第082回国会 交通安全対策特別委員会 第2号
昭和五十二年十月二十六日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 鈴切 康雄君
   理事 加藤 六月君 理事 丹羽 久章君
   理事 野中 英二君 理事 井上  泉君
   理事 太田 一夫君 理事 新井 彬之君
   理事 青山  丘君
      阿部 文男君    井上  裕君
      石橋 一弥君    北川 石松君
      玉生 孝久君    中村 弘海君
      前田治一郎君    井上 一成君
      久保 三郎君    野坂 浩賢君
      吉原 米治君    草野  威君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 田村  元君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      園田  直君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      室城 庸之君
        警察庁交通局長 杉原  正君
        運輸大臣官房審
        議官      真島  健君
        運輸省自動車局
        長       中村 四郎君
        運輸省航空局長 高橋 寿夫君
        運輸省航空局次
        長       松本  操君
 委員外の出席者
        内閣官房内閣審
        議官      田中 和夫君
        警察庁刑事局国
        際刑事課長   新田  勇君
        警察庁警備局公
        安第三課長   福井 与明君
        警察庁警備局警
        備課長     若田 末人君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       森田  一君
        通商産業省立地
        公害局保安課長 飛永 善造君
        建設省道路局道
        路交通管理課長 浪岡 洋一君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社社長)   朝田 静夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 交通安全対策に関する件
     ――――◇―――――
○鈴切委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 航空交通の安全対策に関する問題について、本日、日本航空株式会社社長朝田静夫君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○鈴切委員長 この際、日航機ハイジャック事件及びクアラルンプールにおける日航機墜落事故について、内閣官房長官及び運輸大臣よりそれぞれ報告を聴取いたします。園田内閣官房長官。
○園田国務大臣 ハイジャック事件の概要について、経過を御報告申し上げます。
 日本時間九月二十八日午前十時四十五分、パリ発東京行き日航四七二便、乗客百四十二名、うち邦人客八十五名が、ボンベイ離陸後ハイジャックされ、同日午後二時三十一分、バングラデシュのダッカ空港に着陸いたしました。犯人は、ダッカ着陸後、給油八万ポンドと給水をバングラデシュ当局に要求しましたが、これが完了した後、二十八日の午後九時十五分になって、本邦で身柄拘束中の九名の囚人の釈放及び身のしろ金六百万米ドルを日本政府に対して要求してまいりました。この段階で、犯人は日本赤軍であることが判明をいたしました。
 これに対しわが方では、直ちに運輸省、警察庁では対策本部をつくり、対策を講じておりましたが、二十八日の午後十時、総理官邸に政府対策本部、本部長は私でございます――を設置し、対応策を検討いたしました。
 逐次経過をいたしまして、二十九日午前七時四十三分までに、前記犯人の要求の両項目について、原則的には犯人側要求に応じることを決定、その旨犯人側に連絡をいたしました。この間、最初は金だけ、次に、囚人のうちの特殊な者だけ、最後に一般刑事犯人は除くということで折衝をしてまいりましたが、この経過は省略をいたします。
 この後、同日午前八時二十五分、犯人側は、釈放要求のあった囚人九名及び六百万米ドルを十八時間以内にダッカ空港まで運ぶことを要求してきました。
 わが方としては、釈放要求囚人中二名の者については、いかなる意味でも政治犯罪者ではなく、釈放するのは妥当でないという結論に達し、この点についてさらに犯人側と交渉することにいたしました。
 犯人側との交渉は、当初からバングラデシュのマームド空軍参謀長によって行われ、この間、十月一日の夜までに、病気等の理由により人質十一人が解放されました。
 犯人側からの釈放要求が出されていた九名の囚人のうち、大村、知念、植垣の三名は出国する意思のないことが判明いたしました。石井運輸政務次官を団長とする政府救援団は、釈放する予定の六名の囚人及び六百万米ドルを伴い、日航特別機で十月一日午前六時ごろに羽田を出発し、ダッカに向かいました。この段階でも、一般刑事犯二名は、これは犯人に引き渡さない、向こうの参謀長の意見によって、要求した犯人を現地にそろえれば、この二人は後刻自分が折衝の上、日本に送り返すようにするという了承があったわけで、そこで全部を送ったわけであります。
 十月一日午後二時半ごろ、石井団長以下が現地に到着し、人質の全員釈放について努力しましたが、犯人側は六百万米ドルと釈放囚人六名とを引きかえに乗客五十九名を解放することに固執いたしました。
 十月二日早暁、犯人側とマームド参謀長との合意により、釈放囚人六人及び六百万米ドルと人質との交換を六回に分けて実施することになり、午前七時過ぎまでにこの条件に基づき、人質六十人が解放されました。
 この人質交換が完了した直後にダッカ市内でクーデター騒ぎが発生し、空港等にも反乱軍が乱入するなどして、犯人側との交渉は一時中断いたしました。クーデター騒ぎは午後には政府側によって鎮圧され、再度バングラデシュと犯人側との交渉が再開され、政府としては、情勢の展開に応じて、現地の大使及び石井団長にそれぞれ指示をするとともに、総理大臣みずから、直接、電話で、バングラデシュ大統領に、現地で人質全員を救出するという日本政府の方針に協力するよう強く要請をいたしました。結局、さらに人質四十二人が解放されたが、十月三日の早暁に至り、ハイジャック機は残る人質三十六名を乗せたまま、バングラデシュ政府の離陸命令によって離陸をいたしました。この直前も、現地の連絡によって、総理大臣はバングラデシュの大統領に、行く先がわからないまま離陸することは人道上大変であるから、絶対離陸させてくれるなと要請をいたしましたが、大統領は、この飛行機が飛行場におることはわが国の安全にも影響するということで、やむを得ないということで離陸命令を発しました。
 ダッカを離陸したハイジャック機は、午前七時にクウェートに着陸し給油すると同時に人質七人を解放、また十二時半にはダマスカスに着陸し、給油を受けると同時に人質十人を解放し、十月三日午後十一時二十分ごろにアルジェリアのダル・エル・ベイダ空港に着陸、ハイジャック機がダル・エル・ベイダ空港に着陸してから間もなく、十月四日午前一時ごろ、犯人及び釈放された囚人六名はハイジャック機から離脱し、残る乗組員を含めた人質全員が解放されました。
 解放された人質の救援に当たった日航特別機は、十月四日及び五日に羽田に帰着いたしました。
 なお、犯人及び身のしろ金の取り扱いについては、政府としてはアルジェリア政府がこれらをわが国に引き渡すことを希望しており、アルジェリア側がこれらを引き渡す場合には、いつでも受け入れる用意がある旨等をアルジェリア政府に申し入れたわけでございます。これは最終段階において、アルジェリア政府が、犯人と身のしろ金は要求しないということを前提にしなければ受け入れられないということで、やむを得ず受け入れたわけでありますが、しかしその後再発防止の見地から、ああいう約束はいたしましたから引き渡し要求はできないけれども、ぜひ犯人を渡していただきたい、身のしろ金も渡していただきたい、できなければ、犯人はあなたの国で拘束をして、身のしろ金はあなたの方で没収をして、犯人がこれを使えないように、再発ができないようにということでございます。
 これに基づきまして、政府は、十月四日の閣議了承によってハイジャック等非人道的暴力防止対策本部を設置いたしました。
 この基本方針は、一、日本赤軍の根源を絶つこと、二、ハイジャック防止についての国際協力を強化すること、三、国内対策を徹底すること、の三本柱を中心に、とりあえず行政的に早急に実施すべき対策として、十月十三日、十八項目に上る第一次ハイジャック防止対策を決定したところであります。
 さらに関係法律の改正を検討し、とりあえず臨時国会に間に合うように、航空機の強取等の処罰に関する法律、航空機の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律及び旅券法のそれぞれの一部を改正することとして、今臨時国会に審議を願う予定であります。
 なお、政府としては、これが再発防止対策のすべてだと考えているわけではなく、日本赤軍等の過激派犯人の裁判の促進を図るための刑事訴訟法の改正の問題、警察官の海外派遣の問題等についても、引き続き検討する考え方でございます。
 なお、この対策本部は、事柄の重要性に応じまして、特に、いままでと違い、日本航空及び全日空からもこの幹事会に御参加を願い、と同時に、この対策本部は単に対策を立てるばかりでなくて、これをチェックし、その実行、推進、点検をするということに重点を置いてやる所存でございます。
 以上、経過を御報告申し上げます。
○鈴切委員長 次に、田村運輸大臣。
○田村国務大臣 先月二十七日、日本時間の午後八時ごろ、香港を出発し、クアラルンプール国際空港へ向かっていた日本航空所属のDC8型機が、着陸の直前に同空港から北西約七キロの地点に墜落するという事故が発生いたしました。
 詳細につきましては、お手元にお配りした資料に記してございますが、日本人乗客二十九名を含む乗客及び乗務員合計七十九名のうち、不幸にも三十四名の犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾の念にたえません。
 航空企業の至上命題である安全運航の確保を達成させるべく、運輸省としては従来よりこの点に最大の力点を置いて航空企業の指導監督を行ってきたところでありますが、今回このような事故の発生を見ましたことは、私といたしましてもまことに残念でございます。
 本事故の原因調査につきましては、国際民間航空条約に基づき、事故発生国であるマレーシア政府が実施することになっておりますが、航空機登録国であるわが国としても、航空事故調査官を現地に派遣する等の方法により、事故調査に参加しているところであります。
 現在事故調査は続行中でありますが、マレーシア政府の協力を得て早急に事故原因を解明し、もって航空運送事業の安全運航の確立に万全を期する所存でございます。
○鈴切委員長 以上で報告は終わりました。
    ―――――――――――――
○鈴切委員長 本日は、日本航空株式会社社長朝田参考人には御苦労さまでございます。
 参考人に対し質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
○北川委員 本日の委員会で質問の機会を与えられまして感謝申し上げるものでございます。
 日航の社長さんには、御多忙の中を参考人として御出席をされたことに対しまして深く感謝をいたします。
 感謝は感謝といたしまして、もう一月になる今日、本委員会が開かれたことに対しましては、いま官房長官と運輸大臣の報告を聞きながら、委員の一人として時間的にやや遅き感を深くするものでございます。ただ、今日、あれだけの事故を起こしました当局者である日本航空が、どのように考えられ、どのように新しい見地の上に立って対策を立てられたかということを、私は社長にお聞き申し上げたいと思います。
 その点において、一点はハイジャック問題であり、一点はただいま運輸大臣報告のクアラルンプールの墜落事故であります。
 まず、社長のお考えはどのようであるのか、お聞きを申し上げるものでございます。
○朝田参考人 日本航空の社長をいたしております朝田でございます。
 クアラルンプールにおきますまことに申しわけのない事故を引き起こしまして、亡くなられました方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、生存者の中で負傷されました方々の一日も早い御回復をお祈りいたしておるわけでございます。
 今回の事故はまことに申しわけのない事故でございまして、私ども、昭和四十七年に連続事故を起こしまして後、企業体質にまで痛烈な御批判を当時いただいておりましたので、率直にこれを受けとめて、八十三項目にわたる安全対策を今日まで実施してまいりました。しかし、遺憾ながら今日再びこのような事故を起こしまして、まことに申しわけのないことだと思います。深くおわびを申し上げたいと存じております。
 その後とりました対策は、私ども、ただいま申し上げましたような八十三項目にわたる安全対策をことごとく実施してまいったのでございますけれども、今日、クアラルンプールの事故に関連をいたしまして、その原因の探求、真相の究明は、ただいま運輸大臣から申されましたようにマレーシア当局がこれに当たっておられますから、この事故の原因に対して予断をもって推論をすることはどうかと思いますので、そういうものと直接関連がなくても、考えられる可能性というものを十分念頭に置きまして、とりあえずの対策を八十三項目の安全対策に加えて急速に措置いたしましたことをこれから御説明いたしたいと存じます。
 まず第一には、私どもがいつもやかましく言っております規定の遵守、励行でございますが、安全運航のためには、定められております規定、手順というものを厳守すること及び相互モニターの点検あるいはそのモニターの実施というものが最も重要な基本問題でございますので、その徹底を図ることを最重点項目といたしております。
 第二番目には、離着陸安全対策委員会を設立いたしました。航空事故の統計を見ますと、御承知のように、離陸時の三分間、進入、着陸までの八分間、合計十一分間に集中いたしておりますので、この十一分間を人間工学的な研究あるいは自衛隊のケーススタディーを研究の参考にするなどあらゆる角度から解析をいたしまして、かりそめにも人的要因に起因いたしますところの誤操作あるいは判断ミスなどの入り込む余地のないような手順の確立と委員相互間の連携動作の完璧を期したいと思っております。
 具体的に申し上げますならば、たとえばチェックリストをより正確に読む、あるいは操縦室の中におきます乗員相互間の連携作業を洗い直しまして、その成果を日常運航に反映せしめる、なお、この委員会は、その決定事項を即刻実施に移しますとともに、それをラインの任務に従事いたしております乗員に反映させるということを考えておるわけでございます。
 第三番目には、経験豊かな先任の機長、シニアキャプテン、こういう者によりますところの日常運航における特別指導でございます。できるだけ速やかに主席以上の機長が同乗いたしましてこれの特別指導に当たるということでございます。
 第四番目には、機長養成に当たる機長の教育指導要領を強化充実いたしております。
 第五番目には、特定空港についての再点検をやる。非精密進入方式で着陸する滑走路を持っておりましたり、あるいは特殊な地形、特殊な気象条件が存在する空港や、こういう空港施設が不十分な空港につきまして、最新の情報を入手し、乗員あるいは地上運航従事者に徹底をする。必要に応じて、運航方式の見直しを行いたい、こう考えております。第六番目には、地上運航従事者と運航乗務員間の運航情報伝達の円滑化でございます。カンパニーラジオというものを持っておりまして、そういうものを通じまして、地上運航従事者と飛行機の操縦席との間に運航情報の伝達が円滑に行われるような装置を地上に装着する。
 最後の対策は、飛行記録というものが飛行機についておりまして、いわゆるフライトレコーダーと申しておりますが、こういうものを抜き取り検査をやりまして、そのときの操縦状態、そういったもののチェックをやりまして、それを指導の材料に活用してまいりたい。
 こういうことをとりあえずの措置といたしまして決めたわけでございます。
 以上、ハイジャックの問題につきましては、またお尋ねがございましたらお答えをいたしたいと思います。
○北川委員 いま朝田さんに、お気持ちはどうかということをお聞きしたのですが、いきなりクアラルンプール墜落に対しての日航の考え方を先走ってしまわれて、持ち時間があと十分しかない形になりましたので、いまのあなたの詳しい七項目にわたる説明は、そのまま私は了といたしたいと思いますが、ただ私は、こういう事故が起きないということは今後絶対ないと言えないと思います。何しろ空を飛ぶ問題であり、それにゆだねられている何百人かの生命を預かる日航が、いま新しく考えておられる七項目以上に私は大切なものがたくさんあるのじゃないかと思う。場当たり的にやるところの諸対策というものは、やはりその価値が薄らぐのではないか、こういうふうに思うのでございます。
 なお、いまの七項目を先に説明されたので、私は、一問一答の形でクアラルンプール事件、またハイジャック事件というものを質問したいのですが、時間がないので後ほど書面でまた求めまして、本委員会で足らざるを補っていきたい、かように思います。
 そこで、ハイジャック問題についてでありますが、これは新聞報道その他で、すでに日本国のみならず、世界が熟知しておる、周知しておることと思いますが、何分現在の時点におきましては、日本が世界の信頼を得ながら乗客を運ぶ唯一の航空会社は、日本航空会社オンリーだと私は思うのです。このオンリーである日本航空会社は、日ごろやはり独断的な、独裁的な形の上に立っていろいろの経営をしておられますが、一たび事故が発生すれば、すべて政府の責任の形になって解決しなければいかぬ。こういう点を考えましたときに、新しくハイジャックに対して検討をされ、また日航においてもこれのいろいろな情報も得られて発表なさっておりまするが、私はこれで十分じゃないと思うのです。その点について要点を説明願いたいと思います。
○朝田参考人 ハイジャックの防止の対策は、政府と一体となって対策を決めたわけでございますが、私どもの独自の対策もそれにつけ加えて今後実施いたしてまいりたいと思いますが、いま仰せのとおり、これで十分だというふうには決して考えておりません。情勢の変化に応じて対策を追加してまいらなければならぬ、各国の事情が違いますので、実行もそれに応じてまいらなければならぬ、そのように考えております。
○北川委員 いま新しい対応をしていかなければいかぬとおっしゃいましたね。新しい対応をどういうふうにされるかということをあなたにお聞き申し上げたいのでありますが、私に与えられた時間の中で、朝田参考人に対しての時間は決められておりますから、一つ申し上げておきたいのですが、こういうときに、やはり当該運輸大臣、またいま聞くところによると、全日空も新しく外国へ飛ぶ要請をしておられるというが、やはり国会における交通安全対策特別委員会というものは、国会がゆだねたところの交通安全のすべてを議するところであると私は承知しておりました。その見解に立ちまして、日本航空に質問申し上げながら、私は、航空関係における安全の全体的な対策を本委員会で論議しなくちゃいかぬ、こういう見解を持っております。だから過ぎ去ったものを一月もたってようやくあなたと対話をすることは、ノスタルジア的な考えの中で物を見なくちゃいかぬ。絶えず前進をしなくちゃいけないし、絶えず新しい対策を立てることが政治であると思いますし、当該責任者の務めであると思います。
 そういう点におきまして、ハイジャックで新しい項目を設けられたけれども、あれは場当たり的な面が一つある。もっともっと新しいものを、たとえば日本がとりましたところの十六億円の身のしろ金と犯人九人、この後にドイツのああいう対応がなされておる、これをどのように参考にされたかということをお聞きする時間がない。ただそういう形の中で、国内の何も知らない、善意の第三者は羽田空港で、入り口まで長蛇の列をつくらざるを得ないハイジャック対策によって迷惑をこうむっておる。こういう点を御承知なんですか。いかがですか。
○朝田参考人 承知いたしております。
○北川委員 承知いたしておるというので、その後どういう対策を立てられたかということは、私はハイジャックがあった後、自動車をおりて、入った。全日空の前まで列を来たしておる。見ると乳飲み子にもボデーチェックをしている。着物を着ている御婦人、小さい子供、老人にまでボデーチェックをしながら、混雑の極致を呈しておる。注意したら、おまえは何を言うのだというような顔をしておるので、そういうことを言いたくはなかったけれども、あなたの方の当時の課長に申し上げた。参考に三人ほどの名刺をちょうだいした。みんながぶつぶつぼやいておる。どうぞあなた、こっちから入ってくださいと言う。こういうことを私は望んでいないので、また一番後に並んだのでありますが、こういう、承知をしながらあえてむだなことをやっておって、新しいハイジャック対策あるいは墜落対策に対する新しい考えを全員に徹底させることができるかどうかということを憂える一人であります。やはり前向きに向いていかなくては新しいものは決して生まれてこない。こういう点で、場当たり的な、ハイジャックの後の、ただボデーチェックをすればそれでハイジャックが防げるのだというような、しかもあそこの機能というものは、この前、前田委員が指摘しておる。それにもかかわらず、一つも前進的なものがあそこに備えられておらない、これでは私はだめだと思う。いかがですか。
○朝田参考人 ただいまのお話は私ども十分考えないわけではございませんが、例外なく検査をするということで、どこからもすき間のないようなチェックをするというたてまえにいたしておりまして、それが老人、子供に対してまで不必要な検査をするということが明確でありますればともかくでございますが、犯人がだれかに託してそれを持たしておる、あるいは脅迫によるかもしれませんが、そういうものに託するということも可能性として考えられるものでございますので、一律に無差別にチェックをしておるというような状況でございます。しかし確証があって、十分安全なグループだとか、あるいはそういう個々の人で、そういう保障が十分あることに対しては今後改善をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○北川委員 持ち時間が参りましたので終わりますか、それから後五日目には流れがよくなっておったということも申し上げておきたい。ただ、やる気があればできるということ。だから私は、あそこのチェックの機械も新しいものができておるはずだ、それを設置していただきたい。そうしてハイジャック対策、また墜落対策について、私は、日本航空の今後の新しい英知を傾けたところの、機長初め人員に対する勉強をさしていただくと同時に、日本航空も前向きでやっていただきたい。
 きょうは全日空は来ていませんね。それではまた後、私の持ち時間で足らざるを補っていきたいと思います。ありがとうございました。
○鈴切委員長 次に、久保三郎君。
○久保(三)委員 いまお話がありましたように、日本航空を中心にして、クアラルンプールの事故さらにはハイジャックの問題、そういう問題についてお尋ねをしたいのでありますが、特にきょうは日航の朝田社長にお忙しいところおいでいただいたのは、普通ならば私は社長さんなどお呼びするつもりはないのですが、問題はどうも当委員会ばかりじゃなくて、これまで長年というか、最近の記憶でも四十七年から航空の安全については国会の中で議論されております。それからもう一つは、政府においても対策というかそういうものができているわけです。日本航空でも組織もできているようでありますが、実際はわかり切った話ですが、実行が伴っていないのではないかという疑念を深くしているわけです。
 今度のハイジャック一つとっても、だれもが言っているように、大きくは三つの対策だろう。一つは、ハイジャックそのものを犯罪としてどこの国でも扱うという基本、そういう三つの条約について世界各国が一つは批准して実行してもらう、国内体制も築いてもらう。もう一つは、ハイジャッカーを飛行機に乗せない工夫、これが一番大事だと思うのです。それからもう一つは、何といってもそういうものの発生源を抑えるという三つになろうかと思います。
 ところが、皮肉なことにこの間のハイジャックでは、日本の政府は、この飛行機を受け入れる国を一生懸命に探したというか頼んだですね。頼んだ結果アルジェリアに着陸ができたんだろうと思うのでありますが、反面、そういう国は関係の条約は批准してない。もちろんそういうわけでありますから、考え方が違う。だから、全部の国がハイジャッカーが乗った飛行機は入国させない、着陸させないということになると、これはどんなことになるのかという、そういう頭の中での矛盾が出るわけです、実際は矛盾が出ないのかもしれませんが。そういうことも考えると、これにも限界がある。結局は、ハイジャッカーを乗せない、そういう工夫をすること以外に問題はないのではないかというふうに思うのです。
