第080回国会 法務委員会 第10号
昭和五十二年四月二十日(水曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
   理事 横山 利秋君 理事 沖本 泰幸君
      坂田 道太君    篠田 弘作君
      田中伊三次君    大柴 滋夫君
      島本 虎三君    西宮  弘君
      日野 市朗君    米田 東吾君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      鳩山 邦夫君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        警察庁刑事局保
        安部長     吉田 六郎君
        法務政務次官  塩崎  潤君
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
        法務省人権擁護
        局長      村岡 二郎君
        法務省入国管理
        局長      吉田 長雄君
 委員外の出席者
        青少年対策本部
        参事官     石瀬  博君
        警察庁刑事局参
        事官      佐々 淳行君
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   平井 寿一君
        警察庁刑事局保
        安部防犯課長  長岡  茂君
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  柳館  栄君
        経済企画庁国民
        生活局消費者行
        政課長     吉岡 博之君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 遠藤 哲也君
        大蔵省銀行局中
        小金融課長   吉田 正輝君
        大蔵省国際金融
        局企画課長   神馬 常郎君
        国税庁直税部法
        人税課長    北村 恭二君
        文部省初等中等
        教育局審議官  奥田 真丈君
        文部省大学局学
        生課長     浪貝 一良君
        文化庁文化部宗
        務課長     石井 久夫君
        通商産業省機械
        情報産業局航空
        機武器課長   山田 勝久君
        労働省労働基準
        局監督課長   倉橋 義定君
        自治省行政局行
        政課長     鹿児島重治君
        法務委員会調査
        室長      家弔 吉己君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  加地  和君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     加地  和君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○上村委員長 これより会議を開きます。
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 まず、貸金業について質問いたします。
 時間の関係上要約いたしますと、二月十八日私が貸金業に関する質問主意書を議長の手元へ送付をいたしました。それに対しまして政府側から貸金業に関する質問に対する答弁書が出てまいりました。そこで、この答弁書に関連をいたしまして、警察庁、経済企画庁、法務省、自治省、大蔵省の五省においでを願った次第でございます。
 この質問主意書に対する答弁書は、要約いたしますと、まず第一に、四十九年、五十年、五十一年の検挙件数、検挙人員等を整理をされて答弁をされたのでありますが、四十九年には合計六百五十八件、うち検挙人員が五百八十四人、五十年になりますと合計八百九十九件、七百九十七人、五十一年は合計千二百八十三件、千二百九十九人の検挙件数並びに検挙人員となっています。
 それから第二番目に法務省の態度でありますが、「出資等取締法に定める罰則を適用し、悪質事犯については公判請求するなど厳正な態度で臨んでいる。」と報告されました。
 経済企画庁からは、「サラリーマン金融の利用者の増加とともに、悪質な貸金業者による各種の問題が生じており、現行法令による取締りと併行して、今後貸金業者については貸付条件の事前開示等の検討を行うとともに、消費者については被害事例の紹介等による消費者啓発に努める必要があると考えている。」と答弁をされました。
 また大蔵省関係からは、「貸金業に関する許可制ないし事前届出制の導入又はこれに対する指導・監督の強化等については、政府としては、利用者の保護、庶民金融の在り方、犯罪の防止等の社会秩序維持の見地から、高金利の処罰の問題、取締り上の問題、行政上の処理能力の問題等を勘案しつつ総合的に検討する必要があると考えている。なお、貸金業者の自由規制の助長に関する法律は、貸金業者の自主的な努力と協調によって貸金業の健全化を図ることを主眼としており、行政的指導はこれを補強する観点からなされるべきものであるが、今後ともこの趣旨を生かす方向で配意してまいりたい。」
 結論として、「総理府が中心となり、右関係省庁等、政府一体となって至急協議体制を整え、貸金業に対する行政指導の在り方及び貸金業制度の整備に関し、法改正を含む業界の長期的制度の整備につき検討を行うべきと考えるが、内閣の見解如何。」これが私の質問の結論でございますが、結論については、「御指摘のとおり本件問題は重要かつ広範であると考えているが、所管官庁も多岐にわたっているので、今後関係各省庁間において御提案のような協議・連絡の場を設け、行政指導の在り方及び法改正の可否の検討を含め、本問題の検討を行っていく所存」と答弁がされております。
 この答弁を三月十一日いただきました。私は、いまの貸金業の実態というものは、カラスの鳴かぬ日はあってもこの種の問題が社説あるいは評論あるいは三面記事に載らないときはないと考えておるのでありますから、緊急の必要性があって提起をしたわけであります。しかのみならず、本国会におきましても、各種の委員会におきましてさまざまな角度で貸金業に関する問題が提起され、政府の答弁がされておるのであります。いまの貸金業の状況、このサラリーマン金融の状況を考えてみますと、最近非常に需要が減っておる。そして新規開業と廃業とがふえている。あるいはまた、三面記事に載るような諸問題がさらに増加をしている。一方、現行法の貸金業者の自主規制の助長に関する法律の四十七年六月の制定以降、各県において自主規制はかなりの成果を上げておる。しかし、かなりの成果を上げているけれども、その組織率は一割ないし二割ぐらいしかないのであって、広範な組織外、アウトサイダーについては業界の手も及ばず、あるいはまた地方自治体の指導も及ばない、こういう状況にあるわけであります。したがいまして、私が政府に対してこの棟の質問を出し、政府また答弁をされましたのは当然のことと考えておるわけであります。
 しかるに、三月十一日以降今日まで、政府は、「今後関係各省庁間において御提案のような協議・連絡の場所を設け、行政指導の在り方及び法改正の可否の検討を含め、本問題の検封を行っていく所存」と答弁をしながら、知るところによれば何にもしてないという感じがするわけであります。国会議員に対して、閣議を通って、私ばかりではなく全国会議員に配付をされました答弁書が、おざなりであって、かっこうだけつければそれでいいと考えておるのかどうか。言語道断だと私は思っておるのであります。これらの答弁をされた警察庁並びに経済企画庁、法務省、自治省、大蔵省、御協議をされたと思うのでありますが、どこが一体責任を持ってこの推進をしてくれるのでありますか。どなたが一体この答弁書について責任を持って答弁をなさるのでありますか、伺いたいのであります。
○福田(一)国務大臣 この種の各官庁にまたがる問題については、総理府内で一応各関係省と連絡をしながら御答弁をすることにいたしておりますから、総理府を呼んでいただかないと、(横山委員「総理府を呼んでくれ、すぐ」と呼ぶ)ちょっとお答えをいたしかねるのじゃないかと思います。
○横山委員 大臣のお話によれば、総理府が取りまとめをするという。しかし、総理府が取りまとめをする本当に責任を持っておるかどうか。総理府にサラリーマン金融がどういう関係があるかとなりますと、何の関係もないわけであります。この問題について答弁書を提出した以上はどこかが責任を持たなければならず、また各省がどこから言ってくるかと、それまでは知らぬ顔の半兵衛を決め込んで、答弁書を出したからもうそれで国会の仕事は役済みと、こういうお考えであるとするならば、無責任もはなはだしいと私は思っています。どこがいい悪いとは言わない。少なくとも、この答弁書の精神に沿って各省は実行をする意思があるのかないのか、それを個々にひとつ伺います。
 まず、警察庁から伺います。
○吉田(六)政府委員 警察としましては、先生の御指摘のとおり、毎日貸金業の取り締まりを実施している立場にございます。したがいまして、この取り締まりの状況、またその実態につきましては、関係省庁に連絡しまして、できる限りこれらを焼制するような何らかの法が必要ではないかということを私どもはその都度資料を提供するなどして申し上げているわけでございまして、何らかの法規制があった方がよいというような立場で、関係省庁間における協議、連絡の場におきましては、効果的な結論を得るよう努力しているところでございます。
○横山委員 経済企画庁にそれでは所信のほどを伺います。
○吉岡説明員 お答えいたします。
 経済企画庁といたしましては、消費者保護の立場から消費者に対する啓発ということを重んじておりまして、私どもの手段といたしまして、国民生活センターという一般の消費者に対する機関がございますので、そこでテレホンサービス、これは電話でございますが、そういったものを現在やっておりますし、また、今月中にラジオの放送、それからテレビ、全国ネットワークでございますが、テレビも今月中に、サラリーマン金融の被害事例の紹介等による、被害を受けないように消費者啓発に努める所存で現在やっております。
○横山委員 いまやっておることもさはさりながら、私の法改正を含む業界の長期的制度の整備について検討を行うべきであるという結論について、政府側が、各省が集まって協議、連絡の場所を設け、行政指導のあり方及び法改正と可否の検討を含めて検討すると言っていることについて、どうかと言って聞いている。
○吉岡説明員 私どもといたしましても、関係各省と協議の上にこういう会議を設けた上は、積極的に推進してまいりたいと思っております。
○横山委員 法務省の御意見を伺います。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘のように、質問主意書に対する答弁書に書かれておりますように、この問題については、ぜひとも各省庁間で連絡をとりながら法改正の要否等も含めて検討していかなければならぬと思っております。
 ただ、先ほど御指摘もありましたが、遺憾ながら、この法律をどこが中心になってやるかということが正直言ってなかなか決まらないのでございます。私どもの率直な感想としては、出資法の七条、八条あたりの規定を読みますと、届け出でありますとか報告聴取の権限をお持ちになっておるのが大蔵省でございますから、大蔵省あたりにひとつ音頭をとっていただけたらという気もしないでもありませんけれども、なかなかその点の協議がまとまらないという現状でございます。しかしながら、そういうことを申しておりましてはじんぜん日を過ごすだけでありますから、法務省といたしましても、罰則を相当伴います法律でございますので、いま申し上げましたような観点から、関係省庁に積極的に働きかけて何らかの場をつくることに貢献していきたいと思っております。
○横山委員 自治省に伺います。
 お伺いする前に一言自治省には言うておかなければなりませんが、現行法は自治大臣に何らの権限がたしかなかったと思うのであります。それにもかかわりませず、実際問題としては、地方自治体はこの貸金業に対して一番行政的に接触をしておるところなんであります。警察庁は後追いで、犯罪があったらあるいは防犯の立場でタッチをするわけでありますが、日常ふだん貸金業に一番指導能力なり行政影響を与えられるのは、実は地方自治体なんであります。その地方自治体が全国的にこの貸金業に関する庶民金融業協会と日常ふだん接触をしておることは御存じかと思うのであります。かなりの努力を地方自治体はしておることも御存じだと思うのであります。それにもかかわらず、自治省には法律的に関係がないという立場のようであり、行政的な本省からの地方自治体に対する適切なる指導というものが何らないような気がしてなりません。このことをも含んで御答弁をお願いしたいと思う。
○鹿児島説明員 お答えいたします。
 先生の御指摘のとおり、この事務につきましては、現在、主務大臣から地方公共団体、都道府県知事に対します機関委任事務という形で処理されておるわけでございます。したがいまして、この事務の処理につきましては、主務大臣の指揮監督に従ってという形になっておりますので、私ども自治省といたしましては、この事務の処理につきましては、主務大臣の御意向というものを尊重しながら、しかしながら地方公共団体がやっております事務でございますから、十分に関係各省とも協議していきたい、かように考えております。
○横山委員 その実態はわかりました。そこで、先ほども言ったように、答弁書に対する自治省としての見解を伺いたいと思います。
○鹿児島説明員 答弁書にもございますように、この事務の処理につきましては関係省庁と十分協議をするということでございます。自治省といたしましてもこれに参加をいたしまして協議をしてまいりたい、かように考えております。
○横山委員 大蔵省に伺います。
 大蔵省は、先ほどの法務省の御意見のように、これは一応とにもかくにも金融なんですから、常識的には大蔵省だということになる。ところが大蔵省は手足が地方の財務局でございます。財務局が届け出られただけでも十数万の貸金業に対する接触が困難であることは私もよく知っています。さればこそ機関委任ということにも現在はなっておるわけであります。しかしながら、現状のままでは、どなたもいま御意見をおっしゃったように、とても現行法では今日の貸金業に関する実態を改善するわけにはいかない、こういう観点はもう言うまでもないことであります。いま総理府を呼んでおりますけれども、総理府が仮に来たとて、総理府が総理府の部屋を貸しましょう、私が座長になりましょう、私が招集いたしましょうぐらいのことでありまして、総理府が実際問題として、それでは場を取りまとめて、そしてこうしなさい、ああしなさいと言うようなことにはならないのではないか。大蔵省はむしろ他省に気がねして、自分が号令をかけたとて自分がやるわけではない、自治省に御厄介になる、警察庁に御厄介になる、経済企画庁に御厄介になる、だから自分が言うてもこれは余りいばれない、そういう遠慮があるのではないか、私はそう考えられてならないのであります。しかし、どこかがこの取りまとめを実質的にやらなければならないとすれば、やはり私は常識的に、現行法が大蔵大臣の所管であり、機関委任しておるとするならば、当然大蔵省が責任を持って、各省に頭を下げてでも、ひとつこれは国会で答弁をしたことであるからと言ってあなた方の方が実際にやらなければいかぬのではないか、何をもたもたしている。その点について御意見を伺いたい。
○吉田説明員 お答えさせていただきます。
 その前に、先生が先ほど御引用になりました貸金業に関する質問主意書でございますが、これにはたとえば、「サラリーマン金融を中心として利用目的の多様化、利用層の拡大が著しい」ということを御指摘になった上で、「(1)利用層に誤解を与える過当広告 (2)筒金利を中心とする出資取締法違反 (3)暴力事犯等、一部悪質業者による問題があとをたたず、一方、一般市民の家庭悲劇を招く等、貸金業問題は重大な社会問題化しつつあり、これを放置すれば利用者の保護、犯罪の防止、モラル低下の防止等の社会秩序維持の見地から、ゆゆしき問題を生ずると断ぜざるを得ない。」こういう御質問の最初の問題の御提起であったかと存じますが、大蔵省といたしましては、先ほど法務省の方から御指摘のとおり、届け出実態調査につきましては大蔵大臣の責任と、こういうことになっておりますが、本件の問題は、こういう犯罪防止あるいは利用者の保護、先ほど先生が御指摘になりましたように、利用者の保護とか、庶民金融のあり方とか、犯罪の防止等、社会秩序維持のような見地で大変広範な複雑な問題を含んでおると思っております。単なる一金融だけの問題ではなくて、社会問題としても重要な問題であると考えておりますので、先生が御指摘のように、遠慮という気持ちもございますけれども、大変複雑広範で、各官庁の所管が多岐にわたっておると存じますので、その中でもちろん私どもの分野でございます金融については重要な責めの一半がございますので、その点に関する限りは積極的に議論に参加していきたいとは思っております。しかしながら、そういう連絡、協議の場につきましては、私どもとしましても、そういう意味から基本的に法改正の問題とか行政指導のあり方を検討することは大変よい御提案であるというふうに心から感じておりますけれども、その協議の場につきまして、先ほど申しましたような見地からどのように運用していけばよろしいかという点につきましては、各省と十分協議いたしまして、きわめて基本的重要な問題でございますので慎重にやらせていただきたい、かように考えているわけでございます。
○横山委員 そういうことを言うなら、三月にもう答弁書が出てから今日まで一回くらいは協議の場があってもしかるべきじゃありませんか。私が先ほど言ったように、各省が自分が責任を持たんならぬならいやだというような顔をしておる。いまでこそそれぞれ誠意のある御答弁をいただいておるのでありますけれども、実際問題として、この一カ月間何を一体しておったのだと私は言わざるを得ないのであります。理屈としては、法務大臣のおっしゃるように、各省にまたがることだから総理府が招集のまあ責任があるかもしれませんけれども、そんなことを言ったって、総理府が自分に直接関係ないものを、場を設け、コーヒーの一杯を出すくらいのことはやるけれども、責任を持って総理府が本件について処理されるとは私は思いません。ですから、せっかく各省顔をそろえていただいたのですから、私が各省の立場も考慮しながら話をしているのですから、ひとつもうこのところは大蔵省が腹を決めて、自分が最後までめんどうが見れない、警察庁にも、あるいはまた自治省にも、ほかの省にも御厄介になることだけれども、ひとつよろしくお願いするという立場であなたがどろをかぶらなければどうする。どこが一体どろをかぶるのですか。これはひとつ若干の時間をかしますから、今度質問をいたしますときには中間報告ができるように措置をしていただきたいと思います。総理府が来ましたら、総理府にも場所とコーヒーぐらいは頼むと言っておきますけれども、実質は大蔵省がやってもらわなければ困ると思います。各省の前ではっきりその態度を明示してください。
○吉田説明員 私ども、先ほど申し上げましたとおり、先生御提案の連絡、協議の場を設けることにつきましては大変意義があると存じております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、これをどういうふうに取り締まっていくか、あるいは高金利の処罰の問題については貸金業の関係では法務省の所管とかなんとかなっておりますので、私どもといたしましては、私どもの分野につきまして積極的に責任を持っていきたいと思いますが、果たして大蔵省で全般の問題を総括することが可能であるかどうかについてはいまだに自信を持ち得ない状況でございます。御指摘のとおり、遺憾ながら、せっかく先生に政府から連絡、協議の場を設けると申しながら、いろいろと調整その他がございまして発足を一度も見ていないということは大変申しわけない、かように存じておりますので、なるべく早くそういう場が開けることを期待しております。たとえば一案としましては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろと取り締まりの問題、あるいは高金利のあり方の問題、それから庶民金融のあり方の問題、あるいは利用者に対する過当広告の問題というものがございますので、そういう一つ一つにつきまして、その主管の省か幹事になるとか、そういうところにつきましてわれわれの方が取りまとめの一部を行うとか、いろいろのことがあるかと思いますが、先生のおっしゃいましたことを念頭に置きまして早急に各省と相談させていただきたい、かように存じております。
○横山委員 まだあんなことを言っている。大臣どう思いますか。大臣お聞きになっておったと思うのですが、これは各省にまたがる、そして各省がいいときにはなわ張りを取ろうとする、悪いときにはなるべくかつらをつけようとする。皆さんの前で私は大蔵省に懇々と言うて、まあとにかくやりなさいと言っておるのであります。こういう感じ、関係が、結局急速にやらなければならぬことを阻害しておるわけであります。大臣、閣僚の一人として、また法務省の関係もございますので、そこで向こうを向いてこうしろと大きな声を一遍出してくれませんか。
○福田(一)国務大臣 お話、十一日に答弁計を出しまして、いま一月余になっておるのですから、何らかの措置を政府としてもとるべきものであると私も思いますが、御案内のようになかなか各省予算のあれがありまして……(横山委員「銭は要らぬ、予算関係ない」と呼ぶ)いやいや、いろいろ国会その他に出ていて、事務をやるときにそれぞれ担当の人が集まると言っても、うちでもいまここに刑事局長が出ておりますが、こういう人はみんな忙しいのですよ。あなたのおっしゃる意味はわかるから何かせにゃいかぬ――何かせにゃいかぬというのは失礼だが、問題を処即しなければいかぬとは思いますけれども……(横山委員「情けない」と呼ぶ)いや、それは情けないとおっしゃるけれども、役所はそれぞれ勉強しておるのですよ、いろいろな問題で。しかし、率直な感じを言いますれば、あなたがおっしゃったように金利の問題ですから、これはやはり大蔵省が中心になってみんな呼び集めてやるというのが一番いいのじゃないかと私は思いますよ。それは何といったって貸金業といえば金を貸すのですからね。金融はおれの方だと言っているのだから大蔵省がやるべきじゃないかと思いますからね。恐らく大蔵省もそういう気持ちで各省に呼びかけてくれると私は思っておるのですけれども、御趣旨を体して今後善処するようにいたしたいと思います。
○横山委員 微妙な各省のニュアンスはお互いにわかっておることでありますから。しかし、そういうことで閣議を通って国会へ出した答弁書がいつまでもじんぜん日をむなしゅうしていることは言語道断でございます。私は事情がわかっているだけに、声は大きいけれどもニュアンスのある発言をしている。ひとつ私の気持を十分くんでくださって、お互いに協力をしてこの問題が一刻も早く結論がつけられるように期待してやみません。しかも、本件につきましては、去年の春予算委員会で大蔵大臣が、年内に結論をつけるとかたく約束したことなんです。議事録に残っていることなのであります。
 あわせてちょっとお伺いしますが、四月四日の日経を引用いたしますと、アメリカのアブコ、世界で一、二を争うような大手業者でございますけれども、これが日本へ進出をして消費者金融に一〇〇%外資で乗り出す。これについては大蔵省としても現行法によれば結局認めざるを得ない状況にあると伝えられております。もしそういうことになりますならば、先ほど私が言いました庶民金融業協会傘下に入っているまじめな業者はもとよりのこと、十数万の庶民金融に大きな波乱を与えることは必至だと私は思うのであります。波乱を与えることも一つの方法だと言えば言えます。しかし、そこで業者の倒産が起こるばかりではないのであります。それに関連してそこへ金を回しておる層の人たち、これは出資法の関係にも触れる場合があるわけでありますが、そういう者を含めて大きな問題をはらんでおることが容易にわかると思うのであります。大蔵省にこのアブコの申請がなされたか、そしてそれは認可されるのであるか、されたら私の心配はどういうふうに想定をしておみえになるか、伺いたいのであります。
○吉田説明員 御指摘のアブコでございますけれども、実は貸金業は御承知のとおり届け出をたてまえといたします自由営業になっておりますので、国内法制上は何ら規制することなく、届け出によって外国系あるいは国内系の差別なく設立が可能になっているわけでございます。実は所管が違いますのであるいは正確なお答えにならないかと思いますけれども、先生が認可とおっしゃっておりますのは、外資法上外国人がわが国の法令で設立する法人についての株式を取得することについての認可制をお指しになっているのかと思います。実は私がおります銀行局の所管ではございませんで、国際金融局の所管でございますので、正確ではないかと思いますが、その外資法上の認可につきましては、金融業については、資本自由化によって自由な業種ということでございますので、実質的には自動認可という形になろうかと思います。たとえば銀行業とか信用金庫とかいう国内法で免許制になっておりますものにつきましては、それぞれ外資法上自動認可になりましても国内法上の大蔵大臣の免許がなければ設立できないわけでございますけれども、貸金業は御承知のとおり届け出制になっておるわけでありまして、公安委員会の認可になっております同じ庶民金融の質屋営業法とか古物営業法とか、そういうものよりもはるかに自由な業種になっておりますので、ただいまは規制する手段がございません。
 なお、そのアブコの詳細につきましては、そういうようなことでございますので、私ども実は承知していないのが現状でございます。
○横山委員 別途、関係の大蔵省にまた近い将来にお伺いをいたしますけれども、このアブコの進出というものが先ほど言いましたように大変な影響をもたらすことを、ひとつ十分御認識を願いたいと思います。これは各省に申し上げたいところであります。されば、よけいに、この私が提起しております問題について早急な緊急性があると考えています。
 私が承知するところによりますと、庶民金融業協会は、今月の二十八日でございましたか、東京で不正金融撲滅大会を行うそうであります。庶民金融業協会の連合会がそれを行いますことは、まことに時宜に適しておると私は思っています。三面記事に載りますものは、家庭の悲劇だとか、社会問題化した自殺だとか、このサラ金に関連してそういう問題はかなり多いのでありますが、それのほとんど多くは、庶民金融業協会のアウトサイダーの人たち、一部の悪質な暴力あるいは超高利、そういうものによって引き起こされたものがかなり多いのであります。したがって、国民の中には現行法の精神も十分徹底はされておりません。そこで、業者がみずから、自主規制の立場からいって不正金融撲滅の全国大会を行い、すでに業界の内部で現行法の改正の意見を取りまとめて、私のところへも出ております。政令百六十号の改正案、あるいは貸金業の規制に関する法律案、ずいぶん時間がかかったと思うのでありますが、業界内部でこの現行法を改正すると同時に、その現状についてもみずからこれを改善をして、社会的な非難にこたえ、業者の社会的な地位を向上しようとする努力が生成されております。
 でありますから、この内外の機運に呼応いたしまして、業界から出てまいりましたこの改正案も、ある意味では自縄自縛の点もございます。自分たちをみずからいましめる、あるいは行政監督を強めてもらって結構だ、あるいはまた警察の処分をどんどん厳しくやってもらって結構だ、それでなければ自分たちが浮かばれない、自分たちのまじめな営業というものが十把一からげに見られては大変迷惑である、こういうような自発的な雰囲気が横溢しておるところでありますから、各省お集まりのそういう会合には、この業界の提案なりあるいは撲滅大会へ出ました意見を反映をして、十分な努力をしてもらいたい。また、できますならばあなた方もひとつその大会に出席して、警察庁なりあるいは大蔵省なり自治省なり経済企画庁の方針というものを明示してもらいたい。そういうことをお願いをしておきたいと思います。
 以上、きょうはほかの問題が中心でございますから、サラリーマン金融に関する質問は一応これで終わることにいたします。その関係でおいでくださった方にはお帰り願って結構であります。
 原理運動に入ります前に、緊急に一言法務大臣に別な問題でお伺いしたいと思います。
 御通告をしてなくて大変恐縮でございますが、それは金大中氏の問題であります。これはすでに参議院の予算委員会でも、総理大臣が、金大中事件の捜査継続、そして政治決着も場合によれば再検討も辞さない、こういう御答弁をなさっています。二月二十二日の参議院予算委員会であります。その後、三月二十二日に金大中氏らの上告が韓国大法院で棄却されました。そして、金大中氏は懲役五年が確定され、伝うるところによりますと、韓国の南の方の刑務所に移されたというのであります。事ここに至りますと、予算委員会で総理大臣が示唆をされましたことも、もはや国民は、もうこれで、かっこうのいいことだけを総理大臣がおっしゃるけれども、実際問題としては、私どもが日ごろ主張しております主権侵害の回復、金大中氏の基本的人権擁護という立場はもはやとるべき手段がないのではないか、日本政府はかっこうのいいことを言っているけれども、実際はもう何もできないのではないかという不安と焦燥感でいっぱいでございます。
 この金大中氏が懲役五年に確定され、刑務所に移された以後、今日の時点において、法務大臣は、この主権回復と基本的人権擁護について一体どうお考えでございますか、あなたのお考えを明らかにしてもらいたい。
○福田(一)国務大臣 予算委員会におきまして、総理がいま御発言があったような答弁をしておるところは、私も承知をいたしております。そのときに総理も申しておったのでありますが、この問題についてはっきり、日本の捜査当局が捜査をいたしておりますが、この捜査によって不法な行為が明らかになった場合にはこれは考えなければならない、こういうことを言うておるのでございまして、私たちとしてはその捜査の推移を非常な関心を持って見守っておる、こういうのがいまのわれわれの立場でございます。その捜査によって事態が明らかになってくれば、そこで総理が言うたようにもう一度考え直さなければならないであろう、こういう考え方をわれわれとしてはとっておるわけでございます。
○横山委員 大臣としては、捜査を自分でおやりになるのではないから、人ごとみたいにおっしゃるのもやむを得ないと思います。それでは一体、この金大中事件の捜査はいまも引き続き継続をされておるのか、いま現状どうなっておるのか、関係のところから伺います。
○伊藤(榮)政府委員 金大中氏の問題につきましては、ただいまもお尋ねにございましたとおり、現在警察が中心になって鋭意継続捜査をいたしております。検察当局におきましても、警察と密接に連絡、協力しながら、検察なりの活動をいたしておるわけでございまして、決して捜査を打ち切るとか、そういう考えは全くない状況でございます。
○横山委員 私が提起をいたしました、金大中氏が刑務所へ入れられまして、そして懲役五年の判決に服さざるを得ない、そういう状況に対しまして、日本国民の中から、もうこれで主権の侵害をされたことについてのなすべきところはなく、金大中氏に対する基本的人権を、当時の副総理でありました三木さんが閣議の中でがんばって、世間から非常に好評を博し、また当時の法務大臣でございます田中法務大臣が、本委員会において断固として捜査を継続をする、どんなことがあろうとも捜査を継続すると言われておりましたことが、いま捜査をやっております、これからもやりますということだけでは心もとない気がしてならないのであります。本当に心もとない気がしてならないのであります。
 私は、あれだけ証拠が明白で、指紋もあって、そしてあれだけ国民の中で、白昼堂々、日本の大江戸八百八町の大きなホテルの中から連れ去られていって、そしてそれが何らの十分な解決もないということについて、むしろ国民は政府を疑っている。政府の姿勢について、国民は金大中事件については疑っておるということについて、法務大臣は国民の皆さんに向かってどういうふうにお答えなさるつもりですか。私に答えずに、国民の疑惑なり不信なりというものについて、もうこれ以上処置のしようがありませんならありませんと言ったらどうですか。あるいは、待ってください、必ずこの問題については人権擁護と主権侵害については処置をします、御確信があるなら、おっしゃったらどうです。
○福田(一)国務大臣 先ほど申し上げましたように、捜査をいま継続いたしておるのでございまして、捜査の結果いかんによって、われわれは重大な決意をいたさなければならないと思っております。
○横山委員 その答弁が国民が満足するかどうか、これは大臣自身がいまおっしゃっても、腹の中でお考えだろうと思いますから、私はきょうはこれで、緊急でございますから、本題の原理運動について質問を始めることにいたします。
 この前、大臣が御出席の際に、台湾で原理運動が禁止されたことを簡単に言いました。台湾は、皆さん御存じのように、とにかく反共の国であります。反共のためにあらゆる努力をしておる国であります。そこで、なぜ台湾政府が統一協会の布教活動を一切禁止するとともに迅速に取り締まることになるのか。台湾の官報「中央日報」、さらに民間最大の新聞「聯合報」は、社会面トップでニュースを報道いたしました。そして、この週刊誌でございますけれども、この週刊誌が現地へ取材記者を派遣をして調査をいたしましたところによりますと、公安関係を担当する次官クラスの大物で、政府首脳に近い人物とのインタビューでございますけれども、こういうことをその人は言っているのであります。
