第080回国会 決算委員会 第8号
昭和五十二年三月十六日(水曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 芳賀  貢君
   理事 天野 光晴君 理事 丹羽 久章君
   理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君
   理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君
   理事 林  孝矩君 理事 塚本 三郎君
      井出一太郎君    宇野  亨君
      櫻内 義雄君    津島 雄二君
      西田  司君    村上  勇君
      島本 虎三君    高田 富之君
      馬場猪太郎君    春田 重昭君
      安藤  巖君    川合  武君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    中村  博君
        大蔵省主計局次
        長       松下 康雄君
        労働大臣官房長 石井 甲二君
        労働大臣官房審
        議官      関  英夫君
        労働省労働基準
        局長      桑原 敬一君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 山本 秀夫君
        労働省婦人少年
        局長      森山 眞弓君
        労働省職業安定
        局長      北川 俊夫君
        労働省職業訓練
        局長      岩崎 隆造君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  柳館  栄君
        労務省労働基準
        局賃金福祉部長 森  英良君
        会計検査院事務
        総局第三局長  小沼 敬八君
        会計検査院事務
        総局第四局長  松田 賢一君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十六日
 辞任        補欠選任
  川俣健二郎君     島本 虎三君
  浅井 美幸君     春田 重昭君
  山口 敏夫君     川合  武君
同日
 辞任        補欠選任
  島本 虎三君     川俣健二郎君
  川合  武君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十九年度政府関係機関決算書
 昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
○芳賀委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、労働省所管について審査を行います。
 まず、労働大臣から概要の説明を求めます。石田労働大臣。
○石田国務大臣 労働省所管の昭和四十九年度決算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額は、二千百四十億三千四百三十一万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額二千百三十九億四千九百二十二万日余、前年度繰越額八千五百八万日余となっております。
 この歳出予算税額に対しまして、支出済歳出額二千百二十六億七千四百九十九万円余、翌年度繰越額九千百五十万円、不用額十二億六千七百八十一万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、失業保険国庫負担金及び失業対策事業費等であります。
 これらの経費は、失業保険法に基づく失業保険給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したものでありますが、このうち、失業対策事業の主な実績は、事業主体数六百五十六カ所、事業数二千七百五十三、失業者の吸収人員一日平均九万九千人となっております。
 なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。
 次に、特別会計の決算について申し上げます。
 まず、労働保険特別会計について申し上げます。
 この会計は、労働保険特別会計法に基づいて昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定、失業勘定及び徴収勘定に区分されております。
 初めに、労災勘定について申し上げます。
 歳入につきましては、歳入予算額五千四百七十五億二千四百七十三万円余に対しまして、収納済歳入額五千五百三十四億七千七百七十万円余でありまして、差し引き五十九億五千二百九十六万円余の増となっております。これは、徴収勘定からの受け入れが予定より多かったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額五千四百八十二億六千九百六十五万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額五千四百七十五億二千四百七十三万円余、前年度繰越額七億四千四百九十一万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額二千八百十七億五千百十二万円余、翌年度繰越額九億三百三十八万円余、不用額二千六百五十六億一千五百十五万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働者災害補償保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 保険給付の支払い件数は四百四十八万五千件余、支払い金額は二千三百二十三億五千四百十八万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、支払い備金等に充てるものであります。
 次に、失業勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額五千八百三十五億九千二百五十一万円余に対しまして、収納済歳入額六千二百六十三億一千六百四十六万月余でありまして、差し引き四百二十七億二千三百九十五万円余の増加となっております。これは、徴収勘定からの受け入れが予定より多かったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算税額六千四十八億四千七百六万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額五千八百三十五億九千二百五十一万円余、前年度繰越額二億九千八百二十四万円余、予算総則の規定による経費の増額二百九億五千六百二十九万円余であります。このうち、予備費使用額は、二百二十八億六千七百八十二万円余で、これは保険給付費の経費であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額五千九百三十七億八千五百二十万円余、翌年度繰越額二億七千三百十四万円余、不用額百七億八千八百七十万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、失業保険法に基づく保険給付に必要な経費及び失業保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 保険給付の平均受給者実人員は、一般失業保険六十五万四千人余、日雇失業保険十三万七千人余でありまして、支給金額は、一般失業保険三千九百二十億六千四百四十五万円余、日雇失業保険百三億七千八百十四万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、保険施設費等であります。
 次に、徴収勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額八千百三十四億三千五十五万円余に対しまして、収納済歳入額八千八百十億一千二百七十万円余でありまして、差し引き六百七十五億八千三百十四万円余の増加となっております。これは、賃金の上昇率が予定より高かったこと等により、保険料収入が予定を上回ったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額八千七百十四億九百六十三万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額八千百三十四億三千五十五万円余、予算総則の規定による経費の増額五百七十九億七千九百八万円余であります。このうち、予備費使用額は、五億五千二百三十七万円余でありまして、これは業務取扱費の経費であります。
 この歳出予算税額に対しまして、支出済歳出額八千七百十億七千三百二十七万円余、不用額三億三千六百三十六万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、労災勘定及び失業勘定への繰り入れに必要な経費であります。
 この事業の実績の概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数百五十三万四千余、労災保険適用労働者数二千九百五十二万七千人余、失業保険適用事業場数九十万七千余、一般失業保険適用労働者数二千三百七万六千人余、日雇失業保険適用労働者数二十一万七千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、業務取扱費及び予備費等であります。
 最後に、石炭及び石油対策特別会計のうち、労働省所掌分の炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額百二十億九千九百一万円余でありまして、この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額百十九億七千五百九十五万円余、不用額一億二千三百六万円余で決算を結了いたしました。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 まず、炭鉱離職者援護事業につきましては、移住資金一千六百二十九件、雇用奨励金一万二千九十四件でありまして、支給金額は、移住資金七千六百八万円余、雇用奨励金二億六千二百八十七万円余となっております。
 次に、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数四十四カ所、事業数二百七十九、就労人員延べ八十万一千人余となっております。
 また、産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十七カ所、事業数百五十六、就労人員延べ七十三万九千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。
 以上が、労働省所管に属する昭和四十九年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。
 なお、昭和四十九年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。
 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後、このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。
 以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。
 よろしく御審議のほどを、お願い申し上げます。
○芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。小沼会計検査院第三局長。
○小沼会計検査院説明員 昭和四十九年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件でございます。
 これは、失業保険事業における給付に関するもので、保険受給者が再就職しているのに、引き続き失業保険金を支給していたなど、給付の適正を欠いているというものでございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○芳賀委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
○原(茂)委員 きょうは五点に分けてお伺いしますが、最初に勤労青少年ホームの内容についてお伺いしたいのですが、現在までに三百四十八カ所すでに設立済みのようでありますが、これがスタートをしました初年度、それから、いま計画しておりますこれからのもの、その建設予算は一体どんなように推移したのでしょう。ここにございますが、国の負担分、国庫補助が約三千万。それから県でやる場合の県の補助が千五百万。市でやる場合、市の負担が四千五百万。合計九千万。大体の構造などもここに書いてありますが、構造あるいはその費用負担、最初から見ると、いまだんだんふえていると思うのですが、どんなふうになっていますか。
○芳賀委員長 石田労働大臣。(石田国務大臣「それは森山局長から」と呼ぶ)局長からじゃないですよ。政府発言の順序は、まず担当大臣が発言して、不明な点や補足すべき点は政府委員が発言するということです。
○石田国務大臣 それでは、具体的な事例でございますので、担当局長から説明をさせます。
○森山(眞)政府委員 勤労青少年ホームは昭和三十二年度から発足いたしておりまして、現在先生おっしゃいましたように、三百四十八を数えるに至っておりますが、昭和三十二年度にこれが初めて設けられましたときには、予算といたしまして、各一カ所に対します国庫の補助は五百万円からスタートいたしておりました。それで現在はそれが三千万ということになっておりまして、かなり大幅な増額になっているところでございますが、建設費も、その後大変高くなってまいっておりますので、それに見合った増額をやったつもりでございます。
 面積の方は、三十二年度に初めてつくりましたときの一所当たりの面積は千百六十四平方メートルでございます。それが途中で大き目のものを予定した場合、A型、B型と二つに分けて設けた場合もございましたが、現在は一つの形にまたまとめまして、三千万ということで一律に補助をいたしておりますが、現在は面積は七百八十八平方メートルでございますが、これは現在ほかの施設と併設するというものが多うございまして、有機的に使われるようになっているわけでございます。
○原(茂)委員 最初は千百六十平米だったのですか。それでいまになると約八百平米に面積は縮めたことになるわけですね。それが一つと、三千万の国庫補助になったのはいつですか。
○森山(眞)政府委員 三千万に増額いたしましたのは、昭和五十一年度からでございます。
○原(茂)委員 いまは最初よりは面積は小さくなったのですね。
○森山(眞)政府委員 設置基準といたしましては、六百平米以上ということで基準を設けておりますので、その後、土地の事情等によりまして平均的には少なくなってきているのが実情でございます。
○原(茂)委員 三千万の国庫補助に昨年からなったわけですが、現在の実際にできているものを見ますと、何とか内容の改善もしなければいけませんし、建物そのものも、もうちょっといいものにしないと、現在では、やはり入れ物も――料理もそうですか、余り汚い皿に持ってこられたのでは、幾らうまい料理だって、うまく食えないわけで、勤労青少年が本当に憩いの家、自分たちの仲間の交遊の場所というように自然に足を向けるような状態にするためには、私の住む地元の下諏訪にもございますが、ないよりはあった方がいい、しかし、これからつくるものは、もうちょっと見たところ、建物そのものの重厚さといいますか、それから中における施設あるいは取り入れております。いまのもののファクターを広げていくという問題、そういうものをだんだん考えてやらないと、あれではちょっと食い足りない、物足りない。何となく職業訓練所に毛の生えたところへ行くような感じが、これは私の感じかもしれませんが、そんな言い方はもったいないのでしょうが、やはりだんだんに何か自然に足が向くような魅力を建物、施設、そういうものに持たせるということ、現在の勤労青少年の育成なり、あるいはこれにせっかく手を伸べるというたてまえからいうと、そういう配慮を少しし始めていいのじゃないかと思いますが、その点、どうですか。
○森山(眞)政府委員 三千万の国庫補助になりましたのは昭和五十一年度からでございますが、昭和五十年度までは一千万でございまして、実は財政事情が非常にむずかしいときでございましたけれども、先生御指摘のような問題意識を持っておりましたので、思い切って三倍にふやした、精いっぱいやったつもりでございます。もちろんこれで十分とは、私も思っておりません。今後もっと改善していきたいということは、先生のおっしゃるとおりだと存じますので、今後も努力してまいりたいと存じます。
○原(茂)委員 五十一年度にできたものを私はまだ見ていないものだから、少し感覚が違うのかもしれませんが、そういう考え方で今後も取り組んでいただけるなら、ぜひそうお願いをしたいと思います。
 それから長野県に、いままですでに十一カ所ぐらいできているのですね。五十二年度に、今度の中で長野県で一カ所お考えになっているところがある。それはどういう設備ですか、同じようなものなんでしょうか。場所はどこか。
○森山(眞)政府委員 長野県の茅野市でございます。(原(茂)委員「同じものですか」と呼ぶ)はい、同じものでございます。
○原(茂)委員 これはもし市が、茅野市なら茅野市が自分の負担分を一億なら一億にしようということは、許されるのですか。
○森山(眞)政府委員 国庫補助を三千万ということが決まっておりますだけで、地元の御負担はなされる能力があり、またおやりになりたいというところで御自由に追加していただいて結構だと存じます。
○原(茂)委員 その場合、県の負担はどうなりますか。
○森山(眞)政府委員 県も多くの場合、国庫負担額と同じ程度に補助なさるというのが例でございますけれども、県の事情によって多少違っておりまして、どうしなければいけないという、決まっているものはございません。
○原(茂)委員 そうすると、市の負担分を、現在の大体九千万それから四千五百万というものをふやしていくのに、県の方もやはり話い合いでふやすことが認められれば、ちっとも差し支えない、そういうことですね。
○森山(眞)政府委員 おっしゃるとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、五十年度一千万でございましたものが、五十一年度急に三千万になりましたもので、国庫負担と同じようにということを申し上げましても、県によりましては非常にむずかしいところもあるようでございます。
○原(茂)委員 わかりました。青少年ホームについては、それで終わります。
 次に、家内労働者の問題について少しお伺いをしたいのですが、これは大臣にお答えを願いたい。
 いま家内労働者がもらっている賃金というのは非常に少なくて、パートの人々と比べても少ない。パートが三百何日になっていて、家内労働者の平均が大体二百七十円前後という状態になっているわけです。この問題を、われわれの主張している最低賃金法が的確に適用されていくように、法そのものが、こういうところまできちんと手の届くように確立をすればいいのですが、まだほど遠い感じがある。
 その間労働省としては、やむなく家内工賃法みたいなものを一応の目安でつくったのかどうか知りませんが、おつくりになり、それをいまだんだんに実施しているようでございますが、現在それが実際に内職の人々のための、家内工賃といいましたか知りませんが、そういうものを実施しているのは大体繊維産業などが主で、約四十万弱の家内労働者の賃金に対する関与をそれでやっていると聞いていますが、最低賃金と、いまの家内労働者のために労働省が考えている最低家内賃金、家内工賃というのでしょうか、そういうものとの関係をどういうふうに労働省はお考えになっておりますか。
○石田国務大臣 取り扱いは家内労働法の仕組みの中で取り扱っておりますが、仕事の種類によって、たとえばボタンを一つつけるごとに幾らというような決め方をするものとがあります。それから、御指摘のとおり繊維産業従事者が非常に多いということも事実でございます。
 他の具体的な数字については、事務当局からお答えをいたします。
○桑原政府委員 お答えいたします。
 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、家内労働に対する工賃につきましても、家内労働法の規定の中で強行法規として施行いたしておるわけでございます。先生おっしゃいますように、約三十六万の家内労働者がおられますが、繊維産業の方が三分の二を占めておられます。工賃の額ば毎年改定するのが筋かと思いますけれども、なかなかむずかしい面もございまして、三年に一回程度の改定になっておりまして、その額もいま大臣申し上げましたように、ピースレートでやる場合と、時間でやる場合とまちまちでございますが、八時間換算でおおむね千五百円から二千円というような状態になっております。
○原(茂)委員 これは局長でいいですが、その最低工賃というものを設定して、運用してみて何か効果がありましたか。
○桑原政府委員 家内労働の最低工賃制度ができましてから、私どもといたしましては工賃の引き上げに相当役割りを果たしておると思います。先ほど申し上げましたように、毎年の改定がむずかしゅうございまして三年ごとくらいの改定でございますが、最低引き上げ率のいわゆる影響率と申しますか、三割以上になっておると考えております。
○原(茂)委員 いつが三年目か知りませんが、五十一年度に改定したのなら、それでいいのですが、現在幾らを目標に指導しているのですか。五十年度の調査で家内労働の平均がたしか五百六円ぐらいですね。パートが三百円ちょっと。最低工賃の設定をして、その目標を幾らに置いて指導しているのですか。
○森説明員 お答えいたします。
 最低工賃の決定は、それぞれ都道府県労働基準局に置かれております家内労働審議会あるいは最低賃金審議会において審議決定されるものでございまして、したがって何円を目標にということは、特に指導はいたしておりません。
