第075回国会 予算委員会 第21号
昭和五十年三月三日(月曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 小山 長規君 理事 竹下  登君
   理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君
   理事 山村新治郎君 理事 小林  進君
   理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君
   理事 山田 太郎君
      植木庚子郎君    大久保武雄君
      大野 市郎君    奥野 誠亮君
      北澤 直吉君    倉成  正君
      黒金 泰美君    櫻内 義雄君
      笹山茂太郎君    正示啓次郎君
      瀬戸山三男君    田中 龍夫君
      谷垣 專一君    塚原 俊郎君
      西村 直己君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    藤井 勝志君
      保利  茂君    前田 正男君
      松浦周太郎君    森山 欽司君
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    石野 久男君
      岡田 春夫君    多賀谷真稔君
      楯 兼次郎君    楢崎弥之助君
      堀  昌雄君    湯山  勇君
      金子 満広君    紺野与次郎君
      中川利三郎君    平田 藤吉君
      松本 善明君    有島 重武君
      正木 良明君    矢野 絢也君
      安里積千代君    小平  忠君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       福田  一君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      井出一太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      松澤 雄藏君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 坂田 道太君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 金丸  信君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        内閣法制局第一
        部長      角田礼次郎君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   島村 史郎君
        総理府人事局長 秋富 公正君
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局長    熊田淳一郎君
        警察庁交通局長 勝田 俊男君
        行政管理庁長官
        官房審議官   川島 鉄男君
        行政管理庁行政
        監察局長    大田 宗利君
        防衛庁参事官  岡太  直君
        防衛庁長官官房
        長       斎藤 一郎君
        防衛庁防衛局長 丸山  昂君
        防衛庁装備局長 山口 衛一君
        防衛施設庁長官 久保 卓也君
        防衛施設庁施設
        部長      銅崎 富司君
        防衛施設庁労務
        部長      松崎鎮一郎君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁国民
        生活局長    岩田 幸基君
        経済企画庁物価
        局長      喜多村治雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    小島 英敏君
        科学技術庁計画
        局長      安尾  俊君
        科学技術庁振興
        局長      木下  亨君
        科学技術庁原子
        力局長     生田 豊朗君
        環境庁大気保全
        局長      春日  斉君
        環境庁水質保全
        局長      大場 敏彦君
        国土庁長官官房
        長       粟屋 敏信君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        外務省アジア局
        長       高島 益郎君
        外務省アジア局
        次長      中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省欧亜局長 橘  正忠君
        外務省経済局長 宮崎 弘道君
        外務省条約局長 松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      鈴木 文彦君
        大蔵大臣官房審
        議官      藤井 淑男君
        大蔵大臣官房審
        議官      後藤 達太君
        大蔵省主計局長 竹内 道雄君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        大蔵省証券局長 田辺 博通君
        大蔵省銀行局長 高橋 英明君
        大蔵省国際金融
        局長      大倉 眞隆君
        国税庁次長   磯辺 律男君
        文部大臣官房長 清水 成之君
        文部省初等中等
        教育局長    安嶋  彌君
        文部省社会教育
        局長      安養寺重夫君
        文部省体育局長 諸沢 正道君
        厚生省年金局長 曾根田郁夫君
        農林政務次官  江藤 隆美君
        農林大臣官房
        長      大河原太一郎君
        農林省農林経済
        局長      岡安  誠君
        林野庁長官   松形 祐堯君
        水産庁長官   内村 良英君
        水産庁次長   松下 友成君
        通商産業大臣官
        房審議官    大薗 英夫君
        通商産業大臣官
        房会計課長   川原 能雄君
        通商産業省通商
        政策局長    橋本 利一君
        通商産業省産業
        政策局長    和田 敏信君
        通商産業省基礎
        産業局長    矢野俊比古君
        通商産業省機械
        情報産業局長  森口 八郎君
        工業技術院長  松本 敬信君
        資源エネルギー
        庁長官     増田  実君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 大永 勇作君
        中小企業庁長官 齋藤 太一君
        運輸省鉄道監督
        局長      後藤 茂也君
        運輸省自動車局
        整備部長    田付 健次君
        労働大臣官房長 青木勇之助君
        労働省労政局長 道正 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      東村金之助君
        労働省職業安定
        局長      遠藤 政夫君
        建設大臣官房長 高橋 弘篤君
        自治大臣官房審
        議官      山下  稔君
        自治省行政局公
        務員部長    植弘 親民君
        自治省行政局選
        挙部長     土屋 佳照君
       消防庁長官   佐々木喜久治君
 委員外の出席者
        大蔵省銀行局保
        険部長     徳田 博美君
        運輸省航空局管
        制保安部長   松本  操君
        会計検査院長  白石 正雄君
        会計検査院事務
        総局次長    鎌田 英夫君
        予算委員会調査
        室長      野路 武敏君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三日
 辞任         補欠選任
  平田 藤吉君     紺野与次郎君
  松本 善明君     金子 満広君
  正木 良明君     有島 重武君
  矢野 絢也君     岡本 富夫君
  小平  忠君     玉置 一徳君
同日
 辞任         補欠選任
  有島 重武君     正木 良明君
  岡本 富夫君     矢野 絢也君
  玉置 一徳君     小平  忠君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十年度一般会計予算
 昭和五十年度特別会計予算
 昭和五十年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、これより締めくくり総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
○湯山委員 私は、三木内閣の真価を問うところの試金石とも言うべき、物価に関しては独禁法、それから選挙についての政治資金規正法、それから環境の問題では、何と申しましても自動車排ガスの五十一年度規制、こういうものが挙げられますし、外交の面では核拡散防止条約の問題あるいは日中平和友好条約の問題と、いろいろ具体的なポイントになるものがあると存じます。私は、三木内閣の真価を問う試金石についてという中で、主として環境の問題を御質問申し上げたいのですが、全般の問題について楢崎委員から関連質問がございますので、これを先に行うことにいたしたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。
○荒舩委員長 楢崎君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
○楢崎委員 独禁法改正の問題に関連をして、爆弾質問をいたしたいと思うのであります。と申しますのは、いま物価対策の大きな柱の一つとして、三木総理は独禁法改正強化の問題を取り上げられております。いま進行中の作業状態を見ますと、どうも企業の意を受けて通産省がチェックをかけておる。企業というものがどんなに厚かましくて、恥知らずで、反国民的なカルテル行為をやって、そして物価をつり上げておるか、その典型的な実例を一つ挙げまして、われわれがなぜ独禁法強化を主張しておるか、その理由にしたいと思うわけであります。
 火薬業界の問題について取り上げたいと思います。爆薬問題ですから、まさに爆弾質問でありますが、まず公取の方にお伺いをいたします。
 産業火薬業界の販売カルテルに対する公取の四十八年六月二十九日審決問題についてであります。審決の中にありますとおり、販売価格カルテルを破棄して、それぞれが自主的に決めた価格で販売するようにと公取は指導いたしておりますが、その周知徹底の方法はどのようにとられたでありましょうか。
○高橋(俊)政府委員 通常のカルテル破棄と同じでありますが、取引先に対して周知徹底を図る、もう一つは公表の方法として、当方の了解を得た新聞紙等にその破棄の趣旨を掲載せしめる、そういう手段でございます。
 なお、その後、いまでは価格の報告などもとっておりますが、四十八年の当時には、必ずしもその後の価格報告を毎月徴することはやってなかったと思います。
○楢崎委員 そうしますと、その指導に対してどのように価格が原状復帰されたか。つまり、カルテル価格をもとどおりに引き下げるという効果が、その審決によってあらわれたとお思いでしょうか。そういう確信がおありでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 そのトレースは改めてやっておりませんが、大部分の場合に破棄の効果が価格の面にあらわれたことがありません。ですから、この火薬の場合も、当時の経済の情勢から見まして、恐らくは上がりこそすれ下がることはなかったのだろうと思います。
○楢崎委員 そうすると、結局やり得になっておるという可能性があるわけですね。その後追跡調査をされておりますか。
○高橋(俊)政府委員 やり得になっておると思います。その後の追跡調査を、この火薬類については四十八年の六月の審決でございますので、その当時、価格報告を全部徴するということをやっていなかった。やっていたものもありますけれども、大部分はその後にやりまして、毎月報告せいというふうに改めたものですから、恐らく把握はしておりませんで、効果はなかったと思います。
○楢崎委員 総理、お聞きのとおりです。現行の独禁法では、価格カルテルをやって高い価格を押しつける、結局、幾ら公取が挙げてもなかなか価格の原状復帰はならない、これが実情です。だからやり得ということになっておる。いま公取委員長がおっしゃっているとおり。だから、この価格を何らかの形でもとどおりにする、価格引き下げの措置を強力に講じなくては、何ぼ強化したってやり得になる、これを申し上げたいわけです。
 そこで、この四十八年六月二十九日の火薬業界のカルテルですが、この審決の中に、火薬会社の営業担当の役員及び部長級が出席する五日会という会合でカルテルの談合が行われたとなっておりますが、この五日会というのは、あるいは構成などが規約できちっとなっておる常設の委員会でありますか。
○高橋(俊)政府委員 その審決の内容の細部にわたって、私ははっきり申し上げまして、いまになってここでどういう内容であったか、全部読み直しておりませんからわかりませんが、大体五日会とかいう名称は、毎月五日に開くという意味でつけておるものと思いますので、恐らくは私は常設のものであったろうと思います。
○楢崎委員 恐らく常設のものであったろうという御推定ですが、そういう五日会の規約などは、この調査をされたとき手に入れられておりますか。
○高橋(俊)政府委員 四十八年の一月末のことであります、最初に臨検検査をいたしましたのは。そのときのあれでは、そういう規約などは把握しておらなかった、私はそう思います。最近になりまして、どうもそういう規約らしきものがそれ以前から存在したという、これは申し上げてしまうとまずいのですけれども、それらしき情報をつかんでおります。
○楢崎委員 五日会がこのカルテルをやったときに、その談合場所は、東京都中央区の日本産業火薬会の会議室になっております、審決によれば。で、この場所を提供した日本産業火薬会、略して火薬会と言いますが、これは、この事件に対して談合の場所を提供しただけで、事件そのものには加担していなかったわけでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 この審決が行われましたのは、爆薬の販売価格について日本油脂ほか六社、それから雷管の販売価格の引き上げについて日本化薬ほか三社、導火線の販売価格の引き上げについて日本化薬ほか二社となっております。したがいまして、その火薬の団体に対する排除命令ではなくて、各社別の排除命令になっておるところから、事実上場所を提供したということはありましても、団体の行為とはみなさないで、各社のそれぞれの行為とみなして審決を下したというふうに思います。
○楢崎委員 この火薬会というのは、火薬業界の、いわゆる独禁法にいう事業者団体に当たりますね。
○高橋(俊)政府委員 そのとおりであります。
○楢崎委員 この火薬業界に限らず、あるいはセメント業界なりほかの業界もすべてカルテルの指導をやっているのは、実は事業者団体なんですね。これは公取委員長も私はお認めになると思います。この事業者団体を何とかしなければカルテルの温床はなくならない。それをいまから実例で示したいと思うのです。ちょっと資料を渡したいのですが……。
○荒舩委員長 どうぞ。
○楢崎委員 実は資料が十分間に合いませんので、すべての方にお渡しすることができないのでありますが、ただいまお渡しをいたしました資料で決議録が二つありますが、これに(1)、(2)と書きましたのは、これは私が説明上つけ加えました。それからページ数も私が書き込みました。さらに協定要綱というのがございますが、協定要綱という字も私が書き入れたということは明確にしておきたいと思います。
 まず、決議録の(1)を見ていただきたい。ここではっきりしておることは、つまり、火薬業界は自主調整という名で、三十五年の当初からこのカルテル行為が行われておる。三十五年から四十年までの五カ年が第一次協調期、四十年から四十五年までが第二次協調期であったことを示しております。そしてそれは、さらに今日まで引き継いでおることをこの決議録は示しております。なぜならば、この一ページの一番最後を見てください。「引続き添附別冊の要綱に基き、産業火薬類の生産及び販売に就て協定をなすものである。
 尚、同協定要綱第18項に依り、社長会及び各委員会の構成並びに運営に就ても添附別冊の通りこれを決定した。」となっております。だから、今日も続いておると見なければなりません。
 さらに、次の二ページ「上記決議に附帯し、本協定要綱に関しては従来同様絶対に秘密を保持すること、」こうなっておりますね。なぜ秘密を保持する必要があるのですか。カルテル行為だからです。違法行為だから、これが外に知れたら困るから、絶対この協定は秘密にしてもらいたい、これが強く要請されておる。そして四十八年六月二十九日のカルテル違反の審決に出てきた火薬会社が、この協定に調印をしておる火薬会社の大部分ですね。
 次に、決議録の第二の問題点を申し上げましょう。これは生産制限カルテルなり、あるいは販売制限カルテル、あるいは在庫制限カルテル、そして販売価格カルテル、すべてのカルテルを企図しておるわけですね。そしてこの決議録(2)においては、それに違反した会社に対する業界内の制裁内容が具体的に協定をされておりますね。カルテルで協定したものを超過した場合の措置として、いわゆる罰金が規定されておる。「割当量の一・五%以上超過した場合は、その超過量に就て、夫々下記金額を醵出する。」そして「爆薬一函に付金四千円、雷管類一万個に付金十万円、導火線一粁に付金一万円、導爆線一粁に付金二万円」、はっきりしておりますね、これは。もし申し合わせに違反したら業界内で罰金を取る。これは典型的なものですね。
 次に、その協定要綱ですが、この協定要綱の問題点、12の販売価格のところでございますが、「販売価格及び取引条件」の「販売価格及び取引条件を現在状態より不利にする様な措置は今後一切採らないものとする。」そして一番最後に、この販売価格を扱うところは調整委員会ということになっておりますね。さらに13のところを見てください。細かいところまで規制しているんですが、13のところの1「現行の品種、寸度、薬量は増加しないことを原則とし、」ここまで規制しているんですよ。そして、これらの問題についての定例報告は、16のところを見てください。そのカルテルの進行状態について「日本産業火薬会に提出する」ことになっている。産業火薬会がお目付役ですね。そしてこの協定の実施日は四十五年一月一日、今日まで続いておるわけです。
 次に、この協定の18項に基づく「社長会及び各委員会の構成並びに運営」ということが、また規約として定められておりますが、ここの構成のところに、社長会の構成、これは各会社の社長と日本産業火薬会会長をもって社長会を構成する。そしてこの社長会の議長は、三番目ですが、「日本産業火薬会々長がこれに当る」となっている。そして社長会には幹事一名を置いて、その幹事一名もまた日本産業火薬会専務理事となっております。そして、この産業火薬会の専務理事または理事は、調整委員会あるいは生産合理化委員会、それから監視委員会、全部これは正式にその委員として構成されておる。
 私は、これを見ましたときに、全く完全無欠に、これは日本産業火薬会という事業者団体がカルテルの指導をし、監視をしておる、この実態を示しておると思いますが、どうでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 その考え方につきまして、私は、そういう団体を構成して、これは事業者団体でありますが、その事業者団体がやったということは、指導的地位にある者が責任者となってやる、こう書いてありますから、現在で言えば、まさに独禁法八条に違反することになります事業者団体の行為であります。ところが、通常いままでは、事業者団体の行為として事業者団体を罰しますと、つまり処分いたしますと、後に残らないのです。それは毎年とか二年交代で事業者団体の責任者が交代してしまうからです。ここにございますように、実際にそのメンバーとなっているのは十社に満たない、八社でございますね。
 そこで私どもは、従前は事業者団体による行為として八条違反と認めてやっておったものが、それでは各社別には何の前歴もないことになるのです。ですから、まさに事業者団体とは言いながら、各社のその都度の申し合わせによる、協定によるものである、そして各社別に排除命令を出すということの方がむしろ効果的である、こういうふうに判断いたしまして、八社で相談したものと、あるいは五社であるものと、内容によりまして仕分けしまして、事業者団体の行為ではあるけれども、事業者団体が百数十名というふうなメンバーを抱えている場合には、これは、そのメンバーの中で全く事前に知らされない、後から守らされるというのが多うございますが、そういうことから、全社長が出席する、あるいは全社が出席したものはそれぞれの会社の責任においてやったと、こうみなして処分する方がむしろ後にいい、こう考えて処置はそのようにしております。
○楢崎委員 では、この四十八年六月二十九日審決の場合に、火薬会は加担をしておったけれども、今後の対策上、その八条条項を適用しなかった、そういうことですか。参画しておったことはわかっていらっしゃったのですか。
○高橋(俊)政府委員 この協定そのものは、実はそのときは入手しておりません。いま楢崎さんのお示しになった、そういう事業者団体の非常に細かに定められたものは入手しておりませんから、したがいまして、会社の数がそれぞれ違うということから主としてやったのですが、しかし事業者団体が、いわばカルテルの場としていろいろなことをやっている、それに対して何か独禁政策上措置を講じなければならないということは、いま私どもの方では研究中でございます。アメリカでは、これは特に厳しい、会合を持っただけでも違反というふうなことなんですが、日本では事業者団体に対しては、扱いが非常に寛大でございまして、毎月のように定例の会議を持ちましても、それを別に問題にできないというふうな体制でございますので、これらは規定を整備しなければならないのではないか。つまり、場所を提供するどころか、実際には渾然一体となっているという例が多いわけでございます。
 これは、御指摘のとおりでございますから、今後の課題ではないかと思っておりますが、どういうふうに規制をすべきがいいかは、余りにもその数が多い、万をもって数えるほど事業者団体はあるわけでございますから、どうするかということを検討を続けてまいりたいと思います。
○楢崎委員 そこで、この五日会の内容を見てみると、営業担当の役員及び部長級が出席する五日会となっております。この規約からすると調整委員会に当たりますね、「各営業担当役員若しくは部−長」となっていますから。しかも販売価格を扱うのは調整委員会となっておるから、この五日会はまさに調整委員会であると断定せざるを得ない。
 そこで私は、このような協定が現存するという事実を、まず明確に公取でしていただきたい。と同時に、この協定が、私がきょう提出したこの資料が明確になれば、当然、事業者団体として火薬会の存在が問題になる、八条条項に触れる、したがって、八条によってこの火薬会は解散させるべきである、そのように私は思います。
 と同時に、いま公取委員長も御見解のとおり、四十六年、四十八年の例の、昨年の物価集中審議でも問題になった石油の業界のカルテル問題あるいは石油価格、製品のカルテル問題、全部業界が絡んでおるでしょう。だから、この事業者団体が絡んでおるのですから、しかも指導的な役割りを果たしておることは事実ですから、この事業者団体に対する規制を峻厳にするということは、当然今度の独禁法の改正の際に十分考慮されるべきであると思いますが、どうでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 私の方では、もうすでに、その事業者団体の実態調査、これは開始しておるのです。事業者団体をどう扱うかという問題は、大変むずかしい問題でございますから、今回の改正にはとても間に合わないというのが実情でございまして、将来の、将来といってもそんなに気の長いこと言っていませんが、これはどうせ課題としなければならないであろう。それには世界各国が、事業者団体がどういう活動をし、またどういう独禁法違反につながるような行動をやっておるかということ、あるいはそれに対する規制がどうであるかということをも全部調査した方がいいんじゃないか、こういう有識者の御意見もございますので、そういうことを十分調査した上でどうするかを考えたい、こう思っております。今回の分にはいかにもちょっといい案が浮かばない。いずれかを罰するわけで、事業者団体を罰し、個々の構成者を罰する、両方を処罰するというわけにはいかない。ですから、いずれかを処分しなければならぬ。
 いまの解散の問題でございますが、これは時として非常に悪質なものがあれば、現行法でできますから、解散を命ずることもあります。やった例はすでにあります。そういう点は裁量の問題でございますので、私は、この時限についてどうするということは、余りにも私の権限を逸脱した行為になりますので、その点は方針だけ考えを述べさしてもらいました。
○楢崎委員 この私が提出した資料が現存するということであれば、四十八年の審決問題についても、つまり四十七年段階のこの火薬業界のカルテルについて、これは火薬会は一番役割りを果たしておるのですから、さかのぼって何らかの措置はできないのか、それをお伺いしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 現行独禁法では、さかのぼるということが不可能なことになっております。つまり、まだその違反行為が継続中であるということがはっきりしませんと、証拠立てなければ、四十八年にまでさかのぼるということができないということ。ただ、ただいま北海道地区の卸売業者を中心に販売価格関係について調査したばかりなんです。それで、実はその現在進行中の問題も絡んでおりますので、実は余りこれ以上は具体的な事件については触れたくない。
○楢崎委員 事情がわかりますから、私はこれ以上申し上げません。ただ、私が提出した資料が現存するかどうか、至急照会の上、あるいは調査の上、報告をいただきたい。いまでなくても結構ですから、いただきたい。
 それで最後にお伺いをしておきますが、四十六年、四十八年の石油業界のカルテル事件について、公取は初めて告発をされたわけであります。この際問題になっておったのは、通産省の行政指導と業界のカルテル行為の関係である。これに対して何らかの有権的な判断が示されたでしょうか、どうでしょうか。いままだ係争中でありましょうか。
○高橋(俊)政府委員 私どもの方の公正取引委員会の主張はすでに御承知と思います。たとえそういうカルテル的行為、カルテル行為に対して行政介入があったにしても、違法性を阻却するものではない、そういう観点から行政処分も行い、かつ告発に踏み切ったわけでございまして、この点は目下東京高裁において非常に精力的に裁判が継続中でございまして、それらの問題も当然裁判で裁かれることと思いますので、私はこれ以上つけ加えない方がよろしいと思います。
○楢崎委員 総理、お聞きのとおりなんです。通産省の行政指導というものがカルテルを誘発しておる。あの石油業界は、通産省の行政指導によってやったのだからカルテルじゃありません、こう主張して、それがいままさに東京高裁で係争中なんです。言うならば、通産省の行政指導というものはカルテルと共犯の立場にある。言うならば係争中ですから、通産省はまさにそういう意味ではカルテルについての被疑者なんです。まさにそうですよ。だから、去年物価集中審議のときに、石油業界の会長が通産省の指導でやりましたと言ったものだから大問題になって、当時の中曽根通産大臣は、その会長を通産省に呼びつけて、何というばかな答弁をしたかと言ってしかりつけたでしょう。よせばいいのに、そこでまた謝った。それほど通産省の行政指導というのはカルテルを誘発する。悪い言葉で言えば、カルテルのぐるになっておる可能性がある。そのような被疑者の立場にある通産大臣が――まあ大臣と言うては悪いですね。通産省が、今度の独禁法の改正問題に、被疑者のくせにくちばしをはさむなどとは、私に言わせたら、もってのほかなんです。そうでしょう。私は、総理府長官は十分その点は考慮しながらがんばっていただきたいと思うのですよ。カルテル問題についていやしくも被疑者の立場にある、係争中なんですから。いま裁判に係っておるのですよ。その通産省の行政指導が、カルテル行為に触れるかどうかで。そういう被疑者の立場にある通産大臣が物申すなんというのは大体おかしいのですよ。総理、おかしいのです。いま係争中なんです。どうでしょうか。総理府の長官にお伺いしておきますが。
○植木国務大臣 すでに御承知のとおり、ただいまこの独禁法の改正案を作成する作業をいたしているのでございます。お話がございましたカルテルの排除措置につきまして、現行法では十分でないということは承知いたしておりまして、独占禁止法改正問題懇談会におきましてもいろいろな論議があったところでございます。これをどのように排除いたしますかということにつきまして、鋭意ただいま検討をいたしておるのでございます。各省庁との折衝は政府部内の意見を統一いたしますためには必要でございますので、各省庁の意見を承っているというのが現在の状況でございます。御指摘の点については十分認識をいたしております。
○楢崎委員 最後に一問だけ総理にお伺いしておきます。
 もう仕上げの段階であろうと思いますが、営業譲渡の問題なり、あるいは原価の公表なり、あるいは価格の原状回復問題について、総理の示されておる今日における政治判断をお示し願いたい。
○三木内閣総理大臣 楢崎君も御承知のように、この問題は、いまもう最後の政府部内の調整をやっておる段階でございますので、個々の具体的問題について私の判断を申し述べるのはいま適当な時期でない。これは数日のうちに政府原案をまとめることにいたす予定でございますので、いろいろなこの国会における御論議なども頭に入れながら、懇談会の数回にわたった論議等も入れて、国民の納得のいくような独禁法の改正を国会に提出をしたいと考えております。
○楢崎委員 これでやめます。その作業を見守りたいと思います。
○荒舩委員長 湯山勇君。
○湯山委員 いま総理は、独禁法の問題についてはただいまいろいろ論議中である、したがっていま意見を述べることは適当でないということでございましたが、自動車公害問題は幸いなことに答えが出ております。したがって、お答えが出ておる問題でございますから、特にひとつそういうおつもりでお答えをいただきたいと思います。
 なおまた、この問題につきましては、最初申し上げましたように、三木内閣の真価を問う試金石であるということだけではなくて、総理は環境問題というのは政治の原点であるということをおっしゃっておりますし、また当委員会におきましてもしばしば取り上げられた問題である。のみならず三木総理は、この今回の告示が出るまでの間において、一番長くこの問題を環境庁長官として手がけてこられた当面の責任者であったというようなことを考え合わせてみますと、まさにこれは、告示が出て以後この委員会では論議しておりませんから、締めくくりには全く私はふさわしい問題だろうということで取り上げたようなわけでございました。
 この二十四日に環境庁長官の告示が行われまして、運輸省からも必要な手続がなされて決定したということになっておりますが、三木総理は環境庁長官御在任中は、何としても当初の目標であった窒素排気ガスの規制は〇・二五グラムにしようという大方針のもとに進めてこられました。その後いろいろないきさつがあったわけでございますけれども、ついに今日のように小型車では〇・六グラムの平均値、大型車では〇・八五グラムの平均値と、それに相当幅の許容限度がくっついている。実施の時期は御存じのとおり、継続車については従来に比べて三カ月余分にゆとりが見られているという内容はもう御存じのとおりであると思います。
 私は、こういう問題でございますから、できるだけ冷静にひとつお尋ねもするし、御所見も伺いたいと思うのですが、一々非常に厳密な用語を使っておりますと、かえって混雑するかと思います。たとえば等価慣性重量というような前置きをつけるし、一キロ走行というようなのをつけたりいろいろしますと混雑をいたしますから、トン未満の、そして規制値が〇・六グラムになっているもの、これについてというふうにしぼってお答えもいただくし、お尋ねもしたいと思いますので、ひとつそのように御理解をいただきたいと思います。よろしゅうございますね、環境庁長官。
 それでは、今回の告示につきまして、長く手がけてこられたし、今日なお内閣の責任者である三木総理は、今回の告示についてどういう御所感、御評価をなさっておられるか、まずこれから伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 この自動車の排出ガスの問題は、国民的関心も非常に高い、また生命、健康にも関連する重要な問題でありますので、私の考え方を述べて御理解を得ておきたいと思うのです。
 御承知のように、五十年度規制というものは、湯山さんも御承知のように大変に厳しいものでした。炭化水素は十分の一にするわけですからね。一酸化炭素は十分の一にする、窒素酸化物は二・五グラムを約半分にするというのですから、五十年度規制というものもなかなか容易でなかったわけです。延期の声が強かったわけであります。しかし、どうしても五十年度規制というものは、これを実施することによって大気の汚染を防止しょうという私の熱意から、これは延期を認めなかったわけでございます。
 ところが、五十一年度規制という一番難物の窒素酸化物の規制になって、五十一年度からいま御指摘のように〇・二五という目標値があるわけでございますが、私も在任中から、なかなかこれは技術開発の進捗状態からして容易ならぬので、これまた延期するというようなことがないように、メーカー――しばしば報道もされましたから、湯山さん御承知のように、技術開発を督励をしたわけです。その後私が環境庁長官を御承知のような事情で辞任をいたしまして、そうしてこれが大気部会というものにいつもの場合かかるわけで、大気部会にかかって、そうして〇・二五というものが一体実施できない場合には、その暫定値といいますか、これをどうするかという問題も含めて審議を願ったわけでありますが、どうしてもいまの技術開発の状態からはこれは無理であるということで、五十三年に延期をして、いま御指摘のように大型車は〇・八五、小型車は〇・六という暫定値に決めたわけでございます。
 私が、この十二月の五日なんですよ、そうして内閣を組織しまして、これでもいつもならすぐに告示なんですよ。告示はやはりこれではもう一遍慎重に審議してもらいたいということで、異例のことなんですね。中公審の総会の審議にもう一遍ゆだねてもらいたいということで、中公審で総合部会等でやって、そうして答申をもらったわけです。これはいまの技術開発の進捗状態からしたら、もうこれはやむを得ない。したがって、この大気部会の決定は、これは認めざるを得ない。そうしていろいろな答申、その中に附帯決議がついておりました。
 その一つは、メーカーに技術開発の促進を求めると同時に、一方においては政府の方においても、五十三年に延ばしたでしょう、この技術開発の進捗状態をやっぱりもっと常時チェックするための体制を整備せよということもついておるわけでございます。
 そういうことで、私は今後の処置としては、いままでの専門委員会といいますか、いままでの委員会と別に専門の委員会を置いて、技術開発の状態をチェックしながらメーカーに、五十三年度の規制があるから、技術開発を督励していきたい。
 その場合に湯山さん、どうして押し切らなかったのかとおっしゃられるかもしれませんが、素人の政治家が、専門家が寄って無理だと言うことをやるということが、政治家の勇気だとは私は思わない。合理的でありませんからね。今後は五十三年度の規制というものを、何とかして技術開発をそこへ促進していきたいということで、いま言ったような専門委員会のようなものを設けて常時チェックすると同時に、この自動車の排出ガスいうものを推進したマスキー上院議員、私の友人でもありますから、私は手紙を書いたのですよ。何かこういう問題でアメリカの技術開発が進んでおるならば日米間で協力をしたい、こういうことを私が申しまして、そしてマスキー上院議員も返事をくれまして、非常にそういう可能性のあるというような返事がございました。これはやはり連絡をとって今後やっていくことと、もう一つは、ただ排気ガスの点ばかりでなしに、自動車の総量規制とかその他の方法で、組み合わせて大気汚染を防止するための対策を今後講じていきたい。