 ところが、手前どもの党で特別委員会をつくりまして、先般関係の方々をお呼びしていろいろ御意見を聞きました。日本航空からもおいでをいただきました。たしかおいでになった方は専務の野田さんという方、いらっしゃいますね、この方ともう一人の人いらっしゃいましたが、その中で私から質問したのは、約款に書いてあるというか、約款があるのであるから、少なくともどこの国でも日本航空が飛び立つ際にはタラップのところで検査をできるじゃないかという話をいたしましたらば、それは主権の問題に関係しますのでできかねますという御返事になっております。私もそれは反論はやめておきましたが、運送約款というのは犯罪の取り締まりではなくて、運送する契約でありますから、その契約にのっとって、体も着衣の上から検査するとか荷物も調べさせていただきますという約束の上で運送を引き受けているわけでありますから、これはできるはずだと思った。ところが専務のおっしゃることには、それはできかねるということでありまして、また実際やっておらないところが多いのです。いわゆるダブルチェックというのか知りませんが、これができていない。その後、航空局の管理課長か監督課長か、この人の説明によりますれば、日航はうそをついていますと、こう言っているのです。うそをついている。これは、だからうそであるのか本当であるのか、航空局の次長が来ているから、日本航空の約款に基づいて、たとえばドバイならドバイ、ボンベイならボンベイの空港で日本航空株式会社がタラップのもとで旅客の荷物や旅客の携行するものについて、検査することは主権にかかわり合いがあってできないのかどうか、どういう見解を持っていますか、航空局から聞きましょう。
○高橋(寿)政府委員 お答えします。
 いま私部屋に入ってくる途中で全部伺っておりませんけれども、ダブルチェックの問題であると思います。これはダブルチェックをやることが特に問題のある外国空港については必要であるというふうに私ども考えまして、そういう体制をいま日本航空にも至急展開するようにお願いをしておるところでございますが、これをやる場合の問題点は、特に問題の多いと言われております東南アジア地域、中近東地域の各空港では主として当該国の官憲が検査をしているというのが一般的でございまして、そこへ日本航空が会社の責任において入り込むということにつきましては、従来とも相当問題がございました。しかしながら私どもといたしましては、その空港を利用する航空機の中でも、特に日本航空の飛行機だけでも日本航空自体の手でダブルチェックをした方がいい、すべきであるということでやろうとしているわけでありますけれども、その場合には当然その国の官憲に対しまして念には念を入れるということで、一たんゲートを通った後もう一遍日本航空の飛行機の横でやらしていただきますと、こういうことを外交ルートを通じまして現地の政府にお願いをしようと思っているわけであります。
 それではその日本航空がそういった体制をとることができるかという問題でございますが、それはいまのように外国の官憲等が日本航空のダブルチェックについてやぶさかではない、やってよろしいということさえオーケーしてもらえれば、これは日本航空が手間と金をかければできることでございますので、私どもはそれは国内の空港におきまする検査と同じように、根拠は日本航空株式会社の運送約款によってやるということで可能であると思います。
○久保(三)委員 少しピンぼけな答弁だけれども、私が聞いているのは局長、全般のことを聞いているんじゃないんだ。運送約款に基づいて、外国でもタラップの下で最終的にダブルチェックが理屈としてできるんじゃないかということなんです。外国の官憲がやっているからなかなかむずかしいというのは、これは言うならばしきたりかなにかの話でありますからそれは別として、やればできるのじゃないか、ところが、日本航空の専務はそれは主権の問題があってできませんという答弁をしている。どだい運送約款を結んでいる当人が間違った考えをしているんだから、それじゃできっこないじゃないですか、あなたはどう思いますか。
○高橋(寿)政府委員 日本航空の責任ある重役さんがそういった考えを持っているということを私はいま初めて伺いましたけれども、私はそういうことはあり得ないと思います。運送約款に書いてある限り、日本航空の責任でやることは可能である。ただ、現地政府との仁義の問題があるということだけでございまして、これは法的には可能であります。
○久保(三)委員 朝田社長、あなたの部下がそういうお話をしているのですが、私はそういうところに問題があると思うのですよ。
 それから、航空局長もこれからやろうという話なんだな。これからやるんじゃなくて、運送約款を忠実に守ってもらうのが、これは反面運賃を取って旅客を乗せるための義務なんですよ。それを履行していなければ、航空会社が運送約款違反をしているんじゃないかと私は思うのです。それができない状態ならば、いわゆる航空協定の問題にさかのぼって交渉をすべきなのであって、それまで詰めてやらぬでいて、ハイジャッカーが出てきてからまた同じような議論をしている。ばかばかしい限りだと私は思っているんですが、あなたの御見解はどうですか。運送を引き受ける者として、約款でできると思うのですが、それとも専務が言うとおりできないのですか、いかがですか。
○朝田参考人 結論を申し上げますと、運送約款でチェックができると私は思います。現に、国内空港で私どもの手によって、ガードマンは使っておりますけれども、警備保障会社等と契約をしてマンパワーは提供してもらっておるわけでございますが、航空会社の責任においてチェックをしておるのも、運送約款に基づいてのチェックだと私は解釈いたしております。
 ただ、少し申し上げ方が足りないかあるいは間違っておったかわかりませんが、やはり外国においては、国によって全部政府の警察力あるいは軍隊で直接検査をやっておられますので、それに対して日航独自のダブルチェックを行いまする上においては、そういうことを認めないという国はございます。具体的に申し上げますならば、フランスとかあるいはインド政府がそうでございますので、その点については先ほど航空局長が御答弁になりましたように、外交ルートを通して十分協力が得られるようにお願いをしたい、こういうことでございまして、そういう了解が得られれば運送約款の範囲において処理をいたすべきだ、こう考えております。
○久保(三)委員 航空局長にお尋ねしますが、航空協定を結ぶときには、その協定に基づくラインに就航する航空会社は決まるわけですね。航空会社が決まれば、その航空会社が持っている運送約款というのはこれはどこの国においても適用されるわけだと思うのです。そうだとするならば、理屈はわからないわけじゃありませんよ、フランスが言うことを聞かぬとかどこが聞かぬということがありますが、しかしもしもそういうことだとするならば、これはもう少し航空協定を広げて協定しなければなりませんね。そうじゃないかと思うのですよ。運送約款が守られないで飛行機は飛んでも結構ですという、そういう協定はどこに行ったって通用するわけがないと私は思うのです。いかがですか。
○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。
 ある国の航空会社に対しましていろいろの法律を守らせる、その他一応基本的な権限を持っておりますのはそこの国の政府でございますので、航空協定を結んだ場合に、外国のエアラインに対しまして各種の指導、その中にはもちろん約款の励行等含みますが、それを行いますのは第一次的にはそこの国の政府であると思います。したがって、日本航空については当然わが国が責任を負っておるわけでございます。最近のハイジャック事件で、私どもが最小限度これだけはガードしなければいけないと思っておりますのは、日本航空の航空機がハイジャックされるということだけは日本政府の責任でガードしよう、こういうことでございますので、日本航空につきましては私ども直接指導監督をいたしております。
 それから、日本に入っております外国エアラインにつきましては、直接の指導監督権はないわけでございますけれども、これも先生いまお示しのように、やはり航空協定を結んで友好裏に乗り入れている会社でございますので、そういった会社に対して指導監督を行い、要すれば本国政府にお願いしてそういうものを強化するというふうにいたしまして、たとえば羽田に乗り入れている各社ごとにその辺の体制が著しく異ならないように、そういう配慮をする必要があると思って、いま指導をしておるわけでございます。
○久保(三)委員 大体話はもうそれ以上申し上げることはないと思うのですが、航空局長並びに朝田社長にもう一遍お答え願いたいのは、道理はわかった、わかったらではどうする、いつ幾日どういうふうな行動を起こす、どういう手続を踏むという手順は決まっておりますか、いかがです。
○高橋(寿)政府委員 これは、先般政府のハイジャック対策会議で決まりました項目を、いま逐一実行をしている段階でございます。簡単にできるものと時間のかかるものございますけれども、できるものからとにかくやっていくということで、あえて拙速を恐れずにやっております。中間的にこの委員会にも御報告を申し上げたいと思います。
○朝田参考人 政府と一体となって、決定をいたしました対策については、現在の人的、物的、施設の範囲内でも極力それを速やかに実行に移すということで、世界じゃうの地区支配人を呼び集めまして指示をしたところでございまして、現段階においてもやれるものからやっていく。そして同時に、十七空港にわたっていわゆる保安専門職員というものをそれぞれ配置いたして、ダブルチェックその他決められたことの実行をやることにいたしております。すでに持ち込み手荷物の制限等については、現に実施をいたしておるようなわけでございます。
○久保(三)委員 広範なハイジャッカー対策をどうするかをお聞きしているのじゃなくて、運送約款を忠実に守るために具体的にどういうふうに進めておられますかということを聞いておるわけなんです。私が非常に残念に思っているのは、約款どおり実行できていればという気持ちが多分にあるものですから申し上げているのですよ。ところがさっき申し上げたように、日航の専務ともあろう者が、できませんということでわれわれの前に来て言っているのでは、これはどうかと思う。できなければ、私どもの手ではやろうとしてもできないのです、何か政治として考えてくれ、国として考えろという要求でもあるなら別ですが、平々たんたんとして、主権の問題がありましてそれはできませんと言う。いかにも消極的であって、はっきり言って、これはわれわれとしては安心して乗れないのじゃないかという気分もいたします。いずれにしても、約款を忠実に守ることができない問題があるとするなら、これは航空局も含めていままでやらなかったところが怠慢でありまして、何遍ハイジャック対策をやったって同じことですよ。だからその点はひとつ強く指摘して、時間の関係もありますから先に行きます。
 次には、約款ですが、約款を忠実にお守りになっておられますか。たとえば機内持ち込み物品あるいは手荷物というのですか、そういうものについてどうなんでしょう。
○朝田参考人 率直に申し上げますと、この約款に書いてありますことは、国際航空に従事いたしております航空会社約百社で組織いたしておりますIATA、国際航空運送協会というものがございますが、そういうところの決議によってそれが由来しておるわけでございます。この運送約款に書いてあります持ち込み手荷物というものを、従来はIATAのメンバーであります各航空会社もなかなか守れなかった。率直に申し上げて、だんだんと緩やかになってきておるのが実情でございまして、今回そういうことで、対策としてこれを十分守る、運送約款に記載しておりますような十七品目に限定をいたしまして、持ち込み手荷物を厳重に励行する、こういうことにいたしております。
○久保(三)委員 それはIATA加盟メンバー全部が約款どおりにやるのは幾日から始まることになるのですか。
 もう一つは、あなたの会社はいつから始まりますか。
○朝田参考人 私どもの方は即刻いま周知徹底をいたして励行をいたしているわけでございますが、IATAの方で全部が守るかどうかという問題につきましてはなかなか徹底をしていない。したがいまして、私はIATAの理事会の理事を仰せつかっておりますので、理事会あるいは年次総会を通じてこれを徹底遵守、励行してもらうようにアピールをしたい、こういうふうに考えております。
○久保(三)委員 いま日航としてはPRをしていらっしゃるそうでありますが、私がお尋ねしているのはいつ幾日から実行に移されますか、こう聞いているのでありまして、その予定はまだないのですね。
○朝田参考人 国内各空港におきましてはすでに実行をいたしております。周知徹底もいたしております。ただ、外国空港におきましては種々事情がございましてまだそこまでまいっておりませんが、即刻そういうことの周知徹底と励行を促進いたしたい、こう考えております。したがいまして、そのために支配人会議も招集をいたしまして指示をいたしたような次第でございます。
○久保(三)委員 IATAのメンバーにはいろいろ競争相手がたくさんいまして、競争相手ばかりがIATAの中に入っているといってもいいと思うのです。結局、最近でも日米の航空交渉、協定の交渉を引き続きやっておりますが、思わしくありませんね。片方では運賃のダンピングというか、ひとつ引き下げでやろうじゃないかというのも出てくる。結局、サービス競争というか、言葉で言うとサービスというのはいい言葉かもしれないが、言うならば交通全体がそうですか、特に飛行機の場合は何が一番大事でしょうか。こんなことを朝田社長に聞くのは大変失礼千万な話だと思うのですが、お聞きしなくてもいいでしょうね。交通というのは安全が第一なんですね。安全を抜いてほかに利用というか効果はないのですね。安全を土台にして初めて交通は成り立つし、それに伴うところの経済的な効果というのも出てくるわけでありますから、命あっての物種という言葉がありますが、命あっての物種でありまして、それがなければ物の種がなくなりますからね。
 ところが最近のお話というか状況をつかんでみますと、いまの持ち込み荷物についても、競争相手があるからなかなか励行はできないのだろうと私どもは思うのです。国内は競争相手と言っても二、三社きりありませんから、これはやれば簡単だと思いますが、それでもやはり競争になるということで踏み切れないのじゃないかという心配をしているわけです。
 そうするとこの約款は空約款ということになってくる。もっとも約款を知っている旅客はほとんどいない。約款を書いてあるものはどこにあるのかといったら、きっと探してもありませんね。これは日本航空の本社へ行けばあると思うのでありますが、空港にもぶら下がっていないだろうと思うのです。
 そこで航空局に聞くのだが、この運送約款というのは法律上どこに掲示をして知らせることになっているのかおわかりでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 これは各運送事業者の営業所に掲示する義務があると記憶いたしております。
○久保(三)委員 約款というのは読めるような形になっていましょうか。
○高橋(寿)政府委員 航空法の百七条に「公衆に見やすいように掲示しなければならない。」と書いてございますので、法律上はそういった義務を負わしているわけでございます。
○久保(三)委員 見やすいようというのはどういう意味かわかりませんけれども、私は日本航空の運送約款を持っているのです。これは三十三ページから五十二ページまでが邦文に翻訳した約款であります、こういう小さい字で。見やすいといっても、こういうものをぶら下げておいて見やすいかどうかわかりません。これは読むのに一時間じゃ読めませんよ、本当にわかるのには。斜めに読んでもこれは十分か十五分はかかる。
 この運送約款というのは、外国へ行く場合には航空券の何枚かつづったものがありますが、その後ろの方に、虫めがねで見なくちゃ見えないような字で多少書いてあるのがあるのですね。実際言うと、旅客はそれさえわからぬです。本来ならばこれは全文を――全部やる必要はないか、少なくとも主要なる部分は周知徹底できるような方法をとるべきなんですね。そうでないから、結局持ち込みの手荷物もいっぱいになってくるし、競争になってくるから目こぼしもすることになると思うのです。約款がむずかしいかむずかしくないかは別にして、少なくとも重要な部分については周知徹底をさせる工夫が必要なんです。いまハイジャッカーが出たから、われわれ自身も約款はどうなっているのだろう、はっきり申し上げるとそうですよ、これは。運送約款はどうなっているのだろうと見たらば、なるほど約款どおりやっていれば問題はないなという感じなんです。これについて航空局長、あなたはどう考えますか。
○高橋(寿)政府委員 約款といいますのは運送業者とそれを利用するお客さんとの間の基本的取り決めでございますから、非常に大事なものでございますけれども、必ずしも利用者がその全部を周知し得る状態になっていないことは事実であります。保険なんかの場合でも私ども痛感いたしますけれども、どうも約款というものに対しては利用者がそういう立場に置かれているというのは事実だと思います。しかし、ほかの問題はとにかくとして、航空のように一歩間違えば大変な危険に陥るおそれがあるという交通機関の場合には、そういった約款の中でも、単なるお客さんと会社の間の運送責任上の問題という問題じゃなくて、安全に関係のあるような部分につきましては、やはり御指摘のようにもう少し乗客に周知させる必要があると思います。
 そこで、私どもは今度のことを契機にいたしまして、先ほどもお示しのように日本航空だけ厳しくやってもほかのエアラインにお客が逃げてしまうという心配もあるいはエアラインは持つかもしれません。持たないことを期待いたしますけれども持つかもしれません。そういったことをおそれまして、私どもはあの事件の起こったすぐ後で、旅行業者の団体が二つほどございますが、旅行業者の団体に対しましていまの持ち込み荷物の制限の問題を周知徹底させまして、空港に来る前にすでにお客さんは荷物を詰めるわけでございますので、その辺に接触するのはまさに旅行業者でございますから、旅行業者がお客さんに対しまして十分その約款の中身をかみ砕いて説明をし、かつ大事なところは守ってもらうように旅行業者の方が配意するという点がございませんと実効が上がりませんので、まず旅行業者にそういったことの周知徹底を指示いたしました。
 それに加えまして、エアラインの側でも見やすい場所に大事なことを掲示するというふうにしたいと思っております。現に持ち込み手荷物等の制限品目につきましては、空港のお客さんがまず入ってくる玄関口のところに掲示をいたしておりまして、かなり改善されておりますが、なおいまの御趣旨をさらに体しまして徹底するようにいたしたいと思います。
○久保(三)委員 時間もありませんから先にいきますが、いずれにしても運送約款というのは守れないものをただ形式的につくっておくもあということでは、残念ながら安全は守れないし、これは公正な運送ではないと思うのですよ。だからその点は十分航空当局も考えて航空会社を指導してもらわなければいけません。
 そこで、この間のハイジャックに関連してですが、日本航空はさっき申し上げた専務さんもおっしゃっていたと思うのでありますが、八月ごろ、いわゆる赤軍の奪還作戦があるというので予報を流したというのです。しかし予報は流したが対策の強化はしていなかったのではないかというんです。予報は流したが、対策の強化をしなければ何にもなりません。
 それは乗員の方々のお話を聞きましても、五十一年五月に乗員組合が、ニューデリーでの手荷物爆破事件があった後、手荷物検査の強化を日本航空の本社に要求したそうであります。ところが、会社の当面の責任者である航空保安室長は、従来どおりの検査基準で十分だ、厳重検査はやらない、安全対策は営業とのバランスで行うと組合員に答弁したという証言をしております。
 そうだとするならば、これはことしの八月に情報を流しても、かかる運営の姿勢ではハイジャックを抑えることはできなかっただろうと思うのです、経営のバランスで考えるというんですから。これは本当でしょうか。
 また、当時の航空保安室長はいまでもその職におありでしょうか、これは社長さんにお示しをいただきたい。
○朝田参考人 ことしの八月にそういう組合との話がございましたのは、私は聞き及んでおらないので、まことに不明を恥ずるのでございますが、そういうことを申し上げたとするならば、それは間違いでございまして、そうあってはならない。
 私は、営業なりあるいは経営の上で安全というのは、安全性の確保と一概に言われますが、運航の安全あるいは整備の安全、すべてを通してその安全の中に保安の問題も含めて安全性の確保ということでなければならないと思います。そういうことをもし言ったとするならば、それは誤りでございます。
 現在、航空保安室長は、ことしの八月におりましたのと同一人がいまでもその職におります。
○久保(三)委員 いや社長、私の言い方が悪いので間違いがあるようですが、いまの組合から航空保安室長に申し入れたのは五十一年の五月のことなんです。そのときの答弁がこれであった。それで、この間手前どもの特別委員会にお呼びをしたときのお話では、八月に奪還作戦という情報が入ったので、これは流しました、こう言う。だけれども、この五十一年の五月のときの保安室長の言明どおりならば、情報は流しっ放しで対策は何もないということだと思うのですね。それはあなたもおっしゃるとおり、まさかこの保安室長が言ったように、安全はどうでもいいのだ、経営とのバランスでやるのだからいいのだということを、それはそのとおりだとはおっしゃれないから、それは違うという言明。違うとすれば、この人はどうしますか、本当にそう言ったのか。こういう姿勢を持っている幹部がいるとするならば、これは厳重にあなたの手によって処理しなければいけませんね。私どもはとやかく申し上げませんけれども、これはそうだと思うのですよ。やはり姿勢はそういうところから正してもらわぬと困るのです。これは御返事は要りません。いずれにしてもそういうことが言われている。
 それからもう一つ、クアラルンプールの事故の問題でありますが、これは新聞情報ですから別に日本航空に責任があることではないかもしれませんけれども、ある新聞は、当時クアラルンプールの管制塔は日航機の機長に対してシンガポールに回れということを言ったそうでありますが、それをそうしなくて、実際は強行着陸態勢に入っていったわけですね。私はこれも経営のことと問題があるのじゃないかという疑いを持っているわけなんです。結局、そのために高度を下げ過ぎて残念ながら墜落してしまった。本来ならば、そういう豪雨が来たというときには、管制塔から言われるまでもなくこれは避けて、そのためにレーダーがあるわけでありますから、レーダーでキャッチできますね、そのレーダーでキャッチできながら、なおかつそれを強行していったところに私は一つの問題がありはしないかと思う。これは亡くなった機長を責めるわけではありませんが、そこにも経営の姿勢がありはしないかと思うのであります。時間がありませんから、これは後でお答えをいただきます。
 そこで、これは航空局長にお尋ねしたいのでありますが、たしか四十七年のころは事故が大分出ましたので、航空局は日航の経営体制全体について総点検をするということになって、点検をしたはずであります。そのときに一つのポイントとして、社内で物が言えないような空気、そういう体制があった。いわゆる労使関係についても取り上げたが、労使の間で物が言えないような雰囲気があった。それは指摘をしました。そういう指摘をした事実があるということを四十九年のこの委員会で答弁をしている、時の航空局次長後藤さん、いまの海運局長。
 そこで航空局に聞くのだが、この四十七年にそういう体制に欠ける点があるということで指摘した、その後どういうふうに改善されたか、追及しておられるのかどうか。いかがですか。
○高橋(寿)政府委員 御指摘のとおりでございまして、四十八年の二月一日に大臣から社長あてに「安全運航確保のための業務改善について」という通達を出しておりまして、この通達の中に、運航部門のみならず、全社的に上下左右各分野の意思疎通が相互の信頼関係のもとに円滑に行われるための有効な措置を講ずることという一項がございます。これによりまして、会社の中の組織の整備あるいはこういった意思疎通を図るための各種の機会をつくるという努力をしたはずでございますが、私、ただいまここにその報告を持っておりませんので、申しわけございませんが御答弁できないのでございます。
○久保(三)委員 大体は航空局は出しっ放しで追及していないのであります。歴代の航空局長並びに関係官は、実際はそれは出しっ放しで追及していない。
 ここに、けさ駅頭でまかれているビラがあります。そのビラは、言うならば組合関係のビラだから見ようによってはいろいろな解釈もあるかもしれない。しかしながら、いまのような指摘があって体制が整えられているとするならば、そういうビラは信憑性がないと思うのですが、指摘されている限りは信憑性があると思わざるを得ないのであります。これは言うならば、正論さえ社内では通らない、差別が非常にはなはだしいというようなチラシ、これでは安全が守れませんという訴えのビラがあるのです。社長、ごらんになりましたか。もしごらんにならないとするならば、これは組合に言えば持っているでしょうから、お取り寄せいただいてごらんいただきたいと思うのですが、それに対する御所見はいかがでしょう。