 ただ法律上、家内労働の最低工賃につきましては、最低賃金等との均衡を考慮してということになっておりまして、そういう一つの考え方で決定をしておりまして、先ほども申し上げましたように、八時間換算をいたしますと、内職的なものにつきましては千五百円から二千円、それから専業的なものにつきましては、ある程度の技能を必要としますので、四千円くらいの日額になるような決定になっております。最低賃金の方は地域最低賃金で、最高で二千二百六十四円、最低で千九百円でございます。大体そういう関係になっております。
○原(茂)委員 最低工賃という考え方が、繊維産業は特に進められているのですが、進められてくると、実際にそういうものを指導しないときよりは、二割や三割は賃金がアップしているのが実情じゃないですか。実際には、最低工賃による指導をする前よりは、現在の方が二、三割はアップしたという実績があるのじゃないですか。やる前とやった後と、どのくらい効果があったかなかったかということを、数字で全然つかんでないのですか。
○森説明員 お答え申し上げます。
 もちろん最低工賃と申しますのは、ある程度余りにも低い工賃を切っていこうということに盛ってございますので、あるがままの工賃の一番低いものを最低工賃にするわけじゃございません。大体は仰せのとおり、三割程度の影響率があるということでございまして、その程度のアップになっているというふうに考えます。
○原(茂)委員 実情を調べても、それが事実のようなんですが、これはただ受け身でやっていないで、余りにも低過ぎる家内労働の賃金に対しては、もっと積極的にスピードを上げて、たとえ二割でも三割でもアップするように指導を強めていくべきだと思うのですが、どうですか。
○石田国務大臣 家内労働法を制定いたしますときも、そういう趣旨で制定をしたのでありますが、業態が非常にまちまちでありまして、大変な時間がかかります。しかし、その趣旨は御指摘のとおりであります。特に繊維関係のように数のまとまったもの、それから条件のよく似たものについては、そういうことがやりやすい場合がございますので、積極的にそういう取り組み方をさせるように指導したいと思います。
○原(茂)委員 最低賃金法に関連して最低工賃という指導を始めて、今日までにまだ繊維関係の三十七万人前後しか恩恵を受けていない。積極的にやるんだという趣旨でおやりになっているようですが、その気持ちがあれば、まあ計算その他困難なものがあるに決まっていますが、都道府県の方から出てくるものを受け身で、ただそれを報告を受けるというのじゃなくて、労働省として、もうちょっと積極的に、余りにも安過ぎる、たとえば、月に二十一日家内労働をやっても二万八千円前後にしかなっていないんですね。これでもないよりはいいというのでやっているのですが、そのためにいろいろな悲劇も起きています。
 こういうものをやって、今日に至るまで繊維関係の、ボタンをつける、何を縫う、そでだけを縫うという者、三十七万前後にしか適用していない、恩恵を与えていない。これは、私は非常にいいことだと思うのですが、労働省自体が余りにも数多い家内労働者に対して、しかもいろんな職種があるのに、ただ、繊維関係だけで三十七万前後やっておりますというだけで手をこまねいているように見えてならないのですが、こういういいことは、どんどん積極的に進めてやるという親心が国になければいけない、こういう立場で実は質問しているのです。
 どうですか、これは近くもっと職種を広げて、手を伸ばしながら、繊維関係の三十七万なんというけちなことでなくて、もっと大きく恩典を広げていって、できる限り工賃のアップに寄与してやるというようにしなければいけないと思いますが、そういうことを全然考えていないで、ただ受け身でいるという、いままでのような態度で今後も推移する、それではいけないと思うのですが、そういう立場で……。
○石田国務大臣 繊維関係だけでなく他の職種にもできるだけ及ぼしているつもりではおりますが、しかし、どうしても繊維関係が多くなっていることは御指摘のとおりだと思います。
 この法律制度の目的は、御意見のとおりでございますので、むずかしいことはむずかしいし、余りに各種類に分かれていることでありますが、しかし、そのむずかしさを突破して積極的に拡大し、適用者数をふやしていくように努力いたしたいと思います。
○原(茂)委員 ぜひそれはお願いします。
 この家内労働者の仕事をする契約というのは口約束で、いろんな内容の契約がいま行われている。実際には、その契約なるものが明示されるものは家内労働手帳。これが交付され、普及されていくと、この契約に対しても法律的な根拠にもなるし、いろんないざこざが起きない、大変大事な決め手にもなるわけです。
 ところが、家内労働手帳の交付が、委託する側からいっても、めんどうくさいからいやだ。それから、交付される側から、内職をする人からいうと、どうも所得税に関係するんじゃないかと思うから、これも何となくもらいたくないというような空気もあって、この家内労働手帳というものは、なかなかびしっと行き渡っていないのですね。
 しかし、根本的には業務の委託に対する契約なんですから、やはり契約というものは、はっきりとした労働手帳を通じて明記されているということが前提でないと、不測のマイナスを、働く者も委託している者も実は受けつつあるんだけれども、そのことがいろいろな事態が起きてからでなければわからないために、この家内労働手帳の交付というものの浸透率が非常に悪いのですが、これに対して何か工夫はありますか。もっと広げていく、浸透しなければいけないと思うのですが、局長でいいですから……。
○桑原政府委員 先生御指摘のように、家内労働手帳というのは、いまおっしゃいますような契約の基本になる重要な手段じゃないかと思います。
 ただ、お話しのように、普及率はなかなか悪うございまして、私ども調べましても、委託者の方から調べても六五%程度の交付率になっているかと思いますが、結局、この手帳にある程度魅力を持たせるということが非常に必要ではないかと思っております。もちろんその前にPR、周知ということは大事でございますが、もう一つは、やはり手帳に魅力を持たせる。
 たとえば家内労働者の方には、一定の場合に労災保険の特別加入ができるようになっておりますけれども、そういう手帳を持っている方につきましては、関係地方公共団体が何らかの恩典を、たとえば保険料の負担については何か恩典を与えていただくとか、いろんな家内労働者に対する便宜を、その手帳にある程度御協力いただくような指導をしていかなければならぬということで私ども始めておりますが、まだ必ずしも十分でございません。
 そういったようないろいろな工夫をし、また家内労働旬間の機会に、手帳の効用というようなものを十分労働者自身に御自覚いただくような、いろいろな手はずをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○原(茂)委員 家内労働旬間の発表によると、やはりよくいって五十年が七一、五十一年が六四、それしか普及していないのですね。やはり、この普及率を高めるということに特段の苦労をしなければいけないと思うのですが、いまおっしゃたような理由で、両方ともにこれを受けたがらないという空気はあります。
 もう一つは所得控除の問題ですが、パートの場合と家内労働の場合の所得控除の率が違っているのですよ。そればおわかりですか。
○森説明員 お答えいたします。
 家内労働者の場合には二十六万円の控除でございますが、給与所得の場合には、さらに五十万ぐらい多うございまして、七十六万ぐらいの控除になっております。
○原(茂)委員 これもネックなんですよ。これもただ労働省だけが考えるのではなくて、やはり行政全般の問題として、このことに対する配慮をして、こんな不当な差がないようにしてやることが、家内労働者に対する当然の仕事だと思うのです。
 これは大臣じゃなければいけないのですが、大臣が労働省だけでやる問題じゃないんだ、この問題は、行政全般の問題として、こういった不均衡に対する是正というものを何らかの工夫で考えてやって、そうでなくても賃金が低いのですから、家内労働者に少しでも寄与してやろうというようなことを考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○石田国務大臣 私もその所得控除に差があるというのを、いま初めて実は知りまして、その理由がわからないのでありますが、これはもちろん徴税当局と協議をいたしまして、労働省だけの問題ではなく、当然均衡を図るべきものだと考えております。
 また手帳ですが、家内労働手帳だけでなくて、いまの建設業の退職共済制度の手帳なんかも、なかなか普及しないで、実は困っているようなわけでございますが、先ほど基準局長から答えましたように、何か魅力を持たせでいく必要がある、逆に、持っているために不利益が与えられるようなことがあっては当然ならない、こう考えております。
○原(茂)委員 大臣が行政全般の問題として、この所得控除の差をなくすように努力する、それと絡んで労働手帳の交付、手帳を持っている者に関して、それがあるために、手帳があるから、はっきりしているので所得控除に関して、パートとの差をこういうふうに違えた、こういう率にして、こうしますというふうなものを、さっき一つの魅力とおっしゃいましたが、絡めた問題として考えていくと、少しは足しになるかもしれませんね。
 ぜひこの点も考慮して、さっき言った魅力を与えるというものの一つの道具に、このパートと家内労働の所得控除の違いというもの、これを何とかなくしていく、その手帳を持っているがゆえに、その所得控除というものは、パートと同じように引き上げられるということがあると、現実の問題として相当魅力がありますね。そういうようなことと絡んで研究をしてもらいたい。ぜひお願いします。
○石田国務大臣 ぜひ研究し、研究だけじゃなく、実行したいと思います。
 特に、その手帳を持っているために、かえって不利になるというようなことば、とんでもない話でありますから、変えたいと思います。
○原(茂)委員 こういう零細な低所得者の、そうでなくても、生きようとして一生懸命やっている人には、そういう小さい問題のようですが、きめ細かく、労働大臣としても、ひとつ格段に配慮していただくように、これはぜひお願いしておきたいと思います。
 それから、いまの家内労働者の最後の問題なんですが、この家内労働者を相手にしまして、内職講習会というような宣伝が大々的に行われている。そうしてある種の金を取って内職の講習をすると称して、実はその内容だって、私も聞いてみると、余り大したものじゃないどころか、こんなのが講習になるかと思うようなものすらある。内職熱というよりは、だんだん不況になればなるほど奥さん方は一生懸命内職をやるわけでしょう。そういうのを内職講習会なんというので宣伝して、大変零細なお金を取って食い物にしているのがあって、いつか北海道では詐欺でこれを取り締まった例があると思うのですが、その例を大臣、きっとこれも知らぬに違いない。
 これはきょう警察庁からおいでいただいていますから、いまの例と、それから現在この種の取り締まり対象になるような講習会があるかどうか、これに対して今後どういう方針か、三つに分けてお答えいただきたい。
○柳館説明員 お答え申し上げます。
 内職全般につきましての被害の特例な統計はとっておりませんけれども、先生おっしゃいました北海道の事案について申し上げますと、これは名古屋市に本社を有する株式会社ニュー日本企画という会社でございますけれども、これが四十九年一月二十日ごろから五十一年の三月二十八日ごろまでの間に、四百八十回にわたりまして、札幌市ほか百十二カ所で箔飾画の制作の内職説明会を開いて、高収入を得ることができるのだということで、講習料あるいは材料代等の名目で、五千百六十人の主婦から現金二億五千三百六万円の詐欺をした、こういう事案でございます。
 これは金額等は実際に送検したものでございまして、私どもが推定しておりますのは、全国にわたってこの会社だけで三万人の被害者がおって、被害額にして十一億に達するだろう、こう推定いたしております。
 現在、具体的な事案はほかに把握しておりませんけれども、こういうものに対しては厳重な取り締まりをしてまいりたい、こう存じております。
○原(茂)委員 北海道の例はそのとおりなんです。現在、具体的なものは把握していないとおっしゃるのだけれども、これはどういう順序で摘発ができるのですか、私は素人でよくわかりませんけれども。
 たとえば宣伝広告がいっぱいあります。宣伝広告を見たときに、いままでの経験、事例からいって、これは臭いなというのは、実は素人の私にもそういうのはわかるのですよ。調べてみると、案の定臭いものがずいぶんあるのですよ。しかし、実際に被害を受けなければ、この種のものは取り締まれないのですか。その点をひとつ……。
○柳館説明員 お答え申し上げます。
 取り締まりをするためには、実際に被害が出ないといけないという点はございます。しかしながら、そういうことに捜査当局が関心を持って調査を始めたということ自体が、かなり被害予防効果が出てくるだろう、こう考えております。
○原(茂)委員 いま、その調査を始めているのはありますか。
○柳館説明員 現在、そういう調査をしておるという報告は、各都道府県警から受けておりません。
○原(茂)委員 受けていないのに、ここで言うわけにいかないのだけれども、どうもまどろこしいのですよ。大臣も聞いていておわかりでしょうけれども、ずいぶんあるのですよ。現在、私も、調査をしていると言っていいのかどうかわかりませんが、実は東京でも、何か手を入れ始めているものも二、三、知っています。だけれども、被害が実際に起きなければ、これが取り締まれない。
 調査に対しては、なかなかむずかしい何かがあるだろうと思うのですが、こういう弱い人を相手にして、これを食い物にするようなインチキらしい空気があったときには、そういうものを事前にすぐ調査、探索を始めるというようなことが積極的に行われるならば、拾い出そうとすれば、毎日の広告を見ていても、ずいぶんありますよ。こういうものに対する工夫は内閣として、少し積極的に考えてもらわないと、事態が起きた、それから取り締まりをやる、いつもそのときには何億とか何千万とかの被害を、すでに大衆は受けているわけですね。
 これは領分違いで申しわけないのですが、国務大臣としては、ぜひひとつ国の問題として、この種のことに対する考え方、あるいは怪しいものに対する、もうちょっと積極的な調査の方針を、この零細な人間の被害を未然に防止するという意味で考えていかなければいけないと思うのですが、どうでしょうか。
○石田国務大臣 北海道の事例は、私いま初めて聞いたのですが、毎日の新聞を見てみますと、広告が最近非常に目立っている。そして大変うまいことを書いている。これを家内労働者保護という立場、それから職業訓練との兼ね合い、そういうものの上から、少なくとも届け出義務ぐらいは課するとか、何かの方法がありそうなものだと私も実は考えているわけでありまして、新聞に出れば、何となく信用してひっかかるのが出てきて、――取り締まる方の側から言えば、私は素人でわかりませんが、やはり事件を立件するのには、ある程度の証拠が必要でありましょうから、被害が出てからでなければ調べられないかと思いますが、労働者保護の立場に立っているわれわれとしては、未然に防ぐ方法を何とか工夫する必要がある、工夫を命じたいと思います。
○原(茂)委員 実は、この種の問題に関連して専門に後刻またお伺いしたいと思っておりますが、いま日本にこの種の、認定も受けないし、国の立場で別に免許を与えたのでもない学校まがいのものとか、それから何だか知らないけれども、調理師の免状をもらえるとか、通信教授でお花のけいこをして、そこから、二万円も出すのですから、こんなりっぱな木の、資格があることを証明するようなものがくるとか、調べてみると、そういう学校でもなければ、何も国が関与していない、勝手気ままにやっているのが二百以上あるのです。
 これは専門にもう一度調べてみまして、いずれ当該官庁のときに、どうするのだ、整理をしなければいけないのじゃないかということを問題にしたいと思っておりますが、いま大臣おっしゃったように、家内労働者のああいう家庭において、四苦八苦して生活している人々を対象に、この種のことをやることは絶対許さないような何かをひとつ工夫していただくように、これは国全体の問題として、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 次に、五十一年、去年の七月十土日に行政管理庁が、十九年ぶりに労災保険事業の運営についての監察結果を労働省に提出されました。労働省は、これを中心にいろいろとその後の処置は講じておいでになると思うのですが、一々私がお伺いする前に、もう皆さんの方でお答えができると思いますので、大きく三つに分けて、一つずつ簡単にお伺いしてみますから、行管の監察に関しての皆さんの処置、それから今後の方針をお答えいただきたい。
 まず第一に、労災保険法の適用範四というものは、五十年三月の政令が改正されて以来、五十年四月から農林水産業の一部を除いて全面適用と決まったわけですね。この改正によって、新たに適用事業となった労働者五人未満の商業、サービス事業等の数は一体いまどのぐらいあるか。いわゆる改正によって、もう新たに適用範囲というものは決まったわけです。その適用範囲の商業、サービス事業、そういうものの数が一体どのくらいか把握していると思いますが、まず、それを一つ。
 それから五十一年、去年の十二月現在の加入済み事業はどのくらいの数になっていますか。加入済みの数をひとつお伺いしたい。
 その次に、五十年四月の適用拡大前の適用事業のうちの未加入事業の数はどのくらいでしょうか。五十年四月から拡大して適用することになりましたね。その前に、もうすでに適用事業というものはございました。その適用事業のうちの未加入事業の数、古い方のそれはどのくらいありますか。
○石田国務大臣 昨年の七月に、未加入適用事業の加入の促進と、それから業務災害の認定の合理化、それから業務運営の改善、この三点について行政管理庁長官から勧告がございました。その勧告に対しまして、所要の措置をとっておりますし、実際上、全面適用等によって行政対象がふえてきておることは事実でございますが、勧告もございましたので、さらに改善に努めさせてもおります。
 いま御質問の具体的な事例は、事務当局からお答えをいたします。
○石井(甲)政府委員 お答えいたします。
 五十年の事業所センサスによりまして全体を把握するしかございませんが、それによりますと、全体の産業の数は、五人未満については百二十二万一千九百でございます。これに対しまして、現在までに労災保険の適用をしておりますのが三十万三千八百でございます。したがいまして、その差の九十一万八千が未適用ということになっております。
○原(茂)委員 答弁者は別なんですか。――時間の都合で同じようなことだから、一遍に、分けてゆっくり言っていますからね。落とさないように答えてもらいたい。
○石井(甲)政府委員 労災保険の五十年度の適用事業場数は、百五十三万五千二百七十六ということでございます。
○原(茂)委員 だから拡大後適用すべきものが、まだ未加入、拡大前に適用すべきものでいて未加入、この数を合わせると相当な数になりますね。加入はうんと減っているわけでしょう。
 そこで一つ問題になるのは、平たく言って、まともに加入した人と加入してない者との不公平ですよ。これが、そのまま放置されているわけです。半分以上が未加入。加入している事業場で保険給付の問題が起きたときに、事業者が全額負担でとにかく保険がまた取れるわけでしょう。申請して取れますね。ところが、未加入の労働者も、いわゆる加入していない企業にいる労働者ももらえるんですよ。そうすると、加入してない企業は全然加入しなくても、痛くもかゆくもないんだね。そうすると、まともに加入している人間が、いろんな手間から、いろんなことからいって、非常な何か不利益をこうむっているという事態、これは間違いないですね。そうですね。これを放置していいでしょうかね。
○石井(甲)政府委員 ただいま先生から申されましたように、加入事業場と加入していない事業場との関係でございますが、法律的には、未加入の事業所の労働者が労災へかかったという場合には、労働者については、これは給付の権利を持っておるわけでございまして、これは当然いわゆる加入している事業場の労働者と全く同じ給付を受けることになりますが、ただ、未加入の場合の事業場であって、その事業場の労働者がけがをして労災の補償を受けた場合に、法律的には、その未加入の企業主に対して二年間さかのぼって保険料を徴収する、こういうことになっております。
 ただ、そういうことが基本でございませんで、実はやはり全面適用に対応いたしまして、加入の促進ということが基本的であろうというふうに考えております。
○原(茂)委員 未加入の企業における労働者が災害を負って保険を受けた、その場合には加入していると同じように二年間さかのぼって徴収する。三年以前のやつは律しちゃうんですよね。そうでしょう。それから、二年間余裕があったんだから、金利も助かる。金利は取らないんだ、その場合は。いいですか。それから、二年さかのぼろうと思ったら、その企業はつぶれちゃった、あるいは全然法人格が変わっちゃったというときには、これは全然適用できない。取れないのですよ。だから、いま一片の、二年さかのぼればよろしいんだというようなことで、この問題をこのまま放置することは非常な不公平だ。何らかの知恵を出して強力な措置を講じなければ、そうでなくても、零細な企業がこういったもので知らない間に不利益を受けるもの、それが圧倒的、半分以上なんですから、そんなことが放置されていて、一体労働省ここにありということになるかどうか。これは私は非常に問題にしなければいけない問題が問題になっていないんだと思う。行管は、こういうことをやっぱり指摘しているんですから、指摘して、もうずっと日がたっているんですからね。何か違ったことをやっているかと思ったら、ちっともやっていない。
