第084回国会 社会労働委員会 第4号
昭和五十三年三月二日(木曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 木野 晴夫君
   理事 越智 伊平君 理事 竹内 黎一君
   理事 羽生田 進君 理事 村山 富市君
   理事 森井 忠良君 理事 大橋 敏雄君
   理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    井上  裕君
      石橋 一弥君    大坪健一郎君
      川田 正則君    小坂徳三郎君
      斉藤滋与史君    津島 雄二君
      戸沢 政方君    友納 武人君
      橋本龍太郎君    湯川  宏君
      枝村 要作君    大原  亨君
      金子 みつ君    川本 敏美君
      田口 一男君    竹内 勝彦君
      西田 八郎君    浦井  洋君
      田中美智子君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
 出席政府委員
        厚生省公衆衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部長 国川 建二君
        厚生省医務局長 佐分利輝彦君
        厚生省薬務局長 中野 徹雄君
        厚生省社会局長 上村  一君
        厚生省児童家庭
        局長      石野 清治君
        厚生省保険局長 八木 哲夫君
 委員外の出席者
        自治省行政局行
        政課長     鹿児島重治君
        自治省財政局地
        方債課長    津田  正君
        自治省財政局指
        導課長     土田 栄作君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  金子 みつ君     藤田 高敏君
  川本 敏美君     石橋 政嗣君
  工藤  晃君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  石橋 政嗣君     川本 敏美君
  藤田 高敏君     金子 みつ君
  小林 正巳君     工藤  晃君
同月二日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     藤田 高敏君
  川本 敏美君     石橋 政嗣君
  草川 昭三君     竹内 勝彦君
  古寺  宏君     二見 伸明君
  工藤  晃君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  石橋 政嗣君     川本 敏美君
  藤田 高敏君     大原  亨君
  竹内 勝彦君     草川 昭三君
  二見 伸明君     古寺  宏君
  小林 正巳君     工藤  晃君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○木野委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 昨日、金沢の地裁でスモン訴訟に対する最初の判決が出たわけであります。これは全国的に一万人以上の患者が出たと言われる戦後最大の薬害であります。同時に、全国二十三の地裁でいま係争中でありますが、その裁判の最初の判決が金沢地裁で出された。しかも、その判決の内容を見ますと、厚生大臣は、医薬品の安全性等を確認する薬事法上の義務がある。キノホルムの毒性は予見が可能であった。したがって、厚生大臣のキノホルム剤の製造許可、承認には過失がある。国家賠償法第一条の規定に基づいて賠償責任がある。こういうきわめて明確な国の法律的責任を下したわけです。こうした今回の判決に対して厚生大臣はどういうふうにお考えになっておるか、まず大臣の所見を承りたいと思うのです。
○小沢国務大臣 国にとりまして、その責任を追及する非常に厳しい判決だと受けとめております。御承知のとおり、私どもの従来までの態度は、行政上の法的な責任はないという立場に立っておったわけでございます。しかし一方、患者救済ということを特に重視いたしまして、和解によって患者の救済を図るという態度を続けてきておったわけでございますが、いま御指摘のように今回の判決は、国の医薬品の有用性に関する予見と、それの製造承認、また自後の安全性の確認、そういうことに対して最後は違法行為ときめつけておるわけでございます。これらにつきましては、いま慎重に判決を検討いたしまして、私どもの、これに対する所見を近く決めたい、こう思っておるところでございます。
