第080回国会 法務委員会 第19号
昭和五十二年五月二十五日(水曜日)
    午前十時十七分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 羽田野忠文君 理事 保岡 興治君
   理事 山崎武三郎君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 沖本 泰幸君
      川崎 秀二君    渡辺 紘三君
      西宮  弘君    日野 市朗君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      鳩山 邦夫君    宇都宮徳馬君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        法務政務次官  塩崎  潤君
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
        法務省保護局長 常井  善君
        法務省人権擁護
        局長      村岡 二郎君
        法務省入国管理
        局長      吉田 長雄君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   平井 寿一君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   加藤  晶君
        警察庁刑事局保
        安部防犯課長  長岡  茂君
        警察庁刑事局保
        安部公害課長  浜田 栄次君
        警察庁警備局外
        事課長     城内 康光君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 遠藤 哲也君
        運輸大臣官房観
        光部業務課長  富田 秀明君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  井口 牧郎君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十五日
 辞任         補欠選任
  中川 一郎君     川崎 秀二君
  長谷雄幸久君     伏木 和雄君
  鳩山 邦夫君     宇都宮徳馬君
同日
 辞任         補欠選任
  川崎 秀二君     中川 一郎君
  伏木 和雄君     長谷雄幸久君
  宇都宮徳馬君     鳩山 邦夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人
 権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○上村委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所井口民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○上村委員長 法務行政、検察行政、人権擁護及び裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 まず、報告を政府側から求めたいのでありますが、四月二十七日の本委員会におきまして、統一協会の佐藤公基三十一歳、五月三日まで勾留、四月十二日に通常逮捕をされたよしでありますが、その後それはどういう結果になりましたか、御報告を求めます。
○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの佐藤公基に係る暴行傷害事件につきましては、本年四月十四日警察から身柄拘束のまま事件を受けまして、東京地方検察庁において勾留請求の上捜査をいたしまして、その結果、五月二日東京簡易裁判所に公訴を提起し、略式命令を請求いたしましたところ、即日罰金七万円の略式命令が発付されております。これに対して、五月九日被告人の側から正式裁判の申し立てがなされておる状況にございます。
○横山委員 その際に、この事件の前日に父兄の二人にやはり暴行事件があったわけでありますが、その件も同様の問題になっていますか。
○伊藤(榮)政府委員 公訴事実は三つになっておりまして、その一つが、五十二年三月八日の濱田智恵子さんに対する事件でありますが、そのほかに、その前日である七日の事件、原田一三さんに対する暴行、林好子さんに対する暴行、この三つを合わせて起訴しております。
○横山委員 本委員会におきまして、何回も警察庁に、あるいはまた法務省の入管を含めて政府委員に強く求めておりました問題がございます。それは、いやしくも本委員会におきまして名前が出ました人々に対する報復手段が断じてあってはならない、それを見逃すようなことがあってはならない、こういうことを警告をしておったのであります。
 まず第一に、この間、本委員会の委員長初め理事の皆さんとそれから父兄並びに元入信者であった皆さんとの懇談が行われました。その際出席いたしました岐阜県の山県郡高富町佐賀、小森守一さんの三人の娘に関する問題が生じました。その懇談会でも話が出たわけでありますが、小森さんの話によりますと、おばあさん、三人の娘にとってはおばあさんの危篤状況の際にも、何回も何回も話をいたしまして、結局はおばあさんの危篤に見舞いに来て二、三十分おっただけで帰った。おばあさんが死んだ。死んだら、帰ってきたけれども、葬式が済んで朝の五時に行方をくらました。しかし三人とも住所はわかっておった。ところが、懇談が行われますと、今度はその住所にいなくなった。電話をかけても、行方は知らないと、こう電話の関係者は言っておる。友だちに確かめてもらったならば、もうそこから荷物を持ってどこかへ引っ越したという話である。小森さんの末娘は、先日行われました東大五月祭の原理運動に関する集会に出席をして質問をしておる。こう言うのでありますが、これが一つであります。
 次は、やはり佐藤公基の暴行事件の直接の被害者でありました三重県の濱田さんの娘であります。濱田さんの手紙によりますと、「五月十二日博子が三十五才位の紺の背広を着た協会員と思われる男性に連れられて松阪市役所にあらわれました 男の人のきつい交渉もあり 転出證明・戸籍謄本・戸籍抄本を取っていった、パスポートの手続き、戸籍の分籍・名前の改名をしたいと言っていた由、 五月十四日現在、転出先届出の江戸川区役所に入籍していない、全国のどこに入籍するやも知れない」こういう不安を持っておるわけであります。
 一方、東北のあるお母さんでありますが、渋谷警察へごく最近行った。そして協会におります娘との面談を要請いたしましたところ、渋谷警察としては、濱田さんのようなことがあるからこの際私がやってあげると言って、警察官が直接娘さんと会ったそうであります。その結果、渋谷警察の話としては、うちへ帰りたいと言っていない、お母さんに会いたいとも言わない、したがって、これはもうあきらめなさいということであったというのであります。渋谷警察が最近とられております態度としては、私どもの要請にこたえるところ非常に多いように私は思ってはおりますが、お母さんとしては、いままで協会へ行けば何とか直接話ができたものが、これから渋谷警察がそういう態度でありますならば、もう一つ関所ができたような気がしてならない、自分に直接会わしてくれるように骨折っていただくべきではなかろうか、そういう不満を強く持って私のところへ何回も来ておるわけであります。
 ことほどさように、私どもがここで名前を出します人々に対して、調査をする案件に対して、常に報復手段を適宜内部でとる、決して本人たちの自由意思とは思われない節があるわけであります。こういう点につきまして、警察庁としてはどうお考えでありますか。
○長岡説明員 家出をして行方がわからないという事案につきましては、警察は、保護者等からできるだけ事情を聞きまして、立ち回り先等を確認の上手配を行いまして、その所在の発見に努めておるわけでございます。それで、その結果、そういう活動に絡みまして報復手段が講ぜられるということがあっては大変けしからぬことだと思いますので、そういうことのないように努めてまいる所存でございます。
○横山委員 本件について、具体的な方法について私がここで言いますことは避けたいと思います。しかしながら、統一協会が常に父母に対してもとっておった態度、この種のことに関係していろいろと本日まで起こりました事案の経過から見ますと、当然起こるべくして起こったと思わざるを得ないのであります。しかし今回は、いやしくも国会の審議に対して報復手段をとっておるということは許すべからざることでございますから、いま申し上げた人々を含んで報復手段的な方法に対しましては、断固として警察庁が対処せられんことを強く期待をいたしたいと思います。
 第二番目には、社会保険庁年金保険部業務課に勤務をしておりました久保正徳、金沢におりまして高校に勤務しておりましたころ原理運動に関係をいたしまして、社会保険庁に勤務をし、五十一年の七月から本年の二月二十三日まで平常に勤務をしておりましたところ、二月二十四日以降無断欠勤をして今日まで一切の連絡がございません。三月三日金沢署に捜索願、三月四日田無警察署に捜索願、四月十四日高井戸警察に捜索願が出ておるのであります。社会保険庁の内部に原理運動関係者があるとのうわさがあります。社会保険庁の業務課長の調査報告によりますと、必ずしもその人間ではない、こう、その人間との関係はないようだとは言われておりますが、本人が居住をいたしております東久留米の社会保険庁男子寮には、彼の持っておりました衣類その他がそのままあり、しかも父母の確認によりますと、かぎは、マスターキーは寮長が持っており、本人の持っておったかぎ二個は室内にあるままであるのにかかわらず、父母が何回も行きますと、その部屋の内部が、だれかが時々来て、寝たりあるいは何か所用をしておる節がある、こういう奇怪な問題であります。私は、いまこれが直接原理運動に関係があって行方不明になったのか、あるいはまた不慮の事故に遭ってなったのか、必ずしも断定はできませんが、少なくとも、役所に勤めておりましたこの久保正徳が、役所から突如として約三カ月になんなんとして行方不明であるということは、奇怪千万なことと私は考えております。警察の調査がありましたか、またなければこれからどうしてくださるか、御意見を伺いたいと思います。
○長岡説明員 ただいまお尋ねの久保正徳さんの件でございますが、石川県警察本部からの報告によりますと、久保さんの実父の徳二さん、五十七歳から、金沢東警察署に三月三日家出人捜索願が出されました。そこで金沢東警察署としましてはいろいろ事情を聴取したのでありますが、願い出があった時点では原理運動についての関係が全く出ておりませんでしたので、いろいろな情報収集をやったわけでございますが、その後勤務先の社会保険庁の友人関係等から家出人が原理運動に関係しているということが判明しましたので、そういう情報も含めまして、警視庁田無警察署へ連絡をとりまして、現在発見方に努めているわけでございます。きょう現在まだ所在は不明でございます。
○横山委員 本件は調べれば調べるほど奇怪な問題が潜在をしておると思います。そのことについていま触れたくございませんが、警察庁としては所管警察を督励してひとつ御調査を願いたいと存じます。
 その次に法務省にお伺いをします。この間の父母及び入信者との懇談会は、非公式な懇談ではございましたが、さまざまな問題がそこで明らかになりました。特に入信をしておりました三人の該当者の話は生々しく、われわれの最も焦点としておりました、どうして入信をしていったか、ある日忽然として人格が変わっていくということについてはどういう体験をしたか、あるいはまたなぜその呪縛から解けていったかということについて、実に説得力のある説明が行われたのであります。人権擁護局も御出席をされておったと思いますが、どういう感想をお持ちになりましたか。
○村岡政府委員 私自身はちょうど所用がありましたためにその会に出席いたすことができませんでしたが、職員が出席をいたしまして、その報告はつぶさに聴取いたしました。この問題につきましては、前回、前々回の当委員会でも申しましたように、人権擁護上の問題であるとしてただいま調査をしているところでございます。
○横山委員 私の手元に、あなたの方の東京法務局が四月十一日に協会本部で、橋本総務部長、副島公報企画部長、佐川部長とお会いになられて聴取をなさいました概要報告がございます。御存じでございますね。私は、この概要報告を読みまして、人権擁護局がこの先方の言っておるとおりのことをまじめに素直にそのとおりだとお考えになっておるか、実に心配をいたしておるわけであります。
 たとえば、「一、入信を強制してはいないか?否。昭和四十年代、急激に発展し、その頃は大学生が親の反対を押し切って、大学を中退して入信したもの数件あったが、現在は中退をさせないで卒業後入信するよう勤めている。」「二、修練会現在はゼミナールと称している、一般の信者に対するもの、三日間と七日間、教職者に対するもの、二十一日間と四十日間。」カリキュラムは、朝六時起床して、夜の十時ないしは十時三十分就寝。「三、面会・音信 教会としては親、親族、先生にはなるべく会わせるように努力している。政治的意図を持つ者、第三者は断わる。暴力改宗団には会わせない、この団は一人四十万で改宗を請負っている。会わない者があれば、法務省を介して我々に連絡してくれれば必ず会わせる。」「四、街頭販売 協会とは無関係。但し、熱心な会員がやっているのは事実。会社等があって、そちらでやっている。」「五、入信に当って親子の意見対立の場合 親子納得して入信してもらうのが原則。未成年者について親の了解を得るよう協会として努力している。(成人、青年についても努力しているとは言うけれども、努力していないように感ぜられる)成人の場合は親も子供の選択を拒否できないはずではないか。」「六、大学にある原理研究会との関係 協会の下部組織ではない。学生の自主的団体。百二十の大学に作られている。会員は約五千名。」「七、資金源 年間三十億。すべて信者の献金。」
