第080回国会 外務委員会 第12号
昭和五十二年四月二十日(水曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 竹内 黎一君
   理事 有馬 元治君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 毛利 松平君 理事 山田 久就君
   理事 河上 民雄君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 無事 中村 正雄君
      石橋 一弥君    稲垣 実男君
     小此木彦三郎君    大坪健一郎君
      川崎 秀二君    川田 正則君
      佐野 嘉吉君    玉沢徳一郎君
      中島  衛君    中村  直君
      中山 正暉君    井上 一成君
      岡田 春夫君    松本 七郎君
      中川 嘉美君    渡辺  朗君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
        通商産業大臣  田中 龍夫君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        内閣法制局第四
        部長      別府 正夫君
        法務省入国管理
        局長      吉田 長雄君
        外務政務次官  奥田 敬和君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アジア局
        次長      大森 誠一君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省条約局長 中島敏次郎君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
        外務省情報文化
        局長      柳谷 謙介君
        水産庁次長   佐々木輝夫君
        資源エネルギー
        庁石油部長   古田 徳昌君
        海上保安庁次長 間   孝君
 委員外の出席者
        警察庁警備局外
        事課長     城内 康光君
        法務省入国管理
        局総務課長   小林 俊二君
        外務省欧亜局大
        洋州課長    山下新太郎君
        外務省経済局外
        務参事官    溝口 道郎君
        外務省情報文化
        局文化事業部長 西宮  一君
        外務省情報文化
        局文化事業部文
        化第一課長   杉浦 芳樹君
        外務省情報文化
        局文化事業部文
        化第二課長   岡   照君
        文部省学術国際
        局留学生課長  光田 明正君
        農林省食品流通
        局砂糖類課長  牛尾 藤治君
        水産庁海洋漁業
        部沖合漁業課長 屋代 勝敏君
        資源エネルギー
        庁石油部開発課
        長       箕輪  哲君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  石橋 一弥君     渡辺 秀央君
  川田 正則君     山中 貞則君
  佐野 嘉吉君     萩原 幸雄君
  中島  衛君     佐々木義武君
  中山 正暉君     前田治一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  佐々木義武君     中島  衛君
  萩原 幸雄岩     佐野 嘉吉君
  前田治一郎君     中山 正暉君
  山中 貞則君     川田 正則君
  渡辺 秀央君     石橋 一弥君
    ―――――――――――――
四月十六日
 千九百七十一年七月二十四日にパリで改正され
 た万国著作権条約及び関係諸議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第四号)(参議院
 送付)
 子に対する扶養義務の準拠法に関する条約の締
 結について承認を求めるの件(条約第五号)(
 参議院送付)
 税関における物品の評価に関する条約の改正の
 受諾について承認を求めるの件(条約第六号)
 (参議院送付)
 がん原性物質及びがん原性因子による職業性障
 害の防止及び管理に関する条約(第百三十九
 号)の締結について承認を求めるの件(条約第
 七号)(参議院送付)
同月十九日
 アメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関す
 る日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協
 定の締結について承認を求めるの件(条約第一
 六号)
 経済協力に関する日本国とモンゴル人民共和国
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第一七号)
同月二十日
 日中平和友好条約の早期締結に関する請願(湊
 徹郎君紹介)(第三五八六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本
 条約の締結について承認を求めるの件(条約第
 八号)
 日本国とカナダとの間の文化協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第九号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鯨岡兵輔君。
○鯨岡委員 外務大臣、このごろは二百海里問題、国を挙げて大問題でございますから、総理はもちろん外務大臣も農林大臣も皆さん大変御心労なことだと思います。お察しいたしますし、われわれもまた非常に心配していることは御承知のとおりです。ただ、私はソ連の漁業専管水域二百海里という設定と、わが国がソ連との間にいまだ懸案になっている北方領土問題とを切り離して考えるとよく新聞にも出ておりますし、そういうお話ですが、そのことは具体的にどういうことなんだろう、切り離せるものだろうか、領土を基点として二百海里というものをやるのですから、どういうことが切り離すことなんだろうか、よくわからないのです。そしてこのことは、私は、お魚のことを心配しておられる主として農林大臣のお仕事ではなくて、外務大臣のお仕事だと思う。外務大臣の御発言がこのごろこの問題についてきわめて少ない。この機会に外務大臣からこのことについてどうお考えになっておられるのか承りたい、こう思うのです。
○鳩山国務大臣 ただいま日ソ漁業交渉におきまして、領土の問題と漁業の問題を切り離して処理をいたしたい、このように日本政府としては考え方を統一しておるわけでございます。
 その意味は二つの点で考えているわけでありますが、一つは、当然のことながらこれは次元の違う問題である。北方領土の問題は戦後最大の国民の悲願でありますから、この問題につきましては、この国民の悲願を果たすために鋭意努力を続けなければならない。しかし、漁業問題は漁業問題として、多年にわたって北洋漁業という日本が伝統的に古くから開発してきた漁場の問題である。したがいまして、この漁業の問題は漁業の問題として、日ソ間で漁業上の観点から最も両国が円満に解決できる方策を見出すべきである、こういう考え方であります。
 お尋ねの点は、特に北方四島につきまして、北方四島についての線引きの問題はどうしても領土問題と絡むではないか、こういう御指摘だと思うのでございます。その点につきまして、領土の問題と漁業の問題を切り離すという意味は、漁業の問題が逆にまた領土の問題にはね返って、領土の問題にいろいろわが国として不利な影響が出ては困る。したがいまして、そういう二つの意味から、漁業の問題が領土問題を損なうことがあっては困るという意味と、漁業は漁業として両国間で円満に漁業問題として話し合いをつけたい、こういう二つの意味をもちまして申しておる、こういう態度でございます。
○鯨岡委員 外務大臣、質問の要点については御理解をいただいているようですが、そのお話ではわからない。北方四島、歯舞、色丹、国後、択捉の四つの島を基点として二百海里というものを設定しているのでしょう。そのほか得撫島から占守島まで、あれは別ですよ、一応別としても、この四つの島を基点として二百海里をソ連側は線引きしているのでしょう。いかがですか。
○鳩山国務大臣 まさに御指摘の点が一番困難な問題なわけでございます。御承知のように、今回の二百海里の適用の海域をどのように定めるかということが最大の論点になっておる。そういう意味で、先方は線引きをしているという表現は必ずしも使っていないこともあるようでございますけれども、ソ連邦最高会議幹部会令におきましては、ソ連邦として沿岸二百海里に漁業専管水域を設けるということを決めておるわけであります。そして閣僚会議決定におきまして具体的に各地域につきまして、いわば私どもが線引きと称しておる表現があるわけでありまして、したがいまして、その閣僚会議決定につきましては二月二十五日に官房長官名をもちましてわが国としての見解を表明して、この線引きは認めるわけにいかないのだということを申しておる。それに対しましてソ連の立場としては、これはソ連邦は正当のことをやっているだけであるという考えを示しておる。そこに問題があるわけでありまして、私どもといたしましては、大臣会議あるいは閣僚会議決定は認めるわけにいかないというのがわが方の立場である。したがいまして、ソ連邦として抽象的にソ連邦の沿岸に対しまして二百海里の漁業専管水域を設ける、そのこと自体におきましてわが方はそれを認めざるを得ないという立場でありますけれども、具体的な線引きにつきましては、特に北方四島周辺につきましてはこれを承認することができないというのが現状の争点であります。
○鯨岡委員 この問題は国民挙げての問題ですから、外務大臣、専門家でない国民だってわかるようにひとつ御説明いただかないと困ると思うのです。もしそういうことをすることが、いまソ連と日本と将来とも仲よくしていかなければならない立場の上から考えて得策でないというのならば、外務大臣としては、その問題についてはいま私からいろいろ言うことはよくないことだということをおっしゃればいい。もしそうでないならば、国民にもっとわかりやすく、得撫島から占守島まで、それを基点として二百海里を設定することには異存がないなら異存がない、ただし歯舞、色丹、国後、択捉を基点として二百海里を設定、これも二百海里設定しようとしているから、それはわが国としては認ることができないのだ、ソ連に言わせればそんなことはあたりまえじゃないか、そこがむずかしいところなんです、そういうふうに言ったら間違いですか。そうは言えないのですか。
○鳩山国務大臣 いま鯨岡先生が御指摘の点がまさにこの問題の焦点であると、私どもそのように思っております。日本はこの際に領土問題を解決しようということでもない、またソ連としてもこの際日本をして領土問題の種をなくさせるというようなことでもない、そういう立場におきまして漁業問題を漁業問題として解決しようではないか、領土問題に関係なく漁業は漁業の問題として解決しよう、このような立場で鈴木農林大臣が四月の八日から四回にわたりましていろいろ話し合いをされたわけでございますので、その交渉の経過にかんがみながら、これから今後どうするかということが最大の焦点であるというわけで、どうもわからないではないかという御説でございますけれども、いかに解決の道を見出すかということは大変むずかしい道であることは確かでございます。
○鯨岡委員 どうもはっきりした物の言い方をしていただけないのは、外務大臣としてはっきりした物の言い方をすることが、将来の日ソ関係に決していい結果をもたらさないという御配慮から、はっきりした物の言い方をなさらないのだと私は理解いたします。そして、そういうことがあるから鈴木農林大臣が大変な御苦労をなさっているのだということも身にしみて私はわかります。わかりますが、新聞にいつか出ていました、何新聞に出ていたか知りませんが、玉虫色でこれを解決するということは許されることではない。それは領土問題を領土問題として後に残して、平和条約でも解決するときに一挙に解決する問題だというふうに残しておくと日本側だけが考えたって、向こう側はどう考えてもいいのだ、こっち側だけそう考えればいいのだというような形で解決されるのはいけないと思いますが、外務大臣はそういうふうにお考えになりますかどうか。そういうふうに思うとか、思わないとか、それだけでいいですから……。
○鳩山国務大臣 現在の状況におきまして、国民の皆様方に大変な御心配をかけておることでございますので、この際、これからの交渉がどうなるかということにつきまして国民の皆様方に安心をしていただく必要があると思います。あると思いますが、交渉に臨まれます鈴木農林大臣とされましては、大変むずかしい狭い道を見つけようと最大限の努力を続けられておりますので、私の判断として、いま御質問の点にははっきり申し上げたいのでありますけれども、その点は御容赦いただきたいと思います。
○鯨岡委員 そういうふうにおっしゃるならば、これ以上承りません。承りませんが、ここずっと考えてみますと、外務大臣の意思の表明がなさ過ぎますよ。これはお魚の問題としては十分考えなければならぬ問題であることは言うまでもありません。言うまでもありませんが、北方領土はわが国の主権の及ぶ範囲だとわれわれは考えて譲らないのですから、このことについて外務大臣の御発言、御意思の表明がちょっと足らないのではないかというふうに私は思います。お考えおき願いたいと思います。
 水産庁、来ていますか。――このころ二百海里という新しいことを方々の国でやり始めて、わが国もやるというのですが、このことと従来二百海里の中でとっていたそれぞれの国の実績というものとのかね合いは、どういうふうに考えることが国際的に、正しいと言ってはおかしいが、通用する考えでしょうか。
○佐々木政府委員 先生御高承のとおり、海洋法会議で二百海里の経済水域の内容についてはまだ論議が進行中でございまして、いわゆるコンセンサスが得られておりません。そこで、世界的な共通認識が何かということになりますと。海洋法会議等での今後の議論の展開を見ないと、いまの段階では確たることを申し上げかねるかと思うのですが、すでに二百海里の漁業水域を設定し実施に移しておりますアメリカあるいはECあるいはカナダあるいはソ連、そういった国々の規制内容を見ますと、大体二百海里の中の生物資源について沿岸国が主権的な権利を行使する。そして外国への漁獲量の割り当てといいますか、外国の漁獲量の実績の扱いにつきましては、おおむね余剰原則と申しますか、総体の許容漁獲量を定めて、その中からまず自国が利用する部分を自国が利用する。その余剰があった場合に、外国の漁業がその二百海里水域内でどの程度の漁業の実績を持っていたか、それからその資源の保存、管理等についてどの程度の貢献をしてきたか、あるいはそういう漁業の実績が失われることによってその国にどの程度の経済的な打撃が与えられるか、そういった点について総合的な配慮をしながら、国別に外国への割り当て量を決める。そしてその中で各船別に沿岸国の漁業許可をとった上で外国漁船の操業を認めるというのが、おおむねの共通事項になっているかというふうに理解いたします。
○鯨岡委員 それじゃ承りますが、わが国が今度二百海里を設定する場合でも、その二百海里の中でわが国がとるだろうと思われるものに余剰があれば、よその国にとらせるという原則は曲げない
 ことになりますか。
○佐々木政府委員 わが国としても、やはり漁業の資源の状態を考えまして、それについてどの程度の余裕があるかといいますか、どの程度の水準までそれを利用しているか、それからわが国の漁業がどういうふうにそれを現実に漁獲しているか、また今後漁獲する現実的な可能性を持っておるかということを一応基礎にいたしまして、その上に立って、わが国の漁業が外国の関係のある国の漁業水域でどの程度の漁獲をやっているか、あるいは外国漁船が従来から日本の近海でどの程度の操業実績を持っているか、こういうことを、先ほど申し上げたのを基礎にして、その上に立って勘案をして、外国への漁獲割り当てを考えていきたい。基本は、やはり日本の資源状態に余裕があるかどうかということを基本にしたいと考えております。
○鯨岡委員 もっと簡単に教えてくださいよ、国民にわかるように。二百海里を設定するということは、その中で自国がとるのを除いて、余裕があればよその国にもお渡しするという考え方が二百海里の考え方だというのならば、わが国の二百海里もやはりおおむねそういう考え方でいくのですか、基本はそうですかと聞いているのですから、そうですとか、そうでないですとか、答えてください。
○佐々木政府委員 基本的な考え方はいま先生御指摘のとおりですが、ただ、資源状態というものはかなり幅がございますので、その幅の中で相互主義といいますか、わが国の漁業が外国の近海でどの程度の操業実績を認められているかということも勘案した上で決めていく必要があるということを申し上げたわけでございます。
○鯨岡委員 わかりました。
 あと二問あるのです。これは外務大臣でなくてもいいのですが、私の質問が間違えていたら間違えていたと言ってください。不勉強で恥ずかしいことですが、北海道と樺太との間の海峡は宗谷海峡ですね。向こう側は十二海里ですか。
○宮澤政府委員 御質問の意味が、ソ連側の領海が十二海里かということであれば、十二海里でございます。
○鯨岡委員 はい、わかりました。
 わが国が今度十二海里にしようとして十二海里にしてしまうと、向こうの十二海里とくっついてしまいますか。
○宮澤政府委員 くっつきます。
○鯨岡委員 そこでわが国は、私が承知しているところによると、三海里でがまんしておいて、それで自由航行の線をそこのところにつくるというようなことをお考えになっているように承知しているのですが、これは間違いですか。
○中島政府委員 ただいま御提案いたしております領海法案におきましては、わが方の領海の幅は三海里のままとするという形になっております。
○鯨岡委員 中島さん、きょうは時間がありませんからいずれまた申し上げますが、それは私はおかしいと思う。ソ連の方も十二海里にして日本も十二海里にすると通るところがなくなるから、そうしたらソ連と日本とで話し合って何海里ずつか引っ込んで自由航行の道をつくるというのがあたりまえです。日本が十二海里にしないというのなら別です。日本が十二海里にするという以上は、どうしてそこだけ三海里にしますか。
○中島政府委員 これは宗谷海峡に限らず、わが国の周辺の主要な国際海峡につきましては、わが国の海洋法会議に臨む態度、それからいわゆる国際海峡における航行制度が確立することの重要性その他の国益からいたしまして、そこの領海幅を現状のとおりとする、公海部分をそのまま残すという思想に基づいているわけでございます。
○鯨岡委員 それは中島さん違うのです。たとえば青森と北海道の間は、通るところがなくなってしまうから、そこで三海里ずつにしておこう、これはわかります。一応いい悪いは別として、わかります。しかし、宗谷海峡をそういうことにすることはおかしいですよ、それは。これはどう考えてみてもおかしい。こちらも十二海里にし、向こうとくっついたら、双方が少しずつ引き下がるのがあたりまえだと私は思います。きょうは時間がないので、まことに残念ですが、このままにしておきましょう。
 外務大臣、きのうの夕刊あたりにも大きく出て、朝刊から出ている新聞もありますが、ミグの飛行機について三十億円機密漏れの理由で要求をされたというのですが、いつどういう形で要求をされたのか、できたらお話をお願いします。
○鳩山国務大臣 昨日の新聞にミグ機につきましての補償の問題が報道されたわけでございます。国会の御審議でございますから申し上げますが、ポリャンスキー・ソ連大使からそのような申し出が口頭であったということはあったわけでありますけれども、その際に、当方の佐藤次官と大使との間に、この話は公表しない、このようなことであったわけでございます。その意味は、公表されるということは、両方とも引けなくなるという趣旨でありますから、私どもは公表しないでまいったわけでございます。経過はそのようなことであるということを、御審議でありますから申し上げますが、それ以上のことは、やはり私どもとしては大使と次官との間の約束事は尊重していきたい、こう思っておるのが真実のところでございますので、御了承を賜りたいと思います。
○鯨岡委員 日本の外務次官と大使との間に、これは公表すまいね、ということになっていたのですか、もう一回聞きます。
○鳩山国務大臣 そのような経過であったのでございます。
○鯨岡委員 そういうことであるから、外務大臣としても、国会の審議だからそういうことがあったということは言うが、それ以上のことはなるべく言いたくない、こういうお考えですか。
○鳩山国務大臣 御趣旨のとおりの気持ちでおります。
○鯨岡委員 それなら、なぜ官房長官が記者会見でこのことを言うのですか。外務大臣がそれほどの配慮をして、あえて両国の関係からこういうことを言わないという約束を両方の高官がしたということを、何で官房長官は記者会見で公にするのですか。このことについて外務大臣はどうお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 その点は、昨日の朝刊におきまして一部の新聞に大々的に報道されたものでありますから、それにつきまして官房長官が御説明になったということでございます。
○鯨岡委員 それは違うでしょう。新聞に報道されたから官房長官が言ったんじゃないでしょう。官房長官が記者会見で言うたから新聞に書かれたんでしょう。そういう間違ったことを言われちゃ困ります。
○鳩山国務大臣 昨日の夕刊の記事は官房長官の御発言であるわけでありますけれども、朝刊の段階で、どういうソースか知りませんが、そのような記事が出て、事が大変日ソ両国に関する問題でありますので、官房長官が御説明になった、こういう経過でございます。
○鯨岡委員 それだったら二つの問題が、外務大臣、出てきますよ。一つは、こういうような両国が公表するまいねと言って約束した重要な問題がなぜ漏れたかという問題を外務省としては詰めなければならぬでしょう。どういうわけで漏れたか、そんなふうにぼろぼろぼろぼろ漏れていていいものじゃない。約束しておいてもだめだな、日本という国は、というふうになるじゃないですか。だから、どうして漏れたのかということを詰めなければならぬでしょう。それから、どうして漏れたかは別として、漏れちゃったから仕方がないから発表するのだったら、これは外務大臣が発表することじゃないですか。それはちょっとおかしいと思いますが、いかがですか。
○鳩山国務大臣 私どもは発表はいたすつもりはありませんし、昨日もノーコメントと申し上げてきておるわけでございます。
 新聞に大々的に報道されたものがどういうソースから流れたかということは、これは調べるにいたしましても、新聞のニュースソースというものはなかなかつかみがたいことでございます。したがいまして、昨日の官房長官の御発言も、いろいろ質問に対しまして応答されたということでありまして、積極的に発表されたことではございません。
○鯨岡委員 これで私の質問を終わりますが、そういうことでは私はまことに遺憾だと思いますよ。これはいまでもまだ外務大臣は、このことについて国会のここでさえも、言及するつもりはありません、したくありません、こう言っている。ところが新聞には、官房長官談話としてかくのごとく詳細に出ている。これは閣内不統一とまでは言いませんが、そういうことでは日本の外交のためにゆゆしき問題だと思いますよ。私は、このごろ重要な――いまソ連との間かことさら重要でしょう。そういうときにこういう問題を、お互いに言うまいね、公表すまいね、ということがこうなったことを重大に取り上げますよ。ソ連と要らざる摩擦を起こさなければなりません。それに対して外務省が言うまいと思っていることが漏れた、それが今度は官邸方面からこういうふうになってくる、それは外務大臣としてよほどお考えになっていただかなければならない。今度の一連の問題だってそうですよ。領土の問題、日本の主権の問題について外務大臣の御意思の御表明が私は必ずしも十分であるとは思いません。このことについて御忠告を申し上げて、私の質問を終わります。
○中島政府委員 細かな点でございますが、先ほど宗谷の領海幅について御質問がありましたときに欧亜局長からの御答弁がありましたが、ちょっと一言補足させていただきます。
 現行の領海条約第十二条の上では、海岸が向かい合っている二つの国の場合の領海は、それぞれがとっておる領海幅に関係なしに中間線を越えてはならないというたてまえになっておりますので、今回、宗谷についても同じことであるというふうに理解しております。ちょっと補足させていただきます。
○竹内委員長 次に、井上一成君。
○井上(一)委員 質問に先立って、私は毎回強く申し上げておるのですけれども、世界のすべての国からなくすべきは核と差別、守るべきは平和と人権であるということを訴えてきたわけです。外務大臣、この私の考えに御異議ございませんか。
○鳩山国務大臣 異議ございません。
○井上(一)委員 そこで私は、国際協定を結ぶに当たっては信頼関係が成り立っているという前提が必要なことは言うまでもないと思うのです。とりわけ、いまの日韓両国の間で信頼関係が著しく損なわれておる。それは日韓癒着といういわゆる大きな疑惑であり、それを一つ一つ明らかにしていくことがまず必要であると私は思うのです。とりわけ、日韓両国の間に永遠の友好関係を打ち立てるためにも、金大中拉致事件は政治レベルの問題としてだけではなく、人権の問題としても正確に理解をする必要がある、こういうふうに考えるわけです。そのためにも、あえて金大中氏拉致難件を取り上げ、真実をここに明らかにしていきたい、こういうふうに思います。
 さて、せんだってアメリカの政府高官であるホルブルック国務次官補が金大中前大統領候補の夫人李姫鎬さんに対して、獄中の金大中氏の健康状態などに関心を持った、いわゆる心温かい意思を表明した手紙を出していらっしゃるわけなんです。そこで、外務大臣にお尋ねをしたいと思うわけです。外務大臣は、いままでに金大中氏の健康に関心を示し、あるいはそれにかかわる具体的な行動をとったことがおありでしょうか。
○鳩山国務大臣 金大中氏の健康につきましては、当委員会でもずいぶん御心配がございまして、わが方といたしましても皆様方と同じように心配をいたしておるわけでございますが、詳細は中江局長からお答え申し上げます。
○井上(一)委員 私は外務大臣にお伺いをしているのです。イエスかノーかで結構ですから、もう一度、外務大臣は何らかの具体的な行動をとられたことがあるのですか、ないのですか。
○鳩山国務大臣 私自身は今日まで何らの行動もとっておりません。
○井上(一)委員 それでは今後この金大中氏の健康回復に、あるいは何らかの形で具体的な行動をおとりになるお気持ちをお持ちでしょうか。
○鳩山国務大臣 具体的な行動になりますと、これはいろいろ検討さしていただきたいと思いますが、気持ちとしては心配をしておることは申し上げたいと思います。
○井上(一)委員 それでは外務省に続いてお尋ねをしたいと思います。
 これまでに韓国駐在の日本政府の職員が李姫鎬さん、いわゆる金大中氏の御夫人ですが、に対して温かい言葉をかけたりあるいは事情を聞かれたことがおありでございますか。
○中江政府委員 私、正確な日時はいまはっきりは記憶いたしておりませんが、以前に一度金大中氏の健康が非常に悪化しているという情報がありましたときに、これは日本の金大中事件の処理という観点からではなくて、そういう報道について、それが金大中事件が決着しましたときの了解事項の実施を妨げるようになることでは困るということで、ソウルの大使館員も金大中氏の健康についていろいろ病状についての情報を集めるということをいたしたことが一つと、それを踏まえまして、民間の有志の方から、日本人の医師を派遣して医療上の相談に当たりたいという御希望がありましたのに対して、当時、外務大臣との相談の結果、その渡航を可能にするということはございました。そのほかに、いまお尋ねの、直接金大中氏夫人に対してやさしい言葉をかけたかどうかということについては、特段の報告は受けておりませんが、金大中氏と面接している事実は数件ございます。
○井上(一)委員 私は、日本政府がこんなに冷たいものだとは知らなかったわけなんです。私自身が政治家になって、温かい手があるのだと強く国民にアピールして国政への参加を得られたわけなんです。いまの答弁では非常に残念なことであります。外交にも当然温かい手があってあたりまえだ、私はこういうふうに考えるわけです。外務省は、金大中夫人季姫鏑さんに今後温かい手を示してしかるべきだと私は考えるわけですけれども、いまの民間人を含めた情報収集等のみに限らず、さらに強い姿勢で金大中氏の健康回復のための努力をなさるお考えはおありでしょうか。
○中江政府委員 井上先生が繰り返しおっしゃっておられます人権の問題という問題意識から、政府として何ができるかということは、今後とも検討してまいりたいと、こう思います。
○井上(一)委員 そこで、今度は外務大臣にこの問題についてぜひお尋ねをし、御協力をいただきたいと思うのであります。もちろんこのことは当委員会の皆さんにもよく御相談をして進めたいとは存じますが、金大中氏夫人李姫鎬さんを日本に招請し、事情をよく聞いてみたいという気持ちを私自身は持っているわけであります。このことについて外務大臣も積極的な協力をしていただけるかどうか、そして私の考え方についてどうお受けとめになられるか、お答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 金大中氏夫人の来日につきまして、わが国といたしましていまそれにつきましてどのような態度をとるかということにつきまして、私どもは何らそれにつきまして反対をするとかというような意図は毛頭ございませんし、私どもは、日本と韓国との交流につきまして特段に政治的な配慮を加えてするべきことではないというふうに考えております。
○井上(一)委員 歓待をしなさいとか、私はそういう質問をしているんじゃないんですよ。金大中氏の人権、そして今日の置かれておる金大中氏の実情等も十分われわれは理解することが日韓友好の基礎だ、始まりだ、そのためにも金大中氏夫人を日本に招聘して、そして事情を聞きたいという私なりの考えに対して、委員会にも御相談を申し上げますけれども、外務大臣として御協力をいただけるかどうかということです。イエスかノーかで結構です。
○鳩山国務大臣 私どもの態度といたしまして、皆様方のいろいろな御計画に対しまして私どもは中立でありたいということを申し上げたわけでございます。
○井上(一)委員 そこが冷たいんだよね。そんな冷たい外交政策が、私は本当に世界平和に、日本の外交がより強く世界平和を求めて推し進めていくんだということにならないわけだ。これは私は改めて委員各位に御相談を申し上げますが、もっともっと温かい気持ちを外務大臣みずから持たなければ、日本は世界から孤立化された、そのような立場に置かれるということをあえて私は申し上げておきます。
 それじゃ続いて、金大中氏の拉致事件は、わが国の主権が侵害されただけではないんだ、そのような事件は、いわゆる国際犯罪がわが国で行われたんだというふうに私は理解をしておるわけであります。このことについて、外務大臣はどのように御認識を、理解をなさっておるのか、簡単にお答えください。
○鳩山国務大臣 金大中事件自体は、私自身としても、恐らく国民の大多数の方が大変困った事件が起こったという認識を持っておると思います。
 この事件はやはり刑事事件でございますので、刑事事件につきましては警察当局の捜査にお任せをいたすほかない、このように考えております。
○井上(一)委員 犯罪を犯した者が韓国の駐日一等書記官であるということが言われております。事実そのとおりでございますか。
○鳩山国務大臣 そのような大変濃厚な嫌疑があるということを承知しておるわけでございまして、それが韓国の検察庁におきます捜査によりまして十分な証拠が得られなかった、このような結果になっておるのでございます。
○井上(一)委員 昭和四十八年九月五日に捜査当局は氏名を公表しておるわけであります。その氏名の中に一等書記官が明らかに指名をされておるわけなんですね。そのように公表する以前に、外務省は韓国政府にそのような事実を通報したことがあるのかどうか。
○中江政府委員 あの事件が発生しまして直後から、先生がおっしゃいますようにこの事件は日本の国内で起こった事件ではありますけれども、被害者も加害者も韓国にいることがほぼ明らかになりました段階で、日本の捜査当局がいろいろ捜査しました結果に基づきまして、必要な者については韓国側に照会する、あるいは韓国側における捜査をお願いするというような形での日韓間の情報の交換というものはございました。
○井上(一)委員 私が尋ねておるのは、そういうことも含めてですけれども、わが国の捜査当局が氏名を公表した、そのときに駐日韓国一等書記官の名前が挙がっておるわけなんです。その公表する以前に韓国政府に対して通報したかどうかということを尋ねておるのです。それについてお答えをいただきたい。
○中江政府委員 わかりました。その御質問に対しましては、当時韓国政府に通報したことはないと思っております。
○井上(一)委員 当時韓国の駐日一等書記官の名前が公表される段階で、現場で採取された指紋が金東雲書記官の指紋と断定されておるわけなんであります。さすれば、事前に金東雲書記官の指紋を何らかの形で採取しておったのかどうか。そして、その現場で採取された指紋は金東雲書記官のどこで採取した指紋と照合されたのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○城内説明員 犯行現場でございますホテルグランドパレスの二二一〇号室、二二一一号室、二二一二号室、それから二二一五号室それぞれから数十個の指紋が採取されたわけでございます。そして、その中で二二一〇号室、これは金大中氏が押し込められた部屋でございますが、その部屋から採取された遺留指紋がわが方の手に入った、そして、かつて外国人管理を担当しております官庁から指紋の提供を受けまして、それと照合したということでございます。
○井上(一)委員 金東雲書記官は事件後日本に三回出入国をしているというふうに私は把握しているのですが、それは事実なのかどうか。
○小林説明員 金東雲氏は当時外交官の資格で本邦に在留しておったわけでありますが、昭和四十八年八月十日に出国いたしまして、その後一週間を経た八月十七日、同じ資格で入国、八月十九日に出国しているというふうな資料を手元に持っております。
○井上(一)委員 いま明らかにされたように、三回、八月の十日、十七日、そして最終は十九日に出国をしているわけなんです。
 そこで、さらにお伺いをしたいのですけれども、公表された韓国の口上書によりますと、金東雲書記官は外交官としてふさわしくないという理由で任を解かれたと言われております。これは犯罪を認めたことになるのではないかと思うのですが、当局の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○中江政府委員 先生御指摘の口上書といいますのは、昭和五十年七月二十二日付の口上書のことだろうと思います。その中に確かに、「本件捜査の結果判明した本人の東京における言動は、日本の警察当局の嫌疑を受ける等、国家公務員としてその資質を欠き品位にもとるものと認め公務員としての地位を喪失させた。」こう書いておりまして、ここに書いてありますように、日本の警察当局の嫌疑を受けるということがすでに国家公務員として、特に任国にあります外交官としてその資質を欠くものだということでございまして、この口上書についての韓国政府の考え方も、嫌疑を受けたということで、犯罪を犯したということについては確証を見出すことができないので不起訴処分になった、こういうことを第二項で言っておりますのでおわかりのように、犯罪を犯したということを認めるまでには及ばなかったけれども、嫌疑を受けたということが資質を欠いたという考え方に説明されております。
○井上(一)委員 それでは、韓国政府はそのようにいわゆる嫌疑を受けたということでふさわしくないのだという口上書の理由だ、こういうことですね。
○中江政府委員 そのとおりでございます。
○井上(一)委員 それでは、私はさらに外務省にお伺いをしたいと思いますが、韓国ではそのような理解をしておる。わが国では、いま警察庁の方からも御答弁がありましたように、指紋も現場での採取された指紋と全く同一である、そしてエレベーターの中では目撃者もおった、そういう事実から照らして、外務省はこの事件をただ単なる容疑者だという位置づけをされておるのか、金東雲一等書記官こそ金大中氏拉致事件の犯人であるというふうに解釈をしているのか、お伺いをしたいと思います。
○中江政府委員 外務省に対する御質問ですので私がお答えしなければならないわけですが、これは御承知のように、基本的には捜査当局の判断――外務省にはそういう捜査をしその結果を判断する能力、権限がございませんので、日本の捜査当局の御判断をもとにして外交上の折衝をしている、こういうことでございます。
○井上(一)委員 それでは捜査当局はどういうふうに御判断をなさっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいのであります。
○城内説明員 先生の御質問にありましたように、多くの目撃者の証言それから指紋の一致ということで、私どもは金東雲元一等書記官を容疑者として割り出したというふうに理解しておるのであります。
○井上(一)委員 それでは、容疑者として割り出したけれども、この問題については決着を見ておらないということですね。今後その容疑者に対して韓国に――金東雲氏がどこに住んでいるか私はわかりませんけれども、この問題については継続して捜査をしているというふうに理解をしてよろしいですか。
○城内説明員 真犯人であるかどうかということにつきましては、全部の捜査が終了いたしまして裁判を待たなければ決められることではないわけでございます。そこで私は、警察は容疑者として自信を持って割り出したということを申し上げているわけでございます。なお、韓国側との関係でございますが、これは御承知のように外交的な決着がついておるわけでございまして、私どもとしては鋭意国内捜査を推進しているということでございます。
○井上(一)委員 さらに念を押してお尋ねをします。
 捜査続行中という、いまの答弁は集約すればそういうことであると理解してよろしいですね。
○城内説明員 お答えいたします。
 現在も二十三名、縮小された体制ではございますが、鋭意国内捜査を続行いたしておりまして、共犯者の割り出し、連行ルートの解明に努めているところでございます。
○井上(一)委員 一日も早くこの問題解決のために御努力をいただきたい。
 なお、もう一点、いまのお答えの中での二十三名のリストの中で、駐日韓国大使館員あるいは領事館員は何名含まれておるのですか。
○城内説明員 私の答弁に不明確な点があったかもしれませんが、二十三名と申しましたのはわが方の捜査体制でございます。
○井上(一)委員 それでは、金大中氏拉致事件後二カ月以内に韓国の駐日大使館員及び領事館員の多くの者が日本を離れておるわけであります。そのすべてを外務省当局で明らかにしていただきたいと思うのであります。
○中江政府委員 早速調べまして明らかにいたします。
○井上(一)委員 なお、それらの人々はいつ赴任をし、いつ出国したのか、あわせて明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
 なお、外交官は離任するときに本人が外務省で離任のあいさつを述べるというのが慣例であると聞き及んでおるわけでありますけれども、事実はそのとおりでございますか。
○中江政府委員 事実はまちまちでありまして、特に外務省のしかるべき職員と外交上の折衝その他で親しい関係にあった者、そういった者は通常あいさつに来ますけれども、それでない、もっぱら館の中の行政的な事務をやっている者とかあるいは電信とか文書とかというような官房的な仕事をしているような人はあいさつに来ることなく、通常、外務省の儀典室に対して離任の通知を出すということによって離任しております。
○井上(一)委員 それでは、金東雲書記官は本人が離任のあいさつを述べに外務省に行ったかどうか、あるいは電話等でそのような通知があったかどうか。
○中江政府委員 私の記憶する限りそういうことはなかったと思います。
○井上(一)委員 先ほどの質問で、改めて氏名等を明らかにするということでございますが、あわせて私は、二カ月以内に離任をしていった外交官の前歴も明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○中江政府委員 通常、日本に駐在します外交官について、前歴がある程度明らかにされてきますのは大使の場合だけでございまして、館員につきましては、そういう前歴は、非公式なあるいは事実上の関係を通じて、あの外交官はどこで自分が一緒だったとか、こういうことを昔はやっていたようだとかいうような情報はございますけれども、正式な前歴を外交チャンネルで問い合わせて云々するということはしておりませんので、どの程度明らかになるかわかりません。
    〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕
○井上(一)委員 できる範囲内でひとつ明らかにしていただくということを要望しておきます。
 続いて、金大中氏が日本から韓国に連行されるについて使用した船が「龍金号」であると言われております。捜査当局はこの事実を承知していると思いますけれども、ここで改めて、知っているのかどうかお尋ねをいたします。
○城内説明員 「龍金号」は、捜査対象として私どもがリストアップいたしました韓国籍の貨物船三十六隻のうちの一隻でございます。この船につきましては、事件当時すでに大阪府警を中心に捜査をいたしましたけれども、事件との関係は把握できておりません。しかしながら、この船についていろいろな風評がございますので、そういうものを参考にしてなお継続捜査の中でこなしてまいりたいというふうに考えております。
○井上(一)委員 私の調べでは、四十八年の七月二十九日には大阪港に停泊していたわけであります。そこで、当局の方では、当時から捜査対象の中に入っておったということですけれども、この船は何を積んでどの港からどの港へやってきたのか、あるいは何を積む予定で韓国に帰ろうとしたのか、事前での申請がなされておると思うのでありますけれども、そのことについてお伺いをいたします。
○城内説明員 お答えいたします。
 この「龍金号」につきましては、昭和四十八年の七月二十六日に香川県高松港に入港いたしまして、積み荷は庭石でございますが、それをおろしまして、それから七月二十九日午前四時に大阪港の外の第八区というところに投錨いたしまして、八月二日午前七時に大阪港の第二突堤に接岸いたしております。そして八月九日午前八時四十五分に大阪港を出港して韓国に戻っているということを捜査の上でつかんでおります。
○井上(一)委員 「龍金号」の高級船員が金大中氏を目撃したとある人に話をしておるわけでありますが、そのような目撃者から事情聴取されたことがおありですか。
○城内説明員 お答えいたします。
 昭和四十九年三月に、事件当時「龍金号」の乗組員をやっておりました高級船員が日本へ参っておりましたので、警察において事情を聴取しております。しかしながら、「龍金号」にそういう金大中氏が乗っているというようなことは知らない、それからまた政府の機関員が乗っているというようなことも知らないというふうに答えております。
○井上(一)委員 ごく最近新しい証言をなさっている高級船員がいらっしゃるわけであります。それらの船員に対して事情聴取するお考えがおありでしょうか。
○城内説明員 映画に関係しております、たとえば岡本愛彦さんに関する報道の中で、元乗組員の船員二人が日本へ来ている、そしていろいろ話したというようなことを私どもは新聞で読んで知っております。また、そういった捜査に役立つような資料というものは私どもがぜひとも欲しいということで、再三協力方を要請しておるわけでございますけれども、協力を得るに至っていません。したがいまして、これまでのところそういった元乗組員に直接当たるということが果たされておらないわけでございます。
○井上(一)委員 当時からこの問題は、主権侵害のみにとどまらず国際犯罪だという形の中で、いろいろ捜査当局も御努力を願ってきたわけであります。政府当局は、そのような国会論議の中で、金大中氏の原状復帰、いわゆる自由な形での出入国を保障すべきである、あるいはそういうことを確約をしておるわけであります。三年八カ月以上たった今日もそれは十分実現されておらない。そういう意味合いから、今後ともこの問題については、当初からの政府当局の約束どおり忠実にそれに向けて取り組むことをここで強く約束をしていただきたいと私は思うわけです。外務大臣が代表して一言その意を申し述べていただきたい。
○鳩山国務大臣 ただいまの金大中氏の自由につきましては、これはいわゆる最初の、外交的決着をつけたと言われておりますが、その際の当方からの条件といたしまして、金大中氏の自由は保障してもらいたいということを言っておるわけでございます。そういう意味で、わが国といたしましては関心を持ち続けておる点でございます。その際に金大中氏の一般市民としての自由は確保するということを先方が申しておったわけでございます。その後のほかの事件によりまして金大中氏の自由が拘束されるような事態に立ち至っていることはまことに遺憾に思うところでございますけれども、一般市民並みの自由ということで先方が言っております意味は、ほかの事件によった場合は別であるというような考え方であろうと思うのでございます。わが方としては、当時の経緯から金大中氏の一日も早い自由の回復というものに関心を持っておるところでございます。
○井上(一)委員 関心を持つだけでなく、具体的に行動によってそれを示していただくことを強く要望しておきます。
 そこで、次に、西ドイツにおける韓国人の大量拉致事件の被害者の一人であります手伊桑教授に私は過日アメリカでお目にかかったわけであります。その折に尹伊桑教授は私に話してくれたわけであります。当時日本航空がKCIAと結託をしていたと言われたわけであります。そのようなことの事実を外務省当局は承知しているのかどうか。
○中江政府委員 報道機関による報道としては承知しておりますけれども、事実関係については外務省としては承知しておりません。
○井上(一)委員 重ねて捜査当局にお尋ねをしたいと思うのでありますが、私は日本の捜査当局の協力を得て西ドイツの韓国人の大量の拉致事件の事を進めたのだということを、当時の韓国側のその事件の指導者ともいうべき金炯旭さんが「大地の架橋」という本の中に書かれておるわけであります。そのような本の中に書かれておることを承知しているかどうか、そして捜査当局が協力をしたのかということをお伺いします。
○城内説明員 お答えいたします。
 「大地の架橋」、これの御質問の該当部分につきましては、私も読んで理解しております。当時の担当者にもただした結果、絶対にそういったことはないということを明確にお答えしたいと思います。
○井上(一)委員 重ねて伺いたいと思うのですけれども、それでは元KCIAの部長が話しておること、言っておること、書いておることは誤りだというふうにあなたは理解をしているのですか。
○城内説明員 日本の警察は絶対に協力をしていないということについて私どもは確信を持っておりますので、そういうことは事実に反するのではないかと私どもは考えております。
○井上(一)委員 なおまた手伊桑教授は、東京の羽田近くのホテルで自分は監禁状態に置かれておった、そして東京の友人に電話をしようとしたけれども、ホテルの交換手は、あなたの電話はつなげないのだというようなことを言われたということを話しておるわけですけれども、こういうようなことについて承知しているのかどうか。
○城内説明員 お答えいたします。
 御質問のことにつきましては約三年前、昭和四十九年八月に、手伊桑氏の談話として報ぜられたということで私どもは初めて知ったわけでございます。直ちに警視庁におきまして空港内のホテル、それから搭乗者名簿等について調べたわけでございますが、記録はすでに全部廃棄されておりまして、御質問のような事実の有無について確定することができなかったという経緯がございます。
○井上(一)委員 手伊桑教授のそういう発言について、ホテル関係者からあるいは出入国カードも含めて調査をしたというふうにいまお答えになられたと思うのですけれども、いままでに日本航空だとかあるいはホテル関係者から事情を聞かれたことがあるのかどうか、あったとすればいつ、何回、どこで聞かれたのか。
○城内説明員 本件につきまして、そういったホテル関係の調査とかあるいは航空会社についての調査というものは、ただいま申し上げたように、四十九年の八月の報道が出まして、そしていろいろ状況も聞き、またそういった名簿等の所在なども調べた、しかしその結果、そういった事実の有無が確定できなかった、こういうことでございます。
○井上(一)委員 それでは、事情聴取したけれども関係がないという判断の中で、もうその後の事情聴取はやっていらっしゃらないということですか。
○城内説明員 関係がないということではございません。つまり、そういった事実の有無が確定できなかったということを申し上げているわけでございます。
○井上(一)委員 関係がないということは、もしかすると関係があるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○城内説明員 お答えいたします。
 警察は捜査権を預かる身でございますので、やはり証拠に基づいて発揮しなければならないということで、いたずらに私どもとしては推測を申し上げられないということを御理解願いたいと思います。
○井上(一)委員 そこで、私は非常にこの問題も人権にかかわる、あるいは国際信義にかかわる、外交問題のみにかかわらず重要な問題だと思うわけであります。
 それで、重ねて私はお聞きしたいと思うのですけれども、金炯旭さんは、尹伊桑教授拉致については日本の捜査当局の協力を得てということをその本の中に書かれているわけですけれども、そのことについては、そういう事実は全くなかったということでございますか。
    〔山田(久)委員長代理退席、委員長着席〕
○城内説明員 日本の警察がその事件に関して協力したということは絶対にございません。
 それからなお、「大地の架橋」、これを私も読んでみましたが、日本の捜査当局がというふうには書いてなかったということを記憶しております。
○井上(一)委員 私は非常にいまのお答えは不満足だ。それは日本の捜査当局という――西ドイツで拉致された手教授か日本へ連れてこられたのですよ。そしてそこで何が起こったかということは、もう私が言わなくてもわかっているんじゃないですか。どこの捜査当局、名指しで日本の捜査当局ということを私は聞いているわけなんだけれども、それじゃあなたの理解は、あの本の捜査当局はどこの捜査当局と理解しているのですか。
○城内説明員 たまたま「大地の架橋」を手元に持っておりませんので必ずしも正確ではないかもしれませんが、私の記憶によりますと、「日本における捜査要員」という書き方でございまして、つまり私どもがということは必ずしも明確になっていないということを当時私は確認した明確な記憶がございますので、そのように申し上げたわけでございます。要するに、私どもがこの事件について関与したということは全くないということを確信しております。
○井上(一)委員 後でお尋ねをしようと思っておったのですが、いまお答の中で、日本の警察当局ではなく、いわゆる暗に韓国の捜査要員だというようなお答えに私は受けとめたのですが、よろしゅうございますか。
○城内説明員 私はそのように申し上げているわけではなくて、金炯旭氏があそこで書いていることの真意がよくわからない、しかしいずれにしても、私どもはそういうことに関与をしていないということを調べまして明確にしているということでございます。
○井上(一)委員 私は、この問題についてももっともっと深く御質問をしたいわけであります。しかし、ここで私と外事課長とが質疑を繰り返しておっても問題解決にはつながらないというふうにも理解をします。
 そこで、元KCIAの部長の言っていることは誤りなんだということ、捜査当局の方ではそのような受けとめ方をされておると思うわけです。