○村山(富)委員 いまお話がございましたように、国の方は行政上道義的責任は感ずるけれども法律的責任はない。同時に、このキノホルムの毒性については予見が不可能であった。こういうことから訴訟が行われておったわけですね。それに対しては明確に先ほど申し上げましたような判決が下されておるわけです。ずいぶん長い間係争をされて、しかもこの間、患者の皆さんは社会的、経済的、精神的、肉体的に大変な苦痛を背負って、いままで来られたわけです。そうした現状を踏まえた場合に、政府はやはりこの判決を受け入れて、誠意を持って賠償の責任を果たすことは当然であるし、今後の救済措置についても万全を期して取り組むべきであると思いますが、どうですか。
○中野(徹)政府委員 原告の方々の現在までの長い間の苦痛、非常に長い間苦しんでこられたということについては、厚生省としては、これを深刻な問題として受けとめているところでございます。その立場からも昨年、政府部内でいろいろな意見があったわけでございますけれども、厚生省におきましては政府部内の意思の調整に努力をいたしまして、患者救済の観点を第一に優先させる、こういうことで和解に調印をいたしたところでございます。もちろん、全国のスモンで苦しんでおられる患者さんたち、キノホルムスモンの患者さんたちにつきましては取り扱いに差があってはならないわけでございまして、全国統一の取り扱いによりまして、その救済の実をおさめたいという観点から、現時点におきましては、この東京地裁における和解を全国に及ぼすべく呼びかけを行っておるという状況でございます。
 判決に従うべきだという先生の御意見でございますが、これにつきましては患者救済という立場を第一とはいたしておるわけでございますが、法律上の問題として、国家賠償法その他の問題につきましては現在、慎重に検討中で、適切な結論を得て対処いたしたい、かように考えておるところでございます。
○村山(富)委員 判決に対してどういう態度で臨むかという問題につきましては、ここで見解を聞くことは無理があると思いますから、これ以上申しません。ただ、やはりこの判決が教えるものはきわめて大きいものがあると思うのですよ。と申しますのは、やはり患者の皆さんや国民の側からすれば、こういう薬害が二度と起こらないようにしてもらいたい。同時に、起こった場合については責任の所在を明確にして救済の措置を講ずべきである。こういう二つの要求が強く反映されていると思うのですね。そういう意味からいたしますと、私は今度の金沢地裁における判決は、これからの薬事行政に大変大きな問題点を出しておると思うのです。
 そこでお尋ねしたいと思うのです。いつか私は薬事法の改正問題について若干質問したことがあるのですけれども、たとえば薬事法の五十六条を見ますと、不良医薬品を取り扱う規定がございますが、たとえば薬効のない薬、それから副作用の予見される薬等の承認を取り消すという規定はないのですね。行政指導でやっているわけでしょう。私は、やはりこのキノホルムについても行政指導でやられて、厳しく規制ができなかったというところに自後の処置についての若干の問題があったのではないかという気がするわけです。
 政府の方では、この国会に薬事法の改正あるいは薬害被害者の救済制度について提案をする準備を進めておった。ところが、この国会には提案が間に合わない、見合わせる、こういう見解を述べられておるようでありますが、どういう理由で薬事法の改定ができないのか。今後のこうした薬の安全性あるいは取り扱いについて、この判決を受けて、どのように考えておるのか、そうした問題について承りたいと思うのです。
○中野(徹)政府委員 東京地裁における和解におきましても、その和解調書上、政府といたしまして従前の薬事行政につきまして深く反省をする。その反省に基づいて今後薬害の根絶に努力するという確約を述べておるところでございます。
 先生御承知のとおりに現行薬事法は昭和三十五年に制定されたものでございまして、大体同時期に制定されました法律といたしまして一九六一年の西ドイツの薬事法がございます。その直後、昭和三十年代の後半から、たとえばサリドマイド事件のごとき例が発生をいたしまして、全世界的に薬の安全性の問題についての関心が急速に高まってまいったという経緯がございます。このような新しい薬の安全性強調の観点が全世界的に広がりまして、その結果といたしまして、たとえば西ドイツにおきましても、その安全性を非常に重視をいたしました新しい薬事法の制定が実現をいたしましたのが、つい最近の一九七六年でございます。
 これに先立ちましてわが国におきましては、サリドマイド等薬害の発生に対する反省から昭和四十二年に、あるいは先生御承知かと思いますが、新薬の製造承認につきましてはきわめて厳しい審査の手続を課しておるわけでございます。その結果、現在におきましては動物実験等の安全性の確認のために非常に長期間の日時と多大の費用を要することになっておるわけでございまして、物によりましては十年間の基礎実験あるいは治験を繰り返さないと、なかなか新薬の開発ができず、また国の承認も得られないというところまで現在、新薬の規制というのは強めてきておるわけでございます。
