第075回国会 予算委員会 第24号
昭和五十年六月十日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 小山 長規君 理事 竹下  登君
   理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君
   理事 塩谷 一夫君 理事 小林  進君
   理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君
   理事 山田 太郎君
      植木庚子郎君    大久保武雄君
      大野 市郎君    奥野 誠亮君
      北澤 直吉君    倉成  正君
      黒金 泰美君    櫻内 義雄君
      正示啓次郎君    瀬戸山三男君
      塚原 俊郎君    野田 卯一君
      藤井 勝志君    保利  茂君
      前田 正男君    松浦周太郎君
      森山 欽司君    安宅 常彦君
      阿部 昭吾君    阿部 助哉君
      石野 久男君    多賀谷真稔君
      楯 兼次郎君    土井たか子君
      楢崎弥之助君    細谷 治嘉君
      湯山  勇君    荒木  宏君
      金子 満広君    紺野与次郎君
      松本 善明君    北側 義一君
      広沢 直樹君    安里積千代君
      小平  忠君    佐々木良作君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       福田  一君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      井出一太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      松澤 雄藏君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 坂田 道太君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 金丸  信君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長     原   徹君
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        内閣法制局第一
        部長      角田礼次郎君
        警察庁刑事局保
        安部長     荒木 貞一君
        警察庁警備局長 三井  脩君
        防衛庁長官官房
        長       斎藤 一郎君
        防衛庁防衛局長 丸山  昂君
        防衛庁人事教育
        局長      今泉 正隆君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁物価
        局長      喜多村治雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    小島 英敏君
        環境庁企画調整
        局長      城戸 謙次君
        環境庁水質保全
        局長      大場 敏彦君
        国土庁計画・調
        整局長     下河辺 淳君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        法務省入国管理
        局長      影井 梅夫君
        外務省アジア局
        長       高島 益郎君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省経済協力
        局長      鹿取 泰衛君
        外務省条約局長 松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      鈴木 文彦君
        大蔵大臣官房審
        議官      旦  弘昌君
        大蔵省主計局長 竹内 道雄君
        大蔵省理財局長 吉瀬 維哉君
        大蔵省国際金融
        局長      大倉 眞隆君
        通商産業省通商
        政策局長    橋本 利一君
        通商産業省貿易
        局長      岸田 文武君
        通商産業省産業
        政策局長    和田 敏信君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        工業技術院長  松本 敬信君
        資源エネルギー
        庁次長     熊谷 善二君
        中小企業庁長官 齋藤 太一君
        労働省婦人少年
        局長      森山 眞弓君
        労働省職業安定
        局長      遠藤 政夫君
        自治政務次官  左藤  恵君
        自治大臣官房審
        議官      石見 隆三君
        自治省行政局長 林  忠雄君
        自治省財政局長 松浦  功君
        消防庁長官  佐々木喜久治君
 委員外の出席者
        日本輸出入銀行
        総裁      澄田  智君
        予算委員会調査
        室長      野路 武敏君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十日
 辞任         補欠選任
  宇野 宗佑君     谷垣 專一君
  田中 榮一君     藤井 勝志君
  中村 梅吉君     正示啓次郎君
  二階堂 進君     大久保武雄君
  岡田 春夫君     細谷 治嘉君
  堀  昌雄君     土井たか子君
  紺野与次郎君     荒木  宏君
  正木 良明君     北側 義一君
  矢野 絢也君     広沢 直樹君
同日
 辞任         補欠選任
  大久保武雄君     二階堂 進君
  正示啓次郎君     中村 梅吉君
  谷垣 專一君     宇野 宗佑君
  藤井 勝志君     田中 榮一君
  土井たか子君     堀  昌雄君
  細谷 治嘉君     岡田 春夫君
  荒木  宏君     津金 佑近君
  金子 満広君     不破 哲三君
  北側 義一君     正木 良明君
  広沢 直樹君     矢野 絢也君
  佐々木良作君     安里積千代君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 予算の実施状況に関する件
     ――――◇―――――
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況について、昨日に引き続き調査を進めます。
 質疑の申し出があります。順次これを許します。佐々木良作君。
○佐々木(良)委員 最初に、三木総理、ちょっと政治姿勢という形で一、二お伺いをいたします。
 私は、正直申し上げまして、あなたが総理、総裁に就任される際に、せっかく従来の派閥原則を超えた形で選ばれて、そして内閣を率いられました。それで国民側からは政治改革の期待をかけて迎えられたことは事実であります。しかしながら、大変残念でありますけれども、日一日と、どうも芳しくない感じが台頭してまいりますし、批判が高まっているような感じがして、本当に私は残念でたまらぬわけです。そんな感じで、私はまず申し上げますけれども、三木さん、あなた少し手を広げられ過ぎた感じがございませんか。私はあなたの内閣の成立の経過から見まして、あるいは総理、総裁にお選びになられた経過から見まして、あなたがやられるべき問題を、ぐっと焦点をしぼってやられるべきであったという感じがするのです。
 第一の問題は、何といっても経済の立て直しの問題でしょう。しかもそれは歴代の自民党内閣の、特に最後の高度成長という、そういう状態から破局的な状態になっておる、この立て直し、それはそのまま物価の抑制問題であり、いわゆる社会的不公正の是正問題であり、本当の意味での安定成長路線に経済を持っていくことだと思うのです。このための本当の調整をやられて、全力を挙げてその方向を新しく出発させることに、総理としてのすべてをかけられるべきだった、私はこういう感じがするわけであります。
 それから第二の点は、これは総理という立場よりは、むしろあなたの総裁に選ばれたという立場で、大変失礼な言い方でありますけれども、いわゆる党内改革、あなたが日ごろの持論でありますところの近代的保守党をつくる、こういう立場に立っての本格的な近代的保守党への党内改革に取り組まれるべきであった。
 この総理としての経済立て直しと、総裁としての、言うならば党内改革の問題、これが公約でもありましたし、政治改革に対する国民の期待でもあったと思うのです。これに対して集中的にあなたが取り組まれるならば、私は、少々問題はありましても国民の拍手はなお続くだろうと思います。どうも手を広げられ過ぎた感じがありますけれども、御所見がありましたら伺いましょうか。
○三木内閣総理大臣 私は格別手を広げ過ぎたとは思ってないのですよ。こういう大きな激動の時期に、国会では一国会一重要法案と、こう言われておるのですが、私はそういう考え方に賛成でないのです。一国会一重要法案――これはもう少し審議の能率化を図ったならば、今日のような激動期に一国会で一重要法案しか消化できないという考え方には私は賛成できない。国会において、会期は限られておってもできるだけ能率を上げて、必要とする法案はやはり審議をして成立さすことは必要であるということで、手を広げた、法案を出し過ぎたということでしょうけれども、私はそう考えてないわけでございます。私がこの国会の御審議を願っておる公職選挙法にしても政治資金規正法にしても、独禁法にしても、三木内閣の成立のいきさつから見て、これは国民の期待にこたえる法案である。これはどれを一つだけと言っても、やはり私の内閣が出発したときには非常な政治不信、また自由経済体制に対していろいろな不安もあったわけですから、これにこたえようとするものが三法案であって、これは決して手を広げたということではない。
 また一方において言われる経済の大きな転換期というものに対しては、法案を幾つか出したからこれに手を抜いておるということではないわけです。これに対しても内閣は全力を挙げて、インフレの克服、また不況というものに対しても、不況対策も講じながら、物価の安定ということに取り組んでおることは、経済政策すべてがやはりこの基調に合わして皆努力しておるのですから、国会に法案をいろいろ幾つか出したことによって、経済政策に手を抜いた、そういうことはありません。これは大きなこれだけの転換ですから、日本の産業も国民生活も、超高度成長期の時代とはパターンが変わってくるわけですから、これに対して今後、いまばかりでなしに相当な期間、これに取り組んでいかなければならぬ、この問題意識があなたと違うわけでもないわけです。
 党の改革については、いまこの党の改革のいろいろな私の改革案に対して、党が審議をしておることは御承知のとおりです。総裁公選に対してもそうですが、これは私がこの国会で法案を幾つか上程したからというて、党の改革というものを手を抜いておるわけではない。ただしかし、ある程度改革というものは、長い間そういう惰性がついておるわけですから、やはりその改革には時間がかかるということである。またその改革というものに対してはいろいろな障害も抵抗も伴うわけで、やはり時間をかけなければ、革命をやろうというのでないのですからね。漸進的改革論者としての私としては、やはり多少の時間をかける必要があるので、そう佐々木議員の言われるように手を広げ過ぎた――もっとやらなければならぬことはいっばいあるぐらいで、まあしかしこれぐらいだということでしほったわけでございます。
○佐々木(良)委員 二兎を追う者は一兎を得ずという格言があることを御存じかと思います。私は三木総裁、総理の力量を決して軽視をするわけではございません。しかしながら、多年にわたる自民党という体質の、しかもあなた自身が一番よく御承知のように、派閥原則を中心にして運営されている中で、手を広げれば広げるほど、勢力が分散して集中的な効果を上げにくい状態になることは、私よりもあなたの方がよく御存じかと思います。そのことを言っているわけであります。しかし、これをいま議論しようとは思いません。
 いまお話しになりました党内改革について、いわゆる椎名構想なるものが相当喧伝されております。いまお話しのように、革命ではございませんという話ですから、順次、順を追ってということでしょう。しかし、時間もございませんが端的に、大体いつごろまでを目標にしてどう取り組まれるおつもりか、お考えをいただきたい。同時に、あわせまして、椎名構想の中に党営選挙という考え方がある。これはあたりまえな話でして、いまさらのことじゃないと思います。ただし私はあの考え方の中に、一つの問題は、一般の解散論という問題について、従来、憲法の六十九条解散という問題と七条解散という問題についての憲法解釈があったことはよく承知しております。しかし、これは素人が読んでみても、当然に六十九条の解散が本筋であって、七条解散というようなものは、あの条文の読み方からは私は出てこないものだと思います。稻葉法務大臣にでも聞いたらいいかと思いますけれども、かえっていやらしくなるとぐあい悪いですから、省略しておきましょう。しかし、私は端的に法律書生として読みましても、天皇の手続を決めたところで、新しい言うならば解散権限を総理大臣に付与するという書き方というのは、普通は成り立たない。しかし、私はいまここで憲法論争をやろうとするのではありません。三木さんは、むしろ三十数年の経験を持った議院政治家としての立場を十分に発揮される立場において、解散というものについての、言うならば基本的なルールを敷かれるべきだと私は思います。その意味において、むやみに解散というものはすべきでなく、六十九条的な感覚に立つならば、大体任期いっぱいぐらいやるという姿勢でやることが私は本道だろうと思いますが、その考え方について御所見をいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 いま解散に対しての憲法論は佐々木議員もやらぬということですから、私も憲法論はここでやる意思はありません。解散というものは、これはきわめて慎重に取り扱うべきものである。解散の期間というものは、いろんな意味で国民にも大変なやっぱり手数をかけることでもありますから、したがって、解散は慎重に時期を選ぶべきものである、こういうふうに考えております。
○佐々木(良)委員 慎重に時期を選ぶという問題はあたりまえな話であります。私があなたにむしろ要望したものは、憲法論の普通の解釈から見ても、六十九条的なものが本筋である、旧憲法時代のような形で、むしろ内閣が特別の伝家の宝刀的な感覚でもって、この問題を、言うならば専断すること自身が議会主義に本当は疑問を残す問題ではないか、こういう考え方なのであります。――よろしいか。いろいろ法制的なことを聞いておるわけじゃありませんから、常識でお答えいただきたいのです。その意味で、慎重というよりも、基本的な新憲法の立場に立つならば、そしてあなたの最も自負されるところの議員経歴と議院中心という考え方に立つならば、むしろ権力的な伝家の宝刀的な七条解釈的なやり方というものは極力避け、そして六十九条的な方向で処理しようというのがたてまえにあるべきだ。だからといって、私は直ちに解散するなとは言いません。そういう感じを持って、あなたの総理の間に路線を敷かれるべきだ、こう思いますけれども、お考えはいかがか。同時に、党内改革についてのテンポを、もう一遍お聞かせいただきたい。
○三木内閣総理大臣 私は七条による解散を否定する論者でないということ、七条の解散も可能である、こういう解釈をとるものでございます。佐々木議員の言われる意味はわからぬでもございませんが、憲法の論理としては、七条による解散は可能であるという考えに立つものでございます。
 また、党内改革というものは、このいま国会で御審議願っておる公職選挙法あるいは政治資金規正法は改革とも関連を持つものである。これはやはり改革の一つの転機になり得ると思いますので、この法案の成立を私が強く希望するのは、単に自民党ばかりの問題でもないのですが、自民党にとっても、この二法案が成立することは、党の改革の大きなやっぱりこれは第一歩になると信じておるわけでございます。したがって党の改革がいつまでにできるかということは、御承知のように自民党も戦後三十年政権をずっと担当してきて、その間にいろんな自民党というもののいままでの仕組みというものもありますから、これを何日までにというようなことは、これは単に制度ばかりでない、自民党を構成する党員の意識の革命もあるのでありますから、何日という期限を切ることは、これは困難な問題でございますけれども、しかし、今日政治の信頼を回復するということが一番大きな課題でございますから、できるだけ早く、一つの大きな骨組みだけは、自民党の改革をやり遂げたいと思っておりますが、しかし、何日までにという日にちを切ることは困難であります。
○佐々木(良)委員 前者の問題については、また別途法務委員会でも、ひとつ法務大臣、十分やりましょう。
 党内改革について、私はいま時限を切れと言ったのではありませんで、むしろあなたが本来総裁に就任される前後からのあなたの姿勢は、少なくともことしの夏前後までに一つの方向を明確に出したいという取り組み方であったと思うのです。したがって、私が最初から言っておりまするように、集中的に問題を取り上げなさいということは、そのタイミングがありますから、そのタイミングに合うように、ひとつ全力を尽くされたいということであります。希望を申し上げておきます。
 財政経済問題に入りたいのでありますけれども、経済はまさに大変むずかしいところに来ておると私は思います。したがいまして、これを論議を始めますと、せっかく同僚から私に与えていただきました時間の大半を費やさなければなりませんので、残念でありますけれども、ここは駆け足で、一々お伺いすることをやめまして、むしろ端的に、物価、歳入欠陥、景気対策ということに分けますけれども、その中の一番中心的なものだけを伺いますので、また同時に端的にお答えをいただきたいと思います。
 まず物価問題について福田副総理にお伺いをいたします。
 第一の問題は、あれほど賃金抑制政策をとられたのでありますから、いわゆる一けた公約には、三木内閣の政治責任がかかっておると思います。公共料金と基礎資材の値上げ抑制が、いま一つのかぎになっておると思いますし、その意味においての麦と鉄、石油問題が当面の山場だと私は思います。これらを含めて、見通しをどう持っておられるか、これか第一点――待ってください、全部言いますから――第一点のお答えをいただきたい。
 私はこの問題に対しまして、きのう正木委員の質問に対して、全力を挙げる、できなかった場合どうするかという御質問に対しまして、あなたから、全力を挙げて力いっぱい取り組むのだ、だからできなかったことなどは云々という御答弁がありました。それはそのまま聞きますと、全力を挙げてやってできなかったらしょうがないじゃないか、こういうふうに聞こえるわけであります。正木さんの言われたことも、国民が要望しておることも、われわれが要求しておることも、全力を挙げてやって、そしてそれが思いどおりにいかなかった場合には、明確に政治責任を感ずるということだと思います。私はこの意味で、政治責任という意味で、いま言うておるわけです。
 三木さん、大変失礼ですけれども、自民党内閣の、言うならばたらい回し政権が続いている間に、知らぬ間に政治責任論が大変影が薄れてまいりました。このことは、どうかあなたの場合に十分配慮しながら、国民に対する政治責任ということを感じながら、ひとつ政治を指導していっていただきたいと思います。
 第二の問題は、物価問題の第二ですけれども、今年度末に一けたに持っていくという公約、それは結構だと思うのですけれども、その後、福田さん、何年ぐらいで、最終的にはどの程度の水準に安定させられようとするのか。つまり安定の目標をひとつ明らかにしていただきたい。
 それから、物価問題の第三の問題として、物価の安定化対策を進めてまいりますと、大体その仕上げの段階におきましては、いわゆるデノミという考え方をとらねばならぬと思いますけれども、こういうデノミの考え方も対策の中に入れられるような形で安定化政策を進められつつあるかどうか、この三点を福田さんにお伺いいたします。
○福田(赴)国務大臣 まず物価の見通しはどうか、こういうことでございますが、これは政府はしばしば公言しておるわけですが、五十年度中に一けた台の目標を達成する、こういうことでございます。その背景は、きのう申し上げましたように、私は、必ずしも見通しは暗いというふうに見ておらないわけです。特に、賃金が非常になだらかな形で解決されようとしておる、そういうことは非常に大きな変化だというふうに考えておるわけですが、それだけに、いま佐々木さんが責任論ということを申されましたが、政府の責任は、物価問題に対して非常に重いと私は考えておるわけです。きのうも正木さんから、もし万一、一けた台という目標が達成されなかった場合の責任はどうするんだというふうなお話がございましたが、それに対して、私は、一けた台の目標が達成されなかったというような事態を考えるような、そんな及び腰でこのむずかしい問題が達成できますか、こういうようなお答えを申し上げたわけなんです。とにかく、これは政府の重大な政治的責任のかかっている問題であるというふうに私は考えております。
 それから、物価安定の目標は一体どうなんだ、こういうことでございますが、これは、私はきのうも申し上げた。これは三年がかりの問題である。とにかく第一年度におきましては一五%以内、これは一四・二というところで落ち着いたわけであります。それから、第二年度であるところの五十年度におきましては一けた台の上昇にとどめる。第三年度におきましては、これは五十一年度になりますが、なるべく早い機会に消費者物価水準を定期預金金利水準以下に持っていく、こういうことでございます。しかし、それで安定した水準ということじゃございません。その後におきましても詰めの作業を行いまして、物価が預金金利に比べましたらかなり低い水準だ、多少の上昇はやむを得ないと私は思いますけれども、目減りの問題だとか、物価が上がって困るというようなことを国民がはだ身に感じない程度に、ぜひ持っていきたいというふうに考えておるわけであります。
 いま佐々木さんから、そういう間にデノミの問題を物価安定作戦の一つとして考えるか、こういうお話でございますが、私は、このデノミ問題は、物価問題の一環としては考えておらないのです。いずれデノミをやらなければならぬ時期が来ると私は思います。しかし、それには二つの前提がある。物価が安定して、国民に物価についての不安がないという問題が一つ。もう一つは、デノミが国民に本当に理解をされておらないのです。これは貨幣の実質的な価値の変更じゃございません。貨幣の呼称の変更である。その実態が国民にすみずみまで本当に理解されておらない。それで、物価が安定いたしましても、それの理解が届かないという状態では、デノミを行うことはできない。その理解が届き、物価が安定いたしまして、物価についての国民的な心配がない、そういう時期をとらえてデノミを実行すべきである、私はこういう考えでございます。
○佐々木(良)委員 目標の問題について、五十一年度までの目標をお答えいただきましたが、端的に言えば預金金利を許容限度のぎりぎりのものと考えて四、五%を考えておられること、そしてその段階では、まだデノミを実施でき得るような仕上げ段階とは考えておらない、こういう意味でございましょうか、もう一遍。
○福田(赴)国務大臣 消費者物価水準が定期預金金利の水準であるというのは、これは非常に高い水準だというふうに私は思うのです。それが安定した水準だというふうには考えておりません。それよりもかなり低い水準に持っていかなければならぬ。そして物価問題について国民がもう論議がない、こういうような事態、環境、それからデノミについての国民的な正しい理解、この二つの条件か整いますれば、その時点で――政治的に非常に忙しい時期でありますとかなんとか、そういう他の状況も考えなければなりませんが、あるときを見計らってデノミはやった方がいい、そういうふうに考えております。
○佐々木(良)委員 預金金利ではまだ安定した物価とは言えない。そうすると、五十一年度以降、五十二年度以降でどの程度まで持っていけるか、つまりそこから先のやつは、まだ福田さん全然お考えになっていないということでしょうか。
○福田(赴)国務大臣 五十二年から先のことにつきましては、逐次預金金利水準よりも下げていく、こういう努力はしなければならぬと思いますが、とにかく国際的に非常に安定した国――ドイツあたりなんか非常に安定しておりますが、それらの国に比べまして遜色のない程度の水準、こういうところに持っていかなければならぬだろうと考えております。その水準が何%という程度のものであるか、これが五%を超えるというようなことは私は考えておりませんけれども、それが何%が妥当であるか、これは長期経済計画の一環といたしまして、いま経済審議会なんかにも御検討を願っておるわけでありまして、それらの人の意見等も聞きまして、中期的には何%だという水準は打ち出さなければならぬと思いますが、とにかくかなり低い水準をねらいといたすべきであるということをただいまの段階としては考えております。
○佐々木(良)委員 いまお答えになりましたように、諸長期計画を策定中のようでありますが、この策定の中で、ある程度の目安と目標を持たなければ、長期計画自身がつくれないと私は思うのです。その意味で、いま全力を挙げて年度末の一けたに努力中でありますから、決してそれから先の見通しを余り要求しておるわけじゃありませんけれども、本当は、先ほど来申し上げておりますように、少なくとも中期的な展望をもって経済政策をやるのでなければどうにもならぬ状態だと私は思うのです。その意味で、仮に三木内閣あるいは福田副総理がかわられましても踏襲されることを前提とするような意味で、ある程度中期的な展望を持たれなければならぬ。そしてその場合には、まあまあ物価水準も二、三%あるいはそれ以下、その近所を目標とした物価安定対策が今後継続的にやられるということを前提にしなければ、たとえば失業をどれだけに抑えるか、その意味での長期の景気対策も立たぬことになる。私は景気対策をこれから言いたいと思うのですけれども、景気対策でも、すぐ目の前を少しふくらませるかふくらませないかということだけが中心になり過ぎては困るのではないか。その意味において、あなたの経済運営、しかもそれを中心にして、大蔵省その他の経済官庁が一つになって経済対策を立て、経済の立て直しをやられようとしておるこの段階において、もう少し中期的な展望を立てられながら、物価問題についても目標をもう少し明らかに立てられながら、当然にその物価目標の仕上げの段階においては、やはりデノミというものを考えざるを得ないと私は思います。
 いろいろなお話があることは私も十分承知しております。しかしながら、いまの日本の通貨単位が異常であり過ぎることは御承知のとおりであります。国際的に見て、国際比率から言って異常であり過ぎることは、決していいことではないと私は思います。私の勘ですけれども、対米ドルで言うならば少なくとも三、四倍とか、その近所まで何とかしないことには、本当の経済安定は持ってこれないだろう。それにはいろいろな条件があることも私は承知しております。したがって、デノミを実施しようとするならば、実施宣言をしてから少なくとも一年以上かけて、国内で十分にこなされること、しかもこなされる間に、経済がなお安定化方向をたどること、この二つの条件が絶対の条件だと思うのです。そういう条件をつくることが、いまあなたの任務だと思うのです。私は、もしことしという期間を――あなたか就任のときに、調整期間という言葉を使われました。この調整期間という意味を、そのような意味で、言うならば物価安定の腰だめ、それから景気浮揚の腰だめ期間として、まあまあことしの目標を立ててこういく、それから後に、言うならば中期的展望に沿ったところの計画を立てていこう、計画対処をしていこう、というのであるならば、一つの考え方だと思うのです。時間がございませんから先に進ましていただきますが、ひとつ十分に御検討をいただきたいと思います。
 歳入欠陥問題についてお伺いいたしますが、これは他の同僚からもう大変出た問題でありますから、一言だけお伺いをして、失礼をいたします。省略さしていただきます。これはやはり大平蔵相にお伺いいたします。端的にお答えいただきたい。
 この問題の一番中心的な問題は、社会党の阿部助哉君が最初指摘いたしましたように、これまた政治責任という問題が、本当はここで一番端的に論じられるべきだと私は思うのです。少なくとも予算を編成して、そして何ぼもたたないうちに、すぐに一兆だの二兆だのという欠陥が起きそうな見通しが出る。それであるならば、当然にこの予算委員会の審議中に、むしろあなたから問題を提起されて、そして、このような意味で、あるいは歳出是正も行いあるいは歳入是正も行わなければならぬかもしれません、それを含んで皆さん御承知あるいは御審議いただきたい、こういう意味の基本的な政治責任を明らかにした立場での予算の審議が行われなければならなかったと私は思うのです。しかしこの問題につきましては、阿部助哉君並びに公明党の正木さんからも相当の御指摘がございましたから、改めて言いわけ的な答弁をいただこうとは思いません。問題がそこにあることを十分御承知をいただきたいと思います。
 お話の中に出ておりましたけれども、私は正直に言いまして、税収不足を、一兆円程度だ、こういう新聞の見方がありますが、そうすると、これから給与改善だの食管繰り入れだのという、相当大幅な歳出補正というものを考えますと、新聞で言われておるような二兆円程度のものというものが、本当にこの歳入欠陥という問題の焦点になるのであろうか。二兆円前後の歳入欠陥が現実に出るということになるといたしますと、これはなかなか大変なことだと思います。現在の予算の中で、予算に計上されておる公債金というものが、いま二兆円程度だったと思いますけれども、公共事業費の範囲から見ると、三兆五百億円程度が可能でありますから、約一兆五百億円程度は、言うならば公債振りかえは財政たてまえ上可能だと思うのです。一兆円強。しかしながらそれを超える、言うならばあと一兆円程度というものは、完全に赤字公債的なものでなければなるまいと思う。この意味で、建設公債の部分についても赤字公債の部分についても、これは物価との問題で相当に深刻な問題だ、こう思うのでありますけれども、これらについてどう対処されようとするのか。まあ、やってみなければわからぬということでは、私は余りにも無責任過ぎるような気がいたします。端的に、いつごろに、どういう時点で、どういう考え方に立って対処しようとするのかという点をお聞かせいただきたいと思います。
 それからあわせまして第三番目に、予算編成のやり方について、民社党はかねてから長期的な財政計画を作成して、そしてその長期的な財政計画と単年度予算計画、予算主義とを、言うならば組み合わせる形で財政政策を進展させるのでなければとうていだめだ、こういう考え方で、私どもは予算編成に対する建設的な提案をいたしております。きのう、勝間田さんの御質問の中にも、中期的展望を欠いて財政経済の運営はあり得ないということを言うておられます。その意味からも、大蔵当局は真剣に、私どもが言うような長期財政計画を作成しよう、そしてその枠組みの中で単年度予算を編成しよう――長期財政計画は年々の修正が可能であることは当然であります、そういうような立場に立って本当に考えられなきゃならぬと思いますが、先ほどの物価安定のための政策とともに、そろそろ中期、長期の展望を持って財政政策に取り組まなければならぬという考え方から、以上の三点についての端的なお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 民主的な行政のあり方といたしまして、また国会に対する政府の姿勢といたしまして、財政運営が空前の危機に陥った場合の措置でございますけれども、佐々木さんがおっしゃるとおり、事実を踏まえた上で国会に問題を提起いたしまして、解決の方途をお示し申し上げて御論議をいただくことが、正しい道筋であると私も考えます。それをやることに私は何もちゅうちょを感じないものでございますけれども、御案内のように一月、二月の税収の実績は去年よりも良好な実績を示しておったわけでございまして、二月の実績をわれわれが握っておる姿において、五十年度の予算が成立を見たわけでございます。なるほど去年の暮れの状況あるいは三月十五日の確定申告には、相当異変が出てきやしないかという側々たる不安があったことは事実でございますけれども、どれだけの税収不足を結果するであろうかという見当は、正直のところつかなかったわけでございます。したがって、その段階におきまして、あなたがおっしゃるように国会に問題を提起するデータを持たなかったわけでございます。そういう気持ちがなかったわけではないわけでございまして、国会に提出すべき数字を捕捉するに至っていなかったことを御了解いただきたいと思うのでございますが、しかし確たる数字を握った以上は、速やかにそのような措置をとってまいることは当然でございまするし、今後もそういう措置をとることに渋滞があってはならぬと考えております。
 それから第二の点でございますが、公債政策につきましてのお尋ねでございます。きのうも本席を通じてお答え申し上げたわけでございますが、公債を発行すること自体悪いことではないと思うのであります。しかし、財政の体質が硬直化を見ておる場合におきまして、漫然公債に依存してまいりますと、財政インフレを誘致しやすい状況に相なりまするので、極力公債発行には警戒的でなければならぬという趣旨のことを、きのう御答弁申し上げたわけでございまして、いま財政の状況が非常に困難でございますけれども、私といたしましては公債に依存する前にあらゆる手段を講じて、なるべく公債に依存することを避けていかなければならぬと考えております。と言って、いま一般的に増税をお願いするというような経済の状況でないことも御案内のとおりでございます。したがって、現行税制の中でどのようにして選択的な増収が確保できるかという点について検討を進めておりますことは、きのうここで御報告申し上げたとおりでございます。
 また、歳出面につきましても、いろいろな節減の工夫を各省庁にお願いしなければならぬことも当然と思っておるわけでございますし、とりわけ新規の財政需要につきましても、極力慎重に取り扱っていただきますように御協力を願っておるところでございます。そういうあらゆる手段を講じまして、最後にどうしても公債に頼らなければならぬという場合におきましても、あなたが御指摘になりましたような建設公債発行の限度内に何とかおさめなければならぬというかたい決意を持ちまして、いま運営に当たっておる次第でございます。
 第三の財政編成と長期計画の問題でございます。私は、佐々木さんのおっしゃるとおり、財政も、長期計画的展望の中で予算が編成されるべき性質のものであると思うわけでございまして、単年度場当たりの予算編成でよろしいとは、ちっとも考えていないわけでございます。問題は、どのようにしてりっぱな長期計画を編み出すかということでございます。御案内のように、世界の経済秩序がいま非常に不安定な状況でございます。政治的にも不安定でございます、通貨的にも不安定でございます、全体の秩序が揺らいでおることでございますし、また資源的にも非常に不安定な状況にあることでございますので、わが国が仮にりっぱな計画をつくりましても、それを保証するだけの外的要件が充足されるかどうかへこれも非常に大きな問題であろうと思うのでございます。また国内におきましても、経済的な与件、社会的な与件、いろいろめんどうな問題がございますこと御案内のとおりでございまして、長期計画自体の編成という問題は大変むずかしい課題であろうと思います。また、したがってあなたの御質疑の中でもありましたように、それは更正可能なものである、途中で改定可能なものであるというアローアンスをお示しになっておりますことも、仰せのとおりだと思うのでございまして、そういう前提で、政府といたしましても、五十一年度からもろもろの経済社会長期計画というようなものをつくってみようじゃないかということで、いま作業を始めておるわけでございます。もとよりその中心になってまいりますのは財政計画でございまして、財政計画といたしましても、この計画と不即不離の関係におきまして十分の検討を加えて、実のある長期計画的な展望に沿った編成が可能であるように持っていかなければならぬと、せっかく工夫をしてみたいと考えております。
○佐々木(良)委員 経済がなかなか複雑な段階にまいりまして、単年度的な考え方ではなかなかその指導が困難になった、この前提に立って、ある程度中期、長期の見通しを持ちながらやらなければならぬということは、これはだれもが認めているところだと思います。にもかかわらず、この仕事が日本では一番下手だと思います。端的に言いまして、政府の経済見通しが公表されるようになりましてから約二十年、これは言うならば当たったためしもなく、外れの歴史だったと思います。御承知のとおりでしょう。四十四年までは、実績の方が見通しを大きく上回るという常習犯でした。それからその後は、逆に過大見積もりというのが同じように続いております。過去につくられましたところの経済諸計画も、大体似たようなものであります。
 私は端的に言いますと、その政策に当たる者は、言うならば優秀なる官僚が頭の中でつくる、そして内閣を構成されるところの大蔵大臣あるいはまた経済企画庁長官、それらは安定した形でそのような計画に参画をし、そして必要に応じて修正しようというそのやり方ができないままに、言うならば泳ぎ回って命をつながんならぬというような感じの方が先に出るものですから、本当の意味で優秀な官僚とそれから日本の政治とを込みにした形の、そういう経済指導と経済の運用が大変むずかしくなっている、こういうことだと思うのです。福田さんがちょうど就任をされて、その問題に取り組まれようというところでありますから、どうかここに勇気をもって、長期計画は官僚そして当面の見通しはおれだ、内閣だ、そういう分業ではなしに、合わせて一本となったところの、本当の意味での経済の立て直しのための中期展望を持ちながら、そしてその中で年度計画を立てていきながらやっていかれるように、私は心から要望いたしたいと思います。
 関連して、三木さん一言。いまの大平さんの御答弁の中で、言うならば今年度のこれからの動きの中で、予算の支出削減を含むような、あるいは実行予算という意味かもしれません、歳出減の実行予算的なものを編成していこうというお考えがあったと思います。いまの政治を運用する場合の基本的な一つの問題に、いわゆる行政改革という問題があると私は思います。これは歴代内閣が全部、就任されたときには言われる。そして、もうそろそろつぶれかけて力がなくなった時分にまた言われる。だけど、やられたためしがない。ちょうどいま銭がなくなったところだ、そして世間からも一番行政に対して能率的な行政を求めている最中だと私は思います。歳出減の実行予算をつくられようということと相まちながら、三木さん、この際にこそ、行政改革に対して基本的なあなたの立場、あるいは蛮勇をふるわれる立場をとるべきだと思いますが、いかがですか。
○三木内閣総理大臣 佐々木議員、私に余り手を広げ過ぎるということでございますから……。確かにいまはどの問題も、いま行政改革をとらえられましたけれども、どれでも全部の問題が見直しを必要とするのですよ。もう広げようとすれば切りのない問題ばかりですが、その中で行政改革の問題は重要な問題であるわけですが、これもまたいま佐々木議員も言われましたように、歴代内閣かけ声ばかりで実行したものは一遍もないということですから、これはじっくり取り組む必要があるですね。いま行政監理委員会、こういう新たに陣容などを整えまして、この問題を真剣に取り組んでみようということで、最近にも会合をいたしました。いま財政硬直化の面からいっても、行政の簡素化、能率化というものは大問題であることは御指摘のとおりでございますから、確かにこれはわれわれが取り組まなければならぬ問題の大きな一つであるという点は、佐々木議員と、私も意見を一致するものでございます。
○佐々木(良)委員 進めてまいりまして、経済問題の最後の景気対策の問題に入りたいと思います。この問題については一、二御答弁をいただきながら、一問一答の形をとりたいと思います。
 私は、いま冷え切った景気に対しまして、積極的な刺激政策がやかましく論ぜられ始めたことは当然でありまして、したがってその方向を否定するものではございません。しかしながら、私はこの時点でどうしても明らかにしておきたいと思うことがございます。
 三木さん、お伺いいたします。三木総理並びに福田副総理は、高度成長政策が、格別過去十年間において、諸悪の根源的な役割りを果たしたことにかんがみられて、内閣の発足に当たって、明確に高度成長政策の放棄を宣言せられました。採用されようとする安定成長政策路線と、捨てられたところの高度成長政策路線との違いは、私は単に経済成長の量的なものだけではなくて、質的変更を意味するものであると考えるのでありますが、どこをどう変えようとされるのか、三木総理の基本的な方針を伺いたいと思います。
○福田(赴)国務大臣 私は、日本の経済が高度成長をなし遂げた、その功績まで否定するわけじゃないのです。これは偉大な功績をしたわけです。とにかく、わが国が今日世界の中で大きな役割りを演ずるような、そういう地位をかち得た、わが国の国際的地位が飛躍的に向上、定着しておる、これは経済成長発展の一つの大きな成果であった、こういうふうに思うのです。しかし、これを無限にずっと続けていくということについて、ここで大きく反省しなければならぬ。もう今日、世界情勢を見ましても、またわが国の国内の状態を見ましても、これはいままでの行き方というものを大きく転換しなければならぬ、そういうことを強調しておるわけなんです。国際情勢を見れば、非常に変わってきておるのは、資源有限時代です。その意識が非常に変わってきておる。そういうさなかで、世界の重要資源をそんなに多く使うという体制が許されるものかどうかということ、これは反省しなければならぬ。また、経済の成長は偉大な成果を残したものの、国内には公害の問題あるいは立地条件の問題あるいは物価の問題、あるいは各界各層の間における不均衡と言われるような諸問題を醸し出しておる、そういう点につきましても反省しなければならぬ。そういうことを考えますと、総合的にいままでやってきたあのすばらしい速度の経済発展というものは、これはもう放棄しなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。
