第075回国会 予算委員会 第13号
昭和五十年二月十五日(土曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 小山 長規君 理事 竹下  登君
   理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君
   理事 山村新治郎君 理事 小林  進君
   理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君
   理事 山田 太郎君
      植木庚子郎君    大久保武雄君
      奥野 誠亮君    加藤 紘一君
      北澤 直吉君    黒金 泰美君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      志賀  節君    正示啓次郎君
      瀬戸山三男君    田中  覚君
      田中 龍夫君    谷垣 專一君
      戸井田三郎君    西村 直己君
      根本龍太郎君    野田 卯一君
      松浦周太郎君    綿貫 民輔君
      阿部 助哉君    石野 久男君
      岡田 春夫君    島本 虎三君
      多賀谷真稔君    楯 兼次郎君
      堀  昌雄君    湯山  勇君
      青柳 盛雄君    石母田 達君
      平田 藤吉君    坂口  力君
      鈴切 康雄君    安里積千代君
      小平  忠君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長 福田 赳夫君
        官)
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長北海道開
        発庁長官    福田  一君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 坂田 道太君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 金丸  信君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        総理府人事局長 秋富 公正君
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局官房審議
        官       渡辺 豊樹君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 野上 正人君
        警察庁長官   浅沼清太郎君
        警察庁警備局長 三井  脩君
        防衛庁防衛局長 丸山  昂君
        防衛庁装備局長 山口 衛一君
        防衛施設庁長官 久保 卓也君
        防衛施設庁施設
        部長      銅崎 富司君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁調査
        局長      宮崎  勇君
        環境庁企画調整
        局長      城戸 謙次君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 橋本 道夫君
        環境庁自然保護
        局長      柳瀬 孝吉君
        環境庁水質保全
        局長      大場 敏彦君
        国土庁長官官房
        長       粟屋 敏信君
        国土庁計画・調
        整局長     下河辺 淳君
        国土庁土地局長 河野 正三君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        法務省人権擁護
        局長      萩原 直三君
        外務省アジア局
        長       高島 益郎君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省条約局長 松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      鈴木 文彦君
        大蔵大臣官房審
        議官      藤井 淑男君
        大蔵大臣官房審
        議官      後藤 達太君
        大蔵省主計局長 竹内 道雄君
        大蔵省銀行局長 高橋 英明君
        厚生省環境衛生
        局長      石丸 隆治君
        厚生省社会局長 翁 久次郎君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
       農林大臣官房長 大河原太一郎君
        農林省構造改善
        局長      大山 一生君
        林野庁長官   松形 祐堯君
        水産庁次長   松下 友成君
        通商産業省産業
        政策局長    和田 敏信君
        資源エネルギー
        庁長官     増田  実君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高木 俊介君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 大永 勇作君
        運輸省港湾局長 竹内 良夫君
        運輸省鉄道監督
        局長      後藤 茂也君
        海上保安庁長官 寺井 久美君
        郵政大臣官房長 高仲  優君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  田所 文雄君
        労働省労政局長 道正 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      東村金之助君
        労働省職業安定
        局審議官兼労働
        省職業安定局失
        業対策部長   岩崎 隆造君
        建設省計画局参
        事官      大富  宏君
        建設省都市局長 吉田 泰夫君
        建設省道路局長 井上  孝君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       藤井松太郎君
        日本国有鉄道常
        務理事     加賀谷徳治君
        予算委員会調査
        室長      野路 武敏君
委員の異動
二月十五日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     戸井田三郎君
  塚原 俊郎君     綿貫 民輔君
  藤井 勝志君     田中  覚君
  前田 正男君     加藤 紘一君
  森山 欽司君     志賀  節君
  楢崎弥之助君     島本 虎三君
  中川利三郎君     平田 藤吉君
  正木 良明君     坂口  力君
  矢野 絢也君     鈴切 康雄君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     前田 正男君
  志賀  節君     森山 欽司君
  田中  覚君     藤井 勝志君
  綿貫 民輔君     塚原 俊郎君
  島本 虎三君     楢崎弥之助君
  坂口  力君     正木 良明君
  鈴切 康雄君     矢野 絢也君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十年度一般会計予算
 昭和五十年度特別会計予算
 昭和五十年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。石母田達君。
○石母田委員 私はきょう、いまのインフレ、物価の同時進行の中で、特に働く者の生活の問題、権利の問題に関して質問したいと思います。
 その中で特に、最近進められている大企業のいわゆる不況対策と称しての一時帰休制の問題、あるいはまた新規採用者の取り消しの問題であるとか、あるいはまた大量解雇、臨時工、パートなどの首切り、そして管理者などへの一方的な賃金カット、こういう問題が、労働者の生活だけではなくて、さらに雇用問題にも大きな影響を与えている、こういう点について政府の施策に対してわが党の立場から質問したいと思います。もう一つの問題は、現在の働いている職場、労働者にとってはそこが自分の生活の大部分を過ごすところでありますけれども、ここを安心して働けるような職場、自由に物が言えるような職場、こういう職場にするということから見ますと、職場の民主主義、人権というものは、きわめてじゅうりんされるような状態が出ております。最近特に、職場の中における暴力、あるいは大企業の横暴というようなことでこうした事態が起きておりますので、その職場の民主主義という問題、この二つの問題について質問したいと思います。
 最初に私は、全国一律最低賃金制の問題がいま問題になっておりますけれども、この問題についてお伺いしたいと思います。
 現在の日本の中でも、私たちの予想外のところに、きわめて低い賃金で働いている方がたくさんおります。政府の統計でも、いまどき月平均五万円以下で働いている労働者が百八十二万人という数字が出ております。さらに、その中で特に女子労働者が百万人を超えているということが、政府の統計によっても明らかになっております。こうした極端に低い労働者の賃金を引き上げてその生活を安定させるということは、こういう人々の生活の保障というだけではなくて、労働者の賃金、あるいはまた、わが国の国民の生活を向上する上でも、また経済を国民本位に大きく民主化する上でもきわめて大事な問題の一つだと考えております。
 昨年の四月、労働大臣は全国一律最低賃金制について検討したいということを国会で答弁されました。さらに二月十日、労働四団体から、大臣は政府を代表して全国一律最低賃金制の問題についての申し入れを受けられた。こうした問題について、一体どのような検討をされてきたか、これをお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 お答えいたします。
 昨年、賃金改定期のときにそういう話がありまして、私は社会労働委員会において、その問題について労働省内部において勉強いたしましょう、こう申し上げたことが一つ。それから、おっしゃるとおり、二月十何日でしたか、官邸において、私と官房長官ともどもに、労働四団体の方々から全国一律最低賃金の問題についての要請書を受け取ったことであります。
 そこで、昨年から私は、賃金の実態とか、あるいは賃金格差の実態を中心に、諸外国の事例をひとつ勉強しようと思いまして、そちこちの国々にいろんな事例等についての資料を実は求めて、いま入手しているところであります。いままでわかったところによりますと、一律最賃を実施しているのはアメリカの州際産業、それからフランス、フィリピンと聞いております。その他の国々に対しましてもいま実情を照会している、そういう勉強の段階です。
○石母田委員 そういう検討では、いつこれが採用されるか、きわめて見通しが暗い。先ほど述べたような極端に低い賃金の人たちは一体どういう層にいるか。これは言うまでもなく、家内労働者であるとか、あるいは臨時工であるとか、あるいはパートであるとか、また障害を持っておられる方で働いておられる方、こういう人々に極端に低い賃金が多いのであります。こうした人々をどのように引き上げていくかということ、国がそれを法として保障していく、こういう問題が全国一律最低賃金制の要求となって出ているわけであります。ところが現在の法規では、こういう人々は最低賃金法が適用されていないのです。ILO条約二十六号というものがありまして、これは一九二八年、大分前の条約でありまして、最低賃金決定制度の設立に関する条約ということで、これは日本も批准しております。八十六の国々が批准しておりますが、この中に、賃金が例外的に低い若干の産業、特に家内労働者の人々、こういう人々にこの最低賃金というものが必要であるということを明記してあるわけです。ところが日本の法体系からいってもそうなっていない。したがいまして、私どもは、一番最低賃制が必要なこういう人々、すべての労働者に適用されるような最低賃金制。また、雇用の形態が違うとか、使用者の種類が違うとかいうようなことではなくて、すべての使用者が拘束されるような最低賃金制、つまり全国一律の最低賃金制の要求というものが出ているわけであります。したがって、三木内閣が社会的な不公正ということを口にする以上、こうした人々こそ私は最低賃金制の対象に含めるべきだ、このことをぜひ検討の中に入れてほしい、こういう点を要望したいと思います。
 私は、次の問題として、いま大企業の不況対策の一つになっている一時帰休制の問題であります。これは新聞でも報道されておりますように、特に雇用保険の調整給付金が一月一日から繰り上げ実施になりました。これと関連して、いま一時帰休の休業計画を出す会社が非常にふえてきておるわけです。
 この大阪の例を見ますと、三百四十六社が休業計画を出して、その休業予定の延べ日数は二十七万三千八百日に上っている。あるいはまた、一月末の現在でこの適用を申請している会社、事業所数でございますけれども、大企業で約三百、あるいはまた中小企業では三千を超えているというふうに報告され、中小企業は百九十万日、大企業は百六十万日、つまり三百数十万の人々が、一月、あるいは二月が若干入りますけれども、一日全部休業したくらいのたくさんの計画が出ているわけであります。もちろん、これは不況の反映ということは当然のことでありますけれども、雇用保険法のこの給付金の制度が繰り上げ実施になりまして、労働基準法で六割以上払わなければならぬという義務が企業主にありますけれども、これが一〇〇%払っても五〇%は補償されるわけですから、義務負担よりも安く済む、しかも九〇%、八〇%であれば賃下げもできる、こういうことで大企業がこの申請の準備を続々しているということがまた報じられているわけであります。こういう状況の中で、当初一月−三月まで予定した必要経費の四十五億円、これが約倍を上回るんじゃないかというふうに聞いておりますけれども、この必要経費が倍以上に上回るかもしれぬというこの点について、労働大臣にお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 前段の方をひとつお答えしておきますけれども、全国一律最賃はまだありませんけれども、先ほどおっしゃったようなパートタイマーにも最賃制度が行われているということを御理解いただきたいと思います。
 ただいまの雇用調整交付金が一月一日から実施したときに、私たちは大体五十億くらいの腹づもりでございましたけれども、おっしゃるように、非常に要請が大きいし、それと同時に各業種の追加指定などの希望も非常に多うございますから、おっしゃるように、二、三十億くらい金が足りなくなるのではなかろうか、オーバーするのではなかろうか、こういうふうな目算でおります。
○石母田委員 いま一月から三月まで使われている財政は失業保険の財政から出ているのです。社会施設に使うお金から出ているのです。つまり、労働者が失業した場合に、必要になったときの生活の保障ということで納めている保険金、これが入っているお金で負担しているわけであります。この法案が提案されたときに、わが党は、そういう失業者の生活保障のためにやっている保険財政と、雇用対策上必要な財政とは、明確に区別すべきであるということを主張したわけであります。いまお聞きしますと、二、三十億円この一月から三月だけでも上回り、また続々これもふえる見込みの方が強いということであります。こういう中で、国会では政府は、この法案を提出するとき、この一時休業補償のための給付金の性格について、企業が一時休業する場合に、その賃金を保障するお金がない、そういう負担にたえられない企業についての援助だということを説明されましたが、この趣旨についてはいまも変わりありませんか。
○長谷川国務大臣 これは、一月一日から繰り上げ実施をすることにしたことは、石母田さん御承知のとおり、国会で早くやってくれという話が一つ。それからその金は、これは社会福祉施設、雇用保険でやっているやつ、それをこちらの方に使ってもよろしいということでやったことでございます。それから、いま金を出すことによって、一カ月休業するものを、私の方の雇用保険の給付金を出すことによって二カ月、三カ月に延ばせる、こういうところに非常にメリットがあるところが歓迎されているゆえんであります。
○石母田委員 趣旨に変わりはないのか。変わりないのでしょう。時間がないから、はっきり明確に答えてください。
 つまりこの趣旨に変わりはないのです。ところが、たとえば今度の適用申請の中に、三菱電機あるいは日立製作所がありますね。これは政府は一体どういうふうにするつもりか知らぬけれども、三菱電機は、有価証券報告書によっても八百六十八億円の内部留保があるのですよ、いろいろな引当金だとかね。それから日立は二千六百二十五億円の内部留保がある。こういう高利潤を得ているところ、あるいは高い配当をしているところ、こういうような大企業を、果たしてそういう賃金保障の資金の負担にたえられないという企業として、一体あなたたちはこれを認めようとするのかどうか。第一そういう企業であるかどうか、あなたの認識の程度をお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 御承知のとおり、休業になった場合には、六割の保障が出るところへ私の方の調整交付金を出しますと十割の給料がいく、そういうメリットがあるわけでありまして、おっしゃる意味は、大企業優先にやっちゃいかぬというお話だろうと思いますが、御承知のとおり、私の方は、中小企業の場合には三分の二の給付金を出す、こういうふうな感じでやっております。
○石母田委員 委員長からちょっと注意してもらいたいのですけれども、いまお聞きになって、私は、三菱電機や日立製作所のようなたくさん内部留保のあるものは、果たして休業の賃金保障にたえられないような企業というものであるかどうか、その認識の程度を大臣に聞いたのです。ところが何か別なことを言っているようですけれども、大臣、あなたはどう思いますか。そんな一々後ろに聞かなくたってわかるでしょう。
○長谷川国務大臣 会社によって私の方は区別するのじゃありませんで、働く諸君に対する給付金として考えているのであります。
○石母田委員 なかなか答えにくいことだと思って、答えを避けているようですけれども、だれが見ても、高利潤、高配当で内部留保もたくさん持っているという、こういう大企業がいまの賃金保障の資金にたえられない企業であるというふうには考えられないのです。そうじゃないのです。つまり、あなたがいま言ったように、そうやると国の方からも出て、基準法で払うよりも安く仕上がる、こういうところでこうした適用申請を出しているのです。私は、あなたたちが国会で答弁されていた法の趣旨、あるいはまた給付金の性格について、先ほど言ったような趣旨に変わりないとすれば、こうした高利潤、高配当、内部留保を何千億持っているような大企業、あるいは広大な土地を買っておるような大企業、そうした大企業については当然この適用について規制をすべきである。あるいはまた、新聞に報道されているような東洋紡績でも、一たん解雇した、そしてまた復職した、その身がわりにまた一時帰休を出した。まあ復職したからいいじゃないかということと同時に、じゃ、そういうふうにやめさした者の身がわりの一時休業ということで、雇用保険の適用を申請する。こういうような世論から見ても、明らかに企業の経費負担だけをねらった便乗的な帰休。雇用保険のもらえるものだけもらっちゃう、自分の利潤には手をつけない、こういうふうな企業の申請について何らかの規制措置が必要だ。そうしなければ、中小企業重点だなんて言ったって、これはどんどん大企業の方に行ってしまう、こういう結果になりはしないかということで、私は労働大臣に、この適用に当たってそうした高利潤、高配当の大企業についての規制が必要じゃないか、そしてまた、もし必要だと考えておられるならば、どういう具体的な措置をとっているか、これをお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 これは私の方が恣意的にいろいろやれるわけじゃありませんで、基本は労使の話し合いの中で来ているものを私の方がやるということを御理解願いたい、こう思うのでありますす。
 それからもう一つは、何といたしましても、こういう場合には中小企業は苦しゅうございますから、国会の御審議を得た場合も、三分の二を出すというのは中小企業でございます。
 それからもう一つは、この法案が通過して適用されましてから、私は先日組合の諸君から実はお礼をいただきました。ということは、一月まで待っていればこの法案が適用されて給付金が出てくるからがんばってくれと経営者にも言うておったが、ようやくこの給付金が出ることによってわれわれは一人も首を切られなかった、こういう話もあることをひとつ御理解いただきたいと思います。
○石母田委員 こういう給付金が決まった以上、法に対する私たちの態度ということでなくて、中小企業が重点なんだから、そして本来ならば解雇しなければならないものを何とか休業で持ちこたえようという人たちに対する援助であるとすれば、当然中小企業が優先的に適用されなければならぬ、こういうふうに私は考えているわけであります。
 たとえば、私は中小企業の方から陳情を受けております。これは山形県のミシンの部品をつくっている企業です。従業員が二百五十人で、そして二月から一時帰休を全員やっております。月四日です。これは六・三日には満たないかもしれぬ。しかしこの方は、休業をやる前に何とかならないかと私のところへ来た。
    〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕
私はこういう人々を何とかして救ってあげなければならぬということで東奔西走いたしましたが、とうとう休業という状態になった。ところが、これはいまの業種指定にないそうで、何ともならぬのです。あなたがさっき述べた趣旨のこの給付金が適用されていない。そして三菱電機や日立などのようなところに適用されておるのです。こんなことがどこにあるか。中小企業を業種によって外したり外さない。
 いま総需要抑制政策の中で、不況の中で一番中小企業の方々が犠牲を受けていることは、倒産件数を見てもわかります。こういうところに適用されていない。中小企業の優先的な適用ということをやるならば、この業種の指定の制限から取り外して、あるいはそこへいくまでとりあえず、小さい企業、地場産業などを含めまして、第四次、第三次などの下請など、本当にいま困っておる企業に対して、都道府県の知事などが指定して申請するとか、そういう企業についてはそれを尊重して適用さしていくとか、こういう具体的に中小企業の人たちが実際に適用を受けられるように私はぜひ検討していただきたい、こういう点を労働大臣に要望したいと思います。
○長谷川国務大臣 今度のこの雇用調整給付金につきましては、前々からお話し申し上げているように、中小企業ということに重点を置いていることは御理解いただきたいと思います。それを実施するに当たりましては、休業規模の要件と助成率についてできる限り中小企業に手厚く措置しているところでありまして、たとえば具体的には、助成の対象となる休業規模の要件は、大企業の場合には所定労働延べ日数の三分の一としているのに対しまして、中小企業の場合にはこれを四分の一に緩和するとともに、休業手当につきましては助成率を、大企業の二分の一に対し中小企業の場合には三分の二、こういうように手厚くしながら、いろいろな具体的な事例、具体的な陳情等については、おっしゃるとおり――あなたのおっしゃるのをそのまま実行というわけにはいきませんけれども、いろいろな実例などを聞きながら私の方は、役所を督励しながら、なるべく見てあげるよりな、こういう形にやっているということを御理解いただきたいと思います。
○石母田委員 私の言っているようなことの趣旨ということは、もう一度確認しますけれども、中小企業には、おまえはこの業種だからだめだとか、指定されてないからだめだというのではなくて、そういう問題にかかわらないで、中小企業でそういう困っているものについては適用を拡大していくというようなこと。そしてたとえばの話で、都道府県知事などが申請して、地場産業とか、あるいは極端に困っているというようなところがもし必要ならば、都道府県の知事などの意見なども聞いて、そうしてそれに基づいてやる、こういうようなことをぜひ私は検討してもらいたい、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。もう一度大臣に……。
○長谷川国務大臣 こういう非常の際でございますから、いろいろな手配をしながら、中小企業の方々に援助できるならしてみたい、こういう姿勢でやっていることを御理解いただきます。
○石母田委員 私はこれからきわめて重大な問題について問いただしたいと思ったのです。ところが私の指定する人が出張で、どうしてもいまここにいられないということでありますので、ここへ来るように言ったのですけれども、問題を提起しておくというだけで、再質問の時間を保留したいと思います。(「けさ言ったって無理だ」と呼び、その他発言する者あり)来ないのがあたりまえみたいな話をしていますけれども、とんでもない。職安局長というのは、私が質問する雇用保険法、きちんと事前に知らせておいたんだが、それの責任者であります。
 二月十日の日本経済新聞の中で、労働省の遠藤職業安定局長と工藤編集委員が対談をしたものがある。その対談の中で、労働省の遠藤職業安定局長がこういうことを言っておるのです。この雇用保険の問題について、非常に適用基準が甘いんじゃないかといった声も出ているということを工藤さんが初め聞いている。これに対して遠藤局長は、甘くすると悪用されるのではないかという声がある、しかし、極端かもしれないが、労使が一緒になって悪用、乱用しても、それによって人員整理が免れればいいじゃないかと言っている。皆さん、私はこれを見てびっくりした。政府の行政の責任者の一人である職業安定局長が、法律を乱用、悪用しても人員整理を免れればいいじゃないか、こういうことを公然と言って新聞で報道されている。しかもその後に、この際、うちの会社はそれほど深刻ではないが、金を出してもらえるならば、業績をよくするために一時帰休をやろうじゃないか、こういうことで労使間で話し合いが進められていることについてどう思うかということについて、それはあり得ることだと思っています、こういう答えを言っているのです。こんなことであれば、保険財政がいま足りないのが二、三十億になるというところに、しかも三菱電機や日立、そういう大企業のところに金をやるために乱用、悪用しても、また、この際もうかるためにはそのくらいのことはやってもいいじゃないかという、そういう企業に対しても、あり得ることだと思っていますと言っている。これが何の規制だ。こういう態度で一体規制できると思っているのか。この問題は、私は、新聞報道であるから本人に事実を確かめたい。しかしこれは新聞の記事ではない。新聞の中でも、いわゆる対談というものは、この局長が責任を持つ内容のものだ。この点については、私は本人が来た上でその事実を確かめますけれども、もしこういうことが報道されて事実だとするならば、その責任者である労働大臣が、果たしていままで言ったようなことを実行できるのかどうか。この点について労働大臣の見解を聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 私は、いまのこういう大事な時代でございますから、労使の皆さん方が話し合った上でのこういう休業の申し入れ、そしてまたこれが非常にいまの時代に労働者の失業を緩和するというところにメリットがありますから、万全な対策を講じていきたい、こう思っております。
○石母田委員 さっきからあなたは問題をそらしていかぬのだ。あなたの方の一番の部下だ、この局長というのは。しょっちゅう出ていろいろなことをしゃべっている男だよ。それが、法律を悪用、乱用しても構わないじゃないか――これは一体どういうことなんだ。こういう発言をしている。これが新聞に対談として載っているのだ。こういうことについてあなたはどう思うか。ただ事実の確認について私は本人にやる。しかしこういうことが報道されて皆読んでおるのだ。こういう問題についてどうなのだ。
○長谷川国務大臣 悪用されるとは私は思いませんけれども、仮りに私の部下がそういう発言をしたことが、皆さん方に御迷惑、国会に御迷惑をかけているとするならば皆私の責任だ。またそういうことをさせないようにいたします。
○石母田委員 もし、この事実がこうであった、この雇用保険法の運用、適用、そういうものについての行政の責任者の一人である者が、法を悪用しても乱用しても構わない、こういう態度で行政を進めるということがあっては、私ども立法府の者が法律をつくっても、行政の者がこういうことをやっていけばどうなるか。私は国会に対する重大な侮辱だと思う。こういうものがもし事実であるということが確認されたならば、あなたはどういう責任をとるのか、もう一回明確にしてもらいたい。
○長谷川国務大臣 悪用するなどということは考えられませんが、私の部下がもし悪いとするならばみんな私の責任です。