 なお、四十二年以前に開発された薬につきましては御承知のように、その安全性、有効性につきましての再評価を継続的に行っておりまして、成分からいたしまして、既存の薬品の成分の大体六〇%以上のものが、すでにその安全性、有効性の再評価を行い、その評価結果に基づきまして、これをあるいはなくしてしまうとか、適用を変更するとか、用法を変更する等の措置をとってきているわけでございます。しかしながら、これはいずれも先生御指摘のように行政上の措置に基づくものでございまして、法律上の権限とか法律上の義務、そのようなものは現行薬事法上は欠如をいたしておるわけでございます。
 このような観点から当然、薬事法の基本的な改正ということは政府としてもスケジュール的に考えざるを得ない状況にあったわけでございますが、御承知のようにサリドマイド、スモンの問題の過程におきまして従前、昨年までは、いわば薬害救済という、発生する薬害に対する救済制度を一刻も早くつくりたいという形で研究会のレポートを取りまとめ、一昨年にそのレポートが提出されまして、これに基づいて厚生省の試案を昨年の暮れ、スモンの和解調印直後に一応世に問うて、その関係方面の意見を徴したわけでございます。
 その際に、関係方面の御意見といたしまして、そのような薬害救済ということよりも、まず先生御指摘のように基本的に今後の薬害根絶という観点からの薬事法の基本的な改正を急ぐべきである、こういう御批判が非常に強かったわけでございます。そこで私どもといたしましては、その薬害救済といういわば発生した薬害の救済、これもおろそかにすべきではございませんけれども、これと並びまして基本的に薬事法の、いわば現在の安全性強調の観点に立った新しい薬事法の大幅な改正というものを少なくとも同時に出すべきだというふうに率直に反省をいたしまして、厚生省としての薬事法の基本的問題点の検討作業に重点を切りかえたという経緯がございます。
 現在、内部的な事情でございますが厚生省は、薬務局といたしましては局を動員いたしまして、週に一回程度の会議を持って薬事法の改正点の煮詰めの作業を行っております。これは広範な多岐にわたるものでございますので、これらの結論を得て、これと同時に、薬事法の改正と救済法案等を一緒に次国会に提出をいたしまして御検討を願いたい、かように考えているところでございます。
○村山(富)委員 薬の扱いにつきましては、たとえば製造するメーカーに対して、よりその安全性の確認を厳しくする。同時に、承認をし許可を与える許認可権を持っている国は、現状の許認可の手続でいいのかどうかという問題がある。さらに、発売された薬を患者に投薬する医師の扱いは現状でいいのか。あるいは、その薬を服用する一般の患者、国民の側にも、もっと薬に対する理解と認識を深めてもらう必要があるのではないか。こういう全体の態勢をつくっていかないと私は本当の意味で安全性は保証されないと思うのです。そういうものを含めて薬事法の改正を急ぐ必要があるのではないか。そして、それぞれの責任の分野というものを明確にして、きちっと整理する必要があるのではないかというふうに思うのですが、この点どうですか。
○中野(徹)政府委員 現在の薬の開発に当たりましては、先ほどもちょっと触れたところでございますけれども、実際の臨床試験、人試験に移る以前におきまして、多数の動物を使用いたしまして長期間にわたり急性、亜急性毒性あるいは慢性毒性、催奇性、発がん性等のチェックをいたしておるわけでございます。そのスクリーニングを経ましてから人試験に移るわけでございますが、当然その発売後も、現行製造承認が行われまして以降三年間につきましては、製造者に対しまして副作用情報の収集及びその報告の義務を承認条件として課しておるところでございます。先生御指摘のように、発売後の副作用情報の収集につきましては、これはその承認条件として与えておるところでございますので、メーカー側あるいは関係臨床家あるいは国の側の情報収集等の義務づけというようなことにつきましては当然、薬事法の改正の一つの問題として検討せざるを得ない、かようにいま考えておるところでございます。
○村山(富)委員 この判決は、国の責任、会社の責任を明確にした点については評価ができると思いますけれども、ただ、この因果関係等については若干問題が残っておりますし、特に賠償の額等につきましては、東京地裁で進められておる和解の内容よりも下回っておる。まして原告の請求額からしますと著しく低い額になっておるわけですね。しかも、これは単なる一時金だ。こういうことについては今後、問題が残っていくと思うのです。
 ただ国としては、やはりこれから生きていく患者さんを含めて、今後の恒久対策をどうするかということは当然考えられるべきことだと思うのです。たとえば治療の研究開発をどうするかとか、こういう問題も含め、今後のこの薬害患者に対する恒久対策について、どういう見解を持っておられるか聞きたいと思います。