 私は、改めて西ドイツでの韓国人大量拉致事件の被害者の一人である尹伊桑教授を、日本に正式にこの外務委員会に招請することによってこの疑惑を明らかにしたいと思うわけであります。委員長にしかるべく取り計らっていただくようお願いを申し上げたいと思います。
○竹内委員長 ただいまの井上君のお話は、理事会で協議をいたします。
○井上(一)委員 そこで外務大臣に重ねてお伺いをいたしますが、西ドイツにおける韓国人の大量拉致事件では、事件後八カ月に原状復帰という形の中で問題が解決されておるわけであります。先ほども申し上げたように、三年八カ月たった今日、金大中事件がなぜ原状復帰という、そのような当初の政府当局の期待をする形がとれないのかということについて、ひとつお伺いをしたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 アジア局長から御説明申し上げますが、この事件につきましてやはり何よりも一番必要なことは、本当に証拠力の問題であるこの証拠の確保が十分にできなかったこと、これがこのように事件が長引いた、捜査当局といたしましても今日まで苦労をしておる最大の原因であろう、こう思う次第でございます。
 なお、アジア局長から補足させていただきます。
○中江政府委員 日本で起きました金大中事件と基本的に異なっておりました事実関係といたしまして、西独事件の場合には、二名の在独韓国人、その職業はたしか空手の先生をしている人だったと思いますが、在独韓国人が誘拐幇助容疑で現実に逮捕された、つまり犯人がドイツ側で逮捕されて、ドイツにおいて取り調べを受けて、そして本件の全容が逐次明らかになった、そういう点が事件の解決に当たって日本の金大中事件の場合と西独事件の場合で、タイミングと言い、内容と言い、異なってきた一番の基本的な違いではないか、こういうふうに私どもは考えております。
○井上(一)委員 私は、国際的犯罪として拉致事件がたまたま西ドイツと日本で起ったということについては同じだと思うのです。ドイツでは手際よくというか、本当に人権を守っていくのだという、そういう強い姿勢が問題の解決に見られた、それが問題を短時日の中で解決した、こういうふうに思うのです。それに引きかえて、ドイツに比較をして日本の対応のまずさを指摘しておるわけなんです。過去におけるそのような日本の金大中拉致事件に対する対応のまずさをここで改めて反省をして、一日も早く人権を回復するんだ、そしてこの問題を解決するんだという姿勢を示すべきだと私は思うのです。そのような姿勢があるのかどうか、はっきりとお答えをいただきたいと思います。
○中江政府委員 金大中事件が起こりましたときに私どもすぐに思い浮かべましたのは、いまの西独の事件であったわけでございます。したがって、西独であったような韓国の官憲が外国でそういう行為をしたのではないかということについては、非常に濃い容疑があったわけです。これは国民的にあったわけでございまして、したがって西独が処理いたしましたように日本でも早く犯人を検挙して、そしてその取り調べの過程において公権力の行使というものが明確になれば、これは原状回復ということを国際法上の権利として要求できるではないか、そういう点で捜査当局とも緊密に協力いたしましてずいぶん努力いたしましたけれども、不幸にしてドイツのように容疑者を検挙するに至らなかったということは、その後の本件の処理について残念なことであったと思います。にもかかわらず、先生がおっしゃいましたように、私どもも初心のとおり何とか事件の真相を解明いたしたい、その過程で公権力の行使というものが明らかになれば、例の外交的決着はもう一度再検討するということについては韓国側との間でも念を押してある、こういうことでございます。
○井上(一)委員 季厚洛元駐日大使が箱根仙石原に別荘を持っていたということを承知いたしておりますか、捜査当局。なおまたその周辺には小佐野賢治、趙重勲らの別荘もあった。この事実を捜査当局は承知なのかどうか。
○城内説明員 私は、そういうことを承知しておりません。
○井上(一)委員 その別荘でひそかに三名があらゆる事柄についての相談をしておったということを私は聞いておるわけでありますが、今後そういうことについての事実を調査する御意思があるかどうか。
○城内説明員 私は、金大中拉致事件の捜査関係を担当しておるものでございます。ただいま先生御質問のありましたことが金大中拉致事件にかかわることなのかどうなのか、そこがちょっと一つ定かでないわけでございます。しかしながら帰りまして、もしそれが刑事関係にかかわりがあるというようなことでございますれば、いずれにしましても担当者とよく連絡をとってみたいというふうに考えております。
○井上(一)委員 重ねて要望をしておきますけれども、事実関係をぜひ明確にしていただいて、後刻私に報告をしていただくということを要望しておきます。
○城内説明員 ただいま御答弁申し上げたように、私自身の権限に属することでもございませんので、先生の御質問があったということにつきまして、帰りまして所要の連絡をとらせていただきたいと思います。
○井上(一)委員 あなたの仕事の分野ではないということなので、これ以上深く質問はしませんけれども、私が指摘をしたことについての事実を明らかにしてほしいということです。
 委員長、時間があれば、これは大事な問題なので、ここへぜひ担当者をお呼び願いたいのですけれども、いかがですか。
○竹内委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を起こして。
 城内外事課長。
○城内説明員 お答えいたします。
 先生の御質問の趣旨につきまして担当者によく連絡をとりまして、できるだけ御意向に沿えるように進めてまいりたいというふうに考えます。
○井上(一)委員 続いて私は、文明子女史について関連した質問をいたしたいと思うのです。
 以前にもどなたかが質問をしたことがあると思うのですけれども、文明子女史が日韓癒着の問題についていろいろと指摘をしたわけであります。その折に、文明子女史に国会で証言をしてくれるようにという意向打診をしたことがあるのかどうか、そういう接触をしたことがあるのかどうか、外務省に尋ねてみたいと思います。
○中江政府委員 国会で本件が取り上げられまして、ワシントンの大使館を通じて文明子女史との連絡をとったことはございますが、国会に出て証人としてというようなことを言ったことはございません。
○井上(一)委員 それじゃ、大使館を通して接触をしたと言うが、どのような形で接触をなされたのか、そしてそのとき文明子女史はどのようにお答えになられたのか、その事実を聞させていただきたいと思います。
○中江政府委員 まず文明子女史はこういうことを言っておりました。金大中事件の背景に関して自分が二月十六日付の朝日新聞などに掲載された共同電の中で語った内容は金炯旭氏から自分が聞いたものである。金大中事件に関連する情報としては、自分はこれ以外にも多くの情報や資料を持っており、その中には金炯旭氏から聞いた以外のものも含まれている、こういうことを言いましたので、それじゃ日本政府にそういうものを提供する用意があるのかどうかということをさらに尋ねましたところ、文明子女史は、自分は日本政府のために働いている者ではないし、かつまた金大中事件に関する情報や資料は日本の当局が当然持ち合わせているはずのものであり、ジャーナリストたる自分としては自分の持っている情報や資料を日本政府に提供しなければならぬ筋合いにはないと思う、こう言った、こういうことでございます。
○井上(一)委員 私は文明子女史から直接聞いたわけであります。それでいま概略の答弁では、文明子女史はもちろん日本政府の大使館員でもないわけですから――しかしながら外務省から文明子女史に話されたことは事実です。アメリカ大使館員のO氏、あえて名前を出しません。O氏「日本の新聞に出ているものは、みんなあなたが話したとおりに、そのまま活字になっているのですか。」こういうような質問、文明子女史は「日本の新聞を読んでいないので……。日本の新聞が私の話をゆがめるはずがない。」「どうして?」ということを文明子女史が逆に大使館員に尋ねたところ、「日本の新聞は本人が言っているとおりでなくて、こういうようにツイストしてやる場合がある。」ねじ曲げて、ツイストして報道する場合がある。文明子女史は「私はそうは思わないけれども、私が新聞を見て返事をいたしましょう。」大使館員は「そうですか。」大使館員に対して文明子女子は「あなたが私に言いたいのはそれだけですか?」大使館員は「それだけです。」そして後日また電話で文明子女史は「私の言ったことをそのまま日本の本国政府に報告しなさい。」こういうふうに言っておるわけなのです。そうしたら大使館員は「それでは一回お目にかかりましょう。」文明子女史は「オーケー。」このように話をしておるわけなのです。
 そういう報告がアメリカ大使館から外務省になされていないのですか。あるいは日本の新聞は常にツイストしているのだというように外務省は受けとめているのですか。
○中江政府委員 まず最初に、先生のおっしゃいました在米日本大使館のOという館員と文明子女史とのやりとりについては、私どものところにはそういう報告は来ておりませんので承知しておらないということが一つでございます。
 日本の新聞の記事について、私どもはいま言ったような論評をするということはございません。新聞は真実を報道するという責任でいろいろ取材しておられるわけでございますので、そういうものとして受けとめておる、こういうことでございます。
○井上(一)委員 いまの答弁は、大使館から報告を受けていない、そして新聞は真実を報道する、そのとおりです。
 それでは、私はこれは事実だと信ずるのですが、事実であったとするならば外務省はどのような対応、措置をとられるのか、お聞きしたいと思います。
○中江政府委員 これは、まず事実かどうかを確かめまして、その上で検討させていただきたいと思います。
○井上(一)委員 早速次回の委員会までにこの事実を確認していただきたい。外務省、特にアメリカ大使館は大変な受けとめ方をしている。日本の報道機関をそのように受けとめておるということは、外務省の根底から教育をし直ししなければいけないし、物の考え方、価値観を変えてもらわなければいけない、こういうふうに私は考えるわけです。次の委員会の冒頭までにお答えをいただけるかどうか、重ねてお伺いいたします。
○中江政府委員 鋭意努力してみたいと思います。
○井上(一)委員 鋭意努力ではだめなのだ。あなたの方で確かめられないと言うのだったら、私の方から文明子女史の発言を持ち込んでもいいですよ。いかがですか。
○中江政府委員 私が鋭意努力すると言いましたのは、努力するということを言っておるわけでございまして、それ以外の他意はないのです。
 文明子女史がどう言われたかというような情報は、文明子女史に限らず、一つの参考資料としては非常に貴重なものだと思います。日本の捜査当局も引き続き本件の捜査を継続しておられるわけでございますので、参考になるようなことは御提供いただいて、それが一助にもなれば疑惑を晴らす意味ではいいことだろうと私は思います。
 いまの件につきましては、次回の外務委員会の冒頭までという時間の中でどこまでできるかということを、私がここで確約するのはいかがかと思いまして、鋭意努力するとこう申したわけでございます。
○井上(一)委員 さらにお聞きしたいのですけれども、アメリカにおける日本大使館員が、もちろんこれは東郷大使も含めてだと思うのですが、日本における人権問題も含めてあらゆる問題で日本の国情というものを十分把握しておらないということで、重ねて強い反省を促して、真剣に平和外交に取り組むことを私は期待いたします。
 なお、その中で文明子女史は、日本でのKCIAにブラックチームとホワイトチームがあるのだと発言をしていらっしゃいました。そのような事実を調査したことがあるのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
○中江政府委員 外務省といたしましては、一切ございません。
○井上(一)委員 さらに、レイナード元国務省韓国部長は、金大中氏拉致事件はKCIAの犯行であると発言をしておるわけです。そのときに、たしか福田総理は、私人の言うことで、関知しないと述べられたと記憶いたしております。最近レイナード氏は、アメリカの下院の小委員会の米韓関係特別調査の顧問に任命をされたわけであります。改めてアメリカの政治の中でそのような重要な立場に位置づけられたレイナード氏に対して、金大中氏の拉致事件にかかわる諸問題についていろいろと調査を含めてお聞かせをいただくために、日本の政府は対応する用意があるかどうかを尋ねたいと思います。
○中江政府委員 レイナード元国務省朝鮮部長が、金大中氏を拉致したのはKCIAであるという証言をしたということでございまして、私どもも、これはただならぬことであるというので、早速アメリカで調べさせました。まず、国務省に照会いたしましたところ、国務省の立場は、再三言われておりますように、金大中事件というのは日韓両国の問題で、米国が介入すべきものでなく、したがって国務省としては回答する立場にない、レイナード氏の議会での証言は一私人としての発言であって、国務省としては全く関係がない、こういうことを言ったわけでございます。
 そこで、それじゃレイナード氏自身はどうかということで直接レイナード氏自身に照会いたしましたところ、議会での証言以上に、つまりそれを裏づけるような、証言に盛られていないような新しい事実は得られなかったということでございまして、その後さらにレイナード氏と接触しましたときの先方の反応は、もうこれ以上本件について日本側といろいろ意見を交換するといいますか話し合いを続けたくない、こういうふうに言っておるという情報を得ておるわけでございます。
○井上(一)委員 捜査当局が捜査継続中であるという現段階の中で外務省にお尋ねをしても、はっきりとした答弁をいただけないかもわかりませんけれども、金大中氏の拉致事件はKCIAの犯行であるとレイナード氏も言っておるわけだし、またそのような形の中で捜査が進められてきたということも事実であります。私はKCIAの犯行であるというふうに理解をしておるわけでありますが、外務省はこの問題について、KCIAは全く関係ないとお考えなのか、非常に容疑濃厚であると考えていらっしゃるのか、どちらなのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○中江政府委員 この事件が起こりました直後、日本の国内ではほとんどの人が、KCIAがやったのではないかというふうに疑いました。容疑は濃厚でございました。そういう容疑が濃厚であるという感触を念頭に置きまして、外務省として捜査当局と御協力の上外交的な措置をやってきたというのが現状でございます。
○井上(一)委員 最後に外務大臣にお尋ねをいたします。
 金大中氏の拉致事件はまだ刑事事件としての決着がついていない。これは再三お答えになられておるわけなんです。今後どのような姿勢で決着をつけられるのか、そしてこのような事態を迎えて、日本政府は今後もまだ対韓援助を続けるつもりなのかどうか。これほど事態が緊迫し、また重要かつ大なる事態を迎えた今日、日本政府は対韓援助を即時打ち切ってでも、この問題を解決する姿勢を示すべきだと私は考えるのですが、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 金大中事件につきまして、刑事事件といたしましてはっきりした解決がつくことを心から望んでおるところでございます。この点につきましては、事件が事件として片づきませんと何とも申し上げるわけにいかないわけですけれども、仮に立証できたというような場合におきましては、いままでの外交的な決着というものはもう一度再検討し直すということは当然のことであると思います。
 他方、経済協力の問題につきましては、両国民的なベースにおきまして、隣国としての韓国と日本との間の協力関係というものは続けるべきであるというふうに私は考えておりますので、両者はやはり切り離して対処すべきものであるというふうに考えておるところでございます。
○井上(一)委員 これほど重大な問題に直面しておるにかかわらず、経済援助とこの問題とは切り離すのだという外務省の外交姿勢というものは、私は非常に不満足であります。経済援助がむしろ逆にこの問題解決をおくらせる要因になっておるということを、あなたは御認識ないのですか。もう一度あなたの考えを聞かせていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 経済協力の問題と金大中事件の処理というものはやはり切り離して処理すべきである、それが先般一応の外交的決着をつけたということの延長線であろう、私といたしましてはこう理解をいたしておりますので、この事件が根本的に解決をされる、そのことが仮に日本の主権を侵すようなことが本当に明らかになった場合には、断固としていままでの処置を再検討しなければならない。しかし、現状におきまして、一応の外交的な決着はつけてあるという事態のもとにおきまして、経済協力は経済協力として、韓国民の福祉のために日本は協力をするという姿勢は持ち続けたい、こう思っておるところでございます。
○井上(一)委員 私はこの問題についてはさらに深く追及をしたいと思います。
 それで、きょうは理事会の申し合わせ等もあって、ちょうだいした以上に時間をいただいておるものだから、改めてこの問題は次の機会にもっと深く質疑を交わしたいと私は思いますので、これ以上の質問は留保します。
○竹内委員長 次に、中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 先ほども御質問が出ていたようでありますが、まず、ミグ25の問題につきまして、ソ連がミグ25に対する賠償を要求したということでありますが、大臣は先ほどソ連からこれが口頭で行われた、このように御答弁の中で言っておられましたけれども、この口頭の申し入れをソ連政府の正式の要求と見ておられるかどうか、この点について伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 いやしくもわが国に駐在しておられます大使の御発言でありますから、これは口頭でありましょうと、当然のことながらそれだけの政府の意思として私どもは受け取らなければならないもの、こう考えております。
○中川(嘉)委員 そうしますと、日本政府はこのソ連側の賠償要求そのものを受け入れる用意があるのかどうか、この点はいかがでしょう。
○鳩山国務大臣 このポリャンスキーソ連大使が口頭で申されたその前には、日本といたしまして、これも口頭でございますけれども、ミグ25の事件に関係します経費が日本側の出費としてかかったわけでございまして、これにつきまして要求をしたという事実がございます。当方からも要求し、先方からも要求があったという関係にあるもの、こう思っております。
○中川(嘉)委員 現状についての御説明があったわけですけれども、報道によりますと、日本政府はソ連政府の要求を拒否したというような報道もなされているわけですが、これは事実かどうか。いまの御答弁とは若干食い違うわけですが、もしそうであるならば、最終的な決定であったのかどうか、それとも事態の推移によっては、それを日ソ交渉の主題とすることもあり得るかどうか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
○宮澤政府委員 事件の性格にかんがみまして、日本政府はソ連側の補償要求には応じる意思がございませんので、その点をすでにソ連側に明らかにしてございますし、今後ともこれを交渉の取引の具にするという意図はございません。
○中川(嘉)委員 そうしますと、私が思うには、ソ連政府はミグの賠償そのものを日ソ漁業交渉で有利にするための手段として利用される、日本側がその手段として利用されることはないだろう、このように思うわけですが、この点はいかがでしょう。
○宮澤政府委員 漁業交渉とこのミグの補償の問題を向こうが絡めて出してきたことはございませんが、そのようなことがございましても、日本政府としましては、筋の違うことはいたしたくないと考えております。
○中川(嘉)委員 先ほど大臣から御答弁があったわけですが、日本政府はミグ25の強行着陸に伴う経費一千万円をソ連の政府に要求した、このように報道されておりますが、これは口頭で行われたのか、口上書等何らかの文書によって行われたのか。先ほど御答弁の中で、こちらも口頭でと言ったようには聞こえましたが、ちょっと確認をしておきたいと思います。
○宮澤政府委員 これらの点につきましても、ソ連側との話し合いがございまして、一応明らかにしないことにしてございますので、差し控えたいと思います。
○中川(嘉)委員 いま御答弁の最後のところが、明らかにというその次の言葉がちょっとわからなかったのですが、それをもう一度明確にしていただくことと、ソ連政府のわが国のこういった要求に対する反応、それから正式のこれに対する回答として何らかの行為があったかどうか、この点を伺いたいと思います。
○宮澤政府委員 この問題のやりとりにつきましては、ソ連側との話し合いで一応公表をいたさないということにしておりますので、内容を、口頭、文書等についてここで御説明することを避けたい。そしてただいま第二の点につきましても、こちらで申し上げることは差し控えたいと申し上げました。
○中川(嘉)委員 そうすると、いずれにしましてもミグの賠償問題そのものが、ソ連政府が正式に撤回しない限り将来日ソ関係で尾を引くおそれがあるのじゃないだろうか、このように危惧するわけですが、ともかくはっきりけじめをつけない限り日ソ関係でのわだかまりとなっていく、こういう可能性が当然考えられるわけですが、政府の御見解はどうか、お答えをいただきたいと思います。
○宮澤政府委員 日本側はソ連が補償要求をしてまいりましたことを根拠のないものと考えております。逆に、日本側が補償の要求を提起いたしましたことは根拠のあるものと考えております。こういうことでございまして、双方の主張が対立しておりますので、日本政府としては譲れないものは譲れない、こういう立場でございますので、安易な妥協はできないものと考えております。
○中川(嘉)委員 そうしますと、このミグ25に対する日本政府のとった措置について、コスイギン首相が園田特使あるいはまたこちらから行っております議員団に対しても不満を表明したわけですが、この問題は相当根深いものがあるというふうに私は思うわけで、今回の三十億円の要求が日本政府の拒否回答でもって容易に解決がつくと考えられるかどうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○宮澤政府委員 ただいま最後に三十億円の要求とおっしゃいましたが、ちょっと聞き取れませんでしたが、飛行機の賠償要求でございますか。
○中川(嘉)委員 そうです。
○宮澤政府委員 コスイギン首相云々のお話にお触れになりましたが、私は園田官房長官の随員として参りましたので、内容について細かく私が申し上げるわけにいきませんが、コスイギン首相がその点について触れましたのは事実でございます。ただ、この件はいかなる意味でも日本側が引き起こした事件でございませんので、それに対してこちらが責任を負うという種類、性質のことではないと考えております。ただ、日本側もこの事件は日ソ関係にとって大変に不幸な事件であったとは考えておりますが、日本側がこれに責任を負い、補償、賠償を支払う、こういう筋のものではないということを日本政府は考えております。
○中川(嘉)委員 時間が限られておりますので、これはまた後に質問をさせていただくとしまして、竹島の問題で二、三質問を申し上げたいと思います。
 衆参両院の予算委員会で、竹島問題に対して政府からかなりはっきりとした態度の表明があったわけですが、政府はその後どのような具体的外交行動をとられたか。時間の関係で、こちらから具体的に二、三挙げてみますが、外交交渉を正式に申し入れたかどうかというのが第一点。第二点は、警備隊の不法占拠の撤去を要求したのかどうかということ。それからわが方の実態調査団の派遣を申し入れたかどうか、これが第三点。この辺について御答弁をいただきたいと思います。
○中江政府委員 端的に申し上げます。
 第一の外交交渉を申し入れたかという点については、まだ申し入れておりません。
 第二点の、今回の向こうの諸施設の設置について撤去を申し入れたかという点につきましては、従来機会あるごとにすでにある施設の撤去は申し入れております。
 第三の調査団の派遣について申し入れているかという点につきましては、現在までまだ申し入れておりません。
○中川(嘉)委員 そうしますと、三つに対して二つが何もしてない。もう一つ残った警備隊の件についても、従来の形で申し入れているような御答弁に聞こえてならないわけで、予算委員会の席では非常にはっきりした態度の表明があったにもかかわらず、あれから何ら進展をしていないと申し上げても過言ではないように私は思うわけですが、現在在韓の国連軍の司令官に対して、韓国警備隊による竹島の不法占拠を解除することを要請するお考えはないかどうか、この点はどうでしょうか。
○中江政府委員 ちょっとそのつながりぐあいが私まだよく把握できませんが、いまのところは竹島の問題について、先ほど言及されました新たな漁業施設云々の問題がたしか予算委員会では問題になりましたが、漁業施設を置くのではないかという問題につきましては、韓国側の農水産部長官の発言の奥意について私ども確かめてみましたところ、いまあれを設置する考えはないということを言っておりますので、私どもの立場としては、すでにある警備施設その他について従来どおりの申し入れをしているということでございまして、在韓国連軍司令官に申し入れるという点についてはちょっと検討させていただかないと、私よくわからない点でございます。
○中川(嘉)委員 いま私が申し上げたのは、在韓国連軍司令官に対して、韓国警備隊による竹島そのものの不法占拠、要するにこれを解除することを要請するお考えはないかどうかという問題です。
○中江政府委員 これはいまちょっと伺った限りでは、在韓国連軍司令官の権限と直接結びつかない、韓国が独自で竹島を占拠し、警備をしているということでございまして、国連軍として、竹島の占有をめぐる、領土権をめぐる日韓間の問題に関与できるかどうかという点については、私はどうもできにくい問題ではなかろうか、こう思います。
○中川(嘉)委員 国連軍司令官は、その指揮下にある韓国軍の行動を規制できる立場にあるのではないかと私は思いますが、もう一度この点について御答弁いただきたいと思います。
○中江政府委員 私は必ずしもその問題の専門の担当ではございませんけれども、私の思いますのには、国連軍司令官が韓国の軍隊すべてに対して指揮、命令ができるような、常時でございますけれども、状態にあるというふうには理解しておりませんので、韓国軍は韓国独自の軍隊として存在している。竹島の警備の問題は、警備当局としては純粋に韓国政府なり、韓国当局の問題であって、国連軍司令官とは関係のない話だろう、こういうふうに思います。
○中川(嘉)委員 この問題は専門の筋から一応明確なところを確かめなければならない問題ですので、竹島に同じく関連をして、竹島問題解決のための外交交渉の申し入れに韓国が応じない場合に、政府はどういう措置を最終的にとられるか。たとえば第三国、アメリカ等の仲介を依頼することも考え得るかどうか、この点はいかがでしょうか。
○中江政府委員 これは先生御案内のように、日韓正常化の交渉の結果できました文書の一つに紛争の解決に関する交換公文というのがございまして、日本と韓国との間で生じます紛争、あるいは存在しております紛争につきましては、この交換公文によって解決していく。この交換公文の組み立て方は、まず日韓間で特別の合意があればそれによる。それによって解決できないときは、あるいはそういう合意がないときは外交交渉で解決を図ってみる。その外交交渉によっても解決が図られないときには調停による、こういう段取りになっておりますので、まず外交交渉でこの紛争の解決を図るといたしまして、その粘り強い交渉の結果、それでもなかなかむずかしいときには調停にかける。調停にかけるということの意味は、調停の手続について、韓国との間で詳細な取り決めをしていくという、そういう段取りになるというふうに私どもは了解しておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 もし韓国政府が外交交渉の申し入れに応じない場合、いま御答弁があったように、紛争解決に関する交換公文、これは予算委員会でもそのような御答弁があったわけですけれども、この紛争解決に関する交換公文の不履行ということで、わが方としては、それに応じた報復措置、こういったものをとる権利があるのじゃないかと私は思いますが、たとえば、経済協力とか、経済援助あるいはまた閣僚会議の延期とか、いろいろな具体的な問題がここで出てくるんじゃないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
○中江政府委員 この紛争の解決に関する交換公文の趣旨から言いまして、いま先生が言われますように、外交交渉の申し入れをしたのに応じないということだけで、この交換公文の不履行になるかというと、これはちょっとそうではないのじゃないかと私どもは思います。外交交渉に応じないということは、やはり一種の外交交渉によって解決できない場合ということでございますので、そのときには調停の手続の方に移行していくだろう、こう思いますので、外交交渉の段階で不履行を理由にする報復ということは、これはちょっと考えられないことではないかというのが私どもの見解でございます。
○中川(嘉)委員 そうしますと、質問の最初の方に戻らざるを得ないわけで、そこまで御答弁なさった以上は、やはり外交交渉そのものを速やかに開始しなければならないんじゃないか。申し入れを行っていないという先ほどの御答弁だし、あるいはまた実態調査団の派遣すらまだ申し入れてないという御答弁が重なっているわけで、理屈ではよくわかりますけれども、実際にそれではどれだけ動いたかということになると、何らそれに対する手が打たれてない、果たして今後どのような計画を持って、具体的にこの対韓折衝を行おうとされるか。もう一度この問題についてお答えいただきたいと思います。
○中江政府委員 これは日韓正常化の、十二年前になりますか、そのときに、日韓双方で何とか解決できないかということで努力した結果、いまのような紛争の解決に関する交換公文という形でペンディングのままに推移しておるわけでございまして、その交換公文に基づいて外交交渉を申し入れるということは、これは理論の問題としては簡単なことでございますけれども、実態としては、交渉の申し入れをする以上は、その交渉からよき成果が上がるかどうか、あるいはそういう交渉を申し入れるための準備、そういったこともございまして、最終的には、もちろんおっしゃいますように、政治的な判断でございますけれども、紛争の解決ということは、言葉はやさしいのですけれども、成果の上がるような交渉に持っていく、そういう雰囲気といいますか、条件がそろうことの努力もあわせ行わなければならないというのが、従来日韓双方が念頭に置いてきた問題でございます。
○中川(嘉)委員 どうも、理論の上ではということでお話が展開されるわけなんで、結論的に韓国に対して何ら外交交渉を申し入れるつもりがない。実態調査の派遣をするつもりもない。このように響いてならないわけで、一体全体この竹島問題、今後わが国として具体的にどう出ようとするのか、はっきりとこの点を答えていただきたいと思います。
○中江政府委員 一口で言いますと、日本の領土権主張というものを害することなく、粘り強く交渉していくということになりまして、いままで十一年間日韓間でこれが外交交渉として取り上げにくかったということの背後にあります問題、つまり双方が領土権の主張というのは非常にエモーショナルな、衝動的なといいますか、国民感情的な要素のある問題でございますので、冷静にその領土権主張の根拠の存否というものが話し合われるような、そういう雰囲気のもとで始めることによって初めて成果が上がるのだ、こういうふうに私ども認識いたしますので、そういう雰囲気のできますのを何とか早く招くという努力をしつつ、その間日本の主権主張が害される、あるいは阻止されるというようなことのないように、韓国側の動きに対しては一々抗議をする、あるいは文句を言う、注意を喚起するということを重ねながら、時の熟するのを待っているというのが私どもの立場でございます。
○中川(嘉)委員 たとえば予算委員会における御答弁に際しては、非常に具体的行動にすぐに出ることのできないような、答弁はしたものの、それじゃ一体具体的にどのような日程でどういうふうな詰めをしていくのか、その辺が全くお答えの中に出ていないわけで、このことについては竹島問題ということにテーマをしぼったときにでもまたさらに御質問をしてまいりたい、このように思います。
 次に、また日ソ関係になりますが、漁業交渉でソ連が見せたわが国に対する非常にかたい態度、この前の委員会でも私は申し上げましたけれども、単に漁業問題に対するものではなくして、漁業交渉を触媒としたソ連の対日政策そのものではなかったかと私は考えるわけですが、今回のソ連の態度を政府としてどのように評価されますか、いま一度御見解を承りたいと思います。
○宮澤政府委員 ソ連側が大変に厳しい態度で臨んできているという印象を一般に受けておりますが、背景を考えますと、ソ連側もその他の諸国の二百海里宣言によりまして大変厳しい状況に追い込まれているということは、これは客観的にも推察できることでございますし、ソ連側自身がすでにそう言っております。
 そこで、ソ連側もこのような厳しい環境に置かれましたその結果が、また日本との交渉においてソ連側の厳しい態度になってきていると考えられます。事実ソ連側は、イシコフ漁業相その他がそういう点を詳細に説明しております。それにあわせまして、ただいまその中にソ連の対日政策というものが組み込まれておるのではないかという御質問でございますが、これは私ども推測する範囲を出ないわけでございますが、少なくともイシコフ漁業相が鈴木大臣と折衝しております限り、漁業以外の問題を持ち込んでいるということは思われません。
○中川(嘉)委員 御答弁ですけれども、私は、先ほど申し上げたような判断をもって、言いかえれば漁業だけでないという、そういう判断をもって、この際、対ソ政策に限らず、いわゆる対外政策あるいは外交、防衛政策等を再検討する必要があるのではないだろうか、いまやわが国が日本外交そのものを変える転機にあるのじゃないだろうかとすら考えるわけですけれども、政府の御見解はどうでしょうか、大臣にひとつ。
○鳩山国務大臣 ただいまのお言葉でございますけれども、私どもといたしましては、漁業問題を漁業問題として、円満に日本もソ連もこれならばやっていけるという道を見出したいと思って鋭意努力をしておりますので、お言葉でございますけれども、漁業問題として解決を図りたい、こう考えているところでございます。
○中川(嘉)委員 漁業問題だけとして考えてまいりたい、非常によくわかるのです。わかりますけれども、やはり日本外交ということを考えたときに、ただいま私が触れたような一つの大きな転換期に来ているのじゃなかろうか、あるいはまた外交、防衛問題、あらゆる問題を洗い直さなければならないときに来ているのじゃないだろうかというふうな、非常にこれからの外交の将来ということを考えたときに配慮が必要ではないだろうか、そういうことに気づいていかなければならないのじゃないだろうか、このように思いますが、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 二百海里時代を迎えまして、特に海洋問題、漁業問題が大変な大きな問題になってきたわけでございます。そういう意味で、今回の交渉も大変難航いたしておるわけでございますが、その他の問題につきましては、御意見は御意見として承らせていただきたい、こう思います。
○中川(嘉)委員 さらに伺いますが、ソ連のそういった態度、これは日本の対米、対中傾斜政策に対する一つの対応政策ではないかとすら私は思っておるわけですが、わが国の政策変更を求める力の誇示、こういったことではないかとも思うわけですけれども、この点はどうでしょうか、対中、対米政策に関連して。
○鳩山国務大臣 わが国といたしましては、御承知のように対米関係も大きな外交の基軸でありますし、対中関係も、大事なアジアの一国として対中関係を改善するということはまことに大事なことでございます。また、ソ連との関係につきましても、漁業問題あるいはシベリアの開発問題等を通じまして密接な関連があるものでございますから、これらの点、わが国といたしましては、国益の線に沿いましていずれの国とも友好関係を増進いたしたい、こういうことを念願をいたしておるところでございます。
○中川(嘉)委員 いずれの国ともということで、それでは伺いますが、いまの御答弁を受けて、われわれはこの際毅然たる外交政策を堅持すべきことを政府に対して強く要請するものでありますが、その一つの政策として、速やかに日中平和友好条約の締結を決断すべきであると主張するわけで、たびたび言ってきているわけですが、これに対する御見解をまず伺いたい。
 そして、政府にどういう思惑があるのかわからないのですが、いままで再三再四このように主張してきたにもかかわらず、延び延びになっている。これ以上逡巡するようなことになりますと、事態の好転というものは期待できないのじゃないか、このように思います。むしろ日中平和条約の締結は遠のくばかりじゃないか、こういうことも懸念されるわけです。もはや覇権についての解釈論で戸惑っていては問題の解決はないのではないか、覇権主義は現在、国際社会においては悪であるというこの決断のもとに条約の締結に踏み切るべきじゃないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 中川先生の御意見もよくわかりますし、公明党のお考えもよく存じておるところでございます。私ども、それに対しまして何ら異存を持っておるところではございません。日本と中国の関係の残された大きな問題といたしまして、一日も早く平和友好条約の締結を実現いたしたい、こういう熱意を持っておることはどうか御了承を賜りたいと思う次第でございます。
○中川(嘉)委員 この問題、もう少し早期締結の必要性ということについて触れていきたかったわけですが、大分時間が迫ってまいりましたので、北方領土のことで二、三、最後にお聞きしてみたいと思います。
 今日の北方領土問題の原因というのは、米、英、ソのヤルタ協定であるわけでありますが、このヤルタ協定の三カ国首脳は、千島をソ連に引き渡す、こういうことを約束をしたわけですが、アメリカ及びイギリスはこのヤルタ協定に言う千島の範囲をどう認識していたか、このことを明らかにしてもらうようにこの両国に申し入れてはどうか、こういうことです。私は、米、英はこのことを明らかにする責任が少なくともあるのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
○中島政府委員 お答え申し上げます。
 かつてわが国といたしましては、アメリカそれからイギリスにその見解を求めたことがございますが、これはいま先生のおっしゃられるようにヤルタ協定の当事国であるということで照会したわけではないわけでございまして、サンフランシスコ平和条約の主たる起草者としてどのように考えるかということで尋ねたわけでございます。と申しますのは、わが国は平和条約第二条によって千島列島に対する権利、権原、請求権を放棄したわけでございますが、その平和条約を主として起草したのはアメリカであったためでございます。ヤルタ協定につきましては、これは戦時中の連合国の政策協定ということで、わが国のあずかり知らない問題という立場でございますので、いま申し上げましたようなことでアメリカの意見を徴した。それに対しまして、一九五六年九月七日にアメリカ政府の見解を覚書の形で寄せまして、それによりますと「エトロフ、クナシリ両島は(北海道の一部たるハボマイ諸島及びシコタン島とともに)常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。」云々ということを言っております。
○中川(嘉)委員 いまの御答弁はそれでわかりますが、このことについて、たとえばヤルタ協定三カ国と日本を含めた国際会議を提案して、公正な解決を図る必要があるのじゃないかと私は思いますが、この点についてはどのようなお考えでしょうか。
○中島政府委員 お説のごとき考え方も考え方としてあり得なくはないかとも存じますが、何分にもソ連自身がわが国の意見に同調していないという状況がございますので、それを交えまして国際会議という形でどれほど進展がつきますものかどうか。当面、私といたしましては、そのような方法によっていまの問題の打開が図られるというふうには考えにくいのではなかろうかという感触を持っております。
○中川(嘉)委員 それでは時間ですので、最後に一問だけ伺って終わりたいと思います。
 ロシア革命の直後にレーニンみずから執筆したと言われる「平和に関する布告」こういうのがありますが、この中でソ連の対外政策の基本方針を明らかにしておりまして、無賠償、無併合の原則による講和条約の締結を世界に呼びかけているわけであります。今日のこういう領土問題をめぐる情勢を見ておりますと、こういった基本政策は変更されたのだろうかどうだろうか。これが一つ。さらに、政府は北方領土問題の交渉でこのことをただしてみたことがあるかどうか。この無併合の原則は今次戦争における領土不拡大原則に通ずるのではないかと私は思いますが、この点はいかがでしょうか。
○宮澤政府委員 ソ連に対しまして北方領土返還要求をいたします際には、日本政府の固有の領土であるということのほかに、当然の請求権といたしまして、ポツダム宣言、そのもとになりましたカイロ宣言、これに領土不拡大等の方針がございます。レーニンの原則によるまでもなくそういう原則もございますので、そういうことを強調しつつ返還を要求いたしております。
○中川(嘉)委員 以上で終わります。
○竹内委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を起こして。
 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 最初に外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 十六日の日付の新聞でございました。政府筋は、四月十五日「領土問題と漁業問題を切り離して話し合おうとしても、ソ連側が領土を絡めてくる以上、日本側としても新たな対応策が必要になるかも知れない」ということから、「領土交渉の当事者である鳩山外相の訪ソが検討される可能性のあることを示唆した。」という報道がなされておりました。この当面の日ソ漁業問題、日ソ間の問題につきまして、今日の時点において鳩山外相、そのようなお考えはお持ちでいらっしゃいましょうか。訪ソの可能性について再度お伺いをいたしたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいまのところ訪ソの予定は立てておりません。
○渡辺(朗)委員 私は実はその報道があったときにこういう理解もしたのです。領土問題の話し合い、それを日ソ間で漁業交渉に先立ってあるいは並行して鳩山外相はおやりになる意図があるのだろうかな、あるいはおありであろうというふうな推測をいたしました。その点について、そのような意図はお持ちではございませんか。
○鳩山国務大臣 ただいまのところ、そのようなところまで考えておらないのでございます。
○渡辺(朗)委員 次に私は、その問題はそれとしまして、一、二外務省とそれから農林省の方にお尋ねをしたいことがございます。それは鈴木農相がソ連からお帰りになりました四月十七日の記者会見で、こういうふうに言っておられます。十二海里内の扱いで、日本とソ連の法制上の違いがあって混線している。私は、その日本とソ連の法制上の違いがあって混線しているという言葉がよく理解できないものですから、これを外務省の方でどのように見ておられるのか、あるいは農林省の方でどのような見方をしておられるのか、ここら辺をちょっと確かめたいと思います。
○佐々木政府委員 ソ連邦の最高幹部会令では、漁業水域といいますか、漁業専管水域の範囲を領海の基線と同じ基線から二百海里の範囲という表現をとっております。それで特別に領海を除くというような規定がございませんので、法制上は漁業水域二百海里と領海十二海里とが重複をしているというふうに理解をしております。ただいま私どもの方で検討いたしております日本の周辺の漁業水域に関する法制度におきましては、領海と漁業水域とは当然内容的にも規制の目的その他も違うわけでございますから、一応領海の基線から二百海里を原則といたしますけれども、当然領海に相当する部分は除こうというふうに考えております。その点でちょっと、ソ連側の方の領海と漁業水域とをオーバーラップさせているという点が、日本と西欧的な考え方の違いの点かというふうに思っております。
○渡辺(朗)委員 その点、外務省の方に私はお尋ねをしたいと思うのです。
 四月十七日の鈴木農相の記者会見によりますと、日本は十二海里を領海とする、十二海里から二百海里までを漁業水域とする、つまり百八十八海里を漁業水域とする、こういうふうなお言葉が記者会見の中で出ておりました。その点については外務省はどのようにお考えでございますか。
○佐々木政府委員 漁業水域の問題につきまして水産庁で検討していますので、先にちょっと説明をさしていただきます。
 先ほど申し上げましたように、最大低潮線から二百海里までの間を漁業水域とする考えでございますが、その中の領海に相当する部分は除外をする。したがいまして、実態的には、領海が十二海里に拡大されました場合には、十二海里から二百海里までの間の百八十八海里相当部分が漁業水域になるというたてまえで現在漁業水域法の方を検討いたしておるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 外務省、その点でよろしゅうございますか。
○鳩山国務大臣 水産庁と同じ見解でございます。
○渡辺(朗)委員 これは四月十九日付の、政府がまとめた漁業水域に関する暫定措置法案の内容、これによりますと、「「漁業水域」とは、我が国の基線から、いずれの点をとっても我が国の基線上の最も近い点からの距離が二百カイリである線」こういうふうに言っております。そうすると、いま政府で考えておられる二百海里漁業水域法とそれから先ほどまで御説明のあった農林大臣なりそれから外務省のお方の考え方は、これは矛盾しませんか。
○佐々木政府委員 いま申し上げましたように、規定の技術的な表現方法でございますけれども、一応先ほどのように最大低潮線から二百海里という表現をした上で、法律上、その領海に相当する部分は除くということを条文上明定をしたいということを考えております。
○渡辺(朗)委員 外務省、それでよろしゅうございますか。
○中島政府委員 そのとおりに理解しております。
○渡辺(朗)委員 その点がまず一つ確かめたかった点でございます。そうするとわが国の方は、実質的には二百海里水域と言っても漁業専管水域は百八十八海里、こういうふうに理解してよろしいですね。
○中島政府委員 仰せのとおりでございます。
○渡辺(朗)委員 大変厳密のようで申しわけありませんけれども、そうしますと、ただいま国会で審議をしておられる特定海域の場合の三海里、そして漁業水域二百海里となりますと、漁業専管水域はどれだけの幅を指すことになりますか。
○中島政府委員 私がただいま先生の御質問に対して仰せのとおりと申し上げましたのは、一般的にわが国の領海が十二海里であるというその一般の領海について申し上げましたわけで、いま先生の御指摘になりました特定の海峡について領海幅を現状どおりとする、すなわち三海里とするという部分につきましては、その三海里までが領海でございますから、今度は漁業水域は二百マイナス三というところが漁業水域になるということでございます。
○渡辺(朗)委員 政府がいままとめておられる暫定措置法案の中にそのことは明記してございますか。
○佐々木政府委員 現在準備をいたしております漁業水域法の中では、先ほどのように領海の部分を除くということを明定することにいたしておりますので、特定海域に相当します部分については、領海を三海里に現状凍結するという前提でございますから、やはり先ほど外務省からお答えのように、その時点での領海の部分だけが除かれるということを明定するつもりでございます。
○渡辺(朗)委員 この問題は後ほどまた触れさせていただきたいと思いますが、時間の関係で次に進ませてもらいます。
 いま国会の代表団がソ連を訪問しております。その際にシチコフ・ソ連最高会議連邦会議議長にお会いをしております。それからまたイシコフ漁業相にもお会いをしております。その際共通して出てきたソ連側の発言は、中断の原因は日本側にあるという点が一つ、それからその原因の一つとして日ソ両国間の親善友好を欲していない者の力が働いたという点を両者が共通して言っております。これは確かでございますね。外務省の方にお伺いをいたします。
○鳩山国務大臣 そのような報告を受けております。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、これは外務省それから農林省の方にお伺いしたいのですけれども、そのような事実があったとお認めでございますか、どうでしょうか。
○宮澤政府委員 交渉事でございますので、これがまとまりません場合に、交渉のまとまらなかった原因は日本側にあると、こういう事実を私どもは認めるわけにはまいりません。ただ折り合わなかったという事実は事実として認めております。
 それから第二点の、一部の者の云々という先方の申し分でございますが、これはどのような意味で先方が申しましたのか詳細わかっておりませんが、もし日本側がさらに解決を求めておりますいわゆる領土問題につきましてソ連側がそういうことを申したと仮定いたしますれば、それは一部の者の云々ということでございませんので、かかる非難は当たらないと思っております。その他日本の個々の人々がどのようなことを申すかは、これはわが国の自由な体制においては当然のことでございますので、その点につきましては問題にすることはないと私は考えております。
○渡辺(朗)委員 問題にすることはないとおっしゃったのですけれども、少なくとも交渉の向こう側の当事者がそのようなことをはっきり言っている。それに対して日本の政府側の方は、問題にはしないで済まされるでしょうか。私はこの際、もしいまおっしゃるようにこの非難が当たらないとするならば、はっきりとそれを言われるべきだろうと思います。その点いかがでございましょう。
○宮澤政府委員 重ねて申し上げますが、日本との間には未解決の領土問題がございまして、このために平和条約も結べない現状でございます。日本としては、この領土問題を解決して平和条約を一刻も早く結ぶということを全国民の要望として言っておりますので、もしソ連側がそのようなことを申しておるのでございましたら、それは誤りであるということは絶えず申しております。
○渡辺(朗)委員 私ちょっと不満足でございます。もし言っているならではなくて、すでにお認めになりましたように、ソ連側はそのように言っているわけであります。そうしますと、これに対してやはり日本側は、これは不当な言いがかりであるとか論拠はないものであるとかいう点は、私ははっきりと言うべきだと思うのです。その点外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回超党派の議員団に訪ソをしていただきまして、そのこと自体が漁業問題の円満なる解決、また、最大の悲願であります北方領土問題、これに傷がつかないように、こういう日本としての本当の国民の願い、その点は強調されたことでありますし、また先方に理解をさせる上でも大変有意義であったというふうに考えております。特に超党派議員団との間にそのようなことが議論されましたこと自体が、私どもとしては高く評価するものでありますし、大変ありがたいことであった、こう思っております。私どもといたしましても、御趣旨の点は全国民の一致した要望であるということにつきましては、ソ連政府に理解をしてもらうようにできる限りの努力をいたしたいと思っておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 私は、そういう場合にはっきりと意思表示しないと、黙っているだけでは誤解を生じ、それからまたそのとおり認めたことと同じことになると思います。
