第082回国会 逓信委員会 第4号
昭和五十二年十一月十六日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 八百板 正君
   理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君
   理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君
   理事 阿部未喜男君 理事 久保  等君
   理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君
      荒舩清十郎君    伊藤宗一郎君
      丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君
      本名  武君    鈴木  強君
      野口 幸一君    古川 喜一君
      山花 貞夫君    竹内 勝彦君
      鳥居 一雄君    藤原ひろ子君
      依田  実君
 出席国務大臣
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
 出席政府委員
        郵政政務次官  綿貫 民輔君
        郵政大臣官房長 河野  弘君
        郵政省電波監理
        局長      平野 正雄君
 委員外の出席者
        大蔵省国際金融
        局企画課長   橋本 貞夫君
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     坂本 朝一君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   橋本 忠正君
        参  考  人
        (日本民間放送
        連盟会長)   小林與三次君
        参  考  人
        (全国朝日放送
        株式会社社長) 高野  信君
        参  考  人
        (全国朝日放送
        株式会社常務取
        締役)     三浦甲子二君
        逓信委員会調査
        室長      芦田 茂男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 電波監理及び放送に関する件(モスクワ・オリ
 ンピック放送権問題等)
     ――――◇―――――
○八百板委員長 これより会議を開きます。
 電波監理及び放送に関する件について調査を行います。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 モスクワオリンピック放送権問題等について、本日、参考人として、日本放送協会会長坂本朝一君、同じく専務理事橋本忠正君、日本民間放送連盟会長小林與三次君、全国朝日放送株式会社社長高野信君及び同じく常務取締役三浦甲子二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○八百板委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○八百板委員長 参考人の方には御多忙中御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 御意見は、委員の質問に対する答弁の形でお述べ願いたいと存じます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲村利幸君。
○稲村(利)委員 四十分という大変限られた時間ですけれども、私はこの協定書というものを読みましたが、正直、読めば読むほど質問事項が多くなりますので、相前後するかもわかりませんが、ひとつ御了承いただきたいと思います。
 衆議院の逓信委員会では、ことしの春、三月十五日に、NHK、民放連、テレビ朝日等の会長や社長等にそれぞれ参考人としておいでいただいて、モスクワオリンピック大会の放送権をめぐる問題についてお聞きしました。その後、この委員会で要請しましたが、朝日側の御都合もあるということで、委員長にも大変御努力いただいてやっと審議にこぎつけていただけたことを感謝申し上げますと同時に、また、お忙しい中を各参考人には貴重な時間をいただきましたことに冒頭まず敬意を表します。
 そして、五月に契約の公表ということで契約書が配付されまして、四月に当委員会に電波・放送に関する小委員会が設けられ、再びテレビ朝日の御出席を願いましたが、実現できませんでした。このように再三にわたってこの委員会で出席を要請して、つい三週間前にも高野社長に理事会においでいただきましたが、延びた理由を簡潔に社長にお願いいたします。
○高野参考人 要するに、非常に忙しいので時間がとれないということが実情でございます。
 お信じにならないかもしれませんけれども、私の日程はほとんど毎日三十分刻みでふさがってしまって、内部の連絡の報告やら何やら非常に多いことが一つと、それから外部からの客が毎日ほとんど絶えないくらいにやってまいります。中にはつまらないものもあるのですけれども、しかし、やはり外部から来た客か非常に多く、これも申し込みを何日か待ってもらった上で約束をするというような状況でございますので、なかなか時間がとれないというのが実情でございます。
○稲村(利)委員 いずれにしても、死んだ子の年を数えてもしようかありませんので、早速内容に入ります。
 三月十五日以降国民が非常に関心を持っているこのモスクワオリンピックの放送権に関して、一応テレビ朝日かこの放送権について独占契約をされたわけですけれども、その後、日本の放送事業者間で、NHK、民放連、テレビ朝日の三者間で何らかの話し合いが行われたかどうか。NHK、民放連、朝日から、時間がないのでそれぞれ一言ずつ答えてください。
○坂本参考人 お答えいたします。
 その件は、当委員会でも申し上げておりますように、いまのところ静観しているという状況でございます。
○稲村(利)委員 民放連の代表の方、結局同じですね。
○小林参考人 そうであります。
○稲村(利)委員 そうすると、言うまでもなく話し合いがなされていないということですので、このままでいきますればテレビ朝日が独占的に国内の放送を実施する。いまのところこういう理解でよろしいわけですね。ちょっと答えてください。
○三浦参考人 はい。そのとおりだと思います。
○稲村(利)委員 次に、協定書について伺いますが、モスクワオリンピック組織委員会とテレビ朝日との協定書が五月に公表されたが、委員会との契約協定書はこれですべてであるかどうか、簡潔に答えてください。
○三浦参考人 放送権に関する契約書はそのとおりであります。
○稲村(利)委員 そうすると、前回のモントリオール大会で、本契約のほかに技術提供契約のような協定がありましたが、今回はそのようなものはないのか。あったら提示していただきたい。
○三浦参考人 組織委員会との間における放送権についてはただいまの契約書だけでございます。
 それから、設備使用に関する契約問題については、ソビエトのテレビ・ラジオ国家委員会との間に契約書がございますが、これは技術的のことでございますので公表しておりません。
○稲村(利)委員 第九条の支払いについての規定には記載がありませんか、その内容かわかったらちょっと教えてください。金額が記載されていません。それと、日本にとってふさわしい金額でなければならないなと、これは国益上考えるわけですが、どのくらいの契約であるかを明らかにしていただきたい。
○三浦参考人 支払い期日その他については、いま調べておりますので、後で御報告します。
○稲村(利)委員 あるわけですね。
○三浦参考人 ええございます。
○稲村(利)委員 そうすると、支払い方法についても記載がありませんが、支払いのスケジュールについて追補になっているわけですが、これも内容は明らかにしていただけるのでしょうか。
○三浦参考人 ちょっとお待ちいただきたいのですが……。
○稲村(利)委員 前々回のミュンヘンと、そして前回のモントリオールのオリンピックについては、金額、支払い方法か入った契約書が事前に公表されておりますが、今回はなぜ公表できないかということをちょっと……。
○三浦参考人 IOC及びMOC、ソビエトの組織委員会との間に、金額、支払いの面については公表しないという約束になっておりますので
 それから、企業的に見ても公表すべきでないというふうに私どもも考えております。
○稲村(利)委員 時間の関係で論議はまた後日に設けることにしまして、質問を続けます。
 金額は、放送権料、技術料に分けられると思いますが、これは後で示してもらうと同時に、前回及び前々回の大会で、放送権料と技術提携料を合わせておのおの五、六億円の負担でありましたが、それから考えると、この大会では推計七、八億ぐらいの負担が常識だろうと思われますが、不当に高いとすれば、これはソ連の商業主義にやられたなという感じがしますが、この点はまだ答えられませんか。
○三浦参考人 物の考え方だと思いますが、不当に高いというふうに私どもは思っておりません。
○稲村(利)委員 それでは、支払いはすでに始まっておりますか。もし始まっているとしたら、いつからどのような方法で始まっているか。
○三浦参考人 七七年の五月一日に第一回目の支払いを、モスクワ組織委員会とIOCに分けて、銀行を通じて指定銀行に支払っております。
○稲村(利)委員 税金も払っておりますか。
○三浦参考人 その問題については、現在大蔵省との間で交渉中でございます。
○稲村(利)委員 それでは、大蔵省の橋本企画課長かお見えのようですから、テレビ放送権の支払いに関しての税制上の問題と、それと、これは後でまた聞くのですが、ソ連からフイルムを買い付ける状況等がわかっていたら、その二点についてちょっとお願いいたします。
○橋本説明員 私は国際金融局の企画課長でございまして、税制上の問題は所管ではございませんので申し上げられませんが、外為法上の問題と聞いてまいりました。
 それで、外為法上の問題につきましては、日本銀行許可ということに当時なっておりましたけれども、契約書の方におきまして政府の許可を取得しているという条項か発見されましたので、その後、政府の許可を後日取得する予定であるというふうに直していただきまして、日銀の方で許可いたしました。
○稲村(利)委員 ぼくは、協定書の前文を読んで非常に疑義を感ずるのですが、前文に、日ソ両国の相互理解、世界の緊張緩和、平和の維持という文章が入っておりますが、モントリオール大会までずっとこのような表現が入っていたかどうか、そういう例かあったか、今度はNHK側にお聞きしたいと思います。
○橋本参考人 モントリオール大会、その前のミュンヘンの大会ともども、前文、前書きにそのような文章、語句はございません。
○稲村(利)委員 いままでの協定書ですか、契約書ですか、それにはそのような表現かないということですが、このような表現が盛り込まれるのは非常に政治的な意図があると考えます。オリンピック大会というのはあくまでスポーツの大会であり、政治的問題に引き込まれないような十分な配慮か必要だろうと思います。
 それで、協定書第四条には、「主催国の法律慣習に常に沿うことを約し、保証する。」という規定がありますが、この条項はどういう意味ですか。
○三浦参考人 要するに、日本のテレビの方式とソビエトの方式がまず違います。それから、向こうに行った場合に、向こうの国内法及び慣習に従うのは当然だというふうに考えております。
○稲村(利)委員 ソ連国内における取材等についてはソ連の法律に従うということはわかりますか、日本での放送実施の際にもソ連の法律、習慣に沿わねばならないということは問題があるのではないか。私どもにはこれは内政干渉に考えられますか、その点が一点と、もう一つ、放送の自由編集権の侵害になる心配がありはしまいか。
 この見解を高野社長にお伺いしたい。時間がないので簡潔に答えてください。
○高野参考人 私は、全然そのような危惧はないと確信しております。
○稲村(利)委員 小林民放連会長、いまの点はいかがですか。
○小林参考人 私は、規定としては適当じゃないと考えております。
 実際どうやられるかは放送局の責任の問題ですが、それとかかわりなく、そういう条項をオリンピックの契約書に入れることはとるべきじゃない。これは私の考えでございます。
○稲村(利)委員 オリンピックを営業的に利用しようというような考えは、これは国民の意に沿わないと私は考えますが、さらに問題なのは、このような独占か行われる上に、オリンピックのニュースとしての放送が四十八時間後でなければ許可されないということになっておりますが、NHKのお考えはいかがでしょうか。坂本会長。
○坂本参考人 そういう契約のもとに行われるということであれば、われわれはそれに従わなければならないと思いますけれども、それははなはだ遺憾なことで、残念だと思います。
○稲村(利)委員 前回のオリンピックの放送というのは、三分間のニュースということで、ニュースというのは四十八時間を経なければというのではニュースの価値がなくなってしまう。これは国民にとっては重大なことだろうと思いますので、もう一度その点について伺いたい。
○坂本参考人 その点は、正直言って非常に重要なことだというふうに認識しております。
○稲村(利)委員 独占契約はきわめて重大であるし、放送の自由を制限するもので、放送界がこれを黙視するということはニュース報道の自由を放棄するものと思いますが、このニュース報道の自由を制約する結果を招く独占形式を正しいと思いますか。高野社長にお聞きいたします。
○高野参考人 正しい、正しくないの前に、ソ連のオリンピック組織委員会の決定として、各国とも共同の申し込みは受けないという話が昨年初めから再々われわれの情報の中に入ってきておりまして、また、接触した感触から考えても、この決定はそう次元の低いところの決定ではなしに、相当高いところでの決定であるというふうな印象を強く受けてまいったわけです。
 したがって、オリンピックの問題が起きたときに、言ってみれば一種のルールのあれもありますが、また、その反面一つの情報であります。この情報は余り軽視してかかるとかえって非常な混乱に陥るし、またぐあいの悪い問題か起きてくるんじゃないかと、さように私は判断したわけであります。
○稲村(利)委員 いま、私は、報道の自由を制約する結果を招く独占形式は正しいかどうかということを聞いているのです。
○三浦参考人 私どもの契約よりも、IOCの規則に基づいてやっておりますので、これはもう国際オリンピック委員会としての決定でございますので、私どもが正しいとか正しくないとかいうような批評はもう避けたい、こういうふうに思っています。
 なお、御参考までに申し上げるのでございますが、四十八時間後に三分ごとに三時間置いてというのは私どもの独占契約書ではないので、これはもうNHKの坂本会長の誤認でございます。IOCの規則でございますが、アメリカその他においてはクレジットをつけまして、どこそこの御好意によりこのニュースを報道しますというようなことで放送されているようでございます。したがって、私どもも番組の編成その他が決まりましたら、各局からのお申込みがあればその点についての話し合いはいたします。
 ただ、IOCの規則に基づいてやっておりますので、報道の正しい、正しくないということは論評を避けたいと思います。
○稲村(利)委員 憲章では絶対に四十八時間後でなければならないということではない、独占を保護するためということであって、この保護から外されてもよろしいと判断すれば問題はないわけですね。ちょっと答えてください。ないですね。
○三浦参考人 ありません。
 したがって、先ほど申し上げましたように、皆さんから御希望があれば、私どもと将来話し合えれば話し合ってその点を決めたらよかろうというふうに思っております。
○稲村(利)委員 ニュースの報道が守られれば、独占が正当だと言っているわけではない。
 オリンピックの精神にかんがみましてもう一度高野社長にお聞きしますが、独占を思いとどまって共同方式に切りかえるという気はあるかどうか、お尋ねいたします。
○高野参考人 独占という言葉は私はぴんとこないのですが、私どものところでオリンピックの放送権を契約して獲得いたしましたが、しかし、これは三月の当委員会にお招きをいただいたときも申し上げたのでありますが、私ども、契約したとは言っても、これを独占的に排他的に放送するという考え方は全くありません。
○稲村(利)委員 独占的、排他的気持ちは全くないということですが、言うならば、おたくはラジオの放送を持っていない。この辺のところは、これでなるべく最大多数の国民に喜びを提供できるとお考えですか。
○高野参考人 ラジオの問題はいろいろとめんどうないきさつもあったのでありますが、要するに、ラジオを持たない局であっても、その局がラジオの施設を持っているところに委託してこれを放送してよろしいという仕組みに現在なっておりまして、私どもは、しかるべき局に委嘱して、ラジオの放送はつつがなく行われるものと信じております。
○稲村(利)委員 そのしかるべき局というのは、たとえばこれが余りにも常識外の値段だったら結局国民に迷惑が振りかかることですから、いま不況の世の中に放送業界だけは景気がいいようですが、仮に法外な値段で受ける局がないというような場合はどう考えますか。
○高野参考人 いまの御質問はテレビについてですか。
○稲村(利)委員 ラジオと両方です。
○高野参考人 最前からお話のあるように、私どもは今度の契約金が特別に非常に非常識に高いというようなことは全く考えておりません。
 したがって、国民の要望が強ければ強いほど、それぞれの局は独自の編成権を持っておるわけでありますから、当然に国民の要望にこたえてこの放送に当たるものと確信しております。また、そう希望しております。
○稲村(利)委員 協定書には、「テレビ朝日に」「独占放送権を委ねる。」と、第二条になっておりますが、この放送権にはテレビとラジオが含まれている。第一条の「定義」にも出ておりますが、ラジオを持っていないテレビが放送権を持つということはどういうことかという疑問を抱かざるを得ないわけです。
 それと、三月十五日のこの委員会で高野社長は、「友好的な社もございますから」、という発言をされておりますが、たとえば「友好的な社」というのは、これはあなたが言われて速記にもありますが、どこか、ちょっとお尋ねいたします。
○高野参考人 友好的な社というのは、御想像になってもわかるのじゃないかと思うのですが、いまの段階においてこれを最後的に決定しているわけではございませんので、この御答弁は遠慮させていただきます。
○稲村(利)委員 遠慮させていただくと言うが、これはなるべく近い機会にまた明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、四月十九日の参議院逓信委員会で三浦さんは、「委託できない場合には放棄する」という言葉を使われておりますが、「放棄」というのはどういうことですか。
○三浦参考人 ラジオの場合は放送は無料でございます。これはIOCの規則に基づいて変更されたものでございまして、テレビ、ラジオが含まれていたものでございます。
 それから、私どもが権利委託をしようと思いまして内々交渉中でございますが、それができなかった場合には、ラジオの放送に関する権利をモスクワオリンピック委員会及IOCに返還するという意味でございます。
○稲村(利)委員 返還をして、先ほど来のこれはなるべく共同方式をとっていただけることを願うのです。
 さらに、ラジオの問題で、きょうここにお見えの伊藤前委員長がソ連を訪問した際、ラーピンテレビ・ラジオ国家委員会議長と会ったが、ラーピン氏いわく、「ラジオの放送権をテレビ朝日から分離させる方向で検討させる」ということが六月十五日付朝日新聞に書いてありますけれども、これをどうお考えでしょうか。
○三浦参考人 伊藤代議士がラーピン議長にお会いになった後に私も会いましたが、そのような話は聞いておりません。
○稲村(利)委員 伊藤さん、ちょっとここで答弁してください。――まあいいです。聞くことはできないということですから……。(「別に規則はない」と呼ぶ者あり)では、四十五分までありますので、もし聞けるようだったら、最後に伊藤さんに答えていただく手続をお願いします。
 それと、六月のIOC総会で、ラジオはフリーであるという規定改正が行われたと聞いておりますが、それなら日本の各社に自由にやってもらってはどうか。先ほどから繰り返しておりますが、特にNHKは日本全国にネットワークを持っておるのですから、要員や器材について、今日までの経験等を生かして担当してもらってはどうかと思いますが、テレビ朝日ではいかがお考えになりますか。
○三浦参考人 現在のところはそういう考え方を持っておりません。
○稲村(利)委員 そうすると、たとえば病院に入院している方で、自分でイヤホンで静かにオリンピック放送を聞こうという方が大変な数がいる。また、目の見えない不自由な人もオリンピックを楽しむ機会がない。こういうことでは、オリンピックは民族の祭典であるのに国民大多数の楽しみを大変制限することになりはしないかと思いますが、高野社長、いかがでしょうか。
○高野参考人 ラジオの放送は電話線で結構ですし、また、A線、B線とありますが、必ずしも音楽が主でない運動競技の放送ですから、全国的に波をつなぐことはそう困難な問題ではないと、私はさように考えております。
○稲村(利)委員 困難な問題ではないということですが、たとえば病院へ入院している人たちに果たしてそれが可能でしょうか。妨げにならないでしょうか。自分は体を横たえてイヤホンだけで聞きたいという方に対していかがに感じられますか。
○三浦参考人 御心配の御様子でございますが、御心配は要りません。
○稲村(利)委員 それでは、いまの言葉を仮に信じて、もし違ったら、これは大変な責任になるわけですね。
 それと、アメリカでは、オリンピック放送権の独占の条件として、ソ連の希望する番組の放送を事実上義務づけられたとして、CBS、NBC、ABCの三社が議会で調査されておりますが、テレビ朝日はソ連番組の放送を義務づけられてはおらないのでしょうか。
○三浦参考人 おりません。
○稲村(利)委員 ついこの間、ソ連六十周年記念行事が四時から六時まで、実に二時間にわたって放送されましたが、このような異例の放送をしたのはどのような判断によるものか。社長、答えてください。
○高野参考人 この件は三浦編成本部長に答えさせます。
○稲村(利)委員 では、三浦さんどうぞ。
○三浦参考人 ソビエトの六十周年の問題については、私どもだけでなく、皆さんも放送を申し入れていたようでございますが、私どもが生中継でやりました。
 それから、五十周年のときもNHKその他の皆さんもおやりになっておるようですから、特別に二時間がどうのということではございません。私どもとしてはニュース報道として非常に必要だと考えて、その間にブレジネフ書記長と私との会見もございましたので、その中に約二十分くらい入れましたので、そういうような総合的な編集方針に基づいて報道いたしました。
○稲村(利)委員 いま三浦さんは、ごく自然で大変常識的だとお答えございますが、二時間にわたって放送をするのはいままでにないことだなと、私どもは正直不思議に思っております。ソ連の軍事的デモンストレーションであるパレードを二時間ぶっ通しで放送したわけですからね。
 私はこの間も民放連の常務の方や郵政省の方に質問をしましたが、おたくでやっている「題名のない音楽会」に教育勅語に関する副題をつけただけで、何の委員会の議もなしにやめた。これはおたくで金をかけて録画を撮ったわけですよ。それを幾ら景気のいい会社でも、大変なむだをして放映しなくなった。
 教育勅語に関する三十分の番組が中止された理由を、あれからずいぶん時間かたちますので、最高責任者として高野社長から明快な答弁を願います。
○高野参考人 実は、このことには多少のメモも用意していたのですが、いまちょっと見つかりません。しかし、問題はきわめて簡単なんであります。
 編成局長から私のところに、こういう問題があるのですが、いずれに決定したらよろしいでしょうかという一種の伺いのようなものか参りまして、私はしさいにその台本を見たのです。同時に、録画もしてありましたから、それをちょっと見せろということでそれも見たわけですが、しかし、「題名のない音楽会」の中で教育勅語を勧めることは、御賛成の方も国民の中にはあるでしょうし、不賛成の方もあると考えざるを得ないし、また、この国会においても、昭和二十三年に、廃棄する詔勅の中にこれを入れておるわけです。そういうものですけれども、画面を見ていますと、一方的にそれを勧めるだけで、これに対する反論とか意見は何にもそこに入ってきておりません。これは放送法の精神からとるべきではないと判断して、私は即座にその場でやめるように指示を与えました。
○稲村(利)委員 編成権の問題は、たとえばソ連の軍事パレードの宣伝はしてもいい、教育勅語の問題を扱う番組は放送しない、二十三年に国会決議があったからということですが、この間、中止されるまでの間に二度教育勅語に関する放映をされているのですが、これをどう考えますか。それと、そのような判断でテレビ朝日はすべて番組編成をしているんだなと国民は理解せざるを得ませんが、いかがでしょうか。簡潔に答えてください。
○三浦参考人 教育勅語の放送は私は知りませんが、番組の内容が私どもとして適当でないということと、それから、先ほどから軍事パレード軍事パレードとおっしゃっておられるのですが、市民のパレードも中に入っておるということをひとつ御記憶いただきたいと思います。
○稲村(利)委員 もう一言。
 高野社長は最高責任者として、これは見識の問題になるので、このことをもう一度お答え願います。
○高野参考人 ただいまの三浦本部長の答弁で尽きると思います。
