第080回国会 外務委員会、公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号
昭和五十二年四月二十七日(水曜日)
    午前十一時十九分開議
 出席委員
  外務委員会
   委員長 竹内 黎一君
   理事 有馬 元治君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 毛利 松平君 理事 山田 久就君
   理事 河上 民雄君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 中村 正雄君
      稲垣 実男君   小此木彦三郎君
      大坪健一郎君    川田 正則君
      佐野 嘉吉君    島村 宜伸君
      玉沢徳一郎君    中島  衛君
      安宅 常彦君    井上 一成君
      松本 七郎君    飯田 忠雄君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
  公害対策並びに環境保全特別委員会
   委員長 島本 虎三君
   理事 林  義郎君 理事 向山 一人君
   理事 土井たか子君 理事 水田  稔君
   理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君
      相沢 英之君    池田 行彦君
      永田 亮一君    福島 譲二君
      山崎武三郎君    上田 卓三君
      山本 政弘君    東中 光雄君
      加地  和君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
 出席政府委員
        環境政務次官  今泉 正二君
        環境庁水質保全
        局長      二瓶  博君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アジア局
        次長      大森 誠一君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        資源エネルギー
        庁石油部長   古田 徳昌君
 委員外の出席者
        外務大臣官房外
        務参事官    井口 武夫君
        通商産業大臣官
        房参事官    松村 克之君
        海上保安庁警備
        救難部長    久世 勝巳君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸
 棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸
 棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締
 結について承認を求めるの件(条約第一号)
     ――――◇―――――
○竹内委員長 これより外務委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
    ―――――――――――――
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○竹内委員長 本件についての提案理由の説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。
 この際、御質疑される各員に申し上げます。
 質疑は申し合わせの時間内で御協力をお願いいたします。
 なお、政府当局におきましては、その答弁を簡潔にお願いいたしたいと存じます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
○水田委員 二十二日に北海油田の事故が起こりまして、海底の開発、特に油田の開発については、環境汚染の問題について慎重に考えなければならぬ、こういう警鐘を鳴らされたと思うわけであります。外務省の宣伝資料を見ますと、いままでの海底油田の事故というのは特異なケースだ、こういうぐあいに言っておられるわけでありますが、今回の北海油田の事故について、これも起こり得ない事故だ、いわゆる特異なケースとお考えになっておるかどうか、まずお伺いしたいと思うのです。
○鳩山国務大臣 今回の北海油田の事故は私どもも大変心配をいたしておる、大きな事故が発生いたしましたことを大変遺憾に思うところでございます。これにつきまして、その事故の原因等につきまして諸情報を至急集めておるわけでございますが、昨日ノルウェーの兼松大使からの報告が入っております。必要があればまた御説明申し上げますが、この事故につきましてノルウェーのイエルデ工業大臣が事故原因等につきまして国会報告を行ったところでございますが、その要旨は、事故発生の原因としましては、「事故は保しゆ作業員が圧力測定を行なっていた時、測定器が直けい四一・二インチの生産パイプ内におち、生産いどのそこ近くにつまったことにたんを発した。同測定器をひきあげるため細い針金のついた器具を使用したが失敗に終り、」この事故が起きたというような報告がきております。
 詳細はまた御質問があれば御報告いたしますが、このような事故はどんなところから起こるかなかなか予測のつかないものでございますが、この今回の共同開発区域におきます開発につきましては、このような事故が絶対起こらないように万全の備えをいたしたいと思うのでございます。
○水田委員 私は事故の原因とかその他を聞いておるわけじゃないのです。外務省が国民に対して、恐らくこれは宣伝のあれですから、書いてあることは、こういう事故というのは「世界でも極めて稀です。よく例としてあげられるサンタバーバラの事故は、噴出防止装置をつけていなかったため起った特異なケースです。共同開発区域ではこのような事故が起る可能性はありません。」こう言っておる。可能性が今度の事故を通じてないということ、こういうことを国民に対して言えるかどうか。あるという心配に立った具体的な協定というものにならなければならぬ、その点を聞いておるわけですから、これは訂正されますか。
○鳩山国務大臣 このパンフレットにおきましてそのような記載がございます。私どもは、この共同開発区域におきましてこのような事故が起こらないように万全の備えをとりたいと思います。
○水田委員 私は起きた場合のことは後で質問しょうと思うのです。こういう文書を外務省が公に出しておるわけです。これは間違いでしょう、今度の事故を通じて。
 もう一つこの中にあります。「海を汚染した例は日本には全くなく、」こう書いてある。日本の例というのは、これは水深が数十メーターで、パイプの径も小さいものしか日本ではいままでないわけです。これからやろうとするところは、たとえば北海油田のような大口径のパイプでやった場合というのはこれは例にならぬわけです。そのことも、この共同開発区域で事故が起こらない、可能性はないという断定をする、こういう文書に例として便っておるわけですから、これは誤りなんですから――私は誤りだと思うのですが、訂正されるお考えはありませんか。
○鳩山国務大臣 このサンタバーバラの事故について引用してございますが、「噴出防止装置をつけていなかったため起った特異なケース」、こう書いてございます。そして今回の共同開発につきましては、この海洋の汚染の防止及び除去に関する交換公文におきまして、日韓間において文書の交換をいたしております。これは共同開発協定の二十条に基づくものでございまして、この協定におきまして、このような事故を防止するために「噴出防止装置等」ということで詳細に規定を置きまして、このような準備をするものでなければ許可はしない、こういうことにしてありますので、サンタバーバラに起きましたような事故は起こらないように、この両国間で協定をしてあるところでございまして、それに従わないような開発は認めない、こういうことでありますので、ここに書いております趣旨はそのような趣旨でございます。
○水田委員 大臣、幾らそう言いましても、ここにちゃんと書いてあるのです。これは外務省が印刷したものですから。今度北海油田のこの事故が起きた。海底の油田開発に関してはこういう事故が起こり得る、そういう心配があるということは、これは国際的にもいま国民全体が心配しておる。外務省は、この共同開発区域では起こる可能性はありません。いま大臣が答弁されたのは、起こってもなおかっこういう心配のないようなことをしますとか、あるいは起こらないように協定を結びますということであって、可能性がないということはいまの条件として言えないという私の意見に対して、全く答えていないことになるわけです。ですから、これは起こり得る、いま外務省も、起こることはあり得る、こういうぐあいに考え方を変えられた、逆の聞き方をしますが、そう理解してよろしいですか。
