第081回国会 外務委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十二年七月二十七日)(水
曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の
とおりである。
   委員長 竹内黎一君
   理事 有馬 元治君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 毛利 松平君 理事 山田 久就君
   理事 河上 民雄君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 渡辺  朗君
      稲垣 実男君    大坪健一郎君
      川崎 秀二君    川田 正則君
      木村 俊夫君    佐野 嘉吉君
      中山 正暉君    福田 篤泰君
      福永 一臣君    三池  信君
      宮澤 喜一君    井上 一成君
      岡田 春夫君    高沢 寅男君
      塚田 庄平君    松本 七郎君
      中川 嘉美君    正木 良明君
      中村 正雄君    寺前  巖君
      伊藤 公介君
―――――――――――――――――――――
昭和五十二年八月二日(火曜日)
    午後四時二十六分開議
 出席委員
   委員長 竹内 黎一君
   理事 有馬 元治君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 毛利 松平君 理事 山田 久就君
   理事 河上 民雄君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 渡辺  朗君
      稲垣 実男君    大坪健一郎君
      川田 正則君    佐野 嘉吉君
      中西 啓介君    中村  直君
      西田  司君    福田 篤泰君
      福永 一臣君    与謝野 馨君
      井上 一成君    中川 嘉美君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  奥田 敬和君
 委員外の出席者
        警察庁警備局長 三井  脩君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省条約局長 中島敏次郎君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二日
 辞任         補欠選任
  川崎 秀二君     中西 啓介君
  木村 俊夫君     中村  直君
  中山 正暉君     西田  司君
  三池  信君     与謝野 馨君
同日
 辞任         補欠選任
  中西 啓介君     川崎 秀二君
  中村  直君     木村 俊夫君
  西田  司君     中山 正暉君
  与謝野 馨君     三池  信君
    ―――――――――――――
七月二十七日
 核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の
 規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機
 関との問の協定の締結について承認を求めるの
 件(第八十回国会条約第一〇号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とルーマニア社会主義共和国との間
 の条約の締結について承認を求めるの件(第八
 十回国会条約第一一号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とブラジル合衆国との間の条約を修
 正補足する議定書の締結について承認を求める
  の件(第八十回国会条約第一二号)
 投資の奨励及び相互保護に関する日本国とエジ
 プト・アラブ共和国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(第八十回国会条約第一三
 号)
 国際海事衛星機構(インマルサット)に関する
 条約の締結について承認を求めるの件(第八十
 回国会条約第一四号)
 アジア=太平洋電気通信共同体憲章の締結につ
 いて承認を求めるの件(第八十回国会条約第一
 五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月三十日
 日中平和友好条約の即時締結に関する陳情書(
 調布市議会議長西山知夫)(第一一号)
 日ソ友好条約の締結促進に関する陳情書(稚内
 市議会議長岡本亀美)(第一二号)
 朝鮮の自主的平和統一促進に関する陳情書外九
 件(加古川市議会議長金川俊克外九名)(第一
 三号)
 竹島の領土権確保等に関する陳情書(島根県議
 会議長松本芳人)(第一四号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 小委員会設置に関する件
 閉会中審査に関する件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項についての調査を行いたいと存じますので、その旨、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済の動向、特に多国籍企業の現状を調査し、必要な措置の検討を行い、わが国外交政策の樹立に資するため、小委員十四名よりなる多国籍企業等国際経済に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 小委員及び小委員長は、委員長が追って指名し、公報をもってお知らせいたします。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。
 まず、
 核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の締結について承認を求めるの件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件
 投資の奨励及び相互保護に関する日本国とエジプト・アラブ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、各件は閉会中審査の申し出をすることに決しました。
 次に、
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約の締結について承認を求めるの件
 アジア=太平洋電気通信共同体憲章の締結について承認を求めるの件
及び
 国際情勢に関する件
以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じました場合には、委員派遣を行うこととし、派遣委員の選定、派遣地及び期間並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合、先ほど設置いたしました多国籍企業等国際経済に関する小委員会は、閉会中もなお存置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中審査のため、委員会及び小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じましたときには、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 なお、念のため御報告いたしますが、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり四件であります。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○竹内委員長 それじゃ速記を起こしてください。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山外務大臣。
○鳩山国務大臣 いわゆるソ日協定の交渉につきまして、中間の御報告をさせていただきます。
 ソ日漁業暫定協定交渉は、去る六月三十日から東京で行われており、七月二十八日にはイシコフ漁業大臣の来日を得て、いまや最終段階に入りつつあります。両国の代表団は、協定案文、許可証発給を初めとする規制の手続等について会合を重ね、その大部分について実質的合意に達するに至っております。残された若干の問題については、鈴木農林大臣とイシコフ漁業大臣の間、及び両代表団間において鋭意協議中であり、近く最終的合意が得られる見通しであります。
 交渉の内容につきましては、いまだ交渉が続けられていることもあり、その詳細を御報告することはできませんが、全体として満足すべき結果が得られるものと考えております。さきの国会において成立を見ました漁業水域に関する暫定措置法を大前提とし、その枠内でソ連漁船の操業を認めるとの基本的考え方については、すでに合意が得られ、各委員から繰り返し御指摘をいただきました北方四島に関するわが国の立場を害してはならないとの点につきましても、十分わが国の立場を確保し得たと考えております。
 本協定につきましては、国会の御承認をお願いする方針であります。交渉妥結後、所要の準備を整えて、今秋の臨時国会に提出する予定でありますので、よろしくお願いいたします。なお、本協定が国会の御承認を得て発効するまでの間、ソ連漁船の操業をどのような形で認めるかについては、漁業水域に関する暫定措置法のもとで政府のなし得る範囲内において妥当な措置を講ずる所存でございます。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 国際情勢に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
 なお、念のため申し上げますが、本日は外務大臣の御都合もございますので、理事会で申し合わせた持ち時間を厳守されますよう、委員長からお願いいたしておきます。
 また、政府におかれましても、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。土井たか子君。
○土井委員 朝鮮民主主義人民共和国は、二百海里経済水域をこの八月の一日から設定実施するわけでありますが、当面の問題は、漁業に関することだと考えます。
    〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
 いま政府とされては、民間団体で漁業協定をつくることが必要だと一般には考えられているわけでありますが、こういう考え方に対してどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○中江説明員 先生御指摘のように、日本と北朝鮮との間に外交関係がございませんので、そういう国との問で日本の漁民の利益を守る方式としていろいろのことが考えられますが、その一つの可能性として、民間の漁業協定ということも真剣に考えられるのではないか、こういうふうに思っております。
○土井委員 一つの可能性ということでありますから、そのほかにもいろいろな方法なり手段なりがお考えの中にあるかとも思いますけれども、一つは、いま民間団体で漁業協定をつくることができればということだろうと思うのです。具体的には、漁民の方々のお立場からいたしますと、やはり安全操業、この安全に対しての保障ということが何より大切な問題になってまいりますので、子ういう点からいたしますと、いろいろな諸事情に対してのむずかしい取り組みもあろうかと思いますけれども、この漁業協定というものを具体的に成功させるために、政府とされては可能な限り何らかの誠意をまずお示しになる意図がおありになるかどうかというふうなことも、実は問題になってこようと思います。外務大臣、こういう点についてはどのように取り組まれる御用意がおありになりますか。
○鳩山国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国との接触につきましては、去るニューヨークにおきます国連海洋法会議の席、そのほかの在外公館におきましても、情報の収集に努めてきたところでございます。しかしながら、先方の情報がなかなかとれず、また、先方の態度も具体的に明らかになっておらないのでございまして、いまの段階といたしまして、わが方といたしましては、極力先方と接触を得るということに努めておる段階でございます。
 以上のところでございまして、今後、先方の状況がわかり次第、当方としてもとるべき態度を検討してまいりたいと考えております。
○土井委員 具体的にお伺いすると、非常に微妙な問題もあるかとも思いますけれども、具体的に接触をするという機会をいまどういうふうにお持ちになろうとしていらっしゃるわけでありますか。特に、先ほど来お尋ねをしているとおりでありまして、民間漁業協定というものがもし実現できればというふうな意味で、政府としては何らかの側面的なこれに対しての協力なり、そういう状況をつくるための模索ということを、何らかの形においてなさる必要があるように思われるわけでありますが、こういうことに対しての御努力もあわせてお考えいただいているだろうと思います。お尋ねしたいと思いますが、いかがですか。
○中江説明員 民間の漁業協定につきましては、先生も御案内のように、日朝友好議員連盟の筋からいろいろの情報が入っておりまして、そういう情報あるいは先方の考え方などにつきましては、政府も連盟の先生方といろいろ御相談はしておることは事実でございます。これは、あくまでも民間の漁業協定ということでございますので、民間の漁業協定の骨格がある程度明らかになりますれば、その構想を前提といたしまして、具体的に政府として何ができるかということが検討できるかと思いますけれども、抽象的な段階では、日本政府の保証とか誠意とか申されましても、示しようがない、こういうことでございます。
