第080回国会 商工委員会 第10号
昭和五十二年四月八日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 野呂 恭一君
   理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君
   理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君
   理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君
   理事 松本 忠助君 理事 玉置 一徳君
      青木 正久君    鹿野 道彦君
      粕谷  茂君    藏内 修治君
      島村 宜伸君    辻  英雄君
      中西 啓介君    檜橋  進君
      西銘 順治君    萩原 幸雄君
      林  義郎君    前田治一郎君
      渡辺 秀央君    板川 正吾君
      加藤 清二君    川俣健二郎君
      後藤  茂君    清水  勇君
      長田 武士君    玉城 栄一君
      西中  清君    宮田 早苗君
      安田 純治君    大成 正雄君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 龍夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     澤田  悌君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 吉野 秀雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    喜多村治雄君
        通商産業政務次
        官       松永  光君
        通商産業大臣官
        房審議官    栗原 昭平君
        通商産業省産業
        政策局長    濃野  滋君
        通商産業省機械
        情報産業局長  熊谷 善二君
        通商産業省生活
        産業局長    藤原 一郎君
        資源エネルギー
        庁長官     橋本 利一君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       武田  康君
        中小企業庁長官 岸田 文武君
        中小企業庁計画
        部長      児玉 清隆君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局核燃料
        規制課長    石塚  貢君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   水野  勝君
        文化庁文化財保
        護部管理課長  内田  新君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      福原 元一君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 増田 雅一君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月八日
 辞任         補欠選任
  岡田 哲児君     川俣健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  川俣健二郎君     岡田 哲児君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○野呂委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西啓介君。
○中西(啓)委員 私は、商工委員会では初めて質問をさせていただくわけであります。まだ四カ月代議士でございますので、ひとついたわりの気持ちで御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 まず、中小企業対策の立場から、労災補償の問題から入っていきたいと思いますが、これは労災補償の問題だから労働省じゃないかという見方もあるわけですが、中小企業の振興という立場から、通産当局からもお考えをぜひ承りたいというふうに考えるわけです。
 私の選挙区は和歌山市であるわけですが、和歌山市の東部には西日本最大規模と言われる中小化学工場群が集結しているわけです。これらの中小化学工場は、大きいところで従業員が百五十人、小さいところは本当に数人と言われるような零細工場もたくさんあるわけです。それぞれの専門分野でいろいろな化学染料や顔料というような中間物を製造して、国内はもちろん全世界に輸出しておるわけです。ところが、これらの工場の悩みは政府の労災補償の額が非常に少ないというところにあるわけです。あってはならないことですけれども、工場事故あるいは化学災害などで死亡者も出しておりますが、この場合、政府の労災補償は一人当たり大体四百万円から四百五十万円程度になっておるわけで、こんな額では残された遺族の生計は成り立たないのは当然であります。そのために、工場側としては、本来の政府の肩がわりをして別途大体千五百万円から千七百万円程度のお金を出しておるのですが、小さい工場だったら千五百万ものお金は大金で、運転資金にも事欠いておる状態ですからこれは大問題だと思うのです。
 政府の労災補償は、命を失ったことに対する補償としてはかなり低額であるが、上限四百五十万円の根拠なるものをひとつお聞きしたい。
○田中国務大臣 先生の御質問で、大変御謙遜をして四ヵ月議員とおっしゃいましたが、私も四カ月大臣でございまして、ただいまの御質問の労災補償の問題につきましては、政府部内おのおのにつかさつかさがございますので労働省をして答弁をさせますが、労働省が参りますまでの間、私の方の政府委員からお答えいたします。
○濃野政府委員 お答えを申し上げます。
 政府委員からといういまの大臣のお話でございますが、労災補償制度の内容等につきましては、私も大変不勉強でございまして存じませんが、ただ、基本的な考え方といたしまして、私どもがいままでいろいろなところで伺っているところによりますと、労働省等もこういう補償制度の充実ということは方向として真剣に考えておることだと思います。ただ、いろいろな制度のバランスとか、そういうものの中で一歩一歩前進をしていく制度ではないかと思います。
 ただいまの先生の御質問等につきましては、私ども通産当局としましても、通産行政として、ある意味からいきますれば中小企業対策というようなことでわれわれとしても非常に考えていかなければならない問題だと思いますので、御質問の趣旨等を労働省の担当当局側ともよく連絡するように努めたいと思います。
○中西(啓)委員 まだ労働省の方が到着していないということでございますので、それではこれを一時後回しにしまして、大規模小売店舗法についてお伺いしてみたいと思います。
 御承知のとおり、千五百平方メートル以下の売り場面積であればこの法律には触れないというふうなことで、私の地元でも、千四百六十平方メートルだとか千四百四十平方メートルの売り場面積を持っている大規模店舗に小売店等は非常に頭を悩ましているわけです。ある商店街ではもうすでに十四、五軒の小売店が店じまいをしてしまったというふうな現実もございます。
 熊本県では大規模小売店をチェックするために条例をつくって罰則等を設けていると聞きますけれども、これは事実でございますか。
○濃野政府委員 いわゆる大店法におきまして、現在、千五百平方メートルというものを基準といたしまして法律の規制の対象にしておる点は先生御指摘のとおりでございますが、これで大店法施行後約三年になりますけれども、最近の傾向といたしまして、従来大都市の問題であった中小小売商業と大規模店舗との調整問題が次第に中小都市の問題に移っており、そこで、経済もこういう状況でございますし、この両者の間の利害の対立と申しますか、調整が非常に大きな問題になってきております。
 ただ、大規模店舗法というものが、これまた戦前の百貨店法を受けましてずっと長い歴史のもとでできておるものでございまして、そういう角度から考えましたときには、一つの目安としての基準をつくらなければならないという制度上の問題も一方にございます。その小さな問題が現に起こっており、これはいわゆる小売商業調整法と国会の御決議の趣旨に沿いまして、個々の紛争につきましては法律の対象になるものでなくても実際の問題では全部紛争に入るということで、私どもは現実には処理に大変努力をいたしまして、たとえば昨年一年の実績によりましても、基準面積以下の店舗の紛争が四、五十件ございましたが、その半分以上を昨年解決しておるという状況でございます。
 ただ、御指摘のように、地方自治体の中で熊本県その他若干の県におきまして、あるいは条例をつくるとか、あるいは条例までいきませんでも、県の処理方針としての要綱を決めるというケースが幾つかあるのは事実でございます。
○中西(啓)委員 とすれば、これは営業の自由という観点から問題があると思いますけれども、そこら辺はどういうふうな受けとめ方をされておりますか。
○濃野政府委員 確かに、憲法で保障されております営業の自由と、営業に対する法律ないしはただいま先生御指摘の条例による規制というものとの関係は法律上としてはなかなかいろいろな問題があると思います。
 たとえば、非常に小さなところで、その地方の住民あるいは地方の経済の円満な調整を図るというのにはそれぞれ実態に応じた一つの限度があると思いますし、これは具体的なその実情に応じた判断をすべきもので、それをやること自身が直ちに営業の自由の違反あるいは侵犯ではない、こういうふうに私どもは考えております。
○中西(啓)委員 では、うわさにあるような憲法違反ではないという御見解だと思います。
 まず、私の地元では、オークワというスーパーマーケットがございまして、そのオークワが市小路というところに進出しておるわけでございますが、オークワ市小路反対阻止協議会というふうなところが協定を結びまして、お互いに共存共栄を目指しているわけです。現実にこういうふうな不正常な形で解決しているわけですが、法治国家の望ましい姿ではないと思うわけです。
 そういうことで、今後通産省はどういう統一見解を持った措置でこの問題を処理していくのか、行政指導としてやっていくのか、そこら辺の概要をお知らせ願いたいと思います。
○濃野政府委員 ただいま私が御答弁申し上げましたように、営業の自由というのは、地元の事情とか、その規模とか、具体的な問題によりまして地方的な要素の非常に強いものでございますから、直ちにこれは違法であるとか違法でないとか判断できない問題であると同時に、ただ、適当であるか適当でないかという問題もいろいろあると思います。
 私どもといたしましては、いずれにいたしましても、最初に申し上げましたように、起こってまいりました大きな店舗と中小の小売業者の方との紛争あるいはいろいろな意見の対立というものは、法律に基づくものあるいは法律以下のものによりましても、それをどうしても調整する必要があるというときには地方通産局あるいは従来からございますような商工会議所、商工会の商調協の場というものを実際に活用いたしまして円満に解決するという方向で今後ともやっていきたい、こういうふうに考えております。
○中西(啓)委員 円満に解決していくという大体の趣旨はよくわかるのですが、具体的に消費者の保護の立場も加味しながら、いわゆる大型店、小売店の両立を考えていくという具体的なめどみたいなものはつきつつあるのですか。
○濃野政府委員 先生の御指摘のように、ただいまの大規模店舗法というもの自身が、四十年、特に四十六、七年ぐらいから非常に進出してきたと申しますか、規模が大きくなってまいりましたところのいわゆるスーパーというものと――これは新しい流通近代化の一つの担い手とも言われておりますが、これと消費者の利益の確保、それと小さな中小商業者の利益との調整と、この三つを目的にしておるわけでございまして、この具体的な調整を図るということが小売商業の調整問題の一番ポイントであると思います。
 したがって、先生の御指摘のように、地元の中小業者との調整の問題とあわせまして、やはり、消費者の保護あるいは消費者の利益の増進ということも当然のことでございますが、私ども、そういう問題の処理に当たって大きなポイントにして考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○中西(啓)委員 ひとつ、全力を挙げてがんばってほしいと思います。
 いま労働省がお見えになったということでございますので、引き続き労災補償の問題についてお伺いをしたいと思います。
 わが国の経済は非常に大きく伸びて、アメリカや西ドイツと同じような経済大国となったというふうな指摘を受けているわけですが、労災補償の上限がこれらのアメリカや西ドイツとは全然違うのです。非常に差があり過ぎる。どうしてこういうふうな差が生じたのか、その原因をお聞きしたいと思うのです。
○増田説明員 労災保険につきましては、昭和三十五年以来改善に努めておりまして、現在、災害補償に関しますところの、いわば国際的水準とも言うべきILOの百二十一号条約がございますが、この条約をすでに批准いたしましておりますし、さらにその条約の水準を上回りますILOの百二十一号勧告、この水準をも満たしておるというふうに私どもは承知しておるわけであります。
 したがいまして、現在のわが国の労災補償の水準は、アメリカとか西ドイツとか欧米先進諸国の水準にもすでに達しているというふうに考えているところでございます。
○中西(啓)委員 欧米の水準にも達しているというお話ですが、では、いま労災補償は一人当たり大体四百万円から四百五十万円程度なんでしょう。
○増田説明員 先生のおっしゃいます四百万円から四百五十万円という額がちょっとわかりかねるのでございますが、もし、労働者が業務上死亡した場合の額ということでございましたならば……(中西(啓)委員「そうです」と呼ぶ)これはそういう上限はございません。
 遺族補償の仕組みは、労働者が亡くなりましたときに労働者が扶養していた家族がいる場合には、その家族の人数に応じまして年金を差し上げております。その年金は被扶養者の数によって率が違うわけでございますけれども、一応平均的な被扶養者の数でございます妻と子供二人という遺族が残された場合には、労働者の賃金の百分の五十六に相当する額の年金が支給されるわけでございます。さらに、妻の平均余命年数を考えて計算いたしまして、労災の場合には他の社会保険には見られない賃金比例のスライド制がございまして、賃金が上がりますと労災の年金の額も上がることになっておりますが、それを加味して計算いたしますと一億円以上の額が年金として遺族の手に渡ることになります。
 さらに、労働者が死亡した場合には、これは給付ではございませんが 特別支給金といたしまして、労働福祉事業の一環として百万円を一時金として差し上げることにもなっております。
 先生のおっしゃる場合で、労働者にそういう死亡当時被扶養者がいない場合には賃金の千日分の額を差し上げることになっております。その場合には、あるいは四百万円ないし四百五十万円という額が出てくるかと思いますが、私どもとしては、補償は率で決めておりまして、その根拠になります賃金の額のいかんによって額が変わってくることもございますので、労働者の賃金の多寡が労災補償に響いてくるかと思います。
 なお、この一時金を差し上げる場合、被扶養者がいない場合でも特別支給金の百万円は差し上げておりますので御了解いただきたいと思います。
○中西(啓)委員 重ねて労働省にお伺いをしていきたいと思いますが、ボーナスの性格をどのように把握しておられるか。わが国の経済界や労働界の特殊性を加味した上でのその見解をお伺いしたいと思うのです。
○増田説明員 実は、私は担当でございませんので正確なことは申し上げられないかもしれませんが、私どもはボーナスを賃金の一部と考えております。
 労災の面で関連して申し上げますと、従来、ボーナスは労災補償の根拠になります賃金の中に入っておりませんでした。ところが、これでは問題があり、先生の御指摘のように労災の額が非常に低くなるおそれもございますので、ちょうどこの四月一日からボーナス特別支給金という制度を設けまして、ボーナスの一定額について、その一定率を先ほどから申しております労働福祉事業の一環としての特別支給金として差し上げることにいたしております。
○中西(啓)委員 いわゆる給料の一部で、すなわち生活給的な性格を帯びているということだと思うのですが、その上に立って、通産大臣にもお伺いをしたいと思うのです。
 政府は、今度、ボーナスからの特別保険料の徴収、あるいは初診時や入院時の一部負担金の大幅引き上げなどを予定しているわけですが、これでは給与者の実質的な生活ダウンにつながりかねない。あるいは、また、中小企業経営者からもこれはずっと取っていくわけですから、この人たちの経営もますます苦しくなる。さらに、一連の公共料金の値上げに加えて、こうしたやり方は価値の上昇を招くことにならないでしょうか。いわゆる生活が圧迫されていく。大幅な減税もやってくれるわけですが、その効果といわゆるちゃらになってしまうのではないかと思うのです。
 この措置は非常に厳し過ぎるようにわれわれは感ずるのですが、その点、政府の要人としてのお考えをお伺いしてみたいと思うのです。
○田中国務大臣 ただいまの御質問の内容につきましては、一方においては消費者減税、他方においては物価の高騰という問題は、突き詰めてまいりますれば、賃金のアップがありましても実質賃金がどうなるかということにも帰着する問題だと存じますが、これらの問題が政府の物価政策として一番むずかしいところでございまして、ただいま春闘に入っておりますけれども、実質賃金の問題では、最近におきましては労働組合等においても非常にまじめな検討がなされており、特にまた物価問題に対する影響を非常に精密に計算しながら正しい方向に参っておるように思うのでございます。
 なお、その点につきましては政府委員からさらに詳細にお答えをいたします。
○濃野政府委員 先生の御質問の社会保障における負担の問題は、私もまことに専門外でございまして、政府としての非常に技術的な具体的な内容についてはここで御答弁できませんが、私が考えますところでは、ただいまの御指摘の問題は、それぞれの担当の省におきましての専門家間での長くかつ真剣な議論の上の結果であろうと思います。
 もちろん、社会保障制度にはいろいろな制度があると思いますが、その中でどういう負担にするかということは、なるべくその負担の軽減を図っていくということが一つの望ましい方向ではないかと私は思いますが、同時に、保険制度の運用ということから来る収入の確保という面もあると思います。そういう意味では、あらゆる角度からの検討がなされた結果ではないかと私は考えておる次第でございます。
○中西(啓)委員 それでは、通産大臣にお伺いをしてみたいと思います。
 英国やイタリアみたいに国内に供給能力のない国では、それ以上に消費していった場合には経済をぎゅっと引き締めなければならないということは素人目でもわかるわけです。しかし、わが国の場合は、遊休設備もいま二〇%ぐらいがまだ遊んでいるわけです。
 いま、国の方針としては財政の均衡を非常に優先して考えているように思えるわけですけれども、たとえば国のもとと言われる鉄鋼が、本来ならば大体一億四千万トンの生産能力があるにもかかわらず、いま三千万トン分がまだ眠っている状態です。ですから、国の経済の運営の仕方が少々間違っているのではなかろうか、むしろ国の経済の均衡を優先して考えていくべきではなかろうか、と、そんなふうに私は感ずるわけですが、その辺、通産大臣の御見解をお伺いしてみたいと思います。
○田中国務大臣 大変むずかしい御質問でございまして、同時に、また、私の所掌事務より経済企画庁の所掌事務の方がむしろその問題では的を得ておると思うのですが、問題は、ただいまお話がございましたように稼働率ということがございまして、今日の景気浮揚政策に当たりましても、何分にも稼働率が低いということから、生産が統計上がりましても設備投資にすぐに行くという形になってまいらないところが景気政策の当面している最もむずかしいところだろうと思うのでございます。われわれといたしましては、これは景気政策の当面した最もむずかしいことだろうと思うのでございます。
 われわれといたしましては景気回復ということに全力を挙げておりまするが、いまお話が出ましたように、何分にも自国内に資源がないという非常なハンディキャップがございます。アメリカとかあるいは方々の各国と違いまして、食糧から材料から原料から燃料等全部、九九%というものを海外に依存しておるという形でございますので、フランスあるいはドイツ、イギリス等々の国々の置かれております環境並びにそれに対しまする経済施策というものとはおのずから異なるものがなければならぬ、かように思います。
 一億一千万という膨大な人口を持っています日本経済の回復というものが、海外依存度が非常に高い、同時に、またそれに対しましての外貨の獲得、蓄積というものがなければ食糧も燃料も原料も買うことができないという厳しい環境下におきまして、国内経済の景気刺激政策あるいは浮揚政策、さらにまた社会福祉等々の政策というものをどうかみ合わせていくかということが最もむずかしい問題ではないかと私は思います。
 国民経済計算の中におきましても、経済企画庁等がいろいろと分析をし、最も悩んでもおるところでございます。今朝も月例の報告がございまして、おかげさまでこの春になりましてから特に景気の関係が上昇過程に入ってまいったことは御同慶にたえないことでございます。
 なお、さらに詳細なことは担当の政府委員がおりますればお答えいたします。
○濃野政府委員 先生の御指摘のように、確かに、現在、日本の経済稼働率指数は八七前後でございまして、実際の稼働率はそれの一割引きというところと私どもは見ておりますので、約二割の設備としての遊休があるわけで、国民経済という面から見ましても、こういう遊休な能力を抱えておることはまことに不経済なことでありまして、これを動かすには、一昔で申しまして需要がなければならぬわけであります。
 ところが、従来需要を引っ張る中心でございました輸出は大変好調でございますが、民間の設備投資が大変停滞しておりますし、先行きも政府見通しは来年度はやはり八・六でございましたか、そういうような見通しを持っておりますが、私ども、産業所管の製造部門につきまして現在調査中でございますが、現在のところはなかなかみな渋い態度をとっておるわけでございます。
 そこで、先生の御指摘は、それならば需要を引っ張る要因としてもう少しうんと政府が金を出して、政府部門で需要をつくってこの遊休設備をなくしていき、そして経済の回転、経済の運営を正常化へ持っていけという御主張だと思いますが、ただ、もう一つの問題は、財政が現在のような状況でございまして、非常に多額の国債発行に頼ったことになっておりまして、結局そのバランスをどこでとるかという問題ではないかと思います。
