第078回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第4号
昭和五十一年十月十五日(金曜日)
   午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 田中伊三次君
   理事 塩崎  潤君 理事 瀬戸山三男君
   理事 松永  光君 理事 森  美秀君
   理事 山下 元利君 理事 田中 武夫君
   理事 横路 孝弘君 理事 松本 善明君
   理事 坂井 弘一君
      上村千一郎君    内海 英男君
      奧田 敬和君    木野 晴夫君
      小山 長規君    近藤 鉄雄君
      古屋  亨君    箕輪  登君
      稲葉 誠一君    大出  俊君
      斉藤 正男君    楢崎弥之助君
      松浦 利尚君    庄司 幸助君
      三浦  久君    鈴切 康雄君
      河村  勝君    永末 英一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 稻葉  修君
 出席政府委員
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        国税庁次長   山橋敬一郎君
 委員外の出席者
        ロッキード問題
        に関する調査特
        別委員会調査室
        長       中里  煥君
    ―――――――――――――
十月十三日
 ロッキード事件の真相究明に関する陳情書外三
 十四件(富士見市議会議長増田八郎外六百九十
 五名)(第一〇四号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 ロッキード問題に関する件
     ――――◇―――――
○田中委員長 これより会議を開きます。
 ロッキード問題について調査を進めます。
 この際、稻葉法務大臣からロッキード事件の捜査処理に関する中間報告を求めることにいたします。稻葉法務大臣。
○稻葉国務大臣 ロッキード事件の捜査処理に関する中間報告をいたします。
 まず第一に、この中間報告の目的について申し上げます。
 政府としては、かねてからロッキード事件全体の捜査が完了したときには、法令の許す範囲内において、できる限り事件の真相を国会を通じて国民に明らかにすることを約束してまいりました。しかし、いわゆる児玉ルートの解明がおくれておりますので、いわゆる丸紅ルートと全日空ルートの捜査がおおむね終了したこの機会に、法務大臣からロッキード事件の捜査処理について中間報告をする次第であります。
 この中間報告は、この事件に寄せられた国民の関心にこたえるとともに、前国会における両院議長裁定の趣旨に基づき、本件にかかわる政治的道義的責任に関する国会の国政調査にも資することを目的とし、関係人の人権の保護と今後の捜査及び裁判に対する不当な影響の防止を配慮しつつ、公開された委員会において法務当局が開示できる最大限のものでございます。
 次に、政府の基本的姿勢について申し上げます。
 政府としては、事件の真相を徹底的に解明することが、本件に関する国民の疑惑にこたえ、政治、行政に対する国民の信頼を回復する唯一の道であるとともに、わが国の議会制民主主義の健全な発展にも寄与するものと確信し、捜査当局の捜査には一切の政治介入を排し、捜査当局の厳正な処置にゆだねてまいりました。法務大臣としても、検察当局の厳正公平な捜査処理に信頼し、いわゆる指揮権発動のごとき措置はとらないという基本的態度を厳に堅持してまいりました。
 次に、政府の措置について申し上げます。
 政府としては、本件が米国上院外交委員会多国籍企業小委員会における米側関係者の証言に端を発した経緯にかんがみ、米国関係機関が保有する資料の提供を受けることが必要不可欠であることを考え、外交チャンネルを通じ、米国側に対し関係資料の提供方を要請し、これにより入手した資料は、すべてこれを公開して国会に提出するとともに、関係機関に配付いたしました。さらに、本問題に関し二月二十三日行われた衆参両議院の決議の趣旨をも尊重し、三木内閣総理大臣は、翌二十四日米国大統領あてに親書を送り、公開を前提として、外交チャンネルを通じ関係資料の提供方を要請いたしました。これに対し、三月十一日付フォード大統領返書により、人権の尊重と米国で行われている政府機関による調査の公正を確保する見地から、機密保持の取り扱いを条件として関係当局間で関係資料の相互提供を行う用意がある旨の回答がありましたので、政府としては、その趣旨を理解して、三月十二日閣議決定によりこれを受諾することとし、これに基づき、鹽野法務事務次官を米国に派遣し、米国司法省と交渉させた結果、三月二十四日わが国法務省と米国司法省との間で、関係資料は、捜査、調査及び裁判のみに使用し、秘密保持を厳守すること、相互に本件に関する司法共助の実現に最善の努力をすること等を内容とする「ロッキード・エアクラフト社問題に関する法執行についての相互援助のための手続」以下、司法取り決めと申し上げます、これが締結され、これにより米国関係機関からの関係資料の入手が可能となりました。政府は、その後五月十一日斎藤特使を米国に派遣し、本件真相解明のため、米側資料の提供についての一層の協力を要請する等日米両国の捜査協力を推進させ、さらに、六月下旬、サンファン会議の帰途ワシントンにおいて、三木内閣総理大臣からフォード大統領に対し、本問題に関するわが国の決意を伝えるとともに、米国政府の今後の協力方を要請いたしました。
 捜査の開始及び捜査体制について一言いたします。
 東京地方検察庁は、外交チャンネルを通じて入手した公開資料の分析、検討を行うとともに、あわせて国内の独自の捜査を進めた結果、二月二十四日同庁に高瀬検事正を本部長とするロッキード事件捜査本部を設置するとともに、同日、警視庁、東京国税局と緊密な連携のもとに、児玉譽士夫につき所得税法違反、丸紅関係者につき外国為替及び外国貿易管理法、以下、外為法と申します、その違反の各容疑により、児玉の自宅、丸紅本社等に対し異例の合同による捜索差し押さえを実施して、本格的な捜査を開始いたしました。
 捜査本部を設置して以来、東京地方検察庁は、東京高等検察庁管内地方検察庁から検事十名、検察事務官十名の応援を求めるなど捜査体制を充実し、検事三十五名、副検事五名、検察事務官六十五名合計百五名を本件捜査に専従いたさせました。
 次に、嘱託尋問の実施について、その経過、結果を申し上げます。
 東京地検は、司法取り決めに基づき、数回にわたり米側資料の提供を受け、これについて詳細な分析、検討を行う一方、検事一名を派遣し、米国に在住する米側関係人の供述を得るため、米国関係機関の協力のもとに、米国内における任意取り調べの実現に努力しましたが、米側関係人が最後までこれを拒否する態度に出ましたため、五月二十二日刑事訴訟法二百二十六条に基づく起訴前の証人尋問を東京地方裁判所裁判官に請求し、同裁判官の嘱託決定を得て、検事二名を米国に派遣するなど右嘱託尋問の実現に鋭意努力をしました。この過程において、米側証人は、わが国の刑罰法令による刑事訴追に関する自己負罪拒否の特権を行使しましたので、布施検事総長の指揮により、東京地検検事正は、刑事訴訟法二百四十八条に基づき、わが国法規に抵触するものがある場合にも証言した要項については起訴をしない旨の宣明を行い、その結果、証人アーチボルド・カール・コーチャンの尋問が実施されましたが、証人尋問調書の引き渡しについては、わが国最高裁判所の対応措置が要請されていましたので、法務当局は、最高裁判所にその検討方を依頼いたしました。
 最高裁判所においては、係官を米国管轄裁判所に派遣するなど、慎重にその具体策を検討した結果、七月二十四日裁判官会議により、検事総長の不起訴の確約に基づき公訴は提起されることがない旨の全員一致の決議を行い、これにより、証人尋問調書の引き渡しが実現されました。さらに、ジョン・ウィリアム・クラッター及びアルバート・ハイラム・エリオットの各証人については、米国刑罰法令上の刑事免責に関する問題により一時尋問の実施が延期されましたが、ようやくにしてその解決を見、九月八日に至り同証人らに対する尋問手続が開始され、九月二十九日嘱託証人尋問は終了いたしました。
 ここに、今回の嘱託尋問の実施に関し寄せられた米国司法当局の協力に感謝の意を表したいと思います。
 捜査処理の状況について、一般的概況と具体的状況に分けて御説明申し上げます。
 東京地検がこれまで取り調べた本件関係者は、国会議員十七名のほか、児玉譽士夫の周辺関係者、全日空及び丸紅関係者その他の民間及び官庁関係者等約四百六十名であります。なお、現在まで逮捕した者は十八名、公判請求した者は、逮捕した者のうち国会議員三名を含む十五名及び児玉の合計十六名であります。また、押収捜索については、捜索個所は百三十六カ所、うち検察庁が実施したもの九十八カ所、押収物は約六万六千点、うち検察庁が押収したもの三万六千九百点となっております。
 具体的状況について申し上げます。
 一つは児玉ルート関係であります。
 東京地検は、警視庁、東京国税局と緊密な連絡のもとに、米国上院多国籍企業小委員会から公表された児玉譽士夫名義の十七億二千万円余に上る多数の領収証等の分析、検討を行い、これらの領収証に見合う金員の流入状況等の捜査を進めましたが、三月十三日東京国税局より同人に対する昭和四十七年分の所得税法違反の事実につき告発を受け、即日、同人を昭和四十七年分の所得税約八億五千万円を免れたという所得税法違反の事実により東京地裁に公判請求をいたしました。
 さらに、東京地検は、捜査を続行した結果、同人につき、昭和四十八年五月中旬ころから同年六月中旬ころまでの間、クラッターからロッキード社のためにする支払いとして四億四千万円を受領した事実及び同年六月十四日ころから同年十二月十二日ころまでの間、クラッターからロッキード社のためにする支払いとして合計一億三千八百万円を受領した事実が判明したので、本年五月十日及び六月四日いずれも外為法違反により東京地裁に公判請求をいたしました。
 次いで、東京地検は、六月二十九日児玉とともにジャパンライン社の株式売買に関係した株式会社シーボニヤ代表取締役水谷文一を所得税法違反により逮捕し、また、七月三日、警視庁が強要罪により逮捕した児玉の秘書大刀川恒夫の送致を受け、まず、同月二十二日大刀川を右強要罪により東京地裁に公判請求し、次に、八月二十六日東京国税局より水谷に対する右所得税法違反の事実につき告発を受け、即日、同人を右所得税法違反の事実により東京地裁に公判請求をいたしました。
 さらに、東京地検は、八月十二日大刀川を外為法違反の事実により再逮捕し、九月二日児玉及び大刀川の両名について、その共謀により、昭和五十年十月末日ごろ、英領香港にあるグレグソン・リミテッドのほか二社からブラウンリー・エンタプライズ・リミテッドの株式合計三千株を代金約四百万円で買い受けた上、同株券を右グレグソン・リミテッドほか二社にそれぞれ香港において保管させる契約をし、さらに、同五十一年一月二十九日ころ、クラッターから右ブラウンリー・エンタプライズ・リミテッドのためにする支払いとして、日本円八千万円余を受領した外為法違反の事実により東京地裁に公判請求をいたしました。
 さらに、捜査を続行した結果、児玉について、同四十九年二月二十五日から同年十二月二十日までの間、クラッターからロッキード社のためにする支払いとして合計七千百万円を受領したという外為法違反の事実のほか、昭和四十八年分の所得税約二億八千七百万円を免れた事実及び同四十九年分の所得税約四億五千百万円を免れた事実が明らかとなり、これらの所得税法違反の事実については、本年九月三十日東京国税局より告発を受け、即日、児玉を右の所得税法違反及び外為法違反の事実により東京地裁に公判請求をいたしました。
 次に、丸紅ルート関係について申し上げます。
 第一に、東京地検は、後に述べる全日空ルートとともに、丸紅ルートについて被疑者の身柄拘束を含む強制捜査に着手し、まず本年六月二十二日丸紅参与大久保利春を、同年二月十七日及び三月一日衆議院予算委員会において証言を行った際、ロッキード社のコーチャンの指示を受けたクラッターから、昭和四十七年十月三十日ころ三千万円、同年十一月六日ころ九千万円を受領し、かつ、その際三十ユニット及び九十ユニットを受領した旨の領収証各一通に署名したのにかかわらず、金品の授受は一切ないなどと虚偽の陳述をした議院証言法違反の事実により逮捕し、次に、七月二日同社参与伊藤宏を、右予算委員会において証言を行った際、コーチャンの指示を受けたクラッターより、昭和四十八年八月十日から同四十九年三月一日までの間前後四回にわたり合計五億円を受領し、かつ、その際昭和四十八年八月九日百ピーナツ、同年十月十二日百五十ピーシズ、同四十九年一月二十一日百二十五ピーシズ及び同年二月二十八日百二十五ピーシズを受領した旨の領収証各一通に署名したのにかかわらず、金品の授受については全く関知していないなどと虚偽の陳述をした議院証言法違反の事実により逮捕し、さらに、七月十三日同社取締役檜山廣を、伊藤らと共謀の上、クラッターからロッキード社のためにする支払いとして右五億円を受領した旨の外為法違反の事実により逮捕し、一方、七月十九日総務課長毛利英和及び同課員松岡克浩を、七月二十日秘書課長中居篤也をいずれも証憑湮滅罪により逮捕いたしました。
 なお、大久保及び伊藤の議院証言法違反については、それぞれ六月二十五日及び七月六日衆議院予算委員会荒舩委員長から最高検察庁に告発がなされ、さらに、檜山については、本年二月十七日同予算委員会において証言を行った際、前述したように、クラッターから五億円を受領したのにかかわらず、金員の授受については全く関知していないなどと虚偽の陳述をした議院証言法違反の事実により七月十六日同予算委員会委員長から最高検察庁に告発がなされました。
 東京地検は、大久保らを取り調べた結果、七月十三日大久保を、同月二十三日伊藤をいずれも議院証言法違反により、東京地裁に公判請求をいたしました。また、毛利、松岡及び中居の三名については、九月三十日いずれも起訴猶予処分に付しました。
