第080回国会 内閣委員会 第15号
昭和五十二年五月十八日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 正示啓次郎君
   理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君
   理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君
   理事 長谷川正三君 理事 鈴切 康雄君
   理事 受田 新吉君
      逢沢 英雄君    宇野  亨君
      塚原 俊平君    中村 弘海君
      藤田 義光君    湊  徹郎君
      上田 卓三君    上原 康助君
      栂野 泰二君    矢山 有作君
      新井 彬之君    市川 雄一君
      柴田 睦夫君    中川 秀直君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
 出席政府委員
        防衛庁参事官  水間  明君
        防衛庁長官官房
        防衛審議官   渡邊 伊助君
        防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君
        防衛施設庁施設
        部長      高島 正一君
        外務政務次官  奥田 敬和君
        外務大臣官房長 松永 信雄君
        外部大臣官房審
        議官      内藤  武君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   加賀美秀夫君
        外務省経済局長 本野 盛幸君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
        外務省情報文化
        局長      柳谷 謙介君
        水産庁次長   佐々木輝夫君
        海上保安庁次長 間   孝君
 委員外の出席者
        行政管理庁行政
        管理局審議官  關  言行君
        防衛施設庁施設
        部施設取得第二
        課長      近藤 孝治君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 遠藤 哲也君
        外務省アメリカ
        局外務参事官  北村  汎君
        外務省欧亜局外
        務参事官    加藤 吉弥君
        文部省学術国際
        局企画連絡課長 七田 基弘君
        内閣委員会調査
        室長      長倉 司郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十七日
 辞任         補欠選任
  宇野  亨君     島村 宜伸君
  塚原 俊平君     佐々木義武君
同日
 辞任         補欠選任
  佐々木義武君     塚原 俊平君
  島村 宜伸君     宇野  亨君
    ―――――――――――――
五月十三日
 国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第五九号)
 職員団体等に対する法人格の付与に関する法律
 案(内閣提出第六〇号)
同月十七日
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
 正する法律案(長谷川正三君外六名提出、衆法
 第一号)
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
 正する法律案(内閣提出第九号)
同月十四日
 傷病恩給等の改善に関する請願(中曽根康弘君
 紹介)(第四八八八号)
 非核三原則の立法化に関する請願(荒木宏君紹
 介)(第四八八九号)
 同(安藤巖君紹介)(第四八九〇号)
 同(浦井洋君紹介)(第四八九一号)
 同(工藤晃君(共)紹介)(第四八九二号)
 同(小林政子君紹介)(第四八九三号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第四八九四号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第四八九五号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第四八九六号)
 同(田中美智子君紹介)(第四八九七号)
 同(津川武一君紹介)(第四八九八号)
 同(寺前巖君紹介)(第四八九九号)
 同(東中光雄君紹介)(第四九〇〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第四九〇一号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第四九〇二号)
 同(正森成二君紹介)(第四九〇三号)
 同(松本善明君紹介)(第四九〇四号)
 同(三谷秀治君紹介)(第四九〇五号)
 同(安田純治君紹介)(第四九〇六号)
 同(山原健二郎君紹介)(第四九〇七号)
 軍嘱託の旧特務機関員に恩給給付に関する請願
 (阿部昭吾君紹介)(第四九〇八号)
 同(愛知和男君紹介)(第四九〇九号)
 同外二件(伊藤公介君紹介)(第四九一〇号)
 同(池端清一君紹介)(第四九一一号)
 同(大柴滋夫君紹介)(第四九一二号)
 同(大村襄治君紹介)(第四九一三号)
 同(加藤六月君紹介)(第四九一四号)
 同(木村武千代君紹介)(第四九一五号)
 同(木村俊夫君紹介)(第四九一六号)
 同外三件(倉成正君紹介)(第四九一七号)
 同(小平忠君紹介)(第四九一八号)
 同(坂本三十次君紹介)(第四九一九号)
 同(椎名悦三郎君紹介)(第四九二〇号)
 同(菅波茂君紹介)(第四九二一号)
 同外三件(田川誠一君紹介)(第四九二二号)
 同外一件(田中六助君紹介)(第四九二三号)
 同(玉生孝久君紹介)(第四九二四号)
 同(地崎宇三郎君紹介)(第四九二五号)
 同(西岡武夫君紹介)(第四九二六号)
 同(西銘順治君紹介)(第四九二七号)
 同外一件(野田毅君紹介)(第四九二八号)
 同(萩原幸雄君紹介)(第四九二九号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第四九三〇号)
 同(福岡義登君紹介)(第四九三一号)
 同(本名武君紹介)(第四九三二号)
 同(村上茂利君紹介)(第四九三三号)
 同(山崎拓君紹介)(第四九三四号)
 同(山花貞夫君紹介)(第四九三五号)
同月十六日
 沖繩県の区域内の駐留軍用地等に関する特別措
 置法案反対等に関する請願(玉城栄一君紹介)
 (第五〇七四号)
 軍嘱託の旧特務機関員に恩給給付に関する請願
 (逢沢英雄君紹介)(第五〇七五号)
 同(宇野亨君紹介)(第五〇七六号)
 同(受田新吉君紹介)(第五〇七七号)
 同(川田正則君紹介)(第五〇七八号)
 同(熊谷義雄君紹介)(第五〇七九号)
 同(塚本三郎君紹介)(第五〇八〇号)
 同外一件(辻英雄君紹介)(第五〇八一号)
 同(西岡武夫君紹介)(第五〇八二号)
 同(福田篤泰君紹介)(第五〇八三号)
 同外一件(藤井勝志君紹介)(第五〇八四号)
 同外一件(三原朝雄君紹介)(第五〇八五号)
 同(木村武雄君紹介)(第五一三二号)
 同外三件(竹中修一君紹介)(第五一三三号)
 同(和田耕作君紹介)(第五一三四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月十六日
 同和対策事業の促進に関する陳情書外三件(京
 都府船井郡丹波町議会議長溝口国蔵外三名)(
 第一六〇号)
 青少年の健全育成に関する陳情書外四件(高槻
 市桃園町二ノ一高槻市青少年問題協議会長西島
 文年外四名)(第一六一号)
 国民の祝日に関する陳情書(秋田県秋田郡井川
 町葹田字野畑九八小林日出男)(第一六二号)
 沖繩県の区域内の駐留軍用地等に関する特別措
 置法案反対等に関する陳情書(沖繩県知事平良
 幸市)(第一六三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第一五号)
     ――――◇―――――
○正示委員長 これより会議を開きます。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢英雄君。
○逢沢委員 本委員会にこのたび議題となっております在外公館の設置の関係に関する法改正、これの要点は、昨年独立承認したアンゴラ及びセイシェルの両国にそれぞれ兼轄の大使館を設置するほか、マレーシアのペナンに総領事館を、パラグアイのエンカルナシオンに領事館をそれぞれ実館として設置するということがその一つになっております。この在外公館というのは、行政当局の言う在外公館というのはどういう種類のものがありますか、まずそれをお伺いいたします。
○松永(信)政府委員 在外公館は関係法令によりまして設置されるものでございますけれども、その種類といたしましては、大使館、総領事館、領事館それから代表部というふうに大別されております。
○逢沢委員 いま、わが国に大使館というのは何カ所に設置がなされておりますか。あわせて、領事館、総領事館の全体の数、それをお伺いいたします。
○松永(信)政府委員 五十二年二月一日現在でございますけれども、大使館が九十八、総領事館が四十六、領事館が五、代表部が四、合計百五十三でございます。
○逢沢委員 冒頭に申しました話の中の「兼轄の大使館を設置する」という字句があるのですが、この兼轄というのはどういうものでしょうか、お伺いします。
○松永(信)政府委員 兼轄と申しますのは、実館を設置いたしませんで、その国に対する外交使節及び館員を任命いたしまして、いわゆるその政府に対して派遣をされている、外交使節及び使節団の要員を派遣するというものでございます。
○逢沢委員 先ほどの代表部というのが四カ所あるということですが、それの内訳をお聞かせいただきます。
○松永(信)政府委員 現在設置されております代表部は、ニューヨークにございます国際連合にございます代表部、それからフランスのパリにございますOECD代表部、それからジュネーブにございます在ジュネーブ国際機関に対しまする代表部、それから同じくジュネーブにございます軍縮代表部と、この四つでございます。
○逢沢委員 いま大使館あるいは領事館、代表部のお話を伺ったのですが、外務職員の一番員数の多い大使館と、反対に一番小人数でやっている領事館、それをお知らせいただきたいと思います。
○松永(信)政府委員 現在設置されております館について申し上げますと、一番大きな館はワシントンにございます大使館でございまして、六十九名でございます。それから一番小さい館といたしましては、領事館で、四名でございます。
○逢沢委員 一番小世帯でやっておられる領事館が四人の職員の方でやっておられるということですが、これは具体的にはどこでしょうか。
○松永(信)政府委員 四という領事館あるいは総領事館はかなりたくさんございまして、現在二十七館ございます。ボンベイ、マドラス、スラバヤ、コタ・キナバル、アガナ、ニューオーリンズ、ポートランド、ウィニペッグ、その他合計いたしまして二十七館ございます。
○逢沢委員 四人というお話なんですが、四人ということになれば、恐らく所長さん、それから課長さん、あるいは一般の職員の人という配置だろうと思うのですが、それぞれその土地柄、国柄によって事情は違いましょうけれども、四人ぐらいな小人数で実際に定められた機能が十分に果たせ得るかどうか、その辺について御見解を伺いたいと思います。
○松永(信)政府委員 いまの御質問が十分であるかという御質問でございますと、私ども率直に申し上げまして不十分であると申し上げざるを得ないと思います。しかしながら、全体の予算及び人員の規模が限定、制約を受けております現状におきましては、最小規模の公館におきましても、全公館を挙げて在外公館としての機能を果たさなければならないという観点から、その職務を遂行しているわけでございます。ただ、理想的な考え方をとりますと、四名とか五名とかいう館員でその在外公館の機能が十分に果たされるということは申せないわけでございまして、私どもは、おいおい諸般の状況が許す限りにおきましては、こういう小規模公館というものをもう少し人員を増強いたしまして、規模を大きくしてまいりたいと考えている次第であります。
○逢沢委員 わが国の場合も今後国際的にいろいろ重大な問題を処理、解決をしなければならないことが当然予測をされるわけですが、国の政府機関の出先として、わが国の利益のために最善の努力を外務在外職員の方々にお願いを申し上げたいと思います。
 次に、本題に戻りまして、このたびの一部改正の中でマレーシアのペナンに総領事館を設置するということでありますが、これがわが国の東南アジア地方への外交体制の強化の一環としてどんな意味合いを持つかということをお尋ね申します。
○松永(信)政府委員 ペナンはマレーシアにあるわけでございますけれども、マレーシアは御承知のごとくASEANのメンバーの一カ国でございます。日本の東南アジア外交上非常に重要性を持つ国でございますし、貿易、投資が年々非常に増加しているところでございます。ペナンの総領事館の管轄を予定しておりますマレー半島北部地域には、わが国の進出企業、在留邦人が著しく最近増加しておりますし、こういう貿易、投資あるいは邦人保護という観点から、ぜひとも在外公館を設置する必要があるということで設けることになったわけでございます。御承知のようにペナン州はマレーシアでの非常に大きな商工業地帯でございますし、ここに総領事館を設置いたしますことはぜひとも必要であるという考えをいたしております。
○逢沢委員 具体的な総領事館の開設の時期と公館の規模についてお尋ねいたします。
○松永(信)政府委員 具体的な開設、開館の時期は、法律でお認めいただきました場合は明年一月一日を目途に開設いたしたいと思っております。発足いたしますときの公館の規模は四名ということを予定いたしております。
○逢沢委員 ペナンの場合、各国の公館の設置状況がわかりましたら御説明を願います。
○松永(信)政府委員 現在ペナンに公館を設置しております国は、タイが総領事館。総領事館を設置しておりますのはタイだけでございます。インドネシア及びオランダがそれぞれ領事館を設置しております。そのほか、ベルギー、デンマーク、フランス、西ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、イギリスはそれぞれ名誉領事館あるいは名誉代部を設置いたしております。
○逢沢委員 第二点といたしまして、アンゴラですが、この改正案によって、さっきの兼轄の大使館を置くということに考えております。このアンゴラという国とわが国とのいまの外交関係はどういう状態になっておりますか。その点お尋ねいたします。
○加賀美政府委員 現在わが国はアンゴラ人民共和国との間に外交関係を設定いたしております。これはアンゴラ人民共和国が昨年独立いたしまして、これを昨年二月二十日に日本が承認いたしました。それから同じく昨年の九月九日に外交関係を設定いたしました。
○逢沢委員 それで今後どのように外交を進めていくか、わが国にとってどういう利益があるかという点についてお尋ねをいたします。
○加賀美政府委員 新生アフリカ諸国との関係を増進していくというのは、わが国のアフリカに対する一般的な外交方針でございます。特にアンゴラは石油あるいは鉄等の資源賦存も大きいということでございますので、わが国としても今後アンゴラ人民共和国との友好協力関係を深めるように努力してまいりたい、そういうように考えておるわけでございます。
○逢沢委員 アンゴラと申しますと、アフリカの南の方、私ども行ったこともありませんし、大変なところではないかと想像されるのですが、こういう不健康地というか、環境のわが国と非常に異なったところに行かれる職員の方々も実際大変であろうと思うのですが、そういう問題について、外務省の職員として何かこうあってほしいというようなことはありませんか。
○松永(信)政府委員 御指摘のように不健康地等における在外公館の数が現在非常に多数に上っております。こういう不健康地に赴任する職員が勇躍任務の自覚を持って赴任をし、そこで十分な執務の成績を上げるためには、私どもといたしましては、こういう不健康地に対する執務環境、生活条件の改善という側面からできる限り十分な環境整備を図ってまいらなければならないということを考えているわけでございます。館員が安んじて後顧の憂いなく勤務することができるようにというのがその趣旨でございまして、一例を申し上げますと、たとえば一時休暇帰国の繰り上げ実施あるいは健康管理休暇の実施、それから高地対策の実施、厚生施設の整備、館員宿舎の整備といったような諸項目にわたりまして、こういう地域については執務の環境及び生活の条件を改善するために年々努力をしてきている次第でございます。
○逢沢委員 それに付随をいたしまして、世界各国のうちには政情不安な国家ももちろんあります。そういうところにわが国の外務省の職員の方々が仕事のために公館へ赴任をしておる。最近新聞なんかを見ておりましても、いろいろと事故、事件が発生しておることも外国の場合伝えられておりますが、わが国の在外公館に勤務しておられる方が、過去においてそういう外国の公館に勤務しておる期間中に危害をこうむったとか、何か家族の人が危険な目に遭ったとか、そういうような過去の例はありませんか。その点をお尋ねします。
○松永(信)政府委員 現在までにおきまして危険な状態にさらされたという例は幾つかあるわけでございます。特に近年におきましては、インドシナ地域あるいはレバノンというように戦乱に巻き込まれた地域において在勤いたしておりました館員がそういう危害を受ける、あるいは物質的な損失を著しくこうむるという危険に当面をいたしたことはたびたびあるわけでございます。幸いにいたしまして現在まで人命上の問題に立ち至ったという事例はございませんけれども、そういう危険にさらされながら勤務を余儀なくされたという事態は、最近においてはあったわけでございます。したがいまして、こういう危険な事態のもとで勤務する者に対しては特別の手当を考えなければならないということから、昨年給与法の一部改正をお願いいたしまして、戦争、内乱等の危険な状態のもとにおいて勤務する館員に対しましては、在勤手当の一五%増といういわば危険地手当というものを支給する制度が設けられたわけであります。
○逢沢委員 ありがとうございました。
 本改正案とは全く離れますけれども、せっかくの機会ですので二、三お尋ねを申します。
 そのまず第一は、北朝鮮に行っておられる日本で生まれた日本人の婦人が日本の国へ里帰りをしたいという話、これはかつて当委員会でもどなたかがお尋ねしたように記憶いたしておりますが、こういう問題があるということを外務省の高官の方々は当然知っておられると思います。ごく最近に私の議員会館の部屋にもこのようなチラシが参りました。せっかくの機会ですので、これをちょっとこの場所で読んでみますから聞いていただきたいと思います。
 「北朝鮮の日本人妻 一日も早く里帰りさせて」私共、三人が食べずにいるお金がみな封筒代です。ああ、本当に会いたくて、羽があったら、今すぐにでもあの海を渡って、鳥になっても行きたいのに……。
 昭和三十四年(一九五九年)、日本と北朝鮮との赤十字社間で締結された帰還協定によって、朝鮮人の夫と共に北朝鮮に渡って行った日本人妻が約六千人おります。
 「三年たてば、必ず里帰りできるから……」と家族との再会を約束して行きましたが、十八年経った今日、今だに一人も帰ることができません。年老いた父母達は娘の名を呼びながら、日に日に他界している昨今です。
 衣食にこと欠き、病気に倒れる生活、望郷にくれる日本人妻からの便りを見て、家族の君たちは、一日も心の安まる日がありません。しかし、手紙の届く者は良い方で、日本人妻の大半は行方不明であり、生きているのか、死んでしまったのかさえわかりません。私達家族は日本人妻の安否調査団派遣と里帰り実現を切望して、日本政府や外務省に請願運動を続けて参りました。
 日本赤十字社からは北朝鮮へ二百件程の安否調査依頼を提出してきましたが、北朝鮮からは何の返答も与えられないまま、十八年経ってしまいました。
 北朝鮮からの訪日団に要求します。
 これはたまたまいま経済使節団ということで北朝鮮から使節団が来られております。それらの人々に対する要望、希望であろうと思います。
 日本人妻の安否調査団を受け入れて下さい!「私の娘、姉、妹、母は生きているのでしょうか?死んでしまったのでしょうか?」日本人妻の里帰り実現を約束して下さい!「年老いた親達は死んでしまいます。」
 五月十一日より二十日まで北朝鮮の実力と地位を持った大物代表団が日本に来ております。私達はこの機会に北朝鮮の代表団より直接具体的な返答が欲しく、必死の請願を行っております。政治の難しいことはわかりませんが、人道上のこういう問題を残したまま、日本と北朝鮮の友好を叫ぶことは欺瞞と思います。
 この人道問題解決のために、国民の皆様の御支援と御協力をお願いします!
 日本人妻自由往来実現運動の会
こういうチラシでございます。
 私のところにも、当選しましてから再三再四、この問題で婦人の方が議員会館の部屋を訪ねてきておられます。観光団というようなことでアメリカや南方の島へ日本人がどんどん出かけていっておりますが、反対に目を北の方へ向けますとこういう悲惨な不幸な事態が残っておる。政治のむずかしいことは私もわからぬではありませんが、何かいい方法を衆知を集めて考え出していって、こうした問題を一日も早く解決したいというのは私だけではないと思います。外務省のその立場の方々はこれについていままでにどういう働きかけをしてこられたか、まずお伺いをしたいと思います。
○遠藤説明員 私どものところにも実は何回も何回も北朝鮮の日本人妻の御家族の方が陳情に来られまして、中には非常に老齢の方もおられまして、お話を聞くにつけても非常に心が痛む次第でございます。
 そこで、まず最初に、これまで外務省はどういうふうにこの問題を処理してきたかということを簡単に御説明申し上げたいと思います。
 日本人妻が北朝鮮に何人ぐらいいるのか、先ほどのパンフレットでは六千人ぐらいのようでございますが、入管当局の調べによりますと千八百人と二千人の間ぐらいじゃないか、こういう数字でございますが、その中には、日本の御家族と連絡のある方もいるようでございますし、いない方もいる。そこで、私どものところに、日本におります御親族の方から、自分の娘あるいは妹等々の消息を調査してほしい、いわゆる消息照会の依頼と、もう一つは、恐らく消息はわかっておるのじゃないかと思うのでございますけれども、里帰りを何とか実現させてほしいという依頼、この両方をあわせたものもございますけれども、こういうのが参るわけでございます。御参考までにちょっとその数を申し上げますと、いままでのところ、いわゆる安否調査依頼を受けましたものが二百四十件でございます。それから、里帰りを依頼されましたものが二百五件でございます。この両方が入っておるのが十五件。したがいまして、二百四十と二百五と十五を足した四百六十件の何とかしてほしいという手紙が親族の方々から私どものところに届いたわけでございます。
 そこで、ではこれをいまどうしているのだということでございますけれども、御承知のとおり、日本と北朝鮮と国交関係にございませんので、政府が正面に立つというわけにまいりませんから、この依頼のうちとりあえず、より簡単なものから何とか実現しようということで消息調査の方をいままで重点的に取り上げてきたわけでございます。この消息調査依頼が、二百四十プラス十五でございますから二百五十五件あるわけでございますが、そのうち百九十三名につきまして、実は日本赤十字を通じて朝鮮赤十字に向かって、こんな人を捜しておるのだけれども、何とか消息を捜してほしい、こういう依頼の文書をこれまでに合計十一回ばかり出しておるわけでございます。ところが、これまでのところ、その消息調査に対しまして、御親族の方に北朝鮮の方から返事があったということは、残念ながら私ども聞いていないわけでございます。
 したがいまして、今後どうするかということでございますけれども、いまのところ、正直申し上げて、私どもとしては、これは人道問題でございますし、日赤、朝鮮赤十字を通ずるルートを今後とも粘り強く活用していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 さらに、では里帰りの方はどうしているのだということでございますけれども、いまのところ、先ほど申しましたように、とりあえず簡単な方からということで、安否調査の依頼の方に重点を置いたわけでございますが、今後は、里帰りの問題につきましても、日本赤十字と協議しまして、前向きに、近く向こうへ何らかの依頼をいたすつもりでおります。
 以上が大体いままで私どもがやっておったことでございますし、今後ともこの方法を続けていきたいと思うわけでございますけれども、それと同時に、いろいろな機会がございますので、これは政府レベルばかりじゃなくて、国会議員の方々あるいはその他の方々でもいろいろな機会があると思いますから、この問題につきましてぜひとも御支援、働きかけというものを私どもの方からもお願いする次第でございます。
○逢沢委員 いま日赤を通じて云々というお話でございましたが、両国の置かれておる立場を考えてみました場合に、問題の複雑性、むずかしさということは私どももよくわかるのですけれども、いま考えられる方法として、日赤以外に何かいい方法はありませんか、その点をお尋ねしたいと思います。
○遠藤説明員 理論的な可能性といたしましては、たとえば北朝鮮と国交関係のある国に対して依頼するというのもその一つの方法かと思いますし、民間あるいは国会議員の方々等々から本件をお願いするというのも一つの方法かと思います。ただ、理論的な可能性として申しました第三国と申しましても、果たしてそういう国が本当にあるのかどうかという点も問題でございますし、いまのところは、政府としましては、日赤、朝鮮赤十字、これはコンタクトがあるわけでございますから、ここをもうちょっと強力に使うということを考えていきたい、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○逢沢委員 いまの問題につきましては、ぜひひとつ粘り強く、働きかけをお願いしたいと思います。
 それから、きょうは外務省の高官の方々がお見えになっておられるのですが、日本には日本の国旗がある。在外公館においても当然国旗を掲げておることと思いますが、この点は特に留意をしていただきまして、公館には必ず国旗を掲げるということを、国民の一人として、これは要望ですけれども、この際お願いをしておきたいと存じます。
 けさの新聞を見ておりますと、第一面に例の日ソ漁業交渉の話が載っております。この問題につきまして、いままで外務省でわかっておる範囲内において御報告をひとつお願いをしたいと思います。
○松永(信)政府委員 最初に御要望がございました在外公館に国旗を掲揚する件でございますが、私どもも日本を代表する出先の公的な機関としての在外公館におきましては、現地の慣行その他がございますけれども、諸事情が許す限り毎日国旗を掲揚するようにという訓令を全在外公館に出しております。
 ただいま御質問がありました日ソ漁業交渉でございますが、担当局長来ておりませんので、私が承知しております限りにおいて私から申し上げさせていただきたいと思います。
 御承知のように、日ソ漁業交渉におきましては、領土の問題に関する政府の立場を損なわないという基本方針のもとにおいて、現在鈴木農林大臣が訪ソされて最終の交渉を行っておられるわけでございます。現段階はまさにその最終的な時期に来ていると思っておりますが、ここ一両日の交渉におきましてはかなり問題が煮詰まっているような感じを受けております。ただ、その具体的な内容につきましては、まだ交渉が妥結いたしておりませんので、御説明申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、領土問題に関する政府の立場が損なわれないということが貫徹されるということがぜひとも必要であるという観点からこの交渉に臨んでいるということを申し上げさせていただきたいと思います。
○逢沢委員 もう少し詳しくお話しいただきたいと思うのですが……。
○松永(信)政府委員 新聞等にも若干出ておりますけれども、鈴木大臣が今回第三次の訪ソでソ連側に提案されました方式が三通りあるわけでございます。
 第一は、こちら側が、すなわち日本側がソ連の二百海里水域へ行って漁獲を行うというのと、ソ連側が日本の二百海里に来て漁獲を行うこと、この二つを一本の協定で締結するというのが第一の方式でございます。
 それから第二の方式は、その協定を二本に分けまして、日本側が向こうに行って漁獲する協定と、それからソ連側が日本の二百海里水域に来て漁業を行うための協定という二本立てで締結するというのが第二の方式でございます。
 それから第三の方式といたしましては、ソ連側が日本の二百海里に来て漁業を行うための協定というのは、御承知のように先般成立いたしました漁業水域に関する暫定措置法に基づくわけでございますけれども、これはその施行が二カ月以内ということになっております関係上、若干先のことになる。そこで、とりあえず日本が先方の水域に行って漁業を行うというための協定を結んで、ただしその協定を結ぶに当たっては、ソ連が日本の二百海里に来て漁業をするための協定を結ぶことを念頭に置きつつ交渉を行うというのが第三の方式でございまして、ソ連側はこの第三の方式によって協定交渉を妥結したいということで実は具体的な折衝に入ったわけでございます。
 問題は、先ほど私が申し上げましたように、この漁業協定を締結してそのことによって領土問題に関する政府の立場が損なわれないということをいかにして確保するかということでございまして、昨夜行われました鈴木・イシコフ会談におきまして、ソ連側も日本側の立場に理解を示しまして何とか交渉を妥結に持ち込みたいという観点から、協定第八条の問題について話し合いを行いたいということで、昨夜これについての専門家同士の、いわば事務レベルの交渉を行ったわけでございます。
 この第八条の問題というのは、具体的な内容は先ほど申し上げましたように御説明を差し控えさしていただきたいと思いますけれども、要するに領土問題に影響を及ぼさないというために必要な規定を置くということでございまして、先方も基本的には今度の日ソ協定は漁業問題に限るのだという認識を持っており、したがって、領土問題には影響を及ぼさないということをソ連側も理解をしておるというふうに感じ取っておりますので、その案文の交渉については、現在の段階におきましてはまだ交渉中でございますから、妥結するか妥結しないかということは確定的なことは申し上げられませんけれども、双方に相手の立場を理解するという善意がございますならばまとまるのではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
○逢沢委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○正示委員長 続いて、近藤鉄雄君。
○近藤委員 ただいま同僚の逢沢委員からもお話があったわけでありますが、日本の外交は、日ソ漁業交渉その他に見られますように大変重大な案件を抱えておるわけでございますし、大臣、政務次官以下、省を挙げて、また政府を挙げてこのような重大な外交案件の処理にお取り組みいただいていることに対しまして、私は国民を代表して心から敬意を表する次第でございます。このような大事な時期に、しかも日本が単に自国の問題だけではなしに、たとえば最近の先進主要国会議にも見られますように、まさに世界の大きな政治秩序、経済秩序の確立の問題についても積極的に発言をしていかなければならない時期でございますので、私たちは従来以上に外交体制の強化ということにもっともっと意を用いなければならない、かように考えております。仄聞でございますが、外務当局におきましてもこういうことに立ちまして積極的に外交体制の強化充実にいろいろ御努力をお願いしておる、こういうことでございますので、私たち立法府のメンバーにおきましてもそのような外務当局の努力に対しては協力を惜しんではならない、かように考えるわけであります。
 今回提案されました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これもそのような外交体制の強化に関する問題である、かように考えまして、ただいま逢沢委員からもいろいろ御指摘があったわけでございますが、いささか当委員会における審議もおくれてしまいましたけれども、ひとつ精力的に審議をして早急に国会通過を図っていかなければならない、かように私は考えております。
 そこで、実は私自身も外交官ではございませんでしたが、かつて三年ばかり国際機関に勤務をいたしまして海外の生活がどのようなものかということをいささか体験をしている一人でございます。かつて外交官というのは、一般の国民生活との比較において海外において相当高い生活水準を享受できた、こういうことがあって、それが若い人たちにも大きな魅力であったために、相当優秀な人たちがこぞって海外勤務ができる外務省に応募する。外務省だけの話ではなく、商社や銀行にもそういうことで多数学生が詰めかけたということでありますが、最近日本の生活費が高まってまいりまして海外の生活がそれほど楽なものではない、こういうことから積極的に海外勤務を希望する人が少なくなったということも聞きます。何せ天下の外務省でございますから、そんなことがあっても恐らく日本の一流大学を出た俊才が大ぜい毎年毎年入省を希望しているのだというふうに私は考えております。しかしそれにしても、いろいろ経済的にも必ずしも昔のようなことではなくなったということもございますので、外務省の方々が在外勤務をされる場合のいろいろな給与の問題また諸手当の問題について、いろいろ考えられることはもっと考えておあげしてもいいのではないか、私はかように考えているわけであります。
 そこで、そういう考え方の中で、たとえば今度の法案において子女教育手当の月額を改定する、こういうことで、私もそれはいいことだと思っておったのでありますが、承りますと、従来六歳から十八歳までの子女がおられる方に対して月額一万二千円だったものを、上げ率は確かに五割アップでございますから一万八千円にするのだ、こういうことでありますのでこれは非常にいいことではありますが、しかし実は私たち国内で子供を持っておりましても、二万、三万はすぐかかるわけであります。欧米先進国の場合には、たとえばアメリカンスクールとかなんとか、そういう特殊の自国の語学を教える学校があるのでありますが、海外で子女を教育される日本の場合には必ずしもそういうのがないとすると、相当多額の出費をあえて両親がして、そういう学校に子女を出さなければならない、これが現状だと思うわけであります。そこでそういうふうに考えますと一万八千円、五割アップですが、必ずしも大きな額じゃないのです。何といったって私も子を持つ親でございますが、子供の教育はできるだけ自由にさせたい、こう思いますと一人一万八千円といいますといささか少な過ぎる、こういうふうに考えるのでありますが、端的に言って、欧米の外交官がどのような手当を受けておられるのか、それとの比較においてこの一万八千円という金額は低いのか高いのかどうなのか、承りたいと思います。
