第076回国会 決算委員会 第7号
昭和五十年十二月十六日(火曜日)
   午前十時十六分開議
 出席委員
   委員長 井原 岸高君
   理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君
   理事 吉永 治市君 理事 綿貫 民輔君
   理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君
   理事 庄司 幸助君
     橋本登美三郎君    高田 富之君
      安井 吉典君    田代 文久君
      坂井 弘一君    塚本 三郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
 出席政府委員
        厚生省環境衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省医務局長 石丸 隆治君
        厚生省薬務局長 上村  一君
        厚生省社会局長 翁 久次郎君
        厚生省児童家庭
        局長      石野 清治君
        厚生省保険局長 八木 哲夫君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 中西 正雄君
        自治大臣官房審
        議官      横手  正君
 委員外の出席者
        科学技術庁研究
        調整局生活科学
        技術課長    渡辺 重幸君
        文部省初等中等
        教育局幼稚園教
        育課長     鈴木 博司君
        文部省大学局医
        学教育課長   齋藤 諦淳君
        通商産業省基礎
        産業局化学製品
        課長      太田 耕二君
        消防庁安全救急
        課長      矢筈野義郎君
        会計検査院事務
        総局第三局長  田代 忠博君
        医療金融公庫総
        裁       山本 正淑君
        環境衛生金融公
        庫理事長    坂元貞一郎君
        決算委員会調査
        室長      東   哲君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十八年度政府関係機関決算書
 昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (厚生省所管、医療金融公庫、環境衛生金融公
 庫)
     ――――◇―――――
○井原委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、厚生省所管、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行います。
 まず、田中厚生大臣から概要の説明を求めます。田中厚生大臣。
○田中国務大臣 昭和四十八年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算額については、予算現額二兆二千五百三十九億五千七百八十五万円余に対して、支出済歳出額二兆二千五億八千八百二十七万円余、翌年度繰越額二百十五億四千六十四万円余、不用額三百十八億二千八百九十二万円余で決算を結了いたしました。
 以上が一般会計決算の大要であります。
 次に、特別会計の大要について申し上げますと、厚生省には五特別会計が設置されております。
 まず第一は、厚生保険特別会計の決算でありますが、健康、日雇健康、年金、児童手当及び業務の五勘定あわせて申し上げますと、一般会計から一千九百四十四億九千九百九十六万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済歳入額三兆三千九百六十八億四千三百四十五万円余、支出済歳出額一兆八千四百九十八億一千九百五十六万円余、翌年度繰越額六十六億二千五百九十九万円余でありまして、差し引き一兆五千四百三億九千七百八十八万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 第二は、国民年金特別会計の決算でありますが、国民年金、福祉年金及び業務の三勘定あわせて申し上げますと、一般会計から三千四百三億八千四百十万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済歳入額七千六百三十八億八千二百七十九万円余、支出済歳出額四千八百十一億三千六十一万円余、翌年度繰越額九十七億四千四百七十八万円余でありまして、差し引き二千七百三十億七百三十九万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 第三は、船員保険特別会計の決算であります。
 船員保険特別会計につきましては、一般会計から四十六億一千三百六万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済歳入額八百六十六億八千四百六十七万円余、支出済歳出額四百九十八億六千七万円余、翌年度繰越額三億七千八百二十二万円余でありまして、差し引き三百六十四億四千六百三十七万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 第四は、国立病院特別会計の決算でありますが、病院及び療養所の二勘定あわせて申し上げますと、一般会計から五百六十八億五百五十七万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済歳入額一千九百九十億八千九十五万円余、支出済歳出額一千九百二億四千三百四十五万円余、翌年度繰越額五十九億六千三百八万円余でありまして、差し引き二十八億七千四百四十一万円余については、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。
 第五は、あへん特別会計の決算であります。
 あへん特別会計の決算額は、収納済歳入額十億四千八百一万円余、支出済歳出額二億三千八十一万円余、翌年度繰越額二億二千四百三十九万円余でありまして、差し引き五億九千二百七十九万円余については、この会計の翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 以上が厚生省所管に属する昭和四十八年度一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の大要であります。
 最後に、昭和四十八年度の決算検査報告において掲記されております事項については、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。
 指摘を受けました件については、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもってこれが絶滅を期する所存であります。
 以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の御説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○井原委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。田代会計検査院第三局長。
○田代会計検査院説明員 昭和四十八年度厚生省の決算につきまして、検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十六件でございます。
 検査報告番号十一号及び十二号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険の保険料の徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる報酬月額の把握が適確に行われなかったことなどのため保険料の徴収が不足しているものでございます。
 検査報告番号十三号から二十六号までの十四件は、臨床研修費補助金に関するもので、いずれも事業主体において、補助対象とならない者を含めていたため、補助対象額の精算が過大となっていたものでございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○井原委員長 次に、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。山本医療金融公庫総裁。
○山本説明員 医療金融公庫の昭和四十八年度の業務の概況について御説明申し上げます。
 昭和四十八年度の貸付計画額は、貸付契約額五百三十億円、貸付資金交付額五百二十億円を予定し、その原資としては、資金運用部資金の借入金四百五十二億円、貸付回収金のうち六十八億円、計五百二十億円を充てることといたしました。
 この計画額に対する実績は、貸付契約額四百八十三億円、貸付資金交付額四百七十三億円でありまして、これを前年度と比較いたしますと、貸付契約額で〇・九パーセント、貸付資金交付額で二・〇パーセントの増となりました。
 貸付契約額の内訳は、設備資金四百八十二億円、長期運転資金一億円であります。
 貸付残高は、前年度末二千百十八億円でありましたが、昭和四十八年度中に四百八十三億円の貸し付けを行い、百八十億円を回収いたしましたので、当期末においては二千四百二十一億円となっております。
 次に、決算状況について申し上げます。
 昭和四十八年度の損益計算上の総収益は百六十六億八千六百九十九万円余、総損失は百六十六億六千七百八十六万円余でありまして、差し引き一千九百十三万円余の償却前利益を生じましたが、大蔵大臣の定めるところにより、固定資産減価償却引当金へ九百二十四万円余、滞り貸し償却引当金へ九百八十八万円余を繰り入れましたので、結局、国庫に納付すべき利益金は生じなかったのであります。
 以上で昭和四十八年度の業務の概況につきましての説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○井原委員長 次に、坂元環境衛生金融公庫理事長。
○坂元説明員 環境衛生金融公庫の昭和四十八年度の業務の概況につきまして御説明申し上げます。
 昭和四十八年度の貸付計画額は、一千八十億円を予定いたしました。その原資としては、資金運用部資金の借入金九百九十九億円、貸付回収金等八十一億円、計一千八十億円を充てることといたしました。
 これに対しまして、貸付実績は、一千七十九億円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、二八・七パーセントの増となっております。
 次に、貸付残高について、御説明申し上げます。
 昭和四十七年度末における貸付残高は、一千九百四十三億七千万円余でありましたが、昭和四十八年度中に一千七十九億四千万円余の貸し付けを行い、六百十億六千万円余を回収いたしましたので、昭和四十八年度末においては、二千四百十二億四千万円余となっております。
 次に、昭和四十八年度の収入支出決算について御説明いたします。
 昭和四十八年度における収入済額は百八十九億七千万円余、支出済額は百八十三億二千万円余でありまして、収入が支出を上回ること六億四千万円余となっております。
 まず、収入の部におきましては、本年度の収入済額は百八十九億七千万円余でありまして、これを収入予算額百八十八億三千万円余に比較いたしますと、一億三千万円余の増加となっております。この増加いたしました主な理由は、運用収入が予定より多かったためであります。
 次に、支出の部におきましては、本年度の支出予算現額百八十五億三千万円余に対し、支出済額は百八十三億二千万円余でありまして、差し引き二億円余の差額を生じましたが、これは業務委託費等の支出が予定より少なかったためであります。
 最後に、昭和四十八年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益二百九億三千万円余に対し、総損失は二百三億円余でありまして、差し引き六億二千万円余の償却引当金繰入前利益を上げましたが、これを全額滞り貸し償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納付すべき利益はありませんでした。
 以上が昭和四十八年度における環境衛生金融公庫の業務の概況であります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○井原委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。安井吉典君。
○安井委員 昭和四十八年度決算の厚生省分について、会計検査における不当事項十六件の指摘があります。これについては大臣もお認めになって改善の措置を約束されておりますが、その他厚生行政一般についても、今後とも遺憾のないように期していただきたいと思います。
 きょう、私は特に自治体病院の赤字対策等について取り上げてまいりたいと思うわけでありますが、最近医療の荒廃という言葉があります。これはいろいろなサイドから、いろんな意味づけで言われているわけでありますが、自治体病院、公立病院はそれぞれの地域社会における中核的な医療の役割りを果たしており、地域住民にとってはその命と暮らしを守るとりでともなっている存在ではないかと思いますが、ところが最近の経営悪化は非常に深刻なものになってきているようであります。
 十二月の四日に、全国の自治体病院財政危機突破全国大会も開かれており、その決議事項も私どももらっているわけでありますが、そこで大体今日における問題点の集約がなされているようでありますので、それを中心にきょう質問をしてまいりたいと思います。
 公立病院は全国で千六十五、それが四十九年度の総収益は六千百八十五億円。ところが、これじゃとても足りなくて、七百二十億円一般会計等から繰り入れをして、しかも単年度赤字が五百四十六億円、累積欠損金は千四百三十二億円と見込まれています。ですから一般会計の繰り入れがなければ単年度で千の病院で千二百六十六億円ぐらいの赤字になるわけです。一病院当たり一億円以上の赤字だ、こういうわけで、千ですから、とにかくいずれにしても大変なものであります。
 北海道は私の地元ですから、いろんな資料がありますが、過疎の中心地域でもあるだけに、北海道の道立病院の四十九年度の決算見込みは、道立病院が十五カ所あって、総費用が六十億円、その六十億円の病院で上がった収益はただの三十二億円、半分だけなんですね。残りの三十億円を一般会計で繰り入れてやっと帳じりを合わせている。北海道内の市町村立の病院が九十七ありますが、その赤字の見込みが七十二病院、これも同じく一般会計から五十五億円繰り入れて、しかも赤字五十五億円、実質赤字は百億円、まさに破綻寸前だと言わなければなりません。
 こういう実態に対して政府も、たとえば不採算医療に対する国庫補助等を厚生省でやったり、不良債務のたな上げ措置等を自治省でやったり、いろいろやってきているようでありますけれども、しかもそのやった結果がこうなんですから、実効はほとんど上がっていないのではないかというふうに考えられるわけです。一般会計から繰り入れてやったというが、その一般会計自身が五十年度の地方財政規模で二兆円も大穴があいて、自治体の繰り入れ能力というもの自体が失われてきているのではないか。たとえば神奈川県や静岡県などは、五十年度では県立病院の繰り入れなどをする財源はないのだという言い方がなされていて、これはほとんどどこでも自治体が同じような状況ではないか。そうなると、単年度の赤字はまさに倍増していくし、明五十一年度になったら、恐らく地方財政計画における欠損は三兆円だ、こう言われているわけですから、これは想像するのも恐ろしいような状況になるのではないかと思うわけであります。
 私は、一般の病院の中においても自治体病院がとりわけこのような状態になるというのは、医療の全体の体系の中での位置づけというものが不明確だということに原因があるのではないかと思う。もっと真剣に考えるべきではないか。地域における医療計画や医療機関の体系的な整備計画、こういったようなものの中で自治体病院を位置づけていく、そういう努力こそが基本的な解決の道ではないかと思うわけであります。もうこそくな手段でやってみたって解決はつかないのではないか、そのためには特別立法を必要とする、それぐらいの構えで臨まなければならぬと思うのでありますが、まず最初に根本的な問題への対応として、大臣に伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 自治体病院の経営悪化等につきましては、いろいろと世間で言われているわけでございまして、私も非常に心配をいたしております。
 一般的に、医療機関のうち、病院が非常に経営が窮迫をしているということでございますが、さらに自治体病院には、その窮迫の度合いがはなはだしい。先生いまお話しになった北海道の設例についても私も実は承りました。いろいろと心配をいたしております。
 本来的には病院の経営というものは診療報酬をもってペイするという姿にならなければならないものだろうと思いますが、しかし、この診療報酬のあり方についてもいろいろ問題があるのかと思っております。今後一般的には診療報酬の改定をもってこれに対処いたしたいと思いますが、しかし、そのようなことで今日の自治体病院の実態は解消ができないということは、これは申すまでもないところだろうと思います。しからば一体自治体病院――一般の病院も苦しいのですが、さらに苦しいというのは、一体どこに原因があるのだろうかということを分析をしなければならないだろうと思います。
 したがいまして、自治体病院が他の一般の病院の果たしていない機能というものにペイのできない原因があるとするならば、これにはやはり国は対応してやらにゃなるまい、かような趣旨で、たとえば僻地医療とか、救急とか、がん、あるいは看護婦養成等々の不採算部門については、従来から助成をいたしてまいりましたが、しかし、この程度の助成では、なお解消ができないということでございますので、範囲の拡大等、いろいろとさらに施策を向上させなければならないというふうに思っておるわけであります。
