第075回国会 商工委員会 第7号
三月一日
 委員長松岡松平君が死去された。
同月四日
 山村新治郎君が議院において、委員長に補欠選
 任された。
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昭和五十年三月七日(金曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 山村新治郎君
   理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
   理事 前田治一郎君 理事 武藤 嘉文君
   理事 佐野  進君 理事 中村 重光君
   理事 神崎 敏雄君
      天野 公義君    内田 常雄君
      小川 平二君    越智 通雄君
      粕谷  茂君    近藤 鉄雄君
      塩崎  潤君    田中 榮一君
      橋口  隆君    深谷 隆司君
      板川 正吾君    加藤 清政君
      上坂  昇君    米原  昶君
      近江巳記夫君    松尾 信人君
      宮田 早苗君
 出席政府委員
        総理府総務副長
        官       松本 十郎君
        公正取引委員会
        事務局長    熊田淳一郎君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 橋本 道夫君
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
        通商産業大臣官
        房会計課長   川原 能雄君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        通商産業省生活
        産業局長    野口 一郎君
        中小企業庁長官 齋藤 太一君
        中小企業庁次長 小山  実君
        中小企業庁小規
        模企業部長   藤原 一郎君
        労働大臣官房会
        計課長     橋爪  達君
 委員外の出席者
        環境庁水質保全
        局土壌農薬課長 遠藤  茂君
        大蔵省主計局主
        計官      小山 昭蔵君
        国税庁直税部所
        得税課長    田口 和巳君
        農林省農蚕園芸
        局農産課長   工藤 健一君
        通商産業省機械
        情報産業局電子
        機器電機課長  鈴木  健君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 小粥 義朗君
        自治省財政局調
        整室長     高田 信也君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
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委員の異動
三月三日
 辞任         補欠選任
  小山 省二君     山村新治郎君
  玉置 一徳君     小平  忠君
同日
 辞任         補欠選任
  小平  忠君     玉置 一徳君
同月四日
 辞任         補欠選任
  丹羽喬四郎君     小山 省二君
同月七日
 理事稻村左近四郎君及び森下元晴君同日理事辞
 任につき、その補欠として萩原幸雄君及び前田
 治一郎君が理事に当選した。
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三月六日
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(荒木宏君外二名提
 出、衆法第三号)
同月一日
 中小業者の経営安定に関する請願(清水徳松君
 紹介)(第一〇三二号)織布業における過剰在
 庫の凍結及び活用に関する請願(山田芳治君紹
 介)(第一〇三三号)
 同(松澤雄藏君紹介)(第一一一〇号)
 織布業における需給調整措置確立に関する請願
 (山田芳治君紹介)(第一〇三四号)
 同(松澤雄藏君紹介)(第一一一一号)
 中小企業の経営危機打開に関する請願(横山利
 秋君紹介)(第一〇三五号)
 同(井岡大治君紹介)(第一〇六八号)
 同(上原康助君紹介)(第一〇六九号)
 同(大出俊君紹介)(第一〇七〇号)
 同(加藤清政君紹介)(第一〇七一号)
 同(木原実君紹介)(第一〇七二号)
 同(八木昇君紹介)(第一〇七三号)
 同(山本政弘君紹介)(第一〇七四号)
 同(横山利秋君紹介)(第一〇七五号)
 同(和田貞夫君紹介)(第一〇七六号)
 同(渡辺惣蔵君紹介)(第一〇七七号)
 同外一件(赤松勇君紹介)(第一一一五号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第一一一六号)
 同外一件(稲葉誠一君紹介)(第一一一七号)
 同外一件(小川省吾君紹介)(第一一一八号)
 同(勝間田清一君紹介)(第一一一九号)
 同(木島喜兵衞君紹介)(第一一二〇号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第一一二一号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第一一二二号)
 同(土井たか子君紹介)(第一一二三号)
 同(中澤茂一君紹介)(第一一二四号)
 同外一件(細谷治嘉君紹介)(第一一二五号)
 同(平林剛君紹介)(第一一二六号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第一一二七号)
 同(八百板正君紹介)(第一一二八号)
 同外一件(山田芳治君紹介)(第一一二九号)
 同(山中吾郎君紹介)(第一一三〇号)
 同(山本幸一君紹介)(第一一三一号)
 同外一件(山本弥之助君紹介)(第一一三二
 号)
 同(横路孝弘君紹介)(第一一三三号)
 同(横山利秋君紹介)(第一一三四号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第一一六七号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第一一六八号)
 同(枝村要作君紹介)(第一一六九号)
 同(小林信一君紹介)(第一一七〇号)
 同(島本虎三君紹介)(第一一七一号)
 同(田口一男君紹介)(第一一七二号)
 同(田邊誠君紹介)(第一一七三号)
 同(辻原弘市君紹介)(第一一七四号)
 同(長谷川正三君紹介)(第一一七五号)
 同(藤田高敏君紹介)(第一一七六号)
 同(松浦利尚君紹介)(第一一七七号)
 同(村山喜一君紹介)(第一一七八号)
 同(村山富市君紹介)(第一一七九号)
 同(武藤山治君紹介)(第一一八〇号)
 同(山口鶴男君紹介)(第一一八一号)
 中小企業に対する金融対策の改善に関する請願
 外一件(近江巳記夫君紹介)(第一〇七八号)
 織布業者に対する減産資金の融資に関する請願
 (松澤雄藏君紹介)(第一一〇九号)
 織布業者に対する融資の償還猶予に関する請願
 (松澤雄藏君紹介)(第一一一二号)
 織物等の輸入制限に関する請願(松澤雄藏君紹
 介)(第一一一三号)
 適正な織工費の確保に関する請願(松澤雄藏君
 紹介)(第一一一四号)
同月六日
 絹織物等の輸入制限に関する請願(荒舩清十郎
 君紹介)(第一二〇四号)
 織布業者に対する融資の償還猶予に関する請願
 (荒舩清十郎君紹介)(第一二〇五号)
 適正な織工費の確保に関する請願(荒舩清十郎
 君紹介)(第一二〇六号)
 織布業の過剰設備廃棄に関する請願(荒舩清十
 郎君紹介)(第一二〇七号)
 中小企業に対する金融政策の改善に関する請願
 (寺前巖君紹介)(第一二四三号)
 中小企業の経営危機打開に関する請願(江田三
 郎君紹介(第一二四四号)
 同(河上民雄君紹介)(第一二四五号)
 同(川崎寛治君紹介)(第一一四六号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第一二四七号)
 同(金子みつ君紹介)(第一二四八号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第一二四九号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第一二五〇号)
 同(高沢寅男君)(第一二五一号)
 同(堂森芳夫君紹介)(第一二五二号)
 同(日野吉夫君紹介)(第一二五三号)
 同(三宅正一君紹介)(第一二五四号)
 同(武藤山治君紹介)(第一二五五号)
 同(山田耻目君紹介)(第一二五六号)
 同(横山利秋君紹介)(第一二五七号)
 危険な合成洗剤の規制措置に関する請願(瀬崎
 博義君他一名紹介)(第一二五八号)
 同(寺前巖君紹介)(第一二五九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 通商産業の基本施策に関する件
 中小企業に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
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○山村委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 このたび、はからずも商工委員長に選任されました。浅学非才、若輩の私ではございますが、幸い練達堪能な理事並びに委員の皆様方の御支援と御協力を賜り、当委員会の公正かつ円満な運営に努めたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。
 簡単ではございますが、あいさつにさせていただきます。(拍手)
     ――――◇―――――
○山村委員長 この際、慎んで御報告申し上げます。
 当委員会の委員長でありました松岡松平君が去る三月一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。ここに委員各位とともに故松岡松平君の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。御起立を願います。黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
○山村委員長 黙祷を終わります。ありがとうございました。御着席を願います。
     ――――◇―――――
○山村委員長 この際理事辞任についてお諮りいたします。
 理事稲村佐近四郎君及び理事森下元晴君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山村委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、委員長は、
      萩原 幸雄君 及び 前田治一郎君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○山村委員長 通畜産業の基本施策に関する件、中小企業に関する件並びに私的独占の禁示及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 立地公害局長にお尋ねをしますが、四十九年三月、対州鉱山の鉱害隠し事件が発覚をいたしましてから通産省はどのような措置をとってきたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 通産省といたしましては、直ちに会社の社長及び当時の関係者から事実関係につきまして事情聴取を行いまして、また対州鉱山におきます事実の確認、鉱害防止施設の検査を実施いたすとともに、同会社のほかの三事業所に対しましてもそれぞれ二回の立入検査を実施いたしました。その結果、対州鉱山につきましては、採水した試料に対し、昭和四十三年八月から四十六年十二月までの間に十三回の注水がなされた事実が判明いたしましたが、他の三事業所につきましては、このような不法行為及び排出基準の違反は認められませんでした。
 また、今回の事件にかんがみまして、全国の鉱山保安監督局並びに監督部に対しまして、今後かかる事態が生じないよう、試料採取、検査等につきまして、さらに一層の厳正を期すよう指示を行いました。すでに閉出しておりました対州鉱山の鉱害防止対策につきましては、以前から審査を進めてまいりましたが、この事件後全般的に再検討を指示いたしまして、抜本的な鉱害防止工事を実施させることにいたしております。
 また、鉱害隠し事件関連の鉱山保安法違反事実を追及するため、立入検査を福岡鉱山保安監督局の手によりまして重ねてまいりました結果、長崎地検とも協議いたしまして司法捜査に移したわけでございます。
 なお、本事件が起きました四十九年三月の翌月、この会社の社長は本件の責任をとりまして辞任いたしております。
 以上が経過でございます。
○中村(重)委員 ただいまの答弁でも明らかにされたわけですが、先般、新聞の報道によりますと、福岡鉱山保安監督局は司法捜査に踏み切ったということでございますが、その経緯はどういうことになっておりますか。
○佐藤(淳)政府委員 去年の三月いわゆる鉱害隠し事件が発覚いたしまして、直ちに福岡鉱山保安監督局は現地に立入検査を実施いたしますとともに、採水検体への注水並びに日見坑坑水の豪雨時におきますところの未処理の水の放流等の事実につきまして、事実確認のため十回にわたります立入検査を実施いたしまして、鉱山保安法違反の有無につきまして裏づけを検討してまいりました。
 これら立入検査の結果、採水検体への注水等は三年の時効にすでになっております。そういうことや鉱山保安法とは関係のない事項もございましたが、坑内水の未処理放流あるいは排出基準違反等、鉱山保安法違反の疑いのある事項につきまして長崎地検と協議いたしました結果、これら事項について司法捜査を行うことにいたしたわけでございます。これらにつきましてはできるだけ早く司法捜査を完了いたしまして、その結果を長崎地検に送致いたす予定にいたしております。
○中村(重)委員 いまのお答えで事件の概要は大体わかったわけですけれども、もう少し内容を詳しく御説明できたらひとつお聞かせをいただきたい。
○佐藤(淳)政府委員 今回実施中の捜査の内容につきましては、捜査の秘密の保持上公表できかねる面も実はあるわけでございますが、立入検査によりまして事実の確認を行った事項を申し上げますと、先ほどもちょっと触れましたが、採水検体の注水の問題、坑内水の未処理放流の問題、廃水処理の夜間における中和を中止した問題、河川への埋め込みの問題、排出基準違反等の問題がいろいろ地元から指摘されたわけでございますが、これらにつきまして、法適用の可否とか時効の問題、あるいは証拠となり得るかどうかという能力等の問題につきまして検討を重ねてまいったわけでございます。これらの結果によりまして長崎地検と協議の上、鉱山保安法が適用され、しかも時効が成立せずに証拠が立証できる事項につきまして、現在捜査を実施しているところでございます。
○中村(重)委員 四十九年三月八日にいまお答えになりましたような事件が発覚をしたことが新聞紙上で報道されました際、私どもは、事業者のそのような反社会的行為というものは徹底的にこれを追及していかなければならない、厳罰に付する必要があるということを当委員会においても強く要求してまいったわけですが、ちょうど一年たったわけなんです。なぜにもっと早く捜査に乗り出し、またいまやっておるような方針を推し進めてこなかったのか、そのことについての考え方をひとつお示しいただきたい。
○佐藤(淳)政府委員 先生御指摘のように、事件の発覚後すでに一年になんなんとしておるわけでございまして、その点非常に時間がかかったということはまことに申しわけないと思いますが、何しろこの事件は会社の中の従業員からの告発で行われたという異常な事件であり、しかも非常に年数のたった問題でもございましたために、通産省といたしましても徹底的に調査をする必要があり、しかも時効等の問題もからんでおります関係上、内容等につきましては厳正にやらなければならないということで、ほかの仕事もいろいろあったわけでございますけれども、福岡の監督局といたしましては本事件を最重点的にこの一年間の業務の中心にしてまいってきたわけでございまして、非常に時間がかかったことについては申しわけないわけでございますけれども、やるだけのことは十分にやった、その結果非常に時間をとったということでございますので、その点あしから、ず御了解をお願い申し上げたいと思います。
○中村(重)委員 東邦亜鉛は、あえて私は悪質な企業であると申し上げたいわけです。そのような企業ですし、一年もたってきましたから、証拠隠滅はやっておるであろう。今度鉱山保安監督局が捜査に乗り出してまいりましたが、うやむやになるようなことはないと確信を持っているか、その点についてはいかがです。
○佐藤(淳)政府委員 私どもも、先生がいまお述べになったような気持ちでこの事件に当初から取り組んでまいっておりますので、現場の調査も徹底的にやる方針を最初から立てておりまして、一部は坑内を埋めたところをもう一回口をあけまして、取りあげして現場を調査するとか等々、いままでなかったようないろいろな方法をとりまして、単に帳簿の調査だけじゃなくて、現地調査も十分に行いましてやったつもりでございますし、今後ともそういう方針で臨んでまいりたいと思います。
○中村(重)委員 先ほどの答弁からいたしますと、あらゆる資料、証拠等を集めて捜査をしてきたということですが、数日前に立入検査をするということになってまいりましたが、結論はいつごろ大体出せるという見通しを持っておりますか。
○佐藤(淳)政府委員 まだ捜査を開始してからそう時間がたっておりませんで、途中段階でございますので、途中段階で余り具体的な予定を申し述べることは差し控えたいと思いますが、いままで発覚以来時日も相当経過いたしておりますので、われわれとしてはできるだけ早くこの捜査を終わりたいというつもりで、監督局に対しまして指示を行ってまいっております。
○中村(重)委員 それから、先ほど検察当局と十分連絡をとりながら捜査に乗り出したということですから、確信を持っていることは間違いありませんね。
○佐藤(淳)政府委員 最終的にどうなるかという問題は別といたしまして、われわれが捜査に踏み切ったということにつきましては、この際司法権をゆだねられておる立場にあります監督局でございますから、それをフルに使いまして徹底的に調査するというたてまえをとっておるわけでございます。
○中村(重)委員 一年間、公害隠しについて、時効になったものは除いて、時効になっていない問題について捜査を進めてきた、それはしかも長崎地検と十分連絡をとりながら進めてきたということは先ほどの答弁でもはっきりしたわけですから、したがってこれは鉱山保安法違反である、当然事件になるんだという確信を持っておやりになったであろうということは私どもも想像できるわけですから、あなたの方としては、単なる捜査ということではなくて、これは事件になるという確信を持っておることは間違いないのであろう、こう思うわけですが、その点に対するお答えをはっきり聞かしていただきたいわけです。
○佐藤(淳)政府委員 まあ、捜査に踏み切ったということから類推いたしまして、われわれの気持ちがどういうところにあるかということはひとつお察しいただければと思いますが、いま途中の段階でございますので、その辺のことはお察しいただくということで、ひとつ御了解いただければと思います。
○中村(重)委員 ともかく立場上捜査をやらなければならないからやったというようなことで、うやむやに事件が終わるということにならないように、十分厳しい態度で臨まれることを強く要求をいたしておきたいと思います。
 次に、今後対州鉱山に対して鉱害防止措置をどう進めるか、古代ズリの処理の問題それから農業被害補償等についての通産省としての態度はどういうことなのかということを、ひとつ明らかにしておいてほしいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 もちろん対州鉱山の鉱害補償につきましては、誠心誠意実施していくという基本的な考えに立っておるわけでございますが、若干入り組んでおりますので、少し内容を御説明申し上げたいと思います。
 対州鉱山の稼行の歴史は非常に古くございまして、いまから約千三百年前から銀を主として生産いたしておりまして、亜鉛等を含むからみは堆積物として放棄されてまいりました。現鉱業権者の鉱業に基づきます堆積物等に対する鉱害防止対策は、現在の鉱業権者に指示いたしまして工事の事業計画書を提出させまして、これに基づき計画的に所要の鉱害防止工事を実施させておるところでございます。
 また、いま先生がおっしゃいました非常に古いズリ、いわゆる古代ズリと称しておるわけでございますが、この古代ズリにつきましては鉱山保安法の適用がございませんので、したがいまして鉱害防止義務者が不存在ということになるわけでございます。これにつきましては、福岡鉱山保安監督局は、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度によりまして所要の鉱害防止工事の実施を図るため、長崎県と折衝いたすことになっております。
 また、農業被空補償の問題につきましては、本年二月に東邦亜鉛株式会社と佐須地区の被害者組合との間で、農地復元対策事業が行われる場合、汚染原因者として事業費は全額負担する、それから二十九年から四十八年までの二十年間の農作物の被害につきまして約一億九千万円を支払う、そのうちすでに八千万円は支払い済みでございますが、こういう協定が調印されたわけでございます。ざらに、四十九年度産米の補償につきましても約三百万円が支払われる予定になっていると聞いております。
 これらの鉱害補償につきましては、福岡鉱山保安監督局は従来から会社に対しまして誠意をもって当たるよう指導してまいっておるところでございます。
○中村(重)委員 対州鉱山の鉱害防止対策はどのように進めているわけですか。
○佐藤(淳)政府委員 対州鉱山のいわゆる山元工事につきましては、非常に古くから堆積しております古代ズリの後始末の問題と、それから現在の鉱業権者が実施いたしました結果発生いたしました鉱害の後始末の問題と二つあるわけでございますが、古代ズリに絡む問題につきましては、先ほど申しましたようにもうすでに義務者が不存在でございますので、これにつきましては鉱害防止工事費補助金制度によって実施いたす所存でございまして、さらに現権著の問題につきましては、これは福岡鉱山保安監督局の十分な監督のもとに所要の工事をやるということで諸般の準備を進めておる段階にございます。