 ――統一協会はどんな布教をしたのですか。
 「彼らはまず、台湾大学の中に『原理研究社』というサークルを作ったのです。責任者は張という工学部の助教授でした。その『原理研究社』の設立目的は哲学を研究するというもので、大学も、これを認めたのです。ところが、哲学を研究するというのは、実は統一協会の布教をすることだったのです」
  S氏の説明によると、
S氏というのは次官クラスの方でありますが、
 『原理研究社』に入った学生たちは、次々と休学を申請し、台北市内の一室で泊り込み始めた。
  「台湾大学だけで男女八人が、休学届を出し、このほか、無断で長期欠席する者が続出したのです。中には、父兄の名を使って休学届を出す学生もいて、父兄の間で大騒ぎになったのです。同じような騒ぎが東呉大学でも起き、教育部(文部省)と治安当局が調査を始めたのです」
そして、その調査の中には、男女が雑居し何をしているかという報道になり、台湾大学の一女学生が妊娠した話まで紹介され、そして、
 文部大臣・ショウ彦士が各大学に『原理研』への参加禁止を呼びかけた通達も紹介している。
  台湾大学には百七十余りの「社団」(サークル)があるが、「原理研」は、同大が創立以来初めて解散を命じられた「社団」である。
  台湾では、まず教育部一文部省一が大学内での布教活動を禁止し、台大でも「原理研」の解散を命じたのだ。
  台大の訓導長の愈寛賜は、「学生は人民と同じように信仰の自由がある。が、学生が勉強に専心するために大学内での宗教活動は禁止している。『原理研』はこの条項を破り、解散を命じた」…
  二月十八日の禁止措置は、文部省の禁止通達で大学内の活動を禁止したものを、一般市民まで“拡大”したものである。
  禁止の根拠は民法三十六条によるもので「法人の目的、行為が法律に違反し、あるいは公共の秩序、善良の風俗を乱す場合は解散を宣告できる」という条文を適用したものだ。
また、
 取材班は統一協会が持つ“反共”の側面をもカットした点に触れてみた。
 「台湾にはアジア反共連盟という独自の強固な反共組織があります。勝共連合とは何の関係もなく、また力を借りる必要もありません」とS氏はアッサリ言う。
  S氏の話では中華民国国民党の元老的存在である谷正綱氏が一時、勝共連合と親しかったが、統一協会と同根の組織だ、と知り、現在では“接触”していない、という。
 「谷先生も統一教会と勝共連合が同じものと知ってたらつき合わなかったでしょう。だから今回の禁止措置に反対する者は台湾には、だれもいません。勝共連合は日本で、台湾と親しいようにPRしているようですが、我々は問題にしていません」……
  S氏はこのインタビューの中で幾度も、「台湾が決して信仰の自由を禁止したのではありません。統一協会は宗教とは認められないのです。宗教なら人々を“善”に導かねばならない。中華民国固有の道徳に反し、父母を泣かせて何が宗教ですか。仮に宗教だというのなら、“邪教”です」
こう言って、台湾ではこの原理運動は禁止をされておるわけであります。
 私が台湾を紹介いたしましたのは、この間文部省に来ていただいて、そして教育関係におきます原理運動の問題を提起いたしましたところ、私は所管外ですと言うので、私が幾つかの問題、事例を出して、今度ははっきり御答弁ができる責任者に来てもらいたいと言うたのであります。
 私が提起いたしましたのは、まず第一に愛知県の一宮でございますが、この一宮の西高校におきまして、教師が教壇でその立場を利用いたしまして、生徒を自分の家へ呼び、原理運動を勉強させ、そこから修錬会へ誘い込んでいったという事実、同じく豊橋市の桜丘高校におきましては、五十年でございますが、二人の教師がやはり教壇を利用いたしまして、生徒を原理運動に誘導をしていった、このことを提起をいたしました。また、筑波大学の副学長は入信者だそうであります。五党の政治討論会は絶対に許さない。しかしながら、原理運動のパンフレットやそういうものは配布してもよろしい。そして、自分もまた投稿をする、そういうことをしておるわけであります。東京の――東京ばかりではありません、各地で市民大学というものがあるわけであります。社会教育の部面でございますが、地方自治体がよく市民大学というものをやります。ところが、この統一協会が関係いたします市民大学というものは決して地方自治体と関係はないのでありますけれども、そこで市民大学の名前を引用いたしまして来た人に対して原理運動をやる。また一方、世界平和教授アカデミーというものがございます。これは日本と韓国の学者の交流でございますが、この中にもいろいろな角度で原理運動が底流にあるということを私は感ぜざるを得ません。また、国際指導者セミナーというものか東大を中心にして――問題になったのは東大でございますが、東大を中心として、ただでアメリカに学生諸君を派遣する、アメリカでは原理運動の勉強をもっぱら中心に行っている、こういう状況であります。
 そこで、私はこの間委員長にも御質問をして大変失礼な話をしたわけでありますが、希望の日晩さん会、一九七四年の五月七日、この出席者名簿をもう一遍よく見ましたら、驚くなかれ、東京の小学校、中学校、高校の校長先生が実にたくさん出席をしておるわけであります。高崎幼稚園長、滝野川双葉幼稚園長、桃園第二小学校長、大明小学校長、尾山台小学校長、神応小学校長、泰明小学校教務主任、桧原小学校長、桃丘小学校長、泰明小学校教頭、元西神田小学校長、四ツ木小学校長’文京区第四中学校長、永田町小学校長、元町小学校長、芝小学校長、梅ケ丘中学校長、船橋中学校長、武蔵野第一中学校長、文林中学校長、中野区第一中学校長、吾嬬第三中学校長、亀有中学校長、文京区第二中学校長、元第一中学校長、瑞穂中学校長、平川中学校長、立石中学校長、町田第二中学校長、日野第二中学校長、弦巻中学校長、都立芸術高校長、学芸大附属高校、桜丘学園理事長、高校教諭、元中野区教育長――どうせ読んだから最後まで読みましょう。清泉女子大講師、国際商科大教授、女子美術短大講師、桜美林短大教授、元小学校長、元中学校長、元中学校長、元中学校長。
 このときにこの校長、教育界の皆さんが出席をして、そして文鮮明のその日の「みことば」というのだそうでありますが、「みことば」の全文を私はここに入手をいたしました。大臣、これを見てください。この人が文鮮明で、この人は大蔵大臣であった福田さんであります。まあようもこうもみっともないかっこうをして抱き合っているなあという感じがするわけであります。私は、繰り返し言いますけれども、宗教をどうのこうのというのがここまで出ておるけれども、この場では余り言わないつもりではありますが、しかし、この「みことば」を読んでみまして、こういう「みことば」を、たくさんの教育界の人が行って万雷の拍手をして、そして総理大臣がそれに対して、自分の政治原理が整理されたような気がするとか、偉大なる指導者が出たとか、そういうことを言うて、一体どういう影響があるだろうかとつくづく痛感をいたします。
 この「みことば」の中で法務大臣に一番関係のあることを言いましょうか。
  だから、全て正しい立場にあって国民の先頭に立って、或いは自分が誤まった場合には、それを悔い改め、国民の国家の危機におきまして、これは勇気をもって乗り越えなければ、これはアメリカ救われません。そういうような事を言う人が、一人もいなかったらしいんですね。こういうふうに、アメリカの一番むずかしい所を我々が責任もつ。これのためには人がいない。人数がいない。人数がない。アメリカはもう統一教会のメンバーがもう何千人もいない。そのメンバーでこれはもうアメリカを動かすことができない。それで各国から十一カ国から若い青年達を千名近く緊急それで動員したんであります。それが今になって非常に問題になってきておる。これはもう今から宣伝になってイミグレーションで問題になってきておる。統一教会にやっているのはすばらしい。その青年は日本ばかりでなくアメリカで頼しい。しかし、法的な目から見た場合には、これは旅行ビザでも違うビザをもって来てそれは献金活動とか商売とかそれはできないようになっておる。しかし、これは法的にひっかかっても、アメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法にはひっかからない。
これは何を言っているかわかりますか。大臣、何を言っているかおわかりでしょうね。要するに、観光ビザで千人も千五百人もアメリカに若い諸君を送り込んで、観光ビザでは布教をしたりあるいは長期滞在することはできない。文鮮明は、それができないようになっている。けれども、「法的にひっかかっても、アメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法にはひっかからない。」と言っているんであります。明らかに旅券法や入国管理法違反のことを文鮮明は、千六百名の、現在の総理大臣のおる前で言って、それで万雷の拍手を浴びているじゃありませんか。この一事をもっていたしますように、原理ということが正しければその手段は選ばない。その手段が違法であろうと不当であろうと神様がお許しになると言っているんであります。この旅券法、入国管理法に関して法務大臣はどうお考えになりますか。
○福田(一)国務大臣 私はいまのお話を承っておって、もしそういうことであればわれわれとしては認めるわけにはまいりません。
○横山委員 そこで、アメリカは一九七六年、去年の九月六日、外国人信者七百人を追放したんであります。
  米移民当局はこのほど米国に滞在している原理運動「統一教会」の外国人信者七百人に対し、国外追放の手続きに必要な措置を直ちにとるよう関係機関に指示した。これら外国人の大半は韓国人および日本人で、さきに連邦判事がこれらの信者に「宣教師見習」としての資格を認めないとの裁定を下したことに基づくもの。
  当地の「統一教会」指導者サローネン氏によると、これら外国人信者はすでに韓国および日本に帰国の準備を進めており、「彼らの滞在目的は、来る十八日ワシントンでの最後の集会に出席することだ」という。ただ、移民当局は外国人信者を直ちに拘束する措置はとらず、通常の不法滞在者に対すると同じ手続きをとるという。
 私の手元にもたくさんのところからの手紙が来ています。サンフランシスコから名古屋の山田さんに手紙が来た、あるいはこちらから電話をかけた。山田さんの娘さんはこれにひっかかって、日本の総領事館でどうするこうすると言って、おやじさんに措置を求めてきた、こういうことであります。
 あらゆる資料を総合してみましても、全部観光ビザでアメリカへ、あるいはまた、私の手元にこの資料がございます、ちょっと遠くで見えぬかもしれませんけれども、各国へ全部行っているわけです。全部観光ビザであります。ここに書いてあります国々は、少なくとも九十カ所以上にわたっています。それが全部観光ビザで行って、そして地下へもぐって、食うや食わずで布教をし物売りをして、そして献金をしておる。これは私は、措置の方法はないとは言えないと思うのであります。統一協会がいたしますこの旅行は、統一協会系の旅行社がございます。そこが一手に申請をしているわけです。出入国管理令に違反し、旅券法に違反しておることは、もはやだれしも認めざるを得ないことであります。私は資料を持っておりますが、提出いたしましたら、大臣は調査を指示しでいただけますか。
○福田(一)国務大臣 観光ビザで国外に出ていくということは、われわれとしては認めておるわけでございますから、観光ビザで海外へ行ったからという、それだけの理由で問題を調査するとか、そういうことは、いまここではちょっとお約束いたしかねます。
○横山委員 あなたは、本当に私の気持ちをくんで物を言っているんでしょうか。観光ビザで行くことについて取り締まりの方法はない、それはわかりますよ。けれども、あらゆる事例が、観光ビザで行って、そのまま居座ってしまっておるという事実をどうお考えでしょうか。それは何か、やる気があったら、方法がないとは私は言わせないのであります。同じ旅行社が扱って、そこから経由する者は、全部観光ビザで行って、向こうに居座っておる。その窓口から扱ったものを調査をすれば、全部そういうことが明らかになっていくんですよ。やる気がないんですか。刑事局長、どうお考えになります。
○伊藤(榮)政府委員 せっかくのお尋ねでございますけれども、私の所管では全くございませんので、ちょっとお答えする能力がありません。
○横山委員 私は、この種の問題は、要するに政府がやる気があって調査するか否かにかかっている、調査の端緒は幾つもある、そう思っておるわけであります。警察庁は御意見ございませんか。
○佐々説明員 本件に関しまして、私、刑事局でございますが、私どもの所管は警備局外事課でございますので、私からはちょっと答弁を差し控えさせていただきます。
○横山委員 五十一年一月二十六日、アメリカ領事館と名古屋市中村区大宮町三丁目六十一番地山田健一さん、お父さんであります。本人は山田康子。
  昭和四十九年十一月十三日、日航ジャルパックにて渡米(両親知らず)
  十一月二十四日、日航ニューヨーク支店より連絡により当方に電話あり驚きました。
  それによると「お宅の娘さんが一週間の観光旅行にてニューヨークにて日本に帰るのに搭乗拒否されて困って居ります。娘さんがアメリカに止どまり福祉活動に盡くしたいと申され、どうしたらよいでしょうか」との話。以前統一協会に入信していましたから、又その関係で働くことですから日本へ戻る様にと御願い致しました。渡米してより一ケ月過ぎ日航ニューヨーク支店長が再度帰国する様に説得いたされたが聞き入れず「福祉協会の保証人を立て手続をして働きます」と打切り。現在子供からの便りによると人蔘茶売りに活動して居ります。この様にして統一協会傘下で働く事が出来るのでしょうか
  統一協会側は「当方に関係なく責任はありません」との話
  誰れの保護も無く奉仕活動に統一協会の為に布教に物品の販売に働かされ、事故のあった場合又生命の安全は誰が保障し責任を取るのでしょうか。
  五十一年一月二十六日午前十時 アメリカ領事 別紙の件に付き通訳を通し話を聞きました。領事は、
  この原理運動の有ることはよく知っています。又非常にこの問題に対し困っています。山田康子さんの件に付いて調べてみましたが、第一回に四十九年九月二十三日神戸にて渡航申請され却下されており、第二回に日本航空より申請にて一週間の観光ビザにて許可されております。
  アメリカの法律により、それ以上の滞在は許可されておりません。違反しております。
  アメリカ国内に於て観光の目的で渡航して物品の強要販売、金集めに活動する事は禁じられ、これも違反しております。
  たとえアメリカの福祉団体が保証人となり滞在しても、その申請に於て資格がないと思ひます。又、布教活動と認め得ない。違反しております。
  国外退去を一週間の期限を以て通達致します。期限内に国外に出ない場合は強制送還の処置をとります、との見解でした。
  今後の処置に付いては、二階二〇八号室移民局の處へと言われて……局長と一時間に渡り詳細に話し、又聞く事が出来ました。
云々であります。
 これは山田さんの例であります。しかし、統一教会の信者、九十カ国以上に行っております者は、山田さんの例と、全部が全部と言っていいほど同様なことなんであります。私は、これは法務省、法務大臣が、このような事実について、観光ビザで行った者をどうしようもないということだけで、それで済ましていいものかどうか、本当に疑問に感じます。どうしても大臣が、日本の法律上問題がないと言い切れるなら、言い切ってください。後刻またこの件については、日を改めて質問いたします。このような事実が法律に違反をしていない、観光ビザで行ったんだから仕方がない、そうしてそれが常習によって世界各国に行われておるという事実を、大臣はどうお考えになりますか。どうですか、先ほどの答えと変わりはありませんか。
○福田(一)国務大臣 観光ビザで外へ出ることを禁止しておるわけではございませんから、観光ビザで行くという申請があったときに、これを拒否するというわけには私はいかないと思います。
 ただ、向こうへ行って、そういうことがいろいろあったということであれば、向こうでの問題として、たとえばアメリカから日本に対して正式に抗議が来たとか、あるいはよその国からそういうことが起きて非常に迷惑しているという抗議が正式にあれば、またその場合は考えなければならないでしょう。しかし、日本人として海外へ旅行するという権利を持っておるんですから、観光で旅行するという権利はあるんですから、それをいまのような例があるからといって、禁止するというわけには私はいかないと思います。
○横山委員 大変失望いたします。これは統一協会なり統一協会の観光者に、明らかに旅券法並びに出入国管理令違反を幇助しているんですよ。行くときはなるほどそうだ。けれども、大臣、考えてみてくださいよ。旅券を申請するときに、過去のいろいろないきさつ、あるいは違反の疑いのある事実、そういうときに出入国を簡単に許可しますか、旅券を簡単に許可しますか。
 この報道は、五十一年の八月二十五日であります。日本青年がアメリカで変死。ニューヨークでありますが、統一教会の二十二階から転落をした。「小形さんは、先に殺された日本人青年と同様に、さる七月の米建国記念日に行われた統一教会のニューヨーク大会に出席するため当地を訪れていた、とみられている。しかし、入国ビザが日本人青年に多い観光ビザであったことから、小形さんの行動状況は全くわかっていない。また、死亡の原因についても統一教会の秘密的な活動状況から、すんなりと「自殺」と受け取れないとする見方もある。」こう言っておるわけであります。
 私は一般論を言っているわけではありません。統一教会の外国へ行く青年が、全部が全部観光ビザで行って、そしてそのまま居座ってしまう。山田さんの例のように居座ってしまう。それが常識になっている。そういう者に、いやこれからでも観光ビザで行くならしようがないと言うことだけで済まして一体いいものなのか。明らかにその団体は旅券法違反を帯助し、それを承知の上でやっているのではないか。それらの関係の旅行者はそのことを承知の上でやっているのではないか。そういうことをどうお考えなのか。そういうことをひとつ前向きに考えてもらいたいと言っておるわけであります。それでも大臣のお考えがお変わりにならないならば、もう私は、この問題については別な角度でやらざるを得ないのでありますが、本当に大臣、先ほどの御答弁と変わりありませんか。私は大変失望しております。
○福田(一)国務大臣 いまわれわれの扱っておる法律といいますか、取り扱いのやり方から言えば、観光ビザを出して渡航したいというのをとめることは困難だと思います。
○横山委員 そういうことを言っているわけではないのですけれども……。
 観光ビザで行くのだけれども、ある種の人たちは観光ビザで行って、そうしてそれが居座ることがわかり切っておると言っているのです。幾らも資料があり、幾らも経験がある。そういう者に対して、外務省やあるいは出入国管理局としては、観光ビザだから全部何でもいい、それが違反になり違法になることがはっきりわかっているのに、仕方がないということで済ませるものかと言っているのです。これがほかの問題だったら決してそんなことはおっしゃらないと思うのです。まあ、押し問答をやっておっても恐縮でありますから――私は、大臣か本件に対する担当者であるだけに大変失望いたします。情けないと思います、率直に言うと。
 せっかく文部省が来ておみえになるのですから、先ほど私がお話をいたしました数々について文部省から、抽象的にお答えを願っても何でございますから、桜丘高校、一宮高校はお調べになったかどうか、まずそれからお伺いいたします。
○奥田説明員 先生から御指摘いただきました点につきまして、県の当局に聞きただしまして調べた事項を御報告いたしたいと思います。
 最初は県立の一宮西高等学校でございますが、小邑明彦という先生、これは四十九年の四月一日にその高等学校に就任いたしております。初めのうちはどういうことをやっておったか十分わからないわけでございますが、文化祭等で原理運動らしい内容の講演をしたということがあるようでございます。したがいまして、昭和五十年になりまして、地域の父兄等から校長先生に対して意見が出ましたので、校長としましては、五十年の三月にその教諭に注意をしております。そしてその教諭は下宿先が一宮市の萩原町でございますが、そこでもそういうことをやっておったようでございますけれども、五十年の七月にはその下宿を引き払って引っ越しております。それから一年たちまして五十一年の八月に自己の都合によって退職をする依願退職、こういうことになっておるわけでございます。
 それからもう一件の私立の桜丘高等学校の教師の件でございますが、これは桜丘高等学校の三名の教師が、課外活動としまして社会福祉同好会というものを組織しておったわけでございます。この社会福祉同好会と申しますのは、昭和四十九年の四月に発足しておりますが、当時の会員は七名でございます。昭和四十九年の二学期のころにその同好会で統一教会の布教活動を行っているということがわかりました。そこで学校当局といたしましては、この三名の教師、名前は一人は小倉でございますが、小倉に対しましては戒告及び出勤停止三週間、それからもう一人の長谷川という教師に対しましては戒告及び減俸一カ月の処分をそれぞれ五十年の三月二十五日付で行っております。この処分の理由といたしましては、学校の教育方針を逸脱して特定宗派に偏向した教育を行ったことは教育の中立に反しかつ生徒の思想信条の自由を侵すもので就業規則に反するものであるというような理由で処分をしたわけでございます。そうして、その後その三名の教師は、五十一年の七月三十一日に小倉、それから八月三十一日に長谷川、それからさらに五十二年の三月三十一日には斉藤、それぞれが自発的にその学校を退職しております。もちろんこの社会福祉同好会というものも昭和四十九年の末には解散しておる。こういうことでございます。
○横山委員 この間も申し上げたのですが、私は、たとえば学校でも、宗教のキリスト教大学なりあるいはまた仏教の大学、神道の大学がある、この学校が宗教を教えるということについて何ら異論を差しはさむものではない。しかし、学校の方針に反して、特定の宗教を教師の立場を利用して教壇で誘って自分の家へ呼ぶ。そして原理運動を勉強させる。それから修練会に出席させる。そして次には長期の修練会に出席させる。その子供が、台湾でも例がありますように、私のところへ百通余りの父母の手紙が来ておるわけですが、ほとんどが学業を放てきしている、放てきするようになっている、サボるようになる、うそをつくようになる、そういう事例が多いわけであります。しかのみならず、これは単に二つの学校を例にとったわけでありますが、上は先ほど引用いたしました筑波大学から、下はこの出席者名簿で明らかにいたしましたように、東京周辺の小学校長、中学校長、高校長に至りますまで出席をしておるわけであります。そのことについて文部省としての限界はございます。これは認めるにやぶさかではありません。しかしながら、いまや駸々乎として、市民大学を含んでこの原理運動がそういう方向で教育の世界の中に浸透しつつあるということについて、文部省はどうお考えになりますか。
○奥田説明員 学校教育といたしましては、将来、国家、社会の形成者として必要な有為な人格者、しかもその人格者は全人格的な教養を積んだ子供たちを教育する、これを趣旨としておりますことは先生御承知のところだと思います。その趣旨に従いまして、国はその目標を達成するために、文部省としてもいろいろと学校教育の実践についての指導、助言に当たっておるわけでございます。特に教育の内容、私どもは教育課程と呼んでおりますが、それにつきましては、言うならば国家基準という形で教育課程の基準というものを作成しておりまして、それに従って各学校においては適切な教育を実施するということで指導、助言をいたしてきておるわけでございます。その際に、各学校において、いま申しましたような全人格的に偏りのない考え方を持つとか、あるいはまた調和のとれた豊かな人間性を育成するということをねらいといたしておりますので、学校の教育実践におきましても、現実に検定を経ました教科書等を使いまして実施しておる段階でございます。したがいまして、教師がいろいろな形で具体的に教育活動、指導活動をするに当たりましても、常に文部省の方では適切な指導資料ないしは手引書等も発行いたしまして指導、助言をいたしております。たとえば常に客観的なあるいはかつ公正な指導資料に基づいて、教師の個人的な主義主張を避けて公正な態度で指導するように留意すること、こういうことは明確に物にも書いておりますし、またいろいろな機会に指導しておるわけでございます。もちろん子供たち、生徒の段階におきましても、それぞれ小学校、中学校、高等学校、大学と段階があるわけでございますが、特に小中の段階のごとき子供たちは末成熟な子供たちであるので、そういうことも十分に配慮することとか、あるいはまた学校や家庭での学習がおろそかになるようなことのないよう、一部の特定の事柄に没頭して勉学への意欲を失ってしまうようなおそれがあるようなことはいけない、こういうようなことも明示して指導いたしております。
 それから、さらにまた、一部の生徒がみずからの主義主張を実現するために、他の生徒の授業を妨害したり、あるいは学園の秩序を破壊するようなことを行ったりすることは、たとえどんな理由があっても、これは許されないことである、こういうようなことも、いわゆる私どもは生徒指導と呼んでおりますが、生徒指導の一つの大きな留意事項として指導に当たっておるわけでございます。もちろん、学校の教師は国語とか数学の教科の指導だけに当たっておるのではございませんので、そういう子供たちの生徒指導に日常関係し、また担任の専門の生徒指導主事というようなものも置くことにしておりますが、さらに学校だけの問題としないで家庭との連絡を密接にしなさい、そうして保護者の理解と協力を求めて適切な学校教育を運営するように、こういうことも指導しておる次第でございます。
○横山委員 一般論として承っているわけではありません。もしあなたが必要であるならば、私の、父母からの手紙、入信者の学業放棄あるいは学校をサボる、そういう事実を全部あなたに提供してもいいんです。現実問題として、入信をいたしました若い学生はほとんど全部が学業放棄あるいは授業をサボる、こういう状況なんです。それから桜丘や一宮のように、教師が入信した場合には必ず生徒を勧誘しているのです。それと、私が先ほど例を申しましたように、この希望の日フェスティバル、文鮮明を偉大な指導者と言った総理大臣、その席にたくさんの小学校、中学校、高校の校長が出席をして拍手をしているわけです。その出席者名簿がまた、先生がたくさんたくさん出席しているんだからというて子供たちに精神的な影響を与えていることもまた事実です。それがさらに学業放棄になり、授業をサボる方向に走っている。影響を与えていることも事実です。したがって、私の端的な質問は、この原理運動と教育という問題について一遍お考えを願ったらどうか、原理運動に学校の先生がいろいろな会合に出席をするのをやめさせたらどうか、原理運動を信ずるか信じないかということは別としても、教師の立場で子供に影響を与えるような行動を慎まさしたらどうか、こういうことなんです。端的にお答えください。
○奥田説明員 学校教育、教育の中立性を守ることを原則として私ども姿勢を正していっておるわけでございまして、いま御指摘のような問題点につきましては、なお一層実態等につきまして十分に了知したいと考えております。
○横山委員 なお一層とおっしゃるけれども、くどく言っておきますよ。先生が与える影響というのは子供には大きいのです。先生がこういうところへたくさん出席して、旅券法違反をしてもいいという文鮮明の演説にみんなが拍手をして、法務大臣までがはっきり答弁をしないようなばかげたことがどこにあるかと私は怒りたいのであります。しかしそれは別としても、少なくとも学校の先生の立場を利用して原理運動に生徒を誘導するというようなこと、先生が原理運動の会合に出席することによって生徒に影響を与えること、そういうことについては、この際差し控えるような行政の指導をしてもらいたい。先生が仮に、自分たちも信抑の自由だというなら、それは別でしょう。別でしょうけれども、その行動が子供に影響を与えるようなことは絶対慎んでもらわなければ困る。それからいま私が分析いたしましたように、上は大学から下は小学校、そして市民大学、町の社会教育に至りますまで、原理運動の影響が駸々乎としていま進みつつある。そのことについて、原理運動の是非論は別といたしましても、文部省としては看過すべからざる問題がひそんでおる。あなたはきょうここへ初めて御出席になりましたが、私はこれで三回目でございますけれども、その間に子供は殺された、あるいは自殺をした、あるいは気違いになった、あるいは先ほど例に出しましたように、違法な海外渡航をした、そして街頭募金をした。その街頭募金も、届け出もしない。北方領土だ、やれ救らいだ、やれ心身障害者だと言って勝手にやって、集めた金をそこへ持っていかない。お父様文鮮明に献金するんだと言ってみんな献金する。そして自分たちはパンの耳と三百円を渡されてそして駆け回っておる。そのことの是非論をいまここで言うわけではありませんが、あなたも教育の行政を担当する者として、文部省が原理運動のあり方についてもう少し、教育の中へ浸透しつつある原理運動の違法、不当、人権じゅうりん、学業放棄というような問題について、この際文部省としてもセクションを設けて検討して、そしてしかるべき処置をしてもらいたい。文部大臣にもよく話して、してもらいたい、こういうことをお願いしておるのですが、いかがですか。
○奥田説明員 法令に従って適切に学校教育が運営されるように、文部省も一層努力したいと思っております。
○横山委員 まだたくさんの問題があるのでありますが、時間が参りましたので次回に譲りまして、きょうは終わります。
○上村委員長 次に、日野市朗君。
○日野委員 私は、まず大臣に最初に伺っておきたいと思います。
 いわゆる三里塚空港ですね、成田空港のことですが、大臣は、この成田空港の滑走路の延長線上に鉄塔が存在している、それが成田空港の開港に非常に大きな障害になる、そしてその鉄塔に備えつけられて建物――これは建物か、建物状のものというか、後でまたこれは局長の方といろいろやりとりがあると思いますが、それが存在して、その建物状のものの表示登記の申請がなされ、それが却下せられたという事実を御承知でしょうか。
○香川政府委員 まことに事務的な問題でございますので、私からお答えいたしますが、却下したことは事実でございます。
○日野委員 そのような措置がなされたということについて、大臣、御存じですか。
○福田(一)国務大臣 正確には聞いておりません、私は。報告は受けておりません。
○日野委員 どうでしょう、これを却下する決定につきまして、政治的な配慮がなされたというようなことはございませんか。
○福田(一)国務大臣 そのようなことは私はあると思いません。
○日野委員 そうすると、この却下決定の責任者、これはもう最終的には大臣ということになりますけれども、具体的にこの決定に参画をしたというのは大臣からさらに下のレベルであるというふうに了解してよろしいでしょうか。
○福田(一)国務大臣 そのように御了解していただいて結構です。
○日野委員 大臣は大体ここまでで……。
 一応確認をしておきますが、その却下の決定は千葉法務局多古出張所登記官神沢明によって昭和五十二年二月二十五日、日記第十三号によってなされた。間違いございませんね。
○香川政府委員 そのとおりであります。
○日野委員 まことに恐れ入りますが、その決定の却下に至った理由、これを一応この場で表明していただきましょうか。
○香川政府委員 却下理由でございますね。
 多古出張所長の却下決定の写しを持参いたしておりますが、簡略に申しますと、問題の登記申請事件は不動産登記法第四十九条第二号の規定により却下する。その理由は、当該申請に係る建造物は仮設物であって、建物としての用途に供し得るものとして取引の客体とはなり得ないという判断のもとに却下した。こういうことでございます。
○日野委員 ちょっと読み上げてみますが、「本件申請物件は、一応風雨をしのぎ得る状態にあるが、高さ約六十二メートルを有する鉄塔の地上約十三メートルの部分に設置された面積九・一四平方メートル、天井の高さ一・九メートルの極く小規模の箱状工作物であって、当該鉄塔を利用して設けられた簡易な階段によらなければ出入ができない状況にあり、かつ、上記鉄塔が新東京国際空港の開港反対のために滑走路予定地の延長上に航空機の進入を妨害するかたちで存在するなど、その位置、構造、四辺の状況等からすれば、もっぱら開港反対行動のために利用するものとして鉄塔に付置された仮設物というほかなく、建物としての用途に供し得るものとして、取引の客体となり得るものとは認められない。したがって、これを登記することはできないものというべきである。」全部これに間違いございませんね。
○香川政府委員 決定部分はそのとおりでございます。
○日野委員 これは、却下決定は登記官神沢明の名によってなされてはおりますけれども、この決定に至る経過においては民事局長もこれにおかかわりになったというふうに伺っておりますが、間違いございませんか。
○香川政府委員 経緯を簡単に御説明申し上げますと、この申請を受理いたしました登記官が実地調査をいたしまして、二回にわたって調査しているようでございますが、建物として登記することについて疑義があるということで、直接の監督者である千葉地方法務局長に意見を求めておるわけであります。これは、もちろん登記官は独立して登記の受否を決するわけでございますが、その登記官において判断に疑義があるときには監督地方法務局長に照会してその意見を求める、それを参考にして最終的には登記官が判断するわけでございますが、さような趣旨で千葉地方法務局長に照会いたしました。
 千葉地方法務局長から法務省民事局の担当課であります第三課の課長に、千葉地方法務局としても決しかねるので照会が参っておりまして、それに対しまして、民事局の三課長名で千葉地方法務局長に対しまして、実地調査の結果等から判断すれば建物とは認定できないものと考えるという回答が出されておるわけでありまして、さような三課長から回答する段階におきまして相談がありまして、そういう判断でよかろうというふうに答えた次第でございます。