○土井委員 それでは、外務大臣にもう一度確かめるような意味でお尋ねをいたしますけれども、まずは、民間団体同士での漁業協定を締結させることの努力が先行する、それに従って状況が推移することに伴う政府からの努力の仕方もあろう、こういうふうにお考えになっていらっしゃるというふうに判断をしてよろしゅうございますか、外務大臣。
○鳩山国務大臣 どのような協定ができるか、いまの段階ではまだ何とも見当のつかない段階でございまして、いまここでどういう場合にはどうということまでは申し上げられませんが、民間で行われます漁業協定が仮にできた場合におきまして、政府としていかなることをなすべきか、いかなることならばなしても構わないものであるか、その辺がいろいろ微妙な問題を含んでくると思われますので、今日ここでどういうことまで政府は考えるというようなことは、まだ申し上げられない段階だと考えております。
○土井委員 この八月の八日で、金大中氏事件が起こりましてから四年になろうといたしております。五十年の七月二十三日から二十四日にかけて、わが国政府がこれに対して政治決着をつけたというふうな対処の仕方で臨んでいられるわけであります。しかし、肝心の金大中氏自身はいま獄の中にいらっしゃるわけであります。この四年を迎えるに当たりまして、鳩山外務大臣、外務大臣というお立場と同時に、政治家としてのお立場として、あなた自身がお持ちになっていらっしゃる御感想を率直にお聞かせいただきたいと思います。どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○鳩山国務大臣 金大中氏事件につきまして、私も皆様方の御議論をずっと聞いてまいったわけでございます。そして、この金大中事件につきましては、捜査継続中でありますけれども、この問題につきまして証拠がはっきりしないという点が、大変隔靴掻痒の感がいたすわけでございます。しかし、この問題につきまして、いま私個人的な意見を申し上げる立場にございませんので、その点は御寛容のほどをお願い申し上げたいわけでございます。今後、事件の結末がはっきりつくことを私自身としては希望をいたしておるところであります。それ以上のことは御勘弁のほどをお願い申し上げます。
○土井委員 はっきりした結末がつけられるべきであるというふうな御発言で、どういうふうなことを具体的に指しておっしゃっておるかというのは、なお疑問の余地がございますが、金東雲一等書記官の犯行であるということは指紋によって明らかであるにもかかわらず、現在までのところ、韓国の公権力が関与した事件ではないとして政治決着がつけられてまいっております。これは何としても腑に落ちない問題なんでありますが、こういうことのいきさつについて、警察としては率直な御意見がおありになるかと思います。警察側から率直な御感想をお聞かせください。
○三井説明員 この事件の捜査につきましては、詳細すでに御承知のところでございますが、警察といたしましては、いわゆる外交的決着の後におきましても、引き続き事案の真相解明のため努力をしておるところでございます。
 ただいまの御趣旨は、いわゆる外交的決着がつけられたことが捜査当局にとってどういうことになるのか、この点についての見解あるいは所感ということかと思うわけでございますが、役所にはそれぞれその任務があるわけでございまして、私たちは捜査をいたしますし、また、外務省におかれては、外交的問題を専管しておられるというわけでございますので、外交の観点からこの問題の決着をつけられるということについては、これまた外務省としての措置として、われわれ警察の立場でとやかく言うべきものではないと考えるわけでございます。
 われわれといたしましては、外交的決着とは別に、諸条件の中で、困難はあるわけでございますけれども、この事案の真相解明に引き続き努力をする、こういう態度、姿勢で今日に及んでおるわけでございます。
○土井委員 去る七月十三日の当外務委員会で、アメリカのフレーザー委員会における金炯旭氏の証言を取り上げて、種々質問が展開をされました。その節、警察側からただいまの三井局長の御答弁で、金大中氏拉致ルートの中に海上を運んだ船の問題について捜査をお進めになった、その捜査段階での現段階では、最終的に「竜金号」にしぼっているというふうな御答弁が得られております。
 さて、ここに私二枚の写真を持ってまいりましたが、いずれも船の写真であります。この写真にございます船は、船名がここに明瞭に浮かび出ておりますが、「YU SUNG」というふうにはっきり載っかっております。この「唯星号」という船と「竜金号」という船は同一の船であるかどうかをまずお尋ねしたいと思いますが、警察としてはどのようにこの問題に対して掌握をなすっていらっしゃいますか。
○三井説明員 いま「ユーシン号」とおっしゃいましたけれども、あるいは読み方が違うのかもわかりませんが、「唯星号」、「星」でございますと、これは諸元その他から見まして同一の船で船名だけ変えたもの、つまり、事件当時入港しておった「竜金号」が、その後「唯星号」と船名を変えたもの、このように認識しております。
○土井委員 そうすると、ただいま警察としては、この「竜金号」と「唯星号」とは同一の船だというふうな認識でずっと捜査を一つにしぼってさらに続行されているというわけでありますね。
 ところで、この「竜金号」について、外務省当局は韓国側に問い合わせをなすったかどうか、いかがなんですか。
○中江説明員 外務省としては、何回かにわたりまして韓国側の捜査結果というものの通報を求めておりまして、一九七四年八月十四日の韓国側の報告によりますと、最終的な捜査結果として、航海状況、入港手続、船員の動向に至るまで綿密に調査したが、これといった特異な点を発見することはできなかったというふうに「竜金号」についての報告が参っております。
○土井委員 そういたしますと、韓国側からは、この「竜金号」に対しては、いまの御答弁のとおり、一応シロという外務省側からの問い合わせに対しての回答が返ってきているというかっこうなんですね。
 外務省側に対してはそういう韓国側からの回答が返ってきているにもかかわらず、そういう回答とは別に、日本の国内においては、警察としてなおかつこの「竜金号」に対しての捜査を継続して続行されているということに相なるかと思いますが、この点は警察としていかがでございますか。
○三井説明員 ただいまの外務省からの韓国政府に対する照会は、警察の捜査の一環として警察からお願いをして、いわゆる外交ルートにより回答をいただいた、こういう性質のものでございますから、警察におきましても同じようにこれを取り扱っておるわけでございまして、私たちは三十六隻あった捜査対象の船舶を、しぼりにしぼって「竜金号」一隻に到達したわけでございますけれども、これは韓国側で調べてもらった結果はどうであるか、こういうことで照会をしたわけでございます。その点につきましては、ただいまお話しのようなことで、韓国としてはこの「竜金号」について、他の船についても捜査を綿密にしたけれども、「竜金号」について事件の容疑を発見するに至らず、こういうふうに回答をいただいておるわけでありまして、私たちも、韓国側の捜査の結果そういう見解に達しておるということは、十分捜査上これを踏まえて捜査をしておるわけでございます。
○土井委員 外務省を通じて韓国側から回答が寄せられたというのはもうすでに古い話でありまして、あの金大中氏拉致事件が起こった年の八月二十七日と九月十七日と二度韓国側から金大中氏拉致事件捜査状況についての報告が韓国側資料としてもたらされておるというにしかすぎないわけです。
 その中で、いまこの「竜金号」問題についてはシロであるという一応の韓国側からの回答が寄せられておる。そのことを無視したような形で、そのことは別にと申し上げてもいいでしょう、ただいまも警察としては「竜金号」に対して捜査を続行中というかっこうになっているわけですね。端的にお答えくださいよ。
○三井説明員 ただいまの点は、四十九年八月十四日、この「竜金号」に関する韓国側からの回答の最終的なものでございます。これが先ほどの話のようなことになるわけでございます。
 私たちといたしましては、「竜金号」はわれわれが得た――われわれは必ずしも容疑があると言っておるわけではありませんで、最終的に捜査対象としてしぼったこの船舶について、その後韓国側でどのように把握されておるかということを聞いた結果、事件との関係把握に至らずということでございますので、われわれも現段階におきましては、事件との関係を「竜金号」について把握するに至らずという中間的結論に達しておるわけでございまして、その後に新たな材料等があればまたその結論について変わってくると思いますが、といいますか、捜査の発展ということはあり得ると思いますけれども、現状においては事件との関係確認に至らずという段階でございます。
○土井委員 そういう御発言ならば、先日十三日の三井局長の御発言と矛盾をしてくるわけであります。先日十三日の御答弁では、最終的に「竜金号」一隻にしぼって捜査をいたしております段階が現段階でございますで答弁は終わっているのですよ。したがって、あの御答弁を正確に何遍見直してみても、現にこれは捜査中であるということをだれでもが感じ取る答弁であります。いまの御発言からすると、少し十三日の答弁と矛盾しやしませんか。
 そこで、いまのような段階だというふうなことになってくると、いよいよお尋ねをしたいのは、もう先ほど「唯星号」とただいまの「竜金号」とは同一の船であるということをはっきり答弁されているわけでありますから、それぞれの船に対して捜査をお進めになる段階では、乗船者名簿を当然ながら対象としていろいろお調べになっているはずであると思います。
 私は手元に、これは恐らく政府の方で持っていらっしゃるのと同一の資料、乗船者名簿を持っておるわけでありますが、この乗船者名簿の中を単純に素人目で見てまいりまして、幾ばくかの疑問が出てくるわけであります。素人判断からいたしましてもおかしいと思う点が出てくるわけであります。
 たくさんある中に一つだけいま申し上げたいのは、この「唯星号」に変わってからも、もちろん当時の「竜金号」においても、ともに乗船をして来た人が二名ある。名前は鄭順男、もうあと一名はイ・ヂョングワンというのでしょうか、これは乗船者名簿の上ではもう一つイ・ヂョンヂュというふうに書いてある名簿もありますので、これはイ・ヂョングワンだと私は思いますが、両方の船に乗っている人が二人あるのです。「竜金号」の乗船者名簿から、これがまたおかしな話なんでありますけれども、横に線を引いて抹殺をされている人が二名あるわけであります。これはチェ・ヒョンチョルという名前と黄順培という名前であります。「竜金号」当時、二名横線を引いて抹殺をして、今度は二名追加をしているわけであります。一人は鄭雲吉、あと一人は朴廷烈、この二人の名前が追加をされております。素人判断からいたしましても、当然この六人に対しては、それぞれいきさつに照らして、名簿の上から見ても調査を進めなければならないはずであると思いますけれども、警察としては当然これについての捜査をされたと思うのですが、いかがですか。
○三井説明員 まず「竜金号」について前回申し上げた点との関係でございますが、捜査上シロになっておらないというのが現段階である、こういう趣旨でございます。
 なお、ただいま名前を挙げられました船員の関係でございますが、私たちはそういう意味で、「竜金号」が韓国側では特に事件との関係を認めず、こうなったわけでありますが、わが方でできる仕事として、この「竜金号」の乗組員がその後来る場合、あるいは「竜金号」そのものが名前を変えておるわけでありますが、その後来た場合に、これについて事情聴取する、こういう努力をいたしておるわけでございます。
 それによりますと、事件当時「竜金号」の船員で、その後「唯星号」に名前が変わってから同じく「唯星号」の乗組員としてやってきた人物で明確なのは、いまお話のありました鄭順男でございます。この人につきましては当時事情を聴取いたしました。それからイ・ヂョングワンあるいはイ・ヂョンヂュ、「竜金号」の場合には一等機関士としてイ・ヂョンヂュという名前で載っております。これが「唯星号」ではイ・ヂョングワン、こうなっておるわけでありますが、これが果たして同一人物であるのかどうか、まあ生年月日いろいろなことを見ますと、大変同一人物である疑いもあるわけでありますけれども、同一人物であるという点がはっきりいたさない、こういうことでございます。それからまたチェ・ヒョンチョルという人が「唯星号」に乗っておるということは私たちも一応聞き知っておるわけであります。一方、私たちは「竜金号」の船員名簿というものを一応つくっておるわけでありますけれども、これにはこの人は載ってない、つまりチェ・ヒョンチョルという乗組員は「竜金号」には、少なくとも事件当時乗っておらなかった、こういう関係にあるわけでございまして、船員の点につきましても、引き続きわが国に立ち寄る機会には事情を聞こうという構えで、その初のところは見ておるわけでございます。
 ただ、これ以外に名前をいろいろお挙げになりましたけれども、私たちが承知しておる限りでは、事務的に名前を書いたり消したりしておるわけであって、実際に入ってきた人は消されておらないで載っておる人だというように理解しておるわけでございます。