○中村(重)委員 もう少し詳しくお聞かせをいただきたいわけですが、いま簡単な説明ではありましたが、対州鉱山が鉱害防止対策のための事業を行うということになってまいりますと、相当大規模の事業費がかかるであろう、こう思われるわけです。いつごろその工事が完了するのか、また工事に要する費用はどの程度かかるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 対州鉱山はすでに四十八年の十二月で閉山いたしておりますけれども、閉山後の鉱害防止対策につきましては、年度別の事業計画に基づきましてすでに四十八年十月ごろから一部事業を開始しておりますが、現在のところでは、現権者にかかわる問題につきましては五十二年六月完了を目標にいたしまして、緊急度の高いものから順次実施させておるところでございます。
 その内容は、堆積場の処理それから坑廃水の対策それと坑口の閉塞、これが主な工事内容でございまして、この工事金額につきましては現在時点では約十五億円程度を見込んでおるわけでございます。
 それから、古代ズリに関係いたす問題につきましては、これは現在の鉱業権者に負担させ得ませんので、先ほど申しました補助金制度によって実施いたすわけでございますが、これは長崎県あるいは地元とも十分に協議いたしまして、われわれとしては五十年度の対策工事の予定に組み込みたいということを考えておりますが、これは補助金制度の中身といたしまして全額国庫負担じゃございませんで、一部地元負担の問題も絡んでまいりますので、その点につきまして十分に長崎県と協議してできるだけ早く着工し、できるだけ早く終わらせたい、こう考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 全国に存在する休廃止鉱山は約五千、あるいは六千とも言われておるわけですけれども、カドミクム等の有害物質による鉱害防止工事が必要であるというのは一千を超すのではないかと伝えられておるわけですが、休廃止鉱山の実態及び鉱害防止対策というものはどういうことになっておるわけですか。
○佐藤(淳)政府委員 全国に存在いたします休廃止鉱山は五千ないし六千あるわけでございますが、そのうちわれわれの方といたしまして、有害物質によります鉱害防止上さらに詳しく精査する必要があるという約一千鉱山につきましては、四十五年度から四カ年計画で調査を実施いたしまして、所要の措置を行ってまいっております。また、あわせまして、すべての休廃止鉱山の実態を把握いたしまして、鉱害のもとを根絶するためにメタルマインの約三千の廃止鉱山につきましては、四十八年度から三カ年計画で、地域事情に詳しい地方公共団体に概査をお願いいたしまして、実態の把握に努めてまいっております。この結果、問題のあるものにつきましては、さらに鉱山保安監督局並びに部におきまして精密調査を行って必要な措置を行わしておるわけでございますが、これら鉱山の鉱害対策といたしましては、もし鉱害防止義務者が不存在のような休廃止鉱山があります場合には、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度によりまして、地方公共団体が行います鉱害防止工事に対しましてその費用の三分の二を補助しておるわけでございますが、四十九年度におきましては、新たに坑廃水の処理費及び鉱害防止施設の維持管理費を補助事業の対象に追加いたしました。さらに、非常に古い鉱害が多いという特殊事情にかんがみまして、地方自治体からの非常に強い御要望もございまして、五十年度からは従来の補助率三分の二から四分の三に引き上げることによりまして補助事業を大幅に拡大いたしまして、一層の工事の促進を図ることにいたしております。また、休止いたしております鉱山につきましては、四十八年七月に施行されました金属鉱業等鉱害特別対策措置法に基づきまして所要の鉱害防止措置を行わせることによりまして、鉱害防止の万全を期することといたしております。
○中村(重)委員 先ほどの答弁の中で、国や地方団体等の負担割合についての数字は明らかでありませんでしたが、そうした地方自治体の負担もあるので、これから十分話し合いをしていかなければならないというようなお答えがあったわけですが、この無資力、無権者の鉱山に対しての鉱害防止工事をやる、対州鉱山の場合におきましては、その周辺の古代ズリの鉱害防止工事ということになるわけですが、四十九年度は三分の二であった、五十年度から四分の三にこれを引き上げていくというようなことでありますけれども、私はその点が理解できないわけです。お答えにありましたように、千三百年という古い歴史を持つ対州鉱山が、昭和二十二年本格的な操業に乗り出しますまでは何らこれに対する鉱害防止を行うことなく放置しておったということです。その鉱害防止工事をこれから進めていこう、いま四十六年から始めていると思うのですが、それに対し七国がやることは当然でありますけれども、これを四分の一にいたしましても、地方公共団体に負担をさせるということは当を得ないのではないかというように私は判断をいたします。なぜに地方自治体に対してこれを負担をさせなければならないのか、その点に対しては通産、大蔵両省からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 この問題につきましては、今度の四分の三の補助率引き上げに関連いたす問題でございますけれども、蓄積鉱害防止の抜本的強化をいかにすべきかということを鉱業審議会にお諮りいたしまして、昨年の七月末に御答申をいただいたわけでございますが、その中にも一般的に休廃止鉱山の鉱害現象というものは非常に歴史的にも古く、しかもこの問題が、重金属の鉱害というような最近の問題提起があったということから発生しておる経緯にかんがみまして、できるだけ国の手によって実施すべきであるという御答申をいただきまして、われわれ通産省としてもそういう努力を重ねてきておるわけでございますが、ただ一つの考え方としましては、確かに国がそういう歴史的の経過にかんがみまして、国庫によって全額負担するという考え方もあるいは起きることもあり得るわけでございますが、やはり地元民の健康に対する、あるいは安全に対する責務というものはある程度地方自治体というものが担わされておるわけでございますので、それと従来鉱業監督をやってきたというような国の立場と、そういう両面からいろいろ検討を重ねた結果、このようなところに落ちついたわけでございます。その辺の兼ね合い、なかなかむずかしいわけでございますけれども、しかし現実に三分の二から四分の三という、一般の補助金制度に比べますと非常に高い補助率が実現したということで、われわれとしては相当前向きに対処されたんじゃなかろうかということを感じておるわけでございます。
○小山説明員 お答えいたします。
 休廃止鉱山の鉱害防止の問題は、その地元の住民にとりまして安全あるいは健康上非常にかかわりの深い問題でございます。そういった問題につきましては、私どもまず第一義的に当該地元の公共団体が行政の責任としてこれに立ち向かっていただくということがやはり必要なことではないかというふうに考えるわけでございます。また、実際の工事主体といたしましても、地域の実情に通じ、また地元民の声を絶えず聞いている公共団体が実施に当たるということが工事を進めていく上からも適切なことであるというふうに考えられますので、現在の制度を五十年度につきましても基本的には継続することにいたしたわけでございます。ただし、この工事が非常に技術的にもむずかしい問題が多々あるということ、あるいはその工事に要する費用が非常に大きくて、公共団体にとって非常に大きな負担になっている地域が相当全国各地にあるということは事実でございます。この点につきまして、従来から費用の点につきましては三分の二という国の補助率でございましたけれども、そういった実情等を十分考えまして、かなり異例な高率でございます四分の三、七五%国が持つということに五十年度からいたしたわけでございます。さらに申し上げますと、技術的な点で非常にむずかしいといったようなケースにつきましては、公共団体の御要望を受けまして、金属鉱業事業団がそういった技術的な面での指導、援助といったようなことを新たにすることができるように、事業団の機構等の拡充、機能等の拡充を行うという措置もあわせていたしたわけでございます。
○中村(重)委員 いまのお答えもわからないではないんですよ。それは地方自治体だって無関心であってはならないのですね。しかし、千三百年も何らの防止工事をやることなく放置してきた。この鉱害防止をやるための法制定すら行わないできたということは、私は、これは明らかに政府の怠慢であると考えるのです。東邦亜鉛の鉱害防止対策に対しても、施設の上についての不備があった。福岡鉱山保安監督局としても、指導監督上の不備があったということを厳原町の町議会において、百条を発動して調査をいたしました際、はっきり認めているわけですね。そうしたみずからの怠慢があったということを認めた。それから、先ほど申し上げましたように古代ズリについての何らの措置を行わなかったということに対しては、私は全面的に国が責任を負うべきものであると考えます。同時に石炭の鉱害防止工事は国が八五%補助している。全国に五千の休廃止鉱山がある。その中には有害物質によって、精査をしなければならない鉱山が千を超すというこの実態の中において、これほど鉱害問題がやかましく言われておる際に、なぜに石炭と鉱山との国の負担割合というものに差をつけなければならないのか、その点も私は理解ができません。四分の三ということになってまいりますと、七五%ということでありますから、石炭は八五%、一〇%の差があるわけです。そのことについても差をつけなければならない理由について、明らかにしてほしいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 これは予算措置でやっているわけでございますので、確かに石炭が八五、金属の場合は七五ということで差が出てきているわけでございますが、石炭につきましては、石炭鉱業がいわゆるエネルギー革命によりまして非常に急ピッチに閉山が進みまして、産炭地の市町村の疲弊が非常に急激に、しかも大幅に発生したというような事態、あるいはまた石炭の稼行地域が一般的に都会地に近くて、その被害の現象が金属に比べまして非常に範囲も広く、しかも深刻である等々の面がございまして、その辺の実態的な差がこうさせておるのじゃなかろうかというふうに考えますが、なおわれわれといたしましては、しかしさればといって非常に古い歴史の鉱害でもございますので、できるだけ今後この無資力、無権者の鉱害問題につきましては、地元に負担がかからないような形の前向きの努力は重ねていかなければならない、こう考えております。
    〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
○中村(重)委員 鉱山の鉱害防止工事が積極的にこれから進められてくる、四十八年度から四十九年、五十年と予算が大きくなったということは、それは私も認めるのです。だからといって、いまの局長の答弁では、石炭の鉱害対策の八五%に対して金属鉱山を七五%ということにした理由が必ずしも明確ではない。その点に対しては、大蔵省からひとつお答えをいただきたい。
○小山説明員 お答えします。
 概要ただいま立地公害局長からお答え申し上げたことと同趣旨でございますが、私、考えますに、やはり産炭地の疲弊といいますか、これが非常に急激に起こって、産炭地の公共団体の財政力というものが、大きな負担にたえられないという実情にあるということが第一に挙げられます。
 第二には、この鉱害防止の事業費の規模が、やはり産炭地の場合非常に大きゅうございます。たとえば福岡県などの例をとってみますと、十年間で千億程度、千億台ぐらいの事業規模が必要じゃないかというような試算もあるわけでございまして、同じ鉱害防止事業と申しましても、事業の規模がその特定の公共団体が負担できる限度というものを非常に超えておるという実情が、金属鉱業の場合に比べて石炭の場合は非常に著しいというような点が考えられるわけでございます。
○中村(重)委員 石炭の鉱害防止対策というのは、終戦後から進めてきているのですね。しかし、鉱山の場合は、何にもやらないでほったらかしてきたのですよ。四十八年から防止対策を進めてきている。おくれているための地域住民の受けているところの精神的、経済的な負担というものは、私は大変大きいと思う。したがって、工事量の多い少ないということによって差をつけるべきではないということです。
 石炭の場合におきましても、私は実情をよく承知をいたしておりますから、石炭の山の存在しておるところの町村というものが負担能力がある、鉱山の場合はないといったようなことを言おうとは思いません。疲弊をしておるということについてはやはり変わりはないということです。いまの答弁でも、差をつけたというようなことについての説得力というものは、私はないのじゃないかというように考えます。これは予算措置でありますから、その差をつけないように、むしろ私は国で全額負担をするというような措置が当然考えられなければならないというように考えます。立地公害局長は、今日まで放置したことについて、国の責任をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○佐藤(淳)政府委員 たとえ重金属による健康被害という問題がこの四、五年前に急激に提起されたというような特殊な現象であるということはあるにいたしましても、現実、全国に相当鉱害現象として、蓄積鉱害として残されておる実態にかんがみまして、われわれとしましては、できるだけ早く復旧工事につきましては予算措置等につきまして努力を重ねまして、一日も早く工事を完了するということに努めると同時に、地元市町村の負担につきましても十分に配慮をしていく覚悟でおります。
○中村(重)委員 漏れ伝えられるところによりますと、通産省の概算要求のときは、やはり鉱山の場合におきましても石炭と同様に八五%が適当であるということで、そういう要求をした。しかし、大蔵省の方では先ほど来お答えになりましたような考え方であろうと思うのでありますが、これを七五%ということで差をつけた。しかし、実情からいたしますと、私申し上げましたように、差をつけるべきではない、むしろ進んで全額国が負担をして鉱害防止工事を行うことが当然であると考えるわけですが、小山主計官、来年度については検討する余地がありますか、いかがです。
○小山説明員 ただいま申し上げましたように、地元の公共団体の負担力がどの程度であるかということが一つと、それからその工事の規模が全体として特定の地域についてどの程度大きな負担をかけることになるのか、やはりこの二点によって補助率というものは考える必要があろうかと思うのでございますが、現在まで私どもの方で承知いたしております金属鉱業休廃止鉱山の鉱害防止工事費の見積もられております事業規模というものは、全国各府県について見てみましても、まだそれほど大きなものであるというふうには考えられていないのでございます。一番負担の大きいと考えられます県につきましては、十数億程度の規模のものが見積もられているというふうに承知しているのでございますが、億単位の負担を必要とする県は必ずしもそれほど多くないというような実情でございまして、先ほど申し上げました産炭地の公共団体が負担しなければならない石炭関係の鉱害防止工事の負担に比べますと、その間に非常に格差があるというふうに現段階では私ども考えておるわけでございますので、現状におきましてこの七五%という率はやはり相当高い率であり、この問題に対しては適切な補助率であるというふうに考えておる次第でございます。
○中村(重)委員 いまの小山主計官のお答えですと、県が四分の一は負担する、そういったお答えですが、これは必ずしも県に限るのではなくて、町村に負担をさせるといったような傾向もなきにしもあらずと伺っているわけですが、それでは大蔵省としましては、四分の一は町村ではなくて県に負担をさせるというたてまえであり、そういうことで指導されるお考えでしょうか。
○小山説明員 お答え申し上げます。
 工事の事業主体は県がいたしておるという実情でございますが、この事業の地元負担分をどういうふうにしているかということにつきましては、一つ一つの事例ごとに当該県と地元市町村との話し合いによって負担区分を決めているということが実情であるというふうに聞いております。したがいまして、一律にその県が全部持つ、あるいは一律に市町村が半分持つといったようなことは、最初から決まっている、あるいは全国一律に決まっているということではなくて、地方の実情に応じて話し合いでその負担区分が決まっている、こういうことだと思います。
○中村(重)委員 いまお答えのようなことですから、鉱山が存在しているところの市は別といたしましても、これはほとんど町村ですからね。町村の疲弊の状態というものは、これは私は大変なものだと思うのですよ。ですから、県の負担能力があるからといったような考え方からおそらく私は七五%にして石炭と一〇%差をつけることになったんではないかというように考えます。ですから、来年度の予算編成に当たっては、これは予算措置であるわけですから、やはり石炭と差をつけないというようなことで検討していくのでなければ、市町村が負担をする場合は大変困るんだということだけ憾は申し上げておきたいと思います。何かお答えがありますか。
○小山説明員 先ほどの私の御答弁は若干不正確だったかと思いますので補足させていただきますが、たてまえといたしましては地元の負担は話し合いで決めていいことになっており、また話し合いをしている例もあろうかと思いますが、実際の負担は県が全部負担している例がほとんどであるというふうに聞いております。
○中村(重)委員 五十年度はいずれにいたしましても四分の一は地方自治体が負担をするということで措置をされたわけですから、これでお進めにならざるを得ないであろうというように思うわけです。いまお答えになりましたように、市町村に負担をさせるのではなくて、県が負担をするということで指導をしていただきたいということを要請をしておきたいと思います。
 それから、自治省の高田調整室長に見解を伺いたいのですが、いまのお答えのように、五十年度は四分の一は地方公共団体が負担をしなければならないということになってまいりますが、これは事柄の性格上当然特別交付税でもって全額を処置するということでなければならないと思いますが、そういう考え方であるかどうか、明確にしておいていただきたいと思います。
○高田説明員 先ほど来お話がございますように、原因者不明の鉱害防止工事につきましては、昭和五十年度から国の四分の三負担ということでルールが一応できておるわけでございます。したがいまして、自治省といたしましては、このルールに基づきます四分の一の地方負担につきましては特別交付税で措置をする考えでございます。
○中村(重)委員 それでは、全額特別交付税で処置するということでございますから、その点はひとつ間違いのないように、大変市町村も不安に思っているようですから、いまのお答えのとおりやっていただきたいということを申し上げておきます。次に、通産省に続いてお尋ねをいたしますが、古代ズリの鉱害防止工事はいつから始めて、何年計画でこれを完了するというお考え方でしょうか。――時間がありませんから、早く答弁してください。
○佐藤(淳)政府委員 古代ズリ関係の復旧工事につきましては、長崎県から申請がございますれば直ちに着工いたしまして、できれば年度内、五十年度中に終わらせたい、こう考えております。
○中村(重)委員 いまちょっと聞き漏らしましたが、五十年度中に始めるということですか、終わるということですか。
○佐藤(淳)政府委員 五十年度の当初に着工ができますれば年度内に完了ができるんじゃないか、こう考えております。
○中村(重)委員 古代ズリの量は五万トンと言われているわけですね。小川鉱が三万トン、千人間歩鉱が二万四千トン、ミソギ鉱が一万二千トン、これに対しては鉱山側は一万二千トンあると主張し、鉱山保安監督局はミソギ鉱にはないんだということで、これは見解が分かれているようですが、五万トンという古代ズリの鉱害防止工事は、五十年度に着工いたしまして年度末に完了するというような簡単なものでしょうか。それから、工事費はどのくらいかかるというようにお考えになっていらっしゃいますか。
○佐藤(淳)政府委員 工事の内容は、ボタが崩れませんように土どめ工事をやるのと、ボタの上に覆土をいたしまして、それで植生するということでございますので、一般的な鉱害工事の中では比較的やりやすい工事でございますので、まあ五万トン程度のボタ工事であれば、大体一年間あればやれるんじゃないか、われわれはそう見ております。
○中村(重)委員 県の方から申請があればというようなことでなくて、積極的に――手続的に県の申請が必要であるとするならば、県の方に早く申請をさせる、そういうことで早急に着工し、早急に完了する、こういう態度で進めてもらいたいと思うのですが、その点いかがです。
○佐藤(淳)政府委員 すでに監督局と長崎県とは折衝を始めておりますので、われわれといたしましても督励いたしまして、いま先生のおっしゃった線で進ませるようにいたします。
○中村(重)委員 環境庁、農林省等にお尋ねいたしますが、農用地の汚染防止工事はその後どうなっているのでしょうか。
○遠藤説明員 対馬の土壌汚染対策についてでございますが、東邦亜鉛の事件が発生して以来、長崎県で、地元では特に農地の復元ということを非常に強く希望しているということを踏まえまして、現在再検討しております。
 その一つとしては、四十九年度調査の結果によりまして、従来指定しておりました地域に加えて、本年度中に追加指定をいたしたいということでございます。それからもう一点は、農地の復元ということに関連いたしまして、従来から言われておりますが、客土の材料が島内では非常に不足するのではないかということも踏まえまして、島外から土を入れるということも想定いたしまして、五十年度から現地対策試験というものを実施することにいたしておりまして、その結果によって最も適切な対策を立てたいということで、現在検討していくことになっております。
 環境庁もこの長崎県の検討結果を見ながら、関係各省と御相談を申し上げて、適切な計画を立てていくように努力をいたしたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 時間の関係がありますから、まとめてお尋ねをいたしますので、お答えをそれぞれいただきます。
 要観察地域の全農地、いわゆる一号田、二号田を全部客土するお考えなのかどうか。工事費はどのくらいかかるか。それから、いつから始める――いま五十年度からというお話でこざいましたが、何カ年計画でおやりになって、いつごろ完了するというようにお考えになっていらっしゃるのか、それらの点について、それぞれお答えをいただきます。