 しかし半面、このようなことについての助成が不十分だといたしましても、それにしても余りにも違い過ぎるというのが私の実感でございます。こうなれば、やはり自治体病院についての助成の向上を図ると同時に、自治体病院の今後のあり方についても、先生ただいまおっしゃるような医療の機関の位置づけという問題もありましょう、さらにまた自治体病院の経営の実態について、いま少しく深い掘り下げをしなければなるまいかというふうに思っているわけでありまして、そうした諸般の角度から自治体病院についての今後の経営の健全化を図っていかなければならないというふうに思っておりまして、問題意識としては十分持っておりますが、これについては、私はいろいろな角度からこれをアプローチしなければ問題は一朝一夕に解決をしない、できるだけ早くその方向に向かって努力をすべきものだというふうに思って、心配でならないというのが実態でございます。
○安井委員 心配でならないのは、これはもう私がさっき申し上げたとおりで、大臣も同感だということでありますけれども、問題は、それじゃどうするかということですね。
 自治体病院でありますので、自治省もこの問題に関連を持って対策があるはずでありますが、自治省としての考え方もこの際、お聞かせください。
○横手政府委員 お答えいたします。
 先生先ほど御指摘のように、公立病院の財政状況、これは非常に憂うべき事態に立ち至っておりますが、こうした公立病院の経営の基盤の強化、これを図りますためには、やはり数々の問題点がございます。たとえば医療機関の配置や、あるいは規模の適正化の問題、あるいは診療報酬の適正化の問題、あるいは国庫補助のあり方の問題、医師や看護婦等の確保対策の問題、こうした各般の問題があるわけでございまして、こうした問題点の解決なくしては、なかなか自治体病院の経営の基盤の強化は望みにくいという状況にあろうかと思います。
 ただ、さしあたっての措置としましては、やはり病院自体経営改善の合理化を進めますとともに、先ほどお話がありますように、一般会計の方では非常に厳しい状況になってはきておりますが、一般会計との間の負担区分の適正化を図りまして、負担区分に基づく経費は何といたしましても病院会計の方へ繰り出されるようなことが必要だと存じます。そのほか必要な国庫補助の充実強化を図ってまいる、こうした当面の措置を、とりあえずは進めていく必要があろうかというふうに考えております。
○安井委員 問題意識だけは持っておられることは、厚生省も自治省も間違いないわけでありますがなるほど合理化も進めなきゃならぬが、しかし、この膨大な赤字が単なる合理化という三つの言葉で処理できるような、そんなものでは私はないと思う。まさに構造的な問題だと思うのですよ。構造的な問題点を含んでいるがゆえに、こういう現象が起きている、私はそう思うわけです。ですから、自治体医療というものを、どう地域医療計画なり医療の全体の体系の中に織り込んでいくか、それが問題だということを私も先ほど申し上げていたわけであります。
 スウェーデンの地方行政組織は、州と、それからコミューンと呼ばれる市町村とに分かれるわけですが、州の方は、あれは仕事の八割は医療の問題をやっているわけですね。保健と医療のサービスを州が担当している。たとえば道路なんていうのは、国道とコミューンの道路だけであって、州の仕事はそれなんですね。あとは、州は選挙の選挙区になるというだけの仕組みで、私は、それぐらいまで国の全体の行政機構が医療に大きなウエートを置いた進め方をしているという例を、日本ですぐやれという意味でははありませんけれども、やはり一般の病院と違って、自治体病院というものが存在理由があるのではないか。現に大きな都市から、あるいはまた小さな田舎の町に至るまで、そこにある自治体の病院や診療所がなくなったらどうなるのか、私は、そういうことを考えれば思い切った財政措置、その財政措置に至るための筋道、それは地域医療の中での自治体病院の位置づけということではなかろうかと思います。
 ですから、大臣も真剣に考えるということでありますが、どうでしょう、すぐきょう、答えを出せとか、次の通常国会までに答えを出せとは私は申しませんけれども、この一年間のうちに、そういう具体的な方策を立てて国会に御提案される、そういう御意思はありませんか。
○石丸政府委員 大臣の御答弁に先立ちまして事務的な答弁をさしていただきますが、現在先生御指摘のような、わが国の医療そのものの考え方を地域医療という形でまとめていこうとする一つの動きがあるわけでございまして、もっと言えば、この地域医療をもっと広げまして地域保健計画という考え方も現在あるわけでございまして、そういった点につきまして、地域保健計画ないしは地域医療計画というものを今後どういう形で進めていくかということにつきまして、現在審議会で御審議願っている段階でございまして、その結論を待ちまして今後対処してまいりたいと考えております。
○田中国務大臣 この問題の解決には、私、冒頭申しましたとおり、かなり広範囲な検討あるいは対策というものが必要だろうと思います。一方的な、一筋だけでは、私は解決しないのではないかと常日ごろ考えているわけでございまして、こうした自治体病院を地方医療計画あるいは体系の中にどう位置づけるかという問題も一つあろうと思いますし、またこうした自治体病院というものの果たす機能、独特な機能というものにどうこたえていくか、あるいは自治体病院の経営のメルクマールというものをどこへ置くか、こうしたいろいろな広範な角度からでなければ解決をいたさないというふうに思われるわけでございまして、そうしたことについて、私はやはり広範多岐な施策というものをリサーチをいたしまして、これに対応する対策を急ぐように努力をしなければなるまいというふうに考えているわけでございまして、そうした関係の皆さんが一堂に会して、この問題についていろいろと詰めるようなことをいたさなければならぬと思っておりますので、さような方向にいきたいと思いますが、これは先生おっしゃるように、一朝一夕に次の通常国会でどういう対策が立てられるというような性質のものではなかろう。もう少し幅の広い、きめの細かい深い掘り下げが必要だと思いますので、いま少しく時間をかしていただくならば、私はこれに対応する対策というものについての検討をいたしたい、かように思っております。
○安井委員 私は、医療の総合的な体系をどうするかという問題は、これは大変だと思いますよ。中医協の問題で目を真っ赤にしている厚生大臣の現状からだって、これはなかなかそんな総合的なものが簡単に出るというふうな筋ではないと思う。だから私はむしろ、この住民にどうしても必要な自治体病院というものの財政危機をどうするかというサイドから問題点にアプローチしていくという形で、一つの足場ができていく。とても全体的な問題ができたら、その中でどうというようなことには私はならぬと思いますね。むしろ、この問題に直接アプローチしていくという形で、対応を当面やはり立てるべきではないか、こう思うわけですが、医務局長、その計画をどう立てるかという審議は、いつごろ結論が出るのですか。
○石丸政府委員 自治体病院の性格づけにつきましては、現在いろいろ問題があるわけでございます。ただ、この地域医療計画の中における自治体病院ということになりますと、全体の医療計画の中での位置づけということで非常に今後の審議を要すると思うわけでございますが、ただいま先生御指摘のような、現時点におきます自治体病院の経営悪化という点に着目いたしまして、この自治体病院を今後どうするかという問題について考えてみますと、この自治体病院の赤字問題、その原因はいろいろあろうかと思うわけでございますけれども、特にこの原因の中におきまして、やはり自治体病院というものが公立病院であるがゆえに地域住民から要求をされる特殊な使命というものに着目をいたしておるわけでございまして、そういった面におきましては自治体病院というものが採算を一応無視いたしまして救急医療の問題あるいは僻地医療の問題、あるいは特殊な診療部門、たとえばがん、小児医療あるいはリハビリテ−ション、そういった特殊な医療も行わざるを得ない使命を持っておるわけでございまして、われわれといたしましては、この救急医療あるいは僻地医療の部門につきましては、従来から助成を行っていたわけでございますが、今後の問題といたしましては、そういった国民が自治体病院に要望いたしております特殊診療部門につきましても、今後何らかの助成を実施してまいりたいと考えております。
○安井委員 いまお答えがありましたけれども、そういう具体的な財政対策も、やはり大筋がきちっとしないと、十分な財政支出を確保するわけにはいかぬ、こういうことではないかと思います。
 たとえば、自治体病院の建設改良費に対する国庫負担制度を確立してくれ、どういうのもやはり何らかの立法措置があって、その中で明確な位置づけがされれば、このことが動きがたいものになるわけであって、予算の範囲内で措置するという程度では十分なものにならない。後で保育所や幼稚園等も触れますけれども、一応法律的な根拠があっても、十分な予算措置がされてないという状況の中で、予算の範囲内ぐらいではやはり完全な措置がしがたいのではないか。そういう意味合いで、私は特別立法がどうしても必要だ、こういう主張をするわけであります。
 この建設改良費や、あるいは不採算医療に対する国庫負担制度等について若干進めているわけでありますが、明年度の予算の中でも、とりあえずは相当多額な財政要求を厚生省がしているのではないかと思うのですが、その見通し等についてはどうですか。
○石丸政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、従来のそういった助成範囲、そういったものにつきましては、その範囲の拡大を図っておるところでございますが、さらに、たとえば救急医療等につきましては、これは評価をやっておるわけでございます。この救急医療施設をABCの三つのランクに区分いたしまして、Aランクのもののみに助成を行っておったわけでございますが、その範囲を拡大いたしたいと考えておりますし、さらに、特殊診療部門としてのがん治療施設等につきましても、今後考えてまいりたいと思っております。
○安井委員 いまの御答弁は、五十年度までの対策に、さらに改善を加える点をお答えになったものだと思うのですが、採択基準の緩和の問題では、ABCのうち市町村立病院の方はオミットされる部分が非常に多いということを聞いているわけでありますが、いまの御答弁では、来年は必ず救急医療等について、公立病院は全体的な指定採択基準の中に入るという見込みを立てていいようにも思うわけでありますが、さらにまた、不採算地区病院に対する指定基準等ももっと拡大をしてくれという要請があるようですね。これらについても十分こたえ得る構えであるのかどうか、あわせてお答えください。
○石丸政府委員 特に救急医療の問題につきましては、先生御指摘のように、従来その地方の小さな医療機関等がこの対象から漏れておったわけでございますが、そういったものも今後できるだけ対象にするよう努力してまいりたいと思います。
○安井委員 ただ、この金額が、私ども聞くところによれば、厚生省の明年度予算要求は十七億四百万円、一千億円も単年度赤字が出るというのに、こういうふうな状況では一体どうなのかという感じです。北海道立病院は四十九年度三十億円の赤字で、合わせて六十億円赤字だということを申し上げたわけですが、この四十九年度に、いまの対象になって出たお金が一千万円だそうですからね。それはそうでしょう。全国で、来年度これをふやして十七億円というのですからね。こんなスズメの涙みたいなもので問題の対応ができるわけがないと私は思うのですが、明年度の予算編成は目の前ですから、これをさらに増額するような努力を、いまの段階では求めていくよりほかありませんが、基本的には社会保険の診療報酬の是正という問題があると思います。大臣、どうなんですか。中医協で結論が出るのはいつごろになるのか、お見通し等を伺います。
○田中国務大臣 診療報酬改定は現下の情勢にかんがみて、できるだけ速やかにこれをやりたいと思って、考えております。しかし、これには中医協の答申がなければ改定告示ができないということは先生御案内のとおりであります。しかし今日まで中医協の各当事者の間の意見の合意を見ず、延び延びになっておるわけでございますが、中医協の再開を目指して、いろいろと奔走をいたしているところでございまして、過般の事情については日々新聞等で報道をされておりますので、先生御案内のとおりであります。
 率直に言うと、もうちょっとというところまでまいっております。今後とも、きょうにも私もいろいろ努力をいたしたいというふうに思っておりまして、朝からうずうずしておりますが、委員会に出席をいたさねばなりませんものですから、これが終わってからというふうに思っております。何しろ期日が期日でございまして、予算編成期が前に来ておりますものですから、とにかく予算に計上できるようにいたさなければなるまいと思って、いろいろ努力をいたしております。
 しかし先生御承知のとおり、仮に答申をいただいたといたしましても、告示をして実施するまでには約二週間くらい、官報に掲載してからかかるわけですから、そういったようなことを踏まえて、できるだけ早くといいますが、もう今日時点では、私は一月一日実施ということは率直に言うて困難だと思いますが、その後できるだけ早くやらなければいかぬ、こう思って懸命な努力をただいまいたしているところでございます。
○安井委員 きょうはその問題は、当面の赤字対策の重大な問題ではありますけれども、もう少し触れないでおきます。
 そこで、医師や看護婦の不足の問題が、自治体病院について非常に重大な赤字要素になっております。北海道の例ばかり申して申しわけありませんけれども、特に僻地や離島が多いわけで、医師の問題に非常に苦労していることは、同じ北海道出身である田中厚生大臣も御承知のとおりだと思います。ずっと北の離島へ行きますと、診療所があって、お医者さんの給料は内閣総理大臣の給料より上でなければならぬというわけです。しかも手取りですね。厚生大臣の給料では来てくれません。しかし、それでも来てくれる人はいいのですよ。来てくれる人はいいのだが、それでも無医村が出ているという状況であります。市町村長の政治生命は、その地域にお医者さんを連れてくることができるかできないかということに、かかっているというところもたくさんあります。
 私は、そういう事態に今日まで追い込んでしまっているという厚生省の責任は非常に重大だと思うのです。こういう事態が起きて、もう何年もたつんだけれども、さっぱりお医者さんの問題、看護婦さんの問題についての対応が出てこない。これは、なかなかめんどうなのは、わかりますよ。わかりますけれども、もう少し何とかできなかったものか。だから私は、先ほどから制度論、制度論ということを言うわけですけれども、名案をぽいとここで言ってくれというわけに私はいきませんけれども、もう少しそれは何かないのですか。この点、伺います。
○田中国務大臣 私も北海道出身で、これは北海道だけじゃございますまい。離島、僻地等々にお医者が行かないということについては、いろいろと社会事象として問題であるということについて私もよく知っておるわけでありまして、いろんな問題があると思うのであります。
 一つは、医師の絶対数が少ないということ。これにつきましては先生も御案内のとおり、こうした事象が出てまいりまして、大変おくれて恐縮でございますが、医師の養成はとりあえず医科大学の増設にあるということでございまして、したがいまして、文部省等におきましても、医科大学あるいは大学医学部の増設についていろいろ努力をいたしておるわけでありまして、かなり進んでまいりますが、御承知のとおり医師の場合は他のものと違いまして、学生を募集して養成をいたしましても、かなりの期間が必要であるということから、こうしたショーテージの問題が起こっているということだろうと思いますが、これについてはいろいろと今日、従来に見ないような規模でもって医学生の増募をやっているわけでございます。
 さらにいま一つは、医師というものが、どうしてもやはり研究あるいは生活環境あるいは子弟の教育等々の関係で、僻地に勤務いたしたがらぬという傾向がございまして、こうした問題を踏まえまして、われわれとしては、医師が僻地に行きっ放しということでは、なかなか実際問題として充足が困難だということから、僻地中核病院等々で、お医者さんが僻地に行ったり、あるいはある程度の都会に帰ってきたり、ローテーションをする方法等もいろいろ考えているわけでございますが、しかし問題は、やはり絶対的な数が足りないということからいろいろと問題も起こっているようであります。
 こうしたことをいろいろな角度から検討をいたし、やっていきたいと思いますが、僻地における医師の確保困難というのは、日本の場合も非常に問題になっておりますが、諸外国においても、この問題については非常に悩んでいるところでございまして、わが国においてもこうしたことを踏まえて、いろいろと今後強力な手を打たなければなるまいというふうに思っているわけであります。
○安井委員 医務局長、専門的な担当の立場で、その強力な手に何があるのですか。
○石丸政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたような実情でございまして、基本的には医師の養成をふやす以外に方法がないわけでございますが、現段階におきまして、どういう対策をわれわれが特に僻地対策としてとっているかということでございます。
 従来からこの僻地勤務の医師の給与というものが一般の医師に比べまして非常に高いわけでございまして、そういった点、特に僻地医療対策として、われわれが助成を行っております医師の給与の面でございますが、これが従来必ずしも実態に合っていなかったわけでございまして、そういった点につきまして、昭和五十年度の予算でございますけれども、従来年額二百五十万円の助成を行っておりましたものを五百三十万円に上げた。あるいは医師が、これは非常に特殊な技能者でございますので研究を必要といたしますので、研究費といたしまして従来年額六万円を支給いたしておりましたのを十六万円に増額。あるいは新たに学会出席旅費といたしまして、年二回分といたしまして七万円を新設いたしました。
 そういうふうにいたしまして、なかなか僻地に勤務する医者がいないわけでございますが、それに対しまして、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように僻地中核病院をつくりまして、そこから医師を派遣するというような形をとりまして、しかも、そこに勤務いたします医師が学問の進歩からおくれないように研究費等を今後とも増額してまいりたいと思います。
○安井委員 そういういろいろな一応の対策があっても、なかなか十分に成果を上げていない現状でありますけれども、こうすれば必ずという名案はあるわけはないと思いますので、ひとつ私は制度論的な僻地勤務の医師の位置づけ、こういったようなものから始めていかなければならぬと思うのですが、これも先ほどの総合的な検討の中にぜひ入れていただきたいと思います。
