第084回国会 法務委員会 第18号
昭和五十三年四月十九日(水曜日)
    午前十時十二分開議
 出席委員
   委員長 鴨田 宗一君
   理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
   理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君
      上村千一郎君    中島  衛君
      西宮  弘君    武藤 山治君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      鳩山 邦夫君    阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
 出席政府委員
        法務政務次官  青木 正久君
        法務大臣官房長 前田  宏君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
        法務省入国管理
        局長      吉田 長雄君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房管理室長   小野佐千夫君
        警察庁刑事局保
        安部防犯課長  長岡  茂君
        外務大臣官房領
        事移住部旅券課
        長       伊藤 忠一君
        厚生省公衆衛生
        局企画課長   舘山不二夫君
        法務委員会調査
        室長      清水 達雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  前尾繁三郎君     中島  衛君
同日
 辞任         補欠選任
  中島  衛君     前尾繁三郎君
    ―――――――――――――
四月十八日
 刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を
 定める法律案(内閣提出第五三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 質問をするに先立ちまして、法務大臣にちょっと御意見を伺いたいのであります。
 きのうの本会議における法務大臣の答弁は、議員諸君の真摯なる質問に対して大変いたけだかであって、ある意味では何かこう悪乗りしておるというような感じを抱かせたのであります。私もおとなしい人間でありますけれども、これは法務大臣は少し謙虚さが足らない、各党に協力を求めるとするならばああいう答弁は適当ではないと私は思うのであります。
 たとえば、新聞は半分本当で半分うそだというようなことをおっしゃいました。何を根拠にして新聞の書いておることが半分うそで半分本当だか、これは一体どういう意味でおっしゃったのかお伺いもいたしたいし、あるいは日弁連について非常に批判的でありました。いやしくも衆議院の本会議の壇上から、まあ、ともあれ日本における民主主義の一つのとりででありまする日弁連を名指しで誹謗なさるということは、法務大臣としては適当ではないのじゃないか。私どもは、いろいろな言い方はあるけれども、法曹三者の信頼感ということが最も必要である、そういうふうに痛感をしておるのでありますから、よしや日弁連に一部の非があったにいたしましても、本会議の壇上から名指しで日弁連を誹謗するがごときは、長期にわたって法曹三者の信頼感を確立する上において、法務大臣としては軽率ではないかと思われるのであります。
 また質問者に対しまして、質問者が、内容があいまいではないかというようなことを言いましたら、あなたは、あいまいにしておるのは皆さんがあいまいにしているんだ、こういう何といいますか、切り返すといいますか、質問に誠実な答弁をせずに、けんかを売るような答弁をなさるということも、私は全く意外なあなたの側面を発見したわけであります。
 また、議会の通常としてやじが出ることは当然でありましょう。やじは雄弁の花だというのですから、帝国議会以来やじというものは議会においては通例なんであります。もちろん品のいいやじと品の悪いやじとはありましょう。けれども、やじというものがすべて悪いものではありません。しかしながら答弁者の心得べき問題として、いやしくも本会議の席上で、聞かれもせぬのにやじに受け答えして法務大臣がそれに答弁をするということはいささか軽率ではないか等々、きのう承っておりましてまことに遺憾なことだ、これはただに本会議の権威、法務大臣の権威を失するのみならず、この特例法審議に当たって法務大臣がそういうようなけんか腰でおやりになるとするならば、審議の今後の行方が心配される、そう私は思うのでありますが、いかがでございますか。
○瀬戸山国務大臣 いま横山さんから私の答弁なり態度に対して御注意をいただきまして、御注意のお気持ち、十分承りました。ありがとうございました。
 それから稲葉議員からの質問の中で、私はその記事があったことは知っておりますが、内容はいま定かに記憶しておりませんけれども、朝日新聞の記事とそれからサンケイ新聞の記事が、別々という言葉であったかどうか知りませんが、違っておるようなお話がありました。その記事は、二、三日前、日弁連の新会長その他新役員の就任披露の席で、私が率直な意見をまじえて喜びのごあいさつをしたその内容に関する記事であったのでありますが、いま申し上げましたように朝日新聞の記事の内容がどうであったかははっきり覚えておりません。またサンケイ新聞の方も同じでございます。ただちょっと記憶にあるのは、サンケイ新聞の方は、何か私が厳しく日弁連を批判したような表題の小さな記事だった。そういう考えは私、全然ないのですけれども、それを稲葉議員から、両方別々のことがあるがどっちかと言われますから、どっちも関連した記事でございますかち、人様が見られても右の記事と左の記事、同じ場所の記事が別々のような印象を与えるというお話でございますから、半分は本当で半分はうそだ、そういうことでございます。全容を書いておらないということでございます。
 私は直接みずから発言したことでございますから、世間から全然違ったように受け取られるということになれば、どっちも書いてあることは一部そのとおりでございますが、世間から見られると違ったような記事になっておるということは、どっちも半分ずつ本当のことを書いて半分ずつうそのことを書いておる、こういうことになる、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。私は物は率直に言わなければいかぬ時代に入っておると思いますから申し上げるのであります。別に挑戦するわけでも何でもありません。私どもが直接関係したことの新聞記事を見ますると、おおよそ半分は本当で半分はうそのように見受けられる場合がある。うそといいますか真実でない場合、そういうこともしばしばあります。そのことを申し上げておるわけでございます。
 それからもう一つ、きのう稲葉委員の別な質問の際に、法案の内容について率直にいろいろ細かくお問いになりました。ああいう場所ですから長らく細かく御説明をするのに不適当な場所でございますが、ここの委員会でありますと細かく御答弁することが適当な場合があると思いますが、この内容に不明確なところがあるとおっしゃいますから、最初に内容は項目を分けて趣旨説明をいたしておりますから、これがあいまいであるというなら、皆さんの方であいまいにしておられるのじゃないですかという率直な意見を申し述べたわけであります。また、そのことについて当委員会等で細かく御審議があり、また、細かくこちらの考えも申し述べなければなりませんが、最初に、いま申し上げましたように内容について個別に項目を分けて趣旨の説明をいたしておりますから、あいまいだとおっしゃるから、あいまいにされているのは皆さんの方じゃないですかという、これまた率直な私の考え方を申し述べた、かようなことでございます。御理解をいただきたいと思います。
○横山委員 いま、一つ一つのことを取り上げてあなたとここで一問一答をして、何が真実であるか、何が真実でないかということをやっておる時間はありません。
 ただ、私があなたに言いたいのは、少しも謙虚さがないではないか、何が本当で何がうそか、半分本当で半分うそだという、そのうそという表現ですね。うそという表現は、全く事実と正反対で、虚偽のことだ、そういうことなんですね。少なくとも世の中にこういう見方もある、ああいう見方もある、あなたはそういう見方をしておるけれども、ほかの人はこういう見方をしている人もある、それに対して謙虚に耳を傾けるべきではないか、誤解であるというならまだしも、あなたの言っているうそだという言い方は、提案者としていささか穏当を欠くのではないか、それはただ言葉の表現の問題ではありませんよ。うそだときめつけるということが、まさに挑戦的だと私は言うのであります。はからざりきあなたの側面を見たと私は思うのでありますが、平素、温厚にそういう態度でやっておられることが、突然ある日本性がむき出たという感じが私はしないでもないのであります。少なくとも、法務大臣、お役人じゃありませんから、政治家ですから、言葉の表現、相手に対する説得力、そういうことにもう少し御注意をなさってしかるべきではありますまいか。
 私は、あなたの言う何が半分本当であるか、何が半分うそであるか、それは事実を解明したいと思いますけれども、時間がございません。しかし、どう考えてみましても、あなたの意に反する解釈であるということならまだわかる、誤解であるということならまだわかる。しかしながら、うそだときめつけるというやり方は、いささかも相手に対する説得力を持たない言葉だ、納得をさせようとしているのか、けんかを売ろうとしておるのか、私は判断に迷うわけであります。
 本問題は、本会議における法務大臣の態度として適当でないと思いますが、いささかもあなたはその反省がございますまいか。
○瀬戸山国務大臣 当初に申し上げましたように、私の態度、発言が適当でないということであれば、私はありがたく横山さんの御忠告を受けますということを申し上げておるわけでございますが、私が、半分本当で半分うそじゃないですかということは、これは稲葉さんのおっしゃることに半分本当で半分うそだということでなしに、繰り返し申し上げますが、両方に同じ場面の記事があるのに、別なように受け取られるというお話がありましたから、事実は一つでございますから、それなら半分うそで半分本当じゃないですかとこういうことを申し上げている。うそということは適当でなければ、半分ずつ書いてある、こういうことでございます。
○横山委員 やり合いをしようとは思いませんが、物事にはうそと本当と二つしかないというふうなきめつけ方をされることに間違いがあると私は思っておるのです。なるほど真実は一つだ、真実へのアプローチを、お互いに意見の違う人間が、どこに接点があるか、何が真実であるかということをお互いに議論をして、そこに近寄らせなければならぬでしょう、その努力をしなければなりますまい。あなたはその努力をする最高の責任者じゃありませんか。それを、うそと本当と二つしかないのだ、おれが本当で、そっちのだれかが言った新聞記事なり何なりがうそだという言い方は、その新聞記事なり、その言った人がまるっきり悪意で、まるっきり子供みたいなことを言っておるとかいうことにしても、子供も納得をさせなければならない、悪意であるならばそれを説得しなければならない、誤解ならばそれを解かなければならぬ、そういう意味合いで、まるっきりうそだと言うて、あるいは先ほどから例示をたくさん出しましたように、あなたの方があいまいだとか、日弁連はけしからぬとか、あるいはやじに三回も御答弁なさるとか、そういう態度では、この法案について円滑な審議が期しがたいと私は忠告しているのです。法務大臣としての法案審査に対する誠実さを欠く、謙虚さを欠く、こう言っておるわけでありますから、以後厳重に御注意をなさっていただきたいと思います。
 質問に入りますが、まず最初に、きょうの新聞によりますと、わが党の野田参議院議員がアメリカへ参りまして金炯旭氏に会いました。私もこの出発前の打ち合わせに参加をした人間なんでありますが、金炯旭氏が「五月十三日に米下院国際関係委員会国際機関小委員会による私に対する最後の聴問会が終わった後、訪日してすべてのことを発表するつもりである」、その中にはいわゆる金大中事件も含まれておるわけであります。
 そこで、法務大臣に緊急にお伺いしたいと思うのでありますが、野田参議院議員が金炯旭氏に会ってまいりまして、日本を訪問して国会で証言をしてもよろしいということなんでありますが、問題は二つございます。金炯旭氏の入国を認めるかどうかということが一つ。それから、恐らくこの問題についての妨害なりあるいは警備という問題が起こってこようかと存じます。そういう点について好意ある計らいをなさるお気持ちがあるかどうか、伺いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 金炯旭氏が日本に入国されるかどうか私もよくわかりませんが、入国を許すかどうかは、その目的等によって、いろいろ検討することだと思います。
 また、入国された場合には、もちろん身の安全ということを、もし気になることがあれば、十分に守ることは、これは日本政府として当然でございます。
○横山委員 後の方はいいのですが、前の方で、そのときにとおっしゃっていらっしゃいますが、少なくとも金炯旭氏の訪日については、もう前からたびたび問題になっておるわけでございまして、その目的が何であるかということはだれしも承知をしておることなんであります。日韓の問題、金大中の問題についてであります。私は、特に当法務委員会で金大中事件をしばしば取り上げております者の一人として、この金大中事件について検察当局の調査がなかなか進んでいない、そうして、この白昼堂々とホテルから金大中氏が奪い去られたという歴史的な事実についてまだ決着がついてないということを、非常に歯ぎしりをする思いを持っておるわけでありますから、金炯旭氏の訪日の目的その他は明白でございますが、入国をお認めになるかどうか、重ねて伺います。
○瀬戸山国務大臣 すべて入国の場合にはいろいろ事情を申し述べて入国されておりますから、日本に害がないということになれば、当然に入国を認めることにやぶさかではありません。
○横山委員 日本に害がないとすればということはどういうことなんでしょうか。私は、金大中事件の真相について裨益するところがある人間であるからと言って勧めておるわけであります。害どころか、この問題の解明に重要な手がかりのある人間だ、そう思っておるわけでありますから、害どころじゃなく、益として私はお勧めしておるわけですが、どうでしょう。
○瀬戸山国務大臣 私は、入国の一般論を申し上げておるわけでございますが、入国審査のときには、もちろん日本の治安あるいは社会、そういうものに害があるかないかを一応見て、許すべきか許さざるべきかを審査しておるようでありますから、そういう一般的な原則を申し上げたわけでございまして、金炯旭氏がそういうことであるとは、私は思っておりません。
○横山委員 それでは、いずれ具体的な問題となって、あなたの所管になるわけでありますから、十分ひとつ、本件についての好意ある計らいをお願いしたい。
 本論に移りまして、まず公益法人の問題について伺います。