○石母田委員 悪用、乱用してもいいじゃないかと言っておるのだよ。これはこれ以上は、私は先ほど言ったように、本人が来てからの再質問に保留したいと思います。次に進みます。
 もう一つの大企業のいわゆる不況対策の一つとして、新規採用者の自宅待機あるいはまた取り消しという問題が、いま大きな社会的な問題になっているわけであります。私の知っているところの大学を卒業した子供も、去年の十月から決まって、そうしてもう行くということになっていた。採用通知も受けた。祝賀会のパーティーも開いた。ところが突然取り消しの通知が来たわけであります。いまから学校へ戻るといっても、試験がなければ留年もできない。しかもその学校では、就職を決める場合に、一つの就職しかないから一つの就職だけやれというので、それだけでやった。それが突然取り消しになった。どこへ行くにも行きどころがない。朝から晩までステレオをかけて部屋から出てこないというのです。慰めようがないのです。これがきょうの新聞の報道でも、中学の卒業生にも、もちろん高校の卒業生にも出ておるのです。人生の新しい門出というこういう時期に、資本が一方的に採用通知によって決定しているものを突然取り消す。
 この問題については、横浜地裁の私どもの方の戸塚にいる労働者についての判決がありまして、採用内定通知が雇用契約の申し込みに対する承諾であり、その発送により雇用契約が成立したものと認められるという判決を下しているわけであります。こうした時点から、取り消しの問題はきわめて不当なやり方だと私は思っています。政府はぜひ、こうしたところにおいては再び再雇用させるということに全力を尽くしてもらいたい。そしてまた、これに対してどういう見識と態度を持っているか、これを労働大臣に聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 最近、しかもけさもそうですが、新聞は二つも三つもこの問題を取り上げて、具体的ないろいろな事例を書いております。私はまさに、新しい門出をする若き学徒に、一生を左右するこういう悲劇を与えるということは企業はけしからぬ、こういうことで、労働省といたしましては、昨年の十一月から、こんなことも予想されたものですから、各事業者団体に対して、こんなことのないように警告も出し、一方はまた、こういうニュースを聞くたびに、それぞれの会社に対して、なるべく雇用するようにお勧めなどもし、そしてまた、中小の場合には数は多うございますが、まだまだ金の卵といいますか、そういう問題もありますが、大学の学生、私立大学、国立にも五、六名あるように聞いております。そういうことで、非常にいま頭を痛めながら、各企業に対して、できるだけ私の方で御推薦と申しますか、そういうことを進めているかっこうであります。
○石母田委員 新聞報道によると、制裁的な措置も考えられているようだけれども、いまのようなことでやってもだめだというようなところについて、労働省としてはどういう措置をとるのか。
○長谷川国務大臣 来年就職をあっせんする場合には、ことし内定を取り消したような企業はこういう企業であるからということを、その諸君によく知らせておく。ある場合にはそういう企業を公表もする。こういう姿勢などもとっております。
○石母田委員 もう一つ同じケースで自宅待機の問題があるのです。たとえば日立製作所は、二千三百名の新規採用者に対して三月二十一日の出社を一カ月間延ばして自宅待機をさせる、こういうふうにいわれております。これで人件費の節約が一億五千万だとも言われています。私は、先ほどの判例から、あるいは民法上の期待権の問題から言っても雇用契約が成立している。何で新規採用者だけが一方的に自宅待機させられるのか。これは賃金も休業手当も出ないのですから、おまえは一カ月間何で食えというのか。ただ自分の力で生き延びろ、こういう労働者の基本的な人権を侵すようなことを一方的にやっておるのです。こういう問題について、あなたたちは、どう考えてどういう措置をしようというのか。それから、三木首相が調査を命じたというのだけれども、こういう企業は一体どういう企業なのか。ほかに計画しているところがあるのかどうか。私が質問しても、資料要求しても、企業の名前を一切出せないということだから、この国会の場でもしわかっておったら出してください。
○長谷川国務大臣 雇用の場合に、先ほどあなたもおっしゃったとおり千差万別で、内定したと言っても、身元保証人をつけたとか、念書をつけたとか、そういうときに法律的効果が生まれるということなどもあり、何さま数が多うございますから、それぞれの企業について、いま私の方でも各機関を通じて調べているところでございます。おっしゃるようなところはわかりません。
○石母田委員 私は、そういう大企業、取り消し、あるいは自宅待機、こういうことをやっているところの企業名をぜひ公表してもらいたい。この問題について予算委員会の理事会でぜひ検討して、善処していただきたいということを委員長にお願いしたいと思います。
○小山(長)委員長代理 理事会で検討いたします。
○長谷川国務大臣 いろいろ手当てもいたしますけれども、中学校、高等学校の場合は、所管を通じて会社が採用の就職あっせんをいろいろ頼みますけれども、大学学生の場合は、個人で会社に自分で行ったり、会社がまた大学に申し込んだりするので、私の方の関係ではなかなか調べにくい、こういうことも御理解いただきたいと思います。
○林(百)委員 ちょっと関連して。
 大学の場合も、会社の方から採用の通知が行っているわけなんですから、労働行政の上から各社へ問い合わせをすれば、採用通知が行っているのが、レイオフになったりあるいは停止されているわけですから、わかるはずですから、できるだけ調査して委員会に出すように努力してもらいたいと思います。
○石母田委員 私の方からも、私も社会労働委員の一員ですから、労働大臣に、こういう人生上また社会的な大きな問題になっている問題については、もっと真剣に取り組んで実態の調査もしていただきたいということを要望したいと思います。
 さて、職場の民主主義と労働者の権利の中で、いま非常に職場に暴力がはびこって異常な事態になっておる。そして労働者がそのために安心して就労できない、こういう問題が起きております。
 この問題について、企業に結びついた暴力団による暴力行為、たとえば殺人事件にまでなった大阪の片岡運輸、ここでは副分会長であります植月さんが出勤の途中呼び出されて、四、五人の暴力団に殺されているわけであります。こういう問題はいまに始まったことじゃない。たとえば、もう時効になりましたけれども、全自交の三光タクシーの丸山分会長が川崎で刺殺されている。犯人の名前、暴力団員の名前までわかっているのにとうとう検挙しない。あるいは四十二年の九月には、兵庫の全港湾の脇田分会長が、警察官の見ている前で、制止も聞かず暴力団にとうとう殺されている。また、四十八年には繊維労連のエリザベス労組の神原委員長が神戸で出勤の途中後ろから何者かによって刺殺されている。こうした神原委員長の事件、全自交の三交タクシーの問題は、いずれも犯人が未検挙であります。また、日産ディーゼルの川口工場の活動家、これが御夫妻とも射殺されておるという事件、これも犯人が未検挙であります。特に最近、北辰電機というところで毎日のように職場で暴力が出てくるために、竹内久君というのがとうとうたまりかねて、お母さんあての遺書を残して家を出てしまいまして、いまだに生死不明であります。
 また、中核派、革マル派の内ゲバの殺し合いによって、これがまた職場の中に暴力が持ち込まれている事件も起きております。九月十四日、中核派の北小路政治局員の、九月に中核派の全逓の労働者が殺されたから今度は革マル派の全逓の労働者を殺してやる、こういう宣言が堂々と朝日新聞に載ること自体が私は異常だと思う。しかもこの宣言どおりに、十月三日に革マル派の山崎洋一、東京中央郵便局の局員の人でありますけれども、これが中核派に殺されておる。続いて、十月十五日、十二月一日にも中核派、革マル派の労働者が一人一人殺されるという事件が起きておるわけです。
 また、動労の革マル派、これによる暴力事件が特に国鉄関係、青森機関区、あるいは北海道の釧路、標茶、名古屋の稲沢第二機関区、こういうようなところで起きて、安心して労働者が就労できない。中には、ノイローゼを起こしてとうとう職場をやめた人が、私どもの方の神奈川の浜川崎の機関区にも出ておるわけです。一体こういうことがどうして起きるのか。
 また、これだけではない。いま国会でも盛んに論議されておる解放同盟の朝田一派の職場につくっておる部落解放研究会、解放研と言われておりますが、これがいろいろな事件をでっち上げ、あるところでは、ある職制が、一本足りないという話だけれども私は三本足りないという話をしたということを取り上げて、これが差別だと言って何回も糾弾事件が繰り返されておる。そこには電電公社の職員五万人を擁する近畿局長まで呼び出されて、夜中の二時まで糾弾が行われて、いろいろなことを約束させられておる。全職員に対して、解放同盟の指導によって研修をやるとか、あるいはまた、電電公社の関係の職場の中には、解放研の事務所にはクーラーが二つもつけてあるのに、局長の部屋には一つもクーラーをつけてない。そしてあっちこっちのさばって、そこに何か落書きがあると、これは差別だ。そのために、職制が昼日中から懐中電灯を持って照らして歩く。それで、そういうことがあったとなると、職場の中は糾弾大会で職制も労働者も糾弾される。こういうようなことが政府の直轄するような職場にも起こっておる。
 このように、職場の中に暴力が入り込んで、そのためにこうした異常な事態が起きておる。
 公安委員長は、こういう問題を一体知っておられるのか。知っているとすれば、こういう問題についてどのような特別の措置を一体とっておるのか。また、あわせて労働大臣に、このような労働者の職場の中での暴力の問題について、一体どういう認識を持って、どういう対策をとっておるのか、この二点について、まず国家公安委員長から聞きたいと思います。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 しばしば言明を申し上げておるところでありますが、警察といたしましては、いかなる暴力もこれは認めないという方針で対処しておるのでございまして、したがって、いま御指摘になった職場の暴力についても、われわれとしては、これは認めておるわけでもなければ、そういうことがあればしかるべき措置をとることをやってまいるつもりでございまして、ただいま、あなたは私に対して、そういう事実を知っておるか、こういう御質問がありましたが、つまびらかにはいたしておりませんけれども、そういうようなこともあるやには聞いております。しかし、具体的な問題になれば、これは当該地域の警察がやるべきものでありまして、私としては、方針を明らかにしていく、こういうことで臨んでいきたいと思うのであります。
○石母田委員 そういう態度では、こういう暴力をなくすことはできない。たとえば、あなたの問題にしたって、私、先ほど言ったように、全自交の三光タクシーの丸山さんが殺されたが、犯人未検挙です。それから繊維労連の神原委員長、これも未検挙です。日産ディーゼルの先ほどの夫婦が殺された問題も未検挙です。日本の警察の殺人事件の検挙率は、去年の調べで警察白書を見ても九六%、世界一ですよ。ところが、共産党員とか、あるいはいわゆる組合の活動家、こう言われる人が殺された事件に限って犯人の検挙率がきわめて低い。こういう事実を見て、これからやるという話は私は納得できない。こういう問題について公安委員長としてどう考えているか。あるいは警備当局としてどう考えているか。それでも警察に任せるのか。
○福田(一)国務大臣 具体的な問題については、警察当局、すなわち政府委員の方から答弁をいたさせます。公安委員長が一々の事件を全部知るということは困難でございます。
○三井政府委員 ただいま御指摘になりました各種事件につきましては、鋭意捜査を続けておるところであります。したがいまして、その殺しに発展した原因がどういうところにあるのかという点については、ただいまのところまだつまびらかになっておりません。
○石母田委員 五年も十年もかかってまだつまびらかではないようじゃ、その間に犯人が逃げちゃう。ことに片岡運輸事件なんというものについては、その犯人を出頭させておいて、そしてつかまえることができなくて半月以上も放置しておく。そして、その資金の出所、そういう企業の関係、あるいは犯人を含めて犯行の直前に料亭で会合を開いた、こういう事実をつかまえながらも、それを究明して、そして背後関係をやるということになったそのやさきに、捜査体制の縮小ということで事実上の捜査を打ち切る。私は一つの事例で申しますけれども、こういうような問題がいまのそういう事件に全部出て、警備当局の捜査に対しての不満というものが関係者からきわめて出ている。こういう実態について、私は、公安委員長がしっかりした態度で、いままでの問題についても、これからの問題についてもやっていただきたいということを要望したいと思います。公安委員長は退場されるそうですから、これで質問を終わりますが、ちょっといまの私の要望に対しまして言お願いします。
○福田(一)国務大臣 国家公安委員長という職から言って、方針を示していくことは当然でありますが、刑罰に関係のあることとか、あるいは捜査とか、そういう一々具体的な問題について私が措置をとるということは、差し控えさせていただきたいと思います。断固としてそういう問題を取り締まるということについては、私は責任を持っておるものであります。
○石母田委員 労働大臣、このような職場の中に入り込んでいる暴力事件、暴力支配、こういう異常な事態について、あなたの立場からどういう特別な措置をとってきたか、これをお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 近代労働運動において暴力は絶対に許されません。しかも法治国家においては、こういうことのないように、私もありとあらゆる機会に、労使関係者にお目にかかったときは、このことを周知徹底してまいっているつもりであります。
○石母田委員 周知徹底しないでいるから現実に起きている。たとえば北辰電機の問題とか、いろいろな不当労働行為の問題で告発もされ申告もされておる。そういう事件の中でこうした問題が起きているんだけれども、そういう企業に結びついた暴力事件について、あなたは特別の措置は何もとっていないということですか。やってこなかったということですか。
○長谷川国務大臣 一つ一つのケースについてはつまびらかじゃありませんけれども、私が聞いた問題については、そういうものが早く円満におさまるように、いろいろな関係機関を通じて情報を聞きもし、また推進もしているところであります。
○石母田委員 では労働大臣、事実を知ってもらうために、参議院の法務委員会の四十九年十一月二十八日に、法務省の人権擁護局長がこういう答弁をしております。「一つの会社の中に二つの組合ができまして、その間に抗争が生じて、その抗争の間に暴力事犯が続いておるというのが多いのでございます。」そしてさらに、こういう問題について、「労働者に団結権、団体交渉権があることは当然でございまして、どのような立場からにせよ、その組合員に対して脱退するように強要するとか、あるいはいやがらせをするとかいうふうなことは、まさに人権擁護上看過できない問題でございまして」というふうに答弁しておりますけれども、まず、こういう事実について発言をされたかどうか。法務省関係、人権擁護局関係で答弁していただきたいと思います。
○萩原政府委員 お答えいたします。
 ただいま御指摘のような答弁をいたしましたことは間違いございません。
○石母田委員 このような答弁について、労働大臣としてこの方針でやられることについては、よろしいですか。
○長谷川国務大臣 そのとおりであります。
○石母田委員 それでは、やはり職場の動労革マル派による暴力事件の一つの事例として、私は国鉄の青森機関区の問題を取り上げたいと思います。
 この問題については、わが党の梅田議員が直接現地を視察してまいりまして、そしてまた質問も発し、国鉄当局からもその回答をいただいております。私は国鉄総裁に、昭和四十八年四月以降、国鉄の青森機関区において発生した暴行等の事実について、どういう状況であるかお伺いしたいと思います。
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 国鉄に関するものは、御指摘のように、青森機関区というものを中心にしてこういう遺憾な事件が起こったということでございます。御承知のように国鉄には、動力車労働組合、動労と称しておりますが、これと、全国鉄動力車労働組合連合会、全動労、こういう二つの組織がございます。この二つの組織がいざこざを起こしまして、いわゆる管理者、監督者をも引き込んで、昨年の四月以来六十八回ぐらいこういうトラブルが起こったということが全貌でございます。
 具体的に申し上げますと、全動労の青森支部に属する職員を動労の組合員が、詰め所か何かで取り囲んで追及をやるとか、あるいは説得をやるとか、いやがらせをやるとか、こういうことをいたしまして、これをとめに入った監督者側も引き込まれたということでございます。かかることはきわめて遺憾なことでございますので、私どもとしてはあらゆる手を講じて、これがうまくおさまるように努力した結果、遺憾ながら、四月に起こりましてから六十八件去年起こっているのでございますけれども、六月から八月ぐらいは、大体おさまりかかっておったのでありますが、年度末になってまた少し起こってきたということでございます。職場であらゆる努力をいたしました結果、昨年の十二月から一月にかけては大体おさまっておるというような状況になりました。
 今後とも、こういうことを起こしますと、職場の機能は麻痺するのみならず、私どもの輸送の業務というようなことも完遂できないことになりますので、厳にこういうことが再び起こらぬように努力をいたす次第であります。
 詳しく何月何日にいかなる事件が起こって、どういう処置を講じたかというような御質問が仮におありでしたら、労働担当の理事も参っておりますので詳しく申し上げますが、大体私としては以上申し上げます。
○石母田委員 あなたの国鉄の方から梅田議員に対する回答ということで、ここに回答書があります。「昨年四月以降の青森機関区における暴行等の事実について 現場管理者及び局派遣者の報告を整理すると、昭和四十八年四月以降の暴行等を含むいやがらせ事件は六十八件に及んでいる」ということで、四月には十四件、五月には何件という具体的な事実がすべて書かれておる。あるいは五月に起こった事件の中では、全治三週間の傷害を車両検修掛が受けた事実も報告されておる。中には、あなたの方で、助役などの管理職の人が暴行を受けて告訴しているということでありますけれども、その告訴の事実についてはどうですか。あるいはまた同時に、この問題であなたたちがとった特別の措置があれば、その措置も含めて報告していただきたいと思います。
○加賀谷説明員 青森機関区におきまして起きました暴行事件は、ただいま総裁が非常にかいつまんで申し上げましたとおりでございまして、大体、説得、追及行動という形で、しかも非常に少数の人を多数で取り囲んでやるというようなパターン、それに対して助役が、その業務に支障を与えることもございますし、そういった行動については芳しくございませんので、そこへ割って入る。したがって、多数と少数の間でございますので、ついもみ合いとなる、けが人が出るというようなパターンで、程度の差はいろいろございますけれどもあったということでございまして、ただいま申し上げましたように、四月からそういうことが少しずつ起こってきた。これは春闘というような違法なストライキなんかやられておりますときには、現場が多少エキサイトするというような関係もありまして、その辺から出てきて四月、五月とかなり起こった。それに対して現場の管理者は最善の努力をして、それを防止すべくやったということになりますが、ただいまの総裁の説明のあったとおり、六月から八月にかけましては大体小康を得た、こういったようなことについても、よくないことだという反省があったのじゃなかろうかというような傾向も出てまいりましたのですが、九月以降、合理化反対闘争、あるいは十一月になりますと、例の多少政治闘争のようなものもございましたし、それからインフレ手当の闘争といったような、一連のそういった現場におきます違法なストライキが続いた時期がございますが、その辺からまた多少その問題がぶり返してまいりました。
 具体的に一つ申し上げますと、たとえば九月の十八日に、修繕庫、これは車を修繕するところでございますが、そういったところにおりました休憩中の全動労組合員数名に対して、多数の動労組合員が説得、追及行動と称して取り囲んでやったわけでございまして、これを見てすぐ管理者は制止しようとした。そのときに、管理者、それから全動労組合員の間のもみ合いとなりまして、管理者四名、全動労に所属する職員六名、約十名のけが人を出したというようなこともございました。
 それから、十一月十九日、フォード来日反対、それから私鉄支援闘争といったような行動で違法なストライキが行われた日でございますが、この日にやはり、いまと大体同じようなパターンで、午前中に連続的に三回も繰り返された。いろいろ管理者、それから局の人間なんかも、あらかじめそういう時期でございますから、現場へ動員いたしまして、極力警戒に当たり、この説得をし、阻止するというような態勢をとったのでございますけれども、残念ながら最終的には警察の導入というような形でその事態が回避されたということになっております。
 以後何件か起こっておりますが、いろいろな意味で、現場の処置としましては、これはいろいろな状況判断がありますが、職場のもめ事、職場内の問題でございますし、いずれ職場の中で一緒に働いてもらわなければならぬという者でございます。もちろん職場の規律をきちんとするというためには断固たる処置をとるという方針は変わりございませんが、その実情に応じて事を処していくということをやっておったというふうに、私ども最善の努力をしておったというふうに考えておる次第でございまして、その後十二月ごろからだんだん進んでまいりまして、一月に入りまして最終的にかなり厳重な行政処分を行っております。停職五名、減給十名、それから戒告二名、十七名のの、これはかなりきつい処分を行っております。
 処分後、大体いまのところは落ちついているというようなことでございまして、多少時間がかかっておるようでございますけれども、その現場の特殊事情に応じて、こういったことを再び起こさないような状態にするということも一つの大きな目的でもございますので、大体処置としてはよくなされておるのではないかというふうに考えます。
 それから告訴、告発の件でございますが、管理者の四名は告発をすでにしております。それから全動労に属します職員につきましても告訴、告発しておる者もございますが、まだそういうことに至ってない者もあると聞いております。これにつきましても、事実上本人の意思あるいは組合自身の意思といったようなものを尊重して行うべきものであるというふうに私ども考えますので、そういった者の意思を尊重しながら、全体の状況を勘案して対処してまいりたいというふうに考えます。
○石母田委員 こうした問題が、政府が直接監督しなければならぬ、そういうところに起きていることがきわめて重大だと思うのです。しかも、梅田議員の報告によりますと、運輸省に対して再三現場から、緊急事態のとき警察官の動員を要請すると、これは全部抑えてしまう、こういうような
 ケースもあったというようなことを聞いております。さらにまた、職制自身がこうしたことで告訴するというようなことでありますから、ほとんど仕事の機能が麻痺して、たびたび労働者が就業できない、行けば暴力を働かれる、身の危険を感ずる。この国鉄の報告でも、追及行動というところには、みんな全部いわゆる追及行動という暴力が伴っておることを暗に認めておる。そういう行動が多発しているところにおいて、これを取り除いて、暴力などが発生しないような、労働者が安心して働けるような状態にするというのは、私は管理者の責任であると思いますけれども、この点について国鉄総裁から聞きたいと思います。
○藤井説明員 お答えします。
 こういう事態をなくすることが管理者の責任であることは、これはもちろんでございますけれども、御承知のように、労組相互の争いというようなことになりますと、これは管理者が力ずくでどうこうというわけにもいきませんし、私どものやり得ることは処分をするというようなことであり、さらに、刑法に触れるような行為に及べば、警察に頼んでこれを告発するというようなことしかございませんが、それ以前にさかのぼりまして、これは同じ仕事をする仲間でございますので、立場は若干変わりましても、お互いに仲よくというか、愉快に仕事をするというような気分を醸成するということはきわめて大切なんで、これはきわめて気の長い、教育のような議論にもなりますけれども、及ばずながら、そういう面では私は全力を挙げて努力いたしておるつもりでございます。
○石母田委員 国鉄総裁に聞きます。
 あなたは梅田議員に対する報告の中で、「暴力などの発生しない職場を作ること」、つまり暴力を排除することは「管理者の責務である」というふうに回答していますが、このとおりであるかどうか、そのことだけ答えてください。あなたが報告したとおりのことであるかどうか。
○藤井説明員 お答えします。
 そのとおりでございます。
○石母田委員 運輸大臣にもその点確認しておきたいと思いますけれども、こうした暴力を取り除き、暴力を発生しないような職場をつくることは管理者の責任であると国鉄総裁は答えておりますけれども、運輸大臣、このとおりですか。
○木村国務大臣 国鉄は百年の歴史の中でいま非常な危機に面しておるわけでございます。そのときに職場でこういった不祥事故が重ねて起きておるということは、私は最も遺憾に思うところでございます。国鉄の再建に向かって、われわれもいま一生懸命取り組んでおるところでございますが、国鉄の再建は、ただ単に経済上の再建だけではその目的を達成することができないのでございまして、国鉄に職を奉じておる従事員の一人一人が、やはり使命感を自覚いたしまして、職場の規律の厳正を保持しながら、その職に従事してもらうということが、あわせて非常に重要なことであると考えております。そういう意味におきまして、国鉄当局もこういう事件に対しては厳正な態度で臨むことを期待いたしておりますし、また従事員の一人一人も使命感を自覚して職場の規律を守っていただきたい、こういうことを強く要望する次第でございます。
○石母田委員 暴力を排除して暴力を発生しないような職場をつくることは管理者の責任であるかというのに対して、国鉄総裁はそうであるというふうに答えたけれども、運輸大臣もそうであると考えるかどうか、そのことだけ答えてください。
○木村国務大臣 管理者の責任でもあり、従事員の責任でもございます。
○石母田委員 この問題について、青森機関区の中で、そうした就業ができないという、先ほどの総裁の報告の中でも、異常な状況にあることがわかると思います。安心して職場で働くことはできない。この問題で国鉄総裁が答えたように、暴力を排除するというのは管理者の当然の責任である。それができないという状況のもとで、暴力による身の危険を感じた職員が、当局に通告して仕事をやめる、あるいはまた出勤を見合わせるというような人も出ております。こうした職員に対して、当局はこれを不参扱いするということで賃金カットを通告する、あるいは昇給昇格にまで不利益な扱いをしようとしておるわけであります。これは全く不当なことだと私は思うのです。暴力が職場に発生した場合、これを排除し、労働者が安心して働けるようにすることは管理者の責務である、ということをいま総裁は答えた。それができない状況において、労働者が仕事ができる状態になるまで仕事をやめ、仕事につかないというのは、労働者の当然の行動であり、そのことによっていかなる責めも負うことはない、これは当然の権利だと思っております。こういう点で、どんな使用者にも、労働者を暴力の危険にさらしてまで無理やり仕事につかせるという権限もないと思う。禁止されておる。国鉄当局はこの青森機関区の場合、当時の状況が事実上就労不能であったかどうかはさらに精査中、つまり詳しく調べている中で、確定的な決定になっていない、こういうことを回答されているわけです。もしそうならば、調査の結果、就労不能であったとあなたたちが判断した場合に、こういういま通告している賃金カットとか不参扱いとか、あるいは昇給昇格における不利益な扱いということは取りやめる、しないということなのかどうか、この点をお答え願いたいと思います。
○加賀谷説明員 職員の出勤、欠勤という扱いは、仕事のいわば一つの基本でございまして、ふだんから、こういう問題に限らず、厳正に現場管理者には処理さしておるわけでございます。したがってもちろん、管理者の承諾を得たかどうかということが基本だと思います。承諾なしに休むという場合は、これはもう不参扱いをせざるを得ないという原則だと思います。
 この暴力問題に限って申しますと、いろいろなケースがございまして、微妙な問題がございます。管理者が、場合によっては自分の判断で、おまえはきょう早く帰れ、あるいはおまえは退避しろというような指示をしてやらしたこともございます。ただ、再三再四出勤を求めたのに対しまして出てこない――管理者は現場の状況を判断して、仕事に出てこいと言っておるわけでございますから、それでも出てこないといったような場合には不参扱いにせざるを得ないということになると思います。ただ、ただいま申しましたように、いま現地におきましてはその他の闘争ともからんでいろんな複雑な状況にあるということで、現地の管理局がなお一層これをチェックして公正に扱うように努力するというふうに言っておりますので、現地の管理局の扱いに任せておいて決して不公平な扱いにならぬというように私どもは判断しております。