○朝田参考人 四十七年当時の連続事故で、広く一般からも、わが社の企業体質にまで痛烈な御批判をいただいたということを先ほども御答弁申し上げましたが、私はそれを率直に真っ向から受けとめて、謙虚に反省すべきところは反省するということで、この際言いわけをしないで、安全確保の努力を重ねて、事実をもって回答しようということを全社員に申し上げたのでありますが、そのときにも、実際思っていることがなかなか言えないというような、各職制の中でそういう空気があるとするならば、どんなにきのう、きょう入ってきた若い社員であっても、自由に物が言えるような明るい職場をつくっていこうじゃないかというようなことで、労使の問題で紛争が起こっております、長年かかっておった係争問題もありましたが、私は最高裁にかかっておる案件も全部取り下げて処理をいたした。そういうことに障害になるならば、全部それを取り除いて、明るい職場をつくっていきたいということであります。今日なお、そういうことが全部解決しておるとは率直に申し上げて申し上げられませんが、私は、労使の関係が安定すること、正常化することが、安全性の上からいっても、あるいは経営の基盤からいっても、何をおいても必要不可欠の条件であると考えておりますので、私自身、組合ともトップ会談あるいはしばしば話し合いをいたしておるようなわけであります。今後ともこの努力は続けてまいりたいと考えております。
○久保(三)委員 ここにビラがありました。後でごらんください。タイトルだけ読むと、この間も商業新聞に出ました、営利優先とは言いませんが、日本航空の安全度は七十七社中の六十三位であるということが「フォーチュン」というアメリカの雑誌に発表されたということでありまして、大変不名誉な話であるし、われわれ、政府に直接関係のある日本航空が七十七社のうちの六十三番目では、これは黙って見ておれないということでありまして、航空局長も含めてこれは後でゆっくりひとつ反省をしてもらわなければいかぬと思う。この中に書いてあるのは「“もの言えぬ職場”も事故の背景」タイトルだけ読みますよ。「恐るべき“営利優先”の復活宣言」、それからあなたがいま組合の、いわゆる最高裁の問題もお話しになりましたが、「都労委が仲介した日航労組の賃金差別事件の和解交渉をも決裂させてしまったのです。」と書いてある。これは一つですが、別にこれを強調しているわけではありませんよ。ただあなたがおっしゃったから申し上げる。「“差別撤回”こそ安全運航の保障」ということでありまして、この間も乗員組合の方々からも意見を聞きました。そのときにもありまして、機長はいわゆる管理職と称して会社側の掌握下に置く、コーパイはそうでないということで、結局運航上の問題についてもなかなか意見が通らぬという訴えがありました。だからいまの朝田社長の御答弁とは少しく雰囲気は違うようでありまして、航空局長も後の追及はどうなっているかわからぬようでは、これはちょっと困るので、もう少ししっかりその体制を見きわめてもらいたい。別に私は労使の問題に介入しろなんということは言っていませんよ。朝田社長にもそういうことを言っているわけではない。われわれは日本航空が安全度を確保するためにはやはり人間が大事だということだけは強調したい。営利が大事ではなくて人間が大事だということであります。
 それから最後に、時間もありませんから一つだけ航空局に聞きますが、航空法によりますれば、六十八条、同じく施行規則の百五十七条の三に乗務割りの基準というのがあります。これは至って抽象的でありまして、この前の四十九年のときに、この委員会での航空局次長の答弁では、無理なスケジュールというかフライトはさせません、それは、乗務割りというのは法律に基づいて決めて認可していますから心配ございませんという話があるわけなんだが、その法律を私は改めて読み直しました。非常に抽象的でありまして、これはいかようにでもとれる、具体的ではありません。
 そこでこれは航空局に聞くのだが、この乗務割りというものの基準をどんなふうに決めて航空会社に指示をしたり認可を与えているのか、時間もありませんから簡単に答えてもらいたい。
 それからもう一つは、施行規則百五十七条の三の二でありますが、疲労の問題にも言及しています。あたりまえの話であります。ところがいままでの飛行のスケジュールというか、日航の――日航ばかりじゃないと思うのでありますが、特に国際線におけるところの乗員の乗務割り、こういうものは適時適切に考えねばならぬと私は思うのであります。ところが、さっき申し上げたような専務さんの考え方やあるいは安全室長の考え方を基本に物を考えると、これは営業との関係、いわゆる兼ね合いで考えるほかはない。クアラルンプールの事件も、シンガポールに行けば旅館の手配もしなければならぬ、また後どうするかもわからぬというようなことが、もしも万が一機長の頭の中にひらめいて着陸を強行したとは私は思いたくありませんが、そういうふうにしむけるような体制が日航の体質の中にはどんどん芽生えているのではないかというふうに思うので、私はあなたにきょうは来ていただいたのであります。いかがでしょうか。
○朝田参考人 乗員の休息あるいは勤務協定、こういったものについては組合と協定を結んでおりますので、どこの空港に寄港いたしました場合には何日休息をとらせる、こういうことは、航空法の強行法規的な要素よりもはるかに労働協約的な要素を取り入れて、十分にそういう労働協約でできておりますから、それに基づいて運用をいたしておるわけでございます。それもその状況に応じて、飛行時間が冬場なり夏場なりによって変わってまいりますので、そのときの休息時間あるいは一泊よけいにするというような交渉は絶えずありますけれども、私どもは基本的にはその労働協約に基づいて、それを労使ともに遵守励行しておる、こう申し上げたいのであります。
 そこで先ほどのクアラルンプールの事故でございますが、先ほど私が申し上げましたように、この事故は目下原因調査、真相究明中でございますので、予断をもって、こういう事故の原因はこうであったろうということを推論いたすことは至当ではないというふうに私は考えておりますので、それと関係なく、経営優先あるいは営業優先というようなことは、私どもの方針としては絶対にとっておらない。先ほど管制塔からシンガポールにライブアウトしろというような交信があったというような御指摘があったのでございますけれども、これは私どもの調査あるいはいままで聞き及んでおりますところによりますと、そういう交信はございません。前に三機ばかり全部シンガポールに着陸をいたしておりまして、後続の外国航空会社の数機は、これは私どもの引き起こしました事故によって通信がとだえた飛行機がおりますから、空域から出ていってもらいたい、こういうことでシンガポールにライブアウトをしたようなことでございます。その間の事故調査の原因究明に当たりましては、私どもはそれを推論でいろいろ申し上げることを差し控えたいと思います。
 ただ、最後につけ加えておきたいと思いますことは、私は、安全性の確保というものは経営の絶対命題だということで絶えず強調をいたしておるのであります。経営再建三カ年計画も、安全性を切るようなことは絶対にまかりならぬということで、事業計画も便数計画もそういう線に沿って考えておるようなわけでございます。今後とも十分またその点を銘記いたしまして、心に十分とどめて、今後の対処、努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
○久保(三)委員 もう時間でありますが、一言だけ申し上げておきましょう。
 これはきょうの朝日新聞でありますが、「クアラルンプール事故から一カ月」という中に、いわゆるMDE、最低降下高度、これはいままでは二百二十五メートル。キャセイ・パシフィックは、安全度から見て従来の二百二十五から三百三十に引き上げたと、こう言うのです。ところが、日本航空はこの五月に、最低気象条件の改定の際にそれまでの二百三十四メートルから二百二十五メートルまでに引き下げた。片方は上げているのに片方は下げた。これはそのとおりなんでありましょうが、片方の航空会社は言うならば最低高度を上げた、日本航空は下げたと書いてある。これはどうもいまの社長のお話とは少し違うんじゃないかというふうに私は思うのですよ。下げれば危険なことは素人でもわかります。危険なときに上げるのがあたりまえだと思うのです。そういうことも、もう時間も来ましたからやめますが、営利本位ではないというのは、このビラを、別に信憑性があるからどうこうと言うのじゃなくて、ビラに、内部から書かれているのを見ますと、利益目標を三十七億から百八十四億に修正するというような体制でございますと書いているところも問題だと思うのです。別にもうけちゃいかぬということではありませんけれども、片方じゃこんなことをやっていて、片方でこういう目標を決めるところに、私は姿勢に問題があると思う。
 最後に、航空局長にお話し申し上げますが、日航の経営体制全体に対して点検する必要があると思うが、あなたはどう思いますか。
○高橋(寿)政府委員 私は今回の事故の起こる前から実は考えておりましたことは、特にやはり日本航空の中におきます社内の管理体制、特に航空機の乗員と会社との関係、そういった問題についてかなりの危機意識を持っていたわけであります。かって航空機の乗員は金の卵と言われて、この人員の確保ということが航空事業の死命を制する問題でございました。その当時の会社の方針は、いわゆる要員の確保ということがもう唯一の命題であって、人さえ集めればいわばどうでもなるという感じの恐らく拡大時代があったんだろうと思いますが、しかし今日のように需要も一巡いたしまして、世界全体でやはり航空の伸び率が若干スローダウンした今日におきましては、そういう要員をとにかく採って拡大さえすればいいんだという時代の経営体制をもう一歩脱皮しまして、本当にこの要員をいかに把握し、そして安全の面その他を十分踏まえながら管理をしていくかということが大事な問題である。したがって、いわゆる要員整備という単に航空機の乗務員を労働力としてのみ集めるあるいは訓練するという問題を離れまして、もう一つ高い次元の、乗務員全体またこれを中心とする社員全体を含めた士気の向上という、生きがいの発見といいますか、そういったことについて、日本航空はこれだけ大きくなっただけに、ここでひとつ新しい観点で見直しをする必要があるというふうに思っていたわけでありまして、はからずもこういった事故が起きましたので、私はそういった観点で、事故の善後策というふうな見地よりも、もっと高い次元の、本当に会社の将来の存立すらも危なくするかもしれないという一つの危機が来ていると思うのであります。そういった意味で、乗務関係を中心とし、かつ地上の各種作業部門あるいは机の上で働いている一般職員全部含めまして社内の経営管理体制をもう一遍総点検するということが、安全のためにもまず第一に大事でありますし、それを離れても、日本航空自体のためにも必要であると考えておりますので、これは私どもから至急お願いいたしまして、総点検の実を上げていただくようにいたしたいと思っております。
○鈴切委員長 次に、新井彬之君。
○新井委員 本日は参考人非常にお忙しいところ御苦労さまでございます。
 ハイジャックの問題にいたしましても、墜落事故の問題にいたしましても、二度と再び起こしてはならぬ、こういうことでございます。現在ハイジャック防止等の法律案もできるというようなことで、政府の方といたしましても、また各党といたしましても努力をいたしておるわけでございますが、先ほどこのハイジャックの問題についてどういうぐあいな処置をするかということで少し答弁をいただいたわけでございますが、前のときにも大体似たようなことが出ておる。しかしながらその実行については余り見るべきものがなかったように考えておるわけでございます。たとえて言いますと、日本航空でこの八項目出しておるわけでございますけれども、その中で第四番目についてはやっておるわけでございますが、ほかのことについては、前にも言われてできなかったというようなことに理解をいたしております。今後この打ち出した問題については本当にできるかどうか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。
○朝田参考人 先ほどもお答えを申しましたように、六項目は政府の対策と同じでございます。一体となって決めた対策でございますので、これはもちろん私どもも十分手配をいたしまして実行に移すつもりでおります。一部実行に移しておるものもございます。
 あとの二項目につきましては、私どもの会社の中にセキュリティーオフィサー及び保安専任者を置くことに方針を決定しております。これについて万全の措置を講じてまいりたいと思っております。
○新井委員 先ほども話がありましたけれども、とにかくハイジャッカーを乗せない、こういうことでボデーチェックもするし、もちろんハイジャッカーがわかれば、当然そういうことの照合をして乗せないということがございますね。しかしながら、やはり現実の問題としては、手荷物の制限をするとかボデーチェックを完璧にするとかいうようなことと、それからもう一つは、関連の委託作業をお願いしておる業者等がございますね、そういうものの実態を見ますときに、確かに写真入りの通行証等は持っておりますけれども、非常に広範にわたっておるために、そういうところからの持ち込みというのが非常に考えられるのではないか。こういう全般的な問題になるわけでございます。
 現在、ボデーチェックを日本国内におきましては非常に強化をしておるということでございますが、それはもうきょうからでも、世界各国の空港、日本航空が行っているところの空港に対しましては、手荷物の制限あるいはまたボデーチェック、それから、そういう委託作業を行っておる業者に対する調査とか速やかなる制限、そういうことをしなければならないと思いますけれども、そういうことについての見通しはいかがになっておりますか。
○朝田参考人 先ほども運送約款を基礎に久保先生から御指摘がございましたが、私どもが申し上げておりますことは、外国各空港においてはまちまちでございますが、しかし、第一次的には、その政府の治安当局が警察なりあるいは軍隊なりでこれを実行しておる。したがいまして、その当該国の厚い主権という壁に立ち向かいますので、私は、外交ルートを通してそういうことの了解を得ていただいて、そして、ダブルチェックが可能なところはやっていく、可能でないところはひとつ外交折衝をさらに継続して実現するようにお願いしたい、こう言っておるわけでございますが、そういう際にも、いま御指摘のいわゆる監視体制をもっと強化する。あるいは飛行機の中に食事を運び込んでまいります機内食の問題、機内を清掃いたしますような作業員、給油あるいは整備の作業員、こういった者から持ち込まれる危険性もございますので、十七空港に、先ほど申し上げましたようなセキュリティーオフィサーを配置いたしまして、機側で、飛行機のそばでそれの監視に当たらせるということにいたしております。これは私どももひとつ努力をして、当該国との折衝の上、可能になりましたら即刻実施をいたしたいというふうに考えております。
○新井委員 答弁といたしましては、条約とかいろいろなことでどんどん進めなければいけない、無理だと思うけれども、これをやらなければこのハイジャックの問題はとまらないんだというような形で、参考意見としてひとつ言っていただきたいと思いますので、参考人にその権限があるとかないとか別にしましてお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、航空公安官制度ということを一時考えられたことがございますが、これにつきましては非常にいろいろ例がございまして、これはかえって危険であるということになっておりますけれども、そういう問題についてはいかがお考えになっておりますか。
○朝田参考人 航空保安官制度というものは、私は、結論を申し上げますと、好ましくない、こういうふうに考えます。中で武器を持った保安官がおりましても、それが一たびまかり間違えば不測の事態が起こりますし、操縦士に弾が当たったりしますと飛行機そのものの安全を阻害するわけでございますから、私は好ましくないというふうに考えております。同時に、アメリカではそういうエアマーシャルという制度がありましたが、そういうことの経験にかんがみてこれを廃止いたしております例からかんがみましても、私は、好ましくない、こういうふうに考えます。
○新井委員 では、墜落事故の件について少しお伺いしておきたいと思うのです。
 先ほど私もこのビラをいただいたわけでございますが、日本航空というのは少なくても安全度においては世界の中で有数である、こういうぐあいに考えておったわけです。ところが、アメリカを除いた七十七社中六十三位だ、こういうぐあいに言われているわけでございますが、確かに指摘されるとおりだと思われますか。
○朝田参考人 「フォーチュン」という雑誌に出ておった統計でございますが、過去十年にわたって飛行回数あるいは飛行距離百万マイル当たりの死亡者の統計でございます。統計の数字でございますから、実績でもありますから、私はそれに対して弁明をする筋合いのものではない、率直に残念ながらそういう数字というものを受けとめなければいけない、そのまま受けとめたい。それに対して私どもの、当社の信用の回復に向かって再び役職員一丸となりまして安全性の確保にさらに精進いたしてまいりたい、こういうふうに考えます。
○新井委員 この「フォーチュン」の内容、いろいろ分析した結果だと思いますが、そういうことについてはひとつ内容をよく分析されまして、どこに安全性が他社と比べて落ちているのかということを調べまして、早急に日航の安全度は世界の中で一番であるというような形でやっていただきたい、このように思うわけでございます。
 そこで、それと関連をいたしましてお伺いしておきたいのでございますが、先ほども出ましたクアラルンプールの日航機の墜落事故でございますが、これは非常に視界が悪かったというぐあいに、新聞とか報道の関係では、われわれ素人として見るわけでございます。だから、現在調査委員会がいろいろ調査しておりますから、どこが悪かったということは軽々には判断できませんけれども、機器類が正常であれば、これはやはり当然何らかの形で視界が悪いために空港の場所の判定を間違って着陸しようとしたということになろうかと思いますが、こういうような状況、なぜそんなに視界か悪いのに――機長かおられないからわかりませんが、社長として、なぜそんな無理をしてまでおりようとしたのか、何か原因があるんじゃないかと思うのですが、そういうことについてどのようにお考えになりますか。
○朝田参考人 事故の原因究明に当たっておられる段階においてこういうことを申し上げるのは不穏当だと思いますが、いずれにいたしましても事故が起こっておるわけでございますから、私どもの規定では、天候の条件あるいはパイロット、キャプテンの判断、そういったものをいろいろ――いまの段階においても私どもは原因がそうだということは申し上げられませんけれども、考えられる可能性というものを留意いたしまして立てました応急対策から考えますと、従来の七百五十フィートの最低の安全高度というものを守っていれば、そうして空港あるいは空港の付属物あるいは周辺の付属物というものが目で確かめることができないならば、その七百五十フィートの高度を維持してどうしても見えないならば、それは復航する、ゴーアラウンドするという規定になっておるわけでございます。
 したがいまして、先ほど冒頭に申し上げました七項目の対策を八十三項目の安全対策につけ加えてやりましたのも、しばしばそういうことを遵守励行するのだ、事故はこのために起こったということを申し上げておるわけではございませんが、そういうことで、マニュアル、規程の遵守、そしてプロセデュア、手順を決められた手順でやっていくということが、事故と関係なくても、それを防止し得る唯一の方法だというふうに考えております。なぜそういうことになったのかということはわかりませんが、このことだけは最小限度遵守励行すべきだというふうに考えておるわけでございます。
○新井委員 このクアラルンプールというのは、飛行機の操縦士の方々からとると非常に危ない地域である、何か着陸しにくいというようなことも聞いているわけです。前にやはり英国の旅客機が全く同じような事故を起こしそうになって、結局ゴムの木を何本かなぎ倒して上がったというような、全く類似したような事故がございますけれども、そういういろいろな事故なんかはすぐに参考にされて、そしてこういうところはこういうことを注意しなければいけないというようなことについては乗務員の方に徹底されておりますか。
○朝田参考人 当時のブリティシュ・エアウエイズのいま御指摘になりました事故に関連して、直ちにそういうときの情報を入手いたしまして乗務員諸君に周知徹底をいたしております。
○新井委員 私の聞いたのでは、そういうことも周知徹底されていないというようなことをちょっと聞いておるわけでございますが、これは後日またいろいろ調査をいたしまして判明することでございます。
 もう一つ、今回の予算委員会でうちの正木政審会長が取り上げた問題でございますが、このときに対地接近警報装置ですね、これをきちっとつけていればこの事故は防げたのではないか。全日空あたりではわりかたづけているようでございますが、なぜ日本航空が、そんなにお金もかからない、そしてまた非常に安全だ、特にアメリカあたりでそれをつけたために事故が非常に減ったのだというようなデータが出ているものをつけていなかったのか、今後これはいつごろまでに全部つけるのか、それをお伺いいたしておきたいと思います。
○朝田参考人 先生御指摘の装置はGPWSという装置のことと思いますが、私どもがニューデリーで事故を起こしまして、非常に低く降下いたしましたものですから事故を起こしたというようなことも考えられますので、その際に世界の航空会社に先駆けていわゆるデシジョン・ハイト・ウォーニング・システムというものをつけたのでございます。これは電波高度計が飛行機の中についておりますので、ある一定の高度より下がってはいけないというときにセットをいたしておりまして、下がりますとプープーという音が出る。これは主要航空会社に先駆けてつけた、対策の一つとしてとった措置でございますが、この事故機につきましてもそういうものはついておりました。
 いまのGPWSは、その後アメリカで強制的に装着することを義務づけられております。実際に非常に信頼性が高まった装置として開発されましたのが本年の初めごろでございます。そういうような、いま申し上げました電波高度計とリンクしたウォーニングシステムというのがついておりますが、最初開発されたGPWSというものは非常に信頼性が薄い。誤警報があったり不作動があったりいたしますので、こういうものはかえって操縦室の中で混乱を起こすというような考え方もございまして、やっとそれがマークIIという改良型が出てまいりました。したがいまして、そういうものをつけるということにいたしまして、現在十二機についておりますが、来年の六月ごろまでに全機装着完了する、こういう計画にいたしております。
○新井委員 では、もう時間がありませんから最後に一つだけ申し上げておきたいと思うわけでございますが、ことしの八月十五日に運航三原則、これはパイロットにとっては憲法とも言える運航規程でございますが、先ほども出ましたが、安全性、定時性、快適性、こういうようなことと並んで経済性ということを非常に打ち出しているわけですね。先ほども参考人の方は、そういうことでなしに安全性を第一にやっておりますということですから、それを信頼したいと思いますけれども、今回のこういう事故につきましてはもっと慎重にしていけば絶対にとめられたんではないか、こういうぐあいに考えられるわけでございます。どうかそういうことで、まず安全第一で、七十七社中六十三位というようなことのないようにひとつしっかりやっていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
○鈴切委員長 次に、青山丘君。
○青山委員 私は今回のハイジャック事件を大変深刻に受けとめております。ハイジャック事件というのは今回が初めてではありません。すでにちょうど四年前ドバイ事件がありました。この四十八年のドバイ事件の後に、日航は欧州、中近東地区の空港支店長をロンドンに集められて、日本からも本社から関係者を派遣して空港の保安体制の強化策を協議されたと聞いております。どのような改善策を講じられたのか、まず冒頭伺いたいと思います。