○稲村(利)委員 議論は大体同じような答弁が返ってきますが、いずれにしても、モスクワオリンピックまであと二年八カ月ですが、それまでに国民が気持ちよく民族の祭典を楽しめるようにすることをまず冒頭に考えてもらいたい。
 いずれにしても、電波は限られた国民の財産であるという認識は朝日テレビでも当然持っておられるでしょうが、公共的な企業であるという認識がどうも欠けているように私には思えてなりません。私は、この辺の良識ある解決を、朝日テレビだけでなく放送事業界全般にお願いしたい。
 それと、オリンピックのような日本国民全体が関心を持つ、影響力のある国民的行事については、日本の放送界が本当に一体となって当たるように話し合いの場をつくるべきだと私は思いますが、民放連の会長、いかがでしょうか。
○小林参考人 おっしゃるとおり、こういうものは民放もNHKもなく、一体となってやる方が当然だと思います。そういうためにあらゆる努力をいたしたのですが、残念ながらそういう結果にならなかったことを非常に遺憾に思っております。
○稲村(利)委員 時間もあと二、三分でありますが、NHKの会長も一言。
○坂本参考人 私も、民放連の会長がおっしゃいましたように、これは民放連、NHKともども御一緒してやるべき仕事であると思いまして、そういう筋で努力してまいりましたけれども、現状は残念ながらそういう事態になっていないということの一端の責任を強く感じておる次第でございます。
○稲村(利)委員 大変恐縮ですが、郵政大臣に伺います。
 いま私が言ったような国民全体が関心を持つ行事で、もうあと二年八カ月で、四年に一回のものが一年四カ月過ぎているわけですが、まだ正直言って国民が喜んで見られるような状態になっていないわけです。こういうことですので、放送界に対する行政指導という言葉が適当であるかどうかはわかりませんか、それについて御見解をいただきたいと思います。
○小宮山国務大臣 番組編成の問題も絡みます。かつ、また、オリンピックを国民が多く見たいという希望もございます。
 そこで、まず第一に私が望むことは、NHK、民放がよく話し合ってやることです。放送法のたてまえもそうでありますし、国民もやはり知的最高の集団の方々が話し合って話し合えないことはないと思っていますし、また、解決すべきです。これは新聞もそうですし、テレビだってあれだけの論説を放送しているのですから、それなりのことはできると私は楽観しておりますし、それまでには国民が楽しんでオリンピック放送が見られるようになると思っております。
○稲村(利)委員 大臣の非常に前向きな、国民がまさにそのことを望んでいる答弁を最後にいただいて、私も非常に満足をいたします。
 手続、契約書の内容、独占放送による弊害など、非常に重大な問題があるので、独占の弊害除去のために努力をしていただきたい。もうここでこのままやるんだと言われておりますけれども、テレビ、ラジオを含めて共同の放送が何らかの形で――これはもう国民的利益ですから、いままでのオリンピックの値段等から比べてソ連のオリンピックに法外なものを払ってやることは、日本はエコノミックアニマルで景気がいいなどという批判を浴びているやさきですから、こういうことにも十分注意を払ってやっていただきたい。
 それと、もう一つは、最後にテレビ朝日の社長にお伺いいたしますが、今度、教育勅語が問題になってから、外部からの、たとえば新日本婦人の会等の圧力で中止になったこの番組に対する姿勢をお伺いして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○高野参考人 ただいまの御質問は、何か、圧力によってこれをやめたような御発言のように思うのですが、正直申しまして、そういうような圧力が一部にあったということは私は後から聞いた話なんであって、私のところに判断を求めてきたときにはそういうことは私は全く知らなかった。ただ、放送の本来の性質から言ってこういう放送は好ましくないという判断をいたして、すぐ、直ちにやめるようにと答えたわけです。
○稲村(利)委員 議論をしても際限かありませんが、国民の納得する放送をぜひやっていただきたい。
 それと同時に、先ほどの伊藤委員の答弁はいただけるのでしょうか。先生の発言の意思があれば……。
○八百板委員長 それは委員長に聞いてください。
○稲村(利)委員 委員長、いかがでしょうか。
○八百板委員長 御本人に発言の意思かあれば御発言願います。関連して伊藤君の発言を許します。
○伊藤(宗)委員 先ほど私の名前が出まして、稲村委員からもお勧めがございましたので発言をさせていただきます。
 六月の何日でしたか、私かモスクワへ行きまして、ラーピン・ソ連テレビ・ラジオ国家委員会議長という方とお目にかかりました。大臣室という場所でお目にかかったわけでございますが、先ほど来稲村委員からるる御指摘があったように、オリンピックは民族の祭典でもあるから、ぜひ日本国民全体が喜んでみんなで見られるようにわれわれは衆議院の逓信委員会として、また、その中の放送小委員会として努力中であるけれども、そのことについてあなたの御意見を承りたいということでお話をしましたところ、何せ私はソ連語はわかりませんから、通訳を交えての話ですから正確ではございませんか、その通訳を通じての話では、テレビの方はテレビ朝日と契約をしてきちんとしているということで、そしてその席上でアメリカの放送の問題も例に出して詳しく説明をして、前日までCBSか何かに決まっておったのを次の日にNBCか何かに決めたけれどもアメリカの政府筋からは何の文句もない、しかるにあなた方日本の政治はこういう問題には関与するのですかというような皮肉も言われました。
 それは余談ですけれども、テレビ朝日に契約しているからだめだということで、しかし、私も出身がマスコミの出身でテレビ朝日のこともよく知っているし、テレビ朝日はラジオを持っていないのだ、ラジオを持っていないところにラジオの権利まで包含されているようだけれども、ラジオの分だけは何とかならないのだろうかということを言いましたら、そのことはMOC、モスクワオリンピック委員会だと思いますけれども、そこで一応預って再検討の形で進めているんだ、したがって伊藤さん、あなたの意思に沿うような形になったと、こういうふうに私は聞いたんですけれども、まあなりつつあったのか知りませんけれども、したがって、私は、それじゃラジオだけは日本国民ひとしく聞けるんだなというふうに了解をして、そのことも多少確認をしてモスクワにある大使館に帰ってきましたら、たまたま新聞社の方がたくさんおったものですから、テレビやなんかはどうもむずかしいようだけれども、ラジオの方は日本国民ひとしく聞けるようになったというような話を記者会見で申し上げ、そのことが各社の先ほど引用していただいた記事になったわけでございます。
 だから、私もそのように了解をして、その後各方面にラジオは何とかできそうだということを申し上げておるのでございまして、先ほど三浦常務取締役からお話があったわけでございますけれども、私はそういうふうに了解をしてモスクワから帰ってまいり、現在もそのつもりでおります。
○八百板委員長 阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 参考人の皆さん方、きょうはお忙しい中を御出席をいただきまして大変ありがとうございます。
 時間もありませんので早速で恐縮でございますけれども、まず、民放連の会長にお伺いしたいのでございます。
 いまさら申すまでもございませんけれども、放送事業者は、放送法の一条で定められておりますように、「公共の福祉に適合する」という大原則に立って、国民共有の、しかも限りある電波の使用が委託をされておると私は理解をしております。
 したがって、放送事業者としては、この国民の負託にこたえるために十分な心構えがなければならないと思うのでございますが、民放連の会長として、この電波を委託された放送事業者としての心構えを聞かせていただきたいと思います。
○小林参考人 ただいまお尋ねのとおりでございまして、われわれともどもお尋ねのような趣旨で仕事をしたいと考えておる次第でございます。
○阿部(未)委員 続いてでございますけれども、放送法第三条の「放送番組編集の自由」はきわめて貴重な規定でございます。守り抜かなければならない大原則であると私は思っております。しかし、同時に、放送法の第四十四条の各項の規定、特に四十四条の三項の、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」など、この協会に課せられた法を受けて民放もこれを準用するということになっております。したがって、私は、放送法第四十四条の規定もまた放送事業者が番組の編集に当たって守らなければならない大きい原則だというふうに考えておるのでございます。
 しかるに、最近放送事業者の中には、いたずらに視聴率を高めることに狂奔して、放送番組編集の自由の名のもとに平然と低俗な番組をつくっているものがあり、先般小宮山郵政大臣も御指摘になりましたけれども、親子か並んでテレビの前に座っておられないような低俗な番組も横行しておると申し上げても言い過ぎでないと私は思うのでございます。あまつさえ、みずからか定めた番組基準に昂然と背反をするような番組の編集が行われるなど、今日、放送事業者の自主規制が少し緩んできておるのではないか。そういう意味で私は先般、みずからがお定めになった放送基準というものはお守りになるべきではないのでしょうかという意味で「題名のない音楽会」について御質問を申し上げましたが、それは同時にまた国民のひんしゅくを買うような低俗な番組とも共通をする。いわゆるみずからがつくった放送基準に抵触をする。それを一体だれがどこで指摘をするのだろうかという疑問について私が質問をしたということを民放の皆さん方もひとつ了解をいただきたいと思うのでございます。
 この点について会長はどんなふうにお考えでしょうか、承りたいと思います。
○小林参考人 お尋ねのとおり、民放の事業者は、放送法はもちろんのこと、それぞれ自主規制の基準を決めておりますので、それを遵守することをもっぱら信念として、各方面の御意見や御批判を受けながらそういう努力を続けておる次第でございます。
○阿部(未)委員 非常にりっぱな会長の御決意を承りまして安心いたしましたが、ただ、私が懸念いたしますのは、もしこのままで推移するとすれば、放送事業者は一たび免許を受ければ、後はどういう番組の編集をしようとも、法の適用を受けない限りきわめて自由に何でもやれるのだという誤った放送がなされるおそれがある。それで、私は、その点について、特に郵政大臣も指摘しておりますように、国民のひんしゅくを買わないように、同時に、みずからがおつくりになった自主規制の規定である放送番組基準が十分に守られていくように、良心的な自律を希望するものでございます。
 本日はこの問題について私は特段に議論をする意思はございませんので、希望だけ申し上げておきますが、その意味から、モスクワオリンピック放送権の問題も、この公共の福祉に適合するか否かを原点に置いて議論しなければならない問題であると私は思うのであります。
 そこで、まず、テレビ朝日の三浦常務にお伺いしたいのでございますが、言うまでもなく、私たちは国民を代表して国会の議決に基づいて参考人の皆さんに御出席をお願いしておるわけでございますから、したがってここでお答えいただくことは常に真実でなければならないし、また、この委員会が終了した後などにおきまして、たとえば週刊誌などのインタビューなどで、この委員会でなかったようなことまで敷衍をされるということになりますと国会の権威の上からもきわめて不名誉でございますし、また、同時に、指摘をされる方々については大きい名誉の棄損にもなるというふうに思うのでございます。
 ちなみに、私がこう申し上げますのは、先般、参議院の逓信委員会の終わった後だと思いますが、週刊文春が三浦常務にインタビューをなさっておりますが、そのインタビューの記事はおおむね間違いはございませんか。
○三浦参考人 間違いありません。
○阿部(未)委員 間違いがなければ、たくさんお伺いしたいのですか多くは申し上げませんけれども、まず、その二、三を指摘しておきます。
 「ぼくは国会に呼び出されて驚いたんだけど、与野党ともに珍しく一致して、「こういうものは一本化して高く買わないように交渉に当たるべきだ」というんだな。つまり日本株式会社というわけだ。その国際感覚のなさに驚いたよ。」というお言葉がございます。それから、また、「ところが、NHKグループでは、放送しないから、いらないという。放送は国民のもの、という立場なら、頭から「放送しない」という側を叱るべきだと思うね。」と言っておられる。こういうことについては委員会で述べてもらった方が正しかったのじゃないかと思いますが、特に、最後の方にこういうところがございます。「だから、よっぽど参議院の逓信委員会で、社会党の議員にいってやろうかと思ったよ。「ここにいる小林民放連会長は、日本テレビの社長だけど、NTVがどのくらい読売の支配下にあるのか、説明してもらいましょう」とね。実際、シャクにさわったから二度ほど怒鳴ったんだ。いまの言葉はテレビ朝日社員に対する侮辱だと心得ておく――と。」とお述べになっております。
 私は参考のために参議院の会議録を取り寄せて調査してみましたけれども、そういうどなったというような場面は見当たらないのでございますが、私の見落としならおわびをいたしますが、報道が事実か、会議録の間違いか、お答え願いたいのです。
○三浦参考人 どなったというあたりは、要するにその記事の書き方だと思います。
 それから、私が非常に大きな声で申し上げましたのは朝日新聞傘下にということで、朝日新聞とテレビ朝日の違いというものに御理解がいただけなかったので、その点を、朝日新聞とわれわれは違うんだということを御説明いたしました。しかし、それでもなかなか御理解をいただけなかった。そこで、私は、朝日新聞の配下にあるようなことではないんだということについての問題で、あなたはそんなにおっしゃるなら、そういう言い方は全テレビ朝日社員に対して侮辱であるということを述べました。
○阿部(未)委員 述べたかどうか会議録に載っていないのですけれども、あなたのおっしゃる、朝日新聞の支配下にはないのだというお気持ちをあなたがおっしゃりたかったということ、そのことを私は別に否定するわけではございませんが、ただ、国会でおっしゃっていないことをおれはこう言ったんだというふうにおっしゃられると、あたかもあなたか国会でおっしゃっているようになる。ところが、会議録にはそれがない。そうなりますと、どうも勝手なことをおっしゃっておるとしか言いようがありませんので、冒頭に申し上げましたように、この国会における御答弁はすべて真実を述べていただくと同時に、後ほど問題になるような、言っていないことを言ったというようなことについてはひとつ十分慎重を期していただきたい。そのことをお願いしておるわけでございます。
 もう一つこのインタビューについてお伺いしておきたいのですけれども、こういうことを言っております。「ぼくのところはこれからは、まったくNHKのお世話になってないから、受信料値上げや、不払い運動の実態もやるよ。これまでは、ジャパン・サテライト・ニュース・プールに60%支払っていたNHKに、遠慮というか、思いきったことをいえない立場もあった。ぼくは、NHKの受信料のとり方は憲法違反だと思っているからね。公平じゃないんだよ。国会や自民党本部、社会党本部はテレビ台数分ちゃんと支払ってるのかどうか。文春は支払ってるのかどうか。」というふうにずっとおっしゃって、「ほかの消費実態から見て、これほど不平等なものはない。憲法違反で訴えたって、十分通るよ。国会議員はそういう問題をなぜとり上げないのかね。」とおっしゃっておられます。
 これは、自民党の先生方もおいでますから名誉のために申し上げておきますが、自民党本部、社会党本部はもとより、われわれ国会議員は決して受信料を払わずにテレビを受信いたしておりません。ちなみに、私は郷里と議員宿舎と会館と三つ分の受信料を払っておりますし、もしそういう実態があるならば、いまここで坂本会長の方から答えておいてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
○坂本参考人 先生がいま御指摘になりました点については、そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 お聞きのとおりでございますから、誤解を招くような発言を特にインタビューでおっしゃっておるわけですが、NHKとの関係を私はきょう取り上げて議論する気持ちはございませんけれども、国会の権威のために一言申し上げておきます。NHKの受信料の徴収は、合法的な法律に基づいて、しかも国会の決議に基づいて徴収をされているのでございまして、憲法違反かどうかお争いになるのは結構ですけれども、われわれ国会の立場からは、これは合法的なものとして理解をしておるということを申し添えておきます。
 そこで、次に、具体的にオリンピックの問題ですけれども、きわめて常識的に、そして一般論として私はお伺いしたいのですが、オリンピックの放映がどこの会社からなされようと、国民としてはそのことはそれほど問題ではないと思うのでございます。ただ、問題は、先ほど来お話がありましたように、この国民的な行事が、日本の国のどこででもこの期間中美しい映像で見ることかできるかできないかということで、そのことは国民の大きい期待でございます。
 したがって、私は、放送事業者は、この国民の期待にこたえるためにはどんな方法で契約を結び、どういう方法で取材をし、どういう方法で放映することが国民の期待にこたえ得るのかということをお考えになるべきだ、それが第一義的な問題でなければならない、こういうふうに考えますが、三浦常務、どうお考えですか。
○三浦参考人 私どもが契約してまいりましたのは、これは御理解いただきたいと思いますのは、私どもも、協調の面とそれから競争の面、報道の自由、競争、それから報道の協調の面というようなものは十分に考えております。それから、私どもが郵政省から与えられております免許の電波、そういうエリアの条件のもとに契約をいたしてまいりました。
 御存じだと思いますが、ネットということはわれわれ民間放送には許されておりません。したがって、私どもが競争の面と言うのは、放送権が設定された場合にはこれは競争です。それから、放送権というものか設定されない普通のものについては協調というものが成り立つと思います。したがいまして、日ごろ私ども民放、NHKもろともに日夜競争をしておりますが、これは放送権の設定されたものについての競争と、それから放送権の設定されないものについての競争と二つございます。それから協調の面も二つございます。したかいまして、私どもは与えられた免許条件のもとに契約をいたしてまいりました。したがって、私どもはこれから番組編成をいたします。それで、各民放の東京の私どもが許された免許外の放送会社に対してこれを提示いたします。
 それで、提示された会社が自由に、それこそ番組の編成の自由をもって、これを自分の与えられた免許の条件に基づいて、放送法に基づいてオリンピックを放送すべきであるかどうか、放送すべきでないかどうか、これはもう各社の考えることでございまして、私どもは鋭意努力いたしますか、その自由も各社にあるのだというふうに考えてこれからの番組編成及び私どもの会社としての行動を行いたいというふうに考えております。
○阿部(未)委員 私はその競争の自由を否定するものではございません。しかし、すでに一つの経験としてモントリオール方式というものがありまして、民放各社が協力し、NHKと協力をし合って国民に非常に大きい感銘を与える報道がなされた事実もございます。したがって、たとえ競争の大原則があろうとも、その競争の原則のまだ前に公共の福祉という大原則が置かれなければならない。それが放送事業者に課された最大の使命であるということをお忘れになっておるのではなかろうか。ですから、私は競争の原理を否定はしませんけれども、競争するよりも協調した方がこの場合はいいのではないかというのが、少なくともテレビ朝日を除く他の民放なりNHKのお考えであったというふうに聞き及んでおります。そのように放送事業者の多くの皆さんが、この際は競争よりも協調の方かいいだろうということで話し合が進められておったのに、ひとりテレビ朝日だけが協調を拒否して競争に走ったと、そう理解をせざるを得ないわけでございます。
 そこで、後段の問題ですけれども、いまのお話では放送権をとったのだからとおっしゃっておりますが、しかし、放送権が伴うから競争でなければならない、放送権が伴わないから協調であっていいという理屈は成り立たない。やはり、それぞれの問題がいずれを最重点に考えるべきかという判断にまたなければならないと思うのです。
 そこで、ちょっとちなみにお伺いしますけれども、これは日本新聞協会がお出しになった「新聞研究」という冊子でございますが、この中にこういうことが出ています。「NETがモスクワと単独交渉しようとしているという確度の高い情報があり、これをただした二月二十一日の在京民放五社社長会の席で、NET高野信社長自身まだ何も知らず、「帰社してから、なぜ耳に入れぬ、と三浦常務をしかったという」」と、こういうふうに毎日新聞が報道しておりますから、したがって、いまの競争優先の発想は、これは社の方針ではなくて、あなた個人の発想だったわけではないのですか。
○三浦参考人 それは毎日新聞ですか。
○阿部(未)委員 ちなみに、この記事をそのまま申し上げますと、これは三月五日付毎日新聞ということになっております。
○三浦参考人 でたらめです。私はしかられた覚えはございません。
 それから、二月二十一日というふうになっておりますが、それは二月十四日じゃなかったかと思いますが……。
○阿部(未)委員 それはこっちにも出ていますから、見ればわかります。
○三浦参考人 それから、先ほど先生が記録にないこととおっしゃっておられましたが、参議院の議事録の私の発言の中に、「株の数それから役員のことで朝日新聞の何か要するに下部組織みたいな物の言い方は非常に迷惑な話で、私に対する、テレビ朝日の全社員に対する侮辱です。」ということが記録に載っておりますので、その点をひとつ御了解いただきたい。
○阿部(未)委員 それでは、いまのように行き違いかあるようでございますが、この毎日の記事は間違いで、しかられたことはないということですが、社長、どうなんですか。
○高野参考人 ちょっとお伺いしますか、質問の御趣旨かちょっとわからなかったのですか、テレビ朝日と朝日新聞との関係ということでございますか。
○阿部(未)委員 もういいです。
○高野参考人 よろしいですか。
○阿部(未)委員 結構です。あなたがしかったと言っても、片方はしかられていないと言うわけでございますから、これはどうしようもございません。
 そこで、少し横道にまたそれるわけでございますけれども、先ほどの話で、民放各社、NHKは協調して一緒にやった方がいい、モントリオール方式でやった方がよろしいというふうな意見が多かったのに、テレビ朝日だけか、いや、おれは反対だ、競争だと言ってモスクワにおいでになって契約をされた。契約をして帰ってきて、おい、みんな一緒にやろうと言っても、一緒にやりましょうと言ったときにおれは反対で競争すると言っておきながら、権利を取ったからみんな一緒にやろうと言ったって、今度はほかの方々が、ああそうでございますか、それでは一緒にやろうということになるのかどうか。これは人間の常識の問題だと私は思うのですが、これはどうお考えですか。
○三浦参考人 当初参りますときに、二月十四日のお話でございますが、社長会で、NHKとNETにモスクワから招請状が来ておるという、当時の諏訪東京放送社長からの御発言がございまして、それで、当時のNETが行くのならわれわれもソ連に行くんだというような趣旨がございました。それから十七日だと思いますが、民放連の理事会で、私どもの方から、やはり招請状が全五社に参っておりまして私どもの社長の高野がわれわれは交渉に行くということを説明いたしました。私に対しても日本テレビの上子専務から一緒にやったらどうだということで、国民的行事、世界的行事といいますか、民族の祭典というふうに言われておるのですが、大きな仕事を必ずしもNHKだけに任せるべきではない、ときにはわれわれが民放だけでやる場合もあり得る、一社でやる場合もあり得る、とにかく行ってみようじゃないかということで私は話を申し上げました。それで私は行ったわけでございますが、行って帰ってきて、それで皆さんと相談しなければならないときには相談しましょうという話もしておきました。ところがジャパン・サテライト・ニュースのグループからNHK及びその他が脱退されていったので、おのずと競争、対立みたいな形になったわけです。
 ですから、いま協調と競争というものか裏と表が一緒のような形でございますが、先生かおっしゃるように、公共の福祉といいますか、そういうものが優先するのはもちろんでございますが、それがこれに当たっているかどうかという判断はみずからやるべきであって、私どもは、公共の福祉や社会的な福祉に独占契約は反しているというふうには考えておりません。
○阿部(未)委員 私は、申し上げましたように、きわめて常識的に一般論としてお伺いしておるのですか、いまおっしゃるとおり、民放の各社とNHKが、いままでの経験もあるし今度も一緒にやろうではないかというふうな空気の中で進んできて、そうしようではないかということが、いまお話にもありましたように、民放連の理事会なり五社社長会議なり、あるいは在京報道局長会議等でお話があった。ところが、明らかなことは、そういうお話をテレビ朝日は納得せずに、テレビ朝日独自で契約をされたという事実、これは否定できません。
 そうなれば、ほかの各社が一緒にやろうというのを断って勝手に契約をしておいて、契約ができたから相談をしましょう、帰ってきて相談をする用意がありますと言っても、それは一般論としては通用しないのではないでしょうか。そのことを私は申し上げておるのです。
○三浦参考人 いま、お話ししましょうというようなことは言っておりません。話も何もしていないというのは一番最初に御答弁申し上げました。ですから、途中で話をしようじゃないかということは言った覚えはあります。