○遠藤説明員 先ほど申し上げましたように、現地対策試験をやってみまして、それに応じて最も適切な工事方法というものを検討するということになるわけでございますが、対策試験は、現在のところ五十年度から二も三年間やりたい、県の方ではそういうふうに言っております。したがって、今後どのくらいの事業費がかかるかということについてはちょっといま不明でございますが、精神としましては、幾ら費用がかかってもやはり復元工事というものはやるべきであるというふうに考えております。
○中村(重)委員 私が聞いたところによりますと、工事費は十数億かかるのじゃないか、こう言われているわけですが、その負担割合は大体私も承知をしておりますが、事業者の負担というものは七五%、十億ということになってまいりますと七億五千万円、十数億ということになりましょうから十億程度は事業者の負担ということになるのではないか。ところが、先ほど、鉱害防止工事で十五億かかる。これは事業者が全額負担ということになってくるわけですから、この農地の改良工事に仮に十億かかるといたしますと、二十五億から三十億程度の事業者の負担ということになってまいりましょうが、負担能力はあるというように通産省あるいは農林省、環境庁はお考えになっていらっしゃるのかどうか。
 それから、花木事業をやってみたところ、どうも白根の伸びが悪くて生育がとまったというように伝えられています。してみると、どうも経済効果がないからこれはもうやめてしまった方がよろしいというようなことで、農林省はこの工事をストップするという形になることに対して、被害者農民、被害者組合の方では非常に不安がっておるということが伝えられておるわけです。その点は、そういうことはないかどうか、この際明確にしておいてほしいと思います。
○佐藤(淳)政府委員 会社にかかる負担は、ざっと現在わかった時点では、先生おっしゃった数字が考えられるわけでございまして、確かに現在の非鉄の国際価格が非常に低迷いたしておりまして、金属各社、非常に内容が悪化いたしておりますが、事鉱害問題につきましては、決められたことはやはりやらせなきゃいけませんので、われわれといたしましては、この鉱害復旧工事につきます復旧費の一部につきまして融資制度を金属事業団を通じてやる措置がすでにとられてきておりまして、特に山元工事につきましてはそういうことをすでにやってきておりますが、さらに田畑の復旧につきましても融資制度の道が五十年度から開かれるようにいま予算措置をやっておるわけでございますので、その両面を活用しながら何とか所期の計画はやってもらうように努力させたいと思います。
○工藤説明員 先生のお尋ねは、工事をやる期間までに営農的に転作物を考えたらどうか、その際にどうするか、こういうお尋ね、営農問題だと思いますが、一部ベニバナ、花卉等の転作物を考えたらどうかということで、現地に試験圃を置きましていろいろ調査をいたしたわけでございますが、御指摘のように一部の地域につきましてどうも花の根がうまく生育しない、こういうことがあったようであります。したがいまして、その辺はもっと継続的に試験をしてみないと科学的にはわからない点もありますので、試験を実施いたしたい、こういうことでございます。ただ、最近の食糧事情等の問題もあり、また先ほど来お話が出ましたように、関係農家の総意といいましょうか、大多数の意見が美田に返したい、こういう意向のようでございますので、私どもといたしましては、工事完了後の営農形態並びにそれに続く営農形態としましては、稲作を中心にしまして一部シイタケ栽培、それからごくわずかの地域について草花等を考えていく、こういう営農形態で進めたいということで長崎県といろいろ連絡をいたしている状況でございます。
○中村(重)委員 私は花木であるとか、そういうものを奨励をしてやらせろと言っているのではない。いまお答えになりましたように、農民はもとの美田に返せ、こう言っているのです。したがって、水田として十分稲作ができるようにしなければならない。ところが、申し上げたように相当な費用がかかるであろう、したがって農林省は、一号田、二号田といったような要観察地域を、経済効果がないんだから計画はやめてしまった方がよろしいというようなことになって方針を変更する、変更することによって美田に返せという農民の期待を裏切るといったようなことがないのかどうか、そういった点をひとつ明確にしておいてほしいと言っているわけです。
○工藤説明員 工事費が非常にかかる、こういう事情は確かにございます。と言いますのは、三十センチ以上の客土をやらなければならない。それで、三十センチでは足りないのではないか、こういう指摘もございます。ただ、技術的な話になって恐縮でございますが、汚染土をブルで締めましてベントナイトを敷くということで稲の根がその汚染土に入らない工法もございます。そういう工法も先ほど環境庁からお話しのように、いろいろ試験をしまして、できるだけ合理的な工法がとり得るようにいたしたいと思います。
 それからもう一つは、客土の土は、いままで厳原町だけ調査をいたしておったのですが、もっと全島広く調査をしまして、いままでよりは安く採土可能地が出てくればそこから土を持ってくるという形にしたらどうかということも検討いたしているわけであります。
 いずれにしましても、農家の方々が美田に返したいということを強く希望しておられるわけでございますので、農林省としましては農家の方々の希望が十分反映されるような対策、計画をつくっていくように県を指導してまいりたいと考えている次第でございます。
○中村(重)委員 どうも明確でありませんが、時間の関係もありますから、次に進みます。ただ、強く求めておきたいことは、おっしゃるように客土の土もいま三分の一は対馬から、三分の二は壱岐と福岡から持ってきているわけですね。ですから、お答えのようにもっと広く適当な土がないかどうかということを調査をする、そして美田に返せという農民の期待に必ずこたえるということをやってもらいたいということを強く求めておきたいと思います。
 それから、大蔵省にお尋ねをいたしますが、農業補償の問題はどうにか片づいたわけですが、被害者の方々が心配をしておりますのは、農業収入に対するところの補償が先ほどお答えになりましたような額である。これに対して所得税がどうもかかるのじゃないか。ところが、薬剤であるとか肥料であるとかその他特別の労力といったようなものは、これは農業収入というものとは違うんだから、したがってこれを課税対象にされることは困るのだ、長い間苦しみ抜いてきた農民の置かれている窮状ということから考えて、これは免税にしてもらわなければならないという要望が大変強いわけですが、その点に対するお考え方はいかがでしょう。
○田口説明員 御説明いたします。
 ただいま御指摘の農作物に対する減収補償金の内容、これは先生御指摘のようにいわゆる減収の補償というもの以外に鉱害防除のために農家の方々が実際に支出された農薬代なりあるいは雇い人費、こういったものがございます。さらには補償交渉のために要した費用もございますが、こういうものは除外して課税するということにすべきだ、御指摘のとおりだと思いますので、そのような方向で考えておりますし、地元福岡国税局の方とむ緊密に連絡をとりまして、関係者の方々の御納得が得られるような方向で処理いたしたいと考えております。
○中村(重)委員 いまお答えになりましたように、できれば免税にするというくらいの構えで対処してもらいたいということを要請しておきます。
 環境庁にお尋ねいたしますが、被害住民の鑑別調査の結果は、先般の新聞報道によりますと骨の異常者が二名、それからこの二名を含めて肝臓障害を起こしている者が十七名というように伝えられているわけですが、カドミウムとの関係に対する精密検査ということはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、イタイイタイ病との関係はないというような発表がなされたようですが、これは環境庁としてもそのとおりお考えになっていらっしゃるのか、それらの点に対してお聞かせをいただきたいと思います。
○橋本(道)政府委員 お答え申し上げます。
 四十九年度におきまして、県が大学の協力を得まして実施しました健康調査が七百九十八名ございまして、三次検診、これは精密検診でございますが、精密検診にかかった人が四十九名ございます。そのうちカドミウムの中毒の疑いを完全に除外できないという十二名と、そのほか三次検診にかかっている者の中で腎の機能の低下している者五名、合わせて十七名につきまして、二月二十四日にイタイイタイ病とカドミウム中毒の鑑別診断研究班の部会にこのケースが提出されたわけでございます。その結果によりますと、定型的なイタイイタイ病患者はいないということは全部合意をいたしましたが、二例につきましては骨軟化症があるかどうかということをさらに骨の生検を行って検査すべきである、生検と申しますと、骨の一部を取って病理標本を見るということでございますが、そのような見解が鑑別診断研究班で出されております。
 なお、全例につきまして腎障害の存在が認められますが、この点につきましては今月中に四十九年度のカドミウム聖母及びイタイイタイ病の総合研究班の発表会がございますので、その発表会の成果を踏まえて判断をいたしたいというぐあいになっているわけでございます。
○中村(重)委員 いささかも被害者住民の不安が残らないように、十分ひとつ対処してもらいたいと思います。
 最後に中小企業庁にお尋ねをいたしますが、東邦亜鉛が閉山をしたことに伴いまして中小企業の動向をどのように把握しておられるか、それから今後零細な中小企業者に対する特別の措置というものについてどのように進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか。
○小山(実)政府委員 東邦亜鉛の閉山に伴います中小企業の現状については、特別の調査を行なっておりません。もし必要がございましたら早急に調査をいたしまして、その閉山に伴う中小企業について、転業その他福祉資金面でいろいろ助成する必要がございましたらできるだけの措置は講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 東邦亜鉛が閉山をいたしまして一カ年になるわけです。私も中小企業庁が積極的にこの問題に対処したということを伺ってない。しかし、それをそのとおりにお答えになったわけですから、その点を追及しようとは思いませんが、お答えのとおり積極的に零細企業者に――これは非常に困っているわけです。これに対する万全の措置を講じていただきたいということを強く求めておきます。
 それから、東邦亜鉛等の関係とは別でございますが、中小企業庁は中小企業存立の分野調整費を六百万円計上いたしまして、それぞれアンケート調査をやって三月末に公表する予定であるというように伝えられているわけですが、その点はいかがですか。
○小山(実)政府委員 中小企業存立分野調査につきましては、主として協同組合あるいは消費者モニター等に対しましてアンケートを実施いたしまして、現在集計整理中でございますが、これはまとまり次第、一つには中小企業調停審議会にも一応報告をしていろいろ御議論をいただく予定にしております。
○中村(重)委員 当委員会において私どもが、大企業がモラルも何もない、中小企業の分野にどんどん進出をして荒らし回る、したがって中小企業の事業分野というものを確保するという方向で行く必要があるという主張をしたのに対して、歴代の通産大臣から、そのとおりである、既存の現行の法律によってこれができないとするならば何か対索を考えなければならないという答弁がなされているわけです。その答弁の線に沿って中小企業の事業分野というものを確保していくというようなことの必要性を痛感されて、そういう方向で調査を進めているのだというふうに理解をしてもよろしゅうございますか。
○小山(実)政府委員 この存立分野の調査でございますが、これはただいま先生からお話のございましたようなその調査の方向をあらかじめ一定の目的を持って調査をするということではございませんでして、中小企業の存立分野についていかにこれを確保していくかという問題は、中小企業基本法制定以来非常に古くからの問題でございます。現在は小売業につきましては大規模店舗法の運用によります、またその他につきましては中小企業団体法なり環境衛生事業の運営の適正化に関する法律によります特殊契約制度を活用いたしまして、できるだけ紛争のあっせんを行っていくということでやっておるわけでございまして、なおそれ以上に特にどういう措置をとるかということは、その存立分野調査の結果等も待ってまた改めて検討をする、こういうことでございます。
○中村(重)委員 中小企業庁としてはいまのような大企業の横暴というのか、わがままが許されてはならない、やはり中小企業を守っていくために中小企業の分野調整といったような点を考えていかなければならないというようなことも含めて、先ほど私が申し上げましたように六百万円の予算を計上して中小企業の存立の、これは中小企業存立分野調整費であるわけですから、いわゆるこの予算の計上、そして調査といったようなものはやはり中小企業を守っていくために適切な措置を講じなければならない、そういう考え方の上に立っての調査であるということだけは間違いないのでしょうね。
○小山(実)政府委員 中小企業の適正な分野を確保するということはこれは中小企業政策の大きな柱でございます。ただ、それの手段としてどういうことを行うかというのはいろいろな問題があるわけでございますので、これについてその調査等の結果も踏まえて、もし新しい措置をすることがあるとすればそれは検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 これで終わりますが、最近――最近ということよりも一月、二月の中小企業の倒産は小康を保っているようですが、ところが中小企業の倒産ということになってまいりますと、建設業であるとか不動産業であるとかあるいは繊維とかいうようなことで、最近内容が変わってきているようにも感じられるわけですが、それらの点はどのように把握をしておられますか。
○小山(実)政府委員 先生の御指摘のとおり、一月、二月におきましては倒産件数そのものは八百件台ということでやや小康という言い方がいいかどうかわかりませんが、件数としてどんどんふえていくという状況にはないわけでございますが、例年一月、二月というのは季節的にある程度減るという時期でもございまして、現に一月の倒産件数は一月としては戦後初めての数字ということでもございます。
 それから、その内容につきましては、御指摘のように昨年の最初におきましては繊維とか建設あるいはボウリング場とか、いろいろそういう関係のものが中心でございましたが、最近は業種的にも非常に広がってきているということもございますし、それからまたその倒産の理由といたしましても、売れ行きが不振であるというものの比率が非常に高まってきているということでございまして、そういう意味で非常に不況現象が中小企業に広くかつ深く浸透をしているというふうな認識を持っております。
○中村(重)委員 いまお答えになりましたように、八百件台に落ちたということはやはり十二月の資金手当てといったような点あるいは例年ありますように一月、二月の特殊性というようなことから数字が低下をしたということになっているのだろう。しかし、企業というものは特殊なものに限っておったけれども、そうじゃなくて相当広範囲になってきたという点から、より深刻になったということが考えられるわけです。適切な措置を講じるというようなことを強く要求をいたしておきます。
 これで終わります。
○田中(六)委員長代理 上坂昇君。
○上坂委員 問題は二つありますが、第一の問題についてお答えをいただきたいのですが、これは雇用保険法に基づく一時帰休制度の採用によっていまの工場閉鎖、全員解雇が行われている工場の問題ですが、初めに雇用保険法に基づくこの雇用調整給付金の申請あるいは支給手続、そういうものについてどうなっているかお聞きをいたしたいというふうに思います。
 それからもう一つは、通信機器はこの指定業種に入っているかどうか労働省にお伺いをいたします。
○小粥説明員 雇用保険法に基づきます雇用調整給付金の手続としましては、休業の実施前に公共職業安定所に休業実施の計画を届け出ていただく。その際には、労使協定を条件にいたしておりますので、その労使協定を添えて届け出をしていただき、休業を実施した後給付金の申請を安定所に出していただく、こういう手続になっております。
 一月末現在で届け出がございました全国の状況を申し上げますと、届け出をしました事業所は総数で約三千四百事業所、うち大企業約三百、中小企業が約三千百という届け出を受けております。
 それから、二番目の通信機器の関係の事業所が業種指定の対象になっているかどうかというお尋ねでございますが、いわゆる通信機の製造でございますと、これは電気機器関係製造業ということで対象になります。
○上坂委員 この実施後に申請をしてそれからそれの審査があって、そして二分の一ないし三分の二支給をする場合には、その期間というのはどのくらいかかるのですか。
○小粥説明員 雇用調整給付金の支給申請は、休業しまして、それが終わってから一カ月以内に出していただきます。その申請を見て要件に該当するかどうかを安定所が判断した上で支給を決定する、こういう手続になります。
○上坂委員 そこで、具体的な問題でありますが、福島県の須賀川市の前田川というところに電話機のメーカーの福島岩通株式会社というのがあります。これが大手メーカーの岩崎通信機株式会社の子会社になっている。昭和四十五年六月に県の企業誘致で進出をした会社でありまして、資本金が一億円、従業員が二百八十八人おります。四十六年の三月に操業を開始しまして、四十九年の九月に二百四十三名で労働組合が結成をなされたわけであります。
 ところが、この会社で二月の十六日から一カ月間の予定で労使双方が同意をしまして、雇用調整給付金制度による一時帰休を実施しました。そして、須賀川の職業安定所にも届け出を行いました。ところが、二月二十五日に突然、注文減で経営継続ができないからという理由で、退職金プラス一・五カ月の解雇予告手当を支給するという条件つきで一方的に四月一日から全員解雇、工場閉鎖をするということを労働組合の方に通告があったわけです。一方的に通告してきたということがまず問題の第一点であります。
 それからもう一つ、次に、この一時帰休中に同工場のプッシュホン部門の主要設備を運び出してしまった形跡がある。久我山に岩崎通信機の本社があって、そこの倉庫とか、あるいはいろいろ借りているとかであちこちに倉庫があるようでありますが、その中間の倉庫にこれを入れてしまったようであります。運び出したのは十九日から四、五日の間だろうというふうに考えられております。そこで、これに気づいた労働組合とかそれから加盟の上部団体が、この事実を確かめようと思って工場の方に工場を見せてくれと交渉したわけです。そうしたらこれは断られてしまった。問題があるのは、一時帰休はわれわれから見ると機械を運び出すためのごまかしであったんじゃないか、全員解雇が結局目的であったと見るしかない、非常に悪質なやり方であるというふうに思います。そして、この岩崎通信機のプッシュホン、これは電電公社の電話機ですね、電電公社に入るわけです。それで福島岩通と、こう言っておりますが、実は社長の林新二という人は、これは岩崎通信機の本社の方の専務取締役なんです。そのほかに出向社員で重役関係の人が二十三人もいるというふうに言われておりまして、私はこれは明らかに本社の方針に基づいて計画的に行われた全員解雇だというふうに思うのです。これが第二点です。
 雇用調整給付金制度というのは、こうした不況の際に人員整理あるいは工場閉鎖等によるところの失業の増大を防ぐ、雇用を確保する、こういうことを主眼にしているのだというふうに思いますが、こうした福島岩通のようなやり方、あるいは岩崎通信機の本社がとっているこういうやり方、これに対しては大変な問題を含んでいる、こういうように思うのですが、労働省の見解はいかがでしょうか。
○小粥説明員 雇用調整給付金の趣旨は先生お話のとおり失業を防止することにあるわけでございます。したがいまして、給付金の支給の要件としましても、休業の対象になる労働者が解雇を予告されている、予定されているものの場合には、これは対象から除くことにいたしております。したがいまして、先生お話しのように全員解雇の意思表示というものが会社からなされたということになりますと、その時点以降は少なくとも明らかにもう解雇が予定されているもの、こういうことになるわけでございます。それまでの間がどうなるかという問題が一つございますけれども、ただ、いま先生お話しのように何か機械を運び出したというようなこと、私どもまだつぶさに承知いたしておらない面もございますけれども、少なくともそうした面がございまして、たとえば会社としては前々から解雇を予定していたということになりますと、制度の趣旨に反する問題が出てまいるのじゃなかろうかと思っております。
 それからもう一つ、先ほどもお答えいたしましたが、労使協定を前提にすることにしております。その労使協定が結ばれていると同時に、その協定に基づいて休業が行われることが条件になっております。したがいましてもその途中で解雇というような形になってまいりますと、果たしてそれまでの間の休業が労使間の本当の合意に基づいて行われた休業であるのかどうかという問題も、もう一つの問題として上がってこようかと思います。そうした点は、少なくともこの雇用調整給付金制度が失業を防止するという趣旨にございますので、そうした観点に立って、いまお話しのような事案が果たして支給基準に該当するものかどうか、さらに詳細を検討してまいりたいと思います。
○上坂委員 では、もう一つ労働省にお聞きしますが、労使双方が協議をして同意をしている、このことははっきりしているわけですよ。それは須賀川の職安も認めている。ちゃんと届け出が出ているわけです。ところが、解雇の方は、これは全く寝耳に水なんです。全員一時帰休ですから、労働組合も何も開店休業のようなかっこうになっちゃって、全員が帰っている。そこへもってきて四月一日からやるぞと、こういうやり方をしてきたわけですね。
 それで、二月の十六日からですから、結局三月の十五日まで一カ月間ということになると、今度は三月の十六日から三月の三十一日までの期間は一体どうするのかということになると、ここのところはおそらく協定してないと思うんですよ。ですから、その三月の十六日の時点と、それから四月の一日の時点と分かれてくると思うのです。そこら辺が非常にデリケートな問題を含んでいるわけですね。したがって、労働組合の方では、これは全くそういう経過を見ると、いわゆる計画的に運び出す期間をとってやったんじゃないか、労働組合を全くだましたんじゃないか、こういうふうに考えざるを得なくなっちゃうのです。そういうふうなところはどうですか。
