第076回国会 本会議 第7号
昭和五十年十月十八日(土曜日)
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 議事日程 第六号
  昭和五十年十月十八日
    午前十一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
 漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会
  主義共和国連邦政府との間の協定の締結につ
  いて承認を求めるの件
 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融
  通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害
  に対処するための特別の財政援助等に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午前十一時四分開議
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(前尾繁三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。多賀谷真稔君。
    〔多賀谷真稔君登壇〕
○多賀谷真稔君 私は、日本社会党を代表して、政府の財政、経済演説に対し質問をいたしたいと思います。
 まず、質問に先立ち、仮谷建設大臣の、国会答弁のようないいかげんなものではないという国会軽視の発言については、議院運営委員会並びに本会議において三木総理並びに仮谷建設大臣より釈明がありましたが、わが党は、三木内閣の政治姿勢の問題として、今後さらに追及することをここに表明しておきます。(拍手)
 「三木さん、あんた国民の何なのさ」という言葉が言われておることを総理は御存じですか。先日も反インフレ・反不況の抗議集会で婦人がプラカードを掲げていました。総理なのか何なのか、実感がわかないというのです。
 日中平和友好条約締結、独禁法改正など、言ったことを一向実行しない。この十カ月、総理は一体何をやったんだろうか。やらないことばかり言う。社会的公正、対話と協調――総理が対話と協調のお題目を唱えておるとき、自民党は対決と強行をやったではありませんか。とにかく頼りにならないことおびただしいというのです。
 その原因の一つは、与党が総理の言うとおりに動かないということ。三木さんはピンチヒッターあるいはワンポイントリリーフの投手である、それに居座られては困るなどというもやもやが与党内にあると伝えられておる。もし三木さんが、田中金脈の党の危機を切り抜けるだけのリリーフ投手として登場したのならば、国民は、そんな投手は要らない、即刻やめてもらいたい、かように思っておる。(拍手)
 三木総理大臣は、一体、真の総理・総裁として、与党を統括して抱負経綸を行う意欲があるのかどうか、まずお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 前国会終了後二、三カ月で経済見通しの大幅改定、巨額の歳入欠陥、中央地方の財政危機を露呈いたしました。これは前代未聞のことであります。
 総理は、さきのわが党赤松、武藤両議員の追及に対し、インフレと不況の同時進行という資本主義各国の共通現象のせいにして、三木内閣の経済政策は誤っていなかったと強弁をされましたが、インフレと不況の同時進行は、何も三木内閣ができてから起こった現象ではないのです。すでに数年前から起こっておるのです。日本を含む世界資本主義国のこの現象の中で三木内閣は誕生し、それを前提として五十年度予算は組んだはずであります。しかもそれは、政府の政策、すなわち総需要抑制という名の政府主導型の政策の中で生じた歳入欠陥であります。法人税三五%、申告所得税三七%、源泉所得税一〇%、租税及び印紙、計三兆八千七百九十億円の欠陥であります。すでに生産、出荷は昨年の十月ごろから大きく落ち込んでおる。生産、出荷とも一月、二月は二〇%も落ち込んでおるのです。でありますから、当然前通常国会において補正をする構えをしなければならぬ。しかるに、春闘にのみ圧力をかけて、五十年度予算編成の際の経済指標において、個人消費一八・四%、源泉所得税の収入算定基礎に一人当たり一七%と見込みながら一三・一%に抑え、予算歳入の基礎をみずから崩したではありませんか。この責任は一体だれにあるのですか。これだけの経済政策の失敗を行いながら、だれからも辞表が出たという話を聞かない。無責任内閣の典型であります。総理、副総理、大蔵大臣、それぞれ御所見を承りたいと思います。(拍手)
 インフレと不況の共存するこの現象は、いわば上半身は高血圧、インフレ症状、下半身は貧血、デフレ症状であります。この不均衡を直すにはどうしたらいいか。それには、インフレによって拡大した富と所得の格差を是正する、これが第一であります。第二には、物が過剰になっても値段が下がらないのでありますから、この独占支配、管理価格体制を打破する、これなくしては、今日の重いこの病を治すことはできないと思うのであります。
 以下、この観点に立って私は質問をしてみたいと思います。
 第一は、国債発行に対する国民の危惧についてであります。
 わが党は国債発行には反対です。それは、インフレの利得者の負担で不況と財政危機を打開すべきであると考えるからであります。不動産金融研究所の調査によると、全国の土地評価額が、昭和三十年十八兆から、昭和四十九年実に四百七兆と、二十三倍にはね上がっておる。しかも四十八年の一年間には百兆円という増加を見ておる。わが党が年来の主張である土地再評価税を実施せよというのは、ここにあるわけです。
 一つの試算を申し上げましょう。課税対象額百兆円でありまして、税率を二〇%といたしますと、二十兆円、この収入を五カ年で徴収をするわけです。一年に四兆円。しかし、いま土地はなかなか売れません。売れませんから、現物納入を認めるわけであります。一体そういう処置を政府はとるつもりがあるかどうか。これはきわめて明白なことであります。要するに政治の問題であります。その意欲の問題です。
 その他の財源については、すでに武藤議員から詳細に提言がありました。そうして、引当金の問題、あるいは高額所得者の所得付加税の問題、租税特別措置法の廃止その他適正な課税の問題、これで一兆円の収入が入るというわけです。ですから、財源はあるわけです。要は政府の決断です。やるかやらないか。年度内に一体やるのかやらないのか。一体明年度はどういう税制で対処されようとしておるのか。これをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、国債発行について政府の見解を伺いたい。
 第一に、インフレなき国債と言っても、結局、マネーサプライの増加になり、財政インフレになることは必至であります。それはなぜか。日本では市中消化のあり方が違う。すなわち自由な公社債市場がないからです。ですから、発行後一年たったら日本銀行が引き受けなければならぬ。そこに通貨の膨張がある。そうして、毎年こういうパターンを繰り返しておる。そうして結局、日銀と資金運用部資金、これは日銀から一時的に借りるわけですが、それが実に今日十兆円の国債総額の七〇%に及んでおる。ですから、いまから入ってくるものは皆通貨の膨張になってあらわれてくることは明らかである。これで一体財政インフレがないと強弁をされるのか、これをお尋ねいたしたいと思います。
 さらに、今後の国債残高の償還についてお尋ねしたい。
 五十年度末すでに十五兆であります。ですから、来年度の国債費というのは、利子だけでも一兆二千億、子供を含めて一人一万円以上の利子の支払いということになるわけです。これは今後の財政硬直化の大きな要因になる。あるいはまた、特例法による赤字公債の返済につきましても、政府は十年後に借りかえなしの現金償還と言っております。しかし、赤字公債は本来税収の補てん対策である。でありますから、建設公債とは違うわけであります。したがって、少なくとも赤字国債の償還はできるだけ短期に、その償還計画は年次的につくるべきであると思います。これに対する答弁をお願いいたしたいと思います。
 一体、明年度はどうするのですか。明年度は赤字公債をまた出すわけですか。これがきわめて明確でない。そうして、政府は中期の財政計画を持たない。財政審議会は、六十一兆二千億というのを五十五年度国債発行額として出しておる。これは単純な計算であります。しからば、政府としては、一体どういう今後の見通しを持っておるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、今度の不況対策として、中小企業金融に四千八百億円と述べてある。昨年末も四千五百億円です。たった三百億円しかふえていない。これで一体不況対策と言えるのかどうか。これは毎年出しているのです。そうして二兆円の枠の中に入れておる。まさに羊頭狗肉もはなはだしいと言わなければなりません。
 あるいはまた、零細預金の利子引き下げです。これは三木さん、総理として、また政治家として許されないと思うのです。あれだけこの前の国会で目減り問題が問題になっておる。それは経済的に言えばそうかもしれませんが、政治的に言うと、まさに不公正の拡大。これは政治的立場から御答弁を願いたい。
 さらに、国債の問題について関連して言いますと、私は、ここ一年間に見られた財政運営の危機を指摘したい。
 まさに財政ファッショですよ。今度の赤字国債の特例法というのは、五十一年の五月まででしょう。そうすると、これは十四カ月予算になるのです。年度末で区切るというのが、予算単年度主義の原則なんです。それによって財政民主主義が確立をしておるのです。ところが、今度の特例法はそれを踏みにじっておる。それだけではありません。この前政府は、歳入欠陥対策のために、四十八年度剰余金の二分の一を国債償還財源に繰り入れなければならないのに、それを五分の一に改正した。また、政令をもって四月の税収分を、いままでは五十年度に入れておったのを、今度は四十九年度の税収の中に繰り入れた。こんな場当たりな小手先をどうして一体弄するのですか。やれなければやれないと、はっきり国民の前に明らかにすべきでしょう。これはまさに財政民主主義に対する挑戦です。
 三木さんは、一体こういう状態をいつまで続けるつもりですか。御答弁を願いたい。三木さんは総理大臣です。
 次に、国民がいま一番心配しておるのは、一体この不況対策で景気が回復し、生活の不安がなくなるだろうかということです。総理は、昭和四十九年度の総理府統計局の家計調査を見られましたか。私は、質問を知らしてくれと言われましたから、詳細にそれを示しました。でありますから、御存じであろうと思いますから、御答弁願いたい。
 要するに、所得階層別の動向を見ると、最も低い層、大体百四十万円から百五十万円、この第一分位層が実質所得は三・三%減じておる、そうして実質の消費支出は一二・四%の減です。四百万円以上の高額所得の第五分位層の実質所得は六・二%増、実質消費は一四・一%増です。しかも一番低い層は、貯金率が九・九%から一五・八%へと上昇しているわけですよ。所得の高い層は、実質所得が伸びても、貯金をおろして消費に使っている。所得の低い層は、実質所得が下がっても、消費を節約して貯金をしておるわけです。これは涙ぐましいインフレ、雇用不安からくる庶民大衆の生活の知恵なんです。生活防衛の姿なんです。一体総理は、この統計を見てどういうふうにお感じになりましたか。
 さらに福田さんは、消費者物価の上昇の伸びが鈍化したと言われておる。しかし、これは福田副総理の政策がよかったのじゃないんですよ。所得の少ない人々が自分の生活を守るために、その生活不安から節約をしたわけです。昨日、福田副総理が演説において、使い捨ての大量消費社会に復帰することは許されませんと、こう言った。一体、この使い捨てというのはだれがやったんですか。これを奨励したのは企業なんですよ。そうして、いまインフレとデフレの間に呻吟をしている労働者は、その切り詰めの中から生活改善に努力をしているというのがその姿です。一体これはどの層に言う言葉を国会を通じてお話しになったんですか。
 今度の予算を見ると、アメリカ、フランス、西ドイツが、みんな不況対策として、大衆減税、児童手当、老齢者、身障者の年金の引き上げ、これを行っておるんです。ところが、ひとり日本だけがなぜ補正予算に頭を出さないのか。いわゆる社会的弱者対策はもう必要ないというのか。インフレを社会的弱者の犠牲において抑えようというのか。総理の見解を承りたいと思います。(拍手)
 公共事業の中で、新幹線、高速道路や、あるいはさらに本四架橋が着工されるということを聞きました。本来、かような大型プロジェクトは、第三次総合開発計画で整合性を求めて出発すべきです。突如目玉商品として飛び込んだのは、一体どういう理由なのか。高度成長型の再転換をしようとする転機をつくろうとしておるのじゃないですか。それは大手の建設会社や関係産業の救済策にすぎない。
 わが党は、不況対策として次のことを要求いたしたいと思います。
 一つは、低賃金を上げろということです。ことに全国一律最低賃金の確立とスライド制。社会保障、ことに低所得の老齢者、身障者、母子家庭、これの年金の増額。それから公営住宅を中心とした住宅政策。地方の生活関連事業の推進であります。
 三木総理が提言をされておりますライフサイクル計画というのがつくられておりますが、どうも、これを読んでみると、その基調は、結局は高福祉高負担、受益者負担、こうなっている。それはもちろん財源がなければ福祉政策はできません。ところが、わが国の労働者、被保険者は、国際水準から見ると、大体最高の額を出しておるのです。ですから、負担の少ないのは企業であり、政府である、そのことを忘れてはならないと思うのです。答弁を願いたい。
 次に、国民は、インフレの再燃を誘発しはしないだろうかという心配がある。最近の物価の動向を見ますると、卸売物価は、需給が逼迫をすると弾力的に上がる、反面、需給が緩和してもなかなか下げない、そういう傾向がある。四十九年の不況期には需給バランスが崩れた。しかし、卸売物価は下がらなかったじゃありませんか。ようやく一月になって下がり出して、また上がっている。しかも、中小の製品は三月から下がっているのです。大企業は十二月まで下がらなかった。結局、いまの日本経済は、大企業の価格管理能力というものが相当大きいものになってきておる。でありますから、何らかのきっかけがあれば潜在的価格引き上げ要因として顕在化するおそれが非常に大である、こういうことを私は申し上げたいと思います。
 そうして、もうすでに御存じのように、公共料金、酒、たばこ、郵便料金の値上げをいま強行しようとしておる。それからさらに、国鉄を初めとする公共料金の値上げ、原材料の値上げを理由とする鋼材、石油、石油化学等、通産省では新価格体系を準備しておる。いま通産省の指導というのは、減産をして、そうして値上げをしようとするのが通産省の指導ですよ。でありますから、基礎資材は第四次不況対策を見守っておる、それをてこにして一斉に上げようとしておる。でありますから、これは必至の状態である、こういうように考えなければならないでしょう。
 狂乱物価の教訓から生まれた独禁法改正案の本院修正議決案すら本国会に提出しない。これで一体物価安定を叫ぶ資格がありますか。三木総理は約束したでしょう。私でなければ独禁法の改正はできないんだと。全会一致、本院で可決された法案が提出されないなんていうことは、一体、民主政治をじゅうりんするもはなはだしい。まさに一党独裁の姿じゃありませんか。(拍手)
 副総理、あなたは最近は、年度内に一けたになると言われておる。しからば、年度末、来年の三月は一けたですか。これは答弁願いたい。と申しますのは、一回下がってまた上がるんじゃないか、こういう危惧があるからであります。どうも経済の情勢はそういう方向に来ておる。御答弁を願いたいと思います。
 次に、雇用問題です。
 完全失業者ということが盛んに統計に出る。一体完全失業者とは何なのか。就職を希望しながら一カ月最後の一週間一時間も働かなかった者です。一体、一週間に一時間も働かなくて生活のできる層は、どういう層であるか、それはほとんどは保険受給者であります。でありますから、結局、保険受給が切れますと完全失業者でなくなる。あるいは、保険をもらう資格がない者は、失業をしても完全失業者の統計に入ってこない。でありますから、傾向値としてはわかるのです。しかし、失業対策の人員としては、これは把握できない。ですから、労働大臣が盛んにその統計を見て、日本は失業者が少ないと言うけれども、完全失業者の統計に出ない方が失業者に多い。これは労働大臣は一体どう認識しておるのか、お聞かせ願いたい。
 一体、景気が回復すると雇用情勢が好転するかどうかです。いま日本では時間外労働がほとんど制限されておる。ですから、景気が回復しても、少なくとも二二%程度生産が伸びても、四十八年十一月の労働時間の水準に直すと、労働者は一人も要らない、こういう計算になるわけです。ですから、私は、景気が回復しても、雇用情勢というのはずっと残るのではないか、非常にむずかしい。しかも、いままでは成長経済ですから、何とかして人を確保しなきゃならぬという仮需要があった。いまから減速経済に移るのですから、日本経済で今日のこの労働者を将来抱えることができるかどうか、これが一つ問題点であります。一体、関係大臣はどう判断をしておるのか。
 そこで、これはまず第一には、私はなかなか困難と思います。そうすると、どうしたらいいかと言えば、量的に言えば、何といっても労働時間を短縮するのが一番早い。そうして、まず量を確保する。しかし、質的な問題は片づかないのです。結局、質的な問題はどこに移るかと言えば、中高年齢者と身障者、ここへ最大のしわ寄せがいくわけです。ですから、この中高年齢の対策というものはどういうようにやるのか。もういまは首を切られたら雇ってくれませんよ、中高年では。ですから、これは事業所別に義務づけるとか、あるいは、身障者の場合は、達成しないところからは課徴金か何か取ってくる、こういうような政策ぐらいはやらなければこの問題は解決しない、かように思います。
 そこで、問題は当面の問題ですけれども、私は雇用情勢がなかなか困難であるという前提に立って、いまの雇用保険の給付延長を六カ月、それから、企業というものは人を雇う社会的義務があるのです。でありますから、西ドイツでも連邦法がある。だから、大量解雇の制限法をやはりつくる必要がある。いま、賃金、退職金、社内預金、これもやはり立てかえ払いの制度を確立する必要がある。
 以上、御答弁を願いたい。
 そこで、私は、雇用と物価という状態をずっと調べてみますると、いままでの資本主義というのは、失業者がある限り、有効需要を増大させても、生産は増加をするが物価は上昇しない、いままでこういうような理論で進められてきた。ところが、最近はそうではない。有効需要増大は、失業者を減らすよりも、はるかに敏感に物価上昇につながっておる。でありますから、この状態を一体どういうように解決をするか。ここに私は日本にも非常にその危険性があると思う。
 そこで、日本の対策が常に後手後手に回っておるのです。インフレあるいは総需要抑制の関係でもそのとおりです。ところが、日本には余りにも政策のぶれが大きいのです。よその国に比べて。しかも、インフレ、デフレの大ぶれの過程の中で最大の被害者は、高額所得者でもなく大企業でもない、これは中小企業者や労働者や、あるいは老人や身障者や母子家庭の人々がその犠牲者である。本年の経済白書は、西ドイツの教訓として、いかにもうらやましいように書いておる。それは、西ドイツが物価を日本の三分の一に抑え切ることができたのは、社会保障が整備をされておる、住宅が確保されておる、労働分配率が高い、そうして需要管理政策と独禁政策が強力であって、政策の弾力的運営のできる基盤が整備をしておるんだと言っている。したがって、もし労働者が解雇をされたとしても、次の再就職までは失業保険、それが切れれば失業手当、ずっと続く。物価高騰には、独禁政策が強力に動く最小限度の安定装置、こういうものが必要じゃないですか。それがなければ、アクセルを踏んでもブレーキを踏んでも、最も弱い層が常に大きな犠牲者を出さなければならぬ。このことを政治家としてはお互いに銘記をすべき必要があるのではないか、こういうように思うのです。(拍手)三木総理に対して御所見を承りたいと思います。
 次に、地方財政についてであります。
 いま日本では、大都市も赤字、過疎地も赤字、これは一体どうしたのだろう。これはやはり高度成長で大都市に集中をする、隣接コンビナートに人口が移る、一千万の人口の民族移動があったわけですよ。でありますから、企業の方は集積利益をふんだんに享受をしたけれども、自治体の方は公害や集積の不利益をこうむったわけです。ですから、幾ら金をつぎ込んでも行政水準は全然上がらない。みんなそのしりぬぐいばかりやっているのがいまの自治体の姿です。でありますから、私は、そういう意味においては手厚くしなければならないとともに、その問題の根源をつかんでいかなればならぬ、こういうように思います。
 さらに、今日の不況と政府の見通しの誤りから国債が増発される。そうすると、自治体としては財源も減るわけですから、中央に依存せざるを得ない。すなわち、国債発行というのは、地方自治体としては非常な危険な状態になるわけです。自然に中央集権的にならざるを得ない、そういう仕組みになっておる。しかるに、今回の地方財政対策は、赤字国債を初めてとられた四十年、四十一年、その地方財政対策から見ると、一段と後退をしております。四十年度は、地方交付税の落ち込み額は、完全に中央の政府が見てくれました。四十一年度では、交付税率を引き上げました。臨時特例交付金及び特別事業債を発行した。今回は利子のみで、元金はすべて地方負担にさせようとしておる。しかも八月の地方交付税の算定は一体何ですか。地方税の収入の異常な落ち込みが明白であるにもかかわらず、基準財政収入額には何ら手を触れておらぬ。実質的に地方交付税法に違反しておるじゃありませんか。五十年度については、元利とも国の責任で措置してもらいたい。そうして、交付税の精神に基づいて交付税率を引き上げる、あるいは第二交付税の新設をわれわれは要求するものです。
 また、地方税の落ち込みが一兆円を超えている。政府資金はわずかに二千億、利子補給対象二千三百億円にすぎない。今回の補正で八千億からの地方債を出すわけですが、これは一体資金の確保ができるでしょうか。この保証はどうなっているか。(発言する者あり)
 いま人件費のお話がありました。盛んに人件費攻撃をしております。しかし、皆さん、福祉政策というのは、これは末端では人件費なんですよ。厚生省は役人が配賦さえすればいいけれども、末端は人件費になってあらわれている。すなわち、人件費は事業費なんですよ。ですから、福祉政策がだんだん進めば進むほど末端の人件費は高くなるというのはあたりまえじゃないですか。よって、人事院勧告完全実施に必要な財源措置をとるべきである。
 あるいはまた、地方財政を批判をして、福祉先取りを批判をしておりますけれども、結局、幾ら待っても中央政府がやらないから、やむを得ず自治体がやったのであって、政府は、批判をするよりもむしろ反省をすべきではないかと思う。(拍手)
 最後に、私は公企体労働者のスト権について質問いたしたいと思います。
 今年七五年春闘において、三木総理は、国会においても、「スト−処分の悪循環を断ち切りたい」と繰り返し表明されました。このことを、労働者はストライキ権回復についての三木内閣の前向きの姿勢であると受け取りました。にもかかわらず、現状のような政府の誠意を疑わしめるような状態が続けば、労働者は、政府の姿勢に対して非常な不信感を抱くでありましょう。
 一体、三木総理は、「スト−処分−ストの悪循環を断ち切りたい」と表明されたあの熱意はいまも変わりがないかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。そうして、総理みずからこの問題に対して積極的に取り組む姿勢があるかどうか、さらにお伺いいたしたいと思います。五十年秋に結論を出すという約束に変わりがないかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
 さらにまた、関係閣僚協議会は、結論を出す前に関係閣僚協議会として労使の意見を十分に聴取すべきであると、従来の経緯から考えますが、総理の見解を明らかにしていただきたいと思います。
 以上、私は質問を終わるに当たり、三木総理に一言いたしたいと思います。
 最近、ある新聞の世論調査によると、三木内閣の支持率が二三%に急落したと報じております。三木さんは人柄はよいが見るべき成果がない、物価・不況で減点、年内解散四七%となっておるのです。国民世論は解散を求めているのです。この際、議会の子として自認をしております三木さんは、この国民世論の動向を見きわめ、信を国民に問う手段に訴えることが憲政の常道であると私は考えるのでありますが、明快な御答弁を願いたいと思います。(拍手)