○中野(徹)政府委員 政府の立場といたしましては、この種のいわば訴訟を前提とし、それが裁判上の和解に移行いたしまして、原告側に対して、いわゆるその和解条件として、どのような条件で臨むべきかということについては、実はいろいろな面から、たとえば財政法上の問題の制約もございます。現在割り切っておりますのは、和解におきましては先生御承知のように、金沢判決よりも高いレベルの和解金の支払いが現に行われ、この高いレベルの和解金の支払いによって、今後も原告側で合意があれば、この条件で事柄の解決に当たりたいということについては、たとえ、それが現在金沢の裁判の原告側であられても、合意が得られれば、直ちに鑑定等の手続を経まして、この和解条件に移行することはいまでも可能でございます。国としてはそういう意思を持っております。
 第二に、いわゆる恒久対策の面でございますが、国の立場といたしましては、この種の和解金の支払いにつきましては、介護手当等年金形式の給付につきましては財政法上の制約がございまして、特別の法規上の根拠がなければ、これは不可能であるという観点から、東京地裁の和解におきましても、国の支払い部分は全部一時金に限定をいたしております。
 その反面、国の行政上の立場として努力すべきことは、先生御指摘のように、治療の方法の確立あるいは難病病床の確保等、いわば行政施策の一環としてスモン患者の方々に対してなすべきことにつきましては、当然国としての努力を積み重ねてまいる所存でございまして、このようなことにつきましては、東京地裁の和解の際の一つの条件として裁判所からの御意見の提示があり、東京地裁において恒久的な対策をいかになすべきかということについて原告側との交渉が現在、進行中でございます。
○村山(富)委員 時間がございませんから、これ以上申し上げませんけれども、厳粛にやはり判決を受けとめて、そして患者の救済措置に万全を期す、今後ずっと、こうした事件が起こらないように薬務行政上万全を期していく、こういう態度を積極的にとっていただくことを心から期待をしながら、この質問を終わりたいと思うのです。
 次に、廃棄物の処理問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条によれば、屎尿処理施設及びごみ処理施設は、厚生省令で定める基準に従って維持管理しなければならないという規定がございます。この清掃法の第八条に基づいて省令、施行規則が決められているわけでありますが、「市町村は、その設置に係る施設の維持管理を自ら行なうこと。」こういう規定がございます。こういう規定がつくられた原因、背景は一体どんなものなのかということについてお尋ねしたいと思います。
○国川政府委員 お答えいたします。
 当然ではございますけれども、市町村は一般廃棄物処理事業を常に円滑に行う責務を有しているわけでございます。したがいまして、ごみの焼却施設等につきましては、管理の適正を欠きます場合には大気汚染とか、その他いろいろ環境保全上の問題を引き起こすおそれがあるわけでございます。そういう観点から、この施行規則の規定につきましては、設置者である市町村がみずから責任を持って維持管理を行うというたてまえを通しまして、管理の適正を期そうとする、そういう意味のものでございます。
○村山(富)委員 「清掃法の解説」として厚生省の見解が述べられておりますが「「市町村は、……みずから行なうこと。」市町村は、清掃事業の円滑な推進を図る責務を有するのであるが、管理の適正を欠くときは公害問題をひき起す屎尿処理施設について、みずから設置した施設について、みずから設置した施設の維持管理を他者に委託することはその責務をあいまいにするものであるという理由で本号の規定が設けられたのである。「みずから行なう」とは、他者に委託しないという意であって、委託が行なわれているか否かは、当該市町村と雇用関係にある者以外の者をして維持管理の業務につかしめているか否かにより判断される。」こういう厚生省の見解が述べられております。
 いま新聞報道等によりますと、岐阜県の各務原市で建設されましたごみ清掃工場の民間委託問題をめぐって、これを強行しようとする市当局と住民側とトラブルが起きておるようでありますが、この実態はどういうふうに把握をされていますか。
○国川政府委員 岐阜県の各務原市の問題につきましては、各務原市が五十一年度と五十二年度の二年度にわたりまして、ごみの焼却施設を建設いたしているわけでございます。今月に完成いたしまして五十三年度から稼働に入ろうとしているわけでございますが、市といたしましては、完成しまして稼働に入りますごみ焼却施設の運転管理につきまして、その一部を民間に委託して実施したい、こういう希望と申しますか計画、予定を考えているわけでございまして、これに対しまして、いま先生がお話しのように職員組合等から、これをすべて直営で行ってほしいという要求がございまして、いま折衝が行われている、こういうように承知しております。
○村山(富)委員 その一部を民間に委託をするというのですか。委託をされる具体的な内容というのはわかっていますか。
