第082回国会 本会議 第10号
昭和五十二年十一月二日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和五十二年十一月二日
    午後一時開議
 第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
    する法律案(第八十回国会、内閣提出)
 第二 健康保険法及び船員保険法の一部を改正
    する法律案(第八十回国会、内閣提出)
 第三 特定不況業種離職者臨時措置法案(社会
    労働委員長提出)
 第四 砂糖の価格安定等に関する法律第五条第
    一項の規定による売渡しに係る指定糖の
    売戻しについての臨時特例に関する法律
    案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議院運営委員長の虚礼廃止の申合せに関する発
  言
 日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を
  改正する法律案(第八十回国会、内閣提出)
 日程第二 健康保険法及び船員保険法の一部を
  改正する法律案(第八十回国会、内閣提出)
 日程第三 特定不況業種離職者臨時措置法案(
  社会労働委員長提出)
 日程第四 砂糖の価格安定等に関する法律第五
  条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の
  売戻しについての臨時特例に関する法律案(
  内閣提出)
   午後一時四分開議
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議院運営委員長の虚礼廃止の申合せに関する発言
○議長(保利茂君) この際、議院運営委員長から、虚礼廃止の申合せに関し発言を求められております。これを許します。議院運営委員長金丸信君。
    〔金丸信君登壇〕
○金丸信君 議院運営委員会における虚礼廃止に関する申合せについて御報告申し上げます。本日の議院運営委員会において、各党一致の決議をもって、虚礼廃止に関する申合せをいたしました。
 これを朗読いたします。
    申 合 せ
  本院議員は、改正された公職選挙法の施行に伴い、虚礼廃止の趣旨の徹底を期すべく、各党一致の決議をもつて、左の申合せをなし、厳にこれを励行するものである。
  一、自筆による答礼のためのものを除く年賀状、年賀電報、年賀広告及び時候の挨拶状並びにこれらに類するポスターの掲示は、廃止する。
  二、各議員は、さらに都道府県別に、前項の趣旨の励行徹底を図るよう協議申合せを行う等、実効ある措置をとること。
  三、本申合せの趣旨に反した場合は、議院運営委員会において調査の上、違反者はその氏名を会議において公表する等の措置を講ずる。
以上であります。
 議員各位におかれましては、本申合せの趣旨を十分理解され、その励行を期していただきたいと存ずる次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第八十回国会、内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長正示啓次郎君。
    ―――――――――――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔正示啓次郎君登壇〕
○正示啓次郎君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の内容は、海上自衛官八百九十人、航空自衛官九百十七人、合計千八百七人を増員すること、航空自衛隊輸送航空団の編成を改めること、並びに航空自衛隊第三航空団司令部の所在地を愛知県小牧市から青森県三沢市に移すことであります。
 本案は、第八十回国会に提出され、今国会まで継続されていたものであり、今国会におきましては十月二十五日、提案理由の説明聴取を省略して直ちに質疑に入り、続いて十月二十七日、福田内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行う等、慎重に審査を重ねた上、十一月一日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党の近藤委員及び新自由クラブの中川委員よりそれぞれ賛成、日本社会党の長谷川委員、公明党・国民会議の鈴切委員、民社党の大内委員、日本共産党・革新共同の柴田委員よりそれぞれ反対の意見が述べられました。
 引き続き採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(保利茂君) 討論の通告があります。順次これを許します。長谷川正三君。
    〔長谷川正三君登壇〕
○長谷川正三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して、わが党の見解を明らかにしながら、反対の討論を行います。(拍手)
 近年、自民党政府の外交、防衛政策が、ますます平和憲法の理念を無視し、軍事力の増強、拡大を目指していることは、厳しく批判されなければなりません。ポストベトナム、そして在韓米地上軍の撤退というアジア情勢を踏まえて、いまこそ平和を追求する新しい視野に立って、発想の転換を図り、その上にわが国の安全保障の確立を進めるべきでありますが、政府は旧態依然として、アメリカ追随の外交、防衛政策を固執し、自主的な施策を立てる意欲の片りんすらうかがえないのであります。
 また、昨年正式に決定を見た防衛計画の大綱によりますと、政府は、四次防までのいわゆる所要防衛力構想から、基盤的防衛力構想を明示することにより、従来の防衛政策の転換を図ることを明らかにいたしたわけでありますが、その意図するところがきわめて問題であります。