 第二に、東京地検は、逮捕した大久保、伊藤及び檜山らの取り調べの過程において、丸紅関係におけるロッキード社からの資金の流入状況、その使途、趣旨等についても捜査したところ、前内閣総理大臣田中角榮及び元内閣総理大臣秘書官榎本敏夫について、ピーナツ及びピーシズ領収証に見合う計五億円の外為法違反の容疑が濃厚となり、七月二十七日両名を逮捕いたしました。
 その結果、檜山については八月二日、大久保及び伊藤については八月九日、いずれもクラッターと共謀の上、昭和四十八年八月十日ころから同四十九年三月一日ころまでの間前後四回にわたり、ロッキード社のためにする支払いとして、榎本、田中に合計五億円を支払った事実により、榎本については右五億円を受領した事実により、それぞれ東京地裁に公判請求いたしました。
 第三に、東京地検は、あわせて右五億円の趣旨等につき捜査を行った結果、檜山、大久保及び伊藤については、コーチャンと共謀の上、昭和四十七年八月二十三日ころ、右田中方において、同人に対し、内閣総理大臣としての職務権限に基づき、L一〇一一型航空機を全日空に購入させるよう尽力されたい旨請託し、その報酬として現金五億円を供与することを約束した上、昭和四十八年八月十日ころから同四十九年三月一日までの間前後四回にわたり右五億円を供与した旨の贈賄の事実、田中については、逮捕、勾留事実である外為法違反のほか請託を受けて右五億円の賄賂を収受した旨の受託収賄の事実が認められたため、本年八月十六日右四名を東京地裁に公判請求いたしました。さらに、檜山については、九月三十日前に述べた議院証言法違反により追起訴しました。
 また、田中の収受したと認められる五億円の使途についても鋭意捜査しましたが、その個別的な使途を明らかにすることはできませんでした。
 第四に、東京地検は、三十ユニット領収証に見合う金員の流れについて捜査を遂げたところ、昭和四十七年十月下旬全日空代表取締役社長若狭得治及び取締役藤原亨一が相談して、L一〇一一型航空機の導入に関係のある国会議員に金員を贈ることとし、贈り先、金額等を決定した上、ロッキード社の販売代理店である丸紅の大久保らにその意向を伝え、その資金をロッキード社から調達して、全日空の名で国会議員に贈るよう依頼し、大久保は、コーチャンに若狭らの右意向を話して、クラッターから三十ユニットの領収証に見合う三千万円を受け取り、このうち五百万円を丸紅の伊藤が元運輸大臣橋本登美三郎に対し、二百万円を丸紅の秘書課長副島勲が元運輸政務次官佐藤孝行に対しそれぞれ贈ったほか、その余の二千三百万円を同年十月末ころから十一月初旬ころにかけて五回にわたり国会議員五名に贈った事実が認められました。
 そこで、右金員の趣旨等について捜査をしたところ、橋本については、同四十六年一月ころ若狭から全日空が大型ジェット機を国内幹線に投入することができる昭和四十九年ころまで日航の大型機投入を阻止するため、運輸大臣としての職務権限に基づき、日本航空に対し、大型ジェット機の投入を全日空との話し合いがまとまるまで延期するよう指導されたい等の請託を受け、その報酬として供与されるものであることの情を知りながら、同四十七年十一月一日ころ同人らから伊藤を介して現金五百万円を収受した旨の受託収賄の容疑、佐藤については、同四十七年四月中旬ころから同年六月下旬ころまでの間前後数回にわたり、若狭らから、運輸大臣が航空企業の運営体制に関する通達を発する場合には、運輸政務次官としての職務権限に基づき、右通達中に、大型ジェット機の国内幹線導入時期を昭和四十九年度以降とすること等を明記されたい旨の請託を受け、同年十月三十一日ころ若狭らから右副島勲を介して現金二百万円を収受した旨の受託収賄の容疑がそれぞれ濃厚となり、本年八月二十日佐藤を、翌二十一日橋本を逮捕し、取り調べた結果、いずれも九月十日右の罪名により東京地裁に公判請求いたしました。なお、若狭らの右贈賄罪については、三年の公訴時効が完成しているので、訴追の対象とはなりません。
 また、いわゆる三十ユニット中のその余の二千三百万円の授受が認められる国会議員五名については、捜査の結果、
 一つ、ロッキード社から流入した金員そのものの授受はあるが、証拠上職務に関する対価であることが認定できないため収賄罪の成立は認められないが、右金員授受の趣旨がロッキード社の航空機売り込みと関連があると認められるもの 二名
 二つには、ロッキード社から流入した金員そのものの授受はあるが、請託の事実が認められないため単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるもの 三名
 右の二つに分類され、いずれにつきましても刑事責任の追及はできないとの結論に達したのであります。
 次に、全日空ルート関係について申し上げます。
 東京地検と警視庁は、協力の上、六月二十二日強制捜査に着手し、同日全日空専務取締役澤雄次、経理部長青木久頼及び業務部長兼国際部長植木忠雄を外為法違反の事実により、七月七日藤原を同法違反の事実により、七月八日若狭を議院証言法違反及び外為法違反の事実により、また、七月九日副社長渡辺尚次を議院証言法違反の事実により、それぞれ逮捕しました。
 なお、若狭の議院証言法違反については、すでに六月十八日衆議院予算委員会荒舩委員長から最高検察庁に告発がなされており、渡辺の同法違反については、七月九日衆議院ロッキード問題に関する調査特別委員会田中委員長から最高検察庁に告発がなされました。東京地検は、捜査の結果、七月十三日澤、青木及び植木の三名を、同人らが共謀の上、昭和四十九年六月中旬及び同年七月下旬の二回にわたり、エリオットからロッキード社のためにする支払いとして合計約五千百万円を受領した外為法違反の事実により、また、七月二十八日藤原を、昭和四十九年八月初旬ころ、クラッターからロッキード社のためにする支払いとして一億一千二百万円を受領した外為法違反の事実により、さらに、同日若狭を澤らと同一の事実により、いずれも東京地裁に公判請求した上、同日、若狭を藤原と同一の容疑事実により再逮捕した結果、八月十八日、藤原と共謀の上一億一千二百万円の支払いを受領した外為法違反の事実により東京地裁に公判請求をしました。一方、渡辺に対しては、六月十六日及び同月二十四日の衆議院ロッキード問題に関する調査特別委員会において証言を行った際、前記約五千百万円の授受については全く関知していないなどと虚偽の陳述をした議院証言法違反の事実により、七月三十一日東京地裁に公判請求をしました。
 また、若狭が衆議院予算委員会においてダグラス社との間のオプション契約や前述の約五千百万円及び一億一千二百万円を受領した事実について虚偽の陳述をした旨の議院証言法違反の事実については、同人を九月三十日追起訴いたしました。ところで、若狭、藤原らを取り調べた結果、昭和四十七年十月下旬若狭及び藤原の両名は、協議の上、L一〇一一型航空機一機購入につき五万ドル相当の日本円を礼金としてロッキード社に要求することとし、丸紅の大久保にその意向を伝え、大久保は、コーチャンに若狭らの右意向を伝え、同年十一月六日コーチャンの指示を受けたクラッターから九十ユニット領収証に見合う六機分三十万ドル相当の日本円九千万円を受領し、藤原に手交しました。
 このように若狭らは、右九千万円を受領したほか、同四十九年六月及び七月に受領した計約五千百万円、同年八月に受領した一億一千二百万円、以上合計約二億五千三百万円を受け取り、いずれも全日空がすでに保有していた簿外資金に順次組み入れて保管していたところ、そのうち合計五千七百五十万円を同四十七年十一月から同五十年九月までの間前後二十八回にわたり合計十三名の国会議員に贈っていたことが認められました。この点について右金員授受の趣旨を捜査した結果、国会議員の職務に関する対価であることが認定できないため収賄罪の成立は認められませんでした。
 なお、右金員授受の趣旨は、たとえば、政治献金、海外出張の際のせん別、中元、歳暮などであり、ロッキード社の航空機売り込みと関連があるとは認められなかったのであります。
 次に、捜査処理の今後の見通しについて申し上げます。
 いわゆる全日空ルート及び丸紅ルートについては、ロッキード社からのL一〇一一型航空機売り込みに関する資金の流入状況、その使途等のほぼ全容が解明され、その過程において判明した犯罪行為についても、九月三十日をもっておおむねその捜査処理を終了いたしました。しかし、いわゆる児玉ルートについては、現在まで同人に対する取り調べは、その病状に配意しつつ五十回に及んでおりますが、同人の病状等捜査上種々の困難な障害が存し、その使途等の解明がまだ十分とは言えない状況にあります。
 しかしながら、検察当局としては、従来どおりのロッキード事件捜査本部の体制のもとに、今後も捜査上の障害を克服して、いわゆる児玉ルートについて、できる限り迅速にその真相を解明するよう捜査を続行中であります。なお、いわゆるPXL問題等については、現在までのところ犯罪の容疑が認められておりませんが、いわゆる児玉ルートの捜査の過程において、これらの問題についても犯罪の容疑が認められれば、検察当局としては、当然厳正な態度でその捜査処理に当たるものと確信いたします。
 以上のように、ロッキード事件の捜査はまだ続行中でありますが、政府としては、この不幸な事件を契機として、この種不正事犯の再発を防止するため、関係各分野において立法措置を含む所要の方策につき積極的な検討がなされるべきものと考えます。
 終わりに、本事件に寄せられた国民の高い関心にこたえるため、本委員会が終始捜査当局に対し激励と協力を賜りましたことを感謝して、報告を終わります。(拍手)
○田中委員長 御苦労さん。
    ―――――――――――――
○田中委員長 ただいまの中間報告に対して質疑の通告があります。順次これを許します。
 本日の発言は、特に受け持ち時間を厳守されんことを望みます。
 まず、松永光君。
○松永委員 まずお尋ねしたいのですが、ただいまの中間報告によりますと、いわゆる丸紅ルートで、三十ユニットの中の二千三百万円について国会議員五名に金が渡されておる、そのうち二名は職務に関する対価であるということの認定ができない、あとの三名は時効が完成しておるということで、起訴できなかった合計五名の国会議員の数だけ御報告があり、また、いわゆる全日空ルートについては、五千七百五十万円という金が全日空から合計十三名の国会議員に前後二十八回にわたって交付されておるということの報告はございましたが、交付を受けた国会議員の氏名は全く報告がないわけですが、この国会議員の氏名をこの段階で報告できないのはどういう理由によるものか、裁判所において関係の書類等が提出されるまでは明らかにすることができないのかどうか。また、どんな条件が整えば明らかにすることができるのか、そこらの点を大臣から伺いたい。
○稻葉国務大臣 正確には刑事局長から補足してもらいますが、一応お答え申し上げます。
 法務、検察という国家機関の職務権限は、刑事責任の追及を権限とするものでございます。元来、不起訴にした者を公表するなどということはいまだかつて例がないことであります。(「前にもあるよ」と呼ぶ者あり)ほとんど例がないことであります。正確には刑事局長に補足させることを前もってお断り申し上げておきました。しかし、本日の報告でその不起訴に至った類型などを申し上げ、それぞれの人数を申し上げましたのは、議長裁定もこれあり、国会の国政調査権に最大限に協力するぎりぎりの線として、検察のなし得る最大限まで協力するという意味で人数、類型等を申し上げた次第でございます。これによって本委員会がいわゆる灰色高官の定義、その範囲等について意思統一をされる資料にも供するという協力の態度を示すためであります。
○安原政府委員 ただいま大臣が申されましたように、刑事訴訟法四十七条を含めて刑事訴訟法のたてまえは捜査密行ということでございますので、刑事責任を追及するために、公訴を提起する以外の場合におきまして、検察官が取り調べた内容を公にするということは、人権の保護あるいは捜査、裁判に対する影響ということを考えて、原則としてこれを公にすべきではないということが刑事訴訟法の四十七条を含む全趣旨でございまして、ただし書きで国政調査等の要求のある場合には例外的にこれを公にすることもできるとなっておりますが、この際、逮捕された者あるいは告訴、告発を受けた者等すでにその氏名が公然化されておる場合におきましては、不起訴の場合につきましてもその理由等を申し上げることもございますが、それ以外の密行で調べた被疑者等の名前を公にするということは、相当ではないというのが一つの考え方でございます。と同時に、検察官の公訴を提起しない処分というものは、これは裁判によって判決をされる場合のように、確定力を持つものではない、検察官の一応の判断でございまして、それを公開の委員会で公にするということはいかにも検察が裁判の機能を営むということに相なるわけでありますので、公開の委員会で公訴を提起しなかった人の名前を公にすることは、確定力を持たないものを確定力を持つがごとくに公表することは、公開の委員会で避けるべきだという考え方によるものでございます。さらに、その公開の委員会でさような名前を申し上げるということが、結局は当該国会議員の政治的道義的責任を明らかにすることになるおそれがあるといたしますれば、それは検察権の限界を越すことであるということも、これを公開の委員会で申し上げるべき筋合いではない、相当ではないとする理由の一つでございます。
 なお、したがいまして、今回のような国政調査の特段の御要求があるということを考えますときに、これを公開の委員会で公表するということではなくて、国会御当局において追及をなさっております政治的道義的責任の構成要件が定まりますならば、その決まりました場合におきまして、秘密が保持される秘密会の形式でその資料の提供を求められますならば、そのお決めになりました政治的道義的責任のある者と検察、法務当局の考えるものにつきまして資料を提供するということは、刑事訴訟法四十七条ただし書きのぎりぎりの限界の適用として、その程度のことは御協力申し上げることができるのではないかというのが考え方でございます。