 そういうことで、経済発展の量的側面もありますけれども、同時に考えなければならぬことは、日本の社会というものを均衡のとれた姿にこれからやり直さなければならぬ、そういう問題がある。そういう問題をとらえながら、高度成長路線から安定成長路線、つまり量的拡大から質的充実といいますか、均衡の路線、そういうことを考えながら、私どもは経済の路線の切りかえ、こういうことを考えておる、さようなことでございます。
○佐々木(良)委員 そうしますと、高度成長の欄熟期で公害が出過ぎた。それから資源を浪費し過ぎた。そのことから高度成長はぐあいが悪いからやめよう、こういうことですか。
○福田(赳)国務大臣 一つは成長を支える条件ですね。いまおっしゃるように、公害の問題、資源の問題、そういう隘路というものが出てきておる。そういう点もありますが、同時に、日本社会を充実していく、そういうことを考えるという際に、高度成長と言えば何といっても工業優先、しかも、その中でも大企業が中心になって動いていくわけです。そういう中に、どうしてもいろいろな意味の不均衡というものが各界各層の間に起こってくる。やはり本当にいい社会というものは、各界各層が肩を並べて、均衡のとれた姿で前進するという社会でなければならぬだろう、こういうふうに思うわけでありますが、一方においてそういうような外的ないろいろな制約、成長を制約する要素もあって、いままでのような成長はできないという制約はありますが、同時に、その制約を度外視いたしましても、日本社会のあるべき姿ということを考えると、どうもいままでのような高度成長というようなことだと、非常なアンバランスがあらゆる面で出てくる、そういう点も反省しなければならぬ、こういう見解でございます。
○佐々木(良)委員 私は安定成長問題について、あなたとやはり少し違う感じがするわけですけれども、しかし、いまのお話でありますと、私は福田副総理が四十年代の初頭に、蔵相として本格的な国債政策を導入されまして、いわゆるなべ底景気を浮揚せられ、そのときのかじ取りをやられました。そして、これはみごとに成功しましたね。みごとに成功しましたが、それがそのまま、言うならば高度成長の欄熟期を現出するに至って、いまの、私どもの言葉で言うならば、諸悪の根源的な作用をなした。しかも福田さんは、当時大蔵大臣に就任されたときから高度成長を批判されて、安定成長論者だったと思うのです。なぜ、安定成長論者でありながら、あのような、言うならば四十年代中期の高度成長、しかもいまあなたが指摘されるような公害あるいは資源浪費の経済になっていったのですか。どうしてでしょうか。
○福田(赴)国務大臣 安定成長というものは、私が提唱したのは、国際社会においても均衡ということも考えるが、同時に国内社会の均衡、これを重要視しなければならぬ。一つの階層だけがずうっと突っ走っちゃって、あとの階層は非常に立ちおくれるというような、そういう状態ではいかぬ。それから同時に、経済というものは、高度成長であれば物価がどうしたって上がります。それから国際収支にも大きな問題が起きてくる。そういう国際収支問題が悪化すれば、必ず引き締め政策をしなければならぬ。そこで……(佐々木(良)委員「なぜ四十年代の安定成長を定着させられなかったかということです」と呼ぶ)それをいま説明しているのです。
 私が安定成長と言うのは、必ずしも低成長ということじゃないのです。その制約条件も克服できます、あるいは国内の均衡も整えます、そういうような状態において可能な成長というものは、これは私はむしろ歓迎すべきである、そういうふうに考えるわけで、昭和四十年代、非常な不況であった。四十一年には相当多額な国債を発行した。しかし、国債もだんだんと漸減してきておったじゃありませんか。そういう状態の中で、わが国は物価がとにかく安定しておったです。国際収支も安定しておったのです。そういうような大きな問題につきまして、破綻というものは起きなかったのです。資源もどんどん輸入できる、こういうような状態だった。そういう状態を踏まえまして大きな成長をしたわけでありますが、あの時点において余りこれを低位に抑えるという、そういう考え方は私は持たなかったのです。私が申し上げておりますのは、成長の高さというよりは、むしろ国内の均衡あるいは制約条件を乗り越えての成長、それはやっちゃならぬ。安定的に発展していく。その時点においては、私はあの高さの成長、これは必ずしも悪かったと、こういうふうには私は考えておりません。
○佐々木(良)委員 国内のバランスがとれておりましたか。四十五、六年のぐうっと成長した段階は、むしろ工業成長だけがうんと大きくなりました。農業関係は全然捨ておかれておりました。そうしてそのころから始まったところの福祉対策も、非常に国際的には低い程度に抑えつけられておりました。国内的にバランスがとれたところの安定的な成長段階でありましたか。
○福田(赴)国務大臣 これだけ大きな日本社会ですから、一つ一つ全部が均衡と、こういうわけにはいかない。しかし、非常に大事な物価はどうだというと、もう四十一年ごろから四十六年ごろまで、卸売物価は本当に横ばいですよ。国際収支はどうだ。国際収支も微動だもしないという状態がずうっと続いてきておるわけです。国際的な均衡、これもちゃんとしておるわけです。さあ、そういう中で国内各界各層のバランスはどうだ、こう言いますと、確かにやはり経済が高度に伸展しますから、大企業と中小企業というような、そういう問題は出てくる。しかし、それだけの経済発展をしたから、その成果をもちまして、やはり社会保障政策なんというのはうんと前進をしておるわけです。あるいは中央と地方との格差の解消、これは非常に公共土木事業なんかも進展いたしまして、その面の解消もできておるわけです。
 そういうようなことで、一つ一つ重箱のすみをつっつけばいろいろな問題はありますけれども、大筋におきましては、国際的、国内的均衡のとれた時期であった。しかし、そういうものをやった結果、国土は非常に狭くなってきた。大規模工業基地なんかを許すような条件はだんだん制約されてきておる。あるいは資源のことを考えましても、日本はいま世界の第二の工業大国です。それがいま高度成長の勢いで十年間で二倍半になったらどのくらいの資源を使うか、世界は日本にその使用を許しません。そういう状態になってきた。資源的な制約を考えてもそうだ。あるいは公害ということを考えても、日本社会の非常に大きな問題です。そういうことを考えましても、これ以上公害が非常に急速な勢いで悪化するということは許されない。そのようなことを考えても、成長の速度という問題が起こってくるわけです。それから、これだけ大きくなった日本経済ですから、もうそろそろテンポを下げても、国内の均衡ある発展という方向へ目を向けた方がいい時期になってきておる。そういういろいろなことを考えまして、とにかく日本経済というものはここで思い切ってかじの切りかえをしなければならぬ、夢よもう一度というような考え方、これは捨てなければならぬ、そういう見解でございます。
○佐々木(良)委員 福田さん、あなたの結論は賛成です。しかし、道程は全然違います。
 あなたの指摘されておるような、そういう高度成長というのは、どうもあなたのお話を聞きますと、大体、田中内閣であなたが訣別されたその前後を前提とし、そのことは狂乱物価を中心とした問題です。私が言っているのはそうじゃない。四十年代の初頭になべ底景気、一番不景気、いまと同じ不景気でした。そのときにあなたが最も積極的な公債政策をとられて、そして浮上させた。それから四十三年、四十四年、ぐっと上がってきた。そして四十五年、四十六年、その近所の経済状態を、あなたは健全なものと見ておられる。しかも、経済というものを見る場合に、あなたは経済指標だけを見ておられる。バランスというものは決して物価や国際収支だけで見るものではない。国内がバランスをとっているかどうかというものは、国民生活自身がバランスをとっているかどうかではありませんか。国民生活自身が各層バランスをとった、そのような状態でありましたか。私どもが高度成長を批判して、安定成長路線へ持っていけと言うのは、そういう経済市場のバランスだけを言っているのではない。経済とは国のためにあるのではなくて、経済とはまさに国民のためにあるわけだ。国内の均衡というのは、国民が、おのおの国民生活がバランスをとった状態でありましたかと聞いているんです。
 そのことに対してあなたは全然責任を感じておらないということであるならば、これからのこの安定成長路線というものも、これはどうもまゆつばものであると私は考えざるを得ない。このときの責任、感じられませんか。安定成長論者であるならば、どうしてあのときに安定成長できなかったか。端的に言うならば、あのときに景気を刺激しあるいは景気を締める、そのことだけがあなたの手中にあって、そして経済社会を転換するための経済政策自身の裏づけがなかったということじゃないですか。その裏づけをさせるかさせないかが、今度安定成長路線に持っていくか、私どもで言うならば、福祉国家路線に持っていくかどうかということだと思うのです。いかがですか。
○福田(赴)国務大臣 俗な言葉になりますが、パイはある程度大きくなければ、これは福祉政策はできません。私は、六〇年代という年代、これはわが国にとっては、そのパイを大きくできる諸条件を備えた時期であった、こういうふうに見ておるのです。
 ですから、私は、国際均衡、国内における重要な諸点についての均衡を得ながら、六〇年代において高度成長をなし遂げた、その結果、わが国の国際社会での地位というものは非常な向上をしておる、その点は決して過小評価するわけにはいかぬ問題である、こういうふうに考えておるのです。
 しかし、世の中が変わってきた、国際状況も変わってきておる、それからパイもこれだけ大きくなってきたのだ、こういう現時点になりますると、もう安定成長路線というか、成長よりは均衡だ、量よりは質だという方向へ大きく目を転じなければならないのじゃないか、そういうふうに考えておるのであります。
 あの六〇年代の大きな発展、あれはパイを大きくするという意味、それから国際社会でのわが国の地位を向上させるというような意味において偉大な足跡を残した、私はこういうふうに思いますが、それだけに、いろんなひずみも残しておる、こういうふうには思います。
 今度はそのひずみという問題に大きく目を転じ、そして静かなる成長発展、静かなる安定した社会の建設ということに思いをいたさなければならぬ時期に来ておる、こういう見解でございます。
○佐々木(良)委員 福田さんのエコノミストとしての考え方や批判というものに対して、私は耳を傾けないわけではありません。しかし、政治家として見る場合には、一番あなたに欠けているものは――あの高度成長の段階で確かに庶民は潤ったでしょう。しかしながら、その格差というものがどんなに日本社会を害したか、そしてそのことがあるから、今度は成長のスピードを抑えるということであるならば、主客転倒だという考え方なんです。
 四十年代の景気対策が、要するに単なる不況対策ということに終始してしまって、言うならば、ビジョンを持った安定成長経済への質的な転換を行うべき経済諸施策を実行しなさ過ぎたところに、あの高度成長が批判される中心があると思うのです。したがって、高度成長の結果に対する批判はあなたと同じですけれども、その過程においてやられるべきものがやられなかったということに対する反省が、本当はもっと自民党内閣としては欲しいということなんです。
 当時のあの状態のときに、やはり従来どおりの民間設備投資への金融緩和でありましたし、財政投資によるところの社会資本の充実というやり方も、道路、港湾等の産業基盤強化が中心でありました。そして住宅、下水道、福祉施設あるいは農業基盤等の生活基盤の強化を飛躍的に増強するという方針は、とうとうとられませんでした。ここに一番問題があったということを私は言いたいのです。
 本当に安定成長を目指すならば、私は、民社党流に言うならば、それが当然に福祉国家の政策路線になるわけでありますけれども、それにふさわしい価値観と価値体系をつくり上げながら、経済社会自身を変革していくことだ、こう思うのです。それでなければ、安定成長というものは本当の国民のものになりません。
 繰り返して私は申し上げます。きのうからの勝間田さんの質問にも、あなたはきょういまと同じように、高度成長の結果公害列島ができた、だから今度は成長を下げるのだ、あるいは資源を乱費し過ぎたから成長を下げるのだ――下げるということは、むしろそれとともに、違った方向に転換しなければならない。どうして公害をもっと規制する形において方向を切られないのかというのです。いまならばきっと、金がないからそうするとつぶれてしまうからと言われるに違いないじゃないですか。しかしながら、当時は高度成長下で銭はあった。いまのような歳入欠陥じゃない。毎年毎年自然増と称して、あなた方のふところ、金が適当に使われるような状態にさえあったじゃないですか。どうしてこの金を社会の、言うならば福祉への転換のために使われなかったか。言うならば、再投資して再成長するためにそれが大部分が使われてしまって、公害を規制するために、公害を規制するような措置を十分にとられて、それのために必要な金としてどうして出されなかったか。エネルギーの浪費を云々されるならば、どうしてエネルギーの消費規制を行われなかったか。エネルギーの消費規制を行えば、当然に成長は下がりますよ。公害に対する負担を企業にうんとかければ、当然に成長は下がりますよ。そのような意味で安定成長ということが、言うならばわれわれにとって、国民にとって価値あることだ。ただ単に生産が低くなるということであるならば、そんなものはちっとも国民のものでありませんから、高ければ高いほどいいという、経済家の言うのと同じことになります。
 ですから、私どもがいま強調しますことは、いま第三次景気対策あるいは不況対策にあなたの内閣は踏み込まれようとしている、そしてその諸政策を私は拝見しております。通産大臣のところからは非常に強い景気対策が要求されるのは当然だ。そして福田さんの立場からは、物価の安定という立場から、金融が緩み過ぎてはいかぬという意味でかじをとられるのは、これはあなたの立場として当然だ。三木総理の立場として、それから福田副総理の立場としてやらなければならぬことは、片一方で経済を言うならば、早くてこ入れをしないと冷え過ぎて困るということ、片一方において物価を抑えなければならぬということとの間において、日本の社会経済体質を変えるという方向がどうしてもとられなければならぬことが、時代的な要求じゃないですか。三木さんの、言うならば三木内閣を成立させたところの最初の約束はそうですよ。
 したがって、私は、いま第三次景気対策がとられようとするこの段階において、四十年代の十年間をはっきりと振り返ってみてもらいたい。その中でやられなければならなかったことがやられなかったから、あのような公害列島の危険と国際的な資源浪費の危険をあえて日本が冒してきた。食糧に対しても同じだ。御承知のように、インドシナ大陸においてもアフリカ大陸においても、餓死が迫っておる状態であるのに、似たような物が、日本の国内においては、言うならば畜産のえさとして使用されておる。その体質を、どうして農業をその基盤を上げるという形で変えられないのか。そのことこそが国際的に寄与する、本当に国際人として日本が国際社会に入るためのやり方ではありませんか。同時に、農民のそのような姿勢とそれから経済家、企業家の姿勢とをもっとバランスをとらせるためにも、そこに銭を使わなければならぬということじゃありませんか、こういう意味です。
 どうか第三次不況対策を実施されようとする段階において、このような諸施策を十分に考えられて、社会経済の質的転換ということを十分踏まえていただきたい、強く強く私は要望いたします。
 もう時間がございませんから、先に急がせていただかなければなりません。したがって、私はこの段階で一つ聞こうと思っておりましたけれども、うんと強く要望しておきます。
 環境庁長官というとどなたでしたかいな――この問題がやかましかったときに、総理自身が環境庁長官の役目を買って出られたのだが、いまこそあなたは、日本が再び高度成長の轍を踏まないように、そのために力いっぱい、言うならば環境改善のために、環境庁の予算を要求しなさい、どうせ欠陥だらけなんだから。その金があなたの所管にうんと入ることだ、私は強くあなたに要望する。手伝いますよ。
 同じような意味で、厚生大臣においても、また文部大臣においても、同様な意味で農林大臣も、それから建設大臣でありますならば、建設基盤ということだけじゃなくて……(発言する者あり)おのおのの役所に所管があるので、しょうがないじゃないか。
 厚生大臣には当然に福祉政策、心身障害者の施設、病院、保育所、その辺の予算をうんと要求しなさい。大したことじゃない、こんなことは、それをうんとやりなさい。そしてそのことによって、三木さんや大平さんがそれを消化するという姿勢の中でのみ、私は庶民と一緒になったところの経済転換が可能であるということを言うのです。
 三木さん、よろしいか。福田さん御答弁ございますか。三木さん、お答えいただけますか。
○三木内閣総理大臣 佐々木委員の御指摘になるように、日本の高度経済成長を支えた諸条件、資源、環境、労働力、すべて条件はなくなっておりますから、望んでも望めないことが一つでございますが、見逃してはならないことは、やはり大きな価値観の変化であるということだと私は思う。やはりいままでのような量的拡大というものに国民は満足していない、もう少しやはり質的に、いま御指摘になりましたような生活環境が整備されて、そういう中に人間の幸せを感ずるような価値観に大きく変わってきておる。高度経済成長期には量的拡大というものを国民も支持したのですよ。やはり生産が拡大しなければ分配も少ないということで、それなりに国民の支持を得ておったと思いますが、しかし今日においては、量的拡大で、そのことが直ちに人間の幸せをもたらさないということが身にしみてわかってきたわけです。そこでやはり、もう少し生活を充実して、いま言ったような生活環境というものを整備してもらいたい、また単に金ばかりでなしに、教育とか文化とか、こういうものにも力を入れてもらいたいという、そういうバランスのとれた価値観へと大きな転換があった、このことを見逃すわけにはいかない。
 したがって、いま御指摘になったような御注文は、こういう財政条件のもとで、なかなか厳しいものでありますけれども、こういう財政の厳しさの中においてこそ、予算の編成というものは重点的な選択というものが必要であって、生活に関連をした国民の望んでおる生活環境の整備ということに大きな焦点を合わすべきだという御意見に対しては、佐々木委員と同感でございます。
○佐々木(良)委員 せっかく三木さんにおわかりいただいたら、中身を充実するために全力を挙げてください、お願いいたします。
 外交、防衛問題に入りたいと思います。しかし、私は、外交、防衛問題に入るに当たりまして、時間も十分ではありませんけれども、まず初めにお断りをいたしておきます。
 私は、日本の国土防衛という問題について、ベトナム事変というものが率直に日本人に与えた印象というもの、それは端的に言いますと、どうもアメリカの軍事力を過信し過ぎてはいけないなということが第一点だと思います。それから第二点は、アメリカの支援というものも、大変大事な段階でどうなるかわからぬものだなという不安がつきまとっておるな、私は防衛問題について完全に素人でありますから、したがいまして、むしろ普通の日本国民の庶民の感じで、この問題について私はそう感じたのです。そして大部分の人は大体似たような感じ方をしておられると思う。そういう感じで、私はこの現下の防衛問題というものについてお伺いをいたしたいと思います。
 でありますから、日米安保体制というものそれ自身に対するいま代案というものがすぐ直ちにないという前提に立てば、このものをどうしたならば少しでも充実させることができるだろうか、国民のために言うならば、安心が少しでもできる方向に持っていけるだろうか、こういう感じに私はおります。恐らく同僚からもいろいろな批判があろうと思いますけれども、しかし少なくともそういう感じで、私はこの問題に取り組みたいと思うのでありますけれども、しかし端的に言って、いま申し上げましたように、ベトナムということからあの事変を見ますと、この日米安保というものを柱にしておる日本の安全保障というものも、どうも大変頼りないという感じがしてきてならぬわけであります。
 でありますから、質問の立場は、言うならば安保改善論という立場でしょう。したがって破棄論という立場ではございません。しかしながら、改善がどうしても不可能で、われわれのいまの心配が解消できないということであるならば、これはもう一遍考え直さざるを得ない、こういう意味に感じながら、問題を提起していきたいと思います。
 宮澤外務大臣に端的にお伺いいたしますが、ベトナム情勢に対しては、日本政府は相当的確な情報をずっと持ち続けておられましたか。私どもの感じで言いますと、南ベトナムの終末というものは余りにもあっけなかったとこう思うのですけれども、何が直接の原因だとお考えになりますか。
○宮澤国務大臣 遠因につきましては、昨日総理大臣からもお話がございましたようなことが、私からも申し上げましたが、基本的な原因であったろうと思いますが、近因につきましては、南ベトナム政府の前政権の大統領が、アメリカから期待しておった援助がついに来なかったということを言明しております。客観的に見ますと、確かにその問題が一つと、それから、それとの関連で、中部からの撤収作戦というものが予想外の結果になったということではなかったか、これはしかし近因についてでございます。
○佐々木(良)委員 アメリカの援助が適切に行われなかったということが少なくとも動機だ、こういうふうにマスコミは報じておりますから、私もそうだろうと思います。
 そうしますと、アメリカの援助が適切に、タイムリーに行われなかった。その援助を拒否したのはアメリカ議会だったと思いますね。アメリカ議会にそういう傾向がだんだんと私は強まりつつあるだろうと思うのです。
 三木さん、ひとつ政治判断をお伺いするのですけれども、今度の南ベトナム問題で示したようなアメリカ議会の背景には、いわゆる新孤立主義的な考え方があると思うのです。そしてこの新孤立主義的な考え方は、どうも私は今後相当に発展していく、こう思うのですが、どう考えておられますか。
○三木内閣総理大臣 アメリカの国民の気持ちとしては、アメリカはいままで手を広げ過ぎた、それでもう少しその手を狭めたい、そういう気持ちが、新聞などを見ても、あるいは出版物、いろいろなものを通じて、そういうものがいろいろな報道機関を通じて、われわれにアメリカじゅうの気持ちとして伝わるわけですね。アメリカの議会というもので、そういう国民の気持ちを受けて、佐々木議員が御指摘のような孤立主義的な色彩のある発言があることは事実ですね。しかし私は、今日の時代で孤立主義的政策はどの国もとれる国はない。アメリカにおいてもとれない。したがって、そういう国民の気持ちや議会のそういう国民の気持ちを反映した発言はあっても、政策全体として、アメリカが孤立主義的なからに閉じこもることはないと、私は判断をいたしておるわけであります。
○佐々木(良)委員 宮澤さんにお伺いいたします。
 しかし、私はこの孤立主義的な傾向の背後には、かつてのニクソン・ドクトリンの考え方が端的ににじみ出つつあるという感じがいたします。ニクソン・ドクトリンといわれるものはどういう内容であったか、端的な内容、御理解のほどをお示しいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 基本的には、ニクソン・ドクトリンは、第一にアメリカの軍事力を強い状態に整備をしておくこと。第二に、いわゆる友好国との同盟関係を強化すること。第三に、しかし相対する国といいますか、体制の違う国とも何かの形で和解の道を見つけていくこと。この三つの要素から成っておると考えております。
○佐々木(良)委員 大変シャープな頭のいい御答弁で、そのままだと思います。
 しかしながら、私どもが政治家として理解する場合には、このニクソン・ドクトリンというのは、アメリカがこれまで、言うならば世界警察の役割りを果たしてきたけれども、もう自由世界全体の防衛を引き受けるわけにはだんだんいかぬぞ、今後はとても全部のめんどうは見かねるから、各国とも自国の防衛についてはみずから責任を持ってくれ、それ相応の援助をしょう、私はこういう理解だと思いますがね。そして、それであるならば、そのことを裏返して言いますと、アメリカは今後アメリカ自身の直接の、言うならば国益、そういうものを中心にして、全自由世界の中でアメリカにとってこれは大事だと思うところには介入をしていく、それから、それほどではないというところはだんだん引き揚げていく、こういう、言うならば選択的に介入し、防衛するという、こういう姿勢以外にはありませんぞということを宣言したものだと私は思うのです。理解の仕方が違っておるか知れませんけれども、私はそういう考え方がまあまあ世間に通用しておるのじゃないかと思います。
 そうしますと、こういう考え方に立ちますとだれでも言っておるように、アジア全地域からの米地上軍の全面撤退というものは大体予想され、時間の問題として進行するものだ、こういう見方があったのじゃありますまいか。そうしてインドシナの放棄というのは、この考え方の端的なあらわれだ、こう見ていいと思うのです。
 そうしますと、私は、三木さんは孤立主義なんというものは政治で成り立つわけはない――それは理屈じゃそのとおりですよ、だれもアメリカだけで独立できっこないわけでありますから。しかしながら、よそのめんどうは見切れないし、直接のことだけにだんだん限定していこうという、このことはニクソン・ドクトリンの基本的な考え方と大体同じことで、そうして端的に言えば、議員の方が利害関係に対してより露骨であり、より感覚的ですよ。したがって、だんだんと議会の中でその傾向も強まってくる。必ずしもウォーターゲート事件そのものだけの影響ではない、こう思うのです。いかがでしょうか。
○三木内閣総理大臣 ニクソン・ドクトリンの方向というものが、いままで軍事中心に考えておったわけですね。それがやっぱりもう少しアメリカ政策を包括的なものにしよう、そういう、私はやはりアメリカがいままで軍事中心であったものが、ある意味において、それは健全な方向であると思うのですね。したがって、そのことが直ちに、日本の場合を考えてみても、それはまた日本が求める方向でもあるわけですね。日本は軍事と言ったところで、軍事面で世界に貢献はできない。もう少し国民生活の安定とか、そういう世界経済の開発とか、こういうものを通じて包括的な政策を日本はとらざるを得ないのであります。ある意味において、ニクソン・ドクトリンの示す方向と日本がまた求めておる方向とは、方向は違ってはいないということで、私は健全な方向であるというふうにこれを見ておるわけでございます。
○佐々木(良)委員 私は細かく言えば、外務大臣とでも詰めれば、三木さんのいまの結論にはなかなか賛同しかねる面がたくさん出てきます。しかしこいつは少し時間をかけなければなりませんから、後回しにしましょう。
 そんなことであるならば、ベトナムがびっくりしたり、言うならば朝鮮半島が緊張するとかせぬとかいう問題があったり、日本の国の中でも、はてこれは重大だなというような心配は生まれてきません。日本のこれまで見ておったのと同じアメリカであり、そうしてわれわれの利害と一致するのであるならば、いまここで防衛問題などを論議する必要は、私はないと思うのです。その意味で、後の問題にしましょうが、ともかくいまポスト・ベトナムという意味で、朝鮮半島問題をなかなか注目する向きが多いものでありますから、ここに最初ひとつ問題をとらえてみたいと思うのです。
 きのうからいろいろな話が出ておりますから、改めて同じことを聞こうとは思いませんけれども、宮澤外務大臣に、事の順序として、いわゆる緊張問題、きのう、緊張問題と言うけれども、事実上これは言うならば主観的な判断だという意味のことを言われましたですね。だから、したがって、客観的にはそのような緊張というような状態はそう起こっていないと見られるのか。
 それから二番目には、いわゆる韓国の民主化という問題、これはアメリカの議会の動きを見る場合に、大変重要な要素をなすと思いますので、その辺に対する判断、見方をどうされておるか。
 それから三番目には、いわゆる在韓米軍の引き揚げ問題というのがありますけれども、これに対する見方をどうされておるのか。これについて簡単にひとつ御報告いただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 朝鮮半島における緊張の有無の問題でございますが、昨日も申し上げましたように、基本的には、主観的な判断によるものと思いますが、しかし、七二年ごろいわゆる南北対話が開かれました当時に比較いたしますと、ことにベトナムからのアメリカの撤収以後、金日成主席の外国訪問等もございまして、いっとき――これもしょせんは主観的な問題でありますけれども、かなり緊張度が高まって、むしろそこから生ずる誤解を防ぐために、アメリカ側が意識して、かなり強くコミットメントを再確認したというようなことがあったのではないかと見ております。
 それから第二の点でございますが、韓国の政治のあり方につきまして、おのおの個人的にはいろいろな感想を持っておりますし、私自身も持っております。しかし、これにつきまして、公の席で私の口から申し上げますことはいかがかと実は存じております。しかし、最近の傾向について、私、実は四月にワシントンに参ったわけでございますけれども、アメリカの議会の中で憂慮する向きが相当ございますことは、事実であったと存じます。
 もう一点は、恐れ入りますが……。
○佐々木(良)委員 在韓米軍引き揚げ問題です。
○宮澤国務大臣 在韓米軍の問題につきましては、いろいろな私が知り得ました情報等々から判断をいたしますと、ことにベトナム撤収の直後でもあり、ただいまそういうことを議論し、あるいは日程に上せるというような状態では、アメリカ側はないように判断をいたしております。
○佐々木(良)委員 重ねて宮澤さんにお伺いいたします。
 きのう駐韓国連軍の解体決議という問題が、金子さんからお話が出ておりました。それに対して、この解体決議にかわる平和維持国連軍の決議とかなんとかという構想が、韓国側からでもいまささやかれておるのかどうか。要するに、これにかわる代案みたいなものが論議の対象になる可能性があるのかどうか、これが一点。
 それから、全然これは違いますけれども、ワシントンポスト紙に、日米中ソ、これが、言うならば現在の南北朝鮮をそのまま肯定するような形で、現在の緊張を緩和するという方式はとれないものだろうかという意味の紙上提案みたいなものがあったと思います。
 さらにまた、韓国の野党議員が中心だと思いますけれども、これに似たようなかっこうで、日米中ソ、これに南北朝鮮も参加して、いわゆる東北アジア平和会議みたいなものを開いて、これを踏み台として、現状を当分肯定しながら平和裏に問題を進めようという意味の提案らしきものがあるやに聞いております。
 この三点について、外務省としては検討をされておるかどうか、どういう感じでおられるか、お伺いいたします。
○宮澤国務大臣 第一点につきましては、昨日も申し上げましたとおり、私どもも検討をいたしておりますし、米国、韓国に対しましても、事態についての私どもの認識、判断を申しております。この解体決議に伴います平和維持機構の問題というのは、法的なフレームワークと、事実上今日まで行われてまいりました休戦協定違反についての現実の毎日の処理というものと二つの実はございまして、法的なフレームワークの方は、あるいは休戦協定の当事者は国連軍司令官でございますけれども、国連軍司令官は、やはり国連という権威のもとに、その委任のもとに署名をしたというふうに考えますれば、国連自身がなお当事者たり得るのではないかという解釈が可能かもしれない。しかし、ここらのことは各国が議論を詰めませんとはっきりいたしませんが、それが可能でありますと、法的なフレームワークそのものは比較的簡単に考えられるかもしれませんが、現実に南北間で行われておりました会談の休戦協定違反といったようなものについての処理をどうするかという問題は、大きな問題ではないかもしれませんが、やはり詰めてまいらなければならぬことであろう。私どもとして、一緒に検討をいたしております。
 第二の問題は、実は第三の問題とまさに関連がございますので、両方一緒に申し上げますが、私どもも何かそういう方法はないかということをいろいろに考えております。たとえば、南北が同時に加盟をするというようなことは、平和の増進に寄与するのではないかというようなこと、あるいはまた、これはわが国が正式に申したことはございませんけれども、ただいま言われましたような、日米中ソ等々が、南北を同時に承認するというクロス承認という問題がもし可能であれば、これも平和の増進に役立つのではないかというような議論は従来からなされております。
 しかし、このいずれの場合にも、私どもの知り得る範囲では、主として北側の立場は、そのような解決策は現状をむしろ肯定することになる。先ほど佐々木委員がちょっとお触れになりましたように、ベストでなくてもベターとして現状の一時肯定ということはあり得ないかと言われる点につきましては、主として北側の方において、それは現状の肯定化、ひいては固着化につながるという反対が強いようでございまして、ただいま言われましたようなことは、いずれも探究する価値のある可能性であると思いますけれども、ただいまのところそのような事情で、それより先へ話が進めないという状況のように判断をいたしております。
○佐々木(良)委員 三木総理は、朝鮮半島の南北の問題について繰り返して平和的統一が好ましい、その方向ということを言われます。基本的な立場やそれから方向、それが正しいことばだれも否定いたしません。しかしながら、現実にいま外務大臣が御答弁なさったように、少なくとも武力衝突的なあるいは紛糾を避けるために、何らかの方法で、特に関係諸国がある意味では介入、相談をしながら、いまの紛糾がホットにならないようにという意味の配慮をしようとしておると私は思います。したがいまして、その方向は、いま外務大臣が言われましたように、暫定的な手段としては、あるいは検討に値すべき価値あるものであるかもしれません。
 質問を進めていく時間がございませんから、要望だけいたしておきますけれども、ただ単に平和的な統一が好ましいという言葉だけで対処できるようななかなか状態ではございませんから、その辺を判断されながら、善処されることを要望いたします。
 次いで、きのう勝間田委員からの質問に対してお答えいただきましたところの、いわゆるもし紛糾が起きた場合に、日本の基地から米軍が発進するかもしれない問題についての事前協議という問題、これは、先ほど私が申し述べました、一番しろうとの庶民の私にとりましても大変重大な問題でありますので、その立場から、私は少し詰めさしていただきます。
 きのうのあなたの答弁は、条約の上は、その場合イエスもノーも言える、そして、だからイエスと言うときもあるし、ノーと言うときもあり得る、それはそのときの状況に応じて判断する、こうおっしゃいました。そうすると、明確にそのことは日本の国益に沿わないと思った場合には拒否する、こういうお考えが前提になっておると思いますが、そう理解してよろしゅうございますか。
○三木内閣総理大臣 当然のことです。
○佐々木(良)委員 大変結構だと思います。そのことは、日本がずるずると戦争に巻き込まれては困るし、報復爆撃のようなものを受けては困るからという配慮が前提だと思いますが、まさにそのことこそは、いま国民が一番心配しているところです。事前協議で、間違いなしにその拒否はできますか、重ねてお伺いいたします。
○三木内閣総理大臣 事前協議というものは、ノーと言う場合もあるし、イエスと言う場合もあるのが事前協議で、ノーと言う場合がないというような事前協議は、事前協議というものの本質に私は反すると思います。
○佐々木(良)委員 状況に応じて判断するのは、どなたが、どのような機関、手続を経て判断されますか。たとえば外務大臣か総理大臣か、それが個人判断でやられるのか、そして即答されるのか、あるいは緊急閣議でも開かれるのか、どういうやり方でやられますか。
○宮澤国務大臣 米国政府から日本政府に協議があるものと考えられます。したがいまして、これを決定いたしますのは、内閣ということになろうと存じます。
○佐々木(良)委員 内閣の責任において、言うならば、少なくとも内閣で相談をされてやられるということですか。
○宮澤国務大臣 さように考えております。
○佐々木(良)委員 宮澤さんに重ねてお伺いいたします。
 これまで事前協議らしきことが、現実にアメリカから通告をされて、そしてそのような日本側の対応ができるような状態で処理されたことがございますか。
○宮澤国務大臣 かつて事前協議を受けたことはないというふうに承知をいたしております。
○佐々木(良)委員 マヤゲス号事件のときは、事前協議は受けられなかったですか。
○宮澤国務大臣 事前協議を受けておりませんし、事前協議に該当すべき事項でなかったように判断いたしております。
○佐々木(良)委員 それで安全だとお考えになりますか。
○宮澤国務大臣 この問題につきましては、米国がわが国の基地から発進いたしますしばらく前に、ワシントンにおきまして、米国政府からわが国の大使館が事実の通報を受けました。それを受けまして、東京におきまして、外務省から米国大使館に対し事実を確認するとともに、これが事前協議に当たらないということについて確認をいたしました。
○佐々木(良)委員 どうして事前協議に当たらないということですか。
○宮澤国務大臣 米側から受けました説明によりますと、沖繩におりました海兵隊を他の海外基地にトランスポート、輸送機をもって輸送するということでございました。現実にそのとおり行われたと考えますが、つまり、沖繩における基地から海外の他の基地、この場合タイにおける基地であったと考えられますが、そこへの輸送であって、そのこと自身は、わが国から直接戦闘行動に発進したというものとは考えられない、そのような理由でございます。
○佐々木(良)委員 この論議は、すでに外務委員会やその他で行われたはずであります。そしてそこでのコンセンサスは、海兵隊というものは、飛行機に乗れという命令だけを受ける、そして飛行機に乗ってその後に、言うならば出動命令に値するような、どこどこへ行けという命令を受けるという話だった。だから、それは言うならば、戦闘行動への発進ではないからという意味で、事前協議の対象にはならぬというお話ですが、そういう解釈ですか。
○宮澤国務大臣 いわゆる事前協議の内容として定めております、わが国の基地からの直接戦闘行動への発進、参加ということには当たらないというのが、従来、伝統的な解釈になっております。
○佐々木(良)委員 三木さんにお伺いいたします。
 マヤゲス号事件類似の事件が、朝鮮半島の周辺に仮に起こったといたします。そしてその場合に、アメリカが今回のマヤゲス号事件と同様な方針で、これは一挙に行動すべしと判断をいたしたといたします。そしてマヤゲス号事件と同様な措置をとった場合には、あなたが言われるような形で事前協議にはなりませんね。そしてその場合には、相手がタイ国であったからいいようなものの、朝鮮半島に似た事件が起こった場合にも、事前協議にはならないというこれまでの解釈のようですが、よろしいですか。
○宮澤国務大臣 先に私からお答えをさしていただきます。
 全く仮定の問題でございますが、たとえばそのようなケースで、わが国の基地から米国の航空機が発進をして、相手国の艦船を爆撃するあるいは米国の航空機から落下傘部隊が直接戦場に降下するといったような場合には、これは直接の戦闘行動に発進したものと認められますので、これは事前協議の対象になると考えます。
○佐々木(良)委員 マヤゲス号事件の場合には、海兵隊が行動いたしました。海兵隊が同じように沖繩の基地から朝鮮半島に行った場合には、事前協議の対象にならないという解釈のもとに、三木さんいま言われますように、報復爆撃を受けたり、ずるずると戦争に巻き込まれるような心配を、事前協議ということで回避することができますか。
○宮澤国務大臣 その報復爆撃云々の問題でございますけれども、安保条約並びにその運用は、わが国の安全という、自衛のためという基本目的がございますので、したがって、これが自衛のためでなく、侵略あるいはこちらからイニシアチブをとった攻撃のためであるといたしますと、これは安保条約そのものの精神に反することになります。したがいまして、行われる場合は自衛のためでなければなりませんので、その場合、報復ということは、実は法観念としては成り立たないというふうに考えております。
 事実問題といたしまして、海兵隊がわが国の基地から発進するという場合に、それが先ほども申しましたように、戦地に直接戦闘行動に参加する形で行われるといたしますと、これはマヤゲス号に起こった場合とケースが異なりますので、場合によって事前協議の対象になる形態があり得る、これは具体的に判断をいたすべきでございますが、さように考えるべきかと思います。
○佐々木(良)委員 宮澤外務大臣が、優秀な頭脳で、条約解釈をどうされて、どう陳弁努められましても、いまのこのお話をもしテレビで国民が聞いておるならば、われわれの率直な感じは、言葉は大変悪いのですけれども、タイであったからいい、ベトナムであったからまだそれほど心配でなかった、同じことが同じ海兵隊で朝鮮半島で起こった場合に、はて、どうだろうかなという心配を全部国民がしているのですよ。そうして、そのことについて三木総理は、それは事前協議でもって断ると、こう言う。断るチャンスも何もないじゃないですか。
 私は、この面の事前協議が本当に事前協議であって、アメリカが、海兵隊であろうが何だろうが、事実上戦闘行為に発進させるという決意をしたならば、その決意の時点で、こうやろうと思うんだけれどもどうだという相談が日本にあって初めて、事前協議だと私は言えると思うのです。そしてその心配はいま国民がしている。外務省が条約解釈しているのじゃない。三木さん、この不安に対してはっきりとお答えできますか。私は端的に、この問題に対するはっきりとした国民の、言うならば了解が得られなければ、幾ら日米安保の事前協議だと言われましても、事前協議自身が国民の納得がいかないと思います。政治答弁をお願いいたします。
○宮澤国務大臣 その前に一言私から申し上げさせていただきます。
