第084回国会 大蔵委員会 第24号
昭和五十三年四月十二日(水曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 大村 襄治君
   理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君
   理事 保岡 興治君 理事 佐藤 観樹君
   理事 塚田 庄平君 理事 坂口  力君
      愛知 和男君    池田 行彦君
      小渕 恵三君    北川 石松君
      後藤田正晴君    佐野 嘉吉君
      坂本三十次君    高鳥  修君
      林  大幹君    原田  憲君
      堀之内久男君    村上 茂利君
      森  美秀君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    伊藤  茂君
      池端 清一君    大島  弘君
      川口 大助君    沢田  広君
      只松 祐治君    山田 耻目君
      宮地 正介君    高橋 高望君
      荒木  宏君    永原  稔君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局審議官    澤野  潤君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       大槻 章雄君
        大蔵大臣官房審
        議官      米里  恕君
        大蔵省主計局次
        長       山口 光秀君
        大蔵省理財局長 田中  敬君
        大蔵省証券局長 山内  宏君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        大蔵省国際金融
        局長      旦  弘昌君
        国税庁次長   谷口  昇君
        労働大臣官房審
        議官      谷口 隆志君
 委員外の出席者
        経済企画庁総合
        計画局審議官  高橋 毅夫君
        大蔵大臣官房調
        査企画課長   大竹 宏繁君
        通商産業省産業
        政策局産業構造
        課長      日下部光昭君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十二日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     堀之内久男君
  坂本三十次君     北川 石松君
同日
 辞任         補欠選任
  北川 石松君     坂本三十次君
  堀之内久男君     大石 千八君
    ―――――――――――――
四月十二日
 税制・財政・金融の民主化等に関する請願(川
 口大助君紹介)(第三〇一二号)
 石油税新設に関する請願(近藤鉄雄君紹介)(
 第三〇一三号)
 漁業離職者の所得税等減免に関する請願(津川
 武一君紹介)(第三〇九九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 各種手数料等の改定に関する法律案(内閣提出
 第三〇号)
 昭和五十三年度における財政処理のための公債
 の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法
 律案(内閣提出第三号)
     ――――◇―――――
○大村委員長 これより会議を開きます。
 各種手数料等の改定に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、昨十一日質疑を終了いたしております。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 各種手数料等の改定に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○大村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
○大村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して野田毅君外五名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。塚田庄平君。
○塚田(庄)委員 ただいま議題となりました各種手数料等の改定に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案の趣旨とその内容を簡単に御説明申し上げます。
 最近における経済情勢の変化等に顧み、今般、各種手数料等の金額について、行政コスト等を勘案して、統一的な観点から全般的な見直しを行うことといたしましたが、本附帯決議案は、政府に対し、今後とも各種手数料等の適時な見直し等とその算出方法の合理性について、一層検討を加えるよう要請するものでありまして、案文の朗読により内容の説明にかえさせていただきます。
   各種手数料等の改定に関する法律案に対する附帯決議(案)
 一 政府は、各種手数料等の費用負担の公正を期するため、国民生活に及ぼす影響等を考慮しつつ適時に各種手数料等全般について見直しを行うとともに、法律、政令等にゆだねるべき基準につき整合性を図るよう努力すべきである。
 一 政府は、各種手数料等の趣旨にかんがみ、その算出方法等の合理性について、なお一層検討すべきである。
以上であります。
 何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○大村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣。
○村山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
○大村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○大村委員長 次に、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を求めます。村山大蔵大臣。
    ―――――――――――――
 昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○村山国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昭和五十三年度の予算編成に当たりましては、わが国経済及び財政の状況にかんがみ、財政の節度維持にも配意しつつ、民需の動向を踏まえ、内需の振興のため財政が主導的な役割りを果たす必要があるとの基本的な考え方に立って、臨時異例の財政運営を行うこととした次第であります。
 ところで、昭和五十三年度においては、歳入面では、酒税及び有価証券取引税の税率の引き上げを行うとともに、新たに石油税を創設する等の措置を講ずることとし、さらに、税収の伸び悩みを補い、財源の確保を図るとともに、地方財政対策等にも資するため、昭和五十三年度内に納税義務が成立し昭和五十四年五月中に収納される税収について、年度所属区分を変更して、これを昭和五十三年度所属の歳入として受け入れることとしておりますが、なお十分な租税収入を期待できない状況にあります。
 他方、歳出面では、投資的経費と経常的経費とに分けて検討し、投資的経費については、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を一層推進するとともに、景気の回復を早めるため積極的に規模の拡大を図ることとする反面、経常的経費については、財政節度の維持に努める見地から極力その規模を抑制することといたしましたが、特に緊要な施策については、社会経済情勢に相応して、重点的にその充実を図ることとしたところであります。
 このような歳入歳出両面の状況にかんがみ、昭和五十三年度においては、財政法の規定により発行する公債のほかに特例公債の発行によらざるを得ず、また、日本専売公社から通常の専売納付金のほかに特別の納付金を受け入れる必要があると考えるものであります。
 このため、同年度の特例措置として昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案を提出する次第であります。
 しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府といたしましては、財政の健全化を図るため全力を尽くす決意であります。
 以下、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一は、特例公債の発行等についてであります。まず、昭和五十三年度の一般会計歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができることといたしております。
 次に、租税収入実績等に従って、特例公債の発行額の調整を図るため、昭和五十四年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、昭和五十三年度所属の歳入とすることといたしております。
 また、この法律の規定に基づき、特例公債の発行限度額について国会の議決を経ようとするときは、その公債の償還の計画を国会に提出しなければならないこととしております。
 なお、この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は、行わないものとしております。
 第二は、日本専売公社の特別納付金の納付についてであります。まず、日本専売公社は、昭和五十三年度限りの措置として、通常の納付金のほか、積立金のうち千五百六十九億円に相当する金額を昭和五十四年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないこととしております。
 次に、この特別納付金に相当する金額は、積立金の額から減額して整理することといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○大村委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○大村委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、ただいま議題となっております本案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
    ―――――――――――――
○大村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 ただいま提案されました財政特例法案につきまして、若干の点について御質問申し上げたいと思います。
 この法案は、この数年来非常に大きな焦点になってまいりましたが、いま大臣の御提案の中にも「臨時異例」という言葉が出ております。まことに異常な状態ということになっていると思います。昨年までの議論の中では、財政法に照らした精神とかあり方とか歯どめの問題とかいろいろな議論があったわけでありますが、これだけ大きく国の借金が増大をしてくるということになりますと、また別の視点から議論をしなければならない、残念ながらそういう段階になっているのではないかと思います。
 このような事態になりました政府の責任は責任として、これからどうしていくのかということが重要であろうと思います。私はそういう意味で、特にこれからの財政再建の展望、大臣の御提案の中にも、あくまでも特例的な措置であって、財政再建のために政府としても「全力を尽くす決意であります。」というわけでありますが、その中身をどう国民の前に明らかにしていくのかということが一番大事になっているのではないかと思います。また、そういうことのない借金の積み重ねは、国民はとても納得をすることはできないだろうということだと思います。
 そういう意味から、三つの点について御質問申し上げたいと思いますが、まず第一に、予算委員会に提出をされました財政収支試算についてであります。
 昨年、一昨年と二つのケースについての試算が提出をされてまいりました。私ども、毎年変わるのではないか、またこれがどれだけの計画性があり、意味があるのかということを言ってまいったわけでありますが、今回、五つのケースが提案をされております。
 ここは、その中身を考える前に問題意識として、そもそもこの憲法の規定によって予算の提出権あるいは財政運営の責任というのは政府にあるわけですから、国民に多くの選択を求めるとは申しますけれども、数を多く出して選択を求めればいいというのが政府の責任ではないんだろうと思うのです。やはり実行性のある、また、政府が責任を持ってこうしていきたい、こうすべきではないかというふうに考えるという、責任のあるしぼった財政再建案という形で出されるべきではないか。いままで二種類出てまいりまして、今回五種類ですね。来年十種類ということはないだろうと思いますけれども、いまのままでは無責任のそしりを免れないのではないだろうかと思いますが、その点どうお考えになりますか。
○村山国務大臣 このたびお示しいたしました財政収支試算のあれでございますが、五つタイプが示してございますけれども、初めの二つ、Aケース、Bケースというのは、念のためにお示ししたというふうに受け取っていただきたいのでございます。全部特例公債で賄った場合がAケースでございます。それから、全部歳出で削減したら一体どんな答えになるのかということでございまして、それはいまの財政がどんな状況に置かれているかということを示す参考のような形でございます。私たちはしたがって、C、D、Eを実はお示ししているわけでございまして、経済企画庁の企画委員会の暫定試算との整合性から申しますと、Cケースが一番適合していることは御承知のとおりでございます。五十七年に特例債から脱却しつつ、経済計画が、いまやっております暫定試算の道、安定成長の道が達成できるかどうかということをマクロで計算したものでございまして、大体いけそうだなという数字がケースCに示されているわけでございます。
 しかし、それでございますと、かなりの増税額を必要とするわけでございまして、五十四年から発足いたしたといたしましても、十兆を超える増税額が、一定の仮定を置いてございますけれども、必要だということでございます。それならば、当然国民の考え方として、もうちょっと歳出を詰めて負担を少なくしたらどうかという考えもあろうかと思いまして、やや増税を少なくして歳出を圧縮する形をとりましたのはDケースでございます。それからEケースは、ちょうどCケースに対して要増税額を半分ぐらいにしたらどんな歳出になるのかなという検討をいたしたわけでございます。
 そういう意味から申しますと、昨年までお示ししておりますのは、いわば特例債を五十五年までに脱却するには、租税及び印紙収入のような普通歳入がどのくらい要るかという所要額だけ書いてあったわけでございますが、今度は五つのケースと申しますけれども、実際はやや現実的に三つのケースにしぼりまして、そしてそれぞれの所要増税額、一般負担をどれだけふやさなければならぬかということを試算でお示ししたわけでございまして、やや少し感じが出てきているのではないかと思っているわけでございます。しかし、これはもとより試算でございまして、このとおりやるという財政計画ではありませんけれども、現在置かれております財政の状況がどのような形になっているかということを広く国民の方々に御理解を賜り、またこの国会の論議を通じまして、この問題が深まり、国民的コンセンサスが得られることを願望いたしまして御提出した、こういう性質のものでございます。
○伊藤(茂)委員 ただいまの大臣の答弁もそういう言葉遣いでしたが、予算委員会の議事録を読んでみましても、企画庁が出された五十七年までの経済動向暫定試算と最も整合性があるのはケースCでありますという表現をされております。
 お伺いしますが、その企画庁が出した経済暫定試算と整合性がある、出されたペーパーとして整合性がある、数字のつじつまが合った整合性ということではなくて、国民が関心を持っているのは、どういう現実性と具体性があるだろうかということだと思いますが、整合性と具体性、現実性というこの面、どうお考えになりますか。大臣が言われましたように、ケースCについても合計十兆を超える増税をしなければならない。五つのケースの中では大増税型というところが一番いいとお考えになっているような口ぶりでございますけれども、そういう方向が、単なる整合性ではなくて現実性というふうにお考えになっておりますか。
○村山国務大臣 経済企画庁の中期経済計画は、御承知のとおり、大体六%強の経済成長をねらっておるわけでございます。その場合の政府支出のあり方等について示しているわけでございます。そういったものを受けまして、果たして目指しているところのものが今後、財政再建のための負担増を設けてもその成長は可能であるかどうか、あるいは振替所得の水準がどんなことになるのであろうか、そういった点をずっとここで検算いたしておるわけでございます。そして、いわば財政の再建を図っていっても六%強の成長が可能であるという姿だけは出たわけでございます。しかし御指摘のとおりに、これは試算でございまして、可能であるということだけを示しているのでございます。しかし、いま現実にどのような財政政策を立てていくか、それはもちろんそのときどきの情勢に応じて決めるべき問題でございますけれども、中期的試算として可能であるということだけはある程度これで検証されているのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
 あわせて、財政というものがいま大変な状況になっておって、特に早く特例債から脱却しないと大変な姿になるということを、ほかのAケースあたりがよく示しているわけでございますので、その辺をあわせおくみ取りいただきまして、そしてまた、財政再建のための負担の増であるとか、あるいはある種の歳出の切り詰めについても国民の御納得を得たいものだ、このようなつもりで出しておるのございます。
○伊藤(茂)委員 大臣はどういうお考えか知りませんが、やはりこれから財政と経済とは一体のものとして再建をされなければならない、しかも、先の見通しがなかなかつけにくいと皆さん方が言われているようなこの重大な局面、そういう中で、先ほどの提案にもありましたようにやはり全力を挙げた努力をして、余りよくわからないポシビリティーの議論ではなくてリアリティーの議論をしていく、いま大変だけれども、こういう方向に一歩ずつでも日本の経済、財政を再建していくんだということを示すのが政治の責任だと思いますし、また私どもも、こういう議論を通じてそういうことを国民の前に明らかにしていくということだと思います。そういう意味で、五つのケースが出されておりますが、それに深入りしてそれぞれ議論することには私は実は余り関心を持ちません。いま必要なのは、やはり歳出面も含めて、これだけの膨大な借金がどういうふうに使われているのか、国民経済、国民生活にどういう意味を持つのか、そういうことについても国民の御理解を願えるようなものにしていく、そういうことを含めた全体の検討が必要ではないか、そういう意味での先の展望がなければ国民は納得しないということではないかと思います。
 そういう方に入ってまいりたいと思いますが、その前に一つだけ伺いたいのは、ケースC、最も増税率の高いということに関連をいたしまして、今後の税あるいは増税というものの考え方なんですが、一般消費税とかその他具体的なそれらの議論はまた別の機会になされると思うのでありますけれども、考え方として伺いたいのです。
 いま景気動向が円高とも兼ね合って非常にむずかしい局面にあります。そういう中で、やはり国民消費の拡大、消費支出の拡大ということが残された大きな政策手段ではないかという声が経済界からも広く広がっているということではないかと思います。減税問題その他なども含めて、国民生活に与える意味、それからその景気効果の問題、その他新たな視点からもっと議論をしなければならない段階に来ているんではないかという感じが私はいたしますが、これからより大きな税負担を国民にお願いをするということになった場合に、そういうものをこのような当面する経済見通しの中で、主として国民、消費者に重点を求めてそれを最大の焦点にして増税を求めていくというやり方が今後の経済再建にとって妥当なのか、そうでない方向、私どもも御提案申し上げている幾つかの問題も残されているわけですが、そうでない方向で考えていく、余り画一的に言えないかもしれませんが、そういう方向づけがあるのではないだろうかという感じがいたしますが、その辺はどうお考えになりますか。
○村山国務大臣 この問題は、実際問題として考えますと、歳入歳出の両方にわたって考えねばならぬ問題だと思うのでございます。
 仮定の話でございますけれども、いかなるところから一般的な負担の増を求めて、それを一体どういう歳出に向けていくのか、個人消費の問題に限定したといたしましても、それによって恐らくその効果が決まってくるので、両面から考えていかなければならないと思うわけでございます。これはやるというわけじゃございませんけれども、余り消費にも使われないで貯蓄の方にどんどん回るというところにもし負担を求めて、そしてその歳出はむしろ受け取った方が消費に回すという方にもし振り向けられれば、全体として消費は上がってくるだろう、こういうことになるわけでございますので、そこのところは、歳入歳出両面を考えていかねばなりません。また、どちらに負担を設けるにしても、所得税がいいのかあるいは間接税がいいのかというような問題も、それ自身相当効果は違ってきましょうし、もちろん相互関連はございますけれども、実際の政策決定に当たりましては、そういったあらゆる角度から現実的な検討を必要とするのではなかろうか、そのように概括的に考えておるのでございます。
○伊藤(茂)委員 いまの問題は、一般消費税などの作業にも、新聞を読みますと、国会の終わった後急ピッチで入るというようなことが大きく報道されておりますが、私はこういう時期には、こういう税を採用したい、その技術的な問題をどう具体的にしていくのかということ以上に、やはりこういう経済状況のもとでどこに税負担を求め、あるいは今後の経済再建に当たっての焦点をどこに求めていくのか、大所高所に立った議論と考えが前提になってこれからの運営がなされなければならないということだと思いますが、そういう議論はまた別な機会に深めさせていただきたいと思います。
 私は、今日の経済財政危機の状態に当たって、財政再建あるいは国民の理解をいただくというためには、二つ大きな問題があるのではないかと思います。
 一つは、試算の段階からなるべく早くこれから先の具体的な展望を、ポシビリティーではなくてリアリティーの方向に向けて、多少ここは途中に試行錯誤があってもいいのだと思いますけれども、何かそういう方向に向けて努力していく、それを行政府としてもあるいは国会の場でも責任を持ってやっていこうということが一つだと思います。
 もう一つは、後ほどお伺いしたいと思いますが、諸外国の場合と同じように、経済メカニズムを通じて歯どめのない借金がふえていくということのない仕組みを、いま金融状況を見ましてもこの際ある意味では大胆にやり得る時期ではないかというふうに思いますし、その二つが当面する国債政策についての大きな焦点ではないだろうかというふうに思います。
