第082回国会 交通安全対策特別委員会 第3号
昭和五十二年十月二十七日(木曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 鈴切 康雄君
   理事 左藤  恵君 理事 野中 英二君
   理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君
   理事 新井 彬之君
      井上  裕君    北川 石松君
      玉生 孝久君    中村 弘海君
      前田治一郎君    井上 一成君
      野坂 浩賢君    吉原 米治君
      草野  威君    寺前  巖君
      伊藤 公介君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      室城 庸之君
        警察庁交通局長 杉原  正君
        防衛施設庁総務
        部長      銅崎 富司君
        運輸省自動車局
        整備部長    犬丸 令門君
 委員外の出席者
        運輸省自動車局
        業務部長    梶原  清君
        運輸省航空局技
        術部長     森永 昌良君
        運輸省航空局管
        制保安部長   飯塚 良政君
        日本国有鉄道建
        設局計画課長  岡田  宏君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 交通安全対策に関する件
     ――――◇―――――
○鈴切委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
○草野委員 先月の二十七日の横浜市内における米軍のRF4Bファントム機の墜落事故によりまして、死亡また重軽傷を負われ、さらに家屋、財産等につきまして多大な損害が発生しております。たまたまきょうはその事故が発生いたしましてちょうど一カ月目に当たるわけでございますが、きょうのこの委員会は交通安全対策委員会でございますので、私はこの米軍機の事故につきまして交通安全対策室長、また運輸省の方から関係の方もおいでになっておられると思いますので、そういう方々にまずお伺いをしたいと思います。
 それはこの事故で幼い子供さんが二人亡くなられる、そして重傷を負っていまだに入院をされていらっしゃる方もおられる、そしてまた被害を受けられた方はこれからの補償についても非常に不安な気持ちでいらっしゃるということも聞いております。現在まで一カ月たちますけれども、この事故の原因またこれらの対策等につきましても、私ども神奈川県民、横浜市民に対しまして明らかにされておられない部分がたくさんあるわけでございます。そういうことで、横浜市民は非常にいまこの問題について不安を感じておるわけでございます。したがって、本日はまず交通安全対策室、また運輸省の担当の方にこの事故に対する御意見、またこれからの交通安全対策という面からひとつお伺いをしたいと思います。
○室城政府委員 昨年の交通事故による被害者のうち死亡いたしました者が、陸上交通で九千七百三十四名、海上で四百六十七名であったかと思いますが、航空機事故に伴います死者が二十六名ということで、昨年中の交通事故による死者は陸海空含めまして一万二百二十七名、こういう数字であったかと記憶いたしております。
 従来、私どもの所管といたしましては、陸上交通安全の問題が各省庁にたまがります関係上、総合調整ということで陸上交通を主としてやってまいりましたけれども、海空で最近いろいろ問題がふえてまいっており、また複雑にもなってまいっております。したがいまして、今後は、私どもといたしましても、努めて連絡調整という幅の中で各省庁にまたがります問題についても海空を含めて総合的な施策に乗せてまいりたいということを考えておるわけでございますが、いま御指摘の航空機の墜落事故等につきましても、いろいろ事故の原因、またそれによって生じました被害についての対策がいろいろ出てまいっておりますので、今後はこういった面につきましても関係の機関と十分に連絡をとりながら具体的な対策について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○飯塚説明員 今回の米軍機の事故、この事故原因につきましては現在日米合同委員会の下部組織でございます事故分科委員会で検討中であるというふうに私ども聞いております。それで、運輸省といたしましてはこの事故分科委員会の検討結果を待って、運輸省としてするべきことがありますれば積極的に対処していきたいというふうに考えているところでございます。
○草野委員 運輸省の方も交通安全対策室の方も、自分の方の所管ではないということで余り積極的な御答弁をいただけなかったことを非常に残念に思います。しかし、きょうは防衛施設庁の方もお見えになっておりますので、これから少しその内容についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 それは十月十七日に今回の事故につきまして中間報告という形で報告書が出ております。私も拝見させていただきました。これについては事故の概要、気象問題、事後の措置につきまして何点かについて報告されているわけでございますけれども、この中間報告によっても現在調査中ということで、まだまた原因、経過等についてはっきりしない面がたくさんあるわけでございます。
 そこで、きょうは事故のちょうど一カ月目にも当たるわけでございますので、その後いろいろと判明しております概要について、ひとつできるだけ詳しく御報告をいただきたい、このようにお願いしたいと思います。
 それで、時間もありませんのできょうは簡潔に伺います。
 第一点は、この事故機が飛行した高度について現在調査中、こういうふうになっておるわけでございますが、この高度の問題、どのようになっておりますか。それが一つ。
 第二点は正確な墜落時刻について、何時何分か。これも現在調査中ということで判明しておりませんでした。墜落時刻。
 三番目は、厚木基地を当日一時十七分ころですか発進いたしまして墜落までの飛行経路。この事故機は右旋回をして通常の飛行コースと若干違ったコースを飛んでいて墜落した模様でございますけれども、この飛行経路につきましてひとつ発表していただきたいと思います。
 それから第四番目は、この事故機の機体または部品、これはエンジン等も含みましてこういうものの損傷程度はどの程度であったかということ。
 五番目は、この事故機の整備の状態。厚木の基地におきまして発進する前に当然整備はされていたわけでございますけれども、その整備の状況はどうであったか。
 以上五点について、まず御説明を願いたいと思います。
○銅崎政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生の方から、高度は幾らであったか、墜落時刻はどうであったかという細かい点についての五点にわたる御質問でございますが、ただいまこういう点につきまして調査を進めておる段階でございます。それで、現在の事故分科委員会のメンバーは技術的な専門知識を持っている者が少のうございます。したがいまして、私どもといたしましてはやはりこの分科委員会にそういう専門の知識、経験を持った方に入っていただきませんと、いま御質問のような点につきまして向こうのデーターをもらっていろいろ分析、検討するわけでございますが、そういう知識が乏しいということでございます。したがいまして、この点につきましては十月六日の合同委員会におきまして、日米間で事故分科委員会が必要に応じて専門家の部会を付設することができるということで意見の一致を見ております。
 そこで、専門家としてとりあえず考えられますのは、政府部内では同種のファントム機を持っております航空自衛隊、それから管制をしております海上自衛隊の技術専門家、それから運輸省の専門家が候補に考えられまして、これは一応そういう専門家としての推薦を受けております。それからまた一方横浜市長から専門家六名の推薦もいただいておりますし、日本国内で航空機事故の調査に当たられました専門家のリストも運輸省の方からちょうだいしておりますので、そういう方々の中から、学識経験を生かしてそういう米側のデータにつきまして専門的に分析、検討できるような機構をどういうふうに考えていったらいいかということで、現在関係の機関と調整、検討しておる段階でございまして、そういう専門家に入っていただいて米側のデータをもとに、いま御質問の五点にわたりますようなことも含めて、はっきり正確にしていきたい、こういう段階でございます。
○草野委員 事故分科委員会はたしか十月七日に第二回目が開かれたと聞いておりますけれども、その後開かれておりますか。
○銅崎政府委員 その後は開いておりません。
○草野委員 私がいま言った五点について、これは神奈川の県民の人たちが最も知りたいと思っていること、こういうことについて一カ月たっても何ら判明をしていない。また事故分科委員会もその後開かれていない。これは全く誠意がないじゃないですか。われわれ横浜市民は、またいつこういう事故が起きるかわからないということで、毎日非常に不安の日を送っております。私はいま一番初歩的なことをこの五点聞きましたけれども、いまだに何もわからない。一体どうなんですか、これは。
○銅崎政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、いろいろなデータからそういうものを正確に、たとえば高度等につきましても墜落の時刻等も正確にはじき出す必要があるわけでございますが、そういう専門の知識を持っているのは現在の事故委員会のメンバーでは少のうございますので、そういう専門家を入れまして、そういう点を明確にしていきたい、こういうことでございます。
○草野委員 いつからそういう体制が整う予定ですか。
○銅崎政府委員 先ほどからお話のございますように、事故後一カ月たっておりますので、できるだけ早く専門家を入れた検討の機構をつくっていきたいということで、目下鋭意調整作業をやっておるところでございます。
○草野委員 非常に誠意のない答弁で、これではこのことを神奈川の人たちが聞くと、非常に腹を立てるのではないかと思うのです。きょうは総務部長さんがおいでになっておりますが、満足な答えをどうもいただけないのではないか、非常に残念でしようがないのです。私はきょうのこの質問に当たりまして、この事故の原因であるとか、これからの対策であるとか、また補償の問題であるとか、こういうことについてお伺いをしたい、このように申し上げたわけでございます。そういうことになりますと、どうも余り的確な御答弁をいただけないような感じがして残念でならないわけなんですけれども、もしきょうわからなければ、また別の機会に伺うことになるかもしれません。
 そこで、これだけひとつ伺います。二点ですけれども、一つは操縦士が脱出するに当たって大分余裕があったのではないか、こういうことを言われているわけですね。新聞等の報道によりますと、米軍は墜落の寸前、十秒以内に機体から脱出した。しかし、目撃者の話等を総合しますと、これは横浜市の方でも綿密なる調査をしたわけでございますけれども、少なくとも三十・六秒ぐらい前に操縦士が脱出したようである。しかも、その操縦士がパラシュートで脱出した後、すぐその後にもう救難のヘリコプターがその上空に来ているじゃないか。こういうことから見ても、操縦士がかなりの余裕を持って脱出したのではないか。当時、あの現場を私も行って調査しておりますけれども、その付近にはかなり広い空地もあったわけでございますので、もう少し操縦士が慎重に脱出を図ればあのような悲惨な事故も起こらなかったのではないか、このように言われておるわけでございますが、この脱出問題について何かおわかりになっていることがあったら答えていただきたいと思います。