 ただいま御指摘の事前協議は、特定のケースにつきましての、いわば法に定められた特定の場合の協議、これに対してイエスあるいはノーを答える場合でございますが、その前提に、安保条約にはもとより、日米間が大事なときに随時協議をするという規定がございます。したがいまして、ただいま佐々木委員の言われましたような状況になりますと、これは日本国民の支援がなくしては、いかに法律的にどうであろうと、その米軍が有効に行動し得ないことは明らかでございますから、そのような状況になりましたときに、日米間に、いわゆる法に定める事前協議でない、安保条約の第四条に申しますところの協議というものが、これは当然行われなければ、お互いにお互いの目的を達することはできない、これは私は当然のことであろうと存じますので、したがいまして、佐々木委員の言われましたようなことが当然行われるものと考えなければ、実際安保条約の円満な運営はできないというふうに私ども考えています。
○佐々木(良)委員 その随時協議によって、一方的な行動を追認する形になっておるような事前協議の欠点を補い得るのであるならば、私ども心配いたしません。しかし、これまでそのような意味で随時協議が行われて、そしてそれが国民の中にも浸透して、うん、あれがあるから大丈夫だ、こういう感じに受けとめておらないじゃないですか。従来から民社党は、安保肯定論者であることは御承知のとおりであります。しかしながら、事前協議問題がいまのような運用状態であり、そして司令官の一方的行動を事後において事実上通告されるということであるならば、問題が東北アジアにだんだんと接近する現状においては、国民の理解は絶対に得られないものだと思います。三木さん、今度はアメリカに行かれるそうだ。もし本当にあなたが日米友好親善を深め、そして日米安保のもとに日本の安全というこの柱をなお守ろうとされるならば、少なくとも私の疑問は解消されなければ、幾ら言われても、国民の疑問は解消されないと思います。
 同時に、もう一つ申し上げますが、その事前協議というものには、日本側から提議したりあるいは発議したりすることはできないそうだ。先ほどの何とかという随時協議みたいなものだそうだ。そしてそこには、随時協議としての実は、ほとんど上げていないということだ。私は素人ですから知りませんよ。しかしそうなっている。そのことを専門家の方々がいろいろ心配されながら、具体的に問題を提起されている。私は、事前協議を中心といたしまして、本当の意味で、日米安保のそのような日本国民側の不安を解消されるためのアメリカとの交渉をされることこそが、何よりもいまの基本的な姿勢を安定にするもとだと思いますが、そうお考えになりませんか。
○宮澤国務大臣 佐々木委員が想定されましたような場合において、まさしくそのことが必要であろうと、私は考えております。
 先ほど第四条と申し上げましたのは、このように書いてございます。「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」こういう規定でございますが、この規定の意味は、もとよりこの規定がございませんでも、協議というものは当然に行われるわけでございますが、一方の要請により協議するというのは、要請に対して協議に応じなければならないという当然の義務を定めておるという意味で、この条文の意味があるわけでございます。ございませんでも、いまの日米関係から申せば、当然そういうことが行われると私は考えますが、特にこの条文を入れました意味は、ただいま佐々木委員の御指摘になったような場合における、いわゆる突然に事前協議の問題が出てくるのでない、状況についてのお互いの考え方、判断の交換というようなことをこの条文が定めておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○佐々木(良)委員 時間がありませんから、私はまことに残念ですけれども、いまの答弁ではなかなか納得できません。問題は保留しながら、今後発展さしていきます。
 少なくとも、この問題については、そういう条約解釈ではなくて、私自身がはだ身をもって、ああそうか、それなら大丈夫だ、こういう見方ができなければならないのにかかわらず、本当は、条約締結以降数年間、繰り返し繰り返し、この安保事前協議問題については、与野党の間に、言うならば意見交換があったのにもかかわらず、疑問は解消しておらない。そして日本がずるずると戦争に巻き込まれ、日本の意思ではなしにアメリカの戦略に巻き込まれてしまうのではないかという心配、それはないと政府が何ぼ言ったってだめですよ。政府が言っても、国民自身のこの心配は解消し得ない。ここに一番中心があることを御承知いただきたい。
 あわせまして、三木さんに質問とともに申し上げますが、この基本的な問題が解消されないということと、それから先ほどお話しのように、安保条約五条それ自身が、言うならば、両国の憲法に基づいて共同の危険に対して対処しょうと書いてある。このことは、従来は、日本側は平和憲法という特殊な憲法を持っているから、その日本側をずるずると巻き込まないだろうという考え方だけが中心でむしろ読もうとされておりました。しかし、今度のベトナムの経験は逆に、アメリカ大統領政府と幾ら約束しておっても、アメリカがアメリカの憲法に従って、言うならば軍事費支出の権限は現実にアメリカ議会が掌握しておるのであるから、議会がノーと言えば、これはできないのだということを、明らかにわれわれに教えたと私は思うのです。そうしますと、日米安保体制自身のその一番根幹に不安を持っておる、この不安というものを私どもはどうして解消しようか、これは、政府だけの交渉やこれまでの理解では絶対だめだ。議会というものはそういうものだ。三十数年の歴史に照らしてみられて、三木さん、そうでしょう。われわれ自身が、政府がそう言ったからといって、そういうものじゃないという感じはたびたびありますから、議会自身が力を持ってき出すということば、当然に大変大きな危険を持っておること。
 それから二番目には、そのアメリカ議会が判断をする場合に、現地の世論というものに対して非常に敏感である。その場合に、日本の国内においては、残念ながら日本の安全、安保体制というものに対して、国民的コンセンサスができておりません。しかもそれは、そのものが政府と国民という形で、大変大きなギャップのように映っております。その一つのあらわれが、いま私の感じた不安だ。この不安に対して、政府は決してわれわれに安心感を与えてくれないのでありますから、この不安の解消を図られない限り、日本の国民と政府とのギャップは解消できないと私は思う。
 したがって、二番目のこの弱点、あわせて日米安保という柱を持ちながら、その安保体制自身に対して根本的な、言うならば不安と不確実性がだんだんと大きく出てきつつあると思う。私は、三木さんが今度アメリカに行かれるならば、そのことに対して徹底的な対米交渉の、言うならば端緒を開いてこられるということならば意義があると思います。そうでないならば、大して意味がない。そしてこの委員会においても、言うならば全然意見の異なった者同士の意見の交換でありますならば、それはそれ相応の価値があるといたしましても、なかなか現在の国民の不安に対処できないと思います。お答えをいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 朝鮮半島の問題から、いろいろ御質問が展開されたわけですが、私は、朝鮮半島においては、南北の朝鮮の方たちも戦うことを望んでいないと思う、両方とも。また……(佐々木(良)委員「ちょっと待ってください。そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ)いや、それだから……(佐々木(良)委員「質問以外のことを答えないでください」と呼ぶ)それだから、一番根本は、国民に対して、この朝鮮問題というものに対して一番大事なことは、日本は、各国もまたこれを望んでないのですから、あらゆる外交的努力を通じて、朝鮮にそういう事態が起こらないようにするということが第一番です。
○佐々木(良)委員 そのことの前に、国民の不安を解消することが、総理大臣の最大の任務だ。国際情勢を聞いているのじゃない。朝鮮人の判断を聞いているのじゃない。われわれは、日本の国民が不安を持っておることに対して、その不安を解消される努力をされるかされないかを聞いている。
○三木内閣総理大臣 だから、そういう事態が起こらないために、政府はもうあらゆる外交的努力を傾けると言っておるのですから、これは一番にしなければならない……
○佐々木(良)委員 違う。起こるか起こらないかを聞いているのじゃない。起こった場合に、現実に不安を感じているから、この問題を提起しているのじゃないですか。起こるか起こらないかじゃなくて、起こった場合にでも、こういう対処ができるかできないかということを聞いているわけです。
○三木内閣総理大臣 それは佐々木議員、どうでしょうかね。やはり、これは政府は、そういう事態をだれもが望んでないのだから、これが起こらないようにあらゆる努力をいたしますということが一つ……
○佐々木(良)委員 事前協議を中心として、われわれに安心が与えられる答弁ができるかできないかということを聞いている。
○三木内閣総理大臣 それは私がこれから答えますよ。
 それが第一番。第一番は、何と言っても、朝鮮半島にそういう不幸な事件が起こらないように、だれも望んでないのですから……(佐々木(良)委員「そんなことはだれでも知っているから、聞いているのじゃない」と呼ぶ)それに対して努力をすることが第一番。
 第二番目は、もし不幸な事件が起こるようなことがあれば、安保条約の規定を厳格に日本は解釈し、日本の国益を踏まえて、事前協議に厳格な態度で臨むということである。
 しかも、第三には……
○佐々木(良)委員 臨んでも、これまでの実証がそういう状態になっておらないということを言っている。あなた、それなら、もう時間がないから、ほかの委員会で私とやりますか。出てくれますか。
○三木内閣総理大臣 まあそこへ座って。答えます。それだから……
○佐々木(良)委員 出てくれますか。私は、国民の不安というものを解消せにゃならぬのだ。
○三木内閣総理大臣 まあ座ってください。私が答えているときに、立ち上がって言われても困る。
 そこで、これはいろいろ御批判もあるようですが、この問題は国民に対してきわめて重要な問題でありますから、今後のこの事前協議というものは厳格な態度で臨むということ。
 もう一つは、なかなか国民の信頼を得られないというような点を御指摘になって、安保問題というものが国民のコンセンサスを得ていないということに対して御指摘になりました。私は、これは不幸なことだと思う。与野党の間に、防衛問題という基本的な問題について考え方が根本的に違うということは、非常に不幸なことであります。したがって、この問題については、安保反対であっても、国の安全保障というものに対して各政党が関心を持っておるのですから、だからもう少し歩み寄って、日本の安全保障の問題というものが、国会という共通の土俵のもとで議論をするような機会をつくれないかと私は思うのですよ。安保反対は反対でいいですよ。しかし、やはり安全保障という問題はこれは大事な問題ですから、そういう問題で民社党が提案をされておる、何か国会に安全保障に対する特別委員会を置いたならばどうかという提案というものを、私は高く評価するものであります。もしそういうことでこの問題が論議をされるならば、いま佐々木議員がいろいろ御指摘になった、安保をめぐる国民の不安というものの大きな背景の中には、政党間にこの基本的問題について百八十度考えの違いがあるということが、安保体制というものを不安にしておる大きな原因なんだ。それだからもう少し各政党が、安全保障というものは皆が関心を持っておる共通の課題であることは否定できないわけなんですから、安保反対はいいですよ、それだけに、こういうことが国会の場で、安全保障問題というものを、その共通の土俵の上で、お互いに論議するような場所をつくろうという民社党の提案は、私は非常に重要な提案であると思いますから、そういうことが国会でひとつ実現できないか。そうなってきて、この防衛問題というものが、ただこういう予算委員会でそのときの課題としてやるのでなくして、常時国会の場を通じて論議されるようなことになれば、この安保というものに対して国民の持っておる何かいろいろな不安というものにもこたえ得るのではないか。そういう意味で、民社党の提案というものが実現することに対して、私は支持をすると同時に、この実現をされることを強く希望しておるということを、つけ加えて申し上げておきたいのであります。
○佐々木(良)委員 時間が終わりましたので、これで終わりますけれども、私は、いまなお三木さんが、せっかくの私の質問に対して、答弁をはぐらかされておることに対して大変不満です。私はいま、何も安保反対論者の立場に立ってやっているんじゃないじゃないですか。むしろ最初申し上げたように、言うならば安保自身を、いまの運用の問題からまず改善していこうという立場から、運用面で、言うならばその一つとしての事前協議という問題を、あなたの言われるような、私どもの理解するようなかっこうでやれる状態になれば、運用面も相当変わってくる。私は、その立場に立つのならば、いま問題が出ておりますところの、言うならば防衛分担という問題も、責任を明らかにする上において、一定の枠内で、むしろ積極的にその話を進めるべきだという考え方です。しかしその前提には、同時にまた次々に起こっておるところの沖繩の基地を中心としてのこの状態を放置されて、この状態がある限り、私どもの同胞は、言うならば卒然としてアメリカの軍事施設というもの、軍事基地というものを理解するわけにはいかぬという感じがある。これも解消されるように、あなたが努力されねばならぬ。つまり私は、改善面でいまの問題は相当に解消され得るから、できることから力いっぱいやりなさいよ、そしてその上に立って、なおわれわれに大変な不満が残るならば、安保条約自身の条約改正問題、あるいは他の安全保障の問題も論議しなければならぬと思う。しかしながら、いま私は、あなたと同じ共通の土俵に立って問題を充実しようとしている。にもかかわらず、あなたの答弁は、土俵外に対する答弁と似たような答弁で終始されたことは、大変私は不満です。
 それから同時に、いまの国会の中における民社党の安全保障の委員会をつくろうという提案も、言うならば前の総裁でもはっきりと自民党としては承知されながら、いまだに現実に設置されておらないことが事実だ。したがってわれわれは、提案したということをもってよしとしない。問題は、現実にこれが設置できるかどうか、そのことに対して、提案者だけではなく、賛成されるならば、実質的にそれが実施できるような状態にやられることこそ賛成者の、そしてまた最大多数者のやるべきことではないか、私はこう思うのです。
 また時を改めまして議論をさせていただきますし、問題もずいぶん残りましたけれども、繰り返して私は、われわれの立場がそのまま国民の相当の多くの立場であり、そしていま私が表明した疑問は、条約解釈なんかではなくて、はだで感じておるところの不安であるということをお考えいただきながら、善処されたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、いまお答えをしたのでございますが、事前協議というものに対して、厳格に、安保条約あるいは国益を踏まえて厳格にやるということを言ったんだけれども、それだけでは不安だと佐々木議員がおっしゃいますから、そういう安保をめぐる不安という中には、国民の中で安保体制に対するコンセンサスができてないということも大きな原因である。したがって、国会内においても、安保反対でも、安全保障問題は共通の関心事だから、ひとつ論議をするような土俵をつくったらどうかと私は言ったので、御質問にそれて問題をそらすためのものではない。重大な関連を私は持っておると思う。したがって、こういう問題も、民社、自民党も賛成というのでありますから、他党の諸君がこれに賛成するなら実現を見るわけで、これがぜひそういうことになって、もう少し安全保障の問題というものが、いろいろ地についた議論が国会でできることを私は望むものでございます。われわれも推進をしたい、民社党もこれの実現に向かって推進をしてもらいたいと思うわけでございます。
○佐々木(良)委員 最後に一言だけ、繰り返して言いますけれども、論議の場をつくることは必要ですから、やりましょう。しかしながら、現実に権限を持っておられる政府として、行動によってアメリカとの取り決めや中身を明らかにすることによって、国民自身が疑問を氷解する問題については、その疑問を氷解するための行動を内閣としてとらなければならぬということを言っておるわけです。どうか十分御配慮いただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
○荒舩委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 小林進君。
○小林(進)委員 議事進行について発言のお許しをいただきたいと思います。
 きのう、すなわち六月九日、本委員会において、わが党楢崎委員の質問に対する坂田防衛庁長官の御答弁について若干の疑義があります。すなわち、わが党楢崎委員の質問に対して、坂田防衛庁長官は「ちょっと申し上げておきますが、上田哲さんに対してお答えいたしました中で、その「海域分担」ということが速記録に残っておりますが、あの際には、実は「海域分担」ということを申しておりません。このことは上田委員も御了承になり、恐らく事務当局つまり参議院の事務当局においても了承されて、手続をとられたはずだと記憶をいたしております。」云々の御答弁がありました。これについて、その後参議院において調査をいたしましたその結果は、ここに議事録がありますとおり、やはり「海域分担」ということは、四月二日の参議院の予算委員会の会議録にそのまま残っております。
 なお、わが党の上田君について、これをただしましたところ、了承を与えた記憶はないと申しておるのでございまして、この点、大臣の御答弁とはやや事実の食い違いがあるやとも考えられますので、いまわが党におきましても、それぞれ参議院において鋭意真実を調査中でございますので、その調査の結果が出ますまで、この答弁については留保しておくことを御了承いただきたいと思います。
○荒舩委員長 ただいまの小林君の御発言は了承いたしました。政府におかれましても、さよう御承知をいただきたいと存じます。
○小林(進)委員 これで終わります。
○荒舩委員長 質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
○細谷委員 私は、いま大きな問題の一つであります地方財政の当面する問題につきまして、総理初め関係大臣に若干の御質問をいたしたいと思います。
 最初に三木総理にお尋ねするわけでありますが、一月二十四日の総理大臣の施政方針演説の中で、次のように述べております。「私の主張するように、量的拡大の時代から、生活中心、福祉重視の質的充実の時代へ転換するためには、地方行政の果たす役割りは一層大きなものになってまいります。このときに当たり、自主的で責任のある地方行政が実現されるよう、国と地方との関係を初め、地方行財政のあり方について全面的に見直す必要があると考えております。」こういうふうに述べております。そうして次に、五月二十八日に第七回の地方制度調査会の総会が行われました際に、すでに約五カ月を経過しておるわけでありますけれども、高度経済成長政策を転換させた現在、地方行財政を見直す必要がある、こういうふうに地方制度調査会で述べております。
 そこで、一月の施政方針演説と地方制度調査会で述べられた総理の地方財政見直し論、この内容というのは基本的にどういう点なのか、五カ月を経ましたけれども、何ら前進しておらないように受け取れるのであります。この点お聞きしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 御承知のように、地方制度調査会においても、私、諮問をして、あそこの委員の方々は非常に地方自治に対して経験もあり見識もある人々で、こういう人々に私の趣旨を述べまして、財政面ですから、これはきわめて、一番重要な問題ですから、検討を願っておるわけでございます。しかし、これはやはり一遍に地方制度というものが――改革ということは、やはり多少の時間が要ると思います。
 私の願いは、やはりこれから生活とか環境とかいう問題が大きな政策の目標になっていくわけで、国民の生活と具体的な政策と一番密着しておるのは自治体ですから、できるだけそういう問題に対しては、中央は計画を立てて、そして具体的な面については、やはり地方自治体の役割りは次第にふえてくると思います。
 そこで、これは国としても地方財政というものに対しては、超過負担分というものの解消であるとか、地方財政の運営についてはいろいろ配慮はいたしますが、やはり地方自治体においても、自治と責任というものとのちゃんとしたけじめをつけなければ、これはいま地方財政の面においても、人件費の問題も相当な重圧になっておりますし、できるだけそういう点で合理的な配置をして、そして能率を上げるような配慮も要るだろうし、これは政府もやるし、地方自治体も、こういう新しい時代における地方自治体のあり方というものについて十分な検討を加えてもらわなければならぬし、要は私の言わんとするところは、これから末端の生活とか環境という問題について、大きな役割りが地方自治体の役割りとしてふえてくるので、その役割りを果たし得るような体制、これを少し時間をかけてでもつくり上げたいということが、私のねらいとするところでございます。そのために、具体的ないろいろないま挙げたような問題についても、政府の方としてもできるだけの配慮を加えなければなりませんし、また専門家等の、いま言った地方制度調査会などの意見も徴して、そしてあるべき姿というものをやはりここで出していきたいということでございます。
○細谷委員 いまお答えをいただいたわけでありますけれども、私の質問に答えておらない。お言葉の中に、地方自治体が責任を持って自治を推進していく、これは当然なことでございますけれども、たとえば五月二十八日の地方制度調査会で、私は当時の速記録を読んだわけではございませんけれども、新聞紙の伝えるところによりますと、たとえばこういうことを言っておるわけですね。「行政の誤りは地方自治体がみずから処理し国にしわ寄せすべきではない」、この言葉そのものはこのとおりでしょう。さらに「人件費の増大が財政硬直化の最大の問題である」、これは全国知事会も指摘しておりますように、今日の地方財政の中で人件費が非常に重圧になっておるということは、これは否定できない点であります。
 一体全体、そういう人件費の重圧というのはどこから起こったのかということになりますと、大変な狂乱物価、インフレ、三〇%を超えるような人事院勧告がなされた、一方、不景気によって税収は落ち込んだ、こういうことでございますから、三〇%の人件費を処理していくためには、当然なこととして、その程度の税収の伸びがなければならないのでありますけれども、スタグフレーション下でありますから、税収は落ちてしまった。現に地方財政計画が期待しておる税収も確保できない、こういうことでございますから、景気の問題、経済の動向、こういう問題が、地方の責任だから、それを処理しろと言ったって、これはだめでしょう、総理。
 それからもう一つ、福田副総理も昨日の答弁でおっしゃっておりましたし、あるいはいまの総理の答弁の中でも、そういう福祉優先の経済財政政策を推進していく、転換していくためには、やはりインフレという大きな病気、そういうものを直していく。そのためには三年ぐらいの期間がかかる。けれども、それならそれとして、そういう三年間の療法というものは、こういう基本的な態度でいくということを国が示さなければ、私はどうにもならないと思うのです。
 地方制度調査会に答申をお願いしている、検討をお願いしているとおっしゃいますけれども、総理みずからが施政方針演説の中で述べた、この問題を基本的にこういうふうにしていくんだ――たとえばこの中で、地方自治体に自主性と責任を持たせる、同時に地方の自主財源を充実させるのだ、こういうことをおっしゃっておるわけでありますが、それでは地方の自主財源をどうやって充実させるのか、基本的な方針、態度というものを施政方針にのっとって打ち出していかなければ、これは三年間やっても何も進みませんよ。まず基本方針を示して、それを具体的に年次を追って三年間でやるのだ、こういうことを示していただかなければだめだと思うのです。いかがですか。
○三木内閣総理大臣 仕事がふえてくれば財源の問題が起こってきますから、そういうことも含めて、これは長い間の地方自治体というもののいままでの仕組みもあるわけですから、ここで改革をするということは一遍にできるわけではないわけです。そういう意味で、この地方財政の問題などをどうすべきかというようなことも中心として、地方制度調査会なんかに御検討願っておるわけであります。
 それは、やはりそういう専門家の意見もよく徴して、そういうことも参酌しながら、政府としていま御指摘の地方財源の問題なんかも扱うことが適当である。政府が、初めからこうだということで――そういうことで地方制度調査会でも結論か出ているなら、そういう調査会も開く必要はないわけで、これは各方面のコンセンサスを得なければなりませんから、そういう意味で、回りくどいようですけれども、そういう態度をいま政府がとっておるわけで、地方自治体のあり方という問題は捨ておけない問題ですから、やはりいま御指摘のような、こういう安定成長期に向かって、地方財源というものも非常に窮屈になってきておるわけです。その中で業務量はふえてくるというのですからこれは大変な危機に陥ることは明らかでありますから、各方面の意見も参酌しながら、日本の地方行政というものをやはり思い切って改革しなければならぬ時期に来ておる。したがって、ちょっとした手直しでないわけですから、これはよほど各方面の意見も参酌をしたい、こういうことでございます。
○細谷委員 各方面の意見を聞く、具体的には地方制度調査会の答申を尊重する、こういうことになると思うのであります。現実に地方制度調査会は、数回の総会を経まして、現在起草委員会に入っておりますね。近く答申が出るでしょう。その答申の線に沿うて地方税財源を充実強化するんだという総理の年来の主張、こういう基本的な態度というものを、答申が出たらばいつごろ明らかにいたしますか、はっきりお答えいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 諮問をしたわけでありますから、その調査会の結論が出れば、尊重することは当然でございます。そして、これが予算の編成に関連をするような問題については、今次の予算編成を通じて、そういうことが具体化されていくということでございます。
○細谷委員 具体化されていくということでありますが、政府の基本的な態度、これは三木総理の基本的なものが出ているわけですから、それを一歩進めた具体的なものは、いつごろおつくりになりますか、示されますか。改めてお答えいただきたい。
○三木内閣総理大臣 いま申しておるように、答申が出、政府としても、これは大問題でありますから、各省に関連することもありますから、そういうことも参考にしながら、政府の意向もまとめて、これはやはりかなり時間をかけた、一年限りの問題でなしに、多少の長期的な計画が要ると思いますが、さしあたりは、一番早い時期で結論を出さなければならぬのは、予算編成の時期であります。そういうものに対しては、そういう予算で片づける必要のあるものは片づけて、長期的なものは長期的なものとして、そういう調査会の意見も徴し、いま答申が出れば、そういうことも尊重しながら政府間の意見をまとめていく。皆の改革というものは一遍に出るという形ではないかもしれませんが、段階的に必要な改革を行っていくという考えでございます。
○細谷委員 段階的にということでありますが、やはり段階的にいくその場合の基本的態度はこういうものなんだと、こういうものを明らかにした上で、段階を追うて、三年がかりなら三年かかりでやると、これが総理の施政方針演説で述べた精神だろうと思います。その一つのめどが、来年度の予算編成あるいは今度の補正予算の編成段階、そういうことだと、私は総理のお言葉を受け取っておきたいと思います。
 次に質問をしたい点は、自治大臣でありますけれども、五月の十六日に「昭和五十年度地方財政の運営について」という事務次官通達を出されましたね。この事務次官通達を私は読んでみましたけれども、それ以前、たとえば昭和四十九年度の地方財政の運営について、毎年毎年、五月中旬から下旬にかけまして、その年度の地方財政の運営についてという通達が出されておりますけれども、本年度のこの通達はきわめて特徴的なものがあります。特徴的なものがございますから、各紙の社説等でもこれについて論評を加えられたものと、私は理解いたします。
 この一々について私は議論いたしませんけれども、たとえば、この問題について早速参議院で問題になりまして、いわゆる公共料金――政府の問題ばかりじゃございません。国民生活に非常に密接な関係を持っておるのは地方公共団体の公共料金あるいは使用料、手数料、こういうものが国民生活に大変大きな影響を持っておりますし、物価の動向をやはり左右するものであるということは申すまでもございません。この問題に関連して、経済企画庁からクレームがつきまして、最終的に「地方公営企業の料金等について」という確認が、六月五日付でなされたと承知しております。
 ところで、これで経済企画庁と自治省は一致したんだと、こういうことでございますけれども、私は、この通達と合意事項を読んでみますと、そうなってないですよ。たとえば、申し上げましょう。地方公営企業の料金の問題について、この通達の中ではどう書いてあるかというと、「全般的にはなお適正化が遅れ、又は改定幅が十分でないものがあり、このごとが経営悪化の重大な要因となってきているので、適時適切に料金改定を実施するよう格段の努力を傾注されたい。」使用料、手数料の場合では「人件費の増嵩、物価の上昇等に伴うコストの上昇に見合った単価の見直しを行い受益者負担の適正化を図るとともに、」云々と書いてございます。ところが、この両者の確認事項というのはどういうことが書いてあるかというと、「経営の合理化によってできる限り経費増を吸収するよう努力すべきであり、安易な値上げを許すものでない」それから、適時適切に料金改定を国の経済政策、物価政策との整合性を保ちつつやるべきであって、「今後とも引き続きこの線に沿って指導する」と、こう書いてございます。そして、もうこれだけ確認したら再通達はしないということでありますが、そういうことですか。どういうふうにして「引き続きこの線に沿って指導」するんですか。一つも一致してないでしょう。何を言っているかわからぬですよ、これは。
 現にこのあなた方の通達によって、地方公共団体は軒並み地方公営企業の料金を上げる、手数料、使用料を上げる。あるいは最近出ました全国知事会の中間答申、六月六日に出ました中間答申、これを見ましても、使用料では、たとえば知事会の提言では、工業用水道料金は原価主義でやってくれ、発電水利使用料は治水総合指数に基づいて改定してもらいたい、手数料等で国の法令に定めた手数料、地方の条例や規則で定めるものについては、アンバランスがあるから、これを直してくれと言っているでしょう。そして、具体的にこの表が出ておりますよ。どういうことなんですか、これは。いま料金値上げのブームが、悪いブームが起こっておりますよ。自治大臣、今後どういうふうに指導するんですか、お尋ねいたします。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 五月十六日に次官通達を出しまして、そうして公共料金の値上げその他に対しての通達を出しましたが、この通達は例年出ておることは、いま細谷さんがおっしゃったとおりでございます。
 そこで、どういうわけで、こういうことを出しておるかということについて、その内容を見ていただくとわかりますけれども、何でもむやみにどんどん値上げをしなさいというようなことは一つも書いてございません。それは適正にやらなければいけない、いわゆる原価主義というものを一応考慮するということを書いておるのでありますが、なぜこういうことを言わなければならないかと言えば、まあこれは例を言うと、あるいは差しさわりがある面があるかもしれませんけれども、たとえば東京都の水道料金はトン当たり百四十円でみんな使っておるわけですが、ところが群馬とかそういうような水源地では、二百四十円から四百円という値でこれを使っているということになりますと、これをそのままに放置しておくことは、私は公正な姿ではない。やはり水を供給しておるところの方が高くて、そしてそれをもらって飲む方はうんと安いものを飲んでいるというのじゃ、これから、水道の水が足りないから、今度はダムでもひとつつくってもらいたいとか何か要望を出すときには、非常に問題が起きるでしょう。だから、そういうような非常にアンバランスが起きておったり、不合理な面があるから、あるところはひとつ直してもらいたいということを言うことは、私は少しも差し支えないんじゃないかと思う。
 ただその場合に、いま物価の問題で企画庁との間にいろいろ話があったということでありますが、ごもっともなことなんで、私は、実は三木内閣の閣僚の一人ですから、物価問題を無視して政治をやろうなどとは絶対に考えておりません。これは三木内閣の経済政策のうちで、何としても一番大切なことなんです。したがって、何でもいいから料金を上げろと、そういうような意味で言っておるのじゃないが、余りにもアンバランスなものがあれば、これは直さなければいかぬ。しかし、その直す場合でも、自治体が、たとえばこれは非常なアンバランスがあるけれども、一遍に直すのは無理だから、二年か三年がかりでこういうふうに直すんだということを言えば、私は、やはり自治省の通達を理解してやっておるんだと思うわけであります。
 これはまた例が違って、まことに恐縮なんですが、人件費の問題などでも、今度兵庫県あたりでは、いままで教員の俸給値上げ、百五十カ月分くらいは先取りをしておりますけれども、今度は五十カ月分くらいは、ひとつこの際整理をしょう、こういうようなことをやられるようにも聞いております。まだ確報を得ておりませんが、そういう話もあります。私は、非常に結構なことで、その百五十カ月を一遍に直してしまえなんて、そんなむちゃなことを言うわけにはいきません。
 でありますから、そういうふうにまあまあ考えてみて、そしてどこがいいか、どれくらいがいいかということは、それぞれの地方自治体が判断されるべきものである、しかし、そういうことを無視して予算を組んだり、あるいはまた予算の執行をするというようなことは考えていただきたい、直してもらいたいということを言うのが通達の意味でございまして、何でもいいから、もう料金の値上げをしなさいという意味で書いてないことは、この通達を私も何度も読んで、私も出した責任者だから読んでいますけれども、どこにもそんな無理な表現は出しておらないと私は考えておるわけでございます。
 それでありますからして、細谷さんが、しかし、そういうことが物価問題に一つの非常な悪影響を与えることになるのじゃないかということであれば、それはごもっともな御意見なんですよ。しかし、値を上げるようなときには、必ず県会とか市会とか町会とかということで、いわゆる条例でそういうものを一応は決めるわけなんです。これはあなたの方が専門家だから、私がそんなことを申し上げるまでもないけれども、そういうようなことをするについても、自治省の方へ、今度はこういうふうに上げようと思うがという話があるわけですから、そのときに、これは物価にも影響する、余りにもひどいものだというようなことであれば、これは私は、自治大臣としては抑えるつもりです、たとえそういうことを言ってきても。それは常識的な面で、余りにも差がある、余りにも原価との差があるようなものは、ひとつ考えてもらえないだろうかと、こういうことを通達でもって知らせておるわけでありますし、例年やっておる通達でございますから、何もこれが非常に問題にされるべきではない。
 ただしかし、そういう通達を出したのを見て、いま物価の値上げ問題ということを言っておるときに、いやしくも値上げを少しでもするというようなことはけしからぬじゃないか、こういうことでございますと、これは見解の相違になるので、いまわれわれとしても酒、たばこの値上げ問題を政府は出しておったり、それはもっと値上げしたいと思うことかもしれませんけれども、やはりそういうこともやらにゃいかぬ。何でも値上げは絶対認めないんだということでは、私は、経済の実態に合わなくなる、また、地方行政自体も実態に合わなくなるんじゃないかと考えておりますので、これはまあ、私が言わぬでも細谷さんの方がよくわかっておって御質問なさっていらっしゃるんじゃないかと思うのでありますが、ひとつそういう意味で処理をいたしておるということを御理解を賜りたいと存じます。
○細谷委員 私は、いまいわゆる公共料金、水道料金も含めたことを御質問したところが、兵庫県の問題まで持ち出しました。私は、両省で問題になったこの公共料金の一つの問題をとっても、また、大臣がつけ加えた兵庫県の教職員の給与の問題、大臣結構なようなことを言っておりますけれども、この通達をずっと一覧してみれば、従来と違っているところは何かといいますと、地方公共団体は財政健全化計画をつくりなさいよ、収支のバランスをとるために公共料金も上げなさいよ、人件費は抑えなさいよ、こういうことで終始しているでしょう。従来にないところを、それだけに具体的に書いてあります。しかも、そういうことをやった財政健全化計画、かつて昭和三十年ごろ行われました地方財政再建特別措置法に基づく再建団体、再建計画、そういうものと同じで、財政健全化計画をつくったところに対しては地方債も見てあげましょう、こういうことを書いてあるでしょう、明確に。まさしくこれは地方自治権の侵害だと、新聞社説等も議論を――そういう心配あるいはそのおそれがあると、こういうふうに指摘されるのも当然だと思うのです。
 そこで、いま福田副総理のお言葉を聞きますと、いま日本で一番大きな問題はインフレ退治だと、そのインフレに密接な大きな関係を持っているのは公共料金の問題だと。この問題についてもこういう問題が起こったわけでありますから、私はこの際、この全体を貫いている、与えるものは何もない、地方債なりあるいは国の財政措置等何らしないで、あとはすべて権力でやっていこうというこの精神に貫かれているこの通達は、公共料金の問題も含めて、私は、撤回してやり直した方がいいと思うのですよ。その意思はありますか。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 それはいままで出しておった通達と大差はございません。そうして、今日のような経済情勢になって、そうして地方財政も中央の財政も苦しいという事態になってきたときには、合理化をするとかあるいは節約をするとかということは、私は当然なことであろうと思う。それから公共料金の場合においても、非常に不合理といいますか、余りにも安く、原価を割って供給をしておる、そのために財政が圧迫をされておるということであれば、これを是正していくということは、これは私は当然なことである。その是正のやり方が、いま言ったように物価に大きく影響するようなものがあれば、これはわれわれの方でちゃんと見て、それは少し無理だから、この程度にしたらいいだろうというような注意を与えることは、これは私は、物価問題を内閣の方針としておる以上は当然ですけれども、たとえばの例ですが、たとえば百円の原価がかかっておるという場合に、それを二十円とか三十円で売っているという場合に、そのままにしておいて、そうして残りの七十円というものが地方財政に対して非常な負担をかけておるというようなことがあったならば、これはやはり是正をしてもらわなければいかぬ。その場合に、百円のものであるけれども一遍に上げると大変だから、だからさしあたり三十円上げる、そして五十円にするとか、あるいは七十円にするとかというやり方をされることは、私は少しも差し支えないことだと思っておるわけなんです。
 私は、したがって、いままでのこの通達を取り消す意思はございません。
○細谷委員 取り消すか取り消さぬかということで議論していても果てしございませんから、次に移ります。
 先ほど総理から、地方財政問題の重要性ということについては、総理もそういう御認識のようでありますが、お尋ねいたしたい点は、四十九年度の補正予算、昨日、正木委員からも、この補正予算なり、あるいは五十年度の税収見積もり等についてのやりとりがございましたけれども、四十九年度の補正予算で、一兆六千百二十億円の租税及び印紙収入の増収を見込みましたね。四十年の当時、大蔵大臣であった福田副総理、このときは素直に税収を二千五百九十億円カットしたのです。そして赤字公債を発行されました。四十六年のときは、年度内の所得減税と、こういうものもありましたけれども、租税及び印紙収入四千七百五十七億円の減をやったのですよ。減額修正を行った。
 ところが、きわめて厳しいこのスタグフレーション下におきまして、四十九年度に一兆六千百二十億の租税及び印紙収入の増収を見込んで追加計上をして、その追加計上したのか――きのうのお言葉にもありましたように七千六百八十億円、言ってみますと、追加計上額一兆六千二十億円に対して四七・六%に当たる税収の減を起こしておるのですよ。これは事実でしょう、大蔵大臣いかがですか。
○大平国務大臣 残念ながら、仰せのとおりです。
○細谷委員 増加見積もりの半分に近い税収の見積もりが誤っておったということは、これは大変なことです。これはかつてないことですよ。こういう点は、きのうも議論がありましたけれども、この税を拾ってみますと、これは大変な大蔵省の責任問題だと私は思うのでありますが、そういう責任、感じませんか。
○大平国務大臣 大蔵大臣の私の責任でございます。
○細谷委員 そこで、五〇%に近い税収見積もりの誤り、約八千億円に近い税収見積もりの誤りが起こって、やむにやまれず国税収納基金政令の改正をやった。そして、歳入の方はつじつまを合わせたわけでございますけれども、地方財政に影響が具体的に及んできているということを御承知ですか。まず自治大臣、そのためにどういう問題が地方財政に起こっているか、御存じですか。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 見積もり減が生じますというと、どうしてもその分について、われわれとしては五十年もしくは五十一年に予算を実行していく場合、まず五十年においては、必要な経費というものは、どうしてもこれは出さなければならない。地方財政計画というもので、一応予定をしておった分が減ったという場合においては、これはどうしてもその分だけは地方に渡すようにいたさなければなりません。そうすれば、国に対して、それをひとつどういう形でやるかは別にして、大蔵省と折衝をして、それだけの収入は確保いたさなければならないと思います。
 それから、先取りしておって、それが足りなくなったという分につきますれば、これは五十年度とかあるいは五十一年度には、まあ返すこともあるいは考えなければならない、そういうことももちろんでございます。でありますからして、(細谷委員「質問だけに答えてください」と呼ぶ)まあそういうことですから、いまわれわれとしては、それがやはり地方財政に影響がある分については、国と相談して、そうして地方財政計画に盛られた分は、十分に地方に渡すように努力をいたします。