 それから、いま僻地のことばかり言っておりましたけれども、都市も無医地区になる時間帯があるわけです。それは夜間と休日です。私は、そういうときこそ自治体病院が本来の働きをすべきだ、こう思うのでありますが、このためには、やはりお医者さんや看護婦さんの人をふやすということ、そしてまた、これは国や自治体の本来の仕事としてきちっと位置づけることだと思います。ですから、病院の片手間でそれをやるというんじゃなしに、自治体や国の本来の仕事としてやるような形での財政措置、これが必要だと思いますが、もっと積極的な取り組みはありませんか。
○石丸政府委員 都会地におきます無医状態と申し上げましょうか、ある時間帯におきます無医状態が生ずることは先生御指摘のとおりでございまして、こういった点につきまして、やはりその地域におきます地域医療の面といたしまして、今後総合的に対策を立ててまいりたいとは考えておるところでございますが、やはり現在のわが国の医療状況から申し上げますと、私的医療機関の協力なくしては現状におきましては、なかなか対処できないわけでございまして、そういった点につきまして地区医師会等の協力を得まして、現在、休日夜間診療所を設置いたしましたり、あるいは地域医師会の協力を得まして当番医制度をつくったり、そういった点でこの時間帯の都市におきます無医状態の解消に努力いたしているところでございます。
○安井委員 その場合に私が申し上げているのは、自治体病院とか公立病院の任務というか位置づけ、それについて、もっと積極的な考え方を及ぼしていくということにはなりませんか。
○石丸政府委員 従来から自治体病院あるいはその他の公的病院でございますが、やはりそういった公的病院は公的使命という点を持っておるところでございますので、この救急医療あるいは休日、夜間診療、そういった点につきましては、やはり地域住民の便宜を図るように協力するよう指導いたしておるところでございますが、今後ともなお強力に推進いたしたいと思います。
○安井委員 それには、私が申し上げているように、人をふやす等の財政措置が必要だということですよ。その根拠なしに、自治体病院だけにウエートを置かせるというわけにはいかぬと私は思うのです。その点をひとつ強く指摘をし、対応策を要求しておきます。
 それから老人医療の問題も、自治体病院の非常に重要な問題点で、とにかく老人医療の無料化も伴って、自治体病院だけではありませんけれども、とりわけ自治体病院へのお年寄りの患者がふえているという状況。入院も外来もですね。これは常に指摘されているとおりであります。もともと老人医療を無料化すれば、こういう事態になるということがわかっているのに、診療体系への関連事項で当然あるわけですが、それについての対策を全く怠っていたというところに根本的な原因があるんではないかと思います。
 ですから、老人医療の無料化というナショナルミニマムという立場から措置をした以上、その医療の仕組みについても、やはり国は責任を負わなければいけないのじゃないか。それに対する国庫の補助、いろいろなベッドの整備や運営に対する国庫の補助、そういうようなものを強化する必要があると今日の段階で痛切に思うわけでありますが、どうでしょう。
○石丸政府委員 老人医療の問題、特にわが国の人口構成が非常に老齢化している、こういう現状におきまして、それが医療面へ与える影響につきましては、ただいま先生御指摘のような量的な問題が非常に多いわけでございますが、それと同時に、質的な問題も存在しておるところでございます。
 量的な問題につきましては、これはやはり老人ベッドの増床ということで対処せざるを得ないと考えておりますが、質的な問題といたしましては、従来のわが国の疾病構造から考えてみました場合に、やはり老人特有な疾病といたしましての脳卒中の問題あるいは心筋梗塞等の心臓疾患の問題、こういった疾病が増加いたしておるところでございまして、やはりこういった脳卒中とか心臓疾患という疾病が、内科的ないわゆる救急患者と申し上げましょうか、急患として対処していかざるを得ないという問題があるところでございまして、そういった新しい疾病構造の変化に対応いたしまして、今後の救急医療対策、特にそういった面につきまして、従来なおざりになっておりました第二次救急医療機関と申し上げましょうか、われわれ救命救急センターと申しておりますが、そういったものの設置を考えておるところでございまして、そういう新しい質的な変化に対応いたしました医療のあり方というものを現在検討中でございます。
○安井委員 その財政措置はどうなのですか。
○石丸政府委員 ただいまお答え申し上げました救命救急センターの設置につきましては、来年度予算におきまして助成を行うよう現在要求中でございます。
○安井委員 とにかく老人医療の問題は重大な問題になってきていると思いますので、ひとつ積極的な対策を打ち出していただきたい。
 それからもう一つ。教育関連病院として、自治体病院が地元に医科大学ができた場合に使われるわけでありますが、これについて必要不可欠なものであるのにかかわらず、文部省で十分な財政措置をしないことで、自治体病院の側に負担を浴びせているという状況もあるというふうに聞くわけでありますが、これから後の対応として、そんなことがないような措置が必要だと思うのですが、どうでしょう。文部省からもおいでいただいているはずですが……。
○齋藤説明員 関連教育病院は、大学の方でもいろいろ御便宜を願うわけでありますけれども、同時に、大学病院と関連しながら地域医療全体のレベルを上げていただきたい。そうしなければ無医大県を解消するというような政策も、その県にとってはなかなか効果を上げないのではないか。そういう趣旨から、県の方で独自にできるだけネットワークを組む、そういう中核的な医療センターを整備されるという、その県の方の整備と相まって、大学が関連しながらこれを実施していきたい、こういうように考えておる次第でございます。
 その立場から、文部省としましてはできるだけ高水準の地域医療センターが必要である、こういうことで地元の協力をお願いしておるわけでありますけれども、ただ最初に申しましたように、文部省としても大学の側から御迷惑をおかけしてはならないという、こういう立場から、設備購入費の助成を行うことにいたしております。これは新設の大学と関連するその初年度から設備購入費助成を行っているわけでございますけれども、なお大学ができ上がるまでは、いわゆる暫定研究施設と申しまして先生方が実は病院の中へ入っておられる点があるわけでございます。これは一面では、その病院の医師の肩がわりをするという意味で、その病院側にとっても裨益する点があるわけでございますけれども、しかし施設等を使う場合には、これについて借料等払うようにそういう予算措置を五十年度から講じておりますが、この方面の財政措置について今後ともなお一層努力をしたい、こう考えている次第でございます。
○安井委員 教育関連病院として中核的な病院が機能していくということについては、私どもも期待しています。ただ、自治体病院は先ほど来申し上げているような赤字でどうしようもないわけですから、その自治体病院にさらに赤字を上乗せするようなことがないように、必要な施設はやはりどんどんやっていいと思うが、それの財政措置は完全にやる、こういうことでなければならぬと思うのですが、もう一度伺います。
○齋藤説明員 現在のところ関連教育病院は、まだ具体的に臨床教育が始まっておりませんので、したがって関連教育の実施に入っていない、そういう状況になっております。これがたとえば、昭和四十八年度に開設された旭川医科大学等については、五十二年度あたりから臨床教育として関連するようになります。その時点で、その際に必要な経費については十分検討をいたしたい、こういうように考えておる次第でございまして、そういう意味で今後十分検討をさせていただきたい、こう考えておる次第でございます。
○安井委員 以上、私、自治体病院の問題について、この間の大会の決議の内容に敷衍しながらいろいろ伺ってまいり、ましたが、この要望事項の中には、いま私が取り上げた問題のほかにたくさんあるわけですが、そういう具体的な問題に一応当面の答えを出しながらも、私はやはり構造的な対応という、そういう言い方が適当かどうかわかりませんけれども、これは大臣、おわかりでしょう、そういうことへの努力というものがなければ、抜本的な解決にはならぬのだ、こう思うのですね。また最初に申した言葉がこの問題の結論になるわけですが、大臣、どうでしょう。
○田中国務大臣 自治体病院の今後の財政の健全化については、私が最初に申し上げましたとおり、かなりいろいろと、こうなった原因についてはいろいろな問題が累積をいたしているようであります。したがって、各方面からいろいろなアイテムについていろいろと検討を掘り下げていかねばなるまいというふうに思っております。国、地方公共団体あるいは病院そのものについていろいろと、将来これの健全策について各方面からのアプローチをいたしまして、問題が早く解決するように努力をいたしたいというふうに考えておりまして、議論だけしておったのではいけませんから、先生のおっしゃるような構造的対応をひとつ急ぎたいというふうに思います。
○安井委員 次に、保育所、幼稚園の問題につきまして、去る十一月、行政管理庁が行政監察結果に基づく勧告をしております。この行政管理庁の勧告の要点は、時間が十分ありませんので、ごく要約をして問題点だけちょっとお話しいただきたいと思います。
○石野政府委員 長文でございますので、本当に要点だけを申し上げますが、第一点は、特に関係省庁審議会等の調整、協議という問題でございます。特に四、五歳児の分につきましては、幼稚園、保育所、その問題につきまして十分な両制度の調和がとれていないのではないかということで、結論といたしましては、文部、厚生両省が十分連携、調整を密にするとともに、中央児童福祉審議会あるいは中央教育審議会等の委員で構成します協議の場を設けて、そして総合的見地に立って審議に当たれという点が第一の問題でございます。
 それから第二の問題は、長時間保育と夜間保育の勧告でございまして、特に長時間保育に対します需要が高まっておりますけれども、その対策は十分ではない。それから、乳幼児につきましても今後十分検討して、この方策を考えろ、こういう点でございます。
 それから三番目は、無認可保育所等の指導につきまして、無認可保育所の解消について、現在の保育所を十分整備していって、そして解消を図れという点でございます。
 それから四番目には、入所の措置基準の適正化という形で、現在の保育所入所措置基準につきましては、ややその基準が抽象的であるので、なかなか市町村によっては措置がばらばらである。したがいまして、これについてもう少し明確な基準を、むずかしいかもしれぬけれども検討してつくってほしい。同時に、措置に当たりましては、十分その措置基準に適合するように運営すべきである、こういう点でございます。
 その他、三歳未満児の入所措置の促進という形で、現在三歳未満児の入所率につきましては、厚生省の指導方針では二〇%以上というふうに言っておるけれども、なかなか現在はそのとおりいっていない、下回っておる。これについての対処を十分考えろ。
 そのほか、最低基準の遵守等で、施設整備の基準の問題、それから代用保母の認定促進の問題等もございますが、省略いたします。
○安井委員 この行政管理庁の勧告に対して、文部省なり厚生省はどう考えているのかということです。どの子供でも等しく保育と教育を受けられるように、一元化に向かって進むべきだということを私たちもずっと以前から主張しているわけであります。しかし、保育所は厚生省、幼稚園は文部省と、両省のなわ張り争いだという言い方は適切でないかもしれませんけれども、なかなか調整がとれていないで、施設の内容に差別をつくっているということであります。これは実に長い間の幼保一元化の議論なわけですね。したがって、行管がすぐ二カ月以内くらいで回答をよこせと言っても、出るのかどうかこれはわかりませんけれども、しかし一元化の方向でやるべきだという指摘そのものは、利は別に間違いではないと思うのですが、この問題をも――この問題だけではありません。そのほか幾つかの指摘があるわけでありますが、これについて厚生省並びに文部省の考え方を、この際伺います。
○石野政府委員 ただいま先生の御指摘で、幼保一元化という提案だ、こういうふうに御理解されているようでございますけれども、実は行政管理庁の勧告文を見ましても、一元化しろというふうには言っていないわけでございます。保育所、幼稚園の目的、性格はそれぞれ違いますので、それぞれ別個に整備すべきであるけれども、同時に、保育所と幼稚園の共通する部分もかなりあるので、それらについては、幼保の問題について、将来の保育所の基本的なあり方、それから幼稚園のあり方はどうであるかということも十分検討して、そして整合性のある整備なり運営を図るべきではないか、こういう御指摘でございますので、必ずしも幼保一元化ということを真正面から取り上げて、そして所管省を一緒にすべきであるというような形にはなっていないわけでございます。
 そこで、その基本的な考え方でございますけれども、保育所の目的と申しますのは、御案内のとおり、保育に欠ける児童について保護者にかわって保育をする。幼稚園につきましては、幼児の教育という問題からとらえておりますので、それぞれ十分目的も違うわけでございますけれども、いま申し上げましたように、違ったからといって別々の整備をすべきではないので、その関連性を十分協議して、そしてお互いにお互いの施設が十分成り立つように考えていきたいというのが基本的な考え方でございます。
 そこで、現在、中央児童福祉審議会において保育所の基本的なあり方につきましても、実は議論を詰めておるわけでございますけれども、同時に、行政管理庁の方の勧告にございますように、中央児童福祉審議会なりあるいは中央教育審議会、両者の協議の場を設けまして、議論を進めることについては当然でございますので、これについては私どもも対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○安井委員 幼保一元化というのは私の主張ですから。
 そこで、この勧告で総合的な協議をしろという内容でありますが、これについてどうなんですか。――いや、文部省と厚生省に聞いているわけです。
○石野政府委員 ただいま申し上げましたように、厚生省といたしましては、保育所というものの機能、これはやはり、持っております性格は、幼稚園とは基本的には違うと思います。したがいまして、幼稚園と保育所とを一元化しろという御議論、これはいろいろ立場があると思いますけれども、私どもは必ずしもそういう考え方はとっておりません。
 ただ問題は、現在持っております保育所の機能と幼稚園の機能の中で、かなり共通する部分もございます。そういう問題について、今後の保育所のあり方というものを十分検討して、そして進めていきたい、こういうことでございます。したがいまして、両者の協議の場を設けることにつきましては、私どもはこれについては賛成である、こういうことでございます。
○鈴木説明員 ただいま厚生省の方からお答えがございましたように、幼稚園と保育所は本来その目的、機能を異にしているものでございます。したがいまして幼稚園、保育所、それぞれその目的、機能に即して整備を図ることが必要だ、こういうふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、行政管理庁の勧告にも指摘されておりますように、両施設の整備につきましては、地域的に相当の格差があることは事実でございます。したがいまして今後、文部省としましては、幼稚園の普及がおくれているところにつきましては、その充実を図りますとともに、一方厚生省との連携をさらに密にいたしまして、保育所の整備を期待をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 なお、行政管理庁から、幼稚園と保育所の関係につきまして、今後十分両省で話し合うようにというような御提言をいただきましたことについては、文部省としましても異存のないところでございますので、この点につきましては今後厚生省と十分お話し合いをいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○安井委員 いままで少なくも、両省との間の調整のための協議が行われていないという指摘になっていますね。ですから、行われていないという指摘を、ここでこれから始めようというのですから、それだけは一応の前進であったと私は思います・きょうは、その点だけは両省の方でおっしゃっていただいたわけですね。大臣、それでいいのでしょうね。
○田中国務大臣 幼稚園と保育所の機能、あり方等については、いろいろ従来から問題があるところでございます。行政管理庁からまさしくこれについての御提言があったわけでございます。両省で十分話をし、この間に、政策目的等々の違いを踏まえて、混淆のないようにいたすことについては異存がございません。
○安井委員 私は、幼保一元化が将来の目標として進めるべき方向だと思うのですが、それを直ちにいま協議の中で決めろとは言いませんが、少なくも、現在生じている問題点の解消のための努力だけは、協議の中で実現をしていただきたいと思います。
 ただ私は、この行管の勧告は、評価をすべき点もあると思うのですけれども、しかし、幾つか大事な点を見落としているようにも思うわけでございます。特に保育所について、いわゆる摂津訴訟という超過負担の訴訟まで起きている状況が今日あるわけです。保育所だけではないかもしれませんけれども、最近の地方自治団体が、国の負担の中で生じている超過負担は六千三百六十億円に上るという調査結果を発表しておりますが、この中でも大どころを相変わらず保育所が占めております。幼稚園についても同様であります。ですから、これくらい大きな、マスコミで取り上げている問題があるわけではないか。あるいはまた幼稚園についても、保育料が恐ろしい値上がりをしているという指摘も最近されています。保育所が全体的に足りなくて、公立保育所に入る切符をもらうために行列をしている母親たちの姿も新聞によく出てくるわけです。
 ですから、私は、こういったような点は全部財政に関係があるのじゃないかと思うのです。お金を十分に国が出せば、保育所や幼稚園もたくさんつくることができるし、あるいは私立の幼稚園のべらぼうな入園料等を解消することもできると思うのですが、どうも行管の指摘は、お金のかかる、国が財政的な負担になりそうな点だけはネグレクトしているという感じがします。行政管理庁であって財政管理庁でないからかもしれませんがね。
 したがって、私はきょうは、これも来年度の予算編成を目の前にしている段階でありますだけに、いま申し上げましたような、そういう五十一年度の財政措置について、文部省や厚生省は、母親たちのそういう素朴な願いをどうかなえるのかということ、この点をひとつ伺います。
○石野政府委員 先生のお尋ねの点、二つあると思います。一つは整備費の問題、一つは運営費――措置費と申しておりますけれども、運営費の問題でございます。