○土井委員 すでに報道機関を通じて、この韓国貨物船が実は金大中氏を運んだ、私自身が金大中氏を見たという証言をしている船員があったということまで報道としてはっきり出されているわけでありますから、そろそろこれは四年にもなります、捜査に支障のない限りにおいて、こういう具体的に「竜金号」にしぼっておやりになっていることに対して、国民も多大の関心と疑惑を持って見ておるわけでありますから、警察としては具体的に率直に隠すことなくこれを公表なさるということが必要な段階だと私は思います。したがいまして、まあきょうの御答弁の限りにおいては、警察としてはここまで公表したというかつこうになると、恐らく三井局長はおっしゃるかもしれませんけれども、これを機会にやはり、さらに具体的な内容を捜査に支障のない限り公表するという新たなる決意を持って臨まれんことを私は強く望むわけです。
 さて、時間の都合がありますからあと外務大臣に……。
 こういうふうなまことに疑惑に富んだ、「竜金号」一例を挙げましても、まだまだ警察はシロということは言えないとおっしゃっている段階ですし、捜査は継続中なんですね。しかも、御承知のとおりに、政治段階ではすでに政治決着をつけたがごとくに、この席を通じて質問いたしますといつも御答弁としては返ってまいります。
 ただいま、アメリカのフレーザー委員会においては、引き続き金大中氏事件に焦点をしぼって、それについての調査をこれからさらに続行されるように聞いております。しかも、聞くところによりますと、金炯旭氏自身、みずからとっておきの証言もあるというふうなことも公表されているようであります。まことに状況としたら、アメリカではこの問題に焦点をしぼっての調査やいろいろな証言を得ての実態調査というものが進んでいっているわけでありますが、肝心かなめのわが国の政府としては、いままでのところ、何とか事実を隠蔽することに躍起になっているような感じを国民に与えてきているのはまことに遺憾であります。
 こういうことから、日韓問において、国民の問には不信の念があるわけでありまして、したがって、こういう点からすると、日韓癒着の問題も、政府からすると痛くもないおなかを探られているのじゃないかということをよく言われるわけであります。しかし、何としても、こういう政治信用を取り戻すという点からして、徹底究明と、金大中氏事件の問題を取り上げる際に、金大中氏の原状回復の問題に心を新たにして取り組まれる必要があると思います。大臣としてはその御用意がおありになるかどうか、これをお伺いして井上委員にこの席を譲りたいと思います。
○鳩山国務大臣 金大中氏事件は、国際的な刑事事件でございますから、この事件につきまして警察庁におきます捜査が本当に実を結んで、そしてはっきりした事実に基づいて事件が証明された場合におきましては、この外交的な決着の際におきましても、そのような事実が明らかになりました場合には、わが国といたしまして主張すべきことは主張する、このようなことは留保をしてあるわけでありますから、わが国といたしましてこの事件の解明に鋭意努力をしてきたことはもうおわかりいただけると思います。
 わが国といたしまして、この事件を隠蔽しようというような意思は毛頭ないということにつきましては、どうか御信頼をいただきたいと思うわけでございます。事件の解明を待つという姿勢でいるわけであります。
○土井委員 以上で終わりますが、警察からあと一言だけ。
 いまそのような大臣答弁がございましたが、要は捜査が進んで、事が具体的に解明をされることがかぎであるようであります。要は、捜査に対して警察当局がどれほど取り組まれるか、ということが雌雄を決する問題になってまいります。したがいまして、政治決着ということにかかわりなく、警察としてはこの政治決着というのが障害にならない、捜査に対しては断じて徹底究明をやる、このようにお考えになっていらっしゃるかどうかを一言お伺いして、私は終わりたいと思います。
○三井説明員 警察といたしましては、事案の真相究明のために引き続き努力をするつもりでございます。
○土井委員 終わります。
○有馬委員長代理 次に、井上一成君。
○井上(一)委員 金大中氏の問題につきましては、すでにいろいろな角度から質問があるわけです。当局の方でも、この質問に対しては、あらゆる角度から答弁ができ得るように資料をちゃんとまとめていらっしゃる、こういうことなんです。わかる範囲内でというよりも、正直にすべてをお答えいただきたいと、限られた時間ですので私は冒頭にお願いをしておきます。
 さて、いまの局長の答弁の中で、「竜金号」はシロではないのだ、疑わしい点があるのだ、こう理解をしているわけなんです。その疑わしい点は一体どういうところに疑いを持っていらっしゃるのか、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
○三井説明員 事件発生当時、大阪に入港しておったということが基本でございます。
○井上(一)委員 事件発生当時大阪に入港をしておった。ほかにも入港した船があるわけなんです。それだけではないわけですね。そういう答弁を続ける限り、問題の解決は私はでき得ないと思うのです。さっき土井議員からも指摘があったように、すでに乗員名簿の中で非常に疑わしい人物が、あるいは関係をしている人物がたくさん出てきているわけなんです。私は、限られた時間ですので、あえて六名の名前がいま挙がったわけですけれども、とりわけ鄭順男というこの乗組員に対しては、捜査当局は調査を本人自身からした、このように理解をしてよろしいですか。
○三井説明員 本人について事情聴取いたしました。
○井上(一)委員 私は、さらにこの鄭順男にかかわる周辺の人々、とりわけ西日本に在住する人々からも事情を聴取し、そしてそれが警察庁の方にすべて報告がなされておる、このように理解をしているのです。ここでそのような事実があったのかどうか、周辺のですよ。鄭順男の関係知人を含めた周辺の人々からも事情聴取した、いっごろ事情聴取されたのか、現在も続けていらっしゃるのか。
○三井説明員 いまお話しの鄭順男につきましては、四十九年三月に本人が「豊進号」に乗って来日をした際に事情を聴取いたしておりますけれども、この鄭順男以外の人につきましては、彼との関係におきましては特に事情聴取したということはございません。
○井上(一)委員 私の調べでは、先ほども申し上げたように、周辺関係知人からすでに事情を聴取されておる、こういうことであります。
 もう一つさらに、鄭順男は日本に事件以後何回来ているか、そのような事実を承知していらっしゃるのかどうか、伺いたいと思います。
○三井説明員 ちょっと回数の正確なことは覚えておりませんが、何回か来ておりまして、その都度できるだけ事情を聞くという努力をいたしております。
○井上(一)委員 六月に入って、現在、日本におるということを聞き及んでいるのですが、そういう実情であるかどうか。
○三井説明員 鄭順男氏につきましては、ただいま来日中であるかどうか、ちょっと私承知いたししておりません。
○井上(一)委員 私の調べでは、三月と六月に来日をしておる。現在なお日本におるということをつかんでおるわけなんですけれども、いずれその点については後刻その事実関係を明らかにしていただきたい、このように思います。
 さらにもう一人、朴廷烈なる人物については捜査当局は調査をされましたか。
○三井説明員 船員の関係は、先ほども申し上げましたように、捜査の観点から調査をいたしましたけれども、その調査の観点は、事件当時入港しておった「竜金号」の乗組員、それをリストアップいたしまして、その後この人が同じ船もしくは他の船に乗って来日するときに、その機会に調査をする、こういうことにしておりますが、ただいまお話しの朴某につきましては、調査をしたということは私はちょっと存じておりません。
○井上(一)委員 関係者についてはすべて事情聴取した、ただ朴廷烈については存じておらないということですが、調査をしておらないということですか、それとも調査ができ得なかったということですか。
○三井説明員 私の承知しておる限りでは、その後日本に入港し、かつその機会にわが方が事情聴取をするということはなかったというように承知しております。
○井上(一)委員 それは私は当然だと思うのです。朴廷烈なる人物こそまさしく金大中氏であったはずなのです。当局は、この「竜金号」の乗船名簿の中で鄭雲吉、朴廷烈、これは調べようがないわけなんです、乗ってなかったのだから。そして朴廷烈の名前の中で金大中が連行をされた、こうこうことなんです。だから、あなた方が調査をでき得なかった、それは当然でしょう。
 その他の、いま六人の名前の中で、調査をされたという人物はだれとだれですか。
○三井説明員 鄭順男一人と理解しております。
○井上(一)委員 私は限られた時間で非常にはしょった質問になるわけですけれども、鄭順男のみに対象をしぼられた、そして他の六名については調査ができ得なかった、こうこうことでありますけれども、朴廷烈が金大中氏であるという確信を私自身は持っているわけだし、捜査当局が、このことについて、いわゆる乗船名簿から疑わしきいろいろな事柄について、今後捜査をより深く進めていくという決意を持っていらっしゃるのかどうか。
○三井説明員 当時の乗組員がわが国に入港する機会にその事情を聴取するという方針で、今後とも臨んでまいるつもりでございます。
○井上(一)委員 外務大臣に私はここでお尋ねをいたします。
 いま質問の中でお答えがありましたように、非常に疑わしき、そしてまた、政治決着がついたんだとかあるいは外交決着がついたんだといった後において、いろいろな問題がこのように明らかになってきたわけなんです。そこで、こういうことを含めて、日韓のいまの外交ルート、外交のあり方というものを問い直すべきだと私は思うのです。朴廷烈、そして鄭雲吉、この両名、並びにいま私から名前を出したあるいは土井先生からも名前が出ました鄭順男、それらの調べの中から、金大中事件が解決し得るような糸口を私はぜひ見つけ出したい、こういうふうにも思っているのです。
 外務大臣として、新しい事実が出た場合には振り出しに戻ってこの問題については取り組みますということを、私の質問の中で約束をしてくれたわけなんですけれども、いまのこの時点で、いかがですか、新しい事実をいま二つ私から指摘したのですけれども、どのようにお考えでしょうか。新しい事実として御認識をいただけますか。
○鳩山国務大臣 ただいま井上委員から船員名簿等につきましていろいろお話がございました。この事件について新しい事実、これが警察庁の捜査によりまして確認できるような事態に立ち至りました場合におきまして、これは外交的決着をつけます際におきましても、そのような事実が明らかになりましたときは、わが方としてもしかるべき措置をとる権利を留保いたしておりますので、警察庁の方で新しい事実、これが立証できるような事実をつかみ得ました場合におきましては、当然のことといたしまして、政府といたしましていかなる措置をとるか、それを検討すべきである、このように考えております。
○井上(一)委員 私はもう新しい事実がここに出されてきておるというふうに理解をしているのです。外務大臣にお尋ねをしたのは、そういう新しい事実がいま出されつつある段階で、外交決着がついたということで処理をされたのだけれども、そうじゃなくして、振り出しに戻って、もう一度外交ルートでこの金大中氏の拉致事件について韓国政府と交渉する用意をお持ちでしょうかという尋ねをいたしておるわけなんです。
○鳩山国務大臣 この事件の解明ができて、事実が明らかになるというような場合におきましては、当然政府といたしましても再検討いたすべきである、このように考えておるわけでございまして、その事実、御指摘がございましたけれども、それら本日御指摘のありましたような事実につきまして、警察庁の方とよくこれは検討していただかなければならないことであろうと思いますので、そのような結論が出ました場合におきまして、外務省、外交当局といたしまして、さきの外交的決着の際に留保をいたしております権利を行使することも、当然のことながら考えなければならない事態になることも当然考えられるわけであります。それらの点につきましては、やはり捜査当局とよく連絡をとって検討をさしていただきたいと思います。
○井上(一)委員 外務大臣、捜査当局――私の方では新しい事実をいま、私から二つ出したわけなんですね。これをやはり新しい事実として大臣が認められるかどうかということです。いままでにこのようなことは言われなかったし、あるいは私が指摘したことについては何らいままで触れられなかったわけなんですね。きょうここで私が触れたわけですから、ひとつ新しい事実としてお認めになられるのかどうかということをお尋ねいたしておるわけなんです。
○鳩山国務大臣 本日井上委員が御指摘になりましたことは、私自身全くこれは初耳でありますし、そういう意味では新しい事実を御指摘いただいたわけであります。この事件の関連におきまして、この金大中氏拉致事件におきまして、その事実の証拠となるような事実、その事実が確認できました場合におきましては、私は、先ほど申し上げましたこれからの政府の態度はもう一度考え直すべきであろうと思います。
○井上(一)委員 それじゃ捜査当局、いわゆる警察庁の方にお尋ねをいたします。
 皆さんの方では、捜査の段階という形の中で、公にできない数々のことがあろうかと思います。私も、それについては部分的には理解をするつもりなんです。ただ、やっぱり、私どもの方から指摘があるまでに、当然当委員会なりあるいは関係の機関に真実を明確にしながら、金大中氏事件についての解明を私は急ぐべきだと、こういうふうに思っているのです。
 質問の中で、もっともっと深くお尋ねをいたしたいわけであります。チェ・ヒョンチョル氏についても幾つかの疑問があるわけです。そしてまた鄭雲吉氏あるいは黄順培、それぞれの人たちについても幾つかの疑問あるいは問題があるわけなんですけれども、いかがでしょうか、私の持っている資料を全部あなた方に提供してもよろしゅうございます。この問題についてはひとつ警察庁、警察当局、捜査当局がもっともっと前進した取り組み方をする決意を持っていらっしゃるかどうか。そして、あなた方がいま答弁をなさっていらっしゃる範囲内では本当に私は物足りませんし、あるいはもっともっと深く質問をしたいのですけれども、予定の時間が参ったわけです。