 とにかく、世界でどこもやってないことをやるのですから、どこもこんな厳しい規制をやっておる国はないのだけれども、日本のこの大都市における大気汚染の状態から見て、国民の健康を守るために、世界がやらなくても日本は率先してやらなければならぬという私の決意からして、できるだけの最善を尽くしていきたい。これが、この排出ガスに対するいままでの経過と、これからどう対処していくかという私の考え方を申し述べて御理解を得ておきたいと思う次第でございます。
○湯山委員 さすがに責任を持ってお手がけになられただけありまして、要点にお触れになって、しかも私がもっと先にお尋ねしたいような点もお触れになっていただいて、その点、大変敬服いたしております。
 ただ私は、それもありますけれども、いまの御発言の中で非常に重要だと思いましたことは、一つは五十三年度〇・二五グラムにする、この基本方針は変えない。そのために新たな専門委員会を設ける。同時に、単にそれだけじゃなくて総量規制の問題を積極的に取り組んでいく、この三つの点が明らかになったと思いますが、そう了解してよろしゅうございますか。
○三木内閣総理大臣 これは五十三年度の規制はぜひとも実行したい。そのために、いま申したような、このために日米協力もできる余地があったらやって、技術開発をやりたいということで最大の努力を払う、こういうふうに御理解を願いたいのでございます。
○湯山委員 あと環境庁長官にお伺いいたします。
 今度の規制につきましては、いろいろ各方面から評価がなされております。いいのもあるし、悪いのもあるしと思いますが、私の見た範囲では、いいのは一つもない。悪いのばかりですが、これは長官は、マスコミその他でこれを高く評価しているというようなのをごらんになったことがございますか。
○小沢国務大臣 マスコミ等の記事で高く評価しているという記事を拝見いたしたことはございません。私どもは、非常に高く考えていただきたいと思っておりますけれども――。
○湯山委員 ほかからは評価されないけれども、自分だけは評価なさるということですが、その批判の焦点はどういうところにありますか。時間の関係で私の方から申し上げますが、国民の期待を裏切る、これじゃ政治不信を招く、こういうのもありますね。それから、国民の健康保持よりも業界優先である、あるいは企業寄りのとか、あるいは業界優先の色濃くとか、あるいは健康軽視、あるいはこれでは防止法による大都市の環境基準は守れない、とても〇・〇二PPMの達成は困難だ、あるいは再検討を要望するというようなのもございます。これらの批判について、環境庁長官は、言われておることはもっともだとお考えになりますか、それは間違っているとお考えになりますか、結論だけお願いします。
○小沢国務大臣 私はそれらの問題点について、もし湯山先生が本委員会において解明をされるならば、御理解をいただき得るだけの用意を持っております。ただし、従来までこの問題に対する政府の考え方や、今日の技術開発の状況やら、先ほど総理が言われましたように、世界でどこも行っていない非常に厳しい内容であるということに対する政府の国民に対するPRについては確かに欠けるところがあった、その反省をいたしております。
○湯山委員 今度の告示に当たって、環境庁からこれの説明を公表しておられます。それによれば、環境庁は「中公審答申にそって、五十一年度から乗用車に関する窒素酸化物の排出規制を強化するため」云々で、次のように定めた。つまり「中公審答申にそって」という表現がしてありますが、これは中公審の答申を尊重したという意味でございましょうか、お答え願います。
○小沢国務大臣 そのとおりでございます。
○湯山委員 私は少ない経験ですけれども、審議会の答申でこういう答申がいまだかつて出たことを知りません。恐らく国会経験最長の三木総理も、こういう答申を余りごらんになったことはないのじゃないかと思います。
 それはどこかと申しますと、答申の最後の結語、結びです。どう書いてあるかと言いますと、「当審議会が、昭和四十七年に厳しい目標値を定めながら、遺憾ながらこれを今日規制値として達成できないこと、これまでに至る企業の技術開発の努力が結果として不足であったこと、また技術開発の状況のチェックが必ずしも十分でなかったことについて」――その後です、「国民一般の疑惑を招いた。」こうはっきり書いてあります。本来審議会というものは、政府だけで決めると了解を得られない、納得を得られない、そしてまた不足の部分もある。第一はやはり、国民に納得される、信頼される、そういう行政を進めるための審議会であるはずなんです。その審議会がこのように、一部国民じゃないのです、一般国民の疑惑を招いた、そういう答申をしております。総理、答申に当たって国民全体から疑惑を招いたというような答申、御記憶ございますか。
○三木内閣総理大臣 中公審という、これは政府とかなり独立した見解を自由に述べる審議会でございますから、そういう意味で、これは一面において中公審というものは、非常に公正な判断をする審議会であるということに私はなると思うのです。政府に痛いことも言う審議会ですから。
○湯山委員 これは政府の痛いことじゃないのです。ちょっと総理は勘違いしておられるんで、私がさっきいろいろな批判を申し上げたのは告示についてです。そうじゃなくて、これは中公審の答申です。いいですか。五十一年度規制は〇・六グラムにしなさい、それから許容量は〇・八四グラムにしなさい。答申ですよ。しかも、総理がおっしゃったように、これじゃ足りないから、大気部会、さらにその下に自動車公害の専門委員会を設けて、そして九月から十二月まで専門家が審議してきたその最後のまとめ、これを尊重してひとつ告示をしてください、というその答申が「国民一般の疑惑を招いた」、これは異例じゃないでしょうか、総理。
○小沢国務大臣 私も十三年役所の経験がございますので、先生のおっしゃるように、こういう内容を持った答申は非常にまれなことだと考えております。それだけに、私は和達会長の良心がここに出ておるのじゃないかと考えております。和達会長は、御承知のように、「四十七年に厳しい目標値を定めながら」とおっしゃっております。これは長期目標として設定をした中公審の中間報告を指しておられるわけでございます。少なくともそういう長期設定目標を定めておきながら、その後いろいろな事情があったにせよ、技術開発の状況を十分にチェックする体制をとっておらなかった点について深く反省をされまして、その反省と会長の学者としての良心から見て、一つの反省の表現をここにお書きになったわけでございまして、その文言だけをとらえて、この答申そのものの価値なり、あるいは技術的な結果について、直ちに国民一般の疑惑全体に演繹することは、私はどうもそうは思わないのでございます。
○湯山委員 私はそういうことをお尋ねしておるのじゃないのです。あなたがお受け取りになった答申書、それにそう書いてある。しかも、いまおっしゃったように、チェックが足りなかったとか、それから業者の努力が足りなかったと、それは書いてあるのです。だから、万全を尽くすことができなかったとか、あるいは足りないところが多いとか、そういうことなら、それは私も何ら疑問を持ちません。長官のおっしゃったとおりです。しかし和達会長は、「国民一般の疑惑を招いた。」とはっきり書いている。これは、あなたがおっしゃったように、会長の良心だというのならば、ますますもって重要です。科学者として、技術者として客観的に取り組んできたこの人が、ほかの言葉ではなくて、わざわざ「国民一般の疑惑を招いた」、これをいま軽視してはいけないと思うのです。もしそれなら、これは何を意味するのか、具体的に何かということをお聞きになりましたか。
○小沢国務大臣 この答申の第一には、現在の技術開発の状況から見て、専門委員会、部会の決定はやむを得ないものと認めるということを主文にいたしまして、それからいろいろな総合対策をさらに推進をして、自動車排気ガスの大気に及ぼす影響をできるだけ削減するようにという答申になっておりまして、最後に和達さんが、今日まで技術開発の状況をチェックすることについて確かに十分でなかった点を反省をして、その技術開発の状況が十分チェックされてないことについて国民のその点に関する疑惑があるという認識をお書きになったわけでございます。
 その疑惑というのは、「技術開発の状況のチェックが必ずしも十分でなかった」、このことについて、御承知のとおり、この答申が出ますちょっと前に、東京都の審議会においてあるメーカーが、〇・四は可能であるとかいろいろな発言等がございまして、それらがいまの〇・六、〇・八五についての答申について疑問を投げかけたような結果になったその原因は、やはり技術開発の状況のチェックが必ずしも十分でなかったからだという、そういう点に思いをいたされてお書きになったわけでございます。
○湯山委員 これは総理大臣重大な問題です。「疑惑」という言葉を使わなければならないということは非常に重大な問題で、これは私はそういう言葉をお使いになる理由はあると思います。良心的な人だけにあると思うのです。ここでいろいろ指摘されました中にも、そういうものがたくさんあります。技術開発のチェックができなかった、そのできない原因は何か、それを尋ねていくと、どうしても疑惑に突き当たる。
 ここでいろいろ取り上げられた中に、私はもう一遍締めくくりですからおさらいしてみますが、これを秘密会にしたということ。秘密会にした理由は、自由な討議が得られないからだということで秘密会にした。その秘密会の内容が漏れている。これが事実の一つ。それからそれと関連して、メンバーでない人が入っておったこと。またそれと関連して業界代表であった家本委員が辞任をしておること。それから同時に専門部会の委員長である八田委員長が辞任を申し出ておること。その理由は、専門委員会のイメージチェンジをする必要があるということを述べております。それから先般中島委員から御指摘のあったように、通産省と自工会との関係、環境庁と自工会の関係、運輸省と自工会の関係、これらはいずれも決して明朗なものではありません。それから土井委員が指摘した、トヨタ自動車と通産省の資料の偶然とは思えない一致。それから通産省が専門委員会に提出した資料の内容。こういうことがありますから、この総合部会の委員である高田ユリさんは、この告示があった後で、はなはだけしからぬ、こういうことじゃなかったのだ、こういうことになったのは政治献金があったとしか思えない。きのうも日曜日のテレビの討論会でこの問題出ておりました。見ますと、昭和四十九年上半期日本自動車工業会は国民協会へ三億円の寄付をしています。これは上位から三番目です。これらを合わしてみまして、私は和達さんが、長官おっしゃったように、良心的な人だ、だからこういう事実があって、これらのいろいろなものがからんで結局技術のチェックができなかった、だから疑惑を招いたというのはもっともじゃないでしょうか。長官は、いま私が十申し上げました秘密会の問題から最後の政治献金まで、これとこれとは絶対違うというのがあったら、おっしゃってください。
○小沢国務大臣 先生がおっしゃいました家本委員の問題やら、あるいはその家本委員が自分の覚えを整理をして保管をしておったものが他に漏洩をしたというような点、あるいは代理出席を認めたというような点等々につきましては、公環特の委員会でいろいろ私、事情を申し上げております。私どもとしては、いまここで改めてこの問題を一つ一つ申し上げると大変時間がかかります。
 私は、自動車工業会と環境庁が相談をしたり、あるいはまた今度の規制値を決めるに当たっての意見を求めたりしたことは、一回もないと聞いております。ただ、五十一年規制の例の告示、長期目標、われわれの理想値、これを達成できるかどうかの相当詳しい技術的なヒヤリングを、たしか昨年の六月ごろやったと聞いております。ところが、その結果、どうしても今日の技術開発の現状では、これは各メーカー全部やったわけでありますが、できないと言うので、しからばどうしたらいいかということを専門部会に聞いたわけでございます。
 そこで、私、先ほど言いましたのは、和達先生がああいう非常に温厚な学者はだの人でございますので、末尾にこのことを書きましたのは、先生がおっしゃる意味における国民の疑惑ということでなくて、むしろ技術開発の状況をもっと十分にやらなければならなかった自分たちの任務についての反省を考えられまして、その反省の上に立って考えると、国民の理解を得なかった、そして国民の中に、もっと厳しい規制ができるんじゃないかというような疑念の声があることを頭に置かれまして、その点についての反省をここで私は表現されたものと思うわけでございます。
○湯山委員 いまのように、ヒヤリングか何かおやりになって、何か意見を出せ、出さない。そこで、当時の長官の三木総理がお話しになって、一カ月以内に答えを出さしたということもよく存じています。私が言っているのはそういう問題じゃなくて、技術のチェックができなかった原因に、いまのようなことがあってできなかった。たとえば通産省が邪魔している、あるいはその他のいろいろな諸要素、いずれまた申し上げますけれども、そういうものがあったことがそういうことを言わした原因なので、おっしゃったような言葉ならいいんですけれども、それを一般国民の疑惑と言わなければならなかった、これが非常に問題だということを申し上げたわけです。
 そこで、この問題は一応それだけにして、いま出ましたついでですから、総理はこの間テレビで、専門委員会の議事録というものは当然公開すべきものだ、今後は公開するということをおっしゃいましたが、間違いございませんか。
○三木内閣総理大臣 私は、会議そのものの公開はやはり適当でないと思いますが、議事録のような、どういうことが論じられたという大要は公開をすべきだと思います。
○湯山委員 いままでの議事録は公開されますか。
○小沢国務大臣 従来まで委員会は公開の原則をとっておりません。中公審自体が自主的にこの問題を決定をされる問題でございます。御承知のとおり、この五日に私達会長は総合部会を開かれまして、中公審のあり方について、いま御質問の点を含めて御相談をされるわけでございますので、自主的にいろいろな問題を決定すべき審議会のことにつきまして、いま政府側が軽々に、これをやるべきであるとかないとかということを申し上げる段階ではないと思います。
○湯山委員 いまのような御答弁ですから、やはり疑惑が残るのです。これを公開しない原因であった、自由な発言をするために秘密会にするのだということも、もう終わったのですから、一段落がついて答えが出ているのですから、いままでの分を公開するのについて、なお長官そういうことをおっしゃるというのは、私はやはりこれは明朗でないということを指摘しておきます。しかし私は、総理もそういうお考えであれば、議事録は当然公開すべきだ。いかがですか。
○小沢国務大臣 総理がおっしゃっておられますのは、従来の審議についていろいろ御質疑がありますように、そういう御意見がございますから、今後は、専門委員会やあるいは部会や中公審でいろいろ御審議になるときの議事録につきましては、その議事の要約を、要録をひとつ公開してもいいんじゃないか。そういうつもりで中公審なり専門部会なりの先生方とよく相談をして、そういう方針でいくように善処をしろ、こういう御指示がありまして、私どもも、今後についてはそういう点をぜひ実行していきたい、中公審にもいろいろと御相談を申し上げていきたい、かように考えておるわけでございます。
○湯山委員 これは、この排気ガス規制と同じように、答弁がますます後退してくる。私がお尋ねしたのは、総理は議事録の公開ということをなさいますかと言ったら、総理は、会は公開しないけれども議事録はする。長官は今度は、議事録じゃなくて要約だ。――待ちなさい。全くこれだけ後退に後退を重ねてくるから国民の不信を招く。長官、終わったことなんですよ。新たな専門委員会を設けると総理はおっしゃっておられるのですよ。その過ぎ去ったことをなぜ公開できないのか。こういう「一般国民の疑惑を招いた」という答申であれば、なおのこと、そのためにやらなければならない。ちっともあなたはこのことを認識してないです、疑惑を招いたということを。これは保留します、委員長。はっきり言ってください。
○小沢国務大臣 私が申し上げておりますのは、総理の御意思もありますので、私どもとしてはそういう線に沿って努力をしたい。それ以外には、自主的に中公審が決めるべきものを、中公審に私どもが圧力をかけるようなことをいまここで申し上げるわけにいかないから慎重に申し上げておるわけでございまして、私どもの政府の方針としては、総理の方針に従って、御趣旨のようなそういう線で考えておりますけれども、決定するのは、あくまでも中公審が審議会としての自主性をもって決定をしていくべき問題でございますから、五日の日にその相談をおやりになりますが、その前日のきょう、そういたします、こういうことで自主的な御相談を縛りつけるようなことはむしろ非民主的ではないか、こう考えて慎重に答弁をしておるわけでございますので、意のあるところは十分御理解をいただきたいのであります。
○湯山委員 少なくとも政府の方針は、議事録公開する、こう受け取ってよろしゅうございますか。政府の方針は、公開するという方針であると。
○小沢国務大臣 今後のことについては、そういう方向で努力をしろという総理の命令で、先ほど来言っておりますように、私は要録とか申し上げましたのは、いままでは速記録をつけた会議をやったことがないのであります。そこで、事務が結局討論の内容を整理しまして、そういう結果できたものを議事録とあなたはおっしゃっておるわけで、私の方は、それは議事の要約ではないかと、同じことを申し上げておるわけでございます。速記録があれば、議事録というものは――国会の議事は速記録にちゃんとあるわけでございます。私どもの方では、それだけ速記をつけて全部やっておったいままでのことはありませんから、したがって、事務当局が議事録をつくりまして、それを委員の先生方に見せて確認をとった上でつくっているものを議事録と称している。これは議事要録でございます。私が申し上げているのは、一つも総理と違った答弁を申し上げているわけじゃないので、事務的な立場で正確を期するために申し上げているだけだというふうに御理解いただきたいのでございます。
○田中(武)委員 関連。
 お伺いしますが、いまの中公審ですね、これは国家行政組織法による三条委員会じゃないのですね。三条委員会ならば、政府から独立しておるから、中公審が定めるというか、相談をしなければ政府としては何ともできぬ、これなら通ります。だが、三条委員会ではなくて、いわゆる政府、あるいはこの場合は環境庁長官の諮問機関でしょう。したがって諮問にこたえての答申をする委員会ですよ、審議会ですよ。したがって、あなた自体が中公審に相談をしてとかなんとかいうことは、私は誤りである。組織法三条によるものなら政府から独立しておる。たとえば公正取引委員会の議事録とかあるいは公安委員会の議事録というのとは違うのです。その点が一つ。
 もう一つは、すでに何回かこの場所において指摘せられたように、業界代表のかっこうで出てきておるところの委員によって、業界には議事録なるものというか、議事の内容がばらまかれておるじゃありませんか。そういうことを踏まえて、ひとつはっきりした答弁をしてください。でなければ、いまのような答弁である限り、われわれとしては納得はいきません。
○小沢国務大臣 私は、中公審の自主性を申し上げておりますのは、法律上の意味で申し上げているわけじゃありませんで、確かに諮問機関でございます。そこで、私どもが中公審にはいろいろ行政上の政治的な圧力を加えることはよくないから、できるだけこの中公審には自主的にいろいろな問題を御討議願っておるわけでございますので、おっしゃるように私どもは、私どもの方針を十分会長を通じてお話を申し上げれば解決するだろうと思いますけれども、明後日、和達会長が中公審の総合部会を開いて、その問題を含めましていろいろと議論をされるという今日の段階で、私がこうすべきである、ああすべきであるということを申し上げるのは、私どもの方針だけを申し上げておいて、後は決定的にそうしますということだけは待っていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。
○田中(武)委員 法律の問題ではないとおっしゃっているのですが、ここははっきりしておかねばいかぬですよ。国家行政組織法三条の場合は独立した機関である。八条の場合は政府あるいは大臣の諮問を受けて答申をするのですよ。したがってそれは、内部的にあなたが中公審の顔を立てて意見を聞くとか、まあそういうことはいいでしょう。だがしかし、中公審に相談しなければ云々ということを公開の席上で言うことはおかしいですよ。そこは三条と八条との違いの一つなんですよ。いかがですか。
○吉國政府委員 ちょっと法律に関連した問題でございますので、私から申し上げますが、公害対策審議会、中公審、これは正式には中央公害対策審議会と申しまして、公害対策基本法第二十七条第一項によって、環境庁に付属機関として置かれるものでございます。付属機関というのは、いま指摘のように、国家行政組織法第八条第一項の機関でございます。
 第三条の機関と第八条の機関との違いは、第三条の機関は、行政法学上の行政官庁として行動するものでございます。それがどういうことかと申しますと、みずからの名において国家意思を決定して、これを外部に発する権限がある。たとえば大蔵大臣は大蔵大臣として、国家行政組織法上、大蔵省を総括して権限を持っておりますが、大蔵大臣として各法律において国家意思を決定いたしますそれと同様でございます。その意味において、第三条の機関が行政官庁であることは間違いございませんが、ただ、独立して職権を行うということは、第三条機関についてはっきり明定をされておりますけれども、このような審議機関あるいは試験研究機関につきましても、性質上おのずから独立性があるというのが行政法学上のほぼ通説であります。と申しますのは、中央公害対策審議会に対して、その主務官庁である環境庁を統轄する環境庁長官が指揮命令をするということは、これはできるとお思いになりますか。できないでございましょう。中央公害対策審議会において審議決定するについて、かようかようの方向で審議をし決定をせよということを指揮監督することはできないわけでございます。法制局長官に対して、たとえば内閣総理大臣は私に対して、これこれの事項についてかような意思決定をせよということを命令される指揮監督の権限がございます。これはしたがって、行政法学上は上部の機関から下部の機関に対して命令ができる。ところが、中央公害対策審議会のような審議機関については、それ自体が独自の権能として、公害対策基本法第二十七条第二項に書いてございますような権限を行使するわけでございまして、その限りにおいては実質上独立性がある。この点はたとえば試験研究機関でも同様でございます。
 その意味で、ただいま御指摘のような、第三条と第八条との非常に峻別した御議論でございましたけれども、そのようなことはなくて、第八条機関であっても性質上は独立性があるということを申し上げたいと思います。
○小沢国務大臣 もう一言だけ……。中央公害対策審議会令という政令がございまして、これは中央公害対策審議会の必要な事項を決めた政令でございます。その第一条は「会長は、会務を総理する。」「会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。」それだけで、実は五条を申し上げたいのでありますが、五条に「前各条に定めるもののほか、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会にはかって定める。」と、こういうふうに私ども政令で決めているものですから、やはりこの自主性を尊重していかなければいけないということを申し上げているわけでございます。
○田中(武)委員 むしろ私は、私の主張を裏づけたような法制局長官の答弁であったと思います。
 しかも、いまの環境庁長官の答弁は、一昨日私が言ったように、事は政令で決めておるわけです。それがまたもとに戻って、法律と政令、あるいは行政指導、行政解釈、この問題にさかのぼってやらねばなりません。しかし、そういう時間がありませんから、そういう姿勢である限り、また場を改めて根本的な議論をやらねばならぬということを改めて痛感したということだけを申し上げて、関連ですからこれで終わります。
○湯山委員 いまの点、田中委員の御指摘のとおりなので、これは問題として残します。ただ、三木総理が公開するという方針でおられるということだけ了承します。
○三木内閣総理大臣 湯山さん、私少し補足しておきたいのは、今度私が置こうというのは、技術開発の進捗状態をチェックしようという、いままでの審議会と別個の専門委員会を置いて、この大要については公開することが適当であるという意見で、中公審のことを私は言っておるのではないので、それとは別個に置きたいというわけでございます。
○湯山委員 非常に不明朗です。クリーン三木総理ですから、もっとクリーンにお答え願いたいのですが……。
 その次に、技術面のチェックが足りない そういうことのある答申というのは私はやはり問題だ。というのは専門委員会は技術面を担当して設けられた委員会です。これはいいですね。しかも十六回にもわたって技術の問題を討議した。その結果を大気部会が受ける。そして答申になった。その答申で、技術面のチェックが足りないと言うことは、結局、この専門委員会というのは、余り役に立っていなかったということになりますね。長官は繰り返し、技術面ができない、技術面ができないとおっしゃった。これは何のために公害専門委員会を設けたか。設けて十六回やったけれども、結局できなかった、目的を達しなかった、期待するものは出なかった、こういうことですね。
○小沢国務大臣 私はちょっと所見を異にするわけでございます。この最後に書いてありますのは、専門委員会が窒素酸化物の排出低減のための技術について討議をされたこの内容について申し上げておる答申ではありませんで、ただ、メーカーの技術開発の状況を絶えずチェックするということについて不十分であったということの意味で、和達会長が、やはり受け入れ体制側のメーカーの技術の開発、進歩の状況というものを常にチェックをしなければいけない、それが不十分だったということを言っておりますので、和達会長は、答申をお出しになったときの記者会見でも、あるいはその後われわれに対しても、この専門委員会の技術評価というものは今日の段階においては妥当なものであるという信念をもってこの答申をおつくりになったわけでございます。
○湯山委員 技術評価の問題は、それは適当にできておると思います。ただ、技術チェックというのは、寒暖計で出た温度を見るようなものじゃないのです。このチェックというのは相当内容がなければできない。ですから、簡単に大臣はそのようにおっしゃるけれども、そうでないということだけ御指摘申し上げます。
 時間の関係で、これで答申の問題は一応預けて、次に今度は許容限度の数値、つまり〇・六グラムを〇・八四まで認めるというその数値。それから、継続生産車、現在つくられておる車種について、それは五十年規制の場合であれば十一月の終わりまで、今度は二月の終わりまでと三カ月延ばしている。これは答申のどこに基づいてやられたのか。これは答申じゃなくて長官の判断でなさったのか、この点だけひとつ伺いたいと思います。
○小沢国務大臣 許容限度の設定につきましては、この答申は平均の数値をお出しになりましたので、その平均値を確保することは、当然この答申を尊重する以上私どもの義務でございます。その点はもう今回も変わりはございません。
 問題は、一キロ走るときの量を平均〇・六と〇・八五ということに決定をしていただきましたので、それが守られるようにしなければならないと考えておりますが、一応大気汚染防止法による許容限度というのは、当然規制が強くなればなるほど生産のばらつき等がございますので、一定の幅を決めておかなければならない、これで決定したわけでございます。
    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
○湯山委員 ですから、許容限度というのは環境庁長官が決められたのでしょう。これは答申とは全然無関係ですね。その点いいですか。
○小沢国務大臣 無関係でございませんで、〇・六と〇・八五という平均値を確保――平均でございますから、下もあれば上もあるわけでございますので、大気汚染防止法では、その平均値が出てまいりますと一定の計算をいたしまして、それじゃ上限をどこにとるかということを決めるわけでございますので、この答申がもし〇・五であればまた変わってくるわけでございますから、その意味においては答申と無関係ではございません。
○湯山委員 その許容限度というものを長官が決めるときに、何か客観的な基準というのがありますか。
○小沢国務大臣 生産のばらつきを見なければいけませんので、現状における各生産のばらつきというもののデータは十分とりまして、しかし私どもは、五十年規制のときの検討の結果のツーシグマというものをとることにしまして、計算をいたしたわけでございます。
○湯山委員 そうすると、いいですか長官、平均が〇・六グラム、許容限度が〇・八四グラムということになれば、非常に単純に計算しますと、〇・八四グラムのものを含めて〇・六グラムにするためには、非常に単純な――これは、そういうことはないかもしれませんけれども、上に〇・二四グラムいっておるのですから、それを平均に持っていくのには、下へ〇・二四グラム、つまり技術的には〇・三六グラムが可能であるということだ。平均値だから両方のばらつきが同じになります。もしそうでなければ、〇・八四を一台認めるためには、〇・五グラムのは二台、つまり上よりも下の生産が非常に多くなければ、〇・六グラムは出てこない。いいですか。技術的にそういうことを検討なさいましたか。
○小沢国務大臣 先生がおっしゃる、大体そのとおりだと思うのです。富士山型にこうなりまして、真ん中の線で〇・六をとりますから、したがって、おっしゃるように、どうしてもそれより下の数値が出てまいりますし、上の数値も出てきて、それで平均〇・六を確保する、こういうことでございますので、ある車については、やはり〇・六以上のものばかりでは平均〇・六にならぬわけでございますから、それはそういう意味においては、おっしゃるとおりでございます。
○湯山委員 そうすると、総理、現状で〇・三四グラムぐらいまではできる、そういう能力があるということなんです。上へやるのはいかにも緩めておるようだけれども、その分だけ下へいかなければ平均にならないのですから、これはもう当然です。
 そうだとすれば、答申と無関係にこれを環境庁は決めた。ワンシグマ、ツーシグマ、スリーシグマ、それをとった。スリーシグマの上もスリーシグマの下もなければいかぬわけですよね。したがって、こんなに簡単に〇・四グラムぐらいな能力があるというのを認める、これは全く見当で、非常にこの根拠は薄いと思います。これは指摘にとどめます。
 それから次の、継続生産車の適用期間を三カ月延ばした理由はどういう理由ですか。
○小沢国務大臣 いま三カ月とおっしゃいましたのは、恐らく、五十年規制と比べて、五十年規制が十二月だから、今度三月からということになっておりますので、三カ月延ばしたのじゃないか、こうおっしゃるのだと思います。五十年規制を追っかけてまた五十一年規制をやるわけでございますので、そういう面から考えますと、いろいろ生産体制に応じて検査をやっていくわけでございますので、いろいろなそういう状況を勘案して、また自動車の安全性やその他、いろいろ運輸省と協議をしていかなければいけないわけでございます。総理からは、何とか十二月あるいはそれ以前に、ひとつできるだけ早目にこれは健康の問題に関連する問題だからやれという御指示もいただいて、種々運輸省当局とも相談をいたしたのでございますが、今日の現状においてなかなか十二月というものは無理だろう、こういうことで……(湯山委員「何が無理なのか」と呼ぶ)それは、検査体制の方についてはまた運輸大臣からもお答えすると思いますが、御承知のとおり、一つの型式を承認を得て生産をするまでの間には相当の年月がかかるわけでございます。それが日本においては、今後整理されるかどうかわかりませんが、型式が百五十幾つもあるというような状況で、これに応ずる生産体制をやり検査をやっていくためには、相当の期間がかかるわけでございまして、答申にも、その意味における一定の猶予期間というものが必要だろうということを書いてございますので、運輸当局といろいろ相談をいたしまして、総理の意向に、いろいろな技術的な問題もあって、どうしても沿うことができなかったわけでございますが、やむを得ず二月いっぱいまでの生産を認め、三月からはこの新しい五十一年規制の適合車をつくりなさい、こういうふうに決定したわけでございます。
○湯山委員 そうすると、主な理由は検査体制にあるのですか、運輸大臣。
○木村国務大臣 湯山さんも御承知のように、運輸省といたしましては、国民の日常活動、経済活動に対応するように、低公害でしかも安全な車を供給するという仕事であるわけでございます。そこで、いま環境庁長官が経過について説明申し上げたわけでございますが、私たちといたしましては、今度の五十一年度の規制基準に従って出る車が、どの程度そういう需要を満たし得るかということも考えなければなりません。そこで生産の実態もよく調べました。そうしますと、五十一年の十二月ですと大体四〇%くらいしか車が出そうにない。運輸省の交通安全公害研究所で審査、検査をいたしますと約二カ月はかかりますので、それを入れまして五十二年の三月にいたしましても、全体ならして言いますと、五〇%ぐらいの供給しかできないという実情でございますが、そこは生産する方にもう少し勉強してもらう。それから、一〇〇%はとうてい期待できませんが、それは使う方でがまんしていただくというふうなことも考えまして、五十一年度規制でございますので、五十一年度中にはやはり実施しなければいかぬということも勘案いたしまして、五十二年の三月という時期を決めたわけでございます。
○湯山委員 それは端的に言って、施設、設備、あるいは人の問題、いずれですか。両方ですか。
○木村国務大臣 運輸省の交通安全公害研究所の審査では大体二カ月かかりますが、普通の経過だと私たちは思っております。種類も型式も非常に多いわけでございますので。
○湯山委員 承っておりますと、検査能力が焦点のようです。これは施設、設備、人を補えばできることであって、本当に五十一年にやるつもりであれば、これに合うような体制はできてなければうそです。結局これは政府の怠慢ということになるんでしょう。あるいは大蔵省で予算を認めなかったというようなことも聞いておりますけれども、そういうことを含めて、これはだれがどうじゃなくて、政府のそれに対する体制ができていなかったということに尽きるんでしょう。総理、いかがですか。
○木村国務大臣 あの規制は、四十八年度以来五十年度等もございますので、それに従って予算要求、技術者の増員は努めてまいっておりますので……(湯山委員「満額認められましたか」と呼ぶ)それは満額はちょっと無理じゃなかったかと思いますが、極力努めてまいってきておりますので、今後とも努力をいたします。
○湯山委員 そういうことでして、問題は政府自身の責任です、この問題に関しては。ですから、いろいろおっしゃって、国民の生命、健康、それから環境の維持と言いながら、やはりこれは政府の怠慢は否めないものがある。このことは指摘しておきます。本当にやるんだったらもっとできるはずなんで、そのために五十年規制よりも二カ月延ばした、これはやはり重大な問題です。このことについては、今後十分と言われますけれども、私は警告を発しておきたいと思います。大蔵大臣、いかがでしょうか。次の予算はしっかりお組みになりますか。
    〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
○三木内閣総理大臣 排出ガスの規制というものは、健康にも関係がある重要なことですから、万遺憾なきを期するようにいたします。
○湯山委員 時間の関係もございますので、私、重要な点まだたくさんあるのですが、一つは、こういう中でこの答申自体に疑惑が持たれ、この告示に非常に批判が強い。その中には通産省の問題があります。通産省は、この専門委員会へ参考資料のようなものを、非常に早い時期に、この専門委員会が発足した直後ぐらい、八月にできて九月二日に出した資料、これは私は意図的なものとしか受け取れない。聞いてみますと、通産省の側は、そういうものを出してもらったらいいと言われたと言うし、環境庁は、通産省が持ってきて配らしてくれと言うので、よかろうと言ったということですが、事実はどちらなのか。環境庁長官、御存じですか。
○小沢国務大臣 私は九月のことについては詳しく存じておりませんが、中公審専門委員会におきまして、関係省庁の職員が、その所掌事務に関する事項につきまして資料を提出をしたというのは、これは拒む理由もございませんし、また、当然そういう必要もあろうかと思いまして、認めたわけでございます。
○湯山委員 その内容ですけれども、その内容は、〇・二五グラムの規制が行われれば、燃料だけで一千五百五十二億六千万円の増加になる、それから白金、パラジウム等の貴金属、そういうものが九十六億円ばかりかかる、もしそれが規制されたならば、こういうことが書いてあるのです。文章どおり読んでもいいのですが、とにかく車の重量が二ないし三%増加する、〇・二五グラムが実施された場合は。それから背圧あるいは効率低下で燃費が五ないし三〇%悪化する。騒音が増大する。動力性能が悪化する。安定性、耐久性が低下する。整備性が悪化する。希少資源の消費、これはいまのパラジウムやプラチナと思います。火災の危険性がある。コストが上昇する。こういうことが書いてあります。ありますね、長官。つまり、まだどうなるかわからないその段階で、平たく言えば、ガソリンを食うぞ、騒音が出てやかましい、それから運転しにくい、動力性能悪化、安定性、耐久性低下、傷みやすい、それから火災の危険性、危ない、値段は高い、こう宣伝しておるのです。間違いありませんね、環境庁長官。