○石母田委員 国鉄総裁、あなた方の回答しているのは梅田議員に対する国鉄当局の名前なんだから、あなたが責任を持たなければならぬのですが、ここは「事実上就労不能であったかどうかは更に精査中であり、確定的な決定に至っていない。」いまの問題についてこういう回答をしておりますけれども、そうだとすれば、決定に至っていないのだから、調査の結果、就労が不能であったというふうになった場合でも、賃金カット、昇給昇格に響くような不参扱い、そういうものをするのかどうか。もしわかった場合にはしないのか。あなたの答えなんですから、時間がありませんから長々と言わないで、この点だけ明確に答えてください。
○藤井説明員 その状態がいかなる状態であったかは、一応現場長の判断に任せておりますけれども、その結果はよく調べまして、不能であったという状態ならばカットはいたしません。
○石母田委員 私は運輸大臣にも、こういう職場に暴力等が発生して、そうして管理者の手によって暴力が排除されないで労働者が就労できなかった。特に管理者に連絡することができないという状況もできると思いますが、そうした場合には、後からよく理由を聞く、そしでそれが客観的に妥当だというように判断された場合には、こうした就労が不能だったというそのことのみを理由とした不利益な措置は一切とらない、こういうふうに理解していいかどうか、この点について運輸大臣の答弁を願いたいと思います。
○木村国務大臣 国鉄の内部規律の問題でございますので、総裁が処理しておることを私は承認をいたしております。
○石母田委員 それでは最後に私は、この暴力問題がどうしてこういうように起こるかという一つの原因の中に、やはり大企業などで、共産党や、あるいは自分の意に沿わない労働組合の幹部、活動家に対しては不当な差別をする。これは政府機関の中でも行われていることは、全建労の不当な差別の問題で私も国会で追及したことがあります。こういう中で、いわゆる基本的な人権というものがきわめてじゅうりんされているということであります。この労使関係というものは雇用関係で結ばれて、片方は労働を提供する、それに対して賃金を払う、こういう関係のものであって、いやしくも個人の生活を侵犯するような、思想あるいは政治信条といった自由も侵犯することは許されない。人事管理の問題をそこまで適用して、そうした人権を侵害することは許されないというふうに考えますけれども、この点については、労働大臣、そのとおりであるかどうかだけはっきり聞いてから……。
○長谷川国務大臣 そのとおりです。
○石母田委員 この中で、三菱製紙というところで作業標準書というものがある。これは現場の班長、組長、次席に渡しているものでありますが、「マル共民青の恐しさを話す(マル共の目標は企業破壊―革命である)」こういうようなことを作業の標準書という形で配って、リーダーシップを植えつける、こういうようなことが行なわれている。あるいはまた三菱電機の役員が、昨年の参議院選挙での企業ぐるみ選挙、こういうことで、私どもの調べによれば最高検察庁へ告発されております。あるいはまた、新日鉄の広畑、こういうところでも、企業ぐるみで、業務の命令でいろいろな特定の候補者、そうした者の選挙活動をやらせる。こういうために労働者は、自分の意思に反してそうしたものをやらなければならぬ。私は労働大臣に、こういう雇用契約の使用者の立場を利用して、業務の名によって特定の候補者の選挙支援の活動、そういうことをやらせることが許されるかどうか、この点についてお答え願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 労働者は労働契約の本旨にのっとって労働すべき義務を負うものでありますから、お尋ねのように、選挙活動に関連する業務命令が出た場合においては、これが労働契約にもとるものと認められるときは、労働者は当然これに従う義務は負わないことになります。ただわずかに、たとえば私の方の自民党でありますと、自民党の職員は自民党にいるものですから、ときには選挙活動もやる、こういうことはあり得ます。
○石母田委員 自民党の職員のことまで聞いておりませんけれども、企業側に従事しているということで、昔と違うのだ、身分的な従属なんというのはないのですから、労使対等、平等で労働者は基本的な権利を持っている、こういう点で私は、きょう最初から質問いたしました中で、やはり大企業の横暴、こういうものに対して社会的な規制を加えていく、あるいはまた、そうした形で労働者の生活と権利を守っていく、こういう立場で今後とも政府も臨んでいただきたいということと同時に、私どももそのために奮闘することを誓って、私の質問を終わりたいと思います。
○林(百)委員 関連して一問。
 石母田委員の質問、ちょっとここでまとめておきたいと思います。
 一つは、一たん採用通知を受けました者が、自宅待機または取り消しをされているということは、本人にとっても家族にとっても、これは全く深刻な問題でございます。先ほど労働省ではまだこれを把握しておらないと言うのですが、これは労働行政の上からも、非常に重大な問題だと思うのです、家族や本人の身にとってみましても。この資料を取ってないということは、労働行政上の一つの怠慢と言われても仕方がない問題であるとも思います。これは各大学、または私学振興財団等に問い合わせてもわかるはずです、学校でも把握しているわけですから。これを至急調査して理事会へ提出するように、委員長からも一応改めて言っていただきたいと思います。
○小山(長)委員長代理 この件は理事会で検討することにしております。
○林(百)委員 いいですね。
○小山(長)委員長代理 理事会で検討することにいたしております。
○林(百)委員 それから、職安局長がきょう欠席しているということは、非常に遺憾なことです。しかしこれもやむを得ません。労働関係の質問をするというのに職安局長が見えてないということは、はなはだ遺憾です。この再質問はこれは留保しておきますから、そのことを確認していただいて、私の関連の発言を終わります。
○小山(長)委員長代理 残余の持ち時間を保留して、これにて石母田君の質疑は終了いたしました。
 次に、多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 まず私は、独禁法改正問題について、主として、いま各界からいろいろな意見が出、なかんずく省内からもいろいろ意見が出、しかも正式に意見を出されております法務省の法律見解並びに公取の主張、さらにそれをまとめられようとしております総務長官、そういう方々からお聞かせ願いたい、こういうように思います。
 まず第一に、株式会社の最近の株式所有の状況を見ますると、昭和三十年個人所有が五三・四%、法人が四六・二%でありましたのが、四十八年には個人が三二・八%、法人が六六.九%、こういう異常な状態になっておるわけです。ちなみにアメリカの状態を見ましても、一九七〇年ですが、法人は二八・二%個人は七一・八%であります。しかもアメリカの場合の法人というのは主として事業会社ではない。これは、個人の投資の代行機関の会社とか、あるいは企業年金であるとか、財団であるとか基金であるというのが主として株を持っている法人です。日本の法人の株式所有というものは世界でも特異な状態ではないか、こういうように考えるわけであります。そこで、まず大蔵大臣にお聞かせ願いたいのですが、なぜかように法人が約七割の株を所有するような状態になったのか、その原因はどこにあるのか、これをお聞かせ願いたい。
○大平国務大臣 御指摘のとおり、法人の持っているシェアが年とともに高まりを見せております。しかし個人の持ち株の絶対額が減っているわけじゃないんです。これは、その後の成長経済を支えた金融が法人によって主としてまかなわれたということでございまして、つまり成長が非常に急激であった、テンポが速かったということで、個人の蓄積によってまかない切れないという状況が一つあると思います。
 それから、そういう状況の中で、わが国の資本市場が御案内のようにまだ未熟でございまして、十分成長金融を支えるだけのキャパシティーを持っていなかったということも大きな原因であったろうと考えるわけでございます。
 その他わが国固有のいろいろな理由がございましょうけれども、大まかに申しましてそういう感じがいたします。
○多賀谷委員 私が不思議に思いますのは、まず会社の資産の運用のために株を持つということが考えられる。ところが、お互いのグループ別の株式の持ち合い状態を見ると、これは処分のできない株ですね。すなわち、処分を大量にすると困る、そういう運用のきかない株をずいぶん持っておる。ですから、結局、銀行は運用のきかない株をグループごとに持っておるわけです。ですから私は、この点においては、どうも資産運用のために銀行が株を持っておるとは考えられない、処分できないのですから。いわゆる安定工作という形で持っておるわけです。
 その次に考えられるのは、投機のための考え方かといっても、なかなか予想できぬわけですが、ことに法人買いで非常に問題になった商社の動き、これらを見ると、系列化で持って、むしろ株価を突き上げておるという動きをしておる。ですから、株価操作をやって売買益金を取っておる、こういう形が出ておる。そういう点を見ると、結局は日本の株の動きというのは、系列化、要するに企業集団化のための目的というのが非常に大きなウエートを占めておる、こういうように考えるわけであります。
 一体、この集団化グループの支配関係というものに対して、公取の方は、この前総合商社の報告書を出されましたけれども、独禁法改正の公取試案には肝心な企業集団について何らメスが入ってない。私はこの点は非常に遺憾に思うわけです。あれだけ膨大な資料を出して、たとえば三菱で言いますと、三菱銀行の株は、明治生命、東京海上火災、第一生命、これが上位三社。それから三菱重工の株は三菱銀行、明治生命、東京海上が上位三社。そうして三菱全体で言いますと、あなた方がすでに発表されたように、四十九年の三月では、社長会メンバーで、企業上位の三社までの大株主で同じグループであるものが八三%ですね。三井が五六%、住友が八二%、芙蓉が五一%、第一勧銀が六〇%、三和が五一%で、平均が六二%という形になっておる。この異常な状態について、何ら今度の公取試案というものはメスが入っていないじゃないか、こういうように考えるのですが、まず公取委員長からお聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 お説のように、確かに株式の持ち合い状況については調査しております。メスが入っておらないという意味は、それをどうするこうするということが何もないじゃないかという意味じゃないかと私は推測するのですが、そこで企業集団というもののあり方を、昔の財閥同然と見るわけにはいかない。これは、もう大分違う面がございます。でありますから、それについて、独禁法上直ちに企業集団そのものにメスを入れるという方策は、いまのところはずばりとは出てこない。
 そこで、総合商社あるいは銀行の持ち株制限、総合商社を中心とする一般会社の持ち株について総量規制をかけようという考えでございまして、それがやはり現在持っている株式からすれば、総合商社が一番多く放出しなければならぬことになるわけです。一般の事業会社そのものは、持っている割合に対してその放出量は比較的軽微でございます。銀行は五%超の分はあっても、これもそれほど大きくありませんが、とにかく五%ということに金融機関を抑えることによって、そういう集団化の方向に対して一応の歯どめをかけたらどうかという考えであります。だから、企業集団そのものを、言ってみれば独禁法の直接対象とするというところまでは踏み切っておらないわけでございます。
○多賀谷委員 私は基本的には、結局、現在の株式持ち合いという制度は、株式会社の精神に違反しておると思うのです。この株式の持ち合いというのは、資金の充実にならないわけでしょう。資本の維持にならないわけでしょう。株式会社というのは、大衆から資本を吸収してできる会社でしょう。お互いの会社が持ち合いをしたら、全然資金の充実はないでしょう。どうですか大蔵大臣。
○大平国務大臣 あなたの言われることも理解できますけれども、しかし実際は、各会社の安定株主工作というようなものも、一概に否定することはできない根拠を持っておるのではないかと私は思います。
○多賀谷委員 答弁を率直にしてもらいたい。相互持ち合いというのは、資金の増加にはならぬわけでしょう。Aという会社が五千万円増資をした、Bも五千万円増資をした、お互いに株を交換した、金が一回動いただけでしょう。資本の充実にならないんですよ、相互持ち合いというのは。紙のやりとりで架空の増資になっておるわけです。これは見せかけなんです。それを一体、大蔵大臣はどう思うかと聞いておるのです。
○大平国務大臣 だから、ネットにそれだけの資金の市場からの調達に直接寄与しないではないか、というあなたの言われることは理解できます。しかし、会社の立場になってみると、安定株主としてそういう会社を抱えておる、そういう株主を持っておるということも、会社の信用の上から言って一概に否定し去ることができない理由は認めなければならないのじゃないかということを申し上げたわけです。
○多賀谷委員 安定工作というのは、これは企業のためになっていないのです。それは当該理事者のためになっておるのです。大隅教授はこう言っておられる。安定工作と言って株の持ち合いをしておるけれども、それは企業のためではなくて、当該理事者の防衛のためである、と著書にはっきり書いておる。ことに、株式会社に対してお互いに株を持ち合うと、株主総会の権限は非常に低下するのです。現実問題としてそうでしょう。ですから、基本的に言うと、この持ち合い制度というのは株式会社の精神に違反する。たとえば、三菱重工の社長は個人はわずかしか株を持っていない、三菱銀行の頭取もわずかしか持っていないけれども、しかし三菱グループの株を全部持った会社の代表権を持っておる。そうすると、結局、各社の社長が株主の意見を十分反映をしない会社運営ができるということになるんですよ。ですから、二つの面において、第一は、資本の充実からいっても、この株式の持ち合いというのは本来株式会社法の原理に反する。第二は、本来の株主の保護になるのではなくて、当該理事者、要するに社長会議が支配できる形になるわけです。それに対してどう思うかと聞いているのです。
○大平国務大臣 多賀谷委員の御見解、きょう拝聴いたしたわけで、株式の保有問題というものについて、私も深く検討いたしたことはございませんけれども、きょうの御見解、示唆に富む御見解として承って、検討してみます。
○多賀谷委員 法務大臣。各国とも株式の持ち合いについては規制を加えているのですが、御存じですか。
○稻葉国務大臣 専門的な研究はしたことはありませんから、各国の法令が株式の持ち合いについて禁止規定を持っているかどうかについて存じておりません。
○多賀谷委員 法務省がこの独禁法についていろいろ見解を発表しておるけれども、肝心な基本について何ら意見を述べていない。非常に残念ですよ。
 そこで、私がちょっと紹介をしておきましょう。イタリア、フランス、西ドイツ、全部相互持ち合いについて制限をしている。イタリアは民法典です。「会社は株式の相互的引受によりその設立又は資本増加をなすことは許されない。」他人を介してもいけない、こう書いてある。それからフランス商事会社法、これは一九六六年。これは前の法律にもありました。互いに一〇%を超える保有は許さないと規定しています。ですから、ある会社が一五%を持っておれば、その会社は、株式を持っておる会社の株は一切持てない、あるいは互いに九%ずつなら持てる、こういう規定です。それから西ドイツ株式法に、一九六五年ですが、相互参加企業を規制しておるわけです。これはフランスよりも少し緩やかで四分の一ずつの株式の相互保有を禁止しています。それからECのヨーロッパ会社法草案にも、そのことが四十七条に出ている。「ヨーロッパ会社を一方の当事会社とする相互参加はすべて禁止される。」そしてその中で一〇%の保有を認めておるわけです。
 こういうふうに相互保有ということは、本来架空の資本充実なんです。あなた方は、いま独禁法をいろいろ論議をしておるけれども、法務省の本来の役目は果たしておらぬじゃないですか。一番問題はここなんですよ。これについて公取も物を言わない。法務省も物を言わぬでしょう。そうして自由競争を阻害しているのは企業集団だ、企業集団だと言っているが、企業集団というのは、一体法制的にどこを規制すればいいというのかわからない。法務大臣、どうですか。
○稻葉国務大臣 多賀谷さん、私どもが物をしゃべっておりますのは、法務省に関係のある、ことに商法等に関係のある、そういう問題。たとえば、企業の一部譲渡であるとか、分割であるとか、あるいは処罰規定の強化であるとか、それから課徴金の問題だとか、そういういわゆる公取試案のうち、所管に関する事柄についていろいろ意見を求められておりますから、それに対して意見を申し上げている、こういうことでございます。
○多賀谷委員 私は、公取試案をせっかくつくるならば、ここにまずメスを入れるべきではなかったかと思うのです。田中総理はこのことに触れておられる。これは九月の十一日の全国証券大会において田中総理は、「法人の株式持ち合いが行き過ぎると、自由な競争が制限される恐れがあるばかりでなく、法人相互間の増資は実質を伴わない増資、つまり資本の空洞化に至る恐れがある」、こういう重大な発言をなされておるわけです。でありますから、相互持ち合いというのは、まさに資本の空洞化なんですよ。そして結局、どこにねらいがあるか、いや安定化です。安定とは何かというと、グループ化である。そして企業集団を形成するわけです。ですから、この点をどうして問題にしないのか。これはちょっと副総理、総理大臣がいらっしゃいませんからお答え願いたい。
○福田(赳)国務大臣 株式の持ち合いは、二つの企業がある、その一つが相手の企業に関心を持ってその株を持つ、また同時に、相手の企業もその企業に対しまして関心を持つ、そういう事態において発生する現象だ、こういうふうに見るわけであります。ですから、自然に素直にそういう形が出てくる、これは私はあえて否定すべきものじゃないと思うのです。しかし、そういう自然にでき上がった持ち合いの形というものがどういう弊害を醸し出すか、その弊害が非常に許しがたいものであるというようなことでありますれば、私は、これは一つの問題だろう、こういうふうに思いますが、その行き過ぎがどういう問題を提起するのだろうかどうだろうか、その辺が問題だろう、こういうふうに思うのです。ですから、御提起のあった問題につきましては私は、株式の持ち合いそのものが、企業のあり方としてそう問題があるというふうには考えないのです。ただその結果、一体どういう問題が起こっているか、よく現実のケース、ケースを見て判断しなければならぬ問題である、そういうふうに見ております。
○多賀谷委員 いま独禁法改正で企業集団の支配力の強化を規制する、この問題のかなめは株式の持ち合いの規制なのですよ。ですから、各国とも全部法典を設けて、基本的にそれを原則として禁止しているのです。あるいは規制しているのです。今日あらわれた現象だけを大騒ぎしておるけれども、この相互参加の問題に手を触れないで解決できませんよ。そうしてあなた、そうおっしゃるけれども、架空の資本でしょう。架空の資本、見せかけの資本、これは株式会社法の精神に違反するのです。さらにまた、これは理事者の都合のいいようにお互いに運営できる。ですから、社長会が牛耳ることになる。しかも日本の法制にはその精神がないかというと精神がある。自己会社の株を持ってはならぬというのがやはり同じ精神なんですよ、これを発展させれば。これはどうですか、法務大臣。
○稻葉国務大臣 これは、私が分割問題について所見を述べた際に、株式会社の基本の原理は、主権がどこにあるかといえば株主にある、だから、株主総会の議も経ないで、審決だけで分割をやったり一部譲渡をやったりすることは、商法の改正を伴わなければいかぬじゃないか。その商法の改正を伴う場合に、株主総会の議を経ないでもよろしいという規定を設けることは、株式会社の本来の原理、株主総会の議決が最高の意思になるという原理とどうなるのであろうかという疑問を出したのでありますから、その株式会社の主権の所在が、株式の持ち合いによって正しく運行されてないというあなたの御議論には、傾聴すべき点が非常に多いというふうにいま感じております。
○多賀谷委員 現状の株主総会の七割を占めているのは会社ですからね。グループ会社ですよね。だから私が言っておるわけですよ。あなたは個人の株主と言うけれども、個人の株主は三割しかいない。都合のいいところだけ引用したらいかないですよ。基本がはっきりしなければいけない。
 そこで、この企業集団というのは、企業集団がだんだん取引が企業集団外に及ぶ、そのときは企業集団内の企業と集団外の企業とを差別している。それがまた支配力に通ずるわけです。企業集団だけの取引なら、問題はいろいろあるが、他には影響はないかもしれぬけれども、しかし事は企業集団外の取引に及ぶ。そうすると企業集団内の企業は非常に優位に立つ。ここに公取がいろいろ分割その他を言っておるゆえんがあるわけですね。これは政府として、今度の独禁法の改正問題をめぐって、要するに株式の相互持ち合いの点について見解を出してもらいたい。日本だけですよ、こんな七〇%も企業が持って、しかもほとんどが持ち合いでしょう。一体これについてどういうように考えるか。
○稻葉国務大臣 独禁法の改正はぜひやらなければならぬ、急がなければいかぬのです。そこで、公取委員会がああいう試案をお出しになったので、これは、なるべくその試案の趣旨に沿うて独禁法改正案を早く国会に出したいのです。出すについて、いま多賀谷先生のおっしゃった根本の問題に触れる問題はごもっとも、私も傾聴すべき点が多々あるのです。しかし、株式会社法全体の改正をいまここでやるというようなことをやっておって独禁法の改正に本当に間に合うかどうか、そういう点も顧慮しておりますものですから、そして株式会社法の原理のことは、あなたのおっしゃるとおりなんですから、私も同感なんですから、それが分割とどうなるのかということの見解を申し上げて――それは、足を引っ張るようなことを言っているんじゃないのです、本当は。なるべく早く、政府与党、それから与野党とも見解をまとめて、いい改正をやってみたい、国民の要望に応じたい、こういうことでやっておるのでございまして、いまおっしゃったようなことについては、きわめて傾聴すべき御意見である、こういうことを申し上げているのです。
○多賀谷委員 ですから、政府のものの考え方をはっきりさしてもらいたい。この予算委員会の間に、ひとつ一番基本になる株式相互持ち合いの問題について政府の見解を示してもらいたい。
○稻葉国務大臣 問題は、公取委員会の試案というものが出ておって、これをめぐってやっておるのでございまして、公取委員会の試案には、株式の持ち合いの禁止とかいうことの案は出ておらないものですからね。それから、あなたがそうやって提起されるなら、私のような株式会社法の専門家でもない者に、政府の見解をおまえまとめろと言っても無理だから、これは総理大臣に聞いてください。
○多賀谷委員 では、質問を保留して、この問題は経済全体に及ぶ問題ですから、総理から答弁を求めたい、かように思います。留保いたします。
 続いて、株式保有制限の問題に関連してお聞かせ願いたいわけですけれども、アメリカでは、商業銀行、すなわち都市銀行、地方銀行ですね。銀行は原則として事業会社の株を持ってはならぬというようになっておるわけです。きのうの新聞に、三菱銀行が全額投資をしておる加州銀行、まあ向こうから言いますと、加州銀行の全株を持っておる親会社である三菱銀行が現地の山一証券インターナショナルに全額出資している山一の株を八%持っておる。それはアメリカの銀行持株会社法に抵触する。すなわちアメリカでは商業銀行は株を持つことはできない。しかし、商業銀行のほかに銀行持株会社というのをつくって、それは五%持つことができることになっている。この制度に日本の銀行がひっかかっている。そしてアメリカの方から勧告を受けているということなんですが、一体、銀行業務というのは、株を持たなければならぬわけですか。これは全部禁止してもいいんじゃないですか、どうですか。
○高橋(俊)政府委員 ただいまの問題は、アメリカでそういう態度をとっておる。これは御承知かもしれませんけれども、アメリカの場合には、銀行業務と証券業務とをはっきりと区別すべきである。つまり、銀行が証券業務を兼ねることは許されぬし、したがってまた、証券会社の株を支配することによって同じような効果を上げることはいけない。これはアメリカ型なんです。それは一つの理論で、大体その方向が日本でも取り入れられ、証券会社と金融業は兼業を許されていないというのが現状でございます。
 そういう観点から申しまして、アメリカが今回出しましたあの問題は、大変デリケートな問題で、現地法人、現地の法人同士の問題――完全な子会社なんです。それに対して、日本の本店である三菱銀行に対して、五%を超えるものは処分せいという厳しいあれを出した。FRBでございます。ですから銀行のサイドからそういう措置がとられた。私は域外適用についてはいろいろ問題があると思うのです。これは域外適用になります。受け入れればいいのですけれども――法律的に、アメリカにおける子会社同士の関係において、それを日本の本店に及ぼすというのは、通常われわれは域外適用と呼んでおるわけですが、しかし、それに応ずれば非常に円満にいきますが、応じない場合にトラブルが起こるという問題があると思います。いずれにしてもアメリカのやり方はそうである。ところがヨーロッパには、しばしば証券業と金融業の兼業を許している国があるのです。ですから、どちらをとるかということなんですが、私どもはやはり、日本においても、そういう証券と金融の分離を貫くのがいいのではないかということ。また、株式一般を金融業が一切持ってはならぬというのは、いささか厳し過ぎるから一〇%を五%程度に、またもとの振り出しですね、二十二年当時に戻すという考えを持って出しておるわけでございます。
○多賀谷委員 イタリアも銀行の民間産業の株式保有を禁止していますね。そこで、このいまの三菱銀行の問題の扱いはどうされるのですか。監督官庁である大蔵省どうですか。結局、日本の山一の三菱銀行が持っておる株を五%に下げろと言うのでしょう。ですから問題は、アメリカでなくて国内の問題になっておるのです。
○大平国務大臣 私、その問題を寡聞にしていままで聞いたことはなかったわけであります。いま伺いましたので、至急調べてみます。
○小山(長)委員長代理 多賀谷真稔君、次に進められませんか。(発言する者あり)多賀谷真稔君、続けてください。(発言する者あり)ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
    〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕
○荒舩委員長 速記を始めて。
 多賀谷真稔君に申し上げます。
 まことに銀行局長がおくれて参りまして申しわけありません。参りましたから、ひとつ審議を継続願います。
○高橋(英)政府委員 アメリカに銀行持ち株会社法というのがございまして、それによりまして、いろいろな規制が行われているわけでございます。それで日本の場合、三菱銀行の現地法人がアメリカに出ました場合に、親の三菱銀行がアメリカの銀行持ち株会社法の持ち株会社というふうにみなされるわけでございます。一方現地に山一法人の現地法人が出ました。山一法人の親会社は山一でございます。その山一の株を八%ほど持っておりまして、これがアメリカの銀行持ち株会社法によりまして、五%以上他業の物を持ってはいけないということになっておりますので、FRBから三菱銀行に対して、この八%の株を五%以下に減らしなさいという勧告を受けたわけでございます。それで、これは本来は二年以内ということでございましたけれども、三菱銀行が出ましてから一年たっておりますので、あと一年ということで、一年以内に減らしなさいという勧告を受けたわけでございます。銀行としては、五%以下に持っていこうということでこれからは努力することになると思いますし、私の方もそうさせるということを考えておる次第でございます。
○荒舩委員長 銀行局長、あなたがいないために十五分間審議が中断したのです。これは大変なことですから、後注意していただかないと……この審議が十五分間も中断するということは非常に迷惑千万なことですから、どうぞ御注意お願いいたします。
○高橋(英)政府委員 申しわけありません。
○多賀谷委員 日本の銀行はかなり海外の会社に持ち株を持っておる。私は、ただ三菱銀行と山一だけの関係でなくて、かなり多くのひっかかるケースがあるのじゃないか、こういうように心配をするわけです。それで実際勧告を受ける前に早く処置をする必要がある。ですから、少なくとも大蔵省は、日本の銀行が持っておる会社の持ち株というものを調査をして、もし違反するような事態があるならば、速やかにみずから株の処分をする、このことが必要ではないかと思いますが、大蔵大臣どうですか。
○大平国務大臣 調査の上、善処いたします。
○多賀谷委員 公取は、金融機関の持ち株はなぜ総量規制をやらなかったのですか。ほかの事業会社については総量規制をやっておるのですね。ところが金融機関については、持ち株について総量規制をやらなかったのはどういう理由であるか、これをお聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 総量規制の場合には、その中身としては、たとえば一〇〇%所有することも可能なわけでございます。現にそういう事例がありますが、今後、規制の対象となる場合にも、一〇〇%でも五〇%でも部分的にはいい、全体としての規制をするということでございますが、いまの私どもの考え方はそうでございますが、金融機関につきましては、従来から個別に一〇%以内。最初は五%だったのが一〇%になった、緩められた、それをさらにいまの段階で総量規制をするというよりは、金融機関の中にも銀行もあれば保険会社もある、信託もある、いろいろございます。それらについて総量規制をすること、これは大変むずかしゅうございます。そうしますと、たとえば保険会社の場合に、総量ということでございますと資産総額で見るか。保険会社の場合は、株式会社でないものが生命保険に多いです。そうしますと、基準となるべきものは総資産になる。総運用資産のうちのどれだけを規制するかということになりますと、現実に恐らく保険会社の場合は、私、最近の数字をぴたりと覚えておりませんが、総運用資産の中の二〇%というふうな事例もあるわけです。これを超えている場合もあるでしょう。そうしますと、総量とすると非常にやりにくい。やりにくいというか、規制が非常に甘くなる方に行ってしまうわけですね。そういう点からいくと、個別規制の万が金融機関の場合には、その支配力を抑えるという意味では――これは五%が甘ければ、もっと辛くてもいいのでしょうが、とりあえず、私どもはいま五%にして、一つの会社に対する支配力をそれだけ弱めた方がいいんじゃないか、こういう考えです。