○松永委員 いわゆる灰色高官というものについて、政治的道義的な責任があると認められる者が灰色高官ということだというふうに理解をいたしまして、その灰色高官というものの定義づけが国会の中で決められて、そしてその者に対する資料を出してもらいたい。そしてその資料の出し方等については先ほど刑事局長は秘密会という条件をつけましたが、その秘密会で、かつ国会において灰色高官の定義づけがなされた場合においては、国会議員の氏名についても明らかにされるというふうに理解してよろしいのですか。
○安原政府委員 御指摘のとおり、秘密会において政治的道義的責任を有する者とお決めになりましたものに該当する者の氏名、その理由を示せという御要求がありましたならば、それに応ずる用意はございます。
○松永委員 相当長期間にわたって検察庁、東京地検を中心に捜査当局が不眠不休の努力をして真相解明について相当の成果を上げられたことについては深く敬意を表するのですが、いま世間の一部においては、捜査の仕方について、いわゆる別件逮捕あるいは逮捕した後に国会における議院証言法違反による告発をするといったような関係等等があったことについて、さらにはまた、アメリカにおける嘱託尋問を成功させるために日本の国内ではほとんどなされたことのないと思われる不起訴の宣明、こういったことをして捜査をしてこられたわけですが、そういった事柄について、行き過ぎじゃないかという説を言う人があるのでありますけれども、そこらの点について法務当局はどういうふうに考えておられるか、法務当局の見解を承っておきたい。
○稻葉国務大臣 検察当局のロッキード事件の捜査はあくまでも厳正公平な立場を堅持し、適正な法の手続にのっとり真相解明に努力してきたものであります。法務大臣たる私としては、検察当局の捜査処理に全幅の信頼を置いております。
 田中前総理を外為法違反で逮捕したことについて、一部に別件逮捕ではないかという声を耳にいたしますが、これは検察当局の捜査を十分に理解していないものと思われ、はなはだ遺憾と考えております。わが国のように経済の基礎が外国貿易に依存する度合いの強い国では、外為法による規制は必要不可欠であり、それゆえにこそ現行法として有効に機能しているものであります。しかも、その容疑事実は、五億円という巨額に上るものであって、被疑者の地位、犯行の態様等に照らし、ロッキード事件で同法違反により逮捕、起訴された者に比べ、悪質かつ重大と言わざるを得ず、十分に起訴価値のある事案であります。しかも罪証隠滅のおそれが強かった等の事情もあり、外為法違反で逮捕するに至ったのであります。
 およそ捜査は証拠により順次進展していくものであって、外為法違反の捜査の過程で、その共犯者である榎本や檜山らの関係人の取り調べの結果、漸次受託収賄容疑が明らかになってきたのであり、当初受託収賄容疑を取り調べる手段として外為法違反で逮捕したなどというものではありません。しかも、検察当局は、外為法違反の捜査とあわせて明確になってきた受託収賄容疑についても鋭意捜査を行い、外為法違反の勾留期間内に一括処理したものであって、迅速な処理と評価さるべきものであると私は考えます。
 以上、いずれの見地よりも、田中前首相の逮捕は適正かつ妥当であったと確信いたしております。
 また、議院証言法違反のような告発を訴訟条件とする犯罪についても、その必要がある限り、告発前に強制捜査に着手することも適法であることは、判例、通説の認めるところでありますね。
 検察当局としては、大久保らにつき告発前逮捕に踏み切ったが、これは、本件真相を解明するためには、同人らに罪証隠滅、逃亡のおそれが顕著であったなど、その必要性、緊急性が強く存在したからであって、検察当局としては、国会の告発を訴訟条件としている趣旨にかんがみ、たとえば檜山の場合について見られるように、でき得る限り国会の告発を待つという基本的たてまえをとっているのでありまして、この点についても何ら非難を受くべき筋合いとは考えません。
 さらに、嘱託尋問における米側証人に対する起訴猶予の措置は、真相発見のために検察官の有する起訴猶予の権限に基づきとられたものであり、まさしくこれによって初めて同証人らの証言を得ることができたのであって、しかも、右証言は、イミュニティーの法制下の米国管轄裁判所において、証人側の弁護士立ち会いのもとで行われたものであり、その証人尋問調書の証拠能力、証明力のいずれの点からも問題の余地がないことが明らかであります。検察当局のとった措置は、いかなる点からも適切妥当なものであると信ずる次第であります。
 このように、お尋ねのような検察に対する非難はいずれも当たらないことを私は確信いたします。
○松永委員 この本日の中間報告の最後に「政府としては、この不幸な事件を契機として、この種不正事犯の再発を防止するため、関係各分野において立法措置を含む所要の方策につき積極的な検討がなされるべきものと考える。」と、こういうように述べておられますが、この法秩序維持の責任官庁はまさしく法務省でありますから、法務省自身は、この種不正事犯の再発を防止するため、どのような考え方を持っておられるのか、法務当局の見解を最後にただしておきたいです。
○稻葉国務大臣 松永委員にお答えいたします。
 いわゆるロッキード問題の規模、関連する分野を考慮いたしますと、政府として方策を検討すべき範囲は多岐にわたると考えられ、今後関係分野において広範にわたり、この極不正事犯の再発の防止のため、積極的な検討がなされるべきものと考えます。
 法務当局としては、現在、刑法全面改正の作業を行っておりますが、その中ですでに収賄罪の法定刑の引き上げ、これが実現しますれば公訴時効の期間が延長されることに相なります。また、周旋第三者収賄罪の新設などを検討しております。また、多国籍企業不正行為の防止については、関係省庁と協議しつつ、国際間の捜査、司法共助体制及び犯罪人引き渡し条約の整備などを考慮しており、今後これらの点について十分な検討を行いたいと考えておる次第でございます。
○松永委員 約束の時間が来ましたので、終わります。
○田中委員長 横路孝弘君。
○横路委員 法務大臣、この中間報告ですね、これは一体何ですか。二月以来われわれ国会も一生懸命やってきた、検察当局もこの八カ月間一生懸命やってきたことはわかります。わかるけれども、この報告は、これほど国民の期待を裏切る、中間報告という名に一体値するのかどうか。丸紅、全日空ルートの捜査が終わったということですけれども、これはいままでの公訴事実、起訴された事実の羅列にすぎないではありませんか。私は初めに、いま稻葉法務大臣の中間報告を聞いて、これに期待しておった国民は多いだろうと思うのですけれども、まさにロッキード事件隠しの象徴みたいな報告じゃないかということをまず明らかにしておきたいと思います。
 内容的にはいろいろな問題がありますし、これからの時間の中で詰めていきたいと思いますけれども、まず、贈収賄という刑事事件の捜査中間報告ということで、われわれのいままで要求してきた金の流れと政策変更、そういう関連とかプロセスの分析、それが全くないわけですね。これは政府の報告書ということです。政府の報告書ならば、こういう事件が起きたそういうプロセスの分析と、それについての責任を明確にするというのがやはりまず第一に述べられてしかるべきじゃないかと思うのです。そうして、今日に至る自民党内の政変、権力争いの影響がこの報告の中に非常に大きく残っている、それをやはりあわせて指摘せざるを得ないと思うのであります。
 具体的な内容に触れれば、ともかくこの事件の出発点が二月、いわゆるアメリカにおけるコーチャン証言、ここから出発をしているとするならば、チャーチ委員会のコーチャン証言やそのほかの関連者の証言、これで明らかにされた事実のうち、少なくともそこで述べられている事実のうち重要な部分の解明がまだ行われていないならば、どの点が行われていないのかということを明確にすべきじゃありませんか。特に、それは児玉と小佐野の関係、小佐野のオの字もこの報告書に出てこないじゃありませんか。あるいは、いままで衆参両院のロッキード特別委員会で提起されてきたさまざまな問題、後で出しますけれども、そういう疑問を投げかけた、皆さん方が捜査中だから答えられないと言ってきた、そういう内容の一つがこの報告の中に入るかと思ったら、全く何一つとして入っていないじゃありませんか。特にPXLの問題。このPXLの問題はわずか一行で片づけられている。各外国のロッキード事件を見てみると、民間航空機トライスターの問題よりはロッキードの軍用機の問題があちらの国でもこちらの国でも問題になっていて、これが本流じゃありませんか。その問題がどうして日本の場合には――私は、一体刑事捜査の対象にしたのかどうか、それさえ疑わしい報告書だということを指摘せざるを得ないわけであります。したがって、私たちは後で幾つかの点を要求いたしますけれども、今後も捜査を続けるということでありますが、きわめて不十分な内容であるということをまず最初に指摘をしたいと思うのであります。
 そして、それに関連をして、先日、自民党の宇都宮代議士が辞職をするということで議長の方に辞職願を出しているそうですね。あの人はいまの総理大臣の方を支持してきた方でしょう。その彼の辞職願の中にこういうことを言っている。ロッキード事件の解明は派閥次元の政争と取引の手段に堕落をしてしまった、だから自分は本院に身を置いておくわけにはいかないと言って、彼は辞表を出した。きょうの報告書を見たらまさにそのとおりになっているじゃありませんか。いま私が指摘をした幾つかの点について概括的に法務大臣から、あなた一体これでいいと思っているのか、本当に国民の期待にこたえる中間報告だと思いますか、これは。だれも納得しないですよ。まずそれを明確にしていただきたいと思うのです。
○稻葉国務大臣 諸外国の例と比べてこの中間報告は不十分であると仰せられました。そのとおりであります。それは、捜査が全部終わった諸外国と捜査の終わってない途中の報告とは十分、不十分の差があることは当然じゃありませんか、そんなことは。それについて途中であれこれ文句をつけられてもこっちも困るんであります。(発言する者あり)それは、捜査が全部終了した後の報告を聞いてもらった上でそういう非難を受けるならばともかく、捜査の途中における中間報告に対しそういう非難を与えられても、御批判は自由でございますけれども、いまのこの時点においては、捜査の途中にあるこの事件の途中においては、これが刑事責任を追及する検察、法務当局の報告としてはぎりぎりいっぱいのところである、こういうふうに私は考えておる。
○田中委員長 稻葉大臣、ただいまの御発言中、文句を言うという言葉はいかがかと思います。御批判を得る、御批判という言葉に……
○稻葉国務大臣 御批判を受けましたが……
○田中委員長 よろしい。
○横路委員 法務大臣、どうなんですか。やはりこの報告書は、例の宇都宮代議士が言っている派閥次元の政争と取引の手段に堕落してしまった結果なんでしょう。
○稻葉国務大臣 私は、しばしば申し上げましたように、この事件の捜査をする検察庁を指揮監督する立場の法務大臣として、終始一貫、不偏不党、厳正公平を旨としてまいりました。したがいまして、不偏不党はもちろん、自民党内の派利派略などということに断じてとらわれてはいかぬ、厳に戒めてまいったつもりでございます。したがって、法務、検察当局の捜査が派利派略に災いされているという御非難は当たらない。まだ途中でございますから、御不満はいろいろあるでしょう。宇都宮さんの御不満もそれを言われているんでしょう。しかし、それはもう少し最後まで見ていただきたいことだと私は思っております。
○横路委員 この問題が起きましてアメリカ側からの資料をどのように入手するかということは国会で大きな問題になって、国会の決議が行われ、それに基づいて三木総理大臣の親書がアメリカの大統領にあてられる。司法取り決めが行われて資料が渡され、さらに五党の党首会談が行われて議長の裁定、その線でこのロッキード特別委員会というのは真相解明に努力してきたわけであります。この国会の決議と三木総理大臣の親書の内容によれば、これに関連した氏名をやはり公表する、公に明らかにするということが議会制民主主義を発展させるためにどうしても必要だ、こういう基本的な考え方に立ってアメリカ側にも資料の要求をしたのだろうと思うのであります。今日、この報告書が出されて、ユニット三十の関係並びにユニット九十の関係について数が明らかにされたわけでありますけれども、私は、検察当局は別にして、これは内閣としての中間報告であります。この一番最初を見ますと「政府としては、」こうなるわけですね。したがって、従来の経過から言えば、当然これは人数などというようなものではなくて、きちんとその氏名を国民の前に明らかにする。いま衆議院の総選挙を前にして、国民が判断を下す材料というものをきちんと提供するということが、日本の議会制度を発展させるためにどうしても必要だと思うのでありますけれども、その基本的な問題について、細かい条件はどうでもよろしいです、個々のいままでの経過の上で法務大臣としてはどのようにお考えになっていますか。
○稻葉国務大臣 いろいろ経過はありましたが、刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえてこれ以上のことはできないというふうに考えております。
○横路委員 それは法務大臣の見解ですか、内閣としての見解なんですか。
○稻葉国務大臣 私がこの事件に関しては内閣をきょうは代表している。政府の見解である。
○横路委員 これも私は直ちに公表する。先日、委員長の方からも見解がありましたけれども、委員長はこの報告を受けて、委員長自身もやはり変わらないで公表すべきだというふうにお考えですか。私は当然、こうやって頭数が出てきた以上、全員について公表する、この前の委員長の見解はまことに妥当な見解だと思うのですけれども、この報告を受けて変わりないでしょうね。
○田中委員長 いわゆる灰色高官、条件はいろいろありましょう。何を灰色高官と言うか、条件はいろいろありましょうが、いわゆる灰色高官に関しては全面的に姓名を公表することが望ましい、この考えに変わりはございません。
○横路委員 そこで、少し具体的な問題に話を進めていきたいと思います。