○松永(信)政府委員 確かに今回の改正によりまして子女教育手当は五〇%増、月額一人当たり一万八千円を支給するということで従来の手当に比較いたしますとかなり実質的な改善になっております。私どもその点大変ありがたいことと思っております。
 しかしながら、そもそも子女教育手当の支給につきましては二つの大きな考え方がございまして、実費を見るという考え方と定額を支給するという考え方と二つあるわけでございます。理想論的に申しますならば実費を支給するというのが一番望ましいと思います。しかしながら、現在の諸情勢から見ますと、従来とってきております定額支給という線を逐次整備改善していくというのが実際的な方法であろうと思います。この観点に立ちまして、昨年いろいろと財政当局とも御相談をしお願いをしながら、現在提出しております法案にありますように一万八千円、五割アップということにいたしたわけでございます。
 諸外国の中にはさっき私が申し上げました方式の実費支給という考え方をとっている国もございますが、ただ大抵の場合には何らかの形でも定額支給という考え方を入れてきております。その限度を設けるという考え方でやっております。わが国の子女教育手当というものと諸外国のこれに該当するものとを単純に比較することは必ずしも当を得ないと思います。と申しますのは、在外手当あるいは給与の立て方が皆国々によって違うものでございますから、単純にそれを比較するということは必ずしも当たっていないと思いますけれども、一般的に申しますと、子女教育手当が一万八千円まで増額されましても、なお子女教育のために必要とする親の負担は相当大きいものが残るというのが現状でございます。諸外国に比してもその点は私どもはこの手当ではまだ不十分な面が相当残ってしまうのじゃないかと思います。そういう点につきましては、特に在外子女教育については在勤します地域によって非常に大きな差がございますので、もう少しきめ細かい地域別の手当というものも考えていかなければならないのじゃないかと思って、今後逐次改善してまいりたいと思っております。
○近藤委員 実は予算の中で子女手当は一年間で一体どれくらいの金額なんだと調べましたら一億六千万弱なんです。これは決して少ない金額じゃありませんが、しかし世界各国に優秀な日本の外交官を派遣して、そしてその方々が子女教育に憂いを持たないで大事な外交業務に専念していただくためのお金とすれば、この一億六千万弱が仮に二倍になろうが三倍になろうが大した金額じゃないと私は思いますので、政務次官も予算のベテランでいらっしゃいますから、今回五割アップということで非常にいいことだと思いますが、さらにこれを来年度、再来年度にふやしていただくようにわれわれもお手伝いしたいと思いますが、ぜひ努力していただきたいと思います。
 実は私も大学を出ましてから外国に行って勉強した者ですが、しょせんはわれわれ大学を出てから勉強した英語なんというのは余り大したものじゃないと思いますので、ヨーロッパの外交官なんか見ましてもまさに二カ国、三カ国語、バイリンガルというのですかトライリンガルというのですか、とにかくばっと自国語と同じくらいに話す人がたくさんいるわけです。日本の国際化というものはそういう人がたくさん日本の社会にふえることだと思いますし、そういう意味では外交官の子弟、商社の方の子弟、特派員の方の子弟もそうですか、そういう外国で小学校に入り中学校に入って高校に入っている人たちに、ある意味では日本のこれからの国際社会化というものの担い手になっていただく必要もあるので、日本国内の教育というものが乱塾時代という言葉にあらわされていますように大変厳しい競争社会を子供のときから経験させられるわけでありますが、戻ってまた日本の大学教育に戻られるそのためのアジャストメントということもなかなか大変だと思います。それから海外で少年時代を送っている日本人の子女というのは日本国家にとって大変貴重な体験をしている人たちだと思いますし、そのくらいの認識に立って、そこでずっと欧米の大学まで進む人があっても構わないし、またある意味では、語学なり国際的な感覚、国際的な体験を持った青年たちが日本に帰ってきて日本の大学教育に進んでいくということも大事なことでありますので、それはいろいろな意味を含めてひとつぜひ十分なことをお考えいただきたいと思うわけであります。
 先ほど申しましたように外交官の給料というものは、確かに日本的な水準から考えれば高いということもいまだに言えると思いますが、しかし私の経験によりましても、たとえば移転する場合も、日本で使っている家具と向こうの家具はちょっと質が違います。だから、任地先に行って家具を買い集めて、借金して買うわけですが、それで、せっかく買った家具を日本の公務員住宅に持って帰ってもこれは話にならないので、またそれをいわば二束三文で売りたたいてこなければならない。だから、三、四年の勤務中に、いわば家を探して、そして家具を買って、自動車を買って、やっと借金を払えたらもう帰ってくるということがしばしばだと思いますので、やはり一般的なベースを上げるということは、それはいろいろな公務員給与との関係その他があるかもしれませんが、たとえば子女手当とか、今度出ております住宅手当、これを館長代理の方に対して一〇%ということのようでありますが、いろいろ諸手当を考えられて、ひとつ実質的に、やはりそういうヨーロッパ、アメリカの外交官と少なくとも経済的に同じぐらいの生活で堂々とやれる。いろいろレストランとかそういったところを使っての招待もそうでありますが、きょうはもう外務省の官房長、幹部おそろいでございますので言わずもがなでありますが、欧米においては、やはり自分の家庭に人を招いて食事をしたりパーティをしたりするのが最高のホスピタリティーでございますから、呼ぼうと思ってもしょぼしょぼした家ではだめなんです。大使公邸もりっぱになっておりますが、しかし大使公邸でやるおつき合いというのは限度がありますし、やはり館員一同がそれぞれのレベルで、公使、参事官、一等書記官、二等書記官、官補なら官補でもいいんです、いろいろなレベルで、大いに積極的にソシアルな外交もおやりになるということが私は日本の外交の厚みを増すゆえんであると思いますので、お願いしたいんですが、端的に言って、子女手当以外にいまの外務省の方々がどのような諸手当の措置を講ぜられているか、承りたいのです。
○松永(信)政府委員 在外に勤務しております者が受領いたします手当といたしましては、まず第一に在勤基本手当がございます。これは、在外公館において勤務するために必要な衣食等の経費に充当するために支給するものでございます。二番目に住居手当がございます。これは、御承知のように、在外公館に勤務する間必要とする住居の費用に充てるための経費でございます。三番目に配偶者手当。これは、配偶者を同伴して参りました場合に、御承知のように、外交官の場合は配偶者を伴って外交活動を行う場合というのが非常に多うございますので、そのために在外職員に支給するというものでございます。四番目が先ほど御質問がありました子女教育手当でございまして、六歳以上十八歳未満の子で、その職員の収入によって生計を維持している者が、本邦以外の外国において教育を受ける場合に必要な経費として支給しているものでございます。五番目に館長代理手当。これは、在外公館の長が事故その他のために欠缺します場合に、その事務を代理する館員に対して支給されるものでございます。六番目といたしまして兼勤手当。これは、兼職を命ぜられて在勤地以外の地に駐在する、あるいは他の在外公館に勤務する在勤職員に対して支給するというものでございます。七番目に特殊語学手当というものもございます。これは、英、仏、独語以外の外国語であって、その在勤地においてその語学を研修することを命ぜられた者に対して支給されるものでございます。八番目に研修員手当というものがございます。これは外務公務員法に基づきまして外国において研修を命ぜられた者、これは現在は入省直後に外国に派遣しまして研修させるものでございますが、それに対して支給される研修員の手当でございます。
 以上の八種類の手当が現有支給されております。
○近藤委員 実は昨日いろいろ調べてもらった数字によりますと、にもかかわらず、日本の外交官の給料は、たとえば欧米のアメリカ、フランス、西ドイツ、イギリスと比較して、やはり一割から二割、三割低いということも言われております。私は、外交官の非常に大きな役割りはそういう交際だと思いますので、そういう交際、社交について、たとえばわれわれ代議士が行ってしょっちゅう在外公館の皆さんにごちそうになって大変申しわけない気もいたしますが、ある意味ではわれわれなんかどうでもいいので、むしろ積極的に任地でいろいろな人たちを招かれることが必要だと思う。ある程度まとまったものは恐らく公邸の費用から出ると思うのでありますけれども、たとえばプライベートにちょっと呼んできてどこかレストランで食事をするとか、どこかで簡単に飲むとか、家に来てもらうとか、余り細かいことについては、仮にそれは経費で出してやるからと言われておっても、生活に困っているわけでもないのでしょうから、一々ツケを回して大使館から金を取るということもなかなかやりにくいのではないか。しかし、現実にそういうことをすることによって生活に響いてくるわけですから、ですから私は、在外勤務手当にさらに一割とか二割上乗せしたものをこれは一つの交際費として乗っけてやる。一々領収証とかなんとか細かいことを言わないで、使ってもらってもいいじゃないかと思うのです。そんなことをすれば、どこか遊びに行く金に使ってしまうとか、そういう危惧、心配もありますよ。だけれども、そういうことでその金を全くのプライベートに使ってしまう外交官は、客観的に見たら、だんだん実績が下がっていってだめになるわけですから、やはり若い春秋に富む外交官がそんなことに使うわけはないので、むしろつかみ金を渡してやって、これでひとつやってこいと、このくらいのことは社交費なんだというぐらいなことがあっても、私は日本の外交のために決してマイナスではない、任せていいのじゃないかと思うわけであります。
 これも大ざっぱに調べた数字でありますけれども、外務省の定員が本省で千五百人、海外が千七百人だそうでございますが、一体どのくらいの給与を払っているのだと聞いてみましたら、本省で八十億だそうでございますね。そこで在勤手当が百億、本俸分が、いろいろな管理職手当とかそういうものが出てないから七十億。足しますと、本省で八十億の人件費、海外が百七十億の人件費を加えて二百五十億ですから、仮に在勤分の百七十億の一割を上げても二十億足らずですから、二十億足らずの金をプラスアルファとして乗っけて、日本の外交官の皆さんがさらに意欲的に、いろいろな角度で、任地において積極的な外交活動を個人的にいろいろな形でやっていただけるなら、二十億の金は決して多い金ではない。むしろこんなことに金を削るべきではないと思うわけであります。
    〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕
きょうも恐らく大蔵省から係官が来ているので、ひとつ主計局に帰ったらそういう話が内閣委員会で強くあったということをぜひ伝えていただいて、ここで一万二千円を一万八千円にするというような形で、非常に遠慮していらっしゃると思うのでありますが、政務次官、官房長初め皆さんはもうちょっと自信を持って、外交のためにはこれだけのものが要るのだということで、予算等の措置について積極的に政府部内のコンセンサスを、了承を得ていただきたい。われわれもお力を尽くすことにやぶさかではない、こういうことであります。
 だんだん時間がなくなりましたので話を変えますが、この外交強化の一環として定員の問題があるわけでございますが、いわゆる外務省は、先ほど申しましたように数年前から機能強化をしよう、こういうことで定員をふやしたい、大体数年間で五千名にふやすのだ、こういうようなことでございますが、現在大ざっぱに言って三千名から五千名にする、二千名ふやすわけですね。ですから、たとえば五年間で二千名ふやすとなると毎年四百人であり、七年間にしても三百名ぐらいですし、十年かかっても毎年二百名ぐらいは定員をふやしていかなければ、数年間五千名という目標は達成できないのでありますが、一体昨年、ことしとどれぐらいの定員増が実現したのでありましょうか。
○松永(信)政府委員 定員増につきましては、いま御指摘がありましたような目標を私どもとしても設定いたして毎年努力を積み重ねているところでございます。実際には予算あるいは定員法からまいりますいろいろな制約要因がございますので理想どおりにはまいりませんが、関係方面もこの点は非常に理解をしていただいておりまして、定員削減という中にあるにかかわらず、外務省の場合は定員増強の方向で御協力いただいているわけでございます。その結果、近年、ここ二、三年のことを申し上げますと、年々純増で百名程度の増強をしていただいているわけでございます。ただ、これではなおかつ非常に激増いたします国際関係の処理に対応するにはきわめて不十分でございますので、今後とも定員の増強については私どもできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
○近藤委員 きょうは行管から審議官がお見えになっていますが、審議官、いまの四年間の定員削減計画はどうなっていますか。何%で、四年間どれぐらいの定員が浮く計算になっていますか。
○關説明員 四年間で三・二%の減を予定いたしておりまして、人数で言うと……。
○竹中委員長代理 關審議官に申し上げます。答弁席で……。
○關説明員 どうも失礼しました。
 お答え申し上げます。総定員法の枠内の定員につきましては、四年間で三・二%の削減を予定いたしております。現業関係で四年間で一万六千七百六十八人、それから五現業関係で一万一千五百十八人、これを各年〇・八%ずつ、四分の一ずつ実施をいたしたいという計画になっております。
○近藤委員 いま關さんから話があったような数字ですと、その中に外務省が二千人割り込むというのはなかなか容易なことではないので、これはひとつ行管の方にもお願いをしておきますけれども、私はやはり全体としての外務省の定員というものは、戦前と戦後、そして大使館の数等々から考えますと、またここにも数字がありますがもう時間がありませんから申し上げませんが、たとえばアメリカが一万一千四百人、英国が一万五百人、イタリア、インドですら四千人以上、こういう状況の中で三千ちょっとの外交官の定員というのは少な過ぎると思いますし、片一方でいたずらに国家公務員の数をふやすということがいいことだとは、私も前に行管の政務次官をしておりましたし、思いませんので、その辺の国全体の定員の再配置については精力的にひとつ各省と折衝をして、何とかこの目標に近い形で外務省の定員増が行われるように努力をお願いしたいと思うのであります。
 そこで官房長、仮に二百人にしても毎年ふえるとした場合に、伝えられるところによりますと、毎年たとえば外務省のいわゆる上級職で入ってくるのが二十五人から三十人ぐらい、その他技術職と専門職と語学研修を加えても数十名ですか、そういうようなことだとすると、仮に二百名とすると十年かかって五千人目標を達成するわけでありますけれども、その程度のことではだめではないか。
    〔竹中委員長代理退席、委員長着席〕
仮に行管が二百名増を認めるとして、一体新規二百名の優秀な人材を埋めることができるのかどうか、実績に即してお答えいただきたいと思います。
○松永(信)政府委員 現在外務省が実施しております採用試験は、上級のほかに中級試験、それからこれは人事院がしておりますけれども初級採用試験というのがあるわけでございます。こういう試験に応募する人の数というのは最近非常に急激にふえてきております。従来の傾向から見まして、非常に多くの人がこういう試験を受けることになってきておりますので、そういう試験を通じまして新規採用をするという方法のほかに、各省庁とか政府関係機関あるいは民間国際機関等から相当数を中途採用して、現在もおりますけれども、電信官等の専門官については技術者を民間から中途採用するというような方法もございますので、仮に二百名増ということになりましても、その充員についてはこれを実施していくことができると考えております。
○近藤委員 いわゆる大学卒だけではなしに、いまお話がありましたように、商社や銀行、また新聞社等から優秀な人をぜひ外交官として採用していただける措置をとっていただく必要があると思うのであります。実は私の友人で毎日新聞のワシントンの支局長をしておりました波多野裕造君がこれも途中で入りまして、いまエジプトの参事官として働いておるわけでありますが、そういう人材をどんどん採用していただきたいと思うのであります。
 ただ、大使の数を調べてみますと百名ちょっとでしょう、数がふえても。そうすると、仮に五千人なら五千人の人を採って、これを全部大使にしなければならないとすると、これはまた大変なんですよ。だからといって、世界の国の数が百から五百にもふえるわけがないので、大体もう限度いっぱいでしょうから、ふえてもそんな数はない。そういたしますと、大ぜい採った人を全部大使にしなくてもいいようなことを考えなければならない。そのためには、たとえば語学の優秀な人には優秀な語学の専門官として特別の手当を出すとか、その他それぞれの技能に応じてそういうエリートの道を考えていただく必要があると思うのです。
 同時に、私の同僚もたとえば大蔵省から大使館に出てまた戻ってきておる。こういうことで、いわゆる純粋に大使におなりになるのは、これは皆さんのような本当のまさにゼネラリストで、しかも外交の総合的なベテランの方がおなりになることでいいんで、中途で入ってきてまた本省に戻ってそれぞれのところでなる、場合によっては民間からも入ってきてまた民間に戻っていくというルートがもっともっと開かれた方がいいんで、むしろキャリアとしておるのは、やはり大使の数のバランスもあるでしょうし、せっかく外務省にキャリアで入ったなら将来大使になりたいというお気持ちはわかりますから、もっともっと積極的に関係各省、大蔵省、通産、農林、場合によっては、日本の役所もちょっと調べてみたのですが、必ずしも出ていない役所もあるようです。たとえば総理府だとか自治とか公取とか環境庁とか、出ているのかどうか知りませんが、こういうところも積極的に人材開拓をして、上は少なくていいからそういう横にふくらむような形の人事構成を積極的にしていただく必要があるんじゃないかと思うわけであります。
 そこで、これは前に官房長にお話ししたことがあったのじゃないかと思うのですが、海外に参りますと、いわゆる新興国にいろんな文化センターがあります、日本文化センターとか。そういうところの館長さんなんかはいわゆるキャリアの外交官の方々が兼務職でやっていらっしゃるわけでありますが、それはやはり一生懸命やっていらっしゃると思いますけれども、やはり政務職ですとなかなか文化的な行政みたいなことに対しては頭が回らないということになりますので、むしろ私は積極的に、たとえばインドネシアならインドネシア、また中東なら中東の国に、そういう国の経済とか歴史学とか政治の問題とか、たとえば言語、風俗だとか文化人類学的な先生方とか、そういう方々で現地の経験がない方がたくさんいらっしゃるわけですね。むしろ一流大学の、ある国の講座をやっていらっしゃる先生で、三カ月ぐらい文部省の奨学金でその国に行ったことがある程度の人が、一生その国の文化や言語を教えておるということが場合によってはあるかもしれませんから、積極的にそういう文化センターなんかの館長さんは大学に門戸を開いて、そして大学のたとえば講師クラスの方が、三年なら三年、カンボジアに行くとかまたレバノンに行くとかラテンアメリカのどこかに行って、そこでじっくり腰を落ちつけて自分の研究もするし、また現地の人と、単に通り一遍の政務的なポリティカルな接触ではなしに、もっと文化的な学問的な、また人間的なつき合いをして、そして日本人というのは外務省みたいに事務的ではない、もっともっと人間味があるのだということを――まあ外務省の方が決して冷たいと思いませんが、しょせんつき合いが限られております。そうなってしまいますから、もっと腰を落ちつけてやって大ぜいの友だちを得る。そうして今度は日本に帰ってきて、たとえば東京外語であれ、東大であれ、慶応であれ、早稲田であれ、そういうところのその国の専門の講師をしていく、そういうシステムを私はつくることがいいと思う。やはりそういう外務省の方々がいろいろな国際の経験を特定国に持っておられても、それはその人たち、むしろ外務省の閉ざされた財産ですよね。しかし、そういう方が日本に帰ってきて大学の先生として教えることによって、日本の新興開発途上国に対するまさに知識の蓄積になるわけですから、もっと思い切ってそういう学者に対して外務省が門戸を開放すべきだと思うのですが、官房長どうでしょう。
○松永(信)政府委員 いま御質問がありましたのは、海外の在外公館にございます文化広報センターの人事の点でございますが、現在は大使館あるいは総領事館の一部といたしまして、館長の指揮監督のもとにこういう文化広報センターというものが維持されているわけでございます。この文化広報センターの職務といたしましては二つございまして、一つは、日本の国の事情あるいは文化を相手国において十分に理解させるための広報、いわゆる一般広報でございますが、そういう一般広報を行うということと、それからもう一つは、日本の政策、その国に対する政策あるいは対外政策一般でございますが、について十分な理解と支持を得るための、私どもこれを政策広報と称しておりますが、政策広報というものと、二つ主目的があるわけでございます。近年対外関係が非常に複雑になり、かつ多岐にわたるという状況に応じまして、政策広報にもっと力を注ぐべきであるという要請が実は最近非常に強まってきております。そういう観点からいたしますると、こういう文化広報センターというものは、単なる文化の紹介ということではなくて、いろいろと政治あるいは経済といった面にも十分な知識と見識を持っている人が当たる必要があるという要請が出てまいるわけでございまして、こういう考え方からしますると、十分な経験を積んだ外交官であることの方が望ましいということが出てくるわけでございます。ただ、御指摘がありましたように、学者でありますとか文化人等の方であっても、こういうことに十分適格であるという方もおられると思います。それから場合によってはそういう方の方がそういう職務に適しているということもあろうかと思います。今後もそういうような方があります場合には、外務省の職員になっていただいた上で文化広報センターに赴任していただくということも十分検討はしていきたいと思っております。
○近藤委員 官房長のおっしゃるのはわかりますが、しかし、日本の若手学者だって、日本外交がいかにあるべきかということは、行く前に皆さんがちゃんと教えてくださればわかることなんです。確かに、私もちょっと資料をいただいたのでありますが、そういう館長さんの中に、元新聞記者であった人が行っているとかいう場合がありますが、そういうことになってしまうとまた取り込んじゃう、この人、大使にはなりませんからね。だから繰り返し言いますように、上は少なくていいのですよ、中をふくらましましょう、中堅の人を、そういう意味で積極的にそういう学者を取り込んで帰す。だから、取り込んでもう外務省で一生めんどうを見るのではなしに、積極的にいい訓練をした人にまた大学に戻っていただくことが意味がありますし、やはりこれから国民外交という時期には、外交というものを専門の外務省で独占しないで、積極的にそういう日本各地の、公立私立を問わず、大学と日本の外交政策決定というものが交流をしていく、そういうこともこれから大事だと思います。政務次官、これはいろいろな意味を考えて私はかねてからこの主張をしておりまして、前に永井さんの文部大臣時代にも大臣に言って、それはひとつ考えようというようなお話もあったのです。きょうも文部省から大学課長来ておりますが、もう時間がありませんから答弁はいいですが、これもまたこういう話があったことをひとつ伝えて、海部大臣を初め文部省の幹部の方々にぜひひとつ外務省とお話をして検討していただきたいと思います。
 定員増に関連しますが、最近たとえばクアラルンプール事件が起こったり、またいろいろなハイジャック事件が、残念ですが起こったときのそういう警察関係の仕事が現地でふえてきておりますので、警察庁からいわゆるキャリアの警察官僚があっちこっちへ出ていらっしゃる、まあ数字で見ているのですけれども。それ以外に、むしろそういう専門の警察官の方々がやはりしかるべきところには館員で出る。そしてこれも外務省の方々と協力しながら、また本省の警察当局と協力しながらそういう問題に当たる必要があると思うのですが、現状はどうなっておりますか。
○松永(信)政府委員 いまのは主として在外公館の保安警備に当たるために専門官を派遣したらどうかというお話かと思います。
 これは、現在どうしてもそういう必要があるというところには、数館でございますけれども、警察関係にお願いしまして、そういう関係の職務を担当していただく方に行っていただいております。今後も必要が出てまいりますれば、それに応じまして検討していきたいと考えております。
○近藤委員 これも日本の社会が今後ますます国際化してきて、いろいろな外国人がたくさん来ると思いますし、いろいろ国際的な犯罪事件も当然残念ながらふえてくるというふうに考えざるを得ない。そうしますと、単にその警察庁のキャリアの人たちだけではなくて、第一線の警察官の方々もそういう国際的ないろいろな刑事事件についての経験を持つ必要があると思うのですね。ですから、これも定員増の一つの方法として積極的に取り込んでしまって、そういうことを大いにやっていただいた人は、日本に帰ってきていろいろな国際的な事犯についての捜査にも当たる、処理にも当たる、こういう意味も大変あると思いますので、これもひとつ積極的にお進めをいただきたいと思います。
 ついでですが、実は先ほど大使が百名ちょっとと申し上げたのでありますが、大体大使という方は、本省で局長、次官をおやりになった功成り名を遂げられた方々が大使におなりになるというようなことがルールのようであります。それはやはり特命全権大使という職責の重みから考えればそういうことかもしれません。しかし同時に、いわゆる新興開発途上国は数がたくさんありますし、その国の指導者というのは三十代から四十代のまさに若々しい新興の意欲に燃えた人が総理や大統領や閣僚になっていらっしゃる。とすると、やはりこっちが六十過ぎてしまったのでは、しかも率直に言ってワシントンやボンやロンドンならいざ知らず、何か小さな国の大使に六十過ぎて行ったのではというような感じも、これは人間ですからおありになると思うわけであります。そこで私は、むしろそういうところは本省の課長ぐらいの、もう三十代の初めぐらいの人が行って、そうしてそういう新興国の四十代の総理とか閣僚とまさに人間のおつき合いをする、そして大いに日本として協力の姿勢を出す、そして帰ってこられて本省でまた課長、参事官になって、そういう経験を生かしていくということがあってしかるべきで、必ずしも本省の高官であった人が大使になるのではなしに、特命全権大使――そのときは高給でいいと思うのですよ。戻ってきてまた本省の課長、参事官になる、こういう人事もこれから積極的に進めるべきだと思うのでありますが、官房長、どうでしょう。
○松永(信)政府委員 いま御指摘のありました考え方は、私も同感でございます。現に、開発途上国の場合には、非常に若い人が在外の外交使節として派遣されております。また、そういうところには生活、勤務の環境の条件が非常に厳しいところが多うございますから、やはり若くて、力があって、元気で、働こうという意欲を持っている間に行って仕事をしてもらう必要もあるかと思います。こういう観点から、現に、最近でございますけれども、思い切って大使の若返り人事をやっております。これには、それに伴って問題はあると思います。と申しますのは、たとえば大使で在勤をして、帰ってくると参事官とか、場合によっては課長になるというようなことになりますと、公務員としての等級が非常に下がるということがございます。そういう降等の人事をやっていいのかという問題もあるかと思いますけれども、与えられた枠の中で、いま御指摘がありましたような考え方に基づいて大使人事の若返りをやりまして、意欲的な外交活動を展開するということは私どもも全く同感でございまして、今後ともこういうことは推し進めてまいりたいと思っております。
○近藤委員 官房長、ぜひひとつ大臣、政務次官と御相談の上、そういう四十代の大使を大ぜい出そうじゃないですか。帰ってきて下がるのはあたりまえであって、あのときおれは大使をやったから、今度は局長でなければ帰らないなんというような、そんな物わかりの悪いお役人は外務省にはいないはずでありますので、割り切っちゃえばいいのですから、ぜひひとつそこは積極的に進めていただきたいと思います。
 同時に、これからの外交の中で大事なことは、やはり安全保障の問題だと思うわけでございます。実は、あるとき外務省の幹部の方とお話をしたら、いまや日ソの漁業交渉が日本の大関心事だから、これからは魚の専門家を外務省はつくるとおっしゃっている。私は、魚の専門家なんかつくったってだめだと思うのです。水産庁が朝から晩まで魚のことをやっているのですから、外務省が片手間に魚の勉強をしたって勝ちっこないのです。そういうことではなしに、外務当局として非常に大事なことは、魚もありますしエネルギーもありますが、何といったって、この国際的な社会の中で日本の国家の安全保障を、防衛庁からも来ておりますけれども、それをどういうふうに考えるのかということです。
 たとえば日ソ漁業交渉で、武力がない外交はあんなものだということを言う人がいるのですが、それなら、領土問題を解決するために日本が軍備を拡大して、アメリカやソ連と同じような軍備を持って、核も持てば、領土が返ってくるか、私はそういうことでもないような気がするのです。いまのような自衛隊が違憲だなんということを言う人たちがいるから、これは論外でありますが、もっともっと基盤的防衛力を拡充していかなければならないと思いますが、それがすべてではないわけです。限られた軍備というか自衛力を持ちながら、なおかつ領土問題を解決し、また日本の安全を守る、平和を守るというのは、まさに外交官としての最高の識見や決断や行動力が求められるわけでありますから、魚の専門家や何かは水産庁に任せておけばいいのであります。そういう意味で私は、安全保障問題について、防衛庁と並んで外務省はしっかり勉強していただきたいと思うのであります。端的に言って、防衛大学校の卒業生はこういう国防問題の勉強を若いときからしておるわけでありますから、東大とか一橋とか慶応とかそういう大学以外に、防衛大学校からもキャリアの外交官を外務省としてもっと積極的に採用すべきだと思うのでありますが、実績はどうなっておりますか。
○松永(信)政府委員 実績を申し上げますと、防衛大学校出身者を外務省が採用したという実績はございません。ただ、これも御承知かと思いますけれども、昨年、外務省の採用試験については制度改革を行いまして、いわゆる学歴制限を撤廃いたしたわけでございます。ですから、出身校とか学校の卒業資格というようなものは一切問題にしないで、試験を受けて優秀な成績をとればだれでも採用するということで、広く人材を求めるという観点からそういう学歴制限を撤廃いたしたわけでございます。いまお話がございました防衛大学校の出身の人であっても、外務省の試験を受けることは全く自由でございます。そういう方で、もし優秀な成績で試験に合格されるような方があれば、これはもちろん、当然のことでございますけれども、国家試験でございますから、公平な見地から採用をいたしていくということであると思います。ただ、防衛大学校出身者であるからこれを優先的に採るということは、やはり国家試験の性格上ちょっとむずかしい問題があると思います。
○近藤委員 それはまさに防衛大学校出身者だからということじゃなしに、能力のある者はどんどん採っていただきたいし、また、そういうことで防衛大学校の卒業生の中から外務省の優秀なキャリアの外交官が出るということは、ある意味では防大というものの社会的な評価も高めることになりますし、防大は猪木先生を校長に置いて、安全保障について相当高い勉強もしているというふうに考えます。また、防衛庁が来ていますけれども、防衛大学校自身は、狭い軍事技術的問題じゃなしに、広い日本の安全保障という問題を多角的に考えるような訓練がなければいけないと思いますので、いろいろな意味で防大卒業生というのも、キャリアとして外務省も大いに期待をしていただく必要があるのじゃないかと思います。
 それと関連いたしまして、外務省のキャリアの方々がいま世界の一流大学に語学研修ということで出ていらっしゃると思うのです。しかし、単に語学の研修だけじゃなしに、たとえば、名前は忘れましたけれどもハーバードの国際問題研究所だとか、ブルッキングスだとか、さらには、よく言われていますランドだとか、イギリスの戦略研究所だとか、スウェーデンの平和研究所だとか、そういう平和と安全保障を国際的な水準で考え、勉強しているような大学、研究所で、ある程度、一年といわず二年とか三年ぐらいの期間をもってしっかり勉強していただくことも必要だと思うのでありますが、現実に、いま申しました戦略研究所、戦争と平和の研究所みたいなところに外務省はこれまでキャリアの人を出していらっしゃるのかどうか、そういうところでマスターとかPhDの学位を取った人が一体外務省の中に何人いるのか、承りたいと思います。
○松永(信)政府委員 最初に、在外研修として語学研修をさせているという御指摘がございました。これは、さっきもちょっと申し上げましたけれども、たとえば上級試験に合格しますと、外務研修所におきまして数カ月初任研修をやり、さらに一年間本省の事務見習いをさせました後、二年または三年間外国の大学で研修させるというのが現在の制度でございます。これはいわば初任研修の一環として行われております。しかし、これは語学だけの研修のために派遣しているのではございませんで、語学の研修と同時に、派遣された国の事情をよく勉強する、それで広く友人をつくるというのが目的でございます。外交官として必要な素養を養わせるということが主たる目的でございます。
 それと離れまして、安全保障の問題等を研究するためにどういう研修をやっているかというのが第二の御質問かと思いますが、現在はアメリカのブルッキングス、ハーバード大学の国際問題研究所、イギリスの戦略研究所、同じくイギリスの国防大学にそれぞれ一名、毎年課長ないし参事官クラスの者をいわば中間研修という形で出しております。これらの研修を終えた者の数は、現在すでに三十四名に上っております。この研修は、いまのところは一年間でございます。大体各国ともそういうところには優秀な外交官を出しておりますので、そこで必要な研修をすると同時に、各国の、コレスポンドする、対応する外交官と一緒にひざを突き合わせながら勉強するという機会が与えられておりますので、その成績は非常に上がっておると私どもは考えております。
 それから学位の点でございますけれども、毎年二十五名前後採用されております上級試験合格者が欧米の大学または大学院で研修をしておりますのは、主として国際政治あるいは国際経済の部門を専攻いたしておりますけれども、相当数の者がそれぞれの専攻分野の学位を取得いたしております。
