第082回国会 社会労働委員会 第2号
昭和五十二年十月二十七日(木曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 橋本龍太郎君
   理事 斉藤滋与史君 理事 住  栄作君
   理事 戸井田三郎君 理事 中山 正暉君
   理事 枝村 要作君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    井上  裕君
      伊東 正義君    石橋 一弥君
      大坪健一郎君    北川 石松君
      小坂徳三郎君    齋藤 邦吉君
      津島 雄二君    戸沢 政方君
      友納 武人君    羽生田 進君
      葉梨 信行君    湯川  宏君
      安島 友義君    大原  亨君
      川本 敏美君    渋沢 利久君
      田口 一男君    田邊  誠君
      森井 忠良君    草川 昭三君
      古寺  宏君   平石磨作太郎君
      西田 八郎君    浦井  洋君
      田中美智子君    工藤  晃君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        厚生大臣官房審
        議官      吉村  仁君
        厚生省公衆衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省環境衛生
        局長      山中  和君
        厚生省医務局長 佐分利輝彦君
        厚生省薬務局長 中野 徹雄君
        厚生省社会局長 上村  一君
        厚生省保険局長 八木 哲夫君
        社会保険庁医療
        保険部長    岡田 達雄君
 委員外の出席者
        議     員 森井 忠良君
        議     員 大橋 敏雄君
        議     員 西田 八郎君
        議     員 浦井  洋君
        議     員 工藤  晃君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十六日
 辞任         補欠選任
  工藤  晃君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     工藤  晃君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  川田 正則君     北川 石松君
同日
 辞任         補欠選任
  北川 石松君     川田 正則君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子爆弾被爆者等援護法案(大原亨君外六名提
 出、衆法第一号)
 健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、第八十回国会閣法第三五号)
     ――――◇―――――
○橋本委員長 これより会議を開きます。
 大原亨君外六名提出の原子爆弾被爆者等援護法案を議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。森井忠良君。
    ―――――――――――――
 原子爆弾被爆者等援護法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○森井議員 私は、ただいま議題になりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、その提案理由の御説明を申し上げます。
 昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。
 この原子爆弾による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に、破壊、殺傷するものであるだけに、その威力ははかり知れないものであります。
 たとえ一命をとりとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷跡と、原爆後遺症に苦しみ、病苦、貧困、孤独の三重苦にさいなまれながら、今日までようやく生き続けてきたのであります。
 ところが、わが国の戦争犠牲者に対する援護は、軍人、公務員のほか、軍属、準軍属など国との雇用関係または一部特別権力関係にあるものに限定されてきたのであります。しかし、原子爆弾が投下された昭和二十年八月当時の、いわゆる本土決戦一億総抵抗の状況下においては、非戦闘員と戦闘員を区別して処遇し、原子爆弾による被害について国家の補償責任を放棄する根拠がどこにあるのでしょうか。
 被爆後三十二年間、生き続けてこられた三十余万人の被爆者と、死没者の遺族の、もうこれ以上待ち切れないという心情を思うにつけ、現行の医療法と特別措置法を乗り越え、国家補償の精神による被爆者援護法をつくることは、われわれの当然の責務と言わなければなりません。
 国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であります。したがって、たとえサンフランシスコ条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者の立場からすれば、請求権を放棄した日本国政府に対して国家補償を要求する当然の権利があるからであります。
 第二の理由は、この人類史上未曽有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことは明白であるからであります。
 この国家の戦争責任については、昨年七月末、広島地方裁判所の、いわゆる石田原爆訴訟判決で明記され、政府も控訴しなかったことにより、確定判決となっておるのでありまして、もはや論争は終結したと考えられるのであります。
 第三の理由は、すでに太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨は忘れ去ろうとしている現状であります。原爆が投下され、戦後すでに三十二年を経た今日、被爆者にとってはその心身の傷跡は永久に消えないとしても、その方々にとっては援護法が制定されることによって初めて戦後が終わるのであります。
 さて今回提出しました法案の特徴は、昨年までに衆参両院に提出してまいりました従来の法案に比べ、予算面で大幅に切り詰め、より現実的な、実現可能な内容としていることであります。
 全被爆者とその遺族に対し、放射能被害の特殊性を考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法を制定しようというものでありまして、その概要は次のとおりであります。
 第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、随時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行うことといたしております。なお被爆者の負傷または疾病について医療の給付は現行法同様の措置をとることにしております。また治療並びに施術に際しては、放射能後遺症の特殊性を考え、はり、きゅう、マッサージをもあわせて行い得るよう別途指針をつくることにいたしました。
 第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。被爆者の入院、通院、在宅療養を対象として月額三万円の範囲内で医療手当を支給することとし、また、被爆者が、安んじて医療を受けることができるよう月額七万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。
 第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、さらに放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。
 第四は、被爆者年金の支給であります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低十八万円から最高三百八十万円までの範囲内で年金を支給することにいたしました。障害の程度を定めるに当たっては、被爆者が原爆の放射能を受けたことによる疾病の特殊性を特に考慮すべきものとしたのであります。
 第五は、被爆者年金等の年金額の自動的改定措置、すなわち賃金自動スライド制を採用いたしました。
 第六は、特別給付金の支給であります。被爆者の遺族に対して六十万円の特別給付金を五年以内に償還すべき記名国債をもって交付することにいたしたのであります。
 第七は、被爆者が死亡した場合は、十万円の葬祭料を、その葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。
 第八は、被爆者が健康診断や治療のため国鉄を利用する場合には、本人及びその介護者の国鉄運賃は無料とすることにいたしました。
 第九は、原爆孤老、病弱者、小頭症等、その他保護、治療を必要とする者のために、国の責任で、収容・保護施設を設置すること。被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置、運営の補助をすることにいたしました。
 第十は、厚生大臣の諮問機関として原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に、被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。
 第十一は、沖繩における被爆者に対して、昭和三十二年四月から昭和四十一年六月三十日までの間に、原爆に関連する負傷、疾病につき医療を受けた沖繩居住者に対して、十万円を限度とする見舞い金を支給することにしたのであります。
 第十二は、日本に居住する外国人被爆者に対しても本法を適用することにしたのであります。
 第十三は、厚生大臣は速やかに、この法律に基づく援護を受けることのできる者の状況について調査しなければならないことにいたしました。
 なお、この法律の施行は、昭和五十三年四月一日であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
 被爆後三十二年を経過し、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の願いにこたえて、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。(拍手)
○橋本委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○橋本委員長 次に、内閣提出、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、第八十回国会におきましてすでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
 健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○橋本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原(亨)委員 さきの通常国会におきまして、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案はほとんど審議をされない状況において継続審査になったわけです。
 そこで最初に、ずばり質問するのですが、橋本委員長から各党に政府提案の修正案として出された要綱がありますが、厚生大臣はそれに対しては、どういう見解ですか。
○渡辺国務大臣 橋本私案につきましては、目下、内容について十分に検討をさせていただいておる最中でございます。
○大原(亨)委員 私が質問いたしましたのは、あの中身はもう議論して、かなり内容はわかっているわけですから、政府原案の修正、修正意見でもいい、正式に各党に対して検討を要求しているわけですから、そこでその修正案について厚生大臣は、この案が国会で通れば行政機関ですから当然、有無はないと思うのですけれども、しかし主管大臣としては、どういうお考えかということを聞いているのですよ、検討中じゃなしに。
○渡辺国務大臣 私は、ちょっと聞き違いをいたしまして、今回の橋本修正案につきましては新聞等で見せていただいております。おりますが、政府といたしましては原案を出しておりますので、ともかく、こういうふうな保険情勢でございますから、政府原案で、ぜひとも、ひとつ御審議をいただいて御賛成を願いたい、現在のところ、そういう心境でございます。
○大原(亨)委員 政府が提案いたしましたこの一部改正法律案ですが、一番問題の特別保険料ですけれども、これは六月は、実施の時期は過ぎておるわけです。法律案は六月一日の実施というふうになっておりますね。その他全部の項目にわたって時間が過ぎておるわけです。これは権利義務に関係することであって、遡及して実施することはできません。だから、そういうことを直さないで、ここへ提案するということは、これは非常に提案の上において法律上、瑕疵があるのではないか、きずのある提案ではないか、大臣は、提案はあくまでもこれである、こういうことを言っておる。時期はこういうように過ぎておるわけです。これは当然、出し直すべきじゃないですか。
○八木政府委員 前通常国会で御提案申し上げましたのは、千六百億円の五十二年度末の赤字を解消するということで、お願いしているわけでございます。そこで国会に政府としましての原案をお願いしたわけでございますけれども、国会の御意思によりまして継続審査ということになっておるわけでございますので、国会の御判断にお任せするということでございます。
○大原(亨)委員 継続審議だから国会の判断に任すというのですが、このまま法律案が通るという――厚生大臣は、この原案に基づいて審議してくれと言ったわけです。この原案は毎月毎月、保険料を取る一般保険料ではなしに、特別保険料の制度ですから、これを六月のボーナス期に実施をするということで、六月一日から実施の内容になっているわけです。そういたしますと、いままでの累積赤字や本年度の単年度の赤字との関係が変わってくるわけです。いままで説明されました、そういうデータは変わってくるわけですよ。(「出し直せ」と呼ぶ者あり)そういう点で特別保険料の期間の問題と一緒にいたしまして、この問題は政府は出し直すべきである。いま後ろの方で発言がありましたけれども、これは問題にならぬというのだ。社会保障制度審議会もそうですし、全部がそうですよ。やはり政府は抜本改正を急ぐべきだ。赤字の構造にメスを入れないで、年二〇%も大きくなっていく医療費について国民の納得を得ることはできない。やらずぶったくりはいけない、こういう圧倒的な世論です。ですから審議が進まなかったのです。野党がサボったのじゃない。十分議論はされておったわけです。それで日程はちゃんと消化しているわけです。そういう与党からの不謹慎な発言があるわけですけれども、一体こんな瑕疵のある――いままで説明したことがごろっと変わる。私はずっと一つずつ詰めていくけれども、変わるのです。そういうものを国会へ出しておいて、原案を審議してくださいということは一体どういうことだ。国会軽視もひどいじゃないか。
○八木政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、前通常国会におきまして政府の案といたしましては、財政対策を主眼とした、政府管掌健康保険の赤字を何としても乗り切らなければいけない当面の措置としまして、この問題をお願いしたいということで御提案申し上げた次第でございまして、国会の御意思によりまして継続審査ということになっておるわけでございますので、国会の御意思が継続審査ということでございますので、これ以上、政府としましてはとれないわけでございます。
 それから、先生から御指摘ございました基本的な問題、抜本なりをどうするかということでございますけれども、前通常国会でも御答弁申し上げましたように、私どもといたしましても基本的な問題について見直しを当然行わなければいけないということで、鋭意、社会保険審議会の健康保険問題等懇談会において御審議を賜っているわけでございまして、この審議の方も非常に精力的な御論議が進んでおりまして、来月には御意見がいただけるのではないか刀私どもも、その御意見を踏まえて、来年度の基本的な方向についての見直し作業に取り組みたいと考えておる次第でございます。
○大原(亨)委員 それでは聞きますけれども、いままで政府の一応、権威を持った法律上の根拠のある各種の審議会等において、医療の抜本改革についての答申が専門家の意見を中心として出ておるはずですよ。それをあけてみなさい。いままでのをずっとあけてごらん。探しておる間に、ちょっと言っておくけれども、答弁させると君たちは、ああ言えばこう言うという答弁をするんだ。健康保険問題等懇談会で鋭意審議しておりまして、その答申が出ましてからと言うのですが。いままで何回も出ているんだ。それをどういうふうに扱ったか。どこかから一喝食らったら、すぐ吹っ飛ぶような非常に自主性のない態度で、こういう問題の取り扱いができるかということですよ、裏返して言えば。ああ言えばこう言う。健保問題等懇談会の答申があると言うが、いままでの答申を一体どう扱ったのか、答弁してごらん。
○八木政府委員 抜本改正の問題につきましては、非常に古くして新しい問題でございまして、先生御指摘のように、いままで、いろいろな審議会等におきまして御意見等をいただいているわけでございます。最近の問題でまいりますと、昭和四十六年の社会保障制度審議会におきます「医療保険制度の改革について」、さらに社会保険審議会におきましても、昭和四十六年十月に「医療保険制度の根本的改正について」という両審議会の一番新しい答申としましては基本的な方向というものをお示しいただいているわけでございます。
 私どもも、それらの方向に基づきまして、決してこれをそのままにしているというわけではないわけでございまして、四十七年の法律改正の御提案なり、あるいは四十八年の改正というのも、この抜本改正の方向に沿いました一つの御提案であるというふうに理解しておるわけでございます。ただ基本的には、いろいろなむずかしい問題もあるわけでございますけれども、少なくとも四十八年度改正におきましては、抜本改正の第一着手であるというふうなことで、四十八年の制度改正というものを行ったわけでございます。
○大原(亨)委員 それでは、あなたが指摘をされました昭和四十六年九月十三日の社会保障制度審議会、私はいまは委員ですが、当時は委員ではありません。これは各党とも出ておるわけです。それで内閣総理大臣の諮問機関として、学識経験者が中心です。これは学識経験者として参加しておるのです。これは、いま議論しておるような問題は広範に全部出ているのですよ。あなたは具体化した具体化したと言うけれども、どういう点を具体化したのか、答弁してごらん。
○八木政府委員 広範な問題について、いろいろ御意見をいただいているわけでございますけれども、たとえば医療保険制度の面だけに限って見てまいりますと、少なくとも四十八年の改正におきましては、給付の改善を図る一方、保険財政の健全、安定化を図るというようなことから、従来、家族給付率が五割であったものを七割に引き上げた、あるいは新たに高額療養費支給制度を設けたということで、給付改善の面につきましても大きな前進を図ったわけでございますし、さらに財政の安定の面で申しますと、過去、三千億近い大きな赤字があったものをたな上げした。
    〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
しかも、当時におきましては、政府管掌健康保険に対します国庫補助は定額の二百二十五億であった。それに対しまして、御案内のように定率の国庫補助が設けられ、さらに保険料率の引き上げに伴います連動措置も講じられたというようなことで、四十八年当時におきましては二百二十五億円でございました国庫補助が、現在では三千億に達している。さらに、政府管掌健康保険に対します国庫補助率も一四・八%に引き上げになっているというような面もございますし、そのほか、これは制度に関係しない問題でございますけれども、予算措置等におきまして、各制度におきましてかなりの前進を図っている。
 ただ、一番基本的な大きな問題は、四十八年当時と、医療保険制度をめぐります社会情勢、経済情勢というものが大きく変わっている。特にオイルショックあるいは従来の高度経済成長から安定成長に変わってきた。したがって、医療保険制度をめぐります周囲の状況が非常に厳しくなってきたというふうな、経済的な、あるいは環境的な情勢の大きな変化というものがあるわけでございまして、私どもも四十八年の改正におきましては、政府管掌健康保険におきましても、ある程度、財政の安定が図られるのではないかと考えます。しかも所得は相当伸びていく。一方、医療費は、医療の高度化なり薬学の進歩なり、あるいは人口の老齢化というようなことで、これは諸外国でもそうでございますけれども、医療費はどんどんふえていく。一方、高医療費時代に向かっていく一方、賃金、所得はそれだけ伸びないということになりますと、医療保険をめぐります大きな基盤というものが変わっている、これをどういうふうに受けとめるか。その意味で、医療保険制度についての見直しというものが私どもも必要であるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味からも、先生から御指摘ございましたように、四十六年におきます社会保険審議会なり、あるいは制度審議会の御答申を私ども、すでにいただいているわけでございますが、その後の社会情勢、経済情勢の大きな変化に、いかに対応するかということが大きな問題であるというようなことから、社会保険審議会におきましても、すでに御意見は伺っているわけでございますけれども、その後の環境変化にいかに即応するかという意味で、見直し作業ということで、社会保険審議会の健保問題等懇談会で御意見を伺っているという次第でございます。
○大原(亨)委員 社会保障制度審議会の「医療保険制度の改革について」という答申の第二章の「j へき地医療の国と都道府県の共同責任による確保」という項目があるのです。この僻地医療については当時からずっと議論になったことですが、簡単ですから読み上げますと、この中に「へき地医療の確保のためには、現在、国、都道府県等により、いろいろの努力が払われているが、それを系統的に整備して一段と充実させるとともに、この際、へき地医療を確保する義務が国と都道府県にあることを法律上明らかにすることが必要である。この場合、両者の分担区分は、へき地医療を確保する実施義務は都道府県、その費用負担義務は国にあるものとする。」こういうふうに僻地の医療とか救急医療とか、そういう問題の医療について民間の開業医等に任せることができないようなものについては、不採算医療を中心にして国がちゃんと責任を持ちなさい、こういうことを言っているのですよ。これは若干こういうふうなことをやりましたというようなことを言うでしょうけれども、そういう問題と大筋の保険制度の問題について全部あるのです。いま議論している大きな基本問題。給付の改善を高額医療その他について、やっていることは悪いとは言わないのですよ。言わないのですけれども、赤字を覆って当面を糊塗するという仕組みになっておったことは紛れもない事実です。したがって、こういう問題に対する態度について、どこに原因があるのか。答申が出てもなかなかやらない。
 しかも医療というのは総合的なものなんですよ。部分、部分を直したんじゃだめなんです。供給面とか制度とか全体を総合的に直していくことが必要なんです。政府にはそういう決断力がない。答申が出ても、国会で議論しても、抜本改正をやりますという答弁を繰り返しても、ない、そういうところが問題である。いままで、そういう答申をやり、議論を繰り返しても実現できなかったのは、どこに欠陥があるのかという点について、これは大臣の政治的な見解にならなければなりませんが、どこにあるというふうに、あなたはお考えになりますか。
○渡辺国務大臣 ただいま保険局長から答弁をいたしましたとおり、四十八年と五十一年には、それぞれ改正案を出したわけなんです。それが国会修正等もございまして、その中で連動国庫補助率も政府は出したのですが、それを倍に、千分の一について〇・八に引き上げるというようなことなどは財政収入の上から大変プラスになった面です。いままでの累計的に考えると、それは千四百億円くらいの財政影響を持ってきた。それは非常にありがたかったのですが、その反面、政府が考えておった六割というものを七割まで家族給付率を引き上げるというようなこと等も、あわせて修正をされたわけです。その結果は、四十八年から五十二年までの財政影響は二千五百八十九億円くらいのマイナスの面が反面、出てきた。
 一方、特別保険料についても当時、千分の十というものを政府案としては考えておったわけですが、これは全面削除になるというようなことなどがあったわけです。また、五十一年度も一部負担金の初診料二百円から六百円、入院時の問題も一日二百円、六カ月というようなものも削除になるというようなことから、保険財政に非常に狂いが出てしまった。そこへもってきて高度経済成長的なものが非常にダウンして、安定成長という状態に追い込まれて、一般のベースアップが思ったよりも少なかったということで全体的に狂いを生じた。
 一方、老人の数が、老齢化が進んでふえてくる。したがって病気もふえるという問題が急激に表に出てきたというところから、いままでの考え方とは別に、もう一遍、老人医療懇あるいは社保審等において洗い直しをする必要がある、こういう点で現在その洗い直し作業が、それぞれの部門で行われているわけです。
 しかしながら、現在の累積赤字というのは、いま私が申し上げたように支出の面の修正の方が収入の面よりも多かったということで、その面においては被保険者はみんな六割のものが七割に給付がなったのですから、被保険者の人は恩恵を受けてきたわけです。現在までの被保険者が恩恵を受けてきたわけです。したがって、この膨大な赤字を抱えたままで抜本改正をやれというのも一つの御意見だと私は思います。思いますが、現実に、それだけの保険料を払うものは少しで、それで待遇の方はよけいに受けてきたということなんですから、この際これらの赤字については相応の負担を臨時的に、してもらって身軽にしていただいた上で、いま言った老人懇なり社保審等の答申を得、また皆様方から、いろいろ国会を通して御要望があります。御要求もございます。こういうようなものを勘案して総合的に、これはもう政府だけで、ごり押しにやるというわけにいかない問題ですから、皆さん方の意見も十分聞いて、ともかく通常国会等に急いで抜本改正の案を出して、できることなら五十四年あたりを目途として実行に踏み切る、こういう方向で行きたいということなんです。
 ですから、何で、ずるずるしておったかということにつきましては、そういうような情勢を変化が大きくあったために、どうしても高度成長から安定成長に大きく切りかえられる、資源有限時代に突入するというような世界情勢、経済情勢の変化も踏まえて、当分こういうような状態が続くだろう、いままでの物の考え方とは違った考え方でやらなければならぬということで、結局ここで見直しをすることになったのでございまして、その点は御了解をいただきたいと存じます。
○大原(亨)委員 質問の核心に触れてないわけです。
 そこで質問を具体的に進めて、さらに明らかにするわけですが、私がいま例を挙げて質問いたしましたが、なぜ私が僻地医療の問題を言うたかというと、そういう不採算医療、救急医療等について都道府県や国がちゃんと責任を持て。それはなぜかというと、公的医療機関、国公立の病院の経営のあり方に問題があるのです。独立採算制というのは収支を償うということになって、収入を得ようと思うと薬をたくさん売るわけです。それば自治体病院が言っている、公私病院協会が言っているのですよ。これはさやかせぎをやるのですよ。やらなければ経営できないのです。だから独立採算を外しなさい。採算医療等は一般的には開業医と民間があるけれども、不採算医療等については公的医療機関があるのですから、研究とか教育とか、あるいは僻地医療とか難病とか救急医療とかという不採算医療は公的医療機関がきちっとやるということで、その責任を果たしていないのが問題なんです。医師会は、そういう議論を国営論だというようにデマを飛ばしているけれども、そういうことは間違いであって、そうじゃないのだ。公的医療機関が責任を果たしていない。その原因は営利主義の独立採算制にある。これは何回も議論している。そのことはいまも昔も変わらない。
 独立採算制を外すと総医療費は下がるのです。もうけ主義でやる必要はないでしょう。そうしたら保険財政の支出が少なくなるのです。それは非常によくわかっている。ただし税金面の負担はある程度ありますよ。まじめにやっているところは、後で具体的に言うけれども、ありますよ。しかし営利主義で独立採算制で、もうけ主義でやるから保険財政は赤字になるのです。国民の立場から見たならば、たとえば医薬品だったら最小限度使用の法則がある。
 これはある新聞記者の報道がある。私も行って知っておるけれども、リハビリテーションなんかをきちっとやっているところは、リハビリの段階で薬なんか飲まさぬですよ。機能訓練だけで機能が回復できる。この間も、ある新聞記者の外国報道が、あなたの行かれた後か前か、あったけれども、それは西ドイツだってそうですよ。しかし、そうすると収入は少なくなるでしょう、注射や薬が少ないから。しかしながら受ける側、国民の側で見るならば治療としては前進をしておるし、また保険財政から言うならば、これは少なくなる。保険財政の赤字構造の原因の一つはここにある。たくさんあるのですよ、後から挙げるから。ここにある。それをなぜ外さないのだ。
 そして僻地医療について、あるいは救急医療等については、特に私は非常に大きな問題だから僻地医療について具体的な例を挙げたけれども、センターの県立病院や国立病院等が、医療技術者の配置や、その経営について裏打ちをするようにして、きちっと費用分担を決めていく、こういうことにする。いま僻地医療については、どういうことをやっているか、どういうことをやろうとしているかということを、ひとつ答弁してください。
○渡辺国務大臣 僻地医療や救急医療の問題について、保険の中でやれということが答申されているではないか、そういうような御指摘であります。しかし、保険の抜本改正というような問題が、いま言ったようなことで見直し作業に入ってしまったというようなことで、保険の中で全部やっておるわけではございません。しかしながら、たとえば僻地についての点数をよけいに見るとか、救急医療について深夜の点数等を割り増しをするというようなことなどで、一部は取り入れているわけです。そのほかに公的な負担として僻地や救急の問題について保険の中でやらなかった分だけれども、しかし国の政策として追加をしてやっている部分がたくさんございます。今回、去年よりも六倍もよけいに予算をつけて、百億円からの救急医療体制をつくったというようなことも、その精神を実現しようとする一環でございまして、それらの具体的な内容については佐分利局長から答弁をいたさせます。
 それから、国立病院等の独立採算制を外せば保険の財政が豊かになるといいますか、赤字にならないというお話でございますが、その点は、ちょっと私はよく理解できない。
○大原(亨)委員 大臣は最近、非常によく勉強しているのですが、わからぬことについて答弁すると後の者が困るのです。政府委員が答弁するときに大臣のことを上回って答弁したら、かっこうが悪いから。局長が修正するわけにいかぬのです。
 私が言っているのは、たとえば僻地医療でも、市町村だけに任せて外人のお医者さんとかにやらせている。後で調べて答弁してください、外人のお医者さんが、いま何人いるか、どういうところに勤めているか。そういうことをいろいろ苦労して莫大な給料を出してやっているのですよ。そうでなしに、県立病院とかセンター病院、国立病院等が定員を確保しておいて、その職員が一定の期間、出向くようにする。いま交通機関もあるし、向こうの受け入れ体制をとっておけば、できるわけですから、そういうふうにして、ちゃんと一定の基準で裏打ちをすればいいわけです。
 ただし、県立病院は独立採算から言うならば、そういうものについては外れるのですから、国が裏打ちをしないと経営上、責任を追及されるということになる。それで特別会計に持っていって独立採算ということですから、できるだけ注射を打って、薬をやって、病気をたくさんにみてもうける。いつか厚生省がりっぱな資料を出した。厚生省の回答で医療費がたくさん出る原因を述べておったので、後で問題になったらしいが、それは県立病院も市民病院等も、そういうことをやってかせぐのですよ。そうすると今度は保険財政から出ていくでしょう。そうすると患者にしてみれば、必要最小限度の薬でやらないと、いま相乗作用を起こすのです。これは高度成長で体質を変えているのですよ。内部環境の破壊ですよ。食品添加物もある、残留農薬もある、外からの環境破壊、水や空気の問題もある。これは化学物質として程度を超したならば薬は毒なんです。あちらこちら駆けめぐって相乗作用があるわけなんですよ。
 そういうことではなしに、公的医療機関は採算を度外視して、きちっとやるということの方針に立ったならば、保険財政がふくれる理由にならぬですよ。たとえば外来にうんと力を入れるよりも民間に任した方がいいでしょう。しかし入院患者等や高度医療はここでやる。そういうことをやれば、国民の立場から見ても保険財政から見てもいいのですよ。だから独立採算は数年前に大蔵省がつくられて、やったけれども、これは公的医療機関ではいけない。そういうことを私は指摘したし、これまでも、そのことを指摘しているのです。
 そういうことを私は大臣に説明いたしましたので、大臣は局長よりも頭の回転が早いかもしらぬから答弁を。私の言うことがわかりますか。(渡辺国務大臣「わかりました」と呼ぶ)それでは答弁。
○渡辺国務大臣 大原先生のおっしゃるのは、公的医療機関で独立採算制にするから、経営を賄っていくために、それに必要な分のかせぎを図っていく。だから保険財政が圧迫されるではないか、そういうような御趣旨だと思います。ところが現実には、たとえば国立病院で独立採算制を外すということになっても、公的病院はもうけなくたっていいわけですから、必要なだけの人員と必要な資材を持っておりますから、その点で、どうしても合理的に活用していくという精神からすると、独立採算制を外せば大体がルーズになるということも事実なんですね。したがってそうすると結局、赤字になって、その分は国家財政なり何なりで穴埋めをするということになるわけです。ですから、まあ両論ございましょうが、独立採算制を外した方がいいのか、独立採算制をやっておっても、公的医療機関は何が何でも無理をして利潤まで出そうという考えはないのですから、独立採算制が行われておるとしても、それについて非常にかせぎまくって、うんともうけているというようなことはやっておらない。現に国立病院等で黒字の病院もあれば赤字の病院もあります。現実にあります。それから国で一般会計から、それの補てんをしているものもございます。ですから独立採算制だからといって無理をして、要らない薬まで、どんどん国立病院がくれて、患者によけいな介護をしてという、そういうところまではいっておらないと思います。また、そういうことのないように十分に注意をしてまいりたい、こう考えております。
○大原(亨)委員 あなたはよく御承知なんですが、むしろ薬づけとか薬をたくさん出し過ぎているのは公立病院なんですよ。国公立病院なんですよ。民間にも、もちろんありますよ。たくさんあるけれども、それ以外の問題があるわけです。むしろ、そこなんですよ。それは国民から見れば、税金で負担するのか保険料で負担するのか、同じですよ。保険財政で負担するのも同じですよ。そこで保険財政の面から言うて、国民の医療という面から言うならば、独立採算制を外して公的な機能が発揮できるようにして、その経営については自治体とか国がちゃんと見ればいいわけです。そういうことをやれば市町村に至るまで――たとえば自治省は市町村立の病院の赤字については財政上見ないです。基準財政需要額の中に入れないですから交付税の対象にならぬでしょう。独立採算になっている、それで突っぱねておりますから一般財源から手持ちで出すわけです。
 この問題は、また後で時間があるときに譲って、外国の台湾、韓国等から日本に出向いておるお医者さんの数、どういう手続で見えておるか、それからついでに待遇。
○佐分利政府委員 まず手続でございますが、韓国とか台湾などの日本の免許を持ちましたお医者さんから、日本の僻地で診療に従事をしたいというお申し出がございますと、日本政府が韓国政府あるいは台湾政府と相談して、よろしいかどうかということを決めます。その上で、本人の持っております資格免許が本物であるかどうかということを厳重に審査した上で、入国を条件つきで許しております。
 なお先ほど、どれぐらい外国から医師が辺地、僻地に入っているかという御質問がございましたが、法務省の報告によりますと現在九百二十九名ということになっておりますが、その中にはアメリカ人等で米国人のための診療に入国しておるという方もございますので、そういう方を除きますと、約九百名強の方々が僻地で診療に従事していると考えております。
○大原(亨)委員 日本にも医局とか大学の付属病院とかいうのは、たくさん医者が滞留しているのですよね。国の税金をたくさん使ってやった国立病院にもいるわけですよ。そして外国から九百二十九名も、これは恐らく月給は百万円近いのでしょうけれども、しかし外国から、そういうお医者さんが来て、それじゃ韓国や台湾にお医者さんがあるのかと言えば、これはかなり問題でしょう。これは自由だから、いいようなものだけれども、しかし日本の医療政策から見れば、やはり問題ですよ。やはり僻地医療の問題と外国のお医者さんの問題があるわけです。国や、あるいは、とにかく都道府県のセンターになるような都道府県立の病院で定員を確保して、そこは大学との関係で定員確保できるのですから、それで永住はできぬにいたしましても半年とか一年は駐在できるわけですし、交通手段はあるのですから、これはちゃんと、その裏打ちをして独立採算を外して、もうけ本位でないようにすれば、県立病院からでも市の病院からでも、そういう機能を持たせればできるわけですから、これは一番大きな問題の一つであって、救急医療の問題と同じように僻地医療については国や自治体が最終責任持ちなさい。皆保険といって保険料だけは取っておるじゃないか。医療の供給面のお医者さん、医療機関はないじゃないか。外国人を外国から九百何人も招いて高い給料出してやっておるじゃないか。こういうことが責任持っていることか。そんなことは高度成長もくそもない、オイルショックもくそもない。これは明確にちゃんと書いてある。それより方法ないですよ。
 ただ、そういう考え方というものが、国のそういう政策の不在というものが今日のようなボーナス保険料、特別保険料とか赤字構造の問題の基礎になっておる。それをきちっとしない限りは、ちょぼちょぼやるだけでは、私はこれは政策じゃないと言うのですよ。部分的にだけやりますと、いいことをやっても矛盾が拡大する面があるのです。高額医療は後で議論するけれども、三万九千円というやつが五万一千円に後戻りしたりするでしょう。だから少し質問が脱線でなしに発展いたしましたけれども、答申を尊重するということを言うけれども、一番大切な点について、これを実行するような厚生省の大臣以下の体制がないのではないか。
 大臣も少し勉強されて知ったころになるとかわるし、それは後がつかえておるんだろうけれども、そうしないと福田内閣も長く続かぬだろうから、そういうことになるし、局長も二、三年でかわっちゃう。これは専門家は局長だったら六十になるまで定年制延長しておればいい。フランスの薬務局長、これは技官だけれども、四、五年前に私は会って、ずいぶん議論いたしましたが、やはり十年選手ですよ。エキスパートは皆やっておる。局長は次官とのバランスで、どうこうというようなことはないですよ。そういう行政機関の責任体制というものがきちっとしていないから、自分が誇りと責任と命がけでやるというところがない。命がけというのは、これは昔の青嵐会風的だけれども、そういう腹をきちっと決めてやるという、みんな、そういうことをやらぬのだよ。そういう仕組みで、だから、わかるでしょう。それじゃどうしようもないですよ、私はそこに原因があると思う。りっぱな意見というものは、意見があったらきちっと説得をして、医療の問題は超党派の問題です。一党派の問題じゃないですから、そういう観点でやるというところがないから、できないのではないか。私は、こういう点を指摘をしておきます。
 さて、本論へ戻しまして、通常国会で通らなかったことによって、当面の特例措置として設けました特別保険料その他の赤字対策というものの説明の中身が変わっているわけです。変わるだろうと思うんです。それは何かというと六月ですね、半分がないわけですから、千分の二が千分の一になるわけです。労使加えましても千分の一に十二月だけになる。十二月は少しボーナスは多いですけれども、なるわけですから、そういうことについて当面の措置であるという特別保険料の本質に従って背景説明、提案説明ができる、そういうものが変わっているじゃないか。だから、それをやはり整理をして出し直さなければ、大臣が言われるような、そういう提案いたしました原案に基づいて審議してくださいということは言えないのじゃないか、おざなりのことじゃないかと私は思いますよ。この法律をこのままではいかぬわけですからね。給付というものは、これは不遡及の原則があるわけですよ、遡及できないですよ。そうすると、いままで政府が説明したことは全部違っていますよ、当初から外れていますよ。どこが外れているか、ひとつ言ってください。
○八木政府委員 当初、御提案申し上げましたのは、五十二年度末におきます赤字見込み額千六百億円を、この措置によりまして何とか解消するということで、お願いしておったわけでございます。現在、先生から御指摘のように継続審議になっておるわけでございますので、施行期日等につきましては、さかのぼってやるということはできないわけでございます。したがいまして、現段階におきまして私ども、できるだけ早い法案の成立をお願いしているわけでございますけれども、当初、見込みましたより七百億程度、恐らく減収ということが予想されると思います。
 なお、この七百億の問題につきましては、いずれにいたしましても基本的な問題ということを見直しをやっているわけでございますから、今後の問題の中で、この問題は解決していくということになろうかと思います。
○大原(亨)委員 七百億円も変わっているわけですけれども、そうすると五十二年度にバランスをとるということができなくなる。それで、まだ均衡の違ってくる理由は医療費の値上げがあるわけです。医療費の値上げは、大臣、いつ、どの程度おやりですか。
○渡辺国務大臣 これは御承知のとおり、一年半ぐらい医療費を上げてないわけです。物価、賃金等の値上がりという問題もございますし、私といたしましては医療費をこのままで上げないでおくというわけにも、なかなかこれはいかない。病院の経営等にも支障を来たしてきているというような御事情もございます。しかし、やはり財源の問題が、これは絡んでいるわけですから、理屈は別で、もう実際は財布は一つですから、私といたしましては健康保険法案を速やかに通していただいて、そして財源の許す限り適正な医療費を上げたい、こういうふうに思っているわけです。
 それから、ちょっと補足いたしますが、確かに六月のやつがおくれたじゃないか、収入が思ったやつの六割か半分しかならぬじゃないか、こういう御指摘がございますが、それはまことに残念ながら今年度に限っては、そういうことが言えます。このようなことは税金の法案なんかでも毎回あることでございまして、四月一日から実施するといって法案を出しましても、それが臨時国会まで延びるとか、あるいは、いろいろなことがございます。国鉄なんかの場合もあります。ありますけれども、やはりその都度、全部、法案を出し直してというようなことばかりでもないので、確かに、その点は計画で食い違いはございますが、この案でお願いをいたしたい、こういうことを重ねてお願いをいたします。
○大原(亨)委員 この案でお願いしたいといいましても、この案は実行できないのですよ。これは六月一日実施ですよ。そういう組み立てになっているのですよ。これを実行したら大変ですよ。いま、言った遡及しないという原則に反して、個人的なふところから取ってこなければならないのです。そんなことできないでしょう。できないものを提案しているのですか。そうじゃないですか。
 それからもう一つは、その背景、五十二年度でバランスをとるという収支のなにがあった。五十二年度ではどうなるか、いつバランスがとれるのか。橋本私案というのだから、それは後で委員長でも来たら委員長をつるし上げるとして……。
 それからもう一つは、大臣は、前の通常国会以来、予算委員会その他の議事録を調べてみると、やはり来年、抜本改正を必ずやる、こう言っているのです。これは緊急避難である、こういうことを言っているのです。その背景も崩れている。時間的に崩れている。そうでしょう。たてまえと本音ということを言うと、社会党はたてまえと本音は違うということを言う人がおるけれども、医療問題の議論くらい、たてまえと本音が違う議論はないですよ。本当のことを言わぬから審議が前進しないのですよ。これはすべて政府の責任だ。行政機関の怠慢ですよ。こんな傷だらけの案を審議してください、よく言ったと私は思うよ。
 医療費の値上げの話がありましたが、これは大体一〇%前後というふうに言われていますね。大臣は中医協へ案を出すのでしょう。大臣がどう考えていますということは答弁できるはずなんです。それに対する所要財源もあるはずなんです。弾力条項は、千分の七十八が、政府で決められるのは千分の八十というものが残っているのだから、財源がないことはなやんだ。政府がいろいろな緊急措置に対する考え方を持っていくならば、七百億云々ということがあるならば、それは弾力条項をやろうが、法律の趣旨から言えばなんだというけれども、回り回って財源は同じなんだから、弾力条項については、これはいつ発動するのですか。その次はどうするのですか。八十までいきましたら、その次はどうするのですか。
○八木政府委員 先生、御指摘のように現在、保険料率の上限は八十までということで、あと二残っているわけでございます。しかも医療保険財源が安定しているというときでございますれば、残りの二を使う必要はないわけでございますけれども、診療報酬の引き上げがあるということになりますれば、当然、弾力条項の発動を考えなければいけないというふうに思います。ただ現在残っております幅というのは二しかございませんから、現在できますのは二の範囲しか、できないということでございます。
○大原(亨)委員 千分の七十八をついでに八十にすると幾らの財源が得られるか。それから国庫負担は連動して幾らになるか。
○岡田政府委員 五十二年度におきましての数字でございますけれども、一カ月当たりにいたしまして保険料率千分の一当たり三十五億でございます。そのうち国庫補助が十五億円でございます。
○大原(亨)委員 ぼくが質問したのは、千分の七十八が八十になると新しく財源が幾ら得られるかということですね。それと、もう一つは弾力条項に連動して国庫負担の負担率は幾らになって、大体、金額は幾らぐらいになるか。
○岡田政府委員 御答弁が舌足らずでございまして失礼いたしました。現在、千分の七十八でございますけれども、これを千分の八十に仮に上げたといたしますと、先ほど申し上げましたとおり、一カ月当たりにいたしまして千分の一当たりが総体でもって三十五億、したがいまして千分の二上げると七十億、そのうち国庫補助、これが給付に見合っていただけるものでございますけれども、三十五億のうち十五億、したがいまして、二上げれば十五億の倍でございますから三十億という勘定になるわけでございます。
○大原(亨)委員 だから、これは弾力条項には国庫補助が連動しているわけですから、率から言えば一六・四の国庫補助率になるわけですね。社会保障制度審議会の議論はそういうことなんですよ。特別保険料について、あるいは一般の論評もそうですが、いけないという理由は、第一に、これは中小企業の政府管掌の健康保険だけから取る。他の組合管掌や共済組合の方は恐らく、この法律が通ってもボーナスから保険料を取ることはしないだろう。一般保険料から取るだろう、そういうことが一つです。
    〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、まだ三つあるのですけれども、もう一つは、総報酬にして被保険者のメリットがあるのは年金です。それは保険料の掛金の方も高くなるかもしれないが、これは給付に従って平準保険料その他を見て下げればいいわけですから、保険料が下がるのです。元が上がるわけですから。それの捕捉の仕方が問題になるわけですから、年金や医療等を総合的にやることが所得の再配分や公平の原則にかなうわけです。ここだけ、つまんではいけない。やはり他の組合管掌や共済との差が出るじゃないか、こういうことですね。差が出るのは制度上の差が出る。
 それから、そこだけを当分の間ということで取るということは余りにも便宜的だとか、その他の議論があるわけです。それをなお、その前の提案のとおりに、ぴちっとして出すということは、私どもは、こういう特別保険料というボーナスから保険料を取るのは、臨時措置、緊急避難であるので、できるだけ限界を設けて、行き先もぴちっとして、当分の間という期間もして、最小限度こういうふうにいたしまして制度の立て直しを図っていきたいと思いますが御了承いただきますということで提案しなければ提案にならぬ。
 第一、いままでずっと言ってきたように半年おくれると年二回のボーナスである結果、計算の背景が違ってくる。それで当分の間、特別保険料ということで、抜本改正について言明したことも違ってくる。そういう背景が違っているのに、それらの問題を整理しないで、そのまま出すということは国会軽視、国民軽視もはなはだしいではないか、こういうことですよ。大臣、決断して出し直しなさい。
○八木政府委員 再三の御指摘でございますけれども、私どもは今回の国会にこの法案を再提案したわけではございません。通常国会におきまして政府としまして、こういう法案を提出したということでございますので、国会の御意思によりまして継続審査になっているということでございますので、政府として再提案するとかという問題ではないというふうに考えております。
○大原(亨)委員 それは今日の時点で手続の仕方は幾らでもあるのですよ。情勢が変わりましたと、これを下げて出し直せばいいわけだ。そんなことは議会の修正を得ないで政府が修正案を出すということも当然ですよ。
 そういう特別保険料で逆に格差を拡大をするような考え方で、そして、この問題だけで実施をされる。しかも政策上も一般保険料を議論すべき問題である。であるのに、ここだけ、つまんで取って場当たりなことをするということはいかぬのじゃないか。であるならば百歩譲っても、これは本当の緊急避難ですから、ここぐらいでやめますということを、きちっとしなければ、そんなことは議論にならぬですよ。
 大臣、これはもう局長ではだめだから私は、あなたに、こういうことを言うのです。これは政治的な決断の問題だから。そういうことをしなければ国民から見れば何の担保もありゃせぬ。だから期限を切ることについても、これは私は百歩譲っての議論ですが、どうしても仕方がないと、私は厚生保険の特別会計のやつは、この間も議論したことがあるが、私も政府の立場を考えた慎重な議論をしておったけれども、これは法律論争を改めてやり直してもよろしい。厚生省が出しておるPRの文章なんかというのは、でたらめなことを書いておる。いいかげんなことを書いておる。勝手ほうだいなことを書いている。――待ってください。そこで、そういうことは百歩譲っての議論としましても、ここに、この保険料はどこで終わりますよ、バランスがとれたら終わりますよというくらいのことは、きちっと書かなければいかぬですよ。それは、いまの審議をしている現状でわかるのですから、情勢は前の通常国会と変わっているのですから、そういうことは事務当局が四の五の言う問題じゃないんだ、いま、これだけ議論したら。大臣いかがです。
○八木政府委員 大臣の御答弁の前に一言、特別保険料の性格について御説明申し上げたいと思いますけれども、先生から御指摘のように、ボーナスという特別保険料ではなしに、本来の保険料の問題として考えるべきではないかというような面で御議論があったことも事実でございます。しかし私ども、お願いしておりますのは当面、政府管掌健康保険が非常にピンチである。この当面の事態を何とか乗り切るというためには特別保険料しかないのではないか。一つは、特別保険料というのは、被保険者の中でも非常に高額所得者ほど支給率が高い、あるいは業種のいいところほど高いということで、当面のピンチを乗り切るという際に、むしろ所得のあるところにお願いしたいということでございます。
 ただ、この性格ということにつきましては、この法律の附則にも書いてございますように、あくまでも本来の保険料をいじるということになりますと、保険料の上限のあるべき姿あるいは国庫補助のあるべき姿、基本に触れる問題でございますので、これは基本問題の際に検討するということから、特別保険料の性格としましては「健康保険制度ノ全般ニ関スル速ナル検討ニ因リ必要ナル措置が講ゼラルル迄ノ間」というのを法律の中に書いておるということでございます。したがいまして、私どもも、この問題は基本的な見直しという際に真剣に考えるべき問題であるというふうに考えておる次第でございます。
○渡辺国務大臣 私は大原委員の、おっしゃることもわかるのです。要するに抜本改正をやると言って、今回だけじゃないじゃないか、いままでも何回も抜本改正、抜本改正と言ってきながら結局、抜本改正はできないんだから、今度も抜本改正やると言ったって本当にできるのかね、先のない話じゃないのか、いつまでなんだ、結論はそうですね。私は本当にそういうことを言われても仕方のない背景があると思うのですよ。したがって私は、ここぎりぎりになって、もうこれはせざるを得ない。
