第077回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和五十一年五月六日(木曜日)
    午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 中村 重光君
  理事 小宮山重四郎君 理事 田川 誠一君
   理事 中村 弘海君 理事 前田 正男君
   理事 宮崎 茂一君 理事 石野 久男君
   理事 八木  昇君 理事 瀬崎 博義君
      森山 欽司君    近江巳記夫君
      北側 義一君    小宮 武喜君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       小沢 一郎君
        科学審議官   半澤 治雄君
        科学技術庁長官
        官房長     小山  実君
        科学技術庁計画
        局長      安尾  俊君
        科学技術庁研究
        調整局長    大澤 弘之君
        科学技術庁振興
        局長      福永  博君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   伊原 義徳君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  佐藤 兼二君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の
 基本施策)
     ――――◇―――――
○中村委員長 これより会議を開きます。
 この際、小沢科学技術政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。小沢政務次官。
○小沢(一)政府委員 大変ごあいさつがおくれておりましたけれども、片山先生の後、政務次官に任命されておりました小沢でございます。
 弱輩でございますので、委員長初め先生方の御指導をよろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○中村委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 科学技術振興の基本施策について質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。
○石野委員 長官に質問します。
 長官の所信表明によりますと、科学技術の振興はきわめて重要である、振興の基本は効率的、効果的な研究開発の推進だという方針でこの所信表明は貫かれておりますが、分析研問題とか「むつ」問題で科学技術開発優先の反省がありました。しかし、この所信表明から見ますと、この開発優先のやり方に問題がある。特に原子力の行政でございますが、そういう安全性を原子力行政では第一に考えるべきだという行政指導の考え方がほとんどこの所信表明の中で消えている、このように見られるのです。そのことは、この五十一年度予算における安全性研究が、民間への委託などを含めても一〇%に満たないということからもわかるのですが、何か安全性の問題を長官が話すときには、一般の住民闘争とか、あるいは世間の目をかすめるために使われているポーズじゃないかというふうに思われるのです。
 そういうことが政府の考え方の基本にあるということを証明するように思われるのは、最近資源エネルギー庁で、二十年間に原発二十倍の開発を想定するということがうわさされております。長官はこの問題についてどういうふうにお考えになっておりますか。
○佐々木国務大臣 一番最後の御質問の原発の長期計画を通産省とつくっておられるようなお話でございますが、私、まだ全然承知しておりませんし、また、それを通産省だけで決められる問題でもなし、そういう問題になりますと当然原子力委員会の方へ回ってまいりますので、そのときにじっくり検討してみたいと思います。
 それから、基礎研究と開発研究との関係いかんという問題でございますが、これは石野さんも御承知のように、原子力問題がわが国に導入されて以来、大変基礎的な重要な問題として議論された問題で、特に、当時の原子力委員の皆さんと原子力委員長の正力さんとの間には、大変こういう問題に対して活発な議論がございました。もちろんわが国としましては初めての科学でもございますしということで、基礎研究に重点をしぼっていくのはもちろんでございまして、そのつもりで十分長い間原子力研究所の充実等を基礎にして考えてきたわけでございますが、軽水炉の問題が実用化したというので――ドイツのように安全性を深く研究せずにそのまま導入したというところに、今日の問題が出てきておるのではないかと私思います。したがいまして、遅まきではございますが、基礎研究は基礎研究で進め、新型の動力炉等に関しましては特に初歩から、こちらは自分でやるわけでございますから、安全の問題をあわせて自分の技術として身につけつつ進めておるのでございますけれども、軽水炉に関しましては、ドイツのようにそういう体験を踏まずして今日に来たわけで、言うなれば、基礎技術と開発技術の密着というものが、従来の、明治以来の日本の技術の発達のパターンと同じようなパターンで一部進んだ傾向はいなめないのじゃないかと思われます。
 したがいまして、遅まきでございますけれども、安全研究に関しまして、私ども原子力研究所あるいは通産側で今後それぞれ機関をつくりまして、ただいま一生懸命検討中でございまして、その研究費は少ないのじゃないかという仰せでございますけれども、私ども決してそういうふうには考えてございません。最近は特にこの方面に非常な重点を指向いたしまして、ドイツ等に比較いたしましても、決してわが方の原子力の安全研究は劣ってないわけでございまして、たとえてみますと、五十年度は私どもの方は九十二億、それから西ドイツでは六十億というふうな状況でございまして、必ずしもわずかの金額であるというふうには私ども見ておりません。逐次またその成果は急速に上げつつございまして、そう長い間この問題に手間取らぬでも解決していくんじゃないかというふうに実は考えております。
○石野委員 安全性の問題についての政府の考え方は、なるべく事故を起こさないように、あるいは故障を生じさせないようにという指導ということよりも、長官の所信表明を見るというと、「原子力の安全性に対する国民の不安を払拭するとともに、国民の理解と協力を得て、今後の原子力行政を強力に推進してまいる決意」、こういうように言っているんですね。長官の考え方は、国民が理解さえすれば、あるいは不安を払拭すれば、原子力の安全性は確保されるんだと言わんかのような表明の仕方になっております。私の感じでは、そうじゃなくて、むしろ炉自体にある問題を解決することが、国民が不安を除き、あるいは理解を進めることになるんだと思う。その基本になるべき原子力の不安を内包しているいろいろな問題について余り着目していない、こういう感じがするんですね。
 大臣は、原子力の問題について、特に効率的、効果的な研究開発ということをよく言うんですが、この効率的、効果的な研究開発ということと安全性の問題との関係をどういうふうに大臣は考えていますか。
○佐々木国務大臣 大分前の所信表明でございますので、あの文自体があれですけれども、効率とか云々というのは、むしろわが国の科学技術全般の進め方に関する考え方を述べたんじゃないかと思います。
 原子力の安全性の問題に関しては、私は石野さんと同じでございまして、安全そのものの研究が一番根本で、そのこと自体が安全であれば問題ないはずでありますから、安全の研究をしっかりやる。それは、安全かどうかということをオーソライズする意味で、検査、監査体制あるいは充実等の問題は、その次の問題だと思っております。そうして、そのもの自体が安全であり、またオーソライズした機関がこれが安全だということで実際安全であれば、国民はおのずから理解するはずでございますから、そうなるのは当然でございまして、したがって私は、機構改革とかいいまして、単に検査、審査を充実すればそれでよろしいというのは、決して安全の問題を回避するんじゃなくて、むしろその前に、安全問題に対する研究をどうするかという点が根本だと思っております。
○石野委員 大臣は口の先ではいろいろなことを言いますけれども、所信表明を見ますると、たとえば、科学技術庁が総合調整の任に当たるというたてまえからして、「各方面の研究能力の結集による効率的、効果的な研究開発の推進に特に配慮」する、また国際交流についても、「研究開発を効率的、効果的に推進するため不可欠の要因」だ、このように、ずっとすべて効率的あるいは効果的に推進し、そしてその上に立って強力に開発を進める、これで貫かれているんですよ。「むつ」問題あるいは分析研問題で、開発優先の誤り、安全性を重視しなければならぬという考え方が、この所信表明の中にはほとんど感じとることができないと見受けられる。そのことが、通産省、資源庁の今度は二十年二十倍の原発開発ということになってきて、安全性というものは全く度外視されているというふうに見ざるを得ない。
 これは、大臣と私どもの間に論の分かれるところかもしれませんけれども、政府の考え方というのは、いまでも完全に開発優先の方針を全然捨ててない。それで、この安全性を確保するためにどういうふうにすべきかということについては、単に安全局をつくった、もうそれですべてだ、こういう考え方に見受けられる。この通産省資源庁の二十年後に二十倍の開発という問題はおれは知らないのだ、こういう大臣の言い方でございますが、すでにもう相当細かい計画は部会で決められてきているようですし、これに対してはやはり当然意見がなければならぬと思いますが、今日の原子炉の安全の問題から見て、大臣の考え方はどうでございますか、ひとつもう一度聞かせてください。
○佐々木国務大臣 いまおっしゃる安全というのは、軽水炉の安全という意味に解釈してよろしゅうございますか。
○石野委員 そうです。