 ちょっと伺いますが、いろんな新聞なんかに、大変な借金財政時代である、それをどう打開するのか。新聞評などでは、これを帳消しにするためには、大インフレか大増税か、その二つの道しかないのじゃないかということが盛んに言われております。私は、その二つの道ではなくて別の道を考えるべきだというように考えているわけですが、何かお考えございましたら伺いたいと思うのです。
○村山国務大臣 目標といたしましては、インフレはもう絶対避けねばならぬわけでございますので、いかなる手段を通じましても避けなくちゃならぬのはお説のとおりでございます。
 大増税かインフレかという選択は、われわれは両方全くとらないわけでございます。大増税というのは一体どの辺が大増税になるのか。日本の租税負担率は先進国の大体三分の二、非常に低いところにあるということは周知の事実であるわけでございます。それは急に一挙にはまいらないにいたしましても、今後日本だけが奇跡を生むわけにはいかぬことは当然でございますので、やはり時期を見ながら行政のサービスが国民の要望としてだんだん高まってくるのではないかと私は思っているのでございます。
 昭和四十九年から五十二年までの状況を見てみますと、歳出は大体一九%ぐらいの伸びでございます。それに対しまして、普通歳入の方は九%の伸びでございますから、その差は全部特例公債にいってしまいまして、いまは大変な借金財政を実施しているような形でございます。かつては日本は借金財政の少ない国でございましたが、いまは公債依存度で申しますと実質三七%、世界でもこんなに高い国はございませんで、各国を見てみましても、多分ことしで一番高いところは一六%ぐらいではないだろうか、その程度であるわけでございます。そういった意味で、私たちはあえて大増税と言わなくても、普通の国並みの負担、それも急にいくということではなくて計画的に、やはり市場経済の中に溶け込ませながらいくことは不可能ではないのではないか。それは結局、長い目で見て、財政は経済に奉仕するとはいうものの、その奉仕する側の財政が経済の足を引っ張らないように、また国民の御要望に沿ってそのときどきの必要な財源措置ができる、こういう財政みずから弾力性を持たなければ経済に奉仕するわけにもまいりませんので、早くそういう姿にしたい、私はこのような気持ちで試算をお示ししているところでございます。
○伊藤(茂)委員 大インフレも大増税もとるべきではないと言われましたが、ケースCが最も整合性があるということは、衣の下からよろいと申しましょうか、やはり大増税の方向という気持ちが出ているのではないだろうか。また、円高ともかみ合いまして物価動向につきましても、これは日銀総裁も言われておりましたが、非常に注意をしなければならない時期であろう、また国民がそれを非常に心配しているということだろうと思います。
 経済財政に伴った今後の中期プランをどうつくるべきかということの前に、もう一つお伺いしておきたいのですが、たしか財政制度審議会の昨年末の建議の中でも、試算よりも一歩進んだ中期展望をつくって国民に示さなければならぬということが指摘されておりますし、それから、いままでの財政制度審議会の議論の中でも、たしか四十九年の中ごろには企画部会小委員会の長期財政についての報告がございましたし、また一昨年の秋ですか、財政運営基本問題小委員会を設置して何か二年間で中期財政計画について結論を出す、そういう議論をしていこうということになっているようです。そうしますと、大体五十三年中に何かそういう結論を求めて、それが現実政策に生かされていくということになる段階ではないかと思いますが、その辺はどうなっておりますでしょうか。
○山口(光)政府委員 ただいまお話がございました財政制度審議会の昨年十二月二十日の建議の中に、おっしゃいますように「現行「試算」より一歩進んだ形での中期的展望を策定・提示することが必要となっていると考える。」ということを指摘しながら、「しかしながら、一方において、計上経費の既得権化、財政運営の硬直化等十分な検討を要する課題もあり、早急に結論を出し得る状況にはない。したがって、当面、五十三年度においては、「財政収支試算」をベースに投資部門と経常部門の分割を図る等の形で、その改善を図るという方途をとり、」云々と、こういう建議がなされているわけでございまして、私どももそういう線で努力したわけでございます。
 今回国会にお出しいたしました財政収支試算も、ただいまの建議の方向に沿ってお出ししたわけでございますが、それならば、五十三年度に財政計画のめどはつけられないかということでございますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、財政計画と一口に申しましてもさまざまな性格、内容のものが考えられるわけでございます。
 たとえば歳入歳出について各年度ごとの具体的な内容を盛り込んだ財政運営予定といったようなもの、そういう性格のものでございますならば、かなり長期的に各年度ごとの経済、社会情勢の見通しを行わなければいかぬというまず大変むずかしい前提がございます。それから、先ほどの財政審の建議にもございましたように、計上経費が既得権化する、かえって財政の膨張、硬直化を助長する懸念もなしとしないというようないろいろな問題がございまして、早急に策定することはかなり困難でございますが、財政審で五十一年以来御努力を重ねてきていただいておりますし、今後とも御審議をお願いしておりますので、われわれとしても勉強を続けていきたいと思うわけでございます。
 ただ、外国の例を見ましても、財政計画の導入につきましてはかなりの年数がかかっているのが普通でございまして、政府が公に検討作業を開始してから数年ないし十年ぐらい準備期間がかかっているというのが実情でございます。
○伊藤(茂)委員 私は、国債発行、借金の歯どめの問題として、その一つは、国民の納得のできるこれからの、試算ではないプランをつくっていく、できるだけ早く国民の参加を求めてそれをつくっていくということだと思います。それについて二つ注文があるのです。
 その中の一つは、むずかしいという御答弁、いまのお話もそうでございましたが、予算委員会の議事録を読んでみましても、とにかくいまはむずかしい、何か今日の異常事態を越えたらという形の答弁が繰り返されているということだと思います。私は、国民の目から見たら、いま大変なんで、それだけに何か展望が欲しいというのが、経済界もそうだと思いますが、国民の求めるものだということではないかと思います。私はその間に、短期間に完全なものをつくるとか、あるいはリアリティーのある完全なものが一挙にできるということはなかなかむずかしいと思います。しかし、そういうものをつくる努力を懸命に始めて、そしてそういう努力の中で国民の理解も参加も願っていくという姿勢が現実いま求められている、これが行政府の責任ではないだろうかというふうに考えるわけであります。ですから、一挙に完全なものをつくるというのではなくて、ラフデッサンでいいかもしれません、あるいは、計画性を導入している諸外国の場合のように、ローリングシステムを導入して、そして経済状況も国際状況に変化があるわけですから毎年見直していく、計画を出して毎年見直していくというのも当然の方法ではないだろうかと思います。そういう意味で、ぜひ努力を開始することをなさるべきではないだろうか。そしてまたそういうことについても、行政府がつくるだけではなくて、日銀総裁もこの間言われておりましたが、政府の方もそれから与野党も含めてそういうものについて議論をしていくことが必要ではないだろうかというふうに思うわけであります。
 いずれにしても、財政再建の下書きかベースかあるいは一体関係として経済計画の問題があります。企画庁からお越しを願っておりますが、五十年代前期経済計画があり、それからこの問の暫定試算があり、その暫定試算の方も、五つのケースに合わせて並行してつくられたという感じが強いわけですが、特に全体に関係をする企画庁の方で、私どもは、前期経済計画全体のつくり直しをすべきではないかというふうに言ってまいりましたが、いまのままで五十五年が終わって、それで五十六年からの後期を五十五年につくるということではどうにもならぬということは皆さんも痛感をされていると思います。また大蔵省側からも、日本の経済全体の青写真、見取り図、完全なものではないにしろそういう作業を急いでもらいたいという気持ちもあるのではないだろうかというふうに思うわけでありますが、その辺、企画庁の方でどうお考えですか。
○高橋説明員 ただいま先生が御指摘の経済計画についての考え方でございますけれども、御案内のように、現在の計画は毎年推進報告を出しておりまして、計画とそれから実績の対比ということを分析いたしながら計画の推進のための報告を行っているわけでございます。
 五十二年度の推進報告が昨年の暮れに出されたわけでございますけれども、そこで指摘しておりますことは、財政収支の改善のテンポは、現行の計画が当初考えておりましたよりもおくれておりますけれども、当面の内需の拡大を強力に推進するということを中心にいたしまして、計画で想定しております経済成長の路線を実現をしていくということによりまして、現行の計画で目標時点に考えております物価の安定、雇用の確保、国際収支の均衡に関する現行計画の基本的な目標の達成は可能であるというふうに五十二年度の推進報告では述べております。そういうことから見ましても、政府といたしましては、現段階で計画を改定する考えは持っておりません。
 しかし、そうは申しましても、財政収支を改善するという問題は、これは五十二年度の推進報告でも指摘しておるわけでございますが、現在までのところでは景気の回復が非常に緩慢であるということから、税収が非常に伸び悩んでおりまして、低水準にとどまっております一方、財政の支出につきましては、社会保障の水準が計画の想定を上回って伸びておりますほか、公共投資につきましても、需要を支えるためかなりの伸びを維持しておるということでございますので、財政収支の改善がおくれている現状にあることは先生御指摘のとおりでございます。
 この五十二年度の推進報告におきましては、当面このように財政収支改善のテンポがおくれていることはやむを得ないと述べておりますけれども、中期的には財政収支の改善がきわめて重要な課題であるということで、今回企画委員会におきまして暫定試算をお出しいただいたわけでございますけれども、そこでは五十七年度までに特例債を解消するということをめどにいたした場合、どういう経済の姿が描かれるかということを試算したものでございます。
 ここでは、五十三年度の政府経済見通し七%の成長を実現していくということを強力に推進していくことによりまして、現在の諸般の困難な経済的な問題が改善をされていくということで今後の展望が開けてくる、そういう中で財政のバランスの改善の問題について、ある程度の税負担の引き上げということを行って五十七年度までに特例債を解消する、こういうことを一応試算いただいたわけでございます。しかし、この暫定試算につきましては、政府といたしまして、今後の政策運営の上でこれを大いに参考にしていくべきものとは考えておりますけれども、経済計画のように政府として決定したものではございませんので、おのずから取り扱いが違うということになるわけでございます。
 先生先ほど御指摘のように、現在の経済情勢はなお厳しいものがございますし、政府といたしましては、当面五十三年度七%の経済成長を実現するために全力を傾注していく段階にあるわけでございますけれども、今後政府として具体的に財政再建をどのように進めていくかという点につきましては、経済情勢の推進を見きわめていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 高橋審議官はそう言われますけれども、前期経済計画、あるいは若干の修正ございましたが、そういう見通しについて確信の持てるという状態では現実ないだろうと私は思うのです。
 いまのたとえばこの円高の問題に関連をいたしましても、皆さん方の方は、まだ年度当初ですからいまどうこうということはお役所としては言いにくい段階にあることはわかりますが、最近民間の「エコノミスト」も、今日の状況に当たってのいろいろな予測をされております。五十三年度のスタートの時点での新たな情勢に対応した予測などをなさっておることも御承知のとおりだと思います。これも十一日の日に新聞だけで読んだんですが、朝日新聞、毎日新聞読みましたが、朝日の方には、国民経済研究協会のあれが出ておりまして、政府のやっているいろいろな施策、それから公共事業の早期発注、上向き要因を加味しても、本年度は七%成長は困難であって五三%であろうという予測を出しておりますし、山一証券の研究でも同じように五・三%という数字が出ております。私どもいろいろ勉強をやって経済学者に聞いてみましても、人によりましては四%台ではないか、四%前後という人もいるわけであります。非常に大きな変化が年度当初ですでに起こっているということではないかと思います。その辺はどうお考えになっておりますか。現実大きな動きが出ているわけですから、先の見通しについても一生懸命やりまして、確信を持ってやりたいというふうな趣旨のお話でしたが、もうすでに年度初めの今日の段階で、見通しが政府の見通しのようにいかないという観測が多く挙げられている。
 ではお伺いしますけれども、たとえば円高の影響ということについて、たしか二百四十五円をベースにした見通しということに何か予算委員会で議論がございましたようでございますが、いま二百十八円、二百十九円という段階、通年でも二百十八円で五十三年度を推測できるかどうか、それもちょっとむずかしい段階ではないだろうかというふうに思いますし、その辺はどう思っておられるのか。それから、七%でなくて五・三%だ、それ以下ではないかという話もあるわけでありますけれども、円高のデフレ効果、予算委員会の議論の中でも、十五円上がれば〇・五%下がるとか、その辺のことも調整局長などから御答弁があったようですが、現在の段階でどうお考えになるか。
 いずれにしても、年度初めの段階でいろいろな新しい条件が起こっておる、しかし、そういう新しい条件を目をつむっていたんではどうにもならないんで、国民は理解ができないので、そういうものを機敏に消化をしながら先の見通しを立てて対策を考えるということが必要ではないかと思いますが、どうお考えですか。
○澤野政府委員 確かにドル安、円高というものは、これは長期にわたって続きました場合には、先生おっしゃいますように、マクロ的に見まして輸出数量での減少、輸入の増加ということによりまして、個人の消費マインドとか企業の投資マインドと申しますか、企業マインドに対してかなりのデフレ効果を持ってくるのではなかろうかということは言えるわけでございます。しかし、このデフレ効果というものを実際数量的に計測することはなかなかむずかしいことではございますけれども、私どもが五十二年度の第四・四半期とか最近の動きというようなものを見ておりますと、最近の円高というものは、昨年の九月の二十八日以降非常に急激かつ大幅に円高が行われたわけでございますけれども、昨秋の場合と違いまして、かなり政府の経済情勢に対応する姿勢というものがしっかりした積極的なものであるという点で、かなりの違いがあるのではなかろうかということを感じておるわけでございます。
 特に第二次補正予算の公共事業の推進ということの効果もあらわれてきておりますし、先般御審議いただきました五十三年度の予算も成立を見ておるわけでございまして、こういった積極的な財政、特に公共投資を中心とする財政の推進、それに伴います税制とか財政投融資といったようなものの総合的な推進ということによりまして、円高という問題に対する対処の仕方というものがかなり違ってきておる。したがいまして、他の指標で見ましても、現在の段階は在庫調整でございますけれども、たとえば在庫調整の推進といったものとか、公共投資の推進に関連いたします生産とか出荷の増加、これは、二月は若干減りましたけれども、十一月から三カ月連続して鉱工業生産がふえております。また、民間の住宅建設といったようなものも非常に顕著な増加を示しておるわけでございまして、先般発表になりました二月の住宅の新規着工は、昨年に比べまして一〇%の増加というような数字を示しておるわけでございまして、そういったものを勘案いたしますと、この五十二年度末におきましてかなり明るい見通しも出てきたのではなかろうかということでございます。
 こういった状況を受けまして五十三年度に入るわけでございますけれども、先ほど申しましたように、確かに円高の影響と申しますものは、経済界に対して投資マインドといったものに影響があるわけではございますけれども、最近発表されました設備投資アンケート調査の結果、これは円高がかなりの程度進展いたしました後の調査の結果でございますけれども、円高が企業の投資マインドに与えるマイナス効果といったものは、これまでのところ余り大きなものではないというような数字が出ておるわけでございます。事実、設備投資に関しましては、製造業は決して投資マインドは高いとは思われないのでございますけれども、非製造業を中心とする電力等、それから卸、小売業、金融業といったものの設備投資というものは、緩やかな上昇を示しておるということがわれわれとしては見られるわけでございまして、そういったものから申しますと、この円高による設備投資に対する影響というものも、これから先はそれほど大きなものじゃなしに、むしろ公共投資と申しますか、財政主導による五十三年度前半の経済の上昇と申しますか、そういうものを民間需要に切りかえて、年度後半には民間主導になっていくという先行き明るい見通しに対して、むしろ心強く思われる感じがいたしておるわけでございます。これに加えまして、去る三月二十五日の例の当面の経済対策ということによって内需振興を大いに進めてまいる、こういったことによりまして、私どもといたしましては、五十三年度における七%の成長というものは、いま軌道に乗っておりますし、また、これの達成は可能ではなかろうかと考えておる次第でございます。
○伊藤(茂)委員 大臣、これは本当は宮澤さんにお伺いすることかもしれませんけれども、大臣も経済関係閣僚の中心でございますから、いま経企庁の審議官それぞれのお話がございましたが、私は、年度初めの段階で政府の当初見通しが可能であるかどうか、それはちょっと言いにくい、あるいは、全力を挙げてその目標にいくようにしなければならぬということしか言えないというのが通常の姿だと思うのです。ただ、異常な経済変動の中ですから、やはり起こってくるいろいろな事態について、それがどういう影響をもたらすか、それに対してどういう手を打つかということを機敏にやりながら、先への展望をしっかりと国民に示していくというのが責任だと私は思うのです。
 私は、年度初めの政府経済見通しというものと、それから、いま各民間の方で七%できると言っているところは率直に言って一つもない、非常に低い、先ほど申し上げた五・三という数字でも高い方なんで、もっと低い数字も私ども大分伺うわけですが、そういう意味で、年度初めだから言いにくいということではなくて、起こってくる異常な変動に対して機敏に手を打ってという気持ちで考えて、この目標を達成するということは可能だとお考えになりますか。
○村山国務大臣 予算編成当時でございましたが、あの当時、民間の見込みを見ますと、経団連が六・五ぐらいで、あとは大体五%台、四%台、こういうことでございます。それから、最近出されておりますいろいろな成長率の見通しなども、七%と言っておるところはどうもないようだということもよく承知しておるわけです。
 しかしわれわれは、内需の拡大によりまして、容易ではないけれども不可能ではない、こういう気持ちでやったわけでございますが、その後ずっといろいろな経済指標を見ており、あるいは個々の需要項目に関する見通し――経済成長の見通しになりますとえらいまたあれでございますが、個々の需要項目に対する見通し等もずっと見ておるわけでございますし、また指数の動きも見ているわけでございます。非常に変化が激しい。いま経済企画庁の澤野審議官からお話がありましたようなぐあいで、ここのところ、政府の受注はもちろんの話でございますが、三〇%以上前年度同期に比し伸びているとか、それから民間の設備投資あるいは着工のあれを見ておりましても、かなり明るい方向に向かっております。それから、一番心配されました民間設備投資の予測の問題、これは、政府が見ております九・九%を超える見通しを立てておる調査機関ももう大分出てまいりまして、私この間見ましたのでは、かなり信用のおける調査機能の発達している銀行でございますけれども、一〇%台というのがもう半分ぐらい出ておりまして、そして九・九%を下るのが二つぐらい出ているようでございます。
 それから企業収益、これは非常に企業マインドに影響するわけでございますけれども、最初のころ、ちょうど予算を組んであの予算論議をやっておるときには、五十三年度上期、これが底になるんじゃないかということが一般的な観測でございました。いまずっとそこのところを見て短観等を見ておりますと、いや、底はやはり今度の三月期が底じゃないか、九月期には少し上向くんじゃなかろうか、こういう見通しもかなり出てきているのであります。
 こうなった背景を考えてみますと、一つには、円高によってデフレ効果、デメリットがずいぶん言われたわけでございますけれども、いまやデメリットに対してはかなりの対応を示している。デメリットはデメリットでございますけれども、それに対する対応がかなりいっておる。それからまた、円高によるメリットももうぼつぼつ出てきておる。それが経済指標の中にあらわれ、あるいはいろいろな観測の中にあらわれているのではなかろうかと思っているわけでございます。
 いずれにいたしましても私たちは、容易ではないけれども不可能ではないと、こう思っておりましたし、あの当時から見ますと指標も漸次いい方に向いているわけでございます。したがいまして私たちは、まずは成立さしていただきましたこの予算、それから金融政策、あるいは構造不況対策、中小企業対策、そういったものを着実に進めながら、しかしおっしゃるように絶えずわれわれは、そういうことで事足れりということではなくて、本当にそのときどきの情勢を注意深く見守っていき、そして必要な手段を打っていくことによりまして所期の目的を達成したい、いまこんな気持ちでおるところでございます。
○伊藤(茂)委員 年度初めということもあるかもしれませんが、大臣は楽観的過ぎると思います。円高の影響の問題にしても、メリットの面もだんだん生かされていると言われましたが、統計でも輸入時点での値下がりが確か一四%台ですか、これは砂糖から石油から全部平均してあるが、現実には四・何%上がっているというのが統計の示しているところだと思います。かけ声だけはこの二、三日聞いておりますけれども、現実にはまだ何も成果は上がっていないということではないかというふうに思います。
 時間がございませんから、二つだけこれは大臣に要望と所見を伺いたいのですが、先ほど申し上げましたように、これだけ重大な財政危機のもとで、あるいは経済の見通しがつけられないと皆さんおっしゃっているという中で、やはり一生懸命努力をして、そしてまた国民の参加、国民の意見を求めながら計画をつくっていく。そして努力をする中で、こういう方向に向かっていくのだということを、できれば政府与野党含めて協議をしていく、あるいは議論していくということが必要な段階ではないだろうかと思います。