 以上をもって質問を終わらしていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 多賀谷君の私に対する御質問は、私の政局に対する決意、経済政策の失敗の責任ということを最初に言われましたが、わが国経済はかつてない難局にあるわけでございます。したがって、私は、この困難を克服して、日本の経済を安定路線にこれを持ち来らすために、全力を傾けて私の責任を果たしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
 また、経済政策については、多賀谷君御承知のとおり、私ども三木内閣が出発をいたしましたときには、物価の上昇率は卸売物価が三一・三%、消費者物価が二四・五%という、一年間のこういう上昇率を見たわけでございます。こういう物価の上昇というものがそのままにインフレが高進をするならば、日本経済が破綻に瀕することは明らかであります。国民もまた物価の安定ということをひとしく三木内閣に望んでおったことでございますから、私としても、まず物価の安定ということについて政策の重点を置いたわけでございます。その結果、物価が鎮静の方向にある、向いたということを見きわめて、今回は第四次不況対策によって本格的な景気の政策に乗り出したわけでございまして、もしこの物価の上昇をそのままに放置して中途半端な政策をとれば、日本経済というものは、非常に不健全な状態に陥ることは明らかでございます。
 したがって、今日まで三木内閣がとってきた経済政策の後を振り返って見て、大筋において失敗をしたとは考えていないわけでございます。(拍手)
 また、次に、今回の公債発行がインフレをもたらさないかということでございますが、今回の公債発行は、景気の停滞に伴う税収の落ち込みの補てんとして、公共投資など不況対策を行うというものでございまして、公債発行を行わず、歳出の削減や、あるいはまた、いろいろ御指摘になりましたような増税をやれば、不況が一層深刻になることは明らかでございます。公債発行によって財政支出を行い、財政の力で経済活動を上向きにさせるということは、財政として当然にとるべき手段であると思うのでございます。また、経済の実体面では、稼働指数が八三%程度に落ちている現状では、公債発行が直ちにインフレになるとは考えていないわけでございます。なお、市中消化の原則は堅持をしてまいりたいと考えております。
 また、今回のこの不況対策が景気回復につながるかというお話でございましたが、今回の第四次の総合対策はおおむね三兆円の需要創出効果があり、これによって、五十年度の下半期の成長率は六%程度の順調な回復軌道に乗るものと考えておるわけでございます。だから、われわれは、高度経済成長のような夢をもう一度取り戻そうという考えはありません。やはり、安定した適正成長の路線に、国民生活の面においてもその路線に適応した転換をお願いをしなければならぬということでございますが、景気が順調な回復をいたすものであると考えておるわけでございます。
 また、四十九年度の家計調査をいろいろ御指摘になって、インフレのしわ寄せが低所得層に集中しておるというお話でございましたが、やはり低所得層においては、残業手当など臨時所得の減少などによって、所得の伸びが鈍化し、あるいはまたデフレマインドによる節約によって、消費性向が下がったことは御指摘のとおりでございます。しかし、これにはどうしてもやはり景気を回復して、そうして雇用条件を好転し、低所得層の雇用や所得、これを好転さすということが一番とるべき政策であると考えて、今回の総合的な景気対策をとったわけでございます。
 また、預金金利を据え置けというお話でございましたけれども、わが国の経済に金利負担というものが非常な重圧になっておることは事実でございます。したがって、金利水準を全体として引き下げたいと考えておるわけでございますから、その場合に、預金金利だけを据え置くというわけにはまいらないことは、御理解を願えると思うのでございます。
 また、公共料金、あるいはまた管理価格、新価格体系の形成などについていろいろお話がございましたが、やはり第四次の不況対策をとり得るに至ったのは、その背景として物価安定の傾向が定着しつつあったからであります。物価の安定こそが経済政策の基調であり、景気対策のためにも、やはりインフレを再燃するようなことがあったならば、これはもう元も子もなくなるわけであります。そういうことで、今後においても物価に対しては細心の注意を払い、インフレのない繁栄を実現することにいたしたいと思うのでございます。
 公共料金については、無理に抑制することは適当であると思いません。物価の安定を阻害しない範囲内で、適時適切な料金改定を図ることが適当だと考えるわけでございます。
 また、新価格体系への移行については、現行の需給関係を考慮すると、製品の価格の値上げが、もう即時に全面的に実現するとは考えないわけでございまして、インフレの再燃のおそれは少ないと思っております。
 また、独禁法の改正については、前国会で、参議院において審議がなされないままに廃案になったわけでございますから、これを踏まえて自民党で再調整をしているので、その結果を待つことにいたしたいと考えております。しかし、自由経済の体制のもとにおいて、自由競争の公正なルールが必要であるという私の考え方にはいささかも変化はございません。
 また、今次の不況対策が雇用情勢の緩和につながるかというお話でございましたが、雇用の情勢は、景気の後退からして非常に厳しい様相を呈していることは、多賀谷君御指摘のとおりでございます。しかし、先般決定をいたしました総合景気対策の実施に伴って、今後生産も上昇し、雇用の情勢も次第に好転をするものと見込まれております。当面の対策としては、ことに就職のむずかしい高年齢者や身体障害者に重点を置いて、雇用調整給付金制度の積極的な活用と定年延長指導などにより失業の防止を図るとともに、機動的な職業訓練を実施するなど、失業者の生活安定と再就職の機会を促進してまいりたいと考えておるわけでございます。
 また、地方財政についていろいろ御質問がございましたが、今回の交付税の減額は、国税三税の減収に伴うものでありますから、国においては、この減収分について国債発行などによって処置していくのであるから、地方交付税の落ち込みは交付税特別会計の借り入れによって措置することといたしたのでございます。しかし、利子は一般会計の負担とするとともに、借入金の元金については、五十一年、五十二年は据え置き、五十三年度から八年間で償還することにしております。その場合には、各年度の国、地方、それぞれの財政状態を勘案しつつ、必要があると認められるときは、負担の緩和について配慮を行いたいと考えております。
 また、政治スト、まあいわゆる政治ストと言われておる、ストと処分の繰り返し、これを断ち切りたいと私が申しましたことに対していろいろ御質問ございましたが、私としては、三公社五現業などにおいて、ストと処分−ストといったことを繰り返されておる労使関係というものは、なるべく労使間の話し合いで解決する慣行が日本の労使の間に樹立されるよう希望しておるものでございまして、その気持ちはいまも変わりはないのでございます。
 また、秋までに結論を出すかということでございますが、この秋までに結論を出したいと、いませっかく努力をしておる最中でございます。
 また、専門委員懇談会のみでなく、閣僚協として労使を直接呼んで意見を聞くべきではないかという御意見でございましたが、専門の委員の懇談会においてもすでに労使から意見を徴されており、それだけでなく、これまでも政府としては、折に触れ、労使から公式、非公式にその意見を聞いているところであり、今後ともこの方法で労使の意見を聞いてまいりたいと考えております。
 他の問題については、関係閣僚――解散の問題が最後にお話しでございましたが、私はこの困難な経済的な難局を何とかして切り抜けていかなければならぬということに全力を傾けておるわけでございまして、解散によって政治の空白を持つことが適当だとは考えておりませんので、いま解散する考え方は持っていないものでございます。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 財政政策につきましては、総理大臣からあらましお答えがございましたが、若干の点について補足させていただきます。
 第一の、スタグフレーションが依然として続いておることについて責任を問うということでございました。
 多賀谷さんが御指摘のように、スタグフレーションは以前から進行しておりましたし、また、それが世界的規模のものであることは御指摘のとおりだと思います。ただ、それがわが国に及ぼす影響、度合いというものにつきまして的確な捕捉を誤ったことにつきまして、私は深く責任を感じておるものでございまして、緊張した財政金融政策の運営を通じまして、その責任にこたえてまいらなければならぬと考えております。
 第二の点は税制の問題でございますが、今年度内に増税をするつもりはないか、明年度以降の税制についてどう考えておるかということでございました。
 今年度内の増税は考えておりません。
 明年度の税制につきましては、目下税制調査会で御相談をいたしておる段階でございまして、私からこの段階でお答えいたす自由は持っていないわけでございます。
 ただ、こういう財政危機でございまするので、税制全般にわたりまして精細に調査、検討をいたしまして、租税負担の公正を実現しながら、財政需要に対して歳入を確保するように努めなければならぬと考えております。
 第三の問題といたしまして、公債とインフレの関係につきましては総理からお答えがございましたが、償還のことについて、多賀谷さんは、財政計画を、中期計画を持ち、それに依拠して、赤字公債につきましても、年次的な償還計画を持つべきでないかという御提案でございました。
 私は、明年度以降の財政を展望いたす場合に、余りにも不確定要素が多過ぎまするので、中期的な財政計画を持つことができるという自信をまだ持つことができないことを非常に残念に思っておるわけでございます。
 ただ、あなたが御指摘のように、赤字公債は短期の間に償還しなければならぬということは、仰せのとおりでございまして、そういうラインで財政の運営はやってまいらなければならぬと決意をいたしておるところでございます。
 それから、今度御審議をお願いいたしておりまする公債特例法案は、年度会計原則を破って、今度五月三十一日までの発行した分をその年度の収入にしようということにしておるじゃないかという御指摘でございまして、そのとおりでございます。何とならば、この特例公債は税収の不足を補うものでございまして、税収の不足を確実に捕捉できますのは、三月十五日の確定申告をつかみ得た後のことになるわけでございますので、どうしても出納整理期限でございます五月三十一日までこの発行をさしていただくことが、本特例公債の目的に合致するのではないかと考えておるからでございます。
 それから最後に、福祉についてのお尋ねでございまして、補正予算にこの福祉問題についての配慮が乏しいじゃないかという御指摘でございました。
 私どもといたしましても、この財政困難なときでございますけれども、この補正予算には数々の福祉対策を予算化いたしておるつもりでございます。たとえば、米価改定に伴います生活保護基準等の改定を初めといたしまして、雇用保険の国庫負担金の追加でございますとか、あるいは社会福祉施設の職員の給与の改善あるいはその施設の整備、運営費の補助、そういったことにつきましては、きめ細かくこの補正予算でめんどうを見て差し上げておるつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 多賀谷さんにお答え申し上げます。
 まず第一に、政府の経済政策は失敗しておるじゃないか、その責任をどういうふうに考えるか。
 これに対しましては、三木総理からお答えを申し上げましたとおりに結論としては考えておりますが、とにかく、申し上げるまでもございませんけれども、経済政策、経済運営のかなめは、何といっても物価と国際収支である。まあ人の体にたとえますれば、これは脈と呼吸である。そういうような大事なものでございますが、この物価につきましては、これは私は非常に順調な推移を示しておる、こういうふうに思うのです。また、国際収支はどうかと言いますれば、これも大体スケールは縮小いたしましたけれども、その収支じりというものは、これはまあ考えたとおりの結果を示しておる、そういう状態であります。
 ただ、他方におきまして、この景気でございます。これは思ったよりもはるかに回復の立ちおくれ、こういうことになっておることは、これは事実であります。
 これは、なぜそういう状態であったかと言いますると、これは主として世界景気の落ち込みでございます。この落ち込みのことにつきまして、まあ先見性がなかったというおしかりを受ければ、これは甘んじて受けるつもりでございます。しかしながら、その落ち込みと申しましても、わが国の落ち込みは、他の先進諸国に比べますると非常に軽微な状態、つまり、今日、昭和五十年をとってみますると、世界の各国の中で、プラス成長になりそうなのはわが日本だけである、こういう状態なんです。
 ただ、そういう中におきまして、わが国で不況不況ということが言われる。それはなぜかというと、きのう申し上げましたとおり、まあ景気はずっと上昇過程にはありまするものの、世界各国がマイナス成長の中でわが日本だけはプラス成長である、そういう状態である。その中で不況であるということは、とにかく、一昨年のあの打撃というものが非常に深刻である。そしてまた、望ましい操業度水準までわが国の一つ一つの企業の状態がきておらぬ。そこで資本費、人件費の負担が非常に重く各企業にのしかかってくる。ですから、マクロでは非常にわが国の経済はいいのだ。いい状態にはあるけれども、ミクロ、つまり一つ一つの企業について言いますると、かなり苦しい状態にある。これがわが国の現状なんでありまするが、その現状を回復する、そういうことを実現いたすためには、まだ、私が昨日申し上げたとおり、これはまあ一年、一年半、その日時を要する、そういうふうにいま考えておるのでございまするが、とにかく、少ししんぼういたしますれば、そういう状態が実現できるのでありますから、私は、国民は希望を持って、自信も持ってしんぼうすべきそういうときにある、かように考えておる次第でございます。
 政府の責任は、そういう状態を着実に実現するというその一点にある、かように考えております。(拍手)
 次に、いま景気回復策を講ずるに当たりまして、個人消費支出を伸ばす政策をとるべきである、特に、減税政策をとる国が多いじゃないかというような御指摘でございます。
 私は、それは一つの意見だと思うのです。わが国も、資源が非常に豊かであるという国でありますれば、当然そういう考え方をとってしかるべきである、こういうふうに思うのでありまするが、いま資源有限時代という、そういう時代になってきた。そのわが国といたしますると、あの使い捨ての経済状態というものを復元するということは、これは非常に問題だろうと思うのです。
 そういうようなことを考えなければならないし、また同時に、いま大蔵大臣からるる申されたように、多額の国債を発行しなければならぬ、その国債は完全消化されなければ、これはインフレにつながってくるのです。それはどういうふうにして実現するかというと、やはり国民に節約を求めなければならぬ、そして貯蓄をしてもらわなければならぬ、それが国債を消化する根源になるわけなんです。
 そういうことを考えましても、これはどうしたって人為的手段、すなわち所得減税、個人減税をやってまで消費を刺激するという、そういう政策はわが日本としては妥当ではない、こういうふうに考えております。
 この間、アメリカの政策当局とちょっと話をしてみたときに、わが国はそういう考え方で個人減税主義はとらぬという話をしてみたのです。アメリカではどうすると言ったら、私の方はそういう減税をやるのだ。しかし、日本の立場はわかると言うのです。わがアメリカが日本のような状態であったら、私どもも公共投資中心の景気対策、政策をとるでしょう。ところが、わがアメリカは、もう衣食住、つまり社会開発投資をする余地というものが非常に少なくなってしまったのです。日本は衣食は足ったけれども、住宅はどうだ、住宅環境はどうだ、非常に不足がある、そこへ景気対策の目を向けるというのは、これは当然だと思うというふうに言っております。そのことも付言をいたしておく次第でございます。
 第三に、多賀谷議員から、今後の物価政策について多大の危惧を持っておる、一つは、新価格体系への移行と称して、企業に価格引き上げの動きがある、また、政府においても公共料金引き上げを企図しておるという話でございますが、大局的に申し上げますと、確かに公共料金を上げますれば、それは物価にはそれなりの響きがある、あるいは企業が新価格体系と言って値上げをいたしますれば、物価にはそれだけの響きがあるのです。
 しかしながら、企業について言いますると、大体あの石油ショック、あれはとにかく四倍、五倍に石油の値段が上がったのでありますから、これは新しい価格というものができなければ不自然でございます。でありますから、多くの企業は新価格体系というものをとったのです。ただ、立ちおくれというか、その新価格体系への乗りおくれのものがある。石油のごときはそうだろうと思うのです。そういうものについて多少の調整の余地があるということ、これは御承知願わなければならぬことであろう、こういうふうに思うのでありますけれども、大方の企業におきましては、もう新価格体系に移行済みである、そういうふうに考えております。
 そういう中で、特に公共料金につきましては、これは政府が関与しておりますものでありますから、物価政策の非常にむずかしい折でありますので、ずいぶん長い間抑えておった。しかし、これを抑え切るわけにはまいりません。それで、逐次、これは公共料金といえども新価格体系へ移行させなければならぬというときに来ておるのであります。さように御理解をお願いしたい、かように考えております。
 次に、今度の不況対策におきまして、新幹線でありますとか、あるいは本四架橋でありますとか、そういうものの着手を考えておる、これは高度成長復元への端緒を開くものではないかというようなお話でございますが、そうじゃないのです。この景気対策といたしましては、治水でありますとか、上下水道でありますとか、公園でありますとか、道路でありますとか、あるいは個人住宅への貸し付けでありますとか、あるいは公害防止関連融資でありますとか、中小企業対策でありますとか、雇用面に対する対策でありますとか、そういうものが主力になっておる。
 ただ、たとえば東北新幹線につきましては、もう工事が、予算がなければストップしてしまう、一万人の雇用失業者が出てくるというような緊急な状態もある。そこで、そういう行きがかりになっておるところの新幹線の工事を継続するというようなことを考える、これは私は当然のことだろうと思うのです。
 また同時に、本四架橋につきましても、長い間四国の方々が架橋を念願しておる。これは、本四架橋を三本を一遍にかけるなんということは考えておりません。これは一本化するという考えでございまするけれども、全体計画に支障なく一部着工し得るものにつきましてこれを取り上げる、これも私は思いやりのある態度である、かように考えておる次第でございます。
 他につきましては、総理からも全部お答えをいたしておりますので、省略をいたします。(拍手)
    〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
○国務大臣(長谷川峻君) 雇用関係についての御質問でありますが、一番先に失業の定義についてのお話がありましたけれども、これは関係法令とか、いろんな統計上使い方がまちまちでありまして、そのときそのときに用例に応じて使うことでありますが、一般的に私たちは、労働の意思と能力を持ちながら職場から離れている者、そういう人々を失業者と、こういうふうに考えておりまして、現在、八月で、失業者で雇用保険の支給を受けている者は八十七万となっております。
 さらに、総理から中高年齢問題につきましては御答弁ありましたが、最近のような厳しい雇用情勢になりますと、中高年齢者と心身障害者が最もしわ寄せを受けるおそれがあります。こういうときでございますから、一たん離職をしますと、なかなか再就職が困難で、これらの人々の雇用の安定を図ることは政治の大事な課題だと思っておりまして、御質問のように、このために心身障害者についての、来年度においては現行の身体障害者雇用促進法の改正も含めて、目下検討を進めておりまして、さらに、中高年齢者の雇用対策につきましても、高年齢者の雇用率の設定なども含めて現行の雇用率の制度について再検討を行って、その実効を期してまいりたいと、こう思っております。
 時短と週休の問題につきましては、三十五年以来週休二日制というものが行われて進んでおりますが、最近のように、景気の停滞に伴いまして、雇用調整の一環としていま行われております。しかし、最近のように非常に雇用、失業情勢の厳しいときでありますから、これらのことを十分に考慮して、それぞれの企業が実態に即して今後ともやるように指導してまいりたい、こう思っております。
 最後に、多賀谷さんから、当面の対策としてやるべき問題について、三つばかり御質問がありました。
 一つは、失業給付の延長とか、あるいは大量解雇の制限とか、未払い労働債権の立てかえ払い、これらについてお答えいたします。
 まず第一に、雇用保険法では高年齢者の給付日数を三百日としております。こういうことによって再就職の困難な者に対して給付日数を長くするとともに、給付日数の延長制度についても、拡充あるいは整備を行って、いままでのような失業保険制度に比べますと、失業補償の機能を格段に充実しているところであります。
 さらにまた、労働者の解雇、これは大変なことでございますが、御承知のように、解雇の予告制度もございます。大量解雇の場合には届け出制度等がありまして、さらにはまた、判例によって、解雇権乱用の法理の定着によりまして、使用者の恣意的な解雇はできないようになっておることも御承知のとおりであります。法にもとるところの解雇が生じないように、これから先も厳重に監督指導してまいりたい、こう思います。
 企業の倒産によって生じた賃金不払いの救済につきましては、さきの国会においても、社会労働委員会の附帯決議などもありますし、また、そういうことを考えまして、不況の進行に伴ってその必要性がさらに高まっているというように判断されますので、明年度から何らかの具体的な援護措置を講ずるように、できるだけ、いま鋭意検討を進めているところであります。御理解いただきます。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(前尾繁三郎君) この際、午後一時まで休憩いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時六分開議
○議長(前尾繁三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(前尾繁三郎君) 正示啓次郎君。
    〔正示啓次郎君登壇〕
○正示啓次郎君 私は、自由民主党を代表して、昨夜この議場で行われました政府の財政、経済演説に関連し、当面の重要な問題について質問をいたします。
 まず、先般の天皇、皇后両陛下の御訪米に際しての米国朝野の心温まる御歓迎ぶりに対し、日本国民の一人として、衷心感謝の念を披瀝いたします。(拍手)
 首席随員の大任を果たされた福田副総理、まことに御苦労さまでした。(拍手)
 さて、去る九月十六日の本議場において、三木内閣総理大臣が所信を表明されたのでありますが、その中で総理は、今日の日本経済が、インフレと不況が併存し、物価安定策と景気浮揚策とが同時に求められておる未曾有の難局にありと断ぜられました。しかも、物価の安定があってこそ、景気浮揚の積極的政策をとることができ、国民の福祉のためにも、その前提となり基盤となるものは物価の安定であると喝破せられたのであります。このような確信のもとに、物価の安定を経済政策の最重点課題としてとらえ、総需要抑制政策を強力に推進してまいった結果、さしもの狂乱物価も落ちつきの様相を示し、消費者物価一けた台の目標も来年三月の年度末を待たず実現可能の見通しであると述べられたのであります。
 しかしながら、日本の経済と今日の財政、金融の実体は、昨夜の演説でも明らかなとおり、いまこそきわめて重大な局面に差しかかっておることは、私があえて改めて指摘するまでもないと存じます。したがって、これに対する応急の施策ともいうべき今回の補正予算その他の対策の樹立、実施のためにも、総理は、いわゆる国会の解散など毛頭お考えになることなく、一意専心、こうした緊急施策の適切な実施に全身全霊を挙げて取り組まるべきであると確信をいたしますが、これに対する総理大臣の御所信を、先ほどは多賀谷真稔さんには、いま解散は考えていないというお答えでありましたけれども、もう少し代議士の心理をよく御理解の上、議会人の、いわゆる議会の子である総理でございますから、明確にこの際、この議場を通じて明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、福田副総理にお尋ねをいたします。