○多賀谷委員 私が質問した趣旨は、総量規制も加えるべきではないか、こういう意味なんです。個別規制だけでなくて総量規制もやはり加えるべきではないか、こういう意味で質問しているわけです。
○高橋(俊)政府委員 いま申しましたように、総量規制を加えますと、すべての金融機関に共通した基準を立てることは、ほとんど不可能と言ってもいいぐらいむずかしい。非常なアンバランスを生ずる。いまでも生命保険会社なんかについては、個別規制についても例外を認めてくれというのがありますが、総運用資産の中に占める株式の割合が金融機関によって著しく違うのです。そういう現実に対してどうするかということで、やはり個別規制にするのがいいのだろう、こういうふうにしたわけでございます。
○多賀谷委員 続いて。株式を放出しますね、規制対象の会社が制限を超えて所有している株式を処分する、こうした場合における証券界、経済界に対する混乱はないかどうか、それをどういうふうに考えられておるか。猶予期間がございますが、それをお聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 その試案の骨子では、とりあえずは五年の経過期間と言っておりますが、負担の重い、処分額の多いものについては、さらにもっとその経過期間は緩めてもいい、とりあえず現状よりは絶対に悪くならないようにしておきながら、漸次その機会を見て放出させる。というのは、いまの日本の株式市場は、御承知のとおり非常に浮動株が減っております。そういうことで、一たん金融の情勢が変わったりしますと急騰するということがあるわけです。そういう場合には、むしろこれを冷やす意味においても適当ではないか。いまの株価が高いとか低いとかいうことは私は言いませんけれども、しかし利回りから見ればどうにもならないほど低くなっているものがございます。そのくらい株価の上にはそういうものが出ているわけです。これが仮に五千円でも六千円でもなっていくときになると、余りにも投機的になり過ぎやせぬかということを考えますので、そういう機会をとらえてなるべく放出させる。その具体的な方法についてはもっと煮詰めなければなりません。しかし私どもの考えは、証券市場に要らざる混乱は絶対来さないようにする、そういう考えでございます。
○多賀谷委員 処分の対象になる株数はどのくらいと考えられておるか。それを混乱のないようにするには、いま、かなり弾力的な運用の話がありましたが、どうされるつもりであるか、それをお聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 お答えいたします。
 このいまの私どもの方の基準で、つまり大会社とするもの、これは資本金百億円とか、それから総資産が二千億円というふうなことを基準にしておりますが、それに係ります会社のうちで、その対象となるものの株式保有額と処分額は、総合商社の場合には最も多くて、これは時点は四十九年五月末までに決算期が到来したものということになっておりますが、簿価で六千四百三十六億円。一般その他の事業会社は、会社の数は三十八社、処分を要する額は簿価で二千六百九十億円。金融機関についてはまだ確定的な数字はありませんが、処分額は三千数百億円。保有額に比べれば金融機関の場合ははるかに小さいということでございます。
○多賀谷委員 私はこれは、経済界の混乱は処分をしても起こらないと思うのです。なぜか。率直に言うと、それは企業がグループ別にたらい回しをするだろうと思う。先ほどから私がいろいろ質問をしておった基本問題に返るわけですが、結局、規制の対象になるところは全部、グループ別にこれこそ安定工作でみんなたらい回しをしていく。一般市場に出しません。そこでいよいよ企業グループの集団が強固になる。現実にはこの規制が余り役に立たない。ですから私は、個別会社をとらえるよりも、企業集団として何らかとらえる方法はないか、こう言っているのです。あなたは非常に心配されて、また証券界も非常に心配しているけれども、現実はそういうふうにならぬ。現実には、この規制にかかる株は全部グループ別に持ち合いが行われる、そういうふうにお考えにならないのですか。どうですか、公取委員長。
○高橋(俊)政府委員 お話のようなことにならいという保証はないのですが、どこに放出ということを指示するかどうか、そこまで立ち入るのがいいかどうかという問題があります。これは私どもの見解じゃないのですが、証券界の問題として、証券行政の問題ともからんで、三〇%程度にすぎない個人株主の株式をもっとふやしたらどうだというふうな意見もありまして、その方の手を打ちますれば、また法人の株主を何%でもいいから減らしていくという方向をとれば、それと一緒になれば、いまのような御心配はないんじゃないかと思います。ただ、それを私の方でやるというか、証券行政の立場からもう少し、いわゆる大衆株、本当の意味の持ち合いでない株――法人同士の持ち合いは、確かに、いろいろおっしゃいましたように、資本充実の原則もないわけですね。資本調達になってない。そういう点から言って、一般株主をもっとふやすという方向がとられますれば、その限りにおいて――放出株は全体の株から言うと数%なんです。十何%になるような数字じゃありません。大体六%程度じゃないかと思うのです。ですから、その程度は個人株主がふえていった方が望ましいという見解をもしとれば、そういうことを証券界、大蔵省証券局が一緒になって推進していただく。そういうことが伴いますれば、御説のような心配はないと思います。それ以上のことはいまちょっと申し上げられません。
○多賀谷委員 大蔵大臣、そういう指導ができますか。いま公取委員長が言われたような指導が。私は結局、九仭の功を一簣に欠くような状態になるんじゃないかと思う。持ち株あるいは株式保有制限をして処分をさしても、それは結局グループ別の会社の持ち株のところへ平均化していくんじゃないか。要するに、残念ながら支配力が緩和するという方向にはいかない、かように思うのですが、どうですか。
○大平国務大臣 独占禁示法の改正問題につきまして、政府はまだ案を持っていないわけでございますし、これについて、私どもいま意見を述べる立場にないわけでございます。ただ公取委員会としては、一つの試案なるものを天下に問うておるようでございまして、それについて御論議が展開されておるようでございます。したがって、政府の見解を改正問題にからんで何か言えというようなことになりますと、これは御免こうむらざるを得ないと思うのでございます。
 証券市場の現実の状態が、いま問われておるような状態においてどうなるかという展望につきましてのお尋ねでございますけれども、私ども言えることは、どういう措置がとられる場合におきましても、証券市場に大きい混乱がないようにやりたいということ以上に、いま申し上げることは適当でないと考えます。
○多賀谷委員 どうも、私の質問を聞いておったのかどうか、公取の委員長がおっしゃっておるのを聞かれておったのかどうかわかりませんけれども、時間がありませんからこれ以上言いませんが、要するに私は混乱がないと見ているのですよ。それは残念ながらグループの持ち合い株になって変化をしていくだろうというふうに考える。そうすると、独禁法を改正する趣旨が貫徹されないという危険性がある、こういうことを言わんとしておるわけです。
 続いて次の質問に入りますが、まず公取試案について、法務省から物言いのついた分割問題、これをお聞かせ願いたいと思うのです。
 そこで、公取委員長に伺いますが、試案に企業分割ということが二カ所出てくるわけです。この企業分割の問題で、構造的な問題と行為のところの企業分割というのが出てくるわけですけれども、それは別といたしまして、企業分割を営業譲渡と別個に加えられた理由、それをお聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 企業分割として総括しておりますが、その中に、つまり会社分割という方法と一部譲渡というふうな譲渡、それを加えた理由というのですが、現在、会社分割という制度は商法上にありませんけれども、営業譲渡というものは、一部の譲渡でありましても規定はある。しかし、その規定どおりに運用するということは、私どもはちょっと無理だろうと思います。とにかく独禁法に、とりあえず、どちらの方でもいいのですけれども、会社分割の方を設ければ、これは大変すっきりといきます。その点では、むしろ分割を、いますぐというのじゃありませんけれどもやった場合に、会社分割の方がすっきりいくんじゃないかという考えは持っておりますが、一部譲渡という方法でも似たような目的を達することができる。しかし、それには、よけいなことを申し上げますが、商法の規定と矛盾する部分について、商法に対して、たとえば特別決議を命令による分については必要としない旨を書いていただかなければならぬというふうな考えでございますが、いずれの方法によりましてもできるようにという意味で、両方を挿入したわけでございます。
○多賀谷委員 企業分割と営業譲渡というのは、本来ちょっと趣旨が違うんじゃないですか。性格が違うんでしょう。
○高橋(俊)政府委員 完全に同じであるかどうかと言われますと、それは多少違います。多少違いますが、その目的に沿ったことにおいてはほぼ相似たものになる。ただし、会社分割の規定があった方が、むしろ命令を受ける方が便利ではないかと考えているくらいです。
○多賀谷委員 いま分割の話を聞いているのですか、公取は分割を見送ったとか断念したとかいうことがいろいろ記事に載っておるわけです。そういう事実はないわけですか。
○高橋(俊)政府委員 そういう事実はありません。
○多賀谷委員 この公の席で、事実はないとおっしゃいますから、それを前提に質問していきたい、こういうように思います。
 営業譲渡という場合、あるいはまた会社をつくって現場出資をする場合、これは必ずしも独禁法の精神にそぐわないんじゃないか。現実に分割が行われる、それには、会社を設立して営業譲渡をする場合、あるいは現物出資をする場合、いろいろある。営業譲渡をする場合はもとの会社に金が人ってくる。もとの会社は有利になる。それから現物出資をする場合には、もとの被分割会社には金が入ってくる。会社をつくって現物出資をする、この場合には株は全部いわば被分割会社に入ってくる。そうすると被分割会社は経済力が弱まらないでしょう。むしろ新しくできた会社の株を持つわけですから、新会社はもとの会社の支配関係に入る。そうすると、いま現実に行われている分割制度――事実行われていますが、それは独禁法の精神とはいささか違うのじゃないか。そこに私は、法律上分割という規定がどうしても必要だ、こういうように考えるのですが、どうですか。
○高橋(俊)政府委員 確かに随意に行われている場合には、そのもとの会社がその分割された会社、独立していった会社の株をそのまま保有している場合があります。これでは何にもならないのです。これは分割ではございません。ですから企業分割という場合には、当然その場合の、つまり、もとの会社の方が保有している、外へ出ていった分かれた会社の株式を、一定期間内に全部処分しなければならぬ、こういう規定を設けなければなりません。
○多賀谷委員 そうするとわかりましたが、その営業譲渡の場合でも、あるいは現物出資の場合でも、公取委員長の言われるのは、被分割会社は新会社の株については一定期間内に処分をする、こういうことが前提であると考えてよろしいですね。
○高橋(俊)政府委員 そのとおりでありますが、私はその一定期間と言いましても、ほとんどもう即時に近い立場でなければ本当ではないんだと思いますが、ただしそれはまだ詰めておりませんから、どの程度にするかということは申しませんが、いまの御質問のとおりでございます。
○多賀谷委員 アメリカで現実に、営業譲渡のいわば独禁法的な考え方でやっているように、その被分割会社の株主に新株を案分比例をするか、しからずんば証券を保有する会社が一時預かって適当な時期に処分をするか、こういう何らかの処置をつけ加えないと、いまの現行法の商法の規定をそのままに置いておったんでは意味がない、こういうように言わざるを得ないわけです。
 そこで私は、分割規定がいまの独禁法でも規定できるんじゃないか、商法なんかの改正を求めなくてもできるんじゃないか、こういうように思うのですが、法務省はそれに対して異議を申しておられますから、まず法務大臣の見解を求めたい。
○稻葉国務大臣 さっきの、事実上営業譲渡による子会社を設立してというやり方は、集中排除精神に違反するのじゃないかという多賀谷さんのお説のとおりで、だから公取委員長も、すっと割る分割を考えるんだと。その場合にはしかし、いまの商法には制度として存在しない新たな規定を設けなければなりませんから、その規定を設けるに当たっては、合理的な、妥当な解決策をいろいろ――債権の問題とか、それから従業員の問題とかいろいろあるから検討を要する。検討をしてみるということは、そんなに簡単には短期間にはできないから、それをやっていると法案提出の時期に問に合うかどうか。そうすると、内閣の方針として総理大臣が、しばしば独禁法の改正は今国会に出すと言っているのが、公約違反になるようなことになってはいけないじゃないかということだけ言っているのでありまして、異議を唱えているとか、何か公取と対決しているとか、そんなふうには考えないでほしいと思っているのです。
○多賀谷委員 意図はわかりましたけれども、独禁法の改正で主なところだけ改正すればいいでしょう、何も商法をわざわざ改正しなくても。そうでしょう。商法の場合は、自主的に営業譲渡であるとかいろいろのことをやろうとする。そうすると、それは対株主の権限を制約しやしないかというので、特別決議というのが出てくるわけですね。それは理事者と株主との関係なんです。要するにそれは会社側の自治の問題なんですよ。ところが独禁法というのは、公的色彩の法律でしょう。いわば社会法です。民法に対する労働法と同じです。ですから、商法があっても独禁法の方で、この審決命令によって分割する場合はかくかくしかじかだと書けばいいわけです。何も法務省が業務を侵されたような顔をして文句を言うことはないのです。
○稻葉国務大臣 それはそのとおりなんです。それだから独禁法でやってくださればいいのですが、問題はその審決だけで分割せいという場合に、株式会社の役員がそれを提案するだけになっちゃうのです、株主の総会で。株主総会がだめだと言っても、株主総会の議決を経ること必要なく、独禁法にそういう分割の規定を設けるということは、株式会社本来の原理にどうも抵触してくるのじゃないか。株主の主権を侵すという点で、株式会社法の本来の基本原則に抵触してくるのじゃないかという疑問を持つということを申しておるわけですね。
○多賀谷委員 それは、理事者と株主との関係を律しておる商法と独禁法は、若干次元が違うわけですよ。ですから私は、独禁法による審決の命令の内容というものは――審決するまでには、八幡、富士の合併の問題だって御存じのとおり。分割というような問題は、案を出したり何回か折衝があるわけでしょう、現実問題としては。それは公取がぱっぱっと集まってぽんと決めるのじゃないのです。やはりいろいろな案を出し合うて、それが世論にさらされながら結局決まっていくのですよ、審決命令というのは。ですから私はそんな心配することないと思うんです。それは従業員の計画だとかなんとかも皆出すわけですから。そうしなければできませんよ、審決の決定なんというのは。ですから私は、そういう心配は要らないんじゃないか。どうもあなた方は、分割と言うとびっくりして、逃げよう逃げようとしておるのですが、そこに問題があるのじゃなくて、むしろ基本的な問題があるのじゃないか、こういうふうに思う。
 日本の優秀な官僚はすぐつくりますよ。日本の優秀な官僚は、法律をつくれと言ったら何でもつくるのだ。これは、そんなことないんですよ。この法律の次元が違う場合には幾らでもつくり切る。分割規定のように、フランスには分割規定があるが、日本でも、合併と分割はうらはらだからという新しい問題として、分割規定も置けという動きはあったんですよ。これは新しい問題として。しかし、いまこの行われておる独禁法上の分割の意見は、いまの潮どきにやらないと、逃げたら百年河清を待つようなものです。それは次に研究するなんて言っても、研究しっこないのです、いまの体制から言えば。現実に日本でも法律があったわけでしょう。御存じのように、企業再建整備法の中に、「特別経理株式会社は、決定整備計画に定める事項については、法令の規定又は定款の定にかかはらず、株主総会又は社債権者集会の決議を経ることを要しない。」こういう規定だってあったのですよ。ですから、公的な立場から、公共の福祉の立場から決めることについて、普通の市民法的な商法の考え方を排除してもいいのじゃないか、こう思うのです。できるでしょう、立法技術としては不可能ではないでしょう、こう言っているのですが、どうですか。
○稻葉国務大臣 日本国憲法第三章の読み方になるわけですが、私は、現行の日本国憲法の範囲内におきましても、公共の福祉という立場から私権の制限はなし得るものだと、こう思いますので、独禁法というような社会立法をもって株式会社の例外規定を設けるということはいいですけれども、あまりに基本原則まで触れるということは疑問が残るということだけを申し上げているのです。いかにも分割にびっくりして、しり込みして、後ろ向いて、一生懸命にこれはやらせまいとしているようにあなたはおとりになっているけれども、そんな根性じゃないですよ。そんなことじゃない。そんな根性は持っていませんわ。ただ、公共の福祉と私的権利の擁護ということの兼ね合いはきわめて、むずかしい問題であって、そういう点において慎重な態度をとっているというふうに御理解願いたいと思うのです。詳細は民事局長に答弁さしてもいいんです。
 それから、先ほどの持ち株の禁止規定を商法に設けたらどうかという意味の御質問でしたが、これは独禁法にはございますわな。したがって、これもあるのですから。十条、十一条というような規定を見ますと、制限の規定はございますわな。現行の制限についてもございますわね。ただ商法の規定に、相互株式持ち合いを禁止する、制限する規定を、外国の立法例のように設けるという点が問題であったですから、それは研究を要する傾聴すべき御議論でありますから承っておきますと、こう申し上げたのです。詳細は民事局長に答弁さしてもよろしいです。
○多賀谷委員 疑問があるということで、私は、独禁法で分割問題を規定することは憲法違反だというような問題は起こらない、こういうようにお考えであると解釈をしてもよろしいですか。
○稻葉国務大臣 これは先ほど答弁したとおり、現行憲法の規定においても、公共の福祉によって私権の制限はなし得るものである、ただ、その兼ね合いは非常にむずかしいから慎重を要すると……
○多賀谷委員 そうすると、公取委員長が試案を出された時点において、公取委員長の気持ちでは、これは独禁法改正単独で企業分割はできると、こういうような気持ちで出されたと解釈してよろしいですか。
○高橋(俊)政府委員 その時点において、私どもは、できればそれは商法改正がまずあって、会社分割という制度が創設されて、その例外規定を独禁法に規定する。どうせこれは例外をつくらなければ、そのいかなる命令も動かないです。ですから、その点については、いざとなれば独禁法でやれるのじゃないかということについて、法律学者等の意見を聞きました。法務省はいま、それは素直にいかないと、こうおっしゃっておりますが、法律学者の御意見としては、独禁法で片づけることも不可能じゃないという意見がありましたので、私どもは、いざとなればそうした方がいいんじゃないか、という含みを持ってやってきたわけでございます。
○多賀谷委員 公取委員長はもう少し、こういう大きな問題に取り組む場合には、毅然としてもらわなければ困るですよ、解釈を。それは、できればというようなことは言うべきでない。いやしくも出した以上は、もうこれは独禁法改正試案として出しておるのですから、独禁法改正でできる、こういう信念を持ってもらわないと、われわれは何を対象に議論をしているのかわからぬような気持ちもする。私は率直に言いますと、商法をまたずして独禁法で可能である。そして株主総会の特別決議というのも、従来、再建整備法等において例があるから、独禁法の場合の分割命令については、これは適用しない、こういうことでできるんではないか、こういうように思うわけですが、これをもう一回お聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 会社分割の規定を商法に設けましても、実際のその肝心の部分、細かい手続の部分は残しまして、その他の部分については独禁法の特例というものを発動しなければならぬので、その規定の方がほとんど重きをなすということでありますから、独禁法で創設し、そういうものの制度をつくることも、私はむしろ、そっちが先になってもおかしくないのじゃないかというふうな感じを持っております。しかしそれは、法務省の立場から言うと非常に困るとおっしゃられていることもありますので、私ども、その辺に円滑を欠くようなことのないようにしたいとかねがね努めてきた、しかし、なかなかそうはいかない、それならば独禁法自体にそういう規定を盛ることはやむを得ないじゃないかというふうな感じを持っております。
○多賀谷委員 われわれは、独禁法の中で、特例でまず先行すべきであるというように考えておるわけです。
 問題点がいろいろありますから、次に問題点をお聞かせ願いたいと思いますが、例の原状回復命令であります。それから原価公表であります。もう時間もありませんからあまり申し上げませんけれども、何か、原価公表とかあるいは原状回復命令というのは、物価政策であって、独禁法にはなじまない、こういう議論が出ておるわけです。これは学者の中にもあります。しかし、御存じのように、外国の法令、ことにイギリスとか西ドイツの法令は、現実に値下げを何度か勧告をしておるわけです、具体的に、個別的に。でありますから私は、日本だけそれはなじまないんだということは言えない、こういうように思うわけです。ただやはり、直接ストレートに物価を幾らに決めたらいいというようなことは、これは公取の権限を少し逸脱しておるのじゃないかと、こういう感じもするわけです。
 そこで公取は、原価公表のところには、御存じのように価格を幾らにしろと言ってないのですよ。条件を入れて公表しなさいと、こう言っているわけです。かくかくしかじかの場合は公表しなさい。ですから、イギリスや西ドイツ方式のように、そのままストレートに何十%下げろと、こういう命令を出してない。これはやはり公取が、公取の地位というもの、権限というものを踏まえてやっておるんじゃないか、こういうように思うわけです。
 それから原状回復命令も、まあ結局そういうことですが、ただ一つ「斟酌することができる」という、この点は私はむしろ、原状回復命令を出して、会社が都合によって六カ月以内に値を上げようと思うならば公表せよという方法が妥当と思います。ですから公取の問題としては、幾らがいいですよというしんしゃくじゃなくて、もとへ返せ、そうして六カ月以内に上げようと思うものは原価を公表しなさい、こういう公表主義に一貫したらいいと思うのです。そうすると物価には全然介入しない、かように考えるわけです。そうすると、いまの非難の大部分も――もっとも非難の大部分というのは、そもそも原価を教えることは企業の機密だという議論から出発しておるのですから、解消するわけにもいきませんが、形式的な非難は、私はこれで解消されるのじゃないか、こういうように考えるのですが、原価公表については、一番問題にされておるのは通産省ですから、通産省と公取、両方とも見解をお願いしたい。
○河本国務大臣 いま、御案内のように、政府部内でいろいろ改正の作業を進めておる途中でございますので、私がいまここで具体的な意見を申し上げるのは適当でないと思いますので、差し控えさせていただきます。
○高橋(俊)政府委員 原価公表について申しますれば、それについて非常に批判があるということを承知しております。ただし、原価というものは最高の企業秘密だと言う人がいますけれども、私は、そうは言えない、こう考えております。つまり、原価を公表するしないというものは、いずれこれは時間の問題でしょうが、ディスクロージャー方式がどんどん進んできておりますから、原価公表がそれほど――原価が企業秘密である、原価を出したらどうしても競争にならないんだ、競争条件上非常に不利だ、こういうことを言っておりますけれども、そうは考えないのです。ですけれども、原価公表という言葉が非常にかちんときたために、私どもが考えてる高度寡占の一種のカルテル、疑似カルテルと考えていいのですが、カルテル的に見えるけれども証拠はないという一部の業種について適用するにもっと――効き方はいいが、つまりのみやすい、原価公表がそんなにのみづらいならばそれと同じような、もっと効果のある別の策を考えてもいいということは私は申しておりますが、それは、最初の態度を変えたからけしからぬじゃないかという御批判もありますけれども、私は、目的を達するために必要なら別な方法を考えてもいいというふうに思っております。いずれにしても、高度寡占対策、そのうちの一部の平行行為に対する対策がなくては困るというふうに考えております。
○多賀谷委員 別の対策はあるのですか。あなたは、別の対策がないし、もうどうにもならなくなって、歯ぎしりをして原状回復命令だとか原価公表を規定されたんじゃないですか。もう幾ら審決をしてもさっぱり物は下がらぬ、そして何も企業秘密で言わない。言わないからこれを出したのでしょう。ですから、何か別にわかる方法があればと言っても、かわる方法がないからこれを出したのでしょう。結局もとへ返るわけですか、あなたの議論は。
○高橋(俊)政府委員 私が申し上げましたのは、原価公表だけについて申し上げました。原状回復命令については別に変えておりません。その点は御理解いただきたいと思うのです、混同しないで。いわゆるカルテル対策という、明白に証拠の挙がったものについて、その価格をそのままに放置するということでは、何の排除命令かわからぬということから起こった問題でございまして、価格に介入するというよりも、違法につくられたカルテル価格を排除するために有効な措置として原状回復命令がいいのではないか。そしてお説のように、原状回復命令をすることができるとしておけば、それはゼロかあるいは全部かとなりますが、しかしこれはやむ得ないことなんですね。つまり、とてもそれは実情に合わないという場合には発動しない方がいいかもしれません。しかしそうでない場合には、協定前の日にちを指定して、そしてその日現在の価格に返れというのが本当だと思います。価格を幾らにせいじゃなくて、協定前のある本の価格に一たん戻れ。全部違法行為によってフライングを犯したんだからもとへ戻れという趣旨であります。しかし、機械的に全部の場合にそれを適用するというのはどうかと思う。
 それから「斟酌する」という点ですが、しんしゃくそのものは、やはり価格介入みたいなものになるという御説は、私は一つの重要な御意見として承っておきます。
○多賀谷委員 まだ実は課徴金と罰金問題、それから商社保護の問題、海外企業への問題、いろいろあるわけです。きょうどれをとりましても時間が中途半端ですから、ほかの問題で一つだけ緊急な問題を質問しておきたいと思います。
 実は地方選挙を前にして厚生省が通達を出しておる。それは要するに、市町村が最近医療の公費負担あるいは無料化を進めておるが、これはけしからぬ、これは国や県に相談しろ、もしそういうことをしないで勝手に実行するならば補助金を打ち切る、こういう通達を出しておるのです。ちょうど自治大臣が結婚式でいらっしゃいませんが、これはまさに地方自治体の破壊ですよ。補助金を打ち切るとか、とにかく事前に県の民生部に相談をしろとか、そうして協議をあらかじめしておかなければ認めない、こういうことは、いま自民党も含めて各党の地方選挙の推薦候補はみな医療の無料化をどんどん公約するわけです。そのやさきに厚生省は国民健康保健の担当者を全国から集めて訓示をして、しかも、通達を出し、県は県で市町村の担当者を呼んで、そうしてはならんぞと注意を与えている。しかも公費負担について、自治体の権限内の公費負担の分を言っておるわけです。ですから、私はこれはまさに地方自治の破壊につながる問題じゃないか。赤字が出れば赤字が出たときの処置ですよ。しかし、事前に協議をしなければ補助金を打ち切るなんというそういう通達が一体ありますか。これをひとつ厚生大臣から御答弁願いたい。