 この報告を見ましても私はいろいろなことが考えられる。最後の一年間三十億。すべて信者の献金。」これは私は少し数字がごまかしてあると思うけれども、しかし彼らの言うことをもってしても三十億円はすべて信者の献金とみずから名乗っておるわけであります。信者の献金とは何だ、それは大口はあるわけではないのであります。すべてこれニンジン茶あるいは花売り、街頭募金、訪問販売、そういう金がすべて献金になっておるということはだれしも知っておるわけであります。しかもこの信者の人たちは、パンの耳切れ――これはキリスト教の教えによるものだと言われておるのでありますが、パンの耳切れと一日数百円を持って朝から夜中まで売り歩いていることを物語っています。
 「街頭販売 協会とは無関係。但し、熱心な会員がやっているのは事実。会社等があって、そちらでやっている。」ということは全く無責任きわまる話で、彼らが勝手にやっているんだからおれは知らない、こういう言い分であります。そんなことが通る話か通らない話か、おわかりのことだと思うのであります。
 「会わない者があれば、法務省を介して我々に連絡してくれれば必ず会わせる。」ということが一つ特徴的であります。「政治的意図を持つ者、第三者は断わる。」ということであります。私が政治的意図を持っておる者かどうか、それはわかりませんが、私はこの間協会の幹部に国会の私の部屋で会いました。そのときに私は言ったのであります。あなた方は宗教団体ではないか、宗教団体ならずともだれでもそうであるが、特に宗教団体であるならば謙虚に他人の意見に耳を傾けるのが当然ではないか。愛を語る者が、親子の愛、社会の愛を語る者が、原点として親子の断絶や一家の離散を来すようでどうして愛を語る資格があるだろうか。少なくとも、当事者ならずとも、協会に意見があるあるいは偏見があってもよろしい、宗教者だったならば、それらの人の意見に謙虚に耳を傾けるのが宗教者の本来あるべき立場ではないか、こう言って私はじゅんじゅんと諭したのでありますが、この項を見ますと、何ともそういう反省が見られないのであります。
 ただしかし、ここではっきり言っておるのは、「法務省を介して我々に連絡してくれれば必ず会わせる。」という言葉、法務省としてはこれはお約束をされたと理解してよろしいのであるか。父母が人権擁護部へ行って法務省に要請をすれば、必ず責任を持ってあなた方は会わせるつもりであるか、警察庁にこの点についてもお伺いします。
 渋谷の警察署は、善意ではあるかもしれないが、行ったら暴行を受けるからまあ行きなさんな、私が会ってやると言うて、現に警察官が娘さんに会ったそうであります。この会ったのが、もう家へ帰りたくない、親にも会いたくないと言っているからあきらめなさいという態度、それを渋谷警察署は、善意であろうとも、そこでもう帰りなさいと言って帰す、この方針を今後も堅持されるつもりであるか。法務省とそれから渋谷警察署との態度に違いがあるか、この点をどう考えるか、両者から伺いたいと思います。
○村岡政府委員 ただいま御指摘になりました、四月十一白に東京法務局が行いました事情聴取の結果は、お読み上げのとおりでございますが、その後五月六日、それから五日九日、さらに五月十二日にわたって協会の幹部から事情を聴取しております。特にただいまお読み上げになりました第一回の事情聴取は、いわば総論的な事情聴取でございまして、協会側が一体どういう言い分を持っているのか、その言い分をまず聞き取ろう。いろいろ説得するとか、こちらの主張するとかいう前段階といたしまして、協会側の言い分というものをとにかく一通り聞こうという態度でこれを聴取したわけでございまして、これをことごとく真実だと受け取っているわけではもちろんございませんので、その点はお含みおきいただきたいと思います。
 それから、その際、いま御指摘のございました父母と子供との関係でございますが、子供が入信して行方不明になっているとかあるいは行方はわかっているけれども面会ができない、そういうような事実が指摘されておりますので、これは子供の意思に反して親子の交通が妨げられているということでありますと、これは重大でありますし、また仮にそうでない、子供が親と連絡をとりたくない、あるいは面会したくないと言っている場合には、これは直ちに人権侵害と言えるかどうかはきわめて疑問でございますけれども、何分にも親子の関係というのは、申すまでもなく人倫の基本とも言うべき重要な関係でございまして、親子の関係の精神的あるいは物的な交通がとだえるということは、これは人道的な見地から見てもゆゆしきことである。だから、せめて行方不明になっている子供の所在を親に知らせてほしい、それから面会の機会を与えてほしい、本人がもし会いたくないと言うのであれば、本人を説得してでも親と会うようにしてもらいたい、なお面会はなるべく自由な雰囲気のもとにできるようにしてほしいという、こちらの希望を伝えまして折衝いたしました結果、ただいまお読み上げのような回答を得ているわけでございます。ただ、そこにございます政治的な意図を持った第三者には会わせたくないということを先方が言っておりまして、これが現実に問題が起きましたときにどういうことになりますか、この点はさらに詰めていく必要があろうかと考えております。いずれにしましても、私どもの受け取り方といたしましては、親子の関係の連絡はとれるように協会としては最大の努力を払うということを一応言っておるわけでございます。ただ本人が、あくまでも親には会いたくない、親に会うと連れ戻されてしまうということを非常におそれているということを聞いておりますが、そういう場合に、子供の意思に反してまでも親に会わせることが期待できるかどうか、その点も問題でございまして、その前提といたしまして、子供が本当に自由意思によって親と会いたがっていないのかどうか、これをやはり確認する必要があろうかと思います。何分にもまだ調査して間がございませんので、まだ実績をもってお答えをすることはできませんが、現在の状況はそういうことでございます。
○長岡説明員 警察庁といたしましては、全国の警察に対しまして、統一神霊協会関係につきましては次のような指示をいたしているところでございます。すなわち、極力本人に面接し、保護者等の心情を十分に説明して、本人が速やかに帰宅しまたは直ちに保護者等と連絡をとるようにまず説得しなさい、特にこれらの子女が少年である場合、あるいは成人であっても保護を要するべき状態である場合、あるいは保護者が本人と面接することを強く希望している場合等につきましては、そういうふうな機会を極力つくりなさいというふうな指示をしているわけでございます。ただ、何分にもこのような方策は、いずれも法的には強制力がございません。任意の手段の範囲に限られるわけでございますので、その範囲で最大限の努力をいたしておるということが実情でございます。
 ただいま御指摘の渋谷警察署の取り扱いにつきましては、私どもおおよその報告を受けておりますが、これは所轄の防犯課長が向こうの協会の総務部長の仲介によりまして家出人と直接面談して強く説得したというふうに聞いております。その際に、その保護者に会わせることができなかったかどうか、そこまでできなかったかどうかということにつきましては、さらにもう少し調べてみたいというように考えております。
 なおもう一つ、御参考でございますが、これは埼玉県の川越警察署で取り扱った例でございますが、今年二月四日に家出した広島県出身の少年の場合でございます。川越署の署員が統一協会の川越伝道所へ赴きまして本人がかたくなに拒否するのを強く説得いたしまして、家出人を保護者に引き渡したという事例も最近報告されております。大体の場合はそういっているんじゃないかと思いますけれども、なおまだ警察の努力の足らない点がございますとすれば、さらに強く相手方へ働きかけるなり、あるいは保護者と会わせるなり、そういうふうな努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○横山委員 時間がございませんから次へ移りますが、特に人権擁護局長に要望しておきたいと思うのであります。もうイロハニホヘトの問題でございますが、本人の自由意思であれば仕方がない、これが今度のこの原理運動のがんなのであります。先ほど言ったように、父母の会との懇談でもありましたが、どうして一夜にしてと言っていいほど変心をするかという点について、私のところにもう全国の父母からその経緯を書いた書類が約百通ばかり来ております。一回あなたの手元へ参考としてお見せをいたしますから、関係者の中でそれを整理分析して、そうして本件の基本的な認識を得ていただきたい、そうお願いをいたします。
 次に、時間がございませんので簡単に申しますが、五十二年の五月四日の新聞によりますと、「神奈川県警環境課と横浜・寿署は「ガンに効く」などともちかける商法で、医薬品ではない大量の朝鮮ニンジン液を売っていた横浜市」の「スカイハイツ内、株式会社「浜一」=田口アイ子を薬事法違反容疑で摘発、」身柄を送検。「このニンジン液が一和製薬で製造されていたこともわかり、」云々、「朝鮮ニンジンの販売業者が摘発されたことは、わが国でも何度かあるが、統一協会との関連が追及され、その支部が家宅捜索を受けたのははじめて。」とあります。
 先般もこの問題を取り上げたわけでありますが、私の手元に「セールストーク」という文書がございます。時間の関係上省略をいたしますが、これはいわゆるニンジン液、ここにございますこれでございます。このニンジン液を販売する場合にどういうふうに売って歩くかという教科書であります。この教科書を見ますと、全くかっこうはよろしいのですけれども、もう至れり尽くせりのやり方で、「こんにちは。」「ちょっとお邪魔します。」「高麗人蓼持って来ました。お忙しいでしょうけど、ちょっと見て下さい。」「あっ!奥さん、お掃除ですか。毎日大変ですね。疲れませんか。」「奥様、人参飲んだことありますか?」等から始まりまして、全く買わせる秘訣を書いておるのでありますが、その中に「人蓼の効能」として、「頭をつかいすぎ、スタミナを消耗している方」「血圧異常」「神経痛」「精力のおとろえ、老化を感じる方」「貧血、冷え症、すぐ疲れやすい方」「胃腸、肝臓、心臓の弱い方」「肩こり、頭痛、便秘の方」「夜尿症、痔でお困りの方」「妊娠中、産後の方」「病後、手術後などで体の弱っている方」「糖尿病、ゼンソク、アレルギー体質の方」みんな全部これで治ってしまうわけでありますが、ここにはなるほど薬とは書いていない。けれども、売って歩く人間は全部この教科書によって売って歩いておることがこの教科書できわめて明白なのであります。
 端的にお伺いをいたしたいのですが、これを送ってきました人の話によりますと、「人蓼濃縮液四個買いもとめました。その買いもとめた金額一個五万五千円、二拾二萬円支佛致ましたが、領収書一枚送ってきません。いま時領収書書かない会社今時有のか不思ぎです」「販売店は仙台市連坊小路一一五みどり商事」電話が云々と書いてありますが、こういうことが堂々と行われておるのでありますから、神奈川県警並びに横浜寿署だけの問題でなくて、このニンジン液の売上金が統一協会の運動資金に回っておることも明白なのでありますが、横浜寿署だけの問題ではなくて全国的な問題だと思いますが、この横浜寿署の結果並びに今後の方針を承りたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 まず私から検察庁において処理しました関係を御報告いたします。
 先ほど仰せになりましたのと私どもの資料は名字が違うようでありますが、被疑者が株式会社浜一、それともう一人小林アイ子、この二人が被疑者といたしまして薬事法違反で警察から横浜地方検察庁が受理をいたしました。被疑事実は、小林は浜一の代表取締役であるが、同会社の業務に関し、許可を受けずかつ法定の除外事由がないのに高麗人蓼濃縮液三百グラム入り七個を医薬品として三十八万五千円で七名に販売したという事実でございまして、四月二十九日に受理をし、五月十八日に略式命令を請求し、小林について罰金十万円、浜一について罰金二十万円の略式命令の発付を得ております。
 なおこの関連の事件は警察でなお継続捜査中と聞いておりますので、いずれ検察庁で受理をいたしますれば、厳正な処置をしたいと思っております。
○横山委員 時間がなくなりましたので問題提起だけをしておきます。
 五月七日毎日新聞によりますと、統一協会の教祖、韓国人の文鮮明五十七歳が、ニューヨーク市北部のバード・カレッジ構内に不法侵入した疑いで逮捕された。逮捕者は文のほか会員十人で、この中には日本人の幹部会員二名が含まれていると言われています。
 もちろん私の想像をするところによりますと、バード・カレッジ構内へ不法侵入というのは別件逮捕ではないか、こういう感じがいたすわけでありまして、裁判に付される、こういう話が伝わってきております。