○日野委員 この当該申請手続について、これはどうなんでしょう、現地の登記官から局長に照会をしたということでございますが、その照会は文書によってなされましたか。
○香川政府委員 文書によってなされておりますが、照会の日時は昨年の暮れのようでございます。そして、先ほど申しました千葉地方法務局長から民事局三課長に対する照会も文書で年が明けてからなされておるようでございます。
○日野委員 そうしますと、この疑義について照会がなされた。それで、この却下決定の却下の理由に相当する文章ですが、この起案者はだれでありましょうか。
○香川政府委員 もちろん多古出張所の所長でございます。
○日野委員 法務省あたりへの照会というのは、かなり上の方の意見を尊重した決定ももちろんあって書くわけでありましょうが、三課長の方に照会があって、そして局長の方にも相談があった、こういうことでありますが、この却下決定の理由の文章中に、一応の問題点がずっとあろうかと思います。これについては、民事局長の方から三課長の方に対する指示がなされたというふうに伺ってよろしゅうございますか。
○香川政府委員 民事局の三課長が、多古出張所長の実地調査の結果、あるいはその意見及び千葉地方法務局の考え方等をもとにしていろいろ協議をしたようでございます。そして私には、かような状況にあって仮設物と言わざるを得ない、しかも、常識的に社会通念上考えて建物とは認定できない、取引の客体にもなる性質のものではないというふうなことの話がございまして、そういうことであるならば建物とは認定すべきでないだろうというふうに口頭で意見を申しただけでありまして、先ほどお読み上げになりました却下決定の文章等は、私は直接承知いたしておりません。
○日野委員 要するに、当該申請の客体、この物件は建物とは認められない、こういう御見解のようであります。
 まず、その建物と認められない、そういうふうに判断をされた理由を列挙していただきたいと思います。
○香川政府委員 御承知のとおり、不動産と申しますのは、民法では「土地及ヒ其定着物」ということになっておるわけでございますが、定着物の中で登記できるのは建物というふうに言われておるわけでありまして、定着物すべてが登記できるわけではないわけであります。
 そこで、建物とは何ぞやということになるのでございますが、これはやはり社会通念上判断すべきことだろうと思うのでありますが、本件の建造物につきまして建物でないというふうに考えましたのは、御参考になるかどうかあれでございますが、卑近な例で申しますと、たとえば住宅の展示会があると、その展示場に、ちゃんとでき上がったいわば居宅なら居宅というものが置かれておって、それが一般に展示されておる。これは、さような建物の材料を買って自分の土地なら土地にそれを持ってきて建造した場合には当然建物というふうに認定されるわけでございますけれども、物理的に同じものが展示場に置いてあるというだけでは、これは建物ではないということで登記はしないわけでございます。たとえば石油タンクというふうなもの、これは土地の定着物と観念していいわけでございますけれども、それ自体いわゆる社会通念としての建物の用途には供し得る性質のものではないというふうなことで、登記できないことになっておるわけであります。
 そういう極端な例と申しますか、卑近な例で申し上げましたように、建物として登記ができるには、一つは、物理的にそれが土地の定着物として、さらに社会通念上建物と観念できる、つまりその目的とする用途に供し得る状態にあるかどうかというふうな物理的な一つの状況というものが判断の基準の一つになるわけでありますが、それと同時に、もともと不動産登記というのは、民法の土地建物についての権利変動、つまり取引のために登記をするものでございますので、したがって、それが社会通念上取引の容体、建物としての取引の客体となり得るものでなければならぬことは言うまでもないわけであります。この二つの観点から登記できるものなりや否やということを判断するというふうに、一般論としてはさような基準が考えられるわけでございます。
○日野委員 それでは、まず、本件の客体となったものについて、いま民事局長が挙げられた幾つかの基準についてこれからテストをしていきたいと思います。
 まず、その定着性ということでありますが、本件の物件について定着性はないと御判断になりましたか。
○香川政府委員 これは定着性ということも土地の定着物ということで最小限なければならぬわけでありますが、本件の建物は、いわゆる鉄塔の中間部分にその鉄塔のけたを利用して動かないようにしておるものでございますので、さような場合も定着性があるというふうには判断できると思います。
 ただ、本件建物について調査の結果、現地の多古出張所長が現地調査をいたしました結果を書面にしたものがあるのでございますが、それを見ますと、第一回目の調査のときには、いわば常識的に言って定着性があるとは判断しかねたようでございます。第二回目の調査のときには、さらにいろいろ手が加えられておりまして、いろいろ工夫してボルトで鉄塔にとめてあると申しますか、さような状況になっておりまして、現地の実地調査をした出張所長の判断は、この程度なら定着性があると考えてもいいのじゃないかというふうなことでございまして、その判断は、定着性に関する限りは間違ってないだろうと私も思います。
○日野委員 実際、登記官吏が登記手続をするに当たっては、昭和三十八年四月十五日の民事甲第九三一号民事局長通達、いわゆる不動産登記事務取扱手続準則、これによるわけでありますね。これによっても、定着性の点については、第百二十二条二項二号口というところには、「機械上に建設した建造物、」これは建物としては取り扱わないのだけれども、「ただし、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものを除く。」となっていて、地上に基脚を有する、または支柱を施してある、これであれば定着性のある建物として扱っているということになるのであって、本件の建物は定着性は十分に備えているというふうに、一応、登記官が実務をやるに当たっての基準としてはそういうふうになっていると思います。
 じゃ、次に取引性ということについて伺いたいと思います。
 一体取引というのはどういうふうに考えるべきなのかということですね。これは客観的な価値、主観的な価値、いろいろな価値があって取引というものは行われるわけですね。でありますから、本件の客体になっている――建造物というふうに言いましょう。その建造物は十分に取引の対象になると思うのですよ。早い話が、政府がこれをお買いになったらいかがですか。何もめんどうな手続などを踏まずに、これを高い値段で買おうと、その値段によっては、これは現地の人たち案外オーケーするかもしれない、これだって取引ですね。
 不動産登記方というのはあくまで取引を前提にしたシステムでありますから、これは取引性というのは非常に大事なものになってくるだろうということはよくわかるのですが、こういった主観的な価値ということもこれは無視できないのであって、これを取引性がないというふうに一概に断ずるということは、いささか越権ではなかろうかというふうに感ずるのですが、いかがでしょう。
○香川政府委員 先ほど取引性がなければならぬということを申しましたのは、そのものが絶対売れないというふうな意味で申し上げたわけじゃないんでありまして、社会通念上、その建物としての用途に従って利用できるということを踏まえての一般通念的に取引の客体になり得るものという一般論として申し上げたわけでありまして、だから、特殊な人が特殊な理由でそのものを買うというふうなことがあるからといって、それが一般的に取引の客体になるというふうには考えられないのではなかろうか、かように考えます。
○日野委員 少なくとも不動産登記の場合は、それは特殊な人の売買であろうと、一般の人の売買であろうと、そういった取引の種類、取引の内容、取引をやる主体、そんなことは関係ないじゃありませんか。そうでしょう。
○香川政府委員 直接のお答えになるかどうかあれでございますが、先ほど例として申しましたように、住宅の展示場に設置されておる建造物というふうなものは、これは優に取引の客体にはなるわけでございます。しかし、これはその場所において、つまり存置されたまま不動産としてその建物が取引の対象になるわけではないわけでございまして、いわばそれをばらした用材としての取引の客体になるわけでございます。だから、さような意味で、そのものが取引の客体になるからといって、それは当該不動産としての取引の客体になっているわけではないわけでございますから、したがってさようなものは登記できないということもございましょうし、また、たとえば路上にあります電話ボックスというふうなものも、これもその土地の定着物であるといえばそのとおりなんでございますけれども、これも一つの建物としての効用を果たし得るものとして取引の客体には一般的にはならない。しかし、それを何か物置小屋をつくるとか、あるいはその古材を利用して何かつくるという意味でさようなものが売りに出された場合に買う人があるということは、これはあり得ると思うのでございます。だから、そういう売買があり得るということから、直ちにその対象物は建物というふうに判断すべきではないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
○日野委員 いま局長が言っておられることは、これは不動産登記法の非常に大きな原則に触れておられると思うのですね。つまり、登記官は主観的な判断を交えてはならない、そうではありませんか。
○香川政府委員 私の言い方がまずいからでございますか、私は登記官の主観的な判断を交えてはならぬというふうなことを申したつもりではないんでありまして、登記官の判断というものは、これは当然主観的な自分が考える一つの判断でございまして、それが客観的に正しいものかどうかということは別の問題でございますけれども、登記官に主観的判断をしちゃいかぬというふうなことを申し上げたつもりは毛頭ないんでございます。
○日野委員 そういうことではないんです。登記手続というものは、一つ一つの登記申請者の意向であるとか、それから建物の使用の目的であるとか、そういうものについて深く立ち入ることを避けるという原則が不動産登記法にはあるでしょう。こういうことです。できるだけ形式的に審査をして、実質的な審査については表示登記についてだけ一応はこれをなすというのが不動産登記法のとっている原則でありましょう。
○香川政府委員 そのとおりでございますが、本件はまさにその形式的審査ではなくて実質的審査をすべき対象の登記の申請でございます。建物なりや否やということは、つまり表示の登記の前提でございますから、当然実質的審査をすべき性質のものでございます。
○日野委員 いま局長がおっしゃったように、まさに建物なりや否やが実質審査の対象になるのであって、それが取引の意思を持って登記をされているのか、または取引が可能なりや否やなどということは、これはもはや登記官の形式審査にはなじまない、また、実質審査であっても、そこまでの審査をするということは、登記官としては越権ではないか、こういうことを私は言っているのです。
○香川政府委員 例はまた先ほど挙げましたような展示場にたとえば置かれておる建造物につきまして、その会社から建物の表示の登記の申請がございました場合に、展示の目的でそこにいわば仮設的に置かれておるものだということを登記官が判断してその登記申請は却下するということになろうかと思うのでありますが、それと、そういうことをやってはいかぬ、取引の客体になるかならぬかということは、これは申請人がいかに考えていようと、それはやはり客観的に世間的に通用することでなければならぬわけでございまして、さような意味での判断は、これは登記官としては当然にすべきことだろうというふうに思います。
○日野委員 取引性についての議論は、まず一応ここでおきましょう。
 次には、さっき言われた言葉によりますと、用途に供し得るかどうかという言葉を使われたのですね。これはどういうことを指して言われたわけでしょうか。
○香川政府委員 実地調査の結果と登記申請書から見ますと、この建造物は、物理的には先ほど読み上げられましたように却下決定に書いてあるとおりでございますが、寄宿舎ということに建物の効用、用途がなっておるわけでございます。そこで、この建造物が寄宿舎として一体いわゆる建物の用に供し得る状態にあるかどうかということが判断の対象になるわけでございますが、これは一応風雨はしのげる状態にあるわけでございますけれども、その物理的な状況から見ますと、とても一般的な寄宿舎としての用途に供し得るような状態にはないわけでございまして、言いかえますならば、この却下決定にも挙げておりますように、成田空港の開港反対のためのいわば拠点と申しますか、かような意味で見張りをするためにそこに夜も泊まり込むというふうなことでつくられておる、さような状況のものという意味でこれは仮設物であるという認定をするために、さような物理的なことと用途等も含めて登記官が認定しておるわけでございます。
○日野委員 先ほど挙げました不動産登記事務取扱手続準則によりますと、さっきの百二十二条でございますが、「その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」、つまりその用途に供し得る状態であればいいのであります。つまり、寄宿舎としてこれは申請されていても、寄宿舎の用途に供し得る状態である、つまり、ここのところの要件は非常に緩和されている、緩やかなものになっているというふうにこれは読めるのですが、ここらのお考えはいかがですか。
○香川政府委員 緩やかでも何でもないのでありまして、まさにその目的とする用途に供し得る客観的な状態にあるという物理的な一つの条件としてかように規定しておるわけでございます。緩やかということにはならぬと思いますが……。
○日野委員 表示登記の場合には、その用途か記載されるわけであります。しかし、少なくともこの用途に関する部分の表示というものは、これは非常に緩やかである、むしろ、それをわざわざ表示登記に記載するのは、建物の特定という観点からなされるのであって、その用途にその建物が使われなければならないというものではないし、そのための機能を備えていなければならないというものでもないというふうに考えられているのではありませんか。
○香川政府委員 登記は、取引の安全円滑というふうなことで登記されるわけでございますので、したがって、いま申しました用途、これは建物の、法律的に申しますれば種類ということで、構造とか床面積とあわせて登記されるものでございまして、取引の客体である建物を公示しておる関係から、その用途と申しますか種類というふうなもの、あるいは構造あるいは床面積というものを表示いたしまして取引の便宜を図る、さような趣旨から登記事項になっておるわけでございます。
○日野委員 そうすると、局長はこういうふうにお考えかな。その建物の種類、それはまさにその申請書に表示されているとおりでなければこれは登記は受理すべきではない、受け付けるべきではない、このようにお考えですか。
○香川政府委員 たとえば、申請書に住宅というふうに書いてまいりまして、実地調査をいたしました結果、それがたとえば倉庫であるとかあるいは工場であるというふうなことでございますと、これは不動産登記法四十九条の規定によりまして、実地調査の結果と符合しないということで却下することになっております。
○日野委員 不動産登記法の九十一条一項三号には「種類、構造及ビ床面積」、これを「登記スルコトヲ要ス」となっておりますね。そして、九十二条にはこういう規定があります。第二項に「建物ノ種類、構造及ビ床面積ヲ定ムルニ付キ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム」。では、その政令を見てみましょう、何と書いてあるか。もうとっくに御存じだと私は思うのですが、不動産登記法施行令であります。それの第六条を見ていただきます。「建物の種類」と書いてありますね。「建物の種類は、建物の主たる用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、」いいですか、それから後が問題なんです。「これらの区分に該当しない建物については、これに準じて適当に定める。」だれも寄宿舎に該当しなかったらこれは却下しろなんて書いてないのですね。それに準ずるものとして適当に定めてこの登記を受理して、登記をしなさい、ここにはちゃんとこう書いてあるではないですか。
○香川政府委員 いまお読み上げのとおり、その主たる用途によって建物の種類が決まることになるわけでございますが、不動産登記法の四十九条の十号をごらんいただきますとおわかりになりますように、「建物ノ表示ニ関スル登記ノ申請書ニ掲ゲタル」「建物ノ表示ニ関スル事項」、種類がまさにその表示に関する事項でございますが、それ「ガ登記官ノ調査ノ結果ト符号セザルトキ」には四十九条で却下するという規定があるわけでございます。したがって、本件の場合で申しますれば、この主たる用途が寄宿舎ということで申請がされておるわけでございますけれども、これは寄宿舎なりや否やということはこの却下の理由には挙げておりませんが、つまり、その段階の判断をするまでもなくこれは仮設物であって、取引の客体になり得る性質のものではないという二つのことから、いわばその前提のところで却下しておりますので、いまの四十九条の十号の規定による却下理由は何も書いていないわけでございます。もしもこれが建物というふうに認定されるものでありますれば、そのときに寄宿舎というふうに書いてきておることがどうかということが次の問題になるわけでございまして、本件の場合にはその前提のところで却下いたしておりますので、そこまでの判断はいたしていないわけでございます。
○日野委員 そうすると、まずここでちょっと伺っておきたいんですが、これは建物であるという認定になれば、これは寄宿舎として申請があればその点は考慮する、また、もし寄宿舎であるというふうに認定されないとしても、それに準ずる建物として何らかの補正の手段を講ずる道がある、このように伺ってよろしゅうございますか。
○香川政府委員 登記し得る建物ということになりますれば、その寄宿舎なりや否やという建物の種類を決めるところのことが問題になるわけでございまして、これは、私は現地を知りませんので、本件建物が寄宿舎と認定できるかどうかについては、ここではちょっと、何とも申し上げかねる次第でございます。
○日野委員 またさっきの取引性の問題に戻らざるを得なくなったわけですが、そうすると、法務省側の見解としてもう一度確認をしておきますよ。この決定理由に見られる限り、「上記鉄塔が新東京国際空港の開港反対のために滑走路予定地の延長上に航空機の進入を妨害するかたちで存在するなど、その位置、構造、四辺の状況等からすれば、もっぱら開港反対行動のために利用するものとして鉄塔に付置された仮設物というほかなく、」こう記載してありますね。そうすると、この文章自体の中から、私は、不動産登記法と関連させてみた場合、大きな矛盾を感じざるを得ないのです。ここに書いてあるのは、これは開港反対のためのものだと、こう書いてありますね。そういう判断を登記官は行ったということが書いてあります。その点よろしいかな。
○香川政府委員 登記官はまさにさように判断したと思います。
○日野委員 局長の判断はどうですか。
○香川政府委員 新聞等でいろいろ本件のことも出ておりますので、さようなところから、開港反対のためのものというふうに私も思いますけれども、これは間接的にいろいろのそういった報道等によって思っておるだけでありまして、そこまでの調査をした上での的確な判断ではございません。
○日野委員 この開港反対行動ですね、これのために利用するということになれば、これが登記され得る建物であるかどうかということは関係ないわけですね。おわかりですか。つまり、登記できるようなたとえば超高層ビルのようなものを当該場所に建てた。そうすれば、これはもう登記できる建物になりますか。
○香川政府委員 この登記官の決定書きの趣旨は、これは恐らく私の想像でございますけれども、「開港反対行動のために利用するもの」というふうなこと、それ自体が建物なりや否やということと直接結びつく事柄ではないと思うのであります。こういうふうに書いておりますのは、つまり結論的に「鉄塔に付置された仮設物」ということを認定する意味から「開港反対行動のために利用する」というふうなことで言っておるわけでございまして、そのこと自身は、決して開港反対行動のために利用すると言えば即仮設物であるということではもちろんなかろうと思いますけれども、位置、構造、四辺の状況等から判断すればというふうなことも言っておりますので、仮設的なものということ、つまり開港反対行動というのは、反対行動が功を奏して成田空港が開港されることをやめてしまえばそれで終わるものでありますし、また、それが反対行動があっても開港されるということになりますればおのずから反対行動の余地がなくなるというふうなこと、さような反対行動のために利用することから設けられておるものということ、即それが仮設的なものだという判断をすることにつながるというふうな趣旨で書いておることだろうと思うのであります。したがって、開港反対のためというふうなことで高層のビルが建つようなことになりました場合に、これは常識的に考えまして、反対行動のためのみに利用する仮設物というふうな判断は恐らくしないと思うのであります。そこへ建物を建てること自身が、反対行動のためにその時点においては利用されるといたしましても、客観的にはその建物から見ましてそれのみの建物というふうには判断しないだろうと思うのであります。
 だから、そういうふうなものがあるかないか別といたしまして、お説のようなことで、鉄筋の大きなビルがそこにできたというときには、建物でない、仮設物だというふうな判断は、これは恐らくされないだろうというふうに思います。
○日野委員 ただいまのお答え、どうも前半と後半がかなり矛盾するように思うのですね。前半は、建物であるかどうかの判断については開港反対運動、これが直接には関係ないというようなことを言われたと思ったのですが、後半の答えでは、そこに超高層ビルのようなものができた、そうするとそれは開港反対運動のためだけのものとは常識的に理解できないというようなことを言っておるわけです。
 つまり、どうなんですか。ここに仮に超高層ビルが建ったとしますね。開港反対のために建ったとする。これは登記することができない。つまり、不動産登記法で言う登記する価値のないものとお考えになりますか。
○香川政府委員 先ほど申しましたのは、つまり開港反対行動のためのみに利用するんだというふうに言われておりましても、さような趣旨にしても、あそこにそういう高層の鉄筋のりっぱなビルが建ったというときに、それを社会通念上、その建造物というのは開港反対行動のために利用されるものだというふうには恐らく判断されないであろう、さような意味で仮設物という判断は恐らくそのこと自体から導き出せないだろうというふうに申し上げたわけでございます。
○日野委員 これは超高層ビルでなくてもそれならいいですが、これが空港を開くということに妨害になるていの建物である、取引価値も十分に持っている、そういうような場合でも、そうすると、この空港反対のために利用するという目的があればだめだ、こういうふうにおっしゃるのかな。そこいら、どうですか。
○香川政府委員 反対行動のために利用するものだということから、直ちに登記できない。つまり、建物でないという判断をしているわけではないのでありまして、恐らく、登記官がここで「開港反対行動のために利用するものとして鉄塔に付置された」云々と言っておりますのは、仮設物ということの認定の一つの資料として考えておるわけでございまして、したがって、仮設物でない建物が仮に物理的に飛行機が飛べないような状況の形で建てられるといたしましても、取引の客体になり得るものであるということでありますならば、これは表示の登記はもちろんすることになるわけでございます。
○日野委員 要は、かなりここのところしつこく聞いていますが、登記官がこういう建物を登記する目的まで立ち入ることはできないと私たちは思うのですよ。これが一応建物であるということが認定される、そうですね。認定された以上は登記をすべきであるというふうに私は思うのですが、これは不動産登記法の当然の要請であろうかと思います。
 それで、建物であるかどうかというところがこれでは問題になるわけでありますね。建物であるかどうかということについては、あくまで不動産登記事務取扱手続準則によるべきだ。そうして、この不動産登記の準則によりますと、「建物とは、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」、こういうふうに記載してあるわけです。そうすれば、これはこの決定にも出ておりますけれども、面積が九・一四平米だとか天井の高さが一・九メートルだというようなことも言っているわけですね。「極く小規模の箱状工作物」、こんなことも言っているわけでありますが、面積が九・一四平米ある、天井の高さが一・九メートルあるというようなことになりますと、これは四畳半なんかよりははるかに大きいわけです。しかも屋根がある。周壁がある。しかも土地に定着されている。これは決して大きいとは言えないけれども、犬小屋なんかと違って、かなりきちんとした建物であるというふうに言わざるを得ないんじゃないでしょうか。しかも、「極く小規模の箱状工作物」だなんて言っておりますけれども、建物だとか家なんというのは、形の複雑性や大小はありましょうが、どっちにしたってこれは箱状なんですから、こういった点から言えば、この建造物は建物だというふうに断定することが十分できるのではないか。要は、これを建造物ではないという言い方をするために、空港反対行動のためのものだ、こういうことをわざわざ持ってきている、そのようにはお考えになりませんか。
○香川政府委員 この「開港反対行動のために利用する」というふうなことを言っておりますのは、先ほども申しましたように、仮設性のものだ、仮設物だということを言わんがためのいわばまくら言葉的な、つまり空港反対行動のためのみに利用する趣旨で鉄塔に付置されているということは、それ自体恒久的な取引の客体となり得る建物という認定からは外れることじゃなかろうかというふうな趣旨で持ってきておるわけでありまして、先ほど申し上げましたような基準で建物として認定されるものでありますならば、その建てた人の主観的な意図は空港反対行動のために利用するというふうなことでありましても、これは登記すべきだろうと思うのであります。言わんとするのは、開港反対行動のためのものだから登記はできないんだというんじゃなくて、仮設物だということを認定するためにかようなことを言っておるわけでございまして、まさに仮設物だから不動産登記法上の建物とは認定しがたい、こういうことに尽きるかと思うのであります。
○日野委員 これは仮設物だということを言っておられるのでありますが、仮設物であるということが当該物件の登記についてどのような意味を持つのか。たとえば、さっきから展示用の建て売り住宅というようなことをしきりに言っておられますが、展示用の建て売り住宅であったとしても、一たんその用に供したとしても、それがさらに今度はその建物そのものを登記申請してきたら、これは登記せざるを得ないではありませんか。
○香川政府委員 先ほど申しましたように、展示場に存置されている状態で表示の登記の申請がございました場合には、それ自身土地に定着したものとしての不動産の取引の対象になるというふうには判断すべきでないわけでございまして、したがってやはり登記すべきでない。さらに例を申し上げますと、たとえば飯場の、いろいろ地下鉄工事その他の工事をやるときに建てておる建造物があるわけでございますが、これは工事によっては一年、二年、三年もかかる。その間にいろいろの、そこで働く人たちがそこに寝泊まりするというふうなこととか、あるいは事務所にも使っておるというふうなことがございましても、やはりその工事が終われば撤去される性質のものでございまして、さようなものがいわゆる仮設物ということになり、したがって、建物としての取引の客体に、それ自体その土地に存置したままの形での取引の客体になるものではないということで、やはりこれも登記はできないだろうと思うのであります。さようなものと同じように考えられるものではなかろうかというふうに登記官が判断して却下したわけでございます。
○日野委員 仮設物であれば、これは登記すべきではないという根拠はどこにございますか。
○香川政府委員 まさに建物でないからでございます。
○日野委員 建物であるかどうかということは、さっきから言っている手続準則によって扱っているわけでしょう。そうであれば、ここには、何も主観的なことについて、そういった主観的な判断事項についての基準、何か書いてございますか。
○香川政府委員 この準則は、これは物理的な状況についての一つの基準を決めておるものでございまして、物理的にはここに当てはまるような建造物の形をしておりましても、登記するその趣旨から考えまして、建物でなければならぬわけでございます。建物というのは、物理的なこういう要件を備えただけでは足りないわけでございまして、取引の客体となり得る可能性のあるものでなければならぬわけでございます。その取引の客体となり得ると言いましたのは、先ほど申しましたように、好きな人が特殊なことで買い受けるというふうなことではなくて、社会通念上一般的に取引の客体になり得るものというふうなことで申し上げているわけでございまして、さような要件がさらにその上にかぶさってくるわけでございます。この準則の規定は、実地調査の場合における物理的な一つの認定基準として提示しておるだけでございまして、これに当たるからといって直ちに登記できるということには相ならぬ性質のものでございます。
○日野委員 不動産登記法四十九条ですね、さっきから局長も挙げておられますが、四十九条の二号の条文はこういう条文になっている。つまり登記申請を却下する場合について書いてあるのですが、「事件カ登記スヘキモノニ非サルトキ」と書いてある。そしてこれは、大審院からずっといままで来ている裁判所のとっているこれの解釈態度、判例でありますけれども、これは確定している。「申請がその趣旨自体においてすでに法律上許容すへからさること明らかなる場合」――「明らかなる場合」なんですね。そしてここから出てくる実地調査というものは、あくまでも物理的な形状、種類、そういったものについての審査に限られる。これが現在の不動産登記法の大きな前提となる原則であろうというふうに私は思うのですよ。その目的いかんとかそういった主観的なものを交えて、登記官というものは登記の受理、不受理を決定すべきではない。これが大きな原則である。これが崩れてしまったら、不動産登記法は瓦解すると思いませんか。
○香川政府委員 ただいま挙げられました大審院の判例は、当時の不動産登記法は権利に関する登記しかなかった時代でございまして、いわゆる現在申し上げております不動産の表示に関する登記、つまり当時のあれで申しますれば、土地台帳法家屋台帳法の登録に相当するようなものは登記法にはなかったわけでございます。したがって、四十九条の二号の規定の解釈も権利に関する登記申請のみについてのことでございますから、いま挙げられましたような判断が示されておるわけでございますけれども、昭和三十五年に不動産登記法が改正されまして、いわゆる土地台帳、家屋台帳と登記簿が一元化された今日においては、この四十九条の二号の規定の解釈もおのずから変わってくるのは当然だろうと思うのであります。さような意味で、先ほど申しましたような四十九条の十号の規定も、その昭和三十五年の登記法の改正の際に入った規定でございまして、昔の権利の登記しかなかった時代の判例等は、権利の登記に関しましてはなお一つの判断としてはそれなりの価値があると思いますけれども、表示に関する登記についてはもともとなかったことでございますので、その大審院の判例を持ってきて云々するわけにはいかないのではないかというふうに思います。
○日野委員 昔はなかったと言えばそうかもしれません、表示はなかったと言われるかもしれませんが、これは不動産の登記手続に関する問題でして、最高裁も昭和三十六年三月十六日、また最高裁の昭和四十二年五月二十五日、みんな同じような明らかな場合だけ却下できるのだ、こういうふうにしている。そうして戒能先生がお書きになった「判例民事法」昭和六年、これは昔のだと言えばそれきりでしょうけれども、そこにはこういうふうに書いておるようです。「もし登記を許すべきかいなかにつき具体的な事情をも審査するとすれば、」まあこれは昔の法律になりますが、「本条七号、八号の適用の余地がなくなるし、登記官に過大な審査権限を認めることになる。」このような指摘があるのですね。この指摘は現在もずっと正当なものとして続いておりますし、幾代先生がお書きになった「不動産登記法」、これも同じような基調でずっと貫かれているのです。登記官にそんな過大な審査権限を与えるべきではない。そんな主観的なところまで登記官は審査できもしないし、させるべきでもない。そしていままでこの点はずっと、私は登記実務の中で貫かれてきていると思いますよ。もしこの決定が出たら、不動産登記手続の先例集にでも入ってきたら、これはもう大きな混乱を実務に巻き起こすのではないか。いろいろなところで、じゃ、これは何のために使うのだ、その使用の目的から言ったらこれは適合していないではないか、こういうことを言われる。現にこの決定が目指したように、政治的に利用されるということが非常に多く出てくると思うのです。
 もうすでに局長も御存じのとおり、この鉄塔の所有者としてずっと名前が挙がっておりますけれども、それぞれ一人一人の持ち分は十万分の百というような持ち分ですからね。この所有者全部に対して仮処分の決定などを送達するというふうなことになれば実際上はかなり大きな障害になるであろう、こういうことが予想されるわけですね。そういうことを十分に読み込んだ決定だと私は思っておるのです。そうではありませんか。