○細谷委員 もう渡しちゃっているんですよ。自治大臣にお尋ねいたしますが、そういう大蔵省の大変な税収見積もりの誤りから、政令を改正してでも、なおかつ、地方に直接関係のあります国税三税で千七百三十二億円落ち込んだのですよ。千七百三十二億円落ち込んだということは、国税三税の三二%、五百五十四億円というのが地方交付税の落ち込みになるわけです。その地方交付税は四十九年度分でありますが、渡しちゃったのですよ。もう地方に渡っちゃっているのです。使っちゃったのです。けれども、法律に基づきまして、これは精算をすることになっております。この精算はどうなさいますか。私が言った数字がそのとおりであるかどうか、そしていまの言葉の中に、言ってみれば税収の落ち込みによる過払いになっている五百五十四億円というのは、具体的にどう処理するのか、明確な御答弁を実はお願いしたい。
○福田(一)国務大臣 すでに計数が明らかになっておりますから、その三二%という数字は、いま御指摘のとおりの数字に相なると思います。すなわち、過払いをいたしたということになるのでありますが、そういう過払いをした場合においては、今度は国に対しては、これをどう埋めてもらうかということで、交渉を進めていかなければなりません。それは私は、今年度の予算補正の場合、あるいは来年度の予算編成の場合等々において、大蔵省と折衝をいたして処理をいたしてまいりたい、かように考えております。
○細谷委員 そうしますと、まずはっきりしておきたいことがある。
 この五百五十四億円というのは、自治大臣としては五十年度では処理しない、五十一年度でどうするか処理する、こういうことですか。私は、その処理については、法律では五十一年度までに処理すればいいわけですから、この五百五十四億円というのは、明らかに大蔵省の大変な見積もりによる責任です。過去の例がございますが、五百五十四億円というのは、国の責任において補てんすべきだと思いますが、いかがですか。自治大臣、どう考える。大蔵大臣と折衝するのでしょうが、どういう姿勢で交渉するのですか。
○福田(一)国務大臣 これをどう処理するかというのは、いま細谷さんがおっしゃったように、五十一年度までに解決をすればいいことでございます。が、私は、ことしの秋の予算編成時期までには、こういう問題を含めて、大蔵省と、これをどう処理するかということで相談をしたいと思います。しかし、その分が減ったからといって、私の言うのは、今年度の地方財政計画に悪影響があるようなことはしないようにいたしたいと思っております。
○細谷委員 五十年度の地方財政計画、それに織り込まれておる地方交付税四兆四千億、これには影響がないようにする、これはわかりました。わかりましたけれども、この五百五十四億円は、これは大蔵大臣認めておるわけですから、国の責任で補てんする、こういう姿勢で大蔵省と折衝するかどうか、これを聞いているのです。どうなんです。
○福田(一)国務大臣 私は、その責任が全部国にあるという物の考え方でやるべきかどうか。これは大蔵大臣だけの責任というわけでもないと思うのであります。実を言うと、補正予算を組むときにはわれわれも判を押しておるわけでありますから、数字を考え違いしたのは大蔵大臣かもしれぬけれども、これは内閣の責任として問題の処理に当たるべきであるというのが私の考えでございます。そこで、その場合に、地方財政に悪影響を与えないように問題の処理をいたさなければならないということを、私はお答えをいたしておるわけでございます。
○細谷委員 地方財政に悪影響を与えないように処理する、それで一つ私は理解しておきます。
 次に、お尋ねしたいのでありますけれども、これはきのうも、この問題に関連して正木委員との間にやりとりがあったのですけれども、五十年度の税収見積もり、昨日大蔵大臣も、現在の見積もりの率で進むならば、努力するけれども、九千億円程度の歳入欠陥が税の中で生まれるかもしれない、こうおっしゃっておりました。これはもう確認せぬでもそのとおりだと思うのです。ところで、私は五十年度の予算の税収見積もりを見ますと、きのうの主税局長か何かの御答弁でありますと、とにかく補正予算をつくったときと、五十年度の予算編成段階というのが同じようなベースで見積もったので、過剰見積もりがあるかもしれません、こうおっしゃるのですけれども、そういうことをそのまま了承するわけにいきません。
 私は、調べてみますと、四十九年度の補正予算が閣議決定されたのは昨年の十一月二十六日ですよ。五十年度の予算の大蔵原案は一月の四日に出ておるわけです。一カ月以上たっております。閣議決定は一月十一日ですよ。補正予算を作成する段階と五十年度予算編成をする段階では、これだけの期間があるわけです。その間に、年度末における経済情勢、それを背景にした税収というのが変わってきている。にもかかわらず、たとえば五十年度税収見積もりの中で、所得税の申告分を見ても、四十九年度の決算見込みと比べますと、一四七%も伸びる内容になっているのですよ。相続税を例にとっても、同じように決算見込み、いわゆる四十九年度の実績を比べますと、一四八%伸びているのですよ。現実には、予算よりへこんでいるでしょう、申告所得税も、相続税も。こういう見積もりをしておる。
 昨日の御答弁では、同じ条件で税収を見積もったからこうなったんだと言うが、間には一カ月以上の間隔があるわけですよ。この五十年度の税収見積もりも、私は少し無責任ではないかと思いますが、大蔵大臣いかがですか。
○大平国務大臣 結果的に申しますと、細谷さんが仰せになるとおりでございます。しかしながら、本委員会できのうも御説明申し上げましたように、毎月の租税の収納実績というものを私どもはつぶさに検討いたしておるわけでございますが、御案内のように、ことしの一月、二月の収納実績というものは、去年のそれよりも収納状況がよろしいわけでございます。
 問題は、三月になってがくんと落ちたわけでございます。二月末の収納実績を手にいたしまして、三月のものがまだ入らない段階において予算が成立してしまったわけでございます。あなたの言われる、十二月から一月にかけての間における変化というものを私どももつかみ切れなかったことは、非常に残念でございますけれども、私どもの手元にある材料からは、そのような洞察ができなかったことでございますので、それがわかっておって、そうやったわけでは決してないのでございまして、私どもにはそういう材料が手元になかったわけでございます。三月から非常な減収を記録いたしたわけでございまして、この解明は、いま私ども深い反省とともに、急いでおるところでございます。
○細谷委員 いずれにいたしましても、大変な見積もり、しかも予算が四月二日に通ったときには、もうすでに五十年度の税収の歳入欠陥が明らかになるというような前例のない事態、しかも春闘等のあれからいって、もはや計算基礎が変わってきているのですから、私は大変な問題だと思うのです。
 そこで、自治大臣お尋ねいたしますが、仮に大蔵大臣が言った九千億円といいますと、九千億円のうちの八〇%ぐらいが大体国税三税ですよ。それで八、九、七十二、国税三税が七千二百億円のへこみと、従来のあれから考えられます。七千二百億円の三分の一、三二%、これが交付税ですよ。そういう地方交付税の減もはっきりします。四兆四千億円から三千億円ぐらい吹っ飛ぶかも一しれません。あるいは、それ以上減っていくかもしれません。
 これに対して新聞等で「年度途中で減額修正へ」、先ほどの四十九年度は渡してしまいましたけれども、今度の四兆四千億円の配り方というのは、交付税法がいま参議院で審議されておりますが、これが決まりますと、八月末までに算定が行われます。交付税が決まっていくわけですが、これから実質的には配るということになるわけであります。年度途中で修正、これは大蔵省の考えだと新聞で書いてあります。「税収不足に対処」「四十九年度の過剰分も回収」、これは四十九年度は減らないようにということで、あなたははっきり答えたから、もう言いませんけれども、五十年度も減ってまいりますね。これはどうなさるのですか。しかも、これは五百五十四億円などというけちな数字じゃないのです。大変大きな数字になります。何千億という数字になります。これはどうなさるのですか。四兆四千億円は変わらないようにするのですか、どうしますか。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 いまお話がありましたように、変わらないように措置をいたしたいと思っております。
○細谷委員 大蔵大臣、この新聞等に書いてあるのによりますと、とにかく年度途中で、暮れなら暮れに補正をやる段階で、かつて四十年にやったように、税収は減りますから、減った場合に当然交付税が減ってまいります。地方財政計画の変更というのが起こってまいります。その場合に、地方財政計画を変更しないということであるとするならば、へこんだ分について、四十年のときに現在の福田副総理がやったように、全額国の方で補てんするか、その全額を特別交付税会計で借り入れて四兆四千億円を配ってやるか、あるいは両者の併用か、三通りしか方法はないですよ。大蔵大臣、どっちをやるのですか。
○大平国務大臣 きのうもお答え申し上げましたように、五十年度の税収はどういう状況になりますか、年度が始まりまして二カ月しか経過いたしていない今日におきまして、いま見積もりようがございません。福田大臣が仰せになりましたように、計上いたしました歳入歳出、これが計画どおりまいりますように、私どもとして全力を挙げるというのがいま申し上げられる精いっぱいの答弁でございます。四十九年度、あなたの御指摘のように五百五十四億円の過払いになっておる部分がございますが、それは五十年度の補正で精算いたしますか五十一年度の予算でいたしますか、これは自治大臣と後で相談して処理しなければならぬことと思っております。
○細谷委員 念のために自治大臣、自治大臣と相談するというのですが、四兆四千億円は五十年度変えないでしょう。大蔵大臣は財政演説の中で、本会議でどう言っているかというと「地方財政につきましては、地方交付税交付金が前年度当初予算に比べて三〇・三%増加する等により、その歳入は相当増加するものと見込まれます。」と、財政演説をやっているんですよ。四兆四千億円が大幅に減ったら三〇%どころじゃない、莫大な減が起こるわけです。大蔵大臣の今年当初の財政演説は吹っ飛んでしまうのです。自画自賛しておったとしか言えないのです。あなたは地方財政を守っていく、見ていく、そういう立場にある以上、四兆四千億円を守らなければいかぬ。後で時間があれば議論しますけれども。大体四十年の不況のときも、四十六年の不況のときも、あるいはそれ以上の地方財政について減収等が起こった場合には、たばこ消費税を引き上げるとか、あるいは交付税率を引き上げるとか、地方財政対策をやってまいりました。やってないのが四十九年度と五十年度だけなんですよ。いままでの例をずっと拾ってみてはっきりしております。そういうことから言って、たった一つ、四兆四千億円は守りますか。そして、あわせて歳入欠陥は起こらないように努力するということでありますが、大体起こることは必至のようでありますから、そうなってくると、それに対しては五十一年度の処理ということにならざるを得ないでしょうが、それはどうするのか。自治大臣の毅然たる態度をひとつお聞かせいただきたい。これがなければ、先の方で減るか減らぬかわからぬのに、地方財政を安定的にやっていけ、地方財政の健全化をやれという、こんな通達は意味をなしませんよ、不安定のまま置いておいて。いかがですか。
○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げたところでございますが、地方財政の計画で地方自治体に対して歳入歳出を示しておるわけであります。そして地方自治体はその計画に基づいていまいろいろと処理をいたしておる段階でございまして、その年度の途中において、それはどういう事情が起きましても、私は今年度の場合に関する限りにおいては、四兆四千億円というものを確保する。その内容は、先ほど細谷さんが申し述べられたようないろいろの方法がございましょう。が、とにかくその金を確保して地方自治体に渡すということだけは、私としての責任である、また、大蔵省もそういうことについては理解をしていただけると考えております。
○細谷委員 総理、ですから、総理は充実すると言っているけれども、充実するどころじゃないのです。ぽっかり穴があくかもしれない。それについて自治大臣述べられましたけれども、総理の地方自治、地方財政についての基本的理念から言って、いまの自治大臣の言葉に対して総理としてどうお考えか。大蔵大臣を差しおいて恐縮でありますけれども、時間がございませんので、ひとつ総理からお答えいただきたい。
○三木内閣総理大臣 自治大臣として当然の答弁だと思っております。
○細谷委員 当然な答弁ということで、総理大臣も自治大臣の基本姿勢を確認した、こういう理解で、次に移りたいと思います。
 もう一つの点は、今日の地方財政の一つの大きな問題点、超過負担なり機関委任事務等ございますけれども、きょうは時間がございませんからそれに触れませんけれども、たとえば地方税の問題でありますけれども、国の産業政策から、租税特別措置法がダイレクトに地方の税収に関係してきます。国の方の調べによりますと、租税特別措置によって五十年度の地方の税収は千四百七十二億円減るのです。それから地方税法プロパーの非課税規定なりあるいは減免規定によりまして二千五百十億円減収になっておるわけです。総額三千九百八十二億円、これが租税特別措置なり地方税の非課税規定、減免規定によって地方の税収が落ち込んでおります。その上に、国は減税は一つもやらないで、地方は五十年度合計四千八百億の減税をやっておるわけです。減税結構であります。けれども四千億円の減税、そのうちの大部分、七六%が市町村の税金なんですよ。総理も、地方財政その重要な問題点は市町村の財政だと言いますけれども、市町村の税というのが、租税特別措置なりあるいは地方税法の非課税規定によって七五%減額されておるわけです。三千億円減額されておるわけです。たとえば電気の非課税規定、製品の中に占める電気料金が五%以上の場合には全部税金を取ってはならぬ、こういう規定があります。そのために五十年度では八百八億円の減収が電気税で起こっておるわけです。このために福岡県の大牟田市では、こういうことば、憲法に照らして、地方自治の本旨に照らしておかしいのだということで、いま裁判をやっております。ここまで事態が来ております。私はその裁判の法律論はここでは議論いたしませんけれども、政治論としては、これはやはり重要な問題だと思う。この三千億円も市町村のなけなしの金が減税されておるわけであります。そのうちの八百億円というのは電気税ですよ。こういうことでありますから、確かに今度若干の品目について整理をいたしました。たった十八億円ですよ。一番大きなのはどこにあるかといいますと、全部逃げておるのです。そういう品目を整理してもなおかっそういうことです。六%か七%くらいのところに何々は国家なりというような大きな産業があるのですよ。これは整理しなきゃだめです。自治省もそういう考えだと思うのでありますが、これについてひとつ総理の基本的な態度をお尋ねしておきたいと思うのです。かっこうはいいことを言っても、これはやってやらなければどうにもなりません。いかがですか。
○三木内閣総理大臣 租税特別措置法はそれ自体のいろいろな政策の目標があるわけでございますが、しかし、これはやはり政府の方としても見直していこうということでございますので、今後の一つの課題として、検討をいたすことにいたします。
○細谷委員 言葉だけの検討ではなくて、大変重要な問題でありますから、総理の基本理念を実現していくためには、通らなければならない、解決しなければならない問題点でありますから、ひとつ総理の責任でやっていただきたいと思います。
 最後に一点、自治大臣、地方債の許可ということで、どうも自治省の恣意的な地方債の許可による運用がなされておるのではないか、こういう感じがいたします。たとえば、時間がありませんからまとめて申し上げますけれども、東京都を例にとりますと、四十七年には予算に計上いたしました地方債が一般会計では七二・五%許可されておるのです。四十八年度は税収も伸びましたから、このときは四八・二%であります。四十九年度はどのくらいかといいますと、三六・九%でございます。それでは予算に計上した地方債が水ぶくれで計上したかといいますと、年度を追うてやっておりますと、そういう形は認められません。こういう点からいって、地方債の許可方針がどうも恣意的に行われておるのではないか、こういう点が一つ。
 もう一つは、地方財政計画の中で、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費、必要経費でありますから、不交付団体で、いわゆる国が決めた水準を超えておる行政について一定の金額を地方財政計画で織り込んでおります。この織り込み方もアトランダム、適当にバランスのために数字をやっておりますが、それはまあそのままにいたしまして、私が質問いたしたいところは、その不交付団体の必要経費という、その必要経費が、交付税の八月算定における基準財政需要額と収入額の差額、再精算段階における基準財政と収入額の差額、そういうものの激変が起こった場合には、必要経費である以上は、やはりそういう経済の特殊な事情があるわけでありますから、これはひとつ地方債を見てやらなければ、地方は決算ができないと私は思うのです。なるほどそういう点で、四十九年度においては、不交付団体の二つの県に行われておりますけれども、二つの県では行っておりません。四十六年度には全部やってあったんですよ。四十九年度になったらどうしてたった二つの県だけしかやっていないのですか。おかしいでしょう、これは。お答えいただきたい。
○福田(一)国務大臣 ただいま不交付団体について二つは行った、東京都等には行わないのはおかしいではないかという御質問かと思うのでありますけれども、実はいまあなたが言われましたような計画のうちで、四十九年度について、これは具体的になりますが、神奈川とか愛知とかというところは、計上しておった税収額が非常に減りました。非常に減りましたので、そこでそういうところに対しては公債のいわゆる増額といいますか、認めて追加をいたしたわけであります。ところが、東京都の場合においては税収は減っておりません。税収が減っておらないのに、それを今度は起債で見るということになりますと、地方財政というものはもうどんどん使った方が得だというような、まあそんなことはないでしょうけれども、そこに締めくくりがつかなくなる。それでありますから、税収が減ったようなところは、もうやむを得ないから、これは公債を認めてあげましょう。しかし、税収が減らないのに足りなくなるというようなことは、それはどこかに欠陥がある。たとえば人件費等にそういう金が回る可能性もあるし、そういう点も考えて、自治省としてはそれはやらなかった、こういうことでございますので、御了承を願いたい。
○細谷委員 自治大臣ともあろう者が、税収が減ったとか減らぬという、そんな議論じゃいかぬですよ。交付、不交付の団体というのは何かというと、基準財政需要額と収入額、税収が減ったかふえたか、需要額が減ったかふえたか、そういうものを比較した上で、当初算定と再算定の段階において必要経費、水準を超える必要経費については見てやったというのが四十六年の例じゃありませんか。それをどうして今度は見てやらないのか、私はそれを言っているのです。しかし、時間が来ましたから、私はこの問題は残して、きょう終わっておきます。了承できません。
○荒舩委員長 土井たか子君より関連の質疑の申し出があります。細谷君の持ち時間の範囲でこれを許します。土井たか子君。
○土井委員 二年前に、当時の環境庁長官でいらした三木総理も、そうして私も、瀬戸内海がもう汚れるだけ汚れてしまっている、これをこのまま放置すると取り返しがつかないことになるという危機感と、そうして私たちの責任でもって、御承知のとおり瀬戸内海環境保全臨時措置法を制定したわけです。これは議員立法でございますが、この法律を制定したに当たっては、本当にそれなりの苦労を当時の環境庁長官の三木総理もされたし、また、私たちも与野党こぞって、これについては大変な力を傾けてやったわけであります。これが四十八年の十一月の二日に施行されて一年たちますうちに、部分的ではございますけれども、海がきれいになってきたという声を聞く、また祖先伝来の漁業を放棄して、もうあきらめて転業しようと思っていた若い人たちが、大丈夫、先の見通しが何か持てるような気がすると言い出したのを聞きますと、本当に胸躍る思いがしたわけであります。努力をすれば必ずそれだけのことがあるという実感を私たちが持ち始めたそのやさき、御承知のとおり昨年の十二月中旬、岡山の三菱石油の水島製油所から大量のC重油が流出するという事故が起こりまして、もはや瀬戸内海はもう帰らぬ海になったという、まことにがっかりとも、憤りとも、何とも言いようのない気がただいま私たちはしているわけであります。三木総理も同じお気持ちでいらっしゃるだろうと思います。きょうはひとつその問題について確かめたい点を、この予算委員会の席で質問をしたいと存じます。
 まず、消防庁長官にお尋ねをしたいのですが、一般的に言いまして、石油貯蔵タンクの設置から完成するまでの行政手続と、その期間はどういうふうな内容になっているかということを確かめさせていただきたいのです。
○佐々木政府委員 石油タンクの建設手続を一般的に申しますと、タンクの設置計画の段階におきまして、常設消防を持っております市町村に対しまして、設置許可申請をいたします。市町村の消防当局は、そのタンクにつきまして、その位置、構造、設備が技術上の基準に適合している場合には、設置の許可をいたすわけであります。常設消防のない市町村におきましては、この事務は府県知事が行うということになっております。この設置の許可後におきまして、その計画に基づいた工事が行われました場合には、その許可どおりのタンクが完成したか否か、これにつきまして、許可行政庁である市町村または府県知事がその完成検査を行うということになっております。この完成検査におきまして、許可どおりのタンクが完成したと認められる場合におきましては、完成検査済み証を交付いたしまして、その交付後にこのタンクの使用が可能となるという手続でございます。
○土井委員 大要はそういうことだと思うのですが、まず、施設設置の計画をして、法に基づく危険物貯蔵所設置許可申請書を出して、そのときには必ず基礎図面等もつけて出して、その後協議審査を受けて、市長が設置許可をやって初めて地盤等の基礎部分の着工にかかるというのが、いわば手順ということになっているわけですね。そのとおりですね。
 この三菱石油の水島製油所二七〇号タンクについては、設置許可の申請から完成、さらに使用開始までの行政手続と、その事実関係がどうなっていたかということを確かめさせてください。
○佐々木政府委員 二七〇号タンクにつきまして、基礎工事の始まりましたのが、四十七年の十月からでございます。これはまず地盤改良工事が始まっておったわけであります。これの設置につきまして、地元の倉敷市消防本部におきまして設置許可をいたしましたのが、昭和四十八年九月六日でございます。それから、タンクの検査が終わりましたのが同じく十一月六日、完成検査の終了が十二月十五日ということになっております。したがいまして、このタンクの許可事務の関係におきまして、消防本部の方からの設置許可が行われました段階におきまして、すでに工事が始まっておったということは事実でございます。
○土井委員 一つはっきり確認しておきたい点があるのです。消防法の第十一条に定めておりますところを見ますと、「製造所、貯蔵所又は取扱所を設置しようとする者は」云々とありまして、「許可を受けなければならない。」「設備を変更しようとする者も、同様とする。」というふうに書かれておりますが、これは、タンクを設置しようとする企業は、工事着工の以前に地元の市町村長の許可を受けなければ、基礎工事も含めて着工はできないというふうに解釈するのが当然なんでありますね。これを確認しておきましょう。
○佐々木政府委員 法律上そういうふうな規定になっております。
○土井委員 消防庁の三菱石油水島製油所タンク事故原因調査委員会の「三菱石油水島製油所タンク事故原因調査中間報告書」というのがございます。これなんですが、これによりますと、三菱石油が二七〇号タンクの基礎地盤改良工事に入ったのが、先ほどおっしゃったとおり四十七年十月三十日、その完了が四十八年三月二十日、盛り砂基礎工事に入ったのが四十八年三月二十一日、その完了が四十八年四月十三日、本体工事を開始したのが四十八年四月十六日、その完了が四十八年十二月一日というふうになっているのです。ところが、倉敷市長が二七〇号タンクの設置を許可したのは、すでに本体工事に入ってしまって何と五カ月近くもたった四十八年九月六日となっているのですよ。一体これはどういうことなのか。先ほどの御答弁では、消防法の十一条の解釈によると、許可がなければ着工できないとおっしゃる。このことは確認させていただいた。とすると、これは明らかに許可のないうちに着工した、無許可着工ということになると思いますが、いかがでございますか。
○佐々木政府委員 ただいま御指摘のとおり、このタンクの工事につきまして、少なくとも盛り砂基礎工事の始まる以前におきまして、設置の許可を受くべきものというふうに考えております。したがいまして、この工事につきましては、無許可により基礎工事が始まったということになっておるわけであります。
 ただ、現実の地元の消防本部の取り扱いといたしましては、この許可に当たりまして、書類等の不備がございましたので、正式の設置許可はおくれたわけでありますけれども、その工事の内容については工事を開始してもいいというふうな取り扱いをしていた、こういうことでございます。したがいまして、この点につきましては、消防法としての取り扱いがきわめて適切を欠いた取り扱いになっているというふうに私どもは考えております。
○土井委員 適切を欠いたとおっしゃいますが、これは先ほどの解釈からすれば、明らかに消防法違反ということになるわけですよ。そういたしますと、許可を受けないで着工したということ、つまり消防法違反ということになると、同じく消防法の第四十二条の規定によって「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」という罰則規定がございます。ところが、倉敷市長は罰則を適用するどころか、逆に無許可着工を追認して、四十八年九月六日に許可を出しているというかっこうになっているのです。これは法律規定を無視した、行政と企業の癒着、談合の型だということを言わざるを得ぬわけでありますが、しかもその二七〇号タンクが事故を起こしたわけでありますから、監督官庁としての消防庁は、この事実にどう対処して、地元倉敷市の行政責任についてどういうふうな態度で指導をなさろうとしておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○佐々木政府委員 これまでの取り扱いについて、法律上非常に問題のある取り扱いでありますので、こうした扱い方につきまして、今後十分矯正するように指導いたしております。
○土井委員 今後とおっしゃいますが、今後の一般論を私はここで問題にしているわけじゃないのです。すでに事実として明らかになった、しかも、私が勝手に言っているわけじゃない。先日中間報告書として正式に出されたこの原因調査の中間報告書の中に、それは歴然と出ている問題じゃありませんか。政府がそのようにはっきり中間報告書として発表なすっているんじゃありませんか。この具体的な問題について私はお伺いをしているわけでありまして、今後の一般論としての取り扱い方についての心得を私は聞いているわけじゃないのです。この問題についてどのようになさるかということを、ひとつ明確にお答え願います。いかがですか。
○佐々木政府委員 このタンクにつきましては、法律上非常に問題のある扱い方をしておったわけでありますけれども、すでに四十八年の九月に設置の許可の手続をいたしておりますので、これについてさらに追及するということは、これ以上できないのではないかというふうに考えております。
○土井委員 先ほど、この法律解釈について明確にお答えになって、手順を踏んでの手続上許可がなければ着工できないということもはっきりお認めになったのです。許可なくして着工したという事実は法違反なんですよね。すでにそれについては許可をしてしまっているからもう済んだことだとおっしゃるのなら、一体何のために消防法という法律はあるのですか。何のための消防法なんです。そういう点を、ひとつずさんなあり方でなくて、きっちりと法律に従ってお考えになるのが消防庁の行政じゃないですか。こういうずさんなことは困りますよ。法違反ということをお認めになったんだから、私が申し上げた四十二条の罰則規定が現にある。したがって、どういうふうにお取り扱いになるかという点も、ひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま土井さんから、この水島事故を起こすに至ったタンクの建築の問題、また操業開始の問題についての法違反の問題が指摘されました。これはあなたがお考えになっておるとおり、私、そのままにしておいていいとは思いません。私たちは、やはり関係者から事情を聞いて、そして当然注意すべきことは注意をしていかなければならぬ、あるいは法律を適用しなければいかぬかもしれぬ。そうでないと、法律というものをつくった意味がなくなるのです。それは決してこの法律だけの問題ではございません、すべて、法律をつくった以上は、法律を守る義務がありますから。しかしその間に悪意があったかどうか、故意があったかどうかという点もひとつ十分調べた上で、どういうふうにしたかということを適当な時期に御報告をさせていただきたいと思います。
○土井委員 適当な時期というのを待っているうちに、いつの間にかもみ消されるということもよくある。この報告書というのはいつ出たんでございますか。すでに三月三十一日に報告書は出ておりますよ。時間は大分たっております。いまおっしゃったようなことについて自治大臣おっしゃるのなら、いままでに、それなりに事情についてのお確かめも進んでいるはずなんですね。また具体的にどうしようかというお考えもある程度煮詰まってきておるはずです、もう大分時間がたってきておりますから。したがって、いまのような御答弁なら、いま何らかのそれに対してのお考えがあるならば、具体的にお聞かせをいただきたいし、何もないということであるならば、これはひとつ適当な時期にとおっしゃるその適当な時期を明示していただいて、次に進みたいと思います。
○福田(一)国務大臣 まことに怠慢で申しわけございません。この六月中に取り調べをいたしまして、いかに処置するかということを御報告いたしたいと思います。
○土井委員 とても悠長なことなんですが、私は悪意をもってこれは問題にしたくないのですけれども、一つどうしても気にかかりますから、この点も押さえておきたいのです。
 先ほど私は、地元倉敷市長の責任について触れましたけれども、実は消防庁は、この事実に、事件の後に気づいて、今日までそれを何とか表面に出さないでいく方法はないかということをお考えになったのではなかろうかと思われる節が多分にあるのです。それは、事故調査委員会の中間報告書というのは、これが正式なんですが、五十年三月三十一日にまとめて公表をなすっていながら、私はこれを持ってまいりましたが、当初の公表はこの要約版なんですよ。私もこの要約版を当初はいただいておる。ところがこの要約版というのを、本文である中間報告書と、こう突き合わせてみますと、二七〇号タンク工事の工程経過、これは先ほどここで問題にした部分です。それから想定される事故要因、さらにその中で最も問題と思われる直立段階に関連する問題、そういう項目が、一番最初に出された要約版の中では、もののみごとにすっぽり削除されているんです。こうした作為は――私は作為とは思いたくないのだけれども、要約版をおつくりになったのは作為の行為ですから、そういうことからいたしますと、消防庁の事務当局というのが、事の重要性についてお気づきになっていらっしゃったんじゃないか。意図的に、何とかこのことに対して表面化させたくないというふうなお気持ちがおありになったんじゃないか、こういうふうに思いたくはないのですが、事実のつじつま合わせをすると、なってくる。こうした行為をとった消防庁当局、それから政府の責任というのは、私は大きいと思うわけですが、これはどのように御説明賜りますか。
○佐々木政府委員 三月三十一日に事故原因につきましての中間報告の発表をいたします段階におきましては、まだ中間報告書の印刷が相当日数かかるという見通しでございましたので、要約版をつくりまして発表したような次第でございまして、この要約版におきましては、この事故の原因というものに重点を置きまして、その内容を明らかにするという方針で行ったものでございまして、別にこうした問題について、日時等を特に隠しておくというつもりは全くございませんで、要するに、できるだけ原因というものをわかりやすく要約して発表したい、こういうつもりでございました。
○土井委員 できるだけわかりやすくというのは、大変大事なポイントですが、もう一つは、事実について重要な個所は、できる限りそれを削除しないでというのは、やはり公正を期する上から言うと、これは大事な忘れられてはならないポイントだと思います。全ページわずか三十五ページしかないのですよ。印刷が間に合わないとおっしゃいますけれども、この要約版というものはかなり手の込んだものであります。これは単なる事務手続上繁雑であるということを理由になさるいわれは、私はないと思う。やはり正確を期するということは心得ていただかないと、後でこういうふうな問題が出てまいりますよ。自治大臣、どうお考えになりますか。
○福田(一)国務大臣 そういう誤解を生むようなことであったといたしますれば、やはり今後は十分慎んで処理をいたしてまいりたいと思います。
○土井委員 初めから要約版というふうなけちなものを――いろいろ資料要求いたしましても、出すのに渋られた後でいただくようなことがしょっちゅうあるわけですが、それがこういうふうな問題を引き起こすどいうことにもなりかねませんので、そのことはやはり私は申し上げておきたいと思います。
 さて、この政府の原因調査団の中間報告書を見てまいりますと、十五ページあたりに「特に、直立階段基礎工事は、水張り中の垂直荷重の加わった状態で行われ、アニュラ・プレート直下の基礎が深くえぐり取られ、しかも、この部分の埋め戻しが完全には行い得なかったと証言されている。」、こういうふうに書かれているのです。また同じく二十一ページあたりを見ますと、「今回の事故に直立階段がどのように影響したかは問題となる点の一つである。T−二七〇タンクに取り付けられた直立階段については、階段基礎の設計、施工、施工時期等がタンク基礎に与える影響を十分検討しないで工事が行われたため、予期しない複雑な問題が発生した。」、こう書いてあるわけなんですね。従来からタンクの応力がかかって危険性が指摘をされ、そうして幾たびとなく事故報告がされている部分が、ここに言うアニュラプレート、つまりこれを訳して底板周辺部と言っていいと思うのですが、その部分なんであります。石油タンクの底板の周辺部なんであります。これを技術的にいままではどうにも解決できないので、その部分について基礎で保護してきたという常識が従来はあったのです。基礎工事の中でそれを保護してきたという常識があったのです。このアニュラプレートの直下の基礎を、工事の後で、二七〇号タンクの場合は深くえぐり取って、階段の基礎をつくるというふうなことをやっているわけなんですね。直立型の階段をつくる際に、そういうことをやっている。しかも水張りで垂直荷重がもろにアニュラプレートにかかった状態でやっている。このような無謀な工事を行った三菱側の責任、それを許した行政側の責任は一体どういうことになるか。つまりこれは許可を受けないで階段工事が、しかも直下の基礎を深くえぐり取るという危険を承知の上で、始められていたというふうなことについて、やはり当時は消防本部も御存じでありましょうし、またこれを行った三菱の方も、全く御存じでないはずはないと私は思うのですが、こういうことについてどのようにお考えになっていらっしゃるかを、お聞かせいただきたいのです。
○佐々木政府委員 タンクの建設の許可に当たりましては、設計書の内容を十分点検をするわけでございますが、その工事日程等につきましてまで、この許可の際に調べておらないのが現実でございます。したがいまして、今回の二七〇号タンクの場合に、直立階段が、タンク本体ができ上がった後で工事が行われたという、この工事の手順に非常に問題があったというふうに私どもは考えております。したがいまして、これについてのその工事の進行管理の問題、それから工事実施の時期の問題、施工方法等につきましては、その原因が明確化した段階で、それぞれの責任が明らかになるというふうに考えております。
○土井委員 それは、いまはもうすでに消防庁さんの方で、そういうふうにお認めになっているわけなんですが、実は当時においてすでにわかっていた問題なんです。私、きょうここに社内研究発表の資料を持ってまいりましたが、これは千代田化工の社内研究の発表の資料なんですよ。この中で、研究陣が、この事故の一年数カ月前、四十八年十月に社内発表をやっている、その部分について言いますと、これは責任者の名前もちゃんとここに書いてあります。所属長の名前もちゃんとここに書いてあるわけです。この所属長の所見として、はっきり明記されている部分を、いまここで参考になりますから読んでおきたいのです。これは「タンクの側板と底板の周辺は、非常に複雑な応力分布となり、現在、安全の面より最も注目されて居る所である。即ち、タンクの底板周辺が破壊すると、一事業所のみならず、広い範囲で災害をひき起こす危惧が充分にある故である。本報告のように満水時ですでに降伏点を越えて居ることが判明したが、知ってしまうと非常に、あぶないことで何等かの対策を考える必要がある。」、ちゃんと出ているのです。ここに資料が、社内研究ではっきり所見として出ているわけなんですね。しかも、こういうふうな中身は石油学会にも発表するということが書いてあって、石油学会でも、そういうことは、すでにもうこのとおりに学会誌にも掲載されて発表されている。
 こうなってまいりますと、三菱石油の方は知らないとは言えないですよ。しかも、この問題については、発表に先立つ八月七日に特に対策工法の特許申請までやっているというかっこうになっているのです。危険だという点については補強をやるというふうなことも加えてですね。こういうふうなことを考えている千代田化工からいたしますと、水張りのその最中に、底板の基礎を掘り起こすようなことに同意するわけは、私はないと思うのです。タンク自身について、ここの点が危ないのだということを知りながら、危ない点の下を掘り起こすなんというばかなことは、技術者はよもやおやりにならないだろうと私は思う。そうといたしますと、これは考えてみると、だれにでもよくわかるところであります。早く仕上げなければならないという工期の短縮と、いかに安くすることができるかという経済性を追求するということの目的のためにされたとしか考えられようがない。三菱は恐らくそういうことに対して、工法についても、どういうものであるかということについてはまるで無知識と言えないわけでありますから、この工法を知りつつ、工期の短縮が最大のメリットというふうに考えられて、安全性を無視したコストの追求の姿勢で、こういうことになったのじゃないかと思うのです。現に、この問題になっております社内研究発表というのは何のためになされたかを、ここでひとつ注目しておいていただきたいと思う。それは、現に鹿児島の喜入基地、これは全国一であります。アジア第一と言われる日本石油基地にある十五万キロリットルのタンクを設計するに当たっての、これは検討資料であります。しかも現に喜入基地では、二七〇号タンクと同じような構造で、もうタンクが建設をされてしまっているという事実も、ひとつはっきりと御確認を願いたいのであります。石油業界で、この十五万キロのタンクについて、二七〇号タンクの二の舞いにならなければいいがというふうな声もちらほらあると聞くのです。こういう問題については、通産大臣、確認をなすっていらっしゃるかどうかを、一言お聞かせいただきたいのです。
○河本国務大臣 これまでのJISの規格でございますが、小さいタンクを想定いたしましてやっておりましたので、これではいけないということで、最近大きなものも含めまして、新しい規則をつくる、基準をつくる必要があるということで、ただいまその作業を進めておるところでございます。
○土井委員 作業を進めさえすればよいということではなくて、やはり安全性の確認というのが、あの二七〇号タンク以後、国民の最大の関心事になっているということを、ひとつ大臣は御念頭に置いていただかないと困ると思うのです。
 そこで、通産大臣に引き続きお伺いをしますが、石油業法を所管なさる、しかも石油会社の主務官庁としての通産省は、たとえ石油タンクについての許可権を持っていないといたしましても、最も基本的な石油精製装置の設備許可権限をお持ちになって、しかもそれによってタンクの必要能力も決まってくる、そういう関係にあるわけですね。そうした意味から申しますと、許可を受けないで着工した今回の三菱石油のような場合には、石油企業を総括する通産省が、何らかのやはり行政措置というものを加えてあたりまえだと私は思うのです。なぜこういうふうなことが出てきたかということを考えると。やはり通産省から行政措置を考えていいと思うのです。たとえば精製設備許可の取り消しであるとか、あるいは点検をやった上で、――この三菱石油の子会社でございます東北石油の仙台製油所に、現に石油審議会が許可をいたしました、それは四十八年の十一月段階でありますが、十万バレルの問題がございます。通産大臣の許可保留なんかの措置が考えられていいのじゃないか、当然じゃないかと私は思うのでありますが、この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○河本国務大臣 これまで、こういう事故が起こりましたときの対策が、法体系の上から考えましても大変不十分であった。そういうことのために、今回の事故でも後手後手に回りまして、当然防ぐことができた場合も私はあったと思うのです。それができなかったということば、現在の法体系に大変不備があるということで、これは先般来、自治省が中心になりまして、新しい法体系を整備しようということで、今度コンビナートの防災法を御審議をしていただくということで、ようやく法案ができ上がったわけでございますが、そういうことで、これからは一層防災体系を強化していきたい、関係各省ともよく相談をいたしまして、そういう方向に持っていきたい、こう考えております。
