第080回国会 外務委員会 第11号
昭和五十二年四月十五日(金曜日)
    午後六時三十六分開議
 出席委員
   委員長 竹内 黎一君
   理事 有馬 元治君 理事 稲垣 実男君
   理事 鯨岡 兵輔君 理事 毛利 松平君
   理事 山田 久就君 理事 河上 民雄君
   理事 渡部 一郎君 理事 中村 正雄君
      石橋 一弥君   小此木彦三郎君
      大坪健一郎君    川田 正則君
      佐野 嘉吉君    玉沢徳一郎君
      中村  直君    中村  靖君
      中山 正暉君    西田  司君
      松本 七郎君    中川 嘉美君
      渡辺  朗君    寺前  巖君
      伊藤 公介君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  奥田 敬和君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力局核燃料課長 田中 久泰君
        外務省欧亜局大
        洋州課長    山下新太郎君
        外務省情報文化
        局文化事業部外
        務参事官    田中 常雄君
        農林省畜産局審
        議官      石田  徳君
        農林省食品流通
        局砂糖類課長  牛尾 藤治君
        水産庁海洋漁業
        部遠洋漁業課長 山内 静夫君
        郵政省郵務局国
        際業務課長   二木  實君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  川崎 秀二君     中村  靖君
  中島  衛君     西田  司君
同日
 辞任         補欠選任
  中村  靖君     川崎 秀二君
  西田  司君     中島  衛君
同日
 理事稲垣実男君同日理事辞任につき、その補欠
 として山田久就君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 連合審査会開会申入れに関する件
 参考人出頭要求に関する件
 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本
 条約の締結について承認を求めるの件(条約第
 八号)
 日本国とカナダとの間の文化協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第九号)
     ――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事辞任についてお諮りいたします。
 理事稲垣実男君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
     ――――◇―――――
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 これは、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、委員長は山田久就君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件について、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 次に、連合審査会開会についてお諮りいたします。
 農林水産委員会に付託になっております領海法案について、連合審査会の開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、委員長間において協議の上決定いたしますので、御了承願います。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件、及び日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野嘉吉君。
○佐野(嘉)委員 ただいま議題になっておりますカナダとの文化協定、それからオーストラリアとの友好協力基本条約の二案件について若干お尋ねをさせていただきますが、私がお伺いすることは自分が一生懸命勉強すればわかるようなことばかりでございまして、結果的には勉強の場になろうかと思います。国政審議の場を自分の勉強の場にすることはけしからぬと委員長からおしかりがあろうかと思いますが、あらかじめ御了解をいただいておきます。
 最初に、カナダとの文化協定の方をお伺いしますが、提案理由の説明に「戦後わが国が締結した各国との文化協定と同様、」という文句がありますが、戦後どういった国々、幾つぐらいの国とこういう協定を締結したのか、まずそこから御説明をいただきたいと思います。
○田中(常)説明員 お答えいたします。
 戦後わが国は十五の国と文化協定を締結いたしました。主要国の名前を申し上げますと、フランス、イタリア、メキシコ、タイ、インド、ドイツ、エジプト、イラン、パキスタン等でございます。
○佐野(嘉)委員 われわれが常識的に考えて、アメリカあたりとも当然あったのだろうと思ったけれども、いまの御説明にはアメリカ合衆国が入ってないけれども、まだこれはないわけなんですね。
○田中(常)説明員 お答えいたします。
 米国との間には文化協定はございません。しかしながら、それにかわるものとして日米文化教育委員会というものが行政取り決めとして結ばれておりまして、またそれの一種の下部機関と申すべき文化教育協力の合同委員会というものについての取り決めが結ばれております。
○佐野(嘉)委員 それから、この協定の中身を見ますと、何々を「奨励する」とか「努力する」とか「容易にする」 「研究する」というような言葉ばかりなのですが、こういうことでさてなと思うのですが、提案理由の説明には「両国間の相互理解と友好関係の一層の強化に資するところ大である」というふうな説明がありますけれども、具体的にはどういうふうな効果があるのかということを……。
○田中(常)説明員 お答えをいたします。
 文化協定は、その両国間の文化及び教育の交流についての基礎を決めるものでございます。したがって、両国間の友好関係の象徴的意味合いを持つものでございます。また内容的には、いま先生の御指摘のようにいろいろ「奨励する」という表現になっておりますが、交流に当たりまして両国政府が一種の便宜を供与すること等によりまして、両国間の文化交流の枠組みあるいは基礎、ベースをこれによって築くものでございます。
 それから文化協定におきましては、すべての文化協定の中に両国間の混合委員会または随時協議という条項がございまして、二年に一度等々と両国間の政府レベルの会合がございまして、過去の実績または今後やるべき事項等々につきましてお互いに協議し、奨励を進める方向でやっております。
○佐野(嘉)委員 先ほど十五の国ということだったから、このカナダが十六番目の国になるわけですが、世界にはたくさんの国があるので、いま御説明のように大変効能のある協定だというなら、これからほかの国とどんどんこういう協定を結んでいこうとするのか、それとも余りたくさんはやらないということなのか、その辺のところはどうなんですか。
○田中(常)説明員 現在、協定交渉が両国間において話題に上がっているのは、日本とソ連及び日本とイラクでございます。その他、いろいろな交渉または協議の場において文化協定というものが何らかの形でメンションされたケースはございますけれども、具体的に協定交渉というような問題にまで発展したケースはございません。
 しかしながら、外務省といたしましては、両国間の関係全般を判断し、また協定を結ぶことによって具体的なメリットがあるような場合においては、その両国間の諸般の関係、いろいろなファクターを全部勘案いたしまして、今後とも協定を結ぶということを考えております。
○佐野(嘉)委員 それから、昭和四十七年でしたか、国際交流基金というものをつくられましたが、いまの総理福田さんが外務大臣をやっておられたときで、この基金は数年のうちに一千億にしたいと言っておったのですけれども、もう数年に近い期間がたってきた。もう一千億になったのか、まだならなくてどれくらいあるのか。
○田中(常)説明員 お答えをいたします。
 当時外務大臣でいらっしゃいました福田総理が、数年のうちに一千億に近い基金を積み込もうとおっしゃったことは事実でございまして、その後、政府といたしまして方針に変更はございません。しかしながら、現状のように財政事情が非常に窮屈な折におきましては、五十一会計年度までにおいては基金は三百億でございまして、ただいま御審議いただいている予算の中にさらに五十億円の追加出資がございまして、合わせて三百五十億円まで到達しているのが現段階でございます。
○佐野(嘉)委員 なるべく早く目標の額に達するように御尽力を願いたいと思います。
 それから、次の豪州との友好協力基本条約の方に移らせてもらいますが、かつて豪州は、ああいう地理的な状況にあるにもかかわらず、英連邦の一員ということでどっちかというとそっちの方ばかり向いて、アジアの一員だという意識が余りなかったと思うのです。戦後いろいろな状況変化、また特にはイギリスのEC加盟とか、いろいろなことで日本と貿易関係が非常に緊密になって、言うならば唇歯輔車というような関係と申し上げてもいいと思うのですが、まあ、そういうふうになってきたのでこういう条約が結ばれたのだと思います。ところで、こういう包括的な条約というのは普通、通商航海条約というふうに言うんじゃないかと思うのですけれども、もしそうだとするならば、何でこんな友好協力基本条約というややこしい名前にしたのか。
○村田(良)政府委員 この条約は友好協力基本条約と銘打っております。実はこのようなタイトルを持っております条約は初めてでございます。ただ、基本という言葉が入っております条約といたしましては、日韓基本関係条約という条約と、それからわが国とブラジルとの間の技術協力基本協定という二つがございます。ただし、日韓基本関係条約の方は、日韓の国交正常化の際、それまでの日韓間のあらゆる経緯を踏まえた条約ということで、特異な性格を持つ条約でございます。またブラジルとの場合には、基本と銘打っておりますけれども対象は技術協力ということでございますので、わが国と他国との間の関係を総合的に規律した条約であって、かつ基本条約と銘打っているのは、この豪州との条約が最初のものであるわけでございます。
 それでこの条約は、締結の経緯にかんがみますと、いま先生のおっしゃいました通商航海条約といったようなねらいと、それから友好条約とかあるいは修好条約と呼ばれております条約が幾つかあるわけでございますが、この両方の性格を兼ね合わせたものをつくるという考え方で交渉が行われましたので、したがいまして、これは通商航海条約よりもさらに広い分野を対象といたしまして両国間の合意を見たものでございます。そのような理由からこの条約を友好協力基本条約と名づけることにしたわけでございます。
○佐野(嘉)委員 豪州はいろいろな意味で、近年日本との関係が大変緊密になってきて、いま申し上げたように唇歯輔車と言ってもいいような関係だと思うのですが、そういう仲でも、そのときそのときに応じていろいろむずかしい問題が随時起きてくる。昨年ですか牛肉の輸入をうんとこっちが減らしたので、向こうが、それではもう漁船を受け入れませんよというようなことを言った。それもいろいろのやりとりの後にうまく片づいたということのようですが、ああいうのも状況としては、こっちで制限すれば豪州が困るんだということはあらかじめ十分わかっているわけなんだと思うのですけれども、それで最終的にはまた向こうの言うとおり、と言うと言葉が変ですけれども、そんなふうになってきた。だから、ああいう措置の仕方が何か不用意というのですか、何かそうじゃなかったかと思うのですが、これは外務省だけでなくて農林省やいろいろのところの関係もあるのでしょうけれども、今後ああいうようなことのないようにひとつぜひお願いをいたしたい。
 それから「第四回目豪閣僚委員会鳩山外務大臣基調演説」というものがありますが、この中に「しかし、わが国工業製品の中には今なお貴国の輸入制限措置の対象となっているものが多く、またかかる制限がかなり長期に及んでいるものもある。」云々。両国間の貿易は日本が三十億ドルぐらいの入超だ、向こうが出超だというようなことがある。にもかかわらずこういう措置があるというようなことを言っておりますけれども、具体的にはどういうことなんですか。
○宮澤政府委員 日豪間の関係が年とともに緊密化するにつれまして、貿易の関係も非常に緊密になりまして、日豪の貿易関係は相互補完、わが国が自動車、機械、家電製品等を輸出いたしまして、豪州からは石炭、鉄鉱あるいは羊毛、酪農製品、こういうようなものを輸入して、貿易量は年年非常に拡大しております。最初に日本と豪州との間に通商協定を結びましたときの貿易は往復四億ドル程度でございましたが、ここ一両年は七十七億ドルと二十倍近い急速な増加を示しております。ただ、このように緊密になってまいりますと、やはり局部的な問題が生じてまいることもまたやむを得ないところでございまして、たとえば鉄鋼、自動車、家電製品等に対しまして暫定輸入制限を向こうが行ったとか、あるいは資源ナショナリズムの結果、豪州に大変豊富にございます各種資源の輸出に対して豪州政府がある程度介入いたしますとか、あるいは外国の船を豪州の荷揚げに使うということを理由として、これが沖仲仕あるいは海員労働組合のストライキによって邦船が豪州の港から出港するのを阻止された問題とか、あるいはわが国漁船が豪州に寄港する権利を牛肉の割り当てとの兼ね合いにいたしましたり、このような種類の局部的な小さな問題は生じておりますが、これらはいずれも円満な話し合いによりまして、逐次あるいはその都度解決をいたしてまいっております。