○香川政府委員 前段の問題は、先ほど申しましたように昔の不動産登記は形式的審査でございまして、権利に関する登記申請に関しましては現在もその形式審査は貫かれておるわけでございます。不動産の表示に関する登記は、現在は実質審査をするわけでございますが、これは、戦後、土地台帳法、家屋台帳法が登記所に移管になりました以後、登記官が台帳の登録官として実地調査をしてきておるわけでございまして、それが先ほども申し上げましたように昭和三十五年に一本化されたということでございますので、登記実務の取り扱いとして現実の登記所における負担がさらに重くなるとか、あるいはやり方が根本的に変わるというふうな問題ではなかろうかと思うのであります。
 後の方の問題は、私どもといたしましては、単に一般的にある登記申請の受否に関する一つの問題として現地の照会があり、それに回答しただけのことでございます。現地の登記官はもちろん、千葉の地方法務局あるいは私ども本省におきましても、この問題が政治的な意図でどうのこうのということは毛頭考えておりませんし、いまおっしゃいました仮処分云々というようなことはこの問題とは何の関係もないことでございまして、さようなことまで考えてどうこうしたということはまことに心外の限りでございます。全くの事務的な、実務的な、日常茶飯のと申してはあれかもしれませんけれども、さようなレベルの問題として取り扱われただけのことでございまして、したがって、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、大臣にも何ら報告はしていない、そんな重い問題と私どもはちっとも考えていないわけであります。日常茶飯の登記実務の問題の一つにすぎないと考えておるわけでございます。
○日野委員 時間がそろそろなくなってきましたから、最終的に民事局長の御見解を伺いましょう。
 不動産登記法に列記しているような表示の登記について、不動産登記法第九十一条一項にずっと列記してあるような事項、これ以外に建物の使用目的とか、それから先ほどから挙げている準則に当てはまって、この準則上から物理的には建物と認定され得る場合、それ以外に建造物の所有者の意向を登記官が調査することは適法ですか、どうですか。
○香川政府委員 これは、実地調査をいたしました際に、建物なりや否やということを認定するために関係人にいろいろ質問する権限も認められておるわけでございまして、さような意味で建物の――その使用目的と言われるのは、不動産登記法から申しますれば種類に当たるわけでございますが、居宅か工場か倉庫かというふうなことを申請者に、関係人に問いただすということは当然しなければならぬわけでございます。たとえば、申請が倉庫になっておっても、現場に臨んでみた場合に、どうも倉庫というよりはむしろ工場と考えた方がいいというふうなときに、どういうわけで倉庫と申請されるのですかということを、いわば主観的な目的ということになるのかどうかよくわかりませんが、さようなことで申請人に問いただすことは何ら差し支えないことだろうと考えております。
○日野委員 では、よろしいです。
○上村委員長 次に、長谷雄幸久君。
○長谷雄委員 長谷雄でございます。
 初めに、去る四月十六日に鳥取県の米子警察で被疑者が看守を殺害して逃走したという新聞報道がございましたが、これは事実でございましょうか。
○平井説明員 ただいま御質問の事件につきまして概況を御説明申し上げます。
 本件は、四月十六日の午前五時ごろに、鳥取県の米子警察署で、窃盗罪で逮捕されて収容中の二十六歳の男でございますが、この犯人が見張り勤務中の看守の警察官に対して用便を訴えて房から出してもらいまして、その際に、留置場の便所付近でタオルによって看守の巡査を絞殺いたしまして、その看守の持っておりました留置場の入り口のとびらのかぎを奪って逃走した、こういう事案でございます。
○長谷雄委員 この事件が発生してから現実にその犯人を逮捕するまでにかなりの時間を要しているように新聞では報道されておりますが、これは何か問題点があったのではないか。この点についてどのようにお考えでございますか。
○平井説明員 犯行時刻は大体当日の午前五時ごろだろうというふうに認定しておりますけれども、この看守殺害の事案が発覚いたしましたのが午前七時二十五分ごろでございます。確かに、問題点といたしましては、この二時間ちょっとの間、看守の相勤者あるいは宿直の責任者が気づくのがおくれたという点がございます。それから、事件を警察の方で認知した後では、県内はもとより、中国、近畿、各方面の府県に緊急配備を広域に実施いたしまして、大量の警察官を投入して捜査に努めた結果、午後十時四十分ごろに鳥取県内の列車内で被疑者を発見して逮捕した、こういう状況で、追跡捜査の方は、この種事案にしてはかなりスピーディーに解決できたというふうに判断しております。
○長谷雄委員 こうした事件が起きたことによって、少なくともその地方の住民の方々は大変御心配をなされたであろうと思います。こうした社会不安を今後なくすようにぜひとも当局の努力を要望するわけでございます。
 この被疑者の留置について、私どもの調査によりますと、昭和三十二年八月に国家公安委員会規則として制定したところの被疑者留置規則があるということでございますが、この留置規則に基づいて被疑者の取り扱いをしていたならば、本件が発生することはなかったのではないか、このように思われるわけですが、その点はいかがでございますか。
○平井説明員 御指摘の留置規則に基づきまして、各府県では府県公安委員会がそれぞれ県単独の留置規程というものをつくっております。鳥取県の場合には、そのほか、事故防止対策要綱、あるいは米子署の事故防止のための例記という二重、三重の、こうした事故防止のための規程、ルールというものが定められておりますが、確かにおっしゃられるとおり、それを本当に励行しておったかどうか、やはり若干の問題点がなきにしもあらずと考えております。犯人が逮捕され、現在まだ調べ中で本当の事実関係を供述しておらない段階でございますので、果たしてどの辺に問題点があったかということは、今後の犯人の取り調べと並行して私どもの方で徹底的に詰めていこう、かように考えておりますけれども、特に問題でございますのは、被疑者のそうした事前に逃走するような動向の看視といいますか、その点の注意力が十分であったかどうか、こういう問題もございます。それからまた、夜間の留置場に対する監督者の巡視が完全に十分に行われておったかどうか、そういう問題もございますし、また夜間、房から被疑者を出す場合、もう少し万全な看視体制がとれないかどうか。それぞれ留置場によって実情が若干違う点もありますが、そうした問題が考えられますので、そうしたことを中心に、今後この点を厳重に点検して、是正すべきところは是正したい、かように考えております。
○長谷雄委員 このような留置されている被疑者等が警察官を殺害したというケースは戦後になっては初めてである、このように言われております。この起きた原因についていろんなことをいま御指摘なさっておりますが、一つには、被疑者留置規則に基づいて看視をする体制というものが現実に即応しない状況になっているのではないか。たとえば看守の数が不足しているというような問題があるのではないか。この点についてはいかがでございますか。
○平井説明員 看守に限りませず、現在、夜間の看視体制がすべて一〇〇%万全である、こういうふうには言い得ない状況かと思います。その点については、予算獲得上もいろいろ努力しておるところでございますが、特に看守という問題が、はでな捜査活動の分野などに比べますと大変じみでございますので、そうした点に不備がないようこれは従来から指導しておるところでございまして、本件の場合は、鳥取の米子署におきましては留置場の看守勤務に充てられておった者は四名ございまして、四人で三部制交代で昼間、夜間それぞれの勤務を分担してやってきておる。ですから、体制自体この場合には不備があったというふうには一概には言えないかと思うのですけれども、全体的にそうした体制の問題は今後考えていかなければならないと同時に、また、そうした量的な問題のみならず、質的な問題もあろうかと思います。そうした点で、本当に看守勤務にたえ得る適任者の確保、配置、こういうことも今後あわせて十分考えてまいりたい、かように思っております。
○長谷雄委員 この事件で殺害された山脇惇巡査長、五十一歳ということでございますが、この方にはもちろん妻子もおられたと思います。途方に暮れている家族の方も大変だと思います。この山脇巡査長の遺族に対する今後の生活保障についてどのような扱いになるのか、これをお尋ねします。
○平井説明員 これは現在殉職として扱ってまいりたいと考えております。遺族が、現在、養母七十一歳の方と奥さん、それから子供が一男二女の三人おるわけでございますが、こうした凶悪な犯人の手に倒れた大変痛ましい事案でございますので、その補償には万全を期してまいりたいと考えております。現在検討中のようでございますけれども、当面、地方公務員災害補償法などによります一時金が拠出されるほか、警察共助会やその他関係のところからの援助金などが出される予定でございまして、これはひとつ遺漏なきを期するように考えておるところでございます。
○長谷雄委員 こうした殺害事件、これは警察だけではなくて、既決の囚人が留置されている刑務所、こうした場所はきわめて危険な職場である、このように言えると思うのです。過去五カ年間に刑務所における殺害、公務災害として認定された数がかなりあると思うのですが、その数字を挙げていただけますか。
○石原(一)政府委員 五年前ですから四十七年からになりますが、四十七年度に殺害の分は一件、これは拘置所でございます。それから四十八年に殺害のあったのが一件。殺害はその二件でございます。(長谷雄委員「傷害も入れてください」と呼ぶ)
 以下、職員の殺傷件数を申し上げますと、四十七年度が六十一件、四十八年度が五十二件、四十九年度三十六件、五十年度五十三件、五十一年度七十三件、累計にいたしまして二百七十五件でございます。
○長谷雄委員 殺傷事件がいま説明されましたが、この殺傷件数は、私が調べた限りでは、諸外国に比べた場合にわりあい日本の数は少ない、このような報道がございますが、しかし、こうしたものは決して好ましいわけでありませんので、こうしたことがないようにぜひとも配慮をしなければならない。こうした事件が起きていることが現実でありますので、この対策について当局は真剣に取り組んでいただきたい、このように要望するわけでございますが、いま矯正局長の説明されたこの数字、こうした事件が外国と比べて比較的少ないということに甘んじて対策を怠っているような面があるのではないか、その点を伺います。
○石原(一)政府委員 長谷雄委員にはかねてから矯正職員の待遇改善その他御心配をいただいているところでございまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 わが国の矯正におきますこうした処遇につきましては、これは私が矯正局長であるから申し上げるわけではございませんが、世界からもきわめて好結果を得ているという評価を得ているところでございまして、その理由をつらつら考えますに、ひとえに職員と被収容者の信頼関係が確立されているという点にあろうかと思います。たとえて申し上げますと、一つの工場に五十人ないし七十人の受刑者を就役させるわけでございますが、その間における看守はわずか二名である。しかのみならず、その工場におきましては、木工場であればのみ、のこぎり等々凶器となるものもあるわけでございます。さような危険な職場でもございますので、私どもといたしましては多くの対策を考えております。以下、順次御説明してまいりたいと思います。
 まず一つは、入所時におきまする分類調査の徹底と処遇であります。私は常に刑務所にはそれぞれ個性があるということを申しているのでございますが、この分類調査、収容するに当たりましてどういう刑務所に入れたらいいかという点を十分調査するわけであります。したがいまして、きわめて重装備の刑務所に入れなければいけない者もできますし、軽装備の刑務所で結構だという者もあるわけでございます。そのために本人の性格、資質、行動傾向あるいは犯罪の内容等を十分調査いたしまして、それぞれの刑務所に振り分け、また中における処遇も、そうした危険度も考慮いたしまして分類処遇を行うという点が第一点でございます。
 さらに、中に入りました場合には、危険なものについては凶器となるような物のある工場には就役をさせない、あるいはさらに危険度の高い者は独居拘禁にするというようなことを考えているわけでございます。
 二番目は、こうした受刑者の動静の把握でございます。これはわれわれは行動観察と申しておりますが、毎日毎日の行動、あるいは接見、信書等の内容を把握することによりまして本人の心情の調査、把握に努め、必要があるときには関係の職員がカウンセリングをするなどして、心情安定に努めているわけでございます。
 かような点が、先ほど申し上げました職員と被収容者間の信頼関係の醸成にきわめて役立つものであろうと思います。もちろん、この過程におきまして、要注意者につきましては職員の全部にそれを知らせまして、夜間の監視その他について十分注意するようにしているわけでございます。
 三番目は、先ほど警察庁の方からもお話がありましたが、やはりそれぞれの職員の研修の充実であります。これは具体的には、各ケースが出ましたときに、これは職務研究会と申しておりますが、その刑務所等におきましてケース研究をいたしまして、反省点、注意すべき点をみんなが知るようにするということ。あるいは、初等科、中等科、高等科という研修を矯正研修所でやっておりますが、そういう際にも実技の一環といたしましてそれを教える。
 なお、これに関連いたしまして、職員に対する武道、護身術の訓練をいたし、心身を練磨し、危急時に備えるようにいたしております。
 それから第四は、全般のことでございますけれども、これはやはり何と申しましても警備力を維持、強化しなければなりません。御承知だと思いますが、刑務所の中におきまして看守はほとんどがまる腰でございます。そこで、適材適所の職員を配置しておく。そして、適正規模の工場を指定する。あるいは警備用の器具、非常ベルであるとか視察用のテレビでございますが、そういうものの活用を図る。そのほか監督者、あるいは刑務所に警備隊を組織いたしておりますが、その警備隊による巡回警備を行うということでございます。
 それから最後に、第五として申し上げたい点は、物品管理の徹底でございまして、先ほど申し上げましたように、工場には凶器として使えば使うことのできる物品が多数ございますので、その管理を厳重に行うとともに、工場の出入り、特に工場就役が終わった後におきましては検身、捜検等をいたしまして、凶器の発覚あるいはまた凶器を持つことの防止に努めているところでございます。
 以上重要な点だけ申し上げましたが、五点申し上げましてお答えにさせていただきたいと思います。
○長谷雄委員 いま殺傷の件数について伺いましたが、これとは別に脱走の件数がかなりあるように聞いております。
    〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
 これは東京都下の府中市にある関東医療少年院の実情でございますが、これは過去十年間に脱走した少年が三十五名という報告がございます。この脱走は、脱走がなされるとすぐにサイレンが鳴る。サイレンが鳴ると、地元の住民が非常に驚いて、自己防衛の態勢をとる。たとえば戸を締めたりいろいろなことをやるということですが、そういう実情について、私ども公明党の地元の市議会議員の高橋真二君から報告を受けておりますが、こうした脱走がいまなお後を絶たないということも含めて、この態勢についてどう考えておられるか。
○石原(一)政府委員 最初に、関東医療少年院のサイレン問題についてお答え申し上げたいと思います。
 昨日さようなお話を承りまして、早速関東医療少年院に問い合わせましたところ、関東医療少年院にはサイレンはないようでございます。非常ベルの装置はあるのですが、サイレンはない。ところが、最近週に一、二回、夜の九時ごろになりますとサイレンが鳴り渡るそうでございまして、これは一般住民の方もお驚きかもしれませんが、関東医療少年院そのものの職員が驚いておるような次第でございまして、現在警察に調査方をお願いしているところでございますので、関東医療少年院のサイレンではないという点についてひとつ御了承願いたいと思います。
 次に少年院全体の逃走についてでございますが、なるほど、刑務所と鑑別所とを比較いたしますと、少年院からの逃走は多いのでございます。これはすでに長谷雄委員も御存じだろうと思いますが、少年院に入れておりますのは、受刑者の処遇と異なりまして、矯正教育を施すということから、施錠とわれわれは称しておりますが、錠をかけるという点につきましても、刑務所ほど厳しくはございません。それからなお、外のへいも、通常一番重装備の刑務所では五メートルのへいでございますが、特別少年院は別といたしましても、普通の少年院ではわれわれの家庭の自宅と同じようなフェンスがあるだけでございます。特別少年院につきましてもそれほどがんじょうなものではない。ときどき少年院の運動場で駆けっくらをさせますと、元気のいいのは走り過ぎまして、少年院のへいに跳びつくと、越えようと思えば越えられるという程度でございます。これは逆な面で言いますと、少年法の精神にのっとりまして、健全な青少年の育成のために矯正教育を行うということから、余りにも重装備の警備ということはしないという点における点でございまして、ある面では、これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、少年院の逃走事故を完全に絶滅するということは非常にむずかしいし、また絶滅するための施策のみに重点が参りますと、処遇が非常にむずかしくなるという点もなきにしもあらずでございます。しかしながら、少年院の逃走の時刻であるとか方法等を考えてみますと、職員が十分に監視している場合にはさようなことはないわけでございます。社会に戻ったときのことを考えまして、たとえば教官が、この者はいいか悪いかという判断の気持ちもありましょうが、一つの物を庶務課に届けてくれ、あるいはだれだれ教官のところに渡してくれと言って、信用した者が魔が差して逃げるという場合が非常に多いようでございます。しかしながら、この点につきましても、先ほど受刑者の場合で申し上げたと同じように、収容分類の決定あるいはその分類に基づいた処遇の充実、それから職員の研修等を十分に図っていきたい、かように思っております。
 したがいまして、警備力の点においては受刑者の場合とは異なりますけれども、その他の点につきましては、受刑者同様、行動観察等を十分にいたして、心情の把握に努め、少しでも少年院からの逃走のないように今後とも努力してまいりたいし、また私自身、会同その他を通じまして部下職員にこの点を徹底させるように努めているところでございます。
○長谷雄委員 私は、去る四月九日に都下府中市にあります府中刑務所を視察してまいりました。ここは職員数が四百四十九名、在監者が四月八日現在で二千二百六十五名という特大規模刑務所である、こういうところでございますが、その府中刑務所は、累犯者、暴力団関係者が大変多い刑務所であるというのが実情でございます。その刑務所の作業場の状況については、百名前後の受刑者がいる大きな作業場で刑務官が二名しかついていない。この刑務官の二名の配置がそれでいいか悪いか、十分かどうかという点については、先ほど矯正局長から受刑者の行動観察あるいは警備力の問題等について御指摘がございましたので、その関連で一概には申し上げられないと思いますけれども、こうした警備体制の中で果たして十分なことができるかどうか、非常に問題なきにしもあらずというところであると思います。特に、実情を調査した結果では、刑務官は作業場で監視する場合に、二時間の勤務をして三十分の休憩をするということでございますが、この二時間勤務の三十分休憩というのは、非常に張り詰めた厳しい職場の中での労働ということを考えたときにやや労働が過ぎるのではないかという点も憂慮されると思います。特にまた、作業場の中では、先ほど局長からも御指摘があったように、広い作業場の中で、たとえば木工場、印刷工場、旋盤工場、そうした工場がございますが、その工場は機械の設置によって、刑務官から見て死角になる部分がたくさんございます。しかもまた、さっき局長の御指摘のように、受刑者が作業する際に使っている道具、この道具はほとんどすべてと言っていいぐらい、一たん事あれば凶器に変わり得る可能性のあるものである。しかも、その刑務官は、百名前後の受刑者の中に一緒に入って、しかも施錠された作業場の中である。人質に刑務官二名がとられているみたいな状況の中である。この点考えると非常に心配もされるわけでございますが、確かに局長が御指摘になった在監者の行動観察という点は非常に重要な要素ではあると思いますけれども、他方において、保安や警備という面はある程度機械をもってすることができるのではないか。この点について、これは一九六七年九月十五日付のジュリストに、朝倉京一という当時参事官であった方がお書きになっている書物によりますと、そうした機械による警備ということによって職員を節約することも相当できる。特に「ヨーロッパの新設施設には電化・機械化の顕著なものがある。」こういう指摘がございます。そしてたとえばスイスの場合ですと、チューリッヒ州のウィンタートール地方刑務所では、すべての出入口、居室のとびらなどの開閉を中央で確認、コントロールできるような設備がある。そしてまたドイツのバーデン・ビュルテンベルク州のシュタムハイム刑務所は、かなりの規模の施設ではあるけれども、外のへいのテレビによる中央コントロール、各舎房中央センターと各居房のインターホン装置等電気機械化が徹底していて、機械化による整備というものができている、こういう指摘がございます。
 私は、これが全部正しくてこのとおりやらなくてはならないということを必ずしも言っているわけではないのですが、いま局長の御指摘の行動観察、あるいは刑務官と受刑者の人間関係、確かに基本的に大事な問題ではありますけれども、これだけに頼るというのではなくて、こうした機械化、電化設備を大幅に取り入れて職員を節約する、節約された職員がもっと受刑者との人間関係をよくするためにそちらの方に回って仕事をやっていただく、こういうやり方を、あるべき方向としてひとつぜひとも御検討を願えないものか、このように考えるわけでございますが、その点についていかがな御見解でございましょうか。
○石原(一)政府委員 まことに適切なる御提言をいただきましてありがとうございます。私どももまさにその点を考えまして、独居房あるいは工場等におきます視察用のテレビ、あるいは一たん事があったときに直ちに指令を発することができますように構内指令の装置、あるいは刑務所の車両に全部無電をつけまして、一たん緩急あるときには人を呼べるようにする装置、あるいは施錠その他につきましても近代化を図るという点について努力をいたしているところでございます。現に視察用テレビにつきましては、最近の予算措置におきまして順次認められているところであり、刑務所のへいにおきましては、へいの上に防犯線を張って、逃走その他があったときには気がつくということにしておるわけであります。もっともこの防犯線といいますのは鳥がとまっても鳴りますので、ときどき看守が夜たたき起こされるという点もなきにしもあらずでございますが、いずれにいたしましても、そうした保安機能を充実するためには、矯正局においても努力いたしているところであります。ちなみに予算関係で申し上げますと、四十八、九年は五千万未満でございましたが、五十年、五十一年は五千五百万程度を確保いたしました。本年度の予算につきましては、国会の御審議を賜ったものでございますが、九千六百万を確保いたしました。こういう点で、順次かような点を充実させていって、職員の手による保安というものから機械による保安に変えていきたいと思っております。そのほか事務的にもむだな作業をやっている点をやめていきまして、長谷雄委員のおっしゃるように真の処遇に役立つように人を使うという方面に今後とも努力をしてまいる所存でございます。何とぞ御後援のほどもひとつお願い申し上げたいと思います。
○長谷雄委員 前向きな御答弁をいただきましたが、私が視察した府中刑務所の実情については、そうした物的警備力というのが非常に乏しい、こういう印象を受けて帰ってまいりました。百人前後の受刑者の中に二人だけの刑務官で作業している。その刑務官がどのような状況に置かれているか、刻々と移り変わる時の流れの中で、事があっては、そのときにはどうするのかということを伺いましたら、パトロールをやっている、こういうお話でございました。パトロールも確かに大事でございます、非常ベルもあるということでございますが、やはりそれだけではなくて、先ほど私が申し上げましたような物的警備力の機械化、この点につきましては、先ほど私が御紹介申し上げましたほかに、刑政八十七巻三号、これは昭和五十一年三月号に、大芝という参事官が西ドイツの行刑を視察なさった折の所感をまとめたものがございますが、その中でも、いま私が指摘したのと同じような観点から、行刑の警備態勢について御指摘をなさっております。
 そういうことで、この府中刑務所の場合ですと、テレビカメラが一台置いてある。その一台はへいの外の動静を内部の職員が監視できるような態勢のために置いてある。ところが、在監者の作業の現状についてどうなっているのかということについては、必ずしもそのテレビカメラがそちらの方には向いていないということでございます。私はその意味で、パトロールも大事だ、さらに、作業場の中をテレビカメラその他、先ほど申し上げました物的警備力によって十分警備ができているということになれば、わずか二名の刑務官も、在監者とともにその作業場の中で安心して勤務することができる、このように思うわけでございます。警備というものは一つやればそれで十分ということは決して言えない。十重二十重に、安全第一に、社会の秩序を乱さないように、そういう立場から十分なる警備態勢というものをとっていかなければならない。私は、この点を府中の刑務所を視察した感想として持っているわけでございます。府中の刑務所は、御承知のように全国でもきわめて大きな規模の刑務所でございます。私は全国の全部の刑務所を見たわけではございませんが、やはり同じような問題がある刑務所も多々あるのではないかということを憂慮しているわけでございます。そうした状態が一日も早く解消されることを望んで、矯正局の方に全力を挙げてこの点に取り組んでいただきたい、このように要望するわけでございますが、その点について簡単に結論的なお考えを承りたいと思います。
○石原(一)政府委員 テレビカメラを中心のお話でございましたが、私どももその必要性を十分感じているところであり、毎年改善と設備を整えているところでございますが、今後とも、私どもといたしましてもただいま御指摘のように改善を図っていきたいと思っておるところでございます。
○長谷雄委員 ところで、この行刑に当たって大事なものはやはり矯正職員の方であると思います。古来、行刑は人なり、このように言われております。この点について、矯正職員のあり方、あるべき姿については、かねてからすぐれた研究者、実務家が数多くの論文等を残されております。私の尊敬する学者の一人である東京大学の藤木英雄教授も、この点については、「犯罪者処遇のにない手である矯正職員をぬきにしていかに刑事政策の理想を説き、矯正技術の進歩を誇ったとしても、机上の空論に終始する。」こういうことを冒頭にお述べになって、矯正職員論をお書きになっております。
 矯正職員のあり方について論議もございますが、私はこの職員のあるべき姿を説く前に、職員の待遇、身分保障、その点について幾つか質問をしてみたいと思います。
 私どもの調査によりますと、矯正職員が過去十年間、刑務所に勧務しながら途中で退職した方がかなりいらっしゃるようでございます。そしてまた、中途退職との兼ね合いで、職員の定着率がかなり下っている、こういう指摘もございます。そこで私は、その原因をお尋ねする前に、その中途退職した人数をどのように掌握をなさっているか御報告願いたいと思います。
○石原(一)政府委員 十年間でございますので、四十二年度から御説明を申し上げます。
 昭和四十二年度におきまして、矯正職員全体で中途退職した者二百八十人、そのうち刑務官が百七十人でございます。四十三年度、全体が三百三十二名、刑務官二百四十六名。四十四年度、全体が四百二十八名、刑務官二百八十一人。四十五年度、全体が四百四十九人、刑務官三百三十五人。四十六年度、全体が三百四十一名、刑務官二百四十五名。四十七年度、全体が三百十四名、刑務官が二百四十名。四十八年度、全体が三百十三人、刑務官二百三十八人。四十九年度、全体が二百八十一人、刑務官百九十五人。五十年度、全体が二百名、刑務官百二十八名。五十一年度、全体が二百四十七名、刑務官が百四十一名でございます。
 ただいま御説明事し上げましたように、昭和四十四年度から四十五年度にかけましては、毎年五百人程度の者が中途退職いたしまして、矯正施設の運営上非常に困難をきわめたのでございますが、その後はやや減少の傾向にございまして、この点につきましては、長く定着するように種々の施策を講じてまいりたいと思っておるところでございます。
○長谷雄委員 いまの説明を伺いましたが、これほどの中途退職者が出る。その中途退職は刑務官だけではなく、ほかの職場どこでもあることでございますが、特に刑務所職員の場合には、私はいろいろな原因か考えられると思います。一つには、先ほど指摘しましたように受刑者等の中できわめて危険な職場である。もう一つは、その危険がどこまでやわらぐような態勢になっているのかということについて、職員の側にもやはりまだ不安が残っているのではないか。あわせて刑務官の給与、手当、そうした点に刑務官から見た場合にまだまだ不満が残っているのではないか、このようなことを考えるわけでございますが、局長の見解を承りたいと思います。
○石原(一)政府委員 刑務官が矯正施設に定着いたすためには、まず仕事が楽であるということが前提であろうかと思いますが、この点は遺憾ながら仕事は楽にはならないであろうと思うのであります。
 そこで、どうしても待遇改善及び職場環境の整備を図らなければなりません。
 待遇改善につきましては、公安(一)の俸給表が適用されておりますが、上位等級にいきますようにできるだけの努力を図っているところでございます。
 なお、職場環境につきましては、長谷雄委員も府中刑務所をごらんになってお気づきだと思いますが、現在では受刑者並びに少年院を含めましてほとんどの舎房は水洗であります。ところが、それに勤める方の職員が、実は非水洗のところもあるのでありまして、そのために、びろうな話で恐縮でございますが、大きい方はうちではせずに役所へ行ってからやるという人すら出るということでございまして、私どもとしては、この点はまことに残念に思い、改善に努力いたしているところでございます。
 ただ全般的に申し上げますと、矯正施設はすべてが建物と職員と被収容者の三者からなるのでございますが、現在一番問題になりますのは、やはり入っている人たちの生活状況を変えるという点でございます。ところが、食料費にいたしましても、十円値上げをするのに約二億円かかるわけでございます。すなわち、十円かける三百六十五かける約五万数千人ということになりまして、そういう金がかかるということで、現在の予算要求の重点は被収容者の改善にいかざるを得ないのであります。たとえば、昨年と比べまして本年度の予算は全体といたしまして約七%増加いたしておりますが、そのうち収容費系統の増加が一七%でございます。したがいまして、職員関係の分についてはやや犠牲を強いるきらいがないわけではございません。しかしながら、この時代において、受刑者であろうとも人道的処遇をしなければならないということであるならば、そこの生活改善をまずしようではないか。その生活改善を十分にすることによって刑務所内における平穏が保たれ、ひいては諸君の仕事も楽になるんだということを十分に言い聞かせているのでございます。
 先ほど来お名前の出ました朝倉君は、現在法務総合研究所の研究二部長でございます。それから藤木教授は現在東大におられるのでございますが、両名とも監獄法改正部会の部会委員をしてもらっております。なお、大芝参事官は私のところで参事官をやっておりまして、現在監獄法改正の主任の事務官でございますが、かような刑務所の改善、職員の改善につきまして熱心な者を部下に持っておりますので、こうした方々の意見を十分取り入れまして、りっぱな矯正づくりに今後とも努力していきたい、かように思っているところでございます。
○長谷雄委員 優秀な刑務官をたくさん採用できるような条件づくりをぜひともやってもらいたい、こう思っておるわけでございます。
    〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕
 矯正職員の特性としては、普通の公務員が制服のかっこうのいいのに比べて、きわめて危険な職場であるということのほかに、世の中の要するにどん底まで落ちてきた不幸な人たち、そうした人たちの教育やあるいは更生をつかさどるきわめてむずかしい職場であるということを考えると、優秀な刑務官を採用できる条件づくりはきわめてむずかしいものではないかということは理解できますが、その点について、たとえば訓練機関を充実する。伺いますと、現在刑務官になるためには一定期間の訓練を受けているということでございますが、そうした訓練機関、あるいは刑務官になった後もいわゆる事後教育として優秀な刑務官にするための人的、物的なさまざまな配慮がなければならない、こう思うわけでございますが、その点についての御所見を賜りたいと思います。