 一昨年秋のいわゆる石油ショックにより、日本経済は、副総理の有名な表現をかりますと、いわゆる全治三カ年の重傷を負ったのであります。そして当時、あの燃え盛るインフレの火の手を静め、悪化した国際収支の傷をいやすため、一見無慈悲とも言うべき総需要抑制政策、その他の価格安定政策が強力に展開せられました結果、四十九年度末には、消費者物価の対前年同月比上昇率を一四・二%と、いわゆる一五%以内にとどめ、さらに本年八月には、一けたまであと一息のところまで持ってまいり、当面のゴールとも申すべき来年三月の一けた目標へと着実に前進しておることは、まことにおみごとと申すほかはございません。
 このようなインフレ収束のお手並みは、海外主要国でも高く評価されておるところでありますが、この施策を成功に導いた大きな要因として、ことし春のいわゆる春闘における賃上げ交渉が、労使双方の良識と節度ある態度により、きわめてなだらかな結果に終わったことこそがまさにその最大の要因であったこと、副総理の指摘せられたとおりであると存じます。
 このように、民間企業における労使が、インフレの脅威と雇用問題の深刻さをはだ身に感じて、あの高度成長時代とは打って変わったりっぱな先見性を示されたことに、ここで改めて深く敬意を表するところでありますが、他方、これに反し、破産、倒産の憂き目を知らない官公労の労使関係者や、企業といえば、ただ重税をかけてしぼり上げることしか知らないような空理空論を主張する一部野党の方々には、何よりも大切な雇用問題ということを考えると、この際、深く反省を願わなければならないと存じますが、副総理、いかがでございましょうか。(拍手)
 副総理に対する第二の質問は、三木総理とともに明確にせられたとおり、物価の安定、インフレの収束を第一義とする適切な政策の選択によって当面の混乱が一応収束せられ、経済再建の希望をつかむことができそうになりますと、俗に、いわゆるのど元過ぎれば熱さを忘れるとか、また、ことわざに言うとおり、隴を得て蜀を望むのが人情なのか、とにかく一部俗耳に入りやすい世論の中には、どうも福田さんは物価にばかり力を入れて、景気対策を忘れているなど、口さがないことを申しておるようでございます。こうした非難の的外れであることは、昨夜の演説でもきわめて明快に示されており、私自身もまた、しばしば一次から三次までの財政金融対策や、このたびの第四次対策立案の過程において、副総理、大蔵大臣、親友である日本銀行総裁、その他関係閣僚の御苦心の実情を知悉しておりますので、いまさらの感もないわけではありませんが、一言改めてお伺いしたいのであります。
 それは、一次から三次にわたる対策で一体どの程度の効果を期待し、かつ実際に上げられたのであるかということであります。また、今回の第四次対策を必要とした理由と、それによって所期する効果いかんということであります。
 さらに、景気対策の具体的な方法論といたしましても、公定歩合の引き下げをもっと早く、かつ大幅にとか、財政主導型ではなく、むしろ金融主導型にとか、西ドイツ等に比べてまだ高い金利水準のいま一段の引き下げをとか、いろいろと議論がありますが、これらに対する副総理の御所見を改めて明確にお示し願いたいと存じます。
 第三のお尋ねは、マクロ的に見た経済全体の様相と、ミクロ的に見た企業経営の実態との関係についてであります。
 今回のいわゆる第四次不況対策については、副総理がさきのブラジル訪問旅行御出発前、いち早く大平大蔵大臣と十分打ち合わせをされ、第一次から第三次までの景気対策で、生産の増加、企業の操業度のある程度の上昇など、好ましい徴候もあらわれていたが、人件費や金利負担に耐えながら、二十兆円ないし三十兆円にも上る膨大な需給ギャップのもとで、製品価格のいわゆる逆ざや現象に悩む企業が損益分岐点の水面下に停滞していることが、今回の大幅な租税収入落ち込みの主たる原因であることを的確に認識され、かかる財政非常の際ではあるが、あえて凡俗のとかく陥りやすいじり貧を避けて、東洋流の禅の極意に徹し、いわゆる死中に活を求めて、思い切った赤字国債の発行に踏み切られた。これは、私は大変な御英断であると存ずるのであります。そして、こうした財源により、公共投資を中心とする予算及び財政投融資の大幅な追加を行い、総需要創出効果約三兆円程度と見込まれる今回の景気対策を練り上げられたその御決断に対して、私は、ここに改めて満腔の敬意を表します。
 さて、このたびの補正予算その他の施策は、今日の経済の危急をしのぐ、いわば応急的な対策と考えますが、これが実施により、わが国経済は今後いかなる経過をたどって立ち直っていくのでありましょうか。そのお見通しを示していただきたいと存じます。
 さらにいま一つの質問は、新しい経済社会への展望であります。
 昨晩お述べのとおり、世界的な資源の制約、国際経済社会における協調、そして、国内的には物価、雇用の安定、国際収支の均衡、環境保全等と並立できることを前提に、調和のとれた安定的な成長軌道を目指して日本経済を立て直すために、将来の経済運営と国土総合利用の指針として、昭和五十一年度を初年度とする新たな長期計画を策定する作業を進めておられるのでありますが、これについて、一、二お伺いをいたします。
 その一つは、後で大蔵大臣にお伺いする将来の財政の展望とも関連するのでありますが、いわゆる高度成長時代と異なり、国民総支出の中で、民間企業の設備投資のシェアが後退して、政府支出のシェアが大きくなっていく傾向についてであります。もちろん、わが国は、平和憲法のもとで、他の諸外国と防衛費の点で大きな相違がありますが、過去においては経済大国への高度成長路線をひた走りに進んだことが、その民間企業の設備投資が格段の大きさを維持してきたことに示されていたのに対し、安定成長の軌道を進む場合、相当の変貌を遂げるものと考えますが、いかがでありましょうか。
 次に、先ほど社会党の多賀谷さんもお触れになりましたが、安定成長のもとで、経済成長率と雇用の伸び率、また、いわゆる生産性の向上を前提とするインフレなき繁栄のための賃上げ可能限度の見通しについて伺います。
 仮に、安定成長軌道の成長率が六%――これは六%とお決めになったわけではありません。しかし、仮に私が六%程度と仮定をいたしまして、人口増や中高年齢層及び身体障害者等の雇用問題をあわせ考え、どの程度の雇用の増を確保しつつ、物価の安定を撹乱することのない賃上げを可能とするのでありましょうか。その辺の構想をお示しいただければ幸いと存じます。
 次に、大平大蔵大臣、私、大蔵省時代から大変お親しく願っておる大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 先ほども申しましたとおり、このたびの財政、金融の総力を挙げて、総合的な景気対策に踏み切られた御決断には、心から敬意を表します。特に国の財政において、新憲法や新財政法のもとで全く初めての巨額な赤字国債の発行を決意されたこと、地方財政についても、少なくとも本年度の地方財政計画の実施に必要な手当てをせられ、その上に、景気浮揚に必要な財政支出を中央と地方を通じて支障なく実行せられる態勢を整えられたこと等は、まさに画期的と申すべきであります。今日まで公共事業の繰り上げ施行等に努められても、財源難の地方公共団体がつい十分こたえられなかったこと、単なる支出の繰り上げでは、その後始末は一体どうなるのかと、民間企業が警戒的な態度を崩さなかったこと等が、経済の沈滞を予想以上に長引かせた一つの原因ではないのでありましょうか。いまや、そうした障害や疑心暗鬼を払拭して、財政面から相当思い切った有効需要の創出が行われるとともに、金融政策、特に金利水準の引き下げやマネーサプライの適正化によって、経済の実態が漸次明るさを増してくるものと確信をいたします。もちろん、そうした施策の基本に、物価の安定を第一義とする太いフレームワークが作動しておることは申し上げるまでもありません。
 そこでお尋ねの第一点は、今日の財政の非常事態に際会して、新しい憲法の財政関係条項や財政法の原案を作成した当時の事情を思い起こし、御承知のように、予算と条約だけにつきましては、国会議決に他の案件と異なる特別優遇規定が設けられておることは申し上げるまでもありません。これに反して、予算といわば一体不可分の関係にある歳入歳出関係法律案については、何らのそういう特別規定が定められていないということについて、国の財政の最高責任者大蔵大臣、一体どういうふうにお感じになっておられますか。
 いわゆるバジェットプロパーとバジェット関連のビルとの関係とでも申しましょうか、予算がせっかく成立しても、これを実行するために必要な法律が成立しないために、予算そのものをフルに実行できないという、きわめて異常な事態を体験している日本の議会関係者の一人として、この際、議会人全体に呼びかけて真剣に考え直してみなければならないことだと存ずるのでありますが、いかがでありますか。たとえ個々の政策には賛否の差ありとしても、それらの政策の総合であり集大成である予算が成立すれば、これを中途半端な不具の形で実行しなければならない事態に追い込むことは、どうしてもフェアとは言えないように感ずるのであります。やらせる以上は完全な形でやらせてみる、そして、その結果について責任をとらせる、これが本当の正しい議会制民主主義のあり方ではないのでしょうか。
 たとえば、いま最も難航している酒、たばこ、郵便料の値上げ問題のほかに、たとえば一番大事な遺家族や傷痍軍人の恩給問題もあります。内閣委員長は御承知のとおり。このいわゆる値上げ三法案、これはいままでに最大限度の重点を置いて強調してまいった物価安定第一主義の政策選択のもとでも、真に例外的な、やむを得ない唯一の事例であり、物価公約にも織り込み済みのものであり、いわば新しい安定価格体系に移行する過程の必須条件とも言うべきもので、東京都の公共料金値上げ問題などとは本質的に相違していることは申すまでもありません。
 そして、それよりもさらに強く、また切実に、以上に申し上げたことを痛感させられるのは、ほかならぬ今回の補正予算の最も重要な支柱となっておるところの、かのいわゆる特例公債の法律案でございます。万一、これが成立しないというようなことは、いま予想のほかでありますけれども、そうした不測の事態でも起こったなら、一体どうなるか。それこそ、せっかく光明を見出す……(発言する者あり)そんなことで済むものですか。せっかく光明を見出しかけた日本経済を再び暗黒のるつぼの中に突き落とし、地方財政もまた全然動きのとれない状態に陥り、われわれの本当に切実な雇用問題についても深刻な結果を引き起こすことでありましょう。
 ここで大平大蔵大臣から率直な御見解を伺って、今日の財政非常事態に処する政府の決意を明らかにしていただきたいと考えます。
 お尋ねの第二点は、今回思い切って取り入れられた相当巨額の国債や地方債について、今後適正な管理政策を確立せられるものと確信いたしますが、その構想の概略を示していただきたいということであります。
 申し上げるまでもなく、いわゆる建設国債にせよ、またいわゆる特例国債にせよ、その発行が必要最小限度にとどめられるべきであり、かつ、あくまでも市中消化の原則を堅持すべきことは当然であります。しかしながら、従来に比べて国及び地方公共団体の財政が、いわゆる高度成長時代のような多額の自然増収を期待できず、やむを得ないこととして必要最小限度の国債及び地方債に依存する場合、この国や地方公共団体自体の信用度を示すものともいうべき国債や地方債が、その市場における値崩れを起こさないような適切な管理を必要とするものと考えますが、いかがでしょう。
 また一方では、すでに申し上げたとおり、いわゆる安定成長軌道に乗った日本経済の中では、かつてのように、民間企業の設備投資のシェアが後退して、財政支出のシェアが相対的に大きくなっていくものと考えられます。ちょうどきのう、十月十七日は、余り国会の先生方は御存じないのですが、いわゆる貯蓄の日であったのです。古い時代には、勤労感謝の日であったのと同じく、貯蓄に励む意義深い記念日であったのであります。高度成長時代、とかく土地の値上がりばかりを追いかけて、これを投資の最上の対象として右往左往した大衆は、一体いま何を考えておりましょうか。せっかくの大衆の貯蓄意欲を損なうことなく、最も健全な、しかも老後に安心できる投資物件となる国債や地方債、その利回りは一体どうなるのか、そして、その安定の度合いはどうであるか、これこそ、まさに安定成長時代の投資収益の基準ともなり得るものではありますまいか。
 したがって、こうした国債や地方債に対する適切な管理政策はきわめて重要な問題と考えますので、大蔵大臣の御見解を伺っておきたいのであります。
 ここで、くしくも、かの有名な二・二六事件当時、ニューヨークの財務官事務所に勤務しておりました私、高橋大蔵大臣の非業な最期に際し、その発表が日本の外債――アメリカが主でありますが、外債相場を崩すおそれありとの理由で、まず最初に、高橋大蔵大臣は重傷を負われたと発表した、そして外債相場の急落を防いだ故事を思い起こすのであります。若い大蔵省の諸君の何かの御参考になればまことに幸甚だと思います。
 最後に、私は、将来の財政金融の展望についてお尋ねいたします。
 今年度も来年度も、国と地方の財政はきわめて厳しい試練の道をたどるものとの大蔵大臣の御想定に、私も残念ながら同意見であります。しかし、先刻副総理にもお尋ねしたとおり、日本経済自体が健全な安定成長軌道にいわゆる軟着陸をいたしまして、インフレなき繁栄の基盤が固められるに伴い、財政も金融も、ともにその健全性を回復して着実な発展を遂げるものと確信いたします。その際、大蔵大臣は、新しい歳入源として、また世界にすぐれた福祉国家の歳入体系として、さらにまた、これに対応するいわゆるチープガバメントの新しい行財政の仕組みとしていかなる姿を構想しておられるか、その一端でもお示しいただければ幸甚であります。
 以上、私は当面の重要問題についてお尋ねいたしました。
 最近の国会の動きは必ずしも内外の期待に沿うものとは申せませんが、しかしながら、さきに社会党、民社党の代表の方々が訪米せられ、最近はまた公明党の大会で、いずれもきわめて現実的な政策路線が打ち出されましたこと、こうした動き、それはわれわれ議会人にこの上ない希望と勇気を与えてくれるものであります。(拍手)
 三木総理、最初に申し上げましたとおり、まさに一刻の遅疑逡巡も許されません。私は最近、尊敬する勝海舟の本を読み直しておりますが、勝海舟の本の中に「正心誠意」ということがありますが、総理、正心誠意、文字どおり確固不動の信念を固められて、この難局を突破せられますよう、そして、日本民族に輝く将来への展望と希望を与えていただきますよう、重ねて強く要望申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 正示君の御質問にお答えをいたします。
 正示君も最初にお触れになりましたが、天皇、皇后両陛下には二週間にわたってアメリカ合衆国を訪問され、日米親善の大きな功績を残して無事御帰国あそばされました。国民の皆さんとともに、喜びにたえない次第でございます。(拍手)また、その間、アメリカ大統領を初め、国民の温かい歓迎に対しても感謝の意を表しておきたいと思う次第でございます。(拍手)
 正示君は、今日の困難な時局を乗り切るためには解散などをすべきではない、政局の安定を図るべきであるという御意見でございました。私もまた、今日の経済的な難局は、いまだ日本が経験したことのない未曾有の難局であります。この難局を乗り切るためには、正示君の御指摘のように、確固不動の信念のもとに、国民の協力を得て、この難局を乗り切ることが、絶対に必要な、今日責任を持つ者に求められていることであると考えますので、解散などによって政局の不安定――不安定と申しますか、政治の空白をもたらすようなことは、私は考えておらないことを明らかにいたしておく次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 正示議員は、今日までの経済の推移につきまして、これを高く評価され、その中で、特に労使の協調ということが非常に大きな問題であったということを御指摘になったわけです。私は、まことに同感でございます。
 私は、一昨年の暮れ、大蔵大臣に就任した。その直後、この席で、この混乱した経済を一体回復できるかどうか、それを決める天王山、関ケ原は、まさに労使協調ができるかできないかの一点にあると言ったことを、ここで思い出すのです。
 しかしながら、ことしの春闘があのようななだらかなことになった、これがわが国の経済を再建できるそのきっかけである。私は、これに対しましては、労使双方に対しまして、その良識、節度に対しまして、大変敬意を表しておる次第でございますが、特にその中におきましても、正示議員が御指摘に相なるように、とにかく官公労、この諸君の節度を要請し、期待してやまないのであります。
 次に、正示議員におかれましては、最近、物価安定よりは景気を重視せよという意見が強くなったが、これに対しまして憂慮の色を浮かべながら、私の見解を求めておられるのであります。
 私も、この点につきましては、重大な関心を持っておるのでございまするけれども、とにかく今回第四次景気対策というものを打ち出すことができた。これによる展望、下半期、六%年間成長というものが期待できる。こういう積極的な施策ができるようになったことは何かと言えば、とにかく物価の安定ということが実現できたからなんです。景気のことだけを考えて物価のことは顧みないというならば、これはいとも事は簡単にできるんです。しかし、物価の安定なくして何の景気ぞや、経済の成長ぞやというふうに思うのでございまするけれども、とにかく物価の安定も、また経済の成長も、これを同時に実現しなけりゃならぬというところにこそ問題があるのであります。正示議員がまさに指摘されるように、私も、景気、これは大事なことでございまするけれども、物価の安定を犠牲にしてまで、この景気ということを考えることはできない。このことは国民にはっきり理解していただかなきゃならぬ、こういうふうに思うのであります。
 また、正示議員におかれましては、政府の景気対策としてとりました第一次、第二次、第三次の景気対策、あるいはこの速度は遅きに失したのではないか。あるいは公定歩合、これが〇・五%、〇・五%、〇・五%と小刻みに行われた。これも遅きに過ぎたのではないかという意見もあるが、所感はどうかというようなお尋ねでございまするけれども、ただいま申し上げましたように、これは一方において、われわれは物価のこともにらまなきゃならぬ。景気、これはもとより大事なんだけれども、物価を損なってはならぬ、そういう配慮をいたしますときに、これは景気対策をそう華々しく一挙にというわけにはまいりません。
 しかしながら、私は、この第一次、第二次、第三次という政府のとった景気対策、これはかなりの効果を発揮していると思うんです。先ほども申し上げましたように、世界じゅうがいまマイナス成長だ。その中で、わが国だけがとにかくプラス成長なんです。いま輸出が減退しておる、設備投資が沈滞しておる、消費も伸び悩みであるというその中で、何ゆえにプラス成長に総合してなったかというと、これは財政がその牽引力になっておる。これは数字を見ればはっきりしておるのです。ですから、第一次、第二次、第三次のこのなだらかな対策、私は妥当な措置であった、こういうふうに思いまするが、金融政策におきましても、私はあの小刻みな公定歩合の引き下げというものは、日本銀行において慎重に物価に対して配慮したそのあらわれである、こういうふうに思うのであります。
 アメリカが、いま世界じゅうから高金利だ高金利だ、これを低金利にしなさいというふうなことを迫られておる。それに対して頑強にアメリカは金利は下げません、こう言っておるのです。何だというと、一方においては景気政策をとらなければならぬ、減税政策を行います。そういうふうないろいろな施策をとるけれども、政府全体としては、インフレの再燃ということを、これは非常に重視しておる。その象徴がこの金利政策、これにあるのだというふうに主張しておりますが、私は、日本銀行のとりました施策というものは非常に慎重なものであった、かように評価いたしておる次第でございます。
 さらに、正示議員におかれましては、第四次対策、これに基づく今後の景気の見通しはどうかというようなお話でございますが、私は、非常に伸び悩んでおりました上半期の経済成長というものは、この政策によって回復への手がかりを確実につかみ得る、かように考えておるのであります。
 下半期といたしますると、年率にすると実質六%成長、かなり高いものになる。また、その結果、雇用の関係も非常に改善されてくると思います。問題のデフレギャップ、需給ギャップ、つまり操業度の問題であります。企業操業度は、稼働率指数にいたしまして九〇%の水準に近づく、かように考えておるのであります。
 さらに、正示議員におかれましては、長期計画、これを一体どういうふうに考えるのかというようなお話でございます。
 この点につきましては、昨晩の私の演説におきまして詳細に申し述べておりますので、多言を避けますが、やはり資源の制約の問題、国際協調の問題、あるいは物価、国際収支、公害、自然環境、そういう諸点も総合的に考えて対処しなければならぬ。さようなことを考えますと、成長率は、いままでの高度成長時代のように、先進諸国の二倍あるいは二倍半というようなわけにはまいりません。あるいは半分程度あるいは半分以下、そういうようなことになるかもしれませんけれども、これからは成長よりも生活重視という内容のものといたしまして、国民の期待にこたえてまいりたい、かように考えております。
 そういう考え方をとりまするときには、財政の役割りというものが非常に重大になる。企業の投資、そういうようなこと、これはもとより成長政策でございまするから大事でございますけれども、それ以上に、国民の力というものを財政に結集して、そうして生活の向上、また生活周辺の整備、それに努めるということが非常に重大な問題になってくるであろう、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、予算に対する衆議院の優越性が、予算関連法案につきまして認められていないわけでございますが、これについての感想でございます。
 これは憲法の問題でございまして、とかく批判がましいことは御遠慮申し上げますけれども、国会の御良識によりまして、予算の執行に支障がないように関連法案が議了されることを、私は強く期待をいたしております。
 第二に、国債の管理政策についての御質疑でございました。
 国債管理につきましては、まず規模が適正でなければならないという御指摘は、仰せのとおりだと思います。そして、市中消化の原則はあくまで守られなければならぬという御指摘も、仰せのとおり心得ております。また、市場において国債が値崩れを来すことのないように注意しろという御注意も、そのまま仰せのとおり心得ております。
 しかしながら、今後多くの公債をお願いしなければならぬ状況になっておりますので、この条件をどのように設定してまいるか、公私の債券の利子、預貯金の利子等との間でどういうバランスをとった条件を設定してまいるかということと、それから、市場におきまして、一たん発行いたしました公債が簡便に換金できるような市場を漸次整備していくことに努めなければならぬと考えております。
 第三の御質問は、将来の財政の展望という大きな課題についての御質問でございました。
 今朝、多賀谷議員に対しまして、私は、将来の財政の展望という問題は、余りにも不確定要素が多いので、なかなか至難のわざであるという意味のお答えを申し上げたわけでございます。もっとも、非常に荒っぽく、ある種の想定を置きまして将来の展望を模索してまいることは、不可能ではないわけでございまして、財政審議会等におきましても、そういった御検討はお願いいたしておるわけでございますが、これは非常に大胆な想定を置いてのことでございまして、財政のように数字で裏づけされなければ意味のない計画におきましては、なかなか長期的な展望を数字で示すということにまではまいらないことでありますことは、御理解いただきたいと思うのであります。
 将来チープガバメントでいくのかどうかということでございますが、最近の政治思想は、健全で自由な個人をもう一度取り戻そうじゃないかということにあるように思うわけでございますが、これはひとり財政思想の中でチープガバメントをもう一度取り戻そうということに、直ちに通ずるとは私は思わないのでありまして、政府がやるべき任務は任務として、ちゃんとやってまいらなければならぬことは当然でございまして、かつてのように個人にのみ責任を持たすということでなくて、政府はとるべき責任はとってまいるということでまいります以上、今後の財政がチープガバメントに徹するということは、なかなか至難のことであろうと思うのであります。
 私ども、ただ財政の健全性を保障してまいることが、社会生活の上から申しましても、経済生活の上から申しましても、より大事なことであるということを基本に置きまして、財政計画の立案、その運営に当たってまいりたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(前尾繁三郎君) 青柳盛雄君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔青柳盛雄君登壇〕