○佐野(嘉)委員 それから、豪州から日本の精糖会社が原糖を買うという契約があるようですが、何か非常に砂糖の値段が下がってしまって、そのとおりの契約をずっと実施していくと日本の砂糖会社がつぶれてしまうというような話があるのですけれども、何か契約の更改というようなことで政府としても応援をしているのか、直接外務省の仕事じゃないのかもしらぬけれども、どんなものですか。
○宮澤政府委員 日本の商社と豪州の製糖会社との間に長期の、五年間の砂糖協定を結んだわけでございますが、その後砂糖の値崩れがございまして、ただいま日本の業者が困難を感じておる。それでこの問題の解決のために、ただいま民間レベルで話し合いを進めております。解決に向かって話し合いを進めておる次第でございます。
○佐野(嘉)委員 では、そのうちにいい話になるのだろうということで終わっておきます。
 やはり先ほど申し上げました四回の日豪閣僚委員会の鳩山大臣の演説の中に、「ウランについては、フォックス委員会第二次報告書の発表が俟たれるが、貴国政府がウランの開発・輸出政策を早急に決定されることを希望する。」こういうふうに言っておられます。御案内のように、いまアメリカでカーターが大統領になって、大変やかましい問題になっている。福田総理が向こうへ行かれて話をしたけれども決着がつかずに、現在また日本から出かけていっていろいろ話をしているようでありますが、今晩の夕刊を見ましたら、「核再処理日米交渉を一時中断」四月十五日、きょうですが、実務者会議を開いて米の基本的見解を確認して帰国するというような新聞記事が出ていました。
 そこで、先般もこの委員会で、大陸棚協定の審議のときに石油の問題で大変全般的な論議がなされたわけでございますが、せんだって通産省で発表した電力の先々の見通しというのは、現在計画している発電所の計画が思うように進まないというような面から、場合によると非常に窮屈な時期が地域的には早目に来そうだという説明をして、原子力発電の立地に対してもっと一生懸命やっていかなければいけないのだというような話がありましたが、いまのような状況の中で原子力発電所だけできても、そこで使う燃料がないとどうにもならないんじゃないかと思うのです。大変な問題で、政府でも一生懸命やっておられると思うのですが、カナダが日本へのウランの供給を停止させたとか、あるいは豪州で、民間同士、電力会社と向こうの採鉱会社との間の契約が実施できそうもない、三月の末でしたか。その直後に、電事連の会長を団長にしたミッションが向こうへ行って、何かいい話になるのかなと思ったら、これも新聞の発表だからよくわかりませんが、今後十分な情報交換をするというような結論になったようでありますが、非常に大事な問題だと思いますので、先々燃料の入手ということについての見通しがどんなのかということをお伺いしたいと思うのです。
○田中(久)説明員 核燃料の入手の見通しにつきまして御説明申し上げます。
 御存じのように、日本にはウラン資源がほとんどないわけでございますので、原料を海外の供給に仰がなければならないわけでございます。それで、すでに電力会社におきまして外国の供給者つまり鉱山会社との間で長期的な契約を結びまして、数量的にざっと十四万五千トン程度のものを確保してございます。これは、現在計画されております原子力発電、昭和六十年度四千九百万キロワットという計画と照らし合わせますと、約六十年代の半ばごろまでに必要な天然ウランが確保されているということになろうかと思います。
 先生御指摘のございましたように、数量的に確保されておりましても、相手国の事情によってそれが必ずしも実行されない場合があるんではなかろうかということでございますが、これはカナダが主として供給しました核燃料が、天然ウランが、平和目的以外に使われないということが確かめられる必要があるという観点から、その保障措置の強化を中心とした日本側の対応を要求してまいりまして、それにつきましてはほぼ実質的に合意に達しております。それから、ただいま御指摘の豪州からの供給でございますが、先生の御指摘のとおり主として豪州側における国内事情、具体的に申しますとウランの採掘に伴う環境の破壊という懸念から、しばらくの間ウランの採掘がとめられていた事実はございます。しかしながら、昨年の秋にフォックス委員会の報告書の結論が一応出てまいりまして、輸出が再開されるということになっております。ただ、長い間採掘がとまっておりましたために鉱山会社の手持ちのストックがないということで、先般、日本に対する供給ができない懸念があるということを通告してまいったわけでございますが、その後、電力会社において、先方と鋭意折衝いたしました結果、鉱山会社において豪州政府が手持ちにしておりますストックパイルを一時借用することによって、日本への供給は支障なく実行するというふうに解決の見通しが出てきております。
    〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
 したがいまして、カナダにつきましても、豪州につきましても、いずれ近いうちに解決されるというふうに私ども考えております。
○佐野(嘉)委員 時間が来ましたから、これで終わります。
○毛利委員長代理 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 私は、日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約に関連をして伺いたいと思います。
 一九七五年十一月、ジョン・ロバート・カー・オーストラリア連邦総督は、オーストラリア政治史上初めて、当時のウィットラム首相を解任をして総選挙までの暫定首相にフレーザー野党党首を任命するという事件があったと承知しておりますが、このような数少ない例外的な事件が発生をした原因は一体どこにあったと思われるか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
○山下説明員 お答え申し上げます。
 その時点におきましては、いま野党になっております労働党が政権についていたわけでございますが、下院におきましてその当時の政府党であります労働党は多数でございましたが、上院におきましては少数党であった。ところで、予算案を議会にかけたわけでございますが、これが上院で問題になりましてその解決がなかなかつかない。そこで、労働党党首で首相でありましたウィットラムが下院解散の挙に出ようとしたのですが、これがうまくいきませんで、そこで連邦総督が介入した形で、御指摘のとおり、豪州において存在しておりますダブルディソリューション、両院を一緒に解散する、そういう措置をとった、こういうふうに了解いたしております。
○中川(嘉)委員 それではさらに伺いますが、自由党と国民地方党連合のフレーザー現政権の外交政策ですけれども、これは一体どういうものか、次の質問に入る前に伺っておきたいと思います。
○山下説明員 お答え申し上げます。
 一九七二年末に労働党政権ができ上がりましたわけでございますけれども、この政権自体がアジア・太平洋地域を重視するという立場をとっていたわけでございます。七五年の暮れに選挙がございまして、現在の自由党それから国民地方党の連合政権ができたわけでございますが、この現フレーザー政権は安全保障問題というものをきわめて重視していることが一つ。それで労働党の時代に比較的冷却化いたしておりましたアメリカとの関係、これを強化改善する、そういうことをまず一つしたわけでございます。
 それからまた、労働党がアジア・太平洋地域重視ということ、これをそのまま引き継ぎまして、その中でも特に日本との関係につきまして最も重視するという、そういう政策をとっております。
 なお、同じアジア・太平洋地域に存在しておりますASEANの諸国、これとの間の関係というものを積極的に進めていく必要がある、あるいはまた南太平洋に島国が多々ございますが、それらの国に対しても積極的な関心を抱くようになっておりまして、その経済開発に協力を進めていく、このような政策をとっている次第でございます。
○中川(嘉)委員 フレーザー政権の対日政策あるいはわが国の対豪政策等につきましては、後ほど外務大臣が見えてから伺ってみたいと思いますので、次の質問に入りたいと思います。
 オーストラリアの消費者物価は、一九七三年九・四%、七四年、七五年ともに一五・一%、昨年も一二から一三%という非常に高騰を続けていると言われておりますが、このようなインフレ傾向はどういうところに原因があると思われるか、お答えいただきたいと思います。
○山下説明員 お答え申し上げます。
 昨年も御指摘のとおり、たとえばインフレ物価上昇率というのは一四・四%、それから失業率もたとえば五・八%という、豪州にしてはきわめて異例な状況になっているわけでございますが、基本的には、従前、経済的に非常にイギリスとの関係というものが大きかった、それが七三年以降、イギリスのEC加盟に伴いまして、もう頼っていけないといったようなことになったこと、それに加えまして御承知のオイルショックがあったわけで、これが非常に大きな原因になっているのじゃないかと考えます。
○中川(嘉)委員 いま失業率のことについて御答弁がありましたけれども、七五年、七六年と四%台を続けてきたものが、ただいまの御答弁にあったように五・八%というふうに上がってきている。私は、この人口の少ないオーストラリアでこのような非常に高い失業率を生じている理由ですけれども、これがどういうところにあるのか、この点についてもあわせて伺ってみたいと思います。
○山下説明員 先ほども申し上げましたとおり、基本的には豪州が、石油危機以後それに対応することが、政府は一生懸命努力しているわけでございますが、必ずしも思うように行っていないということがまずございまして、さらにまた豪州の産業構造が、第二次産業が比較的発達していないわけでございます。それで、日本が大分鉱物資源を買っているわけでございますが、これが実は人口吸収力が余りないといったような問題がございまして、それが失業率を、豪州にとっては非常に空前みたいに高い五・八%というものに押し上げているということではないかと思います。
○中川(嘉)委員 それでは日豪間の貿易関係ですけれども、これはいままでかなりの発展を見ているわけですけれども、この条約そのものを締結することによってどのようなメリット、利益が期待されるか、この点はいかがでしょうか。
○山下説明員 この条約は名前のとおり基本条約、こう呼んでいるわけでございますが、従前来豪州との間ではいろいろな分野におきまして、たとえば航空協定あるいは魚、漁業協定あるいは科学技術、原子力平和利用協定、あるいは査証に関する査証料免除の取り決めあるいは通商協定、そういったたぐいの協定が多々つくられているわけでございます。ところが、アジア・太平洋地域に属するわが国といたしまして、同じくこの地域に存在しております豪州、しかも日本も豪州もともに先進民主主義国である、かつ経済構造を見ますときわめて相互補完性が高い、そういったようなことから、これまでもすでに両国の関係というものはきわめて緊密化してきているわけでございますが、その関係を現状に維持するのみならず、さらに強化、増進していきたい、そういうことで実はこの条約というものがつくられているわけでございます。
 そこで、この条約を締結すると直ちに具体的なメリットなり何かあるかというと、必ずしもなくはない、あるわけでございます。それは先ほど条約局参事官から申し上げましたとおり、この条約は二つの意味がございまして、通商航海条約的な性格のところと、それから修好条約的な性格のところがある。通商航海条約的な性格の中で、御承知の待遇関係の条項があるわけでございます。そこにおきまして、そういったたとえば出入であるとか滞在であるとか事業活動といったような問題につきまして、現在すでに実態的にはそういう待遇を事実上受けているわけでございますが、これを条約という形で法律的裏づけを得るという意味でのメリットがあるのではないか。かつ、これはまた実態的なメリットというよりも政治的な意味でございますが、両国の協力関係を増進させるという大きなメリットと申しますか、そういうものが存在する、こう考えております。
○中川(嘉)委員 御答弁の中に、両国間の貿易そのものをむしろいままでより以上に発展させていく、拡大させていくというお言葉がありましたけれども、貿易関係について見るならば、どういう品目、どういう分野を特に拡大されようとしているか、将来の見通しとあわせてお答えをいただきたいと思います。
○山下説明員 日豪間の現在の通商関係は、たとえば昨年の数字で申し上げますと、約七十七億ドルに上っているわけでございます。それで、実は日本側は三十億ドルの入超になっておりますが、わが方がかくも大きな入超になっている理由というのは、豪州から鉄鉱石であるとか原料炭であるとかボーキサイトあるいは羊毛、そういうたぐいの資源を非常に大きく買っている。他方、そういうものを加工いたしまして、機械、自動車あるいは鉄鋼製品、家電製品、こういったようなものを供給している。それが先ほど申し上げました相互補完的である、こういうことかと思うのでございます。わが国が、要するに資源がないわけですが、そういう資源がない国であるにもかかわらず今後とも生存を続け、繁栄していくためには資源が必要なわけで、その意味におきまして豪州の存在というものはきわめて大きな意味がある。そこで、今後とも、先ほど申し上げましたような鉄鉱石、石炭、あるいはボーキサイト、羊毛、さらにまたその他、たとえば小麦等もございますけれども、そういうものの供給を豪州に求めていく、こういうことになろうかと思います。
