第080回国会 決算委員会 第4号
昭和五十二年三月一日(火曜日)
    午前十時十七分開議
 出席委員
   委員長 芳賀  貢君
   理事 丹羽 久章君 理事 葉梨 信行君
   理事 森下 元晴君 理事 北山 愛郎君
   理事 原   茂君 理事 林  孝矩君
      井出一太郎君    宇野  亨君
      櫻内 義雄君    染谷  誠君
      津島 雄二君    西田  司君
      野田 卯一君    早川  崇君
      村上  勇君    川俣健二郎君
      高田 富之君    馬場猪太郎君
      春田 重昭君    安藤  巖君
      菊池福治郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        大蔵省主計局次
        長       加藤 隆司君
        文部省官房会
        計課長     宮地 貫一君
        文部省初等中等
        教育局長    諸沢 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省学術国際
        局長      今村 武俊君
        文部省管理局長 犬丸  直君
        文化庁長官   安嶋  彌君
        厚生大臣官房会
        計課長     持永 和見君
        厚生省医務局長 石丸 隆治君
        厚生省児童家庭
        局長      石野 清治君
 委員外の出席者
        文部省大学局医
        学教育課長   五十嵐耕一君
        消防庁予防救急
        課長      持永 堯民君
        会計検査院事務
        総局第二局長  高橋 保司君
        会計検査院事務
        総局第三局長  小沼 敬八君
        医療金融公庫総
        裁       山本 正淑君
        環境衛生金融公
        庫理事長    坂元貞一郎君
        参  考  人
        (日本育英会理
        事長)     村山 松雄君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  春田 重昭君     浅井 美幸君
同日
 辞任         補欠選任
  浅井 美幸君     春田 重昭君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  春田 重昭君     浅井 美幸君
同日
 辞任         補欠選任
  浅井 美幸君     春田 重昭君
三月一日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     菊池福治郎君
同日
 辞任         補欠選任
  菊池福治郎君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
二月二十五日
 昭和五十一年度一般会計公共事業等
 予備費使用総調書及び各省各庁所管
 使用調書(その1)
 昭和五十一年度一般会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書
 (その1)
 昭和五十一年度特別会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書
 (その1)
 昭和五十一年度特別会計予算総則第 (承諾を
 十一条に基づく経費増額総調書及び 求めるの
 各省各庁所管経費増額調書(その1) の件)
 昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調
 書(その1)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十九年度政府関係機関決算書
 昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (文部省所管、厚生省所管)
     ――――◇―――――
○芳賀委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、まず、文部省所管について審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、参考人として日本育英会理事長村山松雄君の御出席を願い、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。なお、参考人からの意見聴取は、委員の質疑によって行いたいと存じますので、さよう御了承願います。
    ―――――――――――――
○芳賀委員長 それでは、文部大臣から概要の説明を求めます。海部文部大臣。
○海部国務大臣 昭和四十九年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を、御説明申し上げます。まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額五億八千十一万円余に対しまして、収納済歳入額は七億二千九百八十三万円余であり、差し引き一億四千九百七十二万円余の増加となっております。次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額二兆一千百二十五億四千五百八十八万円余、前年度からの繰越額二百六億七千十三万円余、予備費使用額八億七千四十四万円余、流用増加額八千百四十八万円を加えた歳出予算現額二兆一千三百四十一億六千七百九十四万円余に対しまして、支出済歳出額は二兆一千百四十三億八千九百六十四万円余であり、その差額は百九十七億七千八百三十万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は百五十四億四千五百三万円余で、不用額は四十三億三千三百二十六万円余であります。
 支出済歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金、国立学校特別会計へ繰り入れ、科学技術振興費、文教施設費、教育振興助成費及び育英事業費であります。
 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。
 第一に、義務教育費国庫負担金の支出済歳出額は一兆一千三百五十五億四千八十五万円余であり、これは、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費等及び教材費の二分の一を国が負担するために要した経費であります。
 第二に、国立学校特別会計へ繰り入れの支出済歳出額は五千百五十二億二千百七万円であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。
 第三に、科学技術振興費の支出済歳出額は二百四億九千九百九十八万円余であり、これは、科学研究費補助金、日本学術振興会補助金、文部本省所轄研究所、文化庁附属研究所の運営等のために要した経費であります。
 第四に、文教施設費の支出済歳出額は一千九百二十億二百十二万円余であり、これは、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校、高等学校及び幼稚園の校舎等の整備並びに公立の学校施設等の災害復旧に必要な経費の一部を国が負担または補助するために要した経費であります。
 第五に、教育振興助成費の支出済歳出額は一千六百二十七億七千三十五万円余であり、これは、養護学校教育費国庫負担金、義務教育教科書費、初等中等教育助成費、産業教育振興費、公立大学等助成費、学校給食費及び私立学校助成費に要した経費であります。
 第六に、育英事業費の支出済歳出額は二百九十一億七百四十万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸し付け及びその事務費の一部補助等のために要した経費であります。
 次に、翌年度繰越額百五十四億四千五百三万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、文教施設費で、計画及び設計変更、用地選定の難航、気象の関係等により、事業の実施に不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 次に、不用額四十三億三千三百二十六万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、義務教育費国庫負担金で、教員給与の改善について地方公共団体において年度内に実施できないものがあったので給与費等を要することが少なかったこと等の理由により、不用となったものであります。
 次に、文部省におきまして、一般会計の予備費として使用いたしました八億七千四十四万円余についてでありますが、これは、文教施設費で、昭和四十九年に発生した五月二十九日から八月一日までの断続した豪雨及び台風八号等によって被災した公立の学校施設等の復旧に必要な経費の一部を国が補助するために要した経費等であります。
 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。
 国立学校特別会計の収納済歳入額は六千七百二十五億八千六百八十万円余、支出済歳出額は六千三百五十四億九千六百二十四万円余であり、差し引き三百七十億九千五十五万円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により七十八億七千三百十万円余を積立金として積み立て、残額二百九十二億一千七百四十五万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 次に、歳入につきましては、歳入予算額六千四百八億四千九百十九万円余に対しまして、収納済歳入額は六千七百二十五億八千六百八十万円余であり、差し引き三百十七億三千七百六十一万円余の増加となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算額六千四百八億四千九百十九万円余、前年度からの繰越額百九十三億一千七百二十五万円余を加えた歳出予算現額六千六百一億六千六百四十四万円余に対しまして、支出済歳出額は六千三百五十四億九千六百二十四万円余であり、その差額は二百四十六億七千十九万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は百二十六億八千百九十一万円余で、不用額は百十九億八千八百二十八万円余であります。
 支出済歳出額のうち主な事項は、国立学校、大学附属病院、研究所及び施設整備費であります。
 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。
 第一に、国立学校の支出済歳出額は三千八百六十億五千七十万円余であり、これは、国立学校の管理運営、研究教育等に要した経費であります。
 第二に、大学附属病院の支出済歳出額は一千百三十六億二千二百五十九万円余であり、これは、大学附属病院の管理運営、研究教育、診療等に要した経費であります。
 第三に、研究所の支出済歳出額は四百三十五億九千三百八十八万円余であり、これは、研究所の管理運営、学術研究等に要した経費であります。
 第四に、施設整備費の支出済歳出額は八百八十一億七千九百八十六万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の施設の整備に要した経費であります。
 次に、翌年度繰越額百二十六億八千百九十一万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、施設整備費で、資材の入手難、設計変更等により、事業の実施に不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 次に、不用額百十九億八千八百二十八万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、国立学校で、職員基本給を要することが少なかったこと等の理由により、不用となったものであります。
 なお、昭和四十九年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項七件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。
 指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。
 以上、昭和四十九年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要の説明を求めます。高橋会計検査院第二局長。
○高橋会計検査院説明員 昭和四十九年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項七件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、本院の注意により当局において処置を講じたもの二件でございます。
 まず、不当事項について説明いたします。
 検査報告番号三号から九号までの七件は、いずれも補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、その内容は、学校給食費、公立文教施設整備費関係の国庫補助金に係る事業におきまして、その一部が補助の対象とは認められない事業を実施したりしていたものなどでございます。
 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。
 これは、児童生徒急増市町村が、公立小中学校の学校用地を取得するため補助金の交付を受けていますが、この対象経費は校舎敷地等の取得に最小限必要な経費とすべきであるのに、学校に隣接する一般道路の新設や拡幅等のための用地の買収費等直接学校用地に必要がないと認められる経費を含めて補助対象としているもので、補助金交付の適正を期する要があると認められるものでございます。
 最後に、本院の注意により当局において処置を講じたものについて説明いたします。
 その一は、文部省及び国立大学が施行している建物の鉄筋工事費及びコンクリート工事費の積算が適切でないと認められる点が見受けられまして、これはいずれも文部省が定めた積算要領の基準が適切でないことによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、文部省では、五十年五月、同基準を改定し、新たに施工の実態に適合した歩掛かりを定める処置を講じたものでございます。
 その二は、財団法人日本武道館に対して文部省はその運営に要する費用の一部を補助しておりますが、同館の経理処理の内容について検査しましたところ、施設等の使用料を任意に減額するなど適切でない処理をしているものが認められましたので、当局の見解をただしましたところ、文部省では、日本武道館に対して、適正な経理処理を行うよう指導し、同館では、この指導を受けて五十年三月に関係規程を整備するなどの処置を講じたものでございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○芳賀委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
○原(茂)委員 三点ばかり、きょうはお伺いをいたしますが、最初に、中国から引き揚げてきた子弟の学校教育に関しまして、現状、どんな状態になっていますかお伺いをしたい、それが一つ。
 それから二つ目に、医者などもそうなんですが、先生なども、中国の教育者としての教育、学校を卒業して五年なり十年なり実務について日本に帰ってきても、日本の学校における教員の資格が与えられていない。規則から言えばそうでしょうが、一体そういう現状でよろしいかどうかを少し疑問を持ちましたので、その点を二つ目。
 三つ目に、医者の問題なんですが、医者にしても正規の中国の医者の学校を出て、日本と年数的に一年、二年多く勉強をして、あるいは実地での医師としての開業をやってきたのも、日本へ来て医師として、これが開業をすることを認められないという現状のようですが、この三点について現状の説明をしていただきたい。
○海部国務大臣 お尋ねの、中国からの引き揚げ者の子女教育につきましては、学齢期にある方は小学校及び中学校において、その年齢に応じた義務教育を受けることになっておりますが、学校の生活に適応するまで、一時的に下の学年に編入されるなどの措置もとられておると存じます。これら引き揚げ者の子女の教育に当たりましては、日本の学校教育にできるだけ速やかに適応し得るよう、特に日本語教育の指導について配慮しておるところでありますが、文部省といたしましては、帰国子女教育研究協力学校を指定して、帰国子女に対する学習指導、生活指導等に関する調査研究を行うとともに、帰国子女の積極的受け入れを委嘱しておりまして、当該学校に対しては、いろいろと予算措置を講じながら、どうしたら日本語指導を効果的に進めることができるか、この点に力を入れて基本的にはやっていきたいと考えております。
 なお、御指摘の個々の具体的な事例に関しましては、政府委員に答弁をいたさせます。
○諸沢政府委員 ただいま大臣から答弁申し上げましたように、引き揚げ者の比較的多く集中しております地区につきましては、その地区の小学校あるいは中学校を研究協力校と指定いたしまして、現在、全国的に言いますと、長野県の泰阜村、ここには、戦前満州へたくさん移住されまして、その後こちらへ引き揚げてこられたというような家族も多いようでありますので、この泰阜村の小中学校及び東京都の中学校二校、小学校一校を研究協力校と指定をいたしまして、そこで、先ほど大臣が申し上げましたように、それらの子弟について、まず日本語の教育ができますように配慮をし、そうしてその日本語の教育と相まって、当該学校の教育段階へ適時進めるよう配慮しておる、こういうことでございます。そうして、その日本語の教育を進めるために、中国語を理解する非常勤講師、これを委嘱できるように、講師謝金という形で国が補助をする、こういうことをやっておるわけでございます。
 なお、いま御指摘がございました、向こうで教職等の経験がある、つまり向こうの言葉も理解しておられる、そういう教育関係の引き揚げ者の適切な、日本へ帰ってきてからの活用といいますか、そういう点の御質問だったろうと思いますが、これはわが国の小中高等学校の教員につきましては、御承知のように免許法の制度がございまして、必要な単位をとって免許状をもらわなければ、教壇に立って教えてはいけないという法制になっておりますので、そういう意味では、正規の教員としてこれを採用するということはできないわけでございますが、ただいま申しましたように、そのような方が中国において取得しましたところの、中国語が練達であるという、その点をいまのような非常勤講師というような形で、言葉の上を通して、言ってみれば引き揚げ者の子供のお世話に協力していただく、こういうことでやってまいりたい、こういうように思うわけでございます。
 せっかくの御質問でございますが、医者のことにつきましては私どもの所管外になりますので、御了承いただきたいと思います。
○原(茂)委員 長野県の泰阜にもありますし、それから東京都にあり、鹿児島にもあり、わずかな学校が、申請があると許可をして、こういう学校になってきているわけですが、どうも数が少ないので、ある地域では申請ができない、学校がないというときには、遠くのところから学校のあるその地域へ下宿なりをしてまで、その学校に入りたいといったときの、その生徒に対する費用を特別に考慮することはできませんか。
 たとえば大阪に帰ってきました。引き揚げてきた。学校がありませんので、やむなく東京都へ、あるいは鹿児島へ、どこへというふうに、学校へ行こうとするときに、もちろん引き揚げてすぐ経済的な余裕はない。したがって、その学校へ行かなければ困るのだが、棄民になっては困る、ジプシーになっては困るので、どうしても学校へ行きたいのだが、費用がない。そのときにわずかな人間のめんどうを見て、学校のある地域に住んで学校へ通うことができるような何らかのめんどうを見てやる必要が現にあるのですが、そういう点は考慮できますかどうか。
○諸沢政府委員 ただいま申し上げましたように、文部省が引き揚げ者教育の研究協力校として指定いたしておりますのは、現在のところ長野県と東京都でございますが、御指摘のように、そのほか関西地区あるいは千葉県等でも、中国のみならず韓国等の引き揚げ者をあわせますと、言ってみれば各地に散在しておるわけでございます。
 そこで、そういう需要の地域につきましては、研究協力校として指定はいたしておりませんけれども、それぞれの地区において比較的そういう子供さんの多いところを選んで、集中的に教育ができるよう配慮してほしいということを教育委員会にお願いをしておるわけでございますが、それ以上に、さらに進みまして、いまおっしゃったように遠くの地域から子供さんがそこの、大阪なり東京なりに出てきて勉学するということになりますと、それは現在のところでは、言ってみれば留学に要する経費のような点につきましては、国においても、これを補助するというようなことはまだ考えていない、こういうことでございます。
○原(茂)委員 いまお聞きになって、大臣どうですか。いまのところ考えていない。自分の地域になくて行けないから、これは全然勉強する機会がない、ほうりっ放しになるのですね。そういうのを特別に考慮しなければいけないのは事実じゃないかと思うのです。何かやはり新たな考慮を加えて、何らかの方法でそういう人は――一人だけを特別に学校で施設を設けることはできないわけですから、したがって、どうしても遠隔の地へ行かなければいけない者に対する配慮がないと、これはぽこんと捨てられてしまうわけですよ。これに対して何か配慮しなければならないと思いますが、どうですか。
○海部国務大臣 それは、それぞれの地域の学校でできるだけ特殊事情を考慮し配慮をして、そういった置き去りにならないような創意工夫をしていただくといいますか、努力を傾けていただくのが、いま考えられることでございますけれども、きょうまでのいろいろなやってまいりました施策、それからその研究の成果等も振り返り見まして、なるべくそういう創意工夫が行われていって、置き去りの子供ができないように努力をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
○原(茂)委員 海部大臣なら、思い切って勘案しようと言うかと思ったが、そうも言わないですね。これは期待をしているようですけれども、期待をするには、たとえ一人でも二人でも、その地域における学校にこの教育のできるような配慮を、むしろ教育委員会を刺激して、進んで措置をさせるようにしないと、実際には置き去りがぽつんぽつんと出てきますから、これはいまの答弁で期待をしておるようですから、期待をすると同時に刺激を与えて、そういう置き去りがないような配慮をきめ細かにするような示達をひとつしてもらって、申請があればやるべき手当てはちゃんとするのだというたてまえで、いままでやってきておるのですから、したがって、そういう示達なり通達なりしながら刺激を与えるように――まず、私のいまの趣旨が生きるようなきめ細かい手を、もう一度刺激を与える意味でも示達をしてもらうようにしていただいたらいいと思うのですが、この点はいかがですか。
○諸沢政府委員 ただいま説明申し上げましたように、引き揚げ者で日本語の十分でないという子供さんは全国、言ってみれば、非常に各地区に少数点在をしておるということでございまして、しかもそれは、日本に帰ってこられましたならば義務教育を受けることになるわけですから、それを特定な地域に集めて教育するというのではなくて、やはりそういう子供が帰ってきたその地区の教育委員会が、それも同じ日本の国民として教育しなければならないのだという考え方に立って、それぞれの教育委員会が仮に一人であっても二人であっても、その日本語のできない子供さんに対応できるような施策を講ずることが、私は適切な措置ではなかろうかと考えるわけでございまして、そういう意味におきまして、いろいろな機会を通じて、なおそのような考えが浸透し、適切な施策が行われますように指導してまいりたい、かように思うわけでございます。
○原(茂)委員 それから今度は海外にいる日本人の子弟の教育の現状ですけれども、これは資料ももらいましたが、いまあります学校は小学校が中心ですが、中学校を併設しているところも三十校ぐらいあるようです。この小学校に当たる学校が海外に、特に開発途上国の方が数が多いようです。最近は、アメリカなりイギリスにも全日制の学校が必要だというので設置したようですが、これは在留邦人の有志の、まあ数も必要になるでしょうが、その集まりがこのことを発起して、そして学校をつくりたいという決定がなされて、それがたとえば文部省へくるのですか、どこへその申請がきて、どういう手順で許可をするようになるのですか。
 つまり第一には、小学校は全部公立ではなくて、私立学校であるかどうか。
 それから、その私立学校をつくろうというのは、国の方から、そういったものをつくるように積極的に施策をするのではなくて、在留邦人がどうも自分の子供を教育しなければ困る、日本人教育をしたいというので、在留邦人そのものが必要を感じて発議をして、それが文部省へどういう形できたときに、許可というか補助をいろいろ与えたり、あるいはこちらから先生を派遣をしたり、先生の派遣の費用は二分の一国が負担をするとか、あるいは在留している先生に対して外務省からまた謝金という形で、いわゆる手当を出してみたりというようなことになっているようですが、そういうふうになるきっかけは、どういう順序になるのかということが二つ目、分けてお聞きしたい。
○今村(武)政府委員 在外のいわゆる日本人学校は、日本の学校制度に基づく学校ではないわけでございます。日本の文部省の権限は、日本の領土にのみ及びますので、したがって在外の日本人学校は、いわゆる日本人学校でございまして、その国々の法令との関係で、その国々ごとに考えていかなければならないわけでございます。
 いままでのところ、その必要を感じて現地の日本人の方々が日本人会という団体において、それぞれの国でそれぞれに、われわれが言う日本人学校を設置されてきたわけでございます。そして、そのいわゆる日本人学校は当該国の法令に照らしてみますと、当該国の制度によるそれぞれの分類になるわけでございます。日本の言葉で言えば、私立学校であったり、あるいは各種学校であったり、あるいは塾であったりするというような関係になっておりまして、それぞれの国の法令に照らしてみれば、いろいろなバラエティーがあるというのが現状でございます。
 しかし、いま私ども日本の文部省の目から見ますと、日本の義務教育該当者が国外にいて、そして日本の義務教育と等しい教育を受けたいと熱望されておるわけでございますので、それらが外務省を通じて文部省に、それらの学校に教員を派遣してほしいという希望がありました際に、都道府県教育委員会を煩わしまして必要な教員数を募集いたしまして、それを外務省に報告をし、私ども各学校へ配分すべき案も携えまして連絡をいたしまして、それを外務省が委嘱して現地のいろんな形を持った学校の教員に教育をすることを頼んでおる、こういう形に相なっておるわけでございます。
○原(茂)委員 そうすると、その学校、すなわち小学校に相当するものを出ると、自動的に日本へ来て中学へは入る資格があるらしいと思うのですが、何に基づいてそういう資格が与えられるのか、一つ。
 それから、中学が併設されているところが三十校ぐらいあるようですが、これも自動的に日本の高等学校に入る資格を有している、いまの説明で。文部省が一体何をもとにして日本国内における小中学校と同じ資格があるとみなしているのか。そこのところを規則があるのかないのか知りませんが、それもひとつ一緒に。
○今村(武)政府委員 ただいま御説明いたしましたところによりますように、外国のそれぞれの国の取り扱いが国ごとに違いますので、それらの日本人学校から国内に帰ってきた場合に、日本の学校制度にどう連結するかということは大変むずかしいことでございます。しかしながら、それらの学校は、それぞれの国の視点から見るから、いろいろ取り扱いが違うわけでございますけれども、わが国内から見ますと、義務教育該当の人々が、実質上義務教育に等しいような教育をやっている学校でございますので、帰ってきた場合の措置は、いわゆる国内での措置になります。