 しかし、五十二年度の経済の運営につきましては、公共事業費の二一%強の増額ということで、この点につきまして、政府全体としては、いまの財政事情の中では非常に思い切った、いわば需要促進効果をねらった財政の組み方をしておるわけで、私ども通産省といたしましては、いまの大臣の御答弁のように、今後の経済運営ではなるべく民間の設備投資が促進されるような経済環境をつくり、あるいは経済の先行きに対する企業家の確信を高めるような経済運営をやっていくことが今後の方向ではないか、こういうふうに考えております。
○中西(啓)委員 それでは、時間が参りましたので最後にお願いだけして私の質問を終えたいと思います。
 通産大臣は福田内閣の大黒柱的な経済閣僚でございますが、とにかく赤字国債を出せば借金が残るというような見解を政府もとっておられるようですが、私は、どう考えても赤字国債というのは将来子供や孫や子孫に国債の元本と利子が残ることになって、借金どころかむしろ金融資産が残るんじゃないかという考え方をしておるわけです。いまから十年ほど前に、三千億円の減税を公共投資とともにあわせてやった経緯があるわけですが、このときも、それは若干経済のファクターは違っておりますが、間もなく景気は回復しているわけですね。当時の三千億円というのは恐らくいまの一兆円から一兆五千億円に値するくらいの貨幣価値だと思うわけですが、その考え方が根本から違うように思うわけです。そういう意味で、大蔵省は減税しても貯蓄に回ってしまうとかいうことをよく言われておるようですが、その実質的証拠も何らいままで示されたことがありませんし、そこらもひとつ誤りなきを期していただきたい。
 こういうふうなお願いを申し上げまして、もう時間が一分ほどオーバーいたしましたので、これにて私の質問を終わります。ありがとうございました。
○野呂委員長 後藤茂君。
○後藤委員 私も先ほど質問されました中西先生と同じように一年生議員でございまして、きょうは商工委員会で初めて質問をさせていただくわけでございます。
 金属鉱業政策等につきましてはこれまで十分に論議も尽くされていると思いますけれども、その審議の過程を承知いたしておりませんので、質問の中でいろいろと的外れな面が出てくるかもわかりませんし、あるいはまたもう十分に論議済みのことにも触れるかもわかりませんけれども、よくわかっている問題等については答弁は簡潔にしていただいて結構でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、まず最初に大臣にお伺いをいたしたいわけでございますけれども、福田総理は、施政方針演説の中で、「人類は、まさに資源有限時代の到来を意識せざるを得なくなった」と強調されておりますが、総理の言う「資源」という言葉は、中身をたどっていってみますと、資源エネルギーのエネルギーの面だけをどうも強調しているように思えてならないわけでありまして、そこに私はいささか抵抗を感ずるわけでございます。大臣の所信表明も改めて読ましていただきましたが、その大臣の所信表明の中でもさらに輪をかけて資源エネルギーを言い、特に、石油、天然ガスの安定供給の確保等、エネルギー問題の解決に努力することを主張されております。これは大変大切なことでございますけれども、いわゆる資源小国とかあるいは資源有限とかいう資源はエネルギー資源だけではないのではないかと私は思うのです。金属鉱山等の地下資源の確保ということについては一言も触れていない。触れていないから、これからの通商産業政策の中でこれが全く無視されるというように私は承知をするわけではないわけですけれども、ただ、資源の有限時代と言い、さらにこの経済力が非常に大きく発展をしている中で、銅、鉛、亜鉛あるいはニッケル等いろいろな金属鉱産物がありますが、こういう金属鉱産物が非常に大切な資源であることは大臣も十分理解をされていると思うのです。
 資源有限時代ということをオウム返しに皆さんはおっしゃいますけれども、石油、天然ガスあるいは石炭がわずかに入る程度のことであって、どうも資源ということを履き違えていはしないかと私は考えるわけでございますけれども、ひとつ大臣の基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。
 御質問の点でございますが、確かに、総括の私の所見に対しまして、エネルギーということがむしろ非常にクローズアップされて御印象になったかと存じますが、決してそういうことではございません。ただいま申し上げたように、食糧もお米以外は全部外国に依存しておるような国民経済というものから一日も早く安定した姿を取り戻すためには、国内資源の開発あるいはまた存続ということがどうしても絶対の要件でございます。
 先生の御指摘の、特に金属鉱山等の問題につきましての国内資源の確保の問題でございますが、政府といたしましても、御所見のごとくにこの点は十分に認識をいたしまして、金属鉱業事業団によります各種調査の実施でありますとか、あるいはまた金業探鉱への補助、融資、税制によります助成あるいは関税等を総合的に活用いたしまして、これが開発、維持のために努力をいたしておるような次第でございます。
 また、昨今の非鉄金属の事業をめぐります環境というものはきわめて厳しいものがございます。国内鉱山はまことに苦境に立っておる次第でございまして、この直面した幾多の鉱山を一体どう救い上げ、またこれを維持していくかということは通産行政の上から言って大問題でございます。ことに、鉱業審議会におきましても今後の対策を十分に検討いたしていただきまして、これが万全を期したい、かように努力いたす所存でございますので、何とぞ御協力のほどをひとえにお願いいたします。
○後藤委員 大臣から基本的なお考えをお聞きしたわけでございますけれども、しかし、大変中身の薄い政策になっているように私には思えてならないのです。
 それで、ここに「産業構造の長期ビジョン 昭和五十一年度版」がありまして、もうすでに改定作業をされて、また新しく五十二年版ができるのかどうか、その段階に来ていると思うのですけれども、この中でも実は大変抽象的な、中身の薄い問題提起よりされていないわけです。それで、昭和四十九年に産構審から「産業構造の長期ビジョン」が報告をされまして、それをずっと受けているわけですけれども、これをずっと全体を読んでみましても、関心が高い割りには本当に厳しいむずかしい経済情勢で、その国際経済の中における日本経済、その日本経済の中における産業構造ですが、この産業というものに対して一体どのような関連性を持ってビジョンを立てられているのかということがもう一つ理解ができません。
    〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
 たとえば、この五十一年度版を見ましても、海外からの安定確保と海外資源開発については確かに力点が置かれております。もちろん、国内資源が絶対的に不足をしているわけですから海外資源に頼らざるを得ないということは自明の理でございますけれども、ただ、国内資源開発については「積極的活用を図っていく」としておりますけれども、その中身が「計画的、組織的な探鉱活動を推進していく」ということだけになっているわけですね。
 私が申し上げたいのは、先ほど大臣も国内鉱山の保護、育成強化ということについて触れましたけれども、新しい国内の資源を開くんだ、探すんだという点については、十分ではございませんけれども意欲を持って取り組んでおられますが、しかし、現在稼働いたしております鉱山はもう減耗産業なんだ、そういう宿命を負っているんだというような言葉すら実はあるのです。「鉱山は採掘が進展するにつれて減少していくという減耗産業としての宿命を背負っており、国内鉱山についても、計画的、組織的な探鉱活動を推進していくことが必要となる。」となっておりますが、確かに、埋蔵量がなくなってくればこれは減耗産業ではありますけれども、私は、こういう姿勢ではなくて、現在働いておる国内鉱山の維持、強化、開発というものについてもっと積極的に考えていただきたいと考えるわけです。
 私は、現在稼働しておる鉱山に対する育成強化策というものが全く考えられていないように思うのですが、この点について、簡単で結構ですから、重ねて大臣から基本的な考え方を伺いたい。現在稼働している鉱山で、非常に労働条件の悪い中で地下産業労働者が一生懸命働いておる鉱山、その鉱山の保護、育成強化の対策について、大臣として積極的に取り組んでいきたいという御答弁だけで結構でございますから、ひとつお伺いをしたい。
○田中国務大臣 先生の御見解と全く同じでございまして、まことに乏しい資源ではございまするが、これをぜひとも確保し、同時にまた振興をしていかなければならない。同時に、また、経済条件のだんだんと悪化いたしまする中におきましてもこれが保護のために全力を尽くしたい、かように考えております。
○後藤委員 そこで、きょうは長官もお見えになっておられるようでございますので、以下具体的な問題についてお伺いをしたいと思うのですけれども、先ほど私が二点ばかり御指摘を申し上げましたけれども、実は、通産行政の中でのこの位置づけが非常に不明確である。最近十一年間の金属鉱山の統計を見ましても、四十年四月から十年間ならば五十年四月ですけれども、五十一年四月という統計もありますので、これを見ますと、鉱山数では三百九十九が五十一年は百三に減っております。約四分の一に減少してしまっているわけです。また、一方、従業員は、四万六千六百四十三人が一万七千九百人と、もう半減どころの数ではないわけです。これが実はわずか十年余りの間での地下資源産業であり、日本経済の発展に非常に大きく貢献をいたしました金属鉱山の実態なんです。
 それで、私は、地下資源産業やエネルギー産業等の政策づくりを長い間してまいりましたけれども、いまもあのソフレミンの石炭調査団の報告を実は思い起こすわけです。あれは昭和三十二年ごろであったと思うのですけれども、日本の石炭鉱業をどのようにしてよみがえらせて、そしてこれを有効な資源として使っていくかということについて、膨大な資金を使って調査団に調査をしてもらった経緯があるわけですが、そのソフレミンの報告は、日本の石炭産業は一九六五年に六千九百八十万トン、七千万トン体制をとってよろしい、一九七〇年には七千六百五十万トン、この目標はむしろ低過ぎるぐらいであると、こういうように指摘をしたわけです。ところが、これが出されたころは実は大変不幸な事態が起こり、石油と石炭とのエネルギー転換という問題が起こってまいりました。石炭は斜陽産業だという大変大きな台風のような風潮の中で、このソフレミン報告は全く一顧だにされないで、恐らく通産省のどこかの倉庫の中に眠ってしまっているのではないだろうかと思います。
 取り出して読むこともないのじゃないだろうかとは思うのですが、もちろん、この七千万トン体制というものが今日もなおつくられていかなければならないような条件にあるかどうかということについては私は別に触れるつもりはないのですけれども、ただ、三十年にあの合理化法が出てまいりまして、石炭は斜陽である、これはもうエネルギー転換だ、これはまさに必然であり、衰退産業としてこれはスクラップしていかなければならないんだという怒濤のような風潮の中で、もっと手だてをすれば、この少資源国であります日本にせっかく賦存しております石炭を有効に開発することができたであろう、その鉱山をつぶしてしまった面はないだろうかという反省を私は実はしているわけであります。
 私どもも、このソフレミン報告ではございませんけれども、五千二百万トン体制というものを実は提起いたしました。政府の石炭合理化法に対して石炭近代化法を提起いたしまして論議をしましたけれども、自民党の多勢に対して無勢で、こういうものは全く問題にされませんでした。現在二千万トンの目標設定をしているようですけれども、その目標設定の二千万トンどころではなくて、千九百万トン前後をあっぷあっぷしている状況に置かれております。
 私は、実は、一九六二年に中近東からヨーロッパをずっとエネルギー調査をしてまいりました。ちょうど有沢調査団が行かれたときですけれども、それに前後して調査したのですが、一つだけ耳に残っていることが実はあるわけです。それはイギリスで経済担当大臣とお話をしたときに、確かにイギリスにおいてもBPだとかダッチ・シェルだとかいう大きな国際石油企業を持っているわけですが、いきなり石炭を石油にかえるということは私たちはしないんだ、それはナショナルセキュリティーの観点から私たちはいたしません、長期にはあるいは徐々に減らしていくということもあるでしょうけれども、いきなり石油に転換するということは、石炭と石油のコストだけ考えた場合には確かに石油の方がメリットは高いが、しかし、そこから起こるところのたとえば雇用問題とか産炭地域の問題だとかという社会的な費用というものを考えていくと、私たちはにわかに石炭を石油に転換するという道を急速にとることはしないんだ、と、こういうことを言っていました。つまり、ナショナル・セキュリティーの問題を非常に大切にしておりますから、今日でも西ドイツあるいはイギリス等のエネルギー依存度を見てみますと自給率が非常に高い。とりわけ石炭のウエートが高いわけです。
 そのことと関連をいたしまして、先ほど申し上げましたように、わずか一万七千人、二万人足らずの労働者の働いている職場のことを考えておったのでは、これは通産省が幾らあったってもちませんというようなことになるのかもわかりませんけれども、それが産出しております金属鉱産物というものがいかに日本経済に大きな役割りを果たしてきたかという観点から、そしてまた日本の石炭産業をああいうように衰退産業に追い込んでしまった政策担当者の責任という観点から、地下資源の対策についてもう一度重ねて大臣にお伺いします。
○田中国務大臣 先生の御高見に対しましては私は全く同感でございまして、個人的なことを申して相済みませんが、私は、満鉄におりまして、撫順の満鉄式石炭液化法と徳山の海軍燃料廠式石炭液化法の両特許権の融通の問題で満州から東京へ転勤してまいりました自来コールケミカルの問題につきまして一生懸命に御協力をいたし、同時に、企画院の石炭の担当官、軍需省の担当官といたしましてずっと終戦まで勤めたものでございます。さような関係からいたしまして、敗戦後になりましてから、ことに石炭に対しまして一時は非常に産業再開の御協力を願ったのでありますが、その後、今度は逆にとうとうとして石油経済に入りまして、あれだけ国家に重大な貢献をいたしました石炭鉱業、なかんずくコールケミカルというものが忘れ去られてしまいつつあることを私は非常に残念に思っております。
 ついては、その方の権威の池田亀三郎さんとも私は常々、このとうとうたる石油の勢いの中において石炭化学工業を存続しなければならぬという主張をし続けてまいりました。先般も、そのことを思いながら、エネルギー問題と取り組みますに当たりまして、もう一遍基礎産業であります石炭の化学工業原料としての考え方をまとめたいと思っておりましたところが、先日、日本の石炭化学工業に大変な貢献をされました池田亀三郎さんが亡くなりました。私は個人的に早速お焼香に上がったのでありますが、その際に、本当に石炭をある程度までのベースを維持しなければいかぬということと同時に原料関係といたしましてもコールケミカルというものをもう一遍反省しなければいかぬというようなことをしみじみと考え、そして今日まで過ごしておるような次第でありまして、金属鉱山の問題とあわせまして、先生の御主張の石炭鉱業の問題につきましては本当に感を同じくすると同時に、今後ともどうぞ御相談に乗っていただきとうございます。
○後藤委員 いま大臣からお話を伺い、私もあの時代から一生懸命政策づくりに励んできて、工業技術院の皆さん方ともいろいろ御相談をしながら、固体で貨車で運んで、それを利用するということじゃなしに、流体でやることができないか、あるいはガス化することができないか、パイプライン輸送をすることができないだろうか、石炭化学をもっと振興する方法はないだろうかということでいろいろ苦労したことを実は思い起こしていたわけでございますけれども、高度成長の中からこの二十年間を見ておりましても、人が騒げばすぐそこへ飛んでいく、これがもうかると思えばすぐそっちへ飛んでいくということでは政策の中に定見がないと私は思いましたので、先ほどイギリスの例を申し上げましたが、これは実は私たち政策をつくっていた者の反省なんです。
 先ほど石炭の例を挙げましたが、われわれが五千二百万トンを主張しながら、いやこれはもうしょせん石炭というものは斜陽だということになったのですが、これは、われわれが言っております五千二百万トン体制自体が実は無理なのではないかということがどこかにあった。ですからどちらかと言うと後処理の方の政策に傾斜をしてしまったという反省を持っておるものですからいまの大臣の御苦労等も聞かせていただいたわけでございます。
 そこで、この長期ビジョンの中でも非常に強調されているわけですけれども、私は、金属鉱業政策については二つの政策が必要であるということは十分承知をいたしております。とりわけ海外鉱産物の安定確保ということももちろん大切ですし、もう一つは国内資源の確保をどうしていくか、国内鉱山をどう育成強化していくかということで、この点については後で触れたいと思いますけれども、実は、一次産品国との関係です。
 一次産品国は、各国とも価格が安定的に供給されることや、あるいは所得保障等についても要求を高めてきておりますけれども、さらに私どもが考えておかなければならないのは、この長期ビジョンの中でも触れておりますけれども、資源ナショナリズムの問題です。こういうことから自由競争の中で需給関係に左右はされてまいりますけれども、ただ安いから物を買う、高くなったら買わないということではない状況が一次産品国との間にはでき上がってくるわけです。
 そこで、昨年の五月に国連貿易開発会議で決議がされておりまして、共通基金設立の問題等が出てまいってきておりますし、昨年の九月にはそのために銅準備会議が、十一月には銅専門家会議が開かれて、ことしの二月にも第二回の銅専門家会議が開かれております。この国連貿易開発会議の提案の緩衝在庫制度というのですか、これを含む商品協定あるいは共通基金構想は一次産品問題解決のテストケースとして注目されていると思うわけです。ただ、これは三月二十六日の新聞を読んでみますと、南北問題として、特に、「共通基金に基本的に反対している日本としても」という記事が出ているわけです。この共通基金の設立等の問題につきましは、カーター大統領も三月十七日の国連演説で、この基金構想について交渉に応ずる用意があるというような表明もいたしておりますが、一次産品国と、それを利用する先進国との間にはこれまでどうも意見の一致が見られない。
 もちろん、これからも大変むずかしい問題がいっぱいあると思いますし、これから先進国首脳会議にも出かけられるわけですが、こういう共通基金構想等に対して、新聞で見るとどうも政府は基本的に反対しておったようですが、一体これからはどういうように考えていかれようとするのか、お伺いをしたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。
 その新聞の記事も、私は、いささか正鵠を得ていない面があると存じます。われわれは二国間協定、いわゆるバイラテラルの協定によりまして一次産品国との間の問題を処理していこうとしておりまして、これが日本の今日までの態度でございます。
 同時に、また、資源のない日本といたしましては、先生御承知のとおりに、銅とか亜鉛等につきまして、本年度予算におきましても三百億の在庫援助をいたしたような次第でございますが、国際間におきますところの、特にアジア各国等の問題に対しまして、発展途上国、一次産品国との間のバッファーストックの問題、特にいわゆる共通基金の見解が南の方から出ておりまして、同時にまたキッシンジャー等の財政補てん的な構想も出ております。そういう中におきまして、今度いよいよ総理も首脳会談に臨むに当たりまして、一次産品問題、南北問題というものが特に重要であることを強調いたすと同時に、通産省といたしましてもその問題についての真剣な作業に取り組んでおるような次第でございまして、原料がない無資源工業大国である日本でありますので、この資源問題は国家の根本の大問題であると、かように考えておる次第でございます。
 なお、いまの一次産品の問題につきましてのさらに詳細な点につきましては、政府委員からでもお答えいたしましょう。
○橋本(利)政府委員 ただいまお話しのように、昨年四月のUNCTADナイロビ総会の後を受けまして、銅につきまして政府ベースにおける国際会議が持たれたということは非常に意義のあることだと思っておるわけでございます。南北間におきまして話し合いがついて、いわゆる一次資源についての安定的な需給関係が成立するということは非常に必要なことだと思います。ただいまも大臣が申し上げましたように、わが国といたしましてもこの会合に積極的に参加していきたい、かように考えておるわけでございます。
 ただ、いま御指摘の共通基金あるいはバッファーストックという問題でございますが、これにつきましてはわが国といたしましては物資ごとに検討していくという立場をとっておりまして、バッファーストックだとかあるいはコモンファンドなるものを決して否定しているわけではございませんが、いわゆる一次産品といいましても、産品によりましていろいろと千差万別でございますので、そういったものに個別的にアプローチしていくというたてまえをとっておるわけでございます。現に、すず協定にも参加いたしておりまして、ここでもバッファーストックなり、あるいはそのための基金制度などもあるわけでございます。一概に否定するわけではございませんが、個別物資的に対応していくべきではなかろうか、かように考えるわけでございます。
 また、いわゆる南北間と申しますか、資源産出国と資源消費国との間の相互理解というものも深めてまいらなければいけない。先ほども御指摘になりました資源ナショナリズムがいかなる理由によっていかなる背景のもとに出てきておるかということは、資源消費国としては十分理解を示す必要もあろうかと思います。資源産出国といたしましても、消費国を含めて世界経済全体の立場で資源問題を考えていくという立場も必要であろうかと思います。
 そういう観点に立ちまして、こういった国際会議が意義のある結末を見るようにわれわれとしても積極的に参加してまいりたい、かように考えております。
○後藤委員 意義がある結末を見るように積極的に参加していきたいということですが、しかし、日本として、一次産品の問題についてどうしていくかという基本的な考え方が構想としてまだもう一つ足りないのじゃなかろうかという気が私はいたします。参加してから各国の発言や顔色を見ながら、なるべく負担は軽くして、あわよくば資源ナショナリズムが爆発しないように、そして安定供給が確保できるように、こういうようなことをお考えだと思うのですが、今度の日ソ漁業交渉の問題を見ましても、あるいはあの石油ショックの対応策を見ましても、常に資源ナショナリズムを強く言いながら、低開発国、後進国の気持ちというものを先進国が、とりわけ急成長いたしました日本が本当に理解をしているのかどうかということについて私は危惧を感ずるのです。
 国際経済の中における日本経済ということを考えていけば、こういう地下資源、鉱物資源のほかに輸出する品物を何も持っていないような国々と資本主義世界第二位のGNP高度成長を果たした日本とを対比した場合に、日本としてはもっともっと積極的に国際会議に出て、顔色を見ながら、発言を聞きながら態度を決めるということではなくて、むしろ、みずからの国民でありみずからの領土であるということと同じような気持ちでこの問題を解決していき、考えていくという姿勢がなければもっとむずかしい問題がいっぱい出てくるだろうと私は思うのです。特に鉱石で輸出するよりももっと付加価値の高いものにしたいということだって起こってくるでしょうし、もっと価格を上げなければという例はこのOAPECの例を見れば明らかなわけです。あれはけしからぬ、石油を四倍にも五倍にもしやがってということではないと思うのです。