○中川(嘉)委員 この前文によりますと、「両国間の広範にわたる関係がそれぞれの国にとって重要であること及び両国の国民の福祉の間に緊密かつ永続的な関連があることを認め、」というところがありますけれども、英文の方の言葉を見てみますと、「ウニルビーイング」という言葉が出てまいりますが、この「福祉」という意味をどのように認識したらいいのか、「ウエルビーイング」という言葉について伺いたいと思います。
○村田(良)政府委員 この前文に使われております「福祉」というのは、普通われわれが使っております比較的狭い意味の社会福祉というふうな意味ではございませんで、先ほど大洋州課長から御説明いたしましたような非常に広範な、かつ緊密な経済関係、あるいはその他の文化面とか技術面とか各般にわたります協力関係というものが、それぞれの国の国民のいわば国民生活全体にとりまして非常に重要である、そういう意味で、いわばその「両国の国民の福祉」と申しますのは、広く繁栄というふうに解釈すべきものであろうと思います。
○中川(嘉)委員 そうなると、この日本語の文字だけを見てみますと、「両国の国民の福祉の間に」という、あくまでも本来の私たちが解釈するところの福祉としか読み取れないような気がするわけですけれども、果たしてただいま御答弁をいただいた幅広さといいますか、むしろ福祉以外のいろいろな問題を含んでいる繁栄そのものにもつながるというようなお言葉がありましたけれども、そうなりますと、「福祉」という文字を一つだけぶち込んだのでは、何となくその意味が不完全なような気がします。その点はどうでしょうか。
○村田(良)政府委員 この協定はもちろん日本語と英語と両方が正文でございます。したがいまして、もちろん「福祉」というのが正文でございますが、「福祉」という中には、先ほど私が申し上げましたようなやや狭い意味で使われる福祉という言葉もございますけれども、しかしより広く「福祉」ということで、すべての人間の生活の幸福あるいは満足というふうな意味もあるわけでございまして、この前文の当該パラグラフ全体を読みますと、「両国間の広範にわたる関係」云々ということで記載されております。したがいまして、この全体の文脈で読む場合には、この「福祉」というのは、いわば狭い社会福祉というふうな意味ではなくて、より広く国民生活全体の福祉、それは先ほど私の申し上げましたような国民生活の繁栄というふうな意味に通じると思いますが、そういった意味で、ここに「福祉」という言葉を使いましたのは妥当であろうと思います。
○中川(嘉)委員 その次の行のところに「種々の分野における両国間の現行の諸協定が両国間の関係に対して果たしている有益な貢献を増進することを希望し、」というふうになっておりますが、それではまず航空協定の運営状況はどのようになっているか、また両国間の人の往来ですが、これはどの程度であるか、お答えをいただきたいと思います。
○宮澤政府委員 ただいまおっしゃいました航空協定に基づきまして、現在東京−シドニーの間に日本航空が週三便、豪州側はカンタス航空が週三便、計週六便の直行便が運航されております。現在の輸送能力は日本航空がDC8、百三十人乗りでございますが、それが三便でございます。それからカンタスは、先ほど申しましたのは百三十七人乗りのB707でございます。それで、ただいま旅行者の数が非常にふえておりますので、日本航空ではとりあえず便数を一便ふやしまして、その後一九七八年の十月を目途にDC10でございますか、二百二十四人乗りを三便入れる希望でございまして、他方カンタス側はことしの十一月からB747コンビ型、これは二百九十七人乗りでございますが、二便に移行することを考えております。これが大体現在の航空旅客の現状を反映したところと思います。
○中川(嘉)委員 ただいま御質問した後の方のところですが、両国間の人の往来、たとえば過去一年間でも結構ですが、オーストラリアからどのぐらい、また日本からどのぐらい旅客が行っているか、何か数字がありましたら教えていただきたいと思います。
○山下説明員 お答え申し上げます。
 わが国から豪州に一時訪問者という形で豪州へ出かけている方たちの数でございますが、一九七三年におきましては一万八千四百名でございます。それから一九七四年におきましては二万三千八百七十二名でございます。七五年は二万五千七十二名、それから昨年七六年でございますが、これは推定になりますが、二万二千名という状況でございます。
 それからなお、このほかにも特定の期間滞在する、たとえば学術研究の方あるいは日本系企業で向こうへ滞在している人、そういうたぐいの人がいるわけですが、これを昨年で申し上げますと二千百七十八名という状況になっております。
    〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
 そのほか学生あるいは研究生、研修生といったような人たちもおりまして、昨年で申しますと二百七十五名ほど行っているわけでございます。
 なお、それでは豪州から何人ぐらい日本にいるかということになりますと、現在住んでいると思われますのが、これはちょっと古くなりますけれども、七五年の十二月九百三十名でございます。それから豪州人で日本に来た人の数、これも七五年の数字でございますが二万四千四百四十九名でございます。
○中川(嘉)委員 次に、小包郵便約定とそれから郵便為替交換約定というのがありますが、日豪間の小包と郵便為替の交換の現況についてお答えをいただきたいと思います。
○二木説明員 お答えいたします。
 日本からオーストラリアに出ております小包は、これは五十年の物数でございますが、総体で約八万個でございまして、他方オーストラリアから日本に参ります小包は、同じ五十年度で約二万三千個でございます。
 為替関係につきましては、いま手元に資料がございませんので、失礼させていただきます。
○中川(嘉)委員 それではもし資料が入手できるようであればひとつ御提出をいただきたいと思います。
 次に、日豪漁業協定によりますと、日本の漁船は一九七五年十一月二十七日までの期間、十二海里以内の一定の水域においてマグロはえなわ漁業に従事することができることになっていたわけですけれども、現在はどのようになっているでしょうか。
○山内説明員 お答え申し上げます。
 現在は十二海里内の操業についてはできないことになっております。
○中川(嘉)委員 それでは日本の水産業界のこのことによって受けるところの不利益、これをどのようにカバーされようとしているか、この点はいかがでしょうか。
○山内説明員 豪州近海におけるマグロ操業につきましては、十二海里以内の操業よりも、むしろ豪州の南側の南マグロを対象とする漁業、これが主力を占めているわけでございます。南マグロを操業するに当たりましては、豪州各港に寄港しまして、燃油の補給であるとか食料の補給、これが絶対要件となっておる関係で、十二海里内の操業はそれほどのダメージがなくて、むしろ延長になりました四港に対する寄港問題の方が日本のマグロ漁業界には重大な問題である、こう考えております。
○中川(嘉)委員 確かに、いま御答弁いただいたとおり、日本のマグロはえなわ漁業の装備をした漁船がオーストラリアのブリスベーンとかフリーマントル、シドニーあるいはホバート港等に補給の目的で入港することについて、一九七五年の十一月の二十七日以降の協議をすることになっているわけですけれども、その結果はどういうことになっているか、お答えをいただきたいと思います。
○山内説明員 お答え申し上げます。
 七五年の十一月二十七日までで一応寄港問題の期限は切れたわけでございますが、暫定的にことしの一月三十一日まで入港ができるように両国間の話し合いができたわけでございます。
 日本政府といたしまして、二月以降のマグロ漁船の寄港問題につきまして以前から豪州政府に要請していたわけでございますが、去る一月の十七、十八日の両日東京で行われました第四回の日豪閣僚委員会におきまして、日本側が豪州側に協力を要請した結果、引き続きまして二月一日以降二年間四港の寄港の延長が認められることになった、こういうことが現状でございます。
○中川(嘉)委員 聞くところによりますと、その延長に関連をして、日本側とオーストラリアとの間に何かいい意味における取り決め、交換といいますか、そういったことがなされたと聞いておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
○山内説明員 お答え申し上げます。
 豪州側が、日本漁船の豪州四港の寄港に当たりまして、わが方に対する要請といたしまして、豪州におけるマグロ産業の育成のために輸入問題を含めていろいろ協力してほしいというのが第一点でございます。それから、長期的観点に立ちまして、両国間の漁業関係の友好を一層促進するために、豪州の沿岸漁業の助成のために協力を要請する、こういうような問題点がございまして、これらにつきましてはわが国政府としても前向きに対応する、こういう方向で解決を見たところでございます。
○中川(嘉)委員 このことについていろいろお話も伺いたかったところですが、大臣がお見えになりましたので、私に与えられた質問時間は非常に制限がございますが、この協定にも関連をして二、三伺ってみたいと思います。
 まず、日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約についてお尋ねいたします。
 オーストラリアとの間には、通商協定、文化協定を初め幾つかの条約がすでに締結をされております。改めて友好協力基本条約、わが国でも言ってみれば初めてのスタイルと言ってもいいのではないかと思いますが、こういう本条約を締結しようとする背景にはどのような事情があったのか、この点をお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 日本と豪州との関係は、経済的にも大変大事な関係でございます。日本は豪州からたくさんの原料を輸入するということになっておりますので、豪州側としても日本に対して大変重要な相手国と、こう認識しておるところでございます。たまたまフレーザー首相が来日されまして三木総理と会談をされました、そういう機会にこの基本条約を締結する、こういうことになったという経過でございます。同じ太平洋におきまして同じ自由貿易体制を持つ国として日本とオーストラリアとの関係を一層緊密化しよう、こういう趣旨に出たものと、こう考えておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 昨年のオーストラリアとの貿易額を見てみますと、アメリカあるいはサウジアラビアに次いで世界第三位ということになったわけですが、このようなオーストラリアを国際関係においてどのような位置づけとして考えておられるか、あわせて伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいま御指摘のように、日本と豪州との経済関係は大変な重みを持つようになったわけでございますし、日本の主要なる原料、鉄鉱石にいたしましても石炭にいたしましても、大きく豪州に依存をするところでございますので、今後ますます密接なる経済関係を樹立していくべきものと、このように考えておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 フレーザー政権の対日政策に対して政府はどのような認識を持っておられるか、また対豪政策についてはどうか、この点をちょっと伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 御承知のように、本年になりまして日本と豪州との間の定期閣僚会議を持った次第でございます。その際に、やはり貿易上の問題として、あるいは海運関係も含みまして若干の問題があったわけでございますけれども、この定期会議におきましてほとんど懸案は一掃されまして、現在におきまして、大変すべての点で円滑な関係であると申すことができると思います。
○中川(嘉)委員 一九六八年十一月二十七日に署名された日豪漁業協定は廃棄条項のないいわば無制限に有効とする条約であると私は思いますが、署名後十年を経ないでその条文は現在の両国間の漁業関係を律する条約としての意義を失っていると私は思います。政府は、この際日豪漁業協定を改正するか、または新協定を締結し直すことが必要ではないかと思いますが、この対応策はいかがなものでしょうか。
○山下説明員 一九六八年十一月の二十七日でございますが、日豪漁業協定というのが署名されまして、これがその次の年発効したわけでございます。確かに御指摘のとおり、この協定によりましてわが国は七五年、一昨年これも十一月二十七日で十二海里の特定された水域の中で操業することはやめるということが書かれているわけでございます。それと同時に、この協定は先ほど水産庁の方から御説明ございましたように、四つの港にわが国のマグロはえなわ漁船が寄港する、そういうことを認めている。この二つの意味があるわけでございます。
 それで、前者の方に関する御質問かと存じますが、七五年の十一月二十七日まで操業することが認められるということで、それを越えましてはその十二海里の水域内でわが方はフェーズアウトする、要するに操業しないということが約束されているというふうに理解されているわけでございます。したがいまして、これは現在でも生きている協定であるというふうに理解いたしている次第でございます。
○中川(嘉)委員 大臣御出席でございますので、漁業問題に関連をいたしまして、私の質問の最後になりますが、いま非常に問題になっております日ソ漁業交渉について二、三点だけちょっと伺いたいと思います。