 そういう意味で、中期の計画をつくっていくについて、むずかしいというお話がずいぶんございますけれども、私は一つは、大胆にひとつ努力を開始されるべきではないだろうかということを非常に思うわけであります。たとえばちゃんとしたものができないならば、野党から出されている問題意識、あるいは民間の労働者やあるいは経済界から出されているような問題、政府が考える問題、そういうものを一遍全部並べてみて、これらについてどうしたらいいのか、いろいろな形での議論を始めたいということぐらいはすぐできるはずなんですから、そういうこともあると思いますし、それから、そういうことをやっていく中でぼくはどうしても、考え方あるいは経済政策、財政政策の転換の契機をみんなでつくり出していくということが必要なんだろうと思うのです。
 前々から議論されたことですからここでは挙げませんけれども、大模規な公共事業の早期発注ということで大蔵大臣も努力をされているようですが、その景気刺激乗数効果の問題とかが依然として議論されておりますし、円高の問題もありますし、設備投資の動向の問題もありますし、またきょうなどの報道を見ますと、宮澤さんが石油の値上げの可能性の問題なども言われておるようですが、いろいろな問題がある。そういう中で、いままでの経済運営、財政運営の方程式でいいのかどうか。もちろん先ほど大臣も言われた歳出についての構造的な洗い直しの問題もあります。そういうものをやはりいままでの方程式ではなくて、ひとつ柔軟な発想を持って考えていく。さらには、そういうためにはいまの財政制度審議会、私もそれぞれは有能な方と思いますけれども、決して民意を反映した構造ということではないと思います。そういうことも大胆に考えて、この転換の努力を、あるいは転換についての出される議論を大いにやっていく、そういうことがいま必要ではないか。
 住宅ローンを庶民が借りるんだって、返還計画それから保証人その他というものがあって初めてお金を借りられるわけですから、最低国の方がそういうプランをつくる、また必死に努力する、そういうものがなくて、実質三七%の借金に国民の合意が得られるはずはないと思いますが、そういう努力をやるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○村山国務大臣 おっしゃるような努力を惜しむものではございません。そういう意味で、まあ最終的には経済の動向を踏まえながら、今後財政計画、中期的なものをどのように立てていくか、それをローリングシステムで年々一体どのようなものをやっていくかということになると思うのでございます。
 ただ日本の場合は、御承知のように経済計画があるわけでございますので、それとの整合性を持っていかなくちゃならぬわけでございますので、この点が非常にむずかしい一つの問題になります。それから財政計画そのものとしてもなかなか、各国ともあるいはできるまでの過程を見てみますと、やはり十年ぐらい、内部検討から始めてできているわけでございます。まあモデルがありますから、日本はそんなによけいかかることはないと思いますけれども、そうかといってすぐできるということもなかなかむずかしいのではないか。しかし、必要なことでございますので、われわれは予算委員会におきましても、鋭意、即刻検討を始めますということを申し上げたのでございます。
 何分にもこういう変動する国際経済の渦中にありまして、しかもそのウエートが非常に大きくなっているだけに、日本は世界の経済変動の影響を非常に受けやすい、また、日本のその姿勢が世界に及ぼす影響も大きいわけでございますので、かつてのときと違ってその辺が非常にむずかしくなっていると思いますけれども、しかし、この問題はむずかしかろうが何であろうがやらなくちゃならぬことは当然でございます。伊藤さんのおっしゃるような方向で努力してまいりたい、これはもう本当に一生懸命にやりたい、かように思っておるところでございます。
○伊藤(茂)委員 ぜひ私の申し上げました方向に前向きに努力をお願いいたしたいと思います。これは決して大臣をひやかす意味ではないので、この間たまたま日本財政史を読みましたら、やはり松方財政、高橋財政、いろいろな山場がございましたわけですね。ぼくは、それぞれの時期に大臣が英断をふるってという時代もあったわけですが、これからはやはり民主主義をベースにして積極的な努力をしていくというのが、今日の段階で後世、大大蔵大臣と言われる道ではないだろうかというふうに考えるわけであります。
 時間がありませんので二つだけお伺いさせていただきたいのですが、さっきも申し上げましたように、どうやって財政再建ができるか、あるいは莫大な借金の増大に歯どめがかけられるかというもう一つの問題として、市場メカニズムを通じて、政府の気持ちだけで大規模な発行がさらに続くようなことができない、そういう仕組みをつくっていく。そういう意味で、特に国債管理政策の強化、転換が非常に叫ばれている、そしてまたやらなければならない情勢でもありますし、またやり得る情勢も生まれているということではないかと思います。
 詳しくお聞きしたいのですが、時間がございませんので二つだけまとめてお伺いしたいのですが、一つは、いろいろの問題について来月中旬ぐらいに証券取引審議会の方に問題点を諮問をするということになっているようですが、こういう段階の中でいろいろな問題があると思います。一部新聞にも報道されておりましたが、短期の新しい国債、新しい商品をつくる、多様化への努力とも言われておりますし、それから銀行の窓販の問題、これも単に利害損得論とか垣根論とか感情論ではなくて、やはり理性的にこのあり方を検討するということが必要ではないかというように私は思いますが、もう準備が詰まっておりましたら、重点としてどういう点を諮問なさるということなのか、あるいは、特に今年度中にどういう点について実行に移さなければならないというふうにお考えなのか、それが一つです。
 それからもう一つは、理財局長を中心にして何か国債管理研究会というようなものをつくられて、昨年の秋以来ですか、新しいいろいろなことが始められております。ただ、いろいろそれらについての実態を聞いていますと、たとえば建設国債の強制借りかえの中止というようなことにしても、いままでは、強制だったが、現実にはいろいろな根回しがあって、強制から納得といいますか、というふうな段階のことではないだろうかということもあるようですし、それから売却の自由化の問題もありますし、さらには公募入札制の問題、これも最初だったからということかもしれませんが、非常に慎重な根回しか何かがあって、本当かうそか知りませんが、日銀がそれぞれの会社について売却額なり売却先を公表を口どめをしているとかというようなことがあるかにも聞きますし、それから発行条件の弾力化というようなことにつきましても、たとえばドイツその他の場合でも協議をして決めるというような方向になっている、これも、諸外国の国債管理政策とわが国との違いというようなこともあると思いますが、要するに昨年秋以来、逐次何か新しい方向へという動きが始まっているわけですが、それぞれまだ非常に初歩的なといいますか、望まれる方向から見れば何か初歩的な段階にとどまっているということではないかと思います。それらをどうこれから強力に展開をされるのか。そういう措置を通じて、国民生活に一番関連のある、先ほど大臣が否定されましたが、大インフレ、国債発行を通じてインフレを起こさない保障を、あるいはそういう意味での市場のメカニズムをつくっていくということが求められていると思いますが、その二つ、済みませんがまとめて最後にお願いいたします。
○山内政府委員 前段の点についてお答えいたします。
 証取審につきましては、まだいつ開始をするということを決めておりません。したがいまして、また同時に、どういうことについて御議論願うかということもまだ具体的には詰めておりません。ただ御指摘のように、方向といたしましては、本院においても再々御論議いただいておりますような、将来のやや中期におきます公社債市場の適正な管理運営の方法はいかんといったような問題については、なるべく早い時期に、われわれとしても論議を尽くしました上で、各方面の御論議をお願いいたしたいというふうには考えております。ただ、それが直ちに証取審かどうかというところまではまだ詰めておりません。
○田中(敬)政府委員 国債管理政策について申し上げます。
 おっしゃいましたように、昨年の一月以来理財局に勉強会を持ちまして、前後二十数回にわたりまして国債管理のあり方について検討いたしております。たとえば国債の借りかえ方式の改善でございますとか、あるいは国債流通金融枠の拡大でございますとか、いろいろその他の施策を着々やっておりますが、研究は研究といたしましても、これを実行に移すとなりますと、現在の金融構造に及ぼす影響、たとえば先ほどお話がございました中期のもの、二年もの、三年もの、四年もの、いろいろの長さを考えてみましても、たとえば定期預金との競合でございますとか、あるいは金融債との競合といういろいろの問題もございます。そういうこともございますので、一挙に目に見えた形で国債管理政策の前進というものはなかなかむずかしいわけでございまして、そういういろいろふくそうする各種の事情を調整しながら、できるものから着実にやっていきたいというのが、私どもの考えております国債管理の問題でございます。
 お説のように、今後の対応といたしましては、まず、これだけの大量発行が続き、かつ市中の残高が大きくなる、金融情勢の変化が起きたときに、いかにしてインフレを起こさないかというのが最大の眼目でございますので、それを踏まえまして、国債の流動性の付与、あるいはそれが流動化した場合の受けざらとしての市場の深さ、市場の育成の問題、この市場の育成の問題というのは、受けざらが広くなりますと、そこで価格の乱高下が防げる、あるいはまた資金が必要に応じて流動化する、そういうような形でのメカニズムを考えていくべく検討いたしておりまして、できるものから着実に今後検討してまいりたいと考えております。
○伊藤(茂)委員 二、三点だけお伺いいたしましたが、率直に言いまして、三〇%ラインとか言っている段階よりも、実質三七%になった今日の方が本当は真剣さと危機感が猛烈に燃え上がるということが必要であるにもかかわらず、何か危機感の方が薄らいでいるのではないだろうか、率直にそういう感じがするわけでありまして、やはり国民の生活感として、大増税、大インフレ、そういう足音が何か近づいているということを感じている今日であろうと思います。そういう国民に説得性のある、計画性のあるその他の対策を大胆に開始をされるようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○大村委員長 愛知和男君。
○愛知委員 私は、政府がお出しになりました財政収支試算を中心にして若干の質疑をさせていただきたいと存じます。
 財政再建のために財政当局が、国民のコンセンサスをつくり上げなければならないということで、まことに涙ぐましい努力をしておられますことを、私ども大変高く評価をするわけでございますけれども、実際素朴な国民感情から言いますと、財政を再建しなければならないということは、わかったようでまだ十分わかってないという面が非常にあるのじゃなかろうかと実は思うのであります。と申しますのは、赤字財政がこれだけ続くと実際、経済面でどういうような影響が出てくるか、こういうことでございますと、まず物価の問題がよく挙げられます。ところが、現実の物価の動向はどうかといいますと、大変落ちついているというのが現状であります。それからまた、国民生活でいま一番関心があるのは、何とかして景気を回復しなければいけない、あるいはそれに伴う雇用不安といったようなものがある。ところが、実はこういうような不景気なりあるいは雇用不安というもののよって来るところは、財政が赤字依存型になっているからではないので、ある意味で言うと全然別なことであります。そうなりますと、素朴な国民感情から言いますと、政府が幾ら財政を再建しなければいけない、あるいは借金依存型の財政はいかぬのだ、こう言われましても、どうもぴんとこないというのが正直なところではなかろうかと思うのであります。
 そこで、物価とかあるいは雇用とか景気とかということに関連づけながら、なぜ借金依存型の財政がいかぬのか、非常に原点に立ち返ったような話でありますけれども、ここでひとつわかりやすく国民に御説明をいただきたいと存じます。
○村山国務大臣 概括的なことを私から申し上げて、足りないところはまた政府委員から答弁させます。
 御承知のように、いまは世界を挙げて石油ショック後まだ不況から完全に立ち直れない、日本もまた同様であるわけでございます。何よりも民間の経済活動が盛んでない、ここに最大の問題があるわけでございます。したがいまして、そのことがいまの雇用の問題にもつながり、あるいは経常収支の問題にもつながっていると思うわけでございます。つまり貯蓄とそれから民間経済の資金需要、投資とのアンバランスがあるわけでございますので、政府は借金によりまして、そして景気政策を遂行し、反面は立ちおくれておる社会資本を充実させていこうというのが、現在とっておる施策でございまして、それによりまして、やがて民間主導型の経済、本来あるべきわれわれの自由体制における当然な姿に戻していこう、こういうことを考えておるのでございます。
 しかし、それなら借金がかさんだらどんなことになるんだ、こういう率直の問題でございますが、これは、借金がかさんで、幾つかの問題が挙げられますけれども、一つは国債費が大変に増高するわけでございます。したがいまして、考えますと、それの増高によりましていわば当然増的な経費がどんどんふえていき、政策経費がほとんど使えなくなってしまう、こういう状況になるわけでございます。もしそれを避けようとすれば、また赤字公債を出してやる、こういう雪だるま式になっていくわけでございまして、これは問題の解決にはならない、いわば自転車操業をしているということになるわけでございます。それはやがては非常な危機をはらんでいるわけでございまして、財政の硬直化というだけでなくて、民間資金需要が出たときに一体どうなるのか。財政はすぐに縮まることができますか、ここが最大の問題になるわけでございます。それなら民間の資金需要を抑圧するのか、恐らくだめでしょう。財政の方はすぐ縮まることはできますか、公共事業の方はわりとそこはいけるんだろうと私は思うのです。しかし、いまのような赤字国債をうんと出しておる、経常経費ですから、これは裏づけとしては法律その他があるわけでございますから、一挙に法律改正をして、いや給与はダウンするんだとか、いやいままで振替所得をやっておったけれども、あれはやめだとか、あれは医療の問題から年金の問題から一切法律改正する、そんなことができはしないことはもう当然なわけでございます。
 そういう意味で、やはり公債の累増、特に特例債の累増という問題は、将来いま目的としておりますところの民間主導型の経済になったときを考えますと、これはクラウディングアウトの問題は当然生じてくることはわかるわけでございます。もしこの両者を満足させようとすれば、それは日銀信用によってやらざるを得ないでございましょう。この両者を満足させるような金融をつけるということは、これはまさに過剰流動性の問題であり、そしてそこからインフレが出てくることはもう当然なことでございます。それは、何も将来を展望するだけでなくて、過去において日本は、実はその道を世界で最も歩いてきた国であるわけでございます。
 そういったことを考えますと、やはり財政、金融に責任を負っておる者といたしましては、あらかじめそれに準備するところがなければならぬわけでございます。日本だけが三七%の借金を通じていつまでもやれるなんということは、もしそんな簡単なことができるのなら、どこの国でもいまのような高い租税負担率を求めないでやったと私は思うのでございます。人間の知恵なんというものは、私はそんなに違わないと思っておるのでございます。
 そういうことを考えますと、いまの財政運営が全く異例のものと言わざるを得ないわけでございまして、早くからやはりその用意をしなければならぬ、こういう意味でございます。
○愛知委員 お話はよく理解できますけれども、もう一つ、国民の素朴な感情から言いますと、話がなかなかむずかしくてよくわからないというようなことがあるわけですが、私は、政府が財政危機脱却のキャンペーン、五つのケースを出してやっておられますけれども、こういうようなケースだとそれこそ公債依存度が何%になりますよというようなのが中心になってできております。ところが、国民から言いますと、公債依存度が何%であるということは、これは関心事じゃないのでありまして、もっと身近な、たとえばこういうような財政運営をすると物価がこれだけ上がるんですよとか、インフレがこんなようになるんですよというような形でPRをされますと、なるほどそれは大変だ、そういう事態よりも、多少苦しいけれども増税を受け入れて、そういうようなことにならないようにした方が結局はいいんだというような、そういうような訴え方をしませんと、どうもコンセンサスはつくり得ないのじゃないか。一方的に増税というようなことのために、いわゆる財政エゴといいますか、とかく今回のこれに関してもそういう受け取り方を国民はしている面が実はあるわけであります。
 そこでそういうような形で、公債依存度が何%になる、だからこれはいけないのだというような形ではなくて、こういう事態になると、特に物価という問題が国民から言いますと一番関心事でありますから、その辺を中心にして、こうなったらこれぐらいの物価上昇になるのだというような、あるいはこういう可能性があるのだとかいうような形でうまく説明をしていただくというわけにはいかないでしょうか。
○村山国務大臣 一番いい例は、もう実例が戦前にあるわけでございます。戦前に、昭和の初期から三〇%台あるいは四〇%台の公債に依存しておった国というのは、日本だけであったと思います。そのことは結局どういう形になったかといえば、戦争というものがありましたけれども、しかし、それは内在的な財政インフレ要因を含んでおったわけでございまして、そのことは、やがては終戦時においてどういう形になったか、これはもう全部経験しているところであるわけでございます。そのことによりまして、われわれの貯蓄がゼロになった、戦争によって物はみな破壊されましたけれども、もう貯蓄はゼロに近くなった。そしてあの猛烈なインフレが始まったわけでございます。一億総ブローカーと申しても差し支えない時期をわれわれは過ごしたわけでございます。
 しかし、よく考えてみますれば、その種は、やはり財政がその前からまいておったということを反省しなければならぬわけでございまして、私たちがいま言っておるインフレというような問題は、コストプッシュかあるいは需要インフレかというようなことを話しておるわけでございます。あとは過剰流動性の話をしておるわけでございます。そういった通常の形に対しましては、絶えずわれわれといたしましても注意いたしまして、そのようなことがないように絶えず財政金融政策もそれを防止する方向に行っておるわけでございます。
 財政が本当に放漫になりまして、いま言ったようなことになりますと、これは資金需要が起きたときに大変になるということは、大体過去の経験でおわかりだろうと思うのでございます。結局、金融が安易になりましくその両方の資金需要をもし満たそうとすれば、これは過剰流動性につながるに違いない。それは投機を誘発するに違いないわけでございますから、普通のコストプッシュであるとか需要超過なんという話ではなくて、もう投機的なインフレを促進するに違いないわけでございます。そういった可能性を秘めておる現在の財政の状況をわれわれは非常に心配しておるわけでございます。
 そこまで行かなくても、これからそんな破局的なところを考えるまでもなく、この上へどんどん行きますと、公債費の累増は大変でございますから、恐らく毎年毎年新規施策というものは国民は絶えず求めるでございましょう。そのときに、一体うまく財政が作動するかどうか。私は、やはり既得権というものは守ろうとすると思います。したがって、かなりむずかしい問題になってくることは過去の経験が示しておる。すでに四十九年から今年まで考えてみますと、歳出は二〇%伸びて、そして歳入が一〇%弱しか伸びないということ自体が、もう歳入は減速経済を反映しての歳入であり、歳出は相変わらず高度成長時代、これは不況対策というようないろいろな名目を打っておりますけれども、やはりその中に、苦しいながらもお互いにしんぼうするところがなければこれは大変だ、こういう考えを持っているわけでございます。
○愛知委員 先ほどの議論にもありましたが、ケースCというのは、いわゆる経済企画庁の暫定試算と整合性があるというお話でありますけれども、あの暫定試算には、物価の上昇率はどれぐらい見ておりますか。
○山口(光)政府委員 企画庁でないとお答えしかねるわけでございますが、暫定試算で五十七年度を参考に掲げておりますが、そのときの国民総支出が実質で、実質と申しますのは四十五年価格で百四十二兆でございまして、名目では三百三十三兆になっておるわけでございます。そこで、五十年から五十七年までの年平均増加率が、実質で六%強でございまして、名目では一%強でございますから、いわばその差額が物価上昇である、大体六%程度という、GNPデフレーターでそういうことではなかろうかと思います。
○愛知委員 大変むずかしいかもしれませんけれども、一番望ましい姿としてCのケースを挙げられているわけでありますが、ひとつこのCのケースを中心にしまして、特にできましたらこの物価というものを中心にして、AだったらCに比べてどの程度物価が上がっていくのかとか、Bだったらどうなのかというような形で国民に示していただきますと、なるほどこれが一番いいんだというようなことが非常に身近に納得ができるんじゃなかろうか、こんなふうに考えます。なかなかむずかしいかもしれませんけれども、そんなようなことをできたら考えていただきたい、お願いをいたしたいと存じます。
 次に、具体的なことで御質問させていただきたいと思いますが、今度のこの収支試算では、一応五十七年度までに特例公債をゼロにする、こういうことでできておりますが、この五十七年度にゼロにするといり、五十七年度をとったということについて、何か理論的な根拠でもございますか。
○村山国務大臣 脱却は早ければ早いほどいいということでございます。それで、この前も五十年から五十五年をとっておりまして、大体五カ年計画ということで、一応のめどを五カ年間に置いたということでございます。
 それからもう一つは、歳出の圧縮にいたしましても、これもかなり歳出をいままでよりは、経済計画とは整合性を持っておりますけれども、いままでの歳出の出し方はちょっと異常でございますから、少しことしとか去年に比べれば圧縮型でございます。
 それからもう一つ、税の方も、いま言ったように五カ年間をそういっためどでつくったわけでございますが、これは延ばしたら軽くなるかというと、そういう性質のものではございません。ますます利払い分だけよけいふえるわけでございますから、可能であればできるだけ短期の方がよろしい、こういうことで一応の試算を持った、こういうことでございます。
○愛知委員 この再建計画も、経済の実体の動きと無関係ではないわけでありますから、そういう点から見ますと、五十七年度まで、こう目標を立ててこれを国民に示されますと、何が何でもそのときまでに再建をしていくというような印象になりまして、これまたいわゆる財政エゴ的な印象をどうしても与えることになるんではなかろうかと思うのであります。いまの経済の実体から言って、五十七年度にゼロにするということは十分実現が可能だとお考えでいらっしゃいましょうか、いかがですか。