○阿部(未)委員 私の言葉足らずです。あなたの言葉をそのまま言えば、行く前に、帰ってから相談をする用意があると言って出ていったと、あなたはさっきそうおっしゃいました。これは会議録が出ますからわかりますが、そういう趣旨です。
 いずれにしても明らかなことは、他の五社のお話を聞かずにあなた方は勝手においでになって決めてこられた、この事実はどうしようもない。そこでみんなが一緒にやろうと言ったのに、おれがただ勝手にやると言っておきながら、放送権が取られたからみんなと一緒にやる用意があるとおっしゃられても、それはなかなか向こうもうんと言えないのではないだろうかという一般論、常識論の問題でございます。
 時間が少なくなりましたからあとを急ぎますが、電波監理局長にお伺いしたいのですが、放送法第一条の一項一号に、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」とありますが、「国民に最大限に普及されて、」というのは、NHKも含めての放送事業者全般にかかる規定でございます。ところが、同法の第七条には、「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」となっていて、これは「あまねく日本全国において」という規定が入っております。
 なぜNHKだけにあまねく全国で受信ができるようにしろという規定が設けられたのか、その趣旨、精神を聞かせてもらいたいのです。
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 先生の御指摘のように、NHKの目的を定めております第七条及び業務を定めております第九条においてもあまねく普及義務が定められているわけでございますが、これはNHKの公共性、公共放送ということにかんがみまして、NHKに放送の全国普及に努める責務を課したというふうに解しております。
○阿部(未)委員 そうすると、公共放送としてのNHKは他の民放よりもさらに大きい責任を負わされておると、規定はそう解釈すべきだと思うわけでございます。したがって、もう時間もありませんから結論を急ぎますが、今日の時点で言えることは、これは三浦常務にも高野社長にも、民放連、NHKにも一緒に申し上げたいのでございますけれども、いまオリンピック放送権を持っておられるテレビ朝日と、それから他のNHKその他の民放の会社との間で、先ほど来稲村委員からも御発言がございましたように、国民のみんながどこででもきれいな画像が見られるようにすること、これはもはや感情の問題ではなく、行きがかりの問題ではなく、国民の期待の問題でございます。放送法一条の「公共の福祉」の原点でございます。その意味から、積極的な話し合いを進めて国民の期待にこたえてもらいたいというふうに考えるのです。
 これについて、まず大臣のお考えを聞き、それから高野社長、三浦常務も含めて、各社のこれに対しての取り組む姿勢について、決意のほどをお伺いしたいと思います。
○小宮山国務大臣 まず、NHKというのは、いま先生がおっしゃいましたように、あまねく多くの人たちに見られるようにすべきで、私は参議院の委員会でも御答弁申し上げたのですけれども、NHKというのは聴視料を取って経営されており、少なくともその放送については、聴視料を取られている人たちの一株主に対して返還すべきであるという考え方を持っております。ですから、このオリンピック問題は、NHKの経営陣だけのみえとか義理というものではなくて、やはり一株主に返還すべきであるという冷静な物の考え方が必要であろうと思います。
 民放は、それぞれ自己の広告収入とその他の収入によって経営しております。ですから、それは番組編成の問題でありますので、民放そのものがオリンピック放送をすべきかすべきでないかという問題もどのように判断するのか。たとえば地域で、幾つかのものでオリンピックをやっていれば、自分のところは違うんだという選択はあるかもしれません。たとえば昨晩のテレビでも、バレーボールの決勝をやり、NHKは柔道の選手権大会をやっているという、そういうような違いはあると思います。しかし、それはやはり、その民放各社の番組編成そのものに対しての自主的な判断にまつ以外にない。
 ただ、私たちが言いたいことは、大多数の国民の世紀の祭典であるオリンピックを見たいという願望に対して、NHKを含めて放送事業者を謙虚な気持ちで、国民のサイドまた放送そのものの、放送法一条、三条というものを踏まえて、郵政省等が口出しをしなくて民主的に自主的に解決すべきものと私は期待しております。
○高野参考人 御質問の御趣旨につきましては、私が最初から、またこの前の委員会でも申し上げているように、独占したということと、これを各局で有効に使ってもらうということとは別個の問題でありまして、どこまでも国民全体に行き渡るように私どもは考えております。また、そうすることは、私どもだけの問題ではなくて、全国の放送に関係している者が当然に考える義務を持っているんだと、さように私は考えております。
○小林参考人 この問題につきましては、いろいろとお尋ねのとおり、いろいろな経緯、手続と、それから契約の中身と、問題が二つありまして、そして契約の中身には契約の条項と契約の金額と、この三つの問題があります。
 手続とか経緯は、済んだことですから私もこだわるつもりは必ずしもありません。それはもう全部、不満かたくさんありますけれども、しかしながら、決まった金額が幾らか、いまだに明確になっていない。これはべらぼうな金額であることは間違いがありません。現に、まだ金額か決まらずにおる国が世界にたくさんあるわけです。私は、少なくとも民放連会長としては、この金額を前提として話を進めることはできない。
 並びに、契約の条項がこれまたいろいろ議論がある。人によって見方が違うでしょうが、こういう契約の条項としては適当だとは私は思わない。こういうものを前提にして事を進めることは、私か民放連の会長である限りは民放連としてもできませんし、NHKでなしに、日本テレビ自身は単独の放送会社で、これはわりと自由です。自由ですけれども、私はやるつもりは全然ございません。これははっきり申し上げておきます。
○坂本参考人 オリンピックが国民的行事であり、したがって、NHKとすれば何をおいても視聴者の期待にこたえなければならないという、そのたてまえには全く同感でございます。そのために努力をしてまいったわけでございますけれども、しかし、解決の結論は、やはり皆さんに御納得のいくような形のリーズナブルなものでなければいけないだろうし、そういう点について、私は、何が視聴者のためになるかということの一点にしぼって解決に向かいたいと考えておるのでございます。
 郵政大臣が御指摘になりました経営陣が、自分たちの面目等についてかかずらうというような考えはさらさらございませんので、その点についてはひとつ誤解のないように御理解を賜わりたいと思う次第でございます。
○三浦参考人 基本的なことは社長から申し上げましたが、私から申し上げられるのは、いま、民放連の会長として、というよりも日本テレビの社長としてでしょうが、契約の内容に異議があるからこんなものは放送できないというような趣旨のお話がございましたが、そういう趣旨を私どもは承って、それからこれまでの経緯を考えて、私どもが結んできた契約書に反対だということであれば、これはもう話し合いの余地はないわけでございますが、しかし、放送法の自由の立場から見れば、日本テレビを除いて、将来において、私どもが契約書に異議のない人たちに契約の内容と――それからべらぼうな金額と申しますが、私どもの外画の買い付けその他から見て、現在の番組の金額、制作費から見て、べらぼうな金額だというふうには思いません。
 将来、順次明らかになると思いますが、そういうふうに御理解いただけると思います。
○阿部(未)委員 いまお答えがありましたが、一言だけ言わせてもらいますが、モントリオール方式は悪かったという意見は私は余り聞いておりません。放送事業者の間でも、あの方式はひとまず成功であったというふうに私どもは聞いておるわけでございますが、同時に、また、冬季オリンピックについてもモントリオール方式でやれるように話が大体進んでおるということになっておるようでございます。そうすると、今回のモスクワ放送だけがモントリオール方式ではいけないのだという理屈は成り立たないように思われるのです。
 しかし、経過は経過で、先ほどお話かありましたように、これまであったことはあった事実としてやむを得ないと私は思います。その上に立って、あと放送事業者がなさなければならないことは、繰り返して申し上げますけれども、国民の期待に沿えるような放送ができるように最大限の努力をしてもらいたい。これが私の希望でございます。
 質問を終わります。
○八百板委員長 久保等君。
○久保(等)委員 非常に限られた時間でございますから簡潔にお尋ねをしたいと思うのですが、その前に、きょうは各参考人の方々には大変お忙しい中を御出席をいただきましたことを心からお礼申し上げます。
 まず、最初に、私はNHKの方にお伺いしたいと思うのですが、モスクワオリンピック放送の問題で国民一般も大変な関心を持っておると思うのです。先ほど来いろいろと質疑応答をお聞きしておって、日本の国内での非常に大きな問題としてこの問題が取り上げられておるわけなんですが、同時に、従来の経過を考えますと、放送そのものが、アジア放送連合、あるいはまた欧州におきましても西欧放送連合といったような形でそれぞれ連合体をつくって、そしてこの放送権等の問題についても折衝に当たってまいったようであります。
 今回の場合については、すでにテレビ朝日が独占的な放送権を獲得されたわけなんですが、たとえば西欧放送連合等ではこの問題について現在一体どういうふうな折衝状況なのか。あるいはその他の諸外国の状況は、アメリカの場合についてはすでに契約がなされたようですから、アメリカを除いて他の国々の交渉状況かおわかりになっておれば、わかっております範囲内でひとつお聞かせ願いたいと思います。
○橋本参考人 交渉ごとでございますので、外部に漏れていない点が多々あるかと思いますが、私どものところで得ております情報をもとに、できるだけのことをお答え申し上げたいと思います。
 モスクワオリンピックにつきまして、すでに放送権料の契約ができたといいますか、一応片づいたのは先生も御承知と思いますか、アメリカと日本とオーストラリアの三国でございます。したがいまして、残りの大どころと申しますと西ヨーロッパ、いわゆるEBU、ヨーロッパ放送連合を中心とするヨーロッパ、それから日本とオーストラリアを除くアジア太平洋地域、いわゆるABU諸国、そのほか中南米とかアフリカとかアラブ諸国がございますし、カナダも残っておりますが、一番大どころはやはりEBUかと思います。
 EBUにつきましては、昨年来いろいろと調査団等を派遣して、技術的な面ではモスクワ組織委員会等と詰めているようでありますが、権料交渉につきましてはことしになりまして行われて、現在のところ私どもが承知しておりますのは、モスクワオリンピック組織委員会がEBUに対して千二百万ドルを要求しておる。これに対して、EBUは現在までのところその要求を拒否している。そのほか、たとえばモスクワからヨーロッパに持ってくるテレビの映像の回線を幾ら要求し幾ら提供するかという、そういう技術的な面等もまだ未解決であるというふうに聞いております。したがいまして、EBU、ヨーロッパはまだ契約までいっていないというのか実情であろうと思います。
 それから、オーストラリアと日本を除くアジア太平洋地域、ABUのほかの国でございますが、これもまだ権料交渉までは至っておりません。日本とオーストラリアがいわば外れたということで、残りのABU地域の国々の放送機関が一致して最後まで組織委員会と交渉に当たろうということで、近々モスクワオリンピックの準備状況そのほかがどうなっておるかという実情の調査団を派遣しようというところが現在であろうかと思います。
 そのほか、カナダ、中南米等もございますが、その点については詳しいことは存じておりません。
○久保(等)委員 従来は、日本自体も例のABU、アジア放送連合というまとまった形で折衝、交渉をし、そして話がついて放送がなされたと思うのですが、このABUそのものが、従来の契約では、ミュンヘンにしろあるいはモントリオールにしろ、契約の名義人はどういう形に形式的にはなって、交渉がなされて契約か成立したのか。その契約の形式的なことですが、それをちょっとお伺いしたいと思うのです。
○橋本参考人 モントリオールの前のミュンヘン大会までは、ABU、アジア太平洋放送連合の加盟機関は個々にやりました。したがいまして日本は単独でミュンヘンとやりましたが、モントリオールのときには、放送権料が非常につり上がってまいりますので個々にやったのではやはり高くなろう、したがって放送連合間同士で共同戦線を張ってやろうということで、西ヨーロッパのEBU、東ヨーロッパのOIRT、それとアジア太平洋のABU、さらに中南米、アフリカ等が一つになりまして、合同戦線を張りましてモントリオール組織委員会との間で交渉して、その結果一定の額を決めて、それを割り振ったという形でございます。
 したがいまして、モントリオールのときには、日本を含めて、まずABUとしてモントリオール組織委員会と契約を結びまして、その中で、ABUのトータルが幾らで、たとえば日本は幾ら、オーストラリアは幾ら、香港は幾ら、韓国は幾らというふうな分担をしてまいったのでございまして、その放送権料だけの契約が二百十万ドルでございまして、そのうち日本が百三十万ドルというのが簡単に申し上げてモントリオールの場合でございます。
○久保(等)委員 テレビ朝日にお伺いしたいと思うのですが、この協定書の原文は英語とロシア語ということになったようですが、これはどういう理由なんでしょうか。
○三浦参考人 これはIOCの指導で、自国の言葉と英語というふうに作成されて私どもに提示されました。
○久保(等)委員 自国語というのはどういうことですか。
○三浦参考人 ロシア語でございます。
○久保(等)委員 そうすると、当事者は日本なんですが、なぜですか。
○三浦参考人 IOCの方は英語ということでございます。
○久保(等)委員 それから、先ほど来お尋ねになって、まだお答えかないのですが、契約の金額は幾らですか。
○三浦参考人 IOC及びモスクワ組織委員会との内々の約束もございますし、企業内のことでございますから明快にできません。
○久保(等)委員 IOCは、理事会か総会でそういう方針を決定しておるのですか。
○三浦参考人 わかりません。
○久保(等)委員 わかりませんというのはどういうことですか。
○三浦参考人 総会かどうか知りませんが、IOCの事務局との間で話し合いをしたわけでございます。
○久保(等)委員 しかし、その金額は公表すべきであるという主張はせられたのですか、せられないのですか。
○三浦参考人 私どもも、企業内のことでございますので、金額は一般番組購入と同じように発表すべきでないというふうに考えております。
○久保(等)委員 それで、将来とも永久に金額等については発表しない、できないということですか。
○三浦参考人 そのとおりでございます。
○久保(等)委員 とにかく、そういう考え方があるのだが、では、従来のIOCの決定は、前回はどうだったんですか。前回のモントリオールオリンピックですね。その当時は、先ほど来のNHKからの御説明もあるし、また、先般来も当委員会でいろいろ説明をせられておるのですが、これはそういう取り決めに反しておるということになりますか。
○三浦参考人 金額を発表すべきだ、すべきでないという規約はございません。
○久保(等)委員 その点をNHKから、従来からの経緯について、この金額公表についてどういうふうにお考えになっておるのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
○橋本参考人 従来は、仮契約なりあるいは本契約をした段階で、最終的な承認は、組織委員会の場合はその上のIOCがいたしますし、それからわれわれの方は持って帰って理事会なり経営委員会の最終的な了承を得ますから、それを得た段階ではお互いに異存がなければ公表をいたしております。
 したかいまして、ミュンヘンの場合もモントリオールの場合も公表はいたしております。
○久保(等)委員 いま、IOCの方針といいますか、その中で決定せられておる、そういった金額等については発表しないということに決めておるという話なんですが、NHKの方はどういうふうにお考えになっていますか。
○橋本参考人 われわれの知る限りでは、そのような決定かなされたというふうには承知しておりません。
○久保(等)委員 三浦常務の御答弁はIOCということを言っておられるのですが、これはいずれ事実関係はぜひIOCの理事に――日本からもIOCの理事か出ておられますから、本来ならばきょう御出席を願って私もお聞きしたいと思っておったのですか、きょうは御都合も悪いし、また、唐突に御出席を願うことも迷惑だと思って差し控えたのです。しかし、いずれまた後日機会を見て当委員会に御出席を願ってIOCの考え方もいろいろお聞きしたいと思っておるのですか、だから、その問題は後日また明らかにすることにしますが、私は、放送に関しては、単なる私企業の経営的な企業秘密という問題とは少なくとも性格が違うと思うのです。
 先ほど来言われるように、あなた方は放送法というものに一体どの程度の理解と認識を持っておるのか、私は非常に疑義を感ぜざるを得ないと思うのです。特に放送料金の問題についても、先般もおいで願ったときに私は非常に強調しておいたのですが、これは国民の方々に負担をかけることになるのですから、単なるスポンサーだけじゃなくて、NHKの場合であれば受信料という形で当然かかってまいります。したがってそういった問題について、金額は企業秘密で、プライバシーの問題だということなら別ですが、しかし、少なくとも公共的な任務を負った事業がどういう経過でどういう金を集め、どういうふうに金を使ったかというようなことについての公表をすることはむしろ国民に対する義務だと私は思うのです。
 特に、あなた方の携わっておられる言論機関というものは、できるだけ真実を国民なり一般の方々に報道することはもう最大の至上命令じゃないですか。ところが、この問題については秘密だから発表するわけにはいかぬと言う。しかも、国民が非常に関心を持ち、また、われわれも当委員会ですでに前々から何回かお尋ねしている問題を企業秘密だからといって発表できない。そういう考え方で放送事業を担当しておられるとすると、これは非常に大きく根本的に放送に対する認識が欠如していると言わざるを得ないと私は思うのです。
 しかし、あなた自身がいまIOCの方針だというようなことも言われておりますし、モスクワ組織委員会の方がどう考えたか、これは恐らく発表しない方がいいだろうというような話になっているんだろうと思いますが、しかし、少なくとも契約当事者の一方であるテレビ朝日はそのことについて強く国民の前に明らかにせざるを得ないんだ、またすべきなんだということを主張しますか、これもとにかく協定でどういう協定を結ばれたのか知りませんが、それは何か文書にでもしておられますか。
○三浦参考人 文書にはしておりません。ただ、IOCと、それからモスクワオリンピック組織委員会と私どもの内々の話で発表しないということにしただけであります。
 したがって、一般的国際競技もそれから番組購入費もいままで一々公表したことはありません。たとえばバレーボールにしても柔道にしても、それから重量挙げにしても、国際競技というものは、世界の国際競技がいろいろありますが……(久保(等)委員「そんな話をしているんじゃない」と呼ぶ)いや、同じことなんです。それが集まったのがオリンピックなんですから、オリンピックだから料金を発表しなければおかしいじゃないかと、私どもはそういうふうには考えておりません。
○久保(等)委員 聞きもしないものを発表する必要はないと私は思うのです。われわれが聞いたときになぜ答えられないかということなんです。また、国民が聞きたいと思っていることに対してなぜ答えられないかという問題なんです。
○三浦参考人 企業内のことで、国民というお言葉でございましたが、私どもはそういうふうに理解しておりません。
○久保(等)委員 それはどういうことでしょうか。とにかく国民的な大行事であるオリンピックを見たい、あるいは聞きたいということ、これは恐らく国民のほとんどすべての方々の御希望だろうと思うのです。
 また、そのことは先ほどいろいろ御意見がございましたが、くしくもこの協定書の前文に、「すべての諸国民間の平和の維持を促進するものである。」とあるが、実は、できるだけ一人でも多く各国の国民に見てもらいたいんだ、聞いてもらいたいんだ、そのために放送についての協定をしようじゃないかということで協定をされたんでしょう。ところが、あなたは、見たい人はほんの局部的でもいいから見ればそれで結構なんだ、何も国民なんてそんな大きなものを対象にしているんじゃないんだというようなことをいまちょっと答弁されたんですけれども、少なくともこれは協定ですよ。いい悪いはいろいろ批判かありますよ。しかし、この中の協定の精神から言っても、一人でも多い国民、一人でも多い人々に見てもらい、あるいは聞いてもらう、そしてこのオリンピックというものについて十分に理解をしてもらう、そのことを通じていろいろと諸国民間の平和の維持を促進したい、あるいは世界の緊張緩和というようなことに貢献したいと、そういう趣旨があるんじゃないですか。それとあなたのいまの答弁とは矛盾しませんか。
○三浦参考人 料金の発表がないから矛盾しているというふうには思いません。
 要するに、国民の皆さんに放送をりっぱに見せることが私どもの任務だというふうに考えています。
○久保(等)委員 一般の方に見せるという問題になってくると、おたくの方で現在のネットワークでもって可能な方々全部に見せられる自信がありますか。あなただけの社の力で、ですね。
○三浦参考人 先ほども申し上げましたように、放送法上私どもに与えられたエリアそのほかの方々には、番組編成ができ次第に私どもがそれを提示して見られるように努力いたします。何らかの形で全国で放送が見られるように、聞けるようにできる自信を持っております。
○久保(等)委員 そのことは事実が証明すると私は思います。そういったことをここで論争しても始まらないと思うのですが、いずれにしても、契約金額の中身の問題については、当然、国民は少なくとも知る権利があると思うのです。あなたがそういうように、そういうことについては発表する必要はさらさらないのだというような非常に独善的な、閉鎖的なセクト的な物の考え方で放送事業を担当しておられるとすると、私は非常に残念だと思いますね。そのことについては十分にお考えを願いたいと思います。
 時間がございませんから次に移りますけれども、いま言うラジオの問題についても、おたくにラジオの施設を持っていなくて、ラジオ放送についての放送権あるいは技術提供料というのですか、そういったものについても金を支払われることになっておると思うのですが、施設を持たないラジオ放送については契約当事者としての能力が欠如しておる。こういうやり方であるとすると、放送施設を何も持っておらない一般の人が取引をして、そして持って帰ってどこかテレビ会社なりラジオ会社に委託をするというやり方ができるようなシステムだと思うのです。これはまことに異例な扱い方だと思うのですが、そう思いませんか。ラジオ放送の問題について、ですね。
○三浦参考人 一般的に番組購入をする場合、それから国際競技の場合でも、たとえばバレーボール協会が放送権を持っており、そしてその放送権を放送会社に売るということをやっておりますので、そんなに不思議なことではございません。
 それからラジオに関しても、私どもは、IOCの規則改正に基づいて、ラジオが放送権の中に入ってきたということについては従来から申し上げているとおりでございますが、ラジオも、先ほど私どもの高野から申し上げましたように、権利委託をして全国に放送できるようにやっております。
○久保(等)委員 あなたにちょっとお尋ねしたいのは、アジア放送連合というものがあり、従来これの準会員に民放連も当然なっておられると思うのですが、アジア放送連合というものは今回の交渉の中では全然頭になかったと思うのです。日本の国内において一体化して交渉に当たるとか、あるいはさらにアジア放送連合が一体になって当たるとか、先ほど言われたいわゆるモントリオール方式ですが、そういったことについての考慮は全然払わずに、テレビ朝日の立場だけが先行していたのではないか。要するに、免許をもらっているのだから自分のところで営業行為としてやろうと思ったらやれるのだからという権利意識だけが先行して、アジア放送連合というものについての認識が全然なかったのだと思うのですが、その点についてはどんなふうに考えておられますか。
○三浦参考人 アジア放送連合の組織その他についてもわれわれは余りよくわかっておりませんが、しかし、内々ABUの皆さんの中から私どもに話があります。
○久保(等)委員 そういう内部からの話があるという話を聞いているのではなくて、アジア放送連合、ABUという連合体が従来あり、あなたの方も一応準会員になっている。したがって、そういう放送連合の利益というか、立場というものをできるだけ考慮しながらMOCとの交渉にも当たってこられたのかどうかということなんです。
○三浦参考人 正直に言って、そういう考え方はございませんでした。しかし、その間に交渉の過程において、日本とオーストラリアを除いたABUの話がございまして、われわれとしても、オーストラリアも同じだと思いますが、モスコーからの内々の要請がございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、ABUがどういう決議をされたか私どもはわかりませんが、内々にABUの国からも放送したいという考え方を持って私どもと話し合いをしております。