○青柳盛雄君 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、政府の経済演説と財政演説について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 昨日、三木首相及び仮谷建設大臣が、国会答弁のあり方について陳謝したばかりでありますので、関係閣僚は責任のある明確な答弁をされることを、最初に要求いたします。(拍手)
 改めて指摘するまでもなく、現在、長期にわたる深刻な不況と物価上昇の二重苦の中で、国民の生活と経営は危機的な状態に陥っております。
 そこでまず、酒、たばこ、郵便の値上げ三法の強行採決問題に対する政府の姿勢について伺っておきたいのであります。
 国民は、この臨時国会に、不況とインフレ下で国民生活を守るための補正予算の審議を求めてまいりました。ところが政府は、いきなり、さきの七十五国会で廃案となった酒、たばこ、郵便料金値上げ法案を再提出し、自民党は委員会での単独採決を強行したのであります。これは国民に対する許しがたい露骨な挑戦であり、議会制民主主義を破壊する暴挙であることは、全く明白であります。したがって、これらの値上げ三法案は当然撤回すべきであると考えますが、三木総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 次に、私は補正予算の内容について質問いたします。
 まず、政府提出の補正予算は、国民の願いに全く反し、大企業奉仕の五十年度当初予算の骨組みをそのまま継承し、すでに破綻した日本列島改造計画の大型プロジェクトを復活させ、さらに、二兆二千九百億円にも上る大量の赤字国債を発行するという驚くべきものであります。これは国家財政の四分の一を借金で賄い、しかも、それを景気浮揚と称して、大企業に投入するというものであります。
 さらに、この補正予算は、巷間伝えられるように、去る七月、経団連を初めとする財界の首脳と三木総理との対談の際、財界が示した新幹線鉄道建設促進、本四架橋建設、赤字国債発行、第三次公定歩合の引き下げなど、大企業奉仕の不況対策をそのまま予算化したものであります。なお、財界からの自民党への政治献金再開との関連を見るならば、一体この補正予算がだれのために編成されたものであるかは、おのずから明白であります。(拍手)
 いま国民が求めているのは、国民生活の防衛と国民本位の不況対策を進め、日本経済の民主的な立て直しの第一歩を踏み出す補正予算であります。この立場に立って具体的に質問いたします。
 まず第一番目に、物価、公共料金問題についてであります。
 総理は、さきの本会議で、わが党の金子議員に、公共料金は受益者負担の原則の確立が必要と答弁をされました。しかし、国鉄料金の例を見ても、国民には不当な高負担を押しつけ、大企業には出血サービスをしておるではありませんか。また、酒、たばこの値上げは、単に政府の歳入を確保するための方策でしかなく、受益者の問題とは何の関係もありません。総理の発言は不見識もはなはだしいものと言わざるを得ないのであります。
 さらに言えば、ハイライト一個の原価はわずか二十七円五十銭、それを国民には八十円で売りつけ、今度は原価の四倍以上の百二十円に値上げしようというのであります。さきの通常国会で国民が猛反対したのも当然であります。ところが、この補正予算でも、酒、たばこ、郵便料金の値上げを予定し、これに続く国鉄、私鉄、電報、電話、電力など、一連の公共料金値上げの突破口にしようとしているのであります。物価高騰の引き金になる公共料金の値上げはやめるべきであります。
 次に、石油、鉄鋼など、大企業製品である基礎資材値上げの問題であります。
 産業の米と言われる鉄鋼は、九月からトン当たり六千八百円と大幅に値上げしました。続いて十二月にも値上げするという、まさに連続値上げであります。政府、通産省は、いまの不況を口実に業界を指導し、新価格体系への移行と称して、大値上げ作戦を展開しております。政府、通産省は、直ちに不当な値上げを進める行政介入をやめるべきであります。
 さらに、インフレ促進の赤字国債を発行しようとしていますが、これで一体物価を安定させられると思いますか。物価を安定させることは、国民生活の安定、国民の消費の拡大にもつながるもので、不況打開の一つの重要なかぎになることは明らかであります。
 以上の施策を直ちに実行するかどうか、総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 第二番目は、公共投資による不況対策の問題であります。
 国民の生活環境、施設の荒廃は驚くべき劣悪な状態となっております。政府の調査でも、住宅困窮世帯は一千万に上っています。生活困窮者の中には、赤ん坊がはいはいする場所もない、そういうことのできる住宅が欲しいという声すら上がっているのであります。公共下水道は普及率わずか二〇%という、先進工業国中の最低であります。関東大震災クラスの地震が起きれば、東京の江東、墨田、荒川の三区で、人口八十六万人中、消防力を投入しなければ五十万人、有効に投入できても十七万人の犠牲者が出ると予想される震災の危険など、災害対策の立ちおくれも重大問題であります。
 さらに、保育所が足りないための働く母親の苦しみ、学校不足のための中学浪人、社会福祉施設に入れない身体障害者とその家族の苦しみの解決は緊急であります。立ちおくれたこれらの国民の望んでいる諸施策を集中的に建設すべきであります。このことは、国内市場を拡大し、大きな波及効果もある重要な施策であります。
 ところが、不況対策を看板にしたこの補正予算は、列島改造計画の復活推進を最大の眼目といたしております。
 事業費で見ると、新幹線鉄道建設に六百億円、高速自動車道路に六百五十六億円、本四架橋建設も予算凍結の解除で三百八十五億円、合計一千六百億円以上にも及ぶ資金が新たに投入されるのであります。
 総理は、口を開けば、上下水道など生活基盤投資を行っていると開き直っていますが、補正予算には、低家賃の公営住宅建設促進の経費を一円も計上していないではありませんか。さらに、公共事業を実際に執行する地方自治体の財政経済危機に対しては、その打開どころか、それを一層深刻にするものであります。
 わが党は、これまでずっと、産業基盤二、生活基盤一の公共投資のやり方を、生活基盤重点の二対一に変えること、それによって、新しい財源を探さないでも、生活基盤に三兆円前後の財源を回すことができると主張してまいりました。
 高度成長政策の害悪と破綻がだれの目にも明らかな今日、このことはいよいよ重要であります。国民生活の安定や環境問題という面からも、財源面からも、また、経済のゆがみの是正という面からも、緊急性のない大型プロジェクト促進計画は、この際、再検討し、公共投資を生活基盤に重点的に振り向けなければなりません。その決意はあるかどうか、総理並びに大蔵大臣の率直な見解を伺います。(拍手)
 第三番目は、不況とインフレから国民の生活と経営を守る対策を緊急に進める問題であります。
 まず、福祉の面では、物価上昇が続く中で、老人、身体障害者など、社会的に弱い立場にある人々の暮らしが安定する措置をとることが急務であります。歴代自民党政府は、高度成長時代には、資本蓄積を理由に国民に低福祉を押しつけてまいりました。この結果、国民所得の中の社会保障費の割合は、西ドイツは二四・三%、フランスは二二・四%、アメリカ一四・三%に比べて、日本はわずかに六・四%と、先進国中最低になっているのであります。しかも、今度は低成長の名で、福祉の水準低下を図る動きが広がっていることは見逃せません。
 何よりもまず老齢福祉年金の支給額を大幅に増額すべきであります。また、現在公営住宅から締め出されているひとり暮らし老人に、ささやかでも安心して過ごせる住宅が提供できるようにすべきであります。住宅宅地審議会でさえ、ひとり暮らしの老人や寡婦を公的住宅へ入居させる措置が必要だと指摘しているではありませんか。
 さらに、身体障害者の雇用問題も重大な課題であります。身体障害者雇用促進法では、郵政省は全職員中に一・六%以上の障害者を雇用するよう定めておりますが、本年三月には一・五四%と、基準を割っていたのであります。ところが、この五月、障害者を十五人の枠で募集していた東海郵政局では、応募した者のうち十三人を、車いすの障害者であるという理由で採用しなかったのであります。しかし、このような障害者のためにこそ障害者雇用制度がつくられたのではありませんか。雇用促進法によって門戸を開いておくべき国の機関で、法の精神にも反し、人道にも反した、かかる採用拒否の態度をとったことは見逃すことができないのであります。直ちに改めるべきであります。
 また、民間企業における基準率は、一・三%と低いわけですが、従業員百人未満の中小企業では、一・六七%と基準をはるかに超えておりますが、五百人以上の大企業では、一・一七%と格段に低いのであります。雇用率の低い大企業について、その企業名と雇用率を公表するということは、長谷川労働大臣がこれまで二回も約束したことであります。いまだに公表されていないのはなぜか。公表すべきではありませんか。また、現行の基準にさえ達していない企業に対しては、強力に指導をし、いつまでも達成しないときには厳しい措置をとるなどの方策を講じて、雇用の促進を図るべきではありませんか。また、雇用のできる職種の開発など、政府としても努力すべきだと考えるが、どうですか。
 以上の諸点について、総理並びに労働大臣の誠意ある答弁を求めます。(拍手)
 次に、雇用、失業問題について質問いたします。
 不況がこれまでになく長期かつ深刻になっている異常な事態のもとで、中小企業の倒産、大企業による臨時工、季節労働者、下請労働者、パートタイマーの人員削減が広がっております。そればかりか、不況を口実とした大企業による労働者の基本的人権を踏みにじる差別的、選別的な労務管理による合理化が、たとえば東京の石川島播磨、東京電力を初め全国的に進められております。完全失業者は、政府統計によっても百万人、実際には三百万人を下らないという未曾有の事態になっております。一方、日雇い労働者の間では、月に三、四日しか就労できない場合も多く、就労できなかった日雇い労働者の自殺も一、二の例にとどまらないのであります。
 緊急に失業者の生活を保障するため、失業給付の受給日数の延長、日雇い、出かせぎ農民の失業給付の改善、失対事業の拡大の措置が必要になっているのであります。
 また、不況を口実に行われている労働者に対する一方的な、社会的にきわめて不当な解雇を規制する法的措置をとるべきであります。
 さらに、全国一律の最低賃金制を速やかに確立すべきであり、すべての官公労働者に対し、ストライキ権を含む労働基本権を完全に保障し、また、電力、石炭産業労働者に対するストライキ規制法を撤廃することによって、労働者の生活と権利を守るべきであります。総理並びに関係閣僚の見解を伺います。(拍手)
 次に、深刻な状況に置かれている中小企業の問題であります。
 中小企業の仕事を確保し、経営を守るため、官公需発注の五〇%以上を中小企業に振り向けること、また、政府関係機関における発注の実態を種別、品目ごとに調査し、国会に報告することを要求いたします。中小企業向けに発注できるもので大企業に行っている例も多く、五〇%への引き上げは十分可能であります。
 また、中小企業分野への大企業の進出問題も放置できません。軽印刷、青写真、クリーニング、紙器、理化学ガラス、めがね、貴金属など、これまでの中小企業固有の分野への大企業の進出や大スーパー、コンビニエンスストアによる小売業分野への進出は全国的にも著しいものであります。たとえば、東京都の練馬区においても丸悦というスーパーが進出を予定しており、地域の小売店はもとより、住民も猛反対をして立ち上がっております。
 政府は、これに対して行政指導で十分処理できると言っております。しかし、実際には、行政指導に基づく大企業と中小業者団体の間の協定を大企業が一方的に破ってきたのであります。真に中小企業を守ろうとするならば、大企業の目に余る進出を、単なる行政指導ではなく、法的措置によって規制する必要があると考えるが、どうですか。(拍手)
 また政府は、補正予算で国民金融公庫への財政融資を若干ふやしたとはいえ、貸付条件については何らの改善もしておりません。中小企業に対する国民金融公庫の融資条件を緩和し、速やかに借り入れられるよう改めるべきであります。
 以上について答弁を求めます。
 農業の荒廃も、もはや放置できないものとなっております。
 歴代自民党政府の対米従属、大企業本位、高度成長政策のもとで農地も農民も激減をしてきました。その結果、穀物自給率は昭和三十五年に八三%であったものが、四十八年度には四一%、小麦に至っては、四十八年度でわずかの四%にすぎず、ほとんどを海外、特にアメリカに頼るというわが国の経済の自立的基盤を危うくする事態となっているのであります。
 国民の命の糧を生み出す農業を基幹産業としてはっきりと位置づけ、総合的な振興策をとるべきであります。そのためには、農業基盤整備事業に対して、思い切った手だてをとることです。これは、あわせて不況に苦しむ農村地域を救う施策の一つとなるはずでありますが、総理の所信を伺います。(拍手)
 都市近郊農民にとって、いま最も深刻な問題は、いわゆる宅地並み課税の問題であります。
 都市住民に新鮮な農産物を供給する上でも、生活環境保持の上でも都市近郊農業の重要性が見直されてきている今日、近郊農業は、一般農業同様保護育成すべきであって、過酷な税金をかけてつぶすなどということはもってのほかであります。(拍手)来年は固定資産の再評価の年であります。その上、宅地並み課税をC農地にまで拡大したり、三大都市圏以外にまで拡大することは、二十八万ヘクタールに及ぶ全国の都市近郊農業に壊滅的な打撃を与えるものと言わなければなりません。私は、宅地並み課税適用の拡大はもとより、農地つぶしの宅地並み課税そのものを廃止し、都市近郊農業を日本農業の重要な一翼として保護育成すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 第四番目は、地方財政危機打開の問題であります。
 去る十月三日に全国市長会がまとめたところでは、昨年度新たに赤字に転落した市は、全国で何と三十七市、本年度はもっと多くなるのは必至であります。補正予算によって全国の地方自治体は一兆一千億円に上る地方交付税の減額、さらに一兆一千億円に上る地方税の落ち込み、二千億円の公共事業追加分の裏負担など、新たな財政上の困難を抱えさせられたのであります。このほか、過去五年間で一兆円と言われている超過負担が残っております。これに対して政府が実際に手当てをしたのは、臨時地方特例交付金二百二十億円、超過負担解消のための百十億円など、ごくささいなものであり、それだけでなく、これまで以上に膨大な借金財政を押しつけているのであります。国民の生活と福祉を守る上でも、生活環境整備に重点を置いた国民本位の不況対策を進める上でも、その最前線に立つべき地方自治体が、このような前途のない苦境に陥っていることに政府は重大な責任があります。(拍手)
 この対策として、まず第一に、国税三税の落ち込みによる地方交付税の減額分は、交付金として国の責任で補てんすること、第二に、地方税減収対策として全額政府資金による減収補てん債を認め、利子補給を行うこと、第三に、国の公共事業に伴う地方自治体の裏負担の手当てとして、政府が利子補給をする約五千億円程度の特別事業債を発行すること、また、東京や大阪など不交付団体についても、大都市需要増大の実態を交付税に正しく反映させるとともに、都区合算方式による交付税削減を直ちにやめること、以上の措置をとることであります。(拍手)
 これは単に私どもの主張であるのみでなく、保守、革新を問わず、全国の地方自治体が強く要求しているところでもあります。政府は、少なくともすべての自治体の切実な要求に責任を持ってこたえるべきだと思いますが、総理の率直な見解を伺います。(拍手)
 第五番目は、財源対策の問題であります。
 わが党はすでに経済危機打開の緊急政策で、国民生活防衛と国民本位の不況対策を進めるための実現可能な緊急の財源確保の政策を明らかにしております。
 それは、第一に、五十年度予算の未執行分のうち、不要不急の経費を可能な限り国民本位に組みかえること。第二に、大企業への法人税還付の停止とあわせて、特権的減免税の一部を是正すること。第三に、郵便貯金など国民の零細な資金を集めた国の資金運用部の資金の流れを、地方財政重点に振り向けることであります。こうすれば、赤字国債の発行をやめることもできます。
 まず、不要不急経費の削減について言えば、五十年度の防衛関係費のうち、航空機、戦車、艦船など、三千七百億円に上る主要装備品の調達費のうち、未執行分にメスを入れるべきであります。一機三十四億円の戦闘機F4EJファントムを一機減らすだけでも、公営住宅が、土地代を除けば六百ないし八百戸建てられるのであります。
 国民の生活防衛は急を要します。電子計算機産業振興対策費や、大海運会社に向けられている利子補給金なども削減すべきであります。日韓閣僚会議で、ファッショ独裁の朴政権に莫大な援助を約束して、米日韓軍事一体化を推進したことは断じて許せません。
 次に、大企業への特別減免税の一部是正であります。
 まず、企業が赤字決算だからということで、昨年納めた法人税を還付する制度を、大企業に対しては停止すべきであります。国民は、家計が赤字だということで税金を返してもらえないではありませんか。これによって、今年一年間で、国と地方を合わせ数千億円の財源ができるはずであります。大企業の上位五十社の内部留保は、今年三月末で実に八兆五千億円、その多くは税金を免れた非課税積立金であります。これら非課税積立金に適正な臨時課税を行えば、優に一兆数千億円の新しい税収を確保できるのであります。(拍手)
 これは決して無理な注文ではありません。資本金一千万円以上五千万円未満の町工場の税負担割合が四一・四%であるのに、資本金百億円以上の巨大企業のそれは三六・六%にすぎないという税の逆累進を改め、負担の公平に一歩でも進むための緊急措置であります。また、大企業が赤字ということで、法人住民税五千円で済ますという不合理もなくす必要があります。
 このような国民の立場に立った措置をとる決意がおありか。総理並びに関係閣僚の明確な答弁を求めます。(拍手)
 政府は、また、わが党が指摘してきた大企業に対する特権的減免税に関連して、政府の姿勢が大企業本位だというのは当たらないと、しばしば強弁しております。しかし、大平蔵相は、九月十八日、衆議院本会議で、貸し倒れ引当金の繰入率について、金融機関と交渉いたしまして、千分の八までにつきましては、金融機関の同意を取りつけていると、特権的減免税のほんのわずかな是正にも大銀行の同意を得てやっていると述べております。国民に対する増税、酒やたばこの増税については、国民の同意を得てやるどころか、ごり押ししているではありませんか。
 総理、あなたはこれでも大企業本位ではないと言い張るおつもりか。国民の前にはっきりとお答え願いたいのであります。
 第三に、郵便貯金の金利を引き下げるのではなく、銀行預金よりも金利を優遇して、その資金を地方財政に重点的に回すことであります。三木内閣が、大企業には公定歩合の引き下げで莫大な利益を与える一方、そのため国民には、郵便貯金の金利引き下げで目減りをこれまで以上に拡大するやり方は、まさに、国民泣かせの姿勢を示したものであります。総理の見解を伺います。
 最後に、わが党は、かねてから三木内閣の打倒を主張してまいりました。三木内閣が、なお今日、国民の切実な願いに背を向け、反国民的政策を強行してくるならば、三木内閣への支持はさらに大きく低下し、国民の厳しい審判を受けることは明白であります。このことを強く指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 青柳君の御質問にお答えをいたします。
 酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案、この強行採決責任をどう考えるかという御質問であります。
 酒、たばこ、郵便料金は、青柳君も御承知のように、すでに成立をいたしました五十年度予算に組み込まれているのでありまして、その歳入の裏づけ法案でありますから、政府としては、一日も速やかに国会の議決を得たいと望んでおるわけでございます。
 したがって、その審議に対して、自民党だけで採決したということについて、それが好ましいこととは思いませんが、幾ら審議の促進方を要請してもどうにもならぬというのでは、これは国会の結末はつかないのでありますから、今後、お互いにこの議会政治を健全に育てていくためには、自分の主張が一〇〇%通らなければ、これとは対決して絶対に反対するというようなことでは、議会政治はなかなか運営できないのであります。(拍手)どうか、この議会政治を健全に育てるためには、与野党とも節度が要求されると私は思っておるのであります。
 また今後、物価問題に対してどう対処するか。公共料金の値上げ、基礎資材の値上げ等を抑えるべきではないかということでございました。
 公共料金というものは、やはり受益者に御負担を願うということが原則であって、しかし、五十年度予算では、物価安定の見地から、やむを得ない最小限度の範囲に限ったのでありまして、今後の問題としては、公共料金を無理に抑えるときは、かえっていろんな弊害が生じてまいりますので、物価の情勢を十分に注意しつつ、やむを得ない適正な水準に定める方針であります。
 また、原油の価格が一挙に四倍にもなったわけでございますから、新しい、それに見合う価格の体系を持つことは、これは当然でございますが、これを一斉に急激に新価格体系に移行すれば、経済を混乱させますので、これは徐々に行われることが望ましい、そういう指導を行う方針でございます。
 また、老齢福祉年金の支給額を、この際、大幅に増額せよという御意見でございます。
 御承知のように、月額七千五百円のものを一万二千円に、これは思い切って引き上げたわけでございます。これは御承知のように全部国庫負担によるもので、掛金なしでありますから、多いにこしたことはございませんけれども、これは財政全般の状態ともにらみ合わせなければなりませんので、政府としてはできるだけ増額を図ってまいった次第でございます。しかし、今後とも、この改善については最大の努力を図りたいと思っております。
 また、公営住宅から締め出されている一人暮らしの老人に対して入居できる措置をとれということでございました。
 現在の公営住宅は、親族二人以上の世帯を対象として供給しておるのでありますが、今後、老人や寡婦などの単身世帯も対象とするよう検討することにいたしたいと思っております。
 それから、大企業の障害者雇用について、雇用率が非常に低いというお話と、雇用率の悪い大企業を公表せよというお話でございます。
 身体障害者の雇用率については、一般的に大企業において未達成の事業所が多いことは事実であります。その公表については、現在、調査とその取りまとめを進めているところであり、あわせて、公表制度を含め、法改正の検討を進めているところであります。身体障害者の雇用の促進については、今後とも積極的に取り組んでまいりたい考え方でございます。
 また、中小企業向けの官公需の発注五〇%を実現せよということでございます。
 政府もその目標に向かって鋭意努力をしておるのでございますが、まだ昨年の実績三〇・三%を上回る三二・九%という目標まで達してないのでございますが、今後とも、この発注の五〇%実現のために努力をいたす所存でございます。
 また、中小企業固有の分野へ大企業が進出することを法的に措置をせよということでございます。
 法的措置は考えておりませんが、中小企業の事業分野への大企業の進出問題については、適当な行政指導によって、大企業と中小企業との調和のとれた発展を図ることに心がけてまいりたいと考えております。
 また、中小企業に対する国民金融公庫の融資条件緩和でございますが、国民金融公庫については、千五百五十億円の貸付枠を追加をいたしました。また、中小企業の金融については、従来から資金量及び融資条件については、きめ細かく配慮をいたしてきておる次第でございまして、今後とも、できる限り融資条件の緩和とか、あるいは貸付枠の拡大とかいうものは、必要に応じて、このことは考慮してまいりたい所存でございます。
 また、農業基盤の整備について、食糧の自給力の向上からいって、いろいろお話がございましたが、やはり日本の食糧の自給力は向上しなければなりませんので、そのためには、農業の基盤整備事業というものが、農業及び農村の健全な発展を図る上において、きわめて重要である。したがって、今回提出をいたしました補正予算でも、不況対策をも考慮して五百四億円を農業基盤整備事業のために計上して、その推進を図ることにいたしておる次第でございます。
 次に、都市近郊農地に対する宅地並み課税を廃止せよというお話でございます。