 私もクウェートやサウジアラビアへ行ってまいりましたが、そのときに、そこの王様が言っておったわけです。そのときには私は余り心にとめなかったのですけれども、いまあるアラーの神が与えてくれた黒い資源を有効に活用しないと私たちはまたはだしの民族に返っていくということをクウェートの王様は言っていたのですよ。それから十数年たってこういう問題が起こってきている。これは各国が国有化等もしていっているわけですね。国際石油カルテルというのは絶対的な力を持っておったが、それがいろいろな背景もあったと思いますけれども敗退を重ねていっているわけです。
 日本の金属鉱産物については、もうまさに一次産品国の鉱業との関係なくして生きていけないわけですから、長官で結構でございますが、この会議に臨むに当たって、ただ検討するとか前向きにやるということではなしに、具体的にもう一度考えを明らかにしていただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 一次産品問題につきましては、御指摘のとおりだと思います。
 この問題を解決するためには、世界の各国が南北を問わずに相互依存関係にあるという認識がまず基盤になければ解決がつかない問題だと思うわけでございます。資源保有国といたしましては、その有限資源のある間に工業開発を進め社会開発を進めようとすることは当然でございますし、一方、そういった資源を消費する国といたしましては、その国の経済、広く言えば世界の経済が吸収し得るような範囲内における取引条件でなければならないということも当然のことでございまして、それが相背馳する場合には互いにその影響が他の地域に及んでいくようなことにもなりかねないわけでございます。
 したがいまして、かかる問題につきましては、先進国、資源開発国を問わず、相互依存関係というものをまず認識いたしまして、その上に立って建設的な意見を交換していくということが必要ではなかろうかと私は思うわけでございます。また、それが南北間の格差を是正し、ひいては平和の維持につながる問題でもあるといったような認識もあるわけでございまして、そういった立場に立ちまして、自由世界第二位の経済規模になったわが国といたしまして、また、資源小国と言われるようなわが国の実情に即しましてこのような問題に対処していきたいと考えておるわけでございます。
○後藤委員 この国際会議において、いつも先進国の後ろからくっついて発言するということじゃなしに、小資源国であるということを肝に銘じてぜひ積極的に取り組んでいただきたいということを重ねて御要望申し上げておきたいと思います。
 そこで、海外の問題につきましてはまた後で備蓄等の点についても触れてみたいと思うのでありますけれども、国内の鉱業政策の問題があるのです。これは先ほど大臣から総括的には御答弁をいただきましたけれども、基本的な政策がないために枝葉の問題だけを処理されてきておる。たとえば関税の問題とか、税金の問題とか、あるいは新炭鉱開発資金の問題とか、こういうようなことは幾つか述べられましたけれども、結果的には企業の採算ベースのみの判断が優先して、そして休閉山が続出をしているわけです。
 昭和三十八年に制定されました金属鉱業等安定臨時措置法は時限立法でありましたけれども、私は大変うかつで申しわけないのですけれども、実は、今度金属鉱業政策を御質問するに際して、これはずっと存続されておると思っておったのです。ところが、大臣も御承知のようにこの法律は五年であっさりと廃止させられてしまっておるわけです。もちろん、その背景には、当時の金属鉱産物の価格が急上昇した、こんなものは要らないということもあったのでしょうが、この策定には私どもは大変努力したのです。それが換骨奪胎して、結局安定臨時措置法がカルテル法になってしまっておるのですが、しかし、私たちがあの法案がつくられる過程において強調したのは、金属鉱産物というのは国際市況に非常に左右されやすい、暴騰、暴落していく、そのたびに鉱山に働く労働者が首切られる、閉山になるということはどうしても避けていかなければならない、一体どうするか、常に国内鉱山というものは安定的に確保され、買い付けられ、そして労働条件の面においても常に安定していなければならないのではないかということで、こういうことがあのときみんなが考えておった趣旨であると思う。ところが、これが五年の時限立法であっさりと廃止させられてしまっておるわけです。
 鉱山をつぶすのも早いですけれども、法律をつぶすのが早過ぎると私は思うのです。要らない法律、整理をすればこんなものは開店休業で要らないという法律が恐らくいっぱいあるだろうと思うが、そういうものは一生懸命大切にして、こういう基本的な法律を廃止してしまっている。もちろん、この安定法というものも十分ではないと私は思いますけれども。法律があればこれは一部改正でできるんです。それがなくなってしまいますと、結局またもう一度最初からやり直していかなければならない。
 何でこの法律はなくなってしまったわけでしょうか。
○橋本(利)政府委員 先生のいまのお話の中に答えが出ておるようなことで恐縮でございますが、本来、貿易自由化対策といたしまして、国際競争力を強化するということで制定されたわけでございますが、幸い市況の好転もございまして、一応安定法の役割りを果たしたというような認識のもとに、当初予定された五年間の限時時期が終わるのを待って廃止された、こういう経緯だと承知いたしております。
○後藤委員 確かに、その当時の背景というものはわかるのですけれども、私がるる申し上げておりますように、余りにも微視的にしか物を見ていないわけです。商売をされておる方には大変失礼かもわかりませんけれども、商売をされている方でしたら、長期に物を見てゆっくり行っておったのでは、この激しい競争の中でそれこそ落後してしまいますが、こういうような問題は長期に見ておいてもらわなければ困るわけです。価格がちょっと高騰したからといって、こんなものはもう役割りを果たした、要りませんなんということを言わないて――私は後でまた自由化の問題についても触れてみたいと思うのですけれども、どれだけそれが大きな役割りを果たしてきたかということを十分に愛情を持って見る必要があります。法律は一片の文章ではないのですから、これがどういう役割りを果たしてきたかということを踏まえていけば、この法律が仮に廃止される場合にはもっとすばらしい金属鉱業安定法あるいは基本法のようなものが整理されてつくられておったのではないかと私は思うのです。
 そこで、お伺いをいたしたいわけですけれども、業界でも最近はこういった安定化法というか、基本法的なものをつくってもらいたいというような要望もいたしておるようで、たとえば日本鉱業協会の中小鉱業対策推進中央本部も、五十二年度中小鉱業対策に関する要望で、「定数量の生産を確保する目標値を設け、国内鉱山の位置づけを明確にし、鉱山の自立体制を確立し得る中小鉱業安定法の立法措置を望む」と、大変つつましやかな要望を実はいたしておりますが、私は、中小鉱山だけではなしに、全体の金属鉱業の基本的な考え方を盛り込んだ法律というものをつくっていく必要があるのではないだろうかということを考えるわけでございます。そして、昨年、五十一年四月二十八日の衆議院の商工委員会で、「金属鉱業の基盤である国内鉱山の保護育成を図り、一定生産量を確保するため、」「鉱業政策の抜本的拡充を図ること」という附帯決議も実はつけられておりますが、こういう附帯決議をもし政策の中に生かしていくとすれば、当然法律の裏づけが必要であろうと私は思うわけです。
    〔武藤(嘉)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
 この廃止した法律をそのままもう一度復活しようということは私は申し上げませんけれども、基本法なり安定法というような法律が必要でなくて、いまやっておる、大臣が冒頭に答弁されましたような政策を出せば国内金属鉱山については大体万全の対策がとれるんだというようにお考えなのか、それとも、これは大変だぞ、単に二万人の労働者あるいは百余りの企業対策ということだけではなくて、資源小国、有資源時代において対応するためには、やはり法律の基本的な裏づけが必要であるというふうにお考えになるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 地下資源と申しますか、いわゆる金属鉱産物につきまして、私たちも重大な関心を持っていると申しますか、その重要性を十分認識しておるわけでございまして、従来からもいわゆる三段階方式による探査活動をやるとか、あるいは国内税あるいは関税等を活用いたしましていろいろ対策を講じておるわけでございますが、先ほど来先生からも御指摘のように、非常にむずかしい事態に差しかかっておるというふうにわれわれも考えるわけでございます。
 特に、金属鉱物となりますと、二次産業と違った自然条件の制約のもとにあり、あるいは際立って価格変動が著しいとか、あるいは地域社会に密着しておるとか、かような問題を抱えておるわけでございます。さようなところから、国際的な動きもあわせまして、新しい鉱山行政、鉱業行政を展開する時期に来ているのではなかろうかという認識を持っておるわけでございますが、いろいろむずかしい問題も含んでおりますので、私たちといたしましては、鉱業審議会の場などで十分検討した上で政策の新しい展開を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。
○後藤委員 いろいろと検討されるとか展開を図るとかいう御答弁でございますけれども、長官、もし長官が鉱山を経営しておって、こんなに国際市況が変動していく中で労働者もなかなか集まってこないような地下資源産業で、その責任の立場にあるとすれば、やはり、何らかの社会的、制度的な支えがないと安心して経営できないんじゃないでしょうか。
 米についてもいろいろな助成が行われておりますし、価格についても生産者価格と消費者価格があるが、大臣、生産者価格と消費者価格をやめたらどうですかというようなことになると、これは大変な問題ですよ。生産者価格と消費者価格が米については行われておる。そして、金属鉱産物についてはそういうものがとられない。市況の間に間に――風にそよぐアシでしたらまだ地面にべったりと根をおろしておりますからいいですけれども、金属鉱山というのはそうではないわけですね。つまり、生産者価格というものを安定帯というのですか、そういうものについても補償してやるというようなことが制度的には、弱い産業についてはたくさんあると思うのですが、こういうものが全くとられないのは一体なぜなのかということをお聞きをしたいのです。
 それはまた基本的あるいは安定法との関係もあるわけでございますので、やはり、そういう法律がなければできませんとか、あるいはまた後に御質問をしますが、備蓄のための基金だとかいろいろなことも法律の裏づけがなければできませんということになるのだと思いますので、この臨時措置法を廃止してしまった当局の責任の立場から、そういう法律的裏づけが必要である産業であるかどうか、重ねてもう一度伺いたいわけです。もし必要でないと言われるなら、それはそれとしてまた議論になっていくと思いますけれども、必要があるとすれば、いまも言われましたような鉱業審議会なりへ持ち込む前に通産省としての考え方を早急に提起していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○橋本(利)政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、法律がなければできないというような御指摘でございますが、その前に、ただいま御指摘のような生産者価格、消費者価格といったような形での法律をつくれるかどうかという問題が一つあろうかと思います。
 そのためには、やはり国民的コンセンサスがなければ鉱業審議会におきましてもさような思い切った措置もなかなかとれないのではなかろうかと思うわけでございますが、ただ先ほど来お話が出ておりますように、地下資源の重要性、鉱物資源の重要性といったようなことからいたしまして、ただいま御指摘の点は少なくとも一つの御提案としてわれわれとしては検討させていただきたいと思います。現実問題としてはなかなかむずかしい点を多く含んでおるのではなかろうかと思いますが、検討はしてみたいと思います。
○後藤委員 話をしておりましてかみ合わないのは、どうもむずかしいことを先に考え過ぎるのではないかと思うのです。確かに、構想を立てましても、あちらの壁にぶつかりこちらの壁にぶつかって、結局は初志貫徹ができないということはあり得ると思うのですけれども、まず国内資源を確保していく、そのためにはもう埋蔵がなくなってしまった物までも残せということを私は申し上げているのじゃないのです。
 これは私は後で申し上げようと思ったのですけれども、これは私は柵原へ行ってもらってきたのですが、これはまさに天の恵みだと思うのですね。これは石ころじゃないわけです。硫化鉱です。硫黄分五〇%、鉄分四八%です。こういうものが、その辺に転んでおる石ころではなくて、あるわけですよね。せっかく地下に眠っているこういう鉱物を私たちの生活を豊かにしていくために使うために、一体いままでの政策でいいんだろうかどうだろうか。そのためにもし法律が必要とすれば法律をつくるということも考えていくべきであろうということを私は特に強調したい。これはいま長官にそれ以上の答弁はしていただけないと思いますので、強調しておきたいと思います。
 私は鉱山はあちこち歩いてまいりました。鉛、亜鉛、銅等みんな歩いて見てまいりましたけれども、いますでに閉山して跡形もなくなっている山が――跡形は少しあるでしょうけれども、なくなっている山がある。私は坑内にいつも入るのです。そして、あのすばらしい鉱脈を見て、これは何とかいい労働条件のもとで役立てていくために政策づくりに励まなければならぬということをいつも自分自身に言い聞かせてきただけに、いまの長官のそういう答弁では大変私は不満でございますので、ぜひひとつ積極的に御検討をいただきたいと思うわけです。
 そこで、これは基本法ができるまで待っておれない問題ですからいろいろな対策を講じておかなければならないし、そのために通産当局がいろいろと御苦労なさっているということについては私は評価をするものでございますけれども、たとえば探鉱助成策の問題につきましても、私は、やはり成功払いの融資制度というものがとられる必要があるのではないだろうかというように一考えます。現行の大手には融資、中小には新鉱床探査補助金というように制度が分かれておりますけれども、これはもう数が少なくなってきておりますし、中小、大手というように分けないで成功払い融資制度等も考えていくべきだと思うわけです。しかも、これは石油もそうですけれども、石炭あるいは特にこういう鉱物資源の探査には非常に金がかかるわけです。なかなか当たらないわけです。ウラン開発等については、そういう成功払い融資制度というものが導入されているとかというように聞いておりますけれども、この強化等をぜひお考えいただきたいと思うのです。
 たとえば内の岱の黒鉱の発見をされたときなんかもそうですね。私もあそこに発見された直後に行ってみたんですが、その技術者は、まさかこんなところにこういうすばらしい黒鉱が賦存しているということは知らなかったと言っていたような状態で、ほかのところばかりやっていたわけです。そしてむだなボーリングをしておったわけですが、灯台もと暗しかどうかわかりませんけれども、すぐ目の前にこういうものがあったということがあり得るわけですね。ですから、探鉱助成策は、通り一遍の対策ではなくして、ぜひもっと強化していただきたい。そして、この探鉱も、ちょっと景気がいいから探鉱速度を速めるとか、景気が悪くなったからやめておこうかということではなくて、これは日本の鉱物資源の開発ですから、そういう景気だとかいろいろな政治状況に影響されないで、もっと年次計画を立ててやっていただきたいということを御指摘を申し上げたいわけでございます。
 それと、補助金の問題ですが、この補助金の問題が、ちょうど自治体超過負担の問題でいつも苦しんでいるように、新鉱床探査補助金がたてまえとしては補助率五〇%ということになっているようですけれども、実態としては三五%程度にしかなっていない。つまり、単価査定が大変低いということが言われているわけですね。こういった問題についても、もっと実勢単価に合うように、せっかくそういう補助率の規定があるわけですから実施をしていただきたいと思うわけです。
 長官、こういうような問題についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○橋本(利)政府委員 まず、成功払い融資の問題でございますが、御承知のように、現在、広域調査、精密調査、企業探鉱といった三段階方式をとっておるわけでございますが、この段階で成功払い融資制度を導入するということになってまいりますと、いわゆる新鉱床の補助金との関係をどう見るかということで、これとダブってまいる関係も出てこようかと思うわけでございます。そうすると、結果として大手のメリットだけが出てくるといったようなことも考えておかなければいけませんので、そういった問題点も含めまして、御指摘の点については検討いたしたいと思います。
 それから、第二番目の補助金の問題でございますが、これも御指摘のとおり、事実上は三十数%にとどまっておるというのが現状かと思いますが、これは一つには予算の額をどこまで確保するかという問題もあろうかと思いますので、そういった点も含めまして検討し、実現の方向で努力したいと思うわけでございます。
○後藤委員 ちょっと一つ考え方だけをお聞きしておきたいのですけれども、昭和四十八年度に例の金鉱山合理化対策五カ年計画が設定をされまして、五十二年度で終わるわけでございますけれども、この五十二年度以降の探鉱計画は一体どういうようになっているのか。
 さらに、これまでの成果を点検されていると思いますけれども、この中身等につきまして、また、これからの五十二年度以降の計画等についてもひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 昭和四十八年度から推進してきております第二次金鉱山合理化計画は五十二年度で終了することになっておるわけでございます。
 五十三年度以降どうするかということにつきましては、現在関係業界の意見を聞きながら検討を続けておるわけでございますが、少なくとも五十三年度予算要求の時点までに検討を完了いたしまして、鉱業審議会にお諮りした上でこれに対する方策を確立いたしたいと考えております。
○後藤委員 もう一点、減耗控除制度でございますけれども、これも探鉱の促進には大きな役割りを果たしておるわけでございますが、たしか、制度の成立当時は一八%くらいあったのではないかと思いますが、それがだんだんと減って、五十二年度改正では一二%というように落ち込んできておりますが、これを今後どのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 減耗控除制度につきましては、五十二年度予算策定の段階におきまして、所得基準は従来どおり五〇%に据え置き、ただし、積立限度額は収入基準の二二%まで一ポイント引き下げる、ただし、今後三年間継続して適用するということで決定を見ておるわけでございますが、先ほど来お話が出ておりますように、地下資源産業は減耗産業とも言われるわけでございますので、三年以降の問題につきましても、われわれといたしましては極力存続できるように対処してまいりたいと考えております。
○後藤委員 次に、関税の問題について触れてみたいと思うのですけれども、実は私もよくわかりませんので、あるいは見当違いの質問がもしありましたら御訂正をいただきたいと思います。
 これは取り組んでみまして大変むずかしい問題、免税点の問題とかがあるわけですけれども、長官、この免税点というのはなぜあるのでしょうか。
○橋本(利)政府委員 国内鉱石から出る国産の地金に対する保護と、産銅国に対する貢献といった趣旨のもとに関税措置が講ぜられておるわけでございます。
○後藤委員 そういたしますと、国内鉱山の銅の場合、コストがいま大体六十万円くらいだというようにお聞きをしているわけですが、ところが、免税点が五十万円、これはなぜこのように違うのでしょうか。
○橋本(利)政府委員 御指摘のとおり、今回の改定によりまして、四十八万円から五十万円に引き上げたわけでございます。この無税点の算出方式といたしましては、まず、国内鉱山と製錬所のコストを調査いたします。それによりまして国内鉱石から出る地金のコストを求めまして、このコストから、製錬所から支払われる補てん分、関税額及び諸掛かりを差し引いて無税点を算出するという方式をとっておるわけでございまして、その結果として五十万円、キログラム当たり五百円という数字が出たわけでございます。
○後藤委員 計算方法はそうだと思いますけれども、この辺もなかなか融通がきかなくて、これまた大変国内鉱山を結果的には苦しめているのです。せっかく国内鉱山保護の立場からつくられておりますこういう制度が、むしろ逆に負担になっているような面がないだろうかと考えるわけです。
 それと、もう一つ、特恵関税の問題が私にはどうもよくわからないのですけれども、長官、ひとつお教えをいただきたいのですけれども、先日も、「有名無実の特恵関税わく」と日本工業新聞に出ておりました。銅地金のシーリング枠が現在は千十八トンですが、ところが、四月一日に受け付けてみると五万三千五百三十トンも輸入された。この特恵関税はどういう理由で設定をされているのでしょうか。このシーリングというのは、上限というのか、天井というのか、何か枠を決めているのでしょうけれども、千十八トンのシーリング枠があるのに、実際に入ってくるのが五十倍にもなっている。しかも、この新聞の最後の方を見てみますと、「一件の輸入申請ですでにわくを上回る」となっていますが、こういう事態があるのです。
 長官、これは技術的なことは結構でございますが、港があちこちにあって、集計してみたら二、三日かかってこうだということはわかりますけれども、私がよくわからないのは、大蔵省が告示をして、官報に三月三十一日に何か出るのだそうですか、五十二年の四月一日から適用されて、それが千十八トンだというようになるそうですけれども、しかも、関税暫定措置法では八条の二で銅、鉛、亜鉛については無税にしている。そして、八条の四でこのシーリング枠が設定されるわけでしょう。これを超えた分は八条の二の適用をしないことになるのだと思うのですけれども、この辺がどうもよくわからないのですが、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 特恵制度を設定しております趣旨は、いわゆる資源産出国に対して貿易拡大の機会を与えることであろうかと思います。ただし、その場合に、国内の産業に不測の影響を及ぼさないように一応の配慮はなされているわけでございますが、ただいま御指摘のように、四月以降すでに五万トン台を超える輸入が行われておりますが、これにつきましては、ことしの六月にアメリカの鉱山におきまして労働協約の改定が行われる、それに伴ってストが発生する、あるいはそれによって銅の価格が急騰するのではなかろうか、といった懸念から日本側のユーザーが通関を早めたのだと見ておるわけでございます。