 これによりますと、一九七七年以降は、防衛力整備の重点を質的向上に置き、現在欠陥のある防衛機能の補完、後方整備を充実する等、均衡のとれた基盤的防衛力の保持を目指すとされております。
 これは、一見、四次防までの顕著な軍拡的傾向に比べて、その間に変化があるかのように見えるのでありますが、次に述べますように、実体は、際限のない軍備の拡充に向かう危険を内包するものであります。
 すなわち、まず基盤とは、文字どおり全く基盤にすぎないのでありますから、量的にも質的にも下限を意味し、上限を意味しないことは明白であります。基盤的防衛力の基盤とは、防衛計画の大綱の説明によりますと、「情勢に重要な変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行し得るよう配意された基盤的なもの」と言っておるのであります。したがって、情勢に重要な変化が生じたと判断されれば、新たな防衛力の態勢が必要とされ、果てしない軍拡への道につながることとなるのであります。
 自衛隊の違憲性が明白であるにもかかわらず、軍備でないと強弁しつつ、強引に、かつなし崩しに、既成事実の積み重ねを推進してきた従来の政府の態度を見れば、これは全く疑問の余地のないところでありまして、断じて許し得ないところであります。(拍手)
 政府は、また、この基盤的防衛力の整備によって、国民の負担や防衛費の軽減を宣伝いたしておりますが、果たしていかがでありましょうか。
 従来、四次防までの防衛計画が、五カ年ごとの固定方式であったのに対して、本年度からは一年ごとのローリング方式による予算になっているのであります。これは何を意味するのでありましょうか。
 防衛整備計画が、従来五カ年の周期をもって作成されていたのは、兵器の開発、調達がおよそ五年ないし十年のサイクルを持っており、軍需産業がこれに対応する計画的発注を求めていたからであります。またさらに、五カ年計画を決定することにより、政府は予算の先取り効果も期待していたのでありましょう。
 しかし、四次防において、当時四兆六千億円の見込みが実際には五兆九千億円にもなって、しかも、主要装備の多くが大幅におくれて、国民の激しい批判を浴びたことは、記憶に新たなところであります。
 そこで、政府は、今後は一年ごとの予算要求として細切れに出すこととし、国民の反発を避けようとしているのであります。ポスト四次防の七七年から八一年に至る五カ年間にGNPの一%を防衛費に充当するとしても、実に十兆四千四百億円にも達するのであります。遠く一九五〇年から昨年、すなわち七六年までの過ぐる二十七年間に及ぶ防衛関係費総額が十一兆四千八百十億円であったわけでありますから、七七年から八一年までの五年間に、これにほぼ匹敵する巨額な国費が投じられるわけで、国民の批判と反発が猛然と高まるのは当然でございます。(拍手)
 かくて、政府の宣伝とは逆に、いまやまさしく、わが国はとどまるところを知らぬ軍備拡充の第一段階に足を踏み入れたと断ぜざるを得ないのであります。一貫して平和憲法を守り抜いてきたわが党は、平和を願う国民とともに、かかる施策に強く反対するものであります。(拍手)
 政府はまた、インドシナ敗退後のアメリカがアジア戦略の矛先を朝鮮半島に転換したのを受けて、平時、有事を問わない日米韓の軍事的協力関係の強化、すなわち一体化戦略、共同作戦体制を推し進めてきました。それは、本年初頭に明らかになった在韓米軍の段階的縮小計画と前後して現実となった韓国軍の近代化の促進と、日本の経済、軍事双方での韓国支援の強化となってあらわれております。
 日米両国政府のこうした動きは、民族の解放と自決を求めるアジアと世界の潮流に逆らい、アジアから孤立する道だと言わなければなりません。
 今日、新しい政治、経済体制への根本的な転換期に入った国際情勢の中で、世界平和を守り、また、経済水域二百海里の設定や第三世界の資源主権の確保の闘いが前進する中で、これとの協調、連帯のうちに国民生活を守り抜くためにも、あらゆる軍事同盟に反対し、日米安保条約をなくす方向で、平和五原則の立場で、すべての国との友好関係を進めるべきであります。
 ソウル地下鉄事件などに見られる日韓癒着体制を断ち切り、朴政権に対する経済、軍事援助を中止し、南北朝鮮の自主的平和統一を支持すべきであります。
 日中平和友好条約を早期に締結して、その友好関係を確立し、日ソ平和条約の締結、北方領土問題の解決に力を尽くすことを強く主張するものであります。
 以上の立場に立って、自衛隊の軍備拡大を進め、日米安保体制の強化による軍国主義への基盤確立につながる本案に対しまして、わが党は、断固反対することをここに明確に表明いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(保利茂君) 宇野亨君。
    〔宇野亨君登壇〕
○宇野亨君 私は、自由民主党を代表いたしまして、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して賛成の意見を表明するものであります。(拍手)
 申すまでもなく、国の独立と平和は国家存立の基盤でありまして、そのための自衛力の保持はわが国憲法の認めるところであり、かつまた、国際社会における正当かつ当然の権利であります。
 われわれは、現在のような平和と繁栄とを次の世代に引き継ぐ義務と責任があり、今日の国際情勢のもとにおいては、自衛力を保持することが必要不可欠のものであると確信いたすものであります。(拍手)
 第二次大戦終了後、すでに三十二年の歳月を経過し、わが国はかつてない長期にわたる平和と繁栄とを享受してまいっております。この輝かしい歴史を振り返るとき、私は、国民一人一人の努力を高く評価いたしますと同時に、講和の際にわれわれの先輩が選択し、かつ、二十五年の長きにわたって、政府及びわが自由民主党が維持し続けてまいりました日米安全保障体制の果たしてきた功績もまた見逃すことはできないのであります。(拍手)