○銅崎政府委員 正確にはわかっておりません。ただ、ただいまのお話の中にございました、ヘリがすぐ上空にいたということでございますが、これは米軍のAH1というヘリコプターがたまたま整備の試験の検査のために上空にいたというふうに聞いております。
○草野委員 どうもこれは全然答弁にならないのですね。私どもで聞きたいと思っていることを一つも答えてくれない。これは侮辱じゃないですか。私はそんなことを聞いているんじゃないのです。じゃ、この問題についてはおわかりですか。エンジンをひそかに持し出したということが、これも大きな問題になっております。われわれがたとえば国会のこの場で幾らこういうふうに質問しても、その事故の内容についてはほとんど答えない、また答えられない。もしこの場に横浜市民の人たちがいたら、どれだけ立腹されるかわからないと私は思います。このエンジンの持ち去り問題についても、今回の事故はこのエンジンのトラブルが最大の原因である、このように当初から言われておりました。しかも、そのエンジンの問題については、神奈川県警も持ち去っては困る、はっきりそのように米軍側に言っております。また、合同委員会の席上におきましても、日本政府に断りなしに持ち出しては困るということも、そういう話し合いになっていたと聞いておりますけれども、これも新聞の報道でございますけれども、七日の合同委員会の分科委員会の席上でこの点について念を押したところ、すでに五日に厚木基地から横須賀港へ陸送して、その日のうちに横須賀からカリフォルニア州に向けて船積みしてしまった、こういうようなことが報道されているわけでございますが、防衛施設庁の発表によりますと、十四日に初めてわかった、八日に持っていった、こういうようなことがこの間の中間発表で報告されているわけでございますが、こういう点は一体真実はどうなっているのですか。
○鈴切委員長 銅崎総務部長に申し上げますが、草野君の質問に対しては、非常に関心の深い問題であり、具体的にもっと丁寧に答弁するようにしてください。
○銅崎政府委員 エンジンの米本国への持ち帰りの件につきましては、十月の五日、六日に米軍から捜査当局に対しまして、エンジン等を米本国へ事故原因調査の一環として行う精密検査のために持ち帰りたいという通報がございました。捜査当局の方は直ちにこれには応じかねるということを申し述べたことがございまして、それを事故分科委員会としても聞きましたので、十月七日の事故分科委員会におきまして、日本側は米側に対しまして、米軍の調査は日本国内で実施してほしい、調査の必要上米軍がエンジン等を米本国に移す場合には事前に連絡を得たい、それから、仮に米軍がエンジン等を米本国に移す場合にも、その調査結果は日本側に提供してほしいということを要請したわけでございます。
 それから、十月の十四日でございますが、防衛施設庁長官の方にある新聞記者から、エンジンはすでに米本国に送られておるというふうに聞いたけれども事実はどうかという問い合わせがございまして、十四日の夜日本側議長から米側議長にその点の真偽を確かめましたところ、八日に横田の飛行場からエンジンを米本国に送り返したという返事を得たわけでございます。
 そこで十月の十五日に、事故分科委員会の日本側議長は米側議長に対しまして、日取りも連絡しないで送ったことは大変遺憾である、今後かかることのないようにという申し入れをした次第でございます。
 なお十月の十七日に、事故分科委員会の日本側議長は米側議長に対しまして、米軍が精密検査のために米本国に移したエンジン等につきましては、米本国で実施中のエンジン等の検査をできるだけ早期に完了して、それが完了し次第当該エンジン等を日本に持ち帰ること、それから米側は事故分科委員会を通じて米本国における検査結果を日本側に提供すること、それからエンジン等以外の物件、パイロット、警備員等につきましても、事故調査が完了するまで日本国内にとどめ置くこと、それから日本側が必要と判断した場合に、日本側の関係当局者が米側の物件、人員に接触し得るよう便宜を図ることについて協力する等のことを米側に申し入れた次第でございます。
○草野委員 時間がありませんので伺いますが、いまのその最後の部分のところでございますが、そのような申し入れに対して米軍側は何と答えておりますか。
○銅崎政府委員 返事はまだいただいておりません。しかし近く来るという連絡は受けております。
○草野委員 もうきょうで十日たっているのですね、十七日から。そういう大事なことをまだ返事をもらってない。だからエンジンをあなた方がほやほやしておるうちに持っていかれてしまうのです。そうじゃないですか。これは神奈川県民だけじゃなくて日本の国民全体が非常にいま重大な関心を持っていることなんですよ。一番肝心なエンジンを一週間も十日も前に黙って持っていかれて、それに気がつかない、そして抗議を申し込んだ。いろいろな条件をつけた。しかもきょうまで十日たっているけれども、米軍から何の返事ももらってない。この間にまたどういうことが行われているかわからぬじゃないですか。防衛施設庁の方々はいろいろ御苦労して今回の事件に当たってくださっていると私どもは信じておりますけれども、もしそのような手ぬるいことばかり続けていたならば、必ずこういう事故はまた繰り返されるのです。
 この問題についてはどうでしょうか。これは横浜市会の接収解除促進実行委員会、委員長は道脇委員長ですが、この一行が今月の十九日、厚木基地を訪れまして、この基地の西太平洋艦隊航空部隊司令官L・F・エガート少将、この方等にお会いいたしまして、このときにこういうことを言っております。これは、今回の墜落機の事故原因が判明するまでは何とかひとつ飛行中止を考えてくれないか、こういうような申し入れに対しまして、この少将は、飛行中止は同種の事故が重なり、原因がわかって修理することができるときになってから行う、このように答えたというのですね。これじゃ一体どういうことかというのです。それで道脇委員長はこういうふうに言っております。日本の慣習では、まずそういう事故が起きたら飛行の中止を先にする、そして徹底的に原因を調査するのが日本の慣習なんだ、日本で起きた事故なんだから日本の慣習に従ってもらいたい、このように強く申し入れたわけでございます。そうしたらこの少将は、私の権限ではそういうことはできないから上司に相談する。これもそのままになっているわけでございます。
 いま神奈川の人たちは、一番望んでいることは、ともかくこの事故の原因がはっきりするまでは当分の間飛行を中止してもらいたい、徹底的に原因を調査してもらいたい。これがまず一つの願いなんです。こういう県民や市民の願いというものを、まるで踏みにじるようにして、エンジンの持ち去りであるとか、そしてまた、こういう公の場でその後の事故の状態について伺っても、まるでこれは知らぬ存ぜぬ、こういう状態が続いたら一体どうなるのですか。私は日米関係に大きなひびが入るのではないかと心配いたします。この点、いかがですか。いかがですかということは、この事故の原因がわかるまで飛行中止をぜひともしてもらいたい、こういう神奈川県民の切なる願いに対して、施設庁としてはどのように考えておられますか。
○銅崎政府委員 飛行中止の問題につきましては、防衛庁長官、防衛施設庁長官からも、衆議院の本会議あるいは内閣委員会で答弁があったわけでございます。私から申し上げるのは僭越でございますけれども、いろんなこの事故の原因を徹底的に調査をして、日本国民の生命、財産、身体の安全に万全を期するということと、米側におきましても、そういう点につきまして最大の努力をするという点、いろんな事情を考慮しておりますけれども、米側は、条約上日本を防衛する義務があるわけでございますが、そのための飛行訓練をやっておるというようなこと等を勘案いたしまして、中止の要請をしなかったわけでございますが、そういうふうなことで、防衛庁長官、防衛施設庁長官から従来答弁しておるわけでございます。
○草野委員 どうもこの問題について幾ら質問申し上げましても、余り的確な御答弁をいただけないようでございますので、非常に残念ですが、私は、この問題についてはこれでやめます。
 きょうは総務部長さんでございますので、補償関係については非常に詳しいのじゃないかと思いますので、これから補償関係のことについて、時間のある限り質問さしていただきたいと思います。
 まず、現在入院されている方々の容体はいかがでしょうか。
○銅崎政府委員 まず椎葉悦子さんでございますが、私ども聞いておりますところでは快方に向かわれまして、いろんな用足しにも歩いていけるような程度にまで回復されたというふうに聞いております。それから林和枝さん、奥さんでございますが、病院の方からときどき連絡が入るわけでございますが、ごく最近の情報によりますと、第三番目の峠といいますか、やはり皮膚が弱っておりますので敗血症のおそれがある、したがって、その状態を脱すると、あと最後の危険な状態は峠を越すということで、そのためにいろんな処置をされておる、依然として重体であることには変わりないというふうに聞いております。いま薬のお湯でございますか、薬湯なんかに入られまして、あるいは輸血をされたりして、そういう点の予防をされているように聞いております。それから林早苗さん、妹さんでございますが、妹さんの方は、やはり同じように輸血をしたり薬湯に入ったりされておりますが、漸次快方に向かっておる、しかし依然として重体である、こういうふうに伺っております。
○草野委員 いまの御報告を伺いまして、本当にお気の毒だと思います。どうぞひとつできるだけのことをしてあげてもらいたいと思うのです。この被害者に対しまして、形の上だけではなくて最大限の誠意のある賠償を行う、これもぜひひとつやっていただきたい。
 それから要望でございますけれども、これからいろいろと賠償交渉が進んでいくと思いますが、その交渉に当たっては、必ず責任のとれる人を当たらしてもらいたい。後から、おれはそんなこと知らなかった、そんなことは言っていません、こういう人では困るのです。よろしいですか。
 それから被害者の人は非常に心配しておりますが、いろいろな賠償の基準があると思います。その基準等につきましていろいろ関連の資料があると思いますが、こういう資料を被害者の方にお渡しいただけますか。
○銅崎政府委員 お答え申し上げます。
 被害者の方々に対しましては、私どもとしてもできる限りの賠償措置を講じたいということで、今後いろいろとお話し合いを進めていきたいと思います。
 それから十月六日に第一回の現地説明会をいたしましたが、そのときに、ただいま先生のお話にございましたように、責任のある者が出なかった、それから余りにも抽象的というか、原則的なことに終始して、よくわからなかったというような批判が出ていることも承知いたしております。それで、近く第二回目の説明会を開く準備をいたしておりますが、この席には横浜の防衛施設局長自身が出まして御説明申し上げるという段取りにいたしております。
 それから、この米軍機事故によります損害賠償の支給の基準についても、三十九年の六月に閣議決定を見ました自衛隊の事故の賠償基準に準じて処理することになっておるわけでございますが、それによりますと、死亡された方に対しましては、療養費用、死亡に伴う逸失利益、葬儀費用、慰謝料。それから負傷された方に対しましては、療養費用、休業及び傷害に伴う逸失利益、慰謝料。それから家屋を喪失された……
○草野委員 時間がありませんので結構です。私に聞かれたことだけ答えてください。
 そういう基準を書いた資料を被害者にお渡しいただけますか。
○銅崎政府委員 この支給基準は、庁内におきます賠償業務の円滑化と、陸海空自衛隊あるいは付属機関の賠償実施機関相互における均衡のある統一的な処理を図るための内部の基準でございますので、これはこの基準そのものをお出しするというような性格のものでございませんので、ひとつ御了承賜りたいと思いますが、しかし被害者の方々に対する説明につきましては、可能な限り具体的にわかりやすく説明できるように目下資料を検討しておりますので、それはお出しいたします。