 この特恵の管理につきましては日別管理をやっておるわけでございますが、私たちといたしましても、これを事前割当制に持っていきたいということもあわせて検討いたしたわけでございますが、結果的には七七年度から実施するに至らなかった、従来どおりの日別管理でいかざるを得なかったことも関連いたしまして、四月になると同時に五万トン台の大幅に急増する輸入を現実のものとして結果してしまったことになるわけでございます。
○後藤委員 長官、ですから、結果はわかるのです。シーリング枠が設定されておりまして、これを超えるような実態に現在なっていることはわかるのですが、ただ、超えたものについてペナルティーが科せられないのがどうもわからないのです。
○福原説明員 特恵輸入の数量につきましては、ただいま長官もおっしゃいましたように日別管理で管理されておりまして、各所の税関が幾つもございますが、それをその日その日で集計をいたします。これに若干の日にちがかかりまして、一日でいっぱいになりましても集計が集まるのは三日になる。そこで大蔵省は、その三日で枠を超えたということで特恵輸入を停止することになっておりまして、その日に入ったものの集計がまとまりますまでには、入りました分については無税で入るということになっております。
○後藤委員 どうも私の頭が悪いのかよくわからないのですが、その実態はわかっているのですが、それではシーリング枠は要らないじゃないですか。しかも、関税暫定措置法八条の四で、超えた場合は八条の二、つまり無税の適用を受けないことになっているわけでしょう。そうすると、その技術的な面だけで逃れられるわけですか。これは時間がないので余り深くはやれないのですが、たとえば銅地金輸入が非常にふえてきている。これは資源問題との関連もありまして大変重要な問題である。あるいは関税プールの問題等についても実は触れたいわけですけれども、ここのところをぜひ聞かせておいてほしいのです。
 つまり、シーリング枠というものがあるわけでしょう。そして、法律としては、これを超えるものについては適用をしないことになっているわけです。それはただ技術的にそこの操作が三日の日からストップだなんということを言っているが、みんなわかるでしょう。どこかから潜水艦ででも持ってくるのですか。そうじゃないでしょう。ちゃんと鉱石運搬船に載せて、そして港に何という船がどういう鉱石をどこから積んで持ってきて、どこの保税倉庫に入れたということまでわかるのでしょう。それがあけてびっくり 千幾らの割り当てに五万トンもあったなんということは、そこでわかるのですか。
 帳簿の上ではそのとおりだと思います。しかし、皆さん方はこれは十分御存じだと思うのですね。これだけコンピューターが発達しておりますから、商社ではどこで幾ら積んだということは積み荷の段階からもうわかっていますよ。それは必要から入ってくるのでしょう。しかし、これに対して枠を設定しておるにもかかわらず、この特恵関税の恩典が全部あるということについてはわからない。技術的な問題はいいですから、どこでそうなっているのか、あるいはどこか改正することがないのか、それがわかるようにもう一度お聞かせをいただきたいと思うのです。
○福原説明員 先ほど申し上げましたように日別で管理しておりますので、たとえば四月一日に通関をしたものは、途中で枠いっぱいになったであろうと思われましてもその日は一日通関を認めざるを得ないということと、それから、一つの税関におきまして、果たして枠を超えただけ通るかどうかわからないということで、自分の税関では枠に達していなければそのまま通関させざるを得ないわけでございます。それを税関において集計しない限りはその日の結果がわからないということでございますので、やはりそこに事務的な問題で一日、二日のおくれが出るという、全く通関事務上の手続の問題というふうに私どもは聞いております。
○後藤委員 このことばかり言っていると時間がないのですが、答弁と私の質問が食い違っているのは、私の質問を御理解いただけないのかもしれないが、そのことを私は否定しているんじゃないのです。それは、確かに、シーリング枠を設定しましても、港が多いし、いま言ったように、本当を言えばそんなものは全部わかるはずなんです。わかるはずなんですけれども、それはわからぬといたしましょう。そして、枠を設定した以上に入ってくるとしましょう。それを私はけしからぬと言っているのではないのです。枠を超えたものについて何で特恵が認められるんですか。無税ということですね。まさにわけがわからない。だから、それについては一定のペナルティーが科せられるということが当然あっていいんではないですか。そのペナルティーのかけ方は、駆け込みで早く来た者、先着順ということにもならぬでしょう。それはいろいろ方法があるでしょう。それは幾らでも検討すればいいと思うのですが、せっかくこの関税暫定措置法で、八条の二、八条の四等でこういうようにしてあるのです。そして、しかも、繊維等については、これは法律の裏づけがあるのでしょうけれども、事前割り当て制というものがとられている。先ほど長官は事前割り当て制をやりたいと言われたが、そういった問題についてこういう事態があって、これは明らかに矛盾だと私は思います。これはきょうは時間がございませんので答弁は結構でございますけれども、ぜひ根本的に考え直していただきたいと思うのです。
 次に、備蓄構想等について御質問をしたいわけですけれども、この非鉄金属は、大臣も答弁の中でも触れておられましたけれども、国際市況に大変影響される鉱産物です。したがって、だれが考えても備蓄ということはすぐ頭に描かれる構想なんですね。安いときに買っておいて高いときに市場に出す、そして、もちろんそれをユーザーも安定的な価格で購入する、鉱山も安定的に操業ができる、こういう構想は素人でもすぐに浮ぶ構想だと思うのですが、こういう備蓄構想というものは大体いつごろからあったのか。簡単で結構ですが、これを少し歴史的に――これは長官の方がお詳しいと思いますので、長官からお聞かせいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 実は、私も資源行政は今回が初めてでございますのでそう詳しくはないのでございますが、私が役所に入ったころからいたしまして、特に、銅地金につきましては、緊急輸入と緊急輸出を繰り返しておったといったような事態を記憶いたしております。国内で銅が非常に逼迫してきたからということで緊急輸入の手配をしたところが、その荷物が入るころには需給が緩和してきており、その結果、多額の資金も必要とすることゆえ今度は緊急に輸出したということで、日本経済にとっても関係業界にとっても非常にマイナスの多かった事態ということも記憶いたしておりまして、したがって、もうそのころから、二十数年も前から、そういった備蓄をバッファーストックとして位置づけるか、ストックパイルとして位置づけるかは別といたしまして、備蓄問題については、私が知る限り戦後ずっと常にあった問題であり、それが昨年の秋以降ようやく実現したというふうに理解いたしております。
○後藤委員 これを調べてみましても、昭和二十年代から滞貨買い上げ機関設置の動きがあったというように歴史は教えてくれているようですね。長い歴史なんです。ただ、私が業界もけしからぬと思いますのは、好況になってしまうとすぐにあの不況時の苦しみを忘れてしまう。坑内に働く労働者のことは全く考えていないんじゃないかということ、これがもうどうにも私はがまんができないのです。ですから、先ほども申しましたように、あの臨時措置法なんかも簡単に廃止してしまう。そして、後で困ってから困った困ったと言う。業界の方はそう困らないのかもしれませんがそこで働く労働者はたまったものじゃないと思うわけです。
 長官、先ほども言いました安定法の附帯決議に基づきまして日本銅振興協会というものが三十八年につくられましたですね。これは拠出金はユーザー、製錬会社が合計二十八億五千万円出してやったという。そして、三十八年四月から三十九年上期末までの間に交付した額が十一億一千二百万円だと言われる。残りの十七億円余りと、それに利息をつけた約二十四億円というものについては、これがつまりあの臨時措置法の廃止のころに価格暴騰をいたしまして、そしてもうこれはおしまいだ、任務は終わったんだ、さあ、残った二十四億円をどう使おうかということで、みんなで分配してしまった。もっとも、分配した先が、ロンドンのジャパン・メタルセンターだとか、資源大学校だとか、銅振興基金だとかに使われておりますから、どこか銀座のバーで飲んでしまったということではないと思うのですけれども、しかし、せっかくの当時の二十四億円の金が、もう少しみんなでそういうファンドというものをつくっておればもっと有効に使えたのではないだろうかというように実は思えてなりません。
 それと、こうやってユーザーと製錬会社が金を出し合ってこういうようなものをつくり上げていき、それがまた好況になったらつぶれていく。あるいは地金輸入の問題等にいたしましても、免税点の問題で、税金一万五千円が地金についてはかかっていって、鉱石についてはかかりませんですか。あるいは特恵関税の問題にしても、こういうペナルティーをかけていくとか、あるいは免税点を設定しておる。そのことによって鉱石を輸入して、それを上乗せをして市場に売っている。当然そこでは不労所得というものもあるだろうと私は思う。そういった税の問題だとか、関税の問題だとか、あるいは石炭のスクラップ・アンド・ビルドの中で残存炭鉱がトン当たり負担をして、ビルド鉱が負担をしてスクラップ鉱に対するいろいろな手だてをしていったとか、こういうようなことを全体にやっておるのですけれども、金属鉱業については通産省の行政指摘が余り積極的でないのか、あるいは業界がもうけるときには一生懸命にもうけて、そうでないときには労働者を首切ってしまえばいいんだというような立場なのか、いずれにしても、こういう問題についてお互いが連帯をし合いながらやるということをしない。
 国内鉱山を持っておる製錬が主たる企業と製錬だけの企業といろいろな違いがあり、それからまた品種も違う、賦存状況も違う、賦存条件が違うというようなことが重なってなかなか意見が一致しないのでしょうけれども、少なくとも地下資源に働く業界として、そこで経営をする業界が手をとり合ってやらなければならないわけですが、いまは銅が苦しい、いまは硫化鉱が苦しい、いまは亜鉛だというようなことで、いつどういうようになっていくかわからぬじゃないでしょうか。これだけ国際的にむずかしい段階ですからね。だから、そういうファンドをつくって、困ったときにはそれで救済していくという制度がどうしてもとられていかなければならないと私は思うわけですけれども、この点につきましてもう一度長官に伺いたい。
 備蓄の問題だとか、あるいは単なるカルテルで当面を糊塗して逃げるということではなくて、国内資源の安定確保のためにこの備蓄制度というものをどう考えていけばいいのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘の備蓄につきましては、五十二年度について五十一年度の形で継続するということで現在考えておるわけでございますが、まさに、御指摘のとおり、備蓄の持つ効用と申しますか、鉱業政策の中で備蓄制度をどう位置づけるかということは非常に重要な問題だと思います。
 それは、先ほども少し触れましたが、バッファーストックという形にするか、あるいはストックパイルという形にするか、いずれにいたしましても、一つには需給の均衡を図るということ、一つには資源の少ないわが国として、いわゆるセキュリティーの立場から一定量のものを持っておくということも必要だろうと思いますし、一方、資源産出国との関係について見ますと、そういった国に対して貿易がきわめて伸びるとか、あるいはきわめて減少するとか、振幅の差がはなはだしい場合にはそういった資源産出国に対しましてもやはり多大の影響を与えるということにもなろうかと思います。したがいまして、国内的には需給事情あるいはセキュリティーの観点から、対外的には資源産出国の経済発展を安定的に維持するといったような意味合いにおきましても、備蓄制度の持つ意義というものは大きいと思います。
 そういった観点に立ちまして、鉱業政策の中にこれをどのようにビルトインしていくかということについては、半年ほど前にスタートしたばかりでございますが、これを軌道に乗せると同時に、本来的な鉱山政策の一環として確立する方向で考えていきたいと思うわけでございます。
○後藤委員 それに関連いたしまして、七十七国会で衆議院の商工委員会で附帯決議をされている中に、金属鉱産物の備蓄については対象品目の拡大をすべきであるということがあります。これに対する大臣発言でも、この附帯決議を大いに尊重してこれからの施策に生かしていきたいという御発言をなさっていると思いますが、この対象品目の拡大をどう考えていくか。拡大する品目が全然なければこういう附帯決議は要らないわけですが、硫化鉱等はその中に加えることが考えられるのかどうかということを御答弁いただきたいと思います。時間がございませんので簡単にお願いします。
○橋本(利)政府委員 硫化鉱を対象として考えるというところまでの検討をまだ終わっておりません。備蓄に頼るかどうか、あるいは備蓄の効用といったものについて、硫化鉱について即物的に検討する必要があろうかと思います。
○後藤委員 硫化鉱の問題を私が言いましたのは、私が申し上げるまでもなく、製錬所の随伴硫黄だとかあるいは回収硫黄だとかということで、世界的にも優秀な硫化鉱の柵原の鉱山が実はいま大変な事態に追い込まれようとしているわけです。あの硫化鉱というのは、鉱害等との関係があって大量貯鉱というものはなかなかむずかしいだろうと私は思うのです。だから、鉱物でなければならないというわけではないので、これは地金貯鉱というものもあるわけですから、したがって、これを硫酸にするなり、あるいはさらに肥料にするなりという方法も考えられると思うのです。つまり、そういう文字づらの解釈ではなくて、拡大解釈をしていきながら考えていただきたい。つまり、非鉄金属関係全体の連帯の上に立って問題を考えていくというようにしていただきたいと思うわけです。
 S源の問題については実はいろいろとお聞きをしたいと思っておったわけですけれども、これは要望にさせていただいておきたいと思いますが、特に、私は柵原に行ってみましたけれども、あの百数十億円もの資本金の同和鉱業がまさになりふり構わず、硫化鉱をどのように高度利用していくかということで本当に涙ぐましい努力をしているのです。それに対して通産省はもっと技術開発の面におきましても助言があっていいと思いますし、そういう研究開発についての資金援助等もあっていいと思うのですが、これが全くなされていないように私には思えてなりません。
 特に、この金属鉱山というのは、高度成長の過程で大変大きな役割りを果たしてまいりましたが、とりわけあの柵原鉱山というのは、戦後の増産体制の中で、あの鉱山から出てまいります硫化鉱を焙焼して肥料をつくっていったことがどれだけ私たちの食生活を潤してくれたかわからないわけです。こういうすばらしい鉱脈を持っております。しかも、賦存状況は千万トン以上あると言われている。可採埋蔵にいたしましても、百数十万トン賦存しているということも言われているわけです。これに対して通産省としては、もっとつぶしていく合理化提案がなされているようですけれども、見殺しにしていかない対策をとってもらいたい。特に、あそこには片上鉄道等も走っております。これはすばらしい鉄道です。沿線住民三十万の人々が住民の足として使っているわけです。あるいは百床のベッドを持っております病院もあります。広大な土地もあります。こういったところをぜひひとつ生かしていくように御協力、御指導をお願いしたいと思うわけです。特に、海外経済協力あるいは海外援助等も五千五百億円ばかりも行われているようですが、ですから、それを肥料にしていって、そして有償、無償の海外援助等にも使っていくというような道も考えていきながら、このS源対策というものをぜひひとつ通産省としてお考えをいただきたいと私は思うわけです。
 あともっといろいろと申し上げたい問題がいっぱいあったわけですけれども、それは次の機会にぜひ時間を与えていただくことにしまして、きょうは、金属鉱業政策の基本的な考え方について、そしていま一番困っておりますS源対策について通産省としての積極的な御指導をいただき、いま当面まさに非常に困っております柵原鉱山等に対してぜひ御援助をお願いしたいということを申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○中島(源)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十一分開議
○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。西中清君。
○西中委員 きょうは三点についてお伺いをいたしたいと思います。
 最初に、原子力発電所の問題についてお伺いをいたしますが、電源開発、とりわけ原子力の開発は何といっても国民の合意を取りつけるということが非常に重要なことでございます。この点は政府もしばしば強調されておるところでありますが、したがって、原発は本当に安全なのかどうなのかという国民の疑惑に対して、やはりそれなりの保証を十分に取りつけ、また、安全性の万全の体制を整えることはぜひとも必要な問題であろうと思います。
    〔武藤(嘉)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
 この点について具体的な問題として私はお伺いをいたすわけでございますけれども、福井県の高浜原発は現在一号機、二号機、百六十五万二千キロワットの設置がなされております。関西電力では五十八年夏をめどに同程度のものを新たに二基、三号機、四号機を設置するというような計画を持っておると聞いておりますが、この計画はどうなっておるのか。
 現在、福井県下には、建設中のものも含めまして原発九基、さらに加えて高浜に二基、さらにまた動燃開発事業団の高速増殖炉建設の計画等々、原発の設置が集中化いたしておるわけであります。このようなわずかの地域にたくさんの原子力発電または高速増殖炉をつくっていくという点については、安全性の上で問題があるのかないのか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 御指摘のように、集中して立地する計画があることは十分承知しておりますが、先生がお話しになりましたように、原子力開発を進めるためには地元の了解を取りつけることも当然でございますが、まず、何よりもそういった集中立地した場合にも安全性が阻害されないという担保が必要であろうかと思いますので、そういう観点に立ちまして十分に安全審査をやって、御懸念のないようにいたしたいと考えております。
○西中委員 そのためには地元が十分納得できる体制をとることと、また、話し合いというものが必要だと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
○橋本(利)政府委員 御指摘のとおりだと思います。
○西中委員 そこで、高浜町のこの一号機、二号機は、昭和四十九年と五十年にそれぞれ運転を開始いたしました。その上に今度は三号機、四号機の増設の計画を進めておるわけでございます。ここで、この高浜の原発と隣接をしておる地域、たとえば京都府の舞鶴市、綾部市というところは隣接地帯でございますが、特に舞鶴の場合は原子力発電所からおよそ三・五キロのところに近接をいたしております。発電所から高浜町の中心街までは約四キロであります。したがって、舞鶴市の場合は、隣接市町村という感覚よりも、原発そのものが町にあるという感覚で受けとめられておるわけでございます。舞鶴の一番繁華街のところまでの距離を見ましても十キロと離れておりません。
 ここで、この設置について電源開発調整審議会の決定をする場合に、最終的に総理が認知をし、そしていろいろと手続を経た上で着工という段取りになるようでございますけれども、その前提として都道府県知事の同意が必要だというふうに私は聞いております。ですから、原発所在の当該市町村におきましては知事の同意が当然必要とされておると思いますが、いま申し上げましたように、この近接しておる京都府の場合、知事の同意を得ることが当然ではないかというように私は認識をしておるわけでございますが、この点はどうでしょうか。
○喜多村政府委員 電源開発を進めるに当たりましては、環境問題でありますとか、漁業権との調整その他立地地域に直接かかわる諸問題を解決していくことが重要でございます。このため、電源開発基本計画に個別地点を組み入れるに当たりましては、関係省庁間で事前に十分検討を行いますと同時に、地元の意向を尊重するという観点から関係都道府県知事の意見を聞いております。審議会の運用として意見を聞いております。
 したがって、御指摘の高浜のケースでございますけれども、現在のところは、五十二年度の候補地点としてこれから関係省庁間で検討を始めるということを予定している地点でございます。したがって、これが候補地として挙がってきました場合には、当然に関係省庁での審議、検討の結果を踏まえまして、経済企画庁におきましても隣接府県の地域事情を考慮することが必要である、こういうことが認められます場合には当然に当該地元の意向を尊重するように配意していきたい、それで、同時に、必要があれば隣接府県知事の意見を聞くことといたしたい、こういうふうに思っております。
○西中委員 隣接知事または市町村の意見を聞くということは、同意が必要なのか、必要ではないのか、単なる意見を聞くのかどうなのか、その辺はどうなんですか。
○喜多村政府委員 電源開発促進法によりますと、必要がある場合には都道府県知事の意見を聞かなければならないということになっております。しかし、問題がこういうことでございますので、当然にそれは意見を聴取する、そして、その知事さんというのは当然地元の意見、地元の動向等を十分に観察し、また知悉しておられる立場において意見を申し述べられるでありましょうから、この意見は十分に尊重しなければならない、こういうふうに考える次第でございます。
○西中委員 一号機、二号機の場合はどうだったのですか。
○喜多村政府委員 一号機、二号機の場合でございますが、このときはまだ電源立地に関します社会的な要望がこのように緊迫しておりませんような時代でございましたのでそういうことはいたしておりませんが、電調審では、それ以後の運用方針といたしまして先ほど申し上げたようなことをしておるわけでございます。
○西中委員 ですから、一号機、二号機の場合では、舞鶴市はまずつんぼさじきのままに置かれたというのが実情でございますが、その点はお認めになりますか。
○喜多村政府委員 舞鶴市のみならず、福井県におきます隣接市町村においてもそのようでございました。
○西中委員 遠く離れておるところならともかく、少なくともこのような近接しておる地域において、具体的な形でこの審議会に対して知事の同意を得るのが筋ではないか。少なくとも福井県の知事の同意は当然でありましょう。しかし、京都府の場合も必要だと思いますけれども、そのようにこの運用を考えるつもりはありませんか。
○喜多村政府委員 先ほどお答えいたしましたように、関係省庁の審議の結果でございますが、その結果を踏まえて、当然にこれが隣接府県の地域事情を考慮する必要があるということでありますれば、私どもはそれを踏まえまして隣接府県知事の意見を聞くことといたしたい、こういうふうに考えております。