 そこで、国内での措置といたしましては、学校教育法の施行規則の中で、文部大臣が指定いたしました海外の日本人教育施設を終了した者は、それぞれ実体的に考えてみて、国内の小学校、中学校のしかるべき学年に編入させるという取り扱いをしておりますし、またいわゆる在外日本人学校の中学を卒業した者は、日本の高等学校への入学の資格があるという取り扱いをしておるわけでございます。
○原(茂)委員 いまの説明で初めて一つ知ったのですが、文部大臣が、その日本人学校は指定するのですか。
○今村(武)政府委員 学校教育法施行規則の第六十三条の第二号に「文部大臣が中学校の課程に相当する課程を有するものとして指定した在外教育施設の当該課程を終了した者」というのがございまして、高等学校の入学資格に関し、中学校を卒業した者と同等の取り扱いをするということになっておるわけでございます。
○原(茂)委員 そうですか。じゃ、日本人学校というのは、日本人会の有志が発起してつくったように言われていても、諸外国のいわゆるいろいろな法令なりに照らしての学校になるんでしょうが、しかし、それは設立と同時に文部省が認定をする、文部大臣が指定をするという形を、いずれもとっているものばっかり。現在ある日本人学校は全部そうだ、こう解釈してよろしゅうございますか。
○今村(武)政府委員 海外における、いわゆる日本人学校で中学部のあるところは、高等学校への入学試験の資格の認定の関係がございますので、文部大臣が全部学校教育法施行規則六十三条との関連において指定をいたしております。
○原(茂)委員 中学校を併設していない小学校は。
○今村(武)政府委員 ただいま申し上げました学校教育法施行規則六十三条は、高等学校への入学資格の関係で文部大臣が指定をするという法文上の根拠になっております。中学校の場合は、こういう条文の根拠となる規定がないわけでございますので、いわゆる小学校の場合は指定はいたしておりません。
 ただ帰国子女について言えば、日本に帰ったときに義務教育年齢の子供でございますから、日本の義務教育学校に就学しなければならないという義務を帰ってきた途端負うので、日本の義務教育の小学校、中学校に編入させるということに相なるわけでございます。
○原(茂)委員 そこで、最初にお伺いした中国の引き揚げ者の問題なんですが、便宜上といいますか、文部大臣が小学校に対しては指定をしていない。にもかかわらず、日本へ帰ってきたら、義務教育だから中学へ入る義務があるというので、そこのところを飛び越して、資格というものを、しっかりとした要件があるないは飛び越えちゃって、日本へ帰ってきた以上は義務教育を受ける義務があるんだというので、中学へ自動的に入る資格を与えていて、中国の引き揚げ者の場合にはその適用をしないという違い、差別はどこから生じるのでしょうか。
○諸沢政府委員 海外の商社等に勤務をして一定の年限がたって帰ってきたという家族の子供さんも、それから中国から引き揚げてきたという子供さんも、同じ日本人であるということからすれば、これは全く同一でございます。
 そして、その日本人であることによって十五歳までは義務教育を受ける義務がある。そこで、義務教育を受ける場合に、どの学校段階の何年に入れるかということは、中学二年相当であるからといって、直ちに二年へ入れるのがいいのかどうか。その子供さんの日本語の能力あるいは全体の学業のレベルというものから考えて、年齢的には中学二年相当であるけれども、まず小学校の六年で少し勉強したらどうですかということはあり得るわけで、その場合に、いまの御指摘のように引き揚げ者の場合と、それから短期間外国へ行っていた場合で、その子供さんの日本語の能力その他かなり差があれば、そこで該当させる学年等に違いがあることは現実にあり得るでありましょうけれども、同じく義務教育をさせるという意味では全く同じである、こういうふうに考えるわけであります。
○原(茂)委員 中国以外の在外在留邦人の子弟は小学校六年に相当するまで日本人学校で勉強をしてきました、したがって中学を受けてよろしい。中国の引き揚げ者も日本語ができる、できないという判定で言うなら、日本語はある程度できます。そのときは、ちゃんと中学へ入る資格を与えるべきだと思うという意味の質問をしているのですが、その点、どうですか。
○諸沢政府委員 その点は、まさに受け入れますところのその学校の校長の判断によりまして、本人の全般的な学業の到達度その他を見てやるわけでございますから、個々のケースとしてどこへ、何学年に入れるかというようなことは、引き揚げ者の本人ないしは父兄と学校側がよく話し合って、その意見の一致したところでやるのが望ましいわけでありますけれども、しかし、現実には個々のケースに当たってみれば、あるいは本人は中学段階でやらせたいというような希望があっても、いや、もうちょっと時間をかけて、下のレベルからおやりになった方がいいでしょうというようなことでやる場合もあろうかというふうに考えますが、基本的には、それはいま申しましたように校長の判断によってやっていただいておるというのが実情でございます。
○原(茂)委員 その点は、在留邦人の子弟も中国からの引き揚げ者も全く同じだ、こう解釈していいですね。
○諸沢政府委員 考え方は全く同じであるということです。
○原(茂)委員 いままでの実績を文部省がつかんでいるかどうか知りませんが、在留邦人の子弟が教育を受ける日本人学校で、小学校六年までの課程を終わってきましたという場合、どの親もいい学校へ入れたい。いい学校、悪い学校と言うのはおかしいですが、俗に言ういい学校へ入れたい。そのときに受験をしてみると、中学校、あるいは中学校を卒業して今度は高等学校へと行ったときの日本人学校の学力というのは、本人の能力によることはもちろんですが、いま日本で激しく争われているような受験戦争になかなかついていけないという傾向が現在強いのです。
 この点は、いま私が言ったようなことが事実だというふうにお認めになりますか。それとも相当の学力があるという実績があるんだというデータをお持ちなら、それを示してもらいたいのですが、引き揚げてきた子供たちの学力というものは、受験をしてみると非常に低いというので、親としては悩んでいるのが現状なのですが、何かこれに対する対策をお考えですか。
○今村(武)政府委員 海外における日本人の学力の態様については、大きく言って二つに分けて考えた方がよろしいように思います。海外におります小中学校該当の日本人で、いわゆる日本人学校というものに通っている子供が四割ございます。この日本人学校の子供たちは日本人の教師によって、日本の学習指導要領の基準にほぼ準拠しながら教育を受けておりますので、外国におります日本人子弟の中でも、わりに日本に近い教育を受けている人々でございます。残りの六割が現地の学校に就学し、ぜいぜいよくて一週間の終わりに二時間ぐらい日本語の勉強をしているというような人々でございます。
 したがって、後者の人々については、まさに先生のおっしゃるように、国内に帰ってきた場合に、国内のスタンダードから見れば、歴然とした落差があるというのが事実でございます。それから、日本人学校に通っております子供のうちにも、日本人学校の整備の状況によりまして、あるいは土地の状況によりまして、大分落差がございます。したがいまして、中には国内における中学校と違いがないと自信を持っている学校もございますけれども、大方は全く先生のおっしゃるような概況でございます。
 それに対しましては、私ども、日本の国内における教育課程の基準が余りに弾力性に富んでいないというのでは困ります。そこで、その弾力性をお願いすると同時に、また昭和五十二年度からは、そういう海外から帰ってくる帰国子女は、大変な長所を持って帰ってくるわけでございますので、その長所をさらに伸ばしながら短所を補っていくという意味で、違った、特別な教育課程に基づく教育をする高等学校の新設をしたいというようなことで、いまそういう教育をする私立高等学校の建設費の一部を国が補助をするという新しい構想を持っておるわけでございます。
 また従来から、それらの帰国子女に対しまして、各都道府県教育委員会あるいは私立学校の中に協力指定校というのを設けまして、それらの子女を特に受け入れていただいて、その子供なりに最善の成長をするような教育もしていただく措置も講じてまいりました。新しいものとしては、先ほど申し上げた私立学校の新設をもくろんでおるわけでございます。
○原(茂)委員 いまおっしゃったようなことに値する予算なども、五十一年よりは五十二年というふうに考えていますか。
○今村(武)政府委員 昭和五十二年度の私立学校の新設につきましては、建設費の一部について定額補助をするために三億円の予算を計上いたしまして、いま御審議を煩わしておるところでございます。
○原(茂)委員 こういう種類のことは時間がかかるのはわかっているのですが、相当思い切って予算もつけながら、意識的にその力というものを引き上げるため、あるいはアンバランスを解消するためにどうするかということを真剣に考えてやらないと、これからは海外へどんどん出ていく日本人が多いのですから、いま父兄が持っている悩みがそのままありますと、海外へ出ていくことにしり込みをする、子供の将来を心配して、実はかわいい子供のために行けないという人がずいぶんあるのですね。
 私は、いま時間がないから簡単に言っているのですが、いろいろな例がありますが、あちらにおける日本人学校の教育内容、それに対する教育水準の引き上げに対する配慮、あるいは帰ってきてからのいま言った中学校、高等学校の受け入れがしやすくなるような、向こうにおるそのベースの中で、どんどんその条件を満たすようなことを予算の面からも措置して考えていかないと、これは非常に後手後手になりまして、いよいよ海外とどんどん交流が激しくなっていくのにかかわらず、能力のある者も海外へ在留することを非常にしり込みをする。あるいは条件をつけて、いま小学校二年だから、まあ受験勉強もしたいから、五年になったときには、ぜひひとつ本国へ帰してもらいたいと言うと、なかなかその条件に合わないから、じゃ、おまえさんは海外はやめだというような問題で、いろいろ各企業でトラブルが起きているわけですね。
 したがって、そのことは教育の問題ですから非常に重要なんで、いま私は簡単に言っていますが、そういう問題が解消できるような考え方とその施設なり、あるいは予算的な措置というものは、きめ細かに行われていかないと、しかも急速にそれをやっていただかないと、ぼくは非常にこの点でおくれをとってしまうというふうに思いますから、この点は大臣が、やはり思い切ってこれに目を向けながら、もっと進んだ予算措置を中心にした、いわゆる不安の解消という点での決意をひとつお持ちいただきたいと思いますが、いかがですか。
○海部国務大臣 御指摘の点に関しましては、私どもも全く同じような方向で考えておるわけでありまして、ですから理想を申しますと、日本で義務教育に携わっておっていただくその教員が、日本の学校で使っておると同じ教科書で指導をし、教育を続けてもらうことがすべての人に行き渡れば、これがやはり理想だと思うわけでございます。
 そこで、できるだけ多くの教員に海外に出ていただくように外務省とも協力をしてやっておりますし、それから教科書の無償配付は完全に履行しておりますし、それから海外子女教育振興財団を通じて教科書以外の教材等についても工夫をしてもらったりしております。
 先ほど局長が申し上げましたように、今年度予算と五十二年度予算を比較していただきますと、今年度の約三倍近くの五億六百万円というところまでこぎつけてまいりました。さらに、帰国子女育成の専門の高等学校も今度一校だけの補助でありますが、この成果を見ながら、こういった帰国されてからの高等学校教育というものも、おくれを取り戻すためには必要ではなかろうか、この両面からながめまして、この問題については、さらに一層力を尽くしていきたい、こう決意しておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○原(茂)委員 将来のために大至急それを実施に移していただくようにお願いします。
 それから最後に、例の特別天然記念物のニホンカモシカの問題についてお伺いします。
 文化庁の長官もおいでになっているようですが、このニホンカモシカの食害という問題は、もうほうっておけない事態になっている、なっていると言いながら、この対策がほとんど前進していないというのが現状だろうと思うのです。きょう、時間の都合でわざわざ一番最後に回したのですが、明後日、環境庁長官以下、きょうおいでいただいた関係者もう一度おいでいただきますが、そこでこの問題専門に、少し今後の対策を、現状に照らしてみてどうするかをひとつ論議をしてみたいと思います。
 いままで一昨年の六月と十一月に、この委員会でニホンカモシカの対策を訴えましたし、また環境庁長官なり永井文部大臣なりを中心にした、それ相当の決意を込めた答弁がありました。きょうはそれを一々読み上げませんが、その答弁があったことが何一つ、いま行われているという実績がない。一昨年の六月と十一月ですから、いまもう足かけ二年たっているのに、なおかつ、われわれが見て、あるいは現地における食害を防ぐということを切望している林業者の皆さんの目の前で、これだけは進んだというものが何も出ていない。
 長野県の例をとらえて言いますと、もうすでに長野県では、私らのすぐ隣の上伊那郡箕輪町上古田なんという部落までニホンカモシカがおりてまいりまして、種のトウモロコシの畑を全部食い荒らす。これは、そんなところまでとても来ないと思っていたカモシカが、すでに去年はそこまでおりてきておる。それが証拠に、わずか一億前後の被害だった一昨年から比べると、飯田、下伊那だけで、もうすでに四億七千万近い食害が出ている。幾何級数的に倍、倍、倍に被害の方はなっている。これに対して防護さくをつくるとか、あるいは特定の地域を決めて、そこへ何とかして囲ってしまうとか、あるいは忌避剤を塗って寄りつかないようにしようとかというようなことが、もうずっと長く論議され、それをやりますと言っていて、わずかに防護さくに対する助成金が少し出る。その防護さくが、特定のところに防護さくを置けば、今度は国有林に防護さくを設けると、その隣の民有林へみんな行ってしまいますから、民有林はものすごく食い荒らされるという状態になって、これはいわゆる対策ではなくて、研究をしているんですね。何年かかったら、この研究ができるのか。
 二年前からやっていながら――私は前にも、いつも言っているのですが、国が勝手に、特別天然記念物だから、とにかく保護をしなければいけないと法律で決める。決めていながら、その決められた特別天然記念物の管理責任者はだれだ、何をどういう手段で食わして生かしていくんだとかいうことを全然決めない。私は、どの法律が一番適当に作用するのか知りませんけれども、皆さんが、すでに何の法律に準拠してこれをやっているのかを、また明後日はよくお聞きしたいと思いますが、とにかく法的な根拠というものが一応はあると思うのですが、その根拠がどうもはっきりしていない。
 法律どおりに皆さんが動いていないというようにしか実は思えないのですが、たとえば、文化財保護法、これが基準になるのかどうか知りませんが、第四条の三項あるいは三十二条の二などが基準として考えられなければいけないと思うのですが、現在の生態が一体どんな状態なのかを、まず調べるんだなんという、のんきなことを言って、二年もたって、しかもまだ生態を依然としてつかんでいない。各都道府県に頼んで、どのくらいいそうかを遠くから見ていてもらっているだけだ。何年たったら、一体この条文にあるように、たとえば、法律を守るわれわれとしては法律に照らして、こういったものの処置を毅然としてまず行うことを決め、それによって次から次に行うべき施策なり手段なりが講じられていくということにならなければいけないと思うので、きょうちょっと先にお伺いしたいのは、この四条の三項にある「政府及び地方公共団体は、この法律の執行に当って関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」という、現在のように食い荒らされっ放しで放置してはいけないというふうに解釈できますが、これに対して、現状に照らして、ニホンカモシカが一体あのように食害をどんどん倍加している現状を、この第四条第三項に照らしてどうお考えになるのかが一つ。
 それから三十二条の二、これに「重要文化財につき、所有者が判明しない場合又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、文化庁長官は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して、当該重要文化財の保存のため必要な管理を行わせることができる。」――「ことができる。」だからやらないのかもしれませんが、これもこの法律の少し穴だと思います。「ことができる。」ではなくて、やらなければならないと思いますから、これはいずれ手をつけますが、いずれにしても現在の法文に照らしてみて、このニホンカモシカの所有者は一体だれかをひとつ聞きたい。三十二条の二で、だれが所有者なのかを聞きたい。
 それからもう一つは、非常に管理あるいは保護が困難だ、現状では不適当だと明らかに認められているんだが、文化庁長官は、どんな適当な措置を講じようとしているのか。もう何年もたっているのに、この条文に照らして何をやったのか。この二つ。
○安嶋政府委員 ただいまのお答えに先立ちまして、五十年の六月及び十一月に御質問がございました事柄につきまして、その後講じておりまする措置につきまして簡単に御説明を最初に申し上げておきたいと思います。
 カモシカに関する調査でございますが、抜本的な対策を立てるための基礎調査といたしまして、文化庁のほか環境庁、林野庁、協議をいたしまして、昭和五十一年度から三カ年計画でカモシカの食害対策に対する調査を進めております。五十一年度には、ただいまお話がございました忌避剤等の生理的な防除方法の基礎的研究や、あるいは全国各地の森林のタイプごとに地域の個体数を推定する方法の確立のための研究、それからカモシカの行動圏の調査研究、こういった研究を続けておるわけでございます。
 また昭和五十年度からは、被害が特に激しい青森県、長野県、岐阜県等の各県に対しまして、それぞれ国庫補助金を交付いたしまして、被害の実態、原因、防除方法等につきまして解明を行っておるわけでございます。
 ただいま申し上げましたように、この調査は継続的な調査でございまして、まだ最終的な結論を得ていないわけでございますが、長野県における五十年度の中間報告から見ますと、カモシカの一家族群の行動半径は平均十ヘクタール、カモシカの採食は、特に造林木を好むということではなくて、百二十七種類の植物を採食しておる。それから造林木は、やぶの落葉後採食されておるというようなことが指摘されております。また被害の対策といたしましては、防護さくがかなり有効である、高さ六十センチメートルから一メートル程度の有刺鉄線でも、かなりな効果を上げ得るということが明らかになっております。調査の結果は、おおむね以上でございます。
 次に、対策として幾つか申し上げてみたいと思いますが、特別天然記念物といたしましてのカモシカは、可能な限り自然な環境で保護するということが望ましいわけでございます。五十年の原先生の御質問にもございましたように、いわば自然動物園的な保護と申しますか、それを囲い込むことが適切ではないかという御指摘もございましたので、そうした方法も現在一部取り上げておるわけでございまして、岐阜県の小坂町等におきましては、一定の地域にカモシカを囲い込みまして、他に被害を及ぼさないような方法を講じておる次第でございます。
 それからもう一つは、これはカモシカを一定の地域に閉じ込める方法でございますが、これは自然な状態において保護するということとは若干ずれる面もございますので、農地あるいは植林地にカモシカが入らないようにさくをする。さっき申し上げましたように、防護さくがかなり有効であるということも明らかになっておるものでございますから、そうした措置も講じておるわけでございまして、この具体的な例といたしましては、青森県の脇野沢村の例がこれに当たるかと思います。そうした基本的な調査のほかに応急的な対策といたしまして、防護さくのこうした種類の設置を進めておるということが現状であります。
 そういうことで現在の施策が進んでおるわけでございますが、ただいま御指摘がございました文化財保護法の四条三項の関係並びに三十二条でございましたかの関係でございますが、カモシカは御承知のとおり野生の動物でございます。したがいまして、これに対して所有権というものはないわけでございます。文化財保護法の一般的な規定でございますと、建造物でございますとかあるいは絵画、彫刻等、これにつきましてはもちろん所有者が明確でございますから、その所有者の態様に応じまして、所有者自身が適切な管理を行い得ない場合には別に管理団体を指定して管理をさせるというようなことがあるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、カモシカ自体は野生の動物でございますので、そうした処置は実際上講じ得ないということでございます。
○原(茂)委員 冒頭申し上げたように、細かい問題に関しては明後日十時からの委員会でまたおいでいただいてやります。それで、きょうは一つだけ、明後日のことにも必要ですから、現時点における調査、研究のまとめと、それから対策、概略でいいですから、資料として明日私のところへお出しいただきたい。できるだけ早く私もそれを見た方が、なお明後日の皆さんへの論議の進め方が非常に時間が有効になると思いますから、明日なるべく早い時間に、現時点におけるいままでやってきた調査一研究の結果がこうだ、それから対策としてはこうやりましたといった二つに分けたものを個条書き的にお出しをいただきたいことだけお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○安嶋政府委員 提出をいたします。
○原(茂)委員 では、これで終わります。
○芳賀委員長 北山愛郎君。
○北山委員 私は、最初に文部大臣にお伺いしますが、文教予算の全体の傾向と申しますか、それについてお尋ねしておきたいのです。
 いまこの委員会の審査の対象になっておる四十九年度の決算、あるいは五十年は、文教予算というのは、わりあいに伸びが大きかったのですね。ところが五十一年、それからことしなどは非常に低くなっています。本年なんかはひどいと思いますが、全体の一般会計の予算の伸びが一七・四%に対して文教関係の予算は一三・二%しか伸びていない。四十九年当時は、むしろ一般会計の伸びよりも文教予算の伸びの方が大きかったのですが、だんだん傾向としては、まあ文教については、なるべく金をかけないということではないんだろうが、予算の伸びが少ない、こういう傾向になっている。ことに、ことしの予算などは、その極端な形だと思うのですが、その点について大臣はどのようにお考えですか。
○海部国務大臣 御指摘の点は、数字の上から伸び率とか、あるいはパーセンテージだけながめますと、そのような御指摘をされる面も確かにございますけれども、先生よく御承知のように、文教予算の中に占めます人件費の割合というのが大体七〇%、そして人件費の伸び率というものが特に去年、ことしは比較的落ちついてきておるという状況等もありまして、必ずしもその伸び率だけで文教に対する軽視のあらわれだというふうには、私は受け取っておらないわけでございますし、また、特に五十二年度予算におきましても、たとえば私学の助成であるとか、あるいは公立文教施設の整備であるとか、いま御議論をいただきました海外子女教育の振興でありますとか、文部省がこれは大事なことだからやっていきたいと思っております施策の項目に関する伸び率は、それぞれ二〇%を超える、あるいは海外子女教育のごときは三倍に近くなるというようなもの等もございますので、全体としてやりたいと思っております施策の項目については、一〇〇%これでいいとは申しまぜんが、やはり十分な配慮がなされておるものだ、こう受けとめまして、この与えられた枠内で誠実に職務を遂行していきたい、施策を前進させていきたい、こう考えておるものでございます。
○北山委員 確かに予算の額、伸びが大きければそれでいいんだというわけのものではございません。しかし、御承知のように、文教関係の実際やらなきゃならぬ仕事はたくさんあるわけですから、仮に人件費の方が落ちついておるならば、ほかの方に回すとか、まだまだやらなきゃならぬ点に欠けているところがあるんじゃないだろうか、それがやはり数字の上にあらわれているんだ、このように考えられなければならぬと思うのです。
 私が伺いたいのは、きょうは時間も余りありませんので、予算の中で見れば、めがねをかけてよく見なきゃならぬような問題ですけれども、外国人留学生の受け入れの問題であります。これは相当重要な問題だと思うのです。
 いわゆる国際交流がどんどん激しくなってくる現在、外国人の留学生をたくさん受け入れる、またこっちからも出かけていくというふうで、教育、文化面での人的な交流、しかも一時的なものではなくて、やはり永続的なもの、十年先、二十年先の効果というか、そういうものを考えた非常に重要な仕事だと思うのですが、その点においては、いまお話しではございましたけれども、四十九年当時と比べて足踏み状態ではなかろうか。しかも、私どもぼんやり覚えているのですが、戦争前の明治時代、日本には数万人のアジアの、特に中国からの留学生がたくさん来ておったという当時に比べますと、いまはたかだか五千人ちょっとぐらいな留学生が来ているだけだ、こういうような状態は非常にさびしいというか、時代の要求に応じておらないんじゃないか、こういう重要な問題だと思いますので、一体現状がどうなっているのか、そういう点について御説明をいただきたいのであります。
○海部国務大臣 御説明いたします。
 外国人留学生の現状は、地域といたしまして、やはりアジア地域からが一番多いわけでありますが、地域比率から申しますと八〇%、うち、国費で来ておる者が六百二十六名、私費が三千八百四十四名、合計四千四百七十名となっております。中近東は国費の者が四十二名、私費の者が三十名、合計七十二名でありまして、地域比率から申しますと一%になります。アフリカ地域は国費が二十八、私費が十四、合計で四十二名、比率はやはり一%でございます。オセアニアは国費が三十七名、私費が十三名、合計五十名でありまして、地域比率は一%。北米は国費が七十六名、私費が三百八十九名、合計四百六十五名でありまして、比率は八%となります。中南米は国費九十二名、私費が百十八名、合計二百十名で、比率は四%となります。ヨーロッパは、国費が百四十九名、私費が百十五名、合計二百六十四名でありまして、比率は五%となります。
 合計いたしますと、国費留学生の数は千五十名、私費留学生の数が四千五百二十三名、合計いたしますと五千五百七十三名の留学生がいま日本にいる、こういう実情でございます。
○北山委員 ただいま説明された数字は、四十九年ごろからずっと同じような数字だと思うのですね。要するに、人員においては少しもふえておらない。特に重要なのは、国費で受け入れた者、この留学生につきましては、わずかに四百名そこそこですね。しかも、アジア八〇%と言いましたけれども、そのアジアの中でも、やはり台湾とか韓国とかそういうところが相当多くて、ちっとも戦後のアジア情勢というものは反映しておらないのじゃないか。昔から関係の深いところとの交流、留学生は多くて、アジアのほかの地域にはそう広がっておらないのじゃないか、こういう点が私は問題だと思うのでありますが、こういう状態で、今後もやはり人数は四百名程度で進めていくつもりなのか。私はそれじゃいかぬと思うのです。まあアメリカとかフランス、ドイツとか、そういうところは別ですが、けた違いに多いのですね。やはり国費で受け入れる留学生というものの数を思い切ってふやさなければならぬのじゃないだろうか。
 それからもう一つは、待遇ですね。待遇についても、四十九年度の決算で見ますと、平均して、学部留学生というのが月に六万円、それから研究留学生が八万幾らというふうな程度で、これじゃ、寄宿舎が十分でない状態においては、日本の学生ならそれで何とかやっていけるでしょうが、いろいろな不便のある留学生においては、とてもその程度の給付額では不十分ではないだろうか、こういうふうに考えるのですが、その辺の現状はどうなっておるのか、どういうお考えであるのか、その点をお伺いをしたします。