○久保(等)委員 今後の扱い方の問題についてはまた今後の問題として、われわれも委員会等で適当な機会を見て、先ほども申し上げましたように、IOCの理事の方にもできれば御出席を願ってお尋ねしたい問題があります。
 その節にまたいろいろとお伺いすることにしますか、特に私も経過をお聞きして非常に解せないことは、三月一日から三月の十日という、十日間というきわめて期間を区切った期間の中で交渉をしようじゃないかというMOCからの申し出といいますか、通知に基づいて、そそくさと、とにかく国内における話し合いというものを一切拒否しているのですよ。拒否してモスクワにはせ参じて行って、その期間内に契約をしてしまった。これはどう考えてもどうもわからない。先ほど各国の状況を聞きましても、目下西欧放送連合あたりにしても交渉しておるが、なかなか話がまとまらない。それはそうでしょう。金額を考えてみた場合に、お互いにこれは主張があると思うのですよ。特にあなたが金額は大した高額ではない、妥当な金額だと言っておられるが、これも一向に金額が明らかにならぬのですから、われわれは何とも判断ができません。しかし、巷間伝えられるところでは三十億円くらいであると言われております。
 この前高野社長はそんなに高いものではありませんよというような物の言い方をしているのですか、これもとにかく当事者からお答えがございませんから、私はその金額について深くタッチしてお尋ねしようとは思いませんけれども、しかし、いずれにしても、このオリンピックの問題は大変な国家的な行事ですね。四年に一度の大変な行事であるだけに国民か大変な関心を持っておるわけなんですが、この放送の問題について、今後これをどう運んでまいるかということは非常に重要な問題だと思うのです。先ほどの民放連の会長のお話等を伺ってみても、あるいはまた先ほど来のあなた方の御答弁をお聞きしておっても、これは非常にむずかしい問題だと私は思うのです。このことについて余り多くを申し上げても時間的な関係で無理だと私は思いますから、その点は今後の問題として、とにかく国民が非常な関心を持って今後の推移を注視している問題ですから、われわれもまた適当な機会を見て経過等について十分に御説明を願ってまいらなければならぬと思っております。
 だから、そのことはそういうことで頭に置いておいていただきたいと思うのですが、こういった事態になったことを私は残念に思うのですけれども、特に、契約内容の最も重要な金額の問題が明らかにされないことは判断そのものができかねるのです。
 今回のこういった契約内容についての感想は先ほど民放連の会長の方から簡単な御説明があったので私は繰り返してお尋ねをいたしませんけれども、しかし、先ほど三浦常務は、少なくともカバレージの問題については何とかとにかく期待にこたえられるというようなことを言っておられますけれども、具体的な提案が何もないわけですからね。あなたの方で、今後の扱い方について何か一つの方針をお持ちになっておるのですか。どうなんですか。申し出があったら、そこらあたりをきっかけにして話をしてみたいという程度のお考えなのかどうなのか。
○三浦参考人 先ほど申し上げましたように、私どもにネットワークというふうなきつい法律的な要件か許されておりません。
 したがって、十二月の末から来年の一月の上旬にかけて、ごく簡単に申し上げますと、七九年のプレオリンピックと八〇年のモスクワの本番のオリンピック等の番組編成の発表をいたします。それに基づいて私どものエリア外の各放送会社にこれを提示いたします。
 それで、その放送会社がみずからの番組編成の自主性を持って、与えられた免許条件に基づいて放送を見せるべきであるかどうか、これはもう放送会社の自由でございますから、その放送会社との話が行われる、その間先ほど申し上げましたABUとの話し合いも行われるだろう、こういうふうに考えております。
○久保(等)委員 一つお尋ねしたいと思っているのは、先ほどもちょっと触れようと思って触れなかったのですが、なぜ三月一日から十日までの間に契約をしなければならぬと判断をしたのか。国内的には何ら話し合いがなされないにもかかわらず、とにかく向こう側のMOCの言う期間内に妥結をせざるを得ないと判断をしたのはどういうことなんですか。
○三浦参考人 二月の十六日でしたか、招請か参りました。それから三月の一日までの間に私どもは協議をいたしました。しかし、先ほども申し上げましたように、単独で交渉できて妥結できるものであれば、条件とそれらが合えば妥結してもよろしいし、要するに、われわれは、交渉というものはそういうものだということで、一日から十日までという期間に向こうが招請してきたのでそれに応じただけです。
○久保(等)委員 初めから日本の国内で一本にまとまってやろうという意思はなかったわけですね。その点はどうですか。
○三浦参考人 向こうに行って話し合いがつかない、あるいはそれから話し合いの内容がわかった段階で、私どもが一社でこれは賄い切れないというふうに判断した場合には、日本に帰ってくるか、もしくは皆さんと話し合うか、そういうふうな考え方は持っておりました。
○久保(等)委員 だから、初めからそういうように皆でまとまって話をしようという意思はなかったのでしょう。あったのですか、なかったのですか。あったのであれば当然事前に話し合いをして行かれるのが筋なんです。その話し合いを途中でけって行ったわけですから……。
○三浦参考人 事前に話し合いをしました。しかし、話し合いがつかなかっただけです。
○久保(等)委員 ただ、この前の委員会でお尋ねしたときに、いや、もう去年の九月から話がいろいろと内々にあったのだ、それで、実は、これはひとつ単独で話に乗ろうという態度だったのだというようなことを速記録を見ますと書いてあるのですよ。だから、それが恐らく本当だろうと私は思います。そうでなければ、話し合いをするというのなら、わずか十日や二十日で――とにかくオリンピックの開催がもう目睫に迫っておるなら別として、そうでない話を三月の一日から十日という、十日間の中で話をまとめてしまうというようなことは常識的には普通考えられないですよ。
 だから、それこそざっくばらんにお答えになると、前々からもうとにかく単独でやるのだという腹を決めておられたのじゃないですか。二月の十六日以前に、ですね。
○三浦参考人 昨年の八月でございますが、アフタヌーンショー三千回記念の交渉に参りました。(久保(等)委員「九月」と呼ぶ)放送が九月でございます。その八月の調印の際に向こうから、招請状が行ったら来るかという話がございました。それで行くという話をしました。それはスペインかどこかのIOCの総会でも発表になっているようでございます。去年の十月でございますか。
 それで、私どもは、招請状が来れば招請を断わる必要はない、しかもIOCの規則改正に伴って、単独で一放送会社に放送権を与えてよろしいというような規則もございますので、単独で話し合いがつけば単独でやってもよろしいし、もし仮に単独で話し合いがつかない場合にはみんなと一緒に話し合ってもよろしいし、いずれにしてもいいから、まず行ってソビエトのモスクワ組織委員会の話を聞いたらどうだ、日本の中でがやがや言っているよりも向こうの招請に応じて行ってみて、要するにそれからどうすべきだということを話したって遅くないじゃないかということで、そういうことについてそれはだめだという話でございましたので単独に行って――ですから、三月一日に私が参りまして、契約の時間はほとんど二時間以内で済みました。
○久保(等)委員 まあ、初めからそういうように単独でとにかく交渉をして契約を結びたいという意思を持っておられたことは、この前の、三月十五日の当委員会での高野社長からの御答弁でも、こういう部分があります。「これは昨年の八月以来の日約束であるけれども、もし招請状か各社あてに来て――各社単独でなければ契約は結ばないのだということをやかましく言われておりましたし、そのときには、よこされれば必ず来ますよ、そして相談に乗りますよという約束もしてあることだから、私の方はとにかくこの招請に応じて社を代表する者をやるつもりです。」と、こういったような答弁をせられておりますし、いまのこともあるいはそういったことを言っておられるのかと思いますが、そうだとすると、とにかく初めから単独で契約をしたい、契約をしようという意思かあったと認めざるを得ないと思うのですが、そういった事実はわかりました。
 それで、ラジオの放送なんですが、先ほどいろいろお話があって、何かちょっとあいまいになったのですけれども、ラジオの放送権は一体どういうことになっておるのですか。MOCに一応また返したような形になっておるのですか。やはりあなたの方で放送権並びに放送技術提供料の問題についても支払いをする、あるいはしつつあるというような関係から、当然おたくの方で放送権というものを持っておるのですか。どうなんですか。もうちょっとはっきり承りたい。
○三浦参考人 ラジオの放送権については、私どもが持っております。したがって、私どもにラジオ放送のあれがございませんが、権利委託をいたします。
○久保(等)委員 それと、やはり放送権料あるいは技術提供料とも関係をするのですが、モスクワから日本へ持ってくる間の中継回線というものはどういう構成でなされるのか。また、そのことによって相当な経費が必要になるだろうと思うのですが、そういったことについては一つの具体的なはっきりしたプランを持っており、金額的にもどの程度になるということも持っておられるのですか。
○三浦参考人 モスクワのテレビ・ラジオ国家委員会とKDDと私どもとの間で現在検討を進めております。料金その他についてもまだ明快には決まっておりません。
○久保(等)委員 それでは、時間がありませんから私の質問は終わりますが、ただ、いま言ったように、そういったことが明確にならない状態のままで協定書だけを結んだということは本末転倒だと私は思うのですね。そういったことをいろいろと積み上げていって、結局総額でどのくらいかかるということで、そこで話をまとめて協定書を結ぶというのが順序だと私は思うのですが、そういった問題について目下折衝中だとかあるいは今後なお引き続いて交渉しなければならぬというような要素を残しながら、なぜ急いで三月一日から十日の間に本調印をしてしまったのか。このことはやはり大きな疑問として残ります。
 そのことについては、特に放送法のたてまえから言っても、先ほど来お話がありますように、とにかく見る人が見ればいいのだ、国民全体が余り見られなくたって、テレビ朝日の会社の経営方針でやっているのだからという、そういう単なる私企業の勝手な独善的な経営方針だけは許されないということだけは放送法を十分お読みになって御理解を願いたいと思うのです。
 その点を御要請申し上げて私の質問を終わります。
○八百板委員長 鈴木強君。
○鈴木(強)委員 参考人の皆さんには、大変お忙しいところありがとうございました。
 実は、三月十五日のこの委員会で私は初めてこの問題を取り上げまして、関係の皆さんの御見解を承ったわけですが、それで、きょう時間がありますれば経緯についても、かなり私は納得できない点がございますので伺いたかったのでございますけれども、これはまた他日に譲りますが、私がその当時いつ契約の内容が明らかになるのかという御質問をいたしましたところ、五月の終わりごろになったらできるだろうというお話でした。
 なるほど五月の二十五日に放送権の契約書の内容が公になりました。しかし、一番大事な契約放送権料が出ていないということはまことに遺憾でございまして、この辺については私も後から触れますが、その際、「一九八〇年モスクワオリンピック放送権契約書公開に際して」という三浦さんの声明というか、見解といいますか、そういうものが出ておりますが、私はこの内容を読ましていただきまして、非常に問題があると思いました。
 一つは、この放送業界の内輪の不団結を国民の前に明らかにしておる。いろいろといきさつはありましたが、しかし、こういうことは結局放送界の団結を乱すことになり、みずからの顔にどろを塗ることにならないでしょうか。
 それはそれといたしまして、私ども国会の立場で断じて看過できないのは、一番最後の項に「国会の政治介入」という項がございます。これは一体どういう意味なのか、私には理解できませんが、少なくとも国権の最高機関である国会の、特にこの逓信委員会には電波放送行政に対する調査権があります。国会は電波放送に対する立法権を持っております。その国会が、このモスクワの放送権に対して理解のできない点があるから、それに対して意見を述べ、皆さんのやってまいりました内容についてお伺いするのは当然ではないですか。
 何を「国会の政治介入」とあなたは断定されたのですか。まことにこれはけしからぬ、国会侮辱であると私は思いまして、一応見解を聞きたい。
○三浦参考人 国会が問題にすることを政治と私は解する。したがって、私どもの契約上の問題について、何といいますか、私どもの意に沿わないことが非常に多くあったので「介入」というふうに言いました。国会を侮辱するという気持ちはございません。
○鈴木(強)委員 「介入」という言葉の解釈の問題ですが、少なくともここに書いてある文章上からとれるのは、いかにもこの問題について不当な介入をしたように、前段に引き続いて、その下の方にありますように、「IOCの承認したオリンピック契約書が論議となり、契約書公開には国際的な疑問を生じせしめております。」というようなことをつけ加えておる。よけいなことを国会が言ったという意味でしょう。あなたの意に召すか召さないか知らないが、それはあなたの意に召すことだけを私たちは言いませんよ。いいことがあれば、結構なことをやっていただいた、放送界のために非常によかったと言います。しかし、今回の場合には、少なくとも国民の期待に沿える契約ではないとわれわれは思ったから質問をしておるわけです。それに対してあなたがそうではないということをお答えになることは自由ですよ。そういう論議を戦わせて、このオリンピック放送権が本当にこういう形で結ばれて、四年後に日本の放送界を通じて全体の国民が民族の祭典を見られるのか見られないのかという心配があったからわれわれはこの問題を取り上げたのじゃないですか。
 そういうようにあなたが自分の意思に沿わないことがあったから書いたんだなんて、そんなことは通りませんよ。これはもう陳謝してくださいよ。あなた、これは取り消しなさいよ。
○三浦参考人 陳謝する意思はありません。
○鈴木(強)委員 高野社長、これはひとつ冷静に考えてみていただきたいと私は思うのです。少なくともこういう文句は、われわれ国会の立場におる者からすると本当に心外ですよ。正直言いましてね。(「読んでみたらどうですか」と呼ぶ者あり)まあ、これは読んだのですがね。ですから、社長としても、こういうものは恐らく皆さんからお話があって、御承認を与えて発表されていると思いますけれども、その辺のことについて社長としての見解を一言承っておきたいのです。
○高野参考人 私は三浦のあれは余りよく記憶しておりません。記憶しておりませんが、この点は御理解を願いたいのです。私たちは放送に従事しているのですか、新聞をも含めて言論、放送、その他一般に意見の自由な表明というものは日本の民主主義の一番大事な根幹である。
 これは神経質になるくらいに私たちはいつも考えておりますし、 そんなこともあるものですから、いま三浦常務のお話しのようなことも出たのであろうと思うのですが、私の方からのお願いとしては、放送と言わず新聞と言わず、言論の自由については、これを死守する覚悟で事に毎日当たっているんだという点をひとつ御理解願いたいと思うのです。
○鈴木(強)委員 言論の自由を死守することについては、これはもう異議がございません。公序良俗に反しない限り、番組の問題につきましても、放送法は明確にその基準を示しておりますからね。
 そういうことでなくて、少なくともこういう段階でわれわれも真剣に何とかその問題の解決をと思いまして、心魂を傾けて国会で取り上げてやっているのでありますから、そういう意味にとれれば、むしろ国民にも理解をしていただく場所をもって大いに皆さんの意見も発表していただき、そのことが国民世論となって支持をいただくような効果があると思うのですね。そういう点も全然考えないで、何か政治介入をして、オリンピック契約についてIOCとちゃんと決まったものを公開しろなんということを言うのは国際的にも疑問を生ずるというような、そういう物の書き方はおかしい。
 三浦さんの先般からの態度を見ておりましても、非常にぶっきらぼうで、自分の意見が絶対正しいんだというようなお考え方でもって答弁をされておるが、それは民主主義の時代には通用しませんよ。人の意見も大いに聞いて、そして、自分にもし過ちがあるならば正す、誤解があれば解いてもらうというところに進歩があるんじゃないですか。世の中は共存共栄じゃないですか。こうやって民放、NHKがお互いにその道で、放送法、電波法に基づいて国家、民族のために御努力をいただいているのですから、その中でできるだけディスカンションをして――内輪の中にあることはできるだけ外に出さないで、内輪の中で大いに論議することは結構でしょうが、そういうお互いの思いやりというか、友情と信義といいますか、そういうものなくして放送界の円満な発展は期待できませんよ。あなたは意思がないと言うんだから、ないならそれでいいですわ。時間がありませんから、これはまた改めてやります。
 それから、先ほどから放送権料の問題についてあなたはかたくなに金額の発表を拒否しておりますけれども、参議院と衆議院との質疑の中で、契約書の内容についてわれわれが質問したときにも、どうもちぐはぐなことを言っている。現に、四月十九日の参議院逓信委員会で、あなたはこういうふうにして総額を認めているじゃないですか。問いが「総額であなたは幾らで契約をされましたか。」で、あなたは、「申しわけありませんが、お答えできません。」と言っている。そこで質問者が、「あなたは新聞記者との会見で総額は二十五億強だと、こう言われたと思う。これは間違いありませんね。」と言いましたら、答えは、「臨時回線料、銀行利子、制作費すべて合わせて間違いありません。」と言って、「そうすると、二十五億強というのは幾らになりますか。」「わかりません。」ということで、こういうとんちんかんな、全く人を食ったような答弁をされておるわけです。
 そこで、少なくとも参議院でこれだけのことが答えられておって、衆議院のこの委員会で言えないということはどういうわけなんですか。
○三浦参考人 ぶっきらぼうだという御指摘でしたが、簡単にということでございましたのでそういうふうになるんだろうと思います。
 それから、放送権料は幾らかという御質問があって、これが要するに放送権料を発表しなければ公共の福祉に反するというような言い方と、それから、われわれが放送の権利について、契約についてまだ発表していないそのときに、NHKに示された草案に基づいてあたかも何か被告みたいな扱いをされた、こういうことに対して私は腹を立てたということを御理解いただきたい。
○鈴木(強)委員 それは何だか正常な判断でお答えをしているとは思いません。
 私の聞いておるのは、参議院の方で、放送権利の問題について、放送権料と技術提供料で幾らになっているかということがずっと続きまして、あなたはかたくなに拒否してきているわけです。しかし、最後に質問者が新聞記者との会見の際の総額を示して、それをあなたは認めているじゃないですか。参議院でそのことを認めておって、きょう質問が出た場合に、参議院ではこういうふうに回答しておきましたぐらいのことがなぜ言えないのですか。そこを聞いておるのですよ。
○三浦参考人 記録をごらんになればわかるだろうと思いますから、私がわざわざ参議院でこういう答えをしましたと言う必要はないのじゃないでしょうか。
 それから、もう一つは、放送権料が幾らだという御質問があって、それに対して参議院ではこういう記者会見の話があったかという質問があったので、それに答えたわけなんです。ただ、放送権料が幾らかということについてはその中でも触れておりません。
○鈴木(強)委員 私はどうも質問を続けることがばかばかしくなりました。しかし、社長も来ておりますからお伺いします。
 いろいろと経過はございますが、私は、この場合には、多くの過去の経過を言うよりも、実際に八〇年に迫っております民族の祭典、モスクワオリンピック大会の模様を全国民、視聴者にどうして届けるかというところに論点をしぼっていきたいと思います。
 そこで、最初にラジオのことですが、IOCの規則が今度改正になりまして、放送権という解釈についても明確になりました。そこでラジオも当然入ってきていますね。したがって、ラジオについてはこの前の委員会でも高野社長からお答えがありましたように、招請が参りました当時、テレビ朝日、当時の十チャンネルにもラジオのことはもちろん入っていなかった、他のNHKを含む三社にもなかった、向こうに行って初めてわかった、したがってそれを入れてきた、こういうことでございます。ですから、もともと他のNHKほか三社については招請状の中になかったものでありますから、結果的にあなたが行かれて、向こうでラジオを入れた。改正になっているから向こうでそういうことになってきた。ラジオを含むということになっているから、そうだと思うのです。今度の改正で明確になっていますからね。したがって、決めてきたけれども、さあ自分のテレビ朝日にはラジオはない、したがって権利を委託する、こういう方法でやろうとしたのでしょう。
 ですから、社長、この点はどうでしょうか。一遍もとに戻して、とにかくテレビ朝日が放送権を持っていることは間違いないのですが、しかし、できないのですからあるいは放棄するかもしれぬという状態にあるときたけに――この点はテレビの問題とも関連はしますけれども、できればNHK以下全部か同じテーブルに着いて、そして新たな観点からこのラジオの放送について御協議をいただいて、まず円満にできるような方法を考えたらどうか。同時にできるならば、この際、テレビの放送権獲得については当事者の中にはいろいろと問題もあるでしょうし、御意見もあるでしょうが、しかし、忍びかたきを忍ぶといいますか、そういう観点に立って民族のことを考え、日本国民のことを考えて、何とかしてこの放送が全国民に見られるように、そういう英知を集めてやることか当面放送業者に課せられた使命であり、私たちとしてもそういういろいろな感情を乗り越えて何とかできるような方途を見出していきたいと、みずからも私はそう思っているわけです。ですから、ラジオの方について、まず一遍振り出しに戻っていくようなことはできないでしょうか。
 そして、私はそのときにテレビ朝日にお願いしたいのは、やはり今後もあることでございますから、IOCとの間の交渉というものは、NHK、民放か一体となって――日本には公共放送と民放が併存しているわけですから、とにかく放送業者が一体になって、日本の意思として向こうとの間に契約をしていくというような筋道をこの際お互いに確認し合って、そして今回の場合は事情がいろいろありましてこうなったわけでありますから、今回は何とかうまくいけるような方法を見出して、放送権の問題については、今後日本の放送界が一体になって開催国のOCとお話をしてこれを結んでいく、こういうふうなところまでお互いに譲り合って問題の解決をする、そういうことがなければならぬと私は思うのです。
 まだ若干日時があるように思いますけれども、光陰矢のごとしで、どんどんと時間は進んでまいります。その間にはいろいろな私がこれから聞きたいような問題もございますから、そういう点を含めて何とかやれないものかという気持ちをいま私は持つのでございます。小林会長の先ほどの御意見も承りまして、タイミングとしてまだ無理かなという気も私はしますけれども、しかし、私はそれが念願なんです。そして、次のことまでお互いに確認し合って、今回は円満にテレビ朝日が契約してきたが、その放送権を全放送業者が公平に利用して放映できるような道を開いてもらえないものだろうかと私は思うのでございますが、これはどうでしょうか。
 高野社長、NHK、それから民放連の会長さん、どうでしょうか。その点について、もしここでできないとすれば検討ぐらいしてもらえませんかね。もう少し幅をもってこの問題の解決に当たってほしいなと私はつくづく思っておるのです。実は、本当に悲壮な気持ちで、国民を代表して皆さんに頭を下げてもやってほしいと思うのですね。
○小林参考人 ただいま非常に御熱心な御発言があって私どもも感激いたしたものでありますが、私は、この問題は、国民に全部見せるということと、どういう条件で見せるかということと常に二つあって、この条件を考えなかったらばこの話はなかなか進まないと思うのです。
 いま問題になっておるのも、ともかくも金が幾らかかっておるかわからぬ。つまり、完全に独占権を握っておられますから、簡単に言えば、どうするかは独占権者の腹の中にすべてがあるわけです。
 私は何でもないと思いますよ。従来が、モントリオールが仮に二百万ドルなら二百万ドルで、それから、もし合理的にわれわれが日本全部が一本でやったならばどの程度で話がついたであろうか、つかすべきであったかという金額が当然あったと思います。それで、NHKさんは受信料を取っておられるのですから当然ただで見せたらいいのじゃないかということで、やはり妥当な値段でしかNHKさんは購入されるべきじゃないと、私はそう思います。金さえ払えばいいというのなら、これは何でもないんです。われわれ民放四社が一緒になれば、こう言っちゃなにですけれども、どれだけでも積むことができました。しかしながら、私どもはそうすべきじゃない、妥当な金額でこの問題の話をつけなければいかぬということ、これがわれわれの一貫した考え方で、それは本当は国を挙げてやれば可能になったと私は思うのです。それは現にいままでの何遍かの経過を見てもわかりますし、恐らくはヨーロッパのEBUもそういう形で、必ず妥当なところに話を振りつけますよ。私はそれは信じています。そんなばかなことはEBUがするはずが絶対にありません。そういうことでやればよかったのですが、残念ながらこういう結果になってしまった。