○朝田参考人 ドバイにおきますハイジャックの後にとった措置を御説明申し上げますと、まず四十八年の七月にハイジャック防止対策委員会を設置いたしまして、検査機器の開発、当時は今日のようなメタルディテクターである金属探知器にそれほどの性能が備えられていなかった時代でございますので、こういう検査機器の開発と、それによります検査方式を強化する。それから、先ほど久保先生から御指摘ありました運送約款の改正をやり、そしてそのチェックをする、持ち込み手荷物を制限するというような具体策を決定いたしました。四十九年一月から、今度はエックス線を通して手荷物の検査をする装置が開発されましたので、そういうものも導入をいたしました。また、先ほど申し上げました金属探知器に改良を加えられましたものを導入いたしまして、新しくその検査体制の強化を行いました。それから、地域保安業務の監督指導と情報収集のために、ベイルートの空港支店に中近東一帯を担当する保安担当者を配置いたしました。それから、国内の空港、私どもが運営いたしております幹線の各空港におきまして、いわゆる保安専門職員、セキュリティーオフィサーと呼んでおりますが、それを配置いたしました。ことしに入りまして、ハイジャック防止検査要領というものを国内の三社で共同で作成いたしまして、これによって警備保障会社に対する教育の基準にいたしております。五十年の六月になりまして、写真入りのいわゆるハイジャックを起こしそうな犯人のリストが配付されております。それを空港支店あるいはカウンターに配付いたしましてそれの警戒に当たるというようなことがいままでにとった措置でございます。
 なお、国際協力の問題につきましては私先ほど触れましたが、IATAのモントリオールの理事会におきまして、各空港がまちまちでありますし、ばらつきがありますので、その保安警備体制というものあるいは監視体制というものを平準化する必要がある、それにもし必要ならば航空会社も応分の負担をして、各国政府に対してその強化方を強く要請するということを私がアピールをいたしまして、その後IATAの活動を通じてなおそういうようなことの努力をいたしておるようなことであります。
 以上申し上げましたのは、ドバイハイジャック事件以来とった措置でございます。
○青山委員 その後努力はしてこられたと思うのですね。ただ、私がいま聞いたのは、ドバイのハイジャック事件の直後にロンドンで協議された強化策、その強化策が結果的に成果を上げているとは思えないわけですね。その時点ではその強化策に対する評価というのはどんなものだったのですか。これで精いっぱいだ、日航としてはここまでが精いっぱいで、それ以外のことはできないんだというような段階であったのでしょうか。
○朝田参考人 私どもで、政府がお決めになりました当時の対策要綱に基づいて、やるべきことは全部やってきたつもりでございますけれども、これで十分だというふうには考えておりません。そのときの評価もそういうふうには考えておらなかったのでございますが、ただ、先ほどちょっと運送約款との関連で問題になりました、各外国の空港におきましては第一次的にはその政府の保安当局がその任に当たっておりますので、責任を持ってそれの検査あるいは監視体制の強化をしておりますので、それをさらに独自の検査をやることを認めないという国もございます。厚い主権の壁と申しておりますのは、そういう事情がございますことを御了承いただきたいと思います。
○青山委員 結果は、改善策を講じられたけれどもそれだけの成果は上がらなかった、こういうふうに言わなければならぬと思うのです。しかし、その後の経過から見て、それなりの機器その他――国際環境が変わってきておりますからそれでもなお今回ああいう事件が起きた。あのドバイの事件があった当時に、たとえば対策を求めていく空港として、ドバイとかあるいはアルジェ、こういうものがその対策空港の中に含まれておりましたか。
○朝田参考人 私どもの運営いたしております路線の外でございますので、アルジェとかドバイと
 いうようなところは含んでおりません。
○青山委員 それではちょっと先に進みます。
 四十八年の七月にハイジャック防止対策委員会が設置されました。その対策委員会では具体的にどんな対策が講じられましたか。
○朝田参考人 四十八年当時、政府で対策要綱というものを決定されました。全体に私どもの受けとめております私どもの会社の業務と関連して申し上げますと、全般的な措置といたしましては保安に関する認識の徹底、それからハイジャック防止対策委員会の設置というのがございますが、これは私どもがそれに関連してこういう委員会を当時、四十八年の七月三十一日に設置をいたしました。また、検査あるいは警備に関する措置といたしまして、この対策要綱に基づきまして私どもがとりました措置といたしましては、事件後の緊急防止措置として欧州全地域にわたって、全ヨーロッパ線に対して厳戒体制のフェーズスリーというものを発動して常時こういうものに対する措置をいたしております。
 それから全空港支店、全路線にわたって手荷物の検査、旅客のボデーチェックを遺漏ないように励行せしめるために、実施方法を明示して指令を行っております。手荷物の検査、ボデーチェックに関しましては、全便に対して機内持ち込み手荷物及びボデーチェックを実施しておりますが、国内、国際を問わず、便のいかんにかかわらず継続的、恒常的にそれをやる。いままでは少しそういう点が不十分であったと率直に申し上げられるわけでございます。
 それから外国の治安、先ほど申し上げております空港におきましては、その国の警察あるいは軍隊というものが直接検査を行いまして、航空会社が独自に行うことを認めない国があります。したがって、まちまちでございますが、空港の治安当局と密接な連携を保ちまして、検査にすきのないようにわれわれの方でその補完をするという措置をいたしております。その当時に、ヨーロッパにおいてフランス、オランダ、デンマークといった空港に、それぞれ事情が違いますものですからケース・バイ・ケースで、そういうことに対する指示をいたしましたと同時に、先ほどから申し上げております運送約款の改定をいたしております。
 それから先ほどちょっと触れましたが、エックス線の透視によりますところの手荷物の検査、そういった装置が開発されましたものでありますし、また、信頼性の薄い金属探知器は、改良型の新型金属探知器が出てまいりましたので、そういうものを導入をする。それから電話の録音、脅迫電話というようなものがありますから録音装置をやったり、あるいは羽田におきます集中検査方式、こういうものにだんだんと発展をいたしてきておるわけでございます。
 以上が私どもの対策要綱に関連してとった措置でございます。
○青山委員 本当に時間がないのでびっくりしました。ほかに質問の内容が実はあるのですが、限られてきましたので、あと全部を追っていくわけにいきません。
 ちょっと抽象的になるかもしれませんが、今度出されました日航のハイジャック防止対策は、ストレートにお聞きしますが、ハイジャック防止に十分役に立つのだ、そういう確信のもとに進めておられますか。
 それからもう一つは、この八項目はもういま具体的に実施されておりますね。
○朝田参考人 率直に申し上げまして、決定いたしました八項目で十分だというふうには私は考えられないと思うわけでございますが、情勢の変化に対応いたしまして、それからまたルフトハンザ等が再度厳重な措置をやっておりますから、そういうものも参考にいたしまして、そういう情勢の変化に対応する措置を、次々と手を打っていかなければならぬというふうに考えております。
 それから、いま決めました人員の配置その他、私どもの社内におきます対策に応じた具体的な措置は、もうすでに実行に移しております。
○青山委員 実行に移しておられるのでしょうか。もうすでにこの対策は実行の段階といいますか、たとえば人相書きならもうそれはできて各空港に配ってあるとか――いままで、ドバイの事件の後に出された対策と今度出された対策と、内容を見てみますと大きく違ってはおらないと思うのですね。ほとんど違っておらない。どこが違うかといえば、赤軍派の人相書きを今度は送るのだというくらいでしょう。内容を強化するとか恒常的にやるとかということだけでしょう。その辺心配するのは、同じような事故が起きるのではないかという問題です。その辺の確信をまず伺っておきたい。今度新しく八項目の中の人相書きは、もうすでに出されておりますね。お尋ねします。
○朝田参考人 従来の人相書きのままでありまして、これは警察当局からまだいただいておりません。そういうのは政府からいただきませんと――いまの実情に合う新しいものを至急私どももいただくようにお願いをしておるわけでございます。
 それから私どもが実行をいたします際に、全部すぐそのまま実行できない。当該国との外交ルートを通じて了解をとっていただくということが残っておりますので、そういうものを逐次精力的に解決をしていただきたい。政府におかれましても、そういう点を早急に手を打っていただきたいということにかかっておると思うわけでございます。
○青山委員 時間が来てしまったので、最後に一つだけお尋ねしますが、日本航空は営業を目的としておりますから、しかし日本航空の意図に対して十分協力してくれないような国、空港に対しては、たとえば日航が独自でチェックするということを認めないような国に対してはもうお客を搭乗させない、あるいは寄港しない、そういうような考え方はおありですか。
○朝田参考人 これは外交問題にも関連をいたすかと存じますので、先ほどから申し上げておりますような外交ルートを通してそういう協力方を十分折衝いただきたい。これはやはり第一義的におやりいただいて、どうしても聞かないというようなときの措置は私どもの一存ではまいりませんので、その後のことについては政府と御相談を申し上げなければなりませんが、第一義的には外交ルートで精力的に御折衝をいただきたい、こういうふうに考えます。
○青山委員 外交もそうですか、これは安全の問題ですね。今度の場合はまだまだ考えようによればあの程度で済んだということかもしれませんよ。やがてもっと大きな代償を求められるでしょう。恐らく西ドイツに対しては赤軍派はもう挑戦しないかもしれない。一番挑戦しやすいのは日本。したがって日本に対してもっと大きな代償を求められる、われわれはそういう不安を持っています。したがって、今度の事件を一つの教訓として、もう再び絶対に起こさないんだというような強い決意で日航としてできる最大限の努力をしていただきたいと思います。
 質問を終わります。
○鈴切委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 限られた短い時間でございますので、わざわざおいでいただいたことを感謝いたしますが、質問がしり切れトンボになるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 第一に、今度のハイジャック事件をめぐって前回のこととの関係が先ほどから聞いておりましたら問題になっていました。私の聞き損ないであったらあれなんですが、外国に保安の担当者、専門の職員を置いたというふうに先ほどちょっと聞こえたんですが、それではちょっと具体的に、いつどこにどれだけの人を配置したのかということを御説明いただきたいと思うのです。これが一つ。
 それから第二番目に、それにもかかわらず、それじゃハイジャッカーが乗ったのは何でだったのか、これが第二番目。
 第三番目、これも先ほどちょっと出ておった話ですが、前回のときには情報収集について一生懸命やりますという方針を立てておった。情報収集にかかるような内容というものは何もなかったのか、あったけれども対応の仕方が問題があったというならばどこにあったのか、これが三番目です。
 それから四番目に、これはクアラルンプールの事件ですが、先ほどのお話を聞いていると、職員に五月の事故について周知徹底をさせるようなお話だったけれども、関係する労働組合の皆さんからは団交でも提起したけれどもお話がなかったということを言っているんです。私の聞き損ないであったら幸いですが、それではどういう形でいっこのクアラルンプールの事件の教訓を職員に周知徹底をさせられたのか、その中身はどういうふうにやられたのか、これが第四番目。
 まずこの四つについてお答えをいただきたいと思うのです。
○朝田参考人 前回決定をいたしました四十八年当時の対策要綱でございますが、このセキュリティーオフィサー、保安専門職員というものは、先ほど申し上げましたようにベイルート、中近東を通過するベイルートにだけしか置いておりません。ただそういうものの保安業務に当たります者は空港支店長ということになっております。したがいまして、にもかかわらず起こったということは、この人員配置の上からは直接関係が出てこないと思います。ただ現在の各国政府が第一義的にはその国の政府の警察力あるいは軍隊によってチェックをされておるというたてまえでございますから、私どもはそれを補完するという仕事をやってきたということであります。
 そして先ほどの、厳戒体制をしいておるにもかかわらずなおかつこういうハイジャックの問題が起こったではないかという御指摘でございますが、私は企業はやはりこういうハイジャック防止対策体制を強化して、やるだけのことはやります。しかし第一義的には、IATAの立場もそうでございますけれども、第一義的にはその国の政府の警察力が全面的に責任を負ってやっていただきたい。企業のやることにおいてはどうしても限界がございますということを率直に申し上げたいと思うわけでございます。
 クアラルンプールの事故につきましては、事故の後の周知徹底、そういうものにつきましては運航本部長から直ちに指示をいたしまして、あるいは機長あるいは乗員各位を集めてそういう周知徹底を図っておるわけでございます。
○寺前委員 私ちょっと事実問題をきちんと実務的にお答えをいただきたいと思うのですが、いまのクアラルンプールの問題については運航本部長が文書で周知徹底の何かをお出しになったとするならば、何月何日付でもってどういう内容のものをお出しになったか。それから職員を集めてというお話ですから、それじゃ集めたのはいつお集めになって何を出されたのか、ちょっと事実をもって周知徹底の中身についてお聞かせをいただきたいというのが一つです。
 もう一つは、先ほど担当者を置かれたとおっしゃいましたが、それは支店長が担当者であったんだということであって、したがって後の話ともつながりますけれども、直接こういう事件の対策を打つための担当者ではなかったということとして理解をしてよろしゅうございますかというのが第二点です。
 それから第三番目に、今度の事件が起こって改めていまのようなことでまた過ごしていかれるのか。海外におけるのは第二義的だとおっしゃることによってやりようがないとおっしゃるのか。それとも先ほどから問題になっているように、日航自身が乗客の二重チェックの仕事をおやりになるのかならないのか、二重チェックの立場に立ったことをおやりになるのかならないのか、この前の政府の指導要綱の中にもあった話ですが、おやりになるとするならばいつどこにどれだけの人を配置してやるということをちょっと、これも具体的に実務的にお聞かせをいただきたい。
 もう一つは、乗客だけじゃなくして機内の整備とかあるいはその他の空港従業員があの中に入ってきます。だからこの分野のものについてのチェックなりあるいは機内の点検なりをやられる気があるのかないのか。やられるとするならばいつからどういう体制でおやりになるのか、どこに配置されるのか。こういうのは、もう日航の飛行機がとまるところが決まっていますから、明確に、具体的に、事実を通じて、一般論ではなくしてお話をいただきたいと思うのです。
○朝田参考人 少し理解をし間違いまして不十分な答弁をいたしました。
 クアラルンプールの事故につきましては職制を通じていろいろの乗員に周知徹底をいたしておりますが、運航本部長の通達を出しましたのは十月十一日でございます。この原文はまた後で届けさせていただいてよろしゅうございましょうか。――それから実際にダブルチェックを日航かやるのか、こういうことでございますが、私どもの責任においてダブルチェックはやります。そしていつから何名を配置してという具体的な空港を申し上げますと、欧州と中東あるいは東南アジアの十七空港にセキュリティーオフィサーというものを配置いたす計画にいたしております。
 それでダブルチェックについて十分その了解が当該国との間につくのにはやはり外務省を通して外交ルートで御折衝いただきたいという問題が残っておりますので、いま直ちにすべてやれるということではございませんが、十一月初旬から順次そういう話をつけて、あるいは外務省にお願いをしなければならないものと――私どもが治安当局に折衝いたしまして実現が可能なものについてはどんどんやっていくという方針でございまして、その空港を申し上げますと、香港、バンコク、ボンベイ、ニューデリー、カラチ、カイロ、テヘラン、アテネ、 マニラ、クアラルンプール、 シンガポール、ジャカルタ、ローマ、ロンドン、パリ、アムステルダム、コペンハーゲンでございます。これにドイツが抜けておりますのは、ドイツはいまさらに強化された強硬な体制を整えておりますので、私ども独自のチェックをする余地がないと申し上げてもいい実情にあるわけでございます。
 それから先ほど申し上げました十月十一日付の運航本部長の「JA八〇五一号機事故について」という通達がここにございます。後で差し上げます。
 以上でございます。
○寺前委員 乗客以外の空港用務員についてはいかがですか。
○朝田参考人 その問題につきましてはいま十七空港に私どもの職員として二名ずつ配置をいたす予定にいたしておりますのと同時に、ロンドンと香港とニューヨークに各地区の、米州地区の支配人あるいは欧州地区の支配人、東南アジア、オセアニア地区支配人というものがおりますが、そこに情報連絡あるいは現場の各空港の指導というようなものにそういう保安専門職員を配置する。これは警察、大使館、そういったもの、あるいはIATA等と情報連絡をやりまして各空港の指導監督に当たるということをいたしておりますが、この十七空港の中にセキュリティーオフィサーというものをおおむね二名ずつ配置をする、そしてダブルチェックをすることについて当該国の了解を得ることができましたならば、それは警備会社等と契約をしてそれの監視に当たる、そしていま御指摘になりました空港関係職員あるいは機内を清掃する人あるいは機内食を積み込む人、いろいろな空港に従事する職員の監視、そういったものについて飛行機のそばに一名、そして手荷物あるいはボデーチェック、そういったもののダブルチェックをやりますところの監視に一人、こういうことで二名、いま申し上げました十七空港に配置をするということにいたしております。
○寺前委員 時間がありませんので残念ですが、航空局長さんはおられますか。――次長ですか。
 日航の体質問題について先ほど御説明がここでありましたけれども、この八月にパイロットの憲法とも言える運航規程の乗員の項が改定されて、これまでの安全性、定時性、快適性と並んで新たに経済性という項が運航の四原則目に加えられている。クアラルンプール事件から考えて、この経済性をパイロットに持ち込んでくるということが体質上重要な問題を含んでいるのではないか。逆に言うと――アメリカの場合には、NTSBは悪天候の事故が急増する中で六項目の指摘をやっています。その中で二項目目にこう書いてあります。経営者はパイロットの判断に影響を与えない体制をつくらなければいかぬということをあえて指摘をしているわけです。これを考えたら、世界の安全性を追求する側から考えると、この経済性という問題提起というのは余分なことをパイロットに課すことになって、これが悪い影響を与えるということが言えるのではないか。
 そこでこの問題に対して運輸省の側は、このような項目を運航規程につけ加えたということでいいのかどうかという見解を聞かしていただきたい。それ一問です。
○松本(操)政府委員 お答えいたします。
 日航の規程の中にこの文言が入りました時点におきまして、私どもは有名な各国の航空企業、こういうふうなものがこれらの考えについてどのような考えをとっているかという点についても資料を徴して参考にいたしました。経済性を入れることがそのまま、いま先生御指摘のようなことにつながるとすれば、これは重大問題でございます。しかし経済性という点についてセーフティーとかあるいは旅客の快適性とかいうことと併記して書いている、かつ相当しっかりした航空会社も数多くあるということ、したがって経済性ということをいたずらに第一面に押し出すということさえなければ、そこに十分の節度がある問題であればそれはよろしいのではないか、こういうのが私どもの考えでございましたが、しかしもちろん書きようによっては運用のいかんに微妙な影響を与えることもございましょう。したがいまして、その文言をどうするかということももちろんございましょうが、その運用に当たってどうするのか、あくまで安全性を第一にし、安全性が何物にも優先し、その枠の中において、あるいは旅客の快適性も含まれましょうし、あるいは経済性という問題も含まれましょうし、そういうふうなしっかりした考え方に基づいて運用されるべきである、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
○寺前委員 時間が来ましたので残念ですけれども、NTSBの人が、一昨年十二月の米国アンカレジ空港で日航ジャンボ機が誘導路から滑り落ちて十一人の重軽傷を出したときの原因の調査の中でこう言っています。羽田空港の運用制限時間に間に合わないと日航本社から通報された機長が、天候が急変したにもかかわらず強引に出発しようとしたことにも原因があるというふうに、経済性の問題がここに持ち込まれてきている。ですから、この問題については検討しなければいけないぞということを国際的にも日本の活動について批判を受けている問題でもあるわけです。それだけに日航の提起されたこの経済性をつけ加えるということが、重要な問題に導く要因を含んでいるのだということも勘案して、この問題については改めて検討されることを運輸省にもお願いしたいし、日航にもお願いしたいのですが、いかがなものでしょう。それで私質問を終わります。
○松本(操)政府委員 先生御指摘のことは、内容ごもっともでございます。したがいまして、私どもは先ほどお答えいたしましたようなラインを踏まえて運用していくと考えておりましたが、さらにいま現時点においての御指摘もございましたので、その運用のありよう、心構えのありよう等をも含めまして、この問題について慎重に検討をいたしたい、こう考えます。
○朝田参考人 私が先ほどから再三申し上げておりますように、私どもの使命は、安全性の確保ということが絶対命題であるということであります。したがいまして、経済性の問題は定時性あるいは快適性というものと同じようなことで、これも安全性と衝突する場面もあるわけでございますが、絶対命題であるということは変わりのない大方針でございますが、そういう点の運航規程の経済性を入れたことについて、なおさらにはっきりするような形で検討をさせていただきたいと思います。
○寺前委員 終わります。
○鈴切委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 大変に貴重な時間を割いて参考人としておいでをいただきながら、大変厳しいお願いあるいはお尋ねをしなければならないということは大変残念でございますけれども、これからの日本の航空問題に関してきわめて大事なことでありますので、御質問をさせていただきたいと思います。
 いまや日本の製品の技術水準というものはきわめて高い。私どもがいま海外に旅行させていただいて、アメリカやヨーロッパで日本の製品は非常に高い水準として評価されている。しかしこういう状況の中で、日本を代表する飛行機会社日本航空は、世界の航空会社の中でも最も危険な飛行機、こうレッテルを張られている現状はきわめて重大であります。私は日本人が国際社会の中で人命をとうとぶ民族、すばらしい頭脳を持つ民族として、そしてその日本人が生み出した技術というものが評価をされる反面で、こういう事態はきわめて遺憾だと考えているわけでございます。世界の航空会社がいろいろな技術の水準を競い合っている現状の中で、しかもどこの国でも生命をまず第一に優先に考えなければならないと考えている現状の中で、日本の飛行機、日本航空がこれだけ大きな死亡者を統計的にも出しているというその原因は一体どこにあるのか、あるいは重複するかもしれませんけれども、端的にお答えをいただきたいと思います。
○朝田参考人 まことに申し上げようもない事故をしばしば惹起いたしまして、私自身も責任を痛感いたしておるような次第でございますが、この事故の原因調査に当たってやはり真相を究明して、それに対応する対策を実行してまいらなければならぬ。これは当然のことでございます。それと同時に、また先ほど来のいろいろな安全対策を講じましても、実効が上がらなければ何にもならないわけでありますので、なお一層心を引き締めて、役職員一丸となりまして、今後もこういう対策に取り組んでまいりたい。同時にまたそういうことの障害になる可能性が考えられるようなことがありますならば、これを迅速に取り除いていきたい、こういうふうに考えておるようなわけでございます。
○伊藤(公)委員 これから安全対策に対して十分配慮をしていくという決意とお気持ちは私どもにも十分よくわかります。しかし問題は、なぜこういう事故が他の会社に比べで非常にその率が多いかという原因を突きとめないと、決意だけでは現実にはどうにもならないと私は思います。どこに日本航空のこうした死亡者数が非常に多いという原因があるかということを、私はいまお尋ね申し上げているわけです。どこに原因があるかをひとつ端的にお答えいただきたい。