○海部国務大臣 御指摘のように国費の留学生の数をふやしていきたい、こういう考えは私どもも当然持っておるわけでありまして、今年度国費外国人留学生の枠は五百十名受け入れることといたしました。
 ただ、問題は先生御指摘のその手当が六万なり八万なりではいけないのではないか、御指摘のとおりでございますので、その改善のための努力も一生懸命やっておりまして、今年度の予算額では、研究留学生につきましては十三万三千円ということにいたしましたし、学部留学生につきましては九万七千円ということにいたしました。なお、その月々の手当のみならず、寄宿舎の設備、制度を充実していく必要もございますので、今年度は東京工業大学に寄宿舎を建設し、五十二年度予算においては、大阪大学に留学生の寄宿舎を設置するように処置をいたしておるところでありまして、これらのことはできる限り改善をしていきたい、こう考えております。
○北山委員 いまのような施策で、総体の予算額というのはどのぐらいなんですか。
○海部国務大臣 総体の予算額は、今年度三十二億六千万円となっております。
○北山委員 だんだんによくしていくという点は認めますけれども、現状は、先ほど申し上げたような時代の要請からすると、非常に少ない、おくれておる、このように私は考えるのであります。
 特にこの留学生の寄宿舎の問題にしても、一カ所ずつ増設すると言いますけれども、収容人員からすれば、既設のものを含んで全体のうちの二〇%、二割くらいしか収容する力がないだろうと思うのです。それが留学生の一つの大きな不便であるし、また、特に海外から受け入れるのでありますからして、そういう点の設備を十分なものにして、そして受け入れなければならぬのじゃないか。わずかに三十億そこらの金で教育の人的交流をしようというのでは、これは全くさびしい限りだというふうに考えざるを得ないのですが、再度お答えを願いたいのであります。
○海部国務大臣 先生御指摘のように、寄宿舎に入ることのできる留学生は、いま二三%でございまして、やはりこういつたものは増加していかなければならぬこと、これは当然のことだと受けとめておりますし、私といたしましても、この改善のためには、やはり全力を挙げてやっていかなければならない、こう考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○北山委員 この問題は、やはり戦前というか、従来の頭ではいかぬと思いますね。ことに日本のアジアとか中近東とかそういう国々に対する物の考え方が、戦前とはまるきり違わなければならぬ。ということは、従来はそういう国々が植民地でございまして、言うならば、その地域の民族はそれぞれ自主性がなかったわけです。戦後は、それがほとんど全部独立をして、平等の立場で新しい外交関係というものを、これから日本との間につくり上げるわけですし、また、日本という国がアジアの国でありながら、実はアジアとの正常な関係を持っておらなかったと思うのです。いわゆる侵略とか、あるいはこれらの民族を軽べつするとか、そういう関係であったのですが、この新しい戦後の関係の中で新しいアジアとの外交関係を、また交流関係というものを創造していく重大な役目を持っておると思うのです。
 それから同時に、そうでなくても、この文部省関係以外の農業であるとか、あるいはその他の開発、経済協力、そういう面では相当な金を出していますよ。もうかることならやるけれども、そうじゃない純粋な教育、文化の交流については、日本というのは熱意がないのだ、こういうことを私は疑われると思うのです。そういう面からしましても、ひとつ思い切った発想の転換をしまして、特に留学生の受け入れ、これに対しては思い切った施策をすべきではないか、このように私は思うわけであります。また同時に、これらの国々に対するこちらからの留学生の派遣についても並行して積極的な施策を進めていかなければならぬ、このように考えます。
 それとともに、文教予算の中で、やはり学校教育の予算が大部分で、これはやむを得ない点もございますけれども、やはり文化活動、文化振興に関する予算というものが貧弱というか、非常に少ないのではないかというふうに思います。これらについても問題がありますが、この留学生等の人的交流だけではなしに、アジアの諸国との民族文化の交流のための予算あるいは政策というものを、本年度の予算には織り込んでおるのかどうか、どの程度に考えておるのか、この点についてもあわせてお伺いしたいのであります。
○海部国務大臣 詳細なことで、私、ちょっとここに手元に資料がございませんので、政府委員からお答えをさせていただきます。
○今村(武)政府委員 ただいまの御質問に対しまして的確にまとめた資料を持っておりませんので、事項だけかいつまんでお話しいたしたいと思います。
 アジアの国々に対して、私ども国際関係で特別な配慮をいたしております事項としては、アジアの教育改革のための教育工学センターの事業がございますが、これは、アジアの教育内容を改善するために、アジアの国々が集まって研究協議会を開いたり、研修コースを開いたりするという仕事が教育の面でございます。また、科学協力という面では、東南アジア基礎科学地域協力ネットワークという仕事をいたしております。これは、東南アジアの研究者のための研修会を開くための参加旅費あるいは器材の供与等をするものでございますが、ユネスコに日本政府が拠出金を出しまして、その拠出金を基礎にしてユネスコの仕事として行う仕事でございます。それぞれの国の主権を尊重しながら、実質は日本がお金を出しておるけれども、ユネスコの事業としてやっておるような仕事がございます。また、主としてアジア地域の若手研究者に対する化学及び微生物学の研修でございますが、これは、大阪大学、東京工業大学におきまして、アジア地域の学者を集めて一年間英語で講義をするというものがございます。また、文化の面で申しますと、アジアについて特別な事業をいたしておりますユネスコアジア文化センターという団体とユネスコ東アジア文化研究センターに対する補助金がございますが、前年度に比べてそれを増額いたしております。
 金額はそれぞれ、先生のおっしゃいます画期的な、大規模なという考え方からしますと、前年度に対してそれぞれ微増した程度のものでございますが、教育、学術、文化の面でアジアに留意しながら若干の努力をしておるという状況でございます。
○北山委員 そういうふうなことではなくて、もう少し積極的な、アジアというのは相当歴史が古いのですから、古い芸術も持っているし、いろいろな工芸品とかあるいは音楽とかあるいは舞踊とか、いろいろなそういう文化的な財産を持っているわけです。それが案外日本には紹介されない、あるいは交流がない。そして日本人の目は、ともすると文化、学問についても西欧、欧米の方にばかり向いている、こういう点は、私は非常な欠陥じゃないかと思うのです。そういう面で、どんどん向こうのものを紹介する。博覧会をやってもいいですよ。そういうふうな催しも積極的に国が、指導と言うか振興するためにやってもらいたい。そうでないと、いろいろな向こうの紹介がデパートなんかの催しでやられるというふうなことだけでは、しょうがないのではないか、こう思いますので、先ほどの留学生の交流の問題と同時に、こういう面について、特に日本の近隣のアジア、中近東とかそういう近い国々との文化的な交流を一層盛んにしてもらいたい、こういう点に思い切った予算措置も講じてもらいたい、こういうふうに要望しておきます。
 それからもう一つ、後で馬場委員の方からもお話があると思いますけれども、せんだって新聞で拝見するところによりますと、文郡省の調査で、私立大学の医科、歯科学部の入学寄付金と申しますか、それが莫大な額に上っておる、医学部については平均して一人千六百六十七万円、歯科においては千二百五十五万円、合わせますと七百十四億ぐらいになるだろう、こういうふうな調査が出ましたが、一体これについて文部省はどのようにこれを解決しようとしているのか、これをひとつお伺いしたいのです。非常にむずかしい問題ですけれども、やはりほったらかしておくわけにいかぬじゃないでしょうか。
○海部国務大臣 御指摘のように、私立の医学部、歯学部の入学時の寄付金が必要以上に多額になっておるのではなかろうか、あるいはその徴収方法等に不明朗な点があるのではなかろうかというような角度から調査をいたしましたが、先生御指摘のような数字の結果が出てまいったわけでございます。
 文部省といたしましては、これはかねてから強く自粛を求めてきたところでございますし、また自粛を求めるだけでも、やはりいまの医学、歯学教育の実態からいったのでは、非常に経費がかかるという実情等もあるわけでありますから、御協力いただいて、何とかこれを正常な方向に持っていきたい、こういう気持ちで、当面、たとえば私学振興助成法の精神に基づく助成金の配分にいたしましても、歯学部あるいは医学部に対しましては、それぞれ配分のときに配慮をして、たとえば文科系の学生一人当たりの額に比べますと、歯学部は十倍、医学部はさらに二十倍に近いような配分になっておる。また私学振興の助成金そのものも、こういう財政情勢の非常に厳しいときにも、前年と比べて二四彩を上回る、千六百五億という大変な国費を支出しておるわけでありますから、私学当局者においても、私どものやっておりますこの処置というもの、これを十分理解していただくとともに、教育の機会均等、選抜の公正というような面からも、厳に疑いを持たれるようなことは自粛をしてもらいたい、こういう気持ちでやってまいりました。
 現に、最近も新聞をにぎわしましたような、ああいう大変悲しむべき出来事が起こった、学校当局はもちろんのこと、歯学の協会あるいは私立医学の協会の関係者に直接担当局長が会いまして、いろいろな申し入れをしたり、あるいは医科大学、歯科大学の側も厳しい反省をして、何とかこれを改善していくようにしたいということ等の決意を表明してもらったわけでありますが、これはみんなの力によって、とにかく正常な方向に持っていくように、疑いを持たれるような、また必要以上な、こういった入学金が強制として入学時の条件としてとられるようなことだけは、もう絶対になくするような方向で、鋭意関心を持って指導をし続けてまいりたい、基本的にはこう考えております。
○北山委員 しかし、大臣はそうおっしゃいますけれども、もうこれはそういうふうな自粛とか、そういうことで解決する問題ではないと思うのです。
 たとえば、文部省でそのように学校当局に対して自粛を求めたその経過は具体的にはどうなっているのです。そういうものをとらぬというのでしょうか。ただ自粛するということだけじゃ、現実に必要なものはとらざるを得ないだろうとか、あるいは誤解を招かないような方法でとるとか言っておりましても、やはり入学の際の数千万という金によって入学が左右されるという現実、しかも医師の開業医の子弟が大部分を占めている、こう言われておりますが、そうなると一種の世襲制みたいなかっこうで、金で学校へはいれるというとと。政治家の方も世襲制が多くなってまいりましたから、そのまねかもしれませんけれども、とにかくこれじゃ教育全体の大きな問題だろうと思うので、単なる自粛を求めるということじゃいかぬじゃないでしょうか。財政的に国としても千数百億の金を私学には出している。しかし、相当出しているつもりでありましても、それが実際には間に合わないと言うなら間に合わないなりの思い切った措置が必要なんだと思うのです。
 自粛を求めた中から具体的な何かが出てきていますか。今後そういう裏口入学金はとらぬというのでしょうか。あるいは寄付金をとるにしても、どういうふうにしてとるというのでしょうか。あるいはその関係に対して政府としては、文部省としてはどういうふうに関連を持つのか、具体的なものが私は必要だと思うのです。
○海部国務大臣 つい最近も、管理局長と歯学協会、医学協会の代表者と、そういった問題についていろいろと詰めたやりとりをしておりますので、当事者の管理局長から詳細を御説明いたしたい、こう思います。
○犬丸(直)政府委員 寄付金の問題につきましては大変むずかしいいろいろな問題が絡んでおりまして、私学の経営を全般的に見ますると、正規の入学金であるとか、あるいは授業料であるとかというものでは、なかなか賄えない、赤字が出るというような状況も確かにあるようでございます。特に医学、歯学の場合には、大変教育に金がかかるという実情は私どもも認めなければならないと思います。しかしながら、私どもの調査で出てまいりましたようなあれだけの寄付金、かなり多額な寄付金でございます。私どもの常識からしますと、大変大きな額でございますので、本当にそんなものが、このくらいのお金がどうして必要なんであろうかということをもう少し詰めて考えたいと思っております。
 状況を見ますると、多くの場合、土地、建物、設備、そういう投資に使われたお金、そちらの方へ寄付金は回っている場合が多いようでございます。しかしながら、経常経費の赤字もございますので、そちらへ回っている面もあろうかと思います。そのような基本的な状況がございますので、これを解決しますのに即効薬的な、こうやったらいいということは、なかなかなかろうかと私どもは思っております。先ほど大臣からもお答え申し上げましたような、いろいろな方法を併用して、だんだんにこの問題を詰めていくというほかはなかろうかと思います。
 と申しましても、ただ一片の通達を出して、ただ自粛を促すというだけではいけないわけでございまして、そういう意味におきまして、先般、この二十六日の土曜日に、日本私立医科大学協会、日本私立歯科大学協会、それぞれの会長と副会長さんに来ていただきまして話し合いをいたしました。ひとつ何かお互いに研究して、こういったことの起こらぬような具体的な対策をお互いに研究してやろうじゃないか、できるだけ大学側の自粛措置によって、こういうことのないようにしたいと思うがと、こういう話し合いをいたしました。
 第一回の話でございまして、まだこれからさらに何度も詰めて、実情も調査しながら、具体的な方策をこれから考えていこう、こういう段階でございます。
○北山委員 時間が参りましたので、私はこれで終わりますけれども、これは大臣が言われるように、自粛を求めるとか学校と相談して適宜処理するという問題ではないと思うのですね。いまのように施設のための臨時的な経費に使っているようだとか、そういうことについては、やはり施設についての融資もやっていますからね。そうすると、融資額をふやして、これをやめさせるということができるのじゃないでしょうか。そうでなくても医者のためには、開業医のいろいろな病院、診療所については金融公庫であるとか、あるいは旅館とかそういうものをつくる場合にも環衛公庫法なんかあるのですから、もう少し、もっともっと財政的な措置を講じて、そしてむしろ、こんな裏口入学金みたいなものは、禁止をするということが必要だと私は思うのです。
 数年前に大阪の市立大学で答案が盗まれたことがありますね。あのときに、社会党としては、裏口入学金を禁止するような立法化を考えたのですけれども、ついに具体化しませんでしたが、やはりそこまでいかなければならぬじゃないか。そして、これを裏づけるような財政的な措置を具体的にとるというふうな措置に踏み切っていただきたいと思うのですが、時間がありませんから、今後そういう方向で努力するかどうか、一応お考えを聞きたいのであります。
○海部国務大臣 いろいろなことを調べ上げて、その方向で私としてはできるだけ研究を続けてまいりたい、こう思います。
○芳賀委員長 この際、丹羽久章君から関連質疑の申し出がございますので、これを許します。丹羽久章君。
○丹羽(久)委員 北山委員から入学寄付金の問題で、大臣からの表明もございましたので、もうこれ以上聞くことはないようでありますが、そうした寄付金というのを、監督官庁である文部省、大臣を初め皆さん方は、これを悪と考えられるか、まあやむを得ないという考え方でしょうか。その点どうですか。
○海部国務大臣 これは、入学の条件として高額なものを裏口から要求するというのは、これは私はよくないことだと思います。それから、学術研究のために、学校運営のために、個人が余裕のあるものを自主的、自発的に寄付をするということは、これは悪ではないと思います。そのどこへ線を引いてどうするかという具体的なことは、非常にむずかしいかもしれませんが、いずれにしても、入学時に、入学の条件として多額の寄付金が強要されるということは、望ましいものではございません。私はそう思います。
○丹羽(久)委員 望ましいものでないものに限っては、どういう考えで処理せられていくのですか。いままでのうちに、善意な、入学ができた喜びで学校側に寄付しましょうという考え方の人、これは問題ないと私は思います。まあ、そういう篤志家があっていいと思いますが、条件として、これこれを出してくれと、そういう入学条件にしておるとするならば、それはいま大臣のお話で、適当でない、これはよくない、こう断定せられる。そうした断定のもとの学校側がとったその処置、そういうものに対しては、どういうお考えでこれを処理していかれますか。それをひとつお聞きしたい。
○海部国務大臣 きょうまでは、ですから、そういう望ましくないことは、やってもらってはいけないという自粛の強い要請を何回もしてきたわけでありますけれども、今後はそういったことが絶対に起こらないように、どうしたらいいかということを現在、担当局長と当該の歯学、医学の協会の代表者との間で詰めておるわけでありまして、これは最高高等教育をする学校当局者でありますから、お話し合いによって、自粛をこちらが強く願ったことによってわかってもらえないはずはないというのが私の願いでありますし、同時にまたできるだけのことはしなければならぬというので、私学振興助成にしても、あるいは振興事業団からの融資の問題にしましても、いろいろな施策を通じ、いろいろな手を通じて助成あるいは融資等に力を入れてやってきておるところでありますから、こちらの態度もくみ取ってもらって、どんなことがあっても私学の皆さんにわれわれの気持ちをわかってもらいたい、私はこう念願します。
○丹羽(久)委員 くどいようですけれども、就任せられて日の新しい大臣の決意は、今日、国民はもう十分に知っておりますし、そして教育とは何ぞやということは、もうすでに大臣がいろいろの場で発言せられておりますので、大きく期待しております。
 しかし、前大臣から文部省として、そういうことはするな、そういうことはやめてもらいたいということが再三言われておったにもかかわらず、現実起きたという問題の学校に対しては、どういう考え方で処理していかれるか。大臣は今後に対しては話し合いを進めていく、今後これに対しては、最高の大学の人々であるから話せばわかるだろうと思っておるという情熱的な話、今後は起きないと私は思うが、きょう起きた問題は、いま始まったことでない。いままで裏金とか、そういうような強制的寄付はよくないということは論じられてきたはずだ。それをあえてしたということに対しては、文部省としての立場は明らかにしなければならぬと思うが、この起きた問題をどう処理するかということを私は聞いている。これをひとつ大臣でなくて、関係当局の責任者である局長から答弁してもらいたい。
○犬丸(直)政府委員 今回の岐阜歯科大学の問題につきましては大変不幸な事件でございまして、早速大学から責任者に来てもらいまして、事務局長を呼び寄せまして、一応の答弁は出ております。実際は強制したのではないのだというようなお話は伺いましたけれども、しかし、なおいろいろ問題点があるので、少し詳細にこの間の事情等を報告するように、いま求めております。
○丹羽(久)委員 新聞に発表せられてから、きょうまでの日にちというのは相当たっておるはずだ。ああいうことが発表せられてから、国民はこういうことがいまだに行われておるのか、しかも入学の条件にこういうのをつけておるなんて不届き千万だという声が町にあふれている。それが、まだいまはどういうふうかという事情聴取をしておるなんというようなことは、少し私は怠慢だと思うけれども、局長どうですか、大学は、あなた方の呼び出し、あなた方の監督官の言うことを聞かないというのですか。あなた方がもっと話を進めて聞こうと思っておっても、それに応じないというのか、それとも、あなた方がそういう学校に対して徹底的究明をする権力がないというのか、その点、どうですか。
○犬丸(直)政府委員 もう少し詳細に申し上げますと、二月八日、理事であり、事務局長である方に来ていただきまして、一応の事情を聴取した上で、まず第一に入学希望者の選抜について、名目のいかんを問わず寄付の納入を条件として入学許可をするというようなことをしないようにしてほしい、それから入学手続を明確にし、入試の公正に疑問を持たれるようなことはしないでほしい、それから入学に要する経費は、すべて募集要綱に記載するようにという従来の指導の線をさらに積極的に申しまして指導をいたしました。なお、一応の大学側の弁明は、今回の場合であっても、不幸な事件であったけれども、入学の際に条件として強制したのではありませんという答えではありました。そういう形の文書の答えも出てきております。しかし、さらにその辺の事情を詳しく報告するようにということを、かなり詳細な内容につきまして質問を発しまして、それを至急に持って帰って、それに対しての答えを持ってくるようにということを申し述べておる次第でございます。
○丹羽(久)委員 大臣がそういうことに対して関心を持たれて一生懸命になっておられるようでありますが、関係局長も真剣にこういう問題に取り組んでもらわないといけないと思うのです。教育の場というのは、国民全体が一番期待しておるところじゃありませんか。そういう点について、そういう不正な入学が行われたとするならば、実に残念なことである。先ほどから大臣もしばしば言っていらっしゃる。
 そこで、もう一つだけ聞きたいと思うが、ここ二、三年あるいは四、五年の間に新設せられたそうした大学があると思います。そういうところは財政的にどういうような調査で許可したかということが問題になると私は思うのです。そういう金を条件つきでもらわなければ入学ができないというような財政の苦しいところが、大学の認可をもらって大学の設備をするとするならば、それはどこかで、いま大臣の言われたような私学協会なり、あるいは金融面のことを政府自体が考えてあげなければ、いつまでもでそういう問題は続いていくと私は思う。
 そこで、今度わかった大学は、こういう特定な大学に限られておるけれども、新設大学の中には、いま問題にはなっていないけれども、そういう傾向はあるのかないのかということも調査の対象になるのじゃないかと私は思うけれども、こういうことに対しては、すでに局長はそこまでの頭を及ぼしてその範囲を調査していらっしゃるかどうかということを、この際、お尋ねしておきたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、寄付金を取らなければならない理由の非常に大きなものは、経常経費なんかもありますけれども、学校をつくった際の土地、建物の経費を埋めていくという問題が一番大きな問題だと思います。したがいまして私ども、新設の大学、特に医科大学、歯科大学等の場合は大変なお金がかかるわけでございますけれども、これを認可する場合に、認可の段階においてすでに自己財産として土地、建物に必要な財産を持っておる、あるいはもうすでに建ててしまっておる、あるいはそれを単なる借入金でカバーしておらないという原則を立てております。最近は特に厳しく、財源の五分の四は自己財源を持っていなければならないというような規制をいたしております。前は三分の二というような時代もございましたけれども、最近こういう情勢にかんがみて、認可の際の自己資金というものに対する規制を強めてきております。それから認可に際しても、そういう必要な資金について、大学開設後に入学者からの寄付で賄うようなことはしないようにということを条件つきで認可いたしております。さらに認可後、審査に当たった委員等を含めまして、いわゆるアフターケアと称しまして、事後調査にも行きまして、認可の際の条件の励行を迫っております。
 そういう状況でございますので、幾らか改善を見ておると思っておるわけでございますが、しかし、そうはいたしましても、仮にそれが五分の四でありましても、五分の一の部分につきましても、かなりな金額になるわけでございまして、寄付を全然取らないというわけにはいかないというような状況はあろうかと思います。しかし、それは取るにいたしましても、決して強制にわたらないように、こういう指導をいたしておるわけでございます。
○丹羽(久)委員 もうちょっと聞きたいと思いますが、後の方が質問せられるし、また私は関連ですから、これで終わらせていただきますが、大臣、特にこういう問題は厳しい一つの方針を打ち出してもらいたいと私は思います。一部の学校がそういうことをすると、私学の大学は全部そういうことをするのではないかというような感じを持つし、国民もそういうことで大変な関心をいま持っておるときですから、あなたのときに、こういうようなことに対する厳しい一つの態度を文部省として打ち出してもらうような方法をひとつ考えてもらいたい。同時に、その反面、それに対してどうしても困る大学に対しては、国が正当な金を出して援助してやるというようなことにも考えを及ぼしていただきたい、こう思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○海部国務大臣 御指摘のような方向で検討さしていただいておりますし、また、できるだけそういう方向に沿ってやっていきたいと私自身考えております。
○芳賀委員長 馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 いま、北山委員あるいは丹羽委員からも関連質問が出ましたので、引き続いてその点を少しただしてみたいと思います。
 先ほどの局長のお話によりますと、先週の土曜日、大学当局と初めてお話しになったということなんですが、今回の事件は初めてかもわかりませんが、昭和四十七年に、例のに世医師事件が出た当時にも同じような医科歯科系大学に対する裏口入学のやみ資金といいますか、入学金というものが問題になった経過があったと思いますが、そのときの経過を御存じであれば、教えていただきたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 私、その当時在任しておりませんでしたので、はっきり覚えておりません。もし必要であれば、後から調べて御報告いたしたいと思います。
○馬場(猪)委員 皆さん方たびたびかわられるし、昇進されるのですけれども、恐らくお話としては知っていらっしゃる方もあるはずだと思います。そして、その当時から新聞ぐらいはお読みになっておると思うのです。したがって、四年も五年も前から、いやもっと前からそういう問題があったはずだと思いますが、文部省自体として、それに対して今日まで四、五年の間、こういう十九の春を散らすような、新聞記事になるような問題が出なければ取り上げてこられなかった、そういう姿勢が問題だと思いますが、今日までどういうふうにして、そういう裏口がなくなるような対策を講じてこられたか、お知らせいただきたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 一つは、先ほどちょっと申し上げましたが、認可の際の規制の強化でございます。開校後に入学者から多額の寄付を取らないで済むように、つくるときに、すでに設備投資のお金は大部分を自己資金として持っておるということを条件とするというその条件につきまして、次第に強化をしてまいりまして、三分の二であったのを五分の四にする、あるいは認可の際の審査の仕方につきましても、いろいろ工夫をこらしてまいりました。これが一つ。
 それから、寄付を募集する場合に、強請にわたることのないようにというこの通達は、すでに昭和四十九年に出しておるわけでございます。そういうものを出すに至ったことが一つの進歩だと思います。それによってどの程度自粛があるかというようなことを見守ってきたという状況であろうかと思います。
 しかしながら、今回のような状況を見ますると、なお、もう少し何か考えなくてはいけないのではなかろうか、こういう段階で、私先ほど申し上げましたようなことを始めまして、何かもう少し具体的に、これがなくなるような方法はないであろうかということを検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 いまから始めるというような印象しか受けません。しかし、少なくとも、いままでたびたび、そういうことはうわさとしてもあったわけですから、もっともっと調べる方法はあったはずなんです。最近、公費助成がだんだん大きくなっていく、そういう状態であるときに、補助を出し、あるいはまた間接的に私学財団から融資をなさるということになれば、毎年毎年それだけの監査というものが十分行われてなければならないのですが、監査の時点では、そういうことは全然わからないのでしょうか。