○田中国務大臣 地方単独で社会福祉事業を推進することについては、一般的にそれがすべてが単独事業でやる場合には、それは地方自治の精神にかんがみて、私どもはあれこれ申すことはないわけでございますが、御指摘の場合は、国民健康保険等を根っこにいたしまして、その上の自己負担分について単独事業をやろうということでございますから、したがいまして、国保の受診率等に大きく影響をするわけであります。したがいまして、私どもは四割の国庫負担金については別にあれこれいじらないわけでございまして、五分の普通財政調整交付金、これについては、公平の見地から、もしこういうことをやりますると、他の保険者との間に受診率、つまり医療費が違ってくるわけでございまして、御承知のとおり普通財政調整交付金は、医療費と所得との対比において傾斜配分をするものですから、これをやらない町村とやっている町村との間に医療費のひずみが出てくるわけでありますので、そこで、このようなひずみを、やっておらない普通の町村並みに修正をして傾斜配分をしようということですから、保険者間の公平のためには、私はこのほうがよろしいのではないかというふうに思っているわけであります。もしそれそのような部分について負担をするというかっこうでおやりになることについては、私はそれを覚悟の上でおやりになることになるならばこれはまた異存がないのですけれども、ふくれ上がった分は国の方で見てくれ、そして自己負担分だけはということについて抵抗を感ずるものですから、その点についてこのような通達を出しているわけでございます。
○多賀谷委員 市町村も自分の本来負担をする部分は出します。これは市町村がやっていいわけでしょう。ところがあなたの方は、そうすると患者が多くなるだろから、国民健康保険、すなわち七割分に影響が出てきます。三割は市町村が見るけれども、あとの七割分に影響が出てくると困りますからと、こういう趣旨でしょう。それは当然、健康保険が後から一般会計から補てんするか、調整交付金から見るか、どっちかしなければいかぬでしょう。結局受診率が高くなることをとめるということでしょう。あなた、その物の考え方が間違っておりゃせぬですか。受診率が高くなるのをとめるという考え方は間違っておりはせぬのですか。
○田中国務大臣 問題は要するに国庫の助成の仕方にあるわけでございまして、決して私どもとしては、受診率が高くなっては困るということではございませんが、それに対応してこちらの方で出す普通財政調整交付金は各保険者の間に公平に配分されるように、そのような単独事業によってその地区だけが特別に医療費がよけいになって、その部分のあおりによって、他の保険者の犠牲においてそういうところに金がよけい行くということについては、私どもとしてはいたしたくございませんという趣旨でございまして、根っこの四割については何ら触れるところがございません。
○多賀谷委員 これは、地方自治の権限の非常な大きな侵犯になるわけです。自治大臣がいらっしゃいませんから、その点を含めてこれは自治大臣に質問を留保したい、かように思います。
○荒舩委員長 わかりました。さよう取り計らいます。
 小林進君。
○小林(進)委員 議事進行の発言のお許しを得て、ありがとうございました。
 副総理、総務長官にお伺いいたしますが、独禁法の政府改正法案をいつ一体お出しになるのか、この際お伺いをいたしておきたいと思うのであります。ということは、三木総理もしばしば、独禁法の改正案は二月中旬までには成案を得て国会に提出するということを言明されているのであります。しかるにもう本日は二月十五日、まさに中旬でございますが、先ほどの独禁法の真剣な答弁の中にも、その重大なる主役を演じなければならない大蔵大臣が、政府はまだ独禁法の改正に対しては意見を持っていない、だから答えられないという非常に緩慢な答弁をされておるのでありますが、この独禁法の改正の法案は、この予算委員会で五十年度の予算を審議する上において重大なるファクターを持っております。私どもは、政府の言われる物価安定、あるいは安定成長、あるいは総需要抑制、それぞれの問題がみんなこの独禁法の改正に直接、間接、大きな影響を持っているというふうに解釈をいたしておるのでございまして、この独禁法の改正案、政府原案というものをわれわれの目で見ない以上は、私どもは真剣にこの五十年度の予算の審議に携わっていくわけにはまいりません。その意味において、ここでひとつ政府の責任ある御答弁をお伺いをしておきたいと思うのであります。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 二月中旬に提案をするということを総理が御発言されたということでございますけれども、本会議におきましても、あるいは委員会におきましても、三月中下旬と、こういうことをおっしゃっておるのでございます。御承知のとおり、二月十日まで独禁法改正問題懇談会で意見を聴取してまいりましたので、ただいま成案を得べく作業を開始したばかりでございます。したがいまして、三月中旬を目指して法案の作成に入っておりますので、その点御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 いま一言発言をお許しいただきたいと思うのでございますが、私どもは二月中旬というふうに理解しておりましたけれども、いまの総務長官のお話では三月の中旬ということでございました。三月の中旬といえば、もはやこの衆議院を予算が――順調でいけばですよ。しかし、私どもは何もそれを肯定をするわけではございませんが、普通の慣例から言えば、衆議院は通過をしてはいるのを通例とするのでありまするが、それをそこに至るまで、今日の答弁のように、政府としては意見がない、骨格も見せない、原案の何も見せないままに、この衆議院を通過して予算が参議院へ行くなどということになれば、それは私どもは、国民の何の負託を受けて立法府においてこの予算を審議しているのか、われわれは国民に向かって顔向けができません。そういうことになりまするから、いまの総務長官の御答弁のように、三月中旬ないし下旬に初めて法案をお出しになるというようなお考えであるならば、われわれの方も重大なる決意をしなければなりません。それまで予算の衆議院通過をお待ち願うということも含めて、われわれは重大なる決意をしなければならぬ関頭に立っているということをひとつ政府は御理解をいただいて善処されることを強く要望をいたしまして、私の議事進行の質問を終わりたいと思います。答弁があれば、政府の答弁をお伺いしておきたいと思います。
○荒舩委員長 答弁は別段ないですな。
 これにて多賀谷君の質疑は終了いたしました。
 午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
○鈴切委員 私は、きょうは核問題に入る前に、緊急問題といたしまして、すでにニュースが伝えております、韓国の、太刀川、早川両学生を初めとする多くの方々の釈放を見たわけでありますが、すでに政府の方においてもその状況について御掌握になっておられようかと思いますので、その概況について、まず外務大臣にお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 最初に、事実関係につきまして、政府委員から御報告いたします。
○高島政府委員 けさ八時半、在韓国日本大使館の前田臨時代理大使が、先方の金国務総理に呼ばれまして、この緊急措置第一号、第四号関係の被告につきまして、大多数の者を釈放する中に、日本の二学生も含まれている、実際に釈放いたしますのは、手続の関係がございまして、十七日、月曜日ということになっております、という話を承りました。
    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
その後、午前十時、大統領が次のような談話を発表いたしました。
 そのとおり読みますと、「今回の国民投票で圧倒的な支持を得て国民的正統性を獲得したので、その基礎の上で緊急措置第一号、第四号違反者中、共産主義者を除く全員を所定の手続に従って即刻釈放する。」そういう談話を発表いたしました。私どもいま承知しておりますところでは、全体で百九十六名というふうに承っております。もちろん、そのうちに日本の二人の人が入っておるわけでございます。先ほど申しましたとおり、実際の釈放は月曜日、十七日に、日本大使館の方に引き渡す、そういうふうに承っております。
○鈴切委員 今度の釈放については、大変に喜ばしいことでもあろうかと思うわけでありますが、しかし、政治犯の釈放については、韓国の方で言論の自由あるいは行動の自由というものを保障しての釈放であるかどうかという問題と、それからもう一つは、政府のこの釈放に対する御見解をお伺いいたします。
○宮澤国務大臣 政府といたしましては、かねて韓国政府に対して、日韓両国の友好親善関係のために、二学生の措置につきまして善処を要望していたところでございますが、今回韓国政府におかれて、そのような、ただいま政府委員が報告申し上げましたような措置を決定されたことを、非常に多といたしております。
○鈴切委員 後の方で、言論の自由、そしてまた行動の自由というものを認められての、言うならば政治犯の釈放であるかという問題については、どのようにお考えでありますか。
○高島政府委員 お答えいたします。
 私ども承っておりますところでは、釈放に当たりましての条件というものは、何ら聞いておりません。
○鈴切委員 かねがね延び延びになっておりました日韓定期閣僚会議が、今回の韓国の処置によって開催されるのではないかと、一般的に伝えられておりますが、その見通しについてはどのようになっておりましょうか。
○宮澤国務大臣 私どもは、日韓定期閣僚会議が再開されるということにつきまして、それが将来にわたって両国の、再び過去にありましたような友好関係をさらに増進するという雰囲気の中で、そのような目的を持って開かれることを希望いたしておるわけでございます。今回の措置が日韓両国の友好善隣関係を考慮してとられたものであることは、きわめて多といたしております。したがいまして、そのような関係改善に向かって一つの前進があったものというふうに考えております。
○鈴切委員 これはかねがね伝えられている問題でありますけれども、韓国は約二億ドルの借款を日本政府に要求していると聞いております。そのための閣僚会議の開催であるのではないかというふうなうわさも立っておりますし、今回の釈放措置は、何らかこれに絡んでいるのではないかという見方さえあるわけでございますけれども、その点について、外務大臣はどのようにお考えでございましょうか。
○宮澤国務大臣 過去におきまして、経済協力等が閣僚会議の主たる議題であった時代がございましたことは御指摘のとおりでありますが、最近におきましては、経済協力関係は、そのような問題の専門家、実務者の間で議論をしよう、閣僚会議というものは、本来そういう具体問題を議論するところでないということに両国の合意ができておりまして、このごろは、閣僚会議はじかにそのようなことに関係をいたしておりません。
 なお、経済協力関係につきましては、もともと目的といたしますところが、韓国の人々の民生の安定向上ということを目的にいたしておりますので、それにふさわしいプロジェクトがございますれば、私どもできるだけ協力関係を進めていきたいという、それが従来からの態度でございます。
○鈴切委員 そうでありますと、全く今度の釈放というものは日韓閣僚会議とは別の問題である、切り離して考えてもよい、そのようにお考えになっておりますか、それとも、言うならば非常に友好的にやってくれたから、そういうことから考えて、日韓閣僚会議というものも早く開かなくてはならない、そのように判断しておられるのでしょうか。
○宮澤国務大臣 今回の韓国のとられました措置か、日韓関係の改善に向かいましての一歩でありますことは、私どもそのように考えておりまして、それを多といたしております。しかしながら、そのことと、日韓閣僚会議をいつやる、やらないということは、別段に直接の結びつきはないものと思っております。
○鈴切委員 緊急質問としての問題を終えまして、いよいよ核兵器の問題になります。
 核兵器の問題につきましては、今日まで公明党かどのような調査をしてきたか、そのことについて少し御説明を申し上げた方がよいのではないか、そのように判断をいたしまして、公明党の調査を含めて、今日まで取り組んできた概要を一応申し上げたい、こう思います。
 御存じのとおり、核兵器の日本持ち込みの疑惑というものは、もうすでに国会においても何回か取り上げられてきた問題でありまして、核兵器の日本持ち込みについての国民の疑惑については、すでに久しい問題であります。特にラロック証言以来、日本への米軍の核の持ち込み問題は、さらに国民に大きなショックとぬぐい切れない疑惑を生んでおり、今日もなお解消されていない問題でもあります。さきに臨時国会でも核問題は十分解明されずに、結果的には政府は、日米安保体制下で米側を信頼するという説明に終始し、アメリカに対して一向に疑惑解明の努力をしてこられなかったという問題もありました。こういう政府の態度に対しまして、国民の大方の方々は、大変に不安と不信を抱いている現状であります。
 私ども公明党は、核兵器の日本持ち込みの疑惑を何とか解明しなくはならないと、昨年の十月に安保・核プロジェクトチームを編成いたしました。そこで私ども安保・核プロジェクトチームは、これを解明するための基本的な方針として、五つの異なる方法によってこれを裏づけをすることを決めました。
 一つは情況証拠でありますけれども、まず、核装備可能な艦船及び航空機が日本に入っているかという問題でありました。これにつきましては、すでに御承知のとおり、ミッドウェー攻撃型空母の日本母港化と、第七艦隊旗艦オクラホマシティーを初めとする巡洋艦及びフリゲート艦、そしてまた例のファントムあるいはイントルーダー、コルセア等の航空機、及び問題になったP3オライオン等も核を搭載できるということは、もう明らかに日本に核が持ち込まれる状況と条件というものを十分に果たしているというふうに私どもは思っておりました。
 第二の問題は、やはり証言の問題でございました。すでに、元海軍少将で軍事専門家のラロック氏初め、乗組員、基地の司令官、そして基地の従業員等から多くの証言を得ております。
 第三番目には、現物を写真に撮るということについては、基地の状況を裏づけをするということでない限りは、証拠にならないということのむずかしさがありましたけれども、またそれに対しては、核とか非核とかいう両用があるために、どうしてもこれを裏づけるということはむずかしい問題であるということも、調査の結果わかりました。
 そこで、これら三つの証拠については、国会において今日までずいぶん取り上げられてきた問題ではありますけれども、これに対して政府は、アメリカを信用するということと、もう一つは、事前協議がなされていないから核は持ち込んでいない、これに終始をしてきたわけであります。こういうような状態ではとても核の問題というものは解明できないということを、私ども公明党は調査団として考えまして、次に、二つの問題からこれを解明しようという努力をいたしました。
 それは、一つは、この間も矢野質問で明らかになりましたとおり、少なくとも書類上の証拠、積み荷記録、送り状、貨物の保管計画書等の現物を政府にお見せして、そしてこういうものが入ったのではないかということをやはり証拠とする以外にない、こういうふうな問題の提起の仕方をいたしました。
 第五番目には、御存じのとおり、その証拠なるものがやはり公式文書に照らしてどうであるかという問題については、公式文書というものの裏づけも必要であろうかということから、私どもはその第五番目の証拠固めとして、実は考えてまいりました。この件につきましては、わが党は、昭和四十三年、米軍基地の総点検をしたのを契機にいたしまして、今日まで調査活動を続けておりますが、その間入手した昭和四十三年以前の資料及びその後の資料が実はたくさんございます。で、その資料をもとにして、昨年十月から分析と調査活動を続けてきました。その結果、先日の矢野書記長の、ウォーヘッドMK101イコール核爆雷が横須賀田浦に持ち込まれ、さらに岩国の米海兵隊に運ばれていた事実を、公式文書書式による国防省の貨物保管計画書と、荷積み点検に使用するカーゴリストによって明らかにしてまいりました。この問題は、政府によってさらに究明をしていくことを約束されましたので、その調査結果の報告をまって、さらに私どもは追及をしてまいりたいと思っておりますが、私は、今日また別の角度から、やはり具体的な証拠をもって、核兵器の日本持ち込み問題を取り上げていきたいと思っております。
 その前に、まず私は、やはり事前協議の問題についてお伺いをしていかなければならないのではないかと思いますので、事前協議の問題についてお伺いをいたします。
 日米安保条約は、日本の施設、区域に入る米軍の軍艦及び艦船については日本に報告する義務がないと、外務省は常々答弁をいたしております。辛うじて、原子力推進の潜水艦は、二十四時間前にアメリカから日本の国に通告を受けるということになっておりますけれども、その他の艦船については、何ら通告を受けていないと思います。
 そこで、日米安保条約に基づく施設、区域に出入りする艦船については、外務省あるいは海上保安庁、運輸省の港湾を管理する主管庁として、もちろん運輸省の方は各都道府県等がその管理に当たっておりますけれども、その主管庁として、何らかの報告を受けているかどうか。または、米軍の艦船についてはチェックすることができないのでわからないのか、あるいは公表できないのか、どちらかと私思うのでありますけれども、その点について、それぞれの主管庁から御答弁を願いたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたします。
 米軍の使用のために提供いたしております水域、これは四カ所ございますが、そこに米軍の艦船が入りますのは自由でございます。したがって、地位協定の五条の二項に該当しておりまして、入港通告その他の必要はございませんので、実態は把握いたしておりません。
○山崎(敏)政府委員 お答え申し上げます。
 米軍の艦船が施設、区域として提供しておりますところに入ります場合は、ただいま鈴切委員からお話しありましたように、これは自由に出入できるわけでございます。それ以外の日本の港に入ります場合は、地位協定の五条三項によりまして、日本側にその入港を通報越すことになっております。それから他方、原子力推進の艦船につきましては、施設、区域に入ります場合でございましても、二十四時間前にわが方に通報越すことになっております。
○寺井政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま運輸大臣及び外務省の方からお答えがありましたように、地位協定に基づく提供水域、地域に出入いたします艦船につきましては、海上保安庁としても報告を受けておりませんし、受けないというたてまえになっております。
○鈴切委員 そうなりますと、外務大臣、原子力推進の潜水艦、これは二十四時間前から、アメリカの好意によって報告を受けているということであろうと思いますけれども、しょせんは、いまお聞きになったように、外務省も知らないし、あるいは海上保安庁も知らないし、あるいは運輸省も知らないということになりますと、アメリカの施設、区域に入るところの艦船というものについては、何が持ち込まれてもわからないというような現状ですか。
○宮澤国務大臣 施設、地域に出入をいたしますことは、施設、地域の利用の一形態でございます。施設、地域につきまして、一般的な管理権を、安保条約及びその付属協定によりまして、米軍に与えておるわけでございますので、論理的に申しますと、事前協議の対象となるような事項以外は、日本政府には、先方から通報でもございません限りは知り得ないということが、一般論としてお説のとおり申し上げられると思います。
○鈴切委員 外務大臣、それだけに、やはり事前協議というものは大変に重要な役割りをなしてくる。もし事前協議が形骸化されているということになれば、もはや核兵器あるいはCBRの兵器もどんどん入ってくるということになるわけであります。だから、日本政府にしてみるならば事前協議が唯一のよりどころである、こういうことになるわけでありますけれども、事前協議については、これはアメリカを信頼するということが、いままで政府の言ってきたことであります。そこで、かねがね、国民の中から核が持ち込まれているのではないかという疑惑があるたびごとに、政府もそれなりにアメリカにコメントをもらう。あるいはフォード大統領が日本の国に来たときにも、やはり核の持ち込みの問題が話題になったときに、フォード大統領が言われたこと、そして今日までいろいろとアメリカの言ってきたことを、私ずうっと分析もし、要約をしてみました。
 その分析と要約という中に、私は三つの問題を見つけることができました。それは一つは、アメリカは核の問題については、日本の特殊な感情を大変に理解をしているということを、常にそのことについての第一点として挙げております。それから第二点には、日米安保条約を今日までアメリカは遵守をしてきたし、また今後もアメリカは日米安保条約を守っていくということが第二点でありました。それから第三点については、日本の国にある、あるいは日本の国に貯蔵あるいは持ち込み等については、イエスともノーとも言えないということの、三点の問題に要約をされておりますが、その点について、私の考え方が間違っておったとするならば、御訂正を願いたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 大筋におきまして、仰せられるとおりと思います。第三点につきましては、核兵器の存在、不存在について公にしないということは、地域を限らず、一般的に米国の方針であるというふうに考えておりますが、概して仰せのとおりでございます。
○鈴切委員 外務大臣は、私の考え方、大体そのとおりであるというお話しになったので、先に進ませていただきたいわけでありますけれども、アメリカは、日本の国民が核兵器に対して、世界唯一の被爆国であり、特殊な感情があるということは理解をしているということでありますけれども、それについて、核兵器を持ち込んでいないという、そういうことは言っていないわけでありますす。ここに私、大変に大きな問題があるわけであります。理解をしておって、核兵器を持ち込んでいないというなら、私はそれは十分額面どおりとることができると思うんですけれども、理解をしているけれども、要するに核兵器は持ち込んでいないと言っていない。その理解の仕方が、私は大変に大きな問題じゃないかと思うんですね。
 それで、私はいま申し上げました三つの問題について、一つ一つそれについてのお考え方を聞きたいと思うわけでありますけれども、まず裏を返しますと、アメリカの回答の第一、すなわち、核に対しては日本国民の特殊な感情を理解しているということは、核問題では事前協議を日本にするということになれば、特殊な感情を持っている日本国民の感情を逆なですることになるので、事前協議をやらないで核を持ち込むこと自体が、アメリカの日本国民に対する特殊な感情の理解であると解すべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点は、先ほど鈴切委員の御指摘になりました三つの点のうちの第二点、すなわち、アメリカは安保条約並びにその付属協定上の義務を誠実に履行してきたし、今後も履行するつもりである、方針であるという部分は、申すまでもなく、事前協議についての義務を指しておるわけでございます。したがいまして、わが国にそのような事前協議が行われたことがないということは、私どもの立場から申しますと、その対象であるべき核兵器の持ち込みが行われていない、というふうに解釈しておるわけでございます。
 それとの関連で、しかし持ち込んだことはないということを言ったことを聞かないではないかと仰せられます点では、これは先ほど仰せになりました三つの点の最後の点、すなわち、核兵器の存在、不存在について公にしないという米国政府の方針に出たものというふうに考えております。
○鈴切委員 考え方を伺って、その上においてさらに深く入っていくわけでありますけれども、第二のアメリカはいままでも日米安保条約を忠実に守ってきたし、また今後も忠実に守るということは、アメリカの核戦略構想というのは日本だけを別にするわけにはいかないわけでありまして、白米安保条約には、本来、CBRの兵器を持ち込んではならないという規定はどこにもないわけであります。事前協議制は核兵器の持ち込みの歯どめでなくして、むしろ事前協議がないということ自体が、それが隠れみのになっているのではないかというふうに私は思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 まずCとBでございますけれども、これらの兵器の大部分は、事実上国際的には禁止をされておる兵器でございますので、私どもはこれは安保条約以前の、むしろそういう国際的な合意の問題である、生物化学兵器でございます。その最後のレディエーション、これが核兵器といわれたであろうと思いますが、これは、したがって国際的には禁止はされておりませんので、わが国の場合、事前協議の対象にしておる、私どもはそのように考えておるわけでございます。
○鈴切委員 CBRの、言うならば生物化学兵器については持ち込んでいない、そのように宮澤外務大臣は言われるわけでありますけれども、たしか昭和四十六年の十二月、参議院の沖繩特別委員会で、わが党から問題を提起した致命的な化学弾薬、重量約四百キロがバークレービクトリア号によって、オアフを経由し、横浜を経て米海軍佐世保補給廠に持ち込まれたという事実、これは大変にあの当時問題になりました。そのときにアメリカが送り状を提出いたしまして、その送り状の提出に基づく写真もここに実はあるわけでありますけれども、政府は苦し紛れに、あれは実験用であると実はおっしゃった。大変な大きな間違いでありまして、これは実験でなくて、実戦用の、言うならばガスであります。ですから、そういうことから考えますと、宮澤さんがおしゃったそのCBR、生物化学兵器というものは、もうこれは論外であるとおっしゃっているお言葉の裏に、実はこういう問題が、四百キロ持ち込まれたという事実があるのですが、それを御存じでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点、先ほどCB兵器につきましてその大部分がと、実は申し上げた意味であったのでございますが、まずBにつきましては、ほとんど問題がないのではないかと思います、バイオロジカル。しかしケミカルということになりますと、仰せられるように非常に言葉が広うございまして、どの部分が禁止されておるものか、どの部分が禁止されておらないものかは、あるいは必ずしも明確でないのかもしれません。そういう意味で、大部分と実は申し上げたのでございました。なお具体的な事例につきまして存じておりますかどうか、政府委員からお答え申し上げます。
○山崎(敏)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました事実に関しまして、私ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、御提示願えましたら、ちょっと調査いたしたいと思います。
    〔鈴切委員、資料を示す〕
○山崎(敏)政府委員 調査いたします。
○鈴切委員 ケミカルについていろいろあるからというわけでありますけれども、実は米軍はクラスについて十二を決めております。その中でクラスの中のXIというのは御存じのとおり毒ガスでございます。毒ガスの中で一番致命的な毒ガス、これはXIのAというのに入っております。XIのAはもう瞬間的に死ぬという、いわゆる致命的化学弾薬と言われております。それからXIのBというのは、非致命的化学弾薬でありまして、こういうふうな中にあって、いま私が御指摘申し上げましたのは、これは致命的弾薬なんですよ。これが入っているということですから、これは実は大変に問題があるのですよ。そういうような状態で、皆さん方が知らない間に、多くのCBR――まあBは入っていないかもわかりませんが、CRは入っているということは、目に見えて明らかであると私は思うのです。それに私がこだわりますと、次の問題の先が進みませんので、これは問題として、一応残しておきたいと思っています。
 第三目ですが、核兵器の持ち込み、貯蔵についてはノーともイエスとも言えないというところに、私はまた問題があろうかと思います。ところが核兵器についてノーともイエスとも言えないとは言いながらも、アメリカは実は極東においてこれだけの核を置いてあるとか、あるいはまた、韓国においては核地雷が何発置いてあるとか、非常にそういう点について言っているわけでありまして、ノーともイエスとも言えないと言いながらも、実際には言っておるわけであります。
 そこで、本来、日本の国民が核に対する特殊な感情がある、だから核は持ち込んでいないと言うなら、私はそれなりに信用することができるのでありますけれども、しかし、理解するが、持ち込んでいないという証拠にはならなぬのです、この点については。だから日本政府は、今日まで、事前協議を隠れみのにして、日米安保条約は、日本の施設、区域内に入る米軍の艦船はすべてノーチェックになっているので米軍は核兵器を運ぼうが何を持ち込もうが、日本政府はチェックをする機関もなければ、またそれを点検する権限もないというのが本来の真相ではないかと、私は思うのですが、その点はいかがですか。
○宮澤国務大臣 一般的に地域、施設を認めました場合に、それが駐留する軍の一般的な管理のもとに置かれるということは、わが国の場合ばかりでなく、NATOの諸国の場合にも一応の常識になっておるかと思います。軍艦につきましてまず一般的な不可侵権があるということも、これも認めるべきであろうと思いますので、そのような原則に従いまして、私ども、それらのものを点検をする、あるいは検査をするというようなことをいたさないわけでございますが、そのことは、しかし事前協議が、いわゆる鈴切委員の仰せられます隠れみのの役を果たしているというふうには、私ども考えておりませんで、やはり国益に照らして考えるという立場から、この制度を設けておるというふうに考えております。
○鈴切委員 そのお話を承りましたので、次に、さらに申し上げたいと思います。
