第084回国会 外務委員会 第3号
昭和五十三年二月十五日(水曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 永田 亮一君
   理事 大坪健一郎君 理事 奥田 敬和君
   理事 塩崎  潤君 理事 井上 一成君
   理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君
   理事 渡辺  朗君
      川崎 秀二君    佐野 嘉吉君
      竹内 黎一君    中山 正暉君
      久保  等君    高沢 寅男君
      中川 嘉美君    寺前  巖君
      伊藤 公介君    楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        外務政務次官  愛野興一郎君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   千葉 一夫君
        外務省経済局長 手島れい志君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
 委員外の出席者
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十五日
 辞任         補欠選任
  松本 善明君     寺前  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     松本 善明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○永田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
○土井委員 昨日、佐藤駐中国大使が韓念竜中国外務次官と会談をされたわけでございますが、まずお尋ねしたいのは、この会談は外務省の訓令によるものでございますかどうでございますか。
○園田国務大臣 訓令によるものではございません。
○土井委員 そうすると、外務省側は何らこれに対して訓令を出さずして行われた会談であるということを、まず確認をしておいていいわけでございますね。
○園田国務大臣 特に訓令を出したものではありませんが、昨年、佐藤大使が帰国いたしました際に、日中友好条約締結についていろいろ指示を与えておりますが、その中のつながりとしてこれをやったものではございます。
○土井委員 そういたしますと、会談は約一時間四十分の長時間にも及んでいるわけでございますが、いまの外務大臣の御答弁から考えまして、この会談自身は、日中平和友好条約に関して公式の接触を持った会談であるというふうに理解をいたしましてようございますね。
○園田国務大臣 この会談及び内容については、両国で、まだ外へ出さないという約束をしておりますので、はっきり申し上げるわけにまいりませんが、時節からしても、当然これは、その問題について話し合ったことは事実でございます。
○土井委員 そういたしますと、内容については一切外に出すことが不適当というふうな、外務大臣のただいまの御答弁ではございますけれども、いまの御答弁の感触からいたしますと、日中平和友好条約に向けての交渉の再開というふうに、このこと自身を見てよいかどうかですね。
 それから、さらに交渉再開の第一歩というふうに見てよいかどうか。いわば部屋のドアをノックするというふうな感じも含めまして、この交渉再開の第一歩というふうに見てよいかどうか。その感はいかがでございますか。
○園田国務大臣 交渉再開ではございませんけれども、交渉再開をなるべく早くするための、いろいろな手順その他についての話し合いと受け取っていただけば結構でございます。
○土井委員 昨日のこの会談について、もうすでにニュースで流れておりますところによりますと、中国側が言うには、日本が交渉に臨むということであるならばいつでも受けて立つということを、はっきりと表明をされているようであります。一昨日の予算委員会で岡田春夫議員の、交渉の進展が再開されない責任はいずれにあるかという御質問に対する総理の御答弁では、とやかくこれは言うべきではない、というふうな御趣旨の御答弁になり終わっているわけであります。しかし、今回のこの会談を通じまして、ニュースから受けとめるわれわれの感覚からいたしますと、中国側は、いつでも日本がこの交渉の場に臨むということであるならば受けて立ちますよ、というふうな意思表明をはっきりされているわけでございますから、どうも交渉再開というものが延引している原因は、日本側に問題があるのではないかというふうに受けとめる向きが非常に多いわけであります。率直に申し上げまして、国民の素朴な意見からすると、そのようになって当然だと私は思うわけでありますが、そういう点から考えまして、これを機会に交渉再開のテンポというものは、やはり進むというふうに見てよいのかどうか。つまり、日本のこれは決意一つでございますから、日本のこれにかける熱意一つでございますから、いかがなものでございますか。
○園田国務大臣 ただいまの土井委員のニュースというのは、佐藤大使が会談後北京で行った記者会見から出てきたニュースだと推察をいたしますが、佐藤大使が今度の会談で、中国側も交渉再開については前向きであるという感触を伝えたものであります。
 なお、この会談によって交渉再開が一歩進んだという答弁はできませんが、少なくとも下がったり、とまったりすることはない、こういうことで御勘弁を願いたいと思います。
○土井委員 歴代の外務大臣の中で、わけても園田外務大臣は、この日中平和友好条約にかけておられる執念たるや切なるものがあるというのを、われわれよく存じ上げております。特に、外務大臣が外務大臣でいらっしゃる間に日中平和友好条約を具体的に締結できるようにということで、ただいま大変な努力を払っていらっしゃるということもよく存じております。そういう点からいたしますと、これは日本側の姿勢、日本側の決意、日本の心づもり一つで交渉再開に対するテンポも違ってくるということが、昨日のニュースからわれわれの受けとめておる直感でございまして、このことに対してやはり、外務大臣の熱意あるところの御決意のほどを披瀝されるということが、いま非常に大事ではないかと思うわけであります。まさに機は熟したと言われるのだけれども、中国側は、まさに機は熟したということを昨日の会談では具体的に披瀝されているわけでありますから、日本側がそれに対してどう反応するかということは非常に大事な問題だと思うわけであります。(発言する者あり)ちょっと不規則発言というのは御遠慮願いたいですね。黙ってください、大事なときですから。委員長、不規則発言については、ひとつそれに対してしっかりした議事運営をお願い申し上げたいと思います。外務大臣、いかがですか。
○園田国務大臣 御激励をいただきまして御礼を申し上げます。
 決意は、すでに総理からしばしば言われておりますとおり、総理も外務大臣も決意はすでにしておるわけでございまして、どのようにして交渉再開にもっていくかという手続、手順等についての若干の準備や話し合いが要るわけでございます。
○土井委員 いまおっしゃいました、交渉の手続についての若干の詰めが要るということでございますが、なるほどおっしゃるとおり、交渉の詰めというのは、これは事務的に行われていくというふうな段階がございますでしょら。トップ同士が途端に出てきて交渉ができるということではないだろうと思います。したがいまして、この交渉の詰めが事務的に行われるということに対しては、いままでずっと段階を踏んで今日までそれが行われ続けてきたのかどうか、いかがでございますか。
○園田国務大臣 中国に駐在する日本国の大使でありますから、当然、大使の任務として日中二国間の問題、当面は第一にこの友好条約の締結であるということは、よく存じておるはずでありますから、いろいろ話し合いはしてきたはずでありますが、少なくとも、いよいよ再開についての話し合いがきのうからスタートを切った、このように解釈をしております。
○土井委員 話し合いについての再開がきのうからスタートを切ったといま外務大臣がおっしゃるわけでありますが、そうしますと、その事務的な、きのうに至るまでのいろんな詰めというのは、それまでに進んでいたというふうに考えてよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 大使として当然の任務上、この問題についていろいろ情報をとったり、打診をしたり、あるいは理解を相互に深めたりしてきたことはあると存じます。
 なおまた、段取り、手順と申しますけれども、もう一つは、交渉再開をして、そこでひっかかったり、中断したりすることは両国にとっても不幸であり、しかも、この前途については非常な暗雲があるわけでありますから、その見通しについても腹組みは持たなければならぬ、こういうところで手順、手続等がある、こういうふうに御理解を願えればありがたいと存じます。
○土井委員 そういたしますと、いまの外務大臣のおっしゃる、いままでの手続、手順の中で最大の締結問題での焦点は、何が問題だったわけでございますか。
○園田国務大臣 昨晩の電報について、約束でございますから報告できないのが残念でありますけれども、両国にとってさほど重大な支障はないような気がいたします。むしろ、それよりも、両国のいろんな準備とか手続とか、こういうことで、まだ若干残っている、こういう感じがいたします。
○土井委員 事務レベルでの話はもうかなり詰められているという感触を、いまの御答弁から得ているわけでありますし、また、その内容といたしましては、日中間においてもうさほどの支障はないというところまで確認をされているという感触も得たわけであります。つきましては、先日当外務委員会で、私、質問をさせていただいた折、御答弁の中に、「一九七五年の春の段階におきまして、日本及び中国側の日中平和友好条約交渉に当たりましての草案というものが交換されたということはございます。」という大森さんからの御答弁をいただいております。この一九七五年の春の段階の、日本と中国との間で交換をされた日中平和友好条約交渉に当たっての草案を、そのまま踏んまえての今回のいろんな段取りに当たられたという、いままでの事務交渉の内容であったのか、新たに今回は、一九七五年当時のお互いが取り交わした草案とは違って、いろいろと詰めを昨日の会談に至るまでされてきたのであるか、その点はいかがでございますか。
○園田国務大臣 条約の内容については、両方とも話はいままでいたしておりません。したがいまして、今後再開の場合にどのようなことでやるか、少なくとも前に交換した草案というものは、あれが中断をされたわけでありますから、改めて両方で話し合うことになると存じます。
○土井委員 いま御答弁になりました外務大臣の御答弁内容というのは、もちろん総理大臣でいられる福田総理もそのとおりにお考えになっているはずであると思いますが、一昨日の岡田春夫議員の御質問に答えて福田総理が、一つの交渉再開の手順として外務大臣の訪中というものがあり得る旨の御答弁をされております。いま外務大臣の御答弁の中には、昨日の会談に至るまでかなりの詰めというのは具体的に進んでいて、お互いにさほどの支障がないというところまで確認されている段階に来て、昨日のあの会談で再開というかっこうに交渉がなったやにわれわれはもうきょうの御答弁で受けとめているわけでありますが、この園田外務大臣の訪中というのは非常に意味として大きいし、中身として、これは交渉について言うならば、決定的問題ということになるであろうというふうに私は考えられるわけでありますが、園田外務大臣自身が訪中ということに対してどのようなお考えをいまお持ちになっていらっしゃるかというのを、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 先ほど私が、両国間に重大な支障はないということは、感触を申し上げたわけで、条約の内容について詰めておるわけではありません。しかし、きのうの会談その他からして、大体両国とも話を進めていけば重大な支障はない、こういう感触を申し上げたわけであります。
 私の訪中については、総理大臣がおとといか、岡田委員の発言に答弁されたように、この条約締結交渉の手段として訪中も考えておる、あり得る、こうおっしゃいましたが、私も必要があればいつでもお伺いをしたいと考えております。
○土井委員 そういたしますと、中国側から特に外務大臣に対して交渉の申し入れというものがあった節は、外務大臣としては、これはもう文句なくそれに対してはお受けになるということでございますね。
○園田国務大臣 非常に重大で微妙な段階でありますから、総理の御指示があればいつでも訪中をしたいと考えております。