○小沢国務大臣 いまおっしゃったのは、中央公害対策審議会の大気部会自動車公害専門委員会に資料として通産省が出した資料でございまして、お読み上げになりました内容は、その中に間違いなく記載してございます。
○湯山委員 こういうことがはっきりしておったのですか。技術を中心とした専門委員会の報告書では、こういうことはわからない。たとえば、危ないというのは何を指しておるかというと、触媒の関係で、生ガスが入ったときには、ミスファイアのときには火災が起こる危険性がある。そのための触媒も開発しなければならぬということが書いてあるので、こんなこと決まってないのです。技術的には何にも決まってない。それから整備状況がどれだけ悪化するかとか、希少資源を消費すると言ったって、まだ触媒はどんなのを使うか、還元触媒なんかは決まってないのでしょう。どうしてこんな計算ができますか。環境庁長官、決まってないものをもとにして何でこういう計算ができるのでしょう。不思議でしょう。ちょっと御答弁願います。
○小沢国務大臣 この資料の内容について御質問でございましたら、これは通産省に言ってもらわぬと私どもには……。
○湯山委員 そうですね。じゃ、通産省、御答弁願います。
○河本国務大臣 政府委員から詳細説明をさせます。
○湯山委員 ちょっと待ってください。その前に、政府委員の説明については、大臣、責任をお持ちになりますか。これは簡単じゃないのですから、慎重にお答えください。
○河本国務大臣 責任を持ちます。
○森口政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、中公審の自動車公害専門委員会に御指摘の数字を出したことは事実であります。ただ御指摘の数字は、五十一年規制車のことを問題にしているのではございませんので、すでに規制値が決まっております五十年規制車につきまして、いろいろこういう問題点がすでに生じる可能性があるということを指摘申し上げたわけであります。五十一年規制車のことを問題点といたしておるわけではございません。
○湯山委員 五十年規制でこういう問題があるのですか、本当に。
○森口政府委員 五十年規制車は当時まだ現実に出ておりませんので、五十年規制車が出てきた場合にはこういういろいろな問題点が生じる可能生があるということを指摘したものであります。
○湯山委員 推測でしょう、これ。
○森口政府委員 お説のとおりであります。
○湯山委員 これは正しいのですか、それにしても。ちょっと待ってくださいよ。運輸大臣も環境庁長官も、これ、五十年規制だったらもう決まっておる規制です。それでいて、これをやったら火災の危険があるということ、環境庁長官、そんなのは一体やっていいのですか。
○小沢国務大臣 通産省からいろいろな点についての推測される内容について、いま先生がおっしゃったようなのが自動車公害専門委員会には提出されました。しかし私どもは、専門委員会でそれらのこともいろいろ聞いて専門的に討議をされ、また環境庁としても、自動車公害課長という専門家を持っておりますので、それについていろいろ反論したりいたしまして、そうして専門委員会が先生お持ちの技術評価を最終的にはまとめられたわけでございますので、この点については、技術評価に従ってそれらのいろいろな不安を全部頭に入れた上で、〇・六と〇・八五は五十一年の規制値としてはやれるものという判断のもとにおやりになった、かように受け取っております。
○湯山委員 そういうことじゃないのです。五十年規制はもっと問題です。五十年規制が行われたならば、ミスファイアによって火災の危険がある。そんなのを一体許していいのですか。もう出ておるのでよ、これは。
○木村国務大臣 御心配のとおりでありますので、五十年度の規制につきましては、機械のほうには遮熱の装置をやらすことに、検査の過程でしております。それから、非常に高熱になった場合には警報が鳴る、そういう装置をして、それをやはり検査の対象にいたしております。
○湯山委員 いつそれをきめました、五十年規制の。
○木村国務大臣 四十九年にいまの五十年規制の保安基準を決めました際に決めたのでございます。
○湯山委員 でしたら、四十九年の九月にはそういう状態がなくなっておるのでしょう。その対策は講じられておったわけでしょう。
○木村国務大臣 政府委員の方から説明させていただきます。
○田付政府委員 ただいま大臣から御説明申しました遮熱装置と警報装置を備えつけさせますので、あとは使用者がそれを十分保守するということで、一応普通の使い方をしている限りにおきましては、保護はされておることになっております。
○湯山委員 いまのようなことが行われておるのに、危ないぞ、火事がいくぞというようなことを言っております。騒音だって、これはまだ技術があるのですから、どうなるかわからない。専門委員会でそういうことを指摘しています。はっきりしていないのです。還元触媒がどうなるか、これもまだ決まってない。それをこんなふうに、とにかく危ないぞ、高いぞ、運転しにくいぞ、これじゃ一体国の方針と逆行している。こういうものを出しておるのと、問題はこれです。
    〔湯山委員、図を示す〕
 もし五十年規制のままでいってどうなるかという資料の表です。NOx、酸化窒素の低減していく表。これで見ますと、東京でも全国でも、四十七年から四十九年ごろにかけて、いずれも非常に急カーブを描いています。これはどういうわけでしょう、通産大臣。
○森口政府委員 自動車の販売台数の減少によるものであります。
○湯山委員 販売台数の減少なら、この後はどうなるのですか。減少しないのですか、こんなに。四十七年から四十九年にかけて窒素酸化物が急激に減っておるですね。これはどういうわけです。
○森口政府委員 販売台数の減少のほか、五十年規制の強化によりまして、図でお示しのとおり……(湯山委員「五十年規制になる前ですよ」と呼ぶ)いや、五十年規制を予想して推計をいたしたわけであります。ただ、お尋ねの五十五年以降は若干生産台数が増加する……(湯山委員「ここ、このカーブです」と呼ぶ)販売台数の減少であります。お尋ねの五十五年以降につきましては、カーブでは図示してございませんが、販売台数の若干の持ち直しがありますので、上がるのではないかというような推測をいたしております。
○湯山委員 環境庁の事務当局では、酸化窒素だけじゃなくて、炭化水素とかあるいは一酸化炭素、いろいろそういうものの規制がここへあらわれてきたんじゃないかというのですが、これはどうですか。
○春日政府委員 先生のおっしゃることは、要するに五十一年度の規制が行われますと、自動車排ガスの窒素酸化物はどういうふうに減少するかということだろうと思うのです。(湯山委員「じゃあないのです。五十年規制でこれだけ減ってくるというのだから」と呼ぶ)五十年規制でそういうふうに減ることでございますが、そのグラフは、恐らく自動車交通量が、年率にいたしまして東京湾沿岸で二%の割合で増加するという推定のもとになさったものであろうと思います。これは四十八年度規制、五十年度規制でそういうふうに減ってまいります。大体推定いたしますると、五十六年当初は、五十一年度規制を行わなくても、五十年度規制で四十二、三年のレベルに落ちるものと推定されます。
○湯山委員 これは御注意申し上げておきますし、資料も出してほしいのですが、こういう作業は環境庁が当然やらなければならない。やっておりますか、長官。
○小沢国務大臣 詳しいことは事務当局から答弁させますが、やっております。
○湯山委員 やっておられるのは当然だと思います。なぜこれを出されなかったのか。いまからでもお配り願えますか、やっておるのであれば。
○小沢国務大臣 いま、そこで先生がお示しの資料は、先ほど言いましたように、通産省が公害毒門委員会に出した資料であります。私どものほうは、NOxにつきましては、当然、固定発生源等を含めまして、全体的に一応一つの過程を経た推定をいたしております。それが、先ほど局長が言いました昭和四十三年ごろの、五十年規制を徹底しますとなるであろう、さらに五十一年規制を強化してまいりますと、昭和五十五年あるいは五十六年には、おおよその――まあ、もちろんこの中公審の答申にありますトラックの規制等も含めて考えてみまして、おおよそ昭和四十一年ごろの状態に戻り得るんじゃないかという推定をした資料はございます。適当な機会にお出ししたいと思います。
○湯山委員 これは非常に意図的です。五十一年規制をやらなくてもこれだけ減りますというのはNOXの方ですね、酸化窒素。それは一酸化炭素とか炭化水素、これは減ります。もういままで減っています。それと同じカーブなんです。ですから、これはいま言ったようなことじゃなくて、そちらの方は減っておる。それに合わしてこれはやったまでのことで、ちっとも根拠がありません。そのことは、この専門委員会の報告書にも書いてある。酸化窒素についてもむしろ増加しておる。それがこんなにへっこんでおるのですから、ほかのとごっちゃにして推計でやったものにほかならない。これがたまたまトヨタのと一致している。おそらく環境庁のはこれと違うはずなんです。どうでしょう長官、違うでしょう。
○小沢国務大臣 その資料は、あくまでも通産省がお出しになった資料でございますので、それについていろいろ討議をして、その資料に影響されて〇・六が決定されたのではないということだけは、ひとつ御信用いただきたいと思います。
○湯山委員 資料をお見せ願いたいんですが、こういうふうに、あと要らぬところたくさんありますけれども、通産省から出た資料は、NOX規制をやれば、こんな危ない車になるんだぞ、高い、運転しにくい、そうなる。しかし、そんなにしなくても、五十年規制でも、こんなに東京湾、全国、それから東京都で減りますと、こういう宣伝です。PRです。一体ユーザーはどっちをとるかといったら、これでは低公害車へ向きません。これを利用している。だから私は、この問題は、まだ通産省については追及する材料はたくさんある。一体あの報告を見ているのかどうかということも言いたいんですが、時間がありませんので、この点はいつかの別な機会の問題にいたします。
 ただ、非常に重要なことは、今度は継続のために――委員長、ちょっと時間食いますけれども、いまのようなぐあいですから……この三カ月延ばしたことによって、しかもいまのような宣伝がなされることによって、現在継続使用中の車の駆け込み生産必至です。一台で仮に一万円ずつとしても、百万台いけば百億です。これをどうするかというのは非常に大きい問題です。そこで、そういうことがなされないように、答申にもありますように、低公害車をつくるメーカーも使用者も損をしないように、税制の考慮をぜひしなければならない。これを使う人については、国税、地方税、つまり物品税と取得税、この面でよほど優遇しなければならない。それはどうされるか。と同時に、駆け込み生産あるいはそうでないもの。努力を怠っているというその継続車については、ペナルティー、いまより税金を高くかけるということがぜひ必要だと思います。それで私どもは、低公害車については一〇%くらい低くする、逆にそれらについては一〇%になるぐらい高く税を引き上げるという措置をぜひおとり願いたいと思いますが、それについての御所見。
 それから同時に、第三番目は、これだけじゃできないと総理もおっしゃったように、〇・二五になるのは五十三年、それまでの間やはりたくさんの酸化窒素が出る。あとは、そういう面じゃなくて、規制じゃなくて、交通量全体を規制するということが必要である。そうすると、それについてはいろんな方法がとれると思います。公安委員会ですか、警察庁ですか、とにかく一割は減そうということを計画しておられるそうですが、その対策はどのようにされるのか。計画はどのようにお持ちなのか。
 それから、方々の国でこれについてはいろいろやられております。現在の、駐停車禁止とか、バスレーンを設けるとか、そういうこともありますが、そのほか、ロンドンならロンドンで何とかというのをやっておる、スウェーデンはどう、ワシントンはどう、カナダあたりは一人乗りの乗り入れば禁止すると、いろいろ努力しています。ただ、この酸化窒素公害というのは、乗り入れ関係になってくると、お盆の帰省の車がずっと行くと、この汚染地帯が広がるというようなこともあって、単に県だけが公安委員会で決めるわけにいかない。かなり広範囲にわたってやらなければならない。それらの対策は一体どのようにお考えになっておられるか。これも担当大臣からお伺いいたしたいと思います。
 それだけお聞きして、最後に総理に御要望して終わりたいと思います。
○福田(一)国務大臣 まず、大都市の交通の総量一割規制の問題について御質問がございましたが、警察庁におきましては、人口十万以上で大体百六十八ございますが、しかし、さしあたり十大都市について一割削減ということで、五十年内にこれを実現いたしたいということでいま準備を進めておるわけでありますが、いかなることをするかということでございますれば、御案内のように、バスレーンを強化するという方法。それから通勤通学用の自家用車については、バスあるいは電車等に転換させる工夫を努力する。それから業務用の車両につきましては、駐車禁止規制をする。それから生活ゾーンといいますのは、たとえば、横丁へ入ってはいけないとか、買物道路をつくるとかいうようなことでありますが、生活ゾーン規制の強化をやる。また東京で言いますと、横山町のようなところでは問屋が多うございますから、共同配送等をもっと強力にやらせる。それからタクシーにつきましては、乗り場を増設して流しを禁止する規制をするというようなことを具体的にやろうといたしております。
 それからもう一つ税金の問題でございますが、これにつきましては、昭和五十年度及び昭和五十一年度において、規制適用車に対しましては、国税の物品税とあわせて、地方税におきましても、自動車の取り締まり税について軽減措置をとるようにいたしております。
 それから、地域別の県別に公安委員会でやっておりまして、それが総合的にできないではないかというような御質問であると思うのでございますが、これは各県の公安委員会におきまして、隣には十分連絡をとりながら規制をやるようにいたしておるわけでございまして、御質問の趣旨のうちに、自治体にこれをまかしてはどうかというようなお気持ちがおありかと思うのでありますけれども、これにつきましては、やはり取り締まりという問題がございまして、自治体にまかせますと、取り締まりの面で十分でないような面もございますので、われわれといたしましては、一応各県の公安委員会にまかせておいて、それが連絡を取り合うことによって、御質問のような弊害が起きないように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○大平国務大臣 低公害車の税制上の優遇措置でございますが、いま自治大臣からお話がございましたように、国税におきましても、物品税という取得課税の面で低公害車に対する優遇措置を講じております。
 それから継続生産車に対するペナルティーの課税を考慮する考えがあるかどうかというお話でございました。五十一年度規制に適合しない使用過程車につきまして保有課税を強化すべし、そのことが政策実行の上から効果的であるという御意見、もっともだと存じます。その内容につきましては今後十分検討をしたいと思います。
○湯山委員 最後に申し上げて、総理の最後の御答弁をいただきたいと思います。
 私はまだ非常に大事な問題でお尋ねしてないのは、検査と取り締まりの問題です。検査は型式指定ということですから、これはたった二台しか検査しない、古いのと新しいのと。それにも問題があるし、だれが検査するかというのにも問題がありますが、とにかく新車指定なものですから、結局、一番公害を出して走っておる車についてはどうすることもできない。これは非常に大きな盲点です。そこで、当然やらなければならないことですから、固定しておる車じゃなくて、移動しておる車――現にほかのものではそうできておるんですから、一酸化炭素についてもできておるわけですから、酸化窒素についても、走っておる車についてどうそれを取り締まるかという、そういうことができるように速やかに研究していただきたいこと、これが一つ。それから、まだ問題が多くて困難も多いと思いますけれども、しかしきょうのいろいろお聞きした中で、この窒素ガス規制についての一応のお答えについて採点してみると、どうも合格点を差し上げるわけにはいかないように私は思われてなりません。しかし、まだこれも五十三年度規制がありますし、あと公取の独禁の問題、政治資金の問題、そのほかはこれからですから、いまのような、国民からこの問題について批判だけしか出ていない、そういうことでなくて、本当に国民に喜ばれるような対策を、ぜひひとつ総理が勇気を持って後退しないでやっていただくように強く要望いたしたいと思います。そこで、いまの、本当に走っておる車に対するそれ、やはりやるようにするということ、今後の御決意とを伺って終わりたいと思います。三木内閣総理大臣 いま湯山君の御指摘のように、中古車と言われておる車、これの排出ガスの規制ということは、確かにこれからの問題点だと思います。技術開発を伴う問題が多いですから、十分な検討をいたします。また、この排気ガスの問題は、やはり日本の場合は公害密度が高いと言わなければならない。これがよそのことならば、外国の例がありまして、技術の国際協力という面が非常に利用できるわけですが、どこもやっていないのですからね。これは日本が大気汚染の現状からして世界の先頭を切っている。先頭も先頭を行って大変な、一歩前進ということではないわけですから、そういう点のいろんな困難はありますけれども、国民の健康を守るということが、これはもう政治の原点でもあるわけですから、今後この問題については真剣に取り組んでまいります。湯山さんごらんになっても、私はこの問題というものをそんなにおろそかにしていないということは、御理解を願えると思うわけでございます。
○荒舩委員長 これにて湯山君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金子満広君。
○金子(満)委員 これから、沖繩基地の問題、政治資金の問題、そして最後にコンビナート災害の三つの問題について質問をいたします。最後のコンビナート災害は、関連質問で紺野委員にお願いをしたいと考えています。
 では最初に、沖繩の米軍基地の問題について、政府のやっていることをただしていきたいと思います。
 沖繩基地の中で、特に嘉手納空軍基地、そこにいる米軍の機能の問題について質問したいと思います。その中でSR71偵察機の問題。御承知のようにSR71は、かつてのU2スパイ機をはるかにしのぐ機能を持ったアメリカの最新型の偵察機です。それは、速度の点、高度の点、飛行距離の点、そういう点から見ても言えることであります。しかもこれが、外国の領土を侵犯し偵察するためにつくられた飛行機である、偵察機であるということも、もはや広く知られているところです。現にベトナム民主共和国に対しては、ことしになってからも、一月だけでも四回――五回ですか、領空侵犯をやっている。ベトナム民主共和国の政府も公式に抗議声明を出しています。
 そこで、外務大臣に最初に伺いますが、SR71は現在沖繩に一時立ち寄りをしているのか、それとも常駐配備されているのか、何機おるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 政府委員の方からお答え申し上げます。
○丸山(昂)政府委員 SR71の部隊は沖繩に常駐をしております。これは第九戦略偵察航空団の第
 一分遣隊ということでございまして、機数は約四機おるというふうに聞いております。
○金子(満)委員 政府は、このSR71の問題について、アメリカ側とその行動について協議をしたことがございますか、これまで。
○山崎(敏)政府委員 SR71の行動につきましては、各方面からいろいろ御照会もございましたので、アメリカ側に問い合わせばいたしましたが、米軍の個々の行動の詳細については明らかにし得ないというふうにアメリカ側は申しております。
○金子(満)委員 先ほどの答弁から伺えることでありますが、二月二十五日の参議院の外務委員会では、アメリカのSR71機がどの部隊に所属しているかということについては、政府側は答弁をしませんでした。一般的に、戦略空軍であります、SACであります、その支配下です、この域を出なかった。それからまた、四機という数の少ない飛行機ですから、約はつかないと思うのですけれども、そういうようにまだ不明確なところがたくさんある。しかも具体的な行動についてアメリカと話し合ったことがない、つまり協議をしたことはないということでありますが、これは私は非常に重大な問題だと思うのです。SR71についての疑惑は、少なくとも最近ではないのです。去年もおととしからも出ておる。そうして、このSR71がどういう任務を持ったものであり、そうしてまた日本にいるということがどういう役割りをしているものなのか、こういう点が各方面で議論をされました。私は、政府は知っていることを出さないと思うのです。恐らく外務大臣その他も知っていると思うのです。国民の前にも出さない。国会にも。私は悪いことばで言えば、しらばっくれた答弁を最近までやってきたと思うのです。協定があるでしょう、このSR71の行動についての。私は、その資料をここで皆さんに見ていただきたいと思って用意をしてまいりました。
 委員長、これをひとつ配付させていただきたいと思います。
○荒舩委員長 よろしゅうございます。
○金子(満)委員 この協定は、アメリカの第九戦略偵察航空団、つまり、SR71がここにいるわけであります。それと第三七六戦略航空団、これは御承知のKC135価給油機です。それから第一八戦術戦闘航空団、F4ファントムであります。この三つの航空団と、これは日本政府の出先機関である那覇の航空交通管制部の間で協定が結ばれておる。しかも、この協定は昨年の五月一日から発効しております。本文は英文だけであります。しかもその協定の文書は配付先がすべて指定をされています。いまお配りをした最後のページにその配付先があります。六カ所あります。この中で日本側に配付されているのは五十部である。那覇航空交通管制部に五十部が配付をされています。そのほかは秘扱いにされているということです。外務大臣はこの事実を御存じですか。
○宮澤国務大臣 私、この事実を存じませんし、実は私どもの所管に属することでは、あるいはないのかと思います。
○金子(満)委員 それでは運輸大臣、あなたの所管でありますから、どうですか。
○木村国務大臣 ちょっと済みませんが見せてください。――確かに運輸省の那覇管制部がこの点の管制を行っておるのでございますが、この官制上の取り決めは那覇の管制部が米軍部隊と行っております。なぜやっておるかと言いますと、この米軍の飛行機は速度が非常に早いということ、それから上昇率が大きいということを考慮してこれをやっておるのでございまして、むしろそのことはかえって日本のじゃまになるものですから、協定を行って日本が管制をいたしておる、それ以外のことは何もやっておりません。
○金子(満)委員 これまでの衆参のいろいろな委員会の議論の中で、SR71という問題が出たときに政府は、それが常駐しているかどうか、あるいはまたどのような機能を持っているものか、所属部隊がどうかということについては、これをつまびらかにしませんでした。しかしこの協定が発効してすでに一年近くなります。十カ月になるわけでありますから、外務省も、これを所管外だから知らなかったということでは済まされないと私は思うのです。それから運輸省が、この問題を単に技術的であるかのように言っていることも正しくないと思うのです。
 これは、おいおい内容を申し上げますけれども、非常に重大な内容を含んでいます。最後のページに調印者がありますが、ここでSR71の部隊の司令官の名前だけは入っていないのです。私は原本にはあると思うので。SR71という部隊がどういう部隊であるかを、われわれはわれわれの力の限りで調べました。それもプリントでお配りしたその資料の中に入っています。とにかくここでは、SR71機を初めKC135、さらにF4ファントム戦闘爆撃機、こういう飛行機などについての航空交通管制がどのようにやられるかという点で、細部にわたって日米の取り決めがされています。そしてその中で、SR71が日本、沖繩を基地にしてベトナムの領空を侵犯している。これは、もちろん国際法の違犯であります。
 そこで、これは外務省でも運輸省でもいいですが、SR71というのは、一体何の任務を持っているのか、この点をお伺いしたいと思います。
○丸山(昂)政府委員 名前のとおり戦略偵察でございます。
○金子(満)委員 この偵察は、日本の上空を偵察しているのですか。それともどの地域を偵察しているのですか。
○丸山(昂)政府委員 私どもよくわかりません。知り得る立場にございません。
○金子(満)委員 那覇の航空交通管制部がこれを全部掌握しているわけであります。つまりSR71が出発するとき、帰投するとき、あるいは緊急の事態が発生したとき、すべてこれは日本政府の管理下にある那覇の管制部がここに許可を与え、そしてまたその行動を確認しています。どこへ行ったかどうかは、ちゃんと言わなくてもいいように、この協定の中ではできております。したがって、どこへどう行ったかという行先までは別としても、いつどういう形で飛び立っていったか、時間も速度も全部わかっているはずであります。これまで、ベトナム民主共和国の上空を侵犯したことがあるかどうかについては、否定も肯定もできないというのが先般の参議院外務委員会での宮澤大臣の答弁でありました。
 しかし、これまでベトナム民主共和国の外務省、政府筋が指摘した点によれば、このいまお配りした協定が発効した五月十五日以後、去年は七月十日、十月十二日、十月十八日、十一月二十八日、そしてことしになっては、一月で先ほど申し上げたとおり四日、十一日、十八日、三十一日には二回領空侵犯の偵察を行っている。日付は明確にされています。ベトナム側の声明は公式のものであります。
 こういう点について、日本が基地になって他国の領空を侵犯するという偵察機、文字どおり目的は偵察ということでありますから、これはこの協定にも軍事行動になっているのですから、そういうものについて、外務省は、調査なり、あるいはアメリカから事情を聞くなりやったことがありますか、どうですか。
○宮澤国務大臣 私ども、その事実を確認いたし得ないと申し上げましたのは、ベトナムにおきましては、御承知のように、パリ平和協定によりまして戦闘行為がやんだわけでございますけれども、その平和協定が現在どのようにして維持されておるか、あるいは一部破られておりますと、どのようにして破られておるかというようなことにつきまして、御承知のように、そのために設けられました監視委員会がございます。ところが、この監視委員会が事実上機能いたしておりませんために、いわゆる第三者による判断、判定というものが明らかにされておりません。そういうような事情から、私どもにただいま仰せられましたような事実の有無がよけいにはっきりいたさないということになっております。
○金子(満)委員 パリ協定が侵犯されているかどうかということと直接関連なく、日本の領土から飛び立つアメリカの、文字どおり偵察を目的にした飛行機が、この協定によれば軍事行動でありますが、それがベトナムに行っているということをベトナム側は何回も公式に声明をしている。また国会でもこれが問題になった。こういう中で大事なことは、日本政府はアメリカとも外交関係があります、ベトナム民主共和国との間にも外交関係があります、しかし、そういう両方に外交関係を持ちながら、侵犯があったかどうかは、これも先般の参議院外務委員会で宮澤大臣おっしゃられたことでありますけれども、それはアメリカとベトナムの側の問題であると言われましたが、確かに侵した方はアメリカであり、侵された方はベトナム民主共和国だ、しかし、侵すための目的を持った飛行機が日本から飛び立っているということは紛れもない事実である。
 私は、幾日幾日とみんな日が決まっているんですから、どうですか、那覇の航空交通管制部の中には飛行記録または高度制限記録がとってあると思うのですが、去年の五月十五日この協定が発効した以後のものを全部取り寄せる。しかもその中で、日にちがはっきりしているのですから、その時間にどの方向にこのSR71が飛び立ったかということは、外国に聞くまでもなく日本政府の責任においてできることだと思いますが、これは所管が運輸省だそうでありますから、運輸大臣いかがですか。
○木村国務大臣 運輸省が管制をいたしておりますので、そのフライトプランを調べれば、あるいはわかるかと思いますけれども、これは外務省とも十分相談しなければいけませんし、その上でよく相談してみたいと思います。
○金子(満)委員 実際に、この協定に書かれているように、軍事行動を目的にしたSR71を、日本の政府の所管の那覇の管制部でやっている。そこには資料があることは、いまの運輸大臣の答弁の中でも、私は明らかだと思うのです。外務省と相談されるということでありますが、これは外務大臣に伺いますが、その資料は出していただけますね。委員長、よろしく出すように命じてもらいたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 わが国の基地から米軍の飛行機が外に偵察行動に出ること自身は、わが国の平和と安全及び極東の平和と安全に関係をいたすものと考えられますので、それは安保条約及び関連法規に少しも違反しているところがないと考えられます。
 次に、それが特定国の領空を侵犯したか否かということにつきましては、私ども判定し得ないということは先刻申し上げました。ことにベトナムの場合でございますと、それは領空侵犯というようなことより以前に、つい先年までお互いに大砲を撃ち合っておったわけでございますから、その結果、和平の条件を定めましたパリ協定がどのようにして守られておるか、侵犯されているかということの方が、私は、より直接的な、それに該当する決定のための法規であろうというふうに考えております。
 なお最後の点は、先ほど政府委員から申し上げましたように、米軍は個々の作戦行動を明らかにしないということを常に申しており、方針といたしており、それは私どもの理解し得るところでございます。したがいまして、よく運輸大臣と御協議をいたしたいと思います。
○金子(満)委員 少なくともSR71が沖繩から飛び立つ場合は、どの方向に行くにしても、日本の管理下にある管制部の許可を受ける。そして確認をされていく。そして、先はわからないけれども、何かをしておる。これだけは政府も知っておるはずであります。
    〔委員長退席、湊委員長代理着席〕
 ところが、日本と外交関係のあるベトナム民主共和国は、これが領空侵犯をしている、幾日でありますと、こういうことまで言っているのであります。いま宮澤さんは、安保条約の違反にならない。文字どおりそうであれば、大変なことだと思うのです。日本を基地にして外国をどんどん侵犯してもいいのだということは、安保条約のどこに書いてありますか。そんなものはないということはもう明白であります。
 それから、他国の領土を侵犯しているかどうか、知る立場にない。知る立場にないと言っても、日本は明確に第三者の立場に立っていません。その飛行機が飛び立って行くのが日本であり、しかも日本政府の管理下にある航空交通管制部の管理を得てから出ていくわけでありますから、私は、そういう中でこの問題について明確になっていることは――飛行記録があるのです。ないはずはありません。これは必ず出してもらいます。秘密ではないはずです。
 さらにつけ加えるならば、こういう状態は何を意味するか。私は、アメリカがベトナムの領空を侵犯している行為に対して、日本政府が加担をし共犯者になっていると言われても、返す言葉はないと思うのです。もしそれがそうでないと言うなら、これこれしかじかの証拠があるというものを明確にしない限り、これはできません。少なくとも私は、那覇の管制部にある、先ほど指定した日にちだけでも、SR71の飛行計画記録があるはずでありますから、これを提出していただきたいと思います。
○木村国務大臣 調べればあると思いますが、外務大臣とよく相談をいたしまして善処いたします。
○金子(満)委員 それでは、この点は委員長、理事会の方でぜひ協議してやってもらいたいと思います。
 それから、そういうような外国の領空侵犯を行っているSR71について、さらにこれはえらい特権が与えられている。これは、先ほどお配りをいたしました協定の中を見るとよくわかります。SR71が所属している部隊、これは二ページにあります第九戦略偵察航空団、ここにはちゃんと飛行機の名前が入っています。それから三ページの終わりから二行目Cの項に、第九戦略偵察航空団、ここに飛行計画というのがあります。「SR71機のすべての飛行作戦についての飛行計画は高度制限承認要求」、これは日本側にするわけでありますが、それによって申し込む。しかも、もちろんこれは拒否できない仕掛けになっています。出発の予定時刻の少なくとも六時間前には予約をしてくれ。この六時間というのは、まれに見る短い時間であります。普通航空管制部でやっている民間の場合などは、一日とか二日前とかいうことになります。六時間前だったら、その上空に関係のある航空機は大変迷惑をするわけであります。こういうように短時間でできるようになっておる。しかも一読してわかるように、出発に際してのところがありますが、いつでも短時間で予告をすれば飛び立てる。行く先は言わなくてもよろしいという仕組みになっています。
 その次に、帰ってくるとき、帰投の問題ですが、これは(3)にあります。待ったなしの傍若無人ぶりだ。百五十マイルの地点まで来たときに通告はする。承認は出さなければならぬ。それでも黙っている。今度は百マイルのところでもう一遍確かめる。黙っている。七十五マイルのところまで来ます。もう無理に突っ込んでよろしいです。この場合には、通信機は作動しておっても、通信機が故障したときと同じような状態で、有視界飛行で突っ込むことができるようにちゃんと規定づけられています。これは強引な着陸だ。拒否することもできない。待ってくれ、上空旋回をしてくれということも言えない仕掛けになっています。
 しかも、その次に八ページをごらんになっていただくと、もっと露骨なやり方がわかります。八ページの六、ストリップアラートタンカー方式というのがあります。緊急に空中で給油をしなければならない事態が発生したとき、どういうことをやるのかということが書いてあります。あれこれ書いてありますが、Bのところであります。「給油はその状況にあわせて最適な空域で行われる。」その予約した空域以外でもどこでもやれる。しかもC項には「迅速な扱いをする」、待ったなしの優先権というものがここに与えられているのであります。
 さらに九ページ、Eの項の(1)です。日本側の「那覇航空交通管制部は希望する給油地点への管制承認を提供しなければならない。」これも義務づけであります。「もしアメリカの司令官から要求された場合、効果的なランデブーを行うためのレーダーサービスを提供する。」これはあたりまえと言うかもしれません。しかしこれは重大な問題だ。次に(4)のところにありますが、「効果的にランデブーを行なわせるため那覇航空交通管制部は防空管制センター」、これは自衛隊のセンターでありますが、そこに援助を要求するとまで書いてあります。
 このように沖繩の空をSR71に自由に使わせる協定になっています。これは単なる空の交通整理という単純なものではありません。技術的なものだなどと言って逃げ切れるものではない。他国を侵犯しているこの不当な飛行機に対して、これだけのことを日本が背負わされている、共犯者にされている、これは重大な事態だと思います。
 そこで総理、伺いたいのですが、こういう事態をこのまま放置しておくのか、何とか変えなければならぬということで政府は動き出すのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
○三木内閣総理大臣 いまの金子議員と外務大臣などのやりとりを私、聞いておりまして、これは安保条約として条約上アメリカに認められておることを、日本側からこれをどうこうということはできませんが、日米間に友好関係があるわけですから、いろいろな話し合いをする場合はあるわけですけれども、こういう条約上の権限に触れて日本がどうこうするということは、私はできないと思います。
○金子(満)委員 先ほどから申し上げているように、これはわが国の安全とアジアの平和にとってもきわめて重大な事態だと私は思うのです。安保条約の話が先ほどから出ますけれども、安保条約は、他国を常に侵犯している行動をそのまま是認する。もし日本の安全にとってベトナムの上空を侵犯することが許されるのだというような解釈をするなら、これは重大問題であります。ですから、とにもかくにも、現実に起こっている事態は、わが国の安全、アジアの平和にとっても重大な問題である。これをこのまま放置することはできない。
 同時に、私は日本政府とアメリカとの関係で、沖繩の空や基地について、まだ公表していない、たとえば協定とか覚書というようなものがあるだろうと思うのです。たとえば那覇の空港について、自衛隊の飛行機の取り扱い、これについてアメリカと自衛隊と運輸省との間に何らかの取り決めがなければならないと私は思います。そうしてこれに類似するようないろいろの協定が公表されないままあるだろう、こういうふうに私は思うのですが、項目だけで結構です。どんな協定が、あるいは覚書があるかないか、その点を伺いたいと思うのです。これは外務省、防衛庁、運輸省、三つの責任者の方から伺いたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 いま仰せられましたような問題は、かなり技術的な問題でございまして、外務省としては詳細を承知しておりません。また、自衛隊それ自体については、あるとは聞いておりませんが、運輸省関係の航空管制の技術的なものについては、取り決めがあるかどうかについては運輸省の方からお答えいただくようにいたしたいと思います。
○木村国務大臣 米軍と那覇の運輸省の管制部との取り決めはございます。これは先ほど申し上げましたように、危険防止のために、一応運輸省の管制部で管制を引き受けておりますので、そのための取り決めでございます。
