第084回国会 外務委員会 第25号
昭和五十三年八月十八日(金曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 永田 亮一君
   理事 大坪健一郎君 理事 奥田 敬和君
   理事 塩崎  潤君 理事 毛利 松平君
   理事 井上 一成君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 渡辺  朗君
      稲垣 実男君    川田 正則君
      鯨岡 兵輔君    佐野 嘉吉君
      中山 正暉君    小林  進君
      高沢 寅男君    中川 嘉美君
      正木 良明君    寺前  巖君
      伊藤 公介君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 園田  直君
 委員外の出席者
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十六日
 辞任         補欠選任
  川田 正則君     田村  元君
  寺前  巖君     松本 善明君
同日
 辞任         補欠選任
  田村  元君     川田 正則君
  松本 善明君     寺前  巖君
八月十八日
 辞任         補欠選任
  河上 民雄君     小林  進君
同日
 辞任         補欠選任
  小林  進君     河上 民雄君
    ―――――――――――――
六月十六日
 一、経済的、社会的及び文化的権利に関する国
  際規約の締結について承認を求めるの件(条
  約第一六号)
 二、市民的及び政治的権利に関する国際規約の
  締結について承認を求めるの件(条約第一七
  号)
 三、国際情勢に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○永田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、園田外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田外務大臣。
○園田国務大臣 本大臣は、去る八月八日から十三日まで中国を訪問してまいりました。外務大臣としての私の任務は、中国政府の要人と率直な意見交換を行い、相互理解を深め、それを通じて数年来の懸案であった日中平和友好条約の締結交渉に最後の活力を与え、この条約を、日中双方にとって満足のいく形でまとめることにありました。そして華国鋒主席兼総理、ケ小平副主席華副総理及び黄華外交部長と率直に話し合いをいたしました。
 その結果、八月十二日、人民大会堂において日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約に、日本国の全権委員として、署名調印をいたしました。
 本大臣は、この条約が日中両国及び両国民の双方の満足する形でまとまったと確信するものでございます。このことを心から喜びたいと存じます。
 そして、このような円満なる条約締結が、アジアと世界の平和と安定に寄与することを強く希望し、また、確信しております。
 この機会に、この歴史的な外交文書がこの世に生まれるについては、この条約の締結のために努力をされた先輩、同僚各位のことを忘れてはなりません。
 中国のことわざに、井戸の水を飲む者はこの井戸を掘った者の苦労を忘れてはならぬということわざがありますが、私は、調印する瞬間、この友好条約締結のために数多くの先輩、同僚諸兄、友人各位のことを決して忘れてはならないことを強調したいと存じます。特に、当外務委員会各位におかせられましては、陰に陽に、あるいは激励あるいは御指導あるいは御注意を賜り、その御支援に対し衷心より感謝申し上げます。
 本大臣は、日中平和友好条約の署名調印を、今日ここに御報告できることを衷心から欣快とするものでございます。
 ここで、日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の概要を御説明いたします。
 この条約は前文と本文五カ条とから成っております。
 前文におきましては、一九七二年九月二十九日の日中共同声明発出以来の日中関係の発展を回顧し、引き続きこの日中共同声明の諸原則を厳格に遵守すること、また、国連憲章の原則を尊重することを確認した上、アジアと世界の平和と安定に寄与したいという希望のもとに、日中両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるためにこの条約を締結することに決定したと述べて、この条約の目的を明確に規定しております。この目的は、日中共同声明第八項においてすでに明らかにされていたところと完全に一致しております。
 第一条におきましては、日中共同声明の第六項と同様に、社会制度を異にする日中両国がそれぞれの立場を尊重しながら、恒久的な平和友好関係を築き上げて行くに当たっての指針となるべき原則を挙げております。
 第二条におきましては、日中共同声明の第七項と同様に、日中両国が、いずれも覇権を求めないこと、また、覇権を確立しようとする他のいかなる国または国の集団による試みにも反対することを表明しております。なお、共同声明第七項に比し、その対象地域は、日中両国に特に関係の深い「アジア・太平洋地域」に限らず、「他のいずれの地域においても」と拡大されております。
 また、「いかなる国又は国の集団」であれ、覇権を確立しようとする試みがあれば、これに反対する、ということですから、だれそれと指しているものではないことは読んで字のごとくであります。
 第三条におきましては、日中両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展、また、両国民の交流の促進のための努力が規定されております。特に、その際、善隣友好の精神に基づき、互恵平等、内政不干渉の原則に従うべき旨が明らかにされております。
 第四条におきましては、この条約が、各締約国が第三国との関係でとっている立場には何ら影響を及ぼさない旨を規定しております。このことは、前文において明らかにされておりますように、この条約の目的が日中両国間の平和友好関係を強固にし、発展させることにある以上当然のことでありますが、日本について言えば、日米関係を基軸として、いずれの国とも体制のいかんを問わず親善友好関係を維持し発展させるというわが国外交の基本的立場がこの条項により、将来にわたって確保されるわけであります。
 なお、このことは、第二条に示されている立場と何ら矛盾するものではございません。
 第五条は、この条約が批准を要すること、批准書交換は東京で行われること、そして批准書交換の日にこの条約の効力が発生して、まず十年間という有効期間を定め、その後も、いずれか一方の締約国が一年前の予告をもって廃棄通告しない限り、いつまでも有効である旨を定めております。
 以上が、日中平和友好条約の概要であります。
 なお、ここで、条文自体に直接関係はありませんが、わが国において関心が持たれている問題につき若干御説明いたしたいと思います。
 中ソ友好同盟相互援助条約に関しましては、かねてから中国要路の人々がわが方に対し非公式に述べてきた同条約に関する中国側の考え方が今回中国政府より同政府の正式な立場として確認されました。さらに本大臣は、今般の中国の指導者との会談を通じて、中国政府は来年四月には中ソ同盟条約を破棄するため必要な措置をとるとの強い感触を得ました。
 尖閣諸島の問題に関しましては、十日午後の本大臣とケ小平副主席との会談において、本大臣から日本政府の立場について述べたのに対し、中国側は中国政府としては再び先般のような事件を起こすことはないと述べました。
 本大臣といたしましては、この条約ができるだけ早く効力を発生し、日中両国が、安定した基礎の上に平和友好関係を発展させるとともに、両国がそれぞれの立場でアジアと世界の平和及び安定に寄与することを心から念願するものであります。
 最後に、交渉いたしました相手の中国の指導者が信実にこれに対処し、非常な友情を示されたことをあわせて御報告をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○永田委員長 、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
○塩崎委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、先ほど園田外務大臣から御報告のありました国際情勢につきまして、一点御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、本当に長い間、交渉が約七年と言われました戦後最大の課題でございますところの日中平和条約につきまして、先般園田外務大臣がわざわざ訪中されて、そうしていま言われました中国のことわざのようにすばらしい井戸を掘っていただきましたことに対して、私どもは心から感謝を申し上げたいのでございます。長らく交渉に当たられました外務当局、さらには大きな決断をされました福田総理大臣に対しましても、大きな敬意を払いたいと思うところでございます。
 そこで、時間がございませんので、まず一つだけ外務大臣に御質問を申し上げたいと思います。
 いずれこの条約は、臨時国会におきまして条約案が提出されまして、特別委員会で詳しく論議されることになっておりますので、ここではこの条約の内容に入るよりも、むしろこの締結の必然性について園田外務大臣のお考えを伺いたいのでございます。
 先ほど申し上げましたように、本当に戦後の霧が晴れたように日本全体はこの日中条約に満足しているのでございますけれども、一部にはまだまだこの日中条約締結について疑問あるいは不安を抱いている者がいることは御案内のとおりでございます。
 その疑惑、不安、これはいろいろございまするけれども、まず第一は、何と申しましても覇権条項についての疑問、不安でございます。そしてその条項からきまして、果たしてこの日中条約をいま、園田外務大臣のように早急に、早々に中国にまで赴いて締結する必然性、緊要性があるか、こんな疑問を提供されておるのでございます。この締結の必然性については、中国側にとっては明瞭である。つまり、覇権条項、反覇権同盟をつくり上げる、その意味は中国にとって大変な価値がある、緊要性のある問題である。ことにベトナムで、私も先般北京を訪問いたしまして、ベトナム問題がどんなに中国に衝撃を与えるかを見てまいったのでございますが、あのベトナムでソ連の覇権的な行動があるというふうに心配しております中国にとって、覇権条項をつくり上げて日本をそこに引きずり込んで、そうして全世界に反覇権同盟をつくり上げる。現在では反ソでございましょうが、これはいずれ、いかなる場合に反米同盟にひっくり返るかもしれない、こんなような条約に引きずり込まれることは果たしていま緊要性があるのかどうか、こんな疑問でございます。一方、日本にとってみたら、あれだけ全方位外交、こんなような説明をしただけで、まだまだその意義が十分理解されたように見えない。そうして第三国条項という第四条の規定は獲得いたしましたけれども、それで果たして日本にとって実益があるかどうか、こんなような疑問が提供されているように見受けられるわけでございます。
 私は、このような疑問を提出されまして、まだまだこの条約について国民の間にキャンペーンをする必要がある、しかも、この条約のアジア外交におけるところの意義、こんなような問題についてももう少し積極性を持ってキャンペーンをする必要があろうかと思うのでございます。そしてまた、これを推し進めなければ、まさしく中国の方々が言われますように、名存実亡というような日中条約になりかねないことを大変に心配するものでございますが、外務大臣は、現在においてどうしてもこの日中条約を締結しなければならない必然性があるんだ、武芸の達人の外務大臣でございますから、直進流をもって草々の間にやってきたんじゃないんだ、本当にいま必然性がある日中条約だということを、外務大臣はどのように国民の間にこれを説明されるか、御意見をひとつ承りたいと思うのであります。
○園田国務大臣 まず、本条約の覇権反対の問題でありますが、覇権に反対するということは日本全国民の希望であると私は確信をいたします。私は、覇権というのは、力をもって国を動かすことであり、力をもって相手を恫喝することであると考えております。この覇権に対して私、はっきり、相手がソ連であろうと米国であろうと、あなたの中国であろうとも、覇権がある場合には、これに対して徹底的に抵抗いたしますと、こうはっきり答えておきました。
 ただ、日本国民の心配は、この条約を結ぶことによって中ソのけんかの中に引きずり込まれるのではなかろうかという心配だと私は思います。したがって、第三国条項が問題になったわけでありますが、本大臣としては次のとおり考えます。黄華外交部長、それからケ小平副主席、華国鋒主席、みんな、日本と中国の間には過去百年間まことに遺憾な時代が続いた、しかし、それは過去のこととしてわれわれは水に流すという話をされました。これはもうありがたいことでありますから、私は、過去百年間まことに遺憾であった。しかし、日中悠久何千年の歴史を見るならば、これは日本と中国のみならず、国境を接している隣の国では、お互いに国の盛衰興亡があり、強くなった国は弱い国に影響を与え、脅威を与えておる。また、一方が強くなれば相手に対して脅威を与えておる。したがって、過去の政治外交というものは隣の国に対する不安に非常な努力を払い、相手の隣の国が繁栄しないようにやってきた。しかし、それではもはややっていける時代ではなくなった。お互いに相互理解をして、隣接する国が相手の国の繁栄を本当に考え、協力し合う、その相手の国の繁栄の陰に、繁栄の中に自分の国も繁栄をするという道を早くつくった方が勝ちである。現にECにおいては、興亡常ならざるヨーロッパのドイツとフランスは、絶えずやっておったが、いまでは一番密接に協力をしておる。したがって、ECを利用し、そしてまた実績を上げている。わが日本と中国も、この際そのような観点からアジアの諸君が安心するように、そしてよその国々がアジアは安定していると言うように、まず他人のことではない、日本と中国が一日も早く、両国民が心配をしている点を払拭して、手を握ってやろうではありませんか。
 そこで、私は言いました。日本もASEANも、いまはソ連の脅威を感じておる。しかし将来、中国が強くなった場合に果たして覇権がないかと不安を持っておる。未来に対して不安を持っておる。向こうからは、君はそう言うけれども、中国もアジアの国々も、日本の軍国主義が復活をして再び侵略するのではなかろうかと不安を持っておる。そこで私は、それに対して、十分自覚をいたしております。日本が軍国主義が復活しないように、言葉ではなくて実行をもって今後示す、中国も、どうか、強くなっても日本やASEANに覇権を行わない、不安を与えないということを、言葉ではなくて実行をもって示そうではありませんか、それがこの条約の本当の目的であります。こういうことを言ったわけでありまして、以上のことから、日本と中国が一刻も早く友好条約を結び、そして本当に信頼し合い、そして日本と中国のためばかりでなく、アジアの国々のためにも、安定と平和を築くことは緊急のことであって、この日中友好条約は、単に日本と中国のことを決めたばかりでなく、アジアに対する日本と中国の責任と役割りを自覚するものが本条約であると大臣は考えて、締結をさしていただいたものでございます。
○永田委員長 大坪健一郎君。