○土井委員 さてもう一つ、昨日、外務大臣とされては重要な方との会談がおありになったはずでありますが、それは申し上げるまでもございません、来日中の朴東鎮韓国外務大臣との会談でございます。この中で、韓国側は在韓米地上軍の撤退についてどのような受けとめ方をされていたと外務大臣自身は御理解をされているか、その辺ひとつお聞かせくださいませんか。
○園田国務大臣 昨晩の韓国の朴外務長官との会談は、アフリカ公館長会議に赴かれる中途、私に会いたいということで、向こうから発言されたのは、きょうは特別の会談でもないので、大陸棚をなるべく早くやってもらいたいという希望があっただけで、向こうから発言がなくて、主として私が発言をしたわけでありますが、米韓の関係はどうだ、米の地上軍撤退というのは大分模様が変わってきたようだな、こう言ったら、自分たちもそう思っているという程度の話でございました。
○土井委員 その程度のお話とおっしゃいますが、その程度のお話の中から、しかしながら、事はやはり最近、御承知のとおりに、ブラウン国防長官の国防報告書などもアメリカにおいては出されておりまして、韓国におけるアメリカの地上軍の撤退問題というものについては、やはり全世界的規模でこの問題をどのように今後考えていくかということに対しては、韓国側の受けとめ方、さらに日本がこれに対して、今後どのような受けとめを持ってよいかという重大な時期でもございます。したがいまして、簡単なやりとりで終わりになったのかもしれませんけれども、この問題に対しての外務大臣自身の御感想をそれじゃお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 話しました私の感触からすると、米軍の撤退問題についてはさほど神経質でないようでございました。私の感じからすれば、韓国からの米地上軍の撤退は、依然としてカーター大統領の方針どおりに出されておりますものの、やはり韓国の置かれた地位についてアメリカも考えているようだな、何だか計画どおりにぴしぴしぴしとやっていくのかなという程度の感じを私は持っております。
○土井委員 ただいまの外務大臣の御答弁からすると、昨日はその問題に対して深刻な話し合いにまで至らなかったというふうに私どもは感じるわけでありますけれども、ただ、最近ニュースによって伝え聞くところによりますと、例のブラウン国防長官の国防報告書の内容においては、どうもアメリカの防衛力は欧州重視になり過ぎているのではないか、三月初めに韓国側はアメリカに渡りまして、米国に具体的な真意を確かめて、その節、日韓共同で米太平洋艦隊の増強というものを要請することなどが必要視されているというふうなことを、われわれはニュースによって知るわけであります。もしこのようなことが事実とするならば、特に最近はソビエト側の海軍力の増強等々も具体的に伝えられているところでありますから、やはりわが国としてはどうなのかという問題が非常に気にかかるわけでありまして、外務大臣は、もしこのような対応が韓国においてなされるならば、どのようにこのことを受けとめられるか、このような問題についてはいかがでございますか。
○園田国務大臣 米国の軍事戦略は以前からヨーロッパの方が重点であって、アジアの方はその次の地位にあったと判断をしております。そこで、いま特に国防白書で、アジアを手薄にしてNATOの方に重点を置いて、軍備の配備を変更するなどということではなくて、ただいまおっしゃいました韓国、ここだけが四、五年間にわたって慎重に注意深く段階的に削減するという方向を出しておりますが、それ以外はいままでと大した変更はない、このように考えておりますし、なおまた、日本は特別な関係でございまするので、隣国でありますけれども、韓国と日本が軍事的に相談をしたり提携をしたりすることはあり得ませんので、大体いまの程度で韓国もおさまるし、米国の方も注意深く、注意深くやるのじゃなかろうか、こう考えております。
○土井委員 従来、政府は国会答弁でも、南北朝鮮の双方が平和的統一を達成するまでの間という前提において、国連への同時加盟ということを期待している旨を、再三繰り返し述べられてまいっておりますが、そのことは、園田外務大臣になっても変わりはございませんか。いかがでございますか。
○園田国務大臣 変わりはございません。
○土井委員 そういたしますと、韓国側が仮に単独の国連加盟というふうな希望を強く持って、友好国に対して根回しをされる、現に昨日の園田外務大臣と朴東鎮外相との間での話し合いの中でも、恐らくは国連加盟のお話し合いも中に出てきたに違いないとわれわれは、あくまで憶測でありますけれども、憶測をするわけですが、その中に韓国も非同盟諸国との関係というものを発展させているというふうな向きのことも述べられたやに伝え聞いております。そういたしますと、友好国の中には、日本の政府や自民党というのは、当然これは考えられてしかるべきだと思われるわけでありますから、単独国連加盟ということに対して向こう側からの具体的な働きかけというものがあった場合、これに対しても、これは今後国際問題として大きな問題になるわけでありますから、大変大事なことでありますが、どのような対応でこれに対して臨まれるかを、追い打ちみたいなかっこうになるかもしれませんが、お聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 昨晩は韓国の国連加盟の問題は、向こうからも私の方からも全然口にいたしませんでした。日本は両国が同時加盟ということを考えておりますので、あくまで両国が国連に同時に加盟することを希望いたしております。
○土井委員 大変失礼ですが、いまの最後の方、おっしゃったことがよく聞き取れなかったわけでございますが、結局は韓国の単独国連加盟というふうなことに対して、わが国としてはそれを認めるわけにはいかないというふうなお立場を表明されたわけでありますか。
○園田国務大臣 わが国は、北と南両方同時に国連加盟してやるべきであると考えておりますので、あくまで両国が同時に加盟することを推進したいと考えております。
○土井委員 これで終わります。
○永田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 まず外務大臣に、就任早々日ソの問題あるいは日中の問題あるいは東南アジア諸国との平和的友好関係維持のために、御熱心に御努力をいただいておることに対して心から御苦労さまですということを申し上げたいと思います。
 さて、私はこの世界の中でなくすべきものは核と差別であり、守るべきは平和と人権であるという強い信念に立っておるわけであります。ついては、もういまさら私が人権問題について外務大臣にくどくは申し上げる必要はないわけでありますけれども、いかに人権を尊重し、そしてすべての世界の国民が人間として持つ普遍的な価値をお互いに認め合っていくかということは非常に大切なことである、こういうふうに思うわけであります。ところが、総理及び外務大臣は、今回の所信表明の演説の中に、この人権問題について何らそのお考えを述べられていらっしゃらないわけであります。人権尊重が世界的に非常に大きく叫ばれておる今日、外務大臣の人権問題についての御所見をまず私はお伺いをいたしたい、このように思います。
○園田国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、人権規約批准については、井上委員からはしばしば御激励を賜って、厚く御礼を申し上げます。
 人権規約批准の問題は、すでに相当な国々が批准をし、アメリカその他もすでに批准をする準備をしているという他国の情勢からばかりでなくて、外務大臣としても、人種の差別その他、日本人自体が国際的な人間になる必要がある、こういうことから、実は国会の外交演説で私はこの点を訴えたかったのでございますけれども、準備や関係者の御理解を求めることができずに削除したわけでございます。ただいま鋭意努力をし、関係官庁との調整はほぼ整った段階でございまして、ただいま与党との御相談、御理解を願う段階になって、一生懸命これを批准するべく努力をいたしております。
○井上(一)委員 私は、まず人権問題に対する基本的な大臣のお考えというものについて、もう少しお聞かせをいただきたい、こういうふうに思うわけです。いまお答えの中で、後刻引き続いて質問をしたいと思っておる国際人権規約の点に触れられましたが、それは続いて質問をいたしますが、まずとりあえず基本的なお考え、人権問題に対してどのように考えていらっしゃるか、もう少し大臣自身のお考えを聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
○園田国務大臣 人権の確保と尊重こそはすべての出発点でありまして、国連憲章においても、わが国、日本憲法の精神からいたしましても、単に国際的ばかりでなく、すべての問題について人権を尊重し、これを確保することが国内、国外すべての行政、政治の出発点であるというかたい信念を持っております。
○井上(一)委員 人権尊重に対する非常にかたい決意をお答えいただいたわけであります。
 そこで私は、現在まで国連等において人権に関係する条約が多くの国の賛同を得て成立をしてきたわけであります。そのうちわが国は、それらの条約に対してどれだけ批准をしているのかということをさらにお聞きいたします。
○大川政府委員 国連におきまして採択されました人権関係の条約は全部で十八ございます。日本はそのうちの二つを批准いたしております。
○井上(一)委員 いま外務大臣は、すべての出発点であると、尊重とそして確保に最大の努力をするのだということをおっしゃられた後に、国連局長からのお答えが、二つである。こういう事実関係を知った場合、まあそれが正味の事実でありますけれども、外務大臣、いかがですか、あなたのお考えになっていらっしゃることと、わが国がいままで人権問題に対して国際的に約束を履行しないこと、何かでき得なかった理由があるのか、あるいは努力が足りなかったのか、誠意がなかったのか、あるいはこの人権問題についてまだ今日ほど重要性を、大切さを感じ得られなかったのか、私は非常に残念に思うわけであります。この点についての深い反省の上に立って、今後どういうふうに人権問題の国際的条約について取り組んでいかれるのか、お聞きをいたします。
 それと、その国際的条約の中で、先ほども触れられましたけれども、国際人権規約があるわけであります。念のために、国際人権規約を、A、Bがあるわけでありますけれども、締結をした国が何カ国あるのかもあわせてお答えをいただきたい。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、私が国会の外交演説で人権の問題を取り上げたいと思ったのは、これから出発点として、各種の人権に関する条約その他を片づけていきたい、こういう考えからでございます。
 事実関係については局長からお答えをいたします。
○大川政府委員 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の批准国は現在四十六カ国でございます。それからもう一つの、市民的及び政治的権利に関する国際規約の批准国は四十四カ国でございます。
○井上(一)委員 今回外務省がわれわれに提出をしている提出予定法案、条約のリストの中には、この国際人権規約が提出をする予定であるというふうに受けとめておるわけであります。そこで、重ねて外務大臣に特にお答えをいただきたいと思うのであります。
 国際人権規約について、外務省が予定法案として、われわれにもそのリストを提出してもらっておるわけでありますけれども、今国会に提出をする強い決意をお持ちであるのかどうか、外務大臣にお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 国会提出につきましては、やはり政府としては与党の御理解と御支援がなければできないという微妙な段階でございますから、その時期についてはいままで申し上げずにまいりましたけれども、外務大臣としては、今国会に是が非でも出させていただくよう諸準備を整え、いま党内の方々に御理解を願う努力をしておる最中でございます。何とかしてそのようにこぎつけたいと思っております。
○井上(一)委員 いまのお答えで、今国会に国際人権規約を提出するという強い決意であるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 そのとおりでございます。
○井上(一)委員 そこで、具体的な条約に関する幾つかの問題をさらにお尋ねをしたいわけでありますけれども、時間の関係でその点についてはまたの機会にいたしますが、とりあえず、今国会に提出するということであります。御苦労ですけれども、いろいろと準備等もしなければいけないと思いますけれども、ぜひ私どもも協力をいたしまして、内外ともに、日本が人権尊重国であるという形を示していただきたいと強く要望をいたしておきます。