○丸山(昂)政府委員 運輸省と防衛庁との間の取り決めはございます。中央取り決めがございまして、それに従いまして、ローカルな取り決めをやっておるわけでございます。
 それから、米軍との関係については、恐らくないと思いますけれども、いまはっきりしておりませんが、私ども関知する限りにおいては、ございません。
○金子(満)委員 私は三人とも非常にあいまいだと思うのですね。外務省の方はよくわからないということであります。多分ないであろうというような意味に、私は聞き取れました。それから、運輸省の方は一つだけは言いました。防衛庁の方も一つだけ言うわけですが、私は何らかの協定や覚書がなければ、あれだけ空のラッシュがひどいところでありますから、これはえらいことになると思うのです。したがって、この取り決めが、その責任ある省庁で明確にされない、大体こういう中で問題が推移してきているわけですから、これはあったら皆さんどうします。私はこの中に公表できないというものがあるのかないのか、その点をひとつ伺っておきたいと思うのです。沖繩での問題で、米側といろいろな協定、覚書、そういうものがあるかないかまだ不明確であるけれども、公開できない、公表できない、いわば秘密のものがあるのかないのか、その点を、ひとつ関係の大臣から伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 まず、外交上の国と国との取り決め、協定ということになりますと、これはわが国の法制上の立場も、国内法にそういう意味では優先をするということになるわけでございますから、これはほかの行政取り決めとは異なります。そういう意味での取り決めは一切ございません。国会に申し上げていないといったようなものは一切ございません。それからあと、各省間等々になりますと、これは当然のことながら、わが国の憲法、法令の許す範囲において行われる筋合いのものでございます。
○金子(満)委員 いずれにしても、沖繩の米軍基地、その中の一つの飛行機であるSR71の行動というものは、非常に重大な内容を持っている。それは先ほど申し上げたとおり、日本の安全、アジアの平和にとってだけでなくて、沖繩、日本自身の空の安全という見地からも大変なことだと思うのです。アジアで米軍の軍事行動というものが拡大をする。そしてまた、御承知のように、この夏は沖繩で海洋博もあります。空のラッシュが起こることもまた簡単に想像のできることだと思うのです。とにかく、これはちょっと見たのではわからないか存じませんけれども、この赤いところが全部SR71に空を提供して給油をさせる地域であります。この緑色の線のところが全部日本の民間航空機の航路になっている。全部これは交錯しているのです。
 こういうような状態の中で、先ほど総理は余り明確に答えませんでしたけれども、私はこのような軍事優先は取りやめるようにしなければならぬと思うのです。現に、昭和三十四年六月の日米合同委員会で、「航空交通管制に関する合意第三附属書」というので、この空の交通管制についての取り決めがあります。この中では「在日合衆国軍の要求にもとづき、民間、軍を問わず、すべての航空機関に優先する空域制限一高度制限一を航空交通管制本部をして提供せしめること。」というのが協定として結ばれているわけです。これが屈辱的なものであり、きわめて危険なものであることはもう明らかであります。
 この点について、しばしば国会の議論でも政府は答弁をされておりますが、一番新しいので言いますと、昭和四十八年の四月十一日に参議院の予算委員会で、共産党の岩間正男委員の質問に答えて、当時の田中総理は次のように言っております。日米間の問題につきましては「作業部会を設置して改定作業も進めておるわけでございますので、空における事故の絶滅を期して、遺憾なきを期してまいりたいと、こう考えます。」さらに今度は、去年四月五日に、衆議院内閣委員会で、瀬長亀次郎委員の質問に対して、寺井運輸省航空局長は次のように答弁をしているのです。全部いま申し上げました第三付属書についてであります。「先生、御指摘のような最優先権というような点につきまして、米側との間でこれを改定する作業をやっております。」「したがいまして、先生御指摘の、最優先権を与えるというような趣旨のことは、改定される予定になっております。」つまり、田中前総理が国会で発言して約二年たちます。そうして運輸省の航空局長が国会で言明されてから一年になろうとしています。先ほどの三木総理の発言は、こういう点から見ると相当後退しているのです。三木総理については、後退という言葉がよくいろいろの面で言われるのでありますけれども、またまたここで明確さを欠いただけでなくて、アメリカのSR71の行動を是認する、安保という言葉で是認するようなことを言っておるわけでありますが、ここでこの改定交渉をやると言っているのですから、どのような状況でやられてきており、現在どの段階まで来ているのか。これは運輸省、外務省、関係あると思います。その点で明確にお答えを願いたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 航空交通管制に関する合同委員会の合意書に関しましては、お話がありましたように、現在改定交渉をやっております。実はもう最終段階にまで来ておりまして、ただ技術的な問題でございますので、航空分科会で主としてやっているわけでございますが、外務省も協議を受けておりまして、交渉が最終段階に来ておるということを申し上げられると思います。内容の細かい点についてさらに御質疑がございましたら、運輸省の方にお尋ね願いたいと思います。
○金子(満)委員 そこで、大変おかしな現象がここであらわれていると思うのです。いいですか。おととし田中前総理が改定の約束をして、作業が始まっている。現在最終段階に近づいているというわけですよ。ところが、去年の五月十五日から発効したこの協定は、その交渉のさなかにこんなひどいことをやるのです。だとすると、一体アメリカの優先権というものについて、いま山崎さんおっしゃいましたけれども、その最終段階というものが、この沖繩の三つの航空団と結んだ協定よりいいものになるということはとても想像できないのです。交渉しながら、悪いものが出てくる。一体この間の事情はどうなっているのですか。運輸省に説明を求めろということでありますが、ひとつ外務省と運輸省と、そのことについて、簡単で結構ですから答えていただきたいと思うのです。
○松本説明員 お答えいたします。
 沖繩における、先生ただいまいろいろ御提示のございました取り決めは、管制の技術上の問題についての取り決めだけでございまして、管制上、ある航空機をどのように扱うかということだけでございます。いま直前に先生から御質問のございました日米航空の合意の問題につきましては、外務省からもお返事がございましたように、これは、日本における米軍の航空交通に関して、どのように基本的な考え方をもって対処するかという方面に重点を置いた考え方でございますので、先生御指摘のような、その二つの間に直接的な関係があるというふうには私ども考えていないわけでございまして、基本的な考えは、あくまでこの交通管制に関する合意、そこに基本的考え方があらわれ単に技術上の取り扱いをどうするかということだけについて、現地におけるそういったような協定を結んである、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
○金子(満)委員 技術的と言えば事が済むようにお考えだとすると、これはとんでもないことになると思うのです。アメリカの軍用機に優先権を与えている。特権を与えている。これがいろいろ危険であり、そしてまた主権の問題にも関することであるから、交渉して改定するように努力するというのが、前の内閣の公約でしょう。いいですか。優先権を与えないようにする、そういう不平等な状態をなくしていくということは、言葉ではないのです。具体的にどこへ出てくるかといったら、いまあなたが技術的と言われる、そこへ出てくるのです。だってそうでしょう。どの飛行機を先に飛ばせますとか、アメリカのSR71が帰ってくるときのことを皆さん考えてごらんなさい。これは六時間前じゃないですよ。百五十マイルの地点まで来たときは、だれも知らないのですから。百五十マイルのところへ来たら行くぞと言えば、そのまま来て、百マイルのところへ来たら返答しなければならない。七十五マイルまで行ったら返答がなければ突っ込みますよ。これを技術的にというように受け流しているのです。これはとんでもないことだ。最優先権を与えていることの危険性はいっぱいある。その危険性をなくするために交渉しているのだったら、それは全部技術の問題に出てきます、空の管理、管制をどうするかということでありますから。いま空域がいっぱいだから、もう少し広い空域を旋回していてくださいなんということは一言も言えないのです。こういうようなことを、政府がもし技術的だということでごまかすとか、あるいは逃げ切ろうとするなら、とんでもないことになると私は思うのです。そういう点で、しつこいようですけれども、この問題については、もはやこれを放置しておくことはできないのだから、その付属書の改定はもちろんのこと、現在使われている去年の五月十五日から発効したこの協定についても、これをこのままにしておくことはできない。どのような方法で不平等、特権を与えていることをなくすか、こういう交渉をする気持ちがあるかどうか。これは三木総理に伺いたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 この問題は、わが国の安全を確保するという観点と、それから、それ以外の民間の航空とをどのように利害調整をするかという問題でございますから、このような管制上の取り決めができたものと考えております。私どもといたしましては、わが国の施設、区域がわが国の平和と安全のために有効に利用されるということは、やはり一つの非常に大事な国益であるというふうに考えておりますから、その他の国益との間で、しかるべき調整を行政の面でいたすことは、しかるべきことだと存じます。
○金子(満)委員 そうすると、宮澤さん、しかるべく行政上やっていきたい――もちろん、これは行政上結んだ協定だと思うのです。そうするとこれは、このままでの協定は、大変結構だと言うわけにはいかないから、これは行政上の折衝を通じて変えていくというように考えていいのですか、どうなんですか。折衝するというのですから……。
○宮澤国務大臣 一般的な日米間の航空の問題につきましての協議が最終段階に近づいておりますことは、先ほど政府委員から申し上げました。それによりまして大きな調整がなされるわけでありますが、ここに御提起になりました問題は、具体的に那覇の交通管制の問題でございますから、私の先ほど申し上げましたのは、そのような二つの大切な国益調整の面において、このような行政的な取り決めがなされたものと私は考えます。
 なお、これがさらにどのように変更できるかあるいは改良できるかということは、具体的には、外交の問題ではなくて、行政上の問題であると思います。
○金子(満)委員 そうすると、今度は運輸大臣にお伺いするわけですが、この協定は、日本とアメリカとの関係において大変いいものだと、恐らく運輸大臣は考えていないと思うのです。これが結構だと言ったら、とんでもないことになります。そしていま宮澤外務大臣は、具体的な問題はだれだれとは言いませんでしたけれども、所管は、航空交通管制部は運輸省の管轄下にある。日本全体が一つは東京、もう一つは沖繩那覇ということになっているわけです。特に沖繩の場合は、那覇の飛行場管制あるいは進入管制、さらに航空路管制、この中で進入管制だけはアメリカが持っておる。しかしあの航空路管制、これは日本側がその権限を持っておるわけですから、そういう中で、こういう危険な不平等なものがあるのですから、当然改定交渉をやるだろう、私はそうしなければいけないと思うのですが、その点どうですか。技術問題だそうですけれども、単なる技術問題としてではなくて、その所信を承っておきたいと思うのです。
○木村国務大臣 運輸省がやっております航空管制は、航空の安全ということに全部しぼって管制問題をやっておるわけでございますので、いまの優先権の問題も、そういう観点から改正ということで、いま航空分科会等やっております。したがって、その方向であくまでも航空の安全という見地で考えておるのでございまして、運輸省としてはそれ以外の、たとえば政治上であるとか軍事上であるというふうなことについては、全く考えておりません。純技術的に、航空安全という点からのみ考えておることを御了承いただきたいと思います。
○金子(満)委員 運輸大臣、そうしますと、純航空交通の安全という見地から考えているということですが、この協定というのは、安全という見地から見て安全ですか。どうですか。
○木村国務大臣 あくまでも安全にということで、航空管制をやっておりますので、その協定がある限りにおきましては、その協定の中で、安全な航空管制をやるということを貫くだけのことでございます。
○金子(満)委員 あなた、それはうまくないのですよ。思うじゃだめなんです。ここに書いてあるようなことがそのとおりやられることが安全かどうか。指定された区域以外のところでも、緊急事態、つまり帰ってくるときとか、緊急事態が生じたときは、どこにでもはみ出して給油をしなければならないし、待ったなしで迅速にやりなさい、そして那覇の管制部はそこに指示を出しなさい、許可しなさい、そういうことがみんな書いてあるのです。しかも、帰ってくるときは待ったなしと、何回も私言っているでしょう。それは、着陸するときは那覇空港じゃない、嘉手納ですよ。しかし、その空域は日本の管理下にあるのです。もう待ったなしで、そこへ突っ込んでくる。百五十マイル地点までは何もわからない。事は百五十マイルに接近した後起こるのです。こういうことが安全であると考えるんだったら、相当無神経だと私は思うのです。だから、私はそこを聞いておるのです。安全だと思うから、この枠内で安全にやるんですと言っても、枠内からはみ出していいことがみんな書いてあるでしょう。そのことを指して、このままでいいのかと聞いているのです。それを改定できるかどうか、そういう交渉を米側とするかどうかを聞いておるのです。もう一度そこを答えてください。
○木村国務大臣 原則的には、先ほど申し上げたとおりでございますが、きわめて技術的な問題でございますので、専門の政府委員が来ておりますから、御答弁いたします。
○松本説明員 お答えいたします。
 先生、先ほど来御指摘の、那覇におきます管制上の取り決めというものは、先生十分御承知と思いますが、SR71という飛行機、飛行機として見ました場合には、非常に速さも速うございますし、上がったりおりたりする速さも速うございます。したがいまして、通常の民間機と同じようにこれを動かそうということは、飛行機の性能として非常に困難でございます。したがいまして、これがほかの民間機が飛んでおります空域の中で、無用な航路をうろうろといたしましたり、あるいは非常に不確かな飛び方をされたりいたしますと、かえってわれわれとしては迷惑をこうむる、そういう考え方から、この飛行機はこういうふうに飛べと、むしろ私どもといたしましては、一つの枠の中に技術的に押し込んだのだというふうな考え方を基盤に、この取り決めに当たる際、いろいろと考えてまいった次第でございます。
 したがいまして、現実問題といたしましては、たとえば、先ほど来先生御指摘の燃料が足りなくなったときにどうするかというふうな問題につきましては、民間機の場合でありましても、燃料のない航空機というものは、パイロットがこれを宣言すれば、優先的におろすというのが世界的な通念になっております。特に、こういうふうな非常にスピードの速い飛行機が、おかしな形で飛んで回るということは問題がございますので、そういう場合に、これは空中給油ができるなら空中給油をしたらいいではないかという程度の趣旨であると、御理解いただけるとよろしいかと思います。
○金子(満)委員 だんだん事態を小さく小さくして最後は技術問題にしようとするわけですよ。軍用機とか民間機とか、そういう差別はありません。あなた、うそを言ってはだめです。ここに書いてあるでしょう。「SR71機のすべての飛行作戦について」、軍用機として認めておるのですよ。軍用機として認めておることが条文に出ていながら、民間機と同じような解釈をすること自体間違いだ。それから、民間機で空中給油をする飛行機がありますか。どこにあります。これは完全にアメリカの軍用機で、特殊なものだけが空中で給油することになっておるのです。そういう便宜をいろいろの形で与えておる。
 しかも、あなたの説明を聞きますと、広い沖繩の空の中にある一角にSR71を閉じ込めて、押し込めて、ここでやれということをやったのだから安全だ、ということをおっしゃるわけです。ところが、それがはめが外れるように皆なっておるでしょう。だから、空中給油する場合でも、最適なところでどこでもやりなさい――緊急事態ということをだれが判断します。これは皆さん日本側が少しも判断するようなことないじゃないですか。そういう超音速、マッハ三でありますから、相当のスピードであります。これを取り扱うのに、傍若無人のやり方を許すようなことがあってはだめだ。もしそれでは沖繩の空の安全ができないということであれば、別な方法を技術的に考えなければならぬ。それこそこういう危ないものは、民間機であろうが軍用機であろうが、沖繩に来てもらっては困る、いわんや常駐などしておってはもってのほかだということになるでしょう。技術問題から言ったって、なるのです。
 ですから、私はこの協定そのものが悪いと言うのです。悪い証拠には、皆さん配付先まできめておいて、これ以外に出ないようになっておるでしょう。それほどいいものだったら、どうですか、運輸省でも外務省でも、これを官報に告示したら。あなたできないでしょう。しかし、管制官は全部知っておるのです。管制官はこれを知らなければできないわけでしょう。私は、そういう意味で、この事態は放置できない。先ほどから申し上げておるように、黙っていたって、夏になったら海洋博で空の便がますます増強されるくらいのことはだれだってわかるのです。そういうときに、こういうものがあっていいか悪いか、このことを聞いておるのですよ。だから端的に、これで結構です、十分ですというのだったら、そういうふうに答えてください。いやいろいろ不備があるから、これは何とかしなければならぬと考えているというのだったら、それでいいですから、その点を聞いておるのです。
○松本説明員 ただいま、まさに先生おっしゃいましたように、空中給油というふうな特殊な問題があるということを踏まえた上で、私どもとしては、沖繩近辺におきます航空交通の安全を確保するという基本的な考えに立って、この取り決めを考えてまいった、こういうふうに考えております。したがいまして、この取り決めに従ってこの航空機が飛ぶ場合に、航空機としてこれを見ました場合に、最低の安全は確保されているというふうに、現時点においては考えております。
○金子(満)委員 そうすると、しつこいようですけれども、この八ページのストリップアラートタンカー方式、つまり空中給油をするときのことがみんなきめてあります。きめてありますけれども、これは空域限定がないのですよ。空域限定がなくて、緊急事態のときに何をやるか。これは自衛隊にまで、協力、援助を要求するということまでされておるのです。自衛隊はどこの命令で動くのですか。自衛隊は、管制部が要求すると動くようになるのですか。どうなんです。そういうような間違いが、この中にはいっぱいあるのです。これは技術問題でも何でもないのです。あなた方は、これがまだ世間に知られていないから、これまで黙っておったのです。
 SR71の部隊が、これは外務省関係ですけれども、どの部隊に所属しておるか、戦略空軍です、戦略空軍のどこです、SACです、同じことを言っておるのじゃないですか。きょうは初めて第九戦略偵察航空団第一分遣隊と言いました。この資料の後ろの方にOLKAとありますが、これはちゃんと嘉手納にいるという証拠です。言われるまでは黙っておるのです。ですから、これを守っていれば安全じゃないのです。これを守っていれば、緊急事態が発生したときには非常に危険になると、私は言っておるのです。そして沖繩の上空でニアミスがあるということは、いまだってしばしば報道されておるでしょう。ですから、そういう点で、このままで安全が守れるかどうか、私は守れないと言っておるのですから、改定する、あるいはこれを変更する、そういう交渉をする、そういう姿勢があるかどうか。外務省の方は、これは運輸省の管轄ですから、技術的ですから、と言っているんだから、あなた方もそれに答えてもらわなければならないし、答える責任があると思うのです。どうですか。
○松本説明員 現在のところ、私どもは技術上これは安全に扱えるというふうに考えておることは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。安全の確保の上について、もし技術上の問題があるということであれば、それは別途当然考えるべきことであろうかと思います。現時点においては、このやり方によって安全が確保できる、このように私どもは考えております。
○金子(満)委員 もうこれ以上聞いてもあれですが、私は非常に重大なことだと思うのですね。日本の安全という見地から見ても、そうして純技術的な安全という見地から見ても、これは不安全の協定である。ましてや、これを政治的に見たら、屈辱的な協定です。そうして、いままで前総理も、そうしてまた担当官も、不平等は変えなければならぬ、アメリカの飛行機に対する最優先、こういうものは変えていかなければならぬ、こういうことをしばしば言ってきているんですから。そういうことが、さてこの三木内閣になったらぱたっとやんでしまって、もうこれでいいんだという印象しか残らないんですよ。本当に安全ということを言うんだったら、いままでの内閣だってみんな言ってきているんです。そうでしょう。そういう点では、もっと大胆にアメリカに対して交渉をする。そういう思ったことが言えないような姿勢では、とても皆さん、技術上の安全どころじゃないですよ。国そのものの安全だって守れなくなると言われても仕方がないですよ。だから、そういう点でこの問題は大変重要な問題である。しかもこれは他国を侵犯している専門の飛行機なんですから。言われるとおり、偵察専門の飛行機だ。これはアメリカがこう言ったとかああいったとか、アメリカを信頼するというような主観的な願望による答弁ではなくて、現実に即して、私は、このSR71は当然日本から撤去すべきだ、また、日本から撤去させるように、政府は交渉すべきだ、そうして、少なくともこの危険な日米協定というものについては、これを改める方向を打ち出すべきだ、このように思いますが、この問題について、三木総理の答弁を最後にお願いしたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この飛行機によりまして国際法の不法行為が行われているということを、私どもは存じておりませんし、またこのような活動が、わが国の平和と安全、極東の平和と安全に関係があるというふうに考えておりますので、貸与されました施設、区域は安保条約及び関連法規のもとに、合法に、目的に従って利用されているというふうに考えております。
○三木内閣総理大臣 外務大臣の答弁のとおりでございます。
○金子(満)委員 なかなかこの問題はむずかしい問題だと私は思います。むずかしいからこそ、政府もこれは公表していなかったのです。しかし、一たび世に出た以上、これは大変なことになります。いま三木さんは、宮澤さんの考えと同じですという言葉を言われました。三木さん、田中総理の考えよりもずっと後退しているんですよ。いいですか。こういう点でいったら、もう改定交渉するという作業がどこまでいっているか知りませんけれども、私は、この問題は今後とも引き続いて究明しなければならない問題だ、一たん事が起きて後ではどうしてみようもないと思うのです。さらに、これに類似した協定なりあるいは覚書というものが必ずあるはずであります。関係省庁は非常に不明確な点がまだたくさん残っています。これも今後ただしていきたいと思います。
 それから、委員長、一つだけ念を押しておきたいのです。
 那覇の管制部にある飛行記録――あるいは高度制限記録と言っているかもしれないです。その点はわかりませんけれども、とにかく飛行記録の次の日付のものだけは、資料として、これは運輸と外務で相談するということですが、純技術的なものだそうですから、相談するまでもなく、これは運輸省、出せるはずです。繰り返しますが、この点だけはひとつ約束をしておいていただきたいと思います。ことしの一月の四日、十一、十八、三十一日、それから去年の四回ですか、七月と十月と十一月の日付、これは先ほど申し上げてありますから、この日付のものは、SR71について、出していただきたいと思います。私が見てもわかりますから。よろしく計らっておいてもらいたいと思います。
○湊委員長代理 ただいまの金子委員の申し出の件につきましては、理事会で相談いたします。
○金子(満)委員 それでは次に、政治資金の関係についてお尋ねをしたいと思います。
 一月三十一日に、共産党の不破委員の方から質問をし、三木総理から回答が寄せられることになっておりました。井出長官の名前で、二月二十一日にこれが渡されました。沖繩返還協定を国会で通すため、国民協会が、国会対策費として自動車工業会より一億円集めた云々ということについての返答です。これは、いわゆる国会対策費に使ったものではなく、沖繩返還のPRに使いました、こういうものでありますが、三木さんがお約束されたのは、これだけじゃないのです。これは記録によりましても、不破委員が次のように言っています。昭和四十六年十一月、国民協会から自動車工業会あてにマル秘文書で、「先般自民党より申入れのありました沖繩返還協定批准国会関係資金醵出要請の件につきましては、」パレスホテルで御相談した結果、「同協定批准ならびに関係法案の成否が今後のわが国の進路に及ぼす影響の重大性に鑑み、党の要望にこたえて所要の資金を醵出」したいということで、自動車工業会には一億円の割り当てだ。これはほかにも全部出ております。少なくとも十億円ぐらいになるだろう、こういう金を、国会で沖繩協定を通すために、自民党が国民協会に要請するのは、これはどういうことになりますか、この点をということで、調べてほしい、しかもその集めたお金が国会対策費として全体でどのくらい集まり、どんな方向に使いましたかという質問だったわけです。三木さんは、調べて報告しますということを包括的に言われた。その中の一部が出たわけです。これは自動車工業会だけです。
 私どもの調査によりますと、これは四十六年の十月のことでありますけれども、自民党は経団連の世話人会に要請をして、これを自動車工業会にも出し、ほかにも出しています。多分十七億円出したと思うのです。集まったのが十億円だと思うのです。これは四十六年十月二十一日の自工会の理事会の報告で、そういうような報告もされています。十億円は出す、あとはたな上げや、こういうことが言われているわけですから、その全体の報告をされるように三木さんも約束されているので、これは追加提出を願いたいと思うのです。
○三木内閣総理大臣 不破議員の御質問は、国会対策費ということで、国会の対策というような名前で金を集めて、そして国民協会から自民党に寄付されている事実があるというようなお話でしたが、調べてみましたら、国会対策費というので、自民党が国民協会を通じて企業から金をもらったことはありません。これは沖繩の返還のいろいろなPR活動、そういうものに相当な資金は要したわけですが、国会対策のために莫大な費用を集めたという事実はないという報告を受けましたので、それを御報告いたしたわけでございます。
○金子(満)委員 そうすると、これは、経団連の方から出したお願い状が間違ったということになるのですか。いずれにしても、それで国会対策費として十億円ということも、不破委員は指摘をしておったわけですから、全体がどのくらい集まったか、これは自動車工業会に関してのみ三木さんのお答えがあるので、それは後刻出していただきたい、こういうことを、委員長、お願いをしておきたいと思います。
 このことも含め、さらに政治資金の問題ですが、去年の参議院選挙、金権選挙と言われました。それに引き続く田中金脈問題こういう経過を通ってきて、政治資金の問題は国民的な重大関心事になった、これは当面の緊急な問題だと思うのです。
 そこで、これは二月の十八日に衆議院の農林水産委員会で、私どもの諫山議員が、政治資金問題について質問いたしました。その中で、農協関係の団体が、国会議員の選挙で特定の候補者に対して選挙寄付を行っている、これは公職選挙法に関する違反である、こういう問題で質問したわけです。つまり、農業協同組合法に基づいて設立された農協が、国からたくさんの補助金、利子補給をもらっている。しかもこれは選挙に資金を出してはいけない、寄付をしてはいけないという公選法百九十九条第二項の違反である、こういうことを言ったわけでありますが、この中で、この質問を受けて、自治省の秋山選挙課長は、指摘の事実があれば公選法の規定に触れる、こういうことを言われたし、さらに農林省の岡安局長は、直接国から給付を受けている全農、全中などが寄付していれば問題がある、こういうことをはっきりおっしゃった。しかしこれらの団体が寄付することは考えられないことであり、正確な記載かどうかを調査しなければ、違反かどうか断定できない。しかし事実は自治省に届け出ている公式の文書にあるわけだし、そしてまた、都道府県選挙管理委員会に、それぞれの当時の候補者が当落にかかわらず届け出てあるものでありますから、調査をすればこれはすぐわかるわけです。もうあれから約二週間たっているわけですから、調査がなされた結果がどうか、その点を伺いたいと思います。
○岡安政府委員 諫山委員から御要求がありましたのは、二月十八日の衆議院の農林水産委員会であったと思いますが、要求は三点ございまして、北海道関係の政治資金の問題、それから農村保健問題研究会に関する事項、それから農業政策研究会、この三点での調査というふうに私ども承知をいたしております。
 この御指摘の対象団体につきましては、農林省の調査権限の及ばないものも入っておりますので、十分な調査ができるかどうかわからないということも、その時点で申し上げたわけでございますけれども、現在せっかく調査を行っておる段階でございます。
○金子(満)委員 いまの段階でわかった範囲では、違反ということに当てはまるケースはありましたか。
○岡安政府委員 現状では、まだそういう断定をする段階に至っておりません。
○金子(満)委員 さらに、この日の同じ委員会で、諫山委員が、農業政策研究会という問題に触れました。これはなかなかえたいの知れない団体であります。この農業政策研究会、農政研から――これは自治省に届け出てある政治団体です。ですから住所もみんなあるわけですね。ここから百八十名の候補者に、昭和四十七年の総選挙の際に、合計九千四百七十万円の選挙資金が寄付されている、こういう指摘をいたしました。このことについて、岡安局長は次のように答えているわけです。東京大手町の農協ビル内に事務所を置いていることになっており、専任の――これはわれわれが指摘したわけです。机も電話もないということを言ったのに、農協の親睦団体ぐらいしかわからない、しかし、調査はむずかしいけれども努力して一みる。これはそんなにむずかしくないのです。とにかく百八十人もに資金を出しているわけです。事務所もあるのだし、人の名前もあるのですから、それは聞けばすぐわかるのですが、この団体がどうか、これが一つですね。
 その農政研に、今度はもう一つトンネル団体がある。これは私も聞いたことがなかったのですが、全国農業協同組合協議会というのがあるのです。この協議会というのは、これも全くえたいが知れない。そこから全部農政研にお金が行って、農政研はお金を払っておる、こういう関係になります。農政研の方は、私どもの調べた範囲では、昭和三十五年にできたらしいということはわかります。昭和三十五年から昭和四十八年までの間に、仕事を一回だけやっているのです。これが四十七年の下半期だけなんです。ほかは収支ゼロ、収支ゼロ、何もないのです。このときだけが収入が九千五百六十万円、支出が九千四百七十万円、わずかに、事務費か何か知りませんけれども、それだけしか仕事がない。これは大変なことになると私は思う。この団体を、親睦団体であるかどうか、そんなぐらいのことしかわからないけれども、調査するというのですから、親睦団体ぐらいのところまでわかっているということだと思うのですね。これは三木総理、あなたの清潔度を試すのに、ぜひやらなければいけないことになります。
    〔金子(満)委員、書類を示す〕
これは、このえたいの知れない農政研究会から、自民党だけをここへ書きました、とにかくずらっと有名な人がいるわけです。閣僚の中でも、三木さん、福田さん、稻葉さん、大平さん、安倍さん、長谷川さん、仮谷さん、小沢、佐々木、井出、松澤さん、みんな入っているのです。これは全部そこから金が出たことになっている。これは届け出た方がここへやったということですから、もらったかどうかは別ですよ。そうして、もらった側は今度は選管に届け出をするわけです。そこで届け出のある人が、稻葉さん、大平さん、安倍さん、小沢さん、佐々木さん、松澤さん、これはあり、ほかは申告なし、これは正直度かどうか、私はわかりません。とにかく出した方はここに届け出がしてある。受けた方は、ある、なしという形にはなっています。
 私は、このことが本当かどうかということを聞いているのじゃない、こういうことが大きくなってきているのですから、これは内容を明らかにしていかなければとんでもないことになるだろう、そのことを考えるのです。これはもう農業団体の中ではうわさにうわさを生むのです。大変なことです、もしこういうことが本当であれば。いいですか、届けの団体が農政研、任意団体が協議会、ここにどこからかお金が入ってくるのです。届け出するためには、出した方と入った方を届け出しなければならない。ところが、入った方は農業協同組合協議会、協議会は任意団体ですから、届け出の義務も何もないことになっている。こういうように考えてくると、私は、二段式擬装による悪質な公職選挙法違反の疑いがある、疑惑を持たざるを得ない。これはうんと単純なことです。少しもむずかしくない。場所も人もいるのですから、どこから出ましたと聞けば、それで片がつくのです。そして、昭和四十五年から最近まで一回しか仕事をやっていないのですから、もしその金が全農とか中央会から出ていたということであれば、事態はきわめて重大だ。これは明らかに公職選挙法百九十九条二項の違反に問われ、さらにこれが悪質な擬装だということになります。こういうことは、もう違法性の疑惑というのは非常に大きいのですから、自治省は直接選挙の業務を担当するところであり、農林省は自分の管轄下の中で起きた一つのことではあるわけですから、努力してみるじゃなくて、これこそ解明しなければならぬと思うのです。そして閣僚の名前がこんなに出ているのですから、これは三木さん、本当に清潔ということを言うのでしたら、これは総理、先頭に立ってこういうものは明らかにする、こういう点をやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
○三木内閣総理大臣 私も調べてみると、農業政策研究会から、政策懇談会という私の後援団体に、五十万円入っていたようですが、届け出はしてあるのです。あなた、届け出はないと言ったが、届け出はちゃんとしてある。
 それから、こういうことについては、農林省の方でも、いま岡安政府委員からよく調べてみるということですから、こういうことは疑惑なからしめることが必要であることは、金子議員の言うとおりでございます。
○金子(満)委員 それはぜひ調査をして、報告をしていただきたいと思います。
 そこで、もう一つ、関連して次の質問をしておきたいと思うのです。政府から補助金なりあるいは利子補給なりを受けている団体、企業は、公選法で、選挙に対する資金の寄付は禁止されておる、これはもう御承知のとおりです。ところが、補助金とか利子補給を受けている企業、団体という数は膨大なものです。これは昭和四十七年度、いまの問題の時期ですね。このあれを調べてみても、一般会計で二兆五千億になっているのですよ。それから、特別会計で七千億。もちろんこの中には地方自治体もあることですから、全部が営利企業だという意味ではございません。しかし、相当のものが企業に渡されていることも、これは事実です。これは法によってやられているのですから、このことを私は直接問題にしているのじゃなくて、問題は、それを受けた側の対応の仕方なのです。
 一、二の例を申しますと、まず自動車工業関係でいきますと、トヨタ自動車工業は、四十七年には、重要技術研究開発費補助金というのを通産省から受けています。この金額は、通産省から聞いてもお教えいただけなかったのです。ただ、そういう名目の補助金が出ているということだけは明らかになりました。ところが、四十七年にこのトヨタ自動車は、年間二億三千九百万円を、国民協会を通じて自由民主党に出しております。もちろん、これは選挙資金ばかりだと、私は言っているのじゃないですよ。ところが、このうち十二月には、明らかに選挙資金ですよ、これは選挙の前の月ですから、選挙資金としか考えられない臨時会費というのが、一億四千万円余り支出されています。ですが、これは臨時会費という名前であっても選挙の寄付であるということは、識者の全部認めるところだと思うのです。こういう問題はほかにもあります。たとえば新日本製鉄、これも重要技術研究開発費として、補助金を同じ年に受けている。神戸製鋼も同じです。こういう時期に、みんなこれらの企業が臨時会費を出しています。これはどう考えても、公職選挙法違反を、何とか擬装することによってすり抜けようとする試みだろうと思われても仕方がないと私は思うのですね。こういう点について、三木総理、政治資金の問題については長年の御主張もあるわけですから、どう思われるか、その点をひとつ承っておきたいと思うのです。