○小粥説明員 その休業協定が使用者側の底意として機械を運び出すために行われたものかどうかという疑いの面、いま御指摘があったわけでございます。その点、私どもまだ事実として確認いたしておりませんけれども、少なくとも休業に関する労使の協定というのは、その休業を実施することでもって失業が防げるというところに本旨があるわけでございますから、そうした本旨に外れたような形での行為が行われるとすれば、協定の成立それ自体に作為があるのじゃないかということも一つ疑われる問題として出てまいろうかと思います。
 それからもう一つ、私どもで把握したところでは、二月十六日から三月十五日でございますか、休業実施を協定いたしております。解雇通告というものが出されましたのが二月二十五日というふうに承知いたしておりますが、形式的に申しますと、その通告がなされるまでの二月二十五日まで、これは協定が一応生きているものという読み方もあるいはできようかと思いますが、少なくとも通告がなされた以降は、これは解雇を予定されている従業員と、こういうことになりますから、二月二十六日以降三月十五日までの休業については、雇用調整給付金の適用上はいささか問題が出てまいろうかと思っております。
 それからもう一つ、一方的に解雇の通告がなされたという問題につきましては、これは私ども担当ではございませんけれども、労働基準法上の問題として、あるいは解雇権の乱用等の問題も問題としては出てまいろうかと思いますが、そんなような問題を意識いたしております。
○上坂委員 協定が二十五日以降、結局外れるというような解釈になりますと、給付金の対象にならない、支給の対象にならないということになりますと、これはまたひとつ問題があるわけです。
 それで問題なのは、やはり生産を再開する方向にこれは進めていかないとこの趣旨にも反するし、それからもう一つは、岩崎通信機、プッシュホンは電電公社に納めるものですね。したがって、政府関係機関としてこれにやはり関係がないということは言えないと思うのですよ。そういう意味で、やはり労働省も通産省もこういうところに起こったものについてはある程度責任を持ってもらって指導してもらわなければ困る、こういうふうに私は思っております。
 県も市も本社の方に対しては生産再開をしろということを要請をしているようでありますが、これは労働省としてもそこのところを十分調査をされて、できるだけ一時帰休の給付金が一カ月間なら一カ月間は完全に支給できるように考えていただく、それからもう一つは、通産省としてはこれはもうせひとも再開させて、そしてこうした紛争をなくしていく、こういうかっこうに指導していただきたいというふうに思うわけであります。その点について、労働省並びに通産省の方からひとつお答えをいただきたいと思います。
○小粥説明員 先生御指摘のように休業が予定どおり行われ、その後操業が再開されることが一番望ましいわけでございます。その意味で現地の方でも労働基準監督署それから労政事務所それと公共職業安定所が近くその対策を協議してやっていくことになっております。私の方としてもそうした面についての指導を加えてまいりたいと思います。
○鈴木説明員 お答え申し上げます。
 福島岩通の件につきましては、私どもも詳細はまだ把握いたしていないわけでございますが、通信機全体の不況は最近深刻でございまして、特に福島岩通が生産をいたしておりますプッシュホン及びPBXにつきましては生産が著しく落ち込んでございます。いま先生御指摘ございましたように、ボタン電話につきましては電電公社の需要が約半分でございますが、PBXにつきましては自営用でございまして、民需でございまして、これの生産が最近三〇%程度落ち込んでおるということで、福島岩通もかなり苦境に立っておるということを聞いております。そういう事情で、福島岩通といたしましては、当初帰休によって乗り切るということを計画しておったようですが、最近の情勢を検討した結果、工場の操業を続けることができないということで、先生の御指摘になったような措置に出たというふうに聞いておるわけでございます。
 通産省といたしましては、このような工場閉鎖ということに至らないようにできる限りの措置をとるように要望したいわけでございますが、何分にも通信機の一般民需というのが全体的に落ち込んでいるわけでございまして、なるべく工場を継続していくようなことが可能かどうかさらに検討するように、親会社の方も今後できる限り指導をしていきたいと考えております。
○上坂委員 最後に一つだけ要望しますが、これは四月からになりますと新しい予算が出てきますね。したがって、公社関係でもやはりそういう形になってくるだろうと思うのです。ですから、その辺の見通しの点も含めてこれは十分指導していただきたい。特に本社の方が、大手メーカーの一つである岩崎通信機が計画的なこういうことをやるということは、これはいつも言われているように全く大企業の横暴で、言語道断だと思うのですね。こういう点も含めて、これは本社の方を十分指導監督をしてもらいたいというふうに思います。いまの点、中小企業庁の長官、いかがですか。
○齋藤(太)政府委員 ただいまお話のございました福島岩通の工場閉鎖の件でございますけれども工場閉鎖は最悪の事態でございますので、私どもとしましてはできるだけそういう事態に至らないようにしていただきたいという希望を持っております。もし会社側が金融その他の面で困難ということであれば、私どもといたしましては政府系金融機関等を通じましてできるだけの援助措置を講じたいと思いますので、なるべくその閉鎖に至らないような形で持っていけないものかどうか、電電公社の新年度の予算等も加味しながら担当の原局の方から会社の方によく事情を聞き合わせまして必要な指導を行うようにいたしたいと存じます。
○上坂委員 次に、印刷関係のことについてお伺いしますが、印刷物を中小企業庁あるいは通産省が発注をする場合どういうやり方をしているか、それから契約方法ですね、これはどういうことになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
○川原政府委員 お答えいたします。
 最初に通産省本省のケースでざいますが、契約のやり方でございますけれども一印刷関係の発注契約、これは会計法規の上で三つのやり方があるわけでございます。御承知かと思いますが、一つは一般競争契約、それから第二に指名競争契約、それから第三に随意契約というこの三つのものがございます。それで、このうちの最初の一般競争契約というものでございますけれども、これは会計法上一番原則的な契約方式というふうにはなっておりますけれども、非常に手続も大がかりというふうな点もありまして、おおむね印刷の外注といったようなものにつきましては指名競争契約ないしは随意契約ということで処理されておるものが通産省としては大部分でございます。その割合でございますけれども、これは非常にざっとした数字でございますが、おおむね随意契約が九割ぐらい、それから指名競争契約が一割ぐらい、おおむね九対一ぐらいの比率になっております。それで、その場合の指名競争契約でございますけれども、この場合にはまず指名競争の参加者の資格というものをあらかじめ省内できめておきまして、これに照らしまして、毎年、前年度の二月の末日までに資格審査申請書というものの提出のありました業者について個々に審査をいたします。そうしてその結果、有資格者の名簿を作成する、いわゆる登録業者というふうに呼んでおるものでございますそれをいたしまして、今度年度が始まりますと具体的な契約が起こってくるわけでございますけれども、その際には、いま申し上げました有資格者のうちから各省庁でそれぞれ定めておるわけでございますが、指名基準というのがございます。たとえて申しますと、個々の業者の経歴でございますとか、それから実績でございますとか、それから信用の度合いとかいったようなものを内容といたします基準がございます。その基準によりまして競争に参加せしめるものを指名をいたします。そうして、これらの業者の競争入札によりまして契約の相手方を決定するというやり方をとっておるわけでございます。
 それから、その場合の価格でございますけれども、これは原則として一般競争入札と同じようなやり方であらかじめ予定価格というものを作成する、それを契約額決定の際の基準とするというのが本則でございます。
 それから、先ほど通産省のケースとしましては一番多いと申しました随意契約のやり方でございますけれども、これは特定のものを選定してそのものと契約をするというのが随意契約でございますが、その場合にも、単数、一人のものと直接やるということではございませんで、この場合もなるべく二人以上のものから見積もりを徴する。通産省の本省の場合でございますと、おおむね四人程度以上ということで実際の運用をやっておるわけでございます。
 それからまた、値段につきましても、あらかじめ予定価格を決めまして、それと参照をするということになっております。
 それから、これは法規上のものでは必ずしもございませんけれども、昭和四十四年に大蔵省の通達が出ておりまして、予定価格が百万円以下というものにつきましては、これはもっと簡素化された随意契約の方式をとってもよろしいということがございます。この方法でやっておるものもございます。
 以上のとおりでございます。
○上坂委員 その予定価格ですね、これの積算の根拠はどこに求めているのですか。
○川原政府委員 いま申しましたようにいろいろ契約の方式がございますが、いずれの場合にも予定価格というものをあらかじめ定めておくということが要請されております。
 それで、予定価格の決め方でございますけれども、これは法令の規定もございますが、従来からの取引の実例価格、それから当該物品等、印刷でございますが、それの需給の状況、それから非常にややこしいものであるのかどうか、法令用語で言いますと、履行の難易度ということがございます。それから、発注量が多いか少ないかといったようなこと、それから履行期間の長短、平たく言いますと納期の緩急の度合いでございます。こういったようなものを勘案いたしまして定めていくということにしております。
○上坂委員 そこで、今度は労働省にお伺いしますが、労働省が印刷物を発注をする場合に、単価を示してこれでやれ、言ってみれば強制してやらせる、そういう契約の仕方をしているように私は思うのですが、その点が一つ、どうですか。
 それから、労働省に指示価格というのがあるわけですが、あれは非常に不当に安いわけです。その積算の根拠は一体どこに求めているのか、いま通産省の方で言ったようなところでやっているのかどうか、その辺のところを聞きたいというふうに思います。
○橋爪政府委員 労働省の場合の契約のやり方でございますが、これはいま通産省からお話ございましたのとほとんど同じやり方でやっております。競争入札の場合あるいは随意契約の場合が多いわけでございます。随意契約の場合にも、いま通産省の方からお話がありましたように、なるべく多くの業者から見積もりをとりまして、それで最低価格のところで契約する、こういうようなやり方をとっておりまして、こちらで価格を決めて、それで強制するというようなことはやっておらないわけでございます。ただ、非常に緊急で、多くの業者がそれを受ける能力がないというような場合には勢い少ない業者とやる、こういうことになりまして、その場合に、向こうの見積もり価格が非常に高過ぎる場合にはこちらの方と話し合いをするということは、ケースはございますが、その場合にも強制的にこれでやれというようなことはやっておらないわけでございます。
 それから次に、その予定価格の積算でございますが、これも通産省の方でお話しになったやり方とほとんど同じでございまして、過去の落札時の落札価格あるいはそのときのほかの業者の応募価格、そういうものを中心にいたしまして……
○上坂委員 同じことをしゃべらなくてもいいから、時間がないから。通産省と同じだね。
○橋爪政府委員 大体同じでございます。
○上坂委員 うそついちゃだめですよ。あなたの方で出している資料があるんだから、ここに。二月一日実施とちゃんとあるんだよ。これは業者に渡っている、みんな。それで、業者にこれでやりなさいということを言って、それで随意契約をやって押しつけちゃうんです。それがまた非常に安いんですね。一例を挙げてみますと、端物のタイプ印刷というのがありますね。労働省ではこれは一番多く使う九ポあるいは五号活字ですね。一字当たり、あなた方の試算によると三十五銭から三十銭なんですよ。これは普通タイピストの熟練者というのは一日に七千字から八千字タイプを打つわけです。仮に八千字を打つとしますと、三十五銭では一日に二千八百円にしかならない。二千八百円では二十五日稼働しても七万円にしかならない。しかも、これには営業費が含まれていないわけですね、全く原価。そうなりますと、ここから営業費を引いちゃう。そうすると、大体印刷業では四〇%が賃金といわれているから、結局二万八千円程度にしか一カ月の収入がならない、こういう結果になっちゃうんですよ。これじゃ、労働省が労働者を殺すことになるでしょう。あなた方のやっているのはそういうやり方なんだ。それで、大変労働行政がうまくいっているようなことを言われたんでは、これは大変な問題なんです。これは一例ですよ、挙げたらきりがない、いっぱいあるんだから、こういうのは。オフセットの問題では、四号で五百五十円というのです。これはあなた方持っていますか。これで計算をしていくと二千四百二十円になるんです。全くこれは大変な安さでしょう。四分の一だ。これでは、とても労働者を救っていくような労働行政はやってないし、もちろん中小企業なんかは倒れちゃう。だからこういうふうに言われているんですよ、官公需を三年やるとつぶれちまうと言われているんだ、印刷業界では。これは通産省の方も中小企業庁の方も聞いてくださいよ。三年間官公需を受けると、その業者はつぶれるか、でなければ全然伸びないんです。みんな零細企業なんです。したがって、営業力のあるところは大企業、いわゆる普通の民間企業に行って注文をとってくるわけです。ところが、やっぱり競争がありますから、営業力のないところはそれをとれないわけですよ。そこで、官公需は日の丸で、これは不渡りがないからということで、やむを得ずここへ食いついているというかっこうなんです。それをいいことにして安くやらせているというやり方は、とんでもないやり方だと思う。どうですか。
○橋爪政府委員 私どもの契約のやり方は、原則といたしましていまご説明申し上げたような、複数のものから入札あるいは見積書をとってやるというやり方でやっていることは御説明したとおりでございます。その場合に、その最低価格で決める、こういうやり方でやっているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたような例外的な場合には、ある程度こちらの見積もりといいますか、そういうことを話しまして折衝する、こういう場合があるわけでございますけれども、それは非常に少ないわけでございます。原則としてはあくまでも入札、あるいは随意契約の場合にも複数相当数のものから見積書をとる、こういうやり方でやっているわけでございます。それから、予定価格でございますが、これは先ほど申し上げたように、落札の価格、これを中心にしまして内部的に積算しているわけでございますが、これにつきましても物価の動向等を勘案しまして、随時改定は行っているわけでございます。今後もそういったことで改定はやっていきたい、こういうふうに思っております。
○上坂委員 この問題は参議院でも取り上げられたはずなのです。それについて、急いでこれは改定しなければならぬといって作業しているということを聞いているのですね、それは本当ですか。
○橋爪政府委員 この予定価格の問題は、これは印刷物だけじゃないわけでございまして、ほかにもいろいろな契約の場合の物品があるわけでございます。こういうようなものにつきまして、これまでも実は四十九年度中にも一遍改定は行っているわけでございますが、新年度にもなることでございますので、新年度の単価として従来の落札価格等を洗いまして、それから業者の決算状況等も見まして改定してまいりたいと思っております。
 ただ、先生先ほどお挙げになりましたような資料のとおりになるかといいますと、そうもいけない面がございまして、官庁の発注物は非常に定型的だとかあるいは支払い方法の面で有利だとか、そういうような面もありますので、中心的には落札価格、これを基準にしまして物価なりあるいは人件費の上昇等も考えまして今後改定してまいりたい、こういうふうに存じているわけでございます。
○上坂委員 あなたたちの方から出したこの資料によると、特に軽印刷の場合ですが、製版、印刷、カメラ、製本、エレファックス、こういうふうにずっと細かく出ているのですよ。紙代まで出ている。それが不当に、全く安い。これを見ると、労働省のやり方というのは、どうも労働者を保護する立場に全然立ってない。中小企業をいじめ抜いて、そして何でも安くやらせればいい。それが予算なり財政なりに貢献する、こう思っているのです。だから、労働省は労働者を救う、中小企業を救う立場じゃなくて、むしろ何でも政府にいい顔をしたいというふうにしか見えない。そういうことだと思うのですね。こういうふうなものは、あなた方は予定価格と言うけれども、これは私は指示単価だと思う。単価を示して、そして中小の零細な企業が、どうしてもそこで仕事をしなければならないのだからやむを得ずやる、やらせてしまう、こういうやり方をしていると思うのです。そのことについては、これは十分反省をして、これからはひとつこういうやり方を絶対しないように、そして本当に時価の、いわゆる経済条件にあった、中小企業がひどい目に遭わない、それによって労働者が救われていくというような契約なり発注の方法をとってもらいたいというふうに思います。どうですか。
○橋爪政府委員 予算執行の面では、なるべく合理的にやる、冗費を避ける、こういうこともわれわれの一つの課題でございますが、先生のおっしゃいますように中小企業を過度に圧迫するというようなことは、これはもちろん避けなければならないわけでございます。そういう点を勘案しまして今後もやっていきたい、こういうふうに思っております。
○上坂委員 最後に通産省にも中小企業庁の方にも要望しておきますが、いま言ったような点が各省にあるのじゃないかというふうに思うわけですね。そういう点もやはり十分検討して、官公需をとると三年でつぶれてしまうのだなんということが、そういうことがうわさででも出てこないようなやり方をしてもらう、特にこういう不況の時期でありますから、よけいそういう点については注意をしてもらうようにお願いをいたしたいと思います。
 これで質問を終わります。
○田中(六)委員長代理 板川正吾君。
○板川委員 公取の価格介入という問題と、きのうおととい新聞をにぎわしました中部読売新聞の問題について、若干お伺いをいたしたいと思います。
 きょうは前委員長の告別式があるということで時間の関係もございますから、簡単に質問いたしたいと思います。
 総理府に伺いますが、公取の独禁法改正試案の中の重要な柱であったカルテル値上げ価格の引き下げ命令権が、政府素案の中に消えております。独禁法と公取の権限について、その点で伺いたいのでありますが、政府素案は、公取は価格に介入すべきではないという立場をとっており、引き下げ命令権は、したがって、ない。また、寡占価格の対策についても、結局これは骨抜きになる。素案作成の段階でどういうような議論の結果こういうことになったのか、その間の事情をひとつ説明していただきたい。
○松本(十)政府委員 現行法のカルテル排除措置命令では価格が下がらない実情でありまして、いわゆるカルテルがやり得となっている、こう言われておりますが、こうした現状に対処する一つの方法として、公正取引委員会の試案では、価格の原状回復命令が提案されたものと考えております。しかしながら、価格は生産状況やコストの変化、需給状況等複雑な要因によりまして決まるものでありまして、刻々に動いてまいります経済情勢の変化する中で、価格の原状回復をするということは大変むずかしい。また、公取試案の中にも「事業者の責に帰しえない事由により商品等の原価が著しく上昇している場合には、原状回復を命ずるに当って、これを勘酌することができる。」こうしておりますが、価格を形成します諸種の要因を客観的に算定することは大変むずかしい問題がありますし、需給関係から決まる実勢を無視した価格を決定して、その価格を一定期間維持させようとしましても、その際には生産者側の売り惜しみ、消費者側の買いだめ、こういったことが現象として出てまいりまして、物不足が生じたりして、いわゆる価格メカニズムの機能を損ないまして、諸種の混乱が現実の経済に生じる懸念が多分にある。政府の懇談会の中でも、公正取引委員会がいわゆる価格形成に介入することには問題があるという意見がかなりあったわけでございまして、それらを踏まえながら、われわれとしましては原状回復命令というものについて一応これは素案の中では外しました。しかし、現在のカルテル排除措置が必ずしも十分でないことは事実でありますから、何とかして価格介入の弊害を避けるとともに、カルテル排除措置の徹底をはかるために、懇談会での意見を踏まえまして、素案にあのような形でまとめた次第でございます。
○板川委員 独禁法改正をめぐって経済学者、法律学者からいろいろ提言や論議がありました。法律学者は、これはもう価格引き下げ命令、原状回復命令というのは当然である。違法行為で値上げしたのだから引き下げるのは当然である。ところが経済学者の中には、いま言われたように経済情勢というものは刻々変化しておる、そして価格というのは需給関係によって決まる、だからその需給関係を無視して引き下げしても、それは経済の実態に合わない、こういう議論もあることも承知しております。
 しかし、政府の一部には、独禁法は、これはもう公正自由な競争秩序をつくるというところに主眼があって、公取が独禁法を背景に価格に介入すべきでない、こういう議論があるのでありますが、私は、これは独禁法のどこに価格に介入しては悪いという規定があるのか、実は伺いたいと思っておるわけですが、公正取引委員会はこの点についてどういう考えを持っておりますか、お伺いします。
○熊田政府委員 公取は価格に介入できるかどうかという問題でございますが、価格介入という言葉のとりょうにもよるわけでございますけれども、特に独禁法に価格介入をしてはならないというような条項が明示されておるわけではございませんたとえば不公正な取引方法の一つといたしましてダンピングとかあるいは差別対価というようなものもございます。そういう場合に、違法な行為を排除するために、その価格につきまして問題にしていくということはあるわけでございます。