 そこで抜本とは何だという話になってくるわけですが、これも先ほど大原先生が言ったように、たとえば都会、医局には医者はうんと余っているじゃないか。そういうのを命令をかけるか何かして、どんどん僻地までやるようにしたらいいじゃないか。これも医療制度全体の中からすれば一つの案でしょう。案ですけれども、それじゃ、ここまでの抜本改正を来年やるかと言われましても、これはなかなかむずかしいのです。それは先生のおっしゃるようなことを言う学者もいるのですよ。私の知っている、ある大学の病院長も、医局にたくさん人がいるんだから義務づけて、開業したかったら、開業する前には何年間は僻地か何かに、ちゃんと医者の登録制度をやって、やるべきじゃないかという御意見の方もあります。そういうものまで含めての抜本だということになると、それは切りのない話、切りのないと言ってはなんですが、なかなかすぐに一年や二年でできるという話じゃない。したがって抜本にも段階的なものがあるだろう。ですから、そこまでは、なかなか来年中にやりますと言っても、これはできないかもしれない。
 しかしながら、いま老人懇等でも、きょう新聞に出ているようなことが出ているわけです。それから社保審でも来月中には出してもらいたいと思って、これもまず結論が出る見込みでございます。ですから、その二つを踏まえて、しかも皆さんからいろいろ出た中で、その二つの答申と似たような御意見がかなり出ておりますから、それらのことは少なくともやりたい。
 それで、われわれはその案を急いでつくって通常国会に提案をしたい。通常国会でその案が通れば、ともかく、それは四月から実施なんというわけにいかないわけです。準備も多少かかります。したがって、どんなに急いだって、それは五十四年からということですね。多少ずれ込めば五十五年になるかもわからない。けれども、いまのところ私としては五十四年から、この二つの答申を踏まえた、いわゆる抜本改正案というものを実行したい。それが実行される時期には、当然このボーナスから取るという現在、出しておる法案というものは、これはそれに乗り移る、こういうようなことにしたい、かように思っています。ですから全然、目先のない話を、ずるずる言っているというんじゃなくて、私は目先のある話を申し上げたい、かように思います。したがって、そういうわけですから、いろいろございましょうが、緊急避難的なものでございますので、ひとつ、この案に御賛成をいただきたいと思います。
○大原(亨)委員 私が言うのは、それは緊急避難になっておらぬということです。
 それからもう一つ、あなたはべらべら、しゃべったけれども、私はそういうことを言ったんじゃないですよ。つまり医局に医者が余っておるから、それを首になわをつけてと、まるで青嵐会みたいなことを言っているが、どこかに持っていくということじゃないですよ。そんなことを言ったんじゃないですよ。やはり保険医療をどうするかという、保険制度は皆保険で社会化されておるのですから、それに対応する医療についても、国民医療の観点で、権力的な強制はできないけれども誘導できるわけだ。
 誘導の一つの案として私が言ったのは、たとえば医者だってずいぶんアンバランスがあるわけですから、あるいは医局等にも、いろいろな目的で勉強しておる人もあるし、あるいは、いろいろなチャンスを考えておる人もあるわけだから、国家としても、ずいぶん大きな財産をやっておるし、それから私立大学は、これは後で午後でも議論するつもりですが、私が言っているのは、ここの答申にあるように国や都道府県が、僻地医療なら僻地医療これは不採算医療ですから、責任を持つということを明確にして、あの政策を立てなさい。私が一つの例を示したのは、県立病院に定員を確保するということはできるのですから、ある意味では医局等からも出向いて、ここで研究や治療ができるわけですから、そういう形態で付属病院でやっているのですから、定員があるならば、僻地等に自分の勤務場所を半年ぐらい変えるというふうな措置をできる。それは独立採算という経営ベースの頭を変えて、公的医療機関は救急医療とか高度医療とか僻地医療とかについては、どういうふうにするんだということで、国民のニードに応じた病院センターにする必要があるのではないか。開業医に対抗するという意見じゃない。公的医療機関が機能を発揮してないことが今日の国民医療から見るならば赤字の原因でもあるし、医療の荒廃の原因でもあるのではないか。保険があって医療がないという一番大きな非難ではないのか。そういうことは、もう健保等懇談会の意見を待たないでも、ここに出ている。たとえば一つの例を私は言った。大切なことがびしっと出ている。だから、そういう政策をとることで、やろうと思えば可能ではないか。交通機関もいまあるわけです。ヘリコプターもあるわけですから。それが一つ。
 それから緊急避難ですけれども、私は、この財政措置をする上において二つの方法があると思うのですよ。それは簡単にボーナスから二%取るということもある。それから、もう一つは弾力条項をつけて千分の七十八から千分の八十、この問題があるわけでしょう。その延長線上で国庫負担も一六・四%連動しているわけです。千分の一上げれば〇・八上がるようになっているんですから。無制限に上げろとは言わぬけれども、政府管掌健康保険には、われわれの考えでは二割は国庫負担を出してもいいのじゃないか、所得の関係や条件の関係等で、いいのじゃないか、こういう考えを持っているから、その財源の問題は老人医療の問題とも関係して、また議論があるところだ。だから、そういうオーソドックスな方法がある。他の組合管掌の健康保険や共済等も、それをみんなやる。これからもやる。医療費が上がってもやる。そういうことがあるわけだから、そういう同じようなベースに立って問題を処理する方がいいじゃないかという第二の案がある。
 政府の案は余りにも、どさくさ過ぎるじゃないか。どさくさなやつを、また臨時国会でどさくさ紛れに出すというようなことはけしからぬじゃないか。国会軽視じゃないか。国民無視じゃないか。しかも緊急避難と言いながら、ぴしっと期限のついてないようなものを出して、いつやるかもわからぬような、そういう説明であるとは断定しないけれども、それに近いような大臣の答弁である。それは、国会をまるで無視していることになるのじゃないか。橋本委員長、私の言うことがもっともだとは思わぬですか。
○橋本委員長 思いません。
○大原(亨)委員 何で思わぬ。
○橋本委員長 思いません。どうぞ政府に質問してください。
○大原(亨)委員 委員長に質問したっていいよ。委員長はうんうんと言っていたから私は答弁を求めたんだ。修正案を出したりしておるから。
○橋本委員長 私は、自分の修正案までの限界は努力をいたしますが、それ以上までは責任は負えません。政府と、どうぞ質疑を続けてください。
○大原(亨)委員 ぼくの質問がわかるかね。大臣、聞いておるんですか。ぼくはこんな緊急避難ないと言うんだ。私は、まだ、これからずっとやるけれども、それはとにかく、めどだけは、きちっとしなさいと言うんだ。そこで選択の余地がなければいかぬですよ。選択の余地があるじゃないか。二つの案があるじゃないか。これはいかぬということに、みんなの意見がなったじゃないか。今日まで審議が進まなかったのは、そこにあるじゃないか。だったらオーソドックスな方法で健康保険や年金全体を考えた議論をしたらどうですか。緊急避難ならば緊急避難らしくやりなさい。弾力条項があるでしょう。百三十億円ほど国庫負担を出しました。一割出します。そういう便宜的なことじゃだめだというんだ。それじゃ、いつ何回でも、あなたら大蔵省に頭が上がらぬよ。わずかなものをもらうために、いつも頭を下げなければならぬ。それは一生懸命やっているつもりだろう。私も理解せぬことはないが、その姿勢を変えなければいかぬよ。制度として、きちっと筋道の通ったようにしなさい。それはやはりオーソドックスな方法をとることが選択できるのじゃないですか。そうしたら緊急避難の方は、百歩譲って期限をつけておいて議論をしようじゃないか。
 この出し方これについては何ですか。最初、きょうの私の質問が始まる前に、そういう違った状況について説明するとか、こういうことが変わっています。その背景の数字はこうです。そういう説明なしに、ずるずる入って時間がたてばいいようなことだったら、これは絶対に承知しないよ。ぼくは、そんなことは国会の権威にかけて、できない。そんなことを認めたならば医療改革はできない。国会以外、どこがやるところがある。いままで審議会の答申は幾らでも出た。全部無視したじゃないか。一部やっただけじゃないか。一部分やると矛盾が拡大するということがありますよ。大切なところをやらなければいかぬ。そういうことが今日の実情であると私は思うわけです。
 だから私が言うのは、そういう問題について少なくとも皆さん方が一歩前進をして、ここまで決意を示すような具体的なことについては所見を明らかにすべきである。私が一つ例を言ったのは、当分の間といって抽象的に、ここに書くのじゃなしに――大蔵省の関係は税金は詳しいわけですよ。租税特別措置というものに全部「当分の間」とあるんですよ。二十年続いておる。こんなものは設定したならば動くものじゃないですよ。非常に便宜的で重宝だからボーナスに手を突っ込んで取っていく、そういうことは理屈から言うても政策から言うても間違いですよ。だから通常国会から議論して今日、臨時国会にまた出ておるわけだ。そのまま、ずるずる審議に入って何の説明も加えない。いままでとは違った状況について説明があってもいいはずである。このままでいったならば、いつ均衡がとれるのですか、質問をしてみます。
○八木政府委員 先生の御指摘の中で、先ほども申し上げましたように、一つはオーソドックスな方法を考えるべきじゃないかということで、それについては保険料という問題で対処すべきじゃないかという御意見でございます。一つの考え方であろうと思いますし、私どもも議論した問題でございます。しかし現在、保険料率の上限というのも八十までしかないわけでございますので、もうすぐ、この八十という上限には到達するわけでございます。そこで、しからば八十を幾らに上限を考えるべきか。さらに国庫補助の連動の問題につきましても、現在千分の一上げることに伴いまして〇・八という国庫補助の連動規定があるわけでございますけれども、上限を引き上げた場合に国庫補助のあり方をどう考えるかという基本問題に逢着するということになるわけでございます。
 諸外国等において医療保険制度につきまして国庫補助をここまで考えている国はないわけでございます。しかも、現在の財政状況の中で、国の医療保険制度に対します国庫負担のあり方というものを、どういうふうに考えるかということになりますと、やはり一つの基本問題に触れるというようなことから、当面の緊急措置ということになりますと、その基本問題をどうするかという問題につきまして、まだ時間がかかるということから、一つはボーナスということで、しかもボーナスの場合には、一般の賃金と異なりまして給与の高い人ほど高い、あるいは業種のいいところほどいいというようなことで、負担の公平という面から申しましても緊急の措置としてはボーナスにお願いしていいのじゃないか。しかも社会保険の中で失業保険等におきましては、すでにボーナス等も対象にしているというようなこともありますし、あるいは負担の公平化ということを考えました場合に、あるいは将来の方向として、こういう問題も考えるべきじゃないかという問題もありますけれども、その結論を、いま出すというのはまだ早いじゃないかというようなことから、当面の措置といたしましてボーナスということをお願いしているわけでございます。そういう点につきまして何とぞ御理解賜りたいというふうに思うわけでございます。
○大原(亨)委員 そのことは何回も聞いているのだけれども、私が言っているのは、当分の間といったって、抜本改正との絡みで言っているけれども、そんなことは、いままで社会保障制度審議会の答申や社会保険審議会の答申があるんだから、そのことの状況から見たって信用できぬじゃないか。大臣も局長も変わってしまうじゃないか。それは、あなたは変わらぬと言って答弁するかもしれないけれども、そういう答弁はいいとして、つまり取れるところから取るというような考えですが、これはいけぬと言うのですよ。ボーナスの制度というのは日本だけですよ。こういうボーナスが五カ月も、賃金の一部として変形として払われているのは日本ですよ。だから総報酬を考える場合には、年金やその他、社会保障の所得の公平な再配分という観点から、あるいは給付の改善という観点から考え得ると言うのです。私どもは。それは考えられるのですよ。それはわりあい調子のいい企業は年に何回も出しているのですよ、いろんな形で。これは三カ月という区切りを置いているけれども。だから、そういう点から考えてみてボーナスの捕捉の問題もあるわけですよ。
 そういう問題、取れるところから取るというのではなしに、これはやはりオーソドックスなところから議論していくような問題を抱えているのではないか。千分の二については、やはり厚生大臣は権限を持っているのではないか。医療費の問題も保険料値上げの問題と関連して議論すればいいじゃないか。それは議論の仕方がある。医療費値上げについて絶対反対を言っている人はないですよ、人件費や物件費が上がっているんだから。だから私は、そういう担保もなしに、こういう問題を前から、だらだらだらだら持ってきて提案するということはおかしいではないかと言うんです。
 大体ずっと時間があればやるけれども、当時の六月のボーナスが吹っ飛んでおる。七百億円違っておるというだけじゃないですよ。全部違っているのですよ。バランスの仕組みが違っているのですよ。そのことの仕組み、背景、見通しの説明をすべきです。法案がこのままであるかどうかについては問題はあるが、百歩譲っても、その説明をして入るべきだ。いままでの質疑というものは、ほとんど、だめになってしまうじゃないですか。ほとんど、しておらぬ、一般質問と関係して一年やっただけだから。そういうおざなりのことをやるから、これは幾らたっても、こういう問題が真剣に議論にならぬし、議論したことが実にならぬわけです。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
 最後に一つ、大臣と委員長に私の意見を言っておきたいのです。それから後で――これで切れたと思って安心しておったらいかぬよ。
 大臣、今度、高額医療について改正案があるわけですね。これは前のとおり変わっていない。三万九千円を五万一千円にするわけですね。これはいつから実施するのですか。それから本年度の財政効果と来年度、五十三年度の財政効果は幾らですか。
○八木政府委員 高額療養費の限度額の引き上げにつきましては、本年度の予算の中におきまして、三万九千円から五万一千円に引き上げるということを組み込んでおるわけでございますので、私ども機会を見まして引き上げの措置を考えたいというふうに思っておる次第でございます。ただ、いままで社会保険審議会におきまして基本的な問題の見直しという議論をやっておりますので、そこにおきます高額療養費等の御議論等も承った上で、予算に組んでおることでございますので実施いたしたいというふうに考えております。
○大原(亨)委員 いつから実施するのですか。
○岡田政府委員 高額療養費の効果でございますけれども、原案におきましては四十六億、五十二年度において考えておりました。仮に十二月から実施するということになれば二十億でございます。(大原(亨)委員「これは八月からだろう」と呼ぶ)はい、さようでございます。(大原(亨)委員「今度十二月からやるのか」と呼ぶ)はい、十二月から仮に実施するとすればということを申し上げたわけです。
○大原(亨)委員 いつから実施するかもわからぬのが仮にとかいうようなことを、いま言っている。八月はもう過ぎているのですよ、八月は。そんな人をばかにしたような答弁があるか。この提案は何月から実施する予定です。どれだけの財政効果がありますと、きちっと答弁しなさいよ。いつやってもいいようなことを言っている。
○岡田政府委員 この高額療養費につきましては政令事項でございまして、政令に基づきまして、これは実施するものでございます。この実施につきましては、この法案の問題と抱き合わせというふうに考えておる次第でございます。
○大原(亨)委員 高額医療は、立法の趣旨はどういうことなんですか。
○八木政府委員 高額療養費の制度につきましては、四十八年の改正で設けられたわけでございますけれども、本人につきましては現在、給付十割でございますけれども、家族の場合には三割が自己負担、さらに国保の場合には本人、家族とも三割ということになりますと、やはり医療保険のあり方としまして、できるだけ医療保険制度におきまして被保険者の負担あるいは家族の負担というものを軽くする。しかも現実に医療費が相当高額になっているということになりますと、家計の圧迫というものも大変なことであるというようなことから、ある程度の高額な医療、一定の限度以上のものにつきましては、本人の負担ということではなしに保険で持つということによりまして、被保険者なり、あるいは国民の福祉に寄与するという意味で高額療養費の支給制度が設けられたというふうに思っております。
○大原(亨)委員 三万九千円と現行のままと五万一千円とで、財政効果の問題は、十二月からやるかどうかいう議論で、これは後に残しておきますが、五万一千円になるわけですね。
 そこで、これは三万九千円を設定したときの立法の趣旨は、これは外国でも例がないのですが、大臣、本人と家族が格差があるということはないのです。本人と家族の給付の格差があるということは、若干あるが、日本みたいなことはどこもないのです。ILOで議論されているときも、それが前提なんです。本人と家族一緒なんですよ。だから家族の外来あるいは入院の、これは両方だな、高額医療について、家族については給付を保険からしていくというのは、格差を縮小することになるのです。家族の給付をよくして本人と近づけるということになるのだ、三万九千円以上は。それであるのに五万一千円に引き上げるということは、格差が拡大する。また、これは後退するのだ。抜本改正の議論で、本人と家族の給付をどうするか、こういう問題は給付水準の問題として一番大きな問題ですよ、それを、暫定措置といいながら、制度の基本にかかわるような問題で簡単にUターンする。どうですか、そんな便宜的なことがあるか。政策の後退じゃないか。いかがですか。
○八木政府委員 高額療養費支給制度の趣旨といたしましては、先生御指摘のように、本人と家族、あるいは国保におきましては本人、家族含めまして格差がある。その際におきまして非常に高額な医療費ということになりますと家計にとって大変な負担になる。したがって、そういう意味から格差を少しでも縮小するという方向も一つの方向だろうと思います。
 ただ、高額療養費支給制度ができましたのは、高額な医療費につきまして保険で見ようということでございます。したがいまして、高額の判断ということになりますと、やはりその時点、時点におきます社会状況なり経済状況の変動というものに応じて変えていくという考え方から、現在の高額療養費支給制度におきましても、額を固定しているわけではないわけでございまして、政令で定めるところによりということでございます。したがいまして、制度ができましたときは三万円でスタートしたわけでございます。当時の三万円という考え方は、当時におきます患者の方々の入院等の場合に、一日どのくらい負担しているかというようなことから、千円というようなことを基礎にいたしまして三万円という考え方があったわけでございます。しかし、その後、所得も上がってまいりますし、それから医療費もふえてくるというような、その後の経済指標あるいは医療費の増高等を見ました場合に、それをスライドしてまいりますと、昨年、三万円を三万九千円に引き上げたわけでございます。昨年の三万九千円の考え方は、本来でございますと四十八年の三万円というのは昨年時点におきまして大体五万一千円ぐらいに相当するという考え方だったわけでございますけれども、やはり患者なり被保険者の一挙の負担増をできるだけ避けるというようなことから、段階的に引き上げていこうじゃないかということで、本来でございますと五万一千円に引き上げるべきところを、まず三万九千円に引き上げたというような意味でございます。
○大原(亨)委員 それはへ理屈というものだよ。それは全然へ理屈だよ。でたらめなことを言うな。そんなこと、おかしいです。あなた。三万九千円のときは五万一千円だった、それを三万九千円にとどめていたんだと、そんなことない。私が言っているのは、家族給付を、重要な問題については本人との格差を是正するというのが高額医療費の立法の趣旨なんだから、そういうことで今度は家族の給付を何割にするというときに全体的に考えるのですよ。本人十割、家族七割というふうな給付の類例はありませんよ。だから、これは全体の制度の改正と一緒に必ず考えることなんだ。だったら単純にUターンしておいて、これは便宜的な措置だ、緊急避難をやるんだからということでしょうが、そんなのは全然、理屈にならぬですよ、あなたのは。これから、もう将来は何もやらぬということなんだ。将来、何もやりませんということの裏づけです。そういうでたらめな答弁しちゃいかぬです。
 話を進めますが、家族の給付については本人と同じようにするのがいい、こういうふうにお考えですか、どうですか。
○八木政府委員 給付率の問題につきまして、先生御指摘のように本人、家族の差があるというのは、基本的なあり方としましては、やはり本人、家族というのは一緒に考えるべきであるというのは一つの方向だろうと思います。現在、社会保険審議会におきましても、来年の見直しの際に家族給付率をどうするかという問題は一つの大きな議論になっておるわけでございます。現実に財政問題あるいは、いままでの経緯、いろいろなことから十割、七割という問題があるわけでございますけれども、本人、家族の給付率につきまして同一方向でいくということは、目標として一つの大きな議論になっているということは間違いない事実でございます。
○大原(亨)委員 それであるならば、せっかく高額医療について三万円、三万九千円を始めてきたわけだから、これはやはり中身は後退させないということでやるべきである。
 それから本人と家族の給付について原則として差を縮めていく、一本にする、こういう考え方で議論が進んでいる。一般の議論もそうです。それはおかしいですから。そうすると国民健康保険との給付の格差の問題が出てまいります。家計にとっては同じですし、人間にとっても同じですから。そこで当面、近づけるという方針で、どのくらいまで家族を近づけるのがいいのか。あるいは制度全体について議論をしているのかどうか。たとえば七割を八割にする――ここだけじゃありませんよ、いまは上げればいいというものじゃないんだから。全体をどうするかという議論と一緒ですが、給付を家族の給付と本人をそろえるというのは、やはり保険外負担の問題と一緒に非常に大きな問題だ。厚生大臣、厚生省の意向というものは審議会へ反映するような仕組みで、私も出てわかるけれども、メンバーは役人の古手とか、いっぱいおって通ずるようになっておるんだ。大体、通ずるようになっておる。厚生省の意見はどうですか。大臣いかがです。
○八木政府委員 現在、社会保険審議会におきまして、いろいろ御議論が出ているところでございます。御議論の中には、いろいろな考え方がございます。本人十割を目標にして家族を十割に引き上げるべきである。しかし、いろいろな状況で、なかなかむずかしいということであれば、逆に本人九割、家族九割としたらどうかとか、あるいは家族を八割にしたらどうかとか、いろいろな御議論が出ております。しかし、いずれにしましても皆保険ということになりますと、被用者保険だけではございませんで、社会保険審議会の御議論の際にも、医療保険制度全般ということから御議論が出ているわけでございます。そういう意味で国保の問題ということが大きな問題になるわけでございます。国保の場合には現在七割給付でございますけれども、一兆四千億という巨額な国費を計上しているというようなことから、国保の問題をどうするかということが一つの大きな問題であるわけでございます。そういう意味におきまして、いろいろ御議論は出ておりますけれども、現在、社会保険審議会等でも御議論賜っておるわけでございますので、これらの御意見を踏まえまして、これから厚生省として考えていく問題であるというふうに思っております。
○大原(亨)委員 仮に、こういう点を試算したことがありますか。家族の七割を八割にすると政府管掌全体の保険財政に、どのような影響を与えるか。あるいは、ある学者等は第二の提案として本人、家族ともに九割ということを言う人もあるわけです。一部負担を除外した九割と言う人もあるわけですね。そういうことについて試算をしたことがあるか。二つの試算について、もし、あれば参考にお聞かせいただきたい。
○岡田政府委員 五十二年度の予算ベースでもって申し上げます。
 家族給付率を七割から八割にしたときには約八百四十億円余りの財政負担になります。それからオール九割、家族も本人もすべて九割というふうにした場合には、現在一兆九千三百十七億円でございますが、これが一兆九千八百億円余りになります。
○大原(亨)委員 厚生大臣、家族給付の引き上げによって格差を縮めていく、こういう点については、しっかりした方針を持って全体の制度と一緒に考えてもらいたい、考えるべきである、これはぜひ要望しておきますが、大臣の見解をひとつ。
○渡辺国務大臣 私も本人と家族を同一にすることが望ましい、こう思っております。確かに、あなたが御指摘のように諸外国の例を見ましても本人と家族は一緒です。フランスあたりは償還払いですからね、あそこは。七五%しか、どっちも認めない。ドイツの場合、スウェーデンの場合は一〇〇%両方払う、こういうことになっております。なっておりますが、問題は保険料負担が、それは全然違うわけですよ。日本の方は七・八%、三・九、三・九ですから。ドイツも労使折半ですが平均一一・三%、組合によって安いところが八、高いところが一三、こういうふうなことで、要するに保険料率が違う。ただスウェーデンなんかの場合は、保険料も事業主負担になっておりますが、それよりも税金が全然違うわけです。所得税とか住民税の税金の高が日本とは比べものになりませんからね。そういうようなことで背景がございますから、ほかの国が一〇〇%のところがあるから日本もそうだといっても、税金は安いわ、保険料は安いわ、支出だけ同じくしろと言われても、これはなかなかできない。したがって負担の問題とのかかわりの問題です。ですから一〇〇%給付なら、それじゃ、それだけの負担も持つかどうか。(「西ドイツを言わないのが」と呼ぶ者あり)西ドイツも同じです。西ドイツも税金は日本よりははるかに高い。(「西ドイツは労使の負担割合がうんと違う」と呼ぶ者あり)労使の負担割合は折半です。西ドイツは同じなんです。ですから、そういうような裏の問題がございますから、どこまで給付を上げて、どこまで負担をするか。
 ただ違う点は、日本は国庫補助を出しています。先ほど言ったように組合健保には八億円とか、それから国保には一兆四千億とか政府管掌には三千億とか出していますが、ドイツもフランスも原則として保険はみんな自分たちが自分で賄う、こういうことになっておるわけです。ドイツの場合は、先ほど年金の話が大原さんからもありましたが、あそこは年金財政の中で年金の支給額の一一%を医療の方へ回している。これは結局は、皆さんが掛金を掛けたものの中から、年金の方から、老齢者、退職者医療の一つの物の考え方ですから、自分たちもいつかはやめるんだ、やめたときには、めんどうを見てもらうんだということで、いま働いている人が年金の中からプラスアルファのものを保険の方へ回すというようなことをやっておって、仕組みがいろいろ違いますから一概には申せません。
 ただ、これは負担の問題である。しかしながら本人と家族を一緒にするということは望ましい。ですから、それじゃ負担をどこまで上げるかという問題との絡みで、何割給付に引き上げて同一にするかという問題は、これからの御相談でありますということです。
○大原(亨)委員 委員席からも応援があったのですが、これは政策が違うので、ここで議論はしませんけれども税金と社会保険料と貯金を入れましたら、三つ合わせましたら西ドイツもイギリスもスウェーデンも日本も大体同じなんです。税金は国民所得の二〇%を超えていますから。関係ないといっても、これはインフレで目減りがするのです。いまの日本の財政投融資もそういう仕組みですよ。簡易保険から全部そういう仕組みですよ。年金の積立金もそうですよ。それから預金も、預金をやはり高度成長では財源として使ったのです。しかし、今度は低成長の時代に入ってくるのですから、預金の部面はどこへ使っていくかという議論が政策としてあるのです。いま大きな企業は税制の特別措置その他で、税金も低くするし、とにかく設備投資中心で大きくなれば、下がだんだん大きくなるという考え方だったのです。それはいけない。しかも国民の負担の面からいっても、負担のやり方について考えていくと貯金を入れれば同じです。これは悪循環しているわけでしょう。つまり医療が、制度はできても中身が悪い。年金も中途半端だということになれば、病気や将来に不安があるから貯金をどんどんするのですよ。その貯金を安い利子で使うわけだ。それで高度成長したわけですよ。それが国民の立場から見ると、もう一回、考え直さなければいかぬということでしょう。税金で何でもかんでも持ってくれば、これはいいと言うのじゃないんですよ。税金自体も不公平をなくしていかなければいかぬでしょう。いま議論になっておる。後で私も議論いたしますけれどもね。国民から見て納得できなければいかぬですよ。そういう転換期にあるのですからね。
 あなた、非常に鋭い眼で、さっさっさっと行かれたから、上っ面だけ見て帰られたけれども、私が注釈をつけておきます。
 それから、これから総医療費の問題に入っていくのですが、総医療費は、昭和五十年、五十一年、五十二年、五十三年で推定を入れて、どういうふうに大きくなってきますか。
○八木政府委員 国民医療費につきましては現在、確定して発表しておりますのは昭和五十年の数字でございます。昭和五十年の数字におきましては六兆四千億、五十一年が七兆七千億、五十二年が八兆七千億ということでございます。
○大原(亨)委員 五十二年の八兆七千億円というのは、それでおさまりますか。医療費の値上げがあった場合にはどうなりますか。一〇%で計算してみてください。
○八木政府委員 ただいま申し上げました数字は医療費の改定というものは見込んでございません。医療費の改定の幅あるいは時期等がまだ決まっておりませんので、現在、計算のしようがないわけでございます。
○大原(亨)委員 一〇%と仮に前提を設けると幾らになりますかと質問したじゃないですか。
○八木政府委員 五十二年度でございますので、その一〇%の実施時期をいつということで計算するかによって違ってくると思いますけれども、仮に計算いたしますと、五十二年度が八兆七千億でございますので、これは年間にしますと、その一〇%でございますと八千七百億でございますけれども、これは四月からということでございますから、その実施時期によりまして、一月当たりにしますと七千億ぐらいでございますか、七千億の一カ月ですと、一〇%ということでございますから七百億ということになろうかと思います。
○大原(亨)委員 九兆円の時代になるわけですね。
 それから今度は五十三年は推定幾らになりますか。
○八木政府委員 医療費がどの程度上がるかということは、いろいろな要素が絡むわけでございます。その医療費の上昇率が毎年、数字が変わっておりますので、その意味で推定というのが非常にむずかしいわけでございます。仮に自然増が一〇%ぐらいだということで考えました場合に、五十二年度が八兆七千億でございますので、プラスになる分が八千七百億というふうに言えようかと思います。これはあくまでも仮の試算数字でございます。
○大原(亨)委員 これは、どのくらいの比率で増加していくかということになると、やはり言われているように二割前後になるのですよ。医療費は二割前後で大きくなっていくわけです。それ以上になることもありますけれどもね。だから、これは国民所得やGNPとの関係で、だれが負担していくかという問題があるわけですよ。ここに厚生省の出しているものを見たら、給付率を下げなければいかぬとか、泣き言をいっぱい書いてある。泣き言や恫喝じゃないか。特会法なんか恫喝だ。やはり、それが国民の立場から見て納得ができるかできないかということが問題なんですよ。
 一つ、私が例を出しますよ。私が先般、手に入れました資料の中で一件当たりの各県別の診療費の比較が出ておりました。最高と最低はどのくらいの開きがありますか。念のために、私も勉強したいから、一件当たりの診療費、診療報酬というのはどういう意味ですか。これは毎月、月ごとにやるんだからね。
○岡田政府委員 五十一年度におきまして支払基金の支部別に診療報酬の合計額を診療報酬請求書の合計枚数で割った金額を申し上げます。これを普通一件当たり金額と申しておるわけでございますが、これは最高が一万二十三円、それから最低が六千三百九十六円というふうになっております。
○大原(亨)委員 一件当たりの診療報酬とありますね。その中身を、これこそ教えてください。大体知っていますけれども、あなたが知っているかどうか、教えてください。
○岡田政府委員 毎月、診療担当者の方から診療報酬請求書が出てまいります。その枚数でもって、その診療報酬の決定額を割ったものが一件当たりの診療報酬でございます。診療報酬請求書一件について幾らというのを一件当たり診療報酬額、こう申しております。
○大原(亨)委員 ちょっと頭が悪いから、わからぬから、もうちょっと、わかりやすい説明をする人はいないかな。
○八木政府委員 診療報酬につきましては現在、医療機関が支払基金に対しましてレセプトを出すわけでございます。それで、そのレセプトにつきまして一件当たり、どのぐらいか簡単に言いますと一枚当たりということだろうと思います。(大原(亨)委員「だろうと思うじゃ困る」と呼ぶ)だろうというのは取り消します。レセプトについて一件当たり幾らという額でございます。
○大原(亨)委員 レセプトは一カ月で一つの医療機関が支払基金に請求する場合には一人をまとめてやるのですね、一つの医療機関でかかった病気については、たくさんの病気があっても。そうですか。
○八木政府委員 そのとおりでございます。
○大原(亨)委員 それが最高は一万円で最低が六千円。低い方から十県、言ってください、高い方から十県、言ってください。
○岡田政府委員 具体的な都道府県名でございますか。――高い方から申し上げます。京都、高知、北海道、長崎、大阪、福岡、愛媛、香川、徳島、愛知が高い方のベストテンでございます。それから低い方でございますが、沖繩、千葉、埼玉、山形、宮崎、静岡、神奈川、群馬、新潟、茨城、以上でございます。
○大原(亨)委員 いま聞いてみると、神奈川も低いわけですね。つまり一件当たりの診療費が、たとえばここでは一千億円使うのに、ここではそれは一件当たり伸ばしていくと六百億円で済むということになるわけだが、一万円と六千円の差があるわけです。これは医療費を払っている国民から、あるいは皆保険から言うと非常に大きな問題だと私は思うのですよ。厚生省の皆さんは麻痺しておるから、わからぬと思うけれども倍、半分ですよ。なぜ、こういう差があるのか。それを検討したことがあるか。その答えをひとつ御説明願いたい。
○八木政府委員 医療費につきまして現実に、ただいまの一件当たりの費用にしましても各地域によって非常に格差がある。一般的に従来から言われておりますのは西高東低ということで、わりあい西の方が高いということが言われております。その原因は何であろうかということで、いろいろ議論はされておりますけれども、根本的には何だという結論はないわけでございます。理由としては、いろいろな問題があろうと思います。地域によりまして医療機関の密度でありますとか、あるいは交通機関の発達ということで、被保険者にとりましての受診の機会の差があるのではないか。あるいは高齢者につきまして老人比率がやはり西の方が高いということもございますし、高齢者の受診率が高いということで年齢構成の差があるのではないか。あるいは気候風土の違い、あるいは地域の特殊な疾病がある、あるいは風俗習慣の違い、あるいは産業構造とか、いろいろな要因が重なり合いまして結果的に、そういう数字になっているということで、なぜ、これが決め手だということはなかなかむずかしい問題で、従来から議論されている問題でございますけれども、その原因はなかなかむずかしいということでございます。
○大原(亨)委員 西高東低ということ自体おかしいのだけれども、たとえば千葉とか神奈川とか、この近在でも、かなり昔から人口も稠密であり、医療機関もあったところ、あるいは東京等――北海道はばっと離れて高いけれども、たとえば阪神の工業地帯と京浜の工業地帯は、環境からいっても、水や空気の汚染からいっても、よく似ていますよ。そうすると、あなたが言われたような当たりさわりのない議論では、私は説明できないような気がするのですがね。そんなことは納得できません。せいぜい一万円と八、九千円のところならわかるけれども、おかしいですよ。それをきちっと調査しなければ、政策というものはできないのじゃないか。これこそ調査なくして政策なしということだ。大臣、不思議には思わぬですか。
 ある学者は、これを比較してみたらわかると言うのだ。薬の使用量、注射の頻度、検査のやり方についての差、それから病名ですよ。一度に二十ぐらい病名をつけて治療費を請求する人があるわけです。ですから病名ですよ。そういう三つぐらいを精査すれば、大体なぜ、こんな格差があるのかということがわかるのではないかと言って、学者が分析を始めているのを私は見まして、それこそ実際の問題について研究しているような気がする。たとえ、これに反論のある人であっても、この問題は検討をまって議論をするに値すると思うのですよ。十対六というような差があるじゃないか。そんなのは全く制度とは言えぬですよ、皆保険になってから、かなりあるのですけれども。私が三点を指摘いたしましたが、三点について最高と最低を比較するような材料がつくれるかどうか、答弁できるかどうか。
○八木政府委員 先生の御提案でございますけれども、一つのお考えだろうと思いますけれども、現実問題として、そういう意味の調査をするというのは非常に時間がかかりますし、むずかしい問題ではないかというふうに考えております。
○大原(亨)委員 それはできないことはないと私は思うのだ。支払基金なんか、ある一定のなにでつづるのですからね。そのレセプトを調べることはできますよ。大体そういうことについての差別や格差というものについて注目しないのだからね。だから、やる気がないのだ。そんなことで改革できますか。大臣、不思議だと思わぬですか。できないことはないですよ、こんなことは。これについて反論があれば、あと反論したならば、反論が理解できれば、その人の国民医療に対する立場が理解できるのです。臭いものにふたをしておいて、医療費が要ります。医療費が要りますから、緊急避難ですから、やってくださいと言ったって、そんなことはだめです。国民はそんなばかじゃないのだから。これは調査できるのですがね。
○八木政府委員 確かに先生一つの御示唆でございます。事務的に非常にむずかしい問題があると思いますけれども、やれるかどうかということにつきまして検討さしていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 大原委員の疑問は私は当然だと思いますよ。私も、こう見て京都が一番高くて一万二十三円、高知が九千六百七十五円、ずっと並んで千葉、沖繩なんというのは六千円とか六千八百円とか。だから先ほど局長が言ったのも、そういう原因だろうし、大原さんが、こう言う学者があるといま言いましたね。私も、そういうことも直感的には考えられる。しかし実態のデータは持っていませんから断定はできないが、これはいろいろ工夫をして、どうして、そういうようなことになっているのか、これはひとつ調べさせるようにしたい、調べてみたいと思います。いろいろ工夫して、いままでの権限で、どの程度できるか。人数の問題もあるし、権限の問題、下までの話ですから私だけじゃ、なかなかできない。(大原(亨)委員「際どいところに来たら逃げるじゃないか」と呼ぶ)逃げない。それは極力、調査をするように努力をいたします。
○大原(亨)委員 大体いままで、ほっておくというのがおかしいのですよ、何回も議論になったことを。そして赤字対策でございますと言って、それは国民から見たら、そんなことは納得できないですよ。僻地の問題も納得ができないですよ。いざというときに休日や祭日や夜間に、お医者さんがいないということも納得できないですよ、皆保険から言えば。むしろ中小都市の方が、余り人間が流動しない方が、医師と患者の人間関係がうまくいっているんですよ。僻地と中心部が悪い、問題があるんだ。
 そういう問題があるが、そういう立場を考えながら、医療費において一人一人の医療費がこんなに格差があるということ、これは倍、半分でしょうが。沖繩はいま、だんだんと特例措置をとっていますけれども、そうでないところは、国民の立場から考えて十兆円の医療費を負担するのだから、そのときに十対六で、こっちは六でやっておって、こっちは十やっておるというようなことはないですよ。私も選挙をやっているんだから、医師会や開業医を目のかたきにするんじゃないのです。そういうことはないですよ。しかし、そういう人が私に、こういうことが行われておりますよと言うんだから、それを私は、はっきり出して議論しているだけの話であって、それを政党人がやらなくなったら国会の権威はないんです。国会もそこが問題なんです。そこはあえて克服できるような努力をしなければいけない。
 これは官僚だけの問題ではない。官僚はどうしても長いものに巻かれるというか、無難にやっていかなければならぬから、だから定年なんというのは五十五でなしに六十ぐらいにしたらいいのですよ。一生それにかけていく。外へ出ていく必要ないんだ。そうすれば一般も六十になるから、年金も開始年齢を六十にすれば議論はないんだ。そのことだけのためにやっているんじゃないけれども、ライフサイクルからいったらそうですよ。人材からいってもそうです。いま局長になりたいのがいっぱいおるんだから、局長になったのは運がいいんだ。局長から落ちるようなエリートがいっぱいおるんだ。課長補佐どまりもいっぱいおるんだ。やることを一生かけてやれば、それはそれでいいじゃないか。次官が一番偉いという考えじゃなくて、価値のある仕事をやれば一生、平でもいいように仕組んでいけばいいわけだ。大体五十や五十五で、それは自分の希望でいくのはいいです。制度としてやるのはおかしいですよ。そんなことをやるから無責任体制になるのです。
 少し脱線いたしましたが、日本の医療制度で、いま一番欠陥があるというのは何ですか。大臣はスウェーデンとか西ドイツとか、その他ずっと行かれたわけですよ。スウェーデンは福祉をやり過ぎて官僚的になって社会民主党がひっくり返ったという話ですが、しかし最近、世論調査したのを聞いてみたら、今度やったら、やはり社会民主党の福祉はよかったといって、またひっくり返るそうですね。いま、そうなっているらしい。これはよその国の話だから余談ですが、日本のは制度、構造はあるのですよ。しかし国民から見たら中身が全然整備されておらぬですよ。そこに問題がある。年金だって医療だって最大の政治問題だ。老人問題、これはきのう答申出ておるから、赤字問題に関係があるから後でやりますが、これは一番の問題ですよ。私は日本の医療の欠陥は何かという点をはっきりさせたいと思う。若干いままでの議論の中で挙げたのもあるけれども、あなたはずっと見てこられたし、厚生大臣になって新鮮な気持ちで勉強されたでしょう、もう最近はくたびれたかもしれぬけれども。だから、どこに日本の医療の欠陥があるのか、いかがですか。
○渡辺国務大臣 まあ、これは外国と比べて一長一短だと思いますね。ただ、いま大原委員が御指摘のように、医療費というものが八兆、九兆となってまいりました。これは米の総生産高が三兆円というときに医療費がそれだけ伸びたということは、その反面、国民にプラスになっているという点も言えると思いますよ。国民の平均寿命が、過去三十年の間に男も女も二十二歳とか二十三歳とか伸びたということは、これはやはり生活の豊かさ、それから保険制度、医学の発達、そういうようなものがみんな関係があると思いますから、そういう意味では医療費が確かに急激に広がって伸びたけれども、それは国民の寿命にも関係があったという点は言えるだろうし、大きな貢献をしてきたことも事実だろう。それは、お金がなくとも生活保護でも何でも医者にかかれる制度ができた。昔は金がなくて死んだ人があったけれども、死なないということが、やはり寿命に関係しているわけですから、そういう点は私は大きなプラスだと思う。
 しかし、その制度間に格差があるというようなことも、一つの問題点ではあるでございましょう。それから、その反面には、やはり国民の医療費に対する負担額が少ない。要するに保険料が安いということですな。これもやはり大きな問題点ですよ。ですからベッド差額の問題とか、そういう問題もいろいろ言われておりますが、うらはらの問題も一つあるわけですから、こういう点も謙虚に話し合いをして詰めていったらいいのじゃないか。
 それから、先ほどの大原委員の議論と関連をするのでございますが、やはり総合病院にどっと患者が押しかけてぐるというようなことは、どうして、そうなのかという問題も一つありますよ。しかし習慣の問題もありますし、ドイツのように病院には原則として一般外来は行かない。医者の推薦状を持たなければ病院も診ない。総合病院は要するに専門的な二次医療、三次医療を主としてやる。そういうふうに割り切っちゃえばいいのですがね。それじゃ日本で、法律で、ともかく医療センターとか、そういうところには一般の患者は行ってはいかぬ。みんな開業医の紹介状を持ってこいということまで、できるのかどうか。
 しかし私は、これは一つのアイデアであるとは思うのですよ。だから、それはそういう法律ができなければ、それじゃ一部負担で差をつけるという点もアイデアかもわからない。ともかく、りっぱな医者とりっぱな機械設備を備えておいて、来た患者の八割が、ちょっとしたことで別に、そんな大学の教授が診るような病人じゃなかったというために、雑務に忙殺されて、専門医が専門医の仕事を三割しかやっていなかったという場合もあり得るわけですから、こういうようなことも医療の効率的な使い方という点においては参考になる点だと私は思います。
 この話を私は私立大学の教授にしたら、それは困りますよと言った人があります。賛成した国立病院の院長や総合病院の院長もいますが、私立大学の大学病院というところは学習するところだから、高級といいますか、重篤な患者ばかり来られたって、生徒に、そんなことばかり教えるわけにはいかないんだ。やはり開業医になったりするから、初めのやさしい病気から教えなければならないので、大学病院は、そういうふうな軽易な患者もたくさん来てもらわないと、生徒の教育上、学生の教育上ぐあいが悪いというようなお話もありました。
 したがって、これはいろいろむずかしい問題がございますが、私は、日本と外国の病院制度というものを比べた場合には一長一短だ。ですから、短の方をいろいろ直していく必要がある。それについては専門家の意見をもう少しよく聞かなければなるまい。私の素人の独断で、ここのところが悪いんだとここで言うと、また影響が大きいですから、それは差し控えたいと思います。
○大原(亨)委員 これは口数をたくさん言えばいいようなものじゃないですよ。私が言うたのは、しぼって、いまの日本の医療の欠陥は何ですかと、そこをはっきり言ってくださいと言ったら、あっちも言い、こっちも言い、知ったことはみんな言うんだ。(「薬の問題を聞きたかったのか」と呼ぶ者あり)ああ、薬の問題は関係ある。
 ぼくはこう思うのですよ。一つは、包括医療の問題ですけれども、つまり、日本の医療は治療中心である、包括医療じゃないということですよ。その治療中心が、治療と言えば薬剤や注射とかというふうなものが中心になっておるということです。そこに一つの大きな欠陥がある。これをどうするかということを考えなければならぬと思うのです。
 私も西ドイツの報告があったから聞いていたのですけれども、スウェーデンの報告もあった。西ドイツの報告を最近ある記者がしていますけれども、老人の病院でリハビリテーションというのは非常に力を入れるのです。日本は病院に入れまして、薬を飲まして注射を打っておくと、一生そこから出ないわけですよ。そういう人もたくさんあるわけです。住宅問題もありますよ。家庭環境もありますが、西独はリハビリテーションで、たとえば六十五歳の脳卒中の人が二週間で話せるようになったというのは、薬は一切飲ませないのです。リハビリテーション、機能訓練を徹底的にやるのですよ。だから機能訓練をやる意志のある者だったら、佐分利さんや皆さん、りっぱな医者かどうかわからぬが、前の方に医者がおられるが、それをやっている。リハビリテーションは薬を飲まさないでやっている。機能訓練でやっている。それで二週間したら、もう話せるようになっている。
 フランスの第七次経済計画の最大目標の一つは老人対策。スウェーデンも、これが一番大きな、これからの問題になる。その中で老人を早く施設や病院から出して、いかに社会復帰、社会参加をさせるかというのが政策の目標である。つまり、その目標は立ったままで死ぬるというのです。最後をどうしようかということを心配している人が多いのですよ。立ったままで死ぬる一つまり、人間としての可能性の最大限を、人口が老齢化しても、高齢化していっても、そういう時代においても最大限を発揮できるようにするのには、どうしたらいいかということを基礎にして政策を組み立てる、こういうのです。日本の老人問題は、また後でやりますけれども、答申が出たからやるというような一これはもう午前中でないですがね。
 つまり、一番の欠陥は治療中心です。健康管理や予防のところで区分けをしたり、コンサルタントをしたり相談相手になったりして、どういう道を選んだら健康にいいかということの議論が全然なしに、どんどん二つも三つも病院に行くわけですね。そして薬をたくさんもらってくるわけですね。そうすると、ここではちょっとしか診てくれぬから、あすこへ行く、こういうんですね。そして暇があるから、ちょっと行くということになって、薬を全部飲むと薬の相乗作用もあるわけです。日本の仕組みは。だから治療が病気をつくるという場合もかなりあるわけです。スモンなんかの例はそれで、過剰投与です。スモンは世界一の薬害です。後で議論いたしますが薬害問題ですよ。過剰投与です。相乗作用もあるわけです。だから、そういう治療に偏重をして、そして薬剤を中心にする医療の中で十兆円の金を使っている。そこに国民から見たら、幾らでも負担しなさいといったって、どっこい、そうはいきませんよということがあるんです。医療供給体制、病院やその他の体制がありますよ。受け入れ体制もありますよ。それはちょっと議論いたしました。そういうことについて目標を決めて、どういうふうに改革するかという診断をして、改革をするということが必要だ。これは私だけでなしに、議論してきた一つの考えです。これだけじゃないですが、これが第一です。
 私の考えについて厚生大臣どうですか。
○渡辺国務大臣 それはごもっともな考えでございます。今回の老人医療懇談会の答申等にも、そのことが指摘をされておりまして、やはり一貫した予防、それから治療、リハビリテーションその他のことを総合的にやることを考えるべきではないかという指摘があるわけです。やはり同じ考え方と私は思います。
 それから薬の問題等につきましても、それは御指摘のような点がありましょう。薬で、もうかるから薬をよけいやるんじゃないかという御指摘もありましょう。そこでドイツで、どうなんだという話を私も聞いてみました。ところが、やはり病院は二五%ぐらいは、もうけているでしょうという話でした。それは、あそこは医薬分業でございますから、開業医の場合は薬を出しませんから、処方せんを持って薬屋へ行く。薬屋はそれで、もうけている。大体、薬屋の手数料が二五%前後である。薬屋は卸で買う。病院もメーカーその他から卸で買うので小売価格では病院は買わないから、やはり、そこには保険の点数との開きは病院の場合は、ありますというようなことを言っておりました。ですけれども、それじゃ日本の場合、民間の一般の開業医のものに全部、医薬分業を強制するというようなことをした場合に、国民感情といいますか、国民の長い長い習慣があります。だから、そこらのところは、改革をするにしても、やはり時間もかかるし、やり方もあるだろうし、いろいろ皆さん方の意見を聞いて、今後、薬の過剰投与が行われないような仕組みというものも現実的に考えてまいりたいと思っております。
○大原(亨)委員 時間が来たのですが、つまり私が言うのは、薬で、さやをかせぐというのはいけないのです。これが一番いけないのです。医療を荒廃させるのです。これは後でまとめて、いろいろな角度から議論いたします。
 それから結局、医師や薬剤師の技術、歯科医師の技術をきちっと評価しなければならない。薬のさやで、もうけるというのは、医師や歯科医師や薬剤師は、これは自分が侮辱されていると考えるのが普通ですよ。それが麻痺しているとするならば、そればその人がモラルを失っていることになるのだからね。そういうことを、もし細工をする者があるとするならば、これはもってのほかですよ。濃厚診療とか水増しとかいうふうなことを言われるのですが、そういうことは医師を侮辱するのだ。私は機械的な医薬分業は言わないが、しかし、医薬分業をやっていないのは台湾と日本と韓国くらいなものですよ。社会主義だって、どこだって薬剤師は責任を持っているのですよ。責任がある。医療事故が起きたら薬剤師は責任があるのですよ。日本は医師の責任になるけれども、そうではないのです。処方せんを書いた医師も責任があるが、調剤した薬剤師にもあるのです。専門家は薬剤師ですから。これは一遍にはできぬが、しかしながら、いまみたいに目標なしのずるずる、ずるずるの、処方せんを百円を五百円にしたからといって何一つ前進はありゃせぬ。これは一遍にはできぬことはわかっていますよ。しかしながら、やはり医師は処方せんで責任を持ち、薬剤師は調剤で責任を持つ、そういう点では、ちゃんと分化することが、いまの西洋医学の中においては患者のためになるのです。それは啓蒙しなければならぬ面もあるし、それから、これはこれだけのことの議論じゃない。私が言っているのは技術を尊重するということがない、これが第二の欠陥です。
 今度の医療費改定についても聞きたいところですけれどもね。それで薬で、さやかせぎをするというのは、これは最も下の下ですよ。医者に聞いたら、こんなのは、やっていて恥ずかしいと言っているのだ。私どもの友達がそう言っているのです。グループとしては、どういうことを言うか知らぬけれども、そういうことをみんな言っている。材料が示してくれるのです。やはり全体として見ると被保険者の負担、国の負担にも関係しますが、これは時間が来ましたから答弁はひとつ、まだ別の観点での質問があるわけで、大臣に一番の欠陥は何かということを私は聞いたので、そのことを中心に、またひとつ、いろいろな点について議論を進めていきますがね。
 委員長、時間になりましたし、おなかがすいたでしょう。休みましょう。
○戸井田委員長代理 この際、暫時休憩いたします。なお、本会議散会後直ちに再開することといたします。