○佐々木国務大臣 ですから、軽水炉の安全の問題に関しては、先ほど申しましたように、ここ数年非常なスピーディーな、しかも質的にも向上した面でいま各方面で研究しておりますので、私はそう長くこの問題の解決には日時を要さないだろうというふうに考えております。
 ただ、そういう大幅に原子力発電をするというのであれば、問題の所在は、その問題と同じくらいの大きさで、再処理の問題とか、あるいは高レベルの廃棄物をどうするといったような問題の方が大変大きい問題になってきますので、その方の安全サイドをどうするのだという点が、もう一つ、むしろ大きい問題として出てきているのじゃないか。そういう面を並行して片づけていきませんと、おっしゃるように、ただ発電発電と言うだけでは事は進みませんぞという点は、私も同感でございます。
○石野委員 二十年後に二十倍の原発開発というエネルギー庁の考え方によると、一九九五年に一億二千九百万キロワットの開発だ、そのための再処理工場は、八七年に第二工場、九三年に第三工場が設立されるという構想になっているのです。それでないと、これだけのものに対するリサイクルが確立しないということになろうと思うのです。これらのことを考えますと、現在の原子力について、これは軽水炉だけでなく、いわゆるその再処理工場の問題、あるいは廃棄物の貯蔵の問題、処理の問題、すべてを含めて非常に安易なものの考え方だと思う。通産省はそういう考え方であっても、科学技術庁が現実を見て、これでいいのかどうかという判断がありそうなものだと私は思うのですが、長官の考え方もう一度聞かしてください。
○佐々木国務大臣 何か土曜日でございましたか、私も国に帰る飛行機で新聞を見ましたが、各新聞に全部一斉に出ているわけでもなし、たしか日経だけかとも存じましたが、そうだといたしますと、新聞に伝えるように、通産省として大臣まで上げて、省議をとってという、そういうコンクリートな問題ではもちろんなかろうというふうに考えますので、そのまま新聞に出たものを私がここで通産案として論評するということは少し軽率かと存じますので、もう少し真相を確かめた上でないと何とも答弁ができかねますけれども、しかし、一般的に申し上げますと、さっき申し上げたと同じことでございまして、炉自体の安全性もさることながら、それに付帯して燃料サイクルとしての処理をどうするか、そのまた安全性をどうするか、こういうより大きいと申しますか、重要な問題が残されておりますので、そういう問題をじっくり検討した上でないと判断がつきかねるのではないか、こう思っています。
○石野委員 通産省の案に対してまだ的確に所見を述べることはできないという大臣の御答弁でございますが、それはまあそういう面もあるだろうと思うのです。通産省が非常にせっかちな開発の計画を立てておりますが、事実問題として炉にはいろいろな事故が出てきているし、それから廃棄物の再処理の問題にしてもいろいろな事故がある。特に最近は至るところで事故続きですね。
 その一、二の問題をここで聞いておきたいと思うのですが、JPDRのクリーン・ドレン・サンプ系から出ておる漏水の問題です。これは九百六十トンという非常に膨大な量が出ておるのですね。中には、放射能のなかには非常に希薄であるから周辺地に対しては問題はないんだというような説明の仕方をしておりますけれども、この九百六十トンの漏水の問題についての事情を、粗筋だけでいいから簡単にひとつ説明してもらいたい。
○佐々木国務大臣 原子力安全局長からお答え申し上げます。
○伊原政府委員 ただいま先生御指摘の、日本原子力研究所のJPDRのクリーン・ドレン・サンプと称しておりますその系統からの漏水でございますが、これにつきましては、現在JPDRが定期検査中でございますが、その間に、クリーン・ドレン・サンプと称しまする系統の水の収支バランスがやや正常値と異なっておるということが最近になりまして発見されまして、そこでいろいろ原因を究明しておったわけでございますが、三月の中ごろになりまして、この全体の系統の中で、クリーン・ドレン・サンプ、水ためと申しますか、その内張りの鋼板が溶接部に破損があるということが発見された、こういうことでございます。
 それで、この漏出の数字でございますが、これは安全側にいろいろ推定をいたしまして、数カ月間で、先生御指摘のように、約九百六十トンという程度のものが出たであろうということが推定されるわけであります。
 私どもといたしましては、環境中への放出、特に放射性物質が漏れて出るということは好ましいことではございませんので、施設面及び管理面で十分注意を払う必要があるということで、いままで指導を厳にしてきておったわけでございますが、こういう事態が起こりましたことについては、私どもは、何とか今後こういうことが再び起こらないように、ぜひ十分の指導をしていかなければならぬと思っております。ただ、先生も御指摘のように、非常に放射性物質の濃度は低いわけでございまして、そういう意味では、環境への影響はいままでのところないということは確認されております。
 この件につきましては、報告を受けました後すぐに、科学技術庁といたしましては、現地の立ち入りを通産省と共同して行いまして、事実関係の確認、原因究明の調査を命じておるわけでございます。それとともに、ほかの原子力発電施設についても同様のことがあってはいかぬということでございますので、ほかの施設についても、同種の廃水系統の安全性につきまして調査、点検を指示いたしまして、その結果、異常がないということも確認をいたしております。
 以上でございます。
○石野委員 異常がないと言うのですが、長さ三十センチに及ぶところの破損がサンプ内張りの鋼板テーブルに出ておるのですが、そういう破損というのは何が原因ですか。原因はわかったのですか。
○伊原政府委員 ただいま最終的なその原因究明の報告書はまだ参っておりません。原子力研究所におきまして、専門的見地からその原因の究明を実施中でございます。
 なお、故障部分の鋼板をはがしまして中を実際に見るということは、五月の一日から始めたばかりでございます。そういうふうなこともございまして、可及的速やかに原因究明なり今後の具体的処理についての報告を得ることを期待しておりますが、まだこういう原因であったということが明確に報告はされておりません。
○石野委員 原因が不明であるということは調査しなければわからないと言うのですが、もうすでに水は抜いてあるし、タンクははっきりわかっているのですが、予想される原因というのはどういうことがございますか。
○伊原政府委員 私どもの立ち入りの調査、さらに原研からの事情聴取の段階で判明いたしましたことといたしまして、いろいろ問題はあるかと思いますが、一つには、作業条件が非常に狭いところで溶接作業をするというふうなこともあって、なかなか作業がむずかしいというふうなこともあったように聞いております。
 なお、このドレン・サンプは途中で改造いたしたものでございます。その改造のときの作業がどうも十分でなく、さらに、その工程管理なり検査、それが十分ではなかったのではなかろうかと、いまのところ推察いたしております。
○石野委員 このサンプの改造というのは、最初はコンクリートのタンクでしたね。それを今度は内張りをしたわけですが、当然考えられることは、腐食であるか、あるいは溶接不良であるか、どちらかであろうと思うのですよ。そういうようなことからしますと、関係している各施設、他の廃水関係の施設に対する点検というものも、そう簡単に大丈夫でございますということは、言い切れないのではないのですか。
○伊原政府委員 これは、最終的な報告を待ってからでございませんと、正確なお答えはあるいはできないかとも思いますが、現在私どもの見解といたしましては、JPDRというのは、やや古い設計概念でもってつくられた原子炉でございまして、しかも、ただいま問題になっておりますドレン・サンプにつきましては、途中で手直しをした、その手直しが十分でなかったというふうなことが判明をいたしておるわけでございますが、それに比べまして、たとえばほかの軽水型の発電炉、発電所につきましては、当初からその辺の設計の考え方なり工事の施工が十分確実に行われておると考えられるわけでございます。そういう事情でございますので、私どもといたしましては、このドレン・サンプの漏水、これは非常に好ましくない事例でございまして、そういうことがほかの施設でもあることは非常に好ましくないわけでございますが、いまのところ、このJPDRのみJPDRのそういう特殊な事情で起こったものであって、一般的にほかにまで波及するというふうな性格のものではない、こう考えております。
○石野委員 原子力の施設について、JPDRはもう古い設計概念であって、手直しが途中で行われたからこれを一般的に考える必要はないものだというような、そういう考え方は非常に危険だと私は思うのです。JPDRは、少なくともあれができた当初では、非常に完璧のものだということをしばしば言われていたわけです。事故が出てくると、あれは特殊なものだと言う。こういう逃げ方は、原子力行政上非常にずるい物の考え方であり、国民をだますものだ。そういう考え方はやめなければいかぬです。少なくともこの問題は、腐食が起きているか、あるいは溶接の不良であるかという、そういう問題から来ているものだ。それだけではなくて、容器は二十年もたつとこういう状態になるということの証明だと思うのです。ですから、廃棄物のすべての貯蔵庫が二十年を過ぎてくれば、大体こういう事故があちこち起きてくるのだということを、一般的に特にこれは端的に示しているものだ、こういうふうに私は思いますけれども、その点はどうですか。
○伊原政府委員 一般論といたしまして、先生御指摘のように、施設が古くなりますといろいろふぐあいが生じてくることはあり得ると思うわけでございますが、原子力施設におきましては、そのようないろいろのふぐあいが出てまいりますときには、十分その余裕をもってそれを検出するということが可能でございます。一般的に周辺公衆に影響を与える、環境を汚染する、あるいは従業員に被曝を与えるということの起こります前に、十分な検出が行われ得るようにできておるわけでございます。そういうことでございますので、従来ともいろいろ、そういうふぐあいにつきましては事前にその検出をいたしまして、一般に影響がないようにという手だてをとっておるわけでございます。ただ、先生御指摘のように、これは非常に重要な問題でございますので、いささかも、そういうところで手を抜くとか、そういうことがないように今後とも十分対処してまいりたいと考えるわけであります。