○板川委員 御承知のように、独禁法二条の七で不公正取引を禁止する規定がございますが、この中では不当な差別対価で供給してはならないということがございます。それからまた、独禁法の二十四条でも「不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」こういうことが一定の組合の行為を規定する項目の中にもありますが、独禁法の中で、公取が独禁法の目的を果たすために価格に一つの見解を持ち、これの排除措置をするということの権限がないという通産省を中心とする一部の考え方は誤りであると私は思います。もちろん価格一般に公正取引委員会が独禁法を背景に介入するということはできない。しかし、独占禁止法の目的を達成するために、違法行為であると思われるときに価格について排除措置をとるということは当然できるはずであります。そういう点から言いますと、違法なカルテルによって値上げをされた価格の引き下げを命ずることは当然私は公取の権限であると、こう思います。
 しかし、実はそうでない意見もあるものですから、逆説的に、逆のことを聞きたいと思うのですが、きのう、おとといと公正取引委員会が中部読売新聞の本社と読売本社と両方を強制調査に入ったという記事がございます。公取がこの中部読売新聞の本社と東京読売本社に立入検査をしたという容疑の内容は一体どういうことなのか、公取から報告願いたい。
○熊田政府委員 昨日、読売新聞社と中部読売新聞社に臨検検査をいたしたことは事実でございます。
 それで、この被疑事実でございますが、これは五百円で新聞を発行するということが不当廉売の疑いがあるということと、それから同じ新聞と見られるものが地域によって異なった定価をつけておる疑い、これは新聞業における特殊指定に違反する疑い、これがあることで臨検をしたわけでございます。
○板川委員 不公正取引の一般指定、告示十一号の中に、御承知のように不当に低い対価をもって経済上の利益を供給してはならない、こういう規定があり、またこの告示に基づいて新聞業に対する特殊指定がある。その特殊指定には、日刊新聞を発行または販売する者は、直接、間接を問わず、地域により異なる定価を付してはならないという規定があることは、承知いたしております。
 それでは、調査の結果、不当廉売ということになる場合、一体不当か不当でないかの基準というのはどういう点にあるのですか。これはさきに、御承知のように公取で不当廉売禁止の告示を出そうとしたときに私ども反対したのでありますが、原価に六%の利潤を加算する、それ以下で売った場合にはこれは不当廉売とみなす、こういうように不当廉売の基準が前に公取から発表されたことがありますが、この不当廉売か否かという基準は、いまでもそういった基準を持っておられるかどうか、伺っておきたい。
○熊田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、不当廉売の基準ということにつきましてはいろいろと検討をいたしておりますけれども、まだはっきりした基準ということで決まっておるものはないわけでございますが、しかしながら従来からの公正取引委員会の考え方は、コストを割っておる場合、これは不当廉売の疑いがある、こういうふうに解しております。
○板川委員 従来はある販売店が、たとえばいろいろなものを売っておる。で、特定なものをおとり販売、不当廉売で売るという場合には、原価を割ったら不当廉売か否かということで原価が中心だったわけです。しかし、前に不当廉売、おとり販売というのを禁止しようといったときには、六%のそれに利潤が含まれるべきだ。新聞の場合というのは、これは商店の販売、品物と違いまして、新聞、単品の商品ですから、原価に六%程度掛けてやるというのがあるいは基準かと思われます。他の方法で、商店のように、ほかの品物を売ってほかで利益を上げるならそれは仕入れ価格でよろしいということになるのかもしれませんが、いずれにしましても不当廉売か否かは、原価である場合と、原価プラス六%程度の利潤というのが含まれるべきだ、こういうふうに考えてよろしいですか。
○熊田政府委員 そういうようなお考えもあるかと思いますが、その問題につきましては、まだ一般的な基準というものも決まっておりませんしもまた今回のこの読売新聞の問題につきましては、これから十分審査が行われるわけでございますので、いまここでどういうふうに措置する、どういうふうに判断するというようなことは申し上げかねるわけであります。
○板川委員 新聞業における特殊指定で、直接間接を問わず、地域により異なる定価を付してはならないという事項がございますが、この地域というのは一体どういう範囲を考えて指定されたんですか。たとえば非常に狭い範囲、ある町である人には千七百円で売り、ある人には千五百円で売ってはいけない、こういう意味で言われておるのか、それとも一般的な相当広範囲なある地方というものを考えておられるのか、この地域に対する見解解釈というのを伺っておきたい。
○熊田政府委員 これはやはりケース・バイ・ケースで判断しなければならないと思いますが、府県の地域を問題にする場合もございますし、またそれよりも広い地方ブロックというようなものを問題にする場合もあると思います。これはその取引の態様によりまして異なってくると思います。
○板川委員 新聞は御承知のように法定再販を許されておりますね。ですから、再販売価格維持契約制度というのが法定で許されておるから全国統一価格であることも可能である。しかし、法定再販だからといってすべて全国一律でなければならないという、こういう強制をすることはないと思いますが、それはどうですか。
○熊田政府委員 これはそのとおりだと思います。
○板川委員 調査の結果、不当廉売なりあるいは不当な対価という不公正取引に該当する、こういうことの場合仁、公取はこれに排除の勧告をされるということになりますか。
○熊田政府委員 まだ、いま審査の段階でございますので、どういうふうに今後進展するか、ここではちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○板川委員 これは仮定の問題ですが、仮に廉売に該当する、不公正な取引方法に該当するということになれば、調査に入ったんですから、当然その結論としてまず第一段階として勧告、審決ということになると思います。そういう事態になった場合に、一体日程的にいつごろそういうことになることが予想されますか。三月二十五日に何か中部読売新聞というのは発刊になるんだ、その前に結論を出してほしいという考えもあるでしょうし、あるいは調査の結果その後になるということもあるだろうが、大体の見通しとしてどんなふうに考えておられますか。
○熊田政府委員 いま審査中でございまして、もちろん審査は急いでおりますけれども、いまいつになるということはちょっと申し上げかねます。
○板川委員 いずれにしましても、不公正取引に該当する、それから不当廉売に当たるということになれば公取は調査をし、勧告を出し、勧告に従わなければ審決を出し、審決に従わなければ九十条による罰則、こういうことになると思いますが、これは法律解決ですからそういうことになるんでしょうかということを伺っておきます。
○熊田政府委員 一般的には不公正な取引方法がはっきりと認定をされますと勧告あるいは審決、それに従わない場合にはさらに訴訟ということにはなるわけでございます。
○板川委員 いずれにしても不当廉売というと、公取は不当でない価格を勧告されますか、不当でないという金額を。調査をした結果、五百円は不当廉売である、だから不当でない価格というのは八百円だとか七百円だとか九百円だとかと、たとえばそういう結論が出た場合にその価格を勧告されますか。
○熊田政府委員 これはその審査の結果によりましてどういうふうになるか、いまはちょっと申し上げかねます。
○板川委員 不当廉売だという結論に達すれば、不当な廉売でない価格というのが公取から打ち出されなければならない、こう思うのであります。
 そこで、私は総理府総務副長官に伺うのですが、御承知のように独占禁止法の目的はいろいろ言われておりますが、消費者の利益を確保するということも大きな柱であることは御承知のとおりであります。ある人は都合よく解釈をしてある面に力を入れ、ある人は別な面に力を入れるということはありますが、御承知のように独禁法の目的は、もって、消費者の利益を確保し、そして経済の民主的な発達を期するものとする、こういうところにありまして、消費者の利益を確保するという独禁法の目的は私は当然だと思います。大きな柱だと思います。
 ところが、カルテルによって違法に値上げされた場合、これは消費者は損害を受けますが、この場合には公取は価格に介入すべきではない、あるいは今度は理屈を別につけて自由な価格、市場のメカニズムを通じて自然におさまるところへおさまるから、それを無理して価格を引き下げれば品物が出ないから、かえって経済はスムーズに動かなくなる、こういうような理屈をつけて、カルテルによって値上げした価格をそのまま野放しにしようというのが政府素案の中にあるわけであります。
 しかし一方、今度は逆に不当廉売だ、安く売った場合ですね、安売りした場合にはこれは不当廉売だ、こういって価格の引き上げを指示することになる、不当廉売はいかぬという規定がありますから。で、消費者の立場からいうと、同じ違法な価格の引き上げ、カルテルによる価格引き上げはそのまま据え置かれる。ところが、今度は安売りしたのは、不当廉売なり差別対価といって引き上げを命ぜられる。これは私は独禁法の運用としてまことに矛盾した運用であろうと思いますね。
    〔田中(六)委員長代理退席、前田(治)委員長代理着席〕
不当廉売が商取引上好ましくない行為だというなら、これを不公正取引として違法な行為としておるわけですから、なぜ違法なカルテルによる値上げ、これを野放しにするのか、あるいは規制を加えないというのは片手落ちじゃないか、こう思いますが、総理府副長官どうお考えですか。
○松本(十)政府委員 板川委員仰せのとおり、独禁法の第一条の目的の中に「以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」まさにおっしゃるとおりでございます。しかし、独占禁止法がときに価格に関する規定を設けている場合がありますが、これらは自由競争の結果定まるであろう価格を尊重する、こういう考え方のもとに立っているとわれわれは理解しております。いわゆる価格の原状回復命令ということになりますと、これはカルテルを破棄した後に市場で決定されるべき価格を公権力によりまして決定しまして、それを維持しようとするもので、独禁法本来の趣からは問題がある、こういうふうに解されるわけであります。しかも、違法カルテル排除措置の後でほっておくわけではございませんで、われわれが素案としていま検討中のものは「違法カルテルの排除措置の徹底を図るため、公正取引委員会が、事業者に対し、違法カルテルに係る価格その他の取引条件等に関するカルテル破棄後にとるべき具体的措置を決定し、届け出、かつ、その実施状況を報告することを命ずることができるよう規定する。」そういう規定を入れまして、その後価格についてもカルテルのやり得にならぬような方向で物事を進めたい、こういうことでございます。
○板川委員 自由競争の結果決まった価格を公権力で引き下げるのは好ましくない、それはそうです。しかし、カルテル価格というのは自由競争で決まった価格じゃないのですよ。業界が協定して統制的な価格をつくるということがカルテル価格なんですよ。だから、自由競争の結果決まった市場価格を、これを公取がカルテル価格だと言って引き下げ命令をする、そんなことは公取だって権限はないし、われわれもそういう主張をしているわけじゃない。しかし、カルテル価格というのは業界の統制価格なんだ、違法な行為なんだ、だからそれを引き下げようというのです。価格は自由競争で自然に決まるから、公権力が介入しなくても需給関係で自然におさまるというならば、じゃ安売りしている方ももしそれがコストを割って安売りしているならその会社は永続するわけにいかない、やがてつぶれてしまうでしょう。また、新聞のようなものは単品の商品ですよ。デパートのようにいろいろな物を売っておれば、たとえばある部門では損をしてもある部門でもうかる、こういうこともあるでしょう。だから、そういう複数の商品を売っておるなら、確かにある物は安くても売れるということもあるが、新聞は単品の商品ですからそうはいかない。だから、これがたとえば五百円で値段をつけて、それが自由な市場価格でコストを割っているならその会社はやがてつぶれる、もたない、そういうことになると思うのですね。だから、市場価格に任せるというなら、両方同じ措置をとるべきじゃないですかね。カルテル価格の方は値下げはできない、安売りの方は独禁法でけしからぬから引き上げろというのは、どうもどう考えても独占禁止法が消費者の立場を利益を確保するという面から言ってもおかしい、こう思いますが、どうですか。
○松本(十)政府委員 たとえ話によくこういうのが出るのですが、ラグビーとかその他スポーツをやっている場合にルール違反があった、レフェリーが笛を吹きます。そうすれば、人数は知れておりますからもとの姿に戻れるのです。ところが、御承知のとおり経済というものはそれに関係している生産者、流通段階、消費者、一億一千万すべてが刻々動いているわけです。ある段階で、後になってからこれは違法カルテルだった、したがってもとに戻せと言われても、全体が動いている中でそれだけを戻せということが、果たしてプライスメカニズムといいましょうか、経済全体の動きの中でうまくおさまるでしょうか、こういう疑問点が出るわけでございまして、そういう意味において観念としては原状回復ということはあるでありましょうが、それは言うべくしてなかなか経済の実態に即さない。無理してやろうとすればその期間売り惜しみ、買いだめが出てまいりまして、かえって経済は混乱する、そういう意味で言っているわけでございまして、不当廉売については公取の方から御説明申し上げましたように、これは不当廉売です、しかし幾らにすればいいとまでは言っていないとわれわれは解釈しております。
○板川委員 じゃ、不当廉売の基準がはっきりしますから、そうしたら少なくともそれ以下で売ることは不公正取引に該当しますからできないということになる。そうして、公取は勧告をし、聞かなければ審決を出し、審決が確定した後これを聞かなければ罰則を適用する、こういうことになっているのですから、公権力が介入して価格を引き上げることにならざるを得ないのですよ。
 時間となりましたから多くを論議できませんけれども、とにかくカルテルの価格は引き下げができないのだ、あるいは無理に引き下げれば売り惜しみ、買い占めが出るからだめだ――売り惜しみ、買い占めを防止するために売り惜しみ、買い占めを取り締まる法律ができているわけですけれども、いずれにしましても消費者の立場から見ると、価格引き下げ命令、カルテルで引き上げたものを引き下げる命令ができないというのは、この不当廉売を禁止するという片方の措置から考えておかしいということだけを一応強調して、きょうは時間がありませんからこれで私の質問を終わります。
○前田(治)委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十三分開議
○田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。米原昶君
○米原委員 先月十八日の本議会において、わが党の野間議員が小企業経営改善資金投資の問題について質問しました。その一番問題点は、実際にこの融資がある面で公平、無差別に行われていない事実があるじゃないかということで、例の神戸の商工会議所ですか、そこで隠されていた文書を取り出しまして、問題を出しましたが、その結果、きょういただいた政府側の資料によりますと、中小企業庁長官から日本商工会議所と全国商工会連合会に通達を出されておることを知ったわけであります。それを見ますと、「本制度が商工会議所、商工会の会員・非会員の別なく、また青色申告者、白色申告者の別なく、小企業者に平等に利用されるよう貴団体所属の商工会議所、商工会及び都道府県商工会連合会を御指導されたい。」こういう文書を出されたようであります。この点、私も非常に結構だと確認いたすわけであります。この趣旨によって実はやっていただきたいということなんですが、ただ問題は、なぜこういうような問題が起こってくるかということを考えますと、やはり根本的に問題が残っているんじゃないかという点があるので聞きたいのです。
 というのは、実はこの問題が問題になりまして、この制度ができる前の昭和四十八年の二月二十七日に、この商工委員会で、やはりわが党の神崎委員が今度できるこの制度について質問した。その中で、これは速記録にはっきり載っておりますが、当時の中曽根通産大臣とそれから荘政府委員からもこの問題で回答がありました。そこで言われていることは、こういう措置の中心がどこにあるかということなんです。中曽根通産大臣ははっきり言っておられますが、つまり「小企業、特に零細企業の皆さま方が、この時期にたくましく経済界を乗り切っていけるように、金融措置を特別にやろう、」金融措置をやるということが主たる目的であって、そしてそのことによって「小規模企業者の経営改善に資そう、」速記録を見ますとこういうような表現なんです。
    〔田中(六)委員長代理退席、前田(治)委員長代理着席〕
そして、いま問題になっておりますたとえば商工会議所との関係の問題あるいは経営指導の問題、これについては荘政府委員から、経営指導とか、それから商工会議所の推薦というのはこれを貸すための条件ではない、要件ではない。資格とか要件ではなくて、これは手続にすぎないのだ、こういう答弁がありました。つまり、あくまでもとにかくいま困っているから、ここにこういう形で小規模経営者、小企業者に金融しよう、無担保、無保証で金融しよう、画期的な制度だとも言っておられますが、そういうことをやろうとするのが主であったが、実は後で出た通達では、経営改善指導、これを効果あらしめるための一つまりこのときの答弁とは目的と手段とが逆になっておるわけなんですよ。資格要件といわれるもの、まるでそれがなかったら貸せないというような実際上の手続になっていて、そこから実際は平等であるべきものが、いろいろな差別が行われるような仕組みが出てきたのじゃないか。最初に私たちが政府から答弁を聞いたのとは、実際に出されたその後の処置が大分違うので、しつこいようですけれども、この点をよく考えていただきたいと考えるわけです。
 今度の通達は、そういう意味では当然なことであるとともに、ぜひやっていただきたいことだったのですが、こういう通達が出された精神からいいますと、そこの出し方にも一考を要する点があるのじゃないか。もともとの通達からいえば経営指導を受けるとか推薦を必要とするとか、こういうことになっているわけです。これがあるために、これが実はいろいろな問題を起こすもとになっているのではないか。先日、野間議員が質問しましたが、これが何か資格とか要件に入るということになると、法律的に何ら根拠がないのじゃないか制度発足のそもそもの趣旨と違うじゃないかという点なんです。この点をもう一度はっきり説明していただきたいのです。
○齋藤(太)政府委員 この小企業経営改善資金融資制度でございますけれども、この制度は、特に小規模の企業が非常に金繰りに困っておるから融資をしよう、こういう趣旨の制度ではないというふうに私どもは了解をいたしております。この制度を考えました当初から、小企業の経営の改善を図るためにこういった融資制度を考えたい、それで、その経営改善の目的を達成しますために、経営指導員によります指導というものをその前提といたしまして、その指導に基づいて、無担保、無保証の資金を融資をして、経営改善の実を上げるというふうなことでございまして、結局経営指導員によります指導と、それに基づく資金とがあわせて二つ一体となりまして、小規模企業の経営改善の実を上げていこう、こういう趣旨の制度であるというふうに了解をいたしております。
○米原委員 そうしますと、私が聞きました、当時の中曽根通産大臣のそのときの答弁をよく研究してみましたが、商工会議所の経営指導ということが、そしてそれを強化して経営改善に資そうということが目的なのではなくて、あくまでも金融的措置を特別にやるということの方が目的だという説明なのです。そして、その結果として、小規模企業者の経営改善にも役立つ、こういう説明の仕方だった。つまり、目的と手段が、当時の大臣が言われたことと実際に行われていることと、ちょうど手段の方が目的になっているわけです。そういうふうになっているのじゃないかと思って、その根本のところがおかしいのであります。最初に言われたのと大分違うのじゃないかという点なのです。
○齋藤(太)政府委員 この小企業経営改善資金融資制度の目的は、先生御指摘のように小企業者の経営改善というところにございます。しかし、そのやり方としまして、どういうふうなやり方をとったら一番その効果を上げるかということをいろいろ検討いたしました結果、経営指導員の指導に基づいて融資をするということが一番この制度の目的を達成するために効果的な手段である。こういうふうに考えまして、いわば経営指導と金融とを二つ一体としてこの制度を構想したわけでございまして、構想の当初からそういうふうな方針でやったように私は伺っております。
○米原委員 小規模企業者の経営改善に資そう、その点ではこれははっきりしているのです。それでそのための経営指導も以前からあるわけですけれども、しかしそれを荘政府委員はそのときに、これは資格要件ではないと言うことも言っておられるわけなのです。だから、実際にいま不況に苦しんでいる中小零細業者にとって必要なのは、果たして指導であろうか。とにかく指導ということになりますと、なかなかいろいろな問題が出てきているのです。指導ではなくて、とにかく金融だ、こういう点、頭を切りかえないと、これは実際にはまずいのじゃないかということなのです五十年度分では二千四百億円も出るわけですねそういう点でも、事態がさらに発展しておるわけで、ここで実際にこれが資格要件になってしまって、その結果として、いろいろなことがそこに――これは明らかに個々の商工会議所が通達とは違った扱いをしているわけですね、それで問題が起こったわけですけれども。金額が前よりふえただけに、これはますます公平、平等にやられることが必要なのです。だから、商工会議所とか商工会による六カ月の経営指導を受けるということ、それから推薦を必要とするというようなこと、こういうようなことが非常に簡単な、ある意味では手続上の問題だということならまだ理解できるのですが、実は手続じゃなくて、実際上は資格要件になってしまっている、この点なのです。実際にはこの資格要件があって、借りたいけれども借りられないという事態も一部では起こってくる、この点をつまり心配しているわけなのです。一種の選別融資と言っても私はいいと思う。特定の団体である商工会議所との関係いかんで融資が差別される、これは国の行う金融的措置としては不当ではないかとまで考えるわけであります。確かに今度の通達で会員、非会員というようなことでは差別しないとはっきり書いていただきました。実際には私はこの委員会でも前にやりましたが、昨年鳥取市に行きまして商工業者と話し合って、そこには商工会議所の事務局長も出ていたわけです。それで、この融資の問題が出ましたが、そこでも、とにかく実際には商工会議所に入ってもらわなければなりません。絶対条件とは言いませんでしたけれども、実際にはそういう措置がとられているのですね。方々であるのです。なぜかと言うと、経営指導が、それが手続じゃなくて資格条件に実際上なっているからです。そうすると、そういう実際上の不平等が起こってくる。もちろん商工会議所の会員になるかならぬかは業者の自由で、別に義務じゃありませんし、そんなことは言えるものじゃない。しかし、実際はそれに通ずるものになってくるわけですね。この点があるために、せっかくこういうものができても非常に偏ったものができてくる。それから、野間委員が指摘しましたような、こういう事態を利用しての政治的な差別、こういう文書もあらわれてくるわけなんです。だから、ここの考え方をきちっとしないと、通達は非常に結構ですけれども、実際はそうなっていかないじゃないかということを私は心配して聞いているわけなんです。この点さらに明確にしてもらいたいのです。