 一方、後で宇都宮先生からも御質問があると思いますが、本年四月四日、アメリカの下院国際機構小委員会では米韓関係の調査を始めるに当たりまして、「調査対象になる容疑事実」として、「宣誓証言及び小委員会による調査活動を通じて入手した情報による容疑事実は下記の通り」「一、KCIAと文鮮明傘下の諸団体との連けい関係。」「二、文鮮明の側近並びに朴東宣によるアメリカの銀行支配の企て。」「六、文鮮明の側近でありKCIAのエージェントと目される人物が主宰する在米の某団体による募金詐欺。同団体は韓国のラジオ放送のための募金活動を韓国政府のエージェントとして推進したことは明らかであるが、集めた金をその目的に使用することには失敗した。」「七、韓国政府による在韓米企業からの資金強奪。」十まであるのですが、「これらの容疑を示唆する次の証拠を入手している。」「一九七四年日本の田中首相の訪米に際してKCIA及び文鮮明主宰の団体は訪米反対デモを計画した。国務省はこの計画を探知すると同時にKCIAに対し、その中止を要求したと伝えられる。その翌朝文の団体は、デモ開始予定時刻のわずか一時間前になって突如デモをとりやめた。」飛ばしまして、「文のアメリカ人信奉者達は韓国に対し異常な敬意を示すよう教えられ、韓国の国益擁護のため、米国議会に対しロビー活動をするよう送りこまれており文がすいせんする候補者の選挙運動に参加させられ、またソウルのKCIA本部で教育を受けてきている。」飛ばしまして、「文主宰の団体の会員達及び朴東宣の共同事業者達が共同してワシントンのディプロマット・ナショナル・バンクの株式の絶対過半数を所有している事実。自分達の私産を総て同団体に献納したとしょうする文の信奉者達が株式購入の資金をどこで確保したかについては不明の点か依然残されている。」等々の、とのスタッフが調査を開始しようとしておる容疑事実並びにその容疑を示唆する証拠はまことに驚くべきものがございますが、その驚くべきものの財源は一体どこから出ておるか。どこが一番その発端であるか。まさにいま質問をいたしました、若い人たちが洗脳されて募金活動あるいは訪問販売、そういうところから零細にくみ上げられておる金であるということは、もはや公然たる事実だと私は感じています。
 私はあなた方に、いま最後に申し上げましたようなことだからしっかりやれと言うつもりは必ずしもありません。あなた方に要請したいのは、あくまで本当の意味の人権を守ってもらいたい、また違法、不当な活動を断じて許してはならぬ、そういうことに徹してもらえばいいのであります。
 しかし、従来ともすれば、この原理運動の政治的、国際的背景によって、何かしらあなた方が暗にそれを踏み込もうとしない、そういうことが感じられてならなかったのであります。どうぞその意味におきまして、十分この違法、不当、人権のじゅうりんの問題につきまして、引き続き善処をされるよう要望をいたしたいのであります。
 私の質問は、きょうはこれで終わります。
○上村委員長 次に、宇都宮徳馬君。
○宇都宮委員 私は、過ぐる総選挙の際、きわめて組織的な選挙妨害を受けたのです。私自身が候補者でありましたが、私の選挙区に対して数十万枚と想定される非常に多量の誹謗ビラをまかれました。それはこれです。宇都宮徳馬というのが――こんなことを書いて、いろいろな悪口を書いてある、裏表に。こういうビラを、アパートなんかではアパートの各部屋にまくというようなことをやりましたね。それから電話、これは宇都宮を落とす会というような名目で、ああいう人間を上げちゃいかぬなんという電話を、団体、たとえば医師会とか薬剤師会とかあるいは商店会とか、そういう名簿のあるところにはべたにかけたんです。中には、今度は逆に夜中の二時ごろ電話をしまして、そして宇都宮事務所であるが応援しろというようなきわめて傲慢な電話をかけて、そのために病気で寝ていた老人なんかが救急車で運ばれるというような事態もあった、とにかく夜中にそういうような電話がかかるものですから、びっくりして。そういうきわめて組織的かつ悪質な妨害を受けました。電話をかけた人間はわかりません。しかし、ビラをまいた人間は明らかなんですよ。ちゃんとここに名前が書いてあるんだ。それは国際勝共連合という名前で、そしてその中央機関紙、思想新聞の号外としてこれをまいているのですね。
 ここで、法務省でもあるいは警察庁でもいいんですが、国際勝共連合というものは一体いかなるものか、これについて知識のある方に、時間がありませんからひとつきわめて簡単に聞かせていただきたいと思います。
○城内説明員 お答えいたします。
 国際勝共連合は、世界基督教統一神霊協会を結成の母体として昭和四十三年ごろ結成されまして、昭和四十七年に政治団体としての届け出を行って、共産主義に反対することを目的として活動しております。
○宇都宮委員 文鮮明という人がいます。アメリカで逮捕されて、いま保釈金を積んで保釈で出ていますけれども、その文鮮明という人の、統一協会というのですか、それと一体の団体とみなしていいですね。
○城内説明員 お答えします。
 一体の団体というのではなくて、必ずしもその点がはっきりしなくて、一応結成の母体としてできているということであります。
○宇都宮委員 私の調べたところでは、大体一体の団体である。つまり、統一協会というものがいろいろな下部団体を持っていて、たとえば世界日報なんというのもありますし、それから統一産業なんという商事会社もありますけれども、これは一つの集団がいろいろ分かれていて、それでお互いに幹部の更迭なんかしていますね。統一産業から勝共連合に行くとか、勝共連合から世界日報に行くとか。ですから、国際勝共連合というのは中心の指導者は文鮮明であり、そしてその成員も結局統一協会の人たちが構成している、こういうように私は見ざるを得ないのです。そう見ていいですか。
○城内説明員 お答えします。
 結成の母体ということでございますので、その間にはお互いに関係があるのではないかというふうに考えております。
○宇都宮委員 結成の母体なんということは、これは過去のことで、現実につまり犯罪的集団になりつつあるのですから、現実の関係をよく見なければいかぬと思うのですけれども、これは指導から言っても幹部から言っても、それからいろいろな人員の構成から言っても、ほとんど一体のものであると見ていいと私は思うのですね。これはそう見てやりませんと対策を誤ると私は思いますよ。
 それで私は、これについて非常にけしからぬことですから、統一協会という異国の宗教集団が日本の政治に、選挙妨害というような形できわめて大規模に組織的に関与するということは、法律的にはともかくとして、常識的にこれは許されぬことですから、を推薦した人々もいますから、そういう人々は非常に怒りまして、そしてこの選挙妨害を告発いたしました。そして告発したから、告発者――私は告発者になっていませんけれども、こういう妨害を実際に強く受けて感じた人たちが何人かで告発いたしたわけです。そういたしましたら、警視庁の方でいろいろ調べた。その調べというのも、われわれの方で感じるのは、要するに告発者の方は一体どういうふうにビラを見たかとか、こういう電話をもらったかということはきわめて詳細に調べて、中には九十に近いおばあさんなんかも三時間も四時間もくどく聞かれたわけですね。訴えた方を警察の方はいろいろお調べになったわけだけれども、これは向こうを調べるための土台だから調べるんだと言って、国民の税金で皆さんやっていらっしゃるわけだけれども、そういう方々が非常に時間を使って告発者の方をいろいろお調べになりましたよ。これは前提として当然かもしれぬけれども、しからばそれをもってどれだけの取り調べを進行さしたか、これをちょっと私は伺いたいと思うのですね。
○加藤説明員 お答えいたします。
 お尋ねの件は、昨年十二月五日施行されました衆議院議員選挙に際しまして、その公示日でありました十一月十五日の直前に、国際勝共連合の発行しております機関新聞紙である思想新聞の昨年十一月十三日付号外に、宇都宮徳馬議員に関する記事を掲載して、これを頒布した事案でございます。
 この件につきましては、昨年十二月二十七日、お話のありましたように、東京都内の品川、大田両区に居住しております八人の方の連名をもって警視庁刑事部長あて、公職選挙法二百三十五条第二項に該当するものとして告発がなされておりまして、現在警視庁において鋭意捜査中でございます。
 その捜査の進展状況でございますけれども、本件告発を受理いたしました後、直ちに警視庁の捜査第二課におきまして捜査に着手いたしまして、現在までに三十数人に及ぶ参考人の事情聴取を終わりまして、被告発人につきましてもこれまで前後数回にわたって取り調べを行っております。
 現在、捜査も最終段階に近いところに至っておりますので、今後さらに努力をいたしまして、速やかに捜査を遂げまして、検察庁へ事件の送付をすることになるものと考えております。
○宇都宮委員 この告発者の方は前後数十回にわたって恐らく数十人を調べておると思うのですが、被告発者を前後数回にわたって調べたと言いますが、これは少しおかしいのですね。被告発者を何回調べたのです。
○加藤説明員 被告発人は、三月の十七日から五月二十日までの間におきまして五回にわたって取り調べをしております。
○宇都宮委員 五回は一人ですか。
○加藤説明員 被告発人になっております国時昭彦、これについての調べの状況でございます。
○宇都宮委員 大体、こういう選挙違反も刑事事件ですね。こういう刑事犯罪というものは、被告発者を調べる場合に、本人だけ五回呼んで調べる、それで事を終わるなんということはおかしいと思いますね。これはお茶を濁すと言われてもしょうがないのですが、そういう態度で今後もやるのですか。
○加藤説明員 ただいま申し上げましたのは、被告発人についての調べでございまして、それに関連いたしまして、事件に関連いたすということでありますれば、当然ほかの関係者も取り調べをするということになります。
○宇都宮委員 調べているのですか、これから調べるわけですか。
○加藤説明員 現在までのところ、被告発人側といいますか、それにつきましてどの程度国時以外を調べたか、私の方は承知いたしておりませんけれども、これはそういう告発事案に関連いたしまして調べるという状況があれば当然調べておると思いますし、今後もそういう調べはやると思います。
○宇都宮委員 これは、少なくとも告発人の方に関しては数十人、数十時間調べております。だから、そういうことをやると、悪いことをやった者を告発する者はなくなりますから、被告発人の方を十分調べる、そして国時だけじゃなく、犯罪の真相を明らかにするためには周辺を十分調べなければいかぬのです。ですから、これはもっとしっかりやってもらいたいということを希望しますが、どうですか。
○加藤説明員 先ほど御指摘がございましたように、告発した方についての事情聴取というものも、これはおっしゃるとおり犯罪の成否に関するいろいろなことをお聞きするわけですから、この方方についても十分な調べというものはやっておりますし、また、被告発人側につきましても、これはおっしゃるとおり十分な調べというものはやるつもりでございます。決して被告発人の方についてそういうあれを持っているということではございません。厳正公平な調べを進めていく所存でございます。
○宇都宮委員 法の前の公正ということがあるけれども、これはしっかりやってもらいたいと思いますね。
 それで、私は、大体この勝共連合とか、それから原理運動ですか、ユニフィケーションチャーチとアメリカでは言っておりますけれども、そういうものに対する日本の取り締まり当局の感覚が少し甘いのではないかと私は思いますね。
 今度は、アメリカでフレーザー委員会というのがいわゆる米韓のいろいろなスキャンダルの摘発を始めていますけれども、先ほど横山委員からもお話がありましたけれども、アメリカでもいまのユニフィケーションチャーチ、文鮮明の一派が選挙に対してやはり相当ないろいろな悪事をやっているわけです。それは、たとえばフレーザー議員はやはり彼の選挙区において選挙妨害を受けているわけなんですね。ですから、自分に都合の悪い――結局いまアメリカでの取り調べの中心というものは、一体、文鮮明一派というものと、韓国の公権力の一部であるKCIA、これとの関係がどれほどあるのかということを調べているわけですよ。これが本当に関係が密接にあるとすれば、アメリカの国法においては重大な問題になるわけですからね。だからこれを調べているわけですが、この文鮮明一派がフレーザー議員の選挙に対して妨害的なことをしたということはもう明らかなんですね。
 それからもう一つ、フレーザー委員会の直接の管轄ではありませんけれども、フリントの下院倫理委員会というのがありますが、この倫理委員会の方は、自分の方に都合の悪い政治家に対してはいろいろな選挙妨害とか何かをする、都合のいい政治家に対しては贈賄等の行為をする、贈賄等の行為を調べる方をいまフリントの委員会でやっているわけでありますけれども、これは日本と違いまして、アメリカの政治家は、自分で悪いことと思うとはっきり言う人があって、フリントの委員会の中で、すでにもらったということを言っている人がありますよ。
 それでフレーザー委員会の方は、米国の一部と韓国との間にある不正な関係を、広く議員以外調べているわけですけれども、先ほど横山委員も読まれましたけれども、フレーザー委員会が一九七七年四月四日の下院国際機構小委員会として、「米韓関係の調査について」、下院の外交委員会の委託に基づいてあるいは命令に基づいて調査対象を決めたわけです。それで、「調査対象になる容疑事実」――「容疑事実」という言葉を使っていますよ。容疑事実を決めた。その容疑事実というのは十カ条ありますよ。
 その一番最初がどういうことかというと、「KCIAと文鮮明傘下の諸団体との連けい関係。」日本では、文鮮明という人は非常に偉い人のように思っている人もあるし、政界の有力者の中でも、手を握ったりなにかして喜んでいる人も実はあったのだけれども、先ほど横山委員から話がありましたけれども、文鮮明は逮捕されたのです。いま保釈金を積んで釈放されていますけれども、しかし、現在は、日本で言えば一種の刑事被告人、不法侵入の刑事被告人、不法侵入というのだから非常に微罪ですけれどもね。それで保釈金を積んで――幾ら積んだか、私は調べてませんけれども、十何人の仲間と一緒に出ているわけです。これはどういうことをやったか。文鮮明というのはニューヨーク州に住んでいるのですよ。彼の住所の隣にバード・カレッジという大学があるわけですが、そのバード・カレッジの構内に入った。ウォーキートーキーなんか持った護衛と一緒にそのバード・カレッジの構内に入っているところをつかまった。ちょうどそこに滝があって、つかまったときに、不法侵入じゃない、おればサイトシーイングをしていたのだ、滝を見ていたのだと言って盛んに弁解したけれども、ニューヨーク警察は、十何人と一緒に逮捕したのです。これは、日本とアメリカとの文鮮明一派に対する感覚が大分違うということですね。これは当局もよく認識しておかなければいけません。