 東京地検が取り調べた国会議員の数は十七名ということであります。先ほど法務大臣は、不起訴処分にした者の氏名は公表できないというお話でしたけれども、この十七名は全部被疑者として、つまり事件として立件をした者ですか。
○稻葉国務大臣 そうではございません。
○横路委員 そうすると、事件として立件をした、つまり被疑者として取り調べた者が何名、参考人として取り調べた者が何名、明らかにしていただきたいと思います。
○安原政府委員 被疑者として調べた者三名、参考人十四名でございます。
○横路委員 そうすると、起訴した者三名だけを被疑者として調べて、後の十四名、つまり丸紅ルート、全日空ルートとして先ほどお話がありましたユニット三十の国会議員の五名とそれから九十の関係の十三名、これについては重複もあろうかと思うのでその点後でお尋ねしますが、いずれも事件としては立件しなかった、こういうことですか。この時効の関係も全部事件としては立件していないわけですか。
○安原政府委員 被疑者三名というのは、後に公訴提起を受けた三名でございまして、その他の人については立件の措置はとっておりません。参考人という資格になりまするが、しかし、立件するかどうかということは、これは検察庁の内部の手続の問題でございまして、要はどのような態度で取り調べたかということであると思います。
○横路委員 これはちょっと問題が多いですな。ユニット三十のうちの橋本、佐藤、起訴された以外の二千三百万円というものについては、一つはロッキード社から金を受け取っているわけですね。そして、請託の事実が認められないために単純収賄罪となったというのは、結局、職務権限はあるということですね。これについて、全然事件として立件もしないで、参考人として調べただけですか。それは調べてみなければわからないのではないですか。つまり、きちんと事件としては立件をして、調べた結果どうだということで初めて請託の事実が認められないということになるのが普通じゃないでしょうか。これはどういうことですか、法務大臣。
○安原政府委員 取り調べは、贈賄側から取り調べが進みまして、参考人として取り調べに至ったわけでありますが、立件するということは、犯罪の容疑というものについての見通しがついて立件するのが通例でございまして、贈賄側の調べ等から、時効等の完成というようなことで公訴提起ができないというようなものについては、わざわざ立件というような措置はとらなくてもいいものでございます。
○横路委員 公訴時効が完成しているというのが三名ですね。それからもう一つは、証拠上職務に関する対価であることが認定できないというのが二名ということですね。これはお金のやりとりはあった、しかもこれはロッキードの飛行機の売り込みに関係があったというところまで認定しながら、職務に関する対価であることが認定できないというのは、職務権限がないということなんですか、職務権限はあったけれども、金品の対価性が明らかでないということなんでしょうか、これはどちらでしょうか。
○安原政府委員 横路委員御指摘のとおり、その御指摘の賄賂として認められないという場合につきましては、当該人間に職務権限があるが賄賂とはならない場合もございますが、本件の場合は職務権限がなかったということでございます。なお、念のために、被疑者として立件するということのためには、やはりそれだけの犯罪の容疑が認められる段階に至って立件するのが最も慎重な手続であることも御理解をいただきたいと思います。
○横路委員 きわめて慎重過ぎて、これは大分、つまり田中、橋本、佐藤、この逮捕のあたりから自民党内がきわめて騒々しくなった、派閥の代表者が東京地検に乗り込んでいくなんという事態もあったわけですね。そういう影響を受けているのではないですか。本来ちゃんと事件として立件すべきものを参考人としてしか調べないということは、法務大臣、どうですか、きちんとやはり事件として立件すべきではないですか。
○稻葉国務大臣 刑事局長がお答えしたとおりであります。
○横路委員 ちょっとここで職務権限についてお尋ねしたいのですけれども、この丸紅ルートの五名については、ロッキード一〇一一の航空機の導入に関係のある国会議員に金員を贈ることとして、そして配ったというわけですね。この「航空機導入に関係のある国会議員」ということ、しかも職務権限はある、しかしながら時効にかかってしまったというのは、田中角榮の起訴状を見ても、田中角榮の職務権限というのは、運輸行政に対する運輸大臣を指揮監督する職務権限を有していたというのが田中角榮のいわば内閣総理大臣としての、起訴状の中に記載されている職務権限の一つになっているわけですね。そうすると、この中間報告の趣旨から言うと、これは当時の運輸大臣とか運輸政務次官というのは、つまりここで言う「航空機の導入に関係のある国会議員」そしてなおかつ田中の職務権限と関連を持っている、こういうことになりますね。
○安原政府委員 刑事処分をしなかった人の名前は言わないというたてまえから御理解をいただきたいと思いますが、そういうことを申し上げることが特定につながるというようなことは避けなければならないという観点から御理解を得たいと思うのであります。それにいたしましても単純収賄罪が成立するということを認定しております関係から申しまして、トライスターの売り込みとかあるいは導入というものに関係して職務権限を持っておった者があるということは当然の帰結でございます。
○横路委員 そうすると、いまのこの(二)に関連をしていくわけですけれども、つまりトライスターの導入に関連をして職務権限を持っていた運輸大臣だ、運輸政務次官だというあたりになりますね、これは。
○安原政府委員 そういう方も入りましょうけれども、理論的には国会議員としての職務として、国政調査の関係で運輸省の所管事項に関連するというようなことも国会議員の職務ということにも相なるわけでありますが、必ずしも運輸大臣、政務次官とは限らないのではないかと思います。
○横路委員 この職務権限については、前にも八月十九日のこの委員会で議論をしたことがあります。そのときには、職務権限というものはやはり運輸大臣、運輸政務次官については、これは職務権限はあるだろう、あるいは国会議員といっても、これは国会の質問等で関連をすれば別ですけれども、そうでなければ、これはやはり運輸大臣、運輸政務次官ということだ。それで職務権限について、そのほか私の方では官房長官の職務権限はどうかというようなことも聞いたわけでありますが、これは関連は職務権限としては薄いかもしれない、こういう御答弁があったわけです。
 そこで、大体わかってきたわけでありますけれども、すでに新聞等でもいろいろ報道され、この委員会でも質問等で明らかにされ、本人も認めているケースもあるわけですね。たとえば福永代議士は記者会見で全日空からこの時期に献金を受けたことを認められているようですし、佐々木秀世代議士も運輸大臣であったときに百万円の金銭について受け取ったということを認めておられるわけです。あるいは読売新聞の報道によりますと、九月十三日、丸紅の伊藤前専務証言ということで、当時の官房長官のところへお金を持っていったというような記事まで出ているわけでありますが、これらのことで、特にこの国会等で指摘のあった部分については捜査終了次第その事案について報告する、こういうお話だったわけです。中間報告が出た以上、これはどうなんでしょうか。私は法務大臣として明らかにしていただけるのではないか。いままで本人の認めているケースだとか、こういう記事に名前まで出ているようなケースがありますよ。これは、事実でないなら事実でないとむしろはっきりした方がいいでしょうし、事実なら事実だということで、このどこに入っているのかということをやはり明確にすべきではないですか。
○稻葉国務大臣 いま認めている人もあるとか、そうでない人もあるということもあるのでしょうが、そういうふうに認めている人とか認めていない人とか、私、これを知らないのですね。(「知っているよ」と呼ぶ者あり)知らない。知らないです。それで、そういうことについて不起訴にとにかくなった者の政治、道義責任の追及者はわれわれではないのですから、その点について、私の口からこういう公開の席で申し上げることは差し控えさせていただきます。もし御不満ならば、刑事局長に補足させます。
○田中委員長 何か局長にちょっと言っていただきますか。
○横路委員 いいです。
 要するにいまの点で、この丸紅関係の五名について職務権限の関係で二名起訴にならなかった。それからもう一つは、請託の事実が認められないために時効が完成しているということで三名落ちた、こういうことですね。そしてその職務権限はあるけれども請託の事実が認められないためということになりまして、田中の起訴状そのほかから追っていって、当時職務権限を持っていた者はだれかということになると、これは範囲がきわめて限られてくるわけですし、しかも、いまのやりとりの中で、法務大臣は知っておられるようですけれども、自分の口からは言えないということのようです。大体は国民の前に明らかになったのではないかというように思います。
 そこでもう一つ。全日空のルートですけれども、これは合計五千七百五十万円を四十七年十一月から五十年九月までの間二十八回にわたって合計十三名の国会議員に贈っていたことが認められたということですけれども、この十三名とユニット三十の関係の五名、これは何名の重複があるのですか。同じ人間もいるでしょう。
○安原政府委員 重複のあることは事実でございますが、重複の数字を言うことは、結局は氏名を特定することに結びつきかねない……(「ならない、ならない」と呼ぶ者あり)私どもではそうなるのでございます。
○横路委員 取り調べた国会議員の数は十七名でしょう。そしてユニット三十の関係が五名で、九十の関係がいわば十三名、合計十八名ということになるわけですね。そうすると、中には取り調べをしていない人間もいるわけですか。
○安原政府委員 全部取り調べております。
○横路委員 そこで、重複している数を言うと特定されるということの意味がちょっと、刑事局長、わからないのですけれども、これはどういうことでしょうか。
○安原政府委員 それを申し上げることがいたしかねるわけでございまして、重複するのでございます。
○横路委員 私たちもやはりそれは捜査に差しさわりがあるからというようなことで、いままで言えないというような答弁を、ずいぶん不満はあったけれども、捜査中だからということで来たわけでしょう。それをいまこの時期になって、別に氏名が表に出るわけでもない。それは大体推測のつく部分もありますけれども、しかし、重複した数が何名かということを言えないというのはおかしいじゃないですか。法務大臣、これはどうですか。(「重複は言っても特定することでも何でもない」と呼び、その他発言する者多し)
○田中委員長 みなさん、お静かに。質問、ゴーオン。(発言するものあり)それは委員長にお任せを願います。適当に発言をします。ゴーオン。
○横路委員 その、委員長に任せるというのはどういう意味ですか。
○田中委員長 注意をしてくれというのでしょう。
○横路委員 いや、要するに、重複しているのは何名かぐらいの数は明らかにしたっていいんじゃないか。
○田中委員長 だから、重複を明らかにするということを委員長から発言をすることはお任せを願いたい。もう少し進めなさい。もっと進めて、その上のことだ。
○横路委員 ちょっと待ってくださいよ、委員長。
○田中委員長 いや、よくわかっておるのです。
○横路委員 法務大臣、つまり重複者の数を明らかにすることは、どういう差しさわりがあるのですか。
○安原政府委員 十分に御納得のいけないことはいけませんので申し上げますと、三十ユニット五名のうち三名が十三名と重複しておるわけであります。
○田中委員長 十三名の三名だね。それでわかるね。
○横路委員 そうすると、国会議員十七名のうちの被疑者としての三名というのは、逮捕されて起訴された三名のことでしょう。これはいいわけですね、なるほど。
 そことの重複はわかりましたけれども、ユニット三十の方の五名との重複はどうなんですか。五名と十三名との間の重複は。
○安原政府委員 先ほどのユニット五名、公訴を提起しなかった五名のうちの三名が、全日空関係、裏金関係十三名の中に入ってオーバーラップしておる、こういうことです。
○横路委員 わかりました。
 そこで、この金員の授受の趣旨というのが、
 「国会議員の職務に関する対価であることが認定できない」という、ここはどういう意味なんですか。つまり、職務権限の問題とその対価性の問題とやはり二つあると思うのですけれども、これは職務権限がなかったということなんでしょうか。
○安原政府委員 職務権限がなかったということでございます。
○横路委員 この十三名について「例えば」ということで「政治献金、海外出張の際のせん別、中元、歳暮」というような形で分かれていますけれども、この類型について何名というようなことで分けては公表できないのですか。これはどうして公表できないのか。実は、たとえば海外出張の際のせんべつという問題を一つ取り上げてみますと、この委員会では、全日空の日台航空路への進出の問題について議論が行われたわけであります。そして、やはり国会の議論やいままでのいろいろな報道によれば、全日空は自分の利権を確保するために、台湾に対してたとえば人を派遣するといいますか、その際お金を渡しているというような場合もあるわけですね。確かにその場合には職務権限の問題が出てくる。しかし、内容はきわめて賄賂性が強い。つまり、それは刑事責任の追及はできなくとも、政治的道義的にこの場合はその責任というのがきわめて重くなるというようなことは、こういう羅列だけではわからないわけですね。したがって、その内容をやはりかなり明確にしてもらわなければ困るわけです。この政治献金は何名、海外出張の際のせんべつは何名、中元何名というような形ではこれは分類できませんか、法務大臣。
○稻葉国務大臣 私はその内容を知りませんが、もし分類できるようでしたら、安原刑事局長が分類するでしょう。
○安原政府委員 合計二十八回十三人ということでございますから、人間として何回ももらっておられる方がおられるわけで、その何回ももらっておられる方の趣旨がまたいろいろに分かれておりますので、これを直ちに統計表につくることは容易にはできないみたいでございます。