○大坪委員 塩崎先輩がいま御指摘になりまして、外務大臣から明確な御答弁をいただいて私ども意を強ういたしておりますが、お話のように、今度の条約を締結するに当たりまして、われわれも大いに反省する、また将来、大国である、九億の人口を擁しておる中国の盛勢の問題について、われわれ並びに東南アジアの諸国の危惧についても、やはり中国側から明確な方針があったということでございます。説をなす者は、たとえば反覇権の条項は、中国側が無理に条約に入れたんだ、日本は中国に屈服したんだ、こういう議論をなす者もおりますけれども、これは非常に当たらないのじゃないか。私はむしろ、総理の御決断と外務大臣の御努力によってわが国の平和憲法に基づく積極的な外交姿勢が初めてこの条約の中に明文化されたのではないか、だから、むしろわれわれの全方位外交の基本方針というものは、この条約の中に明記されましたように、反覇権が単にアジアの地区だけではなくて全世界の地区でわが国の外交の基本方針に取り入れられて宣明されたのだという意義を非常に高く評価いたしたいと思います。
 で、そうなりますると問題は、アジアにおいてわが国の外交を次にどう展開するかという問題であろうかと思います。私どもがアジアで中国との友好関係を確立し、次いでやはり同等に重要性を持って考えなければならぬのは、ASEAN諸国との関係であり、朝鮮半島の分断されております南北両朝鮮民族の問題であり、それから広大なシベリアを持っておりますソビエト社会主義共和国連邦との問題でございましょう。したがいまして、私は、日中友好条約が結ばれた後で、わが国がこれらの諸国との関係を、どういう基本方針に基づいて今後外交関係を取り結んでいくかということについて、外務大臣の御所信をこの際承っておきたいと存じます。
○園田国務大臣 仰せのとおりでありまして、本条約の目的はそこにあると存じます。ASEANの国々については、今度交渉するについても前々からそれぞれ緊密に連絡をしてございます。したがいまして、今後は、中国とも緊密に協議を行い、ASEANの国とも緊密に協議を行い、少なくともアジアのことについては、安定という面ばかりでなく、繁栄という産業経済の面についても具体的に相談を行って、この友好条約の効果が上がるようにしていくべきであると考えております。
○永田委員長 土井たか子君。
○土井委員 日中共同声明後足かけ七年、国民はこの日中平和友好条約の調印の日を待ちかねておりました。その間、外務大臣におかれましては精魂込めてこのことに当たられ、そしてついにこの調印をなし遂げられたわけであります。その御苦労に対してまず心から感謝を申し上げたいと思います。
 さて、きょうは、この日中平和友好条約の条文の内部にわたる問題にまで立ち至って質問を申し上げるという時間的余裕がございません。したがいまして、ただいまから二、三、この日中平和友好条約調印をめぐる情勢と、さらに今後の日本のあるべき外交姿勢ということについてお尋ねをしたいと思います。
 この一月でございましたか、外務大臣が、自民党の本部で行われました外交調査会の席で、日本外交は日米が基軸である、米国との関係で日中条約は、日本が勝手にやらせてもらうというよりも、もっと進んだ状態、米国の世界戦略の一環として考えているというような趣旨でお話をされたといういきさつがございます。今回、この日中平和友好条約の調印によりまして、国民はもろ手を挙げて賛成をし、慰んでいるわけでありますが、さらに自民党の党内の一部において、伝え聞くところによりますと、日米中体制という反ソ世界戦略に日本は参加をするというパスポートを握った点で、今回の日中平和友好条約の調印にはメリットがあるというような読みをされている方もあるやに聞くわけであります。今回の日中平和友好条約というこの問題は、日米中体制という三極外交の問題で、ソビエトに対していわば封じ込めの体制を確立するという意味を持っているというふうに理解することが果たして正しいのか正しくないのか、そこのところはひとつしっかりと外務大臣の御答弁の中で明確にしておいていただく必要がどうしてもあると私は思います。いかがでございますか。
○園田国務大臣 ただいまの御意見は非常に大事なところでございますので、私もそのまま率直に御意見を申し上げたいと存じます。
 私が自民党の外交調査会で言ったのは、戦略という言葉は悪かったので井上委員におわびをしたわけでありますが、これは一部の中で、米国の意見と食い違うのじゃないか、こういう話がありましたから、日本が友好条約を進めることは米国も希望しておって、米国の考え方とも一致している、こういう趣旨のことを申し上げたわけであります。今度私は条約を締結するに当たって、最初は第三国条項というのがあったわけでありますが、いやしくも二国間で条約を結ぶ場合に、第三国を意識して条約を結ぶことは条約としても風格のある条約ではない、目の前の状況に応じてある国を相手にして条約を結べば、それは再び中ソ同盟条約みたいに名存実亡の時期が来るであろう。そうではなくて、今度の条約は終末の条約ではなくてこれが出発点で、日中の未来にわたる、将来のことを規定する条約であるから、何年たっても、よかったと世界の人々から祝福されるような条約を結ぼう、こう言って、そして第三国条項を削ってお互いの外交基本方針は拘束するものではないということを書いたわけであります。香港等の新聞も日中米の線を強調しておりますが、米国自体もそのようなことは考えておりません。たとえばアフリカ問題にいたしましても、中東和平工作にいたしましても、米国とソ連がお互いに利害対立しているということは当然でありますけれども、米国は内々は連絡とれるものは緊密に連絡をとってソ連とも話をしておりますので、この状態は、米国も不測の事態を起こしたくないという気持ちがあるわけであります。わが日本は平和外交に徹するということは、どこの国にも平等に交際するという意味ではございません。どの地域においても、どこの国境においても対決の火を噴くようなことがないように、緩和の方に向かうように、そして平和が本当にだんだんと確保されていくというのがわが日本の外交のねらいでありますから、一方に加担して、そしてソ連を敵にするということは断じてこれはいたしません。このことは日本も米国も、日米中が連携をしてソ連に対する包囲網をつくるということは決してございません。米国が日本の友好条約締結を歓迎しておるというのは、先生よく御承知のとおりに、米国にも米中が正常化しようという機運が相当あるわけであります。そこで、その正常化するのに、日本が友好条約を結べばそれがやりやすいという観点から歓迎しておるものと私は考えるわけであります。そういうわけで、米国自体もソ連に対してもちゃんと外交上の重要なポイントはやりつつやっておりますので、ここで米中日が組んでソ連と敵対して、そして中ソの対立を激化させるようなことは、これは人類の不幸であり、わが日本としても絶滅への道でありますから、そのようなことは断じてやってはならぬし、またやるつもりもないし、またやらないように中国にもはっきり話しております。
○土井委員 いまの外務大臣の御答弁とも一つは関連をしていくわけでございますけれども、日中平和友好条約にはっきりとうたわれております反覇権という立場で、日本といたしましては、アジア地域におけるはもちろんのこと、全世界に向かってやはり平和安定に貢献するという重大な責務が以前に増して出てまいります。そういう点から申し上げますと、いま一つ近隣諸国の中で残っているのは、日ソの問題であり、さらに日朝の問題であるということは、当面日本としては平和外交を展開するにとっての大きな宿題だとここで言わざるを得ません。こういうことから考えてまいりまして、日ソ間においては、もう申し上げるまでもなく、平和条約へ向けて日本としては努力していくこと、これが何としても大事な課題でございますけれども、しかしこれをやるには御存じのとおり時間がかかります。したがいまして、当面その平和条約締結の方向に向けての努力をさらに中間的なものに向けて、何らか、平和条約に向けるための中間的な取り決めというものが考えられるということが恐らくあるのではないか。いろいろな問題もございます。こういうことに対して外務大垣としてはどういうお心づもりをお持ちになっていらっしゃるか、おありになればこれをお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 今度の日中友好条約の締結及び日本の外交方針がアジアの安定と平和ということになるならば、当然いまの御意見のとおり、あとに残された問題は日ソの問題であり、日本と北朝鮮の問題であると存じます。
 そこで、私は、ソ連に対しては友好関係をさらに進めていく、こういう言葉で発言いたしておりますが、もっと詳しく言いますと、誤解を与えないように前提があると思います。
 私は、日本と中国との友好条約の締結は悪いことをしたわけでもなく、ソ連に対して敵対行為をしたわけではないという確信を持っておりますから、この弁解をするつもりはいささかもございません。
 第二番目には、ソ連と友好関係を進めるに当たっては、外交の第一はやはり互角で話をすることが必要でありますから、私の方も手を伸ばしますが、ソ連の方も一本やりに恫喝や脅迫をもって日本に何かをさせようとすることには私は抵抗をいたします。それがなくてお互いに話し合いをしようとするならば、これはもう本当に、ソ連とは北方四島以外は共通する関係はいっぱい多いわけでありますから、前々から言っておりまするとおり、平和条約の締結という前提のもとに、ソ連に対しては逐次友好関係を進めていく考えでございます。
 なお、朝鮮民主主義人民共和国に対しては、党内ではまだ意見がまとまっておりませんからここで言うわけではありませんけれども、全般的に大勢を洞察するならば、これはやはり朝鮮半島の安定と平和というのはきわめて大事でありまするので、この方に向かっても日本外交というものは前進をしなければならないと私個人は考えております。
○土井委員 さらに、そうしますと、ソビエトに対しましても、朝鮮民主主義人民共和国に対しましても、それぞれ友好的な立場で平和外交を促進していくという意思をただいま御表明になりました。
 そこで、初めにソビエトについてというのをさらにお伺いをいたしますが、一月段階、例の日ソ善隣協力条約について、これは外交文書とは認めない、こういう立場でこのことに臨まれているということはもう周知の事実であります。私どもも、この善隣協力条約の内容は全くお話にならないと考えております。したがいまして、そういうことからいたしますと、善隣協力条約はお話にならない、これはもちろんただいまの段階では外交文書とする取り扱いは一切行わない、こういうことでございますけれども、この領土問題を何らかの形で保障するような話し合いがついて、善隣協力条約と全く違うような中身を持った中間的な取り決めというものが果たして実効性を持ち得るのかどうか、こういうことも含めて、そういう考えがおありになるかないかということを、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、わが日本のソ連に対する方針は、北方四島を解決をして平和条約締結というのが大前提でございます。したがいまして、それを目標にしてお互いに話し合って、その後どのようなことになるか、経過によって決まるわけでありますが、いま具体的に、先生の御意見は十分わかりますが、私から具体的に申し上げることは、とかく過早であると存じますので、お答えは御勘弁を願いたいと存じます。
○土井委員 日ソの事務レベルの会議が九月草々に予定されているはずでありますが、これは従来どおりおやりになるのかどうか、これについての見通しというのはどのようになっておりますか。
○園田国務大臣 これは約束でありますからできるだけやるようにしたいと思います。
 なお、日ソの外相定期会議も早くやるように、やるということは合意しておりますから、この時期を早めるように向こうの方とは相談したいと考えております。
○土井委員 先ほど大臣は、今回の日中平和友好条約の事実についてソビエト側に釈明をする必要もないし、そういう気持ちもない、こうおっしゃいましたが、私はそのとおりだと思いますが、ただ、園田大臣は他方で、ソビエトは報復的なことは何もしないだろうというふうにおっしゃっているようであります。その御発言をなされることのための何らかの裏づけを、感触として大臣は得ていらっしゃるのかどうか、何らかの事実に基づいてこういう御発言が出てきているのかどうか、この点、いかがでございますか。
○園田国務大臣 大事なところでありますから慎重にお答えをしたいと思いますが、実は私は今度の交渉を始めるに当たり、報復手段はないだろうとは思いましたけれども、国の大事でございますから、ASEANの国々、ECの諸国、そして米国等には私の方針その他を逐次必要な程度連絡しておりました。これは、もし報復手段があった場合に世界の世論が、日本のやったことが無理であるか、ソ連が言うことが無理であるか、こういう世論の関係が必要であると思ったからそういう手配をしておったわけであります。
 御承知のごとく、今度の条約が締結されて各国の反応を見ておりますると、西ヨーロッパ及びASEAN、米国等はこれを歓迎をいたしております。ソ連と仲のいい国々はそれぞれ批判をいたしております。ベトナムにいたしましても、その他においても批判しておりますが、日本に対しては言葉を直接向けずに、日本を中国が引きずり込んだということで批判をしております。
 ソ連に対しては特別弁解の使いなどをやるつもりはありませんけれども、しかし、これは友好関係を結んでいるわけでありますから、条約が締結されたときに直ちに本省において宮澤欧亜局長がソ連の臨時代理大使を呼んで内容を説明し、それから続いてモスクワで松原公使が外務省の次官に対して約一時間にわたって詳細内容は説明をしております。これに対してソ連のとりあえずのコメントは、やはりいままで言ったとおりの言葉を繰り返して、条約に何と書こうとも中国に引きずり込まれたのだというような反応ぶりを示しておりますが、その先がいままでとはちょっと違いまして、やったら報復手段をするというのが、今後それがどのようなことであるか、日本が本当にソ連と友好関係を結ぶかどうかということは今後の日本の実行、実績を見守る、こういうふうに変わってまいりました。そこでそのようなことはないと私は確信をいたしております。
○土井委員 今後の日本の出方ということは、結局は見守るというかっこうになっているわけでありますが、何もこれはソビエトの問題に事限らず、一たんこの条約を調印した以上は、信義の上から申しましても、日本の外交を今後確たるものにしていく上から申しましても、アジア全域は言うまでもなく全世界においてやはり日本が平和を維持していく、また安全というものを確立していくための礎にならなければならないという責任は、より一層大きくなっているわけであります。
 そういうことからいたしますと、先ほど、この条約を調印されるに当たりまして種々いろいろと自民党内でも問題になりました、この日中の問題に対してむしろ疑義を唱えてこられた方々に対して、大変な説得を大臣自身もなすったわけでありますけれども、その芳心のしどころには、集約していくと数点論点があったはずであります。一つ一つここでそれをお尋ねする余裕もございませんし、中身については大臣御自身ここで御答弁しにくいというふうな事柄の部分もあるかと思いますから、その辺も少し私としては配慮しながら、お聞かせをいただきたいと思うわけです。