○朝田参考人 大変お答えがむずかしいのでございますが、私どもが先ほど触れました対策の中にもあるのでございますが、基本的にはやはり何といっても運航マニュアル、運航規程の遵守、手順を十分遵守、励行するということが基本でなければならないということを、いままでの引き起こしました事故の原因等の調査にかんがみましても、これは何といっても私は基本であろうと思うわけでございます。最近の大変な航空機の技術革新によって、いろいろな計器によりますところの飛行、あるいはその着陸、離陸というようなものに関連いたしましても、私どもがベーシックな基本的な考え方というものをいま一度その原点に立ち返って見直していく。そしてそれに対しまして豊富な経験を持っておりますシニアキャプテンが実際同乗して指導していく、いい経験と知識といままでの蓄えられたものを後輩キャプテンあるいは乗員に受け継いでいくというような人的な面においても、私どもは今後もなお努力をしてまいりたい、そういうところが基本ではなかろうかと私は思います。
○伊藤(公)委員 運航規程はすでにいままでも存在をしていたわけでございます。恐らく社員を挙げて運航規程を守ろうということでお互いに努力をされてきたと私は思います。しかし、人生経験も豊かな参考人に、私のような若輩がお尋ねするのは大変恐縮でございますが、いま日本航空では――たとえばどこの会社でも社訓のようなものがございますが、社訓といいますか社員の心がけというものが、よく会社にかけられております。いま日本航空の中にはそういう社訓のようなものあるいは社員の心がけというようなもの、これは会社の社員の基本的な心がけの問題だと思いますが、そういうものがありましたらひとつお教え願いたい。
○朝田参考人 私どもの社風というものも、一概にこういうものでございますということを申し上げるのはむずかしいわけでございますが、いわゆる社是に基づいたものを実践していくということがやはり社風になってあらわれてくると私自身は考えておるわけでございます。その社是の最も大きなものは何といってもやはり安全性第一、最優先、絶対命題であるということでございます。
 最近は新入社員を採用いたしておりませんけれども、私は、新入社員に入ると同時にどの部署においても、営業においてもあるいは管理部門においても、運航関係のみならず、すべての社員が安全性を守り通すということを日夜念頭に置くということを申し上げてきておるわけであります。折りに触れ、随時随所で必ずそのことを申し上げておるのでありまして、人様の大事な命を預かっておる航空会社でございますから当然のことではございますが、そういうことがまず第一に心がけられなければならない問題だと思います。
 同時にまた、私どもは国際社会でこういう仕事をやっておりますので、国際社会に通ずる真摯な、シンシアリティーを持った、そういう教養豊かな国際人の養成というようなことも私どもの中で生まれつつありますし、また上から与えられるようなものが社風であってはならない、やはり民族意識でありますから、そういうことからいいますと、みずから自然発生的にわき上がってこなければならない、そういうものを期待して、私どもはまず第一に安全性というようなもの、あるいは国際人として通用する人物、お互いの自己啓発、自己管理というものに徹底して切磋琢磨するということが基本になってくるのじゃなかろうか。私見を申し上げて恐縮でございますが、以上答弁になるかならないかわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。
○伊藤(公)委員 私はそんなことだけが事故を防止するということになると思いませんけれども、やはり社風の問題がきわめて重要だと考えているからお尋ね申し上げたわけでございます。国民の命を乗せている航空会社として社員一丸となる心がけというようなものは当然必要だ、下から盛り上がってくる力ももちろん必要でありましょうし、また指導的な立場にある方々が、そういう立場で常に若い社員の人たちを含めて訓示をしていくということは当然必要だ、そういう緊張感の中でやはり高い水準、高い実績というものが積み重ねられていくものだ、私はこういうふうに思うわけでございます。一航空会社の危険率が非常に高いということだけにとどまらず、わが国全体に与える影響はきわめて高い、きわめて強い。一人一人がそれぞれ社会の片すみで非常に技術を磨く努力をしている、日本の技術の水準を非常に上げている一人一人のその努力が、こういう日本航空のいろいろなデータによって――私自身ももちろん日本人ですから、できることなら死亡者数も少ない、日本航空は世界の航空会社の中で非常にすぐれている、非常に危険の少ない航空会社であってほしいと、私も国民の一人として強く願っている一人であるからこそそういうお願いを申し上げているわけでございますけれども、国民の一人一人のまじめな人たちに与える影響はきわめて大きい、そういう自覚を持って社員一丸となって安全対策に当たってほしいと強く御要望をさせていただきたいと思います。
 私は、一、二点、きわめて部分的な問題について触れさせていただきたいと思います。
 今度のハイジャックの犯人、赤軍派はどこで、どういう形で乗り込んでいったかということがとても大事な問題だと私は思っているわけでありますけれども、現状で調査している中でわかっている範囲内でひとつお話を聞かしていただきたいと思います。
○朝田参考人 ハイジャックの犯人五人がボンベイから乗り込んだことは、その後乗客名簿で身元調査をいたしまして、どんどん消してまいります消去法をとってみますと、最後にその五人が残ったということで、その五人は間違いなくボンベイから乗ったものであることが確認されております。
 そこで、その際にどうしてあれだけの武器あるいは弾薬といったものを持ち込めたのかということでございますが、その際に偽名と偽造のパスポートで乗っておることも確認されております。これは後ほど調査いたしました結果でございます。そしてその後の追跡調査をいたしておりますが、どうしてあれだけの武器あるいは爆発物を携帯して通ったか。それは、ボンベイの警察当局の調べ、あるいは記録、あるいはその当時の記憶、そういったものを全部調べてみますと、特記すべき事項なし。あれだけの物を、ただフリーに通れるわけのものではないというようなことを警察当局も言っておりますので、この武器あるいは爆発物がボンベイに来る前にヨーロッパのどういう経路で積まれたのか、あるいはその他の空港においてどういうふうに入ったのかという経路についてはまだわかっておりません。
○伊藤(公)委員 これからの問題としましても、たとえば日本航空の同じ制服を着て、同じバッジをつけて、そして飛行場の中に忍び込んでいくということは当然想像できるわけであります。現在飛行場における従業員の方々の判別、チェック、あるいは飛行場には業者等も入っているわけでありますけれども、そういう者のチェックはどんなふうになっているのか御説明いただきたい。
○朝田参考人 従来は、しばしば申し上げて恐縮でございますが、その空港におきますところの政府の警察当局、保安当局が担当いたしておりますので、なかなか手出しをすることが困難な状況の空港もございます。しかし国内空港におきましてはしかるべきところにガードマンを配置いたしまして、そういうものの監視に当たる、あるいは外国におきましても一晩そこで係留いたします航空機の警備についてはその国の治安当局が責任をもって実行してくれる。これはICAOの付属書にも書いてある、それがたてまえでございますが、私どもができ得る限りのことをやらねばならぬというので、今回の対策はそういうものも監視をするということでセキュリティーオフィサーというものを増員配置するということにいたしたわけでございます。
○伊藤(公)委員 私の方で事前にちょっと調査したのによりますと、たとえば日航の職員の方々はバッジがありますと、だれでも出入りができる。職員同士は顔見知りという場合が非常に多い。したがって、慣例では特別にチェックはしない、こういうことでございますし、業者や整備員は胸に写真つきの身分証明書をつけている。こういうことでございますけれども、これからの対策として一体これだけで十分なのかどうなのか。よくデパートなんかでもチェックするというケースが非常にふえておりますけれども、バッジなんかはどういう形でも取りかえができますし、落とせば拾うこともできますし、いまのこれだけ非常に危険を含んでいる飛行場の中で、その程度のチェックで一体いいのかどうか。あるいは新入社員が入ってきた。もちろん顔見知りではありませんが、バッジをつけていれば入れなければいけない。その辺のチェックは現状のままでいいのかどうか。ちょっとお答えをいただきます。
○朝田参考人 日航職員に限らず、空港に出入をいたしまする関係者は、全部ここに写真入りの身分証明書をつけております。私自身もそれをつけて空港に入るわけでございますが、これがにせものであったり――マニラでそういう事件がございまして、偽造をする。まあ写真を張って一々チェックをするということが各方面の空港の各個所にわたっておりますので、そういうことはむずかしいというようなことが実情でございますが、今後はそういうものの監視を強化していくためにも警備要員を増強する、こういうことでなければいけないと思います。ただ、バッジだけで出入をしておる現状ではございません。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたから終わりますが、私どもは議会の中で、今度のハイジャックというものを契機にして、一方においては人命はもちろん守らなければならないという絶対的な条件があるわけですけれども、今度西ドイツがとった方法と日本の姿勢とがきわめて好対象で、いろいろ比較をされているわけでありますが、われわれがどんなに法律をつくっても、あるいは細目にわたってもうこれで十分だという規則をどんなにつくっても、たとえば今度とられたような超実定法の手続がとられれば、これはどんな法律があっても法律などというものはもう適用されないわけであります。基本的には、われわれは超実定法的な手段は今後一切とらない、こういう強い姿勢でこのハイジャックというものに対処していかなければならない。これはもう一航空会社だけの問題ではありませんし、日本の国、政府自身の姿勢の問題でありますから、われわれはそういう姿勢で政府が臨むようにこれからも強く要請をしてまいりたいと思います。
 しかし、航空会社にありましては、いずれにしても多くの生命を預かる。一つ事故が起きれば全員絶命だというきわめて公共的な大事な仕事に携わっている皆さんでございますので、ドバイの経験が生かされないで再びこういう惨事が起きた、またこの次も同じようなことが繰り返されるという危険がきわめて強い、最大の努力をしているなどという言葉だけではなしに、やはり世界のトップにいける日本を代表する航空会社としてひとつ一層の努力をしていただきますように強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴切委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
○鈴切委員長 交通安全対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
○北川委員 先ほど日航機の墜落、ハイジャック、両問題について十五分間の質問時間で足らざるを後に補いたい、こういうことで一応質問を中途で交代いたしたのでありますが、政府委員はどなたとどなたがお見えでございましょうか。ちょっと私、初めての顔の方もあるようでございますので……。
○鈴切委員長 運輸省は松本航空局次長、警察庁は杉原交通局長、福井公安第三課長、新田国際刑事課長、内閣は田中内閣審議官。
○北川委員 委員長ありがとうございました。
 先ほど足らざるを運輸省関係の航空局次長にお聞きを申し上げ、またあなたから答弁を得ながら、少しの時間、私の考えていることを新たにしたいと思います。
 先ほどちょっと申し述べましたが、将来全日空機も国際線に乗り出していく、またこれを許可するお考えがあるかどうかということを一点お聞きしたい。
○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。
 昭和四十七年の例の航空企業の運用基本方針に基づきまして、全日空につきましては近距離国際チャーターという分野を受け持たせておるわけでございます。現に、大体香港、マニラ等が主でございますが、相当便数のいわゆる近距離と称せられる範囲内の国際チャーターが全日空について行われておりますし、当面この基本原則を大幅に変更するという考えを私ども持っておりませんので、このような状態が全日空につきましては今後ともしばらく続く、このように考えております。
○北川委員 そうすると、これからの国際線は日航オンリーから二つの航空会社にあなたの方は監督しなければいかぬ、こういうことになってまいりますね。
○松本(操)政府委員 国際定期として運用いたしますものは日本航空のみでございますが、近距離のチャーター――日本航空は遠距離のチャーターもいたします。したがいまして、国際のチャーターにつきましては、現時点でも日本航空と全日空と両者がかかわり合っておりますので、まとめて申し上げますれば、定期便については日本航空、チャーターにつきましては日本航空及び全日空、こういう形に現在もなっておりますし、当分の間、将来、そのような形が続くものと考えております。
○北川委員 そういたしますと、定期便は日航だけとおっしゃるが、全日空が東南アジア方面に乗り出していくことも形で出てまいりますね。さすれば、国際的にはやはり二社になりますね。二社になるんじゃないですか。私、それを聞いているんですよ。
○松本(操)政府委員 私が明快でないような返事をしているようでしたら申しわけないのでございますが、定期とチャーターとは、私どもの扱いはかなりはっきりと区別をいたしておりますものですから、ちょっと回りくどい御返事を申し上げたので、現実に国の外に飛んでいく飛行機会社が幾つあるのか、こういう単純な設問に置きかえますと、おっしゃるとおり二社でございます。
○北川委員 これは至って単純に聞いておく必要があると思ってお聞きいたしたわけですが、むずかしく解釈されて――日航のみか外国に対して乗客を輸送するものでない。現実の形がですよ。日本から離れるものは、やはり全日空もそうであろう、こう思うのです。だから、今後の運輸省の、特に航空局の指導というものはやはり厳しさがなくちゃいけない、私はこう考えるのです。
 そういう点で、過般の運輸委員会、または予算分科会で――雪まつりに行って東京湾で墜落いたしました全日空機がありましたね、東京湾へ参りまして突如失速して、羽田に着かずに東京湾へ墜落いたしました。当時、機長はその瞬間に、「現在ロングベース」、この打電をして音信を断ったのでありますが、その間私は、大阪の府会議員としてみずから推理をし、いろいろ自分の考えていることを申し上げたわけでございますが、機長のミス一点張りでこれを葬っておる、こういうことは非常に好ましくないと思っております。また私は、クアラルンプールの墜落事件について、日航の社長がお越しになったらいろいろとお話を申し上げたいと思いながらも、時間がない、こういう形の中で、本院の交通安全特別委員会がどうしても形だけのものになってしまうことを憂えるものでありまして、特にきょうは、運輸大臣がこういう重大なときにおられぬとか、あるいは局長クラスでこれを聞いておけという形で終わってしまうのか、私は一つの疑点を抱くものでございまして、いま、将来の日本が世界に伸びていくためには、アメリカ初め先進国、そういう航空行政を見るときに、日航オンリーという形も改められなくちゃならないであろうが、新しく出てまいります航空会社というものは、やはり経験が未熟であると思います。だから、そういう点についての監督はいろいろあると思うし、事例を挙げていきますならば、私はやはりそこに、情熱とそして緻密な計算が成り立たないために大きな事故が起きて、その事故を一機長のミスにすりかえていく、こういうことは今後断じて許せないと思うものでございます。今回の日航機のクアラルンプールでは、あれは二十六人、乗員八人の死者を出しております。大事が小事で済んだということであって、墜落には変わりない。いま日本の国内の全飛行場を見ましても、天候が悪ければ引き返さなければならない、そして無理に着陸して胴体着陸をしなければならない形があって問題にされている。その対策が何ら立てられていかないという形を見て、私は航空安全という立場から、前向きでこういう点も臨んでいただきたいと思います。
 今回の十六億円の問題にいたしましても、あの支払いは日航がどれほど持たれるかということを社長にお聞きしようと思っておったが、これはきょうは安全対策の面だから聞いてはいかぬな、こういうことで、十六億円は日航が全部お持ちになるのか、国民の税金で支払うのかということは、安全とちょっとかけ離れておるので聞かなかったのですが、航空当局はどういうふうにしてこの十六億円の負担をするかということも明らかにしていただきたい。これは運輸委員会でも結構です。また本院に今後書類をもって明らかにしていただいて、それを、そういう事故が起きた場合、いざ負担するときに皆これが政府であり、国会はどうしておるのだというところの国民の批判の中に立って一いま日本というものは国民の心の中に非常なむずかしさが生じてきております。それは刑事事件の重罪犯人も渡さなければいけない、一つの商業的な考えの中で法を犯さざるを得ないという考え方、また、ドイツのように武士道的に、これは法を犯すんだから絶対的にやらなければならないと、こういう考えの二つの交錯する中で、監督に当たられる運輸省当局が、また航空局が、特に今後世界を相手とし、世界各国の中の信頼の日本の航空行政でございますから、特に御留意を賜りたいということをお願いをいたしまして、あなたに対する質問を終わっておきます。
 それから警察庁でありますが、ハイジャックの問題につきまして若干お聞き申し上げたいと思います。
 ハイジャックは、このたびやられましたが、いままで何回こういうことがあったか、当局のお考えを聞かしていただきます。
○福井説明員 日本赤軍によるハイジャックは二件でございます。四十八年の七月二十日の事件と今回の事件、二件でございます。
○北川委員 それに類似したようなことは一回もなかったですか。
○福井説明員 四十五年と記憶しておりますが、
 「よど号」のハイジャック事件がございます。ただしこれは日本赤軍ではございませんで、日本赤軍が結成されます前の共産同赤軍派のメンバーによる事件でございます。
○北川委員 私はハイジャックは何ぼあったかと聞いたので、赤軍という言葉で言うておったならば、赤軍ということで私の質問とあなたの答弁の食い違いは訂正いたしますが、要するに航空機に対する、暴力をもって善意の第三者を非常な窮地あるいは死を覚悟するような苦しみに陥れるハイジャックは断じて許せない、これはあらゆる報道機関、また全世界は同じ眼をもって見、同じ心をもってこれを感じていると思うのです。そういう点で私は、今後のハイジャック問題については強力な処置がとられると思っておりますが、その措置をどういうふうにお考えになっているかお聞きしたい。
○福井説明員 今回の事件が敢行されました直後の九月三十日に京都大学講内で、一九八〇行動委員会という名前で、日本赤軍の今回の犯行を支持する旨の立て看板が掲げられております。同じ趣旨のビラが出ております。
 それから、今回のこの事件で国外に連れ去られました奥平純三というのがおりますが、この人物は去年の十月の十三日にヨルダンからわが国に送還されてまいったわけでございますけれども、この送還の際も、直後の十七日に京都大学構内で、五・三〇フラクションという名前で、奥平らの送還に反対をする、同志の奪還を呼びかける趣旨の看板が出ております。
 それから、ことしの五月二十五日付の人民新聞紙上で、これは日本赤軍のものと思われる論文が出ておりますけれども、その中で、日本の幅広い層の支援を呼びかけておるのが非常に注目されるわけであります。
 日本赤軍が日本の革命を目指すという以上は、究極的には日本の国内に及ぶ闘争を志向することになることは理の当然であります。そういう点からも、彼らは海外から送還されてきたメンバーを中心に、日本国内の支援組織をつくっておりますし、さらにこれを拡大すべく鋭意努力をしておる、こういうふうに見ております。したがいまして、警察としては、日本赤軍対策を考える以上は、この国内の支援組織の実態解明ということに大いに力を尽くさなければならない、こういうふうに考えております。
 それから、この国内の支援組織と密接に連絡をとりながらも、現在日本赤軍は海外に本拠を置きまして海外で活動をしているわけでございます。言いかえますと、日本国内のそのときどきの情勢に合わせて海外でできることをやる、こういう構えでございます。したがいまして、関係各国と連絡をとりながら日本赤軍の動向に関する情報の交換を行う、捜査の共助を行う、こういう点にも大いに力を尽くす必要がございます。そういう認識に立ちまして、日本赤軍に対する情報収集及び取り締まりに取り組んでおりますし、その点について強化すべき面があるのではないかということで現在検討を進めている段階でございます。
○北川委員 この間、私の大阪都島で一人逮捕されましたね。逮捕いたされたのを御存じですね。これは赤軍の有力なメンバーの一人だということでハイジャック事件後逮捕されている。そしていまこのハイジャック事件が起きてから日本赤軍担当専従班の設置ということを考えておられると聞くのですが、これについての所見を聞きたい。
○福井説明員 ただいま御説明申し上げましたような日本赤軍に対する認識に立って、これに対する取り締まり体制の強化については検討をいたしておりまするが、細部についてはこれから詰めをする段階でございますので、いまだ煮詰まっておりません。そういうことで、内容についてはひとつ御勘弁を願います。
○北川委員 ちょっと不幸にして私は大阪都島で逮捕されたその詳しいことを知らないのですが、それの説明はできると思うのですが、一応していただきたいと思います。
○福井説明員 大阪の都島で逮捕された人物というのは、ちょっと私すぐに思い当たる節がございませんが、大阪には日本赤軍のメンバーの一人と見ております丸岡修という人物が住んでおったことがございます。
○北川委員 いま丸岡修が主要メンバーの一人だと言われて、どこに住んでおったかもわからぬような答弁じゃ、私は赤軍対策というものは実に言葉上の対策になるおそれがあると思うのでありますが、こういう点について調査官というものを設ける考えがあると、赤軍調査班というものを設けられると言うが、どういうことをし、どういうことを一番重点に今後活躍されようとするのか、この点についてお聞きしたいと思います。
○福井説明員 先ほど来御説明申し上げておりますように、国内の日本赤軍の支援組織の実態の解明と、国際的な協力を得て、日本赤軍に関する海外の動向に関する情報交換、そういうことを担当する、こういうことを考えております。
○北川委員 私の聞き、また調べたところでは、世界革命統一戦線の本部はスイスにあると聞いておるのです。そしてその教育とか訓練が中近東で行われると同時に、こういうところのハイジャックに対する側面的な援助をしておるという形がここにあらわれておると思うのです。このハイジャックについて、いま日本の国内のことでその程度しかあなた方は答弁しないと言うわけです。答弁でき得ないと言われるのか、どちらかは知らないが、警察当局としてはこの程度にとどめておいてほしい、こうおっしゃる。外国においてはますます何もできないじゃないですか。それは国際法もあるでしょう。しかしもう少し私は前向きで警察当局がやっていただくところに、警察行政の中に対する国民の信頼が生まれてくると思うのですね。そういう点で外国の赤軍に対する対策はどうしておられるか、こういう点をちょっとお聞きしたい。
○福井説明員 委員御指摘のように、日本赤軍はわが国の革命を目指すと同時に、国際根拠地を各地に構築しまして武装闘争によって世界革命を達成することを目指すという国際主義を重視しております。一方、アラブゲリラの中にもマルクスレーニン主義を理論的な基礎として、当面はパレスチナ解放を目指しておりますが、世界革命の達成なしには真のパレスチナ解放はあり得ない、こういう考え方で活動に取り組んでおる組織もございます。したがいまして、さっき委員御指摘のような世界革命統一戦線というようなことをおっしゃいましたけれども、世界革命を目指しておるさまざまの組織があちこちにあることは事実でございますが、そういうものを統一した戦線があるというところまでは私たちは理解をしておりません。
○北川委員 いま答弁の中で、世界革命統一戦線という言葉は、私は言わなかったように思うのだが、あるいは私の言葉が時に河内弁が入ってしまうのであなたにわかりにくいのかもしれないのですが、それは後刻速記を見て、そのような物の言い方をしていないと思うのですが、その点をもう一度、これはしゃべってしまった後のことだから速記を見ていただきたいと思います。
 それからアルジェリアに犯人引き渡しを要求しているが、アルジェリアは渡さない、こう言うのですね。現在アルジェリアで彼らは生きておるんでしょうか。日本は情報機関は持っていないのですけれども、知る範囲内において御答弁願いたいと思います。
○福井説明員 私たちの承知しておる範囲では、アルジェリアに対しては犯人の引き渡しを要求するという形ではできない形になっておる、こういうふうに理解しております。それ以上の外交的な折衝が現在どういう段階になってきておるかということは警察としては承知をしておりません。
○北川委員 警察庁は国際刑事警察機構、ICPOというものがあるのを御承知ですか。
○新田説明員 承知いたしております。また日本は加盟国になっております。
○北川委員 この機構を通じてどのようにアルジェリアに皆さんはタッチアップしていかれるか、これをちょっとお聞きしたい。