 そうすると、この結果を前提にして、どうして私どもとしてその結果のしりを分担することができるか。たとえば数十億の金になったら、その金で民放が分担してやるということはできないし、NHKさんとしても絶対にやっちゃいかぬ、そんなばかなことをしちゃいかぬと私は思いますよ。NHKさんはNHKさんでおのずから限度があるはずであって、それだから、それだけ金がかかったけれども、金は全部テレビ朝日が負担するのだ、おまえら従来の条件で使ってくれということにでもなれば途端に問題は解決をしていく。それにしても、あの契約条項かある限りは――これはそれぞれの放送事業者の考えですが、私は日本テレビとして、あの契約条項がある限りは、あのもとでは、あとは金の問題はただであっても引き受けるわけにはいかぬ。これは私の気持ちです。
 これだけ明白に申し上げておいた方が、全体として今後どうしたらこの問題が解決するかということの一つのヒントというか、道になるじゃないかと思うのです。ただ、これは非常に私の個人的な見解もあって失礼でございますけれども、率直に申し上げておきたいと思うのでございます。
○坂本参考人 NHKも、さっきの答弁で申し上げましたように、オリンピック放送というのはNHKがやらなければならない放送の一つであるという認識のもとに対処しておるつもりでございますけれども、やはり、それにも前提条件があるであろう、その前提条件を国民の皆様が納得がいくような形で整わせるというのが私どもに課せられた使命だろうというふうに思っておりますので、そういう点について先ほど申し上げましたような結論で進んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
○高野参考人 非常に熱誠のこもった御発言でございました。私どもの考え方は初めから申し上げておるとおりでございます。これは排他的にどうしようなんという考えはないのですか、しかし、契約の根本に触れて、この契約では協調ができないというようなお考えがもしあるとすれば、これはとてもお話のできることじゃない。
 ただ、私は、いま小林さんの言われたことにちょっかいを出すようで悪いのですけれども、オリンピック放送をするためにいろいろな準備が必要です。いまそれに忙殺されておりまして、この準備が来春かなりのところまでかかるのじゃないか、そして、どう編成して放送するかという骨格ができるまでにはかなりかかるのじゃないかと思います。しかし、率直に申して少し時間がかかっていた方がいいのじゃないかと私は思っております。火の手が上がったばかりでかっかとなっている向きもありますから、時間をかけてこちらは準備を十分にする。また、どういう形で全国の皆さんに見ていただけるような契約の方式にするか、そういうことも十分にいろいろな角度から検討しなくてはならないと思うので、私どもの原則はもう初めから決まっておることですが、相手のあることですから、これはまたそれを私たちに責められては困るのでありまして、先生方がおっしゃるように、これだけ国民的に大きな行事であるとすれば、多少のことはがまんしても、もし御議論があるなら、これを国民におれのところは出さないのだというお考えは恐らくなさらないのじゃないかと、その点は私は楽観しております。これでお話を終わります。
○鈴木(強)委員 まだタイミングの点で若干合わないような気もいたしますが、高野さん、どうでございましょうか。今度のMOC、IOCとの間でおたくで契約をされましたけれども、これだけのいろいろな問題を醸し出してきているわけでございますね。ですから、ちょっと私は次のことまで申し上げて失礼なんですけれども、今後日本の放送業界、放送事業者は、こういう場合にはやはり一体になっておやりになった方がよろしいのじゃないかという強い気持ちを私たちは持っておるものですから、そういうことなども話し合って、将来の展望の中で、過去のことはお互いに水に流して、そして当面の次の八〇年の放送か完璧にいくようにして、その禍根を再び将来に残さないようにということをよく話し合っていけば道が開けるような気も私はするわけなんです。これはちょっと次の段階まで飛躍して悪いですけれども、そういうことがこれを解決する場合に必要だと思うのです。
 別に今度が悪いとかなんとかということではなくて、やはり大局的な立場に立って今後はこうした方がこういう論議が国会の中でも起きないし、モントリオール方式というのはみんなに称賛されてやられたわけですし、済んでおるわけですから、そういう道を選んでほしいなと私は思うのですが、どうでございましょうか。
○高野参考人 御説、感銘してお聞きいたしております。
 ただ、実際問題としてどうなっていくかは私もまだ見当もつかないような状況でございます。その点は御了承願いたいと思います。
○鈴木(強)委員 最後に、この問題について大臣に御所見を承っておきたいのですが、大臣は先ほども稲村さんの質問に対して何か楽観的な御答弁をなさったのですが、そうなることを期待するものとして結構ですが、いま聞いてみますと、これはまだ峰があるように思いますね。
 そこで、これは番組のことではなくて、少なくとも放送の基本にかかわる問題ですから、大臣がこの前も述べたように、不当介入ではないですね。ですけれども、やはり物を言わなければならないときは言わなければならぬ。そういう観点に立って、やはりお互いに良識があるのですから考えておると私は思うのです。りっぱな人たちですから、国民の要望と期待にこたえるような道をどうして探していくかという、その探し方をどうするかということでいまお互いに――これはまた時期もあれですからと思いますけれども、そういうことについてあなたが直接入っていくと、これは問題になるかもしれませんけれども、あっせん役的なことはしていただきたいわけです。たとえばNHKがまたもう一遍朝日さんの方とするとか、民放連と一緒になってやるとか、そのやり方はお任せしますけれども、いずれにしても、大臣がイニシアをとられまして、何とかうまくいくような方途を見出していただくようなことを考えてほしいと思うのですよ。
 それから一面、個別の契約についても将来やはり――各国においても民放か幾つもありますよ。イギリスのように公共と民放のあるところもあるし、わが国の場合はアメリカナイズしておりますから放送局が多いですよ。だから、そういう国では一社との契約ということになると必ず問題が起きると思うのです。ですから、これはIOCの規約なり何なりの改正の場合に、日本としては、今後、そういう国の代表はだれを出してそこと契約を結ぶかということも考えておいたらどうかと思うのです。これは規約を変えればできると思います。そういうことまでここでやっておかないと、また再び三たびそういう問題が出てくるような気もするのですね。
 ですから、そういう点も含めまして大臣からもう一段とこの問題に対して御努力をいただき、われわれもまたあとう限りの力を振りしぼって円満解決のために努力をしたいという決意を持っておるものですから、さっきから私は提案しておるのです。
○小宮山国務大臣 まず、第一の考え方は、先ほど申しましたように、放送事業者そのものが自主的に話をすべきであるということで、私自身いろいろな腹案そのものは持っております。しかし、これは言うべきではない。また、その前に土壌づくりをすべきだと思いますけれども、いまの段階ではまだまだそういう自主的な話し合いを待っている段階で、何度も申し上げますけれども、知的最高水準の集団でございますから、それなりに円満解決をするものと期待しております。
○鈴木(強)委員 では、時間が来ましたから最後に伺いますが、取材などに必要な要員というものがございますね。その要員はこの話の中では一体どの程度お認めになっておられるのか。そういう人たちが一体いつごろからモスクワの方に行って準備にかかるのか。
 もう一つは技術提携についてですけれども、放送方式も変わっておりますか、この点は勉強してみますとスイッチ一つでやれるようでございますから、これは安心しましたが、ただ、衛星中継を使うということになりますと、限られた回線の中で各国ともたくさん使うでございましょうから、回線の利用が大変問題になってくると思うのですけれども、そういった回線利用等を含めましての話し合いというものはこれからなんでしょうか。どうなんでしょうか。
 この点だけ伺っておきたいと思います。
○三浦参考人 回線その他については、先ほど申し上げましたように、モスクワのテレビ・ラジオ国家委員会と、それから経理の関係者と私どもと検討中でございます。まだしっかり決まっておりません。
 それから人員その他についても、主に技術者の問題だと思いますが……(鈴木(強)委員「記者」と呼ぶ)
 それと一般記者の場合はまた違うので、この放送とは関係なく、一般記者問題は、放送記者という一般取材記者とちょっと違いますが、われわれの方のアナウンス、それからアナウンスに伴う通訳、それからそれに伴う解説者、運動部の担当者、これらの面については現在私どもで検討してあります。
 したがって、モスクワにおける競技日程が九分どおり決まったといいますか、まだ全部が一〇〇%決まっておりませんので、番組編成が決まり次第、そういう問題についても、モスクワオリンピック委員会と私どもと、それからソビエトテレビ・ラジオ国家委員会と私どもというふうに協議に入る予定でございます。
○鈴木(強)委員 委員長、ありがとうございました。
○八百板委員長 午後一時十五分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十八分開議
○八百板委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 電波監理及び放送に関する件について質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
○竹内(勝)委員 本日は、参考人の皆様方には、長時間にわたりまして本当に御苦労さまでございます。
 午前中の審議に続き、できるだけ重複を省いて、この問題に関して、ちょっと他の面の関連も含めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、最初に、小林民放連会長にお伺いいたしますが、二月の中ごろ、民放連、NHK、五社との話し合いの中からたまたま、どうやらテレビ朝日さんが単独で交渉に入っているのではないかというような意見を他の放送局の代表の方が言われた。そういうようなところから、これはちゃんと足並みをそろえてやっていこうといった立場でおったのが崩れてきたというように伺っておりますけれども、その後の流れでは、そのときには高野社長さんは形の上ではそれはないというように打ち消した形になっておったと私は伺っておりますが、その辺の状況を、簡単で結構でございますから、その二月の中ごろの五社の話し合いを民放連の会長からお願いしたいと思います。
○小林参考人 私も詳しい日時は記憶しておりませんが、一般的な状況では、当初モスクワから招請が来るらしい、そうしたらそれに対して朝日放送さんが出られるそうだが一体どうするのだ、朝日放送さんが出られるのならわれわれも行かざるを得ないのじゃないかという趣旨の話が東京放送さんから出たのは事実でございます。
 そこで、私どもは、これは従来から伝統があって、モントリオール方式も事実上確立しているとこちらも了解しておったものですから、そういう方式でやるのがあたりまえだという前提で五社長会なりあるいは在京の報道局長会なりが話を進めておったのでございますが、しかし、なかなかはっきりしたお話が出なかったというのも事実です。ともかく先ほど来いろいろお話のあったとおり、招請が来たんだから一遍行ってみたらどうだとか、行った結果によってまた考えようじゃないかというようなお話し合いかあったことは事実でございます。
 それで、私は、最初は、ここでこんなことを言っては悪いですけれども、最後は結局話がつくものだと思っておったのですが、時間がたてばたつほど朝日さん側の意向がむしろかたいということがいろいろな形でわかってきまして、最後はどうしてもというので、高野さんにも、私は民放連会長として、また民放連の報道委員長も連れてお伺いして、何とかそうせられぬかという話もしたのですけれども、結局ともかくも単独でやるのだということをおっしゃいましたから、これはもうしょうがない、とすれば民放連としてはこの問題は手を引かざるを得ない、そうなればTBSにはTBSの考えがありましょうし、フジにはフジの考えがあって、民放連が拘束しておって他のキー局がのけものにされてはいかぬからということで、民放連としてはぎりぎりのときになって、私はもう手を引く、それじゃそれぞれの招請を受けた各局の自主的な判断で考えるより仕方がないじゃないかということになったのが二月の末の、その日は私ははっきり覚えておりませんか、いつ行くかという本当の土壇場のときだったろうと思います。
 そういうことで、どうしてもNETさんが行かれるのならばあとはどうするか、あとはばらばらじゃおかしい、せめてあとの招請を受けた局はNHKと一緒に協力してやった方がよかろうじゃないかという形になったのがおおよその経過でございます。
○竹内(勝)委員 一般的に考えて、テレビ朝日さんが単独で交渉する、しかも日時が三月一日から十日というように非常に限られた中でMOCの方からの要請があるわけでございますし、いまの民放連の会長のお話のように非常にぎりぎりの段階まではっきりしたものがなく、そしてばたばたした状況で、NHKさんを中心としたグループとそれからテレビ朝日さんとの両方での話し合いが、これがMOCとの話し合いになったわけでございますけれども、そのグループの方はいろいろと連絡をとり交渉を進めていく段階には、自分だけの考えというわけにはいかなくなって、この問題は非常にむずかしくなるということはいまの経過の中からもこれは当然わかるわけでございます。
 そこで、テレビ朝日さんとしましては、この段階でわが社でやるのだとはっきりと決めたのは一体いつでございますか。
○三浦参考人 現地時間の三月四日でございます。
○竹内(勝)委員 私は、その契約の段階のことを言っておるのではないのです。わが社としてやりたいと考えたのはいつなのかということです。
○三浦参考人 昨年の八月でございます。
○竹内(勝)委員 そうすると、いまの民放連会長の話とちょっと食い違う点が私には感じられるのです。
 というのは、私の聞いておるのでは、二月十五日に民放連とNHK、五社の会合があった、そのときにTBSさんから、ひょっとしたらこれはテレビ朝日さんか単独でやるのではないかという話が出た、そういった話が出たときに高野さんはそれを暗に打ち消したというように伺っておりますが、その真意のほどをお伺いしたい。
○高野参考人 二月の十四日と記憶していますが、五社長会議がございました。その席で、突然、諏訪前東京放送社長から私に向かって、高野さんの方にソ連から招請状が来たといううわさがあるが本当ですかという質問があったわけです。私はびっくりしたのです。というのは、そういうものがその時点で来るということも考えておりませんし、現実に来ておりません。それでびっくりして、いや、そんなことはまだ何にも来ていませんよということで、それなら、いま小林さんか言われたように、あなたの方に来てあなたの方がやられるなら私の方も考えなくちゃならぬからというようなことがあったのです。
 ただいまの三浦常務からのお答えの昨年の八月の話というのは、要するにオリンピックを各社別々に今度は交渉するつもりである、その場合にはあなたの方は来てくれるだろうなというような、むしろ来てもらいたいような話が再々あったということはその当時聞いておったわけです。したがって、またそういうものがあるいは来るかもしれないという若干の予感は持っておりましたが、その後特別のそれに関する情報は来ておりませんでした。したがって、十四日に聞かれたときにちょっと私はびっくりしたくらいなんです。いや、私の方にはそういうものは来ておりませんよ、来るという話も聞いていないと、そういうことでそこは済んだわけです。
 それで、あれが十四日ですから、たしか十七日ごろだったかと思うのですが、民放連の理事会がある日でしたが、その日の午前中にテレックスがモスクワから入った。それは招請状であるということの報告を受けました。そして、その報告を受けて、内容も聞きました。オリンピックの放送について貴殿と協議をしたい、その期間は三月一日から十日までの間が一番こちらとしては都合がいいのだが、なるべく都合して来てほしい、代表者をよこしてほしい、と、こういうテレックスが参って、それで、それを知ってから私は民放連の理事会に出たわけです。
 そのとき各社は、社長さんたちの手元に招請状は同時に恐らく発送されたと思うのですが、入っていない人の方がどうも多かったんじゃないかと思うのです。そこで小林会長から、こういうものが来ているそうだ、これは大きな問題だが、各社のこれに対する態度はどうかという質問がありまして、その時点で、その招請状は四社に来たということもわかりました。
 そのときに私は八月以来のいきさつの話を――また、こういうことを申しては坂本会長には申しわけないのですが、民放ももうすでに百五社を数えておるのだが、少し大きな催し物になるとNHKがこれを代表するというようなことが必ず出てきて、そしてもめていることも事実です。また、民放連の中にこれついての不満も相当存在していることは否定できないわけです。そういうことを私は日ごろから考えてもおりましたし、その席でも、大きいものだからといって必ずしもNHK単独ということは考えることないんじゃないか、この際われわれも自主的な立場でひとつこれに当たってみるのが本当じゃないかと思う、それで、この八月以来のいきさつもあるから、私の方はソ連の要請に応じてとにかく人を送りますと答えたのです。これに対して格別どの理事からも、それはけしからぬ、いかぬというふうな発言はその日はなかったのです。そういう事情です。
○竹内(勝)委員 そのいきさつに関してはそれにとどめておきますが、この契約に関して三浦常務は、金額の面に関しては企業秘密等を考慮されて言えないと言っておる。それは結構でございます。しかし、ちまたに言われておるのは、二十数億あるいは三十億くらいではないかと言われていますし、私はそれを前提として話をさせてもらいます。もしそれが間違っていたり、反論がありましたら言っていただいて結構であります。
 それに関して、それほどの高額なものを三浦さんは安いと言っておる。高野さんは、三十億という話が出たときには、そんな高いものじゃないですよと言っている。社長と常務との間に食い違いがありますが、この辺をお二人からお答えください。
○高野参考人 仮定のお話で私がお答えすることはできないのですし、また、その三十億というのがどこから出てきておるのかも私にはよくわかりません。しかし、私と三浦本部長との間に数字の相違がもし仮にあるとすれば、それは契約書の金額と、それ以外にかかる金額とか、そういうようなもので、私は契約書だけのことを考え、三浦本部長は、その後の、これを放映するまでの全費用を考えて食い違いかあるいは出たのかもしれません。しかし、これは私の想像です。
○三浦参考人 三十億ということはございません。もっとはるかに安いです。それから全部を合わせて、参議院の、先ほどの質問にあったような金額内にとどまるということはもう明らかでございます。
 それを安いと言ったのは、百数十時間にわたって私どもは放送いたしますので、それを一時間単位に分けますと、私どもがいま買っておる洋画や、それから一般番組というふうなものから見て高いものではない。したがって、一般的に言われているように、消費者にふっかかるからいかぬとかなんとかというようなことではございません。一般的な番組よりも低い料金のもとに放送ができますということを再三申し上げておるのであります。
○竹内(勝)委員 金額の面に関してもう一点お伺いしますが、私は反論があったら言うてくださいと言いました。一応私の言っておるのは、放送権料、技術提供料といったものを含めた金額で申し上げておるのです。社長さんはぜひその点を御理解いただきたい。
 そこで、三十億よりはるかに少ないというのは、半分以下と考えてよろしいですか。三浦さん。
○三浦参考人 いや、そういうことではございません。
○竹内(勝)委員 それでは、私が大体二十数億と申し上げているものに関してはどうか、もしも間違っておったらまた言うていただきたいと思います。
 そこで、NHKの会長にお伺いしますが、モントリオールのときの総経費放送権料、技術提供料、それから向こうでの送信に関し、あるいはこの放送に関してのいろいろな滞在費等を含めての総額ですが、放送権料と技術提供料かそのうちどれくらいかという面を教えてください。
○橋本参考人 モントリオールの場合は、御承知のように放送権料は百三十万ドルでございます。それから技術提供料が五十万ドルでございます。したがいまして、両方で百八十万ドルでございます。それが当時の金で一ドル三百円ちょっとだと思いますが、そういう計算になります。
 このテレビ権料、それから技術提供料、現地からの回線、いわゆる衛星中継費、現地へ行って番組をいろいろつくる費用、派遣費等々を含めまして、NHKと民放連さんの負担額総額が八億一千万でございます。そのうち民放連さんに御負担願ったのが一億七千、したがいまして、NHKの分か六億四千という数字になっております。ただし、このNHKの六億四千の中には、NHKの派遣の経費、つまり旅費、日当等も含まれております。民放さんの方は一億七千のほかに何名でしたか、十九名ですか、派遣されております。これは派遣費、旅費、日当は派遣した各社がそれぞれ分担しておりますので、実質的には一億七千プラスアルファという数字になります。
○竹内(勝)委員 いまの説明の中でもわかるとおり、まあ、いまドルで申されましたが、私の手元にあるこの資料にもあるとおり、モントリオールの場合は、放送権料、技術提供料合計で五億四千万という形で済んでおります。
 いま派遣費、いろいろな諸経費というものをお伺いしましたけれども、私はテレビ朝日さんにお伺いしたいのですが、前回は五億四千万円で済んだものが、諸経費を入れないで、現在のところ一応二十数億と私どもは踏んでおりますけれども、これが安いという感覚は一体どこにあるのか。もう一度三浦常務からお伺いしたい。
○三浦参考人 先ほども申し上げましたように、私どもが単独で百数十時間放送いたします。それを掛けていきますと、現在一般番組制作もしくは洋画の買い付けから見て、比較検討して安いというふうに言っているわけでございます。
○竹内(勝)委員 これは比較対象が違うわけでございます。私が言っておるのは、このオリンピック放送に関してということでございまして、ほかのスポーツであるとか、その他のものを考慮に入れたならばそういうような意見が出るのもやぶさかではないわけでございます。しかし、どう見てもこのように多額な金額になっていく。
 そこでお伺いしたいのですが、これからいろいろな技術や、それから向こうでの諸経費一切のものを含めていくと相当な金額になりますが、果たしてこれはコマーシャルベースでペイするのですか、しないのですか。この面に関してお伺いしたいと思います。
○三浦参考人 私がモスクワに参ります前に、私どもが公共放送として社会還元しなければならない面を考えまして、私どもの経費節約その他を全部含めても十億程度の赤字ならやっていけるというふうに私は考えて行きました。
○竹内(勝)委員 そのことに関しては、いまの放送権料を今後――これは仮定でございますか、いまテレビ朝日さんの場合は、全国に放送するというものに関しては、何らかの形で他の放送局等と連携を結んでいかなければできません。同時に、この放送権料という問題で、これはまだ未知の問題でございますが、あるいは他の民放と共同でやろうとしておるのか。あるいはまたNHKを含めて他の民放とも、あるいはNHKとも共同でやりたいと考えておるのかどうか。
○高野参考人 そうした根本的な問題は幾つかの考え方があります。それを、ただいま私は私のところにオリンピック実行委員会というものをつくって、副社長を委員長にして作業をやっておりますか、そういう根本的な問題をどう解決するか、どういう方式をとるかということは目下検討中です。
○竹内(勝)委員 それでは三浦さんにお伺いしますが、一応十億の赤字くらいになるんじゃないかと見ておるというのは、完全に単独でやった場合のことでございますか。
○三浦参考人 モスクワに行くときに、モスクワオリンピックをやる場合に十億ぐらいの赤字でも、社会還元ということで、私どもの経費を節約しても企業としてやり得るというふうに感じて行きましたということなんです。
 ですから、いま十億の赤字が出るということではございません。りっぱに私どもはペイできるというふうに自信を持っております。
○竹内(勝)委員 私が申し上げておるのは、たとえばこの放送を他の民放あるいはNHKと共同してやる場合に、そこには当然それに関した権料というものがつきまとってくる。そういうものを含めた上で、そういうものを入れた上でペイできると考えておるのかどうか。あるいはそういうものは全然考えなくてもペイできるんだという自信があるのかどうかということを聞いているのです。
○三浦参考人 NHKを含めて考えておりません。
 ペイできるというのは、私どもか単独で放送をして、要するに各社との間に話し合いが行われるということを先ほど私どもの社長の高野から申し上げましたが、そういうものも含めて私どもが単独でやってペイできるという自信を持っております。
○竹内(勝)委員 そこで、私は大臣にお伺いしたいのですけれども、大臣は過去の逓信委員会、本委員会におきましても、あるいは参議院の委員会におきましても、知識集団であるから必ずや時か解決するであろうと非常に楽観されております。私は、その後の段階でだが、余りにもこじれていった場合にはこれは介入せざるを得ないという発言をしておりますけれども、三浦さんのお考えは、私の一社だけでもペイできると、それはコマーシャルベースの問題で言っております。しかし、今後の問題として、一社だけでは全国で見れないところが出てきます。そうすると世論があります。そうすると、何とか他の民放あるいはNHKでというような形が出てこないとも限りません。そういった場合には合同でやっていくというような形になりますか。