○村山国務大臣 それはまさに毎年毎年の経済なり社会情勢を考えまして、どのような財政計画を立てていくかという問題でございますから、現実的にそうなるのかという意味で可能性があるかと申しますれば、それは違うことがあるでしょう。ただ、理論的に経済計画との整合性を考えていきますと、そこにはわれわれは大体六%強の成長は可能であるし、需要項目を積み重ねてそれができるという前提に立っているわけでございますけれども、そういう意味では、理論的には可能であるということをお示ししているわけでございます。したがってその答えは、ある意味から言えば可能でございますし、それならそのとおりやるという意味で実際やるのかという意味になりますと、それはそのときによります。こういうお答えになるだろうと思うわけでございます。ただ、ここに示されておりますように、一刻も早い方が望ましいということだけは言えるであろう、大体試算の性格はそういうものであろうと思っております。
○愛知委員 残りの時間がそれほどございませんが、財政再建の具体的な方法ということになると、これはもうずばり増税ということを考えておられるわけでありますけれども、いまのお話にもございましたとおり、実際再建計画をそのとおり実行するかということになると、期限を限ったから何が何でもそれをやるということじゃなくて、経済の実体を見ながらやるということでございますが、増税ということがやっぱり経済にどういう影響を与えていくかというのが、大きなポイントにそういう点ではなろうかと思うのであります。
 そこで、増税の経済に与える影響というようなものをちょっと伺いたいと思いますが、増税といいましても、これの与える影響といっても、税目によってこれは大きく違ってくるでしょうから、特に税目の中でも、この点から関心がありますのは、所得税、法人税、あるいは新設が考えられていると言われております一般消費税というようなことだと思いますが、この辺にしぼって、それぞれどんなような影響を経済に与えると判断しておられるかということについて御説明いただきたいと思います。
○米里政府委員 おっしゃいました増税の経済効果でございますが、まさに御指摘のございましたように、増税と申しましても、どのような税目でどの程度増税するかということによってさまざま違いがございますし、さらにまた、その増税によって得られました歳入をどういった方面に使用するかということによっても、経済に対する影響は違ってまいるかと思います。したがいまして、なかなか定量的にこれを把握するというのはむずかしいかと思いますし、ことに、そのときそのときの経済情勢が区々でございますので、そういった経済情勢の受け入れ側の基盤がどういうことになっているかということとの関連から考えなければならないというようなことであろうかと思います。
 ただ、定量的には非常に困難でございますが、あえて定性的に申し上げますと、いま例示されました所得税、法人税、一般消費税三つを考えてみました場合に、所得税、法人税の場合には、需要項目としてはどちらかというと、個人消費あるいは貯蓄あるいは法人企業の設備投資、そういった需要項目を中心に影響を及ぼすのではないだろうか。一般消費税の場合で申しますと、これは個人消費あるいは物価といったような面に主として影響を与えるんではないだろうか、こういうふうに考えられるわけでございます。
 この三つの経済成長率に及ぼします影響は、これまたいろいろ議論がございます。すべての前提条件を同一といたしまして、真空管の中でいわば三者を同じだけ増税したというふうに考えた場合、現在私どもが伺っております学者先生方の中では、一番成長率に大きな影響を与えるのは法人税、それからその次が所得税、それから一般消費税、こういう順番になるのではないかというような説を言われる方が比較的多いように私どもは伺っておりますが、これまた、いろいろな条件によりまして、一概になかなか申し上げられないかと思います。どの税目、どの程度ということだけではございませんで、一体どういう仕組みでその増税を考えるのかということもございますし、それから効果を考える場合に、どの程度の期間をとって考えるのかということによっても違うかと思います。
 要は、そのときそのときの経済情勢によって個別に判断していかなければならないという問題かと思います。
○愛知委員 現在のような景気の状態で、これから景気が予定どおり回復していけばそれにこしたことはないわけでありますが、そういう中で、この増税ということを考えていく場合に、景気がこんなに悪いのになお増税をしてしまったら一体どうなるんだろうかというような感じを持つわけであります。そういう点から申しますと、いまお話しの経済の成長という問題に影響を与える順序から言うと、法人税、所得税、一般消費税、こういうふうな順序になるんではなかろうかというお話でございましたが、そうしますと、こういうような景気状態の中で増税をしていくということになると、どっちから先に手がけていくかというと、その逆の一般消費税、所得税、法人税、こういうような順序で考えていくのが一番経済の動向に与える影響が少なくて済む、こんなような判断でございますか。
○米里政府委員 いま申し上げましたのは、学者先生の中では比較的そういうことをおっしゃる方が多いように私どもはお聞きしておるということを申し上げたわけでございまして、必ずしも法人税、所得税、一般消費税の順だというふうに私どもは考えておりますということとは、また別問題であろうかと思います。
 いずれにいたしましても、そのときそのときの経済情勢に従いまして、毎年度の財政経済政策というものが立てられます際に、税制におきましても、もちろんその一環として、その大枠の中でどう考えていくかということにより、おのずから税目の選択、それからもちろん時期、そういった仕組みなども含めて判断されるという問題で、なかなか一概に申し上げることは困難かと思います。
○愛知委員 増税をするにしましても、そのときの一般的な経済環境が増税をしていくにふさわしいかどうかというのが大きな問題点であろうと思います。財政当局は、この財政再建のためには、できることならこの五十三年度からもそういうことを実施したいということであったのではなかろうかと思うのでありますが、実際問題として経済成長も、まあ大体五・三%程度、こういうようなことで、とても五十三年度から増税をするような経済環境にはないということから、今度は見送られたのではなかろうかと思うのであります。
 さて、五十四年度、来年でございますが、この経済成長が政府の予想されております。%というのがうまく達成できた場合には、十分その増税ということを断行していく経済環境ができ上がった、こういう御判断になりましょうか。
○村山国務大臣 七%の成長ができたからすぐ環境がそろったとはなかなか言いかねるのではなかろうか。やはりそのときの七%がどういう形でいっているのか、これが最大の問題であろう。増税の及ぼす影響、それからそれに見合う歳出が一体どういう形になるのか、それの影響の見通しがないと、やはり具体的にはなかなか財政計画は決定してこないであろうと思うわけでございます。いずれにしても、かなり安定しておりませんと、その影響という問題が非常にこわいわけでございますので、ある程度の安定はぜひ必要であろうと思っております。
 しかし、どちらかと言えば、成長が低いよりも高い方がやりやすい環境にあるということだけは言えるだろうと思っております。
○愛知委員 時間が参りましたので、冒頭にも申し上げましたが、財政再建というのは、やはり何と言っても国民のコンセンサスができ上がりませんと、これはどうしても実行していくわけにはいかない、こう思うのであります。今日までそういう国民のコンセンサスをつくり上げようということで、財政当局がいろいろな形で世論づくりに取り組んでこられたということに関しましては、高く評価をするものでございますけれども、ひとつ今後もいろいろな形でわかりやすく、国民が理解ができるように努力をしていただきたいとお願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大村委員長 池田行彦君。
○池田(行)委員 ただいま同僚議員の方から、財政収支試算を中心にして、また、大きく今後の経済動向その他の関連において質問がございましたので、私は視点を変えてお伺いしたいと思います。
 まずお伺いするのでございますが、今回の法律、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行云々、このように、昭和五十三年度限りの単年度の法律として出されております。これはもうこれで四回目でございますか、毎年毎年こういう形で出しておられるのでありますけれども、昨年までと今年度とちょっと違いますのは、財政収支試算にいたしましても、昨年までは五十年代前期の計画との関連においてやっておられた。これは、この前期計画そのものがその後の非常に大きな経済変動によって、見直しをしなければならぬ、こういうこともございましたので、多年度にわたる財政の特例ということもなかなか御提案になりにくかったと思うのでございます。しかし、ことしは暫定試算とはいえ、一応経済審議会の方でも見直された試算がある。それとの関連において財政収支試算も五つのケースをお出しになった。それで拝見いたしますと、ああやってもこうやってもどうにも昭和五十七年度までは赤字国債からの脱却はできないよ、こういうような形になっておるのでございます。そういうことになっておるのでございましたら、何も単年度限りの特例法ということでなくて、本当に今後の見通しを踏まえて、これだけはかかるのだ、しかしその間には財政の再建をいたすのですよ、特例公債からの脱却はするのですよ、そういう決意を秘めた形での御提案をなさってはいかがかというふうにも考えられるのでございますが、そのあたりにつきまして、今回やはり単年度でお出しになりました理由というものをちょっとお伺いしたいと思います。
○山口(光)政府委員 特例公債というものはあくまで臨時特例的な措置でございまして、できるだけ早く特例債に依存しない財政に復帰したいというのが、私ども財政当局の悲願でございます。そのためにあらゆる努力を傾注してまいらなければならないわけですが、そういう考え方のもとに従来から、特例公債の発行の授権につきましては、毎年度その年の経済情勢あるいは歳入歳出の状況等を含めまして、国会で御審議いただいて決めていただきたいということをやってまいりました。五十三年度の特例債についても、基本的にはそういう考え方に立って単年度立法をお願いしておる次第でございます。
 五十四年度以降複数年度にわたる時限立法ということも一つの考え方ではなかろうかと思いますが、それは五十四年度以降の経済情勢の推移あるいはその歳入歳出の状況等、諸般の事情を見きわめた上でお願いすべき筋合いのことではないかというふうに思っております。
○池田(行)委員 あくまで特例的なものであるから、毎年提出して審議をというお気持ちはよくわかるのであります。たしか五十一年度の特例法でございましたか、時の大平大蔵大臣が、これはもう毎年毎年汗を流してというふうな表現で、常に単年度のものとしてお願いするのだ、こういうお話があったと記憶しておるのでございます。しかし、その段階ではそういう気持ちだったかもしれませんけれども、考えてみますと、先ほども申しましたように、なかなか今年度限りで脱却できるものではないのだということがはっきりしておる。それからまた、その年度その年度の経済情勢、財政状態を踏まえてとおっしゃいますけれども、具体的な国債の発行額、発行限度等については、別途予算の形で国会の審議は十分経なければならなくなっておるわけでございます。そうしますと、そのあたりも余り説得的ではないような感じもいたします。
 それからまた、今年度はそういうことにならないことを期待しておりますけれども、かつては財政特例法の審議が非常に遅延いたしまして、なかなかめどが立たない。そのために、財政運営の方にも相当な支障を来しましたし、また、年度問を通じて金融市場の情勢を見ながら国債を発行して資金を調達していくという面からも非常に問題だった、そういった年度もございました。そんなことも考えますと、もうはっきりと数年間は脱却できないのだということであれば、これは考え直すことも肝要ではないかと思うのでございます。
 汗を流すのも結構でございますけれども、どうせ毎年お願いするのだということでは、本当に汗を流しておるのか、汗を流したふりをするのか、これははっきりしないと思うのでございます。まあ汗を流すべき問題はたくさんほかにもございますし、また、形式的審議と言っては語弊がございますけれども、仮にともかく単年度で頼めばいいんだよ、これでやってもらうんだよ、その審議のためにいろいろな経費もかかりますし、時間もかかる。これはまた行財政の改革といった観点からもいかがかという感じもいたしますので、本年度の問題としましてはこういう形で提案されておりますが、来年度以降につきましてはまたいろいろ御検討いただきたい。そして本当に肝要なことは、四年間あるいは五年間はどうしても特例公債の依存から脱却できないのだということなら、それはそれを前提として、しかし、その期間に本当に真剣に赤字国債からの脱却のために努力をしますよ、それにはこういった計画を持ってやりますよ、そういう形で国会の方へも御提出なさる方が、むしろ真剣に財政再建を考えておられるということになるのではないかと愚考いたしますので、また今後の問題としてお考えいただきたい、こう思います。
 次に、先ほど国債管理政策についても質疑がございましたが、国債の発行残高も今回、今年度末におきましては四十三兆円でございましたか、大体GNPの二五%程度になる。それからまた、財政収支試算なんかを見てまいりますと、五年後には四〇%を超えてしまう、こういうふうな状態になってまいります。こうなりますと、本当に国債の発行あるいはそれの借りかえその他が経済の運営に与える影響というものを、真剣に考えてまいらなければいけない段階に入っていると思うのございます。たまたま現在の段階におきましては、金融もきわめて緩慢な状態でございますし、十分成長通貨の範囲内におさまっておって、当面は問題ないかと思われるのでございますが、ここ中期的に見ますと、ぜひこの問題は真剣に考えなければいけない。
 今年度に限ってみましても、政府がもくろんでおられますように、七%の経済成長というものが達成できるというようなことになりますと、私もそれを期待をしておりますが、そうなりますと、年度後半に向かっては民間の企業活動も相当活発になっていかなければならない。したがってまた、金融市場、資本市場の状況もかなり変わってくるのではないかと思うのでございます。そういったことを考えますと、財政のサイドにおいても、やはり安易な国債依存というものはいかがかということをぜひとも考えなければいけないし、また、金融政策のあり方にもいろいろ問題が出てこようと思います。
 それと同時に、国債管理政策、これは定義がいろいろございまして、その定義をどういうふうにするかによりまして、わが国にはこれまで国債管理政策というものはなかったんだという見方もあれば、あるいは、いやわが国にこそ本当に国債管理政策があったんだ、いろいろな見方があるようでございますけれども、わりにオーソドックスないわゆるデッド・マネージメント・ポリシーというものの定義というものは、やはり財政政策とか金融政策というものとは峻別しまして、結局国債残高といいましょうか、その構成の変更を通じて経済にいろいろ影響を与えていく、そういうふうな形になっており、具体的には新規発行債の種類とか、発行条件の決定とか、あるいは借りかえのための債券の種類の決定、あるいはいわゆるオープン・マーケット・オペレーションの対象国債の種類の決定とか、そういうことが狭義の国債管理政策の対象になっておるかと思うのでございますが、これほど大量な国債残高になってまいりますと、こういったいろいろな操作、あるいは財政当局、日本銀行の政策決定というものも経済に非常に大きな影響を与えてくると思うのでございます。
 そういった意味から申しますと、こういった国債管理政策の存立と申しましょうか、そういうものができてくる条件というのは、アメリカの第二次大戦後の経過から見ましても、いわゆる大量の国債の残高が存在するという事実、それからまた、その中に次々に満期が到来するような多様な国債が存在するということ、それと同時に、国債というものが市場性を持っている、こういった条件が挙げられておると思うのでございます。そういたしますと、わが国の場合、国債の残高が巨額に上るという事実は、現在でもそういう状態に入りつつあるし、もう数年後にははっきりそうなってくる。ところが、あとの二条件でございますね、種類の多様化と申しましょうか、この点、もう一つは市場性の付与という点、この点でまだまだ至らないところがあるんじゃないかという感じがいたします。
 いまの段階においてこのあたりに遺漏なき措置をとっておきませんと、一方において、財政の方の事情から国債の発行はどんどんふえてまいる。ところが、それが十分に市場において消化されないというかっこうになりますと、国債発行を通ずる信用の膨張ということで、本当に財政インフレということに結びつきかねないと思いますので、このあたり十分御注意いただきたいと思うのでございますが、先ほども若干お話があったようでございますけれども、大蔵省におきましてこの点どういうふうな御検討をなされておるか、それからまた、将来どういうふうに進めていかれる御意向であるか、お伺いいたしたいと思います。
○田中(敬)政府委員 池田委員が御指摘のとおりに、国債管理政策の定義というのは大変むずかしい問題でございまして、一般的には、財政負担をなるべく軽減しながら、国債の発行、消化、保有、流通、償還を通じまして、これがそのときどきの国民経済の中にうまく溶け込んで、経済政策に財政政策の一貫性が保持し得る、こういうことをどう考えるかというのが広義の国債管理政策であろうと思います。そういう意味におきましては、金融政策あるいは証券行政あるいは財政政策、あらゆる面にわたる問題でございますが、御指摘のような狭義の国債政策を考えます場合には、確かにこれだけ大量の国債が発行され、今後も続き、それらの保有が特に市中金融機関によって多額に保有される、こういう債券が今後金融市場でどういうふうに動いて、どういう影響を与えるか、それを最も望ましい方向に持っていくというのが狭義の国債管理政策であろうかと思います。
 確かに国債管理政策を遂行していくための前提といたしましては、なるべく国債が発行されないように、コントローラブルな形での量におさまるというものが第一の前提でございますけれども、現在の経済情勢、財政情勢を考えますと、今後もさらに大量の国債発行が続いていくものと思われますので、これに対応する形としての国債管理政策を真剣に考えなくてはならない。特に今後の金融情勢いかんによりましては、国債の大部分を保有しております市中金融機関の流動性の問題、市中金融機関の資金の需要に応じてこの保有する国債の流動化圧力が高まってくる、いわゆるクラウディングアウトあるいはインフレ懸念の問題が起きる、これをいかに未然に防ぐかというのが大事なポイントであろうと思います。
 こういう意味におきましては、今後国債をめぐる情勢というものは非常に厳しいものになってくると思いますので、これに対応しまして、これまでも発行条件の弾力化でございますとか、あるいは個人消化の促進のための中期割引国債の創設でございますとか、あるいは流通市場の整備、建設国債の借りかえ方式による流動化の付与、あるいはペーパークライシス対策としての高額券面の発行など、いろいろの手を打ってまいりましたけれども、今後の方向といたしましても、まず一つには、一層個人消化に配慮いたしまして、あるいは機関投資家の育成というようなものも考えまして、安定的に保有される方策というものを念頭に一つの政策が打ち出されるべきであろうと思います。一つは安定保有の問題。
 それからもう一つは、やはりいかにいたしましても国債の流動化というものは起こってまいりますし、この流動化に対応いたしまして、流動性をいかにして付与するか。この流動性の付与ということは、一つは、その商品に対する商品値価の付与でございます。そういう意味におきましては、国債が魅力あるものになる、売る方にとっても売りやすい、買う方にとっても買いやすいような国債商品というものを考えなくては、やはり流動性が阻害されるということで、その流動性の付与ということにおいて、魅力ある国債というものを考えなくてはならない。その流動性の付与というものは、やはりその条件がどういうものであるかとか、あるいは資産選好のニーズに応じてその種類がいろいろ多様化されておるというようなことが、この流動性の付与という政策に合致する一つの方法であろうかと思います。
 そしてもう一つは、流動性が付与された国債が流動化いたします際の受けざらとしての公社債市場の拡大安定化、これが一つ大事なことだろうと思います。公社債市場の広さ、深さによりまして、大量に流動化してくる国債をどう受けとめるかということによりまして、国債価格の乱高下にも響いてまいりますし、金融情勢全般の問題にも大きな影響を与えてまいりますので、この受けざらとしての公社債市場の拡大安定化政策をどういうふうにとっていくかということも今後の大きなポイント、まず大体それらの三つのことが大きなポイントであろうかと思います。
 最近、国債の種類の多様化でございますとかいろいろのことが報ぜられておりますけれども、御承知のようにアメリカにおきましても、諸外国の例を見ますと、国債につきましてはボンド、ノート、いろいろの形で長期、中期、短期の各種の債券が出ております。またその債券の種類に応じまして発行方式も、シ団引き受け方式、あるいは売り出し方式あるいは入札方式というような方法で行われております。そういう意味におきまして、私どももこの諸外国の先例を見まして、かつ国内の金融情勢をにらみながら、さしあたりは国債の種類の多様化がいまの金融情勢の中で、あるいはいまの金融秩序の中でどういうことが可能であろうかというものを真剣に検討してまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおりに、国債管理ということは今後非常に大きな問題でございますので、こうして申し上げましたような問題を含めまして、私ども国債管理についての検討を一層積極的に進めまして、検討の結果を着実に実行に移してまいりたいと考えておりますが、いろいろ各方面との既存の秩序との関係がございますので、それらの調整を行いながらやっていくということで、その面では着実かつ慎重にというような形で管理政策の実行を期してまいりたいと思っております。
○池田(行)委員 ぜひそういう方向で努力を願いたいと思うのでございますが、ただいまも既存秩序との調整という話、確かに大変だと思います。しかしながら、もう本当に国債の大量発行時代に入っておるわけでございますので、既存秩序との調整は必要でございましょうけれども、たとえば既得権とかそういったものに余り苦慮して、こういった環境の整備なりあるいは発行態様の多様化その他がおくれないようにくれぐれもお願いしたいと思います。
 また、ただいま流動性付与の観点で魅力あるものにというお話がございました。その魅力あるものこれは発行者にとってもまた購入者にとってもというふうなお話でございましたけれども、私、懸念いたしますのは、財政側ではどうしても国債をどんどん出さなくちゃ財政運営をやっていけないという事情もございますので、財政サイドの魅力と申しましょうか、そういったものが表に出まして、本来市場で受け入れられないような形のものを無理やり持っていく、そういうことになりかねない。そういうことになりますと、繰り返すようでございますが、本当にわが国の金融市場なり資本市場なりにゆがみをもたらし、ひいてはわが国経済全体のバランスのとれた、しかも民間主導の活力のある成長というものに障害を来すおそれがあると思いますので、その辺はくれぐれも御留意願いたい、こういうことをお願いいたします。