○近藤委員 いまお話もあったのでありますが、外交といっても最終的には人間対人間のつき合いですし、学閥を言うわけじゃありませんが、たとえばいまのカーター政権を見ても、前のニクソン政権、フォードにしてみても、そういうアメリカの国務省とか国防省で政策決定、もしくはホワイトハウスの安全保障会議ですか、ああいうところでやっている人というのは決まっているわけですね。ハーバードであるとかエールとかプリンストンだとかブルッキングスだとか、そういう非常に限られたところを出た人たちが行っているわけですから、したがって、そこで最高戦略決定に関係する人と学生時代に個人的につき合いを持っておる外交官がもっともっと日本におっていいわけですし、同時に同じようなことがイギリスに対しても言えるだろうし、フランスに対しても言えるだろうし、私は何も一流大学を唱えるわけじゃありませんが、現実問題として、そういう中で学生時代に一緒に寮で酒を飲み合った仲間が向こうで国防担当の次官をしていれば、極端に言えば電話でファーストネームで呼び合って情報がとれるわけですから、そういうつき合いというものはこれからもっともっと大事だと思いますので、どうも私は数が少ないような気がするのですよ。だから、語学研修は語学研修としてみっちりやっていただかなければなりませんが、そういうことも含めて、世界の主要国のフォーリン・ポリシー・メーカー、外交政策決定者をたくさん出すような研究機関、大学を戦略的に、戦術的に考えて優秀な人を多数送られる、まさにそういうところにこれからの外務省のあり方がありますので、魚の専門家にこだわるわけじゃありませんが、そんなのはどうでもいいんで、専門家は専門家で大いに各省に任せて、しかもそういう魚であれ経済の問題であれ文化の問題であれ、そんなのは専門家がたくさんいるわけです。本当に大事な外交、安全保障の問題についての専門家を、それこそ外務省は真剣にこれから養成していただく必要がわが国のために絶対に大事だ、こう思いますので、強く要望しておきたいと思います。
 一言、最後になりますが、これに関連して軍縮という問題、私はこれはどうも余り日本は熱心じゃないような感じがするのです。どうも日本はみずから守るべきことまでやっていない、したがって、自分がやっていないで軍縮を言うのはおこがましいという、大変遠慮した気分もあるんじゃないかと思うのでありますが、それはそれで、先ほど言いましたように、自衛力を高める努力をすると同時に、核、非核を通じての軍縮外交というものを積極的に推し進める必要があると私は思うわけであります。それをしませんと、たとえば片方で非核三原則にのっとっても、これは日本だけの何かああいういやな経験があったから、世界的に通用しないけれども、これだけは何とかわかってくれというような言い方の外交ではだんだん孤立化してまいりますし、非核三原則を日本が守るならば、単に日本が忌まわしい経験を持ったために、個人的に、内向的に持っている原則ではなしに、もっと広く、世界は現実問題としていろいろ核兵器もあるけれども、しかし方向はこうでなければならないじゃないかということで、説得できるところで説得をすべきじゃないか、こう思うわけであります。端的に言って、核、非核を通じて一体日本政府は世界の軍縮に対してこれまでどのような提言をしてきたか、承りたいと思います。
○大川政府委員 軍縮問題につきましては、日本は国連総会でございますとかあるいはジュネーブの軍縮委員会におきましてかなり積極的にいろいろやってまいっておるつもりでございます。
 どういう提言をいたしたかということの一つの例として特に申し上げたいのは、昨年の六月八日に日本は核防条約の批准書を寄託したわけでございますけれども、その機会に核問題に関する日本政府の基本的な考え方を内外に明らかにしたわけです。その中で、特に核の廃絶を目指していわゆる核大国がもっともっと努力をすべきであるということを高らかにうたいましたし、それから核防条約に入っていない中国でありますとかフランスに、ぜひこの条約に入ってくるべきであるといったようなことを呼びかけております。そのほか、原子力の平和利用の問題でありますとか非核兵器国の安全保障の問題とか、いろいろ述べております。それが一つの例でございます。
 それから、来年の五月から六月にかけまして国連で軍縮問題を主題とした特別総会が開かれる予定でございます。その特別総会に臨む日本の基本姿勢を先月の中ごろぐらいに国連の事務総長に文書でもって出したばかりでございますが、その中で、特に核軍縮の問題、核の廃絶あるいはその最も緊急な問題としての核実験の全面禁止の達成の必要性、それから数年前から軍縮委員会でいろいろ検討されております化学兵器の禁止条約案というのがありますけれども、それを早急に進めるべきであるという問題とか、それからさらには、これは昨年の国連の通常総会で日本から提唱いたしました、いわゆる通常兵器の国際移転について国際的にメスを入れるべきではなかろうかという趣旨の決議案を出したのでございます。これは非常に残念でございましたけれども採決には至らなかったのですが、少なくとも今後通常兵器の国際移転の分野での検討を進めていく一つの足がかりを得たものと思いまして、今後これを引き続きやっていきたいと思っております。
 なおそのほかに、軍事費の削減の問題でありますとか、そういったようなことを来年の軍縮特別総会で優先的に取り上げるべきであるということを、先月出しました日本の軍縮特別総会に臨む見解という文書の中でうたっております。
○近藤委員 外務当局の軍縮に対するいろいろな御努力は評価いたしますが、これは言わずもがなでありますが、軍縮というのはなかなか大事なことで、言ってみれば、相当が一〇〇の力を持っていて、こっちが三〇しかない、したがってこっちが一〇〇まで持ち上げるというのも安全保障の政策かもしれませんが、向こうの力を五〇に減らすこともやはり日本の安全保障政策にもなるわけですから、これは各国も真剣なはずですね。本来命がけで、弾を撃って人を殺して向こうの武器をたたくのを、テーブルで、ある意味では話し合いで平和裏に向こうの兵器をつぶしていくということになるわけですから、したがって、これこそ私は平和国家日本が積極的にしなければならない外交の分野であると確信をしておるわけであります。それにしては、外務省の軍縮室というのが数名の人員でしかない。アメリカその他は何十人、百人というので真剣に取り組んでいるわけでありますが、まさにそういう意味があって各国とも考えながら平和裏に敵の兵器を抑えてしまうということでありますから、私はこれはもっともっと外務省として、これは防衛庁との連携も必要だろうと思いますけれども、積極的に進めていただきたいと思うわけであります。
 同じようにこの制度――私は最初に申しました、非常に大きな外交政策が問われているときに、いまの外務省の体制がいいのかどうか、やはり検討しなければならない時期だと思うのであります。さきの予算編成のときにおきましても、中南米局をつくるということでわれわれも努力をいたしましたが、なかなか実際にできなかった現状であります。その経緯について私も十分に知っているつもりでありますが、やはり外交官同士のつき合いというのは、先ほど言いましたようにいろいろ格がありまして、大使は大使、公使は公使、参事官は参事官ということになっていますし、局長は局長、こういうことであるわけでありますので、中南米局をつくることによって、そのことだけの理由で実質的に予算がふえるとか定員がふえるわけじゃない。ただ参事官が局長になるということだけであるなら、行管も余り厳しいことを言わなくてもいいのじゃないかと思いますので、スクラップ・アンド・ビルドで、こっちをふやすときはこっちを減らすのだというようなことも、現実行政管理庁が機構改革と取り組む場合にやむを得ない原則かもしれませんが、しかしそこはひとつ余りこだわらないで、外務省のようなところはもうちょっとそういう原則でなしに、どうしたら外交がうまくやれるのかという観点から、この点については前向きに取り組んでいただきたいということを最後に要望いたします。
 時間が過ぎてしまって、委員長大変申しわけありませんが、今度の外務省の法案は私は率直に言って、いまいろいろ申しましたようなことの中から考えますと、いささかささやかな要求であり法案の改正であると思っておりますが、それだけにこのような問題そんなにわれわれあれしないで、できるだけ早く当委員会において採決をし、そして国会を通過できますように委員長にも特段のお計らいを要望いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○正示委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四分開議
○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 在勤基本手当についてですが、今回の改正は新設公館の基本手当額を定めるだけで、全体の改正ということではないわけです。ところで、外務人事審議会が昨年の十二月に、一つは「実質生計費の大幅な上昇が見られる一部地域の公館につき手当の実質的価値を維持する調整を行なうこと」二番目に「瘴癘度が特段に高い地域に勤務する在外職員の基本手当について一層の配慮を加えること」こういった勧告をしているわけですが、この二つの勧告に対して、いままでどういう具体的な措置をとってきたか、これをお伺いします。
○松永(信)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、昨年十二月に外務人事審議会から外務大臣に対して勧告が提出されております。そのうち二点あったわけでございますけれども、第一点の、一部の生計費が大幅に上算した地域につきましては、インドネシア等十七カ国に所在いたします二十一公館につきまして、そこに勤務する職員の在勤基本手当及び住居手当の限度額を定める政令の一部を本年四月に改正いたしまして、支給額の引き上げ改正を行ったわけでございます。
 それから第二点の、瘴癘度が特に高い地域に勤務する職員の基本手当に一層の配慮を加えるべきであるという点につきましては、現行の特勤ポイント制度というものが在勤基本手当を算定いたしますときの基本的な制度になっておりますけれども、最高二十五ポイントということになっておりまして、すでにその最高限度まで実はこれを適用しているわけでございます。しかし、この中で特に指摘されておりますような瘴癘地についてどういう格づけをしていくかという問題を初めといたしまして、制度全般の見直しが必要であるということから、できるだけ早くこれについての結論を得まして、在勤基本手当の全面的な改正を行う検討の材料にいたしたいと考えて、目下鋭意検討中でございます。
○柴田(睦)委員 住居手当の問題が出ていますけれども、これも今度の改正では館長代理となる者の住居手当の限度額を調整するということにしているわけです。いまの勧告によりますと「住居手当限度額を、家賃上昇率等を勘案し適正な水準に引上げるよう全面的に改定すること」また「同伴子女が多い在外職員に対して住居手当に加算制度を導入することにつき検討すること」こういうように言っているわけですけれども、今度の改正案では住居手当の全面的な改正ということが盛り込まれているわけではないわけです。これらの勧告を受けて改定案をつくるということ、あるいは加算制度について検討してその結論を出すということをやらなければならないと思うのですけれども、さきの質問で検討中ということでありましたが、それらについてどういう検討がなされているのか、また結論はいつがめどになるのか、そういう点をお伺いします。
○松永(信)政府委員 住居手当の限度額一般については、昨年は、住居費が特に高騰をいたしました一部地域の住居事情がかなり窮迫した状況にございましたので、百十七公館を対象といたしましてこの引き上げをすべきであるという結論に達しましたので、先ほど申し上げました四月の政令改正でございますけれども、これによりましてこの百十七公館の住居手当の限度額の改正を行ったわけでございます。
 それから館長代理をいたすべき次席館員の住居手当につきましては、御指摘のように一〇%の加算をするということをいたしたわけでございますけれども、さらに子女を同伴している場合に、家族構成を考慮して適正な住居手当を検討すべきである、加算制度を設けるべきであるという審議会の意見につきましては、どういう態様の制度をつくったならば全般的な見地から合理的かつ公平であるかという問題がございますので、若干慎重な検討を要すると思います。
 そのためには、まず実態的な調査が必要であるということで現在詳細な実態調査を進めている段階でございますので、その結果が明らかになりました時点において、この制度そのものについて検討をいたしたいというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 この法案に関してはその程度にいたしまして、この機会に幾つか伺っておきたいと思います。
 一つは、日ソ漁業の問題にも関連するわけですけれども、千葉県の銚子沖のソ連の漁船団の問題です。これは四十九年以降、ソ連の漁船団の母船が居座って、加工したごみなどを海に捨てるために海が汚れ、沿岸漁民の流し網などに次々に被害が出てきた。この漁民の直接的な被害は、計算しますと千七百二十万円に上っていると言われております。それから、ことしの二月十七日から千葉県が地元漁協の協力を得まして掃海作業をしたわけですけれども、加工した魚の残りかす、ダンボール箱、空きかん、針金なんかを集めましたところ、二千百二十七たるということになりました。この費用は二千九百六十八万円かかったということです。
 漁業の被害については、これは国が責任を持つべきだというように私は考えるのですが、いま国は県に掃海費用の半分を負担させるということになっているわけで、これには問題があると思うのです。もとはと言えば、外交上十二海里の設定がいままでおくれてきたということでありますし、ソ連漁船の銚子沖の操業について有効な手を政府が打てなかった、そういう意味でも日本政府の責任が重大であるということから見まして、これらの損害について国が全部負担すべきであるというように考えるのですけれども、まず水産庁にこの関係を伺っておきます。
○佐々木政府委員 いま先生からお話がございましたように、千葉沖でのソ連漁船によるいろいろな残滓等の投棄が漁場に堆積し、非常に操業上の邪魔になっているということがこの数年発生しております。
 私どもといたしましては、これは日ソ間の例の操業協定で、そういう漁場への有害なものの廃棄をしないということを約束をしているわけでございますから、当然ソ連側の方に厳重な決意をしてくれということを外交ルートを通じていままでも何回か抗議をしたところでございます。ただ、従来は何分にも公海上での海洋投棄の問題でございますので、直ちに日本の国内法を適用していろいろな処分あるいは損害賠償の請求をするということもいろいろ問題点がございますので、現実問題として非常に沿岸の漁業者が迷惑をしておるということで、私どもの方で従来からやっていました海底の清掃事業の一環といたしまして、この海域に特に重点を置きまして、五十年度、五十一年度と二年間にわたって海底の清掃事業を当面対策としてやったわけでございます。その費用はいま先生から御指摘がございましたとおりで、五十一年度には約三千万円の経費をかけて、国がその二分の一を補助してやったわけでございます。ただ、たてまえとして、これは本来、地域のいろいろな産業廃棄物あるいは生活廃棄物等が漁場に堆積して、地域の漁業者が非常に迷惑するというものについての対策の制度をいわば運用面で利用したような形のものでございますので、事業の性格上、現状ではやはり国が二分の一を負担し、残り二分の一を地元に負担していただくということで実施をせざるを得ないわけでございます。
 今後十二海里の例の領海法が制定されますと、従来これが問題になっていました場所のほとんどが十二海里内になりますので、将来に向かっては一応こういった事態の再発は防げるものと思いますけれども、これまでの清掃事業については当面対策ということで御了承をいただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 四月から五月にかけては、銚子沖ではサバの漁期ということになるわけです。海洋二法も成立したわけですけれども、いままでのようなことがあっては、漁民にとってもまた日本の国にとってもたまったものじゃないわけです。海洋二法が公布されて、日本の意思もはっきり出されているわけですが、現にこの四月にも漁船団がやってきて、まだ銚子沖にいまでも居座っているという状況であります。こういう中ですから、外務省はいままでのような一般的な申し入れだけではなくて、不法投棄や日本漁業に対する侵害が絶対に行われないような対策を講じなければならないと思うのです。そういう意味で、ソ連の漁船団の操業についてそうした不法行為が行われないように確約をとるべきだと思うのですけれども、外務大臣のお考えをお伺いします。
○鳩山国務大臣 銚子沖のソ連漁船の空きかん等の不法行為が沿岸漁民に大変な迷惑をかけているということはよく認識しているところでございまして、この一月でございましたか、空きかんを持ってこられたりしてよく承知しております。これにつきましてはもう厳重に抗議をいたしておるところでございまして、今後このようなことが全くなくなるように強く要望いたしております。
 なお、十二海里に領海が広がる場合におきまして、十二海里内に入りたいという希望を先方が持っておるということは新聞紙上でも伝えられているところでございますけれども、政府といたしましては、このような沿岸漁民に被害がなくなるように十二海里内の操業というものはこれは拒否をするという態度を最後まで貫く所存でございます。
○柴田(睦)委員 それはその程度にいたしまして、もう一つ、千葉県の柏市にあるトムリンソン基地の問題ですが、これは四十八年二月八日の日米合同委員会で、基地のほんの一部ですけれども二百七十五平方メートルが返された。そして、この土地の位置から考えてみても、非常に人口が急増する地帯であって、この空間が非常に欲しい、そういう都市構造になっているというようなことも絡んで、千葉県を初め関係自治体から基地の早期返還と跡地利用の問題についていろいろな要請が出ております。この基地は通信基地として使われていたものでありますが、いま通信施設の大部分が移転して、従業員も大部分は解雇されている状況にあります。広さが百八十三ヘクタールに及ぶ莫大な土地であって、その大部分が外から見れば事実上眠っているというように見られるわけです。それで、この基地の返還ということについてはいろいろ言われておりましたけれども、今日まで返還されないのはどういうことが障害になっているのか、そういう問題について日米合同委員会で問い合わせをするのか、そういう問題についてお伺いします。
○高島政府委員 お答え申し上げます。
 柏通信所は、先生御指摘のように、五十年の十一月末で従業員全員を解雇する旨の通知がございました。そこで、施設庁といたしましては、早速米軍に照会したわけでございますが、米軍は、従業員の解雇と施設の返還とは別の問題であるということで、現在までに明確な回答は得られていない状況でございます。しかしながら、先生御指摘のように、数年来地元からの強い返還要望がございますので、当庁といたしましては、機会あるごとに米軍に対して返還方を申し入れたのでございますが、米軍は現在内部で検討中ということで、いまだにその回答を得ていない状況でございます。
 施設庁の基本的な姿勢といたしましては、御指摘のような周辺の開発状況等もございますので、できるだけ米軍に一部でもよいから返還してほしいというふうな立場で、今後とも交渉を継続する所存でございます。
○柴田(睦)委員 ちょっと施設庁に伺いますけれども、米軍の通信基地としての機能がまだ残されているのか、それから、そういう話をしている過程で、この返還の見通しは全く立たないものであるのか、そのあたりをもう一度。
○高島政府委員 現在米軍の通信施設としての機能は全く停止しております。
 返還の見通しでございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、施設庁といたしましては、できるだけ地元の要望におこたえいたしたいという気持ちから、たとえ部分的でも返還してほしいというふうなことをたびたび申し入れておるわけでございますが、いまだ回答を得ておらないという現状でございます。
○柴田(睦)委員 それでは、それを受けて外務省の方にお伺いしたいのですけれども、要するに、千葉県当局を初め関係自治体が早期返還ということを強く要望しているわけで、現に機能していない基地になっている。いろいろの事情があるというようなことがあるようですけれども、日米合同委員会において、どうなっているのか、どうするのか、返してもらいたいというような問い合わせ、あるいは要望をするというような考え方があるかということをひとつ大臣の方にお伺いします。
○鳩山国務大臣 ただいまの御指摘の基地は、地元の御要望等も承知いたしております。したがいまして、施設庁の方と連絡をとりながら、これらの要望の実現方につきまして取り運びたいと思いますが、米側といたしましても目下検討中のようでございますので、それを待ちまして手続を進めたいと思っております。
○柴田(睦)委員 その点は検討中というのが大分長くなってきておりますので、ひとつその結論を急がせるようにしてもらいたいと思います。
 次に、沖繩における公用地の暫定使用に関する法律、これが五月十五日の正午から、いまもそうですけれども、軍用地として県民の土地を使用する根拠が失われているわけです。米軍が占領してから三十年以上になるわけですけれども、その間立ち入ることができなかった県民の所有地、いわば父祖の土地をいま自分の体で確かめたいというのは、これは県民として当然の要求であるわけです。暫定使用法の第二条の効力がなくなったとき、あるいは国会の審議の中で、なくなることが明らかになった時点があるわけですけれども、そういうときに、米軍基地として使用されている、そして公用地法によって使用している土地、この問題をめぐって外務省としてはアメリカ側との接触をしたか。何らかの説明をせざるを得なかったと思うのですけれども、その内容などについてお伺いしたいと思います。
○北村説明員 お答えいたします。
 わが国は、安保条約、地位協定に基づきまして、日米両国政府が安保条約の目的遂行のために必要と判断した施設区域のアメリカ軍による使用を両国政府の協定によって認めておるわけでございまして、そこで国内法的に政府が使用権原を失ったといたしましても、アメリカ軍は日米間の国際約束に基づきまして当該の施設区域を引き続き使用する権原を有するわけでございます。したがいまして、関係地主等の施設区域への立ち入りに当たりましては、立ち入りの許可を含めて、施設区域に対する一般的管理権を有するアメリカ軍との間で調整を行う必要がございます。
 御質問のありましたアメリカ軍に対する連絡協議その他は、防衛施設庁を通じまして種々国会審議の状況を連絡して説明しております。
○柴田(睦)委員 暫定使用法によって強制使用といいますか、その適用を受けております地主、いわゆる反戦地主の人たちが、自分の土地に立ち入りたいということで、基地まで出かけました。これに対して、アメリカ側はいろいろの問題を持ち出して、事実上立ち入りができないようになったというのが現実であるわけです。これは日米の双方の国家としての約束という問題はあるわけですけれども、今度はその土地の所有者という問題が日本の国との間において出てくる。そういうところから見たときに、この立ち入りたいという地主の要求に対してアメリカ軍がとった態度、処置については、外務省としてはこれを是認しているのかどうか、そういう問題です。
○北村説明員 十六日及び十七日の関係地主等との嘉手納空軍基地への立ち入りの問題につきましては、那覇の防衛施設局を通じてアメリカ軍との間で調整を行いました。ところが、その立ち入りの態様について話がまとまりませんで、結果的には立ち入りが実現しなかったわけでございます。立ち入りが実現しなかったこと、またその話がまとまらなかったことは遺憾ではございますが、しかし米軍が立ち入り自体を拒否したわけではないので、立ち入りの態様について話がまとまらなかった結果でございます。
○柴田(睦)委員 それは、権利者として立ち入るという要求であって、それをどのように実現するかという問題については、やはり日本政府としても、外交交渉で話を国民のために進めるということが必要であると思うのです。米側の態度を是認する、やむを得ないということで積極的な処置はやられていないようですけれども、アメリカの言うこと、なすこと、これはそのまま承認して、一方国民の要求、権利者の要求に対しては抑える、こういう態度があらわれていると思うわけです。この点は、沖繩でいま大問題になっております戦車道の問題、これを振り返ってみれば、いよいよ政府の対米態度、また国民に対する態度というのが明らかになってくると思うのですが、以下戦車道の問題についてただしていきたいと思います。
 まず、四月十九日に衆議院の沖繩北方特別委員会で、共産党の瀬長議員が、米軍の戦車道の建設によって水源地の汚染が起こり、それが県民の生命と安全にかかわる重大な問題であるということを指摘いたしまして、これは地位協定の三条三項にも違反するのだという問題を提起いたしましたのに対して、外務大臣が公共の安全に障害があったということを認め、公共の安全に考慮を払わなければならぬという答弁をされているわけですが、今回の米軍が引き起こしたこの事件というのは、地位協定三条三項に違反したものであるかどうか、この点を最初にお伺いいたします。
○北村説明員 地位協定上、アメリカ軍が行います作業は、公共の安全に妥当な考慮を払っていかなければならないということになっております。今回の道路建設によりまして、水源地の汚染とかあるいは環境破壊というもののおそれが生じておることは遺憾でございます。しかし、果たしてそれが水源地の汚染になっておるか、あるいは環境破壊を起こしておるかという実態につきましては、現在防衛施設庁においてもいろいろ調査をしておりますし、アメリカ軍もそのおそれがあるということを未然に防ぐために、これに応じて各種の措置を講じておるのが現状でございます。
○柴田(睦)委員 では、その点は後にいたしまして、外務大臣はこの問題につきまして近く合同委員会で厳重な申し入れをするということを約束されております。この日米合同委員会でどういう内容の申し入れを行ったか、それに対する米側の回答はどうであったか、その点についてまずお伺いします。
○鳩山国務大臣 過日、私が合同委員会に申し入れをするというお答えをいたしたのでございます。合同委員会が四月二十一日に開かれまして、この委員会におきまして、今回の米海兵隊による戦車道建設によりまして水源地の汚染のおそれや環境破壊のおそれが生じていることを指摘いたしまして、この種公共の安全に影響のあり得る問題について、事前に日本側の関係当局と連絡することなく工事を行ったことについての遺憾の意を表明いたしますとともに、防衛施設庁より米側に申し出たる土砂の除去、一部ルートの変更等の措置を早急に完了するよう申し入れたところでございます。これに対しまして、米側は、防衛施設庁よりの申し入れのあった措置についてはすでに着手しておる、その早期完了に努力する旨約したのでございます。また、あわせて本問題については日本政府としてさらに実態調査を行う必要がある旨指摘し、米側の協力を求めたのに対しまして、米側は協力を約したところでございます。
 さらに今後の問題として、本問題のごとく公共の安全に影響のあり得る工事の実施に当たっては、事前に日本側関係当局と十分調整するよう申し入れまして、米側もこれを了解いたしました。
○柴田(睦)委員 ちょっと中身についてお伺いしますけれども、一つは問題になりました在沖繩米海兵隊基地司令部の参謀長であるブレディー大佐の発言、戦車道の建設工事で地域住民に被害を与えているとは思っていない、実際に被害は出ていないのに県民が大騒ぎするのは、マスコミが正しく報道せずに余りにも一方的にセンセーショナルに被害が出ているかのように報道するからである、こういう発言があったわけですけれども、この発言が事実かどうか、そういう点は確かめられましたか。
○北村説明員 御指摘の発言自体につきましては余り詳細を存じ上げませんが、しかしそういう趣旨の発言がもしなされたとするならば、そういうことを決して日米間のスムーズなこういう基地の運営に役立つものではございませんので、合同委員会等におきましても、米側に発言に慎重であるよう申し入れております。
○柴田(睦)委員 これはもう事実関係とは全く違うわけですから、訂正を申し入れなければならないというように考えます。
 それから先ほど答弁なさっていた中で、今度は現実に被害に対する具体的な措置がどのように講じられてきたか、その具体的措置をやっているその現状について報告してもらいたいと思うのです。特に水源地の汚染に対する応急措置及び恒久的な措置という問題、それから県の山林試験場の試験林が一万本をなぎ倒された。これは農林行政に多大な被害を与えたことについて、アメリカ側は原状回復などこの補償措置について実行する、そういう点についての約束がなされているのかどうか、そういう点お伺いします。
○高島政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のキャンプ・ハンセンにおける戦車道の建設に伴う被害につきましては、梅雨の季節を控えておりますので、当庁といたしましてもこれをきわめて重視いたしまして、まず米軍に対して適切な措置の申し入れを行ったところでございます。米側もこれに応じまして直ちに土砂の除却等の被害防止工事に着手し、現在鋭意実施中でございます。しかしながら、当庁といたしましては米側の措置とは別に急速ろ過装置等を設置する必要を認めまして、その工事を早急に実施すべく地元の地方公共団体とも十分協議を重ねまして、一部現在実施に移しているところでございます。
 これを具体的に申し上げますと、まず松田、潟原両地区の浄化施設の設置については今週中に、恐らくきのう完了しておるはずであります。今週中に工事終了ということで実施しております。また宜野座地区につきましては、今月下旬にろ過器の設置が終了する予定でございます。それから許田地区につきましては、浄化施設の設置よりも、戦車道の影響を受けない水源から取水をし、送水管を敷設して給水する措置をとる方が適切であるというふうなことで、現在検討を重ねております。この方法によれば比較的短時日で当該工事が完了できる見込みでございます。それから松田第二水源周辺の下流部に土砂どめ工を二基設置することにしております。それから松田第二水源個所に土砂流出防止工を実施する等の障害防止措置を現在講じつつございます。ただいま先生御指摘の明治山県林業試験地内に土砂流出のおそれがございますので、これまた砂防対策のための砂防調査を現在実施するよう関係方面と計画中でございます。また今後、土砂流出等の状況をよく見まして、いままで申し上げた工事では足りないというふうなことでありますれば、さらに砂防堰堤等の所要の措置を講ずるよう検討中でございます。
 なお、米軍に対しても厳しく工事の手直しを申し入れたわけでございますが、申し入れた事項に対しては米軍もきわめて真剣にこれを実施したものというふうに認められます。
○柴田(睦)委員 引き続き施設庁の方に聞きますけれども、この米軍の戦車道の計画は、最初全延長が二十三・四キロメートルだというように言われておりました。その内訳は、既存道路部分が十四・六キロ、拡幅部分が三・三キロ、新設部分が五・五キロと計画されていたというように聞いているのですけれども、実際はどうなっていたのかという問題です。いま言いました数字と比べてみますと、現在の工事は相当隔たりがあるように思うのですが、実際の計画、これをお伺いします。
○高島政府委員 お答えいたします。
 施設庁の調査によりますと、道路の総延長は二十七・四キロメートルでございます。新設区間は七・九キロメートル、在来区間が十九・五キロメートルというふうに調査の結果判明いたしております。
○柴田(睦)委員 その計画について、これから先、いままでの答弁などによりますとルートが未定だ、あるいは延長も不明である、そういう答弁を聞いているわけですけれども、今後延長だとか新設をする、そういう可能性があるように思われるのですけれども、その点はどうですか。
○高島政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、まだ未完成の部分があるということは承知いたしております。しかしながら、今回の工事で大変県民にも御迷惑をかけたというふうな実態でございますので、施設庁といたしましては、仮に今後このルートを完成するという意味合いにおいてさらに工事を再開するというふうな場合には、十分その計画を事前に承知をし、かりそめにもいま起きているような被害が起こることがないように、十分注意した上で実施させたいというふうに考えております。
 先生に御理解いただきたいと思いますが、この戦車道は、国道三百二十九号線を通ってキャンプ・ハンセンとシュワブのいわゆる施設間の車両等の移動は、国道を通るよりも場内を通る方が県民に御迷惑をかけないという計画のもとに米軍が実施したということでございますので、この道路を全く未完成のまま終わらせることはできないというふうにわれわれは考えておる次第でございますので、その点御理解を得たいと存ずる次第でございます。
○柴田(睦)委員 あたかも戦車の通過道路というような説明もありましたけれども、これは後でちょっと触れることにいたします。
 施設庁の方は、被害が発生してからこの実情調査を実施しているわけですけれども、この被害状況の報告書、それとこの戦車道の建設状況を示すもの、まあ地図の添付が必要になると思いますが、この被害状況の報告書、それから戦車道の建設状況、これを出してもらいたいと思うのですけれども、これはできますか。
○高島政府委員 後月調製の上、提出させていただきます。
○柴田(睦)委員 この戦車道工事の全体計画、それから計画の内容、この実施の状況、こうしたものについては米側から施設庁あるいは外務省に通知を受けているのですか。
○北村説明員 今回の道路建設工事につきまして、米側からは事前の連絡はございませんでした。
○高島政府委員 防衛施設庁といたしましても、事前に何らの通知は受けておらなかったところでございます。
○柴田(睦)委員 共産党としては、沖繩に参りまして調査をいたしました。それによりますと、先ほどはあたかもこの戦車道というのが通り道だという説明もありましたけれども、そういうものではなくて、山岳戦、戦車戦、上陸戦の戦闘演習ができるようにつくられているということを見てまいりました。たとえば、四十度の勾配が数百メートルに及ぶ急坂があると思うと、今度は平たんな直線路が一、二キロ続く、その次には急カーブ、急傾斜が連続してある。この戦車道は効率的な戦車演習のために綿密かつ入念な計算と設計に基づいてつくられたものであって、単なる戦車道ではなくて、大規模な山岳機動戦車戦用の訓練道路、このように見ております。
 この点についてまず防衛施設庁に聞きますが、この戦車道はそれでもやはり通り道だと言われるのか。外務大臣はどういう認識を持っておられるのか、両方にお伺いします。
○高島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、現地米軍側から説明を聴取したところによりますと、キャンプ・ハンセンとキャンプ・シュワブの施設問を結ぶ戦車等の連絡道路であるというふうに私どもは受けとめております。今後の米軍の演習内容等によってつまびらかになるとは思いますが、私どもが現在理解しておるところでは、仮に先生御指摘のような戦車訓練のための道である、戦車が移動するということになりますと縦横に駆使するわけでございますので、周辺がほとんど裸地化するわけです。そのようなことはない。これはあくまで戦車等の移動のための通路であるというふうに私どもは現在受けとめておるところでございます。