 そうして、アメリカのキリスト教、いろいろたくさんありますね。バプチストもあれば、いろいろな教会がありますよ。そういう教会の連合体で決定したことは、文鮮明のこのキリスト教はキリスト教じゃないということを決定したのですからね。これもよく記憶しておく必要があると思うのですね。
 いま勝共連合の話が出ましたけれども、日本のこの勝共連合の会長の名前を知っていますか。知っている人があったら教えてください。
○城内説明員 私は、遺憾ながらその名前を存じておりません。
○宇都宮委員 これは非常に警察の当局が、勝共連合という――たとえば私に対する選挙妨害をしただけでもある意味では重要なことなんですよ。その名前を知らぬとは一体何事だ。これじゃこういう問題に対してしっかりした対応ができるはずないでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 たまたま知っておりますから私からお答えいたします。(宇都宮委員「職務上知ってもらわなければ困るんだよ」と呼ぶ)久保木修巳という人だと思います。
○宇都宮委員 その久保木君というのは、今度のアメリカのフレーザー委員会の調査において名前の出てきている人物です。それはどこで出てきているかといいますと、フレーザー委員会の調査項目のうちで、さっきのKCIAと文鮮明傘下の諸団体との連携関係を調べる、これが一です。二は、アメリカの銀行、ディプロマット・ナショナル・バンクというワシントンの銀行があるのですが、この銀行の株の過半数を文鮮明の一派が握った。これもアメリカがその国益上非常に重要視して調べている事実なんですけれども、この銀行の調査において、この容疑事実を示唆する次の証拠を入手しているということを言っているのですが、この証拠の中で、文主宰の団体の会員たち及び朴東宣の共同事業家たちが共同してワシントンのディプロマット・ナショナル・バンクの株式の絶対過半数を所有しているという事実、これはもちろん証拠として調べられているわけですけれども、この資金の出どころについて非常に疑問がある。たとえばいまの久保木のような人物が七万ドルを持っていると言われているけれども、それをどこから持ってきたかということが非常に疑問である。これがもし韓国の公権力が関係して出しているとなるとこれは問題であるというのが、これがこの問題の中心になるわけですね。だから、久保木という人物は国際勝共連合の会長ということになっていますけれども、しかし、ディプロマット・ナショナル・バンクというワシントンのバンクの、朴東宣一派が買い占めた場合、文鮮明一派が買い占めた場合のその株主に名を連ねている、そういう人物であるということもよく承知しておいてもらいたいと思いますね。ですから、いまの久保木君の名前を知る知らぬは別問題として、つまりアメリカは、ユニフィケーションチャーチというものの宗教活動を見て、これは本来の意味の宗教団体ではない、一種の利益追求集団であり、それはある一国の政治的な利害やなんかと非常に密接してアメリカ内で活動している、そういう団体であるというふうに見て、そして、しかもそれが選挙妨害をやったり、あるいはまた政治家に資金を提供したり、いろいろなことをしているから調べざるを得ないというので、まさにフレーザー委員会の調査の中心がKCIAと文鮮明傘下の諸団体との連携関係になっているのですから、そしてアメリカにおけるいわゆる宗教活動というものは、アメリカのキリスト教諸団体によって、これはキリスト教宗教活動ではないという断定が下されたということですね。問題は、だから日本における統一協会、こういうものが、先ほど横山委員がお話しになったように、いろいろなインパクトを与えているわけでありますけれども、そういうものに対する警察等の姿勢が何かおどおどしていたことは間違いないです。だから不幸が相変わらず相次いで出ていく。キリスト教と名乗りながら、アメリカのようなキリスト教国家で、もはやこれはキリスト教じゃないと、こう言われている、そういう宗教団体、それがいろいろな方法、場合によってはマジックな、ミステリックな方法で青年たちを誤らしててるという状態に対して、もう少ししっかりした姿勢をとらなければいかぬと思うけれども、こういうアメリカのこの問題に対する態度というものを参照されて、いままでのようなああいうマジックなミステリックな方法で青年を誤らしめ、少女を誤らしめ、アメリカへ集団結婚なんかによって相当日本人が連れていかれた。女もいるんですよ。女もいて、そして、皆さんの方で調査しているかいないか知らぬけれども、しかし、去年の暮れには相当人数のユニフィケーションチャーチ関係の女性が妊娠して日本に帰ったという事実があるのです。これは知っていますか。
○城内説明員 雑誌等によりまして、そういう風評があるということは承知しておりますけれども、そういうことが事実であるかどうか、また、私どものやっております犯罪捜査ということに関係するような事実があるかどうかということなどについては、把握しておうません。
○宇都宮委員 警察庁も、犯罪捜査に関しては手心を加えちゃだめなんですよ。社会に犯罪の疑いというものが濃厚に起こったときには、あらゆる手段で犯罪捜査をしなければ、犯罪というものは、大声上げて犯人だ犯人だと歩いている犯人はいないんだからね、実際。ですから、これは、汚職事実にしてもあるいは宗教活動の違法にしても、みんなこれは一生懸命隠しているわけだ。脱税にしたって、隠しているのがあたりまえですよ。隠さなければ警察なんか要らないんだ、本当は。みんなが私は悪いことをしましたと大声出して歩いているんなら、裁判所がただ来てくれと言えばいいんだからね。ですから、選挙違反にしたって脱税にしたって、収賄にしたって何にしたって、あるいはこういう違法な宗教活動にしたって、これは疑わしいということがあった場合には十分な動きをしなければ……。これに対してはどうも大したうわさもないけれども徹底的に追及していく、これに対してはうわさが充満しているけれどもいいかげんにしておくというのでは、これは一体治安を担当するあるいは犯罪捜査を担当する当局として、そういうことでいいと思いますか、悪いと思いますか、答えてください。
○加藤説明員 犯罪捜査の職責を有しております警察といたしましては、そういう団体であろうとあるいは個人でありましょうと、そういう疑いが出てくるということになりますれば、それは積極的に捜査をするということでございます。
○宇都宮委員 もちろん人権の問題もあるけれども、相当人権が無視された取り調べをされている者がいますよ、たとえば単なる交通違反ぐらいで。ですから法というものがある。それで法というものを守る責任があるわけですよ、犯罪者に対しては適当な刑期がみんな決まっているのだから。日本の憲法に基づいて国会で決定している刑法というものがある。その他の犯罪を規制する法律があるわけです。そういうものに対して、ある人間に対してはうわさもないのに追っかける、ある人間に対してはうわさがあっても追っかけない、ある事件に対してはすでに告発してもなかなかやらないというんじゃしようがない。本当を言いますと、そういう変な不公正があってはだめですよ。共産主義がきらいだとかなんとか言うんなら、やはり基本的な法秩序というものをきちっと維持するのが大事なのであって、そういういいかげんなことをやっていると社会が混乱してくる、法に対する信頼が落ちてくる。これはしっかりやってもらいたいと思うけれども、警察庁の人もう一度答えてください。
○加藤説明員 私どもそういう格別の対象あるいは団体、個人、そういうふうなものによって警察の職務というものを左右するつもりは毛頭ございません。やるべきものにつきましては厳正な措置をとる所存でございます。
○宇都宮委員 厳正ということはいばることじゃないんだけれども、とにかくしっかりやらなければだめですよ。
 それから最後に、もう時間がないから聞くのですけれども、日本にいろいろな韓国系の団体がある、文鮮明の団体が中枢になっていますけれども。そしてKCIAがあるということは明らかです。アメリカなんかの状況が日本にないということは言えない。私、アメリカのフレーザー委員会で調べることになっていることに非常に関心を持たざるを得ない。ここにもこういうことがあるのです。「韓国政府によるアメリカの報道機関及び学界に対する買収工作。」なんというのがある、これも調べる対象になっていますけれども。そういうことなんですが、いろんなことをやっているわけですね。そして、私がこういうような姿勢でこの問題に相当厳しくやっているから選挙妨害もされるんだろうと思いますけれども、それとともに、選挙妨害だけじゃなく、一つの脅迫を行っている事実がある。これは私が本人だから一番よくわかっているわけだ。脅迫を行っている。私も政治家だから、福田法務大臣も政治家だから覚悟はしているんだろうと思いますけれども、政治家だから自分の政治的信念に従って殺されることはしようがないと思っていますけれども。だから、けしからぬから私は言うのです。私はこわいから言うんじゃないのです。日本の政治資金規正法というものをくぐり抜けて、変な選挙応援なんかをしながら、一方において非常な選挙妨害をするだけじゃなくて、一種の言論圧迫的な脅迫をする団体がある。
 ここへ持ってきたけれども、「質問状」というのがあります。これは「貴下の平素の言行が韓国誹謗、北鮮礼賛の連続であることはすでに周知の事実であるが、」なんと言って、今月十六日のAP記者との会見がけしからぬと言っているわけです。これはそれぞれの意見だし、非常に誤解もある。そういうことに対して質問状をよこして、そうして一九七六年十二月二十三日、去年の暮れの日付で、在日本大韓民国居留民団中央本部国際局長と名前を書いてこっちへ渡していった。私は本人に会いました。そしてこれをもらった。それで「貴下の態度ないし回答がわれわれの意に充ちないときは貴下に対する糾弾活動を凡ゆる手段によって無期限かつ無限界に展開することを宣言する。」これは脅迫でしょう。こういうことは許されていいんですか。
 そして、在日本大韓民国居留民団中央本部、一九七七年一月十一日、こういうあれで韓国の各民団支部に通達を出しています。これは通達の写しです。それには、韓国語で書いてあるから私はよく読めないのだけれども、とにかく、宇都宮徳馬正体暴露の何とか抗議指示というので、日本語に訳したところを見ると、宇都宮に送る電報とかなんとかあれして、こっちのおやじが朝鮮の軍司令官をしていたから、そのとき殺したなんということをいまごろ大げさに吹聴している。これも本当はよくない。あなたゲリラだとか、とにかくそういういろいろな文案を指示しているのですね。こういうことは本当は許されないことです。しちゃいけないことです。しちゃいけないことだけれども、私が幾ら言ったってやめないんだから。これは要するに、こっちも法治国家なんだから、それぞれやる限界がある、特に外国人の団体というものは。気をつけなければいけませんよ。気をつけないと、フレーザー委員会でもつくってやらなければいかぬことになるわけだ。そして、こういう問題に対して一体、私の方からも非公式に警察庁のだれかに、こういうことはいかぬじゃないかと申し入れてあるんだけれども、これに対してどういう措置をしておりますか、それをちょっと伺いたいと思います。
○城内説明員 いかなる団体であっても個人であっても、違法があれば、これを厳正に取り締まるということで、犯罪に対しましては現在捜査しておるわけでございます。
 御質問の、先生及び先生の秘書の方から渡されました資料につきましても、いろいろ分析、調査いたしました結果、はがき二百六十一通のうちの二通に脅迫にわたる言辞が認められた。これは大阪消印の手紙でございましたので、届けを受けました警視庁から大阪府警に捜査を依頼して、現在その二通について捜査をしているという状況でございます。
○宇都宮委員 これは重要問題で、警察庁なんかもっと全力を挙げてやるべきことだと思いますよ。そういうことが日韓の関係を正しくし――本当の意味の親善というものは、そういう変なことを正さなければできっこない。いいかげんに、韓国の問題だからなんてやっているんじゃだめだ。
 これはフレーザー委員会の容疑事実の中にあるけれども「法に定められた議会への報告義務を怠り、韓国との間に秘密行政とり決めを結んでいた事実。」これはアメリカの行政機関の問題です。そういうことが警察とKCIAなんかにあったらとんでもないことですよ。「法に定められた議会への報告義務を怠り、韓国との間に秘密行政とり決めを結んでいた事実。」なんということがフレーザー委員会の容疑事項の九になっているわけですね。こういうことは日本でもあり得るわけです。あり得るから、そういう雰囲気の中であなた方の態度がこういう問題に対してきわめて軟弱、きわめて骨なしのことになってくるんだと私は思いますね。
 それで、私は一言言うけれども、これからまたどなたか質問されるので、日本の議会というのは質問時間が短くて本当に困ると思います。委員長いいですか、ちょっと二、三分だから勘弁してもらって。
 あなたがいまその中で、脅迫になったのは二つある、確かにはがきにそういうのがありましたよ。月夜の晩ばかりじゃないよ、これなんかは確かに脅迫になりますね。それから、子供たちは元気か、わかっているねなんというのは、おやじはとにかくこれは決心しているから。子供たちは元気かなんて電話でも言ってくるんだ。子供の命を考えろよとか、孫の命を考えろよ。もう子供は相当憎らしくなっているからこっちは余りかわいくないけれども、孫なんて言われるとはなはだ困るんだけれども、そういうことで来ていますがね。そうでしょう、二通というのはこのことだね。月夜ばかりではないよというのと、子供は丈夫か、これがそうですね。
