第084回国会 内閣委員会 第7号
昭和五十三年三月二日(木曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 始関 伊平君
  理事 小宮山重四郎君 理事 高鳥  修君
   理事 藤尾 正行君 理事 村田敬次郎君
   理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君
   理事 鈴切 康雄君
      逢沢 英雄君    宇野  亨君
      小島 静馬君    関谷 勝嗣君
      玉生 孝久君    塚原 俊平君
      中村 弘海君    福田  一君
      増田甲子七君    木原  実君
      栂野 泰二君    新井 彬之君
      柴田 睦夫君    中川 秀直君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 園田  直君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)     稻村左近四郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        内閣総理大臣官
        房総務審議官  大濱 忠志君
        総理府人事局長 秋富 公正君
        防衛庁長官官房
        防衛審議官   上野 隆史君
        防衛施設庁次長 銅崎 富司君
        外務政務次官  愛野興一郎君
        外務大臣官房長 山崎 敏夫君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
 委員外の出席者
        防衛施設庁施設
        部首席連絡調整
        官       森山  武君
        法務省入国管理
        局入国審査課長 山野 勝由君
        厚生省援護局庶
        務課長     吉江 恵昭君
        水産庁海洋漁業
        部沖合漁業課長 上田 大和君
        海上保安庁警備
        救難部長    久世 勝巳君
        郵政省電波監理
        局周波数課長  森島 展一君
        内閣委員会調査
        室長      長倉 司郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  上田 卓三君     小林  進君
  山花 貞夫君     井上 普方君
  新井 彬之君     林  孝矩君
  柴田 睦夫君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     山花 貞夫君
  小林  進君     上田 卓三君
  林  孝矩君     新井 彬之君
  不破 哲三君     柴田 睦夫君
同月二日
 辞任         補欠選任
  山花 貞夫君     小林  進君
  田川 誠一君     中川 秀直君
同日
 辞任         補欠選任
  小林  進君     山花 貞夫君
  中川 秀直君     田川 誠一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第四四号)
 職員団体等に対する法人格の付与に関する法律
 案(内閣提出第四五号)
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第一〇号)
     ――――◇―――――
○始関委員長 これより会議を開きます。
 岩垂君。
○岩垂委員 議事運営について一言申し上げておきたいと思うのです。
 本日、総理府総務長官から国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案の提案理由の説明をいただくわけでございますけれども、去る予算委員会の分科会において、同和問題に関連をして、総務長官が――――というお言葉を使われたことについて各党間で問題にされていることは御承知のとおりであります。私は、前回の理事会で、きょう趣旨説明を求めることに理事会の結論を得ていますので、この問題の扱いについて実は発言をしようと思いましたけれども、しかし一応そういうルールになっていますものですから、提案理由の説明を受けることにいたしております。しかし、この問題についての、とりわけ担当大臣としての稻村総理府総務長官の御発言、そして同特別措置法に対する総理府の見解などについて、ここで誠意のある長官の答弁を煩わした上でこの説明を受けるかどうかの判断を決めたいと思いますが、その点についての、議事進行に関連をして御提案を申し上げ、御答弁を煩わしたいと思います。
○稻村国務大臣 このたびの発言につきましては、その場で即刻取り消しはいたしましたが、まことに遺憾に存ずるところでございます。
 同和問題については、この問題が憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるとの認識に立ち、対策の推進に努めてまいったところでありますが、同和対策の重要性を改めて痛感し、今後とも同和対策について誠心誠意、一層の努力を重ねてまいる所存でありますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
○岩垂委員 この問題の扱いは各党の国会対策のレベルで当然話し合われる課題だと思いますので、それらの協議といいましょうか話し合いといいましょうか、この扱いに対する善処のあり方についてはそちらに任せることにいたしまして、提案理由の趣旨説明は、したがって受けていきたいと思いますけれども、これは単に一委員会の問題ではなくて国会全体の問題である、こういう認識に立っておりますので、その点を留保しておきたいと思います。
     ――――◇―――――
○始関委員長 国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案及び職員団体等に対する法人格の付与に関する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を求めます。稻村総理府総務長官。
    ―――――――――――――
 国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案
 職員団体等に対する法人格の付与に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○稻村国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 国家公務員及び地方公務員等の労働関係の基本につきましては、政府としてかねて慎重に配意してきたところでありますが、昭和四十八年九月に内閣総理大臣の諮問機関である公務員制度審議会から答申をいただきました。自来、政府としては、この答申の趣旨を実現すべく、検討を進めてきたのでありますが、制度改善を要する事項のうち成案を得たものにつき、このたび国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきその概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、従来、国家公務員法及び地方公務員法におきまして一般の職員と同一の職員団体を組織することのできない管理職員等の範囲についての規定がきわめて簡潔でありますが、これを労働組合法第二条の規定に準じて整備することといたしております。
 第二に、従来、職員団体の登録の取り消しは、直ちにその効力が発生することとなっているのを改め、裁判所へ出訴できる期間内及び訴訟係属中は、効力を生じないものとすることといたしております。
 なお、この法律案は、公布の日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
 次に、ただいま議題となりました職員団体等に対する法人格の付与に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 国家公務員及び地方公務員等の労働関係の基本につきましては、政府としてかねて慎重に配意してきたところでありますが、昭和四十八年九月に内閣総理大臣の諮問機関である公務員制度審議会から答申をいただきました。自来、政府としては、この答申の趣旨を実現すべく、検討を進めてきたのでありますが、制度改善を要する事項のうち、成案を得たものにつきこのたび職員団体等に対する法人格の付与に関する法律案を提出した次第であります。
 すなわち、この法案は、公務員制度審議会の答申におきまして、職員団体の「法人格は、登録制度とは切り離して、付与するもの」とされておりますのを受け、現行国家公務員法または地方公務員法においては、登録を受けた職員団体のみに法人格付与の道が開かれておりますが、これ以外の職員団体等に対しても法人格を付与する制度を創設しようとするものであります。
 次にこの法律案の内容につきその概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律案は、国家公務員、地方公務員を中心とする職員団体等に対し、これらの団体が財産を所有し、維持運用する等その目的達成のための業務運営に資するために法人格を付与することを目的といたしております。
 第二に、この法律案で法人格を付与することのできる職員団体等は、現行国家公務員法または地方公務員法では、法人格が付与されない国家公務員または地方公務員が主体となって組織する非登録職員団体あるいは国家公務員職員団体と地方公務員職員団体との連合団体、さらにこれらの団体に労働組合等が一部混合している団体といたしております。
 第三に、法人格の取得の手続については、職員団体等がその規約につき認証機関の認証を受けて、その主たる事務所の所在地において登記することにより法人となることができることといたしております。
 第四に、認証の手続及び要件等についてであります。
 認証を受けようとする職員団体等は、申請書及び規約を認証機関に提出しなければならないこととし、認証機関は、認証の拒否事由がある場合を除き、規約が所定の要件に該当するときは、当該規約を認証しなければならないことといたしております。
 認証の要件については、規約に名称、目的、業務等所定の事項が記載されていること、規約に規約の変更等の重要事項が民主的な手続によって決定される旨の規定が定められていること、規約に所定の会計報告の規定が定められていることを要するものといたしますほか、認証機関は、規約に法令の規定に違反する事項が記載されているとき、または当該職員団体等が認証を取り消され、その取り消しの効力が生じた日から三年を経過しないものであるときは、認証を拒否しなければならないことといたしております。
 なお、認証機関は、右の認証に関し、当該職員団体等が職員団体等でなくなったときその他認証の要件に適合しなくなったときには当該認証を取り消すことができることといたしております。
 第五に、認証機関は、職員団体等の区分に応じ、人事院、最高裁判所、人事委員会または公平委員会といたしております。
 その他、民法及び非訟事件手続法の準用等所要の規定を設けております。
 なお、この法律案は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○始関委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○始関委員長 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
○上原委員 最初に、法案について若干お尋ねをしたいと思います。
 もうすでに受田先生なりほかの委員の御質問にもございましたけれども、最近伝えられるところによりますと、在外公館に勤務をする職員いわゆる公館の中に、単身赴任が非常にふえているということが報道されております。いろいろ事情があってのことだと思うのですが、せっかく海外で日本国を代表して駐在国である相手国と友好親善を深める、あるいはその他の国際関係を緊密化していく上で、ある意味では非常に重要な職責を果たさなければいけない在外公館の皆さんが単身赴任を余儀なくされているということは、ある面では非常に問題だと思いますし、職務上も著しいといいますか大きな不便あるいは支障を来たすこともあり得ると考えられるわけです。
 そこで、どういう理由で最近特に単身赴任者がふえる傾向にあるのか、大体想像はできるわけですが、その実情なり実態というものを明らかにしていただきたいし、同時にまた、このような傾向を改善をしていくために外務省としてはどのような対策をお持ちなのか、その点もお考えがあれば御説明をちょうだいしておきたいと思います。
○山崎政府委員 お答え申し上げます。
 在外職員の単身赴任の実態でございますが、本年二月一日現在で在外にあります職員の実数は千五百三十三名、そのうち既婚者、配偶者がある者は千二百九十名でございます。さらにそのうちの単身赴任者は百六十五名でございまして、家族同伴者は千百二十五名となっております。したがいまして、比率といたしましては一対九でございます。十名のうち一名が単身赴任をいたしておる計算でございます。
 家族がありながら単身で赴任する理由につきましては、これはいろいろな理由がございますけれども、一番大きな理由は何といっても子女の教育問題、続いて勤務地の医療事情等で家族の健康状態の関係から連れていけないというふうなことが最も多いようでございます。しかしながら、在外職員というものはやはり公私各面で家族を同伴の上活動することが外務省としても最も望ましいと考えておりますので、われわれといたしましては在外におきます勤務条件の改善、海外の子女教育体制の整備等について、関係当局とも協議しながらできるだけの措置をとってまいりましたし、今後もとっていきたいと考えております。ことに教育問題に関しましては、海外において日本人学校、これは全日制と補習校と両方ございますが、これの充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、それでもやむを得ず単身赴任する者につきましては、休暇帰国あるいは子女の一時呼び寄せ等の方法によりまして、一定期間家族とともに過ごし得るような制度がございますが、この点についても今後十分配慮してまいりたいと考えております。休暇帰国と申しますのは、健康地の場合には三年に一回、不健康地の場合には一年に一回とることができます。また、子女の一時呼び寄せは、原則として一年に一回行い得るようになっております。
○上原委員 いまお答えがあったような事情が多分原因だと思ったのですが、確かに子弟の教育問題あるいは赴任先の医療環境、生活環境の問題などがあって、なかなか家族同伴で赴任できないという事情があろうかと思うのですが、いまもお答えありましたように、やはり原則的には家族と一緒に勤務先に就任をするということでなければいけないと思うのですね。
 そこで、いろいろ改善策もお考えのようではあるのですが、私は、先進国と発展途上国に新たに在外公館が設置をされていく場合の職員の勤務状況というか、その条件整備については、余りにも差があり過ぎるのじゃないかという感じを持つわけなのです。従来から、大使館なり総領事館が設置をされて、先進国の場合はむしろ赴任をしたいという希望者が確かに多いと思うのですが、発展途上国なり、まだまだいまおっしゃったような生活環境整備ができていないで、どうしても在外公館を設置をしなければいけないという場合には、なかなか人材も得にくい状況にあるのじゃないかと思うのですね。したがって、せんだってのお話もございましたが、そういう発展途上国なり生活環境整備が、まだまだ在外公館に赴任をさせる面で若干支障があるというようなところについては、いま少し人事の面においても、あるいは待遇、労働条件、勤務条件の面においても、私はこの際、配慮をする必要があると思うのです。したがって、細かいことは、きょうは申し上げませんが、そういうところはぜひ外務省としても十分御検討をいただいて、このような職員の悩みというものが解決されるように特段の御配慮を要望しておきたいのですが、この件について大臣の方から一言御回答を賜っておきたいと思います。
○山崎政府委員 大臣から御答弁いただきます前に、ちょっと私から申し上げさしていただきたいと思います。
 最初に、私、先ほど御説明いたしました場合に、不健康地からの休暇帰国について一年に一回と申し上げたかと思いますが、これは誤りでございまして、一年半に一回の原則になっております。
 それから、ただいま仰せのございました点は、まことにそのとおりでございまして、近年わが国の外交活動が非常に拡大いたしまして、それに伴って勤務環境の厳しい位置に開設される在外公館の数が非常に増大いたしております。したがって、これらの公館に勤務する職員の勤務条件の整備というものは非常に大きな課題となっておりまして、われわれはこの問題を最重点事項として取り組んでおる次第でございます。そこで、われわれは、具体的には、こういう勤務環境の厳しい地に存在いたします在外公館の職員のために簡易宿舎を建設したり、あるいは購入したり、あるいは借り上げたり、場合によっては家具の購入についても配慮したり、さらに健康管理及び福利厚生施設の実施等を重点的に行っております。健康管理の面では、主要なところに医務官を配置しております。また、人事面では、不健康地に勤務する者については、その在勤期間を一年半ないし二年にするということを原則にいたしております。さらに、給与の面におきましてもそういう奨励度というものを考えまして、特別の配慮を行っておる次第でございます。
 外務省といたしましては、御趣旨を体しまして、今後とも在外職員の勤務条件の整備にはさらに重点を置いて配慮していきたいと考えております。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、近年、外交の重要地点、情報収集の拠点が逐次移り変わってきております。なおまた、開発途上国、アフリカ、そういう方面が外交の重要点に逐次なってきていることは御意見のとおりでございまして、外務省としては、だんだん外交官の諸君が、先進国ではなくて、そういう国々に進んで行くという機運も出てきておる折でありますから、せっかくその住居の設備あるいは公館の施設、待遇あるいは子女の教育、そういう問題については十分配慮しつつ、そのような趨勢がますます拡大されるように努力することが大臣の責任であると考え、御理解と御協力をお願いし、私も誠意を持って努力をする覚悟でございます。
○上原委員 私がこのことを申し上げたのは、あくまでも国民を代表する立場での在外公館活動をやらなければいかぬということですから、何も特定の団体なり特定の人だけを対象にする勤務であってはならぬということも念を押しておきたいと思いますので、篤と御努力をいただきたいと思います。
 そこで、私はきょう、盛りだくさんのことを、せっかく外務大臣のお時間があるようでございますので、お尋ねしたいわけですが、どうも分科会との関係もあって、防衛庁関係の方が御出席できないようで、その点ちょっと不満なのですが、やってみて、どうするかは決めていきたいと思うのです。
 そこで、最初に、日米首脳会談について少しばかりお尋ねをしておきたいと思います。すでに報道されておりますように、五月三日、ワシントンで福田・カーター首脳会談が開催される運びになったようであります。私は、せんだっての予算委員会でも少しお尋ねをしたのですが、どうもアメリカ側が渋るのを、再三日本側が申し入れて五月上旬に持っていったということに対して、いささかひっかかりも感じないわけでもありませんが、その点は抜きにして、現段階で日米首脳会談で討議をされる事項はどういうことが予想されておるのか、ぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
○園田国務大臣 五月三日に大統領と総理の会談が行われることはほぼ決定したわけでありますが、なお、議題その他については今後両方から話し合うことになっておりまして、日本の方でも総理を中心にいろいろ御相談をするわけで、まだ決めておりませんが、大体世界経済問題及び国際情勢等で二国間に共通の関心のあるものを議題とするということで、その方向で今後総理の方で検討し、まとめられるものと思いますが、いまのところは大体その程度でございます。
○上原委員 一般論として言えば、確かにそうだと思うのですね。いま通商問題が非常に両国間の経済、政治課題になっているわけですから。そうしますと、二国間に共通の関心ある事項というのは、これまたきわめて当然のことでありまして、その共通の関心のある事項が何かを国民は知りたがっているわけですね。
 そこで、私の方から、では少しお尋ねをいたしますが、いまの経済問題とあわせて、現在、後ほどの私のお尋ねとも関連をしますが、防衛問題なりアジア情勢、韓国からの地上軍の撤退問題等と関連をさせて非常に日米間で防衛問題が話題になっていることは御案内のとおりであります。恐らくアジアにおける日本の政治、経済面での指導力発揮ということで米側は求めてくるでありましょう。その中には、当然日本の自衛力の向上というもの、能力の向上というもの、よく言われている対潜能力あるいは空軍能力、空の防衛能力の向上、拡大というようなこと、あわせて在韓米地上軍撤退問題なども、要するに東北アジアの安全保障の問題についても私は主要な議題になると思うのですね。見方によっては経済問題よりもこのことが主になるのじゃないかという見方さえもあるわけですが、ここいらの点は一体外務省としてはどうお考えなのか、もう少しお考えを明らかにしておいていただかないとならないいまの政治、経済環境でありますので、そういう面もぜひもう少しつまびらかにしておいていただきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、現段階では私からはその程度でございまして今後総理がいろいろ判断をし、総理を中心に御相談して、議題を具体的に決めていきますので、いまの段階では私はその程度しか御答弁はできません。ただし、いまおっしゃいましたような防衛問題あるいは韓国地上軍撤退の問題等は余り議題にならぬのではないかと想像をいたします。
○上原委員 それでは、いつごろまでに議題は煮詰まるのですか。
○園田国務大臣 なるべく早く準備をされるでありましょうけれども、私はちょっと見当つきません。
○上原委員 日米首脳会談には外務大臣は御一緒しませんか。
○園田国務大臣 総理からはまだ御下命はありませんが、慣例でもあります。当然お供することになると思います。
○上原委員 そこで、この日米首脳会談と関連をするわけですが、せんだってから本委員会なり予算委員会でもいろいろ問題になっております例の日中条約の問題であります。
 一説には、外務大臣、非常に熱意を持って機が熟したという御判断で、総理の決断を仰いで今月中にも訪中をなさるというようなことも、これまで御自身の御答弁の中にもそのように受け取れる御発言がありましたし、また報道もなされてきたのも御案内のとおりであります。しかし、きわめて残念ながら日米首脳会談が開かれるまでは外相の訪中もあるいは条約締結の前進もあり得ないのではないかという見方もあることは、これまた否定できない事実だと思うのですね。そこいらは一体どうなのか。この際、端的にお尋ねいたしますが、首脳会談前に日中条約については決着がつくのか。あるいは外相訪中は可能なのかどうか。この点、もう少し明確にお答えをいただいておきたいと思います。
○園田国務大臣 私の訪中がいつになるか、あるいは締結、決着がいつになるのか、これはこれから日本と中国の間でやることでございますから、これはいつと申し上げるわけにまいりませんけれども、少なくとも日米首脳者会談があった後でなければこれが進められないとか、あるいはその後でなければ決着がつかないということは全然ございません。日米首脳者会談とは別個の問題で、日本と中国の相談でこれは進める問題でございます。
○上原委員 その点は少し明確になりましたので、それと日中条約との関連でいま一つお尋ねをしておきたいのですが、これはいろいろな見方がありますが、当然ソ連の日中条約問題に対する反応というのは予想されるわけですね。現にいろいろな形で起きてきている。一方的な善隣友好条約の発表問題等を含めていささか問題含みなんですが、日中条約交渉を再開をし、その締結をする前提で見通しが立ったという段階においては、政府としてはソ連側に日中問題での理解や協力あるいは説明をする前に特使の派遣なり何らかの方法を考えておられるのかどうか。そういうことは、私は速やかに日中条約は締結をさるべきだという前提でお尋ねをしてきたわけですが、同時に北方領土の問題なりあるいは北方漁民の方々のいろいろな不安等を解消していくためには、ソ連との友好親善関係というのも当然考えなければいけない外交重要課題であります。そういう面もお考えになっておるのかどうかという点だけお尋ねをしておきたいと思います。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、日本の外交の基本方針は、ソ連とも善隣友好関係を進めていくということは当然であります。したがいまして、現下の現実の状況から、日本と中国の友好条約を締結した後は、ソ連に対しても相手の態度にかかわらず、こちらは善隣友好の実を上げるために、あるいはその条約締結の真意を理解するためにいろいろな方法を講ずることは当然だと思っております。しかし、条約交渉の途中で締結に入る前によその国に相談をしたり、よその国の意見を聞いたりすることはなかなか実質上としてはできない、こう考えております。
○上原委員 いろいろ困難な環境下での対中あるいは対ソの外交でしょうが、ぜひひとつ主体性を持って日中条約の早期締結に一段の御努力を賜りたいと思いますので、その点御要望申し上げておきます。
 そこで、きょうは時間の関係もあって、本来ですと米韓合同演習の問題とか、ブラウン国防長官のせんだっての発言問題から入りたかったのですが、午前中の日程の都合もありますので、最初に、日米合同委員会のあり方についてお尋ねをしてみたいと思うのです。
 御承知のように、安保条約に基づく地位協定によって日米合同委員会が設置をされているわけですが、この日米合同委員会で取り決められる事項については、残念ながら一切国民の前に明らかにされないいきさつがあるわけですね。そこで、なぜこの日米合同委員会で取り決められることが明らかにされないで今日まで来ているのか。もちろん部分的には要約した形で、国会なりに資料提出という経緯はございますけれども、実際にその委員会で取り決められた諸事項というものは、ほとんど秘密扱いにされてきている。これが今日、沖繩基地なりあるいは在日米軍基地全体をめぐって大きな疑惑の的になっているのも御案内のとおりであります。
 そこで、その理由は一体何なのか。また、この日米合同委員会で取り決められた外交案件というか、日米間の取り決め事項というのは、法的にはどういう拘束なりどういう取り扱いになっているのか、そこいらの点からひとつ御説明いただきたいと思います。
○中島政府委員 お答え申し上げます。
 まず第一点の、合同委員会の関係文書の不公表の点でございますが、この点は、従来たびたび御説明申し上げましたように、この合同委員会発足の当初より、合同委員会の関係の文書は不公表扱いをするということで米側と合意されまして、そういう運用がされてきているわけでございます。
 ただし、先生もいま御指摘のように、その合同委員会の関係文書のうち、国民の生活と密接な関係があるようなものは、その都度必要に応じまして、米側の了解をも得た上で、その要点を公表してきておるわけでございます。ことに、ただいまもちょっとお触れになりました、施設、区域の提供に係るものにつきましては、提供の合意が成立いたす都度、官報をもって告示をいたしておるという関係でございます。
 第二点の、合同委員会の合意がいかなる法的な地位にあるものかという点につきましては、これも事改めて御説明申し上げるまでもなく、合同委員会というのは、日米安全保障条約に基づきますところの米軍の地位に関する協定の実施機関でございます。したがいまして、安保条約、地位協定の運用、ことに地位協定の運用についての細かな細目を取り決めていく、こういう関係に立つかというふうに考えております。
○上原委員 ですから、その安保条約、地位協定を運用していくための実務取り決めであるということは私も理解できないわけではないのですね。それが法的にはどういう役割りを果たしているというのか、その説明を求めたいわけです。
 それと皆さんが、アメリカでもよろしいあるいは外国と、いわゆる外交文書としていろいろ取り決めをなさると思うのですね。その内容にはどういう種類、カテゴリーがあるのか、それもあわせてこの際説明をしておいていただきたいと思います。
○大森政府委員 合同委員会の文書につきましての法的性格という点のお尋ねにつきましてお答え申し上げます。
 先ほどアメリカ局長から説明がございましたように、この合同委員会は、地位協定の二十五条に規定されておりますように、地位協定の実施に関しまして相互間の協議を必要とする事項に関する行政府間の協議機関として設けられたものでございます。
 そこで、この合同委員会において協議の結果、両政府の間に見解の一致を見た事項、いわゆる合意事項でございますけれども、これは通常、両政府による協定実施上の細則を定めるものでございますが、このような細則は、当然地位協定の枠内のものであり、これは特に地位協定の規定の内容を変更するとかそういったようなものは含まないわけでございます。
 なお、合同委員会が、提供する施設、区域の決定その他、協定実施の具体的な細目につきましての両政府間の合意を行うという点につきましては、この合同委員会自体として独立してこのような決定を行うものではなくて、委員会が定期的に開催されているという点、また任務上、協定実施上の問題を取り扱うに適した機関であるということにかんがみまして、このような政府間の合意を、いわば委員会の場をかりて行っているということでございまして、その際、双方の代表は行政府の代表者として行動するということでございます。
○上原委員 外交文書とはどういうものですか。
○大森政府委員 外交文書とはどういうものかというお尋ねでございますが、特に厳密な定義づけがあるわけではございませんが、非常に広範に、たとえば二国間において申し上げれば、そこで取り交わされます協定、取り決めのたぐい、あるいは交換される文書等が、すべて網羅的に、外交関係を処理するという意味で外交文書というとらえ方がされていると思います。
○上原委員 まず前段から参りたいと思うのですが、合同委員会で取り決められる事項というのは地位協定の枠内のものである。要するに細則ということですね。そうすると、地位協定は協定して条文化され、公表されている。その枠内のものの取り決めであるならば、別段ひた隠しに隠す必要はないわけですね。細則であるならなおのこと、政令にしても省令にしても、細則というのはみんな公開されている。矛盾するんじゃありませんか。明らかに地位協定なり安保条約の大枠で決められていない範囲に及んでこの合同委員会ではいろいろなことが討議され、取り決められているがゆえに、秘密扱いにしているとしか見られないわけですね。その点どう御説明なさるのですか。それと、確かに外交文書というのは、いまおっしゃるように一般論で言えば漠然として、そういうことでしょう。まず条約があるでしょう。条約だって外交文書に値すると私は思う。条約あるいは協定、その次は何が大体考えられるのですか。合意議事録というのはどういう取り扱いをしているのか。了解覚書というのは一体どういう性格のものなのか。条約はやはり国会の承認を得なければいけませんよね。協定だって、性質のいかんによっては国会の承認を求めなければいけない。沖繩返還協定しかり。しかし、その後の合意議事録とかあるいは了解覚書的なものは合同委員会なり単なる事務レベルで取り決められてきたのが今日までのいきさつではありませんか。そこに大きな疑惑がいま持たれているわけですよ。
 そこで、いま私が申し上げたことに対してもお答えをいただきたいのですが、この外交文書、いま私が申し上げた協定あるいは合意議事録、了解覚書等々を含めて沖繩返還の段階においては一体何点ぐらいの外交文書があったのか、この点もこの際改めて明らかにしておいていただきたいと思います。
○中島政府委員 お答え申し上げます。