 時間が本当に限られておりますので、次の質問に移りますが、今回の法律、例年の特例公債の発行とあわせまして、専売納付金の特例納付、これが金額で千五百六十九億円でございましたか、これだけ積立金を取り崩して、今年度限りというお話になっております。
 私、本来こういったたばこというものに負担の増加を求めるとするならば、すんなり値上げを通じて消費者に転嫁するというのが筋じゃないかと思うのでございます。これと似たようなものと言っちゃなんでございますが、ことしも別途酒税法の改正ということで酒税の負担増加を期待しておるわけでございますが、今回専売納付金につきましては、そういったふうに消費者への転嫁をせずに公社限りにおいて処理された理由、それからまた、こういった措置は本年度限りで、来年度五十四年度以降はずっと毎年というわけにはまいらぬと思うのでございますけれども、その来年度以降はどういうふうにお考えになっているか、その点をお伺いしたいと思います。
○大槻政府委員 二点ほど御質問の点があったかと思うわけでございますが、今回御審議いただいております法律案に基づきます積立金の取り崩しというものは、これは五十三年度限りの措置としてお願いをしているわけでございます。
 それから、財源難の折からどうしてたばこの定価の改定を行わなかったのか、こういう御趣旨の御質問があったわけでございますが、五十三年度に定価改定を行うことにつきましては、私どもいろいろ検討したわけでございますが、五十年度の定価改定に際しましての国会の論議を通じまして、値上げ分のうちで税負担の増分をより明確にすべきであるという要請がなされたわけでございます。この問題につきましては、現在行われております公共企業体等基本問題会議の結論をも勘案して検討することが適当であると判断されたことでございます。それから第二点は、五十年十二月に値上げをお願いいたしましたときには四八%の引き上げが行われており、その後日がなお浅い。それから第三に、性急な値上げをしますと無用な混乱を起こすということで、生産、販売両面にわたり周到な準備をした上で定価改定に踏み切るということが適当であると判断されたこと等々から、これを見送ることにいたしたわけでございます。
 しかし、国家財政が緊急事態に直面しておりますことから見て、専売公社に対しましても、政府関係機関の一員としての応分の御協力をお願いするということで、いま法案を御審議いただいておりますように、五十三年度限りの特別の措置として利益積立金の一部の取り崩しを行うこととしたわけでございます。
○池田(行)委員 そういたしますと、五十四年度には値上げ必至というふうに了解してよろしいわけでございますね。
○大槻政府委員 たばこは重要な財政物資でございますが、納付金制度がとられておりますので、小売の定価を据え置くと、所得、物価水準の上昇に応じて負担率が低減し、財政に対する寄与の度合いも減少するという問題があるわけでございます。現にたばこ事業の益金率というのは、御案内のように、五十年の十二月に定価改定をお願いいたしまして一時増加したわけでございますが、その後製造コストの増加等から再び急速に低下してきておるわけでございます。このため、五十二年十月の税制調査会における中期税制に関する答申におきましても、「今後とも、適切な負担水準を維持することができるよう随時見直しを行っていくべきである。」というふうにされておるわけでございます。このような事情にかんがみまして、近い将来たばこの小売定価を見直すことといたしたいと考えておるわけでございますが、定価改定の具体的な実施の時期とか幅等につきましては、たばこの消費動向、財政事情等を考慮しつつ決定いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○池田(行)委員 ただいまも、たばこは重要な財政物資である云々という話があったわけでございますけれども、今後ともたばこ消費者に相当程度の負担を求めるということになりますと、果たしていまの専売納付金という制度、この仕組みでいっていいのか悪いのかというような問題があると思うのでございます。
 また、一方におきましては、専売公社の経営形態の問題につきまして、公企体等基本問題会議でございますか、ここでいろいろ御検討なさって、大分煮詰まってきたというふうな新聞報道がございますけれども、中には、民営移管しろというふうな議論も有力であるというような報道がなされております。民営になればもとよりでございますが、それにならないまでも、今後のあり方として、納付金の仕組みではなくて、国税についてもたばこ消費税というようなかっこうにして、安定的な財源をここに求めるというような考え方については、どういうふうにお考えになっておりましょうか。
○大槻政府委員 たばこ専売納付金制度につきましては、財政収入の安定的確保と専売公社の経営責任の明確化を図るために、消費税制度に移行すべきであるという御意見があるということは、私どもも承知しておるわけでございます。これまでもいろいろの審議会等においてそういう御意見が表明されておるわけでございますが、しかしこの問題は、たばこの定価の決定の方式や公社の経営形態のあり方とも密接に結びつく問題でありますし、また現在、公共企業体等基本問題会議において検討が進められているところでもありまして、大蔵省としては、今後慎重に検討すべき問題であるというふうに考えておる次第でございます。
○池田(行)委員 すでに時間がないようでございますので、質問はこれでとどめますが、最後に一言申し上げたいのでございますけれども、三点お伺いしてまいりましたけれども、財特法の期間の問題にいたしましても、あるいは国債管理政策の確立問題、最後の専売の問題にしましても、要は私のお願いしたいのは、本当に財政再建への真剣な取り組みをお願いしたいということなんでございます。
 最後の専売の問題につきましても、特例納付金というのは、いわば小細工じゃないかというような気がするのでございますね。ことしの税制改正でも、石油新税の問題についても非常に唐突に出てきたという感じがあります。財政状況の苦しさというのは、急に予算編成の段階で出てきた問題じゃないのでございますから、もう少し前広に十分御検討いただいて、やはり単年度の問題としても、唐突な出し方で、しかも小細工をして財源を生み出すということじゃなくて、もう少し計画的にやっていただきたい。
 それからまた、将来も問題としていずれ重大問題になってくることがわかっております国債管理政策なんかにつきましても、まあ慎重な上にも慎重にではなくて、慎重で結構でございますが、本当に早急に環境の整備なり管理政策の確立なりを図っていただきたい、こう思うものでございます。
 最後に、そういった問題も含めまして、これからの財政再建にかける大臣のかたい御決意というものを御表明いただきまして、質問を終わりたいと存じます。
○村山国務大臣 ただいま池田委員から重要なポイントについて三点御指摘がございまして、非常に感銘深く拝聴したところでございます。
 財政の再建はまことに大事な問題でございますので、御趣旨に沿いまして、真剣かつ着実に実行してまいりたい、かように思っておるところでございます。ありがとうございました。
○池田(行)委員 終わります。
○大村委員長 午後三時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十六分開議
○大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き質疑を続行いたします。大島弘君。
○大島委員 この財特法というのは、条文が非常に短うございますけれども、最重要法案の一つでございまして、関連するところが非常に多うございますが、赤字国債に関連いたしまして経済問題、それから財政問題ということにつきまして、大きな問題をお伺いしたいので、大臣からひとつお答えいただきたいと思います。
 けさほど七%達成が可能かどうかということの答弁の中で大臣は、最近民間設備投資がやや明るさを増してきたということで、これは何としても達成しなくちゃならないし、またできると思うということをおっしゃられましたけれども、その節に国民総生産の半分以上を占める個人消費のことについては全然触れられていない。
    〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕
個人消費がこういうことで、現在の予算は減税ゼロだ、それから春闘も御存じのとおり、余り芳しくない、せいぜいいまのところ一次回答としては四%ないし五%程度である。しかも個人消費は、GNP五十三年度二百十一兆、対前年の伸び名目一二%、実質七%、この巨大な二百十一兆というのを押し上げるために、何としても個人消費を刺激しなければわれわれはどうしてもだめだということを考えているわけです。
 したがいまして、ここでお伺いいたしたいのは、大臣はいまでも当初の御答弁どおり、減税よりも公共投資の方が効果があると思っておられるのかどうか、まずその点につきましてお伺いしたいと思います。
○村山国務大臣 同じ財源を使って、いまの状況のもとで減税と公共投資ということになりますれば、公共投資の方が景気浮揚効果は大きいであろう、これはいまでもそう思っておるわけでございます。
○大島委員 財政学の東京大学の林教授、彼はわが党の政策審議会で講演されて、政府は一体どういうデータに基づいて減税より公共事業の方の効果が大きいと判断しているのか私にはわからない、これはぜひ知りたい、林東京大学教授がこう話しております。これはわが党の政策資料ナンバー百四十号にも載っておりますが、林教授ですらわからないのを、大蔵省は「所得税減税に対する考え方」として、一兆の減税の場合は有効需要は八千億、一兆の公共投資をやった場合は一兆四千億の有効需要であって、減税の一・八倍に相当するということを書かれております。これは前に私はこの委員会でお伺いしたのですが、わかったようなわからないような答弁が出ておりましたので、もう一遍だけ簡単にひとつお願いしたい。
○大竹説明員 この減税あるいは公共投資の追加のどちらが需要として国民総生産に大きく響くかという計算につきましては、いわゆるマクロモデル分析という手法で計算をするわけでございますが、このマクロモデルはいろいろな研究機関がやっておりまして、政府といたしましては、経済企画庁の研究所が一つモデルを持っております。そのほか、大学あるいは民間の研究所でやっておるわけでございますが、この「所得税減税に対する考え方」という資料の中でお示しをいたしましたのは、当時企画庁の方で公表されておりましたSP18というモデルを使ったわけでございます。
 このモデルによりますと、初年度の効果といたしましては、公共投資の乗数が一・三四に対して減税は〇・七二、こうなっておるということが示されておりますので、これを用いまして、もちろん用地費の分は除きまして計算をいたしますと、この資料にお示しをしたような、ごく大ざっぱなことで申し上げればそういう数字になるということでございます。
○大島委員 それはおかしいと思うのです。あなた方の一・八倍という考え方には、用地費が二割と前提しておる。こういう前提を置くこと自体がすこぶるおかしい。用地費は八割もあろうし五割の場合もあろうし、ここで一律に二割とした場合には一・八倍だということはある程度言えるかもしれない。
 それからもう一つ考えてみると、いまのたとえば電力にしても何にしても、和歌山なんかがその最たるものですけれども、住民地域運動がある、そういう立地条件は一体どういうふうに解釈しているか、そういうような点です。それからもう一つは、この膨大なものが消化できるかどうか。
 いまアメリカは非常に景気がいい、日本は悪いということは、これはあらゆる人が痛切に、アメリカは二年前に減税をやったからだと考えておる。いろいろな客観情勢から見て、なおかつそういうふうなことが言えますか。
○大竹説明員 用地費につきましては、おっしゃるように非常に用地費の比率の大きい事業もあるわけでございますけれども、全体としての公共事業の用地費は、ここ数年間の数字は大体二〇%と見て差し支えないという前提で計算をしたわけでございます。
 それから、電力等の立地につきましての問題は、政府といたしましても、この立地の促進を図るために立地の交付金の増額をする等の措置を講じ、あるいは通産省においても、鋭意立地問題解決のために努力をしておるというふうに聞いておるわけでございます。
 それから、この公共事業の消化の問題につきましては、すでに御承知のように、公共事業の執行推進本部を今年度も設けまして、資材の手配あるいは用地の取得等きめ細かな配慮を加えながら、円滑な実施に取り組んでおるわけでございます。
 それから、米国の減税についての御指摘がございましたが、米国では減税をやっておることは私ども承知はいたしておりますが、米国あるいはヨーロッパの国につきまして一般的に言われておりますのは、景気刺激の手段として公共投資がなかなかやりにくい面があるし、一方では、非常に社会資本が充実をしておるという事情もあわせてございますので、そういう点をあわせて考えますと、わが国におきましては、やはり減税よりも公共投資の方が景気刺激の手段としては適当ではないか、こういうふうに判断をするわけでございます。
○大島委員 こういう問題は私は、理論の問題も必要はないとは言えないけれども、現実の問題として考えていただきたいと思う。たとえばいまの用地費が二割というのはどこから出てきたのか。それからいまの電力でも石油基地でも、至るところの反対運動というのがこれは現実の問題です。
 減税というのは直ちに効果があることはわかっているのです。みんなの所得がそれだけふえるのですから。それにもかかわらず、そういう現実の問題の上から考えて、なおかつ減税よりも公共投資の方があるということは、理論の上では言えるかもしれないけれども、実際上はどうですか。
○大竹説明員 用地費につきまして正確な数字をちょっと手元に持っておらないわけでございますけれども、この計算は、政府の資本支出を集計をいたしまして、その中から用地費に充てられる部分を控除するということで、毎年の実績、それから予算では、そこまで細かいところはわからないものは一部推計もするわけでございますが、過去におきましては決算によりまして、用地費の比率を出しましてその率を計算いたしております。したがいまして、実績としては二割前後というところがわりあい安定的に最近推移しておるわけでございまして、それほど狂った見方ではないというふうに思っております。
 それから、繰り返しで恐縮でございますけれども、確かにこの用地の問題、いろいろむずかしいところがあることは承知はいたしておりますが、これも、直接事業を担当いたします地方公共団体にも、工事の円滑な施行の推進ということにつきまして、政府としても要請をしておるところでございまして、各地方団体とも鋭意努力をしておるところでございます。
 それから、減税が所得の増加になって消費がふえるということは、私ども決して否定しているわけではございません。ただ問題は、景気の刺激策として政策的に需要を追加する場合、その出てくる効果の大きさの比較の問題だというふうに理解をいたしておるわけでございまして、そういう比較をいたしますと、やはり特に初年度の効果としては公共投資の方が減税より大きいということは、ほぼ定説であると言って間違いないのではないかと思います。
○大島委員 この論議はしてもしようがないから、あなたから林教授に教えてあげてください、林教授はそういうことはわからぬと言っておるから。
 大臣にお伺いします。そうしますと大臣は、やはり過去二回も、五十二年度も五十一年度も裏切られた、上期公共投資、下期民需というパターンを、本年度五十三年度においてもお考えになっておられるのですか、それでいけると。国民所得の半分以上の個人消費よりもむしろその方が大事だ、こう思っていらっしゃるのですか。上期に公共投資を、それから下期に民需が起こってくると……。
○村山国務大臣 直接そういうことを申し上げているわけではないのでございます。もちろん全体の国民総生産の中で、ウエートで申しますれば、言うまでもなく個人消費が一番ウエートが大きいことは当然でございます。
 そうではなくて、同じ財源を使って、減税をやる方とそれから公共投資をやった方とどちらが総生産に及ぼす波及効果が大きいか、こういう話なのでございます。そういう観点から、われわれは公共投資の方が波及効果は大きいということを言っておるわけでございます。もちろん個人消費が一番最大のウエートを占めていること、これはもう間違いないのでございます。
 考えまするに、去年は七千億減税いたしたわけでございます。一世帯当たり二千円ぐらいでございまして、私はどう考えてみても、あのときに消費性向が上がったあるいは下がったというふうには読み取れないのでございます。これはそのときの経済環境もあると思いますけれども、今度やってどうなるかなかなかわかりませんけれども、過去の経験から申しまして、その効果、特に初年度効果はやはり非常に違うのではなかろうかと思っておるのでございます。
 なお、大島さんからいま賃上げがこんな状況でと、こういうお話がございました。確かに例年よりはかなり渋いように見ているわけでございます。これは経済企画庁長官もたしか言ったと思うのでございますが、賃上げの問題は労使の関係でございますので、直接は触れませんでしたけれども、まあ全体として、雇用者所得のうち春闘による分は大体三割ぐらい、そういうふうに踏んでおったように思うのでございます。景気が回復いたしますと、おのずから所定外時間が長くなるとか、そういうことで雇用者所得がある程度伸びることを期待しているわけでございますし、それから、雇用者所得よりも個人の事業者所得あるいは財産収入所得の伸びを見ているところでございまして、名目でいいますと一人当たり九・九というのを見ているところでございます。ごく最近の実質賃金の統計を見ておりますと、あるいは実質消費で見ておりますと、四・五とかあるいは五・五くらいの数字が、対前年比でありますが出ておるわけでございます。消費の重要性はよくわかるのでございますけれども、政府が見ておるのも名目で言えばそんな過大でもないんじゃないか、そういう感じがいたすのでございます。
○大島委員 それでは、今度は立場を変えていまの問題を論じてみたいと思うのです。
 現在非常に不況だということは皆だれも知っておるわけですけれども、この一つの大きな原因は、やはり高度成長期に設備された巨大な施設をいま直ちに取り払うことができない、これは設備ですから。それにもかかわらず、需給のギャップがありますから、消費が沸かないから、そこで遊休設備ができて、稼働率も低くなる。たしか七五%ですか、そしてもちろん利益率も低いということになってくる。
 稼働率が下がったからといって赤字公債を発行してまでやるということは、まるでポンプに呼び水を差すようなもので、そういうようなものじゃないので、この稼働率が下がっているということは、やはり貯蓄もするけれども、それを受け入れる基礎産業がないのだ。つまり、稼働率が下がったからすぐ赤字公債を発行してまでポンプの水のように公共投資、公共投資といくよりも、この稼働率がなぜ下がったかという点を別の意味から考えて、やはりそれだけ需要がないのだというふうにお考えになられませんか。あるいはちょっと質問の意味がわかりにくかったかもしれませんが……。
○村山国務大臣 いまの大島委員の考えは、むしろ自然に任して自律回復力を待つべきである、あるいは過剰設備は早く業界みずからの力で切って、そしてやるべきではないかという、いわば民間経済の自然の流れに任しておくべきじゃないかというふうにもとれるわけでございます。
 私の言っているのはそうではなくて、それに財政が力を添えるべきである。いま貯蓄、投資のこのアンバランス、それは何を意味しているかといえば、おっしゃるようにかつてのような過剰投資があったことは事実であろうと思うわけでございます。そしてまた反面から申しますと、財政が自律回復性の援助をするにいたしましても、おのずから過剰のものは過剰のものでやはり自主努力で切るべきものは切らなくてはならない、凍結すべきものは凍結せざるを得ないと思うのでございますけれども、やはり財政というものは、民間経済の補助手段として十分使い得る政策手段であることはもう間違いないわけでございます。ですから、自律回復をできるだけ早める――このままでほっておきますと、やはり企業収益が回復しない、あるいは稼働率が回復しない。過剰雇用は自然のままに任しておきますと、これは大変でございます。それに手をかそう、こう言っているわけなのでございます。
○大島委員 私の申し上げたのはちょっとニュアンスが違うのでございますけれども、たとえば構造不況業種の典型と言われる繊維を考えてみた場合に、これは相当設備が遊んでいる。しかし現実の問題として考えた場合に、この過密社会において、一億の人間がやはり着物を着るわけですから、そういうふうに冷え切っているということは、結局民需が、消費が起こらないからじゃないかということを私は申し上げておるのです。この消費を起こす方法には、賃上げとかあるいは減税とか、いろいろの方法があると思うのです。そういうことを申し上げているわけです。
○村山国務大臣 たとえば繊維の問題にいたしますと、一般的に申しますれば、繊維というものの消費増にはおのずから一定の水準があるのであろうと思うわけでございます。特に日本のようにずっといままで成長してきて、そしてまた衣料品にそうは事欠かないのでございます。したがって、一ころのように衣類が非常に足りないという状況ではないわけでございますから、いままではしたがって、それは輸出によってカバーしておった面が多いわけでございます。
 しかしまた一方において、繊維産業は国際的な産業構造の分業から申しますと、何と申しましても労賃が決定的な要因になっておりますので、かなり追い上げられておることはもう御承知のとおりでございます。国内におきましてはまだシェアはそんなに外国品は多いと申しませんけれども、先進諸国におきます中級品以下のシェアはどんどん中進国あるいは発展途上国に追い上げられておることは御承知のとおりでございます。
 したがいまして、それはそのような対応の仕方をしなければなりませんし、そういう意味で、それぞれ全体の消費がある限られた中で、無理をいたしますればやはりみんなが共倒れになるというおそれもあるわけでございます。ただ高級品等につきましては、日本の国内市場でも見られますように、二次製品のようなものでは非常な収益を上げる企業もあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、恐らく日本の繊維工業の向かっていく道は、やはり非常に高度な高級品の方に今度向かっていくのではなかろうか。しかし財政は、そういう見通しを見ながら、一つ一つのことに力をかしていくというよりも、全体としてそういう転換が容易になるように、いわば環境整備をやっておるわけでございます。その方の任務を受け持つのは、いわゆる構造不況の関係等でございまして、それはそれなりにまたわれわれは予算措置あるいは財投措置を講じておるのでございます。こういったものをあわせ講ずることによりまして、われわれの産業構造の転換あるいは自律回復、こういうものを目指しているということを御理解賜りたいのでございます。
○大島委員 いま産業構造転換という問題が出ましたので、これは通産省の所管だと思うのですけれども、現在の円高不況というのは、先ほど申しましたように、やはり一つは内需が起こらないから輸出ドライブがかかる。しかも体質の強い石油化学、重化学工業的なものが集中豪雨的な輸出をやってしまう。だから、石油化学あるいは重化学工業中心のリーディングセクター、こういうものがリーディングセクターになる従来の産業構造というものは終わって、ここで一つの新しいビジョンが要るのじゃないか。高度成長の時代はもう終わったということで、一つの新しいビジョン、たとえば今後は知識集約の産業とかあるいは医療とか教育とか、そういう方に向かう産業に重点を移さなくてはならないというようなことを、一遍国民の前にはっきりビジョンを示す必要があるのじゃなかろうかと思うのです。