○鳩山国務大臣 この海洋の油田の開発につきまして、実際、事故は絶対起こる可能性がありませんというようなことは、北海のような事故が起こりましたただいまにおきまして申し上げるつもりはないのでございます。しかし、私どもは万全の備えをとって開発を行いたいと思っておりますし、このサンタバーバラの事故につきましては噴出防止装置をつけてなかった、こういうようなことが言われておるわけでありまして、そのような設備の不備からくるところのこのような事故は起こさない、こういった趣旨を述べてあるもの、これは御了承を願いたいのでございます。
○水田委員 大臣、まあ事故が絶対起こらないとは言えない、こういうぐあいに御答弁いただいたので、そこまでにしておきますが、それでは、今回北海油田の事故を起こしたアメリカのフィリップス石油会社というのは、こういういわゆる海底油田の掘削について技術的に劣ったところでしょうか、あるいはまあある程度のレベルの会社でしょうか、その点はどういうぐあいに御理解なさっていますか。
○古田政府委員 フィリップス社は一九一七年に設立されたアメリカの石油会社でございますが、一九七五年末現在の資本金は二・二億米ドルという規模になっております。同社は国際的に石油、天然ガスの生産から販売に至るまでの一貫操業を行っておりますが、一九七三年の利益額で見ますと、アメリカの中の石油会社では十一番目という規模になっております。一九七五年の生産量について同じように見てみますと、アメリカ合衆国内外で原油の生産量が二十四・六万バーレル・パーデー、そのほかに液化天然ガス、天然ガス等の生産を行っております。今度事故を起こしましたエコフィスクの生産につきましては十九万バーレル・パーデーでありまして、同社のシェアが同エコフィスク油田では三七%ということになっております。石油の開発におきます物理探鉱あるいは掘削等の技術につきましては、フィリップス社も含めましてアメリカの企業の技術水準が現在では世界で一流ということになっておりまして、フィリップス社の規模から考えまして、その技術水準につきましては十分評価し得るものではないかと思います。
○水田委員 いまの海底掘削について十分な技術水準を持った会社でさえこういう事故が起きたわけであります。
 そこで環境問題についての協定本文、さらに交換公文というのがあるわけでありますが、具体的には恐らく関係省庁との協議をやって対策を講じられたと思うのですが、どういう事態までを、たとえば今度の北海油田の事故のようなことまで想定して、それに対する対応あるいはそれが起こらないための対応等、環境庁その他と協議を事前にされた上でこの協定書並びに交換公文を結ばれたと思うのですが、そこらあたりはどのように詰めをされたか伺いたいと思うのです。
○大森政府委員 この交換公文で両国がとるべき海洋汚染の防止及び除去に関する措置の基準につきましては、十分わが国の関係省庁と協議した上で万全の備えを行うという趣旨で設けられたものでございます。
○水田委員 もう少し具体的に、たとえば今回の北海油田のような事故が起こった場合にも対応できる、どうするかなど、それに対して外務省がどう詰めたか、あるいは環境庁がどのような相談を受けて詰めたか、あるいは海上保安庁がこういう流出があった場合にはどういう対応ができるのか、そういうことを含めてどのように協議をされてこういう協定なり交換公文で大丈夫だと判断されたのか、それを聞いておるわけですから、ただいまのは答弁になりません。
○二瓶政府委員 お答えいたします。
 日韓大陸棚協定につきましては、特に先ほどの海洋の汚染の防止及び除去に関する交換公文、この関係につきまして外務省より環境庁の方にも合議を受けております。この件につきましては、環境庁といたしましては、海洋環境保全という見地に立ちまして慎重に検討をいたしました。その結果、先ほど申し上げました交換公文、こういう取り決めができたわけでございます。
 この取り決めの内容は、先生御存じかと思いますけれども、この掘削等の問題につきましては防止装置等十分な措置も講ずるということで、わが国の鉱山保安法の規定というものと同様な内容を持っておりますし、それから海洋環境の汚染の問題につきましても国際的な水準というものをこの交換公文の中に織り込んでおるわけでございますので、この交換公文といいますものはこれで十分であろう、こういう判断でございます。
 ただ問題は、そういうことで今度の北海油田のような事故は起きないかどうかということにつきましては、この交換公文の内容の着実な履行といいますか、実施というようなことによりまして対処するということになるものと考えております。
○久世説明員 海上保安庁からお答えします。
 ただいまの先生の御質問につきまして、日韓大陸棚協定に伴う海洋汚染防止の措置につきましては、海上保安庁としましては事前に相談を受けております。当然汚染の防止に関しましての担当官庁としまして十分関心を持って見守ってまいりましたし、今後当庁としましても汚染の防止及び万一事故が発生した場合の十分な防除につきまして所要の措置をとることとしたい、このように考えております。
 それで具体的なことを若干述べさせていただきたいと思います。
 私ども、北海油田等あるいはサンタバーバラの事件等をいろいろ勉強しておりますが、大体海上保安庁では、ご存じのとおり海洋災害及び海上の防災に関するいろいろの法律が昨年度の国会におきまして成立しまして、海上におきます災害の防止というものにつきまして特に所要の手続きをとることになっております。
 それで海上保安庁としましては、全般的に大型タンカー等の流出油の防除体制としまして、常時巡視船艇あるいは航空機の出動態勢を整えるとともに、所要の機材としまして油防除艇あるいはオイルフェンス、油処理剤、油回収装置等を全国の主要の海上保安部の部署に配置しております。
 また火災というものに対処しまして、当庁の保有する巡視船艇は、通常のすべての船舶火災に対応できるような消防ポンプを備えておりますが、このうち特に油火災に対処するような化学消防能力も付与しているものがございます。あるいはさらに専用の消防船艇でございますが、これは大型と中型とございますが、このようなものを十二隻保有しまして、油の火災事故に備えておるわけでございます。
 先ほど先生御指摘のように、万が一大陸だなの開発によりまして海洋施設に災害が発生した場合に対処する方法としましては、先ほど申しましたように、大型タンカー等の流出油あるいは火災事故の場合と同様に、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律にも規定せられておるところでございますが、当該施設の管理者がまず事故のあったことを海上保安庁に通報するということになっております。そして通報すると同時に、当該施設の管理者がみずから油の排出に対します防除措置というものをとるように規定してございます。しかしこのような大事故でございますし、あるいは大陸だなの海洋施設というものは比較的海岸から遠距離に存在するというふうに私ども考えておりますので、いろいろ気象、海象等に制約されるということが予測されますから、主として先ほど申しました巡視船のうちでも大型の巡視船、あるいは大型の消防船あるいは航空機等によりまして、まず人命の救出あるいは流出油の防除、消化作業あるいは現場付近の船舶航行の安全の確保という諸活動を実施することとしております。と同時に、関係機関と密接な連携を保ち、あるいは必要によりましては民間の協力を得て被害の発生の防止あるいは災害の局限を図ること、このように考えております。
 なお当庁としましては、当該施設が設置されるに当たりまして、その管理者が十分に防除体制というものをとらせるよう、関係省庁とも緊密な連絡をとりまして指導するとともに、今後とも状況の推移を見まして、海上保安庁の体制というものの整備を図っていきたい、このように考えております。
 以上でございます。
○古田政府委員 通産省でございます。
 海洋の汚染の防止及び除去に関する交換公文を受けまして、私どもとしましては、現在国会に御審議をお願いをしております特別措置法案の第四十八条によりまして、鉱山保安法を適用するということになっております。同鉱山保安法によりまして、石油鉱山の保安規則を詳細に定めておりますが、この保安規則に基づきまして、さらに各鉱山ごとの保安規程も規定させるという形で保安の万全を期しているわけでございますが、同時に各鉱山の監督のために、これは石油以外の鉱業も含めてでございますが、鉱務監督官を全国に三百十一名持っているという形でございます。