    午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十五分開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。大原亨君。
○大原(亨)委員 午前中に引き続きまして、先ほどは日本の医療の最大の欠陥を中心に議論いたしましたが、その発展といたしまして、赤字の構造的な要因の大きな一つといたしまして薬価基準と実勢価格の問題があるわけであります。
 いま、バルクライン九〇という制度をとっているわけです。バルクライン九〇というのは、これはとり方としては非常におかしいのです。下から積み上げて九〇%のところで値段を決めるというのですから、政策といたしましても、これは非常に間違っておると私は思っています。これを五〇に引き下げるということで政策を組み立てるとするといろいろなことがあると思うのですが、バルクライン九〇を五〇にいたしますと、薬価基準にはどういう影響がありますか。
○八木政府委員 現在、薬価基準におきまして、薬価調査の結果、先生御指摘のように九〇%バルクラインに設定いたしまして薬価基準価格を決めているわけでございますけれども、この薬価調査の結果に基づきます集計なり、あるいは薬価基準の設定ということで個々の品目についてやるわけでございますので、九〇バルクのラインを引くということで価格をはじき出すだけでも大変な作業でございます。したがいまして、九〇%バルクで線を引いた数字が出るわけでございますので、五〇に引いた場合にどういう影響があるかということは現在やっておりません。
○大原(亨)委員 積み上げて九〇ですから、五〇にすると――実勢価格を調査するといいましても、九〇のところで線を引くなんという国は私はないと思うのですよ。皆保険の制度がある中で保険薬を採用する際に、その分野においてだけ規制を受けるのは何も自由取引に反することじゃないわけです。保険医とか保険薬の観点から一定の規制を加えることは当然あってしかるべきだ。残っているところでは自由に取引できるわけですから、営業もできるわけですから。
 そこで、九〇を五〇に引き下げてどのくらいの影響があるかということについて研究しておらぬのは、おかしいですよ。保険局長はなくても、中野局長、どうかな。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 私らの方は、先生御承知のように、薬価調査の場合には全国二千軒の卸の実際の取引価格を、卸の協力を得ましてその調査に当たるという職責を持っておるわけでございます。これに関しまして当方で収集いたしましたデータにつきましては、保険局の判断でそこに九〇%バルクラインの決定をするわけでございまして、原データについては全部保険局の側に移管されておりますので、私の方ではそういう判断はいたしかねます。
○大原(亨)委員 あなたが集めて調査するのですから、調査したら、そんなのは大体勘で普通わかるだろうと言うんだ。あなたは、いや、局長のところへと言う。いや、局長は、わかりません、こう言う。そうでなしに、わかるのですよ、何割くらい影響するかということは。つまり、私が健保懇の議事録とかなんか調べてみますと、やはりこの問題は、実勢価格に近づけるということは全部言っていますよ。それの一番いい決め手は、私は五〇%に下げることだと思うのです。
 そこで、五〇%に下げた場合に、五〇%以上のところで買っているところがあるわけですよ。そういう医療機関は、僻地にあったり小さいところだったりする場合もあるし、あるいはそうでもない場合もあるのです。政治価格で取引しているところなんかもあるわけですから。そこで、五〇%を超えるのをどうしたらいいかということを考えなければいかぬ。そうしないと実勢価格に近づかないのですよ。私は、それについては三つくらい意見を持っていますけれども、絶対にこうだと――文書に書いたことがあります。社会党の文書に。絶対にこうだと固執はしないけれども、三つくらい案はあるのです。つまり、よく医師と患者の信頼関係ということを言うのです。いつだったかテレビでやったときも、それは患者とお医者さんがやはり外に出せないような関係で癒着をしたり、信頼関係というものはないのですよ。やはり使ってある薬についてこれだけの信頼度があるということで、質においても量においても価格においてもあるということで初めて信頼関係があるのです。それが政策だと思うのですよ。だから、私が言う五〇%でできますよ。それは検討したことはありませんか。
○中野政府委員 この件は私からお答えするのは適当かどうか存じませんが、五〇%バルクラインというのは、その購入価格のうち半分は赤字購入になるという意味でございまして、これは実際問題としてどのようなことになるのか、そこら辺の御判断もあろうかと存じます。
○大原(亨)委員 あなたは保険局におったのだから、向こうに出たのだから両方知っているわけだ。大体知っていることになるんだが、言わないんだ。
 それで、五〇%を超えたのをどうするかということになると、五〇%を超えるというようなところは、医療機関は、員外調査すればいいのですよ。自分のところでやらぬで、一つは薬局でやればいいのです。分業すればいいのです。それで、処方せん料の一件について五百円だけ取ればいいのです。百円が五百円になったのですから。だれが考えたって常識なんですから。一つそういう手がある。それから、若干の資金をプールしておいて、それ以上超えたものについては差額を払っていくという制度がある。やっている、本当は。もう一つは、生産と販売については原則として自由ですけれども、薬価基準に登載する保険薬については、スウェーデンでちょっとそれに近いことをやっているわけですが、五、六年前からやっているんですが、保険薬の供給だけについては公団をつくるという案です。それで一手に買い入れるわけですから、薬価基準はないんです。そこの公団が原価と適正利潤を考えて、それで保険薬として採用するものを買い入れますから、ないわけです。薬価基準は要らない。一万数千の薬価基準は要らないんです。こういう方法があるわけですよ。そうしたら薬の議論はなくなってしまうのだ、薬害も非常に少なくなる、これは間違いない。そして技術料を評価する。そこで裸で評価してしまう。技術料の中へ潜在技術料として薬のさやを入れるという考えは、私は医者のプライドにかかわると思うのですよ。良心的なお医者さんは皆そう言うもの。しかし、集団として行動する場合には、制度としてはなかなか改革できない。そういう点がある。実勢価格に下げたら、これはあなたらの五・何%どころじゃないのだ、いまのやつをやったら。私はこれをぜひ検討してもらいたい。私も健保懇談会の、きょうの前後の経過を聞きました。事業主、日経連、あるいは支払側なんかの意見を聞きましたが、やはりそこまで突っ込んだ意見、ここは出ませんよ。実勢価格に近づけるという議論で集約するようですね。それをどうするかということは、やはり皆さん方が案をつくらなければいかぬ。
 これだったら、うんと違いますよ。自治体病院は三割五分ほど薬剤についてはさやがある、だから二割は薬価を切り下げることができる、こう言っているのです。それを技術に振り向けること、診療報酬を考えること、それから七二%条項についても考えること。やったらいいじゃないかと私立の病院のお医者さんに聞きますと、賛成だと言うのですよ、私立の病院のお医者さんは。病院は七二%に関係ないわけですから。診療所が関係あるのですからね。
 だから、この問題は、やはりそういうところできちっとけじめをつけると、今度は技術の評価をどうするかという議論で、内科とか小児科は非常にむずかしい点があるけれども、これもできるわけです。再診料で。ですから、やはりそこから改革を進めていかないと、本当の意味の、患者や国民と医療機関の信頼関係はない。もういまは疑心暗鬼です。この薬は飲んでもいいのだろうかと思っている。実際にそうですよ。調べてみたら四割は飲んでいない、いや五割だ、こういうふうに言っている。それで医療費が増大して、薬害がふえるというようなことを、黙って見過ごすことができますか。
 私は、実勢価格に近づけるという具体的な政策について、ぜひとも私が提案した中で、どれということを固執しないけれども、最もいいやつを選択して実行してもらいたい、こう思いますが、いかがでしょう。
○八木政府委員 先生御指摘のように、中医協等におきます議論におきましても、そもそも技術料というものを基本にすべきではないか、したがって、薬価のマージンというものが現実にあるわけでございますけれども、それを主体に考えるというのは当然おかしいから、実勢価格に当然引き下げるべきだという御議論はいただいているわけでございまして、これは皆さん、御議論のないところでございます。
 そういう意味におきまして、従来の薬価調査のやり方を一歩前進しまして銘柄別調査にするということによりまして、従来以上に実勢価格に近づくのではないかということで、今回銘柄別調査を実施し、近く薬価基準の改正を行うわけでございますが、確かに先生御指摘のように、一つの基本問題としましては九〇%のバルクの問題があるわけでございます。確かに、銘柄別を実施いたしましても、九〇%バルクということで線を引きますと、現実には九〇%以下のところで、いろいろな価格で医療機関が購入しているわけでございますから、やはりマージンがあるということは間違いない事実でございます。
 ただ、いままでの中医協におきます議論といたしまして、薬価基準のあるべき線をどこに求めるかということで、従来の御議論では、各側も含めまして、いろいろな御議論はございましたが、各側が一応同意したような考え方で九〇%バルクという線が出ているわけでございまして、考え方としましては、一〇%のところが現実には買えないじゃないかというような問題からそういう線も出ているわけでございまして、今後、中医協等におきます御議論を踏まえてこの問題に対処してまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
○大原(亨)委員 ぼくは、こういう低成長時代で、政策の時代になってきましたら、やはり思い切って政策を出して議論してもらうことが必要ですよ。肝心のことを言わないでおいて、議論しないでおいて、素通りをするから空回りをするのですよ。何回答申を出してもできぬですよ。私もずっと経過を聞いてみましたけれどもね。それを特別保険料と絡めて当分の間なんか言われたのでは、それはもう言葉の魔術だ、ごまかしだということになるんです。
 銘柄別の話が出ましたが、銘柄別に薬価基準に登載いたしますと、オリジナル、薬品名の原名で登載するのとでは、登載薬品の種類はどのくらいふえるのですか。
○八木政府委員 今回の銘柄別の結果、品目といたしましては、従来の七千品目から一万三千品目になります。
○大原(亨)委員 七千品目から一万三千品目になるわけです。二、七、十四だから倍ですね。それで、一万三千品目の薬というのは、一人の医師の処方せんを書く能力とはもう全然関係ないのですよ。
 そこで聞いてみるのですが、銘柄別というのは会社の薬品名を個々に挙げることですから、だから、同じビタミン剤でも抗生物質でもたくさんあるから、右へならえして、ぞろぞろメーカーとかインチキメーカーまでずっとみんな入っちゃうわけだ。そして一万三千品目になるわけです。インチキメーカーと言ったらいかぬから取り消しておくけれども、俗にぞろぞろメーカーと言われておる。そうすると、銘柄別になるといいことがあるのはあるのですよ。こういうことはできるのですか、できぬのですか。
 かつて、この委員会でも議論になったことがあるのですが、佐賀県で、ある会社のニクビタンというビタミン剤で、アリナミンと同じ黄色の錠剤の大衆薬があったわけですが、それをお医者さんが、これはある医師会の幹部でしたが、お医者さんがアリナミンとして請求いたしますと、二円で入ったものが十二、三円で薬価基準で登載されているはずですから、これはもうかるわけです。それで裁判が起きたですよ。これはインチキですからね。それこそインチキですよ、振りかえ請求と称して全然違った薬、ニクビタンという薬を、同じ色しておるから、これをアリナミンだといって使って請求したわけですから。これは、考えてみたら明らかに犯罪でしょう。ところが、医療の特殊事情ということがありまして、最後は長いこと執行猶予になったのです。執行猶予になった。その人は営業停止になったでしょうがね。営業停止か何か――営業停止というのは飲食店みたいだから、どう言うのか知らぬが、なったね。つまり、いま医療器械を売り込みをやりまして――現金問屋というのを知っていますか。都会は薬については現金問屋というのがありまして、現金を持っていきましたら、もう十分の一とか十五分の一でくれるわけですよ。それをどっかり買ってきまして、そして請求するわけですね。そういう請求するような方式、振りかえ請求とよく言いますが、そういうことは銘柄別になったらできませんか。やったらいけませんか。
○八木政府委員 従来の銘柄別の問題につきましては、同一限定品目につきましては同じ成分規格であれば同一価格でございますから、価格によりまして高いものもあるし安いものもあるということで、非常に安いものをやりましても、薬価基準で登載しておりますものはその価格ということでございますから、かなりマージンがあるということでございますけれども、今度はそれぞれの銘柄というものを設定するわけでございますから、その銘柄によってそれぞれ価格が違うということから、異なる銘柄のものを使って請求したということになりますと、これは一つの詐欺ということになると思います。
○大原(亨)委員 患者が薬をもらうときに、医療機関は、県立病院や国立病院に至るまで、錠剤の端っこに書いてある製造年月日とメーカーの名前を切るんですよ。耳と言いますが、耳を切るんです。どこの会社のものか、いつつくったものかわからぬようにして患者に飲ますわけです。飲ますと言うと語弊があるけれどもね。そうすると、銘柄別の薬価基準の登載にいたしましても、最後には、どの医薬品が使われているということについて明確にわからぬままで飲むということになります。つまり、現金問屋のもの夢買って飲ませてもいいということになります。ぞろぞろメーカーのものも、試薬品や添付薬をやって――とにかく千錠ほど買いましたら五千錠ぐらいくれるわけですから、そうすると一錠の値段はうんと安くなるわけです。ここに価格表があります。そんなことは時間がないから一々やらぬけれども、これはちゃんと書いてある一これをわしにくれた人の電話番号とか住所まで切ってある、耳に。つまり、そこまでいかなかったら、きちっと銘柄別で登載したということにならない。切るのは県立病院、国立病院も皆、切っているのですよ。そういうことは知っているのですか。それとも、これは医務局長、そういうことを知っていても、これは黙認をしておるのですか。これからも、銘柄別登載になっても黙認するのですか。
○佐分利政府委員 これまで医務局は特に医療機関に対して、医療機関の方から薬の内容を患者さんにお知らせするというようなことは指導、奨励したことはなかったと存じます。ただ、患者さんの方から求めがあった場合にはお知らせするということになっておりますが、特にガンの治療薬等、患者さんに薬の内容をお教えしない方がいいという場合もございますので、そういった場合にはケース・バイ・ケースで医師が判断して御指導するということにいたしております。
 ただ、ただいまの先生のお話では、すべての医療機関が錠剤等の銘柄を全部切り落として渡しているようなお話でございましたけれども、たとえばがんセンター等ではそのようにはいたしておりません。ただこれは抗がん剤などを除いて、一般薬についてはそのような取り扱いはいたしておりません。商標も銘柄もつけたままでお渡しいたしております。
○大原(亨)委員 それはがんセンターの話ですが、一般的にそういうふうになっておるわけです。そうすると、いまのような問題もあるわけですね。がんの薬ということがわかったら自分はがんだということになって――しかし、知らしていいということになれば知らしてやるわけですが、公開主義もあるでしょうから。いまは問題があるでしょう。しかし、一般的にこれは皆やるわけです。そうでないと、その次に行った医者――いまは医者のはしごをずっとやるわけですから、そのときに、どういう薬を使用しているということをそのお医者さんは知ったら、どういう処方せんを書くかということでは非常に参考になるわけです。それから、もらった人も、やはり薬というものに対して非常に関心が高まってくるわけです。関心が高まってきて、何というか、医師のことについて本当の意味で信頼関係ができると私は思う。
 だから、銘柄別に登載するのは、私はずっと前から賛成したわけです。反対の意見がありましたけれども、私は賛成です。ですけれども、そういうきちっと末端までというか、終始一貫した政策のなにがないと、やはり私は余り歩どまりはないような気がいたします。というのは、振りかえ請求も実際上できるんじゃないかということになります。振りかえ請求ができないようにするために銘柄別というのは意味があるのですよ。今度はやったならば、銘柄別の登載ですから、ごまかしたり振りかえ請求したならば、これは詐欺みたいになるわけです。だから、今度は医療機関も慎重になるということになります。そういう面ではメリットがあるわけです。だから、その問題についてこれから十分配慮をしてもらいたい。これはいろいろなケースがありますから、素人で断定的なことは言いません。これはぜひ注意をしてやる。
 それから、日本の医薬品メーカーは何社ありますか。厚生大臣が参りましたスウェーデン――スウェーデンは小さいから、西ドイツとかフランスとかイギリス等は、何社ぐらいメーカーがあるのですか。
○中野政府委員 ただいま数字は調べましてすぐ御返事いたしますが、日本の場合の特徴といたしましては、多数の大、中、小取りまぜたメーカーがございまして、これが先生、先ほど御指摘のような、独自の商品も持つかたわら、また、それぞれ互いにいわゆるぞろぞろ商品を持っておる。中小に至っては単に原末を購入いたしまして製剤、打錠だけを行うというふうなもの、その過当競争状態にあるというのが日本の特徴であろうかと存じます。
○大原(亨)委員 バルクという医薬品の原料を集めて、それをこね合わせて錠剤にして、名前をつけて薬価基準に登載するということをやれば、これは研究費も何も要らぬわけですよ。だから安く乱売できるのですよ。やはり医薬品の業界は景気がいいですから、食料品会社とか、あるいは他の工場で化学肥料をつくっている会社とか、皆やるわけですけれども、そういうことも問題一つあるのだ。また、大きなメーカーの価格のかなり利潤があるということも問題あるんですが、そういう独占価格よりも、日本は、ぞろぞろメーカーのような形において二千以上あるはずです。外国の十倍ぐらいあるのです。だから厚生省は、全然と言っていいほど目が届いていないのですよ。そういう形で開発費なんか使わないでぞろぞろメーカーがたくさんあって、それが流通過程に入ってくるものですから、目をさらのようにして医療機関がそれをあさるということになりますと、どういう問題が起きるかわからぬ。そういうメーカーが薬害問題等起こしましたらどういたしますか。これから銘柄で薬品が、名前が通って下に行くということになりますね。そうしたら、医療事故についてもかなり違ってきますよ、このとおり末端までやれば。それは医療機関が使った薬について責任を持つということですから、いいことです。そうするとりっぱなメーカーはそれで繁盛するということになるから、いいことです。ところが、ぞろぞろメーカーというのが日本にはある。それが競争流通過程に入って、流通を混乱さして暴利をむさぼっている。もう医薬品でそういうものには値段はない、こういうふうに言われている。それで、値段がないのに薬価基準がバルクライン九〇%でございますというようなことで、どうして厚生省はでっち上げるんだろうかと私は思うのです。
 私は、つまりこういうことだと思うんですよ。メーカーは、副作用の追求とか新薬の開発とかそういうものについて研究機関のないものは、普通の商売とは違うのですから、そういうものはメーカーとしては――あるいは輸入業者としてもそうですよ。日本は外国からでたらめに輸入しておいて、日本人をモルモットにし、試験台にして、日本でよく効いて、よく売れるんだと言って外国へ持って帰る。日本の製品は日本から出ていかないんだ。外国から入ってくる。輸入業者もそうです。そういう研究機関のないものはメーカーとしては許可しない。それは中小企業のメーカーの問題になったら、共同化の問題があるでしょう、合併の問題があるでしょう。それで、そういう条件があるものについて許可するというふうにいたしまして、これは二千が四、五百になったって、独占状況じゃないですから、競争できるわけですから、そこで正当な、国民の前でよく見える形で競争した方がいいんじゃないか。それが本当の意味におけるいい薬が繁盛するのではないか。いまは、医師の世界でも言われているのですが、メーカーの世界でも悪貨が良貨を駆逐しておる。グレシャムの法則が支配しておる。これは私は行政の問題だというふうに思うわけです。ですから、メーカーについて、あるいは輸入業者について、その許可条件をやはり洗い直す必要があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょう。
○中野政府委員 先ほどお答え漏らしました点でございますが、製造事業者数としては確かに二千を超えております。
 それで、先生のその御指摘の点でございますが、確かに研究開発能力及び、さらに薬害を仮に起こした場合の補償能力、それから医師に対する十分な薬品についてのインフォメーションを与え得る能力、このようなものが適正な製薬企業としてこれを育成すべきものであるという御意見は、全く同感でございます。今回の銘柄別薬価はそのために打った一つの手であるというふうにも評価できるかと存じます。
 ただ、研究開発機関を持たないものについて許可するなという御意見でございますけれども、たとえば一つの例を挙げますと、外資系などの場合に、たとえばスイスのバーゼルに膨大な研究機関を持っているけれども、日本国内につくりましたその日本会社の場合には研究機関を持たないというような例もございまして、一律にはさような取り扱いができるかどうか、そこは法律上の問題があろうかと存じます。
○大原(亨)委員 スイスや西ドイツの有名なチバとかガイギーとかいろいろなのがありますけれども、そういうふうなのでも、日本ではやはり保険薬や薬の流通のルートに乗せるのが、いまはかなり厳しくなりましたが、許可されるのが安易であるからというので、日本を市場といたしまして、ここで実績を持って人体実験をやるというのがある。それは技術が日本がおくれておる場合には、ある意味においては自由化しておいて、それで日本でそれを模倣いたしまして、今度はいいやつをつくっていけばいいんです。しかし、いまや日本はある程度の水準に来ておるわけですから、自前でやるべきだということで、私も五、六年前も主張いたしまして、商工委員会でも出て、ここでもやりましたが、特許制度を製法特許から物質特許に変える、模倣できないようにするということで、技術を尊重する体制をとろうということの議論をいたして、ずいぶんあちらこちらやったことがあります。
 つまり、薬というのは量を過ごしたら毒です。害ですから、決まっておるわけですから。ただし、毒を制して薬にするわけですから、普通の公害物質とかあるいは食品添加物とは違うわけです。そこで薬害の問題は、一つ特色があるわけでしょう、毒にも薬にもならぬ薬というのはないわけですから。それは水を飲ましても、これは薬だぞと言えば三割ぐらい効けるというふうな人がある。メリケン粉飲ましてもいいという人もあるが、それも確かに暗示にかける方法でしょうね。医学的の根拠があるでしょうが、私は医者でないからわからぬが、しかし、それにしてもやはり薬の扱いというものは、製造から輸入から全部を慎重にやるということでないと、薬害で日本の企業というのはつぶれてしまうですよ。これはメーカーだけの責任じゃないんです。行政の責任があるわけです。それで保険財政を破滅させるか、健康を破壊するということになりますよ。そのぞろぞろメーカーというのは、材料を集めてにせのものをつくっておけば、薬価基準登載できるんですから。そして銘柄別にいたしましたら、わあっと一万三千にふえたわけでしょう。そういう側面もあるわけですから、だから私は、それはもう少し規制をきちっとする必要があるのではないか。(「ぞろぞろなんていうのは名前が悪いよな」と呼ぶ者あり)あれは何というか、ぞろぞろというんじゃなしにパチメーカーと言う人もいる。まあ、品の悪いのは大体似たり寄ったりですが、私はそういう点は改正しなさいと言う。それをきちっとやりなさい。
○中野政府委員 先生御指摘の点は、一つは、先ほど先生も御指摘になりましたように、物質特許に切りかえたということによりまして、この物質特許制度の導入による先発メーカーのいわば保護育成ということが一つの道筋であろうかと存じます。
 それから、さらにまた別の問題といたしまして、ある新薬が市場に登場いたしましてから、いわばその新しい薬が使われ始めた場合に、どういう範囲に使うか、たとえば、非常に医学な的水準の高い病院等にのみ供給をして、これが開業医の手によってさらに拡散することを一応防ぎまして、その間に厳重なモニタリングをやるというふうな発想がございます。その間は、その同じ製品についての新規参入を許さないという措置もございます。これは現在、国内製品については三年でございますが、この三年という新発メーカーのいわばモニタリングに並行した、その先発権保護の期間をさらに延長すべきだという議論もございまして、また、そのような方法も、ひとつ先生の御指摘になったような問題の解決の一助になろうかと存じます。
○大原(亨)委員 大臣、これは一つの提案ですが、私がフランスに行ったときに薬務局長に会ったら、年齢が六十四、五ですよ。十何年、薬務局長をやっているというのです。日本はやはり事務官を薬務局長にしないで――中野さんはいいですよ。(笑声)事務官を薬務局長にしないで、やはり専門家を薬務局長にしたらどうですか。そうしたら薬務局長の責任と地位が上がりますよ。これは、そういう方面の改正をしているのです。メーカーでも議論しまして、薬剤師が重役におらなければならぬ、役員管理をやらなければいかぬことになった改正を、恐らく数年前にしたはずですよ。だから、薬務局長も、事務官は中野局長を最後にいたしまして、それで――大体、日本の薬剤師は責任感がないです。ぼくはそう思いますよ。やはり、もう少しプライドと責任を持たなければいけない。そういう意味で薬務局長を技官、専門家にすべきだ、こういう議論についていかがですか。
○渡辺国務大臣 一つの意見であります。私もそう思っているのです。思っておるのですが。いろいろ事情もございまして、やはり将来はそういう考え方は私は尊重をしてもいい、しかし、中野局長を最後というわけには、なかなかこれはいかない。(笑声)それから、確かに、長くその席に置いた方がいいという議論があります。したがって、この保険なんが非常に重要な問題なので、八木保険局長にはしばらくいてもらうつもりで、この間の人事異動にも、一番長いんだけれども動かさないという措置をとって、あなたの御趣旨のとおりのことをやっておるわけですから、御了承を願います。
○大原(亨)委員 それは八木局長がおるのとは関係ないですよ、私が言ったのは。あれは仕方がないからおるのであって、(笑声)行きがかりがあるからおるのであって、これはそんな積極的な意味はない、厚生省を防衛するためのものであって……。
 まあ、その話は別にいたしまして、薬務行政でたくさんあるのですけれども、そういう点はきちっとしてもらうということが一つ。それはなかなか出てこないです。この健保問題等の懇談会では。
 それから、これに関連して、薬害列島日本と、こう言うわけです。スモン病は世界一の大薬害です。こんなことはないわけですよ。それは若干のビールス説もありますけれども、しかし、キノホルムをやめたら減ったわけですから、因果関係については客観的には議論は尽きておると思うのだが、和解組と訴訟組があるわけですね。これを厚生大臣はどういうふうに――できるだけ早くやらなければいかぬですよ。膨大な補償費が要りますね。これはどういう考え方で処理されますか。
○渡辺国務大臣 この問題はいろいろ議論のあるところでございますが、私といたしましては、ともかく患者の救済を第一義として政治的な解決を図っていこうということで、和解のテーブルに着いて数カ月間、薬務局としてはこの問題に最大の努力を払ってきたところです。したがって、大体話も煮詰まってきつつありますから、まず和解に応じる方とは和解をしたい。当然、和解をするということになれば、それは裁判所も自分が提案をしているのですから、その他の方についても、これは裁判所の考えによりますが、私どもとしてはできるだけ多く和解のテーブルに着いてもらうように要請をするつもりでございます。
○大原(亨)委員 スモン病のようなそういう不名誉なことは、患者に迷感をかけることはなくさなければならぬわけですが、私はこの前議論したときも言ったのですが、やはり国の責任はもちろんあります。しかし、メーカーの責任もあります。一定の注意義務があるでしょう。しかし、医師も薬剤師も責任がある、第一線で扱った人も責任がある、かなりの病院へ偏っているわけですから。結局、過剰連続投与ということです。キノホルムの過剰連続投与ということですから。それを訴訟の便宜上、第一線の医師や薬剤師を入れていない場合が多いですけれども、しかし、行政はきちっと把握をして、そういう薬害がないようなきちっとした制度をつくらなければいかぬ。そうでないと、薬づけということをきらう人もあるけれども、間違いなしに日本の薬の生産量は世界第二だし、輸入もあるし輸出は少ないし、どこかで使っていることは間違いないわけですから。ですから私は、これからもそういうことを繰り返すということになれば、これはもう元も子もないということになるのではないか。そういう点で三者について明確な事後の処置をとるべきである。
 薬害補償についてのセクターをつくる、法律をつくるという案があるようですが、これについてどういうようにお考えですか。
○渡辺国務大臣 これはいま鋭意検討をしておるところでございます。
○大原(亨)委員 これは銘柄別のをやりましたら末端までいきますから、薬害問題について責任が明確になるという側面があるわけです。だから、あなたら非常に遠慮して発言をしないけれども、これは非常に重要な問題であるということを指摘しておきます。
 それから、きのう、老人について答申が出たわけです。老人問題は、日本の医療の赤字構造の基本的な問題です。薬の問題もあるけれども、老人医療の問題は、日本の医療の一番大きな課題であると一緒に、赤字の一つの大きな原因です。この答申を受けて政府は、これからどのような老人対策についての方向づけをしていくのか、お答えをいただきたい。
○渡辺国務大臣 きのう受けたばかりでございますから、早急にこの内容を再検討して、この趣旨に忠実にやっていきたい。この内容はもう新聞に出ておるとおりでありまして、ただ単に医療に偏ることなく、老人の病気の予防、つまり防止ですね、それから、どうしても病気になった者に対する治療。なお、先ほど御指摘があったように、病院にばかり寝かしておいていいわけではございませんから、どこの施設でやるか。いずれにしても老人のリハビリテーション、そういうことで社会復帰を一日も早くさせるということ。あるいは、病院というのは病気を治すところでございますから一ともかく老人になれば、必ずしも全部が健全というわけにはなかなかいかない、耳が遠くなったのを完全に治すわけにもいかないのと同じ話でございまして。しかし、そうかといって、毎日医者が介護してついていなければならないということでもないというような者に対する在宅看護ということも、当然にこれは考えられることでございます。病院と在宅の中間的なものも考えられるところでございます。在宅にすれば訪問看護をどうするか、ともかく老人の日常生活の指導やあるいはその回復の状況等を診るための医師や看護婦の派遣等をどうするかというような問題もあるわけです。したがって、そういうような問題を全部ひっくるめて、この答申の精神に従って対策を立ててまいりたい。それで、同時にこれは負担の問題が伴うわけですから、この負担をだれが、どういうふうな形で持っていくか。これはだれも年をとればいつかは老人になるわけですから、ですから国見の各界各層から公平な負担をしてもらうという形が一番いいのじゃないかということなど、この答申の内容に沿って具体的に詰めていくつもりであります。
○大原(亨)委員 これは政府あるいは外部、与党でもあったのですが、老人医療の一部有料化という問題については、かなりはっきりした意見を出しているようです。この老人医療の有料化については、そういう方法で医療費の増大をチェックすることを考えるのではなしに、現在の無料化した医療制度を中心にして、いまのような包括的な医療について多角的な政策を立てでいくことであるというふうに理解をしてよろしいか。有料化の見直し論というのはこれで政府から消えたというふうに考えてよろしいか。
○上村政府委員 きのういただきました意見書にもございますように、現行制度に何らの改善を加えないで一部の費用を負担させることとするのは現実的ではないというふうに述べられておるわけでございます。
○大原(亨)委員 大臣、お聞きのように、これは一部有料化によって医療費の圧力を弱めようというふうな考えをとらぬということになっているわけです。そういう政策ではなしに、もう少し老人の医療対策、老人福祉対策を一歩前進させるという形でこの問題は解決しなければならぬ、こういうふうに言っているわけですね。基本精神はそれでよろしいわけですね、大臣。
○渡辺国務大臣 それは老人の有料化だけをやってどうこうという話じゃありません。全体の問題は負担の問題と裏表でございますから、いま私が言ったように、ともかく老人の生活指導まで入れたような一貫した形の老人対策というものを確立していくのが一番いいということであります。どの部分からどういう負担をするかという問題については今後詰めていくことになります。
○大原(亨)委員 きょう午前中、私はちょっと例を挙げましたが、スウェーデン、西ドイツ等の老人病院のリハビリテーションを中心とした、薬を使わないで二週間くらいで脳卒中が話せるようになるとか動く、こういうようにリハビリテーションに力を入れることをやれば病院から離れる、社会復帰するわけですから、そういたしましたら一生、医療費を使うということはないわけです。それから、病院に入るべきかどうかということについての健康管理が徹底し、事前教育が徹底していけば、むだなことはないわけです。そうして社会が老人の受け入れ体制をとれば、老人というものは高齢化社会において社会的に一定の役割りを果たす、こういうことになるわけです。ですから、それらを総合して、やはりヨーロッパその他も、老人問題というのは一番大きな政治問題になっている、中期経済政策の基礎にもなっているというふうに考えてよろしいと私は思うわけです。ですから、単なる懇談会の答申に終わらせないで、私もあれを一通り見てみましたが、私はまだ議論の余地があると思うのですけれども、ともかくも一つのコンセンサスで老人医療対策というものを総合的に進めるんだ、こういう点を十分配慮してやってもらいたい。
 東京都内で、杉並区に社会福祉法人で浴風会病院というのがあるそうです。これは民間社会福祉法人で、百年の歴史を持っておる。リハビリテーションを非常に重点に取り上げているそうですね。これは御承知の人がありますか。局長で行ったみられた方がありますか。
○上村政府委員 私、まだ社会局長になりまして二カ月少々でございますので、浴風会の方には行っておりません。ただ、幾つかの養護老人ホーム等を見たことがあります。
○大原(亨)委員 その社会福祉法人の浴風会は、かなりのベッド数を持っているのですけれども、五億六千万円の赤字があるのですよ。これはリハビリテーションに非常に力を入れてやっているものですから、もうからぬわけです。そういうところに対してやはり診療報酬の点数制の問題もありますよ、配分の問題も。医療費をどういうふうに改定するのかという問題もあります。けれども、そういうところを官民を問わずやる必要があるのではないですか。そういう仕事ができるような体制を具体的にやる必要があるのではないかというふうに思います。
 それで、老人医療の問題については、たとえば東京都の都立病院なども、板橋に専門病院があるのですが、診療報酬の収入は経営の六七%しかないというわけです。これは、かなり徹底したサービスをやりましたならばそういうことになるわけです。そのことがかえって今度は医療費については、保険財政からいえば悪循環を繰り返さないで返ってくるのではないかということを、私は午前中から議論いたしましたから、時間の関係でその程度にとどめておきたいと思います。この懇談会の答申は、ぜひこれから政策の立案のときに、抽象的でなしに具体的に制度の確立をやってもらいたいというふうに希望しておきます。
 それから、具体的に、国民健康保険や政府管掌健康保険や一般の保険財政に老人医療はどのような圧力、どのような影響、赤字の原因になっているかということについて、どのように理解をしておられますか。
○八木政府委員 各医療保険の制度間におきましてかなりの財政力の格差があるわけでございますけれども、国民健康保険につきまして老人問題が一番大きな問題点になっているわけでございます。特に国民健康保険の場合には、被用者保険に比べまして、七十歳以上の老人の占める比率というのが非常に高いわけでございまして、現在、七十歳以上の老人の占める比率が七%程度になっているわけでございますけれども、医療費の面で見てまいりますと、二五%を超える医療というものが国民健康保険の財政の中で占めているわけでございまして、七%の老人で二五%の費用を占めているという面から、国民健康保険の財政悪化の一つの大きな要因であるという点については間違いないわけでございます。
○大原(亨)委員 老人医療の中で公費負担のウェートはどういうふうになっておりますか。
○上村政府委員 五十二年度の予算額に即して申し上げますと、老人関係の医療費の総額は一兆三千三百十七億でございます。この中で保険者負担部分が七四%、それから公費負担分が二五・三八%でございます。この保険者負担分の中で国庫負担分がございます。それから公費負担分というのは、国と都道府県、市町村が負担いたしますので、そういった公費負担分の国庫負担額と保険者負担分の国庫負担額を合計いたしますと、五十二年度予算では老人医療費の四五・五七%というのが国庫負担額になる、こういう計算になります。
○大原(亨)委員 それで、老人医療やその他の総合医療対策の財源問題について、答申は一つ出しているわけです。財源の問題は議論していたら切りがありませんが、それについてはどういう点がいままでと変わった点か、ひとつ御説明ください。
○上村政府委員 老人保健医療対策の財源として、とにかく人口構造が老齢化しますから、今後ますますこれに要する費用がふえてくる、そこで全国民がひとしく老人を扶養するという立場に立った公平な負担が必要であるという前提に立ちまして、幾つかの考え方を並べて検討してまいったわけでございます。
 一つは、現行のまま医療保険の財政調整で対処する方式と、それから老人を対象とする新しい制度を創設して、その費用全額を公費で賄うなり、一部を公費で負担した上、残りを年金給付費なり医療保険各制度からの拠出なり、あるいは住民や事業主の拠出で賄う方式が考えられるというふうにいたしましたあと、それぞれの案について問題になるべきところを述べ、最後に、住民や事業主が拠出するという案は、従来の制度に例を見ない財政方式である、したがって国民の十分な理解を得る必要があるけれども、今後の負担の増大に対処する方式としては具体的に検討に値すると考えられるということで、これにしなさいとまでは言い切った意見書ではございませんけれども、検討に値する案としていま申し上げましたような案が示されておるというふうに私ども理解いたしております。
○大原(亨)委員 老人の医療というのは、自分が保険料を出して、そして事故があったときに医療を受ける、そういうことには本来なじまぬ問題ですね。保険にはなじまぬ問題です。元気な者がお互いに保険料を出し合って、そうして助け合うというのが保険の原則でしょう。ですから、元気なときには余り保険にかからぬでおいて、職場をやめて、その保険から出て国民健康保険に入ったら金がたくさんかかる、こういうことですから、だから国民健康保険とか家族の給付の方にしわが寄るということになるわけです。ですから、そこをどうするかということについてきちっとしないと、それを基礎にしておいて総合政策を立てていくということをやらないと、老人対策というものは悪循環をして、あるいは不徹底に終わってしまうというように思います。ですから、財源を保険の財政だけではなしに、これはどこから金を取っても同じですけれども、そういう点で保険財政から取っていくという形は改善するということの原則の上に立って政策を立てるべきではないか。そのことによりましては保険財政の赤字問題というものは非常に大きな影響を及ぼすと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 私は先ほど、国民の各界、各層から公平な負担をいただきたいと思っておるという表現を言っておりますが、いまの意見は大変有力な意見だと思います。
○大原(亨)委員 これから少しややこしい問題ですが、領収書の問題です。医療機関で治療を受けまして払った金の領収書は当然、出すようにする、もらうようにする、こういうことは、たとえば所得税における医療費控除の問題があるわけです。これは、厚生大臣は大蔵関係におられてよく知っておられると思うのですが、医療控除の問題がある。それで、標準家族で五万円から二百万円までの間は、医療費の領収書があれば控除になるわけですね。しかし、二百万円で切っておるというのは、私はおかしいと思う。大蔵省の役人や大蔵関係の頭がどうかしていると思うのです。上を切るなんということは、私は実際はおかしいと思う。しかし、いずれにしても医療費控除の制度があるわけですから、これは心臓が強い弱いにかかわらず領収書が発給されるような措置をとることが、医療機関の社会的な責任であるし、国の監督上の責任であると私は思いますが、いかがでしょう。
○佐分利政府委員 医療機関における領収書の発給につきましても、一般領収書の発給と同じように民法の定めがございまして、利用者あるいは患者から求めがあれば医療機関あるいは他の営業者は領収書を発行することになっております。したがって、そういった民法の原則に従いまして当事者同士でお話し合いをいただけば結構なことではないかと考えております。
○大原(亨)委員 非常にスムーズなような話ですが、当事者同士で話をしなさいと言っても、医師と患者の立場というものが必ずしも平等ではないわけですよ。普通の商行為とは違った特異性のある民法上の行為です。だから、そういうことをする方が、患者が医療について関心を持つようになるのですよ。いま参加の問題がよく言われる。民主主義とか参加の問題があるのですが、そこで自分の健康を考えるということになる。そういう筋道を大切にするという意味で、これをもって何かしょうというふうな意図ではなしに、そういうことをやることが当然のことであって、当然のことを当然としてやるように、そういう制度をつくるということが必要であって、双方で話し合ってください、請求があって出さなかったら民法違反になります。こういう議論だけでは私は足りないと思うのです。この答弁は一歩進めてもらわなければいけない。医務局長、答弁できますか。できなかったら、厚生大臣。
○佐分利政府委員 先ほども、医療機関が支給いたします薬の内容のときにも申し上げましたけれども、これも同じような問題でございまして、現在、医療機関は、患者さんの方から求めがあれば領収書を発給していると思うのでございます。ただ、その場合に、病気の種類によっては、その領収書の内容を余り詳しく書くことが医療担当上好ましくないというような場合もあろうかと思うのでございますけれども、私の存じております医療機関においては、患者さんから領収書の求めがあれば全部領収書を発給しておるように考えております。
○大原(亨)委員 だから、それは医師会等にも連絡してもらいたいと思うわけですけれども、大きな病院等ではきちっとそういうシステムが機械的にできておるわけです。そうしたら患者の方は、何も遠慮しないで、さっともらって処理できるわけです。しかし、小さい、と言っては語弊があるのですが、開業医やその他においては、親しいということもあるし、言えないということもあるし、お医者さんと患者の関係があるのですから、そういう点はきちっとこうすべきものだということを決めなければ、それはもらう方も出す方も気まずい思いがいたしますね。だから、双方に任すというようなことはいけないと私は思うのです。いま、少し、二%ぐらい進歩した答弁でしたが、ほとんど進歩をしていないですよ。それは双方に任せます。欲しかったら請求しなさい、そういうことではないわけです。内容については親切な方がよろしい。よろしいけれども、それぞれの事情があるだろうから、そういう除外例を設ければよろしい。そういうことで、これは一定のルールをきちっとしてもらうということがぜひ必要ですよ。そういうことになれば、医師の方もそういう手続をするということで、やはり十分治療について関心を持つということになります。あるところでは、領収書を請求したら金額ががたっと減ったという話もありますけれどもね。しかし、それは別にしまして、その方が本当の信頼関係だと思うのですよ。その上に立った信頼関係をつくる。もう少し進歩させてくださいよ。領収書を発行するということは民法上当然のことですから、個別行為において請求がある、ないにかかわらず、そういうことですから、その問題についてはきちっと処理するということで方針を御答弁いただきたい。
○渡辺国務大臣 私は、金をもらったら領収書を出すのはあたりまえだと思います。そんなことは常識ですよ。だから民法でも、請求がある場合は領収書を出すということになっておるのですから。私はこの席ではっきり申し上げますが、患者の方も、必要な領収書は遠慮なく、領収書をいただきたいということで御請求を願いたい。遠慮することは何もないわけです。また、領収書を要らない人もあるわけですよ。私、ちょっと忘れましたが、少しの金額の場合は、ある一定の限度までは控除にならないと思いましたね、相沢君がここにいればすぐわかるのですが。だから、要らないものまで医者が全部出すというのじゃなくて、必要な領収書は発行する。ですから、それは要求があって必要なものは発行するというように――一番皆さんの欲しがるのは税金の控除の関係でしょう、一番の問題は。ですから、私はそこらのところがいいのじゃないかという……(「そのぐらいのことをやってくれるのはあたりまえの話じゃないか」と呼ぶ者あり)ですから、要求があれば発行する。民法で、請求があった場合は出すということが決まっているわけですよ。それは法律で決まっているわけですから、法律で決まっていることを決まったようにやってもらいたいということを私は考えているわけです。ですから今後も、やはり税金の対策上、控除が必要なんだから出してくれという場合は(「医者と患者の関係はそんなものじゃない」と呼ぶ者あり)私はそんなものじゃないと思いますがね。やはり金を払うのですから、払って領収書を書いてくださいということを、何でもないことですから、やはり言っていただく。そういう社会の習慣をつけていだだくことが先決問題じゃないか、そう私は思っております。
○大原(亨)委員 初めのころばかなりよかったのですが、だんだんとダウンしてきた。それはいけない。現金を支払ってもらったら領収書を書くのは当然でしょう。この理由に基づいて領収しましたということがわかるようにやることは当然でしょう、それを民法は規定しているわけですから。だから、これを制度として考える場合には、医療機関と患者との間である場合においては、現金を受け取ったならば領収書を出す。そうしたら税金にも使えるし、自分の経営の経費に落とすこともできるわけです。ですから、それは普通のことをここできちっとやろうじゃないですか。その取り決めをお互いにしようということで、医療機関に対する政府の方針もそういうふうにしましょう、いたします。こういうことでいいわけですよ。それはチェックの機能だけを非常に神経質に言う人がありますが、確かにこれは非常に心理的に大きいですよ。大きいが、そのことによって、患者も医療について関心を持つし、医師も医療について責任を持つということになるのです。これが民主主義ではないかと言うんです。これが本当の信頼関係だと私は思うのですよ。だから、いままでのことを一歩進める方法はないか。法律論は最低論ですから、その最低論を制度としてやる方法はないか。
○渡辺国務大臣 民法の規定どおり、必要なものは御請求をいただく。だから、口で言うのはちょっと心理的圧力がかかるというのなら、領収書をくださいと紙に書いて窓口へ出せばいいわけなんですから。法律が、そういうようなことで必要なものについては発行することになっているわけですから。皆さんの言うのは義務づけろというお話だと思いますが、それは三百円でも百円でも幾らでも、ともかく百円でも金を払った場合は全部窓口で義務づけて出させろ、そういうことは、いま保険の医者のレセプトの事務が非常に大変だから、必要のない領収書までもこちらからどんどん出すというのじゃなくて、必要のあるものは出させるようにします。こういうことを私は言っているのです。いままではなかなか、領収書を出してくれと言っても出してくれない。五十万円も取られたのに領収書をくれなかったというようなことがあるようですから、そういうことはなくするように行政指導をいたしましょう。一歩も二歩も、五歩も十歩もこれは前進ですよ。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)いやいや、そういうふうに努力をして行政指導をしますと言っているわけですから。(「あたりまえのことじゃないか」と呼ぶ者あり)ですから、法律だけのことは、請求があればいたしますと……(「請求がなくても出すのが常識なんだ」と呼ぶ者あり)ですから、五十円、百円のものでも、患者がたくさん来たときに診察をしながら全部領収書を書いて、中身を書いて、それが使われないということについては負担が非常に過重になるから、実際実務上必要なものについては出させましょう、出しましょう、こういうことでひとつ御了解いただきたいのですがね。
○大原(亨)委員 税金の控除の対象になる医療費というのは何ですか。差額ベッドや付き添いも入っていますか。大蔵省の人がいないからね。呼ばなかったのは私も悪かったが、知らない者も知らぬのはけしからぬけれども、付き添いとか差額ベッドも、領収書をとりましたら税金の控除の対象になるのです。ですから医療機関が、患者が払ったものについてはすべて領収書を出すということにしておけばいいのですよ。これは一カ月なら一カ月まとめてやるのですか。まとめて出すことができますか。
○佐分利政府委員 確定申告の時期にまとめて提出するものと考えております。
○大原(亨)委員 それは患者の方でしょう。医療機関が領収書を発行するのは、まず初診料、それから自己負担分が幾ら、付き添いや差額ベッドが幾ら、そういう医療機関が領収したもの、あるいは付添婦等がどうなっておるかわからぬが、そういった金を払ったもの、そういうものは医療控除の対象になるわけです。ですから、これを最低線にして、現金を払ったならば領収書を出す、こういうふうにきちっとしなさい、すべきである、こういうことをやれば何にも問題はない。それで、もらったら、それは全部患者の役に立つわけですから、利用できるわけです一会社にしたら経費を落とすのですから。これはひとつきちっとやってくださいよ。こんなことぐらいはやらないと前進はないですよ。
○渡辺国務大臣 大蔵省でないからあるいは正確なことでないかもわかりませんが、私の記憶によりますと、医療費控除は全部控除するわけじゃなくて、その人、人によってみんな違うわけですよ。所得の最低が五%だと思いました。それか、あるいは五万円か、いずれかの金額以上のもの、こういうようなことになっておると思います。したがって、領収書をもらいましてもただもらったというだけで、それは気分的にはいいかもしれませんが、必要のない場合もあるわけですよ。ですから、必要のあるものについては請求したらば出すということであって、必要のない領収書を、本人が要らないというものまで、ともかく何でも全部出すのだというふうに医者に義務づけてやれと言うからには、これは何か特別な法律でもつくらなければできない話です。ですから私は、必要なものは出させるように指導をいたします。こう言っているんですから、必要のないものまで出させるように命令しろと言われましても、これは少し無理なんですよ。必要なものは出させるように指導をいたします。こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
○大原(亨)委員 それでは、具体的にはどういうふうにして徹底しますか。
○渡辺国務大臣 それは日本医師会、歯科医師会、あるいは国立、公立病院、こういうところに対しまして、民法上のそのような規定もございますから、患者から必要があって要求されたものについては領収書を発行するように御指導をお願いいたしたい、こういうことを通達したいと思います。
○大原(亨)委員 保険制度の問題についてやろうと思ったのですけれども、時間の関係でやりませんが、老人医療をどうするかという問題は保険制度に関係ある問題ですから、この問題を議論してもらう。その中で、年金もそうなんですけれども、五人未満と日雇いをどうするかという問題があるのです。これは非常に大きな問題です。外国ではそういう点は、自営業者と労働者をきちっと整理しているわけですけれども、日本では整理してない、零細が多い、二重構造になっていますから。
 そこで、これはちょっと落ちておるので私は質問いたしますが、五人未満の事業所の労働者と日雇い保険を、これから制度の中ではどういうふうに整理していくのか。老人医療の問題の議論の中では、社会保障制度審議会の議論では被用者年金と自営業者の年金ということを言っています。私どもも当面はそういうことを考えています。そこで、五人未満と日雇いをどういうふうに整理するのかという点を答えてください。
○八木政府委員 五人未満事業所の適用拡大の問題、同じ被用者保険でありながら国保に行っているということで、できるだけ被用者保険の適用の拡大という方向で進めるべきではないかということで、社会保険審議会でも現在御議論されておるところでございますけれども、現実には、社会保険庁の方におきまして五人未満事業所の適用拡大ということで、事業の運営の面で拡大の措置をとっているところであります。基本的なあり方につきまして、制度の根幹に触れる問題でありますけれども、方向としましては五人未満事業所の適用拡大ということを考えるべきではないか。