○横路委員 作業がむずかしいからそういう点は公表できないというならば、時間をかけて作業をして明らかにしてください。これは法務大臣、いかがでしょうか。
○安原政府委員 結論は、二十八回十三人でございますから、人によっては五回ほどもらっておられる方もおられるようでありますから、いまおっしゃるように、時間をかければできるわけでございます。
○横路委員 委員長、それでは、これはこれから公表問題もありますから、きちんと委員長の方から指示して、類型別に分けて公表するように要求してください。(発言する者あり)
○田中委員長 諸君、お静かに。
 刑事局長、二十八回十三人と、この関係はもう少し分析して、そうして一覧にいたしましょう。(「できているよ」と呼ぶ者あり)いや、それはできておる、おらぬは別だ。
○安原政府委員 この報告は、捜査に関する検察からの報告を受けた法務当局の捜査に関する報告でございまして、いわゆる灰色高官の定義を直接してわれわれが報告しているわけではございませんので、要するに、職務権限のなかったものとしてということにおいては一致しておりますので、便宜――便宜といいますか、刑事的観点から言えば、これで正しい類型別だと思っております。
 ただ、御指摘のように、何も政治献金か御祝儀かというものを、数を分けることを避けるべき筋合いではございませんので、御要望とあれば、そういう作業もやってみます。
○田中委員長 それじゃ、お願いします。それを出していただくこと。
○横路委員 では、それは明らかにするということでわかりました。
 それからもう一つ、問題は……
○田中委員長 ちょっと待って。
 局長、ただいまの二十八回、十三人という分析は、五党で、与野党で灰色高官の基準を定めることにも関係がありますから、なるべく早く……(発言する者あり)まあなるべく早くしてください。早くいきます。
○横路委員 きょうの委員会が終わるまでは無理ですか。法務大臣、どうですか。それは法務大臣、きちんとその点相談して、時間の余裕はないのですから、早くやらせるようにしてください。
○稻葉国務大臣 よく相談して、一刻も早くいたすようにします。
○横路委員 そこで、もう一つお尋ねをいたします。
 この中間報告の中で「田中の収受したと認められる五億円の使途についても鋭意捜査したが、その個別的な使途を明らかにすることはできなかった。」こういうことでありますけれども、これは従来から本委員会の議論の中で、この五億円の使途についても何回か議論が行われてまいりました。明らかにすることが全然できなかった、これはいままでの答弁とニュアンスがかなり違うわけですね。ある程度はもう明らかにされたような、そしてなおかつ明らかにするために捜査をしている、こういう従来の答弁だったと私は思うのでありますが、これはどうしてこういうことになったんですか。
○安原政府委員 五億円につきましては、その使途を究明することが五億円の趣旨を明確にするために必要であるという観点から、検察当局としてはその使途を究明することが最も望ましい、好ましいということで鋭意捜査をしたわけでございますが、検察といえども万能ではございませんので、具体的な使途は解明ができなかったということでございます。
 しかし、その捜査の過程におきましては、あえて申しますならば、田中前総理の関係企業の会計、それから七日会とか越山会というようなものの会計、それから自由民主党の党の会計というものにつきまして、そういう金が入っているかどうかは調べましたが、そういうものが入っているということは認められなかったという程度のことは調べておるわけでございます。
○横路委員 それは国民としては全く納得のできないところなんでありまして、問題は、今度のこの一連の経過の中で、この前の参議院選挙で田中金脈問題というのは批判をされた、彼が総理大臣になってからこういうロッキード社の航空機導入に関する汚職行為が行われたというのがいま明らかになっているわけですね。そしてこの間、四十七年のこの前の衆議院総選挙、四十九年の参議院選挙というものがありまして、たとえば田中派所属の議員が田中関連の政治団体からどれほどたくさんのお金を受け取っているか、ピーナツ、ピーシズのこの時期にですよ。これはともかく田中軍団九十名弱と言われておりますけれども、ほとんどに行っているじゃありませんか。しかも四十七年の下期から五十年上期にかけて三千万円以上もらっている人が十数名おりますよ。こういう金は一体どこから出たのですか。もちろん、この五億円ばかりじゃありません、いろんなところにあの人は手を伸ばしておったようでありますから。しかし、それは捜査されて全然明らかにされなかったというような報告で、これで国民は納得できるでしょうか。法務大臣、どうですか。こんなにたくさんもらっておる人がおるわけですよ。
○田中委員長 安原局長、まず答弁。
○安原政府委員 御関心の深いことは、検察当局もよく知っておりますが、おのずから検察権の限界もございますし、能力の限界もある。その捜査をするについての熱意に欠けるところはなかったが、万能ではなかった。手を抜いたというお考えは、全く検察に対する誤解でございます。
○横路委員 そしたら、これだけのお金というのはどこから出たんですか。田中派議員、これは衆参合わせて大変な数ですよ。これはたくさんの人がいますよ。この金はどうやってつくったんですか。その辺はやはりこの五億円の使途と絡ませて当然調べるべきじゃないですか。法務大臣、どうですか。これでいいですか。「五億円の個別的な使途を明らかにすることはできなかった」、もう断定的ですよ。
○稻葉国務大臣 調べたけれども、力が及ばなかった。
○横路委員 じゃ、ちょっと刑事局長にお尋ねしますけれども、その越山会とか七日会とか自民党の関係とおっしゃいましたけれども、これは皆さんの方でどういう人たちを調べたんですか。これはきちんと自民党の経理局長そのほかも調べておるわけですか。
○安原政府委員 だれを取り調べたかは言うわけにはまいりません。ただ、その使途を究明するという意味で必要な人は取り調べたはずでございます。
○横路委員 これは各団体の経理責任者は少なくとも調べているわけですね。それぐらい調べなかったら、これはわかったとかわからないとか言えないはずです。
○安原政府委員 先ほど御指摘のようなところに入っていないということを検察当局が判断する以上は、最善の手段で捜査をしたことでございます。
○横路委員 稻葉法務大臣、先ほどあなたは、中間報告の段階で私が冒頭述べたような批判は困るというお話であった。そうしたら、まだ継続して調べますか。これはほかのルートとも関連してくるわけでしょう。どうですか。継続して調べられたらどうですか。
○稻葉国務大臣 それはもう御指摘を待つまでもなく、一生懸命調べたんです。それはもう必死にやったんです。やったけれども、ついにわからなかった、こういうことです。
○横路委員 残念ながら時間がなくなりました。私はこの点は継続して捜査されることを強く要望いたしておきたいと思います。
 そこで、あと二つほど簡単にお尋ねをしたいのでありますけれども、コーチャンの証言の中に小佐野賢治氏の名前が出てきております。つまり、児玉譽士夫ともどもロッキード社の販売についてのいわば戦略本部とも言うべき機能を果たしたというのが、証言に明確に出てきておるわけでありますが、この中間報告の中には小佐野賢治氏のオの字も出てまいりません。世上言われていることは、小佐野賢治氏にはきわめて有力な顧問弁護団がついている。つい先日まで検事総長をやっておりました大澤一郎氏、その前の検事総長の竹内壽平氏も国際興業株式会社の顧問弁護士だというように言われておるわけであります。したがって、そのことが小佐野氏のオの字も出てこない一番大きな要素ではないか。私たちもそう考えざるを得ないほど、この捜査が全く行われず、あれほどコーチャン証言の中で明確に出ながら、小佐野賢治氏については一言の報告もないのは、これはまだ捜査中だということなのか、最初からやる気がないのか、これはどうなんですか、法務大臣。
○稻葉国務大臣 いま、やめた昔の検事総長の名前を挙げられて、小佐野賢治氏の会社の顧問弁護士をしているというような事実を挙げられまして、検察陣営が何か先輩に遠慮しているかのごときお言葉がありましたが、もう断じてそういうことはありません。御信頼いただきたいと思います。
 それからもう一つ、あきらめたのか、これはとんでもない話でございます。だから、児玉ルートについては今後も捜査本部をそのまま存置して鋭意捜査を続行する、こういうことを申し上げた次第でございまして、いま児玉ルートは鋭意捜査を続行中でございますので、特に小佐野賢治という名前が出てこなくても御了承願いたいと思います。
○横路委員 捜査中だということですが、この児玉・小佐野ルートに関連をしてこの捜査が進展しないのは、もう一つ理由があるのじゃないか。それはいわゆるPXL、P3Cオライオンの問題だ。私がお尋ねしたいのは、このP3Cオライオンというのは、この間カナダ政府が購入したのは飛行機一機百六十七億円というしろものであります。これを防衛庁はことしの初めの業務計画案の中では四十一機、全体としては百機ほど購入したいという希望があるやに聞いております。これがアメリカの国防総省の政策、つまり、現在アメリカも岩国にこの飛行機を配属して日本海における対潜哨戒活動というのを行っている、日本の海上自衛隊も同じ飛行機を採用すれば、いわば共同的に行動ができるからということで、このPXLに関してはアメリカの方も資料を日本側に渡していない、日本側も刑事捜査の対象にしなかったのではないか。どうもこれ、さっぱりというか、一行だけでしょう、この報告の中に出てくるのは。PXLについてやる気はあるのですか。アメリカ側からの資料の中には情報提供は全くなかったのですか。この点をお尋ねしたいと思います。いかがですか。
○稻葉国務大臣 PXLについてはやる気があるのかどうかというふうに聞かれますのは、私、心外千万なんです。この事件の全貌について徹底究明をするということは、政府の厳然たる態度であります。法務当局の責任であります。したがって、いまこれを究明すべく全力を挙げておりますので、ロッキード調査特別委員会の各位におかせられましても、御協力をお願い申し上げます。
○横路委員 PXLについてアメリカ側の資料の中にこれの情報提供はあったのですか。
 それから、一体このPXLの関係、何人調べたのですか。これは全然ないじゃありませんか。それだけ最後にお答えいただいて、私の質問、時間が参りましたので、終わりにいたしたいと思います。
○安原政府委員 アメリカ側の資料の中にどういうものがあるかは申し上げるわけにはまいりません。これは御理解いただきたいと思います。
 なお、PXLの関係につきましても、検察当局が関心を持っていることはしばしば申し上げたわけですが、目下、現在までのところ犯罪の容疑を見出せなかったということでございまして、(横路委員「何人調べたの」と呼ぶ)防衛庁関係者等を調べておりますが、数については聞いておりません。
○横路委員 終わります。
○田中委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 法務大臣に、私はまず、この中間報告は三木内閣の後退姿勢、ロッキード事件の幕引きということを顕著に示したものであると思います。先ほどの質疑の中でもそれが指摘をされましたが、たとえばこの中で、国会決議で、政府高官名を含む一切の未公開資料の提供を求める、これは国会決議に決まっていることであります。行政当局にしても、それから国会におきましてもこの趣旨を貫徹するということが義務であるにもかかわらず、これには一言も触れていないし、それから、この中間報告の目的については「公開された委員会において法務当局が開示できる最大限のものである。」読みましても、新しいことを発見をして、ああこうだったのかということを国民が思うようなものはほとんどない、この中間報告が最大限のものである、これは国民に対する挑戦であります。
 具体的なもので言いますならば、たとえばPXL、これについて言うならば、何と言っていますか。容疑が認められれば捜査をする。PXLについて容疑を認めてないような国民はいないです。これが堂々とこういう国会で言われるということは、私は全く三木内閣が大変な後退をしているということを明らかにしておると思います。先ほどの同僚委員の質問には、これは中間報告であるから捜査の終了を待って見てもらいたいということを答弁しましたけれども、そういう問題ではない。三木内閣の姿勢の後退であります。一体、この三木親書では何と言いましたか。「関係者の名前が明らかにされず、この事件がうやむやに葬られることは、かえって、日本の民主政治の致命傷になりかねないとの深い憂いが、いまの日本に広まりつつある。私もその憂いを共にする。」と言った。このような中間報告がなされるということは、この憂いが日本じゅうにますます広がっていくということであります。法務大臣、私がいま指摘したようなことについて一体何と考えるか。明らかに後退しているのではありませんか。
    〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕
○稻葉国務大臣 後退しているというふうに御批判があります。御批判ですけれども、容認するわけには私はまいりませんので、私どもとしては後退はしてない。これから継続してPXLについても児玉ルートについても解明すると、こう申しているわけです。しかも三木総理の、そういう者の氏名が全然出ないでうやむやになるようなことがあればわが国の民主政治はどうなるかわからぬで憂いにたえない、こういう点は、この中間報告でも前総理や元運輸大臣、元政務次官というような、そういう政府高官についても名前を明らかにしているということで、うやむやにしたという批判は私は受け取りたくありません。