○水田委員 それでは私は、本当に今度の事故を通じて心配なことが具体的に解消されるような論議はされてないように思うのです。たとえば、交換公文の付表にあります一番最初の「噴出防止装置」の「密閉坑底圧力の一・五倍に相当する圧力」、あるいは「密閉坑口圧力の二倍に相当する圧力」、これは北海油田の場合にはもっと安全を見込んだ装置をしておったと思うのですが、その点はどういうぐあいに調べておられますか。それで、なおかつ事故が起こったと思うのです。
○松村説明員 お答えいたします。
 御指摘のありました安全装置について、その安全装置の何といいますか圧力の安全係数、これが一・五あるいは二という数字があるわけでございますが、北海におきまして噴出防止装置が実際にワークしたかどうかという点については、ただいままでの報道ではっきりいたしませんけれども、私どもが技術的に判断しましたところでは、これらの安全装置が働かない状態にあったのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
○水田委員 働いた働かないを聞いておるわけじゃないのです。向こうではどれだけのことが規定され、日韓の交換公文ではこういう規定になっておるのかということを聞いておるわけですから、それを簡単に答えてください。
○松村説明員 それぞれの油田によりまして、その坑底の圧力が違うわけでございます。北海における坑底の圧力あるいは日本の油田における坑底の圧力、それぞれ違うわけでありまして、それに対する安全率は一・五ないし二というものが世界的な一つの係数になっておる、こういうふうに私どもは考えております。
○水田委員 私は、北海は幾らの安全係数を見ておるかということを聞いておるので――よろしいです、時間がありませんから先に進みます。
 そこで、これは環境庁になると思うのですが、今度の北海のような事故が起きた場合に、ちょうどあの共同開発区域というのは黒潮が日本海へ一部入る、太平洋、日本の沿岸をずっと上っていく、その分岐点になると思うのです。大変な汚染が起こると思うのですが、たとえば北海油田のようなあの程度の規模の事故が起きた場合に、どの程度の地域がいわゆる原油によって汚染され、それが生態系にどういう影響を与え、あるいは地域沿岸の住民にどういう被害を与えるかということなどについて予測をされたことがおありでしょうか。
○二瓶政府委員 共同開発区域で北海油田のような規模の油流出事故が生じた場合、これが本邦海岸にも、沿岸の海岸にもいろいろ影響を与える、その際の生活環境といいますかに及ぼす影響等々の広がりを計算をしているか、予測をしているかということでございますが、これにつきましては予測をいたしておりません。
○水田委員 それじゃ、そういう予測をしないで、こういう協定、交換公文では、このままでは、少なくとも国民の健康なり日本の沿岸の生態系への汚染というのも必ず守れるという保障がない、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたように、今回のこの日韓大陸棚協定におきましては、交換公文がございまして、海洋の汚染の防止、除去につきまして取り決めがなされておるわけでございます。その内容につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、この内容が忠実に措置されましてやっていくということでございますれば、あのような北海油田のような事故というものを未然に防止する。特に重要なのはやはり安全性の確保ということで、事前に技術的なチェックというものをやっていくということだと思います。そのやるべき内容が交換公文にも盛られておるわけでございます。
 そういうことと、それからそういうような事故が万々一出ました際には、先ほども海上保安庁の方から答弁もございましたような(水田委員「万一のことは聞いてませんから」と呼ぶ)防除措置をやるということだと思っております。そういうことによりまして、こういう汚染の未然防止ということを徹底し得るのではないか、かように考えておるわけであります。
○水田委員 いま環境庁は、聞いていますと、北海の油田の事故が起こった、あの程度の規模の事故が起こった場合を予測したいわゆる生態系への影響、沿岸住民の健康被害の問題等については、予測のないまま協議をしておるわけですから、外務大臣どうですか、新しい事態の中で、もう一遍そういう協議をきちっとやり直す必要があると思うのですが、どうでしょう。
○鳩山国務大臣 北海事故が起こったばかりでございますから、あのような事故が起こった場合におきまして、その後の対策等につきまして、まだ準備のないことは明らかだと思います。しかし、政府といたしましてこのような事故が全く起こらないような安全な採掘をしてもらいたい、そのような厳しい条件を付して採掘に当たるべきもの、あのような事故が絶対起こらないということのために万全の措置をとりたいと思っておる次第でございます。あのような事故が起こった場合に、そのためにどのような生態系への変動が起こるかということにつきまして、あるいはここで十分な御説明ができないかもしれませんが、着工するのはこれからまだ大分先でございますから、その間に万全の備えをさせていただきたい、このように思います。
○水田委員 それじゃ海上保安庁の方にお伺いしたいと思うのですが、もし起こった場合にいろいろな対策を講ずるというのですが、たとえば北海油田程度の事故が起こった場合、日本の油回収船というのは一番大きいのでどのくらいのがありますか。
○久世説明員 現在私どもで調査しましたところによりますと、一日の公称回収能力というものが約六千トンというふうに聞いております。これはいろいろ流出油の状況等、たとえばその層の厚さあるいは油の種類等によりましていろいろな問題がございますが、一応一番大きいので六千トンというふうに私どもは聞いております。
○水田委員 それじゃあの程度の事故が、いま各国協力して油回収その他の努力をやっておるわけですが、共同開発区域で起こった場合、いまの日本の持っておるそういう技術といいますか機材といいますか、そういうもので完全に後処理ができる、沿岸住民に被害を与えないようなそういう処理ができるだけの能力を持っておるとお考えでしょうか。
○久世説明員 ただいま日本におきます油回収船の保有状況としましては、海上保安庁としましては、回収船という非常に純粋なものとしますと三隻でございます。それからまた民間の分を入れますと八十九隻でございます。それと同時に、先ほど御説明しました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律におきまして、今後特定海域におきますタンカー等の出入港に対しまして油回収船を配備するようにいろいろこれから義務づけることになっておりますというようなこと等々をあわせまして、私どもとしては、油の防除というものにつきまして端的にすぐどうかということは、やはりいろいろ油の流れた状況等によりまして、あるいは海象、気象の状況、油の種類、水温、潮流ということによりまして、あるいはオイルフェンスで囲み、そして回収船あるいは吸着材によって油を回収する、あるいは万やむを得ないときは油処理剤を使う、そのようないろいろの処理方法があります。これも先ほど申しましたように、海潮流とかあるいは気象状況の影響のある場合等を考慮しまして、実行可能な方法を選定しまして防除措置を十分実施できるというふうに努力していきたいと思います。
○水田委員 それじゃ、昭和四十九年の三菱石油の、これは重油の流出ですが、あの囲まれた瀬戸内海でさえいまの日本のあれでは十分な対策ができなかった。いま聞いて、それだけの体制で、しかも相当潮の流れの速いところで、外洋でできるという保障はないですね。
○久世説明員 瀬戸内のような内海でございますと、油の処理というのは非常に問題がございます。私どもの経験では、いままでも外洋におきまして数千トン流れた場合もございますが、外洋におきますとやはり波とか風、これが非常に激しいものでございますので、一応処理剤あるいは吸着材、回収船を使いますけれども、わりあい処理はしやすいんじゃないかと私どもは考えております。
○水田委員 ばかなことを言ってもらっちゃ困るのですよ。いま北海でも、サバ、アジ等の大変な魚の産卵地であるということで処理剤は使わないでやっておるのですよ。いま処理がしやすいと言ったのは外洋だから、瀬戸内海だから処理剤をまくと問題だからむずかしかった、こう言うのですが、一番問題のところじゃないですか。日本でも海洋資源の一番大事なところでそんな答弁はしないですよ。
○久世説明員 お答えが少し短絡過ぎて大変失礼しました。
 外洋で処理がしやすいということを申し上げたのは、実はいままでの私どもの経験でいきますと、流出油は自然拡散、波とかあるいは風等によりまして自然に浄化されるというケースがわりあいに多うございました。そういう意味で、処理剤を使わなくても自然な方法でできる場合が内海に比べて多いんじゃないか、そういう意味で申し上げたわけでございます。したがいまして、私どもとしては、先ほど申しました回収船とかあるいは吸着材あるいは場合によっては処理剤を使ってやる場合もある、こういう意味で内海よりはあるいはやりやすいのではなかろうか、このように考えたわけであります。