 一つは中ソ同盟条約の問題でありました。これについては先ほど大臣の方からの御説明を賜ったわけでございますから、来年四月に中国側はこの中ソ同盟条約の有効期間が切れる一年前、これを破棄する方針であるという感触を得たというふうな御説明も具体的に賜っているわけであります。その感触とおっしゃいますのは、具体的にはこれに対して明言の説明があったというふうに理解してよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 中ソの同盟条約は中国とソ連のことでありますから、これの結末をどうつけるかということを私が受け継いで世間に発表することは、これまた中ソの中に引きずり込まれるおそれもありますから、通告をするという強い印象を受けたということで御理解を願えればありがたいと存じます。
○土井委員 中国に対してこの中ソ同盟条約の問題に対しての日本側のいろいろな気持ちというもの披瀝するならば、それと同時に、わが国自身も例の問題になる台湾条項、このことに対して一体どういう立場で臨むのかということを、みずから顧みて、やはりはっきりした姿勢というものを持ち符なければ、実は私はこの中ソ同盟条約に対してもとやかく言う資格はまるでないと思うわけであります。それからいたしますと、先日、金丸防衛庁長官が日台韓は運命共同体というふうな発言をされ、後に運命共同体という表現は不的確であるようであるからこの部分については訂正をするというふうな御発言もあったようでありますけれども、この日台韓は運命共同体というこの認識というのを、一体外務大臣としてはどのようにお考えになりますか。
○園田国務大臣 今度の会談の中で私的にも公的にも私の方からも中国の方からも台湾の問題は全然出ませんでした。これは日中共同声明で議論したときの立場をそのまま踏襲しておるわけでありまして、向こうが言わないのも友情であり、こちらが発言しないのもまた私はそれだけの考えがあって言わなかったことでありまして、これは日中共同声明の出されたときのことでそれはそのままと、こういうことになるわけであります。
○土井委員 ただ、いまの御答弁では私がお尋ねしたことに対しての御答弁になっていないわけでありまして、日台韓というものは運命共同体という認識は、果たしてこの日中平和友好条約を調印したという日本の立場からすると一体どういうことになるのか。日台緯は運命共同体という発言を閣僚の一人、事もあろうに防衛庁長官がされているというこの現実に対して、外務大臣としてはどのようにお蓄えになっていらっしゃるかということは、一つは、これははっきりさせておいていただかなければ、調印をしたという立場があるのですよ。調印をしたという日本の立場があるわけです。いかがでございますか。
○園田国務大臣 その発言は私が北京に出発する前の発言でありまして、外務大臣としては、どえらいことを言われたものだな、困ったものだなというのが本当の心境でありましたけれども、その後防衛庁長官は取り消されたようでございますので、私は運命共同体とは考えておりません。
○土井委員 ただ、この台湾条項という問題について、大臣自身は、日台韓は運命共同体とは考えないということをお考えになっていらっしゃるわけですから、再確認をするというかっこうにしかならないと思いますが、昭和四十七年の十一月八日の予算委員会の席で当時の大平外務大臣が御答弁をされているわけであります。その御答弁の内容をここで引用いたしますと「台湾条項でございますが、これは、一九六九年当時の両国首脳の台湾地域の情勢に対する認識を述べたものでありますが、その後情勢は大きな変化を遂げており、すでに申し上げましたとおり、この地域をめぐる武力紛争が現実に発生する可能性はなくなったと考えられますので、かかる背景に照らし、右の認識が変化したというのが政府の見解でございます。」引き続いて「なお、安保条約の運用につきましては、わが国としては、今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて慎重に配慮する所存でございます。」こう答えられているわけでございます。先ほど、日台韓は運命共同体とは私は考えないと外務大臣は御答弁になっておりますことと、この大平当時の外務大臣の御答弁の中で安保条約の運用につきましては、今後の日中両国間の友好関係をも念頭に職いて慎重に配慮する所存だというふうに答えられていることと、こう考え合わせてまいりますと、ただいまの安保条約の中で極東という範囲の中に台湾が含めて考えられるや否やという年来の国会における論議について、日本として一定の明確なこれに対する立場、見解ということを示すべきときがいま来ているというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。これは当外務委員会におきましても、外務大臣に対しまして私自身が質問をしたという経過もございます。それは安保条約に言うこの極東の範囲内、台湾ということを含めて考えるということは日中共同声明の第三項から考えてもおかしなことではないかということから質問を展開いたしまして、そしてそれに対する御答弁については、日中平和友好条約というものが締結されるというふうな段階に至って、そのことに対してはひとつ検討するという必要があろうというふうな御趣旨の御答弁もいただいているわけであります。このことについては外務大臣、ただいまどのような御見解をお持ちでいらっしゃいますか。
○大森説明員 お答え申し上げます。
 日中国交正常化が日米安保条約にかかわりなく達成されましたのと同様に、今次日中平和友好条約は日米安保条約にかかわりなく調印されたものでございます。
 今次交渉の過程におきまして、日本側は、わが国の外交政策において日本と米国の特別な協力関係は今後ともわが国の対外関係の基軸であり、日米安保条約体制はわが国の安全保障を支える一つの大きな柱であり、これを堅持する旨を述べましたところ、中国側は、日米関係が特別な地位にあること、日本が日米安保条約を必要としていることにつき明快な理解を表明いたしました。したがいまして、日米安保条約及び同条約に係るわが国政府の立場は、日中平和友好条約の締結によって何らの影響を受けるものではございません。極東の範囲に台湾地域が含まれることについても、何らの変わりもございません。
○土井委員 大臣にお尋ねしますが、局長から四角四面な文章を読まれたわけでありますが、大臣御自身が三月二十二日の外務委員会における御答弁の中で、極東の範囲に対して台湾も含まれるという、ただいま文章をお読みになりました局長のあの御答弁と同じ政府見解ということに対しまして、これは日中平和友好条約の締結の暁には安保条約第六条に言う極東の範囲に対して、政府見解として、検討を重ねようというふうなことが御答弁で出ているわけであります。したがいまして、外務大臣にお尋ねしますが、この御答弁について一体どのような見解をいま持っていらっしゃるかということと同時に、今回台湾の周辺に紛争というものが一体起こり得るのか起こり得ないのか、これについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。それからさらに、この安保条約の極東条項に台湾が含まれるということを中国側は倍に了解をしているのかどうか、こういうことについて大原からひとつお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 この問題は四角四面な答弁をした方が間違いありませんので局長に答弁させたわけでありますが、正直に言いますと、米中の正常化というものは台湾地域をめぐっていろんな話し合いがされると存じますので、ここで私が見解を申し上げることはいろいろ障害が出てまいりますから、もうしばらく御勘弁を願いたいと思います。
○土井委員 安保条約というのは日米安保条約でありまして、日本とアメリカとの間で結ばれている条約なんですね。その条約の中で日本がやはり極東の範囲をどのように認識をし、どのように考えるかということが安保条約運用上の大きな問題になっているわけなんであります。アメリカがどうのこうのじゃない。日本としてどう考えるかということを私は外務大臣にお尋ねしているわけでありまして、そのことをアメリカがどう考えるかに万事かかっている問題なんでありますか。この事柄についてはアメリカにお伺いを立てて日本としては動きを考える、それ以外に日本としてはどうしようもない、自主的な姿勢は全くこれには日本としては考える余地もなければ、とることもできませんというかっこうなんですか。いかがなんです。
○園田国務大臣 私は、アメリカの御意向が決まれば決めるというわけではございません。極東の範囲に台湾地域が入るかどうかということはいま局長が答弁したとおりでございますが、私は、米中の接近はなるべく早くできた方がよろしい、正常化できた方がよろしい、こう思いますので、その際に、その一番問題になっている台湾問題に対する見解をわが日本が先走って言うことはこれに障害を与える、したがってもうしばらく私の答弁はお許しを願いたいと、こういう意味であります。
○土井委員 その辺は外務大臣、ちょっとやはり歯切れが思うございますよ。これは、せっかくあれだけの努力の積み重ねをやられて調印にまでこぎつけられた大臣の御努力というものが、一体具体的にはこういうところでどういうふうに生きるんだろうか、このことに注目をしている国民がたくさんおります。やはりこういう問題一つとっても、どういうふうにお答えになるか、どういうふうにこれに対して対応なすっていくのかということが、日中平和友好条約を調印した意味があると私は思っているのです。したがいまして、そういう点からいたしますと、先ほど来、日米間の問題でもあるからしばらく御猶予をとおっしゃいますけれども、米中間においては日中共同声明第三項のようなものはございません。今回の日中平和友好条約というのは、これは日中共同声明を基礎に置いた日中平和友好条約であります。先ほど大臣が御答弁になったとおり、御説明をいただいたとおりなんですね。したがいまして、それから考えますと、これは日本にとっては懸案事項ですよ。したがいましてこの懸案事項については、この当外務委員会の席を通じても外務大臣は、日中平和友好条約というものが締結されたときにはひとつこのことに対してということもおっしゃっているのです。それは私はその意味があろうと思いながら待ち続けてきたわけであります。どうでございますか。
○園田国務大臣 第一に、台湾地域に武力紛争が起こるおそれがあるか。大臣は、武力紛争が起こるおそれはないと申し上げます。
 第二番目には、友好条約締結の暁には考えなければならぬと言いましたが、まだ批准も終わってないし、調印をしただけでございます。私は、日中それから米中――米中の話し合いが台湾地域をめぐってされていることはすでによく御承知のとおりでありますから、いまここで私が言うことは、米中の正常化に障害を与えてはならぬ。だから、あわててここで答弁してはならぬ。外交上の問題は、歯切れよく言ってよいこともあるし、歯切れ悪く言ってうまくいくこともありますので、この点はお許しを願いたいと存じます。
○土井委員 そうすると、当面は安保条約の第六条に言う極東の範囲においては、日本としては変わりなくやることは、決して日中平和友好条約と矛盾しない、このことに対して摩擦を来さない、このことに対して確信がおありになるわけでありますね。
○園田国務大臣 いま局長が答弁いたしましたとおり、共同声明の線で日本と中国の間にはいささかもさわりはないと確信を持っております。
○土井委員 ところが具体的にはいかがでございますか、これ。日中平和友好条約というものを日本が結ぶ結果、日本自身は、先ほどから繰り返し述べられますように、アジアの平和に対して、世界の平和に対して貢献するという、覇権を求めず、軍事大国を認めないという立場でこの問題に臨まなければなりません。そういうことからいたしますと、有事立法をただいま政府としては鋭意お考えになっているようでありますが、この有事立法をつくるということによって、一体アジアにおける平和、安定というものを促進することになるのかどうか。今回の日中平和友好条約の中身からいたしますと、どこの国からの脅威というものが日本においてあるのか、アジアの国のどこの国が日本に対して侵略を考えようとしているのか。その点について私はむしろ、この日中平和友好条約の中身を具体的に日本が責任を持って促進をするということから言えば、この有事立法というものを考えることは非常な災いになる、また日本としては責任ある態度とは言えないと思うわけでありますが、大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 いま党内並びに政府で言われている有事立法は、まだ具体的になっておりませんからわかりませんけれども、少なくとも日本の国土が侵された場合、自衛力というものは、防衛というものはある、こういうことから、その場合の準備をされることは、私は委員みたいに必ずしも反対じゃありません。しかし、その前に努力すべきことは、日本に有事のようなことがないように努力するのが外務大臣の仕事であるとは考えております。
○土井委員 そうすると、外務大臣とされては、有事立法についてそう積極的ではない、むしろ有事立法を考える以前に考えることがある、考えるべきことがある、なすべきことがある、こういう御認識でありますね。
○園田国務大臣 外務大臣としては、日本国内に有事のことがないように努力するのが外務大臣の責任であると考えております。
○土井委員 さらに日中平和友好条約についてのいろんな論点の中に、例の具体的な問題にもなりました尖閣列島の問題がございましたが、これは先ほど大臣からしっかりした御説明をいただいた限りでありまして、よくわかるわけであります。ただ、そうなってまいりますと、やはり領有権の問題をめぐりましてどうしてもわれわれとしては気にかかるのは、竹島の問題があるわけであります。この竹島の問題について、五月二十六日の当外務委員会で外務大臣の方から、日韓閣僚会議においてこれを議題とするということをお考えになっていらっしゃる。これが話し合いの議題にならないということであるならば、会議をやっても無意味なんだというふうなこともきっぱりと御答弁の中でおっしゃっております。これは一体閣僚会議の議題になるわけでありますか。
○園田国務大臣 今度の日韓閣僚会議の中の外相会議に議題として出すことを通告いたしております。
○土井委員 こちらからはそういうことでありましょうが、それに対しての感触はどのようでありますか。
○園田国務大臣 歓迎はしないと思いますけれども、通告したわけでありますから、向こうは拒否するわけにはまいりません。
○土井委員 そこでの話し合いというのは、粘り強く平和的な解決ということで話し合いを進めてきたけれども、これについても、この粘り強さももう限界に来たというふうに考えていると、大変力強く外務大臣は御答弁になったのが五月二十六日であります。お金を貸している方が借りている方の言うとおりになってずるずるといくということは、国民としてもお許しにならぬというふうに考えているということもおっしゃいました。いま実力でもってあの場所は韓国に占有されているわけでありますが、この問題に対しての解決ということについて、国際司法裁判所に対する提訴等々も含めてお考えになるという御意思があるかどうかということの確認を五月の二十六日にいたしましたけれども、その意味も含めて、今度は強い姿勢でひとつこの閣僚会議の議題としてさらに話し合いには臨むということを御確約願えますか。いかがですか。
○園田国務大臣 この問題は大事な問題でありますから、誠心誠意努力をするつもりでおります。