 本委員会で、私は二回にわたって公益法人の問題について取り上げました。公益法人が、もう数十万というほどあると思うのでありますが、その公益法人の内容というものがきわめて問題があると取り上げましたところ、総理府は一年有余かかって、公益法人の会計基準というものをおつくりになって、いま行政指導をして、もちろん特殊法人は別でありますが、一般の公益法人についての、いまつくられた会計基準の説明をなさっておられるそうであります。
 ところで、私の目に触れている幾つかの公益法人の問題を取り上げてみますと、まず第一に、新聞でいろいろ言われております財団法人天下一家の会というのがあります。これは、すでに民事局でも御存じのように、また処置をなさったように、ネズミ講の本家、財団法人天下一家の会の法人登記が抹消されました。ところが、依然として財団法人天下一家の会が東京の九段で、天高く看板がそびえ立っているわけであります。一体、法人登記を法務省が取り消しておいて、そして、それを知らぬ顔のはんべえとして、ここに新聞があるわけでありますが、財団法人天下一家の会と名乗りを上げていることについて、法務省は何らの措置のしようがないのかどうかということがまず第一。いろいろありますから、ひとつ簡潔にお答えを願いたい。
○香川政府委員 現行の民法におきまして、財団法人でないものが財団法人の名称を冠するとか、あるいは財団法人が法律上、正しい名称と違った名称をつけるというふうなことについて、さようなことをしてはならぬという禁止規定が、遺憾ながらないのでございます。この点は、積極的に民法改正を検討すべきだというふうに考えておるわけでございまして、現行法のもとにおいては、これを規制する法的措置がないということでございます。
○横山委員 民法上の法的措置がなくても、これは明らかに詐欺ではありませんか。警察庁防犯課長おいでですか。警察としてはどういうふうにお考えになりますか。
○長岡説明員 突然の御質問でよく検討しておりませんが、詐欺罪の構成要件であるところの、相手方を欺罔して財物を騙取したという構成要件に該当すれば詐欺罪になるかと思いますが、本件事案の内容については余り詳しく検討しておりませんので、この件についてはちょっと控えさせていただきたいと考えております。
○横山委員 きょうは、天下一家の会を追及するのが目的ではございませんから、事前に警察庁に連絡してありませんでしたけれども、ぜひ検討していただきたい。本件は数々の問題を含んでおるわけであります。財団法人として活躍をしておった。それが国会その他各方面の追及にあって、法務省も余り例がないことでございますけれども、法人登記を抹消した。抹消したけれども、何の効果もない。堂々と看板を上げて、九段に巨大なビルを建てて、ネズミ講が、子ネズミが拡大をしておるという事実は、いかに問題を解決したらいいか。また、きょうは国税庁の御出席を願いませんでしたけれども、所有する財産が会長個人の所得になるのか、あるいはまた、一体それはだれの所得になるのか。財団法人の法人登記が抹消されたことによって、所有する財産が一体どういうことになるかによって、国税庁の課税の対象がまた変わっていくというのでありますが、民事局長はその点どうお考えになりますか。財団法人の法人登記が抹消されたことによって、そこが所有しておった財産は、本来、民法上はどうなるか。
○香川政府委員 ただいまの法人登記を抹消したと申しますのは、これは財団法人肥後厚生会というものがございまして、それの名称変更として、天下一家の会というふうに変更登記がされたわけでございます。その変更登記が無効であるからということで職権抹消したわけでございまして、したがって形式的に登記簿から申しますと、現在、肥後厚生会という名称の財団法人が登記されているということになるわけでございまして、したがって、実態は詳しくは存じませんが、全く法人でなくなったということは、登記の面から申しますと、ちょっと異なるわけでございます。
○横山委員 後刻、またこの具体的な問題についてはさらにやるとして、たとえば、次に文部省所管で、財団法人日本青年館というところがあります。これが「元理事が、借り出した同館理事長印を使って総額六億円にのぼる約束手形を乱発」したという事件がおととし発覚をいたしました。そして「この元理事と共犯三人を有価証券虚偽記入、行使の疑いで逮捕した。」という記事がございます。
 足利市の社会福祉法人、これは厚生省所管だと思うのでありますが、渡良瀬会、これが、この情報によりますと、地検の調べによりますと「柏瀬兄弟は四十二年に東京都の補助と社会福祉事業振興会の融資合わせて二千数百万円で緑ケ丘育成園を建設したが、その際、同市内の建設業者には約二千万円で工事を請負わせながら、工事費が二千数百万円かかったように水増し領収書を書いてもらい、その差額をだましとった」等々。
 それから、次は文部省でございましょうか、「聖徒教会の牧師 浄財二億、長男の会社へ」融資、「“神”の名の下に、教会の牧師が教会員の努力で積み立てた二億円余りを、息子が社長をしている会社に不正融資していたことが明るみに出た。プロテスタント系の大教会で、有名人が数多く属している聖徒教会の吉田隆吉牧師がその人。四十六年一月から五十年十二月まで、教会員に知らせないまま経営が極端に悪いプラスチック加工会社「コイノニア」に金を注ぎ込み続けていた。」。
 それから、これは議員立法で発足した特殊法人でありますが、日本勤労者住宅協会「一億円不当支払い 用地取得トンネル会社に」とあります。
 これはほんの一例でございますけれども、公益法人に関する汚職は実に多いと思われるわけであります。
 総理府にお伺いしましょう。四十七年に公益法人監督事務連絡協議会が「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」を策定されて、これで指導をされておると思うのであります。ところが、この審査基準の中に、足らざるものが、重要なものが一つある。それは、会計について、また監査制度について、会計は「資産、会計」が出ておりますが、その監査なり監督の内部機関というものについて何らの規定がないということが、この申し合わせの最大の欠陥であり、それがこういうような事態を招いているのではないかと思うのでありますが、どうお考えになりますか。
○小野説明員 昭和五十二年の三月、公益法人監督事務連絡協議会において公益法人の会計基準の申し合わせを行って以来、関係各省庁では、所管の公益法人に対し説明会を実施するなど、鋭意その趣旨徹底を図っているところでございます。総理府といたしましては、今後とも関係各省庁と協議いたしまして、この会計基準が公益法人に理解され、実施されるよう指導する所存でございます。
 会計基準を強制的に適用するという問題につきましては……
○横山委員 まだそんなところへ質問がいっておりません。私がいま取り上げておりますのは「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」を指摘しているわけです。「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」これの最大の欠陥は、内部監査制度の項目がないではないかということを指摘しているのです。
○小野説明員 民法の規定に従いまして、第五十九条の「監事の職務」、「法人ノ財産ノ状況ヲ監査スルコト」「理事ノ業務執行ノ状況ヲ監査スルコト」「財産ノ状況又ハ業務ノ執行二付キ不整ノ廉アルコトヲ発見シタルトキハ之ヲ総会又ハ主務官庁二報告スルコト」これで処理することにしております。
○横山委員 まだあなたは問題の焦点をよく把握していらっしゃらないのですが、この公益法人監督事務連絡協議会で、どういう公益法人を設立し、設立の認可をするか、その審査基準というものがある。四十七年三月二十三日におつくりになった。これが柱になって、各省でそれぞれ適当に審査基準をおつくりになっておると思うわけであります。ところが、大黒柱のこの申し合わせの中に、欠けておるものがある。私の指摘は、少なくとも機構として監査、たとえば外部の会計監査員を委嘱をしていかなければならぬとか、監査役の任務はこういうものであるとか、その公益法人の規約ですか、寄附行為か、そういうものの中で内部の牽制制度をきちんと確立をせよということがここに書いてないのは、漏れておるのはまずいではないか、こういう指摘をしておるのです。
○小野説明員 申し合わせの「機関」というところで「公益法人の機関は、当該法人の健全、かつ、継続的な管理運営を可能とするようなものでなければならない。したがって、その機関は少くとも次の事項に適合していなければならない。」ということで規定してございます。この規定に従って指導するようにいたしております。
○横山委員 ここに「ア、イ、ウ、エ」とありますね。私の意見は「オ」として、たとえば、外部の会計監査員を委嘱して監査を受けることを必要とすると、そういう内部監査制度がここで明確に出ていない。書いてあるのは「理事、監事等の任期はあまり長期でないこと。」等が書いてあるだけではないか、たとえば私の意見のように、外部の会計監査員の監査を受けることを必要とするというようなことがここに漏れておるではないか、こういうことを指摘しているのです。いま例示いたしましたように、公益法人の問題は、ことごとくと言っていいほど財政問題、汚職問題、そういう問題がある。しかも、公益法人のことごとくと言っていいほど長たる者が独裁で、あるいは天皇制で、あるいは勝手にやったということであるから、内部の牽制制度が少しもないものが多い。法律によって設立されました特殊法人は、国鉄もあり電電公社もあり、いろいろありますね。ありますけれども、そういう法律によって設立しない、各省が民法によって設立された財団法人なりあるいは社団法人についての問題が、各省ばらばらで、ようやくいまあなた方の努力で会計基準が指導として行われておるけれども、本来設立し運営する骨格でまずい点があるのではないか、こういう指摘なんですから、ここにこう書いてあるという説明でなくして、私の意見についてどうお考えになるかを承りたいと思います。
○小野説明員 会計基準の適用に努めているほか、公認会計士の導入につきましても検討してまいる所存でございます。
○横山委員 会計基準が五十二年の三月四日にできました。そこで、あなたの方の話を聞きますと、この四月一日から各公益法人はこれに従ってやれ、というふうに書いてあります。書いてありますけれども、これは、小さいやつはしようがないよと、あるいはまた特別な事情があるやつはしようがないよ、あるいはまた、どうしてもよりがたいものについては何とか言ってこいというふうに言われておるわけでありますが、全各省が、自分のところの公益法人について果たしてどのくらいの熱意を持ってこれをやっておるか疑わしい。しかもこれは強制力がございませんから、説明会が方々で行われていることは私は承知しておりますけれども、結局は言いっぱなし、聞きっぱなしになっておるのではないか。それに対して、どうしてもこれでやれという指導力、強制力というものはあなたの方の総理府にはありはせぬ。各省にもありはせぬ。よほどお役所の力の強いところはぎゅうぎゅう言っているかもしれませんけれども、それとても強制力があるわけではない。せっかく一年有余かかってつくり上げた会計基準の実行をどういうふうに担保するおつもりですか。
○小野説明員 先生御指摘のように会計基準の実施が本年の四月からでございますので、この会計基準を目下鋭意その趣旨の徹底を図るために努力しているところでございます。したがいまして、この会計基準を強制的に適用するという問題につきましては、会計基準の実施状況、公益法人の実態といったことを見つつ関係各省庁とともに検討してまいりたいというふうに考えております。
○横山委員 法務省にお伺いしたいのですけれども、結局いまのやりとり、なかなか煮え切らないやりとりに終わっておるわけでありますが、もとはと言えば、民法上の規定が非常に抽象的でややこしいところに起因しておると私は思うのであります。私も一つの公益法人をつくったことがございます。いま記憶に定かでございませんけれども、責任者が評議員を選び、評議員が理事を選び、理事が理事長を選ぶ、鶏と卵の堂々めぐりでどこから手をつけていいかわからぬ、全くおかしなことだなということを思ったわけであります。そういう点を含めましても、今日雨後のタケノコのように続出しております四十万とも言われます公益法人が、それは地方自治体のやつもありますし、これがここまでいろいろやってまいりますと、民法の規定について検討を加える必要があると思われます。
 時間の関係上、私の意見を簡潔に申し上げますと、基本的には民法の改正、それができなければ、少なくとも公益法人の基本法なり公益法人組織法というようなものが必要な段階ではないか。それもまたどうしても間に合わなければ、この公益法人会計基準、これが本当に魂が入っていくように公益法人会計基準に関する法律とか、そういうようないろいろな角度から今日の公益人のありようについて整理をする必要があるのじゃないか、基本的な方向をはっきりさせる必要があるのじゃないか。そうしなければ、二、三列挙をいたしましたけれども、これらの公益法人における内部の財政的な諸問題というのはいつまでたっても根元を絶つわけにいかないのではないかと思うのでありますが、いかがですか。
○香川政府委員 法制審議会におきまして、約五年くらい昔になりますが、民法法人について御審議を煩わしたことがございまして、いま御指摘のような会計監査の問題ももちろん検討事項の一つとして検討されたわけでございます。遺憾ながらいろいろ問題がございまして結論を得るに至らず、その後中断しておるわけでございますが、一番の問題点は、やはり民法における公益法人について規制を強化いたしましても、御承知のとおりいわゆる人格なき社団というふうなものがたくさんあるわけでございまして、それをどうするか。その一つの考え方といたしまして、いわゆる中間法人の導入をまず検討すべきだというふうなこと。これは、御承知のとおり営利を目的とするものは会社その他の組織法があるわけでございますが、非営利、つまり公益法人が民法に来ている、公益も営利も目的としない、つまり非営利法人については設立の根拠規定がないわけでございまして、これをまず導入して人格なき社団をできるだけ吸収するという問題が一つと、そしてその上で、民法におけるいま御指摘の会計監査も含めまして規制を検討しようというふうな方向になっておるのでございますが、できるだけ速やかにこの問題を検討して何らかの結論を得たいというふうに考えております。
○横山委員 京都の知事選挙へ行って町の人たちと雑談をしたのですけれども、その中で祇園で一番飲んでいる人はお坊さんが多いという話を聞きました。京都はお寺の町でございますから、お坊さんが料理屋へ行っていかぬということはないのですけれども、とにかく祇園で一番遊ぶ人はお坊さんが多い。お坊さんの金は一体どこから出てくるんだ、それはおさい銭から寄付からいろいろあるだろうと言っておりましたが、天下一家の会を初めといたしまして、宗教法人からあらゆるこういう公益法人関係の実態等については、さまざまな角度から国会でも問題にされておるところなんであります。たまたま天下一家の会が起こると、物特なりいろいろなところで問題になるわけでありますけれども、われわれ法務の世界を担当しておる者としてこれは総合的に考えていかなければいけないと思うのでありますが、法務大臣、この締めくくりとしてあなたの御感想を伺います。