○水田委員 それじゃ外務大臣に。日本と韓国との間で公害関係の法律というのは違うと思うのです。どういうぐあいになっておるのかということと、それから公海上で作業をすることになると思うのですが、そこへ日本の法律の適用あるいは韓国の法律の適用というのは一体可能なのかどうか、そういう点はどうか、ひとつ答えていただきたいと思うのです。
○大森政府委員 お答え申し上げます。
 国内において汚染防止、公害防止等のために幾つかの国内法が制定されているところでございますけれども、韓国においては現在のところ、わが国の海洋汚染防止法に相当する国内法はまだ準備中の段階であると承知いたしております。したがいまして、このような状況を勘案いたしまして、この日韓南部共同開発協定におきましては、交換公文を交わしまして、一定の基準に従った国内措置を韓国はとるということを義務づけるということとした次第でございます。
○水田委員 それでは、時間がありませんが、こういうことがあってはならぬわけですが、協定にも、損害が起こった場合のことが規定してあるわけでありますが、それは三つあるわけです。日本と韓国、そしてその企業の所属する国ということですが、同時にこれは二つの裁判にかけることができるのかどうか。
 それからもう一つは、実際には、ここに開発に入る会社、資本金六億という会社もありましょうし、一千ドルくらいの小さな、いわゆる子会社でやるということもありましょうが、そういう支払い能力のない会社の場合、裁判では損害賠償判決が出ても、実際には取れない。しかも、これまでの船舶の衝突による外国との損害賠償というのは大変むずかしい問題がたくさんある。そういう場合に、親会社が大体子会社のめんどうを見るということは少ないわけでありまして、子会社をつぶしても親会社が逃げるということがあるわけですが、そういう点の補償を、交換公文なりあるいは協定によっては裁判できるようなことになっておるけれども、事実上の補償というものが実際にはできないのではないか、そういう心配がこれは大きく残ると思うのですが、その点はどういうぐあいになっておりますか。
○村田(良)政府委員 御指摘のとおり、第二十一条におきまして三つのケースについて裁判所に訴えを提起することができるということになっておるわけですが、この三つの裁判所のいずれか一つというのが条約上の規定でございます。
 それから同じく二十一条三項におきまして無過失連帯責任を、特に海底及び海底の下の掘削あるいは坑水の放流によって被害が生じた場合には、連帯して損害の賠償の責任を負うということが定められております。いま先生の御指摘は、そういうふうに定められておっても、現実にその会社等に資産がない場合に担保できるかという御質問であろうと思いますが、それは各国がそれぞれの開発権者を認可するあるいは事業契約を承認いたします際に、自国の開発権者があるいは相手国の開発権者が、そのような資産、あるいはその他保険を掛ける等のいろいろな方法もあると思いますけれども、事故の発生の際に十分対処できるということを確認して承認あるいは認可をするということによって担保できるものと考えます。
○水田委員 時間がありませんので、最後に外務大臣に。いままでいろいろ聞いてまいりましたが、環境問題なりあるいは事故が起こった場合の被害補償等についてまだまだ大変詰めの甘い点がある。そういう心配が大きく残ると思うのであります。そういう点一つはこの協定を結んだときと条件が変わってきておる。一つは二百海里の漁業専管水域はすでにもう現実の問題になってきておる。領海十二海里も同じ。そして北海油田のような大変な事故が起こってきた。そういう中で、環境問題一つとっても十分な詰めができていない。こういうことでありますから、ここらはもう少し慎重に大韓民国と詰めていく、そういうお考えは外務大臣にないかどうか。ぜひそうしていただきたいと思うのですが、その点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 共同開発によります汚染の発生でありますとか、それが漁業者に与える影響その他が大変心配されておるわけでございまして、これらの点につきまして、協定の段階であとう限りの努力をいたしたところでございます。しかしながら、北海油田の事故等も発生いたしまして、これらに対します御心配ということもよくわかるわけでございます。したがいまして、この事故というものを他山の石としないで、今後の開発に対します細心の注意をいたさなければならない、事故発生が絶対起こらないような努力をいたさなければなりませんし、また万一事故の発生した場合の諸対策というものにも政府といたしましても格段の努力をいたさなければならない、こう思う次第でございます。しかしながら、この協定自体につきまして、これは想定される御心配を最小限度にとどめるような協定にしてあるわけでございますので、どうかこの協定は御承認をいただきまして、これからの政府の努力によりまして皆様方の心配が最小限度にできるよう、最善の努力をいたしたい。今後とも関係官庁万全の備えをすることによりまして、漁業関係の方々あるいは沿岸の方々の御心配がなくなるように努力をいたしたいと思います。
○水田委員 終わります。
○竹内委員長 古寺宏君。
○古寺委員 ただいま外務大臣からこの日韓大陸棚協定を承認していただきたい、こういうお話があったわけでございますが、私は承認できない幾つかの理由を公害の立場から質問申し上げたいと思います。
 まず、外務大臣にお尋ねをしたいのは、韓国の公害に対する国内法、この公害法について大臣はどのくらい認識をしていらっしゃるかということを私は確認したいわけでございます。こういう公害防止法という、確かに韓国には公害防止のための法律はございます。しかしながら、わが国におけるような海洋汚染防止法あるいは鉱山保安法に基づく防止法は韓国にはないようでございますが、この点についてまず環境庁と、それから通産省から、韓国のいわゆる海洋汚染防止法あるいは鉱山保安法に該当するような法律があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
○二瓶政府委員 韓国の公害関係の法令でございますけれども、大気汚染あるいは水質汚濁、騒音、振動、こういうような関係のものにつきましては、一九七一年に公害防止法というのがこれは制定がございます。
 それから海洋汚染防止の方の関係でございますが、これにつきましては、わが国の海洋汚染及び海上災害防止に関する法律、これに相当する法制は現在韓国にはない、かように聞いております。
 ただ、今回の日韓大陸棚協定に関しましては、これに基づきます交換公文に即しまして、現在、韓国におきまして国内法の整備を検討中ということでございます。
○古寺委員 あるかないかをお尋ねしているのです。
○二瓶政府委員 これはございません。わが国の海洋汚染防止法に相当するものはございません。
 以上でございます。
○大森政府委員 韓国の汚染防止等の国内法規について御説明申し上げます。
 韓国には現在、一九七一年制定の公害防止法というものがございます。これは大気の汚染、水質汚染、騒音等の被害を防止するということを目的といたしております。
 次に、一九六三年に制定されました鉱山保安法というものがございます。この法律におきましては、鉱山従業員に対する危害を防止するとともに、鉱害を防止することにより地下資源の合理的な開発を図るということを目的とした法律がつくられてございます。
 次に一九五一年の鉱業法でございます。この法律におきましては、掘削、坑水の放流、鉱煙の排出等により顕著な損害を加えたときの損害賠償義務につき規定しております。
 次に一九七〇年制定の……
○古寺委員 私は、あるかないかをお尋ねしているのでありまして、内容は結構ですから……。
○大森政府委員 おおむねわが国が制定しております公害防止あるいは環境汚染防止法等に関する法令に該当するものが韓国でも制定されておるわけでございますが、海洋汚染防止法に相当するものはただいまのところはまだ準備中の段階と承知いたしております。
○古寺委員 それじゃお尋ねしますけれども、鉱山保安法による石油鉱山保安規則というのがわが国にはございます。この三百十一条に鉱廃水の排出基準、油の排出基準を決めてございます。じゃ、韓国の排出基準は何PPmですか。
○大森政府委員 韓国の国内法について、そこまでの詳細な資料はただいま持ち合わせてございません。
○古寺委員 そういういいかげんな答弁をしては困るのです。