 さて私は、続いて竹島の問題について少しお尋ねをしたいわけであります。
 御承知のように、日ソ間での話し合いの中で北方四島の問題については大変御苦労をいただいておるわけであります。すでに、北方四島については、当時の外務大臣であった宮澤さんなり、あるいは総理府長官なりが現地視察をなさってその実情をつぶさに見られたわけであります。私は、北方四島ももちろん日本固有の領土である、同時に竹島も全く同じ位置に置いておるわけであります。私が竹島も北方四島と同じく日本固有の領土であるということについて強い位置づけをしておることを申し上げて、竹島について外務大臣はどのように理解をしているのか、あるいは竹島をどのように位置づけておるのか、まずこの点についてお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 竹島が日本固有の領土であることは、これは当然のことであります。なおまた、これについては御承知のとおりに、両国間で話し合いで解決をしよう、こういうことになっておるわけであります。昨晩もこれが話題になりましたが、その内容は両方で外へ出さないということになっております。昨晩もそれが話題になりました。
○井上(一)委員 昨日も竹島問題で韓国と外務大臣がお話しになられた。中身についてはいま公表はできない。
 私は、日本の領土である竹島の現状を確認する必要があるんじゃないだろうか、確認をする必要がある。そういうことについて外務大臣はどのように現状を御認識なさっていらっしゃるのか、重ねてお伺いをいたします。
○園田国務大臣 現状は、竹島に韓国の警備隊が派遣をされて巡視しておる、こういう状態で、韓国がこれを占領しておる、こういうかっこうだと思っております。
○井上(一)委員 韓国の警備隊が占拠しておる、そういうような現状である。しかもわが国の領土である。そういうわが国の領土の中で韓国の警備員が占拠している。私は非常におかしな現象である、こういうふうに思うわけです。おかしな現象で済まされない。まずそういう意味でこの問題を解決する、あるいは現状を再確認をするという意味で、いかがですか、外務大臣みずから竹島の現状というものを視察をされる、国際的に問題を抱えておるわが国の領土の現状を視察をされる、そういうお考えをお持ちじゃございませんか、あるいは今後もし許すならばそのような現状をぜひ承知する必要がある、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
○園田国務大臣 承知をする必要があるとは存じますし、いまの御意見も十分考えて検討したいと存じますが、ただいま外務大臣は日中問題の解決だけに専念をいたしておりますので、その後にまた検討してみたいと思います。
○井上(一)委員 もちろん日中の重要な問題を抱えて、ここ早急な問題として現地を確認しなさいという考えでは私はないわけであります。北方領土と同じ位置づけに竹島を置くべきであるし、また、わが国固有の領土であるという認識の中で、わが国の領土に韓国の警備員が常駐するということは不法占拠である。わが国の領土に不法占拠を認めるということは、一日も許せない問題だというふうに私は考えるわけです。逆に韓国は、韓国の領土として既定事実化をしていこうという思惑ではないだろうかというふうにも思うわけです。
 改めて私は、こういう現状を、もし両国間でどうしても話し合いができ得ない、あるいは、最大限努力をして、もちろん、両国間で解決策を見出すということは非常に有効な手だてでありますから、よりそれを望むわけでありますが、万が一そういうことの解決方法が実現でき得ない場合には、わが国の強い姿勢として、国際司法裁判所にでも提訴をするという強いお考えを持っていらっしゃるのかどうか。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
そういう中で、この問題を両国間で話し合いをするために、早急に両国間の交渉に入るということが必要であろう、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでありますが、わが国は力をもって紛争を解決しないという憲法がありますので、これは話し合いで解決することになっております以上、最後には、御指摘のとおり、国際司法裁判所に提起するということも一つの手段でございますが、これにいたしましても両国合意しなければできないことでございますので、話し合いの雰囲気を壊さないように留意しつつ、御指摘のような、御意見のような方向に進めてまいりたいと存じております。
○井上(一)委員 昨晩この竹島の問題で話し合いがなされておるということですが、今後引き続いて竹島問題について両国間の話し合いをするというような予定、スケジュールがおありなんですか。
○園田国務大臣 先ほど申し上げました方針で、これを折に触れ話し合いを進めていかなければならぬと存じております。
○井上(一)委員 私はさらに強く外務大臣に、竹島問題もわが国にとっては大変重要な問題であります。一日もなおざりにせずに、早期に竹島問題を解決するために、今後ともの十分な努力を希望して、質問を終えます。
○奥田委員長代理 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 私は、昨日行われました佐藤・韓念竜の会談について伺っていきたいと思いますが、福田総理としては、このことに関連をして、「断じて交渉再開ではない。正式な報告を受けていないのでよくわからない」このような述べ方をしておられるわけですけれども、なぜ福田総理がこのように「断じて」というような強い表現で今回の会談の趣旨を打ち消されたのか、こういう点にわれわれはどうしても理解できないものがあるわけですけれども、外務大臣としてはこの点をどうとらえておられるのか、伺いたいと思うのです。
○園田国務大臣 昨日の会談は、総理のおっしゃるとおり、交渉再開ではございませずに、再開をするための前準備だ、こういうことで、総理と同じように私も考えております。
○中川(嘉)委員 交渉再開の前ぶれという事実の、そういう性格を持った昨日の会談であるにしては、「断じて」というこの使い方、これは表現のニュアンスもあるでしょうけれども、非常に感情的なものを感ぜざるを得ない。断じて再開じゃないんだ、そんな言い方をしなくても、これはいまおっしゃったとおりの表現で述べていくべきであろうし、総理なら総理のそういう新聞紙上の表現が、やはりもう即日中国側にも伝わっていくということを考えますと、そういった意味ではよほど慎重な発言でなければならないんじゃないか、こう思いますが、外務大臣として、やはりこの点に関連してですけれども、外務大臣御自身も、この会談をきっかけとして交渉が急テンポでは進まないという、こんなふうにもお答えになっているのを私は報道で拝見したわけですけれども、ここのところも、なぜそのような見通しを立てられたのか。先ほど御答弁の中に、現在外務大臣は日中問題に専念しておりますと、このように言われた立場から考えても、ちょっと理解し得ないものがあるわけで、交渉は急テンポでは進まないという表現ですね、この点が、どういうおつもりで言われたのか。このたびの佐藤・韓念竜会談が何かそのような感触があったのかどうか、言わなければならない感触が。あるいは従来のネックがそのまま打開できないでいるのか。先ほど来の御答弁で一応わかろうと私もしているわけですけれども、いま一度、何かそういうものがあるのかどうか、したがってそういう表現をお使いになったのか、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 御心配をかけるような発言を今後注意したいと思いますが、私が言ったのは、正式の記者会見、懇談会等ではなくて、懇意な記者の諸君が、あしたかあさってか予防注射しなくてもいいかと、こう言ったから、それに対して、そんな急テンポではいかぬ、こういうことであって、決してきのうの会談で何かひっかかりがあるとか、あるいはまた長引くとかいった意味ではございません。今後、言葉遣いには十分注意をいたします。
○中川(嘉)委員 それでは、次に伺いますが、外務大臣が訪中される場合、先ほども総理からの指示があればという御答弁がありますが、いずれにしても、訪中をされる場合に、条約の内容がすべて整合されて、そして署名調印を残すのみと、こういう状態において訪中をされるのか、それとも、大臣が北京においてこの条約内容の整合について直接交渉を行われるのか、この辺はいかがですか。
○園田国務大臣 まだ具体的にはお答えする段階ではございませんけれども、友好条約締結の交渉が再開をして、そして私の必要な時期に私は出かけたいと、こう思っております。
○中川(嘉)委員 そうすると、その必要な時期そのものが整合された上での時期であるのか、あるいは北京へ行かれて、そしていろいろと交渉、条約内容についてやはり大臣みずから詰められるといいますか、まあ事務レベルは別としても、そういう作業をしなければならない時期であるのか、その辺は何とも言えない、こんなふうに私も理解するわけです。
 まあこの次の問いに対しても、あるいはどんなものかと思いますが、では調印式ですね、この調印式が果たして東京で行われるのか、北京で行われるのか、こういったこともぜひお聞きしてみたいし、また、日ソ共同宣言のときは鳩山元総理が直接訪ソして、そしてモスクワで調印式がとり行われた、こういう先例があるわけですけれども、日中平和友好条約の調印式には総理みずから調印を行うことも考えられるかどうか、この点いかがでしょうか。
○園田国務大臣 仮にという前提でございますけれども、この条約が締結されるときに北京でやるかどこでやるか、あるいは総理がお出かけになるかどうか、こういうことは、これもやはり、向こうとこちらの相談の上、決まることであり、総理の判断で決まることでございますから、いま私がうかつなことは申し上げぬ方がいいと存じます。
○中川(嘉)委員 これは私の意見としてでございますが、やはり中国を日本が侵略した、そして、この条約をもって法的な立場から、戦争状態に最終的な終止符が打たれるんだ、こういうことを勘案して、しかも、やはり総理が行かれるなり、調印をされるなりという考えに立つのが国際礼譲じゃなかろうか。こういうことも私の意見としてここで述べておきたい、こう思うわけです。
 この際、もう一つお聞きしたいことは、今日までのところは、政府要人が中国側からこちらへ来日したということは余りないように思います。もちろん中日友好協会の会長等は別としても、いわゆる政府要人、こういう人たちが中国から来日したというケースは非常に少ないと思いますけれども、中国側からも最高レベルの要人を招待する意向があるかどうか。もし調印が東京で行われるような場合には、ケ小平副主席等も招待することもあり得るのかどうか。との辺の質問に対しても、いまの段階では、先ほど米のあれからしましても、御答弁はいかがかと思いますけれども、大臣の感触として伺っておきたい、こういうように思います。
○園田国務大臣 条約締結の場所はどこになるかわかりませんが、それにしても、中国の政府要人がおいでになることは歓迎するところでございますので、そういう時期が来れば招請をするにやぶさかではございません。
○中川(嘉)委員 日中平和友好条約の締結によって、日中間の問題というものは、すべて最終的に解決をされるものと私は思いますけれども、いまこのことに関連をして参考までに二、三伺っておきたいのですが、その第一点は、在日の中国人の法的な地位、これが一体どうなるか。中華人民共和国国籍を取得した者以外の中国人、こういう人たちは法的に無国籍となるのかどうか、この辺をまず伺いたいと思います。
○中江政府委員 まず最初に申し上げておいた方がいいと思いますのは、日中平和友好条約という条約そのものは、、そういった在日の中国人なり、台湾出身の方の地位には何ら影響を及ぼさない、条約の性格上、そういうこととは関係がないということをはっきりしておいた方がいいと思います。