○西中委員 意見を聞くのは、単によろしいという口頭の問題なのでしょうか。それとも、何らかの具体的な議会の承認なりまたは知事の文書なり、こういうものを求めておられるのでしょうか。
○喜多村政府委員 これは審議会の運用としてやっておりますけれども、計画局長から関係知事に対しまして地元の意向を十分勘案した上での意見を求め、それを文書でもっていただいております。
○西中委員 そうしますと、今度の三号機、四号機は、京都府からその書類を求められますか。
○喜多村政府委員 たびたびお答えいたしまして恐縮でございますけれども、その必要があります場合にはそのようにいたします。
○西中委員 三・五キロの近接地帯で必要があるかないか、どのようにお考えになりますか。
○喜多村政府委員 距離の点からそのような関係に出てくるだろうと私も思いますけれども、これにつきましては私は十分な知識を持ち合わせておりませんので、はっきりとこれが関係があるということをここで明言するわけにもまいりませんが、いずれにいたしましても、環境庁なり通産省なりの十分な審議を経まして、私もそれを十分勉強しました上で考えたいと思います。
○西中委員 知事の同意が必要だという考え方の基本の中にあるものは、安全性ということが何といっても問題なんです。もっともっと離れている地域でもいろいろな協定が結ばれたりしておるわけでしょう。これでも必要がないとおっしゃるのですか。その点についてもう一度答弁してください。
○喜多村政府委員 原子力問題につきましては、先生のいまの仰せのとおり、安全性の問題について特に留意しなければなりませんので、電調審がこれを地点に挙げます意味といいますのは、これから電源開発を始める諸手続が始まる出発点ということでございます。したがって、それがありましたら必ず施設ができるかということではありませんで、それから電気事業法に基づくいろいろの諸手続を通しまして、その過程ではいろいろなチェックがなされるわけでございますけれども、そういうことになるわけでございます。
 原発につきましては特にその問題が重要でございますので、それから先には原子力に関する安全審査は別個に科学技術庁の方でおやりになるということでございまして、その過程で安全性を損なうということがもし仮にそこから出てまいりますれば、それは実施できない、こういう運びにしてございます。
○西中委員 そうすると、意見を聞くのに反対されたらどうなるのですか。隣接の知事が拒否したらどうなるのですか。お答えください。
○喜多村政府委員 意見を聞くということは、ただ単に形式的に聞くわけではございませんで、やはり、それが地元との利害調整なりあるいは安全についての調整が十分につくということでございますから、都道府県知事の拒否がありますれば、実態上それは実施することはむずかしかろうと思います。
○西中委員 隣接府県の知事が拒否をした場合はむずかしい、審議会としても受け入れられないだろう、こういう判断ですね。
 そこで、今度は、地元の舞鶴が拒否をした場合はどういうことになるのでしょうか。
○喜多村政府委員 地元でございますけれども、私たちの扱いといたしましては、個々の市町村についてそれぞれ聞くことはいたしませんで、都道府県知事にあらかじめ隣接関係市町村での意見なりあるいははその調整がどういう形になろうかということをお伺いいたしますので、知事にお願いをしているということでございます。
○西中委員 そうしますと、実際に近接しておる市民の意向というものは間接的にしか反映されないというシステムですね。私は、こういうシステムについてかなり疑問を持っておるわけです。一号機、二号機は、言うならばつんぼさじきのうちにでき上がってきた、三、四号機についても反対の意向は示しておるけれども、何ら法的に保障がないから、また対抗手段がないから、恐らくこのままできるだろうという、こういう非常な無力感が舞鶴にはただよっているというのが事実であります。
 私は、行政上の区画と原発の問題は本質的に違うと思うのです。むしろ、いまある制度というもの、またはいろいろな取り決めというもの、これについては行政上の単なる線引きをされた部分についてどうこうというのではなくて、やはり、運用上のそれなりの配慮をしなければまずいのではないか。
 これは現在のところ高浜だけの問題でございますけれども、いま話が進行しておる久美浜町という例をとれば、これもまた兵庫県と隣接をしておるわけであります。こういった問題が後から後から起こってくる中において、こういう点ではっきりした方針を打ち立てることが必要だと思いますが、どうでしょうか。
○喜多村政府委員 各市町村単位での御意見というのは関係省庁で十分お聞きになりますでしょうし、実質的には私ども陳情とかあるいは事情説明ということでお伺いいたしておりますが、形の上では、電源開発促進法に言いますところの都道府県知事の意見を聞くということでやっておりますので、今後も形の上ではそのようにいたしたいと思いますが、実質的にはいろいろと先生の御心配のことも私どもは当然考えておりますので、そのようにいたしたいと思っております。
○西中委員 陳情等をお聞きになっておるようですけれども、大体これはナシのつぶてというのが通例でございますが、現実に舞鶴市におきましても一号機、二号機と同じようなことになるのじゃないかと思うのですが、これの対抗手段というものは事実上何もないというのが実情でございます。
 その一例を挙げてみたいと思いますが、着工に至るまでの過程で、後になる場合もあるかもしれませんけれども、安全協定なるものが地方自治体と電力会社と――あるいは県とか漁業組合とかいろいろな形があるようですけれども、結ばれておるわけでございますが、この安全協定は一体どのような地方自治体と結ぶべきか、電力会社に何らかの指示をされたことはございますでしょうか。
○橋本(利)政府委員 御指摘の安全協定あるいは地元協定と称するものにつきましては、これは電力会社と当該県あるいは市町村との間で締結するものでございまして、特に際立ってわれわれとしてはこれを指示するという関係にはございません。
 ただ、電源開発に当たりましては地元の理解と協力を得ることが必要でございますので、当事者間においてさような地元協定が結ばれ、立地を円滑化するということは、私たちといたしましても好ましいことと考えておるわけでございます。
○西中委員 常々、原発は安全だというように電力会社は宣伝にこれ努めているわけですから、隣接市町村が電力会社に対して要求すれば、この協定を結ぶのが当然の筋ではないかと私は思っております。
 関西電力の場合は当該市町村とだけしか協定を結んでいないが、隣接市町村と締結しておる例はほかにございますでしょうか。
○橋本(利)政府委員 いままでのところ、さようなケースはないというふうに思っております。
○西中委員 隣接ですよ。他の府県で、もう一度正確に御答弁ください。
○武田政府委員 お答え申し上げます。
 原子力発電所、十数基ございますけれども、全国大で申し上げますと、施設を設置している隣りの市町村と結んでいるケースがございます。
○西中委員 隣接市町村と原子力発電所との距離はどのくらい離れておりますか。幾つかの例を挙げて教えていただきたいと思います。
○武田政府委員 いま距離の正確なデータは手元に持っておりませんので少し推量が入りますが、隣接市町村の一例といたしましては、中部電力の浜岡の原子力発電所が御前崎と結んでいるケースがございます。これは、御前崎の町のうちの一番近い場所は、ちょっと私の想像が入りますけれども、行ってみました感じではほぼ二キロか三キロぐらいだったような気がいたしますが、ちょっと正確ではございません。
 それから、一方もう一つ中国電力に島根発電所がございます。これは松江市も協定の対象に入っておりますが、松江市の場合には松江市の地域の一番近いところがあるいは四、五キロであったかとも思います。
 いまの数字はちょっと不正確でございますので、もし正確な数字が必要でございましたら、後ほど調べましてまた御報告をさせていただきたいと思います。
○西中委員 浜岡原子力発電所の場合は、これは各役場までの距離ですが、御前崎が五・九キロ、相良が九・五キロです。それから島根発電所の場合は松江市まで五キロです。大体、およその距離はそんなところでございます。
 ですから、舞鶴市におきましても安全協定を結ぶのが当然妥当ではないかと私は思いますが、舞鶴市に対して関西電力は拒否をしているというのが実情でございます。
 経過を簡単に申しますと、四十六年、市会で、安全操業を確認ができるまでは操業停止という決議をし、政府機関に要望しましたけれども、これは何の返事もございません。昭和五十年十月には関西電力に協定の締結の申し入れを行ったけれども、拒否をされております。五十一年も同じようで、返事もございません。この拒否の理由は、口頭でございますけれども、隣接との協定の前例がないということが理由になっておるわけでございます。市当局としては書面での回答を求めましたけれども、口頭でしか回答していない。市会では議会のたびにこれが問題になっているというのが実情でございますけれども、一方的に拒否をされて、舞鶴市としては対抗手段が何らないというのがいまの取り決めであり、法の欠陥でございます。
 大臣、このように電力会社が一方的に拒否したら安全協定すら結べないというのが実情でございますが、この舞鶴市民は建設にも関与はしない。ほとんど意向は反映されない。しかも、また、安全協定も結んでもらえない。こうして何年も何年も放置されておる。そこへ持ってきて今度は三号機、四号機を設置する。いままでの質疑の中で、先ほどもちょっと御答弁をいただきましたが、近接の知事が反対すればこれはやはり考えなければならぬという御答弁でございますから若干意を強くしておりますけれども、こういう電力会社のかたくなな態度がよけいな不安感を生んできて、また、それが発電所に対して協力できないというような、国民の合意を得られない一つの原因にもなっているのであろうか、と、私はこのようにも思いますが、いかがお考えでしょうか。
○田中国務大臣 先ほど来のお話を承っておりましても、そういうふうに地元との間に気持ちの上でいささかでも断絶があったのでは一番いけないし、今後原子力発電をエネルギー対策の上から進める場合におきましては、やはり、地元の方々の心からなる理解と協力を得られなければなりませんし、また、同時に、それを地元において取りまとめておられる地元の県あるいは市町村の方々とも篤と話し合いをしなければいけませんし、また、それに対して会社当局の方がそれだけの努力を怠っておるようなことではまことに相ならぬのでありまして、かような状態が円滑にいきますようにわれわれの方といたしましても一段と推進してまいりたい、かように考えております。
○西中委員 ですから、今日の国民感情から言って、電力会社は神経を張り過ぎるくらいに張って、配り過ぎるくらいに配って、そしてこれくらいのことは応ずるということが当然妥当な線だと私は思います。
 ですから、こういうように拒否をして通るものならば、やはり対抗上何らかの義務づけを政府は考えるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○橋本(利)政府委員 法律で義務づけるかどうかは別といたしまして、ただいま大臣が申し上げましたように、やはり、電源立地を進めるために地元の協力が前提になってくるわけで、そのためには、御指摘の舞鶴市はいわゆる隣接地域ではございますが、会社側が舞鶴市との間に地元協定を結ぶべく話し合いに入ることを期待するわけでございますが、状況によりましてはそのような方向で指導してまいりたいと思います。
○西中委員 ただいま指導するというように言っていただきましたので、非常にありがたい気持ちでおりますけれども、これは役所の方から、政府の方から関西電力に何とかきちっと伝えていただきたいと思います。これを要望しておく次第でございます。
 同時に、発電用施設周辺地域整備法によりまして、電源立地促進交付金、原子力発電安全等対策費等につきましても、高浜町が六億数千万円、舞鶴が一億三千余万円、もちろんこれは行政上どこかで線を引かなければならない、これもよくわかります。しかしながら、先ほどから言っているように、同じ隣接と言っても、うんと離れているところもあれば近いところもある。この辺のところは、きょうは時間がありませんから、この中身はなぜ差がついているかという御説明は要りません。大体お聞きしておりますからいいですが、ただ、先ほど言ったように、この着工について、要するに設置についても何らの対抗手段もない。また、条件をつけることもできない。しかも、安全協定も結んでいない。しかもまたこういう各種の交付金、補助金といったものも非常に少ない。いろいろなことがあるわけですね。ですから、三・五キロから接しておる舞鶴市がまるでつんぼさじきで冷淡に扱われているという印象を市民が持つのはあたりまえだろうと私い思います。そういった点で、予算措置についてももう少しこういうケースについては配慮をするのが納得しやすいのではないかと私は思いますけれども、御意見はどうでしょうか。
○橋本(利)政府委員 発電用施設周辺地域整備法、ただいま御指摘の法律でございますが、この法律によりますと、交付金配分の基礎となる整備計画の作成は都道府県知事にゆだねてあるわけでございますし、また、都道府県知事は整備計画を作成しようとするときには、関係市町村長、地元関係者等の意見を聞かなければならないという規定になっておるわけでございます。このような手続を経て作成されてまいります整備計画に基づいて交付金の配分を行うわけでございますが、かような措置によりまして地元の事情が十分に整備計画に反映されてくる、地元福祉の向上という観点からいたしまして万全を期し得る措置である、かように考えておるわけでございます。
○西中委員 いま私が申し上げましたことは、いろいろと法律上の問題や制約があることはよくわかっておりますのでこれ以上突っ込みませんけれども、しかし、非常に近い地域、しかも他府県、こういう状況についてはもう一度御検討いただければな、と、このように思うわけでございますが、大臣、どうでしょうか。
○田中国務大臣 できるだけ貴意に沿いたいと存じます。
○西中委員 ここで、私は、次の点についてお伺いをします。
 伝統的工芸品産業の振興に関する法律についての御質問をいたしたいと思いますが、これは施行されましてから日にちも年数もまだそうだっておりませんので、実績についてはそう十分なものが出ていないということは私もよくわかるわけでございますし、いろいろとネックもあろうかと思います。そして、この法律が施行されて、現状において伝統産業工芸品に従事している人たちにとっては、これはありがたい法律だというような実感はまだ出ておらないわけでございます。
 これは運用上にも数々の問題があるのではないかと私は思っておりますが、まずお聞きをしておきたいことは、この伝統工芸品の指定を申し出た件数及び指定の状況、さらには振興計画の認定の状況等について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○藤原政府委員 お答え申し上げます。
 伝統的工芸品産業の指定と計画の認定でございますが、四十九年度十一、五十年度四十六、五十一年度八十二というのが指定した数でございまして、計画を認定いたしましたものが四十九年度三、五十年度二十五、五十一年度五十一という数になっております。
○西中委員 認定を受けて振興計画が出ておらないというのはどれくらいあるでしょうか。
○藤原政府委員 先ほどの数字で私の言い方がちょっと不十分でございましたのですが、指定されました数字は年度累積でございまして、五十一年度までの累積が八十二が指定でございまして、計画を認定いたしましたものの累積が五十一でございます。したがいまして、その差額三十一につきましてはまだ計画が出ていない、こういうことでございます。
○西中委員 京都府の場合は十一品目、これが指定されまして、振興計画はまだ一品目しか出ておらないというように聞いておりますが、その点は間違いないかどうか。そして、その進行状況が非常に悪いわけでございますけれども、その理由はどういうところにあるのか、お伺いしたいと思います。
○藤原政府委員 いまお話がございましたとおり、京都府につきましては、指定いたしましたものが十一でございまして、計画を認定いたしましたものが京鹿子一件でございます。
 ほかに比べて京都府が遅いという点につきましては、私どももいろいろと計画の推進を指導しているわけでございますけれども、実は、京都府関係の伝統工芸産品の関係の業者の方が他地域に比べて非常に多うございまして、計画が地元で成熟するのになかなか時間がかかっておる、私どもの方といたしましては極力その推進方を行政指導いたしておる、こういう状況でございます。
○西中委員 いろいろおくれておる理由はあると思いますが、その一つに、計画書の作成が、非常に繁雑で複雑だという声が非常に高いわけでございますけれども、この点はどうお考えになっておりますでしょうか。
○藤原政府委員 お話のとおり、計画書の認定につきまして事務上の問題が相当あることは確かに事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては毎年認定事務の促進を図るべく合理化等の努力をいたしておるわけでございますが、なお、振興計画を作成されますに当たりましても、伝統産業に従事しておられる方々の中ではそういうふうなものに余り習熟されないという方も確かにございますし、なかなかめんどうであるということも伺っておるわけでございます。したがいまして、私どもは、計画の申請の様式の簡素化とか、あるいは記入要領とかマニュアルのようなものを作成して配るとか、こういうふうなことをやりまして、特に五十二年度予算におきましては、小規模産地の計画作成指導事業というもののために予算を一千万円ばかりちょうだいすることにいたしておりまして、振興協会にこの予算を与えまして、ここで指導に直接当たらせるというふうなこともやりたい、このように考えておる次第でございます。
○西中委員 その計画書ですが、簡素化するつもりはございませんか。非常に大変なんですよね。
○藤原政府委員 まあ、目的を達成するためにはある程度の計画書というものはどうしても必要でございまして、それを余りいいかげんなものに、と言ってはあれなんですが、するわけにはまいりませんが、極力簡素化いたしまして、つくりやすいものにして指導してまいりたい、このように思っております。
○西中委員 それについて、また毎年の報告書を出しておりますね。これがまた大変な複雑な手間のかかる作業でございまして、協同組合につきましては非常な負担になっておるのですが、この点はどうでしょうか。
○藤原政府委員 年度別の計画を出していただいておりまして、それにつきましても簡素化を図っていきたいと思っておりますし、全般にわたりまして確かにいろいろと御要望の向きが多うございますし、伝統産業につきましては特に非常に小規模のところもございますし、私ども、実情に即するような形で運営をしてまいりたい、このように思っております。
○西中委員 先ほどお話しの五十二年度の一千万円の計上されました予算は計画書作成だけに充てられる金なのか、それとも、この報告の繁雑なものについても考えておられる一千万円なのか、その点はどうでしょうか。
○藤原政府委員 この予算は主として計画作成の方に充てるつもりであります。当面一番問題になっておりますのがそのようでございますので……。
○西中委員 いずれにしましても、今日まで零細な企業が非常に多いわけで、こういう事務手続のために組合等が大変な人件費を使ってやらなきゃならない。これは負担になっておるわけですね。ですから、できる限り簡素化していただきたいというのが希望でございます。十分の御検討をいただきたいと思います。
 そこで、一つの例を挙げますが、私は京鹿子しぼりの例を検討しましたが、この振興計画、予算は一体どれくらいになっておるのか、それから資金、自己資金、借入金、それから国の補助金、こういうものは一体どういう形になっておるのか、お知らせいただきたいと思います。
○藤原政府委員 京鹿子の振興事業計画の資金計画について簡単に御説明申し上げますと、五十一年から五十六年にかけまして、五年計画の総資金計画が五億三千二百九十七万円というふうに相なっております。このうち資金借り入れのあっせんをいたしますものが四億五千万円ということでございます。それで、当初の初年度につきまして六千二百二十七万円というのが総資金計画でございまして、このうち資金借り入れあっせんいたしますものが五千万円でございます。国の補助金といたしましては、このうち、後継者育成に関係いたします部分の所要資金の百三十二万円のうち四十四万九千円で、多額ではございませんが四十五万円ばかりが国の直接補助金と相なっております。なお、地元の府及び市からの補助金が百五十万円ということでございまして、実質的自己負担が約一千万ぐらいという勘定に相なっております。
○西中委員 いまのお話を聞いておりましてもわかりますように、かなりの計画を立てておるわけでございますね。それに対して補助というものが非常に少ない。当然、この計画の中にはいろいろと工場を直したりというようなものが含まれておりますから、私はこれを全部補助の対象にせよという論議はいたしませんけれども、しかし、いずれにしても、この伝統産業のねらいというか、そういう面からいくと非常にお粗末と言えば悪いですけれども、微々たる補助になっておるというのが実情でございます。
 そこで、予算措置についてお伺いをいたしますけれども、伝産法第五条では補助金を出すことになっており、これに従っていろいろな金が出ておるわけですが、個々の協同組合に対してはどのような補助金を出しているか、実績を御説明願いたいと思います。同時に、また、京鹿子しぼりの場合は幾らの補助金を出したのか、これをお伺いします。
○藤原政府委員 国の補助金といたしましては、後継者育成というところが最大の重点であるということで、この項目について補助金を出しておるわけでございまして、五十二年度予算といたしましては、後継者育成に全体といたしまして五千九百六十三万五千円ということに相なっております。そして、先ほど申し上げました京鹿子しぼりの補助金は、後継者育成に対しまして四十四万九千円ということでございます。
○西中委員 個々の協同組合等に直接関係のある補助金は、いまのお話によりますと、四条一号の後継者育成、すなわち研修費だけということでございますね。
 ところで、伝産法の条文からまいりますと、振興計画の内容で要求しておることは九項目にわたっておるわけでございますね。しかし、補助金を出されたのはこの後継者育成だけで、しかもそれが研修費だけで、あとの八つの項目に対してはこのお金の手当てがほとんどなされておらぬというのが実情です。これはおいおい何とかして予算化していくというお気持ちはございますでしょうか。
○藤原政府委員 私どもも、できれば助成措置はなるべく手厚くしてまいりたいというふうに考えております。
○西中委員 研修費のことでございますけれども、講師の謝礼及び教材費というふうに聞いておりますが、講師の謝礼はどのくらいの謝礼を出すような補助になっておりますでしょうか。
○藤原政府委員 講師謝礼のことでございますが、予算単価といたしましては、実は二千七百七十円ということでございますが、現実には、時間数等を調整いたしまして、なるべく実情に合ったような方向で運用をいたしたいと思っております。
