのでありますが、このような事故と現在の体制の中でこの備蓄を進めていく、こういう通産省の方針との関係について、あるいはまた決意について、対策について、そういう点を含めて大臣からお答えをいただいて終わりたいと思います。
○河本国務大臣 いまいろいろお話がございましたが、その一つは、とにかく防災対策が一元的でない。一元的でありませんから、機敏かつ機動的に行動できない、責任体制も不明確である、こういう大きな問題があると思うのです。でありますから、やはり何といたしましてもこの一元的な責任体制というものを明確にしなければならぬ、こう思います。そういう趣旨を含んでいま自治省が作業をしておられるわけでございます。
 それから第二点は、装備が非常に不十分であると御指摘がございましたが、これも全く私、同意見でございます。近代的な装備を十分持つためには、私は資金を惜しみなく投入しなければいけない、かように思っております。また、防災対策というものは、地域の方々に安心を与えるということだけではなくして、わが国の産業政策を進めていきます上においてやはり絶対に必要な前提条件だと思うのです。いま備蓄政策のお話がございましたが、備蓄も含めまして、この防災体制を完全にいたしまして、産業政策そのものに対して安、心感を与える、こういうことにしなければならぬと思います。御指摘の点は十分かみしめまして今後の行政に反映させていきたいと思います。
○岡田(哲)委員 大臣 私の一番聞きたかったのは、そういう点と備蓄――これから備蓄は大事てありまして、それを推進していく立場で、備蓄の点について、ちょっとお答え願いたい。
○河本国務大臣 これは備蓄政策を進めるということのためにも、やはり災害が相次いで起こっておるというふうなことでは、地元の方々にも御了解を得られませんから、あくまでこの防災体制を完備していく、これを前提条件として、地域の方々の御理解を得ていきたい、こういうことでございます。
○武藤(嘉)委員長代理 板川正吾君。
○板川委員 私は独禁法改正の問題について、総理府総務長官、通産大臣、公取委員長、法務省に伺いたいと思っております。
 独禁法改正の政府素案がまとまって、関係省庁と総理府が中心になって協議中と伝えられております。まず、政府素案の中で私どもとしては看過できない点がどうしてもありますから、その点についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、その前にひとつ通産大臣にこの問題を伺っておきたいと思うのです。
 きのう来の、またきょうの新聞等を見ますと、通産大臣は、この独禁法の改正案に対しては三点をあげて絶対反対である、こういう趣旨を伝えられております。たとえば企業分割については、営業の一部譲渡という問題は、産業政策に公取が介入するから反対である。あるいは原価公表も、価格に介入するのでこれまた反対である。株式の持ち合い規制の問題も、これまた公取がこういう点に介入すべきでない。こういう三点についての反対の意思を表明したと伝えられておるわけであります。
 この三点というのは実は改正案の重要な柱であって、いわばこの三点に対する絶対反対ということは、独禁法を改正すべきでないという結論につながっていくわけでありますが、通産大臣は、総理府総務長官では話にならぬから、直接総理と話し合いをしたい、こういうことも報道されておるのであります。きょう閣議が開かれ、その前にあるいは会ったかと思いますが、この反対の理由と、きょう総理に会った後の大臣の見解というのを伺っておきたいと思います。
○河本国務大臣 一昨日の夜、総務長官から、これまで総理府が中心になって作業をしてこられましたこの改正の考え方ということについて御説明を受けました。それにつきまして、昨日の夜、私は意見を申し述べたわけでございますが、基本的には、私はあくまで独禁法の改正には賛成でございます。これは三木内閣の基本方針でもありますし、総理も常に自由主義経済には一つのルールが必要である、そのルールのもとに経済の運用をしなければいかぬ、こういうことを繰り返し言っておられますが、そういう考え方には私も全く賛成でありますから、改正そのものに反対しておるわけではありません。改正はどうしても必要である、その点では少しも変わっておりません。
 ただ、御指摘になりました三つの点でございますが、一つは、現在でも不当行為があった場合には、独禁法の第七条に基づきまして、公取は営業の一部譲渡ということを命ずることができることになっておるわけでございます。ところが、今度の改正案の考え方では、不当行為がなくても営業の譲渡というものを命ずることができる、こういう趣旨の改正が考えられておるわけでございますが、私は、不当行為があればどんどんと営業の譲渡とか、そういうことは公取が現在の権限をもっておやりになれば結構だと思うのです。そうでない場合にもやられるということは、これは一つの産業政策の変更である、産業政策の基本につながる大きな問題である、こういうふうに考えまして、公取の権限を逸脱しておる、これまでの公取の仕事についての考え方、この限度を逸脱しておる、産業政策の重大な変更である、こういう考え方から、その点はまず納得できない、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
 それから第二には、現在不当行為、カルテルに類する行為があれば、第四十条に基づきまして、公取は立入調査もできますし、いろいろな調査をする権限を持っておられます。しかしながら、そういう場合でないのにいろいろなことをせられるということは、これは価格政策についての介入である、こういうふうに思いまして、これもまた産業政策に対する重大なる介入であって、従前の公取の機能といいますか、機構に対する考え方を根本的に改めないと納得できない問題である。
    〔武藤(嘉)委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕
 第三の株式の保有制限という問題につきましては、これも現行法の第四章におきまして、いろいろな株式保有の制限というものが細かにきめられております。特に公正な自由競争を妨げるような株式の持ち方というものに対しては、非常に厳しく制限が加えられておるわけでございますが、それを、そういうふうなおそれがないにかかわらず、ただ単に株をたくさん持っておるということだけで規制の対象にするということは、これも産業政策に対する重大な介入である。したがいまして、その三点については従前の公取の機能の範囲を逸脱いたしまして産業政策の分野に大きく介入してくる、こういうふうに考えられますので、非常に重大な問題をはらんでおる、こういうことをきのう申し上げたわけでございます。
 ついては、なぜそういう方向に改正をしようとしておるのかということについては、これは総理の独禁法改正についての基本的な考え方もよくお伺いしませんと判断ができませんので、総理の基本的な独禁法改正についての考え方をよくお聞きいたしまして、そうしてそのことに対して判断をしたい、こういうことで本日お目にかかったわけでございます。
○板川委員 総理と会った結果の大臣の所見はどうですか。その会った結果、大臣はどうお考えになっておりますか、現在。
○河本国務大臣 総理にお目にかかりまして、昨日の私の考え方を詳細繰り返し申し上げたわけでございます。
 それに対して総理は、第一に、今回の独禁法の改正というものは、先ほど私が繰り返して申し上げましたように、自由主義経済の新しいルールをつくるための改正である、ぜひとも実現をしたいと思っておるということをまず繰り返されまして、引き続いて、この問題は現在の国民の要望等もよく考え、新しいルールをつくるというわけであるから、広く高い見地から考えていかなければならぬ、そういう広く高い見地から総理府総務長官とも今後引き続いて精力的に話し合いをするように、交渉していくように、こういうふうなお話がございました。
○板川委員 三木内閣が国民に公約したのは、第一は大企業との癒着を排して、政治資金規正法を改正しよう、第二は独禁法の改正をして、消費者優先の政策をとっていこう、こういうようなことで、いわば三木内閣のクリーン度をこの独禁法の改正が示すと思うのであります。もし大臣が、いまの三点をあくまでも政治信条として貫いていく、こういう改正には絶対反対であるということであれば、独禁法改正は大骨が抜かれてしまうことになる。これは三木内閣として国民に対して重大ないわば背信的な行為であると言わざるを得ないのですが、もしそうした主張が入れられなかった場合には、大臣どうされるつもりでありますか。
○河本国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、三つの点をどういう目的のためにやるのかということに対して、総理にお伺いをいたしたわけでございます。それに対して総理は、先ほどから繰り返して恐縮でございますが、重ねて申し上げますと、広く高い立場から、国民がいま何を考えておるかということをよく認識しなければならぬ、それから同時にあわせて新しいルールづくりであるから、これまでの考え方にとらわれないで、ひとつ総合的な立場から総理府の総務長官と具体的にさらに話し合ってもらいたい、こういう指示があったわけでございます。
 でありますから、しからば具体的に一体どうしたらよいのかということにつきまして、いま想を練っておるところでございまして、その考え方が固まれば、その考え方に従いまして、総務長官ともよく話合ってみたい、こういうふうに考えております。
○板川委員 内閣は御承知のように全会一致がたてまえですから、通産大臣が、もしこの独禁法改正案にあくまで反対だということになれば、改正案の政府案というものはまとまらない、こういうことになります。もし、三木総理大臣が自分の公約を果たすためにということになれば、泣いて馬謖を切るではないが、罷免権を発動するほかはない。あるいは大臣がみずから君前に憤死をする、辞任する。こういう三つの道しかないわけであります。場合によっては、これは内閣不統一の責任を問われるおそれもある、私はこう思いますが、いずれにしましても、熟慮の上に行動されることを希望いたします。
 ただ、私は一言、若干私的なことにかかわって申し上げてみたいと思いますが、大臣は政治家としてあるいは三光汽船の社長として今日に至っておるわけであります。特に経済人として三光汽船を今日のような大会社に育て上げ、株式の持ち合いなどを通じて経済的な成功をかち取ってきた。しかし、自分としては何一つ違法な行為を行ったわけではない、そして大きくなったのだ。しかるに、それが大きいということ、あるいは株の持ち合いをすることが悪いというのであれば、自分の政治的あるいは経済的哲学が根本から崩れる、だからがまんができないというような感じがいたします。通産大臣のこの反対の行動というのは、実はわれわれとしては異常な感じがするわけであります。
 しかし、考えてもらいたいことは、かくて財閥解体のときに、国民の中には日本を弱体化するための占領軍のさしがねだと反対した者もあった。しかし、財閥の支配から脱した各種の企業はそれぞれりっぱに独立をし、そして競争を通じて今日のような経済的な発展をしたと思います。さらにに、当時行われました農地法、地主制度を追放すという新しい制度は、自作農主義をとったために、今日同じ面積の田畑を耕しておりながら、米の生産量はすでに七〇%もふえておる。これは自作農主義をとったために農民の働く意欲が大きくなって、七〇%も米の収量がふえておるという実態。さらに、小さな国になり、しかも労働組合などができてストライキなんかやったならば日本経済はつぶれるだろう、こう言っておったにかかわらず、今日日本経済がこのような発展を来した。これはみな一つの過去の実態にとらわれて将来を見ない、こういうことにあると思います。官僚のなわ張り根性からきた感情的な反対論というのは、私は避けなくてはならぬと思います。今後の日本の経済は、もはや従来のように高度経済成長を続けるわけにはいかない。大企業の独占の弊害、寡占の弊害というものが具体的に出やすい体質になってきた。だから、独禁法を改正するということは時代の要請なのであって、総理が主張するのも私はここにあると思う。ぜひひとつ時代の流れを見て、この問題について善処をしてもらいたいと思います。
 実は、もっと詳しく申し上げたいのでありますが、時間の関係もありますから、以上を申し上げて、また後に折りに触れて質問いたします。
 総理府総務長官に伺います。
 政府素案の中に独占の排除措置として営業の重要な一部譲渡、資産の譲渡、株式の処分等を公取が命ずる場合は「あらかじめ主務大臣と協議する」とありますが、この総理府がまとめた素案の中で、「あらかじめ」というのは一体いつの段階を考えておるのか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。企業を分けるということは伝家の宝刀である。だから、伝家の宝刀を取り出す前にあらかじめ話し合うのか、取り出してつかに手をかけるときに相談するのか、つかに手をかけて抜く前に相談するのか、抜いてから切る前に相談するのか、伝家の宝刀を例に取り上げてみましたが、どういう段階で、あらかじめ内閣なりあるいは主務大臣と相談するということをお考えになっておるのか、素案の内容について伺います。
○植木国務大臣 お答えを申し上げます。
 ただいま板川委員は、政府素案というようなことをお話になっておりますけれども、総理府といたしましては、今日まで試案にいたしましても素案にいたしましても一切発表をしたことはございません。新聞等に伝えられているではないかというお尋ねがあろうかと存じますけれども、先日来各紙等で報道せられておりますものにつきまして調査をいたしましたところ、先ほど申し上げましたように、私どもは一切発表いたしていないのでございまして、前回の委員会において御報告申し上げましたように、独占禁止法改正問題懇談会を六回にわたって開きまして、各界の有識者の御意見をお伺いいたしまして、この御意見を参考といたしまして、関係部局が各関係省庁と事務的なレベルでいろいろ意見の交換をする、そのたたき台として参考意見を取りまとめたものが報道をせられたようでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いまお話ございましたような点を含めまして、ただいま事務レベルの折衝が終わりまして、関係閣僚との折衝に入っているのでございまして、総理府素案そのものはただいま作成中であるという状況でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
○板川委員 新聞では総理府素案とか独禁法の政府素案とかいろいろ書いてありますが、では正式に発表をした、しないは問いません。しかし、そういうものが議論されたことは事実だと思いますから、それを前提にして伺ってみたいと思います。
 抜く前にあらかじめ協議せよということ、これは場合によりますと実は公取の独立権、中立性というのを侵すことになります。しかし、ある段階で政府の意見を十分に申し上げようというのであれば、これは御承知のように独占禁止法六十一条で、審判中公務所、いわゆる政府は十分意見を言う機会があるわけです。ですから、現在六十一条で政府関係者が独禁法の運用について意見を開陳する公の場もあるのです。ですから、それがあるのにあらかじめ聞くということになりますと、これは事前に、伝家の宝刀に手をかける前に内閣に相談をし、あるいは主務大臣に相談をするということになる。そうすると、仮にそういうことが明文化されることになれば、これは独占禁止法二十八条を改正せざるを得ないということにもなり得ると思うのです。独占禁止法二十八条は、御承知のように公取は独立してその職務を行うとされておりまして、総務長官や総理大臣の指揮を受けずに、独禁法の運用については独立して厳正、公正に運用する権限を法律上与えられておるということになっておるわけであります。公取は確かに国家行政組織法三条による委員会で、行政機関でありますが、しかし同時に独禁法の目的を達成するために違反者を摘発し、これを処分する、こういう準司法的な機能を持っております。ですから、公正取引委員会委員は独禁法三十一条で、裁判官のように身分の保障がされておる。自己の意に反して罷免されないという身分保障がされておる。こういういわば一種の司法官的な待遇も受けておる者に、事前に主務大臣あるいは内閣と協議せよというのは、裁判官に、判決を下す前に政府と相談しろということにもなるわけでありまして、これはもう公取の独立性、中立性というものが失われる非常に重要な改悪になるおそれがあると思います、この「あらかじめ」の段階によっては。ある段階なら、独禁法六十一条で当然意見を言い得る機会があるわけであります。政府は、これは営業の譲渡命令の一部だ、全般にかかっているわけではないのだ、一部だからいいじゃないかという軽い気持を持っておられる人もあろうと思います。しかし、これはいわば外堀を埋めるということであり、外堀を埋めることを認めることは本城の落城を認めることにもなるわけでありまして、これは独禁法運用上、根本的な改悪に通ずるわけでありまして、そういう意味で、私は「あらかじめ」という問題を重要視するわけであります。この点について、総務長官はどうお考えですか。
○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、ただいま法案の取りまとめに当たっているのでございまして、独占禁止法の第二十八条に明定せられております公正取引委員会の持っております職権行使の独立性というものを侵すようなことは一切考えておりません。
○板川委員 公取委員長、伝えられておる内閣、あるいは主務大臣との協議事項、これはまだ正式な発表じゃないと言われますが、仮にこういうことが出た場合に、公取の独立性という面からどういうようなお考えを持っておられますか。
○高橋(俊)政府委員 ただいま総務長官がお答えされましたように、また案の内容が固まっておらないその段階で仮定の御質問でございますが、いやしくも二十八条に定められている法律上の独立性、これがなければ、私どもの職務はとても公正に執行されないという考えを強く持っているものでありまして、どのような形であれ、それを侵すといいますか、その権限を奪うというものに対しては、いま総務長官もはっきりお答えになりましたが、どういう形かの問題ではなくして、実質的にそういうことが行われるならば、私どもはどうしてもこれを了承するというわけには参りません。決めるのは政府でございますけれども、しかし私どもはそれは絶対の条件ではないかと考えております。
○板川委員 わかりました。二十八条の精神というものは、これはもう絶対に変えることのできないものだと思います。総務長官もそう約束しておられますから、先に進みます。
 総務長官に伺いますが、これまた素案と言われておるものの中ですが、いずれ議論になったと思いますから申し上げますが、会社分割の規定がありません。独禁法を改正、強化するというのは三木内閣の公約であって、この公約から考えますと、会社分割規定がないということは、いわば画竜点睛を欠くと私どもは思います。譲渡命令でも実質的には同様の措置がとれるという考え方もありましょう。たとえば、ある会社をつくらせてそこに譲渡しろということで、譲渡命令というもので実質的には分割も可能だ、できる、こういう考え方もあると思います。そういう方法もあると思いますが、しかし法理論上分割規定がないということは、私的独占の排除措置として私はまことに不十分だと思うのであります。別にこれは伝家の宝刀を振り回せという意味ではありませんが、公取は独占禁止法の目的を果たすために、私的独占を行っておるという企業に対して譲渡命令は確かに出せます。しかし、譲り受ける側に命令をもって強制するということは不可能な論理になるわけであります。ですから、企業側が抵抗すれば譲り受け人が見当たらずということになる可能性もありますし、将来公取委員長が独禁法というものを見た場合に、譲渡命令というものには分割は含まれない、だから譲り受け人が見当たらなければそれはできないのだ、こういう解釈をする可能性もあるわけであります。ですから、会社分割の規定というのは、商法を改正しなければ絶対できないという考え方は、最近は法務省もとらなくなったようでありますが、伝家の宝刀として会社分割の規定を独禁法の中に入れることによって、譲渡命令も、必要があった場合にスムーズに運用されるということになるだろう、私はこう思います。この会社分割を入れるという問題については、学者間でほとんど異議はなかった条項でありますが、伝えられる素案の中にこの分割命令が入らないという空気が強いようですが、この点をどういうふうにお考えになっておられますか。