 三大都市圏の特定の都市のA農地及びB農地については、周辺の住宅との税負担の不均衡が著しく、また宅地化を促進する必要が特に強いことから課税の適正化措置を講じているものでございまして、いま直ちにこの措置を廃止する考えは持っておりません。その他の市街化区域の農地については、国全体の土地政策とも関連するところが多いので、五十一年度における評価がえの状況、市街化の状況等を見ながら、慎重に検討することにいたしたいと思っております。
 次に、国税三税の落ち込みによる地方交付税の減額分を国の責任で補てんせよということでございますが、国税三税の減収に伴う地方交付税の減額分については、交付税特別会計で借り入れを行って全額補てんすることにいたしております。
 また、地方税の減収対策として全額政府資金による減収補てん債を認め、利子補給を行えということでございましたが、地方税の減収に対処するための地方債の資金については、二千億円を政府資金とし、民間資金のうち二千三百億については政府資金と同等の利子負担になるよう五十一年度、五十二年度において臨時特例交付金を交付することにしております。
 また、国の公共事業に伴う地方自治体のいろいろな裏負担の手当てとしても、五千億円程度の政府利子補給をするよう特別事業債を発行せよというお話もございましたけれども、やはりこれらの地方債の元利償還金は地方の財政計画に計上して、全体としてその償還財源を措置することとするものでありまして、利子補給を行う考えはございません。
 また、財源確保のために、不要不急の経費の節減、大企業優先の財政、税制を改めることによって国民本位に切りかえるべきだというお話でございましたが、御承知のように、今回提出の補正予算でも経費の節約を行いましたし、今後とも不要不急の経費は厳しく節減をする方針であります。現在の財政や税制が大企業本位という批判は当たりません。制度の合理化、妥当性については、今後とも絶えず見直していく考え方でございます。
 また、郵便貯金などの金利、これに対して銀行預金より優遇して、資金を地方財政に回すべきではないかというお話もございましたが、地方財政については、民間金融機関も地方債の消化などを通じて極力協力しておる次第でございます。郵便貯金金利については、他の預金金利などとのバランスを考えざるを得ないので、地方財政に回すために郵便貯金の金利を高くすることは、むずかしいと考える次第でございます。
 他の御質問に対しては、関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 今後の物価問題についての基本的な考え方はどうかということですが、これはしばしば申し上げておりまするとおり、物価の安定は経済政策の中心であり、健全な社会の基盤である、そういう考え方のもとに、これからも物価政策は重視してまいります。一方において景気政策はとるのでございますけれども、同時に、そのゆえに物価の安定、これを害してはならぬ。かねて申し上げておりまするとおり、本年度の末、つまり来年の三月、消費者物価は一けたの目標、これは万難を排して実現をしたい、かように考えております。
 なお、物価問題に関連いたしまして、公共料金、これは値上げをしてはならぬ、あるいは重要企業の値上げを許してはならぬ、こういうお話でございますが、昨年の一月、原油価格が四倍に引き上がったことは御承知のとおりであります。この四倍の引き上げというものは、わが国経済全般に大変な影響があるわけであります。そういうようなことから、わが国におきましては、物価体系の革命というか、そういう程度の大きな変化があったわけでありまして、ほとんどの商品というものが、この四倍にはね上がった原油価格を背景として価格の改定を行ったわけであります。世にこれを新物価水準というふうに言いますが、しかし、この新しい物価水準に乗りおくれたもの、あるいは乗り足りなかったものがあるわけであります。
 その最も大きなものが公共料金でございます。公共料金は、物価問題の厳しい際でありますので、しかも政府が介入し得る余地のあるものでありますので、これを抑えてきた。しかし、そういう状態をずっと続けていくわけにはいかないこともまた御理解いただけると思う。これを逐次調整する過程に入っておるわけでありまして、今回御審議を願おうとしておりまするところのいわゆる三法のごときもその一つの体系である。つまり、新価格体系への移行である。値上げというような言葉で理解する、そういう角度の問題ではないということをはっきり申し上げたいのであります。
 それから、企業の製品につきましては、先ほど申し上げましたとおり、大方のものが新価格体系に移行しておる、そういうふうに見ておるのでありまして、操業度がいま低いというような状態から、企業の中には非常に苦しい経理状態のものが出てきております。そのしわ寄せとして価格を引き上げたいというような期待を多くの企業が持っていることも、また事実なんであります。しかしその辺は、私は、企業の理解と協力を得まして、そうはしていただきたくない、また企業もそれに協力をする体制だ、こういうふうに見ておりますけれども、しかし、そういう中におきましても、この四倍になった原油価格の影響というものをもろに受けまして、それに対する乗りおくれ、あるいは乗る率が少なかったというものにつきまして、これをほうっておくことのできないものもまたあるわけなんです。そういうものにつきましては、例外的に考えなければならぬというふうには存じておりますが、その際におきましても、これはその値上げの時期でありますとか、その幅につきましては、これは深甚な配慮を払っていただきたい、かように考えておるのであります。
 なお、景気対策を執行するに当たりまして、生活基盤、これを中心に考えろというお話でありますが、もとよりそのとおり、これはしばしば申し上げているとおりであります。
 言うまでもなく、今回の補正予算におきましても、治水でありますとか上下水道、公園、道路あるいは個人住宅、公害防止関連の融資、中小企業対策、雇用対策、そういうようなものでありまして、これは多少大型のものにつきましても関係するところがあります。これはその特別な事情のあることは、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、大方は生活関連の諸施設をこの際整備するということに重点があるということを篤と御理解賜りたい、かように存じます。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、特例公債の発行をやめるつもりはないかということでございますが、これは、思わざる税の減収補てんのやむを得ざる対策でございますので、特例公債の発行をやめるつもりはございません。
 それから財源対策といたしまして、青柳さんは、五十年度予算の組み替えをやるつもりはないかということで、いろいろな事案についての例を挙げられながら、御提案を含めての御質問でございました。五十年度予算を組み替える意思のないことは、たびたび本院でも政府から答えておるとおりでございます。防衛費を削減いたしますとか、あるいはコンピューターの研究費の補助金をやめろとか、あるいは海運の利子補給金をやめろとかいう御指摘でございますが、それぞれの理由がございまして、最小必要限度実行いたしておりまするので、それをやめるつもりはございません。
 それから、大企業の税金の繰り戻し還付制度をやめたらどうかという御提案でございますが、これは大企業ばかりでなく、企業法人全体につきまして設けられておる制度でありますことは、青柳さんも御案内のとおりでございます。税金は特定の年度だけ取ればいいというわけのものではないのでありまして、長きにわたって税源は涵養しなければならぬものでございます。企業は、特定の年度において、マイナスの年もあればプラスの年もあるわけでございますので、その年度間の調整をやろうという制度でございまして、大企業に特に設けられた制度でないことは、御理解いただかなければならぬと思います。
 資金運用部の資金を地方財政にもっぱら充当すべきでないかという意味の御質疑でございましたけれども、先ほど総理からも御答弁申し上げましたとおり、資金運用部の資金は大幅に地方財政のために充当いたしておりますことを御指摘申し上げておきたいと思います。
 それから、金融機関に対する貸し倒れ引当率を下げてまいる話でございますけれども、これは千分の十五でございましたものを、ようやく千分の八までに下げることに成功いたしましたが、私どもはこれで決して満足をいたしておるわけではありませんで、この千分の八が達成された段階におきまして、千分の五と千分の八の間にもう一度、かたきところをこの貸し倒れ引当金の積立率を決めるべく努力をしたいと考えておりますことを御理解を願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
○国務大臣(長谷川峻君) 官公庁において身体障害者の使い方、雇用率が悪い、こういうお話でありましたが、一部にはおっしゃるとおり未達成のところもあります。ことに民間事業所に範を示す意味からいたしましても、官公庁が率先して身体障害者を雇い入れることが大事なことだ、こう思ってその促進に努めているところであります。もちろんもう達成しているところ、まだ達成してないところ、こういうところに各官公庁で連絡をとりながら推進していることも申し上げておきます。
 大企業の障害者雇用について、雇用率の低いところ、そういう名前を公表しろ、こういうお話でありますが、身障者の雇用率の実績につきましては、毎年十月末現在で調査を実施しているところであります。いまその集計などもやろうとしているところでありまして、これと同時に未達成企業の公表問題についても、その結果において対処してまいりたい。そして、こういうものを含めまして、法改正の検討を進めまして、身体障害者の雇用促進に積極的に取り組む姿勢でございます。
 身体障害者の職域の拡大のためにいろんなことをやれというお話でございますが、まず適職の研究、さらにはまた積極的な求人、そしてまた身障者のモデル工場の設置、こういうことによりまして、職場の確保に努めているところであります。
 雇用保険法では高齢者に対しまして、先ほども御答弁申し上げましたが、給付日数を三百日とするなど、再就職の困難な者に対する給付日数を長くいたしまして、さらには、給付日数の延長制度を整備拡充しているところであります。
 日雇い労働者につきましては、賃金実態に応じた改善を行っているところでもありますし、さらに出かせぎ者に対しましては、その就労や生活の実態に即した給付制度を設けていることは御理解のとおりであります。
 なお、失業対策事業につきましては、継続実施する方針でありますが、これを拡大する考えはございません。
 さらに、不況を口実に労働者を解雇する、この問題につきましては、先ほども社会党の多賀谷議員にお答えいたしましたが、解雇につきましては、御理解のように、現行法のもとでも労働基準法等によりまして、一定の場合には制限されているところであります。さらにはまた、判例によりまして、解雇権乱用の理論の定着によって、現在では使用者の恣意的な解雇は許されない情勢にあります。いずれにいたしましても、こういうときでありますから、解雇は労働者の生活に重大な影響をもたらしますので、特に現下の雇用情勢にかんがみまして、仮にも法にもとるような解雇が生じないように、厳重に監督指導してまいるつもりであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(秋田大助君) 坂井弘一君。
    〔坂井弘一君登壇〕
○坂井弘一君 私は、公明党を代表して、昨日行われました経済、財政演説について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 最初に指摘しなければならないのは、政府が今国会を不況克服国会と銘打ち、九月十一日に召集しておきながら、今日まで約一カ月間、不況克服の中心施策となる補正予算案を提出せず、経済、財政演説すら行わなかったことであります。
 政府は、酒、たばこ、郵便料金の値上げを先行させることを目的とした悪らつな国会対策の手段に使うために、強いて補正予算の提出をおくらせたことは、万人の認めるところでございます。当面するわが国経済は、戦後最大の深刻な事態に追い込まれ、国民生活を苦しめていることは、多くを論ずるまでもありません。したがって、この深刻な事態から脱出するための補正予算案は、緊急かつ重要なものとして、今国会の冒頭に提出するのが政府の責任であったはずであります。
 また、三木総理が政治生命をかけると言い、衆議院で全党一致で可決した、しかも国民がこぞって要求している独占禁止法改正案を葬り去り、その一方では、国民の大多数が反対している酒、たばこ、郵便料金の値上げを、力づくで強行しようとする三木政治の本質は、対話と協調どころか、対決と無理押しであり、国会軽視もはなはだしいではありませんか。(拍手)
 仮谷建設大臣の、国会答弁はいいかげんなものであるという、国会べっ視の発言を、少なくとも三木総理、あなたは責める資格はありません。総理に責任ある釈明を求めると同時に、値上げ法案の撤回を強く要求するものであります。(拍手)
 私の質問の第一は、三木内閣の政策の失敗についてであります。
 総理は先ほど、経済政策は大筋において失敗していない、こう強弁されましたけれども、果たしてそうでしょうか。三木総理は、消費者物価の上昇率のみを取り出しまして、当初の見通しどおり一けた台におさまりそうなことを唯一のよりどころといたしまして、三木内閣がとった政策に誤りがないとしているのであります。
 国民は、物価の安定は望みました。しかし、今日のように失業者が百万人もの多きに上り、企業倒産が続出する状態が引き起こされても、物価さえ安定すればよいと望んだのでしょうか。失業、倒産つき物価安定を願ったのではありません。国民は、三木総理が五十年度当初予算で示した経済成長を確保しながら、同時に物価安定もするという三木内閣の公約実行を期待していたはずであります。
 失業や倒産は決して小筋ではありません。すなわち、五十年度予算の政府の経済見通しは、実質成長率四・三%であり、物価は一けた台に抑えることでありました。ところが、政府は、九日に、昭和五十年度の経済見通しの改定で、実質経済成長率を当初の四・三%から二・二%に修正したのでありますが、経済見通しは経済運営の基本となり、予算編成の前提となる以上、単なる数字の設定でないことは自明のことであります。政府は、今日の事態を招来した政策の失敗を率直に認めるべきであります。総理並びに副総理の偽りのない見解を伺いたいのであります。(拍手)
 質問の第二は、補正予算の内容についてであります。
 私が政府の政策に誤りがあったと強調いたします理由は、政府が景気の後退の動きを、あたかもそのまま減速成長へ移行するプロセスであるかのごとく錯覚し、景気動向に対応する適切な措置を講じてこなかったことと、政府の総需要抑制策が高度成長時代の構造のまま個人消費を抑え込むことにウエートが置かれ、力の弱い立場の人たちの犠牲のもとに遂行されるという内容のものであったからであります。
 政府・自民党が、賃金と物価の悪循環を是正すると称し、勤労者の賃上げを強力に抑制しました。したがって、依然として物価上昇が続く中で、実質収入の増加のない多くの国民は消費の節約を余儀なくされ、前途の生活不安から、目減りの損失を知りながらも、貯蓄性向を高めていった実情に目を覆ってはなりません。
 ちなみに、五分位階層別の総理府の家計調査を見ますと、日常生活に直接関係する消費支出であっても、大幅な抑制の動きが鮮明になっているのであります。所得の最も低い第一分位層は、理髪の回数を減らし、保健医療費を節約し、牛乳の本数まで減らし、生鮮魚介類の数量まで減らして生活防衛をせざるを得ないという、この生々しい消費生活の実態は、一体何を物語っているのか。ここに、弱者犠牲の総需要抑制政策の実態を見ることができるではありませんか。(拍手)
 わが国経済において、従来景気の下支え的な役割りを個人消費が担ってきたことは事実であります。その意味で、今回の補正予算は、個人消費を喚起する方策を全く放棄しております。私は、この際、低所得者層に対する所得税減税が必要であると思いますが、まずこの点について明確にお答えを願いたい。
 また、個人消費の喚起と社会保障拡大のこの二つの政策目的を同時に前進させるために、不況とインフレの被害をもろに受けている老人や母子家庭、生活保護世帯等を救済するための社会保障の拡大がぜひ必要であると考えるのでありますが、政府の基本的見解とその具体策を明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、わが党は、かねてから政府に対しまして、景気対策のための公共事業は大型プロジェクトよりも、国民生活関連の公共事業、すなわち、公共住宅、上下水道、学校、保育所、福祉施設、そういうものを優先させる、そのことを要求してまいりました。このことは、西欧先進国に比べて大きなおくれのある社会公共資本の拡大と、景気浮揚の実効を上げる一石二鳥の方策であるとともに、真の景気対策は、一番に不況の打撃を受けている中小企業に対する施策として、地方自治体を通じての公共事業をもって充てることが、必要かつ適切と考えるからであります。
 すなわち、超過負担の解消を含む地方財政への格段の充実を図りながらそれを行うべきであり、政府直轄の大型プロジェクト事業による、大企業優先の公共投資による景気回復は、真に国民の求めるものではありません。
 さらに、今回の景気対策の中にある、住宅金融公庫の融資枠の拡大による住宅建設は、それなりの意味を認めることにやぶさかではありませんが、むしろ私は、三百万世帯の住宅困窮者の大部分を占める低収入層の人たちに対する施策としては、公共賃貸住宅を中心として行うことが必要であると確信をいたしております。山の上から水を流して、途中でその水が吸い込まれてふもとまで届かない、このような景気対策よりも、すそ野が直接に潤う景気対策こそいま望まれているのではありませんか。政府の誠意ある答弁を求めます。(拍手)
 次に、赤字国債発行についてであります。
 巨額な赤字国債の発行の政治責任は、これまたまことに重大と言わねばなりません。
 わが党は、政府に対し、再三にわたって、赤字国債発行に当たっては、その前提として、歳入欠陥を生ぜしめた政府の高度成長期の放漫財政に徹底的にメスを入れ、歳出の見直しや不公平税制の是正による歳入確保を図るよう要求してまいりました。果たして政府は、歳入歳出の洗い直しを十分積極的に行われたのか、まず伺っておきたいのであります。
 また、歳入歳出の洗い直しをして、それでも赤字国債の発行が避けられないとしても、赤字国債発行によって将来引き起こされるであろう数々の危険に対しまして、十分な歯どめや防護措置がとられることを要求してまいりました。ところが、赤字国債発行について政府のとろうとしている措置は全くあいまいであります。
 それを簡潔に列挙をいたしますと、まず第一に、償還計画が明らかでない。借りかえをせず、十年間で二兆二千九百億円償還しようとすれば、償還財源の明確化が当然必要であります。政府は、償還のためにいかなる財源対策を予定しているのか。
 低成長経済下において、飛躍的な税の増収が望めない現在、当然現行税制に改定が加えられることも予想されるのであります。したがって、付加価値税の創設による税収を期待しているのか、他の新税創設を予定しているのか、また、現行税制の不公正是正を行って財源を捻出しようとしているのか。それならば、いかなる不公正是正の税制改正をするつもりなのか。明確にお示しいただきたいのであります。(拍手)
 私は、インフレ利得、買い占め利得の最たる大企業保有の土地に対し、その再評価益課税を創設し、これを十年間分割納付させることによって、国債の償還財源とすることも一方法だと考えますけれども、あわせてお答えいただきたい。
 次に、巨額な国債発行がインフレを誘発する要素が非常に高いことから、国債消化をいかなる方法で行うかは、まことに重要なことであります。一般には市中消化と言われながら、実際は、発行後一年にして日銀引き受けとなっていることは周知のとおりであります。市中金融機関の引き受けは三兆六百億円予定されておるようでございますが、そのような巨額な国債を、しかも下期のみで消化することが果たして可能なのかどうか、はなはだ疑問であります。恐らく日銀は、既発行の国債、政府保証債の買いオペを強化することによって、市中金融機関に国債引き受けの余裕を与えることになるでありましょう。こうなれば、インフレ促進は必至でありますが、政府の市中消化の具体策をまず示していただきたいと思います。
 買いオペをしないというのであれば、地方自治体、民間企業の地方債、事業債の資金は枯渇してしまうのでありますが、どのようにお考えでしょうか。この疑問にわかりやすくお答えください。
 私は、この際必要なことは、国民の個人引き受けを推進することだと考えます。そのためには、国債の利率を引き上げ、魅力ある国債とすることや、さらには公社債市場の整備を促進すべきであると考えますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 さらに、赤字国債は建設国債と性格を異にするという従来の政府見解から言うなれば、今回発行の赤字国債は日銀買いオペの対象とすべきではないと思うが、どうか。あわせて、マネーサプライM2の増加率をGNPの増加率の範囲内に抑えるための歯どめを講ずる考えはないか、お答えいただきたいのであります。
 過日の財政制度審議会の中間報告では、このままで行きますと、五年後には四十兆から六十兆円の国債残高という予測がなされております。いわゆる禁治産的財政に突入するおそれがあるということであります。それは断じて避けなければなりませんが、政府はいかにこの危険を回避する方策と見通しを立てているのか、納得のいく説明をしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、困窮をきわめております地方財政について伺います。
 政府は、補正予算案で地方財政の救済に十分な対策をとったと言っているようでありますけれども、その中身は、地方財政に膨大な借金を抱えさせたという以外の何物でもありません。すなわち、地方交付税交付金の減少分について、今回の補正予算では地方自治体の借金にゆだねてしまっているのであります。
 本来、地方自治体の重要な財源となっている地方交付税は、地方財政計画に予定された金額が確保されなければなりません。したがって、政府の経済政策の失敗によって生じた減収分は、当然国が全額交付する責任があると思うが、政府の率直なる見解を伺いたいのであります。
 百歩譲っても、この際交付税率の引き上げを考慮すべきではないか。また、地方自治体が資金運用部資金に返済する財源対策を明らかにすべきことは、これまた当然と言わなければなりません。この点についても、明確に示していただきたいと思います。
 また、地方税の減収に対する補てん措置も納得できるものではありません。法人事業税は、物税でありながら所得課税方式がとられているため、地方税としての減収が著しく、さらに、この課税方式によって、大企業でありながら、欠損法人の場合は、地方自治体から各種の行政サービスを受けながらも、法人住民税の均等割りがわずかに五千円、こういう矛盾が生じているのであります。だれもが理解と納得のいくお答えをいただきたいのであります。
 政府は、不況の影響をもろに受ける地方税制の改善に真摯な努力を払わず、地方税の落ち込みを地方債にまかせ、その地方債も、一部資金運用部資金で賄い、八千六百三十二億円を縁故債に押しつけることにしていますが、果たしてその調達が可能と思っているのかどうか。私は、四千億円にも上る租税特別措置や地方税の非課税措置などの洗い直しとともに、法人事業税の外形課税及び事業所税の範囲の拡大を図るべきであると考えるのでありますが、率直なる答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに、地方の超過負担について、政府は、今回、百八億円を計上しておりますが、一兆円を超える超過負担の現状から見れば、これまさにほんの涙金であります。この際、超過負担を完全に解消するために、国と地方公共団体の代表からなる地方超過負担調査会の設置を提案いたしたいと存じます。政府の見解をお示しください。
 さらに、問題は、地方自治体が財政運営上欠くことのできない、いわゆる一時借入金と称する財政調整資金についてであります。最近におきます市中銀行からの借り入れはきわめて困難な実情、これを政府はいかに認識されているのか、及び、このことに対していかなる対応策を考えているのか、具体的にお答え願いたいのであります。
 次に、中小企業対策及び雇用対策について伺います。
 政府の補正予算案や第四次景気対策が、倒産や失業の危機にさらされている中小企業経営者やその従業員、さらに、現に失業し、または就職できない人たちなどに対して、その不安を取り除くためのいかなる実効を持つものであるか、深刻に注視いたしております。景気対策をやってみよう、それが成功すれば景気は回復するだろう、そうすれば、おのずと倒産や失業問題は解決するであろうという空想的な説明では、何ら説得力を持つものではありません。