 まず第一点の合同委員会の文書の関係でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、地位協定の実施に関して両政府間で協議する機関が合同委員会でございます。その協議の具体的な内容、具体的なやりとり、それから場合によれば協議の結果というようなものが合同委員会の関係文書として出てくるわけでございます。先ほども条約局長からお答えいたしましたように、これらの文書は、その親の協定である、本来の根拠の協定であるところの地位協定の枠を越えることは決してないということで、その枠の中で現実に地位協定の運用に関しましてその協議の結果をいろいろ記録していく、こういう形になるわけでございまして、その中にはもちろん行政各部がいろいろ米側と地位協定の実施についてよっていくべき準則とか行動の基準とか細目とかそういうこともあるだろうと思います。いずれにせよ、先ほど来申し上げておりますように、国民の生活に直接関係のあるようなものはこれを外に公示して、国民の各位にお知らせすべきであるということで、まず第一に官報をもって施設、区域に関する合意は告示をいたしておりますし、それ以外のものにつきましても、そのような性質のものについてはその都度必要に応じ米側と了解をとった上でその要点を公表しておる、こういう関係に立つわけでございます。
 第二点の沖繩返還に関していかなる外交文書がつくられたかどいう点、とっさの御質問でございますので、果たして私が全部を網羅できますかどうか多少の懸念を持ちますけれども、先生もよく御承知の沖繩返還協定署名の当時の関係の資料ということで、当時つくられましたものをとりあえず読みますと、まず第一に沖繩返還協定及び関連文書ということで、その第一は琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、それからそれの合意された議事録、それからヴォイス・オヴ・アメリカ中継局の運営の継続に関する交換公文、海没地の問題の解決に関する交換公文、それからいまのようなもの以外の文書がまた幾つかできております。
 これらはいずれも先生御承知のものでございますが、挙げますと、まず第一に、琉球諸島及び大東諸島における施設及び区域に関する了解覚書というのがございます。当時のその施設、区域を、アメリカ側が使っていた基地を整理いたしまして、この取り扱いを了解したものがこの了解覚書でございます。それから第二番目に、沖繩の施政権の日本国への返還後の日米民間航空運送業務に関する了解覚書というのがございます。それから復帰後の沖繩における外国人及び外国企業の取扱いに関する愛知外務大臣発マイヤー駐日アメリカ合衆国大使あて書簡というものがございます。これらが返還協定と同時に署名ないし行われた外交文書でございます。
 それ以外に、私の記憶にして間違いなければ、当時、その安保条約、地位協定は沖繩にそのまま適用するということで、本土の施設、区域に関しましてありましたところの合同委員会のもろもろの合意は、沖繩の返還に伴いましてわが国の安保条約、地位協定の適用地域が広がるということで、それらが沖繩地域にも適用せられるということが了解せられたと記憶いたしております。
○上原委員 そうしますと、せんだって沖特でお尋ねしたときに、沖繩返還に当たっての施設、区域は当初八十七で、現段階では三十六が一応整理縮小、返還されて、五十一施設になっている。その個々の施設、区域について取り決めをなさっているということを御答弁ありましたよね。その取り決めをした一連の基地使用条件というか内容というのはどういうふうになるのですか。これは外交文書ではない、ただ合同委員会で決定をした――何になるのですか。
○中島政府委員 日米地位協定に基づきまして米軍の使用に供するところの施設、区域の具体的な態様を取り決めたものでございまして、日米間で合意せられたものという意味では、広い意味で外交文書の一つというふうにお考えいただいても差し支えはないのであろうと思います。ただ、いずれにしろ、その内容は、地位協定という日米間の協定の実施のために具体的な施設を提供し、その施設を、どこであるか、どういう名前であるか、いかなる使用条件であるか、そういうような細目について特定したもの、こういうことでございます。
○上原委員 では、日米合同委員会で今日まで取り決められたその種の取り決め、合意事項というのは何件ぐらいあるのですか。
○中島政府委員 私どもの承知いたしております限り、施設、区域の提供に関するものは、行政協定時代のものも含めて大体二千百件余りということでございます。沖繩につきましては、ただいま先生もお触れになりましたけれども、返還当初に八十七件ありまして、そのうち返還になったものがあって、そのうちの五十一件が依然として有効であって、ただ、その後一部返還、共同使用等についての合意がありますので、それらを全部合わせますと、沖繩関係で施設、区域の方の関係が約二百件というふうに承知いたしております。
○上原委員 ますますこれは奇々怪々ですね。二百件。二千百件は全部有効ですか。
○銅崎政府委員 先ほど答弁がありましたように、二千百件という膨大な数でございますので、いますぐにそれが全部有効であるかどうかということをお答えできないわけですが、返還になったものもございますので、返還になったものについてはすでに有効でないということは言えると思いますが、一応検討してみませんと、いま直ちにはお答えできないわけでございます。
○上原委員 恐らくそうでしょう。それはどんなに頭のいい外務省や施設庁の皆さんだって、二千百件もあれば、そう簡単にそれは有効ですとか言えない。しかし、それだけの取り決めをしているということだけでも驚くべき数字になっているわけですね、安保条約、地位協定ができてから二十数年たっていますから、そうなるとは思うのですが。
 そうしますと、沖繩の二百件というのは、いま施設、区域に関するだけで二百件あるという御答弁でしたね。現に施設、区域として提供されているのは五十一施設、区域、あとの百四十九はどういう関係を取り決めた内容になっているわけですか。
○銅崎政府委員 その他のものにつきましては、たとえばパイプラインの下に下水溝をつくるとかいうような共同使用、あるいは一部返還あるいは追加提供というようなものがございますので、施設そのものといいますか、それに関連しまして共同使用したりあるいは一部返還になったりというようなものにつましても、一々日米間で協議して合意するわけでございます。
○上原委員 どうもここで何で銅崎さんが御答弁するかちょっとわからないのですが、そういうのは外務省のことじゃないでしょうかね。
 それじゃさらに具体的にお尋ねしていきますが、せんだって、問題というよりも一つ明らかになっているのは、キャンプ・シュワブの場合は、この了解覚書というのは八六九号と言っていましたよね。そこでこれは、全国の基地に一応そういう取り決めはされているのかということが一つ。その前に、先ほどアメリカ局長の御答弁によりますと、国民生活と密接な関係のある事項については、その内容について公表しているのだ、あるいは官報で告示している。官報で告示していると言ったって、あんなことでは内容はわからないわけですよね。全国の基地、たとえば青森の三沢、東京で言うと横田など、あるいは横須賀、岩国、厚木基地、ここいらの了解覚書、いわゆる日米合同委員会で取り決められている使用条件なりそういうのはどうなっているのか。まずその点を含めて御説明をいただきたいし、本来合同委員会で取り決められたものは秘密扱いにする性格のものでないと私は判断するのですね、いまさっきのあなたの御答弁からしても。その点ぜひ明確にお答えください。
○中島政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、合同委員会の関係文書につきましては、その発足の当初よりこれは不公表扱いをするということで運用がなされております。ただし、先ほど来も申し上げましたように、国民の生活と関係の深いようなものについては、その都度必要に応じまして米側の了解を取りつけて公表するようにしておるということを申し上げた次第でございます。
 具体的な施設の点につきましては、施設庁の方からお答えをいただきたいと思っております。
○銅崎政府委員 全国の基地につきまして取り決めがなされておりますが、御質問が、たとえば演習場とか射爆撃場とかいう、特に周辺に被害の及ぶような施設の運用その他について、そういうものについての取り決めが全国の基地であるかといいますと、住宅とか通信所とか一応使用の実態について詳細な取り決めがなくてもわかるようなものにつきましては、簡単なものでございます。それから官報に告示しておりますのは、施設、区域に関する取り決めのうちで主な事項でございまして、たとえば施設の番号とか施設名、どこにあるかという所在地、国有地か民有地かというような所有関係、それから土地か水域かというような種類、使用目的、それに漁業や船舶の航行に重大な影響があります水域につきましては、用途制限の内容につきましての使用条件、これを官報に告示してあるわけでございます。それから厚木飛行場につきましては、使用条件といいますか、これはまた別な意味で大変音がうるそうございますので、騒音の関係の取り決めは騒音分科委員会の方でやるわけでございますが、騒音を主にした騒音防止ということで、取り決めがなされておるわけでございます。
○上原委員 先ほどから、当初から日米間で非公表扱いするようになっているので、官報に告示をした以外は公表できかねるという趣旨のことを繰り返しておるのですが、それでは納得できないわけですよ。
 そこで、これは外務大臣もぜひお聞き取りをいただきたいわけですが、これだけのことを基地の運用としてあるいは提供施設、米軍の基地使用条件として取り決めておきながら、国民にその内容を明らかにしないとは一体何事ですか。これでは納得いきませんよ。
 そこでせんだっても外務省は防衛施設庁とも協議の上、必要な部分については明らかにすることができるかどうか検討をするということでしたが、それはどういうふうに検討を進めているかをまず明らかにしていただきたいし、しかもこの地位協定にかかわる主要事項は、安保国会のときに、昭和三十五年に一応資料として国会に提出をされてはいるわけですね。三十五年三月二十五日、衆議院の安保特別委員会に提出した資料が確かにあります。しかし、これも全文ではない。項目だけを羅列している。さらに、昭和四十二年七月十四日、参議院の予算委員会に若干の資料が提出をされております。これ以外はほとんど皆無に等しい。また私はなぜこの問題を改めて取り上げているかといいますと、安保国会のときにも地位協定の問題についてはほとんど議論されていない。この合同委員会の性格なり、やっていることがいかに重大な事項を含んでいるかということを、現在の基地の動きなどを見た場合に改めて考えざるを得ない。国民には全然わからない、わからないどころか施設、区域、基地を抱えているその市町村や県なりも全くつんぼさじきにされた形で、このまま基地の運用が日米間で秘密裏になされるということは、いかに平和と安全とかなんとかたてまえ論で言ってみたって言語道断、これでは納得できません。こういうことをするから基地に対する問題や安保に対する考え方というものが対立を深める結果にもなってきたと私は思う。よって、この際、この二千件もあるという、あるいは沖繩関係では二百件もあるということ、また先ほど言いましたように三十五年と四十二年にしか公表されていない、しかもその過程において沖繩返還という、安保問題を含めて重要な基地問題の変化があったわけですね、そうであるならば、現段階において合同委員会で取り決められた諸事項について整理をして、改めて国会に資料を提起をして、その内容が十分につまびらかにされるような方途を政府は講ずるべきだと思う。この点についてぜひ大臣の方から――これはこのまま伏せておくわけにはまいりませんよ。またそんなに秘密扱いしなければいけないものなのか。公にされたら困るから、何か後ろめたさがあるから皆さんは明らかにしないわけでしょう。勘ぐればそうなる。もしそうでないと言う、あるいはいまさっき言うように地位協定の範囲内でしか取り決めてないと言うなら、なぜ堂々と出しませんか。それを出したら都合が悪いことがたくさん書いてあるから隠してあるわけです。そういう誤解だというのがあれば、この際明確に整理をして資料として明らかにするということが私は政府のとるべき処置だと思うし、そのぐらいの誠意がないと安保問題や防衛問題、基地問題、これは議論はかみ合いませんよ。これはだれが聞いても筋だと私は思うのですが、この点についてぜひ大臣の決断と誠意ある態度をお願いしたいわけですが、いかがでしょう。
○銅崎政府委員 先に現在の状況を申し上げます。
 ただいま施設庁の方でどういうふうに取り扱うか検討しております。これを早急にやりまして、外務省の方と十分協議したいと考えております。
○中島政府委員 先生の御指摘の点、合同委員会の合意の国会提出につきましては、私どもの記録では昭和三十五年三月二十五日に衆議院、参議院の安保特別委員会にその概要を御提出いたしたのと、その後昭和三十七年四月二十八日、昭和四十二年七月十四日、昭和四十四年二月十七日ということで、その後の合意の要旨を御報告したことがございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘の沖繩におきますところの施設、区域に関する提供の合意につきましては、ただいま施設庁の方でその合意の要点をお示しできるように作業をしていただいているというふうに理解いたしておりまして、私どももその作業が完成次第、アメリカ側と了解をとってこれを御提出するように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○上原委員 大臣がお答えになる前に、いまの点と関連をして具体的にもう少し資料要求をしておきたいと思います。
 さっき申し上げた青森三沢基地の取り決めですね、それから横田、厚木、横須賀、岩国。そうしてこれに加えて沖繩の場合、FACナンバーでいきますからね。六〇〇一北部訓練場、六〇〇五伊江島補助飛行場、六〇〇六八重岳通信所、六〇〇七慶佐次通信所、六〇〇九キャンプ・シュワブ、六〇一〇辺野古弾薬庫、六〇一一キャンプ・ハンセン、六〇二二嘉手納弾薬庫地区、六〇二六楚辺通信所、六〇二九キャンプ・コートニー、六〇三二キャンプ・シールズ、六〇三六トリイ通信施設、六〇三七嘉手納飛行場、六〇四四キャンプ瑞慶覧、六〇四八ホワイト・ビーチ地区、六〇五一普天間飛行場、六〇五六牧港補給地区、六〇六六那覇空軍・海軍補助施設、六〇七八出砂島射爆撃場、六〇八四黄尾嶼射爆撃場、六〇八五赤尾嶼射爆撃場、六〇八八沖大東島射爆撃場、以上申し上げたこの訓練場あるいは施設、区域についてどういう取り決めがなされているのか、どういう使用条件になっておるのか。これはFACナンバー、いま申し上げたように書いてある。しかし、キャンプ・シュワブの場合は、八六九というようにまた別の取り決めがある。この一連の番号とその使用条件等を明らかにしていただきたいと思います。――さっき申し上げた本土の五つの基地、これはよろしいですね。
○銅崎政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、いまお示しになりました施設を含めまして現在検討いたしておりますので、早急に外務省の方と協議をいたしまして、御提出できるように努力したいと思います。
○上原委員 午前中の時間のようですから、最後に、まとめて外務大臣の方から御答弁をいただきたいのですが、いま申し上げましたように、またいろいろやりとりをお聞きになっておわかりのように、安保条約ができて地位協定に関連する諸取り決めというのが何と二千百件もある。沖繩関係の場合に、復帰後六カ年近くの間に二百件の取り決めがなされている。それは先ほどから申し上げておりますように、断片的にはわかっても、その全貌は全く極秘にされているわけですね。これでは幾ら安保条約や地位協定、基地問題に対して理解と協力をしてくれと言われてみたって、大臣、しょせん無理な話ですよ。こういうやり方というものは改めなければいけないのですね。そういう意味でこの際、この地位協定に基づく日米合同委員会で取り決められた諸事項については速やかに整理をさせていただいて、その内容をできるだけ公表するように、資料として提出をしていただきたい。その点よろしいですね、大臣。
○園田国務大臣 安保体制、基地問題、これについての根本的な考え方は、上原委員とわが方とは全く違っております。しかし、少なくとも、いま発言された中で、基地問題その他について、国民の合意と協力がなければ、われわれが考えておる日米の協力ができないわけでありますから、そういう観点から、今後、合同委員会でやられた合意事項というものは、向こうの了解を得て、国民生活に密接なる関係のあるもの、あるいは特に秘密にする必要がないもの等はなるべく公表するようにする方針で努力をしたいと考えております。
 資料の提供については、いま事務当局からお答えしたとおりでございます。
○上原委員 これは委員長にも御要望申し上げておきますが、私は、残念ながらいまの御答弁では十分納得はできませんが、少なくとも、これだけ膨大な取り決めをやっているにもかかわらず、その提供している地主もわからない、市町村もわからない、県もわからない。アメリカ側はわかっている、政府の一部はわかっている。
 何も私は、アメリカ側の了解が得られないということではないと思うのです。たとえば、今回のキャンプ・ハンセンやシュワブの場合なんか、相手の現地の司令官は何を言っているかというと、あなた方はその程度も知っていないのかということを言っているのですね、県の首脳に。こういう取り決めがあるからこうなっているんだ、ハリアの訓練にしたって、その他の実弾射撃にしたって、この取り決めに基づいてわれわれはやっているということを、向こうが、アメリカさんが公然と言っているわけですよ。どうして日本政府からそういう資料をもらえませんかということを、逆に向こうから指摘をされている、反問されている。これでは政治も行政もへったくれもないですよ。
 したがって、これだけ膨大なものがあるということについては、一応大臣のおっしゃることですから、信用もしないわけにはまいりませんが、おっしゃった以上は、誠意を持ってこの実態というものを明らかにしていただきたいし、同時に、これは当委員会にとっても重要な事項でありますので、委員長の方でも、この取り決めの内容について明らかにさせるように、特段の御努力をいただきたいと思います。改めて大臣の決意のほどを伺うと同時に、委員長のお考えを聞いて、午前中は終えたいと思います。
○園田国務大臣 過去の二千数百件の資料をそのまま提供することは、物理的にもこれはなかなか大変であることは上原委員も御承知のとおりであります。したがいまして、その中の資料の提供については、いま防衛庁の方からお答えしたとおりでございます。
 今後の問題についてはなるべく――なるべくじゃなくて、日本国民の生活に密接な関係のあるもの、あるいは必要とするもの、こういうもの等についてはこれを公表して、国民の生活に支障がないようにするような方向で努力をする決意でございます。
○始関委員長 ただいまの上原君の御発言の問題の要点につきましては、所在につきましては、ただいま外務大臣も非常によく御了解のようでございますので、私どもも当局の動向を今後見守りまして、御趣旨に沿って善処いたしたい、かように存じております。
○上原委員 施設庁に、外務省も資料をおつくりになる場合に、もう二千件全部整理するというのは一年ぐらいかかるかもしれませんので、返されて、もう無効になったものとかいろいろあると思うのですね、それを整理をしていただきたいのですが……。同時に、沖繩の二百件について、あるいはいまさっき申し上げた本土の使用基地について、もちろんそのほかにもありますけれども、それについては、合同委員会で何月何日、どういうサブジェクト、議題で話し合った、どういう出席者があったというようなことは、これは整理できると思うのですね、そういうものを含めて提供するように要望しておきたいのですが、いいですね。
○銅崎政府委員 努力はいたしますが、当時どういう人が出席してどういうようなという点につきましては、早急にできるかどうか、ちょっといまお約束いたしかねるわけですが、施設、区域の主な使用条件につきましては検討しておりますので、御要望の資料をつくるようにいま検討しておるところでございます。
○始関委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十分開議
○小宮山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。上原康助君。
○上原委員 午前中のお尋ねともこれからの質問は関連をしていくわけですが、ぜひひとつ外務大臣それから政府委員の方々に御要望申し上げておきたいのですが、余りありきたりの御答弁じゃなくして、誠意を持ったお答えをしていただけますように、冒頭強く要求をいたしておきます。
 そこで、これもすでにいろいろお尋ねがあったことかと思うのですが、今年一月十六、十七日に、日米防衛事務レベル協議というのがハワイで持たれたことは報道されておるとおりであります。そこで、このハワイの日米防衛事務レベル会議というのは一体どういう性格のものであったのか、そこでフリートーキングの形で国際情勢、アジア情勢、日米防衛問題がいろいろ話し合われたというようなことが言われているわけですが、そう漠然としたものではないと思うのですね。この協議会では、日米間の事務レベルのトップが話し合っているわけですから、どういう議題をもとにお話し合いが持たれたのか、また出席をしたのは日本側がどういう代表で、米国側はどういう代表であったのか、明らかにしておいていただきたいと思います。
○中島政府委員 お尋ねの会議は、第十回の日米安保事務レベル協議ということでございまして、本年の一月十六、十七両日ホノルル市で開催されました。この協議に出席いたしました者は、日本側は、外務省は高島外務審議官、私、アメリカ局長、それから防衛庁では丸山事務次官、松永統合幕僚会議事務局第五幕僚室長等でございます。アメリカ側は、マンスフィールド駐日大使、国務省のマクギファート次官補、アブラモビッツ次官補代理、プラスウェル統合参謀本部第五部長、ウィズナー太平洋軍司令官、ラビング在日米軍司令官等が出席いたしました。
 この安保事務レベル協議と申しますのは、日米双方に関心のある安全保障上の諸問題について、日米両国の外交、防衛の事務レベル当局間で、いま先生のお話にありましたような自由な意見交換の場ということでございまして、ここで何らかの結論を出すとか決定を行うとかいうところではないのでございます。したがいまして、議題そのものも特に特定しておりませんで、ただ概略のことを申しまして、日本を含む西太平洋における最近の軍事情勢とこの地域における米軍の体制、在日米軍の施設、区域の諸問題というようなことが主たる意見交換の対象でございました。
○上原委員 その場合に、この協議会で話し合われたようなことは、相互で文書確認か、あるいは何らかの形の合意的なものはありますか。
○中島政府委員 特に文書はつくっておりません。
○上原委員 特に文書はつくっておらないということですが、アメリカ側の会議を持つ形式なり従来のあり方からすると、これだけのスタッフが集まって会談、協議をする以上は、恐らく何らかの記録というものは当然予想されるわけですね。
 そこで、いま漠然とした御説明しかありませんでしたが、要するに、この協議会で主な議題になったのはこういうことじゃなかったのでしょうか。在韓米地上軍の撤退が具体的にいつごろから始まるのか、その補完措置はどうとられねばならないのか、日米間で協議されたと思うのですね。さらに、その撤退とあわせて、在韓米軍が所持している戦術核兵器の撤収はどうするのか、あるいは中ソ対立を踏まえての双方のアジアの政策は今後どうあらねばならないのか。さらに、日本側の五十三年度以降、いわゆる基盤的防衛力整備の進捗状況なり、その主要装備である問題のF15、P3Cの購入計画、またこれからいろいろお尋ねをしていこうと思うのですが、朝鮮半島で事が起きた場合の有事即応態勢協力をどう日米間でとるのか、あるいは七九米会計年度における国防予算、日本の五十三年度防衛予算等の問題等についても協議がなされたのじゃないですか。
 これはどうしてそう漠然としたお答えしか皆さんやらないのか。これだけの方々がわざわざハワイのホノルルまで行って、二日間、失礼ですがゴルフしに行ったのじゃないでしょう。少なくとも私がいま申し上げたようなことなどは、現在の日米関係あるいは国内で起きている防衛問題等をまじめに考える人ならば、当然予想できる問題点なんですね。そういう面、具体的にお話し合いがあったと思うのですが、改めて内容を明らかにしてください。
○中島政府委員 この会議は先ほども御説明いたしましたようにいわゆるフリーディスカッションということでございまして、かつその中身の討議の詳細につきましては、これは外に出さないということで自由に議論をしようというような会合になっておりますので、詳細につきまして説明申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、先ほども私が御説明いたしましたように、日本を含む西太平洋における最近の軍事情勢という点、これに対するアメリカ側、アメリカ軍の態勢というようなことにつきましては、たとえばその後のアメリカの国防報告の中に出ておりますような、アメリカがアジア太平洋地域において従来の防衛姿勢を維持していくつもりであるというような米側の基本的な考え方の説明はございました。それから日本側におきましては、先ほど先生のお挙げになりました項目のうち、たとえば本年度の防衛予算につきましては、これは政府の予算案が決定いたしました後でございますので、その予算案がどういうことであるかということの説明はいたしてございます。
 それから防衛協力の話が出たのじゃないかということでございますが、防衛協力と称します問題につきましては、御承知のように防衛協力小委員会ということで作業をすることになっておりますので、ここで特に論ずる必要もなかった次第でございます。
○上原委員 協議の中身については外に出さないということで話し合った。ますますおかしいですね。
 それではもう一つだけ聞いておきましょう。統合幕僚会議の松永室長が出席なさった理由は何ですか。それから防衛庁本庁からは、この松永室長だけが御出席なさったのかどうか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 まず、制服自衛官として出席した者が松永統幕室長だけかということでございますが、ちょっと出席者の詳細のメンバーは持っておりませんけれども、あるいは統幕第二室長、これは同じく将補、五室長は陸将補、二室長は海将補でございますが、第二室長が出席したと記憶しております。
 それから、なぜ自衛官が出席したかということでございますが、これは自衛隊以外の職員の最高の事務統括者たる丸山次官が出席いたします。そこで、自衛官の方からもこれを補佐し、また本会議におきます諸問題につきまして制服サイドの意見というものも率直な意見交換の中で出したらよかろう、討論に参加することは有意義であるという判断をいたしまして、統合幕僚会議事務局から出席したわけでございます。
○上原委員 出席したなら出席したと最初から言えばいいんじゃないですか。一つ一つ隠したり出したり、問われなければ、尋ねられなければ言わないところにむしろ何か勘ぐりたくなるんですね。要するに第五室長ですか、事務局長ですか、松永さんも、それから第二室長も、海将補ですね、作戦企画担当、ちゃんと出ているんじゃないですか。ここで重大な防衛問題が話し合われたということは、素人の私だって推測できる。
 なぜこのことを私が冒頭お尋ねしているかというと、この事務レベル協議が持たれて以降、活発に日米間の防衛問題が両国で出てきた。しかももう一つ見逃してはならないことは、丸山防衛事務次官が二月二十八日、日本工業倶楽部で講演をなさったようですが、そこで非常に重要な意味を持つ講演をし、発言をしておられる。いわゆる日本の防衛分担によって新安保体制を確立していかなければいかないという趣旨の御発言をなさったということが報じられております。これはどういう意味なのか。まあ本人がいらっしゃれば一番わかりよいわけですが、要するに丸山さんをキャップとしてこの協議会が持たれて、アメリカ側が日本側に何を求めているかというのは一層明白になった、そういうことじゃないかと思うのですが、防衛庁はどういうふうに受けとめておられるのですか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 丸山次官が日本工業倶楽部で講演した中身の詳細は、実は私そこの現場におりませんでしたので承知していないわけでございますが、本人あるいは本人と一緒に行っておった者からそういう話を聞いておりますので、その限りでお答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の丸山次官が日米安保体制のいわば見直しと申しましょうか、先生のお言葉をちょっといま失念いたしましたが、そういうような趣旨のことを述べたのではないかということでございます。丸山事務次官が日米安保体制について新しい方向を見出す必要性があるというような趣旨のことを当会議で述べておりますようでございますが、このことは、日米安保体制の信頼性を維持し、またその円滑なる運用を今後とも確保するためには、内外の諸情勢の進展を踏まえ、常に検討を加えていく必要があろうということを一般的な趣旨で申し述べたのでございまして、現存の日米安保体制の具体的な見直しと申しましょうか再検討と申しましょうか、そういうようなものについて述べたのではないというふうに承知しております。
 以上でございます。
○上原委員 このことで余り時間をとりたくないのですが、これは全部一連の流れがあるわけですね、防衛庁や外務省首脳の。内外の諸情勢を踏まえて絶えず検討をしていかなければいかない、それは善意に解釈すればそのとおり。しかし私の立場で言うと、皆さんは内外の諸情勢を踏まえて、国民の立場に立って安保条約というものを運用しようとしてはいない。私はいまの御答弁では納得しかねるのですが、丸山次官の真意というものを私はこのように受けとめているんですよ。かねがお話題になっておる日本側の防衛負担というものをもっと強化をしていく、あるいは増強をしていくというのか、要するに日本側が在日米軍の駐留費を負担するなど、日米間の防衛分担の公平化を進め、安定した日米安保体制をつくるのだ、こういうふうな言い回しでやっておられるようですね。その具体的例として、米国のわが国に対する期待の内容がいわゆるハワイの事務レベル会議でもいろいろ明らかになった。それは一つには、日本自身の海上交通路の保護能力を向上させること、あるいは空からの脅威に対してみずからを守る防衛力の強化である。したがって、ハワイ以西の海上交通路の制海権というものについてはわが方が今後肩がわりをしていかなければいけないというそのことと、F15の購入、P3Cの購入ということはストーリーとしては明らかに連結していくのじゃありませんか。そういう一連の総枠の中でいろいろの問題がいま持ち上がってきているということを、ここに私たちはもう一度冷静に受けとめて、一体どういう対策を講じなければいけないのかということが問われていると私は思うのです。ハワイにおける事務レベル協議会というもの、あるいはいま申し上げたようなシビリアンの最高責任者である、もちろん防衛庁長官が最高責任者であるのですが、少なくとも事務当局を総括する事務次官がこのような趣旨の発言をするというのは、私はきわめて重大な意味を含んでいると思う。これに対して改めて防衛庁の見解を承っておきたいと思うのです。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 まず、海上交通路の保護に関します丸山次官の発言でございますが、これは本人に確認いたしましたところ、最近におきます西太平洋における軍事情勢を踏まえて、わが国の海上防衛力を自主的にかつ計画的に充実をしていく必要があるということを一般論として申し述べたわけでございまして、ハワイで行われました先般の日米安保事務レベル会議の協議の結果あるいはその協議との関連においてそういうことを申し述べたのではありませんということでございます。
 それから、F15とかP3Cの整備の件でございますが、これは御承知のように、防衛計画の大綱というものが一昨年の末御決定をいただきまして、それに基づきまして逐次わが防衛力の整備に努めているわけでございますが、簡単に申し上げますれば、対潜哨戒機なり要撃戦闘機の機種更新、近代化、いままで持っておりましたものが大分長く使っておりますので、これが落ちてまいります。それの機種更新ということで私ども整備しておるわけでございまして、先ほど申し述べました件と同じく、日米安保事務レベル会議の結果こういうことを一層推進するとかあるいはどうだということではないわけでございます。
○上原委員 もちろん決定されたのはそれ以前のことだからそれはわかりますよ。
 そこで、では話を進めてまいりますが、このハワイの事務レベル会議では、今月七日から始まる米国と韓国軍のいわゆる米韓合同大演習のことは話が出ませんでしたか。
○中島政府委員 今回の合同演習は、御承知のようにチームスピリット78ということでございますが、同種の演習は昨年及び一昨年もチームスピリット77、76として行われているわけでございますが、お尋ねのハワイの会談におきましては、アメリカ側から、昨年、一昨年と同じような訓練計画があるというお話はございました。