○三木内閣総理大臣 政党に企業から今日の段階において寄付することは、私は悪いとは思わないのです。やはり企業も民主政治の健全な発展のために寄与するということはあっていいことですが、しかしそのことで、非常に疑惑を与えるようなことがあってはいかぬことは言うまでもないことです。国民協会に、自民党の政治活動を助けるためにそういう寄付があったということで、私はその数字等は詳細には知りませんけれども、政党は相当政治活動の費用がかかることは事実であります。一方において、金のかからないような政治というものに持っていくためのいろんな改革というものも必要でしょうけれども、現状はかかるわけです。これを国民協会を通じて、自民党がそういう献金を受けるということ、それ自体が直ちに悪だということではないわけですが、その間に節度といいますか、あるいはまた、疑惑を持たれないような資金であることが必要であるということは、厳に戒めなければならぬことだと考えます
○金子(満)委員 私はいま企業献金一般を言っているのじゃない、それを質問しているのじゃないのです。つまり政府(記号なし)国から補助金その他援助を受けている企業、団体の、選挙に対する費用の寄付とかあるいは政治献金を問題にしている。そしてそういう中で、明らかに選挙として出せばこれは違反ですよ。しかし、菓子折りの上に何と書いてあろうと、中は同じなんです。菓子折りに選挙と書けば違反で、その上に一般党活動何とかと書けば違反でないというようなことは、これはもう通らない。明らかに選挙がある、そのときにばさっと献金が出てくるわけですから、そういう点についてどう思うのかということを聞いているのです。
○三木内閣総理大臣 これは金子さんの御指摘のように、補助金、資金こういうものを受けておるものが政治献金をすることは、これはやはり私は適当だとは思わない。政治資金規正法において、この点は厳重にいたしたいと考えております。
○金子(満)委員 それは適当じゃなくて、これは違反なんです。明確に違反で、これは待ったなしなんです。ですから、そっちの方は待ったなしの罰則まであるのです。ところが、菓子折りの上の字を変えただけで、違反でなくなるような仕掛けがあるのです。だから臨時会費になろうが何になろうが、そしてさっきの農業政策研究会は、幾年たっても、国会の選挙のときだけ、それも衆議院のときだけ仕事をして、収支決算で出入りが全部ゼロになる仕掛けになっているのです。こういうようなことがある。それをさらに、今度は一般企業の場合でも、補助金を受けていながら選挙で出せば違反に問われるから、選挙という名目にしないで、臨時会費であるとか、あるいは何とか後援会、これはずいぶんありますよ。私は時間がありませんから、みんな出しませんけれども、莫大にある。こういうことは明らかに違法性なんです。擬装なんです。欺瞞なんです。脱法行為なんですよ。そういうものを禁止していかなければならぬということを、私は三木総理に問うているのです。どうですか、その点なんです。一般的なことを言っているのじゃないのです。
○三木内閣総理大臣 それは厳重に規制をしなければならぬし、そういうことをなからしめることが必要であるということは、私もさように考えます。
○金子(満)委員 それでは、この政治資金規制については質問したいことがうんとありますけれども、だんだん、三木総理、献金は個人に限るというのが、一歩引き二歩引き、いろいろの御事情はあったと思いますよ、五年後にはということを今度は出されて、またいろいろ解釈が生まれてくる。そしてきょうは、企業献金即悪ではございませんということまでくるわけですから。これはまた別の機会にやりますけれども、私どもは政治献金というものは、企業、団体からは禁止すべきである、そして個人に限るべきである、やる気になればできることだ、こういうことを申し上げて、この項の質問は終わりたいと思います。
 最後に、大企業中心の高度経済成長、これが進む中で、公害というものが一層ひどくなってきた。公害の発生源の大きな部分が大企業であることも、また常識的になってきたと思うのです。ところが、最近はこの公害だけではなくて、大型の災害が頻発している。これは私は大変重大な事態になってきていると思う。こういう中で、これまで進めてきた高度成長政策というものが、どんなにごり押しで、ひどい災害の源になっていたか、これは多く申し上げる必要はないわけですが、ここで同じような災害が次々に起こるわけです。同じ時期につくったからと言えば、そうなるかもしれませんけれども、その大型災害、これを防止するための基本的な政府の考え方。それから災害が起きた場合には、当然犠牲者が出るわけです。もちろん加害者負担であるというのは大前提であり、原則だと思うのです。こういう点で、これをどう進めていくか、これは、環境庁長官を経験されたこともある三木さんですから、その基本姿勢だけまず私は承って、後は関連質問で、紺野委員からしていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 最近、大型のいろいろな事故が起こってきて、そのことが非常な災害を与えておるわけです。石油タンク、タンカーなどの事故が最近頻発しておる。どうもこれに対しての関連する官庁が余りにも多過ぎて、そして関係法規ももっと整とんをしなければ、適宜な処置をとりにくい点がありますから、これはこの国会においても、そういう点の御指摘があって、直ちに政府の部内において関係各省が寄りまして、そういう事故の場合における関連法規を整備して、国会の御審議を願いたいということで、いま法案を準備しておるわけでございます。
 そういう事故が起こってからというんではなくして、通産省などに対しても、各企業に対して、事故防止のための常にそういう監視体制といいますか、それがなければ、起こってくれば大なり小なりの被害は起こるわけですから、そういう点で、各企業の注意を喚起いたしたようなこともいたしましたし、あるいは関係法規も整備したし、あるいはまた被害を受けた人々に対しては、これはもう厳しく加害者が補償をするという原則を貫いて、事後処理に当たりたいと考えております。
○湊委員長代理 紺野与次郎君から、関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内で、これを許します。紺野与次郎君。
○紺野委員 私は、三菱石油の水島製油所の災害の補償の問題と、これとゲッティ石油会社との関連の問題について、補償問題で聞きたいと思います。
 最初に、コンビナート災害の典型である今度の三菱石油水島事件、これで各方面から出されている補償要求総額がいままでどれくらいか、三菱石油はこれをどれくらい認めたかということと、それから、瀬戸内海の底の方に重油その他が沈でんしておりますから、これからこれを掃除するためにはどれくらいの費用がかかるのかという点、概算でいいから、そういう点について答弁していただきたいと思います。
○河本国務大臣 これまでに三菱石油が払いました補償金の金額は明確にわかっておりますから、必要とあらば、後で政府委員から答弁をさせます。後の分につきましては、いろいろ要求が出ておるようでございますが、総額が幾らになっておりますか、これはただいままでのところ承知しておりませんが、これも政府委員から答弁をさせます。
○増田政府委員 漁業以外の被害補償要求が各種出ておりますが、これにつきまして、金額が明示されておるものと、まだその金額が明示されていないものと、いろいろありますが、私どもが知ります範囲の、金額が明示されて要求されております金額の合計が、大体三十五億円というふうに聞いております。
○紺野委員 瀬戸内海の海の底の方まで汚染されておるわけだけれども、それを取り除くにはどれくらいかかるというふうな計算はされておりませんか。概算で……。
○小沢国務大臣 漁業補償の方の要求額は農林大臣の所管でございますが、いま政務次官が来ておりまして、承りますと、いまのところ大体百五十八、九億、要求額がそうなっておるそうでございます。しかしこれは、これから調査をしたりお互いに話し合ったりして、決まっていく問題だと思います。それは確定額ではございません。
 それから、海の汚染状況、底質ですね、海の底の総ざらいまでして、瀬戸内海全体をきれいにするのにどれくらいかかるかということでございますが、これは実は私どもの方でいま総合調査をやっております。どの程度水質なり底質なりが汚染去れているかということについては、この調査の結果を待ちませんと不明でございます。したがいまして、底質の清掃についてどれくらいかかるかという算定は、いまのところできません。
○紺野委員 問題は、そういうふうに非常に巨額だということなんですね。
 それで、私は、三菱石油というのは一体どういう会社かということを見直す必要があると思う。この会社は四八・七%の株式がアメリカのゲッティオイル、これの株式ですね。二十五人の役員のうち副社長とその他の取締役が十一人いるのです。そういうことになると、このゲッティオイルが、やはりこの巨額の補償についても責任を持って出すべきではないかというふうに思いますけれども、この点についてどうでしょうか。
○河本国務大臣 ゲッティオイルが三菱石油の株のおよそ四八%強を持っておることは、事実であります。残余の五二%は、国内の株主が多数に分かれておるわけでありますが、独立の法人でありますから、ゲッティオイルが大株主である、あるいはまた、ゲッティオイルから役員が来ておるということだけで、出資者であるゲッティオイルに三菱石油の今度の補償を持てというのは、いささか私は無理でなかろうかと思います。
○紺野委員 いまのは形式論ですね。実態を見ますと、外国会社要覧によると、ゲッティオイルの主要なる系列会社は、日本においては三菱石油というふうになっているんですね。そして結局三菱石油は子会社です。その子会社が現地で大きな不始末をした。いままではもうけることについて大いに監視して、十一人の重役も張りつけてある。しかし、その会社が災害を起こしたという場合、しかも日本国の相当大きな問題の災害になっております。そういう場合に、たとえば日本の場合に、三菱石油に対して、三菱グループが補償の応援をするというようなことが言われております。当然たくさんもうけたんですから、今度は災害に対しても責任を、やはり子会社のあれに対して、しかも株式の主要な最大の割合を持っているんですから、そういう点からいって、実質的にこれにやはり補償をさせるというふうに政府はやるべきであり、そういう方向に交渉をすべきであると思いますけれども、重ねて……。
○河本国務大臣 ただいままでのところ、今度の災害補償につきましては、三菱石油が全責任を持ってこれを処理する、かように申しております。
○紺野委員 じゃ総理大臣に聞きます。こういうことについてたくさんもうけたのです。去年われわれ計算しただけでも、六億ぐらいの金を株式だけで取っております。その前は六億三千万。こういうことを昭和六年からずっとやってきているのですよ。こういう、会社がもうけることだけに重役がただ張りついているというんじゃおかしい。災害もあるわけでありますから、両面にわたって責任を負うというのは当然です。そういう点で、やはり政府として、そういうふうに補償をしてもらいたいというふうに交渉をする意思はないかどうか、まずそれをお聞きしたい。――総理大臣に。あなたはいい。わかった。
○河本国務大臣 ちょっと先に申し上げますが、当初の私がお答えいたしましたことは、法律論として、ゲッティオイルが補償すべきである、こういうお話でございましたから、それはいささかいかがなものであろうかということを申し上げたわけであります。ただ、しかし大株主のことでありますから、それは三菱石油とゲッティオイルがいろいろ話し合って、あるいは借入金をするとか、いろんな方法を考えるかもわかりません。しかしそれは三菱石油自体がやるべきことでございまして、ただいままでのところ、三菱石油が全責任を持ってこの処理に当たります、こう言っておるわけでありますから、もうしばらくの間、推移を見たいと思います。
○紺野委員 問題は、そういうことで、政府はそれに、ただ側面から見ているんじゃなくて、積極的にその方向に努力すべきであるというふうに思います。
 それから、この際改めて、多国籍企業というものは非常にいろんな形態で活動しております。ですから、そういう多国籍企業が日本から利潤を上げるというだけじゃなくて、彼らが逆に公害や災害を起こした場合は、しかるべき責任をとらせるように、そういうルールをはっきりさせるべきであると思うが、この点について、総理の考えをお聞きしたいと思います。
○河本国務大臣 これはやはり、多国籍企業といいましても、それぞれの国の法律によって設立されておる企業なんです。でありますから、出資しておるからそういう損害は全部持て、これは少し暴論でなかろうかと思います。単なる出資者に対していろんなことを要求するのは、これはよくない、こう思うのです。多国籍企業というものが存在しております理由というものは、いろいろ歴史的に複雑な経過がありまして存在しておるわけでありますから、いまおっしゃったようなことだけで、私は結論を出すのはいかがかと思います。
○紺野委員 じゃ、時間がありませんから、最後に総理に聞きますけれども、コンビナート安全法、災害防止法といま言いましたね。これにおいて、やはり災害ということが大きな課題になっておりますから、そういう点で、そういう災害を起こさないように、起こしたならば、そういう企業の補償責任と同時に、刑事罰のようなものですね、そういうものもやって、そして災害というものは国民に対する大変な損害と、罪悪なんだということがはっきりするような、そういう法律にすべきだと思いますけれども、この点についてはどうですか。総理から……。
○福田(一)国務大臣 ただいまの御質問でございますが、いまちょうど自治省におきまして、各省のコンビナート法に対する要望――要望といいますか、法案の内容を取りまとめまして、そしていまこれから実は審議をいたす段階になっております。したがって、お話しのような問題についても、今後審議をしてまいりたい、かように考えます。
○紺野委員 じゃ今度は、コンビナート災害の最も大きな部分は石油なんです。その中の一番大きな弱点は大型タンクです。大型石油タンクです。いま十五万トンぐらいまでどんどん大きくなっております。それで、簡単にしますが、いままでに二千六百九十七基ぐらいが一万キロリットル以上の大型と言われるタンク、五万キロリットル以上だというと五百一、これぐらいの大きなタンクが建造されておりますが、ここがいろいろ事故を起こしているのです。
 それでお聞きしますけれども、大型石油タンク建造についての安全な建造規格として、日本工業規格、JISの規格というものがあったのかどうか、これをお聞きしたいのであります。
○松本(敬)政府委員 石油タンクの構造は、JISで決めたものが現在ございます。
○紺野委員 あなた、うそを言っていますね。いいですか、それは昭和三十七年に、小型石油タンクの規格だけがあるんです。そうでしょう。
○松本(敬)政府委員 現在あるのは、小型を対象としたものでございます。
○紺野委員 だから、大型タンクはなかったということなんです。いいですか。だから、大型のタンクの規格がなくて、二千六百基つくったんです。欠陥タンクをつくっちゃったんです。
 それで、私聞きたいんですけれども、じゃ、どこの国の規格でつくったのか、それを聞かしてください。
○松本(敬)政府委員 現在ある規格は、アメリカのAPIの規格を参考としてつくったものでございます。
○紺野委員 だから、日本の規格がなくて、アメリカの規格でやっておった。日本とアメリカの違いは、日本には地震がある。ナマズがいるということだ。それから地盤も臨海だ。魚をつるにはいいかしらぬけれども、そういう臨海工業地帯で非常に軟弱であるということなんです。そういうことを何も書いてないんです、これには。いいですか。そういう点で多くのタンクが欠陥を持っている。
 特にあなたに聞きますけれども、API六百五十だ。これには複雑な――今度水島で亀裂したところは、ちょうど側板と底板の境のところです。そこで亀裂をしたんですが、あそこのアニュラープレート、つまりスケッチプレートと言われるところが亀裂をしたんだけれども、そこのところについて、複雑なひずみとか応力計算というものはありますか。
○松本(敬)政府委員 現在の規格につきましては、先ほど申し上げましたように、APIの規格を参考にしてつくっておりますので、その辺については不十分な点があったかと思いますが、現在、大型タンクがたくさんつくられております現状にかんがみまして、現在のJISは不適当であるというようなことから、すでに昨年の三月、現在のような大型タンクにマッチしたようなJISに改定するようなことで、日本工業標準調査会の方に審議を委託しておるところでございます。
○紺野委員 そういうことで、後手なんですよ。
 それで私は、そのJISの欠陥と、それからアメリカのAPI規格にも欠陥があったということを証明する資料を、皆さんのもとにあれしてありますけれども、三つほど出しております。一つは、一昨年の日本建築学会大会の学術講演の公害記録というものの要鋼、そっちへ出してあります。それによると、この水島タンクを製造した千代田化工建設の川崎研究所のスタッフエンジニア河野和間という方が、ずうっとこの問題を現在の大型タンクのウイークポイントとして、そしていろいろ研究して出してあるのです。この中にも言っていることで重要な点はどういう点かと言いますと、これはAPIにもない弱点でありますけれども、つまりタンクを満杯にしますと、これはこういうふうに膨張するんです。そうすると、下の方のちょうどアニュラープレートというところです、これがこういうふうに引っ張られて曲がるんです。そしてこの曲がるのが、弾性限界――特に最近は高張力鋼を使いますから、その高張力鋼の弾性限界を超えて、これが引っ張られるんです。そのためにひずみがここに残ってしまう。永久ひずみが残るんですね。そうして、それが何遍も繰り返しますと――油を入れた、抜いた、入れた、こういうことを繰り返すと、繰り返し応力、ちょうどブリキをこうやっているうちに切れるように、ここが切れてしまうんです。こういう弱点を、日本の技術者やその他学者が、もうすでに大会で発言しているんですね。最後にこの技術者は、日本でもアメリカでもこういう研究がされて、最近それが一致している。日本でも自分たちは研究して、そういう調査の数値をちゃんと持っている。つまり降伏点、弾性限界を超えて高張力鋼がもろくなって、結局破れてしまう共通の弱点がある。いまの大型タンクの、それは一つの致命的な弱点であって、遅かれ早かれ、そこで破れるんだということを科学的に立証しておるんです。
 ですから、私はここでお聞きしたいのは、ちょうど水島と同じことで破れたものが、昭和四十三年千葉の極東石油ですね。これで、同じようにこれがしり抜けしているんです。それから四十五年の小野田の西部石油ですね。これは八万トンです。千葉の方は六万トンのタンクです。これが同じ形でしりが抜けたわけでありますが、そういう点で、この二つのタンクは、ちょうど高張力鋼が使われ出した時期に入っておって、やはりこの繰り返し応力というものに非常に弱い。底が水張り試験のときに破れてしまうというふうなことや、その他が起きているわけですが、これについて、いままで通産省やその他で原因の調査をして、こういうふうな原因だということが言われているかどうか、その辺、知らせていただきたい。わかっておりますか。
    〔湊委員長代理退席、委員長着席〕
○松本(敬)政府委員 その辺の技術的な問題につきましては、まだ十分に検討しておりませんでした。
○紺野委員 だから、その点で、一つは昭和四十三年ですよ、もう一つは四十五年、去年は四十九年。一系列の同じことがあいまいにされているんです。そこに非常に重大な、やはりいまのタンクのなぞのようなものがありまして、これはAPI六百五十の、それは一つの魔の何というか、難所というか、そこが盲点なんです。だからその盲点について、みんなが触れないというふうな状態になってきておりますけれども、この際水島も延々と原因を延ばしております。きっともうわかっていることは事実なんだけれども、そういうことをあいまいにするということはけしからぬことだと思うんです。
 そういう点で、私が総理に対して特に警告申し上げたいことは、この大型タンクの側板と底板との接合部における一つの構造的ウイークポイントですね、これがたまたま水島の場合には、そばに大きな独立のはしごがあったとか、あるいは溶接をやってもろくなっていたとか、いろいろなことと複合して、それが引き金になっておりますけれども、その最も弱点のところでやはり誘発されている。もしもこの弱点プラス不等沈下プラス地震こういうふうになった場合には、これがいろいろなところで多発して、これが破れてくるということなんです。
 それからもう一つ、現在安心だからといって安心しておれない。二、三年後に必ずそれが破れてくる。つまり、低サイクル疲労破壊という日本機械学会のこの資料も渡してありますけれども、こういうことも最近研究されているところであります。高張力鋼の、特に粘りがなくて、何遍もこういうふうに降伏点を超えたようなひずみが往復繰り返される場合には、もろくなって、そこが切れてしまうということが問題にされております。
 そういう点で、私は、現在の二千七百ほどの大型タンクが、こういう外側の防油堤その他の弱点、その他不等沈下等は明らかにされておりますけれども、タンク自体の持つウイークポイント、メカニックな構造的な弱点ですね、そういう点をも点検する必要があるということで、まず第一番にお聞きしたいことは、この河野氏の論文で、最後に、自分たちは国内で大型タンクの応力測定をやっている、そして同じ結論に達しているということを言っていますから  これは千代田化工建設です。そこから資料を通産省に出してもらいたい、そうして国会に出してもらいたい。それから、現在水島調査委員会に、いろいろの資料が来ているはずなんですよ。いまもってずいぶんのんべんだらりとやっているわけですけれども、そこに出されている貴重な資料類を、やはり国会に出してもらいたい、こういうふうにお願いしたいのですが、まずそれはどうでしょうか。
○福田(一)国務大臣 ただいま先生が御指摘になりました、側面と底辺との接合点における問題等々につきましては、どういう構造にするかということで、いませっかく勉強をいたしております。したがって、先生のおっしゃったような点も十分含めて、法案作成に当たっては、今後そういうことのないように。また、いま先生は、将来一年二年の後においては同じような事故が起きるじゃないかというお話でありますが、たとえば、いまのような御説明であれば、底辺に一つのひずみができるわけであります。それを半年に一度くらいずつでも定期的に点検をして、そういうようなひずみが出た場合においては、即時にこれをやり直すとか、油を抜いてやるとかというようなことも――定期的点検ですね、私の申し上げておるのは。コンビナート法では、その定期的点検もやるということをちゃんと規定するつもりでございます。
○紺野委員 じゃ、いまのひずみ検査ですね、これはぜひやってもらうということと、全タンクで必ずした方がいいということ、くれぐれもそうであります。そうして危険なものについては、使用を禁止して、そこの部分を改造させるというふうにさせてもらいたいと思います。
○福田(一)国務大臣 御質問の趣旨に即して、実現いたしたいと思っております。
○紺野委員 じゃ資料の提出については、政府の方から、取ってこちらに出してもらいたいと思うのですが、どうですか。
○荒舩委員長 紺野君に申し上げます。資料の問題は、理事会で協議いたしまして、適当な処置をとることにいたします。
○紺野委員 次に、いま新しい工業規格をつくりつつあるということですけれども、いま申し上げましたように、絶対であろうと思われておりましたアメリカ石油協会の規格というようなこと自体に、伏兵というのか一つの抜けがあるのです。また日本の国情とも違うというふうな点から見て、私が特に強調したい点は、直下型地震というのがいま川崎を中心にして起こる可能性があると、地震予知連絡会で言われているのです。知っていますね。それで最近、川崎市が東大生産技術研究所に調査を依頼した。その調査依頼は、この消防法関係の法規を見ると、安全の基準は地震力の水平震動だけが問題になっております。これを見るとそうなんです。〇・三のガルをかけるということだけの決まりがあるのです。直下型地震ですから、下からどかんと、こういうふうに来た場合どうなるか、ということを研究してもらっているそうです。その中間報告によりますと、いまの川崎一帯のタンクは全部だめになるということを学者は言っております、その結果として。それほどいまの大型タンク、これはわれわれの時代の太陽です。太陽のあのエネルギーをいわばそこに固めてあるものなんです。それがしり抜けになるような構造の中に入っているということ、これは大変なことだと私思います。
 そういうことで、直下型の地震に対しても対応できるような、それから内部的な構造としても、ひずみ応力とか、こういう重要なポイント、ポイントにおいては、そういうことも計算されて、そして安全なような規格をつくるべきであると思いますが、そのために私は、これは相当多くの技術者と学者、こういう人材を集めて、相当大きな知恵を集めて、大型石油タンクの委員会というようなものをつくって、そうして知恵をしぼって、完全な、国民にとって災害のないようなものをつくるようにしてもらいたいということ、この点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま御質問のございました直下型の地震に対する問題は、事実まだ本当にできていないように私は思っております。そういう水平の地震のことを考えておったようでございますから、これがもし技術的に解明できるものであれば、今後石油タンクをつくる場合には、もちろんそれも適用しますし、それから川崎の問題等についても、何か適当な措置を考えなければならぬと思いますが、もしそれが技術的にまだ解明してないということであれば、先生がおっしゃるように、早速委員会なり何なりをつくって、具体的に研究をさせていただきたいと思います。
○紺野委員 それから、私も水島その他へ行って調べたのですけれども、驚くことはこうなんです。あんな何億もかけた大きなタンクが、これを検査する体制がないということなんです。まず検査されるのは、あの場合には熊谷組か何かが基礎をつくったわけですが、つくって、そして一番最後に、全部つくった後に底板を置きます。その底板検査が一回。それからタンクがだんだん建設されると、おしまいに水張り試験を行います。水を入れてゆがむか漏るか、こういうことですね。この二回なんです。だからその過程でどういうふうに工事が行われたのか、あるいはタンクそのものもどういうふうにつくられたかというような点。たとえばあの側板と底板の溶接が行われます、千何百度でやるのです。そこにひずみが残るのです。もろくなるのです。これは本当ならば熱処理をして、そしてそのひずみを取らなければいけない。それをしないそうです。そういう監督もできない。そこにどんどんつくっていって、何万トンの重量物を入れてしまうのですね。こういった検査は、私は大変底抜けだと思うのです。そういう意味で、検査体制ですね。先ほどのような規格をつくるということが一つ。それが規格どおりにつくられるかどうかということを、やはり能力があり、資格のある検査員が建設過程に立ち入って検査をして、そうして基礎も本体も付属施設も安全に工事されているということを見届けるような、そういうことが本当に災害を防ぐゆえんじゃないかと思うのです。そういう点の検査員を増員し、資格のある人たちをふやす、そしてそういう体制をつくるということについてはどうでしょうか。
○佐々木政府委員 ただいま御指摘のとおり、大型タンクにつきましての点検体制が非常に不十分であったということは、率直に認めざるを得ないと思っております。この点に関連いたしまして、タンクの保安基準の作成とあわせて、こうした点検体制についてどのような対策をとるべきか、いませっかく検討中でございますけれども、できるだけ早い機会に、こうした点検体制の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
○紺野委員 じゃ、終わります。
○荒舩委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。
 次に、山田太郎君。
○山田(太)委員 まず、総理にお尋ねいたします。
 一昨日のわが党の矢野質問に対しまして、総理は、「日米関係は信頼関係の上に立ち、アメリカは日米安保条約をこれまで遵守してまいりました。事前協議の申し入れがないということは、核は持ち込まれていないと信頼しています。」と答弁されております。ところが昨年の十二月、アメリカは安保条約違反を犯していることを総理は知っておりながら、そのような答弁をなさったのであるかという点を、まずお伺いしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 山田委員も御承知のように、しばしば歴代の大統領が、やはり安保条約の事前協議の約束は守る、また、日本国民の意思に反してアメリカは行動しないということも、これはもう事前協議事項が決まるときから言い続けてきているのですね。そうしてフォード大統領が最近日本へ来られたときも、そういう趣旨のことを繰り返したわけです。それでもやはり日本は信用できない、こういうことになりますと、日米の友好関係の基礎というものは一体何だということになって、やはり相互の信頼というものが基礎になるわけでございますから、私は、そういうアメリカの意図からして、核兵器を日本に持ち込まれることはないと、実際かたく信じているのですよ。そういうふうなことで、持ち込まれておることを知っておって持ち込まれていないと言っておるのではないのですよ。それをやはり信用するよりほかないというのが、私が申し上げておる点でござ
 います。
○山田(太)委員 私の御質問がよくおわかりにならなかったと存じますが、私が御質問申し上げましたのは、アメリカは安保条約を遵守してきている、これを主題にして申し上げたわけでございます。そうして、昨年の十二月にアメリカは安保条約違反をやっているということを御承知で、そういう答弁をなさったのでしょうかということをお伺いしたわけでございます。
○三木内閣総理大臣 安保条約のお約束を違反しておるとは信じないので、・そういうことは、むろん私はそうも思っておりませんから、そういうことがあるとは考えないことは当然でございます。
○山田(太)委員 実は、総理は御存じないようでございますが、外務大臣は先日の予算委員会分科会で、わが党の小川委員の質問に対して、岩国沖で安保条約違反を犯しているということをはっきり明言をなさっております。その点、外務大臣から報告を承っていらっしゃらないように見受けられますが、外務大臣から報告がありませんですか。報告がなければ――外務大臣から報告を受けていないわけですね。――委員長、外務大臣が報告していないようです。外務大臣、ちゃんと予算委員会分科会で、これ、議事録です。「問題は二つあります。」「そして条約の違反が起こったということ」この条約は安保条約のことです。当然総理に報告があっていいはずだと思いますが、このような重大なことを総理に報告してないということは重大なことだと思いますが、これはどういうわけですか。
○宮澤国務大臣 総理大臣に報告を申し上げてございません。と申しますのは、事件は、御承知のように、山口県の海上の島におきまして、米軍の海兵隊のヘリコプターが、これが提供施設でないのを知らずに訓練をやったということがわかりまして、それにつきましてこちらから、これは提供施設でないということを申し、先方から深甚な遺憾の意の表明があり、今後こういうことは一切行わないということを約束いたしましてまいりましたので、事件は処理されたものと考え、報告をいたしませんでした。
○山田(太)委員 私は、安保条約の違反があったということを、なぜ総理大臣に報告しないんだということを言っているんです。総理に報告してください。
○宮澤国務大臣 先方の出先のミスによりまして、一、二の島が訓練に使われたということが判明し、先方から遺憾の意の表明があり、今後いたさないという確言がございましたので、この件は落着いたしたものとして、私限りで処理をいたしました。
○山田(太)委員 何ということをしたのですか。一、二の島で、安保条約によって提供されていないところで軍事演習が行われた、これは重大な安保条約違反でございます。総理はどう思われますか。外務大臣は安保条約違反だとちゃんと答えております。
○三木内閣総理大臣 アメリカ側からも外務大臣にそういう遺憾の意を表して、再びこういうことを繰り返さないことを申したわけですが、私からも、こういうことを再び繰り返さないよう、アメリカに対しても十分に注意を喚起したいと思います。
○山田(太)委員 そういうことをというふうな言葉をお使いになりましたが、これは安保条約違反だということをお認めになりますね。−頭を、うんと言ってらっしゃるということは、認めていらっしゃるということですね。はっきり言うておきます。
○三木内閣総理大臣 アメリカとの地位協定にある区域の中に入っていないところで演習をすることは、安保条約の趣旨からして、これは違反であると言えば違反ということになるでしょうけれども、それが非常なミスというのですか、そういうことで、アメリカの意図というものも、実際にアメリカ自身が間違ったんだということで理由はわかりましたけれども、理由はともかく、これは今後こういうことのないように注意を払ってもらわなければならぬと、私は思います。
○山田(太)委員 ミスということじゃないです。もう数年間も使われておったわけです。条約局長、ある国が――A国としましょう。そのAという国が無断で、協定もなし、勝手に島を、無人島だからと言って、日本の国土で軍事演習した場合は、これは主権侵害になるのは当然のことと思います。条約局長、どう判断する。そのことだけを答えてほしい。
○松永(信)政府委員 当該国の同意がなければ、それは国際法違反になります。
○山田(太)委員 いまの条約局長の答えのとおり、条約違反でございます。これを認めないというのはおかしいですよ。認められますか。後、どうのこうの言うわけじゃありません。認められますか。
○三木内閣総理大臣 いま条約局長の言うとおり、法律的から言えば、違反であると言わざるを得ません。
○山田(太)委員 総理は、法律的に言えばという冠詞がついてはおりますが、法律違反、条約違反だということは認められたわけです。
 そこで、私がもう一歩問題にしたいことは、この安保条約違反を――これは重大なことです。総理は施政方針演説のときに、こういうことを言っていらっしゃいます。「日本とアメリカとの間の相互協力と安全保障の条約は、その名の示すとおり、日米協力の基本憲章であります。」非常に名文でございますが、ここで大切なことは、「基本憲章であります。」そうおっしゃっておるところです。その「基本憲章」と総理がおっしゃるそういう大事な安保条約を、場所が島だからといったって、ただ単に外務省の局長が公使を呼んで口頭で謝らせるというような、いわば世間の言葉で言うたら、そういうなまっちょろいことでいいものか。大事な基本憲章です。総理がおっしゃった基本憲章です。その基本憲章を破った。これはそういう性質のものじゃないです。すなわち、このこと自体は、アメリカ軍が条約違反してやったということです。ということは、核持ち込みだって、いままで安保条約を遵守してきました、したがって、事前協議の申し込みがないということは核の持ち込みがないと信頼しております。その信頼の一番大事な根拠が崩れたわけです。こういうことがあっては、信頼できないじゃないですか。国民だれだって信頼できません。これは当然なことじゃないでしょうか。したがって、この際申し上げたいことは、やはり友好国であるというお考え、また、わが党といたしましても、等距離外交、中立の政策から、アメリカとの友好は増進しなければいけない、これは一つの大切なポイントとは思っております。しかし、友好国ならばこそ、言いたいこと、言うべきことはきちっと言うことが大切じゃないかと思うわけでございます。小さい島だからというふうなことで、安易に処理していくということは間違いじゃないかと思います。言うべきことはきっちり言う。しかも局長が呼んで、口頭で謝らせる、何も残りはしませんよ。これに対して、別の措置を講じるということを考えていただきたいことを御答弁願います。
○三木内閣総理大臣 アメリカが条約違反を意識して犯したものだとは、私は思わない。それは一つのミスだと思いますけれども、しかし、それが条約に違反することは間違いありませんから、この問題は、将来に向かって再びかかる事態のことが起こらないように、すでにあの問題に対しては、アメリカ自身も日本に対して陳謝しておるわけでございますから、十分に気をつけると思いますが、さらに注意をいたします。
○山田(太)委員 さらに注意することはもちろんです。私の申し上げたのは、ただアメリカ局長が公使を呼んで、そして口頭で陳謝を求めるということだけで済ますようなことじゃだめです。そうじゃないでしょうか、これはだれが考えても。その点の再考を求めたわけです。今後注意しますというのじゃなしに、その点の再考を求めているわけです。この点が一つ。
 それからもう一つは、これは単なるミスじゃないということを、もう一遍言っておきましょう。
 いまの司令官が着任する前というと、やはり数年前になります。その数年前から故意にやっておったとしか思えない事実があります。したがって、この点については大事なことですから、改めてそれに対する政府の責任、いままで知らなかったとか、もう一つは、再び措置を講じる、この際、この点の一考を要望して、次の質問に移りたいと思いますので、総理から答弁をお願いします。
○三木内閣総理大臣 アメリカ政府を代表して、そのことに対して申しわけないと言ってきたわけでございますから、それで、その問題としては一応の解決を見たわけでございまして、私が言うのは、その問題について、アメリカ政府を代表して、この問題に対して申しわけないと言ってきておるのを、まだ解決はしていない、もう一遍この問題をやるというのもどうでしょうか。私が言うのは、これからの問題としては、いろいろ話し合う機会がありますから、これは国会でも問題になり、こういうことは気をつけてもらいたいということを言う機会は幾らもありますよ。解決した問題を解決と思わない、もう一遍何とか措置をとれというのは、私は適当でないと思うのでございます。