○齋藤(太)政府委員 従来から商工会議所あるいは商工会が経営指導事業を営んでおりましたけれども、こういう面を改善したらどうかということを指導いたしましても、資金面の裏打ちがないと、実際の効果を上げないうらみがあったわけでございます。そういう意味合いにおきまして、この経営指導を金融面から補完する、こういう意味合いもあって、今度の小企業経営改善資金融資制度が生まれまして、経営指導とそれに伴う融資ということで小企業者の経営改善の実が上がるようになったわけでございまして、従来こういう金融面からの裏打ちがなかった時代に比べますと、経営指導が非常に前進をしたというふうに私ども考えるわけでございます。
 こういった特定の団体が指導し、推薦することを前提としての融資というのは非常に制限的でおかしいではないか、こういう御質問でございますけれども、商工会議所は同法によりますとその目的といたしまして、「その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする。」こういうふうにうたわれておりまして、地域におきます総合的な経済指導団体でございます特別の法律に基づく法人でございます。商工会も同様でございまして、したがってその地域についての独占的な経済指導団体でございますと同時に、無差別にその地域におきます商工業について総合的な指導、改善の努力をする、こういうふうなたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、その会議所がその地域の商工業の発展のために経営指導を行い、その推薦によりまして融資を行うということは、きわめて公平な措置ではなかろうかと私どもは考えるわけでございます。
 もし、何か会員でないから差別をしたというふうな事実がございますれば、これは本制度の趣旨にはなはだしくもとるものでございますので、そういう点は改めるように指導したいと思いますし、そういう意味合いにおきまして、野間先生のお話もございまして、御指摘のような通達を重ねて出した次第でございます。
○米原委員 いま長官が話された点は、この前の野間君の質問のときにも言っておられる点なんです。確かに商工会議所は法的にもそういうものだと位置づけられている。だから、商工会議所がそういう経営指導をやるということは当然のことです。ただ、それが一つの資格要件のように扱われると意味が違ってくるんじゃないかということなんですよ。
 それで、商工会議所がいまおっしゃったようなものだといたしますと、たとえばこの制度が発足をする前に、日本商工会議所が実は政府に対して提言しておられるわけです。この提言を見ましてもこんなことが書いてあります。「小零細業者を政治的、経済的、社会的安定勢力として育成する必要がある」、小企業の経営を安定させるという意味の安定勢力ならそれほど問題じゃなくて、私は商工会議所の任務だと思うのです。しかし、小零細業者を政治的な安定勢力にするのが目的だ、こういう形で提言が行われているのですよ。この意図そのものは、これは政府が認められたわけじゃないでしょうし、政府の責任だとは言いませんが、商工八議所は明らかにきわめて政治的にこの問題を提起しているのです。ですから、一般の新聞が、これは民商対策だというふうに書いたのも、実は政府がそうしようとしているのではなくて、商工会議所が、政治的な安定勢力として零細企業層を使うのだと、きわめて政治的なんですよ。ですから、今度通達を出されましたけれども、実際は商工会議議所がそういう意図でやっているので、こういうことが出てくるのもまた当然なんですよ。ですから、そういう政治的に利用されるようなことを政府がやってはならぬ。だから、これを資格要件としないと言われた政府委員のその考え方は、政府として当然だと思う。だから、こんなことですけれども一般の新聞はずいぶん書いているし、最近の新聞でもまた書いております。この資金を政府が大きくふやされた、この問題についても明らかにそういう政治的な意図があったというようなことを方々の新聞が書いていますよ。そういうことになっては困るので、そういう考えがあるからいろいろな問題が起こってくるのでありまして、この点を明確にするように変えてもらう必要があるんじゃないか、こう言っているわけです。どうもいま聞いていますと、商工会議所の基本的な性格、商工会の基本的な性格、これは法律に書いてある、そのとおりなんです。そのことはいいのですけれども、実際の金融の場合にそれが政治的に利用されているのじゃないかという点なんです。それがなければ、問題はないのです。そういう点で繰り返し繰り返しこんなことを聞くわけですけれども、これはやはり明確な態度を示してもらいたいのです。
○齋藤(太)政府委員 この制度ができ上がるまでには非常にいろいろな議論がございまして、各方面、各界で御意見があったと存じます。ただ、でき上がりました制度の趣旨といたしましては、小企業の経営改善の実を上げるということを目的としましてこの経営改善資金制度というものが生まれておりまして、実際の融資に当たりましては、経営指導の実を上げることも目的でございますので、経営指導が前提にはなっておりますけれども、経営指導を受けまして、その融資の必要があると経営指導員が指摘をしまして、その結果推薦があれば融資をするということでございます。それにつきましては、会員であるか会員でないか、あるいはほかの、たとえば青色申告をしておる、しておらないという、こういうことは全く抜きにいたしまして公平に推薦をする、こういうふうに要領はなっておりまして、そういうふうに私ども指導をいたしておるわけでございます。もし、その趣旨を誤解をしたりしておりますような会議所がございますれば、十分指導いたしまして誤解のないようにいたしたいと考えます。
○米原委員 つまり、おっしゃるようならば、さっき言いましたこの制度が決まる前に日本商工会議所が出しておる提言ですね、明らかに、政治的安定勢力として育成するなんという、こういう考え方がありますが、これはそのまま一体承認されるのか。これは明らかに、政治的にこの制度を利用しろということなんですが、そんなことを通産省として認められるのかどうかということなんです。そういうことは認めませんと言うなら、そういうことをはっきり言ってもらいたいのです。
○齋藤(太)政府委員 政府としましては、この制度は政治的に云々ということでやっておるわけではございません。
○米原委員 だから、そこにからんでくるのですよ。政治的な差別をしないということでおっしゃるなら、逆に、こんな提言をして、政治的にこれを安定勢力に育成するんだという、政治的な意図のもとでこういうことを提言したような商工会議所の推薦などということを、しかも資格要件に実際上している。私は、こういうことをする必要はないじゃないかということなんです。つまり御存じのように無担保、無保証で小企業者に金融するこの制度というのは、国でこういうことを始めるより前に、方々の自治体で現実にあるわけです。いわゆる革新自治体と言われておるところはほとんどやっておりますが、自民党の市長さんのところでもやっておるところはもう出ております。そういうところでは、何もこんな商工会議所の推薦なんというめんどうなことをしていないです。それで結構成功しているのです。なぜこんな実際上は政治的差別の行われるような資格要件のようなものをつくり出したのか、不思議でならないのですよ。実際はそんなことをやると逆の結果になりますよ。一面ではこれは非常にいい制度だということをだれも認めながら、実際上差別が行われるというので、また非常に評判が悪くなっているのです。これは実際は民商対策だと思って、意図された人があるかもしれないけれども、逆にだからいまの政府じゃこんなことはできないんだという論拠になるくらい、逆の面も出ているのですよ。このあたりはやはり政治と切り離して、そうして本当の意味で純粋にいま困っている小企業者に金融する、もっとスムーズにできるような制度にすべきである、こう思うわけなんです。それで私、繰り返し言っているのです。ですから、野間君がこの前指摘した問題というのは、そういう中で起こった、たまたま表面に出てきた一端でして、実際は各地に行って聞いてみても、実際上の差別が行われている事例は幾らでもあるのです。私たち、これを本当にそういう点を調べる仕事をやろうと思ったら、全国で幾らでも例を引っ張り出してきて、今度出された通達とは全く違うことをやっているというのは幾らでも出てきますよ。無理があるのじゃないか。こういう点なんですが、繰り返しお答えいただきたいのです。
○齋藤(太)政府委員 国民金融公庫が現在いろいろな融資を行っておりますが、通常の普通金利で貸しておりますものにつきましては、たとえばある機関の証明とか指導を必要とするといったような条件はついておりません。ところが、ある特定の目的を持ちました、たとえば安全関係の融資と申しますか、消防法等が改正になりまして、そのためにいろいろ安全関係の施設をつくらなければならない、そのために特別に安い金利で、ある条件を限りまして、国民公庫が金融をする、そういう制度がございます。これに似た制度はたくさんございますが、その場合に消防庁の証明を必要とするというような条件をつけておるわけであります。
 こういうふうに、特別金利で特定の目的を達成しますために融資をする場合に、それに見合った適当な機関の証明等を付すことを条件として特別金利による融資を行うという仕組みはたくさんあるわけでございまして、この制度もそれに類すると申しますか、通常の金利よりも相当安く、七・二%の安い金利で出しまして、小企業の経営改善ということを目的に融資をいたしておるわけでございますけれども、特にこの特利にいたしまして経営改善のために出すという制度の効果を上げますために、経営指導員による指導が前提にございまして、欠陥と申しますか、どこをどう経営改善したらいいかということを指導員が指摘をいたしまして、それに応じてこの融資を特別金利で行うということがこの制度の経営改善という目的を達するに最も効果的なやり方であろう、こういうふうに考えまして、私ども、会議所なり商工会が実施いたしております経営指導とこの融資を二位一体として、制度の仕組みとして結びつけたわけでございます。
 商工会議所あるいは商工会は、そういった推薦母体としては不適格ではないかというのがあるいは御質問の御趣旨かもしれませんが、これは先ほど来お答え申し上げておりますように、この二つの機関は法律に基づきました特別法人でございまして、その地区の総合的な経済指導団体でございまして、こういった経営指導を現に法律に基づいて行っておりますので、こういった前提とする組織としては、きわめて適切なものであろうというふうに考える次第でございます。
○米原委員 いま長官が答えられたのは、この前、野間君の質問に対して同じことを言っておられるわけです。いま挙げられた例も全く同じですが、根本はそこじゃないのですよ。つまり、最初に戻りますが、中曽根通産大臣が最初に答えたように、金融するというのが第一であって、その結果として、つまり目的がちょっと違うのです。最初におっしゃったのと違うから私は繰り返し聞いているのです。金融ということになると、そんなに何か特別に実質上の審査権を商工会議所に与えるなんということをしなくてもいいのじやないか。窓口になる程度ならいいですけれども、実際上の審査権を与えているようなものなんです。だからこそ繰り返し聞くわけなんです。本来国民の金融機関である国民金融公庫、これが実際上審査権を持てばいいんだ。その公庫法の第一条は「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、事業資金の供給を行う」、実際のこの金融の仕事からしましても、この国民金融公庫はまさに一番適当する機関だと思うのです。そして、ここを通じて無担保、無保証人という画期的な融資制度である小企業経営改善資金を出していくということにすればいいので、肝心のこの経営資金の審査権を国民金融公庫から取り上げるというのは、私どうも納得できないのです。商工会議所法、公庫法のたてまえからしても何か不自然ではないか。法的根拠に乏しいじゃないか。商工会議所の任務は、商工会議所法にちゃんと書いてあります。しかし、そこにはこういう審査権を持つべきだというようなことは一つも書いてあるわけじゃないのです。金融ということになれば、むしろまさにこれに該当するのは、国民金融公庫法にそういう金融をやるところだとはっきり書いてある。だから、ここに審査権を与えるという形が一番いいのじゃないか、こう思うわけなんです。
○齋藤(太)政府委員 この制度は、小企業の経営改善を達成することを目的とした金融でございます。それで、もちろん国民金融公庫は、商工会議所なり商工会の推薦がありましたものに全く無審査で融資をするわけではございませんで、さらに金融機関としての、融資をした場合の返済の可能性等々の審査もやることになっておりまして、経営改善に資するかどうかという点につきましては、商工会議所なり商工会の推薦を判断の前提とすると申しますか、この判断をよりどころといたしまして、後、金融面としての問題がないかどうかを審査した上で融資を決定する、こういうふうな仕組みにいたしておるわけでございまして、経営指導に基づきます商工会議所あるいは商工会の推薦を融資の前提とすることについては、別に法律的には問題点はないのじゃないかというふうに考えております。
○米原委員 同じことを繰り返し答弁されるだけなので、私が聞いていることと大分違う。
 別の面から聞きます。
 経営指導ということですが、商工会議所等に配置されている経営指導員です。四十七年度で全国の従業員二十人以下の事業所は四百五十万あったそうですか、これに対して四十八年度の指導件数は三百八十八万であって、一カ年間の平均指導件数が二、三回ということでありますから、半数以上の中小零細企業には指導員の手が及んでないというのが実態だと思うのです。そういう状態の中では、経営改善の指導を受けたくても受けられないじゃないか。そのような指導が六カ月も続いたかどうかによって推薦を決定するなどというのは、これ自体が差別になるのじゃないか。指導員が実際に不足している中で、六カ月の経営指導員の指導ということになりますと、実態にもそぐわないじゃないか、こういう点なんです。これをどう考えられますか。
○齋藤(太)政府委員 確かに御指摘のように経営指導員は数がまだ十分であるとは私どもも考えておりません。そのために、四十九年度におきましても千名の増員を図りましたし、さらに五十年度におきましても千名の増員を予定をいたしておりまして、逐次経営指導員の数も充実をしてまいりますので、従来やや不十分の感がございました経営指導もこれから逐次充実を見ていくものというふうに期待をいたしておる次第でございます。
○米原委員 指導員を増加されることは私も承知しております。そういうふうになることは、それ自体結構なことですけれども、実情はまだそれでもとても追いつかないのじゃないかと思うのです。東京都を調べてみますと、小企業が四十万ありますが、ここに配置されているいままでの経営指導員は、四十九年度で二百九十三人、一指導員当たり二千軒以上も受け持つことになる。この負担はほとんど不可能です。半数以上の企業が経営指導を受けないでいるのが現実であります。全国でたった六千人というようないままでのお粗末な現状で、その指導があったかなかったか、六カ月続いたかどうかによって融資を決めるなどというのは、実際問題としては不可能なことをおっしゃっているのじゃないか、これでは借りたくても借りられないということになるのじゃないか、こう考えるわけです。だから、こういうめんどうなごとは不必要なんじゃないか。いま不況で、それだけにこの金融問題に対しては非常に小企業者は関心を持っている。金額をふやされる、それもみんな結構です。しかし、手続は依然としていまおっしゃったような実際上の資格要件になっているのです。だから、私は、そうでないやり方ですでに自治体でやっているのだからということを申したのです。たとえば東京都では、御存じのように無担保、無保証人の融資制度を設けております。四十八年度で五千二百件、五十三億一千九百八十万円、四十九年度は八月末現在で三千五百十件、四十一億八千五百九十七万円の融資を行っております。限度額も設備資金、運転資金合わせて二百五十万円まで借りられる。利息も七%です。貸付期間も運転資金で三年六カ月、設備資金で五年六カ月になっております。こういうのを見ますと、政府ではもっと力を持っておられるはずなのに、実際にやっていることが、政府の小企業経営改善資金よりもはるかにそういう自治体でやっている方がすぐれているし、小企業者の要求にぴたっと合っているのですよ。何もこれは、本当を言うと、保守とか革新とかいう問題じゃないのです。やろうと思えば結構自民党の政府でできるし、やっていいことなんです。ですから、そこをひとつ乗り越えていく方法を考えたらどうか。実際はこういう制度がない自治体とある自治体とで非常に違ってきているわけです。この政府の小企業改善融資制度を、商工会議所や商工会などと関係なく簡単に借りられるようにすることが私は必要だと思う。そういう制度に切りかえることはどうしてもできないのか、できないわけはどこにあるのかということを聞きたいと思う。
○齋藤(太)政府委員 一般的な中小企業の融資制度は、御承知のように政府系の三機関もございますし、信用保証の制度もございます。特に無担保融資としましては国民金融公庫は三百万まで、そういった経営指導員の指導云々とは関係なしに広く門戸を開放いたしまして融資を行っております。また、信用保険の面におきまして信用保証協会で百五十万円までは無担保、無保証でいつでも保証をいたします。さらに、もう五百万円までは無担保で保証をいたします。こういう制度が一般的には中小企業者向けにすでにあるわけであります。
 今回つくりました小企業の経営改善資金制度は、特にこの経営指導をしまして、こういうところを改善する必要があるんじゃないかということを経営指導員が指摘をしました場合に、それに応じて金融面の裏打ちをいたしまして小企業の経営改善の実を上げていこう、こういう趣旨の制度でございまして、いわば商工会議所なり商工会が行います経営指導とこの融資とが二位一体となりまして小企業の経営改善の効果を上げよう、こういう趣旨のものでございますので、この経営指導を前提とすということを切り離すことは、この制度の趣旨からいきましても妥協ではないのではないかというふうに考えるわけでございます。
 先生御指摘の、都市部において指導員が不足で指導が受けられない向きがあるのではないかという点は、お説のとおりでありまして、都市部の方が総体的に小企業者の数が多い割りに指導員の配置がまだ薄くなっておりますので、四十九年度におきましても千名の増員のうちの七百名を都市部に回しまして三百名を商工会地区に配置する、こういうことで最近の増員は主として都市部中心に増員をいたしておりますので、その点もおいおい改善を見ていくものと考えておる次第でございます。
○米原委員 繰り返しになりますからもう繰り返しませんが、いずれにしましても最初にこの問題がこの委員会で問題になった、さっき申しました四十八年二月の商工委員会における中曽根通産大臣の答弁とは相当ずれておる。ですから、中小企業庁から出されているこの小企業経営改善資金融資制度要綱、実はこれが当時の大臣の最初の答弁とは大分違うのではないか。いろいろ申されますけれども、実はいま言いましたいろいろな自治体でやっているようなやり方、それを零細業者は一番望んでいるのですよ。そういうことが、いろいろな要件をつけてできないようにされているのですよ。私はその点非常に遺憾に思うのです。実際に私、この商工会議所の方にもさっき会いました。会いまして聞いたのでは、相当厳重にやっておられますね。六カ月以前から経営指導を受けている者を経営指導員の個別カードにずっと書き入れてあって、それで判定するとか、それから年に五回、会計検査院、通産省、県、監査委員などが会議所のいろいろな点検をやりまして、厳密に指導歴六ヵ月かどうか点検する。こういうようなことまで実際の指導は非常に厳しくやっておる。ですから、実際には非常に借りられないような状態がつくり出されているのですよ。ですから、その点をどうしても根本的に変えられないといけないのではないか、零細業者の要望には沿わないものではないかということなんです。これは幾ら金額をふやされて指導員をふやされてもその点、全然零細業者の気持ちというものがつかめていませんよ。このことを繰り返し申しておきます。
 もう一つ、次に、民間金融機関の中小企業金融の問題です。民間金融機関による中小企業救済特別融資制度、これについて聞きたいのでありますが、この趣旨はどういうものかということをまず説明していただきたいのです。
○齋藤(太)政府委員 昨年からの総需要抑制、金融引き締めによりまして中小企業が資金面で非常に苦しくなっておりますので、一面では政府系の三中小企業金融機関を動員をいたしまして中小企業の資金繰りに困難を来さないように努力をいたしておるところでございますが、同時に民間の金融機関につきましても、私どもとしましては特別にお願いをいたしまして、不況色の強い、具体的に言えば生産が相当落ち込んでおる業種を選定をいたしまして、こういう業種につきましては通常の銀行が貸しております金利よりも安く政府系の金融機関と同じ金利で融資をする、こういう目的で始めた制度でございまして、中小企業救済特別融資制度と呼んでおりまして、都市銀行、地方銀行、それから信託銀行がその融資をする金融機関の対象になっております。