 第一の整備費の問題でございますけれども、来年度の予算要求につきましては、これは御案内のとおり、社会福祉施設整備費全体で実は要求いたしておりまして、今年度が三百五十億の施設整備費全体でございますが、来年度はそれに対しまして、実は四百二十億という形で約七十億の増の要求をいたしておるわけでございます。その中で保育所も老人対策と一緒に最重点といたしまして、これをやっていきたいという点が第一点でございます。
 それから第二の運営費の面でございますけれども、これにつきましては、実は五十年度、五十一年度の両年度におきまして、特に勤務体制の整備という形で、大幅な予算の増額を要求いたしておりますが、二カ年間で保育所につきましては、保母の休憩時間の確保ができるように、そういう措置のための費用の増額に最重点を置きまして要求いたしておりますが、そのほかに、さらに入所児童の処遇の改善を図ること、あるいは保母が長期の病気休暇等のために、代替制度というものの新設の要望もなかなか強うございます。そういう問題でございますとか、あるいは乳児保育の人員の増、そういう問題につきましても概算要求をいたしておる、こういうことでございます。
○鈴木説明員 幼稚園の拡充整備につきましては、一つは施設設備の経費の関係でございますが、これにつきましては、本年度約六十八億に対しまして、明年度は八十三億ほどの要求をいたしております。また、父母負担の軽減を図るという観点から、一つは、これは都道府県が行っている事業でございますけれども、経常費助成ということで、本年度は学校法人の幼稚園に対しまして、人件費等の経常費の助成を行う措置を講じております。明年度は、これを、学校法人化をすることを前提といたしまして、個人立とか宗教法人立の幼稚園に対しても助成の範囲を広げるということで、経常費の増額を考えているわけでございます。本年度十二億に対しまして、明年度は六十数億の要求をいたしております。
 また、特に低所得層にございます幼児の父母負担の軽減を図るという観点から、就園奨励費という制度、これは市町村が実施します事業でございますが、それに対しまして助成措置を講じております。本年度三十五億でございますが、明年度は四十七億ほどの要求をいたしております。
 こういうことで施設設備の整備の充実また父母負担の軽減のために、できるだけの努力をいたしているわけでございます。
○安井委員 この問題について私まだまだ、ゼロ歳保育の問題やら長時間保育、夜間保育、無認可保育所の解消等、先ほど行管から指摘があった事項についても伺ってまいりたいと思うのですけれども、あとの質問の時間もありますから、これは別な機会に譲りますが、一つだけ、私立幼稚園の入園料が恐ろしく高くなってきているという問題です。区立の場合は月最低三百円からせいぜい最高三千円ぐらい、一年間でいろいろな経費を入れても一万円足らずで幼稚園に入れることができる。ところが私立の幼稚園になったら、これはもう恐ろしい数字が出ていますね。月平均八千円ぐらいというのですからね。教材費を全部入れれば一万二千円を超える。しかも、これはことし一割から一割五分高まるだろう、こう言う。
 これは新聞の報道ですから、私はそこまで調べておりませんが、私立女子大の付属幼稚園では、入園料が何と十五万円、保育料が年二十二万円、一年間にどうしても七十万円かかる、こう言うのです。何か少し狂っているような気もするのです。医科大学の入学にずいぶん金がかかるという話もありますけれども、幼稚園もこれは大学並みだなというふうな気がするわけです。これに対して、これを上から規制するとかなんとかということでないにしても、私は、やはり私立幼稚園が経営難、その経営難を放置していることで、こういうふうな形で入園料を上げ、父母負担をふやしている、こういうことではないかと思います。
 いまのようなあいまいな助成の仕組みではなしに、もっと入園料そのものにずばり響くような、つまり入園料の低減に影響のあるような助成という形で問題を解決するという方法はないのでしょうか。文部省、どうです。
○鈴木説明員 ただいま先生から御指摘のございましたように、私立の幼稚園の保育料が公立の幼稚園に比しまして相当多額に上っているということは事実でございます。しかしながら、私立幼稚園の幼児一人当たりの教育費という観点から考えますと、必ずしも公立の幼稚園の場合の幼児一人当たりの教育費を上回っているということではたいわけでございます。そういう点から申しますと、ある程度の教育費がかかるということはやむを得ないことと考えられるわけでございますけれども、ただ、先ほども申し上げましたように、幼稚園に子供を通園させております父母は、比較的若年の所得水準の低い者が多いわけでございますから、できるだけその父母負担を軽減する、こういう観点から、先ほどお話し申しましたような経常費の助成あるいは就園奨励費の充実というようなことでもって、できるだけ父母負担の軽減を図っていくように引き続き努力してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○安井委員 これは、余り新聞の社会だねになるようなことのないような努力をさらに期待をしておきます。
 あと、わずかな持ち時間ですから、その中で来年度の年金の改正の方向について伺っておきたいと思います。
 再就職者の老齢年金に矛盾がある点は、厚生省も常に考えておられると思うのですが、所得制限を引き上げなければいけないとかカットをやめるとか、それから再就職した場合に逆に年金額が減ってしまったりする、そういうケースが出てきているとか、こういうような点への改善というものが当然必要になってくるし、また遺族年金の給付率の引き上げはぜひともやらなければいけない、こう厚生大臣も言っておられるようであります。その他いろいろあると思いますけれども、こういった点について来年度どうするのか。特に福祉年金の引き上げという問題もありますね。二万円にすると言って、大臣、後で取り消されたり、そういう経過もありますが、その年金をどうするのかということ、この点についてのお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 それからもう一つ、旭川市の難病センターが、二つの国立療養所のうち、統合によって一つが廃止になる、その代替として難病センターをつくるという約束になっているのが、なかなかいろいろな問題で行き悩んでいるという状況もあるようであります。その点について、かいつまんで残りの時間でお答えをいただきたいと思います。
○石丸政府委員 ただいま先生御質問の後段の件を、事務的に私からお答え申し上げたいと思います。
 ただいま先生お尋ねの点は、国立療養所道北病院の進行性筋ジストロフィー病棟の件であろうかと思いますが、当該専門病棟四十床と食堂、更衣棟等は、本年八月末に整備を完了したところでございますが、治療棟につきまして目下改築整備を実施中でございまして、その完成が昭和五十一年三月末日という予定になっておるところでございまして、現在鋭意この改築整備を実施中でございます。
 ただ、本件につきましては、いろいろ入院希望の患者さんの動向等もございますが、一応そういった患者さんの動向を見ながら、昭和五十一年四月以降開棟する予定で現在準備を進めているところでございます。
○田中国務大臣 大変不幸なことに、年金局長が急病になりまして出席できませんので、細かい点についての御答弁は説明員からしていただくかと思いますが、年金制度につきましては、昭和五十三年度に予定されております年金再計算期を五十一年、つまり明年に繰り上げて実施をいたそうということで、今日作業を進めております。その主眼となるべきものは、標準的年金額を従来物価スライドでアジャストしておったものでございますが、これを再計算期でございますから、賃金と生活水準を織り込んで改定をいたしたいということで、標準的年金額の改定を一つ考えております。
 そのほかに、たとえば通算年金制度につきましては、老齢については通算ができているのですが、遺族と障害については通算がございませんから、これについてはいろいろむずかしい問題がありますが、通算制度を起こそうということでいろいろ努力をいたしております。
 それから遺族年金については、従来老齢年金の五割でございますが、これを現在の社会情勢、経済情勢にかんがみて、ある程度引き上げていきたいというふうに考えておりまして、七割程度に引き上げたいというふうに思っておりますが、これは先生新聞でごらんのとおり、財政当局との間に相当の論議がございますが、私としては、何としてもこれについては芽を出したいというふうに思って、かたい決意で臨む所存でございます。
 それから在職老齢年金につきましては、制度ができたときには非常に喜ばれたのでございます。退職ということを前提要件にしている、基本要件にしている年金について、働いておっても一定の年齢になったならば差し上げようということで、画期的なことでございましたが、これについてはいわゆる所得によって、余り所得のある方にはこれを御勘弁願うとか、あるいは減額するという制度が残っておるものですから、いろいろと世間の論議を最近呼び起こしております。これの緩和策についていろいろ努力をいたして、何とかいま少しく緩和をいたしたいというふうに思っておりますが、一〇〇%というわけには実はいかぬだろうと思いますが、従来厳しかった条件等についてはこれを緩和するように、財政当局といろいろ今後折衝をいたし、前進を見るようにいたさなければならぬと思っているわけであります。
 それから働いたために減るというのは、制度が非常に複雑なものですから、四十四年の改正の節にいろいろと細かく検討したはずなんですが、昭和三十二年以前の標準報酬をたたき切ったものですから、無視をいたして、その後の標準報酬、これはその限りにおいては非常にいいことなんでありまして、若いときの安月給時代の標準報酬を年金額に影響させないようにという配慮でやったのですが、技術的な問題で、ほんのレアケースでございますが、減るという人がございまして、これについては改善をして、そういうことのないようにいたそうということで、現在制度を組み直して予算要求をいたす所存でございます。
 福祉年金につきましては、これは私は今日の非常な財政難の時代でございますが、できるだけの向上をいたしたいというふうに思っておりますが、これは財政の問題もあり、あるいはいわゆる経過年金、五年年金との兼ね合いもございますので、その辺を勘案して適当な金額に引き上げたいというふうに思っております。
 なお、基本的には、こういったようなものについて私の年金の基本的な考え方は、標準的年金額を向上させるということも必要でございますが、わが国の場合、年金制度が始まったのが非常に遅く、未成熟者が多いということでございますので、したがって、標準的年金額の高さを誇ってみても、これは一般国民にはフェーバーを受ける人は非常に少ないという問題もありますので、したがって早く成熟した年金に到達をする、あるいはまた未成熟者についてどういう年金を向上させるかというところに、私は問題があろうというふうに思っているわけでありまして、そうした未成熟者の極端な者に福祉年金受給者というものがあるわけでありまして、こうしたことを踏まえて、財政方式の切りかえによって、いわゆる現在の福祉年金受給者の年金給付額を向上させるという、抜本的な財政構造に触れた改善をいたさなければ、私はこの問題について根本的な改善はいたしかねるものと思いまして、そうした方向についての検討もいまいろいろとやっているところでございます。
○安井委員 基礎年金の問題や何かずいぶん検討されていると思うのですが、時間ですからこれでやめますが、ただ私、きょうの質問の結論として申し上げておきたいのは、いま厚生省サイドの社会保障のいろいろな審議会等では、高成長の果実で福祉や社会保障を賄うのでは、これは行き結まるのだ、社会保障というのは基本的なものとしてしていかなければいけないと言うし、一方、大蔵省サイドの財政審議会等は、低成長なんだから、もう社会保障はそんな金はないのだという側面からの打ち出しがある、丁々はっしとこうなっていると思うのですが、私は、低成長下であればあるだけに、社会保障への重要性が増してくるのだ、こう思うのですよ。それへの決意を最後に承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 私は、社会保障には二つの面があると思っております。先生のおっしゃるように、低成長下において要請される社会保障の充実、向上という一面があることは否定できません。その典型的なものは、たとえば世帯更生資金とか母子福祉資金の需要量がこういう時代には非常にふえるということ、あるいは場合によっては生活被保護者の数がふえる、こういったようなものについての対応というものは、私は十分気をつけなければならぬ。しかし、社会保障には景気の動向いかんにかかわらず、これについて考えていかなければならぬ問題がある。それは要するに人口の老齢化などという、経済動向に関係なく出てくるものがございまして、そうした両面を考えていかなければなるまいと思います。
 なお、いま財政審と私どもの審議会等の間にいろいろと論議がございますが、これは予算編成直前には、私も二十年国会議員をしておりますが、間々あることでございますので、私としてはそうしたお声を踏まえてやりますが、しかし、基本的にはこうした時代、いわゆる安定成長、低成長下に入った場合の社会保障のあり方ということについては、従来路線をただ積み上げるということだけではいけない、やはり相当基本的な考察と、あるいは努力が必要であるということで、いろいろと苦慮しているというのが現状であります。
○井原委員長 庄司幸助君。
○庄司委員 厚生大臣に伺いますが、たしかこの間、大蔵省当局が老人医療費の無料化、これは何か切り捨てる方向だ、やめていく方向だというようなことをちらっと新聞で見たのですが、厚生大臣としてはこの問題について、やはり低成長下だから老人医療費の無料化はだんだんやめる方向に考えていらっしゃるのか、あるいはそういう政府部内のやめる方向の考え方に対して断固として抵抗して、これを守っていかれる考え方なのか、その点まず簡単にひとつ決意のほどを伺います。
○田中国務大臣 私の承っている限りにおいては、老人医療の無料化を根本的にやめてしまおうということは財政当局としても考えていないようであります。財政審等で言ったのは、これについて一部負担ができないかということを、いろいろ提言しているもののようでございまして、こうした点については、今日まで置かれた老人医療制度等々を踏まえまして、私ども絶対に検討しないというわけではございませんが、あのようなことを直ちに受け入れることは、なかなか簡単にはいかないだろうというふうに思っているわけであります。
 なお、老人医療のあり方については諸般の角度から検討していかなければなりますまい。ただ、いま安井先生がいろいろとお話のございましたように、日本の医療なり、あるいは老人の福祉施設のあり方等々も踏まえて、広い範囲の考察をもってこれに対応しなければならぬと思いますが、老人医療の無料化を看板をおろすというようなことは、厚生大臣は考えておりません。
○庄司委員 それでは本論に入らしてもらいます。
 これは最初医務局長の方から若干具体的な御答弁をいただきたいのですが、私がきょうお伺いしたいのは、救急医療の問題といわゆる夜間、休日の診療問題、この辺が最近境目がだんだんなくなってきている問題があるんですね。そういう中でいわゆるたらい回しの問題が発生してみたり、あるいは住民の中から、赤ちゃんがひきつけを起こして心配している。これをどうすればいいんだというような、いろんな住民の悩みがふくれ上がってきておるわけです。そういう点で、やはりこの辺で抜本的にこの問題を考えなくちゃならない時期に来ているんじゃないか、そういう観点でひとつ伺いたいわけです。たらい回しの実態がどうなのかという問題なんです。
  〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
 たとえば、これはことしの夏から新聞でキャンペーンを張っておりますが、これは局長もごらんになっただろうと思います、局長も何か一問一答をなすっているようですから。北海道のある患者さんが脳卒中で三十五回たらい回しされた。二時間半たって病院に収容したが死亡した。あるいはまた、広島の方が急性肺炎で、これは十五軒たらい回しされている。内科医院で収容したときは死んでいた。救急車内で、このお二人はいずれも亡くなっていますね。これは時間がございませんから、例はいっぱいありますけれども挙げませんが、このほか一つだけ具体的な生々しい例を申し上げておきますが、これは私の地元で起こった非常に悲惨な例です。
 これがちょうど年末年始の、いわゆる病院が休みの時期に起こっている一つの特異な例なんですが、昨年の十二月三十日、宮城県遠田郡涌谷町で腹痛の患者が発生した。三十一日は年末で医療機関は休みなので、絶食して腹痛を治そうとした。ところが元日になって、ますます腹痛が激しくなるので、午後五時半に開業医の往診を受けた。ところが同日午後八時三十分再往診の結果イレウスと、これは膓閉塞のことのようですが、と診断されて、緊急手術の必要を医師は家族に告げ、あて先なしの紹介状を家族に渡した。家族は、町の消防署救急隊に要請、救急隊は電話で管内の救急指定病院に緊急収容を要請した。これは名前は失礼になりますから所在地は申し上げませんが、ある市立病院では、これは救急指定ですが、外科医が不在で断られた。それからある赤十字病院、これは救急指定基幹病院なんです。ここは交通事故の患者収容中の理由で断られた。涌谷町消防署救急隊は管外消防署に問い合わせ、運よく塩釜消防署管内に救急体制があって、午後十時三十分に当病院に緊急搬入したが、手おくれのため翌日死亡となっています。この間五時間かかっているんですね。しかも、病院が年末年始の休みのために、十二月三十日に腹痛を訴えても、こうやって元日に走り回って手おくれになった。こういう事態は私はざらにあるんだろうと思うのです。
 私は必配なのは、この年末から年始にかけて、二十七日が土曜日ですから、一月五日まで病院は休みだといたしますと、大体十日間病院が休みになるのです。この十日間、お正月だから、おれは病気しないと決意を表明したって、これは病気は待ってくれませんから、あるいは交通事故もそうですね、こういう空白の十日間どうするのかということになると、ちょっと背筋が寒くなるような感じがするんですね。だから、この年末年始は一つの特殊な時期ですから、これも重要な問題ですから、頭に入れておいてもらって、ひとつ対策を立てていただきたいと思うのですが、このたらい回しの実態を厚生省は全国的につかんでおられるのかどうか。消防庁もいらしていると思いますが、こういうたらい回しの結果について全国的な調査、その実態と問題点、こういうものの系統的な把握をされていなくちゃならないだろうと思うのですが、その辺つかんでおられますか。