○石野委員 九百六十トンというのは、あのタンクにすれば大変なものですよ。しかも一月から三月の末までの間非常に長期にわたってわからなかった。だから、原子力施設は検出することができる可能性を持っておるものだ、そういうような言い方はまずいのじゃないですか。検出することが可能だと言うなら、なぜこんなに九百六十トンもの水が漏出するまでわからなかったか。そんな見え透いたことをごまかして言っちゃいけません。これはもうこういう施設の欠陥があるということなんです。だからこの点は、私は貯蔵容器の全面的な調査ということが各施設とも必要だと思うのです。その必要性を具体的にわれわれに教えてくれているのがこのサンプの漏水の問題だ、私はこういうように思うので、これは早急にこの事態自体についても原因究明をしなくちゃいけませんが、各原子力施設における廃棄物貯蔵だとかあるいは廃水貯蔵のタンクなどの調査を早急にすべきだ、それを具体的に指令すべきだと思いますから、この点についてはその処置を至急やってもらいたい、その結果をひとつ知らしてもらいたい、これは大臣、ひとつその点要請しておきたい。
○伊原政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、他の原子力発電所において同様のことがあることは非常に好ましくございませんので、私どもといたしましても、JPDRの今回の水漏れ、これの報告を受けまして、直ちにほかの原子力発電所その他原子力施設について、廃水系のタンクなどの健全性の調査、点検を指示をいたしました。その結果、異常がないということを確認をいたしておるわけでございます。
 先生御指摘のように、いろいろな系統がございますし、特にたとえば使用済み燃料を蓄えておきますプールなどは、これは漏洩すると、非常に汚染の問題がむずかしい問題になるというふうなこともございます。そこで、たとえばこの使用済み燃料のプールは構造を二重構造としておって、漏洩検出が必ずできるようになっているとか、そういう放射性レベルの高いところは、それなりに非常に早く検出ができるような措置もいろいろとらしておるわけでございます。ただ、先生御指摘のように、この問題は非常に重要問題であるという意識を私ども持っておりますので、今後このようなことがないということを、ほかの施設においても十分確認をしてまいりたいと、こう考えております。
○石野委員 私も現場の中に入りまして見てきております。内張りをしているところから漏水した。外側はやはりもとのタンクがあるわけですね。そのもとのタンクに当然たまらなくちゃならないのが、たまらなかったわけですね。それというのは、結局、前のコンクリートのタンクの入口のパイプを切り取っております。切り取ったところ、そこの目張りをぴしっとしていないから、その間から砂の中へ漏れて出ておるわけですね。こういう安易なものの考え方。内張りに一〇〇%信頼をしたことから来ているのだと思いますが、もしあのときに、前のタンクの穴を完全にとめておけば、タンクへたまっているわけです、外へ漏れないで内の中へこれは出てきたことになると思うのですよ。だから、工作上指導が非常にルーズだったということになるのか、あるいは安全性に対する過度の信頼があってのことなのか、どちらにしろこういう事故が出ている。しかも九百六十トンというのは膨大なもので、当局側の、この水は非常にクリーンだからとか、あるいは汚染度が非常に薄いからいいのだ、周辺には迷惑はかけないのだと、こういうような言い方は非常にまずいと私は思うのですよ。たまたま薄いものでこういうふうになったからいいのだけれども、濃いもので高度のものになったらどうなるのだ。これは管理、監督を厳重にしてもらわないと困る。
 私は、こういう点で大臣にひとつ注意を喚起しておかなくちゃいけないと思うのは、やはり安全性に対する安易な信頼感が、まだ依然として、当局にも、あるいは現場においてもあるのだと思うのです。これは原子力行政上厳しく指導しなければならぬ問題だと思いますが、大臣はそういう点についてどういうように考えておりますか。
○佐々木国務大臣 安全に対する規制その他厳重にすべきだという点は同感でございます。
○石野委員 福島で周辺地の松の葉からコバルト60が検出されているという事態があるということを、四月二日の学会で名大の古川助教授が発表されておりますが、この問題に対してどういうふうに考えておられますか。
○伊原政府委員 この問題につきましては、一般的に松の葉が、大気中の原水爆実験の結果落ちてまいりますいわゆるフォールアウト、その関係からのいろいろな核種を取りまして、だんだん濃縮されるということがあるのは事実のようでございます。まあ、かつてと申しますか、その前の例といたしまして、敦賀発電所の周辺でも同様のことがあったというふうに聞いております。ただ、このマンガンなりコバルトの蓄積の原因がその発電所からのものであるかどうかということについては、必ずしもまだ明確でございませんので、ほかの場所における測定値との比較というものをこれからやる必要があるかと思っております。なお、この蓄積された量そのものにつきましては、これが非常に一般の方々の健康安全に影響を与えるというふうなものではないということは言えるかと思います。
○石野委員 この検出されたものが発電所からのフォールアウトされたものであるかどうかは、まだ定かでないということを局長が言われるに当たっては、何か別な、そういうふうな事態を引き起こすような環境上の条件が予想されておるのですか。
○伊原政府委員 この発電所周辺とそれ以外と、両方のデータを採取いたしまして、それを十分比較秤量するということが今後必要かと考えておる次第でございます。
○石野委員 いや、それは必要かと思いますというよりも、先ほど、その発電所のものであるかどうかは疑わしいという御発言があったんですから、発電所以外の付近地にそういう事態を引き起こすような条件がある、環境条件があると考えられて発言されたかどうかということを聞いておるのです。
○伊原政府委員 最初に申し上げましたように、核爆発実験のフォールアウトの影響というものが、これは全地球的に存在するわけでございますから、それとの関連を考えるということであると考えております。
○石野委員 私は細かいことは余りわかりませんけれども、古川助教授のなにでは、原爆なり水爆なりの爆発のフォールアウトとは性格は違うということが、大体論証されているように聞いておるんですね。ですから、むしろ何よりもまず、これは敦賀でもそういう事情があるんですから、福島原発の煙突から出ておるものだというような前提に立って対処する、それがやはり行政指導の立場に立ってあなた方がやらなければならぬことじゃないんですか。そういうように、どちらかはわからないからと言って逃げるようなやり方じゃ、これに対処する考え方としては間違っているんじゃないですか。どうなんですか。
○伊原政府委員 これの蓄積の原因がすべてフォールアウトであるということではないと思います。そういう意味では、先生御指摘のように、いろいろな原因が考えられると思うわけでございますが、いずれにいたしましても、その結果の環境への影響というものは、幸いにして大きな影響を与えるものではない、その程度の量のものであるということは確認されておるということを申し上げられるかと思います。
○石野委員 環境に大して影響を与えるようなものでないから、それでいいというわけじゃないんですよね。これが微量なものでもだんだん長年にわたって重なっていけば、やはり量が多くなるのですよ。だから、その微量なものをとめるということを考えなければならない。
 これはお聞きしますが、いま原発の煙突からのフォールアウトというようなことではないという断定ができますか。どうなんですか。
○伊原政府委員 原子力発電所からの放射性物質の放出につきましては、国際的に確立いたしました考え方といたしまして、実行可能な限りこれを低くするという考え方があるわけでございまして、わが国の規制の基本的考え方もまた、その点を基本といたしまして厳しい管理をいたしておるわけでございます。したがいまして、現在、発電所周辺におきまする影響というのは非常に低いものになっておるということは言えるかと思います。ただ、私が申し上げましたのは、発電所の影響はゼロであってすべてフォールアウトの影響であるとまでは申し上げておらないわけでございまして、いろんな原因が考えられ得るであろうということと、しかしながら、もし一部発電所からの放出があったといたしましても、それは非常に低いレベルに押さえて厳重に管理されておる、こういうことを申し上げた次第でございます。
○石野委員 非常に低い量だからいいんだという、そういうことを私は聞いているんじゃないのですよ。事実、こういうようにして松葉の中からコバルト60が検出されておる。それは明らかに原発の煙突から出ているものであろうということを学会で発表しているわけですね。そういうことであるとするなら、仮に微量であろうとも、これが数多くなってくれば量は多くなるのですよ。何遍も何遍も重なっていけば、累積されれば、半減期が少ないものなら別だけれども、コバルト60だったら相当程度は重なっていくでしょう。だとすると、やっぱり煙突のフィルターを抜け出ているものだということになるわけなんでしょう。
 私はこの点では、一般にはいままで、煙突からそういうものは出ません、特に危険な金属性核種というものは出ないんだということで、皆さんは周辺地の住民に対して全部説得しているわけでしょう。特に安全審査の過程においても、もう出ないという前提で数値の計算を出しておる。この際、安全審査の中でこれらの問題を含めた見直しをする必要がある、私はそういうように思うのですよ。またそれをやるべきだと思うのです。やることで周辺地の人たちが信頼を置き安心感を持つようになると思いますが、局長はその点についてはどうですか。
○伊原政府委員 原子力発電所から周辺へ、たとえば気体の中に微量の放射性物質を含んだものが排出されるというのは、されるという前提で安全審査は行われておるわけでございまして、排出されないという説明はいままで行われていないと承知いたしております。