○草野委員 非常に事務的な御答弁で残念でならないわけでありますが、そういう防衛施設庁の姿勢にやはり問題が一つあるんではないかと私は思うのです。今回の補償交渉、私も伺っておりますけれども、被害者の方は大変な不満を持っていらっしゃる、こういうことも聞いております。そこで私はさっき、最大の誠意をもって当たってもらいたいということと、こういう具体的なことをいま申し上げたわけでございますが、それについてもどうもやっていただけない。残念です。
 たまたま十月四日の朝日新聞の投書欄の記事に、こういう記事が載っておりました。私は偶然この記事を読んで非常に驚いたわけでございます。
 関係文をちょっと読ましてもらいたいと思います。
  昭和三十九年、大和市内に墜落事故が起こっ
 て、鉄工所が破壊され、所長の息子三人と従業
 員二人が死亡、三人が負傷した。横浜施設局が
 交渉に当たったが、「この場所は建設が許されな
 い地区になったから立ち退いてもらいたい。そ
 の代わり適当な土地を国の責任で見つけて払い
 下げる。その際は、いま国が買収する価格と同
 じで払い下げる」ということで、工場主はそれ
 を信じ一千万円で国に売ったのである。
  以来、代替地をたびたび国に陳情したが、ラ
 チがあかない。被害者の窮状に同情して国を相
 手に売買契約の確認訴訟を起こしているが、条
 件付き売買の立証が、なかなか難しくて困って
 いる。
  当時、約束した役人はやめたか、更迭して現
 存する者が少ない。いても、被害者に有利なこ
 とは言わない。これは被害者が役人を信じすぎ
 て何も書いたものをとっておかなかったためで
 ある。役人も罪深いことをしたものだ。裁判所
 が大変同情して調停に入り、国側もいろいろ働
 きかけているが、いまだに解決しない。被害を
 受けてから十三年もたつ。こういう記事がございました。私はこの記事を読んで、確かに三十九年ごろに大和で大変な墜落事故が起きたということは知っておりましたけれども、あれから十三年もたってまだあの事故に関する問題が解決してないのか、私は非常に胸が痛みました。
 早速この当時大和市内に住んでいた鉄工所の所長、社長の舘野さんという方にお会いをいたしました。あれから十三年間のいきさつを、私全部伺いました。結論から申し上げますと、やはり国のとった措置というものは非常に冷たい措置であったという感じがしてなりませんでした。十三年間この舘野さんは苦しみ続けてきております。その当時の防衛施設庁がとられた補償額が多かったか少なかったか、この問題については私は直接この場では触れたくありません。しかも、いまの投書欄にあった記事は土地の買い上げ問題です。この舘野鉄工所があった位置は厚木の飛行場からわずか千メートル内外のところでございました。しかも、この舘野さんは事故のあったその前の年、神奈川県の公害のあっせんでこの土地にわざわざ移ってきているのです。そして、こういう事故に遭った。事故の後、再建しようと思ったら、防衛施設庁の担当の方がこの地区は建設しちゃいけないところになったから、どこか別なところに引っ越しをしてもらいたい。この間のいきさつはずいぶんあったようでございますけれども、私はきょうここで申し上げたいことは、先ほど私は賠償の基準を被害者に渡してもらいたいと言ったとき断られました。
 なぜかと言いますと、先日やはりおたくの方からこういう賠償に関する説明書みたいなものをもらいました。これを読みますと、たとえば死亡された場合のことも書いております。それから家屋を失った場合、家財を失った場合、被害直前の時価で補償をする、こういうようなことが出ております。そのとき私は担当の方に伺いました。こういう場合には時価で必ず補償をされるのですか、こういうことを聞きましたら、時価で補償するということをはっきり申されました。したがって、この土地の買い上げということは直接賠償問題とは切り離して考えるべきことであるかもしれませんけれども、しかしこれは一つの問題であります。
 そこで、防衛施設庁の関係の方々は、この土地を買い上げるに当たって当時は果たして時価で買い上げたのか、それともそうじゃなかったのか、まずその点についてひとつ聞かしてください。
○銅崎政府委員 時価で買い上げております。
○草野委員 時価ということは、幾らでお買い上げになったでしょうか。
○銅崎政府委員 土地の方は四百三十八万一千円で買い上げております。
○草野委員 坪単価は幾らになるでしょうか。
○銅崎政府委員 手持ち資料は総額だけでございまして、ちょっと計算しないと出ません。
○草野委員 私の計算によりますと、一万二千七百円になるわけでございますが、それが時価ということになるわけですね。私も調べてみました。そういたしますと、ということは、舘野さんのお話によりますと、時価の半分以下で買い上げられた、このようにおっしゃっております。私は本人の申されることだけを全部うのみにしてこの場で伺うわけにいきません。当時の資料を全部調べてみましたら、日経新聞にやはりこれに関する記事が出ておりまして、防衛施設庁の方から、危険だから立ち退け、立ち退けとこの近所の人がみんな当時言われました。しかし、国の方で払ってくれる土地の価格というのは半分から三分の一に近いような値段だ、だから立ち退きたくとも立ち退けなかった、こういう記事が報道されておりました。必要であればいつでもお見せいたします。
 それから、たまたま昭和三十九年ごろ、このすぐそばで東名高速道路の用地がちょうど買収されている最中でございました。この東名高速道路は厚木基地とこの被害者の舘野さんのうちのすぐそばにあります。番地から申しますと、舘野さんのうちは大和市上草柳二百十七番地だと思いました。この東名高速道路の買収された用地は二百十三番地です。ほぼ近所です。くっついております。ここら辺の買収価格を日本道路公団にお願いして調査をしてもらいました。そうしますと、この辺一帯の昭和三十九年当時の買収価格は、これを坪当たりに直しますと、宅地で二万六千四百六十二円です。畑で二万四千百六十五円です。山林で二万四百六十九円です。また墓地で一万七千四百七十六円。こういう価格で当時道路公団は買い上げをしております。
 そうすると、いまの舘野鉄工所の土地は、このすぐそばにありながら、一万二千七百円です。墓地よりも五千円も安いのです。宅地に比べると半値以下です。これが時価でしょうか。
○銅崎政府委員 当時この価格がどういうふうにして出されたか、手元に資料がございませんので比較してお答えできないのでございますけれども、当庁の賠償は、周辺の土地価格あるいは実際の取引実例をもとにして時価を算定して出しておるわけでございまして、その点、比較の問題につきましては、当時の資料を見てみないとちょっとお答えはいたしかねます。
○草野委員 そんなことを言っているから困るのですよ。私はきょうの質問に当たって、三十九年の大和の事故についても補償問題について伺います、そういうふうに前もってお知らせしているわけです。それでいまあなたのおっしゃったことは、この通常の取引というものも参考にしている。参考にしているから、私は、普通の民間じゃなくて道路公団の資料をもらっていま申し上げたのです。何か反論できますか、これに対して。
○銅崎政府委員 ただいま当時の買収についての資料がございませんので、反論はいたしかねます。
○草野委員 では、この問題について後できちっとした資料を出してください。委員長、ひとつお願いいたします。
○鈴切委員長 補償に対する基準の詳細については防衛施設庁の方から委員会の方に提出をしてください。
 それから、先ほど防衛施設庁の方で草野君の質問に対して答弁ができなかった部分、これは至急、わかり次第委員会の方に詳細を報告してください。いいですか。
○銅崎政府委員 当初に御質問ございました飛行機の高度あるいは墜落の時刻等につきましては、わかり次第提出申し上げます。
 それから賠償基準につきましては、そのものをお出しするのは御容赦いただきたいと思いますが、できるだけ詳しい資料をお出しするようにいたします。
○草野委員 その賠償の基準についてそのものを出すのは困るということなんですけれども、それはこっちも困るんです、そういうことじゃ。私は、いま改めてひとつまた委員長にお願いいたします。この賠償の基準、また賠償の内規、こういうものを資料としてぜひともいただきたい。委員長にお願いいたします。
○鈴切委員長 防衛施設庁、このいわゆる補償の基準については極秘なんですか。極秘でない限りは、委員会で提出をせよというふうに言っているわけですから、提出をするように。答弁は要らぬ。
○草野委員 なぜ私はこういうことを申し上げるかというと、まだほかに問題があるわけです。私は、今回の事故が果たして――果たしてじゃなくて、これはどうしても誠意のある賠償をやっていただきたい、このように思っております。だけれども、同じ防衛施設庁が十三年前の事故のときの賠償の内容を聞きますと、非常に心配でならないんです。だから、大和事故のときの舘野さんは、今回横浜の事故が起きたら、いち早く被害者のところへ飛んでいっております。舘野さんも現在ぐあいが悪くて、入院寸前のような体です。その舘野さんがあの横浜の緑区の被害者のところへ訪ねていって、そして二度と事故を起こさないためにもということで、心配してお見舞いに駆けつけております。
 きょうは時間がもうなくなりましたので、これ以上余り質問できませんけれども、最後に一つ、こういうことを伺いたいと思います。
 先日、この損害賠償に関する説明の表をもらいました。この死亡の場合は、療養費用、死亡に伴う逸失利益、葬儀費用、慰謝料、こういうものを払うと出ております。この死亡に伴う逸失利益、こういうものを計算する場合には、ホフマン方式とかなんとかいろいろありますね。この逸失利益に対する遺族補償、こういうものはどういう基準で賠償されますか。
○銅崎政府委員 ホフマン方式によりまして算定をいたします。たとえば小さいお子さんの場合でございますと、十八歳になりますと高校を出まして、そのとき恐らく就職するであろうということで日額が出ますので、それにホフマン係数を掛けましてそれで算出するという形になります。
○草野委員 そうしますと、この三十九年の大和の事故のときまた町田の事故のとき、このホフマン形式にも、いわゆるホフマン形式それから新ホフマン形式だとかそれからまた新しいライプニッツ方式だとか、こういうものがございますね。どういう方式で当時は計算をされておりますか。
○銅崎政府委員 三十九年の六月に防衛庁の方の内訓、これは秘扱いでございますができまして、それに基づいてやっておりますので、やはりホフマン方式でやっております。
○草野委員 もし、いま総務部長がお答えになった答弁が事実だとすると、やはりここにも大きな問題があると思うのです。いわゆるホフマン方式というのは、昭和三十年の十二月から三十九年の一月までの間に使用されております。これは判例によるものです。それから昭和三十九年の二月からは、新ホフマン形式にほとんどが切りかえられております。これも最高裁等のいろいろな判例があります。ホフマン形式と新ホフマン方式と比較しますと、新ホフマン方式の方がはるかに率はよくなるわけですね。あなた方はそういうことを承知の上でわざわざその古いホフマン方式でその当時は賠償されたのか、こういう問題が一つ。
 現在でも、今回の事故について一体どういうような計算方式で賠償されようとするのか、こういうこともひとつ明快に最後に伺いたいと思うのです。ということは、たとえば――これは時間がないからもう申し上げませんけれども、ともかく計算方式によって金額がずいぶん違うということなんです。これをひとつ最後にお答えをいただきたいと思います。