○西中委員 何時間しゃべるか知らぬけれども、これでは余りいい講師は呼べないと思いますね。しかも、結局これは組合の負担としてかなりのお金を出して講師を招かなきゃならない、こういう負担増につながっておるわけでございます。九項目のうち金が出ているのがたった一つだけで、これがまたわずかなお金です。これは全く実情に合わないのではないかと思います。こういうことで後継者が育成できるとお考えなのでしょうか。
○藤原政府委員 確かに、おっしゃいますように、講師の単価につきましても、一時間当たり単価等――これは統一単価てございますので何ですが、実際の運用上、実情に合ったような時間数等の調整をやらざるを得ないかと思っておるわけでございまして、私どももお金の面で十分とは考えていないわけでございます。
 また、伝統産業は本来いろいろ地元でも御協力を願っておる面もございますし、事業振興計画自体、そもそも従来から業者自体でも相当力を入れてやっておられた面もあるわけでございまして、その辺をあわせまして私どもはいろいろな指導面も含めまして極力推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
○西中委員 こういう細かい問題を申し上げたのは、実は私の本意ではないのです。あとの八項目、こういった問題も含めまして、要するに膨大な計画を立てなきゃならない。毎年毎年計画変更した分を報告しなきゃならない。大変な負担をかげながらこれくらいの国の処置である。あと全部お話しをしていると時間もございませんが、たとえば四条四号の「需要の開拓に関する事項」は、これは業者の努力も必要でありましょうけれども、何ら手助けがなされない。
 それから、これは六条でございますが、「資金の確保又はその融通のあっせん」というようなことが書いてございますけれども、実態はどうなのか。これはもう時間がございませんからお聞きいたしませんけれども、いまのところ大した実績が出ておらないわけでございます。たとえば国民金融公庫とか中小企業金融公庫で金利が八・〇%というような処置をなされておりますが、これは一般の中小企業より〇・四%ですか、少ないということはよく存じておりますけれども、たとえば京都独自でやっております伝統産業作業改善資金融資は年六・五%です。だから、この法律の処置によらなくてもこちらの方で六・五%で安いじゃないか、こういうかっこうになっておるわけでございます。
 それから、四条五号に「作業場その他作業環境の改善に関する事項」とありますが、この京鹿子の場合は何らのメリットも受けておらないというのが実情でございます。なぜかと言えば、こういう伝統産業というものは零細な企業で、家の中で仕事をしている。もしも作業場を改善するということになれば、家ぐるみ全部でやらなければならない。そうすると、居住部分は中小企業金融公庫だとか国民金融公庫では融資の対象にはならぬわけです。ですから、せっかくの御処置ではございますけれども事実上はこれが利用できないという問題がございますから、市中銀行とお話し合いをして九ないし九・五%の金利で借りておるのです。先ほど事業計画で五億数千万円とおっしゃったけれども、その中にこの金が入っておる。そうでしょう。ですから、実際上補助金はわずかで、中小企業金融公庫や国民金融公庫から借りようとしたって事実上は借りられない。八%という金利をつけていただいておるけれども、これは利用できないという状況です。
 この辺のところを改善する御意思はございませんか。
○藤原政府委員 御趣旨のようないろいろなケースがあるわけでございまして、いまお話がございましたようなケースにつきましては、中小企業金融公庫なり国民金融公庫の貸し出しの一つのルールがあるわけでございまして、それだけ特別扱いにして、一般居住部分まで含めてというふうなことはちょっと不可能であろうかと思いますが、私ども、金利の面その他はございますが、市中銀行その他も含めまして融資あっせん等はするということにいたしておるわけでございます。
 なお、制度全般として少しでも改善の方向へ今後とも検討してまいりたいというふうには考えております。
○西中委員 大臣、いままでのやりとりをお聞きになっておりましておわかりと思いますけれども、四十九年からですから、まだ二、三年という短い期間でございまして、私はそう厳しいことを申し上げるつもりはまだございませんけれども、現実としてはこういうようにほとんどメリットがない。しかも、計画はどんどん大きなものを立てた。しかし、これは口は出すけれども金は出さぬというような形にいまはなっておる。こういう実情でございますので、この伝産法に関する助成措置を、補助金または金融のあっせんということをうたっておるわけでございますから、やはり現実に即して今後もう少し御検討いただいてそれに対処していただくように私はお願いしたいし、ぜひともそういう気持ちを持っていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○田中国務大臣 篤と承りまして、私はまことに少額補助というような気がいたしますが、伝統工芸品とか伝統産業というふうなものの考え方が、指定を受けただけでレッテルが張られるということで、昔で言えば宮内庁御用達だとか宮中お買い上げというようなことで、御内帯金が絹何匹といったような光栄を感ずるだけというようなことでは今日の社会ではどうも通用しないような気がいたします。ことに、伝統工芸のようなものはこれを守っていかなければならぬ。ただ単に指定されたことがいいのじゃなくて、それを維持していくということが問題でございますから、その補助の問題につきましてもいろいろと今後改良を加えていかなければならぬ。
 ただ一つ心配なことは、むしろ大蔵省を中心とした少額補助打ち切りという傾向が非常に強いのでありまして、せっかくできました本制度を何とか維持し、さらにりっぱなものにつくり上げていかなければならぬ、かように考えております。
○西中委員 この伝統工芸品というものは、いまも大臣がおっしゃいましたけれども、単なる産業論理、生産向上、こういうものとは全く異質の問題でございますから、国民金融公庫にしても同じ論理で金融審査をされるということであれば、これは実際上は有効性がないわけなんです。そういうことも含めまして御検討いただきたいということを申し述べておきます。
 そこで、話は第三点目に移りますが、先日ある新聞を拝見しておりましたら、「二十一世紀のエネルギー源のホープとして期待される核融合炉は燃料が無尽蔵である。海水中に含まれる水素の同位体トリチウムを燃料とするからだ。」というようなことが書いてありました。これは御承知のとおりだと思いますが、そして、果たしてこの核融合炉は一般に言われるように無公害なのかどうなのかというような問題が提起をされております。トリチウムというのは、私も専門家ではございませんが、新聞によりますと、放射性物質で、ベータ線を放出し、その半減期は十二年余りだ、核融合炉はそれを毎日数千キュリーも使用する、現在の技術ではこのトリチウムが環境中に漏れるのを防ぐことはできないなどと述べられております。
 そこで、近く試運転が予定されておりました使用済み核燃料再処理工場は、これはアメリカの態度でどうなるか知りませんけれども、新聞記事ではここからも多量のトリチウムが海に放出されるということでございますが、それは事実かどうかをまずお伺いしたい。
 それから、事実とするならばどの程度出てくるのか、また、原子力発電所からこのトリチウムは出ておるのかどうなのか、この辺のところをお伺いいたしたいと思います。
○石塚説明員 再処理工場からトリチウムが出るかどうかという御質問につきましては、若干量のトリチウムが出るということは事実であります。ただ、動燃の再処理工場を建設するに際しましては、平常時及び事故時、そういった状態での環境への影響というものにつきまして昭和四十四年に原子力委員会が安全審査を行いまして、環境には何ら影響はないという結論が得られておりまして、その後建設に着工いたしたわけでございます。
 そこで、再処理工場からのトリチウムの出る量でございますけれども、現在の予想では、大気中には一日四十九キュリー、それから海洋には一日約百四十キュリー放出されるということになっております。この量は、軽水炉原子力発電所に比べますと、約数千倍から数百倍という値でございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、こういったトリチウムの影響というものにつきましては、原子力委員会の審査の結果でも、他の核種に比べましてその影響は全く無視し得る程度であるというような結論をいただいております。
○西中委員 ただいまの御意見はこちらの発表よりは若干古いわけでございます。先日の日本学術会議では、トリチウムはマウス、ラット等の生殖腺に影響を与えた、突然変異を誘発するとの研究結果が報告をされておるようでございますが、この点はどういうように御判断をなさっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○石塚説明員 トリチウムの生物学的な研究といいますのは、日本でも放射線医学総合研究所というところで進められておるところでございますけれども、外国の例によりますと、国際放射線防護委員会というのがございまして、そちらの方で勧告いたしております一般人に対する許容量というものがあるわけでございます。それの数百倍のトリチウムを毎日ネズミに注射等をして実験を行いましたところ、大体二十日間ぐらいでネズミの卵巣といいますか、そういうところの細胞の数が若干減ったという研究例が報告されているように聞いております。
 しかしながら、こういった小動物に対します研究の結果というものはそのまま人体に適用することはできないということも研究者のお話ということで承知いたしております。
○西中委員 このトリチウムが大気中やまた海水中にどんどん排出されて、累積したものがどういう結果を魚や人体等に与えていくのか、この辺のところは少し不確定な点も多いのではないかと思うのです。
 そこで、お聞きしますけれども、再処理工場にはトリチウムに対して何らかの予防措置をなさっておるのかどうか、人体に対するもの、さらにまた環境破壊、環境公害というような面の処置がなされておるのかどうか、御説明をいただきたいと思います。
○石塚説明員 再処理工場から放出されますトリチウムの量につきましては、その最大放出量というものが一応保安規程で定められておりまして、それを超えないような厳重な監視のもとに環境に放出されるということでございます。
 ただ、このトリチウムは、生物学的半減期といいまして、体内に入った場合には十二日間でその量が半分になってしまうということで、急速に体外へ放出されるという性質を持っておりまして、そういう意味では体内に蓄積されないというような核種でございます。
○西中委員 まだ研究の段階でございますから、そう確定的なことはだれも言えないと思います。したがいまして、危険の可能性を予測するということもやはり大事なことだと思うのです。現実にこの報告の中には若い研究者はこういった点で非常に心配をしておるということがございますから、この点については安全対策上からも十分なる配慮をして、研究の推進という面で将来に大きな禍根にならないように処置をとっていただきたいと思います。
 最後に御答弁をいただきまして、終わります。
○石塚説明員 そのような慎重な配慮をもって対処させていただきたいと思います。
○中島(源)委員長代理 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時二分開議
○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。玉置一徳君。
○玉置委員 私は、実は、ガソリンスタンド等々の規制につきまして、いろいろな陳情あるいは要請等々受けておるものですから、この問題について御質問を申し上げようと思ったのですでいたが、若干時間がございますので公取委員長においでいただきましたが、非常に御多忙ですのに急にお呼びしまして申しわけないです。
 そこで、公取委員長には今後の経済情勢の推移をどのように御認識いただいておるか、その認識のほどを聞かせていただきたいというようなことでありまして、細かい条文等にはわたる時間はございません。それはいずれまた独禁法その他が出ましたときにお伺いしたいと思うのです。
 まず、第一に、四十七、八年ごろのわが国の産業の非常に伸びておりましたときにお互いに大きく設備を整えたわけであります。増設したわけであります。したがって、四十九年一月一日ぐらいの第二次にわたります石油ショック値上げから今日まで、繊維産業を初め平電炉あるいは化学工業の一部というものが非常な過剰生産に悩んでおることは事実であります。人の問題等々がありまして、そういう雇用の安定等の国の施策が伴っていない間は欧米のごとくレイオフを直ちにするというわけにまいらぬのが日本の実情でありまして、その分潜在失業者を企業が非常に抱えておるというのも日本の特殊性だと思います。こういう中でやり得ることは、まず、何とかしてその場をしのぐのには過剰な部分をなくするしかどうしても方法がないという形になります。それは勢いカルテルであり、そしてそれに続いて構造改善を思い切って実施していくしか方法がない。
 それに対するものとしては、いわゆる国の雇用安定の施策を並行して打っていくということにつながるのではないかと思うのですが、そういう点で、緊急避難のカルテルというようなものをお考えいただくときに、日本の経済のいまの実態から考えてそういうものが間々あるのだというようにあなたはお考えになるか、それは事業がみんなつぶれてもいいから競争のままで飛んでいけ、それで全部ぺしゃんこになれ、あるいは一つや二つは残るかもわからないというようにお考えになっておるのか、お考えをお伺いしたいと思うのです。
○澤田政府委員 現在置かれております日本の経書のポイントに関する御質問でございまして、私も、いわゆる石油危機以後の日本の経済の置かれております状況は非常に重大であると考えます。高度成長に対しまして、その半ばにも及ばない成長に落ちたわけでございます。その高度成長時代につくられました膨大な設備、生産力というものが現在そのままあるわけであります。国際的にいろいろな条件に恵まれました産業、業種につきましては、自動車でありますとか、家電でありますとか、全然違った状況で繁栄しているものもございますけれども、数多くの業種が過剰能力の処理に悩んでおるのでありまして、不況下における産業界の悩み、構造的な悩みというものは御指摘のとおりであると存じます。
 そういうときに、独禁政策としてどういう運用であるべきかという問題になりますけれども、原則だけを申しますれば、もちろん不況下におきましても、あるいは産業の構造改善、体質改善という問題に関しましても、それが競争制限的な方向で行われますことは長い目で見ればかえって日本産業を衰弱させるということにつながる問題でございますから、よほどそこは気をつけて産業の活力が維持できるような方法をとらなければならないことも、これは申すまでもないところでございます。
 ただ、御指摘のように非常に難局に逢着しました業種、産業につきまして、それを体質改善なり構造の整備というものができますまでどうしておくか、具体的な問題に相なります。そのときに、それを一時安定させておいて、その間に体質改善を行い、基本的に違ってきた成長体制に対応できるようにしていくという配慮がもちろん必要でございまして、それが現在不況カルテルというふうな問題を取り扱う場合に加えらるべき配慮ではなかろうかと私は考えておるわけであります。
 したがいまして、主務官庁からいろいろ相談のある場合にも、いたずらに不況カルテルを繰り返して本質的な構造改善が伴わないままだらだらと過ごすということはきわめて遺憾なことであるから、ここで緊急事態を支えることはもちろん大事であるけれども、そういう体質の改善を伴うような方向でひとつ考えていただきたいという要請を繰り返しておるのもそういう意味合いからでございまして、日本経済は今後何年か非常に苦しい場面を経なければなりませんし、そういう調整をいかになし崩しに大きい破綻なしに遂げていくかということがこれからの非常に大事な点であろう、このように考えておる次第でございます。
○玉置委員 やがて数年後に、日本の産業の省資源、省エネルギー、そして海外にまで輸出ができ得るような産業にどのようなものが出てまいりますか、むずかしい困難な中でそういうものが生まれなければならないし、そのことを助長しなければならないと思うのですが、それまでの間は、企業としてはぜい肉を切りながら、その雇用を国が確保しながら、乏しい中でお互いにどのようにしんぼうするかということがこれからしばらくの間の日本の産業と社会に課せられた宿命だと私は思うのです。
 こういう中で、たとえばNOx等々の規制等によりまして、あるいは電力の中で肥料会社ができ得る時代がやがて目の前に来るんじゃないだろうか。大きく産業の構造が変化しなければならないような場合があります。したがって、それをむげにつぶすというわけにはいかないような問題が数年後に惹起するんじゃないだろうか。それは電力会社なり製鉄会社、つまり脱硫装置その他を思い切ってやるところで出てくる一つの産業になってしまう可能性すらあるわけであります。単独にそういうものをやっておるところではとてももたないんじゃないだろうか。かつて石油の脱硫装置をやかましく言いましたときに、硫黄山をほとんど閉鎖せざるを得ないような事態を招来したのでありますが、同じようなことがまた起こるんじゃないだろうかと私は思います。したがって、そういうものの救済なり、新しい産業の芽生えの立脚の地点を変えなければいかぬというようなときには、ただに独禁政策だけではいかない問題があるような感じがします。
 ただいま独禁法をこしらえつつある中で、通産省から言ってくることをそのままわれわれはのむものではありません。しかしながら、産業の変革というものが非常に大きくなったということを前提に、公取委員長はだれよりも日本の産業の趨勢を見通した上で物をやらなければいかぬのであって、だから通産大臣のオーケーをとらなければいかぬというようなことは断じて申しておるんじゃございませんけれども、あなたは日本の産業界を見回して、それだけの見識と見通しをお持ちになることも必要なことは事実だと思うのです。
 いままた起りつつありますことは、日本の非鉄金属の鉱山で硫酸をつくっております。硫酸がいままでと違った方式でできるような何かが出てくるような可能性を包含しております。本当にむずかしい、変転きわまりないこれからの産業の技術革新と環境面からやかましく言われるところの、そこにできてくるようなものが出てくるんじゃないかという感じを私は持っております。
 こういう意味で、産業界の大きな変革の中に処して公取としては独禁法を、産業の秩序をやっていただくのでありますので、ひとつ十分なそういう見識と見通しを持ちながらやっていただくことが必要じゃないだろうかと感ずるのですが、いかがでございますか。
○澤田政府委員 お話の御趣旨、全く同感でございます。独禁法あるいは独禁政策というものは一国の経済運営の基盤になるルールを定めるものでございまして、公正にして自由な企業経済活動を確保いたしますための競争秩序の維持、発展にあることは申すまでもないところでございます。そのルールを定める、そして、守るべきところ、独禁法の精神として確保すべきところは十分確保しつつ、その上で経済が自由に発展し得るように考えながら運営すべきもの、かように考えて努力をしてまいるつもりでございますので、よろしく御鞭撻をお願いいたします。
○玉置委員 ついでにもう一つだけお伺いしまして参議院の方に行っていただこうと思います。
 自由競争の原則の確保のためにやがて独禁法が出まして、それに集中するわけですが、片やまたある程度規制化、固定化していきます事業分野確保法をやるわけであります。これはおのずから法律の趣旨が違うわけでございますが、二足のわらじをはきながらわれわれは商工委員会でそれを審議することになるわけであります。こういう意味では、いずれもその一番重要なところ、一つの限界というものを考えながらやらなければいかぬわけで、大企業が中小企業の分野を侵し倒すのはよくないわけでありますけれども、また、ややもするとこれが全般の競争の萎靡沈滞を招くようなおそれもある。われわれはなかなかむずかしい尾根伝いで物をやっていかなければならないというところへ逢着しておるわけでございます。
 こういう問題について何かお考えがございましたら一言お聞かせいただきまして、それから参議の方へお引き取りをいただければありがたいと思います。
○澤田政府委員 私もいろいろ勉強中の問題でございますが、御質問に関連しますので、それの線に沿って申し上げたいと思います。
 世の中がこういう状況になってまいりますと経済問題、社会問題等各種の問題が起こりますが、その際にその問題解決にアプローチをいたします姿勢と申しますか、考え方に二つあると私は思います。一つは統制によってこれを解決していこうという考え方でございまして、それからもう一つは競争政策を徹底させることによって解決しようという考え方でございます。
 独禁法なり独禁政策の理念は、問題の解決を公正にして、自由な経済活動を確保することによって解決しようということであります。ですから、競争を制限する行為あるいは不公正な行為、独占的な行為等を排除するのはそういう考え方でございまして、公正な自由な上で繁栄した経済社会を築こうというわけでございますが、しかし、それだけではなかなかいかない問題が起こってまいります。直接統制法によって規制して問題を整理していこうという考え方がございまして、これが最近いろいろと立法の面でもあらわれておるのは、御指摘のように、分野調整法あるいは揮発油販売業法というような問題もそういう問題の接点において出てきていると私は考えます。
 したがって、これを両方避けてはいけないのでありまして、われわれがくしくも御指摘のように今度両方を同じ商工委員会で御審議願うというのも、一つの問題のむずかしさ、接点のあり方を示しておるのではないかと思いますけれども、いい悪いは別にして、そういう行き方が二つあるのだ、それをどこで区分けして、最も国民の利益になるような方法は何かということを発見していくのが非常に大事なことであるということで、私ども独禁法の立場で問題にアプローチいたす場合も、そういうことを腹に置いてやってまいりたいと思う次第でございまして、よろしく御指導をお願いいたす次第でございます。
○玉置委員 もう一点だけですが、独禁法の自民党の案ができまして、政府案もできました。明日の閣議で決定されるわけです。あなたの立場としてそれをどうこう言うものじゃないだろうとは思いますけれども、いずれにしろ、独禁法について与野党が合意に達して今国会で成立するのが好ましいとお思いになるのか、思い切ってもっと厳しいものにした方がいいのか、そういうことについて一言触れていただいて御退場いただきます。
○澤田政府委員 むずかしい御質問でございますが、私、就任以来、独占禁止法を前向きに検討する必要と、その際には、七十五国会で衆議院において全会一致で可決された案があるので、その線を基本に検討されることが望ましいのではないかということを一貫して申してまいったわけでございます。したがいまして、その考え方から申しますと、今回の伝えられる法案についてはそれなりの評価をいたしたわけでございます。
 どういう御審議を願えるか、これは国会の問題でございますけれども、できるだけ早くあの線で成立いたしますことを私としては期待をいたしておる次第でございます。
○玉置委員 細かいことで恐縮ですが、余りにも騒がしくなっておりますので、揮発油販売業法について若干お尋ねをしたいと思います。