○上原委員 ございましたね。
 それともう一つお尋ねしておきたいのですが、西太平洋地域ということを外務省も防衛庁もしばしばお使いになるわけですが、皆さんが西太平洋地域とお使いになる範囲はどういう範囲、地域なのか、国名を挙げて説明してください。
○中島政府委員 西太平洋地域と申しますのは、アメリカが軍事体制との関連において使っている用語でございまして、そのアメリカ側の用語の使い方によれば、ハワイより西側の太平洋で米軍の存在している地域、これは洋上を含むわけでございますが、それを指している軍事的な概念というふうに承知いたしております。
○上原委員 太平洋地域全体ということにもなるでしょう。朝鮮半島ももちろん含みますね。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 やや詳しく、米軍配置という観点から申し上げますが、ただいまの外務省からの御答弁にもありましたが、西太平洋と言った場合に、これは明確な地理学上の概念があるかどうかは私ども承知していないわけございますが、一般的に申しますれば太平洋の西側地域という概念でございましょう。
 そこで、米軍配置でございますが、日本、フィリピン、韓国、台湾、それからさらに洋上におりますもの、それらを総称して使っておるようでございます。
○上原委員 そうすると、グアムやマリアナ諸島はどうなるのですか。
○上野政府委員 これは先ほど申し上げましたように必ずしも地理学的な意味でアメリカが使っているわけではございませんので、やや常識的なものと違うかもしれませんけれども、アメリカの国防総省発表の米軍の海外配置兵力等、そういう諸資料によりますと、アメリカとしては先ほど申し上げましたような概念で使っております。したがって、ただいま先生が申し上げましたようなことはこの概念の中に入っていないようでございます。
○上原委員 これは、入っていないようですと言ったって、国防報告書やそういうのには入っているのです。そこをはっきりさせてください。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま私が申し上げましたのは一九七六年十二月七日付の米国防総省発表の米軍海外配置兵力の資料によってお答えしたわけでございますが、それによりますと、ウエスタンパシフィックという項がございまして、そこに、ジャパン(インクルーディング・オキナワ)、それからフィリピン、サウスコリア、台湾、それから先ほど申し上げました洋上兵力でございますね、そして、それとは項を別にいたしまして、アザーエリアズといたしましてグアムとかミッドウェーといったものが記載されております。
○上原委員 これはしかし、きわめて重要なことであるのですが、私はアメリカが使っている場合は、西太平洋というのはグアムやマリアナ諸島まで、もちろんそれは厳密に地理学上で言うとどうか知りませんが、西太平洋の範囲に入ると解釈をしていると思います。
 そこで、すでに一月の十六、十七日の段階で今回の米韓間の大合同演習があるということを、向こう側相手側から、米側から話があった、恐らく相当のことが話し合われたと思うのですね、日本側も言いたいことは言って、相手の言うこともよく聞いてくるということで出席なさったようだから。先ほどアメリカ局長は簡単に七六年、七七年もチームスピリット合同演習が行われたんで、それと同じような合同演習だという意味のお答えがあったのですが、一体今回のチームスピリット78というものは、皆さんはどういうふうに御認識をしておられるのか、その点が一つですね。
 さらに、防衛庁は一体これだけの機動力を投入をして展開をされようとしている米韓、間接的には日本も含めてあるいは直接参加するかもしらぬ、この合同演習の持つ軍事的、防衛的性格、意義というものをどのように受けとめておられるのか、まずそこいらの御見解から承ってみたいと思います。
○中島政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、この合同演習の一般的な説明をその後在京アメリカ大使館側から説明を受けているわけでございますが、基本的に申しまして、今回の合同演習が昨年及び一昨年と行われたものと同名でございまして、このような演習が行われること自体は特に事新しいことではないというふうに考えております。ただ、そういう意味で定期的な訓練というふうに考えているわけでございますが、従来のチームスピリット演習に比べまして若干その規模が大きくなっていることは事実のようでございます。
 そこで、これは在韓米地上軍の撤退との関連で、最近米国のアジアに対するコミットメントが減少していくのではないかというような懸念がアジア地域にあるということにかんがみて、アメリカ側がこれらの懸念ないし誤解を払拭して米国のこのコミットメントを維持するという意図を、この地域の各国に印象づけようという意図があるであろうということは感じておる次第でございます。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 この練習の、何と申しましょうか、軍事的な側面と申しましょうか、そういう意味でのお答えでございますが、この演習の目的は、統合あるいは合同と言った方がよろしいかもしれませんが、空海及び陸上の作戦の計画あるいは実施、そうしてさらにそれの総合評価といったことによりまして、指揮官、幕僚それから部隊の演練をすることにある、こう見ております。
 またこの演習の範囲は、韓国への戦略的な展開、それから制空、米韓地上軍に対する近接航空支援あるいは合同の水陸両用作戦機動部隊に対する兵たん支援、それから模擬の空海あるいは陸上戦闘の調整といったようなものを含むものと見ております。
    〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
 また、御参考までにあえて申し上げますが、ブラウン国防長官がハワイでことしの二月二十一日に記者会見をしておりますが、その中の新聞記者との一問一答の中で、この演習の目的は何かと問われましたのに答えまして、ブラウン氏は、私たちは韓国とともに非常に大規模な、だれにも見える繁雑な軍事演習を継続して、韓国の安全保障に対する米国の公約の深さと強さを繰り返して示し、かつ米軍と韓国軍が必要ある場合に合同で軍事活動を遂行する用意のあることを示したいと思っている、こう申しております。
 そしてさらに、同席しておりますベッシー大将が、この演習の目的は米国が韓国内の軍事力を迅速に増強できること、これらの軍事力が地上軍とともに戦闘作戦を遂行する準備のあることを示すにあります。こうつけ加えております。
○上原委員 あなた、だれかの作文を読むように、そんなよそごとみたいなことを言っちゃいけません。ブラウンさんがそういうことを言ったというのは、私も新聞なりで読んでわかる。日本の防衛庁はどう考えているかという見解を私聞いているのですよ、あなた。そんなことで防衛も安全保障もあるかいな、全く。冗談じゃない。
 そこで、いま何か非常によそごとみたいなことをおっしゃっているのですが、それはあなたの一つの話術、手かもしらぬので、こっちも慎重に進めますが、この間からアメリカ局長などの御答弁を聞いていますと、一般的にアメリカ側から通告があったとか言っておられるわけですよね。また一九七六年、七七年も同じ名称で合同訓練がなされたのでその延長だというようなことですが、まず第一、規模が違うということはいま認めたわけですね。お認めになった。さらに、在韓米地上軍の撤退などがあって、アメリカのアジア離れに対する韓国や日本ないしアジア関係諸国の不安を解消する、あるいは防衛的約束を守る立場で、目に物見せようということでやるのだ、表現は違いますが、そういう意味のことを言っておられる。
 そこで、あなたの方がおっしゃる一般的な通告というのはどういう意味ですか。それと、少なくとも一月段階からそういう話が内々持たれておったとするならば、それ相当のいろんなこともあると見られてもこれいたし方ない。一体、今回の合同大演習に関連をして在日米軍はどこどこが参加をするのか、在日米軍基地はどこどこが使用されるのか、その内容をぜひ明確にお答えください。
○中島政府委員 一般的な説明と私が申しましたのは、文字どおり一般的ということでございまして、要するに詳細を事細かく説明を受けているわけではない。大体の規模につきましての説明を受けておると申し上げ方がむしろいいかもしれません。
 お尋ねの、日本と関係のある米軍の参加の様相がどうであるか、こういう点でございますが、まずアメリカの陸軍関係については特にございません。それから海兵隊につきましては、第二海兵師団一個水陸両用船上陸部隊、これは沖繩にあるものです。それから第一海兵航空団所偶の飛行隊、これは沖繩、岩国。両者合わせて約四千名。それから米海軍の関係でございますが、これはミッドウェーを含みますところの艦艇が空母任務群という形で参加をするというふうに理解いたしておりますし、両用船部隊及び支援部隊がこれに加わります。それで海軍の関係で合計約八千五百名でございます。それから空軍の関係は、第一八戦術戦闘航空団所属の一部飛行隊、これは沖繩にあるものでございます。それから第三三航空宇宙救難回収飛行隊、これは沖繩にあるものでございます。それから第六五五戦術病院部隊の一部、これは横田にあるものでございます。この空軍が合わせて千五百名。以上を全部合計いたしますと、約一万四千名、こういうことでございます。
 なお、この参加規模そのものは、昨年のチームスピリットと比べてほぼ同規模であるというふうに承知をいたしております。(上原委員「基地は」と呼ぶ)基地の使用とおっしゃられる点、必ずしも明確でございませんでしたが、私がいまそれぞれの項目で沖繩にあるもの、横田にあるもの、岩国にあるものと御説明したのがその当該部隊が通常おる施設、区域でございます。
○上原委員 では、この合同演習に参加をする米軍の数は全体でどれだけですか。いま言った一万四千というのは在日米軍ですね。それと部隊名ですね。アメリカ本国から来るものとあるいはハワイから来ると言われているもの、それも説明してください。
○中島政府委員 合計で三万三百名と承知いたしております。
○上原委員 米本国なりハワイから来る部隊名はどういうものですか。
○中島政府委員 私どもが説明を受けておりますところによりますと、アメリカ陸軍の関係では、ハワイにありますところの第二五歩兵師団のうちから一個歩兵大隊、これは一部が欠けているそうでございます。それからオクラホマ州にあるところの一個ランス部隊、これも一部が欠けたものだそうでございます。それから在韓米陸軍部隊、これは韓国にあるもの。陸軍関係が計五千三百名ということでございます。それから海兵隊は、先ほど申しました一個水陸両用船上陸部隊、沖繩にあるもの。それから海兵隊の航空群、これは沖繩、岩国にあるもの。海兵隊関係が総計で人員が約四千名ということでございます。それから海軍の関係は、先ほど申しました一個空母任務群、第七艦隊のものでございますが、それと水陸両用船部隊及び支援部隊、それから艦隊航空部隊。合計で約八千五百名ということでございます。それから空軍の関係では、在韓米空軍と在日米軍の関係と在フィリピン米軍の関係、それからグアムにありますところの戦略空軍部隊の一部と米本土そのほかの輸送空軍部隊の一部。空軍関係は合計一万二千五百名、全部合わせまして三万三百名ということでございます。
○上原委員 大体これまで報道で明らかにされている内容ですが、そこで問題は、三万三百人の参加者、そのうちの一部は在韓米軍なんですね。在日米軍からは締めて一万四千人といういまの御説明でした。そうしますと、約一万人は米本国あるいはハワイ、グアム、そういうところから韓国に移動を展開していくということになろうかと思うのです。私が、米軍はどういう部隊なのか、あるいは基地はどういう基地を使用されるのかということをお尋ねしたのは、米本国なりハワイから今度の合同演習に参加をするために沖繩なり横田なりあるいは岩国なり横須賀なり、在日米軍基地を中継地として使われるところはどこですかとお尋ねしたわけなんです。それはどこどこですか。さっきの嘉手納、岩国、横田、全部そうかと思うのですが、確認をいただきたいと思います。
○中島政府委員 先ほど私が沖繩とか岩国とか申しましたのは、日本に関係のある米軍がこの演習に参加するということで、その関係のある米軍が通常おるところを示したものでございます。
 他方、ただいまお尋ねの本土その他の米軍が日本に立ち寄るか、こういうお尋ねかと思いますが、この演習に参加いたします米軍機の一部が横田の基地を含む在日米軍基地に立ち寄るということは通報を受けております。ただ、その機数や行動などの詳細については、私どもは承知いたしておらないのでございます。
○上原委員 横田の基地を含む在日米軍基地というと、含むというのは複数ですね。そのほかはどこどこですか。
○中島政府委員 立ち寄りの主たる基地は横田の基地でございまして、その他にどこがあるかということは、申しわけありませんが、ただいま承知いたしておりません。
○上原委員 それは通告もなければ、確かめようともしないわけですか。
○中島政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもとしてはアメリカ側から一般的な説明を受けているわけでございます。本件そのものが演習でありますこともあり、その詳細の一々の行動についてこれをチェックするということはいたしておらないのでございます。
○上原委員 それはおかしいのではないですか。それなら皆さんは、それが事前協議の対象になるとかならぬとか判断できないのではないですか。たとえば、報じられているところによりますと、横田を中継基地として使うということがいまの御答弁でも明らかになったわけですが、従来のいきさつからして嘉手納空軍基地が使用されることも明らかです。C5Aギャラクシーは横田と嘉手納に、あるいはC141大型輸送機はいつも給油とかで飛来をしてきている。そうでありながら詳細な説明も全く受けずに、どのくらいの兵力が横田や嘉手納あるいは岩国などに立ち寄るかもわからない、どういう装備をしているかも判断しないでおって、ぬけぬけと事前協議の対象にもなりませんなんて、目新しいような動きでもないということを国民にコメントするということはちょっと軽率じゃないですか。その関連性はどう御説明なさいますか。
○中島政府委員 先生御承知のように、本件は演習でございます。したがいまして、戦闘作戦行動を発進させるというような問題とは異なるということで、事前協議の通常の対象ではないだろうというふうにまず想定されます。もちろん、核兵器の持ち込みという点があれば、これは当然事前協議の対象になりますが、その点、事前協議がない以上は、これは演習でもありますし、当然核兵器の持ち込みはないというふうに考える次第でございます。
○上原委員 いま何も先走って核兵器の話まで――後でこっちの方はやりますよ。
 そうしますと、演習だから事前協議の対象にならない。本当の戦の場合はなるのですか。
○中島政府委員 一般的に申しまして、立ち寄るという場合に具体的に戦闘行動との関係でどういうふうな事態になるのか推測が困難でございますが、ともあれ本件は演習でございますので、戦闘作戦行動という可能性は万々あり得ないというふうに考えるわけでございます。
○上原委員 そういたしますと、演習のために米側が在日米軍基地をどういう形で使用しようが日本政府としてはそれを容認するという態度ですか。
○中島政府委員 先ほども申し上げましたように、核兵器の持ち込みというようなことでもあればこれはまた別でございますが、一般的に演習のために立ち寄るということで、事前協議の問題が発生するとは考えられないのでございます。
○上原委員 私がお尋ねしているのは、演習をする、軍事訓練をする目的であるならば米軍がどういう形で在日米軍基地を使用しようが日本政府はそれを容認するお立場ですかと聞いているのです。イエスかノーか答えなさいよ。
○中島政府委員 演習について全く関心がないということを申し上げておるわけでは毛頭ないのでございます。したがいまして、アメリカ側から今回の演習の規模について一般的な説明を受けているわけでございます。他方、アメリカ軍は日米安保条約第六条に基づきまして、日本国の安全に寄与し、極東における国際の平和及び安全に寄与するというために、日本にありますところの施設、区域を使用する権限を持っているわけでございますから、その権限の範囲内での使用は安保条約上許容すべきものというふうに考えている次第でございます。
○上原委員 それでは、もう少し中身をお尋ねしたいのですが、これはどちらでも結構です。オクラホマ州から出動する地対地ミサイル部隊であるランス部隊と言われている部隊はどういう性能を持つ部隊ですか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 ランスは米陸軍の地対地ミサイルでございます。これは核非核両用のものでございます。
 大分議論が進んでから先ほどの私に対する御質問に対して御回答を申し上げてまことに恐縮でございますが、いま議題になっております演習に対する防衛庁の評価ということを、実は私先ほど御答弁を落としましたので申し上げます。
 米軍、これは軍隊でございます。その練度の維持向上を図るためにこういう演習を行うということは軍隊の性格上当然であろうと思っておりますし、また、日米安保条約に基づきましてわが国に米軍が駐留しておる、それが精強なる練度を持っておるということは、わが国の平和と安全にとって不可欠なものであるという評価を常にいたしておるわけでございます。
○上原委員 このランス部隊というのは、確かにあなたがおっしゃるように、簡単に言うと核非核両用のミサイルを持つ部隊には変わりないですね。じゃ皆さんは、今回の合同演習にこのランス部隊が参加しているということについてはどのように評価をしておられるのですか。
 それと、先ほどから盛んに核の持ち込み等については対象になると言うのだが、核を持ち込んでいますとアメリカが言うでしょうか、アメリカ局長。言ったことがあるのですか。そんなことは私は聞いてない。そんな論争したってむだなんですよ。問題は、その部隊の機能、どういうふうな性格であり、性能であり、能力を持っておるかということを私たちはもっと深めていかなければいかぬと思うのです。今回の合同演習にわざわざ地対地ミサイルのランス部隊を加えたということは、今回の演習の規模の大きさはもとより、その中身の濃さ、いわゆる戦略的、戦術的に持つ意義というものがきわめて重大であるということを見なければならないと思うのです。どう評価するかということについては、もし本気に防衛論をやるならば、そのくらいのお答えは防衛庁の方からむしろあるかと思った。いつまでたっても核非核両用であります。こんなことだけ言っておってはいけないですよ。
 そこで、この部隊が参加をするということについてどう見ておられるかということと、いま一つは、じゃこのランス型の地対地ミサイルというのは一体どういう爆弾なのか。これは明らかに戦術核ですね。現在のアメリカの戦場用核システムの中では最新兵器なんです。その点はお認めになりますか。
○上野政府委員 これはランスが核装備をして朝鮮半島に派遣されるということを想定した場合のお答えでございますが、こういう核ミサイル部隊が朝鮮半島に配備されるということの軍事的意義いかんという御質問と承知いたしましたが、御承知のように核兵器の使用につきましては、これは大変高度な政治問題でもございますし、いわゆる核戦略理論は、戦略核、戦術核、戦場核を含めまして非常に精緻な理論が展開されているわけでございます。米軍がどういう意図でもって朝鮮半島にどういう事態に核を配備するかということについて、そういう理論の問題とは別に、実は実際のアメリカ政府なり米軍の意図というものを私どもは承知しておりません。したがいまして、あるいは御満足いただけるような御答弁ができないのはまことに残念でございますが、いずれにいたしましても、ランス部隊というものは、もし核を装備されているとするならば、アメリカの持っております核戦略体制の一翼を担う有力なる部隊、精鋭なる部隊であると思っております。
 なお、ランスの性能諸元でございますが、これは射程が百二十キロ、全長が六二メートル、直径が〇・五六メートル、重量は、核の場合は約二百十一キロ、非核の場合はこれより重くなりまして、倍以上の四百五十四キロ。精度は千分の十という精度。これはCEPと申しておりますが、やや専門的用語で恐縮でございますが、CEP百五十メートル。発射重量は、非核の場合約十五トン、核の場合約十三トンということが言われております。
○上原委員 それだけの性能を持つ部隊であるというのはようやく認めたのですが、これは何もそんなにむずかしい話じゃなくて、アメリカの一九七八年の国防報告書にちゃんと書いてある。
 そこで、高度の政治問題だとおっしゃる。そうかもしれません。では、お答えいただきたいのですが、現在、在韓米軍あるいは先ほど皆さんがおっしゃった西太平洋に配備をされている米軍は、戦術核でもいいが核兵器は所有しておりますか、いると思いますか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 サージャントにつきましては、日にちはちょっと失念いたしましたが、韓国から引いておりますので韓国にはないと思います。
 それから西太平洋地域における戦術核の所在でございますが、これはかねてからアメリカ政府が言明しておりますように、核の存否につきましてはこれを公にしないというのが国策でございますので、私どもはその存否につきまして承知しておりません。
○上原委員 サージャントは韓国から撤収された――ちょっと疑問ですね。しからばオネストジョンはどうなんですか。サージャント地対地ミサイルもまだ在韓米軍は明らかに保有していますよね。いまそういうお答えですが、なぜこの問題を言うかといいますと、先ほどから核のことを、アメリカ局長はアメリカはそのことについては肯定も否定もしないということをおっしゃいますけれども、かつてシュレジンジャー国防長官が韓国に戦術核が配備をされているということを言明をしたいきさつがあるわけですね。北朝鮮が攻撃すれば使用もあり得る、しかも攻撃に対しては相手の敵の心臓部をたたくということを五十年に彼は言明をいたしました。また、アメリカ議会における会議録などを調べるまでもなく、現に少なくとも百発ないし数百発の戦術核を在韓米軍は所有しているというのがこれまた常識的見方なんですね。そういう流れ、いきさつというもの、事実を否定できない、皆さんがどう詭弁を弄しようが、失礼ですが。その事実関係と今回のランス部隊が韓国に派遣をされるということは符合するじゃありませんか。シュレジンジャーの御発言までも否定をなさるのか、改めて御見解を承りたい。
 同時に、このランス用の核弾頭というのは在沖米海兵隊が訓練をしているいわゆる一〇四号線越えの実弾砲撃演習とも関連があると言わざるを得ない。八インチ型、二百三ミリあるいは百五十五ミリ、百三ミリですね。こういうふうに関連づけていくと体系的には何をやろうとしているかは想像つくのじゃありませんか。これだけの重要な変化が来されているにもかかわらず、七六年も七七年も行われたチームスピリットトレーニングだからいいという判断では国民は納得しませんよ。また、これが演習だから、軍事訓練だから、どういう形で在日米軍基地を使用しようが日米安保条約に基づいて基地を提供しているのだから、あるいは極東の平和と安全に寄与しているのだから、わが方政府はタッチはできないというようなことでは、無責任きわまる防衛論、安保体制と言わざるを得ませんね、残念ながら。なぜこのことに対して皆さんはもっと真剣にお答えになろうとしないのですか。
 いま言った三点ばかりについて明確な御答弁をちょうだいしたいし、ここらで外務大臣の御所見もお伺いをしてみたいと思うのです。
○中島政府委員 先生御指摘の、かつてシュレジンジャー国防長官が韓国に核兵器を配備しておるということを述べたということは私も承知いたしております。また同じように、ヨーロッパに七千発の核兵器を配備しておると言ったこともあるということも私は承知いたしております。そのようなアメリカにとって敵対的な勢力と直接隣接している区域においてそのようなことを言ったことがあるにいたしても、アメリカ政府といたしましては、核兵器の所在は高度の機密性を有する国防情報であるということで、核兵器の存在を確認することも否定することもできないという立場を一般的に、原則的にとっているということでございまして、この立場はいまでも変わっていないと承知いたしているわけでございます。
 他方、先生御指摘の、それでは事前協議ができないではないかという点につきましては、従来からもたびたび御答弁申し上げておりますとおり、アメリカ政府自身が、アメリカの正当な権限を有する官権が日本政府との間に事前協議を持ち出すことを妨げるような国内法は全くない、事前協議はやり得るのであるということを累次明らかにしている次第でございます。
○上原委員 要するに、韓国に戦術核兵器が配備をされているということに対するシュレジンジャ一元国防長官の御発言というのは、追認をするということですね。それは防衛庁も同じ見解ですか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 シュレジンジャー氏の発言につきましてのお答えは、外務省のただいまのお答えと同様でございます。
 それから、在韓のサージャントミサイル大隊が撤退完了というのは、これはアメリカの陸軍省が、一九七七年の九月二十日に在韓米第四ミサイルコマンドサージャント大隊が撤退を完了したということを言っております。
 なお、オネストジョンにつきましては、その部隊はまだ在韓米軍の中に含まれておるようでございます。
○上原委員 七七年にそのサージャントが撤収をする、その入れかえとしてこのランスを配備するという計画もまた同時に発表しておるでしょう。そこも言いなさいよ、あなた。そういういきさつがある。もし撤収されているとすると、よけい新兵器というものが配備をされている可能性が十分ある。それは何も私が探してきたのではなく、アメリカの国防報告書にちゃんと書いてあるのです。
 そこで、事前協議の問題に入る前にもう一つ確認をしておきたいのですが、空軍の戦略爆撃機の参加も今度言われておりますね。さっきグアムからの一飛行隊とか二飛行隊ということでした。これは明らかにB52のことを前提としていると思うのですが、間違いないと思いますが、どうですか。
○中島政府委員 B52につきましては、アメリカ側から本邦に立ち寄ることはないという説明を受けております。
○上原委員 わが国に立ち寄ることはないにしましても、参加をするということはあるわけでしょう。参加というか出動だな。
○中島政府委員 先ほどの御答弁で触れましたが、アメリカの空軍関係の演習への参加部隊のうち、グアムにありますところの戦略空軍部隊の一部が参加するという通報は受けております。この一部が何であるかという点については、私どもとして把握しておらないのでございます。
○上原委員 グアムにある戦略空軍の一部と言うと、B52ということは想像にかたくありませんね。そこで、大体この全貌は明らかになったわけですね。兵力の規模、その軍隊が装備している兵器、それから機動性。こうなりますと、どうしても国民としては大きな不安を持たざるを得ませんよ。演習だからということで、ああそうですか、隣のことだと言うわけにはまいりませんね。
 そこで、それでは具体的にお尋ねしますが、事前協議の問題については、いろいろ交換公文これあり、また国会でも何回も議論をされてきているのですが、残念ながら平行線で来ているわけですね。今回の演習の場合は対象にならないということを繰り返し主張なさるようですが、では一体有事の際にはどうなるのかということですね、本当に朝鮮半島で戦争行為が勃発をしたという段階においては。私は外務大臣にもよく聞いていただきたいと思うのです。沖繩の場合ですと、海兵隊の戦闘作戦行動というのは目に見えてわかるのですよ。在日米軍基地の主力部隊は第五空軍隷下の、しかも第五空軍というのは、言わずもがなですが、韓国と横田に司令部があって、韓国と沖繩でしょう。これを連結して、戦争が始まればやるということは、だれが見てもわかるのです。その場合に、事前協議の歯どめというのは一体どういうふうに作用していくのか。
 たとえば、具体的に申し上げましょう。かつて、またシュレジンジャー国防長官の例を出しますが、いわゆる北側が攻撃した場合と、絶えずその前提がついているのですが、南が進撃というか攻撃していく可能性だってなきにしもあらずだと私は思うのですね。何も北側だけが戦争をおっ始める、そんなものじゃないと思う。ある意味では、これだけの大演習をするということは、北に対する明らかな脅迫行為と受けとめてもいいと思うのですよ。むしろそのことが平和と安寧秩序を乱す。逆だってあり得ることなんですよ。仮にそういう戦争行為になって、横田の基地なり嘉手納空軍基地がB52にどんどん使用される、そこから朝鮮に支援行動なり出撃行動をとる、そういう場合の事前協議というのは具体的にどうなんですか。もう一個師団とか機動部隊とか、そういうものは過去のことなんですよ。現在は、先ほどの答弁にもありますように、原爆の重さが普通爆弾よりは軽いのですよ。それだけ兵器や軍事の機能というものは高まってきている。こういう状態で、六〇年安保やあの時代の、形骸化されたというか虚構の上に積み上げられた三原則問題とか、これを論じてみたって始まらないのですね。具体的にそういう場合はどうなるのですか。沖繩の第三海兵師団が朝鮮に有事の際に出撃していった場合、全く協議なしに使用させていくのか、そういうことに対して、この際ぜひ外務省としての明確な見解を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○中島政府委員 御指摘のような朝鮮半島に紛争が生じた場合に、沖繩にありますところの米軍がいかなる行動をとるかということは、これはあらかじめ予測することは困難なわけでございます。ただ、明らかなことは、いずれにせよその沖繩にあります米軍は、安保条約及び関連取り決めに従って行動しなければならないということが条約上の義務になっております。具体的には、安保条約第六条の実施に関する交換公文におきます事前協議の対象でありますところの戦闘作戦行動の発進基地として日本にある施設、区域を使用する場合は、これは事前協議の対象になりますし、そうでなければ対象にはならないということでございます。
○上原委員 そのことを十年一日のごとく繰り返したって国民は納得しませんよ。現実に沖繩の基地周辺なり横田の基地周辺に住んでおられる国民の立場に立って、少し条約の運用なり内容を解釈していただいたらどうなんですか。そうすると、いま少し防衛論やいろいろな安保問題だって、与野党の考え方の接近性というのも出てくるかもしれませんが、そんなオウム返しで納得できますか。今回のこの合同演習を見ても想像できるわけでしょう。
 しかも、この事前協議制については、いまさらこういう問題を指摘をしてもどうかとは思うのですが、第一に、事前協議が安保条約の本条約による取り決めではないわけでしょう。地位協定による取り決めで、しかも交換公文による合意にすぎないということですね。ここに抜け穴があるのですよ。第二に、事前協議に関する取り決めは、日本では国会の承認の対象とされたが、米国においては上院による承認の対象とされず、したがって、当時承認手続もとられていない。第三に、配置の重要変更、装備の重要変更、三番目に戦闘作戦行動のための基地使用は日本国政府との事前協議の主題とするとしているだけであって、日本の基地を戦闘作戦行動基地として使用したり、核持ち込みを行うことを禁止する取り決めではない。しかも、これらの問題についての日本の拒否権も規定されていないわけでしょう。もっとありますがね。
 そういう前提を受けて、さらに一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明、昭和五十年の三木・フォード会談における新韓国条項、そういう一連の流れから沖繩返還協定のいきさつを考えると、明らかに基地の自由使用を日本側はアメリカに認めている。これが国民的にいま常識として言われていることなんですね。このことを解明せずして、安保条約に基づいて地位協定云々と言っても、これは納得できませんね。
 そこで、外務大臣、今回のこの合同演習の問題にしても、ブラウン発言の問題にしても、一たん有事になった場合に、わが国が報復処置を受ける可能性はインドシナ戦争よりも大きいと見なければなりませんね、距離的にも、政治的にも、いろいろな面からして。また、その他の条件から言ってもそのおそれなしとしないと私は思うのですね。そういう面ではもう一遍この事前協議の内容なり基地使用について改めて米側と話し合いをして、この段階において国民の疑惑に対して答えるべきだと私は思う。残念ながらそういうことはおやりになろうとしないで、むしろ日本側が防衛分担を拡大をしていく、あるいは防衛力を強化をしていくというその姿勢は全くもって残念なんですが、少なくとも条約問題については、いま一度政府は一歩立ちどまって冷静に判断をする必要があると思うのですが、これについての御所見を賜りたい。