○米原委員 現に二月十四日の閣議でそういうことが決定されておって、三十六の不況業種まで指定されておることも政府の資料で知っておりますが、これは民間金融機関にただ任せるというだけでなく、また民間金融機関の中小企業金融をただちょっと手伝うという程度でなくて、この際政府が責任を持ってもっと積極的に中小零細企業がスムーズに金が借りられるような措置、もっと積極的に政府が乗り出す必要があるのではないか、こう思うのです。この点、どうでしょう。
○齋藤(太)政府委員 中小企業の金融確保のためには、当面はまず政府系の金融機関を動員いたしておりまして、そのために四十九年度二兆円の融資枠を予定いたしておりましたけれども、昨年の十一月に七千億の追加をいたし、さらにきょう閣議で五百億の追加を決定いたしました。
 それともう一つは信用保証制度でございますがこれも四十九年度に入りましてからは、四十八年度対比で十六〇%ぐらい、約六割ぐらい保証額が伸びております。特に四十九年度からは不況業種の指定制度というものを設けておりまして、昨年中に二十九業種を指定いたしましたが、さらにこの二月の上旬に追加をいたしまして、現在四十七業種がその不況業種の指定業種となっておりまして、これは細かく数えますと、製造業の約三四・五%、全産業の二割ぐらいに当たる業種が不況業種に現在指定を見ております。この不況業種に指定をいたしますと、信用保証の面で倍額まで信用保証が受けられる、こういうふうな仕組みになっておりまして、こういった政府系金融機関並びに民間金融機関の融資の促進策としてのいわゆる信用保証制度の拡充、こういうことと、この民間救済特別融資制度、こういう制度をあわせ用いまして、中小企業のいまの資金不足を補ってまいっておるわけでございます。
○米原委員 私の聞きたいのは、この民間金融機関による中小企業救済特別融資制度の実際の問題ですが、たとえばネオン業界が指定されたときなども、実際問題として貸してくれなかった、こういう業者はかなりいたということを私たちが調べたのでも知っております。不況業種というのはそもそも非常にリスクの多い業種なんですから、そこに後ろ向きの融資をするのだから、焦げついた場合の債務負担行為、こういうものについて政府がどういう責任をとるかなどの措置がないと、末端の零細業者の手の届かないものになる恐れが十分あるのではないか。今度の問題では、政府も不況業種の認定証を発行するというようなこともやられるわけで、一枚かんでおられるわけですから、こういう制度ができている以上、もっと零細業者が公平に金融が受けられるような万全の手を打つべきではないか。つまり銀行との取引の弱い、預金も余りない、そういう弱小業者が排除されないようにする必要があるのじゃないか。実際には官報で言われている銀行との取引、これは一体どの程度のものを指すことになっているのかということであります。
○齋藤(太)政府委員 民間金融機関によります中小企業救済融資制度は、特に銀行にお願いをしまして、普通よりも安い金利で貸し出してもらっております。その関係で、対象の限定につきましても、単に業種を指定するという程度でございませんで、申請を全部一遍関係省庁に集めまして、関係省庁で一件一件チェックをいたしまして、融資条件、つまり生産が何割落ちておるとかいろいろ条件がございますが、それに該当するかどうか、個別の企業までチェックをして、最後にそれを銀行の方に通知をしておる、こういうふうにいたしておるわけでございます。
 いままでのところ、この制度に乗っけまして融資が受けられなかったというケースはほとんど聞いておりませんが、ただ銀行取引が全くなかった、これから新規にこの制度に乗っかって特別の金利による融資を受けたい、こういう向きは、ちょっと実際には融資がむずかしかったというケースがございます。大体申請をお出しいただきますときに、融資希望銀行を書いてもらうわけでございますけれども、これは大体取引銀行を書いていただく、こういう趣旨にいたしておりまして、全く取引のない銀行から、この制度に乗っかって初めて特利で融資を受けるというのは、民間の銀行の融資であるこの制度の趣旨から考えましても、実際面ではやや無理な面があろうかと存じます。
○米原委員 そこですが、私もこれは知っております。ここに銀行の名前も出ておりますが、実際上はこういう銀行と取引がないとだめだ、これでは実際は大銀行と取引がない業者はこの制度の恩恵は全然受けられない。大銀行との取引がない零細業者は、もともとから排除されてしまっているのです。こういう形で、新たに不況業種も拡大されましたし、いまおっしゃったように中小業者は一般的に言いますと、この制度には一定の期待を持っておるわけです。ですから、この融資がもっとスムーズにできるような措置、これをぜひとってもらいたい、こういうことを述べまして、私の質問を終わります。
○齋藤(太)政府委員 取引があるかないかという点でございますが、取引と申しますのは、過去に貸し出しの実績があったというふうに狭くは考えておりません。預金があれば取引があったというふうに考えまして、貸し出してもらうように指導いたしておりますが、全く取引がなかった場合には、政府系金融機関の方で、そういう御希望があった場合めんどうを見る、そういうふうに現実には私ども手配はいたしております。
 なお、この制度につきましては、まだ枠も残しておりますので、さらにこの業種の追加等によりまして融資を拡充してまいりたいというふうに考えております。
○前田(治)委員長代理 次に、質問通告順によりまして、松尾信人君を指名いたします。
○松尾委員 きょうば時間の許す限り、まず対馬の厳原町における鉱害の問題、次には中小企業関連の種々の問題を伺うのでありますが、対馬の方はまだ立地公害局長がお見えになっていないということでありますので、こちらも順番を変えまして、繊維の方から、いらっしゃる方からやっていきましょう。
 非常に繊維がたくさんの問題を抱えておりますね。先般も不況カルテルの問題がありました。二カ月間の期間が終わって、さらに一カ月の延長が公取の方でも認められたようであります。いろいろ問題があって、このように不況になった、さあ不況カルテルだというようなことを繰り返しておるわけでありますけれども、これには構造上の問題がありまして、これはしっかり対処してもらわなければ、いつもそのようなことを繰り返し繰り返しやっている。きょうはそういう問題から入っていきたいのですけれども、時間がありませんので、端的に、いま繊維の輸入の問題がいろいろ取り上げられておりますが、そこに一応は問題を限定いたしましてお尋ねしていくわけでありますが、わが国繊維産業の海外進出の現状、特に問題であります香港、台湾韓国、きょうはこの三国にしぼりますが、大体どのくらいの企業がどのくらい出ておるというようなことをまずお答え願いたい。
○野口政府委員 御質問にお答え申し上げます。
 繊維産業の関係で海外へ進出している企業の件数と金額を、一応御参考までにまず全世界と申しますか、近隣諸国に限らずに申し上げたいわけでございます。
 一番新しい数字、私ども把握いたしておりますのは昨年の十二月末の数字でございますが、全世界に対しまして、件数といたしましては四百五十六件、投資の許可金額にいたしまして六億三千百万、ドル、これは累計でございます。
 この中で、いま御質問の近隣の三国、すなわち韓国、台湾、香港はどうかという御質問でございますが、まずこの三国の計を申し上げますと、件数で百九十件、全体のパーセントで申しますと四二%、それから金額の方で申しまして一億八千万ドル、パーセントで申しまして二九%、約三割ということになっております。
 この内訳でございますけれども、うち韓国が九十一件、全体の二〇%、金額で申しまして一億三千五百万ドル、二一%。次は台湾でございまして六十五件、一四%、金額の方が二千三百万ドル、四%。香港が三十四件、八%、金額で二千二百万ドル、以上のようになっております。
○松尾委員 以上の中で、そのようにして日本の企業が進出した、そして日本に逆輸入される、そしていろいろ日本の繊維産業に問題を起こしている、この関係ははっきりなりますか。
○野口政府委員 実は先生の御諮問をいただきまして、いろいろ数字等当たったわけでございますけれども、厳密な意味で逆輸入がどのくらいあるかというようなことを実は調べた資料はございません。これはわれわれ通産省だけじゃなくて、関係のところを当たりましても多分そうではないか、こう思われるわけでございます。
 ただ、幾つかの指標をとらえまして推計をするよりいたし方ないわけでございますが、通産省の方で毎年海外に進出いたしました企業の調査をしております。その一番新しい資料というのは四十九年度版でございますけれども、その四十九年度版に上がっておりますのが四十七年の数字でございます。したがいまして、いまからいいますと、もう二、三年前の状況ということになるわけでございますが、そういう資料等を参考にいたしまして推計をいたしますと、実はそれほど高くないのではないかというふうに思われるわけでございます。たかだか恐らく四、五%あるいは五、六%ぐらいではないだろうか、こんなふうに推計しておるわけでございます。いまの数字は、たとえば韓国なら韓国から日本に入っております輸入額に対しまして、日本から進出した企業が生産したものの輸入されている割合でございます。
○松尾委員 問題は、いま日本の繊維産業はどこと競争しているのかという問題でありますけれども、そのようにして逆輸入の数字は推定以外にわからぬということでありますけれども、現実にはいろいろのものが逆輸入されて、そして日本の繊維産業というものは、日本の企業が海外に進出した、その企業の製品が日本に逆輸入されて、それとの競争もしておる。ですから、純然たる外国製品と日本の企業との競合関係でなくて、もともとは同じ根の、もとの日本の企業対日本の企業、それが片や逆輸入という形をとって日本の繊維産業と競い合っている。そして、ある点においては、すでに日本にそのように逆輸入されるような繊維産業の分につきましては、日本のプロパーの企業の競争力というものが大体負けるんじゃないか、このような傾向があると思うのですけれども、いかがですか。
○野口政府委員 先生御存じのように、繊維産業は、いろいろ物によりまして違いますけれども、大ざっぱに言いまして昔から労働集約的産業というふうに言われております。すなわち、コストの
 中において占める賃金の割合が高いということでございますので、雇用者の賃金水準というものは、確かにコストに与える影響というのは非常に大きいわけでございますが、ただいまのところ、日本の賃金水準と近隣諸国の賃金水準を比べますると、これはいろいろ比較のしょうがございますけれども、三分の一とかあるいは五分の一とかということが言われているわけでございます。でございますので、特に労働集約的な単純な、加工度の低いものにつきましては、先生御指摘のように、日本の繊維産業がこれと競争していくのにはなかなか並み並みならぬ努力を要するのではないかというふうに考えております。
○松尾委員 そのとおりと思います。それで、結局は、すべての輸入の問題でありますけれども、正確な政府の統計ができること、逆輸入につきましても推計でありますけれども、これがやはりきちんとできるというのが望ましいですね。そのようにやりませんと、いろいろ繊維対策もとりにくくなっていくんじゃなかろうかと思うのであります。でありますから、この繊維の輸入対策の問題ですけれども、いろいろの対策があると思いますが、基本的にはどのようにして――日本にはいろいろ外国からそのようなものが来る、日本の企業の分も来る、純然たる外国産のものも来る、そういうものをひっくるめてどのような輸入対策というものを考えていったらいいのか、この点についてまず局長の考えを聞いておきたいと思います。
○野口政府委員 繊維産業というものは、日本の産業の発展過程を見ましても、早期に芽生え、早期に発展をして、現在では世界有数の繊維産業を持つようになったわけでございますが、そういう歴史の過程から見ましてもわかりますように、後進諸国がその工業化を図る際に、繊維産業に力を置いてこれが育成を図るということは、理の当然かと思われるわけでございます。したがいまして、そういう状況を踏んまえながら日本の繊維産業が今後生きていく道というものは、たとえば先ほど申しましたような労働力のかたまりみたいなものではなくて、さらにいわゆる知識集約化と申しますか、高度のニーズに即応した高度の物をつくるとか、そういう後進国の製品と直接的に競合しないような物、しかも消費者の多様化あるいは高度化していくニーズにぴったり合うような物、これをつくっていくことが基本的には大事なことではなかろうかというふうに考えているわけでございます。昨年の繊維の構造改善の仕事もようやく緒について、新たにスタートしたわけでございますが、知識集約的な高度の繊維製品をつくっていこうという線で、基本的にはいろいろ支援措置等を含めまして、現在その仕事を進めているわけでございます。
 しかしながら、短期的に当面のことを見ますと、一昨年からの異常な時期、昨年からことしの不況という状況から、繊維製品の輸入が現在の繊維産業の市況に与えている影響というものは無視できないものがあろうかと思うわけであります。したがいまして、将来の構造改善を進めていく上におきましても、輸入が野放しのままであっていいかどうかということになりますと、それでいいということは言えないと思うわけであります。そこで、私どもの方は、輸入ということが国際協調の上から重要なことであるという認識を踏んまえまして秩序ある輸入ということを推進しておるわけでございますし、業界もその線で指導してきておるわけでございます。
 そこで、具体的にはまず輸入の実態がどうなっているか、行政指導を進める上におきましても現状の把握ということが何より大事でございますので、昨年来通関統計、インボイス統計の整備はもちろんのこと、さらに先行指標をつかまえるという意味におきまして輸入成約統計の調査も始めたわけでございます。そういうような現状を示すいろいろなデータをつかまえまして、輸入状況のウオッチをする、それでその状況に従いながら秩序ある輸入が行われるように指導をやる、しかもそれを一般的じゃなくきめ細かくやっていくということで、具体的には昨年来商社あるいは輸入業者を、団体を通じましてあるいは個別に呼びまして、現在の繊維産業の状況等を話して、輸入につきまして自粛方、自制方を要望しておるわけでございます。
 それから同時に、こういう日本の繊維産業の現状を諸外国、特に近隣諸国に知ってもらいまして、秩序ある輸出の方でございますけれども、この面においても協力をしてもらうということで、近隣諸国とは公式、非公式のルートを通じまして話をしているわけでございます。
○松尾委員 基本的には輸入対策と言うけれども、日本の繊維産業の体質改善ですね、知識集約化へ向かってこれに取り組む、これが基本であるということは私もそのとおりだと思います。構造改善にも着手したとおっしゃるけれども、それがどのくらい進んでおるのか、これは非常におくれておるのではないか、もともとおくれておったわけですからね。それにやっと先般取り組まれたわけでありますけれども、取り組んでも、やっといま取り組んでいるというところでありまして、成果が上がったという段階じゃないんじゃないかというような感じもいたします。基本的にはあなたのおっしゃるとおりであります。私がいま疑問等を述べましたが、構造改善とおっしゃるけれども、集約化の方向、それから繊維にも上中下という流れがありますが、下流におけるいろいろの問題、そういうものを立ててやるのではなくて、総括的にやるというのがこの前の構造改善の基本線でありました。そういうものがどのように具体化されておるのか、どのように改善の方向に向かっておるのか、構造改善というよりも構造改革ですね。そういう問題を私はきょうは提起しておくにとどめます。
 輸入に戻りますけれども、基本的にはそのような知識集約化の方向、競合しない方向と言いますが、これはやはり一朝一夕にはできません。そうしますと、現実には品物は海外から入ってくるわけでありますから、物によってはやはり輸入規制ということを考えなくてはいかぬのじゃないか。特に物によるということは、先般議員立法で伝統工芸産業の助成法もできました。いま韓国産のつむぎで大島つむぎが大きな打撃を受けて、いろいろ問題が起こり、そして輸入阻止のような運動が活発になっておるということは、もうあなたも御承知のとおりであります。和装産業と申しますか、日本人だけが使用する繊維製品、それがいつの間にか韓国等へ技術が流れて、そこで品物ができて日本に逆輸入されてきている。それが鹿児島県、特に奄美大島で重大な問題になっておる。こういう問題につきましてきょう問題を限りますから、和装産業、日本人だけが着用するそのような物については、輸入規制の方向について何か考えがありますか。
○野口政府委員 ただいま御指摘のありました本場大島つむぎのことにつきましては、私どもも心を痛めている問題でございます。特に奄美大島が本土を隔たる二、三百キロぐらいのところにあります島であるということ等を考えますと、地域経済に与える影響は非常に大きい。聞くところによりますと、あの島の産業は七、八割ぐらいまでは大島つむぎに依存しているというふうに聞いていることでもございますし、私ども非常に重大な問題というふうに受けとめております。したがいまして、この本場大島つむぎ産業が安定をし、そしてその力に応じて伸びていけるように、私ども実はいろいろ配慮をしているわけでございます。輸入の規制の問題もそういう一環としてつかまえているわけでございます。
 まず、長期的な話の方を申し上げますと、いま先生が御指摘になりましたように、伝統的工芸品産業振興法という法律を昨年つくっていただきましたものですから、実は第一号に指定をいたしたわけでございます。それで、これは指定されますと、現地の業者の方々の団体を中心といたしまして、県等の援助を受けまして振興計画をつくることになっております。これは通産大臣の承認を受けますれば、それに伴っていろいろの助成措置があるということで、官民協力して長期的な振興を図っていくということになっておりますが、当面の問題につきましては、実は二つ問題がございます。
 一つは、本場大島つむぎ類似品が本場大島つむぎということで入ってきておるわけでございます。特に商標とか売り方等いかにも紛らわしいような場合が幾つかございます。やはり本場物をつくっております方々の不満もここに一つあるわけでございますので、これは表示を厳格に行うことによりまして、本場大島つむぎと韓国産の大島つむぎが紛らわしくないようにしよう、それから売り方につきましても、そういう紛らわしいような売り方ましてはならぬということで、公正取引委員会の方から通牒等も出ており、当省といたしましても、現場に当たってこのチェックをする等の指導はやるという体制をとっておるわけでございます。
 もう一つこれに関しまして御報告いたしますと、韓国政府側も、韓国が日本に輸出する大島つむぎにつきましては、韓国産またはメード・イン・コーリアと反末に織り込むということを約束したわけでございます。したがいまして、本場物と韓国物との類似、紛らわしいという問題は、いまの措置が軌道に乗れば大体解消するのではないかというふうに見ておるわけでございます。
 一方、韓国産の大島つむぎの輸入という問題につきまして、私ども、昨年来、先ほど申しましたように輸入業者とかあるいは商社とかにいろいろ事情を申し上げて、輸入の自粛ということを要望してきておるわけでございます。その辺、大手商社は原則としてその趣旨を受け入れて、韓国産大島つむぎの輸入は取り扱わないというような趣旨のことを私どもの方に報告をしてきておるわけでございます。
 それから、韓国に対してましても、わが国といたしましては当方の事情を申し述べて十分な理解を得ているわけでございますし、韓国政府としてもオーダリーな輸出に努めたい、こういうことを言ったというふうに聞いておるわけでございます。そういうようなわれわれの行政努力を積み重ねておるわけでございますし、今後ともこの方向を強化してまいりたいというふうに考えております。
 いま先生、輸入規制というようなことを申されたわけでございますが、この輸入規制というのは、ここで改めて申すまでもなく、直接的な輸入制限という意味にとりますると、これは非常に大きな国際的な問題にもなるわけでございまして、この辺につきましては、われわれの現在やっておる努力の成果を見守ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○松尾委員 関税もわずか八%ですね。ですからそういう面で考えていくことも必要であろう、このように思います。
 それから、韓国からの輸入の実績を把握されて、そしてやはり大きな影響が地場産業にあるとわかった場合には、韓国との話し合いまたは輸入商社の自粛の問題もありますけれども、なお過渡的には、それでうまくいかないということがはっきりした場合には、やはりある程度輸入規制もしなければいけない事態じゃないか、こう思うのです。これは私、それを申し上げておくだけでありますけれども、この大島つむぎの問題は和装産業全体としても取り上げて考えなくちゃいけません。京都のいろいろの絹織物の関係もひっくるめて問題がありますので、そのような点でひとつ伝統工芸の振興法を変えるとかまたは関税定率法をどうするとか、原産地表示の問題等もくるめて速急に対策を立てて、秩序ある輸入に速急に戻してもらいたい、このように思います。簡単でいいですから一言お答えを願って、繊維の問題を終わりたいと思います。
○野口政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたことを踏まえながら行政を進めてまいりたいと思うわけでございますが、当面の措置といたしましては、先ほど私が申し上げたようなことを強化してまいりたい、こういうふうに考えております。
○松尾委員 繊維は、以上で終わりです。
 では、立地公害局長もお見えでありますので、対馬の厳原町の休廃止鉱山の件でありますが、この対馬の休廃止鉱山、ここにつきましては、鉱山保安監督局で県や町の立ち会いのもとに鉱害防止義務者のあるなしについていろいろ実態調査をしておる、こういうことを聞いておるわけでありますけれども、いかがであるかということと、調査されたならば、その調査の結果は大体どうかということをまず聞いておきたい。
○佐藤(淳)政府委員 長崎県の対州鉱山の鉱害の復旧問題につきましては、現地の福岡鉱山保安監督局が、昨年の四月十日から十八日までと、それから五月十三日から十九日までの二回にわたりまして、長崎県と協定いたしまして、住民立ち会いのもとに調査を実施いたしました。調査結果の取りまとめにつきましてはこれまでに大体終わっておりますが、一部におきまして、新しいズリと非常に古い時代に採掘いたしまして発生いたしましたいわゆる旧ズリとの区分けが、まだ最終的に決まらない点が少し残っておりまして、大部分は整理がついたわけでありますが、その点が若干残っております。しかし、これも近く学識経験者の御意見を聴取いたしましていずれ明確になりますので、そうしますと、最終的に現在の鉱業権者のやるべき分野と、それからいわゆる無資力、無権者と申しますか、そういうものとの区分けが近々はっきりいたすことになろうかと思います。