○土井委員 通産大臣は、石油コンビナート等災害防止法案の問題についてお触れになったようでありますが、それ以前に、現在ございます現行法の中身から考えまして、私はちょいと問題にしたい点があるのです。それは四十八年の十月の国会で工場立地法を一部改正いたしまして、石油コンビナートなどに立地する工場を対象に、保安や防災や安全性の面から、工場の敷地の面積に対する生産施設の比率や、環境用地の一定比率の確保の規制というのを実施するようになりましたね。この改正法の施行に当たって、石油会社から生産施設比率の定義を定める際に、石油精製工場のパイプラインとか、さらにタンクなどを含めるかどうかで、大変に議論が沸騰いたしまして、結局は石油業界の主張が圧力で通って、規制の程度をゆるめて、非常に安全性の点から言うと問題の多いタンク等については、保安や安全性の点から危険であるにもかかわらず、規制の対象外にしてしまったという事実があるわけですね。私はこういうことを勝手に言っているわけじゃない。ここに二つの資料を持ってまいりました。片やは四十七年十二月二十一日という日付がついております。石油連盟から「「工場法」(仮称)に関する要望」というものであります。片やは四十七年十二月二十六日、同じく石油連盟、「工場法(仮称)についてのお願い」という文書であります。いずれも石油連盟から出ている。ここに書いてある工場法は、言うまでもございません、工場立地法というあの法律を指して言っているわけなんです。この問題について中身を見てまいりますと、「一方仄聞するところによれば、今後の設備許可にあたっては、工場法に定める各種の整備基準を充足することが許可基準の必要要件となる模様なので、従来にも増して一層厳しい許可条件下におかれることになります。」ということを申し述べながら、ひとつ運用されるので御配慮をいただきたいというふうに言い切って、こういう要望書を出しておられるわけであります。
 いま三菱石油の水島製油所は、四十八年当時は、通産省が、五十年四月完成の条件で、日産五万バレルの設備を許可しておられます。三菱石油の二七〇号タンクは、この許可された設備に対応する備蓄のために建設されているのは明らかだと言えるわけですね。そういうことからしますと、工場立地法の規制を緩やかにして、三菱石油に設備の許可を与えた通産省の責任というのは、まことに大きいということを言わざるを得ないと私は思うわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○佐藤政府委員 確かに、工場立地法の制定に際しまして、石油タンクを生産設備の中に入れるかどうかということの議論があったことは、われわれも承知いたしております。ただ工場立地法の考え方といたしましては、大きなコンビナート地域につきまして、環境を整備するということを第一義的にわれわれとして考えたわけでございまして、しかし一方では、環境だけでは不十分でございますので、指導要領としましては、保安の面も十分に配慮するということは考えております。ただ現実問題として、タンクが規制の対象に現実になっておりません。しかしわれわれといたしましては、石油工場並びに高圧石油化学等のコンビナートの主体をなす工場の、敷地面積に対しますところの生産設備の面積比率につきましては、そういう点も勘案いたしまして、非常に他の産業に比べて厳しくやっておりまして、大体現在一〇ないし一五%という準則を定めまして、そういう点を補完いたしておるわけでございます。ただ、現実に、そうは申しましても、工場立地法の適用対象になってないという点は、確かに御指摘のとおりでございますので、この点につきましては、今後の防災の面から、いろいろ消防庁の方とも連絡をとりたいと思いますし、また現実に、石油タンクの立地につきましては、立地の条件、保安基準等々、すべて消防法の適用範囲で十分にそこの辺を担保するというたてまえで運用しているのが実態でございますが、いろいろ問題も出ておりますので、今後につきましては、御趣旨を生かしまして十分に検討してまいりたい、こう考えております。
○土井委員 六十日から九十日に石油の備蓄がなるということになってまいりますと、これはつじつま合わせになるかもしれませんが、今回の三菱石油の水島製油所の場合も、とにもかくにもこの法律が施行される以前に、タンクを大急ぎでつくってしまおうという、いわゆる駆け込み建設のようなやり方であったに違いないという憶測がかたくないんです。そういうことからしますと、いまの御答弁のとおりで、工場立地法の中身ではっきりタンクという問題を、それからパイプライン等についても、これを規制の対象にしなければ、どうにも安全性の確保という点、保安の確保という点、これが十分に期しがたいということであります。通産省とされては、そうしますと、現行の工場立地法について、そういう点からの洗い直しを、具体的にどのように作業としてお進めになっていらっしゃいますか。やはりそれをもう一度洗い直しをして、法の一部改正ということを必要視されている向きは、いまここでお伺いした御答弁の中から、私も推察できるわけでありますけれども、具体的に、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○佐藤政府委員 ただいまの私の御答弁は、必ずしも正確でなかった面もあるようでございますので、改めて申しますが、工場立地法の中で、これを改正してタンクを入れるということは決めておりません。したがいまして、石油タンクの個別の立地につきましては、現在の消防法の個別単体の立地につきましての保安基準が十分に裏打ちされておりますので、それを活用していただくということになろうかと思います。
 ただ、今回提出される予定でございますところのコンビナート防災法の中におきましては、非常に危険な高圧ガスと石油タンクと混在するような設備を、コンビナート等のような特別区域に設置しようとする事業者は、あらかじめ立地の規制を義務づけられるということに、内容として盛り込んでおるわけでございます。
○土井委員 問題の趣旨が違うのです、いまの御答弁は。消防庁の方は、石油タンクについては一基一基を問題にされるわけですよ。石油タンクをどれぐらいのスペースで、全体から言うとどれくらいの部分に、どういうふうに建設するかということば、消防庁は御存じない。関係ないんです。一基一基についての安全基準が問題なんです、消防庁の場合は。私はそんなことを聞いているのじゃないんですよ。先ほどから言っているのは、工場立地法については、一部改正の時点で、石油タンクというのが対象からはずされた。石油備蓄について六十日から九十日になるについて、やはり通産省がお認めになっているいろいろな許可に従って、石油タンクというものが設備されていくわけでありますから、それは石油精製装置の設備許可権限に従って、タンクというのは認められていくわけでありますから、許可がふえればタンクもふえるのです。したがって、このタンクをどのように安全性と保安ということから考えて十分なものにしていくかという意味からしても、現在の工場立地法は、そこをすっぽり抜かしているじゃありませんか。対象からはずしているのを対象になさいということを、いま問題にしているわけでありまして、全然らち外のことをおっしゃらないでいただきたいと思います。
○佐藤政府委員 タンクの立地につきましては、単に一基一基ごとの保安の耐久力とか肉厚とか等々、そういう単体の構造面の規制のみならず、いわゆる保安距離と称しまして、危険な工作物あるいは設備との保安距離を十分に置くようにということで、若干立地的な規制が、保安基準の中にすでに織り込まれておるわけでございまして、消防法のそういう規制の中で、防災面という面に限って言えば、私は十分にやれるだろうというふうに考えます。
 ただ、先生の御指摘のように、環境としてどうかということになった場合に、タンクはいわゆる煙等々の問題はいままでなかったということもございますので、倉庫と同じようにみなしまして、工場立地法の対象からははずしたわけでございまして、その点は御理解いただきたいと思います。
○土井委員 だから、それについて改正の要ありということを、私が先ほど申し上げたのについての認識をはっきりさせていただきたいと言っているのです。いかがですか。もう時間がないのですから、同じことばかりを言わせないでください。
○荒舩委員長 質問と答弁の食い違いだよ、君。そういうことを質問しているんじゃないんだ。
○佐藤政府委員 どうも御迷惑をかけます。
 工場立地法の中でやるのも、確かに先生の御指摘のように一つの案かと思いますが、どこの面で、そういういわゆる立地規制をやるべきかという問題につきましては、消防庁の方ですでにそういう問題を現実にやっておられますので、十分に自治省の方と協議いたしまして、その上でまた改めて御答弁申し上げたいと思います。
○佐々木政府委員 消防法の上におきましては、今後、このような事故等も考え合わせまして、やはりこの工場敷地内における貯油設備群の総体の総量の規制という問題を、防災面から十分に検討した上での基準をつくっていきたいというふうに考えております。
○土井委員 的外れの御答弁で、これは私が聞いていることから少しはずれますから、残念ながら時間のむだになるわけでありますが、これは先ほど、通産省とされては工場立地法の関係部分についてひとつ再検討をするという意味の御答弁をいただいたということを確認をして、もう最後の問題に入りたいと私は思うのです。しかし、先ほど来問題にしてまいりましたけれども、通産省の姿勢というのは、やはり煮え切らない。石油企業の本家本元がこういうことだということになってくると、いつまでたっても大事故の原因というものはなくならないということにもなるのです。
 そこで問題は、瀬戸内海の環境保全ということから、きょうはこの問題を取り上げてきたわけですが、全国津々浦々に石油コンビナートというのはあるわけでありますから、そういう点からいたしますと、これは大きな問題だと私は思うわけであります。ただ具体的には、きょうは水島の三菱石油の製油所について取り上げて、ここで御質問をしましたので、最後にこれを総理大臣にひとつお伺いをしておきたいのですが、瀬戸内海環境保全審議会でいま検討されているということであります。しかし一方では、これは中間報告がまた出ているわけでありまして、事故原因調査についての最終報告は、十月に出るのかいずれに出るのかわかりませんが、まだ出ていない段階なんですね。そういうときに、この三菱石油株式会社とされては、先日「重油流出事故の概要ならびに防災体制強化および保安点検実施状況」というのを五月七日に出していらっしゃいますが、これによりますと、事故原因が明確になるまで使用いたしませんということをおっしゃりながら、この操業再開に対して意欲満々なところがよくわかるわけであります。事故を起こしたことによる海水汚濁への影響、水産動植物への影響も明らかにならない段階で操業再開にいくということは、企業の環境保全へのモラルの点から見ても許されるはずがないと私は思っているのです。
 この三菱石油の問題について、操業再開ということは、五日に公害の委員会で江田三郎議員の方から質問がございまして、現に消防法の十二条の使用停止命令をしているけれども、それについては、倉敷市と消防本部の解除がありさえすれば、いつでも操業が再開できるというのが法上の問題であります。ただ行政上の問題は私は別だと思うのです。これだけ大事故を起こしたわけでありますし、影響は非常に大きいわけでありますから、ひとつこういうことについて、総理大臣のお考えをお聞かせいただきたいわけであります。
○三木内閣総理大臣 石油コンビナートは全国的にもあるわけで、これがいろいろな排気ガスを出さないとかそういうことではなくして、ここに災害が起これば、三菱の例などでも、これは非常に大変な被害を漁業などに与えたわけでありますから、安全という角度から、やはりこの問題はきわめて慎重を期さなければいかぬわけでありまして、いま土井議員の御指摘になった、そういう段階で、操業開始のこういう具体的な事実に対して、私はよく承知しておりませんが、ああいう大きな事故、これはやはり大きな教訓とされなければならぬし、将来の事故防止、安全の確保というものに対しては、従来の惰性的な考えでもいけないと思いますから、十分御質問の趣旨も体して、慎重に対処してまいりたいと思います。
○土井委員 もう質問時間が切れたようでありますが、簡単に二問だけ。
 ことしは国際婦人年、私も女性の一人であります。国際連合では、この国際婦人年の世界会議を、来たる十九日から七月二日までメキシコシティーで行うわけでありますが、先般出ました「世界行動計画」については、総理もお目をお通しになっていらっしゃるだろうと思うのです。この中を見てまいりますと、平和と発展と平等、順序から言うと平等、発展、平和というふうに書かれておりますが、この三つの目標を掲げまして、この目標のもとに集中活動を行う年というふうに決めているわけなんですね。この、お目通しを恐らく総理もなすったに違いない行動計画の第十九項目を見ますと、「個々の国は、独自の国内戦略を策定し、本計画の中から目標及び優先順位を決定すべきである。」と書かれております。もう日本の代表団もかの地に行くわけでありますが、日本の場合は何を優先順位というふうにお考えになっていらっしゃるのか、これがまず一つです。
 それから、これは言うことは幾らでも言えるのですが、実際行動こそ大事なのでありまして、外国の例を見ますと、民間人も起用しながら、しかし政府レベルですね。ある国では大統領、ある国では首相なども入って、こういう問題についての特別の委員会、諮問委員会あるいは協議機関というものを設けております。日本の場合は、国内的にこういう問題を実施するのについて、三木総理自身が主宰される特別の機関と申しますか、組織と申しますか、そういうものをお考えになっていらっしゃるかどうかをお聞かせいただきたい。
 以上二つです。
○三木内閣総理大臣 第一問ははなはだ難問だと思います。平等、発展、平和、これらはいずれも相互に関連をするわけでありまして、三つとも婦人年の目標としてはきわめて適当なものでありますから、その中で一つを選べということはなかなか困難であります。あるいは土井議員は、日本の場合は平等というようなことが一番おくれておるのではないかという御趣旨かもしれませんが、(笑声)しかし、今年はエベレスト――私も二十日に久野さんをお呼びして、大いに労をねぎらうつもりでおりますが、なかなか日本の女性、婦人年にふさわしい壮挙をやられた。久野さん、大いに壮挙であったと思いますが、こういうことではなくして、問題は、ただ線香花火みたいに終わってはいけないので、私は植木総務長官に――植木総務長官のもとに婦人懇談会というのを持っておるわけです。これをただ、メキシコに大会があって、それに代表が行くというような、何かそのときの行事だけでなしに、君のところで婦人年にふさわしい何らかの行動計画を立ててくれないかということを――植木総務長官、この問題にきわめて熱心でございます。そういう点で婦人問題懇談会の意見も徴しまして、これはこのことで、何かこのときにこういう計画はスタートしたんだというものが生まれれば、非常に意義があると思っております。まだ結論には達しておりませんけれども、やはりこれからの社会は、どうしても男女の協力がなければ均衡のとれた発展はできないわけでありますから、そういう点で御質問の趣旨を体して、この婦人年の仕事にふさわしいような何らかの日本的な行動計画を立てるように努力をしてみたいと考えております。
○土井委員 世界行動計画は十年計画ということでありますから、おっしゃるとおりに、この国際婦人年というのは、ことし一年で、一つの行事で終わるものでは断じてないわけでありまして、ひとつそのことに対しての具体的な政府の行動をお組みくださるように申し上げて、質問を終わります。
○荒舩委員長 これにて細谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、荒木宏君。
○荒木委員 まず、三木総理にお尋ねをいたします。
 総理は、この国会の初めに本会議で所信を表明されまして、総需要抑制は続ける、しかし健全な中小企業に不当なしわ寄せが起こらないようにする、こう言われました。そこで私は、現在中小企業に不当なしわ寄せが果たして起こっていないかどうか、総理の認識をお尋ねしたいのであります。
 先日、わが党の機関紙「赤旗」の記者の諸君がこの点の調査に入りました。東京都の大田区、下請中小業者の非常に多い地域であります。部品メーカーの人たちに聞きますと、売り上げが昨年の一割近くに減った。二百万円から二十万円で、従業員二人一緒に働いているけれども、一週間働いて十日休まなければならぬ。また、わが党にある製粉業者の方が御相談に見えまして、娘の結婚資金にせっかくためていた貯金をはたいて、何とか事業の継続をと思ったが、仕事がなくてとても続かないと言う。これは単に、私どもの党の機関紙の記者の諸君の耳に入り、わが党に御相談に見えただけでなくて、いまの中小業者の皆さんの一般的な状態だと思うのです。
 御案内のように、四十九年度は一万一千件を超える倒産が発生しました。史上最高です。その職場で働く勤労者の皆さんは、一時帰休、残業カット、そしてまた完全失業が百十二万人にも達するという。四十九年度全体としてこういった状態が発生し、そして歳入欠陥、つまり裏を返せば、政府の皆さんが予定をした税金すら払えない状態に中小業者の皆さんが置かれている。政府の皆さんが予定をした税金さえ払えないような状態に勤労者の諸君が置かれている。内閣の責任者として総理は、この事態に、年度全体として政治的な責任を感じていらっしゃるかどうか、初めにこれをお尋ねしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 政府の施策の中では、こういう大きな経済の転換期に際して、比較的弱い立場にある中小企業の方々に対してしわ寄せがいかないように、金融面などに対しても措置をいたしますし、また官庁の需要などに対しても、できるだけ中小企業の取引を確保するための措置もとっておるわけでございますが、何分にも蓄積というようなものが大企業に比べて少ない面もあるでしょうし、中小企業、あるいはまた大企業の操業度も下がってまいっておりますし、そういうしわ寄せが下請などにも参る可能性もあるし、また一方個人消費も余り伸びないというような状態でもあって、中小企業の方々が相当にこの経済転換期の影響を受けておるということは、われわれも承知しているわけであります。できる限り、中小企業対策というものは、経済政策の中で力を入れてはおるわけでございますが、荒木議員の言われるように、特に不公正に中小企業というものの扱いをいたしておるわけではない。そういうことがあってはいけないということで、特別の配慮をいたしておるわけでございますが、全般の景気回復の問題等も関連をするわけでございますから、今後とも、中小企業にしわ寄せがいくようなことをできるだけ避けるような処置は、きめ細かくとっていきたいという考えでございます。
○荒木委員 対策については、後ほどお尋ねをするつもりであります。
 私が初めに伺ったのは、いまの事態を前にして、年度全体として総理がこの事態に政治責任を感じていらっしゃるかどうか。学校は出たが待機をしておる人が一万七千人いるという。内職で働いていた人すら四十三万人も職場を失うという。昭和四十五年以来一度もなかったことです。従業者人口、これまた前年対比で減少しています。ここ数年一度もなかったことです。その事態に総理が責任を感じていらっしゃるかどうか。本会議冒頭の、しわ寄せを受けないようにと言われたそのことに照らしても、今後の対策、あるいは旬間、月間、ささいな動きは別にして、年度全体として責任を感じていらっしゃるかどうかということを、もう
 一度はっきりおっしゃっていただきたい。
○三木内閣総理大臣 責任を感じておればこそ、懸命に経済政策のかじ取りの誤りなきを期したいとやっておるわけでございます。
    〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕
ただいまの経済が、荒木君御承知のように、スタグフレーションという、いままで経験のないような、余りにも景気を刺激すれば物価に影響をする。消費者物価というものが昨年度は一年に平均して二四・五%ですからね。こういう状態は各国の状態に比べても、各国とも物価騰貴というものに対して悩んでおるけれども、日本の水準が一番高かったことは事実であります。そういうことで、どうしてもこの際は物価を抑制しなければならぬ。そうすれば、いわゆる総需要管理政策というようなものも続けていかなければならぬ。よその国がどうだからというわけではありませんけれども、アメリカ自身でも、失業者が一千万人を超えておるわけですね。そういうことで各国とも、こういうスタグフレーションのもとにおける経済政策というのには頭を悩ましておるわけでございます。これは教科書にないことをやらなければならぬ、そういうことで責任を感じつつ、何とか物価を鎮静しながら、不況のもとにおいて余り失業者を出すようなことのないようにということで、全力を傾けておるものである。御理解を願いたいのでございます。責任を感ずればこそ、やっておるのだということでございます。
○荒木委員 いま総理は、責任を感じている、こうおっしゃった。私は、いまの時期に、中期、長期の今後の財政、また経済の政策、これが論じられておるときに、長期に見て、政府の皆さんの責任は、財政政策の面でもきわめて重いと思うのです。
 いま総理は、中小企業の皆さんは蓄積が少ない、こうおっしゃった。つまり裏を返せば、大企業には高蓄積があるということになります。私は、総理も裏返しで認められた、この大企業の高蓄積は並みのものじゃない、特別の高蓄積だ、こう思います。わずか〇・一%の大企業が、一番新しい国富調査によっても、全法人の六〇%以上の資産を占めている。この高蓄積が並みのものでないということ、まず第一に、それは国民のがまんの上に成り立った高蓄積ではないでしょうか。この十五年間を見ましても、実質需要の中で占める消費支出は、六割以上から五割以下に減りました。他方、民間の設備投資は、一割そこそこであったのが二割をうんと超えた。皆さんは高度成長、経済発展とおっしゃるけれども、その枠の中で、大企業向けの設備投資というものはうんとふえ、国民の消費支出は比率が低下をした。しかも資産蓄積のふえ方を見ますと、大企業のふえ方は中小企業や国民に比べてはるかに高いんです。政府の統計によっても、この十五年間で小規模企業は五倍です。個人は七倍。大企業は十倍をはるかに超えている。そして法人企業間の格差も、大と中小を見ますと、十五年前は二倍半であったのが、いまもう六倍に近い。国際比較の問題も言われました。しかし国際比較を見ても全く同じなんです。四十一年からの数年間で、日本の大企業は総資産ベースで実に二割近い伸びを示しておる。どこにそんな国がありますか。西ドイツですら伸びが二%、三%というのがざらに続いた。ですから私は、いまの総理も認められた大企業の高蓄積が特別のものであり、国民のがまんの上ででき上がったものだ、これをまず第一に申し上げたい。
 第二に、それは政府の皆さんがやってみえた特別の税制上の仕組み、高蓄積を進める仕組みによってでき上がったものだ。これはもう階層別の法人の税の負担割合を見れば一見して明らかです。政府資料でも、四十六年は大企業の方が低い。四十八年も低い。引当金を入れれば、これはさらにその差がひどくなる。中小企業が三三%、大企業は二七%になる。この五十年三月の新日鉄のごときは、百億円もそのための減税があり、一八%にしかならぬ。したがって、この意味で私は、いまの大企業の高蓄積はこれは特別のものである。そして、どうでしょうか、そのためにこの歳入欠陥、つまり、取れるべきところ、取るべきところから取らないで、五年、十年、十五年やってみえた。それが今回のインフレ不況で歳入欠陥としてはっきりその姿をあらわした。ですから私は、この国民のがまんの上にできた大企業の高蓄積、逆累進というような不公正の仕組みで守られてできた大企業の高蓄積、そしてついに歳入欠陥をもたらしたようなこの大企業の高蓄積は特別のものだ、こう思いますが、先ほど大企業の高蓄積を裏から肯定をされた三木総理に、これを特別のものとお認めになるかどうか、御意見を伺いたい。
○三木内閣総理大臣 特別のものだとは、私は言えないと思います。大企業自身としても、いろいろな経営、技術、そういう面で努力をして、そして国際競争の上において日本の事業を伸ばすような状況をつくったわけですから、全部そういうことが国民のがまんの上だとか、あるいは特別の取り扱いによってできたというふうに、一方的に断定をするわけにはいかないと思います。
○荒木委員 私は、具体的な政府の皆さんの統計の資料によって事実を申し上げた。また他の国のあり方とも比べてこのことを申し上げたんです。そして逆累進の結果になっておる、その結果を指摘しました。総理はその私の指摘に対して、ただ、大企業もがんばった、そのことだけでもって、特別のものではないとおっしゃる。国民の皆さんが聞けばどう思うでしょうか。事実が明らかに示し、結果が明らかに示し、そしてその仕組みを皆さんが続けてこられた、これをすらなお特別のものではないとおっしゃる。根拠もお示しにならない。私は、これからの財政問題を論ずるに当たって、このことを抜きにしては、正しい解決は出てこないと思うのです。いま新しい財源をどこに求めるか。歳入欠陥が問題になっている。そしていまの制度をそのまま続けていくかどうか、このことも問題になっている。中期、長期に見た場合に、このことを出発点にして制度の見直し、特別の高蓄積をもたらした仕組みをやることを目指しての再検討、見直し、これでなければならぬと思います。総理の御意見を伺いたい。
○三木内閣総理大臣 税法などに対しては、できるだけ公正な税法というものにしなければならないことは言うまでもないわけであります。これらに対しては税の公正を期すべく、政府も、あるいはまた税制調査会なども通じて、いろいろな合理的な税制の改革を絶えずいたしておるわけでございます。
○荒木委員 公平でなくてはならないとか、あるいは見直しだとか、しばしば口にされますが、私はこの中に非常に大きなごまかしがあると思うのです。特別の措置によって特別の高蓄積をもたらしたその仕組み、維持のやり方にごまかしがある。過去の事実を申し上げますと、この特別の高蓄積をもたらした、たとえば準備金、特別償却、割り増し償却、税額控除、ずいぶんたくさんの種類があります。そしてそれについて常に見直しをしていると、こうおっしゃるけれども、やり方はどんなものか。たとえば十年とってみますと、昭和四十年には二つできました。探鉱準備金、新鉱床探鉱費の特別控除。四十二年にも二つできました。株式売買の損失準備金、商品取引の責任準備金。こうして十年の間にどんどんふえてきた。このさまざまな、特別の高蓄積を大企業にもたらした、大企業のための準備金、特別控除、税額控除は毎年ふえる一方です。四十三年が八件、四十四年が九件、四十五年が十一件、四十六年が十四件、四十九年には実に十六件になりました。本年もまた九件新設されておる。そしてこのやり方の中に、これはよく聞いていただきたいのですが、見直し、整理と言いながら、廃止をすれば必ずそれよりも多く新設をする。四十五年には四件廃止になっておりますけれども、新しく五件つくった。四十七年には一件縮小したけれども五件拡大をした。そしてたとえば四十八年に重要合理化機械の特別償却をやめたかわりに、今度は無公害化生産設備の特別償却を新しくつくった。つまり皆さんのやり方は、初めそっとつくる。これは特別のものだから無期限というわけにいかない。期限が来たら平気で延長する。そうしてそのうちに今度はやめるかわりに新しく装いをこらす、そしてその数をふやしていく。こういうやり方でどんどんこの特別の高蓄積をふやす特別の仕組みを維持し拡大をして見えられた。
 このことは、税の問題については、三木総理は余り御答弁になりませんけれども、あなたも決して無関係じゃありません。あなたは昭和四十年から四十一年にかけて通産大臣をなすった。あなたが通産大臣をなさっておるときに、先ほど私が言いましたような、資本をどんどんと資金調達資本市場へ引っ張ってくるような、大企業のための特別の措置を続けて、二つ、また二つとつくられた。大平大蔵大臣は、昭和四十三年から四十五年まで通産大臣をなすった。昨年から大蔵大臣です。あなたがその任にあられる間に、この特別のさまざまな仕組みができたのが実に二十一件あります。福田副総理は、昭和四十年から四十六年まで大蔵大臣の職にあられた。四十八年から四十九年、また再び大蔵大臣を務められた。あなたが在職されておる間に十七件の新しい制度ができました。これはいま閣内にあられる皆さんだけじゃないんです。いまこの議員席に着いていらっしゃる与党議員の皆さん方も、閣内に入ってはこれを引き継ぎ、そして装いをこらしてそれをふやす。つまり全体として、自民党政府の皆さんのやり方で、それはどんどんふえてきて、そしてついに小企業よりも税の負担が軽いという結果になる。よその国にも例を見ないような特別の高蓄積ができた。ですから、私はそういう事態の上に立って、日ごろ皆さんが口にされるその見直し、これについてまず五つの問題を提起したいと思います。
 第一は、特別の措置だから、もちろん期限があります。来年期限が来るのは四つあります。公害防止準備金その他四つありますけれども、こういうのは期限が来ればやめることを原則にするかどうか、このことを大蔵大臣に伺いたい。
○大平国務大臣 お答えの前に、大企業は国民のがまんの上に成り立った非常に無理な仕組みであるということ、そしてそれに対して政府は大変フェーバーを与えておるという二つの観点を御披露になったわけでございますが、荒木さんが言われたように、これは今後の財政問題を論ずる場合においても、大前提になるのであるということでございます。そのお説に賛成であれば、そういうラインで答えを考えていかなければならぬわけでございますけれども、私は、三木総理からいまお話がございましたように、大企業は特別のものとは考えておりませんので、大前提において、あなたと見解を異にいたします。したがいまして、これからのやりとりにおきましても、あなたと交差する場合が多いだろうということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。
 大企業は、技術の大型化から申しまして自然にできてまいりました制度でございまして、政府が特に奨励したものでも何でもございませんし、そしてこれに対しまして、政府が特別な措置を大企業を対象としてとっているわけでは決してないことは、たびたび申し上げておるとおりでございます。
 それから、いまのお尋ねでございますが、特別措置につきましては、毎年見直しまして、これを設けました政策的な目的が達成されたというときには、これはやめなければならぬわけでございます。達成されたにかかわらず、その既得権の上に眠るというようなことがないようにしなければならぬわけでございまして、答えといたしましては、その時点におきまして、見直した時点におきまして、目的が達成したと思いますならば、政府としては、それはやめることにやぶさかではないわけでございます。
○荒木委員 前提論議をもう一度蒸し返すつもりはありません。私は事実をもとに申し上げておる。皆さんは具体的な根拠、資料の提示をなさらずに、結論だけで否定された。ですから、私はそれを繰り返そうとは思いませんが、ただ結果として明らかに出ておるのは、大企業が皆さんの税制の仕組みの結果有利になっている。公害防止準備金、昭和四十八年末残高で大企業が九二%です。海外投資損失準備金、大企業が九七・二%です。試験研究費の税額控除、大企業が九六・一%です。技術等海外所得の特別控除、大企業が九五・八%です。来年三月期限が来ます。これをやめることを原則にするか、それとも皆さんは延ばされるか。大蔵大臣、いかがですか。
○大平国務大臣 毎年見直しておるわけでございまして、先ほど申しましたように、目的を達したと判定がありますならば、やめることにいたしたいと思いますけれども、なお存続する必要があると思うものにつきましては、存続しなければならぬとは思いますが、いま卒然たるお尋ねでございまして、個々のアイテムにつきましては、検討の上お答えを申し上げなければならぬと思います。
○荒木委員 これは決して卒然ではないのです。昨年の大蔵委員会で、私はあなたにお尋ねをした。昨年の国会審議で、わが党の議員はあなたにたびたびお尋ねをした。本年に入りましてからも、三月、参議院の予算委員会で、渡辺議員があなたにお尋ねをした。いずれも検討中という言葉です。本来、特別措置法の第一条に、「当分の間」こういうことをする。法律自体が、これは続くものじゃないと言っている。しかもほとんど大企業が使っている。その結果、他国に例を見ないような特別の高蓄積が生じている。国民のがまんの上であり、不公正であり、歳入欠陥が出ているこのときに、この事実を見ないで、次の財政政策が立てられるでしょうか。税制の問題について言うなら、私は、たてまえどおり、事実の示しておるとおりです、期限が来ればやめることを原則にする。いまたてまえを聞いているのです。これを原則にするかしないか、結論だけもう一回言ってください。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、政策目的を達したならばやめることにいたしたいと思いますけれども、まだ達成できないという場合におきましては、存続することもあり得ると考えております。
○荒木委員 政策目的を達したかどうか、実態をつかんでいなければ、判断はできないと思うのです。皆さんがつくられたこの数々の特別措置、政策目的を達したかどうかの実態をつかんでいるかどうか。公害防止準備金というのがあります。来年の春、期限が来る。これはどのような公害防止機械を使ったかというのじゃなくて、要するに収入があれば、金が入れば、その〇・三%は税金をまけようというのです。業種指定はありますがね。制度のたてまえから言って、いわゆる公害防止とは直接の関係はないのです。だとすれば、公害防止準備金を積んでおる企業、たとえば鉄鋼関係もあります。あるいは他の大企業もあります。六百八億も、大企業がこれで税金を免除するために使っておる、この実績を当然検討すべきでしょう。また、貸倒引当金の関係も実績を検討すべきでしょう。この実績検討の関係については、私どもがいままでたびたび、どういうふうに実績を検討したかということを聞いても、さらに皆さんの方からはお答えがない。ですから、その意味からも実績主義を原則にする、皆さんが言われることを前提にしても、実績との対比を原則にする、私はそうすべきだと思いますが、いかがですか。
○旦政府委員 いまおっしゃいました公害防止準備金につきましては、来年度に期限が切れることになっております。おっしゃいますような数字につきまして、現在も検討中でございまして、その結果を見まして、判定をいたしたいと考えております。
○荒木委員 無公害化生産設備の特別償却というのがあります。公害防止機械の特別償却というのがある。その上にまだ公害防止準備金というものを積んでいる。そして実績については絶えず皆さんの方では検討中と言いながら、その具体的な数字はまだ一遍も出したことがない。しかもこの率についても、これは政令でできることであります。政令でできることは、皆さんが検討中というなら、それはおそくとも本年度中に結論を出して、そしてこれを取り除く方向で事を進めるべきだ、それを原則にすべきだと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、特別措置というものにつきまして、これが既得権化してまいるというようなことのないように、丹念に見直しを続けてまいりまして、政策目的が達成されたというようなものにつきましては、これはやめてまいるということをやってまいっておるわけでございます。今後もそういう方針で対処していくわけでございます。
○荒木委員 いま私が言っております公害問題一つについて言えば、公害防止準備金、ほかに二つも特別償却を使っている。貸倒引当金についても、昨日も論議がありました。こういった問題について、皆さんのいままでのやり方は、そのときそのときの政策目的ということで、たとえば資金調達が必要ならこれをつくる、あるいは資源調達が必要ならそのためにつくる、そしてまた、今度は公害が必要だと言ったらそれでまたつくる。いままで政策目的ということを言ってふやしてきたのでしょう。政策目的ということを言って、装いをこらしてそれを入れかえて、どんどんふやしてきたのでしょう。全体として項目を減らし、限度額を減らし、取り除く、これを原則にするということを約束できるかどうか、いかかですか。――これは大蔵大臣がお答えがないから、総理に伺いましょう。政策目的を達成すればそのときにやめるということ。それは従来そういう言い分で皆さんはふやしてきた。三木総理もそうです。大平さんもそうです。福田さんもそうです。さっき言いました。ですから私は、全体として結果として項目を減らし、限度額を減らし、取り除く方向、このことを原則にするかどうか、たてまえにするかどうか、これを聞いているのです。税制改革の最高責任者は内閣総理大臣です。三木総理から御答弁願います。
○三木内閣総理大臣 特別措置は、そのときの政策目標によって生まれるわけです。その政策目標の目的を達成できたと判断したときはやめる、こういうことでございます。
○荒木委員 個々についてはそうでしょう。私は全体として言っているんです。いま中期、長期の財政を論じているんですから、あなたがいまお答えになったような目先の問題じゃないんです。これから中期、長期に向けて、全体として特別措置の項目をまず減らしていくことを原則にするか、限度額を押えていくことを原則にするか、そして取り除いていくことを原則にするか、これを聞いているんです。
○大平国務大臣 今後経済がどのように推移してまいりますか、そしてそれに対応いたしまして、政府はどのような経済政策、産業政策を推進してまいりますか、そのために税制の持っておる促進的な機能あるいは抑止的な機能をどう活用するかというような問題を、いまの段階におきまして、長き将来にわたりまして予言をするということは適切でないと思います。ただ、財政当局といたしまして、むやみやたらに税制が産業政策あるいは経済政策の犠牲になるというようなことは好ましい状態ではございません。したがいまして、そういったものは必要最小限度にとどめていきたいということ、だけは申し上げられると思います。
○荒木委員 従来の答弁と同じですね。皆さんはいままで十年間、そういうことを言いながら、この結果をもたらした。ふやしてきた数字は私が申し上げた。これは事実だから否定なさらぬでしょう。財政欠陥の問題があろうとなかろうと、絶えず見直しをしてきた、大蔵大臣は国会でそう言ったんですよ。そしてそういうことを言いながら、どんどんふやしてきた。いままた同じ答弁です。つまり、皆さん方は、そういう意味では、今後中期、長期の財政政策、歳入欠陥まで起こっている異常事態に立って、いかにして財源を確保するか、いかにして財政運営を国民の利益のためにやっていくかということが真剣に論議されておるこの時期に、特別の高蓄積をもたらしたさまざまなやり方についての反省や方向転換がなければ、幾ら見直しだとか再検討だとか言っても、それは言葉だけじゃありませんか。つまり、皆さん方がなさる行動はおっしゃっていることとは一致していない。こういうのが言行不一致と言うんじゃないでしょうか。
 この仕組みについて見直しをなさらぬとおっしゃるなら、一体財源問題をどうするんだ、これはみんなそう思いますよ。社会福祉、社会保障に財源がうんと要る。その他生活基盤の問題にも財源が要るでしょう。財源の問題が出てくる。そのときにこの特別の高蓄積、ここに一つの大きな財源という問題を考えて、そしてたとえばわが党が提案しましたような臨時資産税、いろいろな構想はあります。富裕税というふうな言われ方もしておる向きもあります。しかし、国際的に見ても、また国内の階層的に見ても、特別の高蓄積――総理自身も中小企業は蓄積が弱いと言われている。この特別の高蓄積に着目をして、新しい財源を見出していく、この方向をとるのは当然だと私は思うのです。公共料金は抑制するとおっしゃっている。また付加価値税はいま考えていないというお話もある。安易に公債政策に依存すべきでないということもおっしゃる。だとしたら、論議されておる間接税の増額というような、国民大衆の負担になっていくような逆進的な方向ではなくて、特別の高蓄積に着目をする方向で財源を見出す。私はこれが今後の財政政策、税制改革の一つの重要な柱になると思います。三木総理の見解を伺いたい。
○大平国務大臣 租税特別措置、五千億程度の特別措置が認められておると思うのでございますけれども、これは荒木さんも御承知のように、所得税が大宗を占めておりまして、貯蓄の奨励でございますとか、その他細かい政策上の要請に応じた特別措置にだんだんと変形いたしてきておると思うのでありまして、いまあなたが問題にいたしておりますのは、各種大企業を中心にいま論議されておる問題は、いろいろな引当金でございますとか準備金でございますとか償却でございますとか、いわば商法あるいは会計原則というようなもので認められておるものを税制でどのようにとらえるかという問題が主であろうと想像するわけでございます。税制といたしましては、仰せのとおり、税源のあるところをねらってこれを確保しなければならぬことは当然でございますが、同時に税源の培養という点も考えなければならぬわけでございまして、健全な経済、堅実な産業が前提にならなければ、税の安定した収入を確保することは至難のわざであろうと思うのでありまして、私どもは、税の立場におきまして、税制エゴイズムに堕したらいけないと思うのでありまして、やはり企業会計の原則というようなものはできるだけ謙虚に尊重してまいらなければならぬと思います。それをどのように税制に映していくかということにつきまして、われわれ税務当局といたしましても、鋭意努力をいたしてきておるわけでございまして、それはそれなりの理由をもってやってきておるわけでございます。これが悪である、あるいは不当であるとばかり荒木さんも言われておるとは思いません。やや否定的な御見解が多いようでございますけれども、私どもといたしましては、企業会計の原則というようなものの中で、許される範囲におきまして税が介入するという考え方で処置いたしておるわけでございます。今後もそういうことはやってまいらなければいかぬと考えておるのであります。ただ、税が不当に遠慮するということもまた、われわれは慎まなければならぬことは当然でございまして、大きな枠内におきまして、できるだけ税源を確保するように努めてまいるべきでございます。したがいまして、あなたの言われる特別措置というものあるいは特別措置的なものにつきましても、いつも見直しを怠ることなく、目的を達したというものにつきましては、潔くやめていくように努力をしていかなければならぬことは当然と心得ております。