 排出されるにもかかわらず、それは問題にならないのかという御指摘に対しましては、この排出量をできるだけ実行可能な限り低く押さえるという考え方で非常に低く押さえておる、世界的なレベルから見てもさらに低いレベルに押さえておるというのも、これまた実態がそうなっております。しかも安全審査の場合に、どういう核種が周辺に出るものの中で一番多いかということを踏まえまして、それで評価をするわけでございますので、その評価をいたしますときに、ほとんど影響がない核種につきましては、特に数値が幾らというふうな評価をいたしておらないのは事実でございます。コバルト60の評価、これももちろん、理論的にそういう評価をやれば、絶対ゼロではあるいはないかもしれませんけれども、むしろほかの核種、たとえば希ガスとか沃素とか、そういったより環境に影響を大きく与え得る可能性のあるものについて厳正な評価をして安全審査をしておるということでございますので、何と申しますか、その陰に隠れるほど微量のものである。ただ、理論的に絶対ゼロかとおっしゃられますと、理論的にはそれは絶対ゼロではあるいはないかもしれない、こういうことでございます。
○石野委員 細かいことは私はここで十分申しませんけれども、少なくともコバルト60がこういう形で検出されたということについては、これは危険な金属核種が予想以上に流されているということを示していると思うのですよ。しかも環境の汚染というのが、当初考えていたよりも予想外に早い形で汚染が進んでおるというふうに見ざるを得ないのですよ。だって原発の福島一号炉が動き始めたのは四年前でしょう。非常に微量なもので何にも問題にならないと思っていたのがこういう形で検出されてくるということになれば、やはり予想外に早く汚染が進んでいるということを考えざるを得ない。したがって、松葉などというのは食べないのだからいいようなものだけれども、あと野菜物とかなんかというものにこういうものが出てくれば、この周辺地の住民は非常に不安を感ぜざるを得なくなる。これは当然やはり行政指導の上でもっと厳しくこれを管理、監督しなくちゃいけないし、制限しなければならない問題だと私は思いますが、局長はそれに対してどういう対策をとりますか。
○伊原政府委員 ただいまどの程度の汚染かということでございますが、仮に松葉を毎日百グラム食べたといたしまして、被曝線量が、たとえばある有意の数値に達しますまでには、何千年、何万年とかかるというふうな微量なものでございます。現在の試算で申し上げますと、年間の線量として〇・〇〇八ミリレム程度と推定されております。しかも先生御指摘のように、松葉を食べるということでもございませんので、こういうところから見ますと、測定は可能ではございましたけれども、周辺の一般の方に影響を与えるという性質のものではないと考えております。
○石野委員 ぼくは、現在のものは非常に微量なもので周辺地には影響を与えないということについての説明を、あれこれ聞いているのじゃないのですよ。そうじゃなくて、現在一号炉というのは、発電量にしてもまだわずかなものでしょう。ところがあそこは、ものすごい二千万キロワットまでやろうという計画を持っているのでしょう。各炉ごとにそういうようなものがどんどん出てくれば、累積していくじゃありませんか。しかもそれに期間が掛け合わせされれば、非常に大きな量になってくるのでしょう。何万年だとか何千万年だとかいう言い方では住民は安心しないのですよ。
○伊原政府委員 私が申し上げましたのは、その数値から理論的に計算してどうかということを申し上げたわけでございまして、コバルトの半減期は五年というふうなこと、そういうふうなことも踏まえまして、現在の量、これが引き続き蓄積されたとしてどうなるであろうかという理論的な計算からして、環境に影響を与えるような有意な量は出てこない、計算がそうなるということを申し上げただけでございます。
○石野委員 これはどういうふうに見るかという見方の問題が一つありますから、監督官庁として、一般の地域住民が安心するような方向をとりませんと、今後いろいろな形でやりにくくなりますよ。だから、いままでのものはいいんだいいんだというようなことばかり言っておったら、住民はかえって不安を感じるようになってくる。さっき、事故があれば必ずわかるようになっていますと言いながら、水が九百六十トンも流れ出てしまうし、微量だ微量だと言ったって、やはり松葉の中から検出されるようなものが、わずか四年か五年の間にもし出ているとすれば、これは大変なことですよ。だから、これはやはりそういう点で、当局、特に監督行政の上からいって、考え方を変えていくべきだと思うのです。
 最近、福島の二号炉で火災事故がありましたね。それはどういう事態ですか。
○伊原政府委員 まだそういう正式な報告は私どもは受けておりません。
○石野委員 正式な報告は受けてなくても、事実そういうことがあったのでしょう。報告がなかったら、もうあなたの方では、話をする必要がないということですか。
○伊原政府委員 私どもの基本的な考え方といたしまして、原子力施設でいろいろ事故なりふぐあいなりが生じましたときには、これは法律に基づきます報告義務のほかに、それほど重大でないと施設者が考え、したがって正式の報告を出してこないという考え方のものにつきましても、私どもといたしましては、報告は受けるという考え方で原子力施設者を指導いたしております。そういうことでございますので、重要なことでない、施設者が考えましてごく軽易なものであると考えられるものにつきましても、原子力施設の何らかの異常については報告を受けることにしておるわけでございますが、そういう実態上の報告も受けておりませんので、私どもといたしましては、どの程度のことがあったのか存じませんけれども、原子力施設に関係のあるような、原子力施設に影響を与えるような事態は、もし起これば当然その報告があると思いますので、報告がない段階では、特に重大なことがあったということではないというふうに理解をいたしております。
○石野委員 二号炉で、三月末から四月上旬にかけて、電気関係の中枢部、メタクラと言うのですか、そういうところで火災事故が起きている。そして、そこでは大体直径十センチのケーブルが三本燃えている。これは一束五百本の電線の束になっておりますから、千五百本が燃えているのですが、こういうような事実があるはずです。これはすぐ調べるべきだと思いますね。
○伊原政府委員 御指摘のような事実があったかどうかは至急調べたいと思います。
○石野委員 私は、今度の問題は、消火器を五十個ぐらい使って消しとめた、とまっておるということでよろしいのですけれども、しかし、昨年TVAのブラウンズ・フェリーで起きたろうそく一本での火事ですね、あれで大事故を起こしていますね。そういうようなことを考えますと、火災事故というのは、炉芯の近くになくても電纜がずうっとどこへも通じているわけですから、事故が炉芯まで及んだときには大変なことになってくる。こういう事故があっても、軽微なものだということで報告をしないということがあっては、私は困ると思うんだな。東海村でもやはり、しばしば事故があっても、外から何か言われないと報告を出さない。そういうようなことでは安全性の管理上非常によろしくないと思うので、これは早急にひとつ調べるべきだと思います。
○伊原政府委員 米国のブラウンズ・フェリーの火災につきましては、私どもも米国のNRCから資料を入手いたしまして、その実態を検討しておるところでございます。
 なお、御指摘のように、ささいなふぐあいであっても報告をすべきではないかということにつきまして、私どもといたしましては、できる限り、施設者が見てややささいであるということにつきましても、実態上の報告は受けるようにいままで指導してきております。その基本的な考え方は変わっておりませんので、そういう基本的な姿勢も含みまして、本件について至急調査いたしたいと思います。
○石野委員 二号炉について、いろいろな修理といいますか何かは、この定検期間中に行われているはずですね。二号炉は長いこと休んでおって一月二十四日に再開されたんですが、中間定検というのが行われている。その時期に修理が行われている。どういう修理が行われたんですか。
○伊原政府委員 この定期点検、修理は、実は通産省で電気事業法に基づいて実施しておる仕事でございますので、詳細につきまして、ちょっと私、現在承知しておりません。必要でございましたら、通産省の方に連絡いたしまして、その実態を後刻御報告申し上げたいと思います。
○石野委員 きょうは質問の時間の関係があるので、私は通産省を呼んでいなかったのですが、これは早急に通産省から資料をとって調べてもらいたいと思う。どういうような修理をやったのかということをひとつ調べていただきたい。この火災の事故等についても、当然やはり通産省の方でわかっているはずだと思うから、その点もひとつよく調べてもらいたいと思います。
 大臣、福島にしても敦賀にしても、環境に、微量であるといえども、従来予想されなかったようなこういう金属性の核種であるということが発見される。そうなりますと、これは周辺地住民にとっては、特に施設が集中的に、また量的にも非常に多くなってまいりますれば、それだけに心配が重なってくるわけですね。行政指導の上からいっても、こういう点についてもう一度やはりチェックをする必要もあるし、それから煙突からはもうコバルト60なんて出ないのだというような考え方で来ている物の見方というものも変えていかなければいけない、私はそういうように思うんですが、安全局で、そういうような問題について、新しく何か周辺地住民が安心できるような対策というものを指導すべきじゃないですか。
○伊原政府委員 原子力施設の設置につきまして周辺の方々の御理解が必要であるということは、もう私どもも十分承知いたしております。先生のおっしゃるとおりでございます。そういうことでございますので、原子力施設周辺の安全性というものについて、今後ともますますその充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○石野委員 これは局長からいまのようなお話がありましたが、特に、原子力局とかあるいは原子力委員会だけじゃなしに、現実には通産行政の中にもかかわり合いを持っていることです。ですから大臣が、そういう点で関係している機関に対して安全性を優先にすべきだという考え方で指導しなければ、相互調整の任務を果たすことはできないだろうと思うのです。大臣、そういう点どのように考えておりますか。