○新田説明員 先生御承知のことと思いますが、いわゆるICPOには政治不介入の原則というものがございます。したがいまして、この問題を解決しないではインターポール・ルートによる捜査を拡大するということができませんので、この問題の解決に現在当たっているところでございます。
○北川委員 では、あのハイジャック事件が起きたときに犯人が要求いたしました日本の政治犯と日本の刑事犯九人ですか、このときにあなた方はそれを御存じだったんですか、お聞きをいたします。
○新田説明員 承知しておりました。
○北川委員 さすれば犯人引き渡しの要求のときに刑事犯二人だけは国内から連れ去ってもらっては困る、政治犯はよろしいが刑事犯は連れていってもらっては困るというところの意見を官房長官かまたはどなたかにされたかどうか、お聞きいたします。
○新田説明員 インターポール担当課といたしましてはそのようなことを申した記憶がございません。
○福井説明員 警察としましては、六人の釈放犯は四十九年の八月三十日に三菱重工前で八人の死者、三百八十人の負傷者を出した例の丸の内ビル街爆破事件等の企業爆破の犯人やクアラルンプール事件の犯人等、いずれも凶悪犯でございますから、その引き渡しについては無念であるということについては六人いずれについても変わりがない、こういうことであります。
○北川委員 国内法、国際法、いろいろの観点からむずかしいと思いますが、国内を出ていってしまってアルジェリアへ渡してしまったら、政治犯は別だけれども、不介入という原則があるということも法務当局は御存じでありながら二人を出したということに私は遺憾の意を表明してこの質問はこれぐらいでとどめたいと思いますが、私は政治というものとそして行政当局というものは、そして担当者は、法律の上に立ってやはり意見の具申は堂々と述べていただくことによって、知らざるものを補っていくという形も必要であろうと思うし、やはり一つの大きな国際的な問題がきたときには、経験の上に立った、そうして誤たない判定の上に立った率直な意見というものをこれからしばしば申し述べていただいて、新しい形をつくっていただきたい、こうこいねがうものです。市場主義というものよりも、もっと広い幅の中で、世界の目の中でこういう問題は行われなくては、いまアルジェリアに行ってしまった犯人は、政治犯は別で二人返せと言ったって容易には返ってこないだろうと思う。形ができてしまった後で騒いでもいけないと思いますので、今後そういう事件が勃発したときに、あるいは今後とも起きないとは言えないこういう事件に対して、やはり当局が英知を傾けて御努力賜ることをお願いいたしておきたい、こう思います。
 次に、同じくこの問題ではございますが、今後、いま申しましたように国内法、また国際手続、こういう点についてどういうふうに対処していこうと思われるか、お聞きいたします。
○新田説明員 先ほど申し上げた例の政治不介入の原則についてでございますが、これに対しましては、私どもは、日本赤軍の行っておる違法行為はいわゆる政治活動ではない。またあの犯罪行為は、きわめて非人道的なものであるという考えをとっておりまして、この考え方を加盟諸国に納得してもらうということを通じ、コンセンサスを得てICPOの捜査協力の場にあの事件を乗せて追及いたす、こういう考えでおります。
○北川委員 いろいろと当局の所見をお聞きいたしまして、私は、いままでいろいろの面にいろいろの形でとられたけれども、従来とってきたことが場当たり的になったりあるいはマンネリズム的なものの中で事を処されようとしておることが多いと思うのですね。そういう点で、新しいこういうふうな問題が出た、そこでドイツのあの方式があった。あのドイツの方式をどのように今後日本は生かそうとしておられるか、これは航空局長と警察当局、両方にお聞きいたしたいと思います。
○松本(操)政府委員 安全な民間航空機の運航ということを最大の念頭に置いております私どもの立場から申し上げるならば、ハイジャックされてしまってから後の話ということになりますと、いささか所掌の外にはみ出すきらいがあるかと思います。したがいまして、私どもが当面最大の眼目を置くべきと考えておりますのは、水際作戦と従来言われておりましたが、ともかくそういったような犯人を絶対に飛行機の上に乗せない、あるいはそのような準備行動を空港近辺においてあるいは飛行機の近辺においてさせないということに最大の重点を置くべきではないか。この点につきまして、伝えられるところによりますと、ドイツ政府は、あの事件後、何カ国かに対して直接自分のところから部隊と申しますか、人員と申しますか、を配属するから、それにチェックをさせろということを強く申し込んで、一部すでに実施に移しておるというふうに聞いておるわけでありますが、この委員会でもずっと議論されておりました、いわゆるダブルチェックと呼ばれておりますやり方が、私どもの立場に立って考えました場合の方式でございますが、もちろんこのダブルチェックの根幹は、これは運送約款に基づいて、そのようなお客は乗せない、そのような荷物は運びませんというところに基本を置いておるわけでございます。
 しかしそうは申しますものの、主権のございます相手国の中で、わが日本航空が独自のそういったチェックをするということにつきましては、仮に根拠がわが方にあるといたしましても、相手国が政府の立場においてこれを忌みきらってきたのでは実はどうにもなりません。仮にわが日本に対して某国が、おまえのところの警備の仕方は足りぬからおれがやる、こう言われれば、やはり私どもは、冗談じゃない、こう言いたいところでございます。したがいまして、現在日航は、航空会社のベースで関係の各国に対して折衝を開始しておるわけでございますが、これは政府の本部においてもいろいろ議論されておりまするとおり、やはり外交的な手段を講ずることによって相手国の協調を得る必要がある、こういうふうな場合には、私どもが直接的にという場合もございましょうし、あるいは関係各省つまり外務省等の積極的な御協力を得て、そういうことが実地に行えるようにということも考えていかなければならない、こう思っております。
 また、人間を動員してのチェックと機械のチェックといずれぞやという議論もあろうかと思います。この場合、やはり機械に頼るということも相当程度効果的なものではなかろうか。チェックといいましても、徹底的にさわるということもなかなかしにくい場合がございます。そういうふうな面におきましては、そういったような機械の紹介なりあるいはそれをみずから使用しておるゲートには、こういう機械を置きますから、これをひとつお使いいただきたいというふうなアプローチの仕方もあろうと思いますので、そういう点を全部含めまして、厳格に水際作戦が実施できるように、私どもとしてはあらゆる努力を払っていきたい、このように考えております。
○福井説明員 ドイツの事例は、あれはあれで大変りっぱな事例だと思っておりますが、ただ、ああいう実力行使と申しますか、公権力の行使そのものでございますから、原則としては、たとえばわが国の場合に置きかえてみますと、外国からああいうハイジャックされた飛行機がわが国に飛んできたことを考えますと、よその国の実力部隊を持ってくるということでなしに、あくまでもわが国の警察の手で処理するという方針を貫くことになると思います。したがいまして、あのケースは例外中の例外のケースだ、そういうふうに思っております。したがいまして、わが国でもしああいう事態になりますれば、これまでも日本の警察はハイジャックなりバスジャックなりシージャック等でそういう方針を貫いておりますが、人質の人命尊重を第一義としながら、あらゆる条件を克服して犯人の制圧、検挙に努めてまいる、こういう方針で努力してまいりたい。もちろんドイツの事案について学ぶべき点については学んでいきたい、こういうふうに考えております。
○北川委員 いま松本航空局次長から、非常に前向きの御答弁を願って意を強うしておるのですが、航空機の操縦士の乗っている中から、機内に入ったハイジャックたちから、航空操縦者たちに危害の及ばないような装置というものを果たして考えられたかどうか、これはあなたからひとつ御答弁願います。
○松本(操)政府委員 パイロットがおりますところをコックピットと申しますが、コックピットと客室との間には当然ドアがあるわけでございまして、このドアを何とか締めてしまう方法はないか、これはだれしも考えるところでございます。現在これは厳格に実施をされておりますが、ただロックの仕方が、電気的にロックされますものと、機械的にロックされるようになったつくりのものと、二通りございます。したがって、その操作に多少の違いはございますけれども、機長の許可がない限り、仮に客室乗務員であってもみだりに入ることができないという規定をきちっとつくらしております。絶対にはいれないようにしてしまう方法もないわけではございません。これはたとえばアエロフロート、ソ連の航空会社、ここら辺のところは軍用機を民間機に転用しているのがございますので、構造上なかなかコックピットに入れないというふうなものになっておるのがあるようでございますが、そのようにしてしまうことが果たして、これはハイジャックばかりではございませんで、何か別の非常事態が客室内に起こったときに、キャプテンは全体の生命を預かっておるわけでございますが、どうしても客室に行けなくなってしまうというのもいかがかということで、さしあたりは、政府の方針で決めましたように、施錠を厳重に実施するということで対処していくということにいたしまして、先生仰せのように、何かもっとうまい方法がないかということは、今後考えていきたい、このように思っております。
○北川委員 時間が参りましたので、質問を終わりたいと思いますが、航空局の方では、たとえば羽田のチェックインするところの機械が――私はこの間世界各国というまでは回れなかったのですが、あっちこっちの世界の飛行場を見てまいりました。みずからもまたチェックを受けてまいりました。そしてあの透視する機械ですね、チェックインする機械、日本の羽田にあるのよりももっとすばらしいのがあるということを見てまいりましたが、この点について、羽田で新しいのと取りかえられる用意があるか、あるいは日航に対して航空局からチェックインする機械をもっと新しいものを取り入れたらどうだという御指示をなさるかどうか、お聞き申し上げたいと思います。
○松本(操)政府委員 現在、羽田、大阪等で使っておりますエックス線の機械は相当できのいいものだと私は自負しておりますが、しかし、先生おっしゃるようにもっといいものがあるぞということであればもちろん――近くそういったようなものの調査研究部隊を出そうと思っております。十分に検討いたしました上で、しかるべきものがあれば採用を検討するにやぶさかでございません。
○北川委員 時間が参りましたので、これで終わります。
 ただ、石井団長を初め外地へ飛ばれて非常に御努力をなされた皆様に深く感謝いたしまして、今後ともこのハイジャック問題あるいは墜落事件問題について当局がなお一層の前向きの姿勢で御努力賜ることを重ねてお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴切委員長 次に青山丘君。
○青山委員 この十月十三日に政府の第一次のハイジャック防止対策が出ました。この第一次の防止対策でどのような効果を期待されておられるのか冒頭伺っておきたいと思います。
○田中説明員 お答えいたします。
 十月四日、政府におきましてはハイジャック等非人道的暴力防止対策本部を設置いたしまして、今回のハイジャック事件にかんがみまして至急その防止対策について検討いたしたわけでございます。この検討いたしましたのは、実は先ほどから議論がございましたとおりに、ハイジャックについては今回が初めてでございませんで、四十八年八月にもハイジャックがございまして、それにもわれわれ政府としていろいろ対策を講じたわけでございます。そのような対策もひっくるめまして全部検討してまいって、先生御指摘のとおり十三日にはとりあえず行政的にできるものといたしまして第一次の対策というものをつくり上げたわけでございます。
 では、この効果はいかにというのでございますけれども、これはやはり四十八年の対策要綱と比較いたしましてお答えしなければなりませんが、では、四十八年の対策でどうしてできなかったかという議論になるわけでございますけれども、四十八年の対策要綱がかなり詳細にできておりまして、これ以上やるのもかなりなくなっているというような感じもいたしました。それでも若干の不備がございましたので、それに足して対策要綱をつくったのでございます。
 この要綱を見てみますと、ハイジャックの事件が起きた当時は熱がありまして、この行為も実行します、あれも実行しますとやっておったのですが、そのうち時間がたちますと決められたことがだんだん緩やかになってきておる、こういうような状態でございます。このような反省に立ちましてわれわれは第一次の対策案をつくりましたけれども、これが前回と同じようにだんだんルーズにならぬように、対策本部といたしまして、これから各官庁あるいは日航での実行、監視をチェックしていきたい、かように考えております。
○青山委員 これまでの防止対策である程度成果が上がっている部分もありますね。しかし、現実にはあのように日航機のハイジャック事件が起きまして、世界じゅうの国に対して大変迷惑をかけたと思うのです。
 このたび第一次のハイジャック防止対策が出されまして、これが完全に実施されてスムーズに運営されれば、これでまず一応ハイジャックは防げるんだ、こういう感覚ではないかと思うのですね。そこで、再びハイジャックが起きないのだというふうに受けとめておられるのか、いや、まだこういう問題を抱えておる、この問題にメスを入れないと本当の解決にはならないと思っておられる今後の課題がおありかどうか、伺っておきたいと思います。
○田中説明員 お答えいたします。
 先ほど私が申し上げましたハイジャック防止対策の第一次案は、とりあえず行政的にできる、直ちに実行すべき対策として取り上げられたものでございまして、これで防止対策として十分だというふうには考えておりません。たとえば、いま今国会で御審議願う予定にしております法律改正でありますとか、あるいは日本赤軍の裁判の促進に関する法律改正でございますとか、あるいは警察官の海外への派遣問題でございますとか、こういう問題につきましても逐次検討いたしまして、総体的なハイジャック対策というものをつくり上げたい、かように考えておる次第でございます。
    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○青山委員 第一次の防止対策が出されました。これはとりあえずできるもの、こうおっしゃったのですが、これは全部できますか、お尋ねします。
○田中説明員 お答えいたします。
 これを全部直ちに実施できるかというような趣旨の御質問でございますけれども、私どもといたしましては、直ちに全部できるとは申し上げられないのでございます。と申しますのは、この中にやはり国際協力を伴わなければならないような問題がかなりございます。たとえばヘーグ条約であるとかあるいは東京条約、モントリオール条約、これは実はハイジャック防止関係の条約でございますけれども、こういう問題につきましても、相手国がおるものでございますので、直ちにこちらの意図どおりに入っていただくというわけにはまいりません。したがいまして、こういうものにつきましては徐々に外交努力をいたしたい、かように考えております。しかしながら、先ほど日航等の御答弁もございましたように、直ちにできるものにつきましては監督官庁を通じまして至急やらせるように努力をいたしております。
○青山委員 これから取り組まなければならない今後の課題というのがそれで大体網羅されておりますか、まだほかにありませんか。
○田中説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げました法律改正の問題以外に、たとえば先ほど御質問がございました機体改造の問題、それからハイジャック防止条約に裏打ちするような条約すなわち制裁条約、このようなものが一応考えられております。
○青山委員 一応これで第一次のハイジャックの防止対策が出た。今度近々に、できるだけ早い機会に第二次の防止対策が法制面で規制強化をされていく、そういう方針でいま準備しておられると聞いておるのですが、どのような内容で、いつごろ出されるのか、お尋ねします。
○田中説明員 お答えいたします。
 ただいま法律改正を検討しておりますけれども、この内容は三つの部分に分かれております。
 一つは航空機の強取等の処罰に関する法律、これはただ単に、いままでのは航空機を強取した者に対して七年以上の有期懲役となっておりましたのを、ただいまの段階では、これを、人質をとって第三者に義務なきことを行わせる罪ということで、十年以上の有期懲役にしたい、かように考えております。
 第二の法律は、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、これは航空危険罪と申しておりますけれども、飛行機の中に爆弾だとか銃器あるいは火炎びん、こういうものを持ち込んだ者に対しては、ただいまの航空法では罰金しかないのでございますけれども、これを銃砲刀剣類所持等取締法に関連いたしまして、二年ないし三年以上の懲役ということを一応考えております。
 第三番目には、旅券法の改正でございます。これは御承知のとおり、ある一定の罪を犯して裁判中の者であるとか、あるいは逮捕状を出されている、こういう連中につきましては、旅券を発行しないという規定になっておりますけれども、現在の規定では、長期五年以上の罪を犯して裁判中の者あるいは逮捕状の出ている者、こういう人たちについては海外に行かせないことができる、こういう規定になっておるのを、年限を下げまして二年以上、こういうようなことを考えております。
 現在検討しておりますのは、この三法を一つにまとめて御審議願いたい、かように考えておりまして、臨時国会もあと残り少ないので、至急検討いたしまして提出いたしたい、かように考えております。
○青山委員 ハイジャッカーを飛行機に乗せないということが一番大事ですけれども、関連する法律を強化して、いわゆるそういう違法な行為に対して抵抗する姿勢、抵抗すると言ってはあれですが、抑え込む姿勢をひとつぜひ出していただきたいと思うのです。
 それから、ハイジャック防止のための緊急対策ということで六項目出されてきましたが、日航がその中で直接かかわってくるのは搭乗前の再点検、いわゆるダブルチェック制です。これがやはりこれからの防止対策としては、一つの大きな課題になると思うのですね。その辺の御見解はどうでしょう。
    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
○田中説明員 お答えいたします。
 先ほどから日航等の御回答にもございましたように、ダブルチェックという問題は、先生おっしゃったとおりに、これからのハイジャック防止の対策の非常に重要なポイントになる、これは確かにそのとおりでございます。したがいまして、国内ではこのようなダブルチェックというのはかなり容易にできるのではなかろうか、かように考えております。
 しかしながら、問題はやはり外国空港でございます。先ほど話がございましたように、外国の十七空港につきまして日航が寄港しておりますけれども、ここでのダブルチェックができるかどうかという点になりますと、これは大変むずかしい問題がございます。たとえば、ボンベイあたりでは警察官が一応チェックしておりますけれども、それにもかかわらず、なおかつ日航がもう一度シップサイドでもってチェックできるかどうかということになりますと、もちろんボンベイでもって犯人が乗ったからもう一度チェックさせたいということは言えるかもしれませんけれども、その国のメンツであるとかあるいは思惑だとかを考えますと、そう容易にはできかねる問題ではなかろうか。したがいまして、もう少し息の長い問題としてとらえていただいて、話し合いによって、あるいは外交ルートによって徐々にそのダブルチェックの実績を上げていきたい、かように考えております。
○青山委員 もうすでに、海外空港の防止体制のための行動がとられていますね。お尋ねします。
○松本(操)政府委員 ダブルチェックと私ども一言にして言っておりますけれども、内容が二通りございまして、一つは、第一関門を通った場合、その関門自身におけるチェックが適切でなかった場合、それをもう一度チェックしよう、念には念を入れようという意味のダブルチェックがございます。それからもう一つは、第一関門を通るときは完全であったはずだけれども、その後外部の者との接触の機会があったがために底抜けになっていはしないかという心配に対するチェックで、いずれもシップサイドでやらなければならない、こういうことになります。したがいまして、いま日航にとらせておりますのは、特に南回りヨーロッパ線及び東南アジア線に中心点を置きまして、関係の国ごとに、それぞれ現地支店に関係国当局との間の調整をするように指示をしてございますが、現在話がはかどっておるということは、ある一方国を除いてまだ余り聞いておりません。したがいまして、チェックの体制そのものがどうかということを、われわれの側といたしましてもあらかじめ十分に承知をしておく必要があるのではないかということで、来月早々にも私どもの方からチームを出しまして、具体的なチェックの仕方がどのようになっているのか、あるいは立ち入り禁止区域において作業をする者に対するチェック、これは間接的なチェックでございますが、これがどのようになっているのかというふうな点を十分にわきまえた上で、必要により、当該国に対して申し入れをするなり何なりの措置をとっていく、こういうふうにしたいと考えております。
○青山委員 調査のためのチームは、どんな人員構成になっておりますか。
○松本(操)政府委員 まだ最終的に決定した人数に至っておりませんので、概略で御容赦いただきたいと思いますが、われわれの側から数名、それに日航の方のそれの専門家、関係者、これを数名入れて、人数は十名を超えることはないだろうと思います。
○青山委員 これはいままで進んできた面と、これから進められる面がありますが、具体的に海外空港に対するこちら側の指導というか要求というか、その内容についてはもう整理されていますね。
○松本(操)政府委員 私どもが、全日空をも含めまして、日本航空等海外に運航しております航空会社に対して、外国空港におけるチェックのありようについてはこのような考え方でやるべきだということは指示してございます。ただし、それを個々の空港に当てはめまして、どのように具体的に改善を図っていくかという段階になりますと、相手国との話し合いというのがそこに入ってまいりますので、すべてがはかばかしくいっているとは必ずしも言えない。先ほどお答えいたしましたように、特定の一カ国を除いては、すぐにもダブルチェック体制に入れるというふうな見通しを持つには至っておりませんけれども、そのようなコンタクトを相手国政府、関係当局ととるようにという指示はすでに発しておりますし、日航もそのような段階に入っているという報告を聞いております。
○青山委員 この点については、後で少し触れたいと思うのですが、ちょっと先に進みます。
 ハイジャック事件再発防止のための一つの決め手ということで、スカイマーシャル、航空保安官制度を新設して、武器を持って国内、国際線に警乗させる方向で航空法の改正を検討しておるということですね。私どもは、これは大切なことだと思っているのですが、これからの進め方はどうなんでしょう。
○松本(操)政府委員 いわゆる武器を携行したスカイマーシャルと呼ばれる人たちを航空機に搭乗させるということにつきましては、現在検討の対象になっておることは事実でございますが、先生いまおっしゃいましたように、航空法を改正して、もってどうこうするという具体的な段階にまでは至っておりません。
 それにはどういう理由があるかと申しますと、拳銃等の小型武器を持ったまま飛行機に乗りました場合、ハイジャッカーに対するある程度の抑止力というものはあろうかと思います。しかし、万が一にも相手が捨て身でかかってきました場合には、当然機内での撃ち合いという問題を想定しておかなければならない。その場合に、御承知のように飛行機というものは見かけによらず非常に脆弱でございますので、床にも壁にも天井にもいろんなところに配管がありあるいはワイヤーが通りというふうなことがございますし、あるいは飛行機によってはタンクからの燃料をエンジンに持って行く燃料管が床下を通っておるというふうなケースも非常に多うございます。したがいまして、低空での撃ち合いの場合にはこういうふうな仕掛けに損傷を与えまして、航空機自身がコントロールを失うという心配もございますし、さらに高空におきますと、与圧と申しまして航空機内の圧力を上げてございます。外気の圧力よりも高くなっておりますので、これに穴をあけますと、場合によっては胴体がそこから破裂してしまうというふうな心配すらございます。したがって、これは相当慎重に考えなければいけないのではないか。現に、これを採用しておる国というのは非常に限られた国、特殊な国のようでございまして、私が承知しておりますところでは、米国がかつてスカイマーシャルというものをやったようでございますが、やはり私がいま申し上げましたようなふぐあい等もあったのであろうかと思いますが、現在は廃止をしておるというふうなことも聞いておりますので、この対応のしぶりについては、私どもだけではございませんので、関係の省庁とも十分に検討をしていきたい、こう考えております。