 それから、日雇い労働者の健康保険の問題、この問題につきましても、現在、相当の巨額な赤字を抱えておるわけでございますけれども、来年以降におきます制度の基本的な見直しの際に、日雇い健康保険の制度をどうするかということも一つの大きなテーマになっておるわけでございます。社会保険審議会の中におきましても月雇い労働者の問題につきましての特別部会がございまして、ここでいろいろ御議論がされております。現在、社会保険審議会の中で、労働側には、政府管掌の中に日雇い健康保険の問題も取り込むというのも一つの考え方ではあるという御意見もいろいろ出ておるところでございまして、全体の問題との一環におきまして日雇い労働者の問題も真剣に取り組んでいかなければならないと考えております。
○大原(亨)委員 日雇い健保の赤字ですよね、その際に赤字を政管健保の中に入れるということになると思うのですが、私はそういう方向で議論が進むべきであると思うし、進んでいると思いますが、日雇い健保の赤字は特殊事情があるわけですが、その問題はどういうふうに処理いたしますか。
○八木政府委員 日雇い健康保険につきまして巨額な赤字を抱えておるわけでございます。この赤字の処理をどうするかという問題と、それから単年度におきましても、現在、保険料収入に対しまして給付費の方がはるかに大きい、ある意味では保険制度としても三割五分の国庫補助がございますけれども、それでもなかなか成り立っていかないということになってまいりますと、日雇い健康保険につきまして、制度改善等も被用者保険と比べておくれているというような問題もございますけれども、負担の方も保険料の方も従来から引き上げておらないということで、費用のあり方なり負担との問題も絡むということでございますので、日雇い労働者の問題につきましてはさらに突っ込んだ議論をするということで、現在、全体の社会保険審議会におきます来年度の基本的な見直しの方向が固まった上で、これとの一環で議論しようということで、まだ、どういうふうに処理するかというところまでは結論が出ておらない段階でございます。
    〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
○大原(亨)委員 次には、今度、診療報酬の改定をやるわけですね。その中で保険外負担ですね、一番問題となっている。差額ベッド、この問題はどういうふうに処置いたしますか。
○八木政府委員 私ども、皆保険であり、医療保険によって必要な医療を確保するという点から見ました場合に、保険外負担があるというために医療の機会が妨げられるということがあってはならない、何のための医療保険制度だということから、保険外負担の問題につきましては私どもも大きな問題として考えておるわけでございます。
 保険外負担の代表的な例としましては、差額ベッドの問題、付添看護の問題があるわけでございます。さらに歯科差額の問題という、三つがあると思いますけれども、差額ベッドの問題につきましては、一つは、個室なり差額ベッドが必要であるという患者の方のニードもあるわけでございます。それから、ある意味では必要であるということで、差額ベッドを全部廃止することは考えておりません。一定の基準の一定のものはやはり差額ベッドというものは必要であろう。しかし、差額ベッドを希望しない方が差額ベッドに入らねばいかぬということがあってはならないということから、そういう方に対する保険外負担、特に大部屋等につきまして差額ベッドを負担するということは一つの問題じゃないか。そういうことで、従来から、差額ベッドにつきましては一定の基準なりあるいは一定の割合、たとえば国立病院につきましては一割、それ以外の病院については二割というような指導基準で指導しているわけでございますけれども、逐年改善はしておりますが、現実問題としてはそういうような御不満の声もある。しかし、その際にやはりベッドにおきまして、診療報酬の中で部屋代が安いじゃないか、医療機関の経営が成り立たないという御議論もあるわけでございますので、私ども、今後差額ベッドの問題に取り組む際に、指導の面を強化するにいたしましても、診療報酬の中でこの問題をある程度考える必要があるんじゃないかというふうに考えております。
 それから、付き添いの問題でございますけれども、これは基準病院につきましては付き添いを置かないというのが原則でございますし、基準看護病院以外においては保険の方から看護料を支払っている。現実に基準看護病院で付き添いがあるという状態は好ましくないわけでございまして、基準看護病院では付き添いは要らない。それから、基準看護病院以外のところでは看護料を支払っておりますけれども、看護料が現実の価格と違うという点につきましては、できるだけ近づける。いずれにいたしましても付添看護の問題につきましても、診療報酬の中で看護料なりあるいはICUとかCCUとかいろいろな特別な面で考えてないという問題もありますし、あるいは現在の看護婦の絶対数が足りないという非常にむずかしい問題もあるわけでございまして、付添看護の問題は差額ベッドより、マンパワーの問題あるいは現在の基準看護の看護体制の問題とかいろいろな面に触れて非常にむずかしい問題ではございますけれども、診療報酬の改定の際にこの問題も一つの大きな問題ではあるというふうに考えております。
 それから、歯科差額の問題につきましては、昨年の中医協の答申もございまして、この問題をどういうふうに解決するかということで歯科医師会とも話し合いを進めておったところでございますけれども、基本的にはできるだけ保険に入れるものは保険に取り入れていくというような原則が確立し、ただし一挙にこれを実現するというのはなかなかむずかしいというようなことから、三年計画ぐらいで段階的にこの問題を解消しようというような方向で取り組んでおるところでございまして、基本的には私ども、皆保険であるということがら、保険外の負担ということで必要な医療が受けられないということがあってはならないという方向で、この問題を逐次解決してまいりたいと考えております。
○大原(亨)委員 時間をはしょりますが、差額ベッドの実態について厚生省は把握していないのではないかという点です。厚生省の資料は、把握しておっても非常に低目に見ている。どういう調査の方法をとっているわけですか。実態を把握していますか。
○八木政府委員 差額ベッドの問題につきましては、私ども、指導基準をつくりまして各県に指導をお願いしているわけでございますけれども、差額ベッドの現実がどうなっているかというようなことから、毎年一回その実情を調査いたしまして報告をとっているわけでございますけれども、四十九年の六月一日現在においては一九・二%、五十年七月一日現在においては一八・三%、五十一年七月一日現在においては一八%ということで、非常におしかりを受けるかもしれませんけれども、逐次改善はしつつあるというようなことでございます。なお、この中で一番問題が多いのは、国立病院の場合でまいりますと五・四%程度でございますが、一番差額ベッドが多いのは、国立、公立その他の医療機関、医療法人というような各経営主体別に分類しておりますけれども、その他の法人ということで、これは私立大学の付属病院が一番多いわけでございますが、ここが二七・八%ということで、一番問題の多いのは私立大学の付属病院であるというふうに考えております。
○大原(亨)委員 たとえば、私立大学で順天堂病院というのは、約九七%の差額を取っているわけですね。一日当たり三千円から最高四万円。四万円ですから、一カ月間で百二十万円。東京女子医大は九七%差額ベッドを取っておって、一日当たり五百円から最高三万円。ずっと、こういうふうになっていますね。だから、二七%というのは、実態を把握していないような気がする。
 それからもう一つは、パーセントを把握しても、金額についての資料はありますか。金額は、一日、大体どのくらい取っているのか。
○八木政府委員 金額につきましても、私ども一応の調査をしておりまして、最低百円以下から最高三万円以上までの金額の階級別の状況というものを調査しております。この中で最も多いのが五百円から千円の二五%、それから千円から二千円の二二%、それから三百円から五百円の一三・八%というのが多い数字でございます。
○大原(亨)委員 それはちょっと普通の常識とは違うのですけれども、つまり、差額ベッドの場合に金額の把握の仕方をどういうふうにしているのかと私は思うのですけれども、差額ベッドのかなり詳細な資料がここにあるのですが、これを解消する場合に――一千円程度のものが二五%、こうお答えの中でなっていましたね。たとえば室料が八百円というのは安いわけですよ。そうすると六人部屋でも十人部屋でも皆、取っちゃうわけですね。だから、室料を医療改定の際にはかなり上げなければならぬ。国民休暇村やいろいろなのとよく比較いたしますが、しかし、これをやはりかなり上げなければならぬと思うのですよ。そして規制を強化しなければならぬと思うわけですね。その点についていかがですか。
○八木政府委員 確かに差額ベッドの問題につきまして、中医協でも御論議いただいたわけでございますけれども、そもそも差額ベッドをなぜ取っているんだというような点につきましていろいろ議論があったわけでございますが、一つは、医療機関の経営の問題というようなことから、不採算医療の補てんを差額ベッドで考えているというような面もございます。これは、たとえばICUとかCCUというようなところにつきましては特別に見てないとか、あるいは救急とか、それから特に私立大学付属病院等で考えられますのは、研究なり教育の面というものがあるので、そういう面をカバーしている、あるいは付き添いを置かないためにやっているんだというようなところもございますし、あるいは構造設備の面でバス、トイレがあるとか、電話があるとか、部屋が広いとか、冷暖房、ガス、水道が完備しているとか、冷蔵庫があるとか、ロッカーがあるとかいうような施設、構造設備があるというような面もあると思います。
 それから、患者の希望がある。それから、非常に細かい問題といたしまして、南向きのベッドと北向きのベッドということで、患者さんの方からむしろ同じ病院に入っておって不公平じゃないかというような御議論もありますし、旧館と新館との違いというようなことで、いろいろな原因があろうと思います。
 そこで、患者さんの希望であるというような問題も、かなり差額ベッドという面であるわけでございますけれども、先生御指摘のように、いまの室料が八百円ということはやはり一つの問題じゃないかというようなことから、今後の診療報酬の改定の際にこの問題はひとつ解決すべき問題であるというふうな問題意識を私どもは持っております。
○大原(亨)委員 もう一つ、これは議論になっているから、ひとつ議論しておかなくてはいかぬと思うのですが、支払い基金の問題ですね。支払い基金は、一人平均一日どのくらい審査しているのですか。
○八木政府委員 ちょっと手元に正確な資料はございませんけれども、二千枚程度ではないかというふうに思います。
○大原(亨)委員 この審査の委員について議論がいつもあるのですが、審査委員はやはり独自の審査委員を雇う、こういうことで、これがきちっと実質的な審査ができるようにしなければならぬ。その審査のそういう状況については、現状を改善する余地があるかないか、どういう意見をお持ちか、ひとつお聞かせいただきたい。
○八木政府委員 医療費が非常に増加しておりますし、件数も増加しているということから、支払い基金におきます的確な審査というのは非常に大きな役割りを果たしているというふうに思うわけでございまして、私どもも、審査の効率化と適正化ということば一つの大きな課題であるというふうに思っているわけでございます。非常に業務量も膨大であるわけでございまして、そういう意味で支払い基金におきます機械化計画というものも進めているわけでございます。
 それから、審査委員につきましては、これはお医者さんにお願いしなければいけないわけでございますけれども、昨年の健康保険法の改正におきまして、審査委員の定数というのが決まっておったわけでございますけれども、これも実情に応じまして増員できるというような措置を講じたところでございます。
 いずれにしましても大きな問題であるわけでございまして、審査事務の機械化なりあるいは効率化なり適正化という問題については、考えていかなければならない問題であるというふうに思っております。
○大原(亨)委員 審査する場合に、国民健康保険の場合は国民健康保険連合会が仕事を分担してやっておるわけでしょう。それから政府管掌や組合管掌は、支払い基金を通じて審査するのと、組合管掌は組合自体でまたもう一回審査するということがあるわけですね。違いますか。
○八木政府委員 審査につきましては、御指摘のとおり、国保につきましては連合会、それから政管健保、組合につきましては支払い基金で審査、支払いをしているわけでございますけれども、その後、これは政管、組合を通じまして、独自のまたレセプトが戻ってまいりましたときの審査等も行っているところでございます。
○大原(亨)委員 これからこういう問題に入ります。医療供給の問題ですが、きょうは文部大臣の出席を求めたいと思っていたのです。文部大臣と厚生大臣並んでもらって質問したかったんですが、私立医大の問題を中心に、官立医大もそうですが、たとえば大阪の阪大なども不正入学の問題があった。あのころからずっとこの問題は起きている。
 私は、私立の医大ですね、つまり医学教育の端的な荒廃の問題です。もちろん、国公立の教育研究体制に致命的な欠陥があることはずっと言われてきたのです。研究費の問題で。それから私立の医科大学の認可と、認可されたものに対する補助の問題があるわけです。これは普通の文部行政の中の私立医大とかあるいは医学教育に対する考え方とはまた違った医療政策上の考え方が必要です。ですから、私立医大の不正入学やその他、五百点満点で三十点の者が五千七百万円も寄付をして入るというこういうふうなことは、これは医療の荒廃と教育の荒廃の接点だ。学歴社会の問題もありますし、これは医療の荒廃の接点です。だから、医学教育をきちっとしないと医療のモラルは確立しないと私は思うのです。
 教育と、それともう一つは、公私を問わず研究体制について十分な、これは金が要るわけですが、長期の系統的な研究が要る、事人命にかかわるのですから。そういう問題も含めまして、メーカー等に研究体制が従属しないようにきちっと研究費も確保するということは、公私の大学を問わず必要なことです。
 問題は、四十五年以降、私どもは反対したわけですけれども、私立医大がずっと出てきました。そしていま大問題になっておるわけですが、これは文部省を通じて、文部大臣が議論をすることも必要ですが、改革意見を持つことも必要ですが、厚生大臣、厚生省が、医療を本当の意味で改革するという観点に立ってこの問題について発言することが必要だというふうに思うのです。このような医学教育や医学研究体制についてどのようにすべきかということを厚生省は十分議論をして、そしてはっきりと制度上の物が言えるようなそういう仕組みにしないと、文部省だけでこの問題の処理はできないというふうに思います。その点を厚生大臣がしっかりした見識を持って発言をすべきではないかと私は思います。いかがでしょう。
○佐分利政府委員 医学教育の問題は、ただいま大原委員御指摘のとおり、国の非常に大きな問題でございます。また、文部省と厚生省とが力を合わせて改善向上に努力をしなければならない問題でございます。したがいまして、歴代厚生大臣もこの問題について文部大臣とお話し合いになっておりましたし、たとえば私も文部省の審議会に入っております。また、関連する厚生省の審議会には文部省の大学局長が入っております。
 そこで、私学の問題も、大きく分けますと教育の問題と研究の問題と高度の診療の問題、これは病院の問題ということになろうかと思いますが、まず教育につきましては、卒前教育は私どももアドバイスをしたり御相談を受けたりしながらいろいろ改善に努めているところでございますが、医師の国家試験以後、卒後の二年の臨床研修は、これは厚生省の所管でございます。したがって、その実施方法等については、むしろこちらが文部省と相談しながら改善に努めておりますし、また、卒後の研修には厚生省が補助金を出しております。いま一人当たり年間約八十五万円の補助金を出しております。
 次に、研究の問題でございますが、これも基礎的な研究は文部省の科学研究費でお手当てをしておりますけれども、厚生省といたしましても、臨床応用研究については、たとえばがん研究助成金だとかあるいは特定疾患の研究助成金とか、こういったものをできるだけ私学の方にも配分するようにいたしております。
 また、高度の診療と申しますか、病院のあり方ということになりますと、教育面のほかに一般診療の問題も強く出てまいりますので、そういった点については厚生省も大いに意見を申し上げ、また指導もしておるところでございますし、また、私学の付属病院の建設とか拡充については、私どもの方の医療金融公庫が一定の枠をもちまして長期低利の融資を行うということをやっております。
 しかしながら、御指摘のようにいろいろと問題がございますので、現在、厚生省と文部省とまた私立医科大学協会三者で、一体これをどういうふうにするかという検討を始めたところでございます。
    〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
○大原(亨)委員 改革するといいましても、医学部に入学するときに一千万、二千万以上入学金を公然と取るというのですね。しかし、これはやはり普通の常識じゃないわけですよ。それに対して、取らなければどうしてくれますかと言って私立医大の経営者は開き直っておりますけれども、しかし、そういうことはおかしいのであって、大体、設立するときに間違っている。たとえばアメリカなんかだったら、私立医大等をつくる場合には相続の財産等で、税法上の特例もあるでしょうが、がっちり財団を設立しておいてやっていくわけですけれども、日本では、ブローカーが見せ金をつくってやるわけでしょう。だから、一たん設立したものは、もう処理の仕方はないわけです。だから、医大の場合には、他の学部とは違った助成措置を国はするけれども、規制は厳しくしていく、こういうことをしなければいけないと私は思うわけです。一つ、チェックする方法は、医師の国家試験は厚生省が握っておるということです。これは最近はかなり威力を発揮しておるようですが、この国家試験についてはやはりきちっとやるべきである。外国の私立大学というのは、入るときにはやさしいが、出るときにはなかなか出さぬという。それと同じであって、関門をちゃんと設けて、そうして素質のない者が勝手に医者になってくるようなことをきちっと防がなければならぬと思う。それは最近二、三年はかなりよろしいと思う、私立の人もずいぶん落ちておるから。
 そこで、私は、医師の国家試験についてどういう考え方で、あるいは改善すべき点があるとするならば改善すべき点等も含めてこれからどうしていくのかということについて、厚生省の見解を議事録にとどめたい。
○佐分利政府委員 医師の資格を取ります者の一部は教育者、研究者になるわけでございますが、大部分は臨床家になるわけでございます。したがって、医学、医術についての幅の広い知識、また、期間はそう長くはございませんが、できるだけの経験を持ってもらうというのが第一でございますけれども、やはり臨床家として求められるものは人間性でございます。したがって、そういった点を現在のような筆記試験でどういうふうにカバーしていくかということが当面の研究課題でございまして、問題の提出方法につきまして、必須科目五科目のガイドラインはすでに完成いたしましたが、選択科目七科目のガイドラインを現在作成中でございます。
 また、今後の大きな造り方といたしまして、外国のように、問題を一部プールいたしまして、その中から任意に選択して出すというような方法も考えておりますし、また、先ほども申し上げましたような、そういった人間性も加味できるような試験が行えないだろうか、そういったことも検討しているわけでございます。これにつきましては文部省とも、また先進国各国とも連絡をとりながら、なお一層の改善に努力しているところでございます。
○大原(亨)委員 時間がもう大分来たようですが……。
 予防や健康管理の重要性について言ったわけですが、私は、公共事業とも関連して保健所を充実するということについて、前から言っておったわけです。今度、保健センターを市町村に置く。これは寄せ集めで、中身は余り、あるかないかわからぬが、朝令暮改のような気がいたします。保健所を整理したり。それはスタッフの関係があるでしょう。あるでしょうけれども、保健所というのは、法律は非常によくて、予防や健康管理というものが非常に重要になっておるにかかわらず、これは機能を発揮していない。それで保健センターを今度設けることになっている。整理しておいてまた設けるということになっておる。これは、過ちを改むるにはばかることなかれで、これは悪いことじゃない。保健所をきちっとしていって、保健所が市町村の保健センターと一緒に一つの中心になるということが必要です。保健所というのは概して、見てみますと、土地は持っているが、建物が非常に古くてがたがたです。条件があるのですから、土地は買わなくてもあるのですから、公共事業とも関係して計画的にきちっとつくっていけばいいと私は思うのです。ただ、お医者さんが所長であるということでいない。しかし、保健婦はきちっと教育して、そして充実さしていくということを中心に、地域の医師の集団とも連携をとりながら地域医療のセンターにすることができる、そういうことをきちっと今度は計画的にやる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしまう。
○松浦(十)政府委員 ただいま先生御指摘のように、私ども、市町村の保健センターということを考えておるわけでございます。保健所が大体十万人の人口のところに一カ所ということで、保健所からいろいろ出かけていく、あるいは保健所に来ていただくということよりも、対人保健サービスというのはやはり第一線の市町村にやってもらう。これは一つの例を申しますれば、国保の保健婦というのが大変市町村に評判がよろしいということを先生よく御承知かと思いますが、そういう意味で、保健婦活動というのは各市町村に根拠を置きまして、そこから対人保健サービスをするというのが非常に有効である、歴史的にも私そう感じておるわけでございます。そういう意味からして、先生先ほどおっしゃられましたような市町村保健センターをつくり、そこに保健婦を配置するということによりまして対人保健サービスを充実していきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
 それと、さらに保健所の問題でございますが、保健所というのは非常に技術的レベルが高いところでございますので、そういった対人保健サービスをいたしますところの市町村保健センターというのがそれぞれの活動をする場合にも、保健所はいろんな技術的な援助をしなければならない。また、保健所でなければできないことも決してなくなることはなかろうかと思います。そういう意味では保健所も重要でございますし、さらに、これから対人保健サービスとしての市町村センターというものを充実していきたい、こう考えておるわけでございまして、保健所についても今後十分私ども考えていくということは従来どおりというふうに申し上げたいと思います。
○大原(亨)委員 最後に、これをずばっと明確に答えてください。
 ボーナスから二%の特別保険料を取る。これを仮に一・五%といたします。昭和五十二年、五十三年にかけて医療費の値上げを、これも仮に一〇%というふうに想定いたしますと、弾力条項等の兼ね合いを考えて、収支のバランスがとれるのはいつか。
○岡田政府委員 概略の計算でございますけれども、五十三年度末におきまして百二十三億円程度の赤字が出るのではなかろうかというふうに推算しております。
○大原(亨)委員 つまりバランスがとれるのがおくれるわけですが、提案がありましたのは、五十二年でバランスがとれるようになっておったわけです。そういう仕組みで提案したのです。今度は六月の実施がおくれましたから、もし仮に世上言われている一・五%とすると五十三年に百数十億円の赤字が出る、こういうふうな御答弁ですね。
○岡田政府委員 先ほどの答弁は間違っておりましたので取り消します。
 五十三年度単年度におきまして二百十五億赤字が出るというふうに推算をいたしております。
○大原(亨)委員 それは一・五ですか。
○岡田政府委員 さようでございます。
○大原(亨)委員 五十二年と五十三年を通算してみまして、弾力条項の発動いかんによるわけですけれども、私の計算では大体収支が合う、若干の赤字が出るかもしれない。
 そこで、いままでずっとけさほどから、厚生省の健康保険改正に取り組む際の国会の軽視や、あるいは現状において何らの的確な説明も加えず、財政上の見通しも加えないで継続審議に漫然と入って、法律の中身は実際上は時間的に遡及をすることが不可能である、こういう状況になっておりながら、その間の事実関係をも明確にしないで質疑応答に入った、こういう点を私は厳しく指摘をしたのでありますが、そのことを全体的に中心といたしましていままでずっと議論をいたしてまいりまして、時間が参りました。
 そこで、私は委員長にお願いをしておくのですが、私の意見を言っておきますから、あなたは耳をふさがないで聞いておいてください。いままで議論をするときに、必ずしも全部あなたは在席していなかった、お聞きだろうと思うけれども。
 私は、この問題をいろいろ議論して、これが結論ではなしに全部が結論です。赤字構造の問題や医療改革の問題について大切な問題は、時間の関係で漏れておりますが、かなりの問題点は明らかにしたつもりです。ボーナスから保険料を取るということは基本的に問題があることは、制度審議会の答申をまつまでもなく、これは私が申し上げたとおりであります。そこで、私はこの医療改革の問題を引き続いて議論いたしますが、初めとは言わぬが、その前提としても、そういう経過によって緊急避難の措置であるという場合には、明確にこの法律の目的を達成する最小限度の目標の時限が設定されていることが必要です。そのこともやらないで、大蔵省関係の租税特別措置法と同じように当分の間ということで逃げようとすることは、私は、いままでの審議の経過から許せないことではないか、これは明らかなことである。こういう点で委員長が理事会において、いまの審議を踏まえながら国会として自主的な明快な態度を、この問題について十分論議をして決めていただくように委員長に要望いたします。これについて委員長の御答弁をお願いします。
○橋本委員長 大原委員の御指摘でありますので、理事会において協議をいたしたいと思います。
○大原(亨)委員 これで終わります。
○橋本委員長 次に、草川昭三君。
○草川委員 草川昭三であります。
 まず最初に、大臣の方にこの健康保険の今後の、あり方についての若干の質問と、それから後で、銘柄別収載に新しく薬価が収載をされるわけでございますが、その実態を踏まえまして問題提起をさせていただきたい、こういうように思います。
 実は、前々の八十国会で健保が継続審議になったときに、これはある新聞の報道でございますけれども、健康保険の法案がなかなか通らないのは、成立をしなくても困る人がいないからだ、こういう報道がございました。これは厚生省の首脳の一人が暗然とした表情でつぶやいた、こういう報道でございます。その理由は、一つ、赤字がふえても支払い停止ということはまずないんじゃないか。二番目に、政府管掌だから、いざとなれば大蔵省がいるからではないだろうか。三番目に、与党や厚生省で責任問題が起きたためしが過去ない。四番目に、つまり、通らなくてもだれも困る人がいないから健康保険の改正案というのはなかなか通らないんだということが、現在発行されているりっぱな新聞の中に報道をされておるわけであります。
 しかし、それはさておきまして、私は、今日の健康保険の赤字というものが、いろいろな意味で構造的なものの累積が赤字になっておるのではないだろうか。もちろん、行政側の責任もある。あるいはそれぞれの立場からの問題もあるわけでございますけれども、従来の高度成長の中で健康保険の制度というものがすっかり安住をしてしまった。特にこれからは収入という面で、非常に景気動向が悪いわけでございますし、特に政管の場合は、民間の労働者の賃上げというのは八・八%ぐらいでございますから、だんだん相対的に収入というのは減ってくるわけで、そういう意味で、減るという意味よりも相対的にカーブが低くなってくるわけですから、そういう全体的な問題での赤字という認識が当局の方に非常に少ないのではないだろうか。本当にそういう意味での構造的なものとしてとらえてみえるかどうか、まず大臣にお伺いしたい、こういうふうに思います。
○渡辺国務大臣 どこからそういうふうな記事があったかわかりませんが、ただ、こういうことは偶然の一致なんですね。国鉄の赤字というのは、あれは高度経済成長前は赤字でなかったんです。高度経済成長になってきてからだんだん赤字になってきた。それから食管会計、これも高度経済成長以前はそんなに赤字でなかったんです。林野事業なんかも大体それに似ておる。そうすると、結局これはどういうことを意味するのか、私なりに解釈をしているのですが、高度経済成長になって税収がどんどん入る。値上げなんかは非常に抵抗がある。自然増収は入ってくる、減税やってもまだ金が残るという余裕等もあって、結局、一時しのぎに財投から出したり、あるいは補助金でつないだりするというようなことができた。できたものですからなかなかメスが入らなかったというようなことは、一般的傾向として必ずしも間違っていないのじゃないだろうかというような気が私はいたします。
 しかしながら、健康保険の問題につきましても、いままでは補助額等もどんどんふやして、三千億円つぎ込めるようになりましたが、これからの経済の見通し、財政の見通しというものを考えると、必要なものを国の財源に頼るということは、増税はできない、これ以上赤字国債は発行できないということになると、国の財政はもたないわけですから、これからは国家財政に赤字部分を頼っていくということはなかなかできないんじゃないか。したがって、物の考え方というものも、構造的に、内容いろいろありますよ、先ほども言ったように内容ありますが、私は、物の考え方というものも赤字の原因の一つにあったんじゃないかという気がいたします。
○草川委員 さらに話を進めていくわけでございますけれども、最近、外科系の個人の開業医がお医者さんをやめてしまうという例が非常に目立ってきておるわけでありまして、大変長い間時間をかけて研修をしてみえるお医者さんが技術を放棄をするというのは、私は国家的にも非常に損失なことだと思うのです。原因は明らかに健康保険制度にあるわけでございまして、技術評価が非常に低い。ですから、精神的な努力だとか肉体的な労苦が報いられない、早く言えば、損をするわけです。だから手術を回避をする。職員の方々も非常に疲れる。そういうむずかしい問題があるなら、大病院か大設備のあるところへ行ったらどうだろうか。しかし、大病院の場合は、三カ月も何カ月間も入院をできずに患者も非常に困るということがあるわけでして、手術をすればするほど赤字になる、こういう現状は、やはり私も、どこか医療というものが根本的に間違っておる。そういう段階の中での健保法の改正の問題ですけれども、赤字になるからみんなに負担をしてもらいたいという、赤字即値上げという関連がいうまでも続くと、いずれにいたしましても、私は、今日の医療制度というものは崩壊への道を踏むのではないだろうか、こう思うわけです。でございますから、医師の技術料部分と薬剤との関係をまず明確にすべきではないだろうか、これがすぐやりやすいことではないだろうか、私はこの視点に立っていまから発言をしていきたいと思うわけです。ですから私は、特に技術料中心の診療報酬体系の確立のために抜本的な改正をどうしてもやっていただきたいし、その決意を大臣にお願いをしたい、こういうように思うわけです。
 ひとつここで、薬価基準の適正化を図ることが急務だということを私は言いたいわけです。実勢価格と薬価基準の圧縮を図るべきだということを言うわけですが、厚生省は当然、だから今度、銘柄別収載にしたじゃないかという答弁がはね返ってくると思うのです。ところが、この銘柄別の収載の官報告示の時期は十一月一日と聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。
○八木政府委員 現在のところ、十一月一日を予定いたしております。
○草川委員 この官報告示の時期が十一月一日としますと、あと、実施の時期ということになりますが、これは大臣がお決めになることになるわけでございますけれども、結論的には、医療費の値上げとこの実施が同じような時期になるんじゃないだろうか、私はこう思うのですが、その点はどうですか。
○渡辺国務大臣 実施の日は、医療費値上げをする場合には同時にやりたいと考えております。
○草川委員 どうですか、そういうことになりますと、今度の中医協というのは十一月の九日でございますか、だから、ここら辺で医療費のアップの諮問案を厚生省が出されるような日程が考えられるわけですが、その点はどうでしょうか。
○渡辺国務大臣 検討いたしております。
○草川委員 その金額の幅は大体一〇%より上か下か、そのことについてお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 目下のところ、まだわかりません。
○草川委員 わからぬということは、そのあたりではないだろうか、こう思うのですけれども、年内実施の可能性はあるのでしょうか。
○渡辺国務大臣 これは先ほども申し上げたのでございますけれども、私としては、物価、賃金の動向もあり、病院経営の状態もございますから、なるべく早くやりたいと思っております。しかし、理屈は理屈として、また現実は現実で、財政事情というものもなかなか無視できないということもございます。しかし、私としてはなるべく早い時期に、財政の許す範囲内において極力両立するような形で薬価基準とそれから医療費改定というものを行いたいと考えております。
○草川委員 この銘柄別の収載になりまして薬価の下げ巾というのは、どの程度になりますか。
○八木政府委員 薬価ベースで申しますと五・八%程度、それから総医療費ベースで二・二%でございます。
○草川委員 これは二・二%、医療費全体ではね返ってくるといたしますと、結論的に、たとえばの話でございますが、医療費が一〇%上がったということを仮定をいたしますと、薬価が二・二%はね返りがあるということになりますと実際は七・八%というような形の計算になっていくわけでございますか。
○八木政府委員 現在、診療報酬が何%というのは未定でございますので、その仮定の数字にはお答えできないと思いますけれども、ただ、従来の中医協の考え方といたしましては、現実に、薬価基準によります引き下げ分というのは潜在技術料である、しかも、できるだけ医師の技術料を尊重すべきであるということから、技術料に振りかえるべきであるというのが、従来、中医協で御議論されておる考え方でございます。
○草川委員 ですから、私がここで触れたかったのは、その考え方はわれわれも十分、経過としては理解をするわけでございますけれども、実勢価格との差がやはりあるわけでございますから、お医者さんの立場になりますと、これからもやはり薬価差益の多いものをどうしても採用したくなるという心理は、否めない事実だと私は思うのです。ですから、私が先ほど申し上げたように、技術料というのですか、どうしても基本的なものに置きかえていきませんと、医療の不信感というものは、このままの形で続いていくとするならば相変わらず解消しないのではないだろうか、こう思うのですが、大臣の御見解を伺いたい。
○渡辺国務大臣 基本的な初の考え方はそうだろうと思います。しかし、なるべく実勢価格に近づけるために銘柄別の収載をやる、やっても、初めてのケースでございますからそれだけではいかないのであって、やはり経時調査というのを、いままでと違って、もっと長い時間をかけて、特に実勢との開きのあるようなものについては経時調査をやって、追跡調査ですね、それで次回の薬価基準の改定にそれを役立てていきたい、こう考えております。
○草川委員 いま大臣がおっしゃられたその追跡調査というものが実は非常にメーカー寄りの形で、実際は薬価に反映してくるのではないか、こういう質問というのですか、立場があるのですよ。私は、この銘柄別収載の調査方法について調べていきますと、調べれば調べるほど、実はおかしいということにたくさん気がつくわけです。ひとつ、いまからいきたいと思うのですが、その前に、メーカーに今度の銘柄別収載は内示をされてみえるわけですね。それは九月の何日でございますか。
○中野政府委員 九月十六日でございます。
○草川委員 九月の十四日じゃないのですか。
○中野政府委員 十六、十七でございます。
○草川委員 ああ、そうですが。すでに一部では、銘柄別収載の内容が発表されておるわけです。そういうような専門誌もあるわけでございますし、いろいろな機関があるわけですから、これは仕方がないことだと思うのですけれども、われわれは、銘柄別収載というものの実例はまだわかりません。しかし、本来ならば、これだけ健康保険の問題が重大な問題になっているわけですから、薬価の問題については、厚生省も私どもに、事前にヒヤリングできるようなある程度の内容があるならば、教えていただいたって私は結構だと思うのです。しかし、そういう事実がない。私どもは非常に不満であります。
 しかし、それはそれといたしまして、調査方法でございますけれども、私は前にも触れたことがあるのですけれども、まず問屋さんに調査依頼をするわけですが、いま、問屋というのはほとんどメーカー系列です。あるいはメーカー直結の卸というような商事部門なんかもあるわけでございますから、下手をすると、メーカー自身が薬価の調査に自分の希望する金額を書き入れていく、それを厚生省が調査の基本的な資料にするということがあるわけですよ。そんなばかなことはないと私は思うのですよ。その点についてはどうですか。
○中野政府委員 これは先生御承知のように、薬価基準収載の全品目につきまして、約二千の卸につきまして、もちろん卸の自発的協力という面もあるわけでございますが、御協力願って、その調査期間における納品価格を書き込んでいただく、御報告いただくということでやっておるわけでございます。これにあわせまして、もちろんサイドチェックをやるわけでございまして、千二百八十四に及ぶ医療機関の購入サイドの納入薬価のサイドチェックをやりましてその正確さを期しているわけでございまして、先生のいまおっしゃいましたような御疑念につきましては、私らは現在の段階においては、卸を通じての調査を信頼し得べきものと考えております。
○草川委員 全部で一万三千三百八十ですか、今回調べられたのは。
○中野政府委員 調査対象になりました品目は、一万三千百六十六銘柄でございます。
○草川委員 その中で、バルクを引くに耐え得る品目は何品目ぐらいあったわけですか。
○中野政府委員 まず、仕組みを申し上げますと、今回の銘柄別薬価のバルクを引く前提といたしまして、取引件数の数が三十という限定を引いております。したがって、取引件数が三十未満であれば、バルクは引かずに指数処理の方式をとるわけでございますが、バルクの引けたものが二千九百三十九品目でございます。
○草川委員 三十の取引があるところでやるということをおっしゃられましたけれども、いままでは五十あったわけでしょう。五十の取引例でそれぞれ調査をしておったわけですよ。収載の資料にしたわけです。今回から三十に引き下げたわけです。統計数字としては明らかに、数が大きいほど正確でしょう。数が小さくなればなるほど不正確でしょう。これはどういうことですか。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおりに、従前は統一限定収載方式をとっておりまして、たとえば、よく世上引用されますセファロスポリンC系の薬などにつきまして、セファレキシンの系統の薬でございますが、これは幾つかのメーカーが、物質としては同じ物を扱っているということでございます。それを幾つかのメーカーの出しておりますブランドごとにバルクを引いて、それで九〇%バルクラインで薬価を決定するという方式をとったわけでございますから、従前よりも、バルクが引ける限りは引く、実態価格を収載するということで、したがって、バルクの引けるものの数を増加させることによりまして実態薬価をより正確に薬価基準に反映させるという意図を持ちまして、従前の五十という限界を三十までおろした、こういうことでございます。
○草川委員 そういう答弁は、いわゆる中学生の論理であり、高校生の論理であって、統計上おかしいんですよ。本当の正しい実勢価格に近づけるために銘柄別を採用すると言いながら、五十を三十に引き下げれば、それだけ不正確になることは明らかです。しかも私、実はここに、ある病院の事務長さんからもらってきたのがあるのですけれども、いろいろな薬の名前がありまして、幾らで買っておるかというのがあるのです。これは全部の銘柄別、企業別の、一カ月間の買ったものですけれども、驚きましたね。入札をされるんですね。たとえば、同じ藤沢なら藤沢の薬品で、サワシリンならサワシリンというのがあります。この薬価基準が二万六千八百円、これはトータルの大きい金額ですよ。そうしますと、五社で入札をするんですね。入札をして、一番安い一万七千六百円で落札をしておるわけです。いわゆる総価値引きというやつです。トータルで。そのほかの分を含めた総価値引きですが、実際は調査の中にこういう病院段階でのものは入っているのですか。
○中野政府委員 先生御指摘の総価引きという商慣行につきましは、確かに、薬価基準の基礎になります薬価の調査上非常に困った現象だとは思っております。しかしながら、薬価基準の作成上、その総価引きの引かれた結果のものを取引価格として採用いたしております。
○草川委員 じゃあ、今度はこういう言い方があると思うのですけれども、結局バルクを引けなかった銘柄というのはたくさんあると思うのです。今回の場合、何品目あるわけですか。
○中野政府委員 バルクの引けませんでしたものは、最初申し上げました一万三千百六十六から、先ほど引けたと申し上げた数をマイナスしたものでございます。
○草川委員 だから、それはどれだけですか、言ってください。親切じゃないですね、きわめて不親切です。それを質問しているのですからね。
○中野政府委員 大変不十分なお答えで申しわけございませんでした。一万二百二十七でございます。
○草川委員 一万二百二十七底、結局、調査対象で調査をしても引けなかったという品目があるわけですよ。そういうものの積み重ねの中で、この銘柄別の今回の収載になるわけですよ。この新規銘柄別収載というものが薬価の実勢にいかに近づくかということは、信憑性から言うとかなり遠いものになってくる。結局、ヒヤリングとか類似品との係数を掛けて薬価というものが決められていくわけです。
 だから、私はいま、ちょっと大臣、これは参考資料ですけれども、新規銘柄別収載、たくさんあるわけですけれども、これは本当に二、三、私が探した数字でございますが、よく使われる例でA、Bペニシリンというのがございます。Aランク、Bランク、Cランク、Dランクと、厚生省は言っておるわけじゃないけれども、とにかくまとめてみると、くくってみるという意味で、Aの高いところでは、明治の二百五十ミリのビクシリンというのが新規に百八円になりました。いままでは百三十四円ですから、下がったことは事実です。結構なことだと思う。しかし、実際上の実勢価格は三十四円にすぎぬわけですよ。それから、その他、セファレキシン系でも、二百二十円五十銭に収載されておりますけれども、実勢価格は百三十八円じゃないか。あるいは日本ケミファの二百五十ミリグラムのペランペールという百二十円の新規収載は、実勢価格三十円じゃないか。新しいものについても、ちょっとこれはひど過ぎるじゃないか。いままではいいですよ、いろいろとあったわけですから。これをなくするために銘柄別にしようと厚生省は言われたわけですよ。やってみたってこういうことじゃないですか。
 この実勢価格は一体どこからこういう数字を持ってきたかというと、たくさんあるのです。幾らでも証明がございますが、たとえば、ここに神田の現金卸売市況という市況が出ているわけです。あるいは平野町の現金卸売の市況が出ているのです。これは大阪ですよ。ずっとこの値段で現在、薬は取引されておりますよという一覧表なんです。これは公のものなんですよ。私が勝手にごく一部の例だけ持ってきたというわけじゃないのです。
 ここで、ちょっと、ついででございますけれども、しかも特別価格表というのがあるのです。こんなものは、どこの病院でもたくさんあるのです。いろいろな問屋がみんな持ってくるのです。何もこれは目新しいものじゃないのです。この中の数字が、いま言いました、お手元に配りましたように、非常に乖離の激しいものがいまなお残っておるわけですね。こういう実情について一体どうお考えですか。これは大臣に聞きたいのです。
○渡辺国務大臣 これは根本問題なんですよ。御承知のとおり薬価基準というものを保険の点数に入れていくわけですから、バルクライン九〇、中医協でそういうふうに前から決まっているわけですね。先ほども大原さんから御指摘があったように、バルクライン九〇に問題があるわけですよ。しかし、それを直すといいましても、これは支払い側も診療側も中立委員もみんなで一応そういう方式を考えているわけです。ですから、われわれが経時調査をやって調べて追いかけていっても、結局バルクライン九〇のところしか、それ以下のものがあっても採用できないわけですね。ですから、その辺の話になって、根本的な問題なんです。したがって、これは急々に直すということは根本問題だと私は思っております。矛盾点のあることは承知をしております。
○草川委員 大臣はいま、矛盾があることは承知の上だ、しかし、その筋を通れば九〇%のバルクラインのオンライン方式だということを言われたのですが、私は、九〇%のオンラインを、先ほども出たように五〇%に下げたら、あるいは七〇でも八〇でもいいのですが、下げたら問題が解決するとは必ずしも思ってないのです。後で申しますけれども、決定的には加重平均方式しかない。いわゆるカットオフでいくのかテレスコープ方式でいくのか、いろいろな方式がございますが、全体の常識的な加重平均しかない。その以前の問題としては、私は調査の方法に問題がある、こういうことを言っておるのですよ。
 そこで、この新しい収載になったものの中でも、上下の格差がひど過ぎるわけです。Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、ランクはありませんが、高いところと下の方に位置づけされたところでは、たとえばセファレキシンカプセルなんかでは、四五・六%も上下の幅があるわけですよ。お医者さんは、いままでは同じ一くくりで使えたわけです。しかし、同じ一くくりの薬が四五%も値段が違いますと、今度、発表されるわけでしょう、どう使ったらいいのですか。私は全くの素人ですけれども、いままでの薬価というものはどういう決め方をしておったのか。今度、私が言えば調査方法がおかしいということを言っておるけれども、そのおかしい方法にしても、今度の新しいものでも上下に四五%の差がある。いままでの薬価というものは本当にでたらめに近いような条件ではなかりたのだろうかという不満があるわけですよ。どうですか、その点について。
○中野政府委員 先ほどちょっと御説明漏れがございましたので。品目数は確かに、バルクが引けなかったものが一万二百二十七でございますが、バルクの引けたものの金額としまして、八八・五%に及んでおります。
 それから、いまの御質問でございますが、確かにセファレキシンにつきましては、以前の価格はたしか三百円に近いところに設定されておりまして、それが、昨年の四月時点における実態取引におきまして銘柄別に薬価を調査いたしましたところ、もちろん、その方法には先生御指摘のような九〇%バルクラインという欠点はございますが、それによりますと、著しい値開きを結果的に示したということでございます。これはすなわち、中医協で合意を見ました銘柄別薬価九〇%バルクラインを使用しまして設定する実勢薬価がそういうものであるということでございまして、現実にあった実勢薬価の差がそういうふうにあらわれたものだというふうにわれわれとしては理解をしておるわけでございます。
○草川委員 いま局長は八八・五ということを言われましたが、量と質とすりかえてもらっては困ると思うのですよ。だから、薬価収載の全体的な位置づけから見ると非常に不満があるということを私どもは申し上げておるわけです。
 そこで、時間がございませんので次へいきますけれども、このセファレキシン系の薬の位置づけを見ますと、たとえば二百五十ミリの薬が、二百二十円五十銭、百七十円、百二十円という位置づけになるのですけれども、半分のミリグラムの武田の場合ですけれども、百二十五ミリグラムのセンセファリンは百二十円に位置づけをされております。そうすると、これをもし二個分で患者に投与しますと二百四十円ということになるのです。片一方は、Cの武田、二百五十ミリは百七十円というこうことになるのですね。グラムで言うならば同じでしょう。どうして金額が違うのですか。片一方は、二個投与すれば二百四十円になる。片一方は、同じものだけれども、一個渡すと百七十円。また逆に、五百ミリのものを渡すとそれがまた倍以上の金額になるということで、新しい銘柄別の収載でも、素人の私がちょっと調べただけでもこんなに矛盾があるわけですよ。一体そういうことで、これからの本当の薬価が正しい方向にいくのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
○中野政府委員 ただいま御指摘のような問題が確かにございます。これは銘柄別に九〇%バルクを使用いたしまして、ありのままの数字を使用した結果そうなったわけでございまして、一般論としては、規格が大きければ、容量が多くなれば値が安くなるということはございますけれども、確かにそこに、先生の御指摘のような問題はあると思います。これは、われわれが忠実に実態薬価を、九〇%バルクを採用いたしまして新薬価を設定するために起きたことでございまして、このことは、やはり先生の御指摘のように、将来に向かっていろいろの問題を残すものではないかとは、私らも考えております。
○草川委員 とにかく、薬価は厚生大臣が決められるのですから、大臣の責任ですよね。ですから、いまもおっしゃられたように、非常に問題があるということを認められているわけですよ。一体、大臣として、将来どうお考えになるのですか。
○渡辺国務大臣 これは、先ほども言ったように非常に重要な問題です。ただ、いままでの申し合わせみたいなもので、薬価を切り下げてもその分は医療費の方に、医者の技術料に振りかえる。医者の収入はどっちでも同じなわけですよね。
    〔委員長退席、枝村委員長代理着席〕
 ただ、そこにこういう問題があるわけです。たとえば九〇%バルクラインということになると、その値段で買えない人は件数で一〇%、件数になるかどうなるか知らぬが、そういうことになる。仮に五〇%ぐらいで卸したという場合になると、その値段で買えない医者がうんと出た、そういう場合はどうするのです。という大議論があるわけですよ。本当だったら、薬ですから、保険で決めた値段でどの医者でも買えなければ治療してやれないわけですから、結局、保険の点数で薬が買えないということになれば、お医者さんが損しながら、自分でそれよりも高い薬を買ってきて注射をしてやって、患者から、患者というか政府からそれよりも下回ったお金をもらうということは、実際問題としてないでしょう。お断りするとかどうとかいうことになってくる。そういうような問題も含んでおるものですから、実勢価格よりもかなり高いバルクライン九〇、しかもオンラインというような方法がとられておるのです。それは仕組みの問題とも絡んでいます。ですから、それらの問題は本当に検討しなければならない大問題ですから、やはり抜本改正の折の検討項目になることは当然であるというように私は考えております。
○草川委員 だったら、この前も私申し上げたのですが、健保懇の研究会の中にも医薬分業なんという大きな柱を立てて、この薬の問題を取り上げてもらいたい、私はこう思うのですよ。
 それから、いま一割なら一割高く購入せざるを得ぬところがあるじゃないか、たとえば山間僻地だとか小さな病院では、というのですが、ここに、いまも申し上げたのですが「特別価格表」というのがあるのですが、これは、いつでも、どんな山の中でもこの値段で持っていきますよということが書いてあるのです。これはどこの病院に行ったってあるのですよ。だから、間違えないでいてもらいたい。
 そして、これはまたちょっとおかしい。どうしてこういうことをやるのか知りませんけれども、ここにわざわざナンバーリングで番号を打つのですよ。どこの病院には何番のものがいっておりますよ、こう書いてある。私のところには切って持ってきてくれたのです。なぜそんなに隠れてこそこそしなければいかぬのか。薬の実勢価格が下がっておるなら下がったっていいじゃないですか。その分だけ損失をするコストもあるわけですから、あったって別におかしくはないと私は思うけれども、ひど過ぎるから、こういうように隠れてしなければいかぬ。しかも、この裏のページに何が書いてあるか。わざわざゴジックで、「医薬品を現金で買い取りもいたしますので、御相談ください」と書いてあるのですよ。現金で余った薬を買うと言うのですよ。病院だとかお医者さんに、そういう薬があるのですか。あると思うかどうか、ちょっと聞きたいと思うのです。こういう営業が成り立つかどうか。事実書いてあるのですから、あるかないかだけ、ひとつお伺いしたいと思う。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 全国二千以上ございます卸の中にはいわゆる現金問屋というものがございまして、現金問屋に薬の流入してくるルートというのは、いろいろなうわさもあり、話も聞いております。もちろん、この現金問屋も、われわれの調査対象になった卸の中に含まれておるわけでございますが、その出所が非常にあいまいな薬が現金問屋に流入してくるということは、私も薬務局長になりましてまだ数カ月でございますが、よく聞いておりまして、この現金問屋の問題については薬の流通秩序の中で大問題であるというふうな認識を持っております。
○草川委員 これのことを称して、そういう集める人を通称トンビと言うのですよ。いわゆる試し品、供試品だとか、かつて禁止をされておる添付品というようなものが実際はこういう流通機構の中に入っておるわけでございまして、薬というものがいま非常に乱れて、正規なルートで利用されていない。だから、いろいろな意味での不信感なり薬害の問題なり、悪い方一方の問題になってくると思うのです。いわゆる道徳的なものから離れたことの動きがある、こう思うのです。しかも、銘柄別ばっかりではございませんけれども、薬価収載を変更するとかなり下がるわけですね。新規開発した薬が流通する、ぞろぞろメーカーが出てきて過当競争になる、下がります。実勢価格がどうしても下がるということになりますと、メーカーは競って新規の薬品開発をやるわけですよ。新種開発ですね。新種開発も非常に厳しい審査があるわけでございますけれども、たとえば最近、具体的な例が二つも三つもあるわけでございます。