○山田(太)委員 では、総理から言う機会があるから、その機会のときには総理から言う、こういうことでございますね。うなずいていらっしゃるが、ではその点は承知されたことと思う。
 そこで、外務大臣にお伺いいたします。広島に原爆が投下されてから三十年でございます。核兵器の過剰装備競争のときに当たりまして、核不拡散条約の持つ比重は非常に重いものと考えられます。政府は、その国会批准についてどういう見通しを持っていらっしゃるのか、これが一つと、もう一つは、核保有国と交渉して非核保有国の安全保障を確認すると、自民党内で外務大臣は述べていらっしゃるようでございますが、その確たる見通しがあるのかどうか、この点、二点同時に答えていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 先般、原子力の平和利用の査察につきまして、IAEAとの間で保障措置協定の実体的な交渉を終わりまして、結果が満足なものと考えられましたので、ただいまその内容を条文化いたしております。それを終わりまして、これを国会の条約御審議の参考に供するために、条文化を終わりました段階で、国会の御審議のために提出をいたしたいと考えておりますが、それに関連いたしまして、ただいま御指摘のように、この条約を批准をした結果、非核保有国であるわが国の安全がどうなるかということと、核軍縮の進行が満足であるかという二点が、署名いたしました当時政府が述べました三つの条件の残りました二つでございますので、そのうち、ただいま御指摘の問題、非核保有国としてのわが国の安全、これを核保有国に対してどのような形で再確認をするかという問題が、確かに御指摘のようにございます。
 これは、ある意味では、一九六八年の安保理事会の決議が一つ御承知のようにあるわけでございますけれども、もう少しはっきりしたものにできないであろうかということをただいま考えております。これを二国間の接触にいたしますか、あるいは五月にこの条約の再検討の会議がございますから、その席においていたしますか、またその場合、この条約に加盟しておりません核保有国との関連をどうするか、あるいはまた、ソ連との関係をどう考えるかといったようなことを、ただいま検討いたしておるところでございます。
○山田(太)委員 私がお聞きした点が一つ残っております。それは、いまの核不拡散条約の国会批准についての問題ですが、どうでしょうか、四月初めには出せる見通しでございますか。
○宮澤国務大臣 総理大臣から、なるべく早く関係方面を取りまとめて国会に御提出するようにという指示を受けておりまして、先ほどの条文化につきましての事務的な準備が、ちょうどだだいまおっしゃいました四月初旬までかかりますので、その間、できるだけ実体的な問題の合意を関係方面で得ておきたい、こう考えておるわけでございます。
○山田(太)委員 そうすると、四月上旬には出せる見通しということでございますか。しつこいようでございますが、……。
○宮澤国務大臣 私どもが関係方面の説得に十分な説得力を発揮することができますれば、事務的には、その季節に間に合うように考えております。
○山田(太)委員 では、この問題はまた次の機会に譲りまして、次にまだまだ多くお聞きしたいことがございますが、政治資金規正法の問題についての質問に移りたいと思います。時間がどんどんたっていきますので、簡潔にわかりやすくお答えをいただきたいと思います。
 そこで、政治資金規正法の改正がどのように進められるかということは、これは総理も御存じのように、独禁法の改正あるいは排ガス規制あるいは年金制度の改革とともに、三木内閣の四つの踏み絵ということが言われております。
 ところが、報道によりますと、自民党の政規法改正案大綱については、議論が相当沸騰しているようでございます。その中で、三木総理が就任の際、あるいは就任の前といいますか、先ほども質問がありましたようですが、企業からの献金は取りやめたいとの発言が後退している。いまではもう、企業の献金は悪とは言えないというふうな言葉に変わってきていることは、天下周知のことでございます。私どもの公明党では、今国会にも、三回目でございますが、やはり政治資金規正法の改正案を党として出しております。この中では、政治献金は個人に限る、これはかねてから主張し通していることは御存じのことでございます。私は、政治資金の実態が国民に不信を持たれているということをやはりよく認識して、そこを土台にしてから改正がなされなければならない、これは当然なことでございますが、これが一番大事なことと思います。
 そこで、その意味で、わが党は、今日まで政治資金規正法の現在の矛盾、国民に不信を持たれる実態を明らかにしてまいりました。その中でも、私は、ことに強く申し上げたいのでございますけれども、政治資金規正法による無届けの政治団体に至っては、もはや論外であると言ったって過言ではないと思います。非常識きわまるものと言わなければならないと思います。
 そこで、三木総理御自身の問題である無届け四団体の問題にいたしましても、政治資金の規制をいかに進めるかということからの実は質疑でございます。これは、もちろん言うまでもありません。きょうもその観点から質問をしていきたいと思っております。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、わが党が指摘いたしました、総理の身辺に政治団体として存在している政策懇談会、これはこの前おっしゃったとおりです。及び近代化研究会、これは政治団体の届けが出ている団体です。その届け出ている以外の政治団体、すなわち政策調査会、政経同志会、政経研究会、政策同志会、これについては、総理は、初めて無届け団体であるということをお認めになりました。それは議事録を見てもはっきりしております。しかしその後、日にちを経過して再質問がありました。そのときに、明確にプロジェクトチームのようなと、「ような」が入っております。しかし、そのように弁明なさっております。また参議院の本会議で、わが党の二宮議員に答弁なさって、これは解散させるという旨を表明なさった答弁も聞いております。しかし私は申し上げたい。私どもの党が徹底して調査したその資料に基づきますと、やはり政治団体として追及せざるを得ない。そういうことから、実はさきの国会の論議があったわけです。
 そこで総理は、この四団体をその後どう処理されたのか、その理由、これをあわせてお伺いしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 御指摘の件は、要するに政治資金としては皆届けてあるわけですね。無届けではないわけです。政治資金として届けてあるけれども、それをいま四つの団体と言われましたが、それは政治結社というまでには至らないプロジェクトチーム、いろいろ問題ごとに、中国問題とか農業問題とかチームを組んで研究をしたグループで、その処理を、明細に一々処理をしなければならぬのを、一括してこの団体、プロジェクトチームに、金をそこへ渡したということで処理されておるわけです。それは明細に一々書かれなければならぬわけです。
 そういうわけでありまして、この点は確かに非常に手落ちであったと思います。このために公明党の議員の方々には、再度御質問を煩わすなどのようなことで、私も恐縮しておるわけでございます。そして会計責任者に対しては、鋭意調査、整理を命じてきたのでありますが、何分にも一括して処理したんですね、そのプロジェクトチームごとに。そのために、細部にわたっての資料というものがなかなか残っておらない。いま、時間も相当たつことでございますので、そして何か記憶をたどって少し、一つの明細書というものができないかとも言ったわけですが、なかなか記憶も不正確で、それで、不正確なのに何かそのときをつくろって出すことも、正直な態度でありませんので、なかなか収支明細を提出することができない状態でございます。私は、四つの団体に対して即刻解消をさせまして、二度と再びこういうことを繰り返さないように、厳重に責任者に注意をしたわけでございまして、そのとおりに確実に実行されております。
 こういうことは、私は、山田さん御承知のように、ごまかす考えはないんですよ。しかし、こういう点で、やはり何というのですか、処理の方法において非常な手落ちがあったことは、私は認めざるを得ない。いやしくも総理の職にある者が、こういう手続上に手落ちのあったことは残念に思います。今後、こういうことは再びないように、私も十分に注意をいたすわけでございます。遺憾の意を表する次第でございます。
○山田(太)委員 手続上の不手際あるいは一括して経理を処理したということ、このことは実は大きな問題があります。きょうはいわゆる法律論争によって、その法に基づいてどうのこうの論争しようということは、時間がないから考えておりませんが、私どもの調査にもやはり一つ手落ちがあった。というのは、新しく新政経同志会というのがふえてきた、変わってきたといいますか。したがって、約一億五千万円のものが、実はこの前に加算されまして、五億三千万円が六億八千万円になるわけだ。その点は、私の方の調査が一つ落ちておったということでございます。しかし、この手落ちと、あなたのおっしゃる手落ちとは、大変な違いがあるということは知っておいていただきたいと思う。同じ手落ちという言葉でも、内容が違います。この点は、はっきりしておいてもらいたいと思う。
 それから、もう一つ申し上げたいのは、やはり一括処理するということは、これは実は大変なことです。これは総理御自身じゃない、法人格は違います、これは認めます。しかし、総理の身辺に非常に近いということは、総理がお認めになるとおりです。この点を土台にしたときに、まあ総理御自身が法律違反をしたということは、私は言うておりませんが、しかし、あくまでも結社にまでなじまないプロジェクト、そこに一括して出す。しかも近代化研究会あるいは政策懇談会、これは届けてある団体、これに一括して出すなんということは、これはもってのほかのことでございます。法務大臣は知っておるはずです、あるいは自治大臣は知っておるはずです。これは大きな法律違反を内包している、法律違反とも言うべきものを、という言葉を言うておきましょう、それを内包しております。この点が一つ。
 私も、この前の坂井質問のときに、関連して申し上げましたけれども、ただ総理御自身を責めさえすればいいというふうな、そういう小さい気持ちではありません。あくまでも、いまの日本の政治の不信の根源が――何といったって、政治資金規正法の改正を要望しておるわけです。また、これはなし遂げなければならぬという命題がございます。党内にいろいろな異論はあるようでございますけれども、総理はやはり勇気をふるって、日本の将来のため、国民のためにも、これは決然とやっていただかなければならぬ、こう私は思っております。
 そこで、まだまだ問いただしたいことがありますが、私が先ほど申し上げたことは、十分胸の中にたたき込んでいただきたい。本来ならば、この予算委員会はストップするところです。おわかりのはずです。
 そこで先ほど、私が後段で申し上げた点について、政治資金規正法の改正についての決意と骨はぜひ回答していただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私も、山田さん御存じかどうか知りませんが、戦後政党をみずからつくった経験があるが、やはり政党というものは、信条、信念によって集まった同志の結合体で、それに共鳴する人が資金を出すものなんですね。だから、やはり個人の寄付というものが、政党の経理としては本筋だと私は思っているのです。しかしやはり現実はなかなか――私自身も、それで経過的な規定は必要であるということを考えておったわけですが、しかし原則はそういうものであろう。だから、自民党に党議の決定を求めて、五年後には、企業の献金は自民党の経常費に対しては辞退をするという党議の決定を行ったわけです。私は三年と言っておったわけですが、それは五年ということで妥協をいたしたわけですが、政党の資金というものは、やはり党費と個人献金によってやることが理想である、この考え方が、私自身が後退しておるわけではない。三年を五年にいたしたわけでございますが、原則は党の承認を受けて、党議として決定をしたことは、新聞等においても御承知のとおりだと思います。
 そういうことで、政治の信頼を取り戻すためには、どうしても金にまつわる不信をなくしていかなければいかぬ。しかし、政治にはやはり資金がかかることはかかるわけでございますが、それを国民に疑惑を持たれないような形で政党が資金を集めていくということにならないと、なかなか政治の信頼は回復しない、こういうのが私の強い信念でございます。山田さんから見れば、もう少し短期間にそれを達成すればいいんだというふうな歯がゆい気持ちをお持ちでしょうけれども、やはりこういう自分の考えておる原則だけは一つ貫いて、その間は多少の現実との妥協はやむを得ない。原則は貫きたいというのが私の信念でございます。
○山田(太)委員 この点については、まだまだ論議していきたいことがございますが、時間がもう後わずかになってきつつありますので、そこで次の質問に移らしていただきます。
 やはり先ほどの総理の御決意というものももちろん大切です。また同時に、具体的にどう実行するかということも大切でございます。ただ、その決意だけあり、あるいは理想だけであっては、また現実化しないというところがございます。
 そこで、一点だけお伺いしておきましょう。
 総理、一説によれば、この政治資金規正法は、野党が反対して通らなければいいというふうな風評が、そう言う人があるという風評が飛んでおります。風評です。総理の決意としては、あくまでも通すという決意であるかどうか、はっきり一言で御答弁願います。
○三木内閣総理大臣 山田さんにもお願いしておきたいのは、風評があれば打ち消してください。そんな、通らなくてもいいというような考えはありません。強く打ち消してもらいたい。これは一歩前進であることは間違いないのですから、ぜひともこれは国会で通したいということでございますので、公明党におかれても御協力を願いたいわけでございます。
○山田(太)委員 総理の答弁上手といいますか、いつの間にか自分の方へ――自分の宣伝をこの予算委員会でやろうという気持ちはないとは思います、先ほどはあれほど謝ったんですからね。
 その辺を踏まえて、次の質問は、これも具体的な問題でございます。やはり現在の政規法には不備な点がたくさんございます。
 そこで、自治大臣にお伺いしたいと思います。三項目申し上げます。一つは、政治活動を目的として結成された団体、二つは、やはり先ほど申し上げたことに関連した、この団体が機関誌等の出版活動をやっている、また三つ目には、政治団体から政治活動費を得ている団体、それぞれ別々のように申し上げましたが、以上の三つの条件が整っておるならば、政治資金規正法に定める届け出義務を有する政治団体であると思いますが、自治大臣の御答弁をいただいておきたい。これは、はっきりしたことですよ。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 ただいま御指摘になりました三点だけでは、必ずしも届け出の義務を負う団体と言えるかどうか、われわれとしては疑問に思っております。
○山田(太)委員 では、自治大臣、どこが足らないのですか。わからずに、そういう答弁をする人がありますか。これは、ちょっと非常識ですぞ。
○福田(一)国務大臣 それは、政治活動をするということで、現実に個人あるいは法人から寄付を受けておりて、現実に政治活動をしておるということがはっきりすれば、当然あなたのおっしゃった意味に合致すると思いますが、いまあなたのおっしゃったようなことだけで果たしてそういうことになるかどうかということを、私はまだ明らかにいたしておりません。もう一遍、どういうことであるか、明らかにしていただきたい。
○山田(太)委員 明らかに聞かないで答えられたようですが、私は、政治資金規正法の三条あるいは八条等々、これを踏んまえて言っているんですよ。それを、そういう答弁をしていたんじゃわからぬはずですわ。私は、条文を踏んまえて言っているんですよ。冗談じゃないですよ。いいですか、金を受け取らなければ政治団体でなくなる、そんなことを考えていたんじゃだめですよ。何も知らないと言っては失礼ですけれども……。
○福田(一)国務大臣 政府委員から答弁させます。
○土屋政府委員 政治資金規正法に政党、協会、その他の政治団体といったようなことで定義がございますが、その中で、政治上の主義もしくは施策の推進、支持、反対といったような一連の書き方がございます。それ以外に具体的にどういうふうに判断をしていくかということになりますと、たとえばいまおっしゃいましたようなことも参考になろうかと思いますが、一つは目的で、定款あるいは規約等のみでなく、実体としてそういった目的を有しておるかどうか、それからもう一つは、組織的、継続的に行為をやっておるか、あるいは団体意思が独立的に働いておるかどうか、それは機関誌等でおっしゃったわけだろうと思いますが、また、独立していくに必要な党費等による財政的な基礎があるかどうか、そういったことを総合的に判断していくということでございます。いまおっしゃいました点で、実態上それを具体的にどう当てはめていくかということになりますと、明確に答えにくいので、その点実態に即した答えとして言いにくかったということだろうと存じます。まあ、おおむねそういった条件が実態としてあれば、通常の場合は政治団体であろうかと思われます。
○山田(太)委員 あんたの方がやっぱりよく知っている。それが政治団体。自治大臣、知らないで言うてはいけませんな。しかし、いま大事なときでございますから、こういうことを自治大臣が知ってくれなければ困るわけです、いかに大臣といえども。要らぬことを言いましたけれども、一応注意を喚起させていただきたい。まあ、少し雰囲気をやわらかくしていきましょう。
 さあそこで、千代田区平河町、砂防会館内にありますいわゆる中曽根派と言われる新政同志会は、届け出のある政治団体かどうか、この点まずお答えいただきたい。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 実は、先ほどそういう御質問があるということをちょっと伺ったのですけれども、政府委員の方から答弁をいたさせます。
○土屋政府委員 新政同志会というお名前でございますが、これは私どもの方へは、届け出というかっこうでは出ておりませんので、実態がどうなっておるかということは、私どもにはわからないわけでございます。
○山田(太)委員 当局としては、そう答えるほかはないと思います。
 そこで申し上げます。この新政同志会の内容と実態を申し上げます。この会は、中曽根康弘氏を会長に、政治活動を展開するために結成された政治団体であると思われます。その理由はまた後で言いますが、二つには、これは政治活動の一環といたしまして、継続して機関誌を出しております。じゃあ、これをお見せしておきましょうかね。機関誌です。これは継続して出されております。また、中曽根氏の後援団体、新政治調査会、これは届けがあります。この届けてある新政治調査会の報告書によりますと、昭和四十九年上期の報告だけ、すなわち半年間だけで、政治活動費等の名目で、何と一億九千九百十万円、約二億円近い。半年ですよ。多額の政治活動費を受けております。また同時に、全国から青年を結集して研修会等、今日まで、いま答弁のあった組織的、継続的に活動してきた団体であります。この団体は、いわゆる政治資金規正法における無届け団体であると言ったって差し支えないと思いますが、この点について御答弁をいただきたいと思う。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のありました件につきましては、実は先ほど、そういうようなお話をちょっと伺っただけでございますから、実態がどのようなものであり、どういうことをしておるかということを、あなたがおっしゃることですから間違いはないと思いますけれども、こういうところで答弁をいたします場合には、私としては慎重を期さないわけにはまいりません。したがって、調査をした上で、お答えをさせていただきたいと思います。
○山田(太)委員 法務大臣の御答弁もいただいておきたいと思います。
○稻葉国務大臣 自治大臣がお答えしたとおりでございます。
○山田(太)委員 法務大臣、非常にお苦しい立場で、お苦しい御答弁で、個人的な気持ちにおいては同情にたえないところもあります。しかし、これをそのままに放置していくわけにはまいりません。やはり先ほど総理にも申し上げましたし、総理も謝られましたが、政治資金規正法を改正していくのには、何と言ったって、私は思うのですが、人の見解はいざ知らず、やはり一番悪いのは無届けでやるということです。これが一番いかぬ。これは論外だと思う。この点をひとつ明確にしていかなくてはならないと思うのです。
 まだまだ申し上げたいことはたくさんありますが、総裁にして総理の三木さん。片一方は、言うたら女房役と言いますか、幹事長さん。こういう種類のことでございますので、まあ調査してみなければお答えいたしかねるというその答弁も、わからないじゃない。それは個人名を挙げたわけですから、それを、ここで自治大臣がはっきり明答できるはずもないということもわかっちゃおります。しかし、それはあくまでもそれで済ますという問題じゃないことです。ここでは、そうしか答えられないということがわかるというだけであって、この無届け団体がわかるということじゃないのです。その辺を明確にしておいてもらわなきゃいかぬ。やはり改めるべきは改めていかなくてはならないということは、当然のことではないかと思います。この点について総理、なかなかお答えにくいことでございましょうけれども、総理の立場として、やはりきちっと、どういうお考えか、お答えをいただいておきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 私は、決して言い逃れで先ほどのようなことを申し上げたわけではございません。一度ここで具体的によく調査した上でということを申し上げておるのでございまして、その上で御答弁をさしていただきたい、かような意味でございます。
○山田(太)委員 逃げる意味で言うたとは、私は申しておりませんよ。勘違いしないでくださいよ。言いにくいでしょうと言うただけです。では、そうおっしゃるならば、調査をして、そうしてその結果をちゃんと報告していただけますか。
○福田(一)国務大臣 私が先ほど申し上げたことから言えば、当然そういう結果が出てくると思います。
○山田(太)委員 もう一度申し上げておきましょう。ここは簡単な表にしております。そうして詳しい実情まで――ただ手に渡しません。これはほかの個人名が入っていますから、お渡ししません。ただ、中曽根さんの個人名だけは出ております。やはり日本の政治を大きく動かす一人でございます。したがってやはり法に従い、同時に身辺は清潔にしてもらわなくてはならないわけです。ただ見えなければいいじゃないと思うのです。あるいは法をくぐればいいじゃない。そういう意味から、やはり自民党においての大綱はまだまだ非常に不備な点がたくさんあります。ただ締めつけさえすればいいと言うておるわけじゃないのです。その辺はもちろんです。しかし、一番大事な大事な歯どめだけは、やはり個人献金に限るということは、これは大事な一つです。その点を十分認識しおいてもらいたいと思う。あなたは、先ほどまでのおの答弁では――本当に私は具体的なことを申し上げた。自治大臣はまさかうそをおっしゃるとけ思っておりませんが、この席ではこういう種類のことはお答えしにくいという意味のことです、ただそれがわかると言うただけだ。したがって、これは明確にしておきます。その点をはっきりしておいて、次の質問に移っていきたいと思います。
 そこで、同じく政治資金規正法の改正について盲点が大分ございます。やはりこれだけは気をつけていかなければならないという点があります。それは大分ありますが、きょうはその中で、私は公益法人を取り上げてみたいと思います。これは質問通告の中にもあります。
 この公益法人が、政治資金を論ずる上ではどうしても見逃せない点が多々ございます。この点は、これまでの質問の中で少々重複する面があるかもしれません。しかし私は、具体的な事例を挙げていきたいと思います。そこで、企業献金の限度を幾らに抑えても、あるいは抜け道はそのほかにも多々ありますが、やはり公益法人はその中の大きな一つであるということを認識していただきたいと思います。
 そこでまず申し上げますが、総理にお伺いしたいと思います。
 政治団体の届け出をしていない、企業の集団と見られるような公益法人、一例を挙げますと、日本自動車工業会、それからセメント協会あるいは日本鉄鋼連盟、こういうところでございます。この資料は行っておるはずです。表の7でございます。約十九団体ここに載せております。その中の三つを申し上げたわけでございます。ほかに申し上げれば、日本電機工業会あるいは東京銀行協会、これが四十六年、四十七年、四十八年、四十九年の上期まで入れまして、何と銀行協会は十一億六千五百五十万円、日本鉄鋼連盟は十一億五千七百二十六万円、自動車工業会は九億一千二百八十二万円、日本電機工業会は五億三千七百五十万円、セメント協会は二億一千五百万円、以上五つ上の方からとったわけでございますが、この十九団体だけで、何と合計四十六年から四十九年の上期で五十一億四千万円、届け出ている分だけでもこれだけ出ているわけです。この実態について、総理はどうお考えになりますか。
○植木国務大臣 お答えを申し上げます。いま公益法人の政治献金について総理にお尋ねがあるわけでございますけれども、総理がお答えになります前に、その前提といたしまして申し上げます。
 すでに山田委員御承知だと思いますが、昭和三十七年三月二十六日付をもちまして、自治省から内閣法制局に対しまして、公益法人が政治献金をするということについての可否を問い合わせておりますのに対しまして、法制局の方から、趣旨は、政党は民法第三十四条のその他公益に関する団体に該当するものであり、政党は社会の公益のために活動しているものであるから、それに協力する団体も公益法人たり得るし、また政治献金も違法ではない、こういう回答が出ておりまして、それに基づいて、この献金が行われているのではないかと存じます。
○三木内閣総理大臣 過去の政治献金については、山田さん御承知のように、制限というのがなかったのですね。このこと自体が法的にどうということではないわけです。私はやはりある限度を設けた方がいい、一つの制限額を置いた方がいいというので、次にこの国会に提出をしたいと思う政治資金規正法には、資本金によって限度を置き、個人の献金にも、個人の寄付にも限度を置きまして、そしてある節度といいますか、そういうものを政治献金に保つことがよろしいということで、次にいろいろ御審議を願いたいと思っております政治資金規正法には、ある一定額の限度を設けた。過去においては限度がなかったわけですから、全体を総合してみると相当な多額なものになりますが、今後改正をしようとする政治資金規正法では、最高限度を設けたいと考えております。
○山田(太)委員 ただいまの総理の御答弁は、公益法人にも限度を設けたい、こういうことと解してよろしいですか。私はきょうはことに公益法人をずっと取り上げていきます。
○三木内閣総理大臣 今度の場合は、やはり公益法人と言っても各企業ごとでありますから、したがって制限を受けるということでございます。
○山田(太)委員 もう一言申し上げますけれども、企業ごとの制限は設けても、この公益法人はやはり一つの企業集団のようなものです。企業が集まってつくっているのです。いまの名前を見ていただいてもわかるでしょう。ここに企業が集まっている、企業集団の公益法人です。おわかりですか。したがって、企業の限度は設けてみても、今度はこの公益法人、企業の集団の公益法人です。公益法人の認可をもらっている、許可をもらっている、それが会費を次々集めていくわけですわ。そうすると、ここに制限がなければ、各企業から会費を取ります、これは上限の制限は受けないものです。これでは、ここにやはり抜け道ができてしまうということです。それも今度はきちっと規制をできる方向にお向かいになるかどうか、この点をただしておきたいわけです。ただ、私が申し上げたいのは、公益法人がどれもこれも皆好ましくないと言うているのじゃありません。だけれども、このような種類のものはちょっと難点があるんじゃないか、規制すべきじゃなかろうかと言うているわけでございますから、その辺の誤解のないようにしてもらいたいと思います。
○三木内閣総理大臣 この点は、政府の案をこれからいろいろつくっていくわけですから、今後十分にいろいろ検討をいたすことにいたしますが、党がこの問題について委員会等において検討した中にも、ある一つの制限を加えたような項目が、この要領の中にはあるようでございますが、これは政府の方においても十分研究いたします。
○山田(太)委員 総理がおっしゃったように、「ような項目」があります。ような、です。これは明確にしておいてもらいたいと思います。これは規制を強く要望しておきます。
 ではまた、具体的な例を挙げます。同じく公益法人でございますが、代表いわゆる会長、この会長が国会議員です。名前は挙げません。そうしてその会長の後援団体といいますか、政治団体といいますか、そこに政治献金をしておるのです。この例が相当あります。
 一例を挙げますと、これは科学技術庁の所管でございますが、新技術開発財団というのがあります。これが四十六年から四十九年の上期に何と五百万円、ある国会議員に政治献金――議員に直接ではありませんね、議員の後援団体といいますか政治団体といいますか、五百万円が出ております。やはりこれはある意味においては、公益法人を自分の政治活動に使っておると見られてもやむを得ないという要素を持っております。こういうものについては、自治大臣はどのようにお考えになりますか。また、科学技術庁長官も同時にお答えをいただきたいと思います。
○佐々木国務大臣 ただいま新技術開発財団の名前を挙げてのお示しでございますので、私からお答え申し上げたいと存じます。
 この財団は、リコーの社長であります市村清氏が最期の息を引き取る寸前に、遺言のようにして残した財団でございまして、同郷である某議員といいますか、私も某議員ということにしておきますが、その人に、たっての希望で会長に就任してもらいたいということで、実はその議員が会長になりまして、自後毎回理事会にも出席し、その財団の上に非常に主になって尽力している由でございます。
 したがいまして、この財団の寄付行為によりますと、役員には報酬はないという規定になっておりますけれども、先ほどお話のような議員の後援会にお金の出ていることは事実のようでございまして、それは自治省の方にも届け出済みの由でございまして、財団法人の会計を見ますと、符合いたしております。
 ただ、この支出が、それでは寄付行為に違反しているかどうか、目的の範囲外かどうかというところが大変問題だと思いますけれども、私どもの解釈では、一般公益法人に認められている社会的に有用な行為ということで、不当ではないんじゃないかという解釈にしてございます。
○山田(太)委員 いまの長官の答弁は、委員長も聞かれておって、ようわからぬと思うのです。
○荒舩委員長 わかりません。(笑声)
○山田(太)委員 言うている御本人がわからぬのじゃないか、発音のせいじゃない。国会議員がその公益法人の代表になっておる。いいですか。自分の公益法人、自分の政治団体に――自分のという言葉は語弊があるかもしらぬが、法人格は違うけれども、自分の政治団体に金が行っているわけだ。すなわち公益法人をある意味においては――公益法人ですよ、それを自分の政治団体に政治献金させる。これはちょっと常識的に考えて、好ましいか好ましくないかということを聞いているのですよ。好ましいと言ったら、よほどこれはおかしいのだ。
○福田(一)国務大臣 ただいまの御質問でござますが、法人格が違い、本人と、それから本人会長をしておるということであれば、これは別個の存在と認めないわけにはまいりません。しかし非常に密接な関係があるという意味合いにおいては、あるいはなるべくそういうようなことは避けた方がいいんじゃないかという感じはいたします。
○山田(太)委員 自治大臣はいまは明快でございました。この表にもございますが、やはり好ましくない中の一つです。名前は言いませんが、一人で十一も持っておる人がおります。これはやはり考えなければいけないことではないかと思います。
 そこで、この点はおわかりいただいたと思いますが、次に申し上げたいのは、特殊法人の政治献金でございます。この特殊法人、これは御存じのとおりやはり政府出資でございますが、これが政治献金をしている。これはいかぬと思いますね。しかし迫力が弱いでしょうから、私は例を一つ二つ挙げてみましょう。これはほんの一例です。三つばかり挙げましょう。
 動力炉・核燃料開発事業団、資本金千二百八十四億円、政府出資千百九十四億円、大部分です。金額は少ないですよ、しかし事の成り立ちから言って、これは金額の多寡じゃないということを言いたいために言うわけです。これは四十七年の下期、ちょうど選挙の近くでございますが、日にちまで言う必要はないでしょう。これが二十万円、金額は普通から言うと少ないでしょう。だけれども、性質上非常に好ましくない、それどころか、禁止すべき問題じゃないかと思います。もう一つは、特殊法人の電源開発KK、資本金七百六億円、政府出資が五百四十六億円、これも大部分と言っていいでしょう。これが四十六年の下期に五十万円の政治献金をしております。また、特殊法人国際電信電話KK、これはやはり国会で予算、決算等の審議を受けるところでございます。ここは一〇〇%出資の電電公社から出資を受けておるところでございますが、出資率は一〇%だから多いことはない。だけれども、出資率が少ないからという性質のものじゃないです、先ほども申し上げたとおり。ここがやはり五十万円をある国会議員の政治団体に政治献金しております。先ほど申し上げたのは、皆国会議員のことを申し上げました。他の議員の分もありますが、国会議員だけ先ほどから申し上げております。その点をいま三つ挙げました。幾らでもあります。これはどうお考えでございましょうか。自治大臣か通産大臣、ひとつ答えてください。
○福田(一)国務大臣 私、いま仰せになった金額の問題と個人との関係もよくわかりませんが、できるならば、そういうものは差し控えた方がいいと思っております。
○山田(太)委員 できるならば差し控えた方がいいだろうと思う――前の他の公益法人とはニュアンスが変わってきております。
 これは国民の税金がほとんど行っているところです。国際電電、電源開発KKにしたところで、あるいは動力炉・核燃料にしたところで、国民の税金がほとんど出資として行っているところでしょう。先ほど比率を申し上げたが、前の二つはほとんどだ。国民の税金が行っているその特殊法人から、国会議員に政治献金をする、それは差し控えた方がいいというどころの話じゃないじゃないですか。この点は総理どうお考えですか。
○三木内閣総理大臣 選挙のときには献金はできないことになっていますね、特殊法人は。選挙でないときは、法律違反ではないけれども、好ましくないと思います。
○山田(太)委員 好ましくないということは、やはり今度の法改正において検討を加えていただきたい、ということを申し上げておきたいと思うのです。これは禁止するほどの改正を加える必要が必ずあります。それについて前向きな答弁を、熱意を燃やしていらっしゃる総理から承ります。
○三木内閣総理大臣 この問題は研究します。
○山田(太)委員 禁止するという明快なお答え、これはもう当然です。厳禁すると……(三木内閣総理大臣「研究」と呼ぶ)研究、何だ。研究じゃ前向きどころじゃないな。(三木内閣総理大臣「好ましくないと言っているのです」と呼ぶ)好ましくない。まあ余り時間がないから、この辺にしておきましょう。
 そこで、先ほどから公益法人の、特殊法人も含めて、政治献金の問題を取り上げてきたわけでございますが、これは全部申し上げると時間がかかってしようがないから、一応、公益法人の実態、献金の実態あるいは国会議員の実態等々、調査した範囲内のこの数字の背後には、全部数字でないものがあるということはわかっておいていただきたい。だから国民は、このような献金は疑問に思っているのです。やはり国民の声にこたえていくのが政治じゃないでしょうか。また同時に、政官財の癒着という言葉が世間にはよく出てきますが、何といったって、国民の疑惑の一番の根源は政治資金の問題にあるわけですから、この点をよく踏んまえて、国会といたしましても、あるいは法改正といたしましても、その点は十分規制なりあるいは禁止措置というものをとらなければならないのは当然でございます。
 そこで、また総理のことになって恐縮でございますが、これは、こういうふうなことをやっておったのではだれでもまねしますよ、ということの一つの例でございますから、総理が犠牲になるのはしようがないです。ということは、どういうことかといいますと、――私の考えが当を得ているか得ていないかは別といたしまして、また私が申し上げることが実態とは違うかどうかということも、一応ペンディングにしておきましょう。社団法人の中央政策研究所でございますね、これはもう多くを言う必要はないと思いますが、三木事務所のある番町会館にある。これが総理御自身のために使われているのじゃなかろうかというふうに思われるわけですが、また思われてもやむを得ない事例がたくさんございます。その資料は整えてきております。この中に含まれています。
 私がことに申し上げたいのは、総理はここの役員をおやめになっているようですね。いつおやめになったか、あるいはやめた理由ですね。私どものとった謄本には、総理の名前は載っております。この点は、私がきょう目的としている、政治資金規正法改正の一つの大きな例として挙げたわけでございますから、総理からひとつお答えをいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は総理に就任したときに、いろいろ関係しておるものを全部やめたわけでございますから、これも、就任してからやめたわけでございます。