 同時に、これは防衛庁にもう一点確かめておきたいのですが、敵側が攻撃をする場合、仮に在日米軍でもいいです。日本の自衛隊でもどこでもいいですよ。皆さんがよく使う仮想敵国があるとすると、戦争行為に入った場合にまず攻撃をする目的のターゲットの優先順位をどういうふうに受けとめておられますか。逆に言うと、あなたがもし先制攻撃をやろうとするとどこをたたきますか。敵側はどこをたたくとあなたは思いますか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 大変むずかしい御質問でございまして、(上原委員「余りむずかしいことではない」と呼ぶ)これはわが国とどこの国ということではなくて、一般に、戦術、戦略の一般的な見地で申し上げることは大変むずかしいことでございます。いずれにいたしましても、そのときどきの状況によると思います。
 また、わが国に所在する米軍基地なりあるいは自衛隊の基地等に報復攻撃があるのではないかというような御質問、これは私に対する御質問でないかもしれませんけれども承りましたが、これは一般的に申しますれば、在日米軍基地に対する攻撃というのは、世界の二大軍事大国であるアメリカそのものに対する攻撃、アメリカと正面切って対決するという決意がなくてはとうていなし得ないことだろうと思います。そういうことからいたしまして、在日米軍基地に対する報復攻撃というものが、戦略、戦術一般論からいって容易にあるんだ、補給基地をたたくことが容易にあるんだということは、これは一概に言えないことではないかと考えます。
 第二次大戦以降のアジアにおきます局地紛争の例にかんがみましても、大きな紛争といたしましては、朝鮮戦争、それからベトナム戦争があったわけでございますが、朝鮮戦争におきましては、中華人民共和国のいわゆる義勇兵、義勇軍というものが大量に韓国内に入ってきたということもございますが、その際に、米軍はあえて鴨緑江を越えて攻撃をしなかったという、これは史実と言ってよいか、まだわかりません。その評価につきましては歴史の審判に待たなければなりませんが、しかしながら、そういう事実もあるようでございます。またベトナム戦争におきましても、いわゆる聖域というところが設けられてあったやに聞いております。そこにつきましては米軍は攻撃を控えたというような事例もあるようでございます。
 したがいまして、以上を総括いたしまして、御設問のような報復攻撃が直ちにありやなしやということにつきましては、一概に申し上げられないことではないか、こう思います。
○上原委員 そういうことさえも端的に言えないようでは、これはもうあなたと防衛論争をやったって全く張り合いがないですね。これは常識じゃないですか。私も何もすぐどこかが、きょうにもあすにも日本を攻撃するということじゃないんですよ。皆さんがいまやっている防衛力整備の計画というのは、全部想定の上でやってきているんじゃないですか。そうであるならば、先制攻撃の場合はどういう手順をとるのか、あるいは相手側が攻撃をしかけてくる場合はどういうところがまず真っ初めにたたかれるのか。シュレジンジャーが言う敵の心臓部をたたくという意味は何なのかということも、あなた検討もしないのですか。
 まあそんな物騒な話は私の立場では余りよくないのですが、明らかに、それはまず一つには通信網でしょう。――じゃ、私が言うから、それが当たっているかどうかあなたが採点してください。私は通信網だと思うのです。次が飛行場だと思う。次は港だと思う。もちろんそれには兵舎とかそういうのも入りますよ。少なくともそういう三点が拠点になるであろう、相手の攻撃のターゲットにされているであろうということは、あなた想像つきませんか。どうなんです。そこは。
○上野政府委員 いろいろな態様があると思います。先生の御指摘になりましたようなことも大変蓋然性のあると評価していいか、私よくわかりませんけれども、そういう先生の御指摘のようなものにつきましても、その可能性は十分にあると考えます。
○上原委員 そこで、大臣、残念ながらきょうは、もちろん審議官がどうということじゃありませんが、防衛局長の御発言等も関連があって、防衛局長が来ればいまのことなんかおっしゃいよったかもしれませんが、それは別として、これだけある程度中身を明らかにしながら今度の合同演習の問題等を考えた場合に、安保条約に基づいて基地を提供しているからということで、もろ手を挙げてというか、皆さんはよう戸締まり論を言うのですが、アメリカのやることには全く戸締まりがないですね。あけっぴろげにわが基地の自由使用を容認をするという態度はよろしくないですね。言葉の上で事前協議制がある、非核三原則があると言ってみたって、その歯どめというものは全くない。これは言質をとるとかどうとか、覆すとか、核爆弾を持ってきてこっちで爆発でもさせぬとあるかないかもわからぬじゃないですか、いままでの議論にしたって。体系的に部隊の能力そのものがそういうふうになっている。しかも韓国に戦術核が配備をされている。沖繩の海兵隊も核非核両用のM60Aの戦車も持っている。自走砲その他の砲座もある、砲弾もある。そういう面からすると、一たん有事になった段階においては、明らかにそういう武器が、戦術核を含めて、戦場核を含めて、場合によっては戦略核を含めて、火を噴くであろうことは間違いないですね。
 これに対して、ではその基地周辺の国民の生命と財産はどういうふうに守るのですか。大の虫を生かすためには小の虫は犠牲になれという論法では、それはなりませんよ。このことについてぜひ御見解を賜りたいということと、改めて、さっき局長からお答えいただけませんでしたが、今回の米韓軍事演習の軍事合同訓練に対しては、いかなる形で米側がわが在日米軍基地を使用しようが日本側はそれを容認したのか、この点ももう一遍明確にしてください。
 さらに、三点目に、ブラウン発言とも関連をいたしますが、今後仮に朝鮮で有事が起きて、沖繩の嘉手納空軍基地なりあるいは横田の基地なり、そういう基地が、B52を含む戦略爆撃機あるいは戦術戦闘航空団の出撃基地として使用される、そういう場合は事前協議の余裕なんか場合によってはもうあり得ない面もあると思うのですね、戦闘行為だから。そういうことなども想定をした形での日米間の新たな話し合いというものをやって、安保条約全体、地位協定の問題、けさの議論を含めて、今日的運用の――もう何カ年かたっているわけですから、兵器だって相対的にいろいろなものが持てるなんて皆さんの論法を言うわけだから、都合のいいことは勝手に解釈して、悪い方は十年、百年一日のごとく過去の論にこり固まっておれないと思うのです。したがって、事前協議の問題なり安保条約の運用について、基地使用の問題を含めて、改めて日米間でこの際御検討をいただかなければならないと思うのです。
 この三点について、私がいままで申し上げたようなこと等含めて、ぜひ前向きの御検討をいただく御所見を明らかにしていただくことが、いまいろいろな面で不安を持っている、あるいは基地周辺の軍事演習などに痛めつけられている国民に対する政府のとるべき態度だと私は思うのですね。そのことなくして国は守れませんよ。そんなことでは絶対にだめですよ。御見解を承りたいと思います。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 上原委員、質問再開の劈頭に、政府の答弁はおざなりではなくて誠意を持って答弁せよとおっしゃいましたが、お許しをいただいて、そのことに対する私の気持ちからお答えをしたいと思います。
 私は、上原委員が言われた、政府も誠意を持って答弁しろ、それは非常に大事なことで、終始そういうふうにありたいと考えておるわけであります。
 そこで、私は、事務当局幹部には、国会における質問の速記録、これは精細に点検をして、まず第一が、大臣が答弁したことは国会に対する大臣の公約であるからこれを第一に抜粋すること。第二番目には、外務委員会初め皆さん方の御質問を聞いておりますと、なかなかわれわれが考えなければならぬ点もあるし、それから全く逆な意見を言っておられるようですが、究極においては同じことを考えておるんだなという点もいろいろあるわけでございます。そこで、私は、正直に言うと、やっつけようと思ってやられる質問は断固として守れ、しかし、やっつけようと思ってやられる質問の中にも、いいことがあったら全部抜粋をして、それは実行する努力をしろ、そしてそれが実行できたら、質問された議員の方には必ず、何月何日に質問されたことはこのようなことになりましたという報告をしろ、これを詳細に言っております。私は、過去のことを言って申しわけありませんが、厚生大臣のときに私が発言いたしましたことは、大臣をやめましてから四年たって初めて全部できたわけであります。
 そこで、長くなりますけれども、お話を聞いておりますと、基地の問題にいたしましても、皆さん方と議論をしているうちに、本当に政府がしなければならぬこともあるし、それからまた、もっともだと思う点もあるわけであります。沖繩の基地にいたしましても、沖繩の基地住民の方々に対してやらなければならぬプロジェクトはいまのままでいけばすでに十年分くらいかかるわけであります。しかし、法律は五年間と、こういう矛盾をどうするのか。あるいは先ほど言われました合同委員会でも、本当にまじめに政府が反省をして、日米の合意がなければ発表できないからと、こういうことでこちらの政府は各省にまたがっておる。そこで、いろいろやっているうちに、都合の悪いことはそのみのに隠れておざなりにするようなことはないだろうか。あるいは合同委員会の発表でも、もっと各省が責任を持って自分のことだと思ってやれば、やり方については改善する点はないだろうか。その改善を積み重ねていって、次には時勢の変転、日米関係を、われわれと皆さん方とは違いますけれども、もっと密接にするためには地域住民の合意と協力を得なければならぬ。そのためにはこうしなければならぬことがたくさん出てくると私は考えておるわけでございます。
 そこで、私は、そういうことでやりますが、前向きに答弁しろとおっしゃる。そこで、私は自分の考え方を申し上げますときには、その場でできるか、しばらくしてできるか、多年かかってできるか、前向きの発言をすると、やれ政府の方向変換だとか、やれ何だとかいうことでやられては、やはり言う方はサザエが中に首を引っ込めておざなりになるわけであります。しかし、私も勇気を持って今後は答弁いたしますから、どうか上原先生も私のその意図をくまれて、そして委員会でどうしても言えないことは、委員会が終わってから、これはこうやったらどうだ、私もそういうことは研究しましょうという、委員会の議論の中で、安保問題にいたしましても基地問題にいたしましても、よりよき方向に前進するようにいたしたいと思いますので、長くなりましたが、お許しをいただきたいと思います。
 次に、いろいろ御意見がありましたけれども、要は、承っておりますと、日本の平和、アジアの平和、こういうことを考えることは上原委員もわれわれも同じであります。ただ、われわれは日米の関係を基軸として、これを強化をして、そしていざという場合に、日本だけではなくて、こういう体制をとっておるからだということで、両方がお互いに抑止しつつ平和を守ろうということであり、上原先生たちはそういうことをやると危ないから手薄にしておいてやれ、そこのところは少し違いますけれども、そういう対立はあります。意見の違いはあります。そこで、われわれは、日米関係を緊密にして、そしてよその国が日本を攻撃しようとか、あるいはどうしようとかということがないように、これは理屈を抜きにして、ここに戦争が起こって核戦争が起こったら、私の言う理屈も先生の言う理屈も通らぬわけでありますから、これは戦争を起こさせない、させないということに重点を置いているわけであります。
 そこで、そういう点から、今度の演習があるわけでありますが、今度の演習は、過去二回にわたる同種の演習と規模はそう変わっておりません。
 なお、西太平洋、韓国に核兵器があるかないか、これはもうわれわれが答弁しなくても、韓国におる米軍、国連軍等の編成、装備その他を見れば、核兵器を持っているかどうかということははっきりわかるわけであります。
 しかし、問題は核兵器がそれを投射する核弾頭を持っておるかどうかということであります。核弾頭を持っておるかどうかについては、先ほどから事務当局が言っておりますとおり、これははっきりするわけにはまいらぬ、こうアメリカは言っておるわけであります。抑止力の平和を考えてお互いににらみ合っているときに、ここには核がない、ここには核がある、こういうことは、当然素人が考えても言えないことであります。
 そこで、演習でありますからというおしかりでありますけれども、この演習を見れば、いざという場合に米国軍隊がどのような作戦計画を考えておるかという想像がつくことは、これは当然であります。われわれも想像いたします。その想像は上原委員と同じ想像をいたします。しかし訓練というものはそのとおりにやるわけではありません。そのとおりにやれば、敵は裏をかいてやるわけでありますから、訓練というのはいろいろ種類がありまして、仮想される要素を考えながら、これに対する対応の訓練をやるわけであります。そこで、理屈を言うようでありますが、安保条約その他の地位協定については、演習の場合にはこれは基地の使用が自由ということでありますから、そこでこれは事前協議の対象にはならない。しかし、同じことをやっても、これがいざ戦闘行動になれば当然事前協議の対象になるわけであります。そこで、いざという場合にはそういう基地はやられるじゃないか、やられるようなことはしたくないから、われわれはそういうことを米国と協力をしながら、戦争が起きないように、こういう念願でやっておるわけであります。
 答弁が抽象的でありましたが、以上お答えをいたします。
○上原委員 もう時間が参りましたので……。
 外務大臣、そういう心情論で逃げられては困るんですよ。おっしゃることはわからぬわけでもありませんがね。
 私が申し上げたことについて、これはこれでおしまいの論議ではなく、いま指摘をしたことが私はもっと現実の問題として出てくる懸念をせざるを得ないわけなんです。したがって、安保条約、地位協定等の問題については、いま一度政府部内で、事務当局に対して私が申し上げたようなこと、指摘をしたことについては一応御検討はして、それができるかできないかは検討の上でなければいかないと思うのですが、その点はぜひやっていただきたいと思うのですが、よろしいですね。
○園田国務大臣 長々と先ほどお答えしましたが、あの中で、よく聞いていただくと上原委員に対する私の答弁はしておると思うわけでありますが、安保条約あるいは地位協定あるいは合同委員会のあり方、これを見直し、検討するということを私がここで申し上げるわけにまいりませんけれども、しかし、いろいろ事あるごとに、もうこれは発表できないからとほっておかずに、こういうものは発表させてくれとか、裁判権はこういう場合にはこっちにやらせてくれとか、そういう、今後積極的に接触しつつ、日本の国民が本当に安心して米国に協力できるような立場からいろいろ考えなければならぬと思いますけれども、ここで私が何を検討する、かにを検討するということは、政府の方針でありますから、一属僚たる外務大臣がとうてい答うべきことではございません。
○岩垂委員 ちょっと関連。
 いま外務大臣が、核兵器というのは弾頭が問題だ、こういうふうにおっしゃいました。これは私はある意味で非常に大きな意味を持っていると思うのです。
 申し上げるまでもなく、核兵器というのは、もちろん弾頭があります。起爆装置があります。そうして誘導装置や発射装置もありましょう、飛行機によって運ぶこともあるでしょう、そういうトータルなシステムを私はやはり核兵器というふうに認識をしています。
 その場合に、弾頭だけが核兵器だというふうな認識を、日本のこれからの防衛政策の上でお考えになっていくとすれば、核兵器持ち込みという問題について、たとえば、いま誘導装置や発射装置や、あるいはまた起爆装置、弾頭、こういう問題をシステムとして考えておかないと、アメリカの船は全部、率直なところ誘導装置、発射装置をみんな持っているのです。そして格納庫もあるのです。格納庫は、御存じのとおりに海兵隊がガードしていますが、その使用についての権限は艦長が持っています。そしてそれに関連をして訓練があります。それから防災訓練がございます。こういう全体の状況というのをアメリカの艦船はみんな持っているわけです。
 問題は、核兵器持ち込みというふうに言うときに、弾頭だけだという議論になりますと、これは率直なところ日本の、いまは低濃度ですけれども、ウランの開発というような問題を考えていけば、ここでもって頭へくっつければ死の灰はできるのです。再処理以前のやつは死の灰なんです。こういうふうに結びつけてみれば、核持ち込みというものは、あるいは核装備というものはどうなっていくか、実は私は心配なのであります。
 だからもう一遍、核兵器というのは一体どういう定義を持っているのか。これは、きょう大臣が言われたのはちょっと新しい解釈だと私は思いますので、その辺もう一遍だけ確かめておきたいと思うのです。
○園田国務大臣 私の発言中、核兵器と核を分けたことは、核兵器の定義をした意味ではございませずに、核を投射する装置と核と、こういうふうに区別する意味で、核兵器と言わずに、核投射または発射する機械装備というふうに分けるべきであったと思います。決して核兵器の定義は、切り離して言ったわけではございません。
○始関委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 日米の軍事関係に関連してお尋ねいたします。
 去る二月二十二日に、ブラウン米国防長官が米下院の国際関係委員会公聴会で、朝鮮半島の有事の際には在日米軍が投入されるという証言をしました。私は、これはカーター政権が在韓米地上軍の撤退を補完するために新たに推し進めている米日韓軍事一体化路線と、それに基づく共同作戦体制がきわめて危険な段階に来ていることを示したものであると考えております。
 朝日新聞の二月二十三日付の報道によりますと、「同長官に同伴し「統合参謀本部の代表として」公聴会に出席したロジャーズ陸軍参謀総長も「長官の説明に追加することはなにもない」と証言、これが米軍が起草ずみの朝鮮半島に対する緊急作戦計画であることを示した。」ということでありますが、この「緊急作戦計画」という計画はあるのかどうか、このことをまずお伺いいたします。
○中島政府委員 お答え申し上げます。
 まず、ロジャーズ陸軍参謀総長がブラウン長官とともにアメリカの下院で証言いたしましたときに、緊急作戦計画云々というようなことを述べたという事実は私どもとしては全く承知いたしておらないのでございます。ブラウン国防長官がその二月二十二日の証言で強調しようとしたことは、アメリカ側としては、在韓米地上軍を撤退させても、韓国の防衛についての約束を堅持し、韓国を含むアジア西太平洋地域の平和と安全のため、これらの地域に必要な軍事力を維持すること及びそれらの軍事力が有事の場合に対応し得る態勢にある旨を述べただけのことでございまして、朝鮮半島に対する緊急作戦計画があるというようなことは何ら申しておらない次第でございます。
    〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
○柴田(睦)委員 現在アメリカは、在韓米地上軍の撤退の是非をめぐって、またそのときの部隊の配置及び緊急の投入計画について詳細な検討を加えております。二月二十二日の下院国際委員会でのブラウン国防長官の、朝鮮からの米地上軍撤退関係についての演説要旨、ここにありますけれども、ここでは部隊の配置について述べております。この文書は米国の大使館文化局の報道部から入手したものですから、これは私たちが入手するぐらいですから外務省も持っていらっしゃると思いますけれども、ここにあるよりも、より詳細な計画、そういう説明を受けているのではないでしょうか。あるいは先ほど出ておりました一月十六日、十七日のハワイ会談で説明を受けているのではないかと思うのですが、外務省どうですか。
○中島政府委員 ブラウン長官が在韓米地上軍の撤退について下院で証言したことは事実でございますが、その中でいま先生の御指摘になられたようなことを述べていたというふうには私ども承知しておらないのでございます。
○柴田(睦)委員 この新聞で報道されております緊急計画、これを聞いていないということは非常におかしいことだと考えるわけです。この計画があって、そして三月七日から開始されるチームスピリット78あるいはパープル・プローズなどの演習が何回も繰り返されているのではないか、こういうように考えるわけです。特に三月七日から開始されるチームスピリット78には在日米軍も参加し、大規模な演習であるということは先ほども明らかにされております。新聞報道によりますと、米政府関係者が、日本の横田基地がこのチームスピリットの中継基地になっているということでありますけれども、アメリカがそういう演習を通じて、また構想として持っているこの計画、そういう中で朝鮮での有事の場合を予想した計画、そうした中で横田がこの中継基地になるということについて、外務大臣どういうふうにお考えですか。
○中島政府委員 ただいまのチームスピリット合同演習の過程において、アメリカの軍隊が横田に休養、補給、休養と申しますよりもむしろ補給のために立ち寄るということ自体は、安保条約上これは許容されておることであるというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 演習ということでなくて、その演習が行われる根源にあるアメリカの計画、こういうものが当然あるはずであります。そのことも言われているわけで、そういう基本的な計画、この中で横田が中継基地に使われるということであればいかがですか。
○中島政府委員 たびたび申し上げることを繰り返すようで恐縮でございますが、そのような計画があるということは承知いたしておらないのでございます。ただいずれにいたしましても、米軍は日米安保条約第六条によりまして日本国の安全と極東における国際の平和、安全に寄与するという目的のために日本の施設、区域の使用を許されておりますから、そのような使用である限りは、これは安保条約上これを許容すべきものであるというふうに考えている次第でございます。もちろん具体的な軍事行動の場合に、それが事前協議の対象に該当する場合には、当然に事前協議にかけてくべきものであり、それに対して日本政府としては、自主的な立場から、イエスを言うなりノーを言うなりという立場を決定する、こういうことでございます。
○柴田(睦)委員 現在、私どもが横田基地の監視を行っておりますけれども、きわめてあわただしい動きになっております。私どもの調査では、核輸送機であるC130、A4スカイホーク、P3オライオン、こういうのが連日十数回にわたるタッチ・アンド・ゴーの訓練を繰り返しておりまして、基地周辺の人も、ことしになって一番ひどい騒音である、こう言っております。もう現在の時点において中継基地の役割りになっているわけです。そうしたことについて横田が中継基地とされている、そして現状がそういう状況になっているということに対して、政府は何らかの対応策をとっているのですか、またとるのですか、お伺いします。
○中島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、米軍機の一部が横田の基地に立ち寄るということは、アメリカ側から一般的な説明を受けて、承知いたしておる次第でございます。たびたびの繰り返しで恐縮でございますが、極東における国際の平和、安全の確保という見地からアメリカ側が演習をいたしますこと自身は、安保条約上これを許容すべき事態でございますので、わが日本政府としてこの演習に関心はもちろん持っておりますが、いまのような演習活動そのものに対してこれをとやかく言うべき立場にはないというふうに考えている次第でございます。
○柴田(睦)委員 写真を示したいと思いますが、ちょっと見てください。
○藤尾委員長代理 政府席にその写真をもたらすことを許します。
○柴田(睦)委員 F4ファントムの写真でありますけれども、その写真の場所がどこか、外務省なり防衛庁なり答えてください。
○藤尾委員長代理 よくごらんになって、お答えをいただきたいと思います。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま拝見した写真は、まことに恐縮でございますが、自衛隊の基地かどこの基地か、ちょっと確認しかねます。
○柴田(睦)委員 写っているのが米軍の宿舎であったり、あるいは石川島播磨重工の工場であったりということですけれども、これは言いますと、二月二十三日に、あわただしくなった横田に着陸した迷彩入りの百里分遣隊のファントムが写っているわけです。その日の二月二十三日の監視記録によりますと、そのF4だけではなくて、F4偵察機あるいは自衛隊八九二五のヘリコプターあるいは航空自衛隊偵察航空隊百里先遣隊の偵察機、そうしたものがたびたび着陸しているわけで、その中からの写真であるわけです。真横にC5Aギャラクシー、アメリカの飛行機が写っておりますけれども、そうしてみますと、あわただしくなった中でたびたび百里から飛んできた戦闘機、偵察機がそこに着陸するということですから、普通は横田は米軍の専用区域であって、日本の自衛隊機がやたらに着陸できない、そういう中でそのような写真に写っているように自衛隊機が出てくるということは、まさにチームスピリットに日本の自衛隊機も組み込まれているんじゃないかというように思うのですけれども、防衛庁、その点いかがですか。
○上野政府委員 チームスピリット演習に自衛隊は参加いたしておりません。したがいまして、いまの写真、仮に米軍基地であるといたしましても、それは当該演習に自衛隊機が参加しておるというものではございません。
○柴田(睦)委員 二十三日だけでも自衛隊機がそこに着陸したというのが十機あるわけです。そうしますと、自衛隊機が横田の基地にそのように着陸し、通過するということがあり得ることですか。
○上野政府委員 具体的な態様がどうなっておりますか、いまちょっと問い合わせておりますけれども、一般的に言いまして、そういう米軍の基地に自衛隊機が着陸しあるいは離発着するということは、これは十分あり得ることと考えております。
○柴田(睦)委員 このチームスピリットにおける横田の状態からしても、朝鮮有事の際、横田が中継基地としての役割りを果たすということは当然に考えられるわけであります。すでに米軍はチームスピリット演習の第一陣を韓国入りさしているということであって、特徴的にはランスなどを持ち込んでおり、戦術核の使用が前提となっておって、横田をこれらの核部隊が通過することも十分あり得ることであるわけです。そうしたことが許されていいのかどうか、このことについてお伺いします。
○上野政府委員 ただいまの先生の御質問の前に、先ほど私ちょっと留保いたしました件について、恐縮でございますが、御回答申し上げます。
 横田の基地に百里のファントムがその日に着陸をしたということは、これは事実でございます。なぜ着陸したかといいますと、砂あらしでもって百里の基地が着陸不能でございました。そこで訓練に飛び立っておりました百里のファントムが緊急避難的な措置ということで横田の飛行場を使わしてもらったわけでございます。
 なお、この写真に写っておりますヘリコプター、これは厚木基地所属の海上自衛隊機でございまして、厚木の例の米軍の墜落事故のための要務飛行をしておったということでございます。
○中島政府委員 ランスについてのお尋ねの点でございますが、先ほども御論議がございましたようにランスというのは地対地ミサイルでございまして、これは核非核両用のものでございます。したがいまして、核兵器の持ち込みを伴わない限りは、このような部隊が日本に立ち寄るということがありましても、安保条約上の問題はないというふうに考えている次第でございます。もちろん核の持ち込みが行われるということになれば、これは当然に事前協議の対象になるということが条約上明記されているわけでございます。
○藤尾委員長代理 先ほどの写真資料をお返しをいただきたい。
○柴田(睦)委員 結局は、そうするとうンスだとかあるいはその他の戦術核というようなものの通過ということも、このチームスピリットでは考えられないわけではないのですけれども、そういう点については、外務省は何も問い合わせをしたりそういうことはしないのですか。
○中島政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、ランス部隊が今回の米韓合同演習に参加する、そしてそういうことで横田の基地に立ち寄ることがあるということは、アメリカ側から説明を受けております。
 他方、それが事前協議の問題になるということであれば、当然にアメリカ側から事前協議の申し入れがあるわけでございます。これがない限りにおきましては、核兵器の持ち込みはないというふうに確信いたしておる次第でございます。
○柴田(睦)委員 結局、アメリカの方が言わなければ事前協議ということもあり得なくなるということになるわけです。そういう意味では、事前協議が全く空洞化されているわけで、繰り返しの政府の答弁でありますけれども、どうしてもなかなか納得することができないわけであります。
 そこで実際の例として、板門店事件のときに在日米軍がどのように行動したのかということにつきまして、一九七七年三月十一日に米上院軍事委員会での一九七八会計年度軍事予算についてのウィズナー太平洋軍司令官の演説があります。この演説でウィズナー司令官は、一九七六年八月十八日の板門店事件の直後、沖縄の嘉手納基地から一個中隊が朝鮮へ出撃し、米本土のアイダホのマウンテンホーム基地から直行したF111一個中隊と、横須賀から出港した空母ミッドウェーとその機動部隊に合流したということを述べております。そして、このことは韓国及び米国の安定にとって非常に重要であり、後方支援基地、すなわち日本の基地の価値の重要性を実証した、こう述べているわけです。
 これは板門店事件のときですから、実際の戦闘行動における緊急の部隊派遣について述べたわけですけれども、この際は事前協議ということはあったのかなかったのか、お伺いします。
○中島政府委員 当時、板門店事件の際の米軍の動きのうち、わが国に関係したものにつきましては、当時在京米大使館から事前の連絡を受けて承知いたしておりました。しかしながら、これらの動きは在日米軍施設、区域から他の海外基地への移動、それからわが国領空の通過、海上待機任務につくための出港等でありまして、いずれも事前協議の対象となるものではなかったということでございます。
○柴田(睦)委員 在日米軍の移動、その内容はどういうものであったわけですか。どこの基地に行くということであったのですか。
○中島政府委員 たとえばF4の飛行隊でございますが、嘉手納の飛行場から韓国内の空軍基地に移動したという連絡が当時ございました。
    〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕
○柴田(睦)委員 韓国内の基地に到着したということであっても、あるいはこのミッドウェーが横須賀を出港したということであっても、それが実際板門店で戦争になれば直ちに戦争に投入される性質のものであると思うわけです。そういう際においても事前協議が問題にならないということは、やはり事前協議は実際上歯どめの役割りを果たせない、実戦のときには歯どめの役割りにならないということを示していると思うのですが、どうですか。
○中島政府委員 安保条約に基づきまして当該事前協議が行われますのは、わが国の施設、区域を戦闘作戦行動の発進基地として使用する場合でございます。したがいまして、戦闘作戦行動がわが国における施設、区域から発進されるということでなければ事前協議の対象とはならないわけでございます。
○柴田(睦)委員 実際の問題としては、アメリカ側が事前協議などを問題としていないということがいろいろ考えられるわけです。七五年二月二十七日に米上院軍事委員会での証言で、サミュエル・ジャスキルカ米海兵隊副参謀長が「海兵隊が日本本土と沖繩から展開するのに何の制限もない」、「私の知るところでは、朝鮮におけるあらゆる作戦への支援基地として日本を利用することは何ら制限はない」と述べていることからも明らかです。しかも重大なことは、このジャスキルカ米海兵隊副参謀長は「そのような作戦の支援基地として日本を使う行動は、わが国の国務省と日本政府の交渉の対象であると思う」と述べて、事前協議という制度があることを知っていて、しかもこのような証言をしているということにあるわけで、ここには明らかに事前協議についてアメリカ側と日本政府との認識の違いというものがあると思われますが、この点についてはいかがですか。