○土井委員 外務大臣、さらに、先ほど日ソの問題、日朝の問題が当面これからの大きな一つのわれわれにとっての課題だということをお答えになりましたが、朝鮮民主主義人民共和国については、すでにニュースを通じて、アメリカのホルブルック国務次官補がピョンヤンに対して大体四度ばかり直接接触を持ったということを明らかにしておられるわけであります。こういう状況というのは、以前に比べますとだんだん事情が変化していっているということを示す証拠ということになるかと思いますが、今回の日中平和友好条約を日本が調印したということによりまして、アジアにおいてはまた新たな一つの段階をここで築くことになるということも事実であります。アジア全域における平和というものを確立する上から考えましても、日本がこの朝鮮民主主義人民共和国に対しまして、従前とは違った一つの対応ということをしていくという段階でもあるわけであります。具体的なこれに対しての何らかの方策を大臣としてお持ちになっていらっしゃるならば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 ソ連との関係と朝鮮人民共和国との関係とは違いがございまして、ただいまのところは国交回復をしてないわけで、外交関係がございません。そこでまず入り口から行かなければなりませんので、そのやり方は非常に違ってくると思いますが、情勢は変化をいたしております。それから、何といっても朝鮮半島の安定がなければ本当のアジアの平和は来ないと存じますので、機をとらえ、あるいは問題ごとに日本と向こうと話し合いをする機会をつくりつつこれを進めていきたい、こう考えております。
○土井委員 機会をとらえつつとおっしゃるのは、直接ということでありますか。それとも中国を通じてとかアメリカを通じてという、第三国を通じてという方法もあるかと思われますが、どういうふうな方策をそれに対してあらましお考えになっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 その方法についてはここでお答えする限りではございませんけれども、それは機会があれば直接、なければ第三者を通じて裏、表、横、右、左から話をしていきたいと思います。
○土井委員 終わります。
○永田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 七二年九月の国交正常化から六年の懸案であった日中平和友好条約が締結されたことを私は心から歓迎をするものであります。とりわけ今回の日中平和条約は、わが国が自主的に選択をした初めての条約だというふうに私は理解します。また、常にわが国独自の自主的外交を推進すべきであると主張してきた私としては、このことについては高く評価をいたすものであります。批判を含めていろいろな問題があったわけであります。しかし率直に言って、園田外務大臣はよくおやりになられた、私はこの一言であります。先人がまかれた種をみごとに実らせた。園田外務大臣だからこそこれはできたのだと私は思っておりまして、心からまず冒頭に敬意を表したいと思います。
 さて、そこで、今回の交渉の焦点は反上覇権あるいは第三国条項であったわけであります。私も過日、交渉再開中に中国を訪問した印象では、今回の条約締結は非常にむずかしいという強い印象を持ったわけでありますけれども、予想以上のペースで調印がなされた。このことは、六年間反上覇権、第三国条項で中国側の主張を聞いてきたわれわれは、むしろ正直に言ってびっくりした、あるいは驚いたくらいの感を持っておる。今回締結できた要因は、もちろん外務大臣なり外務当局の努力もさることながら、中国側に六年の年月の間に非常に大きな変化があったのではなかろうかと私は思うのです。このことについてむしろ中国側の、まあ表現がどうかと思いますけれども、計算がそこに働いたというふうにも受けとめられるような感があるのですが、いわゆる締結がなし得たという要因、このことについて外務大臣はどのように御認識なさっていらっしゃるのか、まずお伺いをいたします。
○園田国務大臣 今度の条約締結について私が辛うじて任務を達成し、日本に帰ることができ、皆さん方にお目にかかることができたことは、一に冒頭に申し上げましたとおり、こちらから言えば先輩、同僚各位皆さんの努力のすべてが固まったものであり、これについて総理の決断もよかった。そしてまた中国側でも真剣に私の話を聞いて理解してもらい、友情を示された。あるいは情勢の変化、すべてのものが総合されて今度の結果を生んだと思っております。私は単に井戸の水を飲ましてもらっただけで、きわめてざんきにたえません。
 私は、ただこれだけ申しました。世の中が変わってくるにつれて、二国間の条約交渉というものもやり方が変わらなければならぬはずだ。お互いに自分の国の利害、主張、国益国益といってそれを主張しておると世界の動きから外れる。お互いの国益もあるし利害もあるだろうが、それを踏まえてどうやった方が一番世界に貢献できるか、こういう最高の道を選ぼうじゃありませんか、こう言って話したわけでありますが、中国も私の話を真剣に聞いてもらった、また日本国民に対する友情、こういうものも大きく響いたと思います。また先生がおっしゃったような情勢の変化も確かにこれに加わった。すべてが総合されてこういう結果になったと思っております。
○井上(一)委員 さらに、わが国は全方位外交の理念でこの交渉に当たられた、こういうことであります。わが国の全方位外交については後ほどお聞きをいたしますが、さすれば、中国側の外交理念は一体どこにあるのかということについてお聞きをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 相手の国のことでありますから差しさわりがありますけれども、中国もやはり世界の平和と安定、そしてアジアの繁栄ということを考えていることは間違いないと存じます。ただ、当面、国境を隣接するソ連の脅威が大きいものでありますから、これをどうしてはねのけるか、こういうことも大きな重点であるとは考えますけれども、大筋においてはアジアの平和、安定を願っておる、これには間違いないと私は推察をして帰ってまいりました。
○井上(一)委員 いま外務大臣が言われたように、アジアの平和と安定という大きな目標を掲げているわけですし、それに向かっているわけですけれども、現在の中国外交はいわゆる反ソ・サークルの結成というふうに見られるわけでありますし、実際には中国もそのことで非常に活発に動いているわけであります。
 そこで、反ソ・サークルの中にわが国は入ったのではないのだということは、条約の第四条だけで言い切れるのかどうか、そしてまた、確信を持って外務大臣は反ソ・サークルの中にくみしないのだということが言い切れるのかどうか、この点についてお聞きをいたします。
○園田国務大臣 ただいまの御質問の点は、私が最初から最後まで重点を置いて向こうに主張したところでありまして、条文五カ条を見ていただきましても、覇権に反対するということは書いてありますが、共同行動はないし、協議事項はないし、それから、それぞれの外交の自由を確保しているわけでありますから、これはそういう点は一切ない。
 私は言葉でも向こうに言ってまいりました。私はモスコーで次のようにグロムイコ外務大臣並びにコスイギン首相に言った。あなた方中ソはもともときょうだいの国であって、かっては日本を敵国ときめつけ、そして中国はある時代には、誠心誠意ソ連学習という標語をつくって全国にまいて、緊密にいっておった、それがいまやけんかされておる、日本に飛ばっちりをかけられることは迷惑千万、日本の国民で条件なしに友好条約を結べというのは二六%、しかし、あとの者も、日本と中国が本当に仲よくやることはよいことだと思っている、ただ、ソ連と中国のけんかの中に巻き込まれてはならぬぞという不安があるから、調査をすると無条件は二六%になっておるんだ、こういうことをはっきり申し上げておきました。
 私は、日本は中ソの対立が緩和することを心から願っておる、場合によっては、ソ連でも言ってきたが、日本の出場所があれば、緊張から緩和へといくという舞台の一役を買ってもよろしい。新聞では、一笑に付された、こう言いましたが、そうじゃありません、黙ってうなずいておりました。そういうことでございますから、中ソの対立に巻き込まれることはこれはない。
○井上(一)委員 私も、いわゆる日米中で反ソ戦略を組んではいけませんよ、そんなことをしてはいけない、決して、そんなサークルを組むことにわが国の外交が少しでも、入らなくても、見えるような体制をとってはいけない、こういうことです。
 そこで今度は、わが国は全方位外交についてよく説明があるわけですけれども、私はむしろ、全方位外交とは一体何なのか、こういうことも聞きたいわけです。
 外務大臣は、どこの国とも仲よくするんだ、いずれの国とも等距離を保つということではない、おのずからその関係に濃淡がある、こういうふうに言われているわけですけれども、それはそのとおりでございますか。
○園田国務大臣 金方位外交というと、何かどこの国ともべたべた仲よくして八方美人のような感じを与えますが、これは個人の交際と同じように、どなたとも交際はするが、その交際の中には、意見が食い違うこともあるし、あるいは対立することもあるし、あるいはお互いに相談して金を借りたり貸したりすることもある、こういう意味だと考えております。
○井上(一)委員 それでは重ねてお聞きしますけれども、その濃淡の濃は、日米安保体制を機軸とする、いわゆるアメリカが第一の濃だということに理解をしてよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 これは、日米の関係は日本の機軸である、これについては、ソ連でも中国でも反発もあるいは理屈も言われませんでした。
○井上(一)委員 そこで私は、今度のこの条約締結によって中国が濃の重要な部分を占めるのであるということに理解をしていいでしょうか。
○園田国務大臣 日本と中国の置かれた地形、関係、伝統、こういうものから見て、本当に中国と日本が侵し侵されず、手を握ることはアジアのためにきわめて大事なことであって、やっぱり濃の方に入ると思います。
○井上(一)委員 さらに私は、濃の中に対ソ外交というものも入るのではないだろうか、こういうふうに考えるのですが、いかがでございますか。
○園田国務大臣 私も、ソ連に対してもそのように、なるべく日ソ両方が侵し侵されず、そして懸案の問題を解決していくことはきわめて大事であると考えております。
○井上(一)委員 さっきも少し触れておきましたけれども、日米中を機軸とした反ソ世界戦略に参加するための条約ではないんだと。しかし、一部には、自衛隊を強化したり、あるいは基本的権利である言論をも統制する有事立法を制定することによって、私たちが考えている、われわれが考えているアジア及び世界の平和と安定に寄与するこの日中条約を、本来のその意義からかけ離れたところへ導こうとする、いわばやからもおるということを十分認識していただかなければいけないし、そのためには、そういうことを阻止するために、ひとつ外務大臣は十分な努力を私は傾けていただきたい。それが今回の条約締結をした意義でもあり、園田外務大臣の真意でもある。こういうふうに思うのです。そのためにひとつ、誤った方向に走らないように、この条約の真の意義を保てるように、ぜひ努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
 さらに、私は、いま中国側が抱えている最大の課題の一つは、台湾の解放の問題であろうと思います。
 そこで、台湾の解放のためにそこに武力解放が発生した、武力解放があった。決して私はそんなことはないと思います。そしてまた、あってはいけない。がしかし、武力解放があったと。そういう行為は覇権行為に当たるのかどうか。
 外務大臣、いま御質問申し上げましたように、日中の条約の真の意義を履き違えないように、変な方向に持っていかないように努力してください。そして、いまの中国側の最大の課題の一つとしての台湾解放のための、起こり得ることではないと私も思っておりますけれども、武力解放というものが、そういう行為自体は覇権行為に当たるのかどうか。
○園田国務大臣 台湾地域に武力解放または紛争、そういうものはないと私は確信をいたします。それ以上のことは、私は答弁を差し控えたいと存じます。
○井上(一)委員 大臣、私もそんなことはまさかあるとは思いたくないし、信じたくないわけです。しかし、そういう行為は覇権行為に当たるのかどうか、こういうことです。
○園田国務大臣 わが日本は、いかなる地域においても、いかなる事情によっても、武力紛争がないことを希望いたします。いまおっしゃるような事態があった場合にどうこうと返答はできませんけれども、台湾地域は中国の領土の一部であると中国は書っておるということで、私の気持ちというか、そういうものであります。
○井上(一)委員 この問題については、時間がありませんが、中国の領土の一部であるということになると、安保条約の中での台湾の位置づけというものが変化して当然である、こういうことなんですよ。これはまた時間を置いて私はさらに質問したい。ただ、その武力解放という、これはそういうことがあり得ない、あるいは考えられないと言われますけれども、そういう行為はどうなんだ、覇権行為に当たるのかどうか、これだけですよ。
○園田国務大臣 中国は、わが国の領土の一部であると言い、共同声明の場合に、日本はその立場を尊重する、こう言っておりますから、それは覇権以前のものであると思います。
○井上(一)委員 そういうことになると、極東の範囲から日米安保条約の台湾の位置づけを変えるべきである、こういうことなんです。それでは、そういうことについてはいかがなんですか。日米安保条約の台湾の位置づけは、中国の領土ですから、いかがですか。
○園田国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、籍を入れないで夫婦になっておる人もあれば、籍が入っておって別れている人もおるわけでありますから、そこら付近で御理解を願いたいと存じます。
○井上(一)委員 大臣、私は、この問題は非常に重要な問題ですし、今後の問題としてもう少し大臣なりの考え方をきっちりと固めておいていただきたい、このように思います。
 さらに、今回の日中条約は大臣も言われておったように、名存実亡にしない、そのためにも始まりである。今回締結したことが始まりであって、今後の日中のいわゆる薄意の協力がお互いに必要である。そのことがアジアの平和と安定に寄与していくのだ。そこで、私は、経済問題等で中国と共同で事を起こすことも、ときには必要であるかもわからない。が、むしろそのことについてはアジアの諸国は一定の危惧を持っているわけなんです。そういうことを踏まえた中で、中国と共同で事を起こすことを現在予定しているのかどうか。
○園田国務大臣 その点については、特にわれわれが考えなければならぬことだと思いますが、日本と中国の友好条約締結について、EC、他の国々、歓迎をいたしております。歓迎をいたしておりますが、その腹の中にはいささか日本がうまいことやったという気持ちはないわけではございません。それはやはり中国に対する経済的な着眼であります。しかし、中国に対して経済的な面から見る場合に、中国を市場として見ることは、これは私は間違いであると思います。いま中国が求めておるのは長期の借款といま井上先生がおっしゃった合弁の事業で、そして中国の近代化を図りたい、これが最優先の中国のねらいであります。ケ小平副首相からは、率直に、日本は力をかせ、こういう話がありました。そういう点については十分今後注意してやりたい、そのために、前々から約束で、友好条約を締結されたら直ちにこの橋を渡って、河本通産大臣が向こうへおいでになって、そして向こうと長期にわたっていろいろ相談してもらいたい、こういう話をしているわけでございます。
○井上(一)委員 まさにそのとおりでございまして、何か経済先行の感を受ける部分があるわけです。中国では決してそんなことはないと思いますけれども、わが国はいままで経済協力関係を結ぶ国との間にはえてして不明朗な、日韓しかりでありますし、あるいはいろいろな国といろいろな経済関係にある中で不明朗な素地がそこに生まれてくるわけです。決してそういうことであってはいけない、こういうことであります。そういうことで先進国も一定の危惧をそこに持つわけです。