 時間がないので、私ずっとしゃべるわけですけれども、塩野義がバクタ錠というのを五十一年の二月に出しました。これは前の収載で二百六十八円だったのです。ところが実際は、これのもとになるのはサルファ剤のシノミン、五百ミリで薬価が五円ですね。別の化学物質のトリメトプリム、八十ミリグラム、これの合成でございますが、これも六円か七円だというわけですよ。だから、薬というのは原価ではなくて薬効で決まるのだから仕方がないといえば仕方がないわけですけれども、従来のものでちょっと手を加えただけで倍以上の値段がつく。そうするとやはり高いものが投与される、中身は変わらぬじゃないか、こういうことがあるわけですよ。
 しかも、これも有名な話でございますけれども、A、Bペニシリンというのは先ほども触れたわけでございますけれども、このA、Bペニシリンに比べて半分の使用量でいいといってアモキシリンというものが出たわけです。たとえば協和のパセトシンだとか藤沢のサワシリンだとか武田のアモリン。実勢価格はこれも百十五円でございますけれども、前回の場合は二百六十八円に収載をされておるのです。A、Bペニシリンの場合は百三十四円。本当は、半分だから、筋で言うならば倍になってもいいのですよ。しかし、半分になったら、二錠だったら一錠でいいのですよということですけれども、実際の投与は相変わらず前と同じような投与をされるわけです。だから、お医者さんは、前は百三十四円のA、Bペニシリンだったら、今度はアモキシリンにほとんど変わっていく。しかも、こういうことが正常な論理から離れた形で、また新薬というものがどんどん採用されていく。
 しかも、実際的には――ちょっと次元が変わりまして、全然違う次元の話ですけれども、たとえば抗がん剤で新しい薬が欲しいというのは、全国的にあるわけでしょう。丸山ワクチンという問題があります。あれは一週間に四日か五日か知りませんけれども、もう徹夜で、朝六百人も七百人も並んでおる。新しい薬が欲しいという動きがあるけれども、これはまた別の組織でございますからなかなかそれがおりませんけれども、一方では、信仰に近い形で薬が欲しいという声がある。一方では、いまのような全くふざけた話で薬が使われておる。これが現在の対比だと私は思うのです。だったら、厚生省というのは金も力もあるし、権威者もいる。国立の衛生試験所というようなりっぱなものがある。丸山ワクチンなんか、別な立場から、いいか悪いかを、調査の方法でどんどんヘルプをすべきだと思うのですよ。そして、こうあるべきだと言って、医療というものを早く国民に返していくということだと思うのです。私は、丸山ワクチンがいいか悪いかという論議をいましょうと思いません。だけれども、全く次元の違う話だけれども、片や、いま言ったように非常に熱望的なものがある。片や、いま言った害を拡幅するような問題もあるわけでございますので、私はこの際、本当に抜本的な医療のあり方という問題をぜひ御検討を願いたいと思うわけです。
 最後になりますけれども、では一体、私どもは薬価の問題についてどうしたらいいのかということでございますが、過日来からわれわれも主張いたしておりますけれども、薬価調査についても、調査方法についても抜本的な見直しをしてもらいたいと思うのです。明らかに私は、九〇%オンライン方法を変えてカットオフ、いわゆる九〇%以上を全部切ってしまって、トータルを加重平均にするという方法、あるいはテレスコープ方式といって九十番目までの薬価を全部加重平均してみる、これが一番正しいと思うのです。だから九〇%のオンラインを八〇、七〇にするなんというのは意味ないと思うのです。それよりは、いま言った全体の量を加重平均にしてみれば、市場価格ですから落ちつくところへ落ちつくと私は言うんです。上も下がるけれども、下も上がるんですよ。それでいいじゃないですか。そして、お医者さんには本当に正当な技術料を払う。一番最初に申し上げたように、外科医がだんだん、もう、わしはいやだと言い出してきておる。もうからぬから従業員も苦労するだけだ。そんなことになったら、私は日本の医療は完全に壊れると思うのです。
 最後に大臣の御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 大変、貴重な御意見でございますし、私も、うなずくところもございますから、十分にこれは貴重な御意見として検討させていただきます。
○草川委員 最後にもう一回。いまの大臣の御見解は結構でございますけれども、私どもが提唱しましたところのテレスコープ方式だとかカットオフ方式とかいう具体的な問題を提議するのですが、そういうことを含めて御検討になるかどうか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 検討するからには、そういうようなものも含めて検討いたします。
○草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○枝村委員長代理 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 ただいまも薬剤についての論議がありましたが、健康保険法がさきの国会で継続審議になって、そして今国会で審議中でありますが、健康保険が深刻な財政危機に見舞われておるという大きな原因としては、やはり医療費の増高、毎年二〇%ずつ上がっていくという医療費の増高が大きな原因になっておる、こう思うわけですが、その医療費の中に薬剤費が大体三〇ないし四〇というようなパーセントに占められておるわけです。そういう中で、いま中央社会保険医療協議会において医療費の引き上げも審議中である。近く答申がなされ、厚生大臣がこの引き上げの告示もしょうというような時期になっておるわけですが、その中で、いわゆる薬価基準、いま論議がありましたが、これについても厚生省は五・七%、実勢価格へ近づけていこうということで方針を持っておられるようです。いまも論議があったように、薬価基準についての決め方に大きな問題があるということを同僚議員が指摘をいたしておりましたが、このことは一応、私きょうは、さておいて、国民のみんなの命と健康を守っておる血液の問題、このことについて、ひとつお伺いをしたい、こう思うわけです。
 そこで、この血液については、日赤において血液センターで採血をして献血を受けておるわけですが、この内容について大臣にお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 血液供給事業は、狭い意味で申しますと、献血を保存血といたしまして、この保存血を使う場合、それから心臓手術の際などに必要といたします新鮮血の供給問題、それからさらに、そのすそ野といたしまして血液成分製剤の供給あるいは血漿分画製剤の供給問題、こういう広い広がりがございます。
 基本的には、いわゆる保存血問題につきましては、先生御承知のとおりに昭和三十元年八月閣議決定されました「献血の推進についで」いわゆる売血によらない保存血供給という観点から、献血事業が日赤を中心といたしまして推進されているところでございます。大体、全体的にながめますと年間の供給量は現在時点では六十万ないし七十万リッターでございまして、一人の献血量が先生御承知のとおりに大体二百ミリリッターでございますので、これで割ったものが善意の献血者の数であるというふうになっております。
 なお、血液成分製剤や血漿分画製剤の供給問題についても一部、日赤のルートで集められました保存血の転用による部分が現在まだございます。
 以上のような状況でございます。
○平石委員 いま答弁にありましたように年間、大体六十万ないし七十万リッターの献血があるわけですが、これは無償献血ですね。ちょっとお伺いします。
○中野政府委員 お答え申し上げます。そのとおりでございます。
○平石委員 ところで、この無償献血を受けた六十万ないし七十万という血液が、どのように利用されておるか。いま局長の話の中で転用とか、いろいろお話がありましたが、その転用の数と血液として病院に提供されておる数、これをお示しいただきたい。
○中野政府委員 先生御承知のように、保存血は採血後七十二時間以降二十一日以内が有効期限でございます。したがいまして絶えず、二十一日の有効期限を切れた、いわゆる期限切れ保存血が生じまして、この期限切れ保存血は現在の日赤の血液センターにおける作業工程によりまして血液成分製剤に利用する道もございます。しかし、それでは消化し切れない面がございまして、これを血漿分画製剤の原料として民間の企業に払い下げるという方法をとっておる部分もございます。その転用血の正確な量につきましては、血液成分製剤の原料分も含めまして、たしか全体として年間供給量の十数%程度ではなかろうかというふうに考えております。
○平石委員 年間十数%が転用されておるということですが、その十数%以外のものは輸血血液として病院へ行っておるわけですか。
○中野政府委員 その十数%の転用部分を除いたものが保存血として、もちろん場合によりましては心臓手術の際には新鮮血を必要とする場合もございますから、全部が保存血でやれるというものではございませんけれども、それが病院における輸血に使用されているというふうに理解しております。
○平石委員 病院へ行く輸血の単価は幾らですか。
○中野政府委員 一本二百ミリリットル、三千四百八十円でございます。
○平石委員 単価が三千四百八十円、これは薬価基準に登載されておるわけですね。
○中野政府委員 広い意味で薬価基準でございますが、薬価基準の表示上は、都道府県における購入価格は都道府県知事が定めるという形で受権をされておる次第でございます。
○平石委員 これは、おおむね薬価基準で全国統一して行われておるということでよろしゅうございますね。
 そこで、いま局長さんから数量も大体出てまいりました。そして、この単価を一応計算をしてみますと、大体、日赤が保存血として各病院に提供し、その総金額においては年間、大体百億円近いものが日赤に入っておる、こういうことになろうかと思うのですが、どうですか。
○中野政府委員 先生の御計算のとおりでございまして、約百十八億九百万円でございます。
○平石委員 そういたしますと、さっき答弁にありましたように、この血液は無償なんですね。ただだということです。そのただの血液が、ここで単価三千四百八十円で総トータルにおいて大体百億円というお金が日赤に入っておる。これは大きな問題じゃないか。もちろん私は、この金額について無償だから無償で渡さなければいかぬとは言いません。しかし、さっきも論議があったように、これは薬価基準にかかる。しかも、ほかの薬剤の場合であれば、いろいろなメーカー、銘柄別に分かれております。しかし血液ということになりますと、他にかわるものがないわけです。もう血液は血液だけなんです。そして、それが無償で、ただで国民が愛と善意で提供しておるのです。その愛と善意で提供された血液が、そういう形になっておる。どう思いますか。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 もちろん献血者の側から見まして、血液というものについての特別の国民感情もございますでしょうが、無償で献血をする。その場合、その後に、それを保存いたしまして管理いたしまして、かつ、これは先ほど御説明しましたように二百ミリリットルの、いわゆるバイアルに入れるという手続がございます。そういう保存それから、それをバイアルに入れる手続すべてを含めましてのコストもかかります。決して日赤で利益を得るということでなくて、そのコストがございますために、それが無償のものであるから無償でということには現在なっておらないわけでございます。
○平石委員 私は無償だから無償にせいとは言うてない。言うてないが、ただで提供しておる国民の感情からいいますと、やはり、この金額は大き過ぎるのじゃないかということです。だから単価の三千四百八十円をもっと下げられぬかということです。大臣の子供さんが無償で提供しておる。大臣が病気になった。三千四百八十円で買わなければいかぬ。そういうことになっておるのですから三千四百八十円という単価を見直して、今度、薬剤については価格を下げようという考え方で厚生省はやっておられるのだから、まだまだ不十分であるけれども、こういう無償で出てきたものは、もっと単価を下げて国民の善意にこたえていくような方法を私は行政としてとるべきじゃないかと考えておるわけです。このことは今度の薬価で、やはり見直しの対象に入っておりますか。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 これは日赤の血液事業のシステムの中で採血から供給に至るまでの全部の実費がそこに含まれておるわけでございまして、たとえば国がそこに相当大きな財源でも投入して補助をするとかということがない限りは、血液の代金を引き下げるのは実際上は非常に困難なことだと考えております。もちろん、その場合におきまして、もともと実費としてでございますが、血液の価格が高くならないように役所としては十分な配慮をしてまいりたい、こう思っております。
○平石委員 いまの論議は一応、別として、この事業に対して国から補助が出ておりますね。この補助の額は幾らですか。
○中野政府委員 血液事業に対します国庫補助は項目が幾つかに分かれておりますけれども、第一番目に、日赤本社の血液事業部の経費あるいは財政調整費用といたしまして、五十二年度予算額は一億四千五百八十七万三千円でございます。さらに、先生御承知の自己負担金給付事務費といたしまして、ほぼ同じような額でございますが一億四千七百九十六万三千円、さらに自己負担金の給付費といたしまして六億八千九百四十二万四千円、さらに血液有効利用推進費といたしまして四百六十五万二千円、計九億八千七百九十一万二千円が五十二年度予算に計上されました血液事業に対する国庫補助でございます。
○平石委員 血液供給事業に対する補助金の推移を見てみますと、大体十二、三億から十四、五億、多いときには十七億、五十二年度において九億八千七百万の国庫補助が出ておるわけです。だから、先ほど申し上げたように無償で提供されて、いま答弁にありましたように製造するについて、いろいろ経費も要りましょう。バス代も要るでしょう、採血についての費用も要るでしょうけれども、それに対して国庫補助が少なくとも十億円は出ていっておるのです。無償で国民からいただいて、税金で補助をいただいて、それで、この単価。
 大臣どう思いますか。ひとつ大臣の見解を承りたい。
○渡辺国務大臣 私は、じかに日赤の経理の内容を調べたわけじゃございませんが、担当者が日赤の方から報告を受けて、これこれ、しかじかの採血経費がかかっていく、どういうような費用がかかったか全部持ってまいりまして、その中で割り算をすると、これだけの実費になる。もちろん補助の分や何かは差し引いておるのでしょうが、それが高過ぎるかどうなのか私もよくわかりません。わかりませんが、日赤ですから特別、金もうけをそこで意図しているというようなことはないと私は信じております。
○平石委員 もちろん日赤の性格からいって、これで、もうけておるとか多額の利益を上げておるとかいうことはないと私は思う。だから実費がこれだけ要るということの説明が厚生省の方へ来ておるかもわかりませんけれども、素朴な国民の感情からいって、ちょっと高過ぎる、こういうことが言われるわけです。だから献血者の立場に立って、この点は見直してほしい、こういうことを要望したいわけです。
 そこで、転用血液が大体十何%程度だ、いま、こういうお話がありました。この転用血液については、いま、お話にあったように二十一日が過ぎると腐敗して不用なものになるおそれがあるということから行っておるという事実上のことは理解ができます。無償のものが、そういう形で企業に移っておるわけですが、その転用先はどこですか。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 転用先は、株式会社ミドリ十字、それが一つ、第二が日本製薬、三番目が富士臓器、それから財団法人化血研、この四社でございます。
○平石委員 この四社に対して日赤から転用血として出ておるわけですが、この中で一つ例として申し上げてみたいのです。
 ミドリ十字についてお伺いしてみたいのですが、ミドリ十字が分画製剤を行っておるについて、大体どのくらいの数量で、どのくらいの原材料の購入価格で行っておるのか、内容をお示し願いたい。
○中野政府委員 ミドリ十字の場合におきましては血漿分画製剤――血漿分画製剤というのは先生、御承知でございましょうが、血液中から有形分を除きました後の血漿を化学的に多少プロセシングを加えまして、これを物理的手法で内容を分解して、それぞれの成分に分けたものでございますが、これの有償採血分が原料の量といたしまして二万三千六百七十六・六リットル、これは五十一年の実績でございます。ただし、これも先生御承知だと思いますが、血漿分画製剤の製造のための有償採血は、いわゆるプラズマフェレーシスという手法によっておりまして、血液中の固形分は、もとの体に戻してやるという方法をとっております。したがって戻してやりますと、この有形成分は赤血球が主でございますけれども再生に七日ぐらいかかる。一方、血漿分は二、三日で再生できるということから、体に対するダメージが非常に少ないという方法をとっているわけでございます。それから、日赤からの転用分が一万三千九百二リットルでございます。それから輸入血が一万八千五百十二・三リットルでございまして、それが原料の全体でございます。
○平石委員 その原料が、どのくらいで入っておるか。それから金額はどうかということも。
○中野政府委員 有償採血分は単価が一リットル当たり七千円でございます。それから転用血、これは日赤から譲り受けるものでございますが、これが一リットル当たり一万円、輸入血が輸入価格が一リットル当たり一万五千円でございます。これらの掛け合わせたものが結局、原材料費になるわけでございますが、これを全部合計いたしますと原料費としまして五億八千二百四十二万円というのが五十一年の実績となっております。
○平石委員 そういたしますと、いまの答弁によりますとミドリ十字が五万六千リットル、金額において五億八千二百万程度の原材料費ということになるわけですが、そこで、これで分画製剤を行って、そしてミドリ十字がどのぐらいの販売をしておるか、おわかりになれば、お示しをいただきたい。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 この血漿分画製剤は実は、これ以外に胎盤に由来します製剤及びその製品輸入による販売額が十五億ございまして、血漿分画製剤の総販売額は四十九億円になっております。この販売額四十九億円と申しますのは、ミドリ十字の総売上額の大体二三%ぐらいに相当いたしております。
○平石委員 五億八千万円の原価から四十九億円という販売額になっておるわけですが、これもミドリ十字から大蔵大臣に報告が行っております資料によりますと、いま局長が答えてくれた数字がこれにも載っております。それで、いま輸入のものが含まれておるというようなこともありましたが、この中で輸入のものをのけて勘定したときに、どの程度になるのか、その内訳を知らせていただきたい。
○中野政府委員 輸入、胎盤双方をのけますと三十五億というふうに考えられます。
○平石委員 三十五億円、そうすると対比できることは、この五億八千万が結局三十五億ないし六億といったような数字になっておるわけですが、単純に計算をしましても大体六・六倍か六・五倍程度になっておるわけです。これも非常な利益率になるのじゃないか、こういうように思うわけですが、薬価基準から判断をして、一例を申し上げてみますと、この血漿製剤でつくったもの、加熱人血漿たんぱく、これを一応千ミリリットルでつくるとして、調べたところによりますと大体四・五本くらいできる、こういうことなんですね。四・五本くらいできるのであるなら、それを薬価基準で掛けてみますと大体二万円になります。そして、この千ミリリットルを原価で、先ほどの購入価格で見ますと一万円です。だから一万円が二万円になる、こういうことです。いわゆる倍になるわけです。ところが、いまのミドリ十字の話によりますと六倍になっておるということですね。これなども例を引いて対比したときに非常にもうけ率が高いということが言えるわけですが、こういったように無償で提供したものが企業サイドで、それほどのものになっていくということは、やはり大臣としても考えていかなければいかぬのじゃないか。だから、この転用血というものを、こういう企業のところへ回していくということに問題があると私は思うが、この点どうですか。
○中野政府委員 大臣のお答えの前に事務当局から多少、御説明をいたします。
 この点につきましては先般も先生から御質問があったように承っておりまして、私なりに、この原料代と卸へ行く値段が、どのような関係になっておるのか、一応の調査をいたしました。内容的には、実は企業の内部問題に属することもございますので、余り具体的には申し上げられませんが、私どもの判断として申し上げられることは、確かに原料代の、いわば蔵出し価格に対する比率、つまり原料代の占める割合が、この件につきましては先生御指摘のように非常に低い。聞くところによりますと、大体、製薬企業全般で見まして原料代と他の製造費用、この他の製造費用の中には、もちろん人件費、装置の減価償却その他全部入れまして、それから、いわゆる流通経費、利益というものに分けますと、大体一般論としては三、四、三の比率になっておるようでございます。この場合には非常に原料代のシェアが低いわけでございますが、聞くところによりますと血漿分画製剤は、もちろん国家検定等もございまして、自社検定、国家検定の関係もございまして、ほぼ一年間社内に滞留をするという結果になります。実際に使用できる状態になるまでに、原料を入手いたしましてから一年間という期間を要するということと、それから、もちろん、ある種の化学的な操作と物理的な操作を加えるわけでございますが、そのために人件費その他の費用が非常にかかるというふうな事情がございます。したがって、一般的な製薬企業における原料費用のシェアで、この件を判断するのは、やや性質を異にしているという点があるというふうに私としては判断いたしたわけでございます。
 それでは、この価格が国際的に見て高いのかどうかという問題でございますが、一例としてとってみましたのは、いわゆる最もよく使いますアルブミンでございますが、これの二五%希釈液の五ミリリッター分が、国際価格は大体一本一万五千五百円でございますが、日本の場合はこれが一万二千円でございまして、国際的にも、このような工程を経て製造されましたところの血漿分画製剤が高価である、高値であるというふうには言えないように感じております。
 ただ基本的に、転用血を、もちろん日赤自身が廃棄をしておったものを有効利用というかっこうで民間業者が払い下げを受けて血漿分画製剤をつくるという歴史的な経過があったわけでございますが、この民間業者と日赤の払い下げ関係そのものが、このままでいいのかどうかという問題がございまして、この問題につきましては薬務局としては、アメリカにおけるような赤十字社による民間業者への委託製造方式というものが適当ではないかと考えておりまして、現在その案の推進を図っておる段階でございます。
○平石委員 いま、いろいろと言われましたけれども、この中には一万三千九百リッターの無償血が入っておるわけですね。そして、これは日赤から一リッター当たりについて一万円というような数字で入ってきておるわけですが、これが含まれておるということをも考えていただきたい。国際的な比較から見た場合に、あるいは業界の比較から見た場合に、それほどでないという、いまのお話ですけれども、少なくとも普通の薬剤とは違って血をもとにしたものです。しかも、いわゆる無償のものが、この中に二四%も入っておるということを考えますと、やはりちょっと、ひど過ぎるのではないかという気がしてならぬわけです。
 したがってこれは、いま日赤の話にも出ましたように、また、こうして転用で出て転用剤となって患者に投与される。それは結局、話が薬剤に還元してくるわけですが、結論は、もっと薬価基準を落とすということに相当力を入れていかないと、こういう問題について素朴な国民の感情から疑問が出てくるのじゃないか。このように見てみますと、日赤さんが大変、鳴り物入りで愛の献血に御協力くださいと言って、一生懸命、宣伝をして血液を集めておられるということから考えてみても、こういう善意と愛については、もっとこたえていくような血液行政というものを厚生省は考えていかなければいかぬのじゃないかと思うわけです。
 そこで、今度の薬剤費の決定の中においても、こういった問題があるということを大臣も十分肝に入れていただきたいと思うわけですが、大臣の見解をお伺いしたい。
○渡辺国務大臣 そういうような御趣旨は本当に尊重しなければならない。したがって無料の血液等が用いられて、いろいろな血液の製剤をつくりますが、それらの指導監督は一層厳重に行って、いやしくも、あなたの御心配になるようなことのないようにしてまいります。
○平石委員 それからもう一つ、ついでにお聞きをしておきたいのですが、オートアナライザー、血液の自動検査機が全国の血液センターに配置されておるわけです。これはもちろん品質の管理の問題もありましょうし、あるいは献血者の健康の問題もありましょうが、献血をした人たちに聞いてみますと、昔は、献血をすると、その検査によって全部、正常な血液だ、あるいは、ここが悪いというような通知をいただいて健康診断の一助にもなっておった、ところが近ごろは一つも、そういったことの通知はございません、だから、ただ提供するだけだ、こういうお話をよく聞くのですが、この点はどうなっておりますか。
    〔枝村委員長代理退席、委員長着席〕
○中野政府委員 血液センターに対する献血の際に、オートアナライザーによる検査サービスを、いわば献血者の善意に対する一つの感謝の意の表明という感じで実施いたしていることは先生の御指摘のとおりでございます。これは昭和四十九年以降、実施しているわけでございますが、現在の実施状況としましては、竹本赤十字社の五十八センターのうち四十七センターに、これが設置されておりまして、十一センターにつきましては施設の狭隘等の理由で未実施でございます。すでに設置されているものについては、梅毒関係につきましては、その結果のいずれを問わず御返事を申し上げる、他のGOTその他六項目の検査項目につきましては、異常値が発見されたもののみを御通知申し上げるという手続になっておるようでございます。その点につきまして何か誤解があって、サービスが不行き届きであるという声があるとすれば、それは私たちといたしましても日赤に連絡をいたしまして、そういう誤解を生まないように措置をしてまいりたいと思います。
○平石委員 これは費用のかかることですから、なんですが、一応、献血者としたら、自分の血を提供して、どうなっておるのか。そして自分は健康体かどうか考えます。だから、いまのお話にあったように異常血液についてのみ通知をするということでなしに全員に、健康な血だというような人にも知らしてあげれば、献血をする方は非常に安心ができるし、自分の健康についても安心が持てる、こういうような話を聞きましたので、このことは要望としてお願いをしておきたい、こう私、思うわけです。
 そこで、いま時間も参りましたので、これで質問を終わらしていただきますが、要は薬価基準をもっと引き下げて、日赤も、そういった疑惑を受けることのないように、さらに転用血として一般の企業サイドで、これを見ていくようなことのシステムは、なるべく、やめていただいて、そして、できれば世界で行われておるように、日赤なり、あるいは国立なりといったようなところで、この仕事をしていく、いわゆる血漿製剤もつくっていくというような形に、諸外国において行われておるように、ひとつやってほしい。できれば日赤へ統一したらどうか。そして、いまの日赤の問題については、さらに見直し、検討をしていただいて日赤へ統一する。企業に任さない。これは血液を無償でいただいて、そういう企業ペースでやられると非常に困る、このことを私は申し上げたかったので、これを質問にとらしていただいたわけですので、その点、大臣の見解を最後に伺っておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 血液のいろいろな加工といいますか、これは非常に特殊な技術もございますししますから、民間にやらしておるわけです。民間に許可しているわけです。したがって、その監督は厳重にやってまいりたいということは先ほど申し上げたとおりでございまして、将来、日赤に一本化をするかどうかという問題については、一本化をして公営企業みたいなものが、そういうことをやることが、普通の場合は生産性が上がらないで、いずれを見ても国営でやっている関係のものというものはロスが案外多いのですよ。それは結局、全部、実費弁償ということになれば、血液代がいまでも高いものが、もっと高くなるというようなことになっても困りますから、それらの点もよく検討しながら一本化するか否かは検討を続けてまいりたいと思います。
○平石委員 さっきの答弁の中にもありましたように、日赤も一応、血漿製剤をやっておるわけです。だから日赤がやっておるのと企業がやっておるのとを一応調べてもらって、そして日赤がやる方が、むしろ効率的で、しかも単価が安く国民に供給できるということであるのなら、私は日赤へ統一するような方向で検討をしてもらったらどうかと思うのですよ。
○中野政府委員 事実関係だけ、ちょっと申し上げます。
 日赤は主として血液成分製剤は手がけておりまして、血漿分画製剤も、わずかながら手がけておりますが、現在のところの能力では、その保存血全体の処理をすることができず、また全体に血漿分画製剤の需要が、先生御承知のとおり非常に現在、激増しつつありまして、最終製品の輸入も相当量やっているという実情でございます。そういう需給関係から申しましても、いま直ちに日赤の能力に全面的に依存するということは、むずかしい点はございます。
○平石委員 私は、いま直ちにとは言うてないのです。そういう方向で検討してほしい、こういうことですので、以上で終わらしてもらいます。
○橋本委員長 次に、古寺宏君。
○古寺委員 最初に局長から承りたいのですが、中医協で局長さんは、現在の健康保険制度の改正と診療報酬の引き上げの問題は無関係であるというような発言をなさったというふうにお聞きしておりますが、この点は間違いないでしょうか。
○八木政府委員 中医協におきまして、診療報酬の引き上げの問題と健康保険法の改正について、どういう関係かという御質問があったわけでございますけれども、私は、こういうお答えをしたはずでございます。診療報酬というのは五十一年の四月に改定になって以来、引き上げになってないわけでございます。したがいまして、その後の賃金の上昇なり、あるいは物価の上昇なり経済指標の変動等を考えますと、すでに一年半以上も経過しているわけでございますから、そういう意味で診療報酬の改定というものは考えなければいけない。そういう意味で健康保険法の改正とは関係ない。しかし一方、当然、財政の問題がある。そういう面では関係があります。しかも健康保険財政が、政府管掌健康保険が非常に財政が窮迫しているということで、財布は一つでありますし、財政の問題という面から申しますと関係はございますという答弁をした次第でございます。
○古寺委員 そうしますと制度改正と関係なく診療報酬引き上げは考えなければならない。しかしながら原資がない、こういう問題があるわけですね。そうしますと局長さんの御答弁は両方にとられるような、診療報酬の引き上げをするので制度改正をやらなければならぬというふうにも聞こえるし、制度改正と関係なく診療報酬の引き上げはやるのだ、こういうふうにも聞こえるわけでございますが、これはどういうふうにとったらよろしゅうございますか。
○八木政府委員 その際にも、いろいろ御議論になったわけでございますけれども、そもそも診療報酬の改定という問題につきましては、すでに一年半以上も経過しておるわけでございますから、観念的には当然、健康保険法の改正と別個の問題である。そういう意味では関係ないということを申し上げたわけでございますけれども、財政と関係がある、当然、財布は同じである。したがいまして私どもは国会に健康保険法の改正案をお願いしています以上、政府としまして、ぜひ、これを通していただきたいということをお願いしているということを申し上げたわけでございます。
○古寺委員 もう一回、くどいようでございますが、制度改正と診療報酬の引き上げは、逆にお聞きするならば、今回の診療報酬の引き上げは当然行わなければならない。したがって、健康保険制度の改正も行わなければならない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○八木政府委員 診療報酬改定の問題は従来からも賃金、物価上昇あるいは経済の変動に伴いまして、当然、引き上げていただかなければいけないというふうに考えております。
 それから、診療報酬の改定がございますれば当然、医療保険制度に大きな影響を及ぼすわけでございますし、特に政府管掌は大きな赤字を抱えておるということでございますから、私どもといたしましては法案の一日も早い成立を期待しているということを申し上げた次第でございまして、直接に関係があると申せば、ある。ないと申せば、ないということでございます。
○古寺委員 これは論議しても、どこまでいっても同じでございましょうから、次に、大臣にお尋ねしたいのです。
 今日の政管健保の赤字の根本原因は何であるというふうにお考えでございましょうか。
○渡辺国務大臣 一番の原因は、昭和四十八年と五十一年に政府は健康保険法の改正案を国会にお願いをしたわけですが、そのときに、原案としては家族の五割給付を六割にしたいと思っておったわけですよ。ところが国会で御修正がございまして、七割に引き上げられたわけです。これで結局こちらの給付の方が一〇%違いますから、予算の見当が違ってくるわけです。それが累積的に四十九年、五十年、五十一年、五十二年までに、この影響力というのは予定外の出費増が二千五百八十九億円になるのですよ。
 それから分娩費の場合も、政府としては二万円から四万円という案を考えておったのですが、本人について六万円というふうに、これも国会修正になった。これも、こちらで考えてなかったことですから、これが累積をいたしますと、ことしまでに二百六十三億円というような影響力を持っておるわけですよ。
 それで歳入の方も、それに見合ったものを一緒に上げてくれるのならいいのですけれども、そのときには保険料率も千分の七十三が七十二に一%ちびられた。特別保険料は千分の十が削除になってしまった。これはみんなマイナス要因に働くわけですね。それからプラス要因もあるのですよ。たとえば連動国庫補助率というのを、千分の一上げた場合は〇・四%連動するという原案のものを〇・八、これで約一千四百億ばかりプラス要因もあるのです。しかし、そこへもってきて医療費の値上げというものも、その間やっておりますし、そういうようなことが一番の原因だろう。
 第二番目には、思ったほど月給が上がらなかった。したがって、ここで何%というよりも、ここまで考えたが、ここまでしか上がらなかったから、その食い違いも多少はございます。こういうふうに考えております。
○古寺委員 数字は大臣が専門家でございますので、とても私かないませんが、今日のわが国の保険制度の構造は、一番低所得の人は生活保護、それから健康保険以外の人は国民健康保険、中小企業の人が、いま問題になっております政管健保、そして、その上の階層の人が組合健保、こういうふうな構造になっているわけですが、組合健保の場合は現在、赤字はどのくらいでございますか。
○八木政府委員 後ほど数字を申し上げたいと思いますけれども、健保組合全体といたしましては黒字でございます。しかし四割程度は経常収支が赤というような状況でございます。
○古寺委員 全体として年間どのくらい黒字が出ておりますか。
○八木政府委員 昭和五十一年度の決算によりますと七百六十三億でございます。
○古寺委員 それは総体の黒字でございますね。
○八木政府委員 ただいま申し上げましたのは黒字組合の数字でございます。赤字の組合の数字を申し上げますと百七十四億の赤字。したがいまして、全体といたしましては五百九十億ほどの黒字ということでございます。
○古寺委員 私が、この前の委員会でも、いろいろ御質疑申し上げましたように、組合健保の場合は給付もいい、付加給付もある、また保険料も安い、そういう構造でありながら黒字になっている。しかし政管健保は組合健保に比較をして非常に給付も悪い、付加給付もない、そういう中にありながら赤字が出るというのは、やはり数字の上の算術の計算ではいかないと私は思う。構造的に低所得者と申しますか、中小企業で働いている人たちは労働条件、生活環境いろいろな面で組合健保と比較して非常に病気になりやすい弱い体質を持っている。そういう構造を解決しないうちは、この赤字を根本的に解消することはむずかしいのではないか、私はこういうふうに考えるのです。したがいまして、大臣がおっしゃる抜本改正に当たっても、当然この構造欠陥を是正してまいらなければなりません。この点について大臣は、どういうふうにお考えになっているか承りたいと思います。
○八木政府委員 確かに先生御指摘のように健保組合の場合には体質的に政府管掌健康保険と違いまして、平均賃金も非常に高いとか、あるいは年齢構成も若いとか、いろいろ有利な要素もあると思います。ただ、現在の健康保険組合の場合には当然、黒字を出さなければいけない仕組みになっておりますのは、私どもといたしましては、やはり政府と違いますから五%程度の積立金を保有しろという指導をしておりますから、むしろ黒字が出ないのが異常であるということで、健全な運営をやっておれば黒字が出るというのが、あるべき姿でございます。そういう意味から申しますと従来、健保組合の場合には非常に体質もいいし、経営が安定化しているんじゃないかということであったわけでございますけれども、従来、体質がよかった健保組合におきましても非常に赤字の組合がふえている。しかも現在、政府管掌健康保険においては料率が千分の七十八でございますけれども、政府管掌以上の料率をとっておる組合は六百八十五あるわけでございますし、さらに、ぎりぎり上限までとれる組合ということで、その上限までとっている組合が九十一組合ございます。そういうことで、健保組合も非常に苦しくなっているという事実がございます。
 ただ、同じ被用者保険の中で組合と政府管掌とでは財政力が基本的には大きな差があるということは御指摘のとおりであるわけでございまして、この問題をどうするかというのは、これからの基本的な検討の大きな課題であると考えております。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○古寺委員 大臣からも後で、いまの質問に対する御答弁をお願いしたいのですが、時間がありませんので、診療報酬の引き上げの見通しですね。大体いつごろから引き上げられるか、また、どのくらいの引き上げを見込んでいらっしゃるのか、その点を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 先ほど局長からお話がございましたように、私どもは、この健康保険法を通していただいて、そうして、しっかりした財政基盤の中で診療報酬も考えていきたい、こう考えておるわけです。これは関係がないと言っても実際は関係があるのですよ。それは財源のないところで払え払えと言われましても、事実問題として払えないものは払えないわけですから。でなかったら、あるいは遅延されるわけです。ずっと後へ何カ月か。そういうようなことがあるから、そういう意味では、これは連動しておる、財布の中はですよ。私としては、なるべく、これは今国会の期限中に、できることなら無傷で通していただきたいのです。それで、できることなら年内に改定なんとかならぬかなというように、いまのところ考えておるわけです。したがって、上げ幅については、まだ実は詳しい詰めをやっておりません。
○古寺委員 これは何かお聞きするところによりますと、来月の九日の中医協で諮問するようなことを伺っておりますが、そのとおりでございますか。
○渡辺国務大臣 そういうことを予定いたしております。
○古寺委員 私、前にも、この診療報酬の問題でお尋ねをいたしましたときに大臣は、歯科医師会との関係があるので、なかなか中医協も開かれないし大変である、こういうお話があったのでございますが、歯科医師会の方とのお話し合いは大体どういうふうに解決をしたのでございましょうか。
○八木政府委員 歯科医療の正常化、改善の方向につきまして、昨年の十一月に中医協が中断して以来、中医協が開かれておらなかったわけでございますが、その後、大臣も含めまして私ども、歯科医師会と相当頻繁にわたります折衝を行ったわけでございます。そこで歯科医師会との関係におきまして基本的な考え方につきましては合意を得たわけでございまして、その基本的な考え方が合意を得たというような時点で八月に中医協を開催いたしまして、各側に、いままでの経緯というものを御報告いたしまして、中医協が再開の運びになったというような次第でございます。
○古寺委員 歯科医師会どの問題点というのは、いわゆる差額徴収の問題であったと思うのですが、この差額徴収についての基本的な考え方で一致をしたという、ただいまのお話でございますが、どういうふうに基本的に一致したのでございましょうか。
○八木政府委員 歯科医師会と合意いたしました基本的な考え方は、現在、皆保険である。したがいまして国民に必要な医療、しかも緊急必要なものは、できるだけ保険の中に取り組んでいくというのが大原則でございます。
 それから第二番目といたしまして、技術料、特に歯内療法等の基礎的な診療部門、この辺の問題につきましては、その重要性の認識に立ちまして、その適正化を図りますとともに、材料差額問題で中医協から御答申をいただいておりますけれども、貴金属等を使用します場合には中医協の答申の線に沿いまして材料差額方式を実施する。
 この基本原則をもとにいたしまして、ただ、いままで十年以上にもわたって継続しました差額診療という問題であるわけでございますので、これを一挙に解決するということにつきましては種々困難な問題もあろうかということで段階的に、おおむね三年程度で実現するというようなことから、第一年度目に何を実施し、第二年目に何を実施し、第三年目に何を実施するというような点につきましても、ある程度の合意を得まして、そういうような三年計画でやるという基本的な方向につきましては、おおむお話し合いがついたわけでございますけれども、やはり技術料の評価をどうするかということが一つの大きな問題であるわけでございまして、技術料の評価、特に歯内療法なり根管治療の技術料をどう評価するかということになってまいりますと、当然、診療報酬の改定の際でなければ技術料というものは改定できない。したがいまして、今度の診療報酬の改定の際に、この問題を同時に決着するということで、最終的な結論は、まだ得ておりませんけれども、今回の診療報酬の改定の際に、この問題を解決いたしたいというふうに、私どもとしましては考えておる次第でございます。
○古寺委員 そこで一つだけ承っておきたいのですが、この差額徴収の問題につきましては、診療報酬の引き上げに伴いまして別枠として考えるという考え方でございましょうか。
○八木政府委員 この辺の問題につきましては、歯科医師会も中医協等で御主張がいろいろあるわけでございますけれども、別枠の考え方か、あるいは診療報酬全体の中で考えるか、この辺の問題は、これからの問題でございますけれども、一方、同じ診療報酬の改定であるわけでございますので、医科、歯科とのバランスということを考えなければいけないわけでございまして、診療側の方でも、そういう御意見が出ておるわけでございますので、全体の診療報酬の今度の改定の際に技術料の評価ということを考えてまいりたいというふうに思っております。
○古寺委員 今回の、この制度改正が行われまして財政効果はどうなるかということは、ここでくどくどと申し上げても、いたし方ないのでございますが、いまの、この制度の改正のままでは当然また赤字が出るということが予想されますね。したがって、この問題については抜本改正をなさる、こういう大臣の御決意でございますが、しからば、その抜本改正は、きょうは老人の方の老人懇の結論は出ておりますが、十一月四日ごろには健保問題の方の懇談会の結論も出ると思うのです。その結果を見て大臣が抜本改正の内容を一応、国民の前に示すというお話を承っておるのでございますが、大体あと何日もございませんので、この内容については、もうすでに、どういう方向でいこうかというお考えが、ほぼ大臣の胸の内にはあると思うのです。きょうは、その全部については、とてもお聞きすることはできないでございましょうが、その抜本改正に対する大臣の、こういう方向でいきたいというような構想、スケジュール、そういうものについてお聞かせを願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 いま、おっしゃったように四日ごろ社保審の答申も出ますので、いま盛んに議論をやっていただいておりますから、私が、その前に、はっきりしたことを言うことをできません。できませんが、老人医療懇の方はもう出ておるわけです。この中で取り上げられていることは、やはり老人の医療というのは、ただ単に医療だけの問題ではない。予防の問題とか老人の健康保持の問題とか、治療の問題はもちろんですが、リハビリもあわせてやるべきであるとか、あるいは家庭看護のようなことも考えるべきであるとか、いろいろ御指摘がございます。それと同時に、負担というものは国民各層の公平な御負担をいただいた方がいいんじゃないかというような御示唆もございますから、これはそのような趣旨に従って、その財源をどういうふうに取るかということは、国民各層からですから、各層から公平にというような御趣旨に従って政府としては一つの方向が出せるだろう、こう思っております。
 医療問題については、いま議論生なので、社保審の方については、その基本的なことを私から、いますぐ申し上げるときではない、こう思っております。
○古寺委員 私は、今度の制度改正に当たっては抜本改正という問題は不可分の問題だと思うのですよ。したがいまして本制度の改正に当たっては、やはり先に大臣の方から抜本改正の案を示して、しかる後に、この改正という問題について取り組むべきである、私はそのように考えるのです。抜本改正の内容を全然示さぬで、ただ改正案だけをここへ出してきて改正しなさい、やりますよやりますよ、では内容はどうですか、それはまだ皆さんに種明かしはできない、こういうような行き方ではなしに、逆に大臣の方から抜本改正の案を示して、そして制度の改正というものを、まあ緊急避難的な改正でしょうから、それをお願いしていくという方向が正しいのではないか。これが一つでございますね。
 それからもう一つは、いま老人と問題のお話がございましたが、これを読んでみますと、財源の問題については、ちょっと避けて通っているというような感じがいたしております。しかし大臣のお話ですと、国民から平等に出していただくというお話でございますが、その大臣のお話の考え方の根底は、いわゆる賦課方式でございますか、それとも積み立て方式でございますか。どういうような方式をお考えでございましょうか。
○渡辺国務大臣 そこまでは、まだ詰まっていないのです。ゆうべ、いただいたばかりでございますからね。外国の例などを見ますると、ドイツなどは老人の退職医療という問題については、年金の既支給額の一一%というものを保険財政に繰り入れておるというようなことをやっているわけです。ところが日本の場合は国民年金とか、いろいろな問題もございまして、そのまま当てはまるというようなわけには実際問題として、なかなか、いかないだろう。したがって、どういうふうな方法がいいか。保険料の方がいいか、あるいは住民税の付加税のような形がいいか、その他の方法がいいか、それらのことについては、ゆうべ、もらったばかりでございますから、これはまだ決めてはありません。
 それから抜本改正の方向というのは、やはり各制度間の給付の格差というようなものを、なるべくなくせという皆さんの強い御主張でございますから、ああ、そういうようなものは当然、詰める方向でやらなければならぬな、こう思っているわけですよ。
 それから本人は一〇〇だが家族は七〇だと、同じ制度の中でも、そういう違いもある。これも詰めろという皆さんの御要求が多いのですから、やはり、これは抜本改正の柱にしていかなければいくまい。
 それから保険料率の問題等は、ドイツなどよりも日本は安いわけですよ。これは別にまねするわけじゃありませんよ。参考までですが、ドイツでもフランスでも医療保険制度に国庫補助金は原則として入れていないのです。日本はともかく余裕がありましたから、これを入れてきたわけです。
 それから負担の問題というのはおもしろくて、この歯医者の問題なんというのは、やはり、どこでも困っているようです。歯科問題というのは、ドイツあたりでは二〇%の自己負担を取っておりますし、フランスでも二五%、スウェーデンは五〇%の自己負担です。千クローネまでは五〇%ということで、二千クローネ以上は二五%負担、それから三千クローネ以上になりますと、保険に入れるかどうかについて県知事まで上げまして、そこで審査をするというようなことをやっておりますし、フランスあたりは、たとえば金属床なんかの問題でも、金属床としてはやっても結構ですよ、しかし支払いはレジン床までしか支払いませんと決まっているわけです。金属床を入れようがポーセレンを入れようが、それはレジン床までの保険支払いというようなことまでやっている。世界各国それぞれ国によって違いますが、スウェーデンのようなところでさえ、たとえば通院費の負担というものでも日本の金だと八百二十何円ですか、そういうようなものを取っているわけですよ。スウェーデンのような、あれほど税金の高い国でさえも、通院費については一回が八百二十五円、開業医の場合は千三百七十五円、一日の入院については千百円というような一部負担を取っておるというようなことなど、いろいろあって、財源を考えながら、そのかわりに手当もよくしていく。ベット差額、それから付き添いの問題等も国会で、あれだけずいぶん、うるさく指摘をされておる問題ですから、負担は負担として、やはり、かかるものはかかるわけですから、そのかわり改善の方向、それから、むだをなくしていこう。薬剤の問題とか、いろいろな問題でも指摘されている点がたくさんございます。そういうようなむだをなくすということも、やはり大きな抜本改正の一つの方向ですから、そういうようなものなどを参考にしながら、これから答申を伺って決めていく。
 答申が出る前に私がここで独断的なことを、なかなか言えないですよ。そのために専門家を集めて検討してもらっているわけですから、そういう専門家の意見と、私がいま言ったような諸外国の例等を参考にしながら、日本に合ったものを、そして実現可能性のあるものを、まず抜本改正としてやる、こういう考えであります。
○古寺委員 いまも申し上げましたように老人問題のあり方、これはもう出ましたね。だけれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる財源問題は避けて通っているんですね。今度、健康問題の懇談会の結論が出ます。しかし、その中にも、いま大臣がいろいろおっしゃっているようなことが実現できないような結論が出てまいるかもわかりません。これはまだ見ないうちはわかりませんですよ。見ないうちはわかりませんが、その結論を見て、私は抜本改正をやりたいと思ったが、いわゆる懇談会の結論はこういう結論であったので、もう少し検討させてもらいたいとか、時間をかしてもらいたいというようなことはございませんか。
○渡辺国務大臣 どういうふうなお詰めをされるか、まだわかりませんが、私としては極力その答申は尊重していく。したがって、私はできないようなことを御答申されるとは思っておりません。それぞれりっぱな有識者の方でございますから、答申をもととして抜本改正案を提案する、こう考えております。
○古寺委員 そこで、今度の改正の中で一部負担の引き上げがございますけれども、この一部負担を引き上げますと当然、受診抑制が起こると思うのですよ。これは大臣はそうじゃない、そうじゃないとおっしゃるかもわかりませんが、これは必ず起こるのです。その点についてはどうですか。
○渡辺国務大臣 それは程度問題だと私は思うのですね。スウェーデンで一日の入院料を千百円に上げて、うんと受診抑制が起こったかというと、やはり入院される方は、そんな受診抑制などと言っているわけにいかないのです。現在の日本の一日六十円の入院時一部負担というものは十年前のことで、五十年にも上げていただきたいといって提案をしたものなんですよ。うちにおったって食事はしておるわけです。うちにおっても食事代はかかっておるわけですから、入院時の一部負担などというものは、外国の例から比べて二百円がうんと高いかどうか、それは少なければ少ない方がいいに決まっておりますが、この程度のことで受診抑制になるというようには私は考えておりません。
○古寺委員 ここに厚生省からいただいた資料がございますが、四十二年の九月一日から一部負担金の改正を行って、初診時百円を二百円に、入院時一日三十円を六十円に、それぞれ引き上げたわけですね。その結果、急激に患者さんが減っております。昭和四十二年度、四十三年度のデータに出ております。これはもう政管健保の方も組合健保の方も同じでございます。こういう過去のデータを見てもおわかりのように、一部負担金を引き上げるということは必ず受診抑制が起こる。しかも、無理をする人は低所得の人なんですよ。お金のある人は一部負担が上がってもお医者さんのところへ行くのです。しかし、一日の入院料がこういうふうに上がったために、とても入院していることはできない、そういうことで退院をしなければならないというような患者さんも出てくるかもわかりません。そういう点で、大臣は絶対ない、こうおっしゃいますが、何を根拠に、そういうことをおっしゃるのか、もう一遍お尋ねします。
○渡辺国務大臣 これは何を根拠にと言われましても、社会通念で私は考えておるのです。入院しておって一部負担が二百円かかるようになった、入院していると毎日二百円もかかるのだから、うちへ来たら百円で済むというわけには、なかなかいかないのではないか。本当に生活に困る、財産もないというような方は、生活保護という問題もございますし、そういうことがあるわけですから程度問題である、私はそういうふうに思っております。諸外国どこでも一部負担というのはございます。それは全然ないのがいいのか、あったがいいのか、いろいろ検討に検討した結果、みんなそれぞれの国に合ったことをやっておるのであって、私はこの程度のことで、お金がないために医者にかかれない、そのためにうんと健康を害するということにはならないだろう、かように思っております。