 今後とも日米安全保障体制を堅持し、さらに、両国間における協力関係を維持し、発展させていくことが必要であり、また、わが国みずからも憲法の許容する範囲内で国力、国情に応じ、自衛のため必要かつ効率的な専守防衛力を整備することが緊要であると信ずるものであります。(拍手)
 最近における国際関係の流れを見ますと、政治、経済、社会、文化等の各方面にわたり、国際相互依存関係の傾向が顕著であり、同時にまた、各国のナショナリズムに根差す動きも、ますます活発化してきているのであります。このような情勢の中で、各国間の相互連携と相互協力関係が必要不可欠のこととして、国際的に要請されております。
 さらに、世界の主要国として成長しつつあるわが国に対しては、アジア、ひいては世界の平和維持の責任の一半を担うよう、国際的な要望が強くなってきております。
 軍事的な面について見ますと、米ソ両国を中心に核戦争を回避し、相互関係の改善を図るための対話が、いろいろの曲折をたどりながらも継続されており、また、各地域において、紛争を防止し、国際関係の安定化を図るための各般の努力がされております。しかしながら、今日の国際社会においては各種の対立要因が根強く存在し、各地域において情勢の流動的な局面が多く、いろいろな不安定要因が見られるのであります。また、わが国周辺地域におきましては、米ソ中の三国間に一種の均衡が成立しているやに見受けられますが、それをめぐる国際関係はきわめて複雑であり、他方、朝鮮半島における緊張はいまだ解消されておらず、また、わが国近隣諸国の軍事力も引き続き増強されております。
 このような情勢のもとで、わが自衛隊のあるべき姿については、昨年十月、政府において決定を見た防衛計画の大綱によって明らかにされているところであります。この政府の基本的防衛力構想は、国民の大多数が支持しているものと信じます。(拍手)今後、その体制を着実に維持、整備することが政府に課せられた重要な使命であろうと考えるものであります。
 本法案におきましては、海空自衛官一千八百七名の増員と、航空自衛隊第三航空団の小牧から三沢への移動や、輸送航空団の改編を措置しようとするものでありますが、いずれも基盤的防衛力維持のための適正な規模の人員と効率的な部隊配置を確保しようとするものであり、これは必要かつ妥当な措置であると確信いたすものであります。(拍手)
 自衛隊が国民の自衛隊であることは、論をまたないところであります。自衛隊は警察予備隊として発足以来、確立された文民統制のもとで、厳しい社会環境の中で育成されてまいりました。その間、不安定な国際環境の中で国防の必要性が徐々に国民に認識され、また、災害救援等の民生協力を通じて、今般防衛庁が発表した世論調査の自衛隊支持率八三%の数字が示すように、今日、自衛隊が国民各層の支持と信頼を高めていることは、当然のことながら喜ばしい限りであります。(拍手)このように、自衛隊に寄せる国民の信頼と期待、そしてこれにこたえる自衛隊員の使命感、この両者が完全に合致することによって、初めて国民的基盤に立つ防衛力としての精強な自衛隊が完成されるのであります。(拍手)
 政府においては、国防に関する確固たる国民的合意の形成について、なお一層努力するとともに、防衛力の整備並びに関連諸施策の充実をさらに積極的に推進されることを強く要望いたします。
 同時に、日夜を分かたず国防の任務に従事し、あるいは激しい訓練に精励している隊員諸君に対し、物心両面にわたりなお一層の配慮をいたされるよう、また、航空団の三沢移転後の基地の安定使用に関しても十分なる配慮を払われるよう要望いたしまして、私の賛成の討論といたします。(拍手)
○議長(保利茂君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(保利茂君) 日程第二とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。
 日程第二 健康保険法及び船員保険法の一部
  を改正する法律案(第八十回国会、内閣提
  出)
 日程第三 特定不況業種離職者臨時措置法案
  (社会労働委員長提出)
○議長(保利茂君) 日程第二、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、日程第三、特定不況業種離職者臨時措置法案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。社会労働委員長橋本龍太郎君。
    ―――――――――――――
健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案及び同報告書
特定不況業種離職者臨時措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔橋本龍太郎君登壇〕
○橋本龍太郎君 ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げますとともに、特定不況業種離職者臨時措置法案について、趣旨弁明を申し上げます。
 まず、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、健康保険制度の健全な運営と内容の充実を図るため、標準報酬及び一部負担金の改定並びに傷病手当金の支給期間の延長を行うとともに、臨時的な措置として賞与についての特別保険料の徴収について定め、あわせて、船員保険についても標準報酬及び一部負担金の改定を行おうとするものであり、その主な内容は、健康保険法においては、
 第一に、標準報酬の上限を三十二万円から三十八万円に改定すること、
 第二に、当面の臨時的な措置として、政府管掌健康保険の被保険者の受ける賞与から千分の二十を特別保険料として徴収し、事業主及び被保険者がそれぞれ二分の一ずつ負担すること、また、健康保険組合の場合は、規約の定めるところにより、特別保険料を徴収できることとし、その料率は千分の二十の範囲内、被保険者負担分は二分の一以下とすること、
