第082回国会 法務委員会 第4号
昭和五十二年十一月一日(火曜日)
    午前十時二十三分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 羽田野忠文君 理事 濱野 清吾君
   理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
   理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君 理事 高橋 高望君
      塩崎  潤君    田中伊三次君
      二階堂 進君    福永 健司君
      西宮  弘君    日野 市朗君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      鳩山 邦夫君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        管理局長    長橋  進君
        法務政務次官  青木 正久君
        法務大臣官房長 前田  宏君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 賀集  唱君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省人権擁護
        局長      鬼塚賢太郎君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  大西 勝也君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  勝見 嘉美君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  井口 牧郎君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  岡垣  勲君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月一日
 辞任         補欠選任
  加地  和君     菊池福治郎君
同日
 辞任         補欠選任
  菊池福治郎君     加地  和君
    ―――――――――――――
十月二十八日
 航空機強取等防止対策を強化するための関係法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一
 号)
同日
 民法第十一条の改正に関する請願(中村靖君紹
 介)(第五九七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月三十一日
 農業資産相続の特例措置制度化に関する陳情書
 (群馬県邑楽郡板倉町議会議長小林勘二)(第
 一〇四号)
 差別による人権侵害商行為に対する法的規制措
 置に関する陳情書外八件(門真市議会議長熊本
 雄一郎外八名)(第一〇五号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 航空機強取等防止対策を強化するための関係法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一
 号)
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第六号)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第七号)
     ――――◇―――――
○上村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府より趣旨の説明を聴取いたします。瀬戸山法務大臣。
    ―――――――――――――
 航空機強取等防止策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○瀬戸山国務大臣 航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明いたします。
 近時、航空機乗っ取り事件等一部過激派分子による各種不法事犯は、国際的に見ましても、その手段、態様等において、一段と悪質化する傾向を示しており、特に先般の日航機乗っ取り事件においては、多数の乗客、乗員の生命が重大な危険にさらされただけでなく、一般刑事犯を含む被拘禁者の奪取等およそ法秩序を確立して民主主義体制を堅持する上から、とうてい看過し得ない容易ならざる結果を招来するに至ったことはまことに憂慮にたえないところであります。
 もとより、政府といたしましては、かねて、この種犯罪に対する適切な各種取り締まり対策の推進を図ってきたのでありますが、かかる事態を前にして、さらに強力にして実効ある対応策を樹立する必要が痛感されるところでありまして、ここにおいて、政府としては、関係機関を中心とし国民各界層の協力のもとに、厳然たる決意を持って各般にわたる行政諸施策の一層の徹底を図るとともに、法制面の問題点につき緊急の改善措置を講ずることにより、これら行政諸施策と相まって、この種犯罪の未然防止に万全を期し、あわせて犯人に対する実効ある科刑の実現に資することとする趣旨で、この法律案を提出することといたした次第であります。
 この法律案の骨子は、次のとおりであります。
 その一は、航空機の強取等の処罰に関する法律の一部を改正し、航空機を強取した者等が、当該航空機内にある者を人質にして、第三者に対し不法な要求をする行為について特別の処罰規定を設け、「無期又は十年以上の懲役」をもって処罰することとするものであります。
 すなわち、最近の航空機乗っ取り事件においては、航行中の航空機を強取した上、乗客等を人質として、第三者に対して不法な要求をする例が多く、しかも、その内容は、身代金の要求にとどまらず、拘禁中の被告人や受刑者の釈放を求めるなど法治国家として容認しがたい事項にまで拡大してきているのでありまして、かかる不法な要求をする行為に対して、その実態に応じた処罰規定を設けて一般の強取犯よりも重い法定刑をもって臨むものとすることは、国家刑政上から見ても、きわめて緊要と考えた次第であります。
 その二は、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正し、不法に業務中の航空機内に爆発物、銃砲、刀剣類または火炎びんその他航空の危険を生じさせるおそれのある物件を持ち込む行為について特別の処罰規定を設け、爆発物に関しては「三年以上の有期懲役」、銃砲、刀剣類等に関しては「二年以上の有期懲役」をもって処罰することとするものであります。
 すなわち、航空機乗っ取り事件の防止対策の一といたしまして、航空機内への爆発物、銃砲、刀剣類等の持ち込みを防止することが肝要と考えられるので、このため、空港における安全検査等の強化徹底と相まって、これらの物件を不法に航空機内に持ち込む行為に対して一般の不法所持罪よりも重い法定刑をもって臨み、もってこの種事犯の未然防止に資することとしたものであります。
 その三は、旅券法の一部を改正し、現在刑事訴追を受けている者等に対する旅券発給制限の対象となる罪の法定刑が長期五年以上となっているのを二年以上に改め、新たに旅券の返納命令の通知内容を公告して通知にかえる制度を設けるとともに、旅券法違反の罰則の法定刑を引き上げ、一年以下の懲役を三年以下の懲役に改めること等とするものであります。
 すなわち、過激派関係者により犯される犯罪の中には、法定刑の長期が五年未満のものも含まれており、これらの者については旅券発給の面からも適切な規制を行うことがぜひとも必要と考えます。かかる旅券発給の規制によりこれら過激派関係者が外国に渡航してわが国の刑罰権から逃れることを防止するとともに、航空機のハイジャック等国際社会一般の法秩序に対する重大な侵害を未然に防止するよう努めることが、わが国にとって緊急の必要事であると考えられます。
 また、公告による旅券返納命令の制度を新設して、返納事由に該当するに至った者については、その所在が判明しない場合でも、有効に旅券返納命令を発し得るものとすることにより、その所持する旅券を失効させるとともに、関係諸外国にもこのことを通知して過激派関係者の外国での滞在ないしは国際間の移動に歯どめをかけ、外国官憲の協力のもとに本人を帰国させることも図ろうとするものであります。
 さらに、虚偽申請による旅券の取得、旅券の不正行使等は、過激派関係者の不正な海外渡航に利用されるところであることにもかんがみ、この罰則を強化して旅券犯罪の防止を図る必要があります。
 その他、関連規定の整理を行うこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○上村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○上村委員長 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所大西総務局長、勝見人事局長、井口民事局長、岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○上村委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 この法案の表題を見ると「裁判官の報酬等」と書いてあり「検察官の俸給等」と書いてあるわけですが、理由のところを読みますと「裁判官の給与を改定する必要がある。」こういうふうに書いてあるわけですね。検察官の方も「給与」という言葉を使ってあるわけですが、これはどういうふうに違うわけですか。
○賀集政府委員 まず法律の題名でございますが、「報酬等」あるいは「俸給等」の「等」の中には手当のことも書いてありますので、「等」という字が題名に入ったわけでございます。
 それから、提案理由に「給与を改定する必要がある。」これは裁判官の場合も検察官の場合もありますが、要するに俸給、報酬を通ずる共通の概念は給与でございますので、その意味で「給与を改定する必要がある。」と、普通名詞といいますか、報酬とか俸給とか法律用語でない用語を使っているのではないかと思います。
○稲葉(誠)委員 いや、その給与と報酬と俸給と違うのですか、はっきりしてください。
○賀集政府委員 まず裁判官の場合は、報酬という言葉、これは憲法に「相当額の報酬」という用語が出てまいりますので、報酬でございます。それから検察官は、俸給と書こうが給与と書こうがよかったのではないかと思います。というのは、恐らく立法の沿革をずっと調べてみますと、考えたのではないかと思いますが、普通、俸給といって月々もらう、一般用語では月給のことを言っているのではないかと思います。給与というのは、一般職の場合は給与という言葉を使っています。したがって給与という言葉は一番普通名詞に近い言葉ではないかと理解しております。
○稲葉(誠)委員 いま「報酬等」の「等」について手当が入っているという話がございました。この条文の附則などを見ますと「裁判官が昭和五十二年四月一日以後の分として支給を受けた報酬その他の給与は、」と書いてあるわけですね。手当という言葉は出てこないのですが、手当も給与という意味なんですか。これを見ますと……。
○賀集政府委員 仰せのとおり手当も給与の中に入ります。したがいまして、提案理由で「一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の給与を改定する」あるいは「検察官の給与を改定する」というのは、本俸を変えますと自動的に手当も変わってくるという関係もありますので、そういう意味では給与の中に手当も含むと御理解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、裁判官の場合「支給を受けた報酬その他の給与」で、「その他の給与」というものは何があるわけですか。
○賀集政府委員 前回も申し上げましたけれども、扶養手当、通勤手当、住居手当、これがいわゆる十年選手である判事補のところ、検察官ならば検事九号俸以下のところに支給されます。そのほか期末手当は全員に支給されます。
 それから、申し落としましたけれども、先ほどの判事補のところ、それから検事九号以下のところは、勤勉手当も支給されますし、ほかに特別に生活の不便なところに勤務している場合には特地勤務手当、寒冷地に勤務している場合には寒冷地手当が支給されます。
○稲葉(誠)委員 司法修習生の場合に給与という名前を使っているわけですね。国家公務員でない者に給与を払うということの法律的な根拠はどこにあるわけですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 修習生に手当を給する法律上の根拠でございますが、裁判所法の六十七条二項に「司法修習生は、その修習期間中、国庫から一定額の給与を受ける。」こういう条文がございます。現在具体的な額につきましては最高裁規則で定められております。
○稲葉(誠)委員 この司法修習生の現行が十万一千三百円、今度の改正案が十万八千四百円、これはどういうところからこういう数字が出てくるわけですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 昭和二十二年に新制度、司法修習制度が発足いたしたわけでございますが、その直前に司法官試補が受けていた額を司法修習生手当の額とされたわけでございます。その後昭和二十三年以降は、それに対応いたします一般の政府職員の俸給月額にスライドする額に決められております。なお、途中で俸給表の改定が何回かございまして、三十二年以降現行制度改正直前までには七級四号でございましたけれども、それ以降は、現在もそうでありますが、一般職の六等級二号と三号の中間の額になっております。
○稲葉(誠)委員 この修習生の場合に外国人を司法修習生に採用するということについて、去年ですか一人あれがあって、ことしまた二人の方が合格されたようですが、これは最高裁として態度が変わってきたというふうに見てよろしいのですか。その間の経過は……。
○勝見最高裁判所長官代理者 当委員会におきましてもその経過につきまして詳細に御報告申し上げたとおりでございますが、従来外国籍のまま修習生を希望した者がございませんでしたが、本年度、御承知の金敬得氏が外国籍のまま修習生を希望してまいりましたので、最高裁判所の裁判官会議におきまして十分慎重に検討をいただいた上で、修習生に採用したわけでございます。外国人のまま司法修習生に採用したことは初めてでございます。
 なお、最高裁判所の考え方が変わったかというお尋ねでございますが、従来の募集要項につきましては日本国籍を有することが要件であったわけでありますが、金敬得氏につきましては、その例外的な措置として裁判官会議で採用を決定していただきました。なお、本年度の募集要項につきましては、すでに新聞でも報道されたとおりでありますが、例外規定をはっきり明文化したわけでございます。その意味で最高裁判所の考え方が変わったというふうにお考えいただいても結構かと存じます。
○稲葉(誠)委員 これは前にも質問があったかと思うのですが「裁判官・検察官・報酬・俸給月額改定対比表」というのがあるわけですが、これを見てみますと、判事の特号の増率が九・六、判事一号が九・七、判事二号が九・四、判事三号が九・二、それから判事四号が八・八、判事五号が八・六、判事六号が八・五。これで簡裁判事もそれぞれ対応するのですが、こういうふうに九%台に上がっておるのがあるのに、判事補の方は大体七%あるいは七・一%と、こういう数字になっているわけですね。そうすると、上の方が非常に上がり方が厚くて下の方が薄いというような印象を与えるのですが、これはどうしてこういうふうな形になったわけですか。
○賀集政府委員 今回の給与改定は、一般の政府職員の場合も同じでございますが、人事院勧告に基づくものでございます。今回の人事院勧告におきましては、勧告当時新聞等にも報道されましたけれども、民間給与における役員給与の大幅な増加という点を考慮して、一般職の場合は、指定職の引き上げ率が、他の指定職以外の職と比較いたしまして若干高率となっております。したがいまして、これに対応するところの判事、及び検事でしたら九号以上のところはその引き上げ率も指定職同様高率となっております。これは人事院勧告に従ったために結果的にかように相なったのでございまして、今回特別に判事と判事補との間に、引き上げ率につき上に厚く下に薄い、こういう操作をしようとしたわけではございません。
○稲葉(誠)委員 そうすると、人事院勧告そのものが民間給与との比較において数字の上では上の方に厚く下の方に薄いという結果が出てきているわけですか。
○賀集政府委員 これは先週のこの委員会でもお答えいたしましたように、確かに人事院勧告それ自体は、指定職のところは高くなっておりますが、それ以外のところは、中位階層に厚くしようという配慮はいたしておりますけれども、特に上に厚く下に薄いということはやっていない、私ども調べたところ、そういうことになっております。
○稲葉(誠)委員 判事補の十二号から十一号までに上がるのはどのくらいかかるのですか。それから十一号から十号にまで上がるのは。ずっとありますね。判事補一号から今度判事八号、判事一号まで、ずっとあるわけですが、それは最初は六カ月くらい、それから九カ月くらいと、こういくわけでしょう。そのところを少し説明していただけませんか。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官につきましては昇給につきまして明確な規定化したものはございませんけれども、ただいま御指摘のとおり判事補につきましては一号から十二号までございまして、その間十年間あるわけでございます。算術的に割りますと端数が出てまいりますが、その間の昇給期間はただいま御指摘のとおり六カ月から一年ぐらい、あるいは時には号俸によっては九カ月ぐらいということに相なっております。
 なお、判事の場合につきましては、一般的に申し上げますと、最初の十年間で八号から五号までほぼ一律に昇給いたしまして、判事になりまして十年目、再任になりますが、再任されまして大体十年たちました後大方四号ぐらいになります。その後定年まで平均的に約二十年近くあるわけでありますが、その間少ない号俸を刻んで昇給することになりますので、その問の昇給期間はまた相当長くなっているというのが現状でございます。
○稲葉(誠)委員 私の聞いたところでは、判事の何号でしたか、そこに三年半ぐらいとどまっていないと上の号俸に上がれないということを聞くわけですが、それはどこいら辺のことを言っているわけですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 大変抽象的に申し上げまして大変失礼でございますが、号俸の刻みが比較的少ないのにかかわりませず、判事のいわば普通のコースで行きまして、判事になりましてから定年までの期間が相当期間ございます。どうしてもその昇給期間が御指摘のように三年六カ月以上かかるというようなところもございます。大体四号あたりがそんなところに相なろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 四号というと、大体年齢的に言うと中堅クラスでしょう。普通の状態で行って幾つぐらいになるのですか。普通の状態というのもちょっとあれだけれども。
○勝見最高裁判所長官代理者 正確に計算してまいりませんでしたが、大体平均四十五歳くらいではなかろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、三年半ぐらいかからないと上の号俸へ上がれないというのは判事四号だけですか。このクラスの人がいま非常に多いのではないのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 判事の任官者の絶対数につきましては各期ごとにばらつきがございますので、絶対的にその辺が多いということにはならないかと思いますが、現状においていま御指摘の数が何名かということは調べてまいりませんでしたのでちょっとお答えいたしかねます。