 日ソ漁業交渉中断のニュースが報じられたわけですけれども、このたびの交渉中断に至った経緯あるいはまた実態等について御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 四月八日に第一回のイシコフ漁業大臣と鈴木農林大臣との間の会談が持たれたわけでございますが、それから四回にわたりまして会談が行われました。で、いろいろありました問題がほぼ解決を逐次見てまいりまして、そして結局最後に残りましたのがいわゆる適用水域の問題でございます。
 この適用水域の問題につきましては、わが方といたしましては、これが領土問題と関係ない、領土問題に悪い影響を与えない、こういう観点を貫きたい、そういう立場で主張いたしておったわけでございます。そのために、当方から当方の案を先方に理解をしてもらうように努力を続けておったわけでございますが、三回目の会談におきまして、イシコフ漁業相は従来とややニュアンスの違ったことを口頭で申されたということがありまして、非常に距離はありますけれども、やや歩み寄りの方向に向かったような感触を得たわけでございますが、第四回目の会談におきまして、なおわが方としてはまだ心配であるということで、わが方の案を鈴木大臣は主張されたのでありますが、これ以上は交渉を進めることができない、こういうことが明確になりましたので、鈴木大臣とされましては、ここで一時東京へ戻られまして総理に御報告をしよう、こういう決意をされた次第でございます。
 なお、ここで一時中断をした方がいいという判断は、イシコフ漁業大臣が十七日から、アイスランドと伺っておりますが、出張される、それがほぼ今月いっぱいぐらいかかるというような先方の御予定もあるものですから、この機会に帰国をされる決意をされたもの、このように考えております。
○中川(嘉)委員 御答弁の中に、十七日にアイスランドに行かれるという予定、こういう先方の日程というものも中断に至る一つの要素であって、全く日ソ間の交渉の一〇〇%行き詰まり的なものではない、そういう要素も入っていたのだというふうにとってよろしいかどうかということ、もう一つ、それじゃ次は一体いつ再開できるのか、この点の見通しはいかがかという点をお答えいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいま御指摘のありましたように、イシコフ漁業相の日程が決まっておったということが一つの大きな原因ではなかろうかというふうに考えられます。
 また、再開の時期でございますけれども、明確に決まってはいないわけでございますけれども、イシコフ漁業相が外国から帰られて、また交渉の可能な事態になるのが恐らく五月の初めということになろうかと思いますので、それ以後ということになろうかと思います。その点につきましては、今後外交チャネルを通じまして連絡をとり合った上で決まるものと御理解いただいて差し支えないと思います。
○中川(嘉)委員 時間が参ったようでございますので、二点ばかりまとめてお聞きしてみたいと思います。
 このたびの交渉でもって、北方領土についての日ソ間の見解の相違について、どういう点に差が見られたのか、これが第一点です。それから、交渉中断によって見込まれるところの漁業者の被害について、政府はどのように把握をしておられるか。中断以降一カ月問での実質的な被害というものはもう当然出てくると私は思いますが、そういったものをどの程度に見込んでおられるのか、それに対する救済をどのように考えておられるか。いまの時点で少なくともお答えのできる状態でなければならないのではないかと思いますが、最後にその点をお聞きしてまいりたいと思います。
○鳩山国務大臣 先方との見解の相違というものは、鈴木農林大臣がお帰りにならないと明らかでない面もあろうかと思います。相当腹を割ってお話し合いになったということは伺っておるわけでございます。先方のいわゆる線引きと言われております閣僚会議の決定というものは、いわゆる北方四島を含んだところの線引きであるというふうに私ども理解しておりますし、その点につきましては、二月の二十四日に大臣会議決定が出まして、翌二十五日には官房長官名をもちまして当方の見解を申し述べたところでございます。その見解はただいまも変えていないわけでございます。
 後段の方の、漁業者の補償問題につきましては、本日閣議で了解が得られたわけでございますけれども、三月の時点ですでにニシン関係の漁船は出漁ができなくなった、四月におきましても、今月いっぱい出漁ができないということが明らかになりましたので、三月、四月におきまして実際に被害が発生しているということは明らかでございまして、少なからざる金額に上るというふうに伺っておるところでございます。
 なお、その詳細等につきましては、水産庁にお尋ねいただきたいと思います。
○中川(嘉)委員 では、質問を終えまして、要望として申し上げますが、実質的な被害というものが現に日々高まってきているので、政府としてこの漁業者の実態というものを、現地に派遣してでもさらに調査を進めていかなければならないときだと思いますし、漁業者を守るという立場に立った積極的な取り組みをひとつお願いしたいし、さらに領土問題につきましても、あくまでも日本の主権というものを尊重したさらに強力な対ソ折衝というものがなければならないと思います。再開に先立って、ぜひとも積極的な姿勢を捨てずに日ソ間の交渉を推進していただくことができるように要望をいたしまして、終わりたいと思います。
○竹内委員長 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 大臣初め皆さん、夜分どうも御苦労さまでございます。質問をさせていただきます。日本とオーストラリアの友好協力基本条約についてでございます。
 私、一番最初にちょっとお聞きしたいのですけれども、ずっと読ませていただきました。第三条のところでこういう言葉が出てまいります。三条の一項でありますが、「両締約国は、政治、経済、労働関係、人権、法律、」云々、これらの分野において、これからの両国の活動というものを強化し多様化するように努力するということになっております。その場合の「政治」というのは一体どういうことを指しておりますでしょうか、お伺いいたします。
○村田(良)政府委員 御指摘のとおり、ここに、両国間で相互理解を深め、あるいは協力を進めるという分野を例示してあるわけでございますが、ここで「政治」という場合には、二国間あるいは多数国間、いろいろな形態があるかと思われますけれども、たとえば国際連合の場におきましてわが国と豪州とが協力するとか、あるいはASEAN諸国に対する広い意味での協力ということに関しまして、日豪がそれぞれ話し合って協力していくというふうなことが含まれるかと思います。また、先方とわが方の、たとえば外務省同士の事務レベル協議というふうなことを通じまして、それぞれの国の、いま申し上げましたような国連、ASEANその他いろいろあると思いますけれども、そういった政策について意見を交換して相互理解を深めるという趣旨でございます。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、当然外交問題は入りますね。
○村田(良)政府委員 当然含むものと思います。
○渡辺(朗)委員 安全保障の問題はいかがでございましょうか。
○村田(良)政府委員 安全保障の問題は入らないと考えます。
○渡辺(朗)委員 実は、入らないという論拠がよくわからないのです。広い意味で政治、外交、ASEANに対する政策、こういった問題が政治の分野であるとするならば、私は、それを抜きにした外交だとかASEAN対策といったものはあり得ないと思いますが、いかがでございましょうか。
○村田(良)政府委員 安全保障という言葉の定義にもかかわるかと思いますけれども、私が安全保障は入らないと申し上げたのは、いわば狭い意味での安全保障ということでございまして、広義の世界的な安全保障の問題、たとえば軍縮の問題であるとか、あるいはアジア・太平洋地域における一般的な平和の問題というのは、日豪双方の関心事でございますので、これについて両国がいろいろ意見を交換して理解を深めるというのは当然のことであろうと思います。
○渡辺(朗)委員 いまの点、ちょっと差しおかしていただきたいと思うのです。というのは、いまの御答弁はこちら側の理解かもわからぬけれども、向こう側がどういう理解をしているのかという点が明らかでございませんので、後にその点をもう一度確かめさせていただきます。
 それから、同じく第三条二項、「両締約国は、また、1にいう分野のいずれかに関する国際機関であつて」「共に加盟国であるものにおいて、相互の理解及び協力を発展させる。」ということになっております。私は文言そのものではわかりませんので、お聞きをいたします。ここでいう「国際機関」、英文の方のテキストを見ますと「インターナショナル・オーガナイゼーションズ」となっております。その「国際機関」とはどういうものを指しておりますでしょうか。
○村田(良)政府委員 この第一項に挙げられております協力分野というのは非常に広範でございますので、これらに関連する国際機関というのも多多あると考えます。しかし、最も重要なのは、国際連合及び国際連合の各専門機関であろうというふうに考えます。
○渡辺(朗)委員 オーストラリアはANZUS、つまりオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ合衆国の相互安全保障条約に加盟しておりますけれども、これは国際機関でございましょうか。
○村田(良)政府委員 ANZUSそのものは「国際機関」と呼べぶきものではないと思いますが、いずれにいたしましても第三条二項の「国際機関」と申しますのは、日本と豪州がともに加盟国になっておる機関ということであろうと思います。
○渡辺(朗)委員 重ねて聞きますけれども、日米安保条約というのはここで言う「国際機関」に当たりますか。どうでしょうか。
○村田(良)政府委員 該当いたしません。
○渡辺(朗)委員 いまお聞きしますと、ANZUSは「国際機関」ではないと言われましたが、それではNATOは「国際機関」でしょうか。「インターナショナル・オーガナイゼーション」ではございませんか。ANZUSはそうではございませんか。もう一度確認をいたします。どういうふうな定義をしておられますか。
○村田(良)政府委員 NATOの場合には確かにオーガナイゼーションという言葉が使われております、北大西洋条約機構ということでございますが。しかしながら、ここで言う「国際機関」と申しますのは、冒頭に述べられましたような政治、経済、労働その他各般の分野における、いわば世界的な国際機関という意味合いを持って書かれておるものでございまして、NATOのごとく地域的かつ非常に限定的な目的を持った機関は、それを英語でオーガナイゼーション、あるいは日本語で機構とか機関と呼びましても、この第三条二項で言う「国際機関」というものには入らないというふうに考えます。
○渡辺(朗)委員 私、論争するつもりは決してないのですけれども、しかしグローバルなものでなければ「国際機関」と呼べないんだという規定は、ここには何にもありません。政治的な分野における「インターナショナル・オーガナイゼーションズ」であります。
 それからもう一つ、「国際機関」と言われた際に、ANZUSがそうでないと言われたけれども、ここら辺もう一遍お確かめをいたします。複数の国家間で構成されているもの、そしてそれが独自の地位を持つ組織体、こういったものは「国際機関」と呼べませんか。その意味では、ANZUSはそうではございませんか。
○村田(良)政府委員 一般論といたしまして、たとえば国際機関とはどういうものかというふうな御設問でございますと、それは必ずしもグローバルな、あるいは世界的な機構あるいは国連の専門機関のごときもののみを指すものではなくて、複数以上の国がある種の結合体をつくりました場合に、それを国際機関と呼ぶことは十分あり得るであろうと思います。したがいまして、この日豪条約の「国際機関」がいかなる意味合いを持つかということは、この条約の目的あるいは文脈に照らして解釈すべきものであるというふうに思うわけでありまして、この第三条はいまのような条約解釈の見地からいたしますと、先ほど私から御答弁いたしましたような、国際連合ないしその専門機関、その他経済関係で世界的な規模の機関がいろいろございますが、そういったような機関を指すものというふうに解するのが妥当であるということでございます。
○渡辺(朗)委員 私は、この条約においていろいろな問題が、やはり疑念があってはいけない、これはいつまでも続くものでございますから、したがいまして、これがさまざまに違った形で解釈されてはいけないという懸念から申し上げているのであります。したがいまして、日本側の主観的な解釈だけではちょっと困ります。たとえば、この基本条約が結ばれた時期、五十一年五月、これは基本的に両国の首脳が話し合いをして内容について一致をした時期、これでございます。この時期というのは、当時のフレーザー首相はどのような行動をしておりましたか、何を国際的に訴えておりましたか、この辺をちょっとお聞きをいたします。――カレンダーめくりみたいなことで時間をとっては申しわけありませんから、私の方から申し上げます。
 五十一年五月に実質的な合意を日本において両首相の間で取り決められた。そしてすぐに、五十一年六月にはフレーザー首相は中国を訪問いたしております。それで、中国で何をしゃべりましたか。中国においては、現在のオーストラリア周辺、ニュージーランド周辺、南太平洋、西太平洋諸国、この地域においてソ連が急速に進出してきた、その脅威に対応するために、中国に対しては、早急に対応措置を講ずる必要がある、これを訴えております。同時にまた、アメリカを訪問しました。そこにおいてもソ連の脅威を訴えております。ソ連の西太平洋地域に対する進出に対しての防衛手段を強化すべし、こういうことを言っております。いかがでございましょう。その点は、外務省当局の方としても記憶にとどめておられると思います。