 私は、中小企業の救済のためには、さきに述べた中小企業に対する景気対策を初め、わが党が提唱している、生業資金を確保する無担保、無保証、無利子の融資制度の創設、さらには中小企業減税、大企業の不当な中小企業分野への進出の規制、下請代金支払遅延防止法や下請振興法の強化、信用補完制度の充実など、総合的、かつ、きめ細かな対策がとられるべきだと思うのであります。倒産防止のための対策及び中小企業救済策について、具体的にお答えいただきたいと思います。(拍手)
 また、雇用対策について、第一に、新規卒業者の就職見通しとその対策、第二に、中高年齢者や身体障害者の失業を回避するための具体策、第三に、雇用保険法の成立の際政府が公約した不払い労働債権の保全の具体策、第四に、雇用調整給付金の支給期間の延長についての具体策、第五に、失業統計の整備についての見解、及び失業の増加を食いとめる見通しと、このための具体策について、これまたあわせて明快に御答弁いただきたいと思います。質問の第三は、物価問題であります。
 福田副総理は、さきの答弁で、経済運営のかなめは物価と国際収支である。たとえてみれば、それはあたかも脈と呼吸のようなものである、こう言われました。しかし、いまや日本経済の脈、物価、あるいは呼吸の景気、それはまさに息絶え絶えの状態であります。もはやきわめて重体と言わなければなりません。
 政府は、物価問題はすでに解決したようなことを言っておりますけれども、依然として預金金利を大幅に上回る二けた台の上昇を続けていることは否めない実情であります。むしろ物価は、この秋以降、公共料金の値上げラッシュ、大企業の製品値上げ、大企業中心の不況対策、加えて、OPECの原油値上げ等々、物価上昇は必至の情勢にありますが、政府は、公約どおり物価一けたを実現できると考えているのか。できなかった場合は、どのような責任をとるおつもりなのか、簡明にお答えください。
 また、福田副総理は、来年度物価は預金金利以下に抑えると言っておりますが、その根拠をあわせて明らかにしていただきたいのであります。
 石油業界は、OPECの一〇%原油価格の引き上げを理由として、通産省主導のもとに、原油値上げ分と過去の損失分を二回に分け、大幅に値上げしようとしています。通産省の行政指導によって値上げを強行するなら、高橋公正取引委員長の言う、正規の法律に基づかないで政府が製品値上げの先導となるような介入をするのは問題だ、との指摘のとおり、独禁法上問題となるだけでなく、物価上昇に拍車をかけるものだと思いますが、政府の見解をただすものであります。
 中でも、灯油は最需要期を迎えまして、この冬、八百円灯油も予想されております。家計に与える影響はきわめて大きいものがございます。生活必需品である灯油価格は、標準価格に指定し、価格の安定を図るべきだと考えますが、いかがでありましょうか。
 また、原油値上げを理由に、大企業製品は次々に値上げを図るであろうと予測されますが、政府はどのように対処するつもりか、伺いたいのであります。
 さらに、公共料金は、消費者物価に占めるウエートが約二〇%ときわめて大きく、今秋以降も、酒、たばこ、郵便料金、国鉄、私鉄運賃、塩、小麦と、メジロ押しに続いております。二けた台の物価高、社会的不公正の拡大、所得分配のひずみを放置したままの値上げは、社会政策的見地からも決して容認できるものではありません。公共料金の独立採算制、受益者負担制は、際限のない料金値上げにつながり、低所得者に一層の負担を強いるという欠陥を改め、料金体系に応能負担の原則を導入するつもりはないか、明確に承りたいのであります。
 物価問題とともに、国民生活を守る上で預金金利もまた大事な要素の一つであります。事もあろうに、政府は大企業に対する公定歩合の引き下げに見合って郵便貯金の金利までも引き下げようとしていますが、もはや正気のさたとも思われません。庶民はインフレに耐えながら、しかもその目減りの損失を強いられながら、国の福祉政策の欠落から自己防衛のために貯蓄に励まざるを得なかったのが実情であります。さらにそれに追い打ちをかけることは、冷酷きわまりない政治と言わねばなりません。預貯金金利引き下げを取りやめるよう強く要求いたします。誠意ある答弁を求めるものであります。
 質問の第四は、独占禁止法改正問題であります。
 安定成長時代のわが国経済は、いままで以上に独占、寡占の弊害を除去し、社会的、経済的公正を確保するため、独占禁止法の強化改正は急務であります。
 私は、前国会、衆議院において全党一致で修正可決した独占禁止法改正案を今国会に再提出することを強く要求いたします。再提出するかどうか。今国会に再提出しないのならば、いつするのか、明確にお答えいただきたい。
 さらに、現在自民党内では、公正取引委員会の職権行使の独立性を侵す公正取引委員会の改組をもくろんでいるといわれますが、その真意をお聞きしたいのであります。
 以上、数項目にわたって質問いたしましたが、最後に一言申し上げ、総理の所信を伺いたい。
 戦後三十年、いまや、わが国はかつてない重大な危局に遭遇して、国民中心の新しい政治、社会改革への一大転換点に立たされています。しかるに、三木内閣は、迷彩路線をもって政権の延命にきゅうきゅうとし、国民の期待を裏切り、大企業、財界に迎合せんとする姿勢を一段と露骨にしてまいりましたことは、国民の名において断じて許すことができません。(拍手)
 過日の新聞の世論調査で、その支持率が二三%に急降下した。このことが何よりも雄弁に物語っていることを知らねばなりません。
 信なくんば立たず。なれば、謙虚に反省し、速やかに衆議院を解散して、信を国民に問うことが民主政治の常道でありましょう。確たる総理の所信をただし、重ねて衆議院の解散を強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 坂井君の御質問にお答えをいたします。
 経済財政演説がおくれたことに対して責任ある釈明を求める、酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案は撤回すべきである、こういうことでございました。
 政府としても、この不況克服のためには補正予算の提出が必要でありますために、この編成に対しては鋭意努力をしたわけでございまして、これを提出を故意におくらして、そして酒、たばこ、郵便料金の法案を無理押ししたというような、そういう意図は全然ないのであります。補正予算提出までにはいろいろな条件を検討しなければなりませんので、今日まで時間がかかったわけでございます。
 酒、たばこ、郵便料金については、先ほどからしばしば申し上げましたとおり、これはもう五十年度の予算にすでに歳入に組み込まれておるわけでございまして、その裏づけの法案でございますし、また、どこの国を見ても、酒、たばこ等は非常に財源の重要な部分になっておることは、もう世界共通のことでございます。したがって、日本においても、ぜひとも財政というものが非常に困難な時期においてこの値上げというものは実現をしていただきたい、こういう考えでございますので、どうか一日も早くこの法案の成立を希望する次第でございます。
 また、国民は物価の安定は望んだが、失業、倒産の激増は望んでいない、まことにそのとおりだと思いますが、坂井君も御承知のように、三木内閣が出発をいたしましたときには異常な物価の値上がりであって、ああいう状態が続けば、日本経済は破綻に瀕しておる状態でございます。したがって、どうしても物価を安定させなければならぬということで、これはまた国民の要望でもありましたわけで、そのために最重点として物価安定を選択したのでございますが、その後物価が鎮静化してきたので、今度は本格的に不況対策に乗り出していけたわけで、もし物価が鎮静しなければ、本格的な不況対策というものはとることができない状態にあったわけでございまして、その間不況という問題もあって、いろいろと事業の経営者に対しては、非常に苦しい、苦難の道を歩んでいただいておりますけれども、われわれは、この不況対策によって景気が順調に回復をしてくるものと考えておるわけでございまして、あの場合の政策の選択としては誤ったとは思っていないわけでございます。
 また、政府の政策に対して、今後補正予算では、低所得者に対する減税、さらには、社会保障の拡大を優先されるのが筋だというお話でございました。
 所得税の減税については、最近の消費手控え傾向から見て、減税による景気刺激策は余り期待できない、むしろ減税によって公債の発行幅がそれだけ拡大することになりますし、財政の体質をさらに悪化させることになりますので、今日の場合は、私は問題がある。これまで高度経済成長によって、自然増収が毎年相当財源として使えたわけでございます。したがって、年々大幅な減税をやってまいったわけでありまして、所得税の課税最低限度は先進諸外国の水準を上回っておることは、御承知のとおりでございます。このような負担水準、経済、財政の実情からして、当面減税を実施する考えはございません。
 社会保障は好、不況にかかわらず着実に推進していくべきでございますから、今後とも、社会的に弱い立場にある方々に対しての施策は充実をしてまいる考えでございます。
 また、巨額な赤字公債を発行するようなことになったことは、政治責任は重大ではないかということでございます。
 やはり、五十年度の補正では財政法の特例を設けて、いわゆる建設公債でない公債を発行することにしておりますが、これは景気の非常に予想以上の停滞に伴って税収の不足が生じて、それの不足分を補てんするためには、やはり歳出の一般的削減をやったり、増税をやることは適当でないと考えましたから、財政面から経済活動を支えるようにとするものでございまして、当然こういう場合には赤字公債の発行によって財政面から景気政策をとるということは、財政として当然なすべき責任を果たそうとするものであると考える次第でございます。
 また、地方税の減収を賄う地方債は全部資金運用部資金で引き受けられないかというお話でございましたが、地方税の減収に対処するため、地方債の資金のうち二千億円を政府資金として、残余は民間資金としたのですが、これは、地方交付税の減額に伴って、借り入れとか不況対策のための財投の追加とか国債の引き受けなど、政府資金に対する需要がきわめて多かったので、やむを得ないと考えた次第でございます。
 ところで、民間資金のうち一部二千三百億円については、政府資金と同等な利子負担になるよう、五十一年度、五十二年度において臨時特例交付金を措置することにしている次第でございます。
 また、民間資金による地方債の引き受けについては、自治省と大蔵省とが協力して消化ができるように努めてまいる次第でございます。
 また、租税の特別措置や、いろいろ地方税に対しての見直しが必要でないかということでございましたが、御指摘の諸点については、地方税の充実、税負担の適正化を図る見地から、税制調査会などに諮りながら検討することにいたしたいと思っております。
 また、地方の超過負担を完全解消するために、地方超過負担調査会を国と地方の代表によってつくれという御意見でございましたが、いま、全国知事会等地方六団体が地方超過負担解消対策特別委員会というものを設置しているところでございまして、政府としてもこの委員会に参加いたしまして、そして、いろいろ意見を交換して、超過負担に対しての措置をいろいろ検討をいたしたいと考えております。
 また、中小企業について、いろいろな御提案がございました。
 中小企業対策について、いろいろ御提案の趣旨に沿うて申し上げたいと思いますが、中小企業をめぐる景気は楽観を許さない、第四次景気対策においても、中小三機関の融資枠の追加など、種々の対策を講じてきたことは、御承知のとおりであります。
 事業資金の金融である以上は、坂井君の御指摘のように無利子とすることは適当ではございませんが、しかし、担保、保証については、いろいろきめ細かく配慮していくつもりであります。
 中小企業の税制については、負担の軽減に努めてまいります。
 また、分野調整については、立法措置は考えておりませんが、行政指導を行って分野の調整に当たる方針でございます。
 また、下請取引の適正化については、現行法を活用して指導に努める考えでございます。
 信用補完制度については、これまでも充実を図ってまいりましたが、特別小口保険の限度額の引き上げを、百五十万円から二百五十万円にいたしたいと、法改正を本国会に提出することにいたしております。
 また、雇用問題について、いろいろ御意見がございましたが、来春卒業の大学生の就職問題については、職業安定機関と大学との連携を強めて、企業の協力を求めて、求人確保に努めてまいっております。
 中高年齢者や身体障害者については、現行の雇用率制度の活用などにより、企業に対する指導を強化してまいりたいと考えております。
 また、企業の倒産などによる賃金不払いについては、何とか救済措置を講ずることができるよう、労働省において検討中でございます。
 雇用調整給付金の支給限度の日数の引き上げはできませんが、業種指定については、産業の実情に応じて、追加または延長する考えでございます。また、雇用失業指標の確立は、今後の課題として検討いたします。
 また、雇用情勢の見通しは、景気対策の浸透に伴い次第に明るさを増すものと考えております。
 石油製品の値上げと行政指導、独禁法との関連についてどう考えるかというお話でございます。
 石油の安定供給が確保されるよう、石油製品の価格問題等については、鋭意検討を行っているところでありますが、行政指導と独禁法との関係については、行政指導も独禁法を尊重して行うという従来の方針に変わりはありません。
 独禁法の改正案は、前国会で参議院では何ら審議をされないまま廃案となったのでございます。これを踏まえて、いま自民党内で再調整をしておるところでございまして、国会の提出は、その再調整の結果を待つことにいたしたいと考えております。
 また、郵便貯金の金利に対して、これは据え置けというお話でございましたが、今日の日本は、日本の経済において金利の重圧というものが、単に大企業のみならず、中小企業にも非常な重圧になっておるわけでございまして、金利水準を下げるべきだということは、今日の国民の声と申してよろしかろうと思うわけでございます。したがって、金利水準を下げよというときに、郵便貯金の金利だけを据え置くということは、なかなか困難であるということは御承知を願いたいのでございます。
 また、最後に、国会を速かに解散して、国民の信を問うべきであるという御意見でございましたが、いま坂井君もいろいろと御質問の中にも触れられましたごとく、日本としては、これだけの困難な一つの難局というものは戦後ないわけであります。一日も早く景気を回復さし、雇用を安定して、日本経済を安定さしてもらいたいというのが、今日の国民の声であって、解散によって政治の空白というものは、今日の事態といたしましては、これは国民としてもその前に経済の安定ということを望んでおるものと私は判断をいたしまして、いま解散の考えは全然ございません。このことを明らかに申しておく次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) まず、不況についての責任を感じないかというお話でございます。
 これはただいま総理大臣からもお話があり、私も先ほど申し上げたところですが、いま世界じゅうの国がインフレと不況、この混在する状態の中からいかに脱却するかということで思い悩んで、努力をいたしておるという最中でございます。そういう中で、大方の国がまずインフレの火の手を消さなければならぬという態度をとってきたわけであります。そういう態度をとった国は比較的安定の端緒をつかんだ。ところが、このインフレを中途半端にして景気対策に移った国があります。この国はいまなお混沌としておる。まあ、よそのことでございまするから、特定の国のことは申し上げませんけれども、先進諸国の中でも、そういうコースを選択した結果、いまなお非常な混乱に陥っておる国があるのであります。わが国といたしましては、大局において、とにかく正しいかじの取り方をしてきたと、さように私は確信をいたしておる次第でございます。
 なお、これに関連いたしまして、坂井さんからは、景気の動向に注意しながら適時適切な対策を打つべきだったというようなお話でございまするが、そういうふうな気持ちで政策運営に当たったつもりでございます。つまり、第一次、第二次、第三次景気対策がとられる、あるいは公定歩合の引き下げが三次にわたって行われる、いずれも、さような配慮から行ったものでございます。
 なお、特に坂井さんから、個人消費を抑え込む総需要抑制策ということは誤りでなかったかというお話でございます。
 私は、この総需要抑制政策の中で個人消費を抑え込むという考え方ではないのです。これを積極的に刺激するという考え方はとらないということを考えてきたわけでございますが、とにかく、世の中が一変いたしまして、わが国をめぐる環境、非常に厳しいものがある。その中で、また再び大量消費社会というようなそういう状態に復元したのでは、わが国の前途、非常に暗いものがあります。
 そういうようなことを考えますと、どうしても消費を積極的に刺激しましょう、こういういわゆる消費美徳論、このような考え方に立つことはできない、さような考え方、また、これから大量の国債を発行する、これにどういうふうに対処するかということを考えましても、どうしてもこれは貯蓄です。貯蓄という問題が解決されなければ、大量の公債の消化はできない。しかし、貯蓄の健全な推進があれば、公債を発行いたしましても心配はない。こういうようなことと考えるのでありまして、個人消費を積極的に抑えるという考え方はとりませんけれども、しかし、これをこの際、特に刺激するという考え方は妥当でない、かように考えておるのであります。
 なおまた、赤字国債という問題につきまして、いろいろのお話がありましたが、これは大蔵大臣から恐らくお答えいたすことになろうと思います。
 なお、補正予算案及び第四次景気対策による倒産の回避や、雇用促進の効果及びその見通しはどういうふうに考えるかという御質問でございます。
 第四次対策により、しばしば申し上げておりまするとおり、下半期における経済の動向というものは、年実質六%成長、かなりの回復を示す、かように見ております。それに伴いまして、雇用面でもかなりの改善を示し、明るさが増してくる、こういうふうに見ております。また、倒産につきましても、金融面や中小企業に対する各種の措置と相まちまして、改善される、そういう傾向と、かように判断をいたしております。
 なお、坂井さんにおかれましては、物価のこれからの動向について大変不安を示されておるのでありますが、私も、これからの物価動向というものにつきまして、決して安心はしておらないのです。これは非常に厳しい態度をもって物価問題と取り組もうといたしておるわけであります。公共料金の問題がある、あるいはOPECという問題があります。あるいは円安というような問題もある、いろいろむずかしい問題がある。しかしながら、私がつとに申し上げておりまするとおり、物価の安定こそは、経済政策の基本である、社会基盤安定の基礎である、そういうふうに考えますので、それらの障害を排除しながら、何とかして物価政策はさらにさらに安定化の方向へ前進させたい。そして、消費者物価におきましては、来年三月、つまり本年度末一けたの目標は、これは万難を排して実現をいたしたい、かように考えておるのであります。
 なお、坂井さんにおかれましては、もし、その目標が実現されなかった場合はどうするのだ、いかなる責任をとるかというお話でございますが、それができなかったならばというような、そんなことは考えておりません。万難を排してこれを実現をする、これを考えておるのみでございます。(拍手)
 さらに、公共料金の問題、いろいろ御指摘がありましたが、これらはいわゆる新価格体系という路線に乗りおくれておるというものがかなりあるのであります。これとの調整ということを逐次考えていかなければならない。タイミングを見ながら、物価政策と整合を保ちながら解決をいたしていきたい、かように考えております。
 なお、OPECの関係で、原油値上げによる石油製品価格の値上げの問題があるのであります。
 この問題につきましては、これは、とにかく自由価格体制のもとでありますので、この需給の関係、これがどうなるか、これが一番大きく左右するわけでございまするけれども、もし、石油製品価格の値上げを行うという場合におきましても、これはもう企業家において、そのタイミング、あるいは上げ幅、それらにつきまして物価体系との整合ということに十分配意をしてやってもらいたい、かように考えておりまするし、また、特に灯油価格につきましては、これは国民の生活に密着をしておる問題でありますので、政府におきましても、これが国民生活の圧迫にならないように特に配慮してまいりたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 最初の御質問は、公共投資におきまして、住宅、とりわけ公共賃貸住宅の促進を図るべきでないかという御指摘でございます。
 今度の補正予算におきましては、住宅金融公庫を通ずる融資に重点が置かれてございますことは、御案内のとおりでございますが、坂井さん御指摘になりまする公共賃貸住宅につきましては、すでに予算に組んでございまする計画の消化の促進に政府としては努めておるわけでございます。
 次の御質疑は、特例公債についての、公債政策全体についての御質問でございました。
 まず最初に、公債政策をとる場合の前提といたしまして、歳出あるいは歳入の見直しについて、どういうことをやったかという御質問でございました。
 歳出につきましては、今度の補正予算で御審議をいただいておりますように、七百四十一億円に上る行政経費の節約をいたしたわけでございます。歳入につきましては、大方の部分が国会に係ることでございますので、行政府だけでできる事項といたしまして、金融機関の貸し倒れ引当金の引当率の逓減によりまして、法人税を確保するということをいたしたことでございます。
 それから第二に、償還の財源についてどう考えておるかということでございます。
 償還財源といたしましては、百分の一・六の定率の繰り入れ、第二は剰余金の全額の繰り入れを考えております。特例公債を発行している間は、全額の繰り入れを実行してまいりたいと考えております。第三は、必要に応じまして、償還財源を予算で繰り入れることにいたしたいと考えております。
 それから第三に、償還計画でございますが、償還計画を持たないことに対する不安についての御指摘でございました。
 これは多賀谷さんの御質問にもお答え申し上げたわけでございますが、償還計画を立てるとなりますと、財政計画が立たなければなりませんし、財政計画を立てるには、余りにも不確定要素が多いわけでございますので、償還計画を立てるまでの自信を、まだ政府は持っていないわけでございますけれども、十年以内におきまして、借りかえを考えることなく、どうしても償還してしまうということを、財政運営の基礎に置いてやってまいりたい決意でおりますことを、この際、御理解をいただきたいと思うのであります。
 それから、付加価値税その他新税を起こすことについてどう考えておるか、償還財源との関連においての御質問だと思うのでございます。
 この問題につきましては、税制調査会にも今後御検討いただかなければならぬ課題と思っております。
 私は、こういう大きな税制の問題は、いずれ政府として考えなければならぬ時期が間近にあるのではないかと思いますけれども、その前に、いま内閣として取り組んでおりまする税制全体を見直して、その公正を期するということに間然するところのないようにまずやるべきじゃないか、そして、そういうことをやり遂げた後で、その基盤の上に立って、新税について税制調査会の御勉強をいただき、国会の御審議をいただくというような手順を踏みたいものと考えておりますことを申し上げておきたいと思います。
 それから、土地再評価を償還財源に充てるべきじゃないかということで御提言がございました。
 土地再評価につきましては、本院におきましてもたびたびお答え申し上げておるところでございまして、なお研究すべき問題と思いますけれども、いま、一応の考え方といたしましては、未実現利益に対する課税でございますので、当然、低率の課税にならざるを得ないと考えます。もし再評価いたしますと、その土地が譲渡された場合、その譲渡益は薄くしかとれないということに結果はなるのではないかということを、われわれは懸念いたしておるわけでございまして、固定資産税問題その他資産課税問題とあわせて、こういう問題は基本的な問題でございますので、検討さしていただきたいと思います。
 それから、公債の消化についての御心配でございました。
 ごもっともと思いますが、私どもの見るところ、ことしの上半期は八千億余りの財政の散布超過でございます。下期の状況を考えてみますと、相当大量の国債を消化いたしましても、なお相当の散布超過の金融市場が予想されるわけでございまして、マクロ的に見ますと、国債の消化には一応心配はないのではないかと考えております。しかしながら、金融機関によりまして、あるいは時期によりまして、御心配のようなことがないとは保証できませんので、資金の需給の状況、金融機関の状況を注意深く見ながら、消化には万全を期してまいりたいと考えております。