○稲葉(誠)委員 数はいいのですけれども、結局三年半もたたないと上の号に上がれないということで、相当な不満と言うと語弊がありますけれども、それがあるように聞いているのですよ。だからここいら辺のところは何とか直せないのですか。これは人事院の方でも、普通の一般の行政官もそういうふうになっているのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官の給与体系につきましては一般職の給与体系と質的に異なるものがあると考えております。特に判事の場合には、先ほどから申し上げておりますように八号までいわば八段階しか刻みがございません。これと対応します一般職の場合は、御承知のとおり等級、号俸というふうに相当細分化されております。一方、裁判官の場合に、一般の下級裁判所の場合でございますが、定年が六十五歳でございますので、判事に任官いたしましてからいわば二十年内外判事として勤めていただくわけであります。二十年以上でございます。相当年数勤めていただくわけでありますが、その間を号俸の少ないところを刻んでまいりますので、どうしても特定号俸に滞留する期間が長くなるということに相なるわけであります。先ほど申し上げましたように八号から七、六、五と三段階上がるにつきまして十年以上かかりますから、当然算術計算いたしましても平均三年三カ月ということになりますので、その間三年六カ月ぐらいになることもあるというふうに御理解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 三年六カ月も同じ号俸にとどまっているんじゃ、とてもこれは長くて、士気に影響と言うと言葉は悪いけれども、あれだと思うのですが、検事の方はどうなっているのですか。検事の方も同じですか。検事の方もやはり八つに分かれるわけだけれども……。
○賀集政府委員 検察官について申し上げますと、検察官は検事任官後経験年数の浅いうちは大体同期の検事と同じような形で昇給してまいります。およそ二十年くらいたちますと、人それぞれに能力差が出てまいりまして、また客観的な一般的な評価も違ってまいります。そこで、おのずから同期の検事の間でも昇給の面で差が出てまいります。それは大体二十年経過後ということでありますが、中には御指摘のように、一号俸昇給するのに三年半もかかるという例がございます。それがどの号俸のところかという点になりますと、具体的な人事面の中身に触れてまいりますので御遠慮させていただきます。
○稲葉(誠)委員 検事の場合は能力に応じて三年半の者もあるし、三年半でない者もある。裁判官の場合は、能力ということは全然別にして、全部三年半なら三年半ここで置かれてしまうわけですか。何か検事と判事と大分違うような印象を受けるけれども……。
○勝見最高裁判所長官代理者 改めて申し上げますと、判事補十年の間におきましては大体ほぼ一律に昇給しております。その間長期病休等のことがありますれば、ある程度その特定の号俸に長くいることもございますが、判事補の間はまずほぼ一律というふうにお考えいただいて結構かと思います。それから、先ほど申し上げました、判事に任官いたしまして再任されるまでの間も大体そのようなほとんど差をつけないで上げております。なおこれも何回も稲葉委員から御質問がございましたが、任官後二十年もたちますとそこにその裁判官に対する客観的な評価というものが徐々に固まってまいりまして、その後の昇給につきましてはいわば客観的な評価に従ってなされていくというのが現状でございます。
○稲葉(誠)委員 その点はいつかも聞いたことがありますので、それ以上のことはお聞きをいたしません。
 そこで、副検事のこれは特号というのですか、ございますね。特号という制度が設けられたわけでしょう。ところがなかなかこれになれないというんで、副検事の一号を十年以上やらないとなれないのですか。特号という制度は設けられたけれども、実際には余り運用されていないので、一号を十年以上もやっている人が大分いて、大分不平というか不満があるんですがね。いま副検事の特号というのはどういう条件の場合になるんですか。何人ぐらいいるんです。
○賀集政府委員 まず特号の人数でございますが、やはり予算上枠がございまして、三十名で枠いっぱいで運用いたしております。その関係で一号からなかなかなれないという方も出てまいります。そして特号の方は、一号に相当経験年数を踏まれて、しかも練達な方、そういう方を優遇するために特号になっていただいております。
○稲葉(誠)委員 特号になるためには一号は十年以上やらなければいけないのですか。
○賀集政府委員 そういう具体的な年数は人事当局から聞いておりません。ただ十年というそういう枠といいますか、基準があるかどうか、そこのところははっきりしておりません。
○稲葉(誠)委員 なかなか特号になれないというんですよね。なるときはやめることを条件にして特号にするということもどうもあるらしいのですね。それだから副検事の一号をずいぶん長くやっている人がいるんですよ。それは話としてはよくわかりましたが、もっと特号の活用をするようにしてもらいたいことと、それからいまの裁判官でも三年半も同一号俸にとどまっているというのはちょっと長過ぎるんじゃないかと思うのですがね。もっと短く、どこに交渉するのか、大蔵省に交渉するのか、人事院に交渉するのか、何とかならないものでしょうかね、そこら辺のことは。
○勝見最高裁判所長官代理者 大変説明不足で申しわけございませんが、裁判官の報酬体系をどうするか、どうあるべきかという問題につきまして、裁判官という職務の性質上そう刻みを多くすべきではないという考え方があるわけでございまして、現行法は先ほどから申し上げておりますように判事につきましては八段階、いわゆる特号を入れますと九段階になりますが、そのように刻んであるわけであります。一方、定年が六十五歳ということでございまして、相当長い期間勤務していただきますので、どうしてもその間ある一定の号俸にとどまっていただく期間が長くなる、これもやむを得ないところだろうというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 話は別なんですけれども、最高裁が各高裁というよりむしろ地裁ですね、地裁に対して事件処理の統計をいろいろ求めておるのではないか、こう思うのです。聞きたいことは、たとえば事件を新しく受けてから何カ月以内に解決したかとか、そういう意味の統計をとっているのではないか、こう思うのです。そのことが非常に無理に第一審において事件を急ぐという傾向になってあらわれてきているのではないか、こう思うのです。一般的に言って、どういうような事件処理に関連する統計を最高裁としては各高裁なり地裁等に求めているわけですか。
○大西最高裁判所長官代理者 稲葉委員ただいま御質問の点でございますが、御承知のように私どもの総務局に統計課というところがございまして、そこでは実に詳しい統計をいわば求めておるわけでございます。大きく分けまして民事、刑事、家事、少年とございますが、そのそれぞれにつきまして月報、毎月の当該裁判所の新受、既済というようなものでございますね、それから半期報、年報といったようなものを聴取しておりますし、そのほかにもそれぞれの事件の種別によりまして、たとえて申しますと第一審訴訟事件ですとか、手形、小切手訴訟事件といったような数十種類の事件につきまして事件表というものを一件、一件に書いて最高裁判所へ送っていただく、こういう統計報告を求めておるというのが現状でございます。
○稲葉(誠)委員 その統計は、たとえば事件を新しく受けて何カ月以内に落としたとか和解によって解決したとかいろいろあると思うのですけれども、それは各判事ごとにとっているのですか。最高裁の人事局に聞くと、実に各判事のことをいろいろ詳しく知っているわけですね。あんまりここで言いませんけれども、いろいろのことを知っているわけだ。最高裁としては統計を各判事ごとにはとらないのか、あるいは最高裁でとらないとしても、各地裁ごとには各判事ごとにそういう事件を何カ月以内に解決したかとかなんとかいうふうな統計をとっているわけですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問、二つに分かれると存じますが、一つは最高裁判所でそういう統計をとっておるかという点につきましては、ある特定の判事がある月にどういう事件を処理したかというふうな報告は最高裁判所としてはいただいておりませんし、最高裁判所にわかっておりません。ただ、これはむしろ私の実務上の経験から申すことでございますが、各裁判所によっては、これは全部ではないかもしれませんが、それぞれの部、恐らく個人というのはないと存じますが、各部ごとにその月の新受、既済というふうな統計はとっておるところもあるかと存じます。
○賀集政府委員 初めの間に委員の御質問で、手当のことをかなり網羅的に申し上げたつもりでございますが、二つ漏れておりましたので……。
 一つは、初任給調整手当、これは判事補五号以下、検事ならば十三号以下に支給されます。
 もう一つは調整手当、あるいは勤務地手当というふうに思っていただけばいいと思いますが、賃金、物価、生計費の特に高い六大都市とか、これに準ずるところに、それぞれ段階がありますが、支給されております。
○稲葉(誠)委員 その初任給調整手当というのは判事補のあれでずっと下の方から出るわけですね。これは本俸に繰り入れるわけにいかないのですか。何か同期の弁護士と大体の比較をしてみて、足りない部分を初任給調整手当というふうな形で補っているという答弁を聞いたことがあるのですが、そうすると暫定的なものですね。だから、ボーナスのときなんかにはそれを基準としてボーナスを算出するわけですか、それは別なんですか。
○賀集政府委員 初任給調整手当が設けられた趣旨は、ただいま御指摘のとおりでございます。
 それで、一般職の職員の中にも初任給調整手当の支給を受ける者がございますけれども、その本俸繰り入れも行われておりませんし、また初任給調整手当と本俸とは性格が違うという点もありますので、本俸組み入ればまだ実現されておりませんし、実現するのにむずかしい事情があると思うのであります。
○上村委員長 次に、横山利秋君。
○横山委員 最高裁が国会においでになることは余りたくさんありませんので、裁判官の俸給の問題に関連して少し最高裁に、どなたにお伺いしたらいいのか、本当は事務総長においでを願った方がいいのではないかと思いますけれども、ひとつお伺いをいたしたいと存じます。
 私はいま訴追委員をやっておるわけであります。法務大臣は前に訴追委員長をなさっていましたから訴追委員会に出てまいります話題というものはお互いによく存じ上げておるわけであります。いまその訴追委員会の内部におきます個々の事案について格別触れようとするわけではありませんが、余りにも多い事案について実は訴追委員会としてもいろいろ考えさせられる点が多いのであります。
 五十二年七月十五日現在で調査小委員会に付託されましたのは、一事案四件、その他の事案としては旧受理事案が三事案七件、新受理事案が十六事案二十七件の多きに達しています。この内容をいろいろと審査してみますと、少し乱訴の傾向がある。中には、何でもいいからいやがらせにでも訴えを出してやれというようなのもございます。特に鬼頭判事補のような問題は特異な例ではございますが、それにしても裁判官の訴追の訴えを出すのが余りにも多い。これは一体どう考えたらいいのであろうか。一つは、裁判の進行に関する作戦として出ている場合もあるであろうし、あるいはまた、プロとしてとにかく何でもいいからやってやれというようなものではないかと思われるものもあります。それから中には、もう少し裁判官が穏便な扱いをしておればこんなささいなことに訴追を出さないでも済むのではないかという感じがするのもあります。
 そこで、最高裁にお伺いをしたいのは、最高裁としては、こういう訴追案件の訴えをします場合に最高裁へこれらの事案の内容というものは上がってくるものであるかどうか、御承知の問題であるかどうか、まずお伺いします。
○勝見最高裁判所長官代理者 訴追委員会に事件が係属した段階では私どもには通知はございません。したがって、全件につきましてどういう裁判官がどういう内容で訴追の申し立てを受けているかにつきましては全然承知しておりません。しかし、法律によりまして訴追委員会が調査に乗り出されるわけでございまして、その調査の対象として、私どもの所属の裁判所に直接調査にいらっしゃる、あるいは書面で調査を求められることがございます。その際にその裁判所の所属の具体的な裁判官が訴追されているということがわかるわけでございまして、全体の様相につきましては最高裁判所としては承知していないというのが現状でございます。
○横山委員 大臣も私も訴追委員会の経験がお互いにあるわけでありますが、訴追委員会としてはきわめて厳格に事案の処理をしており、しかも定足数が三分の二で、非常に多忙なところをお互いに無理をして一つ一つの案件を処理しております。そしてその委員会に入ります前には、小委員会が職員をして事前調査をせしめる。そういう調査の状況と、いま最高裁のお話を聞いてみますと、最高裁は調査のあるまで全然何も知らぬ。そして調査の段階で、もうこんなことはと思って報告し、これはもう訴追しない、これは取るに足らないというような案件の決定を訴追委員会でいたしますまでにかなりの時間がかかるのであります。訴追委員会の全般の状況について最高裁が承知していないという点についても、裁判官のありよう、法廷のありようから考えますと少しいかがなものであろうか、私はこういう感じがいたすわけであります。そしてまた、特に百のうち一つ二つの問題でございましても、訴追委員会が事案に至らずということを決めましても、もう少し裁判官が配慮をしておればいいではないかという問題もないではないと思うのであります。
 これを、いま訴追委員長でもない大臣に聞くのは少しおかしいかとは思いますけれども、あなたの豊富な経験から言って、訴追委員会の仕事と最高裁判所及び裁判官のありようについて改善さるべき点があるのではないか。いま訴追委員長がいらっしゃらないでなにでございますけれども、私は裁判官のありようとしてあなたの御意見を伺いたいと思うのでありますが、ちょっとお答えにくいかもしれませんけれども、率直にひとつ。
○瀬戸山国務大臣 横山さんも御承知のとおり、訴追委員会は国会の独立機関となっております。それから国会と裁判所は、御承知のようなお互いに相干渉しないという立場になっております。政府ももとよりでございます。でありますから、法務大臣として裁判官のあり方についてとかく申し上げることは差し控えなければならないと思っておりますが、あえてそれを御承知の上で横山さんせっかくのあれですから、法務大臣としての立場を離れた意味で私は申し上げたいと思います。
 確かにこれは法務大臣として責任ある私がとやかく言うことじゃないと思いますが、いまも最高裁から御答弁がありましたが、年に数千件訴追事件があるわけでございます。世間では、これは御承知ない。たまたま裁判所に直接調査をする、あるいは最高裁に御依頼をするというときに、そういう案件は裁判所にわかる、こういう状況でありますが、御承知のとおり、いわゆる捜査段階でございますから密行主義をとっておるというところに非常に問題があるわけでございまして、ただしかし、これは横山さんがおっしゃるように、多くの案件は訴追すること自体がおかしいという案件が大多数でありますけれども、こういうふうな訴追の決定をする案件でなくても、裁判官のあらわれておる状態では、私、率直に申し上げますが、裁判官にちょっと親切みが足らないところがあるような感じがしばしばあるわけでございます。多くは弁護士さんの弁護人がついている事件もありますけれども、そうでない事件に多く訴追事案が出てくるのが相当ある。裁判所というところは、御承知のとおり法律規則によってやるわけでありますが、一般国民から言うと、ちょっと常識的に見て親切さに欠けるのではないかという感じが、訴追事件を扱っていて見える。そういうこともありますから、これは国会で決められることになるのではないかと思いますが、むずかしい問題でありますけれども、やはりその状況を少なくとも最高裁判所には、おおよそこういう訴追事由によって出てくる案件がこういうふうにあるんだということぐらいは把握しておられないと、最高裁判所としては裁判官を把握しておられると思いますが、裁判の実態について、この事案についてとやかく言う立場にはないと思いますけれども、裁判官のあり方については、これはやはり最高裁判所としてはそれを見る職責があると思いますから、そういう資料に供するという意味においては、どういう措置といいますか、規定をつくるのが適当か、これは研究の余地があると思いますが、これは国会の方で三権分立との関係、お互い独立機関との関係がありますからむずかしい点があると思いますけれども、それは検討する余地があるということを私は考えております。三千件、四千件とある訴追の内容がおおよそ知られない場合があると思う。それは、訴追事由として弾劾裁判所に訴追する事件でなくても、もうちょっと裁判所の扱い、裁判官の心構えとして、訴えが参考になるという問題はたくさんあるように思いますので、そこら辺は何か最高裁の方である程度把握ができるような措置といいますか手続といいますか、ある方がこの制度の意味あるいは裁判所が国民から信頼を受ける意味において適当じゃないか、所感を問われるとそういうことでございます。
○勝見最高裁判所長官代理者 大臣からいま大変御親切なお話がございましたが、先ほどの私の答弁に補足さしていただきますと、訴追委員会の事務局から統計表はいただいております。したがいまして、何件ある、それからどういう理由かという、もちろん具体的な内容には触れておりませんが、そういう簡単な統計表はいただいております。
 それから、決定がありますと、関係人として委員会の方におかれて必要だというふうにお考えになった場合には、決定書の送付を受けておりまして、その限度では承知しておるというのが正確なお答えでございましたので、補足させていただきたいと思います。
○横山委員 私は、最高裁が現在の未済事案のすべてを承知して、なおかつ、それに対し一々対処しろ、こういう意味で言っているわけではありませんから、念のために申し添えますが、裁判官のありようという問題についてはしばしばこの委員会でも、遠慮しながら多少の苦言をお互いに出しておるつもりでございます。その最も顕著な問題は鬼頭判事補の問題でございましたが、少なくとも庶民が考えます裁判官というものが、一般論ではございますけれども、やや権威主義的な、近寄りがたい、そして、本人が孤高の精神といいますか、余り世俗にかかわらないで、自分は法律の番人である、そういうような気持ちが裁判官の共通のものではないかという感じを持っておるわけであります。それが間違えておればそれは結構でございますが、裁判官のありようというものが一体どうあればいいのかということについてはいろいろな見解がございまして、最高裁判所長官が御就任の際にいろいろ自分の所信の披瀝をなさっておる。時代とともにその所信の披瀝はきわめて大きな推移があるわけであります。長官の人生観なり社会観なり世界観というものがきわめて鮮明にされた。つまり非常な反共主義的な所信披瀝をなさった方もございますし、あるいは政治に関与すべからずというような所信の披瀝をなさった方もございますし、あるいは一般論、当たらずさわらずというような所信の披瀝をなさった方もあるわけでございます。それは時代の推移とともに、長官がそういうことをおっしゃってもまあまあ受け入れるという時代もないではございませんでしたけれども、そういう長官のお考えというものが、やはり裁判官の皆さんに一つの印象を与えておることは言うまでもございません。そういう、人によって違うお考えが共通の基盤として一体どうあるべきかという点については、私どもも注文するわけではございませんけれども、いろいろ私どもの考えとしてもあるわけであります。一つの鋳型にはめてはいけませんけれども、少なくとも憲法による平和主義、民主主義、基本的人権、国民の立場に立つ、国民の主張を十分に尽くす、いかなる権威にも屈せぬ、いじけない、くじけぬ姿勢というものが共通の問題ではなかろうかと思います。しかし、それはそうといたしましても、全国の裁判官がどういう裁判のありようをしておるのかという点については、最高裁判所としては十分に情勢を承知をしておる、判決にあらわれた裁判官でなくして、裁判官のありようとしてのとらえ方というものがあって、この種の訴追事案というものがこんなにたくさん出てくるということは、必ずしも全部がまっとうなものではないと思いますけれども、それにしてもこれだけ出てくるということについては何かの問題点を把握をしていらっしゃらなければいかぬのではないか、そう私は痛感しておるわけでありますが、この訴追委員会に付議されます事案と、それから裁判官のありようというもの、そういうものについて最高裁としてひとつお考えを新たになさる必要がないかどうかお伺いをいたします。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官のありようについてということで、非常に次元の高い御質問でございます。確かに御指摘のとおり、訴追事案というものの数が非常に多いということが、現在の裁判官のありようをあるいはあらわしている面もあるのではないかというお尋ねだと思います。私、お尋ねに対しまして、裁判官のありようというものはこうであるということを申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、裁判官の端くれといたしまして、伝統ある司法の中に住む私どもといたしましては、十分自覚して仕事に当たっているというふうに信じておりますが、裁判官のありようについて、かつて高裁長官のある方がこのようなことをある雑誌に書いておられます。「わが国の裁判官の適格性としては、まず廉潔、勤勉で信頼性があり、責任感の強いこと、物の考え方が中正公平であること、自己の信念を堅持すると同時に他人の言い分や立場もよく理解し協調性もあること、その官に相応した法律的素養と共に円満な常識、良識を備えていることその他いろいろ考えられるが、特に裁判官は、事件の当事者や代理人、弁護人あるいは証人などの主張や供述を虚心に聞き、その言わんとするところを正しく把握し、冷静に判断することが必要であるから、とかく先入観を持ってそれに固執し、自分の考えに合わない他人の意見や話には謙虚に耳を傾けようとしないような偏狭な性格の人は、合議体の構成員としても不適当であり、裁判官としては適格性がないといわなければならないであろう。」このような一文を物しておられるかつての高裁長官がおられますが、この言葉を引用して私の答弁にかえさせていただきたいと思います。