 大臣、こういうことが見逃されていては行管の存在価値もない。あれもりっぱな役所で、仕事をしていますよ。いいことを言っている。ところが、その指摘があったって、それに対するいままでと違った何らかが、こう講じられているとか、いまこういう作業をしていますということすら出てこないんですね。これはお互いに役所がむだをつくり出している。全然国民の税金を有効に使っていないというような点から言っても、いま言いました企業そのものに、企業間に非常なアンバランス、不利益を与えっ放しでいるという事態は、特に労働者の災害の問題ですから、これは大至急に何らかの方策を講じなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 この種の保険は、保険に入っている方が有利で安心感があるということが前提でなければならない。入らない方が得だというようなことは、その制度の性格から見て間違っているものだと思います。
 ただ、いままでも五人未満の事業場の適用を除外しておったのは、非常に繁雑で、煩瑣で、なかなかむずかしいという点があったのでありますが、それがせっかく全面適用になったわけでありますから、アバウトで全面適用になって、アバウトでふえてはいると言いましても、現実に御指摘のようなことは非常におかしい話でありまして、と言って、その次元において零細なそういう企業の存立を脅かすような措置もとりにくいわけでありますので、むしろこの保険に入ることが有利で安心なんだということの趣旨の徹底に努めて、加入者の範囲の拡大に努力をしていかなければならぬ。それには、ただ数が多くて雑多だということだけで逃げないで、何かの工夫をこらさなければならぬものと考えております。
○原(茂)委員 これは特段の強化策を考えなければいけない問題だと思いますから、次回、年内にもう一度決算でも大臣以下にお会いする機会が多分あると思いますし、つくるつもりでありますから、至急事務当局を督励して、そのときには、こういう案ならどうだとか、こういうような案をこういうふうにしようと思って、いま検討しているというようなことを強化策として説明していただけるようにぜひお願いをしておきます。これはほっておけないと思いますから……。
○石田国務大臣 なかなか数も多いし、非常にむずかしい仕事ではありますが、しかし不合理であることも確かなことでありますので、何か知恵を出すように検討を命じたいと思います。いついつまでに返事しろとおっしゃられてもちょっと困りますが、検討はぜひ急がせたいと考えます。
○原(茂)委員 それを期待します。
 この労災保険と雇用保険は、行管も言っているように、一元化すべきものだ。ところが、今日労災と雇用の両方ともきちっと入っているところというのは約五〇%くらいでしょう。五〇%くらいだと思いますが、それと、一元化されていながら、実際にはその一元化手続が済んでいないというところが三六%以上あるんですね。これも実際には適用されていながら、いまのような、片方五〇%もあり、しかも一元化を申請しないものが三六%もあるというようなことも、これは事務手続の問題ですから、いま大臣が言うように、損得がどうのこうのという問題ではないのだから、これなんか、どうしてもっと促進できないのか。
○石井(甲)政府委員 一元化の問題につきましては、先生御指摘のように二つの問題がございます。一つは、現在労働保険としては雇用保険それから労災もございますが、片方だけ入って、片方は入っていないというもの、それからもう一つは、両方入っておるけれども、現在の事務体制では、徴収体制では、いわゆる事務組合の体制と、それから個別加入の体制がございますが、これに両方入っている、あるいは片方しか入ってないというような体制がございます。これにつきまして、行管の御指摘もございますばかりでなく、従来から問題にしておりまして、重点的に一元化するような指導をずっと行ってまいりました。
 いままでの結果を申し上げますと、四十八年の末には、個別片保険と言っておりますが、これが三十万五千ございましたが、五十一年三月末には、十九万三千ということに減ってはおります。今後とも、これについては行政指導を含めながら努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○原(茂)委員 いま言われた事務組合なんですが、これが廃止されていくのがずいぶんあって、事務組合そのものが有効に機能しない。なぜ一体廃止されるのか。現在の事務組合の数はどのくらいありますか。たとえば一昨年、去年、ことしと比べて、数はどうなっておりますか。
○石井(甲)政府委員 お答えします。
 五十年度末の事務組合の数は一万一千二百七十一でございまして、四十九年度末が一万一千四十でございます。したがいまして、四十九年に比較いたしまして約二百三十ばかりふえておるというのが現状でございます。
○原(茂)委員 要するに減っているのですが、労働省として、減っている原因が探求されないと、やはり中小零細企業というものは、事務組合に委託するということば非常に便宜であるし、事務組合の制度というのはいいと思うのです。いいんだけれども、これが減っていくというのは、あるいはこれを強化する、もっと頼りになる事務組合にしていくための方策を、労働省自身が考えてやらないといけないと思うので、事務組合の強化策といいますか、これにもっと中小企業が頼っていく、そういう状態にするための何かの措置を考えておいでじゃないですか。
○石井(甲)政府委員 事務組合の数につきましては、先生御指摘のようにつぶれているところもありますが、またふえているところもございまして、全体としては、若干でございますが、ふえつつあります。
 そこで、事務組合の強化策でございますが、これは、特に五人未満の全面適用という場合には、非常に大きな手段として有効であろうと思います。それで従来から事務組合の育成の強化を図っておりますが、一つは報奨金ということで、非常に成績がよく保険の徴収をされた事務組合に対し七報奨金を交付するといいますか差し上げるということを考え、かつ、それは従来から続けておりまして、金額的に見ましても、その報奨金の金額は、五十一年度三十億五千五百万、これに対して五十二年度の予算につきましては三十五億九千八百万というふうに増額を考えております。
 それからもう一つは、零細事業の被保険者、特にいわゆる雇用保険の資格得喪事務をお願いしておる事務組合に対しましては、福祉助成金という形をとりまして、これも五十一年度予算六億八千万、これに対して五十二年度予算六億九千四百万をお願いをしておるということで、増額を図りつつあります。
 さらに、事務委託につきまして、零細事業主をさらに勧奨しながら、いわゆる事務組合を拠点にする方式を、さらに強化してまいりたいというふうに考えております。
○原(茂)委員 これだけで余り時間をつぶすわけにいかないのですが、いまおっしゃった事務組合の強化策に対しては真剣に取り組んでいかないと、実際あっても有名無実ということになりますから、これはぜひひとつお願いをしておきます。
 それから、いまの行管のあれにもちょっとあるのですが、労働基準法の施行規則の三十五条ですか、これは疾病の範囲を言っているわけですが、この三十五条の十一号にチェーンソーなどが入ってないのです。「さく岩機、鋲打機等の使用により身体に著しい振動を与える業務に困る神経炎その他の疾病」とあるのですね。これはおわかりでしょう。チェーンソーと書いてあれば、白ろう病と同義語みたいになっているのですが、ここにはチェーンソーというのが入っていない。ところが人事院規則を見ると、これにはチェーンソーというのがちゃんと入っているのですね。「さく岩機、びょう打機、チェンソー等の身体に振動を与える」こうなっているのですね。この基準法の施行規則三十五条の十一は、その意味では改めなければいけないのじゃないですか、どうですか。
○桑原政府委員 施行規則の三十五条の規定は、昭和二十二年にできた規定でございまして、その後日本の産業の進歩に伴いまして非常に新しい疾病ができてまいっております。したがって、先生御指摘のように、現行の三十五条の条文では読み切れない表現になっております。したがいまして、いまの白ろう病の振動障害等につきましては、十一号のその他業務上の疾病として明らかなるものということで、そこで読んでおるようなわけでございます。したがって、相当時間もたちましたので、御指摘もございますので、早速昨年の四月、勧告いただきました早々に専門家の会議を開いておりまして、この三十五条を全体的に見直しまして、ことしじゅうにはぜひ成案を得たい、こういうふうに考えております。
○原(茂)委員 去年の四月から審議をしてもらっているというのですが、労働省として、こんなことはこういうふうにというような、何か意思を言
 ってありますか。全然何も言ってないのですか。
○桑原政府委員 労働省はもちろん専門家が参加いたしております。そしてこういった現在の条文では、素人が見ましても、直ちにこれが業務上であるかどうかの判断の材料に必ずしも十分でないので、今度つくります条文につきましては、その条文を見れば、大体一般の方が見られても、業務上の判断の基準として十分わかりやすいようなものをおつくりいただきたい、こういうお願いをいたしております。
○原(茂)委員 それは結構ですね。そうでなければだめですよ。あなた方が見てわかっても、一般の災害を受ける者がわかっていないのでは話にならないですから。これでは全然わからないですからね。たとえば三十七号の「前各号の外中央労働基準審議会の議を経て労働大臣の指定する疾病」四十二年以来、これによって指定された疾病はありますか。
○桑原政府委員 それによって指定したものはございません。
○原(茂)委員 これもない。だから、これに対しても工夫を加えてもらわなければ困ります。三十八号で「その他業務に起因することの明かな疾病」こういうものでいま恐らく白ろう病その他ずっとやってきたと思うのですが、幾つぐらいありますか。
○桑原政府委員 ちょっと数では申し上げにくいのでございますけれども、たとえばがんの関係とか頸肩腕症候群あるいは腰痛、最近新しく出てきましたものは、すべてそこで読んでおるわけでございます。
○原(茂)委員 十幾つあるのじゃないですかね。これはわかりませんが、そういうものは十一号その他にきちっと今度は相談してもらって、素人が読んでも、おればこの病気だ、だから請求すればもらえるのだ、こういうふうになるわけですね。
○桑原政府委員 当該請求者につきましてはそういうことでございますが、最終的にはもちろんいろいろな医証に基づきまして、そこの判断をいたすわけでございます。
○原(茂)委員 それはそうですよ。最終的な判断はもちろんそうですか、しかし素人が読んでびしっと、ああなるほどこれは請求できる病気なんだ、こういうことがわかればいいですから、そういうふうに、ひとつもっと明快に素人にわかるようにしていただかないと、法律があっても意味はないということになります。
 それから、いまの問題と変えてお伺いしたいのですが、いよいよことしの景気、経済というものを見通しますと、そう先行き楽観できるような状態になっていない。去年と比べてもいい材料は余りないというふうに考えますので、企業の倒産、特に中小企業の倒産というのは相当数に上るおそれがあるというふうに言われておりますし、私もそう考えるわけですが、こういうようなときに、たとえば私、中小企業の問題で言うのですが、これは労働大臣からずばりお答えをいただきたいと思うのですけれども、いつも企業はやり切れなくなって倒産をしてから、それに対する雇用保険がどうのこうのというようなことを手当てするのですね。ところが中小企業が倒産する前に、できるだけ倒産しないようにしてやるということも相当大事なことなんです。労働省は失業者をどうするかというより、現にいま働いている労働者をどうするかということ、その中間としては、その労働者が失業しないで済むように企業の倒産を防ぐという何らかの方法を、やはり労働省なりに考える必要がある。
 私は、いま一つお伺いしたいのは、実際にいま困っている中小企業の実態を見ますと、いま三割なり四割の人員を一時帰休だとか、あるいは再雇用を約束した一年間の臨時休業だとか、何割かをそういう手当てをすればいま生きていけるのだが、しかし労働者をいま首にするとか、あるいは一年間休めというようなことば、非常に大きないわゆる労使の問題にもなる、組合も承知しないということで、これは非常に言いにくい問題なんですが、実際には二割なり三割なり賃金を払わないで済む一年間があれば、この企業は何とかここの波を乗り越せるのだがなと思う企業が現にずいぶんいっぱいあるのですね。それを四苦八苦、人はやめさせられない、なかなか困難だからというので、そのまま人員を抱えて仕事はない、ついに稼働率六〇だの七〇だのという中で、余剰の人員に賃金を払うことで、首くくりの足を引っ張るように、困難である経営にまた何重かの困難を加えて、ついに倒産をするというその大きな原因の一つに、過剰人員というものを抱えていたということがずいぶんある。現にそうなりつつある企業がずいぶんある。
 私は、ここで思い切って労働省が主体で、あるいは通産省その他とももちろん関連をするのでしょうが、何らかの審議会制度みたいなものをつくりまして、中小企業から申請があって、うちは、いま四割の労働者を何とかして賃金を払わないで済むという形をとってくれれば、一年間たてば、かくかくの計画によってつぶれないで済むのだけれども、乗り切れるのだが……。この労働者を二割なり三割なり何とかいま一年間なり何なり休ませる、賃金を払わないで済むという状況にしてもらいたいという申請があったときに、その審議会がそれを受けてその企業の診断を行って、確かに申請どおりに三割五分の労働者を一時、一年間なり一年半、ここで実際の仕事をやめさせるということができれば、これはつぶれないで済むという診断があったときには、それに国の立場で何らかの法律的な処置を講じて、認可をして、事前に、つぶれないうちに過剰労働者というものを、その企業からは外してあげるということができるような制度をとると、つぶれそうな企業がつぶれないで済むというのがずいぶん出てくるのです。
 何らかの新しい構想で、そういった中小企業から申請があったときには、申請どおり二割、三割の人員を排除すればこの企業は一年後に本当によくなるかどうかというあれをやる、その一年あるいは一年半の三割、四割という労働者を排除したものに対する手当てはこうするというようなことをやってやると、つぶれそうだった企業が実はつぶれないで、それを乗り越して、一年ないし一年半後、申請どおりに労働者を復帰さしてつぶれないで済んだという結果になる企業が、現実の問題としてずいぶんあるのですが、そういうような新たな審議会といいますか、それをつくって、そこに中小企業から申請があったときには、その人員を一時的に排除をしてあげる、このことをしてやると、ずいぶん企業の倒産というのは防止ができるのです。
 そういう何か新たな工夫を労働大臣としても考えていただくと、ずいぶん違ってくるんだがなと思うのですが、いかがでしょうか。これは前から私が考えていることなんですが、ずばり大臣の考えを、ひとつお聞かせいただきたい。
○石田国務大臣 いわゆる先進各国に比べてわが国の失業率というのは低い。低いのはわが国独自の雇用制度、いわゆる終身雇用制度というようなものに支えられておる面が非常に多いと思います。そのことは、今度は逆に申しますと、過剰人員を抱えておるということにもなるわけでございまして、いま御指摘のような事態は現実に多くある。そういう事実認識については、全く原さんと私は同じでございます。
 そこで、そういう状態の中で労働省としていまやっておりますことは、雇用調整給付金とか、そのほか一時帰休というような状態に対応し得るような幾つかの制度を考えてやっておるわけでございますが、しかし今度は、それを、実際に実行する場合に、たとえばいま御指摘のような制度をこしらえましても、やはりもう一つの前提は労使の合意だと思うのであります。労使の合意、特に経営側、使用者側は、労働側に対して経営の実態を正直に、正確に伝えること、それから労働組合側は、それに基づいて現実的な判断をしてくれることが必要でありますが、そのためには、いわゆる経営参加の問題というようなことも一つの課題として上るだろうと思うのです。
 経営参加の形としては、西ドイツでやっております共同決定法、ユーゴスラビアは国のたてまえ、体制が全く違うので、そのまま参考にはできませんが、労働者の選挙で選ばれた評議員会が執行機関を監督するというような方法もあると思いますが、西ドイツのようなことをいたします場合に、日本の国と西ドイツの場合とは労働組合の組織の体制が違っております。それからもう一つは、西ドイツではかなり長い、五十年くらいの歴史を経過してでき上がっておる。
 そこで、われわれがそういう趣旨を含んで考えて、そしてそれの整備を図ってまいりたいと思いますことは、労使協議会の制度の活用じゃなかろうかと思うのです。これは大企業においては九割くらい、もうすでにでき上がっております。中小企業におきましても、半分くらいでき上がってきております。そういうところで運用されますと、それに対する所要の措置は、先ほど申しましたような雇用安定のための諸制度を運用していけると思うのです。
 そういうことがなくて、何か第三者機関のようなところで審判を受けるというような形になりますと、これは労使の合意というものが得られない、逆に労使の合意が得られれば、そういう審判という制度をつくらなくて用目的を達成できる。そこで労使の協議会の整備、それからこれを空洞化させないような運営というものを指導に当たってやらなければならぬ。それが得られれば、それを受けられる制度はあるわけでございますから、そういう方向で考えていきたい、こう思っております。
○原(茂)委員 おっしゃるとおりなんで、労使協議会、経営協議会、そういうものの活用ができれば、もうそれで……。それが基本でなければいけないわけですから、一番大事な問題です。
 しかし、実際の中小企業の実態を見ますと、いま審判機関のようなと言ったのですが、たまたま労使の話し合いが、いま言ったようになかなかうまくつかない、そういう問題。とにかく人を事前に何とかして、生き延びよう、そういうときは、資本の側にも、それに便乗してどうこうしようという考えもあるかもしれません。労働の側から言うと、それは受け入れられないというのがたてまえでございますから、そこで経営協議会、労使協議会でやっても、なかなかうまくいかないといったときに、いかないからといって紛争してずっとやっていく、それに任しておる間に息の根がとまることがないように……。
 実は大臣、労働問題の専門家だから、詳しく言わなかっただけなんで、先に説明を受けましたが、そういうときに、こういったあれがあって、どちらか一方が申請したときには、それに対する調査を行い、そして公正な判断のもとに、それが不当であるとか不当でないとかいう判断をしてやる機関があると――労働者は進んだようですが、前とはずいぶん違って勉強もしておりますし、新しいこういう事態に対処する新たな考え方にだんだんなってくることはいいことだし、当然なんですが、一遍になかなか変えられない、変わらない、資本の方も変わらないというのが中小企業の実態なんです。
 そういった中小企業の力のない企業の中で、すったもんだやったあげくに、とうとう話し合いがつかないで、一年、二年たっておる間にだめになるので、そういったある時期に、どちらか一方が申請したときに、そのことの妥当であるか不適であるかということの判定を下して勧告をしてやるというようなものが一つあると、いま大臣のおっしゃったことは、そのとおり現実的な問題、しかし、両方とも話し合いを当然しなければいけない。ところが、それが膠着状態になったままで、しかもいまの経済状態のあらしの中で対処していくのに、一年、二年なんという余裕はもうなくなっておりますから、なるべく早く、ある一定の時期にどちらかが申請をしたときには、審議会みたいなもので受けて調査をして、そしてジャッジの役目ではありませんが公平に、こういうことでどうですかというようなことを、サービスチョンを与えていくという機関があると、現在の実態に即して、つぶれていこうとする中小企業に対して――中小企業がつぶれるということは労働者の不利益になる。資本家側だけじゃないのです。経営者側だけのことを言っているわけじゃないのですから、両者の不利益を少しでも軽くするという意味では、そういった第三者の公正な機関による、いわゆる膠着状態に対する判定、あるいは勧告というようなものができるような、そういう機関というものが何かあったらいいんじゃないかなと、まだ思いますが、もう一遍重ねて御意見を伺いたい。
○石田国務大臣 それが実効的な効力と申しましょうか、強制力といいましょうか、そういうものが与えられて、そしてそういう制度というものが労使双方から平常的に信頼を持たれている、そういう条件が整うことができるかどうかという問題が一つあるわけで、もう一つは、使用者側も労働側も何かせっぱ詰まってきたときに協議会を開く。そうじゃなくて、常日ごろからそういうものを話し合っていくようにする習慣を進めていくことが一つ。
 それから、いまそういう御指摘のような制度の場合は、現在の段階では、やはり中央、地方の労働委員会というものと同じ性質のものにならざるを得ないだろうと思うのです。これも、しかし事件が非常に多くて大変なんですが、この委員会の充実を図り、その活用を図ることによって処理をしていきたい。おっしゃるような事態が出てくるということは、私もよくわかるわけです。ただ、それをつくったときに強制力を持てるかどうか、持たすことがいい労使関係をつくるために一体いいことなのかどうか、こういう点に若干の危惧を持ちますが、できるものがどういうものかといえば、労働委員会と同じものができる。それなら労働委員会を充実し、活用するという方法。しかしそれ以前に、せっぱ詰まってから相談するのではなくて、常日ごろから労使の協議会というものが相談し合っていくという、そういう雰囲気をつくる、これが大変必要なことじゃなかろうかと思います。
○原(茂)委員 それもまた一理あって、現在に適用する方法としては、実際に本当に手狭で困っている労働委員会というやつを拡大強化してもらえば、確かにそれにかわる方法になるでしょうね。これができるかどうかも問題だし、いま言った、そういうものができても、強制力の問題もあるでしょう。それから、常時やはり労使は協議をしていかなければいけませんね。おっしゃるとおりです。ただ、私がそう言っているのは、いま大臣の言われたように、労働委員会なんというものを数多く本当に拡大強化して活用できるようにしてやるというような方法でもいいから、私の言った案でなくてもいいのですが、そういうことを考えてやると、ずいぶん違いますよということを、ひとつ胸に置いておいてもらいたいと思うのです。