 次にお尋ねしますけれども、それじゃ、油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約というのがございます。これは韓国は加入しておりますか。
○村田(良)政府委員 加入いたしておりません。
○古寺委員 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約に韓国は加入しておりますか。
○村田(良)政府委員 加入をいたしておりません。
○古寺委員 先ほどから問題にしておりますこの交換公文、この内容というのはこの条約の内容をそのまま盛ったものなんです。調印したのが昭和四十九年の一月三十日でしょう。もう三年たっていますよ。なぜ韓国はこの条約に加入しないのですか。
○村田(良)政府委員 目下、わが国の海洋汚濁防止法に相当する法令を制定するということで、国内的に検討を進めておるというふうに了解しております。したがいまして、国内法上の整備を終えまして条約の締結を考慮するというのが韓国の方針であろうと思います。
○古寺委員 そこで、この共同開発を始めた場合に、今回のような北海の海洋汚染のような問題が起きた場合に、わが国では海洋汚染防止法とかあるいは鉱山保安法がございます。あるいは、いろいろな損害が起きた場合にもわが国におきましては油濁損害賠償保障法というものがあります。ところが韓国にはこういうものもないのです。その場合に、こういう大事故が発生した場合に韓国が対応できるかという問題がございます。あるいはまた、外務省としてこの条約を承認していただきたいと思うならば、過去三年間にわたってこういう公害の問題の詰めを大韓民国との間に当然行ってこなければならなかったはずでございます。ところが、通産省にお聞きしても環境庁にお聞きしても、韓国の国内法については全く知らないと言っても過言ではございません。こういう状態でこの条約を承認して、もし事故が起きた場合に一体だれが責任を負うか、外務大臣が責任を負えるか。私は、こういうような対応の仕方でもってこの条約を承認するということは、将来に禍根を残すことになると考えるからいま質問を申し上げているわけでございます。こういう点について外務大臣は、わが国と韓国との公害に対する対策の違い、そういうものに対してどういう認識の上に立たれてこの条約を承認せよ、こういうふうにおっしゃるのか、もう一度御答弁願います。
○鳩山国務大臣 公害関係の規制につきましては、公害に対しましては日本は大変先進国でございます。そういう意味で、韓国の法制が日本に追いつきつつある状況であるということは確かでございまして、その点につきましては韓国政府といたしましても、海洋の汚染の防止等につきましても目下努力中と伺っておるところでございます。
 これらにつきましては、極力わが国と同じような法制がとられることが望ましいわけでありますが、万一被害が生じましたときの救済方法につきましては、交換公文等によりましても、この協定自身におきましても、できる限りの措置を講じてあるところでございます。したがいまして、御指摘の点につきましては今後とも、私どもとしても韓国政府に改善方の要望をいたしたいと思います。そういったことで、今回のこの協定は、とにかくこの協定によりまして御承認を賜って、これからの努力に待つことにさしていただきたい、こう思うところでございます。
○古寺委員 それでは一歩譲って、この三年間に外務省としては公害の問題について韓国とどういうような折衝をしてまいりましたか。
○大森政府委員 私どもは、韓国政府がこの協定に付属している交換公文に定められている海洋の汚染の防止及び除去に関する基準というものに合致する国内法上の措置をとるということで取り決めが行われているわけでございまして、韓国側としてはそのための準備を鋭意尽くしつつある、かように承知しているわけでございます。
 この協定が実際に御承認を得て批准という運びになった場合には、韓国側におけるかような措置というものは十分にとられることになると確信しておりますが、なお韓国側においてそのような国内法上の十分な措置をとらないという場合におきましては、協定第五条に定めてございます開発契約、双方の開発権者の間で締結される開発契約を政府としては承認しないという方針で臨むつもりでございます。
○古寺委員 開発計画を承認する、承認しないという前に、三年間も経過してもまだ向こうの態勢はできていないわけですから、韓国の国内法が整備してからこの協定を承認し発足をしても遅くはないと思うのです。ですから今後、外務省といたしましては、わが国には経験の上からでき上がった海洋汚染防止法なり鉱山保安法なり、皆整備されているわけでございますので、そういう立場から韓国とよく折衝をして、国内法の整備ができてから、共同開発をして事故が起きても十分対応できる態勢ができてから、この問題を提案しても私は遅くはないと思うのです。ですから、なぜこの協定をこんなに急いで承認させようとするのか。二百海里時代を迎えて、日本の周りの海はいま油濁の問題でいっぱいです。これにこういうような大きな事故が起きた場合に、漁場として宝庫と言われるこの地域はもちろんのこと、黒潮に乗って日本海はもちろん、日本の漁業も各国の漁業も非常に影響を受けるわけです。したがって、こういう問題に対応できる韓国側の国内法が整備されてからこの協定を承認しても、私は遅くはないと思うのですが、大臣いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 この協定が調印されましてもう三年を越したわけでございますが、本件につきまして韓国政府といたしましても、大変な努力を続けておるわけでございます。しかし、日本側でなかなか国会の御承認がいただけないという状態が続いておるのでございまして、これが御承認をいただけるということになれば、また真剣にこの対処をすることもできるわけでございますから、ぜひともまず御承認をいただくことが、韓国政府に対してこれからの努力につきましてこちらからも言い得る立場に立てるわけでございます。どうかこれからの措置につきましては、政府といたしまして万全の措置、できる限りの努力をいたしますし、また韓国内の法制等につきましても、わが方としても希望を申し述べ、改善方を要求することもできることになると思われますので、まずこの協定の御承認を賜りたい。しかる後に、いろいろいただきました御議論の御趣旨もよく胸に置いて最善の努力をさせていただきたいのでございます。北海の事故が起きまして御心配が増したことも確かに事実でございますので、これらにつきましては政府といたしましてもできる限りの努力をさせていただきたい、こう思う次第でございます。どうか御理解を賜りたいと思います。
○古寺委員 最初に調印なさったときに、もうすでに過ちを犯していらっしゃるわけです。わが国の環境庁も通産省もその内容について、韓国の国内事情については十分に認識しておらぬ、そういう立場で外務省が調印してしまったわけです。
 しかし、いまここで、韓国の国内法が整備されない上でこの協定が発足をいたしますと、過ちを再び繰り返すことになるわけです。ですからこの際、再び過ちを繰り返さないためにも、韓国側とよく折衝をされて、十分に対応できる向こうの公害の法体系ができ上がった時点でこれを承認すべきであろう、私はこう考えますが、大臣はいかがでございますか。
○鳩山国務大臣 法体系につきましては、いろいろ御指摘をいただいたわけでございますけれども、現実にこの開発が行われる場合のいろいろな条件というものは、この交換公文におきましてとにかく考えられるだけの整備はいたしたわけで、この条件を満たさないようなものにつきましては開発計画を認めない、こういうことになっておりますので、問題はこの事業計画に、開発計画にこのような公害対策を十分織り込むことであろう、こう思うわけでございます。すべて開発権者が公害上必要な措置を十分とること、これが何より大事な点でございますので、その点につきましては事業実施の段階で十分措置がとれるもの、このように思いますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
○古寺委員 事業計画を、実施する場合には承認をしない、こうおっしゃいますけれども、向こうの国内法が整備され、いろいろな準備ができ上がるまでにはまだ相当の期間を要すると思うのです。したがいまして、何もいま拙速にこの条約、協定を承認しなくとも、十分におぜん立てができた上でもう一遍国会の先生方にお願いをすべき立場じゃないかというように私は考えるわけです。特に二百海里の問題、領海の問題等もございますし、こういう面についてもう一度外務省としては原点に立ち返って、この共同開発の問題は公害の問題が一番大きな問題でございます、一遍こういう事故が起きたら取り返しのつかない事態になるわけでございますので、もう一度原点に、振り出しに戻って、そしておぜん立てが十分にできた段階で国会の承認を求めるべきである、私はこういうふうに考えるのですが、いかがですか。