○鳩山国務大臣 私どもも、この現場をよく知らないものでございますから、施設庁の御判断と同じ判断をいたしております。
○柴田(睦)委員 そういうお答えですけれども、実はこの戦車道は、在沖米海兵隊がベトナム侵略戦争で全面的に敗退して、それまでは対ゲリラ戦やジャングルあるいは沼地帯の戦闘を重点にする演習から、今度は山岳地帯や極寒地帯での機甲化部隊との対戦を想定した陸海空一体の対戦軍戦、砲撃戦を重点にした演習に適合するようにつくられたものであると見なければ説明のつかない戦車道であるわけです。
 三月十四日付の琉球新報ですけれども、米海兵隊の専門誌ガゼッテの一月号に、太平洋艦隊付の米海兵隊司令官マクローフィン中将の記者会見の内容が報道されております。特に沖繩駐留の海兵隊第三水陸両用部隊の役割りを初め演習について触れているわけです。インタビュアーの「極東においては韓国に潜在的脅威が大きいが、寒冷気候地域の海兵隊の戦闘の用意はしているのか。」という問いに、マクローフィン中将が答えて「長官も寒冷気候の環境下の訓練をやる必要を強調している。極寒状況での訓練についてやるべきことがたくさん残っている。」また「第三水陸両用部隊は冬には韓国、富士で寒気候の訓練と呼ばれるのをやっている。極寒、ジャングル、山岳地帯での戦争に必要な特殊訓練もすでにやった。」こう語っていることによっても裏づけられると思うのです。戦車道が朝鮮半島の地形にある山岳戦などを想定してつくられていることが明らかであると思うわけです。
 こういう点について、外務大臣、どう認識されておるのかお伺いします。
○北村説明員 一般的に申し上げまして、軍隊がいろいろ訓練を行いますことは、これはやはり軍隊の性格上当然でございまして、それは日米安保条約上許容されているところでございます。
○柴田(睦)委員 もう少し状況を申し上げますと、この在沖海兵隊の水陸両用部隊の水陸両用戦車、これも最近M113A1型からLVTP7型の最新型に切りかえられ、また在沖海兵隊は五十一年夏にM60A1型戦車を導入し、従来のM48A2型戦車と交代させているわけです。主力戦車の戦力が著しく強化されているということに特徴があります。しかも、M60A1型戦車は核、非核両用戦車と言われているものであるわけです。こういう事実を外務大臣は御存じかどうか、どうお考えかをお伺いします。
○北村説明員 ただいま柴田委員のおっしゃいました具体的な事実は、私どもまだ承知しておりません。
○柴田(睦)委員 現在、M48戦市が十七両、M60A1戦車が三十五両、LVTP7型水陸両用戦卑が百七両から成る無軌道戦車大隊が再編、強化されて、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンに展開している、こう言われております。一部には、キャンプ・ハンセンには戦車が常時二百台から三百台待機している、こう言われております。
 これらの事実を総合してみますと、戦車道の新設、改修というのは、こうした在沖米海兵隊の再編、強化という道筋の重要な一環であって、いま言われましたように、アメリカ側が言っております単なる通過道というものではないということは明らかだと思います。そう見なければならないわけです。この戦車道、いわゆる機動戦車戦用の訓練道路は、在韓米軍地上軍の撤退とも関連して、朝鮮半島を焦点とする前進拠点基地としての比重と役割りを飛躍的に高める一連の動きの代表的なものであるというように考えます。沖繩基地は、県民の要求を全く無視して集中強化されてきているのがいまの実態であるわけです。そういう考え方について、外務大臣の見解をお伺いします。
○北村説明員 安保条約に基づきまして米軍は日本の安全並びに極東の平和と安全の維持のために必要と判断される範囲において日本の施設区域を使用することが認められておるわけでございます。したがいまして、韓国の平和と安全というものは極東の平和と安全の問題につながるものでございます。その範囲内において米軍が行動していることは合法的であると思います。
○柴田(睦)委員 結論ですけれども、この沖繩における基地の新しい事態に応じての再編、強化ということが現実的にいろいろな状態から見られるわけでありますけれども、それが日本の安全にとって必要である、そういう認識を持ってそれに協力するという考え方であるのかどうか、そういう問題であります。その点を最後にお伺いします。
○鳩山国務大臣 沖繩に特に米軍の現実に相当な勢力がおる、特に日本全体の中で沖繩に占める比重が高いということ、これらは現地の沖繩住民の感情からいいまして問題をはらんでおること、事実でございます。そしていろいろな御心配が出てまいりまして、韓国からの地上凧の撤退計画のような話が出ておる際でございますので、ことさらいろいろな御心配があることも伺っておりますが、私どもといたしまして、この在韓米軍の、特に地上軍の撤退と沖繩の配備との関係は、これは全く関係がないだろうということを申し上げておりますし、先般モンデール副大統領が見えましたときも、地上軍の撤退が日本に一部分移されるというようなことは全く考えてないというようなことも言明されております。恐らく、私どもといたしましては全くこの両者は関係なく取り進められるであろうというふうに信じておるところでございますけれども、いろいろな御心配があることでございますので、その点は私ども今後とも注意深く見守ってまいりたいと思っております。
 ただいま、現地に新型と申しますか、あるいは戦車等のいろいろな更新等が行われているというような御指摘もあったわけでございますけれども、これはどこの部隊におきましても、兵器関係は逐次これは補充、交代というようなこともありますことでございますので、一々現在その状況まで確かめておりませんけれども、大きな考え方といたしましては、そのような御心配になるようなことは全くないものというふうに私どもは考えております。
○柴田(睦)委員 見解は違いますけれども、終わります。
○正示委員長 続いて、中川秀直君。
○中川(秀)委員 せっかく外務大臣御出席でございますので、報じられているところのモスクワ交渉のことにつきまして御見解を伺いたいと思います。
 伝えられるところによりますと、暫定協定の大筋の合意ができた、いわく第一条、ソ連の主張する二百海里の線引きを認める、第二条、日本の二百海里水域法の趣旨、つまりわが国の基線から十二海里以遠三百海里までの対象水域線引き、当然にこれは北方四島沖も含むわけでございますが、これを盛り込む、漁獲割り当て等については調印時の交換公文で決める、対象水域の線引き、線引きの相打ちのような形でございますが、これは魚に限る等々の大筋の合意ができたというふうに伝えられておるのでありますが、これで当初来政府が方針としてきましたわが国の立場は守れたことになるのかどうか、ちょっとその点をお尋ねしておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回の日ソ間の漁業交渉、この背景は、御承知のように二百海里の漁業専管水域をソ連が国内法として施行したことから始まったわけでございます。この点につきましては、私どもは、遠洋漁業国であるという観点から大変な関心を持っておるわけでありますが、日本の立場といたしましてやはり一番心配な点は、北方四島の地位という問題でございます。この点につきまして、今回の漁業交渉がこの二百海里問題を契機といたしまして非常に拡大されてきたということは事実でございます。北方四島問題が、ただ四島に従来はそれに領海がついていただけの話が、今度は二百海里の漁業水域がくっついた問題になるということにおきまして問題が大変大きくなったわけでございます。そういう背景のもとに今回の漁業交渉が行われるというのでございますので、この北方四島との関係が私どもは最大の関心事であった。この点につきましては、領土問題についていかなる影響も及ぼさないということをわれわれといたしましては最後まで貫きたい、こう考えて努力をいたしたわけでございまして、その点につきましては、福田総理からコスイギン首相並びにブレジネフ書記長あてに、今回の問題は漁業問題としてひとつ決着をつけるべきである、すでに二月の終わりから交渉が始まったわけでありますから、今日までまだこのような状態であるということは、これは日ソの国交上大変重大な問題になってきたので、今回はぜひとも領土問題と離れて漁業問題として解決をしようということで急速に両者の話が詰まってきた、こういう状況でございます。
 したがいまして、わが国といたしまして最大限に心配をしております領土問題、これが一歩先方に食い込まれるのではないか、こういった心配はもう絶対に避けねばならないという意味で、私は所期の線を守り通して、そしてしかも伝統的な北方漁業を守る、こういう観点から、今回の漁業交渉のこれは円満妥結ということが言えるのではないか、こういうふうに思っております。
○中川(秀)委員 時間がありませんので端的にお伺いをいたしますが、領土について、わが国の従来からとっておりますところのまだ未解決の問題であるという立場、これは田中訪ソのときの両国のコミュニケにもある表現でございますが、そうした立場は守れたという受け取り方のように私は理解をいたしましたけれども、しかし、考え方でございますけれども、当然にそういうことになれば、これだけ今度の漁業交渉においてもクローズアップされた北方領土の問題、政府においても本格的な日ソ平和条約への取り組みというものが、逆に言うと迫られた事態だとも理解をするわけですけれども、その辺をこれからどのようにお考えになり、どのようにお取り組みになるのか。
 それから第二点は、ソ連の閣僚会議あるいは最高会議に、いうところの線引きを第一条に持ってきたことによって、従来の北方四島の帰属はわが国に属するんだという日本の主張も、国際法の上かどうかは別としまして、国際的な立場は弱くなったと見る方々もいらっしゃる。その点について、どうか。
 それから第三点は、漁獲割り当ての問題になるわけですけれども、この点についてわが国の主張は貫けているのかどうか。
 この辺をお伺いをして、この問題は、次の問題に移らしていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 まず平和条約への取り組み方でございます。これはもう御説のとおり、二百海里時代になりまして、したがいまして、領土問題がただ領土ではなくして、漁業水域あるいは将来経済水域を含む大変大きな問題になってきたということで、この平和条約への取り組みを急がなければならない、これはもう御説のとおりでございます。そのためにも、これはただ交渉すればそれで片がつくという筋のものではなくして、やはり平和条約というものは両国の国交が友好関係が増進される過程におきまして初めて解決を見れる問題である、私はこのように思っておるところでございます。したがいまして、漁業問題も日ソの間の友好関係を増していく一つの過程である。ここで、漁業問題で両国の国交が壊れるというようなことになりますと、これはまた逆な意味におきまして日ソ間の平和条約交渉、これも大変むずかしくなるわけでございます。そういう意味で、従来は日ソ間といいますと漁業関係が一番大事な関係であった。漁業関係におきまして円満な友好関係を続けるということが必要なことである、私はそういうふうに思います。そして、この漁業関係が円満な妥結を見ました暁におきまして、平和条約交渉ということにつきましても真剣な努力を傾けていかなければならない。しかし、その問題についてはなお長期に、ある程度時間がかかるだろう。その時間がかかるという意味には、やはり日ソ間の友好関係というものが増進をされなければならないというふうに、私はそのように考えておるところでございます。
 二番目につきまして、漁獲量のことでございましたか、漁獲量につきましては、これは全く、まだこれからの交渉でございますけれども、国際法的に言いまして、従来の伝統的な漁業につきましてこれに急激な変化と申しますか、それが関係国の経済的な意味で非常な困難を来すようなことがあってはならぬというのが今度の海洋法の関係につきましても考えられているところでありますので、伝統的な漁業という実績等を確保しなければならない、このように考えております。
 三番目の点につきまして、この点につきましては、領土問題につきましては、この漁業問題が何らの影響をもたらさない、そのようなことをこの協定上はっきりさせたいというのが、現在最後に残された問題でございまして、その文面につきましては、それが確保されるように現在詰めているところでございます。
○中川(秀)委員 まあ微妙な段階で、いよいよ最後の段階で余り明確な御答弁もいただけない。九仭の功を一管に欠くという言葉もございまして、了解しました。
 次の問題に移ります。現在参議院で審議中の沖繩の基地法案の問題について若干ただします。
 われわれ新自由クラブは、今度の沖繩地籍明確法の、つまり修正案の方の共同提案になったわけでございますけれども、この法律の成立を見ていない現在、五月十四日で公用地暫定使用法による使用権原が切れているということと、日米安保条約あるいは地位協定による米軍基地の提供義務、この関係はどのようなことになるのかという点でございます。公用地法第四条の返還条項に従いまして、期限切れした以上返還をするが、当面管理責任が国にあるので、現在使っていても不法占拠にならないというのが政府の御見解のようですけれども、これは考えておられる対象はやはり自衛隊基地ではないかと思いますね。個々の基地についてその提供を米側と取り決めている米軍基地の場合は、国内法と別に条約義務があるわけでして、その先ほどの政府見解をそのまま当てはめることは、私は、なかなかむずかしいのではないか、困難があるのではないかという気がするのでありますが、外務省の見解をお尋ねすると同時に、もし私の意見が正しいとするならば、さきの政府見解を多少追加をする必要が出てくるのではないかという気がいたします。いかがでしょう。
○北村説明員 お答えいたします。
 五月十五日以降は、国内法的には確かに政府は契約に応じない地主の土地を使用する権原を失ったわけでございます。しかしながら、わが国は安保条約、地位協定に基づきまして、日米両政府が安保条約の目的を遂行するために必要であると判断した施設区域というものを米軍が使用することを認めております。したがいまして、五月十五日以降政府が未契約地を使用する国内法上の権原を失ったといたしましても、米軍は、日米間の国際約束によりまして、このような未契約地域を含めて施設区域を引き続いて使用する権利を有しておると考えます。
 他方、日本政府といたしましては、米国との関係においてこのような施設区域を米国に提供する義務があると考えております。したがいまして、日本政府といたしましては、この地籍明確の法案が早く成立することを期待しております。
○中川(秀)委員 最後に、いま私のお尋ねしましたように、さきに参議院の内閣委員会で出た政府の見解、つまり、もう切れてしまったのだから返還義務がある、しかし、返還するまでの管理責任がある、新立法ができればその時点でまた使用権原が復活するのだという見解、だから、その前の管理責任がある期間は不法占拠にはならないというこの見解は、米軍基地に関して言うとどうなるのですか。その見解だけでいいということになるのでしょうか。返還義務があると言ってしまっていいのでしょうか。私がお尋ねしたのは、安保条約、地位協定によって基地の提供義務があるのだから、その点は自衛隊基地と分けた言い方をしなければならないのではないかということをお尋ねしたのであって、その点についてのお答えをちょうだいしたい。
○鳩山国務大臣 お答え申し上げます。
 この第二条と第四条の関係からいいまして、この法律の上からいきますと同じように書いてあるわけでございます。これは、政府の立場といたしまして同じ立場にあるということで、ただ、アメリカ軍としての立場でありますと、アメリカ軍は日本政府を相手にしておるわけでございますから、そういう意味で、日本政府としては同じ立場にあるけれども、アメリカ軍は日本政府から権原を持って使用しているのだということが、アメリカ軍としては言えるということであろうと思うのでございます。ただ、日本政府といたしますと、これはやはり同じような立場に立つのではないか。この第二条の第一項一号の「イ」が自衛隊の部隊に供する土地または工作物で、「ロ」にアメリカ軍の地位協定に従った土地、工作物というふうに並列的にずっと書いてございます。そういうことで、この第二条と四条、法律的な関係は同じだけれども、ただアメリカ軍の立場はまた別個だ、こういうふうに解釈をしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、日本政府の立場からいきますと、アメリカとの外交上の問題といたしまして、日本政府自体が使用の権原を一時とはいえ失うということは、大変残念なことでございまして、これらの状態は一日も早く解消することを心から望んでおるところでございます。
○中川(秀)委員 さきの政府見解のとおり、仮に米軍基地であれ同じであるというふうな御答弁に解釈をいたします。
 次に進みます。
 外務大臣、さきのロンドン・サミットにお出になられたわけですが、その点についてちょっとお伺いをしたいと思いますけれども、あの主要国首脳会談で日本の政治的な役割りということが大変議論になったと聞くわけですが、この役割りというのは、具体的にどういうことなのか、また、これをどのように果たしていかれるのか、やや抽象的な論議になるかもしれませんが、その認識をちょっとお伺いをしておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回の首脳会談は、もっぱら経済関係の問題でございました。経済関係の点から申し上げまして、日本の経済のウエートが逐次高まっておるということが一つございます。それともう一つは、日本の立場というものが、いわゆる黒字国、赤字国と分けられた場合に、黒字国の筆頭であるという意味におきまして、日本の主張というものにつきまして各国が大変強い関心を持っておる。そういう意味におきまして、今回のサミット会談におきます日本の立場というものは各国の大変大きな関心の的であったということが申せると思います。
○中川(秀)委員 私がお尋ねしたのは、政治的な役割りということについてのイメージをちょっと外務大臣にお伺いをしたかったのです。
 やや問題を解きほぐしますと、たとえば、これからのわが国外交を考えていく場合に、一九八〇年というのは大変な年だという御議論がありますが、私も全くそのとおりだと思います。特に安全保障条約も二十周年を迎えるわけですが、在韓米地上軍の撤退というのがどうやら一九八〇年を一つの目標にしておるような議論がございます。五月二十四日にブラウン統幕議長とハビブ次官が訪韓をして、いよいよ初協議を韓国側とやると聞いております。帰途か往途かわかりませんが、日本にも寄るようでございますけれども、いまの日本政府の受け取り方からすると、この地上軍の撤退は大体いつから始まるのか、また、それに対する対応はどうされるのか、あるいは政府がよくおっしゃるように、わが国としては朝鮮半島の安定という希望を米側あるいは韓国側に伝えているんだ、ではその安定のために日本としては何をするのか、この点についてひとつお伺いをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 ブラウン統幕議長とハビブ次官が韓国の帰途東京に立ち寄られます。私どももお目にかかる予定にいたしております。
 撤退計画につきましては、何ら具体的な案というものはまだ一つも私ども承知いたしておりません。これがいつから、何年くらいかかってというようなことも皆想像しておるだけでございまして、具体的な案に基づいた議論ということは一切ないわけでございます。したがいまして、今度訪韓され、日本に立ち寄られるときに何らかの案が提示されるかどうかということが恐らく最大のポイントであろうと思いますけれども、その案が提示されるかどうかということにつきましても、私どもまだ何ら情報に接しておらないのでございます。したがいまして、今後どのように発展いたしますか、これはいま申し上げる材料をまだ何ら持っておらないということでございます。
○中川(秀)委員 いずれにしてもカーター大統領の、あれは記者会見か声明か忘れましたが、早急に韓国側と協議に入る、しかも撤退は実行するんだ、この意思だけははっきりしておる。いずれアジア大陸に米地上軍がいなくなるという事態が来ることは確かだろうと私は思う。そういう予見し得る確かな事態という中で、さっき後段でお伺いをいたしましたわが国の対応策、もちろんわが国はその場合に海外派兵をするなんということは憲法上禁止されておるわけでございますから、その役割りということになれば、当然政治的な役割りあるいは対応策になってくるだろうと思うのですが、その辺の御見解をひとつお伺いをしたいと思うのです。予見し得る確かなことについての見解で構いません。
○鳩山国務大臣 わが国が米地上軍の撤退に伴なっていかなる対応をするかということではなくして、わが国のこれからの外交というものは一体どう考えていったらいいのかということであろうと思います。それは、地上軍の撤退に伴いまして、韓国の南と北との関係におきまして非常に大きな変化が起こる、したがって、それに何とか対応しなければならない、こういう関係にはならないはずであるというふうに私どもは考えております。ニクソン・ドクトリン以来、アジア大陸からの米地上軍の撤退というようなものが逐次行われておる。そういうことからいきまして、いつの日にかいまおっしゃったような大陸からの地上軍の撤退ということは行われるかもしれません。しかし、今回の韓国からの地上車の撤退は、その軍事情勢自体からいたしましても、南北間の均衡というものを考えた上での措置である、このように考えられているところでございまして、そのために、わが国の政治面におきますいろいろな点につきましてこれから対応策を考えるということではないのだ、現在の情勢下で日本としてはいかなる外交方針を貫いていくべきかということであろうと思います。そして、朝鮮半島自体の問題につきましては、たびたび申し上げておりますけれども、わが国は全世界に向かって平和外交を推し進めるという考え方をとっておるところでございまして、現在まだ国交のない北朝鮮との間におきましても、逐次民間ベースの交流を積み重ねるということによりまして、朝鮮半島の平和の維持に貢献をするといった考え方でいるわけでございます。
○中川(秀)委員 先へ進みます。
 やや細かいお尋ねになりますけれども、今回の日ソ漁業交渉等でいろいろな投書あるいは電話、いわゆる国民の声というものが外務省に寄せられているのではないかと思います。その点、寄せられているかどうかということも含めてお尋ねをするわけですが、そういったものをいま外務省ではどのように御処理いただいているか、施策への反映あるいはそれに対する返事。私は、やはり外交というものは国民世論がバックにあって初めて質の高い、またパワーフルな外交になると思うわけですが、その点の現状並びに反映のさせ方といった点について若干お伺いをしたいと思います。
○柳谷政府委員 お答えいたします。
 外務省に対しての直接文書、手紙等による意見とか質問の提起、あとは電話等による質問あるいは激励あるいは批判というようなものは、季節によりますけれども、非常に頻繁に行われておりまして、いま御指摘のような日ソ交渉ということになりますと、日ソ関係を中心にしてそれが非常に多いという状況でございますが、この処理の仕方といいますのは、通常こういうものが提起されますと、主管部局にそれが取り次がれる。電話が一番いい例でございますが、手紙についてもそこへ送達するということで、そこの主管の課長ないしそれにかわる者が必要に応じてお会いするなり、電話に出るなりあるいは手紙を拝見するなりして、国民の声というものを伺う。また、御質問が多いわけですが、御質問に対してはできるだけ親切にお答えするということでございます。また、その中に一部局だけにかかわらない問題もかなりありますので、そういう場合は必要な向きにこれを転達するという形で、これを政策立案とか調査等に際しての参考にするというやり方をしております。
 私の担当しております情報文化局について申しますと、一般的な国際情勢とか外交政策の考え方というような場合には、これを私の方で引き取りまして、作成しております資料等を差し上げるというような方法でこれを補うという形で、御指摘のとおり、なるべく国民から寄せられる国民の生の声をよく理解して、消化していくという努力をしているつもりでございます。
○中川(秀)委員 かつて首相官邸において、国民の皆さん、御意見があったらどんどん、これこれの郵便番号のこれこれのところへお寄せくださいという呼びかけをしたことがございました。いま外務省の省内においてはそのように、なるべくそれを関係当局へお回しになったり、あるいは細かいお返事を出したり御努力をなさっているということでございますけれども、案外一般には、どこへどうやって出していいのか、意見を言っていいのか、何となく外務省というのは縁の遠いところで、敷居の高いところで、出しにくいという方も案外いらっしゃるかもしれない。一つ提案ですが、そういうようなことについても、どうぞここへ出してくださいというぐらいの御努力も私はしていただきたい、このように思います。ひとつこれはお願いをしておきます。
○柳谷政府委員 いまの御指摘の点のうちで、私どもの出しておりますいろいろな広報資料の最後のところには、この資料に関し、あるいはその他外交問題に関しての御意見がある向きは次のところへお寄せくださいということで、情報文化局国内広報課というところの番地、電話を必ず書いているわけでございます。ただ、直接電話がかかってきたり、あるいは外務省御中という形で寄せられる意見につきましては、これは交換手がよく心得る、あるいは文書課において心得るということで、現在は回すということをしているのが実情でございますけれども、いまの御意見もさらに今後研究の課題にしたいと思います。
○中川(秀)委員 同じように、開かれた国民外交あるいは外務省という見地、外交という見地からいいますと、民間の有能な人材というものをわが国外交に役立てるということは前から指摘をされている問題でございますけれども、この登用計画並びに実施状況、それから緒方国連公使以来、どちらかというと、大物クラスといいますか、そういう方の登用はないようでありますが、これからどのようなお取り組みをなさるのか。海外にある在外公館のうちでも文化会館館長とか、ああした方々にはむしろ民間の人材の方が適材である方がいらっしゃると私は思うのですね。そういうことについて積極的な御登用を図るべきだと思うのです。
 一度資料を見たことがございますが、たしか公使クラスはお二人ぐらいで、あとは参事官から一等書記官、二等書記官、理事官とこういうっしゃるようですけれども、御出身を見てみると、金融機関あるいは言論機関等にやや限られていて、もっとほかの分野にも登用すべき人材がいらっしゃるのではないか。特に文化関係等でございますけれども、そういうような気もいたします。ちょっとその辺、御意見を伺いたいと思います。
○松永(信)政府委員 最近非常に多様化しております国際関係の処理に対応するという観点から、民間出身の方を中途採用の形で外務省に登用と申しますか、入っていただいて、第一線で活躍していただくということをかなり努力してやってきております。現に、昭和五十年度以来現在まで約七十名の方をこういう形で採用して、本省にも一部ございますけれども、ほとんどの方は全部在外公館で第一線で活躍をしていただいております。そういう方は、民間企業ないし団体あるいは公社公団という方もありますし、学界あるいは報道界、国際機関、あるいは非常に専門的な特殊語学であるとか電信関係の専門家というような方等、非常に幅広く実は採用いたしてきております。この傾向はこの数年間、特に昭和五十年度以降、実は外務省自身の体質改善という観点も加えまして、非常にやってきております。その効果はいかんということは、これは実はもう少し状況を察知しませんとわからないと思います。しかし、現に第一線で活躍していただいている方々は、若干例外はあるかと思いますけれども、非常によく働いていただいているというのが実態であろうと思います。必ずしも報道界等に限定されるということではございません。
 それから大、公使の起用ということに御質問がございましたけれども、いわゆる在外に派遣されます外交使節団の団長としての大使を任用するという際には、政治、経済、文化その他各般の分野において十分に国を代表されるということが必要でございますし、外交上の知識、経験も豊富でなければならないという観点から、その選考にはおのずからいろいろ制約があると思います。しかしながら、民間の方で非常に適任の方がある場合には、これをやはり起用するということが非常に意味のあることだと思いますし、また、いま御質問の中で指摘がありましたように、文化センターのような一部のセクションについて考える場合には、なおさらそういう適任あるいは適材の方が民間にある場合は考慮すべきであるというのがけさの御質問にも出ましたが、そういう点は今後も十分考えていきたいというふうに思っております。
○中川(秀)委員 大臣、この点について御感想があればおっしゃっていただいて、なければ、もう参議院がございますそうですから、どうぞ御退席ください。私はあと一問……。
○鳩山国務大臣 ただいまの民間からの有能なる人材、特に大使クラスにつきまして考えよというお話でございます。これにつきまして、いまお答えしたとおりでございますが、また、特に女性の大使を――女性の公使までできたのでありますが、何とか女性の大使ができないか、こういうお話もあるわけで、これらにつきましては、こういうことができれば大変いいと思っているのでありますけれども、個別の話といたしますと、なかなか実況がむずかしいというので、〈後とも大きな関心を持っていきたいと思っております。
○中川(秀)委員 大臣、どうぞ……。
 最後に、いま一問お伺いをしますが、同じような問題ですけれども、逆に、たとえば外務省のキャリアの外交官の場合も、海外経験が豊富で、あるいは海外にばかり強くても本当の外交になるのかどうかという点について私は疑問に思う。わが国の各分野の実態を身をもって体験をして、それから在外公館勤務についた方が非常に効果的な外交、あるいは何か得て帰ってくるときのみやげも大きいというような気もするのです。したがって私は、若い職員の方に、国内のいずれかの官庁に一度出向して在外勤務につかれるという体制をとるべきじゃないかと思いますが、そのように出向されているような制度があるのかどうか。あるいは、これからもっと拡充をすべきでないかという私の考え方についての御見解を最後にお伺いして、私は終わらせていただきます。
○松永(信)政府委員 御指摘になりましたように、私ども外務省の者は、国内の事情、情勢を十分知らなければ外交に従事してもその効果は上がらないと思います。そういう観点からもいろいろな施策は講じておりますけれども、各省との人事交流もその一つでございます。現に法務省、大蔵省、通産省、文部省その他非常に数多くの省と人事交流をやりまして、若い課長クラス、場合によっては局長クラスの者も出して、数年間その省で勤務をして勉強してもらっております。そのほかに、たとえば毎年数回、国内研修旅行をいたしまして、各地方を回りまして勉強をするというような機会もつくっております。今後ともこういう方向をさらに拡大していくように努力していきたいと思っております。
○中川(秀)委員 終わります。
○正示委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後三時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十八分開議
○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。上原康助君。
○上原委員 外務大臣、大変お忙しいようですが、限られた時間で少しばかりお尋ねをさせていただきたいと思います。
 すでに同僚、先輩議員の方からいろいろお尋ねがあった点もあろうかと思うのですが、わが国を取り巻く外交案件というのは非常に山積脅しておる状況だと思うのです。長引いておった日ソ漁業交渉もようやく合意の方向に向かいつつあるようですが、その点を含めて日中平和友好条約の問題など、大変国民として早期に解決をしてもらいたい外交案件というのが山積をしておりますが、どうも日ソ漁業交渉を見ましても、あるいは日中平和友好条約の締結をめぐる外務省の姿勢にしましても、必ずしも当を得ていない、国民の期待に十分沿っていないんじゃないかという感を深くしております。もちろん、その背景なり相手のあることですから、いろいろ困難があるということもわかるのですが、もう少し腰を据えて継続的といいますか、ふだんから対ソ、対中政策というものをいろいろな立場で進めておっていただかないと、なかなか重要な段階において両国の友好親善を深め、懸案解決ということにつながらないんじゃないかという感を深くいたします。
 そこで、日ソ漁業交渉の件についてはすでにお尋ねがあったようですが、端的にお尋ねします。日中平和友好条約について、せんだってわが党の第七次訪中団が行かれて、いろいろ中国首脳とも会談をしてこられたことがすでに明らかになっているんですが、これの早期友好条約の締結というのはもう国民的課題であると同時に、多くの方々が要求し、願っているところですが、この件についてどのような見通しをしておられるのか。一説によりますと、国会終了後政府高官が中国を訪問するとか、あるいは参議院選挙前にでも平和友好条約の締結にこぎつけるんじゃないのかという福田総理以下内閣の姿勢もあるやに聞いておりますが、この点について外務大臣の率直な御見解を賜っておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 日中平和友好条約の問題につきまして、これは参議院選挙の前か後かというような点も含めましてまだ一切決めておらないというのが率直なところでございます。これから諸般の政治日程等も絡み合わせながら決めるべき問題である、このように存じております。
○上原委員 きょうのところ深く議論するわけにはまいりませんが、依然としてきわめて消極的な姿勢のような感を受けるわけですが、もし友好条約を締結をするに障害になっている面があるとするとどういう点だと政府は判断をしておられるのですか。
○鳩山国務大臣 この平和条約の締結問題につきましては、国民の各層の御協力によりまして大変情勢はいい方に向かっているということは、私どもも率直にそのように考えておるところでございます。
 これを阻害している要因は何か、こういうお尋ねでございますけれども、私ども、どの特定の要因が阻害要因であるというようなことは特に考えておらないところでございます。
○上原委員 これまでこの件をめぐって議論されてまいりましたのは、指摘するまでもなく、四十七年九月の日中共同声明の第七項、いわゆる覇権主義の取り扱いをめぐっていろいろ両論があったことも理解していないわけではありません。しかし、この反覇権主義条項ということ、いわゆる覇権主義反対ということを条約本文に明記をするということについては、もはや中国側にしても、あるいは国内的にも、福田首相の政治決断いかんだというのが大方の見方だと思うのですね。私どもにとっては、このことについては何ら阻害要因にはならない、むしろそのことを明確にしながら、単期に締結をすべきだという判断をするし、また、そのことが中国側の立場でもあると思うのですが、この点についてはどういう御見解ですか。