○植木国務大臣 総理の指示を受けまして改正案を作成するに当たりましては、公正で自由な競争の原理を経済活動の中に生かしますためのルールづくりをすることによりまして、一般消費者の利益を確保し、さらに国民経済の民主的な健全な発展を促進するというこの目的のもとに、ただいま法案の取りまとめに当たっているのでございまして、その趣旨に沿いました法案をつくるのでございますので、ただいまお話がございました個々の具体的な項目につきまして、現在どのようになっているか、そしてその場合にはどうなるかということにつきましては、いまの段階では申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。(「通産大臣はその問題に触れたじゃないか」と呼ぶ者あり)
○板川委員 総務長官はまだ政府の案が固まっておらない、その固まる前に話し合っているんだろう、こういうことだろうと思いますが、いま話があるように、すでに通産大臣はその問題について先ほども正式に意見を発表しているわけであります。いずれにしましても企業分割ということが入らなければ画竜点睛を欠くということを念頭に置いてもらいたい。
 次に、時間の関係もありますから申し上げますが、やはり素案の中で、独禁法問題調査会というのをつくるのだということが載っております。この独禁法問題調査会というのはどのような性格のものなのか、あるいはなぜ必要と思われておるのか、あるいはこれを法定化する、ちゃんと明文化するおつもりか、あるいはメンバーはどういう構成を考えておられるのか、こういった点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
 昔、御承知のように岸内閣時代に同じような名前の機関があったのであります。メンバーはミスターカルテルと言われた八幡製鉄の稲山氏を中心に財界やあるいは御用学者等を集めて、独禁法調査会というのをつくって独禁法の改悪をもくろんだのでありますが、われわれが反対してそれをつぶした記憶があります。そのメンバーをわれわれは当時カルテル友の会のメンバーと呼んだ、全部カルテルを一生懸命やっている会社の関係者だけ集まって独禁法を改悪しようということであって、カルテル友の会と言ったのでありますが、今度の調査会もことによるとカルテルあるいは独禁法改悪友の会になるかもしれません、そういう可能性もあるのでありますが、この構想を明らかにしてもらいたいと思います。
○植木国務大臣 各界の御意見をお聞きしております中で、そういう調査会をつくってはどうかというような御意見もございまして、検討の対象にいたしたことはございますけれども、公正取引委員会の独立性という点もございまして、その点も勘案をいたしまして、ただいまのところそういう調査会をつくるという考え方は持っておりません。
○板川委員 ただいまのところ持っていないということならわかりました。
 私は素案について一、二しか伺っていないわけですが、伝えられる素案の他の内容を、いま私どもはこれをいいと言っておるわけではございません。ただ、いままで伺った点は、実は独禁法運用上非常に重要な問題で、これを見逃すことはできないという意味で伺ったわけでありますから、他の問題点については、いずれ法案がまとまり次第に伺う機会があると思います。
 次に、法務省に伺いますが、独禁法二十五条と二十六条の関係について伺いたいと思うのです。
 御承知のように独禁法二十五条では無過失賠償責任というのを事業者にかけております。そして、その賠償責任の請求権は、二十六条で審決確定後に発生するという規定がございます。これはカルテルなどで被害をこうむった一般消費者を救済するための規定だと思いますが、法務省はこの点どうお考えですか。
○浦野説明員 ただいま御質問の点でございますけれども、独禁法二十五条は、二十六条で規定してございますように、公取委が独禁法に定められている要件で違法行為があるという認定をした上で、無過失損害賠償責任を課する規定を設けたわけでございますので、あくまでも被害者の救済のために役立つという趣旨で設けられているものと考えております。
○板川委員 被害者というのは一般消費者だ、こう解釈していいわけですね。しかし、この二十五条、六条の一般消費者の損害を救済するための規定が、実は実際上は動いてない、実際の効果を持ってない、一般消費者の救済になっていないという問題があります。御承知のように、審決が確定するまで争いがあれば、公取で審決を下すまで相当な時間がかかる。さらに、それが高裁と最高裁に行くということになればずいぶん時間がかかる。このカルテルなどによる独禁法違反の被害者というのは、被害者は非常に多数ですが、一人一人の損害というのはごく少ない。これは石油カルテルの被害者の例を見ても御承知のとおりであります。争いとなれば、裁判の費用あるいは弁護士の費用、調査費、こういう費用がかかり、損害の請求額は民法四百十六条によって実損主義をとられておる。結局、費用をかけて損害賠償請求をやっても金額はわずかである。しかも、それはアメリカのように三倍の損害賠償はできない、損失をした実額しか取れないということになっておりますから、結局被害者は泣き寝入りするほかない。これでは私は実際に社会的な不公正だと思うのです。三木内閣は社会的な不公正を是正すると言っているのですが、これは確かに法制上では救済される余地があっても、実態上は救済されない。だから、これを改善するために、クラスアクション、集団訴訟という制度を取り入れるべきだと思いますが、法務省はこういう点をどうお考えですか。
 これは、たとえば独禁法で企業分割する場合には商法の改正がなければできない、こんなことを当初法務省は盛んに言っておった、最近はさすがに主張しなくなったが。そういうように独禁法改正についてはけしからぬとかなんとか言いながら、こういう独禁法上のいまの矛盾、不公正な実態というのを法務省はしからばどういうふうに解決しようとされておるのか、その点のお考えを聞かしてもらいたい。
○浦野説明員 ただいまの御質問でございますが、アメリカにおいてクラスアクションが行われておることは、先生の御指摘のとおりでございます。なお、このクラスアクションは、御承知のとおり明確な団体性がない集団に属する者が、その一人または数人が全体の団体を代表して訴訟を起こすことを認め、もっと重要なことは、その訴訟の結果が勝訴、敗訴を問わず、全集団にその効力を及ぼすというところにそのメリットと申しますか、特色があるわけでございます。
 これをアメリカ流の説明を用いますと、多数の消費者が欠陥商品を買わされたゆという場合に、その代表者一人または数人が訴え出て、何十万人あるいは何百万人という消費者全体にその効力を及ぼすような裁判をすることができるということになるわけでございますが、ただこれはアメリカにおいても盛んに問題を提起されている点は、その何十万人という訴訟を、自分は提起しないけれども、提起したと同じような効力を及ぼされる者が、どういう形でその訴訟に入っていくのかということが非常に問題になるわけでございまして、これをわが国にもし導入いたすということを考えますと、たとえばクラスに属する者はだれなのか、あるいは自分が代表者だと言って出てきた者が、本当にその代表者として訴訟をするだけの資格、能力を持っているのかどうかということの判断をしなければなりませんし、またその効力が、勝訴、敗訴を問わず全原告に及ぶということになりますものですから、それをどのように判断していくのか、こういう点で法律上いろいろな問題点があるわけでございまして、よく慎重に検討した上で対処すべきものと考えておるわけでございます。
 なお、現行法におきましても、クラスアクションという制度はわが国にございませんけれども、選定当事者という制度が民事訴訟法に設けられてございまして、これは多数の原告なら原告が訴えを提起するときに、その中から代表者を選びまして、その代表者が訴訟を遂行する。そして、その結果は、隠れた選定当事者を選任した者に及ぶという制度がございますものですから、これが多く使われるということが期待されますし、またもう一つは、かような事件につきましては、大体代理人を選任するということが普通のようでございますので、弁護士を選任すれば、これは相当多数の当事者でも訴訟遂行には支障がないというような面から、実際上の面からもさほど不都合がないのではないだろうかというように考えておるわけでございます。
○板川委員 これは公取委員長と法務省に聞いてもらいたいのですが、現在は公取の審決確定前でも、一般消費者は民法七百九条によって違法者に対して損害賠償の請求はできる、こう思います。もちろんその場合には、これは原則に従って違反事実の挙証責任は請求者側にあるということは当然と思います。
 それはそれとして、今度は二十六条の場合には、審決確定後でありますから確定後の請求権、私はこの審決確定後の場合は、クラスアクション制度を設けてもいいんじゃないでしょうか、こう思うんですね。審決が、とにかく公取の段階で争われ、さらに争いが残れば高裁に行き、高裁に待行って争いが残れば最高裁に行く。最高裁に行けば、間違った主張がされればそれは通らない、あるいは判決に従わざるを得ません。こういう場合には、私はこのクラスアクション制度というものは、審決が確定後ならば、どこかあるところで請求をし、その請求したことが認められた場合に全体に及ぶ、こういう制度がつくられていいのではないだろうか、そうであれば、幾らか一般消費者の被害というのが救済される道が開かれると思うのですが、この点をどうお考えでありますか、公取と法務省に伺いましょう。
○高橋(俊)政府委員 独占禁止法違反の審決確定後の場合はクラスアクションを認める、こういうふうに単独にそれだけを決めることは、恐らく訴訟法上問題だと思うのです。いま法務省の方から答えがありましたが、クラスアクション制度そのものについて、全般的にどうするかということを考えなければならぬ。その場合に実はいろいろ問題がある。アメリカでも実は違憲ということではないのですけれども、問題点が二つばかり指摘されておるようでありまして、そういうふうに、いままでよりはちょっとそれをやるきっかけが制約されるようなふうになっております。そういうことでありまして、やや後退のきみがあるのですが、法務省がクラスアクションを独禁法違反事件の場合のみ取り上げるということにはちょっと問題があろうと思います。やはり訴訟法上全体の問題として御検討願わなければいけない問題だと思いますが、私どもは、それは消費者と限らずに、要するに独禁法違反によって損害を受けたものの救済が現在程度でいいかということについては疑問を持っております。それは確かにおっしゃるとおりでありますから、前向きに考えたいと私ども思いますけれども、クラスアクションの制度そのものがいいかどうかという点については、私どもだけでは決定いたしかねる問題であるということを申し上げたいと思います。
○浦野説明員 ただいまの公取委員長の御説明で尽きておりまして、私から申し上げることはございませんけれども、一、二つけ加えさせていただきますと、クラスアクションの問題は、先ほど申し上げましたように、アメリカにおきましても非常に訴訟法上の問題がございまして、それをどう解決するかということが一つの大問題であろうかと思います。特にこれは他の当事者に対してどのように訴訟を告知するかということが憲法上の問題にもつながってまいりまして、昨年の五月二十八日のアメリカの連邦最高裁判所では、これを非常に厳格に解釈しなければならないと言っておりますので、もしそうなりますと、果たして被害者の救済になるのかどうかということが問題になろうかと思います。
 なお、いま公取委員長から御説明がございましたように、独禁法だけの事件についてこれを取り上げるということは非常に困難でございまして、公害訴訟等、多数当事者訴訟がほかにもございますものですから、それとの関連で、いま申しましたような訴訟法上の問題点を詰めながらなお慎重に検討いたしたい、かように考えております。
○板川委員 法制局に相談すると、クラスアクション制度というのは、独禁法から入るよりも公害救済法の方から入ったのが筋道だ、こう言われておることはわかるのです。私はいま言ったように独禁法一般、たとえば七百九条で請求した、そういうものじゃなくて、二十五条、二十六条で審決が確定したのだから、そして相手方は自分の非をとにかく認めて自分の不利益を認めたのだから、審決に従うのだから、そこで損害の請求権というのは、いろいろの方があるでしょうから、あるところで集団を代表して請求をし、その方式がきまったら、全部にそれが行き渡るというクラスアクション的な制度が考えられないものかどうか、こういうことを聞いておるのであります。法務省を特に呼んだのは、独禁法改正だというときには、反対の方の議論は大変熱心に研究されて、消費者を救済しようという法理論は余り熱心に研究していないような感じがしますから伺ったわけでありますが、ひとつ消費者の救済ということも公取ともども検討してもらいたい、こう思います。
 公取委員長にせっかくですから一言注文をしておきたい。これは公取委員長に注文するというのが妥当かどうかわかりませんが、「独禁法運用と今後の問題点」という論文を、呉文二という公正取引委員会の委員が、昨年の八月十五日の日本経済研究センター会報二百三十号の特集「企業行動のルールを探る」という中に載せておる。昨年の八月十五日と言えば、すでに独禁法改正研究会が開かれており、しかもこの呉委員はそのメンバーであるということです。ところが、この論文を見ますと、寡占状態は全く心配ないと言っており、物価が上がるのはインフレと石油ショックが原因であって寡占やカルテルによっての物価値上がりじゃない、こういうことで、いわば寡占やカルテル者に免罪符みたいな論文を出しておられます。これはすでに独禁法改正研究会の委員としてのメンバーであり、そういう議論をしておる中でこの公取の委員があえてこういう論文を発表する理由はないと私は思うのです。何か日銀の政策委員とかをやっておった人だそうでありますが、それは日銀の政策委員か何かをそういう立場で書くならば別だけれども、公取の委員として書くのはどうも適切じゃない。しかし、これはここで適切じゃないと言っても、自己の意に反してどうこう言われる筋はない、独立権を持っておりますから言いません。また、これは公取委員長に文句を言ったところで、五人の公取委員というのは同じ資格で、公取委員長がこれを指揮権をもっておまえけしからぬぞと言う資格がない。多数決で平等だという公取委員会の運用でありますから、この公取委員の言動を公取委員長の監督不行き届きだとは申しませんが、こういう議論は公正取引委員として適切な議論ではないということでこの委員会で議論があったということをひとつ伝えてもらいたいということを私は要望いたします。
 それから、あと五分ほど時間がありますから、この時間内で通産大臣にさっき残った問題を申し上げたいと思うのです。
 通産大臣、この営業の重要な一部譲渡を命ずることは、産業政策に介入するのでこれはもう絶対に容認できないという論理は、これは私は一般的じゃないと思いますね。それでは、環境庁は公害問題で、通産省が幾ら工場をつくろうと思ってもそれは環境上好ましくない、こう言う権限があるのでしょう。環境庁にはある。それはなぜあるかと言えば、公共の福祉を守るという立場から、通産省の一般的な権限を規制できる法体系になっておる。そういう権限を持っておる。だから、公取が私的独占を排除するという立場から、通産省の産業政策の一部に介入したとしても、それを通産省が全面的に産業政策に介入したのはけしからぬと言うのは行き過ぎじゃないでしょうか。どうも私はこの辺は、通産官僚の感情的な反対理論を大臣が余り素直に取り過ぎている感じがいたしますから、意見として申し上げておきましょう。
 それから、原価の公表に対して反対だと言っておる。これは現在、独禁法の四十条で公取に調査権があるじゃないか、こう言われております。だから、それを使えばいいじゃないか、あえてこれの必要はないと言う。そうしますと、四十条で同じような趣旨をやられることを通産省は認めておるのでしょう。そうだとすれば、四十条、これは自主的に競争制限があるということをある程度証拠をつかまないと働かない規定だと思いますが、カルテルは一般の中企業も含めて小さい企業がお互いにカルテルを結ばなくちゃ価格の値上げができない、こういう制度、今度はこれが非常に厳しく取り締まられておる。ところが、数社あるいは片手か十社か、それ以内の寡占体系の中で、寡占的な企業の中で、暗黙の了承の中でカルテルと同じような行為が行われるというおそれがある。だから、そういう場合には一々四十条ということでなくて、制度的に価格の内容について調査をして、あるいは届け出をさせる、こういうことでありますから、四十条でやれるということを認めておるならば、今度の原価公表の総理府原案に反対だという論旨が成り立たないと私は思いますね。
 それから、第三点の株式の保有制限、これは当初の案は純資産の二分の一だ。今度は百億以上、純資産の額だ、こういうふうに二分の一をはずして大変緩やかになった。どれだけこれにひっかかっておるのかと調べてみたら公取案では二分の一ですが、五十七社、今度は純資産の額か資本金かどっちか大きい額、本当は小さい額というならわかるのだけれども、大きい額ということになるとひっかかるのは十七社、どこが抜けておるのかと思って見たら三光汽船がひっかからなくなってしまった。これは余談ですが、実は三光汽船が適用されないということになる。まさかそれで通産大臣、反対してきたわけではないでしょうけれども、しかし株式持ち合いが、実は近代独占と言われる中で非常に力を持ってきたのです。お互いに株を持ち合う。これは私ども資料をつくったのがありますから後で見せてもいいのですが、三菱グループではお互いに二六%持っておる。株式の持ち合い数が総額三十一億株、住友グループでは約九億株、三井グループでは十三億五千万株、こういうように相互に持ち合いをして、そして大企業がグループをつくってお互いにグループで市場支配を行う、こういう危険性があるから、この株式持ち合いについての規制を加えよう、こういうことであります。せっかく私的独占という一企業体を分割しても、こういうようにグループの規制がなければ、実は近代独占というものの取り締まりができない。独禁法等に制約を加えようというなら、この問題を当然取り上げなくちゃならぬと思うのであります。これはアメリカでも御承知のように、銀行は五%以上持ってはいけない、こういう規定がすでにありますし、あるいは競争会社の株は持っては悪いという規則ももうすでにあるわけです。ですから、株式の総量規制に疑問があるとか、あるいは総資産の百分の五か純資産のいずれか大きい方で律していけといってこれに反対するということは、経済の実態というものを通産大臣は知っていない、私はこう思います。
 時間でありますからこれで終わりますが、とにかく独占禁止法というものの趣旨をよく勉強されて善処されるように要望して、終わります。
○田中(六)委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際一暫時休憩いたします。午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十四分開議
○田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。神崎敏雄君。
○神崎委員 私は、二月十四日の当委員会における質問に引き続き、今回も石油化学コンビナートの防災問題に関連して、政府当局の石油化学業界との関係について質問をいたしたいと思います。
 まず、先日の委員会で、現行の高圧ガス取締法第六十六条で、「通産省及び都道府県に保安管理員を置く。」と決めてあり、六十二条で、この管理員は災害発生の防止のため立ち入り検査やガスを収去させることができると定めてありますが、この管理員が、私の調査で一月二十二日現在、千葉県、三重県はゼロ、岡山県に一人という状況にあることを指摘いたしましたが、その後当局は、この件について何らかの処置をお取りになりましたか、まずそれを第一に伺います。
○佐藤(淳)政府委員 先般の商工委員会での先生からの御指摘を受けました後、直ちに関係都道府県並びに通産局に対しまして立地公害局長名の通達を発しまして、保安管理員等の任命手続をとっていない場合には、法の趣旨を体しまして早急に保安管理員等の任命手続をとるように指示いたしました。