 それでは、そういう人たちの地位はどういうことで定まっているかといいますと、これは、一つは日中正常化のときに出されました共同声明によりまして、日本が、中国の唯一の合法政府は中華人民共和国政府であるということをはっきりいたしました、その法的効果というものは、当然に及んでくる。いま先年がおっしゃいましたように、中華人民共和国の国籍を有する者は、日本の国内法制の取り扱い上、日本が承認する国の国籍を有する者として取り扱われる。そういたしますと、御心配の、台湾の出身の人あるいは戦前は日本人であって、終戦の結果として日本の国籍を離脱はしたけれども、後の始末がはっきりしない、そういう人たちの法的地位はどうかという問題でございますが、これは冒頭に申し上げましたように、平和友好条約とは無関係でございまして、これを律するものといたしましては、御承知だと思いますけれども、サンフランシスコの平和条約の発効に伴いまして、昭和二十七年四月二十八日に日本国籍を離脱した人たちのうちで、昭和二十年九月二日、つまりミズリー号で降伏文書を署名しました降伏以前から日本に引き続いて在留している者、これが多くの元日本人で台湾系の人だと思いますが、こういう方は、昭和二十七年の法律第百二十六号という特例によりまして、入管令に基づく在留資格を有することなくそのまま在留が認められている。こういう地位でございまして、その地位にはその後変わりがなくて、この処理に直接当たりますのは、法務省の入国管理局でございますけれども、そのとき以来一貫しましてこの法律百二十六号の適用を受ける者というステータスのまま続いているというのが現状でございます。
○中川(嘉)委員 第二点として、犯罪人等の退去強制の場合、その送還先はどうなるか、この辺はいかがですか。
○中江政府委員 これは主管であります法務省の権限ある御答弁があるといいと思うのですが、私どもの承知しておりますところでは、入管令に基づきまして、送還先が幾つか法律で定められておりますし、その中で該当するものに送還しようという場合に、本人がそれを拒否した場合には、いままでの扱いでは、人道的な考慮から本人の自由意思を尊重して、できればその自由意思に基づく送還先に送還するという手続がとられておるように承知しております。いずれにいたしましても、案件ごとに処理してきているというのが実情だと聞いております。
○中川(嘉)委員 きょうは時間に制限がありますので、こういった問題については今後また一つずつ詰めていきたいと思いますが、項目的に聞いていくとするならば、もし、わが国において台湾の独立運動のような政治運動といったものが仮に行われた場合に、政府はこれに対してどのような措置を講じられるか、こういったことについてもこの際聞いておきたいと思います。
○中江政府委員 現段階におきましては、全くの仮定の御質問のように私は受けとめざるを得ないわけでございますけれども、日本国憲法の保障しております思想、集団あるいは結社その他の自由の問題との兼ね合いがあろうかと思いますが、ただ、一つの国に対する批判的な言辞があるということだけでは、これは御承知のように、日本では自由が相当広く認められておりますので、どういう措置がとられるかわかりませんが、現段階では、私どもはいまおっしゃいますような台湾独立運動というようなものが日本で現実具体化してくるというようなことは考えておりません。
○園田国務大臣 ただいまのことについて、仮定でございますから、私が口を出すのはいかがかと存じますけれども、誤解を受けてはなりませんので、いま中江局長が答弁いたしましたが、なお日本としては、一九七二年の日中共同声明第三項がございますので、誤解のないように申し上げておきます。
○中川(嘉)委員 いま御答弁いただいた第三項について、それではこの際ですから、関連して伺っておきたいと思いますが、この日中共同声明の第三項の台湾条項に対する従来の日本政府の解釈ですね、これに全く変化がないかどらか、台湾は明確に中華人民共和国の一部であるということを認めたと理解していいかどうか、現実に中華人民共和国の権力は台湾に及んでいないという現状ではあるけれども、法的にどうかということについて、伺っておきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいま申し上げました第三項は、中華人民共和国政府の言い分と立場を十分理解する、そして「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」このように約束していることでございますから、これは議論の余地がないところと存じます。
○中川(嘉)委員 そうしますと、台湾問題をめぐっては、将来日中間に問題が発生をするおそれは全くないと解していいかどうか。日中共同声明では、台湾の地位について若干不明確な点があると思うので、明らかにしておきたいと思います。
 すなわち、日中平和友好条約においては、台湾は中国領土の一部であるという前提で当然締結されるものと理解していいかどうか、その点、いま一度。
○中江政府委員 これも、先ほどの台湾糸の在日外国人の取り扱いの問題と同じでございますけれども、日中平和友好条約は、将来にわたる日中間の平和友好関係を律する条約でございますので、戦後処理的な要素は一切入らないということについては、日中間に誤解はないわけでございます。したがいまして、領土問題としての台湾の地位といいますものは、一九七二年九月二十九日の日中共同声明の第三項によって定められたものがそのまま有効に存在するわけでございますし、日本政府といたしましても、その共同声明に基づいて今後とも日中関係を発展させていく、こういう立場に変わりはないわけでございますので、いま御心配のようなことは、この条約に絡んでは出てこないし、また条約のあるなしにかかわらず、台湾の地位というのは共同声明ではっきりしている、こういう立場でございます。
○中川(嘉)委員 最近の新聞紙上でもって条約の日本案なるものが報道されたわけですけれども、こういったものが本物であるかどうか、正確であるかどうかは別として、これは一つの参考としてただしておきたいと思いますが、それは、日中共同声明第七項の覇権条項ですね。このところで、「このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。」こう出ております。ところが草案の方を見てみますと「反対である」こういうふうに出ているわけですけれども、「反対する」という日本語と、「反対である」という日本語は、その解釈においてどのような相違があるかという点ですね。感覚的には、「反対する」というときには積極的な、行動的あるいは能動的、こんなものが感じられますけれども、「反対である」というときは、どちらかというと静止的な、一般論的というかの意思表示ですね、そんなふうに受けとめられるわけですけれども、こういうニュアンスに私としては受け取っているわけですけれども、先ほど来申し上げておるところの、「反対する」というのと「反対である」という、この表現の違いがなぜ出てきたのか、また政府としてはどのようにこれを受けとめておられるのか、この点はいかがでしょう。
○中江政府委員 いま御質問の中で御引用になりました日本案と称するものは、恐らく新聞紙上で報道されたものを根拠にしておられると思うのですが、そういうものは一切外には出ておらないわけでございますので、それを前提としての話というのは、これは私どもとしてはできないわけであります。
 他方、共同声明にあります条項を、特に第七項をどういうふうに条約の中に入れるのか入れないのかという問題は、久しく議論されておりますが、これは条約交渉の中身に入る問題でございますので、いまの段階では申し上げることはできない、ただ、日本政府としては共同声明は忠実に遵守するというこの立場には変更がないということだけははっきり申し上げられる、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 御趣旨はよくわかりますけれども、こういった言葉の問題に余りとらわれ過ぎるということもどうかと思いますが、また別の角度から言えば、非常に重要な問題、また両国間の、たとえば誤解等も生まないとも言えないわけですし、こういった日本語独特というか、この違いですね。中国語の場合にもこういうような微妙な言葉の言い回しができるのかどうか。したがって、この本意がそういう場合に理解されるかどらかという問題も出てきますし、またロシア語の場合ですね、これは御答弁を語学の立場からいただかなければならないかと思いますが、ロシア語の場合でもそういうニュアンスが理解されるのかどうか、そういう使い分けでですね。ソ連に対して、覇権条項がソ連を対象とするものではない、そうして一般的な表示であることを理解させ得ると考えられるかどうか、もしこういった誤解が出た場合を想定してですね。いや、日本語的にはそういう表現はあるのだけれども、どうも中国語とかロシア語の場合にはちょっとそこまで細かい表現はむずかしいのだということではよけい混乱するのではないかと思いますが、この点について御意見を伺っておきたい。
○中江政府委員 私は残念ながら中国語の専門家でもロシア語の専門家でもないので、言語学的にといいますか、語学的には御説明が不十分になるかと思いますが、いま御指摘の点は非常に機微な点でございますので、条文をこれから交渉する段階に入りますれば、当然私どもは、そういう点について誤解のないように、最善の努力をするということを申し上げるにとどめたいと思います。
○中川(嘉)委員 これから伺うことは、もっと冒頭に伺ってもよかったのですが、政府は、国民の理解を求めるために条約内容の要綱だけでも発表をすべきではないかと私は思います。国民は、現在日中間で問題となっているのは覇権問題だけに、しぼられているのか、それともそれ以外に重要な問題があるのかを知らされていないということで、交渉がどういう段階にあるのかも判断できない、こんなような状態ではないかと思いますが、そういった立場からも、この条約内容の要綱を発表すべきではないかと思います。要綱だけでもという私の質問なんですけれども、この点はいかがですか。
○中江政府委員 いまの段階では、先年の御指摘になりましたような要綱を発表できるという段階ではないと私ども思っておりますが、他方、日中平和友好条約がどういったたぐいのものであるかという点は、これは日中共同声明が出されました直後の北京のプレスセンターにおける記者会見の席上、ある程度大筋が明らかにされていると思います。といいますのは、当時の大平外務大臣が記者団からの質問にお答えになりまして、ここで言う平和友好条約というのは、日中間の将来にわたる平和友好関係を規律する基本的なものを盛り込むもので、共同声明の第六項の延長線上のものだという考え方を述べておられるというのが一つと、それから、第七項のいわゆる覇権反対条項のところにつきましては、これは日中両国が将来の日中関係を発展させる上においての一つの道標である、道しるべであるという言い方をしておられます。そういったものが日中平和友好条約の骨子になるであろうということは、当時から認識されているところであろうと思いますし、そのことにはいまも変わりがない、こういうことで御理解いただければと思います。
○中川(嘉)委員 外務大臣に伺いますが、過日大臣が訪ソされたときに、要路の人たちと会われたと思いますが、その際に、日中平和友好条約についても当然話し合われたのではないか。
 そこで、ソ連側の日中平和友好条約についての態度ですが、これはどのようなものであったのか、依然として反対である態度は変わらなかったのか、それとも理解を得られなかったのか、こういったことについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 日中友好条約は日本と中国のやるべきことでありますから、第三国からの意見を承るつもりは私はない、ただし向こうから質問があれば答える、こういうつもりで出かけてまいりましたが、会談の中途でグロムイコ外務大臣から、中国という言葉は出ませんでしたが、隣接の南の国が日本をそそのかして自分との争いの中に巻き込もうとしておる、こういうことは注意されたがよかろう、こういう話がありましたから、ちょっと待っていただきたい、お話は聞いたけれども、これは私の決するところであって、他国の意見に従ってやるべき筋合いではない。ただし、一言申し上げておきますが、中国と日本の間には近い時期に友好条約は締結するという決意だけ申し上げておきます。こういうことでしたから、そう言ったら向こうがその理屈はもっともだ、こう言いましたが、それは私の理屈がもっともだというだけで、日本と中国が友好条約を締結することを理解したり好んだりしているはずはない、こう思いますけれども、しかし私は、これは第三国の理解を求めてやるべき筋合いのものではないという決意に変わりはございません。
○中川(嘉)委員 その際、訪ソされた際ですけれども、ソ連側が善隣協力条約の内容を大臣に手渡したそうですけれども、その中にこの覇権条項が含まれていたかどうか、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 予算委員会でも質問を受けたわけでありますけれども、私が領土問題をしつこく迫っている最中、向こうから書類を持ってきまして、私のテーブルに善隣友好協力条約と称するものを持ってまいりました。そこで、私は出発する前に、何か日本の考えている平和条約とそれからソ連の言い分との間に何か出す気配があるということを考えておりましたので、こちらも平和条約の試案を準備しておりました。向こうが届けてこようとしましたから、事務当局に、持ってきたかと言ったら、持ってきていると言うから、すぐ出せとこういうわけで、両方から同時にとったわけでありますが、これに対して私は善隣友好条約は受け付けません。すべては四島一括問題を解決をして平和条約を締結することが先決問題であります。しかし、届けられたからこの書類を突っ返すということはしません、向こうも突っ返しませんでしたから。そういうことでございますので、その内容について私が公開の席上で申し上げると、あたかも日本の政府がこれを正式に受け取って検討したかのごとき印象を与えては今後いい影響はないと存じますので、その内容についてはお許しを願いたいと思います。