○横山委員 ともあれ、きょうは訴追委員会の席にある者として、訴追委員会に出てまいります訴追の訴えについて最高裁に注意を喚起しておきたい。ただ案件の通知がある、処理の通知があるということでは済まないものがありますよという点について注意を喚起しておくことにとどめます。
 その次は、この間も法務大臣に伺ったのですけれども、最高裁が最高検察庁の宣明に対応する宣明をなさった、そして、しかも最高裁は、これは被疑者の問題でございましたが、被疑者の免責による自白は証拠にはならないという最高裁の判決をされた。この間、刑事局長は、被疑者と証人並びに参考人とは少しニュアンスが違いますということは言われました。言われましたけれども、いずれにしても最高検察庁の宣明に対応して最高裁が宣明をされたということは、免責ということについて最高裁が了承をした、それが、法的な根拠やいろいろなものがない常識的な問題であるにしたところで、世間の受け取り方あるいは私どもの受け取り方も、最高裁が免責について了承を公式に与えた、こういうふうに理解をするのですが、そう理解してよろしいのでしょうか。
○岡垣最高裁判所長官代理者 ただいまの問題につきましては、これは現在ロッキード関係の事件は地方裁判所に係属しておりまして、恐らくそういった問題がいろいろと当事者の間で、検察、弁護の間で争われ、そしてまたそれが裁判所の判断があれば、結局は場合によっては最高裁まで来る、そういうことを控えた問題でございますので、事務当局の私どもとしまして、ここであの最高裁判所の宣明書の意味内容についてこうである、ああであるということは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、宣明書というものは、あの文章全体からごらんになって、最初に事実関係がずっと書いてあります。それで、こうこうこういう経緯である。それから第二段目に、こういう経緯であるならば起訴されることはないであろうという認識が書いてありまして、それはいわゆる裁判としてされたものでもなく、それから立法としてされたものでもなく、司法行政上の措置として、十二条に基づいてされたものであるというようになっておりますので、そのようなところから御賢察願うほかないと考えております。
○横山委員 裁判中であるからお答えがしにくいとおっしゃるのですが、しかしながら、そのなされた事実というものは厳然として存在をするわけであります。そして、東京地方裁判所裁判官が米国官憲に対して証人尋問の嘱託をしたこともまた事実なんであります。その事実関係というものをどう理解したらよろしいのかということでありますから、裁判中であるからというふうに言われても、私どもも国会審議としては困るわけであります。私はこの間も何回も言ったのですけれども、この弁護側の求釈明申し立て書を見ておるわけでありますが、検察意見書の方が私は筋が通る、政治的にも私どもの考えと合うという立場ですから、決して一方に、その弁護側の主張にくみして言っているわけではありませんけれど、私の意見としては、ともあれこういう現実が行われておって、それを国民的に了承をしたことである、しかし、弁護側がそういうような主張をする疑いというか余地というか、そういうものが仮にありとするならば、今後の立法においてわれわれが考えなければならぬ、こういう立場なんであります。その意味で、法的な最高裁の宣明ではない、これはもう他に影響を与えるものではないと言われようが、事実関係は、地方裁判所が嘱託尋問を正規に米国の官憲に要望し、その前提として最高裁の宣明が最高検の宣明に対応して行われたというこの事実関係を、全然それは答えられないということは国会側としては了承しかねるので、あなた、もう少し親切な答弁をしてもらいたい。
○岡垣最高裁判所長官代理者 委員のおっしゃいますことはよくわかります。ただ、たとえば東京地方裁判所の裁判官がその証人尋問の嘱託を米国裁判所に対してしたということ自体も、もうすでに新聞などで御承知のとおりに、それ自体できるのかできないのかということから当事者間に争いになっておりまして、事実としてはしたわけであります。それと同じような意味合いで、最高裁判所としましては、その宣明書にあるとおりに、ずっと一定の事実があり、そしてああいう内容の宣明書を出しましたというこの事実はもうそのとおりでありますけれども、これをどういうふうに評価するか、どういうふうに意味づけを与えるか、これはひとつ御勘弁願いたいと思います。
○横山委員 大臣にお伺いします。
 ここは立法機関であります。私はこの間アメリカへ同僚諸君とともに行ってまいりまして、国会の任務というものが、たとえばアメリカで行われております米韓の調査にしましても何にいたしましても、その中から真実をきわめるとともに、立法の必要性があるならばそれを立法する、むしろその方に力点があるということに大変感銘を受けたわけであります。私も、最高検あるいは最高裁のこの両宣明書の中から、これは少し争いの余地を残してはいけないなという感じを持ったわけです。つまり、免責条項についてしかるべき根拠法を立法する必要がある。もし、免責条項が間違っておる、そういう理論は日本の刑法なり何なりになじまないとするならば、希有な例ではあるけれども、コーチャン、クラッターに免責を与えたことは間違いであるという論理に発展するわけであります。間違いでないとするならば、そういうことが正しい、合法的であるとしたならば、それに争いの余地を残してはならぬという意味において、免責条項について立法の必要性があると痛感をしたわけであります。しかも、私の意見は、免責条項というものはきわめて希有な例に適用すべきものであり、非常に限定された条件のもとに伝家の宝刀として行われるべきであって、軽々に行われるべきではない、しかしながら、必要性がある、そういうことを痛感をしておるわけですが、法務大臣としてはいかにお考えでございますか。
○瀬戸山国務大臣 不敏にして、アメリカの免責条項、イミュニティーというものの複雑な規定があるようでございますが、私はよく研究しておりません。ただ、立法機関でありますから、私は案件の細かいことをここで探るというよりも、どういう事態でこうなるかということを立法に備えて国政調査をやられるべきものだと思います。その結果、国会においてこういう立法をしておく方が国政上円満にいくとか、適切になるとか、そういう結論が出ますれば国会において立法されるということになると思いますが、いまのお話について私はよく研究しておりませんので、的確なお答えをすることができないのを残念といたします。
○伊藤(榮)政府委員 大臣のお答えに補足して申し上げますが、現在、刑事手続に関する限り、国内における捜査等に関しましていわゆる刑事免責を与えるということについてはきわめて慎重を要する問題であると思っております。ただ、御指摘のように、きわめてレアケースとして国外に対して捜査の共助を求めたような場合に、相手国の法制上、刑事免責が問題になる場合があり得るわけでございます。現にそういう事態があったわけでございます。前回のお尋ねに際しましてもお答え申し上げましたように、わが国から外国に対して嘱託をいたします場合の手続等の整備については、検討の余地があろうと思っております。したがいまして、そういう検討の一環として今後なお真剣に検討していかなければならぬと思っておる次第でございます。
○横山委員 これは、私ども国会側としてのロッキード事件に対する経験上必要であるということなのでありますが、政府側もまた自分でおやりになったことなんだから、最高検も最高裁もおやりになったことなんだから、自分たちで御検討なさるべき筋合いのものだ、私どもがやったのじゃない、あなた方がおやりになって、やったことについて私がどうしたのです、その論拠は何ですか、その弱点はこういう点があると思うがどう考えますかという点なんですから、やはり政府側としてもまじめに問題を取り上げてもらいたい。それは、繰り返し申しますけれども、検察意見書が筋が通っておるという立場で言っているわけでありますから、ここの質疑応答がロッキード裁判に悪影響をもたらすと私は考えておりませんから、どうぞまじめにひとつ検討してもらいたいと思います。
 次に、法律扶助協会について少し質問をしたいと思うのでありますが、先般、委員長初め法務委員と日弁連との懇談の際に、日弁連から要望がございまして、十五億の基金募集をやるから国会側でも協力をしてほしいということがございました。この間理事会で、理事一同些少ではございますけれども、一万円ずつ寄付をさしてもらい、委員の皆様にも御協力をいただいておることと存じます。
 その過程で、法律扶助協会についてもう一遍いろいろ調査をいたしましたところ、最近国庫補助が運輸省の補助も減っておるし、それから法務省側としても、大蔵省に気がねをなさっていらっしゃるかもしれぬけれども、少しもふえていない。それでおって法律扶助協会が十五億円の基金募集をする、これはどこかおかしいと私どもは思うのであります。私どもももちろんその趣旨をくんで――これは慈善事業ではないのであります。憲法の基本的条件を申し、国民に平等の権利を与え、裁判の機能、法律の機能というものをすべての人に恩典を与えるということなのでありますから、われわれが努力するばかりではだめ、民間に御協力を願うばかりでもだめ、政府みずからその範をたれなければ国民に対して一体どう説得力があるであろうか、こういうことを考えるわけであります。
 扶助協会の事案が最近ちょっと減少しているかのごとき印象を与えます。私、時間の関係で余りできませんけれども、ここに交通訴訟の追跡調査というものの統計がございます。この中で、法律扶助協会を知っておるか、利用しなかった理由は何かという問いに対して、そんな制度は知らなかったというのが五〇%以上ある。訴訟救助の制度を利用しなかった理由はどうかと言ったら、そんな制度があるとは知らなかったというのがやはり六〇%に達しておる。宣伝しないから、国民が知らないから、この制度が活用されていない。なぜPRをしないのか。銭がないからPRをしてもしようがない、人がいないからそういうPRをする機能がない、こういうことでございまして、そんなことでは全然問題にならぬのではないか。試みに諸外国の事例を聞いてみましたら、日本における法律扶助の総額と諸外国の総額はもう月とスッポンですね。ニューヨーク市でありますか、一市だけで日本の法律扶助協会の数倍に匹敵する予算をもってやっておる。これはまことに歴代の法務大臣に苦情を言って悪いのですけれども、この問題について関心が不十分ではないか、そういうことを痛感せざるを得ないのであります。
 そこで、とにもかくにも現在十五億の基金募集をしておる。大変なことでございまして、日弁連の皆さんにちょっと話が大きくないかと言ったら、どうしてもやりたいと言う。その熱意に打たれて私どもも同僚諸君協力をしておるわけでございますが、大臣として来年度の――いまとなっては来年度の予算でございますが、思い切った予算要求をして、法律扶助協会の運営活動についてひとつ画期的な努力をしてもらいたい思いますが、いかがでございますか。
○鬼塚政府委員 先般法務委員会の理事の先生方が法律扶助のために多額の寄付をしていただきましたことを聞きまして、(横山委員「少額だ、少額だ」と呼ぶ)関係者として非常に感謝申し上げておるわけでございます。
 この法律扶助に対します国庫補助が、現在年間七千二百万円でございますけれども、余りふえていないという御指摘でございます。その原因といたしましては、おっしゃるとおり私どものPRが足りないところが多々あるかと思います。この点につきましては、扶助協会としてもかなりPRに努力しているようでございますし、法務省といたしましても、本年度すでにテレビで二回PRをいたしました。なお、いろいろな機関を通じましてPRに努めておりますし、今後も努めたいと考えておるところでございます。
 なお、補助金が余りふえない点につきましての大きな原因として考えられますのは、取り扱いの件数が統計上減少しているということでございます。この原因といたしましては、一番大きいのはやはり交通事故の事件がかなり減少したことがまず一因であるかと思います。交通事故事件は昭和四十三年がピークでございまして、これが一千六十一件ございました。しかるに五十一年は二百五十件というふうに非常に低い数字になりました。それからまた集団訴訟事件、これはスモン訴訟とかカネミ油症事件などでございますが、こういう集団訴訟事件も減少したということもやはり一因であるかと思われます。しかし、これは決してこういう扶助を必要とする事件が少なくなったということではないと思います。非常に潜在的にはあると思います。
 そういうことでございますので、今後ともPRに努めますとともに、財政事情がまことに厳しい折ではございますけれども、法務省といたしましては、この法律扶助が人権擁護活動の最も実質的なものの一つであるという意味合いにおきまして、やはり増額の要求をしているわけでございます。
○横山委員 ここに高知地方裁判所における「国選弁護人報酬請求の訴」がございますが、これによりますと、いまの報酬は、一審で一件の開廷回数三、従前は一万六千七百円、改定後は一万八千四百円の弁護士給与、これは国選弁護人か――これはちょっと後にいたしますが、ともあれ法律扶助協会で弁護士さんにお願いするのですが、その弁護士さんの御努力、御協力も本当に犠牲的なものでありまして、その弁護士さんもまたもらったものを二割ぐらい出しているのじゃないですか。まことに聞くも哀れな話でございまして、いま人権局長からお話がございましたけれども、この十五億を一生懸命に募金をするについて、現状における募金名簿を拝見いたしましたところ、最高裁それから弁護士会それから一般の人、名前が出ておりますけれども、まだまだこんなことではとてもうまくいきません。ですから政府が率先して、政府もやるから民間も協力してやってもらいたいという実績をつくらなければいかぬ。だから人権擁護局長は一体私に答弁しておるのか、あなたに言っておるのか、ちょっと意味がようわからなかったのですが、法務大臣として決意のほどをひとつ御披瀝を願いたい。
○瀬戸山国務大臣 ただいま局長から扶助決定事件の減少傾向のお話がありました。私も、先般就任いたしましてからこの問題の説明を受けました。国の方では年間七千二百万円ぐらいの予算をやっておるそうでありますが、法のもとに平等それから人権の問題からいいまして、もう少し実態を扶助協会等からも聞きまして、来年度すぐ――いまはもう概算要求を出した後でございますから、直ちにということはなかなか困難であると思いますが、これは本当に真剣に国としても取り上げるべき問題だという考えを持っておりますから、もう少し実態をよく聞いてから結論を出したいと思います。よろしくお願いします。
○横山委員 もう予算要求をした後だからとかおっしゃいますけれども、現実に十五億円の基金募集が行われておるのですから、そのときに法務大臣が、もう例年どおりやってしまったから仕方がないよと言うんじゃ、国民が納得してやりますかね。これはなにでしたら、この次に大蔵大臣なり大蔵省から来てもらって、この事情というものも話をしますし、委員長にお願いして――委員長、済みませんけれども、予算要求の出た後ではあるけれども、一遍国会側として、法務省の立場もあろうけれども、十五億円をわれわれも出したのですから、多額とおっしゃいますけれども大変少額で申しわけないのだけれども、出した手前もございますから、委員長にひとつ法務省の顔をつぶさないようにお骨折りを願いたいと思いますが、委員長いかがでございますか。
○上村委員長 この問題は理事会で横山委員からもお話があったことであるので、いま法務大臣もいろいろお話しされておりますから、善処をしていきたいと思います。
○横山委員 最後に、時間がなくなりましたけれども、いまちょっと触れました国選弁護人の問題について二、三お伺いいたします。
 国選弁護人について、いまちょっと話しかけました高知地方裁判所で報酬請求の訴えが出ております。数字は先ほどちょっと申したのですが、非常に安い。刑事で半分以上が国選弁護人だそうでございますね。それで余りにも安い。この問題について高知地方裁判所がどういう判決をするか、ちょっと私にも、素人にはわからないのであります。法的にどういうことになるのかわからない。ただ法的に問題が若干あると思うのであります。刑事訴訟法の三十八条二項は、弁護士に請求権があると認めている。請求権があるということは、本人が幾ら欲しいということを言う権限を持っておると思うのです。ところが、国は最高裁に報酬の基準を決めておる。そこのところに論理的な矛盾があると思うのであります。だから共通点としては両方とも安いことはお認めになっておると思います。したがって、いま問題として私が提起したいのは、国選弁護人の報酬に関する一つのシステムをつくらなければだめではないか、法律上矛盾があると思うのだから、たとえば国選弁護人の報酬に関する法律というようなものをつくるか、あるいは最高裁で報酬に関する審議会をつくって――一方的に、自分が予算の関係上勝手に決めたからこれでやってくれというようなことはいかがであろうかということが一つ。これは最高裁にお伺いしていくことになるかと思うのですが、もう一つは、三十七条は刑事被告人でなければ国選弁護人がつけられないことになっているわけであります。大臣もよく御存じのとおりであります。私どもも御相談を受けるのです。引っ張られたがどうしたらいいだろう、それは弁護士に相談しなさいということをよく言うのですが、身柄拘束を受けた被疑者の段階から弁護士が必要であることは社会の常識だと思うのです。ところが、その際には国選弁護人がつけられないということに、私は社会常識に反する問題があるのではないか、矛盾するものがあるのではないかということを痛感するわけです。そこにも一つ、国選弁護人制度というものを充実するとするならば、身柄拘束を受けた被疑者段階から国選弁護人をつけるべきではないか。
 いろいろ申し上げたいことがありますが、その報酬に関するシステム、この矛盾があるとすれば、単独法をつくるか、あるいはそれがいますぐできなければ、最高裁は民主的に報酬に関する審議会をつくる。それからもう一つは、身柄拘束を受けた被疑者の段階から国選弁護人がつけられる、そういう三つのことが必要ではないかと思うのでありますが、それぞれ御意見を伺いたい。
○賀集政府委員 それでは私から第一のシステムの問題をお答えいたしたいと思います。
 釈迦に説法のようになって恐縮でございますが、請求することができるということからは額まで決められるということにはならないと思います。それで国選弁護人に支給すべき報酬といたしましては、当該事件の難易とか弁護士の訴訟活動、特に公判前の準備活動の程度、開廷回数等々の事情を考慮いたしまして、事案に即しました適切な額を決定すべきでございます。このような具体的な諸事情を捨象しまして、報酬額をあらかじめ法律でシステムのように画一的に定めておくということは、どうしても不適当と考えられます。そういうことでございまして、現行の刑事訴訟費用等に関する法律、これの八条二項によりますと、国選弁護人の報酬につきましては「裁判所が相当と認めるところによる。」というぐあいに定めております。これはただいま申し上げました趣旨によりますので、そのように定められました立法は妥当なものと考えており、いまのところ、そういうシステムをつくるというところまでは考えておりません。
○岡垣最高裁判所長官代理者 それでは、私どもの考えておることを申し上げます。
 先ほど法務省の方からお話がありましたとおりに、問題の一つは、弁護人報酬というものは具体的に額はだれが決めるかということでありまして、これは受訴裁判所がいろいろな事情を考えて決定するわけでございます。先ほどお話に出ました、最高裁判所から一定の基準を流しておる、たとえば地方裁判所では三開廷平均で二万九千円だとか、あるいは控訴だったらどうか、上告だったらどうかというふうなことを決めておるわけでございますけれども、これは一応の基準を予算執行の点も考えまして流しているわけでありまして、受訴裁判所はそれには拘束されません。したがいまして、たとえば地方裁判所の事件であっても、全部が二万九千円で決められていると、そういうわけではございませんので、いろいろの額の決定があるわけでございます。そういうことが一つ。