○瀬戸山国務大臣 宗教法人は宗教法人法によってやっておりますが、たとえば天下一家の会のお話も出ております。この席以外でも、国会内の他の委員会でもしばしば出ております。でありますから、先ほど来民事局長から御説明しておりますように、現行民法のいわゆる公益法人、社団なり財団なりというものに対しては、そういう名称を使用する、特別な公益法人の名称を使わせる場合でございますから、その法人でないものにそういう名称を使ってはならない、たとえば株式会社法みたいな何か規制の点が必要ではないか。それから、いま公益法人でもなければ営利法人でもないというような何とか協会とかいろいろあるわけでございますが、そういうものに対してもだんだん弊害が起こっておるということでございますから、そういうものも含めて、非常にむずかしい点があると思いますが、細かく検討すること、しかし、何らかの準則といいますか、きちっとしたものをつくる必要がある、こういう考え方で先ほど来お答えしておるようなことでございます。特に天下一家の会ではしばしば話題になるわけでございまして、こういう公益法人らしい名称を勝手に使って、あるいは人を惑わしておるというような感じがいたしますので、できるだけ早く何らかの規制、改正をしなければならぬ、かように考えておるわけであります。
○横山委員 民事局長の答弁の中でちょっと気になることがあるのですが、こういう公益法人を何かの形で規制する、いわゆる人格なき社団の問題が付随的に発生する、確かに仰せのとおりだと思います。自由民主党も日本社会党もそれから町内会も横山利秋後援会も、これすべて人格なき社団、そういう人格なき社団がこの経済社会の中、日本の社会の中でまさに公益法人の数万倍になるようなものがあることは事実であります。税法面ではこの人格なき社団についても一定の緻密な、まあ緻密と言っていいでしょう、緻密な規定がございますが、ただ税法面だけであって、これを社会的にどうとらえるかということについては検討の角度などはなかなかむずかしいように思うのです。あなたがいま何か、聞き漏らしかもしれませんが、中間的な方法とかおっしゃいましたが、どういう意味でございますか。その人格なき社団に対する何らかの方法があるとすれば、どんなことが考えられるわけですか。
○香川政府委員 先ほど申しましたいわゆる中間法人と言われておるもの、これは民法の公益法人でもない、それから営利法人でもない、つまり営利を目的としないし、公益も目的としない、かような意味で中間法人と言われておるものでございますが、人格なき社団の実態を見ますと、いろいろの理由があって、本来ならば民法上法人格が取得できるものが、それを回避しているということもございましょうけれども、多くの場合はいま申しました中間法人になるさような根拠規定がない、つまり公益か営利か、どちらかでなければならぬということになっておることから、どちらでもないいわゆる中間のものは人格なき社団として法人格が取得できない、かような実態があるわけでございます。したがって、そこにまた問題が一つあるわけでございますから、さような中間法人を民法の中に取り込んで、そうして法人格を取得する道を開くべきではないか、これが議論の柱でございます。その上で、会計監査も含めましていろいろ規制もあわせて考えることにしてはどうかという方向で検討されている、かような趣旨でございます。
○横山委員 私がこの公益法人問題を取り上げるのはこれでもう三回目でございますけれども、なかなかむずかしい問題ではあるけれども、総理府においてはいま行政指導しております会計基準に関する申し合わせ、会計基準についての行政指導が徹底されるように、また本当に徹底をするためにはやはり法律によらなければならないのではないかという点について総理府では御検討願いたいし、それから民法の改正を含めて、全般的に根っこをきちんとするという点については法務省に十分御検討をお願いしたいと思います。
 次は、昨年の国会におきまして私が数回となく取り上げました統一教会についてであります。
 最近私の手元へこういう手紙が来ております。
  私の実の妹妙味が原理運動とかかわり合いを
 持つようになったのは昭和五十年七月頃からで
 す。妹は当時愛知教育大学四年生でした。駅前
 で勧誘されてから、教会に通ううちにだんだん
 ひかれて行ったようです。しかし当時私はそれ
 が原理運動だとは、気がつきませんでした、妹
 もキリスト教としか言っていませんでした。
  翌年一月の始め頃、妹が厚木の合宿に参加し
 た時に、何か不吉な予感がして途中で呼びかえ
 して、問い正した所、原理運動に入信している
 事を認めました。原理運動といえば、新聞等
 で、問題の多い宗教と聞いていましたので、驚
 いた私は、新聞社に問い合わせて、被害者父母
 の会の山田健一さんを尋ねました。そこでこの
 宗教の恐るべき実体を知った時は、目の前が真
 暗になる思いでした。
 さっそく、その宗教は危険だからやめるように、私はじめ、家族ぐるみで必死に説得したにもかかわらず、すでに手遅れで、全然聞き入れようとせず、統一教会を非難している新聞の記事や本は、事実をまげ、ウソばかり書いていると言う始末です。そして就職(東郷高校の教師になりました)したら統一教会の教えにもつと近づくために、教会のホームに入りたいと言いましたが、家から出すことは危険だと思い、やっとの思いで説得して家にとどまらせて現在に至っております。
 この二年間のうちにも、妹はますます原理運動にのめり込んでいき、人参茶、つぼを家へ持ってくるようになりました。
 そしてこの三月十九日に、旅券を申請したのが、本人に間違いないか確認のハガキが、愛知県旅券センターから来たので、妹を問い正したところ、行き先はハワイ、目的は集団結婚式(妹がいうには、婚約式とのことです)日時は不明と言うのです。日時もわからないのに旅券を申請する者がいるでしょうか! 私が旅券センターに問い合わせたところ、行先は香港日時は五月三日、申請地は東京で、とのことです。妹はずっと東京などへは行っていないのに。集団結婚式を終えて一時帰国したとしても、またいつどんな国へ行くかはわかりません。
 海外へ行った統一教会の信者が行方不明になったり、強制送還されてくるのは、おびただしい数にのぼると聞いています。この為私は、外務省の旅券課長様に旅券を発行して頂かない様に嘆願書を被害者父母の会の山田様のお口添えを頂いて出しました。外務省の方では好意的で(他の人からの同じような訴えが多いそうです)妹を説得してみるから、外務省へ来させる様にと言って下さいました。
 しかし私は不安です。この宗教を自分の命と同じと言い切っている妹、集団結婚式のため学校を休めば、教員組合から圧力をかけられる、東郷高校に迷惑をかけたくないとの理由で、教職まで捨てた妹が、はたして諦めるでしょうか。昭和四十四年に父が死亡してから、中学、高校、大学と妹がのぞむ様に、貧しい中から骨身をけずる思いで出してやった私や、母の苦労が報いられずに、さらにもっとひどい、しかも希望のない苦しみを味わせられているのです。この恐しい宗教、統一協会のために!!
  妹の将来に希望を託して生きてきた母の落胆はひどく、あまりにあわれでなりません。どんなに話し合ってもかたく心をとざして、通い合うことのない心になってしまった妹を持った私の家庭は救いようのない暗さです。この暗さは被害者の家庭でないとわからないものでしょう。もとはといえば妹の見識の無さから、とりこになっていったとはいえ、統一協会さえなかったら、この邪教さえなかったらと憎んでも憎みきれないくやしさでいっぱいであります。妹の言いますには、教育関係者の中に大勢のこの宗教の信者がいるということです。恐ろしいことではございませんか!!原理運動のために、不幸な人、不幸な家庭はまだまだ増えていくのです。
  このような不幸な人、家庭を作らないように、また救うべく先生のお力添が頂けますよう、ひとえにひとえにお願い申し上げます!!
これは名古屋の人なんでございますけれども、こういう手紙をいただきましたので会ってみました。
 そこで、時間の関係上簡潔にお伺いをしたいのでありますが、また集団結婚という問題が発生をしてまいりました。私は昨年の七月でございましたか、参議院選挙が終わりました後で、統一教会の会長久保木修己氏と帝国ホテルで二時間ばかり会談をいたしたことがございます。そこで私は心から説得を試みました。どんなにいろいろな理論があろうとも、統一教会というもの、キリスト教というものが愛をもって国際的に活動していらっしゃるとするならば、愛の原点である家庭から告発をされるということは何としてもあなたも御反省をしていただきたいこと、そして告発の一番中心になっておるのがいわゆる集団結婚である――この手紙の御当人の妹さんも、だれと結婚するのか全然わからないと言っているのです。そこで、この集団結婚というものが余りにも日本の伝統、風習それから習慣を無視して、お父様のお言いつけだから、ある日突然ある男に、それが国際的にどんな国籍の人かわからないのですけれども、会って、それがお父様のお示しであるといって結婚するということは、何としても日本の国民感情からいっても説得力がありませんよ、だから集団結婚はおやめなさいと言いました。久保木会長はそれに対しまして、非常に社会的な問題が多いことでありますから集団結婚はしばらく中止をいたします。けれども横山先生、あなたは国際結婚を否定なさるわけではありますまいねと申しますから、私もそれは否定はいたしません、しかしそれは国籍の違う男女がお互いに理解をし、お互いに好意を持って結婚をする場合でありまして、全くわけもわからずに、お父様、文鮮明氏でありますが、お父様の御指示によって結婚するということは、これはだめです。こう言いましたら、とにかく集団結婚は一時やらないようにいたしますが、場合によっては国際結婚はあり得るかもしれませんと言うのです。
 したがって、きょうは時間の関係で簡潔にお願いやら何かをいたしたいのですが、集団結婚は今回まで六回ぐらいあったのですか、これが、この人が表へ出たことで全国的にまたこの傾向がいまあるかもしれない。でありますから、まず法務省として、統一教会を一度お呼びになりまして、この種の集団結婚、妹は婚約式と言っておるわけでありますが、再び行われるのであるかどうか、これは人権や家庭内の悲劇が再びここで爆発をする可能性があるわけでありますから、調査をしていただきたい。これが法務省へ。
 それから、この文章にもございましたように、旅券申請をしておるわけであります。旅券というものは、手続に間違いがなければ、渡航の自由というものがございますから、これは私はわかっているわけでありますが、しかし、これは恐らく表面上は観光として申請をするのであって、実際はこの兄さんが心配しておりますように結婚のため、そしてかつての例のように観光ビザで行って、またアメリカで観光ビザで期限が切れてもそこへ居座るという傾向があると思うのであります。外務省としてはこの問題について慎重な扱いをしてもらいたいと思いますが、いかがでございます。まずその二点を簡潔にお答え願いたい。
○伊藤説明員 現在坪井妙味さんから旅券の申請が出ておりまして、問題は、御承知のとおり旅券法におきましては旅券の発給を制限する事由というのはきわめて限定的に規定されておりまして、特にまた本件につきましては御本人が信教の自由を主張されまして、みずからの意思で渡航されるということを言っておられる関係もございます。したがいまして、直ちに旅券の発給拒否事由を適用して旅券の発給を制限するというふうな処置をとるということはきわめて困難な状況にございます。しかしながら、これまでもこの種のケースにつきましては、御本人の親族等からその渡航に関しまして何らかの申し出があった場合には当事者間で十分話し合いをさせる等の処置をとって、できるだけ問題が起こらないように処置してまいったわけでございまして、今後もそのような実際上の処置でできるだけ問題が起こらないように処理していきたい、かように考えております。
○横山委員 法務省は、人権擁護局長おいでになりませんが、法務大臣にお願いしておきたいのですが、いかがですか。
○瀬戸山国務大臣 私は率直に申し上げて統一教会の実態をよく知らないわけでございます。一つの宗教団体ということだそうでございます。しかし、実は私のところへも、ずっと前でございますが、いま横山さんがだれからか訴えを聞いておられるという、そういうふうな趣旨の手紙をいただいたことがあるのです。若い男女といいますか、特に女性、子供が狂信的になって、うちを出てどこかに泊まっておるといいますか、ということで非常に困っておる状況の手紙をいただいたことがあります。しかし、統一教会の実態は正直なところよくわかりませんが、そういう場合に非常に狂信的になるようなふうでございますが、これはいわゆる信教の自由の問題がありますから、それをまたとやこう言うということもそう簡単なものではない。ただ集団結婚云々でいま御指摘がありましたが、これも法務省として直接人権問題ということで統一教会の調査をするということもちょっとできないのじゃないかと思います。いずれにしても人権関係として依頼者等についてできるだけ調査をして実態をきわめてみたい、かように考えております。
○横山委員 昨年お願いいたしまして、全国の人権擁護部長会議の議題にしていただきまして、それ以来人権擁護局が私どもの要望によってこの種の問題についてかなり積極的な行動をされておることは評価いたします。それであればあるほど、あれだけ衝撃になった集団結婚が再びここで続発をするならば、なるべく未然にこの問題の円満な解決を図らなければいけないと思うわけでありますから、せっかく御調査を願いたい。
 いま大臣が、私は統一教会というものを余りよく知らないとおっしゃいましたから、少し新聞を引用いたしたいと思います。これはことしの三月の新聞でありますが、抜粋いたしますと、統一教会に関するCIAの秘密報告がございます。これによりますと、
  報告書(1)(一九六三年二月二十六日付)金鍾泌氏がKCIA部長時代に統一教会を組織し、二万七千人の会員を持つ同教会を政治的手段として利用してきた。この教会は「橄欖の木教会」の指導者である文鮮明師に率いられている。相当な資金を持っているようだ。
  報告書(2)(六四年十二月十八日付)ワシントンの組織の名前は韓国文化自由財団で、統一教会をつくるためのフロントであり、資金集めの組織である。李承晩政権時代の駐米大使梁裕燦氏が名目的指導者だが、本当のリーダーは陸軍将校朴普煕氏である。
  報告書(3)(六五年一月四日付)金鍾泌氏はこの教会を六一年以来利用している。共産主義の機構のように、非常に厳格な秘密のもとに活動している。
これがCIAの秘密報告、アメリカの議会で公表されたものであります。
 そこで、私が昨年以来、この統一教会のありようが、違法、不当、人権、数々の問題がある、そういうことで、昨年の国会ではずっとこれを追及してきたわけでありますが、幸いにも私は国会の同僚諸君の協力を得て、統一教会が少し鎮静をしてきたというふうに考えておったわけであります。最近新しい問題がないということは、久保木会長に私が忠告を試み、久保木会長も若干謙虚に話を聞いてくれたという意味で、その後新しい問題がないと思っておったところが、幾つかの問題がまた出てきておるわけであります。