○中川(嘉)委員 この日中平和友好条約を締結した場合、何らかの形で外交上あるいはまた経済的な報復ということについてどのような感触を持たれたか。報復という場合は、相手国そのものはこれが報復行為であるということはこれは明らかにすることはないと思いますけれども、たとえばサケ・マス交渉、あるいは日ソ間の漁獲量等に関して、日中平和友好条約を締結することによって影響が出てくるということも考えられないことはないと思うのですけれども、大臣はどのように判断しておられるか。また政府がソ連の報復が考えられないとよく言われますけれども、具体的に何をもってそのようなことが言えるのか、この点もこの際あわせて御答弁をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 的確な答弁にならないかもわかりませんが、私は二つ考えております。
 一つは、脅威あるいはおどしということはおどす方よりもおどされる方がびくびくするからおどされるということが一つと、もう一つは、こちらが何か害意を持ったり敵対行為をすれば別ですが、日本の国民から見ても中国の国民から見ても、世界の全世界の人々から見ても、ソ連がどうやるか、これは私は的確にここで申し上げるわけにまいりませんけれども、あれはソ連の方が、日本はあれくらいやっているのにソ連の方が無理だと言うか、あるいは日本がああいうソ連に対してひどいことをやったからソ連がやるのがあたりまえだと言うか、この兼ね合いだと考えておりまして、私は、正当に日中共同声明の線に従って、アジアの平和と繁栄のためにまじめにやるならば、それは正しいことは通るべきだ、こういう考え方でございますので、これをもってお答えにかえさしていただきたいと存じます。
○中川(嘉)委員 まことに理想的この上ない御答弁だと思うのです。ただ、われわれもそれは当然そう期待もし、望むわけですけれども、やはりこういった、いま私が御質問したような要素ですね、そういったものも当然、これは常日ごろから勘案していただかなければならないのじゃないか。いま大臣が御答弁になったとおりすべてがうまくおさまれば、これは外交も何もあったものじゃない。はっきり言って何ら心配することはないわけなんで、その点もう少し、いまの御答弁を尊重いたしますけれども、やはりそのような報復行為そのものの存在といいますか、可能性と言った方がいいかと思いますが、十分ひとつ勘案していっていただきたい。このことをしっかり要求しておきたいと思います。
 時間がありませんので、最後にもう一点だけ伺っておきますが、大臣が一月二十六日に自民党の外交調査会ですね、この席で、日中平和友好条約はアメリカ戦略の一部である、こういうふうに述べられたわけですけれども、あるいはもう予算委員会等で出ているかもしれませんけれども、いま一度これは念押ししておきたいと思うのですが、私としては、この発言はやはり重大な外交上のミスじゃないか、このように思います。
 このような見方は、まさに、はっきり申し上げて与党内の一つの有力な見解じゃないだろうか、こんなふうに思うわけですけれども、あの発言は、日中平和条約を日米中の三国の軍事的条約の一環であることを外務大臣みずからが認められたと解される、このように言わざるを得ないわけですけれども、ソ連は、日中平和友好条約は日中軍事同盟であると規定しているのを、やはり外務大臣が、アメリカ戦略の一部という発言でもってまさに裏づけたといいますか、この軍事条約であることを裏づけしたような感なきにしもあらずだ。ソ連の日中平和友好条約に対するかたい態度が、さらに硬化していくのではないかとも私は考えられる。私は、こういうことをここでべらべら言うつもりで実は言っているのじゃないのです。本当はここでこの際、大臣がこの席で公式に明確に釈明されることをむしろ求めたい、こういう意味で発言しているわけですので、誤解のないようにひとつこの点も御答弁に結びつけていただきたいと思いますが、舌足らずであったとか説明不足であったというようなことだけでは、私はあのときの大臣の発言は余りにも重大だと言わざるを得ないわけなので、先ほど申し上げたように、一たび新聞に出てしまいますとやはり即刻ソ連に通じてしまう、伝わってしまうということも十分勘案して、明確なひとつ釈明といいますか、この際、御答弁をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 私が与党の外交調査会、外交部会の合同委員会で申し述べましたその言葉は、前後を簡単に説明いたしますると、アメリカの軍事的な戦略の論議が行われておったわけではなくて、私に対して与党の一員から質問があって、日中問題に対して日本と米国の関係はどうなんだ、米国はやるならやってもいいよという無関心なのか、それとも日中の友好条約を締結することをアメリカは好んでいるのか、アメリカの戦略から言えばどうだ、こういう戦略という言葉が出てきたわけであります。
 そこで私は、アメリカは世界の平和というものを目的にいろいろやっております。その平和の一つのかなめであるアジアの平和、繁栄ということは、日本と中国が緊密に提携をし、平和と繁栄とに向かって安定した体制をとることが必要であるので、アメリカは勝手にやれ、おれは知らぬぞという態度ではなくて、やはり日本が中国と友好条約を進めていくことはこれは支持するものである、こういう発言をしたのが、その中に戦略という言葉が一つ出てまいりましたので、私がアメリカ戦略の一環である、こういうふうに言ったというふうに伝えられたわけでありまして、今後十分注意をしてそういう場合にはお答えすることにし、御好意ある質問に感謝をいたします。
○中川(嘉)委員 時間ですので終わります。
○奥田委員長代理 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 先ほど外務大臣は、いま私は日中問題に専念しているというふうにおっしゃいました。私はその大臣の決意に大変敬意を表したいと思いますし、同時に、大臣の御努力でぜひとも今日の日中関係前進を図っていただきたいと希望いたします。
 そこで質問をさせていただきますが、佐藤大使と韓念竜中国外務次官との会談では、昨日北京で行われた会談におきまして、日中平和友好条約交渉再開に際しては、この問題については中国側はいつでも受けて立つというような意向表明がなされたというふうに伝えられております。ということは、政府としては交渉再開へ踏み出す決断をいま迫られているというふうに理解してよろしいのではないかと思います。特にいまボールが投げ返されておりまして、そのボールは園田外相、あなた御自身の手の中にいまあるということでございます。やはりこのタイミングを逃してはならぬと思います。この点につきましてどのようにお考えであるのか、改めてお伺いをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 昨日の一時間四十分にわたる両者の会談の内容は、お互いに外へ出さないことになっておりますが、いま仰せられました、中国はいつでも受けて立つという情報は、佐藤大使が会談後の記者会見で言ったことから流れてきた情報であると推察をいたしますが、佐藤大使が言いましたことは、韓念竜氏と会談の後、中国も交渉再開について前向きであるという感触を受けた、こういう趣旨の、意向のものでございます。
 そこで、いずれにいたしましても、ここではっきり申し上げるわけにまいりませんが、交渉再開に向かっていい方へ進んできたということは間違いないことだし、またそういう推察もしていただけると存じます。まさに機は熟してきた、こういうように官房長官は言っているわけでございますが、大事な時期でございますから、取り違えがないように、そしてまた判断、措置等に誤りがないようにこれを進めていく決意でございます。
○渡辺(朗)委員 そこで、最近の両国間の貿易関係あるいは経済、技術協力関係、こういった点についてお伺いをしたいと思います。
 これらの経済関係を進めることは、日中の条約交渉に対しては大変プラスになる要因だと私は思います。これに関連をいたしまして、さきに私は外務委員会で質問をさせていただいたことがありますが、日米政府間交渉によってココムの対中国禁輸基準緩和、これが図られた、そして懸案であった日本製の気象観測用大型コンピューター、これが中国向けに輸出がやっとできるというような事態が来た。これは大変喜ばしいことであります。今回また国鉄及び三菱だと聞いておりますが、共同開発によるコンピューターつきの操車システムの中国向け輸出が明らかにされております。このことについて、一つは、今後コンピューターに関してはココムによるところの対中国禁輸条件というものは大幅に緩和されたと理解してよろしいものかどうか、まず、この点をお聞きしたいと思います。
○手島政府委員 お答え申し上げます。
 一般論として申しますと、ココムの禁輸は緩和の方向にございますけれども、最近コンピューター全般について緩和の方向にあるということはないと思います。
○渡辺(朗)委員 それではこの際お聞きいたしますけれども、国鉄の操車システム、これにコンピューターがついている、この三菱電機によるコンピューター、これはココム禁輸リストにやはり触れることになるわけでございましょうか。その点、お聞きいたします。
○手島政府委員 先生の御指摘になりましたコンピューターについては私どもまだ聞いておりませんので、果たしてそれがココムの対象になっておるものかどうかは存じておりません。
○渡辺(朗)委員 ぜひこれは至急に調べをしておいていただきたいと思います。次回にぜひ聞かしていただきたいとまず希望を申しておきます。
 私はなぜこういう問題を取り上げるかといいますと、外務大臣、ぜひお答えをいただきたいのです。今回、日中の長期貿易取り決めがいま実現しようとしているやさきでございます。そこに再びまたアメリカ側から、わが国の輸出入銀行の対中国輸出延べ払い条件の緩和について反対が申し入れられたと伝えられております。まず第一番目に、そういう事実があったのかどうかをお聞きしたい。それからまたさらに、そういう事実があるならばどのように対処していかれようとするのか、それを大臣にお尋ねをしたいと思います。
○園田国務大臣 先ほどのコンピューターの問題、国鉄の問題、特に昨日出発をいたしました稲山団長を初めとする日中の長期貿易協定の問題は、私は日中両国間にとって非常にいいことであると高く評価をいたしております。そこで私も、同じように新聞を拝見しましたので、省内の関係幹部を集めて、米国からそういう要求があったか、そういう希望があったか、調べましたところ、これについて禁輸をどうのこうのという意向は米国から全然ございません。
○渡辺(朗)委員 先ほど大臣は、日中の問題は他国の意見を聞いてやるべきことではない、これは私の意思でやるとおっしゃいました。万が一そのような横やりが入るというようなことがあった場合には、はっきりと反対をしてもらう、これを拒否してもらう、その態度が必要だと私は思いますが、いままですでにコンピューターの輸出に関してございました。今後もないとは言えません。それだけにあらかじめ私は大臣の御意思、これを聞いておきたいと思います。
○園田国務大臣 この問題に対する米国からの申し入れは全くございませんということは事実でございますが、日本は各国と禁輸についての紳士協定がございます。それについては詳細は事務当局から申し述べさせますが、この問題が一つ絡んでくることは事実でございますが、これについては、私としては中国と日本の間に何らかの方法を考えてみたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 私はその紳士協定の問題、また後でお聞きするとして、先にちょっと大臣にもう一つお聞きをしておきます。
 これまた三月に予定されているOECDの貿易委員会で、改めて延べ払い条件の引き上げを米国は提案する見通しが強いという報道がございました。このような見通しはございますか。これもまたないのでございましょうか。