○犬丸(直)政府委員 私どもは、個別の法人について監査をするという権限はございませんが、経常費助成を受ける学校につきましては、法律に定められた財務諸表を文部省に提出する、公認会計士の承認したものを提出するように、こういうことになっております。そういったものを通じて、ある程度の状況はつかんでおります。
 それから、大学側の協力によりまして、入学時の寄付金の問題につきましても調査をするようにしてまいりました。こういうことも前はしておらなかったわけでありますけれども、そういうことを始めまして、そして今回は、これも公表するというようなことで、少しずつ一般の大学の目を覚ましていただいて、そういうことがなくなる方向へ、いい方向に向くようにというような手を打ってきたつもりでございます。
○馬場(猪)委員 直接監査する権限はないけれども、これは会計検査院なり、それぞれの機関においてするわけですが、文部省自体としても、その学校の経営状態というようなものを明らかにしておらなければ、補助というものは当然出せないはずですから、入学納付金であるとか寄付金であるとか――むしろ出費の面からどれだけ足りないかということは、数字的にある程度明らかになるはずです。ところが、それが全然なしで補助金を出したり助成金を出すということは考えられないはずですから、当然そういうものをつかめる資料というものは徴収していらっしゃるはずだと思うのですが、そういう資料は、いままで全然とっていらっしゃらないわけですか。
○犬丸(直)政府委員 補助金なり融資なりの具体的な配分と申しますか、実施は私学振興財団で行っておりますけれども、私学振興財団におきましては、融資するに当たっては、あるいは補助金を交付するに当たりましては、当該法人の財政状況を、その必要の限度において調べるということは当然やっておるわけでございます。
 ただ、これは補助金なり融資の目的を達するためにということでございまして、たとえば融資の場合には、むしろ当該対象となる学校法人が財政的に健全であるかどうか、貸したお金をちゃんと返してもらえるであろうかというような面からの調査でございますし、それから補助金の場合には、その補助金を出した結果、適正にその補助金が使われるであろうかという観点でございますので、多額の寄付の抑制を図るというような面とは多少違った面からの資料の調査であろうかと思います。
○馬場(猪)委員 私学財団あたりの融資なんかで、その裏づけを求めて監査をなさる、私も実際に見て実態も知っておりますけれども、非常に形式的になっておるのじゃないか。ただ単に出された補助金なり、あるいは融資の使い方も問題になるでしょうけれども、それが必要とするだけの経営状況ということまで本当は把握しなければならないはずなんですが、実際に私が見ました検査を見ましても、使われた範囲内だけで、それをさかのぼって見るような検査をやっておらないというのが事実だと思います。それでは、補助を出したり、あるいは融資をした、それぞれの学校の経営内容というものが十分把握できないのは当然でありますし、そしてまた、こういう不祥事が起こることを未然に防ぐような措置が講ぜられないのも当然だと思います。
 したがって、もう少し厳しい監査をやらなければいけないと思いますが、いままでと同じようなやり方でやっておったのでは発見できないと思います。本来ならば、もう三年も四年も前からこういう問題が提起されておったわけですから、何か具体的なことができておらなければならぬわけですが、大臣、ただ事務当局に任しておくのでなしに、きちっとアフターケアまで監視できるような機構的なもの、あるいは予算的な措置を講ずるということを、ぜひひとつお約束いただきたいと思います。
○海部国務大臣 私学振興助成法に基づきまして多額の助成を私学にはするわけでありますから、当然その助成が効果を上げるように、あるいはそれが有効に使われるように願うのは、国民ひとしくの願いだろうと思いますし、同時にまた、そういったことをしながら、自粛を要請しておる入学金の強要の問題を、どこでどう解決していくかということは、御指摘のように私たちが研究しなければならぬ問題でございます。
 せっかく現在、手おくれであったと言えば、いささかその感なきにしもあらずと思いますが、私は、私が就任しまして以来、あの新聞をにぎわした事件等で大変心を痛めておりますので、これをどのようにしたら改善していくことができるのか、英知を集めて検討をしておるさなかでございますので、学校の自主性、独立性というものも尊重しなければならぬでしょうが、一面、国民の皆さんの税金をこうして出しておるという事実等も踏まえまして、皆が納得できるような方法を考え出していきたい、またいかなければならぬ、私はこう考えております。御指摘のように研究をさせていただきます。
○馬場(猪)委員 研究をするというだけじゃなしに、そういうことが起こらないように、はっきりした意思表示をお示しいただきたいと思います。
○海部国務大臣 もうこのようなことが起こらないようにしたいし、また私学の経営者の皆さんにもわかってほしいということは、私、再三申し上げてきましたし、起こっておる出来事は好ましいことではないということも何度も言ってまいりました。したがいまして、私はそういったことが起こらないように、私どもの考え方や気持ちが具現化されていくためには、どうしたらいいかという方法をいまいろいろと研究をしておる、こういう意味で申し上げたわけでありますから、願っておりますところは、こういったことをなくするために、どうするかという問題であることは御指摘のとおりでございます。
○馬場(猪)委員 どうしてもきちっとした素案ができるまでは、はっきりしたことは申し上げられないということのようですが、しかし、気持ちとしてはその意気は感じられますので、ひとつ前向きで大きく前進するようにお願いしたいと思います。
 こういうふうな不祥事件が起こったり、あるいはまた、いまちょうど三月、入学試験の最中でございます。幼稚園から――幼稚園はもっと早くからでございますけれども、幼稚園から小学校、中学校、高校、大学に至るまで、それこそいま受験戦争の最中ということで、非常にぴりぴりした神経を持っておるのが受験子弟を持った御家庭の状態だと思います。あるいはまた、公私の格差の問題であるとか、大都市周辺と、あるいは過疎地域の問題、いろいろ教育についての議論というものは、いま非常に沸騰しておりますが、それでもなおかつ、いまの教育はまだ正しく行われているのだという意見もあります。私どもは、いまや教育基本法や学校教育法にうたわれた目的からいうと、大きく現在の教育というのは外れているのじゃないか、むしろ荒廃に瀕しているのじゃないかという意見が強いわけですが、文部大臣自身の認識としては、どういうふうに現在の教育のあり方について認識していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○海部国務大臣 問題を一つ一つ取り上げて、これは教育を荒廃させておるかどうかというような枝葉の議論をしていきますと、確かに私はよくない面がたくさん目にもつきますし、日々の新聞の投書欄等を見ましても、心が寒くなるような投書もよくございます。あるいは、たまたまきょうの朝、教育に関する世論調査の記事等も出ておりましたが、半分以上の親の皆さんが、現代の教育にいろいろな角度から不満を持っていらっしゃるという結果等も見まして、私はその事実は厳しく受けとめなければならぬと思いますが、戦後三十年にわたる学制改革以来、六・三制の九年間の義務教育というものを打ち立てて、そして教育を普及をし、拡充をし、そして教育基本法の理念に基づいてやっていこうとしておる教育の足踏みというものは、私はこれは前進をしておるし、また九年間の義務教育が、すべての日本国民の間にひとしく拡充されていっておるという足跡については、これは正しく評価すべきだ、こう考えておるのです。
 何か荒廃といいますと、私の国語能力が乏しいせいかもしれませんが、何か砂漠の中のデスタウンのようなもので、救いがないというような意味にとられがちでありますけれども、私は、そんな極端にとらないで、みんなで三十年間歩んできた六・三制の中でどこがいけないのか、どこがいいのか。たとえば、いま御指摘にありました人口急増地帯の教育がどう行われておるかというような問題になりますと、人口急増地帯には今後五年間に高校を四百校以上は整備しなければならぬという現実の当面の問題も起こってきておるし、あるいは過日ほかの委員会でも御質問がありましたように、すでに過疎現象に入っておる高等学校の将来をどうしてくれるのだという角度の問題等もありまして、その地域、その場所において抱えておる問題は、いろいろ複雑でありますけれども、それはそれで、いろいろ手当て、改善をしながら解決をしていけばいいわけであって、私は全体としては、これは義務教育の普及のために評価されてしかるべき足跡を残してきておる、こう判断をしております。
○馬場(猪)委員 文部大臣の御答弁によれば、基本的な線は間違っておらないのだ、どちらかというと、枝葉末節にかかわるようなことが、いろいろ議論があるのだというふうな見解ということになれば、いまの教育は正しいのだということになります。そういうふうに断定せざるを得ないと思うのです。
 それでは、学歴社会から起こるこの入学試験制度に害されたいろいろな問題点、こういったことを発する原因が、どこにあるのかということを考えると、やはりいままでやってこられた高度成長路線に乗った、そういう経済の発展に伴った教育制度、これもまた高度成長路線が破綻を来して終幕を告げるようになると同時に、もろもろのうみが吹き出したのだ、こういう見解がありますが、それでもなおかつ、やはり従来からの方針というものは間違っていないのだというふうに御認識になりますか。
○海部国務大臣 私は、戦後の六・三・三制というものと日本の高度経済成長路線というものと、これは次元が違う問題だととらえておりますので、だから、高度経済成長がどうなろうとこうなろうと、六・三・三制というものが、どういう足跡を残して義務教育を普及してきたか、いかにして人間教育をやってきたかというところに評価の重点を置くべきだ、また、それ以上であっても、それ以下であってもいけない、こう考えております。
 しかし、先ほど申しましたように、その義務教育の中にも、どうも詰め込み主義ではなかろうかとか、あるいはむずかしいことばかりが多過ぎるのではなかろうかという各界の方々の御反省もあって、たとえば教育課程審議会の答申を受けて、いま教育課程を改善しようとしております問題とか、いろいろございます。いろいろございますけれども、そういったことはそれなりに、われわれの努力で片をつけていけばいい問題であって、全体として六・三制として義務教育を普及し、きょうまで推してきた方針は、これは評価さるべきだ、こう判断しておるのであって、それと高度経済成長とは、私は、特に教育の面からいって関係を持つものではない、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
○馬場(猪)委員 大臣が御退席になるようですので、余りこの議論を進めておりましても、お互いに認識の違う面もありますので、いま、この点は置いておきたいと思います。
 大臣がおられる間に一言だけお聞きしておきたいのですが、国立学校の付属幼稚園、小学校等々がございます。最近はその国立学校までエリート教育のモデルをつくるような、そういう試験制度がだんだん進んでいるのではないかというふうな見方もあるわけですが、この受験戦争をなくするために、いろいろの模索が行われておりますが、国みずから、いまのような間違った受験戦争をなくするために、国自身が管理、運営しておる国立の付属小学校、幼稚園等について何らかの新しい方針を打ち出して、そしてそれこそ知育、体育、徳育すべてにわたって、先ほど言われた人間教育にふさわしいような教育のモデルでもつくるために改革をするというようなお気持ちはございませんか。
○海部国務大臣 おっしゃるような気持ちを持っておりますし、また御承知のように、幼稚園とか小学校とか付属の中学校までは、抽せんの制度というようなものもできるだけ普及をいたしまして、それがいまの受験のための悪い影響を象徴するようなところにさせたくないということでございます。
○馬場(猪)委員 文部大臣おいでになりませんので事務当局の方に、まだ少し時間がございますので、お伺いしたいと思います。
 過疎地帯は過疎地帯並みのいろいろな問題点も抱えていると思いますが、過密地帯には過密地帯のいろいろな悩みがあります。施設の問題であるとかいろいろありますが、過密地帯における教育のいろいろな点での弊害点、そういったことも調査していらっしゃると思いますが、文部省としては、どういうふうなとらえ方をしていらっしゃるのか、どういう弊害が出ているか、まず教育の内容についてお伺いしたいと思います。
○諸沢政府委員 初等中等教育局長でございますが、御指摘のように東京とか大阪の地区を見ますと、一つの小学校、中学校の学級が三十学級あるいは、それ以上というところも相当あるわけでございます。そうなりますと、児童生徒の数も学校当たり二千名を超えるというような事態となるわけでございまして、そういう場合に教育的に見ますと、たとえばクラブ活動であるとか、あるいは学校行事であるとか、クラス単位を越えて各学年、学級の児童生徒の交流の中に教育的効果を上げよう、こういう活動を十分しようといたしましても、運動場その他の施設の面において、かなり無理がくるというようなこともございますし、また教科によりましては、理科とか音楽とか図工とか技術家庭というようなものは、それぞれ特別教室を必要とするわけでありますが、その効率的使用という面でも、またいろいろ問題が出てくる。
 また一人一人の生徒をとりましても、やはり学校全体の児童生徒が多いと、どうしても学校として一人一人の子供についての的確な把把ということに目が届きがたいという結果として、中には非行に走るような子供を未然に防ぎ得なかったというようなことも起こり得るわけであります。
 そういう意味で、各学校におきまして、そのような大規模な場合にはいろいろな問題点がある。
 そこで、どういうふうにそれに対処しておるかということでございますが、いま申しました前段の教育活動につきましては、クラブ活動について全校生徒のローテーションを十分いろいろと研究して、できるだけ円滑に実施をするようにする、あるいは学校外の公共の施設を随時使ってクラブ活動を展開する、いろいろ工夫がなされておるわけでございます。
 また、生徒指導あるいは非行防止という観点からいたしますと、全校の職員が、そういう観点から一つの組織的な活動をするということが必要でありまして、そのためには、それに専念する先生もどうしても必要になってくるというようなことからいたしまして、現在十入学級以上編制の中学校については、生徒指導担当の教員を増配しておるというようなことをやっておるわけでございます。
 また、全般的に見まして、そういう大規模学校について、そもそも大規模であるがゆえの問題点は、これを分割する等の措置を講ずれば、場合によっては、その弊害が未然に防がれるということもあるわけでありますが、この点につきましては、それぞれ学校の歴史的事情もあり、あるいは当該学区に子供を通わせる親の意向もあり、あるいは新たなところに学校を分割しようとしても、現在そのような大都市では、なかなか敷地が得がたいという問題ありで、これは一律にはできませんけれども、実態を十分に見ながら、そういうことが可能な場合には、ひとつ適正規模の学校ができるように配慮をしてほしい、こういうようなことを教育委員会にお願いをしておる、こういう現状でございます。
○馬場(猪)委員 いま文部省の方で使っていらっしゃる、いわゆるマンモス校、巨大校ですか、どの程度お調べになっておりますか。
○諸沢政府委員 具体的な学校を挙げますと、たとえば大阪で言えば、大阪市の茨田南小学校というのは五十三クラス、二千二百三十五人、あるいは堺市の金岡中学校は七十三クラス、三千百五人というような大規模学校がございますが、全国的にこれを見ますと、小学校と中学校を分けて考えました場合に、全国的に小学校では一校当たりの平均学級数というのは十三学級でございます。ところが、東京都だけをとってみますと、これが全東京都の小学校の一学校の学級数は平均して二十二、さらに大阪になりますと、それが二十四・七というふうに、東京よりもさらに大阪に大規模学校が多いということは、計数上出ておるわけでございます。
 中学校につきましても、その傾向は同じでございまして、全国的に見ますと平均の学級数が十二・五でありますが、東京は十七・二、これに対しまして大阪はさらに多く二十三・八、こういうふうになっておるような状況でございます。
○馬場(猪)委員 文部省が適正だと言われる基準は、現在幾らぐらいまでだというふうに指導していらっしゃるのですか。
○諸沢政府委員 一つの学校の児童生徒数がどのくらいであれば、最も教育効果が上がるかということになりますと、それぞれの学校の歴史あるいは地域の実情等いろいろございますから、一概には言えない面もあろうかと思います。また、そういう意味で、法令上何学級が適正規模であるというような定めはいたしておりません。
 ただ、校舎を建築する際に、国として予算補助をいたすわけでございますが、その場合、たとえばAという学校とBという学校を一つの別な地域に統合してつくるという場合補助をする、その場合の標準的な目安として考える学校の規模は十二ないし十八だというふうに言っておるわけであります。あるいはまた、一つの学校に他の地区の学校を吸収してつくるという場合には、二十四くらいを一つの目安として考えておるということでございまして、二十四学級というのは、現在の法令では一学級の最高基準が四十五名でございますから、千人強ということになるわけでありますから、先ほど申しましたように、法制上何学級が適正規模だということは言っておりませんけれども、その辺が一つの目安というふうに考えてよかろうかと思っております。
○馬場(猪)委員 何かいまお伺いしますと、予算措置をするに当たっての適正規模しか考えておらないんだ。そうすると教育的な立場から、効果という立場から考えた指導というものは一切やっていないのですか。
○諸沢政府委員 ただいま申し上げましたように、法令上何学級以上が、あるいは何学級が適正規模であるということは申し上げておりませんけれども、全国的な実態から見ましても、いま言ったような過度に大きな学校については、これは適当でないであろうということで、それをどの程度に置くかということは、各教育委員会の判断を待ちながら、実際の教育効果がどのくらいの場合に最も適切かということを考えていただきながら、やっていただいておるという実情でございます。
○馬場(猪)委員 予算面からでも結構ですが、いわゆる適正規模以上の学校というのは全国的に見まして、どれくらいの数があるのですか。
○諸沢政府委員 先ほども申し上げましたように。全国的に見ますと、小学校の学級編制で一番多いのはどのくらいかというと、六学級というのが一九・一%で一番多いわけです。それに十八学級というのが九%、合わせますと約三〇%、こういうことになるわけであります。中学校で申しますと、三学級というのが一五・七彩、十入学級というのが九・五彩、こういうことでございますので、先ほどの予算上の措置というふうに申し上げましたけれども、それはまた同時に、全国の実態からしましても、十八学級ぐらいというところが一つの目安ではなかろうか、こういうふうに考えております。
○馬場(猪)委員 ですから、予算的な角度から見ても、あるいはまた指導上から見ても、過大校だと思われるような学校は、全国でどのくらい数があるのですかということをお伺いしているのです。
○諸沢政府委員 全国的に見ますると、小学校の総数が二万四千四百八十五でございますが、そのうち、十七学級以下の学校というのが一万七千二百十二、それから中学校でいいますと、学校の総数が一万九十二でございますが、そのうち、十七学級以下の学校というのが七千五百六十一、こういうことになりまして、ちょっと学級の区分が十八と外れておりますけれども、大体の見当はつけております。
○馬場(猪)委員 普通常識的に考えられる、これは適当な規模の学校だと言われるものの数が、いま言われるのを見ますと、ずいぶん過大校だと言われる比率が多いわけです。先ほど、その過大校でどういう弊害があるかということをお尋ねいたしました。たとえば学校運営上の問題点、あるいはスポーツの関係等々おっしゃったわけですが、それ以上にいろいろな弊害が起こっていないでしょうか。
○諸沢政府委員 先ほど申しましたように、一つは学校の教科、教育の活動あるいは教科外の活動が円滑に行われる上で、余りに生徒数が多過ぎるというのは適正でないということと、もう一つは、やはり学校も一つの組織体として、統一のある教育行動をとるためには余り子供の数が多過ぎるということは、一人一人の子供についての的確な把握という点で十分に配慮が行き届かないおそれがあるということだというふうに考えております。
○馬場(猪)委員 それ以外にもっといろいろありませんか。たとえば、ある寝屋川の小学校では六年間に、過大校、過大校で急激にふくれ上がったために、四回学校を転校しておる。六年間に四回ですよ。小学校六年間に四回学校を校区分離に伴って転校しておるという例があるのです。あるいは守口、門真方面は三回ぐらいというのはざらだと思います。さらにそれが中学校へ行きますと、中学校でもまた二回、ですから、義務教育九年間に最高六回学校を転校しておるというような弊害もあらわれておるということは御承知のとおりだと思うのです。
 あるいはまた、いつも学校にプレハブが建っておる、体育学習も十分に行われない、先ほど局長は、時間調整なんかをやっておると言われるけれども、それ以上に、プレハブ校舎なんかが教育の中身を阻害しておるということも起こっておると思います。あるいはまた、そのプレハブも、それぞれの自治体としては、ただでも教育予算で苦しい中で余分な出費を強いられている。行政面にもしわ寄せが来ていると思います。
 さらにまた、大都市の人口急増地帯においては、先生のバランスといいますか、年配の先生方から若い先生まで、ある程度のバランスがとれておってこそ学校の内部がうまくいくのですが、二十代の先生が七〇%も七五%も占めるというような事態もできておると思います。そういったことが、いまここで始まったわけじゃなしに、三十七、八年ころからの人口増加に伴って、四十二、三年、四十五、六年というのは最高の時期だったと思います。にもかかわらず、それから十年、いまだに大都市周辺の、そういう人口の急激にふえているところ、あるいはまた、いま確かに人口の増加はそれ以上ふえておらないけれども、いわゆる自然増ということで、人口増加の後遺症という形で依然として児童、生徒に対する教育施設の不足というのは慢性的に続いておる。なぜそれが、こんなにおくれおくれになってきたのか、その原因についてどういうふうにお考えになっておるか……。
○犬丸(直)政府委員 人口急増地域における学校校舎の問題で、小中学校、高等学校等の校舎の問題は非常に深刻な問題であるということは、先生いま御指摘のとおりでございます。それで政府側といたしまして、文部省側といたしましても、いろいろな方法で整備の促進を図っておるわけでございます。
 なぜ、そういうことが起こったのかというお話でございますけれども、これはやはり人口の都会集中が激しいということ、それに対して施策が追っつかなかったということになるのではなかろうかと思っております。私ども、それはできるだけ追っかけて、その解消に努力いたしておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 土地の取得難ということも一つの原因でしょうし、先ほど言われた校区間のいろいろの事情も一つの原因かもわかりません。しかし、より大きな原因は、教育施設に対する費用の問題じゃないかと思います。
 そういう意味では、国の公立学校に対する補助、助成の問題も大きなウエートを占めていると思います。確かに、校舎には三分の二の補助、あるいは用地には三分の一の七〇%ですか、約二〇%の実際の補助が行われるようになっておりまするけれども、これが実際には建築基準単価も実情とは合わないし、また地代なんかも、ずいぶんと差があるということも大きな原因だと思います。
 特に最近は、学校教育の直接の施設だけじゃなしに、それの取り付け道路であるとか、あるいはへいとか渡り廊下というような、いわゆる関連設備というものは、だんだん大きなウエートを占めておると思います。そういったものに対しては、本体でも、なかなか実情に合ったような補助、助成というものが期待できないときに、さらに、それのウエートが高くなっているということも、また早目早目に手を打って、新しい学校を建てていくという手がうまく打てないという大きな原因になっておるのですが、それに対しては、文部省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○犬丸(直)政府委員 特に急増地域における学校施設の設備のおくれということが、一つには自治体の財政事情によって、いわゆる超過負担と言われておるものが多いというようなことにも原因していることは御指摘のとおりでございます。そのために私どもも、公立文教施設といたしましては、急増対策というものを重点に指向いたしまして努力しているわけでございまして、一つは、単価の問題御指摘ございましたけれども、来年度、五十二年度予算におきましては七・五%アップということで期待しております。
 単価の点につきましては、かなり実情に即して上がってきておる。最近は景気の関係で、それほど単価の点で地元に御迷惑かけている面は比較的少ないんではなかろうかというふうに考えております。
 さらに問題は、いまのそれ以外の、正規の建物以外の部分の負担の問題でございますが、この点につきましても、五十二年度予算におきましては、特に門とさく、囲障――門、囲障というものは、従来対象になりませんでしたものを対象といたしまして、約十五億円をこれに計上いたしておりますけれども、そんなようなことで、できるだけ地元負担の過重を是正していきたいと考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 時間が参りましたので、最後に、これだけ申し上げたいと思いますが、たとえば最近、枚方で建てておる学校の仕分けを見ていただきますと、建物、用地費、体育館、関連事業入れまして大体三十四億、それに対して国庫補助は五億四千九百十二万五千円、こういうふうな状態が続いておるならば、今後ますます、それぞれ毎年毎年補助率も上がってはいっても、それ以上に建築単価とか、あるいは用地買収の関連、あるいは関連投資というものが大きくふくれ上がっている現状の中では、過密対策、過密地域における教育施設、教育環境というのは、むしろ、ますます悪くなっていくのが実情ではないかと思います。
 特にその中でも枚方市の場合のように、あるいは高槻と同じように公債比率が非常に上がってまいりまして、五十年度の決算では、もうすでに二二%を超えておると言われております。ということは、教育財源のために、一般財源にまでしわ寄せされる。今後は過密地帯、人口急増地帯に対しては、ある程度別な枠の起債枠等々設けるというような制度も考えていただきたいと思うのですが、そういうことについて、どういうお考えを持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 文部省といたしましては、急増地における校舎整備の予算額をできるだけ伸ばすということを努力いたしまして、五十二年度予算におきましては、小中学校の新増築事業につきましては、対前年度事業量にいたしまして一四%増というものを計上しておるわけでございますが、さらに、その裏負担分につきましては、自治省の方が中心になってやっていただいておるわけでございますけれども、起債をする、しかもその政府資金における起債率を上げる、そういうことで努力いたしておるわけでございます。
 ちょっと、先ほど単価を七・五彩と申し上げましたけれども、七・三%の間違いでございますので、訂正させていただきます。
○馬場(猪)委員 時間が参りましたので、要望にとどめておきます。