 これは通産省から説明してもらうのですが、大臣はいまでもやはりこういう重化学工業、耐久消費財あるいは石油化学工業というものがリーディングセクターになっているような、現在の高度成長の名残を今後ともなお続けるべきだとお思いになるか、ちょっとその点だけひとつ。
○村山国務大臣 かつてのような高度成長は、特に日本のように飛躍的な躍進を遂げた国においては私はもう不可能ではないであろうか、その地位をいま占めつつあるのがいわば中進国で、ちょうどかつての日本のような高度成長期をいま迎えていると思うのでございます。新しい技術の導入あるいはまだ賃金水準が非常に低いわけでございますが、恐らくこれから中進国がかつての日本のような飛躍的な高度成長を遂げるであろうということは、容易に想像できるのでございございます。日本の方はどちらかと申しますと、技術導入がまず、中小企業は別といたしまして一巡いたしておるわけでございます。しかも石油ショック以来、需要構造あるいはまたコスト構造が全く変わっておるわけでございますから、当然おっしゃるような産業の構造変革がやはり要求されているわけでございます。
 一般的に申しまして、どちらの方向に向かうか、これは業界みずからが本来は選択すべき道でございますけれども、マクロで申し上げれば、やはり知識集約的な、技術集約的な、また資源の比較的少ない省資源的な、あるいは省エネルギー的な方向に向かう、また別の面で申しますれば、二次産業よりも三次産業の方に向かっていくであろう。これは、日本よりも先発した先進国の産業構造を見ておりましても、一般的に言えるわけでございますから、特に医療の問題であるとかそういった方面に今後伸びていくことも、容易に想像されるわけでございます。その点は私も大島委員とそう認識は違っていない、かように思っているわけでございます。
○大島委員 通産省は、いまの産業構造の転換というようなことについてどう考えられておるのか、また、国民にどういうふうにそういうビジョンを示しておるのか、お答えいただきたいと思います。
○日下部説明員 お答え申し上げます。
 いまいろいろな御説明をいたそうと思っておったこと、大蔵大臣がほとんどすべてお答えになったような感じでございますが、私どもも全くいま大臣のお答えいただいたとおりの考え方を持っておりまして、これからの産業構造ということについては、やはり資源制約時代ということもございますから、資源をできるだけ少なく使いながら、しかも国民のニーズに合った高い付加価値をつくるような産業、したがって頭を使いながらやっていく産業、そういうものがこれから伸びていくようになろう、また、そういうことを国民のニーズの充足という観点からすると伸ばしていく必要があるだろうというふうに考えております。
 この点につきましては、すでにつとにそういう考え方で、いろいろコンピューターとかあるいは情報処理とかそのほかいろいろ機械、電子関係の産業の技術開発あるいは基礎産業の育成というようなことをやっておったり、あるいは繊維についてもアパレル産業を中心とした構造改善ということを目指しておったり、そういうことをやっておるわけでございます。この方向というのは、今後ともと申しますか、なお一層そういう方向でやっていきたいということで、大蔵省ともいろいろ予算折衝等々の過程でお願いをいたしまして、そういう方向でいま施策を展開しつつあるというのが実情でございます。
 これからまだむずかしい問題がいろいろございますけれども、基本方向はそういう方向で、国民のニーズにも沿い、また国際的ないろいろな要請にもこたえ調整をしていくという産業構造を目指しておるというのが現状でございます。
 どういうふうにそれを国民の方に示していくのかという点につきましては、これはこういう知識集約型という考え方は、すでに高度成長が終わりに近づきました四十六年だったですか、産業構造審議会の報告ということでそういう考え方を打ち出しておりまして、その後オイルショックがあり、その後の相当混乱の中で、やはり同じような考え方を昭和四十九年に産業構造審議会のビジョンということで打ち出しをしておりまして、その後毎年見直しをしておるという段階でございます。ことしもこういう非常にいろいろむずかしい情勢の中ではございますけれども、われわれとしては、いま申し上げたような考え方は間違ってないと思いますし、その方向で現在いろいろ作業をした上で、現時点で長期的な展望というもののコンセンサスを得るべくいろいろ努力をしていきたいというふうに考えております。
○大島委員 私なぜそういうことを言いますかといいますと、国民の間には、オイルパニックは一時的なものであって、夢よもう一度という昔の高度成長の再来を願っている人も相当数おるはずです。また現におります。そうじゃないんだ、もう高度成長の時代は終わったんだ。われわれの言葉で言いますと、現代資本主義は終わったんだというふうにわれわれは言っているんですけれども、通産省としても、もう高度成長の時代は終わりだというようなことを国民の前に示す具体的な考え、たとえば新聞でも雑誌でも白書でも何でもいいと思うんだが、そういう考えはありますか。これは私は示さなくちゃいけないと思うのです。国民にそういう不可能な夢を持たすことはいけない。
○日下部説明員 この点につきましては、私どもだけでなくて、これは内閣全体としてそうだと思いますけれども、過去の高度成長、要するに一〇%以上の成長をしてきた、これは、主としてやはり外国技術の導入、その実現ということが非常に大きく寄与する力があったわけですが、いまやそれはもうキャッチアップをしてしまっておるという段階でございます。それからもう一つは、エネルギー制約の問題というのがある。これはもちろん制約をできるだけ緩和していく方向で努力をしなければいかぬわけですが、そういう問題がある。したがって、過去のような高度成長時代ということではなくて、これからはむしろ安定的な、持続的な成長路線ということを考えていかなければいけないんではないかということを、これは前期経済計画でも言っておると思いますし、私どももそういう認識でおります。
 もちろん余りそういうことが強調され過ぎると、何というか、生理的に非常に経済がおかしくなってくるという面もございますから、要するに、経済の発展パターンというのは変わってくる、その中で、民間の経済をできるだけその活力を生かしながら持続的な成長というものが必要である、その成長の程度というものは従来のようなわけにはいかない、従来のようなわけにはいかないけれども、できるだけみんなの、たとえば社会福祉とかあるいは生活環境とかいろんな要請がありますけれども、そういうことを満たせるような経済成長を目指していこうではないか、そういう方向でのコンセンサスということを私ども考えておるわけでございます。
○大島委員 経済問題の最後で大臣にもう一点だけ。
 かつて私がお伺いしたことがあると思うのですが、日本は貯蓄率が高い、したがって減税は余りそういう点からも好ましくないということですが、老後、病気、住宅というような、こういう社会保障がいま日本は極端に悪いから、高い貯蓄に回らざるを得ない。結局国民は自己防衛しているわけです。貯蓄率が高い。だからむしろ、鶏が先か卵が先かの問題になりますけれども、貯蓄率が高いというのはそういうことで、老後、病気、住宅というようなものの保障がないからだ。ヨーロッパ先進諸国はそれがあるから消費に回るわけですね。
 そういう観点からも、この社会保障を強化して、貯蓄率を下げて消費をふやすということが、私はいまの景気回復で公共投資以上の大きな問題だと思うのです。これは何も五十三年度に限ってということはありませんけれども、今後の方向としてはそういうふうに老後、病気、住宅というようなこの社会保障を強化して、貯蓄率を下げて消費をふやす、そういう考えにつきましてどういうふうにお考えですか。
○村山国務大臣 いま老後の恐らく年金の問題、医療の問題あるいは住宅の問題、この三つを取り上げられたと思うのでございます。
 確かにいま振替所得、年金の問題、これは水準として考えてみますと、もう国際並みに行っていると私は思うのでございます。これはいつか予算委員会でも申し上げましたが、標準的な年金でどれぐらいになるかということで、二十八年加入で計算いたしますと、厚生年金は十万五千円ぐらい、各国は恐らく同じようなベースで七万あるいは八万ぐらいだろうと思うのでございます。実際の支給金額の平均をとってみましても、九万円程度でございますから、もらっている人はすでに水準に行っていると思うのでございます。ただ、老齢化が非常におくれておる。制度の発達が未成熟でございますから、支払い年金そのものとしては少ない。したがって、いま振替所得は国民所得に対して恐らく一〇%をちょっと超えておるだろうと思うのでございます。その振替所得の割合は各国より確かに低い。しかし、これが現行制度のまま成熟化した時点を考えてみますと、もう二〇%を超えるということでございますので、貯蓄率の高さというものといまの年金制度が充実していないということは、必ずしも合わないと私は思うのでございます。
 医療にいたしましても、御承知のとおり、日本の医療費はいま十兆を超えておるということでございます。国庫負担の割合が非常に高いということが言われます。それから一般的に言われますように、被保険者が一年のうち一体どれぐらい通院しておるか、あるいは入院日数等の国際比較をとってみますと、日本は非常にお医者さんが好きと申しますか、どういう保険制度の中にあるか知りませんが、かなり高いのでございます。したがって、その問題も貯蓄率とは直接関係がないような気が私はいたします。もっとも個人がどういう動機で貯蓄をやるかというのは別問題でございます。ただ、国際比較の中でそれが低いから貯蓄率が高いということには、私はちょっと納得しかねるのでございます。
 第三の家の問題につきましては、残念ながらわが国の住宅水準は確かに低いと言わざるを得ない。これは何といっても根本的には土地が狭いということに最終的に帰着するわけでございますが、それだけに今後この問題を解決していく上には、並み並みならぬ苦労が要るように私は思うのでございます。
 貯蓄の動機を見ますと、第一に挙がってくるのは、何となく不時に備えるということであります。その次は、病気になったらどうするか、第三番目にはやはり住宅の問題、第四番目に老後の問題がずっと挙がっているわけでございます。国際的に考えてみますと、住宅の問題だけは確かにあるかもしれぬなと思うのでございます。だから、貯蓄率が高いという問題は、今度は別の問題から申しますと、日本人は非常に勤勉といいますか、現在よりも将来を考えるという国民性もあるかもしれません。あるいは一部の学者が言っておりますが、消費なり貯蓄というものは、租税なり社会保険料なりそういう強制徴収される所得のウエートとちょうど逆になる、これは昔から一般的に言われているわけでございます。だから貯蓄が高いということは強制徴収部分が少ない、それもまた一面の真理を持っていると思うのでございます。
 家の問題、負担率の問題、将来に備えるという国民の堅実性、私はこの三つぐらいのような気がいたしております。
○大島委員 私は、この問題につきましては、以前大臣とも結局そのままになっておりましたので、またお話をしてもそのままになると思うのですが、いまのお考えは非常におかしい、主税局的な考えだと思うのです。
 たとえば所得税は諸外国と比べてどうか、その比べ方は、貨幣価値の換算の問題もありましょうし、またストックという問題もありましょう。数字を見て一概に、やれ所得税が低いから増税の余地があるのだとか、そういう数字論は非常におかしいと思うのです。
 たとえばいまの年金の問題にしましても、諸外国と比べてとおっしゃいますけれども、社会の底辺層に位する労働者の多い日本とスウェーデンの労働者の状況とを比べて、いまのようなことが実感でわいてまいりますでしょうか。
 医療の問題でもそうです。要するにそこには、貨幣価値の換算の問題もあろうし、ストックの問題もあるはずです。たとえば水洗便所。日本では恐らく水洗便所の完璧な普及率なんて望めないでしょう。そういう点から始まって、いわゆる社会資本というのがそこにある。そういう点から考えまして、やはり老後、病気等に備える、そのための貯蓄率の高さだと私は思うわけでございますが、この問題はまた平行線をたどりますのでこれでやめまして、最後に財政問題に入りたいと思います。
 本年度初めての試みとして、一般会計歳出予算で経常部門と投資部門とが分かれた。この分かれた理由は、三〇%の線が守れなかったので、経常に対する赤字国債の分と投資に対する赤字国債の分とを分けて、経常に対するものはシビアでいこう、投資に対するものは厳格にいこう、そういうお考えで分けられたのですか。
○山口(光)政府委員 五十三年度予算は、厳しい内外経済情勢のもとで、財政の節度維持にも配意しながら、内需振興のために財政が積極的役割りを果たすという基本的な考え方に立って編成したわけでございます。つまり財政は、片一方で節度を維持しなければならないという要請がありますとともに、片一方で内需振興のために積極的役割りを果たさなければならないということでございます。特に内需振興のために積極的役割りを果たす部門といたしましては、いわゆる投資部門でございまして、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を推進してまいるのがこれになるわけでございます。片一方、節度維持という点になりますと、経常的経費の部門でございますけれども、当然緊要な施策の充実には重点的に配意しなければなりませんが、それをしながら財政の節度維持のために経費の節減合理化に努めてまいりたい。
 ただいま御承知のような非常に高率の国債依存になっているわけでございますけれども、その中で特に特例公債に多くを依存しておるということが、公債依存度が高いということとともに、さらにその上に問題でございまして、特例公債依存をできるだけ圧縮したい、それからできるだけ早期に脱却したいというのが、当面の財政運営の課題の大きな問題であろうかと思います。こういうふうに二部門に分割いたしまして、役割りに若干の相違がございますから、問題を浮き彫りにして議論した方が理解しやすいのではないかというので、五十三年度予算もそういう観点で検討いたしましたし、それから、五十三年度予算の審議の御参考に提出いたしました財政収支試算も、そういう考え方のもとに二部門に分割して御議論いただきたいということで分けてあるわけでございます。
○大島委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、私は、いまのような分け方はある意味では非常に危険だと思うのです。経常部門に対する赤字公債の比率はシビアに、投資部門に対する赤字国債の割合はわりに緩やかにというのは。経常部門にしてもいいものもあれば悪いものもある、投資部門にしても、たとえばさっきのような社会資本の充実というようないい面もあれば、これは仮定の話ですが、仮にむだな公共投資をするというようなことは必ずしもよくない。だから私は、こういう分け方自体が非常に危険で、今後ともそういうふうに非常に危険だと思うのですが、大臣はその点どうお考えになっていますか。
○村山国務大臣 支出について、特にこれは大事なやつだとかこれは大事でない――大事でない支出というのはないので、政策の重点がどこにあるかということでございまして、いずれもある意味で需要を持っているのでございます。
 ただ、ひとつ申し上げたいことは、幾つか問題があると思うのでございます。一つは、経常部門に対して赤字公債を出しておるということは、急に縮めるわけにはいかないわけでございます。経常経費でございますから。裏には全部法律の裏づけがあるわけでございます。これに対しまして、公共投資の方でございますと、これは本当に民間需要が出てきましてクラウディングアウトになるということであれば、これは政策的に引っ込めてしかるべき問題でございます。また、当然そうしなければならない性質のものでございます。そういう意味で、本来二つに分けることは大事であろう。
 それから、第二番目の性質の違いというのは、公共投資の方は見返りの資産ができる。社会資本がおくれているわけでございます。民間でも、設備投資をやるときに、自分の留保でやる場合もありますけれども、借入金でやりましても別に損益には関係ない、御承知のとおりであります。ところが、経常部門の人件費、いま消化ができるからといってどんどんやっておく、この態度は当然改めなくちゃならぬのでございます。それだから、仮にそれが年金であろうが医療であろうが、社会保障が重要なことは間違いございません。その重要だということと、その財源手当を借金でやるということは全然話が別なのでございます。たとえ重要でも、経費の性質上、それは借金でやるべきではないのであって、一般の財源でやるべきである、これは財政家としては当然なことであろうと思うのでございます。その支出の性質が、よしあしという意味ではなくて、本来違う性質のものでございますから、それは分けて考えた方がよろしい。
 そして、ことしは臨時異例でやるわけでございますから、公共投資の方に重点を置いたというだけの話なのでございます。そうかといって、全体の赤字はできるだけ少なくしたい。だから経常経費について、特に庁費であるとかあるいは補助金の問題、こういったものは厳正に査定した、こういうことなのでございまして、これは経費の性質上出てくる当然の帰結であろうし、また、われわれが今後の景気と財政との関連を考えるときに、そういう性質の違いによる経費というものをあらかじめ分類しておいた方が、われわれはいまどの時点におるのかということを絶えず判断する意味で役に立つのではないか、こう思って分けているのでございます。
○大島委員 専売納付金は税金ではありませんけれども、これは一つの私の提案でございますけれども、今度まるで突如として専売公社の積立金を取り崩すというようなことになったのですが、そういう窮余の一策的なことを講じないで、この際、一般に政府関係機関のストックをどうするかということを大胆に打ち出されるお考えはありませんか。国民もそれを知りたがっておると思うのです。専売公社だけがぱかっと出てきて、千六百億弱の収入を無理やりつけたという感じがするのですが……。
○山口(光)政府委員 こういう財政状況のもとでございますので、政府関係機関の積立金でございますとか、あるいは内部留保でございますとか、洗い直してはどうかという御意見が、かねてから国会でもあったわけでございまして、われわれといたしましてもいろいろ検討させていただきました。五十二年度の第一次補正予算の際に、輸開銀等政府関係機関について洗い直しをさせていただいたわけでございますが、五十三年度予算の編成に当たりましては、専売公社に特にお願いいたしまして協力をいただいたわけでございまして、この辺がわれわれとしては限界ではなかろうかと思っております。
○大島委員 そうしますと、こういう変則的な措置は、いまのところは一応専売公社限りだということですね。もちろんいまのところで結構です。
○山口(光)政府委員 五十三年度予算編成に当たりましては、専売公社限りだという判断をいたしました。
○大島委員 だから将来、政府関係機関のストックをどうするかという基本方針があるのですか、ないのですか。なければ、私はこの際つくって、国民の前にそれを明らかにすべきだと思うのです。
○山口(光)政府委員 すべてこれを一律に何か率を決めるというわけにもいきませんが、政府関係の金融機関につきましては銀行局の方で、貸倒準備金が主体でございますけれども、それの積み方についてのルールを決めておりますし、それから、その他の政府関係機関、つまり公社につきましては、専売公社についてこういう協力を求めるのが限界ではなかろうか、ほかに協力を求めるのはちょっと無理ではないかというふうに思っております。
○大島委員 それは了解いたしました。
 それじゃ最後に、例の税収の方の租税特別措置法の関係で二、三お伺いしたいと思います。
 過日私は、価格変動準備金と海外投資等損失準備金、これは利益留保の最たるものでひどいということをこの委員会で申し上げましたところ、政府委員である主税局長は、漸次これはやめていきたいということなんですけれども、これはまさに会計法の原則を無視し、税法の公平を無視する最たるものですから、この価変と海投損についてどのくらいの期間で改められるお考えですか、大臣にお伺いしたいと思うのです。
○米里政府委員 ただいま御指摘の価変及び海投損の話でございますが、過日当委員会で主税局長は、この二つを一挙に廃止するという考え方には、やはり私どもとしては消極的にならざるを得ない、しかし、こういったフェーバーの度合いを縮めるという努力は引き続き続けてまいりたいと思いますという御返答を申し上げたわけでございます。
 先生御承知のとおり、価格変動準備金につきましては、その性格についていろいろ議論がございます。学者によりましては、企業会計上もいわばこの準備金の設定には、やや利益留保的な性格があるのではないかという議論もございます。それで、今回の税制改正に当たりまして、一般のたな卸し資産、あるいは一般の有価証券につきましても、私どもとしてはかなり思い切った積立率の引き下げをいたしたところでございます。ただ、こういった準備金につきましては、なかなか一挙に全廃するというわけにもまいりません。経済情勢という問題もございますし、最近、毎年のようにかなり急速に積立率の引き下げを行ってまいっておるところでございますので、そういったような意味合いで、今後ともひとつ経済動向あるいは財政事情というものを総合的に勘案して積立率を再検討、見直ししてまいりたいというように考えておるところでございます。
 それから一方の海投損、海外投資等損失準備金につきましては、これはなお制度の目的というものは意味が現在でもあるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。正常な形での資本輸出あるいは海外投資といいますものは、なお今後のわが国においても必要性はかなり高いものであるというふうに判断しておりますが、しかし何といっても、こういった特別措置でこういった準備金を認めるわけでございますので、そういった意味合いで、いろいろな内容、仕組みといったものの合理化を図っていく必要があるというようなことで、先生御承知のように、今回の改正におきましても、対象資源であるとか対象業種あるいは対象地域というような各種の点につきまして見直しを行ってまいるとともに、新開発地域への投資に関係します積立率につきましては三〇%から一五%、半分に引き下げたということにしたわけでございます。そういったような意味で、今後とも情勢に応じまして、フェーバーの度合いを縮めるというような方向で引き続き検討してまいりたいというように考えておるわけでございます。
○大島委員 それでは最後に、いまの価変と海投損の次に私はこれだけはぜひとも大臣にお願いしたいのは、貸倒引当金と退職給与引当金でございます。
 全国銀行協会連合会の調査部の資料によりますと、五十二年三月期で全国の銀行八十六行のうち、貸出金が百四兆、このうち実際に貸し倒れになったのが五十九億、〇・〇〇六です。現在千分の五、八を五に下げたとか言っていますけれども、実際上は〇・〇〇六です。それから、従業員三千人以上、二十六社の企業の退職給与引当金を合わせてみますと、二千一百九十八億、これで実際に支払った退職金は百八十二億ですから、十二倍の率で積み立てている。これらは準備金と違いまして、ある程度債務性があるのですから、これはまた準備金とは別の考え方をしなくちゃならぬのですけれども、それにしてもやはり程度問題であるということで、先ほど言いましたように、〇・〇〇六の貸し倒れしかないというにもかかわらず千分の五を認めている、それから退職給与引当金については十二倍のフェーバーを与えているということになろうかと思います。