○荒木委員 どうも、何をおっしゃっておるのか、具体的な内容が何もないです。私は、逆累進の結果が出ている、これは特別の状態じゃないか、こう言っているのです。いま歳入欠陥だというなら、この特別の高蓄積、蓄積が中小企業に比べてうんと多いということは総理も認めるんだから、そこに財源を具体的に見出す、これはどうか、こう聞いているのです。皆さんは、財源の問題について無関心じゃないでしょう。財政当局なんだから。そしてまた、付加価値税の問題なども研究はしている、こう言われる。だとしたら、たとえば現にわが党が出している資産税の法案、これは研究すべきでしょう。財源を具体的に提起をして、ここでいこうじゃないか、こう言っている。対話と協調というようなことを口に言われるんなら、私は具体的に過去の事実も指摘し、そしてそのことの由来も説き、ここに財源を見出すべきではないか、こう言っている。
 三木総理にお伺いしますが、いまいろいろ財源問題で検討されているでしょう。だとすれば、この特別の高蓄積、ここに財源を見出すべきではないか。そしてそのために、私どもの党は具体的に法案をつくって提案をしている、これを検討すべきじゃありませんか。税制改正の責任者として、総理のお考えはいかがですか。
○三木内閣総理大臣 荒木議員と私どもの考えの違いは、諸悪の根源は大企業にありという、こういう立場をおとりになるわけでございますが、われわれはそういうふうには考えていない。したがって、今後の財源ということも大問題でございますから、単に大企業だけを目当てというのではなくして、税の公平を期したいという角度から、大企業についてももちろんでありますが、そういう意味において、税制というものに対しては見直しをいたさなければならぬ時期に来ておると考えます。
○荒木委員 私は事実を申し上げているんです。正確に政府資料をもとにした事実だけを申し上げているんです。総理は、その点について質問をゆがめて答弁された。大蔵大臣は、私がお尋ねしたことについてお答えがない。私は、これは時間の関係がありますから、この問題はこれでおきますけれども、しかし、この責任問題というのは、いま大きな問題になっている物価の問題でも、物価政策でも同じだと思うのです。いま物価の状態は、東京都区部の五月の対前年同月一四%、大体一三%、一四%行きますが、これはあの石油危機の狂乱物価の当時とほぼ同じ水準です。しかも経済企画庁の調査によっても、大企業の約七割が製品が値上げになるだろう、こういうふうに見ているのです。危険な状態だと思うのです。
 福田副総理にお伺いしますが、いまこの物価情勢は、大企業が七割も製品を値上げしょうという事態にあって、危険なものだというふうに見ておられるかどうか、その点の御意見を伺いたいと思います。
○福田(赴)国務大臣 企業が大方値上げをできるならばしたい、こういう考え方を持っていることは、そのようです。しかし、それが実際に期待どおり実現するということになったら、物価はまた大変な事態になってくる、こういうふうに思いますので、これは企業側に対しましては、物価問題重大な折でございますので、自粛方を要請しております。企業側におきましても、深くこの物価問題の大事なことは理解をいたしております。同時に政府といたしましては、そういう企業側におきまして期待を持ちましても、期待が実現しないような環境をつくっておく必要がある。つまり総需要管理体制、これは堅持してまいる、こういうふうに考えておるのです。同時に、総需要ばかりじゃない、個別の物資につきましても、その需給が緊迫化しないように、需要供給の関係が緩和状態にあるようにということにつきましては、細心の注意を払う。同時に価格自体の動きにつきましても、これも厳重に監視をいたしまして、企業の大方がそういう期待を持っておるけれども、全体としてそれが実現をしないというように、企業側を誘導してまいりたい、これは大体できる、私はかように考えております。
○荒木委員 いま大企業製品の値上げを言われておるのは、ほとんどが通産所管の物資であります。通産大臣に伺いますが、たとえば現在交渉中だと言われるカメラ、それから自動車あるいはセメント、石油、石油化学、紙パルプ、これらの大企業が現在値上げを言っておるという、この値上げの動きをつかんでおられるかどうか。つまり、それらの業界の値上げしょうというのに会って、そして具体的な動きを聞くかあるいは報告をとるか、いま、監視と副総理は言われたが、実際に動きをつかんでいらっしゃるかどうか、いかがですか。
○河本国務大臣 全部の商品に対しまして、詳細掌握をしております。
○荒木委員 ちょっと、最後よく聞こえなかった――。
○河本国務大臣 全部の商品に対して、その価格動向につきまして詳細掌握しておる、こういうことを申し上げたわけです。
○荒木委員 伺ったのは、価格動向じゃないのです。交渉――あなたが会うかあるいは通産省の人が会うか、あるいは報告を求めるか、そういうことをしているかと聞いているのです。
○河本国務大臣 報告を求めております。
○荒木委員 もう一つ聞いておきましょう。農林大臣、いま食用油それから牛乳、これも値上げの動きが出ていますが、業界の代表に会って、あるいは個別に会って、その値上げの動きをつかんでいますか。
○安倍国務大臣 油、牛乳等につきましては、その動向は詳細につかんでおります。
○荒木委員 もう一度通産大臣と農林大臣に聞きますが、いまつかんでいるとおっしゃった、私が挙げた品目があります。カメラ、自動車その他通産所管物資、それから食用油、牛乳、農林所管物資、これはメーカーは値上げしたいと言っているのですか、どうですか。
○河本国務大臣 いま手元に資料がありませんから、個々の品目について一つ一つ申し上げることは不可能でありますけれども、大体先ほど副総理がお述べになりましたように、製品の非常に多くの部分、六、七割見当のものは、値上げしたい、こういう意向を持っております。
○荒木委員 農林大臣、いかがです。
○安倍国務大臣 食用油につきましても、あるいは牛乳につきましても、値上げの動きが業界にあることは事実でございます。
○荒木委員 通産大臣に伺いますが、いま値上げしたいと言っている大企業、メーカーがある。それをやめなさいと、値上げを抑える指導はしていますか。
○河本国務大臣 個々の物の値段は、原則として需給関係で決まるわけであります。したがいまして、一つ一つの商品に対して、値上げをやめなさい、こういう指導はしておりませんが、その値上げによりまして、国民生活に非常に大きな影響があるとか、あるいは経済運営に影響があるとか、そういう場合には行政指導いたしまして、そういうことの起こらないように、十分配慮をいたしておるつもりであります。
○荒木委員 いま非常に大きな影響があるものは個々の指導をしている、こう言われた。それは具体的にどの物資ですか。
○河本国務大臣 たとえば鉄であるとか、石油であるとか、そういうものでございます。
○荒木委員 農林大臣の所管している食用油、牛乳、これはいま個々に値上げを抑える指導をしておりますか。
○安倍国務大臣 牛乳につきましては、現在生産者団体とメーカー側との間に、価格についての折衝が行われておりまして、農林省としては、これを見守っておる最中でございます。
 食用油につきましても、いまのところ行政指導はいたしておりません。
○荒木委員 福田副総理に伺いますが、いま農林大臣は、見守っている、行政指導はしていない、こういう話である。通産大臣も、個々の物資については、全部行政指導で抑えるということはしていない、こう言う。いま大企業製品の七割が値上げの意思を持っておって、そのうちの食料品と繊維と紙パルプ、これが仮に二割上がるとすると、これを経済企画庁にいって試算をしてもらうと、それだけで一〇%以上の値上げになる。九・九%とおっしゃったけれども、すでに四月、五月の対前月比の値上げは、そのうちの三分の一は食っている。いま七割の値上げがあって、そうして所管大臣は全体として抑える指導はしていないというときに、このわずか三業種だけでも、一〇%を超える消費者物価の値上げになるというときに、あなたはどうなさるか。それぞれ個々の業種ごとに、個々の品目ごとに値上げをやめよという行政指導をしなければ、とてもできないのじゃないですか。いま物価情勢が危険な状態にあるときに、この物価問題についての閣僚会議の責任者として、個別に品目ごとに、値上げをやめよという指導を、あなたはなさるべきだと思いますが、副総理の御意見を伺いたい。
○福田(赴)国務大臣 いま荒木さんは、紙パルプが幾らか上がると、消費者物価が一〇%上がりますなんという話ですが、そんな関係にはとてもなりません。それは何か非常な勘違いがあるのじゃないか、こういうふうに思います。
 それはそれといたしまして、とにかくたくさんある物資でございますので、それ全部とらえて値上げを抑制する、そんなようなことはとうていできるものじゃない。そこで、先ほど申し上げておるように、これは総需要管理政策で、とにかく値上げしてもそうは売れませんよという体制をつくっておく、これが一つ。それから重要な資材につきましては、物資所管官庁で、その需給それから価格の動向、こういうものを十分に把握しておきまして、これは妥当な動きでないという際には行政指導をする、こういうふうにいたしておるのです。
 それで、そういう情勢につきましては、企画庁といたしましては、物価担当官会議をしばしば開きまして、異常はないかということをチェックをしておる。また全国に一万名を超える物価調査官がおるのです。この人たちには、鋭意、その地区地区における物価の動き、こういうものを調査してもらっておるのです。そういう動きをキャッチしたその結果につきましては、これは企画庁におきましては十分これを把握いたしまして、所要の措置を講ずる、こういうふうにいたしております。
 とにかく、不況ですから、収益を改善するために一番簡単なのは、値上げをすることです。それができればもうすぐ収支改善と、こう響いてくるわけですが、それをするということになったら、これはもう大変なことでありますので、厳重に、総需要、それから個別の物資、そういうものにつきまして、需給並びに価格の動向をつかんで、そして適時適切な対策をとっておるというのが現況でございます。
○荒木委員 いま問題になっておる鉄鋼の値上げについては、どうですか。いま、個別に品目別に行政指導をするとおっしゃった。鉄鋼の値上げについて、値上げをやめよという行政指導を、具体的に財界に対してするというのではなくて、個別に鉄鋼大企業に対して、そして品目について、抑えよという行政指導をしていますか。福田副総理は、この前の五月の衆議院の物価対策特別委員会で、業界、財界に会ったときに自粛を要望する、こうおっしゃった。わが党の小林議員が、自粛だけでは足らぬじゃないか、こう言ったら、個別に業種別にやる、そしてそのことは、近く財界の代表に会うから言う、こう言われた。六月二日に財界の代表に会われたそうだけれども、しかし鉄鋼業界に直接、今度問題になっている値上げをやめなさい、こうおっしゃるかどうか、そういう行政指導をなさるかどうか。国民生活に関係の深い、いま、たとえば牛乳の値上げも問題になっている。これも物価担当大臣として、このメーカーに直接、今度はやめなさい、こうおっしゃるかどうかです。
    〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕
○福田(赴)国務大臣 それは私は申し上げません。つまり、企画庁におきましては、これは物価問題につきましては、経済界全体の自粛を求める、同時に総需要管理政策をとっておる、それから個別の物資につきましては、物資それぞれの所管官庁で、価格、需給の状態につきまして、情報を的確に把握し、それに対して妥当な行政指導をする、こういう体制になっているので、企画庁が一々乗り出して、それぞれの物資につきまして価格の抑制を要請するとかなんとか、これはそういう資料も持ちませんし、それは企画庁といたしましては、出過ぎたことに相なる、かように心得ております。
○荒木委員 金子議員の関連質問がありますから、私はもう一問で終わりますが、いま副総理の言われた方針で、いま問題になっている、通産大臣は鉄鋼業界に対し、また農林大臣は牛乳業界に対し、いまの時期に値上げをするな、こういう行政指導する方針であるかどうか、これを伺って、私の質問は金子議員にかわることにいたします。
○河本国務大臣 鉄鋼の模様を簡単に申し上げますと、昨年の秋ごろまでは、比較的状態がよかったのでありますが、昨年の秋ごろに比べますと、生産が約二割落ち込んでおる、貿易の状態も非常に悪い、国内の需給関係も悪化しておる、こういうことで、大変な赤字になっておるというので、値上げの希望があるようでありますけれども、通産省といたしましては、現在の時点はすべて最悪の状態である、だからこの最悪の状態においていろいろ原価計算をしても、それは正しい原価計算とは言えぬから、近く今後の経済運営をどうすべきかということについて、政府部内でも検討することになっておるので、その検討の結果、今後貿易事情がどう変わるか、あるいは稼働率がどう変わるか、あるいは需給関係で価格がどう変わるか、こういうふうなことについて、もう一回よく調べて、原価計算をし直すように、こういうことを言っております。いずれにいたしましても、経済全体に、また国民生活全体に悪影響のないように、その資料を見た上で善処をすることにいたしておりますけれども、たてまえといたしましては、先ほども申し上げましたように、物の値段というものは需給関係によって決まる、これがたてまえでございますが、重要な物資につきましては、非常に大きな影響がありますので、大きな影響があると認定した場合には、適当な行政指導をするつもりでおります。
○安倍国務大臣 市乳につきましては、先ほど申し上げましたように、現在生産者団体とメーカー側との間に折衝が続けられておるわけでありまして、いま直ちに、農林省として行政指導をする考えは持っておらないわけでございます。
○荒舩委員長 金子満広君から関連質疑の申し出があります。荒木君の持ち時間の範囲でこれを許します。金子満広君。
○金子(満)委員 私は昨日の質問で、いわゆる覇権問題について質問をいたしました。そこで、三木総理と宮澤外務大臣との答弁の中で、あいまいであり、食い違っている問題もあるので、委員長に要請して、政府の統一した見解を求めました。その結果について答弁していただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 昨日御論議のありました覇権問題でありますが、覇権反対は、私は、平和維持に関する原則の一つである、平和維持に関する原則の一つであると考えております。したがって、いずれの国であっても、覇権を求めることには反対であるということでございます。
○金子(満)委員 これは私は、政府の見解というより、私のきのうの質問に対する回答になっていないと思うのです。いま覇権という問題について、その原則なり定義というものがどういうものであるのか。しかも三木総理は小川大使に対して、あの日中共同声明の原則、その基本を生かしてやれと指示しているのですから。しかもいま国民の中で、覇権という問題は、一体どういう内容のことを指して言うのか覇権とは何を指しているのか。つまり、一般的に覇権反対は平和の維持に関する原則の一つであります、これはきのうから出ていることであって、これでは、政府の統一見解とか、あるいは覇権に対する原則的な考え方、定義、そういうものが全く不明である。幸い大平大蔵大臣がおりますけれども、共同声明を調印したときに、大平さん、そこにおられたので、これは幸いここにいるのでお聞きするのですが、そのとき覇権というものを当時どう解釈されたのか、参考までに、もしお聞かせ願えればありがたいと思いますが、いかがですか。
○大平国務大臣 外交案件でございますので、外務大臣にお聞き取りをいただきます。
○荒舩委員長 全子君に申し上げますが、政府の統一見解ですから、総理大臣にお尋ねを願います。
○金子(満)委員 それでは、時間がございませんから、私はいまの政府のいわゆる統一見解というものについては、この内容が全く私の質問に答えていない、しかも、国民はこの覇権ということについて、その定義がどういうものであり、政府は何を考えていま外交交渉に臨んでいるかということについても、多くの疑念を持っている、疑問を持っている。その内容は、次の機会に、しかるべき委員会でただしていきたい、このように考えます。
 以上で終わります。
○荒舩委員長 これにて荒木君の質疑は終了いたしました。
 次に、安宅常彦君。
○安宅委員 朝鮮半島の問題について、ベトナムを初め東南アジアの情勢が、サイゴン初め完全に解放される、こういう状態の中で急激な変化をいま見ている、これをもとにした質問をしたいと思ったのですが、いずれにしましても、一番ビリの方ですから、もう大体質問は同じことになると思います。したがって、これは省略をさせていただきたいと思いますが、ただ二、三点念を押しておきたいということがあります。
 一つは、国連決議というのがたくさんあるわけです。きのう、共産党の金子委員から話があったように、何といいますか、三十八度線を越してもよろしいという決議もございますし、それから中華人民共和国が義勇軍を派遣したこのことについて、朝鮮民主主義人民共和国と同じように、侵略者であるという烙印を押された、そういう決議もある。こういう中で、当然常識として考えられることは――きのうは外務大臣が、歴史が大変長い過程を経て、時期がもう忘却のかなたに行ったみたいなことを意味した表現で、いまは何とも申し上げられないみたいな話をしたのですが、率直に言いまして、いま中華人民共和国は国連に加盟をしておるわけです。加盟をしているときに、侵略者を国連が入れるわけはないわけであります。したがって、中華人民共和国に関する部分は、国連決議の中からもはや消え去っている、つまり侵略者ではない、こういう考え方で日本政府は臨んでいるのか、これを聞きたいです。
○宮澤国務大臣 たとえば、国連決議よりもっと基本になる性格を持っております国連憲章そのものの中にも、御承知のように敵国条項というものがございまして、文字どおり読みますと、これはわが国をも指しておることになるわけでございますが、その条項そのものは、その後別段議論されることもなく、国連憲章の中に残っておりますといったような意味合いと同様に、一つの歴史的文書としてのあのような決議には意味があったと存じますが、もう侵略という事態は過ぎ去りまして二十数年たっておりまして、そのような文書としての意味合いしか持たないものではなかろうかというふうに考えております。
○安宅委員 私は、この問題について、前にもやかましく質問したことがあります。その当時のあなた方の答弁は、侵略者ではない、したがって、日本もというのをあなたはきょう、つけ加えられましたが、中華人民共和国の問題について言うならば、もうすでにそれは侵略者ではない、ただ、国連はいままでの慣行で、この国は侵略者であったがそうではなくなったなどという、それを撤回するような決議なりそういうことを行う慣例がない、したがってもはや侵略者ではない、こういう答弁だと私は記憶しておるのですよ。したがって、そういうことになりますと、一緒に戦った朝鮮民主主義人民共和国は一体何なのか。中華人民共和国だけが侵略者じゃなくなって、朝鮮民主主義人民共和国はそのまま侵略者として残っているのか。これはどうなんです。同じ決議の中に入っているんですからね。
○宮澤国務大臣 その点につきましても同様に解されるべきであると考えますが、たとえばもう少し具体的に考えてみますと、もし北鮮におきまして国連への加盟を求められるというようなことであれば、恐らくは国連が大多数の決議においてそれを迎え入れるというような現在の情勢から判断いたしましても、かつてのそのような判断は、すでに歴史的な事実としてはともかく、現実には別段の意味を持ち得ないものになってしまっておると考えるべきではないかと思います。
○安宅委員 いろいろ申し上げたいことがあるのですが、あなたにはもう一つ、ついでに聞きたいことがあります。
 この間の内閣委員会なりあるいはきのうの予算委員会で、国連軍を解体することは平和維持の構造がなくなることなので、こうした事態は何としても避けなければならない、こういう答弁をしているのですね。何としても避けなければならないということは、あなたの論からいきますと、きょうは時間がないからくどくど申し上げませんけれども、解体を決議されては困る、何とかして自後の対策を練らなければならないが、とにかくこの体制は残さなければならないという意味なんでしょうね。
○宮澤国務大臣 それは、私の申し上げた真意ではございません。昨日もこの委員会において申し上げたところでございますので、御記憶に新たかと存じますが、解体が決議をされるということ自身に問題があると申しますよりは、休戦協定の一方の当事者がなくなってしまうことによって、法律上、事実上の枠組みがなくなるということは困ることでありますから、後始末を法律的にきちんとしておくということが大切である。つまり、国連の休戦協定そのものが法律上なくなってしまうということは困ることであるという点を申し上げたにすぎないのであります。
○安宅委員 したがって、困るのですから、国連軍を解体するという決議が出た場合には、困る人が賛成するはずがないと理解していいですか。
○宮澤国務大臣 それもそうではございませんで、昨日るる申し述べましたとおり、そうなりました場合に、朝鮮半島における平和の法律上の枠組みというものがなくならないように、どういうふうにすればいいかということについて協議をしておるということは、昨日申し上げましたとおり、解体そのものには反対なのではございませんで、休戦協定そのものが今後も存在し得るようにしておきませんと、朝鮮半島における平和の基礎がなくなる、こういう意味でございます。
○安宅委員 解体そのものに反対なのではないのでございますということになりますと、賛成するという意味ですか。
○宮澤国務大臣 それも昨日詳しく申し上げました。(安宅委員「いや、はっきりしてください、きのうははっきりしていない」と呼ぶ)昨日詳しく申し上げましたことは、わが国の外交努力というものは、解体決議を阻止するというところに向けられるべきではなくて、解体した場合にもなお平和の法律的な枠組みをどのように残すかということに向けられるべきであると申し上げまして、それに対して、それでは解体決議をどうするかというお尋ねがございましたから、それについては、いろいろ国連総会における各国の動き等々、いわば政策的と申しますか、そういう考慮もございますから、ただいまこれ以上申し上げることは避けますが、おくみ取りを願います、こう昨日申し上げております。
○安宅委員 まあいいでしょう。次に進みます。
 ただ、この場合に、これは参議院外務委員会の秦野さんの質問だったですかに答えて、あなたは言っているという、これは新聞記事ですから、私、議事録を詳細に見たわけじゃないのですが、しかしこの中に「南北朝鮮の国連でのクロス承認を考えたこともあるが、それは関係国の同意を得るには至らないありさまだった」というふうにあなたは答えているようですが、そのとおりですか。
○宮澤国務大臣 けさほども申し上げましたとおり、これは一つの案であるというふうに考えるのでございますけれども、関係者が――関係者と申しますか、ことに当事者方が同意を、あるいはそれを希望してくれませんと、実現の可能性が少のうございますから、その辺をどう考えるか。構想としては一つの考えではないかと存じますものの、実現性には、そこに問題がありそうだということを申し上げたわけでございます。
○安宅委員 そうすると、新聞記事では「関係国の同意を得るには至らないありさまだった」という表現になっておりますが、もし私が議事録を調べたとするならば、そういう表現はとっていないわけですか。つまり、どっかの国と相談をしたというふうにしか、この新聞記事はとれないのですが、そういう表現はとっておりませんか。これは後でわかることですけれども。
○宮澤国務大臣 現在、関係当事者の賛成を得るに至らない状況でございます。つまり、この問題につきましては、必ずしも関係当事者が賛成でないということを言っておられまして、そういう状態が今日まで続いておるというふうに承知をしております。
○安宅委員 具体的に聞きますけれども、ちょうどキッシンジャーでしたかフォードですか来たときに、何かこの問題でクロス承認のことが問題になったことがあるというふうに非常に話が出ましたけれども、そういう各国と話をしたという意味なんでしょうか、こういうところまで至らない、ただ想像だということなんでしょうか、どうなんですか。
○宮澤国務大臣 これにつきましては、関係当事者の意思表示が、たしか公になされておると存じます。つまり、その趣旨とするところは、たとえそれは……(安宅委員「いやいや、そういう国と交渉したというふうに私はとったんだが」と呼ぶ)わが国が交渉したことは、別にございません。趣旨とされるところは、たとえいまいい方法のように――私どもにはちょっといい考えではないかと考えられるのですが、分裂を固定するような結果になることは好ましくないという、そういう意思表示があるように考えるのであります。
○安宅委員 総理にお伺いいたしますが、きょうの朝日新聞によりますと、あなたは「先週、首相官邸でタイム誌のジェラルド・シェクター外交担当編集委員、ウィリアム・スチュワート東京支局長と会見、朝鮮問題について「暫定措置として韓国と北朝鮮の双方を国連に加盟させる方法のようなものがないかと思案している」と述べ、首相自身が南北朝鮮の国連への同時加盟を「一時的なもの」としながらも考えていることを明らかにした。」というふうに朝日新聞は報じています。そういう趣旨の会見があったことを認めますか。
○三木内閣総理大臣 私は、この朝鮮半島の南北の人たちが願っておるものは平和的統一だと思います。これは悲願だ。それがどんなに困難な道であるか、その困難な道は覚悟しておると思う。また、紆余曲折のあることも十分わかりながら、何とかその悲願を達成したいということが南北の人々の願いだと思うのですよ。われわれとしては、この民族の悲願に対して、できるだけ国際的な環境をつくることが必要だと思うのです。その国際的な環境の一つとして、西独のように、何か両方が国連に加入するというようなことができれば、お互いに接触する機会もできましょう。対話もできるし、相互理解も深まるし、一つの過渡的な、暫定的な措置としては考えられるわけですが、そこで一つの問題は、そういうことをすれば、それは分割を固定化するのではないか、これはやはり北鮮の方としては懸念を持つことも、これはあり得ると思いますね。しかし、私が言うのは、そういう固定化する考えはないのですよ。なぜかといったら、朝鮮の民族の悲願というものは統一ですからね。だから、固定化するというのではなくして、しかしいまのままでいくとなかなかお互いに相互理解を深める機会というものも、まあ一昨年ですか、対話は始まったけれども、その後必ずしも順調に行っていない。(安宅委員「それはわかっているのですよ、そういう会見をやったかと聞いているのですよ」と呼ぶ)やったんですよ。そういうことで、何か一つだけ、それは繰り返し言わなければならぬことは、分割を固定する案ではないという、暫定的な、過渡的な案として、こういうことが考えられぬかということを、私が話したことは事実でございます。
○安宅委員 それで、あなたが副総理のときやあるいは環境庁長官のときなど、そういう話をしたということは、この前の予算委員会であなたに言いましたから、わかっておるのです、あなたがどういうことを考えておるかぐらいは。だからそういうことを言っているのじゃないのです。それはいいでしょう。
 それくらいだったら、どうなんですか、パリ協定が結ばれてから若干の期間おいてですけれども、ベトナム民主共和国政府を承認するということを政府は言いましたね。それから今度は、サイゴンが陥落してしまって解放される、そういう事態に、間髪を入れず、今度は南ベトナムの革命政府を承認するという態度に出た。それくらいの度量があるならば――これはアメリカがやったからオウムみたいにして、九官鳥みたいにしてやったのだ、私はそれしか評価していないのですけれども、なぜ国連加盟の中で、朝鮮民主主義人民共和国とあとアルバニアぐらいですか、日本が承認してない国は。暫定的にもそういうことだと言うならば、すでに世界の八十四カ国が朝鮮民主主義人民共和国を承認している。これは何も北を承認したから南はだめだとか、南を承認しているから義理合い上北はだめだなんという、そういうかたくなな考え方を持っている国というのは余りないですよ。その証拠には、四十九カ国がすでに両方承認しているのですよ。三木さんのいまの所論から言ったならば、何もどこに遠慮することもない。バランスをとらなければならないなんというのだったら、片一方を承認して片一方をぶん投げておくなんというのは、これはバランスなんというものじゃないですよ。福田さん、おかしな顔をして私を見ているけれども、あなたはベトナムにアヒル一羽だか何か派遣したぐらいな人ですから、わかるでしょうが、内閣の本当の努力で朝鮮民主主義人民共和国を承認するということは、あなたの所論から言えば正しいことではないですか。どうなんです、総理。
○三木内閣総理大臣 北鮮に対して、政府は段階的に接触を深めていこう、こういうことが政府の方針でございます。
○安宅委員 段階的にといったって、あなた、階段を上がるとすれば、まだ一段も上ってないですよ。段階的というのは何ですか。たとえば、田村元さんという人がおって、あなたの方では、党の朝鮮問題の委員長ですね。あなたは総裁。これは四年前に、もうすでに党に朝鮮に渡りたいということを言ってある。メンバーまで決めていた。この人たちは、そうしなければならないと考えている人は、ほとんどあなたを師表として仰いでいる人だ。この前の議事録で、師表と言ったら指標と書いたが、あれは違う。速記の人、気をつけてください。そういう人が一生懸命になっている。そのときに、あなたはこれを決断をするときに、だめだという決断をする。そんなことで段階的とは何ですか。それぐらい許したらどうですか。
○三木内閣総理大臣 いま安宅議員は、直ちに……(安宅委員「段階的に接触といったって、まだ何も接触してないですよ」と呼ぶ)直ちに北鮮を承認せよという御意見でございましたので、政府はいま承認までは考えておりませんが、段階的に接触を深めていきたい、隣国であることは間違いないですから、そういう考えでございます。
○安宅委員 だから、自民党の朝鮮問題の委員会がせっかくあって、そうしてそれらの人々があなたの方に四年も前から出しておる。そのときの幹事長保利さんは、日朝議連として私どもが朝鮮に行くことになったときに、自民党として近く派遣するから、何も野党の安宅あたりにだまされて行くことはないなんと言って、そしてあれはオシャカになったのですよ。それ以来、あなたの方では、自民党として派遣していない。段階的に接触するといったって、接触して初めてだんだん段階が上っていくのだったら、あなたの答弁はわかるけれども、階段の一段も上っていないで、何が段階だというのです。その段階の第一段として、ちょっと足を上げた程度だか知らぬけれども、自民党の訪朝団を許可したっていいじゃありませんかと私は言っているのです。どうですか。
○三木内閣総理大臣 接触は深めていこうという考えでございますから、具体的な問題については慎重に検討をいたします。
○安宅委員 余り内政干渉を自民党にしたくないが、どう見たって、決断をして慎重に考慮しますって、慎重に考慮した結果がだめだという結論になったのです。あなたが総裁ですよ。何を言っているのですか。まあいいです、そういう人だということだけは国民がわかるでしょう。
 それから、総理に聞きますけれども、いわゆる大韓民国、いま朴政権が政権を取っていますね。この朴政権という政権は、クーデターで成立した政権である。しかもクーデターをやめるときには、クーデター後六日間ぐらいの間に二千十四人の政治家を逮捕して、その年の夏の終わりまでに一万三千人の官吏と二千人の軍人を逮捕して、あるいは拘禁して、あるいは追放して、街頭デモの禁止をして、六十四社の日刊新聞のうち四十九社を停刊にして、軍事法廷を設置して、一九六一年には二万二千百九十五人、一九六二年には三万五千四十四人が裁判にかけられた。中央情報部が設置されて、軍事政権の維持のために、二十七人の企業体から一九六一年八月約三千七百万ドルを強制的に徴収したということ、これは国際人権連盟のバトラー博士が国連に報告しているんですね。こういうことをやってみたり、その後、日本人の早川、太刀川君だけではありませんよ、たくさんの日本人やあるいは在日韓国人やあるいは学生や、もう何十万人という人々が逮捕され、そういうことをやってきた。その中で三選を妨げる憲法を改正して、改正するときは必ず戒厳令をしいて、それでも足りなくて、今度は維新体制なんというものをつくって、司法から立法から全部維新に権力を集中して、そのときも非常戒厳令をしいて、野党は何も言えないようにして、国民投票でそれをやる。こういうことをして、国会議員の三分の一は自分の言いなりになるような統一主体会議というもので選出してくる、こういう形にした。こういう手段を弄してきた政権であります。これが民主主義の政権であるかどうか、あなたの判断を聞きたいのです。
○三木内閣総理大臣 この席上で他国の政治形態に対して批判をいたしますことは、適当でないと思います。
○安宅委員 もしそれが韓国でなかったならば、一般論として、そういう国家が仮にあったとするならば、それは民主国家であるかどうか、民主主義の国家であるかどうか、これをお聞きしたい。韓国とは言いません。それでは。
○三木内閣総理大臣 民主主義というものは、各国によっていろいろ民主主義の過程といいますか、そういうものが異なるものがあると思います。しかし、いま韓国の例を最初にお引きになって、そして一般論と申しましても、やはりお互いの政治形態に対して内政干渉しないという原則があるわけでございますから、このものに対して私が論評を加えることは適当でないと思います。
○安宅委員 この前の総理の田中さんは、民主主義を志向している国家だ。志向している土台はいまは何だと言ったら、答えなかったのです。あなたは初めから何も言わない。これは一国の宰相としておかしいじゃないですか。どうなんですか。それでは、クーデターで生まれた政権であるということだけは認めるでしょうね。どうですか。
○三木内閣総理大臣 それは、歴史は否定するわけにはいきません。歴史の現実というものは、これは否定することはできません。
○安宅委員 歴史という言葉が入りますと、私は頭が悪いので、まるで源平合戦やあるいは坂上田村麻呂の時代みたいな錯覚を起こすが、具体的にクーデターで成立した政権であるか、それを認めるか認めないか、ただそれだけの話です。
○三木内閣総理大臣 政権がかわったことは事実ですから、それをどういうことに呼ぶかということは、いろいろな価値判断を入れると、やっぱりこれはなかなか複雑になってくるわけで、まあ、ああいう歴史的な形における政権の交代である。
○安宅委員 わかりません私は。その後民政に移管したとかなんとかいろいろ言っていますけれども、成立したときはクーデターで成立した政権であるということを認めるか、認めないか、それだけでいいのです。
○宮澤国務大臣 いま総理の言われたことで明らかであると思います。つまり、政権交代の方法には、国によっていろいろな方法がございますし、時代によっていろいろな方法があろうと思います。それをどう呼ぶかという呼び方によりまして、わが国の場合には、その呼び方が価値判断を含むことがあり得ますので、起こった事実は事実として認めると総理が言っておられますので、それで私は十分ではなかろうかと思います。
○安宅委員 そんなばかなことがあるか。私も一人の国会議員です。人をばかにしないでくださいよ。
    〔発言する者多し〕
○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。安宅君の質問は政府に対して質問をしているのでありまして、委員長に対して質問をしているのではございません。(笑声)
    〔「委員長、政府に注意しなさい」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 政府がどう答えようと、委員長には関係はございません。
    〔安宅委員「あるじゃないか、さっきの政府の答弁はおかしいって、土井さんにはサービスしてくれたじゃないか」と呼ぶ〕
○荒舩委員長 あれは国内問題であります。外交問題はなかなかそう簡単ではございません。
○安宅委員 そういう政府だということにしておきましょうか、あなた方の政府も。そんなばかなことで、みんな満場爆笑しているけれども、これは笑い事じゃないのです。
 具体的に入りましょう。私はいま涙が出るほどです。なぜかといいますと、日韓閣僚会議が、いわゆる金大中事件が解決しないから、なかなかもって開かるる事態ではない、こういうふうに言われておりますが、そのことは認めますか。
○宮澤国務大臣 両国間にこの一、二年、いろいろ不幸なことがございましたことは御承知のとおりであります。したがいまして、もし日韓閣僚会議を開くといたしますと、そのような過去のことに一応終止符が打たれて、そして将来に向かって再び友好への象徴になるような雰囲気のもとに開きたい、そういうふうに日本政府は考えておりまして、そのような環境の改善に向かって両国とも努力をしようではないかと、先般も来訪されました韓国の首相に申し上げたところでございます。
○安宅委員 回りくどい答弁ですけれども、つまり金大中事件など、日韓両国間においてすっきりしない問題があるから、なかなかそこまでは至らないというふうに理解していいわけですか。
○宮澤国務大臣 ただいま私が申し上げました、そのような意味合いを持つものとしての閣僚会議が開けるように、お互いに環境の改善に努力をしようではないかということでございます。
○安宅委員 私が涙が出るようだと言ったのは、総理聞いてくださいよ。何か恐喝の電話があったとか、あるいはおどかしの電話があったとか、そういうときに、政府にすぐ抗議したいのです。党によっては、しているところもたくさんあります。私はそんなことは日常茶飯事なんです。この間もパチンコ屋をしている崔哲教さんという人の奥さんが子供五人を連れて、何とか助けてくれと言って来たのです。一審も二審も知らない間に死刑なんです。この間三審も死刑になりました。そういう判決を受けましたけれども、アリバイがあるのに、北に行ったとか何か言われているが、そのときお父さんは家におったのだと言うのです。韓国の自分の実家に行ってお墓を建てようと勧められて、おじさんに連れられて行った途端に、金浦の飛行場で取っつかまった。そして死刑の判決を下しておきながら、起訴状一本、判決文一本、何もよこさない。何かやったら皆検閲されて、来ないのだろうと思っていますよ。奥さんは何も知らなかったのです。二審の判決を終わってから、なぜわかったかといいますと、子供が学校に行っている。隣近所のPTAの人たちが心配して、何か取っつかまっているらしいから帰してもらいたいという署名運動を始めた。署名運動をしたら、KCIAだか何か知りませんけれども、在日韓国居留民団の役員をしている人が校長先生のところに行って、この男はこういう悪いことをしているのだ、ミサイル基地を何かやったり、いろいろ暴露しょうと思ったりしているのだから、そんな署名運動は校長先生やめさせてくださいと言ったのです。校長先生しっかりした人で、PTAがやっていることについて、校長先生がやめさせるなんということはできませんということを言いながら、奥さんにそのとき置いていった資料を――北朝鮮研究という怪しげな、そういうことばかりやっている団体が日本にあるのです。代表者の名前を言ってもいいですよ。その団体が出している資料をよく見てくださいと言って置いていったものですから、奥さんにそれを渡した。それで奥さんびっくり仰天して、私のところに駆け込んできたのです。そして弁護士さんだって、起訴状なんか送れない、判決文も送れないのです、私が送ったということがわかったら、これはえらいことになるというふうに言っているのです。そんなばかな裁判があって、そして二審とも死刑にしておいて、黙っていれば二、三年で帰すという電話が、その家に何回もあるのです。死刑にしておいて二、三年でどうして帰すのでしょうか。そんな矛盾撞着したことをやられている人が、この崔哲教さんという人の奥さんだけではない、たくさんいるのです。数え上げれば何ぼもいるのです。こういう人たちは、韓国の人だったらいいですよ。日本に住んでいる人、日本の国民になっているのですよ。早川、太刀川さんだけじゃないです。こういうことが行われているのです。
 そのときに、政府の方々やあるいは自民党の諸君の中でも、これは人道上の問題じゃないか、仮に自白が拷問に遭ったか何かそれは別として、実際にその人がやったって、死刑なんということは、隠しておいて死刑という手はないだろうというので、大変同情してくれる人が最近多くなっています。これはいいことだと思っていますから、これ以上言いませんが。
 しかし、たとえば警察では、金東雲という一等書記官は指紋を残していて、完全にあれは犯行に加わっているということを言っている。ところがそれを政治的に何とか、大平さんが外務大臣のときに、わけのわからないことを、あなたは眠そうな顔をして、眠そうな声を出して、ごまかしてしまったけれども、そのことについて、私は徹底的にいままで追及してきた。それだけじゃないですよ。総領事館の職員だって、総領事そのものだって、乗っておったあの自動車の問題だって、徹底的にその後追跡調査していますよ。私どもはいままで余り言わなかったのは、その情報提供者、ニュースソースというものが、KCIAに大変近い人じゃないかなと思われるような人、こういういろいろなことなんかもありまして、黙っていた。
 けれども、きのうの毎日新聞を見たのです。そうしたら、これはどうも本当かうそかわかりません。この記事の内容も、どうも韓国筋から聞いたような記事でありますから、余り言いたくありませんけれども、閣僚会議は開く、政治的に妥協して、そして金東雲という人を首にして、と書いてある。首なんかあのときなっていたはずですよ。ところが、実際にこの新聞も、懲戒免職にして、そしてうまくおさめるのだというふうに書いてありますが、それが事実だとしても事実でないにしても、何でもいいのですけれども、この金東雲という人は、いま月給をもらって生きています。泰陵というゴルフ場で見つけた人もおります、日本人の中に、われわれの調査によれば。そしてまたこの人は友人にこういうことを言っているんですよ。十万ドルでブラジルにやる、だがらじっとしていなさいと言われて、給料だけもらっていると言うんです。何も免職なんかしていません。この前の田中内閣のときも、免職したと言っていましたが、免職なんかなっていない。ところが、そのブラジルに行くということを、約束を破ってさっぱり実施してくれない、そして自分だけがああいう役割りをさせられて捨て去られたみたいなものだ、おもしろくないと、不満を述べているんです。こういうことを、東京にいたときから、KCIAの系統の直接の上司である金在権公使が自分ばかりに仕事を押しつけるというふうに言っているんです。この人はそういうふうに言っているんです。それも私は確かめているんです。それから金大中氏を拉致して、関西まで連れ出して、大阪から西の港から船で出たことは確実だ。これは、沖合いというのはどこだかはっきり言わなかったのですけれども、軍艦に乗りかえて韓国に向ったということも、この人ははっきり言っています。そして犯人の一人であることを日本側に突きとめられた後、さっき言ったように、十万ドルやるからブラジルに行って生活しろと言ったが、それは約束果たしていない、こういうことを友人に言っているんですね。私だけが犠牲にされて、それに見合う手当てをしてくれない、こういうふうに言ったというんです、この人は。