 やはり文部省の姿勢として、人口急増地帯の助成あるいは起債、これについて、もっと積極的にお考えをいただきたいということをお願い申し上げておきますが、一つ、先ほど医科歯科大学に対する問題について、文部省が監査をする権限がないということでございますので、会計検査院の検査はどこまでその点やっているか、一つ聞き漏らしましたので……。
○高橋会計検査院説明員 具体的に岐阜歯科大学でございますね。これにつきましては、まだ新設してから間がございませんし、四十九年度、五十年度、五十一年度と補助金が出ておるわけでございますが、五百くらい補助校がございますけれども、私どもの能力からしまして、大体年間百くらいが私どもの能力でございますが、それで現在までようやく四百校余りが検査済みになっていまして、あと百くらい残っております。そういうようなことで、ことしあたり具体的に計画を立てまして、検査に臨みたいというふうに考えておるところでございます。
○馬場(猪)委員 一応これで終わりたいと思います。
○芳賀委員長 本会議散会後、直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十七分開議
○芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。春田重昭君。
○春田委員 入学試験、いわゆる受験戦争にまつわる話題は、いつの時代でも事欠かないわけでございますけれども、この問題其わが国教育の根幹を揺るがす重要な要素を含んでおるわけでございます。あらためて指摘するまでもなく、教育問題を軽視すれば、育ち盛りの子供の心をむしばみ、へんぱな人間を形成してしまうおそれがあることは言うまでもありませんし、こうした子弟があすの日本を支えていくことを思えば、現在の教育で一番ネックになっているこの入試問題は、早急に改革しなければなりません。
 こうした問題はいまに始まったことでありません。昭和二年の朝日新聞によれば、野上弥生子氏の筆による「入学試験お伴の記」でも明らかなように、悲惨な例は、同じく昭和二年、入学試験の答案作成中生徒が発狂したことを例にとっても、いかに教育問題は根が深いかを物語っているわけでございます。こうした状態が今日相も変わらず続いているということは、歴代政府が、口先では教育改革の大義を振りかざしながらも、その実、教育に対する重要視がきわめて薄かったものである、このように断定せざるを得ないのでございます。
 先ほども話題になりました、ことし二月の初めに起こった、あの岐阜歯科大学受験生の自殺事件というものは、受験生はもちろんのこと、受験生を抱える父母にとっては、きわめて大きなショッキングであり、余りにも悲惨な事件でありました。これは、これまでの受験戦争に新たな要素を加えたものであるとして、私は注目すべき事件であると思っております。
 もう一度この事件を新聞の報道によって振り返ってみますれば、兵庫県の神戸市の予備校生が合格通知を手にしながら、多額の寄付金を納入せねばならないため、その金策に苦労する父母の姿を見るに耐えかねて、みずからの存在さえなければと思い詰めた結果が、あのような自殺行為へと駆り立てたわけでございます。
 そこで質問をするわけでございますが、このような現状を文部大臣はどのようにとらえているか、また受験戦争に対し、総括的な御答弁を賜り、さらに本件について、大臣自身がどのような御感触をお持ちなのか、お伺いしたいと存ずる次第でございます。
○海部国務大臣 第一は、具体的な事例として合格者の自殺事件についての感想はどうか、こういうお尋ねでございますけれども、私は、あの報道を目にいたしましたときに大変心の痛むものを覚えましたし、そういったようなことは教育の機会均等という面から見ても、あるいは選抜の公正という面から見ても、決して好ましいことではありませんし、むしろ一歩進んで、そういった入学時に多額の寄付金が条件のような形でつけられておるということ自体、きょうまでも文部省が強く自粛を求めてきた事柄でありまして、口で自粛を求めるのみならず、私学の経営の面から、非常に巨額の経営費がかかって経営上の問題があることはわかっておりましたので、そのために私学振興助成法を置いたり、あるいは私学振興財団から融資をしたりして、私学の経営にもでき得る限りの助力をしているところでありますから、そのような好ましからざる出来事が起こらないように強く指導してまいりたいというのが私の率直な考え方でございます。
 なお、非常に幅広く受験戦争そのものはどうかという御指摘でございますけれども、この全般の受験戦争そのものにつきましては、これは、戦争というような言葉が受験制度につくこと自体が私は非常に残念でたまらぬことでありまして、しかも昭和四十六年には、各界の方々の懇談会の報告として、入学試験制度、特にその中の大学の入学試験制度の改善に関する報告の提言をいただいておりますので、その線に沿って入学試験制度のやり方、あり方そのものも改善していきたい、こういうように考えております。
○春田委員 それでは、さらに細かく質問を展開してまいりたいと思っておりますが、まず、岐阜歯科大学というものは新しい大学だ、最近に開校された、このように聞いておりますけれども、設立されたのはいつなのか、また開校されたのはいつなのか、御答弁願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 学校法人岐阜歯科大学は、昭和四十六年二月十八日に認可されまして、歯学部歯学科入学定員百四十名をもって認可されております。
○春田委員 それでは、会計検査院の方がお見えになっておりますので、そちらの方にお伺いしたいわけでありますが、先日の報道によりますと、会計検査院は、このたびの岐阜歯科大の事件につきまして、定期検査の中に入れたい、その月日も今月に実施したい、このようなことが報道されておりましたけれども、具体的には三月ということが言われておりますけれども、その調査の日はいっなのか、また調査の日数はどれくらいかかるのか、また調査の手順は、いかなる手順で行うのか、どういう項目を調査するのか、その点をお答え願いたいと思います。
○高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 岐阜歯科大学は、先ほど文部当局からお話がございましたように、設立が新しい関係もございまして、それから補助金は四十九年度、五十年度、五十一年度と毎年約一億円ぐらいずつ交付されておりますが、従来、私どもの検査能力からしまして、百校当たり毎年やっておるわけでございますが、現在百校ほど未検査のものが残っておりまして、その中に入っております。ことしと申しますのは、四月以降の新年度に実地検査の中に組み入れて検査を執行していきたい、こういうふうに考えておるところでございますが、普通、補助を受ける学校法人につきましては、三人で二日か三日というのが、私どもの検査の状態でございます。
 検査の項目、やり方でございますが、それは主として配分――一千億ほどの補助金を各学校法人に配分しておるわけでございますが、それはいろいろな要素を基礎にして配分しておりまして、その配分の過程に計算上のいろいろな間違いが実はございまして、その計算を正すという意味で、配分のことをいままで主としてやってまいっております。しかし、去年あたりから学校の経理状況につきましても深く入って検討をしてきておりますので、岐阜歯科大学につきましては、そういう方面の検討も必要かと考えております。
○春田委員 これは、会計検査院が直接この大学に行って調査するのですか。それとも私学振興財団を通して、立ち会いのもとでやっていくのか。どちらか、ちょっと答弁願います。
○高橋会計検査院説明員 私どもの会計検査院法によりまして、当然の権限として、指定をすれば検査ができることになっております。
○春田委員 私は思うわけでございますが、この岐阜歯科大学については、これだけ大きく世間を騒がしたことでありますので、その会計検査院の調査というものは早急にやる必要があると思いますし、また、その結果がわかれば、早急に世間に公表すべきであると私は思っている次第でございますけれども、会計検査院としてはどのようなお考えなのか、お答え願いたいと思います。
○高橋会計検査院説明員 検査の結果の公表の問題でございますが、原則的な立場で申し上げますと、私どもは、決算検査報告というのがございますが、それをもって検査の結果はお答えするというのが原則でございます。
 これは大変わかりにくいものですから、ちょっと説明申し上げますが、私ども、調査官を派遣しまして実地検査に参ります。そしていろいろな事態をつかんでくるわけですが、それを持ち帰りまして内部で検討した上で、相手方に確認を求める手続をとります。そして、その確認なり相手方の意見を徴した上で、内部でいろいろな手続を経まして、最後に検査官会議というのがございまして、そこで検査報告に掲上するかどうかという検討をされた上で、検査報告をもって国会その他に公表するという手順を踏むのが普通でございます。
 しかし、私の記憶では、検査途中の問題でありましても、国会その他の御要請で中間的に公表したというようなことがあったように思いますが、本件につきましては、実は私一存では処理できない問題でありますが、上司の許可を得て、なるべく御要請にこたえることができたら、こういうふうに考えております。
○春田委員 いま検査院の方がおっしゃったような、そういう決意に従って、私は早急に公表することを願うわけであります。もし調査して――調査しないとわかりませんけれども、法的に見て、それが不正ということが発覚すれば、過去、音楽大学が二重帳簿で学生数を偽り助成金を受けた、そういう事実に基づき、一億五千万ですか、そういう助成金を返還させた例があると聞いておりますけれども、そのような音楽大と同じような措置をとる腹があるのかどうか、再度お尋ねしたいと思います。
○高橋会計検査院説明員 お答えいたします。
 補助金の返還につきましては、いろいろな条件があるわけでございますが、申請の内容が全くでたらめであるというようなことになりますと、それは当然返還させなければならぬと思います。それから、そのほか、経理上乱れておる、たとえば特別勘定を持って一般経理から別途経理をしておるというような事態でも見つかりますと、これは全額返還という処置をとらざるを得ないと思います。
○春田委員 それでは、続いて文部省の方にお伺いいたしますけれども、文部省としては、四十九年の一月十七日ですか、「入学時の寄附金募集の抑制について」という通達を出しておる、このように聞いておりますけれども、どの機関にこの通達を出したのか、それをひとつ明確にしていただきたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 四十九年一月の通達は、当時の管理局長及び大学学術局長の名をもって各学校法人の理事長あてに出しております。
○春田委員 それでは、再度確認いたしますけれども、岐阜歯科大学には直接出しているわけですね。徹底しているわけですね。その点をお伺いしたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 岐阜歯科大学にも理事長あてにこの通達は参っております。
○春田委員 いま答弁あったように出していると聞いているわけでございますが、これは全般的な問題でもございますけれども、通達は先ほどのように、四十九年一月十七日に出されているわけです。ところが、会計検査院のその報告によりますと、四十九年度には三件の不正事件が上がっておるわけです。また、五十年度にも同じく三件の不正というものが起こっておりますし、また先ほどの事件といい、このように相も変わらず私学につきましての不正な事件が起こっておるわけでございまして、徹底されているといっても、毎年毎年こういう問題が起こっておるということを考えて、どの程度徹底がなされておるのか、私は非常に危惧する次第でございます。
 そういう点で、四十九年一月十七日に出しておるけれども、五十年、五十一年、そして五十二年、このように年を追って、やはり不正な事件が起こっておるわけでございまして、どういう徹底をしておるのか、その辺が非常に私は不明確であると危惧するわけです。こういう点で、どういう徹底方をされているのか、御答弁願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 会計上の不正の問題、会計検査院で御指摘を受けたような不適正あるいは不正の問題につきましては、これは会計検査の結果としてそれぞれ処置されますと同時に、場合によっては補助金を返還を命ずるというようなことでございます。それで、私ども経常費助成の配分をいたしますときに、その配分の結果の概要について新聞にも公表いたします。そして、その際に、事務不適正で補助金をもらえなかったところ、そういったところに対しては、それを名前をあえて出すというふうなこともやっておりまして、そういう形で間接的にほかの学園の戒めとするというような措置をとっておるわけでございます。
 そのほかに、設置認可の際に審査をいたしました委員が、認可後、その認可の際の条件とされた事柄について、そのとおり実施しているかというようなことを毎年見て回っております。先ほどの会計検査院関係の問題は、必ずしも寄付金の問題とは直接には結びつかない面もございます。それで、寄付金の面につきましては、特に設置認可の後の認可条件の履行状況の調査というようなものを通じて、再三にわたり、関係大学に対して不当な寄付金を取らないようにということは指導いたしております。
○春田委員 今回の岐阜歯科大学の事件の発端となった裏口入学金といいますか寄付金というものは、文部省としては、どれだけ取っていたのかということが掌握されておりますか、わかっていれば説明してください。
○犬丸(直)政府委員 私どもの権限に基づきまして調べます公認会計士の意見のついた会計報告といいますものには、寄付金という形でははっきりと出てまいりません。いろいろな全体の経理の財務諸表が出てまいりますけれども……。それで、寄付金としては、そういう権限に基づいて出てまいります書類には出てまいりませんので、別途、私どもは寄付金の状況を調べるために、各関係大学の協力を得まして調査をいたしたわけでございます。
 その結果、午前中にも御報告申し上げましたが、医科大学の場合には一人当たり平均千六百六十七万円、歯科大学の場合には千二百五十四万円、総額にいたしまして医科大学の場合には四百三億円、歯科大学の場合には三百十一億円、これは五十一年度でございますけれども、そういう新字が明らかになったわけでございます。
○春田委員 いや、そうじゃなくして、今回の岐阜歯科大学のあの神戸の予備校生が自殺したでしょう。それが要するに、寄付金の問題で、ああいう自殺行為へ走ったということで新聞で報道されているわけですよ。だから、彼ないしまた父兄に対して、どれだけのいわゆる寄付金が強要さしたのか、それを知りたいのです。
○犬丸(直)政府委員 岐阜歯科大学に対しましは、あの問題が起きましたときに早速呼び寄せまして、入学募集をどうやったのか、どういうふうにして寄付金を取ったのかということを聞きただしまして、その結果、その聞き及びましたところによりますと、現在のところ、入学者百八十四人のうち百七十五人から取っておる。そして一人平均約千四百三十五万円、総計二十五億何がしというような数字がそのときに答えられました。ただし、これは合格者に対して任意的に取っておるものであるということを言っておりました。
 その辺については、さらに詳しい事情を報告するように求めております。
○春田委員 一人当たり平均千四百三十五万ということですね。この通達を読んでみますれば、この中に三項目にわたって、当局の各大学に対する要望というものが書かれておるわけです。
 ちょっと読んでみますと、一が「私立医科歯科大学の経費は、原則として学生納付金、適正な寄附金等の正規の収入で支弁すること。」これが一項目です。二項目には「入学に要する経費のすべては、募集要項の記載に従うものであることを、入学志願者に明らかにすること。」三項目には「寄附金の納入が入学許可の条件となるようなことはありえないことを入学志願者に明らかにすること。」先ほど海部大臣もおっしゃっておるようなことが、この三項にも書いてありますけれども、この一項目の「適正な寄附金」このように書いてありますけれども、当局としては、この「適正な寄附金」とは、どこに基準を置いているのか、物差しといいますか、その辺のところを明確にしていただきたいと思うのです。
○犬丸(直)政府委員 初めに、先ほど答弁申し上げましたことをちょっと訂正いたします。百八十四人から取った一人当たり千四百三十五万円というのは、五十一年度の場合のことでございます。五十二年度は、まだいま進行中でございますので、なお詳細な調査を、いま求めておるところでございます。
 それから、どのくらいが適正かということでございますけれども、これはいろいろな判断の基準があろうかと思います。大学側が必要とする額、大学教育、特に医学部、歯学部のような非常に金のかかる教育をする場合にどうしても必要な金額というものから割り出していって、といって授業料は、それほど高くするわけにはいかない。そうすると、ある程度は寄付で補わなければならぬ、そういう面からの考え方と、それから入学者の側から見た立場、これは私立学校ですから、一般の人よりも、ある程度財政的に恵まれている人を前提として、そういう人を入れるというようなこともあってもいいと思います。これは寄付が強制にわたらなければ、そういうこともあっても差し支えないと思います。
 そういう観点から見てどうであるか、いろいろな観点から考えなくてはいけませんので、いま幾らぐらいが適正かということはちょっと申せませんが、その辺をひとつこれからよく詰めまして、私学団体等とも相談いたしまして、現在の社会的常識からいって、どのくらいが適正であろうかということも今後研究してまいりたいと思っております。
○春田委員 一千万以上の寄付金を取っているわけでしょう。これは当局としては適正と見ているのかどうかお答え願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 ただいま私が申しましたような点を勘案いたしませんと、いまの一千万何がしが直ちに不適正であると断定はできないと思いますけれども、なお検討を要することがあろうかと思います。
○春田委員 そういう話は逃げられてしまったので、そうしたら、さらに二項目目に「入学に要する経費のすべては、募集要項の記載に従うものであることを、入学志願者に明らかにすること。」こういうことになっておりますけれども、昭和五十一年度につきましても、この募集要項には授業料、入学金、施設設備費、こういう形で書いてあると思うのです。これはどのように記載されておりましたか。
○犬丸(直)政府委員 岐阜歯科大学の募集要項に書いてございます学生等納付金は、入学金四十万円、施設維持費六十万円、授業料四十七万円、実験実習費二十万円、その他いろいろな項目がございまして、最終的に入学時の納入金として百九十八万八千五百円というのが記載されております。
○春田委員 それでは、先ほどの一千四百三十五万ですか、取っているということと、実際、百九十八万ということと、けたがちょっと違うでしょう。これは募集要項にきちっと記載して、それ以上取ってはならないということで通達は出されておるわけですね。この点、どうお考えですか。
○犬丸(直)政府委員 入学の条件として徴収するものについては、必ず募集要項に書くようにということでございまして、それ以外のものを、寄付金が絶対あってはならないというわけではないのでございますが、しかし、それはあくまでも任意のものでなくてはいけない、こういう考え方でございます。
○春田委員 ということは、この千四百三十五万というものは、その中身はまだ調べてないと思いますけれども、大方の予想として、強制されたものじゃない、みずから、いわゆる学校の教育の施設の整備を図るために個人が出したものである、このようにとっておられるのですか。
○犬丸(直)政府委員 私どもは通達の精神からして、そういうものであるべきであると考えております。ただし、今回の事件のようなことで、必ずしもそうでないというような疑惑も出てきておりますので、さらに詳しく追及いたしたいと思っております。
○春田委員 まだ調査の段階に入ってないわけでございますので、これ以上言っても平行線をたどるわけでございますけれども、私は、要は問題は、このように行政当局が一片の通達で事足れりと、ここに問題があるんじゃないか、こういう安易な姿勢がこういう原因をなした、このように言わざるを得ないと思うのです。したがって、監督、指導する立場の文部省として、今後どのような厳しい姿勢をもって対処していくのか、再度、これは大臣から答弁願いたいと思います。
○海部国務大臣 一片の通達だけで片がつくというように安易にも考えておりませんし、また、たまたまこのような社会的な問題にまで発展いたしましたことは、私たちのいま考えておりますことの重要性というか、問題の根の深さというものを改めて厳しく受けとめざるを得ないわけでありまして、あらゆる方面から、この自粛の実が上がりますように取り組んでいかなければならぬと考えますし、全力を挙げるつもりでございます。
○春田委員 このような事件の背景を探ったとき、私は、全体的な問題として、国の私学に対する助成の実態が勢い明らかになってくると思うのです。
 そこで、昭和三十五年から昭和五十年に至る私立大学の学生数、これをちょっと述べてみたいと思うのですが、昭和三十五年には四十万三千八百八十六名だったのです。これは国公立をまぜて全体の六四・三%です。ところが昭和四十年には六十六万八百九十九人、昭和四十五年には百四万六千八百二十三人、四十六年には百二万七百五人、四十七年には百十五万九千二百十七人、四十八年には百二十一万四千三百八十六人、昭和四十九年には百二十六万七千百十七名、昭和五十年で百三十二万五千四百三十人、このように年ごとに私立大学生がふえていっているわけでございます。昭和五十年をとってみれば、国公立合わせて全体の約七六・四%、このように生徒数が急激にふえていっているわけでございます。つまり、わが国の私学の人の占める地位というものは、きわめて重要になってきている、私はこのように思うわけでございます。
 こうように、わが国の私学の地位は、きわめて大きな地位を占めるようになりました観点から、この入学納付金の実態についてお尋ねしたいと思っておりますが、本年、一番新しい年の昭和五十二年の私学における入学納付金と国公立の入学納付金の、平均額で結構でございますから、まず、お示し願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 五十二年度におきます私立大学の入学時納付金の全国平均は四十九万六千百四十二円、年額でございます。最初の年の納付金が四十九万六千百四十二円でございます。それに対しまして、国立大学の場合には十五万六千円ということで、私立は国立の約三・二倍ぐらいになろうかと思います。
○春田委員 このように私学の入学納付金というものは、一応こちらの調べたところによりますと、昭和四十五年には二十二万三千四百二十一円となっております。それが昭和五十二年度は、いま御説明があったように四十九万六千百四十二円と、実に約二・二倍になっているわけでございます。いまや五十万円時代、こういうことで新聞でも報道されておりますけれども、このように学費が高騰した背景は、政府の経済運営の失敗とも言うべき強烈なインフレの結果であるということは申し上げるまでもないと私は思っております。
 私学の大半は、膨大な赤字を抱き、運営費の多くを学生納付金に頼らざるを得ない。その結果として、学費高騰の悪循環を続けているわけでございます。一説によりますと、私学の累積赤字額は昨年度までに約二百七十億円に達している、このように聞いております。このまま放置してしまえば、大事に至ることは明白であります。
 そこで、昭和五十年七月十一日制定、昭和五十一年四月一日施行の私立学校振興助成法というものがございますけれども、この助成法の運用はどのようになされているか、これを大臣から御答弁願いたいと思います。
○海部国務大臣 御指摘のように、私学振興助成法というのは、私立学校に経常費を助成しよう。法律には二分の一以内ということになっておりますけれども、昭和五十二年度の予算案に組み込みました額を申し上げますと、私立大学関係に千六百五億円でございます。これは、今年度と比較いたしますと、財政状況は非常に厳しいときでございましたが、二四・四%、金額にして確か三百十五億円の増加になっておる。そして、それの配分に関しましても、文科系、理工科系、歯学系、医学系と、それぞれ配分するときにまた配慮しながら、効果が少しでも上がるように意を用いて運用をしておるところでございます。
○春田委員 この法律は、議員立法であると聞いておりますけれども、この法律の第四条には、国は経常経費の二分の一の補助を目標としている、いま大臣がおっしゃっておりました、そのとおりのことがうたってあるわけでございます。しかし、その補助の状況は、昭和五十年度が二〇・九%、施行された年の昭和五十一年で二四%、ことしの昭和五十二年が、いま大臣は二四・四%とおっしゃいましたけれども、私の調べたところによると二六・九%になっておりますが、いずれにいたしましても、非常に遅々として推移状況は進んでおらない。
 そういう点で、この法律ができていながら、目標達成まではかなりかかっていくのじゃないか、このように私は思っているわけでございますけれども、政府としては、第四条の趣旨に沿った補助を何年までに達成しようとしているのか、この辺のところを明確にしていただきたいと思います。
○海部国務大臣 最初に、ちょっとお断り申し上げますが、私が申し上げました数字は今年度の予算と、それから五十二年度の予算案に組み込みました経常費の伸び率を比べて二四・四%伸びたと、こう申し上げたわけでして、いまの委員御指摘のことは、千六百五億円が経常的経費の中に占める割合という観点からいきますと、御指摘のとおり二六・九%に相なっておるわけでございます。
 そして、この伸び率でまいりますと、これが五〇%に達するのが何年か、こういうことでございますが、これは私どもいろいろな障害はございますけれども、できるだけ努力をして、なるべく早く五〇%に達するようにしたいという決意を表明することはできますが、それが何年ということになりますと、いろいろな経済情勢の動き等もございますので、直ちに明確にお答え申し上げられない、まことに残念でありますが、できるだけ早く達成したい、こういうつもりでおります。
○春田委員 これも聞くところによると、当時二年くらいで二分の一の目標を達成したい、このように言われておったと聞いておるわけでございますが、いま言ったように、五十一年施行をされてから二四形だったのが、ことしで二六・九%、二・九%しか上がってないわけですよ。三年で二分の一、五〇%に近づけようという最初の趣旨であったように私は聞いておりますけれども、このような状況では相当かかっていくのではないかと思っているわけでございますけれども、もう一度大臣の前向きな姿勢の答弁を願いたいと思っております。
○海部国務大臣 これは立法の精神でもございますので、できるだけ早く達成したいというのは当然のことでありますから、皆さん方の御協力を得てというか御理解をいただいて、この政策が本当に早く所期の目標を達成できますように、今後とも大いにがんばっていきたいと思っております。
○春田委員 それでは若干角度を変えますけれども、先ほども触れましたように、多額の入学納付金というのは、低所得者層、またわが国の勤労平均所得は大体二百三十万だと聞いておりますけれども、これらの人々にとっても非常な負担増になっておるわけでございます。教育の機会均等をうたった憲法第二十六条の教育を受ける権利というものがあるわけでございますが、現状のこのような政府の助成では、この精神は生かされていない、空文化されていっている、このように私は思っております。政府は、この憲法第二十六条をどのようにとらえているか、違った角度でございますけれども、御答弁願いたいと思います。
○海部国務大臣 もちろん教育の機会均等ということに関しては、これは尊重して、その方針で物事がなされなければならない、そういうことで動いておりますが、この私学振興助成法の金額のみならず、たとえば御承知のように育英奨学資金の問題でありますとか、あるいは学校法人がみずからの学校で特殊の奨学金制度を行いますときの融資の問題でございますとか、いろいろなところに教育の機会均等の趣旨が生かされるように、低所得層の皆さん方の就学機会を拡大するような努力もいたしております。