○石原(一)政府委員 要するに、長谷雄委員のおっしゃる趣旨は魅力ある職場たらしめるということであろうかと思います。この点につきましては、先ほど来申し上げましたように、待遇改善、職場環境の是正あるいは訓練期間を長くするということで十分なことを図っていきたいと思いますが、この際、私、矯正局長としてお願い申し上げたい点は、最近におきまして矯正施設の移転要請がきわめて多いのでございます。矯正施設が町の真ん中になったから出ていけ、こういう御要望でございます。矯正施設は、もともとつくりましたときには町の端につくるのでございますが、周りに住民の方が来られて、今度はじゃまになったから出てくれ、こういうことになりますが、仮に今度田舎に参りますと、子供の学校に困る、あるいはお医者さんに遠いということにもなるわけでございまして、矯正施設がりっぱな運営をなしていくためには、とにもかくにも地域住民の方々の御理解を賜らなければならないと思うところでございます。したがいまして、私どもといたしましてもわれわれのやるべき点については十分な努力を払うのでございますが、どうか地域住民の方々にも、矯正施設が国の運営上必要なものであるという点につきまして、国会議員の先生方の御理解も賜り、過誤なき運営ができるように今後とも御理解と御協力をお願いしたいと思っておるところでございます。
○長谷雄委員 これは一つの提案でございますが、刑務所の看守という名前がきわめて暗いイメージで受け取られがちであるということで、これをもっとすてきな名前に、明るいイメージのわくような名前に、実態が伴わなければ形だけ変えても意味がありませんけれども、そういう名称に変えるようなことの御検討はなさる御用意があるかどうか。
 アメリカの実情でございますと、これは先ほど指摘しました藤木教授の論文には、職員の名称も、ガードつまり看守ですね、これをやめて、コレクション・オフィサーと言うような傾向が強まっているというような指摘もございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
○石原(一)政府委員 非常に細かい点まで御配慮いただいて感謝申し上げます。
 私、矯正局長になりまして、ある施設に出張いたし、看守と座談会をいたしました。その際に私に出しました名刺は、何々刑務所看守というのであったのでありますが、その座談会の途中にその者が言いますには、きょう局長にはこの名刺を差し上げたけれども、同窓会に行ったときはこの名刺は出さないのです、法務事務官という名前を出すのです、と申しますのは、市民の方々が、看守というと非常につらい仕事であることを知りながらも、何か卑しい仕事のように思われるということを話しました。時たまたま夕方になってきたところでその看守がぼそぼそと話すのを聞きまして、私、思わず涙ぐんだのでございますが、そういう点もこれあり、現在何とか名称を変えよう、それとともに服装等ももっとスマートなものにしようという点を考えているところであります。監獄法改正を現在進めているところでもございますし、いずれいかなる名前にしたらいいかという点も議論せられると思うのでございますが、何かいい名称がございましたならば、ひとつお教え願いたいと思うところでございます。
○長谷雄委員 監獄法の改正問題については、用意してございますが、きょうは時間もありませんのでまた改めて別の機会に御質問させていただきたいと思いますが、現在いわゆる刑務職員の、刑務官の給与体系、これがどうなっているか。他の危険を伴う職員と比べてどのような状況か、危険手当がどうなっているか、簡単に御説明願いたいと思います。
○石原(一)政府委員 矯正職員には、刑務官その他いろいろございますが、刑務所におきましても、教官であるものあるいは心理技官、お医者さんいろいろございますが、主たる看守業務といいますか保安業務を担当する者につきましては、公安職俸給表の(一)が適用されております。したがいまして、行政の(一)と比べますと俸給額が高いのでございます。これは危険その他を勘案いたしまして高く定められているのでございます。そのほかの手当といたしましては、放射線の手当等、これはお医者さんの関係でございますが、それがございます。それから宿日直手当その他につきましては大体同じでございますが、あるいは副監督の当直手当、それから護送手当等がございます。特に不愉快業務であるという点からの手当を申し上げますと、夜間の特殊業務手当がございます。それから刑務作業の監督、これは先ほど来御指摘のように、相当数の受刑者を抱えて少ない人数で監督をするということから、刑務作業監督手当が認められております。それから余り大きな声では申し上げたくないのでございますが、死刑執行手当がございます。あるいはそれのための補助手当、それから伝染病になった者につきましての十分な看護をした場合の伝染病作業手当等がございます。こうした手当につきましては、刑務官に特有なものでございますので、大蔵当局にもるる事情を御説明申し上げ、徐々にではございますが、改善を重ねられているところでございます。
○長谷雄委員 給与や危険手当等については説明をいただきましたが、具体的にその担当の職員が受け取る金額が決して十分でないということは私も承知しております。それの改善にぜひとも御努力を願いたいと思いますが、それとあわせて、先ほどの米子の警察での殺害事件と同じように、そうした刑務所内での殺傷事件が起きた場合に、その担当の職員が遺族を含めてどのような処遇になるのか。特にたとえば交通事故の場合ですと、交通災害保険制度というのがございまして、一日一円の掛金で、事故に遭えばまとまったお金がもらえる、こういうような形で、現在のその制度が不十分であることは私も承知しておりますので、それとあわせて、法務省内でたとえばこうした災害保険制度にならって、互助制度あるいは保険制度、こうしたものを御検討なさる用意があるかどうか、伺いたいと思います。
○石原(一)政府委員 一般的には国家公務員災害補償法に基づく補償が行われるわけでございますが、そのほか法務省におきましての各種表彰の規定におきまして、一般の事務官の方々よりも表彰のための勤続年限が短くて済ませるというような点を考えております。そのほかは矯正職員の福祉を増進するために、財団法人で矯正協会というのがございますが、この矯正協会におきまして互助年金制度を行おうと現在しておりまして、近く実施される予定でございます。そのほか、矯正協会から、死亡あるいは特に永続した場合におきましては、特別の弔慰あるいは表彰のお金を出していただく。なお、永年勤続をされた方々に対しましては、その代表者を毎年矯正協会に呼びまして、高松宮の御台臨を仰ぎまして表彰式を行う。その後陛下への御拝謁をお願いし、特段のおねぎらいのお言葉もいただく等々、物心両面にわたりまして努力を重ねております。今後こうした制度につきましてはさらに拡充していきたいと思っております。
○長谷雄委員 この矯正の問題を含めて、さらにたくさん監獄法の問題等についてお尋ねをしたい問題もございますが、私に割り当てられた時間も過ぎましたので、次回に質問をさせていただきます。
 ありがとうございました。
○上村委員長 次に、西宮弘君。
○西宮委員 私は、人権擁護の問題についてお尋ねをしたいのでありますが、その人権擁護の問題なるものを前回から続いて――前回と申しますのは今月の六日でございますが、その日に引き続いて、いわゆる原理運動ないしは勝共連合とかいろいろ呼ばれておりますが、一連の原理運動を中心にしたこの問題についてお尋ねをしたいわけであります。
 ただいま大臣並びに委員長あるいは同僚の委員、一部だけでありますが、お配りをいたしましたのは、先ほど、午前中の委員会でわが党の横山委員もこの問題を指摘をいたしましたが、私は、前回の六日の日に質問の冒頭にこのことを取り上げて――これがこの前の七四年五月七日に帝国ホテルで行われた大晩さん会において文鮮明氏が述べられた演説の内容でございます。このことを取り上げて官房副長官に、当時の福田大蔵大臣が大変に激賞、絶賛をされたわけであります。言葉はこの前の記録に書いてあります。そういうふうに激賞する、全く感謝感激にたえないというような意味のあいさつをされておったので、それはこの演説の中のどこを感心したのだ、こういうことを総理大臣に聞いて御返事を願いたい、こういうことを言ったのでありますが、きょうはあいにくお留守だということでございましたので、副長官の御出席は要求いたしませんでした。もっとも、仮においでを願っても私が質問したような点についてのお答えはなかろう、こういうふうに私は想像いたしましたので、それではいいということにしたわけでございます。と申しますのは、いま三部だけお配りをいたしましたからぜひ後でごらんをいただきたいと思うのでありますが、正直言って、これだけの長い演説で、感心するような感激するようなところは一つもないわけです。これは私の不勉強のせいだと思いますけれども、とにかく私には感心するようなところは全く一つもない。ただ一カ所だけ、大変にありがたいことを言っておるわけでございます。私も一〇〇%共鳴をいたしましたのは、われわれはとにかく親を大事にするのだということを大変強調しておるわけでございます。百十五ページですけれども、「親のために生まれたのであり、生きるのも親のために生き、死するのも親のために死するというような立場に立ったとするならば、この子供は、これこそ真の孝行者であります。」こういう言葉が一つだけ私は大変に感動いたしました。もし言われておるようなことが彼の行動の中で行われているならば、本当にこれこそ大変ありがたいことだと思うのだけれども、ところが現実は全くこれに相反しまして、この原理運動に子供を取られた親たちから大変な訴えが出ておるわけであります、これは後で申し上げますけれども。現実は全くその逆だというので、言行不一致と申しますか、完全に一〇〇%言行反対であるというところに問題があると私は思います。
 それから、大臣のかわりに政務次官からお答えをいただきたいと思います。これはさっき横山委員も指摘をいたしましたが、私もこの点は前回特に強調をいたしました。「法的な目から見た場合には、これは」――「これは」というのは、日本の青年をたくさんアメリカに運んでおるという問題であります。「旅行ビザで、献金活動とか商売とかはできないようになっています。しかし、これは法的にひっかかってもアメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法はひっかかりません。」こういうことを言っておるのです。これは要するに、法律はどうでもよろしいのだ、目的が正しければ法律なんかどうでもいい、こういうことを言っておるわけなんですけれども、これについての御所見、私はこういうことはとうてい許さるべきことではないというふうに考えるのですが、いかがですか。
○塩崎政府委員 ただいま御指摘の「為に生きる」というものですか、さらにまた、神の法にはひっかからないが現実の法でひっかかるというような表現を私いま御指摘で見たわけでございます。言い回しが非常にデリケートでございまして、これに対しまして絶対的な答えをすることはなかなかむずかしいかもわかりませんが、一般的に申し上げますれば、おっしゃるように、法治国家では法を尊重すべきであると私は思います。それはどんな人でも法は尊重すべきである、こういうふうに考えます。
○西宮委員 後で大臣がおいでになったら重ねて伺うことにいたします。
 なお、きょうはたくさんの省庁の皆さんにおいでをいただいておりますので、できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。
 先ほど親孝行の問題を取り上げましたが、親子の間でも、たとえば思想的な違いがあるとかあるいはまた政治的な違いがあるとか、こういうことはしばしばありがちなことであります。しかし、この宗教では、原理の宗教に従わないものは全部サタンだ、悪魔だ、こういうふうに言われておるわけであります。いやしくも宗教で親を悪魔とののしる、こういうことがあり得るだろうかということを私は考えるわけでございます。そういう点で、後からもう少し詳しく申し上げまするけれども、とにかくここに、いまアメリカにおいて文鮮明氏が日本から連れていった子供たちが献金運動や商売をやっておる、こういうふうに言われておるのでありますが、これは日本と全く同じことをやっておるわけですね。この子供たちは、たとえばニンジン茶であるとかつぼであるとかトンボのおもちゃであるとか花とか、いろいろなことをやっておる。そして、しかも大変な重労働をしながらやっておるわけであります。私は前回に投書を集めてプリントにしてお配りをいたしましたが、あれは全部、市民が迷惑をしておるという投書でございます。あれを裏から申しますると、要するに原理運動の子供たちはああいうことをやらされておるのだ、こういうことになるわけであります。さらに献金運動としては、たとえばキューバの難民を救えとか、あるいは東パキスタンの難民を救えとか、ベトナム難民を救えとか、北方領土返還運動であるとか、あるいは沖繩の救らい運動てあるとか――沖繩の救らい運動を取り上げたのは、ちょうどインドに行っておられた宮崎博士が飛行機事故で亡くなった、そうすると直ちに救らい運動というのを取り上げる。こういうことで、新聞に報道される記事などは直ちに募金運動の名目になるわけであります。そして、あるいはそのほかに交通遺児を救えとか、恵まれない子供にとか、あるいは歳末助け合いだとか、最近は、暴力学生の対策のためだ、こういうことで募金運動をやっておると聞いておりますけれども、こういうそれぞれの名目を掲げて、しかも集まった金がどういうふうに処理されているかさっぱりわからぬ、これがこの前お配りをいたしましたそういう寄付をさせられたという市民の声でありましたけれども、あの声の中にもしばしば出ておりましたように、市民の立場からは納得いかない、こういうことを言われておるわけであります。たとえば東京都ならば都の条例とかそういうので第一次的な監督はされるのだと思います。
 私はきょうは警察庁にお伺いをしたいと思うのでありますが、そういうふうに看板に偽りありというようなことであるとするならば――看板に偽りありというのは、こういう名前で集めて、その金が全部その事業に充当されておるならば問題はないわけでありますが、そうではないということがしばしば指摘をされておるので、もしそれが事実であるとするならば、これは明らかに刑事事犯として指摘をする問題だ、こういうふうに考えまするので、警察庁としてはどう対処されるか、お聞きをしたいと思います。
○長岡説明員 看板に偽りのある募金行為が刑事事件として問題にされないのかという趣旨だと思います。考えられますのは、詐欺罪ということが一応考えられるわけでございます。御承知のように、相手方を欺罔して財物を騙取するという場合には詐欺罪が成立するわけでございます。ただ、ここで問題になりますのは、募金をした方がある程度そういうような看板に偽りがあるということを承知の上で募金した場合、あるいはその看板の趣旨じゃなくて、そういう団体のやる行為であるから募金に応じたという場合には、そういうふうな財物を騙取して欺罔されたということに該当するかどうか、その辺が一つの問題であろうかと思います。それからもう一点は、何しろ募金の場合には匿名で箱にお金を入れますので、だれが入れたのかということを後から私ども調べるというのは大変困難でございます。つまり、仮にそういうふうな詐欺の被害に遭った方がおられたとしましても、その被害づけと申しますか、被害者を確保するということがもう一つ問題があるということでございます。
○西宮委員 技術的な点はいろいろあるかもしれませんけれども、基本的にそういう問題は許すべきではない、こういう態度が必要だと思うのですよ。その団体がいい団体だから寄付したと言うのだけれども、これはこの前もお配りした資料にも書いてあるように、ほとんどその団体がどういう団体であるか不明瞭だ、あるいは聞いても責任者もわからなければ住所もわからぬ、こういうことで、そういうのに献金をさせるという事実がたくさんあるわけであります。あるいはその寄付した人の名前がわからぬ。ただ箱の中に黙って入れていくのではなしに、ほとんどの場合署名をさせています。署名をさせて、その上で献金をもらっているというのが事実なので、これは調べるつもりなら調べられると思う。そういう技術的な問題はとにかくとして、そういうことは許さるべきじゃないと私は考えるのだけれども、刑事局長いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 仰せのとおりでございます。
○西宮委員 いまの局長の基本的な姿勢を伺って安心をいたしました。たとえばアメリカなどでは、これはごく最近のワシントン・ポストでありますが、ニューヨーク州ではこの原理運動の募金を禁止をした。大体一年間に百五十万ドル募金をしたと推定されるけれども、そのうちで本来の目的に使われているのは七%程度だ、そういう認定をして禁止をした、こういうことが報ぜられておるのであります。私は、日本で献金を禁止するというのはなかなかむずかしいと思うのですけれども、少なくともそういう人を欺罔するというやり方は絶対に認めることはできない、そういう基本的な姿勢を確立してもらいたいということを申し上げたいと思います。いま局長の答弁で言われたから、この問題はそれだけにいたします。
 しかも、この子供たちがどういう状況のもとでそういう運動に参加しているか、これは大変にむずかしいのでありますが、つまり宗教であり政治団体でありあるいは同時に経済行為をする株式会社、こういうのが全く渾然一体となっておりまして、法的には非常に扱いにくいという面はあると思います。したがって、むずかしい問題ではありますけれども、たとえばこれは花売りの場合であります。「私達の誓い」「一、花屋の心情は寸分も持たず、天宙復帰の資金カンパの心情に徹すること。」これは専門用語が使ってありますからむずかしいと思うのでありますが、要するに、花を売って金をもらうというのは、いわゆる天宙復帰、天宙にささげるのだ、そのための資金カンパだ、そういう心情に徹することというのであります。つまり、花屋で花を売るならば原価に一割か二割掛けて売るというのがまずまず常識だと思うのですが、そういう気持ちは寸分も持つな、そしてあくまでも天宙復帰の資金カンパだ、それに徹してやる、こういうことを誓わしているわけであります。
 「一、目標を達成するまでは死んでも帰らない。即ち、一睡もしなくても神のみ旨を成し遂げること。」「以上の誓いを守り、死ぬまで力を尽くして努力し抜き、」云々、こういうことを誓わしておるわけであります。たくさんの原理運動の子供たちがこういう気持ちでやっておりますから、私は、さっき法を無視して云々、これはアメリカのことを言ったのだけれども、アメリカにおいて文鮮明は、くしくも法律などはどうでもいい、こういうことを言っているわけでありますが、これは日本でやっておるこういう行為にも明らかに出ているわけです。そういう点を私は承認できないと考えるわけです。
 もう一つついでに申し上げると、これは一九六九年でありますが、「私達の誓い」というのは、「神より四三〇億円を完全復帰する使命を与えられた幸世商事の一員たる我々は、父のみ旨」――父というのは文鮮明氏だと思います。「四三〇億円復帰を貫徹するために死ぬまで力を尽くして努力し貫くこと」そのためには「巨額の富を復帰させること」「今主か」――主というのも神様という意味でしょうか、キリスト教では主という言葉を使いますけれども、「主が必要とされる財物と、幸世商事の必要とする運転資金を復帰しなければならないので、この目的を成し遂げることを、お誓い致します。」一番最後に、「以上の義務と使命をなすことにより、神の国建設のために生命を賭けて」云々、こういうことを誓わしているわけであります。子供たちが、誓わせられているというのか、誓っております。こういう乱暴なやり方でいいのだろうか。
 ついでながらちょっと御披露すると、この花売りのときの歌があるのを見ても、「止めても止まらない火の玉だ ぶち抜け敵陣 六千年耐えてきた 父の恨み」――父というのは文鮮明氏のことだと思います。「父の恨みを晴らせよ」「心配するな父がいる」あるいは「ぶち抜け敵陣」「ベストを尽くせあとは父がみる」「サタンのどぎも抜く火の玉だ ぶち抜け敵陣」と、まことに勇壮な歌でありますけれども、こういう歌を歌いながら、あるいはこういう歌に励まされながら、いま言ったようなかなりの無理な募金をしている、こういうことになるわけであります。
 そこで私は、このいまの四百三十億復帰しろ、募金を集めてこいというのは、一九六九年五月一日から七月十日までであります。つまり七十日間に四百三十億集めろ、こういうことであります。ずいぶん膨大な数字だと考えるのでありますが、いまの原理運動の子供たちがどのくらいいるのかはっきりわかりませんけれども、三月に本部から発表されたところによると、二十六万と言っております。これは一九六九年でありますから、現在よりははるかに少ないと思います。仮に十万と仮定をすると、七十日間に十万の人間か四百三十億をかせぐ、こういうことになりますと、一人一日六千円であります。われわれにとっては想像できないような金額でありますけれども、そういう内部の事情に明るい方に聞いてみると、その程度はもう簡単だといいますか、その程度のことは当然やってきたのだ、あるいはやらされておったのだということを言っております。実際はそれ以上われわれはやらされた、こういうことを言っておるわけです。しかも、さっき申し上げたように、たくさんの関連企業があるわけであります。ですから、法人組織になった企業がそれぞれありますので、その信者の運動として募金その他の活動をするのと、それから会社の事業としてやるのと二通りあり、しかもそれは渾然としているというところに問題があろうかと思う。したがって、調査をするといってもなかなか簡単にはいかない。ちょっと挙げただけでも統一産業、幸世商事、幸世不動産、幸世自動車、世一観光、アグネス銃砲、興信商事などというのがその関連した会社であります。ですからなかなか区別がしにくい。つまり、会社の社員としてやっておるのと、それからその最末端は、運動する運動員は若い青年諸君なのでありますから、それが、その信者の立場で一種の奉仕としてやっているのか、その辺の区別が非常につけにくいので、私はむずかしいと思うのだけれども、さっき読み上げた誓約書の一つは、「幸世商事の一員」として、こういうことが書いてあるわけですから、これは恐らく社員を中心にしての誓約書だと思います。ですから、そういうことになれば、そういう人が、死ぬまで働けとか、寝ないで――さっき私そこのところを読み落としたかもしれませんね。寝ないでやれというようなこともあの中にうたわれているわけです。そういう勤務の実態。こういう状態であることは、私は、雇用関係によって働いている人ならば当然に労働基準法が問題になると思うのでありますが、その御意見を伺いたいと思う。
 ただ、いまだしぬけにこういうことをお尋ねをしても、そういう調査もありますまいし、またなかなかその内容が複雑でありますから、簡単にある一つの法人を調査するというわけにはいかないかもしれないけれども、これまた、さっき街頭の募金、販売、そういう問題について基本的な姿勢を伺ったと同じような意味において、まずそういう実態を究明する、そしてそういう実態があったならば勇敢に労働基準法を適用する、こういう考え方をお持ちかどうか、伺いたいと思います。
○倉橋説明員 ただいま先生から御指摘のございました原理運動に関連いたしますいろいろ営利会社等の実態につきましては、労働基準監督機関といたしましては、実態を承知しておりませんが、あくまでも、経済活動を行います会社でございますれば、労働基準法の第八条に基づく適用事業でございます。したがいまして、ここに労務を提供して何らかの対価としての給与を得るということになりますと、同法に基づく労働者といたしまして、労働条件その他につきまして保護されるべきものでございます。私どもといたしましては、このような会社、団体等におきまして働く労働者の労働条件が法的に保護されるよう、法違反の実態等がございますれば、必要な是正を図ってまいりたいと思っております。
○西宮委員 わかりました。労働省としての基本的な姿勢が明確であってくれれば、後は、実は私どももよくわからないんだけれども、そういう会社とか宗教団体が入り組んでいるという状況等はわかりませんけれども、こういうことこそ、私はこの委員会に参考人として呼んでいただくというようなことになるとまことに明瞭にわかると思うのであります。そういう意味で、参考人の招致ということを先般来理事会では議論をしているわけでありますが、そういう内部事情に詳しい人たちに来てもらえば直ちにわかることでありますから、私はそういう意味で参考人の招致が早く実現することを望んでいるわけでございます。
 この花売りあるいは募金等については、つい最近、たとえばアメリカのニューズウイーク等では、こういう子供たちは一日十八時間、ピーナツ、キャンデー、花などを売り歩いている、こういうことを報道しておるのでありますが、その子供たちはあるいは会社の従業員ではないかもしれません。したがって、労働基準法の適用対象ではないかもしれません。しかし、そういうことが、これはアメリカはアメリカが適当にやるのでしょうが、日本も、何時間か知らないが、とにかくさっきの誓いの言葉によると、寝ないでやれと書いてあるわけですから、そういうことが、ある程度それに近いような状態があるというようなことならば、私はどうしても――さっきここのところをたしか読み落としましたな。「一睡もしなくても神のみ旨を成し遂げること。」こういうような過酷な条件で働かされるということは許すことができないことだと思います。
 あるいは最近三カ年の自治省の報告を調べてみますと、統一協会は宗教団体として毎年四千万に余る金を勝共連合という政治団体に献金をしているわけであります。私はそういう点についてもかなり問題があると考えるわけですけれども、勝共連合なるものは単なる政治団体、そこに宗教法人である統一協会が四千万に余る金を毎年毎年献金をしている。こういったようなことは重大な問題だと思うわけです。しばしば雑誌その他にこの統一協会あるいは原理運動が論評されておりますが、宗教の装いをこらした金もうけの団体である、こういうふうに指摘をされている例が非常に多いわけであります。私は、こういう実態を見てみると、いかにもその表現は当たるのではないかという感じがいたします。そのいわゆる金もうけでありますが、まず親に向かっては、金を出さないといきなりサタンだと呼びつける、ののしる。つまり悪魔だとののしる。あるいは金を出さないと殺されると言って脅迫する。金を出さないと親子の縁を切ってくれと言う。あるいは遺産相続を前渡ししろと言う。あるいは女の子ならば嫁には行かないから支度金をよこせ、こういうことを言うというようなことがあちこちの新聞等に出ているのを私は拾い集めたわけであります。
 その金についての考え方だと思うのでありますが、たとえば会長代理の小山田という方はキリスト新聞にこういうことを言っております。「実は、私たちはカネを儲けるためにあるのです。今までのキリスト教会は金銭で弱かったが、金儲けのことなら私達のところへ来てください、お教えします。今はキリストさえ金がなければ証しできないと思います。」たとえばこの前帝国ホテルの晩さん会に行かれた方がたくさんあったようでありますが、ずいぶん豪勢な会合であるということがよくわかると思う。だからずいぶん莫大な金を使っていることもわかると思うのであります。あるいはアメリカでもやっていることが事細かに書いてありますけれども、日本と全く同じであります。
 最近のニューズウイークなどはほとんど一冊費やしてこの文鮮明の問題を特集しております。表紙には文鮮明の顔を大きく掲げて、何ページでしたか、とにかくたくさんのスペースを費やしてこれを特集しているというような記事があるわけです。そのうちの一つに、「信者が世界を救うためには、人力と金力が必要であることを教えられ、新人獲得と献金が義務づけられている。彼らは貯金や家族からの仕送り、自分の給与などをすべて教会に寄付してしまうこともしばしばである。」こういうふうに書いておる。要するに、世界を救うためには人力と金力が必要だというので、いわゆる人力、同じような信者になる人を集めるために、大変な無理な活動をしているわけです。それから金集めです。最近はフランスでも大分問題になりまして、ちょうど日本と同じように被害者父母の会というようなものができまして、子供どろぼうということで、親が子供を返せということを主張いたしております。あるいはアメリカでは、五人の親が一緒になって子供を返せということを裁判に訴えまして、先月の二十四日に勝訴をいたしております。これはサンフランシスコの裁判所であります。統一教会は直ちに控訴をいたしております。全米にはかなり大きな反響を呼んでいるというふうに報道されておるのであります。
 とにかくそういう子供をとられたという親たちが子供を返せという運動を起こしたり、あるいはまた裁判で争うというような問題が起こったり、至るところにこういう問題が起こりつつあるわけでありまして、文部省あるいは総理府の青少年対策本部からもおいでをいただいておりますから、後で御所見等を伺いたいと思いますが、この際、私は、この前人権局長の日野委員に対するお答えでありましたが、しかし強制はないのじゃないか、つまり信者になるために強制されることはないんだ、なってから後いろいろ問題があるようだけれども、なるまでは自由意思だ、こういうことで、その点は私もそうだと思います。しかし、なぜこんなに若い諸君が新興宗教、あるいはこういう新しい政治運動に引かれていくのかという点についてはわれわれも反省しなければなりません。たとえばまず第一に反省しなければならぬのは、従来の宗教人のまことに無気力な状態だと思います。しかし、この運動にねらわれる子供たちというのは、日本あるいはアメリカその他も大体同じようで、家庭は大体中流以上、そしてきわめてまじめな正直な家庭の子供、そしてしかも高等学校に入ったばかりとか大学に入ったばかり、つまり高等学校に入ったけれどもあるいは大学に入ったけれども、入ってみると、バラ色の期待をしておったのが裏切られて非常に挫折感を感ずるといったような思想的な混乱があるわけであります。そういうときにそういう子供たちがねらわれるのだということが新聞等にはかなり詳しく報道されております。
 そういうものの一つに、ちょうど送られてまいりましたので私はこういうのを持ってまいりました。これは「感動ある人生のために…… 市民大学講座」。会費は入学金と受講料を合わせて一万五千円でありますが、四月十五日から七月十五日まであるわけであります。そしてずらっと講師陣が並んでおります。「統一テーマ」は「歴史とロマンの探求」というので、主催者は東北文化協会と書いてあります。そういうことになっておりますが、これは一見して何の変哲もないあたりまえの広告であります。しかし、「歴史とロマンの探求」というのでありますから、そういうのに引かれて行ってみると、集まった人の名簿が集約されて、だんだん原理運動に引っ張られていく、こういう経過をたどるわけであります。実はいま現に仙台でも、数年前にこれで入っていったのがもとでまことに悲惨な状態に子供がなって、今日なお回復しないというので、全く悲惨のどん底にある家庭があるわけであります。あるいは、この間の新聞でありますけれども、東大で合格発表の日に、東大成進育英東大学生寮というところで、これは東大の先生がやっている、施設も大変よろしい、こういうふうに宣伝をされて、それで面接試験まで受けて二十名が行った。入ってみたらば、だんだん日がたつと、これは原理運動の教育だということがわかったと言われております。あるいは先月の三日に、東京都の北区の議会で、世界統一十字軍というのにこの北区の教育長が推薦の言葉を書いておったというので議会で問題になりまして、議会でつるし上げを食ったわけであります。それで教育長は、宗教団体とは全く知らず、教育上共鳴する面があったのでメッセージを書いたと言って、平謝りに謝ったということでありますが、それでそのまま議会は了承したらしいから、また教育長の言っているとおり何も知らないで書いたんだと思うのでありますけれども、同じようなことが私も、私の事務所に、東北大学生新聞というのに私の激励の言葉というか、そういうものを書いてほしいと何回も何回も電話で来るので、おかしいと思っていろいろ調べてみたらば、やはりそれがいわゆる原理運動だったということでありますが、そういう何にも知らない人をそういうふうにして引っ張っていくというやり方が、私は宗教団体らしくないと思うのですね。
 たとえば大々的にやった、五十年の二月の十三、十四、十五と三日間、九段の武道館で大集会が行われました。そのときの主催者はインターナショナル・ワン・ワールド・クルゼード。そこでお話をする人の顔が大きく出て、下に書いてありますけれども、「現代の予言者レバレンド・サン・ミヨン・ムーン」、こう書いてあるわけです。これが、いわゆるレバレンド・サン・ミヨン・ムーンというのが文鮮明だと気がついた人は少なかったと思う。したがって、後でこのことに気がついた被害者父母の会の人たちがじだんだを踏んでくやしがった。もし文鮮明氏が来るならば、われわれ飛行場に押しかけてでも日本に来日するのを阻止したかった、こういうことを言っておったというのでありますけれども、全く、主催者は英語でインターナショナル・ワン・ワールド・クルゼードというのだし、そこへあらわれる人物はレバレント・サン・ミヨン・ムーンーサン――ムーン、太陽と月、こういうのでありますから、名前だけでも大変すばらしい名前でありますが、これが文鮮明という意味なんだそうであります。