○神崎委員 私が十四日にこのことをここで指摘して、そうして当局は二十日の日にその保安体制の実態を、いま御説明がありましたように、各都道府県に通達をお出しになった。そのことはそれなりで、申し上げたことを実施していただいたので結構ですが、問題は、この中にある最後の三行ですが、「法の趣旨を体し、早急に保安管理員等の任命手続きをとるよう、措置するとともに、現人員及び新たに任命した人員を直ちに通商産業省立地公害局保安課長あて文書で御連絡下さるようお願いします。」こういうのが、昭和五十年二月二十日付、立地公害局長の名で、各企業に出されているのですが、これは今日まで当局が掌握してなかった、こういう委員会でその事実を指摘されて、改めてこの通達をお出しになったということは、当局が今日まで掌握してなかった事実を立証するものである、かように思うのですが、これはどうですか。
○佐藤(淳)政府委員 この高圧ガス取締法の監督体制のための関係都道府県職員の必要人員等につきましては、通産省なりにいろいろ検討いたしまして県ともいろいろ相談してまいっておりますし、それから人数等についても毎年、年度末で御報告はいただいておるわけでございますが、ただわれわれ非常に申しわけなかったのは、要するに保安管理員という任命が行われてなかった県があったということでございます。
 実は、なぜそういうことになったかとちょっと申し上げますと、要するに保安管理員の資格は、相手方が立ち入りを拒否した場合に初めてこの身分が有効に機能するわけでございますが、実際問題として、そういう現場立ち入りを拒否する例はいままでなかったものですから、また一方、各都道府県には管理員と同じ資格を持った職員が現実におりまして、その連中がこの管理員の仕事を現実にやっておったということで今日まで見過ごしてきたわけでございまして、はなはだ申しわけないと思っております。
○神崎委員 また、そういう答弁になれば、重ねて聞かなければならぬようになるのですが、保安管理員というものは法的に決められておるのに、それと同じような資格のある者と言えば、少しまた問題がほかに発展するのですが、たとえばいま挙げたように、千葉県、三重県はゼロ、岡山は一人というような状態で、そして昭和三十九年から四十九年までの十年間に、二百三十一件という事業所の事故発生件数が上がっておる。これは、当局がつかまれておる、あるいは社会的に大きな事件になった問題も含めてでしょうが、それでは千葉県や三重県は、あるいは岡山にはその間は事故が何もなかったのかということになってくれば、これはまた問題は別に残ります。そうすると、結局その六十六条で法律的に拘束されているものが実施されていなかったということを認めることにもなり、しかもそういうような事故の起こった後には、そういうような保安管理なるものが法どおりやられておるかどうかということを直ちに点検したり、あるいは調査しなければならないのにかかわらず、きょうまでそれを捕捉していないということについては、当局はその非を認められますか。
○佐藤(淳)政府委員 保安管理員の手続につきましては、怠っておったことは率直に認めざるを得ないと思います。ただ、現場におきまして災害が発生したときは直ちに関係都道府県の職員が現場に急行いたしましてチェックは十分にやっておるわけでございますが、そういう身分上の問題がはっきりしていなかったということは今後改めなければいかぬということで、先生の御指摘に従って措置したわけでございます。
○神崎委員 このことは当局が六十六条を尊重していなかったということにもなりますが、それはまた後で関連がございますので、後の質問の中でまたお尋ねすることにして、次にこれまた二月十二日に私が石油化学工業協会技術部長に自主保安基準についてただしたところ、一般的な基準は公表できるが、細部についての保安対策は、外国技術の導入の際の契約違反になるので、通産省にも公表していないと明言した点を、私は政府に先般聞きました。先般はこの問題について明快な答弁を得られなかったのでありますが、この点についてはどうですか。
○佐藤(淳)政府委員 本件につきましては、先般の商工委員会で先生からの御質問のあったあの翌日、早速当該の本人の奈良技術部長に私のところの担当の参事官と課長が直接会いまして真意をただしました結果、石油化学工業協会としましての本問題に対する姿勢について、文書で釈明する約束をさせまして、二月二十日、石油化学工業協会会長堀深より立地公害局長あてに、当協会及び協会傘下の各社についても、行政上必要がある場合には、企業秘密を超越しまして資料の提出に協力――いままでもしてきておりますし、また今後とも一層これに協力してまいりたいという文書が提出されました。
 通産省といたしましては、保安問題はきわめて重要な問題でございますので、今後とも業界内の企業秘密につきましても、保安行政上必要なものは報告させるとの姿勢で保安行政を実施してまいりたいと思っております。
○神崎委員 いよいよ事実が明快になって、率直な答弁をされていることについては歓迎しますが、重ねて聞きますけれども、私は当局からこの文書をいただきました。これはいまおっしゃる石油化学工業協会会長堀深さんの署名で捺印して、それで通産省立地公害局長あての二月二十日付の文書ですが、この文書によりますと、協会はその設立以来行政当局に協力してきたし、今後とも保安対策に限り、企業機密を超越し、資料提出等に応じる考えであると明記しておる。こういう資料提出に応じるという文書を局長あてに業界が出したのは、いままでにそういうことは一回でもありましたか。
○佐藤(淳)政府委員 文書でもらったのは初めてでございます。
○神崎委員 そこが問題なんですね。大臣、よく聞いておいていただきたいのですが、この協会というのは昭和三十三年から発足しているのです。そして、ここで明らかになって初めて出した。
 そこで、伺いたいのですが、行政当局に対して、機密を超越して資料等を提出したんですね、今度は。いままではこれは機密だから通産省といえども出さないんだと言うておって、ここで問題にしたら改めて、昭和三十三年の発足以来、設立以来初めてこの文書を出してきた。その間当局は、あれほど人命を疎外し、殺戮し、いろいろな形で社会の大問題になっているコンビナートの爆発や事故等があっておる中に、なぜこの委員会で私がこのことを指摘するまではこういうことをおやりになっていないのか。この文書によりますもと、当初より協力してきた――何を協力しておったのか知りませんが、これは設立以来積極的にややってきたというふうになっておるのですが、こういうことでは逆に、協会の方は積極的であったのに当局の方はつかんでおらなかったということになるわけなんです。そうじゃなしに、いままでに一回も出してないというんだから、どのような形で協力したのか。あるいは保安体制というものがいま初めて明らかになったというようなことになれば、私は、きわめて国民は、特にこのコンビナートの周辺におられる方は、こんなことでいいのだろうか、こういうふうに思われると思いますし、私もこの問題についてはまた今後も機会あるごとに、コンビナートの爆発によって地域住民が災害を受けない、そういうような事故の起こらないようになるまで、繰り返しこの問題に大きく関心を寄せ、それがまた国民代表の一人としての義務だ、こういうように考えておるのである。
 そこで聞きますが、業界は次のように言っているのですね。これは昭和三十九年、これも非常に古い問題で、私は古いということがきわめて新しい問題だという立場でやっているのです。古いから、この問題は現在のニュースじゃなしに、古くからあるのにこの法律は生かされてない。また、企業はそれを守っておらない。当局がそれを守らしておらない。その間何ら事故もなく太平に過ごしておればまた別ですよ。いま言うたように、当局が握っておられるだけでも二百三十一件。一番多いのは、四十八年には三十八件もある。二十四件あっても月二回ずつ起こっておるわけですよ。ところが、三十八件も四十八年は起こっている。昨年は二十六件ですから、これは月二回ほど起こっているのです。その間、やらなければならぬ側もやらす側もそのままに来たというところを問題にしているのです。そこで、いま申しますように、業界は、三十九年のものですが、こう言っているのですね。「運転に不備があれば災害を招くおそれがある。しかし、運転技術については高度の秘密であって、協会員相互であっても、公開されてないのが現状である。運転技術のうち、保安に関するものも相当重大な部分を占めている。」こう言っているのですね。このような協会員相互でも公開しない高度な秘密事項も通産当局は全面的に内容を掌握して保安指導あるいは点検、こういうものを、まあいままでは何もやってなかったとおっしゃったからそれでいいのですが、今後はやっていかれますか。業界相互でも高度な秘密だから明らかにしない、通産当局にも言わないというのはこの前言いましたね。それがここに麗々しく、向こうの文書にあるのですから。そうすると、こういうようなことについて当局はどういう考えをいまの時点でお持ちになりますか。
○佐藤(淳)政府委員 この石油化学工業というのは三十五年ごろから急速に拡大発展してきたわけでございまして、特にその発展の要素といたしまして、他産業に比べまして非常に外国からの技術導入が多いわけでございます。したがいまして、三十九年、四十年あたりはまだ初期の段階でございまして盛んに技術導入をやっておった時期でございます。これは国際的な信義の問題もございまして、設備の相当数がそれにひっかかるということで、当時の業界の考え方としてはやはりそういう企業秘密的な考え方が相当根強かったんじゃなかろうかということは率直に認めざるを得ないと思います。その後しかし現実に、先生がおっしゃいますように事故が相次いでおりまして、社会にもいろんな御迷惑をかけておりますので、もちろん通産当省といたしましてはそういう業界の考え方を逐次改めさせなければいかぬということでまいってきておりますし、これからはそういうものは、特に保安に関するものにつきましては、企業秘密はあっても、少なくとも通産省には全部提出していただくという態度で臨んでまいりたい、こう考えます。
○神崎委員 これは重大な問題なんで大臣からお聞きしたいのですが、いま局長が答弁されたように、今後こういう保安に関しては企業秘密を許さない、こういうことを大臣から明言できた答えがいただけますか。
○河本国務大臣 防災体制ということが何より肝心でございますから、そのように取り計らっていきます。
○神崎委員 そのように取り計らうということは、いわゆる企業秘密は許さない、保安の方が優先だ、こういうことですね。
○河本国務大臣 そのとおりであります。
○神崎委員 そこで、いま大臣は、政府は企業秘密と公共の安全性とをどちらを優先するか、こういうふうに尋ねましたところ、企業秘密よりも公共の安全の方が優先するのだ、こういうふうにお答えになったので、これはそれで結構であります。
 そこで、問題を変えまして伺いますが、石油化学協調懇談会、これは現在も存在していますか。
○矢野政府委員 現在でも存在しております。
○神崎委員 この懇談会は何年に、どういう目的で設立されたのですか。
○矢野政府委員 設立年月日を申し上げますと昭和三十九年十二月二十一日でございます。
 それから、目的でございますが、当時の資料、いわゆる省議決定の資料によりますと、石油化学工業の国際競争力を強化しその秩序ある発展を図るための方策を官民協調して検討するための協議機関として石油化学協調懇談会を設置する、こういうことになっております。
○神崎委員 この懇談会というのは業界からの提案で設置されたのですか、それとも通産省の提案で設置されたのですか。
○矢野政府委員 昭和三十九年十二月八日に当時の石油化学工業協会会長坂牧善一郎から通商産業大臣あてにこの設置についての要請がございました。それに基づいて中で検討の結果、そういう省議の決定を行った、こういうことでございます。
○神崎委員 この懇談会は、いままでにどのようなことを何回ぐらいやられたのですか。
○矢野政府委員 懇談会は三十九年十二月二十一日を第一回といたしまして、四十九年七月三十日に至るまで十四回開かれております。なお、年次別に申しますと、三十九年は一回でございました。それから、四十年におきましては三回開かれております。それから、それ以降は四十二年に二回開かれたのを除きまして毎年一回ずつ開いております。
○神崎委員 このメンバー、いわゆる懇談会の構成メンバーはどういう方々ですか。
○矢野政府委員 現在の構成メンバーで申し上げますが、通産省から産業政策局長、基礎産業局長、二名でございます。それから、業界側といたしまして石油化学工業協会の会長それから副会長、専務理事、副会長が二名ございますので四名でございます。それから、第三者、学識経験者といたしまして開発銀行総裁の石原周夫氏、日本経済新聞社社長の圓城寺次郎氏、それから経団連顧問の堀越禎三氏、この三人が参加しております。
○神崎委員 そこで、この問題についてですが、昭和三十九年十二月七日、この石油化学工業協会の石油化学協調懇談会についてのここにあるこの文書によりますと、次のように明記しておるのです。「この懇談会は石油化学工業の秩序ある発展を図るための方策を官民協調して」――「官民協調して」ですよ「検討するために設置するものである。」「設備の新増設に関し通商産業省と業界とが相ともに問題の検討を行ない、その方針についての意見の一致をはかることは有意義である。」そしてしかも次のように言っておるんです。「懇談会は通商産業省と業界との合意により設置するものとする。」「その構成、運営も通商産業省と業界との合意にもとづき、かつ相互に対等の立場において行なわれるものとする。」いいですか。構成、運営も通産省と業界との合意に基づき、かつ相互に対等の立場において行われる。以上のように明記しているのですが、この点政府は認めますか、この対等の立場で物を決めていくということ。
○矢野政府委員 いま先生の御指摘のとおり、石油化学工業協会からの設置要請についてはお説のとおりの要求になっております。私どもの方の決定をいたしましたのにつきましては、いわば構成メンバーは通産省、石油化学業界の各代表者並びに適当な第三者とするということで、われわれの決定としてはそういったいわば相協調して対等で云々というようなところは決してございませんが、ただ当時の考え方からいたしますと、非常に民間主導型とかいろいろ議論があったようでございまして、そういうときに官民相協調する、結局この場は対等の場である、こういう考え方でつくられたことは事実と思います。
○神崎委員 当初はそうであったけれども、対等の立場というものは余りよくない、適当でないのでとか何かおっしゃったですね。何か変更されたような答弁がいまあったと思うのですが、変更されたのはいつ変更されたのですか。
○矢野政府委員 通産省で決定をいたしました内容は、業界から出ているような対等だとかそういう言葉を使わず、構成メンバーは通産省と業界代表者それから適当な第三者をもって構成するということだけを決めております。ただ、考え方としては、先生のようなお考えのもとにこれは発足した、こういうことだと思う、こういう御答弁でございます。
○神崎委員 当局の方の主観的にはそうかもしれないけれども、具体的にそのことが変更されていないし、第三者、第三者とおっしゃるが、いま名簿を挙げた中で第三者らしいのは日本経済新聞社社長の圓城寺さんだけで、あとは全部業界の、経団連の顧問だとかあるいは通産当局の人たちでしょう。そういうものでやっておって――公取委員長来てますか。
○田中(六)委員長代理 まだ来ていないけれども、事務局がいるから。
○神崎委員 では、おられたら聞きますが、こういう生産工程やら生産量やらいろいろなものを決めるようなときに、業界と当局とが対等、平等の立場でものを決めたら、これはカルテル的な、いわゆるカルテルの独禁法の定義あるいは目的に抵触する疑いがあると私は思うのですが、あなたはどうですか。
○野上政府委員 行政官庁とそれから業界が集まりまして生産量を決めましても、そこに業界の共同行為があれば、たとえ行政庁の介入がありましても独占禁止法に違反するというふうにわれわれは解釈しております。
○神崎委員 違反するという解釈を公取が取っているようなこと、対等、平等の立場でずっとやってきたのですか。三十九年一回、四十年三回、四十二年二回それから以降毎年一回ずつ、こういうような状態から保安要員の捕捉もここで問題にしたら、急遽それを調べなければならない、こういうようなことになっているのですが、こういうようなことがまかり通っていいのでしょうか。大臣、どうでしょうか、いまのこのやりとりを聞いておられて。
○河本国務大臣 この協調懇談会が過去にどんなことをやってきたかといいますと、第一にはエチレン等主要化学製品の需要見通しの作成、主要石油化学製品の供給能力の掌握、石油化学製品の製造設備の新増設に関する方針等の検討、こういういわばこれからの生産設備をどういうふうにしたらいいだろうかということで、石油化学工業の秩序のある発展を図っていきたい、そういう趣旨でこれをつくっておるわけでありますから、私はこのメンバーの構成でいいと思います。
○神崎委員 またそうなると独禁法じゃないけれども、公取委員会と通産当局と見解が真っ向から対立するのですが、たとえば大臣、四十年の一月にこの懇談会はエチレンの製造設備の新増設の方針について、これを決めているのですよ。いいですか、エチレンの製造設備の増設や新設についての方針を決めているのです。ナフサセンターの新設の場合の基準を年十万トン程度とここで発表したのですね。さらに、四十二年の六月二日に、エチレンの製造設備の新設にかかわる外国の投資家からの技術援助に関する契約の認可申請について、次の基準に適合している場合に認可する、こういうふうに決めた。それがどうかと言えば、エチレンの年産三十万トン以上と、こういうふうに決めたのですね。これと全く同じ日に、四十二年の六月二日に通産省化学工業局は同じ内容の方針を発表しているんです。このように業界と協調して生産調整を図ってきたことの事実、いま公取の事務局が何ぼそういう行政当局が入っても独禁法違反になるというように言われたのでありますが、対等、平等で、そうしていわゆる取り締まる側も取り締まられる側も一緒に集まって懇談をして、そうしてことしはエチレン十万トンだ、ところが来年は三十万トンにする、正確に言えば、四十年は十万トンで、そうして四十二年は三十万トン以上にするのだ、こういうことを通産当局と企業が一緒になる懇談会で、しかも定期的に持たれていって、生産量もあるいは規模も、こういうことを談合されて、そうしてしかも同じ日に発表する――まあ同じときに話をされたんだから。余りにもこれは独禁法を踏みにじっているといいますか、こういうことをやるから問題にしなければならないようになるんですが、大臣、これはこれでもいいんですか、いまのあなたの答弁。
○矢野政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたいわゆる生産規模の十万トンあるいはその後三十万トンに変更するという点について協調懇で確かに話が行われたと思います。しかし、これは要するに国際競争力に対応するための生産規模の問題でございまして、生産量そのものを、各社の生産量をどうするかというような話をしたわけではないと考えております。いわば設備投資の長期的な観点からする調整、あり方はどうあったらいいか、こういうことを議論したものと私どもは解しております。
○神崎委員 だから、先ほどから主観的にはそういうふうに説明されようが、具体的にはそれは独禁法にかかわる。公正取引委員会もそのことを認めている。それは生産を調整するということであなたの方は大義を立てようとされておるが、ではこれから通産省あるいは石油業界が一緒になって、大体年間これだけしか輸入量がないのだ、だから販売価格をこのようにしようじゃないか、これを守ってくれぬと長期には需要と供給のバランスが維持できないというようなことだって、業界と――業界だけが集まっても問題になっているのでしょう。それを行政指導しなければならない監督当局とも一緒になって、そういう形でものが決められていったら、それではどうなるんですか。しかも、それが業界と通産当局とが対等、平等なんだ。それは先ほどからあなたがおっしゃるように、余り適当でないと思っておると言っても、その間は一つも訂正されないで、麗々しくも通産当局とわれわれは対等でやってものを決めているんだと言って、えろう肩を張って文章に出ておりますが、こういうものすら当局は御存じないんですか。いままで保安要員はどこに何ぼおったかということも捕捉されてない段階ですからやむを得ないと思いますけれども、こういう形で通産当局が業界にタッチしたり癒着しておったら、これから一連の高圧ガスの法案になって審議の段階でまた触れますけれども、こんなもの何ぼつくってみたってだめだ。余りにも、一般低俗的な表現をするならば、当局は企業になめられておるんじゃないか。また、企業も同じように、みずから政府がつくった法律を踏みにじったりあるいはそれにもう慢性的になって、不感症的に介入しているじゃないか。こういうことが許されていいの、だろうか、こういうふうに思うのです。あなた、こういうようなものは入手されてないんですか、向こうの協会の出している文書一切は。局長、どうです。