○手島政府委員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおり、OECDの加盟国のうちのほとんど全部が集まりまして延べ払いの最低金利及びその期間につきまして一種の紳士協定を結んでおります。この紳士協定は一九七六年の七月より存在いたしておりますが、当初一年間の予定でできておりましたのが、その後そのまま単純に延長されております。この紳士協定を変更しようという動きが昨年の秋からございまして、数回会合をいたしております。またごく近いうちに、パリにおきまして関係国が集まって意見を交換する予定でございます。その内容につきましては、各国それぞれいろいろな見解を出しておりまして、まだ必ずしも、どの段階でどういう合意ができるであろうかということにつきましては見通しは立っておりません。
○渡辺(朗)委員 先ほど、コンピューターについては何もなかったという大臣の御答弁がありましたが、いかがでしょうか、昨年の秋、クーパー国務次官が日本側の代表と話し合いをされたときに、共産圏向けの輸出信用の問題について、その条件については申し入れがあったのではございませんか。そしてイタリア、フランスよりも厳しい輸出信用条件の適用を、中国に対してはやるべきだという申し入れが日本にあったのではございませんか。
○手島政府委員 お答え申し上げます。
 私が申し上げておりました紳士協定といいますのは、相手が自由圏であろうと共産圏であろうとにかかわりなく、高所得国、低所得国及び中間所得国、この三つのカテゴリーに分けましてそれぞれ条件を決めてございます。
○渡辺(朗)委員 この紳士協定というものですけれども、これは道義的な拘束力はあるとしても法的な拘束力はないわけですね。そのように理解しておいてよろしいのですね。
○手島政府委員 仰せのとおりでございます。
○渡辺(朗)委員 先ほどの私の質問、クーパー国務次官から、中国に向けての貿易拡大を日本が図る、それに対して厳しい輸出信用条件というものの申し入ればあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
○中江政府委員 私どもは承知しておりません。
○渡辺(朗)委員 これは承知しておられないということと、実際問題としてそういう動きがこれから出てくるかこないかということ、ここら辺の関連性を、私ちょっと大臣にお尋ねしたいのですけれども、いまECとの間でもなかなか厳しい経済問題がある。そういう中で私が心配するのは、アメリカ側の方から黒字国責任、あるいはまたEC側の方からも日本に対して、黒字責任の問題という形で日中貿易に対しての、それが拡大されることに対するチェックが加えられてくる、その可能性はありやなしや、そこら辺のことを心配しております。大臣の見通しはいかがでございましょう。
○園田国務大臣 ただいま事務当局が説明をいたしました紳士協定のガイドラインはグローバルな問題でございまして、特に中国に対しまして米国、ECが注文をつけることはいままでもありませんし、これからもあり得ない、それによって動くべきではないと考えております。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、重ねてお伺いいたします。
 中国側からは輸銀の延べ払い、それの緩和の要請があったと聞いておりますが、これは事実でございますか。
○中江政府委員 いままで中国側とこの種の話をしております民間の団体からは、いま先生が御指摘のような形で、あったということは私どもは聞き及んでおりません。
○渡辺(朗)委員 報道されているのは、非公式にそういう折衝をしているところにあったというわけです。それは外務省の方では関知しておられないということになりますが、非公式なものとしても全然関知しておられませんか。
○中江政府委員 非公式なものとしてでも関知していないということになろうかと思いますが、政府の立場は、毎回そうでございますように、民間の話し合いがまとまるまでは、それを黙って見ているというのが通常でございまして、いまの特定の中国側の要請という形では聞いておらない、こういうことでございます。
○渡辺(朗)委員 そうすると、OECDの紳士協定、これも守っていかれますね。まず、そこをちょっと聞いておきます。
○手島政府委員 OECD加盟国でつくっております紳士協定は、これを遵守していくというのが政府の立場でございます。
○渡辺(朗)委員 そうすると、それよりも低い条件あるいは中国側にそれよりも好ましい条件、こういうものが提示されたとき、どういうふうに対処されますか。
○園田国務大臣 法的効果があろうが、道義的効果であろうとも、一遍結びました紳士協定は遵守したい、またしなければならぬと考えております。しかし個々の問題で金融の問題で話があれば、そのほかにいろいろ考える点もあると思います。しかし、この公開の席上で聞かれて、紳士協定は守れませんとか、あるいは、こういう方法がありますとかと言うわけにはまいりませんので、必要であれば個々にお話をいただくか、その他の場所を与えていただけば結構でございますが、公開の席上の答弁はこれ以上に出るわけにはまいりません。
○渡辺(朗)委員 大臣のそのような御答弁でこの問題はそれとしておきます。
 ですが、私は大臣にお願いしたいのです。確かにOECDの紳士協定、これも大事に守らなければならぬでありましょう。かといってまたアメリカから再びいろいろな条件がつけられたとき、これもまた守らなければならないというような、さまざまな注文やら横やりが入ってきたときに、それを尊重するの余り日中の貿易関係すら前進させられないならば、私は日中の平和友好条約の前進はあり得ないと思います。ですからむしろ、私は自主的に日本の立場でやるのだという大臣の決意のほどをひとつ聞かせていただきたい。それなくして、こそくなさまざまな手段でもって苦境を切り抜けるというようなことがいろいろ民間伝えられております。たとえば、海外協力基金の資金と抱き介わせにするか輸銀の資金を抱き合わせにして、中国側の方にというような話を持っていこうとか、あるいは政府の外為特別会計のドルを輸銀に預託して云々というような話もあるとか、いろいろなこそくな手段があるでしょう。しかし、そのこそくな手段で切り抜けるような発想では、日中の問題を前進させることはできない。私はその点を外務大臣にひとつ決意のほどを聞かしていただきたいのであります。
○園田国務大臣 ただいまの御意見はしかと理解をいたしました。日本としては約束をいたしました紳士協定は遵守する方針でございますけれども、約束をしない個々の注文をどこの国からつけられても、私が大臣在任中は、それによって右左することは断じてございません。日中貿易問題についてはあらゆる手段を講じてまいりたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 時間が参りましたのでやめさせていただきますが、再度、日中の平和友好条約への前進、そしてまた前向きな一歩の踏み出しというものは、こういった実務的な問題に対してもはっきりと対処することが大切だ、この点を外務大臣にぜひお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○奥田委員長代理 寺前巖君。
○寺前委員 私は、日本の新聞紙上で最近問題になりました「横須賀母港の空母ミッドウェー艦載機核装備を示唆」ということで、クレーター米海軍長官なりあるいはハロウェー米海軍作戦部長の報告が日本の国民の間に大きな話題になりました。これに関連する一、二の問題についてお聞きをしたいと思います。
 この質問に入る前に、ちょっとお教えをアメリカ局長にお願いをしたいと思うのです。今日、アメリカの核戦力は、B52、ポラリス潜水艦、ICBMであるというふうに米国防報告を見てもうかがえるのですが、それで間違いないでしょうか。
○中島政府委員 先生のお説のとおりであろうと思っております。
○寺前委員 そうすると、戦略核戦力はそれであるということと、各部隊なりあるいは各艦船なりが戦術核兵器を装備して展開するという問題とは、これは別の次元の話ですね。それぞれの部隊なり船が核装備をするということはこれはあり得ることですね。いいですか、アメリカ局長。
○中島政府委員 軍事的にはおっしゃられるとおりだろうと思います。
○寺前委員 そこで、二月七日のクレーター米海軍長官が、ミッドウェーはベトナム戦争における空からの制圧のための、またわれわれの戦略的抑止の一部としての核攻撃用の母艦、さらに対潜水艦作戦の母艦として就役してきた、こういう発言を核装備問題についてやっておられるわけですが、ハロウェー海軍作戦部長の発言などを総合して、この七日の発言というのは、艦載機の核装備を示唆したというふうに受け取れるのですが、それで間違いないですか。
○中島政府委員 お答え申し上げます。
 まず、二月七日のクレーター海軍長官が下院の軍事委員会で行いました証言は、航空母艦の能力の変遷ぶりをミッドウェーを例にとって一般的に説明したものであるということでございます。
 そこで、その際に、同じくハロウェー海軍作戦部長が証言をしておるということで、これも新聞で取り上げられているところでございますが、この点につきましては、ハロウェーの証言を取り寄せて検討いたしましたところ、たとえば新聞で取り上げられておりますところのハロウェーの証言の中に、空母の艦載機は、通常兵器であれ核兵器であれ、さまざまな兵器により陸上の目標を攻撃できる、というような記述がありますが、この部分は検討いたしましたところ、戦力投入の問題に触れた個所で、戦力投入の一手段としての空母の艦載機の役割りに言及したものであって、空母の艦載機が、核兵器を初めとして、さまざまな兵器によって陸上の目標を攻撃する能力を有するという一般的な説明を行ったものだということで、いずれにしろ、特定の空母の艦載機が核装備をしているかどうかという点に触れたものではないというふうに理解されます。
 また新聞では、同じくハロウェー証言の中に、もし米国が海で戦って勝利し得べきであるとすれば、米海軍が核兵器を使用する能力を維持することが緊要である、というくだりがございますが、この部分も、アメリカの海軍の戦術核兵器能力に言及した個所で、ソ連との間にさまざまな形の海戦の可能性を検討しつつ、アメリカ海軍にとって核兵器の使用能力を維持することが不可欠であるということを述べただけで、特定の空母の核装備の問題とは関係がないというふうに考えられます。
 またさらに、ハロウェー証言の中では、海軍の戦域核能力は、制海及び戦力投入機能の双方に対して有機的な関係にある、というくだりがございまして、この点も問題となっておりますが、私どもが検討した限りでは、この部分は海軍における戦域核の問題に言及しながら、戦域核の能力が制海と戦力投入機能の不可分の一部をなしていることを一般的に述べたまでであるということで、これも特定の空母の核装備とは直接の関係がない。
 総じまして、クレーター証言といいハロウェー証言といい、ミッドウェーという特定の空母が核装備をしているということとは関係がないというのが、私どもの判断でございます。
    〔奥田委員長代理退席、大坪委員長代理着席〕
○寺前委員 いまいろいろのことを言われましたが、しかしいずれにしたって、ミッドウェーの例示をとって、われわれの核戦略抑止の一部として核攻撃用の母艦にしたということは、発言としては明確に記録されている内容だと思うのですよ。そして二日後に、これをめぐってアメリカで訂正がなされたということが報道されたわけですよ。ですから、訂正をしなければならない事態が生まれたということは事実だと思うのですが、それは訂正されていないとおっしゃるのですか。どの点が訂正されたんですか。
○中島政府委員 論議の正確さを期するために、まず第一に、二月の七日の最初の下院の軍事委員会におけるクレーター海軍長官の証言のその先生の御引用の部分は、先生たとえば母艦というような表現がございましたが、私どもの理解しているところに従って訳しますと、こういうことになるかと思います。まずそれは、ミッドウェーはベトナム戦争における航空阻止のための場として、かつわれわれの戦略抑止力の一部としての核攻撃用航空機のための場として、また対潜水艦戦の場としての役割りを果たしてきた、こういうことになるかと思います。
 さらに先生御指摘の、二月の九日のクレーター海軍長官のアメリカの上院の軍事委員会における発言につきましては、在米大使館からの報告によれば、まず、ミッドウェーは現在戦略抑止力の一部として使用されているかという、ハートという議員さんの質問に対してクレーター長官が、かつて一九五〇年代の朝鮮戦争時に地中海においてそのような任務を果たしたことがあるが、現在は戦略的任務にも、また報復力としての任務にもついていない、ということを述べられたというふうに理解いたしております。いずれにせよ、これら二つをひっくるめまして、先ほど申しましたように、クレーター長官が最初に申しましたのは、航空母艦の能力の変遷ぶりをミッドウェーを例にとって一般的に説明したものである。そして二月の九日の証言においては、ミッドウェーのこのような能力の変遷ぶりを、具体的に過去の歴史的出実を例示しながら説明したものだというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○寺前委員 いろいろ述べられたが、大臣にお聞きしたいと思うのですよ。いずれにしたって、母艦と訳そうがプラットホームと言おうが、要するにミッドウェーを例示してここに戦略核抑止力の部隊としての位置づけをやっておったのだという話をめぐって、それは過去十年前の話であったのだ、現在ではないのだ、そこのところはひとつ訂正しておかなければならないという形で訂正がされた。その訂正のところで、戦略核抑止力部隊として行動しているわけではないのだという発言があったというわけだ。