 こういうことを考えてみると、そんなにありがたいりっぱな宗教なりあるいは運動なりならば、なぜ堂々と名のらないかということを私はどうしても言いたいのですね。ですから、そんなにりっぱなドクトリンを持った宗教なり運動ならば、堂々と名前を名のってやるべきだと思う。だから、いま国会に呼ぶとか呼ばぬとかと言って議論をしておりますが、これは無論、いまの段階は呼ぶ呼ばないということを議論しておるわけでありますから、文鮮明氏の側の方々が来るか来ないかということを言っているのじゃないんで、来てくれと言ったら喜んで来るのかもしれませんけれども、私の勝手な想像を許していただくならば、その呼ばないという御主張の中には、呼ばないでほしい、こういう働きかけがあるのではないかと私は想像するわけです。これはげすの勘ぐりかもしれませんけれども、私はそういうふうに想像する。そうではなしに、こういうことが国会で呼ぶとか呼ばぬとか言われて問題になっているというなら、むしろこれはまことにいいチャンスだ、ぜひおれも行かせてくれというようなことで出てきてほしいと思うのです。と申しますのは、この前予算委員会で社会党の書記長が質問したときに、この統一協会の問題を取り上げた。そうしたら、われわれの言うことも全然聞かないで勝手なことを言ってけしからぬ、こういうことで猛烈に抗議をしてきたわけであります。だから、むしろ国会に来てぜひ述べてもらいたいということをわれわれは主張しておるのだけれども、いまもってそれが実現しないというのはまことにおかしい。私は、もしキリスト教の、まあ私も若干関係があるわけでありますが、キリスト教の他の派なら、国会で発言の場所を提供すると言ったら、これは感謝感激、喜び勇んでやってくるに違いないと思うのですよ。それを、こういういろんな違ったやり方で、行ってみたら、実は長い間聞いているうちにだんだん原理運動ということがわかってきたとか、さっきいろんな例を幾つか申し上げたけれども、そういうことでやられるというようなことは、私は大変に残念だと思うのです。
 一言だけ文部省にお尋ねをいたします。大学において原理研という学生の運動がありますけれども、その実態がおわかりでしたら、簡単にお答えいただきたいと思います。
○浪貝説明員 国公私立の大学におきまして課外活動として行われておりますさまざまなクラブ活動の実態につきましては、クラブ活動が学生の自主的な活動であるということもありまして、その調査は文部省としていたしておりません。そのために実情を把握していないということでございますが、しかし、全国の相当数の大学に原理研究会関係の学生のクラブがありまして、全国的な組織として全国大学原理研究会が組織されまして、世界学生新聞というものを発行しているということは承知してございます。また、国立大学につきましては、原理研究会に関する学生のクラブがある大学は全国で十八大学と承知してございます。
○西宮委員 どういう機関紙等が出ておりますか。
○浪貝説明員 先ほど申し上げたとおり、全国的な組織として世界学生新聞という新聞ですか、それが発行されております。
○西宮委員 私のお尋ねしているのは、各大学をそれぞれの……。
○浪貝説明員 大学の中におきます活動につきましては、それぞれの大学内における研究会におきまして、研修会であるとか、学習会であるとか、布教活動であるとか、それから奉仕活動であるとか、そういったさまざまな活動が行われておるわけで、そのそれぞれにつきましていかなる出版物が出版されているかということは把握しておりません。
○西宮委員 無論、思想活動その他、学生の活動は自由でありますから、それにいたずらに介入したり規制したりすべきでないということはそのとおりだと思いますが、ただ、いろいろ問題がある。つまり、そのことがはっきり最初から明示されているならば問題はないと思いますけれども、そうじゃなしに、行ってみたら、あるいは長い間やっているうちにだんだんとそれがわかってきたというようなことは、私は非常に問題があると思うのです。ですから、少なくともそういう実態だけはぜひ法務当局として把握をしていってもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、その次に、最初に指摘をいたしましたように、アメリカに行った学生が、観光ビザで行って、その後で、文鮮明自身が言っておるように、原理運動あるいは商売などをやっておる、こういう実態を取り上げてきたわけでありますが、アメリカに行ったそういう原理運動の青年たちがずいぶんあちらでいろいろな問題を起こしておるということが向こうからくる外電等で報道されておるわけです。外務省はそういう実情についてもしおわかりでしたら、答えてください。
○遠藤説明員 まず最初に、アメリカで原理運動がどういうふうな活動をしておるか、ごく簡単に差し支えなければお話しさせていただいて、それからその次に、日本からのそういった関係の人たちが向こうに行ってどういうふうなことになっておるかということを御説明申し上げたいと思います。
 まず、アメリカの原理運動は、先生御指摘のような文鮮明を中心とする統一教会、それから統一教会の下部組織でございます韓国文化自由財団、それから自由指導教団、この三つくらいの組織に分かれておりまして、宗教、慈善、教育、そういった分野で活動しておるようでございます。信者の数は正確にはわかりませんけれども、報道等によりますと、三万人ぐらいかというふうに伝えられておるわけでございます。アメリカのマスコミ自身も非常に大きな関心を示しておりまして、先生の御指摘のように、ニューズウイークとかニューヨーク・タイムズあるいはワシントン・ポスト等で取り上げられておりまして、どうも宗教団体、これはニューヨーク州法に基づく宗教団体なんでございますけれども、宗教団体というものが隠れみのになった政治運動とかその他の運動じゃないかというような批判も出ておるようでございます。
 そこで、次に日本からの点でございますけれども、まず、一体日本からどのくらいアメリカに行きまして統一教会の運動に参加しておるかという正確な数は把握し得ないわけでございます。と申しますのは、現在の日本からの出国でございますけれども、出国はほとんどこれは自由になっておるわけでございます。旅券の発給段階で私ども外務省が審査しますのは、いわゆる形式審査と申しますか、ある特定の欠格条件がない限り、渡航は自由に認めておるという現状でございます。なお現実に、先生御指摘のような観光あるいは商用、こういったような目的で旅券の申請をしてまいります場合に、これが本当にそうなのかどうかというのは実際上把握し得ない状況で、したがいまして、先ほど申し上げましたように、欠格事項がない限り旅券は発給するという状況でございます。
 それでは一体統一教会の関係者がどのくらいアメリカに行っておるのかということは、本当のところはよくわからないのでございます。ただ、一九七四年以降でございますけれども、むしろアメリカの方がこの統一教会関係で入ってきます外国人の問題につきまして問題意識を持ち始めまして、それで実はアメリカに入ってきます統一教会関係の運動をしております外国人、これは主として観光とか商用でございますけれども、観光はアメリカは六カ月が最高期限だと思いますが、その六カ月を超えて滞在しようということから、その人たちがいわゆるビザの切りかえと申しますか、アメリカのビザのカテゴリーで伝道訓練生といったようなビザのカテゴリーがあるそうでございますけれども、ビザの切りかえをアメリカの移民局に申請しておるわけでございます。ところが、アメリカの移民局の方は、どうも伝道訓練というけれども、実際はっきりした訓練計画がないじゃないか、あるいは現実にやっておることは、街頭で募金をやったりしておって、どうもそういうカテゴリーにきちんと当てはまらないということで、ビザの切りかえの申請を拒否しておるわけでございます。その数が私ども正確にはよくわからないのでございますけれども、一九七四年以降五百八十名ぐらい名簿の数があるらしくて、そのうち約二百八十名、つまり三百名弱ぐらいが実は日本人の名前が出ておるわけでございます。したがいまして、それじゃこれだけが全部かというと、あるいはそうでないかもしれませんし、あるいは二百八十名の日本人でも、すでに出たのもあるかもしれませんので、いずれにしても正確な数はわからないのでございますけれども、そういうビザのことで問題になったのは三百名弱というような数でございます。取りまとめてまいりますと、そういうような出国の自由の観点から、どうも数自身は正確には把握していないというのが現状でございます。
○西宮委員 ついでに伺いますが、親の立場から外国へ行かれては困る。これはアメリカだけではありません。特に集団結婚の際などは、韓国に行くという人を阻止したい、こういう願いから、旅券の発給をしないでくれ、こういうようなことで外務省に要望してくるという事例はありませんでしたか。
○遠藤説明員 ビザというか旅券の発給の段階で御両親なり家族の方から発給をやめてくれというふうな陳情を受けましたケースは、私どもの旅券課に来ましたケースで三十件内外ございます。
○西宮委員 親がやらぬでくれと言ったから外務省は出さない、こういうことは恐らくできないのでしょうね。
○遠藤説明員 いまの法のたてまえ上は、それはやはり法の趣旨に従って旅券を発給せざるを得ないという立場でございます。
○西宮委員 そういうことは私どもも大体常識でわかるので、外務省が旅券を親が言ったから出せないということはできないだろうと思う。したがって、そういうことはわかっておるから、外務省へ頼みに行ったというのも三十名程度だと思いますけれども、もし外務省でやめてもらえるのだというようなことでもあれば、これは恐らく大挙して親が外務省へ押しかけるのじゃないかというふうに想像するのだけれども、何かそれを、行く目的なりその他でチェックするという方法は全くないのですか。
○遠藤説明員 旅券の発給申請は当人なりあるいは代理人から申請されるわけでございますけれども、発給目的自身が観光だったり商用であるという観点から、その段階での把握というのは非常にむずかしい状況でございます。と申しますのは、旅券の発給で、それではエージェント、旅行のエージェントでございますが、それが統一協会の関連でございます、私ちょっと名前を忘れましたが、世一観光ですか、あれが持ってきた旅行申請は全部統一協会かということが一つの手がかりかというふうな御疑問が出るかと思うのでありますが、これも世一観光が持ってきた旅券申請が全部統一協会かということもございませんし、なお申請書自身、私もちょっとサンプルを持ってきたのですけれども、それにも旅行会社の名前を書くということは、別に記載欄も義務づけられてもおりませんし、旅券発給の段階で、これが統一協会だ、あるいはそうではないのだということを把握するのはきわめてむずかしい事情にございます。
○西宮委員 私も大体想像はいたしておりましたが、非常にむずかしいということで、役所の段階で押さえるということは困難だろうと思うのですけれども、アメリカ等に行く子供たちもほとんど親の意思とは全く無関係に――それはいま民主主義の時代ですから、何もかも親の意思に従わなくてはならぬということはもちろんありませんけれども、親にして見れば、消息がわからなくなってしまうというような点について、非常に不安にたえないというケースが多いと思うのだけれども、法のたてまえを曲げるというわけにはなかなかいかぬと思いますけれども、われわれいままで主張してきたことを十分参酌をしながら、できるだけ慎重に扱ってもらうということをお願いしておきたいと思うのですが、これは午前中横山委員も指摘をいたしましたけれども、アメリカだけではなしにずいぶん世界の各地に行っておるわけですよ。
 ちょっと名前を申し上げると、はっきりしていると思うので申し上げますけれども、チリ、コロンビア、ベネズエラ、ボリビア、メキシコ、エクアドル、パナマ、パラグアイ、ウルグアイ、スリナム、ギアナ、コスタリカ、グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラス、ドミニカ、ハイチ、ジャマイカ、バハマ、トリニダードトバゴ、バルバドス、香港、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、ビルマ、インドネシア、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、パキスタン、アフガニスタン、イラン、イラク、シリア、クウェート、サウジアラビア、カタール、バーレーン、オーマン、南イエメン、イエメン、アラブ連邦、トンガ、サモア、ナウル、フィジー、エジプト、スーダン、エチオピア、ソマリア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、マラウィ、モーリシャス、マダガスカル、ローデシア、スワジランド、南アフリカ、ボツワナ、ザンビア、ザイール、中央アフリカ、コンゴ、ガボン、カメルーン、ギニア、チャド、リビア、チュニジア、アルジェリア、ニジェール、ナイジェリア、ダオメー、トーゴ、ガーナ、オートボルタ、アイボリーコースト、リベリア、シエラレオネ、ギニア、ガンビア、セネガル、マリ、モーリタニア、ブラジル。これは、いま私が読み上げたのはブラジルが三名行っておりますけれども、あとその他行ったときはみんな一人ずつであります。そのほかヨーロッパその他に行っておりますけれども、いま私が読み上げたのは、いわば発展途上国と雷われるような国々であります。名前もちょっと読みかねるような始末で、それほど、一体どこにあるのだろうかと思うような国があるわけでありますが、こういうところに、あるいは観光ビザで、あるいはまた関連企業がさっき申し上げたように幾つもありますので、その関連企業の社員として、あるいはまた「世界日報」の記者であるというような名目等で行っておるようでありますけれども、どうもこれが行った先々でどういう生活をしておるのか、あるいは果たして達者でいるのかどうか、それさえもわからないというのが家族の嘆きのようであります。こういう点、どうでしょうか、何かその状況を知るという方法はないでしょうか。
○遠藤説明員 私ども御家族の方々の御心配というのは非常によくわかるのでございます。そこで、それではどういうふうにしてそういう人たちあるいは子供たちの状況を把握するかといいますと、やはり家族なりあるいは両親なり等々の関係の方々から、たとえば自分のこういう者はいつごろ出て行ってどこら辺におるらしいというふうな手がかりなり足がかりなりをいただけますと、それをたとえばアメリカならアメリカのここら辺にいるらしいという照会を、総領事館なりあるいは大使館にしまして――もっとも大使館なり総領事館の活動でございますから、相手国との関係もあってどのくらいできるか、かなりむずかしい制約もあろうかと思いますけれども、何か手がかりなり何なりがございましたら、照会なり何とか接触できるように努力はいたすつもりでございます。
○西宮委員 これを政府に要求しても、果たしてどこの役所でこういうことを扱ってもらえるのか、私もさっぱり見当がつかないのでありますが、どうでしょうか、総理府の青少年対策を担当している方、こういう若い子供たちが海外に、しかもきわめて生活状況あるいは気象状況その他いろいろハンディキャップのあるそういう地域に送り込まれてわからなくなっている、親が大変に心配している、そういう問題等について相談に乗ってもらえる、そういう役所があってもいいのではないかと思うのだけれども、どうですか。
○石瀬説明員 いわゆる原理運動に関連いたしまして親子の関係が非常に不幸になっているというような事例が数々報告されて、報道されてもおりますし、前のこの委員会でも具体的な生々しい事例が御議論になったわけでございまして、私どもとしましても、子供を持つ親の立場からしまして非常に心痛むものがございます。
 この問題につきましては、個々具体の事案につきましてはそれぞれ関係の省庁で処理されるというふうになろうかと思いますけれども、総理府といたしましては、青少年の健全育成を図るという一般的な立場、そういった立場で、これまで関係の機関とか団体とかと連絡をとりながら、たとえば青少年団体活動とかクラブ活動とか、あるいはスポーツの奨励といったような形、さらにはまた青少年の指導者の養成、確保、それから青少年育成国民運動というようなものを――私どもと関係いたしております青少年育成国民会議という社団法人があるわけでございまして、これが各地方に行きますと都道府県民会議とかあるいはまた市町村民会議というような形になるわけでございますが、こういったところとよく連携をとりながらこの青少年育成国民運動というものを進めておりまして、たとえば地域によっては一カ月に一回家庭の日というようなものを設けまして、そこで親子が団らんの場を通じよく話し合いをする。そしてお互い、相互に理解をし合うというような形で取り組んでおるわけでございまして、今後ともそういった方向で総理府としては努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○西宮委員 そうすると、そういう地域でそういう団体が活動するというような場合に、いろいろな問題がそこで討議をされるのでしょうけれども、そういうのを通じてこういう気の毒な親御さんたちの相談にも乗ってもらえる、こういうことを期待していいわけですか。
○石瀬説明員 私どもといたしましては、青少年の健全育成を図るという一般的な立場でそのような活動を進めておるわけでございまして、個々具体の困り事その他につきましては、たとえば警察で困り事相談所とか家事相談所というようなところがございますので、そういったところで受けとめておるというのが実情ではないかというふうに考えております。
○西宮委員 それでは一般的な問題でも結構ですけれども、そういう青少年の健全育成という立場からぜひ総理府として重大な関心を持ってもらいたい。と申しますのは、先ほど来申し上げておるように、原理運動に参加したらその途端に完全に親子が断絶をする。断絶ならばいいけれども、全く敵、味方みたいになってしまうわけですね。要するに原理研に所属をしない者はサタンである、こういう規定の仕方なんですから、当然サタンになってしまう、悪魔になってしまう、こういうことでかたき扱いにするというのも論理の筋道だと思うのですね。ですから、そういうことではまことに困るので、ぜひそういう点について関心を持ってもらいたいと思います。原理運動というかあるいは統一協会と申しますか、さっきも申しましたように、わずか七十日間で四百三十億、しかもこれは一九六九年のあのときの相場で四百三十億という金なんであります。それを集めてこい。そうすると、全く文字どおり不眠不休でかせいでくるというのが実態であります。したがって、相当多額な金になることは当然だと思うのでありますが、これについてどういう課税の仕方をするか。要するにさっき申し上げたような幾つかの会社があるわけですから、その会社に課税をするということになりましょう。あるいはまた宗教法人に課税するということもあり得ると思う。そういう点で宗教と経済団体とがごっちゃになっておりますから、取り扱いが非常に困難であることはわかりますけれども、この宗教法人ないしは営利法人に課税をするという立場で大蔵省としては検討したことはありませんか。
○北村説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、宗教法人は法人税法上で公益法人ということになりますので、収益事業を営んでおります場合にのみ課税になるということでございます。それから会社、企業ということでございますが、これは当然法人税法上の所得があれば課税があるということでございます。
○西宮委員 それでは、株式会社であるさっき申し上げた幸世商事とか統一産業とか等々にありますけれども、これについて徴税当局として調査をしたりやっておりますか。
○北村説明員 個々の法人に対します調査結果ということをここでお答えすることは御容赦いただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、企業から申告がございますれば、その申告の適正を期するということのために申告内容等検討いたしまして、必要に応じて税務調査を一般的には行っているわけでございます。いまお取り上げになりました企業の一部も、当然のことながら調査の対象になっていくというふうに承知しております。
○西宮委員 いま突然お尋ねをしてもそういうデータも持っておらないと思いますけれども、私は、ぜひいま指摘をした企業、これらをどういうように調査をして、どの程度の課税が行われるかということを調べて、後で御返事を願いたいと思うのです。それはできますね。
○北村説明員 課税一般の考え方と申しますか、そういうことの基本的な姿勢につきましては御説明できるわけでございますけれども、個々の企業につきまして調査結果、税務処理といったようなことについて申し上げることは、ちょっと御容赦いただきたいと思います。
○西宮委員 それはたとえば新日鉄でも何でも、法人税が幾らになったということは発表して差し支えないんじゃないですか。たとえば新日鉄とかああいう大会社の場合ですね。
○北村説明員 いまお尋ねの件は、申告につきまして公示制度というものがございまして、いまの法人税法で申し上げますと、年間四千万以上の所得の申告があったといったような場合には公示ということで発表されますので、そういったことについてはその申告額が幾らであるかということはお話しできるわけでございます。
○西宮委員 どの程度の収益を上げているか私もわかりませんけれども、さっき申し上げたようにわずか七十日間で四百三十億円集める、こういう活動をしているわけですから、私はトータルでは相当な金額になっているのではないかというふうに想像できる。だから、とにかく課税当局として十分にこれを対象にして調査をしてもらうということだけはぜひやってもらいたいと思うのです。
 なお宗教法人の場合、実は昭和四十五年にある議員から質問書が出まして、それに対して政府から答えが出ているわけです。宗教法人に対しては、「課税当局として、一般的に公益法人等の活動が設立目的を逸脱しているかどうかを判断することを余儀なくされることになるおそれがある。」こういうことで、つまり公益法人等の活動がその目的を逸脱しているということを税務当局が判定しなければならぬということは不適当だ、したがって、法人税の課税対象とするかどうかについては、なお慎重に検討しなければならぬ、こういう答えをその質問者に対して政府から出しているわけですけれども、私は、この該当の宗教法人も公益法人の範囲を超えているかどうかというような点については、これはまたわれわれ別個の立場でだんだん調査を進めていきたい。要するに、税務署の職員が、あなたのところは公益法人の目的をはみ出しているということを認定するのは、確かに法に言われているとおり不適当だと思うけれども、いろいろな政府の機関等でそういう点を詰めていただきたいと思います。したがって、それが詰められたらば、これも課税の対象にすることも少なくともあり得るということは、これを裏から読めばそういうことになるわけですが、範囲を超えているかどうかということの判定が、税務当局が判定するのはむずかしい、こういうことを言っているわけだから、だからその判定が税務当局ではなしに他の機関によって判定される、他の省庁の判断によってそれが明確になるというようなことになれば課税してもよろしい、課税対象にすべきだ、こういうことが裏から言えると思うのです。だからそういう点については、われわれもさらにいろいろな関係省庁に意見をただしながらその点は詰めていきたいと思うので、だからそのときは課税することもあり得るということは当然だ。さっきの質問とあわせて――さっきの質問は、いわゆる営利法人ですね、営利法人に対して、私は相当多額な収入があるというふうに推定をするので、したがってそれもぜひ内容を洗ってみてもらいたいということと、それから宗教法人に対する問題と、その二つについて答えてください。
○北村説明員 宗教法人、まあ公益法人でございますが、収益事業を実質的に営んでいる場合というのはこれは税法上課税になるということでございまして、問題は収益事業に該当するような事業を営んでおるかどうかということでございます。一般的に申しまして、税務当局ではこういった公益法人が事業で収益事業を営んでおるかどうかという実態を常に見守りながら、そういうものに該当するようなものがあれば課税していくという立場でいるわけでございます。それから営利企業等につきましても、これは課税の公平を期するということは私ども税務当局の使命でございますので、なお一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○西宮委員 とにかく非常に莫大な金が入って、それがアメリカで使われているというふうに結びつけることは大変困難だと思うのですけれども、しかし、アメリカのマスコミ等で大変に問題にされているのは、あの統一協会、原理運動、こういう団体が非常に莫大な、巨額な金をアメリカで使っているということがアメリカのマスコミ等ではしばしば問題になっておるわけです。たとえばニューヨークの郊外に六十三万ドルに相当する屋敷、ここに文鮮明氏は居住しているわけです。あるいはマンハッタンで八階建てのビルを二十万ドルで買った、あるいはニューヨーカー・ホテル、これは四十二階建てのホテルでありますが、これを五百万ドルで買った、あるいはニューヨーク州の土地三百五十エーカーを九百十七万ドルで買った、あるいはボストン市内には五階建てのビルを買ったとか、あるいはさらにニューヨーク市のシンボルとも言うべきエンパイア・ステート・ビル、これを買おうとしている、こういうようなことで、とにかく大変な、巨額な金を動かしているということについて非常な疑惑を持たれているわけですね。さらに、最近は銀行をつくった。ディ・プロマート・ナショナル・バンクという銀行をつくった。こういうことで、これまたアメリカでは、その銀行をつくってアメリカの経済に大きく影響をされるのではないかというようなことで、文鮮明のグループが銀行をつくったということにかなりショックを感じているようです。これは香港で発行されておる新聞でありますけれども、これも、フレーザー委員会に小委員会を設けて、ここでは銀行と文鮮明及びKCIAとの関係を調査しようとしているという記事が報道されています。これはつまり、銀行をつくったということで、アメリカの経済界に相当な影響を与えるのではないか、あるいはまたアメリカから韓国に金を送る手段としてつくったのだろうかなんというようなことも書いてあるけれども、とにかく銀行までこの文鮮明の一派はアメリカにつくったということについて、大変なショックを受けて、いろいろ調査を進めておるということであります。
 私はここで一つだけお尋ねをしたいのは、向こうの新聞によりますと、この金は恐らく韓国または日本からアメリカに運び込まれたのではないか、そしてそれはしかも外交チャンネルを使って入ったのではないかというふうに、アメリカの新聞は大きく報道しているわけです。もし外交チャンネルを通して入ったというようなことになると、これはまさしく重大問題だと思うのですけれども、そういうニュースはありませんかと言っても、恐らく日本でそういうニュースをキャッチしているということは――まああるなら御披露願いたいのだけれども、もしないのならば、こういう問題も真剣に調査をしなければならぬ問題だというふうに考えるのですが、外為を扱っている大蔵省の関係の方に来ていただいておりますので、ちょっとその辺の見解を聞かせてください。
○神馬説明員 外交チャンネルを通じてということだけでございますと、具体的にどのような金の持ち出し方、送金がされておるのか、ちょっと不明確でございますので、それだけでは何とも申し上げられないと思っておりますが、あるいは仮にたとえば円現金を箱にして送るというようなことでございますと、そのような場合には、現在の外為法におきましては、税関を通じまして大蔵大臣の許可が必要であるということになっております。
○西宮委員 私は、これは冒頭に申し上げたように、目的が正しければ法律なんかどうでもよろしいというのがこのグループの根本的な考え方なわけですよ。したがって、その点がわれわれにとっては最大の不安なんですけれども、恐らく、いまお話しのとおり大蔵大臣の許可を受けるというようなことなどは、これはアメリカの新聞が指摘するような外交チャンネルを通してという点では、そういうような政府の許可を受けて云々なんというようなことはもちろんやっているはずはないので、そんなことをやっていれば、外交チャンネルを通して云々というようなことは、アメリカでそういう推定を受けるというようなことももちろん全くないと思う。だから、これはあるいは大蔵省だけの問題ではない、むしろそういう疑いがあるということになれば、外務省なりあるいはまた警察当局の問題だと思いますけれども、そもそもこの人たちは、法律はどうでもよろしいんだ、こういうことから出ているのだから、私は、その点をまず前提にして、こういう問題を徹底的に究明してもらいたいと思うのだが、いかがですか。
○神馬説明員 事実を調査するということでございますが、実際外交チャンネルを通じたというだけのことでしか情報がございませんので、それだけでもって違反事実があると断定いたしまして調査することもいかがかと思いますし、在外公館を通じて云々ということになりますと、大蔵省として直接調査するのもいかがかと考えるわけでございます。
○西宮委員 これは、そもそもそういう法の制約なんということをてんで頭に置かない人たちですから、どういうことをやるかもしらぬというわれわれは根本的な不安を持っているわけです。しかし、いま御答弁のように、大蔵省の事務当局として直ちにその事実を究明するというようなことはできないという御答弁も私にはわかります。したがって、この際はいわば問題の指摘にすぎないと思うのですけれども、これは他日また、もう少し材料が入ってきたら、大蔵省だけではなしに、外務省なり警察当局なり、そういう皆さんからも意見を聞きたいと私は思っております。ですから、ここでは問題の指摘の程度でとどめておきます。
 最後に、ちょうど大臣お留守だったので、政務次官にかわって答弁をいただきましたけれども、大臣が見えたら大臣に答えていただくということを申し上げておいたので、もう一遍お尋ねをしたいと思うのです。
 大臣の手元に差し上げてありますけれども、「為に生きる」という見出し、これはここに書いてありますように、七四年五月七日に帝国ホテルで行われた大晩さん会の際の文鮮明の演説であります。私は今月の六日にこれを取り上げて官房副長官に質問をしたときに、当時の大蔵大臣であった福田さんがこの演説を聞いてすばらしく感激をしたわけですね、感激したと言って大変な絶賛をしたわけです。したがって、福田さんはこの長い演説の中のどこに感激したのか、その感激された部分を教えてもらいたいということを副長官に頼んでおいたのですけれども、きょうは差し支えがあるというので来ておりません。また私は、それならもう来なくてもよろしいということを申し上げた。それは、大臣、後で参考までにごらんになっていただきたいと思うのですが、どこを読んでも感心するようなところは全くないわけです。ただ、たった一つ大変結構だと思ったのは、親孝行しろということを言っているわけで、その言葉だけを聞くならば、その点はまことに涙が出るようにありがたいことを言っているわけですけれども、ただし実際にやっていることはそれと百八十度反対だというのが実態だというので、全くの言行不一致を私は指摘してきたわけです。
 そこで大臣にお尋ねしたいのは、これの百三十ページの十行目ぐらいのところでありますが、「しかし、法的な目から見た場合には、これは旅行ビザで、献金活動とか商売とかはできないようになっています。しかし、これは法的にひっかかってもアメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法はひっかかりません。」午前中に横山委員もこの点を指摘しておりましたので、大臣御承知だと思います。また大臣の簡単なお答えもあったわけですが、これが、私が先刻来繰り返し申しておりますように、目的が正しければ法律はどうでもいいのだ、こういう考え方がその根底にある。根底というか、その考え方そのものなんですね。いみじくも御本人が堂々とこういうことを演説をしているわけです。そこに問題があるのだが、要するに、法的にはひっかかっても目的がよければいいのだ、こういう点は、アメリカではあるいは通用するのかもしれませんけれども、少なくとも日本においては全く許さるべきではないと考えるのですが、いかがですか。
○福田(一)国務大臣 実はいま先生からこの「為に生きる」をちょうだいいたしまして、この百三十ページの御指摘になったところをいま読んだところであります。これは全体にどういうことを言うておるかということも一遍読ましていただいた方がいいと思っているのですが、法治国家である以上は、日本の場合においては、法の認めるところはわれわれとしてもそれはもう結構でありますけれども、いやしくも違法な行為をすることについては、断じて許すことができないというのが私の考え方であります。
○西宮委員 よくわかりました。違法の行為を断じて許すわけにはいかない、これは法務大臣として当然だと思うのです。ところが、福田さんはそういう演説を聞いて感謝感激をしているというところに、全く許すべからざる過ちを福田さんはしていると思うのです。しかし、福田さんはきょうおられるわけじゃありませんから、いずれ何かの適当な機会があったら、ぜひ福田さん自身の御見解を聞きたいと思うのですけれども、とにかくこういうことでは困る。
 大臣のお留守の間に指摘をした問題で幾つか問題があったのですが、たとえば金を集める、あるいは物を売らせるというようなときなどに出させる誓約書があるわけですが、それなどを見ると、花を売るためにも花屋というような考え方は寸分も持ってはいかぬ、天宙復帰の資金カンパだ、つまり天の神様にささげる資金を集めるのだ、そういう心情でやれというようなことで、だから、花屋で売るならば百円のお花ならば百十円か二十円で売るのが常識でしょうけれども、そんな気持ちは寸分持ってはならぬということで、とにかく金を集めろ、死んでも帰らないとか、あるいは一睡もしなくても神のみ旨をなし遂げる、あるいは以上の誓いを守って死ぬまで力を尽くして努力しますというようなことを誓わせる。こういうのを見ると、とにかくどんな方法でもいいから金を集めてこいということになると思う。