 これは大臣にぜひお伺いしたい。御存じかと思いますけれども、日本は租税特別措置のデパートだと言われております。外国のあらゆる租税特別措置をとってきて、しかもいいところをとってくるんならいいけれども、悪いところばかりとってきているというのが現状です。たとえば諸外国におきましては、貸倒引当金は認めておるところもありますが、大部分はやはり個別的債権について具体的に判断するということが諸外国の貸倒引当金の傾向です。それから退職給与引当金につきましては諸外国では、会計法上は計上しても税法上は認めないというのがこれはもう大部分でございます。そういうもので、私は先ほど価変と海投損を言いましたが、それに続いて、負債性はあるけれども程度問題で、余りにひどいというこの貸倒引当金、特に銀行における貸倒引当金、それから退職給与引当金、これにつきましてどう考えているか、最後に大臣から御答弁いただきたいと思います。
○村山国務大臣 これはもう大島委員御承知のように、商法におきましてもあるいは企業会計原則におきましても、引当金が負債性のものであるということは御承知のとおりでございます。問題は、その程度の問題だろうと思うのでございます。
 貸倒引当金につきましては、逐次縮減してまいりまして、金融機関等は一番代表的な例でございますけれども、いま千分の五になったわけでございます。現在の状況を考えてみますと、いま銀行の経営は、預貸金利差で何割かは恐らく赤字だろうと思うのでございます。しかも実体経済はいま変革期にございまして、非常に債権の固定化が進んでおるのでございます。ですから、その辺のことを踏まえながら、貸し倒れになればもちろん引当金がなくても損に出ることは当然でございますけれども、金融機関のためにやっているんではなくて、実体経済を支えるために一体どれぐらいのものが適当であるか、ここが最後の話になってくると思うのでございます。私はいま見ておりますと、どうもこれからは金融機関の債権の固定化という問題がかなり進みつつあるんじゃないか、少なくともこの景気変動が一巡いたした後でもう一遍よく考えるべきじゃないか、私個人的には貸倒引当金についてはそのような考えを持っておるわけでございます。特にことしあたり、余り望ましいことではございませんけれども、構造不況業種その他でかなりの変革が予想されるわけでございますので、繰り返し申しますが、もう少し実体経済が落ちついてからよく検討したいと思っております。
 それから退職給与引当金につきましては、御承知のように、日本は普通、企業会計原則で認められるものを半分にちょん切っているわけでございまして、あれは、今後普通の人が何年間ぐらい後に退職するかというものをマクロで見ておる、それと金利でもって現在価値に還元いたしているわけでございまして、それはそれなりに理由があるであろうと私は思っておるのでございます。ですから、企業会計原則で認めているものの半分にちょん切っているわけでございます。これはもう昭和三十六年からでございますか、そのことをやっておって、特によけいであるというふうにも考えてないのでございます。
○大島委員 最後に言いますけれども、先ほど言いましたように、日本は租税特別措置のデパートだとか、あるいは激しきは、富士山と桜と租税特別措置、日本の珍しいものだとまで言われている。この際、医師優遇税制を初めとして余りひどいものは思い切ってやる。たとえば一つの提案ですけれども、退職給与引当金はこの際二分の一でなくて四分の一にするとか、あるいは貸倒引当金についてはあとゼロを二つぐらいふやすとか、そういうふうな思い切った解決をしないと、これは国民感情、納得しないと思うのです。
 以上を申し添えまして質問を終わります。
○野田(毅)委員長代理 坂口力君。
○坂口委員 昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案につきまして、若干の質問をしたいと思います。
 けさからも議論がありましたが、特例に関する法律案ということになっておりますけれども、これは数年来毎年出ておるわけでありまして、もう通例に関する法律案と名前を変えてもらわなければならないような気がするわけでございます。
 福田総理は、今回のこの日本経済の状態を全治三年の病気というふうにたとえられたわけでありますけれども、五年を経過してもなおかつ治らない。どうもこれだけの重病にした責任は大変重いと思いますし、それだけでも遺憾なことだと思いますが、なおかつその治療方法が悪くて、どうも五年から慢性に移行する、慢性病になる可能性もひそんでいるとさえ思えるわけであります。たとえて言うなら、これは重症の貧血症みたいなものでありまして、毎年輸血を続けないと回復していかない。公債は輸血の血液に当たるわけでございますが、いつまで一体これを続けなければならないのかということが一つと、それから、いつまで続けるかということとうらはらに、その治療効果というものが一体上がっているのかどうかということも、もう一度考え直してみなければならないと思うわけでございます。たとえ輸血を続けておりましても、それが体のすみずみにうまく行っていないというようなことになれば大きな問題がございますし、ここに金利の自由化の問題でございますとかいろいろの問題があろうかと思います。
 また、もう一つ注意をしなければならないのは、この治療の過程において合併症を引き起こすことがないかということでありまして、これはまずインフレがその最たるものではないかと思います。これらの重要な点があると思いますので、その二、三にしぼって質問を順次進めさせていただきたいと思います。
 まず最初に、いつまで続けなければならないかという問題についてでございますが、ことしの予算委員会で財政収支試算を出していただきました。なかなか一つでもつくるのがむずかしいのに、五つも出していただいたわけでございまして、その御努力に対してはまことに敬意を表するわけでございますが、いろいろの問題のあることにつきましては、私の方の書記長がいろいろと指摘をしたところでございます。
 この中で政府としては、この五つの中で恐らくケースCを、こうありたい、こういうふうに思っておみえになるものであろうと思うわけでございます。きょうも午前中の議論の中で大臣は、この財政収支試算、これは現実的にはともかくとして、理論的には可能である、こういうことを言われたわけでございますが、なるほどおっしゃることに一面ございますけれども、しかし、理論的に可能であると同時に、この出された試算はまた、実現も可能性を秘めたものでなければならないと思うわけでございます。そういうふうな意味で、一刻も早くゼロになるのが望ましいとおっしゃいましたけれども、そのこともまた事実でございますが、ぜひこの試算が現実性のあるものであることをわれわれも希望をするわけでございます。
 ただ、この試算を出されましたことしの初めに比べますと、それから後新しく円高という別なファクターがのしかかってまいりました。したがいまして、ケースAからEまでございますが、いずれにいたしましても、この円高の問題というのはこの中に、現在ほどのものは、いわゆる二百二十円台というほどのものは含まれずに試算をされたものであろうかと思います。そういうふうな意味で、先ほど理論的とおっしゃいましたが、理論的に見直しを必要だと思われないかどうかということを、まず最初にお聞きをしたいと思います。
○山口(光)政府委員 財政収支試算の性格と申しますと、これは試算でございまして、その前提は、経済審議会企画委員会の暫定試算を手がかりにして、それに五つのケースについてまたさらに大蔵省がいろいろの仮定を置いて計算したものでございます。でありますから、まず第一の下敷きは暫定試算でございまして、暫定試算の描いている将来の経済の姿が、最近のドル安に伴う円相場の変動でどのように影響を受けるかという点に問題はなろうかと思うわけでございますが、これは経済企画庁の方の判断であろうかと思いますが、恐らく経済企画庁もそうだと思いますが、大蔵省としても、最近の円相場の変動につきましては、もう少し推移を見守る必要があるのじゃないか、中長期的な影響について判断するのは時期尚早ではないかというふうに考えております。
○澤野政府委員 先生の御質問でございますけれども、私の方といたしましては、円高ということが五十三年度経済見通し、経済の七%実質成長率というものにどういう影響を与えるかという観点からお答え申し上げたいと思います。
 これはけさほど伊藤先生の方にお答え申し上げたことと全く同じなんでございますけれども、最近におきます円高、特に二月未から四月にかけましての円高の傾向が今後一層強まるような事態、仮にそういう事態が生じてまいりますと、これは消費者のマインドとか企業家のマインドといった心理的な影響をも含めまして、経済活動への悪影響、理論的に申せば、輸出数量が減り輸入数量がふえていくというような影響を持つために、それがデフレ効果を持つのではないかという意味の経済活動への影響というものが懸念されるわけでございますけれども、最近のこの円高がかなり進んでまいりましてからの企業の設備投資のアンケートが実は出ておるわけでございます。これは民間金融機関から出しておるアンケートがあるわけでございますけれども、これを見ますと、実はこれもけさほど大蔵大臣がお答えになったのでございますけれども、円高ということが民間の企業マインドに影響していることは少ないのではなかろうかというような数字が出ておるわけでございます。
 確かに製造業はそれほど伸びておりません。むしろマイナスという結果になっておりますけれども、非製造業を中心とする民間設備投資の伸び率というものは、一〇%以上とか八%とかいったように、経済企画庁が名目で見ております九・九%の設備投資の成長といったものとほぼ同じような数字が出てきておるということが一つと、それから、五十二年度の第四・四半期のいろいろな経済指標を見てみますとこれはやはり公共投資の五十二年度第二次補正予算、それから五十三年度予算にまたがりますいわゆる十五カ月予算の公共投資といったものを中心とする影響といったものが、建設関連を中心といたしまして、生産とか在庫とかいった面に非常に明るい面が出てきておるということでございます。これは消費の面においてもまたそういった指標が若干出てきておるわけでございまして、少なくとも五十二年度に関します限りは、五・三%という実質経済成長率は達成・するのではなかろうか。
 それが達成された場合に、五十三年度のスタート台が、まさに七%実質経済成長を目しておりますスタート台に立つわけでございます。しかも先行き明るい見通し、しかも公共事業の前倒し等と、先般七項目という当面の経済対策ということによりまして政府が積極的な施策を講じておりますわけで、そういったものと相まちまして、七%の経済成長という軌道に乗っていくのではなかろうか。実質経済成長率を達成することに対しては十分可能性ありと見ておるわけでございます。
○坂口委員 まことにバラ色の五十三年度という感じがするわけでございますが、大臣、これはいまも御説明ありましたように、五十二年度後半の補正予算、あるいはまた五十三年度の大型公共事業を含む予算等、これらの問題と重なりますので、その円高の問題がどう出るかということは、単純にはこれは表現されないとは思いますけれども、二百二十円台ということにもし仮定をしたといたしましたら、このぐらいでいくとすれば、この財政収支試算というものをそう見直す必要はないというふうにお考えになるのならば、もうそれでいいわけでありまして、その辺ひとつお聞かせいただきたい。
○村山国務大臣 財政収支試算の方は、五十三年度は七%、あとは大体六%強、名目で申しますと一二%ぐらいのところが達成可能かどうか、そこに整合性を求めまして、そういった暫定試算のフレームとの整合性においてやっているわけでございます。したがいまして、経済企画庁の方で、私たちも程度の違いはありましょうが、そんなに楽ではありませんけれども、不可能な数字ではない、こう思っておるわけでございます。したがいまして、この作業の性質から言って、いますぐ変えなければならぬという性質のものではなかろう、そのように思っておるところでございます。
○坂口委員 私どもも、これから五十七年までの問、どういう経過をたどるであろうかというので、実はいろいろわれわれなりに試算もしているわけでございます。名目成長率一一%台ということで政府の方の試算はできておりますが、私ども平均しまして、五十三年から五十七年まで一一・九%、実質成長率大体六・八ぐらいでどうだろうかというので、いろいろ試算を実はしているわけでございますが、円高の方も、私どももこんなに早く二百二十円台まで進むという気はしなかったものですから、五十七年度ぐらいに二百二十円台ぐらいにいくのかなという心配をしながら試算をしておりますが、そういうふうな試算の中で、大体五十七年度ではなおかつ赤字国債の方がゼロにはならないのではないか。
    〔野田(毅)委員長代理退席、保岡委員長代理着席〕
税制の問題の改革にもこれは当然のことながらかかわってまいりますが、政府の方で出ておりますのは、これは国税だけで一五・七%でございますが、私どもも、政府が考えておりますのと私どもが考えておりますのと、税制の改革の内容はうんと違うと思いますが、これは国税、地方税合わせて一七・六%ぐらいの税収の伸び率を仮定して試算をいろいろいたしておりますが、それで見ましても、なかなか五十七年度にゼロというふうにはいかない。いろいろの数字を当てはめましても、どうもなかなかいきにくいという結論を得ているわけでございます。
 なおかつ、いま問題にしましたように、この二百二十円台というのが非常に早くやってきたわけでございますから、これでもしもことしいっぱいこういうふうな数字で推移をするということになれば、さらに私どもの予測しております数字もなおまたむずかしくなるわけでございまして、そういうふうな意味からいきますと、政府の方のせっかくの試算ではございますけれども、なかなかこうはいきがたいのではないか、こう思うわけでございます。
 ただし、ここまで来れば、いかに立ち直れるかということが中心でございまして、いかに早ければよいかということではないとは私も思います。そういう意味で、早ければよしということではなしに、いかにすればよりよく健全に立ち直ることができるかということを中心に考えていただいてどうかということをお聞きしたわけでございます。
 大臣のいささか政治的発言も含まれておるとは思いますけれども、まずこの分ならば大丈夫だということでございますので、きょうはそれに従っておきたいと思いますが、この二百二十円台ということで、もし試算を改められるということがあるならば、ひとつ早くお改めをいただきまして、お示しをいただきたいと思うわけでございます。
 次に、この数年に及ぶ特例国債、これが有効に作用しているであろうかどうかという問題がございます。
 その一つに、これだけ多額の特例公債が出ているわけでございますから、これによって恩恵を受けるところ、そして受けないところというふうな格差が大きくては困ると思うわけでございます。公共投資が非常に伸びておりますから、それに関連をする人々というのはかなり潤いがあるだろうと思いますけれども、しかし反面、それだけではなかなか潤いの届かない人たちも多いわけでございます。
 たとえば雇用の問題なんかも、非常に厳しくなっておりますが、昨年あるいはことしというふうに失業者が百万人を超えるというような状態になってまいりますと、中高年等の問題もございますが、もう一つ新卒者の問題がございます。中学校、高等学校、大学というふうに新しく卒業してくる人たちの問題がございます。景気のいいときであれば当然どこかに就職できたものが、景気が非常に悪いところに当たったがために、ちょうど山に当たらず谷に当たったがために、せっかく卒業したのに適切な場所に就職ができないという人たちが多くあるわけでございます。こういった人たちに対しても、これは運の回り合わせが悪かったんだということでこれを果たして捨てておいていいかどうかという問題もございます。こういったことにも少なくとも細かな配慮というものをしていってこそ、国民から、ここまで来たんだからやむを得ぬ、国債も、本当はこれは許せないんだけれども、ここまで来た以上やむを得ぬということになったとしても、その辺のところに細かな配慮があって初めて合意をされるものではないか、私はこう思うわけでございます。
 きょうは、労働省の方からもお越しをいただいておりますので、ことしの新卒者の現状について、あらあらで結構でございますから、御報告をいただきたいと思います。
○谷口(隆)政府委員 最近の雇用失業情勢は非常に厳しい状況でございまして、新規学卒者の労働力需給も、一時期の高度成長のような労働力需給の逼迫に比べますと、かなり緩和されてきておるわけでございます。しかしながら、わが国特有の労働市場の特徴から、新規学卒者を含みます若年労働者については、まだまだ求人もかなりあるということでございまして、今年度昭和五十三年度の就職状況について見ますと、中学卒、高校卒等につきましては、大体二月末で把握しております状況で、就職の内定状況が前年並みでございます。したがいまして、こういう状況から見ましたら、おおむね全員が就職ができておるんではなかろうかというふうに見ております。
 大学卒につきましては、最近大学への進学率が非常に高まりまして、卒業生が非常に多いものですから、いろいろ問題になったわけでございますけれども、量的に見ます限り、求人の方もかなりあるわけでございまして、三月十五日の民間の調査機関の調査によりますと、内定率が七九・二%ということでございまして、昨年同じ民間の調査機関が同じ時期に調査いたしておりますけれども、それが七九・八%と大体同じ水準になっておる状況でございます。非常に厳しい雇用情勢の中では、まずまずの状況ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
○坂口委員 こういう時代でございますから、たとえば工学部を出てもそれにふさわしい場所がないので、一般の事務に行くとか、とにかくそれぞれの勉強したことを生かすということを抜きにして、まずはともあれ就職できればいいというような形でしておみえになる方もかなりあろうかと思います。そういった人を含めてもなかなか八割まではいかないというのが現状ではないかと思うわけでございまして、そういう特に新卒者に対する対策と申しますかそういったものは、労働省の諸施策の中にございますか。
○谷口(隆)政府委員 中学、高校、大学別に見まして、中学卒につきましては、高校への進学率が最近非常に高まっておりまして、大体六万とか九万とか数万の程度でございますから、この方々につきましての就職問題というのはさほど問題にならないかと思います。高校卒の就職者も、中卒を含めましてこういう方々については、先ほど申し上げましたように現状でもなお若年者の求人というのはかなり多いわけでございますので、問題は、そういう人たちが自分の適性なり能力なり希望なりにうまく結びつくような職業相談なり職業指導を十分にやる、あるいはその前提として適性検査等もやる、そういうことをしながら、本人の適性、能力、希望に応じた就職あっせんに努力するということでございます。
 大学卒につきましては、従来、職業安定法三十三条の二の規定に基づきまして、大学当局がその責任において就職の世話をされておったわけでございますけれども、最近の大学生の急増、そういうような事情もございますし、また最近は、地元へ帰って就職をする希望の方が非常に多いとかそういうようなこともございまして、五十一年度から五十二年度に二カ所ずつ、いわば大学卒専門の職業安定機関といいますか、学生職業センターというものを東京、大阪、愛知、福岡に設けまして、そういうところでは求人情報、特にUターンして地元へ帰られるような方々に広域的な求人情報を提供するとか、あるいは特に非常に学生が多くなりますと、希望なり自分の学部を生かしたそのままの求人があるかどうかというようなことについて、きめの細かい相談をするための相談員を配置して、職業相談をするなりそういうことによりまして、側面的に大学卒業者の就職あっせんに努めておるというような状況でございます。
○坂口委員 財特の質問から若干それたきらいがございますが、こういった面につきましてもいろいろ配慮をしていくということが非常に大事ではないかというふうに思うわけでございまして、この新卒者等の問題に対しましても、労働省としてはいろいろのプランも立てておみえになると思いますけれども、しかしもう一歩突っ込んで、たとえば企業に対して若干の貸し付けを行うとか、いろいろな方法があるだろうと思います。そういったことを計画なさっても、大蔵省の方が切ってしまうのか、それともそこまでいっていないのか、これはよくわかりませんけれども、大蔵省の方もこういった問題に対する配慮というものをできるだけしていただきたい。まあ意見を求めることは控えておきますけれども、そういう何らかの処置ができないであろうかということをいつも考えておりますので、今後その点について労働省の方から出てくれば、また、出なくてもひとつつけるぐらいの気構えを持っていただきたいと思うわけでございます。労働省、どうもありがとうございました。
 時間が進んでいきますので、金利の自由化にかかわる幾つかの問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
 一つは、きょうの日本経済新聞に、これはそちらの方に申してございませんが、米銀が円建て起債の申請をしたという記事が出ておりまして、いわゆる「金融の門戸開放迫る」というタイトルで出ているわけでございます。ここには、大蔵省としては難色を示しているということがサブタイトルで出ているわけでございますが、これも非常に国際化してまいりました金融界において今後一つの大きな問題になるであろうと思います。
 まずこの問題をお聞きしておきたいと思いますが、この新聞の伝えるところによりますと、米国のシティバンクの持ち株会社でシティコープという会社が大蔵省に対して「融資活動の原資を調達するため円建て債を百億−百五十億円発行したい」、こう要請してきた、こういう記事でございますけれども、これに対して大蔵省としては実際のところはどのようにお考えになっているか、この問題だけに限らず、今後こういった問題が次々に出てくると思いますので、どう対処されようとしているかというところをお聞きしたいと思います。
○山内政府委員 起債市場の関係から申し上げますと、現在問題になっておりますようなものにつきましての一番大きな点は、無担保の債券が国内の債券市場に出回ることに関連をいたす問題でございます。
 御承知のとおり、現在わが国内の起債市場といたしましても、基本的にまず例外なしに担保づきの社債を発行しているという状態でございますし、一方、そういう債券に応募いたします投資家の方のサイドから見てみますと、従来いろいろな事情で国内の社債のデフォルトが起こらなかったという歴史的な事情もございまして、これに対する警戒心が非常に乏しいという段階にございます。そういう中で、これは外国の企業でありますと国内の企業でありますとを問わず、にわかに無担保債が流通をするということになってまいりますと、いま申しましたような意味合いで、投資家の保護をどういうふうにやっていくかという問題に直面をいたすわけでございます。