 そこで外務大臣に御要望申し上げておきますが、こういうことについても断固とした、しっかりした態度で臨んでいただきたい。大変難航する交渉ではありますけれども、やはり原則を通す、あるいはまたわれわれの立場を通すんだということに自信を持って進んでいくべきだろうと私どもは思います。その一つとしても、もし、これがいわれなき発言である、私はそう思いますけれども、政府においてもそう判断されるなら、はっきりと意思表示をしていただきたい、これを要望いたします。
 それから先ほどの十二海里と漁業専管水域の関係の問題、これは政府の御意見を確認させていただきましたので、私はまた改めて質問をしたいと思っております。
 以上をもちまして、午前中の質疑を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
○竹内委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十七分開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいまからは、特に日韓大陸棚二協定に関して調査を進めます。
 この際、鳩山外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣鳩山威一郎君。
○鳩山国務大臣 わが国の領海の幅員が三海里から十二海里に拡大されます場合、共同開発協定に定められた共同開発区域のごく一部がわが国の領海となる件に関しましては、去る六日の本委員会で申し上げた方針に沿いまして、韓国政府と協議を行いました結果、去る十一日、ソウルにおいて、わが国在韓国大使館と韓国外務部との間で、本件に関する口上書の往復が行われましたので、ここに御報告させていただきたいと存じます。
 十一日、わが方大使館より韓国外務部に対し発出しました口上書の中で、政府は、日本の領海が十二海里に拡大されると、共同開発区域の小さな部分が日本の領海となること及び当該区域は国際法上の大陸だなとしての地位を失い、かつ共同開発区域から除外されることを述べ、これに関する韓国政府の見解を明らかにしてほしい旨要請いたしました。
 さらに、口上書附属で、共同開発区域から除外される範囲が明示されています。
 このわが方口上書に対する回答として、韓国外務部より同日付の口上書がわが方大使館に発出され、この中で、韓国政府は、わが方口上書の中で表明された日本政府の見解は、韓国政府が本件に関して有する見解と一致する旨が述べられています。
 以上の口上書往復によりまして、領海法が成立した際に、共同開発区域の一部が協定の対象から自動的に除外されることについて日韓双方に見解の相違は全くないことが確認され、また、除外ざれる区域の範囲も明確にされた次第でございますので、ここに改めて、本件協定につきまして速やかな御審議をお願い申し上げます。
 以上でございます。
○竹内委員長 これにて外務大臣の発言は終わりました。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
○土井委員 まず、質問をするに先立ちまして、本日私ども外務委員の手元に配られました口上書なるものについて少し申し上げたき点がございます。
 本日いただいた口上書を見ますと「(日本側口上書)」という括弧書きの横に「E−一三三」と書いてございます。またさらに「(韓国側口上書)」という括弧書きの表題の横に「OAT−二八六」という数字が記載されております。しかも、この口上書の本文の部分について見ました場合、先日私ども外務委員に配付されました口上書と比較いたしますと、いま申し上げた点が相違しておりますと同時に、本文の点についても韓国側口上書の内容が変わっております。一体、先日私どもに配付されました口上書たるもの、あれはにせの口上書でありますか。どういうわけなんです。お答えをいただきます。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)
○中江政府委員 前に配った口上書というのは、ちょっと私、手元に持っておりませんが、いま土井委員が御指摘になりましたただいま配付いたしたものが口上書の正確な写しでございます。
○土井委員 日時は同じく一九七七年の四月十一日ですよ。正確でない口上書というのを外務省というのはわれわれに配付なさるんですか。これは単に記述が間違ったとか等々の問題じゃありませんよ。こんないいかげんなことで、どうぞ日韓大陸棚協定の御審議をお願いしますなんて言えたことじゃないと私は思います。まことにいいかげんじゃありませんか。
○中江政府委員 ちょっといま、前に配りましたものを捜しておりますので、御猶予をいただきたいと思います。――土井委員かお手元に持っておられる、前に配ったというものは、いつの時点でどなたからお渡ししたものか、ちょっとつまびらかでございませんけれども、非常にお急ぎだったときに、この口上書がソウルで交換されて本文が東京に戻ります前に、電報で知らせてきたものをアドバンスコピーとしてあるいはお渡ししたものかもしれないということでございます。
○土井委員 当委員会に委員長を通じて配付された文書ですよ。委員長、御確認願います。ちゃんと日付だって四月の十一日であって、いつ配付したかということを御確認願います。こんなのとんでもない話だ。何をおっしゃっているのですか。(「休憩して理事会で相談しろ」と呼ぶ者あり)暫時休憩して、これは理事会をひとつ開いて、この口上書について検討をお願いします。
○竹内委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を戻してください。
 中江アジア局長。
○中江政府委員 御説明させていただきます。
 いま土井委員が御指摘の「E−一三三」とかあるいは「OAT−二八六」という番号のない形の口上書というのは、これは委員部を通じて正式に配付した文書というものではなくて、外務省が、本件口上書の往復が非常に急がれておりました段階でしたので、ソウルからこういう口上書の交換住復を行ったと電報でとりあえず報告してきたものを、早い方がいいという考え方から、外務省が独自でコピーをつくりまして参考までにお渡ししたものでございまして、委員会でお取り上げいただきたいのは委員部を通じて正式に配付いたしました番号の入ったもの、これはソウルから遠藤課長が持ち帰りました正式の口上書に基づきまして、番号も入り、最終の案文でつくったものでございますので、その間外務省が事務的に早く先生方のお目に入れていただきたいと思って出しましたものは、これは委員会において正式に配付されたものということではなくて、参考のアドバンスコピーなりアドバンスインフォメーションとして御引用いただきたいと私は思います。
○土井委員 こういう正式でないものを外務省はお出しになる一方で、正式に出さなければならない資料要求を幾ら言っても出さない場合もあるわけであります。特に、本日は口上書について質疑をするという日になって初めて、急がれているにしてはただいま初めてこれを、正式のものを手元にわれわれは配付されているという段階でありますから、ずいぶん手はずとしてはまずい。まことに外務省としては手順の上でまずいやり方をされている、このことを私ははっきり言わざるを得ません。これに対して一言あってしかるべきだと思います。いかがです。
○中江政府委員 私どもがよかれと思いまして早目にお配りしたものが、かえって誤解を招いたことになりましたことについては責任を感じております。
○土井委員 これは誤解を招いているというようなものじゃないのですよ。外務大臣、ちょっと一言これについての御答弁をお願いします。
○鳩山国務大臣 この問題につきましては、なるべく早く内容をお知らせした方がいいと思ってお届けしたものと思いますので、当方の善意もおくみ取りいただきたいと思います。
○土井委員 正確な文書というものを外務省としては配付をされないと、これはやはりいろいろとそごを来すということはもう言うまでもございません。したがって、きょう初めて私たちの手元に配付をされた口上書、これが正式な口上書である、このように理解をいたします。しかも質疑をただいまより始めなければならないその瞬間に手元に来たのが正確な正式な口上書である、このようにはっきりと確認をさせていただきます。ようございますね。
 この口上書は、さきに外務大臣の発言が当外務委員会の席において行われまして後に出されているわけでありますけれども、この外務大臣発言に従って口上書というものが考えられたのであるかどうか、ひとつこの点お答えをいただきたいと思います。
○中江政府委員 外務大臣発言は、この口上書の往復が行われました趣旨を御説明になったわけでございまして、どちらが先、後ということではなくて、口上書の往復についての外務大臣の御発言、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○土井委員 それはちょっと違っているんじゃありませんか。外務大臣、御答弁願いますよ。外務大臣発言というのは四月の六日です。当外務委員会における発言ですよ。この発言の方が先なんです。口上書についてるる述べられているわけじゃないのです。外務大臣の四月の六日のこの当委員会における発言を受けての口上書というふうに理解してよろしゅうございますかと私はお尋ねをしている、いかがです。
○中江政府委員 ちょっと私が先生の御質問の一部を誤解いたしまして、外務大臣発言と申しましたのはきょうの委員会の冒頭の大臣の発言だと私はとりましたが、いまの再御質問でわかりました。先般外務大臣が発言されましたその発言の趣旨に沿って口上書の往復が行われた、その結果を先ほど御説明になった、こういう順序になるわけでございます。
○土井委員 大臣、そのとおりですか。
○鳩山国務大臣 そのとおりでございます。
○土井委員 大陸棚条約を日本は批准をいたしておりませんが、この外務大臣発言に言われる「国際法上の制度としての大陸だな」とか「国際法上の大陸だな」というのは一体何を指しておっしゃっているのでございますか。
○村田(良)政府委員 「国際法上の制度としての大陸だな」と申しますのは、一九四五年のトルーマン宣言によって大陸だなという制度が始まったわけでございまして、その後の国際慣習をまとめて法典化しようということで、一九五八年の大陸棚条約というものもまとめられたわけでございます。
 大臣が先般の六日の御発言で大陸棚条約を引用されましたけれども、わが国はこの条約の締約国ではございません。しかしながら、わが国が締約国であるかあるいは韓国が締約国であるかということが問題ではなくて、この大陸棚条約第一条に定められております規範は、それまでの国際的な慣習というものをいわば法典化したものであるという意味におきまして、一般国際法のルールを、たまたまこの最も適当な例が大陸棚条約の規定ぶりであるということで御発言になったものでございます。
○土井委員 それは慣習国際法として大陸棚条約の第一条というものを理解されているというふうに私どもは理解をしてよろしゅうございますか。
○村田(良)政府委員 大陸棚条約の少なくともその部分に関してはそのとおりでございます。
○土井委員 それは本日正式にいただきました韓国側の口上書で「大陸棚が領海の外縁から始まるという国際法上の一般原則」と言っている部分と同じ意味なのですか、違う意味なのですか。
○村田(良)政府委員 同様の意味でございます。
○土井委員 しからばお尋ねをいたしますけれども、大陸棚条約の一条というのは強行法規ですか、どうですか。
○村田(良)政府委員 国際法上の強行法規という概念はまだ完全に確定いたしてはおりません。通常強行法規として国際法のいろんな論文等に挙げられておりますのは、たとえば国連憲章にも定めておりますような武力の威嚇であるとか、あるいは海賊行為の取り締まりであるとか、あるいは集団殺害の禁止であるとか、こういったものは異議なく強行法規であるというふうに認識されております。しかしながら、この部分はむしろ国際法の定義で言います強行法規という概念には当たらない、むしろ一般国際法のルールという表現が妥当だと思います。
○土井委員 そうすると、いま幾ばくかの例を挙げられたわけでありますけれども、強行法としてわが日本の外務省が認識をされている慣習国際法には一体どういうものがあるか、ちょっと二、三例をここで挙げておいていただきたいと思うのです。
○村田(良)政府委員 強行法規として国際的に認識されておるものとしましては、まさに先ほど私が答弁いたしました武力による威嚇であるとか、あるいは集団殺害といったようなものであろうと思います。
○土井委員 慣習国際法と条約というのはいずれが優位でありますか。
○村田(良)政府委員 いずれが優位であるということは一概に言えないと思いますが、通常の国際法の解釈によりますと、慣習国際法はいわば自然に生成されたものでございますので、より一般法的な感じを持つものであろうということは言えると思います。
 それに対しまして、条約というのはいろいろございまして、たとえば領海条約とか、あるいは現在海洋法会議で議論されておりますような海洋法に関する条約というものが将来できますと、これは慣習国際法を法典化したものでございますので、その間に恐らく優劣関係とか競合というものはないと考えていいと思います。
 ただ、二国間の条約等に関しましては、これはいわば国内法で申しますと一般法と特別法の関係に立つというふうに考えるのが妥当だと思います。
○土井委員 いま最後の方で言われました二国間の条約、協定については特別法というふうな認識をもって臨まれる、慣習国際法はそれに対して一般法という認識で臨まれる、こういうふうな認識で御答弁をなすったということを一つ確認をさせていただきたいのですが、それでは一般法と特別法との関係はいずれが優位でありますか。
○村田(良)政府委員 通常の場合には特別法が一般法に勝つというのが原則でございます。
○土井委員 先ほどお尋ねをした点で明確になったのは、大陸棚条約の一条は強行法規ではない、わが国はこれを締結はしないけれども、慣習国際法として認識をしている、しかも慣習国際法よりも二国間の条約、協定の方が優位にある、しかもなおかつ具体的に言うと、この大陸棚条約の一条というのは強行法規ではないから、したがってこの二国間の協定である日韓大陸棚協定の方を優位に見なければならない、こういう関係になると思うのですが、いかがでありますか。
○村田(良)政府委員 ただいま先生御指摘の点に関しましては、われわれは全然そのように考えておりません。この条約は、先般大臣が六日の発言で申されましたように、「国際法上の制度としての大陸だな」というものを対象として日韓両国が取り決めたものでございます。つまり、国際法上の大陸だなという制度のみを対象としたものでございまして、両国が合意をいたしましてこのような大陸だなを新たに創設したというふうなものではそもそもないのでございます。この点は交渉の経緯あるいは協定の文理解釈上もきわめて明らかであろうと思うわけでございます。したがいまして、わが国が今回十二海里に領海幅員を拡張いたしますことは、これが妥当であるということは、従来政府がたびたび申し上げておりますような趣旨からきわめて明らかであろうと思うわけでございます。すなわち、わが国が領海幅員を十二海里に拡張するということは、もちろん国連海洋法会議において国際海峡等の論議はございますけれども、それ自体には何ら異議のないところでございます。したがいまして、このような国際法の新しい規範となりつつあると思われます領海幅員の拡張をわが国が行ったということでございまして、その結果として日韓両国がそもそも大陸だなというものを対象にしてこの協定をつくったわけでございますけれども、その大陸だなの一部分がわが国の領海になった。したがって両国が交渉の当初においてその交渉の対象と申しますか考えておった大陸だなというものが、当該部分についてはわが国の領海になったということでございます。したがいまして、この点については韓国側も全く同様の見解をとり、今回この口上書によってそういった両国の見解を確認したというものでございます。ですから一般法と特別法、あるいは強行法規であるかどうかということは本件の処理とは関係のない問題でございます。
○土井委員 少しおかしな御答弁ですね。それはどうも先ほどの論理からいうと、特に日韓大陸棚協定だけは特別の協定であるという御趣旨に受け取れてまいります。
 そもそも大陸棚条約というふうなものに対して日本は加盟をしていないにもかかわらず、これを慣習国際法という認識で少なくともその第一条には臨んでいる、これは確認をされたわけでしょう。確認されたわけですね。その第一条にはどういうふうに言っているのですか、言ってみてください。
○村田(良)政府委員 お答え申し上げます。
 第一条の規定は次のとおりでございます。「この条約の適用上、「大陸棚(だな)」とは次の海底をいう。(a)海岸に隣接しているが領海の外にある海底区域であって、水深が二百メートルまでであるもの又は水深がこの限度を超えているがその天然資源の開発を可能にする限度までであるものの海底(b)島の海岸に隣接している同様の海底区域の海底」であります。
○土井委員 そしていま日本国と大韓民国との間の大陸棚に対しての協定の内容というのは、国際慣習法として考えてこられている大陸棚条約の一条ということを認識に置きながら考えてこられたわけでしょう。
○村田(良)政府委員 日韓両国は特に大陸棚条約第一条の規定を頭に置いて交渉したということではなくて、むしろそれより以前からずっと存在しております国際慣習法に基づく大陸だなという概念を基礎として交渉したわけでございます。
○土井委員 その以前にある概念が、先ほどの御答弁では集大成されて大陸棚条約となった。少なくとも日本は慣習国際法として大陸棚条約の一条というものを認識している、こう御答弁になったのじゃありませんか。いかがです。
○村田(良)政府委員 先ほどの私の答弁が若干舌足らずであったかと思いますが、私の申し上げておりますのは、大陸棚条約第一条の「領海の外にある海底区域であって、」という部分は、明らかにそれまでの国際慣習法を法典化したものであろうと思います。大陸棚条約のその他の規定がすべて同様のものであるというふうにはわれわれは考えておりません。
○土井委員 私の質問に対して御答弁をいただければいいのであって、余分なことは一切不要です。大陸棚条約の一条というものに対しては、日本は加盟していないけれども、慣習国際法としての認識を持っていらっしゃる、こういう趣旨の御答弁があったでしょうねと私は言っているのです。そのとおりですよ。そうおっしゃった。いかがです。
○村田(良)政府委員 そのように答弁したと思いますが、しかしながらその趣旨は、まさに先ほど申し上げました「領海の外にある海底区域」ということを頭に置いて申し上げたわけでございまして、水深二百メートル等々の部分につきましては、その後の国際慣習の変遷に基づきまして五八年の大陸棚条約はすでに現実に適合しないものになっているというふうに思います。
○土井委員 適合するかしないかという問題は別として、これに対しては過去、日本は慣習国際法としての位置づけで見てこられたというふうに認識をしていて間違いないと私は思うのです。いままでのこの外務委員会でのこの関係の一連の質問、答弁について、それはそういう趣旨の答弁が繰り返し出ているわけでありますから、そういうふうに認識をさせていただいて間違いがないと思うわけでありますけれども、そういうことから言うと、国際慣習法というふうに認識している大陸棚条約の第一条の内容に言うところと、特定の二国間で取り交わされる協定というものは、一体どちらを優位に見るべきか。
 私は、先ほどの御答弁の中にも出ておりましたけれども、少なくとも一般法と特別法の関係から言うと、この大陸棚条約の一条、まさしく日本は過去において慣習国際法として認識してきたことを一般法と言うならば、この二国間の協定というのは特別法視しなければならない。言うまでもなく、特別法を一般法に優先して考えるというのは法理ですよ。この点からしますと、ただいまの大陸棚条約というものの内容に対して、締結するとしないとにかかわらず、日本が過去慣習国際法としての認識を持ってきた、つまり一般法として大陸だなというものを考えていく場合の準則をそこに求めてきたというふうな具体的事実に即応して考えていくなら、いま日本と韓国との間のこの協定というものを優位に置いて考えていかなければならないんじゃありませんか。
○村田(良)政府委員 もしもわが国と韓国とが九州の西方のある水域を画定いたしまして、そこに共同開発の制度を設けるということだけを合意したのでございましたら、あるいは先生のおっしゃる一般法と特別法という関係が発生するのかもしれませんが、この協定はあくまで日韓双方が大陸だなというものを頭に置きまして、これを対象として取り決めたものでございます。したがいまして先ほどの一般法と特別法という関係はこの際には妥当しない、特別法だけの問題であるというふうに考えます。
○土井委員 しかしながら、大陸だなという認識があって初めて共同開発区域についての区画という問題が出てくるわけですね。大陸だなというものに対しての認識をどう持つかという場合には、先ほど準則として考えてこられた慣習国際法としてある大陸棚条約の第一条というのは無視してかかるわけにいかないわけでしょう。これはいわば一般法的存在ですよ。それに対していま問題になっている共同開発の区域を考えるに先立って設定されるはずの大陸だなに対する認識というものは、二国間で協定を結んで具体的に内容を考えていこうという内容になっているわけでありますから、これはやはり一般法と特別法の関係に置きかえて考えていかなければならない内容だと私は思います。
 そういう点からすると、大臣の去る四月六日の発言の内容を見ていきますと、こういう部分がある。「国際法上の大陸だなそのものの範囲が変更を受けるのでありますから、国際法の原則によって協定の対象区域は自動的に変更を受けるわけであり、このことについて韓国との間で本件協定の手直しを行う必要はないのであります。」こうなっている。そしてしかも、これは初めの部分に出てくる内容でありますけれども、「領海法が成立し、現在の共同開発区域の一部がわが国の領海となりますと、その部分は、わが国の国家領域の一部となり、大陸棚条約第一条で「領海の外にある海底区域」として定義される国際法上の制度としての大陸だなではないこととなります。したがって、当該部分については当然に共同開発協定の対象外となります。」「当然に」と言われているのです。したがって、そういう「当然に」という表現をおとりになるのならば、一般準則として考えられてきた大陸棚条約第一条に対しての認識をどのように持ってこられたか、慣習国際法というふうに認識をせられてきたことを変えてもらわなければ困るのです。これをやはり慣習国際法というふうな位置づけでごらんになり、日本が大陸だなを設定する場合に一般準則としてこれに従って考えるというふうな立場をおとりになっている限りは、日韓間において二国間で結ばれる協定の内容については、やはり一般準則よりも特別法の方が優先するわけでありますから、したがって、ここに言うところの「当然に」というのは当たらないのですよ。特別法の中で設定することの方が優先的に考えられなければならない。その特別法の中で何を言うかということが、事実を決定する順位から言うと優位にあるということになるわけでありますから、ここに言うところの「当然に」という表現は当たらない、このように思うわけでありますが、いかがですか。
○村田(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、この協定はあくまで両国が大陸だなを対象としてその一部分を共同開発にするということを決めたものでございます。他方、日本と韓国は、それぞれ大陸だなというものは領海の外にあるものであるという点については見解が全く一致しており、かつそのことは国際法の一般的なルールと考えているわけでございます。その国際法の一般的なルールを当てはめますと、共同開発区域の一部分が近くわが国の領海となるわけでございます。したがいまして、両国が交渉の対象としておる大陸だなというものは自動的にそれだけ縮少するということは当然のことでございまして、したがって「当然に」とか、あるいは「自動的に」という言葉を使ったわけでございます。
○土井委員 「当然に」じゃないでしょう。特別法が変わらないとその点は変わらないんじゃないですか。つまり、領海が変わらないとその点は変わらないわけでしょう。領海の認識をその特定の協定の中でどのように考えるかによって変わってくるんじゃないですか。一般準則が変わることによって変わるんじゃないですよ。特定の協定の内容が変わることによって、つまり領海の内容が変わることによって、その領海の内容が、特定の協定の内容によって認識されることによって、変わることによって、この大陸だなの内容というものは変わってくるんじゃないですか。したがってそういう点から言うと、この外務大臣の発言の「当然に」というのは当たらない、私はこのように思います。いかがですか。これは外務大臣が発言されたんですから、外務大臣に御答弁願います。
○鳩山国務大臣 ただいまの論争点は、一般法か特別法かという御趣旨と思いますが、大陸だなとは何ぞやということにつきまして日本と韓国間では何ら協定をしていないわけでございます。もし特別に日本と韓国だけに、大陸だなというものはこういうものであるという特約でも結びますと、恐らくその特約というものは、一般法がいかにあろうとも大陸だなは日本と韓国の間ではこういう大陸だなだ、こういうことになろうかと思うのでありますが、その点ではなくして、ただいま問題になっておりますのは、この共同開発区域をいかに決めるか、こういうことでありまして、その大陸だなというものにつきましては、一般的な観念の大陸だなを採用していることは文理上明らかだと思うのであります。そういう意味で、大陸だなというその中におきまして双方が自分の方の管轄権の及ぶ大陸だなであると、こう主張していたところのその共通の部分につきまして共同開発をしよう、こういうことで協定ができたわけでありますから、したがいまして、その基礎にあります大陸だなという観念、これが、日本が領海を十二海里にすることによりましてたまたまごく一部が日本の領海の中に入るということでありますので、その大陸だなの観念につきましては両国政府で異存がない、これは一般の国際慣習法のとおりである、両国ともその一般法というものを認めているわけでありますので、一般法と特別法の関係ではないというふうに、これはぜひとも御了解をいただきたいと思う次第でございます。
○土井委員 外務大臣は先日の御発言の中で「大陸棚条約第一条で「領海の外にある海底区域」として定義される国際法上の制度としての大陸だなではないこととなります。」という御発言があって、この大陸棚条約の第一条というものを、いま「観念」という言葉を使われましたけれども、一般的大陸だなに対する観念として認識をされていることは明確であります。そうですね。韓国側もそのように認識をされているというふうに外務大臣は認識をされているようであります。そうですね。
 そうしますと、これはいかがなんですか、こういう大陸棚条約というものの第一条で規定をしている内容が、大臣の表現として「観念」という言葉をお使いになったわけだから、それを使わせていただきますけれども、大陸棚条約に対する一般的観念としてあるわけですね。この一般的観念にそぐわない取り決めはできないということなんですか、いかがです。
○鳩山国務大臣 大陸だなとは何ぞやということにつきまして、そもそも相当な議論のある問題でございますから、二国間だけで特約を結ぶというようなこともできないことではなかろう、観念的にはそう思います。
○土井委員 そうすると、二国間でこの準則に必ずしも合致しないものも締結をすることは可能なんですよ。そうですね。二国間で可能なんですよ。つまりいそういう点から言うと、二国間で協定をする中身の方が、いま大臣が言われた大陸だなに対する観念よりも優位に考えられなければならない、こういうことだと思うのですよ。そうでしょう。そうしますと、この大臣の発言で言う、したがって、当該部分については国際法上の制度として大陸だなというものが認識されているんだから、この領海の外にある海底区域として定義される国際法上の大臣の言われる観念からすれば、「領海の外にある海底区域」というふうに大陸だなを考えているので、領海が変われば当然に共同開発区域の対象外となると言われるこの「当然に」というのは、間違っているということになりはしませんか。これは「当然に」じゃないですよ。日韓間で特別の取り決めをやったらこの内容をひっくり返すことはできるんじゃないですか。したがって「当然に」とは言えないですよ。
○鳩山国務大臣 たびたび申し上げますが、大陸だな自身といたしまして、日韓間にその観念におきまして差異がないわけでございます。したがいまして、本件の生じ来った経過等につきましてはあるいは後刻御質問があろうかと思いますけれども、日韓間で大陸だなの観念につきまして特約を結ぼう、こういう意思は双方ともなかったわけでございます。その点だけは御了承いただきたいわけであります。
○土井委員 いろいろといかに言い逃れをしようかというふうな御答弁が続くわけですから、その点は幾ら言っても理屈に合わない答弁というものが出てこようと思います。
 一つ聞きたいと思うのですが、後法と前法というのは、いずれが優位するのですか。
○村田(良)政府委員 法の一般ルールといたしましては、後法が前法に打ちかつということでございます。
○土井委員 そこで、日本が領海三海里から十二海里へということを考えつつある。現に今国会においては領海法案というものを国会に提出をして、しかもいま審議を急いでいる最中です。一日も早くと急がれている。こういうふうな事情にあるということを早くから外務省は御存じであって、そして先日の大臣発言の中にもその趣旨は生かされているわけでありますけれども、この大臣の発言の中で、すでに韓国政府に対して、「領海拡大の結果、共同開発区域の一部がわが国の領海となること、したがって当該部分が当然に共同開発協定の対象外となることについて」「通報済みでありますが、」と書いてあるんです。しかも、このようにお読みになったことを私自身もこの席にいてはっきりこの耳で拝聴したわけでありますが、この「通報済み」とおっしゃっているのは、その後に確かめられた結果、二月十四日という日が出てまいりました。日韓大陸棚協定に対して今国会で当委員会に対して提案理由の説明がされたのは三月三十日の日であります。すでに韓国に対してこのように重要な問題、この協定の中身から言うと、まさに共同開発の区域が変わるという基本的な部分についての韓国に対する通報を済ませていらっしゃるにもかかわらず、この三月三十日の提案理由の説明の中にただの一行も、半行も、一言も説明として出てこなかったという理由はどの辺にあるのですか。なぜこれは理由の説明の中に入れられなかったのですか、このことについて大臣にお尋ねをいたします。
○鳩山国務大臣 提案理由の御説明を申し上げる際には、そのような問題のあることはもちろんわかっていたわけでございます。しかし、領海法自身の法案がまだ決まっておらなかったということとともに、その点につきましては質疑応答の過程で明らかにいたしたい、こう思っておりましたので、提案理由には述べなかったところで、全く他意はない次第でございます。
○土井委員 他意のない過ちというのがあるわけであります。他意があったら大変ですよ。それ自身大問題です、政治問題として。しかし他意のない過ちも、実は大臣の行為としては許されないのです。行政行為としてはこれは過ちは過ちとして許されないのですよ。当委員会に対してこの提案趣旨説明というのは三月三十日でしょう。問題は、これは本協定に対して基本的な問題じゃないですか。共同開発の内容が変わるわけですからね。しかもそれは、まだその時点では具体的になってないとおっしゃるかもしれないけれども、すでに韓国に対して通報されているという事実は具体的にあったのです、二月の十四日に。そうしてしかも、この通報に対して韓国政府もわが方の見解を了承する旨を明らかにしております、こうきているのですよ。こういう事情があったのでしょう。これをちゃんと発言の中でおっしゃっているのだもの。どうして三月三十日の日の提案趣旨説明にこんな大事な部分というものが説明されなかったか。これは他意はないでは済みませんよ。どのようにお考えですか。
○中江政府委員 日本側が韓国に対して、近く領海を十二海里に拡張するかもしれないということについてあらかじめ話をしたということは事実でございますが、それは日本と韓国とは直接海域を接しておる、しかも狭い海域を接している隣国同士でございますので、その影響するところは日本が一方的に拡張しただけで済まない領海の拡張の問題で、これは主権の拡張の問題でございますので、この点についてはできるだけ早い機会に、日本としては近くこういうことになるかもしれないということを通報したというのが韓国に対する通報であったわけでございます。そういうふうに領海が拡張しました結果、共同開発区域の一部が当然――先生は当然というお言葉をお使いになりませんが、私どもとしては当然の結果として外れてくるということは、私どもの立場からしますと、先ほど来村田参事官がるる説明しておりますように、それは当然のことなのであって、日韓ともに、この協定の交渉をいたしますときから、大陸だながどこから始まるかということは一度も議論をするまでもない明らかなことであって、そのことはすなわち領海の外側に延びていく一つの大陸だなということでありますので、その点については事柄はきわめて明白であるという立場から、いま大臣が御説明になりましたように、提案理由説明の段階ではあえてそういうことを取り上げるまでもないのではないかという判断があったわけでございまして、その点についていろいろ御疑念がありますれば、それは審議の過程を通じて私どもの立場を御説明しよう、こういう考慮があったわけでございます。
○土井委員 疑念があるなしの問題じゃないのです。状況が変わるわけじゃないでしょう。協定第二条の中身が変わるという事実問題が通報という形を通じて日韓間で話し合われておるわけです。協定第二条が変わるという中身を話し合われているわけです。その懸念は、何かと言えば審議を通してと言われるけれども、協定自身が変わるという事実問題について通報という形において話し合われたということは、提案の理由を説明される際にやはりこの中には説明要件として当然入れなければならないことだと私たちは思います。要らないことをこの今回の八十回国会では提案理由の説明の中におっしゃっているのです。たとえば「第七十二回国会及び第七十五回国会に提出され、その後、第七十六、七十七、七十八回国会において審議されましたが、審議未了となって今日に至っている」要らないことです、これは。国会での審議の中身に対して政府が提案するとき一々御丁寧にこんなことを言うことは、私は不要だと思う。政府は提案なさる立場ですよ。国会はそれを審議するのだ。したがって提案の趣旨説明に際しては、いま大臣が去る二月の十四日にすでに日韓間で通報された中身によって、協定の第二条というものが日本の領海が変わることによって変わる可能性のあることが確かめられたのならば、そのことをやはり提案理由の説明の中では明確に述べることの方がよほど大事だし、そのことが全然なされていないということはこれは大問題だと私たちは思っています。大臣はこれについてどのように感じていらっしゃいますか。
○鳩山国務大臣 提案理由の御説明が不十分であった、こういうおしかりをいただいたわけで、それに対して私自身とやかく申し上げるつもりは毛頭ございません。提案理由の御説明はなるべくわかりやすくするのが説明者としての義務であろう、こういう点から申しまして、その点に触れなかったことは、それは申しわけなく思いますが、提案理由というのはえてして余り長いのは御迷惑でありますので簡潔にいたすのが従来の提案理由のやり方でございますし、またこの問題は、触れますと相当長々と御説明しないとまた御理解もいただけない問題でありますので、これは質疑応答の過程で十分御理解をいただきたい、こう思っていたところでございますので、何とぞ御寛容のほどお願いを申し上げる次第でございます。
○土井委員 これはわかりやすくということよりももっと大事な要件があるのです、外務大臣、そうでしょう。正確に、しかも事実に対して提案説明をなすべきことを十分にというのがこれは大事です。この点から言うと、これはどうも不正確というそしりは免れないかもしれない、不十分というそしりは免れないでしょう。これはひとつはっきり申し上げておきたいと思います。
 さて、口上書というのはどういう性格のものですか。
○村田(良)政府委員 口上書の定義というのは特にございませんが、一般的に申しますと、外交事務を処理する外交文書でございまして、外交機関、すなわち外務省であるとか大使館であるとかの間で交換される文書でございます。
○土井委員 いままで口上書というものが使われた例というのをひとつ挙げていただけませんか。
○村田(良)政府委員 口上書と申しますのは非常に広範な目的のために使われるものでございまして、外交事務の日常の処理、たとえば館員の着任といったようないわば事務的な問題にも使用されますし、また非常に重要な政治的な見解の表明というものにも用いられるわけでございまして、一つ、二つその重要なものの例を申し上げますと、たとえば核兵器不拡散条約を批准いたしました際にわが国は政府声明というのを出したわけでございますが、この日本の核兵器不拡散条約に関する基本的な立場を世界各国に通報する手段は口上書によったわけでございます。
○土井委員 口上書というものの効力はどういうものですか。
○村田(良)政府委員 先生の効力とおっしゃる御趣旨が必ずしもよく理解できていないかもしれませんが、外交文書でございますので、それを発出する国の見解を正確に述べた文書であるということでございます。
○土井委員 見解を申し述べたにとどまるので、これによって拘束を受けるというふうなことはないんですかあるんですか、いかがですか。
○村田(良)政府委員 それは、その口上書の内容によることだと思われますが、通常、国家が相互に法律的に拘束されるという場合に口上書の形を用いるということはきわめてまれなことでございまして、通常は条約とか協定とか交換公文という形で拘束力のある取り決めをするのがならわしでございます。
○土井委員 竹島問題について、日本側から韓国に対して何回となく抗議をなさっていると思うのですが、何によって抗議をされているわけでございますか。
○中江政府委員 口頭によります場合、文書によりますときには口上書を使っております。
○土井委員 その口上書を出しまして、それに対して返答がございましたか。また、その口上書に縛られるような韓国側の態度というのは、いままでございましたでしょうか。
○中江政府委員 口上書は、先ほど村田参事官が言いましたように、当該国政府の意思なり意向が表明されている文書ということでございますので、日本は口頭によって抗議を申しますと同時に、口上書によって抗議をすることによってそれを記録にとどめていく、それに対して韓国側が単に受領を確認する口上書を出すときもございますし、それに反発の口上書を出すときもございますし、そのまま聞きとどめておく、記録にとどめておくという場合もございます。
○土井委員 竹島問題についてはどうですか。韓国側はそれによって覊束されていますか、どうですか。
○中江政府委員 私どもが韓国に対しまして口上書を出します意味は、日本の抗議の意図を明白に韓国側に伝えるということでございまして、韓国側にそういう文書によって日本の意図を鮮明にしておくことが、将来いつの日か韓国との間で本件の外交交渉をいたしますときに、十分に重みを持ってその書類が物を言う、こういう発想から来ておるわけでございまして、抗議の口上書を出したからそれに拘束される、そのとおりと認めるというようなこととは関係のないことだ、こういう口上書の使い方でございます。
○土井委員 何ら効力を期待されない、そういうこととは関係のない口上書だというふうに理解をさせていただいてよかろうと私はいま思うわけでありますが、すでに外務省が、「行政取極に使用されている名称の種類について」というのを文書化して出していらっしゃいます。これによって順を追って見てまいりますと、「我が国が締結している現行の行政取極に使用されている名称には大要左記のような種類がある。」とありまして、「協定取極 議定書 交換公文 合意議事録 了解覚書憲章 規程 規約 宣言 実行計画」これだけが載っているのですが、口上書というのはどこをどう探してもないわけであります。つまり、行政取り決めに使用される内容として、外務省当局は口上書というのは認識されてない。出してみたところで、これによって覊束力は期待できない。口上書によって意思を示すというのにとどまるのであって、言いっ放しであって、これに文句の言いようがない。
 そこで、お尋ねいたしますが、今回のこの口上書というのは、日韓大陸棚協定と不可分一体のものなのかどうなのか、この口上書の内容と違った取り扱いが、すなわち事実上いまの協定どおりに第二条というものが行われた場合、今回のこの口上書というのはどのような効力をその場合発揮するのでありますか、いかがなものですか。
○中江政府委員 ただいまの御質問の中の御発言に、すでに先ほど来明らかになっております私どもと先生との認識の違いが出ておるかと思いますのは、この口上書の有無にかかわらず日本の領海が拡張されますれば大陸棚協定で言う大陸だなの範囲そのものが自動的に当然にその部分だけ適用の対象でなくなるというのが私どもの立場であり、そのことについていろいろ御疑念もあるかということでございましたので、念のためにしかるべき文書によって韓国との間にそのことを確認するというのが、この口上書の往復でございまして、これは新たな合意でもなければ、これが不可分一体でなければ日韓大陸棚協定の適用上支障があるというものではなくて、ここにまさしく書いてあるとおりのことをお互いに確認し合うための口上書の往復と、こういうことでございます。
○土井委員 いまの御答弁では、この協定の内容がすなわちこの口上書によって変わることではないという趣旨のほどがうかがわれました。口上書によって事情が変更するということを確認したにすぎない、そういう問題であろうと思います。
 共同開発区域を設定されるに当たって、一九七四年一月三十日、当時、将来日本の領海は十二海里になるであろうということを外務当局は考慮をされていたに違いないと私は思うわけであります。なぜか、領海十二海里というのは世界の趨勢でございますから、そういう点からすると、一たんこの協定が発効すれば、先五十年間これに拘束を受けるわけでありますので、領海十二海里にその間には必ずなるということくらいは予想しておいて当然だと思いますが、外務大臣これはどういうようにお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 現実にその当時予想したかどうかということは、これは当事者に聞いてみなければなりませんことでありますけれども、領海が十二海里になるということがすでに国連海洋法会議等でも問題になっておりましたので、そのようなことは予測し得た状態ではなかろうかというふうに考えます。
○土井委員 一九七四年の一月三十日、この協定に調印をされるその段階では、外務当局としては恐らく私は領海十二海里になるということも念頭に置きながら、この大陸だなの範囲であるとか共同開発区域について思いをいたされたであろうと思います。そのことはすでに外務委員会の議事録によって確かめることもできる。五十一年十月二十二日の当外務委員会の議事録によりますと、「男女群島につきましては、女島から十二・三海里、鳥島につきましては、これが男女群島に含まれるかどうかは別といたしまして、十二・一海里というふうに承知いたしております。」こういう答弁がございます。したがって、この当時、領海十二海里になっても大丈夫だという認識で恐らく地図は引かれた、このように考えなければならないわけです。
 鮫瀬島を領海を測定する基点にしなければならぬという事実にお気づきになったのは一体いつでございますか。
○中江政府委員 領海の基線として気づいたという時点は、これは日本の領海を十二海里に拡大するということが非常に具体性を持ってきました時点で、日本の周辺沿岸全域につきまして精密に十二海里に拡張したときの地図を作製する、その準備作業の段階で鮫瀬という地域が領海十二海里の基点として計算された、こういうことではないかと思います。
○土井委員 それはいつごろのことですか。
○中江政府委員 そのことは、実は領海の線引きは外務省の所管でございませんので、所管の官庁の方でいつそれを順番に線を引かれたかは私からはわからないわけでございます。
○土井委員 当初、女島を認識し、鳥島を認識されてきたその責任官庁はどこでございますか。
○中江政府委員 いま言われました男女群島を意識したという意味は、領海の拡張ではなくて、大陸棚協定との関係で男女群島をどういうふうに認識したかという御質問でありますとすれば、韓国との間でこの地域の大陸だなに対する管轄権の重複するところはどこかということを具体的に地図に即して線を引いていただいた、その主管官庁といいますか、それを依頼いたしました先は海上保安庁であったわけでございます。
○土井委員 海上保安庁さんは御出席でいらっしゃいますね。「千九百五十五年十二月の日本国海上保安庁海図第二百十号を基礎とする」これは、この協定の参考として出されている日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定についての合意された議事録、この2というところにははっきり明記をされているわけでありますが、この「海図第二百十号を基礎とする」とあるが、これを使用した理由は何でございますか。
○間政府委員 海上保安庁が外務省から依頼を受けまして作業を行ったわけでございますが、そのときに私どもが依頼を受けました作業は、適当な海図を使って緯経度の座標で示された共同開発区域をその海図に記入するということと、同じく適当な海図を使用して図上で日韓及び日中の等距離中間線を作図するという、こういうことでございました。そこで、まず適当な海図ということにつきましては、海図というものはいろいろと使用目的がございますので、これは先生よく御承知と思いますが、いろいろ縮尺の違うものがあるわけでございます。今回ここで問題になりましたような作図を海図の上にいたしますのには、要件といたしまして、日本側それから韓国側それから対岸の中国側、この三つの地点が一つの海図の上に入っておらないとこういう作図はできないわけでございます。そこで、そういう作図のでき得る海図ということになりますと、現在、これは当時もそうでございますが、存在しておりました使用し得る海図は二百十号、縮尺で申しますと百五十万分の一、この海図であったわけでございます。そこでこの海図を使用したわけでございます。
○土井委員 その海図二百十号という適当な海図に鮫瀬という島はございましたか。
○間政府委員 この鮫瀬はその当時入っておりませんでした。
○土井委員 それでは、先日私たちが当外務委員会において外務省よりいただいたこの地図は何と言う地図なんですか。これは鮫瀬島がちゃんと入っていて、鮫瀬から領海十二海里をコンパスで引くとこのようになるという地図でありますが、少なくとも海図第二百十号でないことは確かであります。これは何と言う地図なんですか。
○間政府委員 それは私どもが差し上げたのではございませんので、ちょっと拝見させていただかなければわかりませんが、いろいろと縮尺が違いますと当然入っておるのがございます。百五十万分の一については入っておらなかったわけでございますけれども、その沿岸の部分の、たとえば五十万分の一とかあるいは七万八千分の一とかいろいろと大縮尺のものがございまして、それには入っております。
○土井委員 そうすると、このいただいた地図というのは海上保安庁さんの御存じない間にわれわれの手元に配られたという関係にあると理解していいのですか。
○間政府委員 外務省からのお求めがございまして私の方から外務省の方にお出しをした海図でございます。
○土井委員 そうすると、これは海図二百十号でないことは確かですね、先ほど二百十号に鮫瀬がなかったとおっしゃるのだから。何という地図ですか、何という海図ですか。名称を言ってください。
○間政府委員 海図百八十七号でございます。
○土井委員 そうすると、まず第一に、その地図によって領海を考えていくということでありますから、この参考の文書の2というところは書きかえられなければならないわけですね。少なくとも海上保安庁海図二百十号によって考えるということじゃないわけですからね。この点は改定をしなければならないわけでしょう。
○間政府委員 ただいま申し上げましたこの海図、いま鮫瀬が入っておるこの海図は、縮尺の大きな海図でございまして、これを使いましたのでは問題の場所は入らないわけでございます。何といいますか、大陸だなの区域を入れるための海図といたしましては、先ほど私が申し上げましたように、日韓中というこの三国が一つの海図の上に載っておらないとぐあいの悪い海図でございますので、それのためには二百十号という海図しか使えない。ただ部分的には、大縮尺の海図がございますので、たとえば、いま一つの問題でございます日本の領海が十二海里に拡大された場合の共同開発区域の線との関係、こういったものはいま先生のおっしゃいましたその海図の上に出ておる、こういうことでございます。
○土井委員 御答弁、おかしいことをおっしゃると思うのですよ。これは領海の幅を測定するための通常の基線というものをどこに置くかということが問題になるのでしょう。かつての海上保安庁海図二百十号には鮫瀬はなかったのですよ。今度は、鮫瀬というものを領海を測定するための基線としてそこに置いて十二海里というものを測定するわけでありますから、鮫瀬のある地図を使用しなければならないはずです、海図を使用しなければならないはずです。鮫瀬の入っておる海図というのは少なくとも二百十号じゃないのだから、鮫瀬の入っておる地図を使わないと、いま十二海里を測定するのに対して問題にならないじゃないですか。そうすると、すでにわれわれの手元にある、協定を審議するのに対して一体として配付されている参考の2という項目の内容は変わるということでなければならないわけでありますが、いかがですか。余分なことを言わないで答弁だけはっきり言ってくださいよ、質問に対する答弁を。
○間政府委員 鮫瀬はこの協定をつくりました当時は二百十号の海図に入っておりませんでした。しかしその後、これは補正をいたしまして、その二百十号の中に鮫瀬を入れております。したがいまして、現在はこの二百十号という海図の中には鮫瀬は入っておるわけでございます。ただ、それは非常に小縮尺の海図でございますと、その位置関係が非常にわかりにくいのでございまして、そこで具体的に領海十二海里の線と共同開発区域として協定に取り入れられた線との関係を示せば、この百八十七号の海図のようなことになる、こういうことでございます。
○土井委員 鮫瀬を領海を測定する基点にしなければならないということにされたのは一体いつですか、そしてそれにいつお気づきになりましたか。そうしてさらに、それに従って地図の補正をいつなさいましたか。
○間政府委員 四十九年の三月の二十三日にこの補正をいたしております。
○土井委員 四十九年というのは昭和四十九年ですか。その辺は明確にお願いしますよ。
○間政府委員 昭和四十九年でございます。
○土井委員 その時点にその海図を改定をされたわけですね。私どもの手元に配られておりますこの文書の2によりますと、「千九百五十五年十二月の日本国海上保安庁海図第二百十号」と、こうございます。したがって、改定されたのは、名称は同じ海図二百十号でも、五五年の十二月の改定じゃないでしょう。その後改定されているのですからね、この内容は変えられなければならないと思いますが、いかがですか。
○間政府委員 いま先生のおっしゃいました海図の年月は、これはその海図がつくられたときの年を入れておるわけでございまして、この海図というものは、いろいろな状況が変わりますとそのつど補正をいたしていくわけでございます。しかし、補正はいたされましても、海図そのものの呼び方といたしましては、それがつくられたときの年とそれから海図番号というもので呼んでおるわけでございます。
○土井委員 それでは、この第二条1及び協定の付表に定める地図上の座標をつくられた当時の一九五五年十二月のこの海上保安庁海図二百十号の中身は、いまある海図二百十号とは違うわけですね。これだけは明確にお願いしますよ。
○間政府委員 違います。
○土井委員 その点は一体いつ認識され、そして韓国側とその問題について話し合いをされましたか。海図の改定された日はわかりました。いつ認識されて、それについて韓国側と話し合いされたかどうか。
○間政府委員 鮫瀬が存在するということは、これはその二百十号には載っておりませんけれども、他の大縮尺の海図には載っておるわけでございますので、海上保安庁としては、鮫瀬というものがあるということは、これは承知いたしております。その後、二百十号という海図自体について、これもやはりその鮫瀬を入れた方がよろしいというふうに考えまして、この鮫瀬を海図の上に追加したわけでございます。しかし、そのこと自体については韓国側との話し合いをいたしておりません。