○石丸政府委員 いわゆるたらい回しという実態でございますが、その原因は、先日も新聞にキャンペーンが行われたような実態でございまして、その態様は非常に種々雑多だというふうに考えております。
 それで、いわゆるたらい回しが起きております原因につきまして、いろいろ原因はあるわけでございますけれども、一番多いのは、その病院のベッドが満床で収容できないという実態が多いようでございますが、そのほか最近の一つの特徴といたしましては、現在の医師あるいは医療というものが非常に専門分化してまいっておるわけでございます。また片一方におきましては、患者の権利意識も非常に強くなっておるところでございまして、そういった実態から、最近診療を受け付けない一つの大きな理由になっておりますのが、いわゆる専門の医師が不在であるということが大きな原因になっておるようでございまして、そういった実態に対しまして、われわれもいろいろ改善するための総合的な対策を現在進めておるところでございますが、特に救急医療体制の円滑な運営々図るために毎年衛生主管部長会議あるいは医務主管課長会議を通じまして、いろいろ各都道府県を指導しておるところでございまして、本年も一月と五月の二回にわたりまして休日、夜間診療所の設置促進や、あるいはそういった専門の診療所が設置しにくいようなところにおきましては、地域医師会の協力を得まして当番医制を実施するよう、そういった地域の実情に応じました救急医療体制づくりの推進方を指示いたしておるところでございます。
 ただいま先生御指摘のような全国的な実態調査ということは、われわれの手元にはその統計を持っておらないところでございますが、一つの事例といたしまして、これは昭和四十八年でございますが、東京都におきまして三千百件の救急患者の搬入があったわけでございますが、そのうち診療を拒否されました理由を調べてみますと、先ほど申し上げましたように、病床が満床であるという事例が四二・二%、それから専門医の措置が必要であるけれども、そういった医師がいないという理由が五〇・四%、大半がそういう理由になっておるところでございます。ただ、全国的なそういった統計につきましては、われわれまだ把握いたしておりません。
○庄司委員 厚生大臣、たらい回しに遭った患者並びに家族の心境、これは大変なものだろうと思うのです。たとえば丸亀の田口さんの事例では、後から駆けつけた奥さんがこう言っているのです。見てくれなかった病院が恨めしい、病院のすみでも見てくれればよい、早い診療さえやれば、死んでも医師を恨むことはない、こうやって病院が恨まれているわけです。中には病院として当然手もありながら、医師もいながら、看護婦さんもいながら断るような不届きな事例もあるかもしれませんが、大部分は、これは後から詳しく申し上げますが、やはりいまの救急体制の中から発生している問題なんです。人の親であり、あるいは夫であり、妻であれば、苦しんでいる病人、刻々と死が近づいている病人に対して三十軒も三十五軒もたらい回しされて、それでも医者がいない、どうしよう、夜中に本当につらい思いで過ごすいっとき、いっときですね、これは大変な問題だろうと思うのですよ。
 このたらい回しされているという現象の背後には、やはりわが国の救急体制なり、あるいは夜間、休日の診療体制なりの非常におくれた面が存在するのだろうと思うのです。その点で私は、厚生省はこのたらい回しの実態を統計として把握して、それに対する対応策を明確にしていく必要がある、そしてこれは毎年毎年発表していく必要があると思うのです。このたらい回しが減る方向に向かったのか、あるいはふえる方向がまだ続いているのか、これは厚生省として見ておく必要があると私は思うのですが、こういった全国的な調査をおやりになって報告される御決意がおありかどうか、これをひとつお答え願いたいと思います。
○石丸政府委員 いわゆるたらい回しという実態でございますが、先ほども申し上げましたように、これは非常にいろいろなケースがあるわけでございまして、たらい回しという言葉自体の定義の問題もございますし、また調査方法も非常にむずかしい問題があるところでございまして、そういったいろいろな技術的な問題の解決を図らなければならないと考えておるところでございます。特に実態調査をやります場合、拒否をいたしました医療機関からは、なかなかそういった実態が出てまいらないというような調査方法そのものの非常に困難性もございますし、われわれといたしましては、そういった点では従来消防庁の方から、患者を搬送されまして、その搬送された先においてどういう措置をとられたかというような統計をいただきまして、それに基づいていろいろ対策を講じているところでございます。
○庄司委員 そうしますと、消防庁はこの全国的な数字を把握されておりますか。
○矢筈野説明員 御指摘のいわゆるたらい回しでございますが、消防機関といたしましては非常に苦慮いたしておるところでございまして、四十九年中の集計を目下国としてはやっております。その前に、市町村の自主的な団体でございます全国消防長会というのがございまして、そこで昨年の一年じゅうの統計をやってもらいましたのがございますので発表さしていただきます。
 これは八百三十八団体のうち七百九十七団体の統計でございまして、救急出動件数が四十九年中は百四十一万件ございましたが、そのうちの百三十三万件に相当する内容、いわゆるたらい回しの実態を内訳として調査したものでございます。
 まず、三万五千六百九十六件いわゆる収容拒否をされまして、二・七%が先生御指摘のたらい回しの実態でございます。平均いたしまして時間にして三十七分、長いので四十八時間十六分というのがございます。
 内訳は、一回拒否されたのが二万一千九百四十八、二回拒否されたのが六千四百四十七、三回以上が四千三百四十件、五回以上が二千五十二件、十回以上が八百三十四件、二十回以上が七十五件でございます。なお、国においては、ただいま集計中でございますので、近くまとまる予定でございます。
○庄司委員 大臣、これは大変な数字ですね。三万五千六百九十六件です。二・七%が、いわゆるたらい回しされている。ひどいのは、二十回以上が七十五件もある。十回以上が八百三十四件もある。その点で、厚生省、消防庁問いませんが、これはひとつ制度的に毎年つかんでいただきたい。私は、これを強く要望しておきます。
 それから、先ほども申し上げましたが、いわゆる救急医療、それから夜間、休日の診療、この辺が最近非常にごっちゃになってきているという問題があるのです。たとえば大阪の実例ですが、救急出動総件数七万三千六百三十四件のうち、急病と称する範疇のものが四万七千四百二十七件で、六四・四%を占めている。この数字は、いわゆる救急出動というのは何か交通事故だ、あるいは労働災害だという範疇から、最近は変わってきているということを示しているのだと思うのです。これは大阪だけじゃなくて、全国でもやはり急病が四七・八%を占めつつある。約五〇%です。
 ところが、消防法の概念でまいりますと、こういうことになるのです。消防法の第二条の九項には「救急業務とは、災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた事故(以下この項において「災害による事故等」という。)又は政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故で政令で定めるものによる傷病者で医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によって、医療機関その他の場所に搬送することをいう。」これでまいりますと、消防庁の方のお考え方は、ほとんどが病気じゃなくて事故だという概念規定なんですね。
 その点で、こういう論もあるわけです。これはある都市の一一九番、消防局、これは警察の一一〇番に対応するものですが、一一九番では、救急病院は外科用であって、内科用ではないという固定概念で救急処理を行って、第一線医師の批判を受けている。だからこの点で、救急医療イコール交通事故傷害医療、労働災害も含みますが、この外科救急という短絡された概念の打破が必要ではないかという論もあるのです。
 そこで実態を見ますと、救急告示病院あるいは救急基幹病院といいますかセンターといいますか、そういうところに運ばれてくる患者、これは先ほどの数字も言っておるとおり、いわゆる急病人が非常にふえておる。あるいは患者から言えば、あるいは家族から言えば、無知――無知と言うと怒られますが、医者ではないですから、どれが軽傷でどれが重傷なんだかわからないでしょう。ですから、腹痛を起こした、これは大変だ、救急車を呼ぼうということになるのも私は当然だろうと思うのです。そうすると、一方の方は、外科の外傷患者が救急病院だという考え方がある。患者並びに家族においては、とにかく病気であれ、けがであれ、何であろうと、救急は救急だ、これは私は当然だろうと思うのです。広辞苑という辞引にこう書いてあります。救急とは「急場の難儀を救うこと。特に急病や怪我に応急の手当々すること。」患者の側、国民の側ではこういった考え方があるということは、私は間違いないだろうと思うし、またこれも無理からぬことだろうと思うのです。
 だから、その辺で概念の問題、救急医療とは何か、救急体制とは何か、これをやはり明確にする必要があるのじゃないかと思うのです。その上で法の改正、これは厚生省関係も何か抵触する問題があるだろうと思います。その辺考えてみる必要があるのじゃないかと思うのですが、これは厚生省と消防庁側と両方からお答え願いたいと思います。
○石丸政府委員 救急医療の問題、その実態はただいま先生御指摘のとおりでございます。救急医療という概念でございますが、従来、特に救急告示施設あるいは救急告示医療施設という言葉をわれわれ使っておるわけでございますが、救急告示医療施設というものは、先生御指摘のとおり、交通外傷を対象といたしまして、われわれその整備を図ってまいったところでございます。しかし、最近交通対策等がいろいろ講ぜられた結果、先生御指摘のとおり、現在救急自動車で運ばれてくる患者は交通外傷の患者が非常に減少してまいっておりまして、実態といたしましては、内科系のいわゆる急病患者が五〇%を超えておる、われわれ消防庁の方からいただいておる数字も、そういう実態になってまいっておるところであります。
 そこで従来、そういう交通外傷を対象といたしまして救急告示施設の整備を図ってまいったところでございますが、最近の疾病構造の変化、そういったことで昭和四十九年から、そういった内科系を対象といたしましたいわゆる休日夜間診療所の整備を現在進めておるところでございまして、これは人口十万以上の都市に一カ所ずつ休日夜間診療所を設けるということで、三カ年計画で現在進めておるところでございまして、来年度これが完成する予定になっておるところでございます。さらに、そういった休日夜間診療所を設置する対象外のところにつきましては、地域医師会の協力を得まして、いわゆる当番医制の整備を進めておるところでございまして、そういった総合的な観点から現在対策を進めておるところでございます。
 特に先生御指摘のように、近年わが国の人口の老齢化に伴いまして、老人の脳卒中あるいは心臓疾患、そういう急病人が非常にふえてまいっておる。それともう一つは、これは医療の面ではございませんけれども、わが国の社会体制の変化と申し上げましょうか、いわゆる核家族化が起きておるところでございまして、従来ですと母親、いわゆるおしゅうとめさんが子供の病気、急病に対しては、経験からいろいろな手当て等も加えておったわけでございますが、最近は若いお母さんが子供の急病に右往左往するという実態も生じてまいっておるところでございまして、そういった新しい事態に対応いたしまして、今後の問題といたしまして休日夜間診療所の中に、いわゆるテレフォンサービス等を設ける、かようなことも計画を進めておるところでございます。
○矢筈野説明員 消防機関が搬送業務をやっております法的根拠は、先生御指摘のとおり消防法二条九項に基づく救急業務を実施しておるわけでございますが、その中で政令で定めるものとして、「屋内において生じた事故」として急病を読んでおるわけでございます。ただ、御指摘のとおり最近の救急の傷病者の内訳は急病が五二%強でございまして、半数以上を急病が占めるということで、もう少し急病という点にスポットを当てて、法令上の整備をしたらどうかという意見も内部にはございます。そういうものを含めまして、前向きに検討させていただきたいと思います。
○庄司委員 私は、これでは消防隊の方々非常に苦労しておると思うのです。まことに同情にたえないのです。せっかく消防隊の方々が夜の目も寝ないでやっている。これに対する受け皿の問題、これは厚生省の問題なんですね。救急告示病院といいますか指定病院といいますか、この問題も実はあるわけなんです。この考え方にやはり外科的な考え方が一つあったのじゃないかと私は思うのです。
 これは厚生省令の八号に告示病院の基準が出ておりますね。これを見ると、「事故による傷病者に関する医療について相当な知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。」二番目は「手術室、麻酔器、エックス線装置、輸血及び輸液のための設備その他前号の医療を行なうために必要な施設及び設備を有すること。」それから三番目は、救急隊の搬送に便利なような構造、あるいはベッドが相当数備わっている。これはまた後で申し上げたいと思いますが、実際、救急告示病院が有名無実というような病院も相当あるし、またこの返上を願い出るものが相当ふえてきておる。また返上を希望する方も相当あるという数字もあるわけです。これは名古屋で行われた救急医の学会でございましたね、これでも出ているわけです。
 だから一つ目は、救急告示病院の問題、これを今後厚生省は、外傷といいますか、いわゆる交通事故等による患者だけを扱う病院という概念であなた方は考えていらっしゃるのか、あるいは急病人も引き受けられるような病院として考えておられるのか、この辺が一つです。
 それから二番目は、いまの現状からいくと、先ほども私は冒頭に申し上げましたが、救急告示病院で断られた、基幹病院でも断わられた、こういうケースがあるのですから、これは今後もっともっと国の助成で伸ばしていくのか、あるいは中途半端だから、やめてしまおうという考えなのか、この考え方をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○石丸政府委員 第一の点でございますが、救急告示医療施設の性格でございます。これは先ほどお答え申し上げましたように、初期におきましては交通外傷あるいは職業外傷といったものを対象にこの整備が行われたわけでございます。しかしながら、救急告示施設の選定の基準におきましては、そういった外科系を中心としての選定基準になっておるところでございますが、われわれといたしましては、そういった救急告示施設におきまして、内科系のいわゆる急病患者の取り扱いをやっていただくことは非常に結構なことでございまして、今後ともわれわれといたしましては、そういった救急告示施設におきましても、できる範囲内において内科系の急病患者の取り扱いをやっていただきたい、かように考えておるところでございまして、今後とも都道府県等を指導いたしまして、そういう方向に進めてまいりたいと思います。
 それから、救急告示施設で診療を断られた、あるいは基幹病院において診療を断られたというケースについて、今後どうするかという問題でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、医療というものが非常に専門化してまいっておるところでございまして、われわれといたしましては、この救急告示医療施設というものを第一次医療施設と申し上げましょうか、あるいは初期診療と申し上げましょうか、いわゆる初期における応急手当て的な施設として考えておるところでございます。あるいはもっと進んだことをやっていただいても結構なんでございますが、ただそこで、とても手に負えないような非常に複雑な疾病の患者が出ました場合には、それを引き受けるいわゆる後方病院、第二次医療施設というものを今後整備していく必要があろうかと考えておるところでございまして、来年度の予算要求におきまして、そういった後方病院といたしまして救命救急センターという構想を立てておるところでございまして、今後そういった第二次医療施設、後方病院の整備に努力してまいりたいと思います。
○庄司委員 大体わかりましたが、これは了解したという意味のわかったじゃなくて、あなたのおっしゃる意味はわかったのですが、それじゃ一体この告示病院に対する助成はどうなのか。
 告示病院の資格は大変厳重に定めております。そうすると、たとえば相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事するとなれば、医者も生き物ですから、夜寝ないで毎日やるわけにまいりません。少なくとも二人ないし三人は必要なんです。ところが告示病院の全国平均を見ますと、平均一・一人です。これに補助もなければ助成も何もない、こういう状況があります。それから手術室、これは当然あるでしょう。麻酔器、これも外科ならあるでしょう。エックス線装置はどこでもあります。あるけれども、麻酔科の医者はどうするんだというのです。あるいはもっとパラメディカルな方々、これも付随していなくちゃならない。それにたったの一円の助成も補助もない。ただ告示を名乗り出ろ、希望を受け付けるというだけでしょう。これじゃ告示病院はどうにもならないのじゃないですか。
 それで、たとえば宮城県のように、これは告示病院から相当の突き上げがありまして、渋々やっと県単で独自の助成措置を始めたんです。これは、まあ宮城県は当然それぐらいのことをやらなくちゃならない義務があるのです。いわゆる一般県立病院がないのです。だから一般県立病院が本当なら告示病院を引き受けなくちゃならないのですが、ないのですね。ところが、市町村にそういうものは押しつけておいて、若干の補助を出す、こうなっているのですが、この交付基準を見ますと、交通事故は一件千円ですよ。各種外傷は一件当たり五百三十八円。他科救急診療一件五十円だった。他科というのは、内科ですね、大体内科の急病人。昭和五十年度からは、この他科診療の五十円まで削っちゃった。いわゆる外科だけだ。県当局にこういう考え方、概念があるのです。それでもまだ助成している県はいい方でしょう。してない県がたくさんあるのです。そうやっておいて告示だけ名のりを上げさして、いわゆる病院側あるいは開業医の側に苦労さしておいて、そしてたらい回しをされたとかなんとかと汚名を着せられて、それで病院間に合いますか、一体医師が。