○古寺委員 どうも大臣のいままでの一連の御答弁を承っておりますと、抜本改正にいたしましても、果たして、われわれが考えているようなものが出てくるかどうかということも疑わしいのではないか、こういうふうに考えられますし、さらにまた、この改正の内容を見ましても、国民から非常に不満が出ているわけですから、むしろ、こういう、無謀なことをおやりになるよりは、特会法を改正して新しい抜本改正に向かってスタートを切っていった方がよろしいのではないか、こういうふうにも言われているのですが、その点についてはどうでしょうか。
○渡辺国務大臣 特会法を改正するというのは借金しろということですから、借金した金はだれが払うのかということです。ですから私は、そういうふうに大きく借金をしてしまって、それで抜本改正のときに、それを皆、織り込むのだということよりも、先ほど申し上げましたように、給付の改善というようなことなどが主な原因で累積赤字ができておるわけですから、負担のわりあいに給付を受けてきておるというような点を考えますと、この際は本当に御協力をいただきたい、こう思うわけでございます。
○古寺委員 そこで大臣に、ひとつお尋ねしておきたいのですが、いわゆる医師に対する税の特別措置法の問題でございます。先日の新聞に日本医師会の武見会長の発言、これはよくないというような意味のことが載っておりました。ところが、けさの新聞を拝見しますと、医師の税金に対する大臣の私案でございましょうか、そういうものが載っておりましたが、この辺に対する大臣の真意はどこにあるのか、承っておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは新聞の見出しみたいになっても困りますが、私がここで十五分もしゃべらせていただけるならば、お話しを申し上げますが、時間の関係もあるでしょうから、時間は結構だとおっしゃるなら、公明党さん同士のお話で時間を詰めてもらっても結構でございますが、やはり、それぞれ御質問の方も用意されておりますから、私がここで長話をするのは差し控えたいと思います。
○古寺委員 そうしますと、けさの新聞の厚生大臣のあれは、三千万円までは七二%でございますか、そういう見出しの新聞の記事のようであったのでございますが、これは大臣がおっしゃったわけでございますね。
○渡辺国務大臣 見出しでなくて中身を読んでいただきたいのです。
○古寺委員 そうすると、あの中身のとおりに理解してよろしいのでございますか。
○渡辺国務大臣 五十分も話したことを、五分間ぐらいで読めることにまとめてありますから、中身が全部そのとおりだとは申しませんが、そう間違ってはおらないようであります。
○古寺委員 先ほども申し上げましたように、現在の制度改正を行いましても、これは当然、抜本改正をやらないといかぬわけでございます。どこまでいっても赤字が解消しないわけでございますから、抜本改正について健保問題懇談会の結論がどうあろうとも、あるいは老人懇の結論が財源の問題に触れていなくとも、必ず抜本改正をおやりになるか。また、やるだけの自信がおありか。その点を承って終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 やるだけの自信がございます。
○戸井田委員長代理 次に、大橋敏雄君。
○大橋委員 大体、与えられた時間が、もうほとんど迫ってきていると思うのですが、最後の締めくくりの意味で、十分やそこら延びるかと思いますが、御了解願いたいと思います。
 そこで大臣にお尋ねいたしますが、御承知のように政管健保の赤字問題は、これまで、だれもが言ってきましたように、政府が抜本改正を実際にやらなかったから、その結果として、このような姿になってしまったのだ。要するに、やるべきことをやらないで、赤字が出たから埋めてくださいということでは国民は納得いたしませんよということで、ずっと問題になってきたわけです。ところが、いま大臣に抜本改正の内容を示せと言っても、健保等懇等の答申が十一月の四日ですかに出る、それまでは自分から、どうのこうのと言うわけにはまいらないのだという理由はわかります。しかしながら私どもは、いまも古寺議員が言いましたように、この内容がはっきりしない限りは、幾ら財政対策案を修正し、あるいは何んだかんだで通したとしても、また同じことが出てくるんじゃないかという大変な心配があるわけです。
 われわれは野党だから、どうなってもいいという考えを持ちません。したがいまして、この社労委員会の中で真剣な議論がなされているわけですが、そうした議論の中で、われわれは、もう、こうなったらば委員会の中で抜本改正実現のための小委員会をつくろうじゃないか、その柱をぴしっと立てていこうではないかという話が煮詰まってまいりました。恐らく、この委員会の最終段階では各党の意見が一致して、そういうことが行われるだろうと私は確信いたしておるわけでございますが、ここまで真剣かつ深刻にわれわれが考えていることを十分胸のうちにおさめていただいて、十一月四日以降出てくるであろう抜本改正の答申を受けて、そしてまた、われわれの決意を受けて、思い切った立場で改正をしていただきたい、抜本対策をしていただきたい、これを強く要望いたしておきます。じゃ、それをとりあえず。
○渡辺国務大臣 いま大橋先生がおっしゃったことを本当に誠実にお約束をいたします。
○大橋委員 そこで抜本改正の内容については、まだ言えないということですが、老人懇の答申は出た。このことについては先ほどから大臣の御意見を伺ってきましたが、要するに、これは老人保険というものを創設したいという意思なのか。そして、その意思があるのならば、大体いつから、それを実現なさろうと考えておられるのかを、お尋ねしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これも先ほどお答えいたしましたが、昨晩いただいたばかりで、省内で、まだ協議もしていないのです。していないのですが、大体、書いてあることで、私も先ほどお話ししましたから、そういうような方向が一番有力だと思っております。
○大橋委員 そうしてみると、少なくとも五十三年度には、その準備を進めて、五十四年度ごろから具体的に入っていくということに理解していいですか。
○渡辺国務大臣 大体そういうように御理解願って結構だと思います。
○大橋委員 実はわが党も、いま老人医療保険の法案を準備しつつあります。次の通常国会には必ずや提案したいと思っております。いまの老人懇のこうした答申とあわせて十分、参考にしていただいて、りっぱなものを実現していただきたい。そして医療保険の中における財政問題と老人全般の対策とあわせた、すばらしいものをつくり上げていきたいし、してもらいたいということを強く要望しておきます。
 実は時間がございませんので、はしょって申し上げますが、いま、政府で今日、出されております財政対策案に対する修正の考えが報道されているわけでございますが、われわれは、いまのような修正内容では、とても賛成できません。先ほども質問があっておりましたように、ボーナス特別保険料云々のことについては根本的な問題があるわけでございますが、とにかく当分の間なんというようなことは許されるものではない。やはりこれは、きちっと期限を切っていただきたいし、あるいは、そのボーナス特別保険料が組合保険と政管健保との格差をますます広げていく、そういうことについての問題点、それに対して将来、政府はどのように、それを埋め合わせするかというようなことまで明確にしていただきたいわけです。いかがですか。
○渡辺国務大臣 これもお答えをいたしておりますが、それぞれ健保制度、保険制度の違いがございます。そういうようなものの格差もなくする方向で、やはりそれは抜本の中の大きな柱になるということです。
 それから、これは当分の間で、ずるずるいつまでも、五年も六年もいくんじゃないかというようなお話がございますが、そういうことはいたしません、これは抜本を至急やるわけですから。それは皆さんで通過さしてくれなければだめですよ、国会を。国会を通過さしてくれれば、その方に乗り移っていくということなので、これは皆さんも小委員会をこしらえて、政府案をつくるときに一緒になってひとつ御尽力をいただければ非常に私はありがたい、こう思っております。
○大橋委員 いずれ抜本改正の具体的な問題は、それこそ真剣な議論がなされてくると思います。
 時間がございませんので最後に、先ほども質問が出ておりましたが、医師の領収証の問題でございます。
 実は、きのう健康保険改定を考える医療一一〇番連絡会という会の代表の方が大ぜい陳情にいらっしゃいました。そこで私も親しく懇談をしたわけでございますが、その一一〇番の中に医師の領収証の問題が大変な数に上っている、これは何としても領収証の発行を義務づけてほしいと、こういうお話であったわけです。
 これは先ほど論議があっておりましたから、私は結論でいいと思うのですけれども、とにかく、お医者さんが領収証を請求すれば出すんだとはいうものの、非常にけしからぬお医者さんも中には、いるそうです。請求すると、とんでもないいやみを言ってみたり、また、ただですら医者に対して領収証を下さいと言いにくい立場にある患者ということで問題になってきているわけでございますが、これも先ほど問題にはなっておりましたが、医療費の控除の問題がありますね。これは私、専門誌を取り寄せて見てみたところ、確かに五万円から二百万円までを限度として医療費の控除があるわけです。そして、この医療費控除を受けようとする人は、医者や薬局などに支払った代金の領収証を保存することが大事である、こういう注意書きがある。医療費には、入院費や通院費はもちろん、看護婦、助産婦に払った費用など、診療や治療あるいは手術または分娩の介助を受けるために直接必要な費用が含まれるのですよと、こういうこともあるわけですから、やはり、こうした医療費控除の立場からいっても、また、こういう運動が三十団体も四十団体も、だんだん広がっていっておりますので、これは単なる、請求すれば医者はくれるようになっているんですよということだけでは、おさまらなくなってくるんではないかと思うわけです。この点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 先ほども言ったのですが、これはやっぱりマスコミの皆さんにも御協力をいただいて、金を払った場合は当然、領収書を請求できるわけです。これは民法の規定にも決まっているわけですよ。また、領収証をくれないというのなら金を払わなくたっていいわけですからね。ただ、いま言ったように、百円、三百円とか細かいやつがありますね。その都度、行って二百円とか三百円とかいうのがありますよ。その場合に、必要な人もあるし、全部、医療費控除になるわけじゃございませんから、要らない人もあるわけですよ。そのときに、いまでさえも医者が大変忙しいから二八%なんか帳面につけるといったって容易じゃないとか、レセプトをもっと簡略化しろとか、診療側からいろいろなことを言われているわけですよ。そういうときに、百円でも二百円でも払ったら全部きちんきちんと、その領収書をつくって出せという命令を私の方でかけようといったって、かけられる立場にはないわけです。民法上、決まっているわけですから。ですから、その必要があって要求されたときには出すように指導してくださいというように、私の方からも改めて各団体や都道府県知事、そういうようなものに行政的な指導はいたします。しかし、義務づけでやるとするなら法律でもつくってもらわなければならないこれは国会提案でも議員提案でも何でも法律をつくるというなら話は別ですが、数から言えば、やはり要らない領収書の方が圧倒的に多いのじゃないかと私は思うのです。それを領収書を全部義務づけるということの方がいかがなものか。ここにはお医者さんが二人もおりますから、窓口をやっている浦井先生もいるし、それらの方に実情を聞いていただいた方が、むしろ、はっきりするんじゃないかという気もするのです。どうぞ、そういうことで御了解をいただきたいと存じます。
○大橋委員 これだけ国会で議論になってきたことでもございますので、先ほども申しましたように、一部の医者でしょうけれども拒否する人もいる。あるいはただでさえ患者は領収証をもらいにくい。ましてや、かかりつけのお医者さんともなれば、なおさらのことでございますので、こうした皆さんが要求している、その心を十分とらえた上での行政指導をしていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、薬づけや、あるいは医療費の不正請求の事件が後を絶たないわけでございます。あるいは保険外負担など国民の厳しい批判の目が、いま集まってきているわけでございますが、こういうものをあわせて、少なくとも五十三年度には、できるだけのことは解決したい。制度の統合の問題等もあり、あるいは財政調整等の問題もあり、あるいは給付水準の引き上げだとか、いろいろな問題があるわけでございますが、先ほども申しましたように、われわれも国会で小委員会をつくります。本当に国民の期待にこたえる医療制度をつくっていきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○戸井田委員長代理 次に、和田耕作君。
○和田(耕)委員 今朝来、大原委員、いまの大橋君まで、いろいろな問題を取り上げられておるのですけれども、老人の保険医療という問題については各委員とも非常に強調しておられる。私も、この問題を一つのポイントに質問したいと思っておったんですけれども、私の判断によりますと、いまの日本の医療制度にはいろいろ重要な問題点がある。その中で医療の供給体制という面から見れば、やはりお医者さんのあり方という問題が最大の問題だと私は思うのです。と同時に、医療を受ける側から見れば、一番大きな問題はお年寄りの医療の問題、こういうように思うのですね。そして共通の問題として薬の問題がある。つまり、この三つの問題に焦点を当てて今後の日本の医療制度の問題は考えていかなければならない、こういうふうに私は考えるわけでございます。
 きょうの日本の大新聞のほとんど全部が、この老人の保険医療問題についての答申を大きく報道している。これはもっともだと思うのですね。この問題についてひとつ大臣に、ゆうべ、もらったから的確な答弁はできないという、これはごもっともだと思いますけれども、今後の方針の問題としてお伺いしたいのは、人間の幸せという問題は、いろいろ考え方があるわけです。しかしながら、お年寄りになって幸せになるということが一つのポイントであることは間違いない。お年寄りになって病気になっても、医療が十分受けられないというようなことになると、何ぼ幸せになろうと思っても幸せにできないということですから、人間の幸せの一つのポイントになるお年寄りの幸せの中で、年金の問題と医療の問題が柱になるわけですね。そういう意味で老人の医療問題というのは特に重要な地位を占めてくると思っております。とりわけ、いまの各保険の赤字という面から見ましても、組合健保は比較的裕福である、政管健保は赤字が続く、国保も大変危険な状態にあるという中身を見れば、やはり老人医療の問題と関係をしてくるというわけですから、この問題について、ゆうべの老人懇の提案というものは、まだ、それらしい解決の目安はほとんど出ておりませんけれども、問題を指摘しているという点では非常に重要な意味を持っていると私は思うのです。そこで、この問題は後で質問する機会があると思いますから一点だけ。
 これは相当たくさんのお金がかかる仕事だと思うのです。そのお金の負担をどうするかという問題について、これは三つの、負担を背負うあれを挙げておるわけですけれども、私は、これは社会保障制度の根本的な考え方からいって、目的税的な性格を持たして裕福な人――お年寄りでも裕福な人は当然その対象になるわけですが、裕福な人を中心にしながら、公平な一つの目的税の体系を考えてみたらどうだろうか。そういうふうな考え方でないと、この負担の問題はなかなか解決できないんじゃないかという感じを私は持つのですけれども、このような考え方は、厚生大臣の立場から見て一考に値するかどうか、あるいは重要な検討に値するかどうか、それだけで結構ですからお答えをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 よく意味がわからないのですが、裕福な人から取れというのは、老人の裕福な人から取れという意味ですか。
○和田(耕)委員 これは、そういう細かい問題でなくて、社会保障制度の一番根幹の問題に関係する老人の幸せの問題なんだから、目的税として、こういう制度を確立するために必要だから、その目的のために国民に税金を出してくださいという提起の仕方ですね。その内容として、お金持ちから、できるだけ多く出せるような税制を編み出していくということなんです。
○渡辺国務大臣 それは検討をしたいと思っております。どういうふうな割り振りにするか、定額というわけにいかぬでしょうから、何かの率ということにすれば、やはり所得の高い人は同じ率でも高い額になりますね。これはどういうふうなのがいいか、先ほども言ったのですが、まだ、そこまでは詰めておらないものですから、もちろん検討の中に入ると思います。
○和田(耕)委員 それは最初、申し上げたとおり社会保障制度の根幹に関する問題なんです。お年寄りの幸せという問題、老人医療という問題ですから。しかも各保険制度で非常に困っている問題である。これを負担するのに、どうしたらいいかという問題である。しかも国見全体に対して大義名分として何とかしなければならぬという問題でもあるわけです。そういうふうな問題を含んで、ぜひとも老人医療の問題を解決するために――これが解決できれば、日本の医療制度の制度としてのいろいろな問題が解決できるのですよ、中心の問題は。だから目的税の構想を参考にしていただいて、当然、社会保障制度ですから比較的裕福な人から多く出してもらうという考え方を適用することはあたりまえのことです。また国民も恐らく納得してくれることだと思いますので、ぜひとも、この問題を厚生省として検討していただきたいと思うのです。もう一度、頼りないあれじゃなくて、もっと……。
○渡辺国務大臣 十分検討いたします。
○和田(耕)委員 それでは、この法案の内容に入っていきたいと思いますけれども、ボーナスから特別保険料を取って千二百億幾らの金を出していくというわけですけれども、この千二百何十億というお金が確保できると思われる出所を簡単に御説明いただきたい。
○八木政府委員 私ども、ボーナスの保険料の算定基礎といたしまして、各事業所におきます平均のボーナスの支給額というものを基礎にいたしまして、大体年間四十四万程度だと思いますけれども、それを基礎にいたしまして算定したわけでございます。
○和田(耕)委員 役所や公共団体であればボーナスの率は大体わかっている。したがって大体の積算の基礎は、そう狂わずに出ると思うのですけれども、特に最近のような非常に不景気なときですから、ボーナスというのは一般の企業からすれば、もうけた場合に出すという性格をいまだに持っておりますので、そういう問題から見て、果たして期待するような額が集まるのかどうか、これが私は気になるのですが、いかがですか。
○八木政府委員 確かに現在、一部の企業におきましては景気が悪いというようなこともございますし、企業の実態によってボーナスの支給の実態というのは、かなり変わろうかと思いますけれども、私ども、過去何年かの統計を見ました場合、この程度の支給実績は確保できるのではないかというふうに思っておりますし、さらに現在の健康保険財政が非常に窮迫した事態である。この事態を乗り切るという際に、ボーナスという場合には、ある程度、高額所得者ほど額が高い、しかも景気のいい業種ほどいいということから、現在の危機を乗り切るというためには、負担の公平ということも考えた際に、最も求めやすいという点で御理解いただけるのではないかということで御提案しているわけでございます。
○和田(耕)委員 私は、まず出す方の立場に立って心配になる点は、経営者として、保険料が一%もかかるのだから、違った形で金を出していこう、保険料のかからない形で金を出していこう、そういうふうな考え方が特に不景気なときは出ることが予想されると思うのです。そういうふうなことになってくると、給与体系というものがかなり乱れてくるという心配も出てくるのじゃないかと思うのだけれども、その点いかがですか。
○八木政府委員 私ども、いわゆるボーナス保険料と言っておりますけれども、特別保険料の性格としましては、必ずしも賞与という明確な形ではございませんでも、実態上は年三回以内の回数で支給されるという場合には、名目は賞与ではなくても対象にいたしたいと考えておるわけでございます。現在、年四回以上支給されておる賞与等はすでに保険料の対象になっているわけでございます。さらに、失業保険等におきましても、すでにボーナス等は対象になっているということを考えますと、先生御指摘のような心配はまず大丈夫ではないかというふうに思っているわけでございます。
○和田(耕)委員 労働組合の関係の人は、そういう問題つまり給与体系の混乱ということを特に心配している向きが非常に多いのです。こういう形で保険料を取れば。これは心配ない、あっても大したことはないというふうな判断があると思いますけれども、これは特に考えてみる必要があると思います。
 そうして、先ほど申した問題からいっても、仮にボーナスから保険料を取る、これはごく臨時の措置だということになりましても、この臨時というものが果たしてどの程度のものか。きのうも、私どもの関係の深い、ある団体から、年末のボーナスだけに限るようにしてくれという強い要望が出ておるのですけれども、このボーナスを対象にした、いまの保険料を取る措置は、正直言って厚生省としては大体来年一ぱいを考えておるのかどうか、その点は厚生大臣いかがでしょう。
    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺国務大臣 こは抜本改正ができるまでということでございますから、私の方は答申を受けたならば、老人懇と社保審と両方の意見を尊重して、皆さんの方とも相談しますよ、国会にも小委員会をつくってくださると言いますから。そうして本当に、これならいけるというものを取り組みたいと思います。ですから途中で御相談願いますから、これはかなり負担もかかる話でございますから、国会で今度は負担の方だけ切られたりしたんじゃ、また、できなくなっちゃうわけでございますから、そういうことのないように事前に、ある程度の相談はしていきたい。したがって、そこがうまくつけば、そう長い時間はかかるものではないし、うまくいったら五十四年ぐらいから実施をしたい、私はこう思っているのです。そこらをめどにして……。
○和田(耕)委員 それはそういうものだと思いますから、いつからと確定するということは無理な話です。大臣のお話では五十四年あたりから、これをやめられるかもわからないという見通し、これは非常に良心的なあれだと私は思うのですけれども、ただ、この抜本改正ができるまでということになりますと、抜本改正という問題は、いろいろ内容によって非常に多岐にわたる問題があり、あるいは事によっては三年、五年とまたがるような問題もあるわけで、そういうことがありますから、抜本改正ができるまでというような基準ではなくて、いま大臣の御決意のように、とにかく来年一年で、がんばってみるのだという、この決意は必要だと思うし、そうだと、これを払う側でも、やはりある程度、安心ができると思うのです。むろん反対ですけれども、やるにしても、ぜひともひとつ、そういう決意だけは、しっかり持っておく必要があると思います。
 そして一部負担の問題ですけれども、一部負担を三倍あるいは、それ以上に設定した理由はどういう理由ですか。
○八木政府委員 現在の一部負担金の初診時二百円、それから入院時六十円という額につきましては、昭和四十二年以来据え置きになっているわけでございます。したがいまして、その当時におきます賃金なり、あるいは所得の伸び、あるいは医療費の増等を考えますと、それに匹敵するもの、あるいは、むしろ、それ以下程度でございますので、その後の十年間の経済情勢の変動等を考えますれば、この程度の額は御無理のない負担として御理解いただけるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○和田(耕)委員 これは主として物価の変化ですか。
○八木政府委員 被保険者一件当たりの診療費についてみますと三・六倍になっているわけでございます。それから平均標準報酬は四・二倍になっているというような、賃金なり医療費という面に着目しまして、いま申し上げました数字から見ますと、そこまでいっていない三・五倍ということでありますれば、大体、経済指標の変動に即応するものであるというふうに理解いたしております。
○和田(耕)委員 私は、ここで特にお考えいただきたい点は、少し急激過ぎやしないかという二つの一部負担についての感じと、入院料の負担を六十円を二百円にするという問題ですね。これは、これくらい取っても現在の病院の赤字に寄与する率は少ない。と同時に付添看護婦問題ですね。あるいは差額ベッド問題。万単位の収入の負担になるような問題がずっとあるわけですね。この問題に対して何らかの目安をつけないで、入院料を六十円から二百円に上げるというようなことは、はなはだ筋の通らないものじゃないだろうか。それは制度としてあるから、初診料を上げるから入院料も上げるというようなこととは別に、入院料の問題に手をつけるとすれば、もっと熱意を持って付添看護婦の問題と差額ベッドの問題について、もっと意欲的な姿勢で取り組んでみる必要がありはしないか、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
○八木政府委員 当然、医療保険の問題につきまして、現在の必要な費用を賄うというためには保険料の形でいくのか、あるいは一部負担の形でいくのか。何らかの形で、これは国民全体でやっておる制度でございますから、それぞれの保険におきまして考えていかなければならない問題でございます。保険料で持つのがいいのか、一部負担で持つのがいいのか、いろいろな考えがあろうかと思います。しかし、現在あります諸外国の例等を見ましても、ある程度の一部負担金というのがあるわけでございますし、先ほど大臣もお話ししましたように、諸外国におきましても引き上げが行われておるという例もあるわけでございます。しかも、四十二年以来十年間据え置きになっているということを考えました場合に、この程度の引き上げということは決して無理のない額ではないかというふうに考えておるわけでございます。さらに、先生から御指摘ございましたように、差額ベッドなり、あるいは付き添いの保険外負担の問題、これはやはり御指摘いただきましたように、あるいは従来からも、いろいろ御議論されておりますように、私ども、この問題の解決ということにつきましては本格的に取り組んでいかなければならないというふうに考えておる次第であります。
○和田(耕)委員 いまの付添看護婦さんの問題は、局長さんとして、どのような計画で何年くらいをめどにして、つまり、これは結局、完全看護というものを完全に実施できるかどうかという問題と非常に関係があるわけだと思うのですけれども、完全看護体制、いろんな問題があると思いますが、これをどのような計画で実行しようとしておるのか、その御答弁をいただきたい。
○八木政府委員 付き添いの問題につきましては、現在たてまえといたしまして、基準看護病院につきましては付き添いが必要ない。そのかわり基準看護病院でないところにつきましては看護料というものを保険で支給するということになっておるわけでございます。現実問題としまして、基準看護病院で現実には付き添いがあるというような御指摘等も受けておるわけでございまして、基準看護病院のあり方としましては、一つは診療報酬の改定の際に看護料の問題等につきまして改善を図るという問題もあろうかとも思いますけれども、差額ベッドの問題と異なりまして、一つは、やはり看護婦さんの絶対数が足りないということで、現在、特二類等におきましては二・五人に一人でございますけれども、かつて特二類を設けたという際に、特二類以下のところから、かなり、そちらの方に行くということになりますと、特二類以外の病院につきましては看護力が薄くなるというような問題もありますので、看護婦さんのこれからの養成計画という問題とも関連があるわけでございまして、現在、医務局の方で看護婦の養成計画という問題につきまして御努力されているわけでございますから、一挙に付き添い問題を解決するということにつきましては、直ちにというわけにはいかぬと思いますけれども、しかし、いろいろな面におきまして工夫をこらし、この問題は解決していかなければならない大きな問題であるというふうに思っているわけでございます。
 さらに、現在の看護体制の問題で、看護婦さんと、それから准看あるいは看護助手、この看護体制の問題、四、四、二というような問題もあろうかと思います。この問題をどうするかというような問題もあろうかと思いますし、いろいろな問題がございますけれども、基準看護病院におきましては少なくとも付き添いを必要としないという方向に前進すべきではないかというふうに考えております。
 それから一方、基準看護の承認を受けておらない病院で現実に付き添いの方がおられるということで、この場合には保険で看護料を支給しているわけでございますけれども、そもそも病院におきます看護のあり方としまして、病院の責任体制にない付き添いの方がおるというような点については、やはり問題があるというようなことから、病院の管理下にある形での付き添いという方向が必要ではないかというふうに考えております。
○和田(耕)委員 ごもっともな話だと思いますけれども、実際は、いま、この資料をいただいておるのですが、看護婦需給計画というこの資料にある五十二年度、四十七万二千九百人、就業者数が四十六万三千六百人、五十三年度、四十八万九千百人、就業者数が四十八万九千六百人というもの、この資料で看護婦必要数というのはどういう意味の数ですか。
○佐分利政府委員 その計画は四十九年二月の社会保障長期計画懇談会の答申に基づいたものでございまして、四十九年度から明年五十三年度までの五カ年計画でございます。
 計画の基礎は、ベッド数の伸び、したがって入院患者数の伸び、また外来患者数の伸び、そういったことのほかに、二・八体制の確保とか、また医学医術の進歩、それによる看護婦の増、そういったものを見込んで、つくったものでございます。
 そこにございますように、その計画は、ほぼ予定どおり達成されておりまして、五十三年末の看護婦数は計画のせいぜいマイナス一%ぐらいの誤差で達成できるものと考えております。
○和田(耕)委員 そうであれば、基準看護というのが恐らく標準になって必要数というのを出しておると思いますけれども、大体この必要数は充足されているわけですね。五十三年は五百人余ることになるわけですね。五十二年度は九千三百人足らない。そうなると基準看護の実情は、もうすでに達成されておるというように見ていいのですか。
○佐分利政府委員 国立病院が一番おくれておりまして、これから急いで五十三年度に増員を図らなければならないわけでございますが、ほかの病院におきましては、ほぼ計画どおり進んでおると考えております。
○和田(耕)委員 それでは完全看護の体制に入れるというふうに判断していいのですか。
○佐分利政府委員 患者の種類によりまして看護の体制は変わってくるわけでございますが、必要なところについては完全看護の体制がとり得るという計画でございます。
○和田(耕)委員 私も、この数字をいただいて、あれあれと思うのですけれども、これが実際であれば付添看護婦とかいう問題は余り起こらないはずだと思うのです。しかし現実には、そういう問題があちらにも、こちらにもある。これはどういう説明をしたらいいのですか。
○佐分利政府委員 まず第一は看護婦の地域的な偏在の問題がございます。第二は看護婦の定員の問題がございます。その他いろいろな要素が絡んで、施設によっては、まだ完全看護の体制にほど遠いというところもあるわけでございます。
○和田(耕)委員 国立病院が一番おくれているというのは、これもまた、非常に意外な報告です。これはどういう理由ですか。
    〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
○佐分利政府委員 総定員法の関係で、残念ながら十分に看護要員を確保していくことができない実情にございます。
○和田(耕)委員 そういう場合には、何か定員と関係のない臨時の職員という形ででもこれは充足できないということですか。
○佐分利政府委員 国立病院、療養所合わせまして、すでに賃金職員は五千三百名に達しておりますが、賃金職員はまたいろいろな問題を抱えるわけでございます。また、賃金職員といえども大きな定員管理の枠内に入るわけでございまして、先ほど来申しておりますように、厚生当局が希望するほどは充足されておりません。
○和田(耕)委員 私、こういうふうなうわさを聞いたのですけれども、地方の基幹病院にならなければならない自治体病院が、看護婦さんの数はかなり充足されているけれども、しかしながら、完全看護という体制にいままだなっていない、就業等の問題について組合等のいろいろな要求も出て、数はあるけれども、なかなか完全体制に入ってないといううわさを聞いたのですけれども、こういうことはありますか。
○佐分利政府委員 特に自治体病院においては、そのような問題のあるところが少なくございません。それは定員いっぱい看護婦は採用しておりますけれども、産休だとか病休だとかそういうふうな問題がございまして、常時の人員は若干減ってくるというような問題もございましょう。また、完全看護の体制をとるためには、人的要素だけでなく、建物の要素あるいは設備の要素、そういったものもございます。したがもて、そういった点をめぐって労使の紛争があるというような病院も少なくございません。
○和田(耕)委員 いろいろな実情について若干お伺いしたのですけれども、私は、いままで絶対数が足らないということが一番大きな原因だと思っておったのですが、どうもそうじゃないらしいという感じをいま持つのですね。これは私は、厚生省の行政指導という問題と――大臣いまおられなかったのですけれども、いままで、看護婦さんの絶対数が足らない、これが一番大きな、非常に悪名の高い付添看護婦さんの制度の背景だというように考えておったのですけれども、しかし、実際の数をいま医務局長さんに聞きますと、それほど数は障害になっていないということが明らかになってきたのですけれども、しかし、いまの偏在という問題はあるでしょう。偏在という問題があれば、これは厚生省の行政当局としてはいろいろ打つ手があるのではないかと私は思う。もう一つの、いまの自治体病院で私の聞いたうわさ、それはある程度本当だという、数はあっても組合等のいろいろな意向で完全看護の体制に入れないようなところがあるのだという問題があるらしいのですね。この偏在の問題と執務状況の問題等から見れば、もっと厚生省としての行政指導の仕方がありそうなものだというように思うのですけれども、いかがでしょう。
○佐分利政府委員 一般的に申しまして、その問題はすぐれて労使の協約の問題でございます。したがって、各開設者別にできるだけ統一して協約を結ぶようにいたしておりますけれども、病院によってはそのように簡単にいかないところも少なくないわけでございます。たとえば国立病院の場合には、夜勤は全部有資格がやっておりますけれども、有名な四十年の人事院の二・八判定では、一人は無資格でもいいという判定になっております。しかしながら、国立病院の場合には訓令一号というのがございまして、全部有資格でやるというようなことになっておりますので、看護チームの組み方、また三交代のシフト、そういったところに無理が起こってくるというような問題もあるわけでございます。そのように、開設者あるいは病院によっていろいろ特殊な事情がございまして、実態上はうまくいってないところがございます。しかし、この問題は重要な問題でございますので、私どもといたしましては、明年度以降、懇談会のようなものでもつくりまして、もう一度その辺を抜本的に洗い直してみたいと考えている次第でございます。
○和田(耕)委員 これは私ども、いろいろ話を聞いております。なかなかむずかしい問題があると思いますけれども、ただ、厚生省として、基準看護の体制をとり、そのために必要な人員の計画をとり、しかも、その計画が達成されたとしても運用できないというような問題があるようですから、これは付添看護婦等の問題が及ぼしておる国民への大変大きな負担等を勘案もて、ぜひとも対策を考えてほしいと思うのですね。
 と同時にまた、看護婦必要数が五十三年では四十八万九千百人、就業者数が来年五十三年では四十八万九千六百人、来年になれば五百人余るというところまでくるわけです。これでなおかつ、一万円以上も金を出さなければならぬ付添看護婦の問題で大騒ぎをするなんということは、おかしいと私は思うのですよ。大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 いま御指摘になったように、偏在の問題もございましょうし、使い方の問題もありましょうし、私はやり方だと思うのですよ。私、この間、東京の国立小児病院に行ってみたところが、子供さん方がたくさんあそこにいるのだけれども、これは付添看護なしですよ。お母さん方が来て子供に会いたがっていても、面会はだめだ、じゃまになるから。それで、一時間を決めて何時から何時まで。あの状況を見るとやはりやり方で、付き添いの必要でないところまで付き添いを要求しているという面もなきにしもあらずなんです。それから、個人個人が頼むからいろいろ大きな数字を要求されるというので、そこらのところは専門家じゃないからよくわかりませんが、専門家に十分に検討してもらうつもりであります。
○和田(耕)委員 私が予定した時間ももうわずかしかないのですけれども、差額ベッドの問題はもっと単純だと私は思うのですね。差額ベッドの問題は、全部廃止するということは適当ではないかもわかりません。公立病院は公立病院で、五%なら五%――このいただいた資料では、すでに全国平均は、公立病院は五%くらいになっているところがあるのですけれども、問題は大都市周辺ですね。この問題は、全国平均ではほとんど意味をなさない。大都市周辺の問題として、この差額ベッドの問題をぜひともひとつ実情を把握して、計画的に、ある正しい基準まで引き下げてくる。ぜひともこれは計画をとって実行してもらいたいと思うのです。これは抜本的な改革の一つの重要な柱にもなっておりますけれども、ひとつぜひともこの問題については対策を急いでいただきたいと思います。
 それから、先ほど申し上げた、重要な日本の医療を曲げておる、いろいろ問題となっておる薬の問題なんですけれども、これはやはり厚生大臣、医薬分業という問題を、これはいろいろ問題があります。薬剤師の側にもいろいろ問題はありますけれども、しかし、新しい段階に立って医薬分業という問題をもっと熱意を持って進めていくということをぜひともやってほしいと思うのですね。そういうふうに分担が決まってこないと、いろいろなことを言いましてもなかなか実現できないわけですから、これをぜひともひとつ御決意をお伺いしたいのです。
○中野政府委員 厚生省の立場といたしましては、この医薬分業の推進については先生御指摘のとおりの姿勢でございまして、昭和四十九年十月の診療報酬改定の際におきましても、処方せん料の大幅増額を行いました。自来、当時に比べまして現在では、処方せんの発行枚数は、もちろん期待したとおりの線というわけにはまいりません、はなはだ緩慢な伸びではありますが、それでも三・九倍に及んでおります。また、処方せんの取り扱いをいたします薬局の数も、当時に比べますと一・八倍に伸びたわけでございます。なお、最近の調査によりますと、薬局側の考え方といたしまして、すでに対応しているもの、定期的に処方せんを受け入れているものが、薬局のうちのほぼ四分の一に相当いたしまして、あとの四分の一ぐらいが医師会との話し合い、あるいは受け入れの準備を重ねておる。しかしながら、まだ約半数のものが何らそういうアクションを起こしていないというふうな状況でございます。しかし、われわれといたしましては、多年の日本の医療慣行となっております医師による投薬ということを変えていくには、長い間の歴史があるわけでございますから、この程度の緩慢さということでやむを得ない面もあるかもしれませんけれども、今後これをさらに努力を重ねまして、この医薬分業の推進を図ってまいりたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 私は、昭和三十二年の医薬分業の法律ができたときに、これはなかなか大変なことだろうなと思ったけれども、実際はほとんど行われないままでもう二十年経過しできておるというわけですね。確かに薬剤師の側の受け入れ体制というところにも問題はあると思いますけれども、薬剤師さんの方から見れば、処方せんが来るか来ぬかわからないのにかなり投資をして薬をそろえるなんというのはできるものではないのですよ。厚生省もこの三年ほど前にかなりそういう体制をとったと思ったら、また何か、余りやらなくなったという印象を持っておるのですけれども、これは薬問題を解決するポイントの一つなんですから、ぜひともひとつ責任を持って積極的に推進をしていただきたいと思うのです。
 これは、厚生大臣はそういう決意だと思うものですから決意はお伺いしませんけれども、もう一つ、薬害の問題ですね、これはこの前、社労でも私、一度触れたことがありますけれども、薬害についての国の責任という問題をもっと深刻に考えてもらいたいと私は思うのです。
 時間もありませんから、もう全部私から申し上げて、最後にお答えいただきたいと思うのですけれども、やはり国は薬の販売を許可する立場におる、その場合には一応検査をする、多分いろいろ検討するでしょう。国が許可をする立場におるということが一つの問題。
 もう一つは、スモンのキノホルムの問題がいい例ですけれども、適量に使えば優秀な薬になるキノホルムが、多量投与をすれば大変な害を及ぼすというような、一つの例があのキノホルムですね。これは、多かれ少なかれ薬にはこういう性質を持ったものが非常に多いのです。多量に投与するというのは、大部分の場合、医者がやるのですね。となれば、これは医者の責任なんです。しかし、このキノホルムを多量に投与をしてスモンの患者が出たからといって、医者によほどの問題以外の責任を負わすということは、これはまた別の意味の問題が起こってくるのです。医者の責任は、ある限度があるとしなければならない。この問題を考えますと、その限度以上の、しかも医者の責任であるものを医者にはそれ以上の責任を負わされない問題については、当然、国が責任をとるべきものだと私は思うのです。ほかにとる者はないのですから、国民は責任がないのですから、薬務行政の中心の国が責任をとるというのはあたりまえのことです。
 もう一つは、古くからの薬もそうですけれども、こういう薬害というものは新薬に起こってくるのですね。これはメーカーが当然、相当の負担をしなければなりませんけれども、メーカーにだけ負担をさせますとメーカーの新薬開発の意欲をなくするという問題は、これまた、重要な問題なんです。したがって、メーカーの負担というものも、これに大部分のものを負担さすということは、これはメーカーの立場ではなくて、全体の薬の立場から見て適当でないと私は思う。そういう面からも国の責任というものを考えてみなければならないと私は思うのです。したがって、理論的に見て国が三分の一の責任しかないという場合でも半分ぐらいの責任を持つような、そういう姿勢で解決をしていかないと前向きの解決はできない、私はそういうような考えを持つのですけれども、これは局長さん、いかがでしょう。
○中野政府委員 先生の御指摘の問題は、実は二重、三重の意味があると考えるわけでございます。
 まず第一に、たとえば、わが国におきましては昭和四十二年以降、新薬の製造の承認につきましては非常に厳重な手続を採用いたしております。将来に向かいまして、新薬によるところの急性あるいは各種の薬害というようなものを厳重にチェックをいたしまして、薬害を将来に向かって防ぐという問題が一つございます。その意味での新薬の製造承認に関する国の責任というものが非常に重大であることは、もちろんのことでございます。またさらに、その製造承認の手続を強化いたしました以前の、四十二年以前に製造を承認されました各種の古い薬につきましても、その安全性、有効性について国が国の責任におきましてその再評価を行い、場合によってはその医薬品の使用を中止するとか、そういう意味でガ行政責任を非常に国としては強く考えて、これを遂行しているところでございます。
 しかしながら、一方、現に生じました薬害について経済的な意味での国の責任がどういうものであるかという御趣旨であれば、これは実は国が、いわば民法上の不法行為責任と申しますか、損害賠償責任を負うや否やという問題になりますと、これは御承知のとおりに、科学的に厳密な意味での因果関係があるかどうか、また、製造を承認いたしました時点においてそういう薬害が当時の科学知識において予見可能性があったか、つまり、予見しなかったことに過失があったかどうかという問題があることは御承知のとおりでございます。そういう意味におきまして、実は過去における薬害の救済問題につきましても、国といたしましては不法行為責任という意味での経済責任を認めておらないわけでございます。しかし、現実に生じた薬害の救済についての国のいわば責任の分担という意味におきましては、御承知のようにサリドマイド訴訟におきましても三分の一の国の負担をいたしたところでございます。また、将来に向かって、われわれといたしましては薬害救済制度というふうなものを現在検討中でございます。
 この薬害救済制度についての国の経済負担を一体どうするかということについては、いろいろな議論がございまして、私らとしてはいまなお、その部分については明確な結論を得ておらない段階でございます。当然、相当多額のものを持つべきだという意見もございますし、あるいは西ドイツあるいはスウェーデンにおきますような損害賠償責任保険を付保するという形のものもございまして、その場合には国の経済負担はないわけでございます。いろいろな物の考え方がございまして、これは慎重に今後検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○和田(耕)委員 薬の問題等については、今後とも、ぜひともひとつ厚生大臣、国の責任をできるだけ逃れたいというけちな根性じゃなくて、よし、おれが引き受けたという態度でないと、新しい国の検査にも力が入らないし、検査機関を拡充することもやれないしということもあって、薬の問題については国がもっと責任をとるような体制をぜひともとっていただくことが、この問題を発展的に解決できる一番かなめだと私は思いますから、特に御要望申し上げておきます。
 それでは、西田さんとかわります。
○中山(正)委員長代理 次に、西田八郎君。
○西田(八)委員 いまの和田委員の質疑の中で、特別保険料は当分の間ということで、一年だという御答弁があったようでございますが、一年ということは、抜本改正ができるまでという期間なのか、それとも、一年ぽっきりということなのか、ひとつ確とした御返答をいただきたい。
○渡辺国務大臣 それは先ほど言ったように、抜本改正できるまで。いつやるんだと言うから、答申が二つ出そろうので至急に着手をいたします。私といたしましては五十三年じゅうに法案やなんかも通して、準備もして、五十四年度をめどに最善の努力をします。そうしたらその方に乗り移っていきます。こういうことを言っているので、全然めどもない、めどもないと言われますが、それだけお約束をしておるのですから。それで、皆さんとも、負担の問題やなんかもありますから、小委員会もできることだし、事前にも話もいたしますから、そうすればすらすらいくと思うのですよ。それを反対だ、賛成だということになってやっていれば、もう一年も二年もかかってしまうのです。そういうことで、すらすらいくように御協力もお願いをいたします。
○西田(八)委員 それは、すらすらいくように提案することの方が大事じゃないかというふうに思うわけですが、しかし、それを抜本改正ができるまでというふうに理解しなければいかぬ、だから一年というのは約束してもらえない、それは大臣の腹の中にというか、これからの経過、要するに抜本改正ができて、一年でできると思うから一年だ、一年半に延びれば一年半だというふうに解釈していいのかどうか。
○渡辺国務大臣 成立すればこれはもういいのです。成立すれば半年でもいいのです。だけれども、それは半年やそこらではできない……。
○西田(八)委員 そこで、別にこれを認めて質問しているわけではないのだから。
 私は、ボーナスから取るという、こういう安易な物の考え方は一番いかぬと思うのです。ボーナスというのは一体どういうものかと言えば、最近、新聞やテレビではボーナス、ボーナスと言いますけれども、労働組合の中で、ボーナスという言葉を使っているところはどこもないですよ。期末一時金、期末手当、そういうような形で支給されているし、年間臨給という形において支給されておるわけですよ。そうすると、これは皆さんが考えておられるボーナスという概念と若干違うわけですね。ボーナスというのは、これは賞与です。経営者が、もうかった、おおきに御苦労はんということで金を出すのがボーナス。われわれの言うておる一時金というのは、一年間一生懸命働いてきた、しかし、いまの会社の経営状況も考えて、毎月の賃金は低いけれどもしんぼうしましょう、しかし、恒例によって盆と正月には銭が要るから、その銭をよこせと言うて取っている。後払い式という考え方もあるわけですよ。ですから、そういう考え方からいけば、このボーナスというものの考え方にも若干、概念として違いがあると私は思うのです。
 しかも健保連、いわゆる健康保険組合をつくっているところ、ここは取っても取らぬでもいいわけでしょう。これは力関係だ。健康保険組合の理事が、労働組合を代表して、あるいは労働者を代表して出ている理事が強ければ、そんな規約の改正許せるかということでぼんとけってしまえば、それで終わり。取っても取らないでもいい。ところが、政管健保の方は強制的に取られるということですね。これは弱い者いじめだな。健康保険組合の方は財政状況がいいから、それでいいでしょう。それは取らなくてもいいのかもわからぬ。しかし、少なくとも、よけいもらっている者が払わなくて、ピーピー言うて苦労しているところが負担をせんならぬという、こういう物の考え方が果たして公正なのかどうか、聞かしてもらいたい。
○八木政府委員 二点御指摘いただいたわけでございますけれども、特別保険料、いわゆるボーナスと言っているわけでございまして、私ども、その名称といたしましては期末手当とか一時金とかいろいろな形のものがあろうと思いますけれども、現実にそういうものはすべて対象にするということでございます。
 ただ、御指摘の中で、健保組合の問題は別といたしまして、やはり賞与とかボーナスあるいは一時金、いろいろな名称はあろうかとも思いますけれども、私どもの調査いたしました結果でございますと、やはり高額所得者ほど支給率というものは高い。それから、各業種によりまして支払い形態等いろいろ違うと思います。賃金の形でいくところもあると思います。ボーナスでいくところもあると思いますけれども、ボーナスの場合に業種のいいところはいいというようなことから見ますと、負担の公平という意味から、現在健保財政が非常に苦しい、この危機を何とか乗り切るというためには、むしろ負担力があるところから公平に負担していただくというのがある意味では公平ではないかということから御提案申し上げている次第でございます。
 それから、健康保険組合は任意ではないか、そういう意味で政管と不公平があるじゃないか、確かに御指摘のような面もあろうかと思います。ただ、健康保険組合の場合には、現在、料率が九〇まで取れるわけでございます。むしろ健康保険組合の場合には、組合の財政力に応じて取るというようなところから、料率を引き上げるというところもあろうかと思います。それから、すでに相当財政状況が苦しい、もう限度いっぱいまでいっている、あるいは相当のところまでいっているというところはやはり特別保険料という形で取らざるを得ないということでございまして、ただ、政府管掌健康保険が強制でする、組合が強制できないということでございますけれども、組合の場合には、財政事情がいいというところでございますと、強制的に取るということになると結果的には保険料率を引き下げるということになりますので、そこまでの必要はないのではないかというようなことから、健保組合につきましてはある意味では規約で決めるということになっているところでございます。
○西田(八)委員 それなら、そういう安易に、ボーナスとか一時にがさつと入ってくる金というものを目当てにせずに、保険料をなぜ引き上げようとしないのですか。私は、少なくとも保険財政というものは保険料を基礎にしてやるべきであって、しかもそれは、報酬月額というようなものが出されているように、月々の収入から支払うというのが原則でなければいかぬ。第、労働者の感覚として、ボーナスから税金を引かれるのも本当にみじめな思いになるわけだ。そこへ失業保険がひっかかってきたので、そのときは本当に、何でこんなところまで失業保険料を引かれるのだという気持ちになった。今度また健康保険で引かれるというようなことになったら、これは本当に、ボーナスをもらった人間は、その額がたとえ五百円であろうと三百円であろうと、その中から引かれるということにはものすごい抵抗を感ずるんですよ。そういう被保険者の心理というものは、これは全然加味されていない。
 また、保険料率が下がるとかなんとかいうことで強制はしなかったというのは、これは言い逃れにすぎないと思うんですよ。銀行なんかでは三カ月に一回ずつボーナスをもらっているわけです。年に四回にわたって手当が支払われることになっておるわけですが、その大きな金をもらう人、率の高い人、月数の多い人、そういう人がこれは全然負担せぬのです。そうして、きょう弁当持って朝早うから行って、あした首になるかどうなるかわからぬ、あした倒産になるかわからぬ、びくびくしながら働いているところの人が負担しなければならぬわけです。しかも、だれが考えたって大手企業は額が大きく月数も大きい、そういうところは――とにかく、ぎりぎりいっぱい、もう十二月の二十日ごろに赤旗を振るわなんだら出しよらぬ経営者はたくさんおるわけですよ。そういうふうな中で取っている期末手当、期末一時金あるいは年間臨給というものに対して目をつけるというのは、私は、そもそも保険の出発点から考えていかなければならぬ問題だと思うのです。ですから、公平のようであって、これほど不公平なものはないですよ。