 それで一言だけ、最後になりますが、答弁いかんによってはまた質問しますけれども、あなた方は、いかがですか、この問題について、私の持っている資料を全部提供しますから、ひとつ深く直相究明に乗り出すという決意をお持ちでしょうか、お伺いをしたいと思います。
○三井説明員 捜査につきましては、引き続きこれを推進していく覚悟でございますので、捜査に役立つ資料につきましてはぜひともいただきたいと思う次第でございます。
○井上(一)委員 わかりました。そういうことで、この問題については私なりの資料も提供いたしましょう。そして、一日も早く金大中氏の原状回復を、日本のすべての力をここにひとつ結集しなければいけないと私は思うのです。
 その他の問題については、時間がありませんので次回にいたしまして、私の質問を終えます。
○有馬委員長代理 次に、中川嘉美君。
    〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
○中川(嘉)委員 私は、まず日中問題から伺いたいと思いますが、福田総理は、日中平和友好条約については、決まり文句であるところの双方にとって満足のいくような形でと、これを繰り返すだけでお茶を濁してきたわけですけれども、外務大臣は、このいわゆる双方にとって満足のいく形、これは具体的に果たしてどういう内容であるのか、覇権問題以外になお双方にとって満足のいかない末解決な問題、こういったものがあるのか、あるとすれば一体どういう内容のものであるか、この辺についてまず御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 福田総理が日中双方にとりまして満足いくような形でと表現をされておるわけでございますが、この意味は、私は、条約の締結は、これは末永く日中両国の問の条約として存在するわけでありますから、この条約が日中双方にとりまして、本当に友好親善に役立つ、本当にお互い両方ともこれでよかったというような、そういった条約の内容にしたい、こういう趣旨であろうと考えております。逆に申しますと、この日中の条約、これがかえってそのようなことをしたために思わしくない事態になるというようなことは避けねばならないことは当然でありますが、むしろ積極的に、お互いの国がよかったというような形で条約を結びたいという趣旨でございまして、その内容につきましては、これから交渉になることだと思いますので、内容にわたりまして、この覇権条項以外にどういう問題があるかという御指摘でございますけれども、覇権条項につきまして従来いろいろな論議がなされて、その論議がかえってこの条約の締結に支障になったというような経過があるものですから、その内容に立ち至ることは差し控えさせていただいておるわけでございます。したがいまして、大きな問題として非常に困難な問題がほかにたくさんあるということではないと私は思います。
○中川(嘉)委員 思わしくない事態を招来するおそれというお話ですけれども、これは果たして具体的にどういう問題なのか。覇権問題はすでに日中共同声明そのもので確認されているわけで、いまや交渉の段階ではない。条約の締結は日本政府の決断の段階であるということですけれども、どうも解釈論とかあるいは小理屈でぐずぐずしていては一歩も前進しないというふうに私たちは思うわけです。もし政府が決断するならば、それはわれわれが主張するところの自主外交の一つのあらわれと評価するにやぶさかではないわけですけれども、政府のもう少しはっきりした所信を承らないと、毎回こういう御質問をして、大臣からの御答弁がいつもこのような程度の御答弁しか返ってこないということで、思わしくない事態を招来するおそれとかいろいろ御答弁がありますが、たとえばそれはどういうものかというような、その辺までこの辺でお答えをしてみていただきたい、こう思います。
○鳩山国務大臣 ただいま御答弁申し上げました趣旨は、日中両国間の末永い条約でありますから、本当に両国国民から祝福されるような条約にいたしたいということでありまして、具体的にどのような支障が生ずるとか、そのようなことを申し上げているわけではございません。総理もたびたび申し上げておりますように、なるべく早く本当に真剣にいま条約の締結に努力をする、こう考えておるわけでございまして、その点につきましては言葉のとおりに受け取っていただきたいと思うのでございます。
○中川(嘉)委員 ここで国民から祝福される条約とは一体どういうのかということを論議していったのでは、詰めていけば時間が幾らあっても足りないという感じがいたします、これは改めて詰めなければならないとはもちろん思いますけれども。
 それでは伺いますが、総理は今月ASEAN諸国を訪問されるそうですけれども、われわれはそれ自体に対しては決して反対するものではないし、むろんそういったものはないわけですけれども、ASEAN諸国の政治動向というものは中国と非常に密接な関係があるという事実を重視しなければならない、このように思います。とすると、総理は、せっかくASEAN諸国を訪問して相互理解を深めるというならば、中国を無視するわけにはいかないのではないか。特に総理が選挙前に、これは本会議でも出ておりますが、日中問題に取り組む時間的な余裕がないと言ったことに対して、中日友好協会の副会長が、こうした考えは愉快ではない、まるで日中の友好関係などあってもなくてもよいと考えているようだと非常に厳しく批判をしておるわけです。どう見ても総理の発言は日中関係を軽視した不穏当なものとしか私には思えないわけですけれども、外務大臣はこれをどう受けとめておられるか、この点を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 総理の御発言でございますが、実際問題といたしまして、総理が大変御多忙であったということは、私どもそばにいてよくわかっておるわけでございます。しかし、表現自体として、それが新聞等で報道されます場合には、そのニュアンス等で本当に総理の気持ちが伝わらないで、そういう片言だけが伝わるということはまことに不幸であったと思わざるを得ないわけでございます。しかし、国会が終わりまして、外交関係につきましても総理御自身が陣頭に立ちまして采配を振るわれる時間的な余裕もおできになるわけでございますので、これから真剣に取り組まれるものと私どもは信じておるのでございます。
○中川(嘉)委員 御答弁を聞いていますと、それとなく新聞記事に何か責任があるようにも聞こえるわけで、総理の発言に対して、そのニュアンスをちょっと取り違えた新聞が悪いんだみたいに私には聞こえるわけですけれども、いずれにしても、先ほど言ったとおりに、現実に中国側から非常に厳しい批判があったことは事実であるわけで、こういうことが日中平和友好条約締結にマイナスになっているのじゃないかな、こう思うわけですけれども、外務大臣は改めてこのことが適当ではなかったということを言明すべきじゃないかと私は思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 時間的な余裕の問題につきましては、私は、事ほどさように、中国との平和友好条約の関係につきまして何か発言をいたしますと、非常に大きく新聞で報道されるという、それだけ注目を浴びておることであろうと思うのでございます。そういう意味で、当委員会におきます発言につきましても大変慎重にならざるを得ないわけでございまして、その点は御容赦いただきたいと思います。私どもといたしまして、本当に真剣になるべく早くこの平和友好条約の締結にこぎつけたい、このように考えておりますことは、そのとおりに受け取っていただきたいと思うのでございます。
○中川(嘉)委員 慎重に発言というお言葉ですが、言葉じりをあえてとらえるわけではありませんけれども、慎重に発言ということになると、ちょっと総理の御発言は余り慎重じゃないのじゃないかというような感じがするわけで、私は、当然この際、総理が中国を訪問するなりして、意思の疎通あるいは友好を深める努力があってしかるべきだというふうに思います。このことによって、現在ネックとなっているところの覇権問題といったものも打開されるという期待も十分考えられるわけで、こういった背景を踏まえて、日中平和友々条約の締結を目指して総理が訪中することを、外務大臣として総理に強力に進言をされるべきではないだろうか、このように思いますが、この点はどうか。
 また、外務大臣みずから訪中するという意思があるかどうか、あればいつごろになるかという問題。半年先というような悠長なことはもういまや言っていられないのではないかと私たちは思いますが、これらの点について御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 平和友好条約の締結につきましては、これは総理が訪中されるというときはもう最終段階であろうと私ども考えておるわけでございます。したがいまして、方針が固まりましたときには、当然私も訪中をいたしたいと思いますし、条件ができ上がりました場合には、総理にもおいでいただくということになるであろうと想像はいたしておりますけれども、それがいつということは、いまここではっきりした日時を申し上げるわけにはまいらないのでございます。
○中川(嘉)委員 まあ方針が固まればということで、最終段階が一体いつなのか等々をこれで続けて御質問しても、御答弁はそれほど変わらないだろう、こうは思いますが、しかし、これはまた別の機会にさらに詰めてまいりたいと思います。
 次に、私は朝鮮民主主義人民共和国に関して若干伺いたいと思います。
 昨日の報道によりますと、朝鮮民主主義人民共和国は二百海里経済水域内の距岸五十海里を軍事境界線とすることを発表したわけですけれども、日本政府はこれを公式発表と見るかどうか、また政府の当面の対策はどういうものか、まず伺いたい。
 さらに、日本政府は、こういった軍事ラインというものを認めた上で漁業協定交渉を行うことになるのか、それともこの両者を分離して、当面漁業問題についてだけを交渉しようとするのか、もし朝鮮民主主義人民共和国政府が分離を認めない場合、日本政府としてはどう対処するのか、この辺について、時間が余りないのでまとめてお伺いしたような形ですが、御答弁をいただきたいと思います。
○中江説明員 まず第一点、公式のものと認めるかどうかという御質問に対しましては、公式のものとして放送されたという事実は認めざるを得ないか、こう思います。
 こういう軍事境界ラインというものを今度は認めるかどうかという点につきましては、領海の範囲を超えてそういう恒久的な、恒常的な水域を設けることにつきましては、日本政府は絶対に認めるわけにはまいらない、こういうことでございます。
 第三点といたしまして、漁業問題の解決に当たって本件をどう考えるかということは、第二点の御答弁から当然のことでございますが、そういうことを念頭に置いての漁業の調整ということは考えられない、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 時間がありませんので次に進みますが、朝鮮民主主義人民共和国の政府の二百海里経済水域設定に伴って、韓国も同様の措置をとることも考えられる。政府は韓国に対してこのことを果たして打診されたかどうか。もし韓国が二百海里経済水域あるいは漁業水域というものを設定した場合、これは仮定ですけれども、わが方も日本海において二百海里経済水域または漁業水域を設定するつもりかどうか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
○中江説明員 これは二つに分けてお答えするのが適当かと思います。
 まず、漁業水域につきましては、これはわが国が、アメリカ及びソ連の二百海里の漁業水域の設定にこたえてといいますか、それに対抗して二百海里の漁業水域を設定するに際しましては、御承知のように相互主義ということを農林大臣がいつもおっしゃっておりますが、西日本につきましては、相手国がそういうものを設定しない限り、わが方は実際上二百海里の漁業水域を実行に移すことはしないという方針で臨んでおることは御高承のとおりでありまして、このことを通報いたしましたときに、韓国の方で二百海里の漁業水域がだんだん国際的に設定されるけれどもどう考えているかということを打診いたしました段階では、もちろん韓国といたしましても、そういう問題を検討はしているけれども、いますぐ実行するというような話はなくて、むしろ日韓問には日韓漁業協定という既存の漁業秩序と漁業実績を守る取り決めがあるわけでございますので、できればこれを継続していくことが賢明だろう、しかし国際的な趨勢はだんだん二百海里になっていくということは念頭に置いていこう、こういうことでございます。
 北朝鮮が今度は二百海里の経済水域を設定したわけでございますので、これは漁業水域とはまた性格が異なります。で、韓国は、北朝鮮の二百海里経済水域は認めないという立場をとっておることは、これまた御承知のとおりです。したがいまして、経済水域という問題になりますと、これは日本はいまのところそういうものを考えておらないわけでございますから、韓国が経済水域をもし設定したらどう対処するかという問題は、おっしゃるとおり仮定の問題でございますし、いまのところは、とりあえずは二百海里の漁業水域というもので恐らく対処する場面の方が可能性が濃いのではないか、こういう感じでございます。
○中川(嘉)委員 報道によりますと、園田官房長官は、朝鮮民主主義人民共和国のいわゆる軍事境界線、この設定は国際法上認められない、このように述べておられて、しかも、外務省もこれに疑義があるということですけれども、この疑義ありとかあるいは認められない、こういうことは国際法上いわゆる不法であり違法だということかどうか、外務省の見解を伺いたいと思います。もしそうだとするなら、この国際法上の根拠、これも示していただきたいと思います。