○中島政府委員 この点は過日外務委員会においても御論議があったところでございますが、そのとき外務大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、このジャスキルカという海兵隊の参謀副長は軍事的な面について発言をしているわけでございまして、彼自身も先生の御引用のとおり国務省と日本政府との事前協議の問題であるということを明確に言っておりまして、その問題とは別に軍事的な面について第一線の部隊長として触れたということでございまして、これは事前協議制度を何ら害するものではないというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 ちょっと時間がありませんので、第十回日米安保事務レベル協議、これを考えてみますと、これは昨年の九月に三原前防衛庁長官が訪米してブラウン米国防長官と会談した際に合意し、開かれたものだと言われておりますが、この三原・ブラウン会談で米側から、対潜能力の向上、防空能力の向上、補給体制の充実、対韓経済協力、防衛費の分担、このいわゆる対日五項目軍事要求があったわけであります。このことは、昨年の九月二十三日の参議院のロッキード特別委員会で三原前長官自身も認められていることであります。したがって、今回の日米安保事務レベル協議でも当然この五項目に関してアメリカ側から要求が出され、こういう問題についても協議されたのではないかと思われるわけですけれども、先ほどからの政府の答弁を聞いておりますと、非常にあいまいであって、はっきりした、当然考えられることが言われないというようなことから、はなはだ遺憾に思っております。この事務レベルの協議において、いま言ったような問題についての討議はなされたかなされなかったか、ひとつはっきり答えていただきたいと思います。
○中島政府委員 三原長官の御訪問でございますので、果たして私が御答弁申し上げることが適当かどうかは存じませんが、私ども承知している限り、ブラウン米国防長官からそのような要請が三原長官にあったという事実は何ら承知しておらないのでございます。
○柴田(睦)委員 これは委員会で長官自身が答えられたことであるわけです。ですから、知らなければ、これから調査して答えていただきたい。その点については保留しておきます。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 昨年のロッキード委員会での三原長官に対する御質問の中で、ただいま先生が申されましたような五項目の要求というものが三原・ブラウン会談であったのではないかという御質問がたしかあったと思います。ちょっとただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、はっきりお答えできないのは残念でございますが、そのときにただ一つはっきり三原長官がお答え申し上げましたことは、アメリカからそういう対日五項目の要求、これは当時一部報道で伝えられたことでございますけれども、そういうものはありませんということをはっきりお答えしたと記憶しております。
○柴田(睦)委員 事前協議の問題といい、この日米の協議といい、なかなかかみ合わない答弁でありますけれども、私は結論的に言いますと、結局、カーター政権が、韓国軍はもちろん日本の自衛隊との共同作戦を自明の前提として、軍事力動員態勢を組んでいる。そういう意味では、日米防衛分担を含めてハワイでも当然そのことが協議されたのだというように考えておりますし、そういう内容であるからこそ、いろいろ質問されてもなかなか答えられないのじゃないか、こういうように考えざるを得ないわけであります。
 それでは次に、柏市のロランC基地新設問題について幾つかの質問を行いたいと思います。
 先日の予算委員会で共産党の不破書記局長が柏市へのロラン基地の設置について質問しました。これに対して福田総理は、調査し、決定すると答弁されました。その後私たちはロランCについての米当局者の証言集を総理に手渡して、大至急調査をするように申し入れました。
 まず、その後の調査結果を明らかにしていただきたいと思います。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 昭和三十六年ごろアメリカ側から、わが国においてロランCの施設を設置することにつきましてわが国の協力方の要請がございました当時から、ロランCに関しましては十分な調査と検討を行ってきております。そして昨年、アメリカ側から柏市に同様の施設を設置する要請があった際にも、前回同様詳細に検討いたしたわけでございます。
 ロランCにつきましての政府の見解は、これまで国会において累次御説明申し上げてきておるとおりでございまして、軍事、非軍事を問わず、一般的に航空機及び船舶の航法支援を果たします。何と申しましょうか電波灯台とも言うべきものでございます。その設置につきましても安保条約上の問題は何らないということでございます。
 ロランCが一般の航空機及び船舶の航法支援のためにも使用し得るということは御説明してきたとおりでございますけれども、基本的には、ロランCというものは米軍がその軍事上の必要性に基づきまして軍用施設として設置するものでございますので、そのための用地として施設、区域を提供するということは何ら問題がないのではないかという結論でございます。
 ただ、このようにして設置されましたロランCがいわば反射的利益と申しましょうか、そういう利益として民間の航空機あるいは船舶もこれを利用し得ることになるわけでございますけれども、だからと言ってこのロランCの建設あるいはそのための施設、区域の提供が地位協定上問題になるというものでないというふうに私どもは承知しております。――さしあたりこの程度でよろしゅうございますか。
○柴田(睦)委員 全然そんなことは聞いていないのです。予算委員会でアメリカでの政府当局の証言集を示して総理に質問をした。そうしたら総理の方で、これから調査し決定する、こういう答弁があったので、政府とすればその後、米国沿岸警備隊にこういう証言との対比において質問するとか調査するとか、そういうことが当然なされなければならないけれども、予算委員会後この証言集に出ている問題を基本にして調査をしたかどうか、国防総省に問い合わせたかどうか、そういうことを聞いているわけです。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 先般、日本共産党から文書資料、「ロランCにかんする米政府当局者の証言集」ということでお示しのございました資料につきましては改めて十分に検討いたしました。
 その結論を先に申し上げますと、政府としては何ら問題はないということでございます。
 この資料につきまして指摘をお受けいたしました個々の点について申し上げますと、まず第一に、ロランCの基地は戦略構想に基づいて建設された軍事基地で、商業目的での利用は付随的である、こういう点に関しましてのお答えでございますが、わが国にあるロランC施設は、米軍が米軍のために設置をして、そして米軍が使用している施設であるということは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、先ほども申し上げましたが、ロランCの電波はいわば電波灯台とも言うべきものでございまして、軍用目的に限らず、受信機を保有しているすべての一般船舶あるいは航空機が利用できるということは申し上げたとおりでございます。また米国政府も、沿岸航路帯におきます政府支援の航法システムとして、その一般船舶、航空機、民間でございますが、これによる使用を安全上の見地から奨励をしておると承知しております。
 なお付言いたしますと、このロランCといいますのは、何も米軍だけがつくっているわけではございませんで、これは十分御承知のこととは存じますがわが国にもございますし、それからソ連もあるいはほかの国もその必要に応じて設置をしておるものでございます。
 次に第二点、ロランCの基地は戦略上の重要地域だけに設置されているという点に関してでございますが、現在米国によりまして各地に設置運用されておりますロランCのチェーンは、米国の予算により建設、維持運用されております以上、その設置の地理的な位置を選択するに当たりましては、米国の国益に沿った観点から決定されたであろうということは容易に想像されるところであります。
 第三点でございますが、ロランCとオメガは相補って役割りを果たしているという点に関してでございます。
 ロランCは、航法上の高い精度を有する局地的な航法支援施設として米国により、またオメガは、計画では八カ所の地上送信局により全世界的な覆域を有する航法支援施設として現在六カ国の設置国により、それぞれ建設、維持運用されておりまして、双方が一般の航法上の利便に対して相補って寄与しているものでございます。
 次の点でございます弾道ミサイル潜水艦への航法支援と通信伝達、あるいはファントム機へのロランシステムの装備、ベトナム戦争での活用など、ロランC基地の軍事的機能の実態についてでございますが、弾道ミサイル潜水艦は、ロランCを含む電波航法援助施設の複数の航法援助手段のいずれかを利用することはあり得ましょうけれども、ロランCが絶対に必要であるというものではないというふうに承知をいたしておるわけでございます。
○園田国務大臣 事務的な問題でありますが、柴田先生の御質問は柏市のロランCはどうなったか、こういう御質問だと思います。
 そこで、ずっと検討してきたところでありますが、その後いろいろ検討調査の結果、どうも電波障害が相当ありそうだということで、工事を一時中断をして――建設を断念したわけではありませんが一時中断をして、何か電波障害を除く技術的な方法はないか、こういうところを検討中でございます。
○柴田(睦)委員 ちょっとまだ答弁がかみ合っておりませんが、それでは審議官、最後のまだ答えられておらない核戦争時に生き残る能力が弱いという点についてはどうですか。
○上野政府委員 最後に、ロランCなどの通信基地は残存性がない、あるいは脆弱であるという証言がありますので、ロランCの基地は核の第一攻撃目標になるのではないかという点に関してでございますが、一般的に弾道ミサイル潜水艦との通信に用います通信システムが攻撃の目標となり得る、あるいは攻撃を受けるおそれがあるというような証言、それからその潜水艦に対する指揮統制通信システムの残存性がないという証言、こういう証言が御指摘の関係部分にあることは事実でございます。ただ、米軍がわが国におきましてロランCの施設として施設、区域の使用を認められておりますのは、それがわが国の安全並びに極東の平和と安全に寄与していると認められるからでございまして、政府といたしましては、安全保障条約に基づくこのような米軍による施設、区域の使用が、安全保障条約第五条の規定、すなわちわが国が攻撃された場合の米国の防衛義務と相まちまして、全体として強力な抑止力となっており、それがわが国の平和と安全に寄与しているという認識を有しておりまして、ロランC施設を置くこと自体がわが国の安全を危険にするという認識は持っていないわけでございます。したがいまして、わが国におきまするロランC施設の撤去あるいは建設の中止といったようなことを米側に求める考えはございません。
○柴田(睦)委員 聞いておりまして、いいかげんと言いましょうか、そういう調査としか言いようがないと思うのです。私どもは、ロランCが実用化される一九六〇年代から現在まで、米議会における米政府当局者及び米軍のロランCについての証言、海軍年鑑などを中心にロランCの役割りについて調査をしてきました。そしてロランCがポラリス潜水艦を初め戦闘機が目標を正確にとらえるための位置確認の施設であって、核戦争時には生き残る能力がない施設であることを明らかにしてきたわけです。これについていまの答弁では、この軍事、非軍事用の施設などと言って、公然と承認するという態度をとっておって、生き残る能力がなく、日本国民にとっても危険な施設であるのに何らの対策もとらないというのは、全く無責任きわまる態度であるというように思うわけです。
 そこで、ちょっと実態を明らかにするために一つずつお聞きしたいと思いますが、まず、米当局者は、ロランCは米原潜への通信システムの役割りを持っている、こう述べていますが、これについてはどのような調査をされましたか。結論を聞きます。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと触れましたのですが、弾道ミサイル潜水艦は、ロランCを含む電波航法援助施設の複数の航法援助手段のいずれかを利用することはあり得る、しかしながら、ロランCが絶対に必要ではないということは先ほど申し上げました。この潜水艦は、船舶慣性航法装置によりまして、潜行中でありましても自分の艦の位置が確認できます。この慣性航法装置の誤差を修正する手段としてロランCを含む航法援助手段を利用するということが言われております。
 以上でございます。
○柴田(睦)委員 聞いているのは、米原子力潜水艦への通信システムの役割りを持っていると述べているんだが、これはどうなんだ。当たっているのか当たってないのかと、こう聞いているのです。よけいなことは言わないでください。
○上野政府委員 これは先ほど来しばしば触れたと思いますが、先生のお言葉どおり当たっております。
○柴田(睦)委員 それじゃ日本にあるロランCの基地、北海道十勝太、沖繩慶佐次、硫黄島、南鳥島、これらの基地でこの通信システムとして利用されているものもありますか。あるかないか。
○上野政府委員 ロランCは、民間、軍用を問わずこれは利用できるわけでございまして、わが国にありまするロランC局が、米国の潜水艦に対しましてその利用に供されておるということは、これはあり得ることでございます。
○柴田(睦)委員 ロランCの電波は頻繁にパターンが変更されることは、昨年の国会で私が指摘したことですから御承知でしょうけれども、このパターン変更の際は民間船舶は利用ができなくなる。これは政府も認められたことであるわけです。
 そこで、すでに非軍事用というようなことは誤りであることは明らかですけれども、このパターン変更の際、電波を出さなくなって休止している局ができます。硫黄島は頻繁に休止するのですが、硫黄島がメッセージをリレーする、すなわち、伝達をするということもあり得ると思いますが、これはどうですか。
○上野政府委員 過去においてロランC局が発信電波を変更した、発信電波の変更を行うという旨の水路通報があったということは承知しております。ただ、それが一般の利用者にどういう影響を与えたかという細部は承知しておりません。また、その発信電波の変更をすれば、軍用、非軍用を問わず、それを利用しておるものは、その状況に応じて影響を受けるということでございます。
○柴田(睦)委員 自衛隊は、結局、在日米軍を除きますと、潜水艦を保有しているいわば唯一のユーザーの立場にあって、ロランCの顧客であるわけで、そういう事実を知らないわけはないわけです。この点は、きょうわからなければ、なお調査して答えていただきたいと思います。この点は保留しておきます。
 生き残る能力がないという事実、これは防衛庁としてはどう考えていますか。
○上野政府委員 有事と申しますか、戦時にこういうロランC局がまず真っ先に撃ち壊されるだろう、攻撃を受けるだろうという想定につきましては、常にそれが正しい、それが大変高い蓋然性を持っているということは言えないと思います。先ほどの御質問にもちょっとございましたけれども、有事の様相、これは千差万別でございます。まず、ロランC局一つを攻撃してもしようがないのでありまして、これは複数の局から発信される電波、これは双曲線の電波の交点を求めて、そして時間、自分の船なり自分の航空機の位置を測定するという装置でございまして、一カ所だけこれを壊してもしようがない。さりとて、では全部壊すかということになると、これは大変離れているわけでございます。それから、そういう航法援助装置は、ロランCだけではございませんで、そのほかにもございますし、オメガというものもございますし、ロランCだけが有事になって真っ先にやられるということは、一般論として必ずそうだということはどうも言いにくいと存じます。
○柴田(睦)委員 それでは、予算委員会で問題になりました柏市の場合は、半径十キロのところに百万人の人口がある。米本土以外のロランCの基地がどういうところにあるかという問題ですけれども、米本土以外のロランCの基地で、そのような人口密集地帯があったか、なかったか、これは調べましたか。
○上野政府委員 調べました限りにおきましては、一般的に言いまして、人口稠密な地域にロランCが設置されておるという例は少のうございます。柏の場合は、まさに人口稠密な地域であることは御指摘のとおりでございますが、これまで米国が世界各地に建設したロランC局、必ずしも皆調べ上げたかどうか、ちょっと自信ないところでございますけれども、洋上の島などが多いことは事実でございます。ただ、米国東部海岸チェインのナンタケット、これはマサチューセッツ州にございますが、そこのロランC局はボストンに近うございます。百四十四キロメートル、それからニューヨークへは三百六キロメートルの距離にございまして、その半径百キロメートル以内は相当の人口稠密地域である。そういう地域に設置されておる例もございます。
○柴田(睦)委員 だから、私は米本土以外ということで聞いたのです。本土のロランC基地はナビゲーションの基地であって、目的が違うわけです。そういう意味で、いまの答えを聞いてみても、実際上の調査をしていない、こういうように見なければなりませんし、これはもってのほかだと思うのです。
 海外のロランC基地は、最も人口の多いところで、西ドイツのシルトの約一万人、これも島でありますけれども、あとはグリーンランドとかノルウェー岬であるとか、人口数百の孤島がほとんどであります。このように、攻撃されても被害の少ないところにロランC通信施設を置いているのが最大の特徴であるわけです。地上通信基地は残存能力がないからということで、アメリカはいまTACAMOという空中からの指揮システムを研究しているくらいであるわけです。
 これは最近の米国防報告に載っていることですから御存じでしょうけれども、こういう中で人口密集地帯の柏市へロランC設置を強行するのはもってのほかであるわけです。日米の戦時態勢というようなことからやむを得ないというようなことも先ほど言っておりましたけれども、ロランCというものの性質、そしてまた、これも余りはっきりと認めようとはしないけれども、アメリカの議会の証言集に出ているように、最初に攻撃を受けるということから考えてみた場合に、人口密集地帯の柏市への設置を強行するというのは、これは許さるべきではないわけです。全体的な答弁を聞いていましても、本格的な調査を行っておられない。そういう意味では、なお本格的な調査を行って、ロランCの設置というものの意味をしっかりとっかむということ、そしてそうしたものを人口密集地帯に設置するのはやめるように、こう米政府に申し入れるべきであると思うのですけれども、ひとつ外務大臣の所見をお伺いします。
○園田国務大臣 ロランCに対する米国予算委員会における証言は、場所は予算委員会であります。したがって、ロランCが核戦争が始まった場合には全然役に立たぬ、すぐやられるということは、危険の警告ではなくて、こういうものは役に立たぬから早く店じまいをして、そして飛行機からの誘導、これはすでに完成しております。人工衛星からの誘導、こういうものに切りかえろという発言だと私は解釈をいたしております。
 なお、柏に対する建設はいま中断をいたしておりますが、さらに十分検討をいたします。
○柴田(睦)委員 先に外務大臣が電波障害の問題を言われましたけれども、今回の柏市の設置ということに伴っての電波障害の問題については、日本の政府は調査したことがあるのですか、お伺いします。
○森島説明員 お答えいたします。
 郵政省が行っております在日米軍との周波数の調整は、わが国の無線局等が使用する周波数と混信を生ずることとならないかという観点からのものでございますが、柏のロランCの周波数の調整につきましては、現在米側で検討中でございます。
○柴田(睦)委員 一九六二年に、北海道の十勝太にロランCを設置したときに電波障害があったということを聞いておりますが、郵政省、どうですか。
○森島説明員 お答えいたします。
 北海道の十勝太に在日米軍のロランCが建設されました当時、放送の受信、海岸局、無線標識局及び電力線搬送施設に混信妨害が予想されましたので、調査を行いました結果、放送の受信につきましては支障はないということでございましたが、そのほかにつきましては、対応策について調整が行われました。
○柴田(睦)委員 今度の柏の場合においても、政府としては電波障害があると指摘したのでしょうか。これは理論上も、いまの十勝太の問題と柏市も同じ問題が発生すると思うのですが、防衛施設庁の方でこれは指摘されましたか。
○森山説明員 お答えいたします。
 十勝太の場合にも、多少なりとも当然電波障害がございましたので、電波障害の可能性の有無の調査については米軍に話をしております。
○柴田(睦)委員 実際の問題として、十勝太と違いまして、柏市は首都圏に属しておりますし、ここには羽田とか成田とか無線標識局がたくさんあるわけで、電波障害が十勝太とは比べものにならないような大きなものが予想されるわけです。その点で、日本政府はこの点を徹底的に調査しなければならないということ、そしてまた一方、このロランC自身が危険きわまりない施設である、その上に電波障害も引き起こして国民の生活にも重大な被害を及ぼす、そういう意味から、このロランCの設置の撤回をしてもらう、させる。いま工事が中断しているようですけれども、これを撤回の方向に申し入れるべきであると思いますけれども、最後に大臣にもう一度お伺いして、終わりたいと思います。
○園田国務大臣 先ほど答えましたとおり、電波障害その他について、さらに検討して処置したいと思います。
○柴田(睦)委員 終わります。
○始関委員長 鈴切康雄君。
○鈴切委員 過日の委員会で同僚委員が在勤法についての質問をいたしましたので、私は、在勤法の質問以外のいろいろな外交問題についてお聞きをしたいと思う次第であります。
 初めに、日中問題でありますが、外務大臣は非常に日中に取り組む前向きの姿勢をお示しになっておるわけでありまして、その外務大臣の御苦労を多とするものでありますけれども、国民は非常に日中問題について、もう時期も間近だなということをはだ身に感じているわけであります。しかし、相手方もあることでございますので、なかなかむずかしい問題があろうかと思うわけでありますけれども、私、この間同僚委員からいろいろ質問があった中で、もうちょっと煮詰めてみたい点があるな、こう感じて、いま質問を申し上げるわけであります。
 先日の外務大臣の御答弁によりますと、佐藤中国大使と韓念竜中国外務次官があと一回会談をすれば交渉再開の合意ができるという見通しを述べられまして、そして会談は中国全人代表大会の直後になるという御答弁をされたわけでありますが、現在御存じのとおり、中国においては全人代表大会が行われている最中であります。いま外務大臣の感触によりますと、大体全人代表大会はいつごろ終了する見通しでしょうか。
○園田国務大臣 中国の大会は、正式の情報でもなければ通知でもございません。単に新聞その他のニュースで判断をすると、四日か五日ごろには終わるのではなかろうか、こう思っております。
○鈴切委員 四日か五日になるという、これは私も大体それぐらいだろうという予測はしておったわけであります。となりますと、その直後にもう一回会談を持つというこの間の御答弁であったわけでありますけれども、しかも全人代表大会と並行していろいろ話を詰めておる、この問題は切り離してやっているのだということになりますと、その大会が終わりますと、すぐに第一回の会談が持たれる、こう判断してよいでしょうか。
○園田国務大臣 大会とは関係なしに相談をしようということになっておりますけれども、今週中何かないかと思っておりましたが、やはり大会が終わらなければ話し合う機会は出てこないのかなと推察をしておるわけであります。
 そこで、大会が終わったら直後ということではございません。大会が終わりましたら、なるべく早い時期に両方からそういう会談の機会があるのではなかろうか。一回と言ったわけではございませんので、まあ一回か二回、大体一回で終わるのではなかろうか、こういう想像でございます。
○鈴切委員 外務大臣、この間御答弁になったのは、私もちょうどいて聞いておりました。あともう一回やれば、大体すべて事務レベルのすり合わせば終わる、こういうことをはっきり答弁されたので、きょうは二回ということにお話が入りますと、大分内容的にまたむずかしい問題が出てきたというふうに判断していいでしょうか。
○園田国務大臣 速記録を読まないとはっきりはできませんが、先生がお聞きになったなら、私がそういう言い方をしたかもわかりませんが、一回ぐらいで大体見当がつくのではなかろうか、こう言っていると思います。ということは、まあ一回になるか二回になるかわからぬが、二回以上ということなしに、一回で大体うまくいくのではなかろうか、こういうことに御理解を願えれば結構でございます。
○鈴切委員 一回ぐらいで大体うまくいくだろうというぐらい事務レベルの話はもう煮詰まってきた、こう判断してよろしゅうございましょうか。
○園田国務大臣 交渉再開の段取り、手順等については、大体一回ぐらい両方で会えばめどがつくのではなかろうかというふうに御理解願って結構でございます。
○鈴切委員 そうなりますと、問題の詰めが残る、すなわち事務レベルだけではこの問題について結論が出ないような政治的判断、これが残るであろうという推測でしょうか。
○園田国務大臣 佐藤大使と韓念竜両氏の会談は、条約の内容については全然折衝しておりませずに、両方で交渉を始めようじゃないかという交渉再開の手順その他を打ち合わせておるわけでございます。
○鈴切委員 そうしますと、条約に対する煮詰めというものはなされていない、話し合われていないということですけれども、これからの再開に対する交渉だということでございますけれども、もうすでにこの問題についてはかなり事務的レベルにおいて、条約の案文をどうしようかという問題については煮詰められて、あと問題点が幾つか残っているというふうに思っておったのですけれども、そうじゃないのでしょうか。
○園田国務大臣 条約の内容については、全然話し合ってはおりません。
○鈴切委員 この間園田外務大臣が、国会中で予算審議との絡みもあり、各党の了解を得たいという内容の御答弁をされましたね。となりますと、まさか国会の開会中ということは、五月十七日の会期末というふうには理解できないわけでありまして、国会の開会中というと、少なくとも三月の半ば、あるいは三月の半ばから三月の末、これは何日にということになりますと、相手のあることでありますけれども、そういうことを園田外務大臣は期待しておられるのじゃないだろうかというふうに、私はどうもその言葉の端々から感じられますし、国民ももうそろそろそういう時期だなというふうに感じているように思うのです。その点についての感触をちょっと聞かせてください。
○園田国務大臣 これからの話でありますから、私は必要なときがあれば総理のお許しを得てなるべく早く行きたいと思っておりますが、とかく縁組みなどの話は長引くとかえっていかぬものでありまして、慎重に検討しなければなりませんけれども、やはりここまで来るとなるべく早く交渉して、なるべく早くうまくいくようにしたがよいという気持ちは持っております。
○鈴切委員 まあ外務大臣も大変にお忙しい御日程だと思うのですね。きょう、こうやって内閣委員会も精力的に審議をし、外務大臣のバックアップをしているわけであります。外務大臣、私、日にちを何日というのはこれはもう非常に酷なことを申し上げるようですけれども、三月の半ばか三月の終わりぐらいに御期待をされて、四月までずれ込むということもあるのか、あるいはその点の感触については、外務大臣として当然日程を詰められていく中にこれはもうすべて計画を練られなければならないわけですけれども、それではどれくらいの期待でお考えになっていましょうか。
○園田国務大臣 相手とこれから相談をして折衝することでございますから、何月の半ばごろか何月の上旬か下旬かということはお答えはできませんし、いまお答えすると無責任な言葉になりますから……。まあしかし、なるべく早くと考えております。
○鈴切委員 精力的に園田外務大臣が訪中されるということでございますけれども、外務大臣の訪中は締結の交渉のためだろうというように思っておりますが、あるいは最後の詰めと仮調印を行う権限を持って訪中されるのか、正式の調印はその後に行われるのか、その点はどうお考えでしょうか。
○園田国務大臣 これも全く交渉再開後の模様によるわけでありまして、ただいまお答えはできませんので、お許しを願いたいと思います。
○鈴切委員 そこは外務大臣、大変に後退をされるような状態になってしまうわけであります。それは確かに外交の日にちという問題について、私認めることにやぶさかではありません。しかし、秘密外交ということになりますと、これはちょっといただけない問題が実はあるわけです。そういうことから考えまして、どういうふうにお考えになっているかということをやはりここら辺で、国会で明らかにされたらいかがでしょうか。過日園田外務大臣は、正式には中国へ行くことを私は伝えていないけれども、国会において発言をしているということは、公式の場所で発言をしているわけですから、少なくとも中国の皆さん方はそれは当然わかってくれている、こういうことで、非公式にはそういうふうに私が行くことを向こうは了解をしているというようにおっしゃっているわけです。
 そこで、この問題について、平和条約というような性質になりますと、これは大体において総理大臣が調印をするというのが通例で、それが重みを感ずるものです。そういうことから考えますと、調印の場所なんですが、東京でやられるか北京でやられるか、あるいは調印については福田さんがやられるか、あるいは他の全権委員を任命されるのか、もし東京で調印式が行われる場合には中国の最高首脳をお呼びするかという、いろいろの問題が実はあるわけですね。そういう問題について外務大臣としてはどういうふうにお考えになっておられるか、そのことについての感触はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 御質問に対して、私、知っておって隠しておるわけではございません。いまの問題も質問されたさまざまの場合を私は想像しておるわけでありますが、相手と話をしないうちに私が自分の気持ちばかり言っておっては、これはかえって折衝にいい影響を与えないと思います。全く今後の話し合い次第でそういうことは決まるわけでございます。
○鈴切委員 いずれにしても、日中の平和友好条約に対する外務大臣の訪中は、少なくとも桜が咲くころはというような感じは、必ずしもそれは当たっていないというふうにおっしゃるのでしょうか。それとも、そのころにはある程度何か春がやってきたというような表現がいいでしょうか。そういう点について外務大臣も積極的にこういうところで御発言になっていませんと、中国の方にびんびんこれは行きまして、外務大臣大分また何回も何回も山を越えながらやっているなという感じを与えるわけですからね。桜の花というのは春やってきますから、春が訪れたという感じはいかがでしょうか。
○園田国務大臣 御質問なさる御熱意とお気持ちはよくわかりますが、桃か梅か桜か、これは全く今後の相手との相談でございますから、お許しを願いたいと思います。
○鈴切委員 一つ問題なのは、私ども野党は日中平和友好条約、大いに前向きに取り組みなさいという立場にあります。しかし野党だけが問題でなくして、やはり園田外務大臣にすれば、自民党の党内の調整という問題もあるでしょうね。ありますけれども、どうですか、党内の調整というのはもう大体お済みになったのでしょうか。
○園田国務大臣 いろいろ努力をし、皆さんに相談をしつつあるところでありますが、次の佐藤・韓念竜会談がありましたならば、本格的に相談をしたいと考えておるところでございます。
○鈴切委員 まあ表ではなくして、いろいろのルートを通じながらこの問題の根回しはされている、しかし、正式にいざ決断という場合においてはまたもう一度党内の調整というか最終的な詰めば行う、こういうふうに判断していいんじゃないかと思いますが、もし間違いであったらひとつその点については御訂正を願いたいと思います。
 それで、日中の平和友好条約の中で一つの焦点は、覇権条項に行動が伴うか、あるいは共同の行動を行わなければならないかということであろうかと思います。しかし、覇権条項がどのような形で制定されようとも、それが行動を伴うものではない、こういうように私は認識をしているわけでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○園田国務大臣 覇権反対は共同行動でも軍事行動でもないことは、これはもうきわめてはっきりしておりまして、この点については両国に異存はないだろうと思っております。