○土井委員 ほかの海図にはあった、だから認識をしていた、しかし二百十号という海図にはなかった、そしてその後二百十号に鮫瀬を入れた、単にそれだけの問題では済まないのですよ。日本の領海をどこに基点を置いて測定するかという問題にかかわる大問題がここにあるわけでありますから、当時、女島というものを基点として日本の領海三海里をはかられたということは、海上保安庁の海図二百十号からして明確であります。そうしてこの協定の第二条の中身を設定する場合の座標について、この一九五五年十二月の日本国海上保安庁海図二百十号、つまり鮫瀬のない海図を使用されたということも事実であります。このことは確認をしていただいていいと私は思いますが、いかがですか、確認できますね。
○間政府委員 鮫瀬の入っていない海図二百十号を使ったということは、そのとおりでございます。
 それからわが国の領海が……
○土井委員 それでいいです。
 すでに外務委員会の答弁の中でもはっきりしてきているわけですけれども、この共同開発区域の中の東側の線、九州から奄美大島に面する線、座標九から座標二十を経て座標一に戻るこの線をずっとたどってまいりますと、一九七〇年に韓国側が一方的に設定をした境界線であるということは、座標の九から二十についてはっきり答弁の上でも確認をされているわけであります。結果的に見ると、これは韓国側が男女列島の女島から引いた線を日本側もうのみにして当時海図の上で領海の測定をしていた、このように前後を合わせてくるとはっきりと認識をすることができるわけでありますが、この点はいかがですか。
○中江政府委員 先生の御質問の中に、あるいはこの海図二百十というのが日本の領海を測定するときに使った地図であるという御認識があるといたしますと、それはそうではないのでございまして、この南部の大陸棚開発協定が明らかにしておりますように、この海図二百十というのは、日韓が大陸だなに対する主権的権利を主張しておるその重複したところを海図の上に座標で示すとどうなるか、緯度経度でどの点を結んだところが日韓双方で重複しているかという作業を海上保安庁にお願いして、そのときに、先ほど来御説明がありましたように、この地域を一目瞭然に地図上にあらわし得る地図としては二百十号があったということで、それが即この協定で海図二百十が引用されているゆえんであります。したがって、この海図は日韓両方の大陸だなに対する主権的権利の主張の重複をあらわしておるということで、その海図が即日本の領海測定あるいは大陸だなの距離をどうするかというような観点から使われた地図でない。そこのところはひとつ正確に御認識いただきたい、こう思うわけでございます。
○土井委員 これは異なことをおっしゃいますね。もう大臣の発言からしてもはっきりしているとおり、大陸だなというものはそもそも領海としている外側の区域じゃないですか。したがって、領海がどこまでであるかということの認識が大陸だなについて主権的権利というものをどういうふうに認めていくかということに先立つ問題として設定されてないと、お話にならないのですよ。だから領海の測定をするのに対してどこに基点を置くかというのは、これはABCであります。したがいまして、この海図にしても、日本の領海を測定する基点をいずれに置くかというものは、まず大陸だなを認識するに先立ってはっきり確定をしておかなければならない問題じゃないですか。したがいまして、いまの答弁というのは答弁にならない。おかしなことをおっしゃるものだと私は思います。大臣、いかがですか。大臣、答弁してください。――大臣。
○竹内委員長 中江アジア局長。
○中江政府委員 ちょっと大臣の御答弁の前に一言……(土井委員「いや、もういいですよ」と呼ぶ)異なことをおっしゃるとおっしゃられますと、私は異なことを言っているつもりでないので、一言だけ申さしていただきたいのですが、領海の測定の場合にどの地図を使うか、これは海上保安庁が最も精緻な地図に基づきまして三海里なら三海里、十二海里なら十二海里の測定をされるわけでございまして、当時韓国が大陸だなに対する主権的権利を主張しておりますところが仮に日本の領海三海里を侵しておりましたら、これは当然日本としてそれをそのまま認めるというわけにはいかないことは明らかなことでございまして、この協定を締結しまして、いまもそうでございますが、国際法上日本が公式に主張しております領海が三海里の主張である、そういう前提のもとで大陸だなの共同開発の座標を決めるという意味で二百十号を使ったわけでございまして、そのことが日本の領海を測定する地図にもこれで当たるべきであるというふうにはつながらないということを私は申し上げたわけでございます。
○鳩山国務大臣 いまアジア局長からお答え申し上げたとおりでございます。要するに、この大陸棚協定をつくりますときに、二百十号という海図、これを使うことが一番便利であるということで使ったわけでございます。その二百十号の海図には、岩礁が二つあるということがその大きな海図には載ってなかった、こういうことで、さらに詳細に、十二海里領海を設定しようとした場合に備えて、十二海里の領海拡張に備えて精密にやった場合と二百十号を使った場合との間に差が出てまいった、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。
○土井委員 それは、いまの答弁で海上保安庁と外務省とのやりとりというのが少し明らかになってきたわけでありますが、少なくとも私たちが外務省を通じていただいた海図の上では、三海里の領海を示す円は女島を中心にしてはかられております。これははっきりしておる。また、かつ外務委員会においての御答弁にも、男女群島につきましては女島から十二・三海里、鳥島につきましては、これが男女群島に含まれるかどうかは別といたしまして、十二・一海里というふうに承知いたしております、という外務省答弁もあるわけであります。したがって、当初、十二海里になったとしても、いまの共同開発地域の中に日本の領海が入るはずはないという御認識を外務省としては持ってこの問題に臨まれていたということだけははっきり確認ができると思う。いかがです。大臣、いかがです。――もう局長は結構。大臣、いかがです。
○鳩山国務大臣 当時とおっしゃいますと、私おりませんでしたので、むしろアジア局長の方が正確な答弁ができると思いますので、お聞き取りいただきたいと思います。
○土井委員 これは、いるいないの問題じゃありません。大臣として、外務省の、所管官庁の最高責任者じゃないですか。事この協定に対しての審議を促進してくださいとおっしゃっておられる大臣ですよ。したがって大事なこの部分について、外務省の当時の見解がどうであったかぐらいはひとつはっきり自分のこととして知っておいてもらわないと用に立ちません。大臣、御答弁をお願いします。
○鳩山国務大臣 御指摘でございますけれども、領海を十二海里に拡張しようと、一般的に先ほど来国連海洋法会議等のいろいろな動きがあったわけでありますけれども、それが具体化いたしましたのはその後のことでございますので、そういう前提で正確にわが方の領海を見直そうと、こういうことをやったわけでございますので、したがいまして、当時といたしまして領海の将来におきます拡大というものは頭の中にはあったに違いないのでありますけれども、この二百十号の地図を用いましてもそう大きくは変わるまい、こういう認識があったであろうということを私としては想定をいたしております。
○土井委員 そう大きくは変わるまい、しかしながら女島を中心として領海は測定してきた、このことは地図や答弁でもはっきり確かめられておりますから、このことの御確認をひとつ大臣からしていただいて、最後の質問を私はしたいと思います。いかがです。
○鳩山国務大臣 当時、鮫瀬を基点として作図をしないで女島を中心としたであろうというふうに考えております。
○土井委員 さて最後に、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案、この特別措置法の所管省はどこでありますか。
○古田政府委員 通商産業省でございます。
○土井委員 この法律にいう「共同開発区域」とはどこをいうのですか。
○古田政府委員 同法案第二条第二項におきまして、「この法律において「共同開発区域」とは、協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域をいう。」というふうに書かれております。
○土井委員 いまおっしゃったとおり、第二条の第二項において「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域をいう。」とございまして、ここに口上書とか付属とかいうふうな表現が書いてございませんね。このことはひとつ通産省として御確認を願いたいと思いますが、いかがですか。
○古田政府委員 書いておりませんが、この「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」につきましては、協定の解釈に従います。
○土井委員 「協定」と「協定の解釈」というのは違うのですか。協定の条文自身に対して解釈することが協定の解釈でしょう。「協定」と「協定の解釈」が違うのですか。そこのところをはっきりしてください。
○古田政府委員 失礼しました。協定上の定義に従います。
○土井委員 そうすると、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」を認識して「共同開発区域」というふうに言わなければならない、このとおりですね。したがって、この法案の中身にもございますとおり、口上書も付属も全然ここでは問題にならない、こういうことだと私は思います。
 さて、法制局においでをいただいておりますが、この国内法である日韓大陸棚の特別措置法という法律の第二条にいう「協定第二条第一項」の中身というのは、現在あるこの「第二条第一項」の条文そのものに従って考えられているというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○前田政府委員 御質問の趣旨がわかりませんで、私、三部長でございますが、この法案の直接の担当は第四部でございますので……(「呼んでこい、わからぬ者が答弁したってだめだ」と呼ぶ者あり)ですが、一応この協定と法律案というものは並行して提出して審議をお願いしておりますので、同様の解釈に立った上で解釈さるべきであろうと思います。
○土井委員 いまのは、私は解釈を聞いているのじゃないんですよ。法制局とされては、この特別措置法の第二条第二項にいう「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」というのは、現にこの協定の中にある第二条第一項の「共同開発区域は、次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」とありまして、座標一から順を追って、順次規定をされて、座標二十、さらに座標一に戻る、それぞれの座標の決めている中身に従って考えている。さらに二項では、「共同開発区域を囲む直線をこの協定に附属する地図に表示する。」とある、その地図によってそれをさらに確かめるということでしょうねということを尋ねているわけです。
○前田政府委員 先生おっしゃるとおりだと思います。
○土井委員 そうすると、この協定のこの条文が変わらない限りは、現在のこの条文どおりにこの特別措置法の第二条の二項にいう共同開発区域も理解をされなければならない、このような関係になりますね。――法制局の方でおわかりにならないのなら、ひとつ担当部局の方、わかられる方の御出席をお願いするまで私はこの質問を保留にして、次の方に質問を譲って、後でもう一度この部分については質問を続行いたします。そうしてください。もういいかげんなことをおっしゃっちゃ困るのだ。だから、それは担当部局の人を改めて呼び直していただけませんか。後でやります。外務省に聞いているのじゃないのです、局長。
○前田政府委員 法律案の二条の二項は、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域をいう。」とございます。協定の方の第二条第一項には「共同開発区域は、次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」とございますので、このように規定をされている大陸だなの区域であるということになりますが、二項で、「直線をこの協定に附属する地図に表示する。」とございますけれども、大陸だなの区域というものが画定をいたしておりますれば、それに従って行われるということでございます。
○土井委員 それは法制局としておかしな答弁ですね。第二条では、はっきり座標についてそれぞれ「北緯三十一度四十七・〇分東経百二十八度五十・〇分」、座標十五です。座標十六、「北緯三十一度四十七・〇分東経百二十八度十四・〇分」それぞれ明確に書いてあるのですよ。そして、しかもその「各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域」と明確に条文の上では規定をされているわけです。法制局の方、これはどうも答弁、おわかりになっていらっしゃらないようですね、事実を。わかる方の御出席を私は求めまして、あとこの質問を保留にします。委員長、そう配慮してください。
○竹内委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を起こしてください。
 この際、暫時休憩します。
    午後四時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時二十八分開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣法制局前田第三部長。
○前田政府委員 先ほどは、キャリアのない者が答弁いたしまして失礼いたしました。担当の第四部長が参りましたので、先ほどの答弁を訂正させていただきます。
○別府政府委員 御質問を受けないで答弁をしてよろしゅうございましょうか。(「質問して答弁だよ」と呼ぶ者あり)その際に私おりませんものでしたから、先ほど土井委員からお話のございました御質問に直接お答えするということでよろしゅうございましょうか。――お答えいたします。
 国内法は、商工委員会の方に提出されております日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸だな棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案でございまして、その第二条の定義第二項に「この法律において「共同開発区域」とは、協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域をいう。」という引用がしてございます。
 そこで、土井委員からの御質問は、先ほど伺いましたところでは、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」という引用の仕方をすれば、協定の二条の一項に座標一から座標二十までというような形で、「座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」という規定の仕方をしてある以上、今度の領海が、まだ拡張されておりませんが、十二海里に拡張された際に、もしその区域が変わってくるとすると、国内法での引用の仕方がこのままであれば、領海が拡張されたことに伴って共同開発区域から落ちるべき部分を含んだような形になるのではなかろうかという御質問というふうに先ほど伺いました。
 そこについてお答えいたしますが、もともと法律で他の法律を引用をし、あるいはこの法律案のように他の条約、協定等を引用する場合に、ここで言えば、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」と申しました際に、これは協定あるいは引用される他の例で言えば、法律の当該規定の意味内容を受けて、この法律でも同じような意味内容のものを考えるという規定の仕方というふうに法制局は考えておりますので、もしも協定の二条一項の意味内容が領海の拡張によって違ってくるということであれば、国内法についても同じような解釈をとらざるを得ない。したがって、協定と国内法で内容の違いが生じないというふうに考える。とりあえずそういうふうにお答えいたします。
○土井委員 いまの御答弁では、意味内容が変わればそのように理解をしなければならないと言われる意味内容というのは、協定第二条第一項に規定する内容として理解をされる意味内容だと思います。したがって、あくまでその意味内容を理解していくためには協定の中身がどのようにそのことを規定しているかにかかわる問題だと言わざるを得ません。協定第二条第一項が大陸だなの区域というものをどのように規定しているかということに従ってあくまでこの国内法である特別措置法の共同開発区域は考えられなければならない。したがって、領海の十二海里という具体的な事実が実現をした段階では、協定第二条第一項そのものが変わらなければ、実は第二条第一項の規定をして大陸だなの区域を十二海里の領海に従って考えるということにならない、こうなると思いますが、いかがでございますか。
○中江政府委員 協定の第二条第一項のところに、柱書きといいますか、本文のところに「大陸棚(だな)」という字が使ってございますが、その「大陸棚(だな)」というものをどう認識するかということが先ほど来議論がありましたとおり、その「大陸棚(だな)」と言いますのは、領海から外側に向かって存在する大陸だなか、国際法上言われている大陸だなであるということでございますので、領海が延びまして大陸だなの部分に及びますと、その部分は領海になりまして、当然の結果として国際法上の大陸だなでなくなる、こういう了解でありますので、今度の口上書往復につきましても再三申し上げておりますように、それは国際法の問題として当然除外されていく、こういう考え方でございまして、改めてその部分を、協定上、手を入れなければ国際法上有効に主張し得ないというものではないというのが政府の考え方でございます。
○土井委員 しかし、協定第二条の第一項では明確に座標について北緯何度何分、東経何度何分という明示の規定があるわけであります。しかもその「座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる」こうなっているわけでありますから、直線によってもはや大陸だなは囲まれることを可能としないです、領海十二海里というものが実現しますと。まずこの直線が直線でなくなるわけですよ。この点はいかに弁明をされようとも、協定第二条の一項が変わらない限りは、領海三海里から領海十二海里に変わったその領海十二海里に従っての大陸だなの認識にはならない、このように私は思いますが、法制局とされてはいかがですか。
○前田政府委員 協定の文言上は、座標を結んだ「直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域」という表現になっておりますけれども、その大陸だなは一般国際法上前提とします大陸だなを前提としておりますので、領海が拡張した部分によりまして大陸だなに含まれない部分は当然そこから除外されるということであろうかと思います。
○土井委員 そうすると、協定第二条第一項に対しての解釈が変わるわけですか、領海三海里時代と領海十二海里時代とでは。
○中江政府委員 先ほど条約局の村田参事官が御説明申し上げましたように、この協定は大陸だなというものを創設する、つまり大陸だなとは何ぞやということを創設的に合意する協定ではなくて、大陸だなとは何ぞやということはすでに一般国際法上明らかになっている概念をそのまま取り入れて、後はその主張の重なるところを明記いたしましたのが二条一項でございます。したがって、その大前提となっております大陸だな、つまり国際法上の大陸だなについての概念が確定しております以上、その部分が領海になることによって除かれるということは、これは協定の前提の問題として明らかであるというのが申し上げている趣旨でございます。
○土井委員 ここで問題になっているのは、そこで申し上げます大陸だなではない。共同開発区域が問題なんですよ。共同開発区域というものをどのように考えるかということが問題なんですよ。第二条も「共同開発区域は、」ということで規定をされている中身じゃないですか。この国内法である特別措置法も、「「共同開発区域」とは、」で始まって、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域をいう。」で、共同開発区域が問題なんですよ。共同開発区域の範囲をどのように考えるかということが問題なんじゃないですか。大陸だなをどのように考えるかではないのです。その大陸だなに従って共同開発区域をどのように考えるかということが問題なんです。それが変わってくるのでしょう、領海十二海里になれば。このことは条文が変わらないと変わらないのですよ。協定の第二条第一項が変わらないと、国内法にいうところの共同開発区域についても従来どおり領海三海里時代と変わらないのですよ、たとえ領海が十二海里になったって。このことを私は言っている。
○中江政府委員 これは、南部の共同開発協定がよって立つ理由のものが、両方の大陸だなに対する主張が重なったところから問題が生じたわけでございまして、共同開発区域と申しましても、それは当然、大陸だなのうち日韓の主張の重なった部分、重なった大陸だなの部分、それを共同開発するということで、大陸だなでなくなった部分まで共同開発するというような思想は、そもそもこの協定の前提になる問題そのものに含まれてないことである、こういうふうに考えます。
○土井委員 しかし、おっしゃいますが、「次の座標の各点を順次に結ぶ直線」ではもはやないのでしょう、領海十二海里になれば。直線ではなくなるのですよ。いただいた地図を見たって、はっきりそのことは直線でなくなっているのですから。そのことからすれば、協定第二条第一項の内容は、領海が十二海里になるに従って協定そのものが変わらなければならないのです。二条一項の条文そのものが変わらなければならない、こういうことだと私は思います。法制局とされてはこの点はどうなんですか。法制局にお尋ねしますよ。
○前田政府委員 協定第二条第一項は、先生おっしゃいますとおり「共同開発区域は、次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」とございます。それで大陸だなが先ほど申し上げましたような趣旨で変化するとしますと、逆に申しまして共同開発区域自体も変更になるということだと思います。
○土井委員 そうすると、そのことは第二条一項の条文そのものを変えなければならないでしょう、直線によって結ばれないのですから。それぞれの座標の各点は直線によってもはや結ばれないですよ、領海十二海里になりますと。直線では結ばれないです。法制局、いかがですか。
○前田政府委員 第二条の第一項の規定といたしまして大陸だなを説明いたします場合に、各点をとりまして、それの説明の仕方としまして、「次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる」という表現をいたしたわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、大陸だなの点が変更を来しますので、その点は全体の部分から落ちるということで理解をいたすということでございます。
○土井委員 おかしなことをおっしゃいますね。大陸だなそのものがもはや直線によって囲まれるものじゃないのですよ。直線によって囲まれることが不可能になるのです。したがいまして、この第二条一項にいう内容というものを、事実が変わることによって条文そのものを変えないと、この条文はその事実に適合せず間に合わなくなってくるのです。そのように考えなければいけないのじゃないですか。法制局、いかがですか。
○前田政府委員 大陸だなの区域の表現の仕方であろうかと思いますけれども、この協定におきましてはこのような点を結ぶという形で規定をしておりますが、先ほど来申し上げておりますように、その大陸だなに除かれる部分があるといたしますと、その部分は「次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)」そこから落ちておりますので、その分が除外されたものが翻って共同開発区域になる、こういうふうに理解をしております。
○土井委員 法制局というのはもっと法文に対して厳密な解釈をなさるのだろうと私は思っておりましたが、時には、はっきり書いてあることをわざわざ脱落させてお読みになる場合もあるのですね。領海十二海里になると、ここにある「結ぶ直線によって囲まれる」という直線ではもはや囲めないのです。直線が引けないのですよ。そこは湾曲になっちゃうのです、座標十五から座標十六にかけて、座標十六から座標十七にかけて。これはひとつ海図を見て御確認をいただきたいと思います。私の言っている趣旨がおわかりになるでしょうか。
○中江政府委員 何度も申し上げておりますように、大陸だなでなくなりますと、いかように囲みましても大陸だなでなくなるわけでございますので、共同開発しようにも出さない、そういうことを申し上げておるわけでございます。
○土井委員 そのことは何によって確かめられているのですか。今回の口上書というのは条約と一体のものであるという意思表示はどこにもございません。口上書は単なる口上書でございます。この口上書によって協定の第二条という中身がすっかり変わるというふうなことにはならないですよ。
 二国間の条約の条文の中身が改定を要するような場合、二国間の協定の条文の内容が変更されなければならないような場合、国会の承認を得なかったという例がいままでにあるかどうか、ひとつお答えいただきます。
○中江政府委員 もしいま申しておりますことが条約なり協定の内容の変更である、しかももとの条約が国会の承認を得べき、あるいは得たものであれば、これは再び国会の承認の対象に、なければならないということは私どもも心得ておりますが、今回の問題につきましては、再三外務大臣も申しておりますように、そもそも大陸だなというものの意味が一般国際法上の定義ということで日韓双方が了解した上でこの協定の交渉をやったわけでございますので、大陸だなでなくなる、その理由が、その大陸だなの部分が領海に組み入れられる、領海が拡張した結果大陸だなでなくなるということは、この協定の条文からくる問題ではなくて、一般国際法上の大陸だなの定義というところから当然に出てくる問題でございますので、この協定の修正なり何なりの問題でない。しかしそれを念のために確認するということで口上書を往復したわけでございますので、口上書の往復というのは協定の改正、修正というような性格でないということを再三申しておりますのは、それが一般国際法上のレベルの問題として自明のことであるからというのが政府の立場でございます。
○土井委員 さておかしいことをおっしゃいますよ。一般国際法上の原則が自明の理であるということをおっしゃるならば、いま一般国際法上公海自由の原則というのは十八世紀以来の自明の理であります。この公海自由の原則というものが、いま漁業専管水域あるいは経済水域二百海里によってだんだん変わっていっているわけですよ。この場合も、これは一般国際法上の原則だということで、二百海里に決めようが十二海里に決めようが、そういう問題は、公海自由の原則を至上命題として公海自由の原則というものをどこまでも押し通すという態度で臨まれますか、いかがですか。
○中江政府委員 私が一般国際法上の問題と申しましたのは、具体的に土井委員の御指摘になりました領海が拡張されて、その拡張された先に大陸だながあったときには、その部分は領海になった結果として大陸だなでなくなるという面に限って申したわけでございまして、大陸だなというものは領海の外縁から外に向かって国際法上沿岸国が権利として主張し得るという点につきましては、これは一般国際法上確立したところであるということを先般来申しておるわけでございます。
 一般国際法あるいは国際慣習法というのは、これは当然のことながら日々発展していくわけでございますが、少なくとも大陸だなは領海の外縁から外に向かって主張されるという点については確立しておるということを申しておるわけでございます。
○土井委員 最後に確認をしておいて私の質問を終えたいと思うのですが、さっき私が御質問をいたしました二国間条約、二国間協定の条文の改定というふうな場合、条文の内容についての理解が変わる場合、これに対しては国会の承認を得なかったという例があるのかないのか、この点はいかがです。
○中江政府委員 協定の実体が修正されるということであれば、国会の承認条約についての内容の変更ということならば、当然これは改めて国会の承認の対象になるというのが、一般論としては筋だろう、こう思います。
○土井委員 大陸だなの区域が変わるということはいかがなんですか。
○中江政府委員 これは私申し上げましたように、大陸だなというものが何であるかということは、この協定によって定まっているのではなくて、協定の前提として一般国際法上定められた大陸だなの概念を前提として、つまり大陸だなの起点を領海の外縁から考えるという点については確立しているという共通の認識のもとに締結された協定でありまして、この協定の修正という問題ではないというのが政府の考え方であります。
○土井委員 それは全くおかしいのです。そうすると、第二条の一項なんてあってもなくてもいい条文ですね。第二条の一項というのは「次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」とあって、大陸だなについては座標をあらかじめ設けて、この各点を順次に結ぶ直線によって囲まれるところと限定しているのですよ。これが二条一項の内容なんです。いまおっしゃったような趣旨からすれば、こんな二条一項の内容によって座標を決める必要もなければ、座標に従って「各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる」なんて一々断らなくたっていいじゃないですか。大変問題だと思いますよ。
○中江政府委員 それは共同開発区域がどこであるかということは、やはりはっきりしなければならないと思いますし、この協定をいたしましたときも、そして現時点におきましても、日本も韓国も領海は三海里という主張をしておるわけでございますので、領海三海里という立場に基づきまして大陸だなの共同開発の範囲を決めるということで、双方の主権的権利の主張の重複したところを図に示したわけでありますので、領海が三海里である間はこの直線で囲まれたところは大陸だなである。今日ただいまその部分は全部大陸だなである。ただ、これから領海が十二海里に拡張されればこれは大陸だなでなくなるのですから、これはいかように囲みましても大陸だなでなくなるということを申しておるわけでございます。
○土井委員 囲めないのですよ。座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれないのですよ。つまり、第二条第一項の中身というのは、領海が十二海里になった場合にはこのとおりにならないのですよ。そのことを確認をされるということはあたりまえのことじゃないですか。大変なこじつけを、無理して先ほどから答弁されている。いかにしてこの第二条第一項をいまのままに置いておいて、そうして日韓間でこの協定はこのままでも領海十二海里になっても大丈夫だという言い逃れをしようかということで四苦八苦されているさまがありありと見えてならない。三海里当時に、大陸だなについて二条一項はお互いが同意をしてこのように決めた、おっしゃるとおりです。十二海里になったらこれは変わるのですよ。このとおりにいかないということが口上書によって確認されているのです。わざわざ、だから変わりますよということで口上書というのがあるのですよ。この口上書によって確認をされているごとくに二条一項が変わるのでしょう。このことはひとつ局長確認をしなければ、あなた、おかしくなりますよ。何のための口上書なんです。
○中江政府委員 ですから、確認した口上書を往復したわけでございまして、それをなぜ確認しなければならないかというと、当然のこととして大陸だなでなくなる部分があるから、そのことは黙っていてもいいんだけれども、これは確認しなければならないということでありますので、念のために文書によって確認した、それが口上書の往復でありまして、この口上書を取り交わすに先立って行われました議論においても、私の述べたように、これは一般国際法上の問題といたしまして、領海が拡張された結果大陸だなの一部分が領海に編入されますと、その部分は当然の帰結として大陸だなでなくなる。したがって、協定にいかように書きましてもその部分は大陸だなでなくなるのは当然です。当然のことなら確認したらいいじゃないかということで、当然のことを確認したのが口上書の往復である、こういうことでございます。
○土井委員 これは重大な問題です。これはゆゆしいことですよ。当然のことじゃない。「次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域」というのは、領海三海里当時に考えられた座標なんです、各点は。領海十二海里になると、この座標に従って各点を順次に直線で結べなくなるのです。直線を突破して日本の領海がさらに、現在大陸だなと考えている地域に及ぶわけでしょう。その部分についてまで領海十二海里になったときには、この協定第二条一項に従って日本は主権を放棄することになるのですよ、このままなら。日本の領土、領海については、申し上げるまでもなく日本の国の主権の及ぶ範囲ですからね。したがって、この領海三海里から領海十二海里になることによって、座標の各点を順次に結ぶ直線が直線としてはもう認められなくなる。座標の十五から十六にかけて、座標の十六から十七にかけて、それぞれは弧を描くかっこうになるのですよ。これは外務省からいただいた地図のとおりです、海図のとおりです。その部分はこの二条一項からすると「次の座標の各点を順次に結ぶ直線によつて囲まれる大陸棚(だな)」となっているわけだから、この条文がこのとおりである限りは、いまのその弧を描いてしか考えられない部分についての領海の部分に及ぶ日本の主権は放棄するという意思表示につながるのですよ。そうじゃありませんか。これは大変ゆゆしい問題です。
○中江政府委員 私どもはそれは主権の放棄にならない、つまり領海の主張といいますのは、いま土井委員もおっしゃいましたように、これは主権的権利の及ぶ領土と同じ、全面的な主権の及ぶところでありますので、したがって国際法上も大陸だなでなくなるわけですから、その直線によって囲まれた大陸だなの部分と、その大陸だなでなくなる部分は、直線は引けますけれども、引いた中が大陸だなでなくなりますと、これは共同開発区域の対象にならない、そういうことを申し上げておるわけでございます。
○土井委員 あくまで国内法は、この協定第二条第一項に従って共同開発区域を考えております。条文は明確にそのことを指示しておる。この第二条第一項をまともに読めば、いまおっしゃったようにならないのですよ。第二条第一項からすると、「共同開発区域は、次の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」とあって、座標がずっと一から二十まであって、いま問題になっている座標十五から座標十六にかけて、十六から十七にかけての問題がその中に介在をしているわけですね。これはあくまで、第二条一項が変わらない限りは、おっしゃるようなことにはならない、私はそのように理解をしております。
 お尋ねしますが、口上書というのはこの協定と一体のものなんですか、それならば口上書のどこにそれが書いてあるのですか。
○中江政府委員 この口上書は、その口上書の中に書いてございますように、日本の領海が拡張したときにはこういうふうになるというのが日本の理解である、これについて韓国側も同じ理解であるかどうかということを念のために確認する、こういう口上書でございます。
○土井委員 協定と一体のものかどうかというのをひとつ答弁してください。一つも答弁になってないのです。
○中江政府委員 協定の性格と同じ性格のものかというと、そうではないというのが私どもの認識でございます。
○土井委員 したがって、口上書によって協定第二条一項は変わりませんね、同じものじゃないのだから。あくまで協定の第二条一項というものは、協定の第二条第一項の条文そのものが変わらない限りは変わらない。あるいは過去の例を挙げれば、日米友好通商航海条約、昭和二十八年、非常に古い話でありますけれども、交換公文によってこの八条二項というものが変更したというふうな例はございます。しかし、この交換公文についても国会での承認を得て、この中身ははっきり確認をされている。今回の口上書は、国会の承認はおろか、口上書それ自身についても、最初に私はお尋ねしたとおり、その効力は言いっ放しです。意思を表明したにしかすぎない。このことによってこの協定の第二条一項が変わらないということもひとつはっきり確認できるわけです、協定と一体のものじゃないのですから。しかもなおかつ、口上書は口上書でありまして、国会の審議の対象じゃない。これに基づいて承認を得るわけでもない。したがって、あくまで、領海十二海里になろうと、領海三海里当時の認識でもってこの共同開発区域というものは日本の外務省としては考えておられるということが、本協定第二条一項の条文を的確に解釈をした場合には出てくる、関係としてはこのようになります。確認をさしていただいてよろしいね。
 通産省いかがです、先に通産省からお答え願います。
○古田政府委員 私どもとしましては、国内の特別措置法案の第二条第二項に書いてありますように、この法律案におきまして共同開発区域とは、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」ということでとらえております。
○土井委員 そうすると、規定自身が変わらないと現状は何ら変わらない。三海里から十二海里になったといたしましても、領海三海里当時の認識でつくられたこの協定二条に基づいて国内法は展開をされる、こういうかっこうになるだろうと思います。このことをひとつ確認をして、私は質問を終わります。ありがとうございました。
○中江政府委員 土井委員の御確認になりました内容につきましては、何度も私が申し上げておりますように、大陸だなというものはどういうところから始まるものかということについては一般国際法に任せたままでこの協定ができておりますので、大陸だなは領海の外縁からはかるんだ、大陸だなとみなすんだという一般国際法が変わらない限り、この協定は変わらないわけでございまして、その規定に基づいて、そういう国際法に基づいて、大陸だなの範囲が変われば自動的に変わるというのが政府の見解であるということを確認させていただきます。
○土井委員 局長が言われましたから最後に言います。
 いまの局長答弁は協定第二条一項に対する理解であります。あくまで理解であり解釈であります。いまの国内法、特別措置法に言うところは、そんな理解、解釈なんてどこにも書いてない。「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域」と明確に書いてあるわけです。したがいまして、そういう点から言うと、外務省解釈とは別に、この国内法、特別措置法の中では、協定第二条第一項がどのように規定しているかという協定の条文に従って大陸だなの区域は考えられる、こういうぐあいに私は明確になると思う。先ほど通産省の御答弁もそのとおりです。このことをはっきりさせていただいて終わります。――もう結構です。もういいですよ。ありがとうございました。
○別府政府委員 お答えではなく、先ほど私が答弁したことを、土井委員のただいまの御意見に関連して、補足させていただきますが、第二条第二項は、共同開発区域とは、協定第二条第一項に規定する区域をいうとは書いてございませんで、「大陸棚(だな)の区域をいう。」と書いてございます。したがって、先ほど来外務省アジア局長が答弁しておりますように、大陸だなの意味内容が変われば「大陸棚(だな)の区域」というのは変わってくるということが国内法の解釈としても当然言える、法制局としてはそう考えております。
○土井委員 委員長、それは答弁いらないと言っているのに答弁させるから質問せざるを得ないのですよ。
 一般国際法上の概念、一般国際法上の法理で大陸だなというものの区域を設定しているのじゃないのです。この国内の特別措置法は、第二条の二項という個所で「この法律において「共同開発区域」とは、協定第二条第一項に規定する」ところに従って「大陸棚(だな)の区域」を考えるという趣旨なんですよ。はっきりそう書いてある。したがって、協定第二条第一項は、座標を設け、その座標をつなぐ直線によって囲まれる大陸だなということをちゃんと規定しているのですから、それによって考えなければいけない。外務省は大陸だなという問題は国際通念上このように考えるとか、国際慣行に従ってこういうふうに理解しなければならないとか、やれ領海が変わればその部分というのは当然大陸だなからはずされるから、言わなくたってそのことは必然的にそうなるという問題じゃない。協定第二条一項の条文は一体何のためにあるのか、はっきり座標とそれをつなぐ直線の設定において大陸だなというものを認識しているのじゃないですか。この協定からすれば、このことを無視して大陸だなというものはあり得ないのです。しかも国内の特別措置法の第二条の二項ではこのことを「「共同開発区域」とは、」といって、何遍も私は言うのだけれども、「協定第二条第一項に規定する大陸棚(だな)の区域をいう。」と明確に書いてある。外務省がどのように理解されるかということ、外務省の認識は別なのです。客観的に国民が読んだ場合にどう思うかです。大陸棚協定の第二条の第一を読みます。そこにどのように規定されているかというのはその協定の条文に従って考えます、国際慣例じゃない、このことを明確に申し上げます。
 以上。
○竹内委員長 次に、中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 この口上書の問題については、すでに土井委員からも多々御質問が出ておりました。私もなるべく重ならないようにもっていきたいとは思いますが、ただ、問題を整理して、あるいはまた確認する意味で若干共通性のある御質問になるところも出てくると思いますが、その点をよろしくお願いしたいと思います。
 口上書は政府の意思を通告する文書であって、一種の外交文書ではありますけれども、これによって国家間の権利義務が発生するような文書ではない、こういうはずであります。したがって、条約を変更し得るような国際法的効果は有しないとわれわれは当然考えるわけでありますが、この点に対する政府の見解を伺っておきます。
○村田(良)政府委員 口上書という文書が、すべて一切国際約束を構成しないということは必ずしも言えないと思います。口上書を用いまして国際約束を行うということは、非常にまれではありますけれども行われると思いますが、一般的には先生のおっしゃったとおり、国家間の法律的な拘束力を有する約束をいたします場合には、別途の形式の文書を取り交わすなり、条約、協定等をつくるというのが通例でございます。
○中川(嘉)委員 そうしますと、この大陸棚の共同開発協定の日韓の口上書ですが、単に共同開発協定と大陸棚協定の関係を述べたにすぎないものであって、この口上書によって新たに協定の内容を変更する効果はないというふうにこの際理解をしてよろしいわけですね。
○村田(良)政府委員 今度の口上書の往復は、協定の内容を修正するということを意図したものではございませんで、むしろ協定の内容は、たびたび申し上げておりますように、わが国の領海が十二海里に広がることによりまして自動的に大陸だなでなくなる地域が出てまいります。したがいまして、これはいわば国際法の原則によってそうなるわけでございますけれども、その事実を確認するという趣旨の文書がこの口上書でございます。
○中川(嘉)委員 政府は、口上書を出さなくても、十二海里の領海にかかる区域は共同開発区域から自動的に、いわば当然にというふうな表現がありましたけれども、除かれるものと解しておられると私は考えているわけですが、だから口上書で確認するまでもなく、国際法すなわち大陸棚条約第一条との関係で、領海十二海里にかかる区域は大陸だなでなくなるという解釈を持っておられるものとここで最終的に理解をしてよろしいですね。
○村田(良)政府委員 そのとおりでございます。
○中川(嘉)委員 私は政府のそういう解釈に大きな疑問を抱かざるを得ないわけでありまして、外務大臣が四月六日の当委員会における発言で読み上げられた、先ほども土井委員の方から参照がございましたけれども、念のためにもう一度これは非常に重要な部分ですので一部だけ読んでまいりたいと思います。「領海法が成立し、現在の共同開発区域の一部がわが国の領海となりますと、その部分は、わが国の国家領域の一部となり、大陸棚条約第一条で「領海の外にある海底区域」として定義される国際法上の制度としての大陸だなではないこととなります。したがって、当該部分については当然に共同開発協定の対象外となります。」こういうふうに述べられたわけでありますが、これらに対する疑問の第一点として、それでは口上書を交わした後のこの二条約、すなわち共同開発協定と領海法ですね。この関係と、口上書を交わさなかった場合とで――ですから二通りあるわけです。口上書を交わした後のこの二条約の関係、それから交わさなかった場合とで、共同開発協定第二条の座標の実態というもの、これはどう変わるかということでありますが、この点を伺っておきたいと思います。
○中江政府委員 変わらないと思います。
○中川(嘉)委員 それならなぜ口上書を交わす必要があったか。むしろ必要はなかったのじゃないか、こう思いますが、その点はどうですか。
○中江政府委員 政府は、したがいまして当初こういう文書を取り交わすまでもなく明らかだという立場をとっておりました。しかし、これを念のために明らかにする一つの手段としまして、日本政府の見解を述べ、これに対する韓国政府の見解を述べ、これをともに文書にとどめることによって、申すまでもないことがはっきりするという手段として口上書の往復をしたわけでございまして、法律的には、これの有無にかかわらず日本政府の考えていることが正しいというふうに申しておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 第二点として言えることは、この外務大臣の発言並びに口上書の内容は、無条件に共同開発協定に対する大陸棚条約の優位を位置づけているわけで、口上書そのものからの国際法的な効果は認められないように解釈されるわけですが、この点はどうでしょう。
○中江政府委員 御質問の趣旨は、大陸棚協定は大陸棚協定としてそれなりの効果を持つ、そのことは口上書の住復によって左右されるものではないという観点からの御質問でございましたら、そのとおりの認識のもとに外務大臣の発言があったわけでございます。
○中川(嘉)委員 いまの質問に対してもう一度確認をして、第三点目の質問とあわせてまいりたいと思いますが、要するに、共同開発協定に対する大陸棚条約の優位というものを、これは大臣の発言並びに口上書の内容が位置づけられている。そして口上書そのものからの国際法的な効果は認められないというふうに解されますけれども、この点はどうでしょうかということですね。これは一ついま申し上げておきます。
 それから第三点として、私は口上書によって共同開発協定の座標が変更されたとは解せないわけです。先ほども関連の御質問が出ておりましたけれども、すなわち、口上書には変える力はないんだというふうに私は解釈しますけれども、この点も確認をしておきたいと思います。
○中江政府委員 前段の大陸だなという観念は、一般国際法上の観念、概念を持ち込んでおりますので、共同開発区域ということを論じます場合でも、大陸だなというものの考え方が優位であるとおっしゃいますのは、そういう意味で大陸だなであることがまず前提である、大陸だなでなくなった部分は共同開発の対象たり得ないという意味では大陸だなの概念が優位であるということは、そういう認識で私どもは考えておるということでございます。
 第二点は、口上書によってその座標の位置なり線を変えていない、それはおっしゃるとおり変えておりませんし、また変える力を持っているものとは私どもは思っておりません。その優位に立っております、先生の表現をお借りいたしますれば、優位に立っております大陸だなというものの定義なり考え方というものを、この協定ではなくて、一般国際法に託して考えているということでございますので、その方の観点からくる修正というのはこれは協定に手を加えるまでもない、当然のことであるというのが私どもの考え方であるわけです。
○中川(嘉)委員 そこで、いま言われたように、口上書そのものには共同開発協定の座標を変更するというそういう力を持っていないという表現が御答弁の中に現実に出てきているわけで、わが国が領海十二海里とした場合においても、もし政府が適法な手続で座標の変更をしない限り、いま政府が提案している共同開発協定は日本政府の黙示の承認ですね。要するに日本が発言しない場合ということですが、こういうことで共同開発区域がわが国の領海に食い込むのを認める、こういうことになってしまうんじゃないだろうか。国際法では、共同開発区域が領海に食い込むことを禁止してはいないわけです。したがって、沿岸国がこれを認めるならば、それは適法なものになるのではないか、このようにも思いますが、この点はどうでしょうか。
○中江政府委員 もしこの協定が全く無制限に、一定の座標を結んだ線で囲まれたところが共同開発区域である、それだけ言っておりますれば、先生のおっしゃいますような危惧があるいは生ずるようなことも考えられますけれども、この協定の書き方は、そういう直線で囲まれた大陸だなの部分ということでございますので、大陸だなであるかないかということが、先ほどおっしゃいましたように優先した一つの前提になっておりますので、大陸だなでなくなりますと、その部分は共同開発区域でなくなるということは文理上も明らかであろうし、国際法上も当然のことであるというふうに私どもは考えているわけでございます。
○中川(嘉)委員 私は、この口上書なんかで片づける問題ではなくて、これは本質上の問題ですね。ですから、何としても適法な手続がとられなければならないのじゃないか、こういう観点からただいま申し上げたわけですが、こういった意味で、この外務大臣の発言及び口上書に対する政府の法理論というものに非常に問題があるんじゃないか、このように思うわけであります。すなわち、領海に食い込む水域、これが大陸だなから当然除外されるという政府の法解釈は納得ができない。日本政府が適法な手続きをとらない限り、共同開発協定の効力をそのまま黙示の承認としてしまうことになるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、これは日本政府の発意による明らかなる主権の放棄、その黙示的承認となり得るのじゃないかとすら私は思いますが、いま一度この点に関して御答弁をいただきたいと思います。