 だから私は、去年も言ったんです。国は後方病院だの何だのと言っているけれども、いわゆる初期診療の一番大事な機関に何の対策も打っていないのじゃないか。それで、今後も維持していかれる、あるいは内科系の急病人も収容していただくことが望ましいというお答えなんです。どうしますかね、一体この救急病院の側では。消防署の側では電話しても、そういう事情ですから、なかなか出ません、これは。どうします、これ。
○石丸政府委員 救急医療施設に対します助成問題でございますが、この救急告示施設につきましては、地域医療の重要な問題といたしまして、先生御指摘のように一部地方自治体で助成を行っているのが現状でございますが、国といたしましては、従来この地域の中核をなしておる、いわゆる公立施設に対しましてこの救急部門、いわゆる不採算の救急部門につきまして、従来からその運営費等の助成を行ってきておるところでございますが、今後の問題といたしましては、その範囲を、対象の施設をさらに拡大してまいりたいと考えておるところでございます。
 さらに、今後の問題でございますけれども、いわゆる救命救急センターというものにつきましては、三交代制等で二十四時間勤務体制を整えたいと考えておるところでございまして、そのような施設におきましては、いわゆる保険診療による診療費では、なかなかそういった経費を賄い切れない、いわゆる不採算部門になるわけでございまして、そういった部分につきましては、今後ともさらにその助成を拡大してまいりたいと考えております。
○庄司委員 そうすると、これは大臣もひとつ聞いてもらいたいと思うのですよ。あの救急病院ですね、救急部門、これは不採算だとお認めになりました。救急部門は不採算だと、これははっきりともう一遍確認してもらいたいと思うのです。いかがですか。
○石丸政府委員 この救急医療の部門というのは、非常に範囲が広いわけでございますが、ただいま申し上げましたように、待機をしておるというような、いわゆるいつでも担ぎ込まれていいという、そういった待機をしているような医療施設あるいはその公的医療機関等でございまして、どうしてもその医療機関が採算を無視しても、そういった救急部門を設置せざるを得ないという、そういった医療機関におきましては、この救急医療という問題は、従来の概念で申し上げますと、そのいわゆる保険診療費、医療費では賄い切れない部門だというふうに考えております。
○庄司委員 大臣に伺います。
 いま局長も不採算であるとお認めになったわけです。そこで、少なくとも当面、あなた方の政令で定められている救急告示病院、これについて国の助成措置あるいは予算措置、これをひとつやっていただきたいと思うのです、その不採算を解消するに足るような。これはもちろん自治体も若干の責任はあると思います。だから、自治体が助成した場合は国も助成するとか、その程度のことは私はやっていただきたいと思うのです。その点、ひとつ大臣の御決意を承りたいと思います。
○石丸政府委員 救急医療施設でございますが、これはいろんな実態があろうかと考えておりますが、そういった全体の医療費の中におきまして、救急部門の経理が非常に大きな不採算の部門になっておる、そういう実態の明らかな医療施設に対しましては、従来もそういった助成を行っておるところでございまして、先ほど申し上げましたように、今後さらにそういったものを拡大してまいりたいと考えておるところでございます。
○庄司委員 そこで、いわゆる経理が、明確にこれは救急部門での赤字であるとか、これが明確でなかった部分もあるわけです。これは、私はたしか去年だったか、おととしだったか申し上げてあるのです。地元の例を出して申しわけありませんが、仙台市の市立病院はこの計算方法が明確に確立してあるのです。これは自治大臣にもたしか資料をお渡しして、こういう計算方法があるのだから、告示病院に対しては、この方法をもっと研究をして普及したらどうだということを申し上げてあるのです。これは念のために申し上げておきます。
 それで、次にお伺いしたいのは、救命救急センター、これは国で、たしか五十一年度概算要求で八カ所十九億円、この概算要求をなすっているというお話を聞いておりますが、これは八カ所でございますね。そうしますと、これは全国に普及するまでは大分間があるのじゃないかと思うのです。私は、これは非常に結構な御趣旨だと思うのですよ。大いに進めてもらいたい。しかし、来年のあれを見ますと、国立病院が二カ所、それからその他の公的医療機関ですか、これが六カ所だ。これでは足りませんから、これはひとつ年次計画をつくって、少なくとも各県に一つ行き渡るまで、三年なら三年でやっていただく、こういう年次計画をつくるべきだと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○石丸政府委員 わが国におきます救急医療、これは交通外傷並びに内科系の急病を含めてでございますが、こういった救急医療をどういう体系づけを行うかという問題でございます。
 従来の一つの体系といたしましては、交通外傷を主として取り扱います、いわゆる救急告示医療施設というものと、内科系のいわゆる急病人を主として対象といたしております救急夜間診療所、こういう一つの体系で進んでまいったわけでございますが、今後の問題といたしまして、後方医療施設、第二次医療施設として、ただいま御指摘の救命救急センターというものを考えたわけでございます。今後の問題といたしまして、この救命救急センターをわが国の救急医療体系の中でどういうふうな位置づけを行い、従来の救急医療告示施設あるいは休日夜間診療所とどういうふうな結びつけをやったらいいか、その一つのモデルケースとして今回八カ所の要求を出したわけでございまして、将来の問題といたしましては、これが全国的に普及するよう努力してまいりたいと考えておるわけであります。
 なお、この救命救急センターにおきまして勤務いたします医師等につきましては、非常に高度な技術を要するところでございまして、今回つくります八カ所におきましてレジデント等の養成も考えておるところでございます。(庄司委員「年次計画」と呼ぶ)この八カ所の結果を見まして、今後全体的な計画を作成してまいりたいと考えております。
○庄司委員 大臣、この問題、八カ所ではせいぜい八県ですが、全国民同じ権利を持っておりますから、年次計画をつくってもらいたいのです。ひとつ御答弁お願いします。
○石丸政府委員 できるだけそういった年次計画の作成を急ぎたいと考えております。
○庄司委員 それから、もう時間もだんだん詰まってきましたが、私は後方病院が必要なことを非常に痛感します。しかし初期救急体制があって初めて後方の役割りが発揮されるわけですね。この初期救急体制を告示病院も含めて、あるいは公立病院も含めてぜひ充実させてもらいたいと思うのです。
 それで、次の質問に移りますが、こういった救急、いわゆる夜間、休日も含めたこの体制に果たす国公立病院あるいは公的病院の役割りが非常に大事だと私は思うのです。とにかく非難が大分開業医の方に向けられておりますが、開業医の方はお医者さん一人で奥さん一人という方が相当多いのです。開業医だって夜寝なければなりませんし、日曜日は休みたいと思うでしょう。だからこの辺、国公立病院を含めた公的医療機関がもっと役割りを担わなければならないと思うのです。夜間、休日は全部国公立病院でやれという乱暴な論議はいまは展開しません。しかし、そこを目指す必要はあると思うのです。
 その点で私は、公立病院の赤字の問題が心配なんです。いまの夜間も休日もやれないような状態でさえも赤字なんですね。だからその点で国公立病院、公的病院に役割りを果たさせるためには、どうしてもこういった系統の病院に対する援助をいまのような規模ではなくて、もっともっと強める必要があると思うのです。
 たとえば、こういう記事もあるのですよ。これは石巻の赤十字病院に対する非難です。石巻で休日診療の当番医の問題をめぐって医師会で論議があった。これは休日急患当番医という名称を休日急患医と改めることに決めた。この理由は、当番医となれば義務が発生するような感じで、それでお医者さんが休んだりすると、後から悪徳だとかなんとか言われる。だから当番という字を外したというような苦肉の策もある。お気の毒な話です。休日診療は開業医の方々だけで石巻の赤十字は加わっていないという。赤十字の院長さんも「この地方最大の総合病院としてなんとかもっとお役に立ちたいのですが、医師不足でとても休日診療まで引き受けられません」と頭を抱え込んでいる。しかし医師会側は「石巻日赤が開業医の処理できない重患を引き受ける二次病院として充実してもらわなければ、休日診療問題は解決しないとの不満が根強いようだ。」と書いております。
 こういういわゆる初期診療体制と後方病院との問題点が全国至るところであるだろうと思うのです。だからその点で、ひとつ国公立を含めた公的病院のこれに参加する役割りを重視して、どのような予算措置を講じられるのか、これを具体的にひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○石丸政府委員 初期救急機関と後方医療機関との機能分化の点につきましては、先生御指摘のような問題があるわけでございます。それで国公立病院等につきまして救急医療を担当する義務があるのではなかろうかという御質問でございますが、それは御指摘の点、まことにごもっともな点でございまして、われわれといたしましても国立病院につきましては、僻地に所在いたしますいわゆる専門的な結核療養所あるいは精神療養所といったものを除きまして、国立医療機関がそういった任務を担当するよう極力指導いたしておるところでございます。
 さらに自治体病院等につきましては、都道府県等を通じまして、こういった公立病院が公的使命を果たすために、こういった救急医療体制の中に大きな役割りを果たすよう指導をしておるところでございます。
 それで国立病院につきましては、これは直轄機関でございますので、その予算措置につきましては、われわれ努力してまいりたいと考えております。
 さらに公立医療機関の特に救急部門等につきまして、赤字の原因になっているそういった施設につきましては、従来からも助成を行ってまいったところでございますが、今後ともさらにそういった対象施設あるいは不採算部門の対象の拡大といった点につきまして努力してまいりたいと考えております。
○庄司委員 時間もありませんが、どうも国の助成を系統的に見ますと、たとえば救急医療施設整備費、運輸省、これが一つあります。これは交通事故多発地域で中心となる救急医療施設の整備で、建物に五百万限度、設備に一千万限度、運営費はついておりません。しかも十五カ所で一億三千二百万円。厚生省、休日夜間診療所設置費、これは昭和四十九年から人口十万以上ですね。施設整備費が三百万円限度で三分の一定率だ、七十カ所、設備が百万円限度で七十カ所、三分の一、運営費は一日一万八千円から三万二千六百円だ。それで三分の一。
  〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
あるいは休日夜間診療対策協議会費とか研修医の助成とか、特殊診療部門運営費、これは自治省か厚生省かわかりませんけれども、これが限度三百七十万とか五百五十万、こんな程度なんですね。いま抱えている自治体病院や告示病院の赤字の問題を考えたら、こんな予算では話にならないということです。だから、その点、ひとつ抜本的に前進させていただきたい。
 それから最後に消防庁の問題ですが、消防隊、これは現在百三十五時間の教育。救急隊ですね。これでは話にならないという説もあるのです。アメリカのジャクソンビル、ここでは千五百時間の講義、実習を施している。あの救急車に医者を乗せたら、どれだけ死亡数が減るかというのは明らかなんですが、まあ医者を全部に配置しろなんと言ったって無理ですから、せめて消防庁の教育ですね、これが百三十五時間、ジャクソンビルでは千四、五百時間、この辺やはり改善する必要があるんじゃないかと思うのです。そして、いわゆる搬送途中の死亡を減らす、あるいはたらい回しされている途中の命を延ばしていく、こういうことをやる必要があると思うのです。その点、どういうふうに改善されるのか。
 それから、同時に救急隊のこういう特殊な知識を持った人の待遇改善の問題もあると思うのです。この辺の御答弁をいただきたいし、それからいわゆる情報センターの問題ですね、この辺、もっと充実しないと、やはりたらい回しが続くんじゃないかと思うのですが、その辺どのように改善されるのか、この点伺いたいと思います。
 そして最後に、厚生大臣、いままでのやりとりを聞いておられたと思いますから、今後の救急、夜間、休日の急病患者、こういうものに対する厚生大臣の改善の御決意のほどを伺って、質問を終わりたいと思います。
○矢筈野説明員 救急隊員の資質の向上については、御指摘のとおり非常に重要な問題でございますので、国としても積極的に取り組んでおるわけでございますが、御指摘の実施基準の百三十五時間は長いか短いかという問題は別といたしまして、百三十五時間でも、現在は三七%しか実は受講しておらない実態でございます。とりあえずは、それを一〇〇%に引き上げたいということと、あわせて消防大学校において、二百九十四時間の救急専科がございますので、そういう専科においての受講をも増加させる方向で指導しているということを含めて、救急隊員の資質の向上については努力してまいりたいと思います。
 なお、処遇の問題でございますけれども、火災七万件に対しまして救急は百四十万件でございまして、約二十倍の出動件数がございます。非常に過労になっておりますので、そういう点も含めて処遇改善に努力してまいりたいと思います。
 第三番目の、情報の収集及び指示の問題でございますが、これは指令装置をもう少し充実させる方向で、大都市においては相当充実を図っておりますけれども、中小都市にもそれが行き渡るように、国の助成措置その他を講じて努力してまいる所存でございます。
○田中国務大臣 救急、休日、夜間等につきましては、いろいろと社会事象で論ぜられているところが多いわけであります。これについては厚生省は今日、救命救急センターの設置と、いわゆる助成の対象拡大といったようなことについて五十一年度予算で対応しよう、こういうふうに考えておりますが、どうも私最近いろいろ聞いてみますると、これだけでいいのかどうかという疑問が非常に多いわけでございまして、抜本的に各方面から、これについて検討をさらに深く掘り下げなければなるまいと思っているわけであります。
 たらい回し事件、私は新聞を見るたびに心痛むわけでございますが、いろいろと聞いてみると、単なる助成の問題だけではなさそうであります。日本の医師というものが非常に専門化をいたしてしまったということから、いろいろとああいう制度で対応ができなくなってくる。それに、医師の方のサイドからいろいろ話を聞いてみますると、医療過誤に対する追及というものが非常に強いものですから、したがって下手に手を出さぬ方がいいというような、そういったような空気も実はあるようであります。こうしたことを踏まえて、いろいろなところから対応策を講じまして、また、助成についても、実は私、大臣になる前からこれについての助成策をいろいろ手がけてみましたが、やはり救急告示病院あるいは休日、夜間と言ってもいろいろパターンがありまして、あるものはある程度の助成をしなければならない、あるものはあるいは厳密に言うとなじまぬとか、いろいろな議論があるようでありますが、そうしたことをいろいろと広範囲に検討いたしまして、いま少しく救急、休日、夜間について国民の不安のないように掘り下げをいたさなければならないと思っているやさきでございますので、どうぞそういったようなことについて御協力を賜りたい、かように思います。
○庄司委員 終わります。
○井原委員長 坂井弘一君。
○坂井委員 最近、塩化ビニールによります発がん性の問題が大変大きな社会問題化しつつあります。この問題の経緯をさかのぼってみますと、すでに昭和四十四年の九月に国際労働衛生会議、東京で開催されました。ここで、塩ビによる指端骨溶解症等の障害発生のおそれあり、こういう報告がなされました。この辺に端を発しまして、それ以来、四十四年の十一月には、塩化ビニール工業協会会長に対しまして、実態調査を実施するような指示が出されたり、あるいは四十五年の十一月になりますと、塩ビによる障害予防についての通達がなされる。さらに下りまして四十七年の末には、労働省で塩ビ重合工程作業従事者についての検診結果の提出を求めた。その結果、二名につきましては塩ビによる指端骨溶解症の疑いが濃い、こういう結果を得まして、このため、労働省では、塩ビ協会及び関係企業に対しまして、他の疑い者についての健康管理、研究、検診の徹底、環境改善等についての指導が行われております。それを踏まえまして、四十八年の十一月になりますと、この二名につきましては指端骨溶解症としての労災認定を行った、粗々こういう経緯を見ておるようであります。
 すでに昨年一月、米国の化学メーカーのグッドリッチ社、ここでもこの塩ビの重合工場に勤務する従業員が塩ビモノマーによると見られる肝臓がんにかかっておるということが判明した。わが国におきましても、ことしの一月に、三井東圧化学名古屋工業所の元従業員、この症例が発見された。さらに十月に入りますと、同じ三井東圧の名古屋工業所の元従業員が同様の症例で死亡した。すでにこういう塩ビによるきわめて濃い発がん性の疑いといいますか、死亡例まで見ておるということでもって非常に大きな問題になってきたというあらましの経緯でございますが、そういう状況並びに経過を踏まえまして、厚生大臣として、これは最近発がん性のことにつきまして厚生行政の中でもいろいろな問題が指摘されまして、ずいぶん議論されているわけでございます。
 特に私、今回はこの塩ビに限って順次具体的にお伺いしてまいりたい、こう思うわけでございますが、その前に厚生大臣としてどう認識をされ、どうお考えになり、また具体的に今後どう取り組もうとされておるのか、その辺のことについて、あらかじめお伺いしておきたいと思います。
○田中国務大臣 塩ビ問題というのは、当初塩ビモノマーの製造過程における労災事故、ことに発がん性をめぐっての問題から、国際的に問題が発生をいたしたということでございます。これについては労働省サイドで、労働安全衛生の見地からいろいろ対応しているようでございますが、厚生省といたしましては、塩ビによるところの製品、ことに食品との関連におきまして、塩ビ容器等々の安全について配慮いたさなければなるまいというふうなのが当面一番問題になっているわけでございます。
 そのほかに、これはやや古い問題でございますが、殺虫剤等の塩ビスプレーにおけるモノマーの発がん性等々をめぐりまして、これについては一応の対処をいたしておりますが、なお、これについての今後の検討をいたさなければならない問題もあるというわけでございまして、厚生省サイドでは、こうした塩ビモノマーを原料とする製品の日常用具、あるいはそうした品物等をめぐっての人体に対する、あるいは社会の環境衛生に対する安全を図るということでいろいろと配慮いたさなければならないと思って、いまいろいろ努力をいたしている最中でございます。