○松尾委員 御承知のとおりにここは千二、三百年前からこのような事業が始まって、そして鉱害というものも旧ズリというものがいまだに残っているわけですよ。おまけに対州鉱業がいろいろ鉱害の隠蔽工作をして、長らく実情がわからなかった。そして、隠蔽工作ということがはっきりしまして大きな社会問題を起こし、もう現地は非常にこれで苦しんでおるわけであります。現在これは調査した結果ではっきりしておるだけでも、対州鉱業の約二十年間にわたるその仕事の結果として、カドミが千百九十四キログラム、亜鉛が百十九トン、鉛が二十九トン余り、このようにたくさんのものを排出しておりまして、そうして大きな問題を起こしておるわけであります。ですから、いまおっしゃったいろいろの調査の結果というものを早く明確にしてもらいたいと思うのであります。
 それから、同じくその鉱業所一帯の中に義務者不在と申しますか、対州鉱業所というようにはっきりした義務者がおる分と、義務者不在の分があるわけです。この義務者不在の分というのは、私の方から申し上げますけれども、大体旧ズリがたくさんある。千人間歩、小川鉱、それからミソギ鉱。千人間歩、これは二万四千トンも、亜鉛が主でありますけれども、こういう濃度の高いものが残っておる。それに鉛も残っておる。それから、小川鉱、これも約三万トンそういう旧ズリが残っておる。ミソギ鉱の方も、推計でありますけれども、一万二、三千トンは残っておるであろう、このようなことでありますね。ですから問題は、これが義務者不在ということであるかどうか、そういう点も調査されたと思うのでありますけれども、何か対州鉱業の方でそのような義務者不在と思われるようなところまで手をかけておるんじゃないかというような疑いもある、こう言われておりますが、あなたの方は、私がいま申し上げました三つのそのような旧ズリの関係の分については、実情をどのように掌握されておりますか。
○佐藤(淳)政府委員 先生がいま御指摘になりましたボ夕山のズリの堆積の数量は、大体御指摘の数字のとおりでございます。それで、これにつきましては特に工事の復旧費の負担の問題にもからみますので、現地の鉱山保安監督局が十分に調査いたしまして、現在の対州鉱山の責任範囲なのか、あるいはいわゆる千三百年も前と言われておりますけれども、非常に古い時代の採掘なのかということを区分けをいたしたわけでございます。その結果、いまお述べになりました地域のズリにつきましては、ほとんどもう全部と言っていいと思いますが、これは非常に古い時代の古代ズリでございまして、したがいまして義務者不存在ということで復旧の対象にしなければならないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○松尾委員 非常にはっきりしたお答えでありますけれども、長崎県といたしましてはどうもそこに疑問があるというので、五十年度の予算でもそこは組んでいないわけですね。ですから、不在者なら不在者と――そうじゃないじゃないかというのが県の考え方なんです。ですから、予算も組まない。それでちょっといま行き悩んでおるというか、問題の解決がそれだけおくれるわけでありますから、ひとつ調査の結果に基づいて速急に県を指導してもらいたい。そして、これが旧ズリであるならば、鉱害の復旧工事として五十年度予算でどのようにお考えになっておるか、一つだけやるというようなことも聞いておりますけれども、この小川鉱等はそれでは困るのでありまして、やるならばやはり一緒にやらなくてはいかぬ。一部の地域はぽつぽつ始まって、またあと一年、二年、三年もそういうものをほっぽらかされる。対州鉱業の方も二十何億の予算をかけて三年計画でやるのでありましょう。それは並行的にやはりやっていかなくてはならない。ですから、むしろこれは古いものでありましても問題は新しく鉱害を起こしておるものでありますから、これをやるとするならば、地元としては一挙に五十年度でやってもらいたい、これが第一点です。
 それから、今回そのような事業につきまして三分の二が四分の三の補助金になったわけでありますけれども、地方財政としましてはいま非常に苦しんでおる。おまけに県はいろいろな疑いから予算も組んでいません。そういうことでありますので、これは監督とかなんとかいうものはすべて国家にあるわけです、地元とか県とかいうのはほとんどノータッチであるのに地元負担金だけ残っておる、こういうことでありまして、鉱害は残される、企業もあいまいもことして逃げ回る、そのうちに不在者となった。せめて不在者の分は明確にひとつ国の責任でやってもらいたい。思い切って四分の三に上げられたのは結構でありますけれども、これはやはり地元負担の問題から言えば全額国がめんどうを見ていく筋合いのものであろう、不在者の分ですよ。その点あわせてひとつお答え願いたい。
○佐藤(淳)政府委員 御質問の第一点でございますが、すでに監督局と県とはこの復旧について話し合いを進めておりまして、われわれとしましてもぜひひとつ五十年度中に着工できるように、もちろん監督局を督励いたしますし、県にも要請したいと思います。
 それから、第二点でございますが、確かに非常に古い鉱害の復旧につきまして地元の負担金が発生するということは、非常に地元にとっては大変なことでございまして、私どももそういう観点からできるだけ地元負担を少なくするようにいろいろ大蔵省とも折衝してまいりまして、やっと来年度からは三分の二から四分の三に上げる予算措置もしていただいたわけでありますが、いずれにしても四分の一というものは残るわけでございますので、これにつきましてはやはり今後とも軽減できますようにわれわれとしても努力いたしますし、またこの四分の一負担につきましては、これは大部分県の方にお願いすることになろうと思いますけれども、自治省の方にもいろいろお願いをしてまいりたい、こう考えております。
○松尾委員 では、念を押してこれで終わりますけれども、まず所有者のわからない分は五十年度に三カ所やる、それから負担の問題につきましても今後力強く交渉する、こういうことですね。――以上を了承いたしまして、対馬の厳原町における鉱害の問題は終わりたいと思います。
 次は、中小企業庁の関係であります。
 五十年度の中小企業の予算を見たわけでありますけれども、やっと各省合計して千二百七十八億円、これは一般予算の〇・六%にすぎない、こういうことで非常に残念であります。それから、一般会計の中小企業庁予算、それも大綱をながめて見ますると、小規模事業対策の推進、これは三百五十何億円ですね。二番目が組織化対策約十二億、三番目が中小企業振興事業団の運営関係、四番目が下請中小企業の振興、ここに非常に問題があるわけでありますけれども、前年一億七千百万円、これが今回五十年度の予算で二億八千五百万円組まれております。これは非常に私は少ないということをいまから申し上げたいのであります。それから中小企業指導事業、六番目が中小商業の近代化、七番目が中小企業金融の円滑化、このような項目でありまして、そして合計して中小企業庁の予算が約一千億を初めて超えたわけでありますけれども、まず最初に、そういうことでどうも中小企業をどういうふうにしていくかという新しい方向づけというものが少しもこの項目、柱の中から見られないというのが非常に私は残念であります。
 最初にまず聞いておきますけれども、この中小企業に大体どのくらいの人々が働いておるのか、そして中小企業関係でどのくらいの人が生活しておるのか、人口構成の内容ですね、そういうものを話の発端として、まず長官に聞いておきたいと思います。
○齋藤(太)政府委員 中小企業の事業所数は五百八万でございまして、農林漁業等を除きました非一次産業の事業所数の中の九九%を占めております。そこで働いております従業者の数でございますが、総理府の昭和四十七年の事業所統計によりますと約三千万でございまして、大企業が八百万でございますので、一次産業を除きました産業の従業者数の中の七八%が中小企業で働いておる、こういう数になります。この三千万の従業者数に世帯の人員を掛けますれば関連する人の数が出るわけでございますが、若年の方もおられるかと思いますので、その倍率がちょっとわかりませんが、いずれにしましても人口一億一千万の中の成年層のうちで三千万人が中小企業で働いておる、非常に膨大な分野が中小企業で働いておられることになると存じます。
○松尾委員 三千万を超すわけでありまして、そして生活関係者というものを入れますると、これは六千二百万じゃないか、そのような統計も出ておるわけであります。そうしますと、中小企業の事業所に働く人々、そしてそういう中小企業で生活している人々の数を考えますと、国民の大部分がやはり中小企業に依存しておる、これは明らかであります。
 そのようなことを前提にいたしまするならば、中小企業というものに対する施策の重点というものはやはり国民生活の安定につながるわけでありますから、中小企業の安定即国民生活の安定ですよね。ですから、倒産というものは何としても防がなくちゃ相ならぬ。それと雇用面の増加、そういうものを図っていかなくちゃいけない。ですから、現在の中小企業のあらゆるもろもろの問題を解剖して倒産を防いでいく対策を立てる。そして中小企業といえども一つの新しい国策といいますか、省資源、省エネルギー、そういう方策に沿った面でうんと知識集約化をして雇用の促進を図っていく、こういう問題が大事になってくるのじゃなかろうか。なお、繊維等につきましては、いま構造改善の問題が出ておりますけれども、これをやはり近隣諸国と競合しない高い付加価値のもの、知識集約化というような方向に持っていって、雇用を促進していくということが大事じゃないかと思うのです。
 そういう面から申しますと、五十年度の予算というものはどうもはげまして、そのような問題を抱えておる中小企業の対策としては不十分じゃないか、このように思うのですけれども、あなたは、今後中小企業というものを盛り上げて、国民生活の安定に直結させていくという問題について、どのようにお考えでありますか。
○齋藤(太)政府委員 中小企業関係の昭和五十年度の全体の予算は、中小企業庁のほかに他省分も含めまして千二百七十八億円でございまして、先生御指摘のように一般会計の全体の中に占めます割合は〇・六%でございます。この限りにおきましては、決して十分とはいえないと私も考えます。ただ、伸び率といたしましては二五%の伸びでございまして一般会計の伸びを上回っておりますし、特に中小企業庁の予算は二七%の伸びを見せておりまして、全体の予算の配分におきましては非常に重点を置かれておるというふうに考えております。
 中小企業は農林予算等と違いまして中小企業者自体が事業者でございますので、いわゆる補助金的な面は農林漁業等に比べますと少ないわけでございます。そのかわりに金融の面あるいは振興事業団によります低利の融資、こういう面が非常に充実をいたしておりまして、中小企業向けの財政投融資のシェアは、全体の政府の財政投融資の中で五十年度におきましては一兆四千五百億でございまして、一五・六%を占めております。農林漁業向けの財投が三千八百億弱でございまして全財投の中で四%でございます。ところが、中小企業向けは一六%ぐらいを占めておる。こういうことで農林漁業関係は一般会計の予算に重点が置かれ、中小企業予算は財政投融資によります金融面に主として力点が置かれておる、こういうふうな形をとっておるわけでございます。
 一番問題の中小企業の近代化を進めましたりする関係の融資でございますけれども、政府系三機関の融資の規模を昭和五十年度は二兆五千五百億といたしておりまして、前年度対比二二%強の伸び率になっております。また、組合の組織化を通じまして各種の共同事業によって中小企業の近代化を進めておりますいわゆる高度化資金でございますが、これにつきましても、事業規模として二千四百億を予定いたしておりまして、昭和四十九年度が約二千億の事業規模でございましたので、これも約二割増くらいの規模に相なっております。
 こういった資金等を通じまして、私どもは中小企業の最近の環境の変化に応じました新しい形の近代化を進めてまいりたい、こういうふうに考えておりまして、そのために中小企業近代化促進法の改正をいたしたいと存じまして、この国会に御提案申し上げ御審議をお願い申し上げたい、かように考えておるところでございます。
○松尾委員 いま、主として金融面である程度見ておる、こういうお答えでありますけれども、金融面で見ておると申しましても、無担保、無保証についてもなかなか借りられない階層も多いわけですよ。そういう部分もたくさんあります。そして、もう借りる力もないということです。
 一つの具体例に入って下請関係でお話ししましょう。これは手形は百二十日以上は独禁法でも禁止しておる。ですから、親企業の実態調査、下請代金支払遅延等防止法もあります、それから下請振興法の実施状況も問題であります。そして、非常に困っておりますのは、下請だけをいま例にいたしますけれども、親企業からの支払いがその月じゆうに支払われるものが七一%から六〇%台を割ってきた。手形のサイトが百十七・四日から百十九・一日になった。それから、支払いの現金比率が二〇%前後削減されておる。おまけに検収期間が長期化されまして、親企業はそれだけ代金支払いを実質的に延ばしておる。このようないろいろの面で下請は苦しんでいる。親企業の方はもう打つだけの手は打った、在庫調整も済んだ、雇用の調整もやった、そうしていろいろの立て直しをやりまして、今後は下請企業に対して不況の絡みからますます厳しい条件を出してくるんじゃないかと思うのです。
 でありますから、時間がありませんので端的に申しますけれども、親企業の下請に対する代金支払いの状況、それから私が言いましたようないろいろの問題をがっちりやる。そして、やがて下請の方から倒産が出てくるんじゃないかというおそれがあるわけでありまして、発注の激減、それから運転資金というのはなかなか手当てしにくい、こういう問題から下請をどうにかしていかなければいかぬのじゃないかと思うのです。金融面もありますけれども、なお打つ手は一ぱいあると思うのですよ。そういう点で、まず下請に対して具体的な施策をする。金融面からでも結構ですよ。下請振興関係とかなんとかいう枠を明確に組む、そして親企業に対する明確なる政府の対策、いつまでも下請に対してあらゆるしわ寄せが来ないという対策をとること。そういう面で言ったら、二億八千五百万というような五十年度の予算では、これはもうだめじゃないか。思い切ってそういう振興協会を何カ所もつくる、そこに人員をある程度増員するとかいうことも必要でありましょうけれども、もう一つその上の段階で、予算面でも強力な手を打つ、助成すべきものはする、そして親企業をとっちめるというような面を考えてもらいたいと思うのですけれども、いかがですか。
○齋藤(太)政府委員 総需要抑制がずっと長引いておりますので、親企業の減産が強化されまして、それに伴いまして下請の仕事が減りまして、下請の方々が大変苦しい状況におられることは私どももいろいろと伺っております。
 下請の対策でございますが、一つは下請代金支払遅延等防止法によります取り締まりの強化でございまして、四十八年度は四半期に大体四千ぐらいの事業所を調査いたしておりましたが、四十九年度は、こういう状況でございますので、一・四半期に五千事業所、毎四半期調査いたしております。そういたしますと、大体約一割、五千調べますと五百ぐらい違反の疑いのあるものが出ておりまして、この違反の疑いのあるものにつきましてては、随時立入検査をいたし、役所に招致いたしまして改善方を指示いたしておるところでございます。
 ただ、私どもこの取り締まりを通じて感じますことは、親事業者も中小企業の場合が非常に多いということであります。いわゆる二次下請、三次下請という形をとっておりまして、親事業者自体が又下請であって、仕事が上からおりてこないというような事情もございまして資金繰りがつかない、泣く泣くまたその下請にしわを寄せたというケースも非常に多いわけでございます。こういった実情でございますと、改善をするようにという指導だけではなかなか片づかない面がございまして、そういう場合にはその親事業者に融資をする、あるいはその親事業者からの払いが延びておりますために苦しんでおる下請自体に融資をするというように、不況色の強い下請に特に重点的に融資をいたしております。たとえば家庭電気製品あるいは自動車の下請、こういう分野に集中的に融資を行いまして資金繰りの困難を切り抜けるということをいたしますとともに、下請企業振興協会を活用いたしまして新しい仕事をあっせんするというこどもいたしておりますけれども、これはいま振興協会が、市や県の職員の方と一緒になりまして大企業を歴訪されたりして一生懸命仕事を求めておりますが、全般的に何割減産という状況でごごいますので、こういうときに新しい仕事を出してもらうというのはなかなかむずかしい事情がございまして、必ずしも所期の効果を上げておりません。
 結局、いまの下請の窮境を救いますには、仕事をふやすことが当面の一番効果的な施策だと考えます。そういう意味におきまして、通産省としましては、大臣が発議されまして、この間のいわゆる第一次不況対策を決定していただきまして、住宅ローンの活発化によります住宅融資の強化とか、公共事業の年内におきます予定分を完全消化するとか、電力会社の社債を増発させまして、電源開発と申しますか、発電所の工事の進捗を図るとか、あるいは公害融資関係の財投を追加しまして公害関係の設備投資の促進を図るとか、各種の事業の活発化を図りまして、そっちの面から仕事をふやして、おのずと下請の方にも仕事が回るように、こういった面にいま力を入れておるという状況でございます。
 先生から御指摘のございました下請振興の予算と申しますのは、ほとんどが下請企業振興協会の職員に対します人件費なり事務費の補助でございまして、全国の三十万の下請企業を考えますと確かにまだまだ不十分でございますので、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。
○松尾委員 これで最後にいたしますけれども、何といっても協会をつくり人員をふやすということだけでは基本的な問題の解決にならない。ですから、下請の抱えておるいろいろな問題を次々に力強く解決する、それを私は強く要望するわけでありますけれども、この省資源、省エネルギーの問題は大きな国家的な課題で、中小企業といえどもその問題から逃れていくわけにまいらぬわけであります。技術関係の助成等もありますけれども、現実にどのくらい中小企業がそのような分野で活躍しておるのか。そこに何か助成の措置をとっていけば、そのような国家的な課題に対して中小企業がなお伸びていく余地があるんじゃないか。そういう中小企業に対する新しい方向づけ、それに対する助成、予算的な措置、こういう問題をしっかり考えてもらわないとおくれていくんじゃないか。従来の、困ったときの対策だけでは、これはやはり応急的なことでありまして、基本的な雇用の増進とか、また中小企業が新しく地域集約化に向かって伸びていく、将来の分野を開くという面からいけば、いまの五十年度予算では非常に心細いんじゃないか。
 最後に私が申し上げました集約化または資源エネルギーの節約、そういう問題に対する中小企業の活躍の現状、それから将来の方向への政府の施策、そういう面についてお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
○齋藤(太)政府委員 省資源、省エネルギーの分野は、中小企業自体もみずから図らなければならない問題でございますが、同時にそういった機器類の開発という意味におきましても、中小企業も大いにこれから技術研究開発を進めることの必要な分野かと存じます。私どもはこういった技術開発の促進のために、一つは府県の公設の試験所に対しまして研究補助金を交付いたしております。それからもう一つは、中小企業自体に研究開発補助金を交付いたしておりまして、これは両方合わせまして約五億円ぐらいになっております。
 それから、こういった研究開発の結果、新技術が実を結びました場合には、その企業化につきまして、中小企業金融公庫から新技術企業化融資ということで特別に安い金利をもちまして融資をいたしておりまして、そういった特別の枠も、年間約四十億でございますが、設けております。こういった制度を活用いたしまして、中小企業におきます省資源、省エネルギーのための技術開発並びにそれの実用化に向かって努力をいたしたいと考えます。(松尾委員「企業の現状は」と呼ぶ)省資源、省エネルギーだけの数字はちょっと手元にございませんけれども、最近の機器類の生産の中で公害防止関係ですね、これは割合が非常にふえてまいっておりまして、産業機械の四分の一ぐらいがすでに公害防止機器といったような生産割合で、最近非常に大きな産業に発展しつつございます。
○松尾委員 公害防止産業というのは一つの産業になりましたね。その中で中小企業も相当活躍いたしております。一つは、これは雇用の増進にも役立つのだし、中小企業で六千三百万人も国民が生活しておるので、そういう分野をさらに広めていくという意味からも大事であります。
 もう一つ、省資源、省エネルギー、こういう問題で中小企業が定着してまいりますれば、また新たに国民生活の安定になり、新しい中小企業の行く方向も明確になる。いま技術開発その他で助成金がある、またそういうもので事業をやろうとすれば金も貸す、しかし実態はまだほとんどない、こういうようなお答えでありますけれども、その実態をつくっていくことですね。そして、新しい中小企業の分野を開いていかなくちゃいかぬのじゃないか、私はこう思うのです。これは強い要望であります。
 それから、繊維産業の問題については時間がなくなりましたので、これはあなたに研究課題としていただきたいのでありますけれども、ひとつ通産省の繊維の方とも打ち合わせをされまして、繊維産業というものを大きく近代化して、そうして高級化して、知識集約化して、そして隣近所とけんかしないでも、付加価値の高いものをつくって、そしてまた中小企業が日本経済を大きく守っていく、その原動力にもう一回繊維をするんだというような気持ちでやってもらいたいのでありますけれども、最後にあなたの決意だけを聞いて終わりたいと思います。
○齋藤(太)政府委員 繊維産業の大半は中小企業でございまして、織布業、染色業、縫製加工、九十数%が中小企業でございます。この繊維産業が現在発展途上国から非常に追い上げを食っておりますけれども、この追い上げに対しまして日本の繊維産業の生きる道は、より高度化した、より高級の加工度の高い繊維産業に変わっていくことが必要かと存じます。そのための構造改善事業につきまして、中小企業庁も振興事業団を通じます構造改善資金の融資を通じまして、繊維の構造改善に努力をいたしておるところでございますが、現在いわゆる知識集約化型の構造改善を繊維について進めておりますので、一層これを促進してまいりたいと存じます。
○前田(治)委員長代理 本日は、これをもって散会いたします。
    午後四時三十四分散会