○中江政府委員 その点は、いま御引用になりました外務大臣発言、四月六日のその第二項の冒頭のところにも触れておりますように、そもそも共同開発協定というのは、日韓両国に隣接する大陸だなの帰属についての両国の権利主張が重複した部分を共同開発区域にしておる、そういうわけでございますので、両方の権利主張が重複しなくなれば、これは共同開発区域にそもそもなり得ないはずのものでございます。この協定を締結しました時点及び現在でも、日本の領海が三海里であります限りは、このいまの囲まれた地域は日韓両国の権利主張が重複しているところである。したがって、それはそのままで正しい一つの共同開発区域たり得る区域であるということになるわけでございまして、他方今度は、日本の領海が拡張されますと、その部分は国際法上の制度としての大陸だなでなくなりますので、双方の権利主張が重なることがないわけで、つまり韓国は日本の領海の下にある部分にまで国際法上の大陸だなを主張できないわけでありまして、両方の権利が重複するということがなくなる。したがって、共同開発になじむ地域ではなくなるということで、文理上も大陸だなでなくなった部分は大陸棚協定の共同開発区域から外れるということを申しておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 重複する部分ということで私は特に思いますけれども、重なる部分ですね、これを協定から除くためには、やはり国際法上はっきりした手続きによらなければ条約上その部分を除くことにはならないとたびたび私たちは言ってきたし、この点が私は非常に重要な本件のポイントになるんじゃないか。自動的に除かれるという政府の条約論というのはどうしても納得がいかないのです。この点、外務大臣いかがでしょうか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 この韓国と日本との間の大陸だなにおきます共同開発区域を定める、この合意は三年前に行われたもので、その合意というものは今日でも生きておる、こういう状態であろうと思います。一方、この大陸だなというもの、これは自然的な条件とともに法律的な条件があるわけでございまして、自然的な条件がそう変わるということはないと思いますけれども、仮に合意の対象としたものが、時の経過に伴いましてその大陸だなとしての性格を仮になくすというものがあれば、いかに共同開発区域の合意をいたしましても、その対象というものは変更を受けてくる。これはこの条約の解釈論として当然のことである。物理的には変わりませんが、法律的に変わってくれば、その分は大陸だなから外れる、こういうことは自明の理であるということで、先ほど来アジア局長が申しておることでございまして、今後領海法が施行されるに至りますと、この大陸だなとしての法律的な条件を欠くに至る。したがいまして、その大陸だなの一部につきまして共同開発区域を設けよう、こういう両国間の合意につきましても、その対象がおのずと変わってくる、こういうことでありますので、これはそのことを当然のこととして、領海法というものの効果として当然大陸だなとしての性格を失いますと、こういうことを日本政府は申しておって、その点につきましては韓国政府といたしましてもそのとおりの見解を持っておるということを確認し合ったということでございますので、この条約自身を変えなくて、当然のこととしてそのようなことになりますということを申し上げておるので、どうかこの点は御理解を賜りたいと思います。
○中川(嘉)委員 われわれも、御答弁にあるように理解ができるもの、またそうでないもの、いろいろあると思います。また、私たちも別に、御答弁の中から当然いままでも理解し得るもの、また御説明に対して納得のできるもの、当然あるわけなんです。ただ、われわれが主張してきているように、条約上の効力のない――先ほど来そういうお話が出ておりますが、口上書でもって条約の内容を変更できるはずはない。国会の承認を求めない口上書で、現在政府が国会の承認を求めている条約の内容を変えようとするところにわれわれは承服ができない、こういうことなんです。政府が口上書で述べていることは、単なる解釈ですね。解釈であって、法的外交文書でないことは明らかではないかと私たちは思うわけです。
 こういうことでさっきから議論が展開されているわけですけれども、われわれは、口上書によって一応の解釈の一致を見た後で――ですからそこまではわかる、両国の一致を見た、その後で改めて条約の内容を法的に変更する手続をとらなければならないんじゃないか。まあ二国間の問題であり、たとえば国会の承認の対象となるような外交文書、交換公文であるとか、あるいは共同開発協定と一体であることを明記した付属文書等で座標の変更というものを明確にすべきではないだろうか、このようにあくまでも思うわけなんで、ひとつこの点を重ねて御答弁をいただきたいと思います。
○中江政府委員 これは、先生の念頭に置いておられる問題意識というのはよくわかるのでございますけれども、その問題のよって来る法的根拠というものが、私ども再三申しておりますように、この協定そのものから来るのではなくて、大陸だなの定義と、大陸だなはどこから先の部分について国際法上主権的権利が主張できるかという点、つまり具体的に申しますと、領海の外縁から先に延びたところに対する沿岸国の権利主張ということについては、これは一般国際法上非常に明白なことでございますので、この協定の中でも、大陸だなはどこからはかるかとか、そういう大陸だなの定義というものは、全然どこにも設けられていないということの意味はそういうことでございます。したがいまして、一般国際法上の大陸だなの概念規定に即して物を考えていくということで、今度の口上書の内容につきましても、その部分はこの協定と同じようなレベルの新たな合意であるとか修正であるとかいうものでないと言っておりますのはそのことでございます。
 他方、領海の主張といいますのは、これはいかなる国との合意とかそういったことでなくて、国際法で許容される範囲内においては主権的権利の行使として一方的に設定できる範囲でございますので、その領海の外縁についていずれかの国と合意しなければ決まらないということは、これは相対している場合の境界線の場合は別といたしまして、これは主権的権利の一つのあらわれとして、絶対的な強さを持って外に及んでいく範囲が領海の範囲でございますので、この点は韓国が何と言いましょうと、日本が十二海里の領海を宣言いたしまして、これを実効あるものにいたします、途端にどの国に対しても同じ強さで及んでいくものである。したがって、そういうものについてこの協定がどう変わるかということについては改めて合意にかからせる必要はないということが他方言えるかと思います。
○中川(嘉)委員 法的根拠ということから、この問題は協定から来るものではないということですけれども、あくまでもいわゆる共同開発協定というものがあって、その後に三海里から十二海里という問題が時間的に出てきている。そういう意味で共同開発協定というものがやはり一番考えの対象となっていく中心ではないか。
 これはちょっと余談になるかもしれませんけれども、たとえば貿易取引、いわゆるコントラクトノートの場合なんか考えても、オリジナルが一つここにある。そこで急遽デスティネーションの変更が出てきた、変更というか誤りがあって、それを至急アメンドしなければいけない。そういうときに、それを海外の支店とテレックスで交わした、テレックスだけでバイヤーとやり合った、じゃそれでもうすべてが済まされるかというと、これは大変な問題なんで、やはりコントラクトそのもののアメンドを入手していかなければ、いざというときに対抗要件にならない。民間、いわゆるコマーシャルベースの取引ですらそこまでかっちりコンファームしてやる問題なんですが、いまここで論じられていることは国家間の問題なんです。そうは言っても、何かここで万一の事態が発生したときに対抗し得るだけの要件は整えておかなければならないのじゃないかという、日本の国益を考えてのわれわれの質疑であるわけで、そういった点もひとつ重々含まれた上でこれらの御質問にも答えていただきたい、こう思うわけです。
 政府が出した口上書でさらに疑問がここで出てくるわけですが、それは口上書に「日本国大使館は、」とこう出てきているわけですね。「日本国大使館は、外務部に」云々と出ているわけで、なぜこれは日本政府としなかったのかという点。また、口上書には何ら署名がなされていないわけです。先ほど来そういった変更する効力がない云々ということからすれば、これはわからないこともないわけですけれども、これだけのものに署名に等しいもの、サインに等しいもの、何らそういったものもない。だからこの口上書は、私たちは、外交上のメモ程度のものしか相当しないんじゃないだろうか――メモです。こういう意味で、この口上書は法的効力を持った外交文書とはとても受け取れないのじゃないか、こういった点から先ほど来の御質問を展開してきたわけですが、いま申し上げた、なぜ日本政府としなかったかという問題、こういった書類、いわゆる口上書に対して署名というものがいままでもなされなかったかといった問題をめぐって、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○中江政府委員 一つの外交文書の形式の問題といたしまして、口上書というスタイル、形式を使いますときは、これは機関、外交機関とか政府機関といいますその機関から機関にあてた文書という形をとるのが、これが外交慣例でありますものですから、口上書という形式を使いますと、どういたしましても在外でございますと日本国大使館なり総領事館なり公使館なり、こういうことになりますし、東京ですと日本国外務省は、こういうことになります。したがって、この口上書もまず主体は日本国大使館、これは韓国にございます日本国大使館ということですが、その内容を、第二パラグラフをごらんいただきますとはっきり書いてございますように、「日本国大使館は、更に、日本国政府の次の見解を申し述べるとともに、外務部に対し、」これは韓国側の機関が外務部、つまり外務省に当たるわけです。韓国の外務省に対して「この点に関する大韓民国政府の見解を明らかにされるよう要請する光栄を有する。」これがその一つのスタイル、形式になっておるわけでございまして、大使館の名前の文書であるからといってそれが政府の考え方とは違うのだということではなくて、政府の考え方を伝達する手段として口上書という文書を使うときにはこういう形になる。したがって、ここに書いてありますことが日本国政府の見解であるということについては一点の疑念もない、これは国際慣行上はっきりしている点でございます。
 もう一つは、この口上書の持つ効力とおっしゃいますが、その効力ということの意味が、もし合意としての、つまり拘束力という意味ですと、これは拘束力のある口上書の書き方にいたしませんと拘束力は出てまいりませんが、拘束力のある文書としての書き方でなければ何の意味もないものかといいますと、これはそうではございませんで、先ほどもちょっと私申し上げましたが、竹島の不法占拠に対する抗議の文書、これを口上書で相手に突きつけるわけです。そのときも韓国にあります日本国大使館は、日本国政府の次の見解なり次の抗議を伝達いたします、こういう書き方をいたしまして、そういう形式をとることによってその文書が外交文書として、つまり公の文書としてはっきりと記録にとどまる、文書によって記録にとどまる、そういうことが確保されるわけであります。それはここに番号が入っておりますように、大使館は一連の番号で一年ごと、あるいはその国によって異なりますが、連番号でこういう口上書を取り交わす。この口上書の場合には最後のところに館印を押すのが通例になっておりまして、サインはいたしません。国によってはそこにイニシアルといって頭文字だけ書く人もありますし、書かない場合もある。そういう意味で、この口上書のミニマムの形式としての要件は、機関から機関に対してあてられる文書であるということ、したがってその文書には個人の署名というものはなくて、その機関の館印が押捺される、こういうことになっておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 竹島の場合の口上書と、それから今回のいま問題になっている口上書、これは口上書には違いないですけれども、それとこれを比較するということについてはちょっと疑問があるのではないか。非常に異質なものだと私は思うわけです。
 要するに、政府が意図することは共同開発協定と大陸棚条約の解釈論ですね、解釈論で問題を解決しようとしていることは明らかである。しかし、私は解釈論だけではきわめて危険であることを先ほど来指摘しているわけですね。すなわち、共同開発区域はわが国の領海内にはみ出していることを日本政府が黙示的に承認したと解釈されるおそれも十分にあるわけです。口上書を知らない人にとっては特にその危険があるのではないか、このように思われますが、少なくとも協定の不可分の一部としての文書によって座標の変更を明確にしていくことが不可欠だ、こういう立場から先ほど来再々確認をしてまいったわけです。ここで政府は、いままでのことは理屈としてわかったと仮定しても、なぜそういうわれわれの提案する方法で座標の変更をしようとしないのか非常に理解に苦しむわけですが、いわゆる手続上それほどめんどうなものとは思えない。なぜそういったわれわれの提案するところの方法による座標の変更を行動として具体的に起こされないのか、この点がどうしてもわれわれは腑に落ちないのですが、この点はいかがでしょうか。
○中江政府委員 これはまず第一に法律的にその必要がないというふうに私どもが考えたからでございまして、それは国際法的に見てそうだということで、国際法上の大陸だなというものの定義から見まして、この協定に「共同開発区域は、」これ「によって囲まれる大陸棚の区域とする。」こう書いてありますので、その「大陸棚(だな)」とは何ぞやということは一般国際法にゆだねておるわけでありますので、その一般国際法によれば領海は大陸だなには入らないということがはっきりしている以上、日本の領海が国際法上認められる範囲内で拡張されました場合には、その部分については当然大陸だなからは外れてくる。したがって、その部分について将来何か問題が起きたときにはこの口上書で足りるのかという御疑問に対しましては、この口上書の往復を待つまでもなく、一般国際法上の根拠に基づいて日本はいまの見解が正しいと思うわけですから、それによって主張するわけでございまして、それを念のために、韓国も当然国際法を遵守する国であれば同じ見解であろうから、韓国政府の見解も一度聞いておこうというわけで往復された口上書がいまお手元にある口上書であるわけでございます。
○中川(嘉)委員 先ほど質問なさった土井委員からも若干出ていた問題ですけれども、例の日米通商航海条約、この八条二項の自由職業に関する件で、米上院は自由職業の一部について内容の変更を規定した決議を行っているわけですね。これは「日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する交換公文」と、はっきりここには「交換公文」と出ているわけで、内容的には、
  第八条2は、自由職業で、公的資格における任務の遂行又は公衆の健康及び安全の利益に関する任務の遂行を包含するため、州による許可を要し、且つ、法令又は憲法によってもっぱらアメリカ合衆国の市民にのみ留保されるものには、適用されないものとし、また、前記の条約中のいかなる最恵国待遇に関する条項も、それらの自由職業には適用されないものとする。
このところはもうすでに御承知のところだと思いますが、こういった自由職業といった問題についてすら交換公文というものをきちっと日米間で取り交わしている。国家の承認を求めたことももちろん御存じのとおりですけれども、自由職業といったものでもこのような形で条約の内容を変更した先例があるわけです。これは土井委員もさっきおっしゃっていました。
 まして、今後の座標の変更というのは国の主権の内容に関する変更である。したがって、日本政府は国会の承認を前提とする交換公文で内容の変更をするのは当然と私は思うわけなんです。いままでの議論は議論とし、あるいはまたそちらの御答弁も私も一生懸命わかろうとするわけですけれども、国の主権という問題、内容に関する変更なんですから、これは重大な問題で、先ほど来申し上げている自由職業なんという問題――それは自由職業を云々するわけではないですけれども、そういうものと比較してみても非常に重要である。国の承認を前提とする交換公文で内容を変更するぐらいのことは当然じゃないか、野党の皆さん方も私は当然それを痛感していらっしゃると思うのですが、それでも口上書だけで片づくと考えておられるか。たびたび繰り返すようですけれども、いま一度、この点非常に重要なところですから、これに対する答弁として受けとめておきますので……。
○村田(良)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の日米通商航海条約第八条二項の件でございますが、この場合にはアメリカ側が一定の職業につきましてはこの規定を適用できないということで留保を行う、また日本側が先方の留保に対しましてそれに対応する措置をとる権利を留保する、こういうことを合意したわけでございます。したがいまして、この交換公文と申しますのは、日米通商航海条約第八条二項に定められております原則の例外でございまして、かつその例外を創設的に合意したものというふうに考えるわけでございます。別の表現を用いますと、この交換公文が発効いたしますことによりまして初めて第八条二項の例外というものが有効となるわけでございます。国会承認条約でございます通商航海条約の規定事項の一部に関しまして例外を設ける、しかもそれを創設的に設けるということでございますので、この種の国際約束は当然交換公文の形で国会の御承認を得るべきものであるということで、当時そのように処理したわけでございます。
 他方、今回の口上書は、先ほどからアジア局長がるる申し上げておりますように、わが国の領海の幅員が十二海里に拡大されまして、その結果いわば理論的かつ自動的に共同開発区域の一部がわが国の領海になる、したがってこの協定の対象外となるということを念のために確認するというものでございますので、それ自体が先ほどの日米通商航海条約第八条二項の交換公文のごとき創設的な合意ではないわけでございます。またこの問題を日韓の双方で創設的な合意に係らしめるということは、わが国が主権国として当然の権利として行います領海幅員の拡張を他国との合意に係らしめるというふうなことにもつながりかねないことでございまして、この口上書という形をもって双方の見解を確認するというのが最も妥当な形であろうというふうに考える次第でございます。
○中川(嘉)委員 それでは次に、海洋法会議において二百海里となった場合に、まず各沿岸国が二百海里の大陸だなを取る権利があるわけですが、さらにその延長に大陸だながある場合、その権利を主張できるということになるのじゃないかと思いますが、政府が考えているような、韓国に大陸だなの延長を優先させること――こうずっと、大陸だなをむしろ韓国の方に優先させるという現状ですね。こういうことは私は断じて認めるべきではないのじゃないかと思うわけで、公平の原則によっても沿岸国は平等の立場に立って、まず初めにそれぞれが二百海里の大陸だなの権利を主張できるはずではないか。とするならば、この共同開発区域は明らかに不当であると言わざるを得ないと私は思います。この図面をごらんになったらすぐわかると思いますが、この点はどうでしょうか、二百海里ずつ日本と韓国から権利を主張した場合。
○中江政府委員 それは一つの大陸だなをはさんで日本と韓国が相対しているという場合と、一つの大陸だなをはさんでいるのではなくて、韓国の方には大陸だなはあるけれどもそれは深いみぞのところで切れておって、日本側からは大陸だなはないのだという、つまり日韓両国の間に横たわっている海底の地形をどう認識するかによって違ってくるということでございまして、韓国のとっております立場は、この大陸だなは琉球列島の手前で切れておる、したがってそこまでは朝鮮半島からずっと自然に延長があってそこで切れておる、日本側からは大陸だなはない、したがって、その自然延長の切れるところまで自分の大陸だなの主権が主張できるのだ、こういう考え方でございます。日本はそうではなくて、たまたまそこにみぞがあるだけで一つの大陸だなの上に日本と韓国か乗っておるのだから、これはいまおっしゃいましたように、公平の原則その他の基準に従って、原則として中間線によってこれの境界を画定していく、これは日本の中間線理論でございます。したがって日本と韓国の主張の違いは、ただ自然延長か中間線かというふうに単純に言われますけれども、その前提としていまこの地域にある大陸だなが、日韓が一つの大陸だなの上に乗っておるのか、それとも大陸だなは一方の手前で切れておって、日本側からは朝鮮半島に向かって大陸だなはないという立場に立つかという、大陸だなの認識そのものの違いが実は根底にあるというわけでございますので、当然のことのように双方から二百海里ずつ手を出して、ぶつかったところは中間線でというわけにはまいらない。それがこの協定に共同開発という考え方を導入しなければならなくなったむずかしさである、こういうふうに御認識いただきたいわけでございます。
    〔委員長退席、鯨岡委員長代理着席〕
○中川(嘉)委員 海岸法会議において経済水域二百海里が決まった場合、わが国の主張は一体どうなるのだろうか。その帰趨そのものが決定しない前になぜこの協定の締結を急ぐのかということにもなるわけで、私はこういう点、非常に理解に苦しむわけですけれども、少なくとも海洋法会議で結論が出るまでこの協定の締結は見合わすべきじゃないだろうかとすら思うわけです。なぜ政府は、この主権の放棄を急ぐと言っては語弊があるかもしれません、しかし現実にいま、大陸棚協定、共同開発協定ですか、この審議を急いでおられるか、こういったことに関連して私は非常に理解に苦しむわけでありますけれども、この辺はどうでしょうか、海津法会議に関連して……。
○中江政府委員 海洋法会議そのものの帰趨につきましては後ほど条約局の方から説明があろうかと思いますが、この協定を締結しますときに私どもが念頭に置いております二百海里の経済水域というのは、これは経済水域のことでございまして、大陸だなに対する権利の主張、つまり大陸だなの法理論とは別な観念でありますので、二百海里経済水域というものが国際法となりました暁には、日本は当然二百海里の経済水域を主張するということになりますが、そのことが当然海底の大陸だなにまで及ぶかというとこれはそうではないわけでございまして、海洋法会議で大陸だなは大陸だなと、これは経済水域より以前から存在した国際法上の一つの権利主張の形態として別途審議が行われておるわけで、大陸だなにぶち当たりますと、そこには大陸だな理論というものが頭をもたげてくる。したがって、水中に対して二百海里の経済水域を設定したから、当然その下は大陸だなであろうとなかろうと沿岸国が主張できるというふうに簡単なものでないということでありますので、大陸だなの問題としてこの協定をつくったわけで、この協定と経済水域の三張とはその点では相矛盾しないといいますか、相抵触しない別の観念である、その別の観念としてどういうふうに発展してきているかという点は、ひとつ条約局の方から御説明させていただきたいと思います。
○村田(良)政府委員 先生御指摘の点は非常に重要な点でございまして、またわが国の国内におきましても、この日韓大陸棚協定に対する一つの批判としていろいろな方面から取り上げられておる問題でございますので、お許しを得まして若干詳細に御説明を申し上げたいと思います。
 海洋法会議におきまして経済水域ということが議論され、その際に、その水域に対しまして沿津国が、単に上部水域のみならずその海底にもその管轄権を及ぼし得るということが議論され、またそのようなことがいわゆる単一草案に書かれておることもそのとおりでございます。しかしながら、この経済水域の概念あるいはそれに関する諸規定は、海洋法会議におきましては、大陸だなという概念あるいはそれに関する諸規定と全く別個のものとして従来並行的に議論が行われ、また規定が行われておるわけでございます。それぞれ別個の制度として独立に存在しておるというのが現在の状況でございまして、その双方を調整するような努力もなされておりませんし、またそのような規定も入っておりません。したがいまして、仮に現在の形のままで海洋法会議がまとまるといたしますと、大陸だなの制度というものを援用してその立場を主張する韓国の考え方と、それから仮定の話といたしまして、仮にわが国が経済水域の理論をもってこれに対してわが国の管轄権を主張するという場合には、双方の立場が競合することになることは確かでございます。
 その場合に、どちらの主張がそれでは優位に立つかということになりますと、海洋法自体におきましてはどちらが優位であるということの規定はないことは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、全体的な考え方としましては、どちらかと言えば大陸だなの主張の方がより優位であるということが、次のような理由から言えると思うわけでございます。
 まず第一点は、その大陸だなという概念は、すでに一九四五年のトルーマン宣言以来のものでございまして、長年にわたって定着しておるものでございます。また一九五八年にはすでに大陸棚条約というものもできておりまして、これはもうすでに三十年にわたりまして確たる制度となっておるわけで、これを海洋法会議でもおおむね取り入れておるわけでございますが、経済水域の方は依然としていわばまだ生成過程にあるものでございまして、その考え方自体が第三次海洋法会議で初めて出てきたというものであって、いわば非常に未成熟なものであるということが第一点でございます。
 それから次の重要な点は、これは日韓協定と特に関係が深いと思うのでありますが、大陸だなという制度はそもそも海底における鉱物資源、後ほど生物資源の問題も出てまいりましたけれども、特に海底資源の問題を対象とした制度として発達したものでございます。それに反しまして経済水域の方は、発生史的には上部水域の漁業を沿岸国が管理しようということから出てきておる考え方でありまして、それが海洋法会議の議論の過程で海底にも及んできたということでございます。したがいまして、たとえば単一草案の経済水域に関する条項を見てみますと、その部分は漁業に関する規定であるわけでございます。海底資源に関する沿岸国の管轄権に関しましてこの単一草案は、その部分は大陸だなの条項に従ってその権利を行使しろということだけを規定しておるわけでございます。また、鉱物資源を離れまして生物資源に関しましても、この単一草案の経済水域に関する条項を見てみますと、定着性生物資源に関しては経済水域に関する条項では扱わない、これは大陸だなの方で規定するということが第五十七条に書かれておるわけでございまして、大陸だなの資源に関しては大陸だなの方が優先するのだという根底にある思想がここで頭を出したというふうに考えられるわけでございます。
 したがいまして、海洋法会議がいかになりましょうとも、大陸だなというものに関する沿岸国の主張というものが経済水域によって打ち負かされるということにはならないわけでございまして、仮に現在のままで海洋法会議がまとまりましても、韓国の自然延長論に立ちます大陸だなに関する主張というものは依然として残るわけでございます。ですから、結局日韓両国が話し合いを行いまして、妥当な解決を見出すということにまた逆戻りしてくるということになると思う次第でございます。
○中川(嘉)委員 残り少ない時間ですので、あと二、三問で終わりたいと思います。
 ちょっと別の角度から……。この大陸棚協定そのものについて政府は、すでに三年前から三年もたなざらしになっているから、もうこの辺で批准をしないと信義上まずいということで、われわれにも責任をかぶせようとしている感じがするわけで、われわれは政府のそういう責任負担を認めるというわけにもいかないものがあるわけです。その理由は、われわれの立場からするならば、日韓大陸棚協定というものは秘密裏に交渉が行われ、署名されたものである。そして交渉過程が国会とかあるいは国民には一切知らされなかったという事実があるわけであります。したがって、全くわれわれの意見を入れる余地がなかったわけで、われわれには一切の責任はないと言っても過言ではないと私は思います。あくまでわが国の国益を踏まえて疑義そのものを究明する、この必要があるわけで、そのためにはわれわれは何ら時間的な制約というものを受けるいわれはないと思います。政府は日韓大陸棚協定の署名に至るまでの間の国会に対する措置に手落ちがあったことを認めますかどうですか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○中江政府委員 私の記憶いたしております限りにおきましても、この大陸棚協定の交渉の途中で、一体あの大陸棚協定はどうなっているのかという御質問を国会で受けたことが少なくとも二度、三度はあったと思います。それはどういうわけでそういう質問が出ましたかといいますと、当時新聞にも報道されたわけでございまして、その報道されました交渉段階というのはどういう段階かといいますと、先ほど来申しておりますように、日本と韓国との大陸だなに対する権利主張が食い違ってなかなかこれはむずかしいというので、三回に及びまして法律専門家の会議がございまして、その会議には私自身も第二回、第三回は日本代表として携わったわけでございますが、そのたびごとに新聞にはそれが報道されまして、それをもとにして国会でも御質問がありまして、私が自然延長論と中間線論というものの概略を御説明しながら、また海洋法会議における大陸だなの議論も踏まえて、また国際司法裁判所の判例その他も引用しながら、そのむずかしさを御説明したことを記憶しております。その後、日韓両国の首脳の間で、こういう法律論争をいつまでも続けていてもしようがないじゃないかというので、国際司法裁判所に提訴してみようという話が出ましたときも、一部の新聞にはその記事が出たと私は記憶しております。
 そういうことで、全く国民に知らさずに秘密裏にやったと言われますと、決してそうではなかった。しかし、他方、国会その他に十分な説明なり経過を報告したかと言われますと、私の立場からはそれが十分であったかどうかはちょっと判断いたしかねますけれども、御質問がありましたときには、できるだけの範囲内で御説明をしてきたということは確信をもって言えるわけでございます。共同開発方式という、世界にまれな、恐らくまだ世界じゅうどこにもないと思いますが、この方式が日韓間で検討されるという情報が出ましてから、日本国内よりもむしろ大陸だなで問題を抱えている外国から、一体どういう発想なのかというような照会を受けたこともございまして、これはおっしゃいますように何かこっそりとやったというわけではないと私は思っておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 国会の場でどのようになっているかというふうに聞かれて初めて答弁をなさる、あるいはまた新聞にも報道されたと言われましたけれども、これも新聞が情報をキャッチし、報道したというふうにしか考えられない。いまの御答弁の感じからしますとそういう感じです。私は先ほど来申し上げておるのに関連して、要するに、なぜそれじゃ積極的に国会にあるいは国民に知らせなかったのか。聞かれてから答えるのではなくして、むしろ積極的に知らせる義務があったのじゃないか、このようにも思うわけで、私はどうも日韓大陸棚協定は、そういった立場から、先ほどの御質問の中でも言ったわけですけれども、議会制民主主義の本義というものを忘れて、国会あるいは国民に事前の報告は一切しない、政府の手によって行われたような気がしてならないわけです。この協定は国家の主権にも重大なかかわり合いがあるばかりでなく、国民の権利義務にも大きく関係しているわけです。しかるに事前に国会及び国民に諮ることなく独断的に署名したことは、議会制民主主義に対する重大な挑戦でもある、このように私自身も受けとめてきた。政府はなぜこのような重大な国際条約を締結する際に国民世論を背景に交渉を行わなかったのか。もし国民世論を背景にして交渉を行ったならば、はるかに有利に協定ができたと私は思うわけです。最後にこのことに対する政府の見解を伺って、一たん質問を終わりたいと思います。
○中江政府委員 私どもは、当時まだオイルショックの以前でございましたけれども、日本の資源外交といいますか資源政策の行く末を案じまして、通産省その他関係官庁ともよく協議をいたしまして、どういうふうに有利にこの資源を利用できるだろうかということで、誠心誠意国際法上の立場も、また資源の問題も検討しながら進めたわけでございますけれども、結果としていま先生が言われましたような印象を与えたといたしますれば、私どもの努力の至らなさであったと反省するほかはございません。
○中川(嘉)委員 以上、終わります。
○鯨岡委員長代理 以上で中川嘉美君の質疑は終わりました。
 次は、寺前巖君です。
○寺前委員 最初に、日本側の口上書と韓国側の口上書なるものがきょう説明されました。これをめぐっての若干の質問をしたいと思うのです。
    〔鯨岡委員長代理退席、委員長着席〕
 この口上書をめぐる問題というのは、日本の領海の中に共同開発区域が入るということで問題になったと思うのです。そこで振り返ってお聞きをしたいわけですが、いわゆる日韓大陸棚協定なるものを締結した当時には、十二海里の領海になるという前提を考えておられたのか、あるいはそういうようなことはないだろうというふうに思っておられたのか。協定締結時の外務省の方の考え方は一体どうだったのかということを最初に聞きたいと思います。
○中江政府委員 本件が日韓間で争いになりました時点におきましては、国連海洋法会議もおいおい会議を重ねておりまして、やがて領海十二海里、経済水域二百海里、国際海峡の自由通航という大きな三つの問題がパッケージとして国連海洋法会議でコンセンサスを求められるような段階になるだろうという意味において、趨勢としてやがて領海十二海里になるであろうということは念頭に置いておりまして、絶対に十二海里になることはないというふうに思い込んでやったということはございません。
○寺前委員 そうすると、先ほどからここで論議になっておりました座標を結ぶところの直線で囲まれた大陸だなのその範囲というのは、その協定を結ばれたときに、十二海里になった場合でも直線の範囲内であろうという前提に立っておられたわけですか。それともいま問題になっているように、直線の範囲じゃなくして、大陸だなというのは、先ほどから外務省のお方が説明されるように、国際的な慣習というのですか、国際的な物の見方というのですか、それに基づくから、実際上はカーブを描くことになるのだと考えておられたのか。一体どういうふうにお考えになっていたのでしょう。
○中江政府委員 この協定で共同開発区域が直線で囲まれているからといって、大陸だなが直線で囲まれている中に限るという発想は最初から全くなかったわけで、おっしゃいますように大陸だなというのは、まさしくその下にある大陸だなの地形によって出たり引っ込んだりいろいろあると思います。そういう細かい凹凸、出入りを、韓国側と論ずる以前の問題として、一体その部分はどっちのものかということが大論争であったわけで、いつも言われますように韓国は、自然延長でみぞの手前まで自分のものだと言いますし、日本は、みぞは単なるひだであって、これは飛び越え得る一つの大陸だなを共有しているのだから中間線までだ、こういう主張をして、これが何回かの法律専門家会議の大論争であったわけでございます。
 で、その結果といたしまして、これを共同開発という新しい構想でまとめてみようと思いましたその前提は、先ほどもちょっと申し上げましたが、日本の主張と韓国の主張が重なる点、つまり韓国の主張と日本の主張が重なるということの意味は、韓国が開発しようとして鉱区として設定している一つの区域があったわけでございまして、その部分を韓国は、実は当時の時点では一方的に開発しようとしておった。韓国の立場からすると、それには十分な国際法上の根拠がある、こういうことを言っておったわけでございまして、日本はその部分については国際法上の根拠がない、こう言ったわけでございます。
 したがって、重なる部分ということになりますと、韓国側が韓国の国内法によって鉱区を設定して開発しようとしている区域というものが、現実に開発の問題で重なってくる。したがって、韓国が開発しようとしている区域と、そこは日本が開発し得る区域であるという部分との重複したところを線でなぞりますと、いま協定に書いてありますような線になるわけでございまして、この線のよしあしを論ずるということは、これはもう、とりもなおさず国際法上の議論をお互いに闘わすことになるわけでありますので、国際法上の立場は留保した上で、両者の開発し得る鉱区の限界の重複するところを海図に写してみた。写してみたところがそれが三海里以内にまで迫っておれば、これは日本の領海を侵すものですから当然問題になりますけれども、韓国が設定しておりました開発鉱区の限界というものは、地図に写してみましたところが日本の領海を侵すものではないということでありましたので、それをそのまま協定の中に取り入れて、これを国際法上の立場を留保した共同開発区域というふうに指定したわけでございます。
○寺前委員 重ねて聞きますが、共同開発地域というのは、領海が十二海里になったときでも直線で結ばれる範囲だというふうに御理解になってあの協定が結ばれておったのかどうかです。
○中江政府委員 私申し上げましたように、当時は領海三海里の時代でございましたし、韓国が設けておりました韓国側の開発区域というのは直線で囲まれておりましたので、その部分を協定上採用したわけでございまして、その部分に日本の領海が曲線で攻めていくのか、直線で攻めていくのかそれはわかりませんけれども、日本の領海がその部分にまで入りますれば、これは先まど来議論になっておりますように国際法上の大陸だなそのものでなくなるのでありますから問題がないし、またそんなことを一々韓国に断るという性質の問題ではない。領海の延長というのは、国際法上許された範囲であれば、これは一方的な主権行為であるから、それは問うまでもないという考え方はあったわけでございます。
○寺前委員 私の質問に答えてほしいのです。私はそんなこと聞いてない。十二海里の趨勢にあることをお認めになっておった、将来そうなるだろう。なったときに抵触するというお考えがあったのですか、抵触しないという前提にあったんですか、それを聞いているのです。
○中江政府委員 当時は、十二海里の領海になるであろうという趨勢にあったということを念頭に置いたことは先ほど申し上げましたが、そのときに、これに抵触するかどうかということは、特に当時におきましては考えておらなかった。三海里の領海に抵触してなければそれは向こうの主張をそのまま地図に写すという立場であったわけですから、法律上の立場を留保した上での実際的解決ということで、そのまま重複した部分を地図に写した。地図に写すに当たっては、十二海里になるときにどうなるだろうかということを、具体的に距離をはかってやったということはなかったわけでございます。
○寺前委員 そうすると、そういう趨勢にありながら領海の範囲にどこまでが入るかということを直接見なかったというのは、ちょっとずさんなことになるんじゃないでしょうかね。というのは、今度はその開発区域の中における開発をやる会社が出てくるわけでしょう、メジャーが。そういう会社が仕事をするときに、契約をやるときにはどの地域をやるんだと自分でちゃんと計算せなければならないと思うのです。ここは将来、十二海里になったときに領海にとられるところだから対象になりませんぞ、そういうことは会社の側からすれば当然せなければならないことになるだろうと私は思うのです。これはあたりまえだと思う。政府間においてそういう質問が出たときに、はい大丈夫ですとか、いや、そこはこうなりますとか言えないようなことだったら、ちょっと無責任だと私は思いますよ。もう過去の話だから無責任と言われたって仕方がない、こうおっしゃるか知らないけれども、事実はやはり無責任だと思いますよ。十二海里の趨勢にある、近い将来十二海里ということが日程の問題になるだろう、そのときに、共同開発区域というのは全くあの直線の中になるのか、そういう意味では、大陸だなというものが領海に少しかかるぞというふうになるのかというのは、業者の契約上にとっては大事な問題になってくるだけに、当時の政府としてもきちんとしておかなければならなかった問題ではなかったろうか。大臣、どういうふうにお考えになりますか。私は常識的に考えてそう思うのですがね。考えなかったとするならば、私はこれはちょっと問題だと思います。それが一つ。大臣にお聞きします。
 もう一つ。十二海里ということが設定になったときに、そこは、あの線引きの中の大陸だなは、領海になるぞ、それはいつの時点で感じられましたか。
○中江政府委員 それは、今度の領海十二海里というものが国連海洋法会議のパッケージという考え方から飛躍いたしまして、単独で十二海里の領海をいよいよ具体的に考えるということで線引きを始めるに当たって、海上保安庁がしさいな地図を利用して日本沿岸全域にわたって作業される、そのときに鮫瀬の存在というのが別の地図で明らかになったと私どもは知らされたわけでございます。(寺前委員「いつの時点ですか」と呼ぶ)失礼いたしました。昭和四十九年三月、たしか二十三日と先ほど海上保安庁では言っておったと思いますが。
○寺前委員 重ねて聞きますが、四十九年三月二十三日の時点で、十二海里の領海を設定した場合にはかかるぞということを感じられたということでしょうか。
○中江政府委員 三月二十三日の段階では、海上保安庁が、海図第二百十号ではないもう一つの地図には鮫瀬という岩礁が存在しているという事実を外務省に通知してきた、こういうことでございます。それに追加いたしまして、海上保安庁ではそれに基づいて海図二百十号(新版)にこの鮫瀬を追加記載することとした、こういう連絡を受けたわけでございます。
○寺前委員 そうすると、昨年の十月二十二日に、わが党の正森議員が「わが国の領土である男女群島からあるいは福江島から、一番近いところで何マイルの線を通っておりますか。」という質問をしたときのお答えにそれが出てこないというのはどういうことなのでしょうか。
 保安庁の人おられますか。――鮫瀬島というのは男女群島に入るのですか入らないのですか。まず、そっちから先に聞きましょう。
○間政府委員 個々の瀬とか岩、これがどこの、たとえば群島の一部であるとかいうような問題、こういったものを決めるのは海上保安庁ではないわけでございまして、海上保安庁はまず海図をつくります。そこにいろいろと、群島ならば群島の名前を入れます。それと同時に、この海図を利用する人の便利のために、それに対する解説を書くわけでございまして、それが水路誌というものになるわけでございます。
 そこで、鮫瀬につきましては、この付近一帯の人々が昔から鮫瀬について大体どういう扱いをしておるかというようなことを聞きまして、それに基づいていまの水路誌をつくったわけでございます。その場合に、鮫瀬は、水路誌の上では男女群島の中の一つの岩であるという記載はいたしております。
○寺前委員 国土地理院の方に聞きましても、男女群島に鮫瀬島は入っているということを言っていますし、いま海上保安庁の方からも聞きました。それで、昨年の十月二十二日時点ですか、その質問のときにも「男女群島からあるいは福江島から、」と指摘をしていますが、一番近いところでどれだけの距離があるかと聞いているわけです。すでに四十九年三月に通告を受けておられるのだったら、一番近い距離は十二・三海里とか、あるいは十二・一海里というような数字は出てこないことになると思うのですが、なぜこういう回答になってきたのでしょうか。
○中江政府委員 この質問に対する答弁を当時の速記録で見ますと、男女群島から一番近いところという御質問で、答弁した政府委員は、男女群島というのは島としては男島と女島があったわけでございますので、その近い方の女島からの距離をお答えした。鮫瀬という岩礁そのものが一体男女群島という群島の一部であると認識していいのかどうかというのは、どうも専門外でよく認識されなかった点があると思いますけれども、そういう御質問に対して女島からの距離をお答えした、こういうふうに聞いておるわけでございます。
○寺前委員 少しもわかりませんがね。鮫瀬島は男女群島の島であるということは、いま私も言ったし、海上保安庁の人もそうおっしゃっている。あなたたちもそれは否定しないのでしょうね。否定するのだったら、否定してもらったらいいですよ。否定しないのに、男女群島から一番近い距離を聞かれて、何で女島からの距離を回答しなければならないのでしょう。しかも鮫瀬島というのは、四十九年の協定を結んだ後の三月にわざわざ通告があって、ここに島がありますよということを知っていながら、あえてそこで相変わらず十二・何海里という数字をなぜ出さなければならないのか。私はあの答弁では、この段階で認識をしておられるというふうには思えないのですが、知っておったのだったら、何でわざわざ女島という島の名前を出して言わなければならないのか。隠したというふうにしか理解できないじゃありませんか。どっちなのでしょう。
○中江政府委員 これは、存在そのものは事実として存在しているわけですので、隠すということはできる話ではない、事実の問題だと私は思います。この鮫瀬というのは、いま鮫瀬島とおっしゃいましたが、実はこれは島ではなくて岩礁であったわけでございまして、男女群島という、群島という観念は常識的に水路部の方とか、水路誌のような問題に通暁しておられる方は別な印象をお持ちかもしれませんが、私どもの常識として、男女群島と言われますと女島、男島という島で考えておって、その中の近い方の女島からの距離をお答えしたいということで、鮫瀬というのは岩礁でありまして、大きさもそう大きなものでないということだとか、どの程度の岩礁であるかというようなことは、おいおい調べてわかってきたことではありますけれども、当時の認識といたしましては、鮫瀬という岩礁があるということは、事実としては通報を受けておりましたけれども、それが男女群島の一つの構成要素である島であるという認識はなかったし、またいまも島としての構成要素という認識はないわけでございまして、その辺のところは、当時のやりとりの背景に特に十二海里領海との関係でどうという問題意識はなかったんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。
○寺前委員 岩礁だったら領海の基点にはならないということですか。ちょっと重大なことなんで念を押して聞いておきます。
○中江政府委員 いえ、男女群島から一番近いところは何マイルかという御質問だったものですから、当時の政府委員は、島としては女島が近いので、女島との距離を申し上げたということを私は言ったわけで、岩礁は島ではありませんので、男女群島と言ったときにその中に含まれているという認識がなかった。ということは、そのことが即領海の距離を図るときの基点にならないということでは全くないわけでございまして、基点になるという認識があったればこそ、この鮫瀬の問題がいま問題になるように、当時もこの通報を受けて、これは男女群島の一部かどうかは別として、ここにこういう岩礁がある、この程度の岩礁というのは領海の幅を測定するときの基点になり得るということは考えておったわけでございます。
○寺前委員 大臣にお聞きしますけれども、そうすると、昨年の十月のこの時点においては男女群島からの基点としての海里すら言えなかった、十二海里領海の方向に流れている、もっと接近してきている段階であるのにもかかわらず、この段階でもそういう認識になかったということがいまの指摘だと思うのです。まして協定が結ばれたときには、全然、島であろうと岩礁であろうと、そこにはそういうものがあるとは思いもしなかった。そうすると、これは政府としての大きな落ち度だというふうに私は思うのですが、大臣はそういうふうに思われませんか。
 しかも私は、一体いつになってそういうものが出てきたんだろうかというので地図を見てみたのですよ、実際に。ここに持っている地図、二つあるのは同じ地図なんです。これは協定を結んだときの海図なんですよ。これは中国大陸で、九州の一部が載って、沖繩が載っている、これだけの広大な面積の地図ですけれども、このときには、協定を結んだときの地図には、鮫瀬は点もありませんわ。ところが、先ほどおっしゃった三月の時点の海図になったら――同じ二百十号の地図ですよ。ぼくは二百十号というのはたった一つかと思ったら、しょっちゅう改訂するんですね。改訂をいつしたかというのは、ちゃんとずっとその下に書いてある。三月に改訂したものになると、ここのところにちょぼちょぼちょぼというのが出てきます。これになると岩礁が出てきますよ。
 そうすると、私はゆるがせにできない問題があの協定を結んだときにもあったし、去年の十月国会で論議になったときにも、まだ領海が十二海里になったときにどうなるかということに対してしっかりした準備がないままにこういう線引きがなされておった。そういう点で言うならば、どなたかがおっしゃったように、まさに韓国の一方的に持ってきた線によって牛耳られてしまって、ぱっと見たときに、ああ十二海里になってもそれはかからないなあというふうにやっていったずさんな姿であったというふうに私は思わざるを得ないのですよ。大臣は当時責任を持っておられたわけじゃないから、この日韓大陸棚協定を国会に審議させるに当たって、過去に取り扱ってきた姿に対して、ずさんなことであったというふうにあなたは思われないのでしょうか、お聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 大陸棚協定のこの準備をしたころのことを私はつまびらかにしてないわけでございますけれども、やはり広大な面積を持ちます東シナ海を含みましたそういう図面を使ったわけでございますので、二百十号というあのような百六十万分の一というような図面によったということは、これはある程度仕方がなかったろうと思います。二百十号の地図に、直径ほぼ四、五十メートルくらいの岩礁と聞いておりますが、その岩礁の記載がなかったということは、これは図面の百六十万分の一というようなことからそのようなことになったんだろうといまからそう思うわけでございますが、当時といたしまして領海は三海里であったわけでございますから、その韓国側の座標のとり方につきまして、相当な距離があるということでそれを認めたことであろうと思うのでございますけれども、今日領海を十二海里に広げる、こういう場合におきましては、本当に日本の主権の及ぶ範囲でございますから、それはこのようなことが起こらない方が賢明であったと思うのでございますけれども、今日、その後の地図の訂正によりまして、領海幅に一部がかかるということになった次第であります。
 使用した海図の問題もあったことは事実でございますので、その点は率直に認めざるを得ないだろう、こう思いますけれども、三海里がこのように急速に十二海里になるということは、当時は差し迫った問題でなかったということからきた問題であろう、このように考える次第でございます。
 合意自体は、すでに韓国政府と日本国政府との合意は三年前にできたわけでありますので、今後いかにこの問題を扱うかということにつきましては、この問題は、わが方の理解と韓国政府との理解が一致をしておる、大陸だなというものの性格上、これは領海が拡大されれば当然この領海の範囲内に入るんだということにつきまして、韓国政府との理解も完全に一致しておりますので、そういったことで本件は御理解を賜りたいと思っておる次第でございます。
○寺前委員 百六十万分の一だから載ってなかったんじゃなくして、同じ百六十万分の一でも、後から訂正して載っているのですから、国際的に条約、協定を結ぶ場合にはきちんともう一度見直すという作業が必要であったのにもかかわらず、ずさんであったということを改めてもう一度指摘をせざるを得ないと私は思うのです。
 それから今度は、韓国政府から口上書なるものが出ました。まず日本政府から口上書なるものが行き、韓国外交部ですか、口上書なるものが出てくるわけですが、しかし、この協定に基づいて韓国の国会は審議をしたはずです。韓国の国会で審議しているのは、あくまでも鮫瀬というのが載っていない地図に基づいて審議をしている。十二海里になったって、鮫瀬が地図に載っていなかったならば、そこは領海にならないんだという前提で国会の審議をやる。そしてその韓国において、今度はアメリカ系の会社との間に、ここを開発する採掘権をめぐるところの契約がなされている。契約した会社の諸君たちは、基礎になる資料というのは二百十号の鮫瀬なんて載っていない地図だ、約束のときの議事録にもちゃんと書いてあるじゃないか、それを見たって出てこないから、そういうことでおれは契約したんだと言って、契約事項が存在しているだろうと思う。何を言っているんだ、日本と韓国の間にはそのときの地図をもとにしてちゃんと線引きをやったんだから、その後わかりましたからといって線を変えてくるということはおかしいじゃないかというふうに韓国で契約をしている会社から居直られたときには、一体どうなるのだろうか。韓国の方はそれで採掘権を認めていっているのだから、これは一体どういうことになるでしょうか。
○中江政府委員 韓国側では、韓国の国内法に基づいて鉱区を設定して開発しようとしたことは事実でございますけれども、日本との間でこういう紛争になりまして、共同開発協定というものを締結しまして、共同開発協定の共同開発区域については、協定及び付属文書による細かい規制のもとで開発権者が改めて指定され、これが共同開発に従事していくということでありますので、すでにその部分は当然開発できると思っておったのにどういうことだという問題は、理論的に起こらないと私どもは思っております。