 第三に、初診時一部負担金の額を二百円から七百円に、入院時一部負担金の額を一日当たり六十円から二百円に改定すること、なお、継続療養給付を受ける者の入院時一部負担金の額は、一日当たり三十円から百円とすること、
 第四に、傷病手当金の支給期間を六カ月から一年六カ月に延長することであります。
 船員保険法においては、標準報酬及び初診時一部負担金について、健康保険法に準じた改正を行うこと等であります。
 本案は、去る第八十回国会の昭和五十二年四月十四日本会議において趣旨の説明が行われ、同日本委員会に付託され、以来、継続審査となり、十月二十七日の委員会において質疑を終了いたしましたが、昨日、本案に対し、自由民主党より修正案が提出されました。
 その要旨は、
 第一に、本法律案の題名を健康保険法等の一部を改正する法律案に改めること、
 第二に、政府管掌健康保険の特別保険料の料率を千分の二十から千分の十五に引き下げ、被保険者負担分の五分の一を当分の間免除し、免除された額に相当する額を国庫が補助すること、
 第三に、健康保険組合の特別保険料の料率を千分の二十の範囲内から千分の十五の範囲内とすること、
 第四に、国民健康保険組合に対する国の補助を、組合の財政力等を勘案して、療養の給付費等の額の百分の四十に相当する額に達するまでの範囲内において、増額することができること、
 第五に、施行期日を昭和五十二年十二月一日に改めること、ただし、国民健康保険組合に対する国の補助に関する改正規定は、昭和五十三年四月一日から施行すること等であります。
 次いで、討論を行い、採決の結果、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。
 なお、医療保険制度の改善に関する件について決議を行いましたことを申し添えます。
 次に、特定不況業種離職者臨時措置法案について、趣旨弁明を申し上げます。
 最近における雇用、失業情勢は、経済基調の変化に加えて、景気の引き続く停滞のため、一段と厳しい状況にあります。
 このため、景気の早期かつ確実な回復を目指す総合的な経済対策が進められている一方、雇用対策についても必要な措置が講じられているところでありますが、なお構造的な問題を抱え、深刻な事態に直面している業種が少なくない現状にあります。
 これらの不況業種の事業分野においては、事業規模の縮小等が行われ、一時に多数の離職者が発生することが見込まれるため、失業の予防、再就職の促進等について特別の措置を講ずることが、当面の緊急課題となっております。
 このような問題に対処するため特別の法律を制定すべく鋭意検討を進め、ここに本案を作成し、提出するに至った次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律の対象となる特定不況業種は、国の施策等に基づき事業規模の縮小等がなされ、これに伴い相当数の離職者が発生するおそれがある業種とし、政令で指定することといたしております。
 第二に、特定不況業種離職者等の失業の予防及び再就職の促進に関する事業主の責務を明らかにするとともに、国及び地方公共団体も事業主に対する援助等必要な施策を講ずるように努めなければならないことといたしております。
 第三に、特定不況業種事業主であって、一定規模以上の事業規模の縮小等を行おうとする者は、労働組合等の意見を聞き、再就職援助等に関する計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受けなければならないことといたしております。
 第四に、特定不況業種の労働者の失業を予防するため、再就職援助等に関する計画について公共職業安定所長の認定を受けた事業主に対しては、雇用安定事業の事業転換等雇用調整事業を行うことといたしております。
 第五に、一年以上の継続雇用等一定の要件に該当する特定不況業種離職者に対して、求職手帳を発給し、就職促進指導官による就職指導を行うとともに、その者の再就職の促進を図るため、就職促進手当、訓練手当等各種の給付金を支給することといたしております。
 第六に、特定不況業種離職者の雇用機会を増大するため、手帳所持者を雇い入れる事業主に対して助成金を支給するとともに、公共事業の計画実施者等に対する特定不況業種離職者の雇い入れの促進についての配慮の要請等、必要な措置を講ずることといたしております。
 第七に、四十歳以上である手帳所持者等であって、一定の要件に該当する者については、雇用保険法または船員保険法の規定による個別延長給付の期間を、現行の日数に三十日を加え、九十日間とすることといたしております。
 以上のほか、特定不況業種離職者等の職業と生活の安定に資するため、所要の措置を講ずることといたしております。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
 なお、本案の提出に際し、特定不況業種の離職者対策に関する件について、全会一致の決議を行いましたことを申し添えます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(保利茂君) 両案中、日程第二につき討論の通告があります。順次これを許します。渋沢利久君。
    〔渋沢利久君登壇〕
○渋沢利久君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案並びに自由民主党による修正案に反対し、以下その理由を明らかにいたしたいと存じます。(拍手)