○城内説明員 私が申し上げた二通というのは、ただいま御質問にありましたその二通でございます。
○宇都宮委員 それで、韓国という国は、日本が相当――援助そのものが正当に行われれば、われわれも別に反対しないし、その援助によって向こうの政権というものが間違った政治をしなければ、何も反対するわけではない。しかし、とにかく日本は援助をしているわけですよ。実際言うと、日本の経済援助がなければ成り立たない国ですよ。だから、その援助というものは正しくして、変な打ち返しが日本に来るということは、これはもう日本の政治にとって非常に困ることですから、フリント委員会で調査するようなことがうんと起こったら困るのだから、政治が曲がるから、こういう状況は日本の政治がまさに曲がっていると言ってもいいくらいですから、私は、こういう問題全体に対して、ひとつ福田法務大臣の見識を、二十年来の友人である政治家としてのあなたの見識を私は伺いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 先ほど来の先生のお話を聞いておって、ごもっともな御意見であると私は承っております。
 われわれは、いかなる場合に処しても、正しいことについてはやはり勇気を持って処理をする、また隣国の関係においてもわれわれのいわゆる政治見識というものがいつでも優先していかなければならない、かように考えております。
○宇都宮委員 それじゃ委員長、どうもありがとうございました。
○横山委員 関連質問。
 宇都宮先生が提起された問題は、御本人だからあえて執拗な質問をなさらなかったと思っておるわけですが、ここは国会であり、しかも法務委員会であり、しかも具体的な証拠を提示してのお話なんで、これはゆるがせにすることはできません。いまの警察庁の答弁は、調査中であるというきわめてどうでもとれるような答弁としか私は受け取れません。あえて何回も言いますが、ここは国会であり、法務委員会であり、しかも一個の国会議員が脅迫されたという証拠を提示をされておる。しかも相手は外国人である、外国人の団体である。出した名前も明白である。それを、お話を承れば、もうとつくの前に警察庁に非公式に連絡があったという。非公式であろうとなかるまいと、明白な証拠をもって国会議員が通告したのに、きょうあたりも事前に宇都宮先生の御質問があるとわかっておりながら、そういう調査中であるという答弁は何事ですか。これは決着をしっかりつけなければなりません。直ちに逮捕しなさい。明白に責任ある答弁を求めます。城内説明員 先ほど申し上げましたように、はがき二百六十一通のうちの二通は、人を恐怖させるに足りる害悪の告知があるという認定をいたしまして、これにつきましては捜査をやっているわけです。
 それから、電報を三十九通ほど先生からお預かりしておりますけれども、これにつきましては、いわゆる抗議に類するものである。つまり抗議というものは私ども警察にとりましては関与できない筋合いでございまして、あくまでも私どもは犯罪があると思量したときに犯人及び証拠を捜査する、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、現在、その二通のはがきについて、大阪府警において綿密な捜査をしておるわけでございますが、私どもがいただきましたものは、はがきのコピーをいただいたということで、しかも私ども一見いたしましてこれは同一人が書いたものであるということはわかっておりますけれども、その差出人等がわかっていないということでございます。
 なお、先ほど宇都宮先生が上部団体の指示ということをおっしゃったわけでございます。私どもその資料につきまして詳細に検討いたしましたけれども、その文言の中には脅迫にわたるような文言がない、むしろ刺激的な言葉を避けろというような、そういうことが配慮されている文章になっておりまして、その二通のはがきでございますが、これをもちまして直ちに脅迫に対する教唆をしたということを認めるのはやや早過ぎる、というより、むしろそれは無理であるということで、私どもはこのいわゆる指示文書なるもの、この出所その他それにつきましては、罪刑法定主義のたてまえから、それば犯罪であるというふうに私どもが認定して捜査するわけにはまいらないということで、先ほど来申し上げている二通のはがきについて捜査をしている状況にあるわけでございます。
○横山委員 時間の関係上終わりますが、大変私は不満であります。ここの中にいらっしゃるお方があなたの答弁で納得をされたかどうか、大変私は不愉快な御答弁だと思います。
 本件につきましては、委員長、後刻理事会で取り扱いを御相談願いたい。
○上村委員長 次に、正森成二君。
○正森委員 外務省に伺いたいと思いますが、前回四月二十日の質問で、原理運動、統一協会関係者がアメリカに観光ビザだけで入国し、期限が切れたので、在留資格の変更、これは伝導訓練生の資格付与ということだそうですか、一九七四年に申請したけれども、米司法省の移民帰化局が申請を却下した、つまりこの時点から不法滞在になったと思いますが、その日本人は何名で、却下の理由は何かということをお調べになりましたか、お聞きしたいと思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 いま正森先生御質問の、一九七四年一月に統一協会の関係者、これは恐らく観光なりあるいは商用で入ってきたものかと思いますけれども、その五百八十二名が、ビザの資格変更ということで、いま御指摘の伝導修習生というビザへの切りかえを申請したわけでございます。この五百八十二名のうち、日本人は二百八十一名であると承知しております。
 なお、この五百八十二名のその申請に対しましては、アメリカの移民帰化局は、どうもその伝導修習生というカテゴリーにはこの人たちは当てはまらないのではないか、こういうふうなことで、つまり統一協会の学校がニューヨークで正式に認可されたわけでもないし、どうもこれらの関係者というのは伝導修習というよりか、むしろ花売りとかあるいは新聞売り等々をやっておるのではないか、あるいは募金活動等々をやっておるのではないかということで、この資格変更は却下されたというふうに承知いたしております。
○正森委員 私は外務省からも報告をもらっておりますが、ニューヨークの移民帰化局では、統一協会の学校がニューヨークで正式に認可されたものではなく、これら関係者が花売りや新聞売りをして協会の資金募集活動を行うなど法律に違反する――法律に違反するということが明確に書いてあるのではありませんか。
○遠藤説明員 御指摘のとおりでございます。
○正森委員 そうだといたしますと、法律に違反する、そういう内容をしておるのだということで、在留資格の変更が認められなかった二百八十一名の日本人は不法残留者になっていると思われますけれども、外務省はどういう措置をとっておりますか。
○遠藤説明員 二百八十一名、御指摘のとおり、不法滞在者でございますか、となっておると思われます。このうち、この二百八十一名の名簿は実は移民局から入手しておるわけでございますけれども、その二百八十一名が一体どのぐらいすでにアメリカを去ったのか、あるいはアメリカに依然としているのか、あるいは仮にアメリカを出た場合に、日本にどのぐらい帰っておるのかという点、ことに日本への帰国につきましては、外務省はちょっと調べる手段がないものでございますけれども、じゃアメリカをどの程度の数が出たのか、だれが出たのかという点につきましては、移民局の方に照会しておるわけでございますけれども、結果判明までは若干かかるということで、しばらく時間をおかしいただきたいと存じます。
○正森委員 私は、外務省からいただいた二百八十一名の名簿を法務省の入管局へお渡しをして、そのうち何名が日本に帰ってきたかお調べ願いたいということを申しておりましたが、それについて御報告していただけますか。
○吉田(長)政府委員 ただいま先生の御指摘の二百八十一名とございますが、アメリカから参りましたリストを綿密に計算いたしますと、正確には二百七十九名でございます。そのうち電算機に入っている分、すなわち、ことしの四月二日までに帰国した分を調査いたしました結果、九十三名が帰国しております。
○正森委員 そうすると、二百七十九名のうち九十三名が帰国しておるわけでございますから、二百名近くのものがまだアメリカに不法在留しておるか、あるいは日本以外の他の国におるかということになるわけだと思うのですね。これは非常に大変なことであります。
 外務省に伺いますが、昨年の一九七六年七月に再び統一協会関係者がアメリカの司法省の移民帰化局に新たに在留資格変更を求める申請を行ったようでありますが、それについて状況を報告してください。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 一九七六年、昨年の七月に百七十名の統一協会の関係者が同じく司法省の移民帰化局に資格変更の申請をいたしたわけでございます。で、目下この資格変更の申請につきましては審査段階にあると承知しておりますが、この百七十名のリストをアメリカから入手いたしまして、この中で、実は百七十名のうち百六十五名が日本人でありまして、この百六十五名の日本人につきまして照会しましたところ、このうちの三十三名はアメリカからは出たというふうな報告を受けております。
○正森委員 百七十名のうち百六十五名までが日本人である。恐らくこの人たちは一九七四年のときと同じような理由で申請却下される可能性が非常に強いし、アメリカにおいては一九七四年に入国した者と同じ活動をしておる可能性が強いわけであります。
 外務省からの報告によりますと、これら日本人関係者はニューヨーク市内及びニューヨーク州に統一協会が所有する学校に合宿して研修を受けるとともに、街頭では戸別訪問を行って、お茶、花、ろうそくそれからピーナッツ、キャンディーを売って協会の資金募集をしているというように報告されておりますが、間違いありませんか。
○遠藤説明員 そのような報告を受けております。
○正森委員 法務大臣に伺いたいと思います。
 こういうように、アメリカでお茶や花やろうそくやいま話題のピーナッツやキャンディーを売り歩いて、それで違法行為を行い、アメリカから、法律に違反しておる、それで滞在資格の変更も認めないというようなことになって、なおかつ帰国した者は、わかっておるのは三分の一にすぎないということになりますと、日本国民の信用やあるいは全般的な利益を非常に害しているというように判断しなければならないと思うのですが、どう思われますか。
○福田(一)国務大臣 アメリカで違法な滞在であると認めておるのに、それがまだ帰っておらないということであれば、これは適当でないと存じます。
○正森委員 法務大臣は適当でないという言葉を使われましたが、私は日本国民の信用を棄損しておるというように思わざるを得ないと思います。
 そこで外務省に伺いたいと思いますが、旅券法の十九条では、「日本国民の一般的な信用又は利益を著しく害しているためその渡航を中止させて帰国させる必要があると認められる場合」は「旅券の返納を命ずることができる。」というようになっておりますが、統一協会関係者はこの条項に該当しておる疑いが非常に強いのではありませんか。
○遠藤説明員 正森先生、非常に申しわけないのでございますけれども、私、旅券担当でございませんけれども、私の知ることを申し上げたいと思いますが、確かに旅券法には御指摘のような条項があるわけでございますけれども、この統一協会の人たちも旅券を申請してきますときには、いわゆる商用あるいは観光という申請であって、統一協会ということは必ずしも明示されない場合が多かろうかと思います。したがいまして、あるいは仮に統一協会となりましても、実は恐らく統一協会の場合でも、一般的には先生、われわれも想像しますようなことじゃないかと思いますけれども、少なくとも形式審査といいますか、要件審査のときになかなかそれでもって旅券発給を拒否することはむずかしいのじゃないか、私ちょっと、素人でございますけれども、そういうふうに考えております。
○正森委員 時間の関係で途中は省略いたしますけれども、運輸省の関係者来ておられますか。――われわれが調べたところでは、この統一協会関係者はほとんど統一協会関係の企業と言われている世一観光を通じて渡米している、こういうように言われております。
 そこで運輸省としては、旅行業法の第二十六条に基づいて世一観光について報告をさせる、あるいは場合によったら立入検査を行うという必要がわが国の国益から見てもあるんじゃないかと思いますが、どう思いますか。
○富田説明員 御指摘の旅行会社につきましては、さきにお話がございました時点、一九七四年のことにつきましては、現在の世一観光ではなくて、その関係が深い会社であると言われております統一産業というのが取り扱っておったと考えられますが、この会社につきましては旅行業を廃止いたしております。
 後の事案につきましては、おっしゃるとおりでございまして、世一観光というのが取り扱ったと考えられるわけでございますが、旅行業につきましては、旅行者の要請に基づきまして、航空券の手配でありますとか宿泊の手配をして渡航、滞在を手伝うという仕事でございますので、その個々のお客さんが渡航されてからどのようなことをされるかというようなことにつきまして一々チェックするということは、非常にむずかしいわけでございます。
 で、お話のような問題があるといたしますならば、旅行会社もこれにもしも関与をしておるようなことがございますれば、もちろん旅行業法には限界がございますけれども、決して好ましいことではございませんので、われわれといたしましては、旅行者の安全を図るというような意味から、旅行業者につきまして報告を求めるということは可能でございます。