 また話がちょっと飛躍するかもしれませんが、最近文部省が取り組んでおります全国の無医大県解消のための国立医科大学を地方に設置しつつあります一連の動き等も、やはり教育の機会均等というものに資するものではないか、こう考えて鋭意がんばっておる次第でございます。
○春田委員 それでは時間が迫ってまいりましたので、次の方に移ってまいりたいと思います。
 私は、いま大学の問題を指摘してきましたけれども、今回は角度を変えまして、高等学校の問題について質問を展開してまいりたいと思っております。
 最近の高校教育は、これからの社会で生活していくためには、ある程度高度な知識といいますか技術を要求される時代となっている以上、これは不可欠なことでありますし、このことを裏づける資料として昭和五十年度における中学校卒業者の進学率を見ますと、一番高いところで広島県九七・三%という進学率が出ております。次に東京都で九六・六%、富山県で九六・四%、その他岡山県を初め九五%が実に五県あります。全国平均で九一・九%と、このように高い進学率を示しておることは御存じのとおりでございます。このことは高校の義務教育としての移行は、もはや国民的な大きな願望になっている、そのことを示す大きな数字であると私は思っておるわけでございます。
 ところが、公立高校の施設が全体的に少なく、その分だけ必然的に私立高校へ行かざるを得ない現況にあって、私立高校の役割りというのは非常に重要と言わざるを得ないわけであります。昭和五十年における私立高校の生徒数は百三十万八千四十五人、昭和五十一年は、若干下がっておりますが、百二十九万八千五百五十三人となっております。いずれも高校生全体の三〇%を占めております。
 そこで本題に入ってまいりますが、この重要な位置にある、いわば公立高校をカバーしていくべき私立高校の年間費用が、先ほど言った私立大学と同じように、非常に高くなっていっております。
 参考に東京と大阪の例をとって申しますと、東京都では昭和五十一年公立高校が一万四千四百円でございました。私立では三十七万三千七百七円になっております。内訳は、授業料が十七万七千四百七十九円、入学金が十三万二千七百六十九円、施設その他寄付が六万三千四百五十九円という形になっております。この私立の公立に対する倍率が二十六倍、このようになっております。五十二年度の公立が二万一千六百円、私立で四十五万五千六百七十円になっております。授業料で二十万六千九百七十五円、入学金で十五万七千二百十四円、施設その他寄付で十万九千九百四十七円、この倍率が約二十一倍でございます。
 大阪の例をとってみますれば、昭和五十一年、公立で一万四千四百円でございます。ところが私立へ行きますと、四十四万九千円、これは寄付金を入れた場合の数字でございますけれども、授業料で十九万六千円、入学金で十一万四千円、実験実習費が一万九千円、寄付金が七万ないし八万と見た場合でございます。その他施設設備費が四万円、この倍率が約三十一倍でございます。このように増大する私立高校の学校納付金に対する政府の補助は、非常に少ないと聞いております。
 昭和五十一年また五十二年について、一体どれだけ政府として財政の措置をしているのか、まず、お答え願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 私立高等学校に対する財政措置といたしましては、従来は、原則として交付税で措置をする、県その他自治体がそれに対する助成をする、その場合にその財源につきまして、交付税で措置をするというのが原則でございましたが、昭和五十年度から国庫補助が始まりまして、都道府県がその区域内の私立の学校に対して助成をする場合には、それに応じて国からその県へ補助金を出すという体制ができたわけでございます。五十年度はわずか八十億円でございましたけれども、五十一年度にその金額が百八十億円になり、五十二年度予算には、さらに伸びまして三百億円というものを現在用意いたしております。
○春田委員 これは生徒一人当たりに換算した場合、平均どれぐらいになっているか、お答え願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 生徒一人当たりの積算値は、小、中、高につきましては、五十一年度は九千五百円に対して、五十二年度は一万六千四百円、それから幼稚園につきましては、五十一年度が三千八百円に対して五十二年度は六千五百五十円でございます。
○春田委員 それは国庫補助額でしょう。交付税を含めた場合の合算額でお願いいたしたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 交付税措置を含めまして見ますと、五十一年度は六万円になります。それから、五十二年度は七万三千百円、これは小、中、高の場合でございます。それから幼稚園の場合は、学校法人立とその他とが違っておりまして、学校法人立の場合に、五十一年が二万三千八百円、五十二年度が二万九千九百五十円、それから学校法人立以外のものにつきましては、五十一年度が一万九千二百円、五十二年度が二万八千七百五十円、以上に相なっております。
○春田委員 いま御説明あったわけでございますけれども、私から言わせれば、本当にスズメの涙しか助成されていない、このように言っても過言ではないと思います。
 大体、いまの助成額を平均すれば、昭和五十一年で経常費の約二六・九%ですか、昭和五十二年の二八%、このように予想されていると聞いておりますけれども、私は、この私立高校の助成がこのように低かったならば、先ほども述べたような岐阜歯大のような第二、第三の事件が起こらないと、だれも保証できないと思う。こういう観点から、もっと助成額を大幅にふやすべきである、このように主張するのでございます。
 そこでネックになっているのが、先ほども申しました教育振興助成法ですか、あの中にうたっている項目があるわけでございます。大学の場合は、先ほど言ったように、二分の一の補助を目標とすると書いてあります。ところが高校の場合には一部を補助する、このようにうたっておるわけですね。したがって、その大半がやはり地元の府県等に押しつけられている。ここに大きな原因があるのじゃなかろうかと思うのです。私は先ほど言いましたように、高校進学率が九〇・九%、ほとんど準義務教育化されつつある今日におきまして、この高校教育というものは大学、それ以上の重要な地位にあるのではなかろうか、こう思います。
 そこで私立高校におきましても大学と同じような、当面二分の一の補助を目標とする、このようなことを抜本的に考える必要があるのではなかろうか、このように考えるわけでございますけれども、この点大臣としてはどのようにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 先生いま御指摘のように、高等学校以下に対する国の補助につきましては、その何分の一以下という規定はございません。大学につきましては、二分の一以内を補助することができるという規定がございますので、二分の一を目標とするというような法律の規定ではございませんが、そこに一つの目標を置いて、われわれとしては努力しているわけでございます。
 高等学校以下につきましては、そういうものが決めてございませんのは、これはやはり高等学校以下の学校法人に対する助成の責任が国だけではございません。地方公共団体もございます。その辺の関係がございまして、あるいは地方のいろいろ実情にもよることだと思いますので、一律にそういう目標を決めることは必ずしも適切でない、そういうような立法趣旨から、第九条におきましては、そういうものがかからなかったというふうに聞いております。
 ただ私どもは、行政上の気持ちといたしましては、交付税の措置と国の補助とを合わ起て、やはり二分の一というようなことを一応の目標にいたしたいという気持ちはございますけれども、何らそれは法的なものではないわけでございます。
○春田委員 いまの局長の答弁に期待するわけでございますけれども、さらにいまおっしゃったように、私立高校に対する助成財源措置というものは、国庫補助と交付税と二つのものが相なって助成されているわけでございますけれども、全国平均が九一・九%、ところが東京や大阪は九四%ないし九六%になるわけですね。こういう点から考えてみた場合、高校生が急増しているそういう自治体につきましては、教育の機会均等を生かすためにも、交付税中心の財源措置じゃなくして、国庫補助中心の財源措置でなかったらいけないのではないか、このように私は考えているわけでございますけれども、この点についてはどのようにお考えになっているのか、御説明願いたいと思います。
○犬丸(直)政府委員 高等学校以下の私立学校に対します助成は、たてまえは、やはり府県が責任を持っていただかなくてはならないのじゃなかろうか、それに対して国が助成をする、援助をする、支援をする、こういう立場になっておりますので、それぞれの県の御努力の状況に応じて、国もそれだけの御援助を申し上げる、そういう形でやっております。したがいまして、進学率のことをおっしゃいましたけれども、それのみならず、むしろそれぞれの県で、どれだけ私学に金をお出しになったかというようなことを勘案して、それに応じた補助金の配分ということをやっております。
○春田委員 そうじゃなくして、人口急増都市ですね、とりわけ高校生が急増しているところ、そういう府県については、特段のそういう財政措置ができないかどうかということをお聞きしているわけです。
○犬丸(直)政府委員 補助金の執行の方針として、そういう急増対策という考え方は、表面には出ておりませんけれども、急増地域におきましては、私学に依存する度合いが高うございますから、府県でもかなりお金を出しておられます。それに応じまして、ある程度そういうところへ厚く行くことは、結果として出てまいるかと思っております。
○春田委員 時間が参ったようでございますので最後になりますけれども、福田総理が、わが党の竹入委員長の代表質問でも、教育は非常に重要な施策である、特に力を入れていく、このような意味の答弁が本会議場でもあったわけでございますし、私はいままでの質問から皆さん、当局の答弁ではまだまだ本物とは言えない、このように思っておるわけでございます。
 どうか中学浪人を出さないためにも、この教育問題にはもっともっと力を入れていただきたい。特に海部文部大臣におかれましては、若手の非常に意欲のある大臣だ、このように聞いておりますので、そうしたことを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
○芳賀委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、育英会の事業について、育英会に対する監督官庁の長である文部大臣にお尋ねしたいと思うのです。
 今年の二月七日に、育英会の村山理事長の名前で各大学に通知がなされまして、これまでの奨学金の返還年賦の額を引き上げるというふうに奨学規程を改められたのが通達されておるわけですけれども、変えられました年賦の金額が、この通知の中に載っております。年賦額の区分表というのができておるのですけれども、これは高校と大学、いままで別々だったのを一本化したということになっております。
 これによりますと、国公立の高校の場合、五十一年度に奨学生に採用された人の場合、いままで年間九千円払っておればよかったのが一挙に一万六千円払わなくちゃならないということで一・七七倍になるわけです。私立の高校の生徒の場合は、五十一年度採用の場合は一万円ずつ払っておけばよかったのが、倍の二万円ずつ払わなければならぬ。それから国公立大学の場合は、三万八千円ずつだったのが五万円ずつ払わなければならぬ。これは一・三一倍になっております。私立大学の場合は、四万八千円だったのが一挙に六万円ずつ一年間に払っていかなければならぬ状態になるわけなんです。金額が上がりますから、もちろん返還する年限も短縮されるわけでございまして、国公立の高校の場合は、二十年だったのが今度は十二年に短縮される。私立の高校の場合も同じなんです。国公立の大学は、十三年間払えばよかったのが今度十年。私立大学の場合は、十二年間だったのが十一年に短縮されるわけです。
 御承知のように、政令の十五条では、二十年以内に返還すればいいことになっているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、奨学規程の改変ということで事実上返還の期間を短くする、返還の条件が厳しくなってきておるわけですね。これは現在の物価高、就職難というようなことから考えますと、まさに逆ではないかと思うのです。これは監督官庁としての文部大臣に、そういうふうに改定をされた根拠、理由をまず最初にお伺いしたいと思います。
○海部国務大臣 御指摘のようなことに関しましては、返還をされたものを、どう使うかという角度からも、ちょっと問題をながめてみていただきまして、返還されたものはまた新たに後進育成と申しますか、奨学資金を貸与するための資金となるものでありまして、循環運用されていくわけでありますから、多くの人が、後進が、その奨学資金の恩典に浴することができる、こういうことでありますから、このような観点から今度措置をいたしましたけれども、物には両面があるわけでございますので、そちらの方の面をお認めいただいて御理解を賜りたいと思います。
○安藤委員 いまの文部大臣のお答えによりますと、結局回転を早くしたいというようなことにもとれるのです。早く回収をして新しい学生あるいは生徒に貸し付けたいのだというように私は理解すべきだと思うのですけれども、この最低年賦額を決めた趣旨は、これは育英会の方でおつくりになったものだと思うのですが、これによりましても「奨学金回収効率の向上を必ずしも直接の目的とするものではなかった。」と、これははっきりと三十年史の中に載っているのです。そうしますと、いまの大臣の御答弁と大分違っているのですが、その点はどうなんですか。
○村山参考人 育英会の奨学金は、御案内のように法律、政令で二十年以内に返還すべきものと定められておりまして、やりょうはいろいろございまして、契約自由の原則に立てば、いろいろ細かい返還年賦の決め方もあるわけでありますけれども、返す方にいたしましても、それから事務を取り扱う育英会にいたしましても、これだけ膨大な量をこなすためには、ある程度定型化して処理するのがお互いの便宜でございます。そういうことから昭和四十六年に返還年賦額というのを決めたわけでありますけれども、それから六年たちまして奨学金の額も上がっておりますし、その他諸般の情勢も変わっております。従来のままの額でありますと、中には二十年を超えるようなことになる可能性も出てまいりましたので、現時点において考えまして、従来の刻み方あるいは返還年賦額等々を、奨学金の金額その他の経済情勢等をにらみ合わせまして、私どもとしては合理的と考えます十一段階、それから一万円刻みの年賦額にしたというのが経緯でございます。
 最低と最高が約二倍になるわけでありますけれども、その間に奨学金の額の方も二倍以上になっておりますし、それがどこから見ても、正しいかどうかというような議論になりますと、なかなかお答えがむずかしいわけでありますけれども、この種の金銭の返還計画の基準としては、ほぼ妥当なものと考えておる次第でございます。
○安藤委員 経済状態その他から妥当だというふうに考えているということですが、最初に私が申し上げましたように、いまのような物価情勢の中で学生が大学あるいは高校を卒業して返還していくという場合に、額が先ほど申し上げましたように、引き上げられるということは、かえって難きを強いるものではないかと思うのです。画一化して返してもらうというようなお考えは、別に私は全面的にそれに反対だ、あるいはそれに対して異論があるというわけではございませんけれども、たとえば物価情勢ということもおっしゃったのですけれども、それから四十六年に改正をされたということもおっしゃって、それも存じておりますが、物価の上昇と今回の返還額、年賦額の上昇率と比べてみますと、物価の上昇率よりも高いのですよ。
 昭和四十六年を基準にして考えますと、物価の方は約一・七八倍上がっておる。ところがこの年賦額の方は、国公立の高校の場合は二・六六倍に上がっているのです。そういう計算になるのです、今度の年賦一覧表で計算していきますと。それから私立の高校の場合は三・三三倍になるのです。国公立の大学の場合は四・一六倍にもなるのです。私立の大学の場合は三・三三倍と、こういうふうに物価の上昇率よりもはるかに多い倍率で、これから返していかなければならぬということになるわけですから、これは大いに考え直していただきたいと思うんですが、それでもまだ物価の問題からして上げるのは、妥当なものだというふうにお考えなんでしょうか。
○村山参考人 奨学金の金額、それから返還年賦額、これは必ずしも物価とリンクすべきものとは考えておりません。物価の動向というのは、ある種の参考にはなるだろうけれども、奨学金額あるいは返還年賦額というものは、それとはまた違う考えも入って決められておるわけでありまして、どちらかと申せば、この奨学金の金額の上がり方と、それから返還年賦額の方が関連性が高いと思います。返還金の年賦額は、物価の上昇よりも上がっておりますけれども、奨学金の方も物価の上昇率よりは上がっております。
 どの程度の相関関係が絶対的に正しいかということになりますと、これはなかなか明快にお答えできないわけでありますけれども、奨学金の上がり方、それから返還年賦額を今回最低で二倍、それから最高は従来六万五千円でありましたものを十万円というぐあいに定めまして、それから、その間の刻みを七段階でありましたのを十一段階にしたということは、奨学金の上がりぐあい、それから二十年以内に処理をする、それからその間世論等では、奨学金は二十年というのは、ちょっと長過ぎるから、もう少し回収を早くして、後輩にさらによく均てんさせるべきだというようなものもあるやに承知しております。
 それらを考え合わせますと、今回の年賦額の改定というのは、いわば事務的と申しますか、比較的自然に受け取られるものと、私どもとしては考えておる次第でございます。
○安藤委員 いまのお答えの中で、奨学金の額と返還額というものの方が、物価よりも関連性が高いという御趣旨だったのですが、物価の方も私は大いに関連性があるので、物価が上がって学生は非常に苦しんでいるし、それから社会へ出ても相当ひどい生活条件を強いられるということからすれば、大いに関連があると思うのです。
 しかし、いまおっしゃった奨学金の額との関連で申し上げますと、お調べになっておわかりなんじゃないかと思いますけれども、私が調べたところによりますと、昭和四十六年と五十二年度からの奨学金の額と年賦額とを比較してみますと、国公立大学の場合は、四十六年は奨学金一カ月三千円であったわけです。それが五十二年からは一万一千円になるわけです。これは約三・六六倍です。ところが、同じ国公立大学で今度の新しい返還規程によりますと一年間に五万円になるわけです。昭和四十六年度では、一万二千円だったわけです。四・一六倍になります。三・六六倍が奨学金の方の上がる額で、返還する額の方が四・一六倍に上がっておるわけなんです。
 それからもう一つ、念のために申し上げますと、私立大学の場合は同じような比較をいたしますと、奨学金の方は二・八倍、しかし返還する年賦額の方は、一万八千円であったのが昭和五十二年度から六万円というふうにはね上がって何と三・三三倍、こういうふうに返還額の方が上がり方が非常に厳しいのですね。高いのです。ですから、いまもおっしゃった奨学金の額と返還額との方がより関連性があるのだというようなことになりますと、これはとんでもない関連性で、まさに先ほど申し上げましたような難きを強いるということになって、育英会の設立の趣旨、奨学金のあり方、この根本問題からしても、これはとうてい改めていただかなければならぬことじゃないかというふうに思うのですけれども、まず育英会の理事長さんの方から、その点についてお答えいただきたいと思うのです。
○村山参考人 重ねてのお答えになりますが、奨学金の返還年賦額は、物価ですとか奨学金ですとか、そういうものとの関連性は考えますけれども、数字的に比例関係で処理しておるものではございません。奨学金が上がったこと、あるいは物価が上がったことなども考えの中に入れながら、それから一方におきまして、奨学金は、これは一部免除がございますけれども、免除を除きますと、返すべきものでございますので、返還者がさほど無理なく返せる程度において、できればなるべく早く返して後輩の方に資金として回すということも、奨学金制度を運用する上において重要な観点であると考えますし、また、そのような世論もあると承知しております。
 そこで、従来の返還年数をそう著しく上回らない範囲で毎年の返還最低額を上げるということは、奨学金制度の運用としては一応正しい方角であると考えまして、私どもとしては現在の年賦額改定を行ったわけでありまして、たとえば最低の場合、一万二千円ですと、月に千円でございます。最高で十万でございますので、これは月にいたしますと、一万円足らずの額を返すということは、十万円も返すというような人は相当長年にわたって奨学金を受けておるわけでありますから、社会的ないろいろなバランスを考える場合において、さほど不自然なものとは考えておらない次第でございます。
○安藤委員 どうも御答弁が、先ほど私は大臣にお尋ねするときに、返還額の最低額を決めた趣旨は、決して将学金の回収のためではないということを私はお尋ねしたのです。そういうことがちゃんと育英会の三十年史に書いてあるわけです。そうすると、大臣の答弁おかしいではないかというふうにお尋ねしたのです。
 それから物価との関連で申し上げて、物価の上昇率よりも返還額の上がり方の方が激しいというのは、どういうことか。そうしたら、物価は余り関係ないのだ、奨学金の額と返還額との方がもっと強い関連性を持っているんだとおっしゃったから、私は返還額の方が奨学金の額の上がり方よりももっと激しいではないかというふうにいまお尋ねしたのです。そうしますと、奨学金の額の上がり方よりも返還額の方がもっと激しい上がり方をしている、そういう点は、お認めになるわけですね。そうして、それは全く今度の改定については考慮していなかったということになるわけでございましょうか。
○村山参考人 繰り返してのお答えになりますが、奨学金の上がり方と返還年賦額というのは、いろんな段階で比較されるわけでございますので、今回のものを分析いたしますと、返還年賦額の方が奨学金の上がり方よりも激しい部分もありますし、逆に、奨学金の上がり方の方が返還年賦額の上がり方よりも上回っているものもございます。それらはお互いに参考にはいたしますけれども繰り返しになりますが、必ずしも比例関係でとらえておるわけではございませんので、返還金をなるべく運用するということも、それが目的とは申しませんけれども、そういうことも奨学制度運用においては考慮すべき一要素であるとは考えておりまして、それら全体を勘案いたしますと、ほぼ妥当なものと考えておる次第でございます。
○安藤委員 私が質問いたしました数字を挙げての内容について的確な御答弁をいただいているとは思えません。ですから、回収の問題は直接の目的とするものではないということを私が三十年史に基づいて申し上げますと、それも、全然関係がないけれども、一つの要素になっているんだというようなこともおっしゃるし、あるいは物価のこと、あるいは奨学金の額も一つの参考にすべきものであるということをおっしゃるわけですが、そうすると、今回の奨学金の返還額の引き上げという改定、これは一体どういうような理由、どういうような観点に立っておやりになったのかということが、本当によくわからなくなってきたわけなんですけれども、文部省の方の御答弁はもう結構でございますので、育英会の理事長さんの方からお答えいただきたいと思うのです。
○村山参考人 どうも再々繰り返しになって恐縮でございますけれども、奨学金の返還というものは、やはり妥当な金額で事務的に適正な処理をしなければならぬわけでありまして、したがって返還年賦の最低額というものも決めておるわけであります。それは、やはり奨学金の金額その他の情勢の変動に応じて手直しすべきものと考えております。
 それは、返すものは少ない方がいいというのは奨学金を受けた側からすれば、まさにそのとおりでありますけれども、奨学金を受けない者とのバランス――もっと奨学金の財源を工夫して、これは政府からいただけば、それがほかに回るわけでありますけれども、育英会の範囲で考えますれば、やはり返還金というものは適確に回収をして、それを新しい奨学資金に回すということも考えなければなりません。これも最近はやや少なくなっておりますけれども、以前は国会でも、かなり厳重に御鞭撻を受けたようなこともございまして、奨学金の回収というものの適正化には、育英会は非常に努力しておるところでございます。
 それらの要素を組み合わせますと、今回の奨学金の年賦額を四十六年の時点からしますと、ほぼ二倍に引き上げるということは、さほど間違っていない。むしろ、そういう方向で奨学金回収事務の適正化を図るべきものというぐあいに考えております。
○安藤委員 はしなくもいまの御答弁の中で、文部省の方からもっとたくさんいただけばというふうにおっしゃったのですが、一番のポイントはそこら辺のところにあるのじゃないかと私は思っているのです。ですから、私としましては、まさにこの返還の金額を増額するというような改定は、おやめになっていただいて、逆に文部省の方から育英会に対して原資をたくさん出していただくようにお願いしたいと思うのです。
 外国の例なんかも私、幾つか用意してきておるのですが、たとえばアメリカの大学生の場合、これは制度が少し違うかもしれませんけれども、一九七一年度の予算で一人の学生に対して一カ月約三万円、イギリスの場合は二万四千円ずつ支給しているわけです。ですから、これから見ますと、日本の育英会の奨学金の額というのは相当下回っているというふうにしか考えられないわけなんです。
 それからもう一つの資料を申し上げますと、日本の場合でも、育英会が奨学金の対象にしている学生の数と育英会以外の民間の法人等が対象にしている数が、昭和四十六年度と五十年度とをとってみましても、数が逆転しているわけなんです。昭和五十年度で見ますと、育英会以外の公益法人が扱っている学生の数は四万二千百八十六人、ところが育英会の方は三万五千四百二十六人と、少ないわけです。ところが四十六年の場合は、育英会の方が三万二千八十八人、その他の公益法人の場合が二万二千五百五十二人、こうだったわけで、逆転しているわけですね。
 だから、こういうようなことからいたしましても、もっと育英会の貸付対象の枠の拡大、そして額の増額、これを図るべきだというふうに私は思うわけです。先ほどの御答弁の中にありましたように、文部省の方から育英会の原資に対して、もっと大幅な増額をしていただきたいというふうに私は強く要望したいと思うのです。
 それで時間が参りましたから、最後に一点お伺いしておきたいのですが、きょうの午前中、それから先ほどまでの質疑の中で、いろいろ私学の問題が出てまいりました。だから私は、もう具体的にこれだけ入学金がかかってどうこうということまでは申し上げませんけれども、この育英会の貸付対象として、いま一般貸付、特別貸付とございますね。そのほかに、いろいろ裏金何とかというようなものは別にいたしまして、いわゆる私学に対する入学金、これを育英会の貸し付けの対象の枠として新たに設けられるお考えはあるのかないのか、これまた育英会の理事長さんにお伺いしたいと思うのです。
○村山参考人 制度的な新しい事項につきましては、法令上の措置あるいは予算上の措置を文部省でおとりになって、育英会はその取り決められたもの、それから成立いたしました予算を適正に執行する立場にございます。新しい医学生を対象とする奨学制度をつくるかどうかというようなことになりますと、したがいまして文部省の問題ということになりますが、育英会としても、新しい国家的に必要な奨学事業を付加することにつきましては、これを受けとめまして、その方向に努力をいたしたいと思っております。
○安藤委員 どうも前向きの御答弁をいただきましてありがとうございます。
 では、これで私の質問を終わります。
○海部国務大臣 いまの件に関連して一言だけ発言させていただきますが、先生御指摘のように入学一時金の融資の問題でございますが、これは育英会というのではなくて、当該の学校法人そのものが、これに対する融資の制度を行いますときは、私学振興財団を通じて長期低利の融資の制度を今年度予算から始めようといたしまして、その原資を用意いたしておるわけでございます。ですから、これは学校法人がそういう制度をやろうとしましたときに、その原資を長期低利で融資する、こうこう政策でございますので、一言申し上げさせていただきました。