○鳩山国務大臣 福田総理も日中共同声明を守ってまいりますということをたびたび申されておりますし、その趣旨は中国側にもよく伝わっておりまして、また中国側の評価するところにもなっておる、このように伺っておりますので、ただいま御指摘の点も含めまして、その点につきましてそれが大きな障害要因であるというふうには私も考えておりません。
○上原委員 いろいろな政治日程といいますか、外交日程もあろうかと思うのですが、いま申し上げたようなことを含めてできるだけ早期に日中平和友好条約が締結をされ、日中両国の親善友好がさらに緊密になり、同時にまた発展していくことをぜひ政府として実現をされたいということを強く要望を申し上げておきたいと思います。
 そこで、この点とも関連するのですが、やはりこれまでの日本外交というと、あとでちょっと触れますが、まあ言葉は少し悪いかもしれませんが、アメリカ一辺倒的な面がなかったわけでもないと思うのですね。安保条約を中心とする対米関係においてだけ深入りをする割りには、中国あるいは朝鮮民主主義人民共和国、社会主義諸国との友好親善ということにはきわめて消極的だったということはぬぐい去れないと思うのです。同時に、近隣アジア諸国に対してもそういう姿勢をとってきたのじゃないのか。もちろん、政府としてはいろいろ言い分があると私は思います。ベトナム、インドネシア戦争時代にも積極的に加担をした節もあったわけです。
 そこで、そういうこともこれからの外交姿勢で改めていかれようというお立場なり政策のある面では変化かもしれませんが、先日十六日の日本記者クラブの講演において外務大臣は、ASEAN諸国を御訪問なさる計画があるということを明言をしたということです。同時にまた、福田総理もロンドンの先進国首脳会議において、東南アジア諸国連合を、ビルマを含めてですが歴訪したいということを明らかにしたということが報道されております。この外務大臣の歴訪と総理の歴訪は、日程的には、十六日の外相の御発言からすると、どうも外務大臣の方が先になって総理の方が八月七、八日ですかになるというようなことですが、ここらの外交日程についてもう少し明らかにしていただきたいということ、どういう関連性を持たせようとしているのか。同時にまた、外務大臣がせっかく御訪問をなさるというのは、どういう点に力点を置いてASEAN諸国との善隣友好を深めていこうとしておられるのか、この際、外務大臣のお考えなり日程についていま少し明確にしておいていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 日本記者クラブにおきます質疑応答の過程で申し上げたのでございますが、私の考えておることを申し述べましたので、総理との打ち合わせのいとまなく述べたのでございまして、したがいまして総理のお許しをいただかなければならないわけでございます。総理もロンドンでASEAN諸国を訪問したいということも記者会見の席上申されましたが、私もそれを聞いております。私といたしましては、総理が八月にASEANの首脳会議に参加をされる、こういうことでありますので、その以前におぜん立てをする必要がありはしないかというようなことが気にかかっておりました。特に、ASEANプロジェクトという計画がございまして、これの取り扱いをどうするかということにつきまして相当な検討を要する課題があるわけでございまして、総理がASEAN首脳会議にいきなりいらっしゃいましたときに、このASEANプロジェクトの問題をどうするのだ、こういう問題になりましたときの対処ぶりが私はかねがね気にかかっておりましたものですから、その前に一度とにかく私自身が確かめたい、こういうつもりで申し上げたので、まだはっきり日程的な検討までいたしておりません。しかし、この国会の会期が終わりましたならばなるべく早い機会にASEAN諸国に参りたいという気持ちはかねがね持っておったものでございまして、時間的な余裕が得られれば参りたいと思っておる、そういう気持ちは現在も変わらないのでございます。
○上原委員 行かれることには別にどうということはありませんが、ただ要望しておきたいことは、ASEAN諸国にしても、それぞれの五カ国の経済事情、国内事情というのがいろいろあるわけですね。かつて田中元総理がASEAN諸国を訪問したときもいろいろ反日感情があったことも事実だし、また現にあるわけですね。エコノミックアニマルとかそういう面で反日感情が大変厳しいところもある。そうしますと、せっかく外務大臣が御訪問なさるというときに余り唐突であってはいけないと私は思うのですね。それなりの準備をなさって目的が十分達成されるような配慮がないといけないと思いますし、総理を思うお気持ちだけで単なる露払い的なお役目なら何も外務大臣が出向く必要はないと私は思うのですね。それなら特使なりまたそれぞれの大使などもいるわけですから。
 そういうことは十分御配慮の上だと思うのですが、そうしますと、いままだ具体的な日程はお決めになっていないと言うのですが、もし外務大臣が国会終了後できるだけ早い機会に歴訪なさるとすると、総理のビルマを含む六カ国訪問というのは当然日程的にもいろいろな面で縮小される可能性もあると思うのですが、そこらはどうなるのですか。
○鳩山国務大臣 総理の御日程等も、まだ詳細打ち合わせをいたしておりませんので何とも申し上げようがないのでございます。しかし、総理は八月の段階でお回りになるのかどうかという点、とにかく一どきに八月の段階で各国の首脳とお会いになりますので、またそれぞれの国でそれぞれの首脳とお会いになるということもいかがなものであろうかというようなこともありますので、その点につきましてもなお今後打ち合わせをいたしたいと思っておるところでございます。
○上原委員 次に、先ほども中川先生の御輿間にもありましたが、例の沖繩の公用地等暫定使用法の延長をめぐる問題ですが、このことについては、私自身、本委員会における取り扱いなりあるいは現段階までの政府のとってこられた措置に対してはきわめて遺憾に思っている一人であります。すでに期限が切れて四日間になります。当然、今日の事態はある面では予想されたとも言えると思いますし、私たちも、何も空白期間をつくって問題をこじらそうというような立場で地籍問題なり公用地の問題、基地問題を議論してきたわけでもありません。要するに、政府が進めてきた核抜き本土並み返還の中身が本当に現実的にも基地の実態面、態様の面からも進められてきたか、満五年になった沖繩の復帰の内容を、政権を持っておられる、行政を進めてきた政府にもう一度よく考えていただきたいというのが私たちの最大の要求でもあり、また期待でもあったわけですね。そういう面からしますと、基地問題のみならず今日の、むしろ基地の存在によって災いしているわけですが、沖繩の復帰五年というのは本土並みでもなければ格差の是正の方向づけも十分なされていないと思うのです。
 そこで、基地を提供しているのは、防衛施設庁との関係、防衛庁との関係ももちろんありますが、日米安保条約あるいは地位協定の観点からすると、これは所管は外務省ですね。この空白期間が生じたことに対して、いわゆる米軍使用の基地の一部を不法占拠する結果となったことに対して、外務大臣としてあるいは外務省としてはどういう措置をとろうとしてきたのか、またどういう責任をお感じになっておるのか、ここいらの点についてもう少し明白にしておいていただきたいと思うのです。
○鳩山国務大臣 日米安全保障条約並びに地位協定によりまして、日本はアメリカに対しまして施設区域の提供をする義務があるわけでございます。義務を負っておりますのは日本政府でございまして、日本政府は、土地の権原を有する方から土地を取得して、その権原に基づいて米軍に提供をする、これが当然のたてまえであったわけでございます。それが今月十五日の午前零時からその権原の一郎分につきまして瑕疵が生じたわけであります。そのこと自体は外交上の問題として、条約の義務に対しまして日本政府といたしましては大変責任を感ぜざるを得ないことでございまして、そのような事態が起こらないように願っておった次第でありますし、衆議院の段階におきましてもそのようなことが起こらないような御配慮をいただいたもの、こう思うのであります。参議院に参りまして審議に時間を要しておる、そのために十五日の午前零時を過ぎてしまったことにつきまして大変残念に思っておるところでございまして、この上は一日も早く参議院の承認がいただけるように願っておるところでございます。
 いかなる措置をとったかという点でございますが、この瑕疵を生じたがゆえに、それがもとで現地におきまして地主の方との間にいろいろないざこざが起こって、それがもとでいろいろな感情問題等がもつれ込まないように、その点につきましては私どもといたしましても大変心配をいたしておる点でございまして、アメリカ大使館に対しましては刻々事情を報告をいたしますとともに、十五日を切れた段階におきましては、これからこのようなことに立ち至ったのでそれがもとでいろいろな事件が発生しないように配慮方をお願いしまして、具体的には現地の施設局と連絡を密にとっていただきたいということをお願いをしてあるところでございます。
○上原委員 この件は今後相当いろいろな角度から議論を深めていかなければいかない重要な問題が私たちは含まれていると思います。
 そうしますと、いまアメリカ大使館を通して、現地でいろいろな感情的なトラブルが起こらないような措置ということに重点を置いてやった。これはどういうルートでやったんですか。たとえば、この期限切れが予測をされて事前に日米合同委員会を持ったのか持たなかったのか、あるいは外務大臣がだれにどういうルートを通してやったのか、大臣ではなくして局長なりどなたがアメリカ大使館に何月何日何時、どのくらいに申し入れたのか、そういうこともぜひ明確にしていただきたいと思うのです。
 それと、いま法的瑕疵があるということはお認めになったわけですが、これも参議院の段階で法律が通れば、法律というのは私は素人ですが、仮にこの二十日に通ったとしても十五日にさかのぼって適用というわけにはいかないと思うのですね。六日間は空白があったということは、仮に二十日に通過したとしても現実の事実なんですね。この場合はあくまでも不法占拠なんですよ。その法律が二十日の時点で効力を発して、また前の空白期間の土地も占有するというのは、どう考えても私たちには納得のいかない問題が生じるわけですが、その議論はきょうは別としても、アメリカ側に対しては一体、この法的瑕疵があるということについては、いま大臣が御答弁いただいた範囲のことしか日本政府としては通告しなかったのか。そのほかにどのような通告なり日米間の協議があったのか、ここもぜひ明確にしておいていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 アメリカ側としては、日本政府が責任を持って施設区域の提供をするわけでありますから、アメリカ側には権限があるわけでございます。したがいまして、そういうことからくるところのトラブルの発生というものが考えられますので、その点につきましては、アメリカ局の方で防衛施設庁と密接な連絡をとりながら先方に連絡をしておるわけで、その点につきましてはアメリカ局の方からお答えを申し上げます。
○北村説明員 本法案の主管の官庁は防衛施設庁でございますので、施設庁から大使館それから米軍の方に連絡をいたし、国会審議の状況も逐次連絡し、通報いたしてまいりましたと心得ております。
○上原委員 事前にも今日までも、日米合同会議という正式な機関というのは持っておらないわけですね。
○北村説明員 合同委員会というものを開いて連絡したわけではございません。
○上原委員 それを持たなかった理由はどういうわけですか。
○北村説明員 事前には法案の内容等につきまして合同委員会で説明いたしたことはございますが、国会審議の状況等につきましては、これはとにかく逐次連絡することが先決問題でございますので、別にフォーマルな合同委員会を開催することはないということで逐次連絡をいたしたわけでございます。
○上原委員 そうしますと、きょう防衛施設庁はおいでいただいているとは思うのですが、地位協定上からしますと、こういう重要な、しかも条約あるいは地位協定に穴があく、土地を不法に占拠をする、使用をする、所有権に対する重大な侵害なんですよね、法的根拠がないで現に使用しているわけですから。このような重要な問題が起きるということが明らかに予測された、またすでに四日間が経過をしているにもかかわらず、日米合同委員会も持たれていないというところにも私問題があると言わざるを得ないわけですね。地位協定の関連からしても、当然正式な機関を起こしていろいろ対処すべき問題じゃなかったのかという点をきょうは指摘をしておきたいと思うのです。この点についての御見解があれば賜りたい。
 同時に、那覇の自衛隊基地には、先ほどもお話がありましたが、一応地主は立ち入りさせたわけですね。しかし、嘉手納空軍基地に立ち入りを要求をした地主に対しては拒否している。これも明らかにしておいていただきたいのですが、いわゆる沖繩県警の機動隊の出動を要請したのは一体どこなのか。報道によりますと、米側から、米軍司令官から要請があったので出動したというようなことも言われておりますが、定かではありませんが、どうもそういう感じもする。それはだれなのか。同時に、なぜ嘉手納空軍基地に対して地主の立ち入りを拒否したのか、その法的根拠は何なのか、これも明確にしておいていただきたい。いまの三点についてお答えをいただきたいと思います。
○北村説明員 現地の立ち入りが実現しなかったということにつきまして、これは私ども聞いておりますところでは、十六日及び十七日、関係地主等が嘉手納の空軍基地の立ち入りを要求したことに対しまして、那覇の防衛施設局を通じてアメリカ軍との間で調整を行いましたが、その立ち入りの態様につきまして話がまとまらなかった、結果的に立ち入りが実現しなかったというふうに聞いておりまして、アメリカ軍が立ち入り自体を拒否したわけではないというふうに聞いております。
 それから、現地のどこが警備の出動を命じたとかということにつきまして、現地の事情をつまびらかにいたしておりませんので調査いたします。
 それから、最初の御質問の合同委員会にかけますためにいろいろ政府として検討すべき点もあると思います。たとえば米軍の施設区域につきまして、日米間の国際約束に基づいて、これは一部の土地じゃなくて全体としてアメリカ側に提供する義務が日本側にあるという点、それからさらに未契約地の施設とか区域内におきまして、位置境界が不明でありますためにその土地を現地に即して特定できないというような点もございますので、そういう点もいろいろ検討いたしまして、その上で合同委員会というようなことを考慮したわけでございます。
○上原委員 どうもちょっと要領を得ない御答弁ですが、では拒否の問題からいきましょう。
 拒否したのは、地主の立ち入りの態様の仕方で問題があって結局できなかったということですが、実際は自分の土地でしょう。自分の土地に地主、所有者が立ち入りをするのを拒否する法的権限はどこにあるかということを私はお尋ねしているのですよ。たとえば、あなたがお宅に帰るのに、私が、いやこの道を通ってはいけませんよ、この電車に乗りなさいとかタクシーで帰りなさい、電車ではだめだ、あるいは自分の自家用ではだめだとか、そういう指図する権限は米側にもあるのですか。問題はそこなんです。基地の管理権の問題と所有権のどちらを重視するかという根本が問われている。なぜ米側が拒否したのか。地位協定上拒否できるのですか。拒否する権限がもし米側にあるとするならば、私はその根拠を明確にしてもらいたいということなんですね。
○北村説明員 先ほども大臣から御答弁いたしましたように、アメリカ軍は安保条約と地位協定に基づいて安保条約の目的遂行のために必要と判断される施設区域を使い、それを管理する権限を持っておるわけでございます。そこで、関係地主の施設区域への立ち入りに当たりましては、立ち入りの許可という面も含めて施設区域に対する一般的な管理権をアメリカは持っておる、こう考えなければならないと思います。
 そこで問題は、地主の要求とアメリカの管理権とをいかに調整するかというところにあるのじゃないかと思います。そこでその調整をするように努めたところが、立ち入りの態様について話がまとまらなかった、結局実現しなかったということでございます。
○上原委員 あなたのいまの御答弁からすると、米軍の施設区域の管理権、いわゆる基地の管理権というものが優先をして、土地所有者、地主の所有権というものは無視しているわけですね。そうすると、米軍の管理権は所有権よりも優先するのですか。
○北村説明員 政府は、国際協定に基づきましてアメリカ軍に対してその施設区域の使用を認め、その管理権を認めておるわけでございます。
 他方、国内的に政府が契約をまだ行ってない地主の土地を使用する権原を失ったわけでございますので、そこのそういう地主たちの要望をも十分考慮に入れて、そしてその米軍の管理権との間に何らかの調整をしていかなければならない、これが日本政府の立場ではないかと思います。決してこれは無視するとかということじゃございません。政府としては調整する努力はあくまでも続けていくべきかと思います。
○上原委員 あなたが御答弁をなさっていることは、どうも実情と、十五日以降、いわゆる十六日からきょうにかけての沖繩現地の実態と合わないわけです。調整をすると言ったって、それを調整する側が権力を盾に実質的には拒否しているじゃありませんか。もしそういう民主的な調整をするということであるならば、では機動隊の出動というのは、あなたは調べて御答弁するということでしたが、米側は管理権、基地を管理したい、維持をするというたてまえ上といいますか立場で、日本側に対して警察権力の出動要請をできますか。――外務省がお答えできなければ、どこが答えるのか。その点を明らかにしてください。
○正示委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
○正示委員長 速記を始めて。
○鳩山国務大臣 ただいまの警察の関係につきまして、事実関係を確認しておりませんので早急に調べたいと思いますので、その点は暫時お時間をいただきたいと思います。
○上原委員 この点は、明日もほかの案件で審議がされるようで、私の質問も予定されていますから、それまでにぜひ答弁できるようにしておいていただきたい。
 それと関連をいたしますが、恐らく皆さんの立場を正当化というか合理化するために、いや大ぜいで基地内に押しかけるから出動を命じたんだとか排除するためだというような答弁が返ってくるかと思うのです。しかし、私が言っているのはそうじゃないわけです。地主の皆さんとあるいは弁護士とか、地主が同伴していきたいという何名かの人に限っては拒否する権限はないと私は思うのです。ゲートをどこに指定するとか、地主が行きたいところから通すというのが本来のあり方でなければいけないと思う。そのこととまた大衆行動というものとごっちゃにして警察権力の出動というようなことを混同して考えてはいけないと思う。同時に、私がなぜこの点はきわめて重要かと言うと、もし米側が要求してきたとするならば、では米側は何に基づいてやったかということを明らかにしなければいかぬと思うのです。私が調べた範囲においては、地位協定上そういうことは出てこない。あれば教えていただきたい。
 さらにもう一つ大事なことは、これは恐らく防衛施設庁あたりがこしらえたんじゃないかと思うのですが「沖繩の米軍用地等の使用権原に短期間の空白を生じた場合の問題点」というのを二十四、五日段階ですか、あるいはその前かもしれませんが、いろいろ御検討された節があるわけです、政府部内で、与党の皆さんも入ってのことかと思うのですが。その第三項で「未契約者の立入りに正当な理由がある限り、米軍が未契約者の立入りを拒むため、又は立ち入った者を排除するため、警察当局に実力行使による排除を求めても、警察当局は、これに応ずることができない。」こういうことをあの時点においては明確にしているのですよ。しかし今日の時点になると、やはり三百代言を使って法律の解釈をだんだん政府や防衛庁あるいは外務省に有利なように解釈をしようとしている。私たちはこれは明らかにまた違憲問題、憲法論議が出てくると思うのです、その空白の期間の取り扱いは。国民に明らかに不利益を及ぼす法律の遡及というのは、私が聞いた範囲ではあり得ないと言っているのです。こういう面からすると、たとえわずかの期間の空白期間であっても空白期間があったということは厳然たる事実であるから、もう公用地等画定措置法の二条云々じゃなくして、全体としての法的効力というものは私たちはない、失効したと見ている。こういう面から考えても、いまの皆さん自体が当初御検討なさったところでも警察権力の出動ということはできないとみずから言っておきながら、今日の事態は何ですか。ああいうことをするからますますおかしくなる。いまの点は明確にしておいていただきたいし、いま私が読み上げたことに対しての防衛施設庁の見解がもしあれば賜っておきたいと思うのです。
○近藤説明員 ただいまの先生の御質問の件につきましては、私担当が施設区域の移設の所管でございますので存じ上げておりません。調べてみたいと思います。
○上原委員 ではこの「問題点」はどこがつくったのですか。「沖繩の米軍用地等の使用権原に短期間の空白を生じた場合の問題点」というのはどこがつくったのか、これも明らかにしてください。防衛施設庁ですか。恐らく開発庁ではないでしょうね。どこですか。調べて御報告いただけますか。答弁できますか。
○近藤説明員 その点につきましても調べて、その結果をお答えいたしたいと思います。
○上原委員 そこで、いまもどうも私が納得できる御答弁ではなかったし、特に地主の立ち入りを拒否したことについてはますます疑問点が深まっているということと、それを排除するための機動隊、警察の出動、権力の出動ということに対してもきょうの段階では御答弁いただけなかったわけですが、なお問題が残されています。
 そこで、絶えず問題になってきたことは、ある面では地位協定の解釈の問題だと思うのです。せんだっても戦車道の問題との関連で、第三条の三項でしたか地位協定の解釈をいろいろ議論をいたしました。この地位協定の問題については、かつて安保国会においても十分議論がなされていないわけですね、外務大臣。しかも、あの当時は環境問題とかあるいは今日のように基地公害というものがまだ起こらなかった時代の協定なのですね。また沖繩は御承知のように、沖繩に基地があるのじゃなくて基地の中に沖繩があるというふうに言われております。皆さんもう本当に真剣にお考えになっていただきたいと思うのです。日本全国の国土から言うと、沖繩の県土は一%に満たないですよ。外務大臣、このわずかな一%に満たない県主に全国の五三%の基地があるわけですよ。面積が大きいだけでなくして、私が絶えず指摘しているように、アジア最大の核兵器を含む戦略基地として位置づけられているのです。しかも沖繩の基地というのは、返還前は日米安保条約の枠外にあったわけですね。ここまでは御理解できるでしょう。その広大な基地に、質量ともに日本本土とは比較にならない基地に安保条約や地位協定をそのままかぶせたところに今日の沖繩の矛盾と苦悩があるということを理解をしていただかなければいかぬと思う。これは単なる質疑応答ではなくして、本当に生活の問題、県民の命の問題ですよ。生命の問題とのかかわり合いなのです。恐らく与党の皆さんは安保条約を認めると言ったって、いまの私の意見は否定できないと思うのですよ。そういう面からすると、この地位協定の内審については、今日的立場に立って日米合同委員会なり外交ルートで、条文そのものの改正がむずかしいというのであれば、国内法の適用は一体どういうものができるのか洗い直してみて再検討する段階が来ていると私は思うのです。これをやらない限り、できない問題がたくさん出てくる。具体的に言いますと、日本の基地内に米軍なりあるいは日本政府側なりのつくる建造物に対して国内法は適用できますかできませんか、地位協定上。
○北村説明員 基地内に建造されております米軍の管理しております建物については適用はございません。
○上原委員 新築あるいは新しく造成する場合はどうですか。
○北村説明員 防衛施設庁が基地内に建物を新築いたします場合には日本の国内法の適用はございます。またアメリカがアメリカの方でこれを建造いたします場合には適用はございませんけれども、しかしアメリカ軍は日本の国内法の精神を尊重すべきものというふうに解釈しております。
○上原委員 そうしますと、いま二点があるわけですね。米側独自で基地内、いわゆる提供施設区域内に兵舎をつくるとか滑走路を直すとかパイプラインを敷くとかいろいろなのがありますね。そういう建造物をつくる場合に、たとえば建築基準法に基づいたいろいろな日本の関連法規があるのだが、それが適用できるのかということと、それをやる義務があるのかということはどうなんですか。この点、もう少し明確にしてください。義務はないが尊重しなければいけないということなのか、あるいは所定の手続などを関係市町村、該当市町村などに通告することはやらなければいかないのか、やらなくてもいいのか。
○北村説明員 先ほども申し上げましたように、アメリカ軍の方が基地内に建造いたします場合は日本の国内法の適用はございませんが、先ほど申しましたように、アメリカ軍は日本の国内法の精神を尊重する義務があるというふうに解釈しております。
 それから、基地の外に隣接しているところにつくる場合には、アメリカ軍として日本の法律を尊重しなければならぬことはもちろんでありますが、基地内の場合は先ほど申し上げました。
 それから、御質問は基地に隣接するところでございますか……。
○上原委員 いいです。義務はないが、尊重する義務はある。ちょっとおかしいですね。いずれにしても国内法を尊重しなければいかぬということですね。むやみやたらに何でもかんでもつくっていいということには、地位協定解釈上ならぬということですね。それが一つ。
 もう一つ、いわゆる防衛施設庁、日本政府の予算で、建物とかいろんな道路とか、そういうものをつくる場合は、地位協定の解釈上どうなんですか。
○北村説明員 施設庁が行います場合は、日本の国内法の適用はあります。それから一般国際法上、アメリカ軍が中でつくります場合には日本の国内法の適用はございません。
○上原委員 いま後段のところは、国際法上は確かに完全にわが国の関連法規を適用させるということはなかなかむずかしい面もあると思うのですが、尊重しなければいかぬということはたびたび指摘されていることですから、それで一応きょうの段階は受けとめたいと思うのです。そこで、防衛施設庁がやる工事については、日本側の関連法規を適用すべきであるというのが地位協定の解釈ですね。そのことは明白になったわけです。
 そこで、今度は防衛施設庁にお尋ねします。防衛施設庁は、米軍への提供施設区域内でつくっている建造物というか、その建造物の工事をやる場合は、国内関連法規に基づいて諸手続をとっておりますか、おりませんか。
○近藤説明員 防衛施設庁において米軍の基地内で移設等の建設工事を実施する場合には、国内法に基づく手続によって実施しております。
○上原委員 それは間違いありませんか。すべて手続をとっておりますか。どういう手続をとっていますか。たとえば普天間飛行場に何か建造物をつくろう、提供施設リロケーションでもいいし新築でもいい。防衛施設庁の予算でつくる場合には、まず宜野湾市に届け出なければならぬでしょう。何かそういうことをやっているのかということ。建築基準法とかあるいは道路建設の場合も含めて、そういう所定の手続をやって今日まで工事は進められているのですか。
○近藤説明員 工事の建設態様によって手続が異なりますが、建築物の建設の場合は建築基準法に手続の規定が定められておりまして、その手続に従って届け出等を行っております。それからたとえばパイプラインの移設等につきましては消防法等の手続、それから道路に埋設します場合には道路占用許可の手続等が必要でございますが、そういう手続を行って実施しております。
○上原委員 それは間違いないですね。皆さんそういう工事をやる場合は、関係市町村にも通告していますね。
○近藤説明員 それぞれ法に定める手続がございまして、たとえば建築基準法の場合は建築主事に届け出をして実施するわけでございますが、そういう手続をとっております。
○上原委員 拒否された例もありますか。届け出あるいは通告はしたけれども、いや、そういう建物なり建造物をつくってはならぬということで拒否された例などはありますか。
○近藤説明員 届け出をいたしまして、その計画内容につきまして、法の上から見て、こういう観点から修正をすべきでないかというような御意見を承りましたものはございますが、そういう場合はその御意見に従いまして修正をして実施しております。拒否をされたままというのは私は存じ上げておりません。
○上原委員 きょうの段階は、すべて手続をとっておるということ、またとるべきであるということが明白になったので、時間もありませんからこれ以上――ちょうど核心に触れるのだが……。
 あなた方、うそをついちゃいかぬよ。大きな問題になりますよ。冗談じゃないんだよ。何の通告もやらぬでどんどんやっているんじゃありませんか。そういう例はないんですか。
 それと同時に、私が資料要求して、きのう付で出してあるのです。現在工事を実施中のものとして出してあるのですが、嘉手納弾薬庫地区というところに弾薬庫それから野積み場六億八千三百万、弾薬庫をつくるのに、一つの地域だけでこんなにたくさん金を使っているのです。これは届け出してあるのですか、してないのですか。届け出したら、どこにどういう届け出をやったのか、明日まで全部資料を出してください。
○近藤説明員 資料をお出しいたします。
○上原委員 出してください。私の調査では、不法建築をどんどん進めている。うそをつくと困ると思ったので、私もいろいろ調査をしてみた。そのほかにもありますよ。そういうことをするからますますおかしくなるのです。その資料を出してくださいね、明日に継続しますから。
 私もいろいろ調べて、前には確かに嘉手納町あたりにも――町になる前のことですが、建築計画概要書というのが通告されている面もありますよ。しかし最近はそういう通告なしでどんどん基地内工事をやっているというのが明らかになっているのです。
 もう一つは、あなた、拒否された例もあるかと聞いたら――私がなぜそこまで言うかというと、これも調べていただきたいのですが、建築場所、沖繩県読谷村字長田石嶺原四百九十二番地、この取り扱いはどうなっているのか、これだけ申し上げておきます。これも弾薬庫だ。これをつくったのか、つくらなかったのか。読谷村は恐らくこれに同意してないでしょう。してなかったが、皆さんは強行しているか、今日の計画はどうなっているのか。いま嘉手納弾薬地域でやっているのはこれは読谷村と嘉手納町にまたがっていると思うのです。両町村に通告をしてあるのか、しないのか、どのくらいの規模の工事なのか、全部明日まで資料を出してください。よろしいですね。
○近藤説明員 早速調査をいたしまして所要の資料をお出しいたしたいと思います。
○上原委員 これで終わりますが、外務大臣、いま私が一つ二つ例を挙げてもいろいろな実態があるわけです。ですから地位協定上の国内法の適用ということについては戦車道の問題、たくさん問題あるのですよ。現に雨が降ってしまって簡易水道はもうどろだらけじゃありませんか。アメリカ側に指示をして被害の起こらないような措置をとるということを沖特なりで何遍か答弁してこられたのにそれがなされていない。宜野座村の松田や宜野座では、雨が降るともう濁った水がいま出ているのです。それもやはり国内法の適用がアメリカ側にされてないからですよ。きょう一歩前進したのは、防衛施設局がやる工事については国内法を適用すべきだという解釈を外務省が現にとったということは私が明確にさせました。しかし私が調査した段階では、極秘に――いろいろなことを防衛施設庁がやっていない、法を守るべき防衛施設庁でさえも国内法の適用を逃れている節がたくさんある。いま挙げた例もそうなんです。これでアメリカ側が守るはずはないと思う。したがって、もう一度この地位協定の問題の解釈を各条文ごとに――合同委員会でいろいろ検討してやらなければいかぬということがちゃんと第三条でうたわれている、おわかりだと思ってそこまで引用しませんでしたが。このことについてもう少し日米間で話し合っていただいて、合同委員会などで取り上げて、国内法を尊重する、遵守するというそのたてまえと、現に基地公害が起きている、被害が起きている問題等については国内法の適用をさせるという前提に立っての処理というものをやっていただかないと、これからもいろいろな問題が起きる。このことについて十分対処していただけますね。
○鳩山国務大臣 ただいま御指摘のような事実につきまして、私自身つまびらかでなかったものでございますから、実情をよく検討してみまして、要すれば合同委員会にかけまして検討をし、また先方とも打ち合わせをいたしたいと思います。
○上原委員 これで終わります。
○正示委員長 上田卓三君。
○上田委員 質問をするに際しまして、大変困難でありました日ソ漁業交渉の妥結ということで、誠心誠意問題の解決のために努力しました日本の農林水産関係者に本当に御苦労さまでございましたということを申し上げたい、このように思うわけであります。国民はやっと解決したかということで、本当にそういう意味ではよかったなという一言に尽きる実感を持っておるのではないか、このように思うわけであります。そういう点で、交渉の円満解決を喜ぶ国民感情といいますか、そういうものを大切にしながら私は若干の質問を始めたい、このように考えるわけであります。
 さて、きょう最終的な合意が成立するという報道があるわけでございますが、暫定協定案の要点について全国民が注目している諸点についてお聞かせ願いたいと思います。
 まず第一に、最大の争点でありましたソ連の二百海里線引きについてどのような合意があったのかということであります。新聞報道によれば、イシコフ私案、つまりこの協定は、ソ連最高会議幹部会令の第六条とソ連政府の諸決定によって定められた北西太平洋のソ連沿岸に属する水域という表現で合意したということでありますが、このとおりであるのか、そのように理解していいのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいま日ソ間におきまして最終の条文を詰めておる段階でございます。まだ双方ともに発表いたしておらないものでございますから、個別の条文につきまして、このような表現であるというようなことをこの席でお答え申し上げるわけにいかないわけでございますが、第一条の目的とするところは、今回のソ連政府の行いました二百海里の漁業専管水域の海域につきまして規定をいたしておる、こういうことでございまして、この海域の規定につきましては、ソ連政府の最高会議幹部会令の規定とそれに基づきまして発せられる国内的な諸規定ということでその海域の規定が定められる方向にあるのでございます。しかし、表現自体につきまして、まだ公表までちょっと差し控えきせていただきたいのでございます。