 申し上げるまでもありませんが、昭和四十八年第七十一国会における健康保険法改正に当たって、政府は、それまでの累積赤字を約三千億をたな上げ、給付費の一〇%定額国庫補助制度や保険料率の一定引き上げを認める弾力条項を新設し、今日まですでに二回にわたって保険料を引き上げ、被保険者負担による赤字対策を行ってきたのであります。それでも赤字は解消しません。本年度末には千六百億余の赤字が推定されるに至ったのであります。これまでの経過が示しますように、もはや小手先の財政糊塗策を何度繰り返しても、健保財政の真の解決にはならないということがはっきりしておるのであります。(拍手)
 しかし、政府は、今回の改正案によってボーナスからの特別保険料徴収、標準報酬の上限改定、初診時、入院時一部負担金の引き上げ、さらには、高額療養費自己負担限度額の引き上げ等、すべて被保険者の負担増によってこれが解消を図ろうとしておるのであります。驚くべき感覚であります。赤字を生み出す構造的要因には一顧だに与えず、一指だに触れることなしに、ひたすら被保険者負担による財政対策の反復、まさに無為無策、長きにわたってなすことなき政府のこの怠慢と欺瞞に対して、私はこれを強く指弾せざるを得ません。(拍手)
 政管健保の赤字は、まずその立脚基盤が中小零細企業であり、加入者の賃金水準は組合健保の八割レベルにすぎず、平均事業所規模十七人という小企業では十分な健康管理や企業内福利措置も期待できません。事実が示しますように、平均受診率や平均入院日数などの支出要因もはるかに上回っておりまして、赤字の発生は当然であります。
 さらに、このようなこの制度固有の赤字要因だけではなく、わが国の医療制度が全体として持っている諸矛盾がこれに重なっているわけであります。すなわち、財政対策を幾らやっても、ざるに水を注ぐがごとしと言われる状況と構造がそれであり、薬づけ医療、営利医療と言われるものがそれであります。
 医療費の増大は依然としてとどまるところを知らず、個人所得の伸び率を大幅に上回り、昭和五十一年七兆七千億、五十二年推定八兆七千八百億、医療費改定がこれに加われば優に九兆を超え、いよいよ十兆の大台に迫ろうとしておるのであります。その薬剤費比率は四〇%を超え、異常というほかないこの薬の過剰投与が問題となっているのでありまして、この異常肥大の主な原因の一つは、すでに多く指摘されたように、点数出来高払い制と言われる診療報酬制度であり、さらには、薬を使えば使うほど医療収益が大きくなる薬価基準制度にあるということは言うまでもありません。(拍手)早く治すほど損をしたり、腕に自信のある医師ほど恵まれないというようなこの制度では、医療の営利主義的な偏向を避けることはできないのであります。(拍手)また、医療機関が実際に購入する薬品の価格よりもはるかに高いところで薬価基準を定めるというこの構造、仕組みによって薬剤大量投与を促しかつ支えているのであります。
 こうして、今日の医療制度の著しい特徴は、膨大な医療費によって国民の医療保障がなされるのではなしに、一握りの製薬メーカーの企業利益だけが確かに保障されているというところにあるのであります。(拍手)
 昭和三十六年以来、いわゆる国民皆保険、保険加入と保険料負担が国民に義務づけられながら、しかし国民に対する医療供給の責任が果たされていないというこの事実は重大であります。差額ベッド、付添看護料などの保険外負担は、金のない者は入院も治療もできないという事実をつくり出し、薬害の被害者や遺族は、十年、二十年に及ぶ血みどろの裁判闘争によってもなお満足な解決を得られないという現実があり、救急医療の不備、老人政策の欠落、医療有料化への不安などなど、医療に対する国民の不信は拡大するばかりであります。医療はもともと公共的性格を持つものであり、国民すべてにひとしく保障されるものでなくてはなりません。
 ところが、わが国の医療制度は、営利経営的な自由開業医制を基調として、私的医療機関が制度の主体をなし、公的医療機関までが独立採算で営利を強要されるというこの構造が、医療をして国民の医療とする道を阻んでいるのであります。そして何よりも、国の施策も指導性もまさになきに等しいというところに問題があるのであります。(拍手)
 いま政府に求められているものは、一時しのぎの財政政策ではなしに、赤字の根源に挑戦することであり、医療制度の抜本改革に勇気を持って、しかも直ちに着手することなのであります。(拍手)
 自由民主党の修正案が、ボーナス保険料の二%を一・五%に微修正を試みましても、われわれは、ボーナス保険料などというこのこそくな発想に、そもそもくみすることができないのであります。労働者の拠出分だけで六百億、修正案によりましても五百億を超える負担を、この不況とインフレに苦しむ労働者に強いることになるのであります。
 総理の諮問機関であります社会保障制度審議会が、「慎重に対処したものとは認められず、たとえ時限的措置を講ずるとしても、にわかに容認することはできない。」という手厳しい、しかも全会一致の答申を行ったことを銘記すべきでありまして、国会もまた、政府案並びに修正案の採決に当たって慎重に対処したものとは認められず、たとえ修正案をもってしても、とうてい容認することはできないということを全会一致で確認しようではありませんか。
 所見の一端を申し述べて、反対討論といたします。(拍手)
○議長(保利茂君) 石橋一弥君。
    〔石橋一弥君登壇〕
○石橋一弥君 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題になりました政府提案に係る健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 健康保険制度につきましては、昭和四十八年の大改正によりまして、大幅な給付改善と、保険財政の健全化を図るための諸施策を講じたことは、記憶に新しいところであります。
 しかしながら、四十八年改正の直後に発生した石油危機を契機として、世界経済全体が深刻な不況に見舞われ、わが国経済もかつてないほど大きな変動を続けております。このため、医療保険をめぐる諸情勢も一層の厳しさを加え、各制度ともその財政状況はさらに悪化の傾向にあります。