 その場合に、特例公債は日銀の買いオペの対象にすべきでないじゃないかという御意見でございます。
 日銀の買いオペは、そのときどきの金融情勢に応じまして日銀が行う金融調節の手段でございます。したがって、特に特例公債を対象から外すということを考えなくてもよろしいのではないかと思いますが、ただ、これは日銀の買いオペレーションが、時期的に見ましても、金融情勢上適切であることが前提にあるわけでございますので、御注意の点は、十分心して取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 坂井さんから御質問のございました、地方税の減収を賄う地方債は、資金運用部のものを全部してはどうかというような問題点については、すでに総理から詳しく御答弁がございました。さらにまた、御質問の租税特別措置や地方税の非課税措置の洗い直し、法人事業税の外形課税の導入、事業所税の拡大等についても、総理からお答えがありました。また、超過負担の解消問題についても、総理から、超過負担調査会を設置してはどうかということについてもお答えがありましたので、まだ御答弁がなかった一点、すなわち、地方自治体の財政調整資金は非常にいま調達が困難な状態にあるのだが、これに対する対応策はどう考えておるかという点について、お答えをいたしたいと思うのであります。
 この点につきましては、先般の地方長官会議でも知事さんの方から大変心配をされまして……(「地方長官とは何だ」と呼ぶ者あり)取り消します。失礼をいたしました。知事会議の席上におきまして、知事さんの方から、この点を非常に心配されて御質問があったわけであります。
 ところが、これは、例年は十一月の初めに普通交付税を配っておるのでありますが、ことしは御案内のような状況で、この資金が困難になり、予算が足りなくなりましたので、いま補正予算を出し、及び五十年度の地方交付税の特例法をただいま国会に提出をいたしておりまして、御審議を願っておるわけでございます。これが通過いたしますと、すぐにこれは配付をすることに相なるわけでございますので、これが配付がおくれますと、御案内のように、不況対策にいたしましても、その他の支払い等において市町村、府県が非常に困難を感じております。その点を知事さんも大変心配されたわけでございます。
 どうか、これらの点を十分お考えを願いまして、そうして、なるべく速やかに補正予算とか地方交付税の特例法が上がって、地方の人たちが余り迷惑がかからないように、ひとつお願いをいたしたいと思う次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(秋田大助君) 竹本孫一君。
    〔竹本孫一君登壇〕
○竹本孫一君 私は、民社党を代表して、政府の財政経済演説につき、総理並びに関係大臣に対して若干の質問を行わんとするものであります。
 率直に申しまして、私どもは、三木内閣に大きくいま失望をいたしております。三木総理の進歩的なポーズと、対話と協調の精神に期待をいたしまして、私どもは好意を持ってその施策を見守ってきましたが、いまや、それは後退に次ぐに後退、ついに臨時国会における対決と強行採決になりました。世論の支持率も二三%、当初の半分になりましたのも、決して偶然ではありません。
 福田副総理の物価安定作戦は一応の成果を得たようでありますけれども、今日の不況と倒産、雇用不安をもってすれば、副作用が余りにも大き過ぎ、いまや、角をためて牛を殺すのではないかという心配を持たれておるのであります。大平蔵相に至っては、拡大均衡どころか、四兆円の大赤字蔵相になっているような状況であります。国民の期待が次々に裏切られまして、挫折感と不信感とは、いま日本民主政治の危機を深めつつあるのであります。「議会政治の無能と不正直の陰惨なる記録」、このディズマルレコードこそはファッショへの道であります。このことを強く警告をして、私の質問を始めます。
 質問の第一は、臨時国会は何のために開いたのであるかということであります。
 倒産、不況の今日、臨時に国会を開くとなれば、第一の課題は、だれが考えても、不況対策でなければなりません。中小企業の危機を救い、雇用不安におののく人々の生活を安定するために、何はさておいても、景気浮揚、不景気打開に努めなければなりません。この際、何をあわてて値上げ法案を強行採決したのであるか、全く政策の優先順位を間違えておると思うのであります。まず不況打開の補正予算、次に恩給法その他の生活関連法案、これらを通過させた上で、おもむろに三法案に取り組むのが、物の順序であり、世間の常識ではありませんか。
 大体、酒、たばこ、郵便料金の値上げは、それ自身、庶民を苦しめるいわゆる大衆課税であります。しかも、公共料金の値上げは、政府主導型の物価騰貴を招来するものでありまして、物価政策としては最も慎まなければならぬものであります。すでに七月の公共料金は、昨年比一九・七%の上昇で、一般物価の一二%に比べて大変大幅な上昇を見せておるのであります。このことは、消費者物価を引き上げまして、景気回復のかぎである消費需要をますます圧迫して、最も景気の回復をおくらせる要因となるのであります。インフレ暴発の危険を冒しながら、しかも不況を拡大する、天下、これほど愚かな政策はないと思うのであります。
 これに関連して、石油値上げ問題について、通産大臣に警告をしたい。
 業界の再編成を思い切って行うでもなく、ただイージーゴーイングにガイドラインを設けて石油の値上げを行政指導で行うということは、独禁法の違反ではないかという疑いがあるのみならず、通産省と業界との癒着をいよいよ深く印象づけるものでありまして、厳しい反省と思い切った業界の再編成をこの際求めたいと思います。
 質問の第二は、政策不況の政治責任についてであります。
 私は、最近の不況の原因を三つのツーとしておりますが、その第一は、すべての手の打ち方がツーレート、遅過ぎるということであります。
 私ども民社党は、昨年の十月以来、不況対策を強く主張いたしまして、インフレ対策とデフレ対策、すなわち、物価も景気もと、同時二正面作戦を展開せよと昨年の暮れから主張してまいりました。第四次不況対策は一年、少なくとも半年おくれておるというのが、世間の常識であります。政策に最も大切なものはタイミングであるということを御存じないのでありましょうか。
 その二はツーリトル、余りにも少な過ぎる、小出しに過ぎたということであります。
 第一次対策のときは二次対策が、第二次対策のときには、その日から第三次対策がうわさされておるほど小規模であったのであります。経済は経済心理学と言った学者もおります。特に今日のような不況を打開するためには、一種のショック療法が必要であります。公定歩合の引き下げではないが、〇・五%型の努力では、今日の経済に活力を与えることはできないのであります。
 その三は、次元が余りにも低く、ツーロー、低過ぎるということであります。
 私は、政府の財政、経済演説を聞いて、弁解や抽象的な訴えが多くて、具体的な経済改革、具体的な財政改革の具体案が示されなかったことを非常に遺憾に思いますが、それは結局三木内閣の性格、次元の低さにあると思います。
 この数年間、政府は安定成長を言いながら、高度成長、重化学工業中心、設備投資主導、資源多消費型の経済構造の質的転換、量から質への抜本的改革として何をやったでありましょう。ただ、油がないから安定成長、実は減速経済であり、相似形のままに型を小さくしたスローダウンにすぎないのであります。理念がないので構造改革はできない。資本主義的な浪費や退廃の大規模な節減もできない。三公社五現業を初め、すべての企業体の民主的、能率的再編成もできない。また、中央地方を通じて、四百万人に達すると言われる役人の再配置もできない。さらに、積極面では福祉社会建設、生活基盤整備への思い切った計画もできない。次元が余りにも低い、改革のないその日暮らしの継続にすぎなかったのであります。
 この三つが不況の長引く根本原因であります。四兆二百十八億円の歳入不足、二兆二千九百億円の赤字公債、二六・三%といえば、四分の一以上の公債依存度、二兆五千億円の地方財政の落ち込み、これは一体だれの責任でありますか。三木内閣は国民に謝罪するのが本当であります。
 三木総理や大平蔵相にはディプロア、痛みや深い悲しみというものは持ち合わせがないのでありますか。これほどの赤字ならば、民間では必ず倒産であります。倒産をすれば、社長や専務は総退陣であります。三木内閣には政治責任免除というような特例法があるとでも考えておられるのでありますか。(拍手)
 なるほど、第四次対策は従来のものとは若干趣を異にしております。しかしながら、依然として時期おくれで、鮮度が悪く、次元も低い基本性格に変わりはありません。だからこそ、今日すでに第五次対策がささやかれておるではありませんか。
 物価も景気もと副総理が言われました。景気が回復感を持って回復するのは一体いつでありますか。四期連続減益、二年続いた不況回復の時期を明確に示していただきたい。
 また、その回復の度合いはどの程度であるか。仮に稼働率指数が九〇%に回復するとしても、それは稼働の指数を生産能力指数で割った指数であります。すなわち、これは指数の遊戯である。実際の企業の操業率というものは九〇と言われても、八〇%になるかどうか、疑問であります。しかも、その操業率指数九〇というのは、昭和四十六年、あの不況の谷底で九二でありますから、四十六年不況の水準にも達しない低い景気の回復であるということをはっきりと指摘しておかなければなりません。
 特に重要なのは、景気浮揚の牽引力は何かという問題でもあります。確かに不況対策の効果も次第にあらわれるでしょう。輸出も年末にかけて回復するでしょう。製品市況も底ばい状況から反転をして、生産、出荷、実需といったものは一応回復すると思います。しかしながら、本質的な今日の経済の矛盾は何ら解決しておりませんので、財政に頼ってこれから景気を回復しようと思えば、ますます赤字がふえます。個人消費に期待するといっても、インフレ、目減り、首切り、そういう脅威、新卒は就職難、これでは個人消費が萎縮するのも当然であります。輸出に期待したいのであるが、アメリカ以外の世界不況と輸入制限の動きは深刻であります。設備投資、最近、不況による減産を背景に減額修正を相次いで行っている製造業等の設備投資による盛り上がりというものは、一番最後に期待する以外はありません。公害防止投資というものは若干ふえておりますけれども、これは公害防止でございますから、おのずから限界があります。
 かくて、六%成長を可能にする基盤とエネルギーは何であるかということを、具体的にお示しを願いたいのであります。
 こうした諸条件の中で、一部には二兆円減税というような議論もあります。もちろん、これには幾多の条件があると私は思いますが、しかし根拠のない議論ではありません。
 物価一けた論というものをもう一遍まじめに考えてみたいと思いますが、これは出発点においては、実質成長四・三%、雇用者所得は一八・四%の増加を図りながら、しかも、物価を一けたにするということが政府の考えであり、計画であったはずであります。ただ物価を下げるということだけが目的ならば、不景気にさえすれば物価は下がるのです。それでは政治ではない。問題は、この三つをワンパッケージにして、四%の成長をさせながら、雇用の一八%を伸ばしながら、しかも同時に物価を一けたにするところに、政治の使命があると思うのであります。一八%のアップと現実の一三・一%のアップとの食い違いは、計算すると、大体二兆円になりますから、二兆円減税というのも、決してでたらめな議論ではないと私も受けとめております。事実、アメリカでは、最近思い切って減税によって景気回復を図っておる。二百四十八億ドルの減税。さらに今度は二百八十億ドルの大幅減税が論ぜられておるようであります。そういう意味において、この二兆円減税に対して、政府はいかに評価しておられるか承りたい。
 特に、われわれ民社党としては、この際、物価上昇と税負担の累進構造に見合うだけの物価調整減税ぐらいはやるべきだと思うが、政府の見解はいかがでありますか。
 思うに、資本主義には三つの大きな欠陥があります。
 第一の欠陥は、土地その他私有財産絶対の思想であります。
 そこで、憲法は二十九条で、社会、公共のためには一定の制約を設けております。総理の社会的不公正是正がわれわれに高く評価されたというのも、その点でありました。ただ、惜しむらくは、これがだんだんと後退をしておるのが実情であります。
 第二の欠陥は、無責任な経済自由主義であります。
 独占禁止法の改正が叫ばれたのも、この経済自由主義の無責任なあり方に節度と秩序を確立して、公正な競争を打ち立てようとしたものであります。しかるに、三木総理は、衆議院が満場一致で通した、先ほど来議論になりましたこの独禁法の改正案を再提出はなさらないというようでありますが、これは考えてみると、衆議院満場一致の決議に対する挑戦である、侮辱であると思うのであります。
 こうしたあり方に憤慨をした一人の庶民が川柳で「前向きに後ずさりする三木目減り」、こういう川柳をつくっておる。庶民の実感というのはなかなか正しいのであります。一体独禁法はいつ出されるのであるか、伺っておきたい。
 さらに、民社党は経済安定・計画化基本法というものをいま提唱しております。これは自由経済の乱脈、無計画性に対して、何とか計画性を与えたいと思うからであります。財政金融政策を総動員して、フィスカルポリシーを通じて、すなわち、具体的には国民経済五カ年計画を策定する。景気調整準備金を設ける、景気の調整税を創設する、そして、景気の山を抑え、インフレを抑え、また景気の谷を埋め、デフレギャップを埋めていく。そういう制度的工夫をしようというのでありまして、これが一部に言われた「計画的な市場経済」確立への道であります。ドイツでは五賢人委員会がつとにこの考え方を発表しておりますし、わが国でも、経済企画庁や通産省、大蔵省の一部の良心的、理性的なグループでこうした考え方が発表されておるのであります。
 フランスの大統領ジスカールデスタンは最近演説をしまして、より公正な、より人道的な、よりバランスのとれた、そして、より資源節約的な新しい型の成長を志向したいと、こう申しましたけれども、その志向するためには、構造改革をやらなければならぬのでありますが、政府に経済構造の改革をやるという決意と認識があるのでありますか、ないのでありますか、はっきりとお伺いをいたしておきたいのであります。
 資本主義の第三の欠陥は、その営利主義、利潤追求であります。
 三木さんは、昨年御就任当初の予算委員会におきまして、私の質問に答えて、銀行法の改正を言われました。一体、三木内閣の手によって、この銀行法の改正を断行する決意をいまもお持ちになっておるかどうかを明確に伺いたいのであります。長者番付の上位にあるもの、もうけ過ぎて会社臨時特別税を納めなければならないもの、その多くは銀行であります。中小企業を今日なお歩積み両建てで苦しめているのも、さきの、商社と一体になって買い占めでインフレを激成させたのも、さらに会社に対してたくさんな融資をし過ぎて土地投機をさせて、そのため、いま会社を破産させているのも、大体銀行のあり方に問題があるではありませんか。(拍手)この銀行を、天下の公器として、本来の社会的使命に立ち返らしめるために、銀行法の改正を急ぐべきであると思いますが、政府のお考えを承りたい。
 次に、主要先進六カ国首脳会談について一言いたします。
 これは自由陣営の結束を誇示する政治的効果に重点が置かれようとしているようでありますが、不況とインフレ、通貨、貿易、食糧、人口、海外経済協力等、現下の経済問題の解決こそは、民族と国境を越えた世界資本主義最大の課題であるはずであります。三木総理のお考えはいかがでありますか。
 さらに、この点に関しまして、総理は、首脳会談に臨むに当たっては、党首会談を行って、形式的、儀礼的にではなく、具体的、実質的に各党の協力を得て、国民の総意と協力の中で臨まれるべきであると思いますが、政府のお考えはいかがでありますか、お伺いをいたします。(拍手)
 質問の第三は、公債インフレの問題であります。
 デフレギャップが二十兆円もあると言われている今日でございますから、公債の発行がそのままインフレになるとは私どもは考えません。また、民社党は、建設公債そのものには反対をいたしておりません。しかしながら、問題は、財政法第四条の特例のところであります。
 赤字公債というものは、健全財政の基本を誤るものとして第四条は禁止しておる。その赤字公債を、赤字の出るたびに特例法を設けて認めていこうというのでは、第四条は空洞化され、特例法が原則法になってしまって、どうにもならないことになるのではないか。自民党は、一体、健全財政を論ずる資格があるかどうかをはっきり聞きたいのであります。
 次に、市中消化の原則について。これを貫けば、市中の金融を圧迫し、金利を上昇せしめて、かえって不況と倒産を拡大するというのが、経済の筋道であります。いわゆるクラウディングアウト、すなわち公債が中央に群がって、中央突破をやるために、市中金融、中小企業の金融は押し出されてしまう、これがクラウディングアウトであります。これを克服すべく日銀が公債の買いオペをやれば、それだけ通貨が増発されて、成長通貨を超えてインフレになる危険が存在いたします。まさに進退両難の袋小路でありまして、改めて財政の厳しさを反省しなければならぬと思うのであります。「経済部門全体を統合してみると、投資と貯蓄の間には事後的な恒等関係が必ず成立する」というような理論がいま一部に説かれておりますが、これはかつての下村理論と同じように、時間と空間を超越した楽観論、観念論であると思うが、政府のお考えはどうでありますか。
 具体的に申しましょう。
 都市銀行十三行の預金は、上期で三兆五百十五億円の増加であります。これが今後一体どれだけ増加するか。情勢は、むしろ増加を困難にする事情がたくさんあります。仮に毎月五千億円以上の増加が都市銀行であったとしても、大部分を貸し出しに向けなければならないのでありまして、そうでなければ、景気の回復はいたしません。現に金融機関は、これは全体では民間信用は百九兆千四百十億円にも達しております。それでも中小企業は歩積み両建て、金融難に苦しんでおります。中小企業は、これから年末にかけては、ボーナスその他の年末金融が要る、税金の支払いをしなければならぬ、春の仕入れの増加運転資金を考えなければならぬ、金融はますます苦しくなってまいります。
 われわれはその意味で、政府の決定した三機関に対する四千八百億円の融資というものは、これでは不十分で、七千億円にすべきであると思いますが、政府にそのお考えがありますか、伺っておきたい。
 しかも、そうした情勢の中で、三兆四千八百億、運用部が四千二百億引き受けるといたしまして約三兆円、これを五カ月で割ってみれば、月々六千億円の公債をスムーズに消化するという条件が、一体どこにあるかということであります。余裕資金は、いま、どこに、いかなる形態で存在しておるか承りたい。銀行、証券、コール市場、日銀準備預金等々の実態について御説明を願いたいと思います。
 日銀の銀行に対する買いオペ、これは制度的には、四十九年度の市中銀行が持っておるものが一兆九千億円ありますから、約一兆円の公債が買いオペの対象になるようであります。また、資金運用部が持っておる四兆一千億円の国債、これも日銀に売り戻し条件が半分ばかりはついておりますから、できます。けれども、それをやれば金が出てくる。出てきただけは、しかも、それが赤字の穴埋めとして使われる場合には、最終的にはインフレになる危険性がはなはだ多いと思うが、どうであるか。ワンクッション置いただけで、実質は日銀の引き受けと大差ないと思うが、政府の見解を明確に示していただきたいと思います。
 そこで、次に、公債インフレへの歯どめについて、民社党の考えておるところを申し上げます。
 第一は、市中消化の原則を貫き、公債の御用金化を防ぐためには、政府は、公債とAA債との現在の金利差、一・〇七三%ぐらいをどの程度、いつまでに縮めるつもりであるか、伺いたい。
 第二は、日銀券。昨年は、一時二七・六%ふえました。そのときはそれでインフレであった。今度は、逆に、たとえば九月は一一・二%でありますが、一一、二%前後に増発を落としておる。そしてデフレを招いておる。こういうことで経済の安定ができるであろうか。私どもは、経済の安定、計画化のためには、通貨の総供給量M2というものも計画的に調整をしなければならぬと思います。政府のお考えを承りたい。
 また、政府は、この日銀券の増発は何%ぐらいまでが妥当なパーセンテージであると考えておられるか、その基本的な考え方も伺いたい。
 さらに、もう一つ、アメリカでは、今年度は景気をここまで持っていく、そのためには、通貨の増発はこの程度やるということをあらかじめ示しております。経済の見通しに具体的な指標を与えるためには、そのくらいの親切がなければならぬし、また、それが歯どめにもなると思うのでございますが、政府は、通貨供給量の今年度における全体の見通しをあらかじめ発表する用意があるかどうか、伺っておきたいと思います。
 第三、公債の償還計画でございますが、これをもう少し具体的に示してもらいたい。同時に、五十一年度から財政五カ年計画を策定すべきであると思います。
 赤字公債は、果たして五十年度だけで終わりにすることができるのかどうか。私の計算では、来年は国債の元利償還費だけで一兆六千億になるはずであります。そのほか、全体を計算してみると、歳入不足は、来年度大体六兆円になると思うが、政府はいかなる計算を持っておられるか、承りたい。それらを含めた財政五カ年計画というものがなければ、福祉予算も公債償還も、絵にかいたもちになってしまうことを私どもは恐れるものであります。
 次に、政府は、財政の赤字の慢性化に対しまして、間接税の増徴をいろいろ言っておられますが、この逆進性の強い大衆課税の性格を持っている間接税は、何を中心にして、どの程度までふやす考えであるか、具体的にお示しを願いたいと思うのであります。
 まず第一に、付加価値税はいろいろ問題が多いし、実行にもいろいろ困難を伴うものでございますけれども、これをどう考えておられるか。
 物品税はその方向に切りかえていくのか、あるいは独自の立場で物品税の引き上げを考えておられるのか。
 さらに、民社党は富裕税というものを提唱しました。これはインフレ過程において、ストックを持っておる者が余りにも恵まれ過ぎるという社会的な矛盾を克服する一つとして、われわれが富裕税を主張したわけでございますが、政府は、徴税技術的困難を理由に、大蔵大臣、なかなか賛成されないようでございますが、最後まで富裕税は反対するつもりであるか、伺いたい。
 租税特別措置法については、その洗い直しが先ほど来同僚議員から鋭く指摘されておりますが、これに対する政府の決意と構想も承っておきたいと思うのであります。国民が納得できる線で、明確にお答えを願いたい。
 次に、資金運用部は、今回の補正予算では、すべては皆資金運用部任せ、約三兆円の資金負担であります。しかしながら、どこでこれを賄う、どうしてそれを賄うか。郵便貯金等がふえる、一兆円はなかなかむずかしいと思います。四兆円国債を持っておる、それを日銀に売ってしまうというのだけれども、売り戻し条件がついておるものとつかないものと、二つあるのです。全部四兆円がそのまま日銀に売り戻せるわけではありません。資金調達の具体的な問題を御説明を願いたいと思うのであります。
 最後に、いま一度、政府に警告をしておきたい。
 資本主義は、いま世界的な規模で行き詰まって、果たして生き残り得るや否や、「タイム」は特集号まで出しました。その全存在が問われているのであります。いまこそ、これを改革することが必要であります。
 英国のディスレリーは保守党の政治家でございましたけれども、彼はその著書の中で「保守とは日々改革することである」と言っております。一体、三木内閣には、このディスレリー並みの、保守は保守ながらに改革をし、改善の努力をする決意と構想があるかどうかを伺いたいのであります。(拍手)
 資本主義は、それみずからを改革し、修正して、新しい時代に適応し、順応することができるかどうか、これが問題であります。
 特に日本の経済は、古い二つのQにまいっております。一つのQは、クイック、速さです。かけ足で余りにも速く走り過ぎた高度成長。次はクォンティティー、量であります。大量生産、大量消費、大きいことはよいことであり、正しいことであると言ったこのQ。この二つのQは、二つの価値観は、いま清算し、克服しなければならぬものでございますが、その用意があるかどうか。(拍手)
 いま、一つの大きな古い時代が終わろうとしております。新しい時代が始まろうとしております。新しい時代には、新しい決意と新しい二つのQが必要であると思います。
 その第一はクワイエット。静かに物を考える、やわらぎであり、落ちつきであり、安らぎであります。急ぐだけ、走るだけが能ではない。とどまって静かに考える。物価の問題、公害の問題、郷土や祖国の問題、南北の問題、現在だけではなくて、静かに過去の歴史を、将来のあり方を考える、そのクワイエットであります。その第二はクォリティー。質の問題量から質へ、生活の質、経済の質、政治の質への革命的な転換であります。