 もう一つ、その際一緒に説明をいたしましたのは、向こう七十日の間に四百三十億かせいでこい、そしてそのためには死ぬまで力を尽くして努力をする、こういうことを誓約させられるわけですよ。以上の義務と使命を果たすことによって、命をかけて闘います、こういうことを誓約させられる。これなども幸世商事という株式会社の一員として誓わせられるわけです。ですから、こういうことになれば、恐らく労働基準法なんというのはてんで眼中にない、こういうことが明らかに言えると思う。だから、そういう法律などというものはあってもなくても同じなんだ、そんなものは眼中におく必要はないのだ、こういう考え方が基本に流れているのではないかという感じがする。したがって、私どもは何回か取り上げておりますこの問題が、そういう点において非常に危険を感じますので、法を守る最高の責任者である法務大臣として、いま私が申し上げたような点等をひっくるめて御感想を伺いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 私、実はその統一協会とかなんとかというものは余り研究もいたしておりません。いま先生からいろいろ御説明をいただいた段階でございますが、いずれにしても、私は、日本の法治国家としての法を守るという立場で、法に触れなければそれはどういう行動をいたしましても自由である、これは自由主義のたてまえでございますから。しかし、法に触れるということであれば、それは認めるわけにはいかぬ、私はこういう考え方で、それぞれいかなる問題に対してもそういう立場で処置をいたしてまいりたいと思っております。
○西宮委員 法務大臣たる者はぜひそういう態度を堅持をしてもらいたいと思うのですが、私は、まただんだん機会を得て、そういう問題についていろいろ問題提起して政府の見解をただしていきたいと考えておりますので、ぜひいまの点も基本に据えて処してもらいたいと考えます。
 アメリカの例を引っ張り出して恐縮ですが、またアメリカのやっていることは何でもいいというつもりは毛頭ありませんけれども、いわゆる原理運動、統一協会の問題は、アメリカでは非常な関心を政府が示しておるわけです。たとえば例のフレーザー委員会でもすでに調査に入っておりますし、あるいは向こうの新聞によりますと、税務当局も宗教法人に対してまで課税の立場で調査に入ったという記事が報道されております。それから特にKCIAとの関係ということでずいぶんマスコミをにぎわしているのですよ。私ども向こうのそういうニュースなどについてはきわめて暗いわけですけれども、それでもあちこちからもらった材料などを拾ってみると、ニューヨーク・タイムズなんというのはかなり権威のある新聞だと思いますけれども、あれなども文鮮明の問題についてはしばしば報道をして、たとえば昨年の五月二十五日号でしたか六月二十五日号でしたか、これなどはあのニューヨーク・タイムズのトップに、そしてその次のあの大きなページ一ページをつぶして、不当なそういうやり方を克明に紹介しているわけです。あるいはニューズウイークなんという雑誌は特集号をつくって、一冊の大半を割いてこの問題を指摘をしている。これなどを見ると、日本でやっておるのと全く同じなんですね。そしてその結果あらわれてくる家庭悲劇とかいう点も、日本の親たちと寸分違わないような行動がとられている。したがって、その親たちは子供を返せという運動をしたり、あるいは先刻お留守のときにも申し上げたんだけれども、裁判に訴えてこれは勝訴しております。子供を返せという裁判に勝った。勝つと同時に、文鮮明の方では直ちに控訴をしておりますからまだ最終的な判決は得ていない。こういうことで、市民たちも果敢に闘っているし、同時にそういうマスコミ――これはマスコミは御自由だけれども、政府、つまり税務なりそういう立場で政府がこれに率先して取り組んでいる。さらに、国会が委員会を組織してその調査に入っている。こういうことはぜひ日本でも学ぶべきことだと私は思うのですね。いまここでは参考人を呼ぶか呼ばないかなんということで議論をしているんだけれども、アメリカの国会の取り組み方などを見たら本当に恥ずかしい現状だと思うのです。それではアメリカに比べると日本は被害が少ないのかというと決してそうではないんで、もし公表されている数字が正しいとするならば、この前基督教年鑑に載っておりましたのは、二、三年前あるいは三、四年前の統計でありますが、信者の数十七万と発表しておりました。ことしの三月に発表したところによると二十六万という発表であります。事ほどさように数がふえてくる。それに比例して多くの問題や悲劇がふえていくことになるわけでありますから、この問題はひとり法務大臣だけの問題ではありませんけれども、ぜひ政府の機関がもっと強い関心を持ってこれに取り組んでもらうことを私は要望したいと思うので、最後に、政府の一員であります大臣から一言お考えを聞いて、終わりにいたします。
○福田(一)国務大臣 私、法務大臣の立場から申し上げますならば、日本の国内においていわゆる法に触れるようなことが行われておるということであれば、私としては厳正公平な立場で処理をいたさなければならぬと思います。これは決して先生に言葉を返すという意味ではございませんが、アメリカの場合、たとえばビザでやってきたのが帰らないでいろいろなことをやっているということであれば、実際を言えば当然問題になるのですね。たとえば、アメリカ人が日本へビザでやってきて帰らない、ここでいろいろなことをやっているということになれば日本でも問題にするでしょう。そういう点ではいささか違うと思う。たとえば、日本において宗教活動自体としてやっているのはまた別ですけれども、たとえば寄付金をむやみに集めるとか街頭へ出ていろいろなことをするということになるとこれまた問題があると思う。だから、それぞれの国、それぞれの立場において法を守るという立場でやっていくということだと思うのです。午前中にビザの問題も出ましたが、なかなかむずかしいのですよ。私は決してかばう意味で言っておるわけじゃないのですけれども、なかなか取り締りもむずかしいのですが、具体的に何か事があれば、これはうちは人権擁護局があるのですから、そういうところがしかるべくお骨折りすることができると私は考えておるわけであります。
○西宮委員 一言だけ言って終わりにいたします。
 無論、法に触れる問題は法を基準にして厳重に取り締まっていくということは当然でありますが、私は冒頭にこの問題は人権問題であるということを申し上げて質問に入ったわけであります。さっきの被害を受けている子供さんの問題とかそういった数々の問題があるわけですが、信者になった子供さんたちは、自由な意思で信仰に入り、したがって自由な意思で宗教活動をするというのだから、何をやってもよろしいと言えばそれまでかもしれませんけれども、さっき私が申し上げたように、ほとんど不眠不休の活動を強いられるということはまさに人権問題だと思うのですよ。あるいは親子の間を断絶させられてしまうといったようなことは、親にとっては深刻な人権問題だと考えるわけです。これは単に法律の第何条を適用するという問題だけではなしに、人権問題としてこの問題に対処するなりあるいは調査をするなり積極的にこっちから――いままでの人権擁護局の態度は、何か訴えが出たときにそれに対応して行動を起こすというのが従来のやり方だったと思うのですけれども、こういうふうに問題が明らかになってきたならば、人権擁護局の方から積極的に乗り出して事実を調査するとかいろいろそういうことをやってもいいのじゃないか。人権擁護局はそういう積極面の行動をとってもいいのじゃないか。それで初めて人権の擁護ができる。これはいままでも何遍もみんなが申しましたので、恐らくわかっておるように、被害を受けた人たちも役所に申し出るなんてことはなかなかやらない。できない。あるいはそういうことをすると逆に何かしっぺ返しを食うのじゃないかといったような懸念があるためでもありましょう、とにかくそういう点では非常にちゅうちょをしているというのが実態だと思います。だから、それが現実なんだから、人権擁護局としては、人権擁護という立場から積極的な態度を示してもらうということが私は必要だと考えるのですが、最後に人権擁護局長いかがですか。
○村岡政府委員 この問題は、前回の当委員会の審議でも御答弁いたしましたように、一方信教の自由ということにかかわる非常にむずかしい問題を抱えております。それから、人権擁護局といたしましては、強制的な捜査権等の権限を持っておりません。あくまでも関係当事者の任意の協力を得て、任意の処理を図るというのが使命でございます。その点も踏まえつつ、この問題について、人権擁護機関としてどういうことができるか、また、どういうことをなすべきであるかということを総合的にいま検討しているところでございます。
 なお、関係者から人権相談等の機会に相談を受けることもありますので、それにいかに対処するかということもあわせまして現在検討しておりますが、その前提といたしまして、情報を集めることが必要でございます。その観点から、今月の十一日に東京法務局の係官に指示いたしまして、協会の幹部に面接させまして、一般的な協会の事情を聴取いたしました。その際、問題点が出ました中に、まず、子供が家出して、親がその所在がつかめない。仮に所在がわかっても、会うことができない。これは、子供が会いたいというのに連絡しようとするのに、それを妨げているというと、これは人権問題になりますが、子供が通信、連絡をするのを好まないというときに、果たしてそれだけで人権侵犯になるかどうかは問題でございますけれども、その点は、いずれにせよ親子の間がそういうふうに断絶される、通信、交通が途絶えるというのは、人権侵犯になる、ならないは別として、これは非常に望ましからぬことでございまして、そういう子供の所在を教えてくれ、あるいは会いたいというような相談に何とか対処できないものだろうかと考えまして、この点を協会に尋ねたところでは、協会としては、親や親族には協会としても面接をさせるようにしておる。現実に会わせておるというわけです。ただ、その場合に、政治的意図を持った第三者が面会を求めてきても、それは断ることがある、こういうことを申しております。それから、行方がわかりませんときに、もし協会に所属しておるのであれば、何とかその所在を親には教えるように協力しましょう、地方の支部でわからなければ、東京の本部で指示して、その所在をわかるようにするということを言っておりますので、人権相談等でそういうふうな、所在とか調べてくれとか、あるいは連絡、面会をさせてくれというようなことがございましたら、これも父母の会等に連絡いたしまして、そういう方があることをこちらで積極的に調べてみたいと思いますが、そういう方にそういう援助――これは人権侵犯事件として処理するとかなんとかいうことではございませんで、相談に対する援助ということでございますが、こういうことはできるのではないか。いま手始めに何件か着手しているところでございます。ただ、それ以上のことは、なかなかまだむずかしい問題がございますので、目下検討中ということでございます。
○上村委員長 次に、正森成二君。
○正森委員 私は、これからしばらくの間、統一協会あるいは原理運動と呼ばれている組織について、社会的に問題になっている若干の点について質問させていただきたいと思います。ただ、本日まで数回にわたりまして、同僚である横山委員、日野委員、先ほどは西宮委員から詳細な御質問がございましたので、重複する点はなるべく除きまして、できるだけ簡単にさしていただきたいと思います。それで、省略する部分がございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず初めに外務省に伺いますが、先ほど西宮委員の質問に対する答弁では、観光というビザでアメリカへ行っておる、アメリカの移民局から不法滞在であるということになった者が各国で五百八十名ぐらいあり、そのうち日本人関係は三百名弱ではないかと思われるという答弁があったように思います。そこで伺いますが、この三百名ぐらいの人、それはいずれも統一協会関係の人が大部分であろうと思われますが、アメリカの移民局に連絡してその氏名を確認することはできますか。
○遠藤説明員 先ほど御答弁申し上げました二百八十名ぐらいでございますけれども、実は、アメリカ移民局自身も、この五百八十名全体が、ビザ切りかえを拒否したものの、現実にどうも居どころが必ずしもよくわからないらしくて、執行にはかなり問題があるようでございますけれども、いずれにしましてもこの二百八十名につきましては、現在どういうふうな状況にあるのか、アメリカに聞きましても一体どういうふうな返事が返ってくるかは別でございますけれども、アメリカの移民局の方に照会することにいたします。
○正森委員 その二百八十名余りが現実に不法滞在になって、執行状況がどうであるかというのは、住居がわからないというようなことでわからない点があるかもしれませんが、少なくとも、観光ビザで入った者が伝道訓練生ということで切りかえを申請したところそれが許可されないで、アメリカ法によれば不法滞在になっておるという氏名について書類上明らかにすることはできると思うのです、現在どこにおるか、執行状況がどうであるかは別として。それから、その人数を確かめていただいて、うち何名がすでに日本側に自費あるいはその他の方法で帰ってきておるかということは確認することができると思いますが、いかがですか。
○遠藤説明員 アメリカの移民局に照会することは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、ただ、恐らく、日本に帰ったかどうかはアメリカ移民局はわからずに、恐らくアメリカ移民局としては、アメリカにおるのかどうか、あるいは外に出たかどうかだけはあるいは答えていただけるかと思います。
○正森委員 その外に出た者のうち何人が日本に帰ってきておるかということは、日本の入管で調べればわかるのではありませんか。
○吉田(長)政府委員 われわれの方では、現実問題として、ただ帰ってきた人ということで、わからないのでございます。航空会社あるいは本人が入管の方へ、こういうことで帰りました、強制退去になって帰りましたということを申告してもらわない限りわからないのが現状でございます。
○正森委員 それでは、外務省の答弁によりますと、少なくとも二百八十名の不法滞在になった氏名は、これは問い合わせればわかる、そのうち少なくともアメリカを離れたという人間についてはわかるということですか。
○遠藤説明員 この点はアメリカ移民局に照会いたします。
○正森委員 それでは、照会した上でわかります点については後ほど当委員会に御報告を願いたいと思います。
○遠藤説明員 早速アメリカの大使館を通じまして移民局に照会いたすつもりでございますけれども、あるいは若干時間がかかるかと思いますけれども、その点御了承いただきたいと思います。
○正森委員 そこで法務大臣に伺いたいと思いますが、ともかく統一協会あるいは原理運動であるかどうかわかりませんが、観光ということで出て、その後六カ月たって伝道訓練生ということで切りかえたところが許可されない、不法滞在になって、いま外務省の報告によれば二百八十名くらいが不法滞在になっている。それがどの程度日本に帰ってきたかいま調査してもらうようにいたしましたが、もしこういうことが事実であるとすると、日本から観光ということで出国をした人数のうち相当数、三けたに上る人が外国で、特に政府の言明によっても友好関係を誰持しなければならないアメリカで不法滞在になっているということは、日本国の国家的な名誉にかけても、あるいは出入国の行政についても非常に好ましからぬことであるというように言わなければならないと思うのです。そこで、法務大臣としては、外務省からの調査を待って、もしこういう不法滞在が統一協会関係の者であるということになれば、そういう不法滞在を生ずることのないように何らかのルートでこれらの団体に注意を喚起するということは必要ではありませんか。
○福田(一)国務大臣 具体的事実が出た段階において、適当に措置いたしたいと思います。
○正森委員 私はこういう点については十分に考えていただく必要があると思います。一国から観光であるということを言って出ていき、そして伝道訓練生だと言って、不法滞在になっておるのに、なおかつ本国に帰らないで、一国にとどまっておるというような人数が非常にふえるということは、その国との友好関係から見ましても、わが国の名誉の上からいっても非常に好ましくないことであるというように私は考えるものでございます。
 次に、警察庁に対して伺いたいと思いますが、かつて昭和四十八年四月五日にわが党の中路議員が内閣委員会で質問をいたしましたが、主として原理運動の関係の団体が扱ったようでございますが、鋭和3Bという射撃用の空気銃、これはポンプ操作になっているために一般の射撃場では使えないというようなものを韓国から大量に輸入した、そして販売をしたというケースがあるそうであります。
 そこでまず最初に通産省に対して伺いたいと思いますが、昭和四十五年ごろから現在に至るまで、通関統計によれば、このような銃が輸入実績において一体何丁くらいあるのか、まずお答えください。
○山田説明員 昭和四十五年から五十一年にかけまして、通関統計によりますところの韓国からの空気銃の輸入実績は、次のようでございます。四十五年は一丁もございませんでした。四十六年は六千九百九十六丁でございます。四十七年が六千丁ちょうど、四十八年が七千四十丁、四十九年が一千丁、五十年が三百丁、そして五十一年が同じく三百丁でございます。
○正森委員 この銃につきまして、ライフル射撃協会が昭和四十七年三月二十八日に、「いわゆる鋭和3B銃に対する見解について」という文書を出しまして、こう言っているのです。「いわゆる鋭和3B銃と称されるポンプ式空気銃は、その蓄気機構が、二発以上の発射が可能な構造なので下記の様な理由により、本協会の危害予防規定並びに競技規則に照らして、射撃競技用の空気銃としては不適格と判断するので、本協会並びにその加盟団体が主催・主管あるいは後援する競技会に該銃を使用して参加することを禁止する。又本協会が公認する射撃場においても、該銃の使用を禁止する。」こういう通達が出ているわけです。
 その後統一産業側といろいろやりとりがございまして、ここに覚書がございます。昭和四十九年五月十七日の、統一産業株式会社の代表から社団法人日本ライフル射撃協会会長福島慎太郎あてに出された覚書によりますと、いろいろ長いのですが、省略いたしますと、こう言っているのですね。「弊社の商行為によって色々と迷惑を蒙った人々の居る事を知り大変申し訳なく、心よりお詫びいたします。」云々ということで、その中に一項から五項まで改善することを言っておりますが、この中では、改良された銃にはNという刻印を押すということや、あるいは予約金を支払った者に対して銃砲所持の許可がない場合には、当然予約金を返さなければならないのに、それを返さなかったということをやっておりましたので、「予約金を支払った者についてはその全額を返済する」、それから「銃の販売方法については今日まで行なっていた街頭活動を取止める」ということで、一種のわび状と見られるものを出しているわけであります。
 そこで伺いたいと思うわけですが、ここで指摘されている「銃の販売方法については今日まで行なっていた街頭活動を取止める」と言っているのですが、どういうような不当なあるいは違法と思われる街頭行為があったので取りやめることになったのか、警察庁としてつかんでおりますか。
○柳館説明員 統一協会関係の空気銃、昭和四十三年当時でございますけれども、これはいまの鋭和3Bではございませんで、B3の方でございます。(正森委員「散弾銃」と呼ぶ)散弾銃でございます。それの販売をめぐって当時十三件の検挙をいたしております。しかし、その後におきましては特に統計をとっておりませんので、詳細はわかりません。
○正森委員 昭和四十三年ごろには散弾銃としてわが国に入ってまいりまして、これが鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律から見て非常に問題があるということになったと私は承知しておりますが、間違いありませんか。
○柳館説明員 そのとおりでございます。
○正森委員 その後そういうように十三件にわたって検挙されましたので、散弾銃を単発銃に変えたのですね。
○柳館説明員 その後、空気散弾銃は狩猟にも使えないし、さらには標的射撃にも使えないということにもなっておりまして、現在このようなものは許可いたしておりません。
○正森委員 それで、わが党の中路委員などが調査したところによりますと、散弾銃から単発式の空気銃にかわりました場合に、販売をするときにいわゆる空撃ちというのを買いに来た人に対してやらしておる。あるいは青年を銃砲刀剣の関係の店へ引っ張っていって、それでこういう効能があるんだということで購買心をそそる。中には、販売をするときにコンクリートの壁などに実際に弾を発射してその威力を示す。報告されているところでは、厚さ二センチの板で十メートル離れたところで試射をやったらその板を貫くとか、一・六ミリの鉄板を空気を最高に詰めた場合にはぶち抜いておるというようなことが報告されておるわけですね。
 そこで、現実に販売のやり方でこれは不行き届きの点があったということを続一産業側が認めて、やめると言っているのですね。やめると言うからには、やめなければならないようなやり方をやっておったと思うのですが、今国会でも、政府はモデルガンについてまで非常に厳しい制限をする法律を、私の承知しているところではしているのですね。それに対して、現に統一産業側がこれは改善しなければならない、こう言っていることについてあなた方は余りつかんでいないのですか。
○柳館説明員 銃刀法違反はいろいろあるわけでございます。ただいま先生のおっしゃったことで申し上げますと、所持違反も成り立ちますし、仮に事実であるとすれば発射制限違反その他いろいろな違反があるわけでございます。ただ、私ども残念ながら統計を、党派的あるいは人によってということで、党派別とかあるいは思想別とか、そういうことによっておりませんので、現実にどのくらいあったかということは統計上把握できない状態になっておるわけでございます。
○正森委員 鋭和3Bのうち銃砲刀剣類等所持取締法によって所持を許されるに至った銃というのは何丁ありますか。
○柳館説明員 現在、統計上メーカー別にとっておりませんので、鋭和3Bが何丁あるかということについてはわからないという状態でございます。
○正森委員 昭和四十八年四月の内閣委員会では、七千七百四丁が所持許可になっておるというように答弁しておるのです。四十八年のときにわかったものが、五十二年にわからないというのはおかしいんじゃないですか。
○柳館説明員 昭和四十八年に七千七百四丁所持許可をしておるということは答弁があるわけでございますけれども、どうしてそれがわかったかということを調査してみますと、全部にわたって一つ一つ悉皆的に当たって探し出した、その結果が七千七百四丁である、こういうことでございます。したがいまして、現在もそういう調査方法をやればわかるわけでございます。
○正森委員 私がなぜこういうことを言うかといいますと、七千七百四丁というのは、先ほど通産省から答弁してもらったように、通関統計による実際に入ってきた数から見ると著しく少ないわけです。そうすると、それ以外は銃砲刀剣の許可を持たないでどこかに保管されているかあるいは使っているということにならざるを得ないわけです。そうすると、これは非常に問題であって、やはり治安当局としてはよく調べておく必要があるんじゃないか。しかも、それを扱っておる会社が、売り方だとかあるいは街頭行為が非常に問題があるということを自分で認めているわけですから、そういう文書をライフル協会側に出しているわけですから、これが全然問題のない銃ではないという点から見ると、四十八年に悉皆調査をやったのであれば、やはり現段階でも、国会でこれだけ問題になっているのですから、悉皆調査をやる必要があるのではないか、こう思うのです。そして特に、協会が四十九年までに言うておるところを見ると射撃場で射撃をしてはいかぬ、こう言うておるのです。そうすると使えないわけです。そのときの速記録によりますと、特に鋭和3B銃を使う射撃場を八カ所だけつくった、こう言うておるのです。そうしますと、大部分の銃というのは実際上は使わない銃である。あなた方の用語で言ういわゆる眠り銃ですね。眠り銃だということになれば、免許があっても免許を返上するとか、しかるべき手続をしなければならないということをあなた方はいろいろなときに公言しておるのですね。どうしてこの鋭和3B銃についてはそういうような正常な取り締り方法をしないのですか。
○柳館説明員 いかなる銃につきましても一年に一度全数につきまして検査をいたしておるわけでございますが、その際に、個別的に具体的に一人一人あるいは一丁一丁につきまして、これは継続して持たせていいものであるかどうかということの判断をいたしておるわけでございます。したがって、原理運動に参加している人であるかどうかというようなことでそれが適切であるかあるいは不適切であるかということではなしに、個別的に判断をいたしておりますので、私どもはいま適切に事務を進めておるものだというふうに考えております。
○正森委員 私は鋭和3B銃について聞いておる場合には、持っている人が統一協会に入信しておるかどうかというようなことは一曹も聞いてないのです。銃そのものの性格から言って、またライフル協会とのそういう覚書から言って、これらの銃については調べる必要があるのではないか、こう言うておるので、銃を持っている人の思想を調べよというようなことは私はいまの質問では一言も言うてない。
 ですから、その点については、いま私が指摘しているような問題がある以上、通産省が言った通関統計で幾ら入って、銃砲刀剣の所持の許可を取っておるものが幾つで、それは実際に使用されて眠り銃に該当しないのか、また所持の許可を取っておらないものは一体どこに保管されておるのかという点については、やはり関心を持って承知しておくのが当然ではないか。
 また、ある情報によれば、これらは統一産業と統一協会とは同じ地番のところにあるわけですから、そこにまとめて保管されておるという父母の会からの訴えもあるのです。そうだとしますと、数千丁という大量の銃がそういうところに保管されているということになれば、これは治安上も必ずしも好ましくないということは言えるわけですから、それらの点について調査して、そして適当な機会に当委員会に報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○柳館説明員 ただいまのような情報もあるといたしますと、私どもとしては関心を持たざるを得ないということでございます。したがいまして、どの程度やれるかわかりませんけれども、できるだけのことはしてみたいと思っております。
○正森委員 これが横山委員なら、できるだけのことをしてみたいと言えば、また大声を発するところでありますけれども、私はきょうのところはそれをやらないで、あなたのできる限りという言葉をそのまま信用しますから、やはりこういう銃についてはきちんと調査をするということをぜひお願いしたいと思います。
 法務大臣に伺います。
 法務大臣は、いやしくも法に反する者は取り締まらなければならないと言われましたけれども、私が指摘しましたように、モデルガンについてさえ――モテルガンというのは銃身か全部詰まっているのです。そして色は黄色にぴかぴか光るようになっておる。それでもまだ不十分だということで今国会に改正を出しているのでしょう。それぐらい一生懸命治安について、暴力団に利用されないかというようなことで気を使っておる法務当局が、こういうような性能の銃について十分に調査していないということは、これは決して行政の立場から見ても好ましくない、こう思います。いま調べる当面の責任は警察庁ということでございますが、法務省当局としてもこれらの点について関心をお持ちになっていただきたいと思いますが、いかがです。
○福田(一)国務大臣 いま先生と政府委員との問答を伺っておりまして、これは関心を持たなければならない問題だとは思いますけれども、われわれには手だてはないわけでございます。
○正森委員 そこで、今度は国税庁に伺いたいと思います。私はいろいろ説明をしなければならないのですが、そうしますとまた時間がかかりますので、横山委員なりその他の委員が質問されたことを前提にして伺いますので、その点を御了承願いたいと思います。
 要約いたしますと、他の委員が質問をされましたのは、たとえば入信した者が、献身というのですか、ニンジン茶を売ってその収益を全部差し出すとか、あるいは花売りをするとか、あるいはこの鋭和3Bの銃もそういう募金活動、資金活動の一環に使われたのかもしれませんが、そういうことで財政活動を行っておるということが指摘されました。これについては私はそれを概括的に前提として伺いたいと思いますが、昭和三十一年四月十一日に猪俣委員が立正佼成会の問題についてお聞きになっております。ここでの質疑応答か非常に参考になりますので、これらを参考にしながら私は徴税の問題について伺いたいと思います。
 宗教法人というのは、これは収益事業から生ずる所得以外に対しては課税をしない、逆に、収益事業から生ずる所得は課税する、こういうことが決まっておるというように私は承知しております。そして、いかなるものを収益事業というのかについては、施行規則で、各号列挙主義で明記しており、その中に物品販売業というのが入っておるというように承知しておりますが、間違いありませんか。
○北村説明員 先生いまお尋ねのとおりでございまして、公益法人が収益事業を営みます場合は、法人税の納税義務がある。収益事業の範囲は、法人税法の施行令第五条に列挙されておりまして、物品販売業はその中の第一号に書いてございます。
○正森委員 そこで、私は伺いたいと思うのです。
 いま守秘義務の関係で、西宮先生には明確にお答えにならずに、公示制度があるから四千万以上についてはわかる範囲内でお答えできるというように答弁されました。そうですか。
○北村説明員 公示されている所得については、公になっているということを申し上げたわけでございます。
○正森委員 したがって、公になっていることは、おまえの方で知っておるだろうけれども、答えようと思ったら答えられるのだということを含んでいるのでしょう。
○北村説明員 承知しておればお答えいたします。
○正森委員 守秘義務というのは、承知しておっても答えられないのを守秘義務というのでしょう。だから、承知しておって答えられるなら、答えられるということじゃないですか。そんなもったいをつけないで、もうちょっと腹を打ち割って答弁しなさいよ。何もいま答えろと言っていないのだから、答えられる筋合いのものかと聞いておるのだから。
○北村説明員 おっしゃるとおりでございます。
○正森委員 それでは、そういうことを前提にして私は伺います。
 結局、各委員からお聞きになったことを、時間の点で私が総合してお話ししますと、統一協会というのは、たとえば統一産業とかあるいは世一観光とか、その他いろいろ関連団体があって、これは株式会社であり、商業登記もなされておる。たとえば、ニンジン茶であるとか花であるとかいうのは、これらの営利を目的とする会社が仕入れるなりあるいはつくって、そしてこれを統一協会に、俗にいうところの卸値で卸す。したがって、これらの営利会社は、それだけによって営業が成り立つ程度のもうけはするけれども、余り大きな利益にはならない場合が多かろうと思うのですね。ある程度の卸値で仕入れたものを、入信した信者が街頭や縁故をたどって一生懸命売りさばくということで、たとえばニンジン茶の場合だったら七千円で売るとか、お花の場合だったら三十円ぐらいのものを三百円で売るとか、そういうことになって、各委員がいまおっしゃったように、利益を上げるということになると思うのですね。そして、実際に第一線で働いておる入信した純真な青年は、献身であるということで、ホームなどに入っておって、食費などは支給されますけれども、それ以外は全部統一協会に献金ということで差し出す。したがって、これは統一協会から見れば、収益事業ではない、献金ないしは寄付金であるということで、課税対象にはなっていないのじゃないかと思われるのですが、いかがです。
○北村説明員 いまのお尋ねは、個々の納税者の課税関係にわたると思いますので、答弁は御容赦いただきたいと思います。
○正森委員 もう一遍言ってください。よく聞こえない。
○北村説明員 いまのお尋ねは、個々の納税者の課税の内容にわたる問題だと思いますので……
○正森委員 何を言っているのですか、あなた。私が正森成二とか北村何某というようなことをだれが言いましたか。一般論としてこういうことじゃないかと言うて聞いているのじゃないですか。
○北村説明員 一般論としてお答えいたしますが、宗教法人、これは公益法人でございますので、法人税法で先ほど申し上げましたように列挙されております収益事業に該当するものを営んでいる場合には、これは法人税の課税対象になります。
○正森委員 そんなことは言わぬでもわかっているよ。収益事業でやっているものは課税の対象になると言っているけれども、この統一協会ということで各委員から指摘されたことは、純粋な収益事業という形をとらずに、卸値で自分のところが買って、それを入信した者が一生懸命売る、そしてもうけは上がるのでしょうけれども、自分たちはホームに入って、一番最低の生活だけして、そして収益は全部献金するという形をとっておるようであるから、そうだとすれば、これは営利事業じゃなしに、あるいは物品販売とは観念せずに、献金であるというようになれば、これは結局税金がかからない、そういう行為になるのではないか、こう聞いているのです。
○北村説明員 個々の営利企業でそれを担当しておれば、当然個々の営利企業の所得でございますし、それが個人の所得ということでございましたら、個人の所得として課税されるものでございまして、寄付金、献金といったようなものは、個人の所得の処分としてなされておるということは、課税関係は生じ心ないわけでございます。
○正森委員 一般論としてお答えになりましたが、それを整理するとこういうことになると思うのですね。結局、もし入信者がニンジン茶であれお花であれ、自分で一たん卸値で買ってそれを売りさばいて、そして自分の最低生活以外は全部献金しておるということになれば、観念上はその個人が物品販売業を営んでおることになるから、この人は献金をする前の所得について一たん所得税を取られて、そしてそれ以外のものは全部献金するというかっこうにならなければならないと思うのですね。もし統一協会がこれらの人を自分たちの公益法人の従事者といいますか、そういうかっこうで雇っておるとするならば、たとえ宗教法人であっても、自分が給料を払っておる者については、これは給料を払い、それについては源泉所得を納めなければならない。また物品販売から収益が上がるならば、その公益法人の収益事業になりますから、これについてはやはり税金を払わなければならない、こういうどちらかになるわけでしょう。そうじゃないですか。