○国川政府委員 維持管理といいますと、かなり幅の広い業務になってまいると思います。私どものいま聞いている範囲では、焼却炉の運転操作の部分というように聞いておるところでございます。
○村山(富)委員 私が承知している範囲では、管理部門は市の直属職員六名ぐらいで行う。それから業務部門は専門の技術者六名を含め合計二十六名の陣容によって川崎重工に委託をする、こういう内容ですね。そうしますと、ほとんどその本体が委託されるわけですよ。そういう委託の形態と、冒頭に申し上げました市町村が「自ら行なう」というあの解釈、これはどういうふうに判断されますか。
○国川政府委員 施設の維持管理に関しまして、ある部分、一部分を委託する場合でございますけれども、それにつきましては、それぞれの当該委託業務の範囲とか、あるいはその具体的な内容だとか、あるいはその委託契約の内容、そういうようなものを個別に検討しなければ、一概になかなか言いにくい面があるのじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては個々のケースにつきまして検討いたしまい。その結果、その委託することによりまして施設の維持管理の責任があいまいになったり、あるいは廃棄物処理法の目的であります環境保全上の支障、障害と申しますか、そういうものが生ずるおそれがあるような実態がありますれば、当然でございますけれども、この規定の趣旨に反するというように理解しております。
○村山(富)委員 これは具体的に市の方から提示されている内容を見ますと、いま申しましたように、ほとんど本体は委託をされるわけですからね。ですから、この具体的な内容について、ここで争っても仕方がありませんけれども、基本的な解釈として明確にしておいてもらいたいと思うのです。
 それは、「自ら行なうこと。」という施行規則の解釈は先ほど申し上げました。少なくとも、その施設の維持管理の基本的な部分を民間業者に委託をするということは、やはりこの規則には違反するのではないかというふうに思いますが、それはどうですか。
○国川政府委員 それぞれの態様がいろいろ異なると思いますので、具体的な事例に徴しまして検討をさせていただきたいと思っております。
○村山(富)委員 いやいや、はっきりしてくださいよ。先ほど冒頭に、ぼくは「厚生省の見解」を言いしましたね。「自ら行なう」ということはこういうことなんだということの見解が出ています。その具体的な事例について申し上げるには、いさきかやはり内容が不明確ですから、いまは申し上げませんけれども、ただ「維持管理を自ら行なう」ということは、その維持管理に必要な基本的な部分について委託をすることについては、やはりこの規則に照らして違法性があるのではないかというふうに思うのですけれども、それはどうですかと聞いているわけです。解釈の問題です。
○小沢国務大臣 私は、施設の中の重要な部分であるとか、あるいはそれが重要でない部門であるとか、その施設そのものの中身の分担の問題よりも、市町村が「自ら行なう」というのは、みずから責任を持って全体を管理するということでございますので、したがって、その委託先との契約の態様のあり方が、市町村みずからが行うと同等の指導、監督、管理あるいは報告義務、日常のいろいろな何といいますか、目の行き届くような内容のものであるかどうかが問題であって、委託の部分が施設の重要な部分でなければいいのだとか、あるいは重要な部分は市町村がみずから管理をして、あとはもう委託をしてもいいとか、その委託のあり方として、もうすっかり任せきりになっているようなものでいいのだとか、そういうものではないので、むしろ、その委託先との契約のあり方が、市町村がみずから行うと同じような、管理、指導、監督その他について、きちっと徹底しているかどうかにあるのじゃないか、こう思います。
○村山(富)委員 どうもよくわかりませんけれども「厚生省の見解」というのはもう明らかですよ。「委託が行なわれているか否かは、当該市町村と雇用関係にある者以外の者をして維持管理の業務につかしめているか否か」とうことで「判断される。」これはきわめて明確なんですよ。ですから私は個々の具体的なケースについて、これはどうか、これはどうか、こういう判断を求めてもちょっと無理ですから、したがって、この規則の解釈として、少なくとも維持管理の基本的な部分について民間に委託をされているというようなものについては、この規則に照らして違法性があるんではないか、どうですかと聞いているわけです。どうですか。
○国川政府委員 お答えいたしたいと思います。
 基本的な部分あるいは基本的でない部分、いろいろ維持管理あるいは運転管理の中身について、性質的に分けようと思えば分けることができるかもしれませんが、委託することによりまして当該部分の責任があいまいになりまして、あるいは、いろいろなトラブルと申しますか、環境保全上の問題を起こすとかいうようなものがあれば、この規定の趣旨に反するということが言えようかと思います。したがいまして、先生のおっしゃるお気持ちはよくわかるわけでございますけれども、特に重要な部分でありまして、その部分があいまいになることのために責任問題あるいは環境保全上の問題とかが出てくるならば、それはこの規定の趣旨に反するということは当然だと思います。