 この二つの新しいQは、大企業中心の経済構造の変革を要請する。より根本的には、個人主義、物質主義の哲学の変革を要請すると思うのでありますが、三木内閣は、果たしてこれらの重要な歴史的な転換、歴史的な対応ができるのであるかどうか。
 もし何もできないというのであれば、みずから顧みて、この際潔く外科手術を決断すべきであります。首脳会議に出られた後、補正予算が通過した後、速やかに国会を解散したらどうでしょう。
 これは確かに大きなベンチャーであり、かけであります。しかし、すべて行き詰まったときには、最後は、国民の審判と選択によって、政治の方向と政権の担当者を決めるというのが民主政治のルールであります。政治の空白が大きな理由になっておるわけでございますけれども、いまぐらい政治が空白した時代があるであろうかと私は思います。
 三木内閣は、この歴史的転換の関頭に立って、一体いずれの道を選ぶお考えであるか。端的にこの点をお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
○内閣総理大臣(三木武夫君) 竹本君の御質問にお答えをいたします。
 臨時国会開会の目的は何かということでございますが、これは申すまでもなく、深刻な不況に直面しておるわけでございますから、補正予算及びこれに関連する法案を緊急に可決したいということでございます。
 また、値上げの三法案についても、これはもうすでに成立しておる予算の裏づけをなすものでございますから、また、前の国会においても長時間審議を願ったものでありますので、できるだけ早急にこれは可決をしていただきたいと願っております。
 また、生活関連法案は、その性格からいたしまして、できるだけ早くこれも可決していただきたい。
 まあ、この国会というものは、今日の経済情勢にかんがみて、国民の国会に対する期待というものは非常に大きいと思います。したがって、国会が能率的に、機動的に対応するよう、この国民の期待に沿いたいものだと願っておるわけでございます。
 また、自民党の単独採決というものを、民主政治を破壊するものだというお話でございましたが、私は、何とか与野党の間に、もう少し国会の審議というものについて節度のある関係というものをつくらなければ、議会政治というものは非常に大問題になってくると思うわけでございます。
 と申しますのは、各党立場が違うわけでございますから、全部自分の言うことが一〇〇%通らなければ、これはもう絶対反対である、審議にもなかなか応じないということでは、議会政治というものはなかなか運営されていかないのであります。(拍手)やはり議会政治というものを健全に育てていくためには、ほどほどに話をつける、節度というものがなければ、もう議会政治は、自分の立場を絶対に固執して、そうでなければ審議もなかなか応じないというようなことで、どうして議会政治が健全に運営されるでありましょうか。われわれ自民党としても、これは単独で採決したくはないのですよ。しかし、いつまでたっても審議を始めることができないというときには、やはりこれはけじめをつけなければ、これは、そうなってきたら、国会というものは何ら決まらないということになりますから、そういうことで、やむを得なく、やはり法案に対する決着をつけなければならぬ場合に、もうやむにやまれぬものであって、好きこのんで単独で採決する考えはないのであります。(拍手)どうか、この点については、われわれも反省する点は反省いたしますが、野党の皆さんにも十分お考えを願いたいと思うのでございます。
 それから、独禁法の改正案については、先ほど来しばしば申し上げますごとく、これは参議院で審議されぬままに廃案となったものでございますから、いま自民党の中においてもいろいろと再調整をいたしておるわけで、その結果を待って、この問題を処理したいと考えております。
 また、政策不況についての政治責任ということでございましたが、政策不況ということとは考えていないわけでございまして、御承知のごとく、昨年のような狂乱物価というものがずっと続いていけば、日本経済は破綻するよりほかにはないわけで、どうしても物価を安定させたい。しかし、物価を安定させながら景気も上昇さすということは、なかなか困難だ、だから、一方においては、どちらかに重点を置いた経済政策をとらざるを得ない。しかしまた、景気というものもある程度維持しなければなりませんから、政府も二月、三月、六月と、第一次、第二次、第三次の不況対策を講じて、なるべく景気を落ち込まさないようにという処置はとってきたわけでございますが、なかなか、物価というものに対して、政府としてはこれを重点に考えたので、思い切った処置というわけにはいきませんでした。しかし、今日になってみて、物価が鎮静の見通しがつきましたから、今回、御承知のように、思い切った景気対策をとった次第でございまして、こういうときに、物価も鎮静させ、景気も維持していくということは、なかなか容易ならぬわけでございまして、われわれとしてはできるだけのことを今日までやってきたわけでございまして、私たちの政策の誤りが今日の不況を呼んだというふうには考えてはいないわけでございます。
 また、銀行法の改正については、やはり銀行というものの役割りは非常に大きかったが、これからも安定、適正成長に移るに際しても、銀行のあり方というものは、いままでの高度経済成長時代とは変わってこなければならぬことは当然でございます。金融のあり方について、目下金融制度調査会で御審議をいただいておりますが、その結論も見たいと思いますが、銀行法の改正というものには取り組んでまいりたいと考えております。
 また、先進六カ国の首脳会議に臨むに対してのお話がいろいろございました。
 今日、世界が、どこの国も同じような経済的困難に直面しておる。インフレと不況のために世界各国が悩んでおるわけで、これは一国だけで解決しようとしても、なかなか、通貨の問題にしても、あるいはまたエネルギーの問題にしても、貿易の問題にしても、食糧の問題にしても、今日は解決が不可能である。どうしても世界の、ことに先進工業国の間のお互いの共同責任というものを皆が考えて、そうしてお互いの協力というものが必要になってきておるわけでございますから、そういうときにこの六カ国の首脳会議が開かれるということは、やはり今日の時代としては非常に必要な会議であると考えておりますので、私どもとしても、この国会の御承認を得て、積極的に参加して、この問題を世界的な立場から、今日の経済的難局の打開に当たりたいと考えておるわけでございます。したがって、野党の各位の御意見も、この国会の審議を通じて十分伺いたいと考えておる次第でございます。
 それから最後に、自由経済体制というものに対していろいろお話がございました。
 今日の経済困難というものは、原油の価格が一挙に四倍になった、あるいはまた、それとは性質が違いまするけれども、気象条件というものによって農作物が不作になった、こういう予期せない原因というものが、非常に経済に打撃を与えるということでございます。それは、経済体制が計画経済であったから、自由経済であったからというのではなくして、予期せない事態が起こってきて、世界の経済に大きな打撃を与えるということでございまして、やはり、いろいろと自由経済に対してはルールというものが必要であるということは、私も考え方は変えてないわけであります。
 しかし、自由経済体制にかわる好ましい経済体制というものは、日本の場合、私はないと思う。したがって、その自由経済のいろいろな行き過ぎとか、あるいは是正すべき点は、世界的な見地から、これに対して自由経済体制を守るための制約というものは必要でございましょうけれども、やはり自由経済体制というものは守っていきたい、こういう考え方でございまして、今日の自由経済体制自体というものに対して、この存立というものに対して非常な疑問を持っておるわけではないわけでございます。
 また、竹本氏は、やはり改革というものが必要である、保守党といえども、改革するということが、保守党の方向でなくてはならぬということでございましたが、私もそのとおりに考えておるわけで、やはりこういう変革期の時代においては、改革をしなければ、現状ではやっていけないから、変化を求められておるのですから、そういうために、私も、三木内閣が出発以来、まあ少し改革の意欲が多過ぎると非難を受けるほど改革の問題と取り組んでまいったわけでございまして、三木内閣というものは、現状というものに停滞するのではなくして、新しい時代に適応した改革を行うという使命を持っておる内閣であると御承知を願いたいのでございます。(拍手)
 また、今日の時代が量よりも質の時代である、政治も経済も国民生活も、そういう大きな転換を図らなければならぬという竹本氏の御意見に対しては、全く同感であります。
 いろいろ御質問に対しては、公債とか、あるいはまた税制については、大蔵大臣その他の閣僚からお答えいたしますが、竹本氏の御主張の中には非常に傾聴すべき御意見が多く、私も同感をする問題の多かったことを最後に述べて、お答えといたします。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 二兆円減税をどう考えるかということでございますが、この問題につきましては、先ほど総理からもお話がございましたように、ただいまの状況のもとにおきまして減税をいたしますと、その相当部分が貯蓄に回るということになりはしないか。それからまた、今日の置かれた財政事情から申しまして、これの見返りに公債を増発せねばならぬというような事情もございますので、いま直ちに二兆円減税に賛意を表するわけにはまいりません。
 しかし、物価調整減税程度はどうかということでございますが、わが国の減税は、竹本さんもよく御承知のように、数次にわたりまして、底辺から逐次基礎控除の引き上げ等を通じまして実行してまいったわけでございまして、今日、諸外国に比しまして相当課税限度は高くなってきておるわけでございますので、こういう財政事情のもとにおきまして、しばらく減税をしないことをお願いいたしましても、国民の理解を得られるのではないかと考えておるわけでございます。
 それから、銀行法の改正問題でございますが、これはすでに金融制度調査会に諮問をいたしまして、鋭意御検討をいただいておるわけでございます。仰せのように基本的な法制でございますので、みっちり御勉強いただいた上、御答申を期待いたしておるところでございます。
 それから、公債政策について数点お尋ねでございました。
 まず、特例法でございますが、これは不謹慎でないかということでございます。
 四条で禁止しておることをお願いするわけでございますので、確かに仰せのとおり、財政としては常道でないわけでございます。ただ、私どもとしては、今年度だけで特例公債の発行が済むかというものでございませんけれども、五十年度だけの特例法をまずお願い申し上げて、五十一年度におきましては、予算編成を通じて最善の努力をいたしまして、その結果、どうしてもやむを得ないときには、そのときにまた国会にお願いするという手順を踏ましていただく処置を講じておりますのも、まことに異例の措置のゆえでございますので、そのあたりは御理解をいただきたいと思います。
 それから、市中消化でございます。
 これは、先ほどからも御答弁申し上げておりますように、上、下期を通じまして、本年度大変な支払い超過の状況にございます。下期三兆円程度の公債の発行がございましても、相当金融市場には資金のゆとりがある計算に一応なるわけでございますので、マクロ的には、私は公債の消化に支障はないと思いますけれども、時期的に、あるいは期間的にはよほど注意をしないといけないと思いますので、市中消化の実行に当たっては、注意深く配慮してまいりたいと考えております。
 それから、公私の債券とかあるいは預貯金等との金利のバランスにつきましては、御指摘の点、十分踏まえて、適実な検討を加えていきたいと考えております。
 それから、M2、すなわち資金供給量が多くなりますとインフレを招く危険があるということは、御指摘のとおりでございまして、金融調節につきましては、御指摘の点は十分配慮して、資金の供給につきまして気をつけてまいらなければならぬと考えております。
 それから、償還計画、財政五カ年計画、これは表裏になった問題でございます。
 先ほど申しますように、不確定要素が余りにも多いわけでございますので、財政計画を編むというわけにはまだまいりません。けれども、公債を、しかも特例公債というようなものは短期間の間に償還し、そういうもののない財政の常道に返さなければならぬということが、財政運営の基本でなければならぬと考えておるわけでございますので、そこに力点を置いた財政運営をやってまいりたいという決意でおるわけでございますが、大まかな想定のもとに一応のデッサンをかくことができましても、それは竹本さんの御満足のいくような財政計画とは言えないと思うのでございまして、償還計画でございますとか、あるいは財政五カ年計画数字をもって埋めなければならぬ計画につきましては、まだ政府はそこまで踏み切る自信はないということを御答弁申し上げておきたいと思います。
 それから、間接税の問題でございますが、これは間接税ばかりでなく、直間全体にわたりまして税制を見直し、とりわけ特別措置等につきましては精細に見直して、課税の公平をまず図るということが当面の問題だと思うのでございまして、そういうものをやった上で、新税をどのように考えてまいるかということを御審議いただくのが順序であろうと考えておりまして、ただいま付加価値税、富裕税等につきまして具体的な御意見を申し上げることは、差し控えさせていただきたいと考えております。
 それから、資金運用部の資金調達の具体的な方法はどうかという御質問でございました。
 資金運用部は三十五兆もの財産をお預かりしておるわけでございますが、それはそれぞれの方面に融資されておるわけでございまして、そのうちで、竹本さん御指摘のように、抜き差しならぬ買い戻し約款のついていないもの、あるいはついておるもの、それから財政計画と密着いたしておるもの、いないもの、いろいろ精細に一つ一つ吟味中でございまして、どの程度の金がこの際われわれの手で活用できるかということにつきましては具体的に把握しつつあるわけでございまして、したがって、御要求によりましては、また項目別に私どもが考えておりますことは御報告の機会があろうかと思っております。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
○国務大臣(河本敏夫君) 現在、石油業界は大幅な赤字経営になっておりますが、これは原油の数倍に達する急激な値上げ及びその後の深刻な不況の影響によるものでございまして、このままでは健全な経営の維持が不可能でありまして、ひいては石油の安定供給も困難に陥るおそれがあります。このため、現在、石油の価格問題につきまして、鋭意検討中でございます。
 また、石油業界は、鉄と並ぶ基幹産業でありますが、企業の数が非常に多くて、経営基盤も弱体であります。したがいまして、外に対しましては産油国やメジャー、内におきましては需要家との交渉力も非常に弱いわけであります。このために体質強化が必要でありまして、体質強化の有力な一つの方法といたしまして、再編成につきまして、目下検討をいたしておるところでございます。
 こういう考え方に立ちまして、再編問題と価格問題は並行して進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 竹本さんにお答え申し上げます。
 まず第一は、政策不況論といいますか、今回の不況は政策の欠陥から出たんだ、こういう御説に関する質問でございます。
 先ほど三木総理からもお話がありましたが、これは、経済はある一局面からだけでとらえるのは妥当じゃないと思うのです。いまわれわれが当面している最大の問題は、何といっても国際収支と物価の問題だ。国際収支はどうかというと、着実な改善を示してきておる。また、物価につきましても、これは先進諸国の中で、私は、総合的に見まして、一、二位というくらいな評価を受けておる状況じゃないかと思うのです。そして、一方において景気の問題がある。確かに、御指摘のように、景気は、これは見通しより非常におくれております。その回復がおくれておるわけであります。しかし、この景気の立ちおくれというもの、これは、これまた世界的なそういう環境でありまして、その世界的環境の見通しがどうも誤ったと言えば、それは誤ったわけでございまするけれども、しかしいま、世界が非常な景気停滞の状態でありまして、五十年度全体を通じての成長、これはプラスの成長になる国というのは、恐らくわが日本だけじゃないでしょうか。そういうふうに見るくらいでございます。
 そういうことでありますので、成長が見通しよりはおくれたということは、それはもうそのとおりでございまするけれども、世界経済の回復がおくれた、その中においてはまずまずの立場にあるというふうに御理解を願いたいのであります。
 それから、それじゃその景気回復の時期とその程度を示せ、こういうお話でございます。
 景気回復の時期、こういうことになりますと、私は、もうすでに下半期は六%、実質年率六%の成長の路線に入るというのですから、下半期すでに回復の時期に入るんだ、こういうことを申し上げて差し支えないのでありまするが、同時にまた、竹本さんの頭の中には、一つ一つの企業が回復感を持つ時期は一体どうなんだ、こういうことがあるかもしれません。そういう意味のものでありますれば、私が昨日も申し上げたのです。望ましい操業度、操業度水準、それに達するにはまだ一年はかかる。一年、来年度いっぱいかかる、こういうことを申し上げたわけですが、確かにわが日本の経済はずっと上昇しつつあるのですが、その望ましい水準にも達しない。そういう意味におきましては、私は、はあ景気がよくなったな、たらふく感だなという事態は、まだ本年度中はやってこない、しかし、そういう状態に向かって経済は動きつつあるなという実感は、下半期においては、企業は着実につかみ得る状態になる、かように考えます。
 しからば、その景気浮揚の牽引力は一体何だ、そのエネルギーは一体どういうことなんだというようなお尋ねでございますけれども、これは、先ほどもるる申し上げましたとおり、個人消費にこれを求めることは非常に困難だ、輸出もむずかしい、設備投資ももちろん困難である。と言うと、もう財政しかないんです。財政を中心とするエネルギー、これに景気浮揚の牽引力を求めるというふうに申し上げるほかはないのでありますし、また、そのようにいたしておるわけであります。
 それから、四%成長、一八%ベースアップ、物価一けたをワンパッケージとして実現せよというお話でございますが、まさにそのとおり、それが理想なんです。しかし、その理想が、世界情勢の動き等から見まして、そういうふうにいかなかったということは、はなはだ残念でございまするけれども、その中で最も大事な物価につきましては、つまり健全な社会の基盤である物価につきましては着実な実現を見た、見つつあるということは、私はこれは強調いたしておきたいのであります。
 それから、経済の方向性と計画性を与えるため、民社党の提唱する経済安定・計画化基本法を制定すべきではないかという御説でございます。
 私はその民社党案というものを拝見いたしましたが、非常に私は示唆を与えられるところが多いのであります。特に景気安定基金を設定せよというようなことにつきましては、これは私は真剣に取り組んでいくべき問題ではあるまいか、さように存じます。御礼を申し上げます。(拍手)
○副議長(秋田大助君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○羽田孜君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(秋田大助君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
○副議長(秋田大助君) 漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長栗原祐幸君。
    ―――――――――――――
 漁業操業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔栗原祐幸君登壇〕
○栗原祐幸君 ただいま議題となりました日ソ漁業操業協定につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本協定は、本年三月以来モスクワにおいて日ソ両国政府間で漁業操業に関する協定を締結するための交渉を行ってまいりました結果、合意に達しましたので、六月七日、東京において署名されたものであります。
 その内容は、漁船及び漁具に関する事故を未然に防止するため、漁船の標識及び信号並びに漁具の標識、漁業操業規則の設定及び情報交換等に関する規定を定めるとともに、漁業紛争の処理を促進するための漁業損害賠償請求処理委員会の設置による紛争処理手続等に関する規定について定めております。
 本件は、前国会において参議院で審査未了となったものでありまして、本十八日、宮澤外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(秋田大助君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
    ―――――――――――――
○羽田孜君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(秋田大助君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○副議長(秋田大助君) 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長金丸徳重君。
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 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔金丸徳重君登壇〕
○金丸徳重君 ただいま議題となりました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案について、災害対策特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、農林漁業者、中小企業者等の災害による資金需要の増大に対処するため、これらの者に貸し付ける資金の貸付限度額を引き上げようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 まず、天災融資法の改正でありますが、
 第一点は、被害農林漁業者に貸し付けられる経営資金の貸付限度額を、都府県にあっては八十万円、北海道にあっては百四十万円、政令で定める資金の場合は二百万円、政令で定める法人に貸し付けられる場合は一千万円、漁具の購入資金の場合は二千万円に、いずれも現行の二倍に引き上げたことであります。
 第二点は、被害を受けた農業協同組合等に貸し付けられる事業資金の貸付限度額を、単位組合一千万円、連合会二千万円に、いずれも現行の二倍に引き上げたことであります。
 次に、激甚災害法の改正でありますが、
 第一点は、激甚災害における天災融資法の特例措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の経営資金の貸付限度額を、都府県百万円、北海道百六十万円、政令で定める資金の場合は二百四十万円、政令で定める法人に貸し付けられる場合は一千万円、漁具の購入資金の場合は二千万円。事業資金の貸付限度額につきましては、単位組合二千万円、連合会にあっては三千万円に、それぞれ現行の二倍に引き上げたことであります。
 第二点は、中小企業者等に対する資金の融通に関する規定を改め、激甚災害を受けた中小企業者に対する貸付限度額を四百万円、協業組合及び中小企業等協同組合その他の団体に対する貸付限度額を千二百万円に、それぞれ現行の二倍に引き上げたことであります。
 本案は、本日提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○副議長(秋田大助君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十一分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣 福田  一君
        国 務 大 臣 井出一太郎君
        国 務 大 臣 植木 光教君
        国 務 大 臣 小沢 辰男君
        国 務 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 佐々木義武君
        国 務 大 臣 坂田 道太君
        国 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 松澤 雄藏君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
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