 私どもといたしましては、やはり長い将来の問題といたしましては、無担保債の問題を避けては通れないと思いますけれども、いまにわかにそういう問題についてたがを外してしまうということが、果たして投資家保護という点からして問題がないであろうかということを顧慮いたすわけでございます。そういう意味合いで、発行者が外国人であろうが本邦人であろうがこれは同じことでございますけれども、無担保債を出しますならば、それに対応した措置をいろいろ検討してまいらなければならない。たとえば銀行保証というようなことを考えますとか、あるいは私募債で逐次広げていくとか、そういった順次日本の金融市場にならす形で進めてまいらないと、いまにわかに短兵急にこの問題について結論を出すというのは非常に危険ではないかというふうに考えております。
○坂口委員 ここにも出ておりますけれども、外国銀行に対する日本と欧米の行政の違いと申しますか、こういったものが幾つかございます。証券業務というものを認めるとか認めないとか、あるいはCDや債券の発行を認めるとか認めないとか、現地法人を認めるとか認めないとか、支店の開設をどうするとかいうようないろいろの問題があるわけでございまして、日本が外国にはしてもらっているが日本はさせないというようなことが余り続くというのも、こういう国際化の時代には好ましいことではないという気がするわけでございます。
 いま局長さんのお話を伺いますと、急にはできないというお話でございますが、これは急にはできないけれども、今後ぼつぼつこの方向に段階立ててやっていくという意味にとってよろしゅうございますか。
○山内政府委員 この新聞の記事は、一つは、先ほど私が申し上げましたように、起債市場の問題としてあると思いますし、もう一つは、銀行行政の問題としてあろうと思います。後者の方については、あるいは銀行局長の方から補完的に御説明があるかと思いますが、起債市場の問題といたしましては、おっしゃるとおりでございます。いろいろな制御措置を講じながら、徐々にそういう雰囲気にならしていくということが一番必要であろうかというふうに考えております。
○坂口委員 大事な問題でございますので、大臣、御意見がありましたら一言お聞かせいただきたいと思います。
○村山国務大臣 私も記事を見たばかりで、おやっと、こう思ったわけでございますが、幾つかの問題があるのじゃないかと思うわけでございます。
 日本が将来、国際金融市場とし、やはり世界の先進国の仲間入りをするということは、基本的には結構なことであろうと思うわけでございます。それからまた、いまちょうど基礎収支の関係で、こちらは非常に黒字が余っておるという話で、いろいろありますから、そういう意味では、資本は流出するわけでございますから、決して現況にとって悪いことでもない。
 しかし、日本の起債市場の現状あるいは日本の銀行行政の現状というものを考えると、そうばかりは言っておれない。いま証券局長が言いましたように、担保なしのものがいいのかどうか。したがって、いまのところは大体国際金融機関とか政府系のものしか、事実上許可を与えていない状況でありますが、こういうものがいきなり来ても大丈夫かどうか、投資家保護の面で欠けるところはないかどうか。それからまた、こういうものが来たときに、日本の興長銀のようなものがあるわけでございます。ただでさえ興長銀関係は、普通銀行との関係その他非常にむずかしい関係になっているんだが、そこのところはどのように調整をしたらいいのか。だから先の遠い話、それから現実に一体何を調整しなくちゃならぬのか、いろいろな問題を含んでおるわけでございますので、十分検討してまいりたい。
 私もまだ深く読んだわけじゃございませんけれども、すぐ頭に浮かんでくるのは、そういった長期的な問題と現実の問題、それから応募者に対する保護は十分かどうか、こういった三点ぐらいの問題があるのじゃないか、こう思っております。
○坂口委員 現在、日本にあります外国の銀行が大体六十行ということを聞いております。八十二店舗ということも聞いておりますし、これは重要な問題で、捨ててはおけない何らかの決断をしなければならない問題の一つではないかと思いましたので、お聞きをしたわけでございますが、あわせて、窓口販売の問題がございます。
 これは先日来この委員会でも何回か取り上げられておりますが、先日東証の理事長が参考人としてこの委員会にお見えになりましたときに、これは社会党の只松議員が聞かれたその質問に対しまして、法律上銀行は窓口販売はできないのではないかという趣旨の御発言があったと記憶をいたしております。これに対してどうお考えになるかという問題をひとつお聞きをしたいと思います。
○徳田政府委員 有価証券の売買ないし引き受けということが銀行法上できるかどうかという問題でございますが、これは現在の銀行法上、固有の業務以外に規定があるわけでございまして、その規定の解釈の問題になるかと思います。
 この場合に、銀行法を制定した当時のいろいろ国会における議論、あるいは銀行法制定後における大蔵省から出した通達、それからその後の銀行法の解釈をめぐる議論、それぞれの段階においていろいろ問題になるわけでございますが、銀行法制定当時におきます国会の議論におきましては、この有価証券の売買ができるかどうかということをめぐりまして、いろいろ解釈が揺れ動いていたようでございまして、最終的な段階では、結局本体として非常に売買業務がふえて、固有の業務である預金の受け入れあるいは貸し出し、手形の割り引き等を上回るようなものであれば、それは問題であるかもしれないけれども、しかし本来、有価証券の売買というのは認められることではなかろうか。少なくとも当時において銀行が行っていたような有価証券の売買は、銀行法改正があってもこれは大部分は認められるのだというような解釈になっているわけでございまして、昭和三年に銀行局で通達が出た際にも、付随業務として有価証券の売買ということがはっきりうたわれているわけでございます。
 それから、その後における銀行法の解釈でございますが、付随業務の内容といたしましては、銀行業本来の業務を営むのに必要であるとか、あるいは営むのに有用であるという範囲に必ずしも限定される必要はないので、やはり銀行の持つ社会的あるいは経済的機能に即して、その時代時代の実勢を踏まえて解釈が行われるべきではないかというようなことが、そもそも銀行の付随業務に対する解釈の態度の基本でございます。
 そのような観点から申しますと、現在すでに銀行は国債の引き受けもやっているわけでございますし、そういう事実もあるわけでございますので、それを踏まえまして考えた場合には、国債の窓口販売というものは、これは銀行法上も付随業務として認め得るのではないか、このように考えております。
○坂口委員 証券局はいかがですか。
○山内政府委員 銀行法の解釈の問題でございますので、私はちょっとここで有権解釈を申し述べる立場にございませんので、遠慮させていただきます。
○坂口委員 いろいろ決断をしてもらわなければならない問題があるわけでございますが、これだけ毎年続いて国債の発行があるわけでございますから、しかもことしのように実質的には三七%という非常に大きな額に及んできているわけであります。また、国債だけではなしに地方債もふえてきている。こういう現状の中で、私が言いますまでもなく、よりスムーズにこれが回転をしなければならないわけでありますから、その道筋というものについては、これは早く決定をしなければならないと思うわけでございます。そういうふうな意味で、窓口販売の問題等も、いろいろの立場からのいろいろの意見というものがあることは当然でございますけれども、しかし、決断だけは早くしないと、これは遅きに失するおそれがあると思うわけでございます。いずれに決断ということまで聞きませんけれども、これだけは早く決着はつけなければならないと思いますが、大臣、いかがでございますか。
○村山国務大臣 法律解釈の問題はひとまずおきまして、われわれは国債消化という問題を今後考えるときに、何が一番問題になるかという問題でございますが、言うまでもなく、やはり消化層を深めていくということ、それから、これからいろいろな状態が考えられますから、やはり安定的な保有層を広げていく必要、この両方あるだろうと思うのでございます。そういう意味で考えますと、果たして窓販になったときにどういうところに行くであろうか、それは安定的なものになるであろうかどうか、ここが一つのポイントではないであろうか、これは国債管理政策の方から考えているわけでございます。そこのところの見通しなくして、急にはなかなか決めがたいな、またその一面におきまして、いわゆる流動化が必要なことも確かなのでございます。だから、流動化と安定化という問題は、考えてみますと、一見相反する面も持っているようでございますけれども、このむずかしい問題を同時に解決していかなければならぬ。
 そのようなことで、いま引き受けている国債についての市中売却というようなものも徐々にやっておるわけでございまして、それが市場を広くする理由でもあります。そちらの面も進めなければならぬ。そうかといって、投資物件というのじゃなくてすぐに売りに出るというような形になったときに、一体どういうことになるであろうか。まだこれから育成しなければならぬ日本の公社債市場でどういう影響を持つであろうか、こういう問題が一つございます。
 それから第二の問題として、これはことしの消化の問題にぜひとも必要なのか、それではことしの消化ではなくて先々の問題なのか、その点も見きわめていかなければならぬと思っておるのでございます。そういう意味で、いま両面から検討を進めているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、いろいろな要請が絡まっておる一つの中心的な問題として窓販問題が出ておるわけでございます。
 私たちは、従来の垣根とかあるいは法律とかいう問題、もちろんございますけれども、むしろ国債管理政策の今後の進め方の問題、こういう問題としてかなり慎重に考えていく必要のある問題じゃないか、いまそのような感触を持っておるわけでございます。
○坂口委員 大臣のお話聞いて、むずかしいということだけはよくわかりましたが、よけいわからなくなったような気がいたしますし、いま大臣御指摘になりましたように、ことしの問題として、現時点における問題としてそれが必要なのかどうかということも含めて検討をしているということでございますが、いささかそれは遅きに失しているのではないかという気もするわけで、決断の早からんことを祈っておきたいと思います。
 それでは、この問題はそれぐらいにしまして、もう一つ、公社債市場の育成の問題をお聞きをしておきたいと思います。
 大蔵省、日銀は、建設国債の強制借りかえの中止、それから市場での売却の自由化、あるいはまた国債オペの公募入札でありますとか、発行条件の弾力化、こういったことに着手をされているわけでありまして、それなりに評価もしたいと思うわけでありますが、しかし、これらのことは考え方によっては、ある一つの枠組みの中で、行政指導的な中での実施であって、この公社債市場の育成政策として本格的な取り組みではないとも考えられるわけでありますが、その辺のところを今後のスケジュール等も含めてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○山内政府委員 御指摘のとおり、公社債市場につきましては、最近は発行条件につきましてもかなり弾力的な改定を行ってまいってきておりますし、また発行形態につきましてもかなり多様化が図られてまいっております。また他方、流通機構につきましてもその改善をいろいろ図ってまいりまして、たとえば公社債の店頭気配発表制度の改善でありますとか、あるいは流通金融の拡充でありますとか、そういったことを次第に行ってまいりました。
 この結果、たとえば一年余り前の時期と比べますと、国債について申しましても流動性は非常に多くなってまいったと思いますし、また、個人が市場に売りに出しました場合に、当時でございますと証券会社が協調買いで価格をつけるというふうな状態でありましたが、そういう状態がかなり弾力化をされてまいったという結果が出てまいっております。
    〔保岡委員長代理退席、小泉委員長代理着席〕
その結果、公社債市場全体といたしまして、五十二年度では百三十八兆の流通があるという大きな市場に拡大をいたしたわけでございます。
 今後やるべきことといたしましては、やはり従来講じてまいりましたような形を今後さらに推し進めてまいる。具体的に申しますと、いろいろ多様な手段が考えられますけれども、いずれにいたしましても、従来非常に窮屈であった金融市場が、いま申しましたような形で変わってまいっておるという前提を踏まえまして、堅実にその状況を進めてまいりたいというふうに考えております。
○坂口委員 これは金利の弾力化とともに非常に重要な問題でございますし、このことも突っ込んで聞きましても、悩める心の中をお聞かせをいただくだけだと思いますので、これ以上お聞きをいたしませんが、この辺につきましても、ひとつ積極的な体制をとっていただきたいと思うわけであります。
 最後に、インフレとの問題をお聞きをしておきたいと思いますが、森永日銀総裁は、二十六日に都内のあるホテルで開かれました昼食会で、内外の経済情勢についてという講演をなすって、その中で、財政インフレの懸念を表明されたという記事が流れております。もう一つ、日米スワップ協定についてこのときに触れられたということでございます。前回にここに参考人としてお越しをいただきましたときに、私この問題につきましては総裁にもお聞きをしたわけでございますが、そのときには、日米スワップ協定というようなことについては、それほどはっきりとしたお答えになっていなかったわけでございます。日本と西ドイツを比較をして、米国が米独を優先しているけれども日米については非常に軽く見ているというようなことは決してないというような御趣旨の発言にとどまっていたというふうに記憶をいたしておりますが、この新聞の報道が事実であるとすれば、
 一歩進んだと申しますか、前回よりもかなりはっきりとした表明ではないかとも思うわけでございます。
 この財政インフレにつきましては、いろいろの意見がございますし、これから進んでいきます諸般の事情によってもこれは変わってくるわけでございます。最近の円高における介入でありますとか、いろいろの問題もございますが、これについてどうお考えになっているかをひとつ簡単にお聞かせをいただきたいのと、日米スワップ協定についての考え方、これにつきましても、簡単で結構でございますので触れていただきたいと思います。
○村山国務大臣 財政インフレの話でありますが、当面はその心配はないと思うのでございます。もちろん国際収支は非常に黒字でございますから、円貨が流出しておりますけれども、それは何らかの形で金融機関に環流しております。M2で見ます限りその心配はないわけでございます。したがって、財政インフレの問題というのは、やはり民間の資金需要が出てきたときの問題であろう。もちろん事業会社は、その輸出代金の円資金を金融機関に返還している等のことがありますから、金融機関の資金ポジションは非常に楽になり、貸し出し能力が増大しているわけでございます。したがいまして、非常に力がついてきていることは確かでございます。したがって、今後民間資金需要が出てきたときに、財政の方が相変わらずこの調子でございまして、両方賄おうとすると、これは過剰流動性の問題が出てくる、そこが心配だということであろうと思うのでございまして、現在のところはそういう心配はない。別の意味のインフレとして、需要インフレなりあるいはコストインフレが財政以外の理由であるかないか、これも目下のところはそう心配がないのでございますけれども、しかし、これから公共事業、大型のものをやるわけでございますから、その点はやはり十分留意していかなければならない。公共事業に需要インフレが全般的に起きるとは私は考えませんけれども、部分的にでも起きるようなことがありますれば、便乗値上げ等があったら大変でございますから、この点は注意してまいりたいと思うわけでございます。
 ですから、結論から申しますれば、財政インフレの問題というものはいまのところないが、将来やはり警戒しなければならぬ、こういうことでございます。
 それから、スワップの関係でございますが、一月の初めでございましたか、財務省と西独の連銀の問でどうもスワップを結んだのではないか、続いて、先般の米独の会議で、連銀同士で二十億の積み増しをやったのではないかと伝えられておるわけでございます。向こうはほとんどドル建てでございまして、九九%くらいはドル建てだろうと思うのでありますが、外貨建てで一番多いのはマルクだと聞いておるわけでございます。マルクは外貨建てのうちの三〇%を占めておる、円建ては五%ぐらいだと聞いておりますから、マルクの安定がやがて円の安定に通ずることは十分理解できるわけでございますが、マルクとの関係をうまくやってくれればこちらにもいい影響はあるだろうと思うわけでございます。
 ただ基本的には、何と申しましても為替相場の変動というものは、乱高下を抑えるということはできましても、基本的に国際収支なり為替需給がアンバランスのものをそう直せるわけはないのであります。むしろ為替需給関係を平衡させるというそれぞれの国の政策、それがどうしても基本になるだろうと思うのでございます。したがいまして私たちは、いわゆる委託関与等の道はやっておりますけれども、米独のスワップが、日本がのけものにされたとかあるいはマイナスの作用になるとか、そういうふうには考えていないのでございます。問題は、それぞれの国が基本的な立場をとることではないかと思っております。
 それからドイツは、御承知のように、経常収支で言いますと、貿易収支は非常に大きな黒字なんでございますが、あそこは外国人労働者がたくさん、何百万と入っておりますから、その送金関係がございまして、経常収支で見ますとわりと少ないのは御承知のとおりでございます。そういう意味で言いますと、やはり為替相場に対する敏感の程度は、実体的に見まして日本の方がより注意しなくちゃならぬのではないか、こう思っております。
○坂口委員 先日参考人に総裁がお見えになりましたときに、西ドイツと日本との違いについては大臣からもお聞きしたわけでございますが、いまお話を聞きましても、大臣が日米スワップ協定というものを必要だとお考えになっているのかどうかということがはっきりしない。その点はいかがでございますか。
○村山国務大臣 結べれば結べた方がいいと思います。しかし、もうすでに代理介入と申しますか、そういうことはお願いしているわけでございますが、向こうはこちらの要請に基づいてやってくれているわけでございます。それは多きにこしたことはないと思いますが、そんなに世間で言うほど重要視すべき問題であるかどうか、それは私はそれほどは評価していないということでございます。
○坂口委員 これも新聞の伝えるところだけでございまして、私も実際に総裁からお聞きしたわけではございませんが、総裁の意見として伝えられているところによりますと、ぜひこの辺を実現しなければ日本のことしの状態は非常に心配である、こういう意見のように新聞は伝えているわけでございます。
 それから、もう一つついでにお聞きをいたしておきたいと思いますが、大蔵省は国債を、この上半期に六〇%前倒しで出すのだという意向を示してお見えになるやに報道されておるわけでございますが、けさからもクラウディングアウトの問題が議論をされましたけれども、そういう結論を出されます以上、このクラウディングアウトの問題も、またインフレの問題も、さして現状では御心配になっていないということであろうと思いますが、その辺はそうなのかどうかということが一つ。
    〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、マネーサプライが三月に一三%台に近づくのではないかということが言われておりまして、事実どうであったか私はよく存じませんが、大体何%ぐらいになったときに一つの危機ラインと申しますか、要注意としてお考えになっているのかということを、重ねてお聞きをしておきたいと思います。
○田中(敬)政府委員 国債の年間発行予定でございますが、本年につきまして、まだ確実に上期六〇%程度ということを決めたわけではございませんが、過去数年来の実績によりましても、当初計画ベースでございますが、上期に六〇%ぐらい発行いたしておりますし、市中の資金需給の緩慢期というものを考えてみますと、四、五、六というような上期にある程度資金余剰があるということで、そういう金融情勢に合わせてまいりますと、おのずから上期六割、下期四割程度が適当なんではないかというふうに考えております。
 と同時に、国庫の資金繰りといたしましても、従来でございますと、蔵券を発行しないで絶えず国庫に余裕金があったわけでございますけれども、いまやそういう事態ではございませんで、歳出が伸びる一方、歳入がぎりぎりということもございますので、国庫の資金繰りからいたしましても緩慢期に、なるべく円滑に発行できる時期に国債を消化していただきたいという趣旨から、おおむね六割、四割という線を現在考えておりますけれども、これも引受者との協議の問題でございますので、いずれ引受シ団の代表と近いうちに、特例法が通った暁、年間の国債発行総額が決まった暁に、協議をした上で正式に決定したいと思っております。
○徳田政府委員 マネーサプライの件でございますが、一−三月におきましては、日銀の外為の介入もございまして、外為特会の払い超が一兆八千億ほどになりまして、このものはほぼ資金余剰となったわけでございますが、これは準備預金の積み増し並びに日銀貸し出しの回収、オペレーション等によって完全に調整されておるわけでございます。
 問題は、これがM2にどの程度反映するかということでございますが、この二月がM2の増加が一〇・七でございますけれども、この外為の払いの反映、あるいは三月の期末ということもございまして若干M2の増加があるとは思われますが、恐らく一一%前後ではなかろうか、このように考えております。
○坂口委員 先ほどもう一つお聞きしましたのは、何%ぐらいになったら一つの危機ラインと申しますか、そういう言葉がいいか悪いかわかりませんけれども、そのようにお考えになっておるかということです。
○徳田政府委員 M2がどの程度になれば危機ラインであるかということでございますが、これは日本では、いまの段階では必ずしも適当とは思われないので実施していないわけでございますけれども、諸外国では、M2について一応の目標値を出しているところがございます。そのような国における目標値の積算の根拠を見ますと、大体実質成長率プラスのデフレーターということでございまして、つまり名目成長率にほぼ近いところで設定しているわけでございます。
 したがいまして、M2の増加につきましては、その名目成長率をかなり上回ったような場合には問題が起こるわけでございまして、たとえば四十五年でございますと、M2の増加が一七で名目GNPも一七でございましたが、四十六年は、M2が二二・五、これに対して名目のGNPの伸び率が一一・七でございます。四十七年は、名目GNPが一六に対してM2の伸びが二六、このように大幅に上回っておるわけでございまして、こういうところから一つの線が出てくるのではないか、このように考えております。
○坂口委員 もう一つ、銀行の収益の現状等についてお聞きするつもりでございましたが、あと時間がわずかになっておりますので、これだけにしたいと思います。あと次は同僚委員から質問させていただくことにいたします。ありがとうございました。
○大村委員長 次回は、来る十八日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会
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