 もう時間が来てしまったので非常に残念でございますが、これで質問をやめますけれども、最後に、今回事故に遭われた林さん、また椎葉さん、本当にお気の毒だと思います。ぜひともひとつ誠意ある当局の賠償といいますか、これは本当は金銭賠償だけではだめなんです。もう椎葉さんもおっしゃっております。補償ということは被害者にとって最大限の譲歩なんです、こういうこともおっしゃっております。この言葉をひとつよくかみしめてください。また、三十九年の事故に遭われた舘野さん、この十三年間というもの、一瞬にして三人の息子さんを亡くされて、殺されてですよ、一切の財産を失って、奥さんが衝撃で精神の異常を来して離婚をされて、いま一人で苦しみ続けて、あれから十三年間生き抜いてきているのです。その舘野さんが十三年たった今日、国に対してどういうことをいまおっしゃっているか。これだけ最後に聞いてください。「私は希望に燃えて一生をかけていた人生も、一瞬の事故により、全財産及びわが子三人を失い、一家は離散し、生活権すらも奪い、私の人生は百八十度転換を余儀なくされ、十四年の歳月は、いかに苦しみ、孤独に耐え忍ばねばならなかったか。国は平和国家、民主主義と唱えているが、厚顔無恥な担当官のミスにより私のような犠牲者もいるということを忘れないでもらいたい。」手記の一部です。私は本当に胸が痛みました。
 どうかこのことは長官を初め関係の方にもぜひひとつ伝えていただいて、何の責任もない、平和な一市民が米軍の一方的な責任によって起きたこの事故に対して、十数年の間まだ苦しんでいる、こういうようなことはぜひともひとつすぐさま解決するようにしていただきたい、このことをお願い申し上げまして本日の質問を終わります。
○銅崎政府委員 三十九年当時の事故から新ホフマン形式でやっております。したがいまして、当然今回も新ホフマン方式による計算で賠償額は算出されます。
 それからただいまお話しの舘野さんのお話は、よく上司に伝えておきます。
 それから、確かに事故が起きまして、金銭をもって補償するというような、先生お話のとおりで、それによってかえられるものではないと思います。その点は十分心いたしまして、できる限りの賠償措置を講じたいというふうに思っております。
○鈴切委員長 次に、吉原米治君。
○吉原委員 警察庁の方にお尋ねをいたしますが、交通事故の軽減対策について最初にお尋ねをいたします。
 事故対策にはいろいろ手段、方法があると思います。たとえば道路状況の完備も必要でございましょうし、あるいは車両の定期的な点検あるいは交通規則、さらにはドライバーの教育、そして業者の立場からの運行管理、あるいは歩行者のモラルの問題等々、交通事故軽減対策について、私はたくさん対策があると思います。
 交通事故の多発の原因を考た場合に、先ほど言いましたように、いろいろな原因が警察庁の交通局の統計でも明らかにされております。この統計資料で私見まして痛感をしたのですが、「交通情勢の推移と現状」、これは全日本交通安全協会の発行した資料でございますけれども、この資料の中で分析をしておりますが、まず車両台数が驚異的に伸びておる。特に普通乗用車でございますが、昭和二十一年、戦後の台数が二万六千八百六十三台、これを指数一〇〇にして、昭和五十年と対比してみたわけでございますが、車両台数も千四百六十二万五千台ということで、驚異的に増加をしておる。指数に直しまして、五四四四四という驚くべき指数になっておるわけでございます。一方、事故件数の統計資料を見ますと、これまた圧倒的に自家用自動車、つまり普通乗用車による事故件数が多いということがはっきりデータでも明らかになっております。したがって、車両台数の増加と、事故件数のカーブというのは正比例をして上昇しておる、私は資料から見ますと、そういう感じがいたすのですが、杉原交通局長はどういう分析をされておるのか。
 そこで、この車両台数を減らす方法というものが一体あるとするなら、計算的には事故件数を減らすことにつながる、この資料からこういう判断を私はするのですが、その点まず交通局長の御見解を賜りたい。
○杉原政府委員 最近の交通情勢、車との関連で御指摘のありましたのは、そのとおりだと思います。やはりこれだけ戦後車がふえてきた中で、これからさらに交通事故の減少傾向を定着さしていこうということになってまいりますと、やはり交通の総量というものをどう考えていくのかということが基本にならなければならないと思います。そういう意味では、一般の与えられた道路条件その他のもとで、交通総量というものはどうあるべきかということを今後考えていく際には、やはりマイカーというものをできるだけ抑制をして、それを公共輸送機関の方に転用さしていくような手法あるいは施策、そういうふうなものが、今後非常に必要になってくるのではなかろうかという認識でおります。
○吉原委員 そこで、私はこの交通事故件数を軽減させる一つの対策としまして、先ほど交通局長おっしゃっておりましたけれども、大型輸送機関を充実させることがあると思います。もちろん、これだけで事故件数を減らすというわけにまいりませんけれども、冒頭申し上げましたように、いろいろな対策、方策がございますが、その中の一つの対策であろう。警察庁の方から出されております「昭和五十二年中における交通警察の運営」という資料の「都市の総合交通規制の推進対策」の中にも、「路線バス等の輸送効率の高い車両の優先通行を確保する。」あるいはまた「路線バスの運行について、系統の改善、運行時間の延長、運行回数の増加等を促進し、」等々、こういう対策が実は警察庁の総合交通規制を推進していく対策の中に指摘をされております。つまり、ラッシュ時の交通繁雑が予測される時間帯では、特に短時間で大量の人員を輸送する、このことが交通事故防止対策の目玉でもあるのではないかと私は考えております。この現象は、一都市部だけではございません。地方においても同じことが言えると思いますが、いま地方における路線バスの実情というのは、御案内のように、昭和四十四年からバス路線運行維持対策要綱、こういう要綱に基づいて、国、県、関係市町村から補助金を受けながら、最小限度の住民の足を確保しておるのが実情なんです。
 ところが、これからいささか警察庁よりも運輸省の方に質問をするわけでございますが、交通事故減少にもつながる地方における大型輸送機関、なかんずく路線バスの現状は、いま私が申し上げたような実情になっておりますが、御承知であるかどうか、事前に質問の内容はお話ししてございますから承知をされておると思いますけれども、せっかく運輸省がつくったバス路線運行維持対策要綱、これの本旨といいますか、その目的から大きく逸脱をした形でやられておる。私がいま把握しておるだけでは広島県、岡山県の二県でございますが、こういう県では、財政上の理由等があるやに承っておりますけれども、地方における住民の足を確保する、大型輸送機関を確保するという立場でつくられたバス路線運行維持対策要綱の精神から逸脱した、県独自の基準を設定して現実に実施しておる。つまり、これは補助金を、県負担分を安上がりさせようというねらいがあると思いますが、こういうことが実はなされておる。私の把握しておる限りでは、いま岡山と広島の二県でございますが、間もなく次年度からは山口県にもこういう解釈が適用されようとしておる。全国的にも、私は把握しておりませんけれども、運輸省の方で、類似の規制措置を講じておる県がございましたら、ひとつあわせて梶原業務部長の方からお答えを願いたいと思います。
 俗に私どもは広島方式と称しておりますが、これは正確には昭和四十七年だと思いますが、この対策要綱の中にございます生活路線というものの解釈、この生活路線を「県知事が認めた場合に」というふうにして、かなり地方の県知事に権限が与えられておるように理解をしておるのですが、少なくとも運輸省なり政府がつくった対策要綱でございますから、その本旨に従って各県はやってもらわなければならない。少なくとも財政上の事情で勝手に県独自の基準をつくって、本来国の方針に適合さすべきものを、県独自でそれは対象にしないとか、そういうやり方が行われておりますが、私は、県が勝手にそういう解釈に立って独自の基準を出すということは、はなはだけしからぬやり方だ。特に、自旅第二四三号の二、これは自動車局旅客課から取り寄せた資料でございますが、この文書の中に「本要綱において路線という語を用いているが、正確には運行系統を指す。」こういうことがはっきり定義づけをしてあるのにもかかわらず、広島県では、これが運行系統ということではなしに事実上の道路という理解をして、後ほど御説明を受けたいと思いますが、広島県独自の規制措置を出しております。こういったやり方について、まず最初に運輸省の方から基本的な見解を明らかにしてもらいたいと思います。
○梶原説明員 昭和四十年代以降モータリゼーションが進展します中で、大量公共輸送機関であります乗り合いバスが非常に苦しい経営を余儀なくされておるわけでございます。したがいまして、経営者の真摯な経営努力、それから関係機関によるバスレーンの設定等による経営環境の改善、こうしたものと相まちまして、国におきましては、地方公共団体の協力のもとに地方バス路線維持費補助金制度を逐次充実強化してまいりまして これに対応してまいっておるわけでございます。
 御指摘の問題でございますが、私どもの対策要綱におきましては、補助の対象にいたしております第二種生活路線は、まず第一に平均乗車密度が五人以上十五人以下であること、第二に一日の運行回数が十回以下のものであること、第三に営業費用が営業収入を上回っていること、こうした一定の基準に該当するバス路線の中で、都道府県知事が地域住民の生活上不可欠のものとして指定したものを国庫補助の対象に取り上げておるわけでございます。
 御指摘の広島県なり岡山県の事例でございますが、先生御指摘のとおり、最近地方財政が非常に窮迫いたしてまいりまして、昨年度からこの指定をします場合の基準をシビアなものにいたしてまいっておるわけでございます。全国的に見ましても、十数の府県におきましてこうした厳しい基準を採用してまいっておるわけでございます。これは申すまでもなく、地方財政が非常に窮迫してきました段階で、地方公共団体の総合行政の中でこういう選択をされておるわけでございます。そういう限りにおいて、地域住民の足をできるだけ確保いたしたい、こういうことで努力をしておるわけでございますが、残念ながら、私どもが当初予定をいたしました補助金を若干余さざるを得ないという事態が生じておりますことはまことに遺憾でございますが、今後私どもとしましては、地方公共団体と十分に連絡をとりまして地域住民の足を確保するための努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○吉原委員 基本的な考え方がわかりましたけれども、地方公共団体の財政上の理由によって、せっかくつくられた対策要綱、この要綱の精神が死んでしまっておるのですね。財政上の理由ということは別の角度でまた考えるべき問題であって、政府並びに運輸省がつくった、少なくとも「地方におけるバス路線の運行を維持するための対策を講ずること」によって「地域住民の福祉を確保する」というこの大目標に反する、そういった県独自のやり方なんですから、いま部長のおっしゃった、財政的な事情でシビアな規制基準をつくっておるという認識でございますが、これは基本的に誤りだ、運輸省としては強力な行政指導によって――少なくとも対策要綱をつくられたこのものが骨抜きになっておる、空文化するようなやり方というのは国の施策に反する行動だと私は思うのです。そういう意味で、単なる財政上苦しいから適宜な、県が勝手に独自の解釈をもって独自の基準を設けるということは国の施策に反する、私ははっきり申し上げてそういうことだと思うのです。ですから、もっと強い姿勢でこういった県を行政指導されるお考えがあるかどうか、はっきりおっしゃっていただきたいと思う。