○中島説明員 ただいまアジア局長からも御答弁がありましたように、いずれの国も、みずからの領海を越えた水域において、これを特定の区域として限って、そこに一方的に管轄権を行使するということは、現行の国際法上認められていないわけでございまして、その意味におきましては、先生のおっしゃられるように、それは不法なものであるということが言えると思います。それで、二百海里の漁業水域とか二百海里の経済水域を設定するということによりましても、このような事態は変わりはないということが基本的な考え方でございます。
○中川(嘉)委員 ちょっと時間がありませんので、次に伺いますけれども、バンス米国務長官は、米国と朝鮮民主主義人民共和国との関係改善そのものを中ソの対韓関係と結びつけて、いわゆるクロス承認をはっきりと打ち出して、また朝鮮の当事者と米中ソの国際会議、こういったことの提唱を強調しているわけですけれども、政府はこうした米政府の朝鮮問題のクロス承認についてどう考えられるか、日本政府としても賛成であるのかどうか、また、国際会議の提唱に対してはどのように考えられるか、簡単明瞭にひとつお答えをいただきたいと思います。
○中江説明員 クロス承認の考え方は、ずいぶん古くからいろいろの意見として述べられているところでございますし、これがもし実現いたしますならば、一つの緊張を緩和していく、あるいは平和的に共存する、これは当然統一までの間ということになろうと思いますが、雰囲気を改善するのに役立つであろうということは言えると思いますけれども、その実現の可能性につきましては、あくまでも朝鮮半島の統一というものを阻害する、二つの朝鮮を固定するものだ、という批判が北朝鮮の方から強く出ておることもございまして、なかなか困難はあろうかと思います。
 それから、国際会議によって本件を何とか打開できないかという点も、朝鮮半島の統一は、北であれ南であれ朝鮮半島の人たちによって自主的に統一されるというのが、あるべき姿であるという考え方からいきますと、いきなり幾つかの国が寄ってたかってこの朝鮮半島の将来を決めるというのは、これはあるいは本筋に違うという考え方も基本的にはあるかもしれませんけれども、本来、いまの休戦ラインというのが、国際連合の介入によりまして、多数国の問の一つの了解のもとに成り立っておるというところに着目いたしますと、アメリカが再々言っておりますように、関係国が集まって、そして当事者間の話し合いを周りから側面的に応援していける、そういうことができるならば、これも一つの方策ではないか、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 政府の御見解としていまのところ承っておきます。
 外務大臣に伺いたいと思いますが、日本政府が朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化を実現するためには、いかなる条件あるいは環境が整えば国交正常化を図ることができるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国とわが国との国交につきましては、私は、いま南北の朝鮮半島の両国が、お互いに話し合いができる、お互いに相互の主権を尊重し合うというような事態に立ち至ることが前提条件であるというふうに考えているのでございます。
○中川(嘉)委員 もう時間が全くありませんので、あと二問ばかりありますが、これはまとめて伺いたいと思います。きょうのところは政府の見解そのものを承る以外にないと思います。
 日ソ関係ですけれども、報道によりますと、七月の三十日、ソ連の駆逐艦がわが国の領海を侵犯したとのことですけれども、当時の状況を簡単に説明をいただきたいということが第一点。
 政府は、この事件を領海侵犯と判断しておるかどうか。また、現地の状況を勘案した場合に、このソ連駆逐艦があの地点に到達するまでに、わが国の領海、これを通過したのじゃないかと思いますが、この事実関係はどうか。これが第二点。
 さらに第三点といたしまして、日本政府は、この水域の領海において、外国軍艦の無害通航を認めているかどうか。
 この三点についてまずお答えをいただきたいと思います。
○宮澤説明員 経緯を最初に概略申し上げますと、これは去る七月三十日、先週の土曜日でございますが、午前十一時四十分に、ソ連の護衛艦一隻が、小呂島、これは九州の福岡の沖でございますが、小呂島北方十・七マイルの領海内に停泊しているのが発見されましたので、海上保安庁の巡視船が現地に参りまして、国際信号旗その他拡声機等によりまして、わが国の領海であるということを示しまして、退去を求めましたが、なかなかいかりを上げるそぶりもございませんでしたが、繰り返しこれをやっておりますうちに、いかりを上げ、その後もまだしばらく領海内に停泊しておりましたが、午後五時過ぎに至りましてようやく領海外に退去いたしたわけでございます。
 外務省は、海上保安庁からそのような通報を受けまして、直ちに在京ソ連大使館のジノビエフ公使を私が招致いたしまして、このようなソ連軍艦の行動のよって来るゆえんについて説明を求めまして、もし正当な根拠がなくしてそのようなところに停泊していた場合には、日本政府として場合により抗議をすることもあるべき旨を述べました。これに対しまして、ジノビエフ公使は、その時点において、そのような事実があったことを承知していないので、調査をしてしかるべき回答をいたすべき旨を述べました。
 それから、御質問の第二点でございますが、ここに至るまでにソ連軍艦が日本の領海を無害航行したのではないか、この点につきましては、私ども承知をいたしておりません。海上保安庁等からそれを肯定するような通報を何ら受けておりません。
 それから、この小呂島の周りにおきまして無害通航が認められるかどうかという点でございますが、これは日本の領海でございまして、領海条約によりまして、外国軍艦につきましても無害通航は認められるものと考えております。
○中川(嘉)委員 参考のために、わが国の周辺領海において外国軍艦の無害通航を認めている水路、これを明らかにしていただきたいわけですが、これは資料としてぜひいただければ、このように思いますが、委員長、その点をよろしくお願いいたします。
○竹内委員長 中島条約局長。
○中島説明員 せっかくの御要請でございますが、先生御承知のように、無害通航の権利と申しますのは、一般の領海のどこであろうとも、あらゆる外国の船舶に対して権利が与えられているわけでございまして、それは特定の水路を通らなければならないということにはなっておらないわけでございます。したがいまして、現実の問題として、外国の船舶がどの領海部分をよく通航することがあるかという事実関係の問題はあるかと思いますけれども、権利の問題としてここを通れというような通路は存在していないという点を御理解願いたいわけでございます。
○中川(嘉)委員 事実関係を前提としてでも結構だと思いますが、次回に資料として御提出をいただければと思います。委員長にお願いして、時間が余りありませんので、最後にもう一問だけ伺って終わりたいと思います。
 本件は、領海侵犯あるいは沿岸国の許可なく停泊といった二つの面から違法性があるように思われますけれども、政府の見解はどうか。軍艦は、商船とかあるいは漁船と違って拿捕とか抑留することができないかわりに、軍艦による違法行為に対しては、日本政府の明確な意思をソ連政府に通告する必要があるのではないかと私は思います。先ほどの御答弁の中で、調査中という段階であるやに受け取れるわけですけれども、調査中であるならば、この調査結果そのものを当委員会に文書で資料としてぜひ報告をしていただきたい。これは、もうすぐ閉会でございますので、そのままになるということのないように、この委員会に文書で資料として報告をいただきたいことを委員長にお願いをいたす次第でございますが、最後の質問についての御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○宮澤説明員 ソ連も加入しております領海及び接続水域に関する条約によりますと、領海内におきます「停船及び投錨は、航海に通常附随するものである場合又は不可抗力若しくは遭難により必要とされる場合に限り、通航に含まれる。」ということがございます。それからさらに、同じくこの条約の中に「軍艦が領海の通航に関する沿岸国の規則を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行なわれた遵守の要請を無視した場合には、沿岸国は、その軍艦に対し領海から退去することを要求することができる。」このように書いてございます。したがいまして、この当該ソ連軍艦が格別な不可抗力等の理由なくして停泊投錨しておりました場合には、これは不法な領海内の停泊と認めるべきものと考えております。
 それから、ただいま資料の御要求がございましたが、ソ連大使館側の説明ぶりを資料として提供するようにという御要請でございましたらば、それは、私、こちらに差し出して差し支えないものと考えております。
○竹内委員長 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 このたび外務大臣は東南アジア訪問をされるわけでございますが、御苦労でございますけれども、ぜひ友好の実を上げていただきたいということをお願いをしておきます。
 これに関連いたしまして、ASEAN諸国訪問につきまして、外務大臣に一、二御質問をさしていただきたいと思います。
 特に私は、ASEAN諸国というのは、インドシナ半島の政治情勢、これについては重大な関心を持っていると存じておりますが、外務大臣が行かれますと、恐らくベトナムについて、あるいはカンボジアあるいはラオスに対しての日本のあり方、方針、こういったものも質問が出るのではあるまいかと思います。特に私は、インドシナ三国の国連加盟の問題、これについてまずお聞きしたいのですが、日本政府としてはどのような態度をもって臨んでいかれるでしょうか。
○大川説明員 わが国は、御承知のとおり、ベトナム社会主義共和国とは外交関係もございますし、友好関係を維持しておりますので、もしベトナム社会主義共和国がことしの国連総会に加盟を認められるといたしますれば、日本としてはもちろん歓迎でございます。従来の安保理事会における審議、昨年の場合でございますけれども、ベトナムの加盟問題が論議されましたときも、日本はもちろん賛成の意向を表明いたしております。現在は日本は安保理事会の加盟国ではございませんけれども、先般、七月の二十日に安保理事会がベトナム社会主義共和国の加盟問題を審議いたしまして、アメリカも昨年のように拒否権を行使するようなことはなく、採択されました。したがいまして、ことしの通常国連総会におきましてベトナムが国連加盟国として迎え入れられることは、ほぼ間違いないかと思っております。
○渡辺(朗)委員 次に、これからのASEANに対する経済援助のあり方の問題なんですけれども、先般、六月二十九日ですが、バンス国務長官がニューヨークで講演している中に、今後五年間に援助を倍増するという日本の公約を歓迎するというふうなくだりがありますけれども、公約というふうなものはどこで日本政府は行ったものでございましょうか。
○鳩山国務大臣 日本政府の方針といたしまして、政府開発援助、ODAと称しておりますが、これを今後五年間に倍以上にいたしたいということは、先般パリで開かれましたCIECの会議の際に日本国の代表が発言をいたしておるのでございます。
○渡辺(朗)委員 その際に、これはASEAN諸国全体なのか、それとももっと広いアジア全域という意味でございましょうか。そこら辺はどのように解釈したらいいでしょう。
○鳩山国務大臣 これは広く全世界に向けての意味でございます。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、当然これはアジア及びアフリカ、それから韓国も入りますね。そのように理解してよろしい――そうしますと、これから五年間に経済援助、政府開発援助の額を二倍以上に持っていくという場合に、当てずっぽうの発言ではなくて、何らかの計画的なものも私はお持ちだと思いますが、概算でよろしいのですが、地域的な割り振り、そういうふうなものがございましたら、教えていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 これは地域的な割り振りはいたしておりません。総額においてそのような、日本といたしまして従来からODAの比率が非常に低いという非難を受けていたわけでございまして、昨年の実績は国民総生産に対しまして〇・二という、これを少し切ったくらいのところでありまして、主要先進国におきましては最低の率であります。そういったことを踏まえまして、これからわが国といたしまして、南北問題に対処する上で、政府の開発援助をふやすように努力をいたしたいということを申したのでございます。
○渡辺(朗)委員 実は、この点で一つお尋ねをしたいと思いますのは、米韓の共同声明が発表されました。その前後におきまして、たとえばブラウン国防長官が七月二十九日に北カリフォルニアの国際問題協議会というところで発言がある、あるいは先ほどの六月二十九日のバンスさんの発言がある、こういうふうに見ますと、韓国の防衛の問題については、安全保障については、軍事面はアメリカが分担するし、日本は韓国のその意味での安全保障の経済面を分担する、これを非常に強く期待しているというような文脈がございます。このような点といまの経済援助額の増額ということ、これはつながっているところでございましょうか。そこら辺をまずお尋ねをしておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 ブラウン国防長官の韓国で行われました共同記者会見でございますか、あるいは日本に見えましたときも、日本に対しまして、韓国の経済力全体が向上することが韓国の防衛費負担能力をふやすという意味でおっしゃっておるように私は拝聴いたしました。直接それが日本の援助によるとかいうことは必ずしも言われておりませんので、日本が通常の経済協力を進めていくという過程におきまして、韓国の経済力が増進をするということによりまして、その経済的な国防費の負担にも寄与するというような意味で言われたものと思っております。特定の日本の援助の倍増以上というようなことが直接そこに意味をされておるとは、私どもは理解はいたしておりません。