○鳩山国務大臣 公害規制の問題は、これは大事な問題でございますけれども、要は、開発当事者がいかなる義務を負うかということでございますから、したがって、その点につきましては事業計画上十分な義務を開発権者に負わすことができるわけでございます。
 公害規制というのは、どういう義務を一般的に負わせるかということが公害法の規制であろうと思うのでございますけれども、この共同開発に限りまして特別な義務を課すこともできるわけであります。したがいまして、事業計画におきまして御心配のないような厳重な義務を課すことによりまして、公害対策には万全を期したい、このように考えておるところでございまして、法制は法制といたしましても、実施の段階で厳重な公害予防規制を課すことができる、このように考えておりますので、どうか御理解のほどをお願いを申し上げたい。
○古寺委員 時間ですからこれで終わりますが、このパンフレットにもありますように絶対起こり得ないと考えておった事故が起きているわけです。ですからいまの場合、やはりもう一遍原点にお返りになって、そうして将来過ちを犯さないためにも、国会の承認はもう少し待つべきであろう、私はこういうふうに考える次第でございます。
 以上で終わります。
○竹内委員長 東中光雄君。
○東中委員 外務省情報文化局がことしの四月に出した「日韓大陸棚協定 早期締結の必要な理由」という麗々しい題で、その第二部には「日韓大陸棚協定に対する批判は根拠がない」ということで、公害問題について「漁業・海洋汚染問題に十分配慮しているか」いるという結論を出しているわけでありますが、これによりますと、八ページでありますが、「海底石油開発に伴う海洋汚染については、その防止のために世界各国とも厳重な規制を行っています。これまで掘さくによって海を汚染した例は日本には全くなく、世界でも極めて稀です。よく例としてあげられるサンタバーバラの事故は、噴出防止装置をつけていなかったため起った特異なケースです。共同開発区域ではこのような事故が起る可能性はありません。」こうまで断定をしておるわけであります。北海油田の大事故が起こっておるわけでありますが、ここに書かれているのは少なくともことしの四月段階で書かれているのでありますが、これは当たらないということになると思うのですが、その点はいかがですか。
○鳩山国務大臣 今回北海油田におきましてあのような大事故が発生いたしましたこと、これは私どもも当然予測をしておらなかったような事故が起こった、これは確かに御指摘のとおりでございます。したがいまして、海洋の油田開発というものはこれからもますます注意深く行われなければならないこと、これも確かだと思います。
 ただ、ここに書きました「可能性はありません。」という点につきまして御指摘をいただいておるわけでございますが、この表現が適当であったかどうかということは、これは問題が全くないとは言えないかもしれないのでございます。しかし、ここに申し上げましたことは、サンタバーバラの事故は、噴出防止装置をつけていなかったために起こったんだ、こういうことを指摘をいたしておるわけでございまして、そういう可能性はないんだということは、それ以下に書いてありますように、「万が一のケースを想定し、日韓双方の措置の内容が著しくかけ離れることにならないよう、汚染の防止及び除去のための詳細な取り決めを行っている」ということで、これは先ほど来申し上げておりますように、交換公文をいたしまして、噴出防止装置を必ずつける、その他の必要な事項を詳細に交換公文によりまして規定をいたしたわけで、したがいまして、この噴出防止装置をつけないというようなことはあり得ないと考えておるわけでございます。
 表現の適切かどうかという点は、北海事故の例もありますので、これはそういったことを想定しないで書いたということは事実でございますけれども、今後北海事故のような事故が再び起こらないように、なお一層の細心の注意をもちまして開発に当たってもらいたい、このように考えておるところでございます。
○東中委員 国民向けに早期締結の必要な理由として断定をしているのですね。そういう姿勢で臨んできたというところに問題があるということを言っているわけであります。
 さらに、いま言われた「それは、この協定では、万が一のケースを想定し、」云々、要するに「汚染の防止及び除去のための詳細な取り決めを行っているからです。」ということになっておるのですが、さきの質問にもありましたように、この交換公文を実際に果たしていくための日本の法制度上の関係法律というのは、一体どういう法律ですか。
○松村説明員 お答えいたします。
 日本の石油鉱山につきましては、鉱山保安法でもってその保安を規制しているわけでございますが、この鉱山保安法の中に石油鉱山保安規則という規則がございまして、これによって海域の石油の掘削について規制をいたしているわけでございます。
○東中委員 それだけですか。海洋汚染防止についての法律とか、これに関連する日本の交換公文を完全に実施していくために必要な日本の法制ですね。どういうものがあるのか。これだけですか。
○久世説明員 油田そのものにつきましては、いま通産省の方からお答えしたとおりでございますけれども、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律によりまして、海洋施設に関するいろいろな措置が規制されております。
○東中委員 先ほども言われましたが、韓国ではそういう整備はされていない。特に韓国の公害防止法、仮訳で見た程度でありますけれども、海洋汚染については一切触れていない。韓国で、当然なければいかぬような、先ほど来出ておりましたけれども、交換公文を完全に実施していく上で足らない、整備されていないという法律はどういうものがあるのですか。
○大森政府委員 韓国におきまして、公害防止あるいは汚染防止等の関連の国内法が幾つかあるわけでございますが、その中で特に申し上げれば、わが国の海洋汚染の防止に関する法律に該当するものは、韓国では現在まだ検討中で、それが制定されていない、こういう状況と承知いたしております。
○東中委員 非常にごまかしのような答弁をするのはやめて、ちゃんと言いなさいよ。先ほどここで論議がされて、そして鉱山保安法の規則もないということを言っているじゃないですか。日本ではその規則でやるのだと言っているじゃないですか。はっきりとしなさいよ。
○大森政府委員 韓国におきましては、先ほど申し上げましたように、国内法上汚染防止等のための法令といたしましては、一九七一年の公害防止法、一九六三年の鉱山保安法、一九五一年の鉱業法、一九七〇年の海底鉱物資源開発法、一九六一年の公有水面管理法、一九六七年の港湾法、一九五三年の水産業法等がございまして、その中に汚染防止等の規定が設けられているわけでございますけれども、わが国の海洋汚染防止に関する法律に該当するような法律は、いまのところまだ制定されていない、こういうことでございます。
○東中委員 要するに、交換公文はつくられておるけれども、この外務省の説明によると、「汚染の防止及び除去のための詳細な取り決めを行っているから」「共同開発区域ではこのような事故が起る可能性はありません。」結局、そういうことなんですね。断定をしているのですよ。しかも、その断定の根拠は、取り決めだと言っているのだ。しかし、その取り決めの実施について言えば、これはそういう保障は何にもないということになるわけです。これは全く早期締結を意図する、ためにする宣伝文書だと言わざるを得ないのですが、これについてはどう考えていますか。
○大森政府委員 先ほど来御説明申し上げております海洋汚染の防止及び除去に関する交換公文は、南部共同開発協定の第二十条の規定に従いまして両国がとるべき措置として合意されているところでございます。したがいまして、韓国側が仮にこの交換公文に定められている基準に基づく国内法令の整備を行わない場合には、この協定上、それは協定違反という事態になるわけでございまして、韓国側は、私どもの承知しているところでは、そういうことは考えておらず、国際法上の種々の慣例等を参考にして、現在、一般的な海洋汚染防止の法令を整備中ということでございますし、この協定が現実に動き出すという事態になりました場合に、十分間に合わせて、韓国側としてはこの措置をとるというふうに理解しているわけでございます。