○矢野政府委員 私の方は先ほど御説明しましたように、当時の坂牧石油化学工業協会の会長からの文書を受けておりますので、いま先生が御指摘になりましたこれは別紙として、要請の別紙になっておるわけでございます。ですから、この資料は持っております。
○神崎委員 持っていて何にもやらぬのですか。見て、これは不適当だというふうに思わないのですか。私はこれは非常に大事な問題だと思っていま問題にしているのですが、こんなことを書いてもらったら困る、何で通産省と君のところの協会とは対等でものを決めなければならぬようになったのかということを指摘ができないのですか、当局は。
○矢野政府委員 このいまの石油化学協調懇談会でございますが、先ほど申し上げますように長期的観点におきます投資のあり方をどうするかという議論でございます。そういうふうな点でいわゆる関係業界と申しますか、そういう石油化学業界を含めた場でいろいろ検討することが悪いというふうに私は考えておりません。もちろんそのあり方としてあくまでも対等で云々というふうな言い方については、それはいろいろ問題が――いわば役所側というのが一緒にそこで討議をするわけでございますから、共通の場ということはあると思いますけれども、しかしこの文書自身は当初の三十九年に出てきた文書でございまして、私自身それをとやかくいう考え方はいま持っておりません。
○神崎委員 生産を決めることなら当局と業界と一緒に懇談をしていいのですか。
 ちょうど公正取引委員長来られておりますが、事務当局からお聞きになったと思うのですが、最前そのことを事務当局は認められたのですが、物をつくる量を、企業側とそして通産当局とが一緒になって年間これだけつくろうじゃないか、このくらいにしておこうじゃないかというようなことを対等、平等の立場で相談したらいいのですか。
○高橋(俊)政府委員 はっきりした法律的な根拠なしに生産量を業界が決め、かつこれに行政介入がありましても、行政介入があったからといって生産量を定めるというふうなことは私は違法性を阻却しない、つまり独禁法に触れる、こう考えます。
○神崎委員 触れる、触れると言っているが、そっちは触れないと言うのは一体どういうことなんですか。政府の見解を統一しなさいよ。物をつくるということを相談することはいいと言うけれども、物をつくることを相談することが価格に関連があるのです。需要と供給のバランスをアンバランスにすることによって、そうして価格というものの高低が起こったり、あるいは買い占め、売り惜しみをするようなことをやるから物価が上がったりすることが起こるのでしょう。それを一緒になって売る方と監督する者とが寄って、これはこのくらいにしておけ、ことしは十万トン、だけれども来年は三十万トンつくってもいい、こういうことを企業がやることは、いま公取委員長の言うように、カルテル違反の定義やら目的に関連があるのです。ましてそこに通産当局が入って、いまの局長の答弁では、三十九年のことだから私は知りませんと言いたいのでしょうか。それからこれが何か変わっているのかと言ったら変わってないと言うのでしょう。変わってなかったらあなた責任あるのでしょう。そういう形で一緒になってやっておりまして、四十年は十万トンで四十二年は三十万トンかにする。それで時あたかも同じ日に当局も業界も一緒に発表する。業界がもしもそこで決めても、通産当局へ願書なりを許可、認可を求めるために出す。せめて三日か二日後にこの量は本年度としては適当であると言うて許可されるのだったらまた話は別だ。相談した日に同じように当局も発表し、ここも発表して、だから対等、平等の立場でやっているのだ、こう言うているのでしょう。あなたは、それは古い話ですのて――古い話は、私はさきにも断わったように年号を言うたら古い、三十九年や四十年の話をすれば。しかし、それがずっとここまで来てまだ生きているのだ。その間にいま言うように十年間に二百三十一件も大きな事故が起こっているのだ。一年に二十四回起こっても月二回起こっているのだ。その間に社会的なああいうような犯罪的なものがあって人命が犠牲になっている。先ほど大臣は企業の秘密よりもいわゆる公共の安全の方を優先する、こういうふうにおっしゃっておるから、私はその点についてはもう得心しているのです、将来そうあってもらいたいし。どうですか、そういう見解をまだお持ちですか。もう三十九年ごろに決めたことは現在の私の立場ではだめです、いまの立場でも。いまこの法律は生きているのですよ。今度この高圧ガス法がいよいよ提案されて、これについてのよしあしはこれから論議しますが、この間生きているのですよ、まだこの法律が国会で決定されるまでは。あなた、知りませんと言って逃げられっこないじゃないですか、局長さん。古いのは知りませんではぐあい悪いでしょう。改善しますか。すぐそういうような懇談会は解散しますか。
 最終的にこれは大臣にも聞きますが、こういうような組織は私はきわめて疑惑を持つ。だから、こういうような機関は即刻解散すべきである。しかも、あなた方だけが集まった上、企業代表が二、三人寄って新聞社の社長一枚だけを入れて、これで第三者だというようなことを言ってやってきたのでしょう。たとえば去年一年に一回やったとおっしゃったですね。去年も、ことしは何ぼ生産しょうということをここで相談されたのですか。あわせて答えてください。その答弁によっては質問できないのですよ。
○矢野政府委員 三点お話があったと思いますが、いわばこの十万トンあるいは三十万トンというのは一基のエチレンセンターの生産規模であります。各社の、それぞれの会社全体の生産量ということをここで決めているわけではないわけでございます。したがって、私どもは現在この運営をやりますに当たりましても、あくまでも供給力を確保する、要するに物不足を起こさない、むしろ価格が、早く言えば低位に安定するように、そういう面から長期見通し、五カ年のいわば需要見通しを立てまして、それに見合って現在の供給能力がどれだけあるかということをヒアリングをしまして、その結果をこの懇談会に諮って意見を求めるということで運営しておるわけでございます。
 したがいまして、いまお話のありましたように、じゃこの七月にやったときどうしたかということでございますが、われわれの方で誘導品、それからエチレンセンター、それぞれ各社を呼びましていわば生産能力というものをまず策定いたしまして、それから関係需要業界、省内含めましてのいわゆるエチレン誘導品の需要のあり方はどんなふうになるのかということをまとめまして、そこにいろいろギャップがあって、現在センターの新設要求がある、こういう問題をどういうふうに処理するかという基本方針はどうかということを諮っておるわけでございます。したがいまして、私どもがその共通の場云々は別としまして、出している資料をいわば審議会に諮問するような形で現在運営しているというふうに御了解いただきたいと思います。
 それから、いわば三十年時代に、いまのように即そのときに発表があったではないか、そういう点はまさになれ合いではないかという御指摘だと思います。それは私ども現在におきましては、審議会、いわゆる懇談会で決定と申しますか、むしろそういう意見をまとめたものについて、すぐに同時にこういうものにするというような発表はいたしておりません。あくまでも通産省のそこの意見をもとにして、センターの増設問題は個別にわれわれが各社と話して、適切かどうか、地元の公害対策とかそういうものを含めまして認めていく、こういう姿で運営をしております。
○神崎委員 局長、もうちょっと率直に素直にひとつ論議を交わそうじゃありませんか。
 審議会的なものだとか、諮問しているのだとかいま言われたのですが、通産省の産業政策局長と基礎産業局長、こういうような人が自分が聞くのに自分に諮問するのですか。そして、自分に答申するのですか。言うならば審議会みたいなものだ、で、内輪で寄って、そしてお互いに言うて、答申出す、案はあなたがお出しになって、あなたが答えを出される、それで業界もそこに入って、それなら結構です、じゃ、それでいきましょうと、同じ日にそのことを発表したと言うと、私たちはそうじゃありませんとあなたは言うけれども、そこで別れて、たまたま通産省は通産当局で発表される、協会は協会の玄関なら玄関で発表する、結果としては同じ日であった、こういうふうに言われておるように聞こえるのですがね。ぼくはそういう形式的なことを問題にしているのじゃないのですよ。手続的なことを問題にしているのじゃないのです。こういう懇談会がこれほど問題になっているときに、こういうものがずっと系統的にやられているのか、そうして企業の代表者と監督官庁である通産当局とが、最高スタッフが寄って決めて、そして年間の生産、いわゆる量とかそういうものを決めていく、しかも設備まで一緒に決める、だから「新増設に関し通商産業省と業界とが相ともに問題の検討を行ない、その方針についての意見の一致をはかることは有意義である」それは企業にとっては有意義でしょう。しかも「懇談会は通商産業省と業界との合意により設置するものとする」つくるところから出発してこうなる。「その構成、運営も通商産業省と業界との合意にもとづき、かつ相互に対等の立場において行なわれる」こういうことがあっていいのですか。しかも、そこで年間どうする、こうするということが決められて、それで同時に発表されていく。すべての価格なりあるいは企業の思うままに備蓄をやり、あるいは販売やらあるいは在庫やら、いろいろなものがここで操作されているのです。そういうあり方がなお続いていることをも問題にしているのです。こういう懇談会を残しておかないとあなたの方は監督できないのですか、行政処置をできないのですか、どうです。公取は好ましくないと言っているのです。その好ましくないような機関やら組織をなお通産省はがんばって残していくのですか。
 大臣、こういう組織については検討できませんか。これはよくないですよ。
○河本国務大臣 基本的な考え方を申し上げますと、私は、業界に対しましてときには行政指導ということは必要であると思います。しかし、できるだけ行政指導は避けた方がいいと思うのです。業界の自由な発想に基づいて、公正な自由競争をさせるという意味におきまして、行政指導はできるだけ避けた方がいい。しかし、この石油化学というのは、昭和三十年代の初め、特に後半から急速に、初めて日本に興ってきた産業なのです。いわば三十年代はその揺盛期でありまして、最近ようやくかっこうがついてきた、こういう特殊の産業でありますから、そういう初期の時代にはある程度通産省も生産の能力とかそういう問題について積極的に行政指導をしまして、いろいろ私は指導したと思います。しかし、現在のように一人前の産業になってしまうということになると、おのずから行政指導のあり方も当然変えていっていいと思います。でありますから、せっかくの御指摘でございますから、最近の内容等よく調べまして、現在の時代に合ったように直していきたいと思います。
○神崎委員 大臣がこの組織については考え直す、直していきたい、こういうような答弁をされたので、もうやめます。
○田中(六)委員長代理 近江巳記夫君。
○近江委員 福田長官が遅れておられるわけですが、そういうことで、まず通産大臣に初めにお伺いしておきたいと思います。
 通産大臣は、総理府総務長官とお会いになって、いわゆる最後の詰めをなさったわけでありまして、これが一応物別れになったということでございますが、まず私、確認をしておきたいと思うのですが、通産大臣は、政府案骨子は公取委員会が現行独禁法に加えて新たに産業政策に介入してくるという面がわかった、このようにお述べになり、構造規制としての営業の一部譲渡でも、また主務大臣と協議するとしても、公取委員会の産業政策への介入であり、株式保有制限も産業政策への介入である、このようにお述べになったということが各紙で報道されているわけです。こうした報道について、この細部の表現はともかく、大筋におきまして間違いがないかどうか確認をしておきたいと思います。
○河本国務大臣 そのとおりであります。
○近江委員 この考え方というものは、いわゆる産業政策というものを第一義的なものと位置づけ、絶対不可侵というような非常に奇妙な考え方に立っておるように私は受け取れるわけであります。特に現行独禁法に加えまして、新たに産業政策に介入してくる、こういう言い方は、現行独禁法でさえも産業政策にとって邪魔なもの、迷惑なものという、そういう意識がむき出しになっているように私は思うのです。
 申し上げるまでもなく、この独禁法は公正かつ自由な競争を確保し促進するために産業活動、企業活動のルールを定めるものでありまして、産業政策というものは、これを前提として必要適切な指導、助成、調整等を図るものであると考えるわけです。産業経済の発展あるいは変化に伴って、独禁法、独禁政策の変更を必要とする場合、これに応じて産業政策のあり方が制約される場合のあることは当然のことではないかと思うのです。この点について、大臣はどのように思われますか。
○河本国務大臣 なお、私は、本日朝、総理と独禁法改正につきまして面談をいたしまして総理の御見解をお聞きいたしました。総理の方からは、自由主義経済体制にはルールが必要である。最近の情勢を見ていると、わが国の経済社会環境は新しいルールの確立を求めている。したがって、自由主義経済体制に国民をつなぎとめるためには、この際独禁法の改正が必要である。この気持ちをくんで総務長官が鋭意作業中であるので、通産大臣としてもこれに協力してもらいたい、こういうお話がございましたので、その総理の意をくみまして、さらに今後総務長官と積極的に話し合いを進めていくつもりであります。私といたしましても、独禁法の改正そのものには賛成であります。
○近江委員 いま福田長官がちょっと所用でおくれて来られたわけですが、途中でまた退席される、こういうことで、いまの問題からまたちょっと戻りますが、福田長官の時間の関係もありますから、まずお聞きしたいと思います。
 まず最初に、きょう発表になりました二月の東京都区部におきましての消費者物価指数は前月比〇・四%アップ、前年同月比で十三・七%ということで聞いておるわけですが、全国の一月の数字を見ますと、それぞれ〇・五%アップ、一七・四%、こういうことであるわけです。そこで、政府が言っております三月の対前年同月比一五%以内の実現可能性についてどうか。また、副総理はいつも環境の整備ということもおっしゃっているわけですが、これは春闘のことをおっしゃっていると思うのですけれども、その辺の関係についてどういうお考えを持っておられるか。それから五十年の物価の見通しについて年度末一けた台にする、また、その後五十一年度以降の物価目標につきましてどのようにお考えか。それから、長官も御承知のように、非常に不況というものが深刻化してきておるわけであります。そういう中で、この総理府の統計を見てまいりますと、十二月の失業者数は八十三万人、総理府の推計によりますと三月には百二十七万人に達する、こういう深刻化した状態であります。中小企業、零細企業の倒産の激増は戦後最高記録を示しております。また、労働者はこのように失業している。こういう犠牲の上において経済政策をやっていかれる、こういうからみもあるわけでございます。その点につきまして、私がいま申し上げたいわゆるそうした目標についてはどのようにお考えか。時間の関係がありますから簡潔に要点をお願いします。
○福田(赳)国務大臣 きょう総理府の発表したところによりますと、東京区部の二月の消費者物価指数が〇・四上がる。かりに全国の統計が、これは精細に調べるのには一月くらいかかりますが、これが〇・四という東京区部と同じだというふうに仮定しますと、ことしの二月の去年の二月に対する上昇率、つまり年間上昇率はちょうど一四%になるわけです。その一四%を踏まえまして、それで三月の物価の上昇が〇・七%以下にとどまるならば、これは年間上昇率は三月末の時点ではちょうど一四%以下におさまる、つまり十三%台になる、こういうことでありますが、現実にそういうふうになりますかどうか、これはまだ天候だとかいろいろな要素がありますので、ここでは断言するわけにもまいりませんけれども、一五%以内という線は、これはいけそうだという感触を持っております。政府といたしましては、それを踏まえまして五十年度の十二ヵ月の期間におきましてかなり物価安定の基調を打ち出していきたい、そこでその上昇率は一けた台にとどめたい、そういうふうに考えておるわけです。経済見通しではそういう見地から九・九、そういうふうに見ておるわけでございます。それから、それ以後の五十一年度におきましては、五十一年度のなるべく早い時期に消費者物価の上昇率を定期預金の金利以内にいたしたい。こういう目標を持ちまして諸政策を進めてまいりたい、かように考えております。
 物価はこういういい状態で動いておりますし、またこれからも続けたいということになりますと、どうしても物価問題と景気問題との調整問題が起こるのです。そこで、近江さん御指摘のように現実に生産は衰えておる。また、雇用は非常にその情勢が悪化しておる。企業の経営も困難に当面しておるというものも多くなってきておる。倒産件数も高い水準で推移しておる、こういうような状態でございますが、私は何としてもここで物価は安定させなければならぬ。しかし、同時に、景気に非常に強い圧力を及ぼしましていわゆる冷え切り状態、再びぬくもりを持たぬというような状態になっても困るのです。ですから、私どもがいま歩いている道は非常に細く、険しい。右を見ても谷だ、左を見ても谷だ、その間の非常に細い道を過ちなく運転をしていかなければならぬ、そういう立場にあるのでありまして、結論といたしましては、総需要抑制政策はこれを堅持する。しかし、その枠内におきましてこの政策の及ぼす影響というものが、世の小さい者、弱い者、そういう立場の人にしわ寄せされるようなことがあっては相ならぬ。また、過度に就業状態なんかを悪化させまして、そして社会上の不安を及ぼしては相ならぬ、こういうふうに考え、いわば両刀遣いみたいな立場で当面の時局を運営してまいりたい、かように考えております。
○近江委員 長官がお見えになる前に通産大臣にちょっとお聞きしたのですが、この独禁法の改正問題につきまして、通産省とそれから総務長官との会談が物別れになった、このように伝えられているわけでありますが、副総理としてこの独禁法の改正問題についてどういう基本的なお考えを持っておられるか。また、新聞等で伝えられておりますこうした骨子につきまして長官の考え方はどのようなものであるか、お伺いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 私は、独占禁止法は、これはぜひなるべく早く政府案をまとめ、それに従いましてそれの法文化を行う、三月中には何が何でも国会へ提出する運びにいたしたい、そういうふうに考えておるわけです。その間総理府におきまして原案の調整作業を進めておるわけですが、その経過につきましてはよく承っております。それから、その経過の中で通産省との間で二、三の問題につきましてなお調整を要する事項が残されておるということも報告を受けております。私は速やかに総理府と通産省との間の意見調整ができることを期待をしておるわけでありますが、政府としてこれは国民に公約いたした事項でありますので、その公約どおりこれが実現されることを期待し、私の立場におきましてもできる限り法案が所期の目的のようにできるように協力してまいりたい、かような気持ちでございます。