○渡辺(朗)委員 そこで、関連いたしまして、私、朝鮮問題に入っていきたいと思いますが、このたびのASEAN訪問につきましても、私はアジア諸国の大変に共通の関心事として、極東の安全保障、この問題について注目をしていると思います。特にアジアにおけるアメリカのプレゼンスの問題あるいはアメリカのコミットメントの度合いの問題、こういったことがどうなるかということは大きな共通の関心事であろうと思いますが、そういう点から見まして、朝鮮半島のこれからの平和、安定というものを考える際に、先ほどからもお話がございました日本政府の考え方、そういうものをやはりはっきりと言わないといけないのではあるまいかと思います。たとえばこの秋、国連総会がございます。そこの国連総会の席上で、ことし朝鮮問題に対して日本はどのような態度をとるのか、この質問があった場合はどのような御返答をされるのでございましょうか、見解をお示しいただきたいと思います。
○大川説明員 国連におきますいわゆる朝鮮問題につきましては、現在のところ、ことしの総会の会議議題にまだ載っておりません。これがもし出ました場合はもちろんでございますけれども、日本といたしましては、従来からいわゆる朝鮮問題は、南北両鮮の間の対話あるいは関係当事国問の話し合いを通じまして、この問題が平和的に解決されることが最も望ましいんだということを基本的な考え方といたしております。したがいまして、たとえば国連総会におきまして不毛な対決、対立というようなことになりますことは決して好ましいことではないという考え方を、従来から抱いておりますし現在もそういうふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 その方針というのはいつから打ち出されたものでございましょうか。昨年ですか、一昨年ですか、ことしでございますか。
○大川説明員 ただいま私が申し述べました基本的な考え方は、従来から抱いておる考えでございますが、特に一昨年の問題には二つの相対立する決議案が出まして、それが実は相当長い論議の末に両方とも採択されるようなことになったわけでございます。これは結果的には、いわゆる朝鮮問題の解決に何ら寄与をしなかったではないかという批判を浴びることになりましたし、これなんかはまことに不毛な対決であるというふうに考えた次第でございます。
○渡辺(朗)委員 私ちょっとお尋ねしたいのですが、一昨年の場合には二つの決議案が出ました。両方とも採択をされました。その際、日本政府はどちらの決議案を支持されましたですか。
○大川説明員 一昨年採択されました国連総会決議は三三九〇という番号の決議でございまして、それにAとBと二つございます。そのAの方の決議案を日本は支持した次第でございます。
○渡辺(朗)委員 もうちょっと具体的に言ってください。
○大川説明員 Aの決議案は、まず南北両朝鮮に対しまして、朝鮮の平和的再統一を促進するために対話を継続すべきことを勧奨することが第一点でございました。
 第二点は、現在の休戦協定にかわりまして、朝鮮半島に起きる緊張を緩和し、永続的平和を確保するための新たな措置につきまして、直接関係当事国が交渉に入ることを希望するという点でございます。
 第三点といたしまして、その第一歩として、まずすべての直接関係当事国が休戦協定を引き続き堅持することの必要性、及び朝鮮地域における平和と安全を十分に維持することを念頭に置きつつ、休戦協定を維持するための措置とともに、国連軍司令部が解体され得るために、なるべく早く話し合いに入るよう慫慂する。
 第四点として、その国連軍司令部は一九七六年一月一日に解体されるようみんなで努力する。
 こういうような趣旨でございます。
○渡辺(朗)委員 そうすると、新聞などで報じたものでは、いわゆる韓国支持決議という分でございますね。
○大川説明員 この決議はそのようによく言及されている決議でございます。
○渡辺(朗)委員 それで、昨年度をごらんになりましても、私ずいぶん情勢が変わってきていると思うのです。昨年度の場合、朝鮮議題はたな上げになっておりますけれども、今後ともそのような方針で通すということを先ほどおっしゃいましたけれども、ことしの国連総会はそういう態度で果たしていいのであろうか、私ここら辺、大変疑義を感じます。特に最近の韓国からの米軍の撤退問題、その後カーター政権からいろいろ出されている動き、こういったものを見ますときに、国連総会を目の前にいたしまして、外務大臣、もう一つやはり新しい時代の動きに即応した方針というものを打ち出されないといけないのではあるまいかと思いますが、そこら辺検討をしておられるかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほど国連局長がお答え申し上げましたとおり、ことしの国連総会の仮議題としてはまだ議題にのっておらないという情勢でございます。米地上軍の撤退問題等もあり、朝鮮半島の問題がいろいろ動いておる、このように仰せられるわけでありますけれども、国連におきます議題として、これはこれから何らかの議題が出てくるかもしれません。しかし、現状におきまして、この南北双方を支持する決議案がそれぞれ出て、そこで国連の場でいわば争われると申しますか、そういった事態は必ずしも好ましいものではないというような感覚も持っておるわけでありまして、今回の国連総会が朝鮮問題につきまして静かに過ぎるということの方が好ましいという考え方もございますので、その点はまだ今後とも検討させていただきたいと思います。
○渡辺(朗)委員 実は時間が余りありませんので、本当はもうちょっと突っ込みたいのですが、二、三関連してお聞きしたいと思います。
 たとえばこれから、まだ議題にはなっていないけれども、当然この問題は国連において論議されることはもう予想されるところでございます。だったら、いまから、もはや基礎的な方針、基本的な方針だけはできていなくちゃうそだと思うのです。
 特に鳩山外相覚えていらっしゃると思いますけれども、第八十回国会の冒頭に、これは一月三十一日でしたけれども、カーター政権との間で、日米両国の問題のみならず、共通するアジアの問題、日米双方が関心を持っていること、これらを密接な提携を保ちながら協議していく、そして日米両国間に間断なき対話と揺るぎない協調関係をやっていく、このことを外務大臣言っておられます。
 先般ブラウン国防長官も来られました。そのときに共同声明の内容について説明があった。そしてその後は、ブラウン長官の方から、日本側は了承した、あるいは外務大臣の言葉として理解し、これに同調するという言葉も新聞では報道されている。こういうような一連の動きが出ている。
 他方、またバンス国務長官は、六月二十九日のニューヨークにおけるアジア協会の会合においては、カーター政権初めてのアジア政策ということでの評価をされているような演説もやっている。その中で、アメリカは明らかに従来とは変わってきておりますね。
 私は、アメリカが同時加盟というようなことも打ち出すのではあるまいかと思うのですが、いかがでしょうか。たとえば、逐条的に申し上げます。これについて政府としてのお考えを聞かしていただきたい。
 バンス長官が六月二十九日に言っている中で、南北双方が究極的な統一を妨げることなく国連に加盟することを支持する、こういうことを言っていますね。私は、同時加盟ということもそういう中に含まれるのじゃないかと思うのですが、たとえば外務大臣、これに対してはどのように対応されます、アメリカのそういう方針に対して、あるいはそういうことについてのお話し合いは、いままでバンス長官なりブラウン国防長官なりからございませんでしたか。
○鳩山国務大臣 バンス国務長官の演説についてでありますけれども、南北間におきましていままで議論されたようなことがそこに並べてございます。たしか三つばかりのことが並べてあると記憶いたしますが、私どもといたしましても、そのようなことができれば現状よりはベターであるというような考え方は持っておるのでございます。しかし、二つの朝鮮を固定化するというような一方の非難もあるわけでございますので、私どもは、そのようなことが実現性があるのであれば、それを支持するにやぶさかではないのでございますけれども、実現性等もありますので、まだそのようなはっきりしたことまで申しておらないのであります。しかし、私どもといたしまして、従来から南北朝鮮同時加盟あるいはクロス承認、これらのことが言われておりまして、それらのことにつきまして私どもは反対をするつもりはございません。実現できれば結構であるという態度でございます。
○渡辺(朗)委員 ベターであるということをお認めになる。となると、やはりベターなものは進めていく、緊張緩和のために、その点では一つの方針があるというふうに理解をしていただきたいと思います。
 それからさらに、たとえばこれは共同声明の中にもあるのですけれども、バンスさんが言っている中で、現行の休戦協定をより恒久的な取り決めに変えるための交渉を提案している、こう言っております。これは絶え間のない協議を行い、そして私は、両国間の緊密な提携をやっていくという日米間のあり方ということから言いますと、恐らくその中身も当然日本側に通告があってしかるべきだ、相談があると思いますが、中身についてはいかがでございましょう。
○大川説明員 そのバンス長官のアジア協会におけるいわゆる提案と申しますのは、私どもは、恐らく一昨年の国連総会で当時のキッシンジャー国務長官が言及いたしました考え方、なおまた昨年の七月には同じくキッシンジャー長官が別の場でも提案をいたしたのでございますけれども、その考え方ではないかと思います。それがとりもなおさず先ほど私が御説明申し上げました、一昨年の国連総会におきまして採択され、日本が支持いたしました決議の中にもその考え方が反映されておるかと思います。
○渡辺(朗)委員 もう一つだけ、時間がありませんので……。
 バンスさんが言っている中で、それから先ほどもちょっと話が出ましたけれども、朝鮮問題の解決のためにアメリカは韓国と北朝鮮と中華人民共和国に対して会合を持ち、そして協議をする、可能性を探る、そのことを提案しているということがありますけれども、これは日本側は正式にその提案を受け、同意を与えていると理解してよろしいでしょうか。
○大川説明員 この提案も、国連総会においてアメリカが提案しているものでございまして、具体的にただいまおっしゃいました国々以外にどこの国といったような国名は挙げておりません。
○渡辺(朗)委員 時間がないそうですから。ただ私お聞きしているのは、そういうことについて日本側に協議があり、そして同意を与えておられるかどうかという点なんですが、その点短くいかがでございましょう。
○鳩山国務大臣 わが国に最近になりましてそのようなはっきりした協議があったということはございません。
○渡辺(朗)委員 時間がなくなったそうでありますので、最後に御要望だけ申し上げておきます。
 ASEAN訪問の際に、恐らく中国問題、朝鮮問題、これらが諸国から出てくると思います。どうか腹蔵のない意見をひとつ交換し合っていただいて、これからの日本外交のために大きく寄与していただきたい。これを希望いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 寺前巖君。
○寺前委員 昨日の本会議場の席上でわが党の工藤議員がこういう質問をしました。核兵器全面禁止国際協定実現のための努力をする決意を来るべき国連特別総会において表明されるかどうか。同時に、カーター政権が残虐兵器の開発をエスカレートして中性子爆弾の開発に着手したことに対して、強く抗議をし、その中止を要求すべきだという問題提起。これに対して総理が、アメリカの中性子爆弾の開発については事実関係が不明確であり直ちに抗議する考えはない、こういう御答弁があったと思うのです。
 私は改めて外務大臣にお聞きをしたいと思うのです。総理がこの事実関係が不明確であるという問題について、どのような立場から事実関係が不明確であるというふうに言われたのか、私にはわからないのです。
 そこで外務大臣に聞きますが、この中性子爆弾の開発というものが残虐兵器の開発であるというふうな立場として見ておられるのかどうか。これが一点です。事実関係というならば、これが残虐兵器なんだというふうに見られるのかどうか。
 もう一つは、アメリカの下院ではすでに可決しておった上に、米上院でも中性子弾頭の開発生産法案の承認をやっている。ですから、開発するという方向に向かって議会の承認も得たものであるという事実があるのにもかかわらず、事実関係不明確だとおっしゃっているとするならば、何を指して事実関係が不明確であるという態度をとられるのか。