 一つは、いま言いましたようにアメリカからの情報なのであります。もう一つ、三月二十三日の新聞によりますと、フレーザー委員会、米下院国際関係委員会国際機関小委員会で初めて具体的になった事実でございます。これによりますと「朴氏は、尋問の当初は、文化自由財団とKCIAのいかなる関係も否定していたが、フレーザー委員長の厳しい追及で、KCIAから現金を受け取ったこと、その金を統一協会の日本人女性会員に渡したことなどを認めた。」これにさらに、朴普煕氏のワシントン郊外の自宅へ、金相根駐米大使館参事官、これはKCIA担当の人でありますが、訪問をして「「ソウル本部から指示があり、東京で活躍している統一協会の日本人女性会員に金を渡すよう言ってきた」と語り、外交行のうで送られて来たという百ドル紙幣三十枚入り封筒を置いて帰った。朴氏は、言われるままに、帰国した際問題の日本人女性をソウルに呼び寄せ三千ドルを手渡したという。朴氏は「彼女にKCIAの金を手渡したのは、あとにも先にも、この一回だけだった」」こういうふうに言っています。また「さらに、米議会筋によると、統一協会日本支部の会員になっている自民党国会議員が「最低数人」はいるという。このため、KCIAが統一協会組織を通じ、日本政界に金を流していた公算も大きい。」これがごく最近の情報なのであります。私はここで政界の問題を特に取り上げる時間もございませんけれども、たとえばこれだけは言っておかなければならぬと思うのであります。
 この前の、昨年の質問のときにもはっきりしないままに終わっておるわけですが、ここに「成約の鐘」という本がございます。これは文鮮明氏が一九七四年、昭和四十九年五月七日午後六時半から帝国ホテル孔雀の間で、各界の名士千六百名を集めて「希望の日」晩さん会を行っています。
 ちょっとお伺いをしておかなければならぬのですが、法務大臣は、統一教会、勝共連合その他、一切御関係ございませんでしょうね。
○瀬戸山国務大臣 統一教会は私は全然よくわからないのですが、勝共連合、これは各県に何か支部みたいなものがある、その若い人たちが来たことがあります。私は、共産主義は率直に言ってわが国では適当でないという反対の立場ですから、何か説明によると反共だけではいけないのだ、共産主義に勝つ思想といいますか、そういうことを確立しなければならぬ、こういう運動のようでありますが、結構だと言ったことがございます。
○横山委員 私のお伺いしているのは、あなたは顧問になっていらっしゃるとか、その会合へお出かけになったことがあるかどうかを聞いているのです。
○瀬戸山国務大臣 会合など行ったことはありませんが、宮崎県の顧問になってくれと言うから、結構だと言ったことはあります。(横山委員「勝共連合の」と呼ぶ)ええ。
○横山委員 「希望の日」晩さん会で文鮮明氏がメッセージを読んでいます。そのメッセージのすぐそばに写真が載っておりますけれども、当時の福田大蔵大臣がごあいさつをしています。そしてごあいさつが終わった後、文鮮明氏と、これ見えますか、ごらんのようにかたく抱き合っておる、抱擁しておるのであります。当時の大蔵大臣、現在の内閣総理大臣福田赳夫さんが文鮮明氏と、これ以上は抱き合えないくらいに男と男が抱き合った。
 抱き合った前の文鮮明氏の演説は長時間の演説でありますけれども、それを少し読み上げますと、「それで日本の若き者は今アメリカに行って今活動しておるんであります。日本の地も今忙しいんであるにもかかわらず、共産党と対決してゆく日本の運命を、新しい方向にこれは転回させ、まとめて行かなければならないの今日、現実におきまして、日本を後にして、なぜ世界の途上にアメリカのなぜそれをのり越えてアメリカで活動するや、日本に帰ってから、活動すればよい。そうではありません。アメリカは今名実共に、その民主主義を指導する。指導国家である。この国が滅びたとするならば、これは世界が問題になるんであります。」中略「彼等の胸には、そのアメリカカ、世界を救うという想いをもつものは一回も見つかりませんでした。」アメリカへ行って自分がやってみたところですね。ウォーターゲート事件の終末の前でありますが、「このウォーターゲートの事件におきましてもこのアメリカ、もしもすべりこんだ場合には、とんでもないどん底に落してしまう。数多くの宗教の指導者、或いは世界で有名なビリーグラハム、そういう人達が国の先頭に立って国民運動をなして、これを防備する立場に立つに違いないというのにもかかわらず、夢にも思わない。だから、東洋の一角のここに立っている文という男が責任持つ。(拍手)それには、そりゃいいかげんにはできません。命がけで神と談判して神の願う所はどこか求めた。ここに立つ私は政治家じゃありません。しかし、神の声に従って、国を守り、世界を守る方向を誰かがこれを方向を打ち立てる者がなければならない。知ったんだから、冒険を覚悟して、統一教会の運命は全世界の今まで血を流し、汗しながら正した全てのその時代をみんなたてて、最後の決断を下したのであります。」そこで、「こういうふうに、アメリカの一番むずかしい所を我々が責任もつ。これのためには人がいない。人数がいない。人数がない。アメリカはもう統一教会のメンバーがもう何千人もいない。そのメンバーでこれはもうアメリカを動かすことができない。それで各国から十一カ国から若い青年達を千名近く緊急それで動員したんであります。それが今になって非常に問題になってきておる。これはもう今から宣伝になってイミグレーションで問題になってきておる。統一教会にやっているのはすばらしい。その青年は日本ばかりでなくアメリカで頼しい。しかし、法的な目から見た場合には、これは旅行ビザでも違うビザをもって来てそれは献金活動とか商売とかそれはできないようになっておる。しかし、これは法的にひっかかっても、アメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法にはひっかからない。」そういうくだりがあるわけです。
 そしてそれに対して、いまの内閣総理大臣でありますが「お父さまの講演後、あいさつに立った福田赳夫大蔵大臣は「文先生はアジアの偉大な指導者である。先生のお話をうかがって私の政治原理が整理されました。感謝します。」と述べられた。大臣のあいさつが終るとお父さまは立上り感謝の意をこめて、大臣を抱きしめた。会場は感動の拍手がわきあがった。」これはお粗末ですね。これはお粗末だと思いませんか。しかも法務大臣、特にここで私が読み上げましたのは「旅行ビザでも違うビザをもって来てそれは献金活動とか商売とかそれはできないようになっておる。しかし、これは法的にひっかかっても、アメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、神の法にはひっかからない。」旅券法違反をやってもこれは神様がお許しになると言って演説をしたその後で、福田赳夫さんがこの演説の文鮮明と、私の政治原理があらわれたと言って抱き合ってキスをしておるわけであります。どうお考えになりますか。
○瀬戸山国務大臣 文鮮明という人がどういう人か私は存じませんが、やはり一つの信ずる思想によって彼は彼なりに人類を救おうというのでしょうか、とにかく共産主義の浸透によって社会が混乱しないようにしようという努力をしておるのではないかと思います。その言葉、いま読み上げられたことがいいとか悪いとかいう意味じゃありませんけれども。
 この問いつでしたか、予算委員会か何かであったと思いますが、福田総理大臣に対して勝共連合に賛成かと、賛成でありますという答弁をしておりましたから、共産主義に反対するという立場で言っておるのじゃないか、私はさように考えております。
○横山委員 私が聞きましたのは二つの意味があるわけです。一つは、旅券法違反をやってもいいんだよというところに当時の大蔵大臣を初め政治家がみんな入っておって、万雷の拍手を送ってそして抱き合うというあなたの出入国関係、そういうことについてまずどう思うかということが一つ。それから、あなたが共産主義に賛成であるか否かは、いまとやこう言いません。というのは、あなたは法務大臣ですから、憲法の擁護者ですから、憲法に共産主義がいかぬと書いてないのですから、思想の自由というものがあるのですから、それを特に力説されても何にもなりませんよ、それをいま私が聞いているのです。
○瀬戸山国務大臣 わが国の憲法は思想の自由でございますけれども、憲法自体は共産主義をねらっておらないということは明白だと私は思います。でありますから、私はそういう立場で法務行政をやっておる、こういうことでございます。信教あるいはいかなる思想を持つかは自由でありますけれども、日本の憲法は共産主義を目的としておらない、これは明らかであると思います。
 旅券法違反云々ということは、日本の旅券法に違反してやるということではないと思います。旅券の目的と違ったことをアメリカでやっておるのかどうか知りませんが、神の使命というのはそれはその人の独断の考え方であろうと思います。
○横山委員 少し言葉を逃げなさるけれども、旅券法違反、出入国違反をやってもいいんだ、神様がお許しになる、しかもその理由は「アメリカの為に、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば、」神様がお許しになるという文句ですよ。そういう思想がおかしいとあなた思いませんかね。そういうことを言われて万雷の拍手を送って抱擁するという心理が私にはわからない、こう言っているのですよ。その点どうなんですか。
○瀬戸山国務大臣 私にそれを言われても、私はそういう現場を見たことも何にもないのですから、それは福田総理大臣に後で聞いていただきたいと思います。
○横山委員 福田総理大臣に聞くまでもありませんよ。旅券法違反や出入国違反をしてもいいと、ここで本に、速記録で、向こうの印刷物でありますから出しているものを、あなたが、それはわしゃ知らぬことだと言えない立場ですよ、あなたは法務大臣ですから。そういうことはいけませんと明白に言わなければいかぬじゃないですか。しかも、アメリカのためにやるならば神様がお許しになると言う。言語道断じゃありませんか。
○瀬戸山国務大臣 旅券法違反は厳に取り締まるわけでございます。しかし、その人の考え方…(横山委員「しかしもくそもないですよ。何がしかしですか」と呼ぶ)いや、文鮮明氏の言葉を引用して言われると、私はその人の考えや、どういうことをしておるか全然知らないわけでございますから、私がここで批判する立場にありません。旅券法あるいはその他の法律に違反するということはいかなる思想でも許さない、こういうことでございます。
○横山委員 私がこれを毎次指摘をしておりますのは、文鮮明、それからアメリカの議会で摘発されております米韓癒着、これらがすべて一定の目的を持ってなされたわけですね、新聞で明らかなように。つまり、アメリカの政策を変えるために、文鮮明がここで演説しているように、日本の数百とない青年を街頭から統一教会に入信さして、そしてさっきの手紙のように、幾百とない子供が、青年が、家を飛び出してアメリカへ観光ビザで行って、そして期限が切れてもそこで居座ってアメリカで募金活動をやる、あるいは政治活動をやる、そういうことになってきておるわけですね。この手紙でも、この人もそうですけれども、いままででもそうですか、つぼ売りやニンジン茶売りをやったその金が全部吸い上げられていく。集団結婚のときに少なくとも数十万の金を持って韓国へ渡って、一千組でありますから、為替管理法違反が合法的に行われた。合法と言えるかどうかわかりませんが、そういうことは顕著なる問題である。そしてアメリカの政策を変えるために、アメリカのニクソンの政策を守らせるために、あらゆる合法、非合法のことが行われたということは、いまや明白な世界の周知の事実なんであります。それは決してアメリカ議会の問題ではなくて、その拠点、根拠地となっておるのが統一教会ではないか。そしてまたそれはこの青年たちではないか。その青年たちの活動に対して、当時の福田大蔵大臣を初め、ここに政治家の名前が全部列挙されておるわけでありますが、出席をした政治家は自由民主党、たくさんの人が行っておる。
 あなたは、統一教会は知らぬけれども勝共連合は知っておると言いました。宮崎で顧問になっておるかもしれないと言いました。統一教会と勝共連合とはどう違うか。会長は両方とも久保木修己氏であります。同じなんです。役員もまたラップしておる場合が非常に多いのであります。ですから、おれは勝共連合の方だから統一教会は知らないと言ったって、ヤマタノオロチでもないけれども、久保木会長は一つで両方兼務しておる。政治資金の流れを見ましても、統一教会の方から勝共連合の方へ流れておるのですよ。そういう中で、しかもいま問題になっておりますのが、KCIAとの関係やいかにということになってきた。先ほど読み上げました、まだつい最近の米国議会の審議の模様の中から、KCIAから統一教会を通じて日本へお金が流れておるということなんであります。
 法務大臣にお伺いいたしますが、KCIAと日本の検察、警察、公安調査庁、一切接触はありませんか。
○瀬戸山国務大臣 そのことは私はよく存じておりません。
 それから、統一教会というのと勝共連合は一緒だ、そういうことも私知りませんが、私がさっき申し上げたように、勝共連合の運動にそれはいいじゃないかという賛成の意を表しておるのは、共産主義運動といいますか、共産主義に対しては反対をしておる、反共というよりもむしろ、さっき申し上げましたように、共産主義思想に勝つ思想を持たなければだめだ、こういう運動をしておるということでありますから、その点に賛成しておるだけであって、その統一協会云々ということは全然存じません。
 それから、日本から観光ビザで行ってアメリカでいろいろ活動をしておる。それは、もしアメリカの法令に触れるものであれば、アメリカで適切な処置をとるべきである。わが国でも同じでございます。
○横山委員 何か聞いておりますと、どうも歯切れが悪い気がするのです。あなたが勝共連合の宮崎の顧問をしていらっしゃるせいかどうかわかりませんけれども、何か私の意見に同調しながらアリバイを残すということが、邪推かもしれませんけれども、思われてならないのであります。つまり、あなたが政治家として、思想的に共産主義は私は反対だとおっしゃることについて私はとやかく言いません。言いませんが、勝共連合というものの実態は統一教会と表裏一体であること、会長は同じ人物であること、役員もラップしていることが多いこと、政治資金も流れておること等をあなたがもし知らなかったとするならば、認識を新たにしてもらわなければいけません。
 それから、勝共連合や統一教会の顧問をやっておるけれども、私はその中身の実態を知らないから責任がないという言い方は、私は政治家として大変無責任だと思うのであります。お互いに政治家ですから、顧問をやる場合が非常に多い。多いけれども、その顧問である以上は、その実態というものを承知の上で顧問を引き受けなければ、やっていることについておれは知らぬ、おれは顧問を言われたからやっているだけだということでは、無責任きわまる話だと私は思います。あなたが顧問をやっているからこそ、世間は勝共連合を信用するのですよ。大蔵大臣福田赳夫がこういうところへ出て文鮮明と抱擁するからこそ、千六百名のお客様は、公認の文鮮明、自由民主党の領袖が出席して抱擁するほど自由民主党と密接な関係があると理解する。また、そこへ出ておった千六百名の中には、数十名の教師がおる。教師が出ておるからこそ、学校の生徒は、先生が出ておるから統一教会に入るのも安心感を持って入るわけです。これすべてそういうことなので、お互いに出席をすること、顧問になることについて、いまさらに始まったことじゃありませんけれども、おれは招かれたから行っただけだとか、おれは言われたから顧問になっただけだ、そのことについて責任を持たぬということはひきょうではありませんか。どう思いますか。