○上田委員 四月十八日の朝日新聞によれば、四月十八日の日ソ関係閣僚会議に際して政府首脳は「イシコフ私案は、領土と漁業を切り離すというわが方の立場から受け入れられるものではなく、再開交渉の前提にはならないと思う」このように述べたということでありますが、今回の最終的な合意において日本側は線引きの表現について従来の態度を変更したのかしなかったのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 従来からこの適用海域につきまして、日本政府といたしましては、この規定が日本といたしまして国民の念願であります北方領土の問題につきましてそれに何らかの影響を与えるということを大変心配をいたしておったわけでございます。それに対しまして、今回最終的に詰めている問題は、漁業の問題と領土の問題は全く関係のないこととして処理をしよう、こういうことでございまして、したがいまして、そちらの方の領土については全く影響がない、両国政府の立場に何らの影響がないということがはっきりいたします場合におきまして、従来書かれておりましたこの一条の表現というものの意味もまた変わってくるわけでございますので、したがいまして、そういう前提のもとに一条の問題も詰めておるということで、したがいまして、いま問題になっておりますのは一条の問題と二条の問題と、先ほども出ておりますが、八条の問題がいま同時に解決を見よう、こういう段階なのでございます。したがいまして、日本の立場といたしまして、領土問題には一切関係なくこの処理をされるという点は確保された、こういうことでございます。
 また、この問題と関係を持ってまいりますのは、今度領海法並びに二百海里法の二法律を緊急にお認めいただいたわけでありまして、その背景のもとに、日ソの漁業協定ができましてから、いわゆるソ日協定と呼んでおりますが、ソ連側が日本に入漁する場合の、その第一条の書き方ということが関連を持ってくるのでございます。そういうことから申し上げまして、従来単独でありました場合の一条の表現という問題が、日本の法律の制定されたこと等に伴いまして、また八条におきます領土問題を含めました、その他の問題につきましての留保的な条項ということと絡みまして、全体として、日本としてこれならばのみ得る線ではないか、こういうことになってまいったのでございます。
○上田委員 大変重要なことでありますので、重ねてお聞きしたい、このように考えます。
 新聞、特に朝日新聞は「最終的に対ソ譲歩を行った」こういう見出しで報じておるわけであります。あるいは「北方四島周辺水域におけるソ連の線引きをはっきり認めた」こういうことも言っておるわけであります。また読売などでは「四島周辺“相打ち方式”は取れず」こういう見出しを使っております。毎日によりますと「線引き ソ連の主張認める」日経は「ソ連の管轄権 日本の線引きに支障」このように報道しておるわけであります。こうした報道は、ソ連の二百海里水域の線引きが、いわゆる国後島と知床半島の間及び歯舞諸島と根室半島の間を通過することを日本が承認したということを意味すると理解していいのか、その点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 この点につきましては、漁業の問題といたしまして、先方が設けました先方の国内法としての線引きを、一条を認めますことによって一応認める、こういうことになろうかと思います。しかし、その性格につきましては、まだ全体ができ上がりませんと、ここではっきり申し上げるわけにいかないわけでございますが、日本の国内法の二百海里法というものをお認めいただきまして、日本として主権の及ぶ限りにおきまして二百海里法は国内法的に施行をする、こういうことを申し上げてきたわけでございます。
 そういうことで、今度いわゆるソ日協定の場合に、日本がこの二百海里法のもとでソ連の入漁を認める、こういう段階が次の段階であるわけでございます。これとの関係の調整をどうするかということは、なお余部決着を見たということがまだ申せないのでございまして、その点につきましての詳細なる御説明は、協定ができ上がりませんと詳しく申し上げるわけにいかないのでございます。
○上田委員 日本政府がソ連の二百海里の線引きを今回の協定で認めたのか、それともソ連の方が日本の二百海里の線引きについて認めたのか、どっちなんですか。
○鳩山国務大臣 ソ連政府が北方四島におきまして現実に施政を行っておるという事実に基づいて、ソ連政府は国内法でもって二百海里を主張してまいったわけでございます。日本政府といたしまして、北方四島は日本固有の領土である、これに対しまして支障を与えては相ならないということで、このソ連の線引きに対して抗議をしてまいったわけでございますが、その点につきまして、領土問題とは全く切り離した純粋に漁業面だけの問題といたしまして、その線引きというものは一応認めるという方向で解決が図られている、こう存じております。
○上田委員 従来の日本政府の主張は言ってきた、そのことはよくわかるわけですが、結果的にはソ連の二百海里の線引きを認めた形で合意になったんじゃないですか。くどいようですけれども、お聞かせください。
○鳩山国務大臣 純粋に漁業だけの問題として、さような方向で進んでおると思います。
○上田委員 当然なことでございますけれども、択捉、国後、歯舞、色丹の四島によって囲まれておりますところの三角水域は、ソ連の二百海里の適用水域に含まれることになると理解していいですか。また同時に、三角水域内の日本の漁獲量は、今回の合意に基づいて行われる二百海里水域内の漁獲量交渉によって決定されると考えてよいか、その点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
○佐々木政府委員 具体的な漁獲量特に水域別の漁獲量の協議は、今後暫定協定の基本的な考え方についての合意ができた後ということで、現在まで具体的には全く話が出ておりません。しかし、漁業の操業の実態から申しますと、いまお話がございました三角水域等含めて――そこだけで操業している漁業というのはございませんので、ある程度ソ連の二百海里水域の中での広範な区域を幾つかに区切りまして、水域別、魚種別に漁獲量の協議をするということになろうというふうに私どもとしては考えておりますが、今後の問題でございます。
○上田委員 ということは、三角水域はソ連の二百海里内に含まれるということですね。それは大臣にも質問したいんですけれども。
○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように「時期によりまして、またその年の漁況によりまして、漁船が移動しながら操業するわけでございますから、いまの三角水域の問題も含めましてソ連の二百海里の水域を適当に区切って、その中での漁獲量の交渉をやることになるというふうに考えておるわけでございます。
 日本側の見解といたしましては、北方四島は日本古来の領土であるという見地から、わが方の漁業水域をそこに設定するということも、これは当然前提としているわけでございまして、わが方でもまたそういった水域を含めて、ある程度広がりを持った区域の中での水産資源の合理的な利用、管理という問題を検討してまいるつもりでございます。
○鳩山国務大臣 いわゆる三角水域と申しますか、北方四島を含みますところの三百海里の地域でございます。この点につきましては、先方はその海域を含めて、先方の国内法を施行する態度でありますし、それを認めなければ話は進まないわけであります。日本といたしましては、日本側の国内法によりましてその地域も当然日本の固有の領土でありますから、その地域は先般お決めいただきました日本の漁業水域である、こういう考え方をとっているわけでございます。したがいまして、その両者をあわせ考えまして、一体その地域についてどのような実際の管理が行われるかということにつきましては、今日の段階におきまして私の口からまだ申し上げることができないのでございまして、その点は最終的に話がどのようにまとまるかということによりまして決まってまいると思うのでございます。
○上田委員 いわゆる三角水域も含めてソ連の二百海里専管水域というものがあるわけですが、そういう形のものを一応認めたというような形になるとするならば、いわゆるソ連側の取り締まり権といいますか、あるいは違反船に対する裁判権も認めたということになると思うわけですけれども、その点はどうですか。その理解していいのですか。
○鳩山国務大臣 ただいま御指摘の裁判権等の問題につきまして、先ほど申し上げましたいまの協定案の第一条の適用海域の問題とそれからわが方の二百海里の法律体系、これとの調整問題が出てくるわけでございます。したがいまして、現実にどのような管理の仕方になりますか、その点はいまここではっきり申し上げることはできないのでございますが、現実問題として、これは水産庁の方からお答えがあってしかるべき点でございますが、あの地域には大変零細な漁船が多いわけでございます。この零細な漁船に対しましてどのような対策が講ぜられますか、これらの点につきましては最終的なまだ報告に接しておりません。従来からその点はイシコフ漁業相と鈴木農林大臣の間でいろいろお話し合いのあった点でありますので、この点につきまして、現実的な取り扱いにつきましていまここでまだはっきり申し上げられないのでございます。
○上田委員 昨年十二月十日、いわゆるソ連邦最高会議幹部会令では、二百海里水城内で「ソ連邦は、魚類及び他の生物資源に対し、その探索、開発及び保存のため主権的権利を行使する。」と定めておるわけでありますが、今回の合意において、いわゆる北方四島周辺水域におけるソ連の主権的権利の行使を承認したものと解釈していいのかどうか。くどいようですけれども、ひとつこの点についてはっきりと答えていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 まだ最終的な決着を見ておりませんので確たることを申し上げられないわけでございます。しかし、先方は主権的権利を認めることを強く主張しておりますので、最終的な決着といたしまして、形式的に先方のそのような権限を全く否定することは困難であろうというふうに見ております。しかし、何分にも零細な沿岸漁業者、この沿岸漁業者が漁獲をしている区域になってまいりますので、その点につきましての現実的な処理につきましてはいろいろな御相談があるものと思うのでございます。
○上田委員 第二条ですね、日本の二百海里水域でのソ連船の操業権の条項でございますが、この点について基本的合意に達したということであるわけでありますが、どのような合意がなされたのか、その点ひとつお聞かせいただきたいと思います。新聞の報道によりますと、これは読売新聞でありますが、ちょっと読んでみたいと思います。「第二条で日本の領海内での操業を強硬に主張していたソ連の要求を退けた。しかし、北方四島をめぐる日本の二百カイリ水域の線引きについては、同協定案ではまったく触れられなかったようである。つまり「領土と魚の切り離し」には成功したが、具体的に北方四島を含めて日本の二百カイリ水域を設定することについては合意を見なかったと言える。北方四島をめぐる“線引きの相打ち”方式はとられなかったと言うことだ。」ということで報道されておるわけでありますが、第二条の合意については、大体いま読み上げた読売新聞がずっと解説しているこの線と理解していいのですか。
○鳩山国務大臣 一条と二条につきましては、それぞれ案文が先方でも先方の最高幹部の方に上がっておる段階でございます。したがいまして、ここで条文を御説明できないのでございますが、従来二条の問題とされておりました領海内でも漁獲を認めてほしいというソ連側の熱心な主張があったわけでございます。しかしこの点につきましては、日本の領海法の御審議の際に、日本の沿岸漁民の保護のために領海法を急いで御審議いただいたのでございますから、それに矛盾するようなことは日本としてはとうていできないということを鈴木農林大臣は貫き通しておられますので、したがいまして、従来ソ連側が主張していましたそういう趣旨の条項というものは、ソ連側としては撤回をしておるということでございまして、その程度の御説明にとどめさせていただきたいのでございます。
○上田委員 非常に重要な問題でありますので重ねて聞くことになるわけでありますが、四月十九日に鈴木農林大臣は本院の農林水産委員会で、日本の二百海里法案ができれば北方四島沿岸・沖合いについても二百海里を設定する、そうするとその海域が重なり合うことになる、理論上はそうなる、こうしてこの北方の四島が未解決な問題である、こういう実態を踏まえて解決を図る、こういう趣旨の発言をしておるわけであります。大臣は結局理論上はそうなるとか、あるいは法律論としてはというぐあいに留保条件をつけておられるようにわれわれは感じられるわけでありまして、北方四島を含めた線引きの強行を政治決断するか否か、まあわからなかったというようにわれわれは解釈をするわけであります。そういう点で、けさの新聞の報道によりますと、日本の北方四島の線引きは精神的なものだという政府関係者の意見が紹介されておるわけであります。こうした背景から北方四島をめぐる線引き相打ち方式は日本が最終的に断念した、そのようにわれわれ判断できるわけでありますが、そう解釈していいのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 いま御指摘の問題は、今回の交渉を通じまして一番難航した問題でございます。しかもそれ自体を領土問題と絡ませて議論をすることが大変困難でありましたために、よけい難航いたしたわけでございます。したがいまして、その北方四島地域、また日本の国内法の制度としてこの二百海里措置法をどのように実施をいたすかということと密接に関係してくる問題でございますので、その点につきまして現在のところでこのようになるということをまだ申し上げる段階でないのでございます。
○上田委員 第八条でこの協定が魚以外の問題に関するものではないという、いわゆる断り書きを書き込むことを日本が要求し、そしてそれが実現したということであるわけでありますが、日ソ漁業交渉においてこういうただし書きを入れることの意味ですね。魚の交渉をしているわけですから、何でこれは魚以外の問題に関するものじゃないとわざわざ断るのか。われわれから言えばあたりまえのこと、本題そのものなんですから、そういうように考えるわけなんであります。そういう意味でこのただし書きを入れている意味ですね、これはどこに――わかっているじゃないかということになるかもわかりませんけれども、ちょっと奇異に感ずるわけでありまして、これはどういうことを意味しているのかということですね。
 それと同時に、いわゆる二百海里漁業専管水域の線引きは、現実に存在する日ソの国境を踏まえて行うということなのか、そういうことになったのかどうか、その点についてもひとつお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 八条の問題というのは、いわゆる留保条項と申しますか、日本あるいはソビエト、この両国の政府のいかなる権限につきましても影響を与えないようにという趣旨の規定を挿入する方向でございますが、まだその最終文案につきましては最終の折衝に待つところでございます。その表現につきましてもまだ最終決定を見ておらないところでございます。
 この趣旨は、今回の漁業交渉は二百海里という問題を踏まえまして、その裏に領土に関する問題があるいは既成事実を積み重ねていくことにならないか、あるいは先方からいたしますと、この機会に日本政府は領土問題が平和条約の際の未解決の問題であるということをこの際ソ連政府に認識させようとしているのではないか。このようなことがいろいろ背後に問題としてあった、そういうことがこの問題を大変難航させたということになっておりますので、そういうようなことは一切関係なく、純粋に漁業問題として今回は解決しよう、こういうことになりまして、表現がそのような、当然のことと言えば当然でございますけれども、大変両国が、あるいは日本といたしましては日本の悲願にも関係する問題でありますので、大変な関心を持っていたことでありますので、この八条にそれを明らかにする、こういう趣旨でございます。
○上田委員 結局日本はいろいろ主張した、しかしながらソ連の主張を認めるという形で合意をした、そういう意味では、日本のいままでの態度が変わった、その結果合意を見た、こういうように解釈できるわけでありますが、そういうことですね。結局そうなったんですね。
○鳩山国務大臣 政府側の態度といたしまして、漁業問題は漁業問題として解決しよう、この問題を領土問題と絡めることは問題の解決を不可能にしてしまうのではないか、こういう観点で御説明を申し上げてまいったところでございまして、そういう観点からいいまして、政府の領土問題と全く切り離して漁業問題を解決しようという線は貫かれているわけでございます。そういう意味で、当初からの方針はいささかの変更もないというふうに私どもは考えるところでございます。
○上田委員 それは外務大臣の解釈になろうと思いますけれども、われわれから見るならば、結局落ちつくところに落ちついたではないか、そういう意味で、とりわけ外務省のそういう努力というものが一体どういう中身のものであったかということで、私は理解に苦しむわけであります。
 結局数カ月に及ぶ日ソ漁業交渉は、日本外交にとって厳しい試練であった。この交渉は国際感覚の欠如といいますか、あるいは独善的といいますか、思い上がりというのですか、ソ連に対して外交上いろいろな配慮が加えられなければならないにもかかわらず、そういうものについて十分理解がなかった、いわゆる日本の外交の根本的な欠陥を完全にさらけ出したと言っても過言ではない、私はこのように思うわけであります。漁民に大きな困難を負わせて漁業交渉の難航をもたらしたものは、いわゆるソ連の強硬策とかあるいは理不尽な要求とか、果たしてそれだけで断じられるのかという点を私がいま問題にしておるわけであります。私の考えるのには、その原因は、まさにそういう欠陥が十分吟味もされずに、主張の是非を正しく判断できなかった日本外交そのものにあったのではないか、このように考えます。
 国益のためとか、あるいは北洋の権益を守れとか、あるいは父祖伝来の地を死守せよといったようないわゆる激情的な主張といいますか、そういう感情的な主張というものは、結局理性と自制を最も必要とする外交交渉において決して好ましいものではなかったというように私は思うわけであります。
 四月十五日の朝日新聞の「声」欄に「あのころの声、再び聞く思い」こういう投書が掲載されておるわけであります。これは横浜市の無職、六十二歳、大分年配の方の意見でありますけれども、ちょっと読み上げてみたいと思います。
 こんなことを書くと、あるいは世論の袋だたきに遭うかもしれない。だが、私はあえて言いたい。いま日ソ間の漁業問題が国民の大きな関心を集めている。そして福田総理は「国益のために」と、事ごとに言っている。そのたびに思い出すのは、私の旧制中学時代、時の首相、陸軍大臣は、大陸で事あるたびに「満州の権益は死守する。必要ならば実力行使も辞せず」と言った。私は、わが国の権益を侵す中華属国(いまの中国)は悪いやつで、絶対に許せない、と単純に思ったものだ。そして、満州事変、シナ事変を正義の戦いと信じていた。
 いま再び、あのころの声を聞くような気がする。
 北洋漁業の既得権益、北方領土、それを守るため、わが国は再軍備への道を大手を振って歩き始めるのではないか。自民党タカ派の人たちが「それみろ、軍備のない国は強国の言いなりになるよりほかはないではないか。憲法改正の必要がわかっただろう」と強く主張しはしないか、心配でしようがない。
 真の国益とは何であるのか。漁場を守ることか。北方の小さな島を取り返すことか。ソ連が返さないと言ったらどうするのか。
 かつて満州の権益を守るため、日中事変から太平洋戦争へと進み、数百万のとうとい生命を奪った忌まわしいあの事実をわれわれ国民は思い起こし、いまこそ冷静に態度を決めなければならない。
こういうように報じられておるわけであります。
 結局、交渉妥結のめどが立ったいま、こうした国民の良識といいますか、国民的な感情といいますか、そういうものに対してどのような印象を外務大臣はお持ちなのか。国民の念願は、相互理解の原則に立脚した日ソ間の善隣友好ではなかったのか。冷静かつ平静な環境下における、本当に理性的なそういう日ソ漁業交渉の早期妥結が大事ではなかったのか。余りそういう高ぶるような感情というものを先行させることが、かえって漁業交渉をやはり難航させることになったのではないか、こういうように思うわけでありますが、その点について大臣はどのように考えられるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回の漁業交渉が大変難航いたしまして、そういう難航した状況のもとに大変な鈴木農林大臣の御努力もありました。また、国会から超党派の議員団が訪ソをしてくださった、また組合関係の代表の方も訪ソをされるなり、このような国民的なパックがありましてこの漁業交渉が行われたと思います。そういうような背景と全く関係なしに、純粋に条約の条文だけの交渉というものと、私はやはり両方の努力がありまして今回妥結の方向に進んでいった、このように考えておるものでございます。
 冷静でなければならないということは御説のとおりでございますし、また落ちつくべきところに落ちついたじゃないか、こういうような御指摘もあろうと思います。わが国といたしまして、日ソ関係というものがいまおっしゃいましたような急場だけの話ではだめで、やはり友好関係を積み重ねていってこそ良好な関係が逐次できていくべきものと思います。
 そういう意味で、これから私ども心がけるべきことは、いまお読みになりました軍備を強めていくというような方向であっては、当然そういったことではなしに、やはり両国の関係を友好の方向で積み重ねていくこと、そういった過程において初めて私は領土問題につきましても根本的な解決ということが図られてくるのであって、対立的な感情が高まるということは、漁業の問題自体につきましてもこれは大変な阻害になりますでしょうし、ましてや領土問題につきましてはそのような対立関係の間からは解決が生まれてこないもの、このように考えておるところでございまして、これから漁業問題国体につきましても両国の協力関係というものを推し進めていくべきその重要な場面として、漁業問題自体もとらえていかなければいけないもの、このように考えております。
○上田委員 今度の妥結といいますか、そういうものを本当に私自身も喜んでおるわけでありますが、やはり何といっても鈴木農林大臣を初めとして農林省の方々の誠心誠意なそういう努力を私は多とするものであります。
 それに引き比べて、日本の外務省は一体何をしたのか。かえっていたずらにそういう漁業交渉を、領土問題を分離してと害いながら結局その問題を先頭に立てていくというのですか、そういう印象をソ連に与えたのではないか。そういう意味では私は今度の妥結、合意に対しては、外務省はなかった方がもっと早くあんばいよくいっておったのではないかという、そういう気すらしておるわけであります。そのことをまず申し上げておきたい、このように思います。
 結局、そのような偏狭といいますか、一部の人たちが言うておるところのいわゆる国益理論とかあるいは権益論は、国際社会の変化の趨勢を的確に把握することを妨げておる、このように考えるわけであります。ソ連への対応を著しく困難なものとし、結果として国民の真の利益を損なうことになっておる、このように考えるわけであります。
 この春に来日しましたところのモンデールアメリカ副大統領がこういうことを言っておるようであります。「表向きの愛想のいい声明とは別に、日本政府の恐るべき国際情勢の認識に深く失望し、日本政府首脳を洗脳する必要があると漏らした」と伝えられていることは、これはもう周知のことであります。残念ながら、日本外交の国際感覚の欠如はいわば国際的常識と言われておるわけであります。海洋外交の歴史はこのことを完全に立証している、このように思うわけでありますが、これについて大臣はどのように考えられますか。
○鳩山国務大臣 先ほど、外務省は何をしたのか、こういうことをおっしゃいましたが、私ども外務省と農林省とは密接な連係プレーのもとに今回の問題に対処してまいったところでございまして、今回も担当局長もずっと向こうへ滞在して行っておるわけでありまして、いまの御発言は何らかの情報によった御発言ではなかろうか。私ども、内部でそれはいろいろ議論もいたします。外務省と農林省との間でいろいろな議論をしてまいるわけでございますけれども、大きな目的のために両省が協力してまいったということを、ぜひともこれは御理解を賜りたいのでございます。
 また、ただいまモンデール副大統領の発言につきまして、私はその事実を聞いておりません。したがいまして、いまここでこれについてどう考えるかということは申し上げにくいところでございますけれども、とにかく首脳会談その他いろいろな外交を通じまして、日本といたしましてはアジアにおきますただ一つの工業先進国といたしまして、諸外国との間のいろいろな感覚といたしまして、私は相当な、いまずれとおっしゃいましたが、そういう国際場面におきます何といいますか、いわゆる先進国グループからやはりちょっと違った目で見られておるということは、これは確かでございます。そのようなことを言われないように私どもは平生それ以上の努力をしなければならない、こう思っておるところでございまして、これがいろいろな面で、これは経済的な問題についてもそういった感覚も全くないとは言えませんし、日本が経済的に発展すればするほどいろいろな面で非難を受けるということも事実であろうと思います。ただいまお示しのような発言、このようなことが多くの欧米の人々の中にどこかにあるのではないかということは、私どもは常に心してかからなければいけない、このように考えております。
○上田委員 外務省の姿勢は一貫していない、くるくる変わる。そういう意味では、やはり先進諸国からは日本外交というものが奇異な目で見られるというのですか、大臣も若干そういうことは感じられるということを述べられておるわけでありますが、たとえば国連海洋法会議がありますが、第一、第二会期で外務省は、領海三海里、専管水域十二海里を主張されたと思います。ところが第三会期では、領海十二海里、ただし経済水域は認めず、ある程度の沿岸国の優先権を認めるとその主張を改めておるわけであります。さらに第四会期では、経済水域は認めるが、その中での漁獲余剰分は実績国に優先権を与えると三たび主張を変えておるわけであります。しかも第五会期では、今度は、経済水域は海洋法として合意されれば認める、こういうぐあいに、会議を重ねるたびに態度を豹変させてきたことは事実であります。昨年十一月二十六日、ソ連によるアメリカの二百海里漁業専管水域承認以来、外務省は、経済水域は国際慣行になりつつあるのでこれを認めざるを得ないと言い出したわけであります。このように日本の漁業外交は、国益すなわち実績確保という観点から現状維持一本やりに終始してきたと思うわけであります。この結果、外務大臣がそういう国際会議に行かれると恐らく、ああエクセプトワンが来たというような形で、本当に国際的に日本の外交が孤立する、それに、嘲笑されるというような結果になっておるわけであります。われわれ日本国民としては非常に情ないと言わざるを得ない、このように思うわけであります。国際社会において日本の外交というものが完全に孤立しているのではないか、このように考えざるを得ないわけであります。こうしたことがやはり漁業外交の孤立と失敗、こう言えば言い過ぎになるかもわかりませんが、本当にそういうところに漁業交渉の難航というのですか、あるいはおくれというものがあったというふうに私は思うわけであります。その点について外務大臣としては、要らぬこと言うな、こういうようにお考えでありましょうが、私は、事実関係を明らかにしていかなければならぬという立場であえて申し上げているわけでありますが、ひとつ大臣のお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 海洋問題につきまして日本の立場が逐次変わったではないか、こういうような御指摘があり、いかにもその場外交的であるような御意見であったわけであります。しかし経済水域の問題等は、やはり経済的な観点から各方面の意見を調整いたしまして、日本の意見として対外的に主張をしていく、このようなことで進んでまいったものでございます。特に日本は海洋国家であり、また遠洋漁業国家であります。したがいまして、日本の漁業界の意見というものを無視して日本の主張というものをいたすわけにはなかなかいかない。こういうことで今日まで来たわけでございます。しかし、そのような対処の仕方で今日いろいろな面で立ちおくれたではないか、こういうような御指摘をいただいたわけで、その面もなきにしもあらずだと思います。今日このような時代になりましたので、これからまた各国とも二百海里時代に対応したいろいろな措置をとってまいるだろう。日本が二百海里をとったということで、関係のアジア各国におきましてもいろいろ検討を進めておるわけでございまして、そのような環境のもとでこれからの海洋外交につきまして私どもも本当に万全の備えをしていかなければならない、このように考え、また御指摘の点は率直にお受けをいたすべきだと思います。
○上田委員 日本の遠洋漁業というのは、他国の沿岸あるいは近海における漁業であることは言うまでもない、このように思うわけでありますが、これに対して多くの沿岸国は、二百海里漁業専管水域の設定によって自国の主権行使による生物資源の保護を図ってきたわけであります。乱獲漁業と言われる日本の遠洋漁業が実績確保をいたずらに主張することは、かえってみずからの首を締める結果になる、このように私は考えるわけであります。日本がアメリカ、ソ連の二百海里水域を認め、みずからも二百海難漁業水域の設定を宣言しようとするときは、相手国の水域における漁獲は、決して要求するものではなく、相手国の漁獲した残りを相手国の裁量によってとらせてもらうことになったということを知らなければいけないのではないか、こういうように私は考えるわけであります。わが国の漁業政策、水産外交は、好むと好まざるとにかかわらずこうした転換期に直面しているのではないか。実績ということだけでは国際社会では通用しなくなってきた、それが二百海里問題ではないか、私はこのように考えるわけであります。そういう点で、国際海洋法、条約改定、単一交渉草案、あるいは米ソの二百海里法案に示される考え方はこういったものではないか、私はそういうように考えておるわけでありますが、それでは私が言ったことに対して外務大臣はどのように考えられますか、お答えください。
○鳩山国務大臣 二百海里体制がとられるようになりまして、この二百海里経済水域の問題にいたしましても、それを沿岸国がやるということ、そして生物資源の保存等に管轄権を及ぼす、こういう点はそのとおりでございますが、しかしその際におきましても、従来の漁業関係が非常に急激な変化を生じて大きな経済混乱を起こさないようにすべきであるという点につきましても、およその合意のあるところでございますので、そういった趣旨から、従来伝統的な漁業として日本が行っておりますその部面につきまして沿岸国もそれを尊重してもらいたいということは、わが国といたしまして当然申していいことであるというふうに考えておるところでございます。
    〔委員長退席、塚田(徹)委員長代理着席〕
○上田委員 北洋における日本の漁業の実績を、単に実績などといったなまやさしいものではない、血と汗で築き上げた権益なんだ、こういうふうに力説をしてきたわけでありますけれども、そういうことがソ連の二百海里水域内における日本の主権的権利の存在といいますか、あるいは特別の優先権の存在を何かごり押ししているような印象をソ連に与えるというのですか、漁業交渉と言いながら結局領土問題を絡ませてきているという意味でソ連側の態度が硬化したという点を私は指摘しているわけでありまして、そういう点で交渉のスムーズな解決にプラスしなかったのではないか、そういうやり方がプラスしなかったのではないかというのが私の基本的な考え方であるわけでありますので、そういう点、何回も言うようでありますが、大臣の考え方を整理していただきたい。
 また国際的に合意されつつある理解というものは、北洋における伝統的な漁獲の確保が保障され、しかもその漁獲量の水準は、日本の水産業界の経済的混乱を最小限にとどめる必要性にソ連をして配慮させるというものではなかったか、こういうように思うわけであります。日本の二百海里の設定によって、ソ連の漁獲の実績を踏まえ、ソ連の水産界の経済的混乱を最小限にするよう配慮しなければならなかったのではないか、このように思うわけであります。こうした考え方が二百海里時代の相手国の二百海里内のわが国の実績確保に対する基本的姿勢でなければならないだろう、このように思うわけであります。北洋漁業は日本の権益といった主張は、日本の水産外交がいま求められている転換を正しく受けとめているとは言えないのではないか。領土のためならば北洋漁業の一年や二年の操業停止もやむを得ないといったそういう暴論というんですかに対する水産関係者の歯どめとしてのみ評価できるのではないか、またしかし、権益といった言葉は軽々しく用いてはならぬことではないか、このように考えるわけでありますが、大臣のひとつ見解を承りたい、このように思います。
○鳩山国務大臣 漁業関係につきましては、あるいは水産庁の方からお答えを申し上げた方がよかろうかと思います。しかし先ほど来御議論のありました漁業自体のあり方という点、この点につきましては、やはり日本といたしましても、この北洋漁業に関しましてもソ連政府と協力をいたして、魚族の保存という観点からもいろいろな試験あるいは調査等を通じまして協力をしてきたわけでございまして、したがいまして、乱獲によってその特定の魚種が減少するというようなことは、これはもう両国関係からいいまして、また日本自体といたしましても長期的にはやはり大変困るわけでございますから、そのようなことのないような配慮は続けてきたことと信ずるのでございます。
    〔塚田(徹)委員長代理退席、委員長着席〕
したがいまして、どれだけの漁獲を上げていいのかという点につきましては、科学的な根拠をもとにして日本も臨まなければならないだろう、このように思いまして、ただやたらにとりまくるというようなことであってはならないと思います。その点につきましては、専門家の水産庁の方からでも補足をさせていただきたいと思います。
○佐々木政府委員 ただいまの外務大臣の御説明のとおり、日ソ間でも大体二十年以上にわたる漁業条約がございまして、毎年魚種別の資源の評価をやって規制措置等を協議しながら両国間で話し合いをして漁業をやってきたわけでございます。このことは日米間の関係でもそうでございますし、大西洋のマグロ条約等にも日本もいち早く参加しているということで、世界各国の間で公海資源という前提でも、日本としては可能な限り各国間との協力関係ということには十分意を用いて資源保存の上に立って日本の漁業の実績の維持ということも考えてきたつもりでございます。しかし、全体また別の考え方から資源の一つの囲い込みという形で二百海里ということが世界の大勢になりつつあるわけで、私どもとしては世界の漁業の発展のために現在でもそれが必ずしも望ましい方向というふうに技術者としては考えておりませんけれども、必ずしも漁業の問題だけではなくて、世界の海の利用の秩序の問題としてこういう新しい考え方が世界の大勢になりつつあるわけでございますから、そういう情勢を踏まえて日本の漁業のあり方というのもやはりこの際再検討する必要があるだろう。特に先ほど先生からお話がありましたように、日本の漁業の実績を資源保存という観点からのみ、要するに日本の実績が続けばいいという観点ではなくて、開発途上国に対するいろいろな漁業面での援助その他国際協力という観点に立って、日本の漁業もそれから関係国の沿岸の漁業もそれぞれが発展をしていくということを常に同価値で念頭に置きながら日本の漁業のあり方を考える必要があるというふうに、現在はさように考えておる次第でございます。