 だから、それであるとすれば保険料を引き上げるべきだ、反対があっても保険料を引き上げるべきですよ。健保組合は財政状況がいいと言うが、最近悪いところも大分できてまいりましたが、やはり人間がたくさんおって集団的に管理できるというメリットがありますよ。メリットはある反面、会社は福利厚生費ということで、病気になる以前の健康管理というものをやっていますよ。その分を保険料で負担するということになれば、黒字になるというところは少ないと思いますよ。それで、中小企業の方ではそこまでは手が回らぬのですよ。だから、そういうことであるとするなら、そういうところにこそもっと手厚い施策が必要であるのではないか。いまやられるのは逆ですよ。だから、会社はめんどうを見られへん、めんどう見のできない部分だけよけい払うという気になったら、そこで千分の五や千分の十引き上げることにそんな大きな抵抗はないはずだと思う。これはやはり、行政当局のそうしたものに対する説明なり指導なりというものが十分行き渡ってないからだと思うのです。だから、そういう意味から言えば保険料で取るのが至当だし、保険料の上限を引き上げるということになれば、当然、労働者に対しては健保組合に千分の四十という上限額があるのですから、政管健保においてもその上限を適用すべきです。そういうふうな方法で道を講じていくべきではなかったのか。それを、片一方はボーナスやそういうものには掛けても掛けぬでもどうでもよろしい、片一方は確実に取るのだという物の見方では、私は、これからの保険財政というのはますます混迷をするだけだと思うのであります。ですから、これはどうなるかまだ決着がついてない問題ですから、それはもう十分意を尽くしてもらいたいと思うのです。
 そこで、問題は二つあると思うのです。そういうことであるとするなら、やはりこの組合健保が財政的にも非常にいいし、また従業員の管理の上でもいいとするなら、ある一定の地域に同じような仕事をしている人がたくさんいるわけですね、陶器屋さんだとか私のような繊維の関係だとか、金属の関係、いろいろ業種が、民芸品をやっているところもそうだろうと思いますが、何十人、まあ、およそ百人以下を雇っている人、あるいは五十人以下ぐらいを雇っている人の企業が幾つか点在して、しかも同じ地域に、距離にして行動半径三十キロ以内ぐらいのところにたくさん密集している地域がある。そういうところへ保険組合をつくるような指導をなされておるのかどうか。現在の法律では強制力はない。強制力がないから、おまえのところつくれとは言えないかもわからぬけれども、そのメリットを訴えていって組合をつくらせる。そして、その組合の管理でひとつ従業員の健康管理もやっていくというような方法を進めていくというのも一つの方法ではないのかというふうに思うのですが、いかがですか。
○八木政府委員 先生のお考えも一つの方向だろうと思います。しかし、この辺の問題につきましてはいろいろ御議論のあるところでございまして、政府管掌健康保険と組合との間に大きな財政上の格差がある、あるいは給付なり負担の面で不均衡があるということになってまいりますと、やはりこれからの基本的な検討の際、被用者保険のそれぞれの制度のあるべき姿をどういうふうに考えていくか、その問題につきましていま検討懇等でも御意見を伺っているところでございますし、これからの大きな課題であるというふうに考えているわけでございます。
 それから、現在のたてまえから申しますと、健保組合につきましてはむしろ設立をしたいという申請があってということでございますが、積極的に厚生省の方から、つくるべきであるという指導をするという段階ではないのではないか。一つのお考えではあろうと思います。
○西田(八)委員 それはやはりこうなるまでに、きょうまでにやっておくべきだったと思うのです。抜本改正、抜本改正と言うけれども、この問題を解決していかないと、ある程度似通った線までこなければなかなか抜本改正はできないですよ、被用者保険一本にすると言ったって、それぞれの財源持ってきて別にしてきているというような現状から言って。だから、やはりそういう形をつくっていって、自然発生的に統合していくとか一つの流れになっていくというような方法を考えていかないと、私は困難だと思うのです。したがって、抜本改正を来年やるのだからというさっきの大臣の言葉を信用するならば、これはいまからそんな必要はないかもわからぬ。しかし、やはりそれも同時に考えていく必要があるのではないかと思います。
 そこで、私は大臣に聞きたいのですが、先ほどから医師の技術料の問題やら薬価基準の問題やらいろいろ出て質疑をしておられる中で、何か議論が本末転倒のような話になってきておると思うのですね。健康保険法が大正十一年ですか、に制定されたころは、労働者というのは弱いものだったのです。物も言えなかったのです。そういう中でつくられた健康保険が、会社がどんどん大きくなっていく、従業員がどんどんふえていく、病人もふえていく、病気になったら首を切ったらいいわというようなことでは世間が済まされなくなってきた。そこで保険組合というのが考えられた。発生の歴史から見て、要するに日本の産業復興のための一つの補足的な手段としてつくられてきた健康保険組合だと思うのです。ところが、それが戦後、そうではないんだ、国民の健康を守るのは政治の責任だということで国民皆保険というものが叫ばれ、こぼれている人も拾って国保ができたと思うのです。そういう精神からいけば、少なくとも保険はお互いに助け合おうということであるけれども、その中に流れる底流、基本は、患者を第一義にする医療でなければならぬと私は思うのですよ。ところが、医者がどうの、薬価がどうのということばかりで、そして金が足らぬなどと言ったら被保険者から取ればいいという物の考え方は、正していかなければいかぬと私は思うのです。
 きょう私は、医者がもうけ過ぎておるとは決して言いません。だけれども、どこの地域へ行っても、一番いい生活をしているのはだれですかと聞いたら、お医者さんだと言うと私は思うのです。それほど、国民の皆さんの目はお医者さんに集中してきておると思うのです。もちろん私は、医師会にもそのことは言いました。もっと、医は仁術といわれるその仁術に返って、医者の本来の姿に返ってやってくれ。私は友達にも医者がいますが、その人らは良心的にやっている。だから、そんなに大もうけはできぬし、病舎も建てかえたいけれどもそこまではなかなかできぬのだという話をするお医者さんもおる。しかし、そういう良心的な医者を広げていくということでなければいかぬと思うのですね。
 私は、この夏、社労の行政視察で沖繩へ行ってまいりました。沖繩の中央病院を見せていただきました。そうして、あそこの副院長さんからいろいろ説明を聞かしていただいた。本当に、日本本土ではできないような体制がとられておる。三百六十五日、二十四時間。そして、インターンもインターンなりに役割りを果たしておるという実態を聞かしていただき、この目で見させていただいた。なぜ、そうなるか。大ぜい行った委員の連中で後で話したのですが、結局、開業医がおらぬからではないかという結論に達したわけですよ。
 だから、そういう面からいきますならば、もう少し政府が、そういう患者を中心にした医療に重点を置くべきではないか。先ほども食事代の話が出た。家にいたって飯を食うのだから、病院にいただけの食費ぐらい上げるのはあたりまえだという物の言い方でしたが、それは確かにそうでしょう。しかし、家で食う三食は、自分の好みに合わせて食事がつくれるわけです。ところが、病院で食わされる三食はあてがいぶちです。カロリーと栄養とを計算して患者にふさわしい食事しか食わしてもらえない。そのためにしんぼうして食う食事ですよ。そうだとすれば、自分の意思が全然通じない食事をさせられておれば、家で食う三食とは全然意味が違うと思うのですね。
 だから、そういうふうに考えていくと、どうも患者あるいは被保険者に負担をかけて財政のつじつまだけを合わせようというのは私は納得できない。したがって、健康保険法ができた当時の姿勢が保険に携わっている者の中に流れておるとするならば、これはゆゆしき問題だ。したがって、その辺のところから、まず大臣からひとつ聞かしていただきたい。
    〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺国務大臣 いろいろ御高見を拝聴いたしました。
 本来は、それは保険は統一されるのが本来でございましょうが、それにはそれなりの長い歴史もありますから、ここで急に全部一緒にしてしまう、こう言われましても、急激にできるものじゃございません。あなた方のおっしゃることはよくわかります。したがって、これは現実的に、実務的に解決していきたい、かように思っております。
○西田(八)委員 それは現実的に、実務的にと言うけれども、やはり根本的に姿勢を直さなければいかぬですよ。組合健保はいいからボーナスから取らなくてもいいというような物の判断、それで政管健保と組合健保と分けたというような流れ、そういうものがやはり私は一連として流れてきておると思うんだ。これはぜひ今度の抜本改正の中では、そうした基本的な精神からの転換を強く求めておきたいと思います。
 次に、退職者の保険継続の問題が最近話題になってきておるが、これに対して当局者は、局長でいいですが、どういうふうに考えておられるか、聞かしていただきたい。
○八木政府委員 退職者医療の問題につきましては、若くて元気のいいときは組合におって、それから定年退職した後、今度は政府管掌なり、あるいは場合によっては国民健康保険に行くということになってまいった場合に、一番問題は、老後で最も病気にかかりやすいときの給付はどうなるかというようなことから、非常に御意見の多いところでございます。社会保険審議会の健保問題等懇談会の中でも、この問題につきましていろいろな角度から御議論が出ておるわけでございます。ただ、被用者保険だけの問題ではなしに、そうなると国保の方、国民健康保険はそのままでいいのか、国民健康保険の場合にはやはり現在七割給付であるというようなことから、この問題、国保との問題も含めまして考えていかなければならない問題であるというふうに思うわけでございます。
○西田(八)委員 しかし、これは研究の材料にする問題ではあるんですね。
○八木政府委員 退職者医療を検討する場合に、具体的な案等につきましても社会保険審議会等でもいろいろ御議論はいただいております。しかし、現実問題といたしまして技術的な面、それから、その相当な費用がかかるというようなことから、だれがどういうふうに負担をするか、あるいは資格要件なり、あるいは給付の期間の問題と、非常にむずかしい問題があるわけでございまして、さらに今後の検討課題であるということで、現在、議論が進められておるわけでございます。
○西田(八)委員 そもそもの発想は、局長も答弁の中であったように、健康なときに保険料をうんと払っておいで、病気にならぬ、そして、やめてから病気になった者をその費用でめんどう見てあげようということでなければならぬですね。だから、これは保険料分――私は少し厚かまし過ぎるかもわからぬけれども、前雇用者が全額負担するくらいの覚悟がなかったらいかぬのじゃないかという気持ちでおるわけですが、そこまでいくかどうかは別として、少なくとも私は、中断されていく現行医療関係をずっと継続させて補足していくという考え方そのものには、決して、これは問題にならぬと言って捨ててしまうような問題ではないと思う。ですから、十分ひとつ検討してもらいたい。しかも、そういう空気が醸成されてきておるときでありますから、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 最後に、これは数字的なことになるのですが、いまうわさされておるというのか、新聞なんかにも出ておりますが、ボーナスの保険料を五、四、一の割合で負担するというような話が出ておるわけです。これは、政府の方にはまだ入っていないかもわからぬ。入っていないかもわからぬけれども、知っておられると思うのです。そうなった場合に、保険料の算定というのはどういう計算をするのか。たとえば総額一兆円なら一兆円のボーナスが全部支払われたという場合に、各自の分担は、千分に直すと、その一兆円の千分の七・五、千分の六、千分の一・五ということになるのか。そうすると、その場合一・五というのは、この計算がどうなるのかちょっとわからぬのですが、どういうふうに考えておられるか、これはひとつ事務の方で考え方があったら聞かしてほしいと思うのです。
○八木政府委員 私ども、原案どおりお願いしたいということでございますので、いろいろ仮定の問題につきましてお答えする立場ではないんじゃないかというふうに思います。
○西田(八)委員 それは仮定の問題だから答えられぬと言うならあれですが、どうせ決まったらやらなければならぬということになる。それでは、こういう場合一体どうするという質問になったらどうしますか。いま私は、こういう話が出ておるからという話をしたけれども、仮に、こういう計算はどうするんだという質問をされたらどうしますか。
○八木政府委員 私ども政府は原案でお願いしたいということでございますので、仮にと言われましても、現在、ボーナス保険料につきましては、従来の原則でございます労使折半というようなことから、フィフティー・フィフティーということで計算するということでございますので、仮になり、あるいはということになりますと、ちょっとお答えしづらい面があると思います。
○西田(八)委員 それはおかしいと思うな。それは、そうなったらそうしますということかもしらぬけれども、そうなったらそうしますと言うなら、いま、そういうふうにできますという話につながらなければおかしいじゃないの。仮に千分の二十の分担が五、四、一になった場合どうするか、この質問だったらどうしますか。
○八木政府委員 現在フィフティー・フィフティーという考え方でございますので、いま先生の仮定の御質問でございますけれども、五、四、一とかいろいろ話がございますけれども、どういうような形で負担するかとか、具体的なことが何もわかっておる段階ではございませんので、私ども、やはりお答えできないのではないかと思います。
○西田(八)委員 まあ、答えられなければそれでいいですよ。そのかわりに、でき上がったときにまた問題が出るかもわかりませんからね。しかし、答えられぬというのはおかしいですよ。そうでしょう。千分の二十というのをあなた方は提案しておるわけですが、議員は、政府の提案を修正する権利を持っているわけだ。その過程で、こういうふうにする場合どうするかという質問があって、それは答えられぬというのは不親切でもあるし、また、余りにも意地を張り過ぎているのと違うか。私は、その答弁をもらったからそうするということを言っているわけじゃないんだ。こういう分配法というのがあって、従来なかったことだから、もしできたとする場合どうするかということを聞いているだけだから、答えられぬというのはおかしい。答えぬなら答えぬでいいよ。それはあくまでも答えられぬの。
○渡辺国務大臣 それは、国会の方でどういう御決定になるか、私わかりません。わかりませんが、御決定になれば、発案者の方から、これはこういうふうにしろという、国会の至上命令が政府に来るのだろうと私は思います。そのときは、国の最高機関で決まれば決まったように政府はやるだけのことで、私はそうでなくて、原案どおりでお願いしたいと言って再三頼んでいるわけですから、それは発案者の方が、こういうふうにやるんだ、だからこれで政府は実行せよ、こういう筋合いじゃないでしょうか。
○西田(八)委員 そういう筋合いだから聞いたんですよ。だから、発議者がこうせいと言ったとおりにはしてもらわなければ困るわけだ。
 委員長、ちょっと時間が余りますが、夜も大分遅いし、大臣も疲れているようですから、この問題は、やりかければ三十分や四十分で終わらぬ問題で、聞きたいことだけ聞いて終わらせていただきます。
○橋本委員長 次に、浦井洋君。
○浦井委員 初めに申し上げたいのですけれども、私はけさの理事会で、健康保険の改正案審議をするということに反対の意を表明したわけでありますが、この健康保険改正案というのは、今度の国会で非常に国民から注目をされておるわけであります。現にいまこの瞬間でも、議員面会所であるとかあるいは議員会館あるいは国会の周辺に、その成り行きを非常に注意をして、心配をして見守っておるたくさんの方がおられるわけなんです。であるにもかかわらず、肝心の審議をしておるこの委員会の委員の出席状況は、ごらんのとおりであります。特に一いま入ってこられたわけでありますが、与党の委員の出席の悪いのは、これはどういうことなんですか。まず冒頭に、委員長の善処を求めておきたいと思います。
○橋本委員長 委員長からお答えを申し上げる筋のことかどうかわかりませんが、本日理事会であなたもお聞きのように並行して各折衝はお進めをいただきたいとお願いをいたしております。委員長としては、与野党の間でそうした折衝が行われておる、そのために委員の出席が少ない、そのように理解いたしております。
○浦井委員 必ずしもそれだけでもなかろうと思うわけでありまして、やはり委員長としては定足数を満たすような努力をひとつ要望しておきたいと思います。よろしいですね。
○橋本委員長 自由民主党の方、少し委員の出席が悪いそうでありますから、出席をさせるように御努力を願います。――以上、努力をいたしました。
 質問を続けてください。
○浦井委員 健康保険の改正案が審議をされておるということでありますが、私はまず総論的に申し上げますならば、確かに、五十二年度末千六百二億という累積赤字が発生をする、これは何とかしなければならぬ。しかし、その発生の原因は何か。先ほどの大臣の答弁を聞いておりますと、いかにも四十八年度のあのときの改正で給付と負担のバランスが崩れたからだというようなことを言われておるわけでありますが、しかし、私はそうではないと思うわけであります。やはり政府管掌健康保険というのは、大臣も二番目の理由に挙げられたように、これは財政という観点で見るならば中小企業、そういうところで、不況で賃金も上がらない、あるいはどんどん人が減っていくということで収入が減り、一方、いろろいな原因で医療需要がふえていく、支出がふえていく、こういう、日銀も言っておりますような構造的な赤字である、こういうことが言えるだろうと私は思うわけであります。だから、まず私は大臣に、こういうような原因に根本にメスを入れずに、単に糊塗的に、しかも被保険者なり中小企業主に負担をおっかぶせるようなこういう改悪というものは許すことができない、断念をすべきであるということを、ひとつ厳粛に忠告をしておきたいと思うわけであります。
 そこで、その内容についてでありますが、先ほどから同僚委員がいろいろ言われておりますように、最大の問題はやはりボーナスからの特別保険料だろうというふうに思うわけであります。保険局長にお尋ねしますが、現在の時点で平均の標準報酬の額、政管健保と組合健保と一体どれくらい違うか、ちょっと尋ねておきたいと思う。
○八木政府委員 まだ年度途中でございますので正確なことはわかりませんけれども、見込みといたしまして五十二年度予算等から見ました場合に、政管につきましては平均十三万七千七百二十八円、それから健保組合につきましては十六万七千五百円ということであります。
○浦井委員 約三万円差があるわけなんです。しかも、その賞与といいますかボーナスといいますか、それを見てみますと、これは政府自身の統計でありますけれども、五十一年度の総理府家計調査速報を見てみますと、第一階層から第五階層まで、まあ第一階層が所得が低いわけでありますが、そこの第一階層で、ボーナスは昭和四十八年度に比べてマイナスの二〇・四%、第二階層がマイナスの一五・二%、第三階層がマイナスの一一・五%、第四階層がマイナスの四・八%、第五階層がプラスの三・四%、この辺になりますと年所得五百万から六百万という層になるわけでありますが、低所得者層ほどボーナスも、四十八年度に比べて急速に減少しておる。いま保険局長言われたように、その低所得者の多いのが政管健保の特徴でありますから、そこでボーナスに特別保険料を掛けようというのは、いままで以上の格差の拡大になるし、また国民生活を破壊するような非常に悪い考え方、やり方であると言わなければならぬわけであります。
 だから、大臣に一言お答えを願いたいのですけれども、すべからく、この法案の成立は断念をすべきであると思うわけでありますが、大臣はどうでありましょうか。
○渡辺国務大臣 断念することはできません。
○浦井委員 いままで、今朝来の大臣並びに政府当局のいろいろな答弁を聞いておるわけでありますけれども、ボーナス保険料と、第二番目の点は初診時一部負担、入院時一部負担の増額であります。そうすると、これは大臣は、特に初診時一部負担の増額は受診抑制にはならないのだというふうに言えるわけでありますか。
○八木政府委員 先ほど他の先生にもお答え申し上げましたように、現在の初診時一部負担金なり入院時一部負担金、これは四十二年来十年間、据え置きになっているわけでありますが、その後の賃金の上昇なり医療費の上昇というものを考えれば当然引き上げてしかるべきである。しかも、その額につきましては非常に大きな額ではございませんので、賃金の上昇率なり医療費の上昇ということを考えればむしろそれ以下の額であるということで、しかも医療保険制度が非常に危機に面している、むしろ医療保険制度の崩壊を防ぐという意味からも、この程度の御負担というものはある程度御理解いただけるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○浦井委員 私が尋ねておるのは、初診時の一部負担の増額が受診抑制になるのかならないのかということを端的に尋ねておるわけなんです。
○八木政府委員 私どもは、四十二年にありました一部負担金の額を今日的な意味であれするわけでありますので、決して受診抑制にはならないというふうに考えております。
○浦井委員 受診抑制にはならないというふうに言われたことを、しっかりと覚えておきたいと思うわけです。
 その次の問題として入院時の一部負担、これはもうすでに大問題になっております差額ベッドの問題あるいは付添料の問題、それにつけ加えるに一カ月入院すれば六千円の増になるわけでありますから、これはある意味では初診時の一部負担以上に問題が重大であるというふうに思うわけであります。そういう点で、私はもう長くは言いませんけれども、断念をすべきだということを強く主張しておきたいと思うわけであります。
 そこで、大臣は、就任をされて早々この健康保険法の改正案に取っ組まれておるわけでありますが、国会あるいはいろいろな報道機関などにいろいろなことを、この問題に関して発言をされておる。一言で言うならば、やはり大臣の考え方は、累積赤字があるのだからひとつ身ぎれいにして、しかる後に抜本改正をしたいというようなかっこで、この法案が出てまいりました通常国会当時出された厚生省の試算表を見ても、やはりすかっと累積赤字も解消するのだというようなことで、そういうところが大いに見受けられるわけでありますが、それは、そういうことで理解してよろしいわけですか。
○渡辺国務大臣 それは先ほどから再々私はお答えをいたしておるわけですが、四十八年と五十年に保険法の改正をやりました。そのときに政府はバランスのとれた案を出したわけですよ。これでバランスがとれるという案を。ところが国会修正で、政府が家族負担を、当時五割でしたから、五割から六割に引き上げるという案を出した、そういう経過があって、結局、支払いの方が収入よりも上回って修正をされたのですから、そのときから、これはもう宿命的にバランスが合わなくなってくるようになっているわけですよ、まず第一に。
 そこへもってきて不況の問題等もあって、こちらの思ったほど月給が上がらなかったという多少の見込み違いもそこへ上乗せになったということも事実です。
 ですから、来年から抜本改正をやりなさい、特に老人医療等の問題についてもやりなさい、差額ベッドやあるいは家族の負担率をもっと全般的に上げたらいいじゃないですかというのが、抜本改正織り込めという主張の大きな柱になっていることも事実なんですよ。そうすると、来年は抜本改正をしなければならぬわけですから、それは全体のむだを省くとかあるいは財政の調整とかそういう問題もございますが、それだけではとても財源が足らない。したがって、また、それらの問題については全体の見直しを一遍やらなければならぬ。そのときに、ことしまである累積赤字を来年の抜本改正に全部おっつけるというのではなくして、過去数年間、給付の方は保険料の割合に対して、政府の考えたものよりもよけい受けておるのでございますから、この際応分の負担をして、ともかく累積赤字等のものを少なくしておいて、それで抜本改正をやった方がよい、こういう考えで申し上げたわけです。
○浦井委員 大臣の最初の方は逆になっているわけで、第一の理由が第二であって、第二の理由が第一であるわけなんですが、それはおくとして、そこでお尋ねしたいのです。
 まあいま新聞紙上などで、この健康保険法の改正案の修正なるものがいろいろと取りざたをされておるようでありますけれども、仮に――仮にということを言うと保険局長はまた答えないかもわかりませんが、先ほどの話じゃないけれども、仮に原案どおり成立をするとして、あるいは少々修正が行われるとして、一方では、先ほどから出ておりますように、医療費アップはもう五十二年度中に間違いのない事実だろうと思う。そういうような中で果たして五十二年度並びに五十二年度の単年度の収支は均衡がとれるのかどうか、ちょっと局長に聞いておきたいのです。
○八木政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私どもは御提案申し上げている線でお願いしたいということでございますので、仮定の問題についてお答えするというのはいかがかというふうに考えております。
○浦井委員 いずれにしても、私がどのように、どのようなかっこうで試算をしてみましても、なるほど五十二年度では単年度としては収支何とか均衡はするにしても、五十三年度にはまた単年度でさえも赤字が出てくる。そうすると累積はそのままであるわけでありますから、これは一体どうするわけですか、大臣。
○渡辺国務大臣 私の方は、ともかく今回なるべく赤字は少なくする、それで余る分がもしあれば、それは多少ずれ込むこともあるでしょう。このままで置けばもっと大きな赤字になるわけですから。そうでしょう。だから、医療費の問題は幾ら上げるかといっても、医療費が一〇%なんということはだれも言った覚えはありませんからね。一〇%上げるなんと私は言ったことはありません。したがって、これらの問題は、この法案がどういう形で通るのか、これは私には重大な関心があるのです。
○浦井委員 けさ方からの財政問題に関するいろんな議論を聞いておりますと、まあ抜本改正なるものがやられたとしても五十四年度からだろう、しかし、どの角度から見てみましても医療費が、まあどれくらい上がるか、大臣答えられないわけですけれども、現に厚生省は一〇%ということで試算はしておられるわけなんです。だから、そういうことを前提にするならば、これはもう五十三年度、厚特法をまたいらわにゃいかぬ、もとへ戻さにゃいかぬかもわからぬ。厚生保険特会法、あるいはまた、いま残っておる弾力条項を千分の二、筒いっぱい使わにゃいかぬかもわからぬ。こういうことについては、大臣どう考えておられるのですか。
○八木政府委員 確かに御指摘のように、弾力条項につきましては、現在七八でございますので、あと二残っておるわけでございます。しかし、この二は、診療報酬の引き上げなり給付の改善があった場合に引き上げられるという問題であるわけでございます。しかし、残りの二というのは非常に幅が少ないわけでございます。いずれにいたしましても現在、八〇というのは間もなく来るわけでございますので、この八〇に行った場合に、これからの保険料のあり方というものをどういうふうに考えるかという問題につきましては、基本的な問題でございますので、これからの基本的な見直しなり来年度の御議論の際にこの問題をどういうふうに解決するか、いずれにしましても制度の基本に触れる問題であるというふうに考えております。
 それから、特会法の問題につきましては、そもそも従来は、政府管掌健康保険におきましては、ある程度赤字が出たという場合に預金部資金の借り入れということで賄ってきておったわけでございますけれども、四十八年の改正によりまして過去の赤字三千億を一挙にたな上げにする、それから、従来は二百二十五億しか国庫補助がなかった、それが三千億にも現在なっておるわけでございまして、国としてもそれだけの手厚いてこ入れというものを行ったわけでございますから、医療保険制度におきまして――そもそも医療保険制度というのは収支の均衡を図るというのが基本原則でございますから、特会法の改正ということについては全く考えておりません。
○浦井委員 大臣に……。
 少し角度を変えますけれども、これも先ほどからお答えしておられるようでありますけれども、いわゆる抜本改正なるものについて一体何を考えておられるのか、私ももう一遍聞いておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 それは再々答弁をいたしておりますけれども、老人医療費という問題が大きな問題になっておる。したがって、これは老人保険懇談会の方からの答申が昨夜ございまして、その答申はやはり抜本改正の一つの大きな柱になります。もう一つは、社保審が開かれておって、来月早々この答申が出される見込みでございます。なお、国会においても、こういうものはやるべきだというような大きな柱が各党から何回も言われておりますから、そういうようなことなどが柱になって抜本改正案をつくっていかなければならぬ、こう思っておるわけです。
○浦井委員 私ども共産党としては、このような、いまの改正案のようなこそく的な、しかも国民に犠牲をおっかぶせるような一時的な案ではなしに、やはり医療保険制度を含めた医療制度全体を見直すような抜本的な改革を志せ、そういうことを政府に要望しておるわけなんです。
 ついでに、たまたま手元にありますから読み上げておきますけれども、共産党としては、こういうことを検討すべきではないかという問題であります。
 第一は、やはり医薬品、医療機器の価格の問題と安全性並びに有効性の問題。
 それから二番目には、保険財政の問題。その中の一つは、保険財政が負担すべき範囲と国、企業等の責任などの給付問題。第二は、事業主と労働者の負担割合、国庫負担、その他の保険料負担の問題。
 第三には、いま大臣の言われた老人医療問題を含めたところの、難病とか結核などを含めたところの公費負担医療の拡大をやらなければならないのではないかという問題。
 第四番目は、やはり差額ベッド、付添料などの保険外負担の是正。
 それから五番目は、救急体制、それの配置の適正化など、これは医療供給体制の側の問題であります。
 六番目が、医師、看護婦などの医療従事者の養成の問題。
 七番目が、リハビリ、健康増進、保健衛生の対策強化。
 そして八番目が、医療保険制度の再編成、被用者保険の統合の問題。
 こういうものが恐らくだれが考えても出てくるだろうし、こういうことを早く、政府として責任を持って案を出し、国会の論議に付さなければならぬのではないか、このように私どもは考えておるわけであります。
 そこで、委員長に要望しておきたいわけでありますけれども、そういうような局面の場合に、国会としてはやはり現地調査であるとか資料の収集、学者、関係者など国民各層の意見を反映できるような公聴会の開催などを含め、国政調査権を積極的に活用して、政府が責任を持って出してまいりましたこれらの問題を抜本的に検討して、医療の改善と医療保険制度の改革のために社会労働委員会を中心にして慎重に検討し審議をする、こういうことをあわせて要望をしておきたいと私どもは思うわけであります。――何かありますか。
○橋本委員長 何も言うことありません。
○浦井委員 そこで、少し問題の質を変えまして、そういうようなことをやっていく上でも、やはり財政対策上も緊急にやらなければならない二、三の問題があるだろうと私は思うわけであります。
 まず第一番の問題は、腎臓病の対策の問題であります。
 これは、これまた大臣を悪者にするようでありますけれども、ことしの初め、二月五日に、本会議の渡辺厚生大臣の答弁の中で、こういうことを言っておられる。「人工透析と言うんだそうですが、体じゅうの血を全部抜いちゃって、洗たくしてまた体の中へ入れる、こういうようなことは、これは皆健康保険でできるようになった。したがって、一人で五十人分も百人分も保険料を使うということだってあり得るわけでありますから、そういうようなものなども赤字の大きな原因であって」云々というようなことを言われて、そのまま読めば、あたかも、健康保険の赤字の原因がこの人工透析であるかのような言い方をされておる。これでは、現在、人工透析を必要とする一万五千人の患者の皆さん方、これは人工透析がもう命の綱であります。こういう方たちにとっては非常にむごいという印象を与えざるを得ないと思うわけでありますが、その点について大臣が一体どう考えておられるのか、釈明を求めておきたいと思う。
○渡辺国務大臣 私が申し上げましたのは、要するに、医療の高度化に伴っていろいろな器械が使われるようになった、それだから、保険で認めなかったものも、たとえば人工透析もあるいは心臓手術も、入院していると月に六十万とか、心臓手術の場合百万からかかるそうですよ、そういうようなものも全部保険で見るようになりました。こういうことは非常にお金がかかりますから、やはり保険財政をたくさん使うということですね。そのことを悪いとも何とも言っていませんよ。当然私は例示的に物を言ったわけですから。だから、金がかかるからみんなで負担しましょう、こういう話をしたわけであります。他意はございません。
○浦井委員 そうすると大臣は、私先ほど申し上げたように、腎不全の人たちにとって人工透析というのは命の綱である、しかも社会的にハンディを背負っておられる、もう半永久的に週に二、三回は医療機関に通わなければならぬ、しかし現状はまだまだ対策は不十分であると言わざるを得ない、こういう人々の要望にはこれからも耳を傾けて一生懸命言うことを聞きますということを、半面、発言をされておるわけですね。そういうことですな。確認してよろしいですね。
○渡辺国務大臣 それは、重症な方とかそういうような方にはみんなでできるだけのことはしなければならぬ、これは一般的に当然そういうことです。
○浦井委員 そこで、各論的にお聞きをしたいわけでありますけれども、現在、人工透析について、これは夜間透析をやることなしに職場に復帰できないということになっておるわけなんです。ところが、夜間透析を行う医療機関にとっては、これはもう大変な手間暇がかかる。そして最終的には患者と医療機関の間にトラブルが起こるというようなことで、結果としては職場復帰ができないというケースが非常に多いわけなんです。だから、これは当然改善すべきだし、患者さんの方からも要望が出ておるわけなんですが、この点でまず、この夜間透析に対する点数を設定すべきではないかと私は思うわけでありますが、これは最終的には大臣の責任でありますから、この点は大臣告示でありますから、ひとつ関係当局の御意見をおっしゃっていただきたい。
○八木政府委員 夜間透析の問題、いろいろ御議論も出ております。しかし、現在の診療報酬点数の中で、やはり診療の実態に即応して点数を決めるということでございまして、現在、特に昼間、夜間ということを設けておりませんので、むしろ現在の実態から見ますと、いま直ちにこの問題を診療報酬の点数の中に取り上げるといういまの時期ではないというふうに考えております。
○浦井委員 いまはその気がない。
 そうすると次に、人工透析の問題として、やはり僻地などが非常に困っておる。たとえば私の住んでおります兵庫県なんかで言いますと、但馬、丹波辺がまだ不十分であるわけなんです。だから、そういうところでは、現にもう人工透析のために但馬の端から神戸まで四時間もかかって週に何回か来られる、あるいはひどい場合には、極端な場合には人工透析をやる病院の近所に部屋を借りて下宿をしてやっておるというようなケースもあるわけでありますから、やはり僻地に関しては厚生省が責任を持って、国公立病院がこれを担当する、率先してやるというような指導をすべきではないかと私は思うわけです。これが第一点。これは医務局の方。
 それから第二点としては、家庭透析の問題であります。これも名古屋であるとかいろいろなところでやられかけておるわけでありますけれども、いろいろな問題点が、医学的な管理の問題であるとかあるいは法的な問題、それから医療器械の改良の問題などがあるわけでありますけれども、しかし、アメリカなんかでもかなり普及もしておるし、日本でも僻地であるとかあるいは離島であるとかそういうようなところでは、そこで腎臓の病気にかかってそれをやらなければ回復不可能だという人には不可欠な問題ではないか。だから、やはり医療行政としては、この僻地の問題も含めて家庭透析の普及の問題なども早急に対応策を出すべきではないか、このように私は思うわけでありますが、ひとつ医務局の方から。
○佐分利政府委員 現在、御指摘のように、国公立の人工透析装置保有率は約三分の一でございます。したがって、先生がおっしゃるように、もっと公国立の普及を図っていかなければならないと思うのでございますが、御案内のように四十六年に実態調査をいたしまして、その後、各都道府県知事の意見も聞きまして、四十九年まで国公立の人工透析装置に特別な補助金を出して整備をしてきたところでございます。その後、民間の普及も著しいものがございますので、しばらく模様を見ていたわけでございますけれども、さらに各知事にお願いして、現在、計画の再検討をしていただいているところでございます。
 次に、家庭透析の問題でございますが、わずか百人余りの患者さんしか家庭透析はやっていらっしゃいません。ところが、家庭透析につきましては、本家本元のアメリカにおいても非常に大きな議論の対立があるわけでございまして、どうも家庭透析は予後がよくない、やはり施設透析にすべきであるというような、意見が真っ二つに分かれております。そういった医学上の問題ももう少し解明していかなければなりません。しかし、厚生省は通産省と協力いたしまして、よりよい家庭透析用の人工腎臓の開発を五十一年度から五カ年計画で始めているところでございまして、研究調査等は進めているところでございます。
○浦井委員 医務局長にもう一つ尋ねておきたいのですが、家庭透析でいろいろ異論があるということは私も知っておるわけなんですが、腎移植の問題ですね。かなり有効でもあるし、そうむずかしくもないし、安全でもあるということで、アメリカでは、人工透析を十年間も続けておる人はもう少なくなってきて、むしろ腎移植の方に移行しておるということを、私はアメリカへ行ってきた友人から聞いたわけでありますが、やはり法制化の問題であるとかあるいは保険の問題などで、いろいろとまだまだ克服すべき課題はあるだろうと思うのです。しかし、この点についても、一方では、日本移植学会とか腎移植臨床検討会とかその他四団体から申請書も出ておることだし、私は、やはり早急に検討をして、そういう四団体が出してきておるような方向で前向きで検討すべきではないかと思うのですが、その点についてはどうですか。
○佐分利政府委員 確かに御指摘のように、全世界ではすでに腎移植は二万三千例行われております。日本においてもすでに七百例ぐらいになったかと思います。また、日本の成績も、手術直後の成功率、生者率等は九五%を超すようになってまいりました。しかし、長期的に観察いたしますと、やはり半数生存率は四年から五年ではないかと思われるわけでございます。もちろん日本でも、長い例はすでに九年生きているという方もございますし、アメリカでは二十年という例もあるわけでございますが、いま申し上げましたようなことで、まだいろいろ研究の余地も残っていようかと思います。また、腎透析を先にして、腎透析ができなくなってから移植をした方がいいのじゃないかというような意見もあるわけでございまして、こういったことにつきましては、学界の御意見によって政府は判断をしてまいりたいと考えております。
○浦井委員 次に、私ここに並べたわけでありますが、これが人工透析器であります。それぞれメーカーの違うものを三種類持ってきたわけでありますが、これがいま問題になっておるのは、先日、保険局の医療課長もどこかで講演をされておるわけでありますが、説明をいたしますと、これが全部、使い捨てであります。一人一回、使い捨てであります。大体の値段がこれで――これでと言いますとおかしいのですが、大体二万円から一万五千円ぐらいかかっておるわけです。だから、人工透析をやっておられる患者さんが一万五千人おられるとして、月に八回やるとすると、年間、この人工透析器が百五十万個消費されておる、こういうことになるわけです。一人一回限り使い捨てでありますから。ところが、これは特定治療材料ということで点数が決められておらない。だから、購入価格で保険請求をされて一これは知事認可だそうであります。ところが問題は、一万五千円ないし二万円で請求をされておるわけでありますけれども、かなり過当競争になっておるということもあって、メーカーはかなり安い値で医療機関に入れておる。医療課長さんの話によりますと、五千円から一万円ぐらいの差があるというような話も、これはもう厚生省がはっきりとつかんでおられるだろうと思う。
 そこで、使い捨ては医学的に不可抗力だろうと思うわけでありますけれども、もっと安くて質のよいものが国の責任で――国の責任でと言っても、国が全部請け負うというようなことは言っておらないのですが、もっと安くて良質のものが医療機関に供給されるように、やはり国が適切に指導すべきではないかというのが第一点であります。
 それから、やはり製造原価をかちっと調べて、混乱を起こさないように適正な点数設定を行うべきではないかということが第二点であります。
 それから、これは少々専門的な話になりますけれども、これは中医協の話でありますが、回数だけでなしに透析時間も点数に加味すべきではないか、むしろその方が合理的ではないかというような意見が専門家の間で高いわけでありますけれども、もちろん、一部で逆ざやかせぎをやっておるごくわずかな医療機関もないことはないということは、私も聞いて知っております。そういうことを防ぐためにも、また、腎不全に陥ってこれをやらなければならぬ患者さんの命を救うためにも、こういうことは早急に国の責任でやるべきではないかと思うわけでありますけれども、これは大臣ですな。
○渡辺国務大臣 いまおっしゃられたようなことについてはおおむね承知をいたしております。したがって、どういう方法をとるかは、専門家がおりますから、私の方で検討いたしまして、ともかくむだにならないように、できるだけ早急に措置をする考えでおります。
○浦井委員 これに関連してもう一つの問題は、先ほどから言っておりますように、これは使い捨てであります。年間百五十万個で、これは廃棄物になるわけです。現在の廃棄物処理法によると、病院が排出する産業廃棄物になって、病院に責任がかかってくる。だから、病院がこれの処理に皆、困っているわけですね。プラスチックでもあるし、ここへ血液が皆たまるわけですから衛生上の問題もあるわけです。だから、これは提案なんですけれども、メーカーであるとかあるいは販売業者に回収をさせてきちんと処分ができるような指導ができないものかどうかというふうに考えているのですが、大臣、どうですか。
○佐分利政府委員 そのような例はほかの商品にもあったわけでございますので、御趣旨のような方針でいろいろと関係方面と相談をしてみたいと考えております。
○浦井委員 人工透析は、一応これで終わります。
 次に、やはり、いまの医薬品と並んで大きな問題になっておりますCTスキャナーの問題があります。コンピュータトモグラフィー、これは最近非常に注目を集めておるわけでありますが、いろいろと調べてみますと、ちょっとどっきりするような値段であるわけです。第一世代と言われているそうでありますが、一番初歩的なもので、定価が大体一億七千万円。第二世代になりますと、これが二億六千万円。第三世代、第四世代になりますと、どんどん技術開発が進んで、一台四億円というような定価になるそうであります。最近、アメリカでは六百台ぐらいが備えつけられて、五年後にはもう千台を超すだろうというふうなことが言われておるわけであります。
 そこで、一指してお尋ねをいたしますけれども、いま日本で一体何台設置をされて、価格はどれくらいなのか、検査料はどのようになっておるのか、これからの普及見込みはどこまでいくのかということについて、まずお尋ねしておきたいわけです。
○佐分利政府委員 現在、整備されております台数はおおむね百五十五台程度と考えております。
 価格でございますが、頭の診断専用の装置とおなかの方も一緒に診断できる装置と、大きく分けると二種類に分かれますが、先ほど先生がおっしゃいましたのはごく初期の値段でございまして、頭の装置でございますと、たとえば国産ならばもう一億円を割っております。外国製品もかなり安くなってまいりました。しかし、おなかの方の診断もできる装置は、少しは安くなってまいりましたけれども、現在においても二億前後はいたします。また、特に非常に速い時間で測定するようないわゆる第三世代のCTスキャナーというのは、現在においては三億四、五千万円するであろうかと思います。
 そこで、今後の見通しでございますが、私どもは、やはり広域市町村圏に一台ぐらいは当面必要ではなかろうかと考えております。それは主として救急医療用でございますが、そのほかにも、がんとか小児センターとかいったところでも必要でございますので、全部合わせますとやはり五百台近くは当面必要ではないかと考えております。
 それから、検査料につきましては、私、厳密に計算したことはございませんが、巷間伝えられるところによりますと、安いところでは三万円ぐらい高いところでは六万円ぐらいというのが標準になっているように聞いております。
○浦井委員 ついでに医務局長にもう一つ、少し専門的なことを尋ねておきたいのですけれども、専門家に言わせますと、これが普及をして医学診断のレベルが向上することはよいことだけれども、放射線であるわけですから、日本民族の体の中に国際レベル以上の被曝線量が蓄積するのではないかという危惧を持っておる方が、かなりおられるようであります。
    〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
一スライスで線量が七十レム、大体胸部のレントゲン写真一回で一レムというようなかっこうでありますから、かなり、想像を絶するような放射線が人体に入っていくというようなことを学者の一部では恐れておるようでありますが、そういう点について厚生省としては、あらかじめ検討もし、手を打つというようなことをされておるのかどうか、一遍聞いておきたいと思います。
○佐分利政府委員 CTスキャナーにつきましては、頭の撮影の場合には、骨髄も余り付近にございませんし、また生殖腺も遠くの方にございますから、それほど心配することはないわけでございますが、腹部の診断ということになりますと、そういった放射線障害を十分考慮しなければならないわけでございます。そこで、できるだけ診断スピードを速くする方が映像そのものは非常に鮮鋭になってくるわけでございますけれども、速くすればするほど放射線量はまたふえてくる。そこで、診断精度と放射線防護と両方の面から厳重に研究が行われているところでございます。私どもといたしましては、特に腹部の場合には、超音波の診断装置というようなものがございまして、CTスキャナーと余り遜色もないように思われますので、できるだけ現時点においては超音波を使う、また、CTスキャナーを開発する場合にもできるだけ放射線量を少なくしてもらうということで、各社いろいろな工夫をいたしております。すでに、先生がただいまおっしゃいました、十五分の一程度の放射線量まで技術開発がされておると思っております。
○浦井委員 そこで、保険の方ですが、これは保険が適用されるということになると、財政上大問題だろうと思うのです。ちょっと試算をしますと、一日の検査料を三万五千円と仮定し、一日の検査件数を八件として、そして、いま医務局長は五百台だと言われたのですが、それで計算をすると、年間三百三十六億ぐらいになるわけです。医療技術の向上というのはよいことだし、私も写真を見せてもらったですが、特にブレーンの方は完璧な診断ができるだろうと思います。しかし、一方では国民皆保険で、保険が適用だということになると、財政上大問題になると思うのですが、その対策を検討されておりますか。
○八木政府委員 先生御指摘のように、CTスキャナーにつきましては、現在、保険の対象になってないわけでございます。しかし、新しい医療の高度化等によりまして、医療保険の中にできるだけ新しい技術開発なり高度化の問題は取り組んでいくということでございます。いずれにいたしましても、この問題は中医協の御審議を賜らなければならないということで、今後、中医協の御審議を踏まえましてこの問題に対処してまいりたいというふうに考えております。
○浦井委員 点数設定も、やはり医療機関としては急いでいる面もあるわけなんです。保険適用、点数設定、大体の見通しはどうですか。
○八木政府委員 現在、中医協が開かれておりまして、いずれかの時期に点数表の問題ということも御審議いただくわけでございますので、そういう際に御検討いただきたいというふうに思っております。
○浦井委員 そこで、大臣に一つ提案なんですが、この問題について早急に、厚生省だけでなしに関係省庁がひとつ協議をして、そして製造原価であるとかあるいは価格構成、こういうものを厳格に調査をさせにゃいかぬだろうと思う。そして、これはEMI社というのが初めの先発メーカーでありますが、これなんかも、もともとレコード会社だそうであります。技術を持っているので転進をしてきておる。日本でもそういうケースが多いわけなんです。だから、そういうふうに、ほかでもうひとつふるわぬので、こっちにやれば非常によい市場だということで、電子工学メーカーがだっといま進出をしてきておるわけなんです。だから、そういう連中が、医薬品メーカーの現在と同じように保険財政に寄生をしてそこから不当にもうける、というようなことのないような措置をいまのうちにとっておかなければならぬのではないか、このように思うわけです。だから、技術革新、診断技術の向上というのは望ましいことであるわけですから、その点はきちっと踏まえて、国民の命と健康を守るというような観点から、いまも医務局長が言われておったような適正配置と、それから有効利用というような点で、たとえば一定のガイドラインみたいなものをつくって指導すべきではないか。すでにアメリカでは、州ではあるんでしょうけれども、かなり強い規制が行われておるというふうに私は友人から聞いておるので、あえて申し上げて、大臣の御意見を伺うわけです。
○渡辺国務大臣 まことにごもっともな、時宜を得た発言でございます。これについては十分その趣旨にのっとって、被害があっても困るし、そうかといって偏在しても困るし、また、乱用されて大変な保険出費になっても、乱用は絶対困るわけですから、これは特に注意をするつもりです。
○浦井委員 それはひとつ失敗を繰り返さないようにやっていただきたいというふうに思うわけであります。
 そこで、医療機器の問題に触れると薬剤に触れないわけにはいかぬわけでありますが、薬剤問題についてひとつお伺いをしたいのですけれども、同僚委員の方からかなり薬剤問題についても話が出ましたので、少し別の角度から、円高の問題について大臣並びに薬務局長にお尋ねをしたいのですけれども、非常に円高傾向が続いておる。ことしに入って、一月で一ドルが二百九十二円六十銭、四月で二百七十五円九十銭、八月が二百六十五円七十銭、十月がとうとう二百五十円台と、こういうことになっておるわけですね。
 そこで、一月時点と比べると八月でも約二十七円、だから一〇%ぐらい円高になっておる。それから、一月と十月と比べると四十円ということでありますから、約一四%も高くなっておる。だから、それだけ為替差益が発生しておるということが、これは常識であります。一方、医薬品の輸入動向を見てみると、五十一年度が一千七百二十四億円であり、五十二年度見込みとしては一千八百十億円である、こういうことなんです。だから、単純計算をしてみましても、五十二年度は製薬メーカーに約百八十億円もの為替差益が転がり込んでおるというような勘定になるわけなんです。もちろん、市販される医薬品は、原料だけでなしに、それにいろいろ付加価値が加わったものも、やはりその材料で為替差益があるかもわからぬですけれども、原料だけを見てもそういうことになるんではないか。こういうような現象に対して、厚生省は為替差益を還元させるような措置を考えておられるのか、あるいはすでに講じておられるのか、ちょっと聞いておきたい。
○中野政府委員 先生御指摘のとおりに、最近、非常に急カーブで円高傾向が続いているわけでございます。御承知のように今回の薬価基準の改正にいたしましても、これはいわゆる市場価格主義によりましてバルク計算をして、その結果出てくるものを薬価基準価格に採用するということでございまして、円高の傾向が原料価格を通じて市場価格に反映し、その市場価格に反映したものが九〇%バルク方式で薬価に反映をするという間接的な関係に相なるかと存じます。
 今回の薬価基準の改正は、そのベースになります薬価の調査時点は昭和五十一年五月に四月取引分を調査したわけでございますが、その後二回にわたりまして、最近のは五十二年七月及び八月のいわゆる経時変動調査の結果で補正をいたしておりますので、この時点における円高のバルクを通じての、これは原末輸入という意味ですが、原末輸入を通じての医薬品のコストへ、さらにそれが医薬品の価格への反映ということは、間接的には十分考えられることであると思います。
 ただ、二点ばかり申し添えるといたしますと、この編入、たとえば五十一年度、先生の御指摘になりました千七百二十四億円の輸入薬でございますが、これはほとんど原末であるというふうに考えられます。したがいまして、その原末を入れてそれを製剤いたします工程があるわけでございますが、それからあと流通経費その他ございますので、いわば原料分についての円高の影響ということでございまして、その円高がストレートにそれらの製剤そのものにも及ぶわけではないという点がございます。
 それから、ごく最近の円高は、また先生御指摘のように二百五十円近くまで来ているわけでございますが、これは恐らく、次回の薬価調査を通じまして、その時点で薬価に反映されるという感じではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○浦井委員 そうしたら、端的に尋ねますけれども、薬価の改定、十一月の一日に告示されるということで、その改定率が五・八%ということでありますが、その中に為替差益の還元分はどれくらいあるんだ、どう見ておられるのですか。
○中野政府委員 明確に為替差益がどれぐらいあるかということの計算はいたしておりません。恐らくそれは非常に困難であろうかと存じますが、現在の薬品のいわば薬価と申しますか納入価格は、先生御承知のとおりに、特にアンピシリン、セファレキシン系統の大幅な値崩れがございまして、これはこういう市況のもとでは、原末の輸入価格が下がったときには、恐らくそれが相当程度に製剤価格、最終製品の価格に反映しているものではないかというふうに推定されるわけでございます。しかしながら、円高の分がどれぐらいあるかという計算はきわめて困難であろうかと思います。