○鈴切委員 両国ともそれについては問題はないというようなお話でありますけれども、その共同行動も軍事行動も伴わないという認識の根拠になるものは何があると外務大臣は認識されておりましょうか。大変むずかしいことを申し上げたので、ちょっと言いづらいと思いますけれども、憲法第九条の規定によって、わが国が第三国と共同して軍事的共同行動をとるということは禁止しているという解釈を私はしております。そのこと自体が、いま申されたいわゆる覇権条項に対して行動あるいは共同行動を伴わない一つの大きな理由になっているのじゃないだろうかというふうに思うわけでありますけれども、その点についていかがでしょうか。
○園田国務大臣 ただいま発言されました憲法からいっても、日中共同声明の線からいっても、共同行動や軍事行動では断じてございません。
○鈴切委員 私は先ほどちょっと申しおくれましたのですけれども、日中平和友好条約が締結されるのは時間の問題だろうと期待をしているわけでありますけれども、締結を機会に、親善のために中国の最高首脳に対して訪日をお求めになられるお考えはないでしょうか。実は、私どもはしょっちゅう中国の方にお伺いをするわけでありますけれども、実際に中国の最高首脳は日本にはなかなかおいでにならない。そういうこともありまして、日中平和友好条約が締結された機会には、日本の方から中国の最高首脳をお招きするということについてはどうお考えになっておりましょうか。
○園田国務大臣 これも先ほど発言されました交渉の場所、時期、締結調印の場所等によって決まると思いますが、そういうことも含みながらよく検討いたしております。
○鈴切委員 わが国に対する侵略があった場合、自衛権を行使してこれに反撃する自衛のための行動が許されるということは当然でありますけれども、しかしこれ以外にわが国が第三国に対して武力を行使することはできません、わが国の憲法は集団自衛権の行使を禁止しておりますから。たとえて言うならば、日米安保条約の軍事同盟条約も、第五条はわが国の施政のもとにある領域における第三国よりの武力攻撃についても、これに対処する日米の軍事的行動は日米それぞれの個別的行動であって、集団自衛権による日米共同行動ではないわけであります。このことからもわかるように、日中平和友好条約の覇権条項は、日中の共同軍事行動を伴うことはあり得ないことは私は明白であろうというように思うわけでありますが、したがってソ連が危惧をするような軍事的共同行動はあり得ないということに対して、外務大臣は説得に御努力されたでしょうか。その点についてはいかがですか。
○園田国務大臣 この前参りましたときには、その点を明確に言って、帰りました。
○鈴切委員 あちらの方で外務大臣が明確にお答えになった。相手方はそれをお聞きになってどういう反応をされましたか。
○園田国務大臣 これに対する反論も質問もございませんでした。今後ともまたそういうことは理解を深めるように努力をしたいと考えております。
○鈴切委員 園田外務大臣は、去る二十七日、大阪における経済界との懇談の席上で、日中条約が締結できれば中国との大陸棚の開発も真剣に考えていきたいというふうに言われたそうでありますけれども、それに間違いはないでしょうか。
○園田国務大臣 中国と友好条約を締結した暁に中国と大陸棚の相談をするということではなく、いささか違いまして、質問が出たことに対して答えたのでありまして、一つはわが国周辺の海底の権利を確保するよう努力する、二つには近隣国家の、近い国々の大陸棚を共同開発する、こういうことを考えております。こういう返答をしたわけであります。
○鈴切委員 そうしますと、中国とということじゃないのですか。
○園田国務大臣 中国という名前は出さなかったと記憶しております。
○鈴切委員 日韓大陸棚共同開発協定は、日中平和友好条約の支障になっておりませんかね。
○園田国務大臣 なっていないと存じます。こちらもまたそういう努力をしておるところでございます。
○鈴切委員 中国の方では、非公式でしょうけれども、実は再三抗議をしておりますけれども、今度の問題で、この問題は将来の問題にするというふうに中国側と合意されていましょうか。
○中江政府委員 ただいま大臣が申されましたように日韓大陸棚協定の問題は、ただいま問題になっております日中平和友好条約の交渉においては問題になっていない、つまり支障になっていない、こういうことでございますので、この交渉とのかかわり合いで日韓大陸棚協定に対する日本と中国の見解の相違というものをどうするということは考えておりません。
○鈴切委員 日中平和友好条約に対してソ連が異常なほどの関心を持って懸念を抱いているのはどういうわけか、実は私には余り理解できないわけでありますけれども、それに対して政府の方から、あるいは園田外務大臣がこの点についてソ連の説明をお求めになったことはございましょうか。
○園田国務大臣 私、説明を求めたことはありませんが、向こうの方からそれはちらっと意見を申し述べました。
○鈴切委員 ちらっと申し述べましたと言うけれども、そのちらっとという内容はどういうふうなことでしょう。
○園田国務大臣 ちらっとという言葉は不適当でありますが、向こうの方から会談の中途で、自分と争っておるごく近くの南の国があるが、日本をそそのかして自分たちの争いの中に引き込もうとしておるから警戒すべきだという趣旨の発言でございました。
○鈴切委員 日本語としてちょっとお聞きしたいのですけれども、覇権に反対であるというのと覇権に反対するというのとの解釈はどう違いましょうか。
○園田国務大臣 そういう議論があることを聞いておりますが、必ずしもそれを区別して考えておりません。覇権反対ということでわれわれは考えておるわけであります。
○鈴切委員 いわゆる覇権反対であるということは意思の表示である、こういうふうに受け取っていいでしょうか。
○園田国務大臣 結構でございます。
○鈴切委員 中国側の中ソ友好同盟条約に対する態度は明白になっているわけですね。中ソ友好同盟条約は死文化した、あるいは期限の不延長の方針をとっているわけでありますけれども、ソ連側のこの条約に対する態度はどういうふうになっていましようか。
○園田国務大臣 ソ連の方には、私はさっきの話が出たときにそれに答えて、あなたの国と中国はもともときょうだいの国であるべきはずだ、かつては中ソ同盟条約を結んでわが方を敵ときめつけられておる、その仲よいきょうだいが相争って、そしてその飛ばっちりを日本が受けていることはきわめて迷惑だという趣旨の発言をいたしまして、そこで中ソ同盟条約を続けられるか、あるいは打ち切られるのか、これは私の方から意見は申し述べません、内政干渉にわたることでありますからあなた方の勝手であります。ただし、日本を敵国とするこの事項だけは削ってもらわなければ困ります。こういうふうに言いました。なお続けて、日本と中国の関係に対する貴国の意見はわかった、わかったけれども、これは日本の外務大臣たる私の決めることであって、近く日中は条約締結をするであろうということだけ申し上げておきます。こういうふうに言っておきました。
○鈴切委員 そうしますと、中ソの友好同盟条約に対する事実上の死文化と期限の延長については、それはソ連の方のお考えによりますけれども、こちらの方としてはソ連側に対して一応立場を述べたということなんでしょうけれども、そうなりますと、ソ連の方であなたがおっしゃったことに対してどういう御返事が出ましたか。
○園田国務大臣 実情はあなたの御存じのとおりだ、将来については自分の方から何も言うことはできない、こう言いました。
○鈴切委員 日本政府は日中平和友好条約の締結に際しまして、中ソ友好同盟条約の取り扱いについて何らかの申し入れを――そういうことを聞いたという非公式のことでございますけれども、申し入れを外務大臣はされるのではないでしょうか。そしてまた、それに対して合意事項かあるいはそういうものを取り決められるお考えはありましようか。
○園田国務大臣 これは理論上から言いますと、中ソの同盟条約について私の方からこれを打ち切ってもらいたいとかあるいは続けてもらいたいとかと言うことは内政干渉にわたると思います。
    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
日本の方でも日中平和友好条約を結ぶ一方、ソ連の方とも平和条約を結ぼうとしておるわけであります。ただ敵視条項は困ります。しかし、日本国民はこれに対して相当な不安があると思いますので、何らかのかっこうで向こうの考え方をはっきりしてもらいたいと考えておりますが、どのようなかっこうでやるかは、今後のことでありますから、申し上げるわけにはまいりません。
○鈴切委員 園田外務大臣の訪ソに際して、ソ連側より日ソ善隣協力条約の草案を受け取ったわけでありますけれども、そのまま検討せずして園田外務大臣は金庫におしまいになってしまいました。またポリャンヌキー駐日大使よりブレジネフ書記長からの親書が渡されましたが、これに対する日本政府の否定的な態度を見るや、ソ連政府は日ソ善隣協力条約の草案なるものを発表しましたね。このところ、ちょっと外交の関係では考えられないようないろいろな問題が出ておるわけでありますけれども、そういう一連の動きに対して、政府としてはこの問題をどういうふうにおとらえになっておられましょうか。
○園田国務大臣 善隣協力条約の草案は、私はっきり受け取らない、正式には受け取らない、したがって検討はいたしません、こう言っておきました。ソ連の方も私の方から出した平和条約案なるものに対して礼儀上突っ返しはしない、しかしこれは検討はしない、こういうことでありました。したがいまして、外交文書ということで両方が受け取った形であれば、その内容を発表するについては日本国の了解を受ける必要があると思いますけれども、受け取っていないわけでありますから、向こうが何を発表されようと、こちらは構わぬわけであります。
 しかし、こういう時期にこういうものを発表された原因は何なのか、理解に苦しむところでありますが、私が金庫にほうり込んで検討していないということがソ連の方へも伝わった模様でありまして、したがって、日本国民に知らせてない、これを発表して日本国民に知らせれば日本国民の世論が動くのではなかろうか、そういう誤った判断をされたのではなかろうかと推察をいたしております。
○鈴切委員 日中平和友好条約の締結が今後の日ソ関係に何らかの懸念を表明する、そういう向きもありますけれども、日ソ、日中の問題を政府としてはどのように考え、どういう外交を展開されていくおつもりでしょうか。
○園田国務大臣 私が国会の外交演説でも申し上げましたとおり、日本は政治形態の違い、大小、遠近、これにかかわらずどこの国とも敵対行為をしない、敵としない、そして善隣友好を進めたい、こういうことでありますから、日本とソ連の間には、四島一括返還の問題と、それを解決して平和条約締結、こういうことで平和条約締結交渉を継続するということは同意しておりますが、四島の問題で意見が食い違っておるわけであります。そのほかはいろいろな問題で共通する利害が多いわけでありますから、ソ連に対しても真に日ソの関係が安定するよう、四島一括返還を含む平和条約の締結交渉を進める一方、疎遠や不信の原因をなくしつつ相互理解を深めていくべきである、このように考えております。
 日本と中国の関係は、これまたソ連と関係なしに大事な問題であり、アジアの平和と繁栄の基礎になる、こういうことで、これは予定どおりに進めていきたい、こう思っております。
○鈴切委員 そうなりますと、これはまああってはならないことでしょうけれども、一時的に日ソの関係が幾らかぎくしゃくするような点が出てきても、政府は日中平和友好条約の締結に完全に踏み切った、こういうふうに解釈していいわけですね。
○園田国務大臣 日本と中国の問題は日本と中国の間の問題でありますから、他の国でいかようなことがありましょうとも、動揺したり踏みとどまったりすべきものではない、むしろそれを進めて解決することが、その後ソ連に対しても友好親善の手を伸べる一つのあれが出てくる、こういうふうに考えております。
○鈴切委員 そうなりますと、後へは下がれない、不退転の決意で、できるだけ早く日中平和友好条約を前向きに取り組んでいくというお考えだろうと私は思うのですが、たとえば、いま行われております漁業交渉でソ連側が強硬な態度で臨むことは実際ないだろうかという心配を表明する人もいるわけです。また、このために交渉が非常に難航するのではないかという懸念を持つ方もおるのですが、それに対しては、外務大臣はどうお考えになっているでしょうか。
○園田国務大臣 国民の方の一部、特に北海道周辺の方々は、そういう心配をされていることは私も承っております。しかし、日本と中国の交渉並びに締結が世界各国が納得するものであり、これなら当然だ、あたりまえだという条約を締結するならば、ソ連といえどもこれに対していろいろなことをなさるはずはない、しかし理解を深める努力はしたい、こう考えております。
○鈴切委員 一月に園田外務大臣が訪ソした際に、コスイギン首相は日ソ間に未解決の領土問題はないと明言しておりますね。これは一九七三年の田中・ブレジネフ共同声明の、双方は未解決問題を解決して、平和条約を締結するという内容からの後退ではないだろうかというふうに言われておりますね。これは内容の重大な修正ではないかという懸念に対しては、外務大臣はどうお考えになりますでしょうか。
○園田国務大臣 コスイギン首相からそういう話がありましたから、私はこれをさえぎりまして、いまおっしゃいました日ソ共同声明を持ち出し、これに明記してあることを何らの理由なしに、しかもわが方とも相談なしに一方的に破棄されることは、国際信用上重大な問題であるということで、私は激しくこれに反論を加えました。私の反論に対しては、最後はコスイギン首相も黙っておられました。したがいまして、日ソ共同声明の線から、もう問題はないのだと言われるソ連の方は変わっておるかもわかりませんが、わが方はいささかも後退もしていなければ修正したわけでもなくて、依然として田中・ブレジネフ共同声明の線に従い、四島一括返還、平和条約交渉を進めたい、こう言っておるわけでありますから、わが方は不動の決意と意思を明確にしておるわけで、わが方はいささかも後退でもなければ、いささかも修正ではない、こういうふうに私は確信を持っております。
○鈴切委員 いま外務大臣は、わが国の方は一歩も後退してないのだ、北方領土の問題はまだ未解決の問題として現実に残っているのだ、こういうお話であったにもかかわらず、コスイギン首相としては未解決の問題はないというようなことを言ったことは、向こうがいわゆるかなり修正をしてきたなという感じをお受けになりませんでしょうかね。
○園田国務大臣 修正したとは考えておりません。国際外交上一番大事な共同声明を勝手に変更された、それは国際外交の慣例上から許されるべきではない、こう思っております。
○鈴切委員 これから北方領土問題でソ連側と交渉をするスケジュールというのはどうなっておりましょうか。果たして交渉進展の見通しがあるのかどうか。それから園田外務大臣は訪ソの後に感触として、五年以内に妥結すると予測を表明されておりますけれども、何らかの根拠があってその点をおっしゃっておられたのでしょうか。その点についてはどうでしょう。
○園田国務大臣 私が帰ってきてから記者会見をして、五年以内に見通しはあるというようなことが流れましたけれども、これは事実の違いでありまして、記者会見、懇談会等では言っておりません。私を出迎えられた方々に簡単にあいさつをしたときに、向こうはこう言ってこっちの意見と合いません、しかしこれは決して絶望すべきではなくて、日本の国民の総意が動揺なしに分裂なしに、一致をして粘り強くやるならば、遠からず目的は達するであろう、こういうことを言ったわけでございまして、私は、日ソの間にたゆみなく話を続け相互理解を深めていくならば、必ずいつの日にかこれは解決するであろうという確信は持っております。
○鈴切委員 この間の外務委員会で園田外務大臣から憲法と核の問題について御発言がありました。私はその御答弁を聞いて、まことに園田外務大臣は政治家だなと、少なくとも核防条約の遵守義務九十八条、非核三原則あるいは原子力基本法第二条、こういうことを踏まえたときに日本の国はたとえ防御的な核兵器であろうとも憲法上持てないのだということを言われたということは、私しばらくぶりにすかっとしたような感じでお聞きをしたわけでありますけれども、政治家園田外務大臣として、そのときの御決意そしてあなたの言われたことは、そのままやはりお考えになっているところじゃないかと思うのですが、その所信をまずお聞きしましよう。
○園田国務大臣 私はただいま御激励をいただいた政治家の信条としてああいう発言をしたわけでありまして、憲法の規定によって持てないということではなくて、憲法の規定に従い、非核三原則、原子力基本法、核兵器不拡散条約と憲法の規定と絡み合わせ、かつ憲法の精神に照らすならばいかなるものといえども持てない、こういう発言をしたことは事実でございます。
○鈴切委員 私は、政治家として当然だと思うのですよ。核兵器に対して、憲法の精神そして原子力基本法あるいは非核三原則、核防条約の遵守の義務という問題を考えたときに、憲法においては核兵器を持つことはならぬという御発言、これはもうそのとおりだと思うのです。私もそう感じている一人であります。今日、日本の国が世界唯一の被爆国として、そしてあのような惨状の中に置かれて立ち上がった国民として、核兵器に対してこれを絶滅していくという確固たる決意を持って進まれるということは、私は当然だと思うのです。
 となりますと、ここに昭和四十五年十月に防衛庁から出しております「日本の防衛」というのがありますが、その中に「防衛力の限界」というところがございます。それには「憲法上の限界」と「政策上の限界」とあるわけでございますけれども、その中において「核兵器に対しては、非核三原則をとつている。小型の核兵器が、自衛のため必要最小限度の実力以内のものであって、他国に侵略的脅威を与えないようなものであれば、これを保有することは法理的に可能ということができるが、政府はたとえ憲法上可能なものであつても、政策として核装備をしない方針をとつている。」という内容がありますね。これといま園田外務大臣が言われたことは大変に違うといいますか、考え方が相反するわけでありまして、持てないというのと可能であるということですが、この点についてはどういうふうにお考えになっていましようか。
○園田国務大臣 私がお答え申し上げました点といまの点とはいささかも変更はないと私は信じております。私が言いましたのは、憲法の規定によって縛られないけれども、核不拡散、非核三原則、原子力基本法、こういうものと憲法の規定と絡み合わせると持てない、こう言ったわけでありますから、憲法の規定そのもので持てないということではございません。
 詳細は法制局長官からお願いをいたします。
○真田政府委員 まず、純粋に法理的な観点からなるべく簡潔に御説明を申し上げます。
 まず第一に、御指摘の問題の基本は、憲法第九条の解釈だろうと思います。つまり、憲法第九条は、特にその第二項において戦力を持たないと言っているけれども、しかしこれはよくよく考えてみますと、純粋に防御的であり、日本の自衛のため必要最小限度の範囲のものは憲法第九条第二項においても禁止されておらない、従来政府が繰り返して述べておるこの見解がまず基本になるわけでございます。
    〔高鳥委員長代理退席、村田委員長代理着席〕
 一方、わが国は核防条約の加盟国でございまして、同条約の第二条によりまして、いかなる核兵器も保有してはいけない、こうなっておるわけでございます。しかも憲法第九十八条の第二項に、わが国が締結した条約は誠実に遵守しなければならないと書いてある。これらを絡み合わせますと、同条約の締約国であるわが国が、たとえ防御的な――小型のといいますか、防御的なといいますか、戦術的といいますか、いろいろ説明のしぶりはあると思いますけれども、憲法第九条第二項においては保有することが禁止されておらない核兵器であっても、いまの条約遵守義務を決めておる九十八条第二項を通して、結果において憲法違反になるのではないかというような御感触があるのだろうと思うのです。それは一理あるお考え方でございまして、そういう説明も十分可能だと思います。
 しかし、ここで一つ法理的に御説明をしておきたいと思いますのは、憲法の規定には、憲法の規定それ自身が具体的にその規範的内容を持っている規定、たとえば検閲してはならないとか、公務員による拷問をしてはならないとか、あるいは刑罰規定の遡及適用してはならないとか、そういうように具体的な規範的内容をその規定自身が持っているそういう規定と、それからただいま申しました条約は誠実に遵守しなければならない、あるいは憲法七十三条第一号には、内閣は法律を誠実に執行しなければならないというふうに書いてございますが、こういう部類の規定は、それ自身として具体的な規範的意味内容を持っているわけではなくて、いわば二重の構造になっておる。そこで引用しておる条約なり法律なりに従いなさいと言っているだけであって、その従うべき中身は条約なり法律で決まる、そういう構造になっておる。ですから、先ほど申しましたような実質的な規範的意味内容をその規定自身の中に持っている部類の憲法の規定と、それからただいま申しました七十三条とか九十八条とは、非常に法律的な、法理的な性格が違うわけでございまして、したがいまして、なるほど先ほど申しましたように条約に違反すれば、それはひいては九十八条第二項にもとることになるから憲法に抵触するのではないかというそういう説明ぶりも、それは説明としては十分一理のある言い方でございますけれども、ただいまるる申しましたようなその規定の性格の違い、それをよく念頭に置いておっしゃるのでしたら、私の方でも別に異存はございません。それはちょうど、従来、防御的な兵器はたとえ核兵器であっても、それは憲法第九条二項で保有は禁止されておらない、おらないが、しかしそれは原子力基本法の第二条があるから現在は持つことができないのだ、こういう言い方をしておりますが、ちょうどそれと同じように、巌密に言いますと、なるほど九条二項では保有することが禁止されておらないけれども、核防条約に入った以上は条約は遵守しなければならない、したがって現在は小型の核兵器でも持てない、こういう言い回し方になるのだろうと思うわけでございます。
 ですから、繰り返して申しますが、九十八条を根拠にして、したがって、ひいては憲法違反ではないか、こういう御説明も、表現としては、説明のしぶりとしてはそれは結構なんでございますけれども、先ほど申しましたような憲法の各規定の構造といいますか、性格といいますか、その違いを十分御認識の上でそういう表現をお使いになるのでしたら、私の方では異存はございません。
○鈴切委員 政治家園田外務大臣が、たとえ小さい核であろうとも、日本の憲法の精神を体すればこれはもう絶対持てないのだという御発言をされて、私も同感をしたわけですけれども、真田法制局長官が来ますと、やたらに後退、後退が目立ちますね。本当にその点について私はいただけないというふうに思うのですよ。思うのですけれども、これはまた大変に大きな問題としていまのあなたの解釈は残ると私は思いますよ。
 いまあなたが、防御的なものであれば核兵器といえどもこれを保持することは、憲法違反ではないという立場をとられておりますね。その点についてもう一度そこのところ、そのとおりですね。
○真田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、これは前々から政府は繰り返し御答弁申し上げているところでございます。
○鈴切委員 それではお聞きいたします。これは憲法のいわゆる解釈論でありますね。政策論ではありません。逆に平和憲法の精神から、核兵器は憲法上持てないという解釈をとることは、憲法解釈上誤りとなりましょうか。
○真田政府委員 憲法に限らず法律というものについてはいろいろな学説があることは、これはもう御承知のとおりなんです。ですから、いまおっしゃいましたような解釈をとる、そういう見解の方もございます。ただ政府は先ほど来申しましたような解釈をとっておる、こういうことでございまして、法律や憲法の解釈には、これは最高裁判所で確定判決でもあれば別ですが、これはもう一方が絶対的に正しくて他方は間違いであるというふうにきめつけるような性格のものではもともとないのですね、法令の解釈というものは。ですから、いまおっしゃいましたように、核は絶対持てないのだ、全部持てないのだという解釈だってあることは私は十分知っておりますし、それが絶対間違いだというふうに言い切るつもりはございません。ただ、政府は先ほど来申しておりますような解釈をとっておりまして、これが現在の憲法の全体をよく見れば、そういうことは、憲法第九条が保有を禁止しているものではないのだ、こういう解釈が正しいのだというふうに政府は思っております。
○鈴切委員 政府は思っているというふうにおっしゃいますよね。政府はいろいろ防衛力の整備をしながら、どんどんとエスカレートしている一つの道程にあるわけです。それに対して、あなたは、法制局長官というのはやはり法の番人なんですよ。だからそういうふうな政府の考え方に追従するようないわゆる法の番人であってはならぬわけです。少なくとも権威ある法制局長官というものは、私は平和憲法の精神からいえば、核兵器は憲法上持てないという解釈、これが本当に平和憲法の解釈であり、本来の姿ではないかというように私は思うのです。それを、核兵器に対して防御的なものであるならば、それを持つことに対して憲法は決してその道をふさいではいませんよというような解釈をするということは、私は非常にこれは問題が起こる。いつもいつもそういう理論づけをあなたはされるのだ。私は申し上げたいわけです。
 もう一つの例を申し上げます。それでは近い将来、革新連合政権が現実に自民党政権に取ってかわった場合、そういう場合もあるのですよ。そういう場合も、もう、一つのスケジュールの上にのっていると私は確信しています。それで革新連合政権が、核兵器はいかなるものであっても憲法上持てないという解釈に立った場合、それは憲法解釈を歪曲することになるのでしょうか。
○真田政府委員 それは先ほど申しましたように、およそ憲法に限らず法令というものはいろいろ解釈があり得るわけなんで、仮定の問題ですから断定的なことは差し控えたいですけれども、いまおっしゃいましたような解釈をおとりになったからといって、そのときにそれが歪曲だというふうにきめつけることも私はできないと思います。それは、もし最高裁判所が何らかの事件になって判決すれば、それはいまの憲法システムのもとではそれが最終的な憲法解釈になります。それまではいろんな説はあっていいわけなんで、ただ、私を含めた現在の政府では、先ほど来由しておるような解釈をとっておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○鈴切委員 いわゆる防御的なものであれば核兵器を保持することは憲法違反でない、これはもう詭弁ですね、全く詭弁だ。日本の国の憲法の精神からいって、こんな解釈が出ること自体おかしいのです。結局は、革新連合政権がたとえばこれについていかなる兵器も持つことはできないという見解に立ったときは、そのときはそのときだ、こういうわけですね。これじゃ憲法の解釈が余りに幅が大き過ぎて、黒もあれば白もあるんだ、そのときの状況によって憲法解釈をどうでも変えるのだ、こういうことでは、あなた審議になりませんよ、こんなものは。その都度あなたが都合のいいような解釈をしながらこういう問題をなし崩しにしていくということについて、私はとても許せません。いいですか。そんな、核兵器を持つ、防御的な核兵器を持つということと持たぬというこの二つが、正反対の問題が憲法解釈の中に、そういうふうなもので十分に疑問を取り切れないということであっては、これはあなた、何を信じたらいいのですか。結局は最高裁判所のいわゆるこれからの判例を待たなければならない、こういうことですか。
○真田政府委員 純法理的に申しますと、ただいまおっしゃいましたように、最終的には最高裁判所が決めることでございます。何かお聞きしていますと、都合のいいようにぴょこぴょこと変えているんじゃないかというふうな御発言のようにちょっと承ったのですが、そうじゃございませんので、政府はもう終始一貫して、先ほど来申している解釈をとっているわけでございまして、またそういう学説もそれはあります。それからそうでない学説もあります。それはもう先生御承知のとおりでございます。
○鈴切委員 私、いただけない。これは大きく問題は残ったというように感ずるわけですけれども、それはそれとして……。
 次に、「防衛力の限界」の中で、憲法上の限界がある、こういうようにこの「日本の防衛」の中には書いてあります。保持することができないもの、保持ができるものの定義が非常に明らかでないわけですね。攻撃的な兵器あるいは防御的な兵器といっても、意図によって変わり得る可能性があるというふうに私は考えるわけでありますけれども、その点はどうなんでしょうか、防衛庁の方。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
    〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
 憲法第九条の解釈につきましては、ただいま法制局長官からるる申し上げたとおりであります。すなわち、わが国には固有の自衛権がある、自衛のための必要最小限度の実力は持てる、それを超えるものは憲法違反である、それを超えない範囲内であれば核兵器であっても法理的には持てます。現実に持つということは考えておりませんということを申し上げております。
 それから、ただいま先生の申されました意図との関連でございますが、兵器の種類といたしまして、いわゆる憲法で禁じられております。自衛のために必要最小限度の実力、そういう言葉だけではよくわからないから、何かほかにもっと説明のしょうがないかという国会の御論議がございまして、そこで、憲法で保持を禁じられておるその必要最小限度の実力、それを言いかえれば、たとえば相手国国土の壊滅的な破壊をもたらすような兵器、侵略的と申しますか、そういう兵器、これを攻撃的というふうに申し上げたこともございますけれども、これは防御的兵器との対比においてそういう攻撃的兵器は持てないという御説明を申し上げたこともございますが、純粋に自衛のためのみに用いられるものではなくて、相手国国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるような兵器、たとえばICBMのようなものは持てません。しからば持てる兵器は何か。それは攻撃的兵器という言葉の対比において防御的兵器という御説明を申し上げたこともございますけれども、必要最小限度の実力以内のものに明確に当たるもの、全く純防衛的に用いられるものは持てます。
 ところが、兵器の性格といいますのは、これは攻撃的か防御的かという二つのカテゴリーに分けるのは大変むずかしいわけでございます。この点も、従来、大変長い間にわたりまして国会の御論議をいただいたわけでございますけれども、そういう区別のあいまいなるものにつきまして、これはどうなんだろうか、その場合に相手国を攻撃侵略する意図さえなければ、そういういわゆる純攻撃的、純防御的の中間領域の兵器が持てるのか、意図さえなければ無限に持てるのかという御論議があったということがございまして、そのときの御説明として、いや、単に意図さえなければ無限に持てるというものではない、やはりその中間領域に属します兵器の総量と申しましょうか、当該兵器、すなわち中間領域に属します兵器を含むわが国の防衛力の全体が憲法の制約の範囲内にとどまっておることを要するのであるということを、これは昭和四十四年四月十日、政府に対します質問主意書の御答弁書の中で申し上げたことがございます。そのような解釈を現在もとっておるわけでございます。
○鈴切委員 憲法上の要請として、核非核に対しては、これは不問であるというようなお考え方に防衛庁は立っておりますが、この核非核に対して取り扱いが違うのでしょうか。
○上野政府委員 防衛白書等で防衛庁が部外に公表しております意見は、もちろん政府の意見ということでございますけれども、その中で取り扱っております憲法上の解釈に基づきますと、核兵器あるいは非核兵器という区別はいたしておりません。これは憲法上の解釈、法理上の解釈ということでございます。
○鈴切委員 そこのところでいろいろ問題が出てくるのですね。これをやはり取り扱いが違うと言えば、なおさらこれまた問題が出てくる。取り扱いが違わないということでも問題が出てくる。
 そこで、具体的にひとつ聞いていきますけれども、四十五年十月の防衛庁の「日本の防衛」という白書ですね。これについてはここに、「たとえば、B52のような長距離爆撃機、攻撃型航空母艦、ICBM等は保持することはできない。」こういうふうに憲法上の限界として書いてあります。ところが、その後、ICBMあるいはまたIRBM、これも持てないというふうなことが次の国防白書には書いてあります。
 そこで、申し上げたいわけでありますけれども、ICBMというのは、御存じのとおり約四千マイル以上の長距離弾道弾であります。それからまたIRBMは大体四千マイルから千五百マイルくらいの距離を飛ぶ弾道弾ですね。これは従来から持てないという御答弁ですけれども、もう一度確認しておきますが、どうでしょう。