○近江委員 通産省と総務長官の間で物別れになった、その事態というものは私はきわめて深刻な状態じゃないかと思うのです。いま副総理は、いわゆる期待をしているとか協力していきたいとか、これは非常に、何となしに、第三者的とは言いませんけれども、少なくとも経済閣僚会議の長でありますし、ましてや副総理でございますし、それは長官からごらんになれば一つのとりでの長かもしれません、通産大臣であるとか総務長官というのは。しかし、この問題については少なくとも経済閣僚の長として、副総理としてあなた自身が一身に、その苦労をする必要がやはりあると思うのです。私は通産大臣にも申し上げたのですがが、公取のいわゆる産業政策への介入という、そういう感触で通産大臣としては受け取っておられ、まあその辺が非常に問題になってきておるわけでございますが、先ほども申し上げたのですが、この独禁法というものは公正かつ自由な競争を確保し促進するために産業活動、企業活動の行動のルールを定めるものであるわけです。産業政策というものは、これを前提として必要適切な指導、助成、調整等を図るものであるわけでありますし、産業経済の発展あるいは変化に伴って独禁法、独禁政策の変更を必要とする場合、これに応じて産業政策のあり方が制約される場合があることは当然のことである、このように思うわけですね。ですから、いま総務長官と通産大臣の間で物別れになったということにつきましては、いわゆる公取の権限介入である、こういう前時代的なお考えがやはり前提になっているわけです。この点副総理はどのようにお考えでございますか。
○福田(赳)国務大臣 私も協力いたしますと申し上げましたが、協力申し上げますと言ったのは、ただ単に手をこまねいて内閣と公取委員会との間の調整を見ておる、こういう趣旨じゃないのです。ただ、いまは非常に機微な段階でありますので、どういう点にどういう問題があるか、どういう点の調整を要するか、こういうようなことをここで具体的に申し上げかねるのです。その点が近江さんから見るとあるいは御不満かもしれませんけれども、いま非常に独禁法は煮詰まってまいりまして問題点は残すところが少ない、こういう状態、しかも少ないだけにまたそれが非常にむずかしいデリケートな問題だということでありますので、ここでどういう点が問題であり、どういう点について両者の間でどういう見解の違いがあるんだ、それをどういうふうに調整したいんだというようなことを申し上げますと、これがかえってまとまりにもいい結果にはならぬ、こういうふうに存じますので申し上げないわけでございますけれども、何としてももう速やかに政府の考え方を統一して、そして条文化の段階に移したい、こういうふうに考えております。
○近江委員 しかし、長官に私がお聞きしておるのは、いわゆる産業政策に公取が介入してくる、けしからぬじゃないか、こういう考え方というものが正しいのかどうか、私たちはこれは完全に誤っておると思うわけですよ。その根本的な考え方をいま長官にお伺いしているわけです。
○福田(赳)国務大臣 私は企業が、その規模が大きいというだけでこれを責めるという考え方は支持しないんです。大きいがゆえに自由競争、これを圧迫する、こういうことになるかどうかという、そこに問題がある。その辺を公正取引委員会としては問題にすべきである、こういうふうな考え方を持っておるわけです。しかし、とにかくそれにしても三木内閣として国民に公約をしている問題でありますから、どういうふうに結末をつけますか、その辺が非常にデリケートな段階に入ってきておる。
 わが日本は、私の基本的な考え方を申し上げますれば、これはとにかくこれだけの小さな国で、しかも世界の中で工業力がアメリカに次いで第二位であるというようなことになり得たゆえんのものは、この小さな日本の中の小さな立場のわれわれが結集して、そしてそこに偉大な力を発揮して、そして国際競争力をつけ得た、国際競争に打ちかっておる、そういうことが今日われわれ一億国民の福祉を実現する元手になっておるわけですから、でかいがゆえに、ただ単にそれだけだというところで余り神経質になるという点はいかがであろうかというふうな感じがいたします。しかし、でかいがゆえにまた自由競争のルールを踏み外すおそれがあるという、そういうような問題もある。その辺をどういうふうに独占禁止法の改正で具体化するか、きわめてデリケートな問題である、こういうふうに思うのでありますが、その辺をとにかく政府が公約したその路線に従いまして実現しよう、こういうふうに考えておりまして、最後の努力をいたしたい、かように考えております。
○近江委員 この企業分割の問題も、会社の分割は政府案の骨子から欠落しておりまして、この営業の一部譲渡につきましても現行法の第七条に規定があるからという理由で問題だ、このように通産省を中心にやっておるわけですが、これはいわゆる行為規制と構造規制を故意に混同しようとしておられるのか、そうでないとすれば産業経済の現段階におきまして、独占的状態の排除という構造規制が独禁法上必要であることに目をつぶるものではないかと思うのです。この点については副総理はどのようにお考えですか。――それじゃ通産大臣。
○河本国務大臣 昨日の私の発言がもとになりましてのいろいろな御質問だと思いますが、私は一つの大きな法案がまとまる過程におきましては関係者の間で自由濶達、積極的な意見が次から次へ出て差し支えないと思うのです。いまはその過程でございますから、きのうはこういうことを言ったではないか、きょうはこういうことを言ったではないかと余り神経質におなりにならないで、どうかもうしばらくの間成り行きを見守っていただきたい。われわれも一生懸命にまとめようと思って努力をしている最中でございます。
○近江委員 それはあなた方の努力はわかるわけです。非常に苦しみながら一つのものを生み出そうとする努力はわかるわけですよ。しかし、考え方の根本におきまして、先ほど私が指摘したようなことがあくまでも占めておるというようなことであれば、これは国民が期待するようなものにはなりませんですよ。それを私は申し上げているのです。ですから、やはり通産大臣なり関係者の方の頭の切りかえをそのようにやっていただかないと、これはやはり私たちが、国民が望んでおる方向にいかないと思うのです。どうしてもやはり産業政策重視といいますか、企業に偏った、そういう方向にいってしまう、このように思うわけですす。この点、長官も時間が来ているわけですからら、福田長官からもう一度お聞きして、長官は退席していただいて結構です。
○福田(赳)国務大臣 いまここに通産大臣もおりますし公取委員長もおりまして、これらの方々、なお総務長官、みんな鋭意努力をしておる最中で、もう事がそう多くを残されておらぬ、こういうようなきわめて機微な段階に来ておりますが、最善を尽くしまして早く政府案を取りまとめたい、そのために私は努力をいたします。
○近江委員 それから、この独禁法の改正につきまして、三木総理は国民に公約もされましたし、国民の望むそういう方向でこの独禁法を改正したい、しかも中小企業や消費者については十分配慮してみたいとおっしゃっているわけです。それで、政府案の骨格を見ておりましても抽象的な問題もまだまだ非常にあるわけです。
 そこで、きょうは公取委員長も来ていただいておりますし、若干お伺いしてみたいと思っておりますが、まず第一番にお聞きしたいのは、消費者のいわゆる請求の問題でございますが、二十六条の損害賠償請求、これは審決の確定後でないとできないわけでございますが、審決がなくても請求できるようにぜひともすべきだと私は思うのです。
 それで、このデータを見ておりますと、独禁法が二十八年に改正されまして、その年は審決が十二件、二十九年が五、三十年が十一、三十一年が六、三十二年が七、三十三年が二、三十四年が二、三十五年が一、三十六年が三、こういうようなことですね。最近は二けたの数字にはなってきておるわけでございますが、こういうところから見てきますと、少ないときは一件ですよね。審決ができなければ請求もできない、こういうようなことでは、これはこのままで放置するならば、決して消費者に配慮したなどということは言えないと私は思うのです。これはぜひとも審決がなくても請求できるようにすべきである、私はこのように思うのですが、公取委員長はどのようにお考えてすか。
○高橋(俊)政府委員 三十年代に非常に少ない審決件数になっていた時代があったことは確かでございますが、最近はそういうことはあり得ないわけです。多いことが決して結構ではないのですが、なるべく私どもは、むしろカルテル違反等のやみカルテル等を少なくする方向に努力養う、そのための法律改正であるというふうにも思っております。
 いま消費者保護の問題として、審決前にすでにそれを何か救済する方法はないかというお話ですが、審決前でありましても現在では、これはもう普通の民事訴訟法の手続によりますればできるわけです。おっしゃることは恐らく審決確定前でなくて、もうすでに公取が立ち入り調査等をした、つまり事件として取り扱っている、そういう端緒がありまして、それをもとにしまして損害賠償を直ちに起こせないか、しかも恐らく言われるのは無過失損害賠償責任として追及できないかとなりますと、それは手続上、つまりいまのあれでは東京高裁に行くことになっております。これは審決が、公正取引委員会においてやったことがいずれかの段階で確定するということがあれば、それを訴訟上援用することができる、損害賠償に援用することができて、それでしかも故意、過失等の挙証責任は全くない、こういうことであります。そうしますと、故意、過失を立証しなくて損害賠償の請求を起こす、これを審決とは関係なしにやるということになりますと援用はできないわけですから、やはり私は順序としては東京高裁に直ちに無過失の損害賠償請求は出せないのじゃないか。やはり法律のあり方から申しまして恐らく訴訟法上の問題として地方裁判所にならざるを得ない。地方裁判所になった上に、これは無過失損害賠償責任ではなくて、不法行為があった、その行為によ。てみずから損害をこうむった、こういうことを立証する挙証責任が原告側に生ずる、こういうふうに思います。そうしますと、地方裁判所で、カルテル等の独禁法違反事件があったかどうかを地方裁判所の段階で認定しなければならないことになる、事実認定を行うことになります。いま行われておりますのは、われわれの公正取引委員会がいわば第一審的な意味において特殊な経済事件としてこれを裁く、そして違法であるといって審決を下して、それに不満であればどうしてもこれは最高裁まで行っちゃいますけれども、最高裁まで行きますと、五年も六年もかかる、中には何年かかるかわからぬものもある。審決確定というのが著しくおくれて、実際上は損害賠償のあれが生きてこないというところに問題がある。つまり、私がいま申しました、援用すれば確かに東京高裁に直ちに訴えをすることができるが、そうでない場合には地方裁判所にそれがおりていかざるを得ない。地方裁判所がカルテル事件を裁く、一方公取でもやっておる、こういうふうなことになるわけでございます。その点について故意、過失を証明せずして、立証せずして、損害賠償を求めるということ、これはやはりいまの法体系のもとでは、審決の確定後援用した方がいいのじゃないかと私は思います。というのは、最近でも多くの件数の中で審判で争い、そうして高裁に行っている例はそれほど多くはないのです。かなりありますけれども、例としては、公正取引委員会の勧告、審決というふうなものに対してもそのまま服従している、それを受け入れているという例の方がはるかに多いと思います。でありますから、せめてそういう範囲については現行法でやることが一番賢明であると思いますが、そうではないと、実際問題としては非常にむずかしい問題、訴訟法上のむずかしい問題――しかし、これは私は決して否定しません。現在でもやり得るんです。民事訴訟法の手続によりまして地方裁判所に損害賠償請求を出すことはできますが、挙証責任があるという点でやはりどうしてもそれは無過失というわけにまいりません。こういう点が問題であろうかと思いますので、直ちに私、いまここでどうしたらいいかということをなかなかうまくお答えできない問題でございまして、やはりむずかしいことになります。
○近江委員 公取委員長の御発言は、審決してからした方がやはり消費者の立場にもなるんじゃないか、挙証ということになってくると非常にむずかしい、こうした立場を思っての御発言であった、このように思うわけです。ところが、先ほど申し上げましたように、年間に一回しか審決をしていない、これは昔のことでございますが、高橋公取委員長は非常にびしびしやっていかれますし、そういう姿勢であればいいわけですが、やはり昔のように一件というようなことであれば、これは実際上国民の、消費者の権利を全く奪っておることになるわけですね。その辺のこれは公取委員長を中心とした公取の今後のいわゆる姿勢といいますか、闘いといいますか、そういうことに非常にかかってくるわけですね。そういう点で、私は大きな危惧をその点に感じるわけであります。
 この問題はおいておきまして、もう次に移りたいと思うのですが、いわゆる専属告発権、独禁法の七十三条ですが、公取以外に告発ができないわけですね。この点一般の人でも告発できるように私はすべきだと思うのです。昨年、やみカルテルの横行の問題を私、予算委員会で質問させてもらいまして、委員長は、黙ってやるということで、石油連盟を告発されたわけですが、これが独禁法ができてから最初なのですね。過去の例から見ましても一件もない、こういう点から見ますと、やはり一般の人でも告発できるようにする必要があろうかと思うのです。こう考えてみますと、ほかの犯罪ならだれでも告発できるわけですね。この点が非常に私はよくない、このように思うのです。この点どのように思われますか。
○高橋(俊)政府委員 その告発権の問題も、実は検察庁それから裁判所、そういうものを含めまして、それらの機能といいますか、それと絡めて、法務省の見解の方がむしろ大切ではないかと思うのです。つまり私どもの方から申しますれば、その告発に対してどういうふうに対応するか、これはむしろ検察庁が起訴するかしないか等についてお調べになればいいわけですけれども、なぜ専属告発にしてあるのかという点をじっくり考えて、われわれも研究してみたのですが、やはり独禁法違反事件というのは、実は立証等の面で非常に専門的な知識を要するといいますか、単独行為である場合もないではありません。私的独占というふうなことをやれば、これは単独行為であります。単独でもやれる、あるいは通謀してもできる。しかし、一般に非常に多いのは日本ではカルテルでございます。カルテルというのは共同行為でございますから、この共同行為について、確かにそういう行いがあり、証拠も十分であるということを確認した上で、さらに、いままでたった一件だとおっしゃいましたとおりほとんどそれまでやっていなかったというような事情でございますが、悪質なものであるかないかということを判定する。悪質なものは告発してそうでないものはやはり行政処分にとどめるという、それだけの裁量の余地が公取に与えられていると私は思うのです、そのことがいいかどうかがいま問題なのでございますが。
 一つには、法務省の立場から申しますと、乱訴の幣がある。大した証拠も添えずに、東京高裁ですね、結局そこに、私の方のは検事総長ですが、一般の人でしたら、恐らく違ったことになるでしょう。そうすると、先ほどの問題のように、それを改めて検察庁、これは一体でございますから、どの段階から見ましても、検事総長の指揮によって動くことも多いでしょう。それで、その独禁法違反事件に対する証拠をみずから集めなければならぬ。それが刑事事件の起訴に該当するかどうかやらなければならぬ、こういう問題が起こってくる。十分な証拠を添えて、たとえば業者等がやれば、これはできるのです。業者等が業者を相手取って、これはカルテルありという証拠を添えてやれば、検察庁は比較的容易にできるかもしれません。一般の消費者等では、私は大変むずかしいことだろうと思います。
 それから、私どもの考えとしては、いまのところでは大体証拠という点が非常に厳しゅうございますから、普通の行政処分でもそうでありますけれども、特に刑事事件になりますと、証拠のあり方ということが大変めんどうであるということで、公正取引委員会がでさるだけその証拠を集め、そしてその中から悪質と思われるものを告発するということでやっていくのがいいのではないか。いままで非常に取り上げていないという点についての非難は私はあろうかと思います。アメリカでは、実はもっと刑事事件としての提訴件数が多いわけでございますから、そういう点を考えまして、わが国では余りにも、告発権が実は専属であるということもございましょうが、少な過ぎるのではないかという非難は、私ども感じております。
 将来、私は直ちにとは申しません、このようなことを、余り私が物騒なことを言いますと大変めんどうなことになりますが、それでも私は、いまのようにたった一件しかないというのではなくて、やはりある程度これは悪質である、それから累犯であるというふうな場合に、告発の対象にすべきではないか。非常にむずかしいのは、累犯の場合でも、半分の業者が累犯で、半分は新規であるというような場合、これが一体としてカルテルであった場合には、全員を、全部を告発の対象にしなければならない、こうなっておるのです。大変むずかしいのですね。こちらの方は累犯でもう三回も四回もやっている、こちらの方、半分はいわば初犯である、刑事事件とした場合に。ところが、累犯の方だけを告発するということができない仕組みになっているのです。こういうふうな点が共同行為等に対する告発のむずかしさを示しておるのでありますが、運用上、私どもは、将来の問題でありますが、いまのように余りにも微々たる告発に終わっているということは、カルテルをいわばなくしてしまうという方向に対して、少しゆる過ぎるのじゃないかという感じは持っておりますが、いま法律改正などでやっている際でありますので、そういう問題は追っていずれ十分検討したいと思っておるわけであります。
○近江委員 先ほども何回も話が出ておるわけですが、いわゆる違反事件の場合、この第一審というものは東京高裁に提起をする。東京高裁の専属管轄事項になっておるわけです。これは八十五条でなくなっておるわけでございます。これはいま私がお聞きしてまいりました問題と関連しておる問題でございますが、この点やはり東京高裁だけの専属管轄事項にするということについては、私は大きな問題があろうかと思うのです。その点、委員長としてはどのようにお考えですか。
○高橋(俊)政府委員 結局そうなっているのは、私は、法務省とわが方、公正取引委員会の双方に理由があるといいますか、そういうことからだと思います。つまり検察庁といいますか、法務省の立場から言えば、これをたとえば全国の高裁ですね、そういうところに持っていくということについては、どうも集中的に東京高裁で扱った方が――それはいままで経験が少ないですが、もしもっともっと持ち込まれる、あるいは普通の行政事件として処分取り消しの訴えを受ける場合、これも東京高裁に限っておけば、比較的専門的な知識のある裁判官等を養成といいますか、できる。それが全国の幾つかの高裁に行った場合には、もう新規まき直しになってどうも少しうまくいかない面があるというふうな、まあ事実上練達、熟達という問題があると同時に、公取の方では人間がいないということですね。早く言えば、たとえば北海道の方に訴えを起こされる、そこに ほとんど常置しておかなければならぬ問題がある。アメリカなんかはどこの地方裁判所でもいいのですね。連邦の地裁であればどこでもいいというふうになって、連邦の地裁から始まっています。どうしてそれができるのかと思いましたら、要するに人数がべらぼうに多いわけです。いわゆる司法官の資格、これはローヤーですが、アメリカのローヤーは日本のローヤーとちょっと違いますけれども、何にでもなれる。弁護士にでも司法官にでも大学教授にでも何にでもなれるのですが、これが三百数十名司法省だけでおります。そういうことでどこにでも自分で出ていってやることができるという体制になっておるし、また地裁全体も長年の訓練によってできるようになっているわけですね。独禁法をみずから、非常に簡単なシャーマン方でもこれをこなしていく力を持っておるというところにやはり違いがあるんじゃないか。ドイツの例を見ますと、やはりベルリンの高等裁判所に限られておるわけです。日本の場合と非常に似ているんですが、そういう点やはり制度といいますか人員の充実あるいは裁判を受け入れる裁判所等の独禁法そのものに対する適応性というふうな問題、こういうものがからんでいるんじゃないかと思うんですが、しかしできれば私はいまのような狭い範囲でなくて、やはり高裁であればどこでもいいというくらいになっていくのが本当じゃないかと思うのです。そのためには、公取にもそれにたえていける人間が配属されておらなければならぬ、こう思うんですね。いま私どもには専門の検事と称する者はたった一名、出向として来ておるわけでございますから、本当の意味のいわゆるローヤーというのはないも同然である。それは私ども補っておりますが、また下の方も力としてはあるのですが、資格がないというふうなことがありまして、いろいろそういうことから、つまり東京高裁に限られるというようなことになっております。十分私は検討すべきことであろうと思います。