 政府は、今後に予想される社会経済情勢のもとにおいて、医療保険の給付のあり方と、これを支える費用負担のあり方の両面にわたって全面的な検討を行い、医療保険制度の抜本的な改善を図ると言明をいたしております。
 しかし、現在すでに政府管掌健康保険組合の財政状況はきわめて窮迫し、制度の運営にも支障を生じかねない状況となっており、このまま放置すれば制度の崩壊すら憂慮されるところであります。
 元来、保険制度は相互扶助の精神が大原則であります。社会主義国家体制ではいざ知らず、自由主義国家においては、働いて得たものはまず自分のものになります。その中から、社会、国家が、各般の機構が必要とするものを、税金として出し合って運営しているわけであります。この認識に立つと、保険給付の増高がある以上は、国民一般の税金または受益者たる被保険者の払う保険料の増徴か、当該組合の保険負担の増加とならねばならないのは自明の理であると信じます。(拍手)
 このような事情を勘案すれば、今回の改正法は必要不可欠なものと考えるものであります。(拍手)
 今回の改正内容の第一の標準報酬の改定は、賃金水準の変動に対応して、保険料負担の公平化を図るためのものであり、月収三十三万円以上の高所得者のみに影響するものであります。(拍手)
 第二の賞与からの特別保険料は、健康保険の窮迫した財政状況に対処するため、健康保険制度の抜本的な改正が行われるまでの間、当面の臨時応急の措置として、政府管掌健康保険においては、被保険者が受ける賞与を対象に、その二%を労使折半で徴収するものであり、健康保険組合においては、その規約の定めるところにより、料率は二%の範囲内、被保険者負担分はその二分の一以下の範囲内で徴収するものであります。
 賞与は、一般に高所得者ほど支給率が高いので、特別保険料は、保険料率の引き上げによるよりも、低所得者にとって軽い負担となるものであり、臨時応急の負担増を求める措置としてやむを得ないものと考えるものであります。(拍手)
 第三の一部負担金の改定は、昭和四十二年以来十年間据え置かれているものを、その後の賃金や医療費の上昇に対応して、スライド的な引き上げを行うものであり、これもやむを得ない措置と考えられます。
 第四の傷病手当金の支給期間の延長は、被保険者の強い要望にこたえたものであり、厚生年金の障害年金受給開始時期と接続させた点からも、妥当な措置であると思います。
 われわれは、以上のように、政府原案の趣旨を了としながらも、委員会審議を通じて明らかになった意見を法案に反映させることが必要であると考え、政府原案を修正することといたしたわけであります。
 すなわち、第一に、現今の経済、社会情勢にかんがみ、特別保険料の料率を二%から一・五%に引き下げるとともに、政府管掌健康保険の被保険者は比較的低所得者が多く、賞与の額も少ないことや、健康保険組合においては任意徴収とされていることを考慮し、政府管掌健康保険の被保険者が負担すべき特別保険料の額については、労使折半負担の原則を堅持しつつ、当分の間、その五分の一を免除し、免除された額に相当する額を国庫で補助することといたしました。
 第二に、国民健康保険組合の財政も次第に窮迫し、現在の二五%の定率補助と臨時調整補助金では、安定した財政対策にならないとの観点から、その安定に資するために、組合に対する国の定率補助を、市町村に対する定率補助との均衡を考慮しつつ、組合の財政力等を勘案して、療養の給付費等の額の四〇%までの範囲内において増額することができることといたしました。
 以上のように、今回の改正案及び修正案は、今後の医療保険の抜本的改正を円滑に進めるためにも必要なものであり、わが自由民主党はこれに全面的に賛成をするものであります。(拍手)
 なお、医療保険制度が、わが国の国民医療の確保に重要な役割りを果たしていることから、医療保険制度の抜本的改正に対する国民の要望はきわめて強いものがあります。このことにかんがみ、わが党は積極的に各党に働きかけ、社会労働委員会において、抜本的改正の具体的方向を内容とする特別決議をいたしたところであります。
 医療保険制度の抜本改正が一日も早く実現することを念願し、これをもちまして健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案についての賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(保利茂君) 伏屋修治君。
    〔伏屋修治君登壇〕
○伏屋修治君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案並びに自由民主党による同修正案に対しまして、反対の討論を行うものであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
 反対する第一の理由は、人口の老齢化とともに、近年著しい都市化現象、核家族化など人口構造の変化に対し、医療制度を即応させることができないままに、単に政管健保財政の均衡を図ることのみにきゅうきゅうとして、国や政府の責任である国民の生命、健康を守るという施策をなおざりにしていることであります。
 第二は、今日、経済低調のもとで財政が逼迫しているのは、ひとり政管健保だけではありません。むしろ、その構成上から運営が危機的状態にあるのは国民健康保険であります。国保財政を圧迫しているのは、特に老人医療費の膨張、拡大であります。関係者からはすでに、老人医療についてその速やかな改善措置が要請され、近くは老人保健医療問題懇談会等から提言があり、これらをまって総合的な医療対策を講ずべきであるのに、政管健保の財政対策だけを先行するのはきわめて公平を欠く措置であり、納得できないのであります。(拍手)