○佐々木国務大臣 いまの問題に限りましては、私、局長の答弁でよろしかろうと思いますが、全般的な、一般的な事項といたしましては、石野さんの御注意もございますので、委員会の皆様にも、こういうお話がございましたということはよく申し上げておきたいと思います。
○石野委員 これはまた別な問題ですが、私は予算委員会のときにも、福島の請戸漁協の補償金の問題等の扱い方のことを聞きました。最近茨城県で補償問題で大変な問題が起きている。この点は原子力局や科学技術庁は承知しておりますか。
○山野政府委員 いま先生御指摘の問題は、動燃事業団の再処理工場の建設に伴う補償の問題かと存じますが、内容を承知いたしております。
○石野委員 どういうふうに指導しておりますか。
○山野政府委員 現在、私、手元に資料ございませんが、私の記憶では、総額二十五億五千万円の補償をいたしておると思いますが、このうち、実際に漁民に配分されます補償金といたしまして、たしか十三億五千万円。それから機器として将来漁業振興等に使い得るように設備として残すといった性格のものが約十二億円があったと思いますが、これらにつきましては、事業団と地元県漁連との間の約束に基づきまして、厳正に執行されるように指導いたしております。
○石野委員 それが厳正に施行されているのですか。
○山野政府委員 私どもが約一カ月ばかり前に事業団から事情を聴取いたしました結果では、十二億円の機器を購入いたしますものにつきましては、現在、県漁連側におきまして、まだ機器の購入をいたしませんで、預金として保管しておるようでございます。
○石野委員 茨城でこの問題で漁連の会長が辞任をしたということは知っておりますか。
○山野政府委員 本件に関連して辞任をされたかどうかという因果関係は承知しておりませんが、漁連会長が辞任されたという事実は存じております。
○石野委員 動燃の方で、いろいろと漁業振興資金などというようなことで、金を先ほどのように都合二十五億五千万円出しておるのですが、そのときに、補償とは別個に、調整金などというようなものを動燃が、小幡会長といいますか、漁連との間でやって、公にしないような金の使い方などをしておるというようなことがあるようですが、そういう点については、科学技術庁は予算の施行上どういうふうに考えておりますか。
○山野政府委員 この一千万円の調整金につきましては、先ほど申し上げました漁民に配分をいたします十三億五千万円の配分につきまして、各漁協間に円満に配分が終了し得るようにという配慮から、特に一千万円の調整費というものを交付したと考えております。これは、県漁連会長が関係漁協に配分いたします場合に、いろいろ調整上困難な事態も予想されるであろうということを考えまして、一千万円を交付したものでございます。
○石野委員 調整金は、私ども聞いておるところでは、一千万円じゃなくて三千万円だと聞いておりますが、まあ一千万円でも三千万円でも、大体やっていることにはもう間違いないのだけれども、しかし、こういうような金の使い方というのを、監督するあなた方としては、それをよろしいというように思っておるのですか、どうですか。
○山野政府委員 一千万円の調整金の中身につきまして、どういう使途をされたかといったふうなことの追跡はきわめて困難でございますので、できればこういった調整金といったふうなものはないに越したことはないと考えております。
○石野委員 いま、福島の場合でもそうですけれども、補償金とか、あるいはこういう調整金とかというようなものを使いながら、札束で漁民のほおをひっぱたくような形の原子力行政、あるいはまた地域住民に対する宣撫工作を進めていくというやり方の中に、原子力行政の不純性があるのだとぼくは思うのです。こういうことが出てくる原因はどこにあるのでしょう。大臣、どういうふうに考えておりますか。
○佐々木国務大臣 そのこと自体から考えますとそういうことになると思いますけれども、しかし、国のエネルギー問題等、大きい国策を進める上においてそういう問題をどうしても解決しなければならぬとなりますと、あるいはいま注意されたような事項も出てくるかもしれませんが、しかし、私はやはり、そういうことなしに済ませれば一番よろしいということは事実でございますけれども、といって、事業団等で問題を進める上において、言うなれば国策を遂行する上においてどうしてもそういう必要性に迫られたということがあった場合、それのみを取り上げて責めるというのもまた酷なような感じを持っております。
○石野委員 責めるのは酷だということは、それでよろしいという意味ですか。
○佐々木国務大臣 もしそれなしに進まなかった場合にどうなるかと考えますと、これは事業団といたしましてもどうにもならぬことだと思いますので、やはり事業を進める上において、それが犯罪とかなんとかでございますれば、これは問題かもわかりませんけれども、そうではなしに、一般通念として許される範囲のものでございますれば、ただいままでのところ、やむを得ないのではないかというふうにも考えております。
○石野委員 やむを得ないことだと言うけれども、この調整金なるものの使い方が、いわゆる個人の政治資金に使われたりいろいろな形に利用されているということが問題になっている。そういうことがなくて、大臣が言われているだけなら問題は何もありませんけれども――いや、ないわけではない。いろいろありますが、しかし、現実に問題になっているのは、個人がふところにするとか、あるいは政治資金に使うとかというような、こういうことがあるから問題になっているわけですよ。そういう事実が出てきても、大臣は、それに対してどういう対策もとろうとしない、やむを得ないものだというような考え方ですか。
○佐々木国務大臣 いえ、私申しますのは、具体的な個々の詳しい事実が、刑法的に、あるいは民法的にどうかといったような問題は詰めておりませんので、何とも言えませんけれども、ただ、一般概念としてはそういうふうに考えておりますということを申し述べたいと思います。
○石野委員 事件がこういう形で大問題になってきているときに、関係し、また監督する当局としては、その問題をほうりっ放しておくわけにはいくまいと思いますが、これに対しては、どういうふうに指導したり、あるいは呼びつけて、関係している者に対して注意を喚起するとかなんとかということをやりましたか。
○山野政府委員 先ほどの先生の御質問に若干さかのぼらせていただきますが、一つは、今回の二十五億五千万円の補償金と申しますのは、おっしゃいますように、単に札束で話をつけるというだけではなくて、内容としましては、地元の漁民が失う漁業権に対する補償、並びに、漁業についての操業が阻害されますことによりまして生産性が落ちるわけでございますが、そういったふうなことに対する補償といった実態の補償が含まれておるということをつけ加えさせていただきます。
 それから、ただいま御指摘の調整金を含めまして、どういうふうな使途に使われたかということにつきましては、これは事業団と地元との約束の中で、本件の使途の内容、具体的には配分の内容というものについては事業団はくちばしをはさまないということになっておりますので、配分自体について、事業団の方から地元にいろいろと注文をつけるというわけにはまいりませんが、これが厳正に漁連内部で配分され、また十二億円の振興費につきましては、これによって協定どおり、私の記憶ではたしか冷凍冷蔵庫の購入であったかと思いますが、必要な機器が購入されることを監視するということが必要だと考えております。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、事業団をして、現在漁連のこの十二億円の残高というものはどういう形で確保されておるかということを確認させた次第でございまして、今後ともかかる必要な監督というのは続けてまいりたいと考えております。
○石野委員 この補償金なりあるいは調整金というようなものが、単に金の問題だけであるならば別ですけれども、たとえば漁業権を放棄するとか、あるいは東海二号炉なら二号炉の設置を認めるとかというような、そういう原子力行政、特に地元住民がこれに対して意見を持っているのを抑えるための一つの威圧を与えるような要素になってくる。この金を持っている者が、漁民なら漁民の組合員を、おれの言うことは聞けないのかというような調子でどなりつけて意見をまとめていくという、きわめて非民主的なやり方がやはり具体的に出てきている。
 そういうようなことになりますと、原子力行政というのは、本当に地域住民の不安感というようなものに対しては全然関心を持たないで、札束でほおをひっぱたく結果になってしまうのですよ。それをもらった者がそういうやり方をする。
 そういうやり方は茨城だけじゃないのです。福島でもやはり同じようなことが行われているでしょう。これは科学技術庁が原子力を振興、開発するためにとっている一つの考え方だとも思われる。いわゆる政府のやり方というのは間違っておるんじゃないですか。大臣、どうなんですか。
○山野政府委員 私どもが原子力発電所の立地の推進をするに当たりましては、先生御指摘のように、まず原子力発電所の必要性、安全性につきまして地元の十分な御理解をいただいた上で立地を進めるというのがもちろん正しい道であると考えておりまして、御指摘のように、金でもって事柄を処理するというふうなことは考えておりません。結果的にもしそういったふうな実態がありといたしますれば、今後私ども十分に注意をいたしまして、そういったふうなことにならないように配慮してまいりたいと考えております。
○石野委員 この金の使い方にしても、総額十二億円のうち四十九年度分の二億五千万円が、調印をするにさかのぼること一年六カ月も前に支払われているという、非常に理にかなわない金銭授受が行われている。このことをあなた方はほうりっ放しにしておいていいのですか。まだ約束も何もしない間に金だけを先にぼんぼん渡してしまうというような、そういうルーズな金の使い方をするようになると、これは予算を審議する上から言っても、われわれは簡単に許せないのですよ。そういう問題をどうするのです。