 それでもう一つ、いま経営参加の問題のお話があったのですが、経営参加は、これは時代の趨勢だろうと思います。いろいろな内容、いま言った西ドイツの例もあります。イギリスの例もあります。いろいろな例がありますが、そのどの例も、日本へそのまま持ってきて当てはまるのじゃないのです。重役制度なんかやろうと思っても、東商だけでも傘下で聞いたら、全部いやだと言うのですから、これは大変な国情が違いますから、いろいろな方式を編み出さなければいけないと思います。しかし、経営参加というものを、すでにやっている大企業は、おっしゃったようにあります。それもいい意味の実績が上がっているところがずいぶんあります。悪い弊害も、ある一部に出ております。
 私は、原則として労働者も経営の責任を負担する、進んで負担するというような時代になってくると思います。経営参加というものは、その意味ではどういう内容になるかによっていろいろ批判がありますから、これからの問題には違いないのですが、たとえば、これも先ほどの問題と同じように大臣からお伺いしたいのですが、いまつぶれた会社がある。会社更生法の申請をやっている。更生法の申請をいたしますと、裁判所から任命された保全管理人が更生計画なるものを立案して裁判所に持っていく。裁判所はそれを見て、それに対する判定を下して、更生開始決定をするとかしないとかということをお決めになる。そのときに保全管理人が、これから先何年でこういうふうにやり、何年でこういうことをやっていくと、この会社は生きますから、こういう計画でやりますという、更生計画案なるものを裁判所に出す。その案をつくるときに、更生するために、この会社の従業員の何割かは残ってもらいたい、これに協力してもらいたいと言って、その労働者の今後の更生計画に対する意図というものを、労働者は労働者なりで、自分の体験からして、いままでの会社の経営の欠点はここにある、今後こうしたらいいのではないかと思う、その思ったことを、その保全管理人が裁判所に出す更生計画の中に、それをつくるときに、残っていて協力してもらおうと思う労働者に意見を徴して、その意見を聞いて、それが入って、そのときからスタートしていく。更生が開始決定になってから労働者を経営に参加させる、これも一つの手です。ところが、その前に、すでにスタートのときに、大事な経験者の――そこの会社の労働者ですから、その人の意見がそこに入っていく。
 たとえば、私のところの諏訪にあった東洋バルヴという会社が倒産した。これは大型の倒産の方です。近く更生開始決定になるだろうと思います。ということは、保全管理人が更生計画をいま立案しつつあると思うのですね。そのときに、いわゆる労働者の意向というものが、そこへ入っている。あるいは聴取して、取捨選択は別ですけれども、管理人がやるのですが、十分にそれを聞くというようなことが、私は実際に行われていいと思うし、更生の申請があったときに、会社更生法の申請による管理人ができて更生計画を立案するというときには、いま更生させようというその会社、企業に働いている労働者の、今後更生に協力してもらおうと思う労働者の意向というものを聴取する義務を負わして、その意見を聞いて、取捨選択は別ですが、必ず聴取する義務を負うというようにして、スタートのときから、経営参加の一つの変形ですけれども、やるべきだと思うのですが、いまは聴取する義務を負っていない。
 私は、聴取する義務を負うというようなことを一つそこに突っ込んでおくと、経営参加の問題の当初における一部実現が可能だし、それが具体的にも会社の更生に非常に寄与するのだと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○石田国務大臣 そういう状態になった企業が更生をするためには、当然従業員の協力を得られなければできない。したがって、計画をつくり上げるときに労働者の意見を十分聞くということは、これは当然のことだと思うのです。制度的にはなっていないそうですけれども、現実的にそれを効果あらしめるためには、協力を得なければできることじゃないわけでありますから、法律上そういうことを決めることの検討は必要かと思いますけれども、私は、現実的にそれをしなければ実際上再建できないわけでありますから、そういうふうにやらせるべきだ、また本当に更生しようと思ったら、それをしなければ意味をなさない、こう考えております。
 制度的の問題については検討をいたしたい、こう思っております。
○原(茂)委員 確かに制度的になっていないものですから、保全管理人というのが任命される場合、大体弁護士さんとか、元裁判所に勤務した人、おおむねそうなんですね。実際に経営の経験のある事業家というのは、たまにありますけれども、特殊なときにはありますが、おおむね違うのですね。
 私は法務省に、いつか更生問題が起きたときに、更生のことで論議をしたときに頼んだのですけれども、いわゆる管財人とか管理人というものを常時よく人を選んでプールしておいてくれ――ブールというのはリストの上で、人間を置くわけではないですよ。そして、ある程度だめになって、更生を申請した側の労使の、三人か四人リストがある、その中からこの人とかという意見も裁判所が聴取してもらいたい。そうでないと、常に弁護士だ何だという人が、これは有能な人に決まっていますけれども、来ても、本当に更生計画をつくって、会社が今後経営ができるかどうかという経営の実態に対する把握の仕方、それから今後の見通し、そういう意味においては、経験というものは非常に大事なんだから、プールしておいてもらいたい、こう言ったことがあるのですが、まだそうなっていないのです。
 現在、たとえば東洋バルヴの管理人、あるいは、いまいっぱい更生を申請している会社はありますが、そういうものの管理人という人で、実際に経営の経験者というのは、わりあいに少ないのですね。少ないんじゃない、経験者どころじゃない、経営をやったことがないのですね。その人が、今後こうやればいいという経営計画を立てるわけです。だから、実際にこれが適合するかどうかはやってみなければわからない。ある意味では不安があるわけです。
 大臣は、そういう場合に、やはり制度化というものも必要だと思うし、検討を加えるというお話でしたから、非常にいいのですが、ぜびともこの問題だけは、事その企業に働く労働者の将来の問題であり、身分の問題にかかるわけですから、労働省だけでこれは解決したりする問題ではありませんが、労働大臣として、いまのような決意が実行に移されるように、必ず聴取しなければいけないという義務を負わせるような、どこのどういう法律を直せばいいか私素人でわかりませんが、大臣が発案して、現に更生法適用という会社はどんどん生まれつつあるわけですから、その労働者の意思を聴取する義務を負わしてもらうように……。
 いまのところは更生法の百九十五条に、労働組合の意見を聞くというだけはあるのですが、これを義務化していないのですね。聞かなくてもいい。現に、聞いていないのです。この百九十五条では聞いていなくてもいいのですかち。したがって、これは必ず聞かなければいけないという、何かを義務づけるということを更生法に入れるような努力を大臣からも、ぜひしていただきたいと思うのです。その後の更生に非常な違いがありますから。いかがですか。
○石田国務大臣 会社更生法の改正というのは、所管は無論私の方ではありませんし、私の方の役所だけでできるものでもありません。通産省、法務省その他の御意見との調整が必要でございます。しかしながら、われわれの側から言えば、企業の更生、再建というものは従業員の協力を得なければできないというのは、当然のことでございますので、いまのお話しの条項を、法律改正するまでに時間がかかるといたしますならば、当然条文を義務的に解釈をして、管財人がそれをやってくれるように関係各省に呼びかけたいと思っております。
○原(茂)委員 それは条文の改正など、いまおっしゃったように相当時間がかかると思いますから、そういう見方、考え方に立って早急に関係各省に対しても、大臣が責任を持って、聴取する義務を負ったつもりで必ず聴取しなさいというようなことを、ぜひお願いしたいと思います。いま言った東洋バルヴなんという会社も計画を立案中でございますから、非常に大事なときだと思いますし、これは、ぜひお願いしたいと思うのです。
 それから最後に、きょうは、実は白ろう病のことを相当突っ込んでと思っていたのですが、また次の機会に白ろう病のことを専門にやらしてもらいますが、白ろう病に関して、一つだけお伺いしておきたいのです。
 現在白ろう病は、いわゆるサナトリウム、温泉療法あるいはその他を通じて治し得るものというふうに確信をお持ちなのか。白ろう病は現にまだどんどん起きていますが、これに対してどういう方法で今後対処していこうとするのか、その二つだけ。治し得るという自信がおありかどうか、時間をかければ治るんだというふうにお考えになっているのかどうか、それからもう一つは、現に起きつつある白ろう病に対して、一体どういうふうにこれを絶滅するような方法を考えているか、二つに分けて……。
○桑原政府委員 白ろう病におかかりになりますと、治療法はなかなか的確なものがないというふうに現段階では聞いております。それでも私どもは、関係専門家にお集まりいただきまして、治療指針等も検討し、またその治療指針を関係の医療機関等にお配りしながら、できるだけ努力をいたしておるようなわけでございます。
 聞きますと、できるだけ早期であれば治りやすいということでございますし、特に温泉療法等が非常にいいというような話も聞いております。
 いずれにいたしましても、その特効薬があるというふうには聞いておりません。結局白ろう病の問題は、早期に防止をするということが一番決め手ではないかというふうに考えております。したがって、それはやはり総合対策を立てていくということだと思います。もちろんそれはチェーンソーの使用時間の問題、あるいはチェーンソーそのものの改造の問題でございますとか、あるいは総合的な雇用管理の問題、そういった面で手を打っていかなければならないというふうに考えております。
○原(茂)委員 きのうも申し上げたように、請負立木処分、そういうものを通じて何となく林野庁は、林野の職員の白ろう病を民間へ放出して拡大していくというようにすら、いまの林野行政を見ると断定的に考えざるを得ない。
 実は、その問題をまた後日申し上げますが、先ほどもちょっとお願いしておきましたような、雇用の問題にしても、民間あたりでチェーンソーを持った労働者を雇って、その頭をはねる請負者に注文を出しているというようなことは、きのうも農林省を中心にちょっと申し上げたのですが、その点は今後とも問題にしますし、問題になりますから、いまの請負の制度そのもの、請け負う資格そのものの検討の中に、自分は何も機械を持たない、ただ、たまたま林野庁から請け負うという資格を何らかの都合で取ってしまった。自分では何も機械はない、機械を持っている労働者を雇ってきては、賃金を払っている、賃金の上前をはねているという同じ結果を招来しているのを、いま見逃しているのは事実なんです。そういうことが許されていいはずはないのです。
 そういうことを中心に、白ろう病の対策を中心に次回、違った機会にもっと掘り下げてお伺いをしたいと思っておりますが、いまほかのことを調べている都合がありますので、きょうわざわざ触れなかったのですが、大臣も、ひとつ白ろう病を中心に論議をします私が、一部申し上げたように、林野庁が請け負わしている請負業者が、自分では機械を持たないで、機械を持った山林労働者を雇っては、それに賃金を払っていて、その賃金の上前をはねたと同じ結果が現にあると断定できる例がたくさんありますが、そのこと自体は、逆K請け負った労働者は二時間規制なんてとんでもない。やはりもっとかせがなければというので、三時間、四時間、五時間というふうに実際に使っているという調査を、けさも林野庁からちょうだいしました。事実そうなんです。
 ということになりますと、農林省は白ろう病を拡大して、どんどん民間へ下げていくという結果に端的に言うとなるわけですから、そういうことにならないように、請け負わせるという請け負う資格の問題と、それから請け負った人が労働者を使っているその実態、それが賃金のピンはねになっているようなことになってはいけないと思いますが、その点、ないようにひとつ御指導願いたいと思いますし、具体的には後で論議をしますが、そういった大臣の指導的な決意だけ聞いて終わりたい。
○石田国務大臣 私も、御承知のように秋田県の出身でありまして、白ろう病の実態についてはよく知っておるつもりでございます。これに対しては林野庁との間に、いま御指摘のような事態を含めて、協議機関を順次いわゆる林業県に対して、すでに設けたところもございますし、いま設置の準備を進めておるところもあるわけであります。いま御指摘のような事態、これは職業安定法上も問題があるかとも思います。そういうことの防止に努めたいと存じます。
○原(茂)委員 終わります。
○芳賀委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十六分開議
○芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。春田重昭君。
○春田委員 私は、最初に婦人問題についてお聞きしてまいりたいと思います。
 政府は、ことしの二月一日、一昨年国連で行われました国際婦人年世界会議で採択されました世界行動計画の日本版とも言うべき「婦人の十年国内行動計画」を発表したわけでございますけれども、これにつきましては賛否両論いろいろあるわけでございまして、これまでの政府の姿勢から見れば、一歩前進したと、その努力は評価するにやぶさかではございませんけれども、反面単なるアドバルーン的な要素が強いのではなかろうか、こういう意見もあるわけでございまして、こうした計画を実施するに当たりまして、政府としても相当の決意で臨む必要があろうかと私は考えるわけでございますけれども、まず最初に大臣の決意のほどをお伺いしたい、このように思うわけでございます。
○石田国務大臣 いまのお話のように、国際婦人年が制定され、それに基づいた行動計画をつくったわけでございます。婦人の地位の向上、それから同一同種の労働における婦人の不平等な取り扱いを排除する等を中心といたしまして、労働省が担当する分野で熱意をもって計画の実現に努力をするつもりでございます。
○芳賀委員長 春田委員に申し上げますが、ただいま森山婦人局長が出席しておりませんので、必要であれば出席を求めて、その際、婦人問題をやられたらどうですか。
○春田委員 結構です。
 大臣から答弁があったように、努力していくということで、その姿勢はうかがわれたわけでございますけれども、私はこの計画を推進するに当たりましては、当然国内法規の見直しもする必要があると思いますけれども、それ以上に、問題になっておりますILOの条約、つまり八十九号、それから百二号、百三号、百十一号、この四条約については早急に批准すべきである、このような声もありますし、私も思うわけでございまして、政府としては、この四条約に対して将来批准する考えがあるのかどうか。また、その具体化のためにどのような努力を払うつもりなのか、その辺の腹をお伺いしたい、このように思うわけでございます。
○石田国務大臣 基本的には、ILOの条約をできるだけ多く批准したいと考えるわけであります。いま御指摘の諸条約につきましても、日本の国内法との調整の問題がございます。それから日本の現状に即して、日本の国内法の方が適当であるという問題もございます。そういう点を勘案しながら、基本的にはできるだけ早く多く批准するという体制をすべからくとってまいりたいと思っております。
○春田委員 いまの段階では明確にされてないわけでございまして、早急に批准をしたいという大臣の答弁があったわけでございますけれども、早急にということは、これは前から問題になっているわけでございまして、この段階におきまして大体めどをいつごろの時期に置くのか、その辺のあれがわかっておれば、お示し願いたいし、また条約を批准する場合、一括として批准するかどうか、その辺も明らかなれば、ここで御説明願いたい、かように思っております。
○石田国務大臣 基本的には、先ほど申し上げましたように、国内法あるいは日本の現在の制度との勘案が必要であろうと思うのでございます。個々それぞれの条約について事情が違いますので、官房長からお答えをいたします。
○石井(甲)政府委員 先生御指摘の条約については、先ほども大臣からお答え申し上げましたように、国内法との関連がございます。特に大きな問題としましては、産前産後の問題、あるいは夜業の禁止の幅の問題という労働基準法との関連が非常に深い問題もございますので、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
○春田委員 検討していきたいということでございますので、これは早急にひとつその辺のところを検討願いたいと思うわけでございますが、そこで国内法の労働基準法の問題が出てきたわけでございますけれども、この労働基準法の改正も、男女平等の労働権を確立するためには、やはり重要な問題であろうかと思います。
 そういう点で、いままで婦人の地位向上というものが言われていながら、実際は形式的な面があったので、そういう点では法律で実質的に保障していくためにも、この基準法の改正は必要ではなかろうかと私思うわけでございまして、この労働基準法の改正につきましては、それならばいつごろ改正される意思があるかどうか、お尋ねしていきたいと思うのです。
○石田国務大臣 労働基準法はもう制定後、御承知のように三十年たっておるわけで、その当時と現在とは事情が大変違ってまいりました。そこで、婦人の問題だけではなくて、全体としてこれを見直す必要がある。いま労働基準法の研究会を積極的に開催をいたしまして、労働基準法全体を見直す作業をいまいたしております。いつごろという時間をまだ申し上げられませんけれども、できるだけ早い機会に全体を見直したい、その中で、いま御指摘の男女の平等というものの実現を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○春田委員 いずれにいたしましても、この行動計画が絵にかいたモチにならないためにも、労働省だけの問題でもありませんし、関係各省庁と連絡をとり合いながら各階層の意見もまた取り入れて、早急に婦人の地位向上を図るために急いでいただきたい、このように要望しておきます。
 続きまして、このような動きとは別に、いま話題になっておるのに、婦人の日を設けまして、これを祝日とするという問題が出ておりますけれども、この婦人の日を設ける、設けないという是非論は別といたしまして、一部では余りにも発想が思いつきみたいではないかとか、特定の団体の意見のみを取り上げて早急に結論を出すのは慎重審査に欠けるというような批判も出ているわけでございますけれども、この婦人の日の祝日の問題につきましては、労働大臣としては、どのような御見解を持っておられるのかお伺いしたい、このように思うわけでございます。
○石田国務大臣 婦人の日を設けること自体には意義があると思います。ただ、それを三月三日というのは、私は賛成いたしかねます。婦人の子供の目じゃないのですから、大人の婦人の問題を考える日としては適当ではない。むしろ選ぶとするならば、婦人参政権が施行された四月十日などが適当ではないかと思いますが、これもやはり多くの人々の御意見を聞いてコンセンサスを得た上で行いたいと考えております。
○春田委員 それで大臣としては、今国会にその法案を、法制化するために提出する腹があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○石田国務大臣 これはいつの日が適当だということを決めること自体に、いろいろな各方面の意見を聴取する必要があると考えておりますので、今国会ということは、なかなか申しかねることでございます。
○春田委員 続きまして週休二日制の問題についてお尋ねしてまいりたいと思いますが、最初にこの問題につきましては、人事院の方から御答弁を願いたいと思います。
 政府は、昨年の十月、試験的に公務員の週休二日制を実施されたわけでございますが、まだ継続中とお聞きいたしております。この公務員の週休二日制の試行はいかなる方法で実施されたのか、まず最初にお尋ねしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○中村(博)政府委員 先生御承知のように、四十七年からたびたび勧告に際しての報告をいたしてございました。民間の進捗状況ともにらみ合わせながら昨年は試行に入る、こういうことで意思を表明したわけでございます。幸い各省の御協力を得まして十月からテストを実施する、こういうことになったわけでございますが、その方針としましては、大体十分の三の職員を対象として毎土曜日その四分の一ずつが休む、こういうことでございます。したがいまして、パーヘッドにしますと、大体一年に三回ないし四回という態様で現在試行を行っておるということでございます。
○春田委員 まだ中間段階でございますので、早急にこの結論は出しがたいと思いますけれども、現在まで試行されて、十月からですから、大体半年近くなるわけでございまして、現在まで週休二日制をして、どのような変化があったか、御説明をひとつ願いたいと思うのです。
○中村(博)政府委員 いま先生もおっしゃいましたように、現在試行中でございます。それで、昨年の十月からでございますけれども、先ほど申し上げましたように、十分の三でございますので、したがっていろいろな分野、たとえば窓口職員であられるとか、あるいは交代制勤務者だとか、あるいは一般の官庁執務時間による普通のデスクワークをしておるとか、いろいろな態様がございまして、そのような態様のあらゆる職種について全部いままで済んだわけではございません。この四月から発足するのもございますし、そういうようなことでございますので、そもそもテストというのは、あらゆる職種、職務につきましてすべて一応実地にテストして、そして将来いつかの本格実施の時期に、国民に行政サービスの低下ということで御迷惑をおかけしないというデータを得たいというわけでございますので、私ども、いろいろな実施結果をどのようにとるかという点については現在検討中でございます。
 早急に現段階の状況をとりたいと思ってございますが、御承知のように、いまも申し上げましたように、いろいろな段階で進んでまいりますので、最終的にはある期間をかけないと、その結果は検討に値するものが出てこないのではないかということで、いま息をひそめて見守っておるという段階でございます。