○坂井委員 あらましの経緯、具体的に厚生省としてどう対応するか、対処しておるかということについて、大臣から幾らかの点に触れられたようでございますが、ただ、率直に申しまして、この対応の仕方が非常に手ぬるいのではないかという実は感じがしてならないわけでありまして、確かにその間スプレー等による例の問題がございまして、製造の中止あるいは回収等も行われました。そういう幾つかの具体的な問題が提起されます中で、これは捨ておけないということで厚生省サイドといたしましても、この塩ビモノマーの研究に踏み切られた。その後科学技術庁の方でも予算を組みまして三千二百万円、これを厚生省あるいは労働省等に委託されまして、さらに研究を進めよう、こういうところに具体的に着手をされたようでございますが、そういう経緯を、具体的な研究の内容等につきましても、われわれが粗々知る範囲内において率直に思いますことは、なおかつ、その取り組みの姿勢としては十分ではないのではないかという心配を実はするわけであります。
 そこで、きょう科学技術庁にもおいでをいただいておりますので、まずお伺いしておきたいと思いますが、いま申しました塩化ビニール・モノマーに関する特別研究、これは、四十九年十二月に三千二百万円の研究費をもちまして、これを厚生省、労働省に委託をされておるようであります。一体、この研究の成果というものがいつになりますと、結果としてあらわれるのか、当然この研究結果がまとまりますと公表されると思いますが、その時期等について科学技術庁からまずお伺いしたいと思います。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
 昭和四十九年度に特別研究促進調整費をもちまして塩化ビニール・モノマーに関する特別研究というものを組みまして、労働省並びに厚生省に予算の移しがえを行ったところでございます。この研究は、この両省において現在進められておりまして、その結果がおおよそ出ているころかと思いますが、その成果につきましては厚生省の方で現在取りまとめ中でございます。したがいまして、厚生省の方から成果をいただきましてから、なるべく早い時期に発表したい、このように考えております。
○坂井委員 厚生省の方で取りまとめられましてということでございますが、この委託研究につきましては労働省の方にも、ただいま御説明があったかと思いますが、労働衛生研究所でもって研究をされて、実験をされたはずでございます。労働省いかがでございますか、実験の結果について、ここで具体的に御説明いただけないでしょうか。
○中西政府委員 ただいまお話しのございましたような研究を労働衛生研究所で行いまして、その結果を厚生省の方に出しております。厚生省の方で全体をまとめて科学技術庁の方に御報告するということになっているようでございます。
 その労働衛生研究所の研究の結果でございますが、詳しいことは私まだ聞いておりませんけれども、一応の研究の結果についてはわかっております。一つは、塩化ビニール・モノマーガスを動物に吸入をさせまして、生化学的な検査値等の関連を調べたわけでございます。その結果は、幾つかの軽微な変化が見られるということを聞いております。それからもう一つは、塩化ビニール工場の労働者についての生化学的検査等を行いまして、暴露による影響を対照群と比較調査したのでございますが、その結果についても幾つかの軽微な変化が見られるという報告、内容のようでございます。問題は、塩ビによる障害と、これらの変化等の関連につきましては、まだ必ずしも明確にされていない、こういうことを伺っております。
○坂井委員 それで、厚生省の方では取りまとめられるということでございますけれども、厚生省独自で研究されて、独自と申しますか、科学技術庁の方からの委託で研究された結果については、いかがでございますか。
○上村政府委員 先ほど来お話しございましたように、四十九年度の科学技技術庁の特別研究促進調整費から三千二百万円、この研究費は毒性の問題と溶出の問題と、それから塩ビスプレーの処理の問題の三つのテーマであったわけでございます。それぞれのテーマごとの報告はすでにいただいておりますが、総合的な研究でございますので、その取りまとめをいまやっておる最中でございます。
 そこで、この三つのテーマの中の――私、薬務局長でございますが、私どもの方では塩ビスプレー剤の処理方法に関する研究ということで、先ほど申し上げました三千二百万円の中から一千四百万円を京都大学の工学部の鍵谷教授、この方は石油化学を専攻された先生でございますが、鍵谷教授を主任研究者にいたしまして研究班をつくりまして、研究を行いました内容というのは三つございます。
 一つは、スプレーかんの破壊方法、それから気液分離、気体と液体の分離でございます。それから分離液の処理の方法、こういうテーマが一つ、それから分離した噴射ガスの処理方法、それから三番目は、そういった基礎研究に基づきましてミゼット型の処理装置をつくりまして、それによる処理システムを研究する。この三つの分野について研究いたしました結果、この研究班では塩化ビニール・モノマーを塩素化してトリクロールエタンに変換する方法が、安全で最も効率的な方法であるという結論を得まして、その実用化のための検討も行いましたので、これを応用いたしまして昨年回収いたしました塩ビスプレーの処理に充てる計画でございます。
○坂井委員 厚生省が取りまとめられるということでございますけれども、これは本来的には科学技術庁の研究費であります。この試験研究の結果につきましては、私は前段申しましたが、公表されるでありましょうと思いますが、一体最終的にどこが発表されるのですか。科学技術庁ですか、厚生省ですか。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
 特別研究促進調整費によります研究の成果につきましては、ただいまおっしゃいましたように総合研究でございますので、総合的な観点から成果をどこかの担当の方にお願いしてまとめていただいております。それを科学技術庁の方へ提出していただきまして、一応科学技術庁から公表いたしますが、同時にその詳細についても、必要があれば各省から発表していただくということになると思います。
○坂井委員 労働省からの先ほどのあらましの説明の中で、少なくともこの塩ビモノマーによりますところの動物実験、これは関連、関係なしとしない、現在の試験研究結果では影響がある、そういう結果であろうと思うのですけれども、この労働省の研究結果につきましては科学技術庁は承知いたしておりますか。
○渡辺説明員 研究連絡会というものを持っておりまして、その席では、おおよそのことは伺っておりますが、労働省からの最終的な御報告というのは厚生省を通じていただくことになっておりまして、最終的な報告はまだいただいておりません。
○坂井委員 関連があるかと思いますのでお尋ねしますが、労働省の研究結果につきましては、厚生省は御存じでしょうか。
○上村政府委員 先ほど御答弁いたしました三つのテーマの研究報告というのは、私の局の方で取りまとめて科学技術庁の方に提出することになっておるわけでございますから、報告はいただいております。いまそういった全体をとりまとめての総合的な報告をつくるということについて打ち合わせ中でございます。
○坂井委員 では、もう少し私の方から申しますと、労働衛生研究所の研究結果は、大体次に申し上げるようなあらましの結果のようであります。つまり塩ビモノマーの中毒の研究結果について、一、塩ビモノマーガスを動物(マウス)に吸入させ、生化学的検査値との関連を調べた。その結果幾つかの軽微な変化が見られた。二、塩ビ工場労働者について生化学的検査等を行い、暴露による影響を対照群と比較調査した。その結果、幾つかの軽微な変化が認められたが、塩ビによる障害と、これらの変化との関連については明確でない。これが大体試験研究結果の総括的な評価として出ているようであります。
 この労働衛生研究所の研究結果につきまして、いまの時点でこれを厚生省はどう判断されておられますか。これは非常に微妙な問題です。
○上村政府委員 三つのテーマは、それぞれ各省庁の担当部局長とその研究者との間で契約を締結いたしまして、それで、それぞれ報告を受けて、それをそれぞれの行政分野に役立てるものでございます。私どもの方は科学技術庁との折衝の窓口という形で取りまとめておりますので、労働省が労働衛生研究所に委託されました研究の成果について、その内容についてまで私とやかく申し上げるような判断力と申しますか、そういうものは、目下持ち合わせはございません。
○坂井委員 実は私は、大それたことかもわからぬけれども、かなりの判断力をこれで持つわけであります。少なくとも人体に対する影響、しかも発がん性という非常に重要な問題の提起であります。少なくともそれに対する動物実験の結果によれば、これは軽微な変化が見られた。変化があったということです。そのことについて第二段目に、幾つかの軽微な変化が認められたが、塩ビによる障害と、これらの変化との関連については明確ではない。ここでは、この因果関係につきましては、イコールであるとは断定はいたしておりません。むしろこれは明確でないという表現をもって避けておるようであります。しかし、この一連の二つの項目から判断する限りにおきましては、少なくとも塩ビによる発がん性の疑いきわめて濃い。塩ビによる発がん性が人体に及ぼす影響、この因果関係は非常に深いのではないか、素直に読みますならば、こういうことになろうと思うのです。
 つまり、この前段といたしまして、この研究に踏み切ったその背景並びに経緯を追ってまいりますと、冒頭申し上げましたように、すでに犠牲者があらわれたということ、あるいは労災認定が行われておるということ、そういう事実関係を踏まえながら、その後この研究を労働省、厚生省において科学技術庁の三千二百万円の予算をもって行った。その結果、すでに労働省においては、いま申しましたような調査結果というものが出ているわけであります。特に人命、健康、これが一番厚生行政でゆるがせにできないことは言うまでもないことであります。
 少なくともこの結果を踏まえますならば、厚生省が窓口ということでございますので、あるいはまたこの試験項目も三項目にわたっておりますので、労働省との間でそれぞれの関係性等についても十分協議されまして、そしてなお分析され、総合的にこの試験結果をまとめられるということであろうと思いますけれども、いま私が申し上げましたように、非常に疑いが濃いというように私は私なりに判断をいたしますので、この試験結果につきましては、先ほども近い、早い機会にということでございますが、もう少し明確に――近いといったって早いといったって、来年のかかりが近いのか暮れが近いのか、従来何回もそういうようなことで結果につきましては、なかなか潔く公表されようとはしなかったような節もございますので、この際は時期的な点につきましても、かなり具体的にはっきりしておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。時期はいつになりますか。
○上村政府委員 三つのテーマについて提出されました報告者の打ち合わせ会というのを先月行っておりまして、先ほど申し上げましたように、現在、報告書の作成を急いでおるわけでございますが、報告書は年内にも取りまとめて、科学技術庁の方に提出できるのではないかというように考えております。年内でございます。
○坂井委員 わかりました。
 さて、現在実はモノマーの濃度規制値がないわけであります。容器材質中のモノマー濃度大体一ppm以下を規制値とする、大体そうなろう、こういう見方があるようであります。塩化ビニール業界では、すでにこのモノマー濃度につきましていろいろ議論がありまして、自主的な規制ということが議論されておる。そういう内容につきまして、業界自体がモノマー濃度につきまして、どういう具体的な考え方を持っておるのかというようなことにつきまして、厚生省は御存じだろうと思いますが、どういう業界の動きになっておるか、この際ひとつお答えいただきたいと思います。
○松浦(十)政府委員 お答えいたします。
 まず一番初めに、先ほど薬務局長の方から申し上げました特調費の関係の研究でございますが、その中の一つにこの塩ビの溶出の問題がございます。そこで、これは国立の衛生試験所でモデル実験というのをいたしております。これは塩ビの容器を、いろいろな段階のモノマーを含有している容器をつくりまして、その容器の中へ油とか、あるいはしょうゆとかを入れまして、現実にどのくらいその中へ溶出するかという実験をいたしております。これがモデル実験でございます。この実験の結果、現在までにわかっておりますことは、それぞれ食品の種類によりまして溶出する状況が違うわけでございますが、一ppm以下の容器であれば、現在のところ、食品の中には塩ビの溶出が認められないという実験結果が出ているわけでございます。
 一方でこういうような研究をやっておるわけでございますが、ただいま先生から御指摘いただきましたように、塩ビ食品衛生協議会という協議会がございまして、この協議会では、もうすでに昨年から一ppm以下の塩ビしか食品関係の業者にはつくって出さないということを自主的にいたしております。さらに、それでも古い物は残っているということがございますので、この十月十五日から、現在すでに持っておりますところの塩ビのびんを成形するメーカー等にあります塩ビの容器につきまして、協議会の方では、それを持っていけば、その中にどのくらいモノマーが含まれているかということの検査をいたしまして、そうしてそれに一ppmを超えるモノマーが含まれているということがその実験でわかりました場合には、それを回収いたすということをいたしております。
○坂井委員 わかりました。
 業界では、すでに今年の十月十五日から一ppm以下という自主規制に踏み切っているわけですね。そうしますと、厚生省なり関係の行政府は規制値をまだ決めない、この理由は何ですか。この研究結果が、まだ先ほどのまとめる段階に至っていないということなんでしょうか。それを待ってからということでしょうか。すでに業界では自主規制までやっているんだ、早く規制値を決めてくれ、こういう動きすらあるわけですね。なぜ腰を上げないのかということが言われるわけですけれども、理由は何ですか。
○松浦(十)政府委員 一つは、この規制をいたします場合には分析方法が確立しないといけないという問題がございます。こういうふうな方法で、こういう検査をして、こういう結果が出た場合、たとえば一ppm以下でなければならぬというだけでは規制にはなりませんで、、これはこういう検査のこういうやり方をやって、そうしてこういうふうな答えが出た場合はよろしい、こういう言い方で規制をいたすわけでございます。と申しますのは、いろいろな分析方法がありまして、そのいろいろな分析方法のどれでやったら数字が違うということでは困るわけでございまして、その分析方法を確立するというのが第一の問題でございます。現在この分析方法について最終的な詰めをいたしておるというのが実情でございます。
 第二の問題といたしましては、先ほど申し上げましたモデル実験を行っておるわけでございますが、これは科学技術庁の研究費によります実験以降、引き続いて実験を行って、これはその特調費とは別に引き続いて行っておるわけでございますが、その結果も見ながら、ただいまの分析方法が完全に練り上げられた段階において、これの基準をつくるという予定をいたしておるわけでございます。
○坂井委員 やってないと私は決して言いたくないわけですが、大臣、それは確かに分析方法のきちんとしものを確立しなければいかぬと思いますよ。それは大事でしょう。同時にまた、この試験結果を待って――分析方法とも大きな関係があるでしょうから、それもそうでしょう。しかし大変遅いのですね。事は発がん性という大変な問題なんですよ。ですから、それであるだけに、言い方ではなおさら慎重でなければならぬ、だから日にちを要するんだ、こういう言い方もあるかもしれませんが、むしろ、だからこそ早くしなさい。業界だって、もう残留濃度一ppm以下でなければいかぬのだということで、それぞれ自主規制ということでやっておるわけですね。それに対して即座に対応していくということでありませんと、なおこのモノマーによるところの毒性、発がんという大事な問題がまた将来に尾を引く、あるいはその間において、さらに不幸な被害者を出すということになりかねぬわけでありますので、これをひとつ強く要望しておきたいと実は思います。
 なお、この理由につきましては、別のところに実は私はあると思うわけでありまして、そのことにつきましては後に触れることといたしまして、その前に、この労災補償の状況について労働省にお伺いしておきたいと思いますが、塩化ビニール・モノマーに関する労災補償、この認定済み及び申請中の数、これを企業別に人数だけ発表していただきたいと思います。
○中西政府委員 塩化ビニールによる健康障害であるとして労災保険の給付請求が出されておりますものの数は、企業別に申し上げますと、これは三井東圧、現在三井東圧化学名古屋工業所七名でございます。内訳は、死亡六名、療養中一名でございます。
 それから、すでに業務上の疾病として認定しました数は、同じく三井東圧化学名古屋工業所の三名でございまして、この中の一名は門脈圧高進症、ことしの九月に認定をいたしております。それからあとの二名は指端骨溶解症で四十八年の十一月に認定している分でございます。
 また、このほかに過去において急性中毒で死亡した五例がございます。すなわち、日信化学工業武生工場で昭和四十年二月の災害で死亡しております一名でございます。それから日本ゼオン高岡工場で一名、これは四十二年の七月の事故でございます。それから東亜合成化学の徳島工場で三名、これは四十七年の六月の事故でございます。
 以上でございます。
○坂井委員 御説明によりますと、労災認定済みが三名、それから申請中が七名、死亡がこのうち六名ですな、療養中が、一名ですか、合わせて十名これはいずれも三井東圧化学ですね。それから、さらに御説明いただきました急性中毒による分、これが五名で、東亜合成徳島の三名、日本ゼオンが一、日信化学が一という御説明であったようでありますが、この労災認定あるいは申請の十名につきましては全部三井東圧化学ということになっておりますが、ほかの工場、企業、それには全然被害がなかったということなのでしょうか。
○中西政府委員 いまのところ申請は出ておりません。なお退職者等につきましては、現在追跡調査中でございますので、その中からは、あるいは塩ビによる死亡者として申請が今後あるかとも思われますが、これらの点につきましては、労働省としましては塩ビモノマーによる肝血管肉腫等の疾病につきましては確定診断が非常にむずかしいというような点もございますので、塩ビによると疑われるような疾病については積極的に申請するようにということを業界に対して強く要請いたしますとともに、新聞発表等によって塩ビによる障害等についてPRをいたしておりまして、被災者の保護に欠けることのないように努めているところでございます。