○浦井委員 薬務局長、かなりメーカーの肩を持ったような言い方をされるわけでありますが、やはりきちんと調査をして、そして、あれはいつでしたか、十月の十四日、物価担当官会議の申し合わせの中に、薬価基準の改正は円高による影響も受けている市場価格をもととして行うというような、そういうあいまいな表現。市場価格をもとにして薬価を決めていくというやり方の、やはりこういうような国民が注目しておるような問題が出てきたときには、そういう点で大臣、やはり限界性を示しておると私は思うわけです。だから大臣、やはり思い切って為替差益分を、ひとつ赤字で健保困っておるわけですから、製薬メーカーに吐き出さして、赤字の保険財政ちょっとでも助かるようにしたらどうですか。思い切ってやったらどうですか。
○渡辺国務大臣 考え方はいいですけれども、どういうふうな方法で吐き出させるのか、方法論がわからなければ(浦井委員「それは厚生省が考えなければならない」と呼ぶ)ですから、これはいま薬務局長が言ったように、厚生省が直接買うのじゃありませんからね。しかも、厚生省のいままでの値段の決め方というものは末端の卸屋の、要するにサンプル調査をしたところで決めていくわけですから、そういう制度がある限り――直接、製薬会社から吐き出させるという何かうまい方法があれば、私も御相談に応じます。
○浦井委員 だから、私どもは前から言っておるわけなんです。こういうような経済変動で円高になる。そうすると、これはもう製薬メーカーは為替差益でもうかるのに、それは国の方は実態がわからぬ。まるまる製薬メーカーががっぽりとふところへ入れてしまうことを黙認しているようなかっこうなんです。いまのやり方では。だから、私は前から言っておるように、原価に基づいて薬価を決めるという方針を堅持していく。それは原価の公表なんかできませんというようなことを言われるかもわからぬ。しかし、自由社会であるフランスでもやっておるわけですから、大臣ひとつ思い切って、それは断行したらどうですか。
○渡辺国務大臣 輸入品のようなものは、それは原価に基づいて薬価を決めるということは、やってできないことはないかもしれない。しかし、同じメーカーで五十種類も六十種類も薬を出しておるという場合に、実際その会社自身だって、この薬にどれだけの原価がかかったかということは、きちっとはつかみようがないと思うのですよ。だけれども、そこらのところ、また悪用されると一番売れる薬に経費を配賦して、この薬はこんなにかかっている、ほかの薬はこれだというように逆用されることもありますし、それは一長一短だと私は思います。
○浦井委員 やる気を出して仕組みを考えて指導すれば、私は必ずやれると思う。それをひとつ要望しておきたいと思う。
 そこで、まだ大分あるのですが、訪問看護についてお尋ねをしたいと思うわけです。
 これは、もうすでに保険局長も事情はよく御承知だろうと思うのですけれども、非常に人口が老齢化していく中でお年寄りの福祉対策あるいは保健対策、こういうものを整備することが急務になってきておるわけなんですが、寝たきり老人の問題が非常に社会問題になってきておるわけなんです。
 そこで、まず最初に関係部局から聞いておきたいのですけれども、一体、寝たきり老人の実態調査を行ったことがあるのか。行ったとすれば、その特徴、内容をひとつ教えてほしい。現在、どれくらい寝たきり老人が全国でいらっしゃるのか。
○上村政府委員 六十五歳以上の寝たきり老人の数でございますが、昭和四十七年に行いました老人実態調査で推計をいたしますと、現在、全国で約三十六万人ぐらい、いるというふうに考えております。
○浦井委員 その特徴を簡潔にということを私は言うたつもりなんですが、特徴はどうなんですか。
○上村政府委員 特徴というふうな御質問に対して、どうお答えすればいいか、なかなかむずかしいわけでございますが、私、寝たきり老人と申しておりますのは、まあ半年以上寝ておる老人でございます。別の資料で申し上げますと、寝たきり老人の日常動作について、たとえば歩行、入浴、用便に障害のあるような人が六七%あるとか、歩行と入浴に障害がある人が一一%あるとか、それから入浴と用便に障害のある人が一・四%ある、そういった日常動作の障害構成というのが一つの資料としてあるわけでございます。こういうものを特徴と解釈していいかどうか、お答えになったかどうかよくわかりませんけれども。
○浦井委員 そういう実態を把握したということで、一体、厚生省としては、どういうような対策が必要だと感じて、どういう対策を、どういう手を打っておるのか、これも簡単にお願いしたい。
○上村政府委員 まず、寝たきり老人の対策といたしましては、一つは、寝たきり老人にならないような健康教育と申しますか、そういった意味で、老人保健学級というのを昭和五十年度からやっております。それから、寝たきり老人を対象にいたしました訪問診査というのも、老人健康診査の一環として、やっておるわけでございます。さらに、四十六年度からでございますけれども、六十歳以上の脳卒中の後遺症による機能障害のある御老人たちを対象にいたしまして、在宅老人の機能回復訓練というのをやっておるわけでございますし、同時に、ホームヘルパーの派遣というのもやっておるわけでございます。
 それからもう一つは、在宅でない、何と申しますか、常時介護が必要で、しかも自分のうちではそういった介護を受けることができない人のために特別養護老人ホームというものの整備を図っておりまして、現在、特別養護老人ホームは六百四十三カ所、五万人以上の老人がこの中で生活をしておられる、こういう状況でございます。
○浦井委員 ホームヘルパーの数は。
○上村政府委員 これは五十二年度で一万二千六百二十人でございます。ただ、私ども、ホームヘルパーは、これは身体障害者等も含めまして総合的に運営するように指導しておりますので、それらを含めました数字でございます。
○浦井委員 まあ、ホームヘルパーであるとか特別養護老人ホームとか、一応しておられるわけなんですが、しかし、現状から見ると、やはりまだ圧倒的な寝たきり老人が放置をされておるというのが実情だろうと思うわけです。
 そこで、特に第一線を担当しておる診療所、開業医の段階では、いろいろ苦労をされておるわけなんです。その中で自主的に訪問看護に取り組んでおられるところも、かなりあるというふうに社会局長も聞いておられるだろうと思う。私も、きょうは記録を持ってきております。ここにあるのですけれども、神戸のある診療所で、看護婦さんと理学療法士がチームを組んで訪問看護をやって訓練を行って、中風で倒れた患者さんを、わりあいに短期間に、三カ月ぐらいの間にかなり機能回復さして、非常に家族に感謝もされ、従業員も自信を持ったという感動的な記録をここに持ってきておるわけでありますが、そういうことで訪問看護というのは、こういうような場合には非常に効果的だというふうに考えるわけでありますけれども、厚生省の見解をひとつ聞いておきたいと思う。
○上村政府委員 現に看護婦等を派遣して、療養の世話等訪問看護事業を行っておる市町村があり、医療機関があり、あるいは保健所があることも承知しておるわけでございます。それで、昨日いただきました老人保健医療問題懇談会の意見書でも、老人保健サービスの一環として幾つかの対策が挙げられておるわけでございますが、その三つ目のものとして、在宅療養条件を整備しなくてはならない、この在宅療養条件の整備というのが老人保健医療対策において特別の重要性がある。このために、いまあります家庭奉仕員派遣制度等の在宅福祉サービスの拡充に加えて、保健婦等が老人の家庭を訪問し、本人や家族に対し療養上の生活指導や看護指導を行う等の施策を実施すべきであるというふうな御指摘を受けたわけでございます。(浦井委員「そこで厚生省はどうするんだ」と呼ぶ)老人保健医療問題懇談会の御意見書をいただきましたので、これを中心に検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○浦井委員 ぺらぺらとやられたわけですが、実体が余りないので困るのです。
 いま社会局長が言われたように現在、約三十余りの自治体が独自に訪問看護制度を実施しておるわけですね。東京都では、杉並区では看護婦の資格者を募って実施をしておるし、品川区では看護婦や保健婦などを対象にして登録制度をとって、寝たきり老人に、その登録された人を派遣するというような創意性を発揮してやっておるわけなんです。しかし国としては、まだ放置しておるということになるわけですよね。だから、やはり国として制度を認知すべきではないか、私はこういうふうに思うわけですが、もう一遍突っ込んで、ひとつ社会局長から答弁を聞いておきたいと思う。
○上村政府委員 国としては、こういった制度をどうするか、先ほども申し上げましたように懇談会の意見もちょうだいいたしましたので、早急に検討したいというふうに考えておるわけでございます。
○浦井委員 それ以上、余り社会局長からは出そうもないのですが、大臣、こういうことなんですね。兵庫県の社協と民生委員連合会が共同で、ことしの五月に寝たきり老人の実態調査を行った。それによると非常に大変な実情なんですね。老人に介護が必要になるまで勤めていた人の七割が勤めをやめておる。あるいは介護が可能な勤めに変えておる。また一割の人が、介護に専念したくても生活上の理由で勤めを続けなければならないので、老人は放置せざるを得ない。家族で介護できる人が一人しかいない世帯は寝たきり老人のいる家族の一七%もある。だから六世帯に一世帯の割合。都市部では二割にもなる。介護者は睡眠不足を訴えておるのが三二・五%、疲れがひどいというのが二八・八%、腰痛が二四・〇%、気が重くなっているというのが三〇・八%、いらいらするというのが二一・一%、心身ともに非常に疲れておるというような状況。介護をするようになってから介護者に、どんな生活上の影響が出ておるかというと、外出ができないというのが六〇%、仕事に出られないというのが二七・一%、睡眠中に起こされるというのが三八・七%、こういう状況であります。これは社協と民生委員連合会が共同で出しておる調査書です。そこの結論は、介護者は目が離せないので、まず外へ出ることができない。一方、家庭内では家族の世話、子供の世話が行き届かないし、その上、睡眠不足が慢性化しておる。いずれにしても精神的にも肉体的にも介護者の疲れが重なって蓄積をしておる。介護者の意見でも、家庭や個人の限界を超えるのではないかという意見や、社会的な介護施設を望む声が強い、こういうふうにまとめておるわけであります。だから、もちろんホームヘルパーもあるいは特養ホームも充実させなければいかぬだろうとは思うのですけれども、それとあわせて、先ほどから私がるる申し上げておる訪問看護とい丘ものに、いまこそ政府は踏み切るべきではないか、こういうふうに思うわけでありますが、ひとつ大臣から御意見を聞いておきたいと思う。
○渡辺国務大臣 それは老人懇の答申の中にもございます。したがって、いま局長から答えたように早急に検討したい。
○浦井委員 さらに一歩進めて、これは保険局にも関係があるのですが、具体的に診療報酬点数の設定ですね。訪問看護の診療報酬の設定もやらなければならぬし、すでにやっておる自治体への助成というような問題も出てくるだろうし、寝たきり老人に限るだけでなしに、難病患者であるとか身障者にも広げるというような問題もあるわけですが、差し迫っては自治体に対する助成というのは、これは自治体からの強い要望もあるし、緊急の問題だと思うので、ひとつ、この点については意志的な一層の努力をお願いしたいと思うのですが、もう一遍お答えを。
○上村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、現在いただきました、その意見書を中心に検討に入っておるところでございまして、いま直ちに自治体に助成をするとか、あるいは診療報酬でどうこうということについて、この場でお答え申し上げるだけの用意はございません。
○渡辺国務大臣 同様でございます。
○浦井委員 あと五分になってきたわけですが、最後に私、通常国会のときにスモンの問題で大臣にいろいろとお尋ねをしたわけでありますけれども、ここ十数年間に非常にたくさんの薬害事件が起こっておる。だから当然、厚生省としては副作用による被害の発生の防止をせなければいかぬ、こういうことだろうと思うのですが、これについて現在、行っておる国内の副作用モニター制度の具体的な実情を簡単に薬務局長からお話し願いたいと思う。
○中野政府委員 申すまでもなく、先生御指摘のとおりに現在、薬の副作用は、わが厚生省としましても最大の関心事としているところでございます。現在すでに承認いたしました医薬品のいわばアフターケアといたしましてのモニタリング制度が四十二年三月に発足をいたしております。この四十二年というのは、御承知のように製薬承認の基準を非常に厳格化した時点でございますす。四十二年三月に発足をいたしまして以来、逐次モニター病院をふやしてまいりまして、現在四百六十五病院がモニター病院としての指定を受けておりまして、副作用情報の収集を行っておるところでございます。これらのモニター病院から報告されました副作用報告件数は、五十二年三月末までに合計三千百四十一件となっております。このようにして集められました副作用情報はすべて中央薬事審議会の副作用調査会などで検討いたしまして、そこにおける評価に基づきまして製造、販売の中止、使用上の注意の改定等、必要な措置を講じておるところでございます。
○浦井委員 要するにメーカーからのモニター、それから医療機関の自発的なモニター、それから外国の情報、こういうふうに分けられるわけですね。だから、それで十分なのかどうかという問題。それはメーカーについても私は十分でないと思うし、私の友人なんかに聞きますと、なるほど、それは用紙は来ておる。しかし、いかにも机の上に、ほこりにまみれて転がっておるわというような実情であります。
 だから最後に、ひとつ提案をしたいのですけれども、いま、せっかく厚生省が行っておる副作用モニタリング、これはもっと充実強化しなければならぬだろうと思うわけなんです。それと同時に国立札幌南病院ですか、外国で言えばボストンの某病院とかいうようなところで行われているように、国公立の病院が、かなり金の上でも余裕を持って、副作用を系統的に追求できるようなシステムをここで、つくる必要があるのではないか。
    〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
そこで国が、特に厚生省が、国立病院の中で十カ所なら十カ所サンプルを選んで金を出して、この際、薬害の発生を未然に防ぐという意味でも強化モニタリングを行うというようなことを思い切ってやるべきではないかと思うのですが、この点どうですか。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 薬の副作用問題につきましては、先生御指摘のとおりに集中的なモニタリング制度をしくべきだという学会の意見があることは承知いたしております。また、現実問題といたしまして国立病院、療養所の中に臨床薬理の立場からの研究を非常に進めている施設もあるわけでございます。当面といたしましては私らは、実は予算の編成問題に絡まりますが、明年度におきましては既存のモニタリング制度の拡充という姿勢をとっておりまして、先生の御提案は非常に傾聴に値するものだと思いますが、これについては、なお今後、前向きの姿勢で検討していきたいと思います。
○浦井委員 その点についての答弁は、きょうは、これくらいだろうと思うのです。
 これで終わりますが、冒頭に申し上げましたように、われわれはやはり、こういう国民生活を破壊するような健康保険法の改悪案は審議すべきではないのだということで、不本意ながら、きょうは審議をしたわけであります。以上であります。
○橋本委員長 御苦労さまでした。
 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) 長い間、本当に審議御苦労でございます。
 国民の健康を守らなければならない厚生大臣が、朝から晩まで座りっ放しで、まことに健康のためにはよくないだろうというふうに推測されます。朝から、とにかく抜本、抜本の応酬で、何か抜本のアレルギーが出てくるのじゃないかと思うくらい抜本の抜本、その抜本ということで何が何だかわけがわからないという形で私のところまできたわけでございます。
 大臣、大臣は非常に勇気を持って白黒をはっきりなさるという定評がございますので、どうかひとつ、はっきりおっしゃっていただければ私の質疑も五分で終わっていいと思うのです。ところが、それが出ないと、やはり時間いっぱい、ちょうだいするという形になると思うのです。そういう意味も含めまして、ひとつできるだけ簡単に要点だけをお答えいただきたいと思います。
 その前に、私、国会に来まして先国会も抜本、抜本、今度もまた抜本、抜本で始まるわけですが、そういうことをお互いに応酬しているところに、何か抜本的な改革を見出さなければならない原点があるような感じがいたしております。それはすなわち、とりもなおさず、いまの日本の医療制度の矛盾が、そういうものを混迷に陥れているのじゃないか、そういうふうに考えるわけです。
 その矛盾は一体どこにあるかということを私は私なりに考えてみたわけでございますけれども、やはり日本の健康保険制度そのものが、保険であるのか、あるいは保障であるのか。あるいはまた保険プラス保障であるのか。そこら辺の国民的なコンセンサスが得られないままに各論へ入って、いろいろな問題の矛盾点を指摘し合っている。ところが根本的な問題の解決というものには何にもつながってこなかった。私はそういうことが、この医療問題を国民の側から見れば非常に難解なものにしているのではないかというふうに考えるわけでございます。そういう意味から一番やはり原点の、日本の健康保険制度そのものが、個人が自分の健康にどこまで責任を持てるか、また持つか。また、その個人個人が持ち得ない部分については国がどういう形で、どこまで、それをめんどう見るのかというようなところを、もっと、お互いに詰めていかなければならない。それも、やはり一つの制度というものは、好むと好まざるによらず現在の制度の上にのせられたものでなくてはならない。そこに一つの理想像だけを掲げていても、現在の健康保険制度そのものを改善していくということについては無意味なような感じもいたします。
 そういう意味において現在、日本が自由主義経済体制の中に生きているのだということについての国民的合意はあるはずでございますから、そういう経済体制の中で、健康保険制度というものを、どのように、とらえていくかということについて、もっと議論されなければならないのじゃないか。そういう意味においての社会保障制度、こういうものも含めて根本的な理論の展開を、また、それに対する討論をしていかなければならぬのじゃないかと思うのです。そういうことが一番現実の医療問題というものを混迷に陥れているような感じがしてなりません。そういう感じを先に述べまして、そういうことを言い出せば、それこそ時間のむだになってしまうような感じもいたしますので、そういう点から何のために現在の健康保険制度というものがあるのかということの認識を、私は私なりに、とらえている点を先に申し述べたいと思います。
 それは生命の保障というものを平等にするために健康保険制度というものはつくられているのであって、そのためには自由主義経済体制の中においては、応分の負担をするということについて公平でなくてはならない、こういう原則のもとに立って健康保険制度そのものをながめ、また改善していかなければならないのじゃないかというふうに考えているわけでございますが、その点について大臣は、どのようにお考えになっていらっしゃいますか、お答えいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も同様に考えております。
○工藤(晃)委員(新自) でございましたならば、ひとつ抜本改正という中身について質問をさせていただきます。
 今度の健康保険法の一部改正法案、これも言えば赤字対策をどうするかという一点にしぼられてまいろうと思います。累積赤字千六百二億という財源を、どのようにつくり出すかということについての討議が、いままで抜本、抜本という形で出てきたと思うのです。しかし、これもいまの問題に関連いたしますけれども、いまの健康保険制度そのものの矛盾点が、そのまま今度の健康保険法の一部改正法案の矛盾点にスライドしてきているのではないかというふうに考えるわけです。
 その一番大きな問題点は、やはり保険というたてまえに立って、その赤字の部分について負担を余分にしていただこうじゃないか。それを解消するために保険料を値上げする、それも総報酬制という形をとって新たに、そういうものに対する補てんをしたい。もちろん緊急処置とおっしゃり、臨時的な処置ということはおっしゃっていますけれども、いずれにしても、やはり保険のたてまえを通されていると思います。そこに一つの保障という立場に立てば大きな矛盾点が派生しているように感じるわけです。
 たとえば国民の側から見ますと、このような不況下において、中小零細企業を対象にした政管健保に対しては特別保険料、すなわちボーナス保険料を強制的にかけなければならぬ。また財政の豊かな健康保険組合の多い組合健保に対しては任意にする、こういう社会的に見れば非常に不公正なやり方をなさなければならないというところに、実は、いまの健康保険制度そのものの矛盾点が露呈されてきているのではないか、私はこう考えるわけです。
 そういう点を含めまして、ひとつ大臣に、こういうことを、いまから何度続けていっても同じことを同じように繰り返していかなければならないということは、多分、大臣もおわかりのことだと思うし、また、われわれも皆わかっていることなんですから、問題は一応こういう矛盾点をいつ、だれが、どこで、どういうふうな方法で解決するかという問題だけが具体的に残されているのではないか、そういう作業が残されているように思います。そういうことについて大臣は、どのように具体的な解決方法をお考えになっていらっしゃるか。ひとつ、この際お聞きしたいと思います。
○渡辺国務大臣 抜本改正の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように老人懇の答申が出されました。これによって、この答申を踏まえて、老人医療の問題を総合的にひとつ見直していこう。それから社保審で制度間の問題についての答申が近く出される見込みでございます。また、国会で長らく本人と家族との給付割合の格差とか、その他のことについて、いろいろ、それぞれの人から御意見が出ております。ベッド差額も、もっと、なくせとか、あるいは付添看護も手厚くやるようにとか、いろいろな御議論が出ておりますので、こういうようなものは、やはり抜本改正をする際の大きな柱になっていく、こう思っていただければよろしいでしょう。また、四日にならないと社保審の答申が出ませんものですから、それを見ないうちに、せっかく私がお願いをして議論をしてもらっておって、ここは専門家が集まって勉強して、これでどうですか、これでおやりなさいというのが出るわけですから、その前に私が余り具体的なことをお話をするということは適当でない。したがって、その答申を尊重して、あと皆さん方の御発言もできる限り尊重して、抜本案をつくってまいるつもりでございます。
○工藤(晃)委員(新自) 事情はわかりました。ただ大臣に、そういう社会保障の推進というたてまえに立って、健康保険制度そのものを抜本的に見直さなければならないということについては、そのようにお考えになっていらっしゃるのか、あるいは、やはり保険というたてまえだけを強く主張されるのか、そこら辺のところを、ひとつ御見解を聞きたいと思います。
○渡辺国務大臣 抜本的に見直さなければならないと思います。
○工藤(晃)委員(新自) 私がお聞きしたのは、社会保障というたてまえを推進なさる抜本なのか、そういう点はいかがですか。社会保障の推進という立場に立って抜本をお考えになられるのかどうかという点を聞きたいわけです。
○渡辺国務大臣 それは当然そうでございます。
○工藤(晃)委員(新自) そうであるならば、いろいろな答申が出ないから、この点については答えられないとおっしゃっておりますけれども、やはり、そういうたてまえは答申の中にも出てまいることは間違いないと思うのです。だといたしましたならば、こういうふうな黒字のところには特別保険料をかける必要がなぜあるのか、何もそんなに保険料を余分にかける必要はないではないかという意見があるために、一方において赤字のところにしか、かけられないという矛盾が出てまいっておりますので、こういうことも将来ならしていかなければならない。そのためには各制度間の財政のプール化はどうしても図っていかなければならない。そうでないと負担あるいは給付の格差を是正するという線にはつながっていかないのではないか、そういうふうに考えますが、その点はいかがでございますか。
○渡辺国務大臣 結果的に各制度間の調整といいますか、そういうものが行われるような工夫はしていかなければなるまい、こう思っております。
○工藤(晃)委員(新自) やはり政治というのは、ただ概念だけが先行しては意味がないと思います。いつ、どういう方法で手をかけていくか、それについて、お答えのできる範囲で結構でございますから、ひとつ具体的にお答えを願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 社保審の答申が近々出ますので、早速もう来月、再来月からでも準備に入って、五十三年中に準備ができ上がって、五十四年から抜本改正が実行できるように努力をしていきたい、こう思っております。
○工藤(晃)委員(新自) たとえば、政管健保に対して万やむを得ないから特別保険料をかけるのだというのは、あくまでも、これは臨時的措置だとおっしゃっておりますので、それでは、その措置が解消されるのは五十四年度を目標として、われわれはとらえてよろしいのですか。
○渡辺国務大臣 それを目標としてやっておるわけであります。
○工藤(晃)委員(新自) 臨時的措置なんだと言えば、いつまで続く臨時的措置かわからないというので、国民の方でも納得しにくいと思いますから、一応五十四年度までというふうに期限を切って、ひとつ実行に移していただきたい、私自身はこういうふうに考えるわけでございます。
 厚生大臣、いまの点について、ひとつ確認をしたいと思います。
○渡辺国務大臣 そのように努力をするつもりでございます。努力をしなければできないのですから、努力をするつもりであります。
○工藤(晃)委員(新自) ひとつ大臣の誠意と決断を期待して、この問題については、それだけにしておきます。
 それから今度は、非常に歯切れのいい話をなさっておりましたので、その歯切れのいいところを、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
 きょうの新聞にも、医師の社会保険診療報酬に対する租税特別措置法についての見解を大臣は発表されております。これは当然、不公正であるから是正していかなければならぬ。それについて新聞には比較的具体的に、そういう問題についての見解を発表されております。そういう問題について、ちょっとお聞きしたいと思います。
 この問題も、社会的には非常に問題になっております。それが税制面から見て大変不整合であるから解決しなければいかぬというふうな世論も高いようでございますし、また一方では、税制面からだけ物を判断してはいけない、やはり医療全般の中に、そういう問題を組み込んで考えていくべきではないかという意見もあるようでございます。そういうことについて大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。一応、具体的に、こういう提案をされておりますけれども、やはり原則的に医療全般の中で、こういう税の問題についても考えるべきであるのか、税制面からだけ考えていけばいいのかという点についての大臣の見解をお聞きしたい、こう思うのです。
○渡辺国務大臣 それは、すべて総合的に考えるのが一番よいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) それに関連して質問をさせていただきます。
 総合的に考えるべきであるということになれば、医業の公共性などの観点から、いろいろな、それにかわるべき対案と申しますか、そういうものもお考えになっていらっしゃるようにも新聞には書いてございます。たとえば、医療法人の場合には、いろいろな大変むずかしい条件がございます。たとえば三人以上、医師が常勤しなければならぬとか、あるいは、それ以外に、いろいろなむずかしい約束を満足させなければ許可しないというようなことがございまして、普通の一般の法人との間には、ずいぶん大きな隔たりがあるように思う。こういうことについても大変、積極的な御発言をなさっているようでございます。たとえば、そういうところの不整合を整合化しなければいかぬという御意見のようにも承っておりますが、ついては個人法人、一人法人と申しますか、そういうことも医業に関して導入していくべきかどうか、そういう点について大臣の見解を伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 私が申しましたのは、要するに医療法人というものが医療法の中でできておる、これができたゆえんというものを考えると、これは医療行為というか医療技術というか、そういうものと経営というものを分離をして、そうして合理的、近代的な一つの事業体としてすることが大切だ、そして社会公共のために尽くせるように、こういうようなことでできたものと思っております。
 そこで医業は公共的なものであるから、これは収益的なものではない、こういう御意見もございます。しかし医業と申しましても病院とか診療所とか、そこに資本が投下されて、人がそこで何人か働くということになれば、それは一つの経営体であるし事業体である、事業には営利事業もあれば非営利事業もあるわけですから。しかし事業体であることは間違いない。医療法人というのは、その中間的なものとして、つくられたものかどうかわかりませんけれども、いずれにしても三人以上の医師とか二十以上の病床とか、あるいは看護婦がどうとか、いろいろな条件がたくさんつくられておって、そのほかに配当禁止という条項がうたってある。しかも、その税率は会社の法人税並みで営利会社並みだ。一体どっちが比重があるんだろうか。配当禁止までされて、いろいろな極端な制限をされながら会社並みの税金というのがおかしいのか、配当禁止がおかしいのか、非常な問題があります。どっちかにこれは徹しなければならぬ。徹すると言ってはなんだけれども、少なくとも制限をつけておく以上は、それは税制の優遇があってもおかしいことはないでしょう。学校法人のようなものは無税、幼稚園でも小中学校でも大学でも学校法人は無税ですね。宗教法人もそうですな。そういうような点を考えて、これはどっちか、どうにかしなきゃならないんじゃないか。仮に医療の近代化、合理化というものを図っていくとするならば、そういうような面で、いままでのような三すくみみたいな形でなくて、本当に会社並みの税金を取るのなら、何もむずかしいことを言わないで、一人法人の医者が一人でも、五人か六人みんな使っておるわけです。診療所というのは、医者一人だけで看護婦もだれもいないなんというのはめったにないんで、大部分は、奥さんも手伝うかもしらぬが、看護婦さんも事務員も、みんな手伝ってやっているわけですね。ですから、会社並みの税金を取るのならば、そんなむずかしい条件は要らないじゃないか。医者が一人いて一つの事業体をなしているのなら、それで結構じゃないのかということを一つ言ったんですよ。
 第二番目は、医療法人で要するに持ち分がありますが、その持ち分については、三十年前に出資した持ち分が、いまでも百万だ。ところが、その出資が、いま時価が上がったりなんかして一億円の値打ちがある。一億円の値打ちがあるけれども、自分はずっと、ここで医業を経営していくんだし、息子が相続すれば息子も医業をやっていくんだ。しかし自分が脱退するときは百万円だけしか返してもらえませんよというのなら、百万円の出資金に、仮に一億になったときに一億の税金をかけなくたっていいんじゃないのかということを私は言って、こういうような点は、公共性というものを見るのならば、そういう点も一緒に検討し直すべきではないのか。
 しかし、この問題は私だけがどうこうという問題ではない。ただ、病院とかなんかの耐用年数ですね、この耐用年数が国際観光ホテルよりも分が悪いし、中小企業の近代化の割り増し償却も病院、診療所はできない。こういうのは少しも優遇になっていないんじゃないか。二八%のけんかばかりしていたって始まらない話であって、やはり、そういうような現実に即した面で、もう少し日本医師会としても御検討いただけないか。皆さんの方から話があれば、私は医療法人の問題等についても受けて立ちますと、こういうことを言ってきたわけであります。
 でありますから、工藤さんも医師会の有力メンバーでもございますし(工藤(晃)委員(新自)「私は新自由クラブ」と呼ぶ)いや、医師会にも全然関係ないわけじゃないわけですから、これは本当にまた希望が多いのですよ。実際は、自分が実際、実務をやって病院を持っていたりなんかする人からは非常にたくさんの陰の希望がある。したがって、そういうような問題については私は検討するにやぶさかでございません。しかし、大蔵省や何かに正式に申し込むかどうかということについては医師会とも、ひとつ話し合いしましょうということを言ったのは事実です。
○工藤(晃)委員(新自) よくわかりました。
 つきましては、やはりこれは、やるとすれば大臣が中心になっておやりにならなければ、できないことだと思いますので、ひとつそういう方向について、もしコンセンサスが得られた場合には大臣は、はっきり、やるという決意のほどを、もう一度、改めてお示しいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 それはコンセンサスが得られれば、私は喜んでやります。
○工藤(晃)委員(新自) わかりました。
 いろいろと医療の問題は、あちらこちらに矛盾点があって、そういうものを調整していくことも大きな仕事だと思います。ぜひひとつ大臣は、いいことはどんどん、いまのように、はっきりとおっしゃっていただいて、一番最初の健保の抜本改正も、もう少し歯切れよくおっしゃっていただけば、さぞかし時間も短く済んだ、こういうように思うのです。
 その次に、一つお聞きいたします。
 いま盛んに薬公害の問題が世の中をにぎわしておりますけれども、これについても厚生省の方でも、いろいろと対策をお考えのようでございます。このことについて多少、触れながら、お答えをいただきたい、こう思います。
 薬の副作用に対するいろいろな考え方がございましょうけれども、私自身は、薬というものは、どこからどこまでが作用であって、どこからどこまでが副作用であるかということを定義づけることがはなはだむずかしい、そういう特殊な分野のものだろう、こういうふうに思うのです。ですから副作用と断定するものは、人、人によって違うだろうし、また、その症候によっても違うだろうと思います。そういういろいろなむずかしい面を含めて、予知できる副作用については当然、話は別でございますけれども、予知し得ないものについては、これは天災に準じるものじゃないか、そういうものによって災害を受けた場合には。そういうたてまえで、もし、そういう被害者がそこに不幸にして出てきた場合に、それに対して、どのような救済をするかというのは、社会のいまの一つの大きな問題だろう、こう思うのです。
 そういうたてまえに立って、この救済方法を考えるならば、私はやはり、だれが、どの責任だとか、だれが、どこで、どのように責任をとらなければいかぬかという責任論を、責任がとれない問題について責任を云々すること自体が、これはナンセンスだと思うのです。そういう意味においては、開発から研究、そして、それが販売、使用され、消費される、こういう流通の段階のすべてに、そういうものに対して保険をしていこうという考え方が社会の中に生まれてこなければ、やはり本当の意味の、そういう救済制度にはつながっていかないのじゃないか、こういう考え方のもとに「薬剤公害発生時の患者に対する経済的救済の為の製薬メーカーサイドに於ける、強制薬害対策保険の新設と、国及び、製薬業界、医薬関係者並びに、被治療者相互を一体とした社会経済的救済を主眼とする、相互薬害対策基金新設に関する提案」を、私は中を読む時間もありませんが一応、薬務局長のところまで、お届けしてあるわけです。こういうことについて政府は政府なりに、いろいろ御見解をお持ちになっているようですから、いま簡単に骨子だけをお聞きして、私の考え方に沿った、こういうものについても、ぜひまた前向きに御検討いただけるかどうか、そういう点について御見解をお聞きしたい、こう思います。
○中野政府委員 お答え申し上げます。
 現在、厚生省の手持ちの案といたしましては、薬害に関する研究会に検討を依頼いたしまして、昨年六月、その研究会報告が提出され、それに基づいて一応、事務方としての検討を進めている案が一つございます。
 その骨子は、いわば民事上の責任を負い得ないような薬害についての救済に関するものでございます。二種類に分けて申せば、一種類は、開発当時の学術の水準では予知し得なかった。そういう意味で民事責任を負い得ないような損害に対する救済問題。第二に、一定の枠で低い確率で発生が予知されているけれども、その薬のメリットのために使わざるを得ない。しかしながら一定の確率で発生する薬害。前者は未知の薬害、後者は既知の薬害でございますが、この二つのものを対象にいたしまして、そのいずれもが民事責任を負い得ないようなケースについて、いわば製造者の側のコストの一部分という考え方で一種の薬害救済制度をつくり上げるという案を持っておるわけでございます。
 この案を一応のたたき台といたしまして検討を進めてまいりたい考えであるわけでございますが、これに対しまして当然、製造物の製造承認の責任を持つ国として、また、薬という、いわば一種の、人間の文明というと大げさでございますが、文明の進歩の所産としての薬のやむを得ない性格に基づくものであるということからも、国が相当程度に、その財源の一部分を補てんすべきであるという強い意見が関係方面にございます。
 それらも含めまして、現在どのような具体案を作成するか検討を進めている段階でございますが、本日、先生からいただきました案には、さらに、これに診療報酬支払基金からの基金プールへの払い込みという、きわめて斬新なアイデアが含まれているようでございます。これは確かに、先生のおっしゃいました薬の製造段階、使用段階、それぞれの段階において保険をすべきであるという一つの斬新な発想でございます。この発想も含めまして、薬害救済制度を十分にうまく動かしていけるような形でデザインをしなければいけないわけでございますから、ひとつ前向きな姿勢で、こういう問題を含めて、先生の御指摘の点も含めまして検討してまいりたいと考えております。
○工藤(晃)委員(新自) それに関連して、あと一つ質問がございます。
 もちろん、いま申し上げましたように一番問題は、許認可をしてまいった国の責任も、その中にはっきりと自覚をしていただいて制度を考えていただかなければならない、こういうように思いますが、その点について、ひとつお答えください。
○中野政府委員 現在までに制度として動き始めておりますのは西ドイツ及びスウェーデンの例でございまして、この西ドイツ及びスウェーデンの例は、主としてEC諸国における製造物責任の観念に基づくものでございます。しかしながら、われわれの手持ちの案に対する日本の関係各界の意見といたしましては、先生の御指摘の新薬の製造承認に関する国の責任というものを重視して、そのゆえに相当程度の国の財源投入をすべきだという意見が強いというふうに私は解釈いたしておるわけでございます。もとより国の新薬の製造承認に関する責任の重大であることは申すまでもないところだというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(新自) それでは、それをやらなければいかぬということは皆さん考えていらっしゃるようでございますので、問題は、いつから、どのような方法でやるかということが問題になるので、その方法論については、ここで検討する暇も時間もございません。ですから、これをより有効なもの、あるいは合理的なものとして制度化するために、いま現在どのような手段を講じられているか。あるいはまた、それが今後どのように発展しながら、そういう目的達成のために、こぎつけていこうとなさっているのか。そういう指標についてお答えいただきたいと思います。
○中野政府委員 現在、案はいまだ検討中の段階でございまして、ここで申し上げられることは、いわばスケジュール的なことになりますが、すでに大蔵省に提出いたしました概算要求書にも載っていることでございますけれども、現在の厚生省の考え方は、薬害救済制度に一種の基金を設定いたしまして、この基金の事務運営を五十四年一月から三月までの間、準備段階として作動させるという考え方をとっておりまして、五十四年四月から現実の救済の制度が動き出すという形を想定いたしております。したがいまして、それがどういう形のものになるかということは結局、現在まだ検討中、未定の分もございまして、いわば来年度予算の編成の段階において、そのアウトラインが固められていくというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) その件については、ぜひ鋭意、推進をしていただいて、一日も早く、そういう国民の不安を取り除いていただくような努力をしていただくように、お願いをしておきたいと思います。
 次に、これは来年の厚生省の目玉の政策のように承っております健康づくりについての、いろいろな点について、厚生省のお考え、あるいは具体的に、どういう方法で、この健康づくりをなさろうとなさるのか。そういう点について簡単にひとつお答えをいただきたい、かように思います。
○渡辺国務大臣 では、簡単にお答えをいたします。
 やはり病気になってから治療をするということも大切なことだけれども、病気になる前に病気を未然に防ぐということも、もっと大切なことでございます。したがいまして、社会に健康づくりの習慣というものを植えつけなければならぬ、こう考えておるわけでございます。それによって、いままでの、たとえば早期発見、早期治療というようなことは、もちろんでございますけれども、そのほかに特に家庭婦人、そういうようなものが、それぞれの地域で健康診断などはなかなか受けられない、落ちこぼれになるという状態が多いものでございますから、そういうような人たちに対しまして健康診断を初め、健康の確保のためのいろいろな手引きをやっていこう。それから成人病の予防というようなものも充実をしていく。それから各市町村に保健センターというものを整備をして、それで、その地域の人が気軽に健康の相談をしたり、あるいは健診を受けたり、あるいは栄養や生活の相談を受けたり、そういうようなことの中心のセンターにしていこう。そういうことであります。
 それと同時に、肥満とか貧血とかいうものは、意外と知らないで肥満になっておったり貧血になっておったり、あるいは、わかってはいるんだけれども、ちょっと、こわさを知らないで、やめられなくて、そういう状態になっておったりというようなこと等がございますから、そういうような保健衛生の知識、健康の知識というものを、とにかく正しく普及をする。そのために民間団体をこしらえて、そういうような民間団体が中心になって、そういうものを推進していこう、また府県とか市町村には、それぞれの協議会をこしらえて、そういう運動を組織的に展開していこう。骨組みをうんと大ざっぱに簡単に言えと言われれば、そういうことでございます。
○工藤(晃)委員(新自) 健保については、厚生省は攻撃されても全く返事のしようがない守りの厚生省でございますけれども、この健康づくりについては、はなはだユニークな政策だ、私はこう思います。非常に非難の多い厚生省に、こういうアイデアだけは十分評価していい、私はこう思います。
 年齢構造の変化と申しますか、人生五十年と言ったのが平均寿命七十四歳、五歳まで長生きするようになりました。この年齢構造の変化に伴う長生きする社会を、どのように守っていくかが大きな政治の課題だと思うのです。それで、やはり三本の柱を私も考えるわけなのです。まず健康に対して、どのような保障をしていくかということが一つ、それから生活の保障をどのようにしていくのかということが一つ、あとは、どのように生きがいを、その方々に与えていくかということ、この三つが、ぼくはやはり今後の政治の大きな課題であろうと思います。
 その中で、何はさてあれ、病気で長生きしていたのではどうにもならない、やはり健康であってほしい。健康の保障をやるためには、どうしても、このような健康づくりのビジョンというものが、もっともっと今後ともに具体的に推進されなければならない、かように考えるわけでございます。そういう意味においては、これはもう大臣の牽引力をもって、やはり予算も伴いますから、厚生省だけじゃなくて大蔵省とか労働省あるいは文部省とか関係の各省にも十分話をして総合的に、この健康づくり、体力づくりということについて具体的に推進していただきたいというふうに私は心から念願しております。それについての大臣の決意をひとつ、お聞かせ願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 この健康づくり運動の根本精神というものは、国民の一人一人が自分の健康は自分で守る、こういうような意識に徹してもらうということが一番大事なことでございます。これは一つの社会教育でもございますから、いま、おっしゃったように、それぞれの職場、学校、地域、ダブってもいいですから、そういうところで、みんなで、そういうような社会の習慣づくりというものもやっていかなければならない、それがまた一番大切なことであります。したがって、これら関係各省とも連絡をとりながら厚生省挙げて、この実現のために、がんばっていきたい、何とぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
○工藤(晃)委員(新自) これに関連いたしまして、私は具体的に一つの提案をしてみたいと思うのです。
 新自由クラブは、企業の持っている遊休土地に対しては交付公債を発行して公有化していってはどうだろうかという主張をしておりますけれども、健康を増進するためには、やはり、そういう広場をどうしても確保していかなければならぬ。そういう立場で、企業が抱えて困っておる遊休土地を利用してはどうかという提案を具体的にしてみたいと思うのです。交付公債を発行して公有化していくという新自由クラブのこういう線上に、この健康づくりというか、健康増進というものをのせてみてはどうだろうか。あるいはまた、遊ばしておいて、その土地が利用されない、そういうところは積極的に健康づくりの広場として利用するということに対して、企業に何らかの協力を求めていくという考え方も一つの方法ではないかと思うのです。そのためには企業の方でも税金その他の面で大変頭の痛いところもありましょうから、それについては、そういうものに積極的に協力する企業に対しては、その土地に対する税の面で何か国が考えてやるということも、そういうものを積極的に提供させるための手段にはなるのではないか。そういうことを含めて、遊ばせている土地というものを健康増進のための広場として今後、活用されるような考えは大臣におありかどうか、そういう点について、ひとつお答えを伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは直接、私の所管事項ではございませんが、企業の持っておる休閑地といいますか、遊んでいるような土地があれば、それをちびっ子広場や運動場やなにかに活用という意味でしょう。そういうふうなことで活用できれば、これは非常にいいことでございますので、関係各省にも、健康づくりの一環として御協力方をお願いしたいと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) ここだけの答弁じゃなくて、ぜひひとつ何でも実行していただきたいと思います。
 この問題については、これぐらいにいたしまして、最後に、これも、きのうの新聞かなにかに出ておりましたが、老人医療の問題も、いま大変問題になっております。問題は、私はまたもとへ返って、あと少しの時間を、やはり気になる抜本へのさかのぼりをしたいと思うのですけれども、この老人医療の問題についても、やはり年齢構造の変化に伴って、どうしても、これは医療費の拡大へつながっていく大きな問題点だろうと思うし、それからまた、平均寿命が延びることによって、企業から定年退職された方々が給付の低い国民健康保険あるいは政管健保へ流入していく、こういうことも、もう事実でございましょうし、そういう意味において、やはり健康保険組合を構成している事業主に対しても、ここでもう一遍、御再考願いたいと思うのは、長い間その企業に貢献して定年退職された方々が入っていく保険は、そういうふうな非常に経済基盤の弱い給付の悪いところへいくのであるから、やはり、そういうことに対しても企業内努力と申しますか、企業の中における労働力の確保のためには金は出しても、出ていった人間に対してまでは、あるいは定年退職していった人間に対してまでは、われわれは一切めんどうを見ませんという考え方はやはり一考願わなければならぬ点だろう、こういうように思います。そういう意味を含めて、病気が好発するであろう定年退職後の方々が、この老人医療の問題も含めて大変大きな医療費の財源を食いつぶしていくという現状は見逃すわけにはいかない。そういう意味において、どうしても財政調整というものを、これはいろいろな考え方はあるでしょうけれども、ミクロに物を考えないで、やはりマクロに物を考えていって、生涯の保険として、やはり企業もその一端を担っていこうじゃないかという発想に転換していただかなければならぬ時期に来ていると思うのです。そういう意味を含めて、この老人医療だけを取り上げて云々するのも、何かすべての解決にはつながっていかない。やはり制度間の財政調整を図りながら、そこに均衡のとれた負担と給付というものの公平化を図る中で、やはりこの老人医療も考えてみるべきではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。
 いずれにしても、さしあたり、その手段、方法の相違点で、老人医療の点だけは財源的に非常によく食うから、この問題については、これをそのままに放置しておくと、どうしても制度全部が大変困った状態になる。だから、この老人医療の問題については別途に考えなければならぬという発想も一つの手段かもしれませんが、やはり、それだけでとどまらずに、私が申し上げるように制度間の抜本改正、制度間の給付の改善がどうしても必要だ、そのためには財政調整をしていかなければいかぬということが一つ。
 それから、いまの健康保険制度そのものが果たして生命を守るために適当な制度であるかどうかということを振り返ってみる。そうすると、どうしても物にしか対価を与えようとしない。だから、逆に言えば、公的サービスである医療の技術というものを尊重していくという制度にはなっていないところに、薬づけの問題その他、国民から大変非難を受けるところもあるので、そういう財源のプール化をしながら、またそういう面においての国民の自己の健康を守るということに対する認識の高揚を図りながら、やはり国としても、その制度の推進のために、そういう制度をならしておかなければ、今度は逆に言って、国が社会保障をしていくために片一方を助けようとすれば片一方が大変その恩恵を受けて黒字になってしまうという矛盾を解消していくためにも、やはり財源のプール化というものが前提に立たなければいかぬ。これをおいておけば、いつまでたっても格差は是正されない、格差は拡大していくということにもつながってまいろうと思います。そういうことを含めて最後に、これはきょうの答弁の最後でございますから、大臣に置きみやげに、ひとつ具体的に、ばっちりと、そこのところの決意をお聞かせ願って、私はこれでやめたいと思います。
○渡辺国務大臣 老人医療につきましては、もちろん抜本の大きな柱でございます。財政調整等の問題につきましても、ともかく結果的に財政調整ができるように抜本の柱としていきたい、そう思っております。
○工藤(晃)委員(新自) それで、実は最後に、大臣に改めてもう一遍、気になるところをお聞きいたします。
 医師に対する租税特別措置法の税に関連して、いま、いろいろと一方からの見解を、また御披露いただいたのですが、その中で具体的に、一人法人についてコンセンサスを得られるまで待っているんじゃなくて、御自分から積極的に、医師会とか関係者、あるいはまた国民に対して、そのコンセンサスを得るために大臣みずからが積極的に、そういうものの実現のために御努力をいただく必要がある、このように思いますけれども、そういう点について、ひとつ決意のほどをお示しいただくと同時にお約束をいただきたい、こう思います。
○渡辺国務大臣 法人ですから一人ではできないわけですね。しかしながら医師が一人いれば、看護婦もいるんだし、薬剤師も、医院だって薬剤する人がいる場合もありますし、事務方もいるのですから、医師が一人いれば、いわゆる診療所の経営合理化のためにも私は法人として扱える道を開くことは、むしろ医療の近代化の上に重要である、さように思っております。だからこそ、きのう全国の社会保険指導者講習会で、日本医師会と厚生省が共催でやったのですが、数百人の全国からの代表者の方の前で私がそれを提案したわけでございます。提案したぐらいでありますから私は喜んで今後も、そういうようなことがいいということは言っていきたい、こう思っております。(「やりますね」と呼ぶ者あり)これは法律を改正しなければなりませんから、私が一人で、やりますと言ったって、皆さんの協力がなければできないので、皆さんのコンセンサスを得られればもちろんやります。
○工藤(晃)委員(新自) その場合に一般法人と同じように、それを扱っていただけることでございましょうか、再確認いたしたいと思います。
○渡辺国務大臣 一般法人と同じようにするか、もっと有利にするか、それはこれからの相談であります。
○工藤(晃)委員(新自) それ以下ということはないんでしょうね。
○渡辺国務大臣 もちろん、ございません。
○工藤(晃)委員(新自) どうも長い間、御苦労さまでございました。これで私の質問を終わらしていただきます。
○橋本委員長 これにて健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時十五分散会
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