○村山(富)委員 何かしちめんどうくさい答弁ばかりするけれども、要するにこの清掃法で述べられておる「厚生省の見解」というのは現在も変わっておらぬわけでしょう。
○国川政府委員 変わっておりません。
○村山(富)委員 そうしますと、これは私が承知している範囲では、この岐阜県の各務原市の委託問題は、これはもう完全に本体が委託をされるわけですから、明らかにこの規則に照らして違法性があるというふうに私は思うのです。これははっきりやはり見解を出してもらわないと、いたずらに紛争を大きくするわけですから、厚生省の指導に当たる見解というのは明確にしてもらう必要があると思うのです。これは後でまた申し上げます。
 それで特に、この川崎重工は、この施設を市から随契で発注されたんですよ。随契で発注された業者が、できた施設を委託を受けてやるということ自体も私はきわめて不明朗だと思うのですね。同時に、仮に高度な技術を要して、この管理運用がむずかしいとするならば、技術者を派遣して、その間、指導すればいいのであって、何も業者に委託する必要はない。委託する理由が不明確だと思うのですね。同時に、この委託をすることは、先ほど来お話がございますように、ごみ処理とか屎尿処理とか、こういう施設についてはやはり自治体が責任を持って最後まで見届ける、やるということのたてまえ上、こういう規則がつくられていると思うのですね。そういうことからしますと大変私は問題があると思うのです。
 同時にまた、委託をする委託費用を見ましても、いま申しました六名の技術者を含めて二十六名の陣容でやるというのですね。その委託費用が一億四百三十九万円予算計上されているわけです。百トンぐらいのごみ処理をされるそうだけれども、通常百トン程度のごみ処理をするこの種の施設で、人員と経費とを考えて照らしてみて、これは高過ぎるのではないかというふうに思われますが、その点はどうですか。
○国川政府委員 標準的な焼却炉の規模と所要人員ということで申し上げますならば、同じようなタイプの連続燃焼式の焼却炉で現在稼働中のものを調査いたしました結果では、日量百八十トンの場合には、単純平均でございますが約二十七名、それから百トン程度のものは、調査いたしますと事例が大変少ないものですから、百二十トンの場合を申し上げさせていただければ、単純平均でございますが平均十八名、そういうような数字になっています。
○村山(富)委員 組合の方で、仮に直営でやった場合に、どの程度の経費が要るかという試算をしたのがありますけれども、その試算をしたものを見ますと、人員から予算計上額から、この委託費は相当上回った高いものになっていますね。そう判断をされるわけです。いまお話がございましたように、百トンぐらいのごみ処理をする標準的な規模というものは、人員は大体十八名ぐらいだということからしても、人員も多いわけです。そういうことからしますと、たてまえ上、いま厚生省令でつくられている規則にも若干問題がある。同時に、経費も直営より上回る。こういう状態にあるところに、こんな問題が起こっているというのは、きわめて問題があると思いますから、もっとやはり厳正に私は厚生省に指導してもらいたいと思うのです。
 そこで、自治省見えてますか。――自治省にお尋ねしますが、自治省が五十三年の一月十九日付で出されておりまする財政課長名の各都道府県総務部長あるいは各指定都市財政局長あての内簡によりますと、「各種の事務、業務の広域的経営、民間委託、間接経営等については、規模の利益、費用便益効果等の観点から、さらに積極的に推進すること。」こういう内容の文言があるわけです。この民間委託を「積極的に推進する」というのは、どういう部門を積極的に推進をしようと考えておるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
○土田説明員 御質問の内簡で指しております事業でございますが、これは第十一次の地方制度調査会の答申にございますような地方団体の事務、事業のうち、必ずしも地方公共団体がみずから実施する必要のないもの、たとえて申しますと、各種会館の施設の運営、屎尿、じんかいの収集処理、保育所の運営、学校給食の実施、庁舎の維持管理等を指しているわけでございます。
○村山(富)委員 いま説明がありました積極的に推進をする部門の中に、屎尿の処理施設やごみ施設が入っていましたね。そうしますと、同じ政府のもとにおいて、厚生省は「自ら行なう」という見解を出し、規則をつくっておる。自治省は積極的に民間に委託しなさいと言う。これは一体どういう関係にあるのですか。厚生大臣どうですか。