 それから、海図二百十号というものを引用してございますのは、あそこに書いてございますように、これによって日本の領海に触れるとか触れないとか、あるいは領海の基線にどこを使っているとかということを見てもらうために引用された地図ではございませんで、北緯何度、東経何度どいう共同開発区域の線引きの座標を決めるに当たってどの地図を使ってやったかということは、主としてこの共同開発の北、西の部分は日韓の中間線になっておるわけでございますので、果たしてそこが日韓の中間線であるかどうかという点はこの地図に基づいて測定している、つまり、座標の決定に当たって使った地図ということでありまして、この東側のでこぼこしました外縁、つまり、韓国から見まして大陸だなの自然延長の終わるところだといって韓国が線を引いておりますところは、韓国の鉱区をそのまま地図の上に写してその座標を描いた。そういう意味でありますので、日本が領海を設定するときにはこの二百十号の海図によるんだというふうに韓国側が勝手に思ったとすれば、それは思い違いであるというふうに言わざるを得ないと思います。
○寺前委員 それはそう言ったって、今度は、韓国の国内において会社との間に開発契約をやっていく場合の基礎になる地図というのは、やはり両国間で結んだ地図を基本にして契約業者が見ていくであろうということは、私は理の当然だと思うのですよ。だからそういう意味において、議事録に出てくるあの「千九百五十五年十二月の日本国海上保安庁海図第二百十号(新版)」というのはやはり重要な意味を持ってくるというふうに見なければいかぬと私は思うのです。ですから、あなたたちもいろいろ理屈は言うけれども、念のために口上書を向こうに出したし、念のために向こうからももらったということをおっしゃるんだろうと思う。両国間で念のためにということになっていると、現実に進んでいる業者との間の採掘権をめぐる分野においては、既存の考え方のままに理解しているだろうと言わざるを得ないと私は思うのですよ。そういう意味では、あの直線で引かれた範囲内全体に影響を与えているというふうに見るのが至当だ。その基本はどこから生まれているかというと、鮫瀬が明らかに意識されていなかったというところからそういう混乱をつくっていることは事実なんだから、そういう点においては、もともとこの協定を結ぶときにそこが不正確であったからこういうことになっているんだということから言うならば、先ほどここで言われておったように、この協定の基礎になったところの発想のもとが、鮫瀬がない前提で仕事を始めておったところにこういう混乱をつくっているんだから、したがって、ここにきちんと発想をもう一度直した立場から協定としても整理をし直す必要があるという先ほどの論というのは、非常に大切な論だというふうに見なければならないと私は思うのです。これは先ほどから聞いておっても意見の食い違いみたいなようですから、これ以上言いませんけれども、私はそういうふうに整理をされる必要があるだろうと思います。
 そこで、もう一つ聞いておきたいのですが、口上書なるものがここに配られたわけですが、七十二国会のときに、大平外務大臣が条約の国会提出に関する発言をしておられます。三つのカテゴリーを問題にしておられますが、どういう場合には国会の承認事項になるんだということを指摘しています。同時に、三月に外務省は、行政取り決めに使用されている名称の種類の具体的な例示をされておるわけですが、これを見ても口上書というのが出てきません。私は一体口上書というのは何だろうかなと思っていろいろ当たってみました。衆議院の法制局へ行ってそういう分類したものはないのかと言って聞いてみたら、一つだけこういう見解が書かれておる本が出てきました。田村さんという人の「国際法中巻」の二百六十三ページに「条約に関連はあるが、それ自体は約束を構成しない。」「署名のない外交文書であつて問題の梗概又は談話の要領を記述したものである。」口上書というのはそういうものだ。交換公文というのは、これはまた別の人の文章で出ておりましたが、「国家間の明示の合意を表わす言葉ではあるが、その合意が特定の内容をもつことを表わすもの、または特定の形式を践んで成立したものであることを表わすものがある。」「交換公文は、両当事国の外交当局者間に交換される書翰の形式で結ばれる合意をいう。故に合意成立の形式を示す言葉である。」そういう公文というのは国家の実質的な条約になるということを指摘していますよ。
 ですから、この協定が結ばれているときに十二海里の趨勢にあり、そしてそのときに十二海里になったときの領海というのはどういうことになるだろうかという想定をしていることから見るときには、領海として入るという想定がない、地図自身がそういうことになっているから。そういうずさんな段階で書かれておる協定を国会の承認事項にしようとするならば、想定に狂いがあったのだから、そういうときに口上書なる約束を構成しないようなものでこれの承認案件として提起をするということは、少し無理があるのじゃないか。そういう意味では、きちんとした交換公文にするとかあるいは協定をやり直すとか、きちんとした姿によって国会の承認を求めるというのが妥当であろうというふうに思うのですが、外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。――外務大臣だ。
○中江政府委員 外務大臣は後で総括してお答えになるそうでございます。
 何度も申し上げておりますように、この協定の中に「大陸棚(だな)」という国際法上の用語がございますが、その「大陸棚(だな)」とは何ぞやという点は、一般国際法にゆだねておりまして、この協定自身は何らの定義を設けていない、したがって、国際法上の大陸だなの定義に入る部分はこの協定の対象になりますし、入らなくなった部分はこの協定から自動的に外れる、そういう法律的な立場をとっておりますので、今回の口上書の往復といいますものも、これが新たな合意であるとか、修正のための合意文書であるとか、法律的な拘束力を持つものであるとか、そういう認識ではございませんで、当初から当然の帰結であるので間違いがないと日本は思うけれども、念のために韓国政府の見解も同じかどうかということを確かめる、そういう目的でこの口上書の往復が行われたということは、口上書の文言にも明らかに書いてあるとおりでございます。
○鳩山国務大臣 まず、先ほど海図二百十号を百六十万分の一と申しましたが、百五十万分の一が正しいのでございます。先ほど来百六十万分の一というような説明が行われておりましたが、本当のところは百五十万分の一だそうでございます。
 ただいまのお尋ねでございますが、当初韓国側がどういう意図を持って韓国側の大陸だなの主張をしたかというようなことにつきまして、私はつまびらかにはいたしていないところでございます。しかし、先般もお答え申し上げましたように、総体として十二海里という領海が問題になっておるというような事態、また、これは漁業の面でありますけれども、韓国側が十二海里というようなことで漁業上の規制をしておるというようなこともありまして、十二海里というようなことが全く頭になかったかというと、どこかにあったのだろうという感じもいたすのでございますが、これは先方の理解のところでございますから推測にすぎないわけでございます。したがいまして、今回鮫瀬からはかりましたときに一部かかるということにつきましては、先方も、領海が十二海里に広がりましたときに、それは日本の主権を当然認めるべきである、大陸だなという観念から外れるべきであるということにつきまして見解が一致をしておるわけでありますので、したがって、両当事者の従来からの大陸だなの権原を主張しておったその前提といたしまして、現在の両国間の大陸だなという観念には違いがなかったということが、今回この口上書の往復が得られた一つの根本であろう、こう思っております。そういう意味で、全体の〇・〇四%というごくわずかの地域である鮫瀬の存在というものがどこかで関連はしておるのであろう、地図上二百十号に鮫瀬がなかったというようなこととどこかで関連があると思うのでございますけれども、そういう事態で両国間の理解というものは一致をしている、これを口上書ということで往復することによってなおはっきり文書という形にあらわした、こういうことでございますので、その点はどうか御理解を賜りたいと思う次第でございます。
○寺前委員 わずかな土地だから云々というわけにはいかないわけですね。領海とか領土とかそういう問題はけじめはきちんとしておくということが非常に大事な問題で、ずさんであったということはもう否めない事実だし、その点についてはしっかりと反省をすることがきわめて大切だと思います。
 時間もあれですので、二、三この際に聞いておきたいと思います。
 新しく駐日大使となられたマンスフィールド氏は、日米関係について米国が求める西太平洋における安定は日本が基本的な柱だというようなことを従来唱えられてカーター・アメリカ大統領に進言してきた人と聞いておりますけれども、今度の日米首脳会談で、カーター大統領は日本に対して政治的役割りの増大を期待しております。また、日本国政府もその問題について積極的に受けとめておられるように見るわけでありますけれども、このマンスフィールド氏が、四月十日発行のタイム誌で、在韓米軍撤退を支持すると述べるとともに、こう言っています。「地上軍の撤退は空軍力のかさによって埋め合わせることができよう。この空軍力のかさは、日本に基地を置き、韓国援助に駆けつけることができる。」と言明している。日本に基地を置いて韓国援助に駆けつけるというそういうアメリカ空軍のかさによって在韓米軍の撤退が行われるのだ、これを支持するのだ、こういうことを言っているのですが、日本の土地をそういうものに提供する、こういうマンスフィールド氏の考え方に対して、外務大臣は一体どういうふうにお考えになるのかお聞きしたい。
○鳩山国務大臣 四月十八日のタイム誌にそのような記事が載っておることは承知いたしております。この記事につきましてマンスフィールド氏に確かめたわけではございませんけれども、私ども先般ワシントンへ参りまして首脳会談に臨んだわけでございますけれども、このような発想、日本に基地を置いて日本の基地からというようなことにつきましては、何らそのようなことはなかったわけでございます。私がバンス国務長官と会いました際に、特に在韓地上軍の撤退は、わが国の基地からの出動につきましては従来どおり事前協議の制度があるわけでありますから、そういった点につきまして従来どおりで何ら変わったことがないということも念を押してきておるところでございますので、このような記事は私は何らかの想像の入ったような記事ではなかろうかというふうな気がしておるのでございます。
 なお、アメリカ局長から補足をいたさせます。
○山崎政府委員 ただいま外務大臣からも御説明がございましたように、現在アメリカが撤退の対象として考えておりますのは地上軍のみでございまして、在韓米空軍は撤退の対象にはなっていないと承知いたしております。朝鮮半島で紛争が発生しました場合に、アメリカが空軍力による支援というものをどういう形でやるかということはもちろんアメリカ自身が判断する問題でございますけれども、もし在日米軍の基地を戦闘作戦行動の基地として使用する場合にはもちろん事前協議が必要となるわけでございまして、この点についてはただいま大臣が申されましたように、大臣が直接バンス国務長官と会われて確かめておられるわけでございます。そしてその事前協議が行われましたときには、もちろんわが国はその国益の見地からイエスかノーかを言うということになるわけでございます。
○寺前委員 いまの大臣の御答弁だと、タイム誌が載せているのは本人のあれではなくしてだれかが意図的にしたのだ、こういうような御答弁に聞こえたのですが、そういうことなんでしょうか。そうするとタイム誌自身が問題だというふうに脅えるのかどうかということが一つ。
 それからマンスフィールド氏が昨年の十二月十六日にもこういうようなことを言ったと報道されているのですね。駐韓米軍の撤退問題に際して不可欠とされる韓国に対する防空保障は、在日米軍基地及び近海配備の空母からの発進によって初めて可能となるという明快な発言をやっているわけです。この一連のマンスフィールド氏の発言から言えることは、在日米軍の行動というのは、日本の有事の際ということが前提ではなくして、韓国の有事の際に在日米軍基地が使用されるのだという立場から物を見ておられるように一連の事実は感ぜられるわけです。
 そこで、私は重ねてこの問題について聞きますけれども、韓国の有事の問題をめぐって在日米軍が動くということをわれわれはイエスと言うのか言わないのかということをお聞きしたいと思うのです。
○鳩山国務大臣 先ほど来申し述べましたように、事前協議制度というものがあるわけでございますから、それは事態に応じましてイエスの場合もありましょうしノーの場合もある。それが事前協議ということの意味であろう、こう思うわけでございます。
 なお、先ほど私は想像が入っているのではないかと申し上げたのはタイム誌の記事がそうというわけではありませんで、まだ職務についておられないわけですから、これをもちまして国務省を代表する見解として言われたのではなくて、個人的な想像とかなんとかを入れて言われたのではないかということを私は申し述べたのでございます。
○寺前委員 時間もあれですから最後に一、二聞いておきたいわけです。
 新聞を見ておりますと、米陸軍参謀総長が核弾頭つきのサージャント地対地ミサイルの撤収を韓国から開始したというようなことをおっしゃっておられるようですし、在京の外交筋は第二歩兵師団の基幹部隊である戦車二個大隊のうち一個大隊が撤退しているというようなこともまた報道しております。在韓米軍の撤退状況について日本として知っているのかどうかということが一つです。
 それから在韓米軍が撤収をし始めると、沖繩あるいは本土基地へ配置される可能性が考えられるけれども、政府はその辺の問題について具体的な協議をしているのか、あるいは協議をしようとしているのか、あるいはどういうふうに見ているのか。この二点を最後にお聞きをして終わりたいと思います。
○山崎政府委員 在韓米軍の配置状況につきましては、われわれとしても常時できるだけ把握するように努めてはおりますが、何といいましてもアメリカと韓国との間の問題でございますので詳しくは承知いたしておりません。いま述べられましたようなサージャントの部隊の撤収という話は、これは新聞報道としては発表されておりまして、われわれもその点は承知しておりますが、ただそれについて核兵器がどうであるかということについてははっきりは承知しておりません。いずれにいたしましても、アメリカ側の従来の立場は、核兵器の存在に関しては否定も肯定もしないという立場でございますので、その点については従来から発表もいたしませんし、われわれが問い合わせてももちろんはっきりしたことは答えるわけはないわけでございます。
 それから戦車部隊の一部の撤収ということは確かに報道されておりまして、この点についてはわれわれも現地で若干確かめております。しかし、これは確かに事実のようでございます。
 それから在韓米軍が、ことに米地上軍が撤退いたします際に、これが日本に持ってこられるのではないかという点でございますが、この点に関しましては、一月末に日本に来日いたしましたモンデール副大統領は、いずれにしても在韓米地上軍を韓国から引き上げる際にそれを日本に持ってくるようなことはないというのは、自分の理解であるということをはっきりと言明いたしております。
○寺前委員 それではこれで終わります。
○竹内委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 いろいろと質問が重なってまいりましたので、私は改めてまず口上書に関して確認をしておきたいと思うのであります。
 この口上書を改めて作成しなければならなかった、こういう結果になったわけでありますが、これは先ほどの御答弁にもありましたように、百五十万分の一の地図の中にはなかった、鮫瀬というものがなかった地図でつくられた、こういうことでございますけれども、当時すでに世界の趨勢は十二海里時代であったということを答弁の中でも確認をされたと思うのです。そういう世界の流れの中にありながらこれができなかった、こういう結果が生まれてきた、これは鮫瀬が入っていなかった地図を使ったという結果であったと思いますけれども、十二海里時代を想定できなかったためにこういう結果が生まれてきたのか、あるいは単に初歩的なミスで百五十万分の一の地図の中になかったからこういう結果が生まれたのか、その辺の確認をしておきたいと思います。
○中江政府委員 私、当時この交渉を見ておりましたときの考え方としては、前回も当委員会で申し上げましたけれども、趨勢として領海が十二海里という時代が来るだろうということは念頭に置いておりましたし、また外務大臣もたびたびおっしゃっておりますように、漁業水域の十二海里というのは日韓漁業協定ですでにあったわけでございますから、十二海里という距離基準というものが全く念頭になかったということはないわけであります。しかし他方、鮫瀬がない地図であったからこうであって、もし鮫瀬がありせば変わったであろうかということになりますと、これは当時の考え方は、先般も申し上げましたように、韓国の設定しております開発区域というものが日本が開発し得る地域に重なってきている、それが論争のもとであったわけですが、その重なったところを地図上に写すというときに、先ほど来問題になっております海図二百十号というのを使用した。使用して、韓中中間線とか日韓中間線とか、そういった問題を朝鮮半島、中国大陸、日本列島、琉球諸島というような地理的な配置から見て、韓国が主張している開発区域というのは果たして妥当に大陸だなの上に乗っかっているかどうかということを調べるに当たって、この地図が最も適当だという海上保安庁の御意見もありまして、この地図に写して様子を見たというわけでございます。そのときに、これを日本の沿岸から何海里でなければ、あるいは何海里の中に入っているのであれば問題だという意識がありましたならば、鮫瀬が載っていたもっと精細な、琉球列島に沿って、あるいは九州に沿っての地図を一々引っ張り出して測定するという作業が行われたと思いますが、当時の考え方は、日本から何海里離れたところまでを共同開発区域にするという沿岸からの距離で設けていく、あるいは線引きをするという発想よりも、韓国が主張しているところと日本が主張しているところとの重なったものを地図に写してみて、それが適当に置かれているかどうか、特に日本と韓国の中間線を使用しております。その中間線が果たして両方から適当であるかどうかということを見てこの線引きをしたわけであります。ただ、この線引きをするにつきましては、それが日本の主張しております領海三海里という領海内に及んでいるということはよもやないと思いましたけれども、そういう面の観察はいたしましたけれども、やがて十二海里になるのであるから、一つ一つの基点からはかって十二海里の距離を保って先方に押し返すという作業はしなかったということでございます。
○伊藤(公)委員 十二海里時代を想定すれば当然に注意深く配慮されなければならなかった問題だと思いますし、また十分な配慮がされればこういう事態は生まれなかった。むしろ私たちはその責任を明らかにしておきたいと思います。
 きょうの質疑の中で、国際慣習法の中に言われる大陸だなというものがずいぶん答弁の中に出てきたわけでありますが、一体国際慣習法と特定の条約とはどちらが優先をするのか、これももう一度確認をしておきたいと思います。
○村田(良)政府委員 一般論としてどちらが勝ってどちらが劣るかというルールはないわけでありまして、一般国際法、それから条約の中でも一般国際法を法典化したような条約がございますので、こちらの間の関係というのは全く同等と言っていいと思います。ただこれは土井先生の御質問に対する答弁で申し上げたと思いますが、一、般法と特別法という関係に立ちます場合には、原則的なルールといたしましては特別法の方が一般法よりも優位に立つというのが国際法あるいは法の一般の原則でございます。
○伊藤(公)委員 日韓大陸棚協定ですね、この条約は特別法に入るのですか。
○村田(良)政府委員 二国間の条約でございますので、特別法と言えると思います。
○伊藤(公)委員 一般的には、たとえば奴隷制度のような強行法規以外は今日国際慣習法よりは二国間条約あるいは特別法が優先をする、これが一般的にとられているものだと思いますけれども、そうしますと口上書の中にございます附属という部分とそれから大陸棚協定の第二条とはどうかかわり合いを持つのか、お聞きをします。
○村田(良)政府委員 本件の場合には、先ほど申し上げました一般法と特別法の関係がそのまま適用されるケースではむしろないと思うわけでございます。すなわち日韓大陸棚協定というものは、両国が一般国際法上の大陸だなというものを大前提にいたしまして、その大陸だなに関して両国の権利主張の重複いたします部分を共同開発にしようということで合意を見たわけでございます。もしもこの協定が、仮定の話といたしまして、そういった一般国際法上の大陸だなという前提ではなくて、特定の水域に関してただ線を引いて、これを日韓の共同開発にするという前提でできたものでございますならば、確かに一般国際法と特別法という関係が発生するかと思いますけれども、あくまで大陸だなという共通の認識に立って交渉を行い、取りまとめた協定でございますので、一般法と特別法ということではなくて、むしろ一般国際法上の大陸だなを対象にしております以上は、日韓両国とも、もしも領海の幅員が拡張されてその結果共同開発区域の一部分が日本国の領海になる場合は、協定の対象から当然外れるという、いわば基礎的な認識を本来持った協定であるということが言えると思うのでございます。
○伊藤(公)委員 日韓大陸棚協定は五十年拘束をされるわけですね。外務大臣もわれわれも含めて五十年というと恐らくもう生きていないかもしれない。恐らく外務大臣の息子さんももう代議士をやってないだろうと思うのですけれども、もうわれわれがいま議論をしていることが、口上書などというものは、あるいはどうなるかわからない。しかもその口上書自身は、法的な拘束は、今日の法律的に言えば何ら法的な効力はない。二国間のもう善意に基づくというものぐらいな範囲にしか解釈ができない。そうしますと、国際慣習法だと言われている大陸棚条約、いま大陸だなの定義というものがあるわけですけれども、この大陸だなの定義というものは今後変わらない、こういう見通しに立っているのかどうなのか。
○中江政府委員 その点につきましては、南部の共同開発協定の第二十八条だったと思いますが、日韓双方とも法律上の立場、国際法上の立場を留保した上で、実際的解決としてこの協定を結んでおるわけでございまして、大陸だなについての一般国際法が、あるいは将来は海洋法会議で新しい国際法が生まれるかもしれませんし、それは将来の問題ですから、先生仰せのように、五十年先までいまのままの大陸だな概念が続くということを見届け得る人も非常に少ない現状でございますけれども、法律的に申しますと、まさしく南の大陸だなについては、国際法がはっきりしていないために日韓両国で紛争になったわけでございますので、この紛争を一刀両断に片づけるような国際法が出れば、これはまたそれは一つの解決になるかもしれませんし、そこのところは、法律的な立場を、国際法上の立場を何らコミットすることなく、現時点では双方の立場が真向から対立しているので、それをたな上げにして、そして権利主張の重複する部分を資源開発という実際的見地から有効利用しようというのが共同開発の構想になっておるわけでありまして、一般国際法上の大陸だなの概念がこれで縛られてしまうというようなものではまずないわけでございます。
○伊藤(公)委員 五十年、長い先の見通しに関しては定かではない、こういう見通しの中で、明らかに現状では国際慣習法の中における大陸棚条約、大棚だなというこの定義に従って、いまこの日韓の大陸棚協定というものも進められようとしているわけであります。しかし、一九五八年の大陸棚条約にも、もちろん日本もそれから韓国も参加をしていない。しかしそれは世界の国際慣習法だという立場に立っていま進められているわけですけれども、そうしますと、将来、今度の口上書の部分と、それから大陸棚協定の第二条の抵触する部分に関しては、国際慣習法上の大陸だな定義が変われば変えなければならない、こういうことになるわけですか。
○中江政府委員 これは、私ただいま申し上げましたように、国際法上の立場を留保して、実際上の解決としてこの協定を結んでおるわけでございますので、法律的な立場が変わったからそれによって自動的に変わっていくという発想ではなくて、これは資源の有効利用という面からこういう協定になっておるわけでございます。
 他方、この大陸棚条約というものが一般国際法を法典化したものであるかどうかについては非常に議論がありまして、日本が参加しない理由の一つには、定着性の生物資源まで含めていいかどうかというような、大陸棚条約の条項の中にもまだ完全に国際法として熟していない面があるという認識があったわけです。にもかかわらず、大陸だなというものそのものが、領海の外縁から外に向かって沿岸国がある程度地下資源に対する主権的権利を行使し得るではないかというその部分に限って言いますれば、確立した一般国際法になっている そういうことでありましたから、御承知のように、オーストラリアとの間の真珠貝の紛争というようなものも、大陸だなというものの存在を前提として起こり得た紛争であったわけでございまして、大陸だなそのものが全く根拠のないものではなくて、大陸だなというものが領海の外縁から公海の方に向かって沿岸国が主張し得る一つの国際法上の地位を持っている、国際法上の制度になっているという点につきましては、これは確立しているということでありまして、その確立した大陸だなの国際法上の制度というものを前提として、そしてその外縁なりあるいは境界線の画定、そういったものについての国際法が不備である現状において、それが、はっきりした基準が出るまでにはまだまだ時間がかかる。その間、この資源を利用しないで手をこまねいていることが果たして賢明かどうか、その点については国際法上の決着がつけばよし、つかなくても、双方のいまの法律上の立場を害することなく、これを留保した上で、まず資源の有効利用に実際的解決を図った方が国の利益になるかというその選択の問題として、当時日本政府としては、法律的な立場にいつまでもこだわるのではなくて、実際上の解決をして、この地下資源を有効利用する方が国の利益に資するゆえんである、そういう判断がなされたわけでございます。
○伊藤(公)委員 資源が大事だということは私たちも同じ立場でありますけれども、将来いろんな紛争や問題を残さないために、私たちは五十年先のことまでいま確実な方法で考えておかなければならない。私たちの国はしっかりした法治国家でありますから、きちっと法律の上でいかなる不備もない条約をいま私たちの世代に結んでおかなければならない。だから私たちは重ねて主張をしているわけでございます。
 この条約の第二条の一項を改正すれば将来問題は残さない、こう私は思いますけれども、けさから各政党の人たちも一貫してこの問題をいろんな角度から明らかにしてきましたが、将来に非常な心配を残している、こういう中で、第二条一項を改正して将来にいかなる心配も残さない条約をいまきちっと結んでおく必要はないのか、お聞きしたいと思います。
○中江政府委員 その点についての御懸念は再々提起されておりまして、私どもも御懸念としては理解ができるのですけれども、私どもの考え方はまた違った考え方でございまして、それは領海の拡張、つまり拡張された領海に対する管轄権、主権の主張というのは、これは絶対的なものでありますので、大陸だなの概念がどうであろうと、領海の外縁にしか大陸だなというものは国際法上の制度として存在しない。そして、その領海の幅を日本が国際法にのっとって拡張いたしました以上は、その部分については、理の当然として大陸だなでなくなるのであるから、改めて改正するということをしなくても、十分明らかであるし、その点についてなお文書によって日韓間の理解に相違がないことを確めておいた方が無難であるという配慮もございまして、口上書の交換をいたしましたけれども、最後のよりどころというのはこの口上書ではなくて、一般国際法上領海の部分には大陸だなは及び得ないという、これは確立した国際法規に従って日本の主張を貫いていくということになる、そういうのが私どもの立場でございます。
○伊藤(公)委員 この口上書をつくられた基本的な考え方は、従来のこの条約だけでは多少の心配もある、あるいは何らかの形で補足をしておかなければならない、こういう考え方のもとで口上書というものができたと思うのですね。そうしますと、いささかの法律的な心配も将来に残さないということは脅えないと思うのです。もう御答弁をいただく必要がありませんけれども、私は、将来、五十年先のことを考えれば、いまきちっとした条約を結んでおくべきだ、この条約第二条の一項をきちっと改正をして不備のない条約で出発をすべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。
 それから、二十一日に二百海里漁業専管水域に関する暫定措置法案が提出をされることになると思いますけれども、三月一日だったと思いますけれども、米ソが同時に二百海里漁業専管水域を宣言をしたわけでありますけれども、アメリカの宣言をした漁業専管水域、ソ連のいま宣言をした漁業専管水域、そして二十一日に日本の国会にかかるわが国の漁業専管水域法案、これはいずれもその内容は同じものなのか。基本的にもし違う点があればお聞きをしたいと思います。
○溝口説明員 わが国の漁業水域の設定に関する法律につきましては、明日閣議決定される予定になっておりまして、いまなお検討中でございますが、基本的な考え方といたしましては、沿岸から二百海里についての漁業水域を設定することにおきましては、米国あるいはソ連の法律と考え方は軌を一にしておるものでございます。もちろん内容につきましてはそれぞれ若干の相違がございまして、たとえば対象とする水域といたしましては、現在のわが国の考えております案では領海は除いております。また、これに対して米国の法律も領海を除いておりますが、ソ連の法律は領海とダブっておると申しますか、沿岸から二百海里ということになっておりますし、また、たとえば適用水域にいたしましても、米国の法律では一律沿岸から太平洋、大西洋全部の海をカバーしておりますが、わが国の現在考えております案あるいはソ連の案につきましては、法律に基づきまして政令で地域を具体的に定めるということになっておりまして、現にソ連の二百海里水域は太平洋側に限って行われておりまして、バルテック海にはしいてないというような相違がございます。
○伊藤(公)委員 日本が二百海里漁業専管水域を宣言しますとどういうメリットがありますか。具体的にお聞きをしたいと思います。
○中島政府委員 お答えを申し上げます。
 いま説明がございましたように、漁業水域は、わが国の距岸二百海里にわたりまして、その範囲内における漁業資源の保存及び管理をわが国が管轄権を行使してこれを行い得るということになりますので、その資源に対する規制をわが国が行い得る、外国の漁船がその水域内において操業いたします場合には、そのわが国が行使しますところの管轄権に服しつつ、わが国の規制に従ってのみ操業が行い得る、こういうことになります。
○伊藤(公)委員 ソ連の二百海里漁業専管水域の中には、すでにソ連は、主権が及ぶ、裁判権であるとかあるいは主権的な権利を行使する、こういうことを言っておるわけでありますけれども、日本が二百海里漁業専管水域を宣言をすれば同じ内容になるわけでございますね。
○中島政府委員 ただいま先生御指摘のように、ソ連の昨年十二月の幹部会令には、その漁業水域内における資源の保存管理に対してソ連邦が主権的権利を有するという規定がございます。これは海洋法の会議でいま審議の基礎になっております非公式単一草案も同じような規定になっております。わが国の法律におきましても、漁業の資源の保存管理に関してわが国が有効な管轄権を行使するというたてまえになっておりまして、このことは基本的には同じことを意味しているものであろうというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 二百海里時代は急速にやってきていると思います。すでに漁業専管水域二百海里時代から経済水域二百海里時代に入った、こう考えなければならないと思いますけれども、すでに漁業専管水域を宣言をしている国が二十五カ国、この中で経済水域を宣言をしている国はいま何カ国ありますか。
○溝口説明員 外務省で今日現在確認しております経済水域設定国は十四カ国、漁業水域設定国十二カ国で、二十六国でございます。最近ビルマが追加になったそうでございまして、先生の御指摘の二十五カ国にビルマが加わりまして二十六カ国ということが、われわれの調査の結果でございます。
○伊藤(公)委員 漁業専管水域を宣言をしているのが二十五カ国、すでにその半数以上の十四カ国が経済水域二百海里を宣言をしている。世界は二百海里漁業専管水域から経済水域へ移ったと考えなければならないと思いますが、外務大臣の見解をお尋ねいたします。
○鳩山国務大臣 経済水域にするか漁業水域にするかという点につきましては議論のあるところでございますけれども、今日、アメリカ、ソ連、カナダ、そういった有力なる国が漁業水域をということで管轄権の行使を行うようになったわけでございますので、いま世界的に経済水域の時代に入ったと言うことはまだ時期尚早であるというふうに私どもとしては考えているところでございます。
○伊藤(公)委員 よもや外務大臣がいま答弁のようなことをそのまま考えているとは私思いませんけれども、すでに経済水域二百海里時代の体制をわれわれは整えなければならない。世界の大勢はむしろ経済水域二百海里時代に入ってきているわけでありますし、現実に経済水域二百海里を宣言をしている国があるわけでありますから、私たちはいま思い切って二百海里経済水域を宣言すべきではないか、こう思いますけれども、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 国連海洋法会議の方向は経済水域の方向で話が進んでいるというふうに伺っておりますので、漁業面では現在急速に広がっております漁業専管水域に対しましてわが国としても何らかの緊急な手を打たなければならない、こういう観点から漁業水域の設定に踏み切ったわけでございますので、経済水域の問題につきましては、海洋法会議の結論を待って考えるべきであるというふうに現在のところは考えておるところでございます。また、国際的に状況が非常に変わってくるということがあればそのときには検討しなければならぬ、こう思いますが、現在のところは漁業問題として緊急の措置をとりたい、このように考えておるところでございます。
○伊藤(公)委員 ちょっとお尋ねをしておきたいと思いますけれども、ソ連がいま二百海里漁業専管水域を宣言しております。日本はこのソ連の二百海里漁業専管水域の中に大陸だなを持っておりますか。
○中島政府委員 一般的に申しますれば、わが国の自然の延長としての大陸だながソ連の二百海里の水域の中に突入しておるという事態はないだろうと思いますが、なおしさいに検討した方がよろしいかと思いますので、検討をさせていただきたいと存じます。
○伊藤(公)委員 じゃ調査をしていただくとして、仮定の質問をさせていただきます。
 ソ連の二百海里漁業専管水域の中に日本の大陸だながあったとすると、わが国はソ連の二百海里漁業専管水域の中で日本の大陸だなの開発が可能でありますか。どうですか。
○中島政府委員 ただいま申し上げましたように、わが国の自然の延長として大陸だながソ連の漁業水域の海底に突入しておるという事態は恐らくないだろう、ないと申し上げてよろしいのじゃないかと思いますが、いずれにしろソ連とわが国がもし同じ大陸だなに乗っておるとすれば、わが国といたしましては、これは中間線でその境界が画定されるべきであるということになると思います。
○伊藤(公)委員 開発ができるということでございますね。
○中島政府委員 同じ大陸だなに乗っているとすれば中間線が原則であるということになりまして、その場合には漁業水域につきましても、今般漁業水域をわが国自身が設定いたしますれば、ソ連の漁業水域とわが国の漁業水域とは同じく中間線が原則ということになって、恐らく上下一致するというふうに一般的には考えるべきであろうというふうに考えます。
○伊藤(公)委員 日本の二百海里漁業専管水域の中に中国の大陸だなは存在しておりますか。
○中江政府委員 御承知のように、日本の二百海里漁業の専管水域は、中国及び韓国のように漁業秩序の維持されています国との間では、日本の方からは実際上はそういう線引きをしないという方針でいま進んでおりますので、いまの先生の御質問の、仮定の問題として仮に二百海里ということになりますとどういうことになるかというと、中国の大陸だなは、いま問題になっております日韓の場合と同じように、自然延長の論理に立てば、中国の大陸だなは日本の二百海里なりの漁業専管水域の中に入ってくるということになりましょうし、一つの大陸だなをはさんで相対峙しているのだということになりますと、これは中間線で、上の漁業専管水域も、下の大陸だなも中間線で区画する、つまり境界画定の問題としては中間線理論になる。これはそのときに日本と中国との間に介在いたします大陸だなを一つの大陸だなと認識する日本のような立場で最後まで貫き得るのか、それとも中国からの大陸だなが日本の琉球列島の手前で深くみぞになっていて、そこまでは中国側の大陸だなが自然延長として日本の漁業専管水域の下にもぐり込んできているという立場に立つかによって、境界画定の問題が異なってくるということですが、冒頭に申し上げましたように、現実の問題といたしましては、いまのところは日韓、日中の漁業協定によって漁業秩序が維持されております水域に対しましては、漁業専管水域は実際上の線引きは行わないという方針で進められているというふうに了解していただいていいのではないかと思います。
○伊藤(公)委員 外務大臣にお尋ねをいたします。
 中国の大陸だなは日本側に延びてきているわけでありますけれども、中国の大陸だなについてはどういう御見解をお持ちでございますか。
○鳩山国務大臣 私の伺っているところでは、中国も大陸だなにつきましては自然延長論をとっているように伺っておるところでございます。わが国は中間線を主張しておるわけでございますが、そこにつきまして中国とわが国とはやはり見解を異にするのではなかろうかというふうに考えます。
○伊藤(公)委員 二百海里漁業専管水域をそれぞれの国が宣言をしてきたときに、その二百海里漁業専管水域の中に、たとえば大陸だなの開発ということがある。一方においてはすでにソ連は二百海里漁業専管水域には主権的な権利も及ぶ、こう言っているわけですね。その主権的な権利の及ぶ専管水域の中に入って、たとえ大陸だなの自然延長だからといって、その海底の開発が今後、将来可能なのかどうか、外務大臣の御見解を伺います。
○中江政府委員 考え方といたしましては経済水域は経済水域としての限定された管轄権があるだけで、主権的権利と言いますけれども、それは海底深々とどこまでもというものではないわけでございます。それはいま言われましたように、その下に大陸だなが入り込んできておる場合には下まで及ぶわけではございませんで、大陸だなの部分については今度は大陸だなの法理によって、その上部水域が相手国の経済水域になっておりましょうとも、その下にある大陸だなに対する地下資源の開発の権利は、大陸だなに対する主権的権利としてその大陸だなの属する国が主張する。そうすると、上と下とで権利がちぐはぐになってくる。その間の調整をどうするのかということは、たびたび言われておりますように、いまの海洋法会議では何らの手当てがされていない。そういうときには何事が起きるかと言いますと、これは関係国同士の間でどういうふうに調整するかを話し合うということになろうかと思います。
○鳩山国務大臣 ただいまアジア局長から御答弁申し上げましたが、経済水域と大陸だなとの調整というものは、国連海洋法会議の場におきましてもついていないことはただいま申し上げましたとおりでありますので、今後地下資源の開発等が重複したところで問題になりますときには、どうしてもこれは関係国が協議をしなければ実際問題として開発が進まないのではなかろうか。同じような見解を持っております。
○伊藤(公)委員 改めてお聞きをしますけれども、日本のこれからの近い将来にとって、漁業専管水域二百海里ではなしに経済水域二百海里を現在の時点でわが国は宣言をすることの方がわが国の国益になるのではないか。また世界の大勢の中から言っても、海洋国日本という立場から言えば、ついこの間の本会議場で福田総理が御答弁のように、世界にただ一つしかないまれに見るこの領海法を政府は提案をしてきたわけでありますけれども、まさに世界に先駆けて海洋国日本としてはこの新しい国際情勢の動きに対応する経済水域宣言をしていくべきではないのか、こう思いますけれども、御見解をお伺いをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいまの御主張は、わが国の国益を守る観点からすれば確かに一つの御見識だと思うわけでございます。ただ、一方におきまして漁業だけの問題につきましても、海を非常に多く持つ国が世界の海を分割するではないかというような、逆に海に面しない国がたくさんある。また面していましても、この二百海里というようなことをやれないような国もたくさんあるわけであります。そういった世界じゅうの国々の立場から見ますと、やはりこの海洋分割に進んで臨むというような態度は、わが国としてはいままでとってこなかったところでございます。今回の漁業につきましては、アメリカ、カナダ、ソ連というような近接する有力なる国々がそのような措置に出たということから、日本としても急遽緊急にこの二百海里漁業水域の制度を設けざるを得なくなった、こういうことでございますので、その他の資源につきます問題につきましてはいましばらく海洋法会議の結論を待ちたい、こういう態度でただいまのところはおるわけでございます。
○伊藤(公)委員 海洋法会議の結論を待つということはよくわかりますけれども、海洋法会議を推進をしていくことも日本のとらなければならない立場だと思うのです。いますでに経済水域二百海里を宣言している十四の国が現実に世界の中にある。二十六の国々がもうすでに二百海里漁業専管水域も宣言をしている。私たちがいまこの時点で二百海里経済水域をはっきりと宣言をすれば、この日韓大陸棚協定の問題もかなり違った展開になる。あるいは中国との間にある大陸だなの問題についても、かなり違った見方ができるのではないのか。おくれおくれで三海里から十二海里、そして今度の漁業交渉であわてて二百海里漁業専管水域を宣言する。しかも今度の時点に関しては、それぞれの政党が党の枠を超えて党首会談等でその場しのぎを何とかしようということでありますけれども、もうすでに新しい時代が始まっているにもかかわらず依然として国際海洋法会議の結論を待つという姿勢は、海洋国日本の立場からすれば余りにもテンポが遅過ぎる。時代の趨勢を考えて、漁業専管水域ではなしに経済水域二百海里をこの時点で宣言をすべきだと私は思うのです。この領海法、あるいは今度二十一日に提案されます二百海里漁業水域に関する暫定措置法案に関しても、一貫して私たちは新しい時代の先取りをする法律をつくっていくべきだ、新しい時代に対処をしていくべきだ、こう考えておりますので、強くこのことを要望をしておきたいと思います。
 もう一点、私が前回ちょっと触れた問題でございますけれども、日本の国の中の問題でございます。財団法人国際学友会の件でございますが、その後事態はどう変わったのか、状況の御報告をいただきたいと思います。
○西宮説明員 国際学友会の事態は、率直に申し上げましてまだ変わっておりません。前回申し上げましたように、専門家との会合を開きまして国際学友会の再建対策を鋭意練っておる現状でございます。
○伊藤(公)委員 国際学友会の理事長がいま欠けたままでいるわけですね。歴代の国際学友会の理事長はどういう方がなっていたのか、ちょっと挙げて御説明ください。
○鳩山国務大臣 いま名前等を調べますが、私の知る限りでは、外務省のOBの方が担当されていたと思います。
○伊藤(公)委員 歴代全部、外務省を退職された方々や外務省の役人の方々が理事長をしているはずでございます。
 この国際学友会は、前回の私の質問でも申し上げたとおり、大変な赤字経営でございます。どうも役人の方々には経営能力はないような気もい、します。ほとんど外務省の助成で賄っている国際学友会、しかも、すでに百人以上の留学生が現実に来て、宿泊にも困る。すでに不法に宿泊をしている。しかもここ一両日の報告を聞くと、不法に入った方々がかなり反日的な運動まで始めた、こういう事態でございます。
 日本を理解をしていただこう、こういうことで東南アジアの学生の方々を招待をしておいた結果が、反日的な運動に移っている。これはわずか百人ちょっとの人数の問題でありますが、私たちは外交の上でも見逃せない問題だと思うのです。この経営に関して、いままでのような役人の天下りだけの経営で一体できるのか、そして理事長が欠けたまま長い時間が経過している。一体どういう形で今後、すでに日本に来ている学生の人たちの処置をするのか。また、授業を再開せよという学生の人たちの声も非常に高い。どういう見通しを持っているのか、お聞きをしたいと思います。
○西宮説明員 篠浦前理事長は三月末日をもって辞任したわけでございますが、この学友会の管理という問題は、先生御指摘のとおり非常にむずかしい問題でございまして、この後任のいわば管理体制の強化と申しますか、充実ということにつきまして、しっかりした人材を理事長に充てたいということで検討中でございます。
 なお、先生おっしゃいました、目下、日本語学校入学ということを期待して日本に来ておられます東南アジア諸国の留学生の方々の学業の点につきましては、鋭意他の機関に入学先をあっせんするという努力を続けております。
○伊藤(公)委員 すでに宿泊等については、現実にあっせんをされたわけでございますか。
○西宮説明員 私どもの聞いておりますところでは、約百十数名の宿泊先のあっせんはしたわけでございます。
○伊藤(公)委員 今後再開をされると、来られる方々もいるわけですけれども、私自身の調べたところでは、まだ宿泊できない人たちもいる、こう聞いております。そして、不法に宿泊をしている、こういうことも私どもの調査で出てきております。
 いま一つの具体的な方法としては、公団の空き家等もあるわけですから、一年間特例で学生たちに提供するということも可能だと思いますけれども、具体的に方法をとっていただきたい。
 また、国際学友会の経営はどうもずさんで、年々赤字を生んできたという問題があると思うのでありますけれども、それは、経営者自身あるいは理事者自身にも経営能力が非常に欠けていたということもよく聞いておるわけでございます。その辺はいかがでございますか。
○鳩山国務大臣 国際学友会の経営は長い間大変むずかしい情勢になっておるわけでございます。その大きな原因が経営の問題にもあるわけでありますが、経営という場合には、理事者とそこに勤務する職員、この間が緊密な連絡のもとに行われて初めて事業の経営というものが成り立つものであろうと私は思います。この点につきまして長い間苦労を重ねてきたわけでありますけれども、現実の問題として今日のような事態に立ち至ったものでありまして、これが短時間に起こった問題ではないという点、これは御指摘のとおりの事情があるわけでございます。そういったことだけに、この解決はなかなかむずかしい。
 そこで、特に留学生の世話につきましていろいろ見識を持った方にお集まりいただいて、これからの学友会をどうしたら再建できるか、こういうことにつきまして御議論をいただいて、目下成案を得る段階にあるわけでございますが、これから本当に私どもがやらなければいけないことは、来日されました百何名かの若い学生諸君、この人たちがいま大変困った立場にあることは御指摘のとおりであります。この方々のためにできる限りのお世話をすることがまず第一でありますが、将来の学友会をどうするかということも早急に再建策を立てて、成案を得た上でりっぱな、生まれ変わったような学友会を築きたいというのが私どもの偽らざる心境でございます。
○伊藤(公)委員 余り深追いをしてお聞きしたくないのでありますけれども、助成が三億五千万だったと記憶しておりますが、ほとんど外務省が経営をやっておるような学友会が大変赤字を生んできた、その原因はどこにあったのでしょうか。
○西宮説明員 人件費の高騰、食堂を含めました寮の経営の失敗、これが大きな原因であろうかと考えております。
○伊藤(公)委員 重ねてお願いを申し上げますけれども、東南アジアから日本にやってきて勉強しようという若い人たちは、本当に日本で勉強し、また国に帰ってかなり高い地位でそれぞれの国の大事な仕事をしようと大変希望を持って来た学生の人たちであります。せっかくの希望を燃やして来た方々が、結果的に反日的な感情を持って帰られるというようなことがないように、むしろ東南アジアの学生の方々に新しい道を開いてあげる契機にぜひしていただきたい、こう要望して質問を終わらしていただきます。
○竹内委員長 午後八時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後八時休憩
     ――――◇―――――
    午後八時三十七分開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。稲垣実男君。
○稲垣委員 きょうは、各党の先生の質問の時間が相当延引いたしまして、私の質問の時間はきわめて短時間とのことでございますので、十分意を尽くせられないきらいがあります。
 私は、先ほどから論議、質問、答弁を聞いておりまして、本協定を補足する口上書が国際法上十分でない、あるいは効力が薄いのではないか、修正する交換公文を交わすべきであろうとか、また解釈上から、確認の意味での口上書では将来わが国の主権上から不安ではないか等々、いろいろ言われておりますが、他面、このような口上書を今日の段階で韓国側からとってくるということは、国際信義観からしてなかなか容易でなかったであろうと推察できるわけであります。また相当困難をきわめたとその苦労がうかがえるのですが、その点について、まず大臣からお聞きしたいのでございます。
○鳩山国務大臣 この口上書の問題につきましては、先方といたしましては、前に二月の段階でわが方の大使からいろいろ先方に了解をとる努力をいたしたわけでございます。そのようなことで、私も当委員会で御答弁申し上げたわけでございますが、それでは不十分であるから文書の形で、こういうお話があったわけでございます。そういうわけで、一体大使と外務部長官とのいろいろな話があったのに、それではどうしていけないのかということも、ずいぶん先方のそのような意見もあったりいたしまして、いろいろ折衝に当たる者としては最大の努力を尽くしたところでございます。
 なお、アジア局長からも補足をさしていただきます。
○中江政府委員 ただいまの大臣の御説明を補足いたしますと、大体日本が十二海里の領海を実際に具体的に設定しようということが固まってまいりました段階で、韓国駐在の西山大使から韓国の朴東鎮外務部長官に対しまして、近く日本としてはこういうふうに領海が急ぎ拡張されることになった、その背景はいろいろあったわけでございますけれども、その結果として、日本の拡張された領海が大陸だなの部分に及ぶという場所があるが、それについては、当然のことながら国際法上こういうことになる、それが日本の見解であるという話をいたしまして朴外務部長官の見解とい孝ものを求めたわけでございますが、その段階では韓国にとりましても、日本の領海拡張というのはある意味では唐突な感じがあったことと思いますけれども、しかし国際法上の見解、考え方というものにつきましては、これは韓国も同じでございますので、日本もまだ当時法案もできておらない段階でございますので、そうなった暁には当然日本がおっしゃるようなことは国際法上の論理の帰結であるということであったわけでございます。
 そめ後、朴東鎮外務部長官が来日されまして鳩山外務大臣と会談される機会がありましたそのときにも、鳩山大臣の方から西山大使が朴外務部長官に話されているあの件は、あれは間違いがないことだというふうに理解しておりますがと言いましたら、朴外務部長官もあれは全く韓国の考えも同じである、ただ、まだ領海法もできておらない段階だから仮定の問題でしょうけれども、というような話がありまして、その後、いま大臣もおっしゃいました四月六日の外務大臣発言ということの中で、領海が拡張された暁にはこういう問題について両者の見解が合致しているということを念のために文書で取り交わすということでやってみよう、具体的措置は任していただいて、それができ次第国会尊重の見地から御報告します、こういう過程があったわけで、そういう外務大臣発言を踏まえまして、係官がソウルに行きまして韓国側とこの口上書の折衝をいたしました。
 そのときに韓国側が言いましたことは大体三つの点がございまして、一つは、いま申し上げましたように、両方の大使と外務大臣、さらには外務大臣同士で口頭で確認し合って問題がないと言っていることをどうしてまた文書に書かなければならないのか、そんなに善隣友好の関係にある両国間で信用が置かれてないということははなはだ不愉快であるという反論、これが一つあったわけでございます。