○正森委員 私は、一九七四年にもまた七六年にも外務省から一定の報告があるわけですから、措置をとる前に少なくとも報告を求めるということだけは最小限やる必要があるのではないかというように思いますので、この点を特に要望しておきたいと思います。
 先日、五月十八日に原理運動被害者の意見陳述が行われましたが、その中で、被害者父母の会の山田健一会長が証言書の中で、長女の康子が、昭和四十九年観光ビザにて米国へ入国ニューヨークの統一教会傘下に住んでいますが 本人の行動、健康状態も十分にわからぬ為音信も少なく心配致しておりますしと述べておりますけれども、この山田さんの気持ちは、子を持つ親の自然な共通のものだと思います。
 そこで私は、外務省からいただきました二百八十一名の名簿等を関係者の父母の会にお渡しして会員の被害者調査に協力したい、こういうぐあいに考えておりますけれども、その名簿を受け取った関係者が、外務省等に、うちの息子あるいは娘はどうなっておるかということの問い合わせがあった場合には、法務省も外務省もできる限り協力していただきたい、こう思いますが、それについては肯定的にお考えいただけますか。
○遠藤説明員 御親戚なりあるいは親族の方から、そういうような自分の息子なり娘がどこにいるかわからぬからひとつ捜してくれというふうな申し出がございましたら、喜んでお手伝いいたしたいと思います。ただその場合、できる限り――不法残留になっておることからもわかりますように、アメリカの一体どこにいるのかアメリカの当局でさえわからないのが、日本のわずかな総領事館でなかなかわかりにくいかと思いますので、なるべく具体的な足がかりと申しますか、手がかり等々を添えまして、私どもの方に申し出ていただければ、適当な総領事館あるいは大使館に連絡いたしまして、実はどのぐらいできるか、私も非常に自信がないのでございますけれども、できる限りいたしたいと思います。
○吉田(長)政府委員 法務省として御協力申し上げるのは、出入国の記録の上からであろうと思いますけれども、そういう場合はできる限り協力させていただきたいと思っております。
○正森委員 法務大臣に最後に伺っておきたいと思いますが、この外務省からいただいた記録を見ますと、プレゼントアドレスという現住所のところが、二百七十九名が全員七二三 サウス・ブロードウェイ・タリータウン・ニューヨーク一〇五九一というのですか、そういう住所になっているのですね。これは全部一緒なんです。これは統一協会関係の合宿場所だと思うのですね。ですから、これは明らかに統一的な行動に基づいて行っておるということは、このアドレスを見ただけで一目瞭然なんですね。そのアドレスに合宿しておる者が、一括して伝導修習生としては法律に適合しない、現在行っている活動もアメリカの法律に違反する、こういうことになっておるわけですから、私は、きょう文部省が来ておられるかどうかわかりませんけれども、関係当局がこういう問題についてもっと大きな注意を払っていただく必要があるのではないかということをとりあえず希望しておきたいと思いますが、御所見を承って、この問題に対する質問を終わらせていただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 多数の者が同一個所に住所を詰めておるという事実から、いろいろのことが想定できるわけでありまして、その点は注意をいたしたいと思います。
○正森委員 最高裁の方来ておられますか。――それでは別の問題について伺いたいと思います。
 民訴法によりますと、公示送達という制度があるわけですね。公示送達というのは一般的にどういうような要件があったときに行われることになっているのですか。
○井口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 先生すでに御承知のことと存じますけれども、民事訴訟法百七十八条の中に、送達をすべきものの送達場所が知れざる場合に公示送達を許すことができる、かように定められております。
○正森委員 そこで、本人の住所、居所が知れないとか、あるいはそこに本人がおらないということを認定して公示送達をやる場合には、よほど慎重でなければならないと思うのですね。なぜなら、憲法では国民は裁判を受ける権利を保障されておりますが、公示送達というのは実際上届かないことがわかっておるからやるわけですからね。それでやられますと、裁判所の前の送達物を見てのこのこ出てくるというのは希有の例でありますから、慎重でなければならないと思うのですね。
    〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
 以下に具体的な例を挙げてお尋ねしたいと思うのですが、佐藤裕子という港区西麻布一の十五の一に住んでおられた人があります。この人は自分の所有の世田谷区羽根本二丁目の土地四百七十四・三八平方メートルについて、昭和四十八年十一月に前所有者の岡野ジョージという人から所有権移転登記抹消請求の裁判を起こされた。そして、結果としては敗訴をしたわけであります。
 私は、お断りしておきますが、判決の内容そのものについて毫もこれがいいとか悪いとか申し上げようとしているものではありません。しかし、広い意味の司法行政の一環として公示送達のあり方について御質問をしているわけであります。この裁判の過程において、佐藤裕子という人はその住所地に住んでおり、しかも、そこでは住民登録をしており、そして住所変更も何もしておらないにもかかわらず、行方不明として扱われ、終始、一回も正当な送達を受けることがなく、第一回から公示送達によって不出頭のまま欠席判決を受けた、こういう事実があるわけですね。
 その事実をよく調べてみますと、これは岡野ショージの弁護士のHという人が、裁判所へ訴訟提起に当たって、東京弁護士会を介して、佐藤の所在確認を麻布警察署に行った。そうして昭和四十八年の十二月六日に麻布警察署の警察官が、家主の話によるとして、十月二十三日以降全く帰宅せず所在等が判明しなかった、こういう報告書を提出し、この報告書に基づいて東京地裁の民事第十三部の書記官は、本人の所在不明を確認するための一回の送達も行わずに公示送達の決定を出し、以後そのまま処理された、こういうことになっておるのですね。
 ところが、奇怪至極なことには、そのまさに同じときに、この人は、家主とされる人のお父さんとの間で家屋明け渡しの請求事件を争っており、それはまさに西麻布一の十五の一の住所地に呼び出しの送達を受けて、これは本人が受け取って、現に裁判に出頭しているのですね。そういうことがあるにもかかわらずこういうことが行われるというのは非常に奇怪至極だと思うのですけれども、公示送達についてどういうような要件で行い、どういう手落ちがあったのか、もしわかったらお答え願いたい。
○井口最高裁判所長官代理者 私ども、つい最近、記録によりまして調査いたしました結果、ただいま先生御指摘のような経過であったようでございます。ただ、その別件の方の呼び出し状が本人に届いたという点につきましては、実は別件の方が私どもに特定されておりませんので、いまだ調査しておりません。したがいまして、その点は何とも私どもとしてお答えする限りではございませんけれども、それ以外の点につきましては御指摘のとおりのように思います。
 それで、私どもの経験上、公示送達がどの段階で行われるかというのは、事案によって異なります。確かに、一応郵便なり執行官なりによって送達を試みた上で、それが不能の場合に証明書の取り寄せあるいは調査をするというのが場合としては多いかと思いますけれども、御指摘の案件につきましては、所轄の警察官のかなり具体的な報告がなされておるようでございまして、先生御指摘のように、書記官の方で正規の送達を試みた事実はないようでございますが、それがいいか悪いかという点になりますと、その事案によって、必ずしも非常に不当であったという感じはいたしません。
 そこで、お尋ねの公示送達がどうあるべきかという問題になりますけれども、御指摘のように、これはやはり最終的に認められたごく例外的な補充的な方法でございますから、たやすくこれを利用するということは慎まなければならないことは、私も全く同感でございます。ただ、事柄の性質上、一体どこまで調査をすればこの法律の定める送達場所が知れざる場合に当たるかということになりますと、やはりその調査のあり方については限界があるのではなかろうかと私どもは考えております。それは、まず第一には、これはいささか釈迦に説法のきらいがございますけれども、民事訴訟の性質上、まず当時者の申し出た送達場所からスタートして調べざるを得ない、これは当然のことでございますが、次に、その送達場所が簡単にわからない場合に、時間と手数を幾らでもかければ必ず場所が判明するという保証もございません。したがいまして、やはり社会通念上これはこの場所にはいないであろうというふうに考えられる限界があるのではないかと私どもは考えております。したがいまして、本件についてどう思うかということになりますと、具体的な事件でございますからお答えを控えさしていただきたいと思いますが、一般的にはそういう限界があるんだということを申し上げて、さらにお尋ねがありましたらお答えしたいと思います。
○正森委員 いまの答弁は、自分にとって非常に不利な点はまだ調べてないと言って、必ずしも誠実な答弁ではないと思いますね。家明け渡しの訴訟については、私はここに記録を持っておりますけれども、裁判所が判こをちゃんと押した送達報告書が全部あるのですよ。だから、ちゃんと別件では送達されているのです。しかも、それは同じ東京地方裁判所の、部が違うだけの事件ですよ。そういうことがあるのにもかかわらず、それは調べておらないで、そういう点は別にしてということでその判断をしようとしておるということは非常に当を得ていない、こういうぐあいに思いますね。ただ、私は、個別の事件について言うんじゃなしに、一般的な問題として申し上げるわけですが、いま、警察にも調べさして、その詳細な報告があると言われましたが、警察庁というのは、一体こういうようなことを軽々に調べて、そして、どの程度であればどのぐらい確信を持った報告書を提出するのですか。
○長岡説明員 突然の御質問でございまして、私どもも、その警察が出したと言われる回答文をまだ見ておりません。なお、事実関係につきましてよく調査してみたいと考えておりますが、警察といたしましては、住民の居住事実の調査とか、居住している、いないとかいうふうな確認とか、そういうふうなことはやっておりません。これは警察の所管外でございまして、もし所管する官庁があるとすれば、市町村あるいは自治省系統のところじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、どういういきさつでそのような回答がなされたかという点にちょっと納得のいかない点があるのでございますが、恐らく弁護士さんとか東京弁護士会とか、そういうふうな権威のある機関からあるいは権威ある方から照会があったので回答したんじゃないかというふうに考えまして、そういう点、反省すべき点があるのではないかと思います。今後、こういう問題につきましては、取り扱いに誤りのないように都道府県警察を指導してまいりたいというふうに考えております。
○正森委員 参考のために名前を言うておきますが、この報告書を出したのは麻布警察署の田中庄一という巡査部長です。
 最高裁に伺いますが、いま警察庁の防犯課長も言いましたように、大体こういうことをやるのは、警察庁の仕事ではなしに、主として市町村の仕事である、これはあたりまえのことなんですね。ところが、この一件記録を見ますと、住民票さえ取り寄せてないのですね。まず第一に、最小限度、申し立て人側の主張を認めるためには、住民票と、その住民票に登録されている住所から異動したが行き先がわからないか、あるいはそのまま異動せすにおるかということだけは最小限調べるべきじゃありませんか。ところが、それを調べたら、この人はいま私が言いました住所地にちゃんと住民登録をして、そこから何ら異動していないのですね。しかも、その家には、自分が住んでおるだけでなしに、自分が不在のときでも六十九歳のおばさんが住んでおるのですね。その人は年寄りですから、四六時中ほとんど家におるのです。だから、警察官が調べるなら、そのおばさんに聞けば一目瞭然にわかるにもかかわらず、一回もその家に行ってないのですよ。行ってなくて家主にだけ聞いておる。それで、その家主というのは家明け渡しの訴訟についてその人と対立関係にある。そんな対立関係のある人のいいかげんなことだけは聞いて、住民票もとらなければ、そしてその家にずっとおるおばさんにも聞かない。そんなことで公示送達されて、国民の権利が守れますか。裁判を受ける権利が守れますか。だから、一般的に、大体警察官がそういうことを答えるというのが第一問題だけれども、少なくとも住民票も取っていろいろわからないときに補充的に聞くというんならまだ話がわかるけれども、やるべきことをやらないで、やるべからざることをやってしまって、それで十分で手落ちがないと思うというようなことを最高裁の民事局長が答えるということでは、私どもは、国民の財産権というものについてもこれは安心することができない。あなた一遍そういうことをされてごらん、どう思いますか。
○井口最高裁判所長官代理者 大変御満足のいかない答弁をいたしまして申しわけございません。ただ、これは理屈を申すわけではございませんけれども、公示送達の許可をするかしないかはその裁判所の裁判長の決める一つの裁判でございますので、私決してこの案件における裁判長の処理がそれで結構だということを申し上げるつもりは毛頭ございません。また同時に、これが非常におかしいということを申し上げる立場にもございませんので、その点はお許しをいただきたいと思います。