○山下説明員 フレーザー首相がインド洋におけるソ連海軍の動き等にかんがみまして、ただいま渡辺先生御指摘のような趣旨で、演説と申しますかそういう意向を表明したことは承知いたしております。ただ、確かにこの基本条約に関しまして署名が行われましたのは昨年五十一年の六月でございますけれども、御高承のとおりこの条約を日豪間において締結の交渉をしようという話が出ましたのが、前政権のウィットラム首相が日本に来ておられた七三年秋十月であるわけでございます。それからその後、日豪両国間におきまして草案をお互いに提示し合い、交渉をし、それが条約案文としてまとめられまして署名の運びになりましたのが昨年の六月十六日である、こういうことでございます。
○渡辺(朗)委員 そういう経緯は確かにございましょう。しかし、私が懸念をするその意味から申し上げているのは、これはここで言う「国際機関」あるいはまた政治の分野における日豪関係の協力、こういった問題が拡大解釈をされはしないだろうかという心配からであります。たとえば、中国に行ってフレーザー首相が演説をやっております。それは、ソ連の脅威に対して日本、オーストラリア、アメリカ、中国が一緒になって防衛構想をつくろうではないかということも訴えております。こういう背景も考えながら、この文脈なり文言を見ていかなければいけないのではあるまいかと思いました。それで質問をしております。
 したがいまして、さらに私はお聞きいたしますが、日米安保条約の適用範囲、極東の範囲の問題、これはフィリピン以北と私はいままでの論議の中で記憶しておりますが、それで正しいのでしょうかどうでしょうか。
○山下説明員 私いま大洋州課長でございますが、つい先般まで安保をやっておりましたので、御説明申し上げます。
 極東という言葉は、御承知のとおり安保条約におきまして何カ所か出てまいりますが、安保条約を御審議いただきました国会で統一見解というものが出されております。そこで、ただいま御指摘のように本来これは実は地理的な概念でございますけれども、安保条約において使われている意味は、前文にも明らかなとおり、日米両国がその平和及び安全の維持に共通の関心を有する地域ということでございまして、その意味におきましてフィリピン以北並びに日本周辺を指すというふうに理解されているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 実はこの基本条約の問題に関連して、最近の三月二十六日でありますが、鳩山外相は日米共同声明の中の「西太平洋」、この問題につきまして御見解を出されました。済みませんが、もう一度繰り返していただけませんか。
○鳩山国務大臣 日米共同声明第五項にあります「西太平洋」という意味につきまして、当委員会で私十分内容を突き詰めないで御答弁申し上げましたことを、この席で申しわけないと思っております。
 この「「西太平洋」とは、ハワイより西側で米軍が存在する太平洋の地域(洋上を含む)をいうものである。」ということを予算委員会で統一見解として申し述べたところでございます。この「西太平洋」という表現は、アメリカの軍事的な観点から使用している用語であるということでございます。
○渡辺(朗)委員 私は、新聞で拝見をいたしましたが、鳩山外相は二つの意味合いを言っておられました。
 一つは、アジア・太平洋地域というのは、東アジア及び大洋州の両地域を指す、二番目に、西太平洋は、ハワイの西側で米軍が存在する太平洋地域(洋上を含む)である、これは政府の統一見解。
 実は、先ほどちょっと申し上げました、フレーザー首相が中国に行き、アメリカに行き、訴え続けてきているこれは、まさしく西太平洋地域におけるソ連の脅威に対して対抗する必要がある、この点を強調されました。そして、その延長線上で、五十一年八月三日、四日には、キャンベラでANZUSの理事会を開いております。そして、新聞その他の伝えるところによれば、ANZUSの軍事的側面が強化されようとしているというふうにも報道されております。私はその点で、まず共同声明の中にこのような「西太平洋地域」というような言葉が出てきたことに大変疑念を持ちます。同時に、それはあたかもオーストラリアの総理大臣がソ連に対して対抗すべき地域として指定してきた「西太平洋地域」そのものであります。
 御存じのように、東サモアには米軍の基地がございます。つまり、外相の言われるように、この米軍の基地のあるところ、西太平洋地域において米軍がこれを強化していく、あるいは軍事力を維持する、それを日本の総理大臣は共同声明の中で歓迎をしておられる。文言を読んで私はそのように理解をいたしますが、そうなりますと、まさしく符節が合致する。オーストラリアはアメリカに訴え、中国に訴え、そして西太平洋地域を強化しよう、それが今日における政治的な大きな問題だ。この訴え方をしている。基本条約においては、日本とそれからオーストラリアがともに協力し合って、政治的にも協力し合う、こういうことが、大変な懸念の一つの問題として出てくるわけであります。ここら辺について、ひとつ外相、御見解のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほど、御審議いただいております友好協力基本条約の第三条に言及されまして、その二項の「国際機関」にANZUSが入るのではないか、こういうような御指摘があったわけでございますけれども、この条文に関します限り、これは、日本もオーストラリアも両方がともに加盟国であるものにおきまして、相互の理解及び協力を発展さすという意味でありますから、この三条の二項につきまして問題はないと思います。一項におきまして、政治という分野に安全保障等の問題が入るかというお尋ねであれば、これは政治と申しましても、特に日本が関与しておりますものにつきましては、軍事的な意味は入らないというようにわが方としては考えておるところでございます。
 また、共同声明の第五項に戻るわけでございますが、これもここで申し上げたのでございますが、「総理大臣は、米国のかかる確認を歓迎し、」という意味は、一つ前のセンテンスの「積極的かつ建設的役割を引続き果すことを再確認した。」その確認を歓迎した。中に申されておることは、アメリカ側が一方的に安全保障上の約束を遵守する、そして「西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である旨付言した。」ということで、この「付言」という表現は、先方が、軍事的な意味におきましても、アメリカは安全保障上の約束を守ります、軍事的なプレゼンスも維持します、こういうことを言われたということが、アメリカ側の意思として書いてあるわけでございまして、特に軍事的な問題につきまして日本が歓迎をしたという意味ではないというふうに御理解を賜りたい。この点は前の委員会でも御理解をお願いした点でございます。
○渡辺(朗)委員 私、個人的な立場から、また日本の将来のためにもそのような意味での言葉遣いであってほしいと思っておりますが、しかし、もう一遍ちょっと返りますけれども、この基本条約の中で、ANZUSというようなものの活動を無視して、日本側の方がそういうものは全然関知しませんと言うことは、先ほども政府委員の方がおっしゃいましたオーストラリアあるいはニュージーランド、こういう国々のASEAN諸国に対するこれからの具体的な政策の展開、こういうものとは大変関係があると思うのです。無関係には考えられないので、こういう点を外して、そして単なる国連であるとかILOだけの国際機関における協力、これであるなら大変に平和的でございますけれども、しかし、オーストラリアの当局者にとっては私そんな問題ではないと思います。実は、フレーザー首相にしてもあるいはニュージーランドのマルドーン首相にいたしましても、両者が足並みをそろえて、世界各国にあるいは関係諸国に対して西太平洋地域の防衛問題を深刻に訴えておる。ここら辺を考えますと、どうも歯どめのない条約ではあるまいか、そういう点を懸念いたします。そこら辺についてもう一度御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 日本の立場といたしまして、軍事的な意味は含まないということは、もう御承知のように日本という国柄、これは日本の憲法の示すところでございますから、日本の防衛力というものは自国の防衛だけの存在であります。そういう意味で、日本以外の国の安全保障の問題に日本が関与するということは、憲法のたてまえからいってもできないことであるというふうに私は理解をいたしておりますし、その点はオーストラリア国におきましてもよく理解をしているところでありますので、そのような軍事的な意味は含まないということは両国の一致した見解と申していいと思うのでございます。
○渡辺(朗)委員 そのような理解を貫いて、向こう側の方にもまたそのような共通の理解を持っていただきたいと要望したいと思います。
 同時にもう一つ私確認をさしていただきたいのは、外務省、外務大臣、私は必ずしも心情的に反ソとか親ソとかということで言っているのではございません。事実としてソ連の西太平洋地域に対する積極的な進出があるという事実はお認めでございましょうか。四十九年にフィジーを承認し、国交を樹立した。五十年にはトンガと国交を樹立している。さらに西サモア、それから五十一年にはパプア・ニューギニアとの外交関係の樹立があります。さらには、トンガに国際空港を建設する、その援助を申し出ております。西サモアに対しては漁業協力の申し出がある。こういった一連の動き、こういった問題についてどのようにお考えなのか、そして、それがオーストラリア、ニュージーランドにどのような形で反応が起こされたのか、そこら辺の認識をお聞かせいただきたいと思います。
○山下説明員 お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の事実は、私どもも十分認識いたしております。しかしながら、現実にフィジーあるいはパプア・ニューギニアにつきましては、ソ連といたしましては、何か在外公館の実館をつくりたいという希望があるようでございますが、いまだできてはいない状況でございます。また他方、南太平洋につきまして、中国も同じような気持ちを持っているようでございます。すでにフィジーにはただいまつくっておりますが、パプア・ニューギニアにはつくっていない状況でございます。
 これらの動きにつきまして、豪州もニュージーランドも関心を抱いております。なかんずく、南太平洋の島嶼国に関する進出につきましては、ニュージーランドは、言うなれば、変な言葉でございますけれども、自分の裏庭だという感じがなきにしもあらずというところでございまして、非常な関心を持っている。他方、パプア・ニューギニアにつきましては、豪州がつい先般までその統治に当たっていたこともございまして、関心を非常に持っている。
 それで、階太平洋の島国に、たとえば先ほど御指摘のありましたトンガにソ連が飛行場の建設をというか、滑走距の延長でございますけれども、それをやってやるから漁港を使わしてくれといったようなアプローチをしたわけでございますけれども、私どもがそれを認識しておりますのは、軍事的な意味よりも、たん白源、要するに漁業活動をあの近所でやりたい、たん白源を確保したいといったようなことがソ連の一番のねらいではなかろうか。ただ、ソ連の動きをいま申し上げたようなものとしてのみ理解するのは、何と申しますかか、さらにもう少し読んでみる必要があるのではなかろうかといった感じで認識している次第でございます。
○渡辺(朗)委員 繰り返すようになりますけれども、そうしますと、むしろこのようなソ連の南太平洋、西太平洋地域における進出ぶりというのは、ニュージーランド、オーストラリアが受け取っているような大変軍事的な脅威というものではなくて、たん白源の獲得のためであるというふうに端的に理解してよろしいのでしょうか。
○山下説明員 ソ連が現実にあの近所に外交関係を開き、かつ実館等もつくっている国があるわけでございますが、あのあたりに具体的に軍艦等を派遣したということはないようでございます。ただ、漁船等は現実に、たとえばフィジーのスバの港等に出入りいたしておる状況でございます。
 そこで、先ほど申し上げましたように、現在ソ連が考えておりますのは、漁業資源の獲得と申しますか、それが一番大きなねらいと思われますが、あの近辺の海域の状況、あるいはまた漁業活動を通じてあの辺に存在しますいろいろな国との関係が深まっていくということが、いつの日か先生御指摘のような軍事的なポテンシャリティーを持ち得るのではないかということは考えておく必要があるという趣旨で先ほど申し上げた次第でございます。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、私先ほどちょっと触れました、フレーザー首相なりあるいはニュージーランドのマルドーン首相なり、ここら辺の反応ぶりというのは少しオーバーだ、そういうことで、余り軍事的な脅威を感じないようにという、むしろ日本側からそのようなお話をされ、そして鎮静化させるような努力が必要だったと思うのですけれども、そのようなお話し合いはされておりましたでしょうか。