 それから、弁護人報酬をどういうふうに決めるか、これは立法施策としてはいろいろな形が考えられると思いますが、私どもとしては、現在の受訴裁判所が相当と認めるところによって決めている方法自体がそんなに不当なものとは考えておりません。しかし、たとえば一体弁護人報酬というものをどの程度にするのが相当であるかということを根本的に検討することは決して無意味ではないし、あるいはやらなければならぬことかもしれません。つまり、本来、国選弁護人というものは弁護士さんがおなりになる。弁護士さんは、司法研修所を経て国がいろいろと教育をして、その結果弁護士さんをおやりになる。その業務は、ある意味では独占といいますか、ほかの者が介入できない一つの職場としてある、そういう方々。そしてまた、その職責と申しますか、司法制度の中の重要な、国の制度の中の一つの重要な要素として公に奉仕される地位もお持ちになる、そういう性格のお方。それに対して、国選弁護人という国の制度を負担していただく場合に一体どの程度のものが妥当であるべきか。それは、一体現在の実際の報酬はどうであるかという実態も知らなければいかぬかもしれません。それから、従来の経緯、経済上の変動、いろいろな要素を考えて、こういうふうにやってはどうかということを検討することは意味があるとは存じます。しかし、口では申し上げましても、これはなかなかむずかしいと思いますし、現在の制度がそれほど不合理だというふうには私どもは考えておりませんので、そういうふうにお答えします。
○横山委員 言葉じりをとらえるわけじゃないのですけれども、国が税金で大分めんどうを見てやったんだからがまんしろとも聞こえるような、そんなことを言うなら大学だってみんな国がめんどうを見ているのですからね。国がめんどうを見ているのは何も弁護士さんばかりではないのでありますから、それは私は理屈が通らぬと思います。
 この例を見ましても、開廷回数三回で一件の報酬が一万八千四百円、この大坪という原告の弁護士さんは実費にも足らぬと言っているのですよ。あなたは基準があるからその範囲内でうまいことやればいいじゃないかと言うんですけれども、何も大坪さんだけが冷遇を受けたわけではないのです。弁護士として三回開廷に出るためにはいろいろな資料も準備しなければならぬし、裁判所へ行くためにタクシーも乗らなければならぬし、歩いていけばいいじゃないかとあなたはおっしゃるかもしれませんけれども、そんな非常識なことはおっしゃらぬだろうと思います。いずれにしても、安いことは間違いないわけですね。そして、めんどう見たんだからそのぐらいのことは公的にがまんしろという論理は、これはおやめになった方がいいと思う。
 法制調査部長は、システムを直す意思はない、そうおっしゃったように思いますが、本当にそうですか。そうだとすれば、私は大変不満なんです。
 法務大臣、これは私の最後の質問ですが、私の問題点、とにかく安いから、議論があるんだから、報酬を決めるシステムを一遍考え直したらどうかということ、それからもう一つは、身柄拘束中の被疑者に対しても国選弁護人をやるようにしたらどうかということ、この二点でございますが、最後に法務大臣から……。
○瀬戸山国務大臣 横山委員はきわめて熱心な御心配をしておられます。国選弁護人の報酬については、私も就任前からいろいろ伺っております。また、毎年の予算編成のときにも、少しでありますけれども徐々に改定をしておりますが、率直に申し上げて、実情に沿ってきておると思いません。でありますから、これは裁判所が決められることでありますけれども、これは予算で制限されておりますから、その中で、さっき裁判所のお答えのような基準その他で、事案の難易によって決められる、これはやむを得ないと思いますが、横山さんのお話のとおり、もう少しこれは検討を要すると思います。
 それからもう一つ、被疑者時代から云々というお話がありました。これはやや性質が違います。おっしゃることはよくわかりますが、起訴された当事者としての被告人、被疑者の段階で、強制捜査権、法的強権による捜査の段階で、検事が指定するか裁判所が指定するか、いろいろ問題があります。おっしゃる意味はよくわかりますが、それも含めてもう少し検討を要すると思います。
 それから国選弁護人の報酬の問題でございますが、実はいま検討しております。御承知のようにハイジャック関係に関連いたしまして、ああいう特殊な犯罪についてもう少し裁判を促進する必要がある、これにもやや関連しておる問題だと思いますから、国選弁護人については、報酬を含めてもう少し基本的に検討する必要がある、こういう考えでおりますので、進めたいと思います。
○上村委員長 次に、長谷雄幸久君。
○長谷雄委員 私は、議案となっております給与法の関係についてお尋ねをいたします。
 裁判官につきましては、職務の性質等に基づいて相当額の報酬を受けることが憲法上明記されておりますし、また検察官につきましては、その俸給は憲法にはうたわれてはいないけれども、その職責が司法の重要な一翼を担うもので、その任用資格も原則として裁判官と同じでありますので、裁判官に準じたものとして同程度のものを受けるべきであると思います。
 そこで、相当額ということにつきまして、その地位にふさわしい生活をなし得る額である、こう一般に解釈されておりますが、現実の給付額が不十分であるということも含めて、これを補うために初任給調整手当等がつけられているようでありますが、この調整手当の額は現在どうなっているか、将来どういう方向に進むお考えなのかをお尋ねします。
○賀集政府委員 お手元に資料をお配りいたしておきましたけれども、それの五十八ページをごらんいただきたいと思います。
    〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
そこに初任給調整手当という欄がございまして、判事補十二号、検事二十号、これは初任の者でございますが、二万三千円支給を受けます。それからだんだん昇給してまいりますごとに額がわずかずつ減ってまいりまして、その前のページの五十六ページをごらんいただきますと、判事補五号、検事十三号、これは五千円支給を受けます。それから上は支給を受けないという形になっております。
 その次の御質問の、先ほど申しました二万三千円から五千円までの額はどうなるかという点でございますが、毎年司法修習を終えまして弁護士になられる方の収入というものを私ども調査いたしております。そういう実態調査の結果に基づきまして、二万三千円ではどうしても弁護士さんの収入と判事補及び検事の収入との格差を埋めることはできないということがわかりましたら、これを増額ということを考えております。
○長谷雄委員 この調整額については結局基本給には組まれていないというような答弁が先ほどございました。そうしますと、この調整額というものは期末手当や退職金の算定の際にその算定の基礎にはされないのだと思いますが、この調整手当を本俸に組み入れることが先ほどの答弁でもむずかしいということがあったようですが、法理論的にも困難だとお考えでございましょうか。
○賀集政府委員 お答えの前に一つ修正さしていただきたいのは、判事補五号のところ、五千円と申しましたけれども三千円でございます。
 それでは、先ほどの初任給調整手当を本俸に組み入れること、その問題でございますが、法理論的にも確かにむずかしゅうございます。といいますのは、初任給調整手当と本俸との間ではその趣旨と性格を異にいたします。それから、先ほどもお答えいたしましたように、一般職の職員の中にも初任給調整手当を受けている者がございますけれども、その本俸組み入れがいまだに実現されておりません。そういうようなことからいたしまして、きわめて困難な事情が伏在いたしております。このことは委員もあるいは十分に御承知のことと存じますが、特に若い裁判官、検察官のために御配慮いただいておりますので、何とか実現を図る道がないものかどうか、私ども、最高裁判所初め関係方面と緊密な連絡をとりながら、そういう道を見出すことができるかどうか検討したいと考えております。
○長谷雄委員 裁判官の給与体系について、検察官も同じでありますが、明治以来わが国はキャリアシステムをとっているわけです。ところが、日本国憲法はアメリカ合衆国憲法に範をとっているわけで、裁判官について申しますと「定期に相当額の報酬を受ける。」という規定がございます。その規定は、アメリカと同じように、裁判官については特別の給与体系を設け、かつ、それは昇給制ではなく定額制を予想した規定である。つまり、これは法曹一元制を前提としたものとも理解できるわけでございます。ところが、いま議題になっております裁判官の報酬等に関する法律によりますと、最高裁長官、最高裁判事、高裁長官については定額制になっております。それから判事、判事補、簡易裁判所判事については昇給制。それからまた、検察官の俸給等に関する法律によりますと、検事総長、次長検事、検事長、これが定額制、そのほか検事、副検事が昇給制、こうなっているわけですが、定額制は認証官以上であり、内閣総理大臣等の特別職の国家公務員の給与との対比において定められており、その他の者は、一般職の国家公務員の俸給に比べて若干高くなっているとはいいながら、それとの対比において定められているのが現状であると思います。こうした給与体系をとっていることが法曹一元化を困難にしている一つの原因になっているのではないか。
 そこで、裁判官はもちろんのこと、検察官についても、その給与制度については職務と責任の特殊性等に基づいて、よりふさわしい体系を立てるべきではないか、私はこう提案するわけですが、いかがでしょうか。
○賀集政府委員 ただいまアメリカの制度を御紹介いただきました。それからもう一つ、現行の給与体系が法曹一元を実現するのに支障になっているのではないかと御指摘いただきました。そのような二つの点を私どもも研究いたしまして承知いたしておりますが、現行の裁判官の給与制度を考えてみますと、先ほども最高裁の勝見人事局長がお答えになりましたように、第一に、その体系において裁判官の職務と責任の特殊性を相当程度反映いたしております。すなわち、号俸の刻みが少なくなっております。それから第二に、その給与水準でございますが、一般の行政官に対しある程度優位を保っております。このような二つの意味におきまして裁判官の給与制度は一般の行政官の給与体系とは一応異なったものになっております。
 検察官もこれに準じてつくられておりますが、このように裁判官、検察官の給与水準が一般の行政官に対して優位にあるということからいたしますと、あとは生計費とか賃金事情、それの変動に伴いまして行政官の方で増額がありましたらそれにスライドして裁判官の報酬、検察官の俸給を増額する、こういうことで、常に結果におきましては裁判官、検察官にふさわしい給与というものが維持される、かような仕組みに現行の給与体系は相なっておるのでございます。
 御質問の趣旨は裁判官、検察官の職務と責任の性質にかんがみまして現行制度の仕組みを根本的に見直してはどうかという点にあるように拝聴いたしました。しかしながら、裁判官、検察官の現在のような任用制度、これが維持されております限りは、やはり一般の政府職員とかけ離れて裁判官の給与、検察官の給与だけを全く独自の立場から決めるということはきわめてむずかしい事情にございます。
 ただ、この問題は、ただいま御高説を拝聴いたしましたけれども、司法制度の根幹にも触れる重要な問題でございまして、一方におきましては司法のあるべき姿というものを構想し、他方におきましては公務員の給与制度の全般、それから裁判官、検察官の任用の実態等々の現実を踏まえまして、その間の調和を図りつつ歩一歩改善の実を上げていくよう、最高裁判所その他の関係方面とよく連絡を保ち、協力を得て努力してまいりたい、かように考えております。
○長谷雄委員 人事の交流の面についてお尋ねします。
 裁判官、検察官の定員数に対する充足の割合は前国会でたしか定員法が審議された際に御答弁いただきましたが、司法修習を終わった者の中から裁判官、検察官に採用された人のこの十年くらいの数とその傾向についてお答え願いたいと思います。
○賀集政府委員 細かい数字を持っておりますけれども、時間の関係上、最近十年間における司法修習生から判事補及び検事に採用された者の大体の数を申し上げますと、平均いたしまして毎年七十人程度の判事補、それから五十人程度の検事、それが司法修習生の修習を終えた者から採用されております。
○長谷雄委員 裁判官と検察官との間の人事の交流については比較的行われているように見受けるわけですが、弁護士が裁判官あるいは検察官になる例はきわめて少ない。これが現状であると思うのですが、その理由についてどのようにお考えですか。
○賀集政府委員 まず法務省から検察官関係について説明いたしますと、弁護士から検察官に任命された人数は、昭和四十六年以降の数字でございますが、今日までわずか三人でございます。
 そういうように人数が少ない理由といたしましては、一つには、地方への赴任、転勤及びこれに伴いますところの子弟の教育面における犠牲がございます。もう一つは、それまで弁護士として仕事をなさっていた事務所を閉鎖しなければなりません。それに伴いまして、事件の依頼者に対する責任を全うし得なくなるというような事情もございます。また、検察官の職務がきわめて多忙であるということなど、多くの原因が挙げられております。特に、検察官に任官いたしますには、弁護士さんの多くは主として民事事件を手がけておられまして、検察事務になじみが薄いというようなことも考えられます。
○勝見最高裁判所長官代理者 昭和四十七年度以降裁判官に弁護士からなっていただいた方の合計は十三名でございます。
 この数を非常に少ないと見るかどうかの問題でありますが、事実はそのとおりでございまして、なぜ少ないかということになりますと、ただいま法務省の賀集部長からお答え申し上げたことに尽きるかと思います。
○長谷雄委員 先ほど法務省の方からその理由の説明がございましたが、いずれにしても、弁護士の方から任官を希望することがあればそれに応じて採用するお考えがあるかどうか。
○勝見最高裁判所長官代理者 最高裁判所といたしましては、優秀な方がたくさん来ていただくことにつきましては歓迎いたすつもりでございます。現に、ことしになりましても、現在お申し出がありまして、採否を検討している方もございます。
○賀集政府委員 私人事の担当者でないので十分には答えられませんが、恐らく法務省におきましても勝見最高裁人事局長がお答えになったような考えでいると思います。
○長谷雄委員 法曹一元化が叫ばれて大変久しいわけでございますが、戦後司法研修所の設置によりまして、出発点におきましては法曹の一元化は実現されております。ところが、この法曹一元の根本問題というのは、裁判官は、弁護士、検察官の中から選任をすることがこの中心課題であろうと思います。そして、法曹三者の人事交流を認めることが肝要であろうと思います。そのためには、そのこととの関連で、裁判官はもとより、検察官の地位、待遇、そうしたものを向上させて、いま私が指摘しました、弁護士の中からも優秀な人材がどんどん任官できるような方向に御検討願いたい、これはお願いをしておく次第であります。その点、御所見をいただきたいと思うのです。
○賀集政府委員 ただいまの御意見ありがとうございました。
 ただ、それを実現いたしますには、恐らく御意見では、裁判官、検察官の給与の面においても飛躍的に向上させるべきではないかということにつながるかと思いますが、そういう裁判官、検察官の給与の根本的見直しにつきましては、先ほどお答えいたしましたとおりでございます。
○勝見最高裁判所長官代理者 長谷雄委員御指摘のとおりだと思いますが、先ほど賀集部長からお話し申し上げましたように、実際上の問題としてはなかなかむずかしいということもひとつ御認識いただきたいと思います。
 裁判官の場合、御承知のように転勤という問題がございます。現在の裁判所の体制からいたしまして転勤はどうしても避けられない問題でございます。途中まで弁護士を開業しておられる方が裁判官におなりいただくにつきましては、特に転勤の問題が事実上の隘路になっておるのではないかと推測いたします。
 給与の面につきましては、私どもといたしましては、弁護士在任年数等を勘案いたしまして、同期の者と同待遇ということで給与の格づけをさせていただいておりますので、現行の給与体系を前提とする限り、待遇については、あるいは御不満がおありかもしれませんが、十分なことをしているつもりであります。
 しかし、繰り返しになりますけれども、先ほど申しましたように、弁護士から任官していただくということにつきましては、何せ数々の隘路があるということだけは御認識いただきたいと考えます。
○長谷雄委員 国家公務員法の規定を見ますと、同法の二条三項に特別職の国家公務員であるものが列記されております。一号から十八号までありますが、それぞれについて特別職公務員にした理由をお尋ねしたいのですが、時間の関係がございますので二、三について聞きますが、十二号の日本学士院会員が特別職になった理由はどういうところにあるわけですか。
○賀集政府委員 大変申しわけありませんが、国家公務員法の担当の省庁でございませんので、お答えする自信ございません。
○長橋政府委員 人事院の管理局長の長橋でございます。
 特に具体的に十二号の日本学士院会員を挙げて、これを特別職にした理由という御質問でございますが、御承知のように公務員法は成績主義に基づく任用を初めといたしまして、職階分類に基づく給与でございますとか、その能率、服務、身分保障といったものにつきまして、全面的にそういった制度を適用することが不適当だと思われるものにつきまして、特別職という区分を設けて公務員法の適用を原則的に外しておるという関係にございます。それで、日本学士院会員につきましては、広く適任者を選任する必要がある、つまり競争試験等によりまして選任するとか、あるいはこの方々に対しまして、公務員法に規定しておりますようないろいろな厳正な服務等を適用するということもやはり問題があるということでございまして、これは学士院法によりまして特に特別職ということにされているわけでございます。
○長谷雄委員 それでは、十六号の防衛庁の職員についてはどうでしょうか。
○長橋政府委員 防衛庁の職員についてでございますが、これはちょっとむずかしい問題であろうと思います。防衛庁職員のうちの一部は一般職になってございますが、大部分は特別職にしてございます。これは自衛官のほかに、そういう自衛官と一体となって防衛業務に従事するという職務の親近性から、一体的にこれを特別職として処理するということで、公務員法に規定されております人事管理制度を外す方が適当であろうということで外されておるものと理解しております。
○長谷雄委員 同法の二条四項を見ますと、特別職の国家公務員にするかそれとも一般職にするかということの判断は人事院が決める、こう規定してありますが、その判断の基準になるものは何か、それについて御説明願いたいと思います。
○長橋政府委員 お答えいたします。
 ある職が国家公務員の職であるかどうか、それから国家公務員の職が一般職に属するものであるか特別職に属するものであるかということを決定する権限は、ただいま御指摘のとおり国家公務員法に基づきまして人事院の権限とされております。国家公務員法には、通常の法律と違いまして国家公務員の定義というものを設けておりませんので、私ども、国家公務員かどうかということにつきましては一応その従事する事務が国の業務であるかどうか、それから国との雇用関係を設定しておるかどうか、それから、それに基づきまして、当然のことでございますけれども、二次的な要素といたしまして給与が支給されておるのかどうかということを一応の判断基準にして、国家公務員かどうかという疑義が生じた場合に対処をしております。特別職につきましては、これは法律上で列記をしてございますので、特別職かどうかということにつきまして特別の疑義を生ずることは現在までのところございません。
○長谷雄委員 それでは、この条文のどこを探しても検察官が特別職であるということは規定されていないので、一般職である、こう理解しているわけですか。特別職でないという理由、一般職であるという理由はどこにあるかお答え願います。
○賀集政府委員 ただいま委員が申されましたように、検察官は特別職ではございません。
 ところで、検察官が何ゆえに特別職でないのかという点につきましては、先ほども人事院の方がお答えいたしましたように、一般職と特別職の区別いかんという大問題にかかわってまいりますので、いまここで十分な答弁をできるだけの自信はございませんが、ただ、裁判官と裁判所職員が特別職にされております。その理由を考えましたら、検察官が特別職とされない理由がある程度わかるのではないかと思われます。