○春田委員 現在は、まだ報告の段階に入っていないということでございますけれども、ことしの九月まで一応行われるわけでございますけれども、中間的な報告はおとりになる意思のように、いまの答弁で拝されたわけでございますが、大体いつの時点で中間的な報告をお受けになるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○中村(博)政府委員 現在各省といろいろ御相談を重ねてございまして、形式的にとっても意味がないことでございますから、どういう項目を入れて、どういうかっこうで報告していただけば、いま申し上げましたように、今回のテストの本旨に最も沿うかということを検討中でございますが、大体成案が固まりつつございますので、四月に入りましたら、その時期で一応御報告を願おうか、かように私どもの心づもりをしておるわけでございます。
○春田委員 私なりに週休二日制の問題は、いろいろ考えているわけでございますけれども、四月のまとまった段階で改めて御質問を展開してまいりたい、このように思っておるわけでございます。
 それでは、大臣の方にお伺いいたしますけれども、労働省としては、この週休二日制の問題につきましてはどうとらえておられるのかお聞きしたい、このように思うわけでございます。
○石田国務大臣 労働者の福祉増進のためにも、あるいはまた先進各国と労働条件の上において公正な競争をいたしますためにも、週休二日制ができるだけ速やかに普及することを労働省としては望んでおるのであります。
 現在の普及の状態あるいは規模別の現状等につきましては、担当者から説明いたさせます。
○桑原政府委員 お答えいたします。
 一番新しいデータ、私どもの手元に昭和五十年のものがございますが、三十人以上の規模をとってみますと、月一回を含めまして、いわゆる何らかの週休二日をとっている企業が四四%を占めております。それから適用労働者数で見ますと七〇%、こういうふうになっております。規模の大きいほどその普及率は高うございます。たとえば千人以上では、何らかの週休二日制をとっているのは八〇%を超えております。百人未満になりますと三〇%台、こういうふうになって落ちていっております。特に零細企業になりますと、その比率がぐんと下がってまいりまして、三十人未満になりますと十数%ということになってまいりまして、企業の格差がやはり非常にあるということでございます。
○春田委員 政府としては「週休二日制の普及促進について」ということで通達を出されているようでございます。この中で、その普及目標を設定されているわけでございます。
 第一点としましては、読んでみますと、「一九八〇年代早期までに、完全週休二日制、週四〇時間労働制を全産業界に一般化することを目標とするが、この目標をできる限り早く達成するよう関係者がそれぞれの立場で努力すること。また、この目標に至る過程において、今後、遅くとも五年間のうちには、大企業については大部分の企業に完全週休二日制の実現をめざすものとし、中小企業については月一回制、隔週制等を含む何らかの週休二日制の一般化を図るよう努めること。」ということで、通達が出ているわけでございます。
 「一九八〇年代早期」と長期的な構想でございますが、当面の課題として、五年のうちに「大企業については大部分の企業に完全週休二日制の実現をめざす」、中小企業につきましては「何らかの週休二日制の一般化を図る」ということで決定されておりますけれども、四十八年に出されたわけでございまして、五年以内ということは、五十二年度いっぱいまであるわけでございますが、この四年間に至りまして、この通達がいかに各企業に生かされているかということをお伺いしたいわけでございます。
 当面、来年いっぱいの五年以内には、先ほど言ったような徹底を図るということをおっしゃっております。もう一年ありますけれども、その辺の経過、現段階においての御説明を願いたい、このように思うわけでございます。
○桑原政府委員 いまお示しの通達は昭和四十八年の一月の通達だと思いますが、この通達の考え方は、現在も堅持いたしております。
 ただ、具体的に、短期的な見方になってまいりますと、ちょうどこれは高度成長期の一番華やかな時期に書いた通達でございます。考え方としては変わりませんけれども、その後、先生も御承知のように、石油ショックその他を契機といたしまして、日本の経済が高度成長から成長率低下の段階に入ってきております。そういった意味で、最近の私どもの週休二日の誘導政策につきましては、ややテンポが落ちていることは事実でございます。
 たとえば数字で申し上げますと、昭和四十八年は、ちょうど三〇%でございましたから、五十年までの間に一四%ばかり上がって四四%になっております。このテンポが、五十一年の数字がまだございませんけれども、最近落ちてまいっているのではないかというふうに考えられます。特に零細、中規模、その辺の段階でスローダウンが見られます。
 やはり全体の景気の帰趨ということも、私どもの行政推進の対応の仕方としては十分配慮していかなければなりませんし、それから中小企業は、やはり景気だけの問題でなくて、他の競争企業とのことを非常にお考えになっている、あるいは取引条件のことをお考えになっているということでございますので、私どもとしては、五年とかそういうような問題につきましては、四十八年の方針から比べますと、ややスローダウンしておりますけれども、こういった一九八〇年のビジョンというような意味では、逐次この週休二日の推進を、特に中小企業に配慮しながら、きめ細かな行政指導をやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○春田委員 この目標達成の見通しは、どのようにお考えになっていますか。
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、この週休二日も、やはり経済成長の成果というものが一つの形として、週休二日なり時間短縮になっていくと思いますので、そういった日本経済の今後の帰趨との関連で考えませんと、いつごろどうなるということもなかなか、特に現段階においては私どもとしても断言できないようなことでございます。したがって、当初考えておりました五年というのが、私はやや若干延びるのではないかというふうに感じております。
○春田委員 いまの局長の答弁でもあるように、この四十八年の通達はまだ生きているわけでございますけれども、私はやはり早急に見直す必要があるのではなかろうかと思います。
 そこで、いま局長からも、中小企業の特に週休二日制が実態としては非常に悪いということの話がありました。確かに、先ほど説明があったように、三十人以上から百人につきましては三五%、百人から千人までは約六〇%、千人以上で八三%、こういう形で数、字が出ております。ところが、三十人以下というと一三・三%ということで非常に低いわけでございます。この原因はいろいろあろうと思いますが、やはり日本の経済構造が大企業優先の政策をとって、その下に中小企業の構造があるということで完全に二重構造になっている、そのひずみが、こうした中小企業にきているのではなかろうか、こういうことで私は考えるわけでございまして、週休二日制は時代の趨勢でもありますし、何としても大企業、中小企業ともに早急に一〇〇%に持っていく必要があるわけでございます。
 しかし、いま局長の答弁にもあったように、中小企業におきましては取引上の都合とか、他社が実施しないから、自分のところもできないとか、生産量を減少しないためにも週休二日制どころではないというのが本音ではなかろうかと思うのですね。そういう面では、この考え方は事業主がそのように主として打っているわけでございまして、私は、この考え方をやはり一掃していくためには、事業主も、またそこに働く勤労者も、ともに週休二日制を享受できるような土壌をつくる必要がある、このように思うわけでございまして、この中小企業に対する週休二日制の具体的な施策をどのように今日までとってこられたのか、その辺をお伺いしたい、このように思うわけでございます。
○桑原政府委員 中小企業の週休二日の推進に当たりましては、私どもは特にいま先生のお話がございましたように、私先ほど御答弁いたしましたように、お互いに中小企業はもたれ合いのかっこうがございますので、やはり産地ごとに、あるいは業種をつかまえて、そして、できるだけそういった業界のコンセンサスを符ながら進めていくのが一番有効ではないか。
 実は、石田大臣がおられまして、ずっと最初のころでございますけれども、週休制そのものが非常にむずかしい時代がございました、特に商店、問屋街等は。そういうときに、大臣なんかの御指示がございましたのは、やはりそういった問屋街を中心にして、業界がそれぞれ申し合わせをしてやっていくというようなことが早道でございますので、私ども行政の指導の方式としては、そういった産地、業種、団体ごとと申しますか、そういったところに拠点を置きながら強力な行政指導をしてまいりますし、またそのことが、ひいてはやはり中小企業の繁栄につながるということを、十分にお話し合いしながら進めていきたいというふうに考えております。
○石田国務大臣 いま基準局長からちょっと御説明申しましたが、私がこの役所に一番先に参りましたのは二十年前でございますが、そのときには週休制そのものさえも実行していない。特に、それが流通部門において非常に多かったのであります。そこで、私は問屋でやらせてみようと考えまして、東京の問屋にこれを実行すべく行政指導をいたしました。当初は非常な反発があった。特に売り上げの減少を恐れる反発が非常に多かったのであります。ところが実際実施してみますと、売り上げは減少しない、しかも一日分の経費が浮くわけでありまして、いまでは、むしろ感謝をしておるわけです。
 現在二日制を実施するのがむずかしいところは、私は自分で統計をつかんで言っているわけではありませんが、やはり流通部門の方が多いような感じを持っております。取引相手との関係とか、あるいは取引条件の問題、あるいは生産力の問題、こういうことが案外大きな理由になっておって、人件費、コストという点については、それを理由にして踏み切らないのは案外少ないわけであります。
 したがって、そういう意味の、問屋街でやったような経験を生かした行政指導が意外な効果を持つのではなかろうか、私はそういうふうに考えて、そういう点で業種別に、あるいはモデルケースをつくるなりして指導をして効果を上げていきたいと考えております。
○春田委員 中小企業の週休二日制という問題は、これは労働省だけではなくて、中小企業の振興対策上におきましても、やはり他の省庁と連絡をとり合い協議し合って、いろんな助成等も図っていく必要がある、私はこのように思うわけでございまして、その点は十分配慮して今後進めていただきたいというように思うわけでございます。
 いずれにしましても、この週休二日制というのは時代の趨勢でございます。先進国では日本だけが、この週休二日制の取り組みが非常におくれている、このようにも指摘されておりますので、どうか一片の通達だけで終わらないように、もっと具体的にその辺を進めていただきたい、このように要望して、週休二日制の問題は終わりたいと思います。
 続きまして、雇用促進住宅についてお伺いしたいと思うわけでございますが、この雇用促進住宅は、当初炭鉱離職者対策の一環として設けられたというように聞いているわけでございますが、その後の環境の変化によりまして、法改正も二回行われたそうでございますが、現在では一般の住宅困窮者には門戸を開放しているという現況だと聞いております。
 設立の目的からは大きく内容を変えている今日、住宅の規模、内容もそれに対応したものにすべきであるという、入っている方からの要請が非常に強いわけでありますけれども、細部にわたる議論は後にしまして、現在の雇用促進住宅に対する基本的な認識を最初にお聞きしていきたい。さらに、将来に向けてどのような位置づけをなさろうとしているのか、あわせてお伺いしたいと思うわけでございます。
○石田国務大臣 今日は、いわゆる炭鉱離職者の状態というものは非常に変わってきておりまして、雇用問題と住宅というものを絡ませて考える場合は、炭鉱離職者だけに限られるべきではない。しかしながら、依然として雇用を促進するために住居の移転を伴わなければならない場合が多い、そういう場合に役立てるということが、やはり第一義的な目的であろう、こう考えております。しかし、それだけに限定しないように法改正を行ったことは、いまお話のとおりでございます。
 どちらに重点を置き、基本を置くといたしましても、やはり住宅の環境、条件というものを一般的に進む速度に合わせて改善をしていかなければならない。そういう種類の改善、たとえば二DKを二つ合わせて一軒にするとか、これからつくるものについては三DKにするとか、そういう所要の改正はいたしておるつもりでございます。
 それから、異動のために役立てることが第一義的なものでありますから、やはりある程度あきをこしらえておかないと、うまく役立てるわけにいきませんので、そういう点も配慮いたしております。
○春田委員 それでは、現在の利用状況について数字を挙げて御説明を願いたいと思うのですが、一番新しい資料で、どれだけの運営戸数がありまして、入居者がどれだけありまして、空き家がどれだけあるかということを、数字の上で御説明願いたいと思うのです。
○北川政府委員 お答えいたします。
 雇用促進住宅の入居状況でございますが、五十一年十二月末現在における運営戸数は、九万六千九百十八戸でございます。これに対しまして、現に入居しております戸数が八万八千二百三十六戸でございます。したがいまして、入居率が九一%、こういうことになっております。
○春田委員 先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、やはり若干空き家にしておく必要があるということでございますが、いま御説明があったように、全体の一割弱があいているわけでございますけれども、私にしては一割でも、ちょっとあき過ぎではないかという感触を持っておるわけでございますけれども、強いてこれは一割弱あけておくのか、現在入る人がないのが、その辺のところを御答弁願いたいと思います。
○北川政府委員 御承知のように、雇用促進住宅は毎年五千戸ずつくらい増設をいたしております。いま九万六千戸につきまして申し上げましたのは、結局その年度の計画で建てたものも入っておるわけでございまして、当年度に建てましたものにつきましては、入居率がまだ十分でないというのがございます。そういうものを除きますと、大体年度間九五%の入居率でございます。
 私の方の考え方としましては、大臣が申し上げましたように、移転就職のための住宅でございますので、五%程度の空き家、その程度の率は、これは制度のたてまえからいって当然ではないか。ただ、これはマクロ的に申し上げる数字でございまして、地方によって、住宅によって、建てましてから二、三年たっておるにかかわらず、九〇%を割っておるのがないではございません。そういうところにつきましては、今後のそういうもののPRあるいは入居のためのあっせんを安定所等を通じまして積極的に進めるということで、制度全般的に本来の雇用促進住宅の趣旨に沿いまして運用されるように努力をさらに一層続けたいと思います。
○春田委員 いま局長から先に答弁がありましたので、ちょっとあれなんですけれども、そういう実態が大阪でもあるわけでございまして、一割以上あいているところがあるわけでございます。そういう点で、私が住宅を調査したところによると、余りにもこの住宅が、近代生活をするには間取りとか設備とか、そういう面において非常に不備な点がある、こういう点で入居する人が少ないのではなかろうか。たとえ一たん入居しても、余りにも不便でございますので、そういう点では出ていく人があるのではなかろうか。現在入っている人はどうか、こういう議論になるわけでございますけれども、現在入っている人は、やはり諸物価の高騰等でなかなか新しい家を見つけることができない、いわば出るに出れない、生活のために、あえてそこに構えている、こういう現況ではなかろうかと思うのですね。それは、入居者のほとんどの方が中小企業に従事する方で占められております。二十人未満の零細といいますか、中小よりも零細企業に勤める方が約三分の一おるわけでございまして、そういう点では非常に大変な方たちが入っていると思います。
 そういう点で、私は、この現在の住宅の設備をやはり改善していく必要があるのではなかろうか、こう思うわけでございまして、現在住宅には三DKと二DKがあると聞いておりますけれども、たとえば二DK、これは家族で四人住むには非常に狭いのですね。そういう点で、先ほど大臣がおっしゃったように、二戸を一つにして考えるということもおっしゃっておりましたけれども、こういう施策をどういう形でとっておられるのか、その辺のところをちょっと御説明願いたいと思うのです。
○北川政府委員 この雇用促進住宅が始まりましたのは、たしか昭和三十四年からではないかと思います。先生御指摘のように、炭鉱離職者対策として、この制度を始めたわけでございまして、最初の場合には、二Kでふろ場もついていないというものを、私も当時担当の課長で、かなりつくりました。しかし、その後大蔵当局の御理解も得まして、それを二戸を合わせまして三DKの一戸住宅に改造をしておりますが、なかなか全部を一挙にというわけにまいりませんで、毎年二百戸ずつその改造を進めております。
 それから、最近建てますものにつきましては、明年度五千戸について、その半分の二千五百戸は三DKを財政当局から認めていただいておりますので、そういう意味では、漸次居住条件が改善をされておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○春田委員 漸次改善されているということでございますけれども、それではちょっと追いつかないのですよ。現在入っている方たちの苦情は、とてもじゃないが、いろいろな苦情を聞きましたけれども、大変な状態にございます。
 たとえば、こういうことはできるのですか。家族が四人住んでいる。お互いひしめき合って住んでいるわけでありますけれども、その住宅で空き家があった場合、たとえば四人家族とか五人家族の場合においては、もう一世帯分離できるとか、そういう方法は考えておらないのですか。
○北川政府委員 現在ほかに余裕がありますところで、なおかつ家族の方が非常に多いというような事情につきましては、弾力的に運用いたしまして、二戸、特に貸与をするという方便をとっておるわけでございます。だから、今後そういう御希望があれば、なるべく御希望に沿えるように運用をしたいと思います。
○春田委員 空き家があれば考えていくということでございますが、それも無差別にはできないと思うのですね。たとえば四人家族とか五人家族とか、家族の中でも、子供さんが中学に上がったとか高校に上がったとか、そういう年齢的な面もあると思うのですが、そういう基準はないのですか。
○北川政府委員 まだこの特例をそう広く認めておりませんので、基準まで確立したものを考えておりませんが、御指摘でもございますので、今後そういう基準についても検討さしていただきたいと思います。
○春田委員 私が聞いている範囲内では、これは大阪のある住宅でございますけれども、いまの局長よりもぐっと進んでいるわけですよ。実際四人家族で子供さんが十五歳以上になれば分離しておりますということで、支部支部単位で、各支部で、それは自主性に任されているのではなかろうかと思いますけれども、そういう実態を把握していただきたいと思うのですが、現在そういう弾力的な応用をなさっていることであれば、一つこういう具体的な例があるのです。
 たとえば、分離できるわけですね。四階に親子四人が住んでいる。ところが、二階に空き家があいた。そしたら二階に移してしまうわけですよ。しかし、食事の便とか、子供さんも小さいから不便な面がたくさんあるわけですね。たまたま四階の隣があいた。空き家になった。そこに二階から移動できないかという要望が住民の方からあるわけでございますけれども、現在それは認めてないそうでありまして、せっかくあきましたならば、そういう弾力的な応用があれば、それくらいはできるのではなかろうかと思いますけれども、局長としては、この辺どうお考えになりますか。
○北川政府委員 御指摘のように、管理人そのものの判断で、ある支部では分けて入居をさせるというようなことについて、弾力的な措置をとっておるようでございます。そういうたてまえから言えば、それだけ弾力的に運用をするのであれば、先生の御指摘のような例については、さらに便宜が図れるように、その家族が隣同士に住めることが最も望ましいことですから、そのことによって、ほかの入居者に迷惑がかからない、そういう前提の上で、そういう弾力的運営が望ましいと私も思います。
 なお、この運営につきましては、雇用振興協会に私の方が雇用促進事業団から委託をしておるわけでございますので、その両者の話し合いで、そういう実態に合ったこれからの運用を図るように指導をしてまいりたいと思います。
○春田委員 それではもう一点あるわけでございますが、いわゆる電力の容量の問題があるわけですね。現在、私が知っておる大阪の一住宅でございますが、ここで二・〇ミリの電線を使っているのです。一般家庭は二・六を使っているのですね。したがって許容アンペア数が十五アンペアなんです。こういうことでテレビとかトースター、冷蔵庫、それから電気がまを同時に使った場合にヒューズが飛んでしまうわけです。ましてや、クーラーとか電子レンジなんかとても使えない。電子レンジは非常に上級品でありますからあれですけれども……。特に私が申したいのは、クーラーの使用の問題なんです。
 こういう例があるのです。四階に住んでいる方、いわゆる一番屋上に住んでいる方ですね。この方が、夏になりますと、非常に屋根が薄いコンクリートで覆われていますので、真夏になりますと、ひどいときになると直射日光を通して約四十度ぐらいになってしまうのです。深夜でも二十度ぐらいの余熱がまだ残って、とてもじゃないが休めない。小さい赤ちゃんなんか夜中じゅう泣き通しでなかなか寝つかれない。また湿疹やあせもが出てくる。大人でもなかなか眠れないときがあって、あすの仕事に差し支える、こういう問題がありまして、何とか電力の容量を上げて、クーラーがせめて使えるように願えないか、こういう切なる要望があるわけでございますけれども、この点につきまして、局長はどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
○北川政府委員 電力の容量をふやすための設備改善につきましても、四十九年から逐次進めておりますけれども、まだなかなか最近の生活水準の向上――いまおっしゃっているのを聞きまして、雇用促進住宅の中にもクーラーをつけられる方がお入りになっている、ちょっと、私感慨無量なんですけれども、それに追いつかないようでございますが、逐次改善のテンポを進めておりますので、なるべく御要望に沿えるように、ただ予算の制約もありますので、それとの見合いで努力をいたしたいと思います。