○青山委員 個々の問題を取り上げれば、確かに飛行機の床の真ん中あたりには相当な心臓部というか、人間で言えば脊椎のような非常に重要な役割りを果たしておる部分があるんだそうですね。しかし、確かにそういう問題を取り上げてくれば、いまおっしゃったような個々の問題がたくさん出てくるでしょう。しかし問題は、ハイジャックを防いでいくという、そういう姿勢がやはり日本に出てこないと、それは日本の政府の責任だ、日航の責任だ、いやそれは国じゅうが賄うんだというような問題で、国内だけでいままでは論議されておったのですが、だんだんそういうわけにはいかなくなってきた。つまり、テロリストに対しては血のにじむような努力をして対決をしておる国が民主主義国家であるということをまざまざとわれわれは目の前で見せつけられたときに、日本は日本としてその役割りを果たしていかなければいけないんではないか。そういう具体的な行動をとるときには、われわれは一つの選択をも迫られているのではないかと思うのです。つまり、テロリストの脅威に対して抵抗していくのか、抵抗しないのか、なされるままにしていくのか。そして、やはり抵抗しないという姿勢は、世界じゅうの民主主義国家でそういうテロリストの暴力に対して真っ向対決しておる国々からは、日本は背信的な行為だとみなされても仕方がないと思うのです。つまり、抵抗する姿勢を持たなければやはりいけないのではないか。そういう意味で、拳銃一丁持ってスカイマーシャル、航空保安官が乗り込んで、ハイジャッカーと対決できるというふうに簡単には解決できないかもしれません。けれども、そういう抵抗する姿勢を見せていかなければいけないのではないか、そう思うのですが、どうでしょうか。
○松本(操)政府委員 先生のそういったテロリストに対する断固たる姿勢という点については、私どもは全く同感でございますが、それをスカイマーシャルという形に具現させることの適否という点につきましては、たとえばジャンボのようなものになりますと四百人近い人が乗っておって、そこに何人のハイジャッカーが乗ってくるかどうか。したがって、私どもは乗らせないということに最大の力点を置きたい。乗ってきてから、仮に十人乗ってきたとして、一人のスカイマーシャルがよほどの拳銃の名手でもなかなか抑え切れぬ。それなら十人乗せるか。だんだんエスカレートするだけで、むしろデメリットの方が大きくなりはしないか。
 ただ、この問題は、私が申し上げておりますのは、航空機を安全に飛ばすという立場に立った航空局の見解でございます。したがいまして、先ほどもお答えいたしましたように、警察、法務といったような関係省庁との協議を今後重ねるべき問題とは思いますが、私がお答えいたしました趣旨は、決して抵抗の姿勢をくじけさせようということではございませんので、航空機の安全な運航ということとそのスカイマーシャル制度との兼ね合いについての慎重な検討が必要なのではないか、こういう趣旨で申し上げた次第でございます。
○青山委員 航空保安官制度は、飛行機が離陸して飛んでおる間だけ役に立つという役割りではないと思うのです。航空保安官がそれこそ水際作戦で、タラップ際で検査していく、監視を強めていく、そういう役割りは十分果たしていけるであろうと思うのです。もちろんそれによって、他国の領空における司法権の問題が出てきますが、これはダブルチェックと同じような考え方、つまりやはり基本的に抵抗していく姿勢を日本はとっていかなければ、国際的にもその責任は果たしていけないのではないか、こういう考え方なんです。そういう意味でも、やはり航空保安官制度は十分検討に値する問題だと思うのです。そして、そういう国が現実にはハイジャック防止対策にその役割りを担ってきたというふうに私どもは理解するのですが、どうでしょう。
○松本(操)政府委員 確かにペアーに対するそういった抑止力、制圧力あるいは抵抗の姿勢、こういうものを積極的に示していくという御趣旨について、私は別に異存はございません。ただ、たとえばいま先生おっしゃいました武装した航空保安官がシップサイドでチェックをするというふうなことが、相手国の領土内において行い得るかどうかという点になりますと、私自身いささか不勉強で明快にお答えいたしかねる面が多いのでございますが、ともかくもこの問題について私どもは検討しないとお答えしているわけではございませんので、検討をいましている段階ではございますが、ただ飛行機という非常に特殊な乗り物であるというふうなことを考えますと、その点から航空局の考え方というものを御参考までにお答えしたわけで、全体的には政府全体の例の対策本部の場において関係の省庁も含めて検討さるべきものではないか、このように考えております。
○青山委員 ぜひひとつ前向きの姿勢で検討していただく内容だと思います。
 それから、質問がやえるかもしれませんがお許しいただきたいと思います。操縦室と客室との間のドアの施錠は確実に行われておりますか。
○松本(操)政府委員 これは航空法に基づきます運航規程というものがございまして、これは運輸大臣の認可にかかっておりますが、その運航規程を受けましてまた細かな規定がございます。その細かな規定の中に、こういう場合において鎖錠をする、あるいは鎖錠をあける場合にはこういうふうにするというふうな細かな規定が書いてございます。ともかくも大原則は、キャプテン、コーパイ等の乗っておりますいわゆるコックピットと呼ばれるところには、キャプテンの許可のない者は何人たりとも入れないというのが大原則でございます。それを物理的にさらに担保しようという意味においていろんな形の施錠をしておる、こういう形になっております。
○青山委員 施錠されているのですね。
○松本(操)政府委員 施錠されております。
○青山委員 これはたまたま私が先進国へ行ったせいかわかりませんが、前の方に乗っていますね。そうすると、スチュワーデスが結構出入りしているのですよ。しかもそれは、かぎを一々あけているようにはどうも思えないのです。簡単にドアをあけて、結構出入りが頻繁に行われているように見えるのです。それは、スチュワーデスが特殊なあけ方をしておるのでわれわれが気がつかないのか。実際施錠されているようには思えないのですよね。間違いありませんか。
○松本(操)政府委員 先ほど簡単にお答えしたわけでございますが、飛行機によりましていろいろな施錠の方式と私申し上げましたのは、電子ロックを使っておりますものと機械式のものとがございます。電子ロックを使っておりますものにつきましては、これはエアバス・クラスが大体すべてそうでございますが、これはコックピットの中からいつでも一方的に簡単にあけられます。ただ、だれが入ろうとしているかということを合図できるような形になっておりまして、その合図の仕方等につきましては、乗務の前に機長がきょうはこれでいくということを決めてございます。それは客の目につくようなところではやっておりませんので、あるいはお目にとまらなかったのかもしれない。それから機械的なロックの場合には、これは中から、たとえばサードパイロットならサードパイロットがラッチを外さなければ外側からあかないようになっておりますが、これも相互に通信の手段を講じてしかる後に入る、こういうふうになっておるわけでございます。
○青山委員 もう時間がないのでできるだけ手短に進めますが、警察庁にお尋ねします。
 警察法を改正して警察部隊を海外に派遣する、こういうことを検討しておられるかどうか、まずお尋ねします。
○若田説明員 ただいまの御質問でございますが、現在の国際関係下におきまして、仮に外国でハイジャック等の犯罪が発生いたしました場合には、当該国の主権を尊重いたしまして、当該国の官憲によって処理するのが原則でございまして、このたびの西独の措置というのは異例中の異例のことだと私ども存じております。したがいまして、お尋ねの警察官の海外派遣等につきましては、国際問題等も絡みまして非常に大きな問題ともなりますので、この種問題につきましては慎重に対処してまいりたい、このように考えております。
○青山委員 慎重にというのは、警察法の改正を考えておられるのかどうかわからない。
 それから、ああいう事件はまさしく異例中の異例の事件なんですね。正常な段階での対応の仕方ではいけないのではないか。したがって、そういう異例の措置は、たとえば日本の場合は全く血を見なかった、そういう意味で評価をしているかもしれませんが、しかし、私は日航の社長にも申し上げたが、やがて日本に対してああいう不法なハイジャックの行為がさらに強められてくる。二弾、三弾とあるだろう。なぜならば、あれほどまでに激しく対決してくる西ドイツに対してはハイジャッカーそのものがもうねらわないのではないか。日本はねらえば間違いなく成功するし、金も手に入るし、仲間も補給してくれる。恐らく日本に対してこれからもっと強めてくるであろうと思うわけです。したがって、異例な措置に対する対応の仕方をいまから十分考えておかなければいけないのではないか、そういうふうに考えるのです。したがって、今度の警察法の改正は国内法の整備を本格的にまずやっていかなければいけない問題。それから、外国の司法権との関係がありますね。けれども、外国へ警察部隊を派遣される考え方があるのかないのかお尋ねします。
○若田説明員 ちょっと余分なことになるかと思いますが、国内でこの種ハイジャックが発生しました場合に、いままでに十一件発生いたしておりますが、基本的なこの種の処理方針といたしまして、人質の安全救出を第一といたしまして、あらゆる困難を克服いたしまして、犯人の制圧、逮捕に努めるということを原則にいたしておりまして、いままで発生いたしました十一件のうち十件がそのような方針で成功いたしております。例外は、「よど号」事件のただ一件が北鮮の方に逃げられたわけでございます。そういうことでやっておることでございまして、いまお尋ねの件は非常に微妙なことでございます。しかしながら、私どもとしてはあらゆる事態に対処する実力を備えるべくいろいろな訓練はいたしておりますけれども、具体的に法を改正して海外に派遣するかどうかということは大変微妙な問題でございまして、そのことについてはこの場では差し控えさせていただきたいと思います。
○青山委員 わかりました。結構です。もう時間がありませんから簡単に聞かせてください。
 海賊船がなくなってきましたね。それはどういう理由によるか、いろいろと言われているのですが、問題は海賊船が寄港する港がもうなくなってきた、それで全世界的に海賊船はなくなってきている。今度のハイジャックでも同じようなことが私は言えると思うのです。そういう意味で、国際条約、いわゆる東京、それからハーグ、モントリオール、この三条約を批准するような要請を政府がされると聞いておるんですが、やはり事故が起きた後の逃亡先をなくしていくことが大事だと思うのです。その辺の見通しを――いろんな方法で強行着陸するんでしょうが、世界じゅうの国々がまず認めないという方向に持っていかなければいけない、これが一番の決め手だと思うのですが、御見解をお尋ねいたします。
○田中説明員 お答えいたします。
 ハイジャック防止関連三条約と申しまして、先ほど先生おっしゃいました東京条約、へーグ条約、モントリオール条約、これにつきましてはわが国はもちろん入っております。しかしながら、問題になるような中近東の諸国が入っておりませんので、これが一番問題でございます。したがいまして、この問題につきましては国連の場を通じまして積極的に外交努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
 なお、このほかにハイジャックの犯人を引き渡す条約というものをいま西独を中心といたしまして、いま私の聞いている範囲では二十三カ国が提唱国になりまして、国連の場を通じましてそういう条約というものを提唱している、こういうふうに聞いております。
○青山委員 もう時間が来ておりますが、もう一つ簡単に聞かせていただきます。
 過日、西ドイツがハイジャックの危険のある空港、ハイジャッカーが乗り込む危険のある空港について西ドイツ独自の検査を要求しております。それに応ずる空港があるようですが、日本の立場で外国に対して、日航機が立ち回るといいますか日航機が立ち寄る空港に対してそういう措置を要求されるのかどうかお尋ねします。
○松本(操)政府委員 まずさしあたっては日本航空をして関係当局の官憲との間に交渉を持たせるのが妥当であろうかと思います。その場合に、その話がうまくまいらないという場合には国と国との話、つまり外交チャネルを通しての話し合いということになろうかと思います。西ドイツのようなやり方も一つの方法ではあろうかと存じますけれども、いきなり当方から相手国を指名いたしまして、おまえのところに行くぞ、こういう一方的な形でやることがいいか悪いかという議論もあろうかと思いますので、まずとっつきは、先ほどお答え申しましたように、日航をしてその衝に当たらしめ、しかる後必要に応じ外交チャネルを通し、しかるべき筋を通してそういうことを依頼していく、協力を求めていく、こういうふうなやり方をしていきたい、このように考えております。
○青山委員 時間が来ましたのでもうよさなければいけませんが、そういうようなことで本当にハイジャックが防げるかどうか、やはり国民は大変心配をしております。日本はこれからハイジャックに対して本当に強力な防止対策を打ち出されるのかどうか大変疑問に思っております。その辺はよほど本腰を入れて取りかからないと、人になすりつけて、日航がまずやってほしい、それがうまくいかなかったら外交問題になってきます。外交問題がうまくなってこなかったらハイジャツカーが乗ってきますというようなことでは私はいけないと思うのです。ひとつ真剣に取り組んでいただきたい。要請を申し上げて質問を終わります。
○鈴切委員長 次に、野坂浩賢君。
○野坂委員 時間も相当経過いたしておりますので、ごく簡潔にお尋ねをいたします。したがって、政府側もきわめて簡単に御答弁をいただきたいと思うのであります。
 いまお話がありましたように、私どもは空中においても海上においても、あるいは路上においても、それぞれまず安全というものを基本的に考えていかなければならぬ、こういうふうに思うのであります。したがって、私はいまの地上の問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、きわめて卑近な例を挙げながら政府の見解をただしてまいります。
 御案内のように、十月十一日の午後に、きわめて過疎地域でありますが、私の出身県であります鳥取県の片田舎におきまして、大型のダンプカーが学校から下校中の小学生の群れの中に突っ込んだ、そして三人のいたいけな少女たちが死亡したという事実がございます。この点について警察庁当局はどのように対処されようとしておるのか。あるいはまた、建設省は道路上の欠陥、不備、こういうものがなかったのか、今後の対策を聞きたい。これが第一点。
 第二点目は、去る七月二十五日に、同じく過疎地域でありますが、鳥取県日野郡の江府町という地域で大型トラックが民家に突入をして二戸破壊をするという事態が起きております。しかも昼間、十一時二十分、その家におった中学一年生の少女に突っ込んで、現在下半身が麻痺して入院をしておる、こういう実情がございます。
 その経過としては、自賠責というものは、御案内のとおりに、人命が中心でありますし、死亡と傷害、この場合に適用されるわけでありますが、物損については任意保険ということになっております。しかし、大型トラックの所有者が非常に零細でありまして、その家を修復する能力を持たない、こういう現実の問題として提起されておる。その場合に、建設関係で、下請の責任は元請の責任である、こういう法律もあるわけでありますが、これらの損害賠償についてどのように措置すべきであろうか、こういう点が現地の問題となっておるわけであります。したがって、被害者は大きな被害を受け、あるいはまた物損は修復できないという、こういう現実の場合に、一体どのようにしたらいいか途方に暮れておるというのが実情であるわけでありますが、これらの問題をどのように解決をすべきであろうか、そういう点について政府の御見解を承っておきたいと思うのであります。
○杉原政府委員 先ほどの鳥取県の日野町におきます事故でございますが、国道百八十号の上で砂利販売業の大型貨物自動車、十・二五トン積みダンプカー、当時空車のようでございますが、これが幅員七メートルの道路を走っておりましたが、後の調べで見ますと、四十キロの制限速度を六十キロでカーブにさしかかったということで、折りから雨のために路面がぬれておりましてスリップをいたしまして、段差のあります左側の歩道に乗り上げて子供さん三人を死亡させた。これは黒坂警察署の管内でございまして、直ちに署長以下現場に臨場いたしまして、当該運転手を業務上過失致死の疑いで、現行犯逮捕いたしました。
 なお、事故の処理につきましては、明日当該運転手に対して聴聞をやりまして、免許取り消しの方向で行われるというふうに聞いております。
 なお、七月二十五日の事案は、私ちょっと記憶をいたしておりませんので失礼を申し上げます。
○浪岡説明員 日野町の道路の事故でございますが、ただいま警察庁交通局長の御答弁にありましたように、制限速度違反でスピードオーバーというふうに私ども聞いておりまして、直接道路上の欠陥はないというふうに伺っております。
 なお、この事故にかんがみまして、鳥取県当局におきましては、当該地点に滑りどめ舗装とガードレールの設置をするように決定したところでございます。
○森田説明員 ただいま野坂先生から御指摘がありましたように、自動車による事故というのは、国民生活を破壊する悲惨な結果をもたらすものでございます。したがいまして、任意の自動車保険につきましては、被害者救済の観点から他の保険にも増してその普及に努力をいたしておるところでございます。
 一例を挙げますと、会社におきましても、五十年三月からは、自賠責の保険の契約申込書に任意保険への加入の有無をチェックする欄を設けまして、代理店におきまして必ず任意保険の加入をするように勧めているところでございます。
 また、任意保険の自動車保険を魅力あるものにすることに努力を続けることは当然でございますけれども、五十年三月から四月を第一回目としまして、継続的に被害者救済及び任意の対人賠償保険の普及率の拡大のキャンペーンを実施しておるところでございます。
 さらに、運転免許の取得時とかあるいは免許の更新時の講習に使用する映画やスライドや、自動車教習所の教材また交通安全協会が配布する安全運転のしおり等の中に、賠償資力の確保の必要性を訴える文書を入れてもらっておるところでございます。なお、また学校教育の場におきましても、保険の思想の普及を図るために、五十二年七月の中学校の学習指導要領の改定の際に保険の事項を入れてもらうようにしたほか、近く改正が予定されております高等学校につきましても、同様の措置をとるように文部省に要望をいたしておるところでございます。
 このようなことで各方面にわたって普及率の拡大ということに努力をいたしてきておるところでございますけれども、今後ともなお被害者の救済の観点から、ダンプやタンクローリーなんかも含めまして普及率の向上のために努力をしてまいる所存でございます。
○野坂委員 それぞれ御答弁をいただきました。私がよく聞いていなかったせいもあろうかと思いますが、杉原交通局長の御答弁は――御案内のようにその状況を私は知っております。簡潔に質問をしていかなければならぬということで、知っていらっしゃるという前提に立って聞いたわけですが、ダンプカーは現在十九万台あるわけですね。青ナンバーというのは二万台、他はやはり自家用車ということになっておる。それについての、あるいは相当の違反をしていらっしゃる方々も中にはあるわけでありますから、そういう教育というものを、これから現実にどう進めて事故を撲滅していかなければならぬか、その対策を徹底していないではないかということを指摘したいわけです。その点を一体どうするのか。
 それから、建設省の方は、スピード違反だ、法律を守っておればそういう問題はないのだということであります。しかし、現実に起きた事故でありますから、しかも学童の諸君たちは歩道を整々として歩いておった。だから、ここに問題があるのならば、いまお話があったように、これからの道路というものには、ガードレールあるいは滑りどめ、カーブのあるところなんですから、そういう点については、安全対策という意味で、いかに僻地であっても、交通量のあるところはスピードが出ないわけですから、出そうと思っても出ないわけですが、人が通らないところはより以上スピードが出るというのが現実のいまの姿です。だから、それについては、全国的にもこの例を例として善処をしてもらわなければならぬ。小さい生命をこれ以上失わせることは忍びない。ハイジャックも重要でありますが、こういう目に見えないところについても、建設省としては十分な配慮をしてもらわなければならぬ、こういうふうに思うわけでありますが、それらのこれからの考え方、やり方、そういう点について明らかにしていただきたい。
○杉原政府委員 お答えをいたします。
 この特に大型貨物、ダンプが非常に道路交通の面で危険である、致死率も一般の車に比べまして三・五倍ぐらい高いという実態がございます。そういう実情にかんがみまして、大体年間五万程度の過積、スピードその他の取り締まりを強化いたします反面、特にこのダンプ等につきましては、雇用者あるいは安全運転管理者、こういうふうなものの違反があった場合の背後責任の追及というふうな問題、あるいは、道路交通法だけでなく、道路運送法その他の違反というふうなものを総合的に推進してやっていくということを強化いたしておりますが、そういう意味で一応、四十三年は年間七百八十六人のダンプによる死者、これが五十一年には二百五十七人ということで、年々減っておりまして、ことしの上半期も昨年に比べてかなり減っておりますが、さらに先ほど申しましたような対策を強力に、かつ総合的に推進をしていきたいというふうに考えております。
○浪岡説明員 お答え申し上げます。
 昭和五十三年度から始まります第八次道路整備五カ年計画におきましては、道路の安全対策を第一目標に掲げておりまして、御指摘のような線形の改良、歩道の設置、ガードレールの設置等に前向きで善処してまいりたい、かように考えております。
○野坂委員 江府町で起きた現実の問題は、たとえば元請会社ですね、魚を運んでおった自動車ですが、それが突っ込んで、家を壊した、人もけがをした、自賠責にしか入っていない。これは任意保険に入っておりますけれども、なかなか支払い能力がないという場合には、元請会社には責任がありますか、どうですか。
○森田説明員 ただいまの御質問、もう一度伺わしていただきたいのでございますけれども、自賠責のほか任意保険に一定額入っておる、そして、それ以上の損害があったという場合に、その場合の支払いでございましょうか。
○野坂委員 そうです。
○森田説明員 それは、私どもがお答えできることは、自賠責に入っております場合に、その自賠責から所要の金額が支払われるということと、それから任意保険に入っておりますときにはその任意保険の金額を限度としまして支払いが行われるということでございます。
○野坂委員 それはあたりまえのことで、よくわかっておるんですが……
○鈴切委員長 保険第二課長、よく趣旨を聞いておいてください。
○野坂委員 自動車局長でも結構ですが、建築の場合は建設省ですね、たとえば大手の会社が受けて、下請がやって、また孫請がやって、それが事故をやったときは元請が支払い責任、賠償責任をしなければならぬというところまで追い込まれているんですね。こういう場合には、いまお話があったように一匹オオカミ的なそういう業者だってあるわけでしょうから、それが入った場合は支払い能力がない、被害者はそのまま泣き入りなのかどうか。この点については、いま保険課長の場合は、できるだけ任意保険に入ってもらって、そしてその限度で整備をしたいということですが、それがない場合一体どうしたらいいのか、元請はやはり責任があるではないかと、こういう点についてはどう思いますか。建設省ではきわめて明快にそういう点についてははっきりしたわけです。
○中村(四)政府委員 七月のただいま先生御指摘の事故に伴っての損害賠償責任についてでございますが、元請と下請の関係で、ただ単に元請、下請関係があるというだけでなしにその間に非常に密着した関係がある、あたかも元請事業者自体が下請の運転手を使用していると同様な使用者責任と申しますか、そういう事態が認定された場合に、元請にも損害賠償責任を認めるという判例があるわけでありまして、私どもといたしましては、このケースの場合には対物保険も付しておったわけでありますが、その額が損害と比べて均衡を失しておる、したがって実際には十分な賠償に及んでないという事例でありますので、そういう場合につきましては、私どもとしては、そこの密着関係というものに着目して、元請の責任というものも認められるようにわれわれも指導をして努力してまいりたい、かように思っております。
○野坂委員 大蔵省の保険課長は、これから任意保険の拡大に努めたいということであります。特に高圧ガスのタンクローリーの自動車保険の問題についても言及をされたわけでありますが、その問題をとらえてお尋ねをしたいと思うのです。