 私は、具体的に、本年の五月に香港の華潤公司からカルテックスに中国の大慶油田原油五万トンが売却された、これは中国で確認をしてきたことです。これは長期貿易協定を結んだその趣旨からもあるいは外れるわけでありますが、さらに国交も正常化されておらない、むしろ中国と対立関係にある、そのような位置づけにある韓国にさえその原油が流入しているという報道がされているわけです。私は、ここでその善悪を論ずるものではありません。政治の枠組みの中に防ぎがたい経済の枠組みが入り込んでいく、こういう現状のアジア情勢であるということであります。とりわけ、朝鮮半島においての政治情勢の枠組みを越えて、いわゆる経済の流れを導入していっている、このことはアジアの新しい素地を与えるものではなかろうか、私はこういうふうに思うのです。そういう点で、むしろ朝鮮民主主義人民共和国に対してもわが国の新しい外交というものを打ち出すべき時期ではないだろうか、そういうことが必要である、こういうふうに思うのです。いかがですか、そういう経済情勢、そしてさらにそれが政治情勢に変化をもたらしつつあるという、アジアの現状についての外務大臣の御認識、そして今後の朝鮮半島におけるわが国の外交の指針を、ここで明確にお聞きをしたいと思うのです。
○園田国務大臣 いろいろ問題がありますが、事中国に関しては、日本の財界の方々も日本と中国の将来に目をつけて、そして中国の立場になっていろいろやってきて、今度の友好条約締結の一つの役を買われた、これは私もそう認めますが、中国でもそういうふうに理解しております。
 個々の問題については、御注意の点があると思いますので、今後注意いたしますが、小さいことはわかりませんので、事務当局からお答えをいたします。
○井上(一)委員 事務レベルでのお答えは、時間の関係上むしろ私の方から結構でございます。
 いま申し上げたように、アジアの外交地図を見直すべきだ、そのことについてはいかがですか。
○園田国務大臣 友好条約締結という出発点、基本ができたわけでありますから、アジアに対するいろいろな問題すべてに対して十分検討すべき時期であるとは考えております。
○井上(一)委員 見直すべききっかけを日中条約がつくってくれた、こういうことです。
 さらに、先ほど土井委員からも指摘がありましたように、日韓の定期閣僚会議があります。ひとつそこでは十分にわが国の外交指針を率直に申し上げていただきたい。とりわけ竹島の問題もそうですし、人権問題としての金大中氏の問題については、大臣、ひとつ議題としていかがでございましょうか。竹島同様に閣僚会議の中で御発言をいただけないでしょうか。
○園田国務大臣 いまおっしゃるようなことを念頭に置いて、閣僚会議をやりたいと考えております。
○井上(一)委員 ちょっと済みません。いまのお答えで、その用意があるということですね。
○園田国務大臣 いまの御発言のようなことを念頭に置いて、今度の閣僚会議をやるつもりでございます。
○井上(一)委員 さらに、今回河本通産大臣が訪中をされるわけです。これは日中長期貿易協定を結んだ、そのいわゆる残された懸案の問題を処理するために行かれるんだというふうに理解をしているのですけれども、民間融資受け入れの問題、いわゆる金融の問題、こういうふうに理解をしているのですけれども、解決するための解決策は具体的に政府として持っていらっしゃるのかどうか、この点についてもひとつ聞いておきたいと思います。
○園田国務大臣 私、北京に出発する前に河本通産大臣とは十分連絡をとって参りました。そういうこともよく研究しておられるようであります。ケ小平副主席には、そういうわけで来るから、長期貿易の問題ばかりでなく、将来にわたって中国側の要求があるならば何でも言ってもらいたい、こういうことを私が正式に申し入れまして、ケ小平副主席は直ちにその場で、歓迎する、こういう御返答がございました。
○井上(一)委員 私に与えられた時間が過ぎました。最後になりましたが、一点。
 台湾条項について今後アメリカと接触をする用意があるのかないのか、このことについてお聞きをして、私の質問を終えたいと思います。
○園田国務大臣 台湾条項についてアメリカと相談するつもりはございません。
○永田委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は本院に席を持つ公明党・国民会議の議員といたしまして、ただいまの外務大臣の日中交渉に対する御報告を伺い、万感無量なるを覚えるのであります。
 昭和十二年の日支事変にさかのぼれば、実に四十年、第二次大戦、大東亜戦争と称せられるものの終結から勘定いたしましても、実に三十二年、今日に至るまで日中問題は大きな課題としてわが国外交の主流を占めたテーマであります。外務大臣が謙虚に御指摘なさいましたように、これに対する多くの取り組みが全国民の、有識者の中から、庶民の中から行われ、日中国交正常化に関するさまざまな試みが次第次第と積み上げられてきたことは御承知のごとくであります。
 その頂点に立って、このたびの両国間の平和友好条約が締結されたということはまことに慶賀すべきものであり、しかも、この交渉に示されました政府、特に外務大臣を初めとする外務省の御当局の御努力は、私たちが横で見ておりましても、空前絶後というべきものであり、その結束と、細かい神経を張りめぐらした微細な点に至るまでのみごとな交渉ぶりは、長く模範にするに足るものであろうと評価するものであります。まことに御苦労さまと申し上げるしかないのであります。私は、外務大臣が本交渉で見せられたその果断性と先見性を発揮され、今後もその政治生命を全うされることを希望するものであります。
 また、本条約はやがて当委員会に提出されることになろうと思いますが、その際に細目にわたってお話を伺うことにいたしまして、本日は大綱にわたって伺いたいと思います。
 まず、本条約締結に当たった大臣初め外交当局の決意と、そしてこの条約に対して、どこが主要ポイントであったかについて、もう一度お伺いしたいと存じます。
○園田国務大臣 お答えをする前に、冒頭、身に余るお言葉をちょうだいいたしましたが、これは、私並びに外務省に対する適切な言葉ではなくて、これがうまくまいりましたのは全く皆さん方のおかげであります。特に出発に際しては、貴党の委員長初め幹部の方が送られて、言われた言葉をいまなお私は覚えております。わが党は名前も要らない、功績も要らない、日中の問題がうまくいくことだけを望む、こう言われ、過去においてもまた、各党と同様ではありますが、特に的確に中国の情報をお伝え願い、こちらの情報も的確にお伝え願い、私に賜りましたお言葉は改めて渡部委員にこれをお返しをして、御礼を申し上げたいと思います。
 今度の友好条約の一番大事な点は、日本と中国が、真に侵さず侵されず、アジアのために責任を分担する、そしてアジアの平和と安定のために寄与する、こういう点が一番大事であった点であると考えます。
○渡部(一)委員 今回の交渉の中で日中両国が提携したことが、ASEAN諸国を初めとするアジアの諸国間に脅威を与えるものであってはならないし、また日中間の提携が、両国を中心として世界の平和のための大きな基礎構造の一つにならなければいけないというのが私たち国民の基礎的な願望でありました。大臣が、北京における交渉の冒頭にそれを強く意思表示されたことを承り、私はわが意を得た感じをした一人であります。この点について私は、さらに世界の各国にもわかっていただく、あるいは日中交渉を中心として平和な、よい環境ができ上がっていくことが望ましいと考えているものでありまして、この点は恐らく同意をしていただけるものと信じます。
 ただ、その後にたちまち、私たちといたしましては心配な部分というものが、日本国民のだれもが持っている部分というものがあるわけであります。ソビエト政府に対して外務省は直ちに説明をされたと承っております。私は、すべての国に対して日中交渉の意義を述べ、説明をするならわかりますが、ソビエト政府にだけ、うろたえて説明するがごときは決して本意を得たものではないだろうと思うのであります。むしろ、わが国がいかなる外交をとるかはわが国の厳たる方針であってしかるべきものであり、それをうろたえて説明しなければならないなどということは私はおかしいのではないかと思いますし、そうして威迫、強制のもとに結ばれた条約がいかにはかないかは、長いことわが国を律するものでもなかろうと私は思うからであります。誤解もあるかと存じますが、その点を御説明をいただきたい。特に対ソ外交についての基本的なお立場を表明していただきたいと存じます。
○園田国務大臣 御指摘の点はきわめて大事でありまして、今度の友好条約は、一番関係の深い日本、中国両国民及びASEANの方々がこれを理解し、支持されるかどうかによって決まるわけであります。
 そこで、その第一は不安であります。この条約を結ぶに当たりましては、ASEANの国々には逐次経過に従って連絡をいたしております。なお、ECについても出先機関を通じて逐次連絡をしておりまして、その点は、ソビエトだけに特に説明したわけではございません。
 そこで、ソビエトに対しては、先ほども申し上げましたが、友好関係はいままでにつながって進めていく、これが私の考え方でございます。ただ、この条約を結んだことが何か悪いかのごとく、特別に弁解の特使を送ったり、あるいは向こうの言い分に言いわけをする必要がないことは、渡部委員のおっしゃったとおりでございます。
 その次には、やはり日本とソ連の間にも、関係を進めていくについてはもう一遍ここで日本とソビエトが互角の立場に立つ気位が必要でありますので、私は、ソビエトの方が恫喝や脅迫をもってくるならば、これに屈していろいろな問題を進めていくべきではないと考えております。その前提のもとに、日本がいままで言っておりましたとおり、北方四島の問題を含む平和条約の推進ということを先頭に立ててソ連との外交関係を進めていきたい、こう思うものでございます。
○渡部(一)委員 私も、ソビエトとの閥で互角の立場で、言うべきを言い、主張すべきをするという立場を支持するわけでありますが、特に私は、日ソ関係の修復というような用語を用いるのは間違いだと存じております。修復というのは、何かこっちが悪いことをして、ぶち壊してしまって修繕尾を派遣するというニュアンスが出てくるからであります。修復をしなければならないのは領土問題についてであり、これは両者が話し合わなければいけない問題であり、正々堂々と互角に渡り合うべき問題であると存じます。もしこれを種として、日本の漁業に対する打撃が与えられるとするならば、それは道理に合わぬことであります。漁業問題は漁業問題として交渉すべきであり、世界的な漁業資源エリアの確保の問題が、わが国の周辺で厳しい環境にあることは事実でありまして、その交渉はむずかしいものと思われます。それはそれとして評価すべきであり、この両者はまぜるべきでなく、わが国としては堂々と、言うべきことは言うという立場で日ソ関係を扱っていただきたい。少なくとも、うろたえて善隣協力条約に直ちに手をつけ、ソビエトに屈服し、おじぎをし、おわびをし、そして修復をし、拝み倒し、賠償金のごときものを払いというような一連のニュアンスで交渉すべきものではないと私は思う。その点については、私はけんかをしろと申し上げているのではなく、そういう姿勢では後々がよくないので、特に念を押して申し上げたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 いまの御発言は全くそのとおりに私も考えておりまして、その意見は、大臣、局長以下事務当局とも完全に一致をいたしておりまして、昨日もさらにそれを確認したところでございます。
○渡部(一)委員 本条約の内容については、大臣が先ほどの冒頭発言の中で触れられておりますから、私も大づかみな点だけ触れて申し上げたいと存じております。
 この中で、特に多年にわたり論争のあった覇権の用語が条約文の中に取り入れられたというのは、日中共同声明にはございましたけれども、初めてであったと存じます。そこで私は、覇権という言葉をどういうふうに評価するか、いよいよ、その用語の適正かつ穏当な評価をするために定義を述べていただいた方がいいかと存じます。本委員会でもしばしば議論の渦中に巻き込まれ、決していい回答があったとは私には思われませんので、それは私は控えてまいりました議論ですが、いよいよお伺いしたい。
 もう一つは、その覇権の言葉とも関係するのでありますが、共同声明と本条約とは一対になっておって、両者で一つの文書として日中関係の基盤的な構築が行われたと理解しておるのでありますが、この共同声明と条約との関係もあわせて触れていただきたいと存じます。
○園田国務大臣 私は、覇権という言葉について、中国側に次のように申し述べました。かつて孫文先生が、日本が戦を始めた直後、神戸の公会堂で、「力をもって国を動かすは覇道という。人心をもって国を動かすことを王道という。日本の友人よ、王道を捨てて覇道をとるなかれ。」こう言っていかれた。あなたの国は共産主義国家であるから、鞘道は否認し、王道もとらざるところとその後会議で決められたようではあるが、日本では覇権と覇道というものがダブって国民の中にある。しかし、六年間の論争の中で覇権に抵抗しなければならぬという意思はほとんど定着をしてきた、こう言ったわけでありますが、覇権の解釈及びその他については事務当局から正確にお答えをいたさせます。
○大森説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問の覇権という言葉につきましては、米中共同コミュニケにおいて述べられまして以来、一九七四年に国連総会において採択されました諸国家の経済権利義務憲章や最近六月に開催されました八十五カ国が参加しての非同盟外相会議におきまして採択された宣言等に見られますように、国際的に広く受け入れられている概念でございます。日中条約におきましては、覇権とは何かということは定義いたしませんでしたが、覇権に関しますわが方の考え方につきましては、今次交渉の過程におきまして、わが方より、一国が他国の意思に反して力により自己の意思を押しつけようとするごとき行為は覇権を求める行為であり、国連憲章の原則にも反するものである旨を中国側に明確に述べておりまして、この点につきまして中国側との間に見解の相違はないと考えております。
○渡部(一)委員 それでは、この条約の中で第二条並びに第四条の文案を見ますと、私どもは、第四条で最も激しい論争と対立があったように報道を通して伺っているわけであります。この第四条の「この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。」とある文章は、条約第三条との関係においてどういう意味合いを持たれているものか、この第二条の条文というものをどういうふうに制約をし、コントロールをするものであるか。もっと言うならば、第四条は本条約全体にかかるものとみなされるのであるか、また逆に、一部で評価されているように、第二条と劇四条を切り離すことによって、中国側が当初主張していたように、反覇権問題に対する制約というものを、第三条を真ん中にはさんで遠く離すことによって、第二条の効果を効果的ならしめるというふうに意図されたものであるか、さまざまに評価が分かれているところであります。すなわち、二条と四条の関係性、特に反覇権の問題に関する関係性、わが国の態度についてもう少し詳しく御説明をいただきたいと存じます。
○大森説明員 お答え申し上げます。