 御承知のとおり、これはほとんどが中小企業でございまして、零細性が非常に強うございます。大企業である精製元売り業界とはおのずから異なる分野を形成しておいでになるのがこのガソリンスタンドをやっておいでになる業界の実態だと思います。
 そこで、大蔵省の水野税制第二課長に御出席いただきましたので、まずお伺いしたいと思うのでありますが、この人々は、一兆六千億円に上る膨大な石油関連諸税の自主的徴税を果たしておると自負しておりますと、よくおっしゃいます。私も二、三聞きますが、地域のガソリンスタンドでございますけれども、たまには取りはぐれというか、どこに逃げてしまったのかわからぬという実態がやはりあるらしゅうございます。これにつきましては、損をされたことは商売のことですからやむを得ぬと私は思います。しかしながら、それはすべて税をかぶった金額のツケになっておるわけですね。だから、その損失が証明された場合には税だけぐらいは堪忍してあげないと、その業者にまるまるかかることになるわけです。
 いま、自動車につきましては、御承知のとおりディーラーが月賦で販売しておりまして、所有権は残してはおりますけれども取りはぐれてしまったものにつきましては、どこにもおりません、だれが見ても見つかりませんという証明を添付することによってそれまでの税はディーラーの責任になりますけれども、警察その他から証明をもらってからは、取引高税のディーラーに対する課税は免除して扱ってもらっております。筋としてはこのことにも同じようなことが言い得るのではないかと思のですが、御検討願えるかどうか、これは即答をしてくれとは言いません。
 いま申しているのはガソリンスタンドで売っている税込みのものであります。どこかに逃げられてしまっていなくなったという場合、損失はあたりまえでありますが、税まで全部背負ってしまえというのは過酷じゃないだろうかという意味で申し上げておるのですが、検討に値するかどうか。
○水野説明員 お答え申し上げます。
 先生がお引きになったのは、恐らく自動車取得税か何か、そういう税金かと思いますが、揮発油税は酒税とか物品税と同じように消費税でございしまて、取得税のような流通税とは若干違うわけでございます。消費税につきましては、揮発油税でもそうでございますし、酒税でもそうでございますが、製造場移出課税という原則をとっておるわけでございまして、その課税物品が製造場なり保税地域から移出され、蔵出しされる段階で課税をさせていただくという方式になっております。
 それは蔵出しの段階で代金が領収されたかどうかは問わないで、とにかくその物が蔵出しされ、移出された段階で課税が行われるという原則でございますので、それ以後の流通段階につきましては、その代金がどのようになったかということにつきましては、一応、税の方の立場といたしましては、普通の代金の中に含められた部分も、純粋の代金と申しますか、そういうものと同じようなお取り扱いをいただくというふうに考えさせていただいているわけでございます。
○玉置委員 蔵出税であることはわかりますが、それは取るときの技術だと思います。だから、取りはぐれてしまったものも全部販売主が払えというのは過酷じゃないだろうか。それならば、精製業者、元売り、あるいは精製と元売りが一緒のときもありますが、それから中間のものと、少なくともこの三つに分けるのがあたりまえであるが、税というものは最終消費者にかぶるものだというのが普通の税の概念だと思います。
 その意味で申し上げておるのであって、あなたが答えられなかったらこれはまた適当な時期に大蔵大臣に質問をいたしますが、一兆六千億円の膨大な石油関連諸税の自主的徴税を果たしておるという自負があるとおっしゃって、われわれにいろいろなことをおっしゃるのはここじゃないかと私は思うのです。これは本当に微々たるものだと思いますが、実害を与えておることは事実でありますから、そういうものが証明された場合には払い戻していいのじゃないだろうか。年に二回ほど、ある時期に元売りまでずっと集めればいいのですから手間は余り要らぬのじゃないかと思いますね。ひとつ、十分御検討いただきたいと思います。
○水野説明員 先生の御提起の問題はこれまでもいろいろな機会にしばしば出されておる問題でございまして、先生は細かい問題とはおっしゃいますが、細かい問題でもないのではないかと思います。ただ、私どもとしては製造場移出課税をとらしていただいておりまして、消費税の性格といたしましては、最終的に消費者に御負担いただくという考え方と申しますか、たてまえと申しますか、その点はまさに確かにおっしゃとおりでございますが、税を取る技術と申しますか、方式と申しますか、その点につきましては移出の段階で済ませていただいているというところでございます。ほかの消費課税一般にも関連する問題でございますので、ときどき御提起いただく問題ではございますが、非常にむずかしい問題ではないかと私どもは考えておるわけでございます。
○玉置委員 不公正税制是正という問題に関連いたしまして、来年の予算でそういうことができていなかったらみんなで寄って修正をするということだけは覚悟してもらいたいし、それまでに物を片づけてもらいたい。これだけではなしに、おっしゃるようにたくさんのものがあると思いますよ。家具とか、おもちゃとか、その他あるかと思います。そのようなものを全部集めればやはりばかにならぬ金額になるのじゃないか。しかも性格上いわれなきものをかぶっておるわけですから、訴訟しても訴訟で勝ち得るのじゃないかという感じが私はいたします。いろいろ方法を考えますが、あなたの方もめんどうくさいから勘弁してくれと言うだけではこれは済まないのじゃないかという感じがいたしますので、今後御注意をいただくように厳重に警告を発しまして、お引き取りをいただきたいと思います。
 そこで、ガソリンスタンドの粗悪品の問題でございますが、粗悪品というのは一体どういうケースでどのような形で販売されておるのか、どなたでも結構ですからお答えいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 ガソリンにおきます粗悪品の発生の原因でございますが、これは主として流通過程におきまして、灯油だとかBTXのように本来灯油よりも安くかつは税金のかからないものを混入いたしまして、したがってコストも安くなるわけでございますから、そういった形で安売りをしておるというのが現状ではなかろうかと思います。
○玉置委員 それが、私も調べてみましたら、ガソリンスタンドの価格と申しますか、入手されるのは大体九十六円から七円、八円ぐらいまでじゃないだろうかというのが大体の御意見でございました。そこで百十円ないし百十五円ということで――これは若干の手数料もあり、これもかなり膨大な施設をするものでありますから、償却にかなりかかるのじゃないだろうかということでこの程度に落ちついておるのじゃないかと思いますが、それが町筋へ行きますと、道路際に「九十九円で売ります」という看板がかなり立っておるわけです。九十六円で入手したものを九十九円で売ったのではどうしても回るはずがありません。だから、私は、粗悪品というのは一部転売なんというのもあり得ると思いますけれども、一体これは実態はどうなっているのだということを調べなければほかの者は立ち行かぬのじゃないだろうかと思うのです。
 今度の石油業法の関連の揮発油の販売につきます法律もこういうことをなくするためにできておるのじゃないか、それもその一部の理由じゃないかと思うのですが、これをなくする方法をお考えになったことがあるのかどうか。お考えになっていないのだったら私から一遍意見を申し上げて問題を提起してみようかと思うのですが、いかがですか。
○橋本(利)政府委員 一般的に申し上げまして、元売りからの卸値、それにガソリン税を上乗せして考えますと、まずまず百十円を割って販売することは事実上困難だと思います。それがただいま御指摘のように百円を下回って九十何円とかで売られるということは、ただいま申し上げました粗悪品の場合と、いま一つは俗に言う業転玉を扱っている場合に限られるのじゃなかろうかと思います。
 前者の粗悪品の問題につきましては、ただいま御指摘になりましたように、揮発油販売業法第十三条におきまして粗悪品の販売を禁止いたしておりますので、こういった法律の規定に従って、今後さような粗悪ガソリンが販売されないように指導したいと思います。
 それから、業転玉につきましては、一つにはこれはガソリンの需給バランスが崩れておる、言葉をかえれば需要に対して供給の方が過剰になっておる、こういった売れ残ったものが通常のルートを通らずにガソリンスタンドに渡って安値で売られておる、こういうふうにも考えられますので、そういった点につきましては、本来的に需給バランスを正していくと申しますか、適正な需給バランスを維持するように指導するということと、それから、かりそめにも元売りの中に販売姿勢の誤まりからガソリンスタンドに業転玉を流しまして、結果として安売りが行われるといったようなことは好ましくないことでもございますので、すでに元売りの責任者を呼びまして重々注意をいたし、その後、われわれの指導の後どのような措置をとったか、どのような効果を上げつつあるかということの報告を求めることにいたしております。
 さような両方の面から、いわゆる安売りガソリンのために誠実にやっておる周辺のガソリンスタンドの経営が困難にならないように配慮いたしておるわけでございます。
○玉置委員 業転物と言いましても、ガソリンに流さなければ、これだけのものが余りましたという需給の関係があれば、届け出て税金を払ってやっていただければ何でもないことなんでしょう。何でもないというわけにはいかぬでしょうけれども、そうふぐあいを感ずるものではないのでしょうからね。
 一つには、あれだけ看板が立っておるのですから、これは一体どういうことでどうやられたのかということを、国税庁と通産省と一緒になって、各府県で一つでも二つでもいいからずっと上まで上がって調べてごらんなさい。こちらだけでは弱いところがありますので、これは税に直接関係ある問題でありますから、たとえば大阪国税局、大阪通産局が一緒になりまして――看板をわざわさかけているのですから、どこでお買いなすってどうなっているのかということを上まで追及していけば、あれ、あんたのところがやっておったのかということになる。日本で一番有名なものがやっておるのかやっておらぬのか、そこまでいけば、通産だけでは立入検査ということができ得ないいろいろなことがあるでしょうから、これは税に直接関係あるものでありますから、国税庁と一緒に一つ、二つおやりになることが一番皆さんに自粛をしていだくもとになるのじゃないか、そういう実態調査をやはりやらなければいかぬのじゃないだろうか、このように思うのですが、どうお思いになりますか。
○橋本(利)政府委員 実態調査と申しますか、追跡調査を実施したいと思います。
 ただ、揮発油販売業法が五月の下旬から施行されますが、この新法が施行されますと、この法律に基づいての立入検査がわれわれとしてもできるわけでございます。それまではやはり大蔵当局と協力してやるということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、実態調査と申しますか、追跡調査を試みたいと思います。
○玉置委員 そこで、五月末までにやらなければいかぬ、なるべく早い方がいいということですが、最近あちらこちらで駆け込みのガソリンスタンドの拡張がずいぶん周辺に波紋を投げかけておることも事実でありますが、これに対してどのような手をお打ちになっておるか、御説明をいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 法律が施行されるまでの間に実績をかせいでおこうという気持ちだろうと思いますが、昨今駆け込み増設がふえてきておるということは事実でございます。
 われわれといたしましては、各通産局を通じまして従来の設備凍結指導を徹底してやるということと、いま一つは、やはり元売りとの関係がある場合もなきにしもあらずといったようなことからいたしまして、これまた元売り各社の責任者を招致いたしまして、重々さようなことのないようにすでに指導いたしたわけでございます。これにつきましても、その報告を待っておる段階でございます。
○玉置委員 かなり膨大な資金を要することでありますから、見えた向きではそうじゃないかもわかりませんけれども、大体元売りと連携がなしにあれだけのものをやるのは事実上余りないんじゃないだろうかという感じもぼくはいたします。したがって、これが相当な波紋を投げかけておることは事実でありますし、しかもそういう騒ぎが起こっておることも事実でございますから、厳重に通達しておるというだけじゃなしに、もう一度実態を調べて、どこにそういう問題があるのかということを検討していただかなければならないんじゃないだろうかと思うのですが、いかがでありますか。
○橋本(利)政府委員 これにつきましても、できるだけ実態を把握したいと思います。
○玉置委員 そこで、もう一つお伺いしたいのですが、御承知のとおり為替相場が非常に円高になっております。為替相場が円高になりまして、新聞に出ておりましたけれども、かなり高額の利益が精製業者には――元売り業者にはですか、均てんしているように書いておりますが、石油の問題を考えるときについお互いに忘れがちなのは、ナフサのごとき、日本の化学工業原料の素材になっているそういうものが非常に忘れられがちになってしまって、灯油ばかりをみんな気をつけて心配をしておるという現状があると思うのです。何か、ナフサが世界では二番目に高いのだというような価格形成になっておるようにお伺いいたしますが、したがって、いままで伸びておった繊維産業というものですら輸出がきかなくなってしまったし、ナフサが高いぐらいの価格に位置づけられておる。
 そこで、いまの為替の変動によりまして円高になっておって、元売りもしくは、精製業者には相当な多額な利益が入っておる。にもかかわらず、この間ガソリンスタンドに、業界、元売り会社から値を上げられたから、石油の入ってくるもとの生産国から上げられたからこのくらい上げますぞという通達が来たわけでありますが、自来そのままちょっと緩みつつあるのかどうか。これに対して何らの手を打たなければならないとお思いになっておるのかどうか。ただ、これは今後とも円高にずっとなるのかならないのかわけがわかりませんから一概には言えませんけれども、通産当局のその感触をお伺いしたいと思います。
○橋本(利)政府委員 先生の御指摘は、為替差益が出ているから、その限りにおいて、たとえばガソリン価格の引き上げ等については思いとどまったらどうかという御趣旨かと思いますが、御指摘のとおり、昨今の為替相場が円高に推移しておりますので、原油の輸入に当たりましてはいわゆる為替差益が発生しておる。これが一方では原油コストの引き下げになり、かつは企業経営の改善に役立っておるということも否定できないわけでございますが、ただ、為替レートにつきましては振幅を繰り返すのが常でございますので、これがどの程度のところで定着するのか、なおまだ振幅するのかといったようなことも見定める必要があろうかと思います。
 それから、他方、御承知のようにOPEC諸国では原油価格の値上げ措置を打ち出してきておりまして、これを平均的に見ますと、わが国に対しては七ないし八%程度の原油価格の引き上げということになるのじゃなかろうか、といたしますと、かれこれ十七、八億ドルの外貨流出、邦貨にして五千億程度のコストアップ要因になってくる、ということでございまして、現状で判断いたしますと、むしろ原油価格の引き上げの方が当面考えられる為替差益よりも多いのじゃなかろうかというふうに見ておるのが一般でございます。
 さようなところから、為替差益につきましては、現在需給両当事者で石油各種製品の値上げ交渉をやっておるわけでございますが、そういった両当事者の値上げ交渉の過程においてその差益をどのように織り込むか、言葉をかえますといつの時期から上げ幅をどうするかといった、第一次的には値決め交渉といった過程においてその差益問題が両当事者の交渉の材料になるのじゃなかろうか、かように見ておるわけでございます。
○玉置委員 本当は、前のように石油価格が一定しておるものであれば、価格差益金を一つの基金制度ても設けて――何かの原料とか、いわゆるナフサ等々の工業原料等の乱高下のないような一つの基金制度をつくりたいと思うのですけれども、いまおっしゃいますように、これは値上げを年に二回くらいは言われる可能性もかなり多うございますが、そういう意味では通産当局もまたこれは業界にわざわざ介入する必要はありませんけれども、石油販売業者なんというものは元売り業者に比べて弱いものでありますから、そういうものの差益というものが値上げを実質的にどのように少なくしたかとかということもひとつしょっちゅう御検討いただいておって、適当なサゼスチョンができるような仕組みをおつくりいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 いずれにいたしましても、日本の石油産業はこれからますますむずかしい時期を迎えるわけですが、今度の予算が通りましたら備蓄の問題はどのようにおやりになる御決意ですか。
○橋本(利)政府委員 御承知のとおり、五十四年度末を目標に九十日備蓄を進めておるわけでございまして、五十三年度末には八十日まで確保したいということでやっておるわけでございます。
 備蓄に対しましては、五十二年度からは前年度よりも助成措置を若干厚くいたしております。たとえば原油購入代金に対する利子補給は、従来四%幅であったものを四・五%まで引き上げることにいたしたわけでございます。
 それから、共同備蓄会社に対する出資につきましては、五十一年度までは石油開発公団を通じまして五%を限度として出資いたしておったわけでございますが、新年度からは総工事費に対しまして二〇%、大体土地手当て代くらいになろうかと思いますが、その二〇%の中の半分ということは一〇%。五十一年度の五%に対しまして、新年度からはその倍に相当する一〇%までを石油開発公団から出資することにより、これは実質上金利ゼロの資金を供与することになるわけでございます。そういった形で備蓄を推進してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○玉置委員 最後に二、三通産大臣にお伺いして質問を終わりたいと思うのですが、問題は、先ほど公取委員長もお話をしておりましたとおり、非常に経済の実態がむずかしくなってまいります。今度の独禁法に対しまして大臣から抗議ということはおかしいのでしょうが、若干の異議をおはさみになっておったことも所管大臣としてはむしろ当然かもわかりません。規定は規定として筋を通しておいて、あとは運用の妙じゃないだろうかと私は思うのですが、通産大臣に協議とかあるいは承諾とか、あるいは法律上の文章はどう書こうとも、実質的にはお互いに日本の経済の秩序を心配しながら、しかも独禁法の精神を生かしながら、こういうものを常に交流しておかなければならないことだと思います。
 そういう意味で、独禁法が早く政府の提案がされまして、商工委員会で速やかに審議が終わりまして、お互いに与野党の意見の調整をされて今国会で上がることの方が大切じゃないだろうかと思うのですが、御所見をお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 私も全く同様に考えます。産業を担当いたしております大臣といたしましては、この国際的に厳しい段階において、また、国内的にも企業が冷え切っておる状況下において、何とか企業の活力をそがないようにして、正当な競争というものが同時にわが国産業を健全にし、盛り上げていくという、そういういい意味を今回の独禁法の改正によって実現できたらば、と、かように念願をいたしております。
 そこで、大変御心配をおかけいたしましたが、総理の御裁断をきょうは最終的にいただけると存じますが、主張すべき点は十二分に主張をいたしました。また、それに対しまして、公取の方なり総理府の方でも十二分に意見を聞いてもくれました。
 これは脱線に類しますが、実は、澤田君と私は高等学校も大学もずっと同期生で、しかも親友でございますので、そういう点では公取委員長と私の間は個人的にはまことに普通の友人以上に仲のいい、今日まで人生の好伴侶でございました。たまたま立場を異にいたしまして大いに論じ合いましたけれども、それは仲のいい、国を思ういちずの議論でございます。
 決定し次第、新しく御提案申し上げます独禁法に対しまして、私も御一緒に、総理府とともどもに皆様方に一日も速やかな通過をお願いいたします。かような気持ちでおります。
○玉置委員 終わります。
○武藤(嘉)委員長代理 安田純治君。
○安田委員 私は、計量法の問題について若干お伺いしたいと思うのですが、計量法の第一条の目的では、「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする。」と定めておるわけであります。尺貫法を廃止してから約二十年になりますけれども、尺貫法を廃止したことによって経済の発展、文化の向上に支障、不便を来していることは何らないかどうか、当局では実態調査をしたことがありますか、どうですか、まずお伺いしたいと思います。
○熊谷政府委員 お答えいたします。
 尺貫法の問題につきましては、各界からのいろいろな御意見もございます。
    〔武藤(嘉)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
私どもも、現在、計量行政審議会の計量単位専門部会におきまして実態把握を行っておるところでございます。私どもは、従来、たとえばかね尺あるいは鯨尺等につきまして、どのような使われ方をしているかということにつきまして組織的な調査は今日までは行っておりませんが、いろいろ関係の専門の方々を通じまして調べましても、たとえば指矩等につきましては、いま年間おおむね百万本ぐらいの生産でございますが、その半分程度のものがその他の正規のものでない形で販売されているのではあるまいかというふうな推定をいたしておりますが、正確な調査は今日まで行われておりません。
 そういうこともございまして、現在専門部会におきまして実態把握に努めておるところでございます。
○安田委員 私は、メートル法を否定したり、計量の基準を定めることを決して否定するものではないわけでございます。また、尺貫法の全面的復活を主張するものでも決してないわけでございますけれども、しかし、わが国の実情では、メートル法でははかりがたいものやきわめて不便なものもごく少数ながら現に存在していると思うのであります。メートル法よりも尺貫法を用いた方がふさわしいものや便利なものがあるわけで、当局もそういうものが少数ながらあるということは承知しておりますか。
○熊谷政府委員 たとえば、住宅の建築の際に大工さん等がかね尺を使って建築をするというふうなケースが現在なおかなりあるというふうには承知をいたしております。
○安田委員 そうしますと、いかなる場合でもメートル法の方が処理しやすい、能率的であるとばかりは言えない。そういうようにメートル法だけでは処理しやすいとか便利であるというわけにはいかない分野もあるということをお認めになるということだと思いますけれども、いかがですか。
○熊谷政府委員 この際ちょっと補足的に申し上げておきたいのでございますが、現在、計量法におきましては、尺貫法につきまして、これを取引または証明の用に使用するということは禁止いたしております。したがいまして、かね尺を販売するということは今日法によって禁止されておるわけでございますが、かね尺を現実に使ってたとえば建築を行うというふうなことは法の上では適法でございまして何ら禁止されているわけではございません。