○東中委員 将来のことをそう勝手に思っているだけのことであって、向こうでは現実につくっていない。ところが、ここでは明白に「可能性はありません。」ということを言っている。これは全く矛盾した主張だ。特に協定の十九条で「一方の締約国の法令は、当該一方の締約国が認可した開発権者が操業管理者として指定され及び行動する小区域において、天然資源の探査又は採掘に関連する事項について適用される。」結局、韓国側が探査、採掘するその小区域は韓国法だけの適用でやるわけですから、しかもこの小区域でもし事故が起これば、その被害は、海の性質からいって当然ですけれども、しかも潮の流れとか、この地域が重要な漁場であるという点から考えてみても、これは日本に対して、黒潮に乗れば日本の太平洋岸が大変な事態になる、そういう性質を持っているものであります。だからこそそういう事故が起こる可能性はないということまで断定しなければできないような性質のものなんだ。外務省はそのことを認識しておるからこういうふうに書いたんだ。しかし、実態はそうはなっていない、こういう状態になっているんですね。
○大森政府委員 先ほど来御説明申し上げているところでございますが、この交換公文に定めている海洋汚染の防止及び除去に関する基準というものに基づいて、韓国側も国内法上の措置をとるということを協定二十条によって義務づけているところでございまして、この協定が現実に運用されていくという段階におきましては、韓国側においてもこの基準に合致した国内法令を持っているということをここに規定しているわけでございまして、もし仮に韓国がその義務を怠るというようなことがございまして、このような必要な国内法上の措置をとらないという事態がございました場合には、わが方といたしましては、この協定五条に規定されている事業契約というものを承認しないという方針で臨む所存でございます。
○東中委員 しかも韓国側の開発権者は、この整備されていない法律――整備されたとしても、その法律を守ってやる開発権者が、たとえばコリアン・アメリカン・オイル・カンパニーのように資本金はたったの一万ドル、いわば子会社のようなものがその責任者になってくる。こういう事態でもし事故が起こったら、それこそどうも収拾のしようのない状態だけではなくて、さらに賠償さえもできないような状態になってくる、こういう性格を持っているわけであります。だから、この整備は韓国側でするはずだ、しなかったら廃棄するんだ、あるいは守らなかったらその事業計画を承認しないのだ、これから批准するかどうかということを言っているこの条約の審議で、批准した後に承認しないとか、あるいは破棄するとかいうふうなことを言わなければいかぬような状態にいまあるということなんですよ。それで文書では可能性はない、蓋然性じゃなくて可能性はないということを断定するというのは、もうそれこそ本来絶対にあってはいけないことなんですよ。そういう形でこれは出されておるのですから、その内容をはっきりと――公害の面から見ただけでもこの協定はまさに欠陥協定だと言えると思うのですが、外務大臣からはっきりとその点についての見解をお聞きしたい。
○鳩山国務大臣 先ほど十九条の規定にお触れになりましたけれども、要するにこの協定に別段の定めがある場合のことでございますから、この協定によりまして可能な限りの規制措置をとっておるわけでございます。したがいまして、いま公害関係で大変御心配だというお話でございますけれども、わが国が国内であれば当然受けるであろうそういう規制は、交換公文に盛ってあるわけでございます。公害の規制というものは開発権者みずから行うべきことであります。したがいまして、いまの御質問の趣旨につきまして、これは協定上可能な限りの必要な措置をとってある。そして韓国政府といたしましても必要な国内的な措置をとるということを約束しているわけでありますから、国と国との約束でありますから、どうか御信頼をいただきたいわけでございます。そういうわけでいま御指摘のことは、とにかく北海の事故があったわけで、それにつきまして私どもも全く予想もしてないような事故が起こったということは、まことに御指摘のとおりでありますから、こういう事故が起こりましたときにおきまして、なお一層細心の注意をもちまして採掘権者に対しましてはあとう限りの厳しい条件のもとに開発に当たらせる、こういうことで政府としても努力をいたしたいわけでございます。きょう御指摘をいただきました事項につきましては、政府としても十分心得ながらこれから万全の措置をとってまいりたい、こういうことを申し述べているところでございます。
○東中委員 時間が来ましたので終わりますが、外務大臣の言われていることは、欠陥だけれどもまずやっておいて、後から万全の措置をとるというのであって、これは調印してから三年もたっているということは何回も言われているわけでしょう。三年もたっておってまだこういう状態のままで置かれておる。それなのになぜ急ぐのだ。急ぐ理由はこうだと書いてある。これはことしの四月に出されているいわば外務省の公的な文書です。その理由はなくなった、あるいは理由は事実に反するということが明らかになった以上は、公害の面から見たって当然考え直さなければいかぬことではないか。このことを強く申し上げて、この問題をはっきりさせるという点で、パンフの問題、これを訂正しなければいかぬという問題もあるでしょう、その点での質問は留保して、時間が来ましたので私の質問を終わります。
○鳩山国務大臣 ただいま今後万全の措置をとりたいと申し上げましたのは、決してこの協定が欠陥であるということを自認したわけではありませんで、万全の措置をこの協定に盛ってあります、現在考え得るところの公害防止上の措置はこの交換公文に盛ってございますということを申し上げておるわけでございまして、なお協定は協定、事故防止というものは本当の事実上の問題でございますから、これにつきましては細心の注意と今後の努力をいたしたい、こういうことを申し述べておるのでございますので、御理解を賜りたい。
○竹内委員長 加地和君。
○加地委員 今回の大陸棚協定については、大前提として大陸だなについての自然延長論というものが有力になってきておる、いまのうちにこの条約を批准しないと日本はえらい損をするというようなかねや太鼓をたたいたような宣伝のもとにこの審議が進められておると思うのでございますけれども、私はこの自然延長論そのものが大勢を占めておるという説明に大きな疑問を持つのでございます。
 まず第一に、外務省の情報文化局が出しておられる「第三次海洋法会議」というパンフレットがございます。この五十一ページには、「非公式単一交渉草案改訂版の概要」というものが載っておりまして、「大陸棚の定義」といたしまして自然延長論も一つは書いてあるのでございますけれども、日本のように沿岸のすぐそばに海溝などのあるような国にとりましては最低二百海里までの経済水域を認めていっておるというのが世界の大勢ではないかと思うのでございますけれども、外務省の御見解を賜りたいのでございます。
○井口説明員 お答え申し上げます。
 この海洋法会議の草案は結局意見の集約として出てきておるわけでございまして、いま申された春会期の海洋法会議の単一草案の解説でございますけれども、これは結局委員長が各種の意見を要約しまして、自然延長という考え方が経済水域二百海里の外になお主張されているということで、経済水域とは別に「大陸棚」という章を設けてありまして、その章で二百海里以遠の大陸だなの自然延長の外縁までが沿岸国の主権的権利に属するということを書いてあるわけでございます。その後、実はその春会期の終わりに、第二委員長が大勢として自然延長が有力であるということを言って、夏会期にはむしろ自然延長の外縁を客観的、技術的に決める基準をつくりたいということで書いてあるわけでございます。これも外務委員会には前にお渡ししてあるはずでございます。そして夏会期が開かれまして、その結果第二委員長が、もはや広い大陸だなすなわち二百海里以遠の大陸だなの主張、これが海洋法会議成立のためのパッケージディールであるということで、二百海里以遠の自然延長は認められなければならない、ただ、後進国のために二百海里以遠の自然延長の収益を分与するという提案をいたしまして、実は夏会期はもっぱら収益分与の点に議論が集中したわけでございます。これも第二委員長の報告に出ているわけでございます。
 なお、経済水域と大陸だなとの関係におきましては、これは一昨年でございますが、単一草案が……(加地委員「時間の関係がありますから簡潔にお願いします」と呼ぶ)一昨年単一草案ができますときに、経済水域と大陸だなとの関係につきましては、四十五条において経済水域内の沿岸国の権利は本条約の大陸だなの規定を害するものではないという趣旨の規定が挿入されておりまして、これは大陸だなの自然延長派の主張によって入ったものでございます。
 そして、今度は、昨年のニューヨークの第五会期の終わりに、改訂単一草案におきまして「海底及び地下に関する経済水域内の権利は本条約の大陸棚の規定に従って行使される。」という表現に改められまして、経済水域の海底が大陸だなの権利、義務の規定の適用を受けるという趣旨が書いてあるわけでございます。したがって、この経済水域というものが大陸だなの主張を包摂するというのではなくして、むしろ大陸だなは別個に存在するということで、経済水域の海底も大陸だなの権利、義務が適用されるという趣旨の規定が現在の改訂単一草案でございます。