 この条約の第二条は、その中の「いかなる」との語からも明らかなとおり、本来だれそれという特定の国をあらかじめ対象とするものではなくて、覇権を確立しようとする試みがあれば、それがどの国であってもこれに反対する旨を規定したものであります。したがって、法律的、理論的に、この規定により、わが国は何ら特定の第三国を敵視し、これに対抗する約束を行っていないことは明確でございます。
 第四条は、この条約が、各締約国がそれぞれ第三国との関係でとっている立場には何ら影響を及ぼさないことを明確にしておりまして、これにより、いずれの国とも、体側のいかんを問わず友好関係を維持し発展させるというわが国外交の基本的立場が、この条約のいかなる規定によっても影響を受けるものでないことが明確に確認されている次第でございます。
 それから、御質問の第二点の、このいわゆる第三国条項を第二条から切り離して、第四条として独立のものとした趣旨でございますが、第四条はこの条約の全体を受けまして、いずれの国とも体制のいかんを問わず友好関係を維持し発展させるという、わが国外交の基本的立場を明確に確認する趣旨のものである以上、これが単独の条項とされ、本条約の実体規定の最後に置かれているのは、立法技術上当然かつきわめて望ましいことでございまして、第二条と第四条とが分けられたことによりましてわが方の立場が損なわれたということは全くございません。
○園田国務大臣 いま説明をいたしましたが、補足をいたします。
 反覇権ということは普遍的な原則であって、私が言ったとおり、相手が中国であろうとソ連であろうとアメリカであろうと、覇権行為には反対するのは当然であると思いますので、それにすぐ続けて四条を書くことは覇権に対する一部制限のような感じを与えます。そうではなくて、いま渡部委員が言われたとおり、第四条は日本国の外交の自由を将来にわたって確保する、こういう意味でありますから、これは条約全般にわたる問題であるから離した方がいいと思って私が指示をいたしました。中国も同意をいたしました。
○渡部(一)委員 ただいまの御説明の個所は、協定の実質審議の際また詳しくお尋ねをしなければならぬと存じますし、その点をまたよろしく御研究をいただいておきたいと私は存じます。私の持ち時間はあと十分ございますので、中川嘉美君にあとの時間を譲りたいと存じます。
 最後に、大臣は体のぐあいを悪くされたと承りましたので、非常に大変な激務の最中でございますが、十分御静養をいただきまして、激務を縫ってなお御静養も奇妙なものでありますが、本復されますよう希望いたしまして、私の質問とさせていただきます。
○永田委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 まず、日中平和友好条約の調印に臨まれた外務大臣の御苦労とそしてまた政府の努力に心から敬意を表したいと思います。
 時間もありませんので、きょうのところは二、三の点にしぼって伺いたいと思います。
 まず、河本通産大臣の訪中が先ほど論議されておりましたけれども、訪中される場合に、その性格と目的は一体どんなものであるか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 中国との間には、御承知のとおり共同声明以来、実務協定はほとんど済んでおるわけでございます。しかし、この協定を結んで、未来にわたっていろいろ相談し合うことがある、あるいは借款の問題、あるいは合弁の問題、あるいは貿易長期協定に関するいろいろな問題、さらに進んで中国の近代化に日本がどのように協力していくか、こういうことも相談し合う必要があると思いますので、河本通産大臣と相談をして訪中してもらうことにしたわけでございます。
○中川(嘉)委員 関連して、資源の開発ということについて一点だけ伺いたいと思います。
 将来、尖閣列島海域を含めた海底資源の日中共同開発といったこともあり得ると政府は考えておられるかどうか。もし中国側からこういったことに関する要請があったらどうするか、また日本側からあるいは要請をするおつもりがあるかどうか、これらの点をめぐってお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 今度その話は全然出ませんでした。折々、前々から内々の話はしておるわけでありますが、今後共同開発というものはなるべく関係のある国が力を合わせてやった方がいいと思いますので、そういう話が出れば前向きにこれを相談していきたいと考えております。
○中川(嘉)委員 日中平和友好条約の批准書交換に際して、次に伺いますが、ケ小平副首相の訪日は確定したのかどうか、時期はいつごろになるのか。さらに華国鋒主席の訪日の可能性はどういうものであったか、政府として正式に招請する意思があるのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 これはケ小平副主席からも直接話がありまして、批准に日本は時間がかかるかという話でありました。わが方は政治形態が違うから四日くらいで大体終わるのだ、こういうことで中国は批准を終わったわけであります。
 そこで、今度の条約締結、私は力が足りなかったけれども、日本国民の大多数は満足されると思う、喜んで歓迎されると思うから、国会にかかれば、各党の方々の御熱意からいっても批准はそう長くかかると思わない。そこで、いつ国会を開くかが問題になりますけれども、これに対して日本国民が歓迎しているという意思表示にもなりますから、各党の方々に相談をしてなるべく早く批准をしていただきたいと思います。そこで、批准の交換は東京でということを同意されたわけでありますから、桜の話が出ましたから、それは遅過ぎる、菊ともみじということで十月ぐらいには何とかお願いしたいと思っている、こう言ったら、ケ小平副主席は、必ず自分が行く、そのとき菊は見れるかという話でございました。批准交換にケ小平副主席がおいでになることは確定でございます。ただし、それがいつごろになるかは、これ以上は国会でお決めになることでございますから、大臣からは申し上げない方が今後御好意をいただくのに都合がいいと考えております。
 華国鋒主席にはやはりおいで願いたいと言ったのです。そうしたら華国鋒主席は、批准書交換で副主席が行くようであるから、自分はいますぐというわけにいかぬが、機会を見て必ずお伺いする、田中前総理がおいでになってから私の方は借りになっている、だから一遍は借金をお返ししなければならぬ、こういう話でありましたから、ことしは無理かもしらぬがぜひ早目においで願いたい、そうせぬと、余りおいでにならぬと、中国は大国だからいばっている、こう日本国民は言いますよと言ったら大笑いをしておられました。
○中川(嘉)委員 それでは次に、最近の報道によりますと、アメリカのカーター大統領が、ソ連へ売却するはずであったコンピューターの対ソ輸出の禁止を指令するとともに、この種コンピューターの輸出をしないようにわが国を初めとした英国、フランス、西ドイツ、こういった政府に要請したということですけれども、この事実関係について御説明をいただきたい。また日本政府はこの要請を受けたのかどうか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 米国からそういう話はありましたが、正式な、コンピューターをソ連に売ってはならぬという強いものでなくて、希望の程度であります。日本はまだ注文がソ連からないわけでありますから、これに対してどうこうはしておりません。米国にも返答しておりません。注文があったらそのときに検討しようと思っております。
○中川(嘉)委員 フランスはすでにアメリカの申し入れを拒否した、このように言われておりますが、私としては、日本政府が要請を受けてないということはどうもまだ理解ができないわけですけれども、それでは、もしアメリカから輸出禁止という具体的な要請があった場合に、日本政府はこれにどう対処しようとされるか。政府として米側の要請に同調するのか、あるいはこの申し入れを拒否して独自の判断で売却するつもりなのか、もう少しこの辺を大臣の感触としてお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 米国からのあれは、自分の方はしないことに決めた、したがって日本、英国、フランス等も受けられないように希望するという程度のことでありまして、返答を要することではございません。日本にはまだソ連の方から注文がございませんので、注文があったらそのときに検討したいと考えております。
○中川(嘉)委員 時間がありませんので、最後に一言このことに関連して申し上げたいと思いますが、わが国がたとえば米国の言いなりになって輸出をストップする、こういうことになってしまうと、対ソ外交という点を考えても、このことがさらに刺激を与えてしまう、こういうことにもなりかねないじゃないかと思いますが、こういった米側の要請そのものがあるとするならば、私はどちらかと言えば、アメリカのわが国に対する内政干渉ということにも発展するんじゃないか、このように思うわけで、どうかひとつこの点を十分勘案して、この問題については対ソ外交ということも踏まえまして、今後慎重に検討を重ねていただきたい。このことを最後に要望いたしまして、終わりたいと思います。
○永田委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 大臣、また外務当局の皆さん方本当に御苦労さまでございました。七二年の九月に発出された日中共同声明、その課題を今回処理されたわけでございまして、その間多くの障害や長い道のりがございました。本当に御苦労さまと申し上げたいと思います。特に外務大臣のお人柄と御熱意がこの成果をもたらしたと存じます。本当に御労苦を感謝申し上げる次第でございます。
 さて十五分という時間でございますので、多く御質問ができないのが残念でありますが、私は、今回外務大臣が訪中されていらっしゃる問、先方の首脳の方々とずいぶん突っ込んでいろいろお話をされたと思います。その中で国際情勢についての意見交換は篤とおやりになったと思いますが、その点いかがでございましたでしょうか。
○園田国務大臣 日本と中国を中心にした関係のある国際情勢が重点でございましたが、関係のないことについても十分相互理解を深めたつもりでございます。
○渡辺(朗)委員 その際に、国際情勢の基本的な認識については同意されたわけでございますか。いかがでございましょう。
○園田国務大臣 ほとんどの点でお互いが理解を深めたと存じております。
○渡辺(朗)委員 そうなりますと、私今度具体的にお聞きを申し上げたいと思います。
 十四日の人民日報にこの条約締結を歓迎する社説が出た。その中で「覇権主義は世界で暴虐をほしいままにし、至るところで侵略、干渉、拡張、転覆活動を行っている。これが当面の国際情勢において客観的に存在する厳しい現実である。」こういうことを言っております。その問題についてはどのようなお話し合いと、そしてまた認識を深められたわけでございましょうか。
○園田国務大臣 、覇権行為または覇権を試みるものに対してはお互いの立場で、方法は違うがこれに徹底的に抵抗するということは意見が一致をしたわけでありますが、どの国がどこで侵略をやっているとか、どこでどうだとかいう議論は出なかったわけでありまして、その新聞は中国の平素の持論を挙げられたものと思います。
○渡辺(朗)委員 実は外務大臣、そういうところで、私ども国内におりまして、この条約の締結を歓迎すると同時に一抹の不安を持っているわけです。たとえば世界の各国で、あらゆる地域で覇権主義が暴虐をほしいままにしている。しかも今度の条約によれば「覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。」両締結国がそのような表明をしているわけでございます。そうすると、一方はここにこういう具体的な暴虐があるではないかということを言われ、こちらの方はそれにどう対応したらいいのか。いま私は、人民日報の書いている中身が何を指しているのか、そこら辺、一国民としては大変に戸惑うわけであります。そういうことについて、日本という国がフリーハンドを持っているということが本当に確約できたのかどうなのかということでございます。その点大臣いかがでございましょう。いまの暴虐をほしいままにしているというような事態は、具体的に何を指しているとお考えになりますか。そして、またわが国としてはどういう対処をすべきだとお考えになりますか。
○園田国務大臣 私は会談を通じて、覇権には反対をする、しかし、その反対をする仕方は中国とは違うから、日本の立場によって反対をする。それから、どれが覇権行為であるかどうかということは日本国の判断によってやるということをはっきり言っておりますし、条約の中にもその行為が拘束されることはどこにもございません。たとえばどこの国が覇権であるかということを協議するとか、あるいはどこにどういう事態があった場合に力を合わせるとか、こういう個条は一カ所もございません。この点は、終始私が最後まで注意したところでございますから、日本が世界の紛争に対して独自の立場で処理するということは、間違いなしに第四条によって確保されたと確信をいたしております。
○渡辺(朗)委員 この問題は、また改めていろいろとお伺いを申し上げたいと思います。
 首脳とのお話し合いをされた中で、米中の正常化についても御議論をされたというふうに聞いておりますが、いかがでございましょう。
○園田国務大臣 米中の正常化は、少し話が出ました。
○渡辺(朗)委員 その際に、一部の新聞によりますと、ケ小平副首相とのお話し合いの中で、外務大臣は、これから米中関係についてもこうあるべきだというような御意見も助言もされたと聞いております。その中で、ある新聞によれば、中国は名をとってアメリカは実をとるようにすればうまくいくというようなこともおっしゃったように報道されておりますが、事実でございましょうか。また具体的な中身はどういうことでございましょうか。
○園田国務大臣 まず私は、黄華外交部長との話し合いの中で、米国と中国は両方正常化をしたいと考えているようだ、しかし米国の国内には反対の議論、議会内にも反対の議論がある、日本がもし中国と友好条約を締結するならば、その反対世論をアメリカの政府が説得するのに有利であろう、したがって友好条約が締結できるかどうかは米中の関係にも影響しますよ、この程度の話をして、向こうからは黙っておりました。それから、ケ小平副主席との話は雑談の中で二人きりの話で出ましたので、その場合のケ小平副主席の話は、私がバンス国務長官から聞いたのとほとんど同じことでありまして、両方が言い合った議論をそのまま言っただけであります。私はそこで、そういうことになっているがもっと話は突っ込んでいるんじゃないかということを私は知ってますよ、まあうまくやってください、こういう程度の話をしておきました。
○渡辺(朗)委員 次にもう一つ、やはり日本国民として懸念をしていることをもう一度お伺い申し上げます。
 それは尖閣列島の問題でございます。意見を交換された、そしてその際に、中国政府として再び先般の事件のような争いを起こすことはないという言明があった、だから領土権の問題は日本の立場が理解されているというふうな解釈でございます。この辺の実際のやりとりはどのような中身でございましたでしょうか。
○園田国務大臣 香港の一部の新聞に、これに対して、それは違う、条約の中に結ばれたすべての問題は平和的に解決するということなどと書いてありましたが、これは事実と違います。私が申し上げたとおりでありまして、この前のような事件は起こさないということをケ小平副主席は言明をされました。だから日本の領土権を中国は認めたということは一言も私は言ってないわけでありまして、やはり両国にそれぞれの体面があり、それぞれのあれがあるわけでありますから、この問題は、日本がただいま有効支配をやっている、中国の方でこの前のような事件は起こさない、こういうことだけ言ってもらえば、それで日本国の方々は満足していただかないと、それ以上突っ込みますとお互いに主張し合って紛争地帯になるおそれがある、いまはここは紛争地帯になってないわけでありますから、向こうからそれだけ言ってもらえばありがたいと思って帰ってまいりました。