 それから、先ほど別件の点について調べていないではないかとおっしゃいましたが、そのとおり、調べておりません。実は、その別件がどういう事件であるかが私どもに現在把握できておりませんので、たまたま同じ民事部でございましてもちょっと探しようがございませんので、もし調べろという仰せでございましたら、後刻御指摘をいただきたいと思います。
 それで、おっしゃいますように、住民票には移転の事実がないということは、これは私何も弁解で申し上げるわけではございませんが、現にその記録中の、警察の報告書の中にも移転の事実はないということがはっきり書いてございますので、私、書記官がなぜ住民票を出させなかったのかは確かめておりませんけれども、一応それで住民票には移転の事実がないということが普通認められてもそうおかしいことではないのではないか、かように考えております。
    〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
○正森委員 いまの答弁を聞いておりますと、その公示送達をするというのも裁判だから、何か裁判内容に干渉して一言も言えないかのように受け取れる発言をしましたけれども、私は、公示送達のあり方という点を聞く場合には、最小限こういう事例はなくした方がいいのではないかということは、裁判の、どっちが勝ったか負けたかという、そういう内容で言うのとはおのずから性格が違うと思いますよ。だから、私はあらかじめ課長等にも断って、それで言うているわけで、それだけ配慮して言うているのに、何かあたかも、事いやしくも裁判に関係あることであれば、これは全然聞けないのだかのごときことをえんきょくに言うというのはよろしくないというように思いますよ。
 それから、警察の報告書にそういうことが出ておったとしても、それなら一層、家主に聞いたなんということじゃなしに、そこに人間が住んでおるか住んでないかということが一番大事なことじゃないですか。そこに住んでなければともかく、四六時中住んでいる人間がおるのに、そこへ行ってみればそれはおばであってどうこうであった、本人はおらないとか、そういうことを全然確かめないで、警察自身も本来の業務ではないと言うていることをさせるということは、私はこの件について言うているのじゃないのですよ。一般的に、公示送達のあり方としては慎重を期してもらいたい。
 なお、私は、この裁判官や書記官をどうこうということは毛頭考えておりませんが、今後の司法行政やその他のあり方の御参考になるのであれば、その別件の記録も御要望によってもちろん提供いたしたい、こう思いますので、今後とも国民の裁判を受ける権利を守るために御配慮を願いたい、こういう趣旨から言っているわけですから、私は、裁判の内容が、この件について結論がどっちが正しい、それは言っておりませんから、改めてもう一度答弁してください。
○井口最高裁判所長官代理者 最初にも申しましたように、公示送達が最終的な補充的な送達方法でございますので、これを活用するにつきましてはきわめて慎重でなければならないということは、全く私も同感でございまして、今後、本件がどうであるかは私まだ調査をしてみないとわかりませんが、いやしくもそういうミスが極力起こらないように適切な対策を講じていくということは当然でございます。御了承いただきたいと思います。
○正森委員 私が特に申しますのは、こういうことで仮に弁護人や関係者に悪意があるとすれば、判決の騙取というような問題にもなるわけですけれども、これは容易に是正できないのですね。これは私、詳しく申し上げませんけれども、きわめて困難なことでしょう。ですから、それだけに、裁判を受けた上で権利がないものなら権利がないということの機会をできるだけ与えるというために御配慮願いたい、こう思います。この問題はこれで終わりたいと思います。
 それでは、お待たせいたしましたが、法務大臣に伺いたいと思います。
 法務大臣は、私どもが知っておりますところによりますと、四月二十七日付の福井新聞を見ると、福田一法相は、四月二十四日福井県大野市で開かれた国会報告講演会の席上でロッキード問題についてお触れになって、衆議院予算委員会での法相戒告決議に触れて、「私は悪いことはしていない。法を守る番人として当然のことを言った。はっきり理屈を言うと、与野党伯仲化の国会運営に支障が出るので、自分でもわかったようなわからんような答弁をした」、こういうことを言うておるということが報道されておるのですね。
 また、当日その会場におりました人物からの聴取によりますと、集中審議のときも仕方がないので四時間天井を見ていた、心ならずも多数に押し切られたのだ、こう答えておることになっているのですね。
 もしこれが事実だとすると、国会における戒告決議や、あるいは戒告決議を受ける前にあなたがいろいろ野党質問に対して前言をお取り消しになり、そういう印象を与えたとすればこれは本意ではないということで、終始前の発言を維持してそれが正しいなどとは思っておらないのだということをおっしゃったのは全部うそであって、仕方がないので四時間天井を見ておった、心ならずも多数に押し切られて国会戦術としてやっただけだ、自分自身で答弁したのも、自分自身でもわかったのかわからぬのか、そういう答弁だ、こう言うておることになるのですね。これはもってのほかであるというように思うのですね。いかがですか。
○福田(一)国務大臣 御案内のように、選挙区では私が戒告決議を受けたということについて非常な関心を持っておりますから、どういうわけでどうなったかということでありますが、それは私は、法律の内容から見て、刑事訴訟法の本来の立法の趣旨から考え、それからまたそのたてまえから言えば、秘密ということが非常に大事な問題であるということは御案内のとおりだと思うのです。それから、実際問題として人権を尊重するというたてまえも貫かれなければならない。そういうことでありますから、私が戒告を受けた決議の一番もとになったことは、今後はこういう種類のことば発言したくない、すなわち、灰色と言われるような人のことについては発言しないということを言ったのが問題の発端であったわけであります。でありますから、問題はそこに一番大きな論点があると見なければなりません。私は、そういう意味から言うと、議長裁定があったことと、それからロッキード委員会の理事会でもってこういうものの灰色の高官名は出した方がいいということがあったのでこれは出したのだけれども、これからは私は出す意思がないという意味のことを、そういう同じような手続がとられれば別でありますけれども、それは出す必要はない、出すつもりはないのだ、こういうことを私は述べておったわけでありますが、委員会において述べておったことはそういうことであったわけなんです。私は、これは法務大臣をしておって言う言葉としては余り――議員として私は言いたいことなんですけれどもね。議員の一人として言いたいことなんですけれども、私は秘密会で出したというに至った法務省の経緯を実は聞いておるのでありますけれども、それはもうできるだけひとつ秘密に取り扱ってもらいたい、何となれば、これは確定した事実ではないのです。調べたことは調べました、調べたということは述べましたけれども、これは罪であるという確定事実ではないのだから、その取り扱いは特に慎重にお願いをいたしたい、こういう気持ちであったわけですね。ところが、実際に委員会で取り扱われた姿を見ると、そのまま直に発表されてしまっておるわけですね。そこで、きのうも二階堂先生も言われましたけれども、大体これは秘密などというのは守れるはずがないじゃないか、秘密会などというのは、国会においては、そういう秘密会というようなものは秘密が守れる形の秘密会になっていないのだ、こういう意味のことを二階堂君も言われたと思う。私も実はそう思っております。
 それで、私はあのときに四時間半、ずいぶんいろいろ仰せになったけれども、私は何もその大筋において、何といいますか、議長裁定があって、しかもロッキード委員会においてこういうものは出すべきだということを理事全員でもって認められたということであればこれは出さざるを得ないと思うけれども、その後はそういうことがあり得ない、今後はあり得ないと私は思っておりましたし、それからまた、今後の問題としては、私はその席でもちょっと触れたのでありますが、アメリカがウオーターゲート事件を処理するときに、ちゃんと秘密会の規程をつくって、秘密会をして、そして連邦裁判所から資料の提供を受けて、そしてちゃんとそれを調べた上で、決定はいたしましたけれども、その間の経緯は一切発表しないという形をとっておりますね。私は、日本の場合もひとつそういうようなものがあったらありがたいな、そうするというと個人の人権も守り得られるじゃないか、こういう考えを持っておるわけであります。そういうことからいって、あのときには、いろいろ御質問で、私はそれなりの御答弁はしたつもりでありますけれども、すべておしかりを受けたということに相なっておるので、私はその意味では、今後の国会と行政府とのあり方についてやはり一つのけじめというものをつけておく必要があるんじゃないか。あのときなども、大変おしかりを受けたのに、国会のことについて行政府が発言するとは、意見を言うとは何事だというようなおしかりもありました。しかし、いやしくも行政をやっておる者が私は意見を述べて悪いということはないと思うんですね。それは意見を述べることは、採用するしないはそれは国会においてお決めになればいいし、また国会で御意見を述べられたことを行政府がやるかやらないかということも、これもまた政府の見識でやればいいのですから、国会のやったことについて意見を述べるのはけしからぬ、こういうような意味のことを言われたことについては、委員長がやられたことだからそれについてはやむを得ないと思うということは私は言っておったけれども、私は本当の気持ちは、そこが割り切れない気持ちがあったということは事実であります。私は、政府が意見を述べてはいけない、たとえばどういうことにしても、立法府のやられることにしても意見を述べることは、採用されるされないは別であるけれども、それは国会というものは意見を述べ合う場所であるだろうと思うのです。だから言って一つも差し支えないんじゃないか、こういう感じが私はいたしておる。その国会のやったことについてけしからぬというようなことで大変おしかりを受けたことは、私には納得いかない。そういう本当に自分で割り切れてない面があるわけですからして、だから、私はこれからは一切言わないと言ったことについてはこれは間違っておったと思っておる。それだからおわびをしたわけです。いままでのように、ロッキード委員会でこれだけは出すべきであるということが全会一致で決まれば、これは国会の両院議長の裁定もあるわけですから、これは出すべきであろう。それを私が一切言わないというようなことを言ったことは、これは私が間違っておったからおわびをしなければいかぬ。その点はわびておりましたけれども、その他のそういう経緯について、人権を尊重するというたてまえからいって、まだ確定しない事実を述べて法務省が出したという場合においては、それがもうすぐに確定されたことのごとく報道されるような形になることは、私は決してこれからも人権を守るという意味では好ましいことではないと思っておるわけであります。この点はいまでもその考え方は変わっておりません。
 それからいま一つ、私が意見を述べたのはけしからぬというようなおしかりを受けたことは、実は非常に私は不満でありました。しかし、あの状況下で、あなたお考えをしていただいてもわかるように、ちょうど予算の編成の時期でもあったし、いろいろのこともある。私には一点、そういう絶対出さないと言ったところにおいて私は間違っておったと思っておる。そこだけはこれはおわびをせなければならぬと思うから、いろいろ言いたいことはあったけれども言わなかったという気持ちがあったということでありまして、私は、そういう意味で、何もわかったようなわからないようなことを言うというふうにとれたかもしれません。というのは非常にむずかしいんですよね、あれを解釈すると。議長裁定といい、刑事訴訟法といい、立法の趣旨を踏まえてといい、そしてまたいろいろむずかしいことがあったということも事実だと思うのです。だから私は、そういう意味で一点だけ間違っておった、あれだけは言わない方がよかったんだなとは思いましたけれども、しかし、あのことも、秘密会ということを言ったのに秘密会でなくてそのまま直に発表されておるということは、実は私は、余り素直な姿ではないんじゃないか。そうすると委員長のやり方を非難することになりますから、だから私は触れなかったんだけれども、心の内にはそういうものがあったということだけは事実なんであります。たとえば資料が出たけれども、それならばその本人を呼んで、本当にどういうことだったんだ、君、どうなんだということをまず聞いてから、それからこれを発表すべきものだ。いやそれはやはりいかぬ、そういう裁定を下されたのならば、それは非公開でなかったとしても余り文句を言うべきじゃなかったと思うけれども、出てしまった後の次の日になって意見を述べさせたのたからそれでいいじゃないかというところにも、私はいかがかなという感じがあるわけであります。これは私の率直な気持ちであります。
○正森委員 日本共産党は法務大臣の人権を尊重するところですから、いま法務大臣の一身上の弁明を十分以上にわたって詳細に承ったので、おっしゃりたいことば全部おっしゃれた、こう思うのですね。私、時間が無限にあるのでしたら何ぼでも聞くのですけれども、残念ながら委員長から一定の制限がございますので、これからは簡単にしていただきたい、こう思います。