 この二点について簡潔に御説明をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 中性子爆弾につきましては、私ども新聞で見ておる以上の知識は持っておりません。したがいまして、この中性子爆弾というものはいかなるものであるかということ、これにつきまして、私ども自信のあることを申し上げられないのでございますけれども、核兵器の一種であるということは言えると思いますし、また、この中性子爆弾を生産するということになれば、その前の開発試験とか何かあったはずでありますし、それらの点につきまして、事実を私ども本当に把握しておらないのであります。もしその爆発試験等が行われたというようなことでもあれば、それはわが国といたしましては、いかなる核爆発の試験につきましても反対をいたしておりますから、当然反対をいたすべきであったろうと思いますが、その爆発試験につきましても、わが国は把握はいたしておらない現状であります。したがって、そのようなことから、総理とされまして、事実中性子爆弾というものの性能なり、従来の開発の経過なりも把握しておらないために、そのようなわからないものに対して抗議を直ちにするといわけにもいかない、こういう趣旨だったろうと思うのでありますが、なお国連局長の方からでも補足させていただきます。
○大川説明員 ただいま大臣が申し上げましたとおり、私どもとしてはいま懸命に事実関係を集めようとしております。それがおくれていることは申しわけありませんけれども、そういう状況でございますので、わかり次第また御説明申し上げたいと存じます。核兵器の一種であるということは間違いないようでございます。
○寺前委員 核廃絶を目指して国連の特別総会も来年呼びかけられたと思うのです。それで日本の国会も、またそのことを願って決議を上げたと思います。そういう立場から見たときに、核開発の一つであるということは事実だ、とするならば、これはやはり重要な廃絶を願う方向と違う方向が出ている。とするならば、日本政府としてアメリカに対してそのような方向は好ましくないという態度を提起されるのが当然だと思うので、直ちに調査をして、そして、国会の承認まで得て開発が進められようとしているのだから、日本政府としてはそれに対する抗議の態度を速やかにとられることを重ねて申し上げて、この問題を終わりたいと思います。要望しておきます。後から一括して御答弁いただきたいと思います。
 次に、時間の関係もありますから、要領よく御説明をいただきたいと思いますが、先日の外務委員会で、ことしの六月十五日に米国会計検査院長の議会に対する報告書というのが出されました。これは日本の防衛分担にとってきわめて重要な問題点を指摘していると思いますので、政府として問題点と思われる点の説明と、それに対する態度を御説明いただきたいと思います。
○山崎説明員 アメリカの会計検査院長が六月十五日、米国の上下両院議長に対して報告書を提出しておりまして、日本の防衛の問題に触れておることはただいま御質問があったとおりでございます。
 その中でアメリカの会計検査院は、日本は、防衛上のかさを米軍に依存することによって防衛支出を最小限度にとどめ、世界第三の経済大国に成長し得たとしまして、アメリカは日本との間でより公平な経費分担の可能性を検討すべきであるというふうなことを総論的に述べております。
 さらに、日本におけるアメリカの寄与としまして、現在四万七千人余りのアメリカ軍人が日本におるわけでございますが、そのために国防省が直接に支払っている費用は、年間約十億ドル近くなっておるということを言っております。
 他方、日本側の寄与としましては、基地の提供その他のことは別にしまして、経費の面で言いますと、日本側は米軍に提供した土地借料の支払いを行っておる。その借料は過去三年間に年平均約一億一千二百万ドルであったということを言っております。さらに、基地の整理統合に伴いまして米軍が施設を移転する場合には、その移転される施設の建設費用を日本側が負担しておる。これも一九七六会計年度中には一億六千三百万ドルの金を出しておるということも言っております。さらに、日本側は米軍基地の周辺の整備対策費として必要な金を出しておるということも述べておるわけでございます。その点は日本側の貢献は認めておるわけでございますが、先ほど申し上げました総論的な立場から日本にもっと経費の分担を求めるべきだということを言っておるわけでございます。
 そして具体的にどういう分担を求めるべきかということについては三つの点に触れておるわけであります。
 第一は、相互補完性とでも訳すべき概念でございます。英語ではコンプリメンタリティーと言っておりますが、それで日本が引き受ける役割りを増大しながら、米国と日本が相互補完的な軍事的な防衛能力を発展させるようにしたい、こういうわけでございます。
 その点につきまして具体的に、たとえば内陸輸送とか、そういった後方支援機能を日本が提供することもできるのではないかというふうなことに触れております。
 それから、作戦協力という面では、対潜作戦あるいは防空作戦あるいは空中早期警戒の機能を日本に期待するということも述べておるわけでございます。
 それから、特に力を入れておりますのは、第二の点でございまして、労務費の分担という問題でございます。現在約二万四千人の日本人を日本政府が雇用して米軍に提供しておるわけでございますが、その給与の問題がいまの在日米軍にとって大きな負担になっておるということを詳しく述べております。過去十年以上にわたって年次年々ベースアップが行われて平均一二・四%のベースアップであったが、そこで労務者は半分に減ったにもかかわらず労務費は三倍にもなっておる、こういうことを言っておりまして、いまや米軍が日本人労務者に払う年間給与総額は約四億ドルにも達しておるということを指摘しております。そこで、その労務費を削減するために在日米軍としてもいろいろな努力をしてきておる。たとえば退職年齢を引き下げるとか、週労働時間を少なくするとかいうふうなこともやってきておるが、余り成果は上がっていないということを述べまして、一番手っ取り早い方法は人員削減であって、一九七二年以来人員削減が大幅に行われて、現在は二万四千人程度になっているというわけであります。しかしながら、これ以上の人員削減は困難であるということを述べまして、したがって今後の方向としては、日本政府がこういう労務費を分担すべきではないかということは示唆しておるわけであります。
 それで、そのやり方として二、三、たとえば労務者の退職手当を日本政府が一部持てないかとか、あるいは間接的な経費を日本政府が持てないかとかいうふうなことを書いておるわけでございます。
 しかし、結論としては、いずれにしてもそういう方法は、日本にとって政治的に受け入れられるものでなければならないということは指摘しておりますし、また、日米両国政府とも地位協定について再交渉することは望んでいないということも指摘いたしております。
 それから、第三の問題として、共同使用という問題に触れておりまして、現在でも多数の防衛施設が、米軍及び自衛隊と民間会社を含む種々の日本の団体によって共同使用されているということを述べております。しかし、この共同使用をさらに推し進めていったらどうかということを提案いたしております。ことに、米陸軍はかなりの余裕のある施設を持っておるようだということを言っておりまして、それを共同使用することによって日本政府の方が費用をより多く分担する可能性を探求すべきだということを言っております。ただ、この点については、在日米軍は再使用権が確保できるか、また運用上の困難がうまく調整できるかという点を問題にしておるということは指摘しておるわけでございます。しかし、まだこの問題については、国防省は正式に日本政府との間で取り上げていないということも書いてございます。
 ざっとそういう内容でございます。
 この点に関しまして、まず総論的に申し上げられますことは、こういう全般的な防衛費の分担という問題について、アメリカ政府から日本政府に対して正式に申し出があったことはないということでございます。そういう観点からの申し入れはわれわれは受けておりません。
 ただ、具体的にこの報告書が指摘をしております点、ことに日本の防衛努力の点でございますが、この点は、日本側の自主的な防衛努力として、対潜能力の向上、防空能力の向上、早期警戒機能の強化というふうな問題については、つとに防衛庁の方でそれを立案され、防衛力整備の大綱という大方針に基づいて現在実施されつつあることは御承知のとおりでございます。
 第二の労務費の問題でございますが、これに関しましては、この報告の中にもございますように、日米双方とも地位協定の改定ということは考えておらないわけでございます。他方、われわれといたしましては、最近の労賃が非常に上がっておるということも事実でございまして、その中で基地関係労務者の雇用の定定をいかにして達成するかということにいろいろと苦心をいたしておるわけでございます。したがいまして、地位協定の範囲内においてどれだけのことができ、どういうことができないかということを、いま日米共同で検討しておる段階でございまして、この秋までには結論を出すことになっております。
 第三の共同使用の問題に関しましては、これは従来からもやってきておるわけでございますが、日本の自衛隊の必要に応じて米軍の施設を使うということはやっておりますけれども、米軍のために基地を保有するというような考え方では運用いたしておりませんし、今後もそういう考え方をとる考えはございません。
○寺前委員 簡潔に答えてください。
 この報告書の第三章に、可能な経費負担の方法として三つの点が指摘されたわけです。それがいま説明されたわけですが、そのうちで二番目に指摘された労務費の分担について、退職金を日本側に持たしたらどうだとか、具体的にいろいろ指摘があります。
 そこで聞きたいのですが、地位協定に基づいて、この米軍基地労働者の給与等について、これは「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」ということで、これは地位協定に基づいて支払うことはできないものだと思うのですが、労務費というのは地位協定に基づいて払うわけにはいきませんという態度が明確なのかどうか、これは改めてもう一度聞いておきたいと思うのです。外務大臣、よろしいか。
 それからもう一つ、特に問題になる点を聞きたいと思うのは、アメリカ軍が撤退してしまって、それで日本の基地になった、その基地を再使用する、おらぬ、有事の際に出てきて使わせてくれ、こういう問題の指摘があるわけでしょう、再利用という問題は。それを認めるという方向を日本政府としてとるのかどうなのか、この二つの点について外務大臣から明確に答えていただきたいと思うのです。
○鳩山国務大臣 御指摘のように、地位協定では維持的な経費は米側の負担と、このように定められております。駐留軍の労務者の給与は維持的な経費であるというふうに私どもは考えております。
 ただ、いままで過去におきまして、たとえば健康保険組合が赤字になるとかいうような場合に、これは広く言えば、駐留軍労務者の健康保険組合だから、それは全部米側が賄うべきだということもありますけれども、健康保険組合が赤字でつぶれそうだというようなときには、やはり政府としてもこれは援助をする、これはそういった例はあるのであります。したがって、その給与費として払えば、これは経常費だというふうに私は考えますけれども、そのほかにいかなることで経常費でないいろんな社会保障的な考え方で援助ができるものかどうか、そういった点についていま検討しているのでございます。
 後段の方の再利用の話は、ちょっとアメリカ局長から御答弁させます。
○山崎説明員 先ほども申し上げましたように、基地の共同使用というものは、わが方の必要に応じて考えておるわけでございまして、アメリカのために、再使用させるために基地を保有するという考えはとっておらないということでございます。
○寺前委員 もう時間が来たからやめますけれども、私は防衛分担について、この三つの分担の流れというものは、簡単に言ったら、一つは内陸輸送や港湾一般貨物の作業、戦時物資の保管など後方支援機能は、要するに日本に来ている在日米軍の維持のために必要な費用であるのにもかかわらず、それを持たそうという問題提起でしょう。あるいはP3Cを買え、そうしてアメリカ軍の補完をせい、こういう問題でしょう。アメリカのためにそういう金を出さされるということは、事実上地位協定の内容を改定するという性格のものじゃないか。あるいは、いま大臣がおっしゃったところの労務費の問題について、部分ではあるけれども、部分について赤字になって困るから、そこのところは何とか考えてやらなければならないとか、労務者の問題であっても、それはアメリカ軍の維持のための費用なんだから当然持つべきだということで、それは政府としては強い姿勢でなければならない。これは、全体として流れているのは、要するに日本に補完をさせようという問題提起だから、私はこの際に、日本政府としてきっぱりとこの内容についての見解を明らかにされる必要があると思うのです。私は、この際に外務大臣は、もう一度全面的にこれに対する見解を明らかにされて、日米合同委員会でいま検討されているというのだから、日本政府の態度はこうですよということを国民の前に示される意思があるのかどうかをひとつお聞きしたいと思うのです。
 時間が来ましたので、最後に、先ほどから問題になっておった点の朝鮮の問題について一言聞いておきたいと思うのです。