○山野政府委員 御指摘のとおり、本件につきましては、協定調印前一年前に、実態として事業団と地元県漁連との話し合いが煮詰まっておりましたので、いま御指摘のような支払いの仕方をいたしたのでございますが、これはおっしゃいますとおり、好ましいことではないことは当然でございますので、今後、かかる案件につきましては、十分に書類等の整備を済ませました上で執行するというふうにいたしてまいりたいと考えております。
○石野委員 こういう金の使い方をしていることに対して、大臣は、どういうふうにこれを指導したり、あるいはその本人に対して注意――ただ注意を喚起するだけではだめなんでしょう。われわれの税金を、こういう形で何の約束もないのに金だけはどんどん出していくというやり方が、いわゆる原子力行政の一つのあり方だというふうになってくる。現場でやっていることは、大臣が考えているようなものと違うのですよ。こういうことはどうするのです。
○佐々木国務大臣 私も実態をよく知りませんので、何とも申し上げられませんが、先ほど申し上げましたことを繰り返すだけでありまして、本来であれば、国の工事であれば国家賠償法等で、国の工事によって第三者に損害を与える場合には、因果関係があれば当然国家で補償するのはあたりまえでありますが、しかし、事業団の事業でございますから、それとの因果関係はどうなっていくのか、そこら辺もよくわかりません。具体的な問題のようでございますので、もう少し具体的な問題を突き詰めまして、非難をこうむらないように注意していくのは当然だと思います。
○石野委員 ただ単にそれだけではなくて、これは漁連の幹部だけがいろいろ内密に事を運んで、漁連の下部は全然わからない。事業団がごく一部の会長さんなら会長さんとだけそういうような話をして、下の者は全然わからない形でこういうことが行われるということはけしからぬと思うのですよ。だから漁民は、こっそり金を受け取って、交渉も何もないのだろうさというような、こういう投げやりなことで、この問題に対してはもう腹が立って仕方がないという態度でおるのですよ。私は、事業団のやっているやり方、理にかなわないやり方をして、金で籠絡をし、あるいはまたえさにして、あるいはまた組合の幹部をそれで抱え込んで、双方に個人的な利益をし合いながら、一般の人には全然教えないままにこういうやり方をする非民主的なやり方というのは絶対に許せないと思う。しかも最終的には、組合の決定によってこういうようになっているとか、契約によってこうだとか、約束がこうだとかいうようなことで押しつけてしまうという、こういうきわめて非民主的な、しかもちょうどこれは賄賂をやっておるのと同じような結果になっていくのですよ。こういう問題は、大臣は厳に戒めてかからなければいけないと思うのです。国家の事業をやるためには仕方がないのだという考え方で済まされる問題じゃないと思うので、これからこの事業団の幹部に対してどうしますか。
○佐々木国務大臣 先ほど来申し上げましたように、一般論を私は申し上げておるのでありまして、御指摘のケースの詳しいことは知りませんので、よく調査いたしまして処置したいと思います。
○石野委員 これはよく調査してやってもらわないと困ると思うのです。非常に問題が大きい。
 あと、原電の取水施設をいま使用済み燃料の荷揚げ港に使い始めておりますね。この問題と漁業補償との問題もいろいろ皆関係しているのですが、この使用済み燃料の荷揚げ港における船舶の出入の回数は、年間大体どのくらいになり、月にどのくらいになりどういうものであるかという計画はあると思いますが、それをひとつ……。
○伊原政府委員 先生の御指摘の点は、現在、東海村に建設中の動燃事業団の再処理工場に運び込まれる使用済み燃料の輸送頻度がどのぐらいかというお話かと思いますが、これにつきましては、まだ動燃事業団の施設がフル稼働になるまである程度の時間を要するわけでありまして、その間にだんだん輸送の実態を検討していくということでございますので、ただいま現在、年間何回というふうに確定はしておらないわけでございますが、その実態から申しまして、たとえば現在英国に送り返しております使用済み燃料輸送の頻度よりはある程度ふえるということは事実かと思われます。
○石野委員 ある程度ふえるかと思いますというような程度で、日立などの漁業協同組合に、取水施設を使用済み燃料荷揚げ専用港に転用するということについての審議をさせたんですか。
○伊原政府委員 フル稼働いたしますときの容量が約二百十トンと考えられておりますので、その時点におきましては、年間十数回の輸送量になるかと、現在、これは大まかな検討でありますが、その程度に検討されております。
○石野委員 そのことに関連して、荷揚げ時の作業の安全対策の問題、あるいはまた海難予想など、そのときの周辺海域に及ぼす影響等についても一応の想定はしておると思いますが、どのような想定をしておりますか。
○伊原政府委員 輸送の、特に使用済み燃料輸送問題、この安全性につきましては、使用済み燃料を収納いたします輸送容器、キャスクと称しておりますが、これの安全性の基準につきまして、これは特に、国際的にも輸送されるものでございますので、国際原子力機関におきます基準があるわけでございますが、それを踏まえまして、わが国におきましても、原子力委員会に専門部会を設けまして十分な検討をいたしまして、輸送容器の安全設計の確保に努めるとともに、その検査などにつきましても、運輸省と十分連絡をいたしました上で万全の措置をとってまいりたいと考えております。
○石野委員 安全設計を十分にした上でということですから、いまはまだそれに対するめどはできておりませんですね。
○伊原政府委員 現在すでに使用済み燃料を英国に送り返しておるわけでございますが、その容器につきましては、国際的にオーソライズされました容器が使われておるわけでございます。したがいまして、今後日本で使用済み燃料輸送容器の国産をいたします場合には、先ほど申し上げましたように、安全設計の基準もできておりますので、その基準に沿って製造が行われることになるわけでございます。
○石野委員 安全輸送するための設計がどういうふうになるかということはともかくとしまして、年間十数回ということになりますと、二百十トンをどういうふうに運び込まれてくるのか、これも細かい計画があると思いますから、一応これは資料として出してほしい。どういう計画になっているのか、いまわかっておれば、大体どこからどういうふうに持ってくるということになるのか。
○伊原政府委員 現在想定し得る実態につきまして、後刻御報告申し上げたいと思います。
○石野委員 海難の想定ということは全然いたしておりませんか。
○伊原政府委員 使用済み燃料の輸送につきましては、特に船が沈まないようにということで、その船の構造を難沈構造と申しますか、特殊な構造にすべきではないかというふうなことで、現在運輸省と連絡をとりまして検討いたしております。したがいまして、一般的に申しまして、海難によって使用済み燃料輸送容器が海底に沈むということは非常に可能性は少ない、また、そういうふうに実態を持っていくつもりでございますが、万々一海底に輸送容器が沈みましても、その安全性が確保されておるということを別途確認するということで各種の実験をいたしておりまして、その結果から得られました知見では、数千メートルの海底に輸送容量が落ちましても、容器の変形なり破壊というものはないということが一応の実験である程度確認されております。
○石野委員 そうしますと、使用済み燃料を運搬する船は、仮に破損したり沈没しても大丈夫だということですから、航路上から言ってはどういうところへでもこの船の出入りはしてもちっとも心配要らない、こういう考え方に立っているのですか。
○伊原政府委員 この辺はなお運輸省とも十分詰める必要があるかと思うわけでございますが、特殊な物質の輸送であるということで、これは国際的にもいろいろな考え方があり得ると思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この使用済み燃料の輸送ということがいささかも航路の安全その他に支障がないような対策は十分とる必要がございますし、またそれは十分とり得るものであると考えております。
○石野委員 輸送上の注意の問題については、いま運輸省も来ておりませんけれども、科学技術庁として考えなければならないことはどういう点でございますか。
○伊原政府委員 輸送につきまして、これは実は正直申しまして、現在の法令が多少古い法令でございまして、現状に必ずしも一〇〇%マッチしていない点もございますので、こういう輸送関係の関係諸法令の整備を現在行っております。しかし、それはそれといたしまして、実態上いささかも安全上に影響がないような行政措置は十分現在とっておるわけでございます。
 今後、使用済み燃料の輸送という問題は、いままでよりも非常に頻度が多くなるのは、先生御指摘のとおりでございますので、そういう点も踏まえまして、いささかもそのことによって周辺に影響を及ぼすようなことがないように、そういう関係につきましては、原子力委員会のもとにおきましても、核燃料安全専門審査会というものを設けまして、その中の輸送部会におきまして、各種の問題点の詰めを今後行うことにいたしております。
○石野委員 使用済み燃料の輸送について一つ考えておかなければならぬと思うことは、あのすぐそばに射爆場の返還された跡地があります。そこに、いま運輸省ですか、政府が考えているのかどうですか、流通港湾をつくろうという案があるのですね。この原子力港と恐らく一キロも離れていないと思いますが、そういうところに約二千八百万トンの港をつくろうとしているわけです。これだけの港がつくられますと、北の方に日立港があり、南の方には大洗港それから鹿島港がございますが、この流通港湾と、それから大洗、日立港を含めて四千万トンという港というのは、大変な年間の船舶数になってまいります。原子力港の前面は全部この船で覆われる。しょっちゅう何千隻という船が出入りする、航行しているということになりまして、船のニアミス――ニアミスぐらいならいいけれども、あるいは現実にぶつかっていくということの危険性を私は非常に強く感じるのですが、そういう点については、科学技術庁はどういうふうに考えますか。