 いまのお話で法務大臣の心情は仰せられたと思うのですけれども、ただしかし、その前提としては、私が指摘した発言は自分は行ったということを前提にして、その真の気持ちはこういうことだという趣旨で御発言になったと思うのですね、積極的にそういう意味のああいう発言をしたということはございませんでしたけれども。そこで私は、やはり政治家としても、まして議員だけでなしに法務大臣なんですから、自分でもわかったようなわからぬような答弁をしたとか、審議のとき、もう仕方がないので四時間天井を見ていたとか、これは私も同じ政治家ですから、自分の選挙区では少しいいかっこうをして聴衆を沸かせたいという気持ちが起こってきますから、あなたのお気持ちもよくわかりますよ。よくわかりますけれども、こういうことはやはりお慎みになって、言われるにしたら、いま私の前で言われたようなことを冷静におっしゃるというのが限度であろうと私は思うのですね。そのことをやはり注意させていただきたい、はなはだ僭越でございますが、そういうように思います。
 私がなぜこの問題を出したかと言いますと、参議院でもお聞きになった議員がおるようですから、二度も聞くのはどうかと思ったのですけれども、これを私が聞きましたのは、十八日の野党の同僚議員の質問がございまして、それに対する法務大臣の答弁の中に、やはりこういうお考えが一貫して貫いているからああいう答弁が出たのではなかろうかと思われる節があるのですね。それで伺ったわけであります。時間が余りございませんのでお聞きしたいと思っていたことが全部聞けませんが、一、二点だけその点をただしたいと思うのです。
 それはどういう点であるかといいますと、その同僚法務委員が、「犯罪構成要件が成立しないということがはっきりしているのに、しかも、それにつきまして、金を受け取ったという証拠としてはきわめて抽象的に示されておるにすぎない、こういうことになりますと、明確に金を受け取ったという証拠が出されていないと同じだというふうに考えるわけ」だ。そうすると、犯罪を犯したことは間違いがない――この犯罪を犯したことは間違いがないというのは、これはロッキード委員とかあるいは法務省の関係者が犯罪を犯したことば間違いがない、こういう前提の発言をされた上で大臣にどう思うかということを聞かれたのですね。それに対して、まだ正式の速記録が出てきておりませんが、記録部から写したもののうち、法務大臣が答弁されたうちの要約を申しますと、全部じゃありませんよ、「その場合に、秘密会でということを申し上げておったのでありまして、秘密会でということを申し上げた気持ちは、特に慎重を期してやっていただきたいという意味を申し上げておったわけです。」ちょっと中略いたしますが、その後で、「したがって、この場合に、名誉棄損の問題が当然起きるではないか、政府委員としてこの場合にどう処置するかということになりますと、名誉棄損は親告罪でございますからして、そういうことがあれば、われわれとしてはそれに対する措置をとらねばならなくなると思いますけれども、このようなことは非常に例外的なことであって、相なるべくは、われわれとしては、この種のはっきりしない、いわゆる罪人にならない人の実情といいますか、罪状といいますか、そういうものは軽々に出すべきでないという考え方は持っておりますが、いま飯田さんの言われた、これは御質問に答えておるかどうか、私もはっきりいたしませんが、まあ感じといたしましてはそういう考え方を持っておるということをまず申し述べておきます。」中略しましたが、こういう内容になっているのですね。
 そこで私がお聞きしたいのは、「名誉棄損は親告罪でございますからして、そういうことがあれば、」ということば親告があればという意味だと思うのですが、「われわれとしてはそれに対する措置をとらねばならなくなると思いますけれども、」こうおっしゃっておる「措置をとらねばならなくなる」というのは、どういう意味なんですか。
 私はあえてお聞きしたいのですが、刑法二百三十条あるいは二百三十条ノ二に言う名誉棄損というのは、犯罪である場合には言うてよろしい。これは特に公務員の場合は、事実の証明があればよろしいというだけでなしに、犯罪でなくても言っていいのですよ。何も構成要件に犯罪とは書いてないのですから。「公然事実ヲ摘示シ」、こう書いてあるわけで、犯罪でなくても事実を摘示して、それが一般的に名誉棄損になるような場合でも、特に公務員や公職の候補者というのは、もっぱら公益を図るためとか公共の利益とかいうことはもう当然あるものとして、事実であるかどうかを調べて、事実であればこれは罰しない。これは学説、判例上違法性阻却事由もしくは構成要件該当阻却事由であるというように言われておるのですね。これは単なる処罰阻却事由ではない。そもそも構成要件に該当しない、もしくは要請が頭からないのだ、こうなっておるわけでしょう。そうすると、何も収賄罪が成立しなくても、金を受け取ったけれども職務権限がないとか時効が成立してしまったという事実を摘示したって構わないわけですよ、それが政治家としての資質に関することであれば。そしてその場合には、初めから公益のためだということは当然の前提として証明の必要なし。事実であるかどうかということさえわかればよろしい。しかも、それは違法性阻却事由だというように一般には言われておるのです。
 そうだといたしますと、それから私はお聞きをしたいのですが、法務省や検察庁は、国会にいろいろ資料を提供し、国会において答弁をした。つまり四名の灰色高官というのはお金を受け取ったことは間違いがないのだ、しかし時効であるか職務権限であるか、こうなっておるわけでしょう。あの内容では要約すればそうなっているじゃありませんか。そうしますと、金を受け取ったという事実については検察庁や法務省がみずから認めておるにもかかわらず、仮に名誉棄損で親告罪で出てきたとしても、当該検察庁としては、もしこれが事実でないなどと言って処理するということがあれば、自分自身を起訴するのと同じことになるじゃないですか。だから、あなたが答弁の中で、これに対する措置をとらなければならないなどと言うのは非常におかしなことであって、法務省としては金の授受については事実であるということで報告をしたわけでございますから、そして金の授受が事実であれば名誉棄損は成立しないのでございますから、親告罪というものが出ても、親告罪で起訴をするとか処置をするということはあり得ない、そう答えるのが当然じゃないですか。それを答えないで、何か犯罪になるかもしれずならないかもしれずなどと言うのは、国会に対してあなた方が事実だとして報告したことに対して責任を持たない、こういうとんでもない態度になるじゃないですか。それは絶対にあってはならないことだ。あなたは福井でこういう演説をするから、十八日でもこういう答弁が出てくるのだ、こう思わざるを得ないのです。いかがです。
○福田(一)国務大臣 飯田さんの質問に意見はどうかと言われましたから、適当な措置をとる、こう言った意味は、たとえば告訴なら告訴があれば、それに対してはやはりこちらでは調べねばいけない、こういう意味のことを私は申し上げておるわけであります。
 そこで、もう一点の、法務省は事実としてこれを述べておるじゃないか、真実として伝えておるじゃないか、それを言って何が悪いか。それはもうあなたのおっしゃった一般の場合なら、私はそれを肯定しますが、この場合は、金をある者が渡したということを言っておるだけで、まだ犯罪になっておるというわけではないですね、確定しておりませんね。その確定しておらないこと、また本人がこれを否定もしておるし、そしてまだこれは確定しておらない、裁判でもって確定しておらないことを発表しておるのですから。でありますから、私は、それはできるだけ秘密にお願いをいたすべきである、こういう意味を申し上げておるのであります。
○正森委員 私の質問に正確にお答えになっていないと思うのです。あなたの御主張のようであれば、一審で判決があっても、最高裁で確定するまでは、犯罪に関することであっても何か言えば名誉棄損が成立するかのごとき御発言ですね。そんなばかなことはないですよ。あなたがいまおっしゃったのは、そういうように受け取れる余地があるのです。
 それは金を授受したということで、あなた方のあの御報告を見ると、一方の当事者は受け取ったと言い、四名の灰色高官は受け取ってないと言うから、いずれであるか断定いたしかねますというような報告を何もしてないでしょう。昭和五十一年の十一月一日ごろとかなんとか言って、五百万円受け取った、こうなっているでしょう。ということは、あなた方はいろいろな意見、証拠を取捨選択して、そして受け取ったというのが、少なくとも現段階での検察庁が間違いがないと考えた認定事実であるということではありませんか。それならば、そのことを、そうであるとわが国の捜査当局が言うておるのだからというのでそれを発表したところで、判例によれば、それが事実であると信ずるのにつき相当な理由がある場合にもこれは違法性を阻却するということになっておるわけですから、だから問題の余地なんか全然ないことを、あたかもまだ問題の余地があるかのように言うということはとんでもないことだと思うのです。
 刑事局長、私は、法律的な問題ですから、法律的にあなたの答弁も伺っておきたいと思うのです。
○伊藤(榮)政府委員 名誉棄損罪の成否の問題については、ただいままでの御指摘のとおりでございます。
 私は、大臣から先ほどの飯田委員の御質問に対するお答えとしてお述べになりましたことは、名誉棄損は親告罪でありますから、告訴が出れば捜査当局は誠実に捜査をしなければならない、こういうことをおっしゃったように伺っておりまして、その結果、起訴するに足るような構成要件該当性、違法性、責任性、こういうものが認められるかどうかについては、相当疑問を持たざるを得ません。それはただいまお述べになりましたようなことでございます。
○正森委員 刑事局長は法律家ですから、私の主張の意味がおわかりいただけたと思うのです。
 お約束の時間でございますので、ほかの質問はすべて省略して、一点だけ刑事局長に意見を聞きたいと思います。
 同じ同僚議員の質問によりますと、犯罪を犯したことには間違いがないと、ロッキード委員や法務省の役人のことをおっしゃって、政府委員の場合は無答責ではございませんので責任を問われるのではないか。つまり国会議員には、院内の発言は責任がないという規定がありますが、法務省の役人というのは無答責ではないので責任を問われるのではないか。ただこれも時効が来てしまっておるので、この点で訴追できないというだけだ、こう言うているのです。
 しかし私は、名誉棄損罪というのは、仮にこの同僚議員の立場であるとすれば、五十一年十一月二日なり四日なりにああいう行為をしたという時点が犯罪を行った時点になるわけですから、まだ一年もたっていないわけですから時効なんか成立する余地がない。そうすると、法務省の役人、たとえば前の刑事局長などは、現に犯罪を犯し、時効もたっておらないということに当然なると思うのです。ですから、これは法律解釈としても誤っているんじゃないですか。
○伊藤(榮)政府委員 大変申しわけないことでございましたが、当日、他の委員会と時間がぶつかりまして、私出席しておりませんでしたので、その問答を直接伺っておりません。したがって、答弁のできる立場にございませんので、いずれ速記録を拝見しました上で正確にお答えしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 私の申し上げておる意味がはっきり受け取っていただいておるかどうかということでございますが、法務省が提供した資料は確定事実ではない。確定事実ではないから取り扱いは慎重にしていただきたいということをずいぶん法務省は主張をしておったと私は聞いておるのであります。しかし、きのうもちょっと発言がありましたように、無理に出さしたのだというような意味の発言がロッキード特別委員長からもありましたけれども、あれは無理に出したというわけじゃなくて、慎重に扱っていただくならばという意味であれは出しておるわけなんです。慎重に扱っていただくという意味は、秘密会でお出しをいたします。こういうことを言っておるわけなんですから、秘密会でという場合においては、その取り扱いにおいては、確定事実でないんだから、本人なら本人の意見も十分聞いた上で、それで何か措置をされた、それで判断をされたというのならばごもっともである、こういうふうに私は理解をしておるわけであります。
○正森委員 せっかく刑事局長がすっきりした答弁をしておるのに、あなたがまたこの二月ごろのロッキード委員会と同じようにもう一言発言されるから、事がややこしくなるのですよ。そういうような発言ば――われわれは逮捕権も押収捜査権も持っていないのですよ。だからこそ、法務省に対して資料を提供せよ、こう言ったのでしょうが。それであなた方が一生懸命調べて、あなた方は、わからないとか、どっちもどっちだなんて言ってないでしょうが。いろいろ全部資料を調べた上で、五百万円ロッキード事件に関して受領した、しかし、時効完成、職務権限の証明がない、こういうように言うているんでしょうが。それは国家権力が、逮捕権や押収捜査権を持っておる唯一の機関である捜査機関が捜査した結果言っておるということについて、あなた方が、少なくともわれわれの段階ではこれは真実であると確信していますということを国会で言えないようで、一体何の検察なんです。何の法務省なんです。ロッキード事件に関係してだけはそういうあやふやなことを言うのですか。それなら、われわれはほかのあらゆる事件について、検察がいろいろやっても実にあいまいなものだなというように思わざるを得ないと思うのですね。まして、国会の要請に対してこたえたことについて、われわれはこういうぐあいに報告したけれども、国会はそれから何やらかんやら調べなければ本当であるかどうかわからないというのであれば、国会に押収捜査権やあるいは逮捕権をよこしなさい。そんなことできないでしょうが、三権分立のたてまえから見て。何という不見識なことを言うのです。
 私はこの点を指摘して、時間が参りましたから、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
○上村委員長 次回は、明後二十七日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十三分散会