○坂井委員 塩ビの関係企業が二十七社、四十二工場、従業員約一万名かと思います。その中でいま三井東圧だけが申請が出された、あるいはしたがって認定しておるということで、ほかは出てきていない。これは潜在的にあるのではないかという疑いの節が私は多分にあろうと思うのです。調査が不十分なのかというような点についても、さらに御研究、御検討いただきたいと思います。
 同時に、この際労働省に伺いますが、いまの塩化ビニール・モノマーの現在の被害状況につきまして、ことしの十一月八日付で労働基準局長の通達でもって疫学調査、これを各企業に対しまして実施されたようでありまして、疫学調査の結果につきましては十一月二十五日までに労働省に報告を求められているようであります。この疫学調査の目的につきましては、これは当然塩ビの関係の有無というようなことを柱にしまして、それぞれの企業につきまして、それぞれの項目を置きまして調査をされたということであろうと私は理解しているわけでございますが、この調査結果が十一月の二十五日に労働省に報告をされた。当然全企業、つまり二十七社四十二工場から報告がされてきておると思いますが、出ておるでしょうか。どうなっておりますか。
○中西政府委員 御指摘の十一月の通達による調査でございますが、これは実は疫学調査の予備調査でございまして、関係事業場の在職者及び退職者約一万名についての現状の報告を求めたのでございます。
 御承知のように、塩化ビニールによる健康障害といたしましては、肝の血管肉腫とかあるいは門脈圧高進症、それから指端骨溶解症等が一応考えられているわけでございますけれども、これらの障害と塩ビとの関連につきましては、医学的にも必ずしもまだ明確にされていない点がございますし、また、これ以外の障害についてもあるいは何らか存在するかもしれないということも考えられます。そのため、労働省では現在専門家会議を設置いたしまして、これらの問題の検討を依頼いたしますとともに、この疫学調査を実施することによって解明したいと考えているわけでございます。
 御指摘の今回の調査、予備調査につきましては、現在まだ完全に提出はされておりません。未提出事業場に対して督促を実施しているところでございますが、この予備調査資料に基づきまして、さらに個人票を作成する、詳しい個人票を作成することにいたしておりまして、それによって在職者の疾病なり、あるいは退職者については本籍地、役場に生死の確認をいたしまして、そしてその後で死亡者全員について、さらにそれぞれの法務局に保存されております死亡診断書によって死因を確認する、また当時の療養担当をしましたお医者さんの意見を聞くとか同僚労働者に対する聞き取り等を行いまして、死亡原因等を調査して、その後で分析をし、いわゆる疫学調査が終わるわけでございまして、当面出ている資料としましては、在職者の氏名、生年月日、従事業務だけでございますし、それから退職者につきましては氏名、性、生年月日それから従事業務、それから追跡調査ができるかどうかということと、それから生死の別がわかっていたら、それを書いていただく。それからもう一つは、死因がわかっている場合には、それを書いていただくことにいたしております。
 ただ、この死因につきましても、必ずしもはっきりしない場合が多いわけでして、単に死亡しているという事実がわかっている程度がむしろ多く、交通事故等につきましては、はっきり交通事故と書いておりますけれども、死因についても、今後個人票を作成させまして、それから先ほど申し上げましたように、死亡診断書によって確認するということによって疫学調査を実施するわけでございまして、今回の資料からは先生がおっしゃるような具体的な資料は得られないわけでございます。
 以上でございます。
○坂井委員 企業数は全部で二十七社なんですよ。出ていないところは、どことどことどこですか。まずそれをお教えください。
 それから、今度の調査項目の中で、これは私はっきりすると思うのですけれども、この因果関係は別としましても、がんで死亡した人、その企業、数、これだけはお示しいただきたいと思いますが、発表いただけませんか。
○中西政府委員 現在八割方提出がされておりますが、未提出の事業場につきましては現在資料を持っておりません。
 それから、がんで死亡した者についてということでございますが、先ほど申し上げましたように、これから死因について調査をし、確認をするわけでございまして、なるほど中には胃がんによって死亡したというような記載もございますけれども、一般的には、そのような詳しい記載が死因についてはされていないのが実態でございまして、先生が求められるような資料は、これからは得られないわけでございます。
○坂井委員 じゃ、強いて申しません。申しませんが、せっかくの調査ですし、疫学調査、企業に協力させるもっと強い姿勢で臨まれたらいかがですか。八割方まで出ている。あと二割といったって、二十七社のうちの二割ですからね、三社か四社でしょう。そういうことが全体的な実態調査、疫学調査、しかもこのことが塩ビモノマーによるところの発がん性という非常に重要な問題を含んでおる。すでに従業員において死亡したというような事故も起こっておる。そういう大事な問題を調査するに当たって、十一月二十五日という期限を切りながら、その中の数社が協力しないということに対して、余りにも労働省として、まあ唯々諾々に過ぎるというか、あるいは企業側の圧力があるとでも、むしろ勘ぐりたくなるような実は私は気がしてならぬわけでありまして、この種の調査については、やはり一日も早く調査を完了して、そしてその結果につきましては慎重にこれは分析をし、検討し、そして次の対策ということを早急に打ち出していかなきゃならぬ、これはもう自明のことであります。そういう点について非常に手ぬるいということを、まずここで一点、これは指摘をしておきたいと思います。
 先ほど私触れましたが、実はこの輸出がかなり多いわけでありますが、いわゆる塩ビモノマーからつくられるところの塩ビ樹脂及び塩ビコンパウンド、これがかなりの量が輸出されておりますが、五十年七月以降、ことしの七月から十二月まで、月別の輸出量につきまして、通産省から報告をいただきたいと思います。
○太田説明員 輸出につきましては、これは通関統計に待たなければいけないわけでございますが、私どもこの通関統計を調べましたところによりますと、まだ九月まできり数字が出ておりません。先生のお話の七月から十二月ということでございますが、もちろん十二月はまだ月半ばでございますから、当然出てまいらないわけでございますが、九月まで一応申し上げますというと、七月が、樹脂とコンパウンドに分けまして、樹脂が八千九百八トン、コンパウンドが三千四百四十二トン、八月は樹脂が一万六百七十三トン、コンパウンドが千八百七十八トン、九月は樹脂が六千百七十六トン、コンパウンドが千四百三十六トン、かようになっておるわけでございます。
○坂井委員 在庫量はどれぐらいございますか、九月末の在庫。
○太田説明員 九月末の塩化ビニール樹脂の在庫は十万六千三百四十トンということになっております。
○坂井委員 十月以降も輸出は続いておりますか。
○太田説明員 統計としては出ておりませんが、続いております。
○坂井委員 大体輸出の量につきましては、九月、いま御説明いただきましたが、量的には横ばいのような程度でしょうか。
○太田説明員 現在の段階ではっきりは申し上げられませんけれども、大体そのような感じであるというふうに記憶しております。
○坂井委員 いま輸出されております分につきましては、これは塩化ビニール・モノマー、かなりな量がある。一ppm以下というようなことはあり得ない。相当な量のモノマーを含有するものが輸出されている、こう理解してよろしゅうございますか。
○太田説明員 輸出される樹脂につきましてのモノマーの吸着量は、まだはかったことはございませんが、これは経年、時間がたちますと脱着いたしまして、含有量がだんだん減ってまいります。それがどれくらいなのか、ちょっと、しかとはいまのところ申し上げられません。しかし、若干量吸着しているということは事実だと思います。
○坂井委員 言い方によりますから、あえて難癖をつけようと思いませんよ。思いませんが、業界が十月の十五日から一ppm以下ということで自主規制ということに踏み切っておりますが、少なくとも現在輸出されている分につきましては、この在庫量等の推移から見ましても、一ppm以上のもの、これが輸出されていることは、ほぼ明らかである、まず間違いない、こう申し上げて差し支えなかろう、こう思うわけであります。通産省の方では輸出の方についても一ppm以下というような規制をされるお考えはございますか。もしそういう考えがあれば、それはいつからされますか。
○太田説明員 ちょっとお答えする前に、樹脂の方に一ppm云々というふうな先生のお話がございました。先ほど来、この樹脂に付着します塩ビモノマーの含有量の規制の問題につきましては、これは実は食品に使われる加工品のことを言っておるわけでございます。したがいまして、樹脂の段階とは、このステージが違うというふうにひとつ御認識いただきたいと思います。
 こういった食品衛生のいわゆる規制、塩ビモノマー含有量の規制につきましては、これにつきましては先ほど来、厚生省の方からいろいろ説明がございました。私どもの方では、その結果を待って業界を指導するという形になるわけでございます。
 もう一つの方の、しからばこの樹脂の方、これはいわゆる塩ビの樹脂と申しますのは、白い粉でございますが、白い粉につきまして、どういうふうなレギュレーションなりコントロールを考えておられるかというふうに質問を了解させていただきますと、これにつきましては業界に対しまして自主的に一Oppm以下にするように可及的速やかな工事をするように現在指導してございます。
 なぜ一Oppmというふうな数字が出たかと申し上げますと、これを加工いたしますと、大体二十分の一以下になってまいります。したがって、先ほど来加工品に対しますその残留モノマーの濃度が一ppmという一つの目安の説明がございました。私ども、粉に残留いたしますモノマーが一〇ppmということになりますと、二十分の一で〇・五ppmということになりますから、これであれば、まあまず安全であろう、したがって業界に対しましては、可及的速やかにそういった措置をとるようにと、こういうふうな指導をしておる段階でございます。
○坂井委員 わかりましたが、速やかにというのは、いつごろからを指すのでしょうかね。それは単なる指導で、それを拘束するものは何もないのですか。
○太田説明員 お答えいたします。
 私の方といたしましては、実はそれに関連するような法律を持っておりません。したがいまして現実の問題といたしまして、これは行政指導ベースということになってくるわけでございます。
 しからば、可及的速やかにというのは、いつからかというお話でございますが、これにつきましては私どもといたしましては、来年度じゅうぐらいにそういった基準が達せられるような公示を実は促進、指導しておるわけでございます。ただいま現在におきましては、まあ大体において到達しておると思いますけれども、やはり一つの基準、またそれを現実に厳重な基準として守ろうといたしますと、実際は平均値といたしましては、いわゆる工程管理上はもっと低いところに置かなければならないわけでございます。したがって、そういった品質管理上の問題点があるものでございますから、その辺を十分踏まえて来年度じゅうぐらいに、ひとつそういった関連の公示をするように、それにつきましては、私ども、いわゆる金融措置を講ずるべく最終的な詰めを大蔵省とやっておる、こういうことでございます。
○坂井委員 来年度じゅう――ちょっとのんびりし過ぎてやしませんかと言いたくなるわけですよね。つまり、いま残っております分ですよ、在庫、これをまず一掃してからというようなことになりますよ。十万六千三百四十トン、これだけ消化すれば、あとはいまの残留濃度、これが〇・五ppm以下になるようにということですね、一ppmということで押さえますと。ですから先ほど申しましたことも、いまの科学技術庁の委託研究によります厚生省、労働省の研究結果も、これが早いまとまりを見せないという裏には何となく、業界の輸出等にも絡んだことがかなり左右しているのではないか、こういう勘ぐりも出てくるということでありまして、いずれにせよ、塩化ビニール・モノマーによるところの発がん性が人体に対する影響ということでもって非常に重要な問題でありますだけに、この種のことについては、むしろ思い切った行政的な措置なり指導の域を越える、もっともっと裏づけのある、根拠のあるものを置いて、これを規制していくという姿勢でありませんと、いままでのような何回となく後手後手に回りまして被害者を出していくという結果になりかねないという点を、私は実は非常に憂慮したわけであります。
 そういう点で、いままで聞いてきたわけでございますが、最後に厚生大臣から、いまのような質疑の経緯をひとつ踏まえられまして、この塩化ビニール問題に対する、さらに積極的な行政の取り組み姿勢ということにつきまして、具体的に厚生大臣としてお考えがあれば、ひとつこの際お聞かせをしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 塩ビの問題につきましては、国民の健康と生命を守るという立場から、厳正、速やかにこれに対して対処いたすようにいたさなければならないと考えて、諸般の施策について、そのような基本方針で進みたいというふうに考えております。
○坂井委員 時間が参っておりますので、最後に一点だけ、別の問題でございますが、お尋ねをして終わりたいと思います。
 実は「急性薬物中毒と思われる事故発生報告について」、こういう表題でもって、四十四年八月二十七日、富山県の厚生部長から厚生省の薬務局にあてた、こういう報告書を受け取られたはずであります。実はこの背景につきましては、すでに新聞報道等においてもなされておりますとおり、つまりスモンの原因の疑いがあるとして、四十五年にキノホルム剤の販売中止がなされました。ところがその前年に、いま申しましたような報告書が厚生省に提出をされておった。この扱いにつきまして、どうも厚生省はすぐに対応しなかったようであります。
 つまり当然この種の報告につきましては、中央薬事審議会副作用調査会あるいはまたスモン病調査研究協議会等には資料として提出されてしかるべきものであるはずでありますが、こういう公式な文書が葬り去られてしまったようなことだそうでありまして、これまたきわめて遺憾なことだと私は言わざるを得ないわけでございますが、その後これに対してどういう措置をとられましたか。当然厚生省として怠慢の責めは免れがたい、実はこう私は思うわけでありますが、その辺の責任問題等も含めまして、現在のこの問題に対する措置の状況等について報告をちょうだいしたいと思います。
○上村政府委員 いまお話しになりましたのは、富山県の入善町で水害の発生の後、キノホルム剤を飲ませたところ、急性中毒症と思われる患者が発生したという事例についてのお話であると承知いたしております。それにつきましては、当時県の厚生部長から私どもの方に報告があったわけでございます。その当時は、スモンについてキノホルムが原因であるということについては、ほとんど問題にならなかった時点でございます。スモンが発生いたしましてから、その原因について厚生省の研究班でもいろいろ検討されておりましたけれども、キノホルムとの因果関係については、その当時は全然想定されておらなかった。私どもも、水害発生当時、住民の方々が健康を損ねておった、疲れておったということによる医薬品の急性中毒ではないかというふうに考えまして、県の報告がありました後、その医薬品が果たして品質として妥当なものであるかどうかということにつきまして衛生試験所で試験をいたしましたところ、その医薬品につきましては異常がないということが判明したのでございます。
 その後、この入善町の問題とは別に、厚生省のスモン病調査研究協議会の方で、スモンについてキノホルムを服用した者から多数発生しておるという報告がとられましたので、スモンとキノホルムとの間には因果関係が疑われたわけでございますから、私どもキノホルムについて製造の中止、回収措置をとったものでございます。
○坂井委員 意見だけ申し上げておきたいと思います。
 もう厚生大臣、こんなこと釈迦に説法だと思いますが、最近の薬品とか食品の公害、毒性という問題、これをずっと見てみますと、当時は問題にならなかった、ところがいまになって問題になった、これなんですよね、発がん性を初めといたしまして。
 したがって、こういうことについては薬務局長さん御専門だから、またあなたにこんなことを申し上げると、おまえ素人で何を言うかということで、おしかりを受けるかもしれない。しれないが、しかし少なくともこれだけ薬品、食品さまざまなものが洪水のごとくどんどん出てくる、そういう中でこれが相乗的にどういう作用をもたらすか。言われるところの複合汚染等々、そういうことで、少なくとも人間の口の中に入るというような薬品、食品ということになりますと、より神経を使わなければいけないということでありますので、これは結果論的に、いまになってこういうものが出てきた、そう言えばそのときに、ということであって、当時は問題にならなかったとしても、いま問題になること自体が、すでにそのときにそういう危険性、今日のこのようなことをもう含んでおったということでありますので、少なくとも行政がこれに対応する姿勢としては、いささかでも疑わしいと思われるものにつきましては、すべからく、しかるべき審議会なり協議会なりにかけて、慎重に、かつ真剣に試験し、研究をし、その結論を早急に得てこれに対応していく、こういう行政姿勢というものが、まさにこれからの厚生行政のあるべき姿ではないか、私は実はそのように思えてならぬわけであります。
 小言を繰り返すようでありますが、従来、あなた方の答弁を聞いてまいりますと、すべて後でそういうようなことでもって言いわけをなさる。そのことがまた次への大きな問題として発展をしていく、取り返しがつかない、裁判だ、負けた、補償しなければならぬ。実はそれだけで済むかと言えば済まない。すでに被害者は大変な苦しい状態に追い込まれておる。こういう繰り返しであっては断じてならぬと思います。少なくとも、その時点で研究し、試験をしてみた結果、白であったとしても私はよろしい、大いに積極的に厚生行政あるいは労働行政というものが前を向いて取り組んでいただきたいということを最後に強く要請を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○井原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時一分散会