 ところで、裁判官について考えますと、司法権の独立、身分保障、任用、服務等の観点から、また裁判官以外の裁判所職員につきましては、人事管理が最高裁判所の司法行政のもとにあるという点からそれぞれ特別職とされている、このように私どもは理解しております。
 そのように裁判官及び裁判所職員が特別職にされておるわけでございますが、では、検察官の場合はどうかと申しますと、実質的には検察官は司法権の発動を促し、その適正、円滑な運営を図る上できわめて重大な職責を有し、準司法的機能を営むものでございます。そういうわけで原則として裁判官と同一の試験、養成方法を経ております。また、身分保障につきましても、裁判官と全く同一ではございませんが、これに近い保障をされるべきであり、またされておるということ等にかんがみて特別職である裁判官に準じて考えられるべきである、かように思っております。
    〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
○長谷雄委員 特別職にした場合と一般職のままにとどめたという場合とで、法律的にはともかくとして、現実の実感として、もっと言えば語感として、特別職というのは何か地位が高いかのような印象を一般に受けるわけです。その点からいきますと、検察官は裁判官に比べて何か劣るものがあるのではないか、こういう感じもしないわけではないのです。
 そこで、裁判官が先ほど御説明があったような司法権の独立ということで特別職になっている、これは十分理解できる。ところが、先ほど人事院からの説明もありましたけれども、他の特別職の中に入っている人であっても、特別職にした理由が裁判官と全く同じではありません。もちろん全然違います。そういうことで非常に理解がしにくい。その点について、鵜飼信成教授の書かれた「公務員法」によりますと「何が特別職に属するかは法律が列記しているが、それらの理由はきわめて便宜的なものであり、理論的、本質的なものではない。」こう断言されているわけですね。そういう本質的なことがないにもかかわらず、特別職と一般職と区分けをしながら検察官は特別職にしていないということが非常に不可解にさえ思えるわけです。その辺について人事院はどう考えておるか。
○長橋政府委員 お答えいたします。
 いま委員から御指摘ございましたけれども、特別職の中には、総理大臣から、あるいは末の方に参りますと失業対策事業に従事する労務者まで含めまして特別職と掲げておりまして、したがいまして特別職の中で特に身分上の地位の高下ということはあながち問題ではないだろうというふうに考えております。
 先ほど来申し上げておりますように、公務員法に規定されておりますいろいろな人事管理の制度、これを全面的に適用することが適当かどうかということの判断に基づきまして特別職、一般職ということに振り分けるということになっております。ただいま御紹介ございました鵜飼教授の説も恐らくその辺のところにあるのではないだろうかというふうに考えております。
 戦後、公務員制度が大改正になりましたときに、従来の官吏制度百八十度の転換ということもございまして、新しく制度をつくるわけでございますが、そのときに制度上の欠缺がないようにということで、一応行政部内の職員につきましては原則的にこれを一般職にとどめておくという考え方であっただろうと思われます。その他につきましては、それぞれその職務の特殊性に応じましてそれぞれ必要な特例を講じておれば足りるのではないだろうかというような判断のもとに、特別職につきましては法律上これを列記するということで、他は制度の欠缺を避けるために一応一般職の中にとどめておく、こういうような考え方ではなかっただろうかと考えております。
○長谷雄委員 それでは具体的にお尋ねしますが、この法律の適用を受ける一般職と、そうでない、この国家公務員法の規定の適用を受けない特別職とを区別した具体的な違いを、もしあれば、裁判官と検察官についてお答え願いたいと思います。
○長橋政府委員 国家公務員法は、国家公務員の人事を掌理いたしますところの中央人事行政機関といたしまして人事院と内閣総理大臣というものを位置づけております。裁判官につきましては、三権分立という考え方もございまして、一応そういう行政機関の統括のもとに人事管理の諸制度を設けるということは適当でないという判断のもとに、国会関係の職員でございますとか、あるいは司法の職員につきましては特別職というふうに外したものと考えられます。検察官につきましては、一応行政部内の職員ということで一般職ということにおさめておるというふうに理解しております。裁判官と検察官についてはそういう違いであろうかというふうに考えております。
○長谷雄委員 質問にお答え願いたいのですが、具体的な法律上の効果の違いにどういうものがあるかということを尋ねておるのです。
○長橋政府委員 一般職と特別職と区分いたしました場合の直接的な、しかも典型的な効果といたしましては、人事管理諸制度につきまして人事院の権限は特別職に及ばないということでございます。それから一般職の職員につきましては、一応人事院の、あるいは内閣総理大臣の権限が及ぶということでございます。大枠言いましてそういうことでございます。
 具体的になりますと、たとえば個々の勤務条件でございますが、給与はどうであるとか、それから服務についてどうとかということになりますと、一般職と特別職にしたことによる直接的な効果というものはございませんで、特例を設ければそれぞれの特例に応じましてそれぞれの効果を得るわけでございますし、それから特例を設けませんでございますと、たとえば給与の改善につきましては人事院の給与改善勧告の翼の中に入るということもございますし、あるいは身分保障、服務等につきましても公務員法及び人事院規則のいろいろな制度が及んでいくということでございます。
 そこで、御存じと思いますけれども、検察官につきましては、検察庁法で任免とかあるいは身分保障、こういったものについての特例がございますので、その分につきましては人事院の制度上の権限は及ばないというかっこうになろうかと思います。
○長谷雄委員 人事院の権限が及ぶかどうかが裁判官と検察官の違いの最たるものである、こういう説明ですが、一方の行政官である自衛官については特別職であって人事院の権限が及ばない、ところが同じ行政官である検察官については及ぶということについては、余り合理的な理由があるように思われない。
 そこで、時間もございませんのでお尋ねをしますが、検察官については、先ほどからお話がありますように、その職責が司法の重要な弱異を担うものであることから、裁判官に準じた地位にあり、しかも一般行政職に対しては、明らかに特殊な職責を持っております。しかも任用資格につきましても、原則として司法修習を経ていることから、裁判官と同じであります。ところが、任官に際しては、ある人は裁判官になり、他の人は検察官になる。ところが、裁判官になった人は特別職になって、人事院の権限は及ばない、検察官になった人はそうでない、こういう地位の違いが出てくるように思うわけですね。
 そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、司法の一元化の要請から、せっかく戦後司法研修所の制度ができて、在朝法曹の出発点では一元化を果たしております。それにもかかわらず、こうした現実の裁判官と検察官の法規上の扱いの差異が出ておりますことは、法曹一元化から見て妥当であるかどうか、所見を伺いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 長谷雄さんも御承知のとおり、法曹一元がよろしいということで長い間従来議論をされております。何年前でありましたか、臨時司法制度調査会でもその議論がありまして、その方向はよろしいというふうに総論においてはおおよそ意見が一致するのでありますけれども、率直に言って、これはいま検察官、裁判官が給与の面でああいうふうになっておるということでなしに、実際問題として、在野法曹から裁判官なり検察官なりに入ろうといいますか、希望者が非常に少ない。これは、大きな原因は、日本の司法制度、裁判制度、裁判官制度と検察官制度の従来からのならわしにもあると思いますけれども、いわゆる待遇の面で全然違う。こういった在野法曹、弁護士さんとしての報酬がいまどのくらいになっておるか私承知いたしませんが、とてもじゃないが、それこそ裁判官等にふさわしい有力なといいますか有能な弁護士さんは、なかなかそういう安月給ではだめなんだ、そういう気持ちだと私はそんたくいたしますが、なかなか裁判官になり手が少ない、これが実情であって、総論はよろしいのですけれども、実際問題として、日本の場合には、それがうまくいかないというのが実情だと私は見ております。アメリカ式みたいに、有能な特殊な人に裁判官になってもらって高給を払うという制度には、なかなか日本の場合にはならない。
 余談でありますけれども、そういう意味で、裁判官、検察官もこれに準じておるわけでありますが、臨時司法制度調査会なんかも、裁判官の職責、地位、国民の信頼度等からということで、もっと他の一般公務員と違った特別な待遇をしなければならない、そういうことで、民間からもどんどん入ってきてもらうような待遇にしなければならないということで、いろいろ検討いたしましたが、先ほど来、号俸の問題が出ておりますけれども、やはりいまのように若い人から順次、十年、二十年と進んでいく多くの制度のもとでは他の公務員との均衡の問題があるということで、うまく解決しておらないというのが現状でありまして、私は、理想としてはおっしゃることはいいと思いますが、日本の場合はなかなかそう簡単にいかないというのが実情であろうと考えておるわけでございます。
○長谷雄委員 裁判の促進ということについて、私、一言だけお尋ねします。
 現在の法制の中では、たとえば略式手続というのがございます。簡裁の管轄に属する罰金、科料事件についての略式手続、それから交通裁判について、いわゆる刑事事件についての即決裁判手続、それから民事では手形訴訟制度、そうしたものがございまして、ある程度の成果をおさめておりますが、さらにこうした手続を有効に進めていただきたい。
 それから、あわせて、公職選挙法違反事件について公選法の規定にもありますが、百日裁判という規定があるにもかかわらず、これは訓辞規定というような意味合いもありましょうが、必ずしもすべての事件に当てはめることは妥当ではない面もありますけれども、所期の目的を達していない現状であると思います。そこで、こうした事件を促進させる必要について、さらにまた、贈収賄等のいわゆる汚職事件、さらにまた、大量被害の集合的救済のためのクラス訴訟、こうした提案が数々、識者の中から出ておりますが、現在の社会情勢から見て、この要請にこたえることは、一つには裁判官、検察官に対する国民の信頼を一層増大させるものであり、同時にまた、司法に対する権威とともに国民の信頼を高めることにつながるものと思います。
 そこで、こうした制度全般について、裁判促進ということとあわせて、人権の保障という面から将来にわたって検討なさる用意があるのかどうか、大臣からも所見を伺いたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま長谷雄委員御指摘の訴訟の促進の問題でございますが、おっしゃること、ごもっともでございます。
 ただ、すべての事件がおくれているかと申しますと、その点は必ずしもそうではございませんで、私どもの認識としては、ある程度の事件はそれぞれの期間内に終了しておるというふうに考えておりますが、ただ一部の事件でおくれておりますものがあるのも事実でございます。訴訟の促進につきましては、裁判所としても今後とも努力をしてまいりたいと思います。
 ただ、いまも一つお触れになりましたが、たとえば公職選挙法の百日裁判の事件でございますが、これも実は裁判所、法務省、検察庁、弁護士会で昭和四十二年ごろに、四者申し合わせ事項と申しまして、促進しようではないかということで申し合わせもできております。ただ、これはなかなか実行されないというようなこともございまして、実はこの問題につきましても、弁護士会、法務省、裁判所が集まりまして、先般来も大いに協議をしたところでございます。なかなか意見の一致を見られない点もございましたけれども、そういうことで裁判所といたしましても鋭意訴訟の促進については努力してまいりたい、かように考えます。
○瀬戸山国務大臣 裁判の促進についてはおっしゃるとおりでありまして、政府といたしましても、民事、刑事を問わず、できるだけ裁判は促進しなければならない。さればといって、個々の事件に関してとやかく言うわけではございませんが、国民の権利義務、人権に重大な関係があるわけでございますから、そう一瀉千里というわけにいかない場合もあります。しかし総括して申し上げまして、裁判はできるだけ公正な裁判が速やかにできるのが適当である。でありますから、御承知のとおりこれはまだ十分とはいきませんけれども、検事、判事等職員に至るまで、毎年裁判の促進ということを大きな目標にして人事の充実を図っておる、あるいは事務能率の向上を図るために機械化その他を進めておる、こういう状況でございます。
 それからもう一つ、裁判の促進について先ほど簡易手続のお話がありましたが、重要な犯罪といいますか、今度のハイジャック事件に関連いたしまして、どうも特別の暴力犯等が、国民の期待に応じないように裁判が遅延をしておる、どこに原因があるか、いろいろ検討いたしておるわけでございますが、今度のハイジャック等についても裁判の遅延がややかかわりがあるということも考えられます。しかし、これは刑事訴訟法等の重要な基本原則にも関係がありますから、先ほど説明を申し上げました今度のハイジャック対策の一環には入れませんでしたけれども、慎重に検討する必要があるということで、目下事務当局を督励して検討いたしておりまして、場合によっては法制審議会にかけて慎重に検討、結論を得ましたら、次の通常国会あたりには御審議をいただく段階にしたい、かように考えておりますが、細かい点は当局から説明させます。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま大臣が最後におっしゃいました点につきまして若干補足いたします。
 いわゆる過激派の構成員を被告人といたします刑事事件のおくれが顕著であるということが、先般のハイジャック事件を契機に各方面から指摘されておるわけでございます。これらの訴訟の実態を見ますと、他にいろいろな要素もございますけれども、その遅延の一つの原因といたしまして、大変残念なことでございますが、弁護人の方々の、正当な理由のない期日途中での退廷あるいは不出頭、辞任というような、いわば一種の戦術、これが目につくわけでございます。そこで私どもといたしましては、そういう事態に対処いたしまして、たとえばある期日の途中で、裁判所の制止も聞かないで退廷されたような場合、そのままその期日だけは審理を続けられるようにできないか。あるいはいわれのない辞任戦術がとられました場合に、ごく限られた期間だけでも弁護人なしで訴訟が進行せしめられないか、こういうテーマを中心に現在検討しておるわけでございます。ただ、事は、法によって認められております被告人の防御権、これと関連いたしますので、その辺の兼ね合いが大変むずかしいわけでございますが、法の精神を乱らない限度において、かつ、きわめて謙抑的な限度において何らかの解決策が得られないか、こういうことを現在鋭意検討しておるわけでございます。
○上村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。正森成二君。
○正森委員 それでは、私から裁判官、検察官の給与法について質問をさしていただきたいと思います。
 いただきました資料を見ますと、たとえば裁判官の場合には判事補は一号から十二号までございますから、判事補というのはほぼ十年間その職にあるわけですから、毎年あるいは初めのうちは半年に一度ですか昇給するというように推測されますが、そういうぐあいに理解してよろしいか。
○勝見最高裁判所長官代理者 間隔につきましては一定しておりませんが、六カ月から一年、また九カ月の場合もあります。
○正森委員 判事補に最初におなりになった方が、いただきました資料で、初任給調整手当などを入れますと、十七万円を少し超える程度になるのではないかと推測されますが、この額が判事補あるいは裁判官を確保するのについていささか低いのではないかという質問が同僚議員からなされました。弁護士になりました者が最近は不景気の状況があるのか余り報酬を得ておらないというような答弁があったと思います。そこで、もし資料としてお持ちならば、弁護士になられた方々の最初の一年ないし二年ぐらいの収入がどのようになっているのかお示し願いたいと思います。
○賀集政府委員 ことしの四月、司法修習生の修習を終えまして新しく弁護士になった方の収入の実態調査をいたしました。それは全国的にやりましたけれども、いまから申し上げるのは六大都市五、六十人の人数から回答を得ました。もっとたくさんの人数に当たってみたのですけれども、お答えいただくのは任意の御回答でございますので、その結果によりますと、最低九万円、最高二十万円、ばらつきがございます。――失礼いたしました。最低十万円、最高三十万円でばらつきがございます。平均いたしますと、十七万一千円でございます。先ほど言いました最低九万、最高二十万というのは昨年でございまして、昨年度は十六万五千円、ことしは十七万一千円、最低が十万、最高が三十万ということでございます。
○正森委員 いま御答弁がありましたように、平均いたしますと弁護士が十七万一千円くらいです。ですから裁判官が初任給調整手当を入れますとそれを若干抜いたというかっこうになるわけですけれども、御答弁の中でも最高は三十万円であるというお答えがございました。何も最高に近づける必要は必ずしもないかもしれませんけれども、裁判官もなかなか激務でございますから、特に初めになったときに待遇をよくする。上に行くと上げる率を若干低くしてももともとの額が大きいからやっていけると思いますけれども、最初の一、二年を保障するということは非常に必要だと思うのですね。そういう意味で初任給調整手当が長い間上がっていないという点が同僚議員から指摘されましたけれども、その点の改善が近く行われる可能性はないのですか。
○賀集政府委員 初任給調整手当が設けられましたそもそもの趣旨が、新しく判事補、検事になる人と新しく弁護士になる人との格差を埋めるということでありましたので、格差を埋めてなお余りあるというような御提案でございますが、最初の発想がそうでございますのでなかなかむずかしい事情がございます。ただ、弁護士の収入というのは先ほど申し上げましたようにばらつきもありますし、それぞれ任意の申告でございますので、もっと正確につかまえる、そういう努力の方を私どもはやってみたいな、かように思っております。
○正森委員 私も弁護士をやったことがありますから存じておるわけですけれども、自分の収入を言えといいましても、基本的な最低限は言えるかと思いますけれども、弁護士というのは少し講演すればまた報酬をもらうとかいろいろあるわけですね。ですから、恐らく最高裁がつかんでおられるよりは多いことはあっても少ないことはないというのが実情だと思うのですね。ですからそこら辺も考慮されて、初任給調整手当を是正するということができなければ本俸の方を考えるとかいうことで、特に若い裁判官の生活を守っていくというために――これは検察官も同様です。便宜裁判官と申し上げましたが、そういう努力を希望しておきたいというように思います。
 次に御質問をいたしますが、判事補の場合には、先ほど同僚議員からも質問がございましたけれども、八ないし九つの段階に分かれておるわけですね。大体二十七、八歳で任官をいたしましたとすると、判事になるのが三十七、八でございますから、六十五歳までというと三十年近くあるわけですね。ですから、先ほどの答弁では一号俸平均が三年半ぐらいかかるというような答弁でございました。
 そこで私は、昇給の運営について聞きたいわけですけれども、一般職の公務員は給与法の中に期間の定めがあって、特別の事情がない限りは一年一回の昇給が保障されておりますが、裁判官にはその保障がないわけですね。たしかそうだと思うのです。最高裁は、私の承知しているところでは、毎年定期的に裁判官の昇給事務を行っているようですが、その方法は、あらかじめ内密に示された昇給上申基準に基づいて各裁判所の長から昇給上申名簿と順位を上申させる、それに基づいて決定しているというように聞いておるわけであります。それに間違いがないかどうか。