○上田委員 北洋漁業権益論は、戦前の日本の北洋漁業の発展がいわゆる帝国海軍の軍事力の保護のもとに可能であったという苦い歴史の事実をやはり無視したものではないか。またソビエト漁民の感情を逆なでする暴論としか私は理解できないわけであります。
 生まれて間もないソビエト共和国の転覆を目的とした日本軍国主義のシベリア出兵時に、日本はソビエト領海において自由出漁ということを直言して、軍艦の護衛のもとに大規模な略奪漁業を強行したことは、これは歴史の事実であります。一九二五年、日ソ基本条約締結後も日本は略奪漁業を強行しておるわけであります。一九二五年六月、カニ工船「のと丸」がソ連領域内の密漁でソ連国境警備隊に拿捕されたわけでありますが、このとき水雷艇「たちかぜ」が実力によって奪還しておるわけであります。また一九三〇年六月、水雷艇「あさかぜ」十四号の護衛で四隻の漁船がウスチ・カムチャック湾で湾の入り口を網で区切り強行操作を実施したことも事実であります。これに対してソ連の外務人民委員部は覚書で抗議を表明しておるわけであります。
 こうした事例は枚挙にいとまのないほどあるわけでありますが、こうした歴史的事実から言えることは、まず第一に、日本が開発したという北洋漁場が、実は軍艦護衛のもとでソ連の領海に対する侵犯を繰り返した結果形成されたものであるということ、そうして二番目には、したがって北洋漁場は確かに日本が伝統的に漁業を行ってきたところでありますが、それは決して権益といったようなしろものでは断じてないというように考えるわけ、であります。
 外務大臣にお答えしていただきたいわけでありますけれども、この日本の軍国主義下における駆逐艦あるいは水雷艇の護衛のもとでの北洋漁業の歴史に日本としてやはり反省すべき教訓はなかったのかどうか。戦前のわが国の態度がすべて正しかったというふうに思っておられるのかどうかということであります。
 また、日ソ友好の前提は相互理解にある、このように私は考えるわけでありまして、漁業実績を強調する余り、ソ連国民の感情を逆なでする権益死守といった風潮は私は断じて戒めるべきである、こういうように考えるわけでありますが、この点についてひとつお答えいただきたいというふうに思います。
○佐々木政府委員 初めに事務当局の方から、北洋における漁業の実態について少し説明させていただきたいと思います。
 いま先生お話しございました戦前と戦後では、日本の北洋漁業の実態は全く違っております。確かに戦前にはさっき御指摘になったような事実もあったことは私ども十分承知をいたしておりますが、戦後の日本の北洋漁業の形態というのは、ほとんどソ連の領海十二海里の外の公海の資源を対象にいたしまして、従来全く未利用であったスケトウダラであるとか、あるいはカニの中でも北洋イバラガニであるとか、そういったかなり沖合いの方の、あるいは本当の意味での遠洋の漁場の資源の開発に非常な汗とそれから力を尽くしていままでの漁業の実績を築き上げてきたわけでございます。このことについて権益と言うのが適当かどうかということは別にいたしまして、日本の漁業がいろいろさっき申し上げたように二十年間の長い漁業条約の歴史の中で相当な努力をして資源の開発に貢献してきたということはソ連自身もかなり評価をいたしておりまして、ソ連自身も、実は御案内のとおり全体年間一千万トンのうち六百万トンを外国の沿岸二百海里丙に依存するといういわゆる海洋漁業国でございますから、そういったそれぞれの過去における資源開発のための努力、そういったものを評価するということについては考え方は基本的に日本と変わってはおりません。そこで今回の交渉の中でも、ソ連側の方では一応二百海里の漁業専管水域を設定して、その中の資源の利用というのは、ソ連の現在の漁船勢力その他をもってすれば全部自分の方で利用しようとすればできる。しかし、そういった長年の両国間のいろいろな話し合いの上に築き上げられた日本の実績ということを一方ではやはり尊重をする必要がある。このことは、ソ連自身もまたECなりカナダ、アメリカ等の諸外国に対しても主張脅しているところでございますが、そういう観点から、日本のそういった伝統的な実績をソ連側の新しい二百海里という秩序の中でも認めよう、しかしそのためには必要ないろいろな条件を整備しなければいけないという観点から話し合いが進んでまいったわけで、決して日本の伝統的な実績あるいはその実績の継続ということに対して、ソ連側が信義的その他に非常な反発をもって対応してきたということではないというふうに私ども理解しておりますし、今後もそういった両国間の友好関係の上に立って、また適正な資源保存ということを常に前提としながら、話し合いの中で両国間の漁業の継続ということに努力をしていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
○鳩山国務大臣 ただいまお聞き取りのような情勢でございまして、ただいま戦前につきましてのいろいろな御批判がございましたが、そのようなことではなくして、これからの日ソの関係というものは、特に漁業面で友好が保たれてきたわけでございますので、今後とも友好的な関係のもとで漁業の発展を図っていくという方針でまいるところでございます。そして、先ほども申し上げましたが、私どもといたしましては、領土問題について平和条約という問題を抱えておりますけれども、これらを推進するものはむしろこの漁業関係であるというふうにすら思っているところで、両国間の協調的な発展ということに尽くしたいと思っております。
○上田委員 戦前の日本政府の北洋漁業での権益というものは、政府自身がいま考えて適当でなかったということ、また戦後においては、まあ決して私が先ほど言うたようなことでないというお言葉でありますけれども、いずれにいたしましても、やはり北洋漁業の権益というような形のものが、一体中身がどういうものであったのかということを整理する必要があるのじゃないか、私はこのように考えて発言させていただいたわけであります。
 日本の軍国主義は米ソによって一応壊滅させられるというのですか、降伏をさせられることになったわけでありますけれども、そのときにポツダム宣言を受諾しているという一つの事実関係、あるいはサンフランシスコ平和条約の第二条C項によって日本は北千島、南千島を放棄した。この点については、一九五一年の十月十九日、衆議院のサンフランシスコ平和条約特別委員会で政府委員が明快に確認しておるわけであります。また第三番目に、ダレスのいわゆる反ソ冷戦外交の時代に、日本政府は、北方四島は千島に含まれないという解釈を打ち出しておるわけであります。こうした事実を前提にするならば、ソ連の二百海里線引きについて最も現実的な解決策は、やはり現行の日ソ国境線に基づいて線引きを行い、四島周辺水域、いわゆる三角水域における零細北海道漁民の漁獲実績の確保を図るという水産庁の当初の構想、こうした現実論に立脚した交渉の促進をする必要があっただろう。それにブレーキをかける、あるいはまた牽制脅したのが外務省ではなかったのかということを私は言っておるわけであります。
 たとえば四月四日の水産経済新聞、この新聞でありますが、ここで重大な事実関係が報道されておりますので、若干読み上げてみたいと思います。「政府筋が二日明らかにしたところによると、鈴木・イシコフ会談で北方四島の問題は一切ふれず、タナ上げする形で、暫定取り決め交渉を三月末までに解決するという路線がしかれていた。しかし、モスクワでの交渉がヤマ場に入った三月二十五日すぎ、外務省独自の訓令が有田審議官を窓口にモスクワの駐日大使館に届けられ、日本側は北方四島問題に手を突っ込んでしまった、といわれる。この仕掛人は米国とも、あるいは現在まだ外務省にいぜん強い発言力を持つ対ソタカ派グループの法眼国際協力事業団理事長(元次官)という“ウワサ”も流れている。この外務省の勇み足により、四島問題に手をふれず、現状凍結のまま日ソ暫定取り決め交渉を解決しようとしていた農林省、水産庁の意図は完全にくつがえされ、強いショックをうけている。これを裏づけるようにソ連機関誌「プラウダ」は「日ソ取り決め交渉が決裂したのは日本の反ソ分子の策動による。根拠のない不当な領土の要求には冷却期間をおきたい」と厳しい対日攻勢を開始した。」「しかし、解決を急がなければならない漁業交渉のさ中にあえてこちらから難しい領土問題を持ちだしたとすれば、サカナと領土を切り離す当初の方針からもはずれ、また、火中の栗を拾う結果をきたしたことになろう。」こういう報道があるわけであります。
 そういう点で、こうした訓令を発した事実があるのかないのか、まず聞きたい。それから、あるとするならばその内容はどういうものであったのか。さらに、そういう事実がないということであるならば、なぜそういうことはないと公式に否定しないのか。この三つについて外務大臣の意見を聞きたい、このように思います。
○鳩山国務大臣 今次の交渉の経過につきましてはいろいろな曲折がございました。しかし、いまのはどこの資料か存じませんが、私どもそれも拝見をさせていただきたいと思いますが、どうもいまお聞きしたことは私どもには全く推測――まあ推測的な論述ではなかろうか。いま私のお聞きしました限りにおきまして、そのようなことは全く事実に反するものというふうに考えます。
○上田委員 こういう訓令はなかったのですね。事実に反するということは、そういう訓令はなかったということですね。それであるならば、こういう新聞が出ておるわけでありますから、やはり事実でないということを堂々と反論すべきではないか。ちまたではこういうものがそのまま事実関係として理解されておるわけでありますから、その点についてどうお考えでしょうか。
○鳩山国務大臣 その新聞は見ておらないものですから、いまここでその新聞のどこがどのように違うか――今回の交渉におきまして、法眼氏が途中で介入をしたというようなことは全く事実に反することと思っております。
○上田委員 日本の北洋漁業関係者は、いわゆる日ソ貿易関係者の間では、四月八日の会談で鈴木農林大臣が次のように発言したということが広く伝えられておるわけであります。「個人的には、領土問題は三十年から五十年かかる問題だと思う。領土についての変更は長期の課題である。しかし、日本には日ソ漁業交渉を私利私欲のために利用しようとする勢力がある。だから慎重に対処しなければならない」こういうことであります。
 さらに、園田官房長官の訪ソ努力と相まって、交渉がいわゆるイシコフ私案によって妥結の可能性が生まれたときに、外務省の首脳は対ソ譲歩論を意識的にマスコミに流して対ソ強硬論に油を注いだ。四月八日の各新聞は次のように報道をしておるわけであります。四月八日の朝日の朝刊では、政府首脳は、ソ連の二百海里水域線引きを、領土とは無関係な魚に限っての線引きとして認める立場に踏み切ったと述べた。また同じ四月八日の読売の朝刊でありますが、外務省首脳は、北方領土水域でのこれまでの漁獲実績三十万トンを確保するためには、たてまえ論ばかり言ってはいられないとし、ソ連の北方領土水域の線引きを認めざるを得ないことを示唆した、このように報道されているわけであります。ここで言うところの政府首脳は、四月七日夜、外務省担当記者との定例懇談会における鳩山外務大臣自身なのだというように伝えられておるわけでありますが、これは事実なのかどうか。発言の真意はどこにあったのかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 その日、記者クラブとの懇談があったことは事実でございます。しかし、記者クラブの懇談というのは、たまたまその日が園田官房長官とコスイギン首相との会談が行われる日でございまして、その行われた時間ころからこの懇談が始まりまして、それでいろいろな雑談を交わしておったわけでございます。その園田・コスイギン会談の結果を、私がそれを知っておっていろいろしゃべったのではないかとか、いろいろ後でそのような議論がクラブの間であって、この懇談で行われましたいろいろな雑談の一つ一つの言葉をどのように解釈しようかというようなことで、その晩記者クラブでいろいろな議論があったというふうに聞いております。したがいまして、翌日の新聞を見まして私も大変びっくりいたしたのでございますけれども、そのような経過で、特定のことを考えて発言をしたというようなことではないのでございます。いろいろなバックグラウンドの説明を、理解を深めてもらおうと思って、その北方四島地域でどれくらいの漁獲があるとかなんとか、零細漁民がどれくらいあるんだというような話をした覚えはありますけれども、それをどうすべきであるとかいうようなことや、魚が大事であるとかいうような、そんな表現は一言もしなかったのであります。
 しかし、それがいろいろな憶測を生んだということは、後で聞きましたらそのようなことでありまして、私といたしましてまことに心外な記事が翌日の朝刊に書かれたということでありまして、その経過はここで御説明いたしますといろいろ申しわけをしているようなことにとられますけれども、事実はそのような、全くの雑談をするのが、その懇談の席でよもやま話をするというような席であったということを御了承いただきたいのでございます。
○上田委員 今度の再開された交渉に並行して、外務省時代からいわゆる最強硬の反ソ主義者と名高いというのですか、先ほどの記事にもそのように出ておったのですけれども、法眼元外務次官を福田首相の事実上の特使として訪中させたということですね。ミグ25事件でソ連の国民の感情を逆なでするような形になり、そしてまたその後遺症がいままだしこりとなっておるときに、そういうことになったということは、日ソ交渉が最も重要な局面でこうした思慮を欠いたいわゆる挑発的とも言える行動をとること自身が、やはり外務省が果たしてこの問題で有効に漁業交渉を成功させる形になったのかどうかという点で、私もその点について大きな疑問を持っておるわけであります。
 たとえば東京の七十一歳の年寄りの発言であります。これは朝日新聞の「声」欄に載っておったわけでありますけれども、ちょっと紹介をしたいと思います。「三木内閣以来、わが国の外交姿勢はとかく陰湿で、間に合わせ的である。特に対ソ関係においてそれが著しい。昨年十月十五日に、日本の港からミグ25をソ連船で積み出して間もなく、外務省は「総選挙後年内にも日ソ関係全般の修復に向かって何らかの動きが出てくるものと見ている」と、全く甘い考えであった。また外務省筋の意向として、北方領土問題で日ソ漁業暫定協定ができない場合は、一年ぐらい休漁して交渉すると伝えられている。北方領土は、田中・ブレジネフ会談で未解決の問題に含まれていることが会談のメモにあると宮沢欧亜局長が言っている。しかしなぜ当時両者の会談に立ち会った外務省通訳を国会で証言させ明らかにしないのか。」こういうことを言っておるわけでありますが、こうした政府の姿勢で一番打撃を受けるのは北海道あるいは東北の零細な漁民であっただろう、また日ソ漁業交渉に当たる農林水産関係者ではなかっただろうか、こういうように思うわけでありますが、そういう点で、参議院選挙が終われば直ちに訪ソをして、具体的にぎくしゃくしたそういう日ソの関係の修復に当たる必要がある、私はこういうように思うわけであります。特に日ソ間の定期外相会議はいつ開くつもりなのか。日本が積極的にイニシアチブを発揮することが必要ではないか、こういうように考えるわけでありますが、外務大臣の答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 いま仰せのように、日ソ関係につきましてはやはり常時友好関係の増進に努めなければならない、おっしゃるとおりであろうと思います。昨年中に開かれます予定でありました定期外相会議が繰り越されてまだ開かれておりませんので、この国会が終了後、漁業問題が一段落いたしました時期におきまして、先方と十分連絡をとりながらなるべく早い機会に持ちたい、このように考えております。
○上田委員 これで最後にしたいと思います。
 日ソ外交史における事実関係について一点だけ御質問申し上げたいと思います。
 この春、モスクワの国際関係出版所から出版されたV・N・ベレジンの著書、恐らく外務大臣はお知りでないかもわかりませんけれども、「善隣協力路線とその反対者」の七十二ページに次のような記述があるわけであります。「日本政府は、一九〇五年のポーツマス講和条約の第九条に基づいて、付録第十で、それまでのロシアとの条約すべてを廃棄した」こういう記事があるわけであります。こうした事実が公表されたのは、私の知る限りでは今回初めてではないか、こういうふうに思うわけであります。非常に重要な事実関係でありますので、これが事実かどうかお知りであればひとつお聞かせいただきたい。もしお知りでないというなら、調査をして早急に御報告いただきたいと思うのですが、どちらでも結構ですけれども、わかっておれば答えてください。
○加藤説明員 お答えいたします。
 私ふつつかにいたしまして、いま先生の御指摘になった書物をまだ読んでおりません。その記事を早速調べまして、事実関係とあわせて別途御報告いたします。
○上田委員 それじゃ後日、事実関係についてお聞かせいただくということでありますので、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
○正示委員長 続いて、栂野泰二君。
○栂野委員 大分遅くなりまして恐縮ですが、なるべく短時間で終わりますので、しばらくおつき合い願いたいと思います。
 私、竹島問題に限って御質問いたしますが、竹島が日本固有の領土である、島根県隠岐郡五箇村の行政区域に入っているという、これはもう全く問題ないところなんです。この竹島問題が最近、海洋二法あるいは日韓関係をめぐって大変問題になっております。私は、竹島問題が重大化したのは過去にも二回あると思うのですが、一回は李承晩ライン宣言の当時、二回目は日韓条約の締結の当時であります。今度で三回目です。ところが過去二回とも結局政府は、口ではいろいろ言っていたのだけれども、本腰でこの問題を解決するという態度はなかったと私は思うのですね。
 たとえば、第一回の李承晩ライン宣言当時ですが、昭和二十九年に国際司法裁に提訴するという動きがあって閣議決定があった、しかし韓国側が応じないということで、そのままになった。それから日韓条約締結の当時ですが、当時の自民党の副総裁大野伴睦氏、竹島などは一発ぶち込んで吹っ飛ばしてしまう方が手っ取り早いじゃないかということを言ったとか言わないとか、いずれにしても三十八年一月には竹島共有案というのが出され、これは大変な問題になったわけであります。
 しかしともかく、ある問題になった時期が過ぎると何となく立ち消えになってしまうという経過があるわけであります。私、今回は政府に本気で竹島問題領有権をめぐって、もちろん竹島周辺の漁業問題もございますが、ぜひ解決してもらいたいと思っているのです。
 私は、ともかく日韓条約の締結時にこの竹島問題は解決しようと思ったらできた、このときにいいかげんに扱ったというのが結局今日禍根を残していると思うのです。これは北方領土問題がサンフランシスコ条約当時にさかのぼらないと問題がはっきりしないのとある意味では似ていると思うのですが、たとえば日韓国会の当時の審議を見てみますと、日韓条約の締結は四十年の六月ですから、その前の国会ではこういう論議なんですね。三十八年の二月二日の予算委員会、野原覺委員です。国交正常化の後に竹島問題は外交的に解決すべき問題だという朴議長の見解は、日本政府の見解と違う。大平外務大臣の答弁は、わが方としては一括解決という不動の方針で進んでいる、帰属をはっきりさすことができるような手段方法というものを、双方において国交正常化前に合意しておかなければならぬと思っている。池田総理大臣は、竹島共有論についてどう思うかという野原覺委員の質問に対して、私はそういうことについて考えたことはない、したがって竹島問題は両当事国間で決まればいいが、決まらない場合は国際司法裁判所の判決によるべきだと思う。
 もう一つ読みますが、これは三十九年の十一月二十八日の予算委員会、勝間田委員の質問。日韓交渉における一括解決方式という中には、当然竹島問題の所属の最終的な決定も含まれるかと思うが、どうか。後宮アジア局長の答弁は、国交正常化のときに竹島問題のような後にしこりを残す問題も同時に片づけたいという方針で当たっているが、前内閣のときからの政府答弁にもあるように、少なくとも最終的な解決のめどははっきりとその協定の中につけておく。こういう答弁です。
 ところが、日韓条約締結後になってくると、がらりと変わってくるのですね。四十年の八月四日の予算委員会、野原委員。六月二十二日に日韓条約が調印されたが、条約、協定のどこにも竹島の字が出てこないがこれはどういうことか。椎名外務大臣答弁。竹島というものを必ずしも表示する必要はこの際ないから、日韓間の未解決の懸案という中に含めて問題の処理方法を妥結した。
 それから、四十年十月二十七日、これは日韓特別委員会、松本七郎委員の質問。日韓交渉が妥結するということには一括解決が前提条件だといって強く主張されてきた、それが竹島は解決できないと遺憾の意を本会議で表明された、日本国民に対して総理としての責任はそんな程度でいいのか。また、解決のめどがついたということになると、一体何を根拠としてそう言われるのか。佐藤内閣総理大臣の答弁は、全体を見た際に、大局的見地に立つと竹島問題を放棄したわけではない、しかしこれの平和的解決方法はちゃんとその方向が決まったという状態で日韓間の条約を調印したわけである。両国間の紛争を解決する交換公文がある。それによって処理するということである。
 こういうことで、条約締結前はともかく最終的にきちんと解決できるという、それはやるんだということなんです。ところが結局、条約では締結時には御存じのように交換公文ができたのですね。ところがこれは全くしり抜けなわけです。だからこの締結以後の国会の答弁は、いま言いますようにきわめてあいまいなことになっておる。
 そこで、この交換公文ですが、これで全部竹島問題は後で解決できるんだとおっしゃるのですが、これは再々今国会でも問題になっていますように、両国間の紛争――韓国は、竹島はこの紛争の中にも入っていないと言っているわけでしょう。しかし、そんなことはないので、竹島問題は入っている。としますと「まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によって解決を図るものとする。」こういうふうになっているわけですね。ともかく韓国側がうんと言わなければどうにも動きがとれない。しかも、韓国側と話して韓国側の合意を求めるというのが、二重、三重に書いてあるんですね。韓国側から言えば二重、三重の歯どめになっている。日本側から見ればこれは全くしり抜けでどうにもならないわけですね。少なくとも先ほど読みました政府側の国会答弁からいけば、話し合いで解決がつかない場合には国際司法裁に提訴する。その合意をあらかじめこの交換公文の中に入れるというなら話がわかる。これもやってないわけですね。これでは、とにかく竹島問題はていよくほったらかしたということにならざるを得ない。結局、この交換公文は何の役にも立たないですね。今度また国際司法裁判所に提訴も考えているというふうなことが言われているようですが、この点はいかがですか。
○中江政府委員 外務大臣が竹島の解決のために国際司法裁判所に本件を提訴することも考えられるということをおっしゃいましたことは事実でございます。他方、それではそのことが現実にすぐにできるであろうかという点につきましては、これは先生がいま経過慮るるお述べになりましたように、そう簡単ではない。しかし問題は、一つの島が国際法上どちらの国に帰属するかという純粋に法律的な論点の紛争でございますので、これは国際司法裁判所の判決を仰ぐのが妥当であるという考え方は、私どもいつまでも持ち続けたい、こう思っておるわけですが、不幸にして国際司法裁判所規程に韓国が当事国となっておらないために、当然に国際司法裁判所の管轄権を受けないということになっておりますと、現在の法秩序の中では強制的に法廷に引っ張り出すことができない。したがって、双方が、これは法律的な国際法上の紛争であるから国際司法裁判所の権威のもとで決着をつけようという気になったときには、両方で特別の合意書をつくりまして国際司法裁判所に出す、この道は私どもとしては閉ざすべきではない、こういうふうに考えております。
○栂野委員 いずれにしても、仮に当事国になったにしたって、ともかく合意しなければ、提訴に応訴しなければ、国際司法裁判所の審理が始まらぬわけで、これもいまの実情から見れば、韓国側が応訴するなんということはちょっと考えられないわけですね。これも具体的な解決方法としては余り役に立ちそうにないと思われるのです。
 私は島根県選出なんで、これは地元の問題なんですよ。ともかく、さっき言いましたように、日韓条約締結当時、地元の人たちは大変期待していた。国会答弁でも、何とかこれは解決してくれるだろう、また、解決しますという答弁があるんですね。ところが、条約を締結して終わってしまったら、こんないいかげんな状態だということになるので、今度もまた北方領土問題同様、領土には妥協は一切しない、毅然たる態度で臨むと言われても、なかなかどうも信用できないという感情があるわけです。
 そこで、二月十六日に日韓議員連盟の総会が東京で行われました。どうもこの際も、竹島問題が議題になったということは私聞いていないですね。それから二月十八日にも、朴東鎮外相が来られて鳩山外務大臣はお会いになっているはずですが、ここでも一体竹島問題をお話しになったかどうか。翌日、十九日には朴外相は福田総理を表敬訪問されているようですが、結局大陸だなを早く何とかしてくれという要請をしたということのようですね。それから四月四日にも南副総理が来日した。新聞記事を見ますと、夕方鳩山外務大臣主催の晩さん会があって、この日、南副総理は福田総理とも会っているのですね。一体、こうした機会にこの竹島問題を話し合われたことがあるのですか、ないのですか。
○中江政府委員 幾つかお挙げになりました機会のうち、日韓議員連盟ですか、この方の会合の話は、立法府の先生方の問題でございまして、私どもは特にそれについて詳細知らされておるというわけでもございませんけれども、その他の政府首脳との間の会談において、一般的に言われておりますことは、双方とも竹島という紛争の島を抱えているということは事実の問題として認識しておるわけでございますので、竹島の問題は何とかしなければならないということは、話題にはもちろんなるわけですけれども、それではそういう場で、これは日本のものであるから、日本に当然帰属すべきものだから、ぜひ韓国の不法占拠はやめてもらいたいということを強く申し入れて、それが実効があるかどうかという点については、先ほど先生も御指摘のようにはなはだ疑問である。なぜそうであるかというと、日韓双方の間でこれを解決することが双方の利益であるというような雰囲気が盛り上がりませんと、こういう領土問題というのは国民の感情的な問題が非常に入ってくるので、したがって、この問題は紛争であるということを確認しつつ、雰囲気が実際的な解決に向くような時期が来るのを持つというのが、迂遠のようですけれども、紛争は平和的に解決するという憲法だとか国連憲章の精神などにのっとっております日本の外交からすれば、いまその道しかないということでございますので、まず日韓双方がお互いに友好関係について信頼を確かめ合って、そういう友好関係の上に立って本件の解決を実際に具体的にどうしようかということが話し合いになる時期を待つというのが、現段階でございます。竹島について特に関心を持っておられる国民の皆さん方かちすると、私どもいつも陳情を受けますけれども、できることなら何とか解決したいとは思いながら、実際上の手段において非常に制約されているというのが実情でございます。
○栂野委員 ともかく、この竹島をいま韓国が占拠しているというのは、これはもう不法不当であるということははっきりしています。しかし、それにしてはいまの、たとえば二月十八日、四月四日あたりの会談でも、少なくともこれは強く抗議を申し入れるという態度があってもいいのじゃないですか。そういうことはないのでしょう。何となく因ったものだという話はともかく、はっきりと抗議を申し入れるということはあったのですか、ないのですか。
○中江政府委員 日本政府がいままで行っております抗議というのは、そのときどきの日本側の海上保安庁による巡視の結果だとか、あるいはその他新しい事実を認知したときだとか、あるいは韓国側で竹島について何らかの日本として容認しがたい発言があったときとか、そういう具体的な事実があったときにそれに即してやるということで、一般的に会うごとに抗議をするという方法はとっておりませんので、今回の首脳の間でのお話の中でも、私の知らされております範囲内では、竹島問題についてはこれが紛争であるということについての確認をし合うということはございましたけれども、その場で抗議を申し込むというようなことはなかったように聞いております。
○栂野委員 そこら辺なんですけれども、たとえば四月四日の南副総理の来日の際話し合われたことは、結局日韓経済協力問題、「過去と比べ変化があるのかとたずねたのに対し、福田首相は「変化はない。これまでと同じく行う。自信をもって継続的な協力関係を維持して行くようにしたい」とのべた。」という新聞記事がある。それで、ことしの八、九月に日韓閣僚会議を開くという。つまり、韓国側が望んでいることですね、これに日本政府が積極的に協力する、こういうことばかり。少なくとも、この国会が始まってから、鳩山外務大臣も国際司法裁への提訴を考えているとおっしゃっているのですからね、それじゃ韓国側も合意してくれぬかぐらいな、もう少し具体的な話を詰めてもいいのじゃないか。そこら辺を国民は、口じゃ言うけれども本気じゃないんだ、こう受け取るわけですね。そういう、国際司法裁に日本が提訴する場合に合意してくれるかというような話もなかったのですか。
○鳩山国務大臣 竹島問題につきまして、過去におきます大変いろいろな折衝の結果があるわけでございまして、また国会の御審議におきましても御議論をいただいておるわけでございます。この竹島問題につきましては、私どもこの問題を何とかしたい、こう思いますけれども、これがまた、不用意に先方に持ち出した場合には大変な問題を引き起こすことは目に見えておるわけでございます。先方の国会内では、日本の国会とまさにちょうど逆な議論が非常に強く行われておるわけでございますので、この問題につきましては外交交渉によって解決をいたそう、このためにもやはり細心の注意が必要であろうというふうに考えまして、東京に見える外相あるいは副総理の来日の際になぜそのようなことを主張しないか、こういうおしかりでございますけれども、そのようなことがいい結果を生まないことは目に見えておりますので、私どもといたしまして、この問題につきましてやはり慎重に準備をいたしまして、適当な機会に、またこれを議題にいたしますにつきましても先方といろいろな事前の了解工作等もやりませんと、いきなり唐突に、さて竹島をどうしてくれる、こういうことになりましてもいい結果は必ず生まない、こう思いますので慎重な態度をとっているわけでございますけれども、適当な機会にこのことにつきましてはやはり何とか措置を講じたい、そういう気持ちでおることは変わらないのでございます。
○栂野委員 もちろん外交問題ですから慎重さが必要ですが、ともかくそれにしても、何とも煮え切らない態度だとしか私どもには考えられない。最近日韓大陸だなの批准問題をめぐって、韓国側は、とにかく今国会で批准されなければあの共同開発区域を独自で開発するんだ、こういうことを言っているようであります。また、ごく最近では、浦項沖合いの日本海岸ですね、新しく第八鉱区を設定する、もちろん竹島が含まれる、こういうことも言われております。さらに、三百海里漁業専管水域を一方的に設定するんだ、こういうことも言っているのですね。私どもから見れば、大陸だな協定を批准するかどうかは日本の国会が決めることです。これに対して韓国側の態度というのは、これはまさしく恫喝ですね。国際儀礼上からも許されないむちゃくちゃな言い分だと思う。もし今国会で批准されなければ韓国独自で大陸だなの開発をするんだとか、あるいは竹島を含む日本海側に第八鉱区を設定するんだとか、二百海里も一方的に設定するんだとか、こういう話は正式の外交ルートとしては入っているのですか、いないのですか。
○中江政府委員 結論を先に申し上げますと、正式外交ルートを通じては入っておりません。
 いま御指摘の問題点それぞれについては、少し色合いが違いますので、一言申し上げます。
 まず第八鉱区を設けるという問題は、これは一部新聞で報ぜられましたが、韓国側に在韓日本国大使館を通じましていろいろの方法でチェックをいたしましたけれども、そういう事実は全くないということでございますので、これは根拠のないことだ、こういうふうにお考えいただいて結構だと思います。
 他方、単独開発の問題につきましては、これは御承知のように、昭和四十五年に韓国は韓国のよって立つ国際法の基礎の上で、これは自分で開発できる地域だと思って単独開発のために試掘をしようとしたわけでございまして、この試掘をしようとしたのを、日本側としてそれは認めることができないと言って交渉に入った。そういう経緯から見ましても、韓国側では独自に開発する準備ができているというふうに認識しても間違いではなかろう、こう思います。
 それから、二百海里漁業水域の問題は、大陸だな協定とは別途、日本がアメリカ、ソ連の二百海里漁業水域に対して日本側も二百海里の漁業水域を考えるという段階から、韓国及び中国に対して説明してきております。そういうわが方の説明の段階で、韓国もこれは国際社会の一つの趨勢として検討しているということを言ったことはございますけれども、報復措置として云々というようなことは正式外交ルートでは言ってきてはいないということでございます。
○栂野委員 それなら結構ですが、私はこの共同開発区域の単独開発なんてことは、韓国は恐らく本気で考えてはいないだろうし、第一その能力がないというふうに私は思うのですが、結局、いろいろ韓国側がそういうふうな報復措置に出るというふうな報道がともかく流れる。そこで結局、たとえば私どもの地元あたりから見れば、竹島が含まれるような鉱区が設定されたら大変だ、それから竹島を中心に二百海里を設定されたらこれは大変だ、それなら大陸だなの方は何とかという、こういうふうになる空気も当然予想されます。そんなことで、ともかく大陸だな条約が批准されては、これはとんでもないことになる、千載に禍根を残すことになるので、私どもは何としてもこの大陸だな条約の批准はやっちゃいかぬと思っているのです。韓国側の態度というのは非常に高圧的なわけで、これに対して、いま外務大臣がおっしゃるように、いまいたずらに刺激してはかえって解決を困難にする、こうおっしゃるのですが、韓国側の態度に比べて日本側政府の態度が余りになまぬるい。一体この八、九月に開かれる予定の日韓閣僚会議を開くか開かないか、竹島問題を絡めるというお気持ちがあるんですか、ないんですか。
○鳩山国務大臣 竹島問題につきまして議論する、あるいは先方と外交交渉を行う機会を見つけ出すのはなかなかむずかしいことと思っておりますけれども、このような機会は一つの機会であろうというふうに私自身考えてはおります。しかし、この議題につきましても、これはやはり先方とあらかじめ議題の調整をいたさなければなりません。したがいまして、ここで、必ずそこでできるだろうということは申し上げかねるわけでございますけれども、一つの機会としては私自身心にとめておるということは申し上げておきたいと思います。