○梶原説明員 先ほども御答弁申し上げましたとおり、その制度の仕組みといたしましては、国が考えております基準に充足するバス路線で、地方公共団体がその中で指定をするという考え方でございますので、基本的には都道府県知事のいわば総合行政の中での政策選択といいましょうか、そういうことにかかろうかと思うわけでございますが、今日の路線バス、特に過疎地域における、地方におけるバス路線の現状等から考えまして、今後地域社会の足を十分確保するための努力を続けてまいりたい、そのために関係府県と十分連絡協議を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○吉原委員 どうも部長、それはまあ県と協議をされるのも結構だけれども、少なくとも国のつくった、運輸省がつくり上げた対策要綱の精神が死んでしまう、空文化されるようなやり方を各県ばらばらにやっておって、どうして地方における公共輸送機関、大型輸送機関というものを守っていけるのですか。少なくともいまのようなやり方が次から次と波及してまいりますと、業者は不本意ながらこの路線の休廃止をしなければならぬ。そうなってまいりますと、勢い、いまそれぞれ全国的にもそういう傾向が出てまいっておりますが、市町村の代替バスという、白バスというものが浮かび上がってくる。白バスで運行できる市町はまだいいのですけれども、それすらもでき得ないという地域は必然的にマイカーの増発ということになってしまう。そうなってまいりますと、前段申し上げた、何とかひとつ利用できるものなら大型輸送機関に使っていただいて、車の車両台数というものをうんと減すということが、一つは交通安全、交通事故防止という観点からも必要なんですが、それとはもう逆行していく方向に、いまのやり方を放置していく限り、だんだん必然的に多くなってくる。
 特に交通局長、私の資料の見方が間違っていればまた別ですが、昭和五十年版のこの資料でございますが、少なくとも事故件数が自家用車、事業用あるいは二輪車を含めて九千二百九十一件のうちで、事業用自動車の起こした事故件数というのは九百六十二件、つまり十分の一なんですね、これは。九〇%が自家用自動車による交通事故なんです。
 そうなってまいりますと、梶原部長がおっしゃったように県と協議するといったって、運輸省がやかましく言われるなら、それじゃ金を出していただけますか、こういうことに返ってくるのが落ちだと思うのです。ですから、財政上の問題は別の角度でまた政府に要請をされることも必要だろうし、あるいは政府も別の角度で、財政補てんは何らかの形でされてしかるべきだと思うけれども、少なくともせっかくつくったこの対策要綱が死んでしまっている、そういうことであってはならぬと私は思いますし、もっと県と協議をしてなどということでは、私は協議は調わぬと思うのです。口を出す限り銭も出さなければ相手は納得しませんから。そういう意味では、財政上の問題とは切り離して対策要綱の精神を遵守してもらう、こういう厳しい態度で各県に対処していただきたいと思いますが、決意のほどを聞かせていただきたいと思い。
○梶原説明員 先生御指摘のとおりに、大量公共輸送機関であるバスが撤収をしてまいりますと、自家用乗用車がふえていく。自家用乗用車がふえるからまたバスの経営が苦しくなるという、いわば縮小の悪循環をしておるような事態もあるわけでございまして、私どもとしましては、大量公共輸送機関を育て発展させていかなければいけない、かように考えておる次第でございます。せっかく地方バス運行維持費補助の制度がございまして、本年度も七十二億の予算を計上していただいておるわけでございます。国庫補助金を計上していただいておるわけでございますが、それが完全に消化できますように、そして地域住民の足が確保できるように関係機関並びに地方公共団体と十分協議をして、御指摘のようなことのないように万全の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○吉原委員 ちょっと技術的なことでお尋ねをするわけですが、先ほど言いましたように、「本要綱において路線という語を用いているが、正確には運行系統を指す。」こういう定義づけがあるにもかかわらず、この広島方式なる発想は、系統と路線、系統を道路という認識に立っておる。つまりA地点からB地点に行く、さらにB地点を経由してC地点に行く、そういう運行系統の場合に、AIB間が少なくとも十回以上、あるいはその系統をやめたとしても残るAIB間に十回以上回数がある場合には、そのAIB間は対象路線としない、こういう発想なんです。これは少なくとも系統が違うわけですから、乗っておるお客の利用目的が違っておるわけです、回数は幾らあったとしても。どこそこ行きの目的を持って乗っておる乗客なんですから、こういう広島方式的な物の考え方というのは「地方バス路線運行維持対策要綱及び地方バス路線維持費補助金交付要綱の改正について」という資料が旅客課から出ておりますが、こういう指導に反しておると私は思うのですが、部長、どうですか。
○梶原説明員 広島県におきます第二種生活路線の指定基準におきまして、その第二項でもちまして道路という言葉を使っておるわけでございますが、究極におきましては運行系統の議論でございまして、どの運行系統を補助の対象として取り上げるかという場合に、当該道路につきまして、いま先生御指摘のような十回以上の回数になる場合に、他の運行系統につきましては助成をしない、こういう運行系統の採択基準として考えておるわけでございます。この運行系統の査定によります補助の対象にならない部分が相当あるのではないだろうかと思うわけでございますけれども、私どもとして今後十分広島県当局とも打ち合わせをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○吉原委員 広島県当局と協議という――広島県は、財政上の理由と思われますけれども、私に言わせればへ理屈をつけておるのですね。そういう相手方と協議をするというおっしゃり方は、私は、協議をされても協議は調わぬと思うし、少なくともあなたの県がやっておるやり方というのは政府の対策要綱の精神から逸脱したやり方ですよ、こういう指導がなぜできぬのですか。
 しかも、列車と軌道と鉄道、似たようなものでございますが、軌道と並行しておる間はまた削除するとなっておりますね。列車に乗るお客とバスに乗るお客は目的が違う。鉄道と並行しておるところは生活路線でない、こういう解釈を出しておりますね。そういう意味では、広島方式なるものは完全に国の方針からは間違ったやり方なんだということをもっとびしっと指摘をしていただけませんか。
○梶原説明員 先生御指摘のとおり私どもが期待をしておりますものからは相当下回っておるわけでございまして、正確には計算できませんけれども、この事業者による概算によりますと、運行系統を査定しますことによって国費で約一億程度の補助金の減を見ておるわけでございまして、私どもとしましては、先ほど来お答えを申し上げておりますように、地域社会における住民の足を確保するという立場から広島県当局と十分協議をし、指導を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○吉原委員 いま一億という金額を言われましたけれども、これは広島県だけの推定金額でございますか。
○梶原説明員 広島県管内だけでございます。
○吉原委員 少なくとも広島県下で一億。私が調査をした備北交通というバス会社でございますが、五十一年度の補助金が十三系統四千四百万円、今度こういう解釈をされることによって減額される。少なくとも一会社が、これは備北交通という会社で、非常に資本金も少ない会社でございますけれども、四千四百万も補助金が減額されたのでは、もう補助要綱の精神が完全に死んでしまう。四千万削られたけれどもまだ二千万こっちに補助金を出しておるじゃないか、だから対策要綱はまだ生きておるのだというお考えは――赤字部分を一〇〇%持ってやるとおっしゃるからこのバス会社は運行しておる。その一〇〇%でなしに五〇%補助というのは、五〇%はまるまる負担になるわけですから、そんなことならもうやめましたということになるのです。やめましたということにならずに、わずかな人間でも、バスが通うということはその地域の人的交流、経済交流、いろいろな役割りを果たしておるわけでございますから、そういう意味で私は、広島県方式による規制というのは、とうとう業者がそういう規制措置を加えられたんじゃもうやれませんという形に追い込んでしまう、そのことがひいて、私がさっきから繰り返し言っておるように、運輸省が出したこの対策要綱の精神が死んでしまっておると、こう言うわけだ。だから、もっと強力な立場で私は行政指導をしていただきたいと重ねて申し上げておきます。
 それから、私は、いまおっしゃいますような広島方式がどんどん各県で採用されてまいりますと、勢い白バスの運行という問題が浮かび上がってくると思います。所管は運輸省でございますから、白バスの運行管理、事故防止の観点からどういう行政指導をされておるのか、あるいはまた、最近白バスによる営業行為というのが各地で頻繁に行われておる、こういう実情を把握されておるのか、把握をされておるとすれば、一体どういう指導監督をされておるのか、特に土建屋あるいは自動車学校等に備えつけてある白バスによる営業行為、運行管理面と、そういった営業行為をやる、そういう問題について運輸省はどうお考えですか、お答えを願いたい。
○梶原説明員 問題が二つに分かれるかと存じますが、路線バスが廃止になりました後、市町村がそれの代替バスを走らせる場合がございます。これは道路運送法の百一条の規定によりまして自家用自動車の有償行為の許可をやっておるわけでございまして、これが五十二年三月末現在で、全国で百三十九の市町村で行われておるわけでございます。
 このバス運行の安全を確保いたしますためには、まず許可に当たりまして十分な条件をつけまして安全確保を図れるように努力をいたしておるわけでございますが、さらに乗車定員十一名以上の自動車の使用者につきましては、道路運送車両法に基づきます整備管理者を選任しなければいけないことになっております。私どもの所管ではございませんが、道路交通法に基づきます安全運転管理者の選任も義務づけられておるわけでございます。この代替バスの運行の安全をそうした面で確保してまいりたいと努力をしておるところでございます。
 もう一つは、白バスによる営業類似行為でございますが、最近マイクロバスによるレンタカー等がございまして、これの違法行為、営業類似行為が最近非常に問題になっておるわけでございまして、これにつきましては、十分取り締まり、監督を強化してまいりまして、そういう事態の絶無を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○吉原委員 私は、交通安全対策特別委員会の席でございますので、あえて交通事故という観点から地方の大型輸送機関の現状について御指摘を申し上げたわけでございますが、少なくとも、いま梶原部長がおっしゃっておるように、財政上の事情によると思われるこういった、全国で十数県とおっしゃいましたけれども、私の把握しておる限りでは岡山と広島だけなんですが、具体的には部長は県の名前はおわかりになっておるのですか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
○梶原説明員 北の方から参りますと、岩手、福島、宮城、長野、秋田、千葉、群馬、栃木、山梨、静岡、福井、和歌山、兵庫、広島、岡山、香川、徳島、たしかこれで十七県になろうかと思うわけでございますが、この中にも、広島のように、先ほど申しました国費で一億円ほど減額になっておるものもございますし、非常に減額の幅が小さいものもございますので、一律には申せませんけれども、以上十七県でございます。
○吉原委員 全国で十七県、いま聞いてみますと、過疎地域を多く持っておる県が比較的この広島方式に準じたやり方をされておるわけでございますが、先ほどからるる申し上げますように、少なくとも地方における大型輸送機関を守って、地域住民の福祉を確保するというこの路線バスの維持対策要綱、この目的に沿ってひとつ強力な行政指導をお願いしたい。財政がままならぬからということで、せっかく運輸省の方でつくられたその対策要綱が空文化してしまうようなことが現にこの各県でなされておる、私はまことに遺憾だと思いますし、その結果は交通事故件数の増加にもつながるような結果になってしまう。