○松本(善)委員 これだけの大事件が、三人起訴しただけで済むと思ったら大間違いであります。特に田中角榮の収受した五億円の使途について、いまも論議がされましたけれども、一体この問題は、前総理大臣が賄賂を収受していたということの事件については中心的な問題であります。この五億円の使途がわかりませんでした、そしてもう調査はやめです、これは一体何事でありますか。外国から、これはもしこの金を政治資金として使っているならば、そして政治資金として受け取ったならば、公職選挙法でありますとか政治資金規正法でありますとかいうことの違反になるばかりではなく、外国の金で政治活動をやっておったという重大な政治的道義的責任の問題にもなるわけです。一体、この金は自民党のために使ったのかあるいは田中個人で使ったのかあるいは派閥で使ったのか、こういうことの全貌が国民の前に明らかになることが必要だと法務大臣はお考えにならないのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○稻葉国務大臣 そういう金の行きそうなところはずいぶん皆調べたんですね。そこへ入ってなかったんですな。(「どこへ行った」と呼ぶ者あり)どこへ行ったのだろうと調べたけれども、ついにわからなかった。ついにわからなかった。一生懸命にやったのです。それは一生懸命にやったのです。どうしてもわからぬのですな。あらゆる行きそうなところは全部調べたのだけれども、どこかへ行っちゃったんですね。
○松本(善)委員 私はそれは大変不謹慎な発言だと思います。捜査当局は国民にかわって強制的な権限を持っているのです。それをわかるまでやるというのが捜査当局の責任ではありませんか、責務ではありませんか。それをなぜいま放棄する。もう将来にわたってこの究明は不可能であるということを論証できますか。
○安原政府委員 五億円の問題につきましては、五億円の趣旨を明確にするということで捜査をすることは検察の権能として可能でございます。その意味において捜査をしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、検察といえども万能ではございませんので、熱意に欠けるところなくとも、わからないことはわからない。しかし、わかり得る方法として、行ったと疑われるところにつきましては捜査をしたが、そういう方向には入っていなかったということでございまして、絶対に不可能であり、もうやめるというようなことであるかどうか、結局、検察の処分というのはある段階における一つの判断で、これは羈絆力を持つものではございませんから、容疑を見出せばさらに捜査に着手することは当然のことでございますが、現在のところ犯罪の容疑を見出すことができなかった。犯罪の容疑のないものについて調べろとおっしゃるのは無理なことでございます。
○松本(善)委員 ここでは、この報告では「使途を明らかにすることはできなかった」と言っているじゃないですか。これは将来にわたっても重大だから今後とも追及していくというなら、追及していくということを書くべきですよ。こういうことが書かれているということが、重大な後退だということを言っているのです。
 私はこれから安原刑事局長に聞きたいが、あなたは八月十八日に「使途について調べたが、犯罪の容疑を抱くに至らなかったということでございます。」というふうに答弁をし、稻葉法務大臣はその後九月八日の答弁でもこれを確認して「捜査は大体終わったが、それが犯罪を構成する状態のような配り方になっておるという報告は受けておらない、」と答えております。これは使途を調べた、わかった、しかし犯罪ではないということを言っているのですよ。この中間報告で言っていることと違うじゃないですか。安原刑事局長は、この間答弁をしたことは間違いであったということでありますか。うそを言ったということでありますか。
○安原政府委員 私はうそを言ったつもりはないのでございまして、先ほど申しましたように、捜査をしたが、犯罪の容疑は見出せなかったということは、使途がよくわからなかった場合にもあり得ることでございます。
○松本(善)委員 刑事局長はそういう趣旨を言ったというのですか。言葉どおり読みましょうか。「使途について調べたが、犯罪の容疑を抱くに至らなかったということでございます。」これと、その「使途を明らかにすることはできなかった」ということは同じですか。
○安原政府委員 使途を調べた、その結果、犯罪の容疑を抱かなかったということと、それがその間に具体的な、個別的な使途を見出せなかったということが矛盾することではないと思います。
○松本(善)委員 私は、そういうようなすり抜けの答弁は国会で許されないことだと思います。だれが聞いてもこれは違ったことです。中間報告でそういうのはもっと詳しく書くべきです。どこまで明らかになったか、どうなったか、そういうこともしないで、もうできません、わかりませんでしたというようなことを言うというのは大変な問題だと思います。捜査当局の責任の放棄です。それから、国会に対する協力をしないということで、あります。
 次に聞きたいのは、この全日空の裏金関係です。ここでは二億五千三百万円のうち五千七百五十万円が十三名の国会議員に渡ったということが言われておりますが、約二億円の行方の捜査は一体どうなっておるのですか。
○安原政府委員 現に裏金として保有されておるわけでございます。
○松本(善)委員 この十三名の国会議員は運輸関係の国会議員あるいは国政に重大な影響を与えることのできる国会議員ではなかったのだろうか。当時の状況からして、ロッキード社などが航空機の売り込みについて非常な競争をやっておった。これを十分承知し得るような立場にいた国会議員でなかったかどうか、この点について伺いたいと思います。
○安原政府委員 運輸関係という意味はどういう意味ですか、要するに、自民党の航空部会関係ということと理解して申し上げます。そういう方もおられます。
○松本(善)委員 そうでない人もいるということですか。
○安原政府委員 そういうことでございます。
○松本(善)委員 所属党派は複数ですか。
○稻葉国務大臣 これは公党の名誉にも関することです。したがって、われわれ法務当局として、先ほど申し上げましたように、刑事責任追及の立場から、刑事責任追及をすることのない政治的道義的責任があるかどうか、それも国会によってこれからだんだん調べて決めていかれる、そういう人の名前は公表するわけにいきませんと同様に、公党の名誉に関することですから、党名をこれこれと申し上げるわけにはまいりません。
○松本(善)委員 このロッキード疑獄は構造的疑獄というふうに言われております。この政治の金権体質を一掃するということが私たちの国会の任務であります。法務大臣はこの問題について、派閥のいかんあるいは党派のいかんを超えて、このロッキード関係の金をもらった、そして黒色、灰色を問わずこういう疑いを持たれるという関係の者は全部明らかにする、そうして日本の民主主義の発展を図るというのが趣旨ではないか、これに反対なのかどうか、伺いたいと思います。
○稻葉国務大臣 私の申し上げたことに誤解があるようですから、正確に申し上げますと、政党別は、個人の氏名を明らかにすることとは異なります。個々の政党は、構成員個人の名誉とは別個に、それ自体名誉を有しており、もし国会において灰色高官の定義や基準が決定される以前に党派別内訳を明らかにすることは、特定の政党の名誉を侵害することにもなり、法務、検察本来の職務に照らし適当でないので、公開された委員会においては答弁を差し控えたいと思います。
    〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕
○松本(善)委員 この中間報告では、「政治献金、海外出張の際のせん別、中元、歳暮など」というのが金員授受の趣旨であって、「ロッキード社の航空機売り込みと関連があるとは認められなかった」というふうに言っていますが、この名目のいかんを問わず賄賂になるということが十分あるということは、すでに安原刑事局長も本委員会で答弁をしているところでありますけれども、その点はいかがですか。
○安原政府委員 政治献金であろうとせんべつであろうと、名目のいかんを問わず、その金銭と職務との関係に対価関係があれば賄賂罪が成立するわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、この対価関係がこういう場合でもあり得るということであると思うのですけれども、この点についてすでにわが党の中島委員が質問をしたことがあります。
 この裏金の一億六千万円は全日空の国際線進出をするための賄賂資金だ、これは全日空のトライスター売り込み、権益拡大と一致をしていて、この一億六千万円は徹底的に究明されなければならないということを言ったところが、稻葉法務大臣は、それは当然のことであります、それは遠くないということを覆われました。そしてそれについて、全日空が日中路線を獲得するためにいろいろ関係委員会で発言がある、これは、これに関係して少額であっても金が渡っていた場合には賄賂ではないかという疑問が起こるけれどもどうだ、政治資金として受け取ったということを主張しても賄賂になる場合があるというふうに質問をした場合に、安原刑事局長は「御指摘のような事柄で金銭が渡され、それが国会議員の職務と対価関係があれば、たとえ政治献金という名前であっても賄賂性を否定するわけにはいかない」と、いうことを、一般論ではあるがということで答弁をしております。こういうようなことがこの十三人に関してはないということでありますか。
○安原政府委員 一般論は一般論として、私はいまもそのように考えておりますが、今回の十三名につきましては、名目のいかんは別といたしまして、職務関係としての対価関係がなかったということで、なかったと認められたということでございます。
○松本(善)委員 児玉ルートについてでありますけれども、この児玉ルートについて「コーチャン回想」ではすでにいろいろな疑惑が述べられております。児玉から、小佐野に対して五億円を要求された、この点について、小佐野に児玉から五億円渡ったのではないかという疑惑もありますし、それから中曽根康弘氏についてはトライスター売り込みに関する政府レベルの工作で、児玉譽士夫を通じて中曽根氏が重要な役割りを果たしたということもあります。二階堂進氏については、小佐野とつながって売り込み工作に動いていたという趣旨のことが述べられております。こういう点については、今後の捜査方針としては一体どうするのかということは明確に述べられなければならないはずであります。一体、そういう点についてはどういうふうに考えておるのか、やる気があるのかないのか、この点は明確にお答えをいただきたいと思います。
○安原政府委員 いま御指摘のような事柄が情報として伝えられておることについては検察当局も十分に関心を持っておるわけでありますし、いまなお捜査は途中でございまするから、ロッキード事件の解明のために犯罪の容疑が見出されるときには、いかなる者であろうと取り調べをして真相の究明に努める所存には何ら変わりはございません。
○松本(善)委員 法務大臣、三十ユニット関係と、それから全日空裏金関係の国会議員の氏名を公表することはできない、秘密会でやるという趣旨が答弁をされました。その中で、刑事局長も言いましたが、人権ということを言いました。
 そこで、私は法務大臣に伺いたいのでありますが、この対象とされている政府高官、また国会議員というのは公務員であります。国会議員も特別職の公務員であります。この公務員につきましては、人権といいましても、名誉権につきましても特別の問題であるということを御存じであるのかどうか。憲法の十五条は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の権利である。」公務員が適当な者でないならば、これを罷免をするというのは国民の権利であります。特に、国会議員のように選挙によって選ばれる公務員は全人格的評価を受けなければなりません。国民はその人について知る権利を持っております。特に刑法二百三十条ノ二の三項によりますと「公務員又ハ公選ニ依ル公務員ノ候補者ニ関スル事実ニ係ルトキハ事実ノ真否ヲ判断シ真実ナルコトノ証明アリタルトキハ之ヲ罰セス」ということで、名誉毀損罪にも当たらないということが規定されております。政府の調べた事実は真実でありましょう。これを明らかにしないということは、わが国の刑法上からも、その灰色高官ないし灰色の政治家、この名誉を刑法での保護以上に保護するということであります。これは政府が進んで、人権というようなことを言わずに、国民の知る権利という立場から、公益の立場から公表するのが当然であると思いますけれども、法務大臣は、私がいま申しました憲法十五条、そしてまた刑法二百三十条ノ二の規定との関係においてこのことを何と考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○稻葉国務大臣 特別職の国家公務員たる国会議員につきまして、一般人より厳しい責任を追及されることは当然であります。であればこそ、検察当局、法務当局は一生懸命にこの事件を捜査して三名の起訴をしたわけであります。起訴に当たらない者が多数ある、それの名前をどうして言わないかといえば、これは繰り返しましたように、これはこっちの職務権限を非常に逸脱することになるわけです。政治的道義的責任を検察当局が追及して発表するということにつながるわけですから、それはゆゆしいことで慎まなければならぬ。まさにそれをおやりになるのは国会の国政調査権に基づく政治的道義的責任の究明とその公表になるのではないでしょうか。
○松本(善)委員 それは違うのです。それは総理大臣も四月二十七日の参議院予算委員会でそれを発表する権限があると言っています。捜査当局と政府とは違うのです。検察庁から報告を求めて、法務大臣あるいは総理大臣が発表するという権限がありませんか。お答えいただきたい。
○安原政府委員 松本委員御案内のとおり、刑訴法四十七条その他刑事訴訟法の法規は、特に四十七条につきましては、書類の保管者である検察官その他訴訟関係人が直接の名あて人でございまするから、その者に対しては直接の適用があるがゆえに、ただし書きの適用ということについて特に例外的に公表が許されるということになっておりまするが、それを指揮監督をなさる法務大臣ないしは総理大臣といえども、四十七条の直接の名あて人ではないにしても、法令を適正に遵守すべきことを指揮監督する立場におられる総理大臣ないしは法務大臣とされましては、四十七条の趣旨には拘束されるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、その趣旨に沿うかどうかということの判断は総理大臣、法務大臣がなさることでございまして、検察官がすることと理論的には違うこともあり得ると思いまするけれども、四十七条の適用ということにおける検察官の判断と、それを監督する総理大臣、法務大臣の判断とが違うということは好ましいことではないと思っております。