 第三には、本法案は、改正と称しながら、給付の改善を怠っていることであります。かねて国民からは、家族給付の引き上げについて強い要求がありますが、わずかに傷病手当金の支給期間の延長措置のみに終わっていることは、きわめて遺憾であります。この傷病手当金についても、もともと標準報酬の低い水準にある被保険者について標準報酬の改善が配慮されなかったことは、まことに点睛を欠くと言わざるを得ないのであります。
 次に、初診時等の一部負担の強化であります。二百円から一挙に七百円にまで三倍以上も引き上げることは、勤労者の家計に重大な影響をもたらすことは火を見るよりも明らかであります。実際に医療を必要とする国民の受診抑制を招き、医療サイドから見るならば、軽症のときに早期に診断し、早期に治療してこそ意味があります。予防、早期治療を目指す医療のあり方に逆行する措置と言わざるを得ないのであります。
 公明党・国民会議としては、一部負担が急激なものでない限り、保険制度の存続と保険制度に期待する機能からいって、ある程度の負担増はやむを得ないと考えるものの、本改正案には低所得者層への配慮に欠けており、きわめて画一、かつ大幅に過ぎるものであり、断じて容認することはできないのであります。(拍手)
 次に、修正案については、国保組合に対する補助率の引き上げについてはある程度評価するものでありますが、本来、制度問題にかかわるべきボーナス保険料徴収を導入したことは、たとえ一時的な措置であったとしても、総報酬制導入への足がかりであることは疑う余地のないところであります。他の社会保険との関連など、これこそ抜本改正の課題とすべき性質のものであり、本案に盛り込むべきものではありません。しかも、政管健保のみで健保組合は任意というのは、制度間の格差是正が叫ばれている折に、さらに格差を助長するものであり、負担割合の変更などで了承することはできないのであります。
 なお、高額療養費制度についても、今回の措置では三万九千円の限度額から五万一千円に引き上げられることとなりますが、この制度の趣旨と機能を一層期待するためには、これを法律事項に改めるべきであり、一方的に職権で引き上げられることを遺憾に思うものであります。
 最後に、わが党が機会あるごとに申し上げてきたように、政管健保の構造的、体質的な欠陥を是正しない限り、従来にわたって必然的に赤字が生ずることは当然であり、そのたびごとに被保険者の負担をもって補完するという悪循環を繰り返すことについては、もはや国民は納得しないでありましょう。厚生省が近く抜本改正を行うというのであれば、現在累積するところの赤字は、厚生保険特別会計法の借り入れ制限規定の緩和措置の法改正によってたな上げなどの工夫をこらし、赤字については抜本後にその解決方途を講じても遅くないと思うものであります。しかるに、構造的要因で生じた累積赤字を、単年度で、しかも、過去幾たびか抜本改正をほごにしてきた行政責任を反省することなく、国民の負担で解決しようとすることには、全く反対であります。(拍手)
 以上の理由から、本法案並びに修正案に対し反対を表明し、討論を終わります。(拍手)
○副議長(三宅正一君) 神田厚君。
    〔神田厚君登壇〕
○神田厚君 私は、民社党を代表して、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案並びに修正案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 私が今回の改正案及び修正案に強く反対する理由は、この法案が、健保を含めた医療制度の抜本改正を怠り、国民負担だけを押しつける、単なる赤字対策にすぎない法案だからであります。
 わが国憲法二十五条では、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がすべての国民にあることを定め、社会保障の向上、増進に努めることは国の責務であると明確に示しております。しかるに、政府は、財政難を名目として、福祉の向上、増進に全く後ろ向きであり、その上高負担だけ国民に強いようとしており、その典型的なものが今回の健保改正案であり、こうした法案を提出する政府の姿勢に強い憤りと疑問を感ぜざるを得ないのであります。
 政府は、今日わが国の医療制度が荒廃の一途をたどっている現状を正しく認識すべきであります。医療機関が都市に偏在しているとはいえ、三時間待って三分診療という現状が実態でありますし、他方においては、三千地区にも及ぶ無医地区がいまなお存存しているのであります。また、たらい回しなど大きな社会問題にまでなっている救急医療にしろ、夜間、休日医療にしろ、国民の要望にこたえていないのが現状であります。
 一方、医療担当者の極度な不足を解消することも当面する大きな政治課題でありますが、その方向すら明らかにされておりません。さらに、医薬分業、薬偏重、技術軽視の診療報酬体系の適正化もなおざりにされております。国民の要求の強い予防からリハビリテーションに至るいわゆる包括一貫医療制度の確立も百年河清を待つに等しい現状にあり、さらに医薬行政の怠慢による薬公害も後を絶ちません。
 これらを列挙しただけでも、わが国の医療制度がその本来の機能を発揮できないでいることが明らかであり、まさに保険あって医療なしと言われる実情であります。
 そして、その医療保険においても多くの不公正や不合理があり、とりわけ医療保険における最大の不合理、不公正は、健保の被保険者が十割給付であるのに対し、健保の家族給付率及び国保の給付率が七割給付であることであります。同じ国民に対してこうした差別をすることは全く不公正であり、先進諸国に例を見ない不合理であります。こうした不公正を是正することこそ緊急に行うべき健保改正であると私は確信いたします。(拍手)
 さらに私が指摘したいことは、差額ベッドや付添看護といった保険外負担の問題であります。差額ベッドについては、厚生省調査では総ベッドの一八%にすぎませんが、実態はこれを大幅に上回っており、私どもの調査では五一%にも達しているのが現状なのであります。その差額料金は、三千円未満が約八割あり、三千円以上が二割もあります。そして年々値上げの一途をたどっております。現在でも、たとえば一日千円の最低の場合をとっても月三万円になり、その上五日間付添看護をつけただけでも、優に十万円近い負担を患者が強いられることになります。