○山下説明員 条約の締結交渉の段階におきまして、御指摘のような議論は行われていないと承知いたしております。ただ、豪州及びニュージーランドとの間で、外務省レベルでございますが、いわゆる事務レベル協議ということをやっておりまして、その際、一般的な国際情勢あるいはいろいろな南太平洋の事情だとかインド洋の情勢あるいはアジアの状況といったようなことに関しまして意見交換をいたします。そういう際に、それらの問題に関してお互いにどんな認識でいるかというようなことを話し合うことはございます。その際に、御指摘のような事実に関する認識について意見交換をやったことはございます。
○渡辺(朗)委員 残念ながら時間が参りましたので、要望だけして、私、質問を終わらしていただきたいと思います。
 私、この条約に関連いたしましてできるだけいろいろな関係のものを読みましていただこうと思いまして、大変に心配になってきたのは、先ほど申し上げたような点でございます。オーストラリア、ニュージーランド、そこら辺の西太平洋におけるソ連の進出に対する非常なリアクション、これが大きい。これに対して日本が巻き込まれることなく、先ほど政府委員の方の御説明にありましたように、政治協力とは先ほどのお話のような軍事的なものは含まない、こういう方向をひとつ貫いていかれますように、これを要望をいたしておきます。
 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 いま渡辺朗先生から、日豪友好協力基本条約について、軍事的に非常に懸念をされる御質問をしておられました。私も念のために二、三聞いてみたいと思うのですが、この基本条約の前文でしょうか、こう書いてあります。「両国間の関係を、長期的な展望に立って衡平なかつ相互に有利な基礎の上に強化し及び多様化することが重要であることを確信し、」その次です。「両国間の協力は、両国の相互の利益のみならず、両国が一部を構成しているアジア・太平洋地域の諸国を含む他の国々の繁栄及び福祉に対する両国の共通の関心をも念頭に置いたものでなければならないことを認識し、」こう書いてある。二国間の条約、協定なりで、こういうふうにアジア・太平洋地域の諸国を含む他の国々の繁栄及び福祉に対する両国共通の関心を念頭に置いてというような、こういうことが書かれている二国間条約、二国間の協定というのは、どういうものがあるでしょうか。ちょっとお教えをいただけないでしょうか。
○村田(良)政府委員 あらゆる条約を洗ってみたわけではございませんけれども、このような表現をとった前例はないと思います。
○寺前委員 そこで、いまのお話ではございませんが、これが結ばれて後、ANZUSの理事会共同コミュニケの中に非常に注目されることが出てくる。「朝鮮および東北アジアの情勢を見直しANZUS加盟国と日本との関係に注目し、ことし六月調印された日豪友好協力基本条約を歓迎する。」先ほどの発言の疑念というのはここに生まれてきたと思うのです。ANZUSというのはいまさら言うまでもありません。軍事的な役割りを担うことはきわめて明確です。そこが歓迎をもって迎える。しかも二国間協定でほかに見ることのできないところの、アジア・太平洋地域の一部を構成する、こういう受け取りがされている。疑念が持たれる方が普通ではないでしょうか。
 大臣にお聞きします。断じてそういうことにはしませんということが言えるかどうか。
    〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
○鳩山国務大臣 先ほども渡辺先生に申し上げたところでございますが、多国間の軍事的な関係に日本が関係を持つということは全くあり得ないことでございますから、いま寺前先生の御指摘でございますけれどもそのようなことは全く心配はないと思います。特にただいま御指摘の「アジア・太平洋地域の諸国を含む」と申しますのは、やはり日本が大変関心を持っております東南アジア地域、この地域に対しまして、同じ先進国として日本とオーストラリアが東南アジアに対する経済援助等につきましても協力してやっていこう、こういう趣旨に出たものと思う次第でございます。
○寺前委員 次に行きます。
 先ほど読ませていただいたわけですが、「長期的な展望に立って衡平なかつ相互に有利な基礎の上に強化し及び多様化することが重要である」という前文に合わせて、第五条にこう書かれています。「両締約国は、経済、貿易及び通商の分野における両締約国間の関係の重要性を認識し、この関係を相互の利益及び信頼の基礎の上に強化し及び発展させることにつき協力する。」またその第二番目に「各締約国は、両国間の貿易に関し、それぞれの国が他方の国にとって安定的なかつ信頼し得る供給者及び市場であることが相互の利益であることを認識し、公正かつ安定的な基礎の上に両国間の貿易の一層の拡充及び発展を促進する。」こう書かれているのですが、これが結ばれてしばらくして幾つかの事件が生まれてきたと思うのです。
 私は時間に制約がありますから、その中の二つについてきょうはお聞きをしたいと思うのです。その一つは牛肉問題です。その一つは砂糖問題です。私はここに書かれているように、両国相互の利益及び信頼の基礎の上にやらなければならないし、安定的なかつ信頼し得る供給者と市場であることが相互の利益であることを確認していながら、それが結ばれてから一年もたたない間に信頼関係が崩れるような事件が出てきたというふうに言わなければならないと思うのです。
    〔有馬委員長代理退席、毛利委員長代理
    着席〕
 そこでお聞きしますが、フレーザー・オストラリア総理から昨年牛肉の輸入割り当てをめぐって抗議の手紙が来たということを新聞紙上で私は理解しているのですが、本当なのだろうか。本当だとすればどういう内容のものが来たのか。その内容というのは不当なことを言ってきているのか、妥当なことを言ってきているのか、御答弁をいただきたいと思います。
○山下説明員 御承知のとおり昨年十一月の十六日に農林省の方から、形の上では通産省でございますが、五十一年度下期の追加割り当て枠を発表したわけでございます。これにつきまして豪州側が、五十一年度上半期並みの数量が出るということを期待していた経緯があるようでございまして、それが二万トンということで来たものでございますから、フレーザー首相がわが方に物を言う書簡を出してこられたこと、これは事実でございます。
○寺前委員 内容は妥当性があるのかどうか……。
○鳩山国務大臣 牛肉の日本の輸入の枠の問題、これは大変な政治的な問題になったわけでございます。先方は、特に日本向けの脂の乗ったような牛肉をつくらしたのだ、その牛肉を下期の割り当てでがっぽり半分に削ってしまったということで、これは信義に反するではないかという趣旨が私はフレーザー首相の内容であったろうと思います。私は見ておりません。見ておりませんが、そのように聞いておるわけでございます。先方の言い分もこれは決して不当なものということはできないだろう。上期に四万五千トンという枠を与えたものですから下期も四万五千トンもらえるという期待を持ったことは事実であろうと思いますが、たまたま日本の食肉の価格の問題あるいは豚肉の価格が非常に低落をしているというような日本の国内事情があるものですから、日本といたしましても、こういう価格の低迷したときにまた豪州から輸入が行われるということ自体につきまして大変な危惧の念を持った、これもまた無理からぬことであったわけでございます。そういうわけで大変な政治問題に、特に豪州におきましては政治問題として受け取られたのでございます。
○寺前委員 オーストラリアの側は不当なことではない、日本の方も価格が暴落をしている、したがって日本の安定した状態をつくり上げるためにも日本側の言うのもまた無理からぬことである、第三者的な評論ですけれども。そこで、それじゃ去年からことしにかけて起こったことが、ここで基本条約で、安定的に信頼し得る供給者と市場であることの相互の利益を認識して公正かつ安定的な基礎の上につくり上げていかなければならぬという、せっかく結びながらそうなかなかいかぬのじゃないだろうか。要するに去年起こったことがことしは絶対に起こらないという保証が、来年は起こらないという保証がどうして確立されるのか、どこに問題があってどうしようとしておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 この問題につきまして定期協議の際に解決を図ったわけでございますが、解決を図りました精神というものが、まさに第五条の精神によりましてお互いに譲り合って円満な解決を見たというふうに御理解をいただきたいと思います。そういう意味で、すべて両国がこの経済関係で、日本は原料輸入の国である豪州は生産者の国だということで、相補う関係にありますけれども、自由経済のもとにおきましてはやはりいろいろな価格の変動その他があります。砂糖の問題もまさにその一つの価格問題でございます。貿易関係におきましては、両国に友好関係がありましても相互の利害関係というものはあるものですから、すべてが何にも波が立たないはずであるというわけにはいかないと思います。しかし五条の精神によりまして、両方がお互いに相手方の立場を理解し合って友好的な貿易関係を維持していこう、こういうことは大変必要なことであると思うのでございます。
○寺前委員 一般論をおっしゃいましたけれども、現実はきわめて厳しいものだと思うのです。要するにオーストラリアの側にすれば、生産をして輸出を一定期間準備するのですから、準備したものは確保してもらわなかったら私の方は困りますという問題が出てくると思う。日本の方は日本の方で生産者がおります。大量に入ってくることによって市場が左右されるということになったら日本の生産状況にも影響が生まれてくる。ここで両国の関係を安定的にやろうと思ったら、まず日本の生産者自身が安心して、私どもはことしはこういう計画でいきます、輸入量についてはこの範囲にしてもらわなかったら困るとか、そして全体として日本の消費者との関係においてこういうふうに肉を安定的に供給するという図式が書かれてこそ、初めて両国間は安定していけるんじゃないでしょうか。私はそういうふうに素人目には思うのですよ。
 そこで、農林省お見えになっていますか。――農林省の方にお答えをいただきたいのですが、現実的にはこの関係をどのように解決を図られているのですか、御答弁いただきたいと思います。
○石田説明員 先生御承知のように、わが国におきましては牛肉の自給度を高めるということをわれわれとしては基本にして畜産振興をやっておるわけでございますが、どうしても現在の情勢ではここ当分の間国内生産だけで賄うということはできません。それで年々一定量の輸入ということは当然考えているわけでございます。昭和六十年度の見通しにおきましても、国内自給は大体八一%という目標を立てております。こういうことでございますから、足りない分は必ず入れるということでございます。ただ、その量を幾らにするかということが問題になるわけでございますが、目下のところ牛肉につきましては割り当て制でございますから、毎年度上期下期二度に分けまして輸入量を割り当てております。その際に国内生産の見通しと需要の見通しを立てまして不足分を輸入するということで割り当てているわけでございます。この際にもわれわれとしては国内生産最優先に考えているわけでございますが、輸出国であります豪州側としてはまた豪州側の都合もあることでございます。先般の経験にかんがみまして、両国側で常時情報の交換をして相互の理解を高めるということで、それぞれいままでもやってきておりますが、今後はさらにこれまで以上に相互理解を深めまして、円満に事を図っていきたいと考えているわけでございます。
○寺前委員 ことしの三月に全農協中央会と農協畜産酪農対策中央本部の名前で畜産物政策についての要請が出ておりますが、その要請の中に、こういうことを改める一つの問題として生産者団体の意見をくみ上げてくれという申し出を強くしていました。私はそうだろうと思うのです。消費者全体に対してどれだけの肉が要るか、来年度日本の農民にとってはこういう計画でいきたい、足らざる分を求めたいということの数字を計算するに当たっては、私は関係者の合意をつくることが重要だろうと思う。これは土壇場になって国内の生産者から突き上げがあって、他国に対して不義理をつくるようなことがないようにするのには、国内の生産者との間の合意を確立することが重要だと思うのです。この点についてどういうふうにおやりになっているのか、これが一つ。
 それからもう一つは、先ほど外務大臣は日豪の閣僚委員会といいますか、そこで一般論として話し合いをやってきたとおっしゃっていましたけれども、具体的にことしの分についてはいつどのような形をもって、安心して向こう側が日本との関係を確立することができるようになるのか、いつ話し合いが具体的に確立するのか、御説明をいただきたいと思います。
○石田説明員 割り当てをする際には生産者の意見をよく聞いてということでございますが、われわれは常日ごろ生産者団体と連絡を密にいたしまして、その意向を十分に承知した上で今後割り当てをしていきたいと考えております。
 それから五十二年度の割り当てをいつやるのかということでございますが、まだ決めてはおりませんけれども、従来どおり年の上期、下期二回に分けてやる予定でございまして、目下のところ作業中でございます、それから割り当てをする際に相手国と話し合いをして協議の上で決めるという方法は全然とっていないわけでございまして、先般豪州との間にいろいろな話し合いがございましたけれども、これはあくまで協議でございまして、割り当ては独自にやるわけでございます。しかも、この割り当てというのは豪州に対するだけではございません。グローバルなものでございますから、豪州一国と話し合いをして決めるというものではございません。しかしながら、豪州はわが国に対する輸出の八〇%を占めておるいわば最大の輸出国でございます。そういう関係もございますので、常時情報交換あるいは意思の疎通を行いまして、誤解のないような方法で事に当たっていきたいと考えております。