○伊原政府委員 将来、東海村沖におきます海上輸送の状況がどういうふうになるかということについて、いろいろの想定もなされておるかと思いますが、基本的な考え方といたしまして、いかなる事態に遭っても安全上支障がないように万全の措置をとるというのが基本的な考え方でございます。そういう基本的な考え方を持ちまして、科学技術庁と運輸省と両省で十分協議をいたし、かつ専門家の御意見も十分取り入れさせていただき、また国際的な考え方、基準等も十分採用いたしまして、万全を期することにいたしております。
○石野委員 万全を期することにしておりますというのは、そのことを別にどうこう言う気はないんだ。そういうような条件のもとで、あそこにもう原子力港があるのですが、すぐそばに約三千万トンの流通港湾ができるわけですよ。北の方には、ものの十キロも隔たっていやしません。四キロか五キロぐらいですが、そういうところに日立港があるわけですね。大洗港もある。とにかく大洗と日立との間は、直線距離にして十キロぐらいしかない。その間に約四千万トンの荷動きがある。これの運搬隻数と言えば、年間かれこれ十万隻ぐらいになるだろうと言われている。大変な量ですよ。そういうところにこの危険なものを持ち運んでくる、出入りさせるということの危険性は、非常に大きいと私は思うのですよ。すでに原子力港がある。つくっておるわけですから。そこへそういうものを新たにつくろうということについての、あなた方の考え方はどうなんですかということを私は聞いている。
○伊原政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この使用済み燃料の輸送につきまして、これが海上輸送なり周辺の環境に影響を与えることは万々あってはいかぬわけでございますから、そういうことがないようにということで万全の措置をとるということで考えておりますので、私どもといたしましては、この流通港湾と使用済み燃料の荷揚げの港が両立しないということはない、十分両立し得るものであると考えております。
○石野委員 それは、原子力局長や安全局長が十分いろいろな安全性の検討を加えた上で、そういうふうに話されるのですね。地元住民の立場からすると、きわめて運航の上からいって問題がある、こういうふうに見ておりますが、原子力局としては、もうそういうことをあらかじめ承知の上で流通港湾構想というものについて意見を持たない、こういうことですね。
○伊原政府委員 流通港湾の構想の詳細について、科学技術庁、十分承知はいたしておりませんが、基本的に考えましてと申しますか、一般論といたしまして、使用済み燃料の輸送ということは、ほかに影響を与えないようにし得るという技術面その他制度面での万全の手当てをとってまいる、こういう基本的な考え方であるということを御説明申し上げる次第でございます。
○石野委員 いままだ流通港湾というのはできてないのです。これからどういうふうにしようかということの案なんですが、あなた方がいろいろな面で安全性を優先に考えていくという場合に、現状は全然船の出入りはあの付近はないわけです。全然考慮しなくてもいいわけです。ところが、流通港湾ができますと、もうすぐ岸壁を接して船が出入りをするわけですから、遠回りしようにも、近回りしようにも、どうにもできないのですよ。あの沖合いにものすごい船が停泊もするでしょうし、その間隙を縫って入らなければならないという事情が出てくるのです。そういうことになりますと、とても現場では、結構でございますよなんというようなことを言えないのですが、あなた方の方では、そのことについて何にも考慮しないままに、原子力運搬船は堅牢につくってあるからよろしいのだ、こういうことだけで意見を持たない、こういうふうに見ていいのですね。
○伊原政府委員 流通港湾の詳細について承知いたしておりませんが、この問題につきましては、当然運輸省といたしましても、将来そういう事態になった場合についての海上輸送の規制の問題があるかと思います。そういう問題も踏まえまして、両省で十分協議をいたしまして万全の措置をとるということでございますし、また、技術的、制度的はそれは十分とり得るものであると考えております。
○石野委員 技術的、制度的にとり得るものであるということと、事故の起きるということは違うのです。事故はどんなときにでも起きると思いますが、できるだけ頻度が少なくなるのがよろしいのだし、これだけ安全性がきつく要請されているときに、ことさらに不安全な危険性の多くなることが予想されるようなものについても、あなた方はそれに対して意見を持たないということになりますと、原子力局なり安全局というものは、安全性の問題は口では言うけれども、何にも配慮してないという見取りしかわれわれはできなくなるのですね。ことさらに不安なものに対して何の意見も持たないで、制度上何とかやれるだろう、こういう考え方であるということなら、それはそれでもいいですよ。われわれはまたそういうように判断すればいいのですから。
 だけれども、私はそういう問題について少しあなた方が意見があってもいいのではないかと思うのですが、これは大臣どうなんですか。こういうところに流通港湾構想の問題は、大臣も幾らか聞いているだろうと思いますが、相当大きな船舶があの沖合いで停泊もするし、しょっちゅう出入りするわけですね。特に二千八百万トンということになりますと、これは相当な船舶だし、入港した船が荷揚げをするのに、仮に三日間停泊するとしましても、大変な隻数が港内、港外に停泊することになってくると思うのです。そういうような事情を踏まえながら、この問題の運航上の安全というものが期せられるかどうか。あなた方が本当に原子力の安全性ということを考える場合に、そういう態度ではまずくはなかろうかと思いますが、大臣どうですか。
○佐々木国務大臣 私も、航路規制なりあるいは船舶の安全規制なりというものに対して、どういう手段がありやということはつまびらかでございませんので、的確な御答弁はできませんけれども、しかし、いま局長からお話がございましたように、その方の専門であります運輸省の方と、そういう危険のないような方法をただいま研究中だと、こういうことでございますから、その研究の結果を待って御批判をいただきたいと存じます。
○石野委員 これは十分ひとつ検討を加えてほしいと思います。私は、この問題については、非常に危険なところへ踏み込んでいく形だと思いますので、それでなくてさえも、原子力についての安全性、特に廃棄物等の非常に放射能の問題のある物体を運んでいるときでございますから、ことさらに不安な航路をその前に設定するようなことについては、あなた方は体を張ってでも、もしあそこにそのまま置こうとするならば、そういう条件を排除しなくちゃならないのじゃないだろうか、私はそう思っておりますから、これはひとつよく検討してください。
 大臣にお尋ねしますが、本年度予算の中で、原子力船事業団に対する予算が十九億八千六百万円、一応組み込まれておりますが、この予算を出している法的基礎はどこにあるのですか。
○山野政府委員 ただいま先生の御指摘は、日本原子力船事業団法との関係におきまして、政府予算原案の中に、事業団への出資金、補助金といったふうなことを組み込むのはいかがなものかという御趣旨かと判断いたしまして、それに対して御答弁申し上げますが、ただいまの日本原子力船事業団法は、その附則の二条におきまして、「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」ということになっておるわけでございまして、本日、現在すでに三月三十一日を過ぎておるわけでございます。
 この附則におきます「五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」という表現の意味でございますが、これは、この法律を制定されます当時の立法府の御判断とされまして、五十一年の三月三十一日までにはこの法律は目的を達成し得るであろうという御判断がありまして、予定とされて「五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」ということを御判断になったものと思います。ただその時点で、五十一年三月三十一日が来れば自動的に廃止するということが妥当かどうかという点につきまして、当然その時点で効力を失うことにするのは妥当でないという御判断があったので、「廃止するものとする。」という、効力を失うというのとは違う表現にしてあると私どもは判断をいたしております。
 したがいまして、本法が廃止されますためには、必要な廃止法案が国会に提案されまして、これが成立するということが必要でございますが、そのような法案は提案されておりませんし、一方、政府側といたしましては、本法を十年間延長する法案をただいま国会の方に御審議をお願いしようとしておるところでございますので、そういう状況から判断いたしまして、この日本原子力船事業団法は現在でも有効でございますし、本法に基づく日本原子力船開発事業団というものも、法的に存在しておるものと判断いたしております。そういう意味で、五十一年度の政府予算原案に、この日本原子力船事業団に対する出資金並びに補助金を計上しておる次第でございます。
○石野委員 事業団法が三月三十一日現在で廃止するものとするということの読みの問題ですが、もし政府がそういう読みをしておるならば、延長などを考える必要はないと思う。延長をするつもりでおるのだというお話がございますが、そうすると、前にその読みの問題で、自然延長しているものだという読みがそこで消えてしまうと思うのですよ。だからこれは非常に矛盾が多いと思うのですよ。私は、政府がすでに、三月三十一日現在をもって廃止されちゃ困るから延長法案というものを事前に予定するというようなことはあり得ることだと思っておりますけれども、現状ではもう三月三十一日を経過しておりますから、法律はそれ自体、事前の工作がなかったですから、これは時限立法でございまするだけに効力を失っていると、こういうふうに思われます。そうなると、当然やはりこの事業団に対する十九億八千六百万円という予算を編成すべき法的基準というものはなくなっておるので、これに対する政府の考え方というものを明確にしなけれがいけないだろう、こういうふうに思うんですね。予算案の審議なりあるいは予算の実施に当たって、こういう問題の解明をはっきりしておかなくちゃいけないと思いまするので、重ねて聞きますが、この問題について何らかの処置をなさるつもりですか。