○北村説明員 当該法人に雇用されておれば、その所得について、課税所得に達していれば、当然源泉所得税が徴収されるということでございます。それから、それが雇用関係としてその職務に従事しておるということであれば、その収益は当該法人に帰するということになるわけでございます。
○正森委員 そこで、私は国税庁にお願いしたいと思うのです。いま各委員が言われたように、何日間で何百万円とか非常な収益を上げているということが指摘されているわけですね。そこで私は、すべてについて調べることが仮に困難であっても、いま文部省も調べているようでありますが、全国にホームというものが幾つかあるということは、調べればすぐわかると思うのですね。そのホームに居住している人は、別に職業を持っている人もまれにあるでしょうけれども、大部分はその物品販売活動に従事しているわけですね。そこで、こういう人が統一神霊協会の従業員としてやっておるのか。そうだとすれば、従業員としての名簿を整えて、源泉所得を払って、必要な手続をとっておらなければ、当該公益法人としては違法になるわけでしょう。もしそういうぐあいに届けておらないということになれば、あるいはその個々の人が自分で請け負って仕事をして、ホームには単に下宿か何かのようにおって、自分の責任で可処分所得を、一部分はホームの費用に使い、大部分は献金するというかっこうになりますね。これらの人がもし自主申告をしておらなければ、これはやはり所得税の脱税になるという関係になると思うのですが、いかがですか。
○北村説明員 個人の方が事業として物品販売をしていて、当該所得について申告すべき状態でありながら申告していないということであれば、当然申告すべき税を払っていないということでございます。
○正森委員 以上、一般論としてはお認めになりましたから、国会で各委員からこれだけ問題になったわけですから、ホームについて、それぞれそこにおる販売活動に従事しておる人の氏名、あるいはその所得額、あるいは雇用形態、雇用形態でなしにたまたまそのホームを宿に貸しておるだけかどうか、そこら辺を調べて、課税金額があるなら統一協会に課税するか、あるいは個々の物品販売に従事しておる人の事業所得について課税するか、そこら辺はすっきりいたしませんと、この法治国家の中ですべての国民は納税の義務を負うわけですから、それが宗教活動であるということで事実上脱法行為が許されるということは許されないわけですから、その点をはっきりすべきであると思いますが、それをやる意思がありますか。
○北村説明員 いまお尋ねの協会あるいは関連企業、個人等を含めまして課税関係をどう考えるかということにつきましては、当局といたしましてもいろいろ情報資料の収集に努めまして、適正な課税処理をいたしたいというふうに考えております。
○正森委員 法務大臣に伺います。
 われわれは、ロッキード事件について、児玉譽士夫については所得税法違反とか外為法違反ということで追及をしておるわけです。もちろんこれはロッキード事件の関係上絶対にやらなければならないことでございますが、同時に、そういう関係ではございませんでしても、たとえ宗教の名前を使おうと、あるいは営利会社の名前を使おうと、事実上の大規模な脱税行為が行われておるということが仮にありとすれば、法の適正な運用を心がける法務省としては、国税庁と協力して厳正な処置をしなければならない、こう思うのですが、法務大臣の所見を承りたいと思います。
○福田(一)国務大臣 税務の関係について、税関係の法律があるわけでございますから、これはもう国税庁の方で処理をされるべきものであると考えます。
○正森委員 それでは刑事局長に伺いたいと思います。
 この点につきましては、速記録を調べさせていただきましたら、すでに日野委員が御質問になったところでございますけれども、もう一度伺いたいと思いますが、御承知のように、大阪の地方裁判所で昭和四十九年四月三日に、初めの起訴罪名は不法監禁致死でございましたが、被告人田口民也という者について判決が行われたと思いますが、これは確定をしましたかどうか。それから、不法監禁致死の罪名が認定上どういう罪名に変わりましたか、お答えください。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の判決は、昭和四十九年四月十八日に確定いたしております。起訴罪名は監禁致死でありましたが、その後、公判の推移によりまして、監禁及び保護責任者遺棄致死の訴因を予備的に追加いたしまして、裁判所では後者の罪名で有罪といたしております。
○正森委員 したがって、傷害致死というので、重きに従って処断するということになったわけですね。
○伊藤(榮)政府委員 そのとおりです。
○正森委員 そこで、私は若干の指摘をしたいと思うのですが、判決については同僚委員の質問に対しまして刑事局長が御丁寧に御朗読になりましたから、省略いたします。
 この事件についての検察側の論告要旨というのがあります。これを読みますと、非常に興味深いことが書いてありますので、私が要点を読むことをお許し願いたいと思います。こう書いてあるのです。
 (1) 被害者が合宿三日目の七月八日ごろ、講義中、大声を出したり、四つんばいになってまわったりし、七月十三日午前二時ごろ敷布団の上でつばをはき、手足をバタバタさせて、けいれんを起こしたので、下布団ごと廊下にかつぎ出し、そこで押えつけたりしたのち空いている北側の部屋に入れた。この現象を被告人らは霊的現象と呼ぶが精神病の発作であるとは医者がみていないのでいえない。かかる異常行動をとるようになったのは、被害者が研修にくるまで正常であったこと、精神病の家系ではないこと等からしても研修の内容と方法がその原因となっているといえる。
 (2) 被告人の指示で数名でもって被害者を押えて、でん部を手でなぐったりし、更に両手首と両足首をタオル、子を背負うヒモ等でしばり、サラシを買いに行かせ、これでしばりかえたうえその自由を奪い横臥させ、その部屋から出ないよう交代で監視させた。
 (3)は、緊縛して非常に強く締めたということを言っておりますので、省略します。
 (4) 十三日午後四−五時頃、被害者は両手のしばってあった布をちぎり、西側の窓から飛降りようとした。この時監視していた上島範昭が被害者をとめようとして足首をつかみ、二人が高さ四・六メートルもあるところから下に落ちた。この際、被害者のことを本当に考えていたのなら医者に見せると思われるが、土居正ら二名位で被害者をかつぐようにしてまた二階の部屋に入れ手をしばっている。
 (5) 十四日午後、被害者は部屋の外へ出ようとしてピョンピョンとはね 窓側のガラスに体当たりして廊下に出たが また部屋の中に入れられ強くしばりなおされている。
 (6) この間被害者は食事をとっておらず、僅かにメロンを少したべたのみであり 夏の暑いときに両方の窓を閉め切った部屋に入れられていたものである。
 (7) 被害者の体には写真及び鑑定書によってもあきらかな如く体全体に多数の皮下出血がある。その範囲は広汎にわたり被害者がこの部屋に入れられてからできたものであることはあきらかである。
中略します。
 二、 看護行為――違法性がないという点について 被害者は手足をケイレンさせ、つばきをはき、てんかん状態をおこしたのみであり他人に実際に危害を加えたこともないし、さしせまった必要がないのに手足をしばり横にさせていたこと、身体には相当の損傷ができていたこと、親にも連絡せず、医師にも見せず、暑いのに部屋の中に入れておき 食事をとっていないということを知りながらこれを放置していたこと何ら治療行為はしていないこと等からして被告人らのとった行為が社会的に相当な行為であり、違法性のない看護行為だとはとうていいえないし、このことは被告人も認識していたものである。
云々というように論告要旨ではなっております。
 これは恐らく論告要旨としては間違いなくこういう論告をしたものであると思いますが、いかがです。
○伊藤(榮)政府委員 恐らくそのとおりだろうと思います。
 ただし、ただいまお読み上げになりますときに若干読み違いがありましたが、その点は除きます。
○正森委員 リコピーで、読めない部分がありますから、私が大体類推で読んだのですが、それから数行省略した点があります。そういう点のことをおっしゃっているのだろうと思いますが、大部分はここに書かれてあるとおりだというように思うのですね。
 そういたしますと、この事件というのは、結局七月八日に講義中、大声を出したり四つんばいになって回る、七月十三日にはつばを吐いたり手足をばたばたさせてけいれんを起こすというような症状まで起こしたのに、それを霊的現象であるということで、手足を縛ってまる二日間監視をしておる。そんな手足を縛られて、一部はほどいたのでしょうけれども、四・五メートルも六メートルもあるところから飛びおりて一緒に落ちたりすれば、これは相当なけがをする可能性もあると思うのですね。ところが、これをしも看護行為であるということで、親にも連絡せず、医師にも診せなかったということになるわけですから、これは修練会における模様のようでありますけれども、明らかに行き過ぎであるということで、判決のような内容になったと思うのですね。検察側はもちろん公序良俗から見て許せないということで起訴されたのだと思いますが、そうですか。
○伊藤(榮)政府委員 大体そのとおりだと思います。
○正森委員 そこで、私は文部省当局にもちょっと聞いておきたいと思うのですが、これも日野委員が前におっしゃいましたので、私はなるべく重複はしたくないのですが、日野委員が省略された点もありますので申しますと、これは決して大阪の茨木で起こった特異な事件ではないのですね。修練会というのが皆こういうことになり得る潜在的可能性を含んでおるということは十分に言えることであるというように思う点を文部省当局及び法務当局に注意を喚起しておきたい、こう思うのです。
 これは新聞やあるいは週刊誌に載りました手記でございますけれども、こう書いておるのですね。
 二週間の特別修練会に参加する。本格的スケジュールだった。
  前半一週間が「原理講論」を土台にした講義。つづいて勝共講義と資金獲得の花売り、統一原理演習(自分の習得力を発表するもの)。しめくくりの二十四時間祈とうを除けば、朝六時から夜十二時までびっしり。がっくりして床につく前には反省文の評価も受けた。
  たが、たった一つの疑問――それは講義のさい、一切の質問が許されなかったことだ。質問しようとすると「最初から疑うことは邪悪です。もっと素直になりなさい」――。
こういうことになっているのですね。一連の講義のうち、堕落論を説かれたときが一番衝撃的だったというようなことを言い、
 「人類はどのようにして原罪を負うことになったか」。
  大先生(注、文鮮明教祖)の教えを平たくいうと、人類の母エバを誘惑“善悪を知る木の実”を食べさせた「ヘビ」は天使長ルーシェルの堕落したなれの果て「サタン」の姿であり「木の実を取って食べた」のはエバとサタンが不倫な交わりをしたこと。そしてこの不倫な交わりのため、人類の血の中にサタンの血が流れ、原罪を負うことになった――。
  文字にしてしまえばこれだけのことだが、講師の声は天の声となって降り注ぐ。
  「だから、エバ=女性は堕落の始まりであり、それによって同時発生した諸悪の根源を持っている」。
  指さすわけではないのに、一人一人に短刀を突きつけるように、人類社会の、そして各自の原罪を認めよ、と迫ってくる。
  胸に手を当てるまでもなく、けがれ、怠惰、ずるさ、しっと心など女(人間)のいやらしさが私にもある。そこを矢つぎばやに突かれると、もう逃げ場はない。深夜、受講者たちは異様に揺れた。
  一人が悲鳴を上げる。バッタリとのめり、タタミに顔をすりつけて神に許しをこう。へなへなと、あるものは放心した。髪をかきむしり、叫び声を上げる多くの受講者たち。それは鬼気迫る“集団”そのものだった。
  しかも、徹底的に打ちのめしたあと、一本のワラが投げられる。
  「でも、救われる道はあるんです。再臨のキリスト(文鮮明教祖)によってのみ血は清められ、同じように清められた男性との結婚によってのみ原罪は取り除かれる」。
  ワラにも取りすがるように、ふりしぼるような声か出る。「助けてください」――。私も心の中をズタズタにされ、そこには別の自分があったように思う。「統一原理」の一つのヤマだった。
こういうぐあいに脱会した人が自分の感想を言うておるのですね。
 また、この人は同じように親友を誘ったわけですが、その親友を修練会に連れ出したところが、堕落論を学んだときに、
  かつての同期の受講者がそうであったように、彼女も深夜の講義を聞くうち、大声をはり上げ、ついに錯乱状態に陥った。彼女は耐えられず、真冬の凍るような厚木の修練所をハダシのまま逃げ出した。それを車で追う先輩たち。捕まった彼女は力ずくで車に押し込められ、間もなく連れ戻された。
  普通なら精神科医の門をたたくところだが、この世界は違う。色をなした伝道師たちは叫びながら彼女を取り巻いて“悪魔”(サタン)の追い出しにかかる。
  「いま、神とサタンが格闘している。間もなくサタンは神の前に屈伏するだろう。勝つのは近い。祈りなさい」
  しかし、彼女の中のサタンは幸か不幸か追い出されず、狂乱状態は一向に治まらない。彼女の体内には実は新しい生命が芽ばえていた。その微妙な時期に、「堕落論」をぶたれ、おなかの子は“サタンの子”と迫られて、だれよりもショックを受けたに違いない。
云々というように書いてあるのですね。
 なお興味ある点がありますけれども、時間の関係で省略をいたします。つまり、修練会でこういうぐあいに朝の六時から夜の十二時まで、ものすごく一方的な考え方をぶつけられて、そして、その中で大声を上げたりつばを吐いたりするような症状に陥る。中には、はだしで外へ逃げ出すような者があれば、それを力ずくで押さえて、その女性が妊娠しているにもかかわらず、おまえのおなかの中の子はサタンだ、いまサタンと神が争っているのだというようなことで、医者にも診せない、父母にももちろん連絡しないというようなことが修練会で通常に行われているとすれば、これは各地からの報告で、そういうことが、同僚委員の指摘からもあるようですけれども、そうすれば、茨木のような事件は氷山の一角であって、そこまで至らないにしても、それに近いことはあちらこちらで起こるというのは、これは十分に考えられることであります。そういうようなことがあるとすれば、これは宗教の名前によっても、こういうことは慎むのが当然であるというように私は思うのです。人権擁護局長、いかが思われますか。
○村岡政府委員 そのような報道、資料等があることは承知いたしておりますが、私どもといたしましては、できれば、実際に体験した方々から直接事情を聴取したいと考えて、その方策を検討しておるところでございます。その辺の修練会における教育、指導の方法等について統一協会側からも一応の事情聴取はいたしましたけれども、もとよりそういう不法不当なことが行われているという陳述は得られておりませんが、なお検討してまいりたいと思っております。
○正森委員 私は原理運動関係についてはこの程度できょうは終わりたいと思いますが、いまお聞きになりましたように、人権擁護局長もそういうように修練会に出てその後脱会したような人から実情を聞きたいということを言うておるのですね。そして、同僚の横山委員が言うておられることは、まさに、この委員会でそれなら参考人を呼んでそういう点を聞いてみたらどうかということを言うておるのです。私は、人権擁護局長の答弁からいたしましても、横山委員などの御主張については、十分に道理があるというように考えなければならないと思います。この点については、なお理事会等で委員長並びに同僚委員に私からもお願いしたいということを保留して、この点についての私の質問は終わらせていただきたいと思います。
 それでは次に、私は一昨日、四月十八日に大村の収容所を調査してまいりましたので、その関係について簡単に質問をいたしまして私の質問を終わりたいと思います。法務大臣、もし御用がございましたら、最後に聞きたいこともございますが、別の機会に聞きますので、どうぞお帰りください。
 時間が大分遅くなりましたので、要点のみ質問させていただきたいと思います。
 私は、四月十八日に、入管当局の御好意もございまして、大村収容所を視察する機会に恵まれました。その機会にいろいろ御説明もいただきましたが、なお若干の問題について私からお伺いをいたしたいと思います。
 その節に、私と米田東吾先生あてに説明書をいただきましたが、その第五項を見ますと、「被収容者の処遇および日常生活」という項目がございます。その項目には、「収容業務の目的が送還までのいわゆる船待ち滞在の性格を有するところから、保安上支障のない範囲内で、できる限り自由を与えるとともに、民族的な風習、生活様式を尊重した処遇を行っている。」こう記載されております。ここで私が指摘したいのは、「収容業務の目的が送還までのいわゆる船待ち滞在の性格を有する」と記載されている点でございます。この点については間違いございませんか。
○吉田(長)政府委員 お説のとおり、原則として、強制送還のための船待ちの間収容所に入ってもらうということでございます。
○正森委員 そこで私から伺いたいと思いますが、私どもが調査いたしましたときに、四月一日現在で御報告を求めましたところ、収容者の収容期間についての一定の御説明がございました。その後一私が聞きますと、現在では百二十七名、私どもが依頼しました調査の時点は四月一日でございましたから、現在では百二十七名だということになっておりますが、その百二十七名を基準にして、一年未満の数、二年未満の数、二年以上三年未満の数、三年以上の数について、もしおわかりになれば御答弁いただきたいと思います。
○吉田(長)政府委員 ただいま私の手元にあるのは百二名、四月一日現在の内訳でございますが、それでよろしゅうございますか。
○正森委員 もし百二十七名のがわかればと思ったんですが、なければ結構です。
○吉田(長)政府委員 二十歳未満の方はゼロでございます。四十歳未満が……
○正森委員 いや、違う違う。時間がないから要点だけ聞いているんです。
○吉田(長)政府委員 失礼しました。収容期間別でございますか。
○正森委員 そうです。
○吉田(長)政府委員 一年未満か七十五名、一年以上二年未満が十五名、二年以上三年未満が十名、三年以上が二人ということになっております。
○正森委員 そこで、私は特に指摘をしたいんですが、実は四月一日に同僚の横山委員が質問をされているわけですが、横山委員は、収容所の性格を指摘して、それについて二年、三年、四年というように長く収容しているというのは好ましくないんじゃないかという意味のことを非常に簡単に要約しているんですが、そういうように言われた点について、吉田さんがこうお答えになっているんですね。「第二点でございますが、実はこの三月末に、先生のいまおっしゃっていた、長期に大村に収容している人たち二人を釈放いたしまして、こういう先生の御指摘の点は一十分慎重に考えて逐次実行に移していく方針でございます。」こう答えておられるわけです。こういう御答弁の態度は、私どもがいただいた説明書きの、帰国のための船待ちといいますか、そういう性格のものであるということと符合をしていると思うんです。そうしますと、いまの御答弁の中で三年以上が二名おる、それから二年以上三年未満というような者もやはり十名おるということになりますと、この十二名ぐらいについては、これは船待ちのための滞在であるということになりますと、幾ら何でも、船待ちの滞在を二年以上するというのは待ちくたびれるわけでありますから、そういう点については仮放免の基準を若干緩和して、そして本当に船待ちが必要になったときに再収容するという措置をやはりとる必要があるんじゃないかというように思いますが、いかがです。
○吉田(長)政府委員 最初の私の答弁で少し言葉足らずの点がありましたので、ちょっと付言さしていただきます。
 もちろん船待ちでございます。しかし、もう一つ目的がございます。それは、強制退去を受けている人は正式にはわが国に在留を許さないということでございます。したがいまして、収容しているということは、在留活動を許さないという意味もございます。その点が足りませんでしたので、補足さしていただきます。
 それからもう一つ、次の問題でございますが、なるほど船待ちなどにどうして長引くかということでございますが、もちろん長く置いておくことがわれわれの本意じゃございません。ただ、どうしてそういうことが出てきたかという原因をちょっと御説明さしていただきます。
 収容者の中には行政訴訟を起こしている方がございます。それで、現に訴訟が係属中でございまして、なおかつ、送還部分の執行停止の決定が裁判所からございますと、その場合には送還できないのは御承知のとおりでございます。また、被収容者の本国の政府がその人たちを引き取るのを留保しておる、こういうことがあって、長く収容されている方が出てきているわけでございます。普通の場合を言いますと、大体年間五百人前後は、あすこへ入りまして二、三カ月ごとに船で帰っているわけでございまして、例外的にこういう長期の、三年に及ぶ方も出てきたということで、それはいま申しましたような原因でございます。
 したがいまして、入管当局といたしましては、まずその行政訴訟を起こしている裁判でございますが、この裁判をできるだけ早めてもらいたい、こういうことをその関係者に要請をいたしております。そうすれば、裁判の決着が早くつけば、この長期収容というのがなくなるわけでございます。
 もう一つ、相手国政府が引き取りを留保している。これはまた相手国政府と外交交渉をいたして、私が着任いたしまして去年の秋からいたしておりまして、大分いいとこまで来ておるのですけれども、まだ最後のところまで来ておりません。これも非常に外交上の努力を今後も続けていきたい。
 この二つの原因がなくなりますと、そういう長期というのは非常に減ってしまうと私は期待しているわけでございます。
○正森委員 いまの御説明で一部分は解明されたと思いますが、しかし、私が現地で聞きましたら、百二名のうち訴訟を提起している者は十八名なんですね。ですからそれは二割に満たない人員である。だからこれで全部を類推することはできないと思いますし、それから相手国政府が引き取らない場合についても、これは交渉を密にすれば恐らく半年とか数カ月以内に結論が出るであろうというものについては、これは収容しておく十分の理由がございますけれども、いま局長が言われたように、ただ船待ちのためだけでなしに、本邦において正当な在留活動が許されないという点を加味しておるわけですから、それはわかるわけですが、しかし、一方において韓国政府との間で十分に送還についての合意がまだ得られない、早急に得られる見込みが現段階ではないというような事案とか、あるいは訴訟を提起したから、これは送還部分の執行停止だけでなしに、収容部分の執行停止が出ればまた別ですがね。それが出ないのに、いつでも仮放免するということになれば、これは何でもかんでも訴訟を起こされるからぐあいが悪いというような配慮があるのかもしれませんけれども、しかし、訴訟を起こしている点について、一定の年月を経てしかもなおかつ一審段階である、勝敗の帰趨がまだ定まらない、それだけ裁判が進行していないというような点については、やはり大村の収容所というのは刑務所ではないのですから、一定の年月を経た者については仮放免基準について若干見直しをするということも必要ではないでしょうか。ですからこそ、横山委員が指摘されて、二名についてはやはり仮放免措置をとられたと思うのですね。
 私どもが現地で聞きましたところでは、仮放免の事由は、本人が病気で収容に耐え得ない場合、家族が病気で看病のために本人が不可欠の場合、及び自費出国でそのための身辺整理のため、この三つは現地で判断ができる、それ以外の場合には本省の警備課長と相談してケース・バイ・ケースでやるというような御意向が非公式に出たと思うのですね。いまここに警備課長と局長がおられますので、私が実際に被収容者と面接いたしましたら、刑務所の場合は二年とか一年半とか決まっているからまだやっていける、ところがここは無期刑みたいなものだから非常に精神的にも困るのだという訴えがあったのですね。その点について、どういうように仮放免基準を長期収容者についてお考えになるか。この席でもし答えられればできるだけ答えてください。
○吉田(長)政府委員 先生、現場を御視察いただいていろいろおわかりいただいたことをわれわれは非常にうれしく思っております。
 ただいま申しましたように、その船待ちともう一つ在留資格制度を、仮放免して自由に生活できるとなると、その制度が崩れてくるということ、それは防がなくちゃならないという、この原則が非常にございまして、そうじゃないと、訴訟を起こさずに真っすぐに帰った人は送還船に乗って帰っちゃう、がんばっている人は仮放免されて自由に何の拘束もなしに日本に在留できる、こういう非常な不平等が生じてくるわけでございます。この不平等を何とかしてなくしていきたいというのがわれわれの念願でございます。ただ、そうかといって、未来永劫に収容を続けていていいということを決してわれわれは考えておるわけではございません。もちろん、いま先生がおっしゃったように、たとえば本人が病気であるとか、家族が病気でその本人がいなければどうしても看病ができないとか、そういう人道上の問題とか、それからまた中には、送還船を待たずに自分で帰ります、こういう人もございます。そういう人は帰国準備するためにということ、そういういろいろなときには例外的に仮放免をいたしております。
○正森委員 それは私どもよくわかっておるのです、お答えがあったわけですから。そうではあるんだけれども、二年を超え三年を超えるという者についてやはり仮放免基準というものを考えなければいけないのじゃないかという問題指摘を私がしているわけです。また、仮放免をしましても、無条件に特在と言うんですか、特別在留許可を与えるんではなしに、韓国政府との間でこういう事案については強制送還を受け入れるという了解ができたような場合とかいろいろな場合には、これは仮放免で一定の期間ごとに更新するわけですから、その更新をしない、そして収容して送り帰すということもできるわけでございますから、何も私は、特在を与えろ、こう言うているわけではないわけで、そういう点では、一定の年月以上たった者については、収容の本来の趣旨、刑罰ではないということに照らして、仮放免基準を考えてみる必要があるんではないか、それは、いま私が指摘しました当然仮放免してしかるべき人道上の三つの事由以外に考えてしかるべきことではないかということを申しているんです。
○吉田(長)政府委員 先生のおっしゃる趣旨はわれわれも非常に考えておるのでございますが、初め申しました原則というもの、この原則はやはり貫きたい。しかし、一方人道的な問題がある。したがいまして、原則を崩すわけではない。むやみやたらに崩すことにはやはり反対でございます。ただ、一概に基準と申されますと、人間関係というのは非常に複雑でございまして、個々のケース・バイ・ケースで非常に違うわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、あらゆる要素を勘案して、これは非常に例外的だけれども人道的な考慮から仮放免を許すということがございますし、今後もその例外はまたあることだと考えております。
○正森委員 それでは、なかなかお答えにくい問題でしょうから、その程度でとめておきたいと思います。
 ただ、私が指摘したいのは、刑務所から被収容者の食料費をちょっと取り寄せたのですけれども、本年度の予算では、成人受刑者については二百八十円七十五銭なんですね。それから少年受刑者は、少年は食べ盛りですから三百十一円七十銭である、こういうことになっているのですね。これはもちろん人件費だとか光熱費を除くわけです。それで大村収容所ではいかがと思って聞いてみましたら、同じ条件で三百六円三十九銭だ、こう言うのですね。つまり、成人の受刑者よりはやや高いけれども少年受刑者よりは低いという状況なんです。つまり、悪いことについての刑罰は受けてしまって、ただ本邦での滞在活動は許されないということだけの者について、刑務所とほぼ同じ食費関係の待遇をしておるということになるのですね。もちろん、一週間に三千円という制限つきだそうですが、自費ではいろいろ買えるようなことをやっておるようですけれども、そうしますと、自分が働かないわけですから、また外におる家族だとか親類に迷惑をかけるということにもなるのですね。それともう一つ、刑務所においては、自分で一生懸命労働として畑仕事をいたしまして、その部分は一たん官に買ってもらって、それをまた刑務所で使う、その場合の価格は市価よりも非常に安いということで、実際上は二百八十円でありましても、これは相当高い食費を支給されておるのに匹敵するというケースがあるというのは、私ども調査に行って知っておるのですね。ところが、大村収容所の場合には、働かすわけにいかないわけですから、純粋にたくさん買うというだけの便益はあるでしょうけれども、刑務所のような自分でつくってそれを安く評価して使うということもないわけですね。そういうところに二年、三年、四年というように置いておくのは必ずしも好ましいことではないので、仮放免基準を緩和するというような一般的な観点ではむずかしいにしても、ケース・バイ・ケースの考え方を人道的に配慮すべきであるというように思うのですが、その点はよろしいですか。
○吉田(長)政府委員 ただいま食費の単価の問題が出ましたけれども、これはその地方の物価なんかも相当影響があるわけでございます。それで、一概に言えないのでございますけれども、先生もごらんいただいたと思いますが、あの食事はわりあいよくできておると私も思っております。それはもちろん上を言えば切りがございませんけれども、ほかとの比較対照で、現実の問題といたしまして食事に対するクレームが余り出ておりません。
○正森委員 いや、私が聞いたのは、そこが聞きたいのではなしに、後の点が聞きたいまくら言葉として言ったのです。
○吉田(長)政府委員 ケース・バイ・ケースでございますね。もちろんこれはケース・バイ・ケースで非常に慎重に検討していくわけでございまして、決していつまでも置いておくということがわれわれの目的ではないということで、私のお答えといたします。
○正森委員 もう一点だけ伺いますが、私が視察をいたしましたら、宋春東、河淳福という二人が私どものところに特に出てまいりまして、宋は八カ月、河という人は一年七カ月収容されておるそうですが、恐らく刑務所から引き続いて入っているからだと思いますが、拘禁反応が出て、県立病院で院長あるいはその他の医師に診てもらっているということで、善処をぜひお願いしたいというようなことも言うておるのですね。ですから、こういう拘禁反応が起こっておって、中に入れておったのではなかなか治らないというふうに医者も言っておる。もちろん、本人は出たいの一心ですから、いろいろオーバーに言う場合もあり得るとは思いますけれども、そういう点についてはやはり適正に診断をしあるいは調べて、しかるべき措置をとるということも必要だと思いますが、その点はいかがです。
○吉田(長)政府委員 先生もごらんいただいたと思いますけれども、収容所の中には医者が三名、看護婦が三名、薬剤師一名、何というか、非常にりっぱと言ってはなんですけれども、相当の医療施設がございまして、常勤の医者が常に収容者の健康状態というものを診断しております。ただいま御指摘の二名につきましては、もちろん、担当医及び収容所の医者から報告を受けておりますけれども、収容を続けるということについては何ら支障はないということでございます。医師の判断がそういうことでございます。
○正森委員 私は実際に見てきたから言うんですけれども、三名とおっしゃいましたが、一名は非常勤の歯のお医者さんですね。二名の方というのは、昭和三十四年の開所以来ずっと勤めておられる方で、それは非常に献身的な方ではございましょうけれども、主として内科だと思うんですね。外科のことはわからないし、神経科のことはわからない。だからこそ、県立病院に行かれるわけですね。だから、県立病院の神経科関係の医者の判断を尊重するということでないと、所内に二名内科の医者がおるから、それが拘禁にたえると言えば拘禁にたえるんだということでは、親切さを欠くと思うんですね。そういう点については、しかるべき専門医の判断についてもいろいろ参考にしていただきたいということを特に申しておきたいと思います。
○吉田(長)政府委員 もちろんわれわれは、収容所の中の医師だけではなしに、外部の専門医にもちろん必要なときは診せ、またその専門医の意見も常に徴しております。
○正森委員 それでは、時間が遅くなりましたので、最後に一問だけ、大村入国者収容所内で死亡した者のうちの自殺の有無、自殺未遂者の有無、その理由等について、もしおわかりでございましたら、簡単に報告していただいて、私の質問を終わりたいと思います。もし、非常に大ぜいおられるとか、報告は困るというようなことであれば、保留してもよろしゅうございます。
○吉田(長)政府委員 所内で死亡いたしましたのは、過去十年間一名でございます。これは昭和四十七年に五十六歳の男の人が、就寝中に心臓麻痺で亡くなりました。そういうことでございます。
○正森委員 それじゃ、巷間伝えられておる自殺とかそういうことは過去十年なかった、そういうことでございますか。
○吉田(長)政府委員 過去十年はございません。
○正森委員 それ以前は。
○吉田(長)政府委員 それは入管が昭和二十五年十二月からスタートしておりますが、その前は自殺は三人。
○正森委員 十年以前にね。
○吉田(長)政府委員 十年以前でございます。
○正森委員 質問を終わります。
○上村委員長 次回は、明後二十二日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十三分散会