○近江委員 これはいま公取委員長にお話しになったように、いろいろな体制の不備であるとかいろいろなそういう問題がからんできておるわけでありますが、いわゆる消費者の請求につきましてやはり審決前にした方がいいんじゃないか。専属告発権の問題もいままで石油連盟だけであったけれども、今後は公取としてびしびしとさらにやるという、そういうお話があったわけでございますが、結局この消費者を守るという点につきまして、やはり私がいま申し上げたそうした項目につきましてこれは十分配慮をしていただいて、でき得る限りそういう方向でやっていただきたいと思うわけです。
 それで、結局今度、まだ成案ができておらないわけでありますが、非常に骨を抜こうという、そいう動きというものが強いわけでありまして、どういうかっこうでできるかわかりませんが、できたとしてもいまの委員長のお話もずっと聞いておりまして、公正取引委員会が動かなければ結局死んでしまう。これはどんな法律でもそうですけれども 特に独禁法の場合におきましてはそれが言えるんじゃないかと思うのです。そうしていただかなければ、これは本当に国民の大きな権利の制限になると思うんです。結局そういう法律が強化されても何にもならぬ、こういうことになろうかと思うのです。
 それで、重ねて恐縮ですが、消費者が審決前でもいわゆる請求できるように、さらに専属告発という問題は一般の人でも告発できるように、また東京高裁の専属管轄という問題についてもこれは十分に他の裁判所でもできるように、こういう点も大いに検討していただきたい、このことを申し上げておきます。
 私に与えられた時間が来たわけでございますが、いよいよ大詰めに来ておるわけでございますが、いずれにしても私どもはこの独禁法の強化、改正につきましては、これは三木内閣の踏み絵である、そういうことで見守っておりますし、この点は公取委員長としても非常に微妙な段階であるからということで、言いたいことも言えないというようなことではなくして、言いたいことはびしびし言って、少なくとも公取試案を最低としてこの独禁法の改正ができるように努力もしていただきたいと思いますし、また河本通産大臣を初めとして閣僚におきましても、やはり国民の期待する法律が制定できるように全力を挙げていただきたい、このように思うわけです。
 最後に、通産大臣の所感、決意そしてまた公取委員長の決意をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○河本国務大臣 独禁法の改正がどういう形でまとまりますか、いずれにいたしましても、とにかくこれからまとめるように全力を挙げたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 非力ではございますが、できるだけ私どもの考えている方向に近づけるような、そういう方向で努力をして最後の案をつくり上げることに御協力したい、みずからもまた尽力したいと考えております。
○近江委員 終わります。
     ――――◇―――――
○田中(六)委員長代理 内閣提出、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
○加藤(清政)委員 私は高圧ガス取締法につきまして、通産大臣並びに関係官庁に対しまして質問をいたしたいと思いますが、最初に大変大きな権限を持って新たに政府出資金を出して、そしてこの保安、安全のために格段な役割りを果たそうとする高圧ガス保安協会につきましてお尋ねしたいと思います。
 ともすると国の外郭団体が天下り人事、だとか、あるいは企業と役人とのなれ合いといわれるように、外郭団体に対する批判が大変強いわけでありまして、地方公共団体でも外郭団体に対しましてはいろいろと手を打たれてまいりましたが、東京都でも外郭団体等調査特別委員会を設置いたしまして、都政の刷新のためには外郭団体、特に出資、出捐あるいは補助金等を出しておる団体に対しましてはきつく公金を充当するということで、外郭団体のあり方に対しまして正したわけでありますけれども、国におきましても外郭団体の調査をすべきではなかろうかということがたびたび言われてまいったわけであります。今度この高圧ガス保安協会につきましては、特殊法人としてこれだけの大きな権限を持たれましたので、恐らく役員に対する刑法上の権限だとかあるいは制約だとか、あるいは通産省との交流が厳しく統制されているであろうと考えるわけでありますけれども、まず高圧ガス協会に現在八人の役員がおられますが、それぞれの役員の前歴と出身をお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 高圧ガス保安協会の役員の構成を申し上げます。
 会長は住友原子力工業の社長でございまして、化学関係の出身でございます。それから副会長は三菱重工業の御出身でございまして、冷凍関係でございます。それから監事は出光興産の御出身で、石油関係でございます。それから理事は、一人は硫安関係の出身で、もと秋田石油化学でございます。それからさらにもう一人理事が、酸素関係といたしましてもと日本酸素でございます。それからさらに理事といたしましてもと東京都プロパンガス協会の出身でございまして、LPの御出身でございます。さらにもう一人はもと参議院におられた方でございまして、さらにもう一人の方は昨年亡くなりまして、現在空席になっております。
    〔田中(六)委員長代理退席、森下委員長代理着席〕
○加藤(清政)委員 いまお聞きいたしますと、会長は住友原子力工業、副会長が三菱重工業、監事、それぞれ大体業界出身であるわけでありまして、一人参議院の方のお名前がお聞かせ願えなかったわけでありますけれども、今度の改正案では協会の財務上の監督、特に通産省の監督は強くなって、刑法上の訴追だとかあるいは統制が大変厳しくなるということを聞いております。人的構成はやはり業務の公共性に見合った公的な性格を持たなければならないわけでありますけれども、役員をいまお聞きいたしますと、住友だとかあるいは三菱重工業だとか出光興産だとか、全部産業界で占められておるわけでありますが、何と言っても公害防止に重点を置くという立場から学識経験者あるいは消費者等もこの役員の中に入れてその公共性を明らかにするということでなければならないと思うわけでありまして、こういうところにも間接公営方式としてのずさんさがあらわれておると言わざるを得ないわけでありますが、この点につきまして、そういう公害防止対策あるいは公害に対する適切な学識経験者を入れる考えがあるかどうか、通産大臣からお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 協会の使命といたしましては、われわれといたしましても、特殊法人でございますので、特に理事につきましては公的マインドが強く、さらに技術的な仕事が非常に多い関係もございまして、高圧ガスに関します技術的知識が豊富で、しかも人格高潔な方を選任するという基本的な考え方でまいっておったわけでございます。しかし、今度は新たに政府出資ということで政府からの資金援助もこの協会に初めて行われますので、われわれとしましてはこの協会の公共性につきましては一層重大な関心を持つわけでございまして、今後、ただいま空席になっております。理事の後任にいたしましても、それからさらに近いうちに任期が切れます理事の方々につきましても、十分にそういう観点に立ちまして人材を選任いたしてまいる考え方でございます。
 それから、特にこの高圧ガス保安協会といいますのは、単にいわゆる石油化学等の先端を行く技術産業のみならず、一般のLPの関係の仕事もやっておりますので、一般ユーザーの方々の御意見も十分に反映させなければならないということでは先生の御指摘と全く同感でございます。ただ、その方を理事にするかどうかということは、技術的な問題が非常に多いということもございますのでいろいろ検討せざるを得ないと思いますが、ただ今度協会の中にLPの保安センターを設立することになっておりまして、そういうものの運営等につきましては委員の形で御依頼申し上げまして、一般の消費者の方々の御意見を十分に反映せしめるように今後この協会の運営の中に織り込んでまいりたい、こう考えております。
○加藤(清政)委員 それと大体同じことですが、協会の評議員についてお尋ねしたいと思うのですが、高圧ガス取締法の第五十九条の二十三で、予算の収支だとか事業計画だとかあるいは資金の計画を決定するという非常に重要な役割りに評議員の役割りがなっておるわけであります。その評議員が二十九名おるわけでありますけれども、そのうち業界代表が二十七名を占め、大学関係者は一名、公害等調整委員会の委員が一名であるわけでありまして、これでは業界のための協会であって、国民の安全確保を公平に実施する組織にしては常識をはずれた偏り方の人選であると言わざるを得ないわけであります。現行法の五十九条の二十二では、評議員は会員から選挙することになっております。また五十九条の九では、会員の資格は業者及び専門家であるということにされておりますが、これを改正して、少なくとも業界代表者は半分以下にすべきではなかろうかということであります。そして、安全問題の専門家だとか公害問題の専門家だとかそういう代表を加えて、企業に対して厳しい注文をつけられる立場にある人をこの際大幅にふやすべきであろうと思います。そして、協会の運営につきましては、そういう学識経験者だとか公害対策の経験者だとかを、そういう業界との中でチェック・アンド・バランスというようなことで考えていかなければならないと思いますが、この点についてお尋ねしたいと思います。評議員の人選を、半数は企業の代表、半数は学識経験者あるいは公害に対する防止対策委員というように、その実効を伴うような人選をするかどうか、その点の考え方についてお尋ねしたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 この評議員会ですが、従来この協会自体が国からの財政援助がなくていわゆる会費制あるいは講習等の手数料等々で賄ってきたという歴史的な経過もございまして、その会員制をとっていることにかんがみまして、会員の意見が反映できるようにこの評議員会を設けたわけでございます。したがいまして、この評議員会の性格は、主として会員に関する事項、たとえば会費の額をどうするとか徴収の方法をどうするとかというものにつきましての議決機関でございまして、特殊法人としての重要事項につきましては、これはあくまで諮問機関でございまして、議決機関ではございません。さればといって、評議員会のメンバーが業界の人に偏るということは余り好ましいわけではございませんので、この辺につきましては事実上学識経験者を、各種の委員会がこの協会にございますのでそういう中に十分に、特に重要事項についての御意見が中立的でしかも非常に学術的な人材、高邁の方の御意見が反映できるような仕組みを今後の運営の中に織り込んで考えていきたいと思っております。
○加藤(清政)委員 大体会費を取って賄っているというお話でありましたが、今年度予算の上では補助金が三億五千万、そして協会の運営費が約六億、十億近い国費を充当しておるというように考えられるわけでありまして、しかも今度の改正案によりますと、この協会を一段と強化するということであるわけでありますので、この協会の諮問機関たる評議員会におきましては、やはり企業代表、さらにまた公害あるいは安全対策に対する学識経験者あるいは消費者代表というような、そういう中で、少なくとも十分に安全確保について、協会運営についての発言がそういう角度から大きくなるようにすべきではなかろうか、そのように思いますので、いま、学識経験者や公害関係者に対して、今後も人選については考慮するという御答弁がありましたので、そのようにひとつお願いしたいと思います。
 さらに、この協会にある技術委員会の構成を見ましても、技術委員会の委員は三十名でありまして、委員長は大学教授でありますけれども、他の技術委員は、二十九名のうち五人が大学関係者、四人は政府機関の関係者で、残りの二十名は企業または企業の団体の人であるわけでありまして、技術問題の担当組織が重要な役割りを持つことは保安上当然であるわけでありますが、技術委員会委員に企業の人が全部不適格とは言えないわけでありますけれども、圧倒的に企業サイドの人が多いのは大変問題だろうと思うわけでありまして、技術委員会の委員構成も企業サイド以外の人のウエートを高くしていかなければならないと考えますが、通産省の考え方をお尋ねしたいと思いますす。
○佐藤(淳)政府委員 技術委員会の現在の構成は、先生からいま御指摘のあったとおりでございます。確かにこの構成から見ますと、そういう点を御指摘になるのはごもっともと思いますが、ただ、この高圧ガスの産業は特にこの十数年来急激に発達してきた、しかも技術の中身がほとんど大半が海外からの技術輸入であったということで、なかなか国内的にこういうことを十分にマスターされる方々がおらないわけでございまして、したがいましてむしろ業界の方が技術的には先行しておるということでございました関係上、歴史的にやむを得すこういうことになってまいったわけでございますが、最近ようやくこの産業も一応世界的に成長を遂げまして、大体落ちついてまいりましたし、技術も大学等においても相当定着してまいりましたので、今後は中立の方々をより多く入れて運営していくことは可能かと思いますが、そういうような歴史的な過程があって、やむを得ずそうせざるを得なかったということをひとつ御了解いただきたいと思います。
○加藤(清政)委員 高圧ガス取締法の五十九条の二十八で、高圧ガス保安協会は高圧ガスの保安に関する技術的な事項についての調査、研究及び指導を行うことと、さらに改正案では計画的に保安基準の整備を行わせるということになっており、また防災には最も重要な危害予防規程に意見を述べることになっておりますが、これは本来外郭団体たるこういうところにやらせるということでなくして、政府ないしは政府の設置する審議会が当然行うべきではないかと思うわけでありますが、このような重大な役割りを高圧ガス保安協会にやらせるというのは大変問題だろうと思いますが、なぜ協会にやらせなければならないのか。たとえば石油パイプラインについての石油パイプライン事業法では国または地方公共団体が行うということになっておりますけれども、少なくとも政府あるいは審議会がこういう問題については責任を持つべきではなかろうかと考えるのですが、この点についていかがでしょうか。
○佐藤(淳)政府委員 この協会はいわゆる外郭団体ではございませんで、法律で定められました特殊法人でございます。したがいまして、国の意思を的確に実行する機関でございまして、またこの協会に課せられた一つの使命といたしまして、他のいわゆる国の特殊法人と比べまして格段に違います点は、非常に特殊な技術問題をここで十分に検討させるということでございまして、しかも取り扱うこの高圧産業といいますのは、年々日進月歩の技術革新の激しい産業でございまして、これを十分にふだんから勉強もし、実態を把握して、常に新しい保安技術基準をつくっていかなくてはならないという使命を与えておるわけでございます。一方、これを審議会でやらせるということは、そういう仕事の中身が非常に専門的でもあり、しかも刻々と技術の内容が変わっていくということをフォローさせるには、一般的な審議会では余りにも実態にそぐわない面がございます。それで、審議会につきましては、高圧ガス並びに火薬もやっておるわけでございますが、この産業の政策的な方向をいろいろ御議論いただいておるわけでございまして、一般的には、確かに一般の産業であればこういう審議会の場を使いましてこういう技術基準を検討することもあり得るかと思いますけれども、こういうような非常に特殊な産業を取り扱うために、やむを得ず、この協会にやらせる方が適当であろうという判断でこういうことにやったわけでございます。特に危害予防規程といいますのは、企業の保安の万全を期すための最も根幹となる問題でございまして、中身はほとんど技術的な問題でもございますので、先ほど申し上げました趣旨にかんがみまして、協会の一つの新しい仕事に織り込んだわけでございます。
○加藤(清政)委員 続いて危害予防規程についてお尋ねしたいと思いますが、大体事故を起こさないようにするためには、教育だとかあるいは講習だとか、そういうことが重点でなければならないわけですが、また半面、事故が発生したときは適切な手を早く打って、そしてできるだけ事故を小さくしていかなければならないということになろうと思うのですが、そのためには危害予防が大変大切になってくると思うのですが、最近における石油化学コンビナートにおける高圧ガスの事故を調べてみますと、昭和四十八年の七月七日の出光石油化学工業の徳山工場の火災以降十七件の事故が発生しておりますが、そのうち死亡事故は五件、人身事故は九件にも及んでおります。通産省のまとめた資料によりますと、その事故の内容は誤った操作や監視の不徹底等の人的な要因による、人間の不注意によるものが十一件あるわけであります。これは高圧ガス取締法の第二十八条の危害予防規程に欠陥があって起こったと考えられますが、通産省は一体どう考えておりますか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 一昨年の頻発いたしました石油化学コンビナートの事故を通産省でもいろいろ分析いたしました結果、やはり従業員の誤操作とかあるいは現場の事故に対する判断の過ち等々が指摘されておるわけでございます。これを絶滅をいたすためには先生の御指摘のように危害予防規程、そういうものを十分に織り込んだ形でやっていかなくてはならないということでございますが、遺憾ながら従来の予防規程には必ずしもそういう面の配慮が十分に盛り込まれておりませんでしたので、今回全面的に改めまして、しかも二年前の事故等を十分に分析じました結果を織り込みまして内容を改めてまいりたいと思います。
○加藤(清政)委員 この危害予防規程に関連いたしまして、資料を要求したいと思いますが、高圧ガス取締法の第二十六条で危害予防規程は都道府県知事の認可を受けなければならないとして、都道府県知事の認可を必要としておりますけれども、事故を起こした会社の危害予防規程をこの際ひとつ資料として御提出願いたいのですが、お諮り願いたいと思います。
○森下委員長代理 出せますか。
○佐藤(淳)政府委員 御要求の資料は、委員長を通じて差し上げることに準備いたしたいと思います。
○加藤(清政)委員 また、下請作業員が関係して事故が発生しておるのがありますけれども、下請に対する会社の監督が不徹底なのではないか。下請に対する保安教育水準が大変低いために事故が起きておると考えられますが、今後、下請作業員の教育について具体的にどのような措置を講じられるか、その点お尋ねしたいと思います。たとえば四十九年の三月二十六日に出光興産の千葉製油所で起こった事故は、凝縮液分離槽の頂部に設置されておりましたベンドバルブキャップをはずそうとして下請作業員がフランジボルトを誤って緩めたために大事故を起こしたということで、下請作業員の誤りによって大変な事故を起こしておるわけでありますので、この下請作業員の教育について具体的にどのような措置をとっていくか、大変重要なことだと思いますので、お尋ねしたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 ただいま先生がお述べになりました事故の原因は、御指摘のとおり下請が問題であったわけでございます。
 それで、下請につきましての今後の管理の問題でございますが、何といいましても下請管理が適切に行われますことは保安対策上きわめて重要なことでありまして、従来から清掃とか修理時に下請企業の従業員を使用する場合には、責任者が現場に立ち合うことなどを強く指導をしてまいっております。危害予防規程について現行法の記載事項といたしましては、下請管理に関する事項が明記されておりませんために、一部の事業所におきましてはこの点の記載が予防規程にございません。今回の法律改正によりまして、危害予防規程の意義が一層高まりますので、下請管理に関する事項を法定記載事項といたしまして追加するようにいたしたいと思います。