 もしもいまの三浦さんのように、いや、やらないのだ、やらなくてもペイできるのだということになると――同時に、また、午前中の審議の中でもありましたとおり、民放連会長、NTVの社長でございますが、わが社はやらないと言っておる。もしもNHKもあるいは他の民放もやらない、そうしてテレビ朝日さんのみでやるのだといった形に最悪の事態になったときに大臣はどう介入するのですか。
○小宮山国務大臣 私から先回衆議院で、積極的かつ公正に介入すべき問題を含んでいるのではないかという発言がございましたが、しかし、その前に、放送法第三条の趣旨あるいは第一条の趣旨を曲げようとは思っておりませんということを明確に言っておりますので、私自身は放送法第一条、第三条の問題を頭に入れて、先生のおっしゃるようなことは放送業界の自殺行為でもあろうと思いますので、そのようなことはないと思っております。
○竹内(勝)委員 ないという楽観的な見方でいけばいいわけですが、私が聞いているのは、ならなかった場合はと言っているのです。ならなかった場合、これは見れないところが出てくる。見れないところが出てくる場合にどうするかということです。しかし、現在の段階で私がこれを大臣に、ではどのようにという回答を求めてもちょっとむずかしい問題ではないかと思いますので次に移ります。
 一般的な業界の民放関係のことの中で、民放連会長及び高野社長にちょっとお伺いしたいのですが、こういうようにどんどん競争が激しくなってきて、そして金額が上がっていくと、そうすると当然コマーシャル料を上げなければならないし、あるいはその中において、そのほかの労働条件であるとか、下請であるとか、その関連の外注面への締めつけというようなことが、これはあってはならないわけでございますけれども、そういったものが影響してくるわけです。
 そこで、私はお伺いしたいのですが、まず民放連の会長にお伺いしますが、最近、この放送業界の中において、かなり若い人が精神神経系統の疲労で亡くなっていった、あるいは病気になったというような例が幾つもございます。私は聞いておりますが、わかる範囲で最近のものを知らせてください。
○小林参考人 ただいまお尋ねの件ですが、いま手元に資料がございませんので、ここではちょっとお答えできませんが、必要なら……。
 NTV社のやつですか。民放も全部ですか。
○竹内(勝)委員 あなたの社のものを……。
○小林参考人 それでは、いずれ御報告申し上げます。
○竹内(勝)委員 社長が、あなたの社のものがいまわからないのですか。
○小林参考人 知りません。間違っちゃいけませんから……。
○竹内(勝)委員 それでは、高野社長にお伺いしますが、あなたの社ではどういう状況になっておりますか。
○高野参考人 一種の職業病的なものと思うのですが、そういう事実があるという話は、私はまだ一度も報告を受けておりません。したがって、数字を、さらに事情を調査させないとはっきりしません。
○竹内(勝)委員 私はこういった面を憂えるのです。なぜかというと、こういうような競争の原理の中で最後に締めつけになってくるのは、そのもとで働いておる労働者でございます。同時に、また、それに関連した企業の人たちというものが非常に苦労をしていかなければならない。
 しかも、民放連の会長、あなたはあなたの社のことも、いまそれを現在の段階では掌握できてない。わかる範囲でよいと私は言っておるのです。何も細かいことを言えと言っているのではないのです。高野さんもやはり同じ原理でございますけれども、いまここに私の手元にある資科だけでも、最近は死亡年齢も四十歳前後といった人たちがふえてきております。平均年齢で三十八・五歳と、亡くなった人の年齢が下がってきた。
 ちなみに、テレビ朝日さんの場合を言えば、この一年間のことを言いますが、三十三歳の方が心筋梗塞で亡くなっております。四十歳の方が脳溢血で亡くなっています。三十四歳の方が心筋梗塞で亡くなっています。さらに、また、NTVさんのことを言えば、四十歳の方が急性心不全で亡くなっております。四十五歳の方が心臓麻痺で亡くなっています。それから四十歳の方が胃がんで亡くなっています。三十六歳の方が心不全で亡くなっています。このように病人等がふえてきておる現状というものをよく考えていただきたい。
 だが、私が申し上げたいのは、その反面大変な利潤を得ておるということですが、民放キー四局のこの五十二年三月の決算のもので結構でございますが、その利潤の状況、売り上げの状況をわかる範囲で結構ですから答えていただきたい。何%ふえたとか、どれくらいもうかったとかいうもので結構でございますが、まず民放連の会長から、それから高野さんから答えてください。
○小林参考人 今度の中間決算では、私のところの利益は十八、九億くらいになるだろうと思っております。
 それから、えらく恐縮でございますが、さっき神経系統で亡くなったというふうに聞いたものですから、私は自信がなかったので申し上げなかったので、お許し願いたいと思います。神経系統で調べたいと思います。
○高野参考人 私のところは、利益で大体十五億くらいの利益が出ていると思います。ちょっと急ですから正確ではありませんが……。
○竹内(勝)委員 そういうように認識をされておるのでございますけれども、私がちょっとここで申し上げておきたい点は、これだけの不景気の中で、民放四局の例をとりますと、実は売り上げでは平均二〇%伸びています。そして、経常利益に関しては、テレビ朝日さんは三十四億、六倍です。そしてフジテレビさんは三・二倍、日本テレビさんは二・三倍です。こういうような非常に多くの利潤が出ておるわけでございますけれども、その反面、下請であるとか、あるいは外注であるとか、こういったその下におられる人たちは非常に苦しんでおる状況です。同時に、また、コマーシャル料というものはどんどん上がってきております。それは結局広告費という形で、それが物価にはね返るのです。したがって、競争の原理でこれはしようがないんだと、このようにしてどんどんつり上げていった場合には、それがどこにしわ寄せがくるかといえば国民にくるのです。決してNHKだけが受信料を取っているのではございません。コマーシャル料という形で物価にはね返ってくるわけでございますから、その点をぜひ考慮に入れて今後のものに対処していかなければならないと私は考えるわけでございます。
 そこで、時間が非常に限られておりますので私は次に進みますが、今後の国際的中継というものをこういうような形でやっていったのでは、国民の私どもとしては非常に憂慮にたえないわけでございますか、今後、これはモスクワのことでございますけれども、また四年後にはオリンピックもございます。そうなってきますと、今後の世界的なそういった中継をどのようにしてやっていったらいいのかということを考えておれば、民放連の会長及びNHKの会長にお伺いしたい。
○小林参考人 国際的な中継についての具体的な御質問の意味がよくわからなかったのですけれども、国際的な中継は相当経費が高くなっておりますけれども、やはり、報道の必要性でやらなくちゃならないものは適時やらなくちゃいかぬというので、それは具体的にそれぞれの場に応じて善処しておるつもりでございます。
○坂本参考人 先生の御質問の趣を、たとえばモスクワの次のオリンピックをどうするかというふうに理解いたしますれば、やはり、NHKと民放か一緒になって交渉に当たり、そして放送権を獲得するという方法が一番最善ではないだろうか、その場合にNHKがお役に立つということで努力すべきではないだろうかと私は考えております。
○竹内(勝)委員 モントリオールのときのオリンピックの状況をお伺いしますが、技術スタッフあるいはアナウンサー、その他その諸関係の人たちの人員はどれくらい必要であったか、どれくらい要したか、これはNHKからお伺いしたいと思います。
○橋本参考人 モントリオールオリンピック大会の日本向け放送につきましては、民放連とNHKと相談いたしまして、合同で日本派遣団という名称をつけまして、日本派遣団を結成いたしまして現地に人を送りました。したがいまして、このときはNHKとかNTBとかTBSとかNETというあれは表には出ません。日本派遣団という形をとりました。
 ただ、派遣要員は全部で、団員といたしましては六十七名でございます。内訳は、NHKから四十一名、それから民放各社から十九名、それに取材要員として、NHKがニュースそのほかの代表取材をするということで七名、全部で六十七名でございます。したがいまして、取材要員を入れますと、NHKが四十八名、それから民放か十九名ということでございます。
 内訳は、いわゆる放送と申しまして、プロデューサー関係が大部分であります。そのほか技術、アナウンサー、それから若干の衛星中継関係、あるいは言葉のできる渉外要員という形でございます。
○竹内(勝)委員 そこで、ラジオの件に関してもう一度お伺いしたいのですけれども、先ほどの自民党の委員の質問の中で、最終的には伊藤代議士の面が、質問という形でなく報告というような形になったわけですが、少なくとも伊藤代議士が、国を代表された国会議員が石田労相とともに訪ソしたときに、会った相手がラーピン国家ラジオ・テレビ委員会議長です。この会った相手に対して、ラジオに関しては放送権を引き離して、同社以外の放送局でできるようにしてはくれないかということに関して、ラジオの放送権をテレビ朝日から分離させる方向で検討させると答えておるのです。そのことは三浦さんもわかっておることだと思いますが、そういうことは一切ありませんでした。では、その後どういうように交渉したのか、それが一体正しかったのかどうなのか、ラーピンさんはこれに関してはまるっきり無責任なことを言っていたのかどうか、そういうことまで突っ込んで話し合いをしましたか。
○三浦参考人 ラーピン議長と私どもと話をしたときには、ラジオ、テレビ放送権に関する権限がテレビ・ラジオ国家委員会にはございません。それで、伊藤代議士の話をいたしましたところが、要するに私はそういうふうには言っていないという答え方で、そのままに終わりました。
○竹内(勝)委員 それでは、このラジオに関してはテレビ朝日さんの方は現在のところ放送機関も持っていないわけですけれども、いまは折衝をして何らかの形で権利を譲っていきたいというように考えておられるようでございますが、もしもどこも受けなかった場合にはどうするんですか。
○三浦参考人 現在話し合いが進んでおると思いますが、最終的にできなかったという前提でのお話でございますが、私が従来からお話し申し上げておるとおり、モスクワオリンピック委員会もしくはIOC、この両方に契約改正の提案をしまして、ラジオの件は権利委託から私のところはできなくなったという報告をいたしまして、契約改正ということでラジオの件を分離せざるを得ません、すなわち、返還するということでございます。
○竹内(勝)委員 もう一点。これで終わりますが、この契約の中に法律、習慣に従うということがありますけれども、これはニュースを取材する他の放送機関の人が含まれておるのかどうか。もし含まれておった場合には、これはどのように考えておるか。
 それから、また、この第四条に関連してですけれども、テレビ朝日の権利の行使か大会の目的及び理想に適合せず、威信を傷つけるおそれがあると判断した場合は放送が中断されるのかどうか。「大会の目的および理想に適合せず、」「威信を傷つける」ということは具体的にどういうことを指しておるのか。
 この二点をお伺いして終わりたいと思います。
○三浦参考人 第一点に対してはどういうふうにお答えしたらいいでしょうかね。テレビの方式が違いますので一それは国内の方法に従わなければならぬわけですが、一般的なニュース取材その他についてはこれとは関係ございません。
 それから、威信を傷つけたかどうかという問題は、これは双方の言い分でございますので、いまからこういうことだああいうことだということではございませんで、もし仮にそういうことがあった場合にはスウェーデンの法に基づく裁判にするというふうに考えております。
○竹内(勝)委員 終わります。
○八百板委員長 小宮武喜君。
○小宮委員 今回のテレビ朝日のモスクワ五輪放送に関する契約書の内容について、私は三つの問題点が含まれておると思います。
 一つは、先ほどからいろいろ話がありますように、いわゆる放送権料の問題で、これについて三浦常務は、相手国と公表しないということを約束しておるので公表できないということを午前中の答弁の中で申されております。先ほどの質問では二十五億以内という言葉が出てまいったわけですけれども、私は、いま国民が一番関心を持っており、そして一番知りたがっておるのはその放送権料が幾らなのかということだと思います。三浦常務の方では不当に高いとは思わないという表現を使っておりますけれども、しかしながら、事ここの委員会では、国民を代表する各委員が国民を代表して、放送権料は幾らなのか、幾らで契約したのかということを言っておるわけですから、そういう意味で、国民の代表に対して、相手国との話し合い、約束があるから公表できないと言うことは国会を軽視しておるのじゃないか。
 確かに、それは、ソ連とそういう約束をしておれば、その約束を破ってここで発表したとなれば、恐らく主催国のソ連のげきりんに触れてこの契約もだめになるということは考えられます。しかしながら、少なくとも日本の国内放送であれば、国民が一番関心を持っておる問題について、国民を代表する議員の放送権料は幾らかということの質問に対して、それを明確にしないということは国会の軽視であると私は思いますが、いかがですか。
○三浦参考人 先ほどから、料金を発表しないのは公共の福祉に反する、また、国会の軽視だという御指摘がございましたが、料金が発表されない場合に国会の軽視とは思いません。国会議員がわれわれの、要するに企業内のことまで入って、どのくらいでやったんだということまで国政調査権の中で言わなければ国会軽視だというふうに言われるのははなはだ意外でございます。
 それから、モスクワとの話し合いでできないということでなく、モスクワの組織委員会とIOCとわれわれとの三者の中で内々にそういう話があるんだ、料金の発表はすまいということと、私どもはそれと同時に企業内における料金発表はできません。要するに、国民か料金を聞きたいとは私は思っておりません。
○小宮委員 それでは、国会の調査権に基づいてその資料提出を求めた場合といえども、テレビ朝日はそれに応じないということですか。
○三浦参考人 応ずる義務はありません。
○小宮委員 この問題についてあなたに聞いても、午前中からの答弁を聞いても、放送権料の問題についてはかたくなに口を閉ざしてなかなか言いませんので、それではNHK側にひとつ質問をします。
 橋本専務理事はこのモスクワの五輪放送で行かれていろいろ交渉に当たっておられますが、その過程で、これはテレビ朝日側が出した資料の中にも三回、四回にわたって引き上げたということが言われておりますから、当然、放送権料の問題についても、ソ連が提出した金額は幾らであるかということは橋本専務理事はよく知っておられると思うが、ソ連側が提示した放送権料は大体幾らなのか。それでなければ三回、四回にわたって引き上げ交渉をやったという理屈は成り立たぬわけですが、どうですか。
○橋本参考人 交渉事の大変微妙な問題でございまして、金額を提示いたします際に、最終的に結論が出た場合を除いては、中間的な数字については一切外部に発表しないという相手との話し合いの上で一定の金額を提示いたしました。
 ただ、モスクワ組織委員会がわれわれ日本に対して要求し、期待していた額は、アメリカの一〇%ないし一二%という数字ははっきり言っております。そのアメリカの一〇%ないし一二%という額は八百五十万ドルないし一千万ドルちょっとになりますか、そういう数字になろうかと思います。
○小宮委員 それでは、テレビ朝日としては、このモスクワ五輪放送が終わるまでは放送権料については一切公表しないということですか。終わってもしないということですか。ある時期になったら公表しますか。
○三浦参考人 また国会軽視だなんてしかられては困るのですが、私どもはいま発表する意思はございません。将来に向かっても……。
○小宮委員 それは、現在も将来にわたっても発表する意思かないということですか。
○三浦参考人 そうです。
○小宮委員 これはテレビ朝日の方と幾らやり合っても時間のロスになりますので、次は、契約書の内容についての政治条項の問題です。
 この問題について、先ほど小林民放連会長は、金額だけではなくて、たとえ金額は折り合ったとしてもモスクワ五輪放送については協調する気持ちはないということを言われましたが、放送権料の問題はこちらにおいて、それはどういう理由で言われたわけですか。
○小林参考人 私は、オリンピックの放送契約というものは、オリンピック憲章の精神に基づいて、政治とか国籍とかいう立場からは一切離れた、最も純粋であるべきものであると考えております。それだから、いままでの何回かの契約書には全然そういうことがなしに、最も技術的なことしか協定の中には入っておりません。
 しかし、このたびのものには、二国間を前提にした世界の緊張の緩和だとかなんとかいう、つまり、そういう二国問題が出てきたり、それから先ほど来議論になっていますところの、たとえば法律や習慣に従わないといかぬというような問題が出てきたり、そういうような規定はどう考えても適当じゃない。それはもう一々申し上げませんけれども、いま申しました二つの例だけを見たって、こういう規定はオリンピックの協定に入れるべきものではない、そういう前提でオリンピックの放送契約をやるということは全く不適当だ、そういうふうに私は考えております。
○小宮委員 確かに、この協定書の前文に「ソ連邦日本両国民のより良き相互理解を助成し、ひいては世界の緊張緩和と、すべての諸国民間の平和の維持を促進するものである。」とうたってあるわけですが、この政治条項についてテレビ朝日は、この前文は当然であって取材や報道の政治的制限や制約を受けるものではないというように反論しておるわけですけれども、いま言われたように、過去の五輪放送の放送権契約には、スポーツとは関係のないこういった政治条項というようなものは全然ないわけです。
 元来、オリンピックというものは政治が介入すべきものではない。そういう過去の契約になかった政治条項が今回に限って明記されたということはどういうように理解すればいいのか、ただ単なる形式的なものとテレビ朝日は考えておるのか、その点の所見をひとつお聞きしたい。
○三浦参考人 形式的だと思えば思えるのですか、こういう条項が積極的に世界の平和と――世界の平和、人類の平和というのはIOCの憲章にもございます。したがって、スポーツだからこれはいかぬ、普通のものならいい、番組購入のときであればいいという、そういうようなことではございません。あらゆる機会を通じてあらゆる国家と、どんな国でも――こういう文章はわが国としては必要だと、私どものテレビ朝日としてはこの精神でこれから貫くつもりです。
○小宮委員 これは私の意見もまじりますけれども、従来なかったこういうふうな政治条項が今回の契約書の中に含まれたというのは、これは今回に限ってこういうようなものが出てきているわけですよ。ただ、この条文を三浦常務が言ったようにただ単に受け取れれば、その中にはいま三浦常務が言うのが当然だという声が出てきますけれども、この政治条項の持つ意味は、これは単なる取材とかあるいは報道の自由を制限するというようななまやさしいものではなくて、最も重要な意味がこの中に含まれておるというふうに私は考えます。
 これは私の意見ですから、私は違いますとあなたは言うにきまっておるけれども、しかし、米国ではNBCが放送権を独占契約しておるわけですが、このNBCの場合、あるいはその他の国でも結構ですが、この政治条項がモスクワ五輪放送契約の中に入っておるのかどうか、その点をひとつNHKから御答弁願いたい。
○橋本参考人 今回のモスクワオリンピック組織委員会とアメリカNBCとの間の契約については私は存じておりませんので、どのような項目、条項があるのか、ちょっとお答えできかねます。
○小宮委員 会長も知りませんか。――まあ、NBCの場合は仕方ないとして、最近発行された週刊文春に「ソ連に異状接近を試みる日本テレビ小林社長の思惑」という記事が載っているんですよ。
 その内容を申し上げますと、「今年はソ連革命六十周年に当り、その革命記念日の歴史的な行事にわが国のテレビ界も各社こぞってソ連へ中継許可を願い出ていた。ところがここで困ったのは、モスクワ五輪中継をめぐってテレビ朝日と敵対していた日本テレビ。同テレビは今年四月「拝啓、テレビ朝日さま……オリンピックは二十五億円で見るネウチがありますか?」という放送をしたため、ソ連の政治週刊紙「ノーポエプレーミヤ」に、最近のNTVは同局の所属する読売新聞の反ソ的傾向を反映したものと決めつけられ、そこで小林社長は、ソ連の駐日大使を昼食会に招待して弁解にこれつとめ、オリンピックについては私どももいささか騒ぎすぎたとひたすら低姿勢に出たらしいが、大使の方はもう一つ気乗りがしなかったらしい。」という内容のものでありますが、これがこの政治条項の持つ意味を如実に証明しておるというふうに私は見ております。
 そこで、小林社長、そうしたらソ連革命六十周年記念行事のソ連の中継許可はおたくにはおりましたか。
○小林参考人 いま週刊誌の記事をお読みになりましたので、それについて一言申し上げますが、これはもう全く根拠がない。執筆者自身がいずれ謝りに来ると言っておる事項でございますので、これはひとつ御心配なく。
 それから、ソ連大使と一緒に会食したことも事実ですけれども、私はもうどこの大使ともそういう機会を持っておりまして、私は反ソ的でも何でもない。ソ連とも当然仲よくやらなきゃいかぬ、しかし、間違っておることだけははっきり言わなくちゃいかぬ、これだけの話でございまして、御疑念を持たれぬようにお願いいたしたいと思います。
○小宮委員 中継許可はおりたですか。
○小林参考人 中継はしませんでした。
○小宮委員 それでおりなかったのですよ。
 社会主義諸国では、自由主義諸国のように、政経分離だとかスポーツは別だと言っても、そんなお国柄じゃないのですよ。これはテレビ朝日はよく御存じだと思うのですが、午前中の質問の中にもありましたように、今度ソ連革命記念日行事を延々と二時間にわたって報道したというのも、この契約書の前文の政治条項に非常に忠実に合ったからだというふうに私は見ておるのです。
 そればかりでなくて、この九月一日発行の週刊新潮にも、「今年の春、園田官房長官が漁業問題でモスクワに出向いたとき、コスイギン首相から、日ソ間の友好はソ連とフィンランドとの関係であると暗示されたらしい」という記事が出ております。これは閣議でも報告されておりますから小宮山郵政大臣も閣議の中で知っておられるかとも思いますけれども、要するにこのフィンランド化というのは、ソ連がある自由主義国家を外交相手とするとき、相手国の独立性を認めながらも、一方ではその国の政治、言論、外交政策をソ連の意に反しないものにさせようとする方針だということを外交評論家あたりも言っておるわけですよ。
 したがって、この政治条項にそういう意図が含まれておるとすれば、それこそ放送の自由を侵害されることになるばかりか、放送権を独占した代償として、恐らくテレビ朝日側としてはこの政治条項に反するような放送は絶対できないと思う。だから、テレビ朝日の今後の放送の内容を見ていくとそれが如実に出てくると私は思うのです。
 これについて所見を聞いたところで、決してそういうようなことはありませんと言うかもしれないが、いまの私の意見に対して所見があったらひとつ言ってください。
○三浦参考人 誤解があると非常に悪いのでございますが、赤い広場といいますか、十一月七日の中継は私どものところでやりました。その後、はっきりわかりませんが、フィルムですか、衛星でNHKがもらったようでございます。
 当初、この衛星中継は、おっしゃるようなそういう方法じゃないのです。独占中継権をもらったとか、許可したとか許可しないとかいうことはなかったのです。衛星をもらう場合にはKDDへの申し出順なんです。私どもは申し出ておったわけです。
 それで、ユニといいまして、私どもの特派員の顔を出して、二時間の報道特番を組みまして、その中に私とブレジネフ書記長の会談を入れるという、そういうふうな構成を番組編成上やりました。この段階でフジテレビからニュースで使いたいと――許可とか認可じゃなくて申し込み順でございますから、テレビ朝日の方ですでに申し込んであるから、あなたのところの衛星中継の中からわれわれに少し譲ってくれというお話がございました。
 それで、私どもはモスクワに参りました。モスクワに参りましたところが、日本テレビから外務省を通じて中継したいという申し入れがあるのだが、衛星上テレビ朝日が持っているのだからどうするのだということでございました。それで私どもは、ユニといいますか、私ども独自の衛星中継は中止しました。それで、テレビ・ラジオ委員会に申し出をいたしまして、直ちにフジテレビに私どもは、オープンにする、したがってとりたいだけとりなさい、われわれの方の特派員の顔出しも声も全部やめます。ただ流しっ放しに流してやりましょうという申し入れをいたしました。
 ところが、数日たってまたフジテレビから電話があって、テレビ朝日のとるものはわれわれの方ではとれないと――われわれクループというのは先ほど申し上げましたプールから脱退した組でございまして、NHKグループと申し上げておるのですが、とれないという返事だった。それで、大急ぎで私どもはまたユニに変えまして、顔出しをしたい、それから声も出したいという準備に入ったわけですが、残念ながら顔出しは間に合いませんでした。ああいう国でございますので、もう一旦決まってわれわれが断って、そして準備に入ったところがひっくり返されたということで顔出しはできませんでした。それでやむなく声出しだけで私どもの方がやったわけです。
 政治条項ということでございますが、政治条項などというものではございません。平和を愛し平和を推進していくのに、政治条項があるからという言い方は私どもの方では意外に思っているわけです。それによって私どもの放送が自由を阻害され、ソ連の批判ができない、北方領土返還の要求もできないというようなことはございませんので、ひとつ私どもの放送をよくごらんになって御批判をいただきたいと思います。