○瀬戸山国務大臣 横山さんがいろいろお考えくださることはこれは御自由でございますけれども、私はしばしば申し上げておりますように、宮崎県内の若い連中の中で、勝共連合の支部とかなんとかあるのでしょう。いわゆる共産主義に対する反対の立場で運動をしておる、それの顧問をしておるのであって、別に責任を逃れようとかなんとかしておりません。それで悪いことをすれば改めることでございます。別に宮崎県で勝共連合の若い連中が悪いことをしているとは私まだ認識しておりませんから……。
○横山委員 もう時間が余りありませんから、また機会を選びまして、統一教会並びに勝共連合及びその政界に関する諸問題について質問をいたしたいと思うわけであります。きょうは文部省に来ていただいておりませんので、宗教法人法の問題について問いただしたかったわけでありますが、これは次回に回したいと思います。
 最後に法務大臣、これからの法務委員会の運営についてお伺いをいたしたいと思います。
 冒頭に、そういう挑発的な態度ではこれからの法務委員会の審議に差し支えますよという苦言を呈したわけでありますが、私ども、法案の提出はこれからどういうことになるのか、今国会中に当委員会に提出される法案のことについてきのう官房長から聞きましたが、なかなか要領を得ないのです。この国会中に提案される法案は何と何でありますか。
○瀬戸山国務大臣 民事執行法の改正案というのですか、これを準備しておりますが、もう間もなくといいますか、二十一日ごろには提案ができるだろうということの準備をいたしております。それから司法書士法の改正、これも準備しておりますが、もう少し調整するところがあるということで、これはやや時間がかかりますけれども、今国会中にはできるだけ早く提出をしたい、こういう準備を進めております。
○横山委員 大臣伺いますが、たなざらしになっておりまして、少しも通してくれと政府も言わない、与党も言わないのですが、ロッキード汚職に関する刑法の一部改正、あれは通してほしいのでありますか、たなざらしにしておけという意味でありますか。
○瀬戸山国務大臣 これは贈収賄の刑の引き上げという法案をずっと前からお願いしておるわけでございます。挑戦的と言われますけれども、私はそういう気持ちは全然ないのです。ずっと前から上げてもらいたいということでお願いしてあるので、委員会でたなざらしにしていらっしゃるんじゃないかと私は思っております。
○横山委員 それにしてはここに自民党の人、にやにや笑っていらっしゃるのでありますが、一回も理事として、通してくれ、審議を早くやってもらいたいということを言わないのですが、大臣の熱心な御意見でございますから、それじゃ審議をさしていただくことにいたしましょう。ちょっと聞いておってくださいよ。
    〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
○鴨田委員 議事進行について横山君から発言がありました。私、委員長に就任いたしましてから、議事は真剣にやっておるつもりであります。ただいま順序について発言がありましたが、これはひとつ運営で理事会に任してもらいたい。ここで大臣に、執行機関に申し上げるということは、ちょっと筋が違うのじゃないかということだけ発言しまして、私の発言を終わります。
    〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕
○瀬戸山国務大臣 刑法の一部改正、先ほど申し上げましたように前から提案しておるわけでございますから、国会では当然に審議をお願いしたい。しかし、委員会でどういう運営をされるかということはこちらがとやかく言うべきものじゃありませんから、出した法案を全部ひとつ速やかに審議をして、必要であるという考え方から出しておるわけでございますから、御審議をしていただいて、そしていろいろ御意見がありますので、賛成、反対の気持ちはあると思いますが、それをできるだけ速やかに明らかにしていただきたい、これがわれわれのお願いでございます。
○横山委員 委員長から先ほど御発言がありましたが、私の質問の趣旨は、政府が法案を提出した熱意を質問をしておるわけでありますから、そのようにひとつお受け取りを願いたいと思います。
○鴨田委員長 ただ、あちらを向いて申しましたので、筋が違うので、こっちを向いてやればいいわけなんで……。
○横山委員 首が自由自在に回りますものですから、ちょっとこっちを向いたわけであります。
 次に、同じ刑法改正案で私どもが提案しておりますいわゆる尊属殺の問題についてでありますが、これも運営とおっしゃるかもしれませんが、これにはひとつお答えを願わなければなりません。
 尊属殺を私どもが提案を野党共同でいたしておりますゆえんのものは、緊急性があると信じておるからであります。しかもそれは、法務省は当初私どもと全く同意見であって、それが自由民主党内部で問題があったからといって、それから冷却的な雰囲気になってしまっている。ところが一方、四十八年四月四日付で次長検事から検事長及び地検検事正に「尊属殺人等被告事件の公判遂行等について」という通達が出ておるし、四十九年三月三十日には、法務省刑事局長安原美穂名義で、検事総長、検事長、検事正に通達が出ておるわけであります。これはまだ生きておるでしょうね。生きておるとすれば、ここにも明白なように、「最高裁大法廷において、尊属殺人罪を定めた刑法二〇〇条は法の下の平等を保障する憲法一四条一項に違反して無効である旨の判決があった」から、その罪名及び罰条の変更手続をとれ、「求刑に当っても、必要に応じ、十分配慮を加えられたい」こういう通達が出ておるままになっておると私は理解しておる。そうでしょう。そういうみすみすいま憲法十四条一項に違反して刑法二百条は無効であるということがそのままに明文上は生きておることについて、緊急性があるからわれわれは提案しておる。このことについて法務省、法務大臣は口を緘してそれから何も言わないのは、いささか不当ではないかとすら私は思うのであります。この点についてどうお考えになりますか。
○瀬戸山国務大臣 刑法二百条の尊属殺規定について年月日は忘れましたが、最高裁の判決がありました。その当該の事案については、この刑法二百条の規定だけでは、率直に申し上げて刑の量刑の範囲が適当でない、こういう趣旨の判決があって、いまおっしゃったように二百条は憲法上適当でない、こういう判決がありました。そこで法務省としては、これは最高裁の判決でありますから、その判決に従ってこの点の改正をしなければならない、そういうことで検討いたしまして、改正案を一応検討して準備いたしましたが、この点については二百条、二百一条、二条、三条ですか、尊属殺以外の規定との兼ね合いでなかなか意見がありまして最終的にまとまっておらない、こういうことで実は今日に至っておる、かような実情でございます。
○横山委員 そんなことはわかっているんですよ。そんな経過を聞くつもりはありません。それにしても余りにも時間がたっているではないか。法務省としてこの問題の処理をいつまでもじんぜん日をむなしゅうしておるのは怠慢ではないか、私はそう言っているのです。そのことについてこれからどうするのですか、これからの決意のほどをひとつ示してもらいたい。
○瀬戸山国務大臣 怠慢とおっしゃれば、時日が大分たっていますから怠慢ということになるでしょう。そこで二百条については、実際はいま通達のお話もありましたが、各裁判所、下級裁判所は最高裁の判例に従って裁判を進めているようでございます。その他の規定については、現在、現行法に従ってやっておる。問題は、尊属という観念といいますか、考え方といいますか、それについてどう処置をするかということに非常に困難がありますので、検討を進めておりますが、できるだけ早く意見を調整して出したいと思っております。
○横山委員 この国会に間に合わしていただけますか。私はもう決断の問題だと思っているのですよ。あなたがやる気があるかないかという問題だと思います。
○瀬戸山国務大臣 率直に言って、今国会中というわけにはなかなかいきません。
○横山委員 いま検討中の問題として監獄法、少年法等の問題がございますが、いま法務省で、これらに関して検討中の問題はどんな問題がございますか。
○瀬戸山国務大臣 検討中の問題は、刑法の全面改正の問題、これは重大問題でありますから、いま各方面の意見を聞いて作業中でございますが、まだまだ今国会に提案するという段階ではございません。監獄法、少年法についても、御承知のとおり現在検討し、少年法については、中間答申に基づいていま作業を進めておる、こういうことでございます。
○横山委員 もうこれ最後でございますが、刑法改正については、前法務大臣が、与野党のコンセンサスがあればそれに依拠してもよろしいということがございました。私どもとしては、そういうことは実際問題として、アメリカではそういう例があるけれども、日本ではそれを満たすためには容易ならざることが多い、それは一つには、そういう整合性のある長期的な刑法をわれわれが与野党で話し合うには、それだけの時間的余裕、スタッフ、それから予算等々において余りにも実現が困難である、こういうことを言うておるわけでありますが、瀬戸山法務大臣としては、前法務大臣が上げられたアドバルーンを、いまもそうお考えでございますか、それとも一応あれは白紙になったというふうにお考えでございますか。
○瀬戸山国務大臣 刑法にかかわらず、あらゆる法律といいますか、これはできるだけ与野党のコンセンサスを得るのがあたりまえであると私は思います。
 しかし、率直に申し上げて、刑法という大法典は、国民生活の基本的な条件を決める法典でありますから、これは各方面の意見を聞いて成案を得たい。しかも、法制審議会でそれこそ長年月をかけて、専門家等が周到な検討をされて答申をされておりますから、それを基本にして、国民の意見を聞いて、さらに調整すべきところを調整して成案を得たい、こういう考え方でございまして、この刑法改正案についても、それは与野党のコンセンサスが得られれば結構でありますが、国会の委員会で、こう言っては失礼でありますけれども、これを全部整理して案をまとめるということはきわめて困難だろうと思います。でありますから、私が先ほどから申し上げているように、鋭意いま成案の作業をいたしておる。
 ただ、前福田法務大臣が当委員会に御相談されたということは承知いたしておりますが、それはいかがでしょうか、全法案をこの委員会なりあるいは設けられた小委員会で成案を得てくれということではないのじゃないか。私は想像にわたりますけれども、問題点をいろいろ意見をディスカッションしてもらって、どう意見の調整をしたらいいかということの資料にしたいという意味でああいうことを進められたのじゃないかと私は思っておるのですが、いかがでしょうか。
○横山委員 いかがでしょうかと私に聞いてはいかぬ。
 終わります。
○鴨田委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 法務大臣に、通告してないのですけれども、常識的なことですからお聞きをしたいのですが、むしろ国務大臣としてお聞きをすることになるかと思うのですが、いま尖閣列島に中国の漁船がずっと来ておる、こういうふうなことが話題になっているわけです。それに対して国務大臣としての瀬戸山さんは、どういうふうにお考えになって、どういうふうにしたらいいとお考えなんでしょうか。これは通告してないのですけれども、ちょっと常識的なことですからお尋ねします。
○瀬戸山国務大臣 いわゆる尖閣列島の問題、日中平和友好条約がだんだん意見の調整を図って、できるだけ速やかに条約の成立を図りたいという念願を持って、政府はいま努力を進めつつあったわけでございます。その、私から言いますと非常に微妙な段階に、日本国領土の尖閣列島の領海に侵入をした、率直に言って非常に遺憾なことです。どういう意味かわかりませんが、非常に遺憾なことであると思っております。これを中心にして、御承知のとおり国内で、政党ばかりでなくて国民の間に非常な議論が沸騰するようになった。そういう意味で、せっかく日中条約のとびらを開こうという段階のところでございますから、私のみならず、政府としては非常に残念に思っております。しかし、事は重要でありますので、事態の真相がわからない場合にとかくの行動をしたりあるいは発言をすべき段階ではない。そういう意味で国内、国内といいますと中国の駐日大使館、また日本の中国における大使館、いわゆる外交ルートを通じて、中国政府の真意を尋ねておるといいますか、考え方を聞いておる。そこで、領海に侵入する、侵犯するというようなことは速やかに排除してもらいたいということを現在話し合っておるところでございます。いろいろ伝えられておりますけれども、一遍退去してまた入ってきたというような事態がありますから、向こうさまの実態をはかりかねておる、真相をはかりかねておる。速やかにあの状況の解消をしてもらいたい、そうしないと、率直に言って日中条約の進め方に支障を来すおそれがある、こういうふうに考えて、いま鋭意申し上げたように外交的な努力をしておるという状況でございます。
○稲葉(誠)委員 質問に入ります。
 最高裁判所の第一法廷で、昭和五十三年三月三十日に、上告人が福岡県知事で、被上告人が孫振斗という人、この事件で、これは国が上告をしておったのですね。被爆者健康手帳交付申請却下処分取消請求事件、上告が棄却になったわけです。この判決を恐らく大臣もお知りでしょうし、これはお読みになられましたか。
○瀬戸山国務大臣 判決があった情報は聞いておりますけれども、判決文は見ておりません。
○稲葉(誠)委員 この判決の内容は、孫振斗という人が前に不法入国して日本にいたとき原爆に遭ったので、原爆手帳を交付してくれということに対して、県が却下した、これの取り消しを求めておるわけですが、法務省に聞く前にまず厚生省に聞きます。これは最高裁の判決ですから確定したわけですが、どういうふうな処分をとられたわけですか。
○舘山説明員 最高裁の判決に従いまして従来の行政のやり方を変えるということで、四月三日に孫振斗氏に対しまして福岡県知事が原爆手帳を交付するとともに、厚生省からは、各都道府県知事に対しましてその旨の指導をいたしました。
○稲葉(誠)委員 そうすると、この判決は、国内で原爆を受けた被爆者である孫振斗氏を治療させるということが当然目的となっておるものと考えられるわけですが、これに対して法務省としてはその点をどういうふうに尊重をしていくつもりですか。
○吉田政府委員 原爆被爆者については国籍のいかんを問わず満腔の同情をするものでございますが、先生のただいまおっしゃいました最高裁の判決でも明確に示されておりますとおり、原爆医療法の適用を受けるということと出入国管理令に基づく退去強制手続とは別個のものであるということがこの判決に明確に判示されております。一方、不法入国の問題につきましては、ただいま福岡高等裁判所において退去強制処分の無効確認訴訟が係属中でございます。したがいまして法務省といたしましては、一応この判決の結果を待つということでございます。
 ただ付言いたしますと、もちろんここにおられる間、原爆手帳に基づいて治療を受けられるということは申すまでもございません。
○稲葉(誠)委員 もちろんこの判決理由の中に、入管との関係で、
    〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