○上野政府委員 憲法上の解釈として持てないというふうに申し上げておりますし、変わっておりません。
○鈴切委員 それでは、たとえば千五百マイルから五百マイルぐらいのいわゆる準中距離弾道弾MRBM、これはどうでしょう。
○上野政府委員 ICBMとかIRBM、あるいはただいま先生お示しのMRBMでございますが、こういったようなものは、これはいわば核弾道ミサイルの定義づけとしてそういう区分がなされておるわけでございますが、この核弾道ミサイルの区分あるいは定義と申しますか、そういうようなもの自体につきまして、これは確立されたものはございません。射程で区分すればそういう言い方になりますし、それから発射地点と着弾地点で区分すれば、たとえば地対地ミサイルとか空対地ミサイルとか空対空ミサイルとか、いろいろな区分の仕方がございます。個々の兵器の一々をとらえまして、これは現在の憲法上認められておるかいないかということは、先ほど来御説明申し上げております自衛のため必要な最小限度の範囲内に明らかにあるもの、あるいは明らかに出ているもの、そういうものでありますれば、個々の兵器の名前を挙げて申し上げることは可能でございますけれども、そうでない中間領域のものにつきましては、これはなかなか申し上げにくい性格のものであるということを御理解賜りたいと思います。
○鈴切委員 御理解賜ることはできないのです。いまあなたが言われたように、ICBMとかIRBMとかMRBM、これは核弾頭だから云々というようなお話があったわけでありますけれども、だからこそ先ほど私、憲法上の要請として核非核に対しては取り扱いが違うかというふうに申し上げたわけですよ。ところが、あなたはそれは違わないんだ、不問であるというふうに言われたわけですね。となりますと、核兵器だからだめだというんでなくして、これは、たとえばそれだけの弾道弾の問題等についても、通常兵器でもそれは持てないということにならないんですかね。通常兵器だって持てない。たとえばそれだけの飛ぶものに対して、相手方の、いわゆる敵地に破壊的な、いわゆる爆弾を持つようなそういうものがあったとすれば、これはできないというふうになりませんか。
○上野政府委員 ICBMのようなミサイル以外のものでありましても、他国に侵略的、攻撃的な脅威を与えるようなもの、また国土の壊滅的な破壊をするようなものは持てないということは申し上げたのでございますが、いま、非核でもって、たとえばICBM並みの射程を持つもの、そういうようなものは憲法上持てないということは言えないのかという御設問でございますが、実はそういう兵器はこの地球上に存在しておりませんので、仮定の問題で、これはなかなかお答えしにくいんでございます。仮にそういう非核でもってICBM並みの地球を半周するような射程のものができたとして、それが現憲法上持てるかどうかということになりますと、どうも存在しないものについての検討ということなので大変お答えしにくい点を御理解願いたいと思います。
○鈴切委員 それでは、いまあなたが言ったICBMとIRBM、これは持てないということですね。MRBMあるいはSLBM、潜水艦のミサイルですね、これはどうなんですか。相手方の敵地に壊滅的な、いわゆる破壊を伴うものでしょう。これはどうなんですか。あるいは中性子爆弾、これは放射能で相手を殺戮するわけですね。いまアメリカで大問題になっている中性子爆弾あるいは巡航ミサイル、高さを計器によって十分にはかりながら相手方のところに行く、こういうもの、あなた、これまで持てるなんというそういう見解に立つわけないでしょうね。私は、これはただ単に一例を申し上げたのですよ。これまで持てるなんということをあなたが言ったら、それこそ憲法はまさしくすべてのものは持てるということになりますよ。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 従来から政府が御説明申し上げておりますことの繰り返しを再度お許しをいただきたいのですが、仮に核兵器であっても純防御的なものは持てます。こういうことは言っております。
 そこで、いまお示しのSLBM、これは潜水艦搭載の弾道弾でございますが、これはその性能がICBMと同じようなものから射程のやや短いものまでいろいろな種類があるようでございます。先ほど御説明の設問として申し上げました意味でのICBMと同等の性能を有するような、そういうSLBM、潜水艦搭載の弾道弾ミサイルであれば、これは憲法上の法理からいって当然持てないということは言えます。
 それから御設問の巡航ミサイルでございますが、これはクルージングミサイルと称するものでございますけれども、これに対します確定された定義はございません。いろいろな定義がございますが、一般的に申しますれば、巡航ミサイルというのは、目標に至る大部分の経路をみずから内蔵しておる推進装置などの作動によってほぼ一定の速度で飛んでいくミサイルを言うといって、これは弾道ミサイルと対比して分類されております。弾道ミサイルと申しますのは、発射後数分の間推進ロケットでもって打ち上げられまして、後はみずから慣性によって飛んでいくものでございますが、巡航ミサイルというものはそれと区分されております。
 そういう巡航ミサイルの例として、たとえばハプーンでございますとかスティックスというものがございます。ハプーンというのは米国製でございます。スティックスミサイルというのは、中東戦争で一躍有名になりましたソ連製のミサイルでございますが、こういうものも巡航ミサイルとして分類されております。ハプーンの射程は、ジェーン年鑑等によりますれば大体数十海里、スティックスミサイルは二十海里程度と言われておりますが、そういうようなものにつきましては、名は巡航ミサイルでございますけれども、これは憲法で禁じられております壊滅的破壊を相手に与える兵器であるとはとうてい考えられないわけでございます。
 私の申し上げたいことは、かように兵器は、たとえば弾道弾ミサイルといいましても、あるいは巡航ミサイルといいましても、核兵器といいましても、いろいろな区分がございます。その区分がございますので、一概にこれをもって憲法上合憲かあるいは違憲かというふうに分類することは大変むずかしい性格のものであるということでございます。たとえば防御用の核兵器といたしましては核地雷とかあるいは弾道弾を迎撃するミサイル、アンチバリスティックミサイル、ABMというようなものもございます。このABMはもちろん核でございます。この飛んでくる弾道弾を撃ち落とすABMは核でございますが、これは純粋に防御的な核兵器という分類をされております。
 以上でございます。
○鈴切委員 あなた、中性子爆弾についての見解はまだ出ておりませんね。
 もう一つ聞きましょう。CBRのCBについてはどうですか。
○上野政府委員 中性子爆弾の御答弁を落として申しわけございません。
 中性子爆弾というのは、私どもその詳細は文献でうかがい知るほかないわけでございますけれども、中性子爆弾と申しますのは、破壊力が従前の原水爆よりもはるかに小さい、しかしながら生物に対する殺傷力、放射能によります殺傷力が在来の原水爆よりも相当高いものであるというふうに言われております。そういう兵器が非人道的兵器であるという批判もあるわけでございますが、その批判の当否は私ども判断する十分な材料は持っておりませんけれども、こういう中性子爆弾といったようなものが一体自衛上持てるのかどうかということも、これまたお答えに苦しむところでございます。これは破壊力が小さいわけでございますから、いわば相手国国土の壊滅的破壊ということには至らない。もちろん爆心地におきましては破壊するわけでございますが、その破壊半径が小さいということでございます。ただ、人体に対する殺傷力が強いということでございます。そういうようなものが一体憲法上どうなのかということは、これまた繰り返しになりますが、分類はむずかしいわけでございます。
 それから生物兵器、化学兵器、ただいま御指摘のこれらにつきましても、これが憲法上どうかということになりますと、これまた大変むずかしいわけでございます。毒ガス兵器が憲法の規定からいって、九条からいって全部違反なのかということはこれはむずかしいわけでございます。と申しますのは、毒ガス兵器というのはちょっと大げさでございますが、その一つに分類をされておる催涙ガスというものがございます。これの濃度の薄いと申しますか効果の薄いものは、一般治安用に使われているわけでございます。これは一過性のもの、たとえば目から涙が出る、あるいはくしゃみが出るといったようなことで、相手の威力を損じますけれども、しかしある程度時間がたてばもとの体に戻る、後遺症も残らないというような催涙ガスが現在開発されておるようでございますけれども、そういうようなものが、じゃ憲法上どうなのかということになりますと、これはそのものの具体的な効能とか用途とか、いろいろ検討しなければならぬものがあると思います。
 そういうことで、同様なことは生物兵器についても言えるわけでございますが、要は、一概に憲法で禁じられた兵器は何か、これはどうか、あれはどうかという御指摘に対しては、直ちにお答えできかねるものが大変たくさんあるということを御理解願いたいと思います。
○鈴切委員 要するに、憲法上の限界というものがもはやなし崩し的になされてきているということはもう明らかですね。今日まで、しかも真田法制局長官が言われた御答弁の中に、相手方の軍事技術によっていわゆる憲法の自衛力の限界というものはそれに相対するものである、こういう答弁がなされた以上、それはまさしく、これからどんどんと自衛力の限界というものあるいは装備というものは実際にエスカレートしていくわけですよ。いまあなたがおっしゃったように、たとえば毒ガスの問題、化学兵器の問題についても、催涙ガスだけをおとりになったわけでありますけれども、ガスについては神経剤あるいはびらん剤あるいは窒息剤、血液剤、毒素、こういうような、もうすぐに相手方を殺すことは可能なそういう毒ガスですよ。そういう毒ガスがある。これについては何もお触れにならないで、催涙ガスだけおとりになるというのは、これはどういうことなんですか。この問題についての憲法上の解釈はどうなんですか。
 それからまた、先ほど生物兵器の問題を言われたわけでありますけれども、あいまいにされましたね。しかし、それはまさしく一九六九年の七月に英国の禁止案が出て、これについては一九七一年の九月、米ソなど東西十二カ国の共同提案により最終条約案がまとまって、同年十二月十六日第二十六回国連総会において全部賛成で通している内容ですね。こういうものまで憲法解釈上持てるというようなことになるとするならば、これは憲法というものについてのなし崩し、憲法というものの歯どめは全くなくなるわけですからね。そういう点について、この問題を含めて防衛庁の方から、少なくとも防衛庁がお約束をされるいろいろの兵器、こんなのは私が申し上げたのはごく一部分です。しかし、まだまだある問題について、やはり統一見解を出していただかないと困りますね。その点について、いかがですか。
○上野政府委員 憲法上許されます自衛力の限界ということで先ほど来御説明申し上げているわけでございますけれども、この限界がなし崩し的であるという御指摘、御批判がございました。しかし、私どもはそう考えておりませんで、この国会におきましても、この前の去年の臨時国会におきましても申し上げておることは、少しも前と変わっていないというつもりで申し上げておるわけでございますけれども、たとえば衆議院内閣委員会で、昭和三十九年六月二十五日に池田総理大臣が自衛力の限界というものについて申し上げております。
 申し上げますと、「この自衛力というものは、やはり国力、国情に沿い、また世界の情勢、科学の進歩等を考えてきめるべきものでございまして、観念的に、あるいはまた数字的にこうだということは、なかなかきめにくい問題でございます。」ということを申し上げております。そのほかにも、昭和四十二年でございましたか、佐藤総理大臣も同様のことを申し上げております。そのほか、ただいま例に挙げましたのは総理大臣の発言ということで、たまたま手元にあるものから申し上げたわけでございますけれども、同様の考え方を現在持っておるわけでございます。すなわち、自衛力というものは国力、国情に沿い、また世界の情勢、科学の進歩等を考えて決めるべきものであるということでございます。
 兵器の種類はたくさんございます。しかし、これらは日進月歩と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、兵器は年来進歩しておるわけでございます。自衛力というものは、外敵の侵入がありました場合に、これを有効に撃破するためのものでございます。そういう有効に撃破するために必要なもの、これは殺傷力を伴うものでございます。そういう観点から兵器というものがあることは御理解いただけると思います。そういう兵器が有効な性能を持っているものでなければならないということは、わが国の防衛という観点から言えば大変重要なことであるということを御理解願えると存じますが、さはさりながら、憲法九条という制約があるということでございますが、その制約を超えるものにつきましての兵器の種類というのは、一概に申し上げることはできません。なかなか大変むずかしい問題であるということでございます。そういう御説明は、ずっと過去二十年近くにわたりましてるる御説明申しておることでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
○鈴切委員 憲法上の限界というものにおいて、たとえばここにありますようにB52長距離爆撃機あるいは攻撃型空母、ICBMと、こう名前が出ているわけですね。名前が出ているものについて、私は、こういうものはその一部であるけれども、憲法上においての限界であろうから、それに対する見解を出せ、こう言ったのに対して、あなたは出せないと言う。これはどういうことですか。
○上野政府委員 ただいま先生御指摘になりましたB52を持てないということは、三年前ですか、何年前かの防衛白書に書いてあるわけでございますが、B52という例示をすること自体が、現在なら適当でございますけれども、アメリカはB52を廃止して、新たにB1という爆撃機にかえようという動きもあります。現在はその計画が中止になりましたが、私の申し上げたいことは、そういう日進月歩の兵器の世の中でございますから、たとえばB52はどうか、あるいは戦時中のB29はどうかとか、そういうようなことで事細かにこれを分類していくということは大変困難であるということを御理解願いたいと思います。
○鈴切委員 それは法制局長官、ここに防衛白書がありまして、その中にICBM、攻撃型空母あるいはB52のような長距離爆撃機、これは憲法上の限界というふうにはっきり書いてあるわけですね。それがいま日進月歩によれば、いずれはこういうものは必ずしも憲法上の限界でなくなる、こういう答弁をされたのです。それでいいですか。
○真田政府委員 私が参議院の予算委員会で、実は御質問に対して答えたわけでございますが、その趣旨は、やはり日本を守るためにあるわけでございますから、相手国、外国の軍備が進めば、やはりそれに耐え得る軍備でなければ、軍備と言ってはおかしいのですが、自衛力でなければ役に立たない、そういう意味で申し上げたのでありまして、決して青天井に切りなく伸ばしていいんだというふうに申し上げたものではございません。その後、衆議院の予算委員会でもまた御質問がありまして、それは憲法の枠内での話である、憲法の制約の中において――参議院では実は竹やりと鉄砲の話をしたわけなんですが、それからもおわかりになりますように、ICBMが持てるんだ、B52が持てるんだというふうにおとりになるのは、私の真意ではございません。
○鈴切委員 それじゃ先ほどの防衛庁の審議官が言われた、いま現在はB52というものについては確かにそうだけれども、これから日進月歩になった場合に、それ以上のものが出ればそれに対抗するものを持つと、あなたそういうような意味のことを言われたじゃないですか。それでは、まさしく憲法上の限界というものがなくなるじゃないですか。だから、私はそう申し上げているのですよ。ですから、少なくともここに書いてあるものを含めて、どういうものがいわゆる憲法上の限界に該当するかということについてきちっと出しなさいと私は申し上げているのですよ。委員長、それを出させるようにやってくださいよ。さもなければ前に進まないじゃないですか、こういう問題は。
○上野政府委員 何か先ほどの私の答弁が、B52だってそのうち陳腐化するからそれは持てるんだというふうにおとりになったようでございますが、そういうことを申し上げているわけではございません。兵器の進歩の一つの例として申し上げたわけでございます。持てない兵器というのは、そこのわが防衛白書に書いてございます例は、ICBMとB52とあと攻撃型空母ですか、そういうようなものは、現在におきましても、またその性格が現在のようなそういう性格の兵器である限り、これは憲法で持てないということは、私ども十分に承知しておるところでございます。
○鈴切委員 あなた、私の前の質問についてもはっきりした見解が出ていませんね。たとえばCBRの催涙ガスだけをあなたはおとりになりましたけれども、私の申し上げたやつはどうなんですか。それから生物兵器については、これは国連において禁止していますね。こういう問題については、憲法上どうなんですか。
○上野政府委員 非人道的兵器としての生物化学兵器につきましては、これはわが国がたしか入っております条約上禁止されておると思いますので、そういう条約は誠実に遵守しなければなりませんから、これは持てないということはありますが、ただ、これが憲法上持てないのかということになりますと、憲法上の解釈としては、自衛のための必要最小限度のものの中かどうかという判断をしなければなりません。そういう見地からいって、これがいま直ちに生物兵器は持てない、化学兵器は持てない、催涙ガスの軽いものは持てるが重いものは持てないのだ、あるいはさらに非人道的なる生物化学兵器、これは持てないのだということは直ちに言えない。と申しますのは、非人道的なるがゆえに直ちに憲法九条の解釈からいって持てないというような法理論はちょっと検討したことがございませんので、ただいま御説明はちょっとできかねるわけでございますが、従来憲法九条の範囲外と申しておりますのは、先ほど来申し上げましたような意味での純侵略的と申しますか攻撃的と申しますか、相手国国土の壊滅的破壊のためのみを目的とする兵器ということで、それは明らかに持てないものだというふうに申し上げているわけでございます。
 したがいまして、仮にの問題でございますが、たとえば核兵器におきましてもABMのようなもの、あるいは核地雷のようなもの、こういうようなものは憲法の法理としても持てるわけでございますから、仮にそういう純防御的なる化学兵器とか生物兵器というものがありとすれば――あるかどうかは存じません、ありとすれば、それは憲法上は持てるということに相なるわけでございます。
○鈴切委員 真田法制局長官にお聞きしますけれども、いわゆる非人道的殺傷兵器、すなわち一瞬にして何万人もの人を殺すことができるいわゆる生物兵器あるいは毒ガスにおいても、化学兵器においても、催涙ガスというのは別問題ですけれども、それ以外本当に恐るべき兵器ができているわけですね、これは憲法上防御のためならば持てるという解釈なんですか、それともこういうものは持てないのだというふうな御解釈なんでしょうか、その点はどうなんでしょうか。
○真田政府委員 個々の兵器についての知識は残念ながら私は持ち合わせておりませんので、一々の種類のBC兵器についてとやかくは言えないわけでございますが、ただいま仮定の問題として一瞬にして何万人も殺してしまうというようなB兵器あるいはC兵器はきわめて非人道的なものであって、これは憲法以前の問題であるというふうに考えます。つまり、憲法九条云々のらち外であって、そういうものは持てない。仮にそういう非人道的な兵器が開発されても、そういうものは日本は持てない。
○鈴切委員 防衛庁の審議官の、防御的なものは持てますなんて、そういう答弁をするのじゃとても納得できませんよ。いま真田長官が言われたように、CBの兵器の中において一瞬にして何万人も殺すような、そういう兵器がいま開発されているのですよ。そんなものは憲法以前の問題としてこれは持てないのだ、あたりまえだと、こういった考え方の方が正しいですよ。
 それから次に申し上げますけれども、攻撃型航空母艦は持てない、こうなっていますね。それなら、持てる航空母艦というのはどんなものですか。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 攻撃型空母という分類、CVAと一般に言われておりますが、こういう分類は最近は余り一般的ではございません。CVA、攻撃型空母という分類は、CVSというのは対潜空母、対潜水艦用の空母でございますが、潜水艦掃討専門の空母と対比する意味でCVA、攻撃型空母という分類が一般的であったのが数年前でございますが、最近では空母はCV、原子力推進のものはそれにNとつけるというような分類になっております。御指摘の防衛白書に書いてあります攻撃型空母というのは、そういう分類が一般的であったときの表現としてそういうものを使ったわけでございます。ただ、そういう分類を現在におきましてもそのまま使うといたしますれば、攻撃型空母といいますのは、対地あるいは対艦の攻撃力のある航空機を搭載する空母、代表的な機種は攻撃機でございますが、艦上攻撃機と称するものでございますが、そういうものを主力とする軍用機を搭載しておる空母。まあ攻撃機のほかに対潜機も積んでおりますし、偵察機も積んでおりますし、それから戦闘機、そういう攻撃機を直援する、援護するための戦闘機も積んでおりますが、そういう空母、すなわち攻撃機を主力とする空母を攻撃的空母と言いますれば、そういう空母というのは持てないというふうにその防衛白書でも明確に言っておるわけでございます。
 そこで、持てる空母はどうかということになりますのですが、現在、空母というのは、先ほど申し上げましたように、CVという分類をしております。CV、すなわち対潜機能もあわせ持った航空母艦ということでございますから、そういう意味では、たとえばやや昔の分類にありますCVSのようなものは持てるんではないかということは伊藤防衛局長が先ほどの予算委員会でも御説明申し上げましたし、この御答弁はかつて何回も国会の場で申し上げたことがございます。
○鈴切委員 要するに、対潜哨戒機を積むということであるならば持つことも可能である、こういうことですか。
○上野政府委員 対潜哨戒機を持つ艦船というものあるいは航空母艦というもの、これは可能であろうというふうに考えております。
○鈴切委員 たとえばその空母に皆さん方が言われている防御的な、専守防衛な要撃戦闘機であるE4あるいはまたE15を搭載した場合、これはどうなんですか。
○上野政府委員 いま先生御例示のF4あるいはE15というのは、わが自衛隊がかつて装備し、現に装備し、またこれからも装備しようとしておる、そういう種類の航空機というふうに理解いたしますと、そういう制空を主任務とした戦闘機を航空母艦に積む、制空が主であって対地攻撃力がない――ないと申しますか、それが劣っておる、そういう要撃戦闘機を航空母艦に積むという運用構想は、これは航空母艦の運用としては考えられないわけでございます。したがいまして、それはいかがかという御質問でございますが、ちょっとお答えできかねます。
○鈴切委員 先ほどあなたは攻撃型航空母艦の中に攻撃機あるいは偵察機、対潜機、戦闘機、こういうふうなことで、これが攻撃型航空母艦というふうにおっしゃっておるわけです。となりますと、いま私が申し上げたF4あるいはF15、これは皆さん方は防御的であり、しかも要撃戦闘機であると言うんでしょう。こういうものを載っけないという確約はないわけであって、これは戦闘機でしょう、あるいは対潜機に、P3というものにかわってS3を載っけた場合、P3Cというのはすでに防衛庁が考えておられる、それを小型化したS3を載っけるということ、あるいはまた偵察機RF4Eというのを載っける、あるいはまた攻撃機F1、こういうものを載っける、そういうものを載っければ、これは個々には確かにあなたたちが言うように要撃的であり防御的であると言っても、こういうふうな総合的なものを載っけた場合に、果たして憲法はそれを許容し得るものであるかという問題についてはどうなんですか。攻撃型航空母艦と同じじゃないですか、そういうものをどんどん載っけていけば。片一方は、これは専守防衛であり、また要撃機であるということだから許されるのだと言って、実際には航空母艦に載っけた場合には同じ役割りをするんじゃないですか。そういう点はどうなんですか。
○上野政府委員 ただいま先生御例示のF15は、これは米空軍が採用した航空機でございまして、これを航空母艦に積むということはありません。将来も恐らくないでございましょう。
 それからF4でございますが、航空母艦に積んでおりますF4はございます。ただ、このF4ファントムは、航空母艦に積みます場合は――F4というのは、御承知のように要撃戦闘及び攻撃戦闘能力の両方にすぐれた戦闘機でございます。ただ、現在わが航空自衛隊が保持しておりますF4は、これはそういうものでございませんことは先生御承知のとおりでございますが、現在航空母艦に搭載しておりますF4は、なるほど要撃戦闘をいたしますけれども、同時に、完全なる対地攻撃機能を保有しております。
 そういう意味で、ただいま先生の御指摘の御例示が現実の航空母艦の運用としてあるかということになると、これまた繰り返して恐縮でございますが、要撃専用の航空機を航空母艦に積むということは運用上考えられないわけでございます。
○鈴切委員 それでは、憲法が許容する、いわゆる対潜空母というものは、これは要するにその程度までは持てるのだ、それ以外はもう一切考えられない、こういうことでいいですね。
○上野政府委員 航空母艦、CVの保有につきましては、防衛庁は考えておりませんので、検討したことはございませんので、現在は持つ考えはないということでございます。
○鈴切委員 現在持つ考えはないと言っても、どんどんなし崩しにされるわけでしょう。たとえば空中給油にしたって、空中給油装置はつけないというのが空中給油装置がついた、あるいは爆撃照準装置について、ファントムは外したけれども、F15はつける、こういうふうに防衛庁はなし崩しにしてくるわけですよ。既定の事実を押しつけながら来るわけです。そういう考え方の中に歯どめをしておかなければならない。いまはそういう考え方がないと言っても、それじゃ将来はそういう考え方をする場合もあるんだね。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 この歯どめでございますが、まず憲法の法理上の解釈として、自衛のために必要最小限度の自衛力を超えるものは憲法上持てないということ、これは将来とも貫かれるものでございます。
 それから、従来防衛庁は国会の答弁などをないがしろにして、その既成事実を押しつけてきたという御指摘でございますけれども、お言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、私どもの考えの基本は変わっていないということをあえて申し上げさせていただきたいと存じます。
 それで、その歯どめということになりますと、自衛隊は、これは申すまでもなく国権の最高機関たる国会を頂点とするシビリアンコントロールのもとにあるわけでございまして、防衛庁設置法あるいは自衛隊法の御審議もいただきますし、それから法律事項でないものにつきましては予算ということで年々御審議をいただいておるわけでございます。どういう兵器をどのくらい、幾らで、どういう数量を買って、どう配備するのだということまで事細かく御審議をいただいておるわけでございます。また、内閣レベルには国防会議というものもございます。そういう大きなシビリアンコントロールという、日本国憲法のこれこそ大原則でございますが、そのもとにおきまして、自衛隊はその年々におきまして現在に至る装備を認められてまいったというふうに私ども理解しておるわけでございますので、今後ともそういうシビリアンコントロールの枠内に自衛隊はあり続けるであろうということを申し上げたいと存じます。
○鈴切委員 ちょうど時間が中途半端で、これから事前協議もやりたいわけですけれども、事前協議をやりますと時間がかかりますし、あと何分もございませんので、切りのいいところで質問を終えておきます。
 以上です。
○始関委員長 栂野泰二君。
○栂野委員 大分時間が遅くなって恐縮ですが、質問をさせていただきます。
 私はまず、第二次大戦中に、国民徴用令その他で朝鮮から樺太に強制連行された朝鮮人が多数あるわけです。それが現在なお樺太、サハリンに残留している。もうすでに戦争が終わって三十年以上たつわけですが、この人たちは切実に祖国への帰還あるいは日本への帰還を願いながら、それがどうしてもかなえられない。かなりの人がそうした望郷の思いを抱きながら異郷の地で死んでいるわけです。残っている人たちも、このままでは同じ運命をたどらざるを得ないのではないか、そういう悲痛な気持ちを抱いているわけであります。
 この問題は実は国会でも二、三回取り上げられたことがあるわけでありますが、国民の多くはこの事実をほとんど知らない、私自身も実は最近知ったのであります。この問題は、実は事情を聞けば聞くだけ、どうして今日までこうした状態でほうっておかれたのか、やりきれない気持ちがいたします。戦後は終わったという言葉がありますけれども、この朝鮮人の人たちは、戦後が終わったどころか、戦争がまだ終わっていない。こういう状態に置かれたのは、日本政府の無責任さ、それに加えて国際政治の残酷さがあるのでしょう。この問題、何とか解決しなきゃいけない。私は、いまなお、サハリンに残っているこの朝鮮人ですね、これに帰還の望みを与える、生きる希望を与えるということは、日本政府だけではなくて、私は、日本の政治家すべての政治責任だというふうに考えております。そういう立場から御質問申し上げたいのです。
 そこでこの人たちの実態を一体政府はどの程度把握しておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○大森政府委員 ただいま間もなく主管の局長が参りますので、その間、とりあえず私の承知しているところでお答え申し上げます。
 政府といたしましては、樺太に在住している朝鮮人の人数につきまして、正確にはその実態を承知いたしておりません。ただし、帰還促進団体関係者が数年前に述べておられるところによりますと、樺太在住朝鮮人の方々たちは、約四万人と推定され、またその国籍別比率は、北朝鮮籍の方六五%、ソ連籍の方二五%、無国籍の方一〇%と見られるよしでございます。
○栂野委員 この人たちの中で、帰還を希望している人がある。その人数はどう把握しておられますか。
○大森政府委員 政府といたしましては、かねてからソ連邦政府に対しまして帰還希望者の実情調査を要請してきておりますけれども、現在までのところ、帰還を希望している方の人数等について、その実態を把握し得る状態にはなっておりません。ただし、昭和四十四年に韓国政府から日本政府に対しまして、約七千名を記載しました帰還希望者名簿が提出されております。これによりますると、うち千五百名が日本への永住を希望しているということになっているわけでございます。
○栂野委員 日本政府としては、要するに正確な実態を把握しておられないわけですが、それにしても、いま挙げられた数字でも七千名いる。そこで、この人たちに対して帰還ができるように、いままで日本政府としてはどういう手だてを講じてこられたのですか。
○中江政府委員 この問題は、先生も御承知のように、日本とソ連との間で直接日本の問題として取り上げるという形ではございませんで、御指摘のように、かつて日本人であった人、その人の取り扱いについての、どちらかと言うと人道的な配慮というものをお願いしていく、こういう形でございますので、そういう観点から、機会あるごとにソ連と日本との間でこの問題を取り上げまして、何とか好意的な配慮が得られないものかということで、最近でも五回にわたりまして外務大臣あるいは総理大臣レベルでソ連側に申し入れるということを続けているわけでございます。
○栂野委員 いま、人道的立場でとおっしゃいましたが、もちろんこれは人道問題でありますが、日本政府としては、人道上の立場以上の法律的ないしは政治的責任を感じておられるのですか、おられないのですか。
○中江政府委員 これは非常に客観的な国際法上の理屈の問題としては、なかなかむずかしい問題でございますけれども、その経緯から見まして、日本政府として、この人たちのためにソ連との間で取り上げるだけのことはしなければならない立場であるという点では、それなりの考え方というものに基づいてやっている、こういうことでございます。