 特に、いま白バスの運行管理面の行政指導をお尋ねしたのですが、余り的確な御答弁はございませんでしたけれども、少なくとも、最初申し上げましたように、全体の九〇%が自家用自動車による交通事故だ、こういう観点からいきましても、この地方における大型輸送機関の充実強化のために運輸省は一段の御努力を願いたい、これを申し上げて、何かお考えがございましたら……。
○梶原説明員 大変問題になっております地域住民の足を確保するために、さらに一層の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○吉原委員 この路線バスの問題についての質問は以上で終わって、時間がございませんので、次の質問に移りたいと思います。
 次の質問は、実は非常に日本でも珍しい停車場といいますか国鉄の駅があるのでございます。それは六階建ての、円筒ではございません、角筒型の建物を、円筒なららせんでしょうけれども、稲妻型に階段を百何十段上っていって駅のホームに出るという、そういう駅がございます。これは広島県と島根県を結んでおる三江線の宇都井という駅がその駅でございます。この駅の百数十段の階段を稲妻式に上って利用するわけでございますが、その利用客の中に病人とかお年寄りとかあるいは身障者、こういう人たちが多いのでございますが、何とか改善をしてほしい、こういう要求が地元から出ておるのです。
 そこで、この階段はまあ普通、一般の道路とは思えませんけれども、国鉄の構内通路とでもいいますか、そういう観点で私は理解をしますと、施設を利用して、その通路を通って列車に乗る、こういうことからいきますと、交通安全上これまた非常に危険を伴うことであるし、特にお年寄りは、まともな人間でも六階まで歩いて上がらなければならぬのですから大変なことなんです。こういう意味で安全対策はどのように考えておられるのか、これを最初にお尋ねをしたい。
○岡田説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の三江線の宇都井の駅でございますが、これは五十年八月、日本鉄道建設公団が完成をいたしまして、国鉄が引き継いでいま運営をしているものでございます。いま御指摘の階段につきましては国鉄の施設ということになっておりますが、これをつくりましときに、ちょうどトンネルを出ましたところの谷合いになりますので、線路の位置と地面の差が非常に大きいということから、駅の位置をどこにつくるかということも含めまして地元ともいろいろ御協議申し上げたところでございますが、地元の御要望もございまして現位置に定められたわけでございます。先生いま御指摘ございましたように、道路面と申しますか地面からプラットホームまでの間が約十八メートル、階段の段数にいたしまして百十六段ございます。階段のステップといたしましては十六センチぐらいの踏み上がりであって、踏み面が三十三センチぐらいの階段になっております。
 これの安全対策といたしましては、御承知のように非常に高い階段になりますので、もし踏み外したときに下まで滑り落ちるというようなことがあっては大変だということで、設計上につきましても地元の方々といろいろ御相談申し上げまして、先生も御指摘ございましたように角状の建物の中におさめておりまして、約九段から十段ごとに折り返しの踊り場が設けてございます。通常ホームに上がる階段を見ていただきますと、大体二十段近くのところに踊り場がつくってございますが、非常に階段の全体の高さも高いということから、九段ごとに踊り場を設けてございまして、そこで折り返し式にいたしてございまして、踏み外した場合でも一メートル五十くらいの滑落でとどまるというふうなことを考えております。
 なお、折り返しいたしますところが開口になっておりますけれども、ここにはさくを設けまして、まかり間違っても外へ落ちることがないというようなことも配慮いたしてございますし、階段の踏み面につきましてもノンスリップと申しますか、いわゆる滑落を防止するような踏み面を用いております。
 以上でございます。
○吉原委員 時間が余りございませんので簡潔にやりたいと思いますが、建設されるときに地元と協議をして、むしろ地元の要望によってつくったものだ、こういうお話でございましたけれども、地元という意味は、具体的には村役場の村長とか助役とか、そういう方と協議をなさったのでございますか。
○岡田説明員 建設の主体は鉄道建設公団が当たっておりますので、正確には建設公団からそのように伺っておると申すべきだと思いますけれども、地元の公共団体の方々とお話をいたしまして、たとえばトンネルの入り口近いところに道路を迂回していただいて、そういったところに駅をつくるというようなことも考えられたわけでございますけれども、土地が非常に狭いところでございますので、そういうことをいたしますと、道路のつけかえのためにより多くの用地買収を必要とするというような地元の御事情もあって、現位置に定められたというふうに承知をいたしております。
○吉原委員 少なくとも特定の限られた方との協議によるものだと私は理解しておるのです。宇都井の地区民が代表で要望書を出しております。国鉄の方には出ておりませんけれども、必要があれば、部落民挙げて改善をしてほしい。あそこに並列してエレベーター装置をつけるのが一番いいと私は思いますけれども、そういうお考え方がございますか。
○岡田説明員 先生御指摘のエレベーターをつけるということにつきましては、エレベーターの管理上の問題もございますので、なかなか困難なことだと思いますけれども、先生御指摘ございましたように、地元の御利用をしておられる方々のお声をよくお伺いするということについては、ぜひそのように考えてまいりたいというふうに思っております。
○吉原委員 現地との話し合いというのが、どうも利用者の立場なり意見を聞かれて設置されたものでない、そういう結果でございますから、こういう要望書のようなものが私の方へは来ておるのです。
 そこで、いま計画課長は、現地との話し合いといいますか、そういうものもしたいとおっしゃいますから、ぜひひとつ現場で――地元の人か利用するのに大変だから、あれやこれやいろいろ知恵を出し合っておるのです。むしろこういうことにした方がいいのじゃないかという意見も持っておるのです。ですから、そういう意味で、現地で一遍行政も立ち会わせて、地区民の代表も呼んで、私もぜひ立ち合わせていただきたいと思いますけれども、協議をしてもらう、そういう手順をとっていただけますかどうか。
○岡田説明員 先生御指摘のように利用者の声を十分お伺いいたしまして、それを施策に反映することは当然のことでございますので、現地は米子鉄道管理局が管理しておりますけれども、米子鉄道管理局にもいまの先生のお話の向きをよく申し伝えて、いろいろ検討する場を設けるようにいたしたいと思っております。
○吉原委員 これは希望意見ですが、その日程が決まりましたら、あらかじめ私の方にもぜひ御連絡をしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。――それでは、時間か参りましたので、以上で質問を終わります。
○鈴切委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 警察庁や運輸省の皆さんにおいでをいただいておるわけですが、全体で三十五分の時間でございますので、しり切れトンボになって、せっかくおいでをいただいたのに質問全部やれないことが起こるかと思いますが、その節には御了承をお願いしたいと思います。
 最初に、昨日に続きまして航空機の問題について幾つか聞きたいと思います。まず、ハイジャックの対策問題の若干の点です。
 第一番目に運輸省に……。最近、新聞報道などでも、航空公安官制度という問題が政府の内部から出ておるというふうに聞いているわけですが、過般、航空安全推進連絡会議の黒川議長さんを初めとする幹部の皆さん方が官房副長官に申し入れられたハイジャック対策に関する内容を見ても、乗員の皆さん方が航空機内にそういうような人を配置してもらうということはぐあいが悪いという見解を持っておられるようなんです。これに対する御見解をひとつ聞きたいというのが第一点です。
 第二番目に、前回の四十八年七月二十日ですか、日航機ハイジャック事件が起こった、そのときに防止対策の要綱をつくられて、それに基づいて国内体制の問題としても、ローカル空港にエックス線透視検査装置及び新型の金属探知器を早急に設置するんだ、さしあたって十六空港に置くんだということが出されておりました。ところでこれがどのように実施をされたのだろうか。ローカル空港というのは十六空港だけじゃなかろうと思うのです。定期便だけでも六十数空港あるというふうに聞いているわけですが、とするならば、それらの問題について、大型機問題で最近赤軍派による乗っ取り問題というのが出てきておるところから国際線が注目されてきているけれども、近距離問題というのはやはり検討を要する問題としてあるのじゃないか。その点でローカル対策というのは今後どのようにしようとされているのか、これが第二番目にお聞きしたい点です。
 第三番目に、昨日日航の朝田社長が、ヨーロッパ、中近東、東南アジア等十七空港に海外保安要員を二名ずつ配置する問題を提起をしておられました。具体的な問題提起であったわけですが、これでいいというふうにお考えになるのかどうか。たとえば香港の場合には、一気に四便ぐらいが集中的に入ってきているという事態が日航自身においてもある。それで、さてこの保安要員はそれではどこかに委任してどうのこうのということになっていくのじゃないだろうか。運輸省として具体的にダブルチェック問題を検討されるとするならば、この問題提起に対してどういう御見解をお持ちになるのだろうかというのが第三番目です。
 それから第四番目に、ことしの春でしたか、AGSの下請けの労働者があそこの飛行場における整備問題というのですか、何かで事故を起こして亡くなるという問題がありました。そのときに、亡くなった人の身元は一体どうなんだということで時間がかかったという経験があります。すなわち、AGSの雇っている人たちについて責任ある事態になっていなかった。AGSのことしの二月二十一日の職員の状況を見ましても、職員総数が二千百四だ、協力会社の人が二百六十四おる、そして臨時職員が二百六さらにおる、こういうような数字がAGS自身において出てきておるわけですが、いわば五分の一の人が協力会社ないしは臨時職員ということになっておる。さきも示したように、身元が明らかでないという人までが存在しているということになってくると、ここで乗客に対する二重チェックを一面で問題にするけれども、清掃やあるいは機内食などを持ち込むそういう作業面を通じての作業者の仕事はもちろんのこと、後の機内の点検そのものも、これは別な角度からチェックをすることを検討するところに迫られているのではないか。これは日本の国内においてもそのことが迫られていると同時に、国際線においても同じことが迫られているというふうに見るべきだと思うのです。運輸省としてはこの面に対するチェックをどのようにしようとしておられるのかお伺いをしたい。
 以上四点、ハイジャックに関する問題としてお尋ねをしたいと思います。
○森永説明員 お答えいたします。
 まず第一の御質問でございますが、航空保安官制度、今度のハイジャック事件が起こっていろいろマスコミの話題になりましたが、昨日も官房長官が午前中の参議院の交通安全対策委員会で御答弁なさったとおり、政府としては現在つくられておりますハイジャック対策本部の検討の対象外となっております。その理由としては、先生御指摘のような不安があるからだと思います。もちろん運輸省としても同じ姿勢でございます。