 私はこういうことを聞くにつけて、名目的に処分をして、そして日韓閣僚会議が開かれたり――アメリカでさえも経済援助を削減しようと議会で大問題になっているときに、二百三十四億円の経済援助を、この間実務者会議で決めたでしょう。それはあのときの共同声明で、七三年十二月の共同声明で、もはや閣僚会議ではやらないで、実務者でどんどんやっていいことにしたところに、またおかしなところがあるんです。だから、こういうことを含めて、私どもは非常に深刻に受け取っているんです。こういう話を聞くにしても、調べるにしても、あなた方はけろっとしておるけれども、私は命がけなんですよ。私の地元のことをやるものでも何でもありませんよ。そのために莫大な労力と莫大な時間を使っていますよ。だれにもわからないようにして会わなければなりません。そういうことを、私は本当に涙声にならざるを得ないのは、こういうばかな国に、ばかなことをしておる国に――そういう、犯人かはっきり言っておる。そういう国に、国がいま歳入欠陥だとかなんとか言っておるときに、なぜ経済援助をやらなければならないのか。なぜやらなければならないんですか。こういうことを聞きたいんですよ。どうなんです、総理。私の言葉にうそがあると思いますか。本当だと思ったら――そういうことについて、警察が、金東雲はこれは指紋があると言っておるんですよ。指紋があるのを、向こうが、犯人であることは突きとめられなかったなどというばかなことを言った次の日、文世光がばあんとやった。あれは八月十四日ですね。また同じことを繰り返しているとするならば大変なことだと思うから聞きますが、警察当局が、指紋があると言っておるのを、政府はそれを信用しているのかどうか。指紋があるということは、現場にあったということは、犯人だということは、科学的に証明されるはずだけれども、韓国の方の言うことを信用するのか、日本の警察当局のことを信用するのか、三木総理はっきりしてください。
○宮澤国務大臣 死刑の判決の問題につきましては、私ども、自国民でありませんでも、お互い人間として、死刑の判決というようなことはきわめて不幸なことであって、そういうことについての同情を禁じ得ない次第ですけれども、しかし他国、主権国家がその国民に対していたしますことば、他の国としてもとより干渉すべきことでありませんし、口をはさむにも、ことにこのような公の席では、限度があろうと存じます。
 それから金東雲氏のことは、しかしこれは実はわが国の警察に関係のあることでございまして、昨年の八月に韓国は、十分な証拠が集まらないのでこの捜査を一応打ち切るということを申したわけでございますが、わが国としては、そのような韓国の所見には納得し得ないも一のがあるということを申しておりまして、先方の回答をそれに対して求めております。回答についてのいわゆる催促は、今年になりましても再度韓国側にいたしておる現状でありまして、この問題については、両国間に最終的ないわゆる了解がまだできておらないというのが事実でございます。
○安宅委員 了解がついてないまま、日韓閣僚会議を開くのはまずい。閣僚会議は開かないけれども、二百三十四億円の実務者会議による経済援助はもう決まった。交換公文はまだでしょうが。しかしこういうことが許されるかと言うのです、ぼくは。みんな国民は、閣僚会議が開かれないうちは経済援助をやらないんだと思っているんですよ。私は七三年の共同声明見ていますから、これは実務者でやるんだということをちゃんとあのとき書いてありますから、理屈はわかっていますよ。国民はわかってないです。それじゃ、総理大臣も外務大臣も知らない間に、実務者だけが天下の情勢とは関係なしに経済援助をするのか、という疑問を持つのが当然ではないでしょうか。それは素人考えかもしれませんが、これは常識でしょう。どうです。
○宮澤国務大臣 そこで経済援助の問題でございますが、私どもは、韓国に対する経済援助は、韓国の国民生活、民生が安定をし、さらに向上してくれることを願って、またそれに役立つようなものを選んでやっておりますことは御承知のとおりでございます。相手の国の国情についての価値判断と経済援助とを直接に結びつけるということは、これは実はいろいろな問題を含んでおりますので、必ずしもそういうわけにはまいらない場合が、これは経済援助そのものが援助でございますから、これは御理解が願えるであろう。もとより援助の目的そのものは、相手の国民の民生の安定向上に資するという目的をもってやっておるわけでございます。
 それから、閣僚会議と経済援助とが切り離されておりますことは、従来余りに政治的な色彩を経済援助が持つのではないかといったような一部の批評にもかんがみまして、これは十分事務的に両者が詰めて、本当に民生安定のために、向上のためにメリットのあるものという意味で、そういう制度になりましたことは御承知のとおりでございます。先般行われましたのは、そのような経済援助の実態について、具体的なプロジェクトを両国で討議をいたしました。しかし、これについて政府がまだ態度を決定しておりませんことは御承知のとおりでございまして、最終的には各省の相談をいたし、閣議で決定をいたしまして、最終的に交換公文となるわけでございますが、そこまではまだ至っておらないわけでございます。
○安宅委員 このたびの二百三十四億円の分ですがね。これに関連して聞きたいんですが、プロジェクトごとにやる。ところが、プロジェクトごとにやらないのがある。それは商品援助ですね。これは外貨の事情が悪くなった、こういうときには直ちにばっとやるのですね。韓国にはたくさんやっている。その他の国にもやっておりますけれども。これは一番恥さらしだったのは、外務大臣、どうですか。ベトナムの政府がもう四月で終わりだという情勢のときに、日本は九十億円の商品借款のオーケーを出したじゃないですか。各省いろいろ議論があったのに、外務省の判断でやったそうですね。これは天下の笑い物じゃないですか。外務省は情勢の移り変わりというのはどういうふうに分析しているのでしょうか。つぶれたからいいようなものの、やったら大変だったでしょう。九十億円ぽうんとどろ沼に投げてやるようなものですよ。全部これは国民の税金です。中小企業も農業もめちゃくちゃである、こういうときに、あなたはどういうように考えますか。そのときの九十億円のいきさつはどうなっていますか。あなたはもうかったと思っていますか。
○宮澤国務大臣 これはなかなか判断のむずかしいところであったわけでございますが、従来からこの九十億円の交渉は行われておりまして、南ベトナムの民生安定というために、いわゆるただいまおっしゃいましたような援助の交渉が進んでまいりました。そうしてそれは交渉がほぼまとまりまして、イニシアルの段階まで行ったわけでございますが、その間にインドシナ情勢の急変があったわけでございます。したがいまして、結果としては、この援助はなされない状態で今日残っておる。この間の判断は、実は非常にむずかしいところでございましたが、政府としては判断を誤らなかったと考えております。
○安宅委員 急変があったんじゃないのです。パリ協定が結ばれたということは、捕虜の交換といいますか、それが基本であって、あんなのは素人が見たってそうでしょう。そうしてアメリカとサイゴン政権と、それからベトナム共和国の政府と臨時革命政府と、四者でテーブルに着いて、あとの中の支配地域やその他の問題はみんなで決めなさいというだけの協定でしょう、あのパリ協定というのは。そういう中で、どっちが違反をしておったかなどということは、この際、もう歴史的に明らかになったけれども、そういう中で三カ月も前から攻勢というものが始まって、サイゴンの陥落はもう目の前だった。三月ですよ、あなた、九十億円出したのは。四月の終わりにはバンザイじゃないですか。むずかしい段落なんて、一年も前だったらむずかしい段落ということが言えるけれども、一カ月の間ですよ。そのときは、サイゴンの直前まで解放軍が来ておったんじゃないんですか。なぜ九十億円の商品援助をやらなければならないのか。そういう頭なんです、外務省というところは。
 で、私は言いますけれども、このたびの二百三十四億円の中に農業援助がある。この性格は、きのういろいろ説明をあなたの下僚から聞きました。これは半分以上商品援助と同じ性格ですね。いままではプロジェクトがあって、ダムの建設とかあるいはセマウル運動に関するいろいろな計画かあって――このセマウル運動だって、何ということはない。わらぶきをトタンぶきにかえてみたり、いろいろなことをやって、むだな金を使って、非常に向こうの農民は泣いておるんです。農業生産性はさっぱり上がっておりませんよ。しかし今度はそういうものとは違って、農機具やそういうものを援助するんだというのですね。どうなんですか。たとえば、土地基盤整備の計画があって、あるいはこの農地をどういうふうにするかというふうな農業のプロジェクトが完全にあって、それに出すんだったらよっぽど話はわかるのです。今度はわからないのです。これだけトラクターが必要だ、これだけ耕運機が必要だと言ったら、はい、はい、そうですが、こういうことなんです。こんな援助をなぜこのときにやらなきゃならないのですか、どうですか。
○鹿取政府委員 この農業振興借款でございますけれども、これは通常の商業借款と異なりまして、農業の振興に役立つ資機材の調達を行うということでございます。したがって、この借款で韓国が購入できます資材というものは、農業振興に役立つ農業機械とかあるいは肥料とか農薬等の、そういう機材あるいは資材というものが主な対象品目になるわけでございます。
○安宅委員 その場合に、計画があって、農業の生産性を高めるためにどうするか、あるいはまた、いま非常に日本の援助で大型の農地ができていますね。大農場の大団地形成をやっていますね。そのときに、労働力として余った農民は、どこにそれを振り向けるのか。あるいは、この人たちは何人の人がそのまま農業に従事できるのか。いろいろな計画があって、それで、どれくらいのトラクターが必要であり、どれくらいの農薬が必要であるという計画がないまま、これは特別にやったんだと新聞は報じています。きのうあなた方の下僚に聞いたら、そのとおりだと言っています。先生、半分くらい商品援助と同じです――商品援助というのは、マイクでも発電機でも、いろいろな意味で、外貨が足りないから、とにかくやろうというんでしょう。農業に限っただけの違いで、半分ぐらい商品援助と同じだなと言ったら、そのとおりでございます、こういうことですよ。そういう性格でしょう。計画がないでしょう。トラクター何台、どういうわけで必要だ、肥料はどれくらい、何トン必要だということは、計画があって、何トン必要だという、その計画があやふやなんでしょう。
○鹿取政府委員 第三次五カ年計画に基づきます韓国の農業振興のプロジェクトは、たくさんあるわけでございます。そしてそのプロジェクトの中から、この融資をいたします輸銀がプロジェクトを審査して、その中から選んで取り上げるということになっております。
○安宅委員 だめです、外務大臣。今度あの人は輸銀に責任を転嫁しました。各省で協議をしてやっているんですよ。それは実務者会議は準備会議が三回開かれていますよ。何が輸銀です。
 この男は非常におかしな人で、それじゃ、そんなことを言うたら、第三次五カ年計画と言うけれども、第二次五カ年計画に入っておった新韓碍子という会社が、操業もできなくていまパァになっているということを、この前の分科会で質問をしたら、近いうちに操業を開始する予定でございますという答弁をしたのです。近いうちに操業を再開できますか。それじゃ理論的な根拠を、あのときの答弁から二月も三月もたっていますから、どういうふうに具体的になっておりますか。その都度その都度答弁をごまかせばいいと思ったら大間違いだ。
○鹿取政府委員 韓国の新韓碍子でございますけれども、この前の予算の分科会でお答えいたしましたとおり、近く再建の見込みと聞いておりますが、その後確かめましたところによりますと、工場は完成しております。しかし経営者がまだ発見できないということで、再建の期日については、まだいま申し上げるわけにはいきません。
○安宅委員 そんなものは不実企業だから、経営者が決まらないわけですよ。そうして会社はりっぱにできているんです。だから部品は港湾に野積みになっていたり、あるいはその会社の倉庫にちゃんと梱包のまま積んであるんです。だから、経営者はいないかということを、韓一銀行というのが、りっぱなパンフレットを出して呼びかけているんです。それを見せているんです、予算委員会の分科会で、私は。ごまかさないでくださいよ。それだけじゃない、経営する人だけじゃない。この技術というのは、日本碍子あたりがやればあるいは別だったかしれないけれども、朝日碍子という名古屋の会社が技術を担当しているのですよ、日商岩井が、商社が入って。ところが、ちゃんとつくってもできないものですから、あとは部品を入れたり何かするところまで来たけれども、だめになったから逃げて帰って、ばからしい、こんな難儀して、夜も寝ないでと言って、かんかんになって――技術を指導している会社か動かないんだもの、経営者なんか何ぼいたって、総理大臣がいたったって、機械が入らないんだもの、だめじゃないの。そういうインチキな答弁をされたら困るんですよ。それが第二次五カ年計画だ。
 第三次五カ年計画は、石油ショックか何かで、いま卸売物価が四〇何%、消費者物価が二六%も上がって、そうして平価切り下げが二一%も去年の十二月にあって、韓国の経済は日本どころじゃない、そういう状態なんですよ。なぜできるのですか。聞いておりますって、どこから聞いたんですか。
 ちょっと待ってください。それではちょっと、ついでだからあなたに聞いておくけれども、これは輸銀の話で、輸銀の総裁からも聞かなければなりませんが、この契約について、第一勧銀でしたかに、新韓碍子という会社から頭金の一〇%の金は入った、一五%だったですかね、というふうに聞いたので認可をしましたという答弁をしているのですが、入っていないはずであります。そういう送り状、そういうものを銀行を調べてください。これは二、三日かかっても結構ですから……。それはなぜ輸銀がオーケーを出したか、金が入っていないはずですから、それも……。
○鹿取政府委員 新韓碍子のその後の状況につきましては、韓国におきますわが方の大使館を通じて、先ほどの私が御説明した状況を知ったわけでございます。
○澄田説明員 前回、予算委員会の分科会でも申し上げましたが、輸出入銀行の立場といたしましては、本件の輸出入契約に基づいて一〇%の頭金が入金しているかどうかということが融資の一つの前提になっておったわけでございます。この件につきましては、通常、外貨で送金されてくるということになりますので、日本の外国為替銀行の発行する入金証明書によって、銀行としては確認をする、輸出入銀行としてはそれで確認する、こういう手続をとっているわけでございます。本件につきましては、新韓碍子工業から昭和四十四年九月十日に、日本の当時の第一銀行本店の日商岩井勘定に入金があったことを、第一銀行本店が発行いたしました輸出貨物代金の前受け証明書という書類によって確認の上、融資したわけでございます。
 以上でございます。
○安宅委員 わかりました。だから、そこにからくりがある。きょうは時間がないから言いません。それは新韓碍子工業が払っておりません。どこが払ったか。日商岩井であります。それを調べてください。これも調べてください。とにかく非合法なやり方で韓国への援助が行われている。必ずこれは後で調べて、文書で、私に正確に、あなたが、言った書類全部出してください。
○荒舩委員長 いいですか。
○安宅委員 いいですよ、後で出してもらえばいい。
○荒舩委員長 書類、後で出しますか。
○安宅委員 で出してください、時間がないから。
○澄田説明員 委員長、書類はいまここにございます。
○安宅委員 だから、新韓碍子工業の名前になっているんですか。――だめだ。時間かないから後
 でいい。きょうはそれが主目的じゃないから。
○荒舩委員長 後で出してください。
○安宅委員 それで、韓国の第三次五カ年計画が来年度で終了する予定だったはずですね。そして経済の大変動によってそれは大幅に狂っているわけです。ことし外貨が、つまり元利合計払わなければならないものが大体五億四千万ドルくらいあるというふうにも言われておりますし、これはどういうことかと言いますと――それだけじゃないと思うのですが、去年でさえも約五億――何億ドルでしたか、資料があるんですけれども、韓国の場合は大体十五億ぐらい外資が入ってくるという予算なんですね。ところが、去年のは十億ドルぐらいですよ。大体いまのところ、元利合計、ことし払わなければならないものが五億ドルを超すのです。そうすると、外国から十億ドルが入ってくるけれども、元利合計で返さなければならないのが五億ドル、こういう自転車営業みたいな状態なんですよ、いま。そういうところに、プロジェクトごとの援助をするというのだったら、まだかわいいところがあるけれども、かわいそうだというので、日本の農家の人たちはいまどんな苦境に立っているか、これを頭の外に置いて、向こうが大変だからというので、五年据え置き、三分の利息で三十年年賦で、しかも農機具を計画とは関係なしにやるなどという援助はいますべきでない。しかも、先ほど言った金東雲という人の問題を、私は今後も追跡調査をいたしますよ。明らかになってくる。そういう問題で日韓閣僚会議が開けないなんという形式的なことは言わないで、実務者会議にそういう情勢が反映するような政府の指導をしてもらわなければならない。どうです、総理。居眠りしてわからなかったですか。
○三木内閣総理大臣 国民の税金を使うわけでありますから、そういうことで経済協力というものに国民が疑惑を持つようなことがあってはならぬと思うわけですから、今後こういう援助に対しては十分厳格に注意をいたしまして、疑惑のないように努めるようにしなければならぬと、本当にそう思います。
○安宅委員 総理にちょっと注意を喚起しておきますが、こういう場合には、交換公文が出る前あるいはこういう決定が出る前に、必ず日韓協力委員会というメンバーが、これは会長は岸さんでございますけれども、韓国に行くのです。これは農業援助もそのときに話し合っていることがはっきりしているのです。そしてそれを受けて実務者会議が決定したような雰囲気です、いまのところ。そうすると、その後今度は、商社が指定になったりすると、日韓民間合同経済委員会というメンバーがある。これは経団連の会長ですね。向こうもちゃんと相対する組織がある。そこでいろいろ分け合うのですよ。そういうパターンでいままでやってきた。そういうパターンはおかしいと思うから今後やめさせなければならないという意味の答弁を、大平さんが外務大臣のとき、私はもらっている。ところが、このたびは、決まらないうちから、もうすでに団を引率して、日韓民間合同委員会が十一日から開かれる。あしたから開かれる。それでソウルに行っているのですよ。このたびは非常にテンポが早いのです。私はしょっちゅう研究しているから、専門家から見ると、大変焦っているのですよ。こういうやり方はやめてもらわなければならない。何かこの問題について――ガルフが政治献金をしたということをアメリカの議会で証言しておりますけれども、そういう似たようなものがあるということを、私は確信を持って、必死になっていま追跡調査をしています。名前を出すと名誉棄損になりかねない、まだ証拠が不完全なものですから、私どもはきょうは言いません、しかし、金東雲は言いました。これは確実な出どころがあるからであります。と同じように、私どもはこの前の――これはぜひ総理に注意を喚起してもらいたいのですよ。喚起するだけで答弁は要りません。
 ただ、申し上げたいことは、外務大臣、どうなんですか、あなたに資料要求した韓国における不実企業の実態というのは、予算委員長が出すものは全部出すとあのとき言ったですね。いただきましたよ。だけれども、それは墨で塗りつぶされた終戦後の教科書みたいなものだった。それはきょう、かえって幸いでした、私はどうせ本物を持っているから。私のものを発表するわけにはいかないのです。なぜか。私はKCIAというものを非常に恐れているから、だから、これを発表すると人命に何かがあるとか不測の事態があるとあなたもおっしゃったけれども、実際墨を塗ったところを全部私のものと照らし合わせて――同じ筆跡ですから、コピーをとったのですから、このとおり、あなたに見せますけれども、全部カットしてある。同じ筆跡でしょう。私が書いたのじゃないですな、福田さん。
 あなたの方の借りてきたものをそのまま張ってきた。その張ったやつの集大成、今度は張ったものだから、そこはほとんど名前です。個人の名前、はらされたら困るという名前だ。これは全部――総理見てください。あなた方に上げますよ。
    〔安宅委員書類を渡す〕
 こういう関係があるということは全部はっきりしているのです。そういうものですよ。だから私は張った。それから、あなたの方が裂いてきた部分の三十ページばかりは、これはそのままコピーで、現物からページ数をきちっと合わせてきました。これは外務省、いままで私に対してはどうのこうの、絶対に出せないと言った。それを民間の方か――私が国会で奮闘して出せと言っても、民間の方は、マル秘文書でも何でもないから、どこからか集めて、堂々と日本の新聞あるいは雑誌にすでに出ているのです。国会が盲で、民間が出ているなんてばかな論議はない。私はそう思うから、これを外務省、そのとおりきのう出したはずです、あなたの方の係官を通じて、全部見てくださいと。字体も同じ。ですから、この「韓国における不実企業の実態」というのは本物ですなということを確認してもらいたいというために、私はこの冊子をあなたの方に上げました。どうですか、外務大臣。にせものですか、本物ですか、私がいま持っておるのは。
○宮澤国務大臣 この報告につきましての政府の所見は、前回申し上げたとおりでございまして、すなわち、これが二、三年前の問題についてのことであること。この報告は韓国の民間の調査機関が行ったものであって、これに述べられておりますことが日本政府の所見ではないこと。及び、先ほど言われましたように、調査に当たった人々に不測の事態が起こることは避けなければならないであろう、こういうことを前回申し上げまして、その点、御了解を願った次第でございます。
 重ねまして同じことを申し上げるわけでございますが、ここに述べられておりますことは、日本政府の見解ではございません。先般私どもが抹消いたしましたのは、そのような観点から、個人個人の名前、ことに韓国の人々の名前等々が記載をされておりますので、日本政府の見解でないのみならず、それは公の席で資料として差し上げるのにも不適当であろう、こういう判断で申し上げたわけでございます。安宅委員が、自分は原本を持っておるとおっしゃいますれば、私どもそれを疑います理由はございません。政府の口からあれこれと言うことが申し上げられないのでありまして、そういうような次第でございます。
○安宅委員 なぜきょうこれを出したかと言いますと、この間、外務省に何らかの交渉のときにあなたに言ったら、安宅君、それは交換条件ではありません、あなたの良識にまつのみです、こういうふうにあなたは言ったからです。交換条件とは何か。政府が国家行政組織法に基づく海外経済協力に関する諮問機関を設ける、こういうことを約束された。予算委員長は予算委員長で、これは予算委員会の中で小委員会を設けるなど、これは議長に話をして、予算委員会でこうなったから衆議院として検討しなければならないということになりますから、予算委員長に私は申し上げませんが、そういうことをやるという話だったから、私はこれを押えたのです。ところが政府はそれをやる気ないと見たのです。交換条件じゃないとあなたは言った。しかもきょうも、こういうマル秘でもない資料が国会で出回らないで、どんなぐあいにして海外経済協力に関する論議ができるでしょうか、資料なしで、盲で。あるいはまた今日、海外経済協力基金なんていうのは予算書にも載ってない。国民の税金が一年に約三兆円近く出るはずです。そういう資料なしで幾ら小委員会を開いたってだめだ。それを言ったら、交換条件じゃないと言ったから、これはだめだと思って、そうして私はきょうこれを明確にしようと思ったわけです。
 そして、過ぎ去ったことだとあなたは言いましたけれども、その当時の社長は一体いま何をしているかという、四つに区切られてありますが、大臣、皆さん、会社の名前と社長の名前と当時のいろいろなことと、これは一番こっちの右側は、その後のこの人たちの運命ですよ、いま何をやっているかという。そこまで私は追跡調査をしているのですよ。この人たちが、今度はいま行われている経済援助にどういうふうに絡んでくるかということも、逐一もはや調査に入っております。こういう中では、アメリカの国会で経済援助を削減しょうという、そういう意味の国際人権委員会の小委員長ですかが言っているような中で、日本はなぜこういう国に海外経済協力として援助をしなければならないのか。しかも、商品援助という手づかみの、言うなれば、プロジェクトは全然期待できないものに出さなければならないのか。このことについて、私はどうしても疑問を感じてならないのです。総理、どうですか。こういうことについて合理的な方法をやるとか、厳重なチェックをやるとかということについて、私はぜひ答弁をもらいたいのです。
○三木内閣総理大臣 韓国の国民生活の安定向上のために寄与するということは、日本として最も近い隣国でありますし、韓国の安定を望む者として、これはわれわれとしてもできるだけのことをしなければなりませんが、その協力の方向として、農業開発に対する協力としては方向を誤ってないと思います。しかし、やり方自身については、いろいろ御指摘のような検討の余地はあると思いますが、農業開発のために協力するという方向は、私は誤ってない。やり方については、いまは商品援助が相当多いというようなことについては、いろいろとこれは援助のあり方としては検討する余地はありますけれども、方向としては、これは一つの正しい方向だと思っております。
○安宅委員 非常にあなたの答弁はおかしいですよ。この前は、プロジェクトごとにはっきりしたものしか援助はしないつもりだということを原則とするんだということを、大平さんはあなたが外務大臣のときに明確に答えていますよ。それから通産省は、中曽根さんが大臣のときに中曽根五原則というものをつくりまして、それには、商品援助はそういうプロジェクトがはっきりしないものは出さないということを明確に出した。通産省ではまだいま生きているはずですよ、大臣。後で役人に聞いてよく見てください。そういう原則というものを当時の内閣というものが決めたのですよ。あなたは間違ってないんだなんて、何ですか。そういうことでは困るのです。それて私は――何ですか。どうぞ。
○三木内閣総理大臣 農業の開発のために韓国に援助するということは、方向としては正しいと思う。しかし、いま言ったようなそれが、相当な分が商品援助ということについては、そのやり方は、私は検討しなければならぬと思います。
○安宅委員 とにかく、歳入欠陥だと大騒ぎしているときに、日本の農業を助けることを考えてください。安倍さん、よく考えてくださいよ。きょうは時間がないと思って、あなたを質問の大臣の中に入れませんでした。詳しくきょうは言いたかったのですよ。
 ただ、最後に外務大臣に聞いておきますが、ベトナムのときの九十億円の二の舞を踏まないように、いまから注意しておきますよ。いまむずかしい段階です。あのときはもうすでに陥落するという段階だからむずかしくないんだ。あなたはむずかしいというふうに言う。いまは韓国はむずかしい段階だと思いますね。
 いま緊急措置の第九号というのが発動されましたね。五月十三日。これは何を目的にしたか。私らが見ると、これは大韓民国の憲法でやったんだと彼らは言っておりますが、要すれば、不正の方法で海外に移住の許可を受けたり国外に逃避する行為を禁ずる。これを捏造して流布したりいろいろなことをされては困る。これは新聞もそれを書いてはならない。いろいろなことを書いてある。つまり逃げられては困るのです。そういう証拠には、もうすでに日本の新聞にも二、三載っています。金を持ってスイスの銀行や何かに財産を移す、そのために逃げてくる人が絶えないのです。だからこの第九号が出たのですよ。もうすでに危ないなと思っているのですよ、金持ちは。ベトナムのときはもたもたしておったから、あれは大変だ、いまのうちだということなんじゃないですかな、想像をたくましゅうすれば。これは日本にも来ていますね。これは新韓碍子という碍子の賄賂をもらいたいというふうに言った人の親分で、財務長官をした人で、二月に亡くなったのです。金成坤というのですか、共和党の財務委員長です。この人が新韓碍子に関係しているのですよ。きょうは時間かないから言いませんか、この人の――死んだ人じゃない。間違いです。これは別な人です。これは新韓碍子に関係しています。これは東洋ビニロン社長の申永述という人が、奥さんを置いていま日本に来ているのです。日本にいるのです、どこかに。この人が、韓国の捜査の結果は、十三万四千五百ドルをすでに持ち出して、奥さんはやみドルで十八万ドルを手に入れた。その大部分はおやじが持って、奥さんがどこかの家の壁紙の裏に隠しておったのを見っかっちゃって、どうもおかしいというので取っつかまっちゃって、いま泣き別れているのです。お父さんはもうすでに逃げてきているのですよね。そのほかに、子供をカナダにやったりなんかしている人がたくさんいるのですよ。日本にもすでにそういうことが起きている。
 これは外務大臣に聞きますけれども、この人、東洋ビニロンの社長、これは鉄鋼会社のもとの社長でもあり、相当の人なんですけれども、韓国から身柄引き渡しの要求というのは来ていないのですか。こういう訓令をすると言っておりますがね。外務省どうですか。
○宮澤国務大臣 私は存じておりませんが、あるいは関係者の事務当局が知っておるかもしれません。ちょっとお待ちください。
○高島政府委員 本件に関しましては、韓国側からいかなる要請もまだございません。
○安宅委員 そういう事態がもはや起きている。朝鮮半島について、いま侵略があったときに出動するかどうかなんてことを――自然崩壊する場合もあるでしょうし、あるいはトンキン湾事件なんというのは、はっきりアメリカでも認めているでしょう。あれは北からの侵略なんかではなくて、アメリカがでっち上げしたということを言っていますね。そして北爆を本格化したのでしょう。どういう事態になるかわからないですよ。そのときに、南から苦し紛れに北に出兵するかもしれませんね。そういう事態のことなんか国会で論議できない。何か北から攻めてきたときにはどうするかぐらいの論議しかしていない。国際情勢というものはそういうものじゃないと思うのです。もうすでに韓国ではこういう事態が起きているということを、たくさんの人がやられて、そして逃げてきている人もいるんだということを。南ベトナムに、サイゴンが陥落する一月前に、外務省が九十億円の援助をするなんてことを決めたなんてばかみたいなことを、高島さんがやったか私は知りませんけれども、そういうことを二度と繰り返さないようにしてください。
 私は、先ほど言った金大中事件の問題については重要な考えを持っていますから、このことについて、あなた方はぜひひとつ厳重な目を韓国に向けて、日本の本当の自主的な外交――何かびくびくしなければならないとか、後ろをつかまれているとか、そういうものでない外交を、日本の毅然とした外交をやるのだということを、ひとつ最後にはっきり総理から答弁を承って、私は終わりたいと思うのです。
○三木内閣総理大臣 日韓両国の関係をよくするためには、政府間だけでは私はだめだと思う。国民同士の間に、やはりわだかまりのない相互理解が必要でありますから、金大中事件などもそれと関連を持つわけです。そういうことで、私どもは今後の日韓関係を正常な形に持っていかなければならぬと考えております。
○荒舩委員長 小林進君から関連質疑の申し出があります。安宅君の持ち時間の範囲でこれを許します。小林進君。
○小林(進)委員 私は、日中平和友好条約締結の問題について、総理大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一番目に、今年の三月十七日に、わが社会党の代表が総理大臣に対して、公式にこの日中友好平和条約の締結の問題に申し入れをいたしましたときに、総理大臣は胸を張って、今次国会中に必ずこれを締結をし批准をいたしますというお答えを、総理官邸の総理大臣室でお与えになっているのでありますが、これはわが党の代表は、赤松副委員長、下平日中特別委員会委員長等がお目にかかっているのでございます。これに対してあくまでも公約を御実行される決意に変わりはないか、承っておきたいと思うのでございます。
○三木内閣総理大臣 日中の平和友好条約は、衆議院においても参議院においてもすでに決議をしておられますし、また日本としても共同声明でそういうことを約束をしておるわけでございまして、またさらにアジアの将来を考えても、日中の友好関係の基礎を固めることは、アジアの安定のこれはやはり重要な基盤をなすものでありますから、速やかに日中平和友好条約を締結をしたいという願望のもとに、鋭意努力をいたしておる次第でございます。
○小林(進)委員 限られた時間でございますから、私の質問に的確にひとつお答えをいただきたいと思うのでございます。
 次に、三木総理大臣の国会に対する姿勢の問題として、私はお伺いをいたしたいのでございますが、国会の決議というものに対して、総理はその責任をいかようにお考えになっているか、実はこれをお尋ねいたしたいのであります。
 ということは、お手元に資料も差し上げてありまするように、昭和四十七年十一月八日でありますが、これは衆議院が全会一致で日中国交回復に対する決議を可決いたしております。なお、昭和四十七年の十一月十三日、参議院において同じく全会一致で、日中国交回復に関する決議を議決いたしております。その内容は、いまお手元に差し上げましたように、「政府は、両国間の二千年にわたる長い交流の歴史にかんがみ、共同声明にうたわれた諸原則のもとに、すみやかに平和友好条約の締結等を進め、両国間の恒久的な平和友好関係を確立するとともに、両国の親善友好が、ひいてはアジアの安定と繁栄に寄与し、さらに世界の平和に貢献するよう最大の努力をいたすべきである。右決議する。」内容は二つであります。「共同声明にうたわれた諸原則のもとに、」これが一つの条件であります。速やかに平和友好条約を締結しなさい、これは衆参両議院全会一致の決議であります。この決議に対して、政府は、三木総理大臣は、いかように責任をお考えになっておるか、これを私はお伺いいたしたいと思うのであります。
○三木内閣総理大臣 国会は国権の最高機関であって、全会一致で国会が決議をしたものに対しては、誠実にその決議の趣旨に沿うて努力をしなければならぬ責任を政府は持っておると考えます。
○小林(進)委員 国会の決議に対するその政府の責任がいかに重いものであるかということに対しましては、これは昭和四十五年の第六十三国会でございますが、商工委員会の議事録の中にございます。その中には、いみじくも答弁に当たっておられるのが、宮澤国務大臣、あなたの通産大臣のときでございましょう。その中にも言われているように、国会の決議というものは、これは憲法上に定められているように、国会は国権の最高機関であります。その国会の中で全会一致で両議院が可決決定をしたということは、その効力は、私は法律以上の効力を持っているとみなさなければならないと思います。これは法律以上の効力がある。憲法の論議でまいりますならば、このわが日本の国家の基本を決する憲法さえも、国会議員の三分の二があればこれを改定することができる、三分の二でもこの基本法を改定する力のあるこの最高機関が、全会一致で決議を決定しているというこの決議の重さというものは、私は総理大臣としては十分考えていただかなければならないと思うのであります。いいですか。
 まして三木総理大臣は、しばしば言われるように、あなたはこの国会の中で終生を送られてきたと言ってもいいお方だ。日本の民主政治とともに歩いてこられた。そこら辺にいる官僚とは違うのであります。その国会のものの重さをあなたが一番よく身にしみて感じていられるというならば、行動をもってこれを示していかなければならない、私は三木さんなればこそ、さらに、このことを言わなければならぬのであります。
 しかるに、この決議が上程せられてもはや二年半も歳月が経過している。速やかにこれを決定すべしという決議が、二年半じんぜんとして日を暮らしているということは、私はこの衆参両議院の満場一致の決議に対する責任ある行動であるとは考えられない。この点を一体三木さんはどうお考えになっているのか。私は肝に銘じて、あなたの重い答弁をお願いしたいと思うのであります。
○三木内閣総理大臣 いまだ妥結に至っておりませんことは残念でありますけれども、この決議の意思を体し、一日も早く妥結をしたいと鋭意努力をしておることには間違いはございません。
○小林(進)委員 もはや、この決議の趣旨にうたわれている、共同声明の諸原則のもとに速やかにやれという、その速やかという字句は、残念ながら、私は、政府の手によって、三木総理の手によって、まさに実行されていると判断するわけにはまいらぬ。非常に残念です。ただしかし、期間が切られていないのでありまするから、まだ遅くはない。遅くはないのでありまするから、これは早くひとつこの両院の決議を生かしていただくために、さらに努力をしていただかなければならぬと思うのであります。これが一点であります。
 なお、私が二点として申し上げたいことは、これは一九七二年九月二十九日、北京において締結された日本国政府と中華人民共和国政府との共同声明についてです。これは田中総理と、それにいらっしゃる、当時の大平外務大臣が調印をされてお決めになった両国の共同声明であります。これは第二点でありますよ。この共同声明に対して、あなたは一体どういう責任を感じているのか、私はお尋ねしたいのであります。
○三木内閣総理大臣 共同声明は、田中・周、両国の政治の最高首脳者が厳粛に約束をして、そしてああいう共同声明を出し、国交正常化をしたわけでありますから、これはきわめて重い文書である、後退は許されない、この共同声明にのっとりて平和友好条約を締結すべきものだ、かように私は考えておるわけでございます。
○小林(進)委員 私は、内閣の、政府の継続性といいますか、特に自民党内閣でありまするから、同一政府、その総理の後継者になられたあなたは、当然責任を負わなければならない。それと、いま一つそれに加えて、一般論のほかに、特別にあなたに私は責任を感じてもらいたいという点がある。それは何かと言えば、田中、大平、当時の総理、外相が、この日中友好関係を正常化されたことについて、あなたはしばしばこういうことを言っておられた。田中内閣に協力するに至ったあなたの根本の理由は、田中、三木、大平、三者会談を開いた。そこで、私は、日中国交回復をするか否か、それによって私の田中・大平内閣に協力する、非協力が決まるんだ、という条件をお出しになった。田中内閣が生まれて、あなたが協力するかしないかという前のときの話なんです。あなたはそういうことを言われた。それに対して田中、大平がいずれも、必ず日中国交回復をすると約束したので、私はそのために田中内閣に入ったのである、閣内協力をしたのである、副総理になったのであるということは、あなたがしばしば言われたことで、世間周知の事実であります。こういう面においても間違いがないならば、一般の内閣の後継者というほかに、やはりこういう特別の責任を、私はあなたに感じてもらわなければならないのであります。それで一体あなたは、私の言う責任を特にお考えになっておるかどうか、これも承っておきたいのであります。
○三木内閣総理大臣 その事実は、ここに大平大蔵大臣もおりますが、それは全くそのとおりですが、ただ一つだけ違いは、田中内閣がそのときにできておったのではないのです。三人のだれが総裁になっても日中国交正常化はやる内閣である、この盟約が三者の政策協定として提携を呼んだということは、これは事実でございます。したがって、ただ後継者であるというばかりでなく、こういういきさつを踏まえて、日中国交正常化に対して役割りを果たしたという自負と責任を持っておるものでございます。
○小林(進)委員 だんだんあなたの責任が明確になってまいりました。そこで私はお尋ねいたしまするけれども、この田中、大平が結んだ日中共同声明の第七項に「日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。」こういう条項が入っております。この条項に対しても、あなたは当然責任をお持ちになるものと思いますが、いかがでございましょう。
○三木内閣総理大臣 共同声明によって国交正常化をしたわけですから、これは当然に責任を感じておる一人でございます。
○小林(進)委員 問題はだんだん煮詰まってまいりましたが、いま中国が言っていることは、この共同声明は、この第七項の覇権項目を加えて両国の最高首脳が決めたものである、両国国民にも承諾を得た問題である、中国、日本国民ともに承諾を得たことであるから、その後退は許されぬ、これが中国のいまの言い分であります。後退は許されずということは何か。それを砕いて言えば、との七項目を平和友好条約の条文に入れるということであります。入れるということが、すなわち前進であり後退を許されないことだというのが中国側の言い分であります。
 そこで、あなたがこの第七項目に責任があるとおっしゃるならば、次に、この条文をそのまま友好条約の本文の中に入れることに、一体どれだけの支障があるのかどうか、私はそれを承っておきたいのであります。
○三木内閣総理大臣 私はこういうふうに思うのです。それをどこへ入れるとかどうするとかいう条約上の取り扱いというのではなくして、この問題に対する本質は、覇権反対ということを、いわゆる普遍的な平和原則の一つとしてとらえるかどうか。平和原則の一つとしてこれをとらえるかどうかということ。覇権ということは定義はいろいろありましょうが、これは要するに力づくで自分の意思を押しつけるということでしょう。そういう覇権反対ということを普遍的な平和原則の一つとして一体とらえるのかどうか、これが問題の本質だと思いますね。とらえるということであるならば、おのずから道は開けてくる。それをいろんな方法論で横道にそれた感じがある。問題を本質に返すことである。それはやはり覇権反対ということを普遍的な平和原則の一つとして認めるのかどうか、こうなってくれば、問題はもう少し本質の問題に入ってきて、道はおのずから開かれると思っておる。いまいろんな問題がそこに複雑に絡み合っておるので、問題をもっと本質に返すことが必要である、こう考えております。