○安藤委員 そのこととの関連で一言だけ……。
 私がお伺いしたいのは、もちろんそういうことをお考えになっているというのは結構ですけれども、育英会の事業として、利子なしでそういう枠をお設けになる御用意はあるのかないのかということでお尋ねしておったわけです。
○海部国務大臣 せっかくの御提言でございますが、いまのところ、その方法では考えておりません。
○安藤委員 終わります。
○芳賀委員長 次に、厚生省所管について審査を行います。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。林孝矩君。
○林(孝)委員 救急医療の問題について質問いたします。
 近年、救急医療体制のおくれから全国各地で、いわゆるたらい回しという状態が続出していることは御承知のとおりです。昨年には、千葉県で二十五回たらい回しをされた、そしてついに死亡した。その被害者の家族が国、自治体、病院、組合を相手取って一千万円の賠償請求訴訟を起こしているわけです。また総理府の世論調査、これを見ましても、医療に対して非常に国民の受けとめ方、これは重大なパーセンテージが出ておるわけですけれども、国民の五八%もの人が不安を感じながら生活をしておる。これは総理府の世論調査の結果です。
 憲法に定められておりますところの国民の生存権、健康権保障規定が明記されていることは言うまでもないことですが、いつ、どこでも急患が医療を受けられる体制が保障されていない、これは一つの大きな問題だと私は思います。
 医療の供給を確保する責任は一体どこにあるのか、これ自体もいろいろ法律等調べてみても不明確な状態にある、このことを私は指摘したいわけです。今日までこうした状態が放置されてきた。これはわが国の救急医療の実態ですけれども、ちなみに、この救急医療に対しての予算の過去の実態を見ますと、昭和四十八年度は九億二千二百万円、四十九年度が十三億四千万円、五十年度が十九億九千万円、五十一年度二十六億九千九百万円、このような状態。今回は大幅に予算が伸びておるということは、先日来の当委員会での答弁でもございました。今日までのこうした状態を考えますと、この救急医療問題に対して基本的にどのような認識と、またこのたらい回しの発生原因が一体どこにあるのか、これをまず明確にしたいわけです。
 それから、先ほど指摘しました責任はどこにあるのかという問題、法律上、私、憲法を挙げましたのは、この二十六条には「國は、」という言葉が出てきますね。こういうことから考えても、責任の所在をはっきりしておかなければならないのではないかと思います。
 そういう意味で、 このたらい回し発生の原因と、それから責任の所在、この二点についてお伺いしておきたいと思うのです。
○石丸政府委員 救急医療の問題は非常に大きな社会問題に現在なっておるわけでございまして、そういった点につきまして、われわれもいろいろ対策は従来からも講じておるところでございます。なぜ、こういうような状態になったかということでございますが、これにはいろいろな問題があろうかと思います。
 一つは、現在医療需要という面から、国民が医療に要求いたしておりますいろいろな諸条件というものが変わってまいっておるわけでございますが、一つには、いろいろな衛生対策が効を奏しまして、人口の老齢化現象が起こった。これに伴っての疾病構造の変化というようなものもあろうかと思っております。
 それともう一つ、やはり大きな社会的な変化といたしまして、人口の都市集中化あるいはそれに伴っての核家族化というようなことで疾病に対します、いわゆる急病に対します生活の知恵というようなものが、親から子供への伝承というようなこともなくなってきたような社会的な変化、そういういろんな変化があろうかと思うわけでございまして、そういった社会状況の変化に伴っての医療需要の変化、これに対応する医療を供給する側の条件、医療の供給体制というようなものの整備が、必ずしもこれに追っついていかなかったというようなことが大きな原因ではなかろうかと思うわけでございます。
 特にただいま先生御指摘の、いわゆる救急患者のたらい回しということでございますが、これのいろんな統計がございます。大きな一つの理由といたしまして、なぜたらい回しが起こるかということでございますが、やはりベッドの不足ということが一つの原因になっておるわけでございます。救急患者が搬送されてまいりました場合に、空きベッドがないということが大きなやはり原因になっていようかと思います。そのほか、現在医学部というものが非常に専門分化してまいりまして、したがいまして、それに伴って医者も非常に専門化されてまいったわけでございまして、この専門化されるということは、医療の面からは必要だと思いますけれども、片一方においては、あらゆる救急患者に対応できない、こういう事態もあるわけでございまして、そういういろんな原因があろうかと思います。
 したがいまして、われわれといたしましては、昭和五十二年度予算編成におきまして、そういった新しい社会情勢の変化に対応して、この医療供給システムを整備しようということで、ただいま先生御指摘のような大幅な予算要求を出しておるところでございます。
 それで、この責任問題でございますが、これは非常に先生御指摘のように、法律的にいろんな問題があろうかと思いますが、要はやはり医療というものが地域住民の生活に密着した、非常に地域のそれぞれの生活の中で必要なものでございまして、そういう意味におきましては、国と地方自治体が相協力いたしまして、こういった責任を持って救急医療というものに対応していくことが必要ではないかというふうに考えております。
○林(孝)委員 国と地方が協力し合ってということで両方に責任がある、こういうことですか。
○石丸政府委員 両方が責任を持ちまして相協力してやってまいりたいと考えております。
○林(孝)委員 もう一つ私、質問しておきますが、救急指定病院、これがこの数年間非常に激減しておる。たとえば東京都内で、四十五年に五百三十五カ所あったのが昨年末で四百九十三カ所、四十二カ所も減った。いずれも病院側からの指定返上だ、こういうふうになっているわけですね。また常にベッドがないということを理由に、救急患者の受け入れを断る救急指定病院が最近目立ってきた。実際満床なのかどうかということは別にして、とにかくそういう理由で断る。指定返上の場合に看護婦不足だとか、あるいは経営難というのが主な理由だというんです。こういう経済的な理由で断ることができないので、ベッドがあいていないということで断る、こういう病院があるということが事実として理解されるわけですけれども、今回の大幅な、厚生省が言われるように積極的な取り組み、それによって、いま私が言いましたような状態が解消されるものなのかどうか、これは非常に重大なことだと思うのです。その点はいかがでしょうか。
○石丸政府委員 救急告示病院、診療所の総数におきましては、ただいま先生御指摘のように、現在この救急指定病院の辞退がある程度ございまして、施設数といたしましては減少をいたしております。ただ、この内容を見てみますと、やはり診療所の方の辞退が多いようでございまして、病院そのものの減少ということは、余り顕著ではないようでございまして、救急のベッドの点から見ますと、現在のところ横ばいのような状態になっているように、われわれは統計数字から考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、現実問題といたしましてベッド不足というようなことで、いわゆるたらい回しと言われる事象が起きておるわけでございまして、こういった事態につきましては、やはりベッドを増床するということが必要でございまして、先日の医療審議会におきましても、特に救急ベッドにつきましては、この枠を増大する、増加する、そういう措置がとられたわけでございます。
 ただ救急告示施設、病院というものは、先生御案内のとおりでございまして、従来わが国におきましてモータリゼーションが起きましていわゆる交通外傷がふえた、そういった事態に対しまして、外科的な施設を持った病院を指定いたしたわけでございます。しかし、最近の救急の実態というものを見てみますと、こういった外傷患者のほかに、脳卒中あるいは心筋梗塞あるいは子供の腹痛とか発熱といったような内科的な急病が非常にふえておるわけでございまして、そういった点から考えますと、今後の救急医療施設の整備ということは、従来の外科を中心といたしました告示病院のみでは対応できなくなったわけでございまして、今後そういった内科系の病院も救急を取り扱うような新しいシステムをつくる必要があろうかと考えておるところでございます。
 そういった意味におきまして、昭和五十二年度の予算要求におきましては、内科系を含めました一つのシステムといたしまして、休日夜間急患センターの設置あるいは在宅当番医制の普及定着化、そういった従来の外科系に内科系を加えました一つの体系を整備いたしたいということで予算要求をしておる段階でございます。
○林(孝)委員 その告示病院制度ですが、いま御説明がございましたように、三十九年の二月に、消防法の規定に基づいて厚生省が省令を出したわけです。これは、その省令の一条に示す条件に合致した病院の任意の救急医療に対する協力の申し出に基づいて告示する制度ですね。ですから、あくまでもその協力の申し出がなければならないということ、そして財政的措置がなされていないということ、また救急医療機関側の法制上の特別な義務もない、ただ単に医師法の第十九条の診療義務、これにとどまっているにすぎないわけですね。したがって、その告示制度のもとでは、当然地域的なアンバランスだとか、たとえ告示病院であっても、ベッド満床、医師不足等々の現状から、まあその現状そのものが、たらい回しの一因にもなっていた、私はそのように考えるわけです。
 したがって厚生省として、いま私が申し上げました医師法の義務規定だけであるとか、協力の申し出がなければならない、財政的措置がとられていない、法制上の特別な義務が救急医療機関側にない、このような全然整備されていない情勢のもとで、果たしてバランスのある救急医療というものができるのかどうか、そのことに対して私非常に心配するわけです。
 それが一点と、それから告示病院に対して補助等の助成措置をどうしてとらなかったのか、とらないのか、その点についても厚生省として明確にしていただきたいと思うのです。
○石丸政府委員 救急告示病院が、その協力の申し出によって指定をされておるところは先生御指摘のとおりでございまして、また、これに対して厚生省として、いわゆる救急告示病院なるがゆえに、これに特別の助成を行ってきていなかったことも事実でございます。ただ、全然ほったらかしていたかというと、そうではないわけでございまして、救急告示病院の中でも公的病院、あるいは自治体病院で、その地区の救急医療の中心的な役割りを果たしてきました病院につきましては、従来から特殊診療部門運営費補助というような形で赤字に対する助成を行ってきたわけでございます。ただ一般的にはやっていなかった、公的病院あるいは自治体病院にはやってきた、こういう事実はございます。
 それで、この五十二年度予算におきましては、自治体病院について、さらにその対象を拡大いたしまして、この特殊診療部門の運営費といたしまして救急の枠を広げてまいりたいと考えておるところでございます。さらに、公的病院あるいは自治体病院以外の一般の病院についてでございますが、これは、いわゆる救急告示というような形ではなく、先ほど申し上げましたように、一般的なその地域の救急医療を担当するというような形でその病院が  今度、病院群輪番制という制度をつくろうとしておるわけでございますが、その病院が病院群輪番制の中に入って、その地域の救急医療を担当する場合には、これに対する助成を今回新たに設けようとしておるところでございます。そういった面では、今後さらに拡充してまいりたいと考えております。
○林(孝)委員 大臣にお伺いしますが、いま聞かれてわかるように、病院の告示制度という枠の中で幾つか問題があったわけです。その問題が解決されなければ、厚生省が新しいシステムで救急医療をやろうとして予算を大幅に組んだと言っても、しかし、実際現場で告示制度の枠に入っても、助成措置がないから入らないとか、こんなものでは、とてもじゃないけど協力できないとか、協力を申し出るということに対して抵抗を感ずるような状態があったとしたならば、これは稼働しないような状態になると思うのですね。そういう意味において、私はいままでがそうであったから特に感ずるわけですけれども、これからはそうじやないというのならば、そういう問題に対しては、厚生省として具体的にこのように考えておるんだということを明確にしていただきたいと思うのです。
○渡辺国務大臣 この救急医療の問題で、いままでたらい回しがずいぶんあったということが言われておりますが、これはいろいろ原因があります。一つは、たらい回しの件数が実際よりも、どうしても多く出がちなのは情報不足ということがある。一遍電話をかけて、あいている病院か、あいていない病院かわかれば、すぐ行けるのだけれども、盲めっぽう電話をかけて、あっちこっち断られたというようなのが、たらい回しの件数になって出てくる。ですから、情報システムをきちんとして、東京なんかよくやっている方なんですが、地方に行くと、なかなかこういうわけにいかない。したがって、広域の情報システムをまず確立するということが一つ。
 それからその次は、やはりわかっていても受け取らないというのは、一つは、もうからないということもあるでしょうね、不採算性ということも確かにあります。医者の方も自由営業ですから、もうからなければ引き受けない。これについては夜間の問題、その他点数を倍とかあるいは五割増しとか去年から上げまして、そういう面からもてこ入れをする。しかし、それでもなおかつ非常に不採算性です。これはいままで助成らしい助成が公的病院以外余りない。しかし、場所によっては助成がなくとも医師会自体が非常に良識を持って、良心を感じてやってくれているところもあるのですよ。現実にそういうところもある。それから、地方団体が大阪なんかのように金を出してバックアップしているところもある。ですから、やはりそれを今度は国が組織的に地方と一体になって助成をしていこう、余り助成しなくてもやっているところもあるわけですから、それをいいことにしないで、さらにそれを助成をして組織的にやっていこう、そのためのいろいろな措置は、ただいま医務局長からお話をしたとおりなんです。
 その次は、やはり医者の良心といいますか使命感というか、われわれも出すものも出すけれども、医者は独占業務なんですから、だれにもやらせるわけじゃないのですから、やはり毎日毎日やれと言ったって、とてもできるものじゃないが、輪番制でやるぐらいのことは、はだしの医者は日本で使っているわけじゃありませんからね。ですから、やはり資格を持って、独占業務でやっている以上、世間様はみんなやってくれるという場合は、あなたもやってくださいよということも積極的に言えると思うのです。
 ですから、私はまあ強制的にということじゃございませんけれども、そういうことによって使命感を喚起をしてもらって、両々相まってこの救急病院というものが地域住民の御期待にこたえて、やはりお医者さんがあってよかった、お医者さんは尊敬されるというような方向へ持っていきたい、こう思っております。
○林(孝)委員 これは考え方だけ伺っておきたいのですが、たとえば医師法の改正とか、これは協力義務の問題ですけれども、あるいは厚生省が出された省令、こういうものの強化であるとか、いわゆる新しい制度をつくるような形に今度なると思うのですが、それに伴う法の整備というものをやるお考えはあるかないか、その点をちょっとお伺いしておきたい。
○渡辺国務大臣 いまのところ法律を改正しようという考えはございません。一遍やってみまして、それでどうしても、またうまくいかないというようなときには、それなりに考えなければならぬと思いますが、やはり法律で強制命令をかけて、お医者さんにおまえやれというようなことを言うことは、いまのところ考えておりません。自発的に助成措置によって動いてもらえるだろう、こう思っておりますから、一遍やらしていただきたい、こう考えております。
○林(孝)委員 次に、休日夜間急患センターについてお伺いしますが、四十九年度から人口十万人以上の市を対象に初期救急医療体制の重点項目として整備をされてきたわけですけれども、五十年度末で百四十三、五十一年度末では百七十八の設置にとどまっているわけです。そして大部分は大幅な赤字を生じております。休日の昼間のみ診療している、実際の状態はそういうようになってしまっておるわけですね。五十二年度はさらに七十カ所の整備を厚生省では予定されておりますね。そしてその補助額の方ですが、五十一年度の三十カ所、二億五千百万円、五十二年度が七十カ所で七億六千三百万円。これを見ますと、上昇率といいますか非常に少ない、私はそのように受けとめるわけです。
 このような低額な補助で四十九年から救急医療の重点項目として始まったわけですけれども、今日まで非常に設置が少ないということから考えて、このような補助額で果たして休日夜間の急患センター・これは運営されるのかどうか。いままでどおり昼間のみの診療というような形になってしまうのではないか、このような心配が一つあります。この心配は、昨年七月の救急医療懇談会、この答申の中にも述べられておるわけですね。この点についても考え方を伺っておきたいと思うのです。
○石丸政府委員 ただいま先生御質問の第一次救急、すなわち、まず患者さんが飛び込んでくる救急医療に対して、どういう応待をするかという問題だと思いますが、いわゆる休日夜間急患センターの設置につきましては、ただいま先生の挙げられましたような数字で従来整備してまいったわけでございますが、これに対しまして従来は人口十万以上の都市に整備をしようということで、そういった数字になっておるわけでございますが、五十二年度から新たに人口五万以上の都市にこれを拡大するということで、さらにこの休日夜間急患センターの設置について努力してまいりたいと考えております。
 ただ、第一次救急医療につきましては、この休日夜間急患センターと、さらに在宅当番医制というこの二つの制度を併用しておるわけでございまして、それぞれの地域によって、どちらを選ぶかという問題があろうかと思います。さらに、この二つを組み合わせた方式もあろうかと思うわけでございまして、公設民営というような形で、あるいは公設公営で従来やっております急患センターというもの、これはそこに夜勤めてもらうということが、なかなかむずかしいものでございますので、休日の昼間だけやっていただいて、夜間の部分については、在宅当番医制でその地域で対応していただくとか、そういった方法、いわゆるこの三つの組み合わせによって今後われわれは対処してまいりたいと考えております。
 ただ、その場合やはり医療費の問題があろうかと思いますが、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、従来の社会保険診療報酬体系では、なかなか対応できないというような問題もございますが、われわれといたしましては、できるだけそのギャップを埋めていきたい。それと同時に、やはり社会保険診療報酬そのものの改定も、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、夜間の加算とかあるいは休日の加算、そういったものについての考慮を保険当局の方にもお願い申し上げておるところでございます。
○林(孝)委員 それから休日夜間におけるたらい回しの防止ということについて、第一次、第二次、第三次の救急用施設の整備、これはもう当然でありますけれども、今回の医師の配置状況だとか空床の確保状況、患者の症状、そうしたものに応じて情報を正確に把握していくというこういうシステム、これは各県に最低一つは必要だと私は思うわけです。今回の五十二年度予算の中では十五カ所、こういうふうになっておりまして、予算が三カ月分しかついていない、こういう状態であっては非常に心細いといいますか、不安があるわけです。したがいまして、このシステムを採用して取り組むと言うならば、私は、最低各都道府県に一カ所そういうものを設けて、万全を期すべきではないか、こういう考え方を持つわけですけれども、厚生省の将来にわたる考え方というものを明らかにしてもらいたいと思います。
○石丸政府委員 救急医療情報システムは、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、やはり医療資源を効率的に使うというような点から、ぜひ完備いたしたいと考えておるところでございます。従来一一九番、いわゆる消防の搬送との関連におきまして消防本部単位ごとに情報が集められておったわけでございますが、やはり消防単位ごとの情報では、医療機関の数等も限られておりまして、やはりなかなか医療需要に対応できないというような問題もございまして、今後の方針といたしましては、ただいま先生から、各県に一つという御指摘がございましたが、やはりわれわれの方といたしましても、情報を広域化する必要もございますので、県単位の情報システムをつくろうと考えておるところでございます。一応昭和五十二年度十五カ所の要求になっておりますが、これは実はなかなか一遍にはできないというふうに考えておるところでございまして、われわれといたしましては三カ年計画ということで、三カ年で全国に各都道府県一カ所ずつ、こういった情報センターを設けよう、その第一年度分といたしまして十五カ所という要求をいたしておるところでございます。
○林(孝)委員 次に、搬送体制についてお伺いします。
 これは消防法に基づいて消防庁が行うことになっているわけです。救急患者の症状によって応急手当てや医学的な判断を要するものが現実にあるわけです。症状等を考えますと、本来の消防庁の業務になじまないものではないかというような気もするのです。これは消防庁にもお伺いしたいのですが、こういうふうに厚生省の一つの重点政策として救急医療という問題が三カ年計画で解決されようということなんですけれども、それに伴って消防庁としても対応するだけの体制と言いますか、いま申し上げましたような医学的な判断を要する、いわゆる救急隊の人たちの判断になると思うのですが、こういうことはどのように考えられておりますか。
○持永説明員 ただいまいろいろ厚生省の方からもお話がございましたけれども、来年度から積極的に医療体制の整備をなさっていただくわけでございます。私どもの方も、御指摘がございましたように、現在救急隊員が患者を搬送し、そして医師の管理のもとに届けるまでは、隊員が患者を管理しておるという状態でございます。しかしながら、その間にやはり応急処置、その他ある程度医学的な知識を必要とする場合も当然出てまいりますし、そういう処置もいたしております。そこで私どもの方といたしましても、救急隊員の資質の向上というものが、やはり今後一番大きな問題だろうということで、具体的には国が持っております消防大学校あるいは都道府県が持っております消防学校、こういったところで救急隊員の教育訓練を徹底しまして、資質の向上に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○石丸政府委員 救急患者の搬送体制につきましては、ただいま消防庁の方からもお答えがございましたように、従来から消防の方にこれをお願いいたしておるところでございます。ただ従来、いわゆる搬送の消防の方と患者を受け入れる医療機関の方との情報が、必ずしも十分うまくいっていなかったわけでございまして、そこにやはり時間的なロス等もございました。こういった面につきまして、先ほど御説明申し上げました救急医療情報システムをつくることによって、そういった時間的ロスを今後できるだけなくしてまいりたいと考えております。
 この救急患者の搬送体制でございますが、これは世界各国いろいろな体制があるようでございまして、警察がやっておるところ、消防がやっているところ、あるいはわが国で言えば保健所のようなところがやっている国とかいろいろなところがございますが、従来から、わが国におきましては消防の方にこれをお願いいたしておりまして、これはやはりもう実績があるわけでございまして、今後われわれの方といたしましても、自治省の方とよく連絡をとりながら、こういった搬送が患者さんのためにうまくいくように努力してまいりたいと考えております。
 ただ、一つの問題といたしまして、従来こういった救急の搬送の対象にならなかったような患者さん、たとえば心筋梗塞あるいは脳卒中のような患者さんも、最近ではすぐ搬送いたしまして、これに対して外科的手術を行う方がいいというようなことに、だんだん医学も進歩してまいったわけでございまして、そういった意味におきまして、いわゆる第三次救急体制で救命救急センターをつくるわけでございますが、この救命救急センターにおきましては、いわゆる集中監視装置と申し上げましょうか、CCUとかICUという特別な電子機器を備えまして、医者が同乗するような、いわゆるドクターズカーとわれわれ言っておりますが、そういった患者搬送用の自動車を今後救命救急センターには整備いたしたいと考えております。
○林(孝)委員 いまの答弁を伺っておりましても、まだ鮮明にならないわけです。たとえば資質の向上というふうに先ほど答弁がございましたけれども、そういう医学的な判断を必要とするような状態に対応する資質の向上ということが、現在の体制のままで可能なのかどうかということなんですね。あるいはそういう知識のある人を消防庁なら消防庁が別途養成されて対応させられるか、あるいは現在の人たちが、そういうものを勉強して、そういう判断力を養われるのか、その辺もう少し具体的に答弁していただきたいと思うのです。
○持永説明員 御指摘のように、理想を申し上げれば、医師が救急隊と一緒に車に同乗したりということが一番いいと思いますけれども、しかし二十四時間体制で医師を確保していくということは、現実の問題として、なかなか困難でございます。したがって、先ほど申し上げましたように、隊員も相当の知識を必要といたしますけれども、御指摘のように、たとえば傷病者の状態から見まして、搬送することが非常に危険であるというような判断がされる場合あるいは搬送していいかどうかということがわかりにくい、判断ができないような場合、こういう場合には、現在でも医師を要請して車に乗っていただくなり、あるいは現場に来ていただくなりということをいたしておりまして、今後ともやはりそういった場合については医師の方の積極的な協力をお願いしていく、一般的な場合には、やはり隊員の教育をさらにいたしますが、現在の隊員でもって対処していくという考え方をとっておるわけでございます。
○石丸政府委員 救急の搬送隊員の方の問題は、ただいま自治省の方からお答えいただいたようた次第でございます。
 われわれの方として、これにどういうふうに対応していくかという問題でございますが、先ほど申し上げました救急医療情報センターあるいは久郡市単位で今後またいろいろそういったものもできるかと思いますが、そういったところにおきまして、ある程度医師の常駐を考えておるわけでございまして、そういったところと、いわゆる救急車との間の無線連絡というようなことで、医師が適当な指示をする、こういった体制も今後の問題として考慮いたしたいと考えております。
○林(孝)委員 次に、大学病院の救急医療に対する姿勢についてお伺いします。
 救急医療体制の拡充、整備、これは切実な国民の要望ですが、今日こうした重要な課題になっている状況において、大学病院の救急医療に対する協力が積極的に求められているわけです。特に国立大付属病院は、設備や人員の面でもその協力が最も要請される、私はそのように思います。ところが、文部省の所管になりますけれども、国立大学付属病院四十六ありますね。そのうち告示病院に指定されているところは、わずか三カ所、国立大病院の機能がそのようにさせているのかもしれません。たとえば教育研究機関であるとか、それが国立大の付属病院の役割りだとか、あるいは使命なのかもしれませんが、これは一体どういうことになっておるのか。文部省、答弁をお願いしたいと思うのです。
○五十嵐説明員 お答えをさせていただきます。
 まず第一の、現在大学の付属病院で救急病院の指定を受けているのは、どのくらいあるかということでございますが、国立大学につきましては、現在分院等も合わせまして四十九ございます。そのうち、救急の告示病院の指定を受けておりますのは三病院でございます。これにつきましても、実は昨年におきましては一病院でございましたが、それが三病院にふえたということで、国立につきましても徐々でありますが、増加はしてございます。