 私は、最初に言いましたように戦略核抑止力の部隊というのは今日三つだ。B52であり、ICBMであり、ポラリスだ。航空母艦というのは十年前には抑止力のあれではあったけれども、いまでは違う。いまでは違うという部類にミッドウェーは入っている、戦略核抑止力の部隊ではない、そのことはイコール核兵器を持っていないということにはならない。ですから、後で訂正された問題というのは、戦略核抑止力部隊として行動しているわけではないという訂正がされただけなんだから、それはミッドウェーが核兵器を持っていないということには、イコールにならない。ですから私はその点で、核を持っているか持っていないかという問題になると、これは依然としてミッドウェーは、第七艦隊全体が核武装をしてソビエトに対峙する役割りをしているということから考えるならば、ミッドウェーも核武装をするということは当然考えられる問題だと思うのです。ですから今度のこの発言というのは、核抑止力としての役割りは持っていないからイコール核装備はしないということにはならないという立場をとるべきだと思うのですが、その点はよろしいでしょうか、大臣のお答えをいただきたい。
○中島政府委員 先ほど来の論議の続きでございますので私にお答えさせていただきますが、クレーター長官の第二番目の上院におけるところの証言は、先年もいまお触れになりましたけれども、ミッドウェーが戦術核を搭載する能力を持っていないということまでも言ったものではないという点はそのとおりであろうと思います。しかしながら、いずれにせよ、こういうような能力の問題と、その特定の艦が実際に核装備をしているかどうかという問題は、全く別問題だということを累次政府としては御説明申し上げている次第でございます。
 いずれにせよ、核の持ち込みの問題につきましては、よく先生御存じのとおり日米安保条約に基づきまして事前協議の対象とされており、そのような事前協議の対象がなければ核の持ち込みが行われないという点については、日米安保条約に基づきまして、政府としては、日米の信頼関係に基づいてこれを確信しておるということを、累次御説明申し上げている次第でございます。
○寺前委員 時間の都合がありますので私あれしますけれども、一九七五年の三月十日ですか、ある新聞を見ますと、これはアメリカ局長にはお話しをしてありますが、こういう記事が載っておるのですね。ヘンタゴン秘密文書漏洩のエルズバーグ博士裁判に関連して、キッシンジャー長官がワシントン連邦地裁に提出した宣誓供述書というものがある。その宣誓供述書を見ると、沖縄返還の交渉の前に、六九年六月上旬の当時の愛知外務大臣の訪米に先立って、同年四月末に開かれた国家安全保障会議に基づいて五月二十八日に完成した沖縄返還交渉基本方針と戦略のもの、それをキッシンジャーが地裁で述べている。
 その内容を見ると、国家安全保障会議覚書は、沖縄に核兵器を保有したいとするわれわれの願望を示して、さらに譲歩する点として、沖縄への核兵器の一時貯蔵と通過の権利を保持し得るならば、核兵器の撤去を考慮する用意がある趣旨を記述したものであるということを言っているわけです。
 そこで、いま局長が、ミッドウェーは核兵器を持つ能力を持っているということを否定するものではない、戦術核兵器を。その船が領海に入り、港に入るという仮定の問題において、こういう立場でアメリカが日本に沖縄返還の交渉をやったときに、日本の領海に入ってくるときに、核兵器というものを一々積みおろしをして日本に入っているようでは、第七艦隊、ミッドウェーのこの軍事上の役割りから見ると、一々積みおろしをやっているというようなことは常識的に考えられない話だ。そういうことは元国務長官のラスクも言っていますし、あるいは一九七四年の上下院合同原子力委員会でグッドバスターという在ヨーロッパ軍司令官の発言の中からもうかがうことができるわけでありますけれども、私は常識的に考えられない。とすると、日本は一時通過ということだったら核を持っておっても許す、そういう話が秘密裏に結ばれているのではないか、協定になっているのか覚書になっているのか。そういう話はみじんもなかったのだということが言い切れるのかどうか、これが一つ。あるいはそういう覚書なり協定はなかったと言い切れるのかどうかということが一つ。もう一つは、日本の方から、出前協議の対象であって、それなしには領海へあるいは領空へあるいは港へ、核が、一時的であろうと何であろうとそれはだめなんだということを、はっきり向こうに提示してあるのかどうか。この三点について御説明をいただいて質問を終わりたいと思います。
○中島政府委員 お答え申し上げます。
 まず、先生から御指摘のありました、キッシンジャー前国務長官が、沖縄返還交渉の過程での話を裁判所の宣誓供述書の中に書かれた。そこの中で、日本に対して核の通過とか貯蔵について特別の取り決めをつくろうという話があったという種類のお話でございますが、この点につきましては昭和五十年三月十一日に参議院の予算委員会においてすでに御論議があったところでございますが、その際に、当時の福田副総理、宮澤外務大臣からも御答弁申し上げた次第でございますが、このお話は、いずれにせよ沖縄の返還交渉の過程で、アメリカ側で核の取り扱いをめぐっていろいろの論議があったということはわれわれとして関知しないところでありまして、アメリカの中でいろいろな議論があったことはそれはあり得るかもしれないとは思いますが、いずれにせよ、日本との関係でそのような交渉が行われたという話では全くないのでございまして、結論的には先生御承知のように一九六九年の佐藤・ニクソン共同コミュニケの第八項におきまして沖縄の核抜き返還ということが約束されたわけでございまして、そのとおりに沖縄の核抜き返還が行われたという点は、昭和四十七年五月十五日のロジャーズ国務長官からの福田外務大臣あての手紙に明らかなところでございます。
 それから、核兵器の持ち込みにつきましては、これは一時的であろうと否とを問わず事前協議の対象であるということは、安保条約締結以来政府が国会においてしばしば明確にしてきたところでございまして、その点について何らの問題はないというふうに考えている次第でございます。
○寺前委員 もうお約束の時間は過ぎておりますのでやめますが、委員長にお願いします。いま地方裁判所にキッシンジャーが出したという資料を、これは今後の審議のために御提出をお願いしたいということを要望します。
○中島政府委員 先ほど申し上げましたように、これはアメリカ側の内部において何らかの論議が経過的にあったかどうかということでございまして、結論といたしましては、そのような問題が全くなかった、核抜きで沖縄の返還が実現されたという点については明々白々でございますので、そのような文書を特に取り寄せてわが方として検討しなければならないという必要は、せっかくの先生のお話でございますが、私どもとしては感じていないということを申し上げざるを得ないのでございます。
○寺前委員 議会の方に提出をしてくださいということを言っている。それだけのことです。
○中島政府委員 私ども自身も入手しておりませんし、したがいまして、議会に、国会に御提出するという筋合いにはならないということを申し上げたつもりでございます。
○寺前委員 それは、委員長、ちょっと違うと思うのだな、取り扱いが。
○大坪委員長代理 寺前君に申し上げます。後で理事会で協議したいと思います。
 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 日中平和友好条約についていろいろと御論議がございました。私も、重複するようでございますけれども、一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
 昨日の佐藤中国大使、それから韓念竜中国外務次官との会談の様子が先ほども論議をされたわけでありますけれども、中国側は、日本が申し入れるならばいつでも応ずるんだ、こう述べておりますし、また会談の後佐藤大使も、これには中国側はいつでも応じる、要は東京次第だ、こういうことでございます。長い間日中問題がいろいろな角度から検討され、いろいろな先輩方が日中間のかけ橋を長い時間をかけて、その日を刻々と待っているという状況が生まれてきているというふうに思いますけれども、しかしこれだけいろいろな問題が煮詰まってきたという中でなお踏み切れないものが何かある。日本と中国との新しい友好条約が結ばれる、日本と中国との新しい歴史が始まるというこの歴史的な作業に当たって、日本の一人一人の国民の皆様方が、どういう困難とあるいは苦しみを乗り越えながら日中間のかけ橋ができ上がっていくかということを、もっと開かれた形でわかりやすく、理解を求めながら、この歴史的な作業を進めていくべきだ、私はこう思います。
 いままで私どもがいろいろな話し合いの中で、たとえば隣の日ソ間の関係が非常に大事な問題だという議論もございましたし、あるいは政府・自民党の党内にもいろいろな問題があるのではないかという問題もございました。あるいは、日中平和友好条約の条約そのものの中にございます覇権条項という、条約そのものの内容についてもいろいろな問題がある、こう言われてまいりました。すでに日中平和友好条約は秒読みの段階だと言われる方もいますし、まだ幾ばくの時間がかかるという意見もあります。しかし私は、すでにいろいろな問題は煮詰まってきて、そして福田総理の決断次第にかかっているのではないかという気がいたしますけれども、いま申し上げた、障害になるであろうと予想される問題、あるいはそのほかに何らかの問題があるのか。先ほど外務大臣の御答弁の中にも、手続について交渉の詰めが必要だ、こういう御答弁がありましたけれども、すでにいままで論議をされてきた問題は一切もう問題がないのか、まだ具体的に重要な問題で障害があるのか、外務大臣に率直に御意見を承りたいと思います。
○園田国務大臣 昨晩の会談後、佐藤大使が北京で記者会見をいたしまして、その中で、中国側と会って話をした結果、中国側も交渉再開については前向きであるという感触を得たという会見が、情報として流れてきておるわけでございますが、すでに総理もしばしば言われるとおりに、友好条約締結についての決意、再開についての決意はできておるわけでありまして、そこで、両方でどうやってどういうふうに進めていくかという手段、手続等についてまだ若干話し合う必要がある。先ほども質問がありましたが、もちろん任地におりますから、この重要な問題でありますから、折に触れ話はしていると思いますが、正式に交渉再開についての手順、手段等で話をしたのは昨日が初めてでございます。覇権の問題その他おっしゃいましたが、これは共同声明に表明した立場に立ってわれわれは解決するわけでございますから、両国ともこれを阻害するような大変な支障はないと私は判断をしております。あとはそれぞれ時日の経過とともに準備を進めていく、こういうことで、必然性に向かって進められていく、こういう判断をいたしております。
○伊藤(公)委員 園田外務大臣が日中問題に人一倍熱心であるということは私も十分理解ができるわけでありますけれでも、外務大臣の日中問題に取り組む姿勢と福田総理との間にいささか考え方の違いがあるのではないか、あるいは日中関係の交渉に当たってのテンポの違いがあるのではないかということを、いままでの長い流れの中で私はいささか感じるところがあるわけでありますけれども、総理と外務大臣との考え方は全く一致しているのか、その間に多少の意見の違いがあるのか、お話しできる範囲内で承りたいと思います。