○山田(太)委員 就任してからおやめになった。謄本をとったときにはまだ載っていらっしゃった。最近の謄本でございます。
 この中央政策研究所は相当年限がたっておりますね。何年ぐらいたっているのですか。
○三木内閣総理大臣 十何年になるんじゃないでしょうかね。十年を超えるんじゃないでしょうか。最初は相当活発に活動しておって、第一回のときはガルブレイス教授も来て、そして一般のたくさんの人が講演をしたようで、スタートしたのは十数年前だと思います。
○山田(太)委員 ここでも機関誌が出ておりますね。これは公益法人の中の社団法人です。その社団法人に適合するような設立目的になってはおれども、同じく継続的に機関誌が出ていますよ、総理が総裁選で敗れた後、かつてのことですね。研究所として、再起を次の戦いにかけるという――読んでもいいのですが、時間がありません。再起をかけるというふうなことを述べておられるところもあります。あるいは総理の演説集ももちろん載っております。そこで、総理御自身が役員をしていらっしゃったと言いましょう、現在は。総理に就任なさってから後やめられたということですから。その研究所でございます。これは社団法人です。私は思うのです。ここは政治団体の届け出はもちろんしてありませんね。そこで機関誌を出し、あるいは自分の演説を載せ、あるいはここから会費を、これはやはり会費なり寄付を取れるところです。そうしてそれによって旅行もし、あるいは外国にも行こう。そしてそれをまた機関誌に印刷してまた配ることもできる。それが違法と言うているわけじゃない。だけれども、国会議員でない人ならまた別ですな。国会議員の性格が公益性があるというふうな、そういう論ももちろんありますが、やはり政治活動に類することがやっていける、そういう社団法人をつくることができるということの、こういう抜け穴があるというところです。この点ははっきりしておきませんと、せっかくの公益法人、せっかくの社団法人、ほかにも例を挙げてもいいのですが、時間がありませんから、総理ひとつ犠牲になっておいてください。やはりこの点は考えておきませんと、変な考えでまねをする人も出てきたってどうしようもない。また私ども調べてみて、先ほど申し上げましたように、金は、会費あるいは寄付というものはもちろん取っていきます、集めることはできます。と同時に、いわゆる政治団体と同じ政治活動ができるという要素が多分にあるわけです。現在違法と言っているわけじゃない。だけれども、言うならば、調査していけばいくほど、政治団体としての届け出をすべきじゃなかろうか、こう思わざるを得ない面々があるわけです。この点について総理御自身、いまは理事をやめていらっしゃるのだ。だけれども、これは全国的な立場において、判断なり御意見を承っておきたい。
○三木内閣総理大臣 山田さん、お調べになっても、政治活動はしておりませんよ。そして非常に活発に活動した団体です。最近は活動が非常に鈍っておりますが、また、私も毎回は書いてはいないわけでございます。向こうの編集者が希望をされたときに、私が執筆をしたということでございまして、それは私の考え方、まあ総裁選挙のときのいろいろな私の発言というものを――私の政治活動というのは、国民的な関心もやはり私はあると思いますよ、これは。雑誌の編集者として、それを載せたいという希望があることは、私の政治的関心というよりかは、一般の国民的な関心というものを考えて、そういう編集をしたものだと思うのです。あれは実際に、私は政治活動は何もしていないのですよ。そういうことでありますから、政治活動ならやはり別にやるわけでございますから、そういうことで、政治活動をやるのに社団法人にしておるということはありません。しかし、社団法人というものは、特定の多数のためにいろいろな活動をするわけでありますから、今後はそういうことで、社団法人の運営というものは少しルーズになり過ぎておる面もありますから、これはやはり内閣の方においても、社団法人の監督は厳重にしていく必要があると思います。
○山田(太)委員 私はもう一遍言うておきますよ、政治団体と断定して言うているのじゃないですからね。だけれども、先ほど申し上げたような、政治活動に類するようなことに利用しようと思えば利用できるような、そういう雑なものが残っているということです。したがって、いま総理がおっしゃったように、その点については厳重にチェックもしていかなければならないし、やはりその点については、それをちゃんと規定できるだけのものを考えていただきたい。この点を強く要望するにとどめておきたいと思います。
 そこで、党といたしまして、公益法人の総点検をやったものですから、まだ申し上げたいことはたくさんあるのですが、ひとつ聞いてみましょうか。
 総理は恐らく御存じないと思うのですが、現在国の許可による公益法人、この数を知っていらっしゃる人がおったら答えてもらいたい。配ってあるから、この表を見て答えればそのままですけれども。同時にもう一つは、ここ数年の設立許可数あるいは補助金なり委託費、これの合計というものを答えてもらいたい。
○植木国務大臣 ちょっと、いま正確な数を、資料を出さしておりますが、国の所管する公益法人は全国で約四千五百でございます。地方自治団体が所管をいたしておりますのは約一万でございます。
○山田(太)委員 私が聞いたことには答えていらっしゃらないようでございますね。まあいいでしょう、この点について時間を食ってもしようがないから。わが党で調査した分と、そう大差はないはずです。そうでしょう、返事をしていらっしゃるようですから。
 そこで、もうあとわずかな時間ですが、私がどうしても納得できない分を一つだけ言います。
 公益法人でゴルフ場をやっている。しかもこのゴルフ雑誌に、ここのゴルフ場の会員証というのですか会員権というのですか、これが千三百万円だ、千四百万円だというて載っているわけですね。非常に高い金額になっていますね。ところで、全部言うわけじゃありませんよ。その金額でどうのこうの言うわけじゃありませんが、いまの常識から考えて――いまのゴルフ場の企業は、やはりいわゆる企業経営をしているわけです。ところが公益法人でゴルフ場をやっている。時間がないからやめますが、約三十法人ぐらいあると言われております。これは非常に好ましくない一つの例だと思いますが、これは全部社団法人です。これは文部大臣の所管で、県においては県の教育委員会の認可になっております。私は、これは考えなければいけないのじゃないかと思うのですが、文部大臣、いかがでございましょう。
○永井国務大臣 私はゴルフをいたしませんので、余りゴルフ雑誌について詳しくないのですが、しかし御指摘のような事実が相当あるようです。これは公益法人の趣旨に沿っているものとは考えません。
 大体は、規約があって、社員が死亡すると、その相続人が会員になる、そして他の会員の連署によってなる、こういうふうに厳格にやっていればよろしいのですけれども、いまのお話のような事実があるということは非常に重要なことで、考えなければいけない。
 そこで、文部省はどういうふうにしているかというと、これを二つに分けまして、都道府県の教育委員会が認めるわけでありますから、まず、今後につくるものにつきまして、昭和四十九年の十二月二十七日付文部事務次官通知を出しました。それは「地方公益法人に対する都道府県教育委員会の許可、認可等の事務について」というのでありまして、審査基準を非常に厳重にする。法人の認可について、審査基準を厳重にいたしまして、適正を期するようにするということです。
 しかし、いままであるものをどうするかということでありますが、これはいま御指摘のような問題がありますので、それにつきましては、法人の加入承認に関する規則の運用あるいはあり方に問題があると思われるものについていま調査をいたしておりまして、そして改善について強く指導するという方針で臨んでおります。
○山田(太)委員 改善について強く指導する、これは文部大臣としては、いま現在では、ここまでしか答弁できないかもわからぬ。なぜならば、やはり公益法人の許可の取り消しとか、こういう問題は、やはり法改正に待たなければならぬという点が多々あるわけでございます。
 そこで、この点について最後に申し上げておきたいと思います。これは政治団体も兼ねて、この法人の問題について、私もこの問題だけはやはり含めなければいけないんじゃなかろうかという常識的な言葉で三点申し上げます。一つは、許可の際の基準をさらに明確にするということがやはり大切だと思います。これはいま文部大臣がおっしゃっておる。二つは、設立中間段階でこれをチェックするということが大切じゃなかろうか。所期の目的と変わってしまっている。これが二つ目ではないかと思うのです。三つ目には許可の取り消し。いまの民法においてはこれが非常に不備になっています。すなわち、ここに挙げてあります休眠法人は、国の許可の分の数でございますが、全国的にはすごい数になります。休眠法人――この前、福田副総理からも、この予算委員会で、だれかに答弁があったように私は聞いておりますが、やはりこの法改正をしなければならぬ。この点もどうしても大切なことでございます。許可の取り消しについての法改正、この点について、法務大臣あるいは行管ですか、あるいは総理――三人とも全部でも結構ですし、一番よくわかる人から答えていただいても結構です。
○植木国務大臣 便宜、私から御答弁を申し上げます。
 すでに御承知のとおり、四十六年に行管から、許可の基準を明確にすべきであるということが閣議でございまして、これに対しまして統一的な基準を、昭和四十七年の三月に、公益法人監督事務連絡協議会というところで申し合わせとして行ったのでございます。
 これの基準は、具体的にいろいろございます。たとえば同窓会や同好会等の親睦団体みたいなものはいけないだとか、あるいは特定職域のものだけを対象としてやるものはいけないだとか、あるいは後援会等特定の個人などを支援する目的のものはいけないだとかいうようなものがございまして、そして資産についてもいろいろ明確にしたのでございます。
 それから、指導でございますけれども、ただいま、毎年、御存じのように、法人の理事会においてその事業計画が決定されまして、これは各省に出されます。そして設立目的から逸脱したものがないかどうかということを厳重にチェックをいたしておりまして、また定期的に、それぞれの団体に実施の検査をいたしまして、指導をいたしているのでございます。したがいまして、ただいまのこの申し合わせの基準を各省庁がさらに十分に尊重いたしまして、監督を厳重にしてまいりましたならば、いまのところは法改正までは必要ないではないかと思われます。この点について研究さしていただきます。
○山田(太)委員 時間が参りましたようでございますので、この法改正の問題については、これは私はまだ申し上げたいことがあります。しかし時間が来ましたので、委員長のお許しをいただいて、まだ独禁法でお聞きしたいことがたくさんあるわけですが、一点だけ総理大臣にお伺いしたいと思います。
 それはどういうことかと言いますと、総理は独禁法改正にいま非常に意欲的であるということは、もちろんよく承知しております。その中で、やはり独禁法違反によって損害を受ける消費者を救済するための消費者条項を入れたい、こういうことも聞いております。その点について一つ。
 もう一つは、私どもの党では、いわゆるクラスアクション、集団代表訴訟制度といいますか、この点はやはりやるべきではなかろうかというふうに考えております。その点も、まあ反対論も相当あるようでございます。しかし、その点についての総理のお考えをやはり明快にお聞きしておきたいと思います。
 総務長官は非常に苦労していらっしゃるようでございます。また、通産大臣との意見の調整もなかなか大変なようでございますが、しかし、この独禁法の改正は、やはり三木総理の踏み絵の重大な一つでございます。やはり国民の多くの人を失望させないように、ただ単なる他の方面の圧力に屈しないでがんばってもらいたいということの意味も含めて、この点の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○三木内閣総理大臣 独禁法は、消費者、中小企業者を直接に保護するというよりかは、経済の秩序を確立することによって、間接的には消費者、中小企業者の利益を擁護することになるわけでございますが、消費者の立場を、総務長官の場合においてもいろいろと消費者の立場というものを考えておるようでありますから、総務長官から、もしこの席上でそういう点について話せることがあったら、私の答弁を補足いたすことにいたします。
○山田(太)委員 時間を延ばしていただいて、まず委員長にお礼を申し上げますとともに、きょうの言々句々の中に少々失礼な言葉もありましたら、その点はひとつ御容赦をお願い申し上げて、きょうの質問は終わりたいと思います。
○荒舩委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。
 次に、玉置一徳君。
○玉置委員 私は、民社党を代表いたしまして、核防条約、それから領海、海洋法等々、外交問題の一端をお伺いしておきたいと思うのです。
    〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕
 そこで、まず総理にお伺いしたいのでありますが、日中平和友好条約の締結についてでありますが、目下交渉をお進めになっております日中平和友好条約締結の意義を、どのようにお考えになっておられるか。先方の非常な期待にこたえられまして、どのような熱意をもってこれに臨んでおいでになりますか。これは三木内閣の国民から寄せられております五つぐらいの大きな柱の一つだ、こう思いますので、まず総理の決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 アジア百年の歴史を見ましても、日中間の関係がうまくいかなかったという、これがやはりアジアの安定を欠いた大きな原因であります。だから、日中の間で永遠に戦わない、戦わなくて、そしてお互いに子々孫々に至るまで友好関係を樹立するということは、アジア、太平洋安定の大きな基礎になる。私は、外務省において、外交ルートでいま中国との間に折衝を続けておりますが、この交渉がまとまり次第、国会の批准を受ける所存でございます。
○玉置委員 そこで、外務大臣にお伺いしたいと思います。
 外交交渉のことでございますので、内容をとやかく言うことは、説明されることは、困難だと思うのでありますが、この交渉の問題点、ポイントは何か。そうして、本国会での批准に間に合うように合意ができるお見通しがあるかどうか、これも無理な話でありますが、こういう問題につきまして、特に説明してもよい範囲内に限りましてで結構でありますから、御説明をいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ただいま両国間で話し合いをすでに二、三回了しておりまして、本質的にはただいま総理大臣が言われましたような性格のものにいたしたいということは、ほぼ合意がございます。ただその間、中国側といたしましては、日中国交正常化に伴う共同宣言のいわゆる第七項にあります問題につきまして、日中以外の国に、私ども解釈では、直接関係がありそうな問題についての提起がございまして、それは両国の平和友好関係を規定すれば足りるのではないかと、私どもは考えておりますけれども、先方は必ずしもそういう立場ではないという問題などがただいま残っております。私どもとしては、その問題が幸いにしてわれわれの主張に先方も同調されるのであれば、ひとつぼつぼつ条文を具体的に書いてみまして、両方の考えに差異がないかどうかを確かめたいと思っておりますけれども、まだその段階に至っておりません。
 ただいまの問題について比較的早く両者の合意が見られますと、あるいは今国会に御提出をして御審議を仰ぐことが可能になるかもしれない〜思っておりますが、ただいまのところ、まだ確たる見通しを申し上げるに至っておりません。
○玉置委員 そこで、もう一つさらにお伺いしておきたいのは、この平和友好条約が締結されますと、わが国の対ソ外交に障害があるかどうか。台湾との問題は、従来のわが国と台湾との関係がそのまま継続されるのかどうか。特に、最近問題にされております日台航空の問題に支障を起こさないかどうか。その三点についてお伺いしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 私どもは、この条約は日中の平和友好関係の基礎を確立する目的と考え、それを志向しているものと考えておるわけでございますし、また、わが国は同時に、ソ連とも友好関係を増進していかなければならない立場にございます。したがいまして、何かの形で、この条約を結ぶことによって、ソ連との友好関係が損なわれるというようなことは避けなければならないというふうに考えております。
 それから第二点でございますが、台湾との間に国交関係はなくなったことは御承知のとおりでございますが、同時に、今後の日台間の関係は、日中共同宣言の枠内において処理されなければならないというふうに考えておりまして、この条約を結びますことによって、その関係がさらに悪いものになるということは、これはそうならないように配慮をしなければならないのではないかと思っております。
 第三点の問題は、日台の航空路線が安定的な基礎の上に再開されますことは、政府としても喜ばしいことであると考えてはおりますものの、それにつきまして、日本政府が政府として何かにをなし得るという性格のものではございませんで、願わくはわれわれのそのような希望が満たされるような状態と、台湾側が環境を理解してくれるようになれば、非常に喜ばしいことである、さように考えております。
○玉置委員 そこで、本論に入りまして、核防条約の問題について、二、三お伺いしておきたいと思います。
 外務大臣は、過日、二十七日の衆議院の内閣委員会におきまして、平和利用の平等性の保障措置協定ができましたので、さらに非核保有国の安全保障に対する何らかの国際間もしくは二国間同士の措置――あるいは条約か了解事項か何か知りませんが――を早急にとるように働きかける、こういうお話でありました。このことは、近く開かれる核防会議の再検討の場で、そういうものを措置しようとお思いになったのだと思います。
 ところが、三月一日の本委員会におきまして、保障措置協定がほぼまとまったので、同協定の正式な翻訳ができます三月中に、自民党内の意見の取りまとめを終えたい、こういうことは、四月に国会に提案できる、こういうような意味にとれたのでありますが、一体どうなんでございましょうか。
○宮澤国務大臣 まず、御提案の時期につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおりでございまして、事務的な準備は、恐らく四月の早々には、事務上の準備体制は整うであろうと考えておりますが、政府がこの条約に署名いたしましたときに掲げましたもう二つの条件のうち、ただいま御指摘になりました問題が、かつての国連の安保理事会の決議をもってしては不十分ではないかとか、あるいは現在までに確たる進歩がないではないかというような一部の御意見がございまして、もしできることならば、二国間、あるいはただいま仰せのような会議の機会に、それをさらに確認することが望ましいということは、私ども実は考えております。ところが、その二国間の場合に、この条約に加盟をしておらない核保有国もございますし、またソ連の立場などになりますと、なかなかいろいろ複雑なものがあるであろうとも思われますので、その可能性と、五月の会議における多国間の場における可能性等、実はいろいろにただいま検討いたしております。恐らく、御質問の御趣旨は、国会におまえの言うとおりの時期に提案ができるとすると、五月の会議に、それでは時期的に間に合わぬではないかというような御指摘かと存じますが、それはその時期ごろまでには、五月の会議に何をどのようにするかというような根回しは、当然にいたしておかなければならないと思いますので、その点について国会に御説明ができるようになりましたら、あるいはそれだけでも、何がしかの進歩として御了解が得られるのではないか等々、ただいまその辺の可能性をいろいろに考えておるところでございます。
○玉置委員 総理にお伺いしたいのですが、いまの問題で、三つのうちの二つは大体できつつある。最後の非核保有国の安全につきまして、前の安保理事会の決議だけでは不十分だという向きもあるから、これを近く開かれる核拡散防止条約の再検討の会議におきまして何らかの措置を講じようという考え方と、それは事後でもいいから、大体そこらにまで近く根回しさえできれば、先に国会に批准のための提案をしようということの決意なのかどうか、総理、お答えになれますか。
○三木内閣総理大臣 これは重大な問題でありますから、自民党内の意見も十分徴したいと思いますが、唯一の被爆国民として、核武装をしないということは国民の決意であることは間違いない。この国民の決意の延長線上として、核防条約に対して政府が調印をしたのはもう五年も前になるのですからね。したがって、そのときに問題にしたのは、核の平和利用について日本が国際的に不平等な立場に立たされるのではないかという懸念が提起され、これを一番問題にしたわけです。最近、国際原子力機構との間に、日本が予想したよりも非常にいい結果が生まれて、最恵国待遇にもなったわけですから、ここでいま問題の核軍縮という問題については、これはやはり批准をすることによって日本の国際的発言力は強くなる。批准もしないでおって核軍縮と言っても、何かその発言には重みがないのですね。また、核に対する非核保有国の保障については、安保理事会に、間接的ではございましたけれども、安保理事会はこれに対して一つの国連憲章による責任を持つという間接的な表現があるし、日米安保条約というものがあるわけですから、これはあらゆる手段をもって日本を防衛するという責任を負うておるわけですから、日本が核拡防条約に批准をすれば、条文が変わるわけではありませんが、アメリカの道義的責任というものはさらに重きを加えるというように私は思うのでございます。
 したがって、そういう点で、自民党の中においてもいろいろな御意見があることは当然だと思いますが、党内のそういう人たちにも納得を得て、そして国会の批准を求めるべきであって、いま、非核三原則というものを何か日本人の使命感のように言っておって核防条約に批准をしないということは、論理が一貫しない。それはフリーハンドということで、将来核武装でもやろうというなら別ですけれども、核武装をしないということが国民の決意であるならば、ここで批准をしないということに対しては論理の一貫性を欠く。だから自民党内部においてもよく説明をし、納得を求めて、できるだけ速やかに国会の批准を得たいと、私自身は考えております。
○玉置委員 そうしますと、国内からも、外務省あるいは科学技術庁、原子力委員会等々も、非常に積極的にやってくれというお話もあり、要請もあり、かたがた当然、事項としてやるべき事項でもございますので、自民党党内にも若干のいろんな異議もありましょうけれども、できるだけ早く御納得をいただくようにして、そして早く国会に出したい。したがって、事後の措置は、なおさらやればやるほどいいというような意味で、近く開かれる再検討の会議にもできるだけの根回しはする、こういうように理解してよろしゅうございますね。
○三木内閣総理大臣 外務大臣が、できるだけ国民の不安にこたえたいということで、今後いろいろと努力をすることは、私は必要だと思いますが、そういうことは、新たなる条件がいろいろ加わってこなければこの批准はできぬということになりますと、なかなか容易ならぬと思いますから、またこれは今後継続して、日本の外交の大きなよりどころでもあるわけですから、核軍縮、非核保有国に対する核の脅威を取り除くということは、日本外交としても、もう少し積極的に国際政治の場面で活躍しなければならぬ問題点でございますから、将来この問題は努力をしていく必要があるということに考えております。
○玉置委員 そこで、三番目に、領海十二海里の決定につきましてでございますが、先般、二十七日には安倍農林大臣、二十八日には外務大臣が、本委員会において、これを決定したいという旨の言明がなされております。総理も御案内のとおり、これはもうずっと前から大体世界じゅうの一つの常識にもなりつつあったものでありますし、いろんな問題はございますけれども、今度の海洋法会議におきまして、当然このことが議されると思いますから、総理もこのようにお考えだ、決断しておいでになると考えてよろしゅうございますか。
○三木内閣総理大臣 世界の大勢は、玉置さんも御存じのように、十二海里というのが大勢になりつつある。したがって、いますぐに十二海里を宣言したらどうかという声もあるんですよ。ソ連なんかの漁船のことも関連しておるのでしょう。しかし、海洋法の会議があるわけですから、そこで十二海里ばかりでなしに、航行の自由、いろんな問題がありますから、その会議でどうせそういうことになると私は思いますから、そこで日本が宣言したらどうかと思っておるのですが、これは外務省で、もう少し検討してもらいます。
○玉置委員 そこで外務大臣と法制局長官にお伺いしたいのですが、長らくやってまいりました領海三海里でございますが、明治三年に決定されましたときに国内手続がとられております。そこで十二海里を決めるときに、いま総理がおっしゃったように、この海洋法会議で当然大体こうなるということが見込まれますから、その後で決定される手続になると思うのですが、明治三年の領海三海里決定のときの国内手続にかんがみまして、どのような措置をお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
○吉國政府委員 ただいま御指摘のございました明治三年の措置と仰せられますのは、明治三年に太政官布告が出ております。これは当時プロシアとフランスの戦争、普仏戦争が始まりまして、日本が中立の態度を宣明しょうということで、明治三年の七月二十八日の太政官布告で、「今般孛漏生佛蘭西兩國交戦ニ及候趣ニ付於我皇國ハ局外中立之儀堅可執守旨被仰出候就テハ交易場ハ勿論海岸諸要區ニ於テ左之條々相心得不都合無之樣可取計候事」その「左之條々」の中に「一」といたしまして「港内及内海ハ勿論二候へ共外海之儀ハ距離三里以内兩國交戦ニ及ヒ候儀ハ不相成尤軍艦商船共通行ハ是迄通差許候事」つまり領海の三海里の――この三里と申しますのは、後の通達で三海里という意味でございますが、三海里以内では両国は交戦してはならないということを宣明したわけでございますが、これはその当時に三海里説を日本が採用したという意味ではなくて、当時、十七世紀の末以来、学説が、国際法上の一般原則として高まっておりまして、国際法上は一般規則的なものとして三海里説が大多数の国に妥当しておった、その国際法の原則にのっとった上で、日本は中立宣言をしたということでございますので、この明治三年の太政官布告によってわが国の領海が三海里になったということではなくて、すでに領海三海里という国際法上の規則があることを前提にして、中立宣言をしたという意味と解せられます。
 そこで、今度海洋法会議の結果どういう国内の措置をとるかということでございますが、海洋法会議の推移を見てみなければわかりませんが、海洋法会議の結果いかんによると言わざるを得ないと思いますが、仮に海洋法会議の結果といたしまして領海は十二海里であるという一般国際法上の規律と申しますか、規則が確立するような形で海洋法会議が終結いたしますならば、もう何ら国内法上の手続は必要でない場合もあり得るのではないかと思います。そのような点も踏まえて、今後手続の点については慎重な検討をしてまいりたいと思います。
 なお、先ほど申しましたように、明治三年の太政官布告はそういうようなことでございますので、極端に申せば、当時の普仏戦争における中立を宣言したにすぎないというもので、いわば御用済みのものとも考えられますので、これを今日改正するとかどうとかという問題はないのではないかと思います。
○玉置委員 外務大臣も大体同じようだと思います。
 そこで、領海が十二海里になる可能性が非常に多いわけでありますので、拡大をいたしました場合に、国際海峡が自由通航となった場合、つまり、津軽海峡などに米国やソ連の船が一もし核の積載艦船が航行してくるような場合に、非核三原則を盾に――実質的に持ち込まれることになりはしないか、ここで例外規定を設けなければならないような問題が考えられるわけでありますが、その場合にはどうされるか、外務大臣からお伺いしたい。
○宮澤国務大臣 この問題は、いわゆる十二海里というものが、海洋法会議でどのような経緯を経てどのような条件のもとに決定されるかということに関係をいたすと思います。仮に国際海峡について、これは原則として自由航行であるというようなことになりましても、恐らくはそのすべてが自由と申しますよりは、その中で一定の航路を指定するというようなことになるのであるか、あるいはまた、自由航行ということでなく決まるのであるか、その辺が、これからの会議でございますので、見きわめがついておりません。この問題は確かに御指摘のような問題と関連をいたしますので、海洋法会議の推移を見ながら、もう少し先になりまして決定をしなければならない問題で、それまで慎重に検討してまいりたいと考えております。
○玉置委員 わが国は米ソとともに、やはり自由通航の推進の方に回らなければならないのじゃないだろうか、こう思いますので、よほど、あらかじめ早いこと御検討いただきたいと思うのです。
 そこで、同じく海洋法会議でありますが、せっかく世界各国の海洋に至りまして魚をとっておるわが国といたしましては、非常にむずかしい問題が生じてまいります。そういう意味で、ソビエト等とも、こういう問題について、新聞を見ましても、どうせ連絡をとりながらおやりになるように拝見いたしますが、どのような態度でこの会議に臨むか、外務大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 この会議におきましては、ただいまの領海の範囲の問題あるいは国際海峡の自由航行の問題、経済水域の設定に伴う問題、あるいは海底、深海の鉱物資源に関する問題、海洋汚染等々、いろいろな問題がございますので、私ども、できれば全部を有機的に結びつけて、各国の同意をつくり上げながら、わが国の国益を最大限に考えたい、基本的にそういう態度でございますが、
    〔小山(長)委員長代理退席、谷川委員長代
    理着席〕
場合によりまして、ただいまのような問題につきましては、経済水域の中における既存のいわば既得権と申しますか、そういったものについて、二国間でいろいろな取りきめをするという必要が生ずるのではないかと一般的には考えておりますけれども、なおその点、農林大臣から御答弁をいただくことが適当かと存じます。
○安倍国務大臣 経済水域二百海里は、世界の大勢になりつつあると思うわけでございますが、この経済水域が、この海洋法会議においてどういう形で決まるか、非常に排他的なものになるのか、あるいは外国の漁業権、既得権を認めてくれるという形の経済水域になっていくのか、海洋法会議を見なければならぬわけでございます。しかし、いずれにしても、わが国の遠洋漁業にとっては非常に厳しい事態が想像されるわけでございまして、現在、二百海里水域では四百五十万トンの漁獲高を上げておるわけでございますが、このわが国の漁獲高に対しまして、厳しい状況が生まれてくると思うわけでございまして、そういう点から、私たちとしても、海洋法会議においてわが国の漁業の漁獲高が認められる、既得権を維持できるという方向で努力をしていかなければなりませんが、同時にまた、北洋等につきましては、今日から日ソ漁業交渉等も始まっておりますが、二国間あるいは多国間の外交交渉を通じまして、既存の権益を維持していかなければならぬ、そういう努力を今後とも続けていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
○玉置委員 もう一つ農林大臣にお伺いしたいんですが、水産資源につきましては、かなり損害をこうむる可能性が多いわけであります。こういう意味では、いまのお話のように、どのようにやっていけるか、実際はやってみなければわからぬと思うのですが、それにいたしましても、現状どおりというわけにはまいりにくいのじゃないだろうか。こういう意味で、水産資源、魚のたん白、動物性たん白の摂取のために、思い切って手を打っていただかなければならないのじゃないだろうか。この間は、海洋法会議とは別でありますが、やはり北洋船団の出航が半減されるような羽目になったというようなことで、労使の悶着を起こしていたわけであります。こういう意味では、ちょうどいまの不況対策と同じでありまして、企業にもあれでございましょうけれども、そこに働く人々のためにも、周到な御配慮をひとついただきたいと思うのですが、こういうことにつきまして、今後のお考えをお伺いしておきたいと思います。
○安倍国務大臣 わが国の水産の漁獲高は大体一千万トン以上あるわけでございますが、そのうちの四百五十万トンが経済水域二百海里に含まれるわけでありますし、北洋関係では、四百五十万トンのうちの三百万トンと言われておるわけでございます。この漁獲について非常に厳しい規制等が行われるということになりますれば、わが国の水産資源確保のためには、先ほど申し上げましたようなあらゆる外交努力を続けて、今日までの漁獲の維持を図るとともに、やはり今後とも、世界における新しい資源の開発であるとか、あるいは深海漁場の開拓であるとか、そういう施策を続けるとともに、沿岸漁業につきましても、まだまだわれわれは、今後漁場開発あるいはまた栽培漁業の振興等によりまして、百万トンくらいの増産は見込むことができる、こういうふうに思うわけでございます。そうした立場に立って、沿岸、遠洋ともに、今日まで維持してきた一千万トン以上の漁獲を何とか維持するように最大限の努力をしたいと思います。また同時に、北洋等につきまして、もし規制等が厳しくなってわが国の船団等を減らさなければならぬ、そういう事態になって、漁業の従事者の皆さん方にとって非常に厳しい事態になりましたときは、もう運輸省、関係名省庁とも十分相談をいたしまして、そして万全を期し、十分な配慮をしなければならない、こういうふうに考えております。
○玉置委員 海洋法会議でそういう決定がなされましても、あしたからすぐやるということでもないんでしょうから、ひとつあらかじめそういう長期にわたります計画をおつくりいただいて、本当に職場を急に離れるような方々に対して、十全の対策をひとつ講じていただきたい、こう思います。
 そこで、外務大臣にお伺いしておきたいのですが、海洋法会議が二百海里ということで、大体もう世界の大勢が、内容はどうだということだけは別でありますが、動かし得ないのじゃないだろうかというような零囲気になっておるように承っております。そういうことになりますと、早速日韓大陸だなというのが両方にまたがってしまうような形になりまして、いま国会に提案されておるわけでありますが、ああいう問題はどのような影響を受けるとお思いになりますか。
○宮澤国務大臣 海洋法会議がどのように決着いたしましても、恐らくは、片方におきまして経済水域というものの設定、他方におきまして大陸だなというものの理論、両者が恐らく両方残るというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、二百海里の経済水域から申しますと、御提案を予定しております大陸だな条約におきましては、あの部分がもちろんわが国の経済水域にほぼ含まれるわけでございますけれども、同時に韓国側の経済水域にも大部分が包含されるということになりまして、その間、やはり調節の問題が起こります。それから、別途に大陸だな理論が当然残ることになるわけでございますので一この部分は全部韓国側の大陸だなに入ります。わが国からも、わが国の大陸だなに入るという主張は不可能ではございませんけれども、もともと大陸だなというものが、大陸から出てくるたなという考え方があるものでありますから、わが国の場合に、こちらの延長という主張が、正直を申しまして、なかなか苦労をいたすわけでございます。
 そこで、どのような可能性から考えましても、やはりあの部分は共同開発をするということがわが国の利益にかなう。つまり、もう一度申しますと、大陸だなの理論が残ります限り、韓国側の主張が、大陸だな本来の性格からいって、やはり強い主張になろうと思いますが、経済水域の理論でわが国が全部主張を通し切れますかというと、その部分は大部分が重複するというような関係になってしまいますので、やはり中間線というようなことでいたしました、このたびのあの条約の妥結というものが、わが国の開発のために有利なのではないかという、依然としてさような判断を持っております。
○玉置委員 それでは外交問題を終わりまして、独禁法の問題につきましてお伺いしたいと思います。
 実は細かくいろいろな問題を詰めていきたいと思ったのですが、思うよりも、どうも時間がいやというほどたちますものですから、一足飛びで、要点だけを聞かざるを得ないと思いますので、ひとつ要領よく決意のほどをお示しをいただければありがたいと思います。
 そこで、公取委員長にお伺いしたいのです。
 原価公表につきまして、現行法四十条で、違反の疑いのある場合は立入調査ができるのだ、したがって原価についても当然調査がそのときにできるじゃないか、こういう意見もございますが、それでは今度の改正に不十分だと言われるのか、公取試案を出された真意は何か。
 ついでに一緒に聞いておきます。
 二番目に、株式保有制限につきまして、公取試案と総理府の試案が大分基準が変わってきておりますが、支障ないと思われるかどうか。
 三番目に、特に企業の分割命令でございますが、総理府の試案といたしまして、営業の一部譲渡と変わってきておりますが、しかもその手続として、主務大臣と協議するとなっております。あるいはまた、内閣に勧告するのが公取の仕事に、そういうような決め方にした方が望ましいのじゃないかという意見もある。こういうときに、公取委員長はどのようにこの問題をお考えになるか。