○小沢国務大臣 私は、市町村の責任において全部みずからという意味は、責任においてこれを実施しなさいという意味だと思うのです。それを直接自分で手を下してやるか、あるいは委託するかは方式の問題であって、たとえ委託をしても、その責任は全部みずから町村が負うべきものである。したがって、その委託によって、ただ人任せにするような内容であればいけない。すべての監督指導、その他一切のものがよく行き届いて、みずからの手足として委託した連中を使うというぐらいの方式で委託をするのは差し支えない、かように考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 大臣の答弁、解釈というのは厚生省の当初の見解とは大分違っていますね。これはもう明らかじゃないですか。「当該市町村と雇用関係にある者以外の者をして維持管理の業務につかしめているか否かにより判断される。」これは明確ですよ。同時に、この種の施設は、最後まで責任を持って処理しなければ、民間に委託をしたのでは危険もあるということから、こういう規定がつくられていると思うのですね。
 自治省にもう一遍お尋ねしますが、民間に委託を促進するというのは、どういう理由で促進をされるわけですか。促進をする目的は何ですか。
○土田説明員 地方自治法の二条の十三項におきまして「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」という規定がございます。地方行政運営の財源は住民の税負担で賄われているわけでございますので、地方公共団体におきましては、この規定の趣旨を体しまして、経費の効率化を図りまして、できるだけ少ないコストで所要の行政効果を上げる必要があるというふうに考えられるからでございます。
○村山(富)委員 民間に委託をするのは、経費の節減が目的である。ところが、先ほど言いましたように、この場合には民間に委託することによって経費はふくらむのですよ。高いのですよ。だから経費の節減にもならないわけです。同時に、これはどういう意味か、解釈がゆがめられてしまって当初の見解とは大分違ってきていますね。どうですか大臣、違いを認めますか。当初の見解はどうです。どっちですか。
○小沢国務大臣 私いま、その内容、文書を持っていないものですから、正確にお答えできるかどうかわかりませんが、一〇〇%みずから行うというような考え方でなかったと思うのです。やはり「自ら行なう」というのは、一〇〇%また全部委託してしまうというようなことはいけない、そういうような趣旨で、一部その委託をするのは、その趣旨には反しないのだということで、考え方はちっとも変わっていないと思うのですが、なお、御指摘の通知等について、私いま持っておりませんので、よく詳細に検討してみます。
○村山(富)委員 これは文書を持っているとか持っていないとか、そんな問題じゃないでしょう、厚生省がつくった規則に対する見解ですからね。文書を見なきゃわからないのですか。そんなことで行政をやっているわけですか、冗談じゃないですよ。しかも、この問題については、わざわざ厚生省に尋ねているじゃないですか。課長は違反しますとはっきり言っているじゃないですか。なぜ、ああいうことをしなければならないのか。そんな行政をするから、指導をするから地方は混乱をするのですよ。もっと解釈をはっきりしなさい。
○国川政府委員 維持管理の委託の問題は、これは古くからの問題でございます。考え方といたしましては「市町村は、その設置に係る施設の維持管理を自ら行なうこと。」という規定がございまして、その運用につきましても、当時の解説にありますとおりでございます。
 今回の各務原の事例につきましては、実は私どももまだ詳細な委託の内容とか範囲とかいうようなことは伺っていないわけでございます。先ほどもお話ございましたように、非常に重要な部分までがそっくり委託されることによりまして、責任があいまいになるとかいうようなことがあれば、当然これは違反であるという判断をされるわけでございますけれども、その点につきましては、私どもも今後なお十分検討を必要とするというように考えております。
○村山(富)委員 具体的な実態はつかめていないとか、まだ事情がよくわからぬとか、そんな答弁をしなさんなよ。もう市も厚生省に呼ばれているのですよ。同時に、反対の方も厚生省に行っているのですよ。そういう話の中で、これは課長は明確に言っているじゃないですか。「法律の趣旨は、屎尿やごみ処理が行政にとって重要な問題なので、直接やるように決めてある。市の担当者も来て、人が集らないのでやむを得ないとの説明を受けたが、違反であることには変わりない。」と明確に言っているじゃないですか。なぜ、とぼけた、ごまかしたような答弁をしなければならぬのか。そんな厚生省の指導だから末端は混乱をするんですよ。しかも大臣も、なかなかはっきりした答弁をせずに、何かわけのわからぬような答弁をしておる。明確にしなさい。これはどっちですか。