○渡辺(朗)委員 その点でそれ以上突っ込むといいのかどうかはわかりませんけれども、香港系のその新聞によりますと、上平和解決を約束しただけ、だというような論評もしております。中国側は平和解決の約束をしただけということですが、そういうことなんでしょうか。これは大変重要なところでございますのであえて突っ込ませていただきます。
○園田国務大臣 平和解決をしようという話は一切ございません。ただ、今後ああいうことはないという言明を得ただけであります。
○渡辺(朗)委員 このことは何らかの外交文書として記録に残してある、日中双方がそう確認をいたしまして、その記録を所持するというような方法がとられているわけでございましょうか。いかがでございますか。
○園田国務大臣 正式の会談でありますから両方が議事録をとっております。この議事録に明確に載っております。
○渡辺(朗)委員 あと一、二だけちょっと聞かせていただきたいと思います。
 このたびの御労苦、本当に大変だったと思いますが、ただ気になりますことは、外国の新聞であるとかあるいは論者たちが批評するのに、日本側の主観とは別に、米中ソの国際戦略の中に日本は巻き込まれたのではないかというような論評やなんかを読みまして、私どもちょっと心配をしております。中国、アメリカではこの条約が反ソ包剛網というふうなとらえ方をしている面が多々見受けられますし、あるいはまたソ連は、反ソ同盟だ、そういうようなとらえ方をしていることはどうも事実でございます。それに対して三つ、私ちょっとお伺いしたい。
 一つは、お帰りになりましてすぐに、閣僚会議の後、外務大臣はソ連の報復などというものはあるまいというような御意見を言っておられます。これは何らかの根拠があるということで言っておられるのか、信念として言っておられるのか、まず第一点、そこをお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 三つの理由でございます。
 第一は、この条約締結について、また両国の論争においても、私は、中ソの争いの中に巻き込まれてはならぬという日本国民の意向は徹底するように伝えてありますし、また、友好条約はそういう第三国を意識してやるものではないということも言っております。第四条においては、日本の将来にわたる外交の基本線を確保しているわけでありますから、これでソ連が報復手段などをとられるはずはない、これが第一。
 第二番目には、こちらから正式にモスコーの松原公使からソ連の外務次官にこの文書の内容を説明した際に、いろいろ批判や抗議はありましたけれども、今後ソ連は、日本が本当にソ連との友好関係を進めるのかどうか、反ソ同盟ではないか今後の実績によって見る、こういうことでありますから、報復手段などということは考えられない、こう確信をしているわけであります。
○渡辺(朗)委員 もう一つの点は、外務大臣が北京で締結されて、その後、実は華国鋒共産党主席はバルカン訪問へ行っておられます。バルカン地域、たとえばルーマニアでは覇権主義に対する大変な批判をしておられ、そしてまた、共同闘争の呼びかけがある。こういうことが中国側の方で同時に行われている場合、日本側としましては大変憂慮をする気持ちが出てくるのはまことに当然でございますけれども、外務大臣、そういう問題について、たとえば諸国訪問をされる中国の方々に、やはり何らかの注文をされるとか、あるいは希望を表明されるというお考えはございませんでしょうか。
○園田国務大臣 中国としては、いま中ソが激しく対立をしているわけでありますから、しかも力も大分違うわけでありますから、なるべくソ連の脅威がないように各国で同意を得たりあるいはいろいろ考えることは当然でありましょう。これは私は中国にも、あなた方がつらい立場はよくわかるという言葉で表現しておきました。しかしわが日本はと、私は憲法九条から説明をしました。外交基本方針等も言って、ソ連に対して共同して当たることは絶対しない。モスコーでも言ってきた。ソ連と手を握って中国をいじめることはしない、そのかわり中国と提携をしてソ連に敵対行為をすることもないということをはっきり言っております。だから、そのような心配は万々ないと確信をいたしております。
○渡辺(朗)委員 最後にもう一つお伺いをさせてください。
 ケ小平副首相とお話し合いの際に、外務大臣は、中国の近代化、これは中国にとっても重大だがわが国にとっても重大だ、こういうことをおっしゃっておられますし、したがって、中国から相談があればそれに応じる用意があるということで、先ほどもお話が出たように、通産大臣もそのことのためにもいらっしゃる、わが国にとっても重要だということの中身を、私ちょっとお聞かせいただきたい。
 それからもう一つは、協力する用意があるということをおっしゃいましたが、御存じのように中国の近代化には軍事的な近代化もスローガンの中に大きな方向としてございます。この問題についてはお話をされたのでございましょうか。
○園田国務大臣 冒頭申し上げましたとおり、新しい世界の外交は、隣の国に不安を感じ、隣の国に脅威を感じ、隣の国が強くならぬようにやるということは過去のものであって、フランス、ドイツの例を見ても、お隣が本当に腹を割って話し合い、理解し合い、そして相手の国が繁栄をする、その繁栄の中に自分の国も繁栄することが、これが新しい時代の生き方であることを強調しました。そういう点から中国の近代化というのはきわめて大事でありますから、これに協力をするのが当然であると私は考えております。ただしその際に、日本の憲法によって軍の近代化には協力はできないぞということは、前提に間違いなしに言ってございます。
○渡辺(朗)委員 どうもありがとうございました。
○永田委員長 寺前巖君。
○寺前委員 時間も十五分と限られておりますし、近くまた批准の国会もあるようでございますので、端的な点だけを二、三聞いてみたいと思います。
 かつて日本が中国に侵略戦争を起こしたものであるし、また戦後長期にわたって不正常な両国間の事態にあったという点から考えて、平和五原則にのっとった基本条約を締結するということは自明のことでありますが、それにしても、日本外交の自主的展開とアジアの平和のために有効な内容として条約が成り立っているのかどうかということは、この条約を審議する上において国会の重要な立場と言わなければならないと私は思います。そこで最初に、第一条に示されておりますいわゆる平和五原則、「主権及び領土保全の相互尊重」ということを諸原則の一つの基礎に置いているわけですが、果たしてこの第一条で指摘している点を両国がそれぞれの具体的な事実を通じて確認し合っているのかどうか、私は率直に聞きたいと思います。
 先ほどから出ておりましたように、日米安保条約の第六条、極東条項、その中で台湾を含んでいるということはもう先刻御存じのとおりでありますが、明らかに日中共同声明でも、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるということを確認して今日まで来ておきながら、この日米安保条約に基づくところの発動、台湾というものをここに発動地域にしているということ自身は、この第一条で言う平和五原則の、主権と領土保全の相互尊重という立場から考えてみるときに、明らかに矛盾をし抵触をしているものだというふうに私は思うのですが、大臣はここに矛盾があるというふうに思われるのか思われないのかをまず明らかにしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 私は本条約が平和五原則に即応してつくられたものであると考えております。個々の問題についてほじくればいろいろありましょうけれども、それも平和五原則に即応するような方向に逐次進んでいく。台湾については、向こうは領土の一部であると言い、日本はこれを尊重するということで話がついているわけであります。
○寺前委員 私の聞いておるのは、日米安保条約は、この平和五原則に基づく立場を両国で話し合うという立場に立っていくならばここには矛盾があるではないか、したがって、台湾という問題については日米安保条約の中から少なくとも消さなければならないという性格を持つ矛盾があるのではないかということを聞いているわけですが、その点はいかがなものですか。
○園田国務大臣 個人の交際と同じように、二国間にもやはりいろいろ問題があるわけでありまして、現実の問題と理想というものの若干のすれ違いはあると存じます。それが逆行するものではないと考えております。
○寺前委員 去る七月三十一日、金丸防衛庁長官が国民政治研究会において発言をされたという内容が報道されております。ブラウン米国防長官との会談で、台湾、韓国、日本は運命共同体だ、どこか一つがぐらぐらしては対岸の火災祝していられないと。これは大臣先ほど、困ったものだということを感じた、その後取り消されたが、こういうお話でした。困ったものだ、どの点が困ったものだというふうにお感じになったのですか。
○園田国務大臣 日本と韓国、台湾が運命共同体であるという点が、これは困ったものだと思いました。その後取り消されましたから、ということでございます。
○寺前委員 その点が困ったものだと。その点がどの点で困ったものなのかさっぱりわからないです。主権や領土に関して中国の一部だということを日本も尊重するという立場にあるときに、運命共同体だと言って、中国の一部分であるところを引き出してきてこういう物の見方をするということが困ったものだ、というふうに理解してよろしいか。
○園田国務大臣 運命共同体という全般の言葉から来る印象、各国に与える影響、すべてのものを含んで、困ったものだと思いました。
○寺前委員 時間がないので次へ行きますが、どうも一つずつの原則が事実に照らして明確でないということは、私は禍根を残すということになると思うのです。先ほど質問が出ましたが、尖閣列島領有権については明確ではない。それでは、日本の実効支配ということについて中国側が認めたと理解をされたのかどうか。
○園田国務大臣 ありのままを申し上げただけであります。その判断は各人の御随意であります。
○寺前委員 その結果はどういうことになるのですか。日本の実効支配を認めて、そして領有権としての確認も後日やろうということにされるのですか、あいまいのままにこのまま置いておくのですか。どういうことになるのですか。
○園田国務大臣 尖閣列島は御承知のとおりに紛争地帯になっておりません。日本は日本のものであると主張をしておる、中国はこれに対して自分の領土であるということを最近言われたわけであります。日本はこれに対して話し合いになっておりません。したがって、将来話し合いをするとかせぬとか、そういう紛争地帯じゃないと解釈しております。ただ現状は、日本の立場を主張し、この前のような事件は困ると強く要請しましたら、この前のような事件はしない、これが事実であります。
○寺前委員 これもどうもはっきりしないのですが、実効支配としての確認を明確にするならばする、それから領有権としての確認は別の機会にきちんとやるというふうに、国際的な取り決めとしてはしておかなければいけないのじゃないでしょうか。私はちょっと危惧をしますのでちょっと聞いてみた。発言ありますか。
○園田国務大臣 竹島の問題で、竹島は韓国が占拠しておるわけであります。そこで私は竹島の領有問題で話をしようとこう言う、韓国の方はそれはもう話し合うことじゃないと言って避けようとしておる。その逆でありますから、私は突き詰めていかぬ方がよろしい、いまの有効支配の現状で、ああいう事件がなければ、これは将来の禍根ではなくて、将来友好に向かうことだと判断をして、言われただけで済ませました。
○寺前委員 時間もありませんので次へいきますが、内政に対する相互不干渉という問題があります。
 会談の八月九日の内容を見ておりますと、日本の指導者に対して批判めいた発言は慎んでもらいたい、内政干渉に受け取られかねないという発言をしておられるようです。日本の政界の指導者層に対してそういうようなことを言うということに対して、お互いの友好関係を確立する上において非常に問題だという問題提起だったのだろうと思いますが、これに対して中国側はどういうふうに受け取ったのか、御説明いただきたい。
○園田国務大臣 内政干渉という言葉はその場に使った言葉ではありません。私は次のように言いました。われわれの方で華国鋒主席、ケ小平副主席のことをいいとか悪いとかけしからぬとか言えば、中国の国民は日本国を信頼しますか、友情を持ちますか、しかるにあなたの方は、日本の政治家を指名をしていろいろ言われておるが、こういうことは困る、こう申しましたら黙って聞いておりました。
○寺前委員 次にいきます。
 反覇権という条項がこの条約の中に明記されました。中国側が反ソとして反覇権の問題を取り上げてきていることは御存じのとおりであります。この中国側の意見に、日本側として賛成をされたという性格のものかどうか。
○園田国務大臣 そうではございません。
 私は、反覇権というのは社会的原則であって、日本からむしろ進んで、覇権行為には相手が中国であろうとソ連であろうとアメリカであろうと抵抗する、こういうことを言ったわけでありまして、中国の言い分にこちらが妥協したわけでは断じてございません。
○寺前委員 中国は覇権を求める国としてソ連を位置づけておりますけれども、日本側としてはソ連を覇権を求める国として見ておるのかどうか。
○園田国務大臣 お互いに自国の外交の自由を確保しているわけでありますから、中国がどの国を覇権と決めようとこれはわれわれに関係するところではありません。日本はその中ソの対立に巻き込まれないということをはっきり言っているわけでありまして、どの条約を見てもその点に巻き込まれておりません。ソ連が覇権国であるかどうかということは、正直に言って覇権行為はしばしばあります。しかし私は、ソ連を覇権国と言った覚えはまだ一回もありません。
○寺前委員 第一回の日中外相会談で大臣は、ASEAN各国がソ連の脅威を心配していることは事実だという発言をしておられるようですが、中国がソ連の覇権反対ということを云々している場においてこのような発言をしておられることは、これは中国の特殊な路線に迎合する立場から発言された内容として見ていいでしょうか。
○園田国務大臣 その御議論は受け取りかねます。私は次のように言いました。日本並びにASEANの国々は現実にソ連の脅威を感じている、これは事実であります。しかしまた、中国の未来に、中国が強くなってきたらまた中国もそうなるのではないかという不安を感じている、これはASEANの外相会議で現実に出された言葉であります。私自身もそう思っておりますから言っただけでありまして、中国に迎合したわけではありません。中国の未来についても注意しなさい、こう言ったのです。
○寺前委員 新聞報道によりますと、ケ小平副主席が八月十日外務大臣に対して、ベトナムの行動はソ連を背景にしての地域的覇権主義であると述べておるようであります。外務大臣はこういう中国の見解に対して同調いたしますか、どうですか。
○園田国務大臣 ベトナムに対しては私は日本の外交方針を申し述べました。ベトナムに対しては応分の経済援助をやっておる。なお、それに対決をしておるカンボジアにも今後応分の援助をやるつもりである。それはアジアの一角において火を噴かれては困る、安定することが大事であるから両国に援助をするんだ。ベトナムについては自主独立の路線を外れないように、こういう前提でやっておる、こう言ったら、それに対してケ小平副主席は、そんなことをやってもむだだ、むしろソ連の方に預ければいい、ソ連の方に預けてしまったらまた返ってくるよ、こういう話をしました。それ以上の論争はいたしませんでした。