 さらに、下請従業員に対します教育につきましては、法律の二十七条の規定に基づく保安教育計画の内容といたしまして、この計画を作成するようにさせておりますが、今回の法律改正に伴う保安教育計画強化の一環といたしまして、下請従業員に対する教育について、教育内容、教育時間、教育方法等について具体的な基準を定めまして、その実施を強く実施してまいります。
 さらに、これに加えまして、保安上の観点からいたします下請管理の強化策といたしまして、下請保安員に関します作業マニュアルの整備、作業指示の内容の明確化と指示系統の一元化、作業の際の立ち会い、監督の徹底、作業後におきます作業内容の確認の徹底につきまして、強力に関係事業者に対しまして指導してまいります。
 さらに、今回の法律改正によりまして、保安管理組織の拡充強化を図りまして、特にコンビナートのような大規模な事業所につきましては、保安企画推進員の選任を義務づけることにしておりますが、下請管理につきましては専任の保安企画推進員を選任させまして、いままで述べましたような下請の指導、監督に関する事項を管理させることにいたしまして、下請に原因いたします事故の防止に努めてまいる所存でございます。
○加藤(清政)委員 本法案の二十六条第二項で、「前項の認可の申請をする場合には、当該危害予防規程について高圧ガス保安協会の意見を聴き、」とありますが、その危害予防規程の作成や変更を指導する場合には、たとえば火災が発生したときにはどういう措置をとるとかあるいは異常事態の場合にはどういうプロセスを使って装置を停止させるとか、重要な修理を行うときには二重にチェックをするとか等について具体的にさせるのか、お尋ねしたいと思います。
 さらにもう一点、会社の危害予防規程が公表されておりませんが、人身事故は絶対に防がなければなりませんが、人身事故予防の措置は、各事業所に共通して盛り込まれなければならないと思いますが、その点はどうなっているかお尋ねしたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 先生がいまおっしゃいました火災時の問題あるいは異常事態の発生したときの措置あるいはダブルチェックの問題、人身事故の予防措置等々につきましては、これからつくられますところの危害予防規程の内容として織り込んでまいりたいと思います。
 それからさらに、この中に盛り込まれますところのマニュアル等につきましては、定期的な見直しをやらなくてはいけませんし、いろいろ内容を改めていくということも必要でございまして、その辺の危害予防規程の制定、改廃の時期、手続、方法等も定めますし、マニュアル類の大綱及びその制定、改廃手続あるいはスタートアップあるいはシャットダウン等のような手続等々いろいろ盛り込みまして、いま言ったようにさせてまいりたいと思います。
○加藤(清政)委員 いままで危害予防措置につきまして、そういう事故防止に対するいろいろの点が欠けておったことが事故偶発の一つの大きな原因になったのではなかろうかと思いますが、いまからでも遅くはありませんから、いま局長が答弁されたように、そういうことで速やかにひとつつくってもらいたいと思います。
 次に、この高圧ガス取締法の一部を改正する法律案と、さらに、政府は二月末までにコンビナートの防災対策法案をまとめて今国会に提出する方針を立てて、このだめに自治省あるいは通産省、運輸省、環境庁など関係九省庁が協議して、この問題点を整理して法案を提出するということがいわれておったわけでありますけれども、コンビナートの防災は高圧ガスだけではなく石油タンク等も含めて総合的に講ぜられなければならないと思いますが、高圧ガスだけの防災対策を決定してしまうことは、それ自身がかりに必要なものであっても、防災管理体制がばらばらであるという現在の欠陥を是正することにはならないわけであります。政府は高圧ガス取締法の一部を改正する法律とコンビナート防災法をあわせて複合提案すべきではないかと考えられるのですが、この点についてひとつ御見解を承りたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 コンビナートにおきます防災の問題あるいは保安確保の体制の問題といたしまして、今後やるべき問題は大きく言って二つあろうかと思います。
 一つは、コンビナート内におきますところの各種設備、これは各省それぞれ所管が違っておりますけれども、各省が所管しておりますところの設備につきまして、少なくともその設備が災害を発生せしめないように、人身事故が起きないように技術基準を確実につくりまして、それを遵守させて、事故につながらないようにするということはそれぞれの持ち分に応じて各省が早急にやるべきことだろうと思います。
 さらにもう一点は、各省がそれぞれの持ち分に応じてやっております保安の確保を、コンビナートとして一つの大きなかさのもとに、特に防災面につきまして一元化していかなければならない、これがもう一つの問題点であろうかと思います。
 これが両々相まってコンビナート地域におきます保安の確保の万全が期せられるものと思っておるわけでございますが、私どもが今回御提案申し上げておりますのは、まず第一に、通産省の主管しておりますところの高圧ガス取締法の中身と申しますのは、要するに高圧ガス設備の設備基準を明確に強化いたしまして、少なくとも高圧ガス設備につきましては、その内容等から言って十分に保安にたえ得る形、体制に持っていくということがねらいでございまして、いずれこれが確立されまして、さらにコンビナート法の一元化というものがつくられることによって、両々相まって初めて全体としての効果が発揮されるというポジションにあるわけでございまして、特にこの高圧ガスにつきましては、さらに一般家庭でお使いになっておりますところのLPの保安対策も織り込んでございますので、そういう観点から早急にこの関係の法律を先行させて実施に移す必要があるということでお願いしておるわけでございます。
○加藤(清政)委員 高圧ガス取締法の一部を改正する法律とコンビナートの防災法を統一して審議していかなければならない、その例を挙げますると、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案では保安管理組織の強化を二十七条の二から三十四条までにわたって重点的にやっておりますが、その中でもって保安統括者、保安技術管理者、保安主任者、保安係員の四段階の管理体系を設定しておりますけれども、いわゆるピラミッド型の保安管理組織をつくろうとしておりますが、これは当然高圧ガス以外のプラントあるいは石油タンクの管理組織体系と調和させて、全体として体系の整った保安組織にしていかなければならないと考えられます。たとえば高圧ガスの事故が起こった場合に、当然他のプラントにも波及してまいりますが、他のプラントに事故が起こった場合には、当然高圧ガスにも波及してくるという逆の現象があらわれると思うわけであります。したがって、たとえば保安技術管理者は、高圧ガス以外の装置の保安責任をも負うというケースも考慮しなければならないという事態も想定されるわけであります。また、高圧ガス以外の装置についても、保安主任者に相当する責任体制をとるということも検討されなければならないと思いますが、これをしなければ、高圧ガスは高圧ガスだけの縦の系統、そしてそれ以外の装置は別の系統という、横の関連がきわめて薄くなった保安管理体系が結果としてできてしまうというように考えられるわけなんです。したがって、当然コンビナート防災法が具体的にならなければ、コンビナート全体の保安を強化するために、今回の高圧ガス取締法の改正が適正であるかどうかわからないということになるわけでありますので、その関連についてもう一度御答弁を願いたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 コンビナートの中におきます保安確保といたしましては、まず企業が自分の工場内におきますところの自主保安が一つございますし、それから各工場ごとに、各工場すべてが横の連絡をとりまして防災体制をしくという二つの問題があろうかと思います。一つの企業の保安の確保といたしましても、たとえば石油化学工場であれば高圧ガスもあれば石油タンクもある。あるいは取り締まりの面から言いますと、通産省それから消防庁、労安、大体三法が占めておるわけでございますが、これらについての保安の責任者の考え方でございますが、それぞれの法律におきまして保安の責任者を置かなければならないことに法定されております。特に高圧ガスにつきましては、いま先生がおっしゃいましたようにピラミッド型の体制を今度しいてまいるわけでございますが、その責任者はできるだけ労働保安の問題、労働安全の問題あるいは消防法で定められております危険予防の問題等々にも十分にそういう目が向けられますような形の人的配置を考えていかなければならないというふうに考えております。したがいまして、企業内におきますところの保安組織といいますのは、ほかの法律も十分に踏まえた上で人材を選任いたしまして、十分に横の連絡もその面からも図れるようにいたしたいというのが一つの趣旨でございます。
 さらに、企業を越えましてコンビナート全体をどうするかというのが、いま自治省が中心になって検討している問題でございまして、防災の資材の整備とかあるいは出動体制の問題等々の問題がございますが、これはこれなりに検討を待つまでもなく、実はコンビナートの中に自主的に保安協議会をつくらせまして、いろいろ常にやっておるわけでございますけれども、水島事故等の例から考えまして、必ずしも十分でないということで、あえてこれをさらに強化することをいまいろいろ検討いたしておるわけでございます。そういうことでございまして、コンビナート防災法ができる以前でも、やはり今回の法律というのは十分に急いでやらなければならない問題でございますので、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。
○加藤(清政)委員 河本通産大臣にお尋ねいたしますが、去る十八日の予算委員会におきまして、河本通産大臣はこのコンビナートの問題について、コンビナートの事故防止のために現在の体制は非常に弱い、また各省てんでんばらばらになっておる、この体制をもう少し強化していろいろ考えていくならば、相当いろいろな事故だとか災害というものが防止できるというように思うが、ひとつ自治省の方が中心になって関係各省からいろいろな資料だとか意見を求めて、直ちに抜本的かつ一元的なコンビナートにおける防災体制というものを確立する作業を進めているということで御答弁があったわけでありますが、このコンビナート防災法はどんな内容であるか、まだ作業中であるとすれば内容は言えないと思うのですが、大体の骨子と考え方、さらに高圧ガスの防災についても現在どの程度に準備が進んでおるか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○河本国務大臣 いまお述べになりましたような発言をしたわけでございますが、この作業は各省からいろいろな資料を自治省の方に出しまして、自治省の方が中心になりまして、いま作業を進めておられるわけであります。でありますから、むしろ私から御答弁申し上げるのは適当でない、自治省の方がおられれば自治省の方が答弁されるのがよかろう、こう思います。
○加藤(清政)委員 いま大臣から、自治省の方が取りまとめるということで御答弁がありましたが、大臣もこのコンビナートの防災対策については万全を期すという御答弁があったわけでありますので、高圧ガス取締法の一部を改正する法律ということだけではなくて、さらにコンビナート防災法につきまして積極的に取り組んでいただきまして、非常に多いコンビナートの事故、これによる大変な被害を考えますと、一日もなおざりにできないわけでありますので、大臣もう一度この防災法についての考え方をお尋ねしたいと思います。
○河本国務大臣 いま自治省が中心になってやっておられるわけでありますが、その基本的な考え方は、防災体制がコンビナートにおきまして一元的でない、てんでんばらばらになっておる、これはよくない、幾ら強力な対策をやろうと思いましても、いまのような法律体制ではできない、でありますから一元的な法律体制をつくることによって防災体制を強化していこう、こういう趣旨でございます。最近災害が続発しておりますので、何とかそういう法律を早くつくりまして、そして事故を未然に防止する、こういうふうにしなければならぬ、かように考えております。
○加藤(清政)委員 大臣からコンビナートの事故の多発化から、防災法設置について積極的な意欲のほどをお聞かせ願いましたので、一日も早くこの法案をつくって万全を期していただきたいということを要望いたします。
 時間もあと五分しかありませんので、最後にひとつLPガスの事故についてお尋ねしたいと思います。
 通産省の資料によりますると、LPガスの消費家庭での事故は四十六年以降大幅に増加しておりまして、事故による死亡者も逐年ふえているという現状であるわけであります。
 その原因を分類いたしますると、七五ないし八〇%は消費者の不注意と言われておりますが、これだけLPガスの事故が新聞等で報道されている中でも、いわゆる不注意といわれる事故は減らないわけでありまして、これでは近い将来消費者の不注意がなくなることは考えられないということになるわけであります。なおかつ、爆発事故が発生すれば、周辺の家庭が巻き添えを食うということになるわけでありまして、国民の安全を確保するという立場から考えれば、早急にガス警報装置の設置の義務づけをすべきではなかろうか、かように考えるわけですが、その点についてひとつお考えをお伺いしたいと思います。
 また、前からガス湯沸かし器が設置されておりましても、さらにそれを全部かえるということは大変でありますから、新設のところからでも義務化する考えはないかどうか、あるいは集合住宅、公団だとかそういうところに早急に設置すべきではないか、こういう点についてひとつお考えを伺いたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 増大いたしております特に一般家庭の事故対策といたしまして、ガス漏れ警報器が一つの有力な保安の器具であることは、われわれも十分に承知いたしておるわけでございまして、何とかこれを十分に普及してまいりたいというふうに考えております。
 ただ、LPをお使いになっている家庭は、千八百万世帯という非常に膨大な家庭がお使いになっておりますので、これを法律的に義務づけるということになりますと、いろいろやはり検討しなければならない問題が出てまいるわけでございます。特に、供給体制が万全かとか、それからアフターサービス体制がどうかとか、あるいは本当に信頼性が十分に保ち得るのかということが、やはり法的に規制をするということになりますと、十分にその辺の裏打ちを得まして、十分な自信を得てから実施いたさなければならないと考えておるわけでございます。
 ただ、さればといって、現在この事故を防ぐ有力な手がかりとしては、これが非常に有効であるということもございますので、現在のところはそういうような問題点を研究しつつ、なおやはり並行的に普及していくという体制を考えまして、月々できるだけわずかのお金で自分の物になるようなリース制度を来年度から実施するような仕組みを考えておりまして、いろいろ先生のおっしゃったような趣旨を踏まえつつ、一刻も早く各家庭に、しかも集合住宅等に重点的に設置いたしますように、いろいろ機器の開発も含めまして検討してまいりたいと思います。
○加藤(清政)委員 質問を終わります。
○森下委員長代理 山崎拓君。
○山崎(拓)委員 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、家庭用LPガスの対策にしぼって御質問を申し上げます。
 まず、昨年の七月三十日に高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申が出されております。この答申の中で、特に消費者保安対策として指摘かつ提言をされております諸点につきまして、まずお伺いをいたしたいと思います。
 まず、消費者に対する啓蒙並びに指導の徹底ということがございます。現実に、ただいまの委員の御質問の中にも出ておったわけでございますが、最近LPガスの事故が非常にふえておるわけでございますが、事故の原因あるいは事故が発生しておる場所等につきまして、現状はどうかということをお伺いしたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 LPガスによります事故件数は、都道府県からの報告によりますと、四十七年で三百十六件、四十八年で三百八十四件となっておりまして、四十九年もまだ確報ではございませんけれども四百八件というように増大いたしております。
    〔森下委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕
 それで、事故の発生場所を、事業所あるいは運搬中及び消費先の三つに大別いたしますと、消費先におきます事故が大部分でございまして、四十七年二百九十九件、四十八年が三百六十八件、四十九年が三百八十八件ということになっております。しかも、消費先の事故の多くが一般家庭あるいはアパート、しかもそれは浴室内が多く、また飲食店の事故が多いわけでございます。
 この原因をいろいろ分析してみますと、元栓あるいはガス器具栓の不完全な閉止、あるいはゴム管接続部の緩みとかはずれ、あるいは元栓の使ってない側の誤った開放、あるいは点火及び着火の不確認等々の事故が大半を占めております。また、需要の増大、消費機器の多様化、家屋構造の密閉化等々を背景といたしまして、事故件数の増加とか被害の大規模化あるいは第三者を巻き込むような被害の増加が見られておるわけでございます。
○山崎(拓)委員 事故の原因をただいまお伺いしてみますと、消費者のミスによるものが非常に多いというふうに感じられるわけでございまして、今般高圧ガス保安協会の中に消費者保安センターをつくられるということでございますが、ぜひ消費者の啓蒙、教育に相当な力を入れていただくように積極的な対策をお願いしたいと思うわけでございます。同時に消費者教育を、そういう今日の構想もさることながら、やはり学校教育の中でもっと積極的に取り上げていくということが必要なのではないだろうか。特に一千八百万世帯に及ぶ消費者層の大きさを考えますときに、そのような必要性を痛感するわけでございますが、この点についてはどのようなお考えをお持ちですか。
○佐藤(淳)政府委員 御指摘のとおり、LPガスの使われている家庭は非常に膨大でございますので、この方々が十分に注意してお使いいただくように啓蒙をしていくことが非常に大事な仕事でございます。しかも、この販売業者が非常に弱小零細の方々が多いという特殊事情もございますので、これにつきましてはやはり国も積極的にこの問題に取り組んでいく必要があるだろうということでございまして、予算面におきましても、消費者保安センターを設置するとかあるいは保安啓蒙についての予算を計上いたしまして、いろいろ積極的にやってまいる考え方をとっておりますが、さらに学校教育の面からも子弟の教育の中にこれを織り込んでいくということも非常に有効であると思いまして、われわれの方といたしましてもいろいろ文部省の方に御要望申し上げているわけでございます。現在小学校の五年生及び中学校の一年生の家庭科の教科書にはガスに関することが載っておるわけでございますけれども、これだけでは必ずしも十分でございませんので、四十九年度においては官民が協力して実施しておりますLPガス事故防止事業の一つといたしまして、全国の小、中、高等学校に壁新聞を配布いたしまして、全国の先生方の教本にお使いいただいて子弟教育をやっていただいておるわけでございます。
○山崎(拓)委員 ただいまお話がございましたけれども、ぜひ正規の学校教育のカリキュラムの中にこのことが採用されるように、なお今後とも御努力をいただきたいと思います。
 次に、この答申の中で消費者用安全機器の設置の促進ということが出てまいっておるわけでございますが、それを受けまして来年度は特にガス漏れ警報器の普及ということを施策として打ち出しておられるのであろうと思うのであります。