 それは、二百海里問題が出てきた、日本の漁民にとって大変だという不安が生まれてきた。その原因というのは、先ほども説明あったように、外交がないというところにある。朝鮮民主主義人民共和国は世界の九十何カ国との間に外交関係、国交関係を持っている。日本は、この朝鮮民主主義人民共和国との間に、日本海においては沿岸関係が密接であるのにもかかわらず、外交関係を持っていないということが非常に不幸だ。だから、この外交関係を確立するという問題について見直しをやらなかったら、日本の国民にとっても重要な段階に来ているのではないか。外交関係に対する見直しをする用意があるのかどうか、見直すことができないという原因が朝鮮側にあるのか、そこの問題についての態度と、それから、零細な漁民に不安を与えないことを考慮しているということをピョンヤン放送やあるいは伝聞でもって明らかにされているけれども、それじゃそういう呼びかけに対して、日本政府として全漁連に、それじゃおまえさん交渉に行ってきてくれと頼むのか、日朝議連に頼むのか、そこのところを、呼びかけに対して、日本政府としてはどういうふうに日本の漁民のためにこたえようとしているのか、この問題。そして、日本海における魚族の保存と、その関係におけるところの有効な魚族の利用のために、関係国の間におけるところの何らかの対策を日本海問題として外交上考えているのかどうか。この三点を明らかにしていただいて私は質問を終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 第一点の、駐留軍費の経費の負担問題につきまして会計検査院の勧告が出たわけであります。この問題につきましては、従来から日本の防衛費負担が非常に低いという指摘が米側からしょっちゅう提起をされておる、こういった中にありまして、日本といたしましては、地位協定の改正は考えておらないということは明確にいたしております。その枠内でいかなることができるかということを検討している段階であるということでございます。
 それから、朝鮮民主主義人民共和国どの関係でありますが、この関係は、やはり朝鮮半島が北と南が対立関係にあるということからきておる問題でありまして、したがいまして、この問題の本格的な解決がなければ、日本としてはやはり非常な不便があるわけであります。零細漁業者の対策といたしまして、これは水産庁が当たられておりますが、日本の各地におられます出漁者につきまして、これを一つの団体にまとめるということができたわけでありまして、この団体が民間の力として北朝鮮側と折衝ができれば、その折衝にゆだねたい、このように考えておるところでありまして、この漁業の問題が出たからといいまして、外交関係を急にどうするということは現在のところ考えておらないのであります。
○寺前委員 魚族の保存問題日本海の……。
○中江説明員 日本海全域にわたりましての魚族保存のために、関係国が集まって、何らかの取り決めなり、調整をしてはどうかという御意見でございますが、これは、まず問題になりますのは、いまも大臣が触れられましたこの関係国の中には、南北両朝鮮が含まれておるわけでございますので、韓国も朝鮮民主主義人民共和国も、双方ともそういうことでこの魚族の保存について話し合おうということでありますれば、ソ連も日本も恐らく参加して、そういうことが可能か、こういうふうに思います。
○竹内委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 外務大臣が、委員会の後に大事な会合を控えているというお話を伺っておりますので、ほんの二、三点、日本と朝鮮半島の問題そうして多くのまだ不明確な問題を抱えている金大中事件について、御質問を申し上げたいと思います。
 私どもの外務委員会においての質疑を聞いてまいりましても、いよいよ日本の外交の中で、朝鮮問題というものがわが国の外交のきわめて重要な案件になってきた。あいまいな態度であったり、あるいは従来の朝鮮問題に対するわが国の政府の考え方や態度だけでは、もはや切り抜けられないという状況が刻々と迫っているという気がするわけでございますが、八月の一日から朝鮮民主主義人民共和国でも、二百海里の経済水域に加えて、軍事警戒ラインを設定をするという事態が生まれてきたわけでありますけれども、日本の漁船の自由航行であるとか、あるいは漁船の操業のためには、わが国も何らかの漁業協定を結ばなければならない、結ぶ必要性があると思いますけれども、外務大臣のまず御見解を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国との間に、民間のベースにおきまして漁業協定が結ばれることが好ましいと考えております。そして、結ぶ当事者といたしまして、水産庁の方が全国の――これはイカ釣り関係が主体と聞いておりますけれども、全漁連の中にそのような団体を結成をしたというのが現状でございまして、これからいろんな話し合いが進むことを期待をいたしておるのでございます。
○伊藤(公)委員 確認をさしていただきたいのでありますが、民間協定を結ぶということについては外務大臣も賛成をしておる、そうして、今後民間協定を結ぶということについていささかのブレーキもかけない、足を引っ張らないという御見解でいらっしゃるのか、確認をさしていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 民間同士の話し合いであれば、私どもは決してブレーキをかけるというようなことはいたしません。従来からも通商関係はあるわけでございますから、そのようなことは考えておりません。
○伊藤(公)委員 日本政府の保証が必要だ、こう報じられているわけでありますけれども、この保証とは、どう日本の政府は受けとめられているのか。あるいは、その保証の内容については何を保証としているのか。具体的にお受けになられている報道あるいは調査の内容がわかりましたら、御答弁をいただきたいと思います。
○中江説明員 現在までのところ、それが全くわからないのでございます。
○伊藤(公)委員 何らかの方法で、その保証の内容について調査をするという方法はないものでしょうか。
○中江説明員 先ほど大臣も御答弁になりましたように、民間の団体あるいは日朝友好促進議員連盟、そういった団体を通じまして、北朝鮮の当局との問で一応のパイプがあるわけでございますので、そういうところから実態がだんだん明らかになってくることを期待している、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 民間ベースでも結構でありますけれども、民間の、たとえば議員連盟のような形でも、正式にこの保証の内容についてどういう内容であるかということを聞かれる、あるいはそういうことを託されるという用意があられるのか。
○中江説明員 そのことは、本件に当たっておられます議員連盟あるいは民間の団体の当面の関心事でもございますので、私どもが申し上げるまでもなく、関係者の方はそういうことを念頭に置いて、どういう協定が結び得るかということについて、北朝鮮の当局との問で何か意見交換ができないものかということをいま模索しておられる、こういうふうに聞いております。
○伊藤(公)委員 民間協定は当然進められていくと思うのでありますけれども、たとえば日本の漁船が違反をして拿捕されるというような、いろいろな事態が想定をされると思いますけれども、こうした事態が具体的に生まれてきたときに、一体日本の政府としてはどのような処置をとられるのか。あるいは政府間の接触を進めていくという考えが将来にわたってあるのか、お尋ねをしたいと思います。
○中江説明員 これは多少性格は違うかもしれませんが、かつて松生丸事件が起きましたときに、日本政府の方では、ある程度の政府間の話し合いが必要であるという観点から、接触を求めたのでございますけれども、その時点におきましては、北朝鮮の方ではこれに応じなかったということがございます。
 いまの仮定の御質問でございますが、それはどういう状況でその事故が起きたかによって違うと思いますし、またそのときに――北朝鮮が主張しております二百海里の経済水域というものの国際法上の性格もまだ明確でございませんので、いままずそのピョンヤン放送でのみ報道されております経済水域というものを、どういうふうに具体的に権利義務関係を認識しているのか、そういうことも、民間の漁業協定の交渉でも始まりますれば、だんだん明らかになるのじゃないか、こういうふうに思っております。
○伊藤(公)委員 いろいろな事態が早急に生まれてくる、何らかの形で政府間の折衝が必要だという場面も生まれてくる、こういうことは当然に現状の中でも想像がつくわけでございます。かねがね朝鮮半島の問題は大変大事な問題だと考えてきたわけですけれども、事態が生まれてきて改めて考える、あるいは行動を開始するというのではなくて、朝鮮半島の問題については、現在までのように一方的な政府間の交渉を持つという異常な形から、新しい事態に踏み出していかなければならないときが来つつある、こう私は認識をしているわけでありますけれども、たとえばかつて日中間に政府間の交渉がない、非常に不幸な事態が長く続いてきたわけでありますけれども、民間協定のような形でLT貿易等々が始められて、そして双方に事務所の交換が行われるとか、あるいは新聞記者の方々の交換がそれぞれ行われるというようなことが少しずつ進められてきて、そして日本と中国とのかけ橋がいろいろな形でかけられるようになってきた。同じように、朝鮮民主主義人民共和国との間にも長い不幸な交渉のない時代に終止符を打って、新聞記者の方々の交換であるとか、あるいは事務所の交換であるとかいう事態を考えなければならない時代だと思いますけれども、政府の御見解を伺いたいと思います。
○中江説明員 いま先生の言われましたような態度といいますのは、むしろ日本側が朝鮮半島の現実に即した政策をとるべきではないかということが基本にあると思います。日本はいままで北朝鮮に対しまして、これを敵視したことはないということで一貫しております。
 それで、南にございます大韓民国との問では国交が正常化いたしまして、正式の国交を持っておるわけでございますので、これは崩すわけにはまいらない。これが現実的な日本の対応でございます。これにこたえまして、北朝鮮の方でももう少し現実的な政策をとってまいりまして、日本と韓国との間にこういう関係があるという事実、それの前提といたしまして、朝鮮半島の南には大韓民国という九十七カ国によって承認されている国が存在するという事実、そういうものの現実に即した政策をとってまいりますれば、双方が現実に根差しまして何らかの打開はできるのじゃないか、こういうふうに思っているわけでございます。
○伊藤(公)委員 わが国が朝鮮民主主義人民共和国を敵視したことはないという立場に立たれるのであれば、相手側はともかくとして、日本側から事務所の交換をしようとか、あるいは当面新聞記者の交換をしようとかいう提案をされるお考えはあるのかどうなのか、お考えを聞きたいと思います。
○中江説明員 貿易事務所を置こうという話は、日朝友好促進議員連盟、あるいは日朝貿易会といった民間の団体の間で数年前に話題になったことは聞いておりますけれども、その場合でも、北朝鮮の方ではこれに公の資格を与えることを強く希望したということで、いまだに解決していないという事実がございます。
 そういうふうに北朝鮮の方で、そういう日本との関係について公の問題レベルアップを期待するのであれば、日本が韓国との間でも持っている関係について、その事実を認めた上でそういうことを持ち出していただかないことには、日本政府としては日韓関係を犠牲にして何かをすることは許されないことであると考えておるわけでございます。
○伊藤(公)委員 この問題について最後にお聞きをしたいのでありますけれども、たとえば具体的に通商代表部を設置しようという提案がなされてきた場合に、わが国としてはこれを十分検討する余地をお持ちになっていらっしゃるかどうか。
○中江説明員 その通商代表部と称せられるものの持つ法的な性格について十分な検討をいたしまして、その判断に基づいてどういうふうにするかということは決定されるだろう、こう思います。
○伊藤(公)委員 外務大臣にも、この朝鮮半島の問題はわが国の政府として今後どう取り組むのかということを、基本的な大変大事な問題でありますので、お考えをお聞きをしたいと思うのであります。
 と同時に、細かなことをお聞きする時間がありませんけれども、金大中事件について、金炯旭氏、金在権氏を、不確かな点はたくさんあろうと思いますけれども、私どもにとっても大変関心のある発言をしているわけでございますので、ともかく日本に証人喚問あるいは参考人という形で呼ばれて、その真実のほどを確かめるということが当然必要であると思います。それが不確かなものであれば不確かなものでいい、やはり真実を明らかにするということが、いま日本と韓国との正常な関係を打ち立てていくためにも非常に大事である、こう思うわけでありますけれども、この点についてはどうお考えになっていらっしゃるか。
 そして、政府のいままでの答弁の中でも、金在権氏に対しては正式にいろいろな角度から接触をしてみよう、こう御答弁をいただいているわけでありますが、その接触は一体いまどういう形で行われているのか。
 また、昨日の毎日新聞だったと思いますけれども、金炯旭氏がいろいろ発言をしていることについて、日本の政府は閣議で一切金炯旭氏の発言は取り上げない、こういう閣議の申し合わせをしている、こういう報道をされているわけでありますが、その事実関係はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 金炯旭氏の証言内容につきまして、正式の議事録はまだ入手しておらないのでありますけれども、非公式のプリントのようなものによりますと、大体が伝聞による、その伝聞というのは金在権氏から聞いたというふうになっているわけでございます。そこで私どもとしては、警察庁当局とも連絡をいたしまして、金在権氏に何とか接触できないか、このようなことで在米大使館の方に指示をいたしておるわけであります。国務省の方でも、この問題の重要性にかんがみまして、これに対しまして努力をするやに伺っておるのでありますが、まだその結果は得られておらないのが現状でございます。
 それから閣議云々の話は、私のインド亜大陸に出張中に何かありましたならば、それは存じないのでありますが、私はその期間以外には閣議には全部出ておりますが、私の出ました閣議でそのようなことが話し合われたことは一切ございません。
○伊藤(公)委員 閣議の中でそういう話し合いが行われたかどうかということは、ひとつ確認をしておいていただきたいと思います。
 約束の時間が過ぎましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時九分散会