○寺前委員 重ねて聞きますが、たとえば通産省が韓国の絹織物輸入をめぐって二国間の協議をいろいろおやりになります。ことしも一月二十一日、一月二十七日の二回にわたって生産者、商社、流通関係者それぞれのブロックから五名が出まして、一定の合意を見る場をつくって、日本側としての見解をもとにして韓国との交渉に当たるというようなことをおやりになっているようです。こういうことをきちんと国内の関係者の間にやらないと、たとえば昨年で一も豚肉の輸入をめぐって五月、六月、七月関税の減免措置を講じていたのを引き続いて八月、九月、十月と延長したことを通じて、これらの関係者の間では批判の声が出ております。すなわち行政機関だけでこういう措置を――意見を聞いておるとはいっても、一定の合意をつくりつつやるのが行政の重要なやり方じゃないだろうか、そういう点では十分に合意を得るやり方を御研究なさる必要があるのじゃないだろうか、重ねてもう一度問題を提起したいと思います。
 もう一つは、いま専門家というのですか専門委員というのですか、何か会議で、これは外務省ですか通産省ですか、牛肉問題をめぐって豪州の方に人を派遣しておられるようですけれども、上期の話についてそれなりの話を行ってなされてくることにはならないのですか。重ねて、上期の話はいつごろまでにけりをつけることになるんだろうか、従来よりも減るのでしょうかふえるのでしょうか、見通しとして政府としてどういうことをお考えになっているのかお聞きしたいと思うのです。
○石田説明員 先ほど生糸の例をお挙げになりましたけれども、牛肉につきましては割り当てをグローバルにやるわけでございまして、交渉ではございませんので、われわれといたしましては毎年これは定期的に割り当てをやりますが、そのときだけでなく、常時生産者団体あるいは家計の状態その他、経済情勢一般を事前によく把握いたしまして、そごのないような割り当てをしていきたいと考えております。
 それから、目下農林省の方で豪州に牛肉関係の専門家といいますか、担当の課長等を派遣しておりますが、これは先般の日豪定期閣僚委員会の際に、専門家レベルでお互いに誤解を招かないようによく話し合いをしたらどうだろうということになりましたので、それに基づいて第一回の話し合いをしているわけでございます。これは当方の事情、それから豪州側の事情をお互いに話し合うわけでございまして、割り当てはあくまで豪州に対してやるものでございませんので、割り当ての数量を幾らにするという話し合いはこの場ではしないわけでございます。
 それから上期の割り当てがいつになるかということでございますが、従来の例でありますと、この四月の末でございますが、あるいは四月の末ぐらいのところをめどに目下作業中でございます。
 それから、その数量は幾らになるかということでございますが、これも目下慎重に検討中でございます。と申しますのは、四十九年ごろのいわゆる畜産危機という大変な危機がございましたが、その打撃を受けた後において、やっと最近回復に向かったわけでございます。御承知のように、牛の生産には二十カ月あるいはそれ以上かかりますが、やっと出荷の段階に立ち至っておるわけでございますから、その出荷の数量等もよくにらみますし、それから、消費の方もどうやら立ち直っておりますけれども、これも多くを期待できないということで、その両者をあわせながら、目下慎重に検討中でございます。
○寺前委員 時間の都合もありますから次に行きますが、砂糖の問題ですね。一九七四年の十二月二十日に日豪の砂糖協定が調印をされて、そして一九七五年の一月三十一日に両国政府の交換公文というのですか、なされて、そして今日までずっと経過を経てくる砂糖の問題があります。最近、私どもの党のところに、全国砂糖労働組合会議というのが、これをめぐる合理化反対闘争の資料というのをお持ちになりました。これを読みながら、私はさきの基本条約との関係を見て、この分野においてもどういうことになるのかなあということをつくづく感じたわけです。
 そこでお聞きをしたいのですが、この一九七四年の十二月二十日に結ばれた日豪砂糖協定、これについて政府が交換公文を交わして、そして砂糖を、五年間にわたる長期契約、金額まで決めておやりになった。これは政府もかんでいるんだということを労働組合の皆さんの資料を読んでおりますと書かれているのですが、それは事実でしょうか。
○牛尾説明員 先生御指摘の日本とオーストラリアの砂糖長契でございますが、これは形式は純然たる民間協定でございます。その当時のことを思い起こしていただきますとおわかりのように、その当時、一般的な農産物の需給が国際的にもきわめて逼迫しておりまして、たとえば日本とアメリカの間で、小麦、大豆、飼料穀物などのいわゆる安倍バッツの話し合いというものがあったことも御承知のとおりでございます。砂糖につきましても、その当時、価格もきわめて高騰いたしましたし、国内的にも砂糖の供給が危ないという声もございました。そういう情勢をバックにいたしまして、農林省といたしましても、農産物の長期安定的な輸入の確保ということに全力を挙げて対処してきたところでございます。
 砂糖につきましては輸入が自由化されておりますが、国際的に在庫がきわめて少なくなっておるという状況から、長期安定供給の確保という面につきましては、最も増産の可能性が高いオーストラリアと業界が接触を始めたわけでございます。
 交換公文を出しましたゆえんのものは、そういう国際情勢なり経済情勢を背景に見まして、日本の政府も豪州の政府も、ともにこういう民間長契を望ましいものと考えた、こういう点から出ておるわけでございますが、いわゆる交換公文の内容は、やや技術的な問題を含めまして、協定の内容に沿った砂糖の取引が円滑に行われるための国内制度の整備、たとえば豪州でございますと、砂糖は輸出が許可制になっておりますが、年間六十万トンの砂糖に輸出許可を与え、日本でまいりますと、六十万トンの砂糖の輸入カルテルを許可する用意ありと、こういうような内容でございます。
 民間協定でございますから、協定の具体的な条文、価格等につきまして政府が介入したり決定したりという事実はございませんが、恐らく先生御指摘の労働組合の方、そういう政府も推奨した民間協定をやはり政府として何かバックアップしてはどうか、こういう御趣旨の御要請だと私感じております。
○寺前委員 サリバン・クインズランド第一次産業相というのですか、このお方が一月の十日に訪日されて関係各機関、業界などとお話し合いになった。この人は三十三社の協定者を前にして、日本政府の責任と国内施策が不十分、税制、異性化糖などの対策が無策だ、豪州は長契のために多大の設備投資をやった、具体的回答は帰国後検討するということで、一月十四日にお話しになったようです。そして一月の十七日には、このサリバン氏は帰京後ステートメントを発表、一、この協定は、町国政府の支持のもとに発効した協定である、二、にもかかわらず、日本の業界の苦況を政府はその国内措置によって打開しようとしていない、三、特に税制、異性化糖などには十分な対策がとられていない、四、日本側の要求に対する豪州の回答は、二月ごろに代表を訪日させて交渉する、こういうステートメントを発表しておられるようです。
 この見解に対して、日本政府としてはどういうふうにお考えになりますか。
○牛尾説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、オーストラリアのクインズランド州の第一次産業大臣のサリバン大臣が訪日されました。クインズランド州政府といいますのは、豪州の国内制度によりまして、生産された砂糖の所有者という立場にあるようでございます。
 一月十一日のステートメントでサリバン大臣が述べられたことにつきましては、その後二月に、CSR社というのがそのクインズランド州政府の砂糖の輸出代理人でございますが、そこが交渉委員を日本によこした。自来交渉が続けられております。
 現在までのところ、豪州側からは具体的な提案はまだ出ておりませんが、先生御指摘の、たとえば業界の苦況打開にどういう手を政府がとったか、あるいはとり得るかというふうな検討をいままでにやっておりますし、税制の問題につきましても、交渉の間にかなり日本の事情をよく勉強をされまして、現在かなりそういう状況は理解されたと思っております。現在まだ交渉中でございまして、近々具体的な提案を豪州側がするのではないかという感触がございますが、まだ数字その他、あるいはそれに伴います価格引き下げに関連します条件、こういうものを具体的に提示するまでには至っておりません。
○寺前委員 ちょっとこの際にお聞きしたいのですが、五カ年の長期契約で量をどういうふうにするかという話についても、先ほど牛の場合でもあれだけ問題になっているのです。砂糖の相場というのは上がったり下がったりひどいものです。よくもこれ五カ年間こういう価格の契約まで含めたものをやったな、私素人目にもそう思うのですよ。これは日本政府の指示のもとに発効した協定であるとオーストラリアの人がおっしゃるのも私は否定できない内容だろうと思う。こういう協定の進め方が果たして両国の将来にとって幸福な安定的な道になるのかどうか、私はここに反省をしなければならない問題点を含んでいるように思うのです。
 私は、基本条約がどんなにりっぱなものであったとしても、本当に正しく個々の問題において協定というのが政府の指導のもとに行われないとだめだろうと思うのですが、果たしてこういう協定に妥当性があったのかどうか、私は関係者のその点に対する見解をお聞きをしたいし、それから将来に向かってどう改善をされるつもりなのか、お聞きをしたいと思います。時間が来たようなので、簡単に御答弁をお願いします。
○牛尾説明員 先生おっしゃいますように、砂糖の価格、国際相場はきわめて不安定でございます。ただ、契約当時は、いまにして思えば砂糖が最も高い状況にあったときでございますが、当時の国際価格と契約価格を比べますと、そのときの国際価格のちょうど半値ぐらいでございました。それ以後、国際糖価が大幅に、約五分の一か六分の一に下がりまして、現在は国際相場に比べて長契価格が二倍強の完全な逆転をいたしております。その当時も、将来国際糖価はこのような高値は五年間は当然維持されないだろう、しかし五カ年をおおむね通算してみれば、豪州側の売り手、日本側の買い手、ともに納得し得るとこうそのときに考えられたようでございますが、不幸にして一般国際相場の予想以上の急速な低下、これが現在の問題を惹起しておるものと考えられます。
 なお、関係者はその契約当時はいま申し上げましたような立場であったわけでございますが、最近砂糖の需要の低迷、それから豪州糖の割り高な問題も一つ入りますが、それに精製糖業の体質と申しますか、やや過当競争的な体質、こういうものが重なりまして、砂糖業界は大きな累積赤字を抱え非常に苦しい立場に追い込まれております。それで、現在精製糖関係者は豪州に対して契約価格の改定を申し入れておるところでございます。
 なお、こういう状況につきましては、農林省といたしましても、業界がきわめて窮迫している事情にあるということ、それから日本と豪州の砂糖の安定した取引というものは、この五カ年間の長契期間のみでなくてその次にも関係があるという、そういう砂糖の長期安定供給の確保の問題、さらには農産物全体の貿易問題、こういうものを考えまして側面からこれを支援し、豪州の連邦政府にもいろいろ物を申し、あるいはサリバン・ミッションであるとかCSRの代表者に対しましても国内の事情を十分説明してその理解を求めておる、こういうことをやっておるところでございます。
○寺前委員 一九七六年の十月から東海精糖が、本年の三月には新光砂糖工業が休業をするという事態まで発展をしてきております。それだけに、相場で変なやり方をすると日本の国内の労働者の中にも犠牲が生まれてくるし、国際関係も信用を落としてくるという事態が生まれてきただけに、私はこの問題に対する政府の責任というのはやはり非常に重要だろうというふうに思います。
 そこで、労働者からいろいろな要求が出ております。たとえば、現に休業、閉鎖を策している企業及び背景商社、金融に対して、政府は必要な行政指導をもって回避させよとか、あるいは政府及び日銀から特別融資などを講じさせ、あわせて労働者への犠牲転嫁がないようにせよとか、砂糖政策などについてのいろいろな意見が私のところへ来ている文書には書かれております。労働者が提起しておられるこういう問題について、政府としてよく聞いて、そしてその責任を果たすように強く要望をいたしますが、関係者の人どうですか。
○鳩山国務大臣 砂糖の問題は、これは国際的に非常に価格が上がったり下がったりするということ、そういうことを繰り返しておったわけでございますけれども、この前の砂糖の不足騒ぎのときには、とにかく大変な買いだめ競争が起こったことも御承知のとおりでございます。このように砂糖の国際価格が非常に変動するということから、これを何とかしなければいけないということで糖価安定法というものをつくって、国外でいろいろな変動があるけれども、国内的にはなるべく安定させようという趣旨で砂糖の安定帯価格というものをつくって糖価の安定を図って、一時は価格が低かったものですから相当差益がたまったわけでありますけれども、一時ぱっと上がったときにもう全部底をはたいてしまうというようなことになったわけで、そういうような、恐らくいまから考えればどうしてあんな長期契約をしたのだということになるわけでありますけれども、日本の国内といたしましては、国内の糖価はなるべく安定させたいということで、当時は大変期待を持って、これだけ安い値段だから長い間供給してほしいということを日本としては申し出たということであります。それがみごとまた当てが外れたわけであります。