○春田委員 いま局長は、クーラーを使っているのは感慨無量とかおっしゃいましたけれども、いまクーラーは生活必需品の一つとなっておりまして、決してぜいたく品ではないと私は思うのですよ。こういうことで、どうか前向きに検討をなさっていただきまして、三年前から電力アップをなさっていると聞いておりますが、もっと枠を拡大して、特に屋上の方には優先的に措置をとっていただきたい、このように思うわけでございまして、「新たな前進」という雇用促進事業団のパンフレットがありますけれども、この中にはいろんな声が入っているのですね。「緑に囲まれた最高の住まい」非常に喜んでおります。それから「環境抜群で安い入居費」ということで、中身は、いろんなうたい文句で非常にいいようになっているのですよ。ところが、実際古いところはそうじゃない。
 こういう点で看板と偽りのあるような中身で、私の知っているところがありますので、もっと改善をしていただきたい。このように要望するわけでございます。
 それで、続きまして雇用問題についてお聞きしたいと思いますが、労働省としては、現在三月までの有効求人倍率と、それから完全失業者はどれくらいとして把握されているのか、御説明をいただきたいと思います。
○北川政府委員 現在一番新しい数字は、本年の一月の数字でございますけれども、安定所の窓口におきます有効求人倍率、これが〇・六二でございます。なお完全失業者につきましては、先日総理府から労働力調査として発表されておりますけれども、百十四万、こういうふうに把握をいたしております。
○春田委員 この問題は大臣にお伺いしたいと思いますが、労働省として、ことしの初め、この有効求人倍率の回復と、完全失業の減少に対しまして目標をお立てになったと思うのです。その目標の数字はどれくらいだったか、お聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 三月末まで有効求人倍率〇・七七と考えます。完全失業者数は九十万という見通しというか、努力目標でございます。
○春田委員 努力目標でございます。そう言えば済むことではないと私は思います。先ほどおっしゃったように、一月の時点で〇・六二、三月目標は〇・七七でございまして、かなりの差がありますし、完全失業者にしても、目標の九十万は三月の時点でございますけれども、一月現在で百十四万あるということでございまして、若干差があるわけでございます。この努力目標に向かいまして、それなりの措置はなさっていると思いますが、先ほどの説明では、一月の時点ですから、これと対比はできませんけれども、三月までにこの努力目標に向かってどれくらいまで近づけていけるか、また目標は達成できるかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思うのです。
○石田国務大臣 具体的な数字は事務当局からお答えいたしますが、正直に申しまして、景気の停滞がなお続いております。そこへ加えて、毎年三月という年度がわりは、失業者の非常に出やすい月でございます。したがって、この努力目標達成は非常に困難だと考えております。
○北川政府委員 若干数字的な補足をいたします。
 いま先生おっしゃいました〇・七七及び九十万は三月末数字ではなくて、昨年の五月に、本年度の見通しとして、年度間の平均の数字として出したものでございます。ただ、大臣が申しましたように、その後の経済活動の沈滞が予想外でございまして、それが非常に求人手控えに響いておりまして、達成は非常に困難と私たちも考えております。
○春田委員 確かに景気が回復しないという点が大きな原因じゃなかろうかと私も思います。しかし、やはり根本的には、長期的な、また総合的な視野に立った雇用政策の欠落ということにもあると私は思うのです。そういう点で、やはり労働省独自の雇用政策を立てるべきでありますし、今日までその対処をなさってきたと思いますけれども、今後この労働省独自の雇用対策について、どのような決意でなされようとされているのか、その辺をお伺いしたい、このように思うわけでございます。
○石田国務大臣 全体から見ると、先ほどから申し上げております数字でありますが、その中で年齢別に分けてみますと、やはり中高年齢層が非常に高く、若年層においては有効求人倍率は一、あるいは一以上の場合もあり得るわけであります。したがって、中高年齢層、それから身体障害者層、そういう層に重点を向けて、まず第一に、失業が発生しないように各種の給付措置をとっております。それから、失業あるいは帰休等が発生いたしました場合に対する措置も臨時的に講じております。また雇用保険金の給付につきましても、従来はその保険に加入しておった期間の長さによって給付をランクづけしておったわけでございますが、現在は再雇用される可能性の弱い者、つまり中高年の層が手厚くいくように編成がえをしておる次第でございます。
 ただ単に、景気の中だるみということだけではなくて、あるいは景気先行きに対する見通し難からの求人手控えということだけでなく、長い間人手不足が続いたために、それに対応する手段としての合理化が行われている、そういう結果も非常に雇用の増大を妨げているように思います。
 一例を申しますと、これは私の郷里でございますが、小坂鉱山という鉱山があるのです。月平均六、七百トンの電気銅を生産しておったときに三千人余の労働者がいた。それがいま三千六百トン生産しておるのに千人しかおらない。そういうような背景も非常に多いように思います。
 ただ、こういうことは企業の一種の努力でありますし、法律でどうこうするわけにいかない。それから、結局、雇用を本当に安定させるためには、それなりの条件をこしらえなければなりません。
 これはやはり経済政策全体にわたる問題でありまして、私どもの役割りは、できるだけ失業の発生を防止する、あるいは産業の構造転換のための職業訓練を受けやすくする。そしてまた、やむを得ず帰休をするような場合、あるいは失業するような場合における給付を現実に合うように措置をするというのが、労働行政のなし得る限界であろう。特に訓練については、構造の変化というものがかなりの速度で行われておりますし、将来も続くと思わなければなりませんので、そういう点には重点を置いてやってまいるつもりでございます。
○春田委員 確かに、いま大臣がおっしゃったように、この雇用対策では、社会的に弱者である中高年の方、それから身体障害者の方であるとか、寡婦、こういう問題が非常に大きなウエートを占めているのじゃないかと私も思います。きょうは時間がございませんので、また別の機会に、その問題で雇用率の問題等をお伺いしたいと思いますが、最後に、雇用安定資金の問題につきまして、若干お尋ねしていきたいと思います。
 この安定資金は、今国会に提案されておるわけでございますけれども、一応評価はいたしますが、しかし、この安定資金というのは、あくまでも短期的な施策であって、長期的な施策では絶対あり得ない。そういう点で、やはり何点かの欠陥もあるのではないかと思います。
 まず、この運営でございますけれども、この運営は政府の一方的な裁量で行われるおそれがあるわけでございまして、労使の代表の参加を認めよという声も上がっておるわけでございます。政府ベースでいった場合、これは民主的な運営ではないと私は思うわけでございますけれども、運営面におきまして労使の代表の参加を認めるかどうか、これを大臣にお伺いしたい、このように思うわけであります。
○石田国務大臣 政府が独断で運営をする意思はございません。労使代表の参加をした別機関をつくれ、こういう御意見が非常に各方面から伝えられていることは事実でございます。ただ一方におきましては、この種の審議会とか諮問機関というものは多過ぎる、これを整理すべきだという議論が、特に予算委員会等で強く出されておりますし、政府といたしましても、八月を大体目途といたしまして、この行政改革の案をつくりたいと思っておるところでございます。
 そこで、この運営は、すでに中央職業安定審議会というのが三者構成ででき上がっております。そこの御意見を聞きながら運営していくという方針でございまして、新しく別機関を設けるというようなことは、いま申しましたような別の問題が絡んでまいりますので、現在ある機関の運営で民主的に行いたい、こう思っております。
○春田委員 私は、この雇用安定資金というのは、労働者の雇用安定が目的でございますので、そういう点では、労働者の雇用保険の立場から参加するのは当然である、このように主張しておきます。
 最後に、この雇用安定資金制度は、この雇用保険に入っていない方たちの救済は、どのようにお考えになっているのか、この辺のところをちょっとお聞きしたいと思います。
○北川政府委員 雇用保険は五十年より全面適用ということになっております。ただ一部、農林水産の個人経営の五人未満について完全適用ということにはなっておりませんけれども、ほとんどの事業が強制適用でございます。ただ、先生御指摘のように、当然適用でありながら、加入をしていない事業場が、かなりあることも事実でございます。
 これにつきましては、労災保険との一元化を進めまして、事務組合その他等の措置を通じて完全に適用、把握をするように、今後とも最大限の努力をいたします。
 なお、保険の給付につきましては、当然適用の事業場の労働者でありながら、事業主が保険料を納めないために不利益をこうむることのないように、当然適用の労働者につきましては、事業主がさかのぼって保険料を納めることを一つの前提にいたしまして、当然適用事業場の労働者として保険給付をいたしたいと考えております。
○春田委員 いまの御答弁にあったように、中小企業といいますか零細家内企業の方たちで、非常に漏れている方が多いわけでございまして、本来こういう方たちを救済すべきものが、この雇用安定資金制度ではないか、このように私は思うわけでございまして、政府の前向きの施策を期待いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
○芳賀委員長 安藤厳君。
○安藤委員 私は、労働基準法違反の実態が幾つかあります。それを指摘しまして、労働大臣、それから局長の御答弁をいただきたいと思うのです。
 まず最初に、労働大臣にお答えいただきたいのですが、労働者にいわゆる時間外労働をさせておいて、そして割り増し賃金はおろか所定の賃金さえ払わない、これは全く労働基準法違反でございますが、こういう違法行為を犯してまで労働者を搾取するということは、とうてい許されない、厳重に監督していただかなければならない問題だと思うのですが、まずその点、大臣にお答えいただきたいと思います。
○石田国務大臣 これは当然のことだと考えております。
○安藤委員 そこで、具体的に事例を挙げてお尋ねしたいのですが、三菱の名古屋航空機製作所というのが名古屋にございます。ここで、名前は作業研究と称して、昨年の夏ごろから幾つかの課で、作業能率の向上のためのテーマを与えて二人一組で作業をさせて、そして一カ月でそれをまとめろという仕事を与えられるわけですね。そして現場で検査してラインの仕事の能率向上の提言をさせる、こういうテーマを与えて、それが解決をしないと、ラインの仕事に支障があるということで、何としてでも一カ月以内の決めた日に提案をしろということで、まとまらないと、夜中の十二時あるいは午前一時ごろまであるいは休みにも出てくる、土曜日の午後も働くというような作業をさせているわけなんです。そして、そういうようなことで居残り仕事というのが慢性化しておるわけですが、これに対して全く時間外の割り増し賃金が支払われていないという実態があるわけです。こういう実態を地元の監督署が全く放置している。
 それから、たとえば一カ月の残業時間は一人当たり三時間だというふうに残業時間を規制しておいて、それを超過しないようにさせるために、定時の五時にタイムレコーダーを打刻させて、そしてそれから後でまた仕事をさせる。さらには事務関係では、女子の事務員がほかの労働者のタイムカードも一括して五時に打刻してしまって、定時に退勤したようなかっこうにして、そしてなお仕事をさせている、こういう実態があるわけです。
 さらに、同じ会社ですが、一人当たりの残業時間を超過したときにも何々対策という対策書という名前の始末書をとって、なぜおくれましたか、このおくれた点については、どういうふうにしたらいいだろうかという作業能率を向上させるための仕事をやらせておいて、しかも始末書までとるというようなことをやっているわけなんですね。
 私は、この点については監督署が抜き打ち検査をして、その実態をしっかり把握して、こういうようなことはやめさせるべきだというふうに思うのですが、その点について、いま私が挙げた事実からいたしまして、どういうふうにお考えになるかお伺いしたいと思う。
○石田国務大臣 具体的な事実は事務当局からお答えをいたしますが、それが研修であろうと、それに参加をしない場合には不利益な取り扱いを受けるとか、あるいは拘束をされるとか、そういうような状態を伴いますと、それは当然いわゆる基準内の労働と考えられる。それが合算して八時間を超えれば、超えた部分については割り増し賃金を支払わなければならぬ、これは基準法の規定でございます。いまの御指摘の具体例については、私は承知しておりませんので、事務当局から。
○桑原政府委員 私どもの方も、いま先生御指摘の具体的な事案について詳細に承知しておりません。
 ただ、お話のような事案につきまして、それが事実であるとすれば、やはり十分私どもも調査をして、そして違反があれば、当然それを法に従って処理をいたしたいと思います。また未払い賃金があれば、それはきちんと是正させたいと思います。
○安藤委員 調査していただくのは当然だと思うのですけれども、先ほど申し上げましたように、やはり抜き打ち的にやっていただかぬと、予告してやっていただいたのでは、いろいろな関係が全部口裏を合わせてしまって、証拠を隠滅するというようなことがございますので、その点、しっかりお願いしたいと思うのです。
 同じような事例が、トヨタ自動車株式会社でも行われているわけなんです。残業するのがあたりまえというような実態になっておって、しかも、どこどこの課では、一人何時間以上は残業させないというような内規みたいなものをつくっておいて、それを超えた部分はもう残業として扱わない、だから、その分は賃金カットしてしまうというようなことが行われておりますので、この点も、いま申し上げましたようなことで、しっかり調査していただきたい、そして是正させていただきたいと思います。
 それからもう一つ、これは刈谷市にあるアイシン精機、ここでは残業した労働者に対して、その翌日になってから残業時間を自分の方から申告をさせる。そして、申告がなければ残業として扱わないというようなことを行ってきているわけなんです。この点につきましては、昨年の十一月に刈谷の監督署が、これは労働者の訴えによって調査をしたわけなんですが、その調査の結果、タイムカードでわかる実働時間、それと実際の実働時間、もちろん残業も入っているわけなんですが、これとが完全に食い違っているということが判明したわけなんです。ところが、それ以後、その問題については監督署から厳重な注意なり処分なり行われた形跡が全くないわけですね。
    〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
 だから、その辺のところ、これは調査はされたのですが、労基署の方から会社の方へ調査に行きますよという予告がなされておって、そして調査の結果、いま言いましたような食い違いが出てきたわけですけれども、決め手がないというようなことで、うやむやにされているようなんです。だから、これもやはり抜き打ち的にやっていただきたいということを強く要望しておきます。
 それから、これはやはりトヨタ車体なんですが、これも、二人の係長などは残業手当だけで五十八万円も払ってもらっていないとか、あるいは一人の係長は二十七万円も払ってもらっていないとか、こういうような不満も出ているわけですね。だから、抜き打ち調査をやるということ、そういうようなやり方をやっていただけるのかどうか、その点だけ、ひとつお答えいただきたいと思います。
○桑原政府委員 私どもは、監督官の監督につきましては抜き打ちでやるというのが原則になっております。したがいまして、いまお話しのようなことは、私どもとしては考えておりません。したがって、その辺は十分調査をし、もしそういうことであれば、そういうことがないように十分指示をいたします。
○安藤委員 いまの残業の問題について、女子労働者に対しても、いろいろな問題があるわけです。サービス残業を強制しているというようなことがあるわけなんですね。私が調べたところによりますと、先ほど申し上げましたトヨタ車体それからやはりアイシン精機、これは事務系の女子従業員に朝十五分あるいは三十分早く出勤をさせて掃除をさせる、あるいは炊事の準備をさせる、こういうようなことをさせているのですけれども、これに対して時間外の賃金を全く支払っていない、こういうような事実があるわけなんです。この点も、しっかりお調べいただきたいというふうに思うのです。
 それから、具体的にもう一つ申し上げますが、やはり愛知県の津島市という市があります。そこにかたかなでツヤキンと書いた、これは染色会社なんですが、そこでは、出荷時の忙しいときには、連日五時を過ぎても女子事務員に仕事をさせておいて、そして五時になると、一斉にタイムカードをばっと押してしまって、それから後でまた仕事をさせるというようなことが実際に行われているということを私聞いております。それも厳重に調査をさせて、そして賃金はきちりと支払わせるべきだというふうに思います。これは厳重に調べていただきたい。やはり抜き打ち検査でお願いしたいというふうに思います。
 それから、労働基準法の六十一条では、女性の保護という立場から一日に二時間以上残業させてはならぬ、それから一週間に六時間以上はだめだというふうに規制がございますね。ところが、刈谷の労働基準監督署は、アイシン精機、トヨタ車体で、そういうような法に違反したことが行われているという疑いを持って、あるいは事実もキャッチしておりながら、そういうようなことをやってはいけないという勧告はしているらしいのです。勧告はしているらしいのですが、幾ら勧告しても、ちっとも守ってくれないで困った、困ったというふうに言ってみえるらしいのです。これは重大な問題だと思うのですが、その点は、同月さんは御存じないでしょうか。
○桑原政府委員 当該案件につきましては具体的に承知いたしませんけれども、私どもの監督の進め方は、先ほど申し上げましたように、原則は抜き打ちでございます。そして問題が、もし軽ければ勧告という形でやってまいりますし、それから安全性というような非常に生命に危険が伴うような場合には、直ちに送検というようなこともございますが、多少そういう順番を追ってやってまいります。しかし、勧告して聞かなければ、その次はさらに厳しい措置をとるというようなことでございまして、勧告しっ放しで、ほったらかすということば、私どもとしては、とうてい考えておりません。その事案につきましても、よく調査をしてみたいと思います。
○安藤委員 監督署が知っておりながら困った、困ったということでは、本当にいま局長さんのおっしゃったように、そのままにしておくことのできない問題だと思いますので、厳重に調査をしていただきたいというふうに思います。
 次に、年次有給休暇の問題につきましてお尋ねしたいのですが、先ほど申し上げましたアイシン精機という会社なんですけれども、普通、労働者が有給休暇をとろうというときは、法のたてまえからいたしましても、有給休暇届を出せばいいということになっておるはずですね。ところが、有給休暇届に休暇理由という欄がありまして、その休暇理由にしかるべき事項を書いてこいということを強制するというようなことになると、これは労働基準法違反だというふうに思いますが、いかがでございますか。
○桑原政府委員 理由を書かなければだめだというだけでは法違反になりませんが、理由を書かないために、有給休暇を与えないということになれば法違反になります。
○安藤委員 本来、有給休暇をとる権利の行使としては、休暇をどのように利用するかということは、労働者は何も言わなくてもいいはずだと思うのです。といたしますと、そういう休暇の理由という欄を休暇届に設けておるということが、休暇理由を労働者に書かせるということになるのじゃないかと思うのですね。だから、休暇理由を書く欄を休暇届にきちっと印刷をして、労働者にそれを渡すというようなことは、労働基準法違反になるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○桑原政府委員 基準法違反というふうになりますと、罰則つきで強制されますから、そういった意味では、そこまではいかないのではないか。ただ、私どもといたしまして、いま先生がおっしゃいますように、年次有給休暇を請求すれば与えなければならないわけでございますから、この理由を書かせる必要はないわけでございます。したがって、そういうようなことは好ましくありませんので、できるだけ行政指導で、そうしないようにいたしたいと思いますが、そのこと自体が法違反でいろいろな刑罰を受けるというところまではいかないだろう、こういうふうに申し上げておきます。
○安藤委員 そういう欄がちゃんとあって、それを書いてこいということになれば、休暇の使い方を労働者に申告させるというようなことになってきますし、理由のいかんによって認めないということは許されないことだと思いますので、その点もきっちり行政指導していただきたいというふうに思います。
 それから、有給休暇は、御承知のように労働者の権利でもありますし、労働安全の問題からも、休養の問題からも非常に大切な権利だと思うのです。ところが、この有給休暇を買い上げるという、これは前にもそういうことばいけないということになっておるはずなんですが、有給休暇を買い上げるということを、このアイシン精機の場合行っておるという事実があるのです。たとえば一日四百円、十日を超えた部分については一日五百円以上で買います。それはとんでもないことだと思うのですね。厳重に調査をして、こういうことはやらせないようにしていただきたいと思うのです。