○安田委員 そこで、文部省の文化庁に伺いたいのですが、熊本城とか姫路城などの修理は国の予算で行っているのかどうか、まずお答え願いたいと思います。
○内田説明員 熊本城、姫路城につきましては、国庫補助事業で行っております。旧近衛師団司令部は文化庁直轄工事として行っております。
○安田委員 そこで、熊本城とか姫路城について伺いたいのですが、これは修理の前後にいろいろ調査をすると思いますけれども、そういう調査の場合に調査報告書というものをつくると思うのですけれども、メートル法とともに尺貫法も使用しているのではありませんか。
○内田説明員 報告書はメートル法でやっておりますけれども、やはり、理解しやすいというために尺貫法によります単位で、これも参考のために併記しております。その例が多いようでございます。
○安田委員 もちろん、徳川時代あるいはそれ以前にできた建物なんかはメートル法で建てておるわけじゃございませんから、尺で表示する方がぴたりすることは当然だと思うのです。
 設計図はメートル法だろうと思うのですけれども、設計図を作成する事前の調査や工事後の報告書などでは尺貫法も使うということは、結局尺貫法であらわした方が適切だから、わかりやすいから、そういうことになるわけでしょうか。
○内田説明員 御説のとおりでございます。
○安田委員 このように契約書ではメートル法で書かれておっても、実際の工事の段階、つまり、契約の実行の段階では尺貫法が用いられているということは文化庁も承知されていると思います。
 私の調査では、宮内庁でも和服の注文の場合に尺貫法で業者に説明しているということであります。たとえば何尺の博多帯というような表現で、まさか何メートル何センチの博多帯とは言わないで説明している。事実上証明の用に供したかどうかは別として、そういう発注をし、はい、それだけのものはございますというので納品するとすれば、これは実際上取引に用いられていると言ってもいいのではないか。このように国の官公需の中にもこういう尺貫法で表現した方がいいものがある。
 文化庁の補助事業である熊本城、姫路城のような建物もやはり尺貫法で表示した方がいいし、少なくとも便利だし、それから、実際工事をやる段階では尺貫法でやっておる。こういう実態であることは通産省も承知しているわけでしょうか。
○熊谷政府委員 承知をいたしております。
○安田委員 さらに、私の調査によりますと、全国の建築石材工業会で聞いた話でございますけれども、仏石、つまり墓石ですね。この場合に、この業者は全国に六万人いると言われておりますけれども、寸法をセンチで表現したのではわからないから売れない、どうしても尺で言われないと商売にならないということでありました。また、町の呉服屋さんに聞きましても、和服の売買には尺貫法が欠かせないということです。さらに、東京のほとんどの和裁学校では尺差しも使っておりまして、メートル法と両方教えております。これが実態なわけです。つまり、こうした人たちにとっても、また、先ほどから明らかになっているように国の官公需にとっても、今日尺貫法の物差しはどうしても必要なものだということになるわけであります。
 そうなりますと、先ほどの御答弁のように、作業で使うのは禁止しているわけではない。証明の用に供してはならないということで、物差しとして売ってもならぬということだろうと思うのですが、そうすると、売っていない物差しを使って、この尺貫法で事実上はかるということになると思うのです。仮に、本当に法律が守られ、販売がされていないとするならば、昔の法改正前に売られたものが消耗してしまったらそれで終わりということになると思うのですが、通産省としては、この尺貫法の物差しの必要性を完全には否定はできないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○熊谷政府委員 この問題は、先ほども申し上げましたように計量行政審議会の専門部会で検討いたしておりますが、問題のポイントは実は二つあるかと思います。
 一つは、これをいわゆる法定計量単位として認めるかどうかという問題と、もう一つは、いま御指摘がございましたように、現実に大工さんその他が使っておるという中で、法律上禁止をされておるものでございますのでなかなか手に入りにくい、あるいは手に入っても相当高値である、また、正規のルートじゃないものですから必ずしも正確なものが手に入らないこともあるという不安、こういった実際上の不便があるという問題がございます。この二つの問題が、この尺貫法の問題につきましてのいろいろな批判の中にあるのだろうと私ども理解をいたしております。
 そこで、私どもは、まず実態の把握がどうなっておるかということをこの専門部会でいま勉強していただいておりまして、もうすでに二回やり、また次回がもう決まっておりますが、全建労その他関係の実際にこれを使わなければ困るという方々、あるいはいま先生から御指摘の文化関係の方々等の御意見を直接この部会で聞きまして、意見の取りまとめを急いておるわけでございます。これはまず実態把握をいたしました上で、非常に不便があるということになった場合に、この計量単位としての問題とどのように調整するかということは審議会でさらに議論される問題であろうと思いますが、まずは実際の不便の問題に対してどう解決をするかという問題と、さらにプラスして計量単位としてこれをどう扱うかという、この問題をこの審議会で議論していただくことになっておるわけでございます。
 先生御承知のように、このメートル法への統一という問題はきわめて長い歴史の上で今日まで参っておるわけでございまして、一挙には旧来使っている物差しが変更になるということはなかなかできにくい性格がございまして今日まで時間をかけてまいったものでございますが、先生が冒頭におっしゃいましたように、三十四年以来このかね尺、鯨尺というものが一応禁止ということになっておりますので、すでにかなりの期間がたっているわけでございますが、そういった長い歴史の上で、この問題を私どもは慎重に検討をいたした上で結論を出していきたい、かように思っているわけでございます。
○安田委員 慎重に検討されると言いますけれども、いま申し上げましたように、現実に国の官公需でさえも実際は尺貫法を使っておる。取引または証明の用に供しているかどうかという解釈はいろいろありましょうけれども、現実に使っていることは間違いないのです。ですから、そういう意味では、国みずからが尺貫法の便利な分野があるということは認めざるを得ないと思うのですよ。となりますと、尺貫法の物差しの製造、販売を全面的に禁止するということはやはり実態に合っていないというふうに私は思いますけれども、この点はどうでしょうか。いい悪いはともかくとして、実態に合っているかどうかということについてだけお答えをいただきたい。
○熊谷政府委員 かね尺、鯨尺につきましては、ある分野で現在かなり使われておるという実態はございます。法律のたてまえ等もございますので今日まで厳正に規制が行われているわけでございますが、実際上のたとえば法律違反行為につきましては、私ども、そういった実態上の問題も配慮いたしまして――これは検察当局の問題でございますが、きわめて悪質なケースに限って処罰されておるというのが実態であろうと思います。
 私ども実情をある程度念頭に置きつつ、行政上も、今日まで、たてまえとそれに対する弾力的な配慮というものは政府としても心がけてきたつもりでございます。しかしながら、基本自体、たとえば尺貫法というものは三十四年以来禁止されておりますので、そのたてまえは私どもとしては崩したくないということで今日までまいっておるわけでございます。
○安田委員 たてまえを崩したくないという意味はわかりますし、私も、先ほど申し上げましたように、メートル法を否定するとかあるいは尺貫法を全面的に復活させようという論者では決してございません。そういう点では意見は一致すると思うのですが、ただ、問題は、罰則をもって全面的に製造、販売まで禁止しておるということが実態に合わないのではないかということです。ことに、先ほど申し上げましたように、宮内庁のようなああいう伝統的な場所でメートルやセンチを使うということ自体が国で矛盾しているのじゃないかというふうにも思わざるを得ないので、これは少なくともある分野については実態に合わないことだけは事実だろうというふうに思うわけでございます。ですから、ただ正確性が期せないとかいろいろなことを言いますけれども、実際には尺の物差しが売られておるということも先ほどちらっとお認めになったようなふうでもございますね。そういうようなことになりますと、やはり実態に合っていないのじゃないかというふうに考えます。
 そこで、ただいまの御答弁によりますと、実態に合わない部分は法の運用で、検察当局はよほど悪質な者しか罰していないというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、少なくともその分野で使っている人は、訴追されるかどうかは別としまして、すべて国家刑罰権は発生するわけですよ。事によったら宮内庁だって国家刑罰権の対象になるかもしれませんね。何尺の博多帯を納入しろ、はい何尺でございますなんて、こんなことをやっていればですね。そういうことはゆゆしき大事であるというふうに私は思います。観念的には刑罰権は発生するわけですよ。ただ、これは捜査して訴追して裁判所でこれを確定するわけですが、その実体的な国家刑罰権は発生する。あとはただ検察当局の運用によってお目こぼしにあずかっておる。場合によってはやることもできるというような法律が存在するということは、これは法治国家のたてまえからももってのほかでありますし、罪刑法定主義のたてまえから言ってもきわめて国民の人権の侵害につながるものだというふうに思いますので、こういう点ではよほどお考えいただきたいというふうに思うわけです。検察庁としては法律があれば発動するのが当然で、見逃すということも運用上はあるでしょうけれども、しかし、社会観念が変わってくればまた変わってくるということもございます。
 そこで、考えていただきたいのですが、従来、現行計量法の第十条の運用で尺貫法の物差しの製造販売を禁止してきたということでありますけれども、第十条はどう読んでも、法定計量単位以外の単位を取引や証明のために使用することを禁止した条文であって、計量器の製造販売を取り締まる条文ではないというふうに読むのが素直な読み方ではなかろうかと思うわけであります。これはちょっと脱線かもしれませんけれども、極端な話が、民芸品として店に飾りたいというような需要で物差しをつくって売ることがあっても、それは買う人の主観的意思ですから、途中で気が変わってそれを計量の道具に使うかもしれませんが、そういう意味では、一切つくって売ってはいかぬと十条で禁止しているというようにはちょっととれないと思うのです。しかし、高等裁判所の判例もございまして、通産当局もこれには確信を持っておられるようでございますので十条の運用についていろいろ言ってもしようがない面もありますけれども、この高等裁判所の判例自体も問題ではなかろうかと思うわけであります。少なくとも現段階では、判例の変更がなされてもしかるべきような社会情勢にあるのではないかというふうに考えるわけであります。
 というのは、第十条の括弧内で「物象の状態の量の表示を含む。」となっているわけで、この量の表示のないもの、つまり目盛りですね。印はついているけれども尺ともセンチとも表示はしていないというのが高等裁判所の判例のあった事案なんです。間隔を調べると尺貫法でちゃんときずがついておるが、しかし、実際はそのきずはセンチとか尺とか何にも書いてない。そこで、高等裁判所は、これは文字で書かなくても社会通念上尺ととれるというようなことで、第十条の適用をするのは違法じゃないような判決をしたようでございますけれども、そこの社会通念上という言葉なんです。今日、御存じのように、社会の九九%がメートル法である。いまや尺貫法を多少使わせてみたってメートル法が崩れてしまうなどというほど薄弱なものではないというふうに思うわけであります。そうすると、ある直線の金属物体に等間隔のきずがついておって何も書いてない場合に、いまの子供たちにぱっと見せてこれは何だと聞けば、等間隔のきずですから、ちょっと判断力のある人なら、多分これは目盛りであろうということは考える。しかし、それをすぐ尺と考える人がいるかどうか。大体これはメートルじゃないかと考える方が多いと思うのです。
 ですから、高等裁判所の判例は、当時まだまだ尺貫法が多数の人の頭の中にあった場合に、一目見ただけでこれは一寸か一センチかわかる人たちが大ぜいいたときに、金属の直線の物体にちょうど一寸置きぐらいにきずがついておって、これを見せて何だと聞けば、これはかね尺に違いないと思うから、文字の表示がなくてもみんなが尺と見るということを言ったのだろうと思うのです。社会通念上というのはそういう意味で、社会通念上尺ととれる判決は表現しているわけです。
 話を大きく持ち出すまでもなく、たとえばわいせつの概念でも、法律は明治時代からちっとも変わっていないにもかかわらず、わいせつの範囲は社会通念上大分広げられたわけですね。そうでしょう。あるいは極端な例が利息制限法です。御存じのように、これも法律は全然変わっていないのに、最初は超過利息について取れないという判例から、今度は取れないけれども元本に繰り入れられるという判例があり、しまいには元本も全部埋まっている場合には取り返せるという最高裁の判例まで出ているわけです。このように、条文は全く同じでも、社会通念の変化によって判例の変遷ということはあるわけです。ですから、通産当局が、高等裁判所の判例や何かもあるのでこの十条については自信があるようなことを考えていらっしゃると仮にすれば、これはいまの社会通念に合わないのではないかと思うのです。
 今日では、単にセンチとか文字の表示をしていない目盛りだけがついておるかね尺が売られた場合に、見ただけでこれはかね尺とわかるからこれはまずいのだというような、さきに挙げた高等裁判所の判例は必ずしも妥当しない場合だって出てくるというふうに考えられるわけであります。もっとも、そういうケースでこれから起訴されて、その判決があってみなければわかりませんけれども、少なくとも社会の通念はもうメートル法だ。この判例があったころとは大分違っておる。また、通産当局も計量法を今日まで実施してこられまして、少なくともその程度のメートル法の普及の自信はおありだろうと思います。そういう意味で、この十条を尺の物差しの製造販売を禁止している規定なんだというふうにこだわることや、あるいはセンチや尺と表示していない目盛りだけついておるものを十条の取り締まり対象にするのだというような解釈は必ずしも当たらないのではないかというふうに思うわけです。
 このようにして、実態において不便な分野が幾らかあるという場合に、実態に即した法の解釈、運用を図ることは当然であると思うのですけれども、通産当局としては、何か違反ケースが起きて判例が出るまで漫然と見ておるのか、社会情勢の変化によってこの法の解釈、運用について検討し直すというお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○熊谷政府委員 東京高裁の判決につきましていまいろいろ御意見を述べられたわけでございますが、それ自身につきましてのコメントは私は差し控えさせていただきたいと思います。
 地裁での最近のものは昭和四十六年でございますから、まだ数年前の判決ございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、先ほど申しました専門部会でいろいろ議論をしていただいておりますので、その答申を待って私どもの方針を決めてまいりたいと考えております。いまの予定では大体秋ごろまでには答えが出てくるのではなかろうかと、さように考えておる次第でございます。
○安田委員 答申を待ってと言われるわけですけれども、そうすると、その間は違法行為というような状況のまま推移するし、答申の結果いかんによってはその後もずっと違法行為であるということもあり得るということになるわけです。いままでの議論ではっきりしたように、非常に少数ではあるけれどもかね尺や鯨尺を必要とする特定の分野がどうしてもある。これに日の当たる場所をといいますか、日の当たる場での存在を認めても、だからといってメートル法のたてまえががたがたと音を立てて崩れるというような実態にはもはやないというふうに思うわけでございます。したがって、こういう特定の分野における日の当たる場での存在を認める行政を行う可能性が全くないのかどうか、この点についてお伺いしたいわけであります。
 実態をもう一遍蒸し返しますと、国の重要文化財などだけでなくて、神社仏閣、民間の木造住宅というような日本式の建築や修理など、尺貫法がわりあい広く用いられておるし、場合によっては尺貫法を表示しないとどうも不便きわまりないという分野もあるわけです。ことに、徳川時代につくられた建物なんかを復元しようとする場合がそうですね。それから、和装産業でも同様であります。こうなりますと、重要なことは、実際にそういう尺貫法を使わなければならない分野があるとすれば、当然のことながらそれをはかるかね尺、鯨尺などの計量器が必要になってくることもまた事実であろうと思います。しかし、そういう計量器を製造販売すると刑罰が科せられる。これはきわめて実態を無視したやり方ではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。
 むしろ、当分の間特定の範囲と分野に限って特例としてその製造、使用を認めて、かつ、きちんとした尺差しの自主的な検定の道も開くということが必要ではないでしょうか。先ほどあなたがおっしゃいましたように、実際にやみで売られているために正確性が保証できないという面もございますから、自主的な検定の道も開くということがいまのわが国の実態にふさわしいのではないか。つまり実態というのは、先ほど言ったように、メートル法がいまさら崩れるほど弱い普及度ではないという実態と、それから一部の特定分野については非常にこれは必要なものだという実態、この二つの実態ですね。これを考え合わせるときに、どうしてもそういう実態にふさわしい行政を行う必要があるというふうに思うわけです。
 かね尺などは、言うまでもなく計量器として機能するだけではございません。たとえば線を引いたり鉛zを出したり、つまり道具としての機能もきわめて大きいわけですね。この道具としての機能もあることは認めますか。かね尺の場合、計量器としてだけでなく、道具としての機能もあることを認めますか。
○熊谷政府委員 道具としての機能を持っておりますと同時に、また、計量器としての機能も持っておるということでございます。
○安田委員 そうしますと、少なくとも道具としての機能はお認めになって、その点も十分に配慮した行政であってしかるべきだと思うわけであります。
 そこで、通産大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、いままでの議論によって問題点の所在はおわかりいただけたと思いますが、ここでひとつ勇断をもって実態にそぐわない法律を――法律を改正するかどうかはことしの秋ということの答申を待っていろいろ考えるのでございましょうけれども、少なくとも法の運用について実態に即した行政を行うというお気持ちがおありかどうか。
 それから、審議会の専門委員会の結論はいつごろ出す予定かもついでにお伺いしたいのですけれども、まず、大臣に、実態に合った行政を――現実にいま実態に合っていないということは明らかになったと思うのですが、特定の分野に限って法の運用で何とかこれを日の当たる場所に存在を認めて、場合によっては自主的な検定の道を開くというようなお気持ちがおありかどうか、お伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 私に対する御質問でございますが、ただいま審議会において検討中でありますから、責任者の私が軽々な発言はまだできません。軽々な発言はできませんが、本件は、前の新日鉄社長の平井富三郎君が商工次官になったときに一生懸命にいまのメートル法をやりまして、そのころ私は仲のいい友達なものだから、なぜおまえそんなにメートル法をやるんだと言って大分論争をしたこともあります。
 御承知のとおりに、いろいろおもしろおかしく、言うならば講談だとか落語にメートル法を使ってしゃべることの不自由さもありましょうが同時にまた、そうでなくとも、私どもはわりあいに尺貫法についてはレジストしてないのです。素直な気持ちで考えているのです。しかし、国家権力というものあるいは国家秩序ということになると、一番問題になりますのはやはり度量衡の制度でありますが、しかし、その度量衡の制度をまずもって国家としてきちんと強制しますためには、新しくその制度を始めたときには相当罰則規定もないと通用しない段階があったと思います。日本も非常に封建的な姿から近代国家になり、さらに世界的な視野に立って伸びようとするときに、やはり国際的なメートル法の価値というものは素直に評価していいものだと思います。
 それから、ヤード・ポンド法で頑迷というほどにがんばっておったイギリスがメートル法を採用するようになったということもまた一つでありますが、大体、尺貫法の尺でありますとかヤードポンド法のフィートでありますとか、こういうものはやはり人体の一つの基準を――これは同じような長さなんですね。一ヤードというものあるいは一フィートというものが一メートルに近かったり、あるいは一尺に近かったりします。そういうふうなことで、大体長さの基準というものもありますが、いまお話しのように、文化財の修理でありますとか、あるいは和服の裁縫でありますとか、そういうふうなものには大体きれ自体の幅も長さも尺で出ておりましょうし、それからいろいろな尺貫法というものが、それをやめましてからもう二十年近くなると思うのですが、いまもって現存しておることは、やはりそこには社会的に必要性もある。
 メートル法というものが国策として決定して、すべてのものが一応メートル法になりました場合に、なおやむを得ざる必要性から残っておる尺貫法に対しましてどう対処するかということが今日の審議会の一番大きな対象であろうと私は思うのでありまして、審議会の答申を待ちまして改めて御相談をしたらどうか、と、かように考えます。
○安田委員 審議会の結論はいつごろ出ることになりますか。
○田中国務大臣 ただいまちょっと聞いてみましたらば、秋口には出るようでございますね。
○安田委員 私もメートル法を否定するものでは決してございませんで、むしろ、逆に、メートル法がこういうふうに完全に行き渡った段階で、少数者の利益を考えてやってももはやびくともしない態勢に来たのではないかということだと思うのですよ。そういう意味では、この計量法問題について、尺貫の方の目盛りを認めるような何らかの便法をぜひ考えるべき時期に来ておるし、ぜひそういうことは必要であろうと思います。むしろ、これは国家秩序を守るためにも、遵法精神をつくるためにも、違法なものがあることがわかっておって、実態に合わないことを知っておって、野放しにしておいて、法律があるからしようがない、ただ運用で見逃すのだというようなことは全くよくない話だと思いますね。ですから、その点は大臣の方でも英断をもってお考ええいただきたいというふうに思うわけであります。
 時間が来ましたので、これで質問を終わります。
○中島(源)委員長代理 次回は、来る十二日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十九分散会