○栂野委員 政府の言い分は、要するに、この人たちの国籍がない。つまり実態は、戦時中に朝鮮から強制連行と言っていいでしょう、それをしたときには日本国籍であった。それがサンフランシスコ条約によって日本国籍を失った。だから日本政府としては、言ってみれば人道上の問題としてしか取り上げられない、こういうのじゃないですか、いかがですか。
○中江政府委員 先ほど私が、国際法上の冷たい理論からいたしますと、日本として、国際法上の権利としてどうするということはできないという点は、いま先生のおっしゃいましたような経緯があった結果としてそうなっている。同時に、そういう経過から見まして、日本政府としては本件をソ連政府に対して、人道上、道義上の問題として取り上げていい立場にある、こういう認識になる、こういうふうに思います。
○栂野委員 そこで、国際法上どうだとおっしゃるのですか。そこのところの説明をしてください。
○中江政府委員 これは、先生がいまおっしゃいましたように、平和条約の発効に伴いまして、日本の国籍を失ったわけでございますので、自国民の取り扱いあるいは処遇に関する問題としては取り上げ得なくなっている、このことを言っているわけでございます。
○栂野委員 きょうは、法律論争は別にやる気はありませんが、ただ確認しておきたいのですが、平和条約の二条(a)項は、「日本国は、朝鮮の独立を承認して、」「朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」こうありますね。しかしこの条項には、国籍をどうするということは全く触れられていないですね。こういう場合に、領土の帰属関係が変更した、そのときに、一体国籍がどうなるのかというのは、国際法上確立された一般原則はありませんね。そこで条約に明文があれば、もちろんその条約に従う、明文がなければその条約の趣旨に従って決定されるべきだ。だから本件のような場合には、平和条約の二条(a)項がなぜできたのかという趣旨に従って決定すべきだというのが国際法学界の通説だと私は思っている。だとしますと、この平和条約の二条(a)項というのは、日本が朝鮮に対して持っていた主権を放棄する、これは、そもそも日本が日韓併合でいやおうなしに朝鮮の国家主権を奪った、と同時に、朝鮮人は日本国籍を強制された、戦争に負けた、ですからこれは当然に朝鮮に主権を返さなければいかぬわけですね。この場合に朝鮮半島に住んでいた人たち、あるいは日本国内に、内地にいた人たちとかは、祖国の主権が回復すると同時に、自分たちが日本国籍を喪失して韓国籍または朝鮮民主主義人民共和国籍、どちらかでも取得できることですから、これは何の支障もないですね。この平和条約の二条(a)項というのは、そういう事態を今度は想定していたと思うのですね。そういう場合には領土主権を失った、同時に日本国籍もなくなる、同時に祖国の国籍を取得する、こういう解釈が妥当すると思うのですよ。しかし樺太に残された人たちはそうはいかないのですね。日本国籍を失った、同時に祖国の国籍も取得できないという国際関係に置かれているわけです。これは日本国籍を失って、朝鮮、韓国籍を持つということはその朝鮮人たちの利益のためにあるわけだ。しかし樺太に残された人たちの実態から見れば、日本国籍を失うということは直ちに無国籍になる、大変不利な状態に置かれるわけですね。この実態を考えますと、この平和条約で日本国籍を失ったのだから日本政府としてはあずかり知らぬという態度はやはりとるべきじゃない、少なくとも日本国籍を捨てて、祖国の国籍を取得できる、その間日本国籍であった方が有利だというなら日本国籍があるというふうに取り扱うのが私は至当だと思うのです。世界人権宣言でもそうですね。大体国籍というのはそういうものなんですね。すべて人は国籍を持つ権利を有する、これは権利です。「何人も、ほしいままに、その国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。」自分の意思に反して国籍を奪われることはないのです。自分の国籍をどうするかは権利なのです。強制されることがないというのが世界人権宣言ですね。こういうことから考えても、日本政府の解釈というのは余りに形式的だ。
 確かにこの問題については、最高裁の判例があることは存じています。しかし、最高裁の判例も、いま言いましたように一般の場合、朝鮮半島に住んでいた、あるいは日本内地にいたという人の場合ならそれでいいでしょう。しかし、その最高裁の判例を樺太に残された朝鮮人に適用するとすれば、これはそういうものだと最高裁の判決が読めるとすれば、最高裁の判決が間違っている、日本政府はこの国籍問題について誤った見解を持っていると思いますが、いかがですか。
○大森政府委員 政府といたしましては、サンフランシスコ平和条約第二条で朝鮮の独立を承認し、朝鮮の領土並びに朝鮮人に対する主権を放棄いたしたわけでございます。その結果、いわゆる日韓併合後日本の国内法上朝鮮人としての法的地位を持っていた者は、居住地のいかんを問わず朝鮮国家の構成員となり、同時に日本国籍を喪失したもの、かように一貫して解してきているわけでございます。
○栂野委員 その一貫してとってきた解釈が間違っているのではないかと申し上げているのですよ。そういう解釈は、この問題だけではなくて、たとえばこれもいま裁判になっている台湾人の元日本兵士の補償問題がありますね。これは法務委員会で社会党の横山議員が取り上げているのです。やはりこの国籍問題が根にある。
 この問題をいつまでも論争しても始まりませんが、それでは一体、この約四万人と推定される人たちが、どういう理由で樺太に連れてこられたのか。国民徴用令そのほか、いろいろあると思うのですが、簡単でいいですから、当時の事情をおっしゃってください。
○中江政府委員 実は引き揚げ業務その他を主管しておられます厚生省の方でその間のいきさつについては御承知かと思って、いまちょっと伺いましたが、お見えになっている方は調べたものを手元にお持ちでないということを言っておられまして、当時日本人であった、いま日本の国籍を失った朝鮮半島出身の方々が樺太にどういうふうな事情で行かれたかということにつきまして、私どもの聞き及んでおりますところは、その大部分はいま先生が申されたような事情であったということに聞いておりますが、正確な資料は私どもは持っておらない、こういうことでございます。
○栂野委員 私が知る範囲では、昭和十四年から十七年までの間は自由募集、形はそういう形、昭和十七年から十九年までは官あっせんという名前で呼ばれている、十九年以降は国家総動員法による国民徴用令、こういうことですね。しかし、名前はいろいろあります。自由募集なんというと自分が積極的に希望して行ったように聞こえるかもしれませんけれども、実態は無理やりに持っていかれたということなんです。日本の戦争目的遂行のために庭先からいきなり連れていかれたのです。樺太に行って何をしたか、炭鉱で強制労働をさせられた。それで戦争が終わった、日本人なら当然祖国に帰れる、この人たちはいまの国籍も絡んで帰れない。日本政府はそれに対して何にもしょうとしなかった。今日、三十年以上たっているのです。外務大臣、法律的な責任はともかく、これは大変な政治的責任、人道的責任があると私は思いますね。何としてもこの人たちを帰すことを日本政府はしなければいかぬ。法律的責任はともかく、そういう政治的責任があるというふうにお考えになりませんですか。
○園田国務大臣 先ほど事務当局から人道的見地からと言いましたが、人道的、さらに法律的以上の道義的責任、政治責任があって、こういう方々の過去の経緯からしても、政府はあらゆる努力をして、こういう方々の御希望に沿うようにしなければならぬと考えております。
○栂野委員 五十年の暮れあたりから手続的に何とか帰れるようにということが少しでも行われるようになった。その実情がわかりますか。説明してください。
○中江政府委員 現在までに帰還を希望して入国許可申請を行った者は、外務省で把握しております限りで百三十七世帯四百三十八名、こういうことでございます。そのうち日本に永住を希望する者が十四世帯四十六名、韓国に帰還を希望する者が百二十三世帯三百九十二名。その中で現在までに入国許可を付与された者が百十三世帯三百七十八名、そのうち本邦永住希望者は九世帯三十五名、韓国帰還希望者は百四世帯三百四十三名。そのほかに現在入国許可申請を審査中の者は二十四世帯六十名、本邦永住希望者が五世帯十一名、韓国帰還希望者が十九世帯四十九名。実際に帰還した者は三名、韓国に帰った者が一名、本邦に永住しております者が二名。したがいまして、わが方の入国許可を得たけれども、まだ帰ってない者は三百七十五名、こういうふうに外務省では把握しております。
○栂野委員 つまり七千人いるという帰還希望者のうちで、入国許可申請の手続をとることができた人が四百三十八名しかいない。帰ってきた人は三名、たった三名しかいないのです。そこで、入国許可を得たが帰還できない人というのが三百七十五名いるのですね。大部分は皆そうなんですが、これは一体どういう事情なんですか。
○中江政府委員 わが方で入国はできるというところまでは手続が進んでおりますけれども、ソ連の方から出国ができない、こういうことだと思います。
○栂野委員 なぜ出国できないのか。その辺を外務省としてはソ連政府と折衝しているのか。そもそもこの入国許可について、まだ許可を審査中の人もおるしするのですが、何か条件をつけているのですか。入国許可の条件はどういうものがあるのですか。
○山野説明員 お答えをいたします。
 現在まで査証発給の事前協議のために申請を審査しておりますが、入管当局で申請に基づいて内容を見ましたところ、大きく分けまして二つの申請目的になっております。一つは、日本を経由して韓国へ帰りたい、いわゆる通過査証の申請、それが一つでございます。それから第二が、日本に帰りたい、いわば居住申請、これとなっております。現在までのところ、私どもの手元に参りました申請の内容はすべてその二つになっております。
 まず第一の通過につきましては、現在までのところ、許可を与えました者に対しましては特定査証三十日を付与しております。それから居住につきましては、やはり特定査証一カ年を付与しております。条件はいま申し上げました一応三十日、一年という時間的な条件がついておるということです。それから居住の場合には戦前サハリンに参ります前に日本に居住しておったことがあるということを確認した上で許可しております。
 以上でございます。
○栂野委員 時間も余りありませんから、この辺はまた追って詳しくお聞きしたいんですが、これは五十一年の一月二十二日の参議院決算委員会で、当時の稻葉法務大臣それから宮澤外務大臣、答えられているんですが、要するに日本に帰って、それからすぐ韓国だというんではなく、もしすぐに帰れないようならともかく日本にいらっしゃい、こういうことでないと無理だろう、そういうことを言っておられる。どうも、いま法務省がやっておられるこの条件のつけ方などを見てみますと、私は大変きついような感じがする。大体五十年暮れからやっとこさこの程度のことが始まったという、しかし戦争が終わってからもう三十年たっているんですね。なぜ五十年の暮れからかと言えば、やれマスコミが騒ぎ出した、あるいは国相手のこの事件についての裁判が起こった、それが契機でしょう。そこで、なかなか国際関係のむずかしさがあることはわかりますが、まず日本政府の方が、その国際関係の壁はあるけれども、この人たちが帰れるような援助といいますかお世話、そういうことをしなければいかぬ。恐らく七千人のうち百三十七世帯四百三十八名しか入国許可申請がされてないというのは、やりにくい事情があるからなんですね。それに対して一体日本政府は、外務省、法務省は、この人たちに対して、いまの入国許可関係についてどういう指導といいますか、お世話をしたんですか。あなた方は、どうぞ勝手におやりください、ちゃんとこの手続がそろった人はそれなりに許可手続のことは考えますよというんじゃなかったんですか。どの程度のお世話をしたんですか。こういうことが手続がとれるということをこの人たちにどういう形で伝えてきたんですか、そこの点いかがですか。
○中江政府委員 外務省といたしましては、入国管理の担当官庁であります法務省と協議をいたしながら、いまおっしゃいましたように、申請するなら勝手に申請しろという態度ではなくて、そういう声がナホトカの総領事館なりモスクワの大使館にいろいろな形で手紙がありましたり、その他、人を介して照会があったりいたします。そのたびごとにソ連から出国できるということについてどういう状況になっているかということを一方で調べますと同時に、そういうふうに出国ができるための条件をわが方で整えられる分はできるだけ努力しよう、そういった側面につきまして、指導と言うと大それておるかもしれませんけれども、情報を提供いたしまして実現ができるようにということで便宜を図っているというのが現状でございます。その場合の具体的な入国の手続その他につきましては、これは入管の方が詳しく御承知なわけでございます。
○山野説明員 ただいまアジア局長から御説明がありましたように、本件につきましては、入管当局としては外務省とも十分連絡協議をいたしております。現在までのところ、先ほど御説明申し上げましたように、具体的に査証付与の申請がありました場合に、その申請に基づいて処理しておる現状でございます。
    〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
 いま申し上げましたように、査証の申請内容は二つに分かれておりまして、私どもはその申請目的の線に沿って、その処理を図っておるわけでございます。
 以上でございます。
○栂野委員 結局、これは日本人の場合だと厚生省の援護局がこういうことは、言ってみれば手をとり足をとり親切にしてくれるわけですね。ところが、そういうことをやってくれる政府機関がないところに一つの問題があると私は思う。
 そこで、厚生省きょう来ていただいておりますが、この問題、厚生省援護局はどういうかかわりを持っておられますか。
○吉江説明員 厚生省といたしましては、もちろん日本人の引き揚げられる方に対する援護ということが中心になるわけでございますが、このような日本人の方と一緒に帰ってこられる場合には、その方の経済状態その他を見まして、具体的には船運賃の負担、そこらのことはやらせていただいておるわけでございます。つまり、多くの場合は、日本人妻と一緒に帰ってこられる方についてはそのようなことをやらせていただいております。
 それから、いわゆる韓国籍の方で、お帰りになりまして日本に一定期間御滞在ということになりまして、その方の生活状態が悪い、経済状態が悪いという場合には、私どもは実質的には生活保護制度の適用ということで滞在中のお世話を見させていただいているという状況でございます。
○栂野委員 その日本人妻と一緒の場合とおっしゃるけれども、要するに、日本人とそういう点で関係のない、いま無国籍の人たち、この人たちは、厚生省援護局はめんどうを見ないのですか、それはどうなんですか。
○吉江説明員 私どもはいまのところ、そのようないわゆる外国人と申しましょうか、その方に対しては特段の引き揚げ援護措置ということはやっておりません。
○栂野委員 そこが問題でしてね、先ほどから申し上げておるとおり、単なる外国人じゃないでしょう。これは事情があるのですよ。いま国籍を失ったというのは、まだいろいろ申し上げたいが、きょうはくどくど申し上げませんが、御存じだと思うのですね。最初にお話がありましたように、ソ連籍が二五%、北朝鮮籍が六五%、無国籍一〇%というのは、結局自分たちの生まれたところ、いまの韓国へ帰りたい、そのためには北朝鮮籍、ソ連籍を取ると、なかなかそうはいかない。樺太の事情を考えれば、それはいろいろな面でソ連籍、北朝鮮籍を取った方がいいでしょう。しかし、それも取らないで、なおかつ無国籍のままでがんばり続けるというのは、ただ帰りたい、帰還したい、こういうことでしょう。そのときに、連れていかれた事情から言って、ただ外国人だということで厚生省援護局が済まされるのか。そういう人たちに対して、日本人のように援護をしてはいかぬという何か法令上の制約でもございますか。
○吉江説明員 私どもは確かに引き揚げ援護を担当する部局でございますが、これはいわゆる日本に引き揚げられる方、要するにお帰りになる方、韓国出身の方でございますと、恐らくお帰り先は本来韓国ということになるのじゃないかと思うのですが、私どもは日本に引き揚げられる日本人の方を対象にして従来からずっと仕事をやってきておるという経緯があるわけでございます。
 ただ、先ほど来先生御指摘のように、この方たちが向こうへ行かれ、あるいは戦後向こうにとどまられ、そして今回日本にお帰りになるということにつきましては、それはいろいろな深い事情もございましたことでありましょうから、私どもはそういう方に対する援護の施策をもし展開するとすれば、これは新しい問題になるわけでございますので、十分検討して対処してまいりたい、かように考えております。
○栂野委員 厚生省援護局が、この人たちはめんどうを見てあげたくても日本国籍がないのだからと言う、日本国籍以外には法律上そういうふうになっていないのです。とおっしゃった。しかしその根拠として、私、厚生省がお持ちになったものを見ましても、日本国籍でなければいかぬなんて、どこにも書いてないのです。ですから、この人たちの特殊事情を考えれば、日本人と同じように未帰還者としての実態を調査する、そういう人たちの資料を作成したりする、それは調査課の仕事でしょう、この人たちについていろいろな援護をやるというのは、これは援護課の人たちがやればよろしい。
 そこで厚生省の援護局が主幹になってこの人たちの帰還をどうするのかということを企画していただく、その主力になっていただいて、外交交渉は外務省にやっていただく、入管の手続は法務省にやってもらう、こういうふうにしませんと、たまたまこういう手続を知った人、そういう事情にあった人だけしかこれはやれないことになる。だから、七千人もいるというのに、五十年の暮れから現在までわずか百三十七世帯しかないですね。皆帰りたいと思っているのです。七千人が。しかも、五十年の暮れから今日まで百三十七世帯といっても、これは始まってごくわずかの期間で、それから後はほとんどないのです。この人たちに同じような手続を少なくともさせるためには、日本政府がいろいろできる限りのめんどうを見てあげない以上できないことになる。いまの御答弁を私は前向きだとお伺いするのですが、ひとつこれから厚生省援護局が乗り出していただきたいというふうに考えております。
 そこで、外務大臣がおかわりになるたびに、あるいはソ連外務大臣とお会いになるたびにこの問題に対して申し入れをしておられるということはお伺いをしましたが、園田外務大臣も一月九日にグロムイコ外相に申し入れをされたというのですが、ソ連の回答はどういうことなんでしょうか。
○園田国務大臣 ただいま栂野先生から仰せられたとおり、これはきわめて責任の重いことであり、残っておられる方々の心情を思うとせつないものがございます。栂野先生がしばしばこの問題を熱心にやっておられると聞いておりましたので、モスコーではいま先生のおっしゃったような気持ちで私はグロムイコ大臣に熱心に、激しく要請をいたしました。しかし、ソ連のこれに対する態度その他は先生よく御承知のとおりでありまして、何と返答したかということでこの問題を取り上げることは、むしろ現在の状況で残っておられる方がお帰りになることを妨げるようなことになりますので、この点は御理解を願って、相手が何と返答したかということは申しませんけれども、私としてはいろいろ手段を講じ、また理屈に合わないところもございますから、ソ連に対する要請、折衝、こういうことは粘り強く熱心に続けていくと同時に、先ほど仰せられました受け入れ体制の問題についても理屈だけでは通らぬ点がたくさんございますから、一遍法務大臣、厚生大臣とも相談をして、何とかいい方法がないか研究してみたいと考えます。
○栂野委員 ぜひお願いしたいと思います。帰還を積極的に進めることについてもちろん韓国政府に異論のあろうはずはございませんし、確かに日韓、日ソ、韓ソという非常に微妙複雑な国際関係が絡むわけですが、しかし、ソ連政府といえども、今日時点になればそれこそもう人道上の立場から御協力願えると私は確信しているのですが、ひとつ日本政府の方がいま少し熱意を示して実態を訴えていただくように、またそういうことのできるような組織体制というのですか、先ほど来大変前向きな回答をいただいているわけですが、これをお願いいたしまして、この問題についてはこれで質問を終わらしていただきたいと思います。
 そこで、遅くなって恐縮ですが、竹島の問題について少しお尋ねをしておきたいと思います。
 竹島が日本の固有の領土だという点は全く疑問の余地がないわけであります。私は島根選出でございますから、地元の問題としても特に強い関心を持っておるわけですが、竹島が固有の領土だというのは北方四島と同じです。しかも、北方四島がいまソ連に占有されている。そこで、ソ連が北方四島について領有権を主張している根拠よりも、竹島について韓国が領有権を主張する根拠の方が私ははるかに薄弱だと思うのです。とにかく戦争が終わってから数年たった昭和二十七年、竹島は無人島だということで、言ってみればそれを奇貨としてやにわに上陸して、以来占拠をして領有を主張する、これは私に言わせれば大変不法なことだと思っています。
 北方四島の領有権に関する日本政府の態度というのは大変強い、毅然たる態度だ。北方四島問題が片づかなければ日ソ条約は締結しないとまで言っておる。ところが、竹島についてはきわめて弱腰といいますか熱意がない、天と地ほどの差があるように私には思えるのです。なるほど竹島というのは豆粒のような島でしょう。二十三万平方メートルで無人島。ですけれども、これは大変重要なあれで、特に領海法なり二百海里が出てきます。そういうことを考えただけでも、豆粒みたいな島だから問題にならないというのでは決して済まされない問題があると私は思っております。竹島は日韓条約締結のときに本当は片づけなければいけなかった問題だと思いますが、そのときの交換公文があるけれども、この交換公文というのは大変なしり抜けで、竹島問題について解決するには何の役にも立たない、そういうものになっております。これが今日、竹島問題をにっちもさっちもいかなくしている最大の原因だと思うのです。
 それはそれとしまして、昨年の四月六日に、島根の漁業団体の代表が福田総理に会ったときに、福田総理は、これは大変重要な問題だから、秋に開かれる日韓閣僚会議に議題として取り上げよう、こういうお約束をされたのです。ですから、地元の漁業団体の代表は大変期待を持って帰った。ところが、日韓閣僚会議は昨年の秋に開かれたのですけれども、正式議題にはならなかった。個別的に当時の鳩山外務大臣と朴東鎮外務大臣が会われて一応主張を言い合ったという程度で終わっておるわけですね。いま竹島には韓国の旗が立っております。領有権を示しておる。警備隊がいてトーチカがある、こういう状況になっているわけです。また、昨年十月ころには韓国の漁民が住民票を竹島に移したというふうな問題があって、大変刺激的な状況があった。
 そこで竹島の現況はどうなっているのか、保安庁の方も来ておられますから、最近の状況を御説明願いたい。
○久世説明員 海上保安庁は外務省の要請によりまして、巡視船によって竹島の調査を行っておるわけでございますが、最近行いましたのは、先生も御承知のとおり昨年の八月三十一日でございます。第八管区海上保安本部の巡視船「くずりゆう」によりまして海上から調査したわけでございまして、距岸大体三百メートルから七百メートルまで近づきまして、いろいろ双眼鏡あるいは肉眼等によりまして調査を行ったわけでございます。
 当時は、概略申し上げますと、やはり先生御存じのとおり、竹島には大きな島が二つございますが、東島には灯台、見張り所、小屋あるいは宿舎、そういうものがございまして、なお銃座が一基新設されたというような状況でございました。なお、西島にも小屋が一むねございまして、先ほど先生のお話がありましたように、東島にはやはり韓国の警備員と思われる者が十三名視認されたというような状況でございます。
○栂野委員 竹島周辺は日本海有数の好漁揚ですが、前国会で私がお尋ねしたときの水産庁の答弁では、竹島周辺二百海里内の漁獲高は年間一万トンぐらいで、金額にして約二十七億円ぐらいだという御説明だった。昨年の実績がもしわかっていたら言っていただきたい。それと、周辺の日本漁船の操業状態はいまどういうふうになっているのか、特別の紛争などはないのか、そこら辺いかがでしょう。
○上田説明員 竹島周辺におきますところの五十年の操業状況でございますけれども、漁獲実績は推定で、中型、小型イカ釣り漁業によるところのイカが約一万二千七百トン、沖合い底びき網漁業によりますところのニギス、ヒラメ、カレイ等の漁獲量が約五百トン、カニかご漁業によりますところのベニズワイガニが約三千二百トン、合計いたしまして約一万六千四百トンというふうになっておりまして、同島周辺は日本海における重要な漁場となっております。
 操業実態でございますけれども、竹島周辺三海里以内においては、日本漁船は操業いたしておりません。
 以上でございます。
○栂野委員 竹島は、日本側も日本固有の領土だということで、一応領海十二海里を引いたことになっていますね。そこで、韓国の領海十二海里法が国会を通って、この四月ごろまでには領海施行宣言がやられるのじゃないか、こういうふうに聞いておるのですが、そうなった場合に、対馬海峡などは大統領施行令で特定水域にして三海里にするということも言われております。竹島についても同じような特定海域にするという報道もなされたり、いや、そうじゃないのだと言ったり、この辺がはっきりしない。
 また、昨年の九月二十五日の朝日新聞なのですが、昨年九月二十四日にこの問題について日本政府と協議を始める方針だということを韓国政府筋が明らかにしたのだということが書かれているのですが、そこら辺の状況をちょっと御説明いただきたいと思います。
○中江政府委員 韓国が近く領海十二海里というものを実際に韓国の国内法制上採用することになっている、そしてその具体的な線引き、その他については四月ごろに大統領令か何かで明らかにすることになっているという情報は、いま先生のおっしゃったとおりに私どもも承知しております。ただ、具体的にどういう線引きになるのかという点は、私どもはまだ承知しておりません。
 漁業問題に関しましては、十二海里の領海の話が出たときもそうですし、それ以前の二百海里がだんだん世界の趨勢になったときにも言っておることでございますけれども、日韓漁業協定が現在有効に実施されておりまして、この漁業協定に基づく漁業秩序というものを維持してまいりたい。海洋法の制度がどういうふうに発展してまいりましても、漁業についてはこの漁業協定のもとでの操業秩序を維持してまいりたいということは、韓国が何度も言っておることでございますし、日本といたしましても、御承知のように、西側といいますか、日韓漁業協定あるいは日中漁業協定が現在支配しております水域につきましては、いまの秩序が維持、継続されることが望ましいという態度で臨んでいるということでございまして、今度の領海十二海里によって、先ほど来問題提起のございます日本のあの周辺での漁場について直接何らか大きな秩序変更があろうかという点については、韓国はそれは考えていないようだという程度の認識は持っている、こういうことでございます。
○栂野委員 それは漁業協定だと三海里ですね。ですから、領海十二海里法になっても、漁業の関係ではいままでどおり双方三海里、大体これでいけるということですか。つまり、いままでは三海里までは竹島周辺でも自由に日本の漁船が入れた。十二海里領海法が施行されると十二海里からは入れないようになるのか、そこら辺のところですね。
○中江政府委員 一般論と竹島周辺とでは趣が違うと思うのですが、一般論といたしましては、領海の幅員の拡大は主権行為でございまして、その国の一方的な主権発動に基づく管轄権の拡大ということでございますから、三海里が十二海里になりますと、この十二海里はいま国際法上一応有効なものというふうに確立されてきておりますので、十二海里に領海が拡大されますと、その部分は領海として、いままでのような三海里までであったときとの幅の九海里については領海の制度のもとに服することになる、これは当然のことだろうと思います。
 竹島につきましては、いまでもあるいは将来でもそうでございますけれども、日本は日本で固有の領土でございますので、三海里時代には三海里、十二海里になりますと十二海里を日本の領海として制度上は実施して公布していくべき性質のものということになりますし、韓国は韓国で、韓国の立場に基づいて領海ということになりますと、恐らく十二海里になろうかと思います。その間入れるか入れないかという問題につきましては、日本の立場に立ちますれば入るも入らないも自分の領域ということですが、先ほど来のお話にありますように、実際に韓国が不法占拠をしている。その不法占拠をしている韓国の範囲内に力でもって押しのけて入るということは、いまのところ日本はいたしませんし、将来ともそういう方法はとるべきでない。したがって、そこのところは話し合いによって解決していかなければならない。これは、紛争であることは間違いがないわけですので、紛争は平和的に解決する。この基本方針に基づいて解決しようとするために、なかなか時間がかかっておりますけれども、日本の立場を捨てるとかあるいは自分で制限するとか、そういうことは一切いたしません。しかし、実際の不法占拠の態様というのは、いままでどおりでございますので、領海が十二海里になりますれば、その十二海里について相争う、こういうことになろうかと思います。
○栂野委員 領有権の帰属はともかくとして、その周辺の漁船の操業の安全あるいは現実に入って、そこで魚をとるという、いまも十二海里の中に入っていると思うのですが、さしあたり四月時点になれば、これ現実的にどうなるかということになってきますので、この辺は、ひとつ事前に詰めていただきまして、いきなり十二海里領海設定された。いままでどおり日本漁船が入った。大変な紛争が起こるということのないように対処していただきたいと思う。
 そこで、この領有権を含めての竹島問題ですが、外務大臣がかわられまして、竹島問題については一体どういうふうに対処なさろうとしているのか、その基本姿勢をひとつ伺わしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 いまお答えしましたとおり、この問題は、話し合いで解決をする、こうなっておりますが、だんだん延びてきまして、そのうちに実績を積まれて非常に困ることになるわけであります。
 そこで、国際司法裁判所に出て、ここで結末つけようということでありますが、これまた、相手国が承知をしなければできないわけでございますから、これもできないでおるわけでございますが、先般韓国の外務大臣と会ったときにも、とにかくこれは話をつけようじゃないか。しかし、これも時期もあることだから、とりあえずいろいろなあの上に実績を積むようなことは差し控えてもらいたい、こういうことを申し入れておきましたが、私としては、北方四島問題その他の問題で国民の総意のもとに熱心にやっている時期でありますのに、こういうところをいいかげんにしておいては理屈が通らぬわけでありますから、しかも北方四島も当然でありますが、竹島は全く鼻先にある島でありますので、時期を見、いろいろ準備をしつつ、一度はぴしっと話をつけたいと考えております。
○栂野委員 ことしもまた九月に、ソウルで、第十回の日韓定期閣僚会議が開催されるというふうにうわさをされているわけでありますが、私は、この日韓閣僚会議というのは、いままでの経過から見てみますと、どうも臭い物にはふたをする、金大中事件などがそうでありますが、そういうやらなければいかぬ問題はやらないで、いわゆる日韓癒着をますます深めていくような、そういう役割りしか果たさなくなっているのじゃないかというふうに思うのです。ですから、そういう会議ならば、この際、日韓閣僚会議を続けるということはもうやめるべきじゃないのか、こう考えます。
 しかし、そのことはきょうはともかくとしまして、仮にこの九月に、予想されるように第十回の日韓閣僚会議が開かれた場合に、この竹島問題というのを正式議題として取り上げる、こういう方向でやっていただけるのかどうか、この点を大臣にお伺いします。
○園田国務大臣 いままで定期閣僚会議でこれが議題になったことはありません。正直に言って、いろいろ事務当局の意見も聞いておりますが、これは主張すべきだという意見もあるし、これを議題にすると、かえっていろいろ問題が起こるという話がありますけれども、私としては、これを黙って見ておる手はない、黙って見ておったら黙認という形になってきますから、今度の閣僚会議では私は議題として主張するつもりでおります。
○栂野委員 どうも大変長時間ありがとうございました。まだ少し時間がありますが、一番最後ですから、これで終わらしていただきます。
○村田委員長代理 以上で栂野泰二君の質問は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時十七分散会
     ――――◇―――――