○寺前委員 それで、外務大臣はベトナムを地域的覇権主義の国として位置づけられますか。
○園田国務大臣 それならば経済援助をするはずはございません。
○寺前委員 ところで、外務大臣がいまもおっしゃいましたが、ベトナムが自主独立の路線から外れた場合には経済援助を打ち切る、こう述べられていますが、この路線から外れた場合というのは、どういう事態になることが路線から外れた場合ということになるのですか。
○園田国務大臣 それはベトナムという国が外交においても政治においても一つの大国に偏向した場合、こういう意味であります。
○寺前委員 中国の諸君は、さきもお話にあったように、ソビエトの側にいけばいいじゃないかという態度をとっている。ソビエト側の援助が少しでもあるとするならばそれは外れている、自主独立の路線から外れた、こういう立場をおとりになる、こういうふうに理解すべきものですか。
○園田国務大臣 自主独立路線を外れるとは、他国の強要によってあのベトナムがアジア紛争の基地またはその地帯にならないように希望するという意味であります。
○寺前委員 お約束の時間が来ましたので、きょうの質問はこれで終わります。
○永田委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 同僚の委員の方々、今回日中平和友好条約の調印に関して、園田外務大臣あるいは側面的にその調印までいろいろな御努力をされた外務省当局の皆さん、あるいは多くの今日の状況を長い時間待ち続けてきた、あるいはいまはすでに亡き先輩たち、こうした道を開いていただいた先輩の皆様方に、私たちも感慨無量の気持ちで、こうした努力に心から敬意を表するものでございます。しかし事はすでに新しい国際状況が、大きくまた静かに音を立てるごとく動きつつある、こうした中で、多くの日本の国民の皆様方も、かつて私どもも、戦後の教育を受けながら、中国がこのようにこうした状況の中で変わってくるなどということがそう早く予想ができただろうか。アメリカ帝国主義、日本の侵略、中国の放送を回せばいつもそういう放送を聞いてきたという状況の中で、少なくとも、世界の情勢は大きく変わりつつあるという認識を受けながらも、一方では、大国中国がこれからどのような動きをしていくかということに大きな懸念を持っていることも、もちろん私は事実であろうと思うのでございます。細かな条文の問題について御質問している時間がありませんけれども、こうした日本を取り巻く状況が変わってきたと同時に、もちろん中国もまた大きく変わっていることは事実であろうと思います。中国がこうした条約を対外的に結ぶのは十三年ぶり、しかも覇権に関してこうした条約化をするということはかつてないことでありますから、中国もまた変わったということは明らかであろうと思うのであります。
 そこで、先ほど渡辺委員も御質問されましたけれども、私は重ねて、この覇権主義、定義づけは御説明をいただきました、しかし日本と中国のこの覇権に対する認識、覇権主義というその定義に対する認識、あるいは具体的な政策上の意味においても、日本と中国が現状において認識を一つにしているかどうかという認識についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 御発言のとおりに、中国は逐次変わってきております。しかし、日本の方も変わっておりまして、かつては鬼畜英米とおっしゃった同じ人が、ただいまでは親英親米、こう言っておられることでありますから、問題は、変わったことが悪いのじゃなくて、いい方向へ変わったかどうかということが問題であると思います。平和と繁栄の方向に向かって変わってくることは、私は好ましいことだと考えております。
 覇権についての解釈は、変わりはないと思います。ただ、その覇権に対して、日本は日本の立場で反対をする、中国は中国の立場で反対する。置かれた環境がありますから、覇権に抵抗する態度や姿勢、方法は変わりがあると思います。解釈については一点の変わりもないと存じます。
○伊藤(公)委員 大臣から御答弁をいただきましたが、今度の交渉に当たって側面的に大変御苦労されたアジア局長からも、今度の日中の交渉に当たって、今後の中国はどう変わっていくであろうかという認識について、一言だけお尋ねを申し上げておきたいと思います。
○中江説明員 私は二つの点があると思います。一つは、先ほど来外務大臣もおっしゃっておりますように、日本も中国もともに覇権を求めないということを天下に約束し、明らかにしたという点でございます。これは日中間の過去の歴史をさかのぼりますと、その持つ意味の重さというものは、国民の皆様方も御理解いただけると思います。
 第二点は、そういう日中間が、単に日中両国関係にとどまらず、アジア、ひいては世界の平和と安定と繁栄のために貢献していく、そういう姿勢を明らかにした点、この二つの点が重要な意義であろうか、こういうふうに思います。
○園田国務大臣 中国の将来がどう変わるかという御質問でありますが、私今度参りましてから、各所に御案内をいただきました。しかし、私は条約締結に生命をかけてきたから今度はお断りすると、部屋から一歩も出ませんでした。そのときにアジア局長が紙を持ってまいりました。見ると孫文先生の詩であります。「世界の潮流はとうとうとして流れる、これに逆らう者は滅び、これに従う者は栄える」まさに友好条約を契機にして、日本もこれに従って正しいことをやるならば栄えるだろうし、これに反対することをやれば滅ぶ、中国も同じである、こう考えております。
○伊藤(公)委員 大きな歴史の流れの中で、しかしその流れを確かに見定めながら確実に前進をしていくことが、わが国にとっては大変大事な問題だと思っているわけでございます。いろいろな努力をしていただいた皆さんのこうした結果については、大きな、これからも末長く歴史に残る作業として評価をされると思いますけれども、しかしそれが高く評価を名実ともにされるかどうかは、今後の日本の外交あるいは日本と中国とが実のある、これから一つ一つ具体的な橋をどのようにかけていくかということに一にかかっていると私は思うわけでございます。
 そこで、今後日本と中国との間で当然、すでにもう動き出しておりますけれども、特に経済の問題でございます。すでにことしの上半期だけでも、日本と中国との貿易の額は昨年の同期に比べて一六%、もちろんドルのベースでいきますと四二%を超える。しかも、かつてない年間五十億ドルにことしは達するであろうと予想されているわけであります。そこで、先ごろ七月に訪中をした三井グループの代表団に対して中国は、李先念副首相が、民間の借款を受け入れる用意がある、こういう発言をされているわけであります。しかし、御承知のとおり、中国は自主更生、他国の援助というものに対しては非常に厳しい原則があるわけでございます。しかし、これから日本と中国との大型のプロジェクト等々を考えますと、日本の輸銀の安い利子で借款をということは当然今後配慮されなければならない点であろうと思いますけれども、こうした見通しについては、外務大臣としてどのような見通しを持っておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 中国は、自力更生を中国復興の基本方針にいたしております。いまでもそれが変わっておるとは私は思いません。その自力更生の基本を達成するために、いろいろ資本なりあるいは技術なり、そういうものの協力を率直に受けたい、こういうことでありまして、結構なことだと思います。私はケ小平副主席には、日本でも外資の導入反対なんという声があったけれども、つくってしまえばよその国が持っていくわけにいかぬのだから、まず自分の国が進むことが大事だから、大胆にやられたがよかろう、そういう点についてはわれわれもよく考えます。こう言っておきましたが、おっしゃるとおり、長期の借款その他については、やはり中国の立場に立って私は役に立ちたい、こう考えております。
○伊藤(公)委員 日中の条約の調印によって今後の米中関係がどのように進展をしていくかということは、非常に注目されるところだと思います。極端な将来の展望をする方は、アメリカの社会を経済的にもあるいは頭脳的にも指導しているのは、ユダヤ系の方々、しかも非常に商才にたけた、経済に対しては合理的に割り切っていくという人たちが指導的な立場にある。一方中国は、御承知のとおり、中国人は経済的には非常に商才にたけた民族である。そうすると、今後米中接近というものは、経済を中心にして急展開をしていくのではないか。そうした米中関係の接近の中で、かつて日本じゅうが中国の代表権は台湾だ、こう言っていたときに、すでにアメリカはキッシンジャーを中国の奥深く送り込んで米中接近を図っていたことも事実であります。こうしたアメリカと中国とのいろいろな交渉過程を見てまいりますと、米中関係というものに少なからず今度の日本と中国との条約の調印は影響を与えるのではないかという気がいたすわけでありますが、今後の米中の進展については、外務大臣はどのような御見解を持っていらっしゃるでしょうか。
○園田国務大臣 米国と中国は両国とも接近する方向に政府は向いておると想像いたします。しかし、米国は、米中が正常化をしてソ連に当たろうという考え方は、これは毛頭ございません。なお、EC、米国、どのように考えて接近されるのか知りませんが、中国を世界有数の市場だと思って接近をされるならば、これはアブハチ取らずで、当てが外れると存じます。中国はいま外貨の獲得に必死であります。物価を見ましても、大衆が使う物価は非常に安い、住宅、寮なども非常に安い、しかし特別な高級物はべらぼうに高い、こういう点から見ても、中国がいかに必死に中国の近代化を考えているか、その近代化に協力をする、そして、いずれの国も繁栄をして、そこに平和が来る、こういう見通した哲学をもって接近をしなければ、金もうけの対象だと思って接近した国は、私は失敗すると考えております。
○伊藤(公)委員 わが国の、いかなる国に対しても友好関係を打ち立てていこうという姿勢には私も賛成でありますけれども、冷静に今度の日中の交渉を見詰めてきた多くの国民の中に、他方では、明らかに中国への道を選択した、そして日本自身がどういう考え方と認識をしようとも、少なくともアメリカの対ソ戦略、中国の対ソ戦略、そうした米中の対ソ戦略の中に巻き込まれていく心配はきわめて大きい、こういう認識をしている方々は、やはり一方ではかなりいると思います。そこで、これから私どもは具体的にソ連に対しても、ソ連とも隣国でありますから、新しい外交関係を打ち立てていくのだという熱意を示していかなければいけないと思います。もちろん領土問題も大事であります。
 そこで、ひとつ私は、将来についての具体的な問題を提起したいと思うわけでありますが、北方領土問題を片づけないで日本とソ連との新しい関係は非常にむずかしい、これは言い続けてきたことでございます。しかし、たとえばソ連はいままでは、領土問題はすでに解決済みだ、こう主張してきたわけでありますけれども、歯舞、色丹、択捉、国後を含めて具体的に条文の中で明文化して、領土問題は未解決の問題です。日本とソ連との善隣友好条約、こうした問題で一歩踏み出していきたい、こういうソ連の姿勢が示されたときに、わが国はいままでどおり、北方領土問題を片づけずして善隣友好条約は一切ない、こういう姿勢を今後ともとっていくのか、あるいはソ連のこうした状況によっては、これから日本としてもソ連に対していろいろな考え方をもって臨むのか。今後のソ連に対する姿勢をお伺いをしておきたいと思います。
○園田国務大臣 ソ連に対して新しく外交を進めていくということではなくて、いままで進めてきた外交関係を進めていきたい、こう考えております。北方四島で、これは紛争地帯である、将来解決しようという話がソ連からあった場合、あそこにソ連の軍隊がいなければ結構でありますけれども、自分で占拠しておって、将来片づけようと言ったら、いつになるかわかりません。私が外務大臣である限りそのようなことに乗るわけにはまいりません。
○伊藤(公)委員 最後に、日中の大きな橋がかけられたことは事実でありますけれども、今後いろいろな具体的な問題を中国と定期的に話し合いをしていかなければならないと思うわけでありますが、日中の定期閣僚会議というようなものを今後持たれる用意があるのかどうか。
 そしてもう一点、今度の交渉だけでなくて、すでに中国は、日本に五百人近い留学生を送る、こういうことが具体的に計画をされているようでございますが、その受け入れをどうするのか。また、日本からも中国に留学生を送る、こういう計画が将来持たれるのかどうなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 定期外相会議をやるという計画はいまのところございません。ただ、妥結したときに向こうの外務大臣に、今後新しい一歩を踏み出すのであるから、外相レベルまたは事務レベルで頻繁に協議をいたしましょう、将来どのようなかっこうで会議をやるか、あるいは協議をやるかは、今度批准に来られるときに相談しましょう、この程度でありまして、いまのところは前進しておりません。
 留学生の問題について、行く前に私、文部大臣とよく打ち合わせをして参りました。これは近代化ともつながっておりまして、中国は非常な熱意であります。また、今度の交渉を見ましても、正直に言って、中国の友人がわが日本に与えた友情というものは深く評価しなければならぬと思います。そういう意味において、留学生を多数受け入れることは、これは将来日本のためにも大事だし、当面、中国の近代化にも必要でありますから、これは格別な枠で何とかしたいといま努力をしているところでございます。
○伊藤(公)委員 質問を終わりますが、きょうはえらい細かなことを申し上げることもどうかと思いますが、せっかく日本に勉強に来た留学生の人たちが――つい先刻もございました、タイの留学生が、日本で十分な配慮もされないで、栄養失調のような形で亡くなって、外務省にも泣きついたけれども、とうとう帰る飛行機賃も周辺の市民の手でカンパをして、一人のアジアの留学生が、日本で亡くなったわけでありますけれども、それを善意の市民の手で送り帰したというニュースがかなり多くの人たちに波紋を投げかけて、一方では経済大国、お金が余っていると言いながら、隣のアジアの留学生がさみしく日本で若い生涯を遂げて、そして帰るときには、せっかく泣きついても、交渉に行っても、通り一遍の役人の答弁しかなかったという記事を読みながら、今後わが国は、政治レベルのいろいろな高い次元の政治折衝はもちろん欠くことができませんけれども、こうした民間のたわいのない、しかし多くの人々に大きな影響を与えるこうしたことを忘れない外交というものをぜひ推進をしていただくように強くお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○園田国務大臣 留学生は、御承知のとおり官費と私費の留学生がありまして、私費の留学生は苦学みたいにして、職を探しながらやるわけであります。官費の留学生は文部省、私費の留学生は外務省、こう受け持って民間団体でやっておったわけでありますが、なかなか金が集まりません。そこでなわ張り根性を捨てて、官費も私費も文部省で所管するように今度所管がえをいたしました。いまの御注意の点はよく守りながらやるつもりでございます。
○伊藤(公)委員 ありがとうございました。
○永田委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十七分散会