 昭和四十三年の四月二十五日に、外務省から国会に提出をいたしました「日米安保条約上の事前協議について」という公式文書があります。その公式文書の中を見ますと、ずいぶんこれは納得のいかない点があります。それは「日本政府は、次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるものと了解している。」と、こう書いてあります。御存じのとおり、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文、これは「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力」云々ということで、両国政府ということが前提になっているにもかかわらず、言うならば、当時の藤山外務大臣とマッカーサー駐日大使との口頭了解の中で行われたことは、「日本政府は、次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるものと了解している。」と言って、三つの事項について、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」ということを挙げておるわけでありますけれども、これは日本政府だけの了解なのでしょうか。それとも日米両国政府の了解なのでしょうか。
○山崎(敏)政府委員 この問題に関しましては、その当時の交渉当事者であり責任者でありました藤山外務大臣とマッカーサー大使との間の口頭の了解によって、こういう了解が成立しているわけでございます。
○鈴切委員 いや、それでは納得いきませんよ。だから私が聞いているのは、これは日本政府だけの了解なのか、それとも日米両国政府の了解なのかと聞いているのです。
○宮澤国務大臣 御承知のように、このもとにございますのは、安保条約第六条の実施に関する交換公文でございまして、その中の日本国への配置における重要な変更、装備における重要な変更、日本国から行われる戦闘作戦行動、これらについての施設及び区域の使用は事前協議の主題となる、こういう基本的な了解が交換公文でなされまして、そして、そのうち、それを具体的にどういう場合が重要な変更であるかというようなことにつきまして、藤山・マッカーサーの間で相互の了解がございました点を、ただいま政府委員が申し上げたわけでございます。
○鈴切委員 これは大変な問題ですね。相互の了解というのですね。相互の了解というのは、日本政府の了解と、それからアメリカ政府の了解とは別の問題であるかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 藤山外務大臣及びマッカーサー大使、両国の政府を代表いたしまして、この点について、一つのことについて了解をし合ったという意味でございます。
○鈴切委員 それではおかしいじゃないですか。それでは、日米両国政府は「次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるもの」とすると見なくちゃならないのじゃないですか。いいですか、私のいまの論理から言いますと、当然、両国政府が了解し合ったのですから、了解し合ったとするならば、そこは、日米両国政府は「次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるもの」とするというなら、私は納得しますよ。しかし、あなたのおっしゃっているのは、「日本政府は、次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるものと了解している。」というのじゃないですか。これは大分違う話ですよ。その点はどうなんですか。
○宮澤国務大臣 この文書は、先ほど仰せられましたように、四十三年四月二十五日の文書でございまして、その中に「日本政府は、」云々と書いてございます。それで、私ども政府の責任におきまして、このように了解しているということを申し上げたわけでございますが、もとよりその意味は、私どもがアメリカ政府にかわって、このように考えているということを申し上げることは不適当でございますので、日本政府は、言ってみますと、このような了解が日米両国政府の間にできておるというふうに考えておる、このような意味とお考えくださいまして結構でございます。私どもがアメリカ政府の名において申さなかったという意味は、これはもうもちろん御了解いただけるものと思います。
○鈴切委員 ずいぶんおかしな問題でして、皆さん方のお考え方は、日本政府はこのように了解をしている。それじゃ、アメリカ政府はどのようにこれを解釈して了解しているのですか。
○宮澤国務大臣 この了解は、両国を代表して藤山・マッカーサー両氏の間でできたものでございますので、了解しておりますことの内容は、全く同一であると考えております。
○鈴切委員 それでは、アメリカ国務省に、日本と同じ解釈で了解しているということを、米国に直ちに照会をしていただいて、その結果を本委員会に提出をしていただきたい。そしてまた、この部分の了解というものは、全く日米間同じ事項について、同じ解釈で、同じ了解事項であるということについて、その点についてひとつお約束を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 何かの形におきまして、昭和三十五年の藤山・マッカーサーの了解が両国間の正式なものであるということを御報告をいたしたいと思います。
○鈴切委員 ちょっと話は別ですけれども、米国防総省は、一九七〇年の一月に、上院外交委員会安全保障協定・対外公約分科委員会、いわゆるサイミントン委員会に提出した横須賀基地の機能に関する資料で、一部が削除されており、この部分が核兵器を意味するものではないかということが国会で問題になっておりまして、木村外務大臣は、私の責任において照会する旨を約束されました。報道によりますと、国務省では、すでに日本政府に正式な回答をよこしているというふうに言われておりますけれども、その内容についてちょっとお伺いしましょう。
○宮澤国務大臣 この点は、確かに報道にちょっと誤解があったようでございましたので、政府委員から申し上げます。
○山崎(敏)政府委員 御指摘のありました削除分に関しましては、当時の御質問がございましたので、早速アメリカ側に照会いたしましたところ、その削除した部分は核兵器に言及したものでなく、また、核兵器とは関係のないものである、という旨の回答がありました次第でございます。
○鈴切委員 まあ軍事専門家は、これを核兵器だというふうに読んでいる、あるいは国民の大多数の方々はこれは核兵器ではないかというふうな疑惑を持っておるわけです。
 そこで、いまアメリカ局長は、核兵器とは全然関係がなり核物質でもない、ということであるならば、この削除をされた部分はどういう語句が入るか、これについてお伺いしましょう。
○山崎(敏)政府委員 その点につきましても、われわれとしては照会したわけでございますが、アメリカ側といたしましては、その削除した部分の具体的な内容については公表できない、ということを申しておるわけでございます。ただ、先ほどから申し上げましたように、それが核兵器を意味するものではないということだけは言える、というふうに申しておるわけでございます。
○鈴切委員 核兵器でない、核物質でないということが、アメリカの方から回答で来たというならば、核でないものであるならば、どういう語句が入ったかぐらい言えるわけじゃないですか。それについて、アメリカ局長も外務省も、その語句がどういう語句であったかということについて問い合わせもしなければ、その内容も聞いていないのでは、私は納得いきませんよ。その点について、やはり外務大臣はお聞きになりますか。
○宮澤国務大臣 私どもといたしましては、米側に問い合わせまして、これが核兵器を意味しないという確答を得ておるわけでございます。したがいまして、私どもの照会の目的は、それで完了しておると考えましたけれども、なお、削除部分は何であったかということを重ねて聞きまして、それについては、公表できないと言ってまいりました。これは何かの理由で、一国の政府が削除をいたしたのでございましょうが、核兵器でないということがわかっておりますれば、私どもとしては、それで、先方が削除したのは、理由があって削除したのであると言えば、その回答に満足せざるを得ないかと思います。
○鈴切委員 それでは国民が納得いたしません。やはり少なくとも、核兵器でないというならば、核兵器でないという部分に対して、どういう内容であったか、ということについて、私はアメリカが、こういう字句が入っておったけれどもそれを削除したんだと言うならば、それはそのとおりかと思います。しかし、核兵器だと軍事専門家が言っているのに対して、核兵器ではない、核物質ではない、それだけで回答が来ても、これは納得いきませんよ。それについて、やはりもう一度外務大臣としてお問い合わせになるつもりはあるかどうか、それについてお伺いいたします。
○宮澤国務大臣 一国がある文書の一部を削除するというのには、私はそれなりの理由があるのであろうと思います。それが核兵器でありましては、わが国の国是と反しますので、この点だけははっきりいたしておかなければなりませんけれども、それ以外の、何かの事由によって、一国がその部分を削除して、公表したくないと言えば、私は、それに満足せざるを得ないのではないかと考えております。
○鈴切委員 それでは、全く疑惑が晴れないままに回答をいただいた、と言う以外に方法はないということで、次に進ませていただきます。
 次に、防衛庁にお聞きしますが、アメリカの戦術兵器の中で、米軍事筋は、核地雷をADMRTPと公表いたしておりますけれども、それはどういうことを意味しているのか。そのことは、核地雷の総称を指しているのか、それともそれ自体が核地雷そのものであるのか、それについてお伺いいたします。
○丸山(昂)政府委員 私どもでわかっておりますのは、一九七一、七二会計年度の当時のレアード国防長官の国会に対します年次報告、この中に別表として載っておりますものに、ADMというのが載っております。もとはアトミック・デモリション・ミューニションということで、原子破壊弾薬という訳だろうと思いますが、通称核地雷と称しております。
 ただいま先生のお挙げになりました、ADMRTPであったと思いますが、そのRTPというものについては、私ども承知をしておりません。また、そのRTPというものがつきました場合に、ADMと全然別個のものになるのかどうかということについても、はっきりわかっておりません。それから、いま御質問のございました、特定の兵器を指すものであるか、一般的な呼称であるかということでございますが、この点につきましては、一般的な呼称、そういう能力を持ったものの呼称ではなかろうかというふうに考えております。
○鈴切委員 ADMRTPのADMが核地雷であるということ、これはレアード国防長官が報告をしている中にありますから、これはいいと思います。別に私がそれについてとやかく言う問題ではありません。私は私なりにいろいろ研究をいたしまして、これはアトミック・デモリション・リータード・タンク・アンド・パーソナル、この内容を訳しますと、いわゆる核破壊戦車人員阻止地雷というのが正しい訳ではないかと思いますが、私は別にこれに対してとやかく言うものではありませんが、そうなりますと、マインAP、すなわちアンチパーソナル、対人殺傷地雷と、マインAT、アンチタンク、すなわち対戦車地雷と、この二つがあるわけでありますが、これは一般的に申しまして、いまお話がありましたように、核と非核両用のものであると私は思うのですけれども、その点についてお伺いいたしましょう。
○丸山(昂)政府委員 いまお挙げになりましたマインは、地雷の通称でございまして、ATと申します場合にはアンタイタンク、それからAPがアンタイパーソナル、対人というふうに普通使っておるようでございます。マインで言いました場合には、通常、いわゆる特定の兵器を称するのではなくて、通常兵器として使われるいわゆる地雷一般を総称する言葉であると思います。
 その場合、核のものを含んでおるのかどうかというのは、これはその場合によって、核を含めて使う場合には核が入るということになると思いますし、その用法によって非核になる場合もあるというふうに思いますので、それぞれの特定の場合を限定してみませんと、はっきりした意味は申し上げられないと思います。
○鈴切委員 私は、いろいろこの問題についても研究をいたしてみました。対戦車の場合は、衝撃地雷で戦車を爆破するということで、これは比較的通常の地雷がありますし、また、言うならば、核地雷も当然あるわけであります。対人殺傷地雷というのは、多くの敵兵を殺傷するために、広範囲に被害を及ぼすように、言うならば地雷とての役目をするわけでありますから、アンチパーソナルの方は核地雷というのがかなり多く使われているということを、私いろいろの本あるいは文献によって見まして、調査でわかったわけでありますけれども、それもほとんど、リモートコントロールするわけであります。大変に広大な場所を地雷によって爆破するわけでありますから、リモートコントロールをするということもわかっております。
 そこで、それはそれとしまして、公明党が昭和四十三年、先ほど申し上げましたように、米軍基地総点検以来、再三にわたり調査をしながら入手した米軍関係書類を丹念に調査をした結果、核兵器が持ち込まれているのではないかということを、私どもは実は強く感じました。
 その一つは、横須賀基地において、放射性物質を毒物として承り扱う赤いラベルが、メタルコンテナあるいはボックスに張ってあったことが、調合の結果判明いたしました。これはナマズのひげの赤いラベルと呼ばれているものでありまして、キノコ雲、すなわち放射能をあらわしていて、何人かの人から、この種のものであったということの証言も得ております。
 これだけでも、すでに核が持ち込まれた証拠であると見てもよいと、私は実は思うのでありますけれども、これは、社会党が先日問題にした放射能を取り扱う書類があるということを裏づけるもりであると思うのです。これについて、ちょっと見ていただきたいと思うのですがね。これです。
 これには、こう書いてあります。「取扱注意、放射性物質、クラスD毒性、グループIまたはII」「主要放射性物質の内容」が書いてありまして、内容の活発性はどういうものであるか、梱包からの放射線の数量単位はどういうものであるかという記入があります。それから「不必要な人員は、三フィート以内に止まるべからず、未現象フィルムをこのコンテナーの十五フィート以内に置くべかりず」「同一場所で一台の車又は一台の運搬機具によって、同時に四十単位以上を積載してはならない」 「これは米国内通商委員会の指示する規定に従って輸送のために荷物内容の品目、品名、正常な状態であることの証明である」と書いてありまして、「急送品のため送主の名前を、ここに記入することを要求する(梱包上に銘記の意味)」こういう、言うならばラベルが張ってあったということについて――この種ですよ、私は決してコンテナからこれをはがしてきたんじゃないですから。この種のものが張ってあったということの証言を得ておりますので、それ自体でも、核は持ち込まれているということは、もう明らかであります。まずそれが第一点であります。
 それから第二点は、公明党が基地の総点検をする前から、相当長い期間に核兵器はXのクラス、いわゆるこれはXのクラスと申し上げましても、沿岸警備隊の輸送のクラス、危険度に応じてのクラスの中で、Xの中に核兵器のかぎがあるということを、私どもはいろいろの調査の結果感じておりました。
 そこで、核兵器あるいは核弾頭並びに核兵器の機材等は、必ずクラスXの中にすべてのかぎがあると、注意深く私ども調査をし続けてまいりました。たまたまベトナム戦争が激化するに及んで、戦術核兵器も小型化され、多種多様に開発されるに及んで、それを整理するために、軍用爆薬並びに危険性ある軍需品のコーストガードの輸送の中には、核兵器は、沿岸警備隊による仕分けでは「X−B」と明記されていることがわかりました。それがお手元にありますところの資料の二であります。
 資料の二を読んでみますと、これは「アメリカ沿岸警備隊、軍用爆発物並びに危険性ある軍需品に関しての規定及び法規から抜粋の一部」であります。その抜粋の一部の中に、一番上の左から、これはカモディティーと言いまして品目であります。それからその次はカーゴララス、沿岸警備隊による仕分けであります。それからDOTクラス、これは輸送基準による仕分けであります。その次がDOTマーキングと書いてあって、これは輸送の表示になっております。この中に紛れもなく核兵器X−B、そしてクラスのA、爆弾、地(機)雷、発射体――発射体の中にはロケットあるいは弾丸のようなもの、あるいは魚雷、こういうことがここに明記されております。これは第二の資料であります。資料の説明であります。
 それから、第一のこの資料であります。これが要するに、この間矢野書記長がいろいろ問題にいたしましたカーゴリストであります。このカーゴリストをわかりやすく、私、これから御説明申し上げますので、聞いておいていただきたいと思います。
 このカーゴリストというものは、受領貨物の一覧であります。これは貨物をチェックするときに使用されるもので、このカーゴリストができる経過というものを御説明申し上げます。
 それはTCMD、これをトランスポーテーション・コントロール・アンド・ムーブメント・ドキュメント、こういうのです。非常に長いですね。長いのですけれども、これは輸送指令書と言うんであります。貨物を輸送する管理者の手によって作製され、送付されるようになっております。で、在日米軍基地司令官あるいは施設の一番長に、言うならば矢野さんが問題にしたDDカーゴストレージプラン、すなわち公式書類による貨物の積み荷保管計画書と一緒に貨物の入る前に飛行便で届けられ、それが事務的に弾薬を取り扱う責任者に渡り、貨物の積みおろしにチェックするためにつくられたものであります。これがカーゴリストであります。このチェックされたカ−ゴリストを見ますと、この一番上に、USNSプライベートタオール号という船の名前が出ております。これについて、この間大変に、宮澤さんが、そんな船があるかというようなことを矢野さんに言われましたので、私は、それをなるべく時間を省く上において、これは別の便でありますけれども、言うならばその船があったということ、当時活躍しておったということを、ちょっとこのカーゴストレージプランによってお見せしたいと思っております。いまお見せいたしましたその船の正式な名前は、米海軍軍用船、プライベート・ジョン・R・タオール号であり、当時大変に活躍をしておった船であります。このチェックされたカーゴリストを見ますと、米軍用船タオール号が、一九六〇年の後半に、輸送を管理する責任者から指令書が出され、横須賀田浦へ運ばれたということになるのであります。なぜ一九六〇年の後半かと言えば、実はTCMD、先ほど申し上げました輸送指令書の輸送番号、これがTCNというのです。これはちょうどこのカーゴリストの半ばから下の方に十三けたの数字で記入をされております。それを解読いたしますと、一九六四年の後半ということになるわけであります。これは全部一つの暗号でありまして、十三けたがそれぞれどういう役目を持っているか、そしてまた、言うならば何年何月にこのTCMD、輸送指令書が発行されたかということを明確にしているわけでありまして、このTCMDが出されているということは、間違いなくカーゴリストというものについても、公式文書によってそれをチェックされたものであるということの証明になるわけであります。
 そこで本論に入るわけでありますけれども、ちょうどこのプライベートタオール号というのは、全くうまいぐあいに配置されておりまして、こんなに解明するについて、言うならば、うまい配置はないと思うわけでありますが、お手元のこのカーゴリストの中に赤丸が二つついております。なるべくならば、この赤丸と赤丸との間を近づけて、こう見ていただきたいわけであります。そうすると、その十二番目の項に第一船倉、いいですか、第一船倉…(「大臣に教えてやれ」と呼ぶ者あり)いいですか。そうしますと、その十二番目の項に、第一船倉、仕分け番号二八〇と書いてありますね。沿岸警備隊による仕分け区分がXB。いいですか、先ほど何か聞いたことがありますね。XBで表示をされております。これは対人殺傷地雷が六梱包、総重量二百四十九ポンドで約百十三キロ、容積にして四キュービックフィートですね。四キュービックフィートが田浦で陸揚げされて、横須賀基地の米第七艦隊のオクラホマシティ1号に搬入されたと記入してあるわけであります。おわかりになりますか。そう読むのです。もし私の言っていることが間違いでありましたならば、いつでも御訂正くだされば結構でありますが、私もかなりこういうことは勉強してきておりますので、そう読むんであります。
 一方、カーゴリストの下段から十一行目、下の部分ですね。第三マストの船倉に、これまた仕分け番号一六〇、米沿岸警備隊による仕分けは、区分はクラスの七であります。表示をされている高性能爆薬、HEであります。HEというのは高性能爆薬でありまして、これはどういうものかと言いますと、HBXあるいはRDXあるいはTNT火薬のコンビネーションであります。その最高のいわゆる高性能爆薬としてのHE、これを詰め込んだところの対戦車地雷が五発、総重量二百五十ポンド、六キュービックフィートが田浦で陸揚げされて、これも同じく横須賀基地の米第七艦隊の旗艦オクラホマシティー号に搬入されているということが記入されております。どちらも米第七艦隊オクラホマシティーに搬入されたと記入されております。
 ここで問題になるのは、対人殺傷地雷と対戦車地雷とを対比していただきたいわけであります。高性能爆薬対戦車地雷の方が一個当たり一これを割ればいいのです。総重量を数で割れば五十ポンドと、重量は重いのです。にもかかわらず通常HEの地雷としてクラスZで取り扱われております。これは言うならば衝撃地雷としての通常地雷である、こうなっております。一方、対人殺傷地雷の方が、梱包された分も含み、実はそれよりも四十一・五ポンドと軽いわけですね。この危険性については、沿岸警備隊の仕分けによってそれよりもさらに高い、先ほど第二の資料で私が申し上げましたニュークリアウエポン、そして沿岸警備隊としてはX−Bとして扱うという、そこのところに入っているわけでありますけれども、私はこれは核兵器地雷、いわゆる核の地雷であるという疑いを大変に強く持っておるのですけれども、その点について、いかがでございましょうか。
○山崎(敏)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま拝見いたしました資料、われわれとしては非常にわからない点が多々あるわけでございます。いま防衛庁の方とも相談いたしましたが、十分調べさせていただいた上で、お答え申し上げたいと思います。
○鈴切委員 わからない点をちょっと言ってください。わかるように説明します。
○山崎(敏)政府委員 実はいろいろわからないわけでございますが、リマークスのオクラホマシティーというものが、船を意味しておるのか町を意味しておるのかという点も、われわれちょっと疑問に思っておるわけでございます。それから、マインとかマインAPが、いま先生のおっしゃいましたものでございますかどうかということもわからないし、XBというものが、果たして先ほど申されたようなものに該当するのかという点もございます。大分わからない点がございますので、またいろいろ調べまして、先生にもお伺いいたしたいと思います。
○鈴切委員 オクラホマシティーが町であるか船であるかわからないなんて言っておりますけれども、こんなことは動転したアメリカ局長の言うことであって、そのこと自体を解明するには余りにもばからしい話でありますので、だから、私はこういうふうにしたいと思うのです。いいですか。
 一つは、米沿岸警備隊が定める「軍用爆発物並びに危険性ある軍需品に関しての規定及び法規」、この一九五八年度版、それから一九六二年度版、そして一九六八年度版、いずれも関連のあることでありますので、この資料をアメリカに要求していただきたいことが一点であります。
 それからもう一つは、先ほど防衛局長が、マインAPあるいはマインAT、この二つは総称するものであるというお話でありましたけれども、先ほど私が申し上げましたように、輸送指令書、TCMD、これと、それからもう一つはDD、貨物保管計画書は固有の名称は書いてありますから、当然その公式文書の資料を提出していただくように、アメリカに要求をしていただきたいということです。
 私の手元に、実はたくさん核兵器と疑わしきものがあるわけであります。この間も矢野書記長が、核兵器であるかどうかのチェックの判断ができる資料が欲しいというふうに言われたのは、実はそういうことでありまして、こんなに苦労する必要はないわけであります。だから皆様方からそういうものがいただければ、私がちょっちょっとチェックをいたしまして、ああこれは核兵器である、これは通常兵器だ、こう申し上げて、日本の国に核が持ち込まれたということを実証したいと思っておりますけれども、その問題について矢野書記長も言っておりますから、一応そういうものを出していただきたい。
 で、お願いしたいことは、その中間報告は、実はよしてもらいたいのです。中間報告というのは、何かしらすっきりしないのです。私は公式文書をもとにしてこの問題を取り上げましたので、やはり公式文書に基づいて論戦をしたいと思っております。皆さん方がどういうふうにされるかは、恐らくアメリカの回答を待ってのことでございましょうから、実はすぐにでも在日米軍にお問い合わせになれば、私がいま申し上げました資料はあるわけでありますけれども、それでは余りにも、何というか、唐突過ぎますので、そういうことから考えまして、中間報告はなくして、むしろ正式なその書類が出て、その上に立って、私は公式文書の上において論戦を申し上げたいというふうに思っておりますし、願わくは――こういう資料は全部横文字であります。横文字をその場所で私によこしても、それに対してなかなかすぐに答弁はできませんので、一日か二日ぐらい前、すなわち予算委員会が終わるまでには、そういうふうなお手配をしていただきたいと思うのですけれども、外務雇いかがでございましょうか。外務大臣、外務大臣。
○谷川委員長代理 資料の時期はともかくといたしまして、いまの資料に関して、何か政府側から発言がございますか。
 外務大臣。
○宮澤国務大臣 それでは、ただいまの資料につきまして、防衛庁と協力をいたしまして、私どものわかり得る範囲のことを御報告申し上げることにいたします。(鈴切委員「正式な回答を待ってからで結構です」と呼ぶ)はい。私どもだけでは調べることができませんので、照会をいたしまして、わかる範囲のことを御報告いたすことにいたします。
○鈴切委員 そういう意味におきまして、これ以上論戦をしてもしょうがありませんので、一応私の持ち時間は留保させていただきたい、こう思っております。
○山田(太)委員 議事進行。
 先ほどから鈴切委員から、やはり核持ち込みの疑惑、どうあっても国民はこの疑惑を解明してもらいたいという、その要望は強いものがございます。かてて加えまして、先日のわが党の矢野書記長の質問の折にも、四項目に分けての資料要求とともに、解明されない疑惑に満ちた問題の提起がございました。その際、総理から、この予算委員会の終了するまでには疑惑が解明されるようにいたします、こういうお約束もございました。なお、荒舩委員長から、政府委員に対しての不勉強の叱責もあり、同時に資料を出すようにという、荒訟委員長からの厳しい言明もございました。そうしてその問題について、理事会に取り扱いを一任されたわけでございます。その理事会においては、資料は出させる、そうして出せないものについては、ちゃんとその理由も明記する、そういうふうな決定も下されております。あまつさえ、きょうの鈴切委員の質問についても、正式な文書でアメリカへの問い合わせ並びにアメリカからの正式な回答、それをいただいた上で、また質問を続けさせていただきます。したがって、時間も余しておりますので、他日、その問題についてはその上で質問を続行したい。そのために保留したいということでございますから、この点は、ひとつ委員長の方において、その取り計らい方をまずお願いを申し上げておきます。これが第一点。
 それから第二点は、この核の問題については、せんだっての私の議事進行の発言の折にも、近い日に、この核の問題を中心として論議を、この予算委員会の終了までにやってもらいたいということを、きちっと明言しております。これはわが党だけでなく、もちろん社会党さんの方でも、そのような意向があるということも聞いております。この問題について、委員長の取り計らいを、予算委員会の期間中に、しかも先ほど鈴切委員からの発言がありましたように、中間報告などというふうな何となくあいまいなことでなく、その回答もきちっとして、そうして核問題での論議を日にちを設定して論議していく、それを厳重にやっていただくよう、私からも強く要望を申し上げておきたいと思います。
○谷川委員長代理 ただいま山田太郎君の御発言、数点に及んでおりまするが、それぞれに関連いたしておるわけでございますので、理事会で協議することにいたしまして、本日は、鈴切康雄君の保留いたしました持ち時間、これは了解することにし、本日、これにて鈴切君の質疑は終了いたしました。
 次に島本虎三君。
○島本委員 私は公害と環境問題に論点をしぼりまして、数点にわたって質問するつもりでございます。まず、真っ先に伺いたいのが一つあります。最近の瀬戸内海の汚染の状態はひどいのでありますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法が三年間の時限立法として、もう成立しているのであります。しかし、最近のああいうような石油事故のために、すでにもとへ戻ったような状態であります。これは何ともできない状態であるといいながらも、これは環境庁を初めとして、公害、環境に対する取り組みがまだ不十分である、こういうような点からして、まことに残念だと言わなければなりません。