 それからまた、私が聞いておりますところでは、そういう昇給該当者の実際に上がっておるのは、判事の上位号俸者については二、三割にすぎないというようにも聞いているわけですね。そうしますと、そういう選別をどういうぐあいにしてやるのかもあわせてお答え願いたいと思います。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官の昇給につきましては、ただいま御指摘のとおり、現地の裁判所、高等裁判所を通じまして意見を求めていることは事実でございます。
 それから、実際にどうやっているのかというお尋ねでございますが、先ほども申し上げたかと存じますが、判事に任官いたしまして再任の時期、十年たちまして、十年過ぎた段階で大体の人が四号になっておりますが、四号までの昇給につきましては、よほどの消極要件がありませんと同期よりおくれるということはないようにいたしております。それ以上の昇給につきましては最高裁判所の裁判官会議でそれぞれ決めていただくことになりますが、最高裁の裁判官が事件を通しましてごらんになっておられる。それから、各高等裁判所におきましては各地家裁、主として地裁ということになりますが、地裁から上がってくる事件についてよく見ていただいている。地家裁につきましては各裁判長、部の総括クラスの意見を所長が吸い上げる。このような形でいわば裁判官の全人格的な評価と申しますか、おのずからそういうものが出てまいりまして、それを参考にさしていただきまして、裁判官会議に上程して決めていただくという手順に相なっております。
○正森委員 いま御答弁があったわけですけれども、その答弁は一応の一般的なことをおっしゃったので、中身はもう少し考えてみなければならぬ点があるのじゃないかと思うのですね。特に、判事の四号まではおおむねよほどの消極事由がない以外は均一に上がっているように言われましたけれども、しかしそれまでの段階でも、あるいは判事補のように六カ月、九カ月ないしは一年ごとに間断なく昇給しておる者の中にもやはり格差はあるのではないか、こういうことを思わざるを得ないのですね。
 たとえば報酬、俸給以外の給与というのがございますが、裁判官、検察官には報酬、俸給以外の給与にはどういうものがありますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 非常に細かく分かれておりますので、正確に申し上げたいと存じます。
 簡裁判事はちょっと省略させていただきまして、判事補につきましては、初任給調整手当、扶養手当、調整手当、住居手当、通勤手当、特地勤務手当、期末手当、勤勉手当、寒冷地手当、以上がいずれも判事補には支給されます。
 それから、判事につきましては、いま申し上げました手当のうちで支給されるものは、調整手当、特地勤務手当、期末手当、寒冷地手当、この四つでございます。
 あと、最高裁長官、高裁長官につきましては省略させていただきます。
○正森委員 いま判事補の中でお答えがございましたように勤勉手当という項目がございますね。確かにそうお答えになりました。その勤勉手当で、たとえば判事補の一号、二号、簡裁判事の五号から七号、検事の九号、十号、副検事の二号から四号について見ますと、勤勉手当の支給割合というのがありまして、私が承知しておるところでは、勤勉手当の支給割合は期間率掛ける成績率である。六月は百分の五十、十二月は百分の六十を超えてはならないとなっておりまして、期間率というのは基準日以前の六カ月以内の期間における職員の勤務期間の区分に応じて定まるゼロから百分の百の割合をいう、これは比較的きちっと決まると思うのですね。成績率というのは、六月は百分の三十五から百分の七十五の範囲内で、十二月は百分の四十から百分の九十の範囲内で各庁の長が定めることとされておる、こういうようにたしかなっていると思うのですね。それは間違いありませんか。
○勝見最高裁判所長官代理者 仰せのとおりでございます。
○正森委員 そういうことになりますと、成績率というものによりまして、判事補の時代でも百分の三十五から百分の七十五といいますと、額はわずかであっても二倍以上の査定の開きが出てくるわけですね。ですから、裁判官の中にこういう成績率という勤務評定が判事補の段階からきっちりとついてくる。それから、判事になりますと、そもそもいまお答えがございましたように、昇給の中でばらつきが出てくるということにならざるを得ないと思うのですね。
 そこで、そういうある意味での成績率、はっきり成績率という言葉が使ってあるようですけれども、それはどういうぐあいにして決まるかといいますと、私の承知しておるところでは考課調書というものがあって、それによって考課をされておる。その内容は事件処理能力、法廷処理能力、法律知識というように裁判事務処理の内容にまで立ち入っており、司法行政の一環とは必ずしも言えないものがあるのではないかという声があるのですけれども、それについてはいかがお考えになりますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 まず第一点のいわゆる成績率の問題でございますが、裁判官の仕事の特殊性から申しまして、この成績率につきましては、あるいは本来の法の運用としては少し外れているかもしれませんが、裁判官の仕事の特殊性ということで、いわゆる成績率については差別を設けないで支給しております。
 なお、後段の考課というお尋ねでございますが、私どもといたしましては裁判事務の独立を害するようなことにつきまして報告を求めたりなどはいたしておりませんで、ただいま御指摘のようなことにつきましても、一般論として所長あるいは長官の意見を求めているというのが現状でございます。
○正森委員 いまのお答えでございますと、成績率というものは均一にしておる。そうすると、実際上百分の三十五から七十五とか、百分の四十から九十というように差がつくようになっておるけれども、それは一切いたしておらない、こういうことですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 おっしゃるとおりでございまして、六月につきましては〇・五カ月分、それから十二月につきましては〇・六カ月分という形で一律に支給しております。
○正森委員 そうすると、残る差は昇給のおくれがあるかどうか。判事の場合にはわりと昇給の段階が大まかに分かれておる結果から、本来昇給してもいい時期に来てもなかなか昇給できない。その順位は、いま人事局長が言われましたように、最高裁が各高裁長官あるいは地方裁判所の所長等、順次上がってきたものに基づいて決めるということになるだろうと思うのです。しかし、これが各弁護士会とかあるいはその他のところからの報告を見ますと、裁判官に必ずしもよくない影響を与えているという声が上がってきているのですね。考課調書のほかに、あなた方は裁判官がどのぐらい事件を落としているかという意味での統計表とか、あるいは長期未済事件というので、従前は五年以上かかった事件を言っておったようですが、このごろは二年以上の事件についても報告制度というのを設けて、どういうわけでこれが二年たっても落ちないのか、どこに問題点があるのかというようなことを報告させるという制度があるようですけれども、実際にあるのかどうか。裁判官の中に、この考課表と統計表と報告制度というこの三本柱を非常に意識して、法廷での指揮ぶりとか、あるいは事件の処理ぶりに非常に変化が見られる、こういう声が弁護士会でもありますが、いかがですか。
○大西最高裁判所長官代理者 まず第一に、事件処理状況の報告でございます。午前中お答え申し上げましたが、特定の裁判官がある一定期間にどれだけの事件を処理したかということがわかるようなそういう報告は、最高裁判所としては受けておりません。
 それから次に……(正森委員「統計表と報告制度と、それから考課表」と呼ぶ)考課表は私の所管外でございまして、先ほど人事局長は、そういう意味での考課表はとっていないというふうにお答えしたのであろうと思います。
 それから先ほど五年、二年ということをちょっとおっしゃいましたが、恐らくこれは刑事事件につきまして継続二年を超える事件の報告を求めているということをお指しになっているのじゃないかと存じますが、これにつきましても、特定の裁判官がそういう事件を持っておくれているというふうな形では必ずしも最高裁判所にはわからないということになっておりまして、いずれにいたしましても、そういう事件報告が裁判官の人事に影響するという形でそういう報告を最高裁判所としては求めていないというふうに御了承いただきたいと思います。
○正森委員 そうはおっしゃいますけれども、ここに一九七七年の八月十五日に発行されました「季刊 司法制度研究」という第十六回司法制度研究全国集会のまとめという小冊子があります。そこで報告されているのを見ますと、裁判官が事件処理を非常に急ぎまして、たとえば「証人採用や尋問時間の制限なども、審理促進の名のもとに正当化され、民事裁判でも最近は最初から本人質問をやる。」私も弁護士ですけれども、民事裁判で本人質問というのは、客観的な、第三者的な証人が済んでから行うのが通常でしたけれども、本人から先に調べて、早いこと争点なり、決着がつくようにやるとか、あるいは第一回の期日に被告が不出頭でそのまま終結してしまった。これはおくれて法廷へ行く場合があり得るわけで、再開申請をいたしますと、事実上審級の利益を失うわけですから、ほとんどの裁判所は再開をしてくれるというのが通常だったけれども、被告がおくれて来て、それで結審をすれば被告敗訴は確実で、一件上がりということになりますから、裁判官が再開決定には応じないで高裁でやってくれということで事件処理を急ぐというような例が報告されておるのですね。特に、ある弁護士の話によりますと、裁判官に、このままでは負けるから和解しろと言われて、その弁護士は勝てるケースだと思ったけれども裁判官がそう言うから和解しようかと思って和解した。和解してから相手方の弁護士に聞くと、相手方の弁護士も裁判官から、このままなら負けるから和解しろ、こう言われたので、お互いだまされておったかということになったということも報告されておるのですね。
 これはちょっとひどい例かもしれませんけれども、こういうように裁判官が非常に事件を早く落としたがる。これは訴訟促進の意味で、ある意味ではこれはやらなければならないことですけれども、それも度が過ぎますと、これは国民の裁判を受ける権利というのを保障しないことになる可能性も十分にあると言わなければならないんですね。あなた方は、こういうような声が弁護士会などから上がっていることについて、裁判官の考課表なりあるいは統計表あるいは報告制度などが影響を与えているというようにはお思いになりませんか。
○大西最高裁判所長官代理者 正森委員御承知のように、適正迅速、これは裁判の最も重要な鉄則でございまして、その中でもそれじゃ果たしてどちらが大事かと言われれば、恐らくどの裁判官も、適正を犠牲にして迅速にやった方がいいというふうに答え、かつ、そういうふうに行動しておる裁判官はいないのではないかというふうに存じます。先ほど来申し上げておりますように、裁判官が訴訟をそれこそ早く終わらせるというために適正を犠牲にして、あるいは、例を引かれましたけれども、事案はよくわかりませんけれども、そういうものを適正を犠牲にして、俗な言葉で言いますと、早く一丁上げようというふうな形でやっておる者はないというふうに私は信じております。私も民事裁判官を長いことやっておりますが、決してそんなことを考えたこともございませんし、また自分の意識としても、この訴訟を早くやるとか遅くやるとかによってその考課がなされる、先ほど来おっしゃっておりますように、たとえばそれが昇給に響くとか、そういうようなことは毛頭考えたこともございませんし、裁判官一般はやはり私と同様な考え方で日夜仕事をしておるものと存じます。
○正森委員 できるだけそうありたいものだと思いますが、しかし、私ども在野の者から見ますと、在野の同僚がたくさんいるわけですが、その方たちと懇談をいたしますと、一、二の例としてではなしにそういう傾向が出てきているという声を聞くわけですね。ですから、この機会にそういうことがゆめゆめないように、司法行政当局にぜひお願いをしておきたいというように思います。
 質問を変えますけれども、年度別の司法試験の合格者数と司法修習生の採用者数をお調べいただきたいということで申しておりました。私の方に来ておりますけれども、最近の十年間、昭和四十三年度から五十二年度までとっていただきましたが、全部言うていただくと時間がかかりますから、便宜、昭和四十三年度と、その五年後の四十八年度と、それから五十二年度、この三つについてだけ司法試験の合格者数と司法修習生の採用者数についてお答え願いたいと思います。
○賀集政府委員 法務省は司法試験の方を担当いたしておりますので、司法試願の合格者数を申し上げますと、四十三年五百二十五名、四十八年五百三十七名、本年、五十二年四百六十五名でございます。
○勝見最高裁判所長官代理者 どうも答えがばらばらになっておりますが、採用は最高裁判所でやっておりますので私から申し上げます。
 採用者は、四十三年度五百十三、四十八年度五百四十三、五十二年度四百六十五でございます。
○正森委員 私がいただきました資料に合致しております。時間の関係で十年分を全部言っていただくのを五年ごとに、ラフに言っていただいたわけでございますけれども、わが国はアメリカなどに比べて法曹人口が非常に少ないということになっておるのですね。それに対しまして司法試験の合格者数、司法修習生は当然のことながらほぼこれに符合しておるわけですが、それが私どもが司法修習生でございましたころはほぼ二百五十名でございましたが、だんだんとふえまして、五百名あるいは五百名を超えるというのが相当続いております。現に四十三年は合格者数が五百二十五名で採用者が五百十三名、四十八年は五百三十七名で採用者数は五百四十三名、こういうことでございましたのが、最近は司法試験の合格者数も採用者数もともに減りまして、たとえば五十年から見ますと、五十年の合格者数が四百七十二名で採用者数が四百九十二名、五十一年が四百六十五名合格で、採用者が四百六十二名、五十二年が先ほどお答えのように四百六十五名で採用者数も四百六十五名、こういうぐあいになっておるようですね。そうしますと、一番多い時期に比べて大体六十名ないし七十名減っておるということになるわけですね。これは試験のできのよい者がそれだけ少なかったんだと言ってしまえばやむを得ないと思いますけれども、しかし国家の一定の政策から考えまして、裁判官、検察官、弁護士になる者をほぼ五百名あるいは五百名を上回るぐらいは採ってもいいんじゃないかという考えの場合と、それから漸次これを減らしていこうという考えの場合ではやはり違ってきて、あたりまえなら五十三点まで採用しようというのを五十四点までにしよう、こういうぐあいになれば五、六十名すぐ違ってくるわけですね。それで、最近三年間、こういうように法曹人口がわが国で必ずしも多くないのに合格者数や採用者数が逓減をしておるというのには何かわけがあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○賀集政府委員 仰せのとおり、最近三年間は四百六十名台、四百七十名台で減っております。それで、司法試験の合格者数は、委員も御承知のように司法試験考査委員の合議によって定めるということになっておりまして、しかもこの考査委員の方々はそれぞれ厳正な立場から答案を御審査になり、あるいは口述試験で試問されてその結果によってされるわけでございまして、その司法試験考査委員の方々の合議の結果がそうなった、そう申し上げるより仕方がありません。これは客観的に考えますと、委員も先ほど御指摘のように、何か一般的に水準が落ちてきたのではなかろうかというようにも推測されますが、これはあくまでも推測の域を脱しません。
 それから、政策として五百名をだんだん減らしていく政策があるのかという点でございますが、全然ございません。すべて考査委員の合議にお任せいたしております。
○正森委員 いまの御答弁は御答弁として伺っておきますけれども、考査委員会が合議で決めるというのは私らも通ってきた道ですからよく知っておりますけれども、それにもかかわらず司法試験というのは、このごろ何人に一人になっているのか知りませんが、激烈な競争ですね。それで、できが悪くなってきたと言えばそうかもしれませんけれども、私らのとき特にできがよかったかというとそうも思わないわけで、だから採用人員が五百名ちょっと超えてもいいと思って下限を引くのと、それから相当厳しくするのでは違ってくると思うのですね。なるほど去年は五十五点だったからことしも五十五点というようにすればこうなったという考えも成り立ちますけれども、しかし試験の場合は相対的なもので、平均点数が下がっておるという場合は試験が非常にむずかしかったという場合もあり得るわけですから、それがこういうぐあいに顕著に司法修習生の優に一クラス分減っておるという点については、何かそういう意図が働いているんではないかというように思われるんですけれども、そういう点はないんですか。
○賀集政府委員 法務省では官房の人事課が司法試験の管理運営に関する事項に携わっておりまして、御質問の向きも確かめたわけでございますが、そういう意図は全然働いておりません。それで、結局のところは質のいい方が司法試験をお受けになるのを敬遠しかかっている傾向ではなかろうか。これも本当の傾向でございまして、私も追跡調査いたしまして、質のいい若い方が受けやすくするような運営の仕方あるいは制度の持っていき方、それを常々追いかけて研究いたしておるところでございます。
○正森委員 非常にえんきょくにおっしゃいましたけれども、そうすると、先ほどの答弁でもおっしゃった考査委員から見てどうしてもこれだけの水準は欲しいという期待される答案がここ数年少なくなってきたというように解される答弁ですね。私はそういうことの中に、確かに現役がなかなか通りにくくなって、それで三年、四年と似たような教科書を一生懸命勉強している考が通る、こうなりますと、一度ミスをした優秀な現役の方がなかなか二度、三度と受ける気がなくなって、一緒に受けた行政の上級職の方へ行ってしまうとかあるいは会社へ行ってしまうという傾向はあるだろう、こういうように思いますが、同時に、その司法修習生が参加する司法研修所のあり方というものも考えてみる必要があるんじゃないかということを先ほどの裁判官の昇給、昇格の基準に関係して申し上げておきたいと思うのです。
 ここに私が持っておりますのは「裁判所はこれでいいのか」という大阪司法制度研究集会実行委員会がつくりました小冊子です。お読みになったかもわかりませんけれども、この中で司法研修所の教官の言動について触れられておるのです。たくさん書いてありますけれども、私はそのうちの二つ三つを申し上げて今後の御参考に供したい、こう思うのですけれども、場合によったら後でお調べになって報告していただきたいと思います。
 三十期で初めての刑事裁判の判決起案の講評の際にある教官が「ある程度の証拠が集まれば有罪としてよい。捜査に余り費用を使っては税金の無駄使いだ」こういうぐあいに修習生に語ったというのですね。こういうようなことを言う教官がおりますと、人権を守るために証拠は厳格にしなければならないと思っているのに、裁判というものが捜査費用に影響されて、刑事もさぞかし捜査費用が要るだろうから余り厳格なことを言うな、余り厳格なことを言うと捜査の費用を使い過ぎて税金のむだ遣いだというようなそういう教育をする。あるいは別の場合にはある刑事裁判教官が「一人の無罪をも罰してはならないという法格言があるが、一人の有罪者をも逃さないぞという心構えも大切だ。実務修習はこの心構えでやって欲しい」こういうぐあいに言ったというのですね。こういうことを言う気持ちもわからぬではないと思うけれども、しかし有名な法格言があります。「一人の無事も罰するなかれ、十人、百人を逃しても」こういうわけですけれども、何も逃す必要はないけれども、一人の有罪者も逃さないぞという心構えでやれという方を余り強調して、しかも捜査費用が余りかからぬようにそこそこ証拠があれば有罪と認定しろというような教官では、これは困るんじゃないかと思うのですね。また刑事の教官が悪いだけではなしに、ある民事裁判の教官は「公害問題をきっかけに法律家になりたいと考えた」こう言う修習生に対して「お前は世の中の見方が甘い。公害公害というが、公害で一番金をもうけたのは弁護士だ。」こういうことを公然と言った。ある民事弁護の教官は講義の中で「弁護士の客は企業だから、企業の利益を守る立場で物を考えるべきだ」こういうことを言うたということが報告をされておるのですね。こういうようなことを教官が公然と司法修習生の初期の講義の中で言うということになりますと、これは人権を守るということで意気込んで入ってこられた方が幻滅を感じるということも当然だろうと思うのですね。