「入国管理法令に基づく退去強制手続をとることはなんら妨げられるものではない」云々というところがあります。それは確かにそのとおりですが、この全体の判決の中に流れておるものは、特にここにもありまするように「被上告人が被爆当時は日本国籍を有し、戦後平和条約の発効によって自己の意思にかかわりなく日本国籍を喪失したものであるという事情をも勘案すれば、国家的道義のうえからも首肯されるところである。」こういうふうな文言が判決の中にあるわけです。だから、平和条約のときに本人の意思を問わず国籍が喪失したという基本的な問題は、確かにこれはむずかしい議論があるところですが、いずれにいたしましても、ここにはっきり書いてあるように、との事情をも考慮していかなければならないし、原爆医療法の趣旨からもこれは「同法を外国人被爆者に適用するにあたり、不法入国者を特に除外しなければならないとする特段の実質的・合理的理由はなく、その適用を認めることがよりよく同法の趣旨・目的にそうものであることは前述のとおりであるから、同法は不法入国した被爆者についても適用されるものであると解するのが相当である。」という最高裁の判決なわけですね。それは不法入国した被爆者についても適用されるというこの判決、しかもこういう特殊な事情をも勘案しなければならない、国家的道義の上からも考えなければならないというのに、これを、いきなりという形はないでしょうけれども、治療が終わらない段階で、入管令に基づいて強制退去させるということでは、この最高裁の裁判の精神と反することに事実上なるのではないか、こういうことが考えられるわけです。だから、その点について当然最高裁の判決を尊重して、十分な配慮を孫振斗氏に対してなすべきである、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
○吉田政府委員 最高裁の判決は、この孫振斗さんに原爆手帳を交付して原爆の治療を受けさしてあげなさいということでございまして、この孫振斗さんが日本にいる限りその治療を受けることについて、入管当局としても何ら反対をしているわけではございません。ただ、いまさっき申しましたように、だからといいまして、それじゃ原爆治療を受ける目的ならばいかなる不法入国で入ってきてもいいのか、こういう問題になりますと、これはまた別問題でございます。なるほど、入国されたら原爆手帳を交付して治療をお受けになることは日本政府としては異議がない。ただし、やはり入ってくるときは正式に入国手続をとって入ってきていただきたい、まあこれは将来のわが政府の態度でございます。
 しからばこの孫振斗さんはどうなるかということでございますが、これはまだ、いまさっき申しました福岡高等裁判所における不法入国事案が目下係属中でございますので、この段階でどうするこうするというのは時期尚早だと思われますけれども、ちょっと申し上げますと、高等裁判所がどういう判決を下すかによりますけれども、その判決の結果を今度は他方最高裁の判決と合わせまして、いかなる行政的な手続をとるのが最もいいかということはその段階で検討することとしたい。しかし、現在申し上げられますことは、それを考える場、その検討の段階で、最高裁でこのような判決があったということが非常なウエートを占めてくるということでございます。
○稲葉(誠)委員 お話はわかりました。中に秘めているといいますか、その話もわかりました。ただ、いまあなたは、今後原爆治療の目的で不法入国してくる人のことをまで限定されたのですけれども、ぼくはそんなことは聞いてないのですが、先回りして答えられたわけです。
 そこで、いろんな問題があると思うのですけれども、大臣、この判決をよく読んで下さい。そんなに長い判決じゃないのですよ。そこでいま言ったように「被爆当時は日本国籍を有し、戦後平和条約の発効によって自己の意思にかかわりなく日本国籍を喪失したものであるという事情をも勘案すれば、国家的道義のうえからも首肯される」そういう現に日本に入ってきている者は、不法入国であってもそれに対して国家の責任というものがあるという意味にとれるわけなんですね。これは今後不法に起きてくることを聞いているのじゃないのですよ。どうも話がそっちへ行ってしまうものですから。早過ぎるのですね、話が。
 現在、日本において原爆の被害に遭った人であって、そして平和条約の当時、自己の意思によらず国籍を喪失したという人は、一体どのくらいいるのですか。これは厚生省ですか、調査はどうなっているのですか。当然この判決に基づいて調査をしなければならぬことになりますね。これはどうなるのですか。
○舘山説明員 数については現在つまびらかにいたしておりません。と申しますのは、私どもは、現に日本国に居住している被爆者につきましては、国籍が日本にあるか否かを問わず適用しておりまして、全く差別していないからでございます。
○稲葉(誠)委員 いや、それならこういう判決というのが起きて、国が不服申し立てしてくる理由がないのじゃないですか。これは法務省の訟務局長が上告もしたりしているのですよ。このときは貞家君だった、いまは違うけれども。ちょっとあなたの答弁では話がはっきりしないな。
○舘山説明員 私が申し上げましたのは、日本国内に適法に居住している方々につきましては、国籍のいかんを問わず適用しているということでございます。
○稲葉(誠)委員 いや、それはあたりまえの話なんです。こういう判決が出たのだから、不法に在留している人であったとしても、これはあたりまえの話だ。原爆手帳を交付して、原爆の治療を受けさせなければならない、これもあたりまえの話。その数がどのくらいかということは、これはちょっとつかめないかもしれませんね。
○吉田政府委員 先生のいまお尋ねの問題でございますけれども、私の方ではまだそういう申し立ては一件も受けておりません。
○稲葉(誠)委員 そこで、これは大臣にお尋ねをしたいのですが、食事の時間もあるようですけれども、ちょっとあれしていただきたいのは、大村収容所と横浜の収容所と二つありますね。大村は韓国人関係、それから横浜は主としてそうでない人たちの関係ですね。ここでこの前もいろんな質問がありましたが、非常に長くここに収容されている人があるのですね。たとえば大村収容所にいる人で二十九歳の金有植、これは私どもの調査では収容期間二年三カ月。昭和五十一年の三月十八日に大村に収容されたというふうに私どもでは調査しているわけですが、この前の話では何か二年を超える者については、整理するという言葉は悪いけれども仮放免をするとかという形で、この前二人か三人、質問があったときに、あわてて出しましたよね。あわててと言うと悪いかもわからないけれども、とにかくあわてたことは間違いない。国会で質問があったら、ぱあっと出したんだ。こういうふうに二年三カ月入っている人もいるわけですね。この人が一番長いかな。それから一年以上入っている人もずいぶんいますね、ずいぶんと言うとあれだけれども。
 まず、一年以上入っている人が大村なり横浜に一体何人ぐらいいますか。
○吉田政府委員 お答えいたします。
 大村収容所にいま総数で百二十名入っておりますが、一年以上は二十二名でございます。横浜収容所には現在総数で四十四名入っておりますが、一年以上は二十三名でございます。
○稲葉(誠)委員 どうしてこんなに長く入っているのですか。
○吉田政府委員 収容所というものの使命でございますが、収容というものはいかなる場合に行うかということは、一年前に、法務委員会で正森先生とか横山先生でしたか御質問があってお答えしたわけでございますが、二つ目的がございまして、一つは、韓国等に送還する場合に船待ち的要素があるということでございます。送還船が出るまでの間置いておく。そのときに全部乗れたらいいわけでございますが、向こうの政府がまだ待ってくれと言ったりいろいろなことがあって、送還船の出るときに積み残しと申しますか、そういう人が出てくる。それからもう一つは、行政訴訟で、裁判所の方から送還部分の執行停止がかかることがございます。その場合は、送還部分の執行停止でございますから送還できないので、一応とどまっていただくということがございます。
 しからば、なぜ入れておくかということになりますと、要するに強制退去を受けたということは日本国への在留を認めないということでございまして、在留を認めないということは、やはり日本の社会から隔離されることでございます。要するに日本国に在留する外国人は、日本は在留資格制度をとっておりますので、留学生なら留学生という資格、商用なら商用という資格、観光なら観光という何らかの資格で在留をしておるわけでございますが、退去強制を受けました人たちは、この資格がないわけでございます。したがいまして、こういう人をまた社会に出しますと、資格がないゆえに、かえって何でもできるという一つの矛盾が起きてくるわけで、不法入国者の方が正規在留者より有利な扱いを受ける結果になるわけでございます。そういう点もございます。そして、やはり隔離せざるを得ない。それからまた、長くそういう状態で社会におりますと、その後結婚をしたり事業をしたり、いろいろ根が生えてくる。日本政府としては、退去強制令書を出して、いずれ国外に去っていただきたいと言っている人が、かえって結婚したり事業したりする結果になる。これはやはり矛盾した結果が出てくる、こういう意味におきまして隔離するわけでございます。
 それで、先生さきに申されました、何か前に質問があって、そのときにあわてて二、三人出したじゃないかというお話でございましたが、実は質問があったから出したのではございませんで、その前から大体方針を決めまして、非常に長きにわたっている方々は、人道的に考えて、余りにも長期に収容しておくというのもやはり考えものじゃないかという方針で、昨年以来現在まですでに二十二名仮放免の特典を得ておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 それはあわてて出したかどうかは別として、たまたま時期が一致をしたことは一致したのですね、それ以上聞かないけれども。
 そこで、いま言う金有植という人は十六歳のとき、十六歳のときというと昭和四十年、日本にいる父の姉、おばを頼って不法入国してきて、昭和四十九年十一月二十日に東京入管に自首をしたのですね。自首して即日仮放免の許可を受けて、昭和五十年の四月八日から大田区立糀谷中学夜間部に入学して勉強しておるのですね。一九七六年、五十一年の三月二十三日に退令発付処分取り消しの本訴と執行停止の申し立てを行って、東京地裁の民事三部――民事二部と三部が行政ですから、そこで送還停止の決定があって、本訴は係属中、こういう事実関係です。
 そこで、新しい事実として、一九七六年十二月二十日に糀谷中学の先生である都築達郎という人、私のところにもおいでになった非常にまじめな方ですが、この方が金有植という青年を見込んで養子縁組みが成立をしておる、こういう事実関係になっておると思うのですが、私がいま申し上げたことは間違いございませんか。
○吉田政府委員 そのとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 となれば、もうこれは入ってきてから十三年以上たって、しかも自首をして、日本に定着して、夜間中学まで行ってこの人は勉強しているのですよ、大臣。そして、その中学の先生が見込んで養子縁組みまでしておるのですよ。それを二年三カ月も大村の収容所に入れているのですね。これは当然仮放免をして、大臣の特別在留許可を与えてやっていい事案だ、こういうふうに思うわけです。ただ私は、もちろん大臣の裁量権にかれこれ介入する筋合いのものでありませんけれども、少なくとも、とにかくこの前のときには二年以上入っている者は大村から出したはずですよ。そういうふうに私は聞きましたが、この人は二年三カ月も入っているのです。夜間中学に入って日本語の勉強を一生懸命やっている人ですよ。それで中学の先生が見込んで養子縁組みまでしているのですよ。そういうのを二年三カ月も大村収容所に入れっ放しです。これは大臣、人道的の見地から言っても、仮放免なり特別在留許可なり何なりを与えてしかるべき筋合いのものではないか、こういうふうに思うのですが、大臣としても十分検討してくださるということを、これは一応大臣からそういう程度のお答えはできないのかな。できるでしょう。
○瀬戸山国務大臣 いま稲葉さんからお示しになった事実関係はそのとおりだということを、いま入管局長が答えましたが、その事情を聞きますと、私はそういう温情ある取り扱いをしていいのじゃないかと思いますが、しかし、入管の事務はなかなか法令の問題がありますから、一応局長から考え方を聞かしてもらいます。
○吉田政府委員 これは先生のおっしゃるとおり、非常に同情すべき点は多々あることは私も十分承知している次第でございますが、これは目下行政訴訟の最中になっておりまして、われわれとしましてはその結果を待っている次第でございます。結果が出ましたときに、また先生のいまおっしゃったいろいろなことも考えて処理したいとは考えております。
 ただ、本件のような場合は、非常に同情される問題でございますが、われわれの非常に苦心いたしますのは、ほかのケースとのつり合いというようなこともまた考慮に入れないと、非常にバランスを失してくるという問題点もございます。まあ、現段階ではちょっとそれだけにとどめたいと思います。
○稲葉(誠)委員 もう一つ、最後の質問ですが、この判決を見ますと「このような原爆医療法の複合的性格からすれば、一般の社会保障法についてこれを外国人に適用する場合には、そのよつて立つ社会連帯と相互扶助の理念から、わが国内に適法な居住関係を有する外国人のみを対象とすることが一応の原則であるとしても」こういうことを言っておるわけですね。そこで、適法な居住関係を有する者と有しない者とで、原爆医療法の場合と一般社会保障法との場合分かれるということになるわけですが、そこで、適法な居住関係を有する者に対して「一般の社会保障法についてこれを外国人に適用する場合には、そのよつて立つ社会連帯と相互扶助の理念から」云々ということをここで最高裁の判決は言っているわけです。ここら辺のところを十分今後の行政の運用の中で考えてもらいたい。このことだけを要望をして、簡単なお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまの最高裁の判決は読んでおりませんけれども、内容を伺いまして、裁判を批判するわけではありませんが、率直に、非常に温情のある判決だと思っております。でありますから、やはり行政もそういう温情のある措置をとる、これは当然ではないかと考えておりますから、善処したいと思います。
○山崎(武)委員長代理 飯田君。
○飯田委員 本日は、民事関係の問題を二つと、その後、刑事関係を少し御質問いたしたいと思います。
 民事関係は簡単に質問いたしますので、よろしくお願いします。
 司法書士の監督に関する問題ですが、最近、いろいろの人から私の方へ苦情を申し込んできております。それは、相続をやるときに相続辞退ということがございますが、その相続辞退をする際に、司法書士にお願いをいたしますと、司法書士の方から、私は生前に相当の贈与を受けたので相続を辞退します。こう書いてある紙を持ってきまして、これに判をついてくれということを言われる。それは困ると言いますと、困るのなら業務をやってやらぬということですね。どうしてもこれに判をついてくれなければ相続辞退はできないのだ、こういう話だそうでございます。そこで、実際には生前贈与を全然受けていないのに、生前贈与を受けたという判こをつくというのはどうも納得がいかない。しかも、こういう事例は、相続辞退の場合にはほとんど皆こういうやり方でやられるので大変迷惑だということを申してきまして、これはどうしてこういうことになったのだろうかという質問がございました。