 先生の御指摘のように、大学の付属病院といいましても、地域の医療に協力すべきことは言うまでもございません。そういう意味におきまして、私どもは、救急を要する患者につきましては、告示の有無にかかわらず、そういう救急患者の受け入れをするようにということを指導してございまして、現に国立大学の付属病院におきましては、昭和五十年度におきまして四万五千人の救急患者を取り扱ってございます。
 それで、いま先生のお話しにございましたように、大学付属病院と申しますのは、単なる診療機関ではございません。その使命といたしまして、まず教育の面がございます。それから研究の面がございます。それから高度の診療を受け持つという、この三つの面があると思います。この三つの面がうまく調和ができて、それで初めて大学の付属病院としての機能ができると思っております。そういう意味におきまして、私どもは、大学の付属病院の特色を生かしながら、しかも地元と密接に連携をとりながら救急医療を分担していくといいますか、お手伝いをしていくということを指導しておるところでございます。
○林(孝)委員 四十九のうち三つしか告示の申し出をしてなくて、徐々にふえているというようなその認識がどうもわからぬのです。文部省の大学局が五十一年十二月にまとめた「大学病院の救急医療について」という資料によりますと、初期救急は、救急医療についてのネットワークが整備されれば、大学病院は一定の役割りを分担し、あるいは協力することが可能となる、こういうふうに大学局ではまとめておりますね。これから言いますと、このシステムができなければ協力、分担をしない、逆に言えば協力しない、そういうことは不可能であるということですね。そういうネットワークが整備されれば分担し、あるいは協力する、こういうふうに大学局では言っておるわけでしょう。ですから、その考え方がどうもおかしいのではないかと思うわけです。
 それに対して、もう一回その考え方をお伺いしたいのと、厚生省にこれに関連してお伺いしますけれども、ここに、大学局では、整備されれば分担も協力も可能というわけですから、厚生省としては、その整備というものは一応いつの段階で、何年の段階でできたというふうに判断されるのか。
 この二点をお伺いします。
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
 ただいま私の答弁が不十分でございまして、多少先生のおしかりを受けた点でございますが、文部省といたしましても、こういう救急医療につきましては、十分協力すべきであるということで、五十二年度予算におきましても、既設の、東京大学及び長崎大学の救急部の人員増を図っております。それから、新たに東京医科歯科大学と九州大学に救急部を新設いたしまして、それぞれ地域の、先ほどからお話の出ております救命センターを補うような役割りを果たさせるということをしております。
 それでは、先ほど先生のお話のございました、私どもの大学局でまとめました文書の中に、大学の付属病院というものの特性から見て、地方と十分話し合って、それで救急医療を進めていくべきだ。その場合に、私どもが言っておりますのは、大学の付属病院と申しますのは非常に高度な診療機能を持っておる。その場合、その機能を十分生かせるようなことが必要である。そういう意味からいいますと、やはり初期の救急医療とかそういうものを分担するのは適切ではないだろう。ただ、私どもも、救急告示病院の指定を受けるように、かねてから大学には指導している点でございます。そういうこともございまして、先ほど申しましたような、救急患者を四万五千人引き受けているというような実態もあるというようなことでございます。
○石丸政府委員 大学病院と厚生省の方で考えております救急医療システムとの関連でございますが、われわれの方で救急医療システムを考えました、救急医療懇談会のこの委員会には、文部省の方からも御出席願いまして、大学病院の活用と申し上げましょうか、あるいは大学病院との連携というようなことに従来から意を注いでまいったわけでございます。
 ただ、大学病院のうち、国立の方につきましては、いろいろ定員の問題等もございまして、なかなかむずかしいようでございますが、ただいま文部省の方からお答えがございましたように、定員の問題等につきましても、増員の計画があるようでございます。一方、私立医科大学の方につきましては、そういった問題がございませんで、いろいろわれわれの方も、私立医科大学には非常に御協力を従来からいただいておるわけでございまして、本年度の救命救急センターの設置の中におきましても、たとえば日本医大の付属病院のように、救命救急センターとしていろいろ大きな役割りを働いていただいておるところでございまして、やはり、システムができるということでなく、システムができる過程におきましても、できるだけの協力をお願い申し上げたいと考えております。
 ただ、全体で、この救急システムができるのは、先ほど御答弁申し上げましたように、一応の目安といたしまして、三カ年計画ですべての整備を行うということになっておりますので、三カ年を待たずに、その途中におきましても大学当局の方とあるいは文部省の方と、いろいろ連絡をとりながら、さらに協力の方をお願い申し上げてまいりたいと考えております。
○林(孝)委員 時間が来てしまいましたので、この問題はまた別の機会まで留保しますけれども、最後に、いまの答弁の中でも、まだ不明確な点があるわけです。整備されれば分担協力する、それが大体厚生省では三カ年後に整備される。そうすると、その過程においても、もちろん協力をしてもらう、しかし先ほど挙げましたように、わずか三つの大学の病院が協力しているにすぎないというような状態であるということをよく知っておいていただきたい。これはもう非常に国民の声です。
 それから、厚生省としては、大学病院にどの部分を分担し、協力してもらいたいのかというこしをはっきりしていただきたいことが一つと、それに対して文部省側の考え方を伺って終わりたいと思います。
○石丸政府委員 大学の付属病院は診療機能も非常に充実しておるところでございまして、やはり大学病院としてその特徴を生かすということになれば、恐らく第三次救急あるいは第二次救急のうちの高度な部分をお願いすることになろうかと思っておるところでございまして、そういった意味におきまして大学病院の大きな役割りというものを今後期待しておるところでございます。
 ただ、われわれといたしまして、そういった付属病院が病院としての機能を果たすだけでなく、大学付属病院あるいは大学の使命から考えまして、こういった救急医療にすぐ対応できるような医師の養成というようなことも今後お願いしてまいりたいと考えております。
○五十嵐説明員 ただいま厚生省の医務局長から御答弁のございましたように、私どもも厚生省サイドと十分連絡をとりながら、しかも大学の付属病院の持っております。先ほどから申しております教育、研究、医療、この三つがうまく調和できるように、しかも社会の要請を受けて救急医療を担当していくということに努めてまいりたいと思います。
○林(孝)委員 終わります。
○芳賀委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、厚生大臣に学童保育の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、御承知のように、昭和五十一年度から都市児童健全育成事業というのが実施されております。これはまさに一歩前進だというふうに思うわけでございますけれども、この健全育成事業の実施要綱の第二に「事業実施の基本方針」というのがありまして、この中に、この事業は一定期間奨励的な観点から経過的措置として行うのだというような趣旨のことがあるわけでございます。この一定期間の経過措置という御趣旨、そして一定期間というのは一体どれくらいの期間を考えておられるのかということをお尋ねしたいと思います。
○石野政府委員 留守家庭児童対策の中で、特に昨年度行いました都市児童健全育成事業の中でのいま御指摘の事項でございますが、これを一定の期間を限りましたのは、実は、その都市児童健全育成事業というもののそもそもの基本となりますものは、児童館を中心としまして幅広く行政で対応しなければいけない、ただ、児童館をつくるにしましても、都市では用地問題もございますし、あるいはいろいろなむずかしい問題がございまして、なかなかその整備ができない、こういう状況でございましたので、児童館を中心とした整備ができるまでの間、何らかの対策をとらなければいけない、そういうことから都市児童の健全育成事業を始めたわけでございます。
 そういたしますと、どうしてもこれは一定期間事業をやりまして、そこでその地域のニードというものを盛り上げて、地域社会で児童館をつくらなければならない、こういうふうな形に持っていかせるための、いわば呼び水でございますので、その期間については一年ないし二年程度でどんどんつくっていただく、こういう気持ちでおるわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、児童館が整備されるまでの間の一定期間、こういうことになるわけでございますね。その期間が、いまおっしゃったように一年ないし二年ということでございますか。それと関連して、では厚生省の方として児童館を建設される御計画はどういうようになっておりましょうか。
○石野政府委員 いま申し上げましたように、できればそういう短期間で整備をしてもらいたいわけでございますが、これはあくまでも原則でございまして、なかなかそうはいかない面がございます。しかし、その地域だけに限って申しますと、実は五万以上の人口の都市というものは四百ございまして、これらを順次整備していかなければならぬわけでございますので、ある一定期間やって、児童館が整備されましたら、次の事業に移させて呼び水にする、こういう形を考えますと、やはりどうしても期間というものは限らざるを得ない。その場合、児童館が果たして全国に十分できるかという御疑問だと思いますが、御存じのとおり、現在児童館の数というのが約二千二百ということで、まだまだ実は不足をいたしております。毎年の整備の状況を見ますと、年間百二十程度のものでございますので、これを相当重点的に地域に配分して、特に都市を中心としてありますれば、整備の状況を見ませんとわかりませんけれども、ある程度のものはいくのじゃないか、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
○安藤委員 ある程度のところまではいくのではないかというお話ですけれども、児童館は、たとえば小学校区単位とか、あるいは中学校区単位とかというものがございますね。その関係でお伺いいたしますと、中学校区に一つの児童館をつくるというような御計画なのか、あるいは小学校区に一つの児童館をつくるというような御計画なのか、その辺はどうでしょうか。
○石野政府委員 明確な線は出しておりませんけれども、私の方の理想といたしましては、一中学校に一つぐらいは欲しいな、こういう気持ちでおります。ただ、そうは申しましても、田舎の場合と都市の場合で大分違いますので、一中学校一つということを、必ずしも明確にこれでいくのだ、こういうことはございません。
○安藤委員 いま御希望として一中学校区に一つは――そればかりではないという言葉が後からつきましたけれども、一応その御希望の線でいきますと、現在二千二百の児童館がある。中学校は全国で一万九十二です。そうしますと、御希望からいうと、まだ八千近く児童館が不足しているということになるわけですね。一年間に百二十ずつ児童館をつくるといたしますと、約七十年間ぐらいかかるのじゃないですか。とても一年や二年で児童館が整備して、それが一定期間だということにはまいらぬのではないかと思うのですが、その点どうですか。
○石野政府委員 たまたま児童館の数だけを申しましたので、そういう結果になるわけでございますが、かぎっ子対策というものは、先ほど申しましたように、児童館だけで対応するという問題ではないと思うのです。その地域によりましては児童館でやった方がいい場合もございますし、あるいはその地域社会ぐるみで、みんなでボランティアの精神でやった方がいい場合もございます。したがいまして、私どもの方の希望と言ったのは、あくまでもそういう中心になる建物として欲しい、こういうことでございまして、何が何でも一万つくらなければ、この対策はできないのだ、こういうことを申し上げているわけではございません。
○安藤委員 そうしますと、児童館以外に、児童館が整備されることと相まって、ほかのいろいろな設備あるいは施設で、この学童保育の問題を処理してもらう、学童の保育を担当してもらうというようなお考えと承るわけですけれども、児童館以外のものとしては、どういうものを現在お考えになっておられるのか、そして現在、留守家庭の小学校一年から三年までの低学年の子供たちがどういうような保育を受けているのか、そういうような点についてはどうでしょうか。
○石野政府委員 児童館以外でございますと、これは屋外型の児童厚生施設といたしまして、児童遊園というものがございます。児童遊園には、御存じのとおり指導員なんかも配置されておりますし、それから最近特に発達してまいりました母親クラブ、そういうものもできてまいっております。そのほか民間のボランティアによります地域ケアといいますか、そういうものも発達しておりますので、そういうものを私ども考えておるわけでございますが、そのほかに文部省で行っております校庭開放事業、それから今度都市児童健全育成事業の中に入っておりますけれども、社会福祉施設の園庭の開放、そういうものもやはり考えていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○安藤委員 もう一つお尋ねした現在の小学校低学年、一年生から三年生までの留守家庭の子供がどういうような待遇を受けているかという点について、明確にお答えいただけなかったのですが、それはいまおっしゃったところから、そんたくをいたしますと、いろいろボランティア精神だとか社会福祉施設だとかというようなことで保育を受けている、こういうふうにお考えになっているということになりますか。
○石野政府委員 現在、児童館だけをとらえますと、児童館の利用人員が大体一館一日平均七十五名ぐらいでございます。二千カ所ございますから、十五、六万人ぐらいの児童がこの児童館を利用している。あと、そのほかの留守家庭がどうなっているかとなりますと、これは私ども調査の資料がございませんので、お答えしにくいのでございますけれども、大半は、市町村単独なり、あるいはボランティアでやっている場合も多いと思いますけれども、いずれにいたしましても、地域ぐるみでやっているというケースが非常に多いように思います。
○安藤委員 低学年の留守家庭の児童がどういうような状態にあるのか、どういう保育を受けているのかという点については調査の資料がないとおっしゃったんですけれども、実は昭和四十九年の五月七日に、参議院の社会労働委員会で、私どもの沓脱議員が質問いたしましたときに、これは政府委員の方が、調査の必要があるというふうに答えておられるのですが、それ以後調査はなさってみえない。だから、低学年の留守家庭児童についての実態は、厚生省としては全く把握しておられないということになるわけじゃないですか。
○石野政府委員 全国的な調査はございません。ただ、今度五十一年度で行いました都市児童健全育成事業の資金交付の際に、各市からそれぞれ細かい実情をとっております。そういう範囲内では承知いたしておるわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、現在の状況のままで、先ほど私がお尋ねしたように、児童館を中心にしていくということになれば七十年間かかるのですけれども、その間、各市町村からおとりになった資料で御判断をされている状況で、低学年の留守家庭の児童の保育は十分であるというふうにお考えになっておられるのでしょうか。
○石野政府委員 十分であるということを申し上げておるわけでは決してございませんで、確かに児童館も不足いたしておりますし、それから地域ケアといっても、なかなかボランティア精神も育ちにくいという面もございますし、そういう面の指導なり助成というものは、今後とも続けていかなければなりませんが、何よりもやはり一番基本と申しますか、中心になる施設の整備だけは、少しでも多く整備していきたいというのが私どもの本心でございます。
○安藤委員 おっしゃってみえる施設の整備というのが、児童館にこだわるようですけれども、児童館が中心だということになれば、相当な年月がかかるわけです。
 そしていま校庭の開放というようなことでもカバーするんだとおっしゃってみえるわけですが、先ほどお尋ねしました昭和四十九年五月七日のときの参議院の社労委での御答弁によると、学童保育の問題は文部省の方が校庭開放というようなことでめんどう見る、厚生省の方が児童館を利用するということでめんどう見ていく、しかし、小学校の低学年の留守家庭の学童保育の問題については、文部省と厚生省のめんどうの見切れない、欠落した部分は国などでめんどうを見なければならぬのだと言っておられるわけです。そういうような考えに基づいて、この育成事業が始まったのだというふうに思っておるのですけれども、いまおっしゃったところによると、校庭開放事業があるからいいのだということですが、そういうことには決してならないと思うのですね。
 それからもう一つは、児童館というふうにおっしゃったのですが、児童館は、児童厚生施設ですね。そうしますと、児童の厚生の施設ではあるけれども、児童の保育の施設ということにはならぬのじゃないかと思うのです。欠落した部分が、あるいは欠落したままになっている低学年の留守家庭の児童が、相当たくさんそのままになっておるという状態がいま続いておるのじゃないかと思うのです。その点について厚生省として、国として低学年の留守家庭の児童の保育の責任はどういうふうにして果たしていかれようと考えておられるのか、お伺いしたいのです。
○石野政府委員 御質問の趣旨は、あるいはこういうかぎっ子対策については保育所で対応すべきではないかという御意見かと思います。現在の児童福祉法の法律上の規定におきましても「特に必要があるときは、」「保育に欠ける」「児童を保育することができる。」という規定は確かにございます。
 しかしながら私どもが、このかぎっ子対策を保育事業として取り上げてない理由を申し上げますと、実は児童福祉法で保育所を規定しております大半というのは乳幼児、つまり学齢前の子供を主として対象といたしまして施設の整備も行い、そして運営費の助成も行っておるわけでございます。職員の配置についてもそうでございますが、そういうことでございまして、それすら十分でないので、そういう学齢前の児童についての保育施設をつくれという声が非常に強うございます。一般的な需要に対応いたしますためには、確かに学齢児童も問題はありますけれども、それ以上に学齢前の保育すべき児童がございますので、これについてどうしても第一義的に対処せざるを得ない、こういう事情もございます。
 かたがた、受け入れ側の保育施設にしてみますと、やはりいろいろ運営上の問題がございまして、たとえば、子供については学校からいつ帰るかという時期もよくわかりません。場合によっては学校で友人と遊ぶという場合もございましょうし、それからクラブ活動というような問題もございますので、いつ保育所の方でそれを引き受けるのかということになりますと、まちまちでございます。ところが、保育所というのは一応朝から晩まで預かって、そして一定のカリキュラムに基づきまして幼児を保育し、必要に応じて教育をするということになっておりますので、そういう意味で非常に受け入れがたい要素もあるわけでございます。
 そういうことでございますので、私どもは保育事業というよりは、むしろ健全育成事業という観点からとらえた方がより正確であるし、また、その子供のためにとってもいいのではないか、こういう形で現在児童館を中心として幅広くいろいろな健全育成対策を進めておる、こういう実情でございます。
○安藤委員 私が申し上げておることを保育所でというふうに先取りされて、それを前提にしてお答えになったわけですけれども、いまおっしゃったことからすると、保育所ということになれば学齢以前の乳幼児、そこでは十分ではない、児童館中心では、先ほど私が申し上げましたようなことで十分ではない。すると、健全育成事業という名前で私は結構だと思うのですけれども、中身としては、やはり学童保育所というものをきちっとつくって、低学年の留守家庭の児童を保育するということは、当然考えていただかなくてはならぬことではないか。せっかく健全育成事業ということで、一歩を踏み出しておられるわけですから、これをさらに充実させて学童保育所というものをつくっていく、こういう方向でお考えになるということはできないでしょうか。
○石野政府委員 学童保育所といいますか、保育所で学童、学齢児を預かるということにつきましては、いま申し上げたような諸種の問題がございまして、現在のところは考えてないというのが実情でございます。
○安藤委員 現在のところは考えてないということになりますと、きわめて不十分な状態で低学年の留守家庭の児童が放置されているというような状態を、厚生省としても、そのままでいいのだというようなお考えに立っておられるような気がするのです。
 たとえば学童保育所というものが必要だということで、名古屋の場合で言いますと、名古屋の場合は、昨年の十二月末の調査で、小学校の一年生から三年生までの留守家庭の児童の数一万八百六十四人、これだけいるわけです。児童館はもちろん十二カ所しかありません。先ほど申し上げましたようなことで、児童館では処理できない。ですから、学童保育所というものが、先ほどおっしゃったようなボランティア精神も含めて、幾つかつくられておるのですけれども、国の方からの補助金は一年間に三百八十万円にすぎない。ですから、名古屋市は、非常に苦しい地方財政のもとで七千万円も予算を組んで、これを補助しているというような状態にあるわけですね。今度の健全育成事業の補助費によりますと、名古屋市は指定都市ですから、国から三分の一、そして名古屋市の場合は三分の二ということになるのですが、三百八十万円にいたしましても、倍にしましても七百六十万円、そのもう一けた多い七千万円の補助を出して、まだまだ足りないという状態にあるわけなんです。
 ですから、私としては、何としてもこの学童保育というものをきちっと制度化をして、名前は健全育成事業ということで結構でございますので、もっともっと予算を増額していただきたいというしふうに思うわけです。
 それから、先ほど指導員という言葉もございましたけれども、指導員の人の人件費、これはやはり子供が学校から帰ってきて、午後一時ぐらいから午後五時か六時ごろまで、あるいは夏あるいは冬、春の休みの期間になりますと、朝から晩までというふうに指導員の人たちがめんどうを見ているわけです。だから、その人たちの人件費というものを考えていただきたいですね。これは強く要望しておきたいのですが、それで、それとの関連で、厚生省は、学童保育というような趣旨で昭和五十年度には三億五千万円の概算要求をしてみえるわけですね。そして、五十一年度は四億七千万円の要求をしておみえになっているわけなんです。この要求の中には、指導員の人たちの人件費というものも含めておられたのじゃないですか。基本的には、そういう方向で考えてきておられたのじゃないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
○石野政府委員 二つございまして、一つの方の健全育成事業に対する増額の問題でございますが、何分これは五十一年度初めて取り上げた問題でございまして、実際上その実績というものも、まだ全部つかんでおりません。やはりそういう実績をつかんだ上で予算要求というものを出さなければいかぬわけでございますので、そういう実績も、さらにことし一年間やりますので、それを踏まえまして検討してみたいと思うわけでございます。
 それから、人件費の補助の問題でございますけれども、確かにおっしゃるように、五十一年度予算要求の際には、人件費も含めまして予算要求をいたしました。しかしながら、これは財政当局といろいろ折衝をしております過程で、一体こういう事業というのは、国と地方公共団体、あるいは地域社会というのがどういう分担区分でやるべきか、こういうことが議論になりまして、やはり第一次的には、市町村なり地域社会がまずやらなければならない、その際に国がやはり呼び水的にやらなければならない基本的な問題だけは助成しようではないかということになりまして、予算が実は一億一千万程度になったわけでございます。
 それで問題は、そういう基盤の整備の方に国が奨励的に補助するという場合も、やはりボランティアの養成でございますとか、あるいは実際上指導する場合の指導の謝金でございますとか、備品の問題とか、そういうものについては国が助成いたしましょう、しかし人件費につきましては、やはりその地域の運営形態もさまざまでございますし、また場合によっては、その地域のボランティア活動に負います面も非常に大きいわけでございますので、やはり各地域の実情に応じて実質的な負担をしていただく、こういう割り切り方をいたしたわけでございます。
○安藤委員 いま、児童の育成や保育の問題については、まず地域が先にやってもらわなければならぬというような御趣旨のことをおっしゃったのですが、これは大間違いじゃないかと思うのですね。これは、児童福祉法にも「国及び地方公共団体は、」と、ちゃんと国及び地方公共団体とあるのですから、国の方も率先して責任をとってもらわなければいかぬと私は思うのです。
 それで、時間がなくなりましたから、最後に一つお尋ねしておきたいのですが、まだはっきり御答弁いただいてない点もありますので、最初にお尋ねいたしました一定期間というのですが、この一定期間というのは、結局先ほどおっしゃったように一、二年ということになるのかどうか。
 実はこの一定期間ということが非常に問題になりまして、五十一年度から実施されるということになって、各地方公共団体は、五十一年度から実施しようとすれば、五十一年度の補正予算を組まなければいけないわけです。そういうようなときに、せっかく予算を組んで学童保育に力を入れるということにするにしても、一定期間ということで、国の方が後で補助を出さないということになったのでは、これから地方公共団体が独自に予算を組んで出費しなければならぬ、これでは大変なことだということで、せっかく前向きの考え方が出てきたのですが、そういう予算の関係でだめになったという例があるのですが、そういうような事例を聞いておられるのかどうか。そういうような事例から見て、その一定期間というのは、どういうふうに考えておられるのか、それを最後にお聞きしたいと思います。
○石野政府委員 その事例については、まだ聞いておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、この制度を発足させましたゆえんのものというのは、都市については、なかなか児童館をつくる機運が生まれてこない。またそれに、非常にむずかしい問題もある。そこで、できることならば、この奨励金を出すことによって、その地域の人たちが目覚めて、やはり児童館をつくるべきだ、こういう方向に持っていっていただきたいというのが実は真意でございまして、したがいまして、五年も六年もやるということになりますと、これは児童館をつくる必要も何もなくなってしまうわけでございます。
 そういう意味で、私の方は児童館が整備されるまでの間というのは、そういう意味で申し上げているのでございまして、実際上、各市の方から補助金の協議のあります中身を見ますと、いずれも、この一年ないしおそくとも二年ぐらいには、いずれ児童館を設置する、そういう約束も実はいただいておるわけでございます。そういうことに対しまして私の方は補助金を出しておる、こういうことでございます。
○安藤委員 一点だけ。児童館ができない間はどうするのですか。これで質問を終わります。
○石野政府委員 それは、やはり児童館をどうしてもつくっていただきたいということを申し上げる以外にないと思います。
○安藤委員 終わります。
○芳賀委員長 次回は、明後三日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これをもって散会いたします。
    午後五時三十分散会