 ですから、私が指摘したのは三十期の例でございますけれども、こういう事実があるのかないのか、あるいはもし御存じなければそういう点について一応御調査願って、その結果をまた別の機会に御報告願いたいと思いますが、いかがですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお示しの件につきましては、三十期の修習生の全般のアンケートによる調査結果だろうと推測いたします。例の男女差別発言の問題につきましてその際申し上げたかとも存じますが、その種の発言がそのままの形で出ておるとすれば、それはもう委員御指摘のとおりだろうと思います。ただ教室におけるその教官と修習生のいわばやりとりといいますか、問答について、果たしてどの修習生がどの教官からそういう発言を聞いたのかどうかというようなことになりまして、これを調査するということになりますと、どうも教育といいますか、教える、教えられる関係にあります両者の間で、あのときこういうことを言ったではないか、いやそんなこと言わない、そういう趣旨である、というようなことになりますと、どうも司法研修所における教育全体のいわば雰囲気を壊すということにもなりかねませんので、そのアンケートにつきましては私どもも十分承知しておりますが、個々具体的な形で各教官にその種の調査は行っておりません。いま御要望もございましたけれども、私どもといたしましては調査しない方がいいのではないか、むしろ誤解であってほしいわけでありますけれども、そういう誤解のないように名教官十分自粛自戒すべきであるというふうに私は考えております。
○正森委員 いま人事局長がお話しになりましたように、確かに教育の面がございますから、教官に一々こういうことを言ったかと聞き、それから修習生にどの教官が言ったのか言うてくれということを聞くということは、教育の雰囲気を壊すという点は私も理解いたします。ですから、そこまではやっていただかなくてもよろしいけれども、いま人事局長も認められましたように、少なくとも、教官全体に対して、個々の教官に君はこう言ったらしいとか、そういうことは必要ないにしても、こういうアンケートがあるけれども、いやしくも誤解を招くような言動は、技術の教官だけでなしに、憲法的な感覚を体現して修習生に伝えていくという立場からしても好ましくないという、一般的な、老婆心ながらの注意はやっていただきたいというように思いますが、それはやっていただけるでしょうか。
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、そのアンケートの集計結果につきましては、私どもだけではございませんで、司法研修所の各教官方も十分承知しているはずでございます。御承知の、問題になりました男女差別発言問題についても、研修所におきましては注意をいたしておりますし、また、所長が前期の修習の終了の際に、そういうことはないということを修習生の前で宣言しておりますし、その点は研修の教官が十分心得ておられるというふうに、私ども信頼して、信用しておる次第でございます。
 なお、先ほどもちょっと触れましたけれども、教室におけるその種の発言のやりとりにつきまして、前後の脈絡といいますか、やはり正確な形で、いわば修習生諸君も十分注意していただきたいというふうにも思います。しかし、基本的には委員御指摘のとおりだというふうに考えております。
○正森委員 それでは私の質問は終わりますが、大臣がおくれて来られましたので、この間私は一般質問でも伺いましたが、裁判官があるいは検察官が、物価上昇に伴って給与を改定されるのは当然でございますが、同時に、準起訴手続あるいは付審判事件の弁護士の報酬というのが余りにも低いではないかという問題点を指摘いたしましたが、改めて法案審議のときに、法務大臣も私の意見に反対ではないというような御意見でございましたけれども、今後そういう点の改善についても御配慮願いたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 先ほど国選弁護人についてもお話がありましたが、十分検討したいと思います。
○上村委員長 次に、加地和君。
○加地委員 ただいま、裁判官、検察官の給料を値上げするという法律案の審議になっておるわけでございますけれども、これは、仮に金額が同じであっても、その仕事が忙しいあるいはむずかしいということになりますと、実際にその数字どおりの待遇になっていないという場合も出てくると思うのです。それで一つお尋ねしたいのは、民事裁判におきまして地方裁判所と簡易裁判所との事物管轄の境界というのが三十万円ということになっておりますけれども、この三十万円と決められてから相当年月がたっておるように思うのですが、その後の物価上昇等を勘案してこれを適正な基準に変えなければ、三十万円と決めた当時と比べて、地裁の裁判官の方に仕事がたくさん行って簡易裁判所の方に仕事が少ないということに常識的に考えてなってきているんじゃないかと思いますけれども、この点について、事物管轄の金額を変更なさるお考えがあるのかどうか。あるいはまた、この三十万円と決めた当時と比べて簡裁、地裁の判事の負担というものは変わってきておるのかどうかという点についてお尋ねをいたします。
○賀集政府委員 ただいま三十万円というお話が出ましたが、それは昭和四十五年の改正でございます。そして、昭和四十五年の事物管轄改正後の経済事情を少し見てみたいと思います。その年の指数を一〇〇といたしますと、消費者物価指数は一八八でございます。これは昭和五十一年の全国平均でございます。その次に、国民総生産は二三一、これは昭和五十一年の数字でございます。それから一般職公務員の平均給与額は二六四、これはことしの数字でございます。となっておりまして、その他の経済事情もかなり変動していることは委員も御承知のとおりと思われます。このような経済事情の変動に伴いまして、民事第一審新受訴訟事件の地方裁判所、簡易裁判所別の分担割合、これを調べてみますと、四十六年には地方裁判所五二%、簡易裁判所四八%でありましたものが、昭和五十一年には地方裁判所六四%、簡易裁判所三六%となっておりまして、地方裁判所の分担割合の増加傾向がはっきり見られてきたわけでございます。事務当局といたしましては、このような傾向が今後も増大するのかどうか十分に見守っていきたいと思っております。それとともに、最高裁判所その他関係方面とも緊密な連絡をとりながら、民事第一審裁判所の裁判権の適正な分担といいますか、裁判権の適正化を図る見地から、必要に応じ適当な措置、それは裁判所法の三十三条一項一号の簡易裁判所の事物管轄の規定でございますが、その改正ということも考えているといいますか、時期を失しないようにいたしたいと、このように思っております。
○加地委員 この四十六年、五十一年の数字を見てみましても、かなり簡裁と地裁のウエートが変わってきておると言えると思うのです。物価指数あるいはGNP、公務員の給与等の数字を挙げられましたけれども、この五年の間に簡易裁判所の判事と地方裁判所の民事を担当する裁判官の数の割合、これはやはり四十六年当時と余り変わってないのでしょうね。どうなんでしょうか。
○賀集政府委員 ことし前半といいますか、春に定員法の審議をいただきましたけれども、ああいうように毎年定員増というものを法務省から裁判所職員定員法改正案を出しております。ことしはたしかなかったと思いますが、四十六年以降簡易裁判所の方の充実はかなりいたしております。したがいまして、判事補の方は地方裁判所にもお勤めになりますし簡裁にも勤められますが、簡易裁判所の判事と地方裁判所の判事補、こういうところに重点を置いてたしか定員増を考えてきた次第で、また、国会におきましても御可決して法案の成立までやっていただいたと考えております。
○加地委員 これは予告してなかったので、わからなかったらわからないでいいのですが、また後で教えていただいたらいいのですけれども、事件の割合が四十六年には四八対五二であったものが、去年は三六対六四と、事件数はこういうぐあいに変わってきましたけれども、これを担当する簡裁と地裁の民事担当の裁判官の割合も、この五十一年の割合などからいきますと、この事件数にある程度比例した変わり方をしてきておるのか、あるいは簡裁と地裁は四十六年当時と余り変わらないのか、その点を大体のところで聞きたいのですけれども。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問でございますが、正確な数字は現在持ち合わせておりませんが、御承知と存じますが、判事補で簡易裁判所判事を兼ねておる、あるいは簡易裁判所本務で判事補を兼ねておるという裁判官がおりまして、正確にその事件の推移に応じた分担の割合の変化があるかどうかはちょっと数字を持ち合わせておりませんが、ある程度そこら辺のところが少しは緩衝地帯といいますかそういうことになっておりまして、簡裁の事件が減って地裁の事件がふえたという場合に、簡裁の方の事件をたくさんやっておりました一部判事補が地裁の方の事件をたくさんやるということは少しは行われていると存じます。そこら辺の正確な数字はちょっといま持ち合わせませんので申しわけありませんが、そういうふうにはなっております。
○加地委員 簡裁の事物管轄が十万円から三十万円に変更になったときに、弁護士会の方からはかなり反対運動みたいなものがあったと思うのですけれども、今度また三十万円から幾らになるかわかりませんけれども、四十万になるのか五十万になるのかわかりませんけれども、弁護士会あたりはこれは主にどういう理由で反対をしていたのでしょうか。それからまた今後先ほどの指数に応じて改正されようとするときに、弁護士会とかそういう関係方面との調整はどのような手順でやっていかれることになるのでしょうか。
○賀集政府委員 十万円から三十万円に改正されたのは四十五年でございますが、その前に臨時司法制度調査会がやはり簡易裁判所の事物管轄の調整ということを提案したと思います。弁護士会がどういうわけでこの十万円から三十万円の改正に反対したかというのは、もちろん正確にはつかめませんけれども、やはり臨時司法制度調査会の意見に対する反対運動は非常に激しゅうございまして、それの一環ということも含まれているのじゃないかと思われます。
 今後、私ども、いまの簡裁、地裁の事件の分担割合、それが地裁にしわ寄せが行っているという傾向が増大してまいりますと、やはり裁判所法の三十三条一項一号の改正ということを考えなければなりませんが、そのときには弁護士会とも緊密な調整をとりたいと思いますが、結局のところは、調整をとれませんでしたら、そのときはよろしくお願いいたします。
○加地委員 私の記憶している範囲では、三十万円以下という範囲になると、実際に金の貸し借り、手形での三十万円ということ以外に、たとえば建物の明け渡し事件という場合に、都会地でも、三十坪くらいの土地に古い家が建っていたときに、その古い建物の固定資産評価証明に出てくる金額の二分の一、これが訴訟物の価格ということになってしまうから、時価で言えば千五百万円、二千万円という土地建物の明け渡しであっても簡裁の管轄になってしまう。そうすると、立ち退き料相場にすれば七百万円、八百万円というのが適正だと思われるような立ち退き料相場の事件についても、これは三十万円以下の事件として扱われてしまって、こう言ったらあれですけれども、やはり地裁の裁判官に対する信頼と、それからまた司法試験合格以外のルートでなってこられる簡易裁判所判事に対する信頼感とがどうしても違いますために、これほど大きな権限を持たしては大変なんだという国民の人権を守るという点からの反対論が一番強かったように思うのですね。実際に私がいま挙げたような例を見ても、訴訟物の価格の基準というものが、いま挙げたように立き退き料相場が七百万、八百万というのが相場だと思われるものについて訴訟物価格を三十万としておくのは、いかにも訴訟物価格印紙代を計算する単なる基準であるのかもしれないけれども、余りにも実情と離れ過ぎていると思うのですね。ですから現在のこの訴訟物価格全体について実際の経済価値とかけ離れているものがたくさんあると思いますけれども、これを適正に見直しをされるという御計画なりお考えなりないのでしょうか。また必要性はないのでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま事物管轄の問題に関係いたしまして訴訟物の価額の算定基準についてのお尋ねでございますが、これは御承知と存じますが、二十年ほど前に最高裁判所の民事局長の通達で一応の基準ということで流しておるものでございます。それぞれ訴訟物の価額は各受訴裁判所の裁判長がその判断でということに相なるわけでございますが、ただ、そうは申しましても、ただいま例示をされましたように、たとえば明け渡し訴訟でございますと所有権価額の二分の一、それは固定資産評価額というようなことで運用されている例が多いかと存じます。と申しまして、ただいま仰せのようにこの基準をそれではどういうふうに変えるかということにつきましてはなかなかむずかしい問題がございます。たとえば、固定資産評価額を基準にしないで時価によるといたしました場合に、その時価をまた一々算定しなければいけないというようなことに相なってくるわけでございまして、ただいまのところその一応の基準を改正するということは考えてはおりません。
 ただ事物管轄の関係で申しますれば、ただいま仰せになりましたように、たとえば簡易裁判所でそういう時価にして非常に大きな価額の不動産の訴訟をやらせることがどうかという問題が確かに従前も議論されましたところでございますが、そういうものにつきましてはできるだけ地方裁判所へ移送する、そういうむずかしい事件、不動産等の事件については移送するという措置によって、大きな価額の事件が簡易裁判所で実質上行われることのないようにというような配慮も、最高裁判所といたしましては前の事物管轄拡張を契機に考えてきたところでございまして、むしろそちらの方で、たとえばいま事物管轄を拡張するといたしましたら、そういう方面で考える方が適切ではないかというふうに私どもは考えております。
○加地委員 そういう複雑な事件を訴訟物の価格にかかわらず地裁の方へ移送するという制度もあることは知っているのですけれども、事件を受けた簡裁の裁判官、やはりメンツがあると思うのですね。そうして、これはおれの手に負えないから上へ回すのだということが果たしてうまいぐあいに運用されるかどうかということに疑問を持つのです。
 それと、先ほど質問された方も紹介しておられましたけれども、特に簡裁で弁護士のつかない当事者の場合には、裁判官が第一回の審理のときに糾問手続的に何もかも調べてしまうときがあるのですね。そうすると、素人ですから、法律上重要なことを表現できないままに簡裁の裁判官のいわゆるある程度固まった頭の中へ当てはめていきますと、明け渡し事件でも何か一遍に敗訴判決を下してもいいような事実だけが取り上げられてしまうという場合がある。私が担当した事件でも、これはちょっと癖のある裁判官でしたけれども、訴状と答弁書を見て、これで判決だと言うのです。私は答弁書を書いた方ですから、そんなことで判決を下されても勝てるという自信はありますけれども、その人の顔つきを見ていると、どうも私を負かしそうな顔つきの結審だと言うのです。だから私は半年、一年かかって、その裁判官をおだてておだてて、そしてまあまあせめて本人の言うことを聞いてください、どうぞ聞いてくださいというぐあいにして、一年がかりでやっと勝訴判決に持っていったということがある。そういう苦労した経験もあるのです。ですから、訴訟物によらずむずかしいやつは回せるというのを、これを簡裁の裁判官だけに任せるというやり方じゃなしに、もう少し上手な方法というものが考えられはしないかどうか、また制度改正に向かっての御努力をしていただけるかどうか、ちょっとお答え願いたいのです。
○大西最高裁判所長官代理者 確かに仰せのように、簡易裁判所のメンツというふうにおっしゃられると、そういう面もないわけではないだろうと思いますけれども、最高裁判所としましては、たとえば簡易裁判所の判事の研修でございますとか会同等の機会には、むずかしい事件、複雑な事件につきましては民事訴訟法の移送の規定を活用するというようなことについての協議も行われておるところでございまして、確かに仰せのとおりメンツということもございますけれども、そういう方法を講ずることによりましてだんだんとフランクな気持ちで簡易裁判所判事も地裁に送れるということになるのではなかろうかと存じます。
 それから訴訟物の価額の算定方式について最高裁判所としては検討してみないかというお話でございますが、検討しないとは申しませんが、なかなかその代案、いまの基準に比べましてもっと適切な案があるかどうかということになると、なかなかむずかしい感じがいまいたします。実際、訴訟物の価額の算定のために非常に時間を要するということでは、訴訟遅延の原因にもなることでございますし、ある程度基準的なものを設けまして簡易に算定できるというふうな方法を講じませんことには、たとえば貼用印紙を幾ら張らせたらいいかということだけのために訴訟が時間がかかるということでは困るということもございますので、そういうことをも踏まえまして検討はさせていただきたいと存じます。
○加地委員 それでは、ちょっとまた司法試験関係のことについてお尋ねしたいのですが、今度は、ことし去年あたりの上の方から順番に各大学別の合格者数、去年とことしだけぐらいでいいのですけれども、それをちょっと教えていただきたいのです。
○賀集政府委員 昨年度は手元に用意いたしておりませんので、本年だけ申し上げさせていただきます。
 東大八十八名、中央大学七十一名、早稲田大学五十八名、京都大学二十八名、明治大学二十名、東北大学二十名で、ここまで上位五位でございます。
 この程度でよろしゅうございますか。
○加地委員 昔は、昔といいましても十年ほど前ですけれども、中央大学が非常に多くて、東京大学が五十名くらいで中央大学の半分くらいだったのです。それが、東京大学がずっとふえてきておりまして、いずれにしてもいいことだと思います。
 ところが、私は高等学校から大学へ入るときの大学の入学のむずかしさというものと、司法試験に合格される数というのが必ずしも比例してないというか、そういうことについて非常に不思議に思うのですね。これは高等学校へ入るときの成績、それは頭のよさを示すものかどうかは問題でありましょう。それからまた、司法試験に合格するのに頭がよいだけで合格するのかどうか、これも問題でありましょう。しかしいずれにしましても、十年間にたとえば東京大学の数がずっと上がってきた。早稲田大学の卒業生の合格者は去年の二倍くらいにたしかことしなっておると思うのですね。これなんか急激な増加が見られるわけです。これはやはり何か特別の司法試験に向くような教育なり、そういう指導に熱心な先生がいらっしゃるのかどうか。これは司法試験管理委員会を所管しておられるところとして、将来の法曹人としてふさわしい人をふさわしかるべき場所につけていくということは非常に重要だと思うのですね。能力と熱意がありながら、試験制度と大学教育との間に大きなギャップがあるために希望が果たせない、あるいは有能な人材を採れないということでは大変でございますから、いま言いましたように急激に数の変わっている大学、早稲田とか東大とか、これは何か特別の原因があるのでしょうかね。
○賀集政府委員 大変むずかしい御質問をちょうだいしまして、ことに大学のランクづけのようなことになりましたら、お答えして穏当を得ない結果になってはいけませんので、上位の三校、東大、中央大学、早稲田大学でございますが、この三校は受験生の数を調べますと、少なくともその四位以下の学校に比べまして抜群に人数が多うございます。それが一つの理由ではなかろうかと思います。
 それから、先生いま御指摘の特別の教育をしているかどうかということでございますが、もちろん司法試験に関する事項は官房でやっておりますので、たとえば受験雑誌なんかに目を通す機会もございますけれども、まだ特別に勉強しているというような記事にはお目にかかっていないといいますか、聞いておりません。
○加地委員 私は、東京大学がふえてきているのは、民事訴訟法の三ケ月教授が、昔ながらのマイクを使ってのマスプロ教育じゃなしに、かなりディスカッションさせるというか、きめの細かい授業を行っておられるからであると聞いたことがあります。そういうことなんかは、司法試験管理委員会を抱えておられる役所として法務省の守備範囲じゃないのでしょうか。日本の中でどこの役所の所管かと言えば、法務省ぐらいじゃないかと思うのですけれどもね、そういうことは守備範囲に入っておりませんか。
○賀集政府委員 大学の法学部の教育は文部省と思います。ただ、司法試験に関する事項を官房の人事課及び官房の私ども司法法制調査部でつかさどっておりますので、大学の法学部でどういう教育をしているかということには関心を持っております。
 それで、先ほど三ケ月教授の例を挙げられましたけれども、具体的に三ケ月教授のことは存じ上げませんが、最近リーガルマインドということをよく言われておりまして、英米方式流のケースメソッドというような勉強方法ですか、法律学の学習方法がかなり入ってきているということは私ども承知いたしております。