○佐々木国務大臣 お言葉を返すようで恐縮ですけれども、石野さんの議論には断定がございまして、その断定は私どもそう考えてないのであります。時限立法の性格にはいろいろあるそうでございまして、この法律がもし三月三十一日失効する、効を失うのであれば、自動的に効を失います。あるいは廃止するということであれば、廃止になるはずです。しかし、廃止するものとするといって、余地を残してあるのはどういうことか。この時限立法にも表現の仕方がいろいろ法技術的にありますので、この法律のような表現になっているゆえんのものは、その時点になって効を失うのじゃありません。あるいは当然廃止するものじゃございません。恐らく、十年後には新しい技術の発展でございますから、どうなるかわからない、わからないけれども、一応十年たったらその時点で、これを廃止すべきかどうかということを政府として判断しなさい、そうして国会の審議を仰いで必要であるならば延ばしなさいと、こうなっておるわけで、したがいまして、わが方としては、現在は廃止すべきでない、これは存続すべきだという必要性に迫られておりますがゆえに、これを延長するという延長法案を実は提案しておるわけでございます。
 この問題に関しましては、予算委員会で非常に詳細な討論がございまして、法制局も一緒に参りまして、法制局側といたしましても、法の解釈はこうでございますと、同様の趣旨の説明がございまして、一応予算委員会の場では政府側の見解は十分述べておいたつもりでございます。
○石野委員 長官はいま、「昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」という、このことを書いてあるのは、政府がその時点で判断しなさいということを意味しているものだ、廃止するとか失効するという意味とはまた違うのだと言われた。それは確かに長官の言うように、三月三十一日までに廃止するのかどうするのかの判断を立法府がしなくちゃいけないし、政府もしなくちゃいけなかったと思うのですよ。しかし、きょうは五月六日ですよ。三月三十一日をはるかに一月以上過ぎてしまっているのですよ。ですから、その「まで」にそういう処置をされるということについては、われわれも理解するし、立法府としても当然そのことを予想して書いておる。失効とか廃止とかということをぴしっと書かなかったことは、それまでの間の工作を予定している。立法府はそういうふうに考えておる。けれども、もう三月三十一日を過ぎてしまえば、この法律はすでにその「まで」を過ぎていますから、新たに何かの工作をしなければこれに対する対策ができまい、このようにわれわれは考えております。たとえば事業団の中に働いておる人もおったりなんかするから、そのことについてどうするかああするかという経過措置の問題は、当然われわれも現実問題としては考えなければなりませんけれども、法自体については、もうすでに三月三十一日で失効している、廃止されている、こういうふうに立法府は考える。行政府がどういうふうに考えるかについてのその意見の相違だと思いますがね。だから、大臣がいま言われるように、三月三十一日で失効するとか廃止する、こう書いてないのだから判断をゆだねられているというのは、確かにそのとおりですよ。しかし判断は、「三月三十一日までに」という期限があるのだから、それ以後のことだったらこの意味はなくなってしまいますよ。だからこれは、新たに何か工作をせにゃいかぬのと違いますか。
○佐々木国務大臣 ですから、ことしの一月の初めに、この法案は延長したいということで延長法案を出しておるのですから、その趣旨は明瞭じゃありませんか。もし法的な解釈であるならば、どうぞひとつ法制局でもお呼びになって――私どもの方は、政府としてそういう解釈で進んでおりますので、法的に疑義があるならば、私の法の解釈に対して疑問を抱いているに違いありませんので、そうでなしに、それを解明する権威である法制局長官でも呼んで御説明いただく方がよろしかろうと思います。
○石野委員 法制局を呼んでその問題の解明はします。それは新たにしますが、ただ、事前にそういうものを出そうと意思表示をしているのだからいいのだという大臣の考え方は、三月三十一日までなら、それは妥当なものだとしてわれわれは受けとめますよ。だけれども、三月三十一日を過ぎたら、そういう意思があろうとなかろうと、まだ現実に議会に対しては、われわれのところへは、そういう法案の付託も何もあるわけじゃないのだから、そういうときに予算だけが先へ行くということはおかしいのですよ。当然この予算はこれに見合うものとして処置されなければいけない。法律がなくなっているのですから。
○佐々木国務大臣 法律がなくなっているとあなたは解釈しておりますけれども、私どもはなくなっておらぬと解釈しておるわけです。その法解釈は私がるる説明したのですけれども、あなたは納得しませんので、それでは、あなたの見解が正しいか、私の見解が正しいか、法制局長官を呼んでお聞きください、こう申しておるのです。
○石野委員 法制局長官を呼ぶ呼ばないは別として、いま局長の話では、延期法案を出します、こう言っているのです。延期法案を出すということは、もうあなた方は、いまの法律がすでになくなっているから、そういう延期法案だか何だか知らぬけれども、新たな法案を出すのでしょう。
○佐々木国務大臣 国会に延期法案を出しているのですよ。
○石野委員 出しておっても、その期限までの間に、国会はそれの意思表示なり意思決定をしてないのでしょう。だからその事実で、もうその時限でなくなっているわけでしょう。
○佐々木国務大臣 あなたはなくなっていると解釈しますけれども、あなたの解釈は間違っていますと私は言っているのです。同じことを何遍言っても同じことじゃございませんか。
○石野委員 法制局の解釈はまた後で聞きますが、とにかく延長法案を出すということは、現行法では三月三十一日でもう効力がなくなるから、延長法案を出すのでしょう。もしそれが自然延長するのなら、十年だとか二十年と言わぬでもいいんだ。これは恒久法と同じになってしまうじゃないですか。何のために時限を三月三十一日と切るのだというのだ。そこのところの行政府の物の見方が得手勝手過ぎるということを私は言うのですよ。
○佐々木国務大臣 これは法律論になりますので、得手勝手か得手勝手でないか、あなたの見解と私の見解は違いますということをさっきから申しているのでありますから、同じ平行線の議論になりますので、この法解釈に関しましては、法制局を呼んでお聞きになったらどうですかと、こう申しているのでございます。私の解釈を求められれば同じことを言うだけでございます。あなたが同じことを言っているわけであります、何遍も。
○石野委員 それじゃ大臣にもう一遍聞きますが、大臣は、法制局の見解は、とにかく廃止法案が出なければこの法案はずっと続くという見解を持っておられる、先ほどそう言われたですね。だから、それによってあなた方が承知しておるのだとするなら、それはおかしいですよ、延長法案を出すということが。延長法案を出すことがおかしいのでしょう。じゃ延長法案を出しませんね。
○佐々木国務大臣 法には法の趣旨がございまして、「廃止するもの」というその趣旨は、そういう時点が近づいたならば、この法案をどうするかという意思表示をして、廃止するか存続するか法案として出して、そして決めなさい、こういう趣旨だ。したがいまして私どもは、存続します、してくださいという法律をただいま提出しております。こういうことでございます。
○石野委員 三月三十一日までならあなたのその趣旨はよくわかるというのですよ。三月三十一日を過ぎれば、もう立法府としては、法は失効している、こういうふうに見ているということ。だから、そうでないと大臣が言うのならば、何で延長法案なんか出すのだというのですよ。それは延長しているならそのままでいいじゃないか。
○佐々木国務大臣 ここで同じ議論をしてもしようがありません。そういうあなたの言うような趣旨であれば、法の書き方は三十一日で効を失します。
○石野委員 それはそのとおりですよ。
○佐々木国務大臣 そんなこと書いてないじゃないですか。だからそういうふうになってないですよ。そういうふうに法には法の書き方がございまして、それをあなたの趣旨は、いま失効しますという言葉を言うけれども、失効するというふうに書いてないゆえんのものは私の申すような趣旨でございますと言うと、あなた方がすぐ三十一日に失効しますと言う。失効するのであれば、失効すると書いてあるはずでございますというふうに私は言うのです。そうなってないから、法技術の問題もあわせて法制局から聞いてください。これは何もこればかりではございませんので、法律技術としてはそういうことになっているという意味でございますからどうぞ。私自体も、この法案をつくったときに、たしか自分が局長時代だったと思いますけれども、これはそういう趣旨でつくったものでございますので、私どもはその趣旨どおりやりたいと思います。
○石野委員 もうこれで終わります。大臣がそういうふうに言うのは非常にひん曲げた物の考え方で、三十一日までにその処置をするのなら私は認める。だけれども、三十一日を過ぎておりますから、そういう工作は立法府としてはできなかったのですよ。やろうという、そういう意思が政府にはあったことはわかります。わかるけれども、立法府においてはその意思を決定することができなかったから、その時限でなくなっていると、われわれはこう解釈しています。これは後で法制局が来ましたときにまた意見をよく聞いてみます。
○中村委員長 次回は、来る十二日水曜日、午後一時理事会、午後一時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会