 そういう関係でありますが、目下豪州との間に、それから定期協議の際におきましても、糖価の状況が非常に変わったんだから改定方を強く交渉をいたして、おおむねその方向としては協力しようというところまで行っておったわけでございまして、その実施がなかなか結論がまだ得られないということでありますけれども、私は日豪の関係を考えましたときに、この砂糖の問題もいずれ価格の改定は実現できるものと強く期待しているところで、業界の皆様方も大変苦しい立場にあることも事実でございますので、なるべく早い機会にこの価格協定が実現できますように、外務省といたしましてもできる限りの御協力はいたしたい、こう思っておるところでございます。
○牛尾説明員 農林省といたしましては、ただいま外務大臣から御答弁がございましたそのとおりと思っておりますが、なおそれに一つつけ加えますならば、やはり日本の精糖企業は、先ほど一言申し上げましたように非常に過当競争的性格を持っております。こういう体質のままでは、またいついかなるときに、今度価格が改定されましても、また問題を引き起こす可能性もあるわけでございますから、業界の構造の改善と申しますか、体質の改善と申しますか、そういうことを業界に強く検討を要請しておるところでございます。
    〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
業界も現在の状況から見まして、そういう検討を本当に必要と感じておりまして、従来に見られなかったほど熱心な討議が業界内で行われております。こういうことを通じまして精糖業界の安定に今後とも努力してまいりたいと思っております。
 労働者の問題につきましては、やはり精糖企業が不安定になり、労働者の方があるいは倒産に伴う解雇とかそういう問題が出るということは非常に残念なことでございます。具体的に行政指導と申しましてもなかなか限界もございましょうが、個別の問題につきましてもでき得る限りの手は打ってきたところでございますが、やはり基本的な問題を解決しない限り、金融にいたしましても一定の限界がございます。現在、たしか来週でございますか、労働者の方々が農林省にお見えになりましてよく事情を話したいということでございますので、そのときに詳しく承って、当方も誠意を持って状況説明なり、御回答いたしたいと思っております。
○寺前委員 終わります。
○竹内委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 日本国とオーストラリアとの友好基本条約、この種の条約は十四ですか、かなりすでに結ばれてきたわけでありますけれども、この基本条約が結ばれますと、日本とオーストラリアの間には具体的にどんな、たとえば何か施設ができるとか、あるいは新しい双方の作業が始まるとか、具体的なことがありましたらまずお伺いをしたいと思います。
○村田(良)政府委員 現在わが国と豪州との間には、日豪通商協定を初めといたしまして、租税の分野であるとか、原子力の分野であるとか、あるいは漁業の分野であるとか、いろんな協定あるいは取り決めがあるわけでございます。しかしながら、こういった取り決めを超えまして日豪の関係を一層緊密にするという必要性を両国が認識いたしましたので、これらの諸協定あるいは取り決め、さらに日豪間のその他の了解のいわばさかさといたしましてこの友好協力基本条約をつくったわけでございます。
 したがいましてこの条約は、友好条約という性格と、それから通商航海条約的な性格をあわせ持つものでございます。そのうちの通商航海条約に関連する諸問題に関しましては、たとえば第八条あるいは第九条等に規定がございます。しかしながら、これは基本的には待遇規定でございまして、それを超えまして、具体的にたとえば貿易であるとか投資について、特定の品目であるとかあるいは商品とか、投資の対象について日豪がそれぞれどうこうするということはこの条約では対象にいたしておりません。したがいまして、あくまでこの友好協力基本条約を大きい枠組みといたしまして、今後個別の問題について日豪間でさらに協力していくということになるわけでございます。
○伊藤(公)委員 昭和五十年のわが国の主要貿易の相手国というのをずっと表で見てまいりますと、オーストラリアは、輸出が約十七億ドル、これは第八位であります。輸入は約四十二億ドルで第四位。アメリカ、サウジアラビア、イランに次いで昭和五十年の統計でいきますと第四位。昭和五十一年になりますと、これが第三位。大変重要な位置にある双方の国の関係にあるわけでありますけれども、オーストラリアとわが国との国際関係において、外務大臣はいま双方の関係をどのように位置づけていくのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 豪州は、わが国に対する大事な原料供給国として認識しているわけでございまして、人口はわずか千四百万足らず、日本は一億を超えておる、こういう関係で、日本に必要な原料というもの、鉄鉱石、石炭、ボーキサイトというような日本の経済にはなくてならない原料を供給してくれる国である、また、日本といたしましては、豪州に対しまして製品の輸出をする、こういう関係にありますので、これは競合関係にあるというよりもむしろ相補う関係だという意味で、日本と豪州との関係は今後とも密接な関係を持っていかなければならない国である、こういうふうに考えておるところでございます。
○伊藤(公)委員 昨年の二月に日本とオーストラリア間の文化協定というものが出発をしたわけでありますけれども、日本とオーストラリアの間にどのような文化交流が行われてきたのか、基本条約の締結を機会にまた今後どのように文化交流を促進していこうとしているのか、具体的にお尋ねをしたいと思います。
○田中(常)説明員 お答えいたします。
 日豪文化協定は一九七四年、田中元総理の訪豪の際に署名されました。またその際、両国間で一つの合意ができ上がりまして、おのおの約百万豪州ドルを十年間をめどに支出する、そういう合意に基づきまして、日本側は七三年をベースにしまして、それに十万ドルずつ上乗せをするということで、七五年には約六千六百三十万円の文化交流の資金を支出いたしました。これは外務省が所管しております国際交流基金を通じて行ったものでございます。一方豪州側は、昨年日豪学術文化センターというものを東京に設立いたしまして、そのために二十五万ドルを支出しております。
 その他両国間において、人物交流または日本語研究等々の種々の文化交流が進んでおります。
○伊藤(公)委員 さらに、昭和四十七年に国際交流基金が設立をされてから、オーストラリアに対する人物交流であるとかあるいは日本研究、どのような実績があったのかお尋ねをしたいと思います。
○田中(常)説明員 お答えいたします。
 オーストラリアに対しては、人物交流は、昭和五十年度をとりますと千九百六十二万円出しております。日本研究の費用として二千四百四十万円、それからその他の事業として千八百八十万円、それから資料、視聴覚その他を全部集めますと六千六百二十六万円の文化交流の資金を支出しております。
○伊藤(公)委員 もちろん十分だと思いませんけれども、オーストラリア側の評価についてはどうなんでしょうか。
○田中(常)説明員 豪州におきましても日本との文化交流を促進しようという意欲は非常に強いのでございまして、昨年豪州政府は豪日財団というものを設立いたしました。これは豪州の総理府に所属する財団でございます。そして豪州は今後毎年五十万ドルをここに政府支出をして、それでもってあらゆる種類の人物交流を日本と行おうということを計画している次第でございますが、昨年まだ設立したばかりの段階でございますもので、いままでの支出額は約十万ドル弱だというふうに了承しております。
○伊藤(公)委員 ことしの一月東京で第四回の日豪閣僚委員会というものが行われたわけでありますけれども、その成果についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。オーストラリアから日本側に要請のあった事項について、それから逆に日本がオーストラリア側へ要望をしたことはどんなことを要望したのか。そして第三には、二百海里漁業専管水域を含む漁業問題についてどのような意見を交換をされたのか。それから第四に、鉱物資源、エネルギー問題についてどのような討議がされたのか。第五には、日本の牛肉の輸入問題について解決がされたのかどうか。第六には、オーストラリアの港でありますけれども、日本漁船の寄港問題はどうなったのか。六つの点についてお尋ねをします。
○山下説明員 お答え申し上げます。
 日豪の閣僚委員会はことしの一月十七、十八の両日東京で開催したわけでございます。ただ、閣僚委員会につきましては、これは実はつくりましたのが一九七一年でございますが、このときに豪州の副首相のアンソニーという人が来まして、お亡くなりになりましたが、その当時の愛知大臣と会談をされて、その際コミュニケを発出しているわけでございます。そのコミュニケの中でこの閣僚委員会で何をやるかということを実は書いてございますが、この閣僚委員会は、要するに両国が共通の関心を持っております経済あるいは貿易問題あるいはそれに関連するいろいろな問題、それらの問題につきまして意見の交換をするということでございまして、実は交渉するというあれではないわけでございます。
 ただ、御承知のとおり昨年の暮れから、先ほどからもいろいろ御議論いただいております牛肉の問題等をめぐりまして、いろいろな議論が豪州との間であったわけでございますが、この牛肉の問題につきましても意見の交換が行われた。その結果、その意見交換を通じまして、日本側の置かれている立場というものを豪州側も理解し、御承知のとおりの二万トンという数字をもちまして豪州側も納得したということが言えると思うのであります。
 それから御質問にございました漁船の関係でございますが、昨年の十一月二十七日をもちまし
 て、豪州の四つの港に日本のマグロはえなわ漁船が寄港していたわけですが、これがその日付で切れるということになっていたわけでございます。これにつきましても、この閣僚委員会におきましてわが方が抱えておりますいろいろな問題を説明し、牛肉の問題が解決されるのと並行いたしまして、豪州側もそれではさらに二年間延長しようというような感じを持ちまして、その結果といたしまして一月二十八日に書簡の交換が行われ、二年間延長が実現した、こういう経緯がございます。
 それからエネルギーの関係の問題でございますが、これも意見交換の対象にはなっていたわけでございます。わが方といたしましてエネルギー源として豪州という国は非常に大きな意味を持っておるわけでありますが、わが方の置かれている状況を説明し、豪州側もそれに対する理解を示したという状況でございます。大体そういうことかと思います。
○伊藤(公)委員 いまエネルギー資源の問題が大変重要な問題になっているわけでありますけれども、オーストラリアのウランについてお尋ねをしたいと思います。
 オーストラリアのウラン開発会社のクインズランド・マインズ社が、中部、九州、四国の三つの電力会社に対してウラン輸出の契約のうち七月分の積み出しの引き渡しが履行できなくなってきた、こういうことを言われているわけでありますけれども、この実情をお尋ねをしたいと思います。
○山下説明員 ただいま御質問がございましたウランに関する問題でございますが、日本の電力会社五社と豪州のウラン生産会社との間で民間契約が実は行われております。この民間契約をめぐりまして、三月の二十三日でございますが、レンジャーというウラニウムマインズの会社がございますが、ここから中部電力と九州電力に対しまして、また先ほどおっしゃいましたクインズランド・マインズという会社がございますが、その会社から四国電力に対しまして、豪州政府との間で豪州政府が持っております備蓄ウランの貸し出し交渉がどうもうまくいっていない、現在、契約に基づきまして日本にある程度のウランを出す、こういうことになっているわけですが、本年度のウランの供給につきましては不可抗力によって契約が履行できない、不可抗力条項が入っているものでございますから、それを援用いたしましてそういう申し入れをしてきた経緯がございます。
 しかしながら、その後豪州政府のストックパイルをこれらレンジャーないしはクインズランド・マインズに対して貸し出すという交渉が順調に進捗しているというふうに私ども聞いております。きのう、おとといと実は豪州政府とこれらの両社との間の話し合いが行われているはずでございまして、それらを踏まえて本日日本側の企業とこれらの企業との間での話が行われているというふうに承知いたしております。いずれにいたしましても、豪州政府はいろいろな機会にわが方に対しまして、円滑にウランの供給を配慮してくれということをわが方が申し入れたのに対しまして、それを遵守する、こう言ってきておりまして、きょう行われました交渉の内容は私どもまだ存じませんけれども、まずほぼ満足し得る状況になっているのではないかというふうに、これまでの向こう側の態度等から見まして考えている次第でございます。
○伊藤(公)委員 条約の第三条にもいろいろ内容が書いてございますけれども、双方の研究、調査、情報あるいは知識の交流を積極的に、条約の活字だけでなしに、ぜひ進めていただきたいと思いますし、終始申し上げているとおり資源のない国でありますから、特に人的な交流をして、日本とオーストラリアとの新しい強いきずなをぜひ開いていただきたいということを強く要望して、外務大臣、ちょうどきょうはこれからサッチャー女史とのコーヒータイムなのか、御面会の御予定の様子でございますから、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次回は、来る二十日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時二十分散会