○加地委員 委員長、時間が制約されておりますので、簡潔に、的を得ない答弁というものは適宜整理していただきたいと思うんでございます。
○竹内委員長 政府委員に委員長から特に注意を申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
○加地委員 そうしますと、ただいま私が手に持っておりますところの「第三次海洋法会議」というパンフレットの五十一ページに書いてあることは間違っておるといいますか、もう古いということを意味されるのでございましょうか。
 続いてお尋ねいたします。
 最近、アメリカの海洋問題専門家であり、海洋法会議の出席者でもありますところのボルゲーゼ夫人という人の話によりますと「韓国の自然延長論の主張はもう古くなっている。二百海里経済水域の設置は世界的な趨勢であって、中間線を越えて大陸だなの延長を主張することなどは無意味である。大陸だなの自然延長論というのはあるが、それは他国の二百海里経済水域がそこに存在しない場合のことである。しかし、それに対しても反対論は強く、もしあえて主権的権利を主張して開発する場合は、国際管理にしないまでも、海洋国際機関に十分な賦課金を支払うべきだという主張が第三世界に多い。少なくとも、来年は二百海里経済水域を決定する国が大多数となろう。」このような談話を発表しておりますけれども、外務省はこの談話についてはどのようにお考えになりますか。簡単に……。
○井口説明員 ボルゲーゼ女史が一つの学説を持っておられることは事実でありますが、大勢は、二百海里以遠の自然の延長については収入を後進国に分与するということが大勢でありまして、ただ、分与するのが地域的な開発協力の機関か、あるいは今後創設される国際深海海底の機関であるかというようなことについてまだ意見が分かれておりますし、どの程度のパーセンテージを後進国に分けるかという点でも意見が対立しているわけでございますが、二百海里以遠については国際機関を通して後進国に分けるという方向は大体固まってきております。
○加地委員 そうしますと、いわゆる自然延長論というものがかなり修正されつつある、それはオールマイティーのものではないんだというように私は理解をするのでございます。
 そこで、国際司法裁判所の方で、イギリスとノルウェー、デンマーク等の大陸だなについての境界争いについて、中間線をもって境界とするという判決が下っておるというのは有名なことでございますけれども、わが国も韓国との交渉の最初においては、国際司法裁判所にこの問題をゆだねるというような方向であったというように聞いておりますけれども、どういうわけか、途中でこの国際司法裁判所に提訴するという話は消えてしまったわけでございますけれども、どういうわけで消えてしまったんでございましょうか。あるいは、国際司法裁判所での中間線ではいかないのか。こういうことについてお尋ねしたい。
○中江政府委員 二つの点がございます。一つはなぜ国際司法裁判所に提訴することが途中で消えたかということで、これは、日本側は、おっしゃいますように国際司法裁判所で法律的に決着をつけようということを提案したわけでございますけれども、御承知のように、韓国は国際司法裁判所規程の当事国ではありません。そしてまた、韓国は国際司法裁判所の義務的管轄権というものを受諾しておりませんので、したがって、日本と韓国で提訴するためには、そのための特別合意書というものを改めてつくらないと、当然には国際司法裁判所の管轄の中に入らない。そのためには巨額な経費と相当の年月がかかりますので、そういう道を選ぶべきか、それとも資源を有効利用すべきかという判断が政治的に下されたのが一九七三年のことであったわけでございます。
 もう一つ、中間線の問題でございますけれども、これは中間線か自然延長かという形のもとにありますのは、日本と韓国の間に横たわっておる大陸だなが一つの大陸だなであるか、それとも海溝のところで終わっていて、日本側からは主張すべき大陸だながないかという点を争ったわけでございます。したがいまして、当然、中間線という理論もあり得るということを言うためには、日本と韓国の間にあります大陸だなが一つの大陸だなであるという前提に立ちませんとその主張ができない、その点をこそ日韓間で法律的に争ったと、こういうことでございます。
○加地委員 いろいろ国際法というのにどれだけ強制力があるかという問題もあると思うのです。日本国内のように裁判所があり、執行官なり警察官が強制力を発揮するものでもないと思うのです。
 いみじくも、やはり外務省の情報文化局が出しておられる「日韓大陸棚協定」というパンフレットがございますが、この中の十二ページに「いずれにせよ日韓間の大陸棚のような個々の具体的な海底地域に関する両制度の調整については結局関係国間の協議にゆだねられざるを得ないでしょう。」と書いてあります。だから、国際司法裁判所がどうのこうのということは一つの参考としても、わが国の国会なりあるいは外務省がノーと言えばノーで通るのがいわゆる今回の日本と韓国との境界争い、境界を決め得るという問題ではないのでしょうか。私も大学で国際法を専攻しております。
○中江政府委員 まさしくそこが紛争の出発点でございまして、韓国は韓国のよって立つ国際法上の論拠によればこの部分は自分が開発できる、こう言ってまさに開発をしようとしたわけでございまして、それは相ならぬと言って、日本はその部分は日本が主張する地域だということで反論をして、そこから紛争が生じて、その紛争の解決の過程において、国際司法裁判所に提訴するという道でなくて、実際的解決をしようということに踏み切ったのがこの協定であるわけでございまして、一方的にやれないということをきめつけるほど国際法が熟していないというところにこの問題の難点がある、こういうことでございます。
○加地委員 それからまた、このパンフレットに奇怪なことが書いてあるのです。同じく十二ページですね。「この協定の対象である海底の資源開発について、協定の内容以上に我が国にとって有利な協定が合意をみることはあり得ないということです。」と書いてあります。ところが、協定なり契約というのは、自分にとって有利なものは相手方にとっては不利なはずなんです。ギブ・アンド・テークでもあるはずなんですね。ところが相手国の韓国は、早々と四十九年の十二月にはこれを批准しておるということから見ても、韓国にとって一方的に有利である、わが国にとっては不利である、わが国の国益を害しておる協定であるからではないでしょうか。この点について、また先ほどの、大陸だなの境界とかいうことについては関係当事国が協議しなければ決まらないという問題、二つ合わせて、外務大臣のお考えをお聞きしたいのです。
○鳩山国務大臣 この協定は韓国国会でも大分議論されたところと聞いておるわけでございまして、韓国側においても、日本に譲り過ぎたのではないかという観点から韓国国会では大変な議論があり、相当な無理をして踏み切ったというのが実情でございます。いわゆる管轄権の問題というようなことになりますと、両国ともに譲り過ぎたのではないかという批判が出るものでございます。したがいまして、これはそのような、韓国側が大変有利な協定だから、そういうわけで韓国がこれを急いで批准をした、そういう実情ではないというふうに私どもは理解をいたしております。
 一緒にというもう一つの問題、これは中江局長から……。
○中江政府委員 どうしても話し合って決めなければならないだろうと言っております根拠は、二百海里の経済水域と大陸だな理論とが海洋法会議では調整がつけられないままに並行して審議されて、並行して草案ができている。その間の調整は海洋法会議でできないのであればだれがするかというと、当事国でする以外にないということを言っておるわけであります。
○加地委員 私は中国との関係から言っても中間線をとるべきであると思うし、あるいは世界の大勢から言っても中間線論をとるべきであると思います。それこそがわが国の国益にかなうものでもある。またあるいは韓国あたりでは、今度の条約が批准されなければ力ずくでも開発するようなことを言っておりますけれども、そもそも条約というのは両国で批准されなければ有効でないということがはっきりしておるわけでございますから、国会の慎重な審議の結果結論が出ないということについては、何もこれは国際信義にもとるものでもない。私は、韓国が力ずくでもやってくるという場合には、わが国は国交断絶ということもあり得るというぐらいの厳しい気持ちで韓国と当たっていただきたい、かように思う次第でございます。
 以上で終わります。
○竹内委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後一時二分散会
     ――――◇―――――