○小宮委員 多分そういうふうに答えるだろうということは想像しておった。ただ、私が言いたいのは、それではこの協定書に織り込まれておるところの、あえて政治条項と私は言わせてもらいますけれども、この政治条項が契約書の前文にあるわけですから、その政治条項を忠実に履行する方針なのか、これはあくまで形式的なものだと考えておられるのか、三浦常務、その点はどうですか。
○三浦参考人 日ソ両国民の理解とそれから世界の平和と緊張緩和は、先ほども申し上げましたように私どもの精神でございまして、あらゆる角度からその精神を生かして報道番組をつくっていきたいと考えております。
○小宮委員 そこで、NHKグループは何回もつり上げてきたということでいろいろ批判をされておりますけれども、この中で、「NHKグループはモントリオール方式を主張し、業界の協調をとなえておりますか、主催国側にその意志がなかった事実からすると全く無意味であります。」と、こういうふうに書いてありますね。ということになれば、主催国のソ連の方では初めからNHKグループとは交渉する意思がなかったということをぼくはここに書いてあると思うのです。
 そういう意思がなかったという判断をした根拠はどこにありますか。これはちゃんとおたくの方に書いてありますよ。
○三浦参考人 NHKと交渉する意思がソ連はなかったなどとは私は書いておりません。
○小宮委員 見てくださいよ。この「放送権契約書公開に際して」の四ページ中段に、「さて、NHKグループはモントリオール方式を主張し、業界の協調をとなえておりますが、主催国側にその意志がなかった事実からすると全く無意味であります。我国は自由経済の国であり、企業間の自由な競争によって常に進歩がはかられてきたのであります。」と書いてあるのですよ。それじゃこれはどういう意味ですか。
○三浦参考人 全部読んでいただくとわかるのですが、モントリオール方式はソビエト側では採用していなかったということを言っておるわけです。
○小宮委員 それでは、初めからモントリオール式のやり方を向こうが希望していなかったということをテレビ朝日は言っておるわけですけれども、もっと前に行きますと、「今回の契約交渉は本年二月十六日モスクワオリンピック組織委員会から在京各テレビ局へ招請状がとどいたことから始まりました。招請状は三月一日から十日までの間にモスクワで交渉したいというものでありました。」ということですから、各社とばらばらに交渉したいということで招請状か来たのか。従来だってそういう方式でやってきたのじゃないですか。これを読んでいきますと、どうもテレビ朝日は初めから独占しようという気持ちでやってきたのではないかと考えるわけですが、確かにその意思はおありだったわけですね。
○三浦参考人 われわれが交渉する前にオーストラリアは交渉しておりました。したがって、当初からモントリオール方式はそれで一角が崩れているわけです。
 それから、われわれに対してクループの――これはちょっとあれがあったのですが、グループごとといいますか、契約者は一人である、何人集まってもそれは同じだということでありますが、そういうモントリオール方式というものは当初から、オーストラリアがもうすでに交渉に入っていた事実から崩れておったということなんです。これを御理解いただきたいと思います。
 それから、当時から私どもがやる気だったということでございますが、招請状が来たら招請は受けるということと、国家的といいますか――国家的という言葉は適当じゃないと私は思うのですが、私どもの考え方では、オリンピックに関しての行事はNHKが放送しなければならぬということもありません。するときにはすればいいし、したくないときにはしなければいいし、それから視聴者にしても、国民といっても見ない人もいますし、見る人もいますし、全部が全部オリンピック一色というわけではございませんで、私どもとしては、NHKか従来オリンピックを百時間以上放送されておったのに対して、その間をねらってちょぼちょぼ放送しておったというのは事実なんですから、協調ということで全部が全部一遍に同じ放送をやっておるわけにはいきませんので、その間では、私どもが独占契約に基づいて独占すれば私どもか主役になって放送をし、かつ、先ほどから申し上げておるように、一般の放送の皆さんにも放送していただくという努力をしたいということでございます。
○小宮委員 常務がいかに強弁されようと、三月十七日の民放連の定例理事会で、テレビ朝日の高野社長がこの放送権問題について、「今回の行動はNHKを意識したものである。民放も力かついてきたのでかねてからNHKに一矢報いたいと考えていた。それが実現したので本当に気持ちがよい」というような発言をしたそうであるが、またそれを社長も、私は言った覚えはございませんと言うかもしれませんが、民放連の会長もおることだからそう言ったかどうかははっきりするわけですけれども、NHKに対して民放の――民放というより、特にテレビ朝日が非常に対抗意識を持っておったということはここでもわかるわけです。だから、そういった意味で、対抗意識が先行して放送権独占問題について独走したのではないかという印象をぼくらは持つわけです。
 特に、その点については、ほかのNHKグループは招請状が来てから行ったのか。テレビ朝日は去年の八月からというような話もありましたけれども、かなり以前から根回しをやっておったということは事実だと私は思う。日本の放送界の現状としても、お互いに自由競争の立場で競争するのはいい。しかしながら、協調すべきところは協調するということであっていただかないと、迷惑するのは国民なんです。この文を読んでくださいよ。「狂気の沙汰」とか、まるで感情まる出しの文章じゃありませんか。その部分だけ読み上げても半時間ぐらいかかるから読み上げませんか、こういうことをやっておいて、それで一方では、御承知のように、テレビ朝日だって実際はネットワークは国民全部が見ることはできないわけでしょう。
 そうすると、やはりほかの民放各局の応援、協力も得なければいかぬ。ラジオにしてもそうでしょう。そういう状況にありなから――これは発表した当時はむかついてしようがないというところで、その気持ち、感情をそのままあらわしたものと私は考えますけれども、余りにもどぎつい表現を使ってやっておることは今後の放送界全体から見てもまずいのじゃないですか。そういったことがいま小林民放連会長が言われたような言葉になってはね返ってくるということも考えられるわけです。電波というのはテレビ朝日の独占ではないのだ。皆さん方の私有物じゃないのだ。これは国民のものですよ。そういった国民の電波であるのに、皆さん方の一企業のそういった感情あるいは競争意識のために国民が犠牲になるということは、これは放送法の問題から言っても大きな問題である。そういう意味で私はあえてこの問題を取り上げるわけでございますが、また後に戻って私見も交えながら質問します。
 朝日の義務条項の問題でございますが、これにしても、いま私がいろいろ質問しても、常務の方では、そういう気持ちはありませんとか、そういうような事実はありませんとか言っておるけれども、これは水かけ論ですから、やはり、今後のテレビ朝日の動向を見守る以外にないと思いますけれども、次の問題はテレビ朝日の義務の問題です。
 この条項について、三浦常務は、参議院逓信委員会で、大会の取材とかホテルに入った際、向こうの法律、慣習に従うだけだというように答弁しておるわけですが、それはあたりまえのことです。第四条は、「本協定に包含されている権利の実行、およびこれに関連するあらゆる広報活動については」「主催国の法律慣習に常に沿うことを約し、保証する。」ということになっておるわけです。だから広報活動というものが入っておるわけです。だから、この点も、たとえば自由主義諸国と違って、各社自由競争の立場に立って自由に放送がやれるのかどうかということに疑問があるわけです。
 たとえば放送内容についても、これはモスクワオリンピック組織委員会の事前の同意を得るとか、向こうで発表したものをそのまま発表するとかというような受け売りをするだけの機関になってしまったら、これで本当に広報活動の放送の自由があるのかということを私は疑問に思うのですが、そういった意味で、そういう事実はありません、放送は自由ですということをここではっきり言うてください。
○三浦参考人 非常にお願いがございますが、私たちは参考人で来ておるのですが、諸先生が演説を行われて、新聞にはそのとおり載って、われわれが何か悪いことをやって追及されたような、そういう新聞が出るわけなんですよ。マスコミというのはそういうふうにあらわれてくるので、御意見を言われてわれわれが何も言わずに、要するにただ参考人として答弁しろと言われても、これにはいろいろないきさつがあるのですから、先生が国会議員として御意見を言われるときには、参考人である私どもは国法を犯したわけでもなければ国益を侵したわけでもない、何も悪いことをやっていないのに、何か基本法に違反しておるというようなことを言われますと、「鋭く追及」なんという見出しが出まして、日夜われわれは本当に困っているのです。
 会社の中や私の家などにある種の団体が来まして、放送の自由かないとか、北方領土返還ができないとかいうようないろいろなことを言われて困る。新聞もこの議事録全部を出せませんから、いいところだけとりますと、私どもが何か法を犯して追及されている被告みたいな感じになりますので、この点は私どもの立場もお考えいただきたいと思います。
 それから、先ほどの御質問でございますが、放送の自由、すべての自由は私どもにあります。
○小宮委員 三浦常務、私はこれか地声なんですよ。これは大臣とか電波監理局長が知っておるように、いつの委員会でも私はこの調子なんですよ。だから、別段、追及するとか被告席に座らせてどうこうということでなくて、私はこういう地声ですから、少し熱が上がれば声が大きくなりますけれども、その点はあしからず御理解願いたいと思う。
 これは三浦常務が言うから言うのだけれども、私も午前中に各委員の質問を聞いておって、三浦常務というのは大したものだ、よきにつけあしきにつけ大したものだ、これだけの各ベテランの委員が軽くいなされておるのだからということで私は敬服しておったのです。そういう意味で、これはおれも軽くいなされるのかなと思いながら、だから、私も、自分の意見もやはりここで入れながら言わぬと私の質問の趣旨が三浦常務に十分わかってもらえぬのではないか、質問のところだけちょこっと言っても私の質問の趣旨が理解してもらえぬからということで、私は自分の意見も交えながらやっておるわけですから、決してそういうような気持ちではございませんので……。
 次は、スポンサー条項でございますが、スポンサー契約に当たって、締結以前に組織委員会の同意を得なければならないというふうになっていたわけですね。ところが、今度の追記の中で、同意が必要なのはシンボルマークなどの使用に限ると、本文をいじらずに追補で訂正したわけですが、これは結局追補でシンボルマークだけに限るということになったのは、本文はそのまま削除ということか、本文は生かした上でこうなったのか、その追補でこういうことになった経過について御説明を願いたい。今度はできるだけ言葉はやわらかく言いますから……。
○三浦参考人 どうも申しわけありませんでした。
 追補をやって、本文はなくなりません。本文が本当はその意味なんです。シンボルマークを使う場合、それからJOCの許可を得るもの、それからIOCの許可を得るもの、それからたばこ、酒、アルコール等というふうないわば精神的な禁止条項はございます。しかし、そういう中には入っていませんが、要するに私どもが何遍スポンサーは自由です。シンボルマークを使うときにのみ同意を得るんですということを説明しても、それだけではどうもわからぬというのが記者会見等その他で多かったものでございますから、モスクワとの間に、「追補」として具体的にそういうふうなものをつくったというふうに御理解いただきたいと思います。
○小宮委員 もう時間も来たようですから、まだいろいろ質問があるわけですけれども、いままではテレビ朝日にやりましたから、次はNHK側にちょっと質問をします。
 ということは、私はNHKの責任もやはり追及されなければならぬと思いますよ。NHKや民放の各局が使用する電波というのは国民の共有財産ですから、その国民の共有財産をNHKが預託されておるわけですから、そういう意味で責任は重大だと思うのですよ。そういう立場からして、このモスクワ放送権獲得に失敗した責任についてどのように考えておられるのか。
 それはテレビ朝日が抜け駆けをやったんだとかいろいろ言うけれども、国民から見れば、先ほどから話がありますように、こちらの方は実際に国民の全体が視聴できないという事態になってきた場合に、これは民放さんの方もいろいろ言っておるけれども、国民から電波を預かっているNHKさんとしてもやはり責任を問われることになりますよ。だから、そういう意味で、いままでのようにただ抜け駆けがあったとかなんとかいうことじゃなくて、NHKとしても、このモスクワの放送権獲得に失敗した責任をどのように感じられておるのかを伺いたい。
○坂本参考人 しばしば申し上げておりますとおり、NHKとすれば、オリンピック放送というものはやはりやらなければいけない放送の一つであるという認識のもとに努力をいたしましたのですが、残念ながら私の方が獲得できなかったという、その事態については非常に責任を感じております。
 したがいまして、毎々申し上げておりますように、今後視聴者のために何が一番大事かというところに力点を置いて、私どものメンツとかいうようなことにこだわらずに、誠心誠意このことの解決に当たりたいというふうに考えております。
○小宮委員 いろいろとまだ質問は残っておりますけれども、いずれ機会を見てまた再度NHKさんにもテレビ朝日さんにも来ていただくことがあるかもしれませんので、そのときはよろしくお願いしまして、私の質問を終わります。
○八百板委員長 藤原ひろ子君。
○藤原委員 参考人及び関係者の皆さん、長時間にわたりまして大変御苦労さんでございます。モスクワオリンピックの放送権問題につきましては重複を避けまして、私は二、三の点について質問をさせていただきたいと思います。
 オリンピックのテレビ中継につきましては、IOCの企画等によりまして、開催国の組織委員会が各国や各地域別にその独占権を入札の形で売り出す仕組みになっているというふうに聞いておりますが、そこでテレビ朝日にお聞きをいたしますが、今回の放送権の契約は、一般的な商行為として、オリンピック規則、細則及び通達の中の規則第四十九条及び細則第五章放送権の項に基づいて契約をされたのでありますか。その点をお尋ねいたします。
○三浦参考人 そのとおりでございます。
○藤原委員 それでは、NHK会長及び民放連の会長にお尋ねをしたいと思いますが、IOC規則等に基づいて行われました今回のテレビ朝日の契約についてどのように考えておられるのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○坂本参考人 契約は手続的に完了しておりますし、有効だと思います。ただ、その中身等について多少の疑問があるということは申し上げたとおりでございます。
○小林参考人 お尋ねでございますが、契約そのものはいまNHKの会長がおっしゃったとおり適法にできておると思いますが、この取り扱いはむしろ、やはり日本側が全部一緒になってモスクワの組織委員会と話を進めて決めた方が一番よかったと思います。
○藤原委員 民放連会長に対して再度お尋ねをいたしますが、私か聞いておりますのは、今回のテレビ朝日の契約かIOC規則等に基づいて一般的な商業ベースで行われている、そのことについてどのように考えていらっしゃるかということをお聞きいたしているわけでございますが、その点再度お答えをいただきたいと思います。
○小林参考人 私も商業ベースでせられたんだろうと思いますが、商業ベースというのは、お互いの商業上の取引、話し合いである程度幅のある決め方ができるわけでございまして、これが唯一の決め方であったとは私は思いません。
○藤原委員 そういう中で今回のモスクワオリンピック放送権問題が国民の間で大変な問題になっておりますが、NHK、民放連会長及びテレビ朝日はこのことに対してどう受けとめておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○坂本参考人 再々申し上げておりますように、オリンピックのような行事はできれば民放、NHK一本になって交渉に当たり、それが成功をおさめることか望ましいと思って努力したわけでございますけれども、残念ながらそういう結末にならなかったということで、その結果視聴者の皆様方にも大変御心配をかけ、また、先生方にも御心配をかけているという現状について深く責任を感じております。
○高野参考人 いろいろとこの問題について世間で問題にされておるわけでありますか、私どもの考えはきわめて簡単な考え方なんでありまして、ある集団との契約はしないという話を聞いておる。また、各東京四社に個別に招請状が来ているといって、それであるならば行って相談をひとつしてみようじゃないか、どうしても一社でうまくいかなければそのときに話し合いをしてもいいじゃないかという考え方で話を進めたところが、思いもかけずと言っていいと思うのですが、私の方にこの放送権が転がり込んできたという、こういうような事情にあります。
 しかし、私の方がそれを引き受けた以上は、国民全体の満足のいくような方法をいろいろと検討して、実施に移してまいりたいと思います。
○小林参考人 今度の問題について、国民の間でいろいろな立場でいろいろな御意見があるのは私もよく承知していますか、いずれにいたしましても、オリンピックは今後も何回も永久に続く問題でございまして、今度のような結果になったということは絶対に先例にしちゃいかぬし、こういう形で繰り返すことは絶対に避けなければいかぬと私は思います。
 それとともに、今度の結末、決まり方も非常に悪かった。もっといいやり方があったに違いない。しかし、非常に残念ですけれども現在こういう状況になっておるということを非常に遺憾に思います。
○藤原委員 視聴者にしてみますと、そんな各放送局の争い事は何ら関係はないというふうに思うわけです。それよりも、オリンピックの中継放送がよい映像ですべての国民が見られるということに一番強い関心があるし、それが強い願望であろうというふうに思います。私は、私自身が何人かの視聴者の方々に当たりまして意見を聞いた上でこのことを確信する次第でございます。今回の問題の焦点というのもこのことに尽きるというふうに私は思います。
 NHK、民放連会長、テレビ朝日は、この点につきましてどのように考えておられますか、明快にお答えをいただきたいと思います。
○坂本参考人 その点につきましても、視聴者の期待を破らない、視聴者の期待にこたえるということがわれわれの任務であるというふうに考えて努力しておるわけでございますけれども、それはそれとして、やはり、その結末が合理的であり、納得のいくという形でなければならないであろう、そういう点にわれわれもまたもう一つ努力をする点があるのではないかというふうに考えております。
○小林参考人 いまNHK会長のおっしゃったとおりでございまして、オリンピックのようなものはみんなに見せなきゃいかぬ、しかしながら、見せるためにある条件がある、条件とか前提等を無視してただ見せたらいいじゃないかというものではなかろうと、このように私は思うのでございます。
 そういう意味で、今度は前提とか条件というものについて非常に遺憾な結果になっている。これか永久に救済できないかできるかということになれば、まだ時間がありますからできるかもしれません。しかし、これは相手のある問題でございますから、相手との間に一応決まったことがどういうふうにどう修正できるか、それは私にはわかりません。それと、また、これは独占権を持っておられる朝日さんのお考えなんですから、これはわれわれかとやかく申し上げる筋合いでもなければ、余地も全然ありませんが、私は、現在のような事態になったことは非常に遺憾です。こういうことは今後絶対にやっちゃいかぬと思います。私は、長い将来と国益全体を考えても、あるいは放送界全体のためにも、絶対にこういうことをやっちゃいかぬということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
○高野参考人 問題がいろいろと世間的に紛糾しておりますが、私自身はそれほどむずかしい問題とは考えていないのです。各局が、国民に本当にオリンピックを見せたいという熱意があるならば、この問題は一日にして片づく問題でございます。
○藤原委員 いまいろいろ物議が醸されている放送局の間でこういったことを今後繰り返してはならないという点につきましては、私は民放連会長のおっしゃったことも賛成でございます。しかし、繰り返してはならないという今日までの経過について何遍聞いても、朝からずっと同じことが繰り返されているわけですけれども、見せるための条件、国民のすべての方たちの願望をかなえる条件としていろいろありましょうけれども、もう一つ漸進的に積極的に条件をつくり出さなければならないのではないかというふうに私は思います。
 それは、さきのモントリオールのオリンピック大会の放映の際に、映像の編集のために六十名のスタッフを派遣して、国内に共同デスクを置いて、各局に配分しながら国民の要望にこたえたというふうに聞いているわけでございますが、電波という国民の共有財産を使用しておられる各放送事業者は、放送の真の主権者であります視聴者の要望に対して十分こたえなければならない義務を負っているというふうに私は思うわけです。この点を認識していただくならば、先ほど述べました視聴者の願望を満たすためにも、関係者の間で問題を漸進的に解決するように話し合いはできるというふうに思いますし、今後話し合われることを強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 私は、前回も、それから本日の委員会でも問題になりましたところの、テレビ朝日の番組にあります「題名のない音楽会」の放映中止問題についてお尋ねをしたいと思いますか、私が特にこの問題を重視しておりますのは、二つの理由がございます。
 第一には、一部の人たちが何らかの圧力によって番組か中止になったかのように受けとめて、調査に乗り出すということが伝えられているということでございます。このことがまず第一に重要なことで、それから第二には、この問題は、視聴者であります国民の基本的な権利であります表現の自由、言論の自由、批判の自由というものに対して放送する側がどのような姿勢で臨むのかというきわめて重要な問題を含んでいる、だから重視しなければならないというふうに考えたわけでございます。
 まず、最初に郵政省にお聞きをいたしますが、国民はテレビ等の番組に対しまして批判をしたり要求をしたりすることは禁じられているのですか。まず、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○平野政府委員 お答えを申し上げます。
 電波法、放送法におきまして、ただいまの先生の御指摘のようないわゆる義務規定はないわけでございます。義務規定はないわけでございますけれども、先ほどもお話がございましたように国民の電波でございますので、したがいまして、そのような積極的な要望ということに対しましては放送事業者も十分受け入れが可能であろう、そういうふうに理解しております。
○藤原委員 私がここで言っておりますのは、国会や行政府が放送局に対して、法律によって認められている枠内で放映をされたり運営されたりしているところの、そのことについてくちばしを入れるという意味のことを言っているのではありません。
 国会や行政府ではなくて、国民がテレビの番組その他について批判をするのは許されていないのかどうかということを聞いているわけでございますので、もう一度その点を確認のためにお答えをいただきたいというふうに思います。
○平野政府委員 国民が批判をいたしましたり要望したりすることは自由でございます。
○藤原委員 視聴者がいろいろな番組につきまして批判の自由を持っているということは当然のことでございます。そうでなければ、国民は一方的に流される電波をただ黙って見たり聞いたりしている。こういうことでは戦前の軍国主義の時代、暗黒の時代と全く同じだということになってしまうわけです。これはわが国が憲法で決めているところの基本的人権にもかかわる問題だというふうに思います。
 そこで、次に、放映する側の問題でございますが、この「題名のない音楽会」の中止について、「週間TVガイド」の十一月十八日号を見ますと、テレビ朝日広報部がこういうふうに言っておられます。「内容が公平さを欠き、誤解を生む恐れがある」と言い、また、十月二十七日付の朝日新聞の夕刊の報道では、北代テレビ朝日編成局長さんのお話によりますと、「今回のテーマは、音楽番組の内容としては行き過ぎかあり、誤解を与えかねないと判断した。二十五日夕、局として自主的に放送中止を決めた。」と書かれているわけでございますが、自主的に放送中止をしたというこの報道はそのまま受け取って間違いないのかどうか、高野社長からお答えをいただきたいと思います。
○高野参考人 お答えいたします。
 北代編成局長の言われておることは、全くそのとおりでございます。
 多少時間をとりますが、経緯を申し上げますと、北代編成局長が私のところにこの問題を持って裁断をしてほしいと言ってきたのが二十五日の夕方でございます。それで、一応本がございます。原稿のようなものでございますが、それを一応ずっと説明したのを聞きましたが、しかし、それだけではどうもわからないので、現物の映したものをここで見られるかと言うと見られると言うので、私の部屋にはそういうものを見る設備がございますから、それを放映させて、そして私もそれを逐一、三十分の番組ですが、見たわけです。