○松本(善)委員 とても納得ができるものではありませんが、一つ伺っておきます。
 秘密会でという話でありますが、秘密会で発表された氏名が漏れた場合にはどうなりますか。
○稻葉国務大臣 こちらはわかりません。
○松本(善)委員 終わります。
○田中委員長 この際、御報告を申し上げます。
 先ほど二十八回、十三人の分析を急いで調べよと言いましたが、ただいま報告がありました。御報告を申し上げます。
 せんべつ分が十三回、政治献金分が十一回、中元分が一回、お歳暮分が一回、不明二回、合わせて二十八回であります。
 右、御報告を申し上げます。(発言する者あり)そのことは後にして。
 鈴切康雄君。
○鈴切委員 私は、公明党を代表いたしまして、政府がいま発表されましたロッキード事件の中間報告に対して御質問を申し上げます。
 現在、焦点になっているのは、何といってもいわゆる灰色高官名の氏名の公表であるとされております。国民が知りたいのはいわゆる灰色高官の名前であり、その名前がなぜ今度のこの中間報告に発表されなかったのかという問題と、それから政治的道義的な責任の追及は確かに国会であるかもしれませんけれども、しかし、われわれは国政調査権に基づいていわゆる灰色高官名の公表を要求しておるのであります。政府は国民の知る権利に当然こたえる義務があると思いますけれども、その点についてはまずいかがでございましょうか。
○稻葉国務大臣 国民の知る権利に政府がこたえるべきことは当然でございますな。だからというて、検察、警察等の任務を逸脱して、何でも知る権利にこたえて公表するというわけにもまいらないわけでございます。いわゆる灰色高官というものの定義や範囲、基準等お決めいただくのはこのロッキード調査特別委員会が国会の国政調査権に基づいてお決めになると言いますから、それに参考になるような中間報告をいたしたつもりでございます。この中間報告に基づいてそれをお決めになって、さあ、こういうふうに決めたからここまで協力しろと言うならば、その段階において、また国民の知る権利にどの程度協力を申し上げますか、その段階において考えるべきことだと私は心得ます。
○鈴切委員 法務大臣は、事実上刑事訴訟法第四十七条のただし書きの公益上の判断をし得る立場にあります。国会の要求に対してそれにこたえ、公益上の判断を下し、氏名を公にすることができるはずであります。国民がこの事件に関連するいわゆる灰色高官の氏名を知ることを望んでいる以上、それにこたえるのが当然のことであり、それが筋じゃないでしょうか。
○稻葉国務大臣 本日のこの中間報告において不起訴になった個々の人名を公表いたしませんのは、国民の知る権利に対する協力じゃないじゃないかというお話ですけれども、検察当局との打ち合わせの結果、こういう報告をしているのでありますから、刑事訴訟法四十七条ただし書きを検察当局がよく踏まえて、そして公表すべきではない、こう判断しておるその判断と法務大臣の判断がそごしますことは好ましくない。そごしますれば、指揮権の発動みたいなことやればいいじゃないかと言われるけれども、そういうことは好ましくない。この段階においては公表いたしません、こういうことです。
○鈴切委員 大変に後退の答弁でありますけれども、本来は政治的道義的な立場から言うならば、灰色高官名の氏名を公表するのが当然であります。しかし、一歩譲った場合、それができないということであるならば、秘密会であれば氏名を出されますか、その点についてお伺いします。
○稻葉国務大臣 先ほども質疑者に対し安原刑事局長の答えましたとおり、秘密会ならば差し出しても結構である、こう思っております。
○鈴切委員 三木首相は、秘密会であれば資料を提出するというふうに言われました。そこで、私はお聞きいたしますけれども、いまの中間報告のような内容の経緯とか、あるいは事実関係をぼかしたような内容の資料では、とてもこれはだめだと私は思っております。ですから、資料とはどのような内容のものになるのか、また、いわゆる灰色高官名の氏名だけであるのか、あるいは、資料はいつお出しになるのですか。
○稻葉国務大臣 政治的道義的責任の追及権者は国会ですから、その国会のお求め方次第によって内容が決まってくると思います。どういう資料の内容をお求めになるかによって決まってくると思います。
○鈴切委員 こちらの判断をする基準といいますのは、そういう内容を全部出していただいて、たとえばアメリカからの資料を含めたり、あるいは捜査当局の事実関係に基づくところの捜査の資料、こういうものを出していただかないことには、私ども判断のしようがないわけでありますけれども、そういう点についてはいかがですか。
○安原政府委員 先ほどから大臣がたびたび申しておられますように、灰色高官の基準が決まった場合、秘密会の要求として資料を提供しろ、協力しろという御要望があります場合には、国会の方でこれこれの資料ということをおっしゃるだろうと思いますけれども、それは別といたしまして、私どもといたしましては、その基準に見合う、該当するとわれわれの思うものにつきまして、その名前と、それをそう思うという理由は御説明を申し上げなければならないだろうと最小限考えております。
○鈴切委員 本来ならば刑事責任を問われるけれども、時効とかあるいは職務権限の絡みから不起訴処分にしたいわゆる灰色高官名が十七名あるということを先ほど聞きましたけれども、その中にあって現職の閣僚、それから元閣僚、国会議員、それから政務次官、この人数というものを明らかにしていただきたい。
○安原政府委員 公訴提起をいたしました方の身分については明らかでございますが、そのほかの公訴提起をしなかった方々の身分を、いま御指摘のように、細別して申し上げることは、この事件の捜査の段階、現況下におきましては、おのずからその氏名が特定されるおそれがありますので、差し控えさせていただきたいと思います。
○鈴切委員 いわゆる氏名の公表はできない、こういうわけでありますけれども、十七名に対して、元閣僚であったりあるいは現閣僚であり、あるいは政務次官あるいは国会議員という大別した種類の人数を明らかにできないということは納得いきませんね。委員長、その点についてはいかがでしょうか。
○田中委員長 鈴切君にちょっと申し上げますが、まだできておりませんけれども、五党が提出しております灰色高官の基準について、定義について、五党が統一の協議をいたしまして、これが一本のものにやがてできる努力をするわけであります。そうすると、それを政府当局に示すことによって、政府はこれに応じて資料を協力して提出する、こう言うのですから、それでいいのではないでしょうか。要求するものを出す、こう言うのですから。
○鈴切委員 この段階において中間報告をなされた以上、少なくとも、名前の公表はできないということは先ほど御答弁がありましたけれども、それくらいのことは……。
○田中委員長 名前は公表すると言っていますよ。
○鈴切委員 いまの段階においては……。
○田中委員長 いまの段階ではできません。
○鈴切委員 ですから、少なくとも閣僚あるいは元閣僚等の人数について、それは当然わかっておられるわけでしょうから、その点について明確に答弁してもらいたいということはあたりまえのことじゃないかと思うのですけれども、その点は法務大臣、いかがでしょうか。
○稻葉国務大臣 安原刑事局長がお答え申し上げましたとおり、いまの段階では氏名を公表するわけにはまいりません。氏名を推定されるような形での公表もできません。
○鈴切委員 「田中の収受したと認られる五億円の使途についても鋭意捜査したが、その個別的な使途を明らかにすることはできなかった」とありますけれども、調べたというが、少しはおわかりになったのですか、まるきりわからないのですか。
○安原政府委員 先ほど申しましたように、その捜査をいたしましたが、結局、個別的な使途はわからなかった、解明できなかった状態であるということであります。
○鈴切委員 それでは、五億円の使途が明確になっていないとするならば、田中の公判維持ができますか。
○安原政府委員 検察当局の公判維持の方針を申し上げるわけにはまいりませんが、結論からいたしまして、十分に公訴を維持する自信があると聞いております。
○鈴切委員 二千三百万円を同年十月末ころから十一月初旬にかけて五回にわたって国会議員五名に贈った事実について、五名の方々が幾らずつもらったでしょうか。
○安原政府委員 最高一千万円から最下限二百万円までの間でございます。
○鈴切委員 全日空ルートについては、五千七百五十万円が前後二十八回にわたって十三名の国会議員に贈られた。しかし、それが収賄罪として認められなかったとしておりますけれども、先ほどお話のありましたとおり、せんべつ十三回、それから政治資金が十一回、中元一回、歳暮が一回、不明が二回、こういう御答弁であったわけでありますが、たとえばそれを金額別に大別をいたしますと、どうなりましょうか。
○安原政府委員 回数も関係いたしますが、最高の金員を授受された方の金額は千五百五十万円、一番下は百万円でございます。
○鈴切委員 児玉ルートについてはその使途等の解明がまだ十分とは言えない状況にあると報告されておりますね。どの程度まで解明されたのか、具体的に説明をしてください。
○安原政府委員 中間報告で申しましたように、まだ児玉ルートは捜査相半ばでございますので、中身につきまして申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○鈴切委員 児玉ルートが捜査の半ばであるから報告することはできない、こういうふうなお話でありますし、また、内容について私が質問をいたしますと、それは捜査の途中であるからというふうに言われます。
 そこで、私は、法務大臣に政治的な立場からちょっとお聞きしたいのですけれども、法務大臣はよく山にたとえて御答弁されます。一山、二山ということで、丸紅、全日空についてはすべて頂上を登り詰めた、それによって本日の中間報告になったわけでありますけれども、児玉ルートについては山のふもとに来た程度か、あるいは山を幾らか登り始めて三合目程度に行っているのか、あるいは五合目程度か、あるいは七合目程度か、これについてやはり感触だけは言っていただかないと、児玉ルートは、言うならば、まだまだ使途は不明であるからということだけでは国民は納得しないわけでありますから、そういう点についてどのような状態でしょうか。
○稻葉国務大臣 ふもとか中腹か頂上かというようなことはきわめて専門的なことでございますから、刑事局長に答弁させます。
○安原政府委員 大臣が政治的にも言えないと言われましたが、私は事務的には先ほど言えないと申し上げましたので、あわせて申し上げるわけにはまいりません。
○鈴切委員 それでは国民が、児玉ルートについてどれだけ進んでいるかということは、かいもく見当がつかないままに中間報告が終わっているということですね。
 それじゃ、まだ全然児玉ルートについては進んでいませんか。いうならば、あなたたちは五十回臨床尋問をされたわけですね。五十回されたにもかかわらず全然進んでいないということになれば、これはもう全く児玉は何にもしゃべっていないということになるのじゃないですか。ですから、その点について裏づけをとったりなんかするのに、少なくとも山にたとえてみるならば、ふもとから登り始めて三合目とか五合目とかいうことは当然言えるじゃないですか。法務大臣、その点についての御報告は聞いていませんか。
○稻葉国務大臣 報告は受けておらないのです。したがって、ふもとか中腹かの見当のつけようがない。
○鈴切委員 刑事局長、あなたは報告をしていないというお話でありますので、その点について、捜査の内容に立ち入ることはなかなかできないにしても、少なくとも感触だけはあなたは言えるわけです。感触が捜査のすべてに影響があるとは限りませんから、その点について言ってください、児玉ルートについて。
○安原政府委員 感触を言うこと自体、やはり捜査の内容に、程度にかかわることでありますが、ただ、誤解をしていただいては困りますことは、児玉ルートの究明に全力を挙げて立ち向かっておるということだけは御理解いただきたいと思います。
○鈴切委員 いわゆるきょう中間報告をされたということは、少なくとも十一月の十五日がもし告示であるということになると、児玉ルートについては余りもう報告をできるような状態ではない、そのゆえにきょうの中間報告になったというふうに判断してよろしゅうございましょうか。それとも、法務大臣は私への答弁に、常に、児玉ルートについては十月には必ずやるというように言われました。それはちゃんと私、答弁を聞いておりますからわかっておりますけれども、しかし、もうすでに大分おくれてきたわけでありますけれども、その点についていかがでしょうか。
○稻葉国務大臣 鈴切さんは告示の日までおっしゃいましたけれども、私、そういうことは存じませんが、きょうの中間報告は捜査の終わったものを報告したわけですね。
 それから、そのころまでに、十一月の十五日ですか、そのなにが……(「選挙だよ」と呼ぶ者あり)まあ私としては、国民が待ちかねておられるわけですから、そうして、それによって投票という形で判断の材料を持っておるということは国民の非常な大事な権利だと思いますから、それまでには何とかやってもらいたいものだなと、捜査当局を指揮監督する法務大臣としては強く希望せざるを得ませんのです。そういうことは申し上げますけれども、そのころまでには何合目まで来ましたという報告ができるかと、こう言われれば、いまそういうことはお答えできません。
○鈴切委員 最後であります。
 さきに委員長は、国会へ提出された資料は国会の判断と責任で公表するという見解を述べておられます。検察当局はこれにいささかの異議をはさむものじゃないと私は思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