 次に第二の点でございますローカル空港におけるハイジャック防止体制の問題、四十八年の対策要綱の中で指摘されましたので、とりあえず私どもとしては、ジェット機を就航さしております主な十八空港にエックスレイ透視装置を備えつけ、さらに新しいタイプの金属探知器も、それ以外の空港を含めて三十七セット配備して現在運用をやっているわけでございます。したがいまして、いわゆる金属探知器はあるけれども、エックスレイがないという第三種空港がまだかなりございます。
 それについてどう考えているのだという御質問かと思いますが、これにつきましては、まず、空港の設置管理者が私どもじゃございませんで、主として各都道府県でございます。そういうところは飛んでおる航空会社もそう数多くございませんので、そこら辺と十分相談をいたしまして、なるべく早期にその空港に合った保安体制の強化を図りたい。それには機械のこともありましょうし、あるいは警察も含めた要員の増備によって徹底的な開披検査をやるという方法もございますし、これをいまから個々の空港ごとになるべく早く充実するような方向に、関係航空会社、飛行場管理者、さらに警備当局と相談をして強化を図りたいと考えております。
 それから第三の点でございますが、けさの新聞にも出ておりますとおり、また昨日の午後の委員会で御質問に社長がお答えしたとおりに、十七空港を対象に二名ずつ配員するということでございますが、私どもまだ実は正式に会社からこれについての報告を受けておりません。したがいまして、この中身についてはっきり申し上げられませんけれども、私どもの感じでは、多分これにつきましては、やはり監督者であって、二人でこの処理を全部するというふうには考えておりません。これはいま御指摘ございましたように、香港、バンコク、空港によって、あるいは時間帯によって寄港する飛行機の数も違いますし、またその大きさも違いますので、それ相応にチェック体制をとらない限り実効は上がらないと思いますので、そこら辺はダブルチェック実施上の問題点を具体的に個々の空港ごとに検討している状況でございます。一番早く実施ができるであろうところはバンコクでございまして、近日中に実施する予定で、その結果を見ながらほかの空港もやっていく。それから、ちょっと国内に入りますけれども、本日は羽田空港の国際線においてダブルチェックの試みを朝からやっております。
 最後の御質問でございますが、AGSのいわゆるアルバイトの問題。私ども、羽田空港の場合で申し上げますと、いわゆる制限区域の中に入れるパスが、標準的な長期のパスと一月ごとの臨時パスを含めますと、約二万枚出ておりまして、大変な数の人が普通の人は入れない地域に入って各種の作業をやっておるわけでございまして、その中に御指摘のとおりアルバイトがおるわけでございます。私どもが調べた範囲内におきましても、AGS並びにAGSの関連企業のアルバイトの数は、先生の御指摘よりは若干減りまして、現在百三十数名おるのでございますが、これらにつきましては、現在空港事務所といたしましては、あくまでも雇用者であるAGSあるいはAGSの責任者の十分な身元調査の上で出されたランプ申請を受け付けて、それにランプパスを発行するという形をとっておりまして、直接私どもが個々の人の身元調査等をやるだけの体制は現在とっておりませんけれども、やはり今度のボンベイと称せられておる犯人の入りました道筋あるいは持ち込んだ武器の内容等から見まして、地上作業員の問題がかなり大きな焦点になっておりますので、国内空港におきましても地上作業員の港内出入り証の発行を厳格化するとともに、空港当局の責任によって港内パトロールを強化する方策を昨日決定したところでございます。
 以上、はなはだ簡単でございますが……。
○寺前委員 外国の方はどうですか。
○森永説明員 こちらの方は、したがいまして今度の政府がつくりました第一次の対策の中に一つございますが、外国の空港の状況を運輸省を中心に調べるということで、十一月初旬に私どもの方の課長以下数名から成る第一次の調査団を南回りヨーロッパ線の寄港空港につきまして調査のために派遣いたしまして、そこら辺の調査結果に基づいてまたその次の対策を考えたいというふうに考えております。
○寺前委員 それでは次にクアラルンプールの九月二十七日の事故をめぐっての一、二の質問をしたいと思います。
 昨日もこの場で問題になっておりましたが、新聞でこういうことが出ているわけですね。この五月に日航の規程が変わって、「五月の規程改定以前は、NDB地点で下の地面が見えれば進入を継続してよかったが、改定で滑走路灯、滑走路末端灯、進入灯のいずれかを視認できなければ、すぐ着陸のやり直しをする規程と変わった。」ということが新聞に載っているわけです。関係の乗員の皆さんにこれを聞いてみたら、大問題になっているというのですよ。こんなことになっていないという。びっくりしてしまっているわけですね。話が違うじゃないか、いやそうやとか、いろいろ話が出ているというのです。監督官庁として、この問題について、事実はどうなったのだろうかということを御説明いただきたいと思うのです。
○森永説明員 私どもの方で昨年の六月に計器飛行による進入方式、出発方式及び最低気象条件の設定基準というものを全面的に改定をいたしまして、その改定した基準に伴って、日本航空の場合も本年五月、これに準拠した日本航空としての運航規程を改定したわけでございます。
 その中で、いま先生御指摘のクアラルンプールの最低降下高度とかあるいはおり方という問題が出てきたのだろうと思いますが、これにつきましていろいろ新聞等にも書いてございますが、これはあくまでもマレーシアのクアラルンプールの空港につきまして政府が出しました、北側からVOR、NDBを使いまして着陸する場合の標準的なやり方のチャートがございます。ここにもございますけれども。それは何も今度のことに限らず、もとから同じようなおり方になっておるわけで、別に急におり方が変わったわけではございません。問題は、数字自体、最低におりることができる高度が従前は七百八十フィートでございましたのを七百五十フィートに変えたわけでございます。これは三十フィート低くなって、これが若干新聞等で指摘されているわけでございますが、これも時間が長くなるので、御質問があればさらにお答えしますけれども、数字自体が変わったので、おり方については別に変わっておりません。これは世界的に権威のあるジェプソンというアメリカのチャートに基づいて、それぞれの国、皆飛んでおるわけですが、そのチャートの中でも、二千フィートから降下をいたしまして七百五十フィートにおりました後は水平飛行することになっております。そして地表面が見えた場合は、そのまま最低高度を維持しながら空港の方に進入を続けまして、適当な降下角で着陸ができる位置に来ましたところで最後の着陸態勢に入るというふうに決まっております。別に、今度のことでおり方が変わったわけではございません。
○寺前委員 そうすると、この新聞、御存じですね。お読みになりましたね。
○森永説明員 はい。
○寺前委員 この新聞では、規程改定以前と以後をちゃんと分類をして、変わったのだということを指摘して、その後で「規程改定後もクアラルンプールへ飛んでいるので、改定を知らなかったとは思えず、規程を無視して突っ込んでいった可能性が強い。」という指摘がずっとしてあるわけですけれども、この事実というのは、いまの御説明では、従来どおり飛んでおるということであって、別に飛び方の問題は変わっていないのだと理解していいわけですね。
○森永説明員 日本航空の正規のコースとして、ここの図に描かれている飛び方については変わっておりません。ここに書いてございます。高さ三百三十メーターと書いてございます。この数字が若干変わったというふうに御理解いただきたいと思います。
○寺前委員 この内容自身はおかしいわけですね。
○森永説明員 この新聞記事でございますか。――いや、後の方のことは、いわゆるこういう飛び方にもかかわらず、まっすぐ――これはわかりません。推定と書いてありますとおり、私どもも、マレーシア政府から一切まだ最終報告がなされておりませんので、仮にこの新聞の記事のような飛び方をしておったとすれば、これは規程に違反してそのまま突っ込んだということになろうかと思います。
○寺前委員 いや、私の言うのは、要するにこういうのをもらいましたけれども、きょうも、おたくの方の人にちょっと説明を聞いたのですよ、NDBのところで、そこで飛行場が見えなんだらぱあっと飛び立つと言わんばかりの絵がここにかいてあるわけですね。ところが、従来、そんな遠いところから見えるはずがない、だから地上が見えたらそのままずっと進入していって、ランプですか、見えるところになったら着地に入っていくのだ、従来もそうだし、いまもわれわれはそうやって飛んでいるのだ。ところが、こういうかき方で言われると、ここでぱあっと上がれということになってくると、そんなものは絶対、見えるような距離と違いますんや、おかしい、こういう説明を日航の関係の部門の人がやっているとするならば、とんでもない話だということを言っているわけですよ。
 ですから、私はこの問題についてきちんとしておかなかったら、何かそういうような説明が通っているとするならば、それじゃそういうことで内部のパイロットを集めてきちんとしなければいけない話だと思うのです。パイロットは、そんなことは全然考えてもいないし、むしろこれを聞いてびっくりしている。こんなことまたあり得ない話だということまで言っているということになると、私はこういう問題はきちんと指導しておかなかったら大変なことになるというふうに思うのです。さきの部長さんのお話では、そのNDBのところで飛行場が見えなかったらぴゅっと上がれというものではないのだ、従来どおり進行していって、気をつけていって、飛行場の進入灯なりなんなりが見えたときに着地に入っていくのだということで、その点は従来と変わらないのだということさえ確認さしていただいたら私はそれでいいのですけれども、ちょっと理解が――こういう説明をもしも当局がしておるとするならば大混乱になると私は思う。だから、そういうことのないように明確に指導をしてもらいたいというのが私のお願いです。
○森永説明員 いま先生のお手持ちのチャートをよくごらんいただきますと、ぴゅっと上がる線以外に点線で水平飛行する線がございます。それの説明がこのページとは別のところに書いてございまして、そこに私が御説明したような、下が見えるような状態であれば水平飛行を続けるというような意味のことが書いてあるわけでございまして、もうNDBのところへ来て飛行場が見えなければすぐ二千四百をアラウンドするということだけが答えではございませんので、改めて申し上げておきたいと思います。
○寺前委員 それじゃ次に、昨日も経済性の問題がここで問題になりましたが、企業体質強化委員会というところでこの経済性の問題について、予備燃料を削減せよという方針が打ち出されている。きょうも何かの新聞に「日本航空の「危険な十一分間」委員長になった長野英麿さん」という人の「人間登場」がけさ出ておりました。ここでも燃料の問題というのが地上におる人の考え方とパイロットの考え方が非常に違うのだということを指摘しています。この予備燃料問題というのは非常に重要な問題であって、今度のクアラルンプールの事件の問題を見ても、約七千ポンドの予備燃料を持っておって、それを含めて一万八千ポンドくらいしか当時なかったと言われている。一体一時間飛ぶのに何ぼ要るのだと聞いてみたら、一万一千ポンドほど要る。あそこでぐるぐる待たされたりしたらまたたく間に三十分くらいかかる。あそこで気象条件が悪いな、今度はシンガポールへ飛ぶというたらシンガポールまで四十分かかるというわけですね。ですから、機長の側にすれば燃料という問題は死活の重要な問題だ。それを経済性の問題で削っていくということを意識的に機長の側に要求していくということになったら、安全性の上から見ても非常に重大な問題だと私は思う。ですから、そういう意味で新しく経済性という問題を機長の課題の中に一つの項として入れられたけれども、ここで予備燃料の削減という問題が出されているということについては再検討すべきではないか。機長の判断でもって予備燃料というのは積むようにさせるということこそ、交通安全の側から言うならば要求すべき内容だと思うのだけれども、これに対する見解をお聞きしたいと思うのです。