 それだけではないのであります。つい二月の十一日に、香川県の高松市の付近の海中でとれた魚を食べた漁民が、食中毒を起こしたという事件が起こったのであります。香川県の環境保健部が直ちにこの問題に対して調べたところが、三菱石油の重油流出事故で汚染された魚が原因の疑いが濃いという結果になったのであります。そして高松市内の三つの漁業協同組合、七名の人が罹災いたしました。これは底びきで、網でごみをとった、その中に入った魚、コチ、アイナメ、カレイ、これらのものを船上または自宅で煮たりてんぷらにして食べた、その結果によったということであります。これは急性毒性による胃の障害である。そして同時に、油のにおいはないけれども、中和剤のにおいがするというのであります。これはすでに重要じゃございませんか。こういうような問題に対して、環境庁初め厚生省はどのようにして取り組んでおるのでございましょうか。とれる魚、それがすでに毒物になっておる。こういうような問題は一日も猶予することができないと思います。この対策をまず聞かしてもらいます。
○小沢国務大臣 私の方で県との連絡をいたしまして判明いたしました点は、一番関心を持ちましたのは、水島事故による汚染の魚と関連をするかどうかという点でございますので、これらを究明するために、疫学的調査を実施することといたしました。
 とりあえず、食べ残しの魚について行いました分析では、鉱油は検出をされておりません。中和剤についてのお話がございましたが、これはただいま分析調査中でございまして、この結論は、まだ私どものところへ正確には届いておりません。
○島本委員 中和剤の疑いも濃いということも言われておるのでありますが、この中和剤は、海上保安庁で、今回の三萎石油の流出事件に対して、無制限にこれをばらまいたものであります。これに対しての発がん性の試験も、催奇形性試験も、繁殖試験も、代謝試験も、何らこれを行えないままに、これを使用したというこの結果が判明したのであります。同時に、これに対しては、相乗作用も全然見ておらないということであります。こういうような状態では、三年間の時限立法で瀬戸内海環境保全臨時措置法をつくっても、何にもならないじゃありませんか。後から後から国の手で汚染していく、こういうような結果になってしまうではございませんか。海上保安庁は責任をもってこれをやったわけでありますが、これに対して保安庁はどういうふうな対策を持っておられますか。
○寺井政府委員 ただいま御指摘の油処理剤による中毒といいますか、海洋汚染といいますか、そうしたものの疑いでございますが、処理剤がそういう結果をもたらすかどうかにつきましては、具体的に調査をしていく必要があろうかと考えております。ただ、処理剤の毒性その他につきましては、現在考えられるいろいろな試験をした上で、規格に合ったものを使用した次第でございます。
○島本委員 規格に合ったものを使用した、こういうようなことでありますが、その規格とは、いま申しましたように、発がん性試験や催奇形性試験や繁殖試験や代謝試験、それと、他の物質あるいはこれらの相互の間の相乗作用も見込まれた上で、安全だとしての試験結果が出ているのですか、全然それが触れられていないのですか。安全だとすると、これらの点と、どこが安全なのですか。この点もこの際はっきりしておいた方が、将来のためにいいと思うからであります。
○寺井政府委員 処理剤の毒性に関しましては、先生御指摘のように、発がん性等につきましては、直接的に検討した規格ではございませんけれども、現在の処理剤の規格基準は、これらも含めて、四十三年度から専門の学者による委員会で検討を実施されたものでございまして、この基準は、四十八年から引き続き委員会でさらに見直しをしていくということになっておりまして、現在の規格に定められた生分解度の基準によりまして、慢性毒性は一応考慮されているというふうに考えられます。また蓄積性につきましては、研究を実施いたしておりまして、特に問題にする必要がないというのが専門家の意見でございます。人体への影響等につきましても、油処理剤は、家庭用洗剤と比較いたしまして、毒性が非常に低く、かつ散布後、海洋微生物によって分解されるという性質のものでございますので、余り大きな影響はなかろうというのが専門家の意見であるというふうに聞いております。また、この油処理剤の成分規制の中で、芳香族炭化水素などの含有禁止の関係がございますが、これは、四十八年度に専門委員会で検討が行われました結果、現行の対生物毒性の基準によってカバーできるということのため、新たに規制項目に置く必要はないという御意見でございました。
○島本委員 こればかりに余り長い時間はとられないのでありますけれども、第一番に、何でもないはずのものが、ではどうしてこういうような病人ができたのですか。それも、油のにおいもしない、中和剤のにおいだけがする、これはちゃんと県の環境保健部の方でこれを言っておるじゃありませんか。しかし、あなたの方では何でもないと言う。もうそうなった場合は、国としてもそういう中和剤の毒性があるのかないのか、いま言ったようにして、数項目にわたる基本的な実験を経た上で、これを使用させるようにしなければならないと思うのであります。それは厚生省でありますか、農林省でありますか、環境庁でありますか、こういうようなものに対してきちっとしたものにして、今後使用させなければならないと思いますが、政府の意向は現在のとおりでいいのですか、それともまた、今後きちっとしなければならないと思いますか。保安庁のほうでは何でもないと言う、しかし病人は出ているのですよ、もうすでに七人も出ているのですよ。これはどうなさいます。
 まず順繰りに、厚生大臣、農林大臣、環境庁長官、どのようにお考えですか。
○安倍国務大臣 農林省といたしましても、この中和剤が漁業資源に与える影響がもし大きいということになりますと、大変な事態になってくるわけでございまして、現在のところは、いま説明がありましたように、中和剤の毒性は少ないということでございますが、さらに現在各関係機関で調整もいたしておりますし、水産庁としても、水産研究所で調整もいたしておるわけでございますが、水島の事故につきましては、やはり漁業組合等が中和剤に対して非常な不信を持っております。そこで、組合等が中和剤を投下するということについて反対をしておる地域については、これは投下はしていないというふうに聞いておるわけでございますが、しかし、やはり水産をこれから振興していく、沿岸漁業を守るという立場において、かりそめにも中和剤でそうした悪い影響が出てくるということになれば、非常に大変な事態になるわけでございますから、今後とも関係機関と十分連絡をとって、調査研究を徹底して行うべきである、そういうふうに思っております。
○小沢国務大臣 瀬戸内海の今度の問題のときに中和剤の使用問題が出ましたとき、私現地に参りまして、このような閉鎖性の水域については、やはり本当にもう安全性が確認されない以上――大体現在の中和剤は、新潟のジュリアナ号事件のときと比べまして、そういう点では非常に改善をされておりますけれども、まだ本当に完全と言われないうちは慎重にしてもらわなければならない、特に漁民の了解を得ないうちは投下をしないようにということを、注意をしておったわけでございます。ただいま先生が、この中毒症状の中で、油のにおいがしないが中和剤のにおいがして、中和剤が原因だということがはっきりしておるようにおっしゃいますけれども、私どものところには、目下その点は分析調査中であって、まだ結論は、そういう断定的なものは出ておらぬわけでございます。ただ、本事件については、食中毒事件として厚生省の方でいろいろ調査を進めておられるわけでございますので、厚生大臣からも答弁があると思います。
○田中国務大臣 お尋ねの、魚を食べたことによる異常症状につきましては、今日、当厚生省で地元と連絡をとりつつ、その原因の究明に努力中でございますが、今日のところ、医学的に、疫学的に、まだ結論を得ておらないということでございます。詳細については、技官の局長から説明させても結構でございます。
○島本委員 そういうような状態でありますけれども、海上保安庁の方に、たって、この点だけは申し添えておきたい。
 やはり最近海洋または水質汚濁関係で、逆に、保安庁の方では、その取り締まり権限が付与されているはずです。油濁防止、これをやるのは保安庁でしょう。それが、先にこういうようなことをやるということは、どうもおかしい。
 おかしいのはそれだけじゃない。三木総理大臣は、対話と協調、こういうようなことを盛んに言って、かっこういいのでありますけれども、しかし下部の方では必ずしもそうじゃないようです。私の方ではまことに遺憾なことがあるのです。
 これも保安庁。一月二十二日の早朝ですけれども、これは北海道の伊達の沖合いで、資材搬入阻止のために、漁民が、十数隻の漁船です、ほんの漁船です、これらが、いま交渉中であるし、自分らの漁場を失われる、赤潮も発生した、こういうような公害を発生させるような現状、いま裁判中であるし、別に話し合い中であるのであるから、したがっていま強行するのはよしてもらいたい、こういうようなことで話を持っても、北海道電力は応じない。そして全道労協が中に入って、円満に話し合いをしようとしていても、その最中に強行した。一月二十二日の早朝です。資材搬入阻止で、漁船がたった十三隻ですよ、それがちょっと出たのに、驚くなかれ一管区、二管区から、海上保安庁の巡視艇、巡視艦二十二隻、それにヘリコプターまで出て、そして、それで第二十四北光丸、これを護衛しながら着岸させた。自分らの漁場が失われるんだ、赤潮まで発生させられたんだ、いま話し合いに入っているんだ、また同時に裁判までしているんだ、環境権の問題。こういうような漁民、それらの人の話を一顧にも付さないで、そのまま強硬に入港して、漁船が一隻、岸壁と北光丸にはさまれた。そして押しつぶされた。そして漁民がそのままおかへ上がった途端に、今度は公務執行妨害で逮捕した。どうですか、一体これは。漁民の生命を無視した殺人予備罪みたいなものではないですか。そしてそういうようにしながら、陸に上がった三名を逆に逮捕した、こういうような事件がありました。
 当時の道警の警備体制は、制服、私服合わせて四百名。しかし、出た反対派の人はたった百名。百名に対して四百名。それにヘリコプターが飛んで、そして巡視艦、艇、それから船、合わせて二十二隻。一体公害に対して何と思っているのですか。被害者に対して何と思っているのですか。加害者の味方ばかりしているじゃないですか。いまの瀬戸内海の汚染の問題もそうじゃありませんか。最近の保安庁、おかしい。そういうようなことからして、公害反対闘争に陸海空で弾圧する、こういうようなばかげた話はありません。まさにこれは過剰警備ではありませんか。これは一体どういうことなんです。何のために保安庁がこれまでしなければならないのですか。一管区、二管区までわざわざ来て、やっているのです。どうなんですか、これは。そしてはさまれてしまって、ようやくおかへ上がった、黙っていれば死ぬのです、その人を今度は逮捕する。これは環境庁長官、あなたも、公害を扱う上から、こういうようなものは刮目していないとだめなんです。どうもこれはおかしいし、一体、これに対して過剰警備だ、こう思いませんか。
 警察庁からも来ております。保安庁、両方から、これは当時の事情からして、どうしてこんな過剰警備をしなければならなかったのか、これをはっきりしてもらいたい。
○寺井政府委員 ただいま、伊達港の火力発電所の物揚げ場に入港するに際しての警備が過剰ではなかったかという御指摘でございますけれども、私どもが得ました情報では、反対派の妨害行動がある、そうして約七十隻の漁船を動員して港口封鎖する可能性があるし、また、土のう約三百袋あるいは廃船三隻などを準備いたしまして妨害をするというようなことがございましたほか、過激派の学生の介入などの情報もございました。
 そこで、海上保安庁といたしましては、海上における安全と秩序の維持を図るために、十九隻の船艇を配備しておったわけであります。二十数隻というのは違っておりまして、十九隻でございます。なお飛行機は、ヘリコプターを二機出動させました。当時は非常に厳寒期のシーズンでございまして、万一、海中転落等の不測の事故が起こりますと人命にも影響がございますので、主として小回りのきく高速の巡視艇を中心に警備を実施したわけでございまして、過剰警備であったというふうには考えておりません。
○島本委員 どうもこれは海上保安庁、いよいよおかしくなってきたんじゃありませんか。これはもう海事関係の人たちは一様に首をかしげているのです。北海道大学の水産学部の練習船「おしょろ丸」の船長さんの藤井武治という人は、現場で私は見ていないけれども、これは常識として、接岸する場合に人命の安全を最優先にするのは船乗りにとってのあたりまえの話だ、今回のように岸壁との間に人が乗っている漁船があれば、漁船が立ち去るのを待つべきだ、どうしても立ち去らなければ、私なら接岸を断念するんだ、こうまで言っているのであります。同時に、そばで見ていた、何でもない関係のない漁民の一人は、こういうことを言っております。こんな勇ましい姿を見たのは、昭和十四、五年の日本の艦隊が上陸演習で伊達沖に入って以来のことである、こういうふうに、度の過ぎた警備が、かえってこれでは漁民を刺激するのじゃないか、こうさえ言っているのであります。それが、保安庁ではあたりまえだと言う。そして瀬戸内海の状態は何ですか。環境の方はあたりまえじゃない。あれだけ汚染したならば犯罪者ですよ、あなた。それだのに、勝手に学生が暴れるかもしれないということで――じゃ、暴れたのですか。そういうようなことで出している。これは重要です。
 そのほかに、きのうもやったそうじゃありませんか。十四日に、機動隊百名。反対する人は一人も出ていない。それだのにヘリコプター二台を飛ばしている。そして二そうの船で護衛して着岸さしている。一体、だれもいないのに、保安庁はそれまでなぜしなければならないのですか、資本に対して。これはとんでもないことです。なぜこんなことをしなければならないのですか。今度は、反対する人は一人も出ていないのです。
 答弁願います。
○寺井政府委員 昨日の件は、三回目の入港に際しての件だと思いますが、やはり反対派の妨害があるという情報が入っておりました。私どもといたしましては、六隻の船を動員いたしております。航空機は一機飛ばしておりますが、そういうふうに一応の警戒をいたした次第でございます。
○島本委員 じゃ、船をそういうふうにして接岸する際につぶしてしまった、二人の漁師の人命を危機に陥れた、これに対しては当然だと思いまか。一体どうなんですか。これに対して見解を承ります。
○寺井政府委員 最初の第一回目のときに、八隻の漁船が岸壁付近におった。これは危険だから撤退するようにという説得を陸上から行いまして、八隻のうち七隻が離岸をしたわけでございます。船が岸壁に近づきました際に、タグボートで船尾の方を戻そうとしたわけでございますが、これはタグボートがうまく動かなかったということがございまして、風に圧流をされて、一杯の船がはさまれる状態になったわけでございます。(島本委員「はさむのは当然なんですか」と呼ぶ)はさむのは当然でございません。海上保安庁といたしましては、海上の事故について救命の義務もございます。しかしながら、この岸壁は非常に小規模のものでございまして、この四百トンばかりの船が接岸いたしますと、巡視船が入っていく余地がなくなるような状態でございました。岸壁の方の警備は警察関係がやっておりまして、警察の方で、この退去指導をやっていただいております。私の方ではそういう事態のないように努力をしたわけでございますが、不幸にしてそういうふうにはさまれる状態になったということでございます。
○島本委員 では、船をつぶしたのは、全然北電側には責任がないと言うのですか。つぶされた人は自業自得だ、こういうふうに言うのですか。それは保安庁は守ってあたりまえだと言うのですか。どうなんですか。
○寺井政府委員 貨物船が圧流されまして、漁船をはさんだわけでございまして、貨物船の方の船長についても、その事実関係をいま捜査いたしまして、これは警察のほうにすでに……(「貨物船の責任なのか」と呼ぶ者あり)貨物船の責任であるかないかを、捜査いたしております。
○島本委員 どうも全然これでは答弁になりません。これは一体、じゃきのう出動したのは、何か妨害行動があったから出動したのですか。なぜ大企業ばかりあなたは護衛しなければならないのですか。公害に苦しむ住民のために、なぜあなたはできないのですか。あなた方では、油濁防止法が実施されている現在、これらに対してそれを阻止する役割りがあるはずですよ。それをやらないで、警察官の代名詞みたいなことをやっているじゃありませんか。どうもおかしい。それと同時に、警察庁に、これは殺人容疑としてですか、告訴しているはずです。これに全然手を触れていない。そうしてもう依然として弾圧ばかりやっている。こういうようなことは許されないと思います。告訴しているんですから。こういうようなものに対してきちっとしなければなりません。これは殺人予備罪ですか、(「殺人未遂だよ」と呼ぶ者あり)殺人未遂として告訴しているのです。徹底的にこれを取り締まるべきじゃありませんか。それをそのままにしておくというのは、警察庁の態度もおかしい。警察庁、どういうわけでこのままにしてあるのですか。
○三井政府委員 ただいまの点につきましては、警察において捜査をいたしております。この事件は、一月二十二日の事件でございますけれども、翌日二十三日に殺人未遂ということで告訴も出ておりますし、告訴あるまでもなく、警察としては捜査をいたしております。現在まで、船長その他を取り調べておるわけでございます。
○島本委員 それでは、きのう、だれも反対する人もいないのに、機動隊を百名も出して、自衛隊ではヘリコプターまで飛ばしてこれをやった。これは過剰警備じゃございませんか。どうなんですか。
○三井政府委員 昨日も若干の警察官を警戒のために現場に出しました。格別の不法事案発生にまで至りませんでしたけれども、現場において……(発言する者あり)船が出まして、若干の行動があったという事情でございます。
○谷川委員長代理 御静粛に願います。
○島本委員 その情報は正確ですか。だれもいないのですよ。いないのに、そういうふうにやった。船が着いて、全部終わってから、びっくりして来た住民ですよ。それを、それがあらわれてからやった。これはもう本末転倒じゃありませんか。先に皆さんの方が警官を出しているのです。うその報告をされるのは困ります。それは調べてやったのですか。はっきりした調査なのかどうか、もう一回それを答弁してください。
○三井政府委員 警察としては、船の入港について知っておりましたので、前二回の経験にかんがみ、現場警戒のために出動いたしました。具体的には、反対派の漁民の行動は、実際には船が入ったということで、具体的な行動としては、不法事案が発生するというところまで至らなかったということでございます。
○島本委員 私は、この際はっきりしたいことがあります。総理は総理で、本会議並びに委員会を通じまして、対話と協調を行政の中に入れると、盛んに言っているのです。下部末端へ行くと、弾圧的な行動に終始しているのです。ことに保安庁がひどい。警察もひどい。これでは、私どもとしては、行政の実態がどこまで及んでいるのかわかりません。果たしてどっちの方が本当なのか。現に対話、打ち合わせがいろいろ行われておる最中に強行するのです。そして、話し合いの中で、環境裁判を下げなさい、下げたならば金を上げますよ、こういうふざけたことさえ言っているのであります。話し合いをしながらでも、強行する。これを警察も保安庁も護衛する。漁民は、自分らはもうすでにどうにもならなくなった、漁場を奪われて、赤潮さえ発生しているんだ、こういうことでやっているのであります。私は、どうも総理の姿勢が末端まで及んでいない、こう思うのであります。私はこの際、総理をここへ呼んで、行政の中にまで、対話と協調の姿勢が入っているのかどうか、これが全然違いまして、下へ行くと前時代的な弾圧が行われていますから、この点について、総理にはっきり意見をただしたいと思うのであります。この点、総理を呼んでもらいたいと思うのであります。
○田中(武)委員 議事進行。総理がたまたま環境庁長官の当時、この種の問題についていろいろと、環境庁長官として言われた問題等にも関係があります。したがいまして、この件については理事会で相談の上、機会を見て総理の出席を求めて、この点について総理の御所見を伺うということにして、この点を保留して、質問者に次に入ってもらうことにいたしたいと思いますが、いかがです。
○谷川委員長代理 島本君にお尋ねいたします。よろしゅうございますね。
○島本委員 よろしゅうございます。
○谷川委員長代理 それでは、ただいまの件は理事会で相談することにいたしまして、島本虎三君、質問をお続け願います。島本君。
○島本委員 次に、私は、昨年の六月に成立、公布された国土利用計画法、これについて質問したいと思います。最近いろいろな地価抑制、こういうようなことについて、以前は相当問題がありました。それと同時に、国土利用計画法についての質問、こういうようなことに対しては、大事である、こういうようなことで、今後のためにも、この問題にしぼってちょっと質問してみたいのであります。
 御存じのように、この国土利用計画法には四つの柱があるわけであります。第一は国土利用計画、第二は土地利用基本計画、第三は土地取引の規制に関する許可制と届け出制、第四は遊休土地の認定と買い取り協議制度、この四つであります。
 地価の暴騰、狂騰と言われたころもございましたが、それで苦しめられてきた国民にしてみると、この土地取引区域の指定や地価の算定基準、こういうようなことに対しては、同時にこの遊休土地の認定制度、こういうようなものに対しては、深い関心を払ってきたわけです。また注目してきたわけであります。私も、地価や物価の問題については深い関心はもちろん持ってまいりました。
 ところが、ひっそりこれに隠れたような形で、国土利用計画法第九条と第十条に定められる土地利用基本計画の作業が、ぐっと進んできているわけであります。これは長官御存じのとおりなんであります。これは、日本の法律と行政は、総合的、計画的な土地利用、どうもこれを考えてやっていないようであります。わずかにやったものは、建設省が所管する都市計画法、それから農林省の農振法、林野庁の森林法、環境庁の自然公園法など、こういうようなものも個々ばらばらの地域、区域の指定でありましたし、縦割り行政の所管権限問題、こういうようなこともあり、横の連絡と総合性を欠いてきた、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。これは長官はっきり御存じのとおりなんであります。これには確固とした土地利用計画がなかったからこそ、地価の暴騰に拍車がかかり、乱開発の横行によって自然が破壊され、公害が深刻化した、こういうような現象が生じたわけであります。じみな存在でありますけれども、この土地利用基本計画こそ、国土利用計画法の最大の柱である、こう言えると思うのであります。
 まず、国土庁長官に伺いますけれども、国土法を所管する国土庁としては、土地利用基本計画をどのように位置づけておられますか、その意義と必要性、これについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
○金丸国務大臣 土地という問題は非常に関心の深い、また国民的にも宅地の問題、住宅の問題等、関係があることでありまして、最近の土地価格等を考えてみますと、鎮静をしてまいりました。それは、これに対する金融の引き締めというようなものあり、また昨年の六月ですか、国会におきまして国土利用計画法という法律が策定された。これは議員立法で行われたわけでございますが、あの時点であのような法律が出たということについて、いろいろの御批判もあるわけでございますが、共産党を抜いて各党一致してこの計画法ができたということは、土地の価格の鎮静を図ったことにおいてはまことに意義があったと、私は大きく評価をいたしておるわけでございます。
 また土地利用計画は、土地取引規制、開発行為の規制、遊休土地に関する措置を実施するに当たっての基本となる計画であることは当然であります。国土利用計画法施行後、可及的速やかに策定をすることが望ましいと思うわけでございますが、したがって当面の計画はいわば暫定的なものとして、都市計画法、農振法、森林法、自然公園法及び自然環境保全法に基づく既存の五地域区分を基礎として、これに必要最小限の修正を加えるという方針のもとに、策定作業を進めておるわけでありまして、従来の国土利用計画が策定された段階で、見直しを行うことといたしておるわけであります。
 また、土地利用基本計画においては、五地域の図面表示のほか、土地利用の調整等に関する事項として、公害の防止、自然環境及び農林地の保全、歴史的風土の保存、治山治水等の見地から見た各地域の土地利用の原則を定め、これによって都市計画法、農地法、森林法等による開発規制と相まち、土地取引段階における規制を行うことによって、乱開発の防止に努めてまいりたいということでありますし、また乱開発や公害等の問題につきましては、環境庁と十分協議してやることは当然だと考えておるわけであります。
○島本委員 環境庁と十分協議するということであります。
 では、環境庁の長官、昨年の十二月に、アメリカ合衆国政府は新しい環境白書を発表しました。私も入手して、読んでみてびっくりしたのでありますが、冒頭の第一章でランド・ユース、つまり土地利用を挙げているのであります。そうして、ランド・ユース・コントロール、土地利用規制、この重要性を書いているのであります。
 かねてから、公害、環境行政の原点は土地利用にある、出発点は土地利用だ、こう言われておりましたけれども、アメリカの環境白書は、土地利用規制を重視する原点へいま戻ろうとしているのであります。すでに長官はこれをお読みになったはずでありますけれども、環境庁長官、今後の日本の環境行政における土地利用の位置づけについて、この際、意見をお聞かせ願いたいと思います。
○小沢国務大臣 ただいま島本委員がおっしゃいました、アメリカの環境白書に記載されております国土利用計画についての膨大な報告書がございますが、これは私、遺憾ながら英語に弱いせいもありまして、まだ全部拝見をいたしておらないのでございますけれども、大要としては、いま先生がおっしゃったように、まず土地利用というものを計画的に行った方が、スプロールを後追いするよりも効率的である。それから開発を計画的に行うための各種の誘導政策、税制とか道路とか、そういう点でありますが、誘導政策を効果的に行う必要がある。第三番目には、土地利用規制を強化すべきであるというようなことを内容としたものであるようでございます。
 先生の御意見のように、土地利用計画というものを明確に定めまして、それで土地利用の規制を行うことは、環境全般の保全の面からも非常に大事な点だと考えております。その際、私どもとしては、やはりこの国土庁に出てまいります土地利用基本計画の内容をよく環境保全の面から精査をいたしまして、あらかじめ環境庁としての意見を十分それに盛り込んでいただくように、国土庁とも緊密な連絡をとって、利用計画の策定の面から環境保全が全うできるようにいたす所存で、目下事前に各府県の利用計画について十分検討中でございます。
○島本委員 十分それに取り組んでおるようでありますけれども、はっきりこれに取り組まないとだめだということが、前提なのであります。ここで漏らしたならば、また後追いになってしまう。日本の環境公害行政、これは積極的に土地利用規制と取り組んできたと、いままでの場合は、お世辞にもそういうようなことは言えません。むしろ、他の省庁が所管している法律の分野だとか、うちの権限でないとか、こういうことを言って逃げてきているのであります。そして土地利用問題もあえて避けてきているのであります。これがいままでの実態だったのです。
 それから政府が毎年発表している環境白書、公害対策基本法十九条で決める個々の地域の公害防止計画、長官見ているでしょうけれども、これを見ても、せいぜい土地利用の純化を図るべきであるという抽象的な表現でお茶を濁している。それが現在のような公害列島をつくったのです。そして土地の利用規制を避けて、港湾計画であるとか、公有水面埋め立て計画の先行建設を黙認してきているわけです。そして環境行政はいよいよ深刻な汚染実態がつくられて、その後からよたよたと追いかけるというような後追い対症療法に終わっていたのが、いままでの環境行政のあり方です。日本の環境行政が後追いの典型である、こう言わざるを得ないのは本当に残念なのであります。だからこそ、小沢長官はきのうの公害環境特別委員会で、環境影響評価の制度化を確立すると言われました。開発が環境に及ぼす影響を事前に評価する制度、つまり環境影響評価制度の確立、これこそ日本の環境行政にとっては緊急でしかも最大の課題であります。
 小沢長官に三つの点で具体的にお伺いします。第一、環境影響評価を法制度化するつもりがあるかないか、これが一つであります。第二、法制度化するとしたならば、法案要綱にまとめ国会にいつごろ提出される予定か。第三、現在国土利用計世法の土地利用基本計画を決定するための作業が進んでおりますけれども、環境庁としては、この土地利用基本計画案に対してどこまで足を踏み込むつもりなのですか。この三点、今後のために重要でありますから、はっきりここでお聞かせ願いたいと思います。