 また、田中委員長、きょうは、氏名の公表は望ましいとあなたはおっしゃったわけでありますけれども、あなたの個人的な考えとしては、氏名の公表をされるおつもりでしょうか。
○田中委員長 私から先にお答えをいたします。
 私の個人的な考え方としては、国会の立場は捜査当局の立場とは違う。公表せよとの国民の世論に応じて、言葉をかえれば、公共の福祉に重点を置いて公表を断固すべきもの、公表の場所は本会議である場合もあろうし、公開された委員会である場合もございましょうが、私の個人の考え方としては、まだ理事会に諮っておりませんが、当委員会、公開された当委員会が適当である、こう考えております。
○安原政府委員 灰色高官の基準が定まりまして、それに見合う資料を提供いたした場合に、それをいかなる形で公表されるかどうかということは、これは国会の責任と判断においてなされることで、私どもといたしましては、せいぜいその氏名を秘密会に出すという程度のことであって、公表は一切いたさないつもりでおります。
 それと同時に、委員長が国会の御判断で灰色高官と言われる者の氏名を公表される場合に、なお公表の理由として援用されるようなことがありましても、何とか、こちらの提供した資料等の発表に当たりまして、裁判に対する予断を与えるとかあるいは将来の捜査に影響しないような発表ぶりを法務当局としてはお願いしたいと思います。
○鈴切委員 以上で終わります。
○田中委員長 河村勝君。
○河村委員 先ほどから議論になっております。田中前総理に渡ったという五億円の使途のことでありますが、先ほどからの刑事局長の答弁を聞いておりまして、やはりこれは納得がいかないのであります。というのは、私は、きょうはこの委員会での議事録を持ってきておりませんけれども、安原局長の答弁はそのときと違っておる。私が、刑事局長がこの五億円の使途については刑事事件としては立件できないということになって、捜査はこれで終了をした、そういう答弁に対して重ねて、刑事事件として立件できないと言うからには、この金の出、使途、これが全部はわからなくとも、相当程度使途がわからなければ刑事事件として立件できないと言い切ることができないはずではないか、そういう質問に対して、そう言い得る、そういう判定ができ得る程度にはわかっておりますという答弁を刑事局長はしたはずであります。それといまの答弁とは明らかに食い違っておると思うが、どうですか。
○安原政府委員 先ほどもお答えしましたように、犯罪の容疑が認められないということと使途が解明できなかったということ、これはもう事柄の面の当て方が違うわけでありまするから、何も矛盾することはないと思いまするが、ただ、あの当時、犯罪の容疑を認められないということを言った段階においては、捜査当局からのそのような報告をそのまま申し上げたわけでありますが、中間報告の今日の段階までには解明することができなかったということも事実でございます。したがって、真実を申し述べているつもりでございます。
○河村委員 その当時もうすでに捜査は終了したと言ったのですよ、容疑事実がないということで。だから、もし当時使途が解明できなかったというならば、当然その答弁というものは、法律家なんですから、正しくは、使途が解明できないから刑事事件としては成り立たないという答弁があるべきはずであります。ところが、そうではなくて、使途がわかっていなければそういう立証ができないではないかというのに対して、立件できないと言い得る程度にはわかっておりますという答弁。私はきょうここに議事録を持ってきておりませんから、ですからここでもっていますぐにそれを突きつけるわけにはまいりませんが、そこは明らかに私は違うはずだと思う。だから、そうであれば、これは今回の報告に対して政治の介入があった。この五億円の使途については書いてはならないという政府側の圧力がなければ、そういう答弁に私はならないはずだと思う。その点、重ねて答弁をしていただきたい。
○安原政府委員 政治的介入など一切ございません。
 あの段階においては犯罪の容疑が認められないという報告を申し上げたのであり、今日の段階においては、今日まで捜査したところ、個別的な使途の解明はできなかったということでございまして、何ら矛盾はないと思っております。
○河村委員 きわめて大きな矛盾があります。しかし、これはここでもって押し問答していてもけりがつきませんから、私は、議事録を取り調べて、次の委員会でもう一回これを究明したいと思います。
○田中委員長 それから、河村君、私からあなたに差し上げたメモがそこにありますから。
○河村委員 はい。わかっております。
 それから、次に全日空関係のことについて聞きます。
 この報告書の中で、九十ユニットを含む二億五千三百万円のうちの五千七百五十万円の使途について報告がなされております。そこで、この報告の中には、右金員授受の趣旨は、政治献金、せんべつその他であって、「ロッキード社の航空機売込みと関連があるとは認められなかった。」とこう書いてありまして、この捜査というものがロッキード社の航空機の売り込みに関連したものを調べておるように受け取られます。ところが、現実には、この全日空ルートについては、直接ロッキード事件とはかかわりはないが、別に全日空事件と言うべきものがあって、当時全日空を含めた航空業界では路線の獲得競争、そうしたものを中心に非常に大きな競争があった。だから、これはロッキード社の関連だけではなくて、全日空の利益に関連をした金銭の授受があり得る状態であったわけですね。ところが、これで見ますというと、どうもそういうものは抜かれておって、範囲が非常に限定されているように思われる。その点は一体どういう取り扱いをされたのか。
○安原政府委員 今回の検察庁の捜査は、ロッキード社から同社の製品の売り込みに関連して工作資金が回された、その使途の究明ということにポイントを置いて捜査をしたわけでございますから、先ほど申しましたように、その間に不正の認められたものあるいは違法行為の認められなかったものをロッキード社の製品の売り込みの関連という系列で分類することは、捜査の目的もそうでございましたし、その結果の処分の内容につきましてもそういう類別をしたわけでございまして、何らほかの意味はないわけでございます。
○河村委員 もともとの趣旨がそうであっても、関連して新しい犯罪の容疑が出てくれば、当然それを調べるのが検察庁の役割りだと思う。だから、単に分類上そうしたというだけなのか、それとも全日空独自の関係については本当に調べなかったのか、その辺のところをはっきりさせてもらいたい。
○安原政府委員 分類だけの問題でございまして、御指摘のように、その間に他の犯罪の容疑を見出せば、当然検察権を発動すべきであります。しかし、今度の場合は犯罪の容疑が見出せなかったということで、あの分類になったわけでございます。
○河村委員 あなたは先ほど、この五千七百五十万円を使った残りの部分ですね、これは全部裏金として全日空の中に保有されておる、そういう断定をされたが、本当にそうですか。
○安原政府委員 検察庁の判断は断定というようなものではないわけでありますが、少なくとも検察庁の判断としては、残されておるという認定をしておるわけでございます。
○河村委員 私はこのことは非常に重大でありまして、今回の中間報告というものは、これから国会の責任で灰色高官の範囲なり基準なりを定めるための最も重要な資料であります。残念ながら国会には強制調査権がありませんから、いわば中間報告を頼りにしてこれから作業を進めなければならない。だから、これにはそのために必要にして十分なものがなければ、これから出てくる答えが非常に曲げられてしまうわけですね。
 それで、今回のわれわれのやっておりますことは、もちろん一般に灰色高官の責任追及と言われていることで、この事件の道義的責任、政治的責任を追及することでありますが、同時に、今度の事件に関連をしてマスコミが非常にエスカレートしまして、そのためにいろいろな報道が乱れ飛んでいるわけです。中には相当な行き過ぎがあることは私は間違いがないと思う。そのために迷惑を受けている者があります。現に私自身、一部の新聞その他の報道によって、何か全日空事件に関連をして、いわゆる灰色高官ではないかというような疑いをかけられて、それの白を証明する――白を証明するというのは非常にむずかしいことであります、それに非常に困っておる。でありますから、世間が納得できるような中間報告のこの人員数その他が出てきませんと、法務大臣なり検察当局なりがこれで終わりだと言われても、一般はそうは受け取らないわけですね。そうなると、なく、いわれなく灰色の疑いをかけられた者は、そのまま灰色のままでいってしまうのですね。これはいわば基本的人権が侵されつつある。だが、一方には報道の自由の原則というものがある、片方には、検察庁には捜査の秘密を厳守するという義務がある、それぞれ私は憲法上基本的人権につながる一つの原則だと思う。ところが、その中にはさまれて、私を含む個人の基本的人権が侵されつつあるということをどうやって解決したらいいのか。一番はっきりすることは、あなた方がここに疑わしい者、要するに、俗に言う灰色とおぼしき者、これを最後にどう公表するかというようなことは国会でもって相談して決めてもよろしいが、当面、少なくとも全資料を提供してもらわなければ、扱いようがないでしょう。
 そこで、一体現実に本当にこれだけなのか。さっきの説明を聞くと、千五百五十万円が最高であって、一番少ないのが百万円だという報告であります。そうすると、ここに明らかに百万円というものを一つの最低限度にしてラインを引いた。そこで、整理をしてあとは表に出さない、そういう疑念が私には十分に持たれる。それであっては、灰色高官の追及は一方でやらなければならぬし、それにも不十分であると同時に、現実に灰色の疑いをかけられておる人間の無実の証明すらできない、そういう結果になるのです。これを一体どうお考えですか。
○田中委員長 ちょっと待ってください。この際、委員長からちょっと申し上げておきますが、これは局長もお聞きを願いたい。
 河村君は私の委員会のメンバーでもあるので……
○河村委員 きょうは私は私個人のことを議論するつもりはございませんから……。
○田中委員長 いやいや、そんなことを君、聞かぬでもよろしい。
○河村委員 ですから、とにかく一般的な問題として、とりあえず時間もないことですから、その問題は別に譲ります。
○田中委員長 そこで、一般的な問題でなしに、個人の問題として河村君に疑惑があるのかないのか、調べたことがあるのかないのか、この点だけを答弁願います。簡単でよろしいです。
○河村委員 いやいや、冗談じゃないですよ。きょうは私は……
○田中委員長 それは君のことを言うておるのではない、委員長の立場を言っているのです。しっかりしなさいよ。
○河村委員 個人のことにすりかえて……
○田中委員長 委員長のことを言っている。委員長の立場を言っているのです。
○河村委員 一般的な問題を答えてもらわなければ困りますから。
○田中委員長 局長からどうでしょう。――大臣。
○稻葉国務大臣 煙も、においも、気もないのを証明するということは本当にむずかしいお立場で、同情にたえません。そういう人々がまだたくさんおるとすれば、一般論としてこれは同情にたえないですね。
 そういうのをどうやって保護するのか。そうしますと、こちらは刑事責任のある者はこれでございますと言って起訴しているのです。あとは不起訴としたのです。その中からいわゆる灰色を選び出されるのは国会のこの特別委員会なんです。まさにこの国会のこの特別委員会において、気もないし、煙もない、においもないということが、その気もある人のあれを公表することによって明らかになるのじゃないですか。しかし、その公表は私の権限ではない、法務、検察の権限の逸脱である。(発言する者あり)
○田中委員長 お静かに願います。
 安原局長。
○安原政府委員 特定の人を調べたかどうかということを申し上げないということは、終始一貫われわれの立場でございます。ただ、調べたかどうかということは、いま委員長のお言葉でございますが、河村委員の個人の問題でございましたら、河村委員が御承知のことでありますし、河村委員が調べられたことはないとおっしゃれば、それを信頼するかどうかの問題でございます。
○河村委員 私はいま個人の問題を議論しているのではありません。だから、私は、確かに国会の責任であることは認めます。だけれども、国会が灰色の責任を追及するために、必要な資料は提供する義務がある、それをされなければわれわれは道義的責任を十分に追及のしようがない。だから、一体ここに出されているものは全部なのか、これ以外にはないというのか、この十三人以外にはないというのか、それとも、どこかで線を引いて表へ出さないのか、その点の明確な答弁が必要であることと、もしあるというならば、やはりこれは全部出されなければ、いまの安原君の答弁などは何ですか。結局、まるっきり私が悪いみたいな答弁だ。そんなばかな答弁、委員長がよけいなことを言うからこういうことになるんだが、だから、それについての答弁を聞きたい。
○安原政府委員 中間報告として、現在までに判明したところをすべて包み隠さず御報告申し上げたつもりでございます。
○河村委員 そうすると、重ねて聞きますが、百万円以下の金の授受はなかったということですか。
○安原政府委員 あったというような報告は受けておりません。
○河村委員 結局、このままでは、私は今後のこの俗に言ういわゆる灰色高官名公表問題は、国会で取り上げましても決して十分な結論には到達をしない、国民の皆様方が納得できるようなものにはならない。だから、この問題は、きょうはこれで時間がなくなりますが、再度委員会として取り上げて、もう一度全貌を明らかにできるような対策を委員長に講じてほしいと思います。委員長、いかがですか。
○田中委員長 灰色高官の基準を明らかにしましてこれを政府に提出すれば、これに協力をすると言っておるのでありますから、それで明らかになると思います。ならぬことはありません。必ず明らかになるものと信じます。
 ここで休憩をいたします。
    午後零時五十七分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