 ここにアイシン精機のある課長がつくって労働者にアンケート調査をやった「欠勤者調査票」というのがあるのですけれども、有給休暇のことしか書いてないのです。幾つかの項目がございますけれども、たとえば第一項は「あなたは有休を計画的に取得しましたか」とか、これはすべて有休のことしかないのですが、第五項では「あなたば有休をどの程度とりたいと思うか」とか、第六項に至りますと、「有休を一〇〇%で買い上げた場合はどの程度有休を残しますか」こういうようなアンケートを課長さんが労働者に配ってとっておるわけです。しかも、それは普通のアンケートでしたら無記名だと思うのですが、ちゃんと氏名を書く欄があるのです。
 となると、有休のとり方によって、だれがもう有休を買い上げてほしいのか、あるいは有休はだれがたくさんとるのか、だれがとりたいと思っておるのかというようなことまで、個々別々にちゃんとチェックすることができるようなものなんです。これは当然の権利である有給休暇をとりにくくさせるというようなことにもつながるのじゃないかと思うのです。これは大変なことだと思うのです。だから、この点について早急に調査して、しかるべき措置をとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○桑原政府委員 法定の年次休暇を買い上げることは、違法でございます。したがって、その実態は調べてみたいと思います。ただ、法定以上に有給休暇があって、よくそれをとり残されることがございますね。そういう問題につきましては、これは労使の問題ということでございますが、しかし年次休暇はできるだけとるということについては、私どもとしては行政指導しておりますが、一人一人の労働者の意識の向上も、あわせて私どもは考えていかねばならぬ、こういうふうに思っております。
○安藤委員 労働者の意識の向上も大切でございますけれども、当然の権利の行使をさせないような仕組みに持っていく、あるいは当然の権利の行使としての有給休暇をとっても作業能率に支障を来さない程度に余剰人員も抱えて、人員配置を考えるべきであるにもかかわらず、人員を少なくするというような合理化の面から有給休暇をとりにくくするというようなことが、しばしばあちこちで行われているというようなことも聞いているものですから、そういう点で労働者の意識ということだけではなくて、やはり労働行政をきちっと法律に従ってやるという点で、そういう点を確立していただきたいというふうに思います。
    〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
 もう一つ。やはりきちっと調査していただきたいので、休暇買い上げの問題で、もう一つの会社を申し上げるのですが、先ほど申し上げました津島市のツヤキンというところなんですが、これは年休をとらない人をランクづけして三千円、五千円、一万円というふうに――もちろんたくさん有給休暇を残した人がランクが上になるわけなんですが、そういうふうにして報奨金を出しているというようなことまで行われているのです。実にこれはとんでもないことだと思うのですが、この点も調査していただきたいと思います。
 それから、これはちょっと色合いが変わるのですけれども、先ほどお尋ねしました点で出てきた会社、アイシン精機というところなんですが、これはトヨタ系の会社でございまして、そこの従業員にトヨタ系の会社でつくっている自動車に乗ってこなければ、この会社の駐車場を使わせない、そして出勤手当はいわゆるガソリン代ということで支払うことになっているのですが、それを払わない、こういうような差別を行っているという事実があるのです。もちろんこれは地元の刈谷労働基準監督署もその実態は知っているわけなんですが、この点は労働者に対して不当な差別を行っているのだと思うのですが、局長の御見解はいかがでしょうか。
○桑原政府委員 基準法で差別取り扱いということになりますと、三条の規定しかございません。したがって基準法違反という関係条文は、当該事件につきましては適用すべき条文がないと思います。
 それから、出勤手当がどういう形で、どういう意図で払われているか、その辺は、詳細中身を見ないとわかりませんが、それがたまたまトヨタ系の従業員の方に、トヨタの車にできるだけ乗っていただきたい、そういう奨励的な意味なのか、いろいろその辺の性格を見ませんと、一概にそれがどういう性格のものかということが必ずしも言えません。少なくとも基準法上の差別取り扱いの規定には該当しないのではないかと思います。
○安藤委員 会社の奨励的な意味というふうに言えば、非常に言葉はきれいでございますけれども、うちの会社の車を買わぬやつは、普通の従業員と違って差別するんだ、そういう露骨な態度が出ているのではないかと私は思うのです。
 それで、これは普通の下請の会社でも、たとえばトヨタ、日産、いすずとかいろいろな会社へ出入りしている下請の人たちは、それぞれの会社へ行くときは駐車場に入れてもらえないものだから、いすゞの会社の車も買う、トヨタの会社の車も買う、日産の会社の車も買うということで、たくさん持ってないと、それぞれ行けないという実態まであるわけなんです。
 これは、ちょっと話がずれておりますけれども、いまの労基法の問題でいきますと、労基法のもとの憲法十四条の法の下の平等ということですね、そういうことからしても、これは違反じゃないかと思う。
 それから、労働基準法関係は、いまおっしゃったように三条、思想、信条、それから社会的地位などとありますね。もちろん、思想というまではいかぬかもわからぬけれども、ずばりとは言えないかもわからぬが、少なくとも信条、どういう車に乗るかということは、労働者個人の好みだと思うのです。うちの会社の車を好め、こういうことを言うというのは、人道上の問題にもなるし、労基法の信条以前の好み、だから、これは信条につながるのじゃないかと思うのですよ。その辺、一遍じっくり研究していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○桑原政府委員 その問題の具体的な中身を少し研究してみたいと思います。たとえば出勤手当とか駐車場の扱いとか、そういうのが強制されておるのかどうかという問題もございましょうし、検討してみたいと思います。
○安藤委員 労働協約によって出勤手当幾らというように決まっているわけです。それが全然ガソリン代は払われなくて、徒歩で通勤する者と同列の出動手当しか払われないわけなんです。だから、自動車通勤という出勤手当がゼロなんです。こればほかの労働者と比べてみて、何ら合理的な理由なくして差別されていると断ぜざるを得ないと思うのですね。そういう点については、いかがでしょうか。
○桑原政府委員 労働協約で出勤手当が決められております。それが直ちに賃金であるかというのも、もう少し実態を見ないとわからないと思います。要するに、出勤手当がどういう性格のものかということから、先生のお話のような法律論になってくると思いますので、その辺も、もう少し実態を調べさせていただきたいと思います。
○安藤委員 もう一点だけ。ほかの労働者と比べて、トヨタのカローラならカローラという車に乗ってきている労働者と、日産の車に乗ってきている労働者とでは、それだけ差別がなされておるというのは事実だと思うのですが、差別があるかないかという点についてはどうですか。
○桑原政府委員 基準法上の差別という意味ではなくて、持っておられる車種によって差がある、そこは認めます。
○安藤委員 以上で終わります。
○芳賀委員長 島本虎三君。
○島本委員 大変しばらくでありました。
 北海道の季節労務者、雇用保険法の施行に伴う特例一時金の制度ができてから、働く意思と能力と気力を有しながら、生活保護世帯に転落しかねない状態がいま起きておるわけであります。この就労と生活の実態について、労働省では実際係官を派遣して、この実態を調査したわけであります。その調査の結果に基づく今後の差し迫った対策を、この際、大臣に明らかにしてもらいたいと思います。
 きのう実は百万の署名を携えて国会へ来たのです。東北、北海道の、季節労務者でありますが、これを見た際に、このままにしておいていいのだろうかどうか、これはもう一回考え直さなければならないし、その実態こそは、労働省が係官を派遣して調査してきた結果に基づく今後の対策にまたなければならない、こう思うわけでありますが、大臣の決意と所信を聞かしてもらいたいのであります。
○石田国務大臣 具体的な実情については、御指摘のように係官を派遣いたしまして調査をいたしました。これはラウンドナンバーで申しますと、北海道の季節労働者は約二十八万人、そのうちで……(島本委員「二十九万人」と呼ぶ)台は二十八万人で、それから先は後で、私も暗記しておるだけですから……。二十八万人、そしてそのうちで、いわゆる夏型であって、しかも農林業その他に従事し、緊急に安定所その他に求職活動をしていないのを除いた場合、われわれの方として対象としなければならない人数は約七万人だと考えております。
 そこで、雇用保険法の改正された部分を選択制にしろ、あるいはもとに戻せ、こういう御議論が非常に強いことは承知いたしております。また、私自身も二月二十七日に北海道へ参りまして、そして各種団体、あるいはまたそういう当事者の代表の方々等からそういう御要望を強く受けました。また、市町村その他においては貸付金、あるいは市町村、自治体が就労事業を行うための財政上の負担等についての陳情も受けました。
 ただ、雇用保険法の改正は、御承知のことく給付と負担の公平というものを目指して行われたものであります。現実に委節労働者が一年間に支払います保険金は七十八億円、これに対して支払われる給付は、これも少ない方で申しますと、千三百億円台であります。北海道に限らず、東北その他の地域におけるこういう給付と負担の不均衡は、他の地域の勤労者の諸君の負担する保険金で賄われる、四分の一は国庫で負担いたしますけれども、それによって賄われる、こういう不均衡を一定地域だけに残すのは、不適当であるという考えのもとで行われた改正であると信じております。しかし、それでも従来ずっと続いてきた経緯がございますので、五十日の一括給付を行って、そのかわり、求職活動は制限しない、こういう処置をとった次第であります。
 それに対する対応の仕方はいろいろまちまちでありまして、私の郷里である秋田県で職業安定課で調べさせましたところが、六二%は改正された新しい制度の方がいいという返事でありました。それから数字はわかりませんが、どちらとも言えないというのが、かなりございまして、その残りがやはり従来どおりの方がいいという返事で、かなり低いものでありました。
 北海道と秋田県とは寒さが違うという御議論もあろうかとも思いますが、そういう受け取り方をする地域もございます。しかし、現在の就労の実態その他を考えますときに、これに対応いたしますためには、したがって、こういう状態を雇用保険法だけで負担する、処理するというのは、これは私は筋違いである、やはり地方行政なり、あるいは産業政策全体なりの中でも負担をして考えてもらわなければならない問題で、それを雇用保険だけで処理しろということになりますと、いま申しましたように、非常な不均衡が生じまして、同じ勤労者に対してある意味では御迷惑をかける、こういうふうに思うわけでございます。
 北海道については、一月、二月といったような月は非常に就労はむずかしいと思う場合もあります。あるいはまた、雪わろし等就労のしやすいこともあるかと思いますが、むずかしい面も多い。そこで、現在実際働いておられるのは、七カ月と十日くらい季節労働しておる。これに五十日の失業保険給付が行われているわけでありますから、九十日と比較いたしますと、あと四十日であります。したがって、これを何とか一カ月就労の機会を早めることによって処理をしたい。そのために、まず第一に、五十一年の補正予算に組み込まれておりまする事業については、すでに三月までに発注を終わっております。二月二十七日に参りましたときも、もうすでに発注を受けているという返事を受け取りました。それから、五十二年度の予算はできるだけ早期に成立していただきまして、その期間に準備を早めて発注をできるだけ早く行いたい。
 一方、そういう状態にあるにかかわらず、冬季間作業ができる、たとえば苫小牧なんかの築港、そういうことについては、むしろ築港そのものに反対であるという理由から就労が拒否されているという事例もあるのです。一方においては。そういうことのないように、私は運輸省におりましたものですから、運輸省関係ですと、冬季間に就労してもらう事業は、港湾その他においては。もっと出せるはずであります。したがって、そういう点の御協力も願う、そういうことで処理をいたしてまいりたい、それが筋である。そういう特殊な条件のもとにあるものを、雇用保険だけに全部おっかぶせる、これは私は、雇用保険の性格から申しましても適当でないと考える次第であります。
○島本委員 だんだんに、その点に触れていきたいと思うのですが、まず労働省ですから、労働省は四十九年の十二月に、第七十四回国会で雇用保険法を出されて、幾多の変遷を経て、これは制定されたのです。これはもう大臣だって当時から知っているはずです。このときに、衆議院の社会労働委員会、ここできちっと附帯決議の中でいま大臣が言ったことを言ってあるのです。すなわち、これは「短期雇用特例被保険者の特例制度の実施に関連し、通年雇用の促進、農業政策その他の産業政策、地域政策を総合的、かつ、強力に進めること。」これに対して、当時の大臣は長谷川労働大臣でしたか、これはもうその趣旨のとおりにやります。これは決議に対して言うのは恒例的な言葉かもしれませんが、そういうようなことで、この決議を行ったのです。
 そうすると、農業政策その他の産業政策や地域政策、これを総合的にやって、通年雇用を図るのだ、二年前にこのことが決められて、その趣旨に沿うのだ、こういうように言っていたのが労働省なんです。したがって、いま言っているのは、通年雇用の促進ですよ。今日まで二年間この政策を進めてきたはずですよ。決して漫然と過ごしてきたとは言いません。しかし、そのとおり実現しておれば、今日の出かせぎ労働者の血の叫びや、こういうような百万署名なんというものはないはずです。いま大臣が言ったことは、二年前にあなたの方の政府が、これをやることを約束しておったのですから。それをやらないで、再びいま大臣の御答弁が、この場所でなされたわけですから、少なくとも二年間――大臣は新しいのですから、これは官僚の方だと思いますが、少なくとも二年間附帯決議を付して何をやっていたのですか。
○石田国務大臣 それなりの努力はしてきたつもりでございますが、それだけ大きなものが一遍に処理されるというわけのものでもありませんし、その後の景気動向その他で思うに任せなかったことは認めますけれども、しかし、そういう方向へ向かっての努力はいたしてまいったつもりであります。
○島本委員 ここで大臣も、いま秋田県と北海道では寒さも違うのだと言われた。これは当然のことでしょう。そういうようなことから、雇用保険法でいろいろパーセンテージなんか挙げて御報告があった。ただこの中で、法そのものの持っていたこの趣旨とするところ、これもこの際ですから、きちっとして、それに対処しないといけないと思うのです。
 雇用保険法の制定、確かにこれが行われましたし、そのことは、いま申し上げたとおり四十九年の十二月に行われましたけれども、これは、短期雇用特例被保険者制度を新設することについて、この制度が農業を基礎に置く、いわば兼業型の出かせぎ労働者を対象とした、農業のほかでもいいです。しかし、東北はわりあいにこの方面が多かった。すなわち、東北はそれで満足しているというのは、これはやはり農業に基礎を置く、いわば兼業型の出かせぎ労働者を対象としたことは、大臣、紛れもない事実なんです。したがって、このことは、特例一時金の支給、これが離職後就労することも就労しないことも問わないという点で支給されるのですから、それでありがたいわけです。ですから、これは兼業型の出かせぎ労働者に対する一つの施策で、そのこと自体が離職後農業に従事するという生活実態にもともと即した制度であったということだから、これはいいのです。大臣。
 しかし、私はなぜ北海道の特例をいま申し上げなければならないかというと、この制度の有無にかかわらず、農業に基礎を置かない、いわば専業型の出かせぎ労働者は、労働の意思と能力と気力を有しながらも、自己の意思に反して離職を余儀なくされて、しかも特例一時金五十日分の支給を受けて、そして後これは終わりとする。これは、兼業型はいいとしても、専業型の場合は、これは妥当であると言えましょうか。換言すれば、兼業型の出かせぎ労働者は自分の意思に基づいて離職し、かつ農業に就労していることを失業とする。それならば、専業的出かせぎ労働者は真実失業していることを、雇用保険法上同一に処理するということは適切じゃないじゃありませんか。
 したがって政府は、この際、もう一回考え直してくれというのを、できたばかりだから、できないというのが労働省の態度であります。しかし、もともとこの根本とするところは違っているのでから、これは考え直さないと、これは法の盲点じゃありませんか。それをそのままにしておくということは、大臣、妥当だと思いますか。
○石田国務大臣 北海道における専業型の委節労働者というのは、それが全部そうと言えるか言えないかは別問題としまして、大体七万人くらいだ。つまり、われわれの方で対象としなければならないのは七万人くらいだと考えております。
 それで、それはいま法の文章にある兼業型ではないと言えると思うのです。一方、雇用保険法という、いわば保険ですね、保険というものの性格、性質から考えて、これはやはり給付と負担というのは均衡を図らなければいけない。保険というものの精神から言うて、大体七カ月十日間保険を支払った労働者諸君の負担した保険金をもって保険金何日分に相当するかというと、二日分に相当しないと思うのです。それから、それに今度は使用者の負担を加えたとしても四日か五日。そして先ほどから申しますように、七十八億円に対して千三百億円の支払い。北海道自身でも二百何十億の保険金の支払いがあるわけです。保険の給付金の総額は約一千億です。そして北海道の中の雇用保険の労使の支払いが二百五十億くらい。
 そうすると、北海道の中だけでも保険金をたくさん負担している勤労者がいる。日本じゅうから言えば、多くの勤労者の負担、それを局部だけにたくさん使えということは、保険の性格から言っても、私は無理だと思う。だから、この問題の処理は保険だけにおっかぶせられる性質のものではない。
 そこでまた、いまさっきのそれへ戻ってくるわけですが、そういう方向に向けて、われわれは努力をいたしますし、しているつもりです。ところが一方においては、人数はしれたものかもしれませんけれども、苫小牧に現に仕事があるのです。冬に。それを就労させないような運動――運動というか、そういうことが一方に行われている。これは、やはりどうも話の筋が私は違うように思うのです。
 だから、われわれの方も努力をいたしますが、これを保険に全部おっかぶせる性格のものでは絶対にない。これは他の地域の大ぜいの勤労者の負担ですよ、国庫は四分の一負担しますけれども、これは性格が違うと私は思います。
○島本委員 大臣のその考え方が、いわば労働行政には、あなた以外の人がないと言われながらも、考え方は依然として自民党的な考え方を一歩も出ていない。あなたを私は尊敬しているのですよ。しかしながら、その考え方がいまと同じに、収支のバランスをとってばかりいればいいんだ、四分の一出すから、そういうふうにしてもらわないとだめだ。それなら民間の保険会社と同じじゃないですか。それは一歩出て、社会保障的とは言わぬけれども、国民の生活まで考えてやらなければならない、それが法に盛られた精神じゃないですか。それを、現行雇用保険法を旧失業保険法と同じように――その目的規定には「労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図る」ということが入っているでしょう。それでは、これは図っていますか。これはバランスをとるんだと書いてあるのなら、いいですよ。これはバランスなんてどこにも書いてないで、労働者の生活の安定を図ると明定されているのですよ。
 したがって、この問題に対しては、何らかの措置をとらなければならないのであって、徐々に私は触れていきたいのですが、まず、兼業型、専業型の違うものがあるということ。専業型の場合には、ことにこの雇用保険法の目的規定のこれに合致するように行政指導も、法の改正も考えなければならない状態になっているんだということ。それも考えないでおって、ただ、それをやればいいんだということになると、まさにこれは書いてあることに対して、いまの行政は、盲点をそのまま残されていることになるのですよ。やはり適合する行政的な措置をとるか、法改正にはっきり踏み出すか、そこをやらないでおいて、口ではいろんなことを言ったからといって、真実困るのは労働者じゃありませんか。
 私は、そういうような点から、北海道の場合は、あなたは秋田と大体違うと言っていますけれども、本当に違いますよ。それは認めるのでありますけれども、こういうような情勢の中で、いまも生活保護世帯に転落しようとする状態の中にいる専業型の出かせぎ労働者、その一つ頼っているのは、法的にいまのこの雇用保険法なんです。行政的になったら通年雇用、これはぐっとやったらいいです。やれと言って文句を言うなら、大臣、これはいろいろなことを聞きますけれども、やらないでおいて、この法律によってやれないんだといったら、労働者は何にすがったらいいんですか。ことに北海道の場合は、石炭の山が閉山になったりして、二十九万、三十万、だんだんふえてきているというじゃありませんか。
 こういうような実態の中で、もう少しこの法の精神を入れて、かわいい国民だ、まず第一段階は雇用保険法の点で歯どめをかける、それから徐々にこうおろしていって、そしてここに名労働大臣だと、こう言われるような業績を残したらいいじゃありませんか。初めからバランスが合わないから、そればそれだけでだめなんだ、こういうふうに言っていたら、行政も何もあったものじゃないじゃありませんか。私は、いまバランスにばかり頼る大臣であるということになれば不満です。
○石田国務大臣 私は、日本全体の勤労者のために雇用保険法というものはあると思っています。
 それから、バランスだけに頼っていない証拠は、七十八億しか収入がないのに千三百何十億支払っているのです。これはバランスだけをとっておったら、どうなりますか。七十八億の収入金に対して七十八億しか支払わぬというなら、バランスしか考えてないと言われても仕方がない。しかし、七十八億に対して千四百億近くのものを支払っているという事実は、バランスを考えていないという何よりの証拠だと思います。しかし、それ以上の地域的特殊性というものを雇用保険だけに押しつけるのは筋違いだ、こういうふうに申し上げておるわけです。