○森永説明員 航空機が安全に空に浮かぶためには燃料がなければどうしようもないことはもう言うまでもないことでございます。したがって、機長が、飛び立つ前に、本当にこれから先のフライトが安全にできるかどうかは一番真剣に考えることでございます。したがいまして、まず私どもとしては、航空法の中で、六十三条にございますが、「運輸省令で定める量の燃料を携行しなければ、これを出発させてはならない。」という規定がございまして、その運輸省令の中で、計器飛行方式により飛行しようとする航空機にあっては、最初の着陸予定地までの飛行を終えるまでに要する燃料にプラスしまして、代替の空港――今度の場合ですとクアラルンプールからシンガポールまでの飛行に必要な燃料プラス四十五分間巡航速度で飛ぶことができる燃料を加えた量を積んでいくように規定しているわけでございます。
 具体的に、今度の事故を起こしました飛行機が香港でどれだけの燃料を積んだかと申し上げますと、いわゆる目的地であるクアラルンプールまで着くために必要な四万七百ポンド、それにプラスしまして、シンガポールまで飛ぶための燃料七千二百ポンド、さらに気象条件、風向き等がいろいろ違いまして、そのためのゆとりとして三千ポンド、さらに空中待機、今度も大分やりましたけれども、そのために必要な燃料として五千ポンド、最後に、いろいろな急変した事象に対応できるように、いわゆるエキストラフェールとしまして七千百ポンド、これを合計いたしまして六万三千ポンド、さらに、お客様をお乗せして滑走し始めるまでに消費する、いわゆるダキシングしているときに消費する燃料二千ポンド、合わせまして六万五千ポンドを積んで飛行を開始したわけでございます。したがいまして、決してそういうゆとりがない形で飛んだわけじゃございません。
 さらに、これはディスバッチャーと称しております運航管理者と機長が事前に十分打ち合わせをしまして、やはり機長が、ぼくの腕ではきょうの気象条件ではこれじゃまだまだ心配だ、もっと積めと言えば、そういう指示ができて、それに従って燃料を入れなければ出発できないように航空法に決められておりますので、経済性の御指摘がございましたけれども、こういう安全の問題は経済以前の第一義の問題でございますので、決してそういうようなことはなされていないと思いますし、今回の場合もこういう形で積まれておりますので私は心配ないと思いますが、もしそういうことが、この事故とは別に、一般的に最近企業の中で行われているとすれば、これはやはり問題でございますので、私どもも適正な形に直すように指導したいと思っております。
○寺前委員 時間が刻々と迫りますので次に移りますが、過般、私は当委員会におきましても質問をさせていただきましたが、日本航空のダグラスDC8型の貨物機がアンカレッジで牛の輸送をしていて墜落をするという事件が起こりました。日本航空では自主的にこの飛行をその後中止をしておられますが、そのときに一番問題になったのはペンの強度の問題であった。湿度その他の問題もありますが、私はこの問題について、自主的に日本航空が中止をしているだけではなくして、きちんとした指導を運輸省でも確立される必要があると思うのです。運輸省では、当時、強度については問題がないというようなお話をしておられましたけれども、この点は私は改善すべきだという意見を持つのですが、いまどういう点に到達しておられるのかをお聞きしたいと思います。
○森永説明員 大変不勉強で、私、七月の半ばから現在のポストにおりますので、それ以後、この問題についてまだ十分検討したことがございません。担当の課長から聞きましたところ、先生いま御指摘のとおりの形になっているようでございますが、アメリカのFAAと私どもとが直接確認し合ったわけでもないようでございますので、やはりその辺だけはきちんとけじめをつけて、FAAが本当に間違いないと言ったのであれば、安全委員会の勧告に対するFAAとしての姿勢が私どもとしても公的な機関として確認されたわけでございますので、その段階ではいいと言えると思いますが、いまのところは、どうもそこまで直接私の方で確かめていないようでございまして、まずそれを確かめたい。確かめた上でやはり問題があれば次の段階のことを考えたいと思っております。
 ただ、なお御参考までに申し上げておきますけれども、日本航空以外の、たとえばフライング・タイガー等を初めとする外国の航空会社にあっては、依然として同じものについて輸送は行われております。
○寺前委員 私はここにいまおっしゃったFAAのオーダーを持っているんですよ。これはことしの七月二十五日に出ているオーダーです。私は原文をよう読めませんから、人に全部読んでもらいます。しかしオーダーぐらいは知っています。命令というふうに私たちは中学校時代に読みました。ですから、アメリカの公的機関であるFAAのオーダーの四項のCのところを見ると、そこには基準をぴちっと指摘をしております。「強度は後、左右一・五Gより小さくないこと」というふうに書いてあるわけです。
 当時私が質問したときに、聞いてみると日本航空は、〇・七Gあるから大丈夫だという説明をやっていました。そうすると、当時〇・七で大丈夫だと言っておったのを、アメリカのFAAがオーダーでもって一・五と倍の数字を出してきている。倍の数字を出されているところまでアメリカで論議がされているのに、何で日本が依然としてそのままの姿でいいのじゃないだろうかという態度をとっているかというのが、私には解せないのです。これは七月二十五日にオーダーを出しています。御存じないのでしょうか。御存じだとするならば、何でそれにもかかわらずいつまでもそのことに固執しなければならないか、私のこのオーダーが間違いだったらば別ですが。
○森永説明員 大変お恥ずかしい限りでございますが、いま先生から御指摘いただいたオーダーについて、私ただいままで承知しておりませんでした。どうもいま聞くところによると、課長は知っているようでございますので、そういうことを含めて、先ほどの答弁と重複いたしますが、私として、じっくりこの問題は検討して、皆さんに御安心いただくような答えを出したいと思っております。
○寺前委員 それでは、こういう問題についてけじめをきちんとしていただきたいということを要望して、次に移りたいと思います。
 もう時間がございませんので、警察庁お見えでしょうか。前に、もう何年になるのですか、昭和四十六年ですか、当委員会でも、大型貨物自動車の左折のところの事故というのが非常に問題だということで、死角が生まれてくるからそこに問題が生まれるのだ、構造上も検討する必要があるのではないかということで、決議も上げられておったと思うのです。その後、この分野における事故がそれじゃ改善されたのかどうか、構造上の問題として改善されて、それでなくなってきたのか、一体どういうことにこれが進んだのか、警察庁にお聞きしたいと思います。
○杉原政府委員 お答えいたします。
 いま手元に全国の統計がございませんで、東京都の警視庁の統計がございますが、これによりますと、現実にいまでも非常に問題でございますが、大型貨物自動車の左折時の巻き込みを中心にしました交通事故でございまして、昭和四十六年百二十四件発生したのが、昨年、五十一年には六十六件という形で年々減っておるわけでございます。
 なぜこういうことになったのかということでございますが、先ほど御指摘がございましたように、大変な死角がございます。基本的にはやはり車両の構造の問題を考えなきゃいかぬと思いますが、実際には、ドライバーそのものにこの部分にはこれだけの死角があるということを認識してもらうということが非常に必要であるということで、これを現実に見てもらったり、あるいは運行管理者等を含めて公開実験をやりまして、交差点を左折するときにはこうしてほしいということを集中的にやりました。それから、歩行者とか二輪車が直進と左折時でぶつかりますので、この歩行者、二輪車等につきましても、機会あるごとに安全教育の場面で積極的な措置を講じてまいりました。また、取り締まり等の面につきましても、左折時については積極的な措置を講ずる。なお、これは規制の面から特に左折時、自転車と歩行者と大型の車というものを分ける必要がありますので、横断歩道の設置位置を検討する。それから、交差点での二輪車の通行帯というものをいろいろな形で設けていく。一番典型的な場合には、自転車の横断帯を設けるということでございますが、あるいは道路によりましては、大型車の左折禁止あるいは通行禁止というふうな措置を講じていく。そういうのがかなり大きく減ってきたという原因だと思います。
 ただ、これにつきましては、車の構造の問題がございます。運転席から本当に見えないという問題がございますので、これをどう改善していったらいいのかということで、各県でいまいろいろ知恵を出して、いろいろな構造装置を試験的につけていろいろな実験をやっているというのが現状でございます。
○寺前委員 時間が来たので、非常に残念なんですが、一言だけ最後に運輸省にお願いをしたいのです。
 いま警察庁の方からお読みになった警視庁の資料ですが、昭和四十六年には、自動車全事故の中で死者は二・四%であった。ところが、昭和五十一年は四・一%の死者だ。重傷者は昭和四十六年、国会で問題になったときには〇・五%であった。それが〇・七%である。全体として事故は減ってきているようだけれども、しかし、現実的にはむごたらしい死者や重傷者というのがやはり依然として少しも減っていない、むしろふえてきている。こういう状況のもとにおいて、警察庁の方においても構造そのものも何か考えなければならない、死角がなくなっているというわけじゃないからという御指摘がありました。これについて、運輸省としてどういうような対応を今後とられようとしているのか、そのことだけをお聞きして、きょうは時間がないので終わりたいと思います。
○犬丸(令)政府委員 自動車の視界の改善、特に大型トラック等、大型自動車の視界の改善について、私ども従来いろいろ対策を講じてきたところでございまして、現時点におきましては、左直前及びその近辺の視野の確保につきましては、四十三年及び四十九年の保安基準の改正によりまして、アンダーミラー及びサイドミラーの取りつけを義務づけております。しかしながら、必ずしもこれで十分であるというふうには考えておりませんで、さらに今後これらのアンダーミラー、サイドミラーにつきまして、形状でございますとか鏡の曲率、これらを改善いたしまして、視界の拡大を図ってより見やすいようにしてまいりたいと思っております。
 それから、車体構造そのものの点につきましても、改善できるところは改善を進めてまいりたいと考えておるところでございまして、現時点で考えておりますのは、助手席ドアのウインドーの拡大、このことによって直接視界が改善されるものと考えておりまして、この問題についても前向きに対処してまいる所存でございます。
 さらに、大型トラックは、バスも同様でございますが、全長が非常に長いのでございまして、並行して走っております車、二輪車、自転車もしくは歩行者が左折もしくは右折の方向指示器が非常に見にくいという点がございますので、このため車両の前後についております方向指示器のほかに、車体の中間にも側面に方向指示器を増備させるということによって、左折もしくは右折時の事故防止を図っていくという点についても、検討をして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございますが、これらを通じまして、左側もしくは左側前方に関しますところの事故防止という点に最大の努力を払ってまいりたいと考えております。
○鈴切委員長 次回は、来る十一月二日水曜日午後一時理事会、一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会