 御案内のようにLPガスの使用というのは現在は千二百九十四万四千トン、こう言われておりますが、六十年度には大体二千万トンを超えるのではないか。だからLPガスの業者の皆さん方は昭和六十年を目標にして五千五百億程度投資をする、言うなれば需要が増大をするということを端的にあらわしておるわけです。これをどうやって供給するかということですね、それはやはりLPガスを積んだ自動車が走るということです。タンクローリーが走るということです。その自動車で輸送しておる諸君たちがどの程度保険に入っておるだろうかということであります。通産省の立地公害局の保安課長鎌田吉郎さんが、四十九年八月三十日に「高圧ガスタンクローリー自動車保険の新設について」、非常に危険だから入れという指示をして、強力に進められておると思うのでありますが、四十九年の十二月ごろから今日までの現状は一体どのようにこの保険の状況は推移しておるのか伺いたい。
○飛永説明員 お答えいたします。
 LPガスのタンクローリーの事故保険につきましては、当然のことながら、自賠責は入っておるわけでございますが、それに加えまして、ただいま御指摘がございましたように、元保安課長が書いておりますように、私どもといたしましては、何とかして任意保険で対物も含めました保険を普及したいということを考えまして、高圧ガス保安協会という特殊法人がございますが、それを窓口にいたしまして、LPGのローリーを主体にしまして、高圧ガスタンクローリーの保険を、保険会社と自動車保険の特約ということで団体加入する形をとっております。内容的には、現在対人では一人当たり五千万円、一事故当たり総額で三十億円、対物では一事故当たり八億円という形のシステムになっております。
 現在の普及状況でございますが、大体このシステムを使っておりますのは、約千台のタンクローリーが加入しております。それ以外に、いわゆる任意に個々の業者の方が入っていらっしゃる数字というものは、私ども把握しておりません。
○野坂委員 五千万円とか八億円という数字は、タンクローリーがぶつかった、衝突をしたという場合には重大な損害なり影響がある、こういう意味で非常に高く入っておるわけですね。それでまた、必要であろうということであなた方はやられた。それで、いまの推移千台ということですが、四十九年にやられて五十年に千三十三台入っておるのです。五十二年の九月末も千三十三台、一つも普及はしておりません。一片の通達を出して待っております。それが役所の仕事です、こういうことではなかろうかと思うのですが、自動車は二千八百七十六台にふえておるのです。これからも需要が拡大をすればだんだんふえてくるのです。一体、先ほども言ったように、そのような事故があった場合にはどうするのか、被害者は泣き寝入りかというようなことになれば重大な問題であろう、なぜこのように入らないのか、どのように指導しておるのか聞きたい。
○飛永説明員 ただいま先生御指摘のように、ここ一、二年の加入台数は約千台ということで、われわれとしては非常に残念な数学でございます。今後の問題といたしましては、私ども高圧ガス保安協会を通じまして、これにつきましては、特にLP関係の団体がございまして、そこがLPガスのタンクローリーについて定期的な、自主的な保安点検ということもやっておりますので、そういう機会を通じて、これをできるだけ加入率を高めるように努力していきたいと思います。
○野坂委員 私は、入ろうと思っておるけれども入れないという原因があるのではないかということを心配しております。その原因は一体何だろう、何ですか。原因追及しなければわからぬでしょう。
○飛永説明員 私、ただいまのところ何が原因かということについて調べたものを持っておりません。御了承をいただきます。
○野坂委員 どこに原因があるかということは、経営がぎりぎりだということです。五千万円もの保険料、事故が起きないことを期待しながら仕事をしておる、起きたときはすべて終わりだ、こういうような状況が、今日のトラック業者に与えられた運命だ、こういうことを御認識いただかなければならぬ。
 そこで自動車局長にお尋ねをいたしますが、一体どの程度運賃というものが適正に行われておるかということを見てみました。バスもタクシーもハイヤーも飛行機も、大体決められた運賃というものは、幾らバスに乗らなくてもそれだけの決まった料金をもらっておりますね。ところがトラックというのは認可料金をもらっていないですね。皆さんが許可され、認可されたトラック運賃をもらっていない。この高圧ガスというのは、大体認可料金の六七・四%から七二%までで終わっておる。だからボーナスも十分でないし、労働は過重になっている。だから保険どころではない、これが現実だと思う。これについて自動車局としてはどのように指導され、あるいは業者にどのように指導されておるのか。現実に、零細企業だから、荷主からこの程度でやれと言われればなかなか抵抗ができないし、回していかなければ生活ができないという、こういう現実でありますから、自動車局がどのように荷主を指導し――あるいは適正な料金として決められた認可料金が収受できるようにしなければ、いまの保険というようなものが現実に普及してこない、私はそう思うのです。それについては一体化的な立場に立って推進をしていただかなければならぬわけですが、どのように指導されておるのか、任せっきりですか。その点はどうでしょう。
○中村(四)政府委員 トラック事業におきまして運賃収入が正確に遵守されていないじゃないか、ダンピング的な傾向にあるじゃないか、このことにつきましては、非常に残念でありますが、そういった事実関係になっておるわけであります。
 そこで、私どもといたしましては、トラック事業の経営規模としましても非常に零細でございます。そこで、基本的にはこういった事業者の団結と申しますか、共同的な事業組合というようなものに参画しまして、そして荷主に対する力を強めるということと、それから足並みを乱す者に対して、貨物輸送監理官等の制度ができましたので、守ってもらう、それから業界団体に対しましても、現在国内物流におきまして輸送量等を見ました場合に、中枢の輸送機関にトラックは相なっておるわけでありますから、したがって、そういった決められた運賃を守っていくということは、究極的に事業の基盤を強化し、そしてその安全面にもしわ寄せが及ばないようにしていくわけでありますから、そこで、事業者団体を指導いたしまして、いま輸送秩序確立運動というのを各地で展開いたしております。
 それから、いまのお話のタンクローリーの場合等は荷主が非常に特定されてくるわけでありますので、荷主に対しまして、そういったトラック事業の置かれている状況、それからそれが収受されない場合に波及していく影響、こういうものをPRいたしまして、正規に認可を受けた運賃を荷主サイドからも守っていただく、こういうことをいまわれわれとして力を入れてやっておるわけでありまして、今後もさらに充実させたい、かように思っております。
○野坂委員 これからの対策については一応わかりましたが、私がこの高圧ガスのタンクローリーをなぜ取り上げたかというと、非常にその荷主さんというのが限定をされております。一般のトラックの場合はいろいろやりにくい点があるけれども、ここからやはり突破口を開いていきたい。そうしなければ、これでは幾ら業者よ団結せよと言っても、荷主が厳然として力が強いわけですからなかなかやりにくい。だから、自動車局長以下皆さんは、この特定の荷主に対して、認可料金を、適正な料金である、こういう認識に立ってそれを支払うように、これから指導し――輸送秩序を守る推進会が幾らできても、やはりいま生きていかなければならぬということになれば、何遍もこの委員会で言われたように、過積みとか過労運転とか、これが問題になるのは、運賃が安いからその運賃が安くなった分だけは過積みでカバーする、こういうのが今日の自動車、トラックの現状であるということはあなたが一番よく知っていらっしゃる。そういう点を打破するためにも、当面これらの問題は一気に荷主あるいは業者の皆さん方に徹底をして、これが完全に実施でき、そして保険へも速やかに加入できる体制をつくってもらいたい、もらえるのですねということを確認をしておきたい。御答弁いただきたい。
○中村(四)政府委員 私どもトラック運賃の収受については非常に熱意を持って臨んでおります。いま先生申されましたように、御指摘のケースというのはやはりひとつ入りやすいケースだろうと思いますので、ぜひこれを前に立てまして、トラック運賃の正規な収受というものに努力したいと思います。
○野坂委員 わかりました。
 室城さんもおいでですから、この際聞いておきたいと思うのですが、現在の自動車台数の推移というものは、昭和四十五年の三月末では大体千六百万台、あなた方にいただいた資料では千六百五十二万台と出ておるわけですが、五十二年の三月には三千百万台、ざっと倍になっておりますね。これからはそういうふうに倍々になるとは思いませんけれども、これだけ自動車があって、あるいは交通災害、省エネルギー、こういう問題を抱えておるわけですけれども、これらの点について、総量規制というのを本委員会で、警察がやったことがありますね、一割の総量規制運動というようなことを。聞いてみたら、別にその基準はございませんと、まあそうやった方がよかろうということであった。室城さんはそういう委員会のものを受けて、たしか一昨年の十月ごろに総量規制の問題と総合交通体系の問題について欧州各国を団長になって歩かれたという事実がありますね。それはどのような成果があって、現実にどのように具体化をしておるかということを聞きたい。
 それから、最近国鉄の運賃問題をめぐって、それぞれ高木総裁や田村運輸大臣等が夜の十二時ごろから、フジテレビだったかな、盛んに討論をされる。いつ見ても運輸大臣はこれからは総合交通体系というものを樹立させる、また総合交通運賃体系を樹立していく。いままでは長距離は船だ、中距離は列車だ、短距離は自動車だ、そういうことを言ってきたけれども、いまの趨勢というものはそれが破られておる、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。それの胎動なり具体化というものは、ここ三年来、今日の現状、あるいは道路の状況等から考えて、そろそろ考えていかなければ口だけでは意味がないではないかというのが国民の世論です。これについて、時間がありませんから、基本的にそれぞれの見解をお尋ねをしたい。
○室城政府委員 ただいま御指摘の私を団長とする視察団は、昨年十一月から十二月にかけましてヨーロッパ八六カ国を見て回りました。現在私ども問題にいたしております都市交通上の総量抑制、これにつきましては各国とも同じような悩みを持っておりまして、それぞれのところでその国の歴史的な背景をバックにいろいろ苦労をいたしております。
 その調査報告書にもまとめてございますが、現在ヨーロッパ各国で主としてとっております対策は、一つは駐車対策、もう一つはバス優先通行の確保、これは手っ取り早くできてしかも実効が上がるということで、ほとんど共通してとられております。さらに、それぞれの国の事情によって若干の差はありますけれども、交通企業を一体的に運用するという努力がかなり進んでおりまして、たとえば西ドイツの場合などは地下鉄と地方鉄道とバスとそれからいわゆる路面電車、さらには運河等の定期船、こういったものが一枚の通し切符で乗れるというようなところまで企業合体を促進しております。
 こういうようなことを踏まえまして、実は昨年から私どものところに三カ年計画で総量抑制の調査の予算をつけていただいておりまして、昨年度は基本的な問題について主としてやりましたが、今年度は東大の八十島先生を委員長にいたしまして、学者あるいは有識者、交通関係の有識者、さらに関係各機関の関係者にも入っていただきまして、鋭意、日本においてどういうようなことが可能であるか、また将来やらなければならないかということについて作業をいたしております。これは来年度で一応完結するという予定でございます。なおその中で、当然総合交通体系というようなものについても触れざるを得ないと思いますけれども、総合交通体系そのものにつきましてはこれは若干私どもの方の所管と離れる問題でもございますので、関連を持たせつつも、一応経済企画庁でありますとか運輸省の本来の運輸行政の中でさらにアプローチをしていただくということになろうかと思いますが、一応三カ年計画の調査を終えました段階で、日本の各都市ではこういうことが実施可能であるとしまたやるべきであるというふうなはっきりした提言を持ち出したいというふうなもくろみで進めております。
○野坂委員 真島審議官にも運輸省の考えを聞きたい。
○真島政府委員 お答えいたします。
 私どもの大臣がテレビ等で総合交通体系あるいは総合運賃政策が非常に必要であるということを申しておることは私も承知しております。また運輸委員会等でも大臣が同じようなことを申しております。その中身をやや具体的に申し上げておきたいと思います。
 総合交通体系あるいは運賃政策と申しますか、そういうものについて四十六年当時、臨時交通閣僚協議会、これは経済企画庁が事務局でやられた会議でございますけれども、そこで「総合交通体系について」という決定をいたしております。
 この中で、交通政策の基本的な物の考え方といたしましては、やはり各交通機関の競争条件をできるだけ公正なものにさせながら、その中で公正な競争をさせていくということが現在のわが国の社会経済体制から見て一つの原則であろう。もう一つは、事故、公害その他原因者として交通事業者等が当然負担しなければならない部分の費用等、運賃の社会的な費用を入れ込んだ、かつ適正な原価――その原価の中に当然そういうものか入るべきである、そういう原価水準の中での各交通機関の適正な運賃水準を維持させる、これが大きな原則だということでございますが、しかしそれでほっておいたのでは全体の交通体系がうまくいかない。たとえば過疎地のバスであるとかあるいは大都市におきます地下鉄の建設の問題、これらは、地域の住民の皆さま方の足を確保するという観点から見てある程度の政策介入をして、そういうところについては差し水をすべきであろう、そういうような三つくらいの基本的な考え方を出しておるわけでございます。
 大臣も、この考え方自体は現在でも妥当ではないだろうか。ただ、そのほかに、当時の高度成長の中で輸送需要その他を非常に膨大に見積もり、そのために、それに対応するための交通の基盤施設の数量その他を非常に大き目に見積もっておるわけでございますが、そういうような部面については、石油ショック以来の厳しい財政事情あるいはエネルギーあるいは労働力あるいは環境問題といったような要素を当然入れ込んだ考え方で訂正をしていかなければならないであろう。ただ、御承知のように、交通全体の体系その他を組み立てていくということになりますと、国土利用の関係その他が非常に大きな要素になります。
 そこで、私どもも現在国土総合開発審議会で審議されております第三次全国総合開発計画ができました段階で、全体的な国土の利用計画等と絡み合わせて妥当な考え方というものを具体的に練り上げていきたい。前回の四十六年のそういう同じような作業につきましても、新全総と申しますか、第二次の全国総合開発計画ができました。それを受けまして約一、二年の慎重な検討の結果、ああいうようなものができておるというようなことから考えまして、私どもも、これからそういう具体的な肉づけの問題は慎重に、しかしできるだけ早くやりたい、このように考えております。
○野坂委員 この問題についてはいろいろ意見もございますが、時間がございません。運輸省も来年度にはそういう具体的な進め方をしていただきたいと思うわけです。いずれ改めて質疑をさしていただきたいと思っております。
 いま真島審議官からお話があった中で、大都市は地下鉄の開発あるいは地方ではバスの運行、あるいは住民の足を守る立場で政府としては政策的に介入をしなければならぬだろうというお話がありました。御案内のように、乗用車の増加率というのは、昭和四十五年に大体五百五十万台のものが今日千六百万台に上っておる、これが実情であります。したがって、バスに大きな影響が出るというのはまた当然でございましょう。こういう点については、賢明な運輸省自動車局の皆さんあるいは運輸省全体の皆さんは、これからの発展度合いをよく考えておられたと思うのでありますが、こういうバス問題がいまいわゆる過疎地においては重大な問題になっております。
 わが県にも日の丸自動車というのと日本交通という自動車会社が二つございます。競合しております。いま、私企業といえども公益事業である、こういう認識で皆さん方からは補助金ももらっておる。しかし、公益事業であっても私企業である、こういううらはらの関係を持っております。したがって、採算の合わないところは切っていきたい、しかし足を守らなければならぬ、ここでどう政策介入をするかということになろうと思います。いま、これは地元の新聞ですが、代替バスというような問題が盛んに議論されております。代替バスというものは、これからの補助率の中でも、そういうところはやれという運輸省の考え方のようですけれども、町村が代替バスをやるときにはいわゆる役場の職員の労働時間と違う。八時半から始まる者と八時半までに忙しい者、五時までで終わる者と五時から忙しくなる者、そういう条件、あるいは事故が発生した場合の処理問題、たくさんの問題があります。そういう意味で、基本的にはそれらのもちはもち屋といいますか、自動車会社がやはり進めていくということが望ましいではなかろうかと思いますが、まず基本論について自動車局長の御見解を承りたい。
○中村(四)政府委員 私どもの基本態度といたしましては、公共輸送機関を地域住民の足として、特にバスの場合にはそういう性格が強うございますので、あくまでこれを維持し守っていきたい、こういう考えでございます。したがって、地方バスの助成ということにつきましても、四十七年以来その改善充実を図って今日に参っておるわけであります。
 そこで、先生仰せられましたように、公共的な企業であるが、その性格は私企業である、そこにおのずと限界があるわけであります。それから市町村といたしましても、地域住民の足を守るという意味で公営としてこれを維持していくか、この二つの選択があろうかと思います。もちはもち屋というお話がございましたが、確かに、交通企業の運営というのは特殊性がございますので、そういった面から見まして、従来公共輸送をやってきた経営体がこれに助成を施して運営を続けていくというのが、素直に考えた場合には地域住民との関係では適しておるのじゃなかろうか。しかし、あくまで私企業でございますから、その限界を超えた場合には、地方公共団体としてそういった輸送役務を提供する立場に乗り出していっていただくということは必要であろうというふうに思います。
○野坂委員 なれた者がやる方がよろしい、事故もそれの方が少なくなるであろう、こういうお考え方の原則はわかりました。そういうことをやるならば、真島審議官が言っておるように、どうやって政府が政策介入をするかということの一点にしぼってやはり考えていかなければならぬ。限界があるから、やめたものは町でやるのだ、これは仕方がないけれども、ということであれば、仕方がない以前の問題についてどうやるかということが問題なんですね。たとえば過疎バスの補助制度が甲、乙、丙とありますね。これを一本化したらどうだろうということを私は提言してきた。そうするといよいよ単独路線ということができない、だからだめだということですが、もうその限界というのはそろそろ来たのじゃないですか。これを単独路線にして補助率を引き上げるということ以外ないですか。どうでしょう。
○中村(四)政府委員 前回も御指摘を受けまして、甲種、乙種、丙種という助成制度の壁につきまして、これを一本化したらどうか、こういうことでございます。現在の地方バスの補助制度の基本というのは、集約化思想と申しますか、集約化の考え方に成り立っておりまして、したがって、唯一の路線であるというものにつきましては助成を手厚くし、それから競合している路線の場合にはそれより若干助成を薄くしていくという考え方に立っておるわけであります。そこで、競合率の非常に高いケースにつきまして、利用者の利便ということを阻害しない範囲で経営基盤を強化していくという意味合いで路線調整をし、できる限りこれを甲種なり乙種に近づけていく、こういうことにわれわれも方向として持っていきたい、かように思っております。
○野坂委員 時間が参っておりますので、多くを申し上げることはできませんが、競合率が高いからこれを下げて、二〇%なら二〇%の競合率にしなければならぬ、そして乙種に上げる、こういうことですね。私は素人でよくわかりませんが、一社の自動車が通っておる、それからまた違った会社が通り出す、そういう場合は一体どこが許可、認可をするのですか。運輸省ですか。
○中村(四)政府委員 当該路線につきまして、その輸送需要に対して一社の運営で提供する運行回数で十分かどうか、これで足りない場合にもう一社の運行回数を投入する、そういった判断は私どもがいたしております。
○野坂委員 鳥取県の場合でも、全国そうですけれども 自動車が通って 運輸省が認可をして競合する、また競合で困難になったから、今度は運輸省が指導して分かれる、こういうのが現状ですね。運輸省の許認可、監督指導、こういうところにも問題はあるということを現実にいま物語っておるわけですね。それでは一体どうするかということがこれからの課題になってくるわけですが、やはり運営をさせ、それを原則にして進めなきゃならぬということになれば、やはり下のものをやった責任があるわけですから、底上げをしていくという考え方に立たなければならない、こう思いますね。
 さらに、住民の足を守るという、住民の意向によって地域の、たとえば県とかあるいは市町村が補助金を出さなければならぬ。それはこの間も自治省に確認しましたように、特別交付税でそれを裏返す。特別交付税というものはどんぶりで、これはこうだというひもつきは交付税法の三条にも、そういうひもつきはいかぬと書いてあるわけですから、非常に明確でない。だから、これは補助金一本で国が運送事業法の原点、いわゆる責任者ですから、そういう点はやはり国がそれらの点については明らかにする。町村や県よりも、県の責任ではなくて国の責任です。道路運送事業法から言って当然だ、こういうふうに思うわけでありますが、その補助率の問題の引き上げ、あるいは交付税の問題から一本化をする。国へ一本化をする、こういう方式をいまは考えていかなければならぬではないかということが一点と、今日経営危機というものに陥っておるというのが多くのバス会社の実情であろう。しかもあなた方が認可し、あなた方が競争をさせ、あなた方がいまやろうとしておる、県なら県に再調整をやれ、路線の調整をやれ、こうおっしゃっても別に権限はない。それでは当事者同士でやれ、こう言えば自分の利害得失というものが先行しますから、住民の足は従になる。いわゆる二の次になる。それなればだれが住民の足の立場に立ってそれらを進めるかということになれば、しぼってくれば運輸省ということにならざるを得ぬではないか。全国そういうことを十分調査をされて、それらの方式と今日苦境に立っておるそれらのバス会社というものについては、金融の面でも十分考えていかなきゃならぬ。
 われわれ社会党も、中小民営交通事業金融公庫法案というものを出しておるけれども、今日通っていない。これらについても政府としては積極的にやはり取り組む姿勢がなければ、この近代化をされ文化が発展をしておる日本の国の過疎地域では、交通事故が先ほど言ったように相当ある。過疎地域だからこそよけいある。しかも、これらの住民の足がまた奪われるというようないびつな関係をわれわれは是正をするために、運輸省当局の政策介入を積極的にやり、金融対策についても、大蔵省もおいでですが、これは保険の方ですけれども、そういう点も含めて対策に遺憾のないようにしていただきたいと思うのでありますが、最後ですから、自動車局長のきわめて簡潔にして要を得た、しかも前向きな答弁を期待いたします。
○中村(四)政府委員 先生からいろいろな御指摘があったわけでありますが、私としましては、やはり地域交通、地域住民の足を守っていく場合に、国一本でということにつきましては、国と地方が相提携してこれに政策介入と申しますか、助成をしていくという立場に立っていくべきであろうというふうに考えております。私ども、この地方交通の助成制度につきましても、従来改善充実を図ってまいりましたが、また今後もその方向に進みたい。
 それから、金融のお話もございましたが、私ども、ただ許認可行政に終始しておるわけでございませんで、そういった会社の経営基盤を強くし、それから経営を維持していく。これは利用者の利便につながるわけでありますので、そういった措置につきましても、会社の再建計画と申しますか経営改善計画の内容を分析し、それを指示して金融方面への働きかけということにも進んでまいりたい、かように思っております。
○野坂委員 これで終わりますが、いま中村局長からお話をいただいたように再建計画、そういうものも立てておるようでありますが、そういう点も十分に配慮されまして、金融機関なりそういうものについての積極的な介入、折衝と、さらには住民の足が完全に守られるように配慮していただきますように要望をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴切委員長 次回は、明二十七日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十五分散会