○島本委員 いまのような状態で専業型の出かせぎ労務者、それは兼業型の者よりも厳しい。それに、かてて加えて北海道の季節、これもほとんど冬なんです。いま苫小牧のことばかり言ったけれども、いまの事実はわかりませんよ。雪のある地帯なんかはほとんど仕事がない。そういうような中で、現行雇用保険制度のもとで重大な生活の危機に直面しているというのが実態なんです。
 したがって、政府は、雇用保険法の積立金は、昭和五十年度末現在、五千百四十八億七千八百三十六万三千ほどありますね。この一部でも、これらの失業保険者の生活の安定のために支出する決意、こういうようなものを持ってこそ、労働大臣、これはいいんじゃありませんか。したがって、そういうようなことに徐々にしていかなければならないし、いますぐこれをやれと言ったら、やらないと言うでしょう。これは考えがありますか。
○石田国務大臣 これは普通、保険の概念から言えば、一年間に入ってくる収入と大体見合うくらいの積み立てを持つのが保険の健全な経営であると私は考えております。数字は後で事務当局に言わせますが、現在はたしか六千億を超えておるのです。だから、そういう観点から言えば、まだ積立額が不足だとも考えられます。
 それから、これは日本じゅうの勤労者から集めたお金ですよ。それを北海道だけに使えとおっしゃるのは無理じゃありませんか。日本じゅうですよ。
○北川政府委員 五十年末の雇用保険の積立金は五千百六十七億でございます。
 ただ、いま大臣が申しましたように、労働保険徴収法の第十二条に、積立金はどの程度積み立てるべきか、これは一年間の保険料収入に見合えということが書いてございます。それによりますと、五十年度の保険料収入は六千四百五十七億でございます。先ほど申しました十二条の条文によりますと、もし積立金が保険料収入の一を割るときには保険料を自動的に上げるべきだということで、現在は一を割って〇・八になっておる。だから、本来ならば、法律形式的には保険料を上げて保険財政を立て直す時期でございますけれども、三事業等の関係もございますので、暫時保険の収支をにらんでおる、必要によっては保険料を上げなければならない、こう考えております。
○島本委員 私の方は、いま言っているのは、生活を考えて、これらの人の生活を専業型の出かせぎ労働者についても、きちっとするようにしてもらいたいということなんです。
 これは総理が、今回の野党の一兆円減税が平行線になって、それが打開されて、いよいよ認めるような段階になったときに言っている言葉があるのです。法人税を増税して個人所得税を減税するのは、経済情勢から見て問題がある。失業者救済のために、公共事業による雇用の拡大が最も大切だ。こう言っているでしょう。だれもこれを否定していないのですよ。したがって、この積雪寒冷地の自然現象に基づいて離職を余儀なくされて、そして働くにも職がない、かつ離職後農業に従事することもできない、文字どおりの失業の状態に置かれる労働者にとっては通年雇用をまず先にやらせることが大事だ。これなんか何も否定もしないし、これは大事だということ。これはあの附帯決議にもはっきりあるのですから、御存じのとおりなんです。
 だから、通年雇用を実現するまでの間、これは行政措置としてやるというのがやれないのだから、その間の特例一時金制度をもって一律に規制することを改めて、一般の被保険者の休職者給付と特例一時金のいずれかの選択措置を行政措置として講ずることも――通年雇用ができるまでの間やろうとしているのですから、やれなかったら生活に困るのですから、いずれかを選択させる措置を講ずる必要がある。総理が、はっきり言っている。ここにあるように、失業者救済のために公共事業による雇用の拡大が最も大切である。これはもちろんそのまま受けるのです。だけれども、それをそのまま北海道に持っていってできますか。その間、これをやるべきじゃないか、こういうことなんです。
 私は決して無理なことを言っているわけではないのですから、大臣これでもやはりバランスを崩すから、だめなんですか。
○石田国務大臣 バランスの問題ですが、七十八億しか入ってこないのを、七十八億しか払えませんというなら、バランスの問題ですよ。七十八億しか入ってこないのに千四百億円払うというのがバランスにとらわれているのですか。どうしてそういう理屈が成り立つのですか。それがわからない。
 しかも、このお金は日本じゅうの勤労者から集めたお金ですよ。そこで、いまそこに書いてある公共事業の早期発注とか、あるいは通年雇用の拡大、そういうようなものに努力をいたしております。
 そして、いまさっき申しましたように、すでに実績は七カ月と十日間、そこで五十日をいま払っておる。五十日と九十日と差は四十日。一カ月早く事業につけるようにすれば、公共事業が発注されるようにすれば、そこでつなげるのですし、それで全部が全部処理されるとは申しませんけれども、そういう方向に向かって、いま努力をしつつあるところであります。
 そして、先ほど申しましたように、それはある程度実績は上がってきておるのです。そこで、それ以外の部分までこれだけ、七十八億に対して千四百億払っておるというのは、こんなものはバランスと言えますか。七十八億に対して千四百億払うのはバランスじゃないですよ。これはもう社会福祉的な意味、北海道重視主義のあらわれだと私は思うのです。
 七十八億しか入ってこないのに千四百億、日本じゅうの勤労者が負担するものを払うということは、北海道重視ですよ。北海道ばかりじゃありません。実は、私の県なんかもちょうだいしておる方です。岩手県もそうです。青森県もそうです。それ以上のものは保険だけにおっかぶせる性質のものではないのだ、そういうふうに私は考える次第であります。
○島本委員 ですから、そういう措置を行政的にきちっとやってください、それは応援しますと言うんです。それまでの間、では困っている人を生活保護世帯に転落させていいのですか。働く能力もある、また働く意思も十分あるのですよ。したがって、そういうようにならないようにするための、つなぎの行政措置、これを考えられないかと言うのです。無理じゃないでしょう、これは。
○石田国務大臣 その行政措置は、労働省が幹事役になって各省に対して公共事業の早期発注その他努力を、いまいたしております。いままでは、なかなか乗ってこなかったのですが、本年はかなり積極的に乗ってきております。相当程度の効果はあらわせられると考えております。
 私が言うのは、いま申しましたように、七十八億に対して千四百億、これだけのことをしておる、それ以上のものは保険会計で見ろとおっしゃるのは無理だ、いま言ったような行政措置を促進するために、勤労者保護の立場にある労働省といたしましては、幹事になって、いま努力をしております。努力はしておりますが、保険でそれ以上を見ろというのは、それこそ不均衡、北海道特例策を強要するということになりませんか。
○島本委員 この法律ができたときの趣旨からして、やはり精神は完全雇用、通年雇用なんです。それが、二年間の間に一生懸命やってきたと言うけれども、まだ行政の実は上がっておらない。いま大臣もこれはやるぞと、私も大いに期待すると言っているのです。また激励もするのです。ただ、言葉だけではだめだし、実は上がってきたと言ったって、まだ北海道の七万の人たちは、その日の生活に困っているでしょう。だから、このつなぎのための措置はないかと言うのです。したがって、すぐそっちの方へやって、その人たちを生活保護世帯に転落をさせないために、こういうような措置をとります。これが名判官石田博英労働大臣の姿勢じゃありませんか。(「その方法をいま一生懸命考えている」と呼ぶ者あり)ただ考えているだけじゃ、二年間考えて、いまなお考えているんじゃ、どうにもならないじゃありませんか。
 だから一時的に五十日分出す、これは初め三十日だったのはわかりますよ、審議していましたから。五十日出す、しかし五十日では、どうしても専業型の出かせぎ労働者に対して過酷であり足りない、そうなった場合は、五十日たっても就職できなかった場合には、あと四十日分出してやる、それが完全、通年雇用にするまでの間の暫定措置だ、これならできるじゃありませんか。今度はどうですか。
○石田国務大臣 いま島本さんの御議論も、雇用保険の中から出せということはだんだん薄れてきましたから、そういう意味においては私も努力を惜しんでおりませんし、一生懸命そういう促進方に努めております。そして、実際いまも北海道庁あるいは各自治体に対して現状の掌握に努めさせておりますが、早期発注その他によって、できる限り吸収する努力をしていく。いままでもしてきました。そしてかなり実績が上がってきたつもりですが、公共事業については補正予算の成立のおくれ等もありましたし、その責任がどこにあるかということは申しません、われわれの方で内輪げんかしたことも一つの原因でしょう。そういうことで、これからも努力します。そういう方向で処理するのが筋で、そういう努力は私も惜しみませんし、ひとつお手伝い、御激励をお願い申し上げる次第でございます。
○島本委員 私の方では、やはり通年雇用を完全にさせるというのが趣旨で、それまでの間のつなぎの措置として、行政的には生活保護世帯に転落させる以外にないとしたならば、どこに労働行政があるかと言われるから、その間は、五十日分は出した、しかし、あと五十日働いても就職ができないんだというような場合には、特例として通年雇用できるまの間、四十日分の方を出してやると、合計九十日じゃないですか。こういうような便宜措置も考えたらどうだ、これなんです。ただし、通年雇用をやっていれば、これは必要ないんです。公共事業を興して失業者を救済する。北海道の雪の中で通年雇用をやる仕事ですね。大臣は、すぐ苫小牧、苫小牧と言うが、苫小牧だけが北海道じゃないんです。
 したがって、そういうふうにして目を広く北海道に向けてみてください。四国、九州、中国地方を足して広島を引いたのが北海道の面積なのです。九州一つだけでも北海道の三分の一なんです。そういうふうにして見たら、やはり大きいのです。そこでもって冬を控えながら生活保護世帯に転落するさなかにいる情勢、それが働く労働者であるとしたならば、大臣、ひとつこれは考えてやらぬと、だめだということははっきりするんだ。したがって通年雇用する、いいですよ、じゃあことしから大丈夫ですか、そして、もしそれができなければ、いま言ったような手段で五十日は出す、その後五十日たってもだめだった場合は通年雇用をしなければならないし、するんだから、できないのは行政的な一つの行き詰まりであり、手落ちだ、こういうようにして、五十日たってできなかったら、その間は四十日分を出す。これは暫定的にやったってやれないことないじゃありませんか。大臣、そのくらい踏み切ろうじゃありませんか。いかがですか。
○石田国務大臣 通年雇用の促進その他について努力をするということは、もう何度も申し上げておりますし、それは御理解をいただいていると思うのです。
 そこで、雇用保険法の改正を行って、北海道だけ四十日ふやすということにまた戻ってくるわけなんですが、これはさっきから何度も申し上げておりますとおり、積立金があるじゃないかとおっしゃるけれども、この積立金は、一般の保険会社の経営でも、まず、これは常識的にそのくらいの積立金を持っていないと、何があるかわかったものではない。だから、それを持っているのは、法律で規定してあるのが当然のことでありますから、これは崩すやつじゃない。法の規定どおりにやれば、保険料の値上げをしなければならぬ。そういうような保険料の値上げを日本じゅうの勤労者にしてもらわなければならぬ。したがって、雇用保険法の改正によってこれを処理するという意思は、はっきり申しますが、ございません。しかし、通年雇用その他の促進に、労働行政とし最善での努力はいたします。
○島本委員 どうも大臣が言っていると、日本全国の雇用保険法、北海道だけに運用は、と言って、すぐそっちの方へ行ってしまうが、今度、私の場合は、また逆に通年雇用、それをやるのは二年前の約束なんだから、二年前の約束がまだやられないでいるんだから、そして大臣になって、いまようやく先が開けようとしているんだから、そうすると、三年間のこのブランクを埋めるためにも、いまここに暫定的な行政措置ということがあってしかるべきじゃありませんかと言うのです。暫定だから、これは永久にせいと言うのではない。だから早く通年雇用をしてもらいたい。できない間の暫定措置として、いま言ったようにして五十日分は出す、五十日を働いても、どうしても仕事がないという場合には、またそれを考える。一遍に四十日でなくてもいい、その場合は少しずつ小刻みに上げていってもいいじゃないか。
 そういうような点を考えて、この際、恒久的じゃないけれども、暫定的な措置として、それぐらいの考えを持ってもいい。そうでなければ、生活保護世帯に転落してしまうのですよ。労働行政がないのと同じになってしまうのですよ。そんなことをしてはいけないから、そう言うんだ。わかるでしょう。またすぐバランス、バランスと言ってはだめですよ。
○石田国務大臣 バランスというのはあなたが言った話なんで、私は一言もバランスということを言っていない。(島本委員「初め、真っ先に言った」と呼ぶ)いや、均衡を図る、だ。いまの問題と違うのですよ。雇用保険法の改正の目的というのは、そこにあるのですよ。七十八億と千四百億、これを支給しているのは、手厚い対策と言えませんか。それは季節労働全体に対する手厚い対策だと私は思います。(島本委員「北海道は」と呼ぶ)北海道もその中に入っているわけですよ、七十八億と千四百億の中に。(島本委員「九州、東北と違うのです」と呼ぶ)九州や東北と違うとおっしゃるけれども、私の方だって大体同じ期間は雪が降っているのですよ。
 この間、北道海へ行ってきました。苫小牧は雪がほとんどありません。それは雇用保険法で、これ以上のめんどうを見るということは当を得ない。これは、やはり全国の勤労者から集まったお金でありますから、もっとめんどうを見なければならぬ人が中高年齢層で、そうして、現在三百日まで支給することになっておりますが、場合によっては、それこそもっと長期にしなければならぬ部門も出てまいります。それは日本じゅうにわたって平均して出てくる場合も考えなければならぬ。それに対する対応策を講じなければならない。それを、いま五千億そこにあるじゃないか、ちょっと千億くらい出したらどうだというような御議論には賛成するわけにいきませんし、それから場合によっては、本来北海道は道内の出かせぎが多い。しかし、内地に対する広域紹介ということもあわせて考えて、いまの御指摘のようなことがないように最大の努力をいたします。
○島本委員 最後になって少しやわらかい答弁になってきました。冬季間の地元の就労できる仕事の拡大ということも大きい問題なんです。大臣もすぐ言うけれども、雪のないところは仕事ができるけれども、雪があるところは、神武この方雪が降っているのですよ。労働省の所管局ではすぐ、そこがよくて、そこに住んでいるんじゃないか、いやだったら暖かい方へ行ったら、いいじゃないか、(石田国務大臣「そんなこと言いやしません」と呼ぶ)のや、言ったんだ。あなたは言わなくても、遠藤所管局長が言ったんだから、そっちの方、聞いた人いるでしょう。私一人聞いているんじゃありません。だから、そういうようなことを考えちゃだめなんです。
 北海道に雪が降る。降るけれども、あそこは大事なところですから、その職場を守り、一生懸命に働いている人たちに対しては、雪という悪条件を克服しなければならないのだから。それが仕事ができない、仕事をやる、だから通年雇用をやってください、結構、それまではいいんですから、その場合に、冬季間に地元で就労できる仕事の拡大、当面、国からの助成で公共事業を市町村におろしてこれをやらせるという点、それはできるじゃありませんか。これあたり考えているでしょう。
○石田国務大臣 そういう方向の努力はいろいろの手を考えてやっております。
 それから、ついでだから、もう一遍また言いますけれども、苫小牧は働かしてくださいよ、仕事が現にあるのですよ。
○島本委員 苫小牧は働かしてくれと言っても、私が雇用しているんじゃないですよ。大臣、何か間違って変なことを言っている。(石田国務大臣「こっちはわかって言っている。あなたもよく事情がわかっているはずだ」と呼ぶ)
 それで、こんなことばかりやっていてもだめだから、もう少し先に進みますよ。
 発注に当たっては、地元の中小企業者を優先させたり、季節労務者が就労できるようなきめの細かい発注、これでないとだめなわけです。いまのような状態でやっても、地元の人たちの方が置かれてしまうような仕組みになっているわけですから、これは相当考えて温かくその辺を見てやらぬとだめだ。ただおろしました、おろしたからいい、こうだったら、逆に一定の人たちがそっちへ行ってしまいまして、地元の人は残ってしまうわけですから、その辺の考えも十分これは温かく措置しておかないとだめな問題でありますから、結局は就労できるようにすべきだ。それをする。通年雇用をする。それならば、地元の人でも就労できるような、こういうようなひとつやり方、これも考えてやっておいてもらいたい、そのことです。
○石田国務大臣 直接的には私の方の仕事ではございませんけれども、いまお説のような処置をとるような協力方を事業実施官庁に強く要請をいたします。
○島本委員 したがって事業実施官庁、その方面が全部労働省のあなたの考えのもとに通年雇用するようにやらないと、労働省だけでは当然できないわけですが、労働省だけでやろうとすると、やはり雇用保険になるんだから、したがってまたももとに戻るけれども、大臣も閣僚の一人として、関係閣僚に全部これを要請して、北海道の冬でも公共事業を落としてやる、こういうようなことをしないと、これは救われないです。大臣、ことしからというと早いが、この暮れから間違いなく実施されるものである、こういうふうにわれわれは、はっきり確認しておいていいですか、通年雇用。
○石田国務大臣 通年雇用は、国の関係する公共事業だけではございません。ほかの事業も、企業も加えて、そういうことをやらなければならない。ことしから完全に通年雇用に北海道が全部入れかわるなんということを、それはとてもお約束はできませんけれども、それの拡大に向って努力をいたしますし、それから、いまの公共事業の早期発注については、閣議においては、うるさいほど私は発言をいたしております。そして、先ほども申しましたように、今回は事業実施官庁も、大蔵省もわりにというか、非常に協力的に従来と変わってまいりました。
 ただ、もう一つお願いしたいことは、これは北海道におりるわけですね。おりた場合に開発庁とか、あるいは道庁とか、そういうところの事務処理の促進、賃金改定時期でございますが、余りお休みにならないで、こういうことを早急に発注できるような御協力のほどもお願いいたします。
○島本委員 それと同時に、本州並みの発注の仕方や本州並みのそれでは降雪寒冷地帯の場合は無理だ、何せその上積みも必ずないと、これはやっていけないところ、十分おわかりでありますから、これを必ずやるようにしてもらいたい。
 いまやって、二年前にやってきて、まだできなくて、いまようやく曙光が見えてきて、大臣がやる、またそれを期待する、期待するから、もしこれができなくなって依然として失業者が滞留をする場合には、やはり五十日、その上五十日たったら四十日つけてやるんだ、こういうような救済は図ってやらなければだめなんじゃないですか。これはきちっとそれを促進した上で落ちこぼれたやつを救済するんだから、これは何といったって雇用保険法でやってやらなければだめですよ。全部やれというんではないから、落ちこぼれたやつをやれというんですから。これ、今度はあなた、また例によって、均衡だとかと言葉は変わったけれども、それによってだめだなんということは、もう許されないと思います。そうでなければ、生活保護世帯に転落するんだから。どこに労働行政があるんだ、こういうことになるんでありますから、これを強く私は要望いたします。
 同時に、労働省が大臣を擁して、これができないということになったら、保革伯仲の国会、考えなければならないということに当然なるであろうと思うのです。ですから、そうならないうちに、大臣は腰を上げてもらいたい、このことを強く私は希望する次第です。
 したがって最後に、大臣にその決意を聞いておきたい、こう思うのでありますけれども、時間だから、こういうようなことを言うんですけれども、いまの実態はおわかりのとおりですから、市町村が融資等の助成策を講じて、この助成に対して労働省も閣議その他を通してどんどん助成してやって、いま各北海道の市町村は、こういうようなものを抱えながら困っていますから、これをもう完全にそういう心配のないようにするところまで、ひとつ行政的に手を差し伸べてもらいたい。私はこれを強く要請したいと思うのです。
 そして、ことしの暮れからでも、もし落ちこぼれたなら、五十日、それからあと五十日たったら四十日、こういうような措置こそ、本当に通年雇用をやることにしておいて、それから、どうしてもできなくなったという行政の責任を感じて、今度は大臣、それに踏み切ってもらいたいと思うのでありますが、この決意を承ります。同じ答弁だったら要らないです。
○石田国務大臣 それじゃやらない。同じ答弁であります。
○島本委員 同じ答弁だと言うんで、結局やらないということですか、大臣は。
○石田国務大臣 雇用保険法については、従来と同じ答弁でございます。しかし、いま北海道の実情等もわかりましたので、通年雇用の促進とか公共事業、あるいはそのほかの推進については、全力を挙げてまいるつもりでございます。
○島本委員 大体骨子とする考え方だけはつかめました。私は、これを満足できないのは、まことに残念であります。しかし、大臣の考え方は、すべてそれは妥当なものであるという観点に立てません。したがって、もうその責任というか、二年前の附帯決議から現在の大臣のそれから一年有余して、三年待って、そして通年雇用できなければ、それぐらいのやつはやれないわけじゃないから、それこそ落ちこぼれをやりなさい、それに対してもやらないという、これは私はまことに残念である。依然として労働行政は進歩的な装いをこらしながら、まさに旧態依然とした考え方に立っているものだ、こういうふうに言わざるを得ないのは残念であります。しかし、これで済まないということだけは、最後に大臣に申し上げて、そして決意を促しながら、私の質問をこれで終わるわけであります。不満であります。
○芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十七分散会