 第二は、領海法を制定した暁にはとおっしゃるけれども、領海法は当時はまだ国会に提出されていない、審議の結果どういう法として成立するかもわからない、全く仮定の問題を前提にしてそれをいまの段階で書き物にするということは、これは少し慣例から見てもおかしくはないかという点。
 第三は、こういう見解は国際法に基づく見解であって、何も日本政府の見解を韓国政府がどうするという趣旨のものではない、韓国政府も国際法に徴すればこういうことになるということは、独自に決定し得る問題である、したがってこの韓国側口上書に別添されております外務スポークスマンステートメントというもので韓国の考え方を明らかにすれば、それが日本の見解と合致していればそれで問題ないではないかというような主として三つの点から、韓国側としてはこの問題について、文書にするということには非常な抵抗といいますか、消極的な意見があったわけでございます。
 これは、独立国同士の問題として見ますれば、韓国側の立場にも相当の理由があるというふうに認められましたけれども、事柄の性質上、これはどうしても口上書の往復という形で文書にすることが要請されているということで、苦心を重ねた結果交換されましたのがこの口上書、往復の口上書でございます。
○稲垣委員 何回ぐらい口上書の中身について折衝されましたか。
○中江政府委員 これは何を一回と勘定するかは非常にむずかしいのですけれども、アジア局の遠藤北東アジア課長がソウルに乗り込みまして、絶対動かぬということでソウルにがんばりまして、私どもは東京から逐次電報のやりとりをいたしまして、その電報の往復は前後十数回に及んでいたという感じがいたしております。
○稲垣委員 大分苦心されたようでありますが、口上書の中身に余り突っ込みますと、他の質問の時間を失いますので……。
 私は政府・与党の立場からいたしまして、日韓両国に隣接する大陸だなの共同開発についての本協定を早期批准することが本協定の前文にありますように両国に共通の利益である。すなわち、わが国の国益上から基本的には賛成でありますが、しかし、だからといってすべての点におきまして政府の言い分をそのままうのみにできない、何か割り切れない疑問点など、国民の抱いている素朴な疑問についてさらに二、三質問いたしましてこれをただしていきたいと思うのであります。われわれは、国民の前にはっきりと本協定は国益上において有意義であるということであるか、国家百年の大計において誤りないものであるかどうか、ただしていきたいと思うのであります。
 今日までの国会での審議において、当外務委員会また予算委員会での政府答弁においてどうもすっきりしない、十分に理解されないか。これはわが国の外交姿勢において基本的なものがしっかりしていないからではなかろうか。何か場当たり的で、成り行き的であって、相手側の言い分を尊重することはよいことではありますけれども、しっかりした主体制に欠けたきらいがあるのではなかろうか。資料、海図を含めての選択、出し方、主張の根拠、絶対譲れないわが国の権益及び主権的権利の確立など、そして善隣友好い互恵平等の原則の上に立つ外交姿勢に何か揺らぎや慎重さを欠き、見通しが悪い、どうも国民に軟弱に映るのではないかと心配するものであります。
 今日国民は、領海十二海里において特定海域、国際海峡のあり方や決め方は大丈夫であろうか、またどうなるのか、二百海里経済水域、また漁業専管水域二百海里設定をめぐって国連第三次海洋法会議の推移、海外情勢にまで関心を深めておりますし、特に日ソ漁業交渉において北方領土は絶対に大丈夫であろうかな、魚はどうなるのか、そしてどう決着がつくのか、こういう国民の外交問題に対する関心度はいままでにないほど高いのでありまして、毎日、新聞やテレビの報道に大変心配しているのであります。でありますから、外国との取り決め、協定、条約等においては特に慎重にやってほしいと強い要望があります。また、その重大な条項について他意のない過ちがないように政府は慎重にも慎重であってほしいし、また、なくてはならないのでありますが、十分な調査研究、また配慮がなされなければならないのは当然のことであります。
 そこで、本協定を締結するに当たり、十分な配慮がなかったのではないか。特に第二条の共同開発区域の位置づけについて不備と思われる状態で協定を締結してしまった、この際、そういう口上書をとらざるを得なかったという真の原因はどこにあったか、外務大臣にこの点をしっかりとお尋ねしたいのであります。
○鳩山国務大臣 領海が十二海里になりました場合に、一部この共同開発区域に領海が食い込む、こういう問題がどうして起こったか、こういうことでございますが、これは三年前に合意いたしますときには、御承知のようなまだ領海の問題がそれほど現実の問題になっておらなかった時点でございます。そういったことで、先ほど来るる御説明申し上げましたけれども、使用いたしました百五十万分の一の海図に鮫瀬が載ってなかったということも何らかの原因になっているのではあるまいかと思われるわけでありますが、十二海里を精密にはかった場合に一部入った場合、それは当然に大陸だなから外れる、こういうことで、この点につきましてはぜひとも御了解を賜りたいわけであります。
 開発自体につきましては、これは両国でどうしても共同して当たらなければいつまでたっても結局のところ開発ができない、こういう事態でありますので、主権的権利の行使という点につきましては、これはまことに国民の皆様方の重大なる関心事である。わが国におきましても当然でありますが、韓国におきましてはまた逆な意味で、先方は当然の権原を主張しておるわけであって、この問題は、やはり両者が協力し合って開発していくということによって初めてこの開発が可能になる、こう考える次第でございますので、エネルギー問題におきます日本の地位というものから考えまして、ぜひともこの開発に早急に着手をいたしたい、これが究極において日本の国益に沿うゆえんである、このように考えて、ぜひとも御承認を賜りたいのでございます。
○稲垣委員 どうも大臣の答弁を聞いておりますと、いろいろ言われますけれども、問題の起こった起因というものは、われわれがわが国の領土を規定するあるいは認識する場合、基線ということ、そういう言葉がありましても、具体的に海図の上にしっかりとここまでがわが国の基線である、低潮線等で取り囲んだ領土であるという区域図といいますか基線の基本図というものがどうも用意されていないのじゃないか、どうもその場その場になって初めて、ここからがわれわれの領土ですといったような、一々やらなければならぬ、そういうような領土に対する認識が薄かったのではないだろうかと思うのであります。この際、政府の外交交渉をする者は、そういう領土に対する再認識がきわめて必要であろうと思います。
 いずれ領海法案を審議する、あるいは漁業専管水域二百海里を決める場合、われわれの領土の最先端を示す基線をあらわした基本図なるものがきわめて大事でありますから、この際、至急再点検していただいて確認する必要があると同時に、そういう基本図をつくるといったような用意がありますかどうですか。
○中江政府委員 先生御指摘のとおり、いままでここまでが日本の領海の限界であるということを明確に示した地図といいますか海図といいますか、そういったものは日本にはたしか存在しなかったと思いますが、それは領海制度そのものが、よく言われておりますように、一般国際法、国際慣習法として徐々に積み上げて法的拘束力を持つものになってきたという、発生の過程がそういうものでありますために、そういうものがいままで日本では特に作製されなかったのではないか、これは私の推測でございますけれども。
 ただ、今度はそういうことから生ずるもろもろの紛争を避けるために、国際的に国際社会でコンセンサスとして海の制度をつくろうというので、国連海洋法会議というものが何度も持たれて、そうして領海は何海里、経済水域は何海里というふうにいま努力が重ねられておるわけでございます。
 これは大変いい機会でございますので、私どもの立場からいたしますと、直接の所管官庁ではございませんけれども、そういったものが、いま先生御指摘のように早く整備されれば、外交上のいろいろの事務処理をするに当たっても非常に有益ではないか、こういうふうに思っております。
○稲垣委員 了解いたします。
 領海十二海里以上の国が世界でどのくらいありますか。
○村田(良)政府委員 本年二月一日付の調査の結果でございますが、十五海里が一カ国、二十海里が一カ国、三十海里が四カ国、五十海里が四カ国、百海里が二カ国、百三十海里が一カ国、百五十海里が二カ国、二百海里が十カ国でございます。
○稲垣委員 そこで、わが国の領海が十二海里になれば、その領海に該当する分が当然に共同開発区域から除外されるといういままでの答弁でございますけれども、それならば、今後世界の趨勢上領海五十海里になったら、再びその該当部分は対象外となると理解してよろしいでしょうか。
○中江政府委員 理論上の問題といたしましてはそのとおりでございます。
○稲垣委員 いろいろ追及しますと、私の聞きたいことがたくさんありますので、この問題はここまでにいたしまして、次に、この共同開発区域において漁業に対する影響は相当あるのではないかと漁民は大変心配しておると思いますが、まずこの水域の漁業種類あるいは漁獲量、魚種などをできる限り詳しくお聞かせ願いたいのであります。
○屋代説明員 日韓大陸棚協定に基づきます共同開発区域におきましては、以西底びき網漁業、それから大・中型まき網漁業、釣り・はえなわ漁業等の漁業が行われておりまして、昭和五十年におきましては三万九千トンの漁獲を上げております。
 おもな魚種といたしましてはアジ、サバ、タイ、グチ、タチウオというふうな種類でございます。
○稲垣委員 いまの漁業種類とか漁獲量あるいは魚種を聞いておりますと大分影響が多いような気がしてならないのですが、影響が少しでも少なくなるように行政指導というものをしっかりやってもらわなければならぬと思いますが、その際、特に試掘をする前に漁民との間に合意を得るとか、これはまた規定されておるようでございますが、また補償の措置などについて具体的にどういうような考え方を持っておるかお尋ねしたいのであります。
○屋代説明員 本協定に基づきます共同開発事業につきましては、探査その他の作業の実施の時期、実施の地点について、及び実施方法の選択に当たりまして関係漁業者と事前に十分調整を行うこと、それから海洋汚染の未然の防止を図ること及び不測の事態に当たりまして十分な救済措置がとられることが必要と考えておりまして、これらの措置が協定に規定されており、それによりまして漁場の環境の保全その他漁業との調整に万全を期しておるところでございます。
 なお、国内の法的な措置につきましても、関係省庁と十分に協議をいたしまして、漁業の利益の確保に十分留意しているところでございます。具体的には開発事業の実施に当たりまして関係漁業者の承諾を得ることとなっておりまして、この段階におきまして関係漁業者が漁業調整の面で不利益をこうむらないように十分の指導をしてまいるという所存でございます。
○稲垣委員 この協定の条文の中に、第二十七条に「漁業等の他の正当な活動が不当に影響されることのないように行うものとする。」と書いてありますが、これはどういう場合のことを言うのでありますか。
○屋代説明員 探査あるいは採掘に当たりまして、その実施の時期、実施の地点、それから実施の方法、こういうふうなものにつきまして漁業が不当に影響を受けないように事前に十分に関係漁業者との話し合いを進めまして実施に当たっていただくということでございます。
○稲垣委員 どうも探査の状態あるいは試掘の状態のときに、相当振動だとかあるいは何か試掘をやっているときにガスがちょこっと出たとか、そういったようなことで、やはり漁民はちょっとした行為に対して悪影響があると過大にもちろん心配するわけでありますが、それだけに十分留意をしていただかなければならないわけであります。特に漁場を保存する。最近においてはわれわれは遠洋漁業から沖合いあるいは沿岸漁業というものを非常に振興しなければならぬというような状況でありますから、特にこの漁場の保存というのは、神経的にも非常に神経を使ってその行為を十分に監視すると同時に、政府側に対して十分注意を促すわけであります。いま言ったような処置がされるということでありますけれども、事前に政府が漁民を集めてそういう呼びかけをするということでありますか、それとも実施権者といいますか、これが呼び集めてやるというようなことでありますか、どちらでありますか。
○屋代説明員 そういう計画が出てまいりました場合に、県を通じましてそれを漁業者段階におろす場合もございますし通産省から農林省側に協議があるケースもございます。そういう場合に応じまして、関係漁業者にその趣旨を十分に了解させた上で同意という段階に移るわけでございます。
○稲垣委員 どうも私の持ち時間が、いま二十四分間などという紙が回ってきておりまして、私はこの点についても大変心配しておりますのでさらに申し上げたいのでございますが、後に控えておられます質問の方もいらっしゃいますので、後日またこの点について追及したいと思うのでございます。ここでやめます。
○竹内委員長 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 大変遅くまで御苦労さまでございます。口上書の性格あるいはその拘束力について御質問をさせていただきます。
 私もいろいろ何か参考になるものはないかなと思ってあちこち探してみました。一つこういうのが見つかりました。オーストリアの永世中立の問題に関しましてオーストリア国から口上書が来ておる。そしてそれに対しての返答がはやり口上書で行われております。これは一九五五年の十一月十四日、オーストリア側から日本に、日本から二日後の十六日にオーストリアに出された口上書であります。このオーストリアの永世中立の問題は、オーストリアの一国にとってはまことに大変重要な問題であった、国是であったと思いますけれども、これと、それからこういうものを承認するといいますか認める形を口上書でできるものなのかどうなのか、そこら辺、口上書のその場合の性格と拘束力について御説明いただきたいと思います。
○村田(良)政府委員 口上書と申しますのは、基本的には外交機関間で外交事務の処理のために用いられる外交文書でございます。それで、この口上書が国際約束あるいはその他拘束力のある文書となることも、その内容によってはあり得るわけでございます。
 ただいま先生御指摘のオーストリアの永世中立に関する口上書は、一九五五年十一月十四日に先方から口上書という形でわが国に連絡がございまして、わが方から二日後にやはり口上書をもってこれに対する返答をいたしております。
 また、その他わが国の慣例といたしまして、たとえばノルウェーその他若干の国との外交関係の設定というのは口上書をもってやったというふうな前例もございます。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、私は先ほども申し上げましたように、一国の永世中立を承認するということは、これは保障する義務がある、また義務を加担するということになると思いますけれども、口上書の性格は、先ほどからの論議とはちょっと逆みたいでありますけれども、いまの政府委員の方の解釈では、事態によってはそういう交換公文、国家間の約束事として認められる場合もあるということでございますか。
○村田(良)政府委員 そのとおりでございまして、口上書という形式があるから必ず法的拘束力があるとかないとかということではございませんで、もっぱらその口上書に盛られておる内容によってそれが国家間の国際約束になるかどうかということを判断すべきものと思います。
○渡辺(朗)委員 この問題はいま確認だけをさしていただいて先に進みたいと思います。
 外務大臣もいらっしゃいますので、一、二お聞きをいたします。特に確認をさしていただきたいと思います。
 私は午前中の質疑の中で時間の関係もございまして途中はしょりましたが、特に日本が今回専管水域二百海里を設定する際にどういうはかり方をするのかとお聞きしましたところが、答弁の中で、十二海里領海、それを外した地域、つまり百八十八海里のところが漁業専管水域であるという御答弁をいただきました。もう一度確認しますが、そういう考え方が政府の統一見解でございますね。
○鳩山国務大臣 これはあした決定される予定でございますこの法律案の構成といたしまして、二百海里の漁業専管水域は低潮線からはかって二百海里のところまでである、そして領海部分は除くというように書いてあるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 先ほどからのお話を聞いておりましたけれども、どうなんでしょう、そういうような二百海里漁業水域の設定をしている国はほかにございますか。
○村田(良)政府委員 米国の場合も領海三海里を除きまして、それから外の部分が漁業管理水域であると了解しております。
○渡辺(朗)委員 今回、日本の場合は、よその国の事情と比べましてどのような物の考え方が背景にあってそのような態度をとられたのでしょう。特に先般来の論議の中でも明らかなように、ソ連は海岸基線から二百海里のところを漁業水域と決めている、こういうふうにオーバーラップした形で設定がされているというふうに伺いました。日本の場合、なぜそのような方策がとられたのでしょうか。
○村田(良)政府委員 ソ連がいかなる意図をもって沿岸から二百海里、つまり領海部分も含んで漁業専管水域にしたのかは存じませんけれども、わが国の場合には領海というものは国家の領域そのものでございますので、これと水産資源に関する管轄権を行使する水域というものは分けて考えるべきであるということでそのようにしたわけでございます。
○渡辺(朗)委員 私はこういうふうに考えました。あるいはこれは曲解であり誤解であるかもわかりません。その場合は訂正をしていただきたいと思うのです。それは、一方において外国人の漁業を領海内では厳禁するという非常に強い立場を打ち出すためである、こういうふうな理解もいたしました。と同時に、けさほどもお聞きをいたしましたように、農林大臣がソ連と交渉して帰ってこられました記者会見の際に言っておられます。十二海里内の扱いで日本とソ連の法制上の違いがあって混線している、しかしイシコフ漁業相との会談で、十二海里領海になった場合の実績評価、それと規制についてはおおむねの了解ができている、こういう発言もございました。そちらの方の発言を聞くと、何か交渉のために余地を残すというような大変モデレートな立場をも感じさせる発言であったように思います。そこで、私は先ほど申し上げましたように、何らかの対ソ交渉上の意図があって、このような十二海里領海を外して専管水域百八十八海里、こういう形を設定されたのではあるまいかと憶測したわけであります。私の憶測は間違いでしょうか。根拠のないものでしょうか。
○村田(良)政府委員 対ソ交渉のためのタクティクスというようなことではございませんで、わが国の領海におきましては、その漁業は完全に日本の漁民のために留保さるべきであるというような基本的な姿勢から、そのような政策が打ち出されたものでございます。
○渡辺(朗)委員 では、そのようにいまの御意見をもう一度確認させていただいて、さらに進ましていただきたいと思います。
 今回の大陸棚の協定の共同開発の問題で根本になっております大陸棚条約、これは日本、韓国はともに加盟しておりますでしょうか。
○村田(良)政府委員 いずれも締約国とはなっておりません。
○渡辺(朗)委員 締約国とはなっていなくても、これに拘束されると政府の方はお考えなわけですか。
○村田(良)政府委員 締約国となっておりませんので、この条約自体によって拘束されるということはあり得ません。
○渡辺(朗)委員 そうすると、いままでの日韓両国間の交渉の中で、両国とも加盟をしていない、加盟をしていないということは、一応形式上においてはこれを容認しておらないということと同じであります。そうですね。そうすると、その立場に立って議論をされましたでしょうか。
○中江政府委員 本件につきまして日韓の間で法律的な立場についての紛争が存在したということ自身、日本も韓国も大陸棚条約の締約国でありませんので、条約によって国際法上拘束されるということではなしに、大陸棚条約の中に取り入れられている一般国際法上の大陸だなに対する権利主張というものについては、日本も韓国もその主張ができるという立場に立っておったわけでございまして、だからこそ、韓国は日本の近くまで自然延長ということで主張いたしましたし、日本は中間線のところまでということで主張いたしました。この大陸だなに対する権利主張というのは、日韓双方とも一般国際法上の大陸だなの権利主張の議論に論拠を置いていた、こういうことでございます。
○渡辺(朗)委員 その点も確認をさせていただいて、次に進ましてもらいたいと思います。
 ただ申し上げたいのは、それぞれ締約国になっていない大陸棚条約、ただしそれを実は根拠にして論議が行われているということ、私は素人考えとしても大変に矛盾したものを感じました。その点改めてまた論議もさせていただきたいと思っております。
 次に進ましていただきますが、大陸棚協定の今回の共同開発の区域、このもとになっておりますのは、この地域に石油の埋蔵量があると断定したか、あるいはあるかもしれぬと考えたから、そこに区域が設定されたと存じます。そうしますと、その大前提である――通産大臣もいらっしゃいましたので、私は通産省の方にお聞きしたいと思うのです。政府としてどのような探査を行われましたでしょうか。前回私はいろいろその点についてお聞きをいたしました。そのときに資料請求もさせてもらいました。三十キロメッシュあるいは十五キロメッシュあるいは七・五キロメートルメッシュ、そのような細かな探査を行って初めてここに埋蔵量があるやもしれぬという確率が高まるし、また、そこに区画を設定することの意味も出てくるだろうと私は思います。ですから、その前提としての探査というものはどの程度行われているのか。私は探査というよりも調査の段階であろうと思いますけれども、それを聞かしていただきたいと思います。
○箕輪説明員 先日この委員会でもって簡単な御答弁を申し上げたわけでございますけれども、国側の地下資源賦存状況について調査をしておりますのは、石油類については、四十五年度から基礎調査と称しまして大陸だなにつきまして調査を行っております。先生御指摘のとおり調査の段階でございます。
 この内容は、ただいま先生が言われましたようないろいろなメッシュの間隔をとりまして、物理探査を行うというのが内容でございます。これまでに基礎調査を行いました経過を申し上げますと、大体四十五年から基礎調査を始めたわけでございますが、四十五年から四十八年の四年間に水深二百メートルまでの海域についてその基礎調査を行ったわけでございます。その結果明らかになってまいりましたことは、いわゆる大陸だなだけではなしに、大陸だな斜面、コンチネンタルスロープと称しておりますところにもかなりの堆積盆地の発達があることも明らかになってきたということが一つの収穫でございます。したがいまして、四十九年から現在まで二百メートル以深のところに調査の重点を移しておりまして、いわゆるスロープにつきまして地質調査を行っているというのが一般的な基礎調査でございます。この結果、日本の周辺の海域につきましてかなりの堆積盆地の発達を認められた地点が明らかになっております。それから、堆積盆地の中に褶曲構造がどこにあるということもかなり明らかになってきておるというのがいままでの調査の成果でございます。
 ただ、これは日本の近海につきまして一般的に申し上げたわけでございまして、海域が非常に広うございますので、国が行っております基礎調査というのは、面積的に申せばまだまだ狭いものでございます。それからそのメッシュにつきましても、これまで行っておりますのはかなり粗いメッシュで行っております。粗いメッシュで行っております理由と申しますのは、国の調査でございますから、いわゆる精密な調査に比較しまして粗いことは前提となるわけでございますけれども、大体において日本近海の大陸だなの地下構造と申しますものを、かなり粗い点になりますが明らかにしていくというのが目的だからでございます。
 当該共同開発区域につきましては、実は共同開発区域の中そのものにつきまして国が基礎調査を行ったことはございません。むしろその周辺、その近くまでしかやっておらないのが事実でございます。実は四十五、六年ごろになりますと、先生御承知のとおり韓国との間でいろいろ問題が出てまいりましたものですから、むしろ意識的にその基礎調査を抑えておったというのが実際でございます。ただ四十五、六年から、国の基礎調査を行った地点以外の共同開発区域の中におきます私企業の物探の地点のデータというのも実はございまして、周りから地下構造を類推していくということと、それからたまたま手に入りました企業の行いました地下構造の調査のデータ、あるいは学術文献から出てまいります地下構造のデータなどを総合いたしまして、実は国といたしましては、当該共同開発区域におきます地下構造というのはかなりの程度把握しているつもりでございます。
 ただ地下構造、これは地質的なアプローチでございまして、それが直ちに石油の賦存量を的確に示すというものではございませんで、これは四十三年に行われましたエカフェの調査でも、さらに今後詳細な物理探査ないし試掘が必要であるというふうに書いてあるのと同じことでございますが、そういう意味からは、的確な石油の賦存量というのは確認したという状態ではございません。ただ地質的に申すならば非常に有望な地域であるということと、それから既存のいろんなデータを使いましてどの程度油があるだろうかという、その推計がなされているということでございます。
○渡辺(朗)委員 丁重な御答弁をいただいてありがとうございます。
 ただ、私聞きたいのは、特に政府がこれを共同開発区域ではやったことがないということを一つ確認したかったのですが、そのようですね。
 それから、いまお話がありました民間でやったというのは、これはボーリングをしたのですか、それともメッシュでもって水上でずうっと調査をしてきたという形ですか。
○箕輪説明員 共同開発区域内においてはボーリングはいたしておりません。いわゆる物探でございます。
○渡辺(朗)委員 石油開発公団にあてて詳しいレポートが、たしか大変小さなメッシュでやったレポートが出ているはずであります。後ほどそれも見せていただきたいと思います。四十七年五月に出ているはずであります。私は正直言いまして、この区域が設定される、その区域の設定の大前提は、完全にその地域の調査というものが蓋然性はあるでしょう、掘ってみなければわからぬということはあるでしょうけれども、やはり可能な限り十分納得させるだけの調査が事前になければうそだと思うのです。北海の石油資源開発につきましても十年かけて各国が調査をしている。それに基づいて区域が設定され、海域が決められ、そして各国がそれぞれやり始める、こういうことになってきたわけでありますから、その点での調査の欠如というものがここに一つあると私は思います。
 しかも、そのような十分な調査がされてなくても、この大陸棚協定が発効した場合には、協定案文によりますと六カ月以内に強制的にも操業をしなければならないということになっている、ここら辺に大変に不安を感じるものであります。
 そこで、いま私、通産大臣にお聞きをしたいと思うのです。それは一つは、大変にお金のかかる探鉱であり、また採掘であります。そういったものを民間企業が実際に調達することができるであろうかどうか。通産省としては今日まで、エネルギー政策、特に石油政策の根本に三割は自主的開発の原油を、こういうスローガンも持っておられたように聞いております。そういう観点から、そういう面での日本近海での開発に非常に力を注いでおられることを聞いておりますけれども、膨大な資金がかかる。これは民間企業でやれるのかどうなのか、通産大臣としてどのような方針を持っておられますかお聞きをしたいと思います。
○田中国務大臣 ただいまの御質問でございまするが、こういうふうな探査を民間の開発事業団等の機構でやれるかどうかということにつきましては、政府委員もおりまするから、技術上の問題につきましては政府委員からお答えいたさせますが、とは申せ、要は先生の御質問は、民間の事業団の行いまする技術あるいはまた資金等々の御懸念だろうと思うのでありますが、私は具体的には事業団の技術能力というものについてよく存じません。しかしながら資金の問題は、これは本格的に調査をするということがございます以上は、民間と言わずあるいは政府と言わず、その財源の点において、金がないからこれを調査ができないんだというようなことは絶対にさせない、させてはならない、かように存ずるのでございまして、所要の資金はどんなことがありましても十分に出さなければいかぬ、かように存じております。
○古田政府委員 大臣の答弁を簡単に補足させていただきたいと思いますけれども、現在国会に御審議をお願いいたしておりますこの協定の実施に関連いたします国内の特別措置法案の十八条で、特定鉱業権の許可の基準といたしまして、この「事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。」ということを規定しておりまして、ただいま先生御指摘の資金的な能力がどうかというふうな点につきましても、あらかじめ一応の審査を行うという形になっております。
○渡辺(朗)委員 石油開発公団というのは、その場合にどのような役割りを果たしますでしょうか、通産大臣お願いをいたします。
○古田政府委員 石油開発公団は財政資金を基礎としまして、わが国企業が行います海外及び国内大陸だなでの石油の探鉱活動を助成するわけでございますけれども、国内の大陸だなにおきます探鉱活動に対しましては、原則としまして七〇%までの資金的な助成ができるというふうな形になっております。ただし、この共同開発区域につきましては、現在までのところ具体的な計画もありませんし、それから特定鉱業権者ももちろんまだ決まっておりませんので、公団の投融資をどうするかということについては、全く決定しておりません。
○渡辺(朗)委員 関連してお尋ねをいたします。
 今日まで公団が投融資の対象とされたあるいは保証をされた事業は、いまトータルで何社、そしてトータルの金額は幾らになっておりますのでしょうか。設立以来十年ほどの期間でございますが、トータルを教えてください。
○古田政府委員 石油開発公団は昭和四十二年十月に発足したわけでございますが、本年の二月末現在で、海外及びわが国周辺大陸だなの石油開発企業三十八社に投融資を行っております。なお、この三十八社のほか三社に対しましては、開発資金につきましての債務保証を行っております。合わせて四十社を対象としているわけでございますが、投融資の残高は五十一年度末で、一部見通しが入りますが、二千九百四十億円ということになります。それから債務保証残高は二千二百三十億円程度という見通しでございます。
○渡辺(朗)委員 そうしますと両方合わせて大体五千数百億、こういうことになりますが、いまそれだけの投資をされておられて、今日自主開発の原油というもの、これを推進するためにという大義名分、これはどの程度実現をしておりますでしょうか、お伺いをいたします。
○古田政府委員 現在公団の投融資の対象企業のうち八社が原油の生産を行っております。このうち六社が海外で操業中でございますが、その六社のわが国への原油の持ち込み量が、五十一年度で約一千二百万キロリットルということでございまして、これは総原油輸入量の四・三%を占めております。なお、このほかに債務保証の対象企業、その他公団の非対象企業も含めますと、全体としましては、わが国の自主開発原油は五十一年度二千六百万キロリットル、全輸入原油量の九・五%の水準に達しております。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、他の会社の方はそれだけの投融資をされたのだけれども、実際には探鉱に成功しておらない、採掘に成功しておらないということですね。
○古田政府委員 先ほどお答えしましたように、債務保証対象企業も含めまして、四十社が現在公団の対象企業になっておるわけでございますが、そのうち十社が探鉱開発に成功し、生産中ないし生産準備中ということになっております。それから、原油ないしガスを発見しまして、現在生産の可能性につきまして検討中のものが五社ございます。それから、現在なお活発に探鉱活動継続中のものが十八社でございます。それから、残念ながら探鉱に失敗しまして、一部鉱区を返還したりしまして、現在今後の探鉱計画を持っていないもの、これが七社という形になっております。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、たとえばいまの七社、失敗した場合、それは国に対する借金ではなくて、これは負債として残るものですか。実際にこれは返還しなければならないものでしょうか。
○古田政府委員 これら七社に対しましては、公団は出資によりまして資金の助成をしているわけでございます。したがいまして、失敗しました場合には、出資金の回収はできないという形になるわけでございます。したがいまして、各社の事業の現状をにらみ合わせながら逐次会社の解散をいたしまして、その資産を処分していくということになるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 その点で、大変に国益という言葉が大陸だな共同開発の問題でいつでも言われるのですけれども、その国益というのが本当に国益になっているのかどうなのか。特にいまの石油開発公団の投融資の状態、いま少しく聞いただけでありますけれども、それだけでも大変に不安になってまいります。どんどん突っ込んでいっても、五千億にも及ぶ巨額な金額が投入されても、わずか全石油の輸入量の四・三%、こういうような状態、これがいつまで続くのか。今回の大陸だなで共同開発区域に同じように公団の投融資が行われる。しかも、出るか出ないかわからない。こういうところに無限にお金をつぎ込んでいくということは大変に反国益的なことではあるまいか、その不安を持つ一人であります。
 重ねてお聞きいたします。石油開発公団では現在日本石油開発、帝国石油それから西日本石油、これに対しては融資をしておられますか、助成をしておられますか、お尋ねをいたします。
○古田政府委員 先生御指摘の三社に対しましては、行っておりません。
○渡辺(朗)委員 いまの三社はこの共同開発区域に出願をしている会社であります。これらが一体出願をした後に、公団に対して申請をした場合、これに対しては投融資をするわけでございますか。それは本人たちが希望すれば、それらの会社が希望すれば投融資はもちろんするわけでございますか。どうでしょう。
○古田政府委員 現在各社から具体的な計画希望といったものは出てまいっておりませんし、公団としても検討してないわけでございまして、先生の御質問に対しましては現在お答えする段階にないわけでございますが、具体的な計画が出てまいりました段階で、その技術的な内容等につきまして検討するということになるかと思います。
○渡辺(朗)委員 公団法によりますと、海外の会社も石油開発公団に対して融資を依頼することができることになっておりますが、そのように理解してよろしいですか。
○古田政府委員 先生御指摘の点は、恐らく昭和五十年六月に行われました石油開発公団法の改正によります外国の政府機関等に対します貸し付けの問題ではないかと思います。外国の私企業に対しましての貸し付けは想定しておりません。外国の政府機関ないしこれに準ずる政府系の会社というものを対象として考えているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 そこの問題については後ほどちょっと触れさせていただきたいと思います。
 私、実は先ほどからこの問題を非常に気にしておりますのは、また、不安を持って大陸棚協定を見ておりますのは、本当に国益かどうか、ナショナルな利益は一体どういう形で保障されていくのであろうか。石油が出たとします、そうした場合に、イギリスなんかの場合は、北海の石油開発と同時に、石油の生産が即国家の収益につながる、こういうメカニズムをちゃんとつくっております。石油公社をつくりましたし、あるいは石油収入税であるとか法人税、ロイアルティーという形をきちっとつくっている。ノルウェーにおいても国営の石油会社をつくっている。その点で日本のこの大陸だな共同開発の場合には、石油が出たとしても、メジャーと組んで開発をしていく日本の私企業であります。本当にこれが日本のために、全部石油が日本の手に入るというならこれまた別でありますけれども、そこら辺の保障がないのではあるまいか、ここら辺非常に不安を感じます。通産大臣、この点についてお考えを聞かしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 その問題は今後の問題でございまして、私どもは日本のエネルギーの問題から、これこそ国家最大の大問題でございます。その前に横たわりますいろいろ瑣末な問題がございましても、国益という大きな問題に照らしまして解決をしていかなければならない。具体的なケースによりまして当面の処理をしてまいらなくちゃならぬと存じますが、国家的な見地に立ちますれば、われわれが今日ほとんど全部の石油を海外に仰いでおるということから申しましても、近隣の大陸だなの開発の問題の前にはこれは問題ではない。私どもは全力を挙げてこの問題を処理いたす覚悟でございます。
○渡辺(朗)委員 私はその点で、むしろ韓国側の方に敬意を表すると言ったら語弊があるかもわかりませんし、あるいは正しくないかもわかりませんが、私は韓国の国会の外務委員会においての議事録を読みました。ところが韓国の外務省のアジア局長は大変詳しく説明をしております。それによれば、韓国政府と外国石油会社がこれから契約を行い、そして探査の期間、生産の期間その他をいろいろ行っていく、その際の条件として、探査義務投資額七百万ドル以上というようなこと、また署名賞与金五十万ドル、つまりガルフなりカルテックスが署名賞与金五十万ドルを政府に入れる、教育基金として探査期間中毎年五万ドル、生産ボーナスとして最初発見時百万ドル、日産十万バレルの生産が一カ月継続するとき五百万ドル、このようなことを大変きちっと国会の中で話しております。そしてまた、さらには租鉱料として総石油生産価格の一二・五%を政府に納入する、租税として会社純利益の五〇%を法人税として納入する、こういうことを決めております。
 その点日本側ではこれに比べてどのような保障措置ができておりますでしょうか。比較して政府の側から御答弁をいただきたいと思います。
○古田政府委員 先ほど大臣からの御答弁にもありましたように、わが国のエネルギーの供給構造は全体の七十数%が輸入石油に依存しておりまして、その一次エネルギーに占める比率は輸入分が約九割という数字になっております。
 そういう観点からしまして、私どもといたしましては、わが国の自主開発原油の拡大が安定供給確保上最も重要な課題であるということで従来からその促進に努めてきたわけでございますが、そういった観点からしまして、まず第一に、この共同開発区域におきましての開発原油がわが国に持ち込まれることがエネルギー政策上最大の関心事ではないかと考えておるわけでございます。そういうことで日本側取り分の石油、天然ガスにつきましては、わが国が石油、天然ガスの巨大な市場であることを考えますと、まず経済的に見まして間違いなくわが国国内に供給されることが予想されますが、同時に私どもといたしましても、そのわが国国内への供給につきまして強く指導していきたいと考えているわけでございます。
 ただし、それにもかかわりませず、万一日本側取り分の石油、天然ガスが外国に輸出される事態が想定されました場合には、輸出貿易管理令の規定によりまして輸出の承認を行わないというふうなことも検討したいと考えているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 その点関連して、私もうちょっと一歩踏み込んでのお話を聞かしていただきたいと思います。
 日本の場合、出願者がおります。いま三社ほどの名前が挙がっておりますが、そのうち西日本石油の場合はたしか四月一日付で社名が変更になっております。この事情もつまびらかにいたしませんけれども、これも加えて説明をいただきたいと思いますが、これらはそれぞれメジャーとの関係を持っております。その際にメジャーの権限は、取り分あるいは投資額、こういったものが取り決められて日本の民間私企業との間に業務上の取り決めができているはずだと思うのです。この中身がわからないと、本当に日本にまず保障できるのか、石油が入ってくるのか、あるいはまたそのメジャーなり民間会社が中近東並みの価格あるいはそれ以上高い値段で売るという事態すら考えられる。しかも、先ほどもちょっとお尋ねいたしましたけれども、仮定の問題として、石油開発公団が依頼を受けてそれにまた政府の側として石油開発公団の方で融資をしたといたします。そうすると、日本の国民の税金を注入しながら高い石油を買わざるを得ない、ないしはメジャーの方がこれの取り分をたくさん持っているとか、どこかに持っていくとかいう形になってしまったら、これは国益というようなこととはほど遠くなる、そういう懸念が出てまいります。その点、いかがでございましょう。
○古田政府委員 まず最初に御指摘の点は、石油開発企業が行っております共同事業契約に関係する問題ではないかと思います。こういう共同事業契約は、石油開発が非常に多額の資金を要しますし、かつリスクが大きいということから、石油開発事業では世界的に比較的一般に行われているやり方でございます。わが国の周辺大陸だなでも、帝石がエクソンと常磐沖で行っていたり、あるいは出光がAMOCOと新潟沖で行っていたりしております。
 それで、この共同事業の場合につきまして、わが国周辺大陸だなでは外国企業のシェア分も対日供給させるということで、先ほど言いましたように私ども従来から指導しているわけでございまして、その旨は契約で明示されるのが通常でございますが、それのない場合でも、通産省にはっきり約束させるという形の行政指導を行っているわけでございます。
 この共同事業契約の中身としましては、通常織り込む事項として事業割合、あるいはオペレーターをどちらがやるかとか、費用負担と開発に成功した場合の生産油の取り分といったふうな内容を定めているわけでございます。
 それから、石油開発公団が投融資をいたしました場合は、出資の形になりました場合は当然公団が出資しました割合につきましては公団が発見した油についての取り分を持つということになります。融資した場合にはそれに応じて利子ももらうし、成功しました場合は一定比率でのロイアルティーもとるという形になっておりまして、財政資金のむだな使い方ということは回避できているというふうに思っております。
 それから第三点の西日本石油につきましては、新西日本石油開発株式会社というものがことしの三月初めに発足したわけでございますけれども、これにつきましては、先生御存じのとおり数年前から西日本石油開発株式会社がわが国周辺大陸だなで自己資金による探鉱を継続してきているわけでございまして、従来まで約二百億円近い探鉱投資を行っております。これは完全に自己資金のみによって行ったわけでございますが、従来までのところ一部油徴を見た井戸もあったわけでございますけれども、生産に移行するまでに至らなかったということで、失敗と言いますか、探鉱に成功していないわけでございます。今度この西日本石油開発株式会社がいままでの失敗分を別建てにしまして、新しく体制を立て直しまして、これから探鉱いたします鉱区だけ切り離して、そこに対して新しい体制で探鉱を続けていくということで新西日本石油開発株式会社というものを発足させたわけでございます。
○渡辺(朗)委員 私、先ほどからのお話の中で一つ気になるのは、たとえば日本石油開発とテキサコ、こういうところで結んでいる業務方法書、契約の内容、こういったものはあるはずでございますけれども、通産省の方ではそれは目を通しておられますね。
○古田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、私どもとしましては行政指導の関係上その内容については把握しております。しかし、私企業間の個別の契約でございますので、私どもの方から提出させていただくことは差し控えさせていただきたいと思いますが、その中に織り込まれておる事項としましては、先ほど御説明しましたような共同事業契約に伴います事業割合、資金負担割合といったふうなものが挙げられているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 この点についても私再度質問をさせていただきたいと思っておりますが、時間の関係で先に進ませてもらいます。
 特に通産大臣いらっしゃいますので、私は、イギリスあるいはノルウェーが北海油田の開発の際にとったような、国益ということを言われる以上は本当に日本にこれが入ってくる、あるいは確保できるというような形のメカニズムをつくり出していただきたい、その点で石油公社的なものをお考えになっていただきたいと思いますが、その点いかがでございましょう。
○田中国務大臣 ただいまの国益の上に照らしてかようなものをつくった方がいいという御提案に対しましては、私も今後の石油のあり方につきまして喜んで御相談に乗っていかなければならぬと考えております。ちょうど私、先般来イギリスからデル貿易大臣が参りましてその際の会話にもありましたが、もう両三年後にはイギリスは完全に北海石油で自給できるんだ、まだ三分の一程度しか目安がつかないけれども、今後三年後には自給できるということを大変誇らしげに申しておりましたのですが、そういう点ではまことに羨望を禁じ得ないものがあった次第でございます。
 いまの日本の現状はただいま申し上げましたように、今日の油の需要の総量は二億七千七百六十一万キロリッターという中で、自給いたしておりますのが十五万五千ぐらいであります。それに対しまして実に六兆六千三百億というような膨大な外貨を払っておるようなわけでございまして、これがもし日本の近くにおいて開発ができましたならば、あらゆることに思いを新たにして取り組んでいかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○渡辺(朗)委員 それからもう一つ、通産大臣に私確認をしておきたいのです。
 公団法の附帯決議のところに、「国際紛争のおそれがある地域の探鉱事業に対する石油開発公団の投融資については、これを行わないこと。」という事項がついております。当然この地域というのは大変紛争の多いところでもあります。したがいまして、公団の投融資というのは韓国政府、先ほどの公団法によりますと私企業ではいけないけれども、政府が要請をしたとき、これに対して投融資をするという道が開かれております。しかしこの附帯決議によれば、国際紛争のおそれがある地域に該当するわけだから、たとえば韓国政府からこのような要請があった場合には、これには融資はしない、こういう理解をしていてよろしゅうございますね。通産大臣御所見をお伺いしたいと思います。
○古田政府委員 共同探鉱区域に関しましては、先生御指摘の附帯決議もございますので、その点の問題も勘案しながら態度を決めたいというふうに考えているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 よくわかりません。勘案しながらという意味は、することなのか、しないことなのか、そこら辺を……。
○古田政府委員 先ほど御説明いたしました公団法の改正によります外国政府機関等に対します公団資金の貸し付けは、公団法第一条との関係で、わが国に対します原油による返済といいますか、原油供給との引きかえで資金の供給を行うというふうなことを趣旨として考えておりまして、私どもとしましては、現在の情勢から見まして韓国側に公団資金の貸し付けを行うということは、たとえ相手が政府機関であろうとも考えておりません。
○渡辺(朗)委員 はっきりした言葉をいただきましたが、これは通産大臣も同じお考えでございますか。――ありがとうございました。
 さて、それでは次に通産大臣、ぜひお聞かせいただきたいのです。
 北海の油田が開発をされまして、そのときにテロに襲撃される、プラットホームを襲撃される、あるいはパイプラインを破壊される、こういうおそれが非常に出てきたということで、実はNATOの構成国の代表が集まって安全保障、防衛の問題まで考えたことがあります。何か国際警察機構みたいなものをつくろうではないか、あるいは警備機構をつくろうではないか。この問題は前国会におきまして当外務委員会で民社党の永末英一議員が質問いたしております。そのときの国務大臣は、これは非常に重要なことだから今後検討をいたします、対策を検討いたします、こういう御答弁をいただいております。通産大臣、国益というのは、海外に日本の企業なんかが進出していた場合に、何か動乱があったりしたら権益や何かを守ってやらぬといけないわけであります。通産大臣として常にそのような配慮で、世界各国に活躍している日本の企業あるいは国民、こういったところに対しては目を届かしていらっしゃると思いますが、この共同開発地域、ここにおきまして、やはりプラットホームをつくり、いろいろな施設をつくります。これは大変に海賊なんかも多いところである。あるいはまた極東、アジアというのは紛争の多いところであります。権益を守る立場にある通産大臣の御所見をいただいて、どのような対応策を講じたらいいのか、お考えがありましたら聞かせていただきたいと思います。
○田中国務大臣 先般と申しますか、前回の永末委員の御質問のことは私存じませんけれども、北海油田の問題に関しましてもいろいろと紛争がありましたやに聞き及んでおりまするけれども、今回の大陸だな油田の開発の問題につきまして、現地におきまするいろいろの問題がといういろいろという問題は、内政上の問題か、それとも国際外交上の問題か、御質問の趣旨がはっきりいたしませんが、内政上の問題でございますれば、それはあるいは漁業に関する権益、権利の問題でありますとか、その他諸般の問題がございますと存じます。それにつきましてはわれわれは全力を挙げて解決をせなければなりません。また、国際外交上の問題でございますれば、これは私どもの所管ではございません。外交を通じまして日本が国際的な紛争について当然処理をすべきもの、かように心得る次第でございます。
○渡辺(朗)委員 全力を挙げてそのように権益を守るということを通産大臣言われました。国内の場合にはそのようにする、警察行動やら何かをとられるということであろうと思いますが、これがもし国際的な問題であった場合にはどうなりますでしょう、外務大臣、お尋ねをさしていただきたいと思います。
 特にこの地域はソ連の極東艦隊の太平洋水域への出路に当たっております。あるいはまたこれから五十年でございます。五十年というのは、アジアあるいは極東地域、いままでの統計を見ましても毎年何件か紛争やらあるいは武力衝突が起こっている地域であります。これは日韓両国の間においてすら、私は友好は続いてほしいと思いますけれども、どのような事態が来るのかわからない。まして分裂国家の状態であるとか、あるいはこの海域にはまだまだいろいろな紛争の種がございます。こういったものが起こったとき一体どう対処したらいいだろうか。北海の方では、単なる国内問題であるテロリストが出たときに、爆弾を仕掛けたぞというときにはイギリスの海軍が出動している、こういうことを私は聞いております。日本の場合、国際紛争の形でこの地域が巻き込まれるというような場合にどう対処したらいいだろうか。想定される、仮定される問題かもわかりません。しかし、これはやはり考えておかないといけないことだと思うのです。そこら辺について外務大臣なりあるいは政府委員の方、お答えをいただきたいと思います。
○村田(良)政府委員 先生御指摘のとおりNATOにおきましては、大きく言って二つのケースを考えているわけでございます。一つは、NATOの開発地域に対して組織的な攻撃があるという場合でございまして、これに関しましては、北大西洋条約の第五条及び第六条に定められておりますような全締約国に対する攻撃ということでこれに対処するという申し合わせがございます。それからそういった組織的な武力攻撃ではなくて、たとえばテロ行為のようなことで油田の施設等に対する不法行為がありました場合には、それぞれ関係国、たとえばイギリスの場合であれば、イギリスが自国の警察であるとか、あるいは必要があれば空軍等を使用してこれに対処するという仕組みになっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、これをわが国に引き写して考えます場合に、大陸だなに関する沿岸国の主権と申しますのは、基本的にはその海底にございます鉱物資源の探査、開発ということについて主権的な権利を持つわけでございまして、領土、領海のごとくわが国の主権があらゆる意味で全面的にその区域に及ぶということではないわけでございます。したがいまして、その地域は国際法上は公海と考えられるわけでございます。そこで、この区域に対しまして、たとえば大規模の不法行為あるいは武力による侵害があるというふうな場合を想定いたしますと、それは一般国際法のルール及びわが国独自の政策の兼ね合わせでもって対処するということになろうと思います。