 四つ目、先般二十八日、商工委員会で、公取委員会の独立した職権行使を、どのような形であれ、実質的に制限するような内容があれば、政府がそのような案を決めても受け入れることはできない。これは新聞を見たままでありますので、そのとおりの言葉かどうかわかりませんが、ほぼそういう内容であったと思うのですけれども、そういう見解をお述べになっております。具体的に言えばこれは一体どういうことであるか、この四点をお聞かせいただきたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 最初に、原価公表の問題は、これは四十条で現在でもできるじゃないかとおっしゃいますが、調査をするというだけでございましたらそれはよろしいのでございますが、実はこちらの試案の骨子にございますように、それをその社に公表させるというところに、実は意味があるわけです。ですから、今後どのようにこれが変わるか知りませんが、私の方で公表するのではなくて、そしてまた部分的には、場合によったら企業の秘密になるかならぬかはっきりしない部分がございます。どのようになるかわかりませんから、私、いまその点を詳しく述べませんが、そのような場合にも、これは公表にも手段がございます。たとえば開示する。私は、公表という方法のかわりに開示でもいいと思います。しかし、その社をして開示せしめるという趣旨で出したものですから、これは現行法にはない権限であります。目的も非常に特殊な目的でございますので、それは四十六条では立入調査はできません。四十条では一般的調査、それは調査するだけで、公表とは、企業の秘密を除いて公表することができるという規定が別に四十三条にございますが、それだけでは不十分であるということから、全体を結びつけまして、新しい目的を掲げ、そして何らかの方法で、同調的な高度寡占におけるごく一部の特殊業態について要求しようという趣旨のものでございます。
 それから、株式総量の制限について、新聞の報ずるところによりますと、大分原案とは違っているじゃないかということでございますが、またこれは現在総理府の方でせっかくお取りまとめ中でございますので、私としては――変わっている点と申しますれば資本金、これはもちろん大規模、その資本金または自己資本の二分の一という点が違っているように報道されております。そういう点について、私はここで意見を述べることは差し控えたいと思います。
 それからもう一つは、企業の分割につきまして協議を要する、主務官庁との協議ということはどうなのか、この点も実は詰まっておりません。詰まっておりませんが、その次に御質問になりました公正取引委員会の独立性の問題これとの関連がございますので、それについてだけは、商工委員会でも私はっきり申しておりますし、ここの委員会でも申しましたとおり、二十八条によって保障されております職務執行上の独立性という問題は、私どもの仕事が、わかりやすく申しますと、裁判に非常によく似た審判を主たる使命としております。その審判を公正に保つためには、絶対にこの二十八条の独立性は保障されていなければならないと考えます。したがって、これを侵すようなことになっては、私どもとしてはとても承服ができないのだ、こういう趣旨のことを申し上げた次第でございまして、この考え方はいまでも変わりません。
○玉置委員 通産大臣にお伺いしたいのですが、私は、資本主義が爛熟し、しかも世界経済の一つとしてすべてが活動せなければならないような時代になりますと、好むと好まざるにかかわらず、寡占体制のような形ができるのは、これはある意味では自然じゃないだろうか、こう思います。そこで、いまの公取委員長のお話のように、審判を主としてする機関でございますので、その独立した地位というんですか、権限というものを持たなければやれないのだ、こういうお話もよくわかるわけであります。しかしながら、だれが見ても、総合商社というような大きなものは、あの機能をためないで、そして融資、株式保有というようなことで中小企業やその他を系列化していくような姿は、これは何か規制をしなければいかぬなということはだれでもわかるのですが、どこをいじったら一番うまくいくのか、角をためないで済むのか、こういうことにみんな非常に苦労しているんだと思うのです。
 どちらにいたしましても、経済民主主義というのが、独禁法の何と申しますか趣旨でありますから、角をためないでやるような株式取得の制限というふうなものもやらなければいかぬのだし、しかしこれは公取の方としては、違反行為があった場合におやりになるのがお仕事でありますので、通産行政としても、寡占体制、寡占価格が形成されるおそれの非常にあるようなものは、企業が社会的な責任を自覚して、国民経済の伸展に寄与するような方向に常に指導すべきじゃないだろうか、こういう感じがいたします。
 そういう意味で、新聞を見ておるだけで、わかりませんけれども、通産省の方のこれに対する御主張、その意見を、余り角の立たぬようにしながら、ひとつ御解明をいただいておいた方がいいのではないかと思いますので、この三点の問題につきまして、通産省の考え方は、こういう意味でここをこうしておるんだということを、この際明らかにしておいていただいた方がいいんじゃないか、こう思うのです。
○河本国務大臣 御質問の御趣旨はよく理解をいたしております。ただしかし、総理府がせっかく長い間かかってこれまでに案をまとめられまして、いま最終の調整中でございます。私も若干の意見は持っておりますが、非常にデリケートなときでもございますし、かつ総理からは大所高所からまとめるように、こういうお話もございますので、いま具体的に申し上げるのは、ちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
○玉置委員 植木総務長官にお伺いしておきたいのですが、大体まとめられるような御自信があるかどうか。と同時に、かなり時間がかかるのか、三月中に国会に提案するような運びになり得るのか、そんなところのお見通しをお伺いしておきたいと思います。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 二十四日まで事務的レベルの折衝がございまして、二十六日から閣僚間の意見の調整をいたしております。きょう、夜も通産大臣とお会いをすることになっておりまして、できるだけすみやかに政府素案をつくって、それを自由民主党に提示し、意見の調整をいたしまして、政府案を作成いたしたい、こういうふうに考えているのでございまして、お話のように、三月中には提案をいたしまして御審議をいただきたいということで、せっかく努力中でございます。
○玉置委員 総理大臣にお伺いしたいのですが、この問題は三木内閣の目玉商品の非常に大きなものでありますし、踏み絵だとも新聞等に書いてあります。総理は、そういう調整がうまくいかなかったときには、あなた御自身が裁断を下してでも、何とか今国会に間に合わせたいという決意をお持ちかどうか、この際お伺いしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 大変に三木内閣には踏み絵が多いわけですけれども、これは踏み絵といっても、私がいろいろやると言っておることは全部踏み絵になるわけですが、この問題は、閣内で、政府案がまとまるまでの間にはいろいろな議論があることは当然だと思います。しかし、それで内閣の意見が一致しませんからということで私の責任は解除されるものではない。最終的には判断をいたす所存でございます。
○玉置委員 この問題もそうでありますけれども、政治資金規正法、選挙法の改正、これもまた二大目玉商品と言えるぐらいのものでありますが、御案内のとおり、これもそう簡単にお互いにまとまるものではないだろうと思います。これはまた野党の調整も要るでしょう。ましていわんや、参議院は御案内のとおり非常に僅差の状態になっております。ここにもなかなか大きな難関がございます。その上に、十九日ぐらいから統一地方選挙の始まりに入りまして、能率が若干落ちるような感じもいたします。こういうことになりますと、総理は、今国会の会期中にこの法案の通過を見ないような場合には、会期を延長してでも、この問題は通す決意があるかどうか、お聞かせをいただきたいのです。
○三木内閣総理大臣 いま会期の延長は考えていません。いろいろと統一地方選挙もありまして、日程は詰まっておりますが、一番能率の上がった国会であったと言われるような国会にしたいものだと願っておりますから、玉置さんの御協力も願っておきたいと思います。
○玉置委員 どうもこれはやぶへびでございました。
 企業の社会的責任について、少しお伺いしておきたいと思うのです。
 近来、銀行につきまして批判が高まってまいりました。集中審議等で、ずいぶん問題があったわけでありますが、政府は銀行法の改正に積極的に取り組むんだという姿勢を表明されまして、結構だと思っておりますが、これが国会に提案されるのにはどのぐらいの日数がかかるんだろう、こういうことを、まず一点お伺いしておきたいのです。
 それから第二点としては、歩積み両建ての廃止でございますが、この間、大蔵大臣は、前向きにとらえて努力いたしますというようなお答えでございましたが、御案内のとおり、これはずいぶん前からの話でありまして、私どもの春日委員長が大蔵委員をしておりました十年はど前から、この問題はわあわあ言うていたんだと思います。ある時分には、国会がやかましく言いますと、非常に行儀よくなりますし、また少し離れますと、緩んでくるような形になっておるんじゃないだろうか、こう思います。銀行も最近は、土地に融資をしておったようなあり方をみずから反省しておいでになります。こういう機会でありますので、しかもこの間の集中審議のときの話では、そんなものあるんですか、それでは行って調べてまいりますなんて、少しどうかと思うような回答も、協会長からあったような感じがいたします。だから、具体的に本当に、きょう言うてきょうということはできぬでしょうけれども、若干の、半年なら半年の期日を置いて、もう一切こういうことのないように、この機会に指導いたします、ということが言い切れるかどうか。
 それから三番目、時間の節約で、三つ一緒にお伺いしておきます。日本銀行の政策委員に、日本銀行法の改正をして、その中に、いま役所から四名、銀行から四名お行きになっておるだけではだめです。そういう意味では、企業の方からも若干名、中小企業界からも若干名、要すれば主婦、労働者、農民、あるいはそれを代弁するに足る学識経験者というような者をお入れいただきたい、こういうように、愛知大蔵大臣のときに、質問かたがた要請をしたわけでありますが、二回目申しましたときに、それは日銀法の改正というものは時間がかかります、だから参与という制度がいまございます、それを活用いたします、こういうことで、この間調べていただきましたら、二人が確かにお入りになっておりましたが、どうも中小企業の代表とも思いにくいような方であり、しかもこのぐらい大騒ぎをしておるときでありますので、日銀におっしゃっていただいて、参与制度をとりあえず活用する、こういうような措置を講じていただきたい、こう思うのですが、以上について、大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○大平国務大臣 銀行法の改正問題でございますが、これは昭和二年の立法でございまして、その後の経済情勢の大きな変化を考えますと、そろそろ改正を考えていい時期に来ておるという判断でございます。そこで、政府としたしましては、金融制度調査会あたりの首脳と、どのような段取りでこれに取り組むかについて相談をしてみたいと考えておるわけでございます。したがって、いつの国会に御提案できるかというところまで、まだ煮詰まっておりませんが、私どもとしては、できるだけ早く調査会の首脳との話し合いは始めてみたいと考えております。
 それから第二点の歩積み両建て、いわゆる拘束性預金の是正問題でございます。これはたびたび国会でも御論議がございますし、大蔵省におきましても、銀行行政あるいは検査行政を通じまして鋭意努力をしてまいりまして、最近、数字をごらんいただいてもわかりますように、相当顕著な改善の実績が出てまいりましたことは、喜ばしい傾向であると判断をいたしております。しかしながら、いま御指摘のように、いまなおこういう弊風が根絶できないでおりますことは大変残念でございまして、そこで銀行局におきましても、先月末に改めて通知を発しまして、全金融機関の注意を喚起するばかりでなく、それぞれの金融機関に高い地位にある責任者を置きまして、内部からこの弊風の是正に努力をいたすよう要請をいたしておるわけでございまして、今後も鋭意努力をして、御期待にこたえなければならぬと存じております。
 それから、第三の日銀の参与制度の問題でございます。従来、本委員会、大蔵委員会等を通じて御論議がありましたことは、私も承知いたしておりますし、また玉置委員の御指摘を受けまして、参与のメンバーに若干の考慮が加えられた経緯も、私はよく承知いたしておるわけでございます。ただ、日本銀行という立場がございまして、この参与制度はそれにふさわしいものでなければならぬと思いまして、そこに各界の利益代表を集めて御意見を承る、ということであってはいけないと思うのであります。日本銀行は信用の中枢にあるわけでございますので、それにふさわしい人材を各界から求めるという趣旨のものでなければなりませんし、金融界、学界ばかりでなく、産業界あるいは中小企業の事情に精通されておる商工会議所等からも参加を願っておるのも、そういうことでございます。今後なお見直してまいりまして、一層参与制度の充実に努めていきたいと思います。
○玉置委員 銀行局長にひとつ直接お答えをいただきたいのですが、いまは企業は倒産の憂き目に遭いながら、お金を借りてふうふう言うておるわけであります。それが歩積み両建てというようなことになりますと、いまの高金利時代に、なおさら実質金利が高くなるわけであります。銀行がつぶれたとか危険だというようなことも聞きやしませんし、役所と銀行だけは非常に人が減ったわけでもない、こういうような話も承ります。こういう意味で、いまこそ本当に厳しく、もう一遍やっていただかなければいかぬのじゃないだろうか。次にそういうことがわかった場合は、本当に措置しますぞというまで言い切ってしまわぬと無理だと思うのですが、その決意がございますかどうか。
○高橋(英)政府委員 歩積み両建ても、御指摘のとおり非常に遺憾なことでございます。その決意があるかどうかということでございますので、決意があるということなんでございます。実はこの委員会でも、田中委員から厳しく追及されまして、私、先月の二十二日付でまた改めて強烈な通達を出しました。いままで歩積み両建てというのは、実は征伐するということについてはかなり手の込んだことをやっておるわけですが、最終的にはどうしても金融機関の責任者の責任を追及しなければならぬ。いままでもかなりやってきたのですが、実は昨年ぐらいからは、担当の重役等々をやめていただいたり、降格したりというようなことをやってきてはおったわけです。それを今後一層やるぞということにいたしまして、当事者の責任を追及するという姿勢は一層強めていきたい、かように考えております。
○玉置委員 そうすると、銀行局長、たとえば、私やその他の者がこうやられましたということを、あなたのところに持っていけば、それは、そこで具体的に措置されますか。
○高橋(英)政府委員 従来からもそういうのは処置しておりました。私どもの方、財務局もございますし、あるいは私の方へでも直接持ってきていただければ、処理いたします。
○玉置委員 次に、保険部長にお伺いしておきたいのですが、この間、本委員会におきまして、集中審議のときに応答がございましたので、それにさらにつけ加えてお願いしておきたいと思います。
 生命保険会社または別働の不動産会社もございますね、何々生命保険会社不動産部あるいは何々不動産会社、同じ名前がついておりますが、莫大な土地を持っております。したがって、含み資産は、私の目の前にありますところでも、百円、百五十円で買いましたものが、いまは大体五万円になっておりますが、それが二十万坪ほど、二十数年間そのまま放置されております。こういうことで、含み資産は莫大なものだと思うのですが、終戦直後と一昨年のオイルショックの二つの大きなインフレにあれしまして、不労所得、不当所得といいますか、そういうものも莫大だと思います。この間のお話では、二十年代の契約分のものにつきましては、インフレの目減り対策としまして、初めの契約は二倍、しまいごろの二十八年、二十九年ぐらいのものは、一・四倍の支払いを考慮いたしております、支払い金額は約一千億円を超えると思います、こう答弁をされておりましたが、その横でまた、保険協会の協会長が、最高二倍以上にすべきだという意見もあり積極的に検討いたします、こういうようにおっしゃっております。こういう契約加入者へ支払う原資はどういう原資でやるのか。もしもそういう土地を売りながらやるとすれば、いつごろまでにそんなものはやれるのだろうか。それからもう一つ、保険のことでありますので、長期にわたりまして契約者の契約の担保をせなければいけませんので、莫大な含み資産があると言うても、これを全部吐き出せとは言いませんけれども、契約者の分に残さざるを得ない分があると思います。そういう意味ではございますけれども、私は一・四倍とか二倍とかいうものでなしに、たとえばいま言いましたように、農家が百五十円で売ったものが現に五万円で二十万坪、二十五年間もそのまま放置されておるというような現実から見れば、もうちょっとお考えになり得るはずだと思うのです。これは財務内容を検討しなければ、なかなかできぬことであると思いますけれども、十分調査をされて、もう少し保険会社が自発的に契約者に配慮をするようにお考えをいただく方法がないかということと、その土地を売りますならば、なるべく公共目的もしくは住民の土地、そういう国が緊急と思っておるような方向に、それが譲渡できないかどうか、こういうことについてお伺いしておきたいと思います。
○徳田説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、今般生命保険会社におきましては、二十年代の契約に対しまして特別の措置を実施することになったわけでございますが、ただ御承知のとおり、収益の分配に当たりましては、現在生命保険契約が総額で百九十兆円ございますので、これらの契約に対して、公正、適正に分配することが必要でございます。これは先ほど先生御指摘のとおりだと思います。
 この点につきまして、現在二十年代の契約者がどのくらいあるかということでございますが、個人契約全体の約四%となっております。したがいまして、これらの契約者に対しまして、これは現在目下作業中でございますけれども、千億円をかなり大幅に超える金額、場合によっては恐らく二千億近くになろうかと思いますけれども、これらの金額を、通常の配当に加えまして特別に上積みをするということでございます。しかもこの措置につきましては、二十年代の契約者に対しまして、個々の契約者に一斉に金額を御通知申し上げて、いわば保険会社の支払い義務額として確定する。その支払い義務額を目標といたしまして、各生命保険会社が、土地あるいは株式の売却益を積み重ねていく、こういう方式をとることになっております。したがいまして、これらの観点からは十分に評価されてよい措置ではないか、このように考えております。しかしながら、先生御指摘のように、資産の処分益を適時適確に契約者に還元することは非常に大事でございますので、今後とも、使用効率の悪い土地あるいは利用計画の未確定の土地に対しましては、公共性を優先しながら適時適正に処分いたさせまして、その収益を契約者に還元させるように指導してまいりたい、このように考えております。
○玉置委員 御答弁は要りませんけれども、国会で問題になりましたので、あわててゴルフ場のあれにしたようなところも承知しておるのですが、いまのお話のように、ひとつ公共的なあれに利用していただきたい、こう思います。
 そこで、大蔵省にもう一つ聞いておきたいのですが、貯金の目減り対策、いろいろな御試案が出ておりまして、工夫をしていただいておるのもよくわかりますが、実際むずかしいことだと思います。むずかしいことだと思いますが、ただいま言いましたように、片一方では百五十円のものが五万円になったのを二十万坪、三十万坪長く放置しておるというようなところを見ますと、本当にインフレでどんともうけた者もあれば、そうして貯金の目減りを一律に受けておる者もあるわけであります。
 こういう問題で、どこを切ってどうしたらどのような金額になるか、なかなかむずかしいことだと思いますが、この際、思い切ってインフレでもうけた者から資産再評価をして出してもらって、それを原資にして、そういう目減り対策をやるというのが筋だと思うのですが、その筋はやりたくないかどうか、なかなかやりにくいのだと思いますけれども、大蔵大臣……。
○中橋政府委員 おっしゃいますように、土地なら土地につきましての非常な含み益があることは確かでございます。それからまた、それがいまお示しのように、たとえば空閑地につきまして存在するということでございますれば、その含み益について課税をするということも可能でございまするけれども、その含み益のありますものにつきましては、空閑地もございますれば、現に居住の用に供しておるもの、事業の用に供しておるものもございますが、それに一律にそういった含み益に対して課税いたすということになりますと、勢い――かつてわが国で行いましたように、再評価税なるものは、やはりそう高い税金というのは取れないものでございます。今日、私どもの税制では、そういう含み益がいよいよ実現しました場合に、かなり高い税金を取るというような体制をとっておりますので、それとの関連から申しますと、いよいよ再評価をやりまして、そういうものに低率の課税で終わるということもまた、社会正義からいかがかということでございますので、一律にそういった含み益に対して課税を強化するということも、なかなか困難であろうかと思っておりますが、やはり保有課税というものは、現在固定資産税等で処理をいたしておりますので、そういうものの強化というような道も、あわせて今後も考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
○玉置委員 大蔵省のようにこの道に通じているものは、そのことはそのとおりだと思うのですけれども、一般庶民から言えば、保有課税でもって除々にあれしております、国の譲渡に対する税金がそのときは取れなくなるのです――まあわかりますし、居住財産もしくは事業場に使っているものは、思い切った減免をやらなければならぬことも事実であります。けれども本当は、社会的公正という三木内閣、これは三木総理の新造語でありますが、から言えば、総理どうですか。こういうものもいつかは検討しなければいかぬ、鉄は熱いうちに打てというようなことになれば、ひとつこれも高所から考えてくれと言って、通産大臣におっしゃったような調子にいきませんか。
○三木内閣総理大臣 そんなに、私もお約束を次々にいたしてまいっていくわけにはいかないわけでございまして、これは玉置さんの言うように、国民感情からいったら、そういう税を考えると思いますよ。しかし実際に税を取るというときには、やはり譲渡所得で相当高い部分は捕捉できますけれども、常に住宅で土地を持っておる人もおるでしょうし、相当な高い財産の再評価ということは、実際問題として無理もあると思います。
○玉置委員 通産大臣にお伺いしたいのですが、このごろの鉱工業生産の操業率あるいは在庫調整というのは、われわれが思っておるよりも長引くのじゃないかというあれもありますが、通産大臣としては、この総需要抑制のままで抑えていけば、自律反転というものができにくくなるとお思いになっていますか。通産省の眼から見まして、どのようにお考えになっていますか。
○河本国務大臣 最近の景気の落ち込みは、予想外にひどい状態になっておりまして、そういうことから、先般も、二月十四日に部分的な不況対策というものを立案したわけでありますが、近くその効果がどういうふうに浸透したか、実態の調査をしてみたいと思います。しかし、ただいままでの感じでは、非常に落ち込みが激しいものですから、なかなか自律反転をする、自力で自然に回復する、そういう状態ではないと思いますが、いずれ正確な数字が出てくると思います。
○玉置委員 労働大臣の側から見まして、雇用と失業率、私は、これは日本的な統計でございますので、実数はかなりあるのじゃないだろうか、しかも、いまから若干の景気浮揚策を講じましても、実際は構造改善がそれに伴っておりませんので、そう労働者が急激に復帰するということになり得ないのじゃないか、むしろ部分的には、いままで一時帰休というような雇用安定法の形でやっておるようなものも、企業としては、これは相当長いことかかるわというので、本当の失業者になる部分も出てくるのではないかということを心配しますが、労働省から見た実態はどのようで、どんな手を打たなければならないとお思いになっていますか。
○長谷川国務大臣 不況とインフレ克服、さらに雇用不安、こういう中で私たちは苦労しておるわけでありますが、しかしその間、やはり世界がインフレをいかに抑えるかということが非常に大事な命題で、御承知のように、わが国は、総需要抑制、その中において物価を安定して、消費者物価も三月末一五%が確保できる、こういう中において、やはり失業者をなくするために、御承知のとおり、雇用調整給付金というものによって約三百五十万人目をカバーしておりまして、一方四月一日から雇用保険法が完全実施できますから、そちらの方でまた援護措置を講じつつ、いままでの目的に沿っていきたい、こう思っております。
○玉置委員 副総理にお伺いしたいのですが、御案内のとおり金利高、円高で外資が相当入っておりますが、この実態をどのようにお考えになるか。これは過剰流動性を生む危険はございませんか。あるいは社債の発行意欲が非常に大きいというようなこともあわせまして、どのようにお考えになるか。それから、それとあわせまして、公定歩合の引き下げとか日銀の準備率の引き下げというようなものは、どういう条件の場合に、そのことはおやりにならなければいかぬのか、お伺いしたいのです。
○福田(赳)国務大臣 わが国の証券に対する外国の見方というものは大変変わってきているのです。一昨年の秋ごろから昨年いっぱいかけまして、わが国の証券が大分売られたわけです。とにかく十三億ドルの多額に上る額が売られた。それがことしになりまして形勢が逆転いたしまして、一月、二月と証券買いが続いておる、こういう情勢ですが、これはどういう情勢か、どこからそういうことになってきたかと言いますと、結局わが国の経済が一昨年の秋ごろから去年にかけまして、非常に悲観的である、こういう見方で、わが国の証券を売り払っていくという傾向のために十三億ドルも売られたという結果になった。ところが最近、国際収支は改善される、また物価も落ちつき状態になってきた、そういう中でわが国の経済を展望してみますると、明るい展望ができる。したがって、その中で企業の将来も、これは明るいものとなるのじゃないか、そういうような判断から、わが国の証券買いというものがまた復活してきた、こういうふうに見ておるのです。
 ただ、その証券買いが、十三億ドルも売りがあったのが、一月に六千万ドルという程度で、二月もそれより多少ふえたものはあったのじゃないかと思われますが、そういう程度でありますので、そのためにわが国の政策を変えていかなければならぬというような必要は、どうもいま差し迫ってないようでございます。しかし日本銀行では、そういう証券買いがあるということから過剰流動性が出る、幾らかそれに相応する額が出るわけですから、それに対応いたしまして、窓口の規制を手綱さばきをしておる、こういう現状で、いま支障があるという状態じゃございません。
 それから、公定歩合の問題は、これは日本銀行がそのときどきの金融情勢を見て決める問題で、政府はこれに介入するという立場はとりませんけれども、条件としてどういう事態が出てきたらということになりますれば、これは、やはり対外事情を一つ見ておく必要があると思うのです。ヨーロッパとかアメリカで公定歩合を引き下げる傾向が出てきた、そういう傾向ではありまするけれども、イギリスとかフランスでは、わが国よりはまだかなり高い公定歩合を維持しているわけです。イギリスが一一%ですか、フランスは一〇・五%、そういうことです。ただ、アメリカと西ドイツ、これはかなり下げてまいりました。しかし、それによってわが国に対する資金の流入傾向が始まったというような状態ではありませんので、外国との関係においては、ただいまのところ、さほど気にする必要もないのじゃないか。
 それから、国内的には、いまわが国の経済は、需給インフレからコストインフレという段階に入っているわけです。そういう段階において物価を安定させなければならぬ。そういう角度から見ますると、原材料の値段が安くなってほしい、賃金も安定的になってほしい、こういうふうに思いますが、第三の要因として金利の問題があるわけです。そういう角度から見ますと、金利コストは下がった方がいい。そこで公定歩合も、そういう立場から言えば下がった方がいい、こういうふうにも考えます。ただ、公定歩合というものは、わが国におきましては非常に一般から重要視されている。何か公定歩合をいらうということは、政策の大きな修正でもしたような印象にもなるわけです。そこで、このいらい方につきましては、かなり慎重に構えていかなければならぬだろう、こういうふうに思いますが、いずれとにかく日本銀行の決める問題です。いついかなるタイミングにおいて、具体的にどうするかということは、国際社会の動き、また国内の経済がどうなるかということをにらんで、弾力的、機動的に措置してもらったらよかろう、こういうふうに考えております。
○玉置委員 もう時間がありませんので、一括お伺いしておきまして、それぞれからお答えをいただきたい、こう思います。まず、総理にお伺いしておきたいのですが、民間企業が、このくらい苦しい中で、本当に目から火が出るほどの思いをして気張っております。その直で、先ほど冗談を言いまして恐縮だったのですが、まあ役所と銀行は、人を減らしてどうというところにいかないで済んでおるわけであります。いわば生産工場等の犠牲においてという言葉は語弊がありますが、こういう意味で、それと来年度の予算の財政硬直ということは、かなりいまから手を打っていかなければいかぬので、総理は、行政管理庁にもそのことを指示しておいでになるのを承知いたしておりますが、私は、それではなお足らぬのじゃないか、役所の方が役所を見るのはと、こういう感じがします。
 一つ例を挙げますが、いま電報は、父危篤なんという緊急なやつは三%で、慶弔電報が五三%、その他一般と、こうなっております。一般は宅送電話でかなり消化できるわけで、それに二万九千人の従業員をあてがっておらなければいかぬ、こういうぐあいになっております。しかも二万のうちの千六百が電電公社で、一万七千が郵便局の方のあれですが、一日受け付け一件というものがその大部分であります。
 こういうようなことを考えますと、サービスを落とすということはあれでございますが、人件費が非常に安かったときの制度をそのままやっていくということは、公共料金を値上げの方へ相当な部分を持ってくるのと同じでありますので、ここは、できることは、やはりみんなに御了解をいただくような措置をして、より有効なことに物を使っていった方がいいのじゃないだろうか。きょう国鉄の貨物駅のことで来ていただきまして見ましたが、五〇%の残っておる貨物駅、ずいぶん廃止されつつありますが、残っておる五〇%の貨物駅の数が、貨物の四%しか運んでいないんですね。こういうような姿を見ましても、国民の皆さんには申しわけないのだけれども、やっぱりむだを排除するということを、かつての臨調のごとく民間の有識者数名を委嘱されまして、そういうような形でやると――郵便局がやりますと、サービスを落として片一方で料金を上げやがってと、こうなるわけでありますから、第三者がこういうことをやるのも非常に意味があるのじゃないだろうか。むだを省く、こういうことが第一点であります。これは私の方の春日委員長やらが、少しどぎつく言っておったのを、緩くすればこういうことになるのじゃないか、こう思います。
 それから総理のライフサイクル計画、これを実行されまして、やはり地方公務員の定年制というものは国家公務員の給与に準ずるということになっておるのですから、このライフサイクルにつなぐような、ひとつ御検討にやはり本格的に取り組んでいただいていいのじゃないだろうか、こういう感じがいたします。この二問。
 副総理には、デノミというものは、インフレのあれで、いまごろはいけませんですが、安定をしたときには、いつかは検討してみてもいい宿題じゃないだろうか、こう思いますのですが、どうですか。
 文部大臣にお伺いしたいのですが、いつもおしまいごろにちょびっとしか言えぬようになってしまいまして恐縮なんですが、私学の振興に非常な御努力をいただいたのですが、この間も申しましたとおり、とてもそれは間尺に合いませんので、昔のあれと違いまして、私大で言えば三と七の比率になっておるはずですね。それを国立と同じように助成しろとおっしゃるのは、これは言われても当然だと思います。ところが、こちらでふうふう言って平均二二、三%のときに五三%を続けておいきになっても、また向こうの方の人件費や何やらぐわっと上がるものですから、いつまでいっても、この何は相当な日数がかかるのじゃないか、こういうような感じがしますので、ひとつお考えいただいて、教育のあり方そのものをもう一回考えなければいけない。大学を出てきたらこういう号給俸でこうだ、一生懸命働いておるのに、そこの会社に、能力があるのにそのまま、こういう制度をなくすると、無理をしてお母さん方が学校へ入れようというあの努力を、いまのようになさらぬようになってきたときに、初めてこの問題は解決がつくのじゃないだろうかという感じが私はしますものですから、教育のあり方を一回、いまはいまの努力を続けながら、遠い将来のために御検討いただくのも一つの案じゃないだろうかと思いますので、一括お答えいただければありがたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 デノミというのは、大変いろいろ関心を持つ人がありますが、これは、そう関心を持っていただかぬでいいんです。つまり、円の呼称を変えるというだけの話でありまして、円の実質価値をどうしよう、こういう性質のものじゃございません。ただ、わが国の円は、まあ大変価値が下がった今日でありまして、したがって、一兆円だとか一億円だとかいう巨額の単位を用いる必要があるという状態になりましたので、まあビジネスの合理化というか、そういう見地から考えてみる必要のある問題です。それから同時に、国際社会でも、対米というか、ドルに対して三けたの比価になっておりますのは、わが国の円とイタリアのリラというくらいな状態でありますので、円の威信といいますか、日本経済のプライドというか、そういう見地からも、何か気にとがめるものがあるような感じがいたします。
 そういうことでありますので、いずれの日にか、この問題は始末をつける、そういう必要のある問題と思いますけれども、ただいま申し上げましたように、これは非常に誤解を生みやすい問題でありますので、今日のような機微な段階において、また特に物価が完全に安定したという段階でない今日の段階におきまして、これを考えることは妥当でない、かように考えます。
○永井国務大臣 ただいまの、学校というものがどんどん拡張していきますから、毎年助成をしても追いつかないのじゃないかということでございますが、欧米でも一九六〇年代は非常に学校は拡張いたしましたが、七〇年代になりまして、将来予測がだんだん年ごとに狂ってきているということがございます。特にアメリカ合衆国でそれほどの伸びがない。さらに、大学でなくて各種学校に行く人もふえてきているという状況でございます。わが国には、まだそういう顕著な変化が出てきておりませんけれども、確かに、こういう点を勘案いたしまして、慎重に将来の学校教育制度全体についての予測を行っていくことが必要であると考えております。
○三木内閣総理大臣 前段の御質問の行政監理委員会、先般も委員の方々をお招きしまして、ちょうど四月に任期の切れる人もありますから、陣容も多少新たにしまして、いま財政面と言っても、行財政と言った方が適当だと思いますが、行政改革についても、行政監理委員会で真剣に取り組んでもらいたいと考えております。
 また、最後にお話しになりましたライフサイクルの計画というもの、私は、人間が生まれてから死ぬまでの間、その間を何か安定した一生の設計というものが立つような環境ができないものか、ただ福祉というものを、社会保障というような範囲だけでなしに、もう少しそれを、一生を通ずる総福祉として問題をとらえることができないか、これを具体化したいと、いま真剣に考えておるわけでございます。そういう場合には、やはり定年制の問題が問題になってくるわけで、いわゆる定年制、六十歳なら六十歳、そこで一遍再雇用しまして  日本式の総福祉というのは、全部社会福祉に頼るというのではなくして、自立の精神がなければいかぬ。一方において社会全体の考えもありますが、やはり働ける者には働いてもらう、こういう自立の精神というものがないと、全部一つの社会保障に依存するというのが人間幸せなわけでもないと思うのです。そういうことで、働ける人たちは働いて、再雇用して月給は下がってもいいでしょうね、そして年金に結びつけるというようなことを、これを具体化したいと真剣に考えておるわけです。そういうことで、いまこの問題を具体化したいと真剣に考えて、世に問いたいと思っております。
○谷川委員長代理 これにて玉置君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明四日午前十時より開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十七分散会