 そこで、現在市販されておるガス漏れ警報器の性能上の問題でありますが、いろいろ業者等から聞いてみますと、たとえば電圧の低下などによっても警報器が作動して鳴り出すという場合もある。あるいはたばこやスプレーその他の臭気によって警報器が作動することもある。以上のように、全くガス漏れに関係なくとも警報器が作動することがあるということでございまして、そういう警報器を仮に普及させましても弊害を伴うということになりますから、この点当局はどう考えておるか、承りたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 一般家庭におきます保安器具といたしましては、ガス漏れ警報器は非常に有力な手段であるわけでございますが、いま先生御指摘のように、この信頼性につきましては、現在の時点では必ずしも十分とは言えない点も多々あるわけでございます。したがいまして、今後は十分に信頼性が確保できるような手段を講じていく必要がございますために、高圧ガス保安協会に検定制度を設けまして、しかもこの検定基準は大幅に強化いたしまして、有効にこれが働いて誤操作につながらないとか、あるいは有効にこれが鳴らないために消費者の方がはずしてしまうとかいうようなことが起こらないように十分に注意してまいりたいということで、ことしの一月一日から検定基準を強化いたしたわけでございます。さらに、これは一遍据えてから後は投げっ放しでは非常に精度も落ちますので、十分にアフターケアをやっていかなければならないという問題もありまして、これにつきましてはメーカー、販売業者に対しましてリース後も定期的なアフターケアの徹底を図るようにさしてまいりたいと思います。
○山崎(拓)委員 警報器がつけ始められましてから数年たつと思うのでありますが、警報器のいわゆる保証期間というのがメーカーによってなされておるわけでありますが、その保証期間を経過したもの、それについてどう対処するのか。また、警報器のエレメント等の取りかえ経費の負担の問題、作動状況の保守管理の責任分担、そういった問題があるのでありますが、警報器の普及を促進される以上、そういった問題点についてあらかじめ準備をしておられると思うのでありますが、いかがですか。
○佐藤(淳)政府委員 現在、このガス漏れ警報器の保証の期間は大体二年になっておるわけでございますが、今後リース制度を行う段階になりますれば、これを三年程度に延長いたしまして、この間は、販売業者とメーカーに十分にアフターサービスと、それから故障が起きた場合は修理するというようなことの責任をとらしてまいりたい、こう考えております。
○山崎(拓)委員 ガス漏れに対する警報器の設置ももちろん対策として効果があると思いますけれども、やはり最大の急務は、何といってもガス漏れのしない燃焼器具を出すということが一番肝心なことでございまして、その点についての対策はいかがですか。
○佐藤(淳)政府委員 器具の改善につきましては、ストーブとかふろがま、あるいは瞬間湯沸かし器等の口火が立ち消えした場合には元栓が締まるような形の機器を開発いたしまして、今後売られる器具につきましては、その器具以外売ってはならないということを一月十五日付で告示いたしております。それから、特にホースにつきましては、ゴムのひび割れによりまして自然とガスが漏れて災害につながる例が多い関係もございますので、ゴムホースの規格を改めまして丈夫なものにしていく。移動性でないもの、固定的なものにつきましては、できるだけ金属製のホースを使ってもらう等々、設備改善の面からも保安体制の確立を期してまいりたい、こう考えております。
○山崎(拓)委員 次に、同審議会の答申の中に「液化石油ガス販売事業者の調査業務の適確な履行の確保」ということがございます。それから、それに関連をいたしておるわけでございますが、「液化石油ガス保安調査代行組織の充実」、この二点が実は指摘をされておるわけでございます。もちろんこれは液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の十五条に関連をした問題でございますが、この十五条によりまして、販売業者には、ガスを供給している消費者の消費設備を定期的に調査をして、技術上の基準に適合しているかどうかチェックをするという調査義務が課せられておるわけでございます。そういうことで現在販売業者が調査をやっておるわけでございますが、その調査は現在の販売業者独自、単独ではなかなか有効にやり得ないということで、保安検査の代行機関を各県内においていろいろな形で実はつくられておることは御案内のとおりでございます。
 そこで、保安代行業務をやっておるこの保安センターの稼動状況でございますが、全国的に見まして、保安センターなるものに業務を委託をしておる個別の事業者、販売店はどのくらいか。いわゆる加入率ですね、それはどのくらいであるかということをます承りたい。同時に、保安センターが受け持っておるLPガスの消費世帯数の割合を、概略で結構ですからちょっと教えていただきたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 特に一般家庭の定期検査につきまして、販売業者に義務づけしておるわけでございますが、約五万軒に上る販売業者の方々の中には、実際問題として十分に保安検査が行われにくい方々も入っておりますので、これにかわる検査体制といたしまして、各県の保安センターにいろいろ御指導願っておるわけでございます。
 いま御質問の、大体一般家庭でこのセンターに依存しておりますのが一五%程度でございます。ただ、これも年々増加いたしておる傾向がございます。したがいまして、販売店も大体同じ程度の依存率であろうかと推定されます。
○山崎(拓)委員 一五%というのは意外な数字だったのですが、私の出身県の福岡県では、この保安センターの稼動状況が非常に進んでおりまして、平均八〇%の業者の加入率を示しております。また、消費者側からいきますと、七〇%が保安センターの調査を受託している。こういう数字になっておりまして、恐らくそういうことであれば各県ばらばらの体制ではないかというふうに感ぜられます。
 加えて、この保安センターの組織分類を見ますと、協会、支部、部会による組織と、それからガスの系列による組織、あるいは有志の業者の集合による組織、また個人または法人による企業としての代行機関というような主として四つの組織分類に分けられる。また法人格を見ましても、協同組合のものもございますし、会社もありますし、任意団体もありますし、個人もあるわけであります。こういう保安センターのばらばらなあり方、そういうもので果たしていいのかどうか、この点について御見解を承りたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 保安センターは、四十六年当時は四十九、四十九年四月では二百七十一ということで非常に急激にふえてきておりまして、したがいましてある県によってはそういうような高い普及率になっておりますし、今後ともその傾向は各県に及ぶものと思われます。そういう傾向にかんがみまして、われわれといたしましてもむしろこの際積極的にこのセンターを活用する方向で考えていくべきであろうというふうに考えております。したがいまして、今後は調査員とかあるいは所有すべき設備類等につきまして早急にある一定の基準を定めまして、それでその内容を十分に審査いたしまして保安センターを認定するという新しい制度を設けるべく、いま都道府県と協議をしている段階でございます。
○山崎(拓)委員 ただいまお話がありましたように、この答申の中でも、「調査代行組織を現行制度の中で明確に位置づけし、具体的にとり入れていくことが必要である。」かように書いてあるわけです。そこで、そのような方向でやっていただくわけでありますが、明確に、具体的に取り入れていくということでありますけれども、調査代行組織に対する人的なあるいは技術的な、資金的な条件を明確に示してそのような制度を設ける必要があると思うのでありますが、その点について、具体的な検討がどの程度進んでおるか、この際承っておきたいと考えます。
○佐藤(淳)政府委員 この保安センターの資格要件につきましては、保安問題を取り扱う非常に重要な機関でございますので、技術的な問題あるいは資金的な裏づけの問題等々につきまして慎重に検討いたしまして、都道府県といろいろといま協議を重ねておる段階でございまして、近いうちに一応の案を決定する段階までまいっております。
○山崎(拓)委員 そこで、この問題はこれで終わりますが、福岡県の場合もこの保安センターが二十一もあるわけなんです。それぞればらばらにやっておるわけでございますが、少なくとも事業内容の統一でありますとか、あるいは保安調査員の検査範囲と検査技術の統一、あるいは保安調査員が営利行為や金銭の授受をやらないという禁止、あるいは保安センターの責任、損害補償制度に対する考え方、こういった面で基本的な運営方針を統一してもらう必要がある、かように考えるわけであります。また、このような組織を今後活用し、かつ拡大をしていくという御方針ならば、当然補助金制度の採用についても御検討をいただきたい、かように考えるわけでございます。その点は要望に一応とどめておきたいと思います。
 そこで、今回の取締法改正案の中で容器に対する規制の整備ということが出てまいっておるわけでございますが、これは非常に合理化をもたらすものであり、また同時にバルブ等の検査を新しく採用されるということは非常に大切なことであると考えますが、ただ刻印を押すと申しましても、全国の容器本数は四千万本に達するということでございますから、これを数年にわたって検査期限の来たものから刻印を押すということであろうと思うのでありますが、仮にこの刻印の費用を一本五百円に見ましても二百億円という費用が実はかかるわけでございまして、この費用は一体だれが負担をするのかということについてお伺いしたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 刻印の費用は大体数十円じゃないかと思うのでございますが、これは容器の検査手数料の中に織り込んで徴収したい、こういうふうに考えております。
○山崎(拓)委員 それでは、メーター法制化のことについて資源エネルギー庁の方にお伺いをしたいと思いますが、メーター法制化はいよいよ猶予期間の二年を三月いっぱいで経過をいたしまして、四月一日から完全実施を行っていただく段階に立ち至っておるわけでございますが、その際、近い将来に都市ガスが敷設される地域あるいは非常に少量消費の家庭等に対して猶予措置を講ずるということを承っておるわけでございますが、資源エネルギー庁の現在の考え方を承りたいと思います。
○左近政府委員 ただいまのお尋ねのございましたメーター法制化の現在の進行状態及び通産省資源エネルギー庁が考えております現在の考え方を御説明申し上げたいと思います。
 御承知のとおり家庭用LPGの販売を適正にするために質量販売よりは体積販売の方が消費者の利益になるということから、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の省令を改正いたしまして、今年の三月三十一日までの間の小型容器等の適用除外を除いてはメーター制による販売ということに切りかえることにいたしたわけでございます。そういたしまして、通産省及び都道府県その他の方々の御努力によりましてメーター化が比較的順調に進みまして、現在メーター化率は全国平均で約八〇%にも達しておるというふうに思われるわけでございます。
 こういうふうにメーター化が進んでまいりましたのですが、そのメーター化の過程で二つ問題点が起こってまいりました。いま御指摘になりましたような点でございまして、一つは、ごく近い将来にこの使用をやめることがはっきりしておるような消費者に対してメーター化を強制するのはどうであろうかということでございまして、これはいま御指摘になりましたように、近く都市ガスに転換するということがはっきりしておるような場合とか、あるいはその土地が土地収用法その他のことによって近く明け渡すということが明白になっておるという場合のようなときに、メーター化をするということは消費者の利益にも合致しないというふうな問題が出てまいりました。それからもう一つは、少量消費者に対しましてはメーターを取りつけることがかえって負担を大きくするということで、消費者の利益を増大するという本来のメーター化の趣旨が、そういう場合にはかえって逆になるのではないかというふうなことがあったわけでございます。
 こういうふうな事態が出ますと、かえって本来のメーター化推進というもの自身が、そういうものがあることによってなかなかうまくいかないということでは困りますので、実は昨年十一月から液化石油ガスメーター設置問題委員会というものを当庁に設けまして、学識経験者それから消費者、販売業者等々の方のお集まりを願って検討いたしたわけでございますが、検討結果といたしましては、本来メーター化を大いに促進すべきであるけれども、いまの二点については省令改正を含めて何らかの措置を講ずべきであるというふうな結論をいただいたわけでございます。
 したがいまして、当庁といたしましても、その二つの問題について現在、先ほどの法律の省令の改正案を検討しております。内容は、やはり極力メーター化を推進するという基本方針は変えない。したがって、二つの点の例外は極力しぼるということで考えておりまして、近い将来使用をやめることになるものというのは、都市ガスの転換が確実な場合ということがはっきりしておるというふうな事態で、通産大臣が特別に認めた場合ということに限定をして、そういうものだけを適用除外にするというふうに範囲を狭めることにいたしました。
 それから、少量消費者についても、十キロボンベを使用している消費者のうちで月間の平均消費量が、大体過去六ヵ月の平均でございますが、六キロ以下のものというふうに限定をしよう。しかも、これは適用除外にするのではございませんで、一年半だけ経過期間を猶予しよう、その間に逐次切りかえていこうということでございます。実はこの少量消費問題については、最近いろいろ問題が出てまいりましたのは、一昨年の石油ショック以来非常に物価高になっておる。ですから、消費者の負担が現在非常にむずかしい時期に来ておるので、もう少し平静になれば、確かに消費者がこういう工事費等々の負担をしてもいいんだけれども、いま急にやられては困るというような声もあったものでございますので、こういうふうな期間延長を考えたわけでございます。
 以上のような案を考えまして、実はこれは法律に基づきまして公聴会を開くことになっておりますので、三月三日に公聴会を開いて広く一般の意、見を聞き、その結果に従って、この省令案を制定することにいたしたいというふうに考えております。
 現在の考え方は以上でございます。
○山崎(拓)委員 このメーター法制化につきまして、なお二、三の点をお伺いしておきたいのですが、それは八〇%普及しておるというお話でございましたが、業者によって、非常にまじめにつけている業者というのは自分の需要者にはほとんど一〇〇%つけておる。ところが、つけてない業者はほとんど一〇〇%つけていない。その分が二〇%に当たっておるというような現状であるかのごとく聞いておりますが、仮にそうであるといたしますと、まじめにメーター取りつけを実施してきた販売業者が、正直者がばかをみるようなことになっているんではないかという点が疑問の点の一つであります。
 それから、少量消費と言われますが、そこで猶予措置が来年のどのくらいか、私の承るところによると一年半ぐらい猶予措置を持とうということのように承っておるわけでございますが、それは非常に長い感じがするわけであります。と申しますのは、それならば、すでに少量消費の方でもメーターをつけておられる方がおられるわけでありまして、そういう方のメーターが仮に取りはずされた場合、そういう場合は補償措置を講ずるということになるのかどうか、そういう問題が発生してくるのではないかと思います。
 それから、少量消費に対して猶予措置を講じようという考え方の背景には、メーターの取りつけ費用が消費者負担の原則になっておるということがあるんではないかと思うのでありますが、メーターの取りつけ費用というのは、配管工事を伴う特別のケースを除きまして、千五百円から二千円程度のものであるということでございますから、さほどの負担ではない、かようにも考えられるわけでございまして、以上のような論点からいたしますと、むしろ行政の公平を期するためには少量消費の猶予措置というのは問題の方が多いんではないかという感じがするのですが、いかがでございますか。
○左近政府委員 ただいまのお話の点でございますが、まず第一点の、、すでにメーターを取りつけておられる方々、ことに販売業者の中でまじめにメーター化を促進してこられた方が、こういうふうな措置になりますと、言葉は適切でないかもしれませんが、いわばふまじめで余りメーター化を推進してこなかった販売業者に対してかえって非常に不利になって、いわば正直者がばかをみるということになるんではないかというふうな御指摘でございました。今回の措置は、先ほど申しましたように、少量消費とか近い将来にLPGの消費がなくなる場合ということに限定をいたしておりますので、一般的にメーター化をもしおくらしているものがありとすれば、これは本年の三月三十一日までにやらなければ法律の違反になりますので、その点についてはわれわれの方も関係府県ともよく連絡をとりながら、厳格に実施をするようにいたしたいというふうに考えておりまして、メーター化をおろそかにした人がかえって有利になるというような事態は極力防いでまいりたいというふうに考えております。
 それから、第二点の少量消費者の場合の問題でございますが、少量消費者につきましても、やはりメーターの取りつけ経費というものは問題でございまして、先ほど私が申しましたようなこともございます。それで、地域にもよるわけでございますが、たとえば寒冷地帯などは、実は法律によりまして十キロボンベの場合は屋内設置が認められておる地域がございます。そういう地域にメーターを取りつける場合には、やはりメーターは屋外から見られなければ困るということで、実はその場合に、屋外設置にして、それからメーターを取りつけるというふうな形の方が好ましいという形で推進しておる地方もございます。そういたしますと、やはり費用が相当かさむわけでございまして、一気にいけないというふうな問題があるわけでございます。したがいまして、この少量消費については量を極力限定いたしまして、先生の御指摘になるような弊害が出ないようにいたしたいというのが当方の趣旨でございまして、この点でやはりこういうものに妥当するごく少量の消費者については、当面こういう措置をした方がかえっていいのではないかということで、先生御指摘のように、行政の公平の問題と、それから少量消費者の利益擁護という問題となかなか均衡がむずかしい問題でございますが、われわれといたしましては、この辺で線を引けばとりあえずこの均衡は保たれるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○山崎(拓)委員 時間が参りましたので、最後に一問だけお伺いしたいのですが、このメーターも検定の有効期限がございますが、七年ということでございます。そこで、そろそろ有効期限満了となるメーターが発生をしてきているようでありますが、このメーターの再検査をやる都道府県の計量検定所の施行体制がきわめておくれておるということで、この体制を早急に整備してもらいたいという要請が当然業界から出てくるだろうと思うわけであります。いまのところは、主としてこのメーカーの方で、古いメーターを下取りするというような形が行われておるようでございますが、下取り価格というのはきわめて安いものであって、この再検査機関の不備によって非常な損害を業者側がこうむっておる、かようなことも聞くわけでございますが、この点についてどのような対策を講ぜられる方針であるか、最後に承りたいと思います。
○左近政府委員 メーター化の円滑な運営を図るためには、確かにメーターというものがある程度の有効期限が来たときに、再検査がうまくいかないといけないということは、先生御指摘のとおりだと思います。この計量検定所の充実の問題につきましては、まことに申しわけないのですが、私の所管ではございませんけれども、通産省の機械情報産業局によく連絡をいたしましてこれの充実を図ってもらって、問題のような点のないようにやりたいということで、早速連絡をいたしまして、そういう措置をとっていきたいというふうに考えております。
○山崎(拓)委員 終わります。
○田中(六)委員長代理 次回は、来る三月四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十三分散会