 一般国際法のルールと申しますのは、わが国の自衛権を発動していいという場合には発動するということでございますが、しからば、いかなる場合に自衛権を発動するかということになりますと、わが国に対して急迫不正の侵害がございまして、それに対して他に対処すべき手段がないという場合に最小必要限をもってこれに当たる、これを自衛権の発動というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、将来仮定の話として、どういうケースが起こればどう対処するかということは、一般論をもって論じることができませんので、その点は御了承願いたいと思いますが、基本的にはそういうことだと思います。
 それから、より小規模の、たとえばテロ行為とかゲリラ行為がございまして、パイプラインを破壊するとかあるいはドリリングのための固定施設に対して何か不法行為が行われるという場合でございますけれども、これはわが国の海上保安庁あるいは警察は、法令によって与えられたそれぞれの権限の範囲内で当然これに対処するわけでございますが、さらに、たとえばパイプライン等に対する不法なテロ行為というものがございますと、これは公海条約の第十五条以下に定められております海賊行為というのにも当たるかと思われますので、その場合には、わが国のみならずあらゆる国が必要な手段をとり得るというのが国際法のルールでございますから、そういった国際法のルールと、国内法に定められましたそれぞれの担当官庁の権限の範囲内でこれに対処するということになろうかと思います。
○渡辺(朗)委員 この問題については、改めてまた質問をぜひさせていただきたいと思っております。
 きょうは時間も大変遅くなっておりますし、通産大臣もお忙しいところを来ていただきまして、ありがとうございました。また、外務大臣にも改めて御質問をさせていただきます。ありがとうございました。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件、及び日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
○土井委員 まず私は、日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約に関して質問を申し上げたいと思います。
 鳩山外務大臣の今国会における外交演説を拝見いたしますと、オーストラリアとの関係については、大変簡単に、まことに短く触れられております。「豪州との間では、昨年六月に友好協力基本条約が署名され、さらに、本年一月第四回目豪閣僚委員会が開かれ、日豪関係を一層緊密化する必要性が改めて確認され」ましたという、それだけのことでございまして、それ以外にオーストラリアとの関係についてことさら触れられている部分はないわけであります。
    〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
基本条約への署名と第四回日豪閣僚委員会の開会について触れられているだけであります。フレーザー首相の外交演説の対日部分と対比をいたしますと、まことに対照的でございまして、わが国のオーストラリアに対する関係の基本姿勢というものが一体どういうぐあいに考えられているのかをひとつお尋ねをしたい気になるわけでありますが、かつて石油ショックのときには、政界も財界も、日本じゅうがこぞって中東訪問をいたしました。石油の安定的な輸入のできる今日になってまいりますと、日本の中東外交はその比重を軽くした感が昨今ございます。日本の外交にはどうも一貫性が乏しいと言われるゆえんはあちこちにあるわけでありますけれども、事オーストラリアに関しても、オーストラリア側は日本に対して何よりも安定した輸出市場であることを願っているように思われてなりません。こういう意味も含めまして政治的経済的にわが国にとって非常に重要な相手国となったオーストラリアに対する外交政策を今後どのように推し進めようとされるのであるか、政府の基本的な考え方を外務大臣からお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 日本とオーストラリアとの関係につきましては、最近急速に関係が深まってきておるわけでございます。また、基本的な経済的な問題に関しましても、日本は豪州に大変大事な原料資源を依存しておるわけでございます。そういう意味で、日本にとってオーストラリアは欠くことのできないパートナーであるというふうに考えられますので、今後両国間の友好関係がますます増大することを期待いたしているところでございまして、このことは、所信表明の文章がきわめて簡単だという御指摘がございますけれども、両国の関係は大変円満にいっておりますので、文章の長さとは必ずしも比例をしないということを御理解いただきたいと思います。
○土井委員 農林省の杉山食品流通局長さんは御出席でいらっしゃいますか。
○有馬委員長代理 牛尾砂糖類課長さんが見えております。
○土井委員 局長の御出席を私は求めておいたわけでありますけれども、何かお差し支えがあるのでしょう。夜も遅くなるから大変御迷惑とは思いますけれども、それでは課長さん、意のあるところを御答弁いただかないと時間がまた長引きます。ひとつ端的に質問に対して答弁をお願いしますよ。
 そのことを申し上げておきまして、日豪砂糖長期輸入協定というのが締結をされておりますね。ところで、四十九年の十二月十日に日本がこの協定を締約いたしまして、さらに協定が発効いたしましてから後、日本の砂糖市場においていろいろむずかしい問題が出てまいっております。順を追って見てまいりますと、長期契約のオーストラリアからの砂糖の輸入が開始されてから、典型的な原糖高、製品安の状況が日本の国内に出てきているということは、もう事実いま動いていっている状況なんでありますけれども、このために国内の原糖過当状況が表面化いたしまして、長期契約のオーストラリアからの砂糖の輸入繰り延べ交渉が始まる事態となったはずであります。五十年あたりから一体どのような内容になっていっているかということをあらまし少し御説明賜りませんか。
○牛尾説明員 日豪の砂糖の長期契約の問題でございますが、先生御指摘のように、四十九年十二月、民間協定として締結されました。契約が一九七五年七月から一九八十年六月までの五年間、毎年豪州産の粗糖六十万トンを固定価格で輸入するというものでございます。
 締結当時の状況は、国際糖価、砂糖の値段が非常に高うございまして、当時契約された価格はその当時の国際糖価の約半値でございましたが、その後国際糖価が急落いたしまして、現在は、豪州との契約価格が現在の国際糖価のおおむね二倍程度の割り高なものとなっております。
 先生御指摘のように、現在の砂糖業界はきわめて苦境に立っておりますが、その原因の一つには割り高な日豪の長契砂糖があるということのほかに、最近砂糖の需要がかなり減退をしておること、また、個別の企業の合理化にまだ十分でない点があったこと、それと、砂糖業界の体質といたしまして、設備もかなり過剰でございますし、どうしても過当競争的な部門が相当あった、そういうふうなことが重なりまして、現在砂糖業界はおおむね資本金の数倍の累積赤字を抱えておる状況でございます。
○土井委員 その累積赤字という問題が、協定三十三社軒並みにそうであろうと思うのでありますが、もうすでに累積赤字の域は通り越して、倒産をしてしまって、企業閉鎖、全員解雇という会社すら出てきている現状であります。これは非常に深刻な問題だと思うのです。特に、企業がだんだん成り立たなくなってまいりますと、当然引き起こってくるのは、やはりそこに働いている労働者の方々の犠牲を強いる合理化でありまして、合理化がうまくいっていないというふうなことをいまも理由として挙げられましたけれども、実はそれ以前に、この協定社がそれぞれ、この協定の内容に対して政府が打つべき手をいままでに打ってきていないのじゃないか、この砂糖の価格に対してもっと物を言うべきであるのに手控えているのではないかといういろいろな声が最近頻々と強められてきているように思うわけでありますけれども、政府の責任において連邦政府に対して積極的に砂糖の価格に対しての値下げ要求をするというふうな努力がひとつ払われないものかどうか、この点はいかがですか。
○牛尾説明員 日本とオーストラリアとの間の砂糖長期契約は民間ベースの契約ということになっておりますので、政府自身が交渉の当事者になるというポジションではないわけでございます。ただ、先生も述べられましたような砂糖業界のきわめて窮迫した事情、それから日本とオーストラリアの砂糖の、何もこの五年間の長期契約の期間だけではない、もっと長期間の安定的な輸入の問題、さらには日豪の農産物貿易全体の円滑化、そういうふうないろいろな見地がございますものですから、政府としては、現在民間同士で行っております長契価格の改定交渉に側面的に支援をしてまいる、こういうポジションでなかろうかと思われます。
 たとえばこの一月に開かれました日豪定期閣僚会議におきましても、農林大臣から現在のわが国の砂糖の状況を先方の第一次産業大臣にも詳しく説明をし、価格引き下げ交渉についての先方の理解と先方の契約担当者に対する適切な指導を要請する、そういうふうなこともやっておるわけでございます。
○土井委員 側面から努力をするというふうな御答弁がただいま伺われたわけでありますけれども、オーストラリアとの価格改定の交渉に政府が側面的にこれに対しての努力を払っていくということ、その内容というのは、少なくとも国際原糖価格水準まで引き下げられなければならないということが何としてもまず日本の砂糖業界においては考えられる問題じゃなかろうかというふうに思われます。まあ少しはその点に対して差額がつく。その差額については必要な財政措置というのも政府において講じてもらいたい、こういうふうな要求も出ているというふうに私は承知をいたしておりますけれども、この点についての政府の努力、今後の見通しはどのようになっておりますか。
○牛尾説明員 一昨日と昨日と二日にわたりまして、全国砂糖労働組合会議の代表の方々が農林省にお見えになりまして、いろんな政策要求をされていらっしゃいます。その中に、ただいま先生がおっしゃいましたような項目が挙げられております。
 本件につきましては、先ほど申し上げましたように、政府の立場といたしましては契約の直接の当事者ではないわけでございますが、現に業界が割り高な長契砂糖を引き取れない現実などを踏まえまして、先方に対して賢明な行動をとるように強く要請をしたわけでございます。現在両契約当事者間で価格改定交渉が行われております。日本側の業界は、いま先生おっしゃいましたとおり、長契豪州糖価格を国際糖価水準にまで引き下げるべしというポジションをとっておりますけれども、先方はかなり日本の事情なり日本の立場に理解を示しながら、まだ今日までのところでは具体的な価格水準の提案を提示するには至っていないわけでございます。政府の立場は直接当事者じゃないということから、やはり政府は正面に契約の当事者になるわけにはまいりませんので、やはり側面から積極的な支援をするという立場しかとり得ないと思っております。なお、先方の交渉当事者はときどき農林省に参りましていろんな意見の交換などもいたしておりますが、その際には、業界の立場、日本の立場を当方からもよく説明はいたしております。
 それから、これは契約の問題、あるいは言葉を変えて言えばコマーシャルな問題でございますが、もし実質的に国際原糖価格水準まで引き下げなかった場合に、政府がその足らない分といいますか、それについて財政援助をするということは、この協定が民間協定であるということ、それと現在の精糖業界の累積しました赤字、これが全部が全部豪州糖のみによって出たものでもないというふうな事情、そういうものを総合勘案いたしますと、これを直ちに財政で全部埋めるということはかなり問題があるんではなかろうかと思っております。したがいまして、現在はその民間交渉を大いに支援してまいりたい、こういうことを中心に考えております。
○土井委員 外務大臣、先ほどからのこういう御答弁でありますけれども、日豪砂糖長期輸入協定というのは締結権者というのはやっぱり政府でありますから、したがいましてそういう点からしますと、いま、この協定三十三社というものの内容がずいぶん危機に瀕している、にっちもさっちもいかないような状況にまで来ているというふうなのが実情であることにかんがみて、外務省と農林省と、さらにそこに働いている労働者に対しての労働者対策ということもございますから労働省、少なくとも関係三省くらいが寄って何らかこれに対しての打開策などを講じていく三者協議機関というものを設置することは非常に意味があると思うわけでありますけれども、どのように外務大臣としてはお考えになっていらっしゃるか、ひとつそこのところをお聞かせください。
○鳩山国務大臣 この砂糖の長期協定の問題は、一月の段階ですでに大変な問題であったわけでございます。ただ、この協定の性格が民間の協定になっておるものでございます。そういう意味で、外務省といたしましても豪州政府に対しまして、この砂糖糖価の事情変更によりますところの価格の改定についてはぜひとも考慮してもらいたいということを、私どもも強く豪州政府にはお願いをしておったわけでございます。そして当時から、専門家が集まってひとつ日本の事情も見て検討をするということで、早期解決を心から期待をしておったわけでございますけれども、今日なお解決を見ないというのは大変残念に思っている次第でございますが、一日も早くこの価格の改定に豪州側の協力が得られるように念願をいたしておるところでございます。
 本来、この長期協定をいたした場合に、価格につきまして非常に固定的な契約をしたということは、これは先高か先安かという大きな判断の間違いがあったわけであります。これは間違いと思いますか、当時の事情からやむを得ずということになりますか、見方はいろいろ分かれるところでございますが、結果は大変な損失を生ずるような契約をしたというのが現実であります。契約をした以上は契約は守らなければならないということもありますが、事情が余りにも変わったものですから、その点は考慮してもらいたいということを、これは外務省としても農林省と一諸になってずいぶん先方にはお願いをしているところでございます。今後とも努力を続けたいと思っています。
○土井委員 外務省の努力、さらに外務大臣のこれに対する御見解というのはいま承ったわけでありますが、私先ほど御質問いたしました中身はそういうことではございませんで、外務、農林、労働、関係省庁と言えば恐らくはそういうところじゃないか。
    〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、当面の緊急的な課題を打開していくための三者協議機関というのを設置することに大変意味があると思うけれども、大臣はどのようにお考えになるかという質問をさせていただいたはずでございます。いかがです。
○鳩山国務大臣 国内的な対策につきまして私どもは特に権限を持っているわけではございませんので、私どもといたしましては対外的な面で協力をさせていただきたい、こう思っております。そのような機関ができること自体につきまして私は別に反対であるというわけでもありません。結構なことと思っております。
○土井委員 農林省の方とされては、課長さんせっかくの御出席でありますが、農林、労働寄ってこういう当面の問題に対しての打開策を講ずるという、すでに連絡はその都度いたしておりますとおっしゃればそれまででありますけれども、やはり緊急事態に対して打開するための協議機関を設置するというふうなことにも意味があろうかと私は思うので、あえてこういう質問をしているわけでありますが、課長さん自身はどのように受けとめていられますか。
○牛尾説明員 まさに先生おっしゃいましたとおり、事情、事情に応じて緊急に労働省なりにも連絡はいたしておるわけでございます。もちろん外務省の方も事情をよく御存じでございますし、連絡はきわめて密にしております。今回、具体的には大分県で一つ倒産ということもあったわけでございますが、そういう話が耳に入ると、すぐに労働省にも連絡をし、あるいは具体的な個別の問題でもございますので大分県庁の方にも連絡をとりまして、事態の収拾なり、万が一そういうことで路頭に迷うなんということのないように就職のあっせんなり、大分県庁の労働関係、商工関係、農林関係、県では挙げてこの労働者対策に専念されているように聞いております。今後とも具体的なケースに応じまして、関係各省なり関係県庁に十分連絡をしてまいりたいと思っております。
○土井委員 一社倒産というわけではございませんで、大分の場合は新光砂糖工業を指しておっしゃっているのだろうと思いますが、もうすでに三重県においても東海精糖等は倒産をいたしております。その辺は一層連絡を密にしていただいて具体的な対応策を即応態勢でもって講じられるように、この点をはっきり申し上げさせていただいて、さて、日本の一青年で、オーストラリアでテニスのコーチを受けるために二年間くらい滞在したいという希望を持っている人が現にいらっしゃるわけでありますが、観光ビザしかもらえないので困っていらっしゃるようであります。すでに昭和五十年の四月に、日本国政府とオーストラリア政府との間に文化協定というのが発効いたしておりまして、その文化協定では、スポーツマンと青少年の相互訪問というものを奨励するということに内容としてはなっているわけであります。二年間くらいのテニスの修業の滞在がどうして許されないのか不思議でならないわけです。
 今回の基本条約では、入国、滞在、居住について第三国と無差別の待遇を与えることになっているわけでありますが、特にその第三条などを見ますと、「両締約国は、政治、経済、労働関係、人権、法律、科学、技術、社会、文化、職業、スポーツ、環境等の相互に関心のある分野において、相互の理解及び協力を容易にし、強化し及び多様化するように努める。このため、両締約国は、これらの分野において、適当な研究及び調査、情報、知識及び人物の交流その他の適当な活動を実行可能な限り奨励し、及び促進する。」と、こうございます。
 そこで、この条約が発効した場合は、オーストラリアへの入国、滞在、居住などについて現在より緩和されるように思われるわけでありますけれども、この点どのようにお考えでいらっしゃいますか。
○村田(良)政府委員 条約自体の取り決めておりますのは第八条でございますが、先生御指摘のとおり第八条の第一項におきましては、公正かつ衡平な待遇を与え、かつその待遇はいかなる場合でも第三国の国民との間で差別的であってはならないということでございます。さらに同条の第二項におきまして、「手続を簡素化するように努める。」というふうな出入国に関する努力条項も入ってございます。
○土井委員 私の質問をしっかりとお聞き届けになっての御答弁ですか。いま何を御答弁になったのですか。先ほどからの質問をしっかりお聞きになった御答弁ですか、それは。
○村田(良)政府委員 第三条におきましてスポーツ等も掲げられておりますので、この条約の締結によってそういったものはいかに具体的に促進されるかという御質問であるというふうに理解して御答弁を申し上げた次第でございます。
○土井委員 それは私が初めから質問をしていることに対して十分にお聞き届けの上の御答弁ですか。いまこういう例が現にあるということから言い出しをして私は質問を展開したんですよ。したがってそういう事例についても、今回のこの基本条約を締結して、待遇という問題に対して、居住という問題に対して、入国、滞在という問題に対して、現在よりも緩和されるという見通しがつくだろうかどうだろうかということを聞いているわけです。八条の条文がどのようになっているかというのは、私はここへいただいておりますから、一々御答弁で口頭でもってお聞かせいただかなくとも私は読んだらわかります。何という答弁ですか、一体。
○山下説明員 基本条約におきましては、先ほど条約局参事官から御答弁したとおりでございますが、現在、豪州政府が日本国の国民が豪州へ入国する場合いかなる待遇をしているかと申しますと、現実にはこの条約の八条に書いてございますように、第三国との間に差別を設けないということ、かつ公正、衡平な待遇、具体的に申し上げますと、観光とか短期商用、近親者訪問等を目的とする一時訪問者、あるいは日本系企業の幹部の社員、特殊の技術者、興行者あるいはスポーツマン、そういったような方々がその資格で特定の期間滞在する者、あるいは学生ないし研修生といったような三つに大体分けておりまして、それに関する限り、ほかの国どの関係での差別をいたしておりません。条約八条に書きました意味は、それではどこにあるのか、こういうことかと思いますが、実際的な待遇という意味では差がない。ただ、条約に書かれた結果法律上それを変更することを一方的にできない、そういう効果が生ずると思う次第でございます。
○土井委員 懇切御丁寧に御説明賜ったわけですが、そうしますと、その場合テニスの修業に行くための日本青年に対して二年滞在のビザが発給される見込みというのがあるのかどうか、どのようにお考えですか。もしないということになってまいりますと、本条約を締結してどれだけの意義があるのかということをその御当人はお考えになるであろうと私は思いますよ。いかがです。
○山下説明員 テニスの修業のため二年間行ってみたいという学生の方のケース、私どもちょっと具体的に存じておりませんので、できましたら後ほど詳しく名前その他のことを伺わしていただきまして、調べさせていただきたいと存じます。
○土井委員 具体的な氏名等々は後で申しますが、まず質問に答えてくださいよ。いま質問に対する答えになっていないじゃないですか。
 委員長、先ほど来私の質問に対しての答えになっていない。いまのだってそうでしょう。委員長、どのように思われますか。一体どういう聞き方をなすっているのです。
○竹内委員長 政府委員は質問の趣旨をよく体して答弁してください。
○山下説明員 テニスを二年間豪州に行って修業したいという目的で入りたいという希望を持っている人が、この条約ができた結果八条によりまして入ることが可能になるかと申しますと、必ずしもそのようにはならないと存じます。
○土井委員 オーストラリアに参りましてプロコーチの資格を得るためにテニスの修業に行くというのがその目的であります。ただ現在は、その入国ビザが容易におりないということが現状としてございます。観光、商用以外のオーストラリアへの入国許可というものは大変にむずかしいという現実がございます。したがって、こういう点から今回特にこの基本条約が結ばれるという意義をどのように評価すべきかという側面から私はただいまお尋ねをいたしました。むずかしいですか、いかがですか。
○山下説明員 ある外国に対して第三国国民、たとえばいま御質問のように豪州に対しまして日本の青年が特定の目的のために入ることを認めるか認めないかは豪州側の主権にかかわる問題でございまして、豪州政府が入れないと決定いたしますと、それに対して、何と申しますか、この条約を根拠にして問題があるという主張はできないのではないかと思います。
○土井委員 そういうにべもない、木で鼻をくくったような御答弁をなさるところを見ますと、せっかく基本条約を結びましても、その第三条に言うところの趣旨というものはわが国としては誠実に履行されるという自信が私自身よく持てませんです。だから、先ほど私は第三条の一項をわざわざ読んだのですよ。これは相手国に対して要求するばかりでなしに、日本自身もそういう気にならなければいけないのです。いまのような御答弁の程度では、テニスのプロコーチの資格を得るということのためにテニスの修業に行きたいという一青年の希望という問題に対しても、この基本条約が結ばれる以前と以後とでは何ら変わらない。何のために、三条にわざわざこういうふうに羅列してあって「適当な研究及び調査、情報、知識及び人物の交流その他の適当な活動を実行可能な限り奨励し、及び促進する。」と書かれてあるのか。外務省当局はこういう条約が一日も早く御承認いただけますようにという奨励はなさるけれども、いざこれが締結されるということになってから後は何の努力もなさらないのですか、いかがです。
○山下説明員 先ほど御答弁申し上げるのがちょっと舌足らずだったかと思うのでございますが、三条で書いてございます精神から申しまして、当然のことながらスポーツに関しましての交流ということもうたわれているわけでございますから、この三条の精神にかんがみ豪州側に対しましてその入国を認めるよう働きかけることはわが方といたしまして当然だと思うわけでございます。
○土井委員 夜もだんだん遅くなってまいりましたからお疲れのほどはよくわかりますけれども、余りいいかげんな答弁をなさいますと、この基本条約それ自身に対しての審議もやり直しですよ。
 日本国とカナダとの間の文化協定というのは、これを締結されることによってどういう効果が生じますか。
○西宮説明員 この文化協定が締結されますと、日加間の文化教育面の交流が一層促進される、このように考えます。
○土井委員 いいかげんで私もう質問をやめたくなりました。こういう答弁ばかりが次から次から――それは深夜であるからというのはよくわかりますよ。お互いに疲れているのです。答弁なさる皆さんだけが疲れていらっしゃるわけじゃない。にもかかわらずきょう採決するための努力をしているわけじゃないですか。いいかげんにしていただきたいですよ。わざわざこの文化協定を結ぶ意味はどこにあるのかということを先ほどから私は意味を込めて質問しているわけでありまして、いまのような御答弁なら別に文化協定のあるなしの問題じゃないのです。現状だってそのように努力されているのでしょう。何です、一体。
 委員長、私はやめますよ。
○西宮説明員 この文化協定を締結いたしますメリットにつきましては、私どもこの文化協定の内容はほかの諸国との文化協定の内容とほぼ同様ではございますが、三つのメリットを考えております。
 文化交流を促進することを通じまして日加両国間の友好関係を確立する上で象徴的な意味合いが深い、こういうことが第一点でございます。
 次に、各種分野の交流を促進するための法的な基礎あるいは枠組みが提供せられる、さらには文化協定に基づく随時協議というのがございますが、この随時協議を行うことによりまして両国間の文化交流が一層計画的、恒常的かつ安定した基礎の上に促進される、このように考えております。
○土井委員 この協定の第四条を見ますと、「各締約国は、大学その他の教育機関において、他方の国の言語、文学、歴史、地理、法制、経済及び文化一般並びに他方の国に関するその他の問題についての教授その他の教員の職及び講義を創設し、及び拡充することを奨励する。」こうございますが、「他方の国の言語」となっております。このカナダの場合の国の言葉は何でありますか。
○西宮説明員 英語及びフランス語でございます。
○土井委員 日本の国の国語ということになると日本語なんですね。カナダでは日本語は義務教育諸学校の必修科目の中に入っておりますか。いかがですか。
○杉浦説明員 入ってございません。
○土井委員 日本の義務教育諸学校の中で英語を必修科目にしている部分があるかどうか。いかがですか。――文部省呼んであるのですよ。
○光田説明員 私、初中局の課長じゃございませんので、留学生のことで御質問があると思って参りましたけれども、日本の小学校で英語、フランス語を必修にしているのは、私の持っている知識では、ないと存じます。しかし、もし、確かに……
○土井委員 もういいかげんにしてくださいよ。私が聞いているのは義務教育諸学校でと言っているのですよ。義務教育というのは小学校だけですか。(発言する者あり)
○光田説明員 私、答弁を差し控えさせていただきとうございます。
○竹内委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を起こして。
○土井委員 それでは、御答弁がむずかしければ申し上げますが、義務教育諸学校の中の中学校の一年生から教科の中には英語がございます。したがいまして、日本においては英語を義務教育諸学校において受ける機会に国民は恵まれておりますけれども、カナダにおいては日本語を修得する機会は義務教育諸学校においては得られません。こういう点から考えますと、かの地から日本に留学をしてくる留学生に対して、日本語を修得させるというふうなことに対して、日本としてはやっぱり意を用いることが非常に大事になってくるということは考えられていい問題だと私は思うわけであります。これは単にカナダだけの問題にとどまりませんけれども。
 そこで、お尋ねしたいのは、国際学友会の日本語学校の問題であります。先日も私はこのことに対して質問をさせていただきましたけれども、御答弁は、日本語学校の開校について、再建計画の見通しが立たないとなかなか開校するわけにはいかないというふうな御答弁のままで終わっているわけでありますけれども、いま国際学友会の日本語学校に留学するために日本に入国をしている留学生の数は、四月十九日現在で何人になっておりますか。いかがです。
○西宮説明員 四月二十日現在の数字でございますが、百三十一名でございます。
○土井委員 当初これは開校予定は四月十五日からであったはずですね。十五日からもうきょうは五日も経過をいたしております。しかもなおかつ開校はされておりません。この間に、保証人か当事者に何らかの説明か連絡をされているかどうか。いかがですか。
○岡説明員 お答え申し上げます。
 国際学友会当局より保証人に対して書簡を発出いたしまして、目下のところ外務省において再建計画を討議するための会議が開催されております。学友会としてはその会議の結果を得ました上での外務省の方針を伺った上で学校再開について見通しを立てたい、こういうふうなことで保証人に理解を求める文書を送っております。
○土井委員 それは、いつ、何月何日に保証人あてにお送りになりました。
○岡説明員 ただいま書類を調べておりますけれども、一週間ほど前であったと私了解しております。
○土井委員 それはひとつ調べていただいて、後ではっきり教えていただきたいと思います。
 保証人はいずれといたしまして、当事者に対してはどういう説明や連絡をされましたか。
○岡説明員 お答え申し上げます。
 当人に対しては、学友会当局より、個人的なルートを通しまして逐一事情を説明して、あるいは中の一部の学生につきましては保護団体から事情を説明して了解を求めておる、こういうふうに了解しております。
○土井委員 ただいま一部の学生とおっしゃいましたね。したがって、学生すべてについて当事者あての連絡なり説明なりは、どういう形で、どのように、具体的に何月何日になすっていますか。
○岡説明員 お答え申し上げます。
 まず、先ほどの先生の御質問、学友会からはいつの日付で保証人に書簡を送ったか、この点については、四月十二日付で出しております。
 それから、各学生に対する事情の説明ないしは通報につきましては、これはあらゆる機会に行っておることでございまして、確実にこの日ということではございません。事件が起こりましてから、あらゆる機会にあらゆる手段を通じて努力しているということでございます。
○土井委員 一人一人の留学生、当事者に対して意を尽くしているとは言えない御答弁です。あらゆる機会にあらゆる方法を通じて、これくらいばかにした答弁があっていいものでしょうか。具体的に何月何日に連絡されたかということについては、されているならば明確な答えが私は聞けていいはずだと思います。そういう答えは戻ってこなかった。実はこれは、国際学友会として当人に連絡すべきであるという意味の連絡は何らなすっていないと私は考えざるを得ませんよ。
 私はここの手元に、四月十四日衆議院文教委員会に配られた文書を持ってまいりました。「国際学友会再建問題の経緯」という文書でございます。こういう資料が衆議院の文教委員会で配付されたわけでありますが、だれが一体この文書を作成されたのであるか署名が全然ございません。しかもいつの時点で作成をされたのか日付もございません。したがいまして、この文書をいつの時点で、だれが作成をされたか、また作成をされた方は、だれから事実を確認されて、事実確認のための聴取をされた結果この経緯についての文書をまとめられたか、この点をひとつお尋ねしたいのです。いかがでございますか。
○岡説明員 先生のお尋ねの点につきましては実は文教委員会の調査室からの要求によりまして、たしか一週間ほど前に出した資料でございます。作成には、私どもが学友会から提出された資料に基づきまして当たったわけでございますけれども、何分時間的な余裕がなかったことでもあって、若干不正確な点が含まれているかもしれませんですけれども、資料はそういうわけで、学友会から提出されたものをもとにしてつくった、そういう次第でございます。
○土井委員 この文書の最後の方を見ますと、こう書いてある。「当省としては、銀行借入金返済期限の延期、既に入国した学友会日本語学校入学予定者の他の学校への斡旋等につき」等々書いてあるのですが、「当省」という「省」は何省ですか。
○岡説明員 補助金を支出しております限度におきまして監督権を行使しております外務省のことを意味すると存じております。
○土井委員 署名はございませんが、「当省」と書いてある以上は外務省が作成された文書というふうに一般には認識をされても仕方がないと思います。お尋ねいたしますが、外務省とされては、この衆議院の文教委員会に配付された以外にどこかに配付されているかどうか。たとえば国際学友会問題に関する会議に配付されたかどうか、いかがでございますか。
○岡説明員 この資料に記述しております事項につきましては、会議の席上私どもの方から各出席者の方々に口頭でかいつまんで説明はしておりますけれども、この資料自体はお配りしているという事実はございません。
○土井委員 それでは、衆議院の文教委員会以外にはこの資料は一切配付されていないということになるのですか、いかがですか。
○岡説明員 このほか、若干の機会に特定の方々に配付したという事実はあるかと存じておりますが、正確には、どなたとどなたにお渡ししたということは記憶しておりません。
○土井委員 若干急いだために内容に不正確な部分があるということを認めながら、どこでだれに配付したかということは覚えておりませんという御答弁なんです。いいかげんなのもはなはだしい。
 この経緯についていまから、不正確とおっしゃることで相済むかどうかということをひとつ確かめたいと思います。この中に出てまいりますことで確かめたいのは、学生の寮の問題であります。留学生宿舎の問題であります。五十二年度、五十三年度建設予定の新館建設の中に、この留学生宿舎は入っておりますか入っておりませんか、いかがですか。
○岡説明員 昨年夏の時点では五十三年度の予算の中で第二期工事として留学生の宿舎を要求するという計画であったわけでございますけれども、その後一気にすべてのものを片づけるということは、財政状況から可能ではございませんで、とりあえず五十二年度予算において、学校の建設費補助金が認められた次第でございます。
○土井委員 私の質問に的確にお答えをいただかないと時間がたつのです。
 もう一度同じことを聞きますが、五十二年度建設予定、五十三年度建設予定の中に、この留学生の宿舎の新設というのは考えられているかどうか、いかがですか。
○岡説明員 先般成立いたしました五十二年度予算の中には、留学生寮の建設は含まれておりません。五十三年度におきましては、今後の問題として学友会当局が検討をする、こういうふうに了解しております。
○土井委員 ここの文章では、「五十三年度に所要の建設資金が調達できるとの見通しが充分立たなかったこともあり、第二期工事を取り止め」云々と書いてありますよ。いかがなんですか。
○岡説明員 事実でございます。
○土井委員 それでは先ほど御答弁になったことと少し相矛盾いたしますね。
 さらに「寮生の立退き問題」というところの中で、大事な問題でありますから、私はその項目を読みたいと思うのですが、大きな3の「寮生の立退き問題」という中のさらに(3)であります。「十一月十九日、インドネシア留学生会、十一月三十日ヴィエトナム留学生二十六名、十二月一日タイ留学生会、十二月三日台湾留学生会等が三月三十一日までの立退きを確約する陳述書を学友会あて提出した結果、」と書いてありますが、「立退きを確約する陳述書」というのはどんなものなんですか。
○岡説明員 「立退きを確約する陳述書」というものは実はベトナムの学生についてでございまして、この点につきましてはベトナムの情勢の激変によりまして、保証人が見つからなかった、その見つからなかった保証人の問題につきまして学友会当局として手続をとることが必要となりまして、ベトナムの学生に保証人が得られない、ただし館則を守って期限内に退館する、こういう趣旨の陳述書ということでございます。
○土井委員 それじゃ事実とここの記述は全く違いますね。調べてみますと、いまおっしゃったベトナムの留学生についてだけ陳述書がとられているわけでありますけれども、その陳述書も三月三十一日までの立ち退きを確約する陳述書では全然ございませんで、「私は一九七四年六月二十五日より前入館者」何々という名前、国籍はベトナムと書いてありますが、その人と「交替入居しましたが、保証人は一九七五年四月三十日外国へ行ったため、保証人を選ぶことができません。しかし、国際学友会に金銭上は勿論、その他のことでご迷惑をおかけしないことを約束します。」と書いてあるにすぎないのですよ。そして本人の署名があるにすぎない。これがしかもベトナムの留学生についてだけの話でありまして、先ほど私がずらずらと読んだインドネシアの留学生会、タイの留学生会、台湾の留学生会からこの陳述書をとられたという事実はございません、調べた限りでは。なぜこういう記述になっているのですか。事実の確認を十分になさらないで、急いだために不正確な内容があるかもしれませんがという前置きを先ほどの御答弁でなさらなければならないくらい内容に自信がないのでしょう。そんなものをわざわざ経緯として印刷をして配付をなさるというのは、誤解を招くもとになりやしませんか。事実を事実として認識しないと、実は再建計画だってスムーズになりませんよ。国際学友会に対する認識だって正しく持つことができないです。いたずらに事を惑わせることになるじゃないですか。第一、こういう間違った記述をされて、これは留学生にとってはとんだ迷惑ですよ。部長さん、どのようにお考えになりますか。
○西宮説明員 確かに先生御指摘のとおり、この点について調べてみますと、書面をもちまして三月末日までに退去する旨を確約したものは約六十名でございます。このほか、期限が参りまして当然帰還、帰国することになっていた者が三十名おりました。残りの者につきましては、学友会の当局者が在京の各関係国の大使館、たとえばインドネシアの大使館とかタイの大使館とかマレーシアの大使館とか、そういったところの書記官、関係担当の館員を通じて話し合いをいたしまして、それでそれぞれ期限内に退去させるという点を約束するという、いわば一種の約束を得られたという報告が参っております。したがいまして、ただいま先生の御指摘のパラグラフにつきましては、この点を事実に即して書き改めて再度御提出したいと存じます。
○土井委員 書面をもって退館を確約した人たちは約六十名とおっしゃいましたか。それも確約書じゃなくて正確に言うと誓約書でしょう。そして誓約書の中身というのは「私は貴会館に入館を許されましたが、貴会館が将来新築のため取壊しをする際には、貴会指定の期日までに退館することを保証人と連署のうえ誓約します。」となっているのですよ。貴会館が――つまり寮が将来新築をするため取り壊しをする際には、ですよ。したがいまして、いま御答弁の向きからも少し事実と反するんじゃございませんか。したがって、この三項の「寮生の立ち退き問題」というのは大事な点で、これはそれぞれの留学生の人権にかかわる問題です。国際学友会というものが留学生一人一人に対して責任を持って、一人一人の生活保障ということをどのように真剣に考えていらっしゃるかということは、ここでもうはっきり裏書きされていますよ。いいかげんなもんであります。急いだために不正確な資料であるかもしれないで済む問題じゃありません。どこに配付されたかわからないという、その都度必要であるところに配付したという先ほどの御答弁でありますけれども、訂正をされて、実はあの記述は違っておりましたということを、もうわからないところに配付をされているところ、どのように訂正されるわけでありますか。それに対してどのように弁解をされるわけでありますか。私は大変な問題だと思いますよ、こういうこと一つ一つが。
 実は、私はここに文部大臣の御出席を求めたい気持ちでありますけれども、外務大臣とされては、国際学友会に対して責任省の担当大臣であります。こういうことについてどのようにお考えですか。
○鳩山国務大臣 学友会の問題につきましては、御指摘のございますように大変な問題であることは確かでございまして、私自身も深く責任は痛感をいたしておるところでございます。
 学友会の再建問題がこのようにこじれました結果、予定されたことが予定どおりいかないというためにかえってまた次々と問題を起こしてきた、こういうことを繰り返しているわけであります。まず何よりも、新しく日本を訪れた青年のために何とか勉学の道がつくようにということ、これがまず一番心を痛めておる問題でございます。これからこの学友会というものが日本語学校を経営する。この日本語学校は教育の場でありますし、またこれからの日本と諸外国との友好関係を深める上で大変大事な仕事を受け持っておる、こう思うわけでありますが、それなるがゆえに、この際学友会というものがこれからりっぱな学友会に生まれ変わることができますように、この機会に徹底的にこの再建方策を再検討して、しっかりした方針を立てなければならない、そのために現在は生みの苦しみの最中である、こう思うわけであります。そういう最中に、予定どおりの勉学ができないために大変御不自由をかけておられる方々につきましては、これは何とかしてその勉学の道をつけて差し上げたい、こう思うわけであります。それとともに、これからりっぱな学友会に生まれ変わることができますように、これは一人私だけでは何もできないのでありまして、やはり管理者、職員、また現在入っておられる、関係しておられる学生諸君、これらの協力がなければ学校というものは運営していけないものであります。どうか皆様方の協力が得られるように、そしてりっぱな学友会が再建できますように、心から祈っておるものでございます。
○土井委員 そういう外務大臣の御努力のさなかに、十二月末までに百五十名中百四十五名までも立ち退きについて誓約が得られたがごとき、事実とまるで違う記述をなされるような、こういう「国際学友会再建問題の経緯」という文書が配付されることについて、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、そこのところを聞きたいですよ。
○鳩山国務大臣 その文書は、私ちょっと多忙のために目を通す機会がありませんでした。これから自分でもよく目を通しまして、改めるべきものは改めさせたいと思います。
○土井委員 実は、事実調べるべきことを調べてない、当たるべき人に当たってない、そして間違った情報によって間違った記述をされたといういきさつが問題になるのじゃないですか。急いだから不正確な点があるかもしれないで済む問題じゃなさそうですよ。
 部長さん、最後の「その後の情況」というところを見たって、これまた事実と違うのです。この中身も大分事実と違います。事実を少し確認をされるように、事実確認の結果この文書に対しては訂正をされるように、これは必要最小限度の問題だと私は思いますが、部長としてはこれに対してどのように策を講じられますか。
○西宮説明員 その点の事実もあわせて早急に調査いたしまして、訂正するようにいたします。
○土井委員 国際学友会の再建問題に対して、国際学友会問題に関する会議というのがございますが、八名のうち現に国際学友会の理事さんが四名入っていらっしゃるようであります。もうすでに日本語学校について、四月十五日の開校予定というその日が来ても開校ができないというふうな事情については、去る三月二十八日に緊急理事会でその内容が確かめられているやに私たちは理解をいたしておりますけれども、きょうここに御出席の法務省の吉田入国管理局長さんも、これは役職理事として理事のお一人であります。そうでしょう。それで、この三月二十八日の緊急理事会に理事として出席をされたかどうか。もし前任者の局長さんであるならば、その点お聞きになっているかどうか。そしてその節、日本語学校の開校見通しが、四月の十五日に向けて、ないという事情に対してどのような発言をされ、どのような対処、努力をなされてきたか。これは、法務省の入管局長さんでありますから、その役職からしても努力を払われるであろうということが当然に考えられますので、お尋ねをしたいと思います。
○吉田(長)政府委員 お答えいたします。
 三月二十八日には、私は他用がございまして、代理の者が出席をいたしまして、その代理の者から委細報告を受けております。その報告を聞いて、理事の一人としてまことに残念な事態になってきたと思って憂慮し、入管局の立場からできるだけのことはしたいと考えております。
○土井委員 文部省の方は、きょうは光田留学生課長さんが御出席ですけれども、やはり同じように役職理事として文部省からも学術国際局長がいらっしゃるはずであります。三月二十八日の理事会で日本語学校の開校延期が問題にされていると思うわけでありますけれども、一体開校延期というのはだれが決定されたのですか、文部省にお尋ねいたします。
○光田説明員 お答えいたします。
 国際学友会は外務省専管の財団法人でございまして、日本語学校は国際学友会が運営いたしております。したがいまして、私、個人的には存じておりますけれども、その開校延期をだれがしたのかは担当の者にお尋ねありとうございます。
○土井委員 担当の者というのはどなたですか。
○光田説明員 国際学友会は外務省専管の財団法人でございます。
○土井委員 さて、それでは外務省いかがです。
○西宮説明員 私はその緊急理事会には出席いたしておりませんでしたけれども、この延期の経緯につきましては、学友会の再建計画がとんざしたということで外務省へ学友会当局から協議がございまして、その結果延期されることになった、こういうふうに聞いております。
○土井委員 先ほどの法務省も、できる限りの努力をしたいというふうな御答弁であり、文部省にお尋ねをすると、決定した当事者は文部省でないからひとつ担当省の方にお尋ねをいただきたいという御答弁でありますけれども、恐らく、この日本語学校の開校が延期されているという状況に対して好ましい状況とはお考えになっていらっしゃらないだろうと思うのです。好ましい状況とはだれしも考えないだろうと思う。ところがこれは、再建計画が具体的に見通しが立たないと日本語学校の開校ができない、この答弁の一点張りなんですが、現にその再建計画に対して、具体的にそれを講ずるために設けられた国際学友会問題に関する会議、これは先ほど申し上げたとおり、八名委員を選任なすったその四名までが現にこの国際学友会の理事さんなんですよ。この理事さんというのは、本来みずからの判断をしてこの国際学友会の管理運営に当たらなければならない人たちでしょう。いま設けられている国際学友会問題に関する会議というのは、特にいまの難関を何とか打破していくということのために第三者機関として
 いろんな知恵をかりたい、どういうふうにしていったらいいかという方途に対していろんな考え方を出し合ってここで決めていこうじゃないか、そのことを参考にしてひとつやっていこうじゃないかということで設置された会議だというふうに私は承っています。その中の半数が理事さんで占められているというのは、第三者機関という行き方からしておかしいじゃないか。理事さんというのは当然国際学友会に対して管理運営の任に当たる当事者ですよ。この人を第三者機関の構成員の半数に入れて考えるという行き方はおかしいのじゃないか、このように思われます。そうして、当面この再建の見通しが立たないと日本語学校の開校ということはないがごとくに考えられて、したがって、この日本語学校の開校というのも、五月になるか六月になるか七月になるか八月になるか、さっぱり先の見通しは真っ暗だと言ったっていいわけであります。こんなことでは、留学生ビザで入国してくる留学生の数は日に日にふえていく一方でありまして、日本語を研修する各場所にそれぞれ割り振りをいたしましてもとっても追っつくものじゃないということだけははっきりしている。特に、法務省さんに先日もお尋ねをいたしましたけれども、留学生ビザを発給する場合の条件からすると、この国際学友会の日本語学校以外のところへ行って日本語を研修すること自身違反であります。そうでしょう、厳密に言えば。そういう観点からしても、日本語学校の開校は一日も早く急がなければならない。再建計画はいまに始まったことじゃないので、日本語学校の開校ということがいま目の前の急がなければならない、まずやらなければならない問題じゃないでしょうか。このことをどのように考えていらっしゃるかということをお尋ねして、もう時間が遅くなりますから私は質問をやめたいと思います。御答弁は、いいかげんな答弁では困りますよ、そうしたらまた質問をやりますから。しっかり、本当に責任を持って――私は留学生の方々に対して、いま国際学友会がやっているこのぶざまさというものは本当に恥ずかしいと思うわけであります。教育の問題を真剣に考え、日本語の研修に対して本当に誠実に考えている態度とは決して思えない。日加文化協定を結んでみたところで、こういう態度で留学生の方々に日本の外務省が接し、国際学友会が接している限り私はだめだと思うわけであります。ひとつ誠意を持って答えてください。
○鳩山国務大臣 学友会の再建計画がなかなか立たないということはまことに申しわけない次第でございますが、一日も早くこの問題を解決いたしまして、御安心いただけるように努力をいたしたいと思います。しかし、問題がもつれてまいりまして、理事長が辞職する、また担当の部長も実は病気をいたしましたりいたしまして、きょうは出てきておりますけれども、半分病人のようなことになっておるわけでありまして、外務省自身といたしましても大変憂慮をいたしております。しかし、この難関を何とか乗り越えて、そして将来りっぱな学友会に再建をいたしたい、こういうことで努力をいたしたいと思います。
 日本語学校の再開は、現在のところまだここでいつ再開できるという見込みを申し上げる段階ではありませんが、一日も早く再建計画を立てて、そして再開にこぎつけたい、こういうことで努力をいたしますので、またいろいろ御意見もあれば、どうか先生におかれましても御意見をどしどしお寄せいただきまして、私どもも努力をさせていただきたいと思います。
○土井委員 病気になられて非常につらいところを御出席の部長さん、担当部長さんとして非常に努力をされていることは私もよくわかりますけれども、この日本語学校の問題は国際学友会の再建計画の見通しが立ってからというふうな考え方で果たしていいのかどうか。外務大臣は意見があったらどしどし聞かせてくださいと言いますが、幾ら意見を言ったってむなしいような答弁を聞かされるのでは、何遍やったって同じだと思うのです。私はもういいかげんにしてほしいという気ですよ。部長さんどうですか、日本語学校の見通しについてひとつはっきり誠意のある答弁を聞かせてください。
○西宮説明員 日本語学校再開の問題の重要性、緊要性というものは私は非常によくわかっております。しかし、この問題は、再建計画を一日も早く確立いたしまして、それができ次第開校したい、こういうふうに考えております。
○土井委員 私は、外国からの留学生に対していまの日本の外務省当局がどういう態度で接し、どういうふうに日本語教育に対して熱意を持っていらっしゃるかということがよくわかりました。
 以上で終わります。
○竹内委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。
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○竹内委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。
 まず、日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○竹内委員長 次回は、明後二十二日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時二十二分散会