 そこで、民事局長さんにお尋ねするのですが、司法書士が業務をやる場合に、こうした印刷用紙をわざわざつくって、それによってやれという御指示はなされておるのですか。
○香川政府委員 そういう指示はいたしておりません。
○飯田委員 そうしますと、指示がないのに司法書士がこういうことをするというのは、何か法的根拠があるのでございましょうか。
○香川政府委員 法的根拠はもちろん何らございませんが、やはり登記申請書というふうなものはある程度定型化できるものがございますので、そういうものは司法書士の方で自主的にあらかじめ印刷してということはやっていいことだと思いますが、いま御指摘のような生前贈与の関係というものを、印刷しておいて、そんなことがないのにここに判を押せというようなことは非常に行き過ぎでございまして、さようなことがないように十分注意したいと思います。
○飯田委員 これは、司法書士が法律の研究が大変足らぬというような気がいたします。最近、司法書士法の改正の問題を出しておるようでありますが、こうした簡単なことについても法律の判断ができないというのでは、ちょっと困ると私は思います。そこで、これは将来、どういうふうにして改めておいきになるのか、何か監督して改めることができるような方法があるのかどうか、お伺いいたしたいのです。
○香川政府委員 御承知のように、現行司法書士法におきましては、いわゆる一般的な監督はできないわけでございまして、個々の非行があった場合に懲戒処分をするとか、あるいは各司法書士会の会則について法務大臣が認可を与えるというふうなことで、直接的な一般監督権はないわけでございます。しかし、いまお説のように、司法書士の業務というのは国民の権利関係あるいは取引にも重大な影響がございますので、私どもとしては、司法書士会連合会に対しまして、いろいろそういう意見を申し上げて、司法書士会連合会あるいは各単位会を通じて会員を指導してもらう、かような形で、いわば行政指導と申しましょうか、そういう形で業務の適正を図っていきたい、かように考えております。
○飯田委員 それでは、この司法書士に対して、そうした生前贈与という文言を印刷するようなことはしないように、相続辞退というのは、ただ相続を辞退しますというだけでいいのだからということを教えてやっていただきたいと思います。
 それから、同じく登記に関する問題ですが、登記所に登記に参りまして、少しは法律的にわかった人が、登記手続をしたいというわけで用紙をつくりまして、やったところが、これが全部返される。それで、登記所の上の方の人が友達なので、いろいろやり方を聞いて、そのとおりやって登記所へ出しても返される。とにかく十回ぐらいやっても返されたそうです。これは私がやったのじゃないからわかりませんけれども、返されて、どうしても通らぬ。こんなばかなことがあるか、一体、登記所というのは、どうしても司法書士の書類でなければ受け付けないのかどうか、そういう御指示をなさっておるのかどうかということを聞いてくれないか、こういう質問がございましたので、お伺いいたします。
○香川政府委員 もちろん、そういう司法書士の作成した申請書類でなければ受け付けちゃいかぬというようなことは絶対いたしておりませんし、現に、権利関係の登記申請におきましても全体の約一割ぐらいは本人申請がございますし、また、謄抄本の交付申請等に至りましては、大部分本人申請という形になっておりまして、いまお尋ねのような事案というのは、私、ちょっと解しかねるのでございますけれども、不備がないのに、本人申請だからということで受理しないというふうなことはもってのほかでございまして、さようなことのないように重々注意したいと思います。
○飯田委員 それでは、ぜひ登記所の方にも――私は、登記所を圧迫したり、あるいは司法書士業務を圧迫する気はないのです。そうじゃなくて、書類を出したら、ちょっとしたミスぐらいありました場合は、それはこういうふうに直しなさいと言って御指示いただきまして受け付けていただけるようにしてほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、民事関係はこれで終わります。
 次は刑事関係の問題ですが、たとえば、最近ハイジャック事件がよく起こっております。日本の航空機を利用して外国に旅行する場合にはどうも人質にとられそうなので大変危険なのですが、そこで、外国機に乗って行こうという場合に、これもまた非常な法の不備があるような気がいたすわけでございます。たとえば、わが国の大臣が外国へ旅行される場合に外国機を利用なされるという場合に、その外国機に暴力集団の人が乗り込んでおって、これを公海上で殺害したといたしましよう、この場合に、飛行機がどこかへ着陸したときに、乗員を脅迫して逃れることは至って簡単であります。殺人犯人が逃れることは簡単です。逃れましてからわが国にやってまいりまして、私は何々大臣を殺してやった、こういうことを大きな声で宣伝をして歩いた場合に、わが国の国内では大変なことになると思います。殺人犯人が平気で大臣を殺してやってきておるという事態でありますれば大変なことになるわけですが、こういうような事態が生じるということは、可能性がずいぶん濃くなったのじゃないかと思われるのです。この場合にどういう法規で取り締まることができるか、お尋ねいたします。
○伊藤(榮)政府委員 若干、立法の経過を御説明する必要がある問題だと思います。
 ただいまおっしゃいました例でまいりますと、ハイジャック行為と関連する殺人というような感じもいたしますが、ハイジャック行為が根っこにありますと、国際条約、日本の法律によりましても、いわゆる刑罰法令の適用の世界主義をとっておりますから、外国人が外国で犯した犯罪でも日本で裁判をできるのでございますが、そうでなく、ハイジャックという問題を離れまして、外国人が外国で日本人を殺した、その外国人が日本にあらわれたという場合には、現在の刑法では処罰の対象とならないのが実情でございます。と申しますのは、現行刑法は、もともとそのような場合には当該外国人を処罰することができるという規定があったわけでございますが、戦後、昭和二十二年のわが国民主化に伴う刑法改正によりまして、その条項を国家主義的色彩が多いという理由で削除しております。したがいまして、今日では外国人の外国における殺人事件、これは被害者が日本国民でありましても処罰できない。そこで実際的にとり得る手段といたしましては、その者に対して、裁判管轄権を有する国との間に国際協力をいたしまして、裁判管轄権のある国において裁判をしてもらうという方法をとるということになると存じます。
 しかしながら、ただいま御指摘ございましたように、国際間の交流が非常に活発になっております今日、お尋ねのような事態は今後あるいは起こることが予測されるわけでございまして、その場合、ただいま御指摘のようなことがあればまことに国民常識から言っておかしなことになるわけでございます。そういう点を考慮いたしまして、私どもとしては、刑法全面改正の作業の一環で検討いたしました結果、改正刑法草案におきましては御指摘のような外国人の外国における日本国民に対する殺人罪、これにつきましては日本においても裁判ができるようにいたそう、こういう提案をしておるところでございます。
○飯田委員 ただいまこうした事件については処罰する規定がない、ないけれども刑法改正においてこれを考えよう、こういうお話でございました。ところで、刑法改正というのはいつごろできるのでございますか、お尋ねいたします。
○伊藤(榮)政府委員 なるべく早く実現をしたいというふうに考えて現在鋭意作業中でございます。
○飯田委員 刑法改正、なかなかできそうもないように私ども考えますが、こうした現に迫っておる危険というのは恐らく可能性が強いのじゃないかと思います。恐らく、日本の偉い人は外国旅行は御遠慮なさった方がいいのじゃないかと思うぐらい危険な状態、日本の飛行機に乗れば危ないし、外国のに乗れば殺されてもだれも責任を負うてくれぬ、これでは大変困ったことになると思いますが、こういう問題について、刑法改正なんて言うておらないで、早急に何らかの手をお打ちになる必要はないかどうかお尋ねいたします。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の殺人だけが起こり得るというわけのものでもございません。現に改正刑法草案におきましては、二十種類前後の罪につきまして外国人の外国における日本国民に対する犯罪、これを処罰の対象とすることにしておるわけでございまして、それらのものをよく彼此考覈いたしまして、かつ御指摘の緊急性というような問題をも勘案いたしまして、鋭意検討していきたいと思います。
○飯田委員 先般、あれはどこの島でしたかな、よく観光に行かれる島に行かれた女性が殺された事件があります。あの事件はどのような処理をなさるおつもりでしょうか、お尋ねいたします。といいますのは、あれは外国人が日本人を殺したのですが、日本として殺人の罪に問うことができないのじゃないか。そうしますと、犯罪人だからよこせということが言えるかどうか、こういう問題についてどうお考えでしょうか、お尋ねいたします。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘の事件はグアム島で日本人の女性が殺されたケースを御指摘だと思いますが、国際的な裁判権の行使の一応の原則といたしまして、当該犯罪が起きた主権国がまずもって裁判管轄権を行使するというたてまえがございます。
 一方、先ほど御説明申し上げましたように、もしグアム島の事件の犯人が日本人以外の者であるといたしますと、日本の刑法の適用がないことになるわけでございます。したがいまして、わが国としてなし得ることであり、かつなすべきことは、当該主権国に対して犯人の厳重処罰を求めるというようなことではなかろうか、そして当該国の処理に期待する、こういうことではなかろうかと思います。
○飯田委員 そうしますと、ただいまのような事件は民事事件として御請求なさるのでしょうか。わが国としてはそれは刑事事件にはならない。そうなると、民事にはなるのでしょうね。そこのところがどうも法的にあやふやなことになります。この問題についてはどのようにお考えでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 国と国との関係において、民事上あるいは刑事上ということではなく、外交上の問題として善処を求める、こういうことであろうと思います。
○飯田委員 こういう問題は今後大変起こり得る問題でありますが、現在の日本の刑法の規定では、どうもわが国の国民感情に合わない点が多分にあると思います。しかも、どうしてここまで外国人に対してわれわれ日本人は遠慮しなければならぬのか、これがわからないのです。外国は、明らかに外国人に自分の国の者が殺された場合には犯罪としておるところもありますし、日本だけがこういう屈辱的な法制に従っていなければならぬということはどうもわからないわけですが、ここら辺に対して早急に何らかの御処置をなさる意思がないかどうか。これは大臣にお聞きした方がいいかもしれませんが……。
○伊藤(榮)政府委員 先ほどお答えしましたように、改正刑法草案の中に取り入れておるところをごらんいただきましても、その必要性は認めておるわけでございます。したがいまして、緊急性その他を勘案いたしまして検討いたしたいと思います。大臣も同じお考えであろうと思っております。
○飯田委員 それでは大臣がお見えになってからまた後で聞くとしまして、次に、刑法の条文を見ますと「不動産侵奪罪」という規定がございます。動産を取ったときは窃盗であり、不動産を取ったときは不動産侵奪罪ということがございますが、あの刑法を見ますと「窃盗」の次に「強盗」という罪が書いてあるわけであります。ところが、不動産強盗罪という規定がない。これは、不動産強盗罪を設けられなかった理由はどういう理由でございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 もともと不動産侵奪罪を設けましたのが、たとえば大阪の梅田の周辺の諸問題その他当面解決を要する実情というものに対応するためにつくられたわけでございまして、その際の立法事情としては、窃盗に対置されますところの不動産侵奪、これを設ければ一応の効果が上げ得るということでつくられたわけでございます。現在この不動産侵奪罪を犯します場合に、暴行脅迫等被害者の抵抗を抑圧するような手段を加えた場合どうなるかという問題につきましては、強盗罪の第二項のいわゆる財産上不法の利益を得たということに当たるということで、いわゆる二項強盗罪がその場合には成立するという学説が有力でございます。実務上はまだそういう事件が起きておりませんので適用した裁判例はございませんけれども、そういう考え方が現在支配的でございまして、私どもといたしましても窃盗に対比される不動産侵奪、今度は、強盗に対比すべき場合には二項強盗で処断ができる、こういうふうに考えております。
○飯田委員 先般成田の空港予定地で問題が起こりました。あの成田空港の管制塔を占領した過激派がございますが、この場合は不動産侵奪ではなくて、不当の利益を得た、こういうふうにお考えなんでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 先般の成田空港管制塔襲撃事件におきましては、不動産侵奪罪の成立に必要な不法領得の意思を持って排他的占有を取得するという要件が事実関係として満たされていないと思いますので、もともと不動産侵奪罪にも当たらなければ、その暴行脅迫による加重類型である強盗罪の適用もない事案であった、このように考えております。
○飯田委員 この窃盗だとか強盗の解釈としまして、不法領得の意思が必要かどうかという問題は学説の問題でして、学説では、要るのだと言う人もおるし、要らぬと言う人もおります。学説はここではたな上げいたしまして、その姿を見ますと、明らかに管制塔を強奪しております。管制塔を強奪して占拠しておるのですから、これは明らかに不動産の強奪ではありませんか。どうでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 不動産の一部である管制塔に侵入をして、無人であるのに乗じて、これを数時間事実支配をしたということは認められるわけでございますが、現在、判例などで確立されておると思いますが、やはり不動産の侵奪につきましては、不法領得の意思があるということ、それから不動産に対する他人の意思に反して事実上の占有を排除する、そしてその上で自分の事実上の支配を設定する、こういう三つの要件が要るのであろうと思うわけでございまして、そういう点からいいますと、彼ら暴徒は、管制塔あるいはこれを一部といたします管理棟そのものを自分のものにしてしまう、こういう意思であったというふうに見るのはいかがかと思われますので、不動産侵奪類型の二項強盗罪の成立はちょっと認められない、こういうふうに思います。
○飯田委員 それでは、自転車が家の前にあるのを、それをとりまして、自転車に乗っていってしまって、どこかの道で捨てて帰った、こういう事件が起こったとしましょう。これは自転車の窃盗に当たるか、当たらないか、どうでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまのお尋ねのケースは、よく試験問題に出るケースでございまして、使用窃盗か窃盗かというボーダーラインのケースでございまして、事実関係のいかんによって、窃盗罪になり、あるいは使用窃盗ということで窃盗罪から外れる、こういうことであろうと思います。