○園田国務大臣 日中問題についてばかりではございませんけれども、総理と外務大臣の間には一点の差も、考え方の相違もございません。ただ、御理解を願いたいと思いますのは、これは当然私は外務大臣でありまして、日本と中国の友好条約締結を進めていくことはアジアの平和のために、日中両国のためにやらなければならぬという考え方からいろいろ意見を総理に申し上げて、総理の決裁を願うわけでありますから、その間に総理から、それはどうかなとか、あるいはそれはもっと慎重に確かめてみろとかということは当然でありまして、外務大臣と総理との間で終始話が合っておって指図どおりにするということは、これは本当の輔弼の任ではない。御意見を申し上げ、あるいはそれを退けられ、あるいは取り入れられる、こういう経過があることは当然でありますけれども、すでに決意をされた今日の段階においてはいささかの狂いもございません。また幾ら私が力んでみましても、総理が決意されない以上は、私が力むことは結果としてはかえって進展を妨げるわけでありますから、その点も十分考え、私は総理の指示に従い、やっておりますので、いささかの狂いも差もない。これだけはぜひひとつ御理解を願いたいと存じます。
○伊藤(公)委員 日中平和友好条約が結ばれて後の日中関係のことを考えますと、いろいろの歴史的な大きな変動が当然起こってくるであろうということを私たちは想像しますし、大変重要な問題でもあり、しかも先ほど申し上げたとおり、多くの国民の理解を求めながら、日中関係というものがこれからどんな方向に進んでいくのか、政府自身がどういう形で日中関係をこれから進めていくかというはっきりした姿勢と、国民に理解を求めた形でぜひお進めをいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
    〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕
 もう一点。実はことしの一月十三日から二十日まで、園田外務大臣はモスクワを訪問されましたその後中東を訪問されました。地理的には、いままで日本と中東の関係はそう近いとは言い切れない関係にあったと思いますけれども、もはや今日、日本と中東の関係は決して遠い存在ではない。もちろんアメリカのカーター政権下におきましても、中東の問題はきわめて重要な問題でございます。
 そこで、中東を訪問された園田外務大臣に、中東訪問に当たっての成果あるいは御感想を率直に承りたいと思います。
○園田国務大臣 私が中東を訪問いたしましたのは、いままで日本が、単に石油を売ってもらう地域、買う地域、こういう考え方でおったことは非常に反省すべきであって、やはり外交というものは世界各国が注目をする、平和になるか動乱になるかという、そういう争点に足を踏み込むことが大事であり、特に中東と日本は緊密に連絡をし、外交関係を深くやる必要があると思って行ったわけでございまして、その意味において、向こうは御承知のとおり日本に対する期待が非常に大きかったわけでございまして、むしろ逆に、イラン等では二千五百年の国の歴史の間に外務大臣が来たのは初めてだと、ほめられたのかけなされたのかわからぬようなこともありまして、非常な期待を持っておった。私が行ったことによって、東の端にある日本、西の端にある中東、ともにアジアの国の一員として距離を近め、今後お互いにやっていこうという道あけをしたことについて成果があったので、私が参りました成果は、今後どのように総理や外務大臣がやるかということによって評価は決まるものである、その第一歩の目的は達したと考えております。
 所感は二つございます。
 一つは、日本は資源有限と言いながらもともとから何も持たない国でありますから、はだ身にその深刻さを感じてない。むしろ中東の方で、産油国の方が、この自分たちが持っている石油というもの、資源というのは何十年かすればなくなる、なくなった場合に自分たちはどうやって生きていくのかということを非常に深刻に考えて、そしてこれに対して国づくりに専念をしておる。これが非常に深く感じたところであります。
 次に感じましたことは、いまや石油の問題は、売る国、買う国という対立的な関係ではなくて、産油国と消費国がともに提携をしてこれをどのように有効に使うか、あるいは節約して使うか、あるいはこれの代替エネルギーをどのようにして持ってくるかということを考えなければならぬときである。
 それからまた、三番目にわれわれが考えなければならぬことは、中東地域の要望というものは二つございます。
 一つは、現在行われておる和平工作に、日本にどのような協力を欲しておるかという点と、もう一つは、自分たちの国づくりに日本がどのように提携をしてくれるか、こういうことを非常に要望しておりました。これについて的確に理解してきたことはよかった、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 園田外務大臣は、われわれにできることは何か、こういう問いかけを訪問先の国々でされたということでございますけれども、それぞれの国でどんな要望が現実にあったのか、お話しをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 和平工作については、ただいま行われておる和平工作は正しいものであるという世論の喚起についてお願いをしたい。なおまた米国についても、自分たちの立場をもっと理解するように協力してもらいたいということが一つ。
 もう一つは非産油国の国々がございます。いま苦労しておるのは、サダトのイニシアチブを内心では支持しながらも、それだけに一方に走るとアラブ諸国が足並みがそろわぬので、足並みをそろえつつ、しかもイスラエルも面目が立つように何とかして、最後の一瞬とは言わぬが、ここで和平工作が停滞をするとまた新たなる騒乱の種をまく、こういう和平工作に対する要求と、それから非産油国に対する援助を、サウジアラビア初め産油国と協力をしてやってくれということが向こうの要求であります。
 それからまた、それぞれの国については中東と申しましても立場がいろいろ違います。イラン等は石油以外に鉄鋼その他もできるわけでありまして、未来の国づくりについては非常に具体的な計画を持っております。イランの総理大臣はなかなか学者でありまして、私に、現在の協力を未来の協力にかじを切りかえるべきだと言っておりましたが、なかなかりっぱな判断だと思っております。
 サウジアラビアは御承知のとおりに石油だけであります。一方、ア首連は明治維新にも似たようなところで、それぞれ兵を持ち、それぞれ宮殿を持った方々が集まっておるわけでありますが、明治維新といささか違いますところは、明治維新は人間が多くて金がなかった。そこで明治の民族は仕方なしに精魂を傾けた。だから明治の民族は足腰が強くなった。ア首連は人間が少なくて金がだぶだぶしておる。そこで石油でやっておりますけれども、肥満児の心臓が弱ったというかっこうのところもないではありません。しかもそれでりっぱなことは、みずからが私以上に自覚をしていることであります。
 こういうことを考えながら、これは中東ばかりではありませんが、経済協力あるいは技術協力を黒字減らしなどという大それた考えを持っては断じていけない。あるいはまた、日本がよその国を助けるのだという傲慢な考え方を持ってはいけない。深刻に悩んで、新しい国づくりをしようというその相手の具体的な方針に従って、日本が相手の欲するところに協力をする、こういうことに経済協力等も変えていかなければならぬのじゃないか。また、プロジェクト等もございますけれども、これもいろいろ考えなければならぬことでありまして、これは中東ばかりではありませんけれども、大型プロジェクト、大型プロジェクトで工業化していく。そうすると、一方にはこれが日本の企業進出の手先になって、企業が進出をして、その地域が逆に市場となって搾取をされる、こういうところが非常な問題を起こしております。あるいはまた、そうじゃなくても、ただ単に大型プロジェクトで大きな工業化をすればいいというものではなくて、そこの第一次産品というものあるいはその地域というものを考えながら、まずこれに第一次工業化をするということから、下から積み上げて工業化をしていかなければ、持っていって、途端にでっかい工場をつくってみても、後々問題が起こるのではないか、こういうことも考えますので、そういうことも十分考慮しながら、国づくりに参加をさせてもらうという謙虚な気持ちで今後やっていかなければならぬと考えております。
○伊藤(公)委員 外務大臣の見識を伺っているうちに時間がもうオーバーしてしまいました。
 理事会で申し上げるべきことですけれども、わずか十五分で、実際には私の方は半分の七分、私がしゃべっている時間は五分ないわけです。こういう委員会では、本当に内容のある質疑は全然できないわけですね。ぜひ、ひとつ委員長に、少数政党といえどももう少しお時間をいただきたい、こう思います。
 最後に、ちょっと中東の問題をもう一点だけお尋ねしておきたいのですけれども、日本が、イスラエルの譲歩を迫る、そういう国際環境をつくることへの協力を要請されたのではないか。また、もちろんアメリカではカーター政権下ですでにそういう指示をされているわけですけれども、これからの国際環境の中で、日本は具体的にどういう役割りをこの中東の問題に対して果たしていくべきなのかという点が一点。
 それから、具体的な問題で、サウジアラビアとの間でコンビナートの建設の問題が非常におくれているわけですね。なぜこんなにおくれているのか。
 それからさらに、園田外務大臣はサウジアラビアとの経済、技術協力関係について何か具体的な約束をしてきていられるのかどうか。
 それから、福田総理の中東訪問ですね。私ども、総理も中東を訪問されるというお話を間接的に伺っているわけでありますけれども、すでに西ドイツでは、エジプトに対して年間二億から三億ドルの経済援助を発表しているわけでございますし、中東政策に対して非常に力を入れているわけでございます。そうした意味から言えば、日本は西ドイツに比べればはるかにおくれているわけですから、もう少し政府主導型の中東政策というものが必要ではないかと私は思っておりますけれども、外務大臣の率直な御意見をいただきたいと思います。
 あわせて、サダト大統領が四月に日本を訪問されるというお話も伺っておりますが、具体的なスケジュールがあれば、あるいはそれが事実であればそれについても御意見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○園田国務大臣 イスラエルの譲歩について協力をというお話がありましたが、そういう頼みは受けた覚えもありませんし、これにこたえた覚えもございません。ただ、現在行われておる和平工作に、一つは国際世論の形成、一つは非産油国に対する経済、技術の協力、こういうことを頼まれたわけでありまして、これに対しては全力を注ぐ所存でございます。
 総理にはぜひ中東に行っていただきたい。私は露払いでありますから、やはり総理が行って、具体的な問題をそれまでにいろいろ二国間で相談をして、おいでを願うということを考えておりますが、いまのところまだ時期は明確ではございませんが、何とか年内には行っていただきたい。
 それから、サウジアラビアの石油化学工場の建設でありますが、これはごらんのとおり採算問題等で大分おくれておりましたが、三菱グループが中心となって話がまとまってまいりましたので、サウジアラビアでも非常に喜んでおられました。なおしかし、こういうことについては今後もう少し――サウジアラビアに対して言ったことは、あなた方は何かとおっしゃると大型プロジェクトを持ってきてこれをやれ、あれをやれとおっしゃるが、単一のものを持ってきて協力を求められてもおたくの国づくりにお役に立つかどうかわからぬから、もっと長期の計画をつくって、国づくりの段階でお互いに協力するようにしていただきたいと私は言ってまいりましたが、これは私の本心でございます。
 具体的な約束は、サウジアラビアと文化交流センター、ただいま英国のアラビア語研修所がありますが、ここで語学を勉強してサウジに入っていっては、英国を通じてアラビアに入っていくことになりますので、これは非常に問題が多い。おいでになりましたからよく御承知だと思いますが、ドイツ、イギリス、特にソ連、これに対しては非常な疑心を持っております。これは歴史があるからであります。日本とアラブとの関係は純粋である。それは、日本とアラブがそういう関係になかったということでありますので、御指摘のとおり、今後十分努力をしていきたい。具体的な約束は、なるべく早く、忘れたころやっては意味がありませんから、事務当局に急いでいるところであります。しかし、具体的な約束以外に政治的な約束はたくさんしてきておりますが、これは御協力を得て、そして実績が上がるようにやりたいと考えております。
○千葉政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問のサダト・エジプト大統領の訪日でございますが、これはいまのところ全く決まっておりません。すでに大分前から二度にわたりまして御招待申し上げておりますので、いずれははっきり決めなければならぬときが来ると思いますが、先様の御都合等もあるようでございまして、いまだに正式なお話は承っておりません。
○永田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十八分散会