○加地委員 これは定員法改正のときにも私はちょっと質問したことでもあるのですけれども、現在の論文式の司法試験、これは各科目最低合格点など公表しておられますでしょうか。また公表しないというのはなぜなんでしょうか。
○賀集政府委員 公表しておりません。また公表していない理由は、恐らく試験というものの機密性ということになると思いますが、担当は人事課でやっておりますので、正確というか、それ以上詳しいことは存じておりません。
○加地委員 きょうはその司法試験管理委員会のことについて詳しい方は来ていらっしゃいませんか。というのは、来ておらなかったらおらないでいいのです、この質問は適当にはしょります。
 この前も申したのですけれども、たとえばことしの憲法の問題で、二題出ていますね。「公務員の基本的人権の制限につき、その事例及び憲法解釈上の論点を挙げて説明せよ。」こういう問題が出ているのです。これは通った人はいいです。落ちた人は、十分に書いたのにこの点についてはおれの書いたので正しかったのだろうか、これは自分は合格点とれたのだろうか、あるいはまたこういう問題だったら何と何がポイントであって、量はどのくらい書いてないといかぬとか、あるいはまた論点が十あるとすれば六つか七つは書いてないといかぬとか、幾ら十のうちの一つの論点を詳しく書いていても恐らくだめだろうと思うのですけれども、そこらのことが司法試験の受験生にとってはかいもくわからないわけなんですね。また雲をつかむような話で、これでは何か目的もなしに、かなり有能な、やる気のある人を盲にしたままでばちばちとしりをたたきまくっておるというような感じがして、試験制度が余りにも秘密性といいますか機密性といいますか、客観的な基準がないがために有能な人材を逃がしてしまっておるのではなかろうかということを思うのです。私の考えについての法務省当局のお考えなりあるいはこの論文式試験の改善ということについて、これは法務大臣ぐらいにお答えいただかなければいかぬ問題だと思うのですけれども、ひとつ高邁なる御意見を聞かしていただき、決意をまた聞かしていただきたいと思うのです。
○賀集政府委員 本日司法試験の管理運営を担当しております人事課の者が来ておりませんけれども、大体質問事項をお漏らしいただいておりますので伺うといいますか、人事課から確かめてまいっております。
 そこで、この春にも同種の御質問をいただきまして、受験生のために思いやりのある配慮といいますか御意見を拝聴したわけでございますが、その御意見を実行に移すには事務的にもきわめてむずかしい問題もございますし、またそれ以外の点でも何か支障が起こらないかという心配もないではございません。そこで、実行可能かどうかという点も含めまして、官房の人事課とも協議の上、検討してみたい、かようには思っております。
○加地委員 ひとつ大臣の高邁なる御意見と決意をお聞かせください。
○瀬戸山国務大臣 別に高邁な考えはないのですが、いま加地さんのお話をいろいろ聞いておりますと、受験生に対して非常に親切に物を考えておられるような気がいたします。試験は、もちろん各個人がどういう成績であったかということは原則として外に出さない、これが通常だと思います。私は最近の司法試験の内容は全然知りませんけれども、委員会で申し上げて内輪話というのはおかしいですけれども、ざっくばらんに言いますと、実は先日、知らない青年から手紙が参りました。ことしの司法試験を受けた。私どういう内容か知りませんけれども、論文試験で落ちたと、こう言う。そこで、自分の能力ではどんなに勉強しても間に合わぬぐらいのことしの成績の内容であったのかどうか、もしそうであれば司法試験はもうあきらめてほかに転向したい、しかし、もうちょっと努力して勉強すれば可能性のあるような程度の成績といいますか解答であったかどうか、できれば法務大臣に知らせてもらいたいのだがということで連絡を受けました。ざっくばらんな話です。私はあなたの質問を聞いて、やはり試験は、ある程度そのときのチャンスに適当であったかどうかということで、一遍に若い人たちの全能力、全人格が反映することがないことが多いと思うのです。そういうことを心配しておられるような気がして、あえてこういう内輪話みたいなことを申し上げたのです。これは秘密にすると言っても、どういう内容であった、どういう採点であったということは回答しないつもりですが、こちらで見て、少し勉強すれば可能性があるかないか、そのくらいは回答はしてやるべきだ、そのくらいの親切があってしかるべきだということを私考えておるわけです。
 いまお話しの点については、率直に申して、試験については私がここでどうこうと言うだけの素養がありません。でありますから、先ほどもよく検討するということですから、よく考えてみたいと思います。
○加地委員 こういう試験の特殊性ですからむずかしいと思いますけれども、どうでしょう、各科目ごとに何点の人が何人いた、何点の人が何人いた、あなたは何点だった――その採点の細かいポイントはいいです。そうすると、憲法ならいままでの勉強の仕方で間違ってなかったな、たとえば刑法がうんと悪かったら、来年はがんばらなくちゃ、こっちへ重点を置かなければいかぬなとか、一つの目安はつくんじゃないでしょうか。たとえば六十点以上の人が四百人いたとしますね。ところが五十九点、五十八点だけでひょっとしたら四百人いるかもしれません。ボーダーラインのところに恐らくひしめいているでしょうしね。そうすると落ちたけれどもおれ、もうちょっとやったらいけるかもしれないな。家族も早く嫁さんをもらえとかほかに就職せいとか案外受験生の環境というのはつらいですよ。私だってつらかった。選挙に通るよりも司法試験の方が実際苦労したのです。そういうことを考えていくと、やはりいま言うた程度のことは公表してもいいんじゃないでしょうか。それからまた、もうちょっとあなたがんばったらいけますとか言っても、基準がわかりませんからね。何人通ったけれどもあなたは何番まで来ていますというような数字で示してやるとか、そういうぐあいに、私の言っていることが無理であればあれですけれども、恐らくこの部屋で聞いておられる方は無理じゃないなという心境の方が非常に多いんじゃないかと思うのです。
 要望を兼ねまして、これが実現できるまで何度も質問しますので、きょうはこれで終わります。
○上村委員長 次に、鳩山邦夫君。
○鳩山委員 けさの稲葉委員の御質問にもありましたように、判事になりますと毎年八号から七号、七号から六号と昇格できるわけではなくなってしまう。判事補の間は十二号から始まって約十年間で十一回はアップするわけであります。しかし判事になりますと、一号から八号まで八つしかないのに、その間二十数年お勤めになるというような方が通例ではないかと思います。先ほど稲葉委員からは具体的に、三年半待たされたのは幾つぐらいの年の場合なんだというような御質問がございました。
 私伺いたいのは、いわば各号での足どめ、待たされる状態というのは、号が上がるごとにだんだんひどくなるものであるかどうか。つまり八号のときは一年しか待たなかったが、七号のときには二年待たされた、六号では三年待たされて五号では四年だという傾向にあるかどうかをお答えいただきたいと思います。
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほど来申し上げておりますように、裁判官の報酬の区切りが非常に少ない、これは裁判官の仕事の特質から来るものというふうに考えております。
 一方、裁判官は大体二十八で任官いたしますと、三十八歳で判事になります。三十八歳から、六十五が定年でございますので、その間相当期間が長いわけでございまして、先ほど申し上げました裁判官の業務の特質からいって段階が少ない。すると当然その間の昇給の期間、すなわち同一号に滞留している期間が長いということに相なるわけでございまして、考えようによりますと、一般の行政職と対比して考えました場合には号俸の格づけ自体、額自体が高く格づけされておりますので、仮に三年に一号上がるといたしましても、余りいい言葉ではございませんが、一般の行政職と比べますと先取りというようなこともあるいは言えるかもしれません。しかし、実際は現在の報酬体系が先ほど申し上げたとおりでございますので、どうしても同一の号に滞留している期間が長くなるということに相なるわけでございます。
○鳩山委員 私が伺っているのは、その一般論はわかるのですが、判事の中でだんだん昇格しにくくなるのかどうかということなんです。
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、判事補に任官いたしまして、十年目でまた判事に再任されるわけでございますが、任官してから二十年過ぎた時点で判事の八号から大体四号までなってまいるわけでございます。あと四号から先ですと三、二、一ないし特号と申しておりますが、これしか段階がございませんので、先ほど申し上げました年齢からいきましてもどうしてもそういうふうになってこざるを得ないということでございます。
○賀集政府委員 ただいま最高裁判所の方から裁判官の場合についてお答えがありましたけれども、検察官の場合でございますが、検事八号、これが裁判官の場合ならば十年で判事になるわけでございます。検事八号から検事一号まで平均して約二十五年ぐらいだと思います、定年六十三といたしますと。二十五年を八で割った、ちょうど平均して三・幾らというようにいくわけじゃありませんで、やはり若いうちの方が早く昇給するということになっております。
○鳩山委員 結局だんだん昇格しにくくなるということだろうと私は解釈いたしております。ところが、この八号から七号の間は約三万六千円ぐらいというように計算をしていきますと、四号から三号では約十万近くもアップをするわけでございます。したがいまして、判事を八つに分けるということは実は本当に意味のないことになっているような気がするわけであります。グラフにかいていくと最終的にはなだらかな曲線でいくことになるんじゃないか。したがって、八号に分けるのをやめまして、二十五号から一号ぐらいにすればきわめてわかりやすい。しかも大体裁判官の方も、こんな感じでおれの人生は給料がアップしていくという見込みもつこうというものでございます。そういう抜本的な改正というものを大臣が考えておられるかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
○賀集政府委員 午前もお答えいたしましたけれども、裁判官の給与体系は号俸の刻みが一般の行政官に比べまして大きいのですが、号俸の数は少なくなっております。その理由は、恐らく裁判官の職務の性質――裁判官の職務の性質というのは、たとえば裁判長も右陪席も左陪席もやはり同じようなといいますか、独立の資格で仕事をされる、そういうことでございまして、これを行政官のように刻みを小さくして階段をたくさんにするという方向への改正は考えておりません。
○鳩山委員 判事補から判事になるときにこれはかなりアップするように思います。この改正案で六万九千円ぐらいアップをいたします。すなわち判事補の一号から判事の八号の間は六万九千円の差があるわけです。判事の八号から七号は、先ほど申し上げましたように三万六千円ほどしか上がらない。したがって判事補から判事になるときに非常によく上がるなという気がいたすわけでありますが、それはなぜなんでしょうか。
○賀集政府委員 手取り額はそれほど上がりません。それはこういうことになるわけでございます。判事八号以上というのは指定職俸給表に対応さしておりますので、一般職の指定の方は、指定職以外のいわゆる行(一)と比べますと管理職手当その他の手当をちょうだいしないわけでございます。そういうわけで、本俸の額自身はかなり上がっておりますけれども、実際には諸手当のうち一部がつかないという関係で、手取り額はそんなに飛躍的に上がるということにはなっておりません。
○鳩山委員 先ほど、この刻みがわずかであるということは職務上の特質その他からくるんだというお話がありましたし、また総体的に高い水準にあるから、一般職と比べた場合、いわば先取りをして多目にもらっている、そして何年か据え置かれて、また先取りして多目にもらっているというふうな解釈も可能だというふうなお話もあったわけでありますが、実際に判事あるいは判事補の現場の方々から、もっとなだらかに給料が上がるようにならないかという不満はあるのでございましょうか。
○勝見最高裁判所長官代理者 まず裁判官の職務の点でございますが、ただいま賀集部長からも申し上げましたように、裁判長、右陪席、左陪席と一応合議体で組んでいるわけでありますが、裁判長はその訴訟を主宰しているわけでありますが、実際の仕事そのものの困難さ、責任の度合いというものについて考えてみますと、一般の行政官の上下ということと違いまして、その間、質的にはほとんど変わりない。これもまた報酬の刻みを小刻みにするというほどのこともない、そんなことから裁判官の報酬というものの刻みが少なくなっているというふうに御理解いただきたいというふうに思います。
 それから、現実に各裁判官がやはり一般の行政職のように一年に一回上がるという、いわば昇給の楽しみというものがなくなる、あるいはそういうものに対する期待というものがあるのではないかというお尋ねでございますが、その点は考えようでございまして、裁判官の報酬自体が高く格づけされているということと、刻みが少なくていわば昇給の回数が少ないということをいかにその本人自身が認識するかにかかっていると思います。恐らくお尋ねの件につきましては、昇給が何回もあった方が楽しみだというような考えを持つ人もあろうかと思いますが、先ほどから申し上げておりますような報酬体系の組み立てでございますので、その点はひとつ裁判官諸公にも御勘弁いただいているところでございます。
○鳩山委員 いまここに二人の学生がいたとしまして、非常に仲がいい。ともにスーパーエリート学生である。片方は大学四年のときに司法試験に受かって、検事あるいは裁判所の方を目指していく。修習生を二年やる。もう一人は、いわゆる高級官僚の道をばく進をするというふうに考えますと、これは判事補一年生の平均年齢から考えると、二十一歳あるいは二歳で司法試験に受かるというケースはむしろ少ない方かと思いますが、もし大変なエリート学生が二人いて、一人は大学四年で司法試験に受かる、もう一人は高級官僚、将来の次官を目指してがんばっていくという場合に、三十歳あるいは四十歳のときにどちらがどれくらい給料が高いという実態にあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○勝見最高裁判所長官代理者 非常に簡単なようで、むずかしいお尋ねでございます。と申しますのは、確かに俸給、報酬の面で考えますと、恐らく同一年齢の行政官と中堅の判事補を比べてみますと、判事補の方が相当程度のパーセンテージで高くなっております。この点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、裁判官の報酬を高く格づけしている理由と相絡むわけでございます。
 なお、妙なお答えになりますけれども、そのように待遇がよければ、それでは法学部の学生の優秀な者が上から五十人なら五十人必ず裁判所に来ていただけるかということになりますと、必ずしもそうでないというのが現状でございまして、単純に報酬、給与の比較だけでは事を律することはできないように思います。
○鳩山委員 ここでちょっと質問の方向を変えたいと思いますが、私はもちろん弁護士ではないわけでありまして、そういった意味ではなぜ法務委員会にいるのか、これは無党派ですからここに来させられたという方が正しいわけで、弁護士の諸先生方にまじって質問をするというのは大変恥ずかしい思いをいつもしております。しかし、逆に、弁護士でないだけに、法曹と言われる世界からわれわれ離れて見ておりますので、第三者的に見ることはむしろ得意じゃないかと考えております。そういう観点から申し上げまして、私たちは法曹一元という思想もわかりますけれども、確かに三権分立という方を小学校のころから教えられて育ってきておるわけであります。ですから、判事の方が役所の方に回って来られるというのはどういうわけなんだろうか。司法機関から行政機関に人が回ってくるというのはどういうわけなんだろうか。また戻っていく方もいるというけれども、これもどういうわけなんだろうか。法曹一元という思想もあるかもしれませんが、三権分立ということから考えると妙なことに私には思えてしまうわけであります。
 そこで、この間もある方から御説明を受けて、充足検事というお話を伺いましたが、これは法律的な制度なんでございましょうか、慣行なんでございましょうか。
○賀集政府委員 充職検事でございます。職に充てる、俗に充て検と言っておりますけれども、それは法務省設置法の十七条に根拠がございます。
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねの中に、裁判官から行政官になるというお話がございましたが、もし鳩山委員のおっしゃる趣旨が、裁判所から法務省に行っているじゃないかというお尋ねでございましたならば、確かに裁判官として任官した者で現実に法務省の方で仕事をしている者も相当数ございます。その点につきましては、確かに法曹一元と言ってもおかしくないかというお尋ねでございますが、法務省の中のポストでは、やはり裁判官の仕事を経験した人に適当な職務もあるということと、反面、裁判官の場合に、裁判所を一歩出まして別な法律職に携わることによって、また数年して裁判所に帰って裁判をしてもらう、そのことによって裁判官としてさらにりっぱな裁判ができるというふうなことも考えまして、いわば需要と、それから私どもの裁判所サイドの考え方から、その種の仕事をしてもらうとによってさらに充実した裁判をやってもらえるということで、法務省の方といわゆる交流人事をやっている次第でございます。
○鳩山委員 充職検事の方がいま何名おられるかということと、それからいわゆる上級公務員試験を通られて法務省にお勤めの方が現在何名おられるか、ちょっとお教えいただきたいと思います。
○賀集政府委員 法務省設置法によりますと、充職検事の定員は百三十三名でございまして、実際の数はそれよりちょっと内輪だと思います。それから、裁判所から法務省系統の方に来ていただいている方、これは裁判官から検察官に転官になった上で来ていただいているわけでございますが、その人数は現在七十人でございます。
○鳩山委員 それから、いわゆる上級公務員試験を通ってこられた方……。
○賀集政府委員 法務省関係の職員で上級職を通った人の総人数でございますが、いま正確な人数を持ち合わせておりませんので、残念ながらお答えできませんが……。
○鳩山委員 大体の感じでいいです、正確なものは後でお教えいただけるとして。
○賀集政府委員 申しわけありませんが、大体の数もちょっと把握ができておりません。ここに人事当局がおりませんので、恐縮でございますがお許しください。
○鳩山委員 私、何もせんさく好きでこういうことを伺っているわけじゃないのです。基準はかなりあいまいですけれども、たとえば官房長と各局長を合わせると八名おられると思いますけれども、これは全部、いわゆる裁判官あるいは検事畑を歩まれた方ばかりなんでしょうか。
○賀集政府委員 全部でございませんが、ほとんどが検事の資格のまま官房長ないし局長になっております。
○鳩山委員 そうすると、戦後ということになるのでしょうか、歴代の法務省の事務次官、これは何名おられたか。そして、そのうち、いまと同じような意味で裁判官あるいは検事から、皆さんがそういう経歴の方であったかどうか。
○賀集政府委員 全部でございます。
○鳩山委員 そういうことだろうと思うのですが、先ほど申し上げたように、私どものような第三者的な目をしておりますと、行政職というものはやはり行政職独特の特徴というものがあるのじゃないだろうかと考えるわけであります。これは、裁判官の方は司法というまた独特の重要なお仕事があるし、また検事の方もそれなりに持ち分というものがあるだろうと私は思うわけであります。したがって、本来ならば法務省の、たとえばいろいろな局長のポストが半分ぐらいは検事の方であってもいいのですが、半分ぐらいはいわゆる上級公務員試験で行政畑のみという形で歩まれてきた方がなられておれば何かもっとわれわれから見て納得がいくんじゃないかなということが第一点と、それから検事から充職検事ということで来られておる。検事でなければできないようなお仕事をしておればいいわけであります。そうであることを望んでおりますけれども、検事さんでなくてもできるようなお仕事を検事の方が充職検事としてなさっているとすればこれは問題だなということで、これらのいま申し上げたような幾つかの点を要望いたしまして、今後の改革というものを望みまして私の質問を終わらせていただきます。
○上村委員長 次回は、明十一月二日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十一分散会
     ――――◇―――――