○小沢国務大臣 立法化は三木環境庁長官時代から、将来ぜひやりたいという御公約を国会に対してされているわけでございます。私も着任以来、この立法化を進めるためにいろいろな準備が必要でございますので、御承知のような中公審の中に環境影響評価制度の検討会を、昨年発足させたわけでございまして、立法化を含む制度面の検討をいろいろ進めてまいりました。さらに、先般正式に中公審の防止計画部会環境影響評価専門委員会として、この審議を開始いたしました。なお、昭和五十年度におきまして、環境影響評価部会を設けることにいたしまして、諸外国のアセスメントのいろいろな制度等を参考にいたしまして、立法化を進めていきたいと考えております。いたします。ただ、この時期については、私どもなるべく早くやりたいと考えておりますが、この環境影響評価部会でいろいろ検討願いまして、そのアセスメントをやる際の手法の問題とか、あるいはいかにこれを公表いたしまして国民の意見を反映するかという、手段方法等につきまして十分検討いたした上で、立法化の成案を得なければなりませんので、そういう意味においては、いまいつ立法化をする、法案を提案するんだというお話でございますけれども、これはいろいろな例を見てみますと、諸外国でもまだ具体的な法律案が出ておりませんで、非常に抽象的な面が多いようでございます。せっかくつくる以上は、一番いい法律として、先生方に御協賛を願わなければいけませんので、中公審における専門の部会を開きまして、そういう点もひとつ十分検討していただきまして、その成案を得たいと思いますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
 それから、土地利用基本計画についてどの程度足を踏み入れるのかというお尋ねでございますが、先ほども言いましたように、私どもが各県から出されます利用計画、五地域に区分いたしました内容等について、環境保全の面から十分検討いたしまして、私のほうの意見を国土庁にも申し入れ、国土庁と一体になりまして、この計画を承認していくようにしたいと思いますので、どの程度というような程度ではありませんで、むしろ一緒になって、環境保全のためのりっぱな基本計画ができ上がりますように努力をいたしたい、かように考えております。
○金丸国務大臣 国土利用と環境保全の関係につきましては、自然環境保全調査というものを環境庁でやっておるわけでありまして、これを十分に踏まえながら、また地方公共団体の意見も十分聞きながら、この全国土地利用計画につきましては共管でやってまいりたい、こういうように考えておる次第であります。
○島本委員 実は国土利用計画法が実施されると同時に、環境影響評価の法制度化が必要だったのです。そうするのでなければ、これはおそいのです。ところが、やはりこの環境影響評価の法制度化がおくれた。これは重要な問題でありますけれども、あとで改めて質問したいと思いますから、これはおいて、きょうは土地利用の問題に焦点をしぼって、ひとつ質問していきたいと思うのであります。
 国土庁に伺いますが、国土法第九条の土地利用基本計画は、知事が都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の五つの地域に区分した基本計画案をつくって、国の承認を求めることになっているわけであります。この五つの地域区分と現行法の区域指定との関係、これをひとつわかりやすく説明してください。
○河野(正)政府委員 お答えいたします。
 国土利用計画法第九条で都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域と、この五つの区分をつくることになっておりますが、同法の第九条にはそれぞれ定義がございます。たとえば都市地域につきましては「一体の都市として総合的に開発し、整備し、及び保全する必要がある地域」、こうなっているわけでございます。一方、御質問にございましたように、都市計画法、農振法、森林法、自然公園法、自然環境保全法というような個別の法律が別途あるわけでございます。ただいま例に引きました都市地域につきまして都市計画法を見てまいりますと、都市計画区域につきまして定義がございまして「一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域」というような表現が都市計画法でとられているわけでございます。したがいまして、本来から申すならば、この五地域区分の地域区分というものは、個別地域そのままと大体合っているはずのものでございます。しかしながら、一方考えてみますと、国土利用計画法で言う国土利用計画、土地利用基本計画を含めまして土地利用に関する計画は、個別法のそれぞれの計画に対しまして、上位計画に該当するという側面があるわけでございます。それぞれ個別法の法手続によりまして定められました地域をそのまま移した形よりも、いささか先行的な立場で土地利用基本計画として決め得る形を、法律的にはとっているわけでございます。
 そこで、今後のわが国土のあり方というものを考えてまいりまして、国土利用計画が全国計画、都道府県計画の形で積み上がってまいりまして、これを受けまして、各県別の土地利用基本計画をつくります際には、個別法に基づきます計画よりもいささか先行的な地域区分がなされ得るという可能性を持っているのでございます。ところが、御承知のように、全国にわたる国土のあり方を将来に向かって考えてまいりますには、相当大きな作業を必要といたします。目下国土庁といたしましてはその作業に入っておりますが、もう一年ほどかかるわけでございます。したがいまして、当面の土地利用基本計画という各県別の図面表示を含む計画におきましては、遺憾ながら時間的な余裕もございませんので、各個別法に基づきます計画地域をそのまま踏襲いたしまして、一年以内に関係各省庁の間で、都道府県を含めまして調整がつき得る――微調整、いささかの調整はいたしますが、基本は現況の土地利用区分そのものを受けた形でつくらざるを得ないというような段階でございまして、そういうような指導を、都道府県に対してやっているわけでございます。
○島本委員 国土庁では、四十七都道府県に対して土地利用基本計画案の提出を求めて、去年の十一月二十五日から十二月の二十日ごろまで計画案のヒヤリングをした、こういうようなことを聞いているのであります。地方では、国土庁土地局長の通達に基づいて、個別規制法の区域指定を基礎として線引きをした、そして基本計画案を提出してきた。それでは、現在の五つの法律の指定地域と比べて、地方がつくってきた五地域区分の面積はほぼ同じであったのですか、それともふえていたのですか、この点をはっきりさせてもらいたいのであります。特に、都市地域はどの程度の増減をしていますか、この点をはっきりさしてもらいたいと思います。
○河野(正)政府委員 ただいま御質問にございましたように、十二月の二十日ごろまで、聴聞を各県別に、十省庁ほど集まりまして、国土庁におきましてやってまいりました。その結果、各県に問題点を指摘いたしまして、ただいまのところ、おおむねの県は、その指摘された問題点につきまして、再検討段階であるというふうに考えております。また、各県それだれ国土利用計画地方審議会を持っておりますので、この審議会にも付議をいたしまして、検討中でございます。
 したがいまして、先生おっしゃる五地域区分の面積でございますが、昨年十一月中旬から十二月にかけて国土庁に出してまいりました素案の面積を言っておられるのかとも思いますけれども、非常に問題点が各県別に多いわけでございまして、その面積を積み上げてみましても意味がないので、ただいまやっておりませんが、今後正式の土地利用基本計画案が逐次上がってまいります過程で、その面積等は精査することができるかと思います。
 お尋ねの都市計画区域というか、都市地域の特に面積の御質問がございましたが、したがいまして、これにつきましても正確な面積が出ないわけでございますが、私ども各県の素案のヒヤリングに当たりました感覚を申し上げますと、いささか現在定められております個別法による都市計画区域よりも広目に都市地域をとりたい、という素案を提出してまいりました県が幾つかあったということでございます。
○島本委員 どうも隠しておられるようですが、もう少し、その点では遠慮なしに言ってもらいたいのです。素案の面積だ、各県別にもうすでに来ている、これでいいのです。別にどうでもいいのですから。その面積がいま言ったように、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域とあるでしょう。このうちで都市地域がどうだったのか。若干多いという、こんなことは通じませんよ。どれほど多いのですか。来ていたならおわかりでしょう。
    〔谷川委員長代理退席、湊委員長代理着席〕
○河野(正)政府委員 隠しているわけではございません。四十七都道府県の中で二十八県が、都市地域につきまして、都市計画区域の面積よりも広目に素案を作成して相談に参っているということでございます。
 ただ、たとえばある県を例にとりますと、名前は申し上げられませんが、二十数地域につきまして、都市計画区域よりも広目に都市地域を設定したいというような、相当開発意欲旺盛とも、ある面ではとられるかと思いますが、そういうような県もございまして、これを中央十省庁ほどでいろいろと見てまいりますと、環境保全の問題あるいは農用地の保全の問題というようなところから、非常に問題なしとしないというようなことで、相当大きな修正意見というものをその県に伝えたというような例もございまして、したがいまして、県から出てまいりました素案というものにつきましては、比較的詰めの甘い案も相当まざっておりました関係から、そういう面積の集計等もやっていないわけでございます。
○島本委員 これは集計はすでにしてあると思いますが、してないと言うなら、まずそれはそれとして、都市地域のみがふえているということはわかりました。ここに問題があるわけです。
 土地利用基本計画の都市地域、これは都市計画法の都市計画区域の面積をさらに拡大しているわけであります。したがって、地方は、この都市地域を都市計画法の市街化調整区域に指定する意思を持っていないわけであります。開発行為が規制を受けることになるから、ということになります。例外なく、大半は市街化区域に指定するつもりで都市地域を拡大してきているわけです。時間の問題で、市街化区域に変わるための市街化区域予備軍である、こうさえ言われているのであります。都市計画法を見ても市街化区域の中の開発行為は野放しの状態ではありませんか。環境庁長官、こういうようなところに重大な点があるのですよ。公園三%、本当に緩い最低必要条件を満足している開発行為に対しても、法律は何の規制も用意していないような状態であります。開発行為の規制を目的として土地利用基本計画をつくるのだ、こう言いながら、実は新たに開発区域を広く囲い込もうとしている、こういうような態度が見られるわけです。これでは何のための土地利用基本計画をつくるのか、ちょっとわからなくなるじゃありませんか。国土法への便乗とかけ込みを許していいのかどうか、こんな土地利用基本計画を国が承認してもいいのかどうか、私はここにちょっと心配があるのであります。疑問があるのであります。官僚じゃなく、大臣の答弁を伺います。
○金丸国務大臣 きょうの時点になりますれば、産業優先というようなことは考えられないわけでありますから、いま先生のおっしゃられる点、十分私も踏まえまして、均衡のある土地利用計画というものを立てるべきであるということは当然だと思いますし、十分その点につきましては、意を用いてまいりたいと考えております。
○島本委員 意を用いるというのでありますけれども、その意を用いるだけでは、答弁で、言葉でありますけれども、実際はどうなのか、これは結果を見なければわからぬわけです、いままでは。しかし、都市地域の拡大部分をすべて市街化調整区域に指定して、開発行為を厳しく規制するというならば話は別だと思うのであります。どうですか、今度は建設大臣に新たに伺いますが、これは、ふえてきた都市地域に対して、都市計画の所管大臣として、絶対に市街化区域に指定しないように強力に指導するという約束ができましょうか。どうでしょう。
○仮谷国務大臣 土地利用基本計画は、先ほど国土庁からも申し上げましたように、原則的には、既存の都市計画区域を都市地域として指定するものであります。ただ、島本先生御承知のように、現行の都計は、大部分がここ一両年の間に見直しをする時期に来ておるのでありまして、そういう観点から、都市計画区域の拡大を前提として都市地域を指定することもできることになっておるのであります。いろいろいま御指摘があった問題であります。これは私どもも現実にあることを認めるのでありますが、しかし、それは都市計画区域の拡大を前提として都市地域を指定する、それが必ずしも開発のみを目的としているとは考えていない。一部例外があることは、これはいま国土庁から話がありまして、私どももいま初めて聞いておるのでありますが、もしそういうことがあればまことに遺憾なことでありますけれども、率直に申し上げまして、たとえば具体的に地域を拡大したという傾向にあるというのは、都市計画区域のその拡大の多くの中には、流域下水道の公共施設というものを整備する必要がある地域がたくさんあります。そういうのは自然に拡大されていくわけであります。それから、開発規制がないために、むしろ放置すれば土砂の放出等の災害発生あるいは乱開発の進行等の、むしろ環境を悪化する、そういう地域でもあるわけでありまして、むしろそういう面を未然に防ぐという面からも、地域の拡大を考えている面もあるわけであります。いずれにしても、せっかくできた法律が逆の方向に行くということは、絶対にこれはあってはならぬことでありまして、そういう意味においては、国土庁とも十分に相談をしながら、御指摘のような方向で努力をいたしてまいります。
○島本委員 何かそれだけでは、結果を見ないと、やはり依然としてわからないような気がするのであります。それで、やはり開発区域の囲い込みじゃないか、こういうような気もしないわけではありません。国土法に便乗する開発の既成事実化、こういうふうなことになってしまったら大変なんであります。環境庁、やはりそういうふうなことを考えないといけないはずでありますが、国土庁の土地局長通達のあとに、環境庁は十一月の中旬に通達を出したはずですね。そして、面積五十ヘクタールと二十ヘクタール以上の開発計画を出してくるときには、環境影響評価の報告書を添付するようにという通達を出したと思います。そして昨年の十一月から十二月末にかけて、報告書案の説明を聞いているようでありますが、これはろくな報告書がなかったのではないかと思うのであります。報告書を持ってこない県さえあったということを聞いているのでありますけれども、実態は一体どうなんですか。これは簡単に答弁願いたいのであります。
○小沢国務大臣 先生おっしゃいますように、今度は、先ほどの国土庁の答弁のように、五地域の地域区分については現況表示を原則としているわけでありますが、向こう一年間において変更が確実であるものは記載し得ることになっておりますから、この意味で、変更予定地域のうちで都市地域の拡大が特に行われるという可能性は若干、もちろんあるわけでございます。この点について、開発の先取りじゃないかとか、あるいは開発保全整備計画というようなものについて環境保全上問題がないかという御心配から、いろいろ御質問が出ているわけでございます。私どもは当然その点を予想いたしまして、特にこれらの必要な地域については、アセスメントの資料をいろいろと提出を求めて、それを十分検討した上で、意見を国土庁に表明することになっておりますので、その資料の提出を求めております。具体的にどういう資料が出て、あるいは何県から出て、どういうような審査状況になっているかということは、事務当局でないとわかりませんが、そういう基本姿勢でやっていますから。おっしゃるような心配も若干ございますので、ひとつ環境庁としては十分意を用いて、慎重に対処していく所存でございます。
○島本委員 長官、私の方でもそれは調べてあるのです。これはろくな報告書がなかったのです。報告書を持ってこない県さえあったのです。それほど今回は、この開発計画に対して環境保全という、事前評価というものに対しては、ほとんど意をくれていない県があったということを、これは中央官庁として十分関心を持たなければならない。それだから言っているわけです。その後、環境庁は、都市地域の拡大が市街化区域の予備軍となるということを当然恐れたのでしょうけれども、都市区域を拡大した理由の提出を地方に対して求めたようでありますね。求めたのです、長官。今回の国土法の土地利用基本計画は、環境庁が初めて直面した土地利用問題なんです。アメリカでは、さっき言ったように、これを重大化して、もうやっているのです。ところが初めて、環境庁長官、これに直面しているのです。環境行政の姿勢を占う試金石なのです。その第一歩なんです。環境報告書を粗末なままで、土地利用基本計画の決定に同意してしまうとするならば、環境庁は千載の悔いを残すことになるわけです。国土庁としては、年度内に、三月までに基本計画案を承認して計画決定する予定を立てているそうであります。環境庁長官、この問題は重要でありますから、十分考えなければならないと思いますが、決意を伺います。これでいいのですか。これは急いでやっては大変なんですよ。
○小沢国務大臣 御承知のとおり、この法律の基本では国土利用計画というものがまずできまして、その具体的な利用計画として、土地利用基本計画というものがつくられていかなければいけないわけであります。国土利用計画をつくります際には、私ども昨年調査をいたしまして、今年発表いたしました緑の環境調査というものもございます。こういうものを織り込んで、国土全体の利用計画というものをつくり上げ、さらにその具体的な地域地域の利用基本計画というものがっくり上げられてくるというのが本筋だと考えておったわけでございますが、しかし御承知の、いま当面する地価の問題、土地の問題について緊急解決をしなければいけない問題がたくさんあるものですから、国土庁として土地利用基本計画というものを先行させられた意図もまた、行政庁として私は当然のことではなかったかと思います。したがって、この土地利用基本計画で出てまいります各県の五つの地域の区分につきまして、その中で特にこの都市地域につきましては、私どもは十分アセスメントの資料をとって、慎重に国土庁に意見の具申をしようと考えております。
 三月までに認可をする、これはおそらく、当面のいろいろな土地の緊急を要する諸問題を解決しなければいけないから、そういうお考えになっておるわけでございますが、将来当然この点も、私どもは、環境保全の見地からいろいろ変更を求めることの条件等も、国土庁に御理解を願っておりますので、そういう点はひとつ心配なく進めていくように――この大事な時期でございますので、私どもも先生の御趣旨を十分理解いたしておりますので、その点はひとつわれわれの努力に任していただきたいと思います。
○島本委員 これ、安心して任せてくれと言うのでありますけれども、国土利用計画が先行するのですね。土地利用基本計画、これの方がいま先行しているのですね。そうすると、国土利用計画の場合は全国計画や都道府県計画、市町村計画があります。当然これは議決と公聴会が必要であります。そういうふうになったら長くかかる。手っ取り早いのは土地利用基本計画ではありませんか。そうだとするならば、これは単なる意見を聞く、そして行政内の手続のみでいい、こういうようなことになると、日本列島改造計画の基盤整備にもつながるおそれがあるから、環境影響事前評価が必要だ、急ぎなさい、こういう意味です。いま逆になっておるのです、これは。ここを十分考えないといけないのです。というのは、四十九年度の、前の総理大臣、田中総理大臣のころの目的がそこにあったわけでしょう。ですから、逆に土地利用基本計画の方がまた先行してきている、こういうようなことに一抹の心配があるわけです。それに、今度環境影響事前評価が法制化する、これがおくれている。こういうようなことになったら、また再びほぞをかむようなことになるおそれがある、ここを心配するのです。
 それと同時に、農林大臣に伺いますけれども、日本の農地は、都市計画法の市街化区域の線引きによって、いままで常に攻め込まれてきているわけですね。そして今後十年以内に市街化を図る区域の中に線引きされてしまうと、市街化区域内の農地は、農地法四条と五条の転用規制を行わなくても、届け出だけで、工業用地や宅地に勝手にかわることができるという仕組みになるわけです。こうして、市街化区域の面積拡大と比例して、都市近郊の農地面積は急減してしまう。そうなってきたわけです。そうすると、食糧危機の到来であるとか食糧自給率の問題が議論されている現在、これ以上計画性もないまま農地をつぶすことは、国の政治としても政策としても許されないはずであります。そこへ土地利用基本計画案が、新たにこの都市地域を広げてきているわけであります。そうすると、農林省の基本計画案に対する考え方、これが逆に先行されてしまうおそれがないかどうか。この際、農林大臣もしっかりしなければならないんじゃないかという気がしますから、この際、決然たる意見を聞きたいと思うのであります。
○安倍国務大臣 いま御指摘のように、最近の農業を取り巻く情勢から見まして、農用地を確保していくということが、今日の農政上の最大の課題であろうと思うわけでございます。この土地利用基本計画で農業地域というのは、「農用地として利用すべき土地があり、総合的に農業の振興を図る必要がある地域」とされておるので、農振法の農業振興地域はこれにすべて含まれるわけでございますが、今後とも、こうした農業地域につきまして、これについての規制等は、農地法がございますし、この農地法の転用規制を厳正に適用して、農地の確保を図っていきたいと思っておりますし、さらにまた、農振法の改正をお願いしておりますが、農振法の改正によりまして、農業振興地域の開発規制等も行う予定になっておるわけでございまして、そうした農地法関係、農振法関係の規制をフルに活用いたしまして、農用地の確保を図っていきたいと考えておるわけであります。
    〔湊委員長代理退席、委員長着席〕
○島本委員 これで大体意見はわかりましたが、国土庁に再び伺いますけれども、今回の予定している土地利用基本計画の決定、これはあくまで暫定の第一次計画である、こういうようにいままで伺ってきました。現在の個別規制法の地域、地区指定をそのまま一枚の地図に落とす現状追認の基本計画である、こういうようなことを言われているわけであります。しかし、暫定だからといっても、決めればそれで決定になるわけでありまするけれども、なぜこれほど急いで計画決定へ持ち込まなければならないのかということであります。
 実は、土地利用基本計画は短時日のうちに計画決定できるわけがあります。それはもう長官に言わなくてもわかっているとおりなんです、先ほどちょっと触れましたけれども。国土法には、国土利用計画と土地利用基本計画と、二つの計画があるわけでありますけれども、この国土利用計画、これは国土利用に関する長期構想を入れたマクロの計画で、全国計画と都道府県計画と市町村計画の三計画に分かれているわけです。それと同時に、後者は地域の土地利用を決める具体的なミクロ計画なわけであります。二つのこの計画の大きい相違点、これは法で決められている計画決定までの手続上の違いがあるということです。この前にちょっと言ったとおりなんです。国土利用計画の都道府県計画は、議会の議決を当然必要とします。さらに、市町村計画は、議会の議決のほかに、住民の公聴会の開催も決められているわけです。簡単に計画決定のできない手続になっているわけであります。一方、土地利用基本計画は、都道府県知事が決める計画の一つであって、これは市町村長と国土利用計画地方審議会の意見を聞いて、内閣総理大臣の承認で計画決定となる。つまり短時間で、しかもこれはもう行政内の手続だけで計画決定が可能だ、こういうようなことになるわけであります。もうそうすると、国土法の致命的な欠陥であると言えましょうけれども、地元住民の生活と直結する具体的な土地利用基本計画でありながら、住民と議会の手続を欠落させている、こういうようなことになるじゃありませんか。法施行後わずか三カ月後に決定しようと予定する、あんまり拙速に過ぎはせぬか、これ。
 私がいま言っているこの計画決定までの手続の点で、私はミスがないと思うのでありますけれども、大臣、ミスが何かありましょうか。なければ、なぜこれを急がなければならないのですか。
○金丸国務大臣 島本先生は非常に心配をされておられるわけでございますが、私は、ばらばらな行政の中に、むしろ先生のおっしゃられる心配が出てくるのじゃないかと思う。暫定的でも、いわゆる国土庁だけでこの計画を立てるということでなくて、あらゆる関係に諮りながら、調整しながらこの計画をつくっていくということでございますから、むしろ暫定的でもつくっておいて、やっておいた方が、いわゆる個々ばらばらな方向で土地利用というようなことが考えられることより、いいのじゃないかという考え方を私は持っております。
○島本委員 しかし、そういうように言いながらも、五つの区域区分をすると、都市地域だけが面積拡大した状態で出てきているのです。それはすぐ開発に直通しているのです。
 計画決定までの手続に、もう一つ重大な問題があるわけです。国土法の第九条第九項は、「土地利用基本計画は、全国計画(都道府県計画が定められているときは、全国計画及び都道府県計画)を基本とする」、こういうように決められているわけであります。そうですね。ところが、全国計画は昭和五十年度末の五十一年三月までに、昭和六十年を目標として策定する予定なわけです。都道府県が昨年の十一月から十二月にかけて土地利用基本計画案をつくったころ、基本とするはずの国土利用の全国計画と都道府県計画は影も形もなかったわけであります。そうすると、本来ならば国土利用計画をつくって、それを基本として土地利用計画をつくるべきなはずであります。それが逆になってしまった。国土庁は、この法の定めを強引に拡大解釈して、開発行為の規制どころか、開発行為を積極的に推進、具体化するための土地利用基本計画を決定し、日本全国を線引きしようとしているとしか思えないじゃありませんか。そのときに環境影響事前評価はまだないのであります。各地域にそれを出そうとしても、ほとんど出せない状態なんであります。あっても不完全なものです。そういうふうにしてしまったら、再び日本列島公害化にまた拍車をかけるおそれがここに生じてくるわけじゃないか、これが心配なのであります。どうなんですか。
○金丸国務大臣 おっしゃられることもわからぬわけじゃないんですが、私は、その心配は、各省庁とも連絡をとり、ことに環境問題については共管のもとに、環境庁と計画を樹立するということでございますから、ぜひ先生の精神に背くようなことはいたさないことを、ここで言明いたします。
○島本委員 私の考えに背くようなことは絶対しない、こういうようなことであります。そうだとすると、あえて私が提案いたします。この土地利用基本計画案は余りにも問題を残していますから、基本計画を策定する国土法本来の趣旨を逸脱している。第二に、法で決めている全国計画も都道府県計画もない状態で、見切り発車しようとしている。第三に、環境影響評価の報告らしい報告書すらもない段階で、開発区域の囲い込みを既成事実化して、環境汚染と自然破壊の深刻化を招くおそれがある。第四に、都市地域の拡大という厚い脂肪をつけてい基本計画の名に値しない現状追認の土地利用現況図をつくることになる。こういうようなことを考えられるわけでありますが、したがって私は、土地利用基本計画の決定を急がない、見送るべきである、こう考えるわけです。
 もし長官が、どうしても五つの個別規制法の土地利用を一枚の地図の上に落とす必要があると言うならば、現行法の地域、地区指定どおりに修正して、都市地域の拡大分を削り取る、そして土地利用現況の参考地図とでもしたらいいのじゃないか、こう思うのであります。そうでなければ、先ほど申し上げましたように、都市地域だけが妙に拡大して、そこはもうすでに何でも開発してもいい土地になる、場所になる。後に農業地域は蚕食され、森林地域は蚕食され、自然公園地域、自然保全地域、こういうようなものも蚕食されるおそれがある。こういうような状態のままに都市地域だけを拡大していくということは、開発行為そのものじゃないかと思うわけです。これを急がないこと、できたならば、いま言った五つの問題、こういうような問題を含めて、大臣としても、基本計画を策定するために、土地利用基本計画案は問題が多過ぎるから、まずこれに対しては考える、こういうようなことにしなければならないと思うのであります。余りにも急ぎ過ぎている。それは余りにも危険だ。同時に、まだ環境庁長官の方では、それに対して環境アセスメントも法制化していない、こういうような状態であります。もうすでにこの点に気がついて、アメリカではきちっと白書に載せている。日本ではこれほど汚されても、まだ後追い行政をしようとしている。そういうことがないという国土開発、その中にも依然としてこういうような後追い行政が続けられている、こういうことが、私は今後のために心配だからであります。
 この私の質問は、まことにこれはじみな質問であったのです。しかし、今後のためには基本的な重要な問題点があると思って、これを質問したわけであります。長官の御意見を伺って、もう時間のようであります。
○金丸国務大臣 島本先生、亡霊恐怖症じゃないかと私は思うのですが、先ほどから私が申し上げているように、そういう日本の状態ではないということだけは踏まえて、私はやっていく決心でおるわけであります。御心配もあろうと思うのですが、ぜひ信頼をしていただいて、環境庁と十分相談しながら調整してまいりたい、こう考えています。
○島本委員 予定の時間より一分を残しまして、また保留分を残して、これで私は終わるわけであります。どうも大変ありがとうございました。
○荒舩委員長 ちょっと待ってください。何の保留なんだ。
○小林(進)委員 総理大臣に対する質問が残っているんですよ。
○荒舩委員長 二分残っているか。――では、二分保留をすることにいたしましょう。
 これにて島本君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○荒舩委員長 この際、お諮りいたします。
 来る十七日の参考人として出頭を求めることといたしておりました三井物産株式会社社長は、都合により会長に変更いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 次回は、来る十七日午前十時より開会いたします。本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会