 これら医療保険の不公正や、患者に過重な負担となっている保険外負担を解消することなく、安易に一部負担を引き上げることに私は全く納得できないのであります。
 私が今回の改正案に強く反対する理由は、特別保険料の新設であります。特別保険料の問題点は、まず第一に、国民に過酷な負担となること、第二に、負担面で総報酬制をとるならば、当然給付面におきましてもそれに見合う給付改善をしなければならないのに、そうした措置がないこと、さらに、組合健保は任意適用でありますが、政管健保は強制適用であるため組合健保と政管健保との負担上の不公正を拡大することであります。
 特別保険料の新設に対しては、社会保険審議会の多数意見が反対の立場を明確にしており、社会保障制度審議会においても、にわかに容認できないとして反対の答申を行っております。すなわち、特別保険料の新設そのものに国民挙げて反対しているのでありまして、これらを断じて容認することはできないのであります。
 この際、修正案について一言申し上げます。
 特別保険料の〇・五%引き下げは、全く不十分でありますが、被保険者の負担割合を引き下げたことは、今後の労使の負担割合を示唆する意味を持っており、また、国保組合への国庫支出を拡大するなど評価できる面もありますが、全体としてまだまだ不十分であって、反対せざるを得ないのであります。
 最後に強調しておきたいことは、自民党政府は、これまで再三再四にわたり医療制度の抜本改正を行うことを国民に約束してきましたが、その都度国民の期待を裏切ってきました。しかし、もはやこうした国民軽視の姿勢は許されないことを深く認識すべきであります。
 私は、真に国民の要望を取り入れた医療制度の抜本改正を公約どおりに国会に提出することを強く政府に要求して、反対の討論を終わります。(拍手)
○副議長(三宅正一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○副議長(三宅正一君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(三宅正一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(三宅正一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 砂糖の価格安定等に関する法律第
  五条第一項の規定による売渡しに係る指定
  糖の売戻しについての臨時特例に関する法
  律案(内閣提出)
○副議長(三宅正一君) 日程第四、砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長金子岩三君。
    ―――――――――――――
砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売り戻しについての臨時特例に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔金子岩三君登壇〕
○金子岩三君 ただいま議題となりました砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、内外の砂糖の需給事情等の変化に対処して砂糖の適正な価格形成を図り、あわせて粗糖の輸入に関する国際的協定の円滑な履行に資するため、砂糖の価格安定等に関する法律に基づき、糖価安定事業団が買い入れる指定糖の売り戻しについての臨時特例を設けようとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、糖価安定事業団は、輸入糖について売り渡しの申し込みがあった場合に、その申込者の申込み数量がその者の通常年における売り戻しの数量等を超えるときは、農林大臣にその旨の報告をすること、
 第二に、農林大臣は、糖価安定事業団からこの報告があった場合に、砂糖の需給の安定に悪影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、その報告に係る過大な売り渡し分について、その売り戻しを延期するよう同事業団に命令することができること、
 第三に、糖価安定事業団が売り戻しを延期した場合における売り戻し価格については、当該輸入糖の買い入れのときから売り戻しのときまでの間におけるその保管に要する経費を加えて売り戻すこと、
 第四に、この法律は、昭和五十五年九月三十日限りその効力を失うこと等であります。
 委員会におきましては、十月二十六日鈴木農林大臣から提案理由の説明を聴取し、同日及び十一月一日の二回にわたり質疑を行い、特に十一月一日には四名の参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を重ね、十一月一日質疑を終了、日本共産党・革新共同の反対討論の後、採決いたしましたところ、本案は、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、全会一致の附帯決議が付されています。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(三宅正一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(三宅正一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十八分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        国 務 大 臣 三原 朝雄君
     ――――◇―――――