○飯田委員 これは、学説の問題は私どもは余り立法上は問題にしたくないと思います。不法領得の意思を必要とするという学説、確かにあります。ところが、そういうものは要らぬ、事実上の占有さえあれば成り立つという学説もあります。
 そこで問題は、社会秩序を維持するためにはどういうふうに持っていったらいいかということが問題ですから、こうした建造物を強奪したというような形があるようなものについては、これはやはり建造物強奪罪とか不動産強奪罪といったような罪になるものとした方が合理的ではないかと思います。動産については窃盗罪、それに対して、窃盗に当たるところの不動産侵奪罪、こういうものがございます。そこで、強盗について強盗罪の規定があって、その次に不動産強奪罪の規定がないというのは何かつり合いがとれない。つり合いがとれなくて、そういう規定がないから、今度の成田の事件などについて無理な解釈を適用しなければならぬ。あれは強盗だというような、幾ら何でも管制塔を占拠したのを強盗だというのは、ちょっと常識から外れたことになってしまうわけなんですが、それは不法な利益を得たとおっしゃるけれども、一体どういう不法な利益を得たんだということになると、これは大変あやふやだと思います。結局、そうしたことが起こってまいりますのは、法の不備から来る問題ではないか。だから、法体制をもう少し整えられることが必要ではないかと考えますが、いかがでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 管制塔占拠というのが強盗罪というのはおかしいという点については認識を一にいたしております。私どもとしては、不動産侵奪という形はああいう管制塔を一時占拠するという形にはもともと適用がないものである、他人の土地に勝手にくいを打って自分のものとして耕作を始めるとか、あるいは他人の敷地に家を建ててしまうとか、そういうような行為が不動産侵奪である、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう意味からいいますと、先般の三月二十六日の成田事件につきましては、それに最も適確な適用刑罰法令がありますので、いまのところ立法措置を要しないものと、こういうふうに考えております。
○飯田委員 現在、空港の周辺にはさくがつけてありますかどうか知りませんが、以前はなかったのですね。見に行ったらさくがない、空港用地にさくを設けないでおいて、そこへ普通の人が入ってきたのを、たとえば邸宅に入ってきたから邸宅侵入だとか、あるいは他人の土地の中に入ってきて占拠しておるから不動産侵奪だとか、そういうことが言えるかどうか、この点の御見解はどうでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの御質問は、すぐれて事実関係による問題でございます。現状は、私も現地を見ておりますけれども、空港の主要部分はさく等を立てめぐらしまして境界がはっきりされておりますが、飛び地のようなところではそういうものがないところがございます。全く何の表示もしていないし、また中には、空港公団の用地であるのか、あるいはそれ以外の民間の人の用地であるのか、その境目もはっきりしないというようなところもあるわけでございますが、それはともかくといたしまして、まずそういう空港の敷地の中へ立ち入るような場合、邸宅侵入というのは概して適用がないのじゃないか。なぜならば、管理棟とかそういう建物の囲繞地ということになりますれば邸宅侵入になると思いますけれども、何分あの広さでございますので、そういうことにはなかなかならないのじゃないか。そういたしますと、考えられますのがまず航空法の違反でございまして、航空法五十三条三項に「何人も、みだりに着陸帯、誘導路、エプロン又は格納庫に立ち入ってはならない。」これが考えられるわけでございます。ただいま読み上げました地域に当たらない地域に入ったということになりますと、軽犯罪法一条三十二号の、入ることを禁じた場所に正当な理由がなく入った罪、こういうことになるのではないかと思います。ただ、これも当該立ち入った地域が空港の、あるいは空港公団の管理地であるということが一般の人にわかるようになっておった場合に限られるわけでございまして、これがはっきりしていない場合には、ただいま申し上げましたような罰則の適用は事実上できないことになる、かように思います。
○飯田委員 そこで、大臣おいでになりましたので大臣にお尋ねしますが、先ほどお尋ねいたしましたのは、大臣が外国機に乗って外国に旅行される場合に、そこへ過激派の団体に属するところの外国人が、飛行機がちょうど公海に差しかかったときに大臣を殺害したとしましょう。そして、飛行機からおりまして日本へやってきた。そして、私はいま法務大臣を殺してきた、こう言って宣伝をした場合に、これは日本でどうすることもできないという刑事局長のお話でございました。
 そこで、そういうことになるのじゃ困るので、そういう者を処罰できるような法体制を早くつくることが必要ではないか、こういうことを御質問いたしました。刑事局長はそのような必要性がある、こういうお話でございましたが、その時期についてはさっぱり要領を得ないわけです。改正刑法草案の中に書いてあるから了承してくれ、こういうお話ですが、あの改正刑法草案というのはいつごろ法律になるやらさっぱりわからぬ。ところが、大臣の命をねらうのはもうあすかもしれない。大臣が飛行機に乗られたときにやられるかもしれぬ、こういう危険性がある。こういう問題について、どうも改正刑法草案に書いてあるからということで黙っているわけにいかない。それで、こういう問題についての手当てを早くおやりになる必要があるのではないか、こういう質問をしたのですが、いかがでございますか。
○瀬戸山国務大臣 大変恐ろしい御質問でございますが、私も細かい研究をしておりませんけれども、現行法ではこれを法律上処罰するというかっこうになっておらないそうでございます。いまおっしゃいましたように、これはやや欠陥があるのじゃないかということで、今度の改正刑法草案の中にはさらにこれが規定されておる、こういうことでございますが、できるだけ早く刑法全面改正の案を整備いたしまして対応する。特別立法をいますぐということもいかがかと思いますので、そういう考え方で進みたいと思っております。
○飯田委員 これは特別立法をしなくても、刑法の一部改正でもできると私は思うわけです。戦前においてあった規定をわざわざ取ってしまって、そしてこういう危険な状態をつくり出したのですから、もとに返すと復帰だと言うて怒られるかもしれませんけれども、こういう問題は復帰という問題じゃないので、人命にかかわる問題ですから、一部改正でもしていただいた方が当座の危険性に対処するのにはよいのではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 検討に値することだと思いますから、十分検討してみたいと思います。
○飯田委員 それから、先ほど不動産の強奪罪の規定がないのはおかしいではないかということを質問したのですが、現在空港の用地にさくが設けられていないということは、恐らく客観的には犯罪になることが、主観的要素のために犯罪にならなくなる根拠であろうと思います。そこで、さくをできるだけ早く設けられることが必要ですが、さくが設けられたといたしまして、その中で空港の用地に家をつくっておるということになりますと、それは不動産侵奪というよりも、むしろ強制力でもってやっているのだから不動産強奪罪に当たりはしないか。これは不動産強奪罪の規定がない。刑法は、動産については窃盗、強盗の規定を置きながら、不動産については不動産侵奪罪という窃盗に対応するものについてだけ規定しておって、強盗に対応するものは規定していない。この規定していない根拠について実はお尋ねをしておるわけですが、どうもはっきりとした御回答が得られないわけです。こういう規定を設けることができないというはっきりとした根拠をお聞かせ願いたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 先ほどから御説明いたしておりますように、不動産侵奪を暴行、脅迫を手段としてやったものは二百三十六条第二項の強盗罪に当たるものとして処断ができると考えておるわけでございますが、ただいま仰せになりました新東京国際空港用地に建物を建てたり耕作をしたりするという関係でございますが、もしそのような行為で強盗罪に当たるものがあるとすれば、空港公団総裁等をおどしまして、おれはいまから空港の敷地内に建物を建てるぞ、あるいはそこで耕作を始めるぞ、承知をしろというようなことを言っておどかしまして、空港公団総裁等を抗拒不能の状態に陥れて建物を建てあるいは耕作をするということになれば強盗の方へいくと思いますが、通常そういうことは考えられませんので、やはり不動産侵奪罪で処理をするのが相当であろうというふうに考えております。これは蛇足でございます。
○飯田委員 そこで、これは成田とは限りませんが、今後空港の建物を強制的に占拠するという事案が起こる可能性はもうないとお考えでしょうか、それともそういうことも起こるかもしれぬとお考えでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 そういうことは断じて起こしてはならないと思っております。しかし、もう絶対に起こり得べからざることかというふうなお尋ねになれば、起こることも観念的には考えられないことではない、かように思います。
○飯田委員 起こるとなりますと、飛行場は大変危険な状態に置かれておるわけですね。とにかく飛行場のどの建物でもそれを強制的に占拠した場合に、これを強盗と言うのはおかしいし、それかというて不動産侵奪罪で罰するかというと、これも何かおかしい。こういう場合に、そのものずばりいける刑法上の規定がないというのはどうもおかしいわけです。それで、そうした可能性があるということがわかる以上は、建造物強奪破壊罪といったような犯罪類型も考えられていいし、いろいろそのほかの予防措置的な問題も講じていただく方がいい、こう考えるわけです。従来、新しい立法をつくるということだけにきゅうきゅうとされて、もっと根本的なそうした手当てをなさるということがどうも抜けておるように思います。この点について法務大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 大臣にお答えいただきます前に一言申し上げますが、管制塔を占拠して管制用の機器を破壊するなどという行為に対しましては、航空危険処罰法の第一条というそのものずばりの法律がございますし、その他の区域に入る場合には、たとえば建造物侵入罪とか、そのものずばりを処罰する一応の法律的な手当てがそろっておるわけでございまして、それらの活用によって間に合うのではないか、かように考えております。
○飯田委員 ただいま空港ということを頭につけたので、ちょっと悪かったのでこれはそれだけにしますが、空港以外に一般的な問題としてそういうことは起こり得るわけです。それはどうなりましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 たとえば、強盗が民家に押し入りまして家じゅうの人を縛り上げる、それで低しばらくそこに滞留をしておるという状態を見ますと、まさにその家の支配権を一時的に奪ったような様相を呈するわけでございますが、さりとてこれにその民家そのものを奪い取ったという評価をするということは現実的ではないのではないか。その点は改めて評価するまでもなく、その民家に居住する人に対する強盗罪として評価をすればよろしいのではないか。強盗の目的でなく、たとえば家の中を壊して回るというような目的で一時占拠したという場合には、建造物損壊という類型で評価すればいいのじゃないか、こういうふうに思います。
○飯田委員 暴力団がある人の建物を強制的に占拠するということは過去においてもあったと思いますが、こういう場合には単なる強盗でしょうか。建物を占拠しておるんですよ。しかも、それが刑法上規定がないので強盗でやったとか何かということかもしれませんが、そういうことがよく起こるわけです。そういうものに対する刑法上の手当てはどうなっておりましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 さような場合には建造物侵入罪に当たると思います。
○飯田委員 建造物侵入罪というのはどのくらいの刑罰になりましょう。
○伊藤(榮)政府委員 三年以下の懲役でございます。
○飯田委員 窃盗はどのくらいの罪になりますか。
○伊藤(榮)政府委員 十年以下の懲役でございます。
 なお、先ほど言い落としましたが、建造物侵入には罰金刑もございます。
○飯田委員 そこで、窃盗は十年、建造物侵入はそれよりずっと低いわけですが、元来建物を強制的に占拠してしまって、これは強奪しておる状態なんですよ。窃盗じゃないので強盗なんですね、動産で言えば。動産で言えば強盗の状態を不動産で現出している。それが、窃盗よりもはるかに低い刑罰しか受けないというのは、どうも国民感情に合致しないと思います。これは、新聞に出た場合には皆さん非常に不思議に思う点です。こういう点についてどのような御処置を今後なさるおつもりでしょうか、お伺いいたします。
○伊藤(榮)政府委員 何の理由もなく忽然と建物を占拠するということはまずないわけでありまして、何らかの目的を達成するための手段として占拠するのだろうと思います。たとえば、暴力団が人の家を占拠するという場合には、その中に住む人をおどし上げるとかあるいは中をめちゃめちゃに壊すとか、何らかの目的があってやるわけでございまして、さような場合には建造物侵入と恐喝あるいは強盗、あるいは建造物侵入と建造物損壊、こういうような犯罪として現行法ではとらえるようにしておるわけでございまして、そういうことで処断をすればいいのじゃないかと思っております。
○飯田委員 時間が来ましたのでそろそろ結論にしろと、こういう話ですのでそうしますが、これは、暴力団は建物を実際にはカタにとるために強制的に占拠してしまうのです。そういうことはしばしば起こっておるのです。そういう場合に、これは建造物侵入だということではどうもおかしいので、明らかにこれは建造物を自分のものにしようとして強奪しておる形です。所有権はとってませんけれども、カタにしているのですから。そういうことがしばしば起こって困っている人がおります。泣いている人もおりますが、そういうことを考えますと、やはり私は不動産の場合に、不動産強奪罪というものが設けられてしかるべきだと考えております。
 そこで、これは見解が違うからやむを得ませんから、最後、こうした刑法上のいろいろな問題について、大臣としてどのようにお考えになりましょうか、お伺いいたします。
○瀬戸山国務大臣 いま指摘された問題は、そういう特別な犯罪類型をつくるということでなしに、いま刑事局長からもるる御説明いたしましたが、各般の罪の併合罪になる、そういう処断で私はいまのところいいのじゃないか、かように考えております。
○飯田委員 これはとても併合罪では救済できない問題も含むのですが、時間が来ましたので、もっとこれからまた御研究願うこととして、きょうはこれでやめます。
○山崎(武)委員長代理 次回は、明後二十一日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十四分散会