○小林(進)委員 大事なところへ行くと、総理は逃れるのです。問題はもうそういう場合じゃない。田中、大平のつくった共同声明の中には九つの項目があります。第一から第九までの項目があるのです。それは共同声明文というが、実質はこれはもう条約なんです。これに条約というそのままの衣を着せるか着せないかということなんだ。ところが、第一も第二も第三も第四も第五も第六も、第八も第九も、全部この共同声明は両者で意見が一致している。この七項目の、いま私が読み上げましたその項目だけを条文に入れることに、日本の政府の逡巡があるというのが、これだけが一つのネックになっているのです。何も余分なことは言わない。一から九までのものを全部条約に入れるが、なぜ七項目だけを条文に入れないかという、なぜそこに入れれば支障があるかということを承っておる。いいですか、別な言葉で言いましょう。共同声明と条約の相違論、これは外務官僚なんかがつまらないことを言っておりまするけれども、この日中の共同声明と条約に、どこに一体相違があるのか、私はそれをひとつ承っておきたいのであります。
 国交回復かできた二年後――そもそもこの共同声明ができたときには、自民党の青嵐会からタカ派まで含めて、この覇権条項に反対だという声が一つもなかった、何もなかった、素直に通ったのだ。それが二年後になって、ソ連がわが国に平和友好条約を結びたいという積極的な姿勢を示してきて、中日平和友好条約にブレーキをかけ始めてから、だんだんこの覇権条項が問題になってきた。一九七四年十月末から十一月にかけてモスクワで行われた日ソ経済合同委員会、今年の二月、駐日ソ連大使の政府・与党への活発な動きがきっかけとなって、これから覇権条項がいいとか悪いとかという問題が出てきたんじゃないですか。これは私はソ連の日本に対する内政干渉の結果であると思っている。間違っていたら間違っていたと言ってください。いまのこれは外務官僚が言っているのです。これが一つの問題です。
 それから第二点をお伺いしますけれども、両国間の条約のそれは、特定の第三国を対象としたものではないにもかかわらず――そうでしょう、いまの第七項目は、いま私が読み上げたとおり、決して特定の国をこれは目標にしておりませんよ。いずれの国のその覇権的行為の試みにも反対すると言っているだけであって、七項目には何も特定の国を言っておらない。しかし国際情勢によっていろいろの意味で解釈をされ、すべての第三国に満足を与えるということは、それは困難でありましょう。それは困難であります。わが国が過去に結んだ条約でも、たとえばサンフランシスコ平和条約、これは何も特定国を相手にしたものじゃないが、第三国には非常に影響を与えた。日米安保条約、日韓基本条約のごときも、これはわれわれ野党に言わせれば、特定国を包囲し、攻撃するのが目的だと言うけれども、政府側から言わせれば、いずれも第三国の受け取り方の相違であって、特定国を相手にしたものではないと政府は言っている。そういうような理屈からすれば、いま大平さんが結んできた共同声明の第七項目は、何も特定の第三国を相手にしないことは明らかじゃないですか。なぜそれを一体条約の中に入れることができないのか。
 なお、われわれが超大国、超大国と言っているその超大国のソ連は、こうやってわれわれに対して反対してきたが、一方のアメリカはどうですか。今日まで一言も言わない。一言も言いませんよ。それは第一、後でも言いましょうが、ニクソンと周恩来総理が結んだ上海コミュニケ、別にいう米中のこのコミュニケの中には、ちゃんと覇権主義反対というものを、アメリカの大統領みずから中国との共同声明にうたっているのでありまするから、早く三木さんも条約の中に覇権反対を入れてくれないかと、いまフォードさんも、むしろあなたの踏ん切りを祈っているような気持ちでありまして、だれも反対しない。いま覇権条項で反対しているのはソ連と、わが日本における自民党のタカ派と青嵐会と韓国ロビーと台湾ロビーくらいの一部であります。そういう状態の中で、なぜあなたは一体これに逡巡しなければならぬのか。
 それから第三番目、特にこれは外務官僚の言うことでありまするけれども、日中共同声明と日中平和条約の性格と重要性についてです。共同声明は、日中間の戦争状況の終結と賠償請求権の放棄など、戦争処理の重大な問題がみんなこの共同声明で解決されているのです。外務官僚は、共同声明は両国がこれこれをやりたいという政策の宣言だなどと、つまらない三百代言みたいなことを言っておりまするけれども、実質的にはこれは条約と同じように、この共同声明はすべての効力が発生しているのです。それを、条約は両国を法律的に拘束するものであり、共同声明とは全く異なるなどという迷論を吐いているけれども、これは間違いなんだ。両国関係を律する原則がちゃんと日中共同声明の中にでき上がっている。賠償問題も終戦の処理も、全部もう効力を発生して動いているのです。ただそれに、そういう事実上の実質的効力の発生したものに、ただ条約という衣をひとつ着せよう。もはや条約は形式論なんだ。単なる衣を着せるという形式にすぎないのです。いいですか。それが一体ここへ来て、田中総理と大平さんが結んできた、しかも実質的に条約と同じ効力を発生しているものに、なぜ一体衣を着せられないのか、なぜ形式の衣を着せられないのかという、それだけの問題なんであります。
 したがいまして、繰り返して言えば、あの共同声明というものは、実にこれは実質的な条約と同じ効力を発生している。それに国家間の法律的衣を着せて、万世に正しく残そうというのが平和条約の作業なんであります。いいですか。したがって、平和友好条約に覇権条項を入れることが、特定の第三国にあるいは脅威を与えたとか、非友好政策ととられるなどということは、もしこの理屈が通るならば、田中さんと大平さんが結んできた共同声明それ自体が、もはや第三国に対して影響を与え、第三国に対していわゆる非友好的な政策をやったものであるという非難はその時点において起きてこなければならぬのであります。出てこなければならぬのです。それを三木さん、ひとつよくあなたは考えていただかなければならぬのでありまして、なお、時間がないから、いま一つ申し上げましょうか。
 もし、相互友好条約なんかの中に特定国を非友好国として入れることは、これは外務官僚は、そんなものはなじまないとか、そんな例はないとか、くだらない理屈を言っておりまするけれども、本当にないですか。ないと言うなら、私は明らかに例をもって示しますよ。示しましょうか。ソヴィエト社会主義共和国連邦と中華人民共和国との間の友好、同盟及び相互援助条約の中に何とありますか。第一条だ。日本に対する共同防衛、世界平和への協力、「両締約国は、日本国又は直接に若しくは間接に侵略行為について日本国と連合する他の国の侵略の繰り返し及び平和の侵害を防止するため、両国のなしうるすべての必要な措置を共同して執ることを約束する。」ちゃんとこういう平和友好条約があるじゃないですか。「日本国」と、特定の国を名指している平和友好条約がちゃんとあるじゃないですか。ちゃんと具体的な例がある、そんなことは。こういう厳然たる事実を、それをないとか、なじまないとか、三百代言みたいなことを言って日を過ごしているということは、私は三木内閣の怠慢であると言わなければならない。どうでありますか、三木さん、ひとつ私の言うことに間違いがあったら反論していただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 この際必要なことは、やはり問題を本質に返すことである。その本質というものは何かといったならば、この覇権反対ということを、普遍的な平和原則の一つとして認めるかどうかということですよ。だからそれは第三国とかどこの国とかいうのではないのです。普遍的な平和原則の一つとして認めるかどうか。認めるということになれば、これはやはりおのずから道は開けてくる。それがいままで、いま小林議員も指摘されているいろいろなことがこれにあって、この問題が少し横道にそれた感じがある。問題の本質に返すことが今日の段階としては必要だ。普遍的な平和原則の一つだとすれば、これはいろいろな摩擦は起こらないでしょう。それは共同声明の中には、第六項目の中には、平和五原則と、いろいろなものが入っているんでしょう。いろいろなものが、平和五原則は。また紛争の武力不行使のそういうプリンシプルも入っている。また覇権反対のプリンシプルも入っている。こういうものを皆一つの普遍的な平和の原則として、やはり覇権反対というものも、その原則の一つとして認めるのかどうか。認めるということになれば、問題はずっと整理されるわけです。これをどこの国だとかどうだとかいろいろ言いますから、これに対して非常な意味を持ってくる。これは普遍的な世界の平和原則の一つである。やはり力でもって、はっきり言って力ずくで自分の意思を押しつけるというようなことでしょうね。だからそういうことになれば、やはり問題は整理される、こういうふうに私は考える。
○小林(進)委員 総理はどうも、私が言っているのではないのです。問題はあなたじゃない。第七項目なんですよ。いま一回言いますよ。第七項目の、「日中両国の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。」というこの共同声明の文章、これに条約という衣をそのまま着せるかどうかというだけの問題なんですよ。これを条約の本文に入れるか入れないかというだけの話なんです。それだけの話なんだから、余分なことは言わない、問題はそこに集約をされているのでございまして、それをあなたがなぜ一体逡巡をしていられるかというのがわれわれはわからない。
 そこで、時間がありませんから、私はまた問題を進めていきます。
 問題は、田中さんも大平さんもこれをおつくりになったんだが、この共同声明をつくられるためには国民のコンセンサスはできた。これは私はあなたにあえてお教えすると言ってはなんでありますけれども、できた。というのは、一九七一年十月二日――そこに資料かありますからごらんください。資料の三であります。資料の三に、これはいわゆる日中議連であります。この国会の中における日中議連と、いわゆる中国の中日友好協会の代表団でつくった共同声明なんです。この共同声明は、田中さん、大平さんが行かれる一年前なんです。前のときにこういうことがちゃんと共同声明に決めてある。「国の大小をとわず、すべて平等でなければならない。各国の内部の事がらは各国人民がみずから解決すべきである。」その次です。「二つの超大国の、武力を背景とする強権政治と武力干渉の政策は、必ず失敗におわるであろう。かれらは外国に派遣している軍隊を撤退しなければならず、外国にある軍事基地を撤去しなければならない。」こういう共同声明ができ上がっているのです。
 これは試みに申し上げますけれども、このときの代表団長は自民党の藤山愛一郎さん。そして自民党を代表してそのとき、お名前を申し上げますよ、この共同声明にみんな個人個人が署名したのだから。自民党では宇都宮徳馬、澁谷直藏、浦野幸男、塩谷一夫、山口敏夫、計六名が行っておる。これはみんな三木派が多いのですよ。この人たちがこの覇権反対、超大国の覇権主義に反対だと調印している。そのときには、社会党は小林進、松平忠久、楢崎弥之助、井野正揮、参議院議員成瀬幡治、阿具根登、また公明党からも衆議院議員伏木和雄、鈴切康雄、桑名義治、参議院議員渋谷邦彦、民社党今澄勇、河村勝、向井長年というふうに、各党の代表、除く共産党であります。ちゃんと代表を網羅して、そして行ってこれを調印してきた。いいですか、三木さん、私は事実を言うのですから。そして帰ってきて、各党が、この超大国の覇権主義に反対するというこの共同声明を各党にみんな諮ったんだ。いいですか。諮ったときに、社会党は満場一致全員賛成、公明党全員賛成、民社党全員賛成、ただし共産党を除く。そのときに、いいですか、三木さんお聞きください。そのときに、この長文のわれわれのこの超党派的な共同声明が自民党で問題になったのです。どこが問題になったのか。この覇権主義反対が問題になったのじゃないのです。そのときに問題になったのは、この共同声明の中のいわゆる台湾条項が問題になったのです。その共同声明の中に、第三項にこういうことがある、「いわゆる「日台条約」は中華人民共和国がすでに成立した後に調印されたものであり、したがって不法であり、無効であって、廃棄されなければならない。」日台条約を、不法であり、無効であり、廃棄されなければならないというこの共同声明の条項がけしからぬということで、自民党のタカ派――いないな、大野市郎君や何さんあたりが、問題になさって、藤山愛一郎除名論というものを出して、当時の自民党の統制委員長千葉何がし……。こういうことになったが、この覇権条項はさあっと自民党も満場一致で通ったのです。いいですか、通ったのですよ。
 だから、私はくどいようでありますけれども、この覇権主義反対は超党派的に、自民党も含めて全部これは賛成になっている。台湾条項だけが問題になったのです、もしそのことをうそだとおっしゃるのならば、私はこの共同声明を承認をした自民党の日中議連に加入していらっしゃる方々の名簿を、全部ここで発表してもよろしゅうございますよ。この共同声明には日中議連は全部賛成した。この日中議連に入って覇権主義反対に賛成をしたいわゆる議員の名簿は、自民党で日中議連、藤山会長、の中に入っている議員の名簿はここにありますよ。読み上げますか。いまでも百五十七名いらっしゃいますよ。この中の閣僚の中にもいらっしゃいますよ。覇権条項は賛成だ、絶対やるべきだという方がいらっしゃいますよ。何名いるか。一、二、三、四、五。もちろん大平さんはみずから覇権主義反対をやってこられたのでありますから、賛成派の巨頭であることは間違いはない。その大平さんを除いてまだ五名もいるのです。ですから、いいですか、三木さん、もはやこういうふうに国会の中では、覇権主義反対というのは、もはや国会の中には多数を占めているのです。この日中議連に加入している会員は四百三十名もいらっしゃるのです。覇権主義反対に賛成をする議員の方々が、衆参を合わせて、議員連盟に加入していらっしゃってこれを認めた方々が四百三十名もいるのです。わが日本の国会では、もはやこれは定着をしているのです。この定着をしている事実の上に立って、だから田中、大平は飛んでいったんだ。内閣を組織する、三カ月もたたないうちに北京へ飛んでいって、そして要人と話し合って、この覇権主義反対の共同声明を出したときには、唐突と行ったのじゃないのです。こういう国会の中のちゃんと基盤ができ上がった。いいですか。
 時間がないから、また一つ私は申し上げましょうか。またその次を見てください。これはよそのことで悪いですけれども、資料の第四を見てください。お手元にありますよ。資料の第四、昭和四十七年の二月二十七日、これは中国と米国との共同コミュニケです。周恩来とニクソンとのこの共同コミュニケ、これなどもどうです。「どちらの側もアジア、太平洋地域で覇権を求めるべきではない。いずれの側も、いかなるその他の国、あるいは国家集団が、こうした覇権をうち立てようとすることに反対する。」、ちゃんとニクソンさんも言っていますよ。北京まで飛んでいって言っていますよ。上海まで来て言っていますよ。こういう事実の上に田中、大平さんの共同声明ができている。
 まだ言いましょうか。その次の資料五であります。これもよその政党ので悪いのですけれども、民社党の訪中代表団と中国の中日友好協会の代表団と結んだ共同声明、これは民社党の春日一幸さんと副団長の小平忠さんが調印をしておられる共同声明です。これは四十七年の四月十三日です。これには、「武力を背景とした二つの超大国はいたるところで強権政治と覇権主義をおしすすめ、勢力範囲を争奪しているが、これは諸国民のいっそう強い抵抗にあっている。外国におけるすべての軍事基地はのこらず撤去されなければならない。すべての外国軍隊は自国にひきあげなければならない。」、民社党は全員この覇権主義反対に賛成であります。
 こういうふうに、各政党全部覇権主義反対というこの基盤の上に立って、大平、田中さんが四十七年の九月二十九日に行かれて、これを決めてこられた、この事実を総理大臣、あなたは素直にお認めになりますか。私が一口でも牽強付会な弁をなしているとお考えになりますか。この素直な小林の神に訴えるような気持ちを素直に受けてください。
○三木内閣総理大臣 いままでの歴史的なことを非常に詳細に御説明を願いまして、われわれ知っておることも多いわけでございますが、しかしさらにそういう問題を呼び起こしたわけでございます。
 私どもはこういうことの願いを持っておる。中国との間には、単にいまの時代だけでなくして、子々孫々にわたる日中の友好関係を築き上げたい。アジアの百年の歴史を見ても、日中の対立というものがアジアを不安定にしたことは明らかですから、これからの長い将来にわたって、日中の友好関係を築き上げたい。これは歴史の反省の上にも立った強い信念であります。そうするためには、単に社会党とかあるいは民社党とかいうのでなくして、全国民の理解のもとにこの問題を解決することが必要である。全国民的な、国民が、やはりみんなが納得する形において解決することが必要である。そういうことで、覇権問題なんかもいろいろ横道へ入らないで、問題の本質に返って、いま言ったようないわゆる平和原則の一つとして認めるかどうか、こういう問題の本質に入って考えれば、問題はやはりずっと整理をされてくると私は思います。そういうことで、いまいろいろ内容について申し上げるわけにはまいりませんけれども、できる限り日中永遠の友好関係の本当の基礎を築きたい、こういう念願に燃えて努力をしておるわけでございます。
 いろいろと小林委員の熱烈な御要望、熱烈な日中の平和友好条約締結に対する御熱意には敬意を表する次第でございます。
○小林(進)委員 総理は国民の大半の賛意を得てとおっしゃいましたけれども、われわれは先ほどからくどく申し上げましたように、自民党は衆参議員合わせて百五十七名が日中議連に加入していらっしゃいます。社会党は衆参両議員全員であります。合わせて百七十五名であります。公明党、衆参両議員全員であります。合わせて五十四名であります。民社党、衆参両議員全員であります。合わせて三十名であります。それに参議院における無所属と小会派を含めて、この方々が全部議連を通じて、このいずれの国を問わず覇権主義には反対であるということを、ちゃんと意思を表明しているのでありまして、これは国民の基盤の上に立った国会内の多数意見である。ならば、これが一体どうして国民の多数の意見であるととれないのでありましょうか。合わせてその人数は、先ほどから申し上げますように、衆参両議員合わせて四百三十名であります。閣僚の中にも議連に加入をして、覇権主義反対の意思を表明せられた方が、先ほどから言うように五名以上いらっしゃる。名前を言うと差し支えがありまするから、武士の情けで言いませんけれども、言えといえば発表してもよろしいです。ちゃんと会費を納めているのだ。毎月五百円ずつの会費を納めて、会員の地位を確保していらっしゃる。これは国民の総意じゃありませんか。国民の意思じゃありませんか。それをあなたは、国民の意思だとかあるいは何とかと言って逃れられることは、いわゆる三木さんがまだ問題の本質をとらえていらっしゃらないのじゃないかと私は思う。
 そこで私は申し上げます。次の質問、時間がありませんから申し上げます。いいですか。これを読み上げるから聞いてください。「日中間の過去の遺憾なる関係の経緯についての反省の上に立って、まず日本政府側から友好と国交回復のための処置をとらなければならないと中国側は考えているのである。これが中国の考える原則中の原則のようである。私は早期に日中国交回復をやり得るという確信を得たので、なお一層この実現に挺身する決意であります。」これはだれの発言だとお考えになりますか、総理。だれの発言であるとお考えになりますか。総理にお尋ねをいたします。
○三木内閣総理大臣 それは私の発言ですか。私はそういうふうなことを言ったのですが、だれかほかの人の発言かどうかは知らぬが、私の考えと非常に似ておる考え方でございます。
 ただ、私は小林議員に申し上げたいのは、何も逃げておるのじゃないのですよ。逃げておるわけでない。多数の国民が納得する形でこれを結ぶことがよろしい。だから、いろいろ問題になっておる覇権についても、横道にそれないで、問題の本質に立ち返ってこの問題を考えようじゃないかと言っておるのも、国民の多数の人々がこの問題に対して納得をするということが、日中の永遠の友好関係を築き上げる上に必要だということ。私は何も逃げているのじゃないですよ。このことに私は逃げる考えはない。一日も早くやりたいのですから。逃げておるのではない。一日も早くやりたい。
○小林(進)委員 いまの発言は、これは総理がおっしゃったように、総理の発言です。それも、これは昭和四十七年の四月二十四日です。思い出しませんか。昭和四十七年四月二十四日。大平さんが共同声明をつくったのが九月二十九日です。その半年前の四月二十四日だ。思い出しませんか。あなたが北京に行かれて、周恩来総理と二回北京で会談をされて、そうして非常な決意をもってお帰りになって、羽田の飛行場で発表されたあなたの談話なんですよ。いいですか。この談話から見れば、日中友好条約はもっと早く、この談話のとおり、あなたが非常な決意をもって臨むとすれば、くどいようだが、実現していなければならないはずなんです。それができておらぬ原因は一体どこにあるか。繰り返して言うように、もはや自民党を含めて国会内部においては、国会を通じて国民の覇権主義反対のこの思想はもう定着しているんだ、自民党内部の大勢も覇権反対にもう決定しているんだ。そういう空気の中で、あなたがこれほどの決意を羽田の飛行場で表明しておきながらそれができないということは、これは北京政府のみならず、日本国民が言っているように、一点は三木総理の決断と勇気だけなんだ、何もほかに原因はない、できないたった一つの理由は、三木総理の勇気と決断がないだけなんだ。私は、先ほどからのあなたの答弁を聞きながら、なるほどそうだなと思わざるを得ないのであります。そこで、もしあなたに本当に決断があるならば、きのうから私はあなたの答弁を聞いているが、何ですか、あなたは。小川大使に四原則を与えて、北京において交渉させている。決して私は熱意を持たないわけではない、冗談じゃありませんよ。外務省の出先の一官僚に四つの原則を与えて出先で交渉させて、それで日中友好条約の締結のために私は熱意を持っていますなんてことを、国民が、だれが一体そんなの信用しますか。そんなことが熱意なんて言うなら、外務大臣も要らなければ、総理大臣も要らない。総理、あなたに言うんですよ。本当に熱意があるならば、あなたと田中さんと大平さんと三者会談で、やろうじゃないかと言ったっていいんだ。あのときには、いまのようなまだ国民のコンセンサスはできてない、けれども田中は飛んでいった、大平は飛んでいったじゃないですか、北京へ。飛んでいって、この共同声明をつくってきたじゃありませんか。そのときの状況と今日の状況を比較して、一体どっちがこの条約を締結するような国民のいわゆる共感を得ているかといえば、当時といまじゃ問題になりません。田中に勇気があった、大平に勇気があったと言えば笑われるかもしれませんけれども、(笑声)これは牛に引かれて善光寺参りかもしれませんが、ともかく行ったんだ。行って問題を処理してきた。しかも、その後も、日中航空協定のために、彼らは彼らなりに苦しみながらも、正月の休みを利用して北京へ飛んでいって、この航空協定もやってきた。見かけによらぬ勇気があると、私は心ひそかに称賛をしたものでありますが、これは本当に外交に熱意を持つか持たないか、一国の総理の勇気と判断が――けじめですよ。総理――時間かないが、私は質問をしないでしゃべり過ぎて、いつも同僚から怒られるのでありますけれども、私は言うんです。あなたの尊敬するアメリカの外交をまねしてくださいよ。あれほど中国包囲作戦を講じ、中国を敵対視したアメリカも、状況が変わって中国と手を握る必要があったときに、だれが一体北京へ飛んでいった。キッシンジャーは数回北京へ飛んでいったじゃありませんか。ニクソンみずから奥さんを連れて北京へ飛んでいってるじゃないですか。そして、こうやってちゃんと明らかに上海コミュニケをつくって、いずれの国も超大国にはならない、反対するという、嚇々たる共同声明をつくっているじゃないですか。共同コミュニケをつくっている。これが一国の総理の決断と勇気です。ニクソンも必要があればソビエト・ロシアへ飛んでいく、モスクワへも飛んでいって、ウラジオストックへも飛んでいっている。中国の毛沢東主席も周恩来総理も、一回もアメリカへ行きませんよ。行かないけれども、相手が来ようと来まいと、これが一国の国民の総意であるなら、国の運命を決する重大問題であるといえば、あの超大国の長たるアメリカの大統領も、国務長官も、その一人も表敬に来ないような中国でもちゃんと飛んでいって、こうして国の運命を決しておるじゃありませんか。これが政治家の勇気なんですよ。これが政治家の決断なんです。フォードさんも、ことし秋にはまた北京へ飛んでいきます。そして自国の運命と自国の平和と自国の繁栄を切り開くために、これはまたフォード・毛沢東・周恩来会談をやろうと、いま準備をしていますよ。そのときにあなたが、しばしば、内閣を組閣して以来、日本と中国の国交回復は私の重大なる仕事である、重大なる公約である、しかも田中、大平のやったこの共同声明の発表は私が源泉力となったのだ、私が根回しをしたんだという、国民に向かってそれほど口幅ったく宣伝をせられるならば、なぜ一体飛んでいけない。田中のごとく大平のごとく、ニクソンのごとく、あるいはキッシンジャーのごとくなぜ飛んでいけないのです。一出先の、小川あたりの、吹けば飛ぶような、そんな出先の大使に任しておいて、これで誠意を尽くしているなどということになりますか、あなた。国民がそれであなたの政治姿勢を信頼するとお思いになりますか。声の大きいのは地声ですけれども、私は心で泣いておるのです。私の誠実なる気持ちをくんでくださったら、八月にアメリカへ行くなどという前に、本当に今次の国会のさなかにこの条約を締結し、条約を批准したいというあなたの熱意にうそがないならば、飛んでいかれたらどうですか。アメリカへ行く前に北京へ飛んでいかれたらどうですか。最高首脳会談をやられて、男三木総理一匹、運命をかけた勝負をしてみたらどうですか。おやりになりますか。
○三木内閣総理大臣 熱烈な御激励を受けて感銘をいたします。しかし小林議員、泣く必要はないので、私の心で泣いておるというのは、お泣きになる必要はないので、あなたの信念と私の信念には変わりはないわけです。いま私が言っておることは、多少いろいろな覇権問題なんかで横道にそれたような感じがありますから、問題をもっと本質に返すことが今日の段階において必要であるということを言っておるわけでございまして、日中の国交正常化をやってから時間もたつわけでございまして、平和友好条約を早期に締結したいということであなたと変わりはない。できる限り国民の理解と支持を得て解決するために、問題を本質に返すということで、この段階としては必要であると考えておるわけであります。
○小林(進)委員 私は、総理が力を入れて、君と考えに違いはないとおっしゃったのでありますが、その違いはないというお言葉の中には、みずから身を挺して、田中前総理のごとく、ニクソン大統領のごとく、みずから北京に飛んでいって条約の交渉に当たるということも含めて、おまえと考えの違いはないというふうにおっしゃったと理解をいたしまして、この後の総理の行動を私は静かに見守ることにいたしたいと思うのでございます。
 なお、私は、この際、くどいことを繰り返すのは別にいたしますが、覇権主義の問題についても、私はきのうの外務大臣の答弁を非常に不愉快に感じました。覇権主義というものはもはや、先ほども言うように、一九七一年から数回の国会議員の代表によって、覇権主義は論じ尽くされておるし、ニクソンさんも覇権主義反対を明らかにしておる。今日の新聞ではまた、あのフィリピンのマルコス大統領も北京へ飛んでいって、覇権主義反対の共同声明をちゃんと結んでいっておる。これはもはや、世界的にアジア的に定着した意見だ。その覇権主義とは何だ。むずかしいことは別にして、力による政治です。力による政治によって世界制覇を求めるものである。平和共存五原則に基づく国家関係を崩す対外政策である。具体的に言えば、それぞれの共同声明の中に出ておるように、他国に軍事基地を設置するとか軍隊を駐留するとか、他国の領土を侵害するとか内政干渉をするとかいう、力を背景にしてそういう武力行動に出ることを、これは覇権主義であると言うことは、もはや定着した意見だ。あなたの意見を聞いていると、きのうのごときは、自己の軍事的、政治的その他の優位を確保することによって他の国に圧力を加える行為を言う。また特定国が軍事的、政治的、経済的に他国に圧力を加える。経済的にまで圧力を加えるのをわれわれは覇権主義と言っているんじゃないんだ。武力という力を背景にして、他国の独立やその他を侵す行為を言っているのでありますから、そういう三百代言みたいなことを言うのはやめてください。
 もう時間がないから、あなたと論争するのはやめますけれども、そこで、総理、もはや外務省やそういう方々の妄言に迷っちゃいけません。また、その一部の台湾ロビーや韓国ロビー、これは百年待ったところで、こういう人たちと共通点が得られようわけはありません。この人たちは別個の立場であるのです。そこには、利害関係、因縁、因果、感情問題からすべてが渦巻きのごとく巻いているのでありますから、そういうものの一切の共感を得るまでしばらく待とうなどというようなことは、三木さん、あなたの政治力を疑われるだけでありますから、それはおやめになった方がよろしい。
 そこで、時間もありませんが、ここで自民党の中でも私の敬愛している宇都宮徳馬君が、この覇権主義反対についてこういう意見を出しておりますから、これは速記録に載せるためにちょっと申し上げておきます。「今日、日本が覇権主義反対を表明するのは、新しい日本のアジア・アフリカの諸国家に対する道徳的責任である。覇権の樹立の中には植民地主義も当然包含され、その復活には第三世界としてのアジア・アフリカの諸民族の中に広範な強い反対感情が存在している。日本が日中平和友好条約の締結に際して覇権反対の明記に反対するならば、中国の不信を招くだけでなく、アジア・アフリカの第三世界に既に存在している日本に対する疑惑を再び定着させる可能性がある。大東亜共栄圏の盟主としてという言葉で戦争をやったが、これはまさに覇権を象徴したものである。日本の覇権に対する不快な記憶と警戒心を再び呼びおこすことは、日本の将来にとってとるべき策ではない。第三国の覇権主義に反対する条項を入れることはソ連を刺激するというが、入れなかったからといってソ連がクナシリ、エトロフを返す筈もない。アジア・太平洋地域において自分自身及び第三者の力による支配、力の使用に反対する合意に日中両国が達したからといって、ソ連から抗議を受けるべき性質のものではないと思う。」こう言っているのでありまして、いまわれわれが覇権主義反対をぜひ入れてもらいたいという根拠は、対中国の関係だけじゃなくして、東南アジア、東北アジアの国々の中に、いま日本に対するいわゆる不信がほうはいとして巻き起こっているから私は申し上げるのでございます。
 日中平和友好条約の問題は、総理が繰り返し必ず私と同じ意見であるということをおっしゃいましたから、そこに信頼を置いて、もう時間が来ましたから、次の、東南アジアの諸国がこの日本の覇権主義的進出をどう恐れているかということについて、私は政府にひとつ質問してみたいと思うのであります。
 次は、カンボジア民族統一戦線、王国民族連合政府と日本との外交に関する問題であります。いいですか。カンボジアは御承知のとおり、アメリカを背景とするロン・ノル政権と民族統一政権、王国連合政府との五カ年一カ月にわたる長期の闘争によって、一九七五年四月十七日、首都プノンペンの解放をもって終わったのであります。
 私は、先般北京へ参りまして、シアヌーク殿下に会ってきました。そのときに彼が色をなしてこう言った。日本政府がわれわれに反対して、この侵略者とその手先ロン・ノル一派を支持しなければならずと報道してきたことはまことに遺憾であります。われわれカンボジア王国民族連合政府はきょう確かに日本政府によって公式に承認をされました。しかし、カンボジア王国民族連合政府と新帝国主義のアジア諸国との関係――日本を含む――が本当に友好的に信頼に満ちたものになることはできません。私たち革命的なカンボジア人民と新帝国主義のアジア諸国との間にはまだ広く深いみぞが存在しているからであります、こう言っているのであります。いいですか。そして将来日本とどういう場合に一体交流ができるのかということを聞いたら、日本を含めて、これらの諸国が新帝国主義であること、すなわちアメリカのお先棒をかついで自分たちを苦しめるようなことをやめてくれ。非同盟とは言わないまでも、まじめに第三世界の側に立つ。アジアは、日本以外、中国も含めてみんな第三世界の国々だ。発展途上国の国々だ。この国々の側に立つように、われわれと同じような立場に立つような気持ちになってくれたときに、初めてこのみぞが埋められるのであります、こう言っていたのであります。
 総理、どうですか。このシアヌークに対するいままでのわが日本の対応した態度が、一体これでよかったとお考えになりますか。シアヌークは、カンボジアはあのアメリカの軍隊によって破壊せられ、水道も奪われ、いま電気もないのです。いまメコン川の生水を飲んで、カンボジアは再建に苦労している。惨たんたる状況で、まだ治安は維持できません。アメリカはスパイを送り、潜在的な破壊部隊を送って治安の復活を妨害しています。それが回復するまで、私はまだカンボジアに帰るわけにはいきませんけれども、カンボジアの最高会議は私を国王として迎え、ペン・ヌート現首相を首相として迎えることを決議しておりますから、治安が解決すれば、やがて私はカンボジアへ帰ります、こう言っておりました。これに対して一体政府はどういう方針をおうたいになるのか、伺っておきたいと思うのであります。
○三木内閣総理大臣 きょうは小林議員はたくさんのことをここで言われました。私が黙って聞いておると、全部あなたの意見に賛成だ、そういうわけにはいきませんが、一点だけ、一点だけというわけでないが一致する点は、日中の平和友好条約を早期に締結することが日中両国のためにも、アジア・太平洋地域の平和と安定のためにも必要である、この熱意については全く同じである。あなたが長い間こうしゃべられたこと、全部私が賛成してというわけではない。いろいろな発言ございました。しかし、その熱意においては変わらない。私がいま何もこれでちゅうちょしておるのではない。できるだけ早期に締結をしたいということで、鋭意北京政府との間に努力を重ねておるということは申し上げておきます。ちゅうちょして一服しておるのではない、一日も早く妥結をしたいと努力を続けておるということでございます。
 カンボジアの問題には、いろいろ御承知のように、カンボジア内部の政権の交代――私もシアヌーク殿下の時代にはカンボジアへも行ったことがあって、彼もよく知っておるわけでございます。その後、政権の交代等もあって、そのときの政府との間に日本は国交関係を持っておったわけでございまして、シアヌーク殿下もいろいろ小林議員に訴えられたようで、非常にその間は相互の理解を欠いて不幸なことだと思います。しかし、特に日本はカンボジアの国民を裏切ろうとしていろいろしたわけではない。政権の交代があって、そのときの政府、そのときのカンボジアを統治しておる政府を相手にして外交関係を持ってきたということで、シアヌーク殿下を特に日本がどうこうというものではなかったわけで、そういう点は非常に理解を欠いておることは、将来努力をしなければならぬことだと思います。
○小林(進)委員 時間もありませんが、いま一度繰り返して申し上げます。
 シアヌークは、日本政府に対し、直接または人を介して、カンボジア王国連合政府を支持してくれとは言わぬ、せめてロン・ノルを支援することだけはやめてくれ、すなわち二つのカンボジアのいずれの政府も支持せぬよう、そしてアメリカ帝国主義の手先になって、いわゆるわれわれの反対勢力に協力してくれぬようにと、しばしば申し入れたにもかかわらず、日本政府は最後までロン・ノルを支援、支持してきた。このみぞはまことに長く埋めることは不可能だと思いますと言っていることでございまして、この結論は、総理が何をおっしゃっていても――私はまた、北ベトナムの要人にも会いました。南ベトナムのいわゆる臨時政府の要人にも会いました。朝鮮民主主義人民共和国の要人にも会いました。みんな口をそろえた。相手側から見れば、わが日本は、アメリカ帝国主義だ、アメリカの突っかい棒を掲げて、再びアジアにおける覇権主義を事実、行動に移そうとしているじゃないかという疑いと不信が渦を巻いているということなんでありまして、ここにこれから日本の進むべき外交のポイントがあると私は思う。理屈を言っているのではないのです。彼らの実感を私は申し上げているのであります。まだ時間があれば、一体、ロン・ノル政権に日本は幾らの債権をお出しになているのか、この債権の回収をどういうふうにおやりになっているのか、私はお聞きしたいと思いますが、時間もないからやめますけれども、いま一つは北ベトナムの問題です。
 これはさっきわれわれの安宅委員が言ったが、今年の三月二十八日、まさに凋落するばかりの南ベトナムのいわゆるチュー政権に対して九十億円の支援をいたした。これを駆け込み援助と言っているのです。これは東南アジアの国々へ行きますと、みんな宮澤の駆け込み援助、こういう名前をつけているのであります。もはやチュー政権は没落することはわかっている、時間をかけるというと援助ができないというので、駆け込みのようにして、手づかみで九十億円の金をぶん投げたと解釈をしている。そうしてその同じ時期の三月の十八日から四月の四日まで、北ベトナムの賠償使節がわが日本へ来ていた。そして外務省と交渉して、五十億円の賠償を北ベトナムに払ってくれ。日本の政府は賠償という言葉は用いぬ、鶏三羽にいわゆる巨大な賠償金を払った後だから賠償はできぬが、無償援助をしようということで、三月の十八日から四月の四日まで、また四月の四日には、あなたの部屋で、この北ベトナムの代表にあなたは面会していられる。そうしてすっかり支援をする約束をしておいて、この北ベトナムの様子がおかしくなったと言って、それをどうだ、無期に延期しちゃったじゃないか、無期に延期をした。その延期の理由が何かと言えば、やれ国会の方の手続がなんだ、輸銀の手続がなんだ、いや、あるいはその中には軍需物資が入っているの、戦争の資材に使われるおそれがあるのと、愚にもつかない理由をつけて、同じ両ベトナムの、しかも両方とも国交を回復している二つの国に、しかも三木さん、時間がないから言うけれども、あなたは四十八年の外務大臣をやっているときに、南北ベトナムに対する復興援助の計画というものをお出しになったことがあった。時間があればそれを聞きたいけれども、あなたは実にスマートなことを言われるけれども、あなたの言われることはみな途中で消えてしまった。これも消えたんだが、それは別にしておいて、せめて三木さんでも、そのほかの人がみんな外務大臣をやっていても、こういう残酷なまねは宮澤外務大臣でなければやらぬと私は思うんだ。北ベトナムの使節が、無償援助しますという地ならしが全部済んでいて、向こうの代表が三月の十八日から日本へ来て、四月の四日まで一切の話の根回しが済んで、十億ドルの交渉をしましようと言ったのを、くるっと三月の二十八日に唐突として、南ベトナムの形勢が悪いといったら、さっき安宅君が言ったが、九十億円の援助をして、やるから来いと呼びつけておいた北ベトナムのその使節団には、五十億をばっと――それはやると決めたんでありまするから、やらぬとは言えない。それを無期延期だ。無期延期だと言ってそれを延ばして、すごすごと、調印の判こも押させないで北ベトナムへ帰しているのであります。北ベトナムの要人は北京で涙を流して言いましたよ。この日本の残酷非道な宮澤外務大臣がいる限りは、わが国は断じて日本のこの強権主義、覇権主義の外交交渉には応じません。いまようやく北ベトナムが勝ったら、あなた方は、今度はエコノミックアニマルじゃないけれども、また大企業の先兵になって、北ベトナムに大分資源があるから、プロジェクトチームでもつくって送り込もうなどと策謀しているが、この五十億円の、涙を流し、血を流して買ったこの恨みを日本が晴らさぬ限り、私どもは正常な外交関係に入るわけにはいきませんと言った。まずこれからですと言った。この話、三木さん御存じでしょう。あなたはこれをどう措置されるのか、私は承っておきたい。宮澤さんの答弁は要らないです。あなたの答弁なんか要らない。
○宮澤国務大臣 事実関係にお間違いがありますから、それだけ直させていただきます。九十億円をぽんと払ったという事実はございません。
○三木内閣総理大臣 北ベトナムとのことは、これは日本の約束でございますから、すみやかにこれは実施をいたします。
○小林(進)委員 私は、事外交に関する限りは、まだささやかながらこの内閣に信頼を置くのは三木総理だけです。あなたの心の中にある一点のともしびが絶えれば、日本の外交はやみだ。そのかすかなともしびが燎原の火になることを私はお祈りをいたしまして、残念ながら時間が切れましたから、最後に、委員長一点申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 最後に、荒舩委員長にお伺いをいたします。
 今次、予算委員会において最も重大な議題として取り上げられました問題は、日本の安全と防衛に関連をいたしまして、アメリカの核兵器が日本に持ち込まれているか、あるいはアメリカの核兵器が、核の貯蔵がされているか否かということの問題でございました。ラロック証言等もあり、政府側の答弁を何回承っても問題の解明に至らずということから、本委員会で、今次国会終了後、なるべく早くアメリカ合衆国国会に連絡をとり、アメリカに出向いて、アメリカ国会の関係議員と会議を持ち、両国の議員間において真相究明をしようということを正式に決定いたしておることは、委員長御了承のとおりであります。
 本来ならば、五月二十五日をもって国会は終わり、いまごろは渡米して、この問題の処理に当たっているはずでありましたが、会期四十日延長のため、これが不可能になりました。ついては、この問題を委員長はどう処理されるかを承っておきたいのであります。
 延長国会は七月四日をもって終了いたします。終了後、なお本委員会決定を実施するという御意思をお持ちになっているかどうかをお伺いいたしたいと存じます。
○荒舩委員長 ただいまの小林君の御発言の、核問題調査のため訪米する件につきまして、お答えをいたします。
 かねてお約束のとおり、これを実行いたします。私はうそは申しません。
 ただし、本国会の終了は七月の四日でありまして、七月及び、あるいは八月等は、アメリカの国会議員の夏休み等の関係もあると思うのでございます。これらを勘案いたしまして、なるべく早い機会に、皆様、理事の各位とともにアメリカに参りまして、つぶさに懇談をし、よく調査してまいりたいと思います。
 以上、お答えを申し上げたわけでございます。
○小林(進)委員 ありがとうございました。
 それじゃ終わります。
○荒舩委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、質疑は全部終了いたしました。
 委員各位には、二日間とも長時間にわたり御精励を願い、まことにありがとうございました。深く感謝申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後七時一分散会