 それで、私のそのときに受けた感じというものは、音楽番組としてこれを考えた場合にはきわめて音楽と縁が遠い。しかも、その中で「教育勅語のすすめ」というような副題もあるわけなのでありまして、教育勅語についてはいろいろな御意見が各方面にあるかとも思いますか、しかし、一方的に「題名のない音楽会」ということで、必ずしもこれは音楽会とも言えないのですけれども、それで放送して、しかも教育勅語を一方的に、これに反論する機会が全然考えられないままで放送するというのは、これは放送法の根本に違反する。それは、何カ条かにわたって反対の意見を必ずつけることであるとか、それから取り上げる場合には、これは四十四条ですか、公平で多角な角度から取り上げなければならぬというような規定があります。われわれは自主的な運営を強く主張しているだけに、そうした問題については神経質に考えておるわけであります。それで、これはどう考えても好ましくない、もう放送日も近いが、あとの何かかわりがあるかと言ったら、二本撮ってあるのでもう一本ありますと言うので、それならこんなものはやめてしまった方がいいよということで局長に指示をしまして、局長は承知しましたということで引き下がったわけであります。
 その時点におきましては、多少外部で動きがあったということはあとから聞いた話であって、私がその番組の放映禁止を命じたときの時点においては、私は、外部的に何かそういう反対があるということは全然承知しておりませんでした。そういう意味で、私としては、外部から何か影響を受けてこれをやめたというふうには格別考えておりません。
○藤原委員 テレビやラジオにつきましては、番組をつくって流す側と、また、それを見たり聞いたりする側、つまり放送局と視聴者の両者があって初めて成り立つものだと思います。そして、視聴者国民は単に見るだけでなくて、また聞くだけでなくて、当然の権利として、番組につきましても批判をし要求をすることができるというふうに思います。また、放送事業者は国民多数の意見に耳を傾けるとともに、制作や放映に当たっては自主的に決定をする立場にあろうかと思うわけです。
 こういう関係にあると考えるわけですけれども、NHKと民放連の会長はどのようにお考えになるでしょうか。
○坂本参考人 番組の制作に当たっては当然放送法もあり、また、番組基準も設定しておりますし、そのバックグラウンドには当然視聴者の声あるいは視聴者の要望を反映すると申しますか、吸収すると申しますか、そういう姿勢でつくられるということは当然のことかと思います。
○小林参考人 いまNHK会長のおっしゃったとおりで、当然国民の声を聞きながら、国民の要望に沿うように番組を編成すべきものだと考えております。
○藤原委員 国民が公然とテレビ番組に対して批判をすると、それが圧力をかけたことになるとするならば、国民は批判の自由を奪われてしまうということになると思います。国民がテレビ番組に対して批判することを許さないということになれば、それは民主主義の否定であり、日本国憲法そのものを否定することになります。ですから、「教育勅語のすすめ」というタイトルのものが圧力によって放送されなかったとして、一部の人が調査に乗り出すなどと言っているのは大変危険なことだと思います。
 教育勅語は戦前の天皇制政府が国民に暗唱を強制したもので、私どもは小学生でしたけれども、授業が始まる前に、どんな字かもわからない、中身はどのようなことが言われているのかも理解されない幼い頭に暗唱を強制させられてきたわけです。こうして国民を侵略戦争に駆り立てた思想的なバックボーンになったものが教育勅語でございました。
 昭和二十三年の六月十九日には、こういう反省のもとで、あの敗戦後、衆参両院におきまして、「教育勅語等排除に関する決議」を行いました。午前中高野社長もおっしゃっていたとおりでございます。衆議院の決議はこう書いてございます。教育勅語や軍人勅諭等の「詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。」と決議されているわけです。今回の「題名のない音楽会」放映中止問題につきましては、憲法の民主主義的な原理を守るという立場から、その番組内容について国民の中から批判の声が上がるのは当然のことでございます。もちろん、個々人が教育勅語を信奉するかどうかは全く個人の信条の自由に属する問題だと思います。教育勅語の中の一部はよいことが書いてあるという御発言もあるし、そういった考え方もあるわけですけれども、これは個人の信条の自由に属する問題だというふうに理解をいたします。
 しかし、放送の番組を利用して一方的にこれを宣伝するということになると、これは単に個人の問題としては済まされないものになってくるわけです。放送法の第四十四条第三項第四号では、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というふうに規定がされているわけです。公開録画などから番組の内容を知った教育関係者や婦人団体が教育の反動化に手をかすものだと考えて、放送中止の要求を含めてテレビ局に抗議をすることは当然なことであり、批判の自由として憲法二十一条が保障をしております言論の自由に属するものだと思います。憲法で保障されました国民の批判の自由を封殺するということこそまさに言論の弾圧だと言わなければならないと私は思います。
 私はこのことを強く指摘いたしまして、今後こういったことか再び起こらないように願うとともに、放送の自由、国民のための放送がますます発展することを期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○八百板委員長 依田実君。
○依田委員 けさからいろいろ質疑が行われているようでありますけれども、金額をめぐって明らかにならない、歯がゆい思いがするわけでございますけれども、その点も含めまして多少繰り返しになるかもしれませんけれども、いろいろと思いつくところを伺わせていただきたいと思うのであります。
 今回テレビ朝日が向こうへ行かれまして契約をなさったが、その前に、今回の契約は大体幾らぐらいなら自分のところでとってもいいと、テレビ朝日も企業でございますからそのくらいの判断をお持ちになって行かれたと思うのでありますけれども、大体のめどはどのくらいにお立てになって行かれましたでしょうか。
○三浦参考人 出発の際は、どの程度のめどというものは持ってまいりませんでした。
○依田委員 三浦さんは政治のベテラン記者でありますからそちらの方は多少大ざっぱなのかもしれませんけれども、しかし、公共の電波を預かって営業をなさっておられる企業体としては、その点は少しおかしいのではないでしょうか。われわれ国民の税金によって賄われている電波をお預かりになっておる企業でございますから、その辺はもう少し慎重に考えて御出発になった方がよかったのじゃないだろうかというふうに私は思うのであります。
 ところで、この額を発表してはいかぬということを向こうと取り決めしておるから発表できないのだということになっておりますけれども、その条項にサインなさるときに、あなたは何の抵抗もなかったのでしょうか。
○三浦参考人 私の方から積極的に申し上げました。
○依田委員 御承知のように、その前にアメリカとの放送権料あるいは技術提供料については決まっておったわけです。いままでのオリンピック放送は、放送権料あるいは技術料についてすべて公開になっておるわけでございますけれども、それでは、三浦常務が自分の方から積極的に秘密にしたいんだというふうにおっしゃいました理由はいかがなものでしょうか。
○三浦参考人 私の方はスポンサーによって生活しておりますので、額が出ますとぐあいが悪いこともありますし、全体的に額をそのままにして隠しておいた方が非常に利益になることもあるのです。これは企業として仕方がないのです。たとえば洋画を幾らで買ったということで、私ども放送局は公共のものだからといって、高く買ったものを一本ずつ一々全部明らかにしろということになりますと企業としては成り立ちもしませんし、非常に迷惑をこうむる人たちも多うございますので、そういうつもりで参りました。
 ただ、私は、先ほど申し上げましたとおり、番組編成の責任を持っておりますので、制作の責任も持っておりますので、大体一番組幾らか、どの程度かかっているかということが頭の中には入っております。その範囲内でやる場合と、それから申し上げましたように十億円くらいの赤字は出ても、要するにオリンピックという大きな行事をやる場合には、社会還元といいますか、視聴者、国民への奉仕として当然やるべきだというふうな考え方のもとに出発したことも事実です。
○依田委員 いまの三浦常務のお答えの中にありましたが、これがこの問題を非常にこんがらかしている原因だろうと私は思うのであります。スポンサーに対するいろいろな条件もあるというお話でございますか、最近の民放の番組はいろいろと考えさせられる。最近の民放経営者というのはすべてそこに問題があるのではないだろうかと思うのです。つまり、公共の電波を受けて、われわれは委託放送をしておるのだ、営利企業ではあるけれども、あくまでもその節度は踏みはずしてはならぬのだという――免許基準がおりましてしばらくになりますから、そしてまたその取り消しもないということになっておるものですから、少し甘くなっておるのではないかというふうに私は思います。私は、スポンサーのことを考えると同時に、国民のことを考えていただく経営者であってほしいと思うのであります。
 ところで、後の問題にいろいろ影響がございますので、ここで一つだけ確認をしておきますが、このモスクワのオリンピック放送というものを是が非でもとりたいということは三浦常務のきついお考えだったと思うのでありますけれども、何のためにこれをぜひとりたかったか、その点をお聞きしたいと思います。
○三浦参考人 最初、ぜひとりたいということで行ったわけではございません。ただ、モントリオール方式というのは、民放から言いますとわがままで非常に有利なんです。ほとんど何にもやらないで、NHKに任せてちょぼちょぼの放送をやって、事実もうかっているのです。要するに、放送の協調ということで一本化一本化ということがよく言われているのですが、そういうことが果たして正しいかどうか。これが物議を醸して乱したという御指摘もありましたが、物議を醸してはいません。だれも何も言っていないのです。静かにしておいていただければ、われわれはりっぱに放送してちゃんとやるのです。これがどうして物議を醸すことになったのかがわからない。政治条項があるとか、いやスポンサーの自由がないとか、そんなことは何もない。私が再三申し上げているとおり、放送の自由もりっぱにあるのです。
 ですから、放送してからおまえたちは何をやっておったのかとしかられればしかられても結構なんですか、何せ出発する前からしかられっ放しの物事というものはあり得ない出来事じゃないかというふうに私は思っているのです。(「それはあなたの自由だ」と呼ぶ者あり)
 それは私の自由なんですが、とにかく放送というものを私が取りたいというふうに思ったという、そのものじゃなくて、要するに、私は新聞記者から放送に入りまして、世界ではNHKが日本の国家の代表、国営の放送というふうに発言もされておりますし、そういう資格も与えられているようです。われわれが国際会議に行きますと東京ローカル線というふうな扱い方なんです。このくやしさというものを私は持っておりました。これはもう隠す必要はありませんから、いつの日かNHKがやろうとしていることをわれわれ民放もできるんだ、できないはずはない、何でできないんだ、何でもかんでも大きな行事と言えばNHKだ――それで、国際的には私とももいろいろな国際競技をやっています。いろいろな国際競技をやっているのに、それを集合体にしたオリンピックになればできないということはないじゃないかというような考え方は私の心にといいますか、精神の中、頭の中にはありました。
○依田委員 そうしますと、われわれはぜひこの番組を取りたいというときに幾つかの理由を考えるわけでありますが、この番組をやることによって自分の持っている技術を一層向上させたいとか、あるいはまた、この番組を取ることによって公共のサービスをぜひやってみたいとか、あるいは、皆さんは営業企業体ですから、この放送をやることによってどこどこを追い落としたいとか――いまNHKに対する対抗の御意思が出まして、それは御本心だろうと思って、素直で非常に結構だと思うのでありますけれども、そうしますと、私の方から言わせていただきますと、ぜひ一度こういう公共的なサービスを国民の皆さんにテレビ朝日もできるんだということを示したいということでありますか。
○三浦参考人 そのとおり思っております。
○依田委員 そのことが目的ならば、今回の、その後のいままでの成り行きがこれから平穏無事におさまれば結構だと私思っておりますけれども、もし混乱が続いたままでこれが終わったならば、常務がお考えになった目的は非常に的を外れたところへ行ってしまった、国民の皆さんを非常に心配させて、そして放送界を混乱に陥れたということで、三浦常務のお持ちになった所期の目的は非常に間違った方向へ走ったと、こういうふうに私は思うのであります。しかし、それは私の意見であります。
 しからば、どこのオリンピックもそうでございますけれども、放送権料と技術提供料というものがございますが、この技待提供料が決まるときに、どういう技術をソ連側が提供するというお話がありましたでしょうか。
○三浦参考人 単独で放送権を取得するところ、つまり、アメリカ、カナダ、オーストラリア、それからEBU、東欧圏はもちろん共産圏でございますので別ですが、これらとの間にはルームがございます。日本ルーム、それからアメリカルーム、そういうふうなものの機械設備がSECAM方式でございますが、そのSECAM方式の設備、要するに機械が何台、こういうものがこういうふうになるということの説明があって、十分に放送ができる。オリンピックは普通のドラマと違いまして、左向け、右向け、ここで泣けというようなことはできないのです。これはもう「ヨーイドン」と言えば終わりなんです。ですから、それを放送するのにそんなに心配はないのです。
 だから私どもは、これはNHKでなければいかぬとか、日本テレビでなければいかぬとか、テレビ朝日じゃいかぬのだというような考え方は何もないのです。要するにもう同じなんです。ただ、しかし、われわれが一般的に撮る、別のものを撮りたい、要するに日本選手が予選から決勝に全然出てこない、それで予選のときに日本新記録でも出た場合にどういうふうにして出すかというようなことについては私たちも独自の取材をしなければいかぬ、それの機械はどの程度であるかというようなことを現在検討中で、でありますから、御心配いただいて非常に恐縮なんですが、私は、要するに放送はりっぱにできます。御安心ください、国民の皆さんも国会議員の皆さんも御心配要りませんということをここで自信を持って断言してお答えにしたいと思います。
○依田委員 いまの常務の心意気たるや壮、これはまことに結構でございます。しかし、残念ながら常務はテレビを御存じない。これでもって番組を自分で必ずやるからいいのだというふうなことはわれわれをばかにしているのじゃないかというふうに思うのであります。
 いま言われたように、「ヨーイドン」だから、要するにいろいろな方向から編集したりする必要はないのだということでありますけれども、その基本的考えか違うのであります。テレビというのは「ヨーイドン」の一瞬の放送であります。ですから、それを国民の皆さんが要求するようにつかまえるべく、あらゆる技術を前もって用意しておかなければならぬのであります。それは、ただ向こうから、モスクワから出す放送、ソ連が与えてくれる会場から来る電波をそのまま東京へ放送するのならだれも行かなくてもいいのです。機械をつないでおけばいいのです。しかし、われわれはそれじゃ困る。われわれは、日本の選手がどういうふうにして汗水流して働いておるか、それを見たいのです。そのためには日本の機械をそれに合うように、設備を、技術陣を持っていっておかなくてはだめなのであります。そこがあなたは考えが違う、そこが政治記者だ、こういうふうに私は思うのであります。
 そういう意味で、技術提供料を一山幾らでお買いになっておる、どういう機材を提供されてもおれは十分放送できるのだ、何でもいいからこの金を払えばそれで結構だという考え方は非常に困ると私は思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。
○三浦参考人 日本選手がどういうふうにして汗水流してやっておるかといっても、これはもうどなたが行っても、国際放映という一つの放送方式はわれわれが、要するに日本国がひっくり返ってがんばったってできないことなんです。私どもがそれをカバーするのにどうすればいいかということで、機械をわれわれが何台持っていって、そしてどうすればいいかということをやっております。そういうものもやりますと言っておるのですから、何も向こうの方の「ヨーイドン」が――要するに、向こうの方からもらうものと私どもが出すものと、それから衛星は一本でございますから、同時にそういうものが全部一遍に出てまいりません。要するに日本ルームで編成をいたしまして、順序よく日本の国民に伝えます。
 それで、その間に日本の選手が予選で負けたとかなんとかというときに、日本記録が出たときに、そのままにしておくといかぬから、そういうふうなものをどうして取材するか、どことどこだろうということを機械を持っていって――われわれも持っていきます。持っていって取材をして衛星に乗せて、もしくはフイルムにおさめて放送しますと言っておるのです。
○依田委員 それならば、その一番基準になります向こうからどの程度の機材が提供されるのか、これを交渉の段階で、最初の金額を決めるときに詰めておかなければ、やはり一山幾らの買い物をしたのと同じだろうと私は思うのですが、どうですか。
○三浦参考人 詰めてございます。
○依田委員 それでは、一番初めに放送技術提供料を決めましたときにソ連が提供すると言った機材一覧表はどうなっておるのでしょうか。
○三浦参考人 われわれの方にございます。
○依田委員 それは後でぜひ見せていただきたいと思っておりますが、われわれが聞いておるところによると、その技術提供料を決めるときには、どういう機材が提供されるかという条件についてわからないままに調印をされておると伺っておったのですが、それの線が心配なければ、それは結構であります。
 ところで、時間も余りありませんので、最後に大事なところがありますからそっちへ飛び込みますけれども、同じ時期に行われます冬季オリンピック、レークプラシッドの方の放送形態はどういうふうに決まりましたでしょうか。
○橋本参考人 一九八〇年、モスクワと同じ年の二月に行われますアメリカのレークプラシッドの冬季オリンピックでございますが、これまでいろいろな形で私どもも情報を集めてまいりましたが、端的に言いますと、放送機関のための設備、施設を十分に整えないのに権料だけかなり高額を要求しているというふうな情報もございまして、ことしの九月初めに、私どもの担当の専務が民放連の報道委員会の委員長を通じまして、レークプラシッドの冬季オリンピックにつきましてはできれば民放とNHKと一緒になってやろうじゃないか、その第一歩として相手に対する交渉の窓口を一本にしたい、できればNHKがその交渉の窓口になりたいということを申し入れました。
 その後、民放連さんの方の理事会等の議を経まして、九月の末に民放連さんから正式に私どものところに、交渉については一本にしてNHKにお任せするというような話がございましたので、少なくも交渉は一本でいく、交渉が妥結した後にどういう形で派遣団を送るか、あるいは送らないかということは先へ行った段階で改めて御相談を申し上げると、こういうふうに私は理解しております。
○依田委員 冬季オリンピックの方はいわゆるモントリオール方式ということで大体動けそうなんでありますけれども、こちらの方はそういうふうに順調にいくがモスクワの方はいかないということは私もなかなか納得できないのであります。
 NHKにもう一つだけ伺っておきますけれども、NHKで視聴者懇談会というものをおやりになっていらっしゃる。ここで国民の皆さんからこのモスクワオリンピックの放送権の問題についていろいろ御意見が出ていると思いますけれども、意見を集約するとどういう形になりますでしょうか。
○坂本参考人 確かに、先生の御指摘のように、視聴者懇談会でもオリンピックの問題についての関心の深い御質問がございますが、ただ、これは経過的に私から説明をいたしておりまして、妥当な条件、妥当な値段というものを十分勘案して放送すべきであろう、何が何でも無条件でというわけにはいかないであろうというような御意見、集約して申し上げればそういう反響でございます。
○依田委員 最後に近くなりましたのでひとつ御提案をするのでありますけれども、その前に、先ほどから三浦常務がいろいろお話しになりまして、いままでNHKに独占されておった国際的放送は民放でも必ずいい放送ができるんだということで、このモスクワオリンピックを自分たちの方でぜひ手がけてみたいというお考えのようでございますけれども、しかし、このような国家的行事か一民放企業の皆さんのお力でやって――それはやっていただくのは結構でございますけれども、その間の事情というようなものが重なりますと、今後のオリンピックあるいはほかの国家的行事につきましても、放送権利をめぐりまして抜け駆け的なことが出るような事態になって放送界が混乱するんじゃないだろうか、今度のモスクワオリンピック放送は一つの例として、これだけはテレビ朝日で実施してしまうという前にもう一度皆さん方にぜひ御再考をいただきたい、こういうふうに私は思うのであります。今度だけは例外で、それからはオリンピック方式でやるんだということではいい放送は出てこないんじゃないかと私は思います。
 先ほどから三浦常務のお話を聞いておりますと、戦後、昭和二十八年から今日まで、テレビに携わり、いろいろな技術に携わり、あるいは映像のつくり方に携わってきた人たちの努力を多少過小評価しているんじゃないだろうかという気がします。何でも意気込みさえあればできるんだということで、技術陣をたくさん派遣しなくても一社だけで行けば大丈夫だというお考えでしょうけれども、その意気は結構でございますけれども、もう一度慎重にお考えをいただくのがよろしいんじゃないだろうかというふうに私は思っておるのであります。
 ところで、きょう朝からいろいろとお話が出ておりました。私はきょうはちょっとかぜぎみなものですからさっき出てきて、ちょっと熱が高いので話も少しスピードが出てしまうのでありますけれども、全部聞かないでほかの方からそういう意見が出ておって繰り返しになりましたら大変恐縮でございますけれども、このままで行きますと、NHKは金額が折り合わない限りはやらないのだ、民放はテレビ朝日がやるのだからおれたちは静観だ、あるいはテレビ朝日は私のところでできるのだからやるところまでやり抜くのだと、こういうことで三者がそれぞれますますみぞを深められますと将来の放送界にとっていろいろ禍根を残されるのじゃないだろうかというふうに私は思うのでありまして、ここはひとつ、あすからで結構でございますから、皆さん方がぜひ話し合いの場に着いていただくことか大事じゃないかというふうに私は思っております。どっちかが折れてこない限りは話し合いのテーブルに着かないのだ、あるいは向こうが着かないならうちの方で譲る必要はないのだということでは困ると思います。
 三浦さんのような政治のベテラン記者から見ればわれわれ国会議員はずっと子供っぽく見えるかもしれませんけれども、しかし、これは中立の意見として聞いていただきたいのですが、三者それぞれから代表を出していただいて、共同協議機関というものをおつくりになりまして、話し合いが進むか進まないかは別としてテーブルに着くということが大事じゃないでしょうか。そして、国民の皆さんが公共の電波を皆様方にお預けしておるのでありますから、一企業のメンツは捨てていただいて、ぜひそういう世論に沿うように、ひとつ共同協議機関を三者でおつくりをいただきたい。これからでも遅くはないと思うのであります。一九八〇年はまだ先でございますから、ぜひその間に皆さんで御一緒にできるようなことにしていただきたい。そして、われわれにとりまして一番大事なことは、モスクワに行ける人は結構でありますが、東京でモクスワオリンピック放送を見る人が多数なのでありますから、その人たちに本当に親切な、見やすい時間帯に日本人の選手の活躍がいながらにしてわかるような映像の出し方を皆さんで御研究をいただきたい。
 私は、金額は問題じゃないと思うのであります。アメリカの約一割というふうにソビエトが提案しておるのでありますから、これは最終的にNHKがやろうが民放のテレビ朝日がおやりになろうが、八百五十万ドルという金額、日本円にして二十五億という金額については、多少の変動はあってもそう大きな変動はない。ですから、テレビ朝日か二十五億円をむだ遣いするとか、そういうことはわれわれは一切申し上げないつもりであります。どこがやろうが、相手がソ連なのでありますから、一度金額を出したからにはその金額でおさまるところにおさまるわけでありますから、そういう意味では金額はとやかく言う必要はない、しかし、皆さん方御三者がかたくなにそれぞれの立場を固執されることなくぜひテーブルに着いていただきたい、そしてこれを郵政大臣がぜひ、介入じゃなくてバックアップをしていただきたい、こういうふうに私は思うのですが、郵政大臣、いかがでしょうか。
○小宮山国務大臣 両者が十分話し合ってそういう土壌ができないときには、そのように積極的にかつ厳正に、国民がオリンピックが見られるような環境づくりを推進するつもりであります。
○依田委員 ちょうど時間でありますので、これで質問をやめさせていただきます。
○八百板委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 次回は、明十七日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十九分散会