○栂野委員 まず日韓経済協力が主題になるような日韓閣僚会議ですね、これを日本側の要求が何もかも入れられないということならばこれは開く必要はない。しかし、いまの外務大臣の御答弁だと、そこまでは考えておられない。しかし、開いてもまだその議題に何をのせるかはっきりしないとおっしゃっているんですけれども、少なくともこの竹島問題を議題にのせるというぐらいなことはしていただかないと困る。
 私の方に地元からたくさん陳情書が来ているのですよ。これは隠岐島の漁業協同組合連合会ですが、いま竹島問題の解決で「これを国際間の紛争にして憲法九条により実力に依って解決すべき筋合のものにあらずとするならば、よろしく韓国をして国際司法裁判所に提訴して帰属の判断を求めることに同意せしむべく、万一韓国にして、この提訴に応ぜざるにおいては、よろしく韓国に対する経済援助を打切る等適切な措置を講ぜられたく強く要望する」こう書いてある。いまちょっと読んだときに「これを国際間の紛争」云々と申しましたが、その前に「自衛権の発動によって原状回復を図るべきであり、若し我が国に於て、」これが憲法上だめならば「国際司法裁判所に提訴」こう書いてある。
 自衛力の発動、これはだめであります。領土問題は、先ほど上田委員も御指摘があったのですが、ナショナリズムなりミリタリズムがあるという大変危険な側面があるのです。これは警戒しなければなりませんが、いずれにしても、いま読みましたように、国民全部そうだろうと思うのですが、政府が本気にこの竹島問題を解決しようとするならば、少なくともそれに対する何らかの、ここの対抗措置ぐらいは切り出していいのじゃないかという、これが大方の気持ちだろうと思います。どうかそういう点で、あの日韓条約前後の国会とまた同じように、口ではうまいことを言っていたが結局はうやむやにされたという、そういう失望感を与えないような態度をとっていただきたいと思います。
 それで、この竹島ですが、十二海里は当然竹島にも適用して領海を広げたことになると思うのですが、これは韓国側に通告はなさっているのですか。
○中江政府委員 先ほど私ちょっと触れましたように、日本が領海十二海里及び漁業専管水域二百海里を設定するということを検討を始めましたときに、韓国側に日本の考えていることを説明しました。その際に、これは日本の固有の領土全域に及ぶということをはっきり申しております。しかし漁業専管水域につきましては、御案内のように日本全域に設定するたてまえになっておりますが、具体的にどこに引くかというのは別途政令に委任されているということでございますが、日本の固有の領土の中に竹島は含むということを当然の前提として、そういうふうに韓国側には申しておるわけでございます。
○栂野委員 それから、水産庁にお聞きしたいのですけれども、竹島では、李承晩ラインが宣言されたその翌年ぐらい、たしか昭和二十八年ごろまでは、隠岐島の漁民などがアワビとかサザエとかあるいはアシカをとっていたわけですが、それが結局はいけなくなった。この竹島及び至近の海域というのですか、そこの、当時の年間漁獲量は幾らぐらいだったかわかりませんですか。当時幾らぐらいとっていたか。
○佐々木政府委員 竹島周辺でワカメとかノリ、テングサあるいはアワビ、サザエ等の漁獲があったということは、私どもも関係者から聞いておりますが、正確な漁獲の統計はございませんで、大体昭和二十七、八年ころから全くこの地域では漁獲を、ごく周辺のいその周りではやっておりませんので、私どもデータを持ってない状況でございます。
○栂野委員 大体いまの金額にして八億円ぐらいだということを言っている向きもあるのですが、いずれにしても、それだけの漁獲ができない状態が今日まで続いているわけです。
 それから、竹島を基点にしたこの二百海里内の日本の漁獲量はいまどのぐらいございますか。
○佐々木政府委員 昭和五十年の実績で、区域のとり方にいろいろ考え方がございますが、竹島を中心にして周辺海域をとってみますと、大体年間で一万トン、金額にして約二十七億円余になるというふうに推定しております。
○栂野委員 いまの二万トンの内訳をお聞かせ願いたいのですが、時間の都合もありますから、イカが六千七百トン、それからベニズワイガニが二千七百トン、それから沖合い漁業によるその他のものが六百トンぐらい、こういうことでよろしいのですか。それともう一つは、いま私の方では金額は、七、八十億ぐらいと聞いているのですが、この点、どうなんでしょう。
○佐々木政府委員 数量につきましては先生がいまお話しのとおりでございます。金額につきましては、大体五十年の平均単価で推計をいたしますと、ベニズワイガニにつきましては、県からの五十年の価格での報告を基礎にして推計いたしまして計二十七億三千万円、五十年の単価で大体そういうふうに推定しております。
○栂野委員 そこで、この海域にはいまどこの漁船が入っておりますか。
○佐々木政府委員 これも区域のとり方でいろいろございますが、日本の漁船のほかに韓国の漁船も竹島の北の方にございます北大和堆、ここら辺を中心にしてイカつり漁業その他で入り会い関係が相当ございます。それからベニズワイガニについても最近若干韓国側の操業の動きがあるということを聞いております。
○栂野委員 日本の漁船は基地で見ると、県でいえばどこの県の漁船が入っているのですか。
○佐々木政府委員 主として鳥取、島根、ここら辺の県が中心でございます。それから一部は山口県の船も操業しているかと思います。
○栂野委員 韓国の二百海里内における日本側の漁獲量、それから朝鮮貫主主義人民共和国、北朝鮮の二百海里内における日本の漁獲量はわかりますか。
○佐々木政府委員 大体昭和五十年の実績をもとにして、たとえば大ざっぱに推計をいたしてみますと、韓国、北朝鮮二百海里内を合わせまして、大体二十四万トン程度と考えています。そのうちの大体七割ぐらいが韓国の沿岸になろうというふうに推定しております。
○栂野委員 大和堆というのは日本海の好漁場の一つだと言われているのですが、関係諸国の二百海里線引きが行われたとしますと、一体これはどこの国の海域に入りますか。
○佐々木政府委員 二百海里の漁業水域の設定につきましては、先ほど外務省からもお話がありましたように、近隣諸国との入り会い関係その他を慎重に考えまして、必ずしも相手国が二百海里の線引きをしていないのに、日本側が線引きをして漁業の紛争を起こすということは避けたい、現在でき上がっております漁業秩序をできるだけ維持したいという基本的な考えがございますが、仮にそういった問題をたな上げしまして、機械的に線を引いてみますと、私どもの推定では、おおむね大和堆の漁場の大部分は、日本側の水域の中に入るのであろうというふうに推定しております。
○栂野委員 いま大部分は日本側とおっしゃったのですが、北朝鮮それからソ連の海域内に入る部分があるのじゃありませんか。
○佐々木政府委員 おっしゃるとおり一部ソ連側の水域の中に入る部分がございますし、大和堆にさらに接続しまして北の方にございます北大和堆は大部分ソ連側の方の水域の中に入るというふうに考えております。
○栂野委員 いずれにしましても、竹島を基点にして韓国側の二百海里水域が設定されるなんということになるとこれは大変なことになりますので、とにかく絶対にそういうことをやってもらっては困る。これは外務省あるいは農林省の交渉をよろしくお願いしたいと思うのですが、いずれにしましてもきょうは時間がございませんので、多くは申し上げませんが、先ほどもお話がありましたように、結局二百海里水域の設定というのは、将来を見れば外国の水域内には日本は入れなくなるだろうということを考えざるを得ない。そこでこれからは日本海沿岸沖合いの漁業にもう少し本腰で力を入れていただきたいと思います。
 海上保安庁にお聞きします。最近の竹島の状況ですが、警備隊が何人かいる、それから監視所があるというふうに言われておりますが、それ以外に何か軍事施設でもあるのかどうか、その辺を含めて実情をお話しいただきたい。
○間政府委員 海上保安庁では、竹島につきましては外務省からの要請に基づきまして調査を行っておるわけでございますが、一番最近行いましたのは昨年の八月でございました。このときの調査結果でわかりましたところでは、竹島には韓国の警備隊の職員が駐在をしておりまして、若干の宿舎と思われますような建物、それにいわばトーチカのような、そこに銃を備えた施設が見受けられた。それからまた海岸には上陸場の桟橋の施設が設置されておりました。そういった状況が確認されております。
○栂野委員 竹島は大変緊迫した状況も考えられるのですけれども、保安庁のこれに対する警備方針といいますか、警備体制、これからどういうふうにやっていかれるのかお聞かせ願いたいと思います。
○間政府委員 竹島につきましては、先ほどから外務省当局からお答えがございますように、この問題は日韓問で外交上の経路によりまして平和的に問題を解決するという方針が定められておりますので、従来海上保安庁もこういう政府の方針に基づきまして、竹島につきましては先ほど申し上げましたような外務省からの要請に基づいて調査を行うということにとどめておるわけでございます。この竹島問題の解決については、基本的にはその領有の問題を解決しないとこれは警察活動では解決できない問題であるというふうに私どもは考えますので、今後もただいま申し上げましたような形で対処するのが妥当ではないかというふうに考えております。
○栂野委員 これはちょっと話がそれるのですが、今度海上保安庁はヘリコプターを一機予算計上されました。これはいつごろどこに置かれるのか。美保と聞いているのですが、このヘリコプターはもちろんいまあの近海の警備に御使用になると思うのですけれども、御存じのように、隠岐という離島がありましてときどき急患が出たりして、どうしても本土側に運ばないといい病院がないというふうなことで大変因っておるのです。この海上保安庁のヘリがあそこの美保にできれば、隠岐島の住民のそういう要請にこたえて輸送してくれるということになりますか。
○間政府委員 まずヘリコプターの配置でございますが、今年度の予算で美保に基地をつくり、そして中型のヘリコプターを一機ここに配置をする、その予算が計上されておりますが、これは恐らく今年度末には美保の基地の開設とヘリコプターの配属が行えるというふうに考えております。
 それから、ただいま御質問のございました急患の輸送につきまくては、海上保安庁はこういう緊急の場合における援助、人命財産の保護のための援助、これはやはり海上保安庁の任務でございまして、これまでも離島において急患が発生をいたしましてほかに方法のないような場合には、海上保安庁が飛行機なりヘリコプターなりあるいは船を出しましてこれを運ぶということはいたしておりますので、いまのお話のございましたような隠岐島の急患の輸送につきましても、それぞれ事情に応じて私どももできるだけの御援助をしたいというふうに考えております。
○栂野委員 その点はひとつよろしくお願いします。
 それから最後の質問ですが、先ほども申し上げました日韓大陸だなですが、これが開発されるということになれば北海油田の例がある。万一事故が起きれば大変なことになるわけで、特に北海油田よりもあそこは一層深い。大体平均二百メートルですね。そこらあたりから油が吹き出たら大変なことになるわけで、日本海沿岸漁民は心配しているのです。そこで、あの地点が黒潮の対馬海流との分岐点になると思うのですけれども、これは仮定の話ですが、あの地点から油が流れ出た場合に、日本海の隠岐周辺に到達するまでには一体どのくらいの時間がかかりますか。これは保安庁でも水産庁でもどちらでも結構ですが、わかったら教えてください。
○佐々木政府委員 流出いたしますその油の量によっても当然これは途中での分解等がございますので差があると思いますが、機械的に海流の流れだけから推定をしてみますと、開発区域の中の場所にもよりますが、最短距離でおおむね二十日ぐらいというふうに一応予想されます。ただしこれは風等によってずいぶん違いがございますので、そのときの気象条件によってはこれより非常に早い場合もあるしまた遅い場合も出てまいりまして、主として海の流れだけの場合にはその程度というふうに考えております。
○栂野委員 水産庁はこの大陸だな開発協定に絡んでそのような油流出の危険について十分検討されておりますか。
○佐々木政府委員 この協定に関連いたしまして通産省なりあるいは外務省等と十分協議をいたしまして、まず漁業の方へ影響が及ばないようにということで諸般のそのいろいろな措置を協定の中で、あるいは協定の運用について講じてもらうようにわれわれの方としても強く申し入れをし、それぞれ現段階で可能なものについては手当てはできておると思っております。しかし万一不測の事故が出ました場合には、その発生状況に応じてオイルフェンスの使用であるとか、周辺の井戸の周りでもってそれが囲い切れない場合には、流出した先の沿岸の漁場の方で防衛のためのそういうオイルフェンスを張るとか、そういった一連の対策を事業実施の段階において十分配慮しながらやる必要があるということを私どもとしては考え、またそういったことで常時油の流出事故というのは船舶等からもございますので、必要な場所については協同組合等にいま申し上げたような施設を助成して自衛に努めているわけでございますけれども、今後も一層こういったことを、もし開発が進む段階になりましたら留意をしてまいりたいというふうに思っております。
○栂野委員 もう時間が来ましたので終わりますが、ともかくあの海底から油が吹き出したらそれはとてもじゃないけれどもどうにもならないので日本海は全滅します、死滅すると見なければいかぬ。北海油田の例を見てもそうですか、またそれを聞けば、そんなことは例外的なことで絶対ございませんという政府答弁になるのですけれども、われわれはともかくその恐怖、疑問は消えない。そういうこともとにかく検討しないで日韓大陸棚協定の批准をなぜ急ぐのか。この日韓関係というのは、竹島問題に限らず、国民から見るとまことに納得いかない点が多い、何があるのだ、何にもなければもう少しじっくり考えてもいいのじゃないか、この疑問は消えないと思います。私これからもその点は追及したいと思いますが、ちょうど十九時五十分までで時間になりましたからこれで終わらせていただきます。どうも大変遅くまで申しわけありませんでした。ありがとうございました。
○正示委員長 続いて、矢山有作君。
○矢山委員 この間の例の日韓大陸棚協定審議の際に外務委員会でお尋ねする予定にしておったのですが、その機会がなかったものですから、一点だけに限ってきょうぜひお尋ねしておきたいと思うのです。
 日韓共同開発区域ですが、あそこを共同開発に着手するということになると試掘井をつくったり、油が出だすというと当然生産プラットホームを建設したりパイプラインを建設したりということになるのですが、そうすると、もしあそこが第三国から攻撃された場合といいますか武力的な侵害を受けた場合は、当然日米安保の第五条というものがかぶさってくるのじゃないかと私は考えているのですが、どうなんですか。
○村田(良)政府委員 いま先生御指摘の大陸だなの共同開発区域と申しますのは、国の主権が全面的に及びます領土あるいは領海と異なりまして、その当該大陸だなに付与されております資源に対する開発に関して主権的な権限を持つという地域でございます。したがいまして、日米安保条約第五条に規定されております「日本国の施政の下にある領域」というものには該当しないと考えられますので、したがって安保条約の対象にもならないということでございます。
○矢山委員 そうすると、油が出だして、そこが他国からの侵害を受けたとしても日米安保は発動されないのですね。それは重要な問題ですから。なるほどおっしゃるように、第五条の「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における」の「施政の下にある傾城」ということにならぬ、そういうふうな御解釈だろうと思うのですが、少なくとも主権的権利があの共同開発区域に――日韓双方のどちらに帰属するかということは確定しておらぬにしても、あそこにこちらがいろいろな施設をつくるということになれば、それに対する行政的な権限というのは日本の方から及ぶと私は思うのです。したがって、もしそれが第三国から侵害を受けた場合の対応というのはきわめて重要だと私は思うのです。したがって、ここであなたがおっしゃるように明確に日米安保の適用がないということなら私はそれで納得いたしますが、間違いないですね。これはきわめて重要な問題なんで重ねてお聞きしておきます。
○村田(良)政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
○矢山委員 もう一つ疑問点がありますので申し上げておきたいのですが、ここは日韓の共同開発区域でありますから、韓国側の開発権者も当然同じように試掘井をつくったり生産プラントの建設なり石油パイプラインの建設等をやります。そうすると、やはり韓国としては、他国からの侵害を受けた場合、武力攻撃を受けた場合にはここを守るということになりはせぬかと私は思うのですね。そうなってくると、韓国側の開発権者とは言っておりますけれども、あそこに開発権を持っておるのはほとんど米系のメジャーですから、そういう場合に米韓相互防衛条約ですか、これとのかかわりができてきはしないのかという心配も私はしておるわけなんです。その点はどうなんですか。
○村田(良)政府委員 米韓条約を米国あるいは韓国がどう解釈するかということはわれわれとして口を出すべきことではないと思いますが、いずれにいたしましても、この日韓大陸棚協定で共同開発をしようということになっております区域に関しましては、日本も韓国もそれぞれその施設等に対して、仮定の話として第三者から急迫不正の侵害があるという場合には、一般国際法のルールによって対処するということになろうかと思います。
○矢山委員 なるほど米韓相互防衛条約は他国のことだからわれ関せずとおっしゃるけれども、あそこは少なくとも日韓の共同開発区域ですから、米国と韓国との間の条約だからわれ関せずということでは私は済まないと思うのです。あの米韓相互防衛条約によると、第三条で「各締約国は、現在それぞれの行政的管理の下にある領域」云々となっているのですね。これは日米安保条約第五条とほ文字の使い方が違っておるわけですよ。そうすると「行政的管理の下にある領域」ということになると、米韓の間としてはこれは米韓相互防衛条約の発動があり得るのではないか、こういうふうに私は思っているのです。あなたが先ほど言うように日本に関係ないじゃ済まないのですね。共同開発区域だということを頭に置いて答弁してください。
○村田(良)政府委員 この共同開発と申しますのは、先ほど申し上げましたように大陸だなというものの基本的な性格ということから出発するわけでございますが、あくまでわが国あるいは韓国の領域的なものではなくて、その大陸だなに存在する天然資源に対しまして、その開発に対して主権的な権利を行使し得る地域であるということでございます。したがいまして、その開発のためにたとえばプラットホームであるとかあるいはパイプラインとかいった施設は設けられると思いますけれども、これはあくまでわが国の領域とか韓国の領域ということではなくて、公海の上で天然資源を開発するという限定された目的のために設けられる施設でございまして、たとえば大陸だな条約の第五条にもそういった固定施設に関する規定がございますが、それは島とみなしてはならない、したがって固定施設は領海も持たないという規定までわざわざ設けられているわけでございます。したがいまして、まだこの点に関して国際法は完全に確立したとは申しかねますけれども、固定施設等は公海上における船舶と非常に似たものであると考えられると思うわけでございます。したがって、そういった公海上の船舶に対する攻撃、それが組織的な武力攻撃であるか、あるいは公海条約で規定されておりますような海賊行為とみなすべきテロ行為であるかというようなことをそれぞれの実態によって判断いたしまして、わが国あるいは韓国が対処することになるべきものと思います。
○矢山委員 その対処するとおっしゃったところが問題なんですが、なるほど領土ではない、そういう解釈のあることは承知しております。そうすると、石油が出だした、生産プラント施設がある、パイプラインがある、それが攻撃を受けた。何もしないで傍観しているわけですか。それともどういう対処をするのですか。これはきわめて重要な問題で、はっきりしていただきたいのです。
○村田(良)政府委員 対処という場合には、先ほど申し上げましたようにその態様によってわが国の対応ぶりが異なるとは思いますけれども、たとえば自衛権の発動が許されるようなケースも理論的にはあり得ると思います。それから比較的軽微な海上保安庁あるいは警察等の法令に基づく取り締まり行為というふうな場合もあると思いますが、それはそれぞれのケース、実態によって判断せざるを得ないと考えるわけでございます。ただし自衛権の発動に関しましては、政府が従来述べておりますような三つの条件、急迫不正の侵害、それから他に適当な手段のない場合、または最小限度の方法をもって対処するということはこの際にももちろん該当するわけでございまして、これに関しても先ほど申し上げました公海上の船舶に対する攻撃というのと比較的似たような考え方をとり得るのではないかと思いますが、個々の具体的な状況に照らして判断せざるを得ないことであろうと思います。
○矢山委員 あなた理論的とおっしゃったからそこのところをもう一つ詰めたいのですが、理論的に言って自衛権の発動があり得るとおっしゃったわけですね。その自衛権が発動された場合、日米安保条約の中でアメリカというのは全然手出しをしない、日本も手出しをすることを求めないということになるのですか。理論的に自衛権が発動されるような状態になった場合には、それがどういうふうに拡大するかわからないのですよ。そのときに日米安保条約は全然動かないのですか。
○村田(良)政府委員 冒頭申し上げましたような理由によりましてこの区域は日米安保条約第五条に規定する領域ではございませんので、日米安保条約は発動しないということでございます。
○矢山委員 私はそのような官僚答弁では納得できぬのですが、どうですか大臣。理論上言うと――現実に起こるか起こらぬかは知りませんよ、しかし実際問題としてあそこに莫大な金をかけて探鉱をやって石油が出だした、そして巨大な生産プラントができた、パイプラインが敷かれた、それに対して紛争に巻き込まれて武力攻撃を受けた。その武力攻撃がその共同開発の区域だけにとまるという保証はないのですよ、武力攻撃を受けて自衛権を発動するというのですから。武力攻撃を受けて自衛権を発動した場合に、その区域だけで一切紛争が終わるということは、これも理論上考えられないのですよ。そうしたときに、武力攻撃を受けてそれが発端となって紛争が起こってきた場合、これは日米安保というのは全然動かない――私はこれは何としても理解ができないのです。動かないなら動かないで、はっきりしておいていただけばよろしい。これは官僚答弁だけでなしに、やはり責任のある大臣の方からはっきりしてください。
○鳩山国務大臣 矢山先生の御指摘の問題は非常にむずかしい問題でございますので、これは今後とも関係のあるいは防衛庁当局なりあるいは海上保安庁、そういったところもあわせまして、さらに検討を続けなければいけない問題ではないかというふうに思いますが、先般もこのような点が実は本会議でも御質問があったわけでございまして、私どもとして、とりあえずの安保条約の関係につきましては本会議でも御答弁申し上げたわけでございます。しかし、自衛権の発動の対象としてどのように考えるかということになりますと、これはやはり防衛庁の方と連絡をとりまして、十分御納得のいくような解決にしなければならない、このように思っております。したがいまして、今日、いま一応の御答弁は申し上げたところでございますけれども、今後ともこの研究をいたしたい、こう思っております。
○矢山委員 村田さんのお話と大臣のお話とはニュアンスにかなり大きな相違があるのですよ。そういうふうな官僚的なというか、そういう答弁だけでは私は済まない問題じゃないかと思うのですよ。これはやはり日本の権益というものがここへ確立されてくるわけでしょう。韓国の権益も確立されてくるわけでしょう。そうすると、ここが第三国の武力侵害を受けたときに、これをじっと黙ってほったらかしに見ておっていいわけにはいかないだろうと思う。あなたも、理論上自衛権の発動があるとおっしゃっている。そうすると、自衛権が発動された場合に、これはだれが考えたって、日米安保条約の五条というものが私たちは念頭に浮かぶと思うのですよ。これは必ず動いていくと私は思う。それからもう一つ、韓国の側にしてみれば、あそこの韓国系の開発権者が米系のメジャーであるとかないとかいうことは論外としても、米韓相互防衛条約があるのですから、しかもあの第三条の関係から見ると、あそこで韓国がその防衛に立ち上がった場合、やはり米韓相互防衛条約というものが私は動いてくると思う、理論上。そうなってくると、あの日韓の共同開発区域で日米安保条約と米韓相互防衛条約というものが重なってくるわけですよ。したがって、理論的に言うなら、米、日、韓の共同防衛区域にあそこは当然なるんじゃないか。これはあなた、物事の筋道ですよ。それをいかに国会答弁、私は国会答弁をそんなに軽々しくやってもらっちゃ困りますけれども、この答弁を何とかうまいこと言って切り抜けたら済むという問題じゃありませんよ、これは。これは日本の安全保障上の問題でしょう。そうすると、一体自衛隊というのは何のためにあるのですか。日米安保というのは何のためにあるのですか。そういう共同開発区域が、日本の巨大な投資をした施設があるのが第三国の武力侵害を受けて、自衛権は発動するが、安保条約は動かぬのだというんなら、安保条約を解消したらどうですか。そうなってきますよ、話の筋道というのは。そんないっとき逃れの答弁をしちゃいけないですよ。そういういっとき逃れの答弁で逃げてきておるから、たとえば今度の日ソ漁業交渉に見られるような醜態が生まれたのでしょう。そういうものを官僚答弁と言うのだ。まさに無責任だ。防衛庁の方、どう考えられますか。率直に言ってもらいたい。
○伊藤(圭)政府委員 ただいまの御質問と御答弁を伺っておりましたが、自衛権の発動の条件は、先ほども御説明ございましたが、組織的な計画的な武力攻撃というものが行われて、これが武力攻撃に該当するという場合には自衛権の発動があると思いますが、それ以外の場合にはないと思います。したがいまして、平時の警備行動はまず海上保安庁がやっておりまして、その手に負えないような場合に警備行動として八十二条の警備行動が発動されると思います。
 さらに武力攻撃、これが組織的に行われるというような事態になりまして自衛権の発動があるものと考えますが、先ほど来御議論になっております五条が直ちに発動するかどうかということは別問題にいたしまして、私どもその自衛権の発動は、防衛構想にもございますように、自衛隊の力によって対処できるものはまずそれでやるというのが私どもの基本的な考え方でございます。
○矢山委員 余りくどくやってもなんですが、私はやはり、あそこで現実に石油が出だしたということになると、そういったような武力侵害が起こるときには、まず石油というのは日本にとっては非常に大切な資源なんでしょう、九九%外国に仰いでいるとあなた方は言っているわけだ。仰いでいるから、何が何でも日韓大陸だなの共同開発を早くやって、少しでも自分の手で石油を確保しなければならぬのだというのが日韓大陸棚協定を強行した理由でしょう。そうすると、それほど大切な石油資源であるなら、紛争が起こったときにはそれが一番ねらわれるのですよ。そこがねらわれて、そこから戦争の拡大ということになってくるわけだ。そうすれば、当然これは、ここが攻撃された、そういう状態を想定していくなら、それを発端にして日米安保が動かないというばかな話はないのですよ。そんな日米安保だったら廃棄してしまいなさいよ。そうでしょう。私は、防衛局長は少し正直に言ったと思うのだ。日米安保は動きますよ。これは当然態様によって動きます。そうするともう一方で、あれは難国との共同開発区域なんですから、これは米韓相互防衛条約が動いてくるでしょう。だから、そこで私どもは、ここで現実の問題として、あれは米日韓の共同防衛区域という形ができ上がってしまうじゃないか、こう言っているわけですよ。私は事実を事実として指摘しておるのですよ。それに対してどういう対応をとるかということはそれから後の問題ですよ。私は、大臣、そう言っているのです。わかりますか。理解できますか。
○鳩山国務大臣 おっしゃることは理解しておるつもりでございますけれども、問題が大変むずかしい問題で、いま私に直ちにどうするのだと、こう問われましても、私自身、率直なところ、これは直ちに御答弁がむずかしいという感じがいたしまして、まだまだ開発にかかるのは先でございますけれども、目下参議院で御審議をいただいておりますので、その期間になるべくただいま御指摘のような点も詰めまして考えてみたいと思っております。
○矢山委員 そうすると、私は注意しておいてもらいたいのだ。あなたからもそれから大臣も、村田参事官ですか、やはり厳重な注意をしてもらいたい。こんな人を小ばかにしたような答弁で済むと思っておるのが大間違いです。あなた、責任持てないでしょうが、そんな事態が起こったら。そのときになって、村田、あんな答弁をしておったとわれわれが言ったってどうにもならないですよ、あなたはそれだけの力しかないのだから。少なくとも、まじめな答弁をしようと思ったら鳩山外務大臣のような答弁をしなさいよ。これをまじめな答弁と言うのだ。あなたのはでたらめ答弁、ふまじめ答弁、人をなめた答弁ですよ。今後はそんなことがあったら私どもは承知しませんよ。
 それから、最後に一つだけ外務大臣に伺っておきたいのですが、先ほど竹島問題についての論議がありましたが、竹島が日本の領有の島だということは、これはもう私がくだくだ言わぬでも、そういう主張なんでしょう、日本政府も。しかし、この問題は解決すべき紛争の問題として残っているわけでしょう。そうすれば、少なくとも韓国が武力でもってあそこを占拠して既成事実をつくるということは、やめさすべきなんじゃないんですか。しかも、あなた方は日韓は友好関係にあると言っているわけでしょう。日韓は友好関係にあるから莫大な経済援助もやっているわけでしょう。それだったら、友好関係にあるのに、あの紛争の課題で、どちらの領有とも決着のつかないところを武力占拠するというのは、これはまさに許されないことなんですよ。まずこの問題から真剣に解決する、これは当然のことじゃないかと私は思うのですが、どうなんですか。
○鳩山国務大臣 この竹島に韓国が武力的な占領をしているかどうかという点につきまして、ただいま確たる証拠を持っているわけではございませんけれども、先般来のいろいろな情報、写真等によりますと、そのような心配もあるわけでございます。竹島につきまして新たな施設を行おうというようなことがありました場合には、政府といたしましてもこれは重大な関心事であると、厳重な抗議を申し込んでおるところでございまして、そのような新たな施設というようなことは事実上考えていないというような韓国側のいろいろな当方の抗議に対します返事は得ておるのでございますけれども、現状がどのようなことになっているかよく検討いたしまして、いやしくも武力的な要素があるという点につきましては、厳重に抗議をいたすべきことと思っております。
○矢山委員 これで最後にしますが、しかし外務大臣、あなたも良心的だと思ったら案外とぼけるところはとぼけるんだね。いま海上保安庁の方が竹島の状況を説明したでしょう。私も正確に記憶しておるかどうか、ぼんやり聞いておったのだけれども、それでもあの中でトーチカのようなものがつくられているとか、銃か何かそういったようなものが置かれているようだとか言っているわけですから、これはやはり海上保安庁としては確認している問題でしょう。そうすると、トーチカのようなものがあったり銃があるということ、警備隊がおるということは、やはり武力占拠ですよ。ですから、少なくとも友好関係にある、あるとあなた方がおっしゃるのなら、そういう非友好的な象徴的な状態だけは解決する、これから入っていって竹島領有の問題で決着をつけるというのが、やはり取り組むべき課題じゃないですか。そうでしょう。全力を挙げてそれをやりますか。
○鳩山国務大臣 ただいまの点は、全く御指摘のとおりだろうと思います。私どもこの竹島の問題に重大な関心を持っておりますし、これに取り組まなければならないと考えておる次第でございますけれども、この取り組み方につきましては十分慎重な配慮のもとに行いたい、このように考えております。
○矢山委員 じゃ、これで終わります。
○正示委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○正示委員長 この際、塚田徹君から、本案に対する修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。塚田徹君。
    ―――――――――――――
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○塚田(徹)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してございますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げますと、原案のうち、在勤手当等に関する改正規定は、昭和五十二年四月一日から施行することとしているのでございますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行し、住居手当並びに子女教育手当に関する改正規定につきましては、本年四月一日から適用することに改めようとするものでございます。
 よろしく御賛成くださるようお願いを申し上げます。
○正示委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
 修正案について、別に発言の申し出もありません。
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○正示委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、塚田徹君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○正示委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○正示委員長 起立総員。よって、本案は塚田徹君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
 なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○正示委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○正示委員長 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山外務大臣。
○鳩山国務大臣 ただいま、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重に御審議の結果、適切な修正の上御可決いただきまして、まことにありがとうございました。
 私といたしましても、本委員会における審議の内容を十分に尊重いたしまして、法律の執行につきまして遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。(拍手)
○正示委員長 次回は、明十九日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時十七分散会