○小沢国務大臣 実態をよく見まして、それが市町村の責任において全部管理ができ得る体制にあるかどうか。ある部分を委託したとか人数がどうかとかいうことではなくて、総体的に市が責任を持って管理運営できる体制であるかどうかが判断の基準だと私は思うのです。そういう意味で、みずから責任を持って行うということは、他の者に委託をすることを全面的に禁止したものではない。委託してもいいが、最終責任はあくまでも維持管理の責任を負えるような体制、また、そういうような契約内容であるべきだ、こういう考えですから、このいまの考え方に合わせて、よく具体的な事例を検討して明確に態度を決めるべきものと思います。
○村山(富)委員 もう時間がありませんから残念ですけれども、先ほど自治省の見解も聞きましたけれども、経費節減のため、こう言っているわけでしょう。さっき言いましたように、これは委託をすることによって経費はふくらむのですよ。節減にならないわけですね。しかも、この規則に照らして違法性がある。きわめて不明朗である。こういう事態ですから、課長はこれは確かに違反をしますと言っている。ところが、まだ実態がよくわからぬから、実態に照らして判断をしなければなりません、こういう答弁をここでやったんでは、これを聞いた末端ではさらに混乱を大きくしますよ。私は、この質問はこれで打ち切りますけれども一応保留しておきます。見解も不明確ですし、保留しておきます。自後また問題を取り上げますから、それまでに十分ひとつ検討しておいてください。
 次に今度、予算計上されておりまする市町村保健センターの問題について若干お尋ねしたいと思うのです。
 これは昭和四十七年に、保健所の再編成の問題をめぐって、保健所問題懇談会から基調報告が出されておりますね。その基調報告の中では「広域、地域、地区という三段階に区分をする」というふうに明確にこれをうたっておるわけです。今度つくられる市町村保健センターというのは、この基調報告とほどんな関連があるのか。基調報告はいま厚生省ではどのような扱いをされておるのか。見解を聞きたいと思うのです。
○松浦(十)政府委員 まず第一に、四十七年のあれは基調報告ということで非常に概括的な御意目をいただいたわけでございます。
 まず結論の方から申し上げますと、その基調報告そのとおりを、そのまま受け取ってやるという考えは持っておりません。一つの参考の御意見として伺っております。そういうことで、あの基調報告そのままを、すべて進めていくという考え方ではございません。ただ、今度の市町村保健センターは、実際に第一線で働いているいままでの国保の保健婦さんの活躍が、非常に市町村の住民の方に喜ばれているということもございまして、そういう方々の働く場所を提供するという意味合いでございます。そして、あの基調報告のような何と言いますか保健所のあり方、それから本来の市町村の保健を守るやり方のあり方というものにつきましては、私ども今後これから十分検討いたしたいと思っております。
○村山(富)委員 これは予算委員会における金子委員の質問に対して答弁していますね。市町村保健センターと保健所とは全然関係ありません。別個のものです。そして保健センターもやってもらうし、保健所も充実します。こういう答弁をしているわけですね。
 ところが、この厚生省が出しておる図解を見ましても「地域における保健サービスの概要」というのがありますね。これはおたくが出したのでしょう、そうですね。これを見ますと、市町村保健センターの保健婦さんがやる業務と、それから保健所の保健婦さんがやる業務と、大分ダブる部面があるわけです。そうしますと、いま問題になりますのは、やはり保健所問題懇談会の基調報告に基づいて保健所でやっておる対人サービスの関係は、市町村保健センターに移管をされていくのではないか、こういう見解があるわけです。その点についてはどうなんですか。
○松浦(十)政府委員 時代が進歩してまいりますと、対人保健サービスというのは非常に複雑になってくると思います。それで実際、大部分の対人保健サービスというのは、市町村におきまして、その市町村がみずから一番身近なところで行うというのが望ましいというものが相当あるのじゃないかと思います。それからまた、それだけではできないので、もっと高度な技術が要るとか、あるいは医療チームがあって、そのチームでやるとか、あるいは病気の実態におきまして、そういった高度の技術のところでなければできないといったようなもの、いろいろあろうかと思います。そういう意味で、それぞれ保健所なり市町村なりで行う保健サービスというものは違いがあってもいいのじゃないかと思います。
 ただ私、現在この時点で考えておりますのは、何といいますか、先生が御疑念をお持ちのような、保健所を縮小していくというような御疑念をお持ちかと思いますが、私どもはそういうことは考えておりません。御承知のように、保健所の業務というのはどんどん、どんどんふえているというのが実態でございます。保健所も強化しなければならないし、さらに市町村が身近なところで行うサービスも強化していくという、両々相まって本当の保健サービスというのができるのではないかというふうに考えております。
○村山(富)委員 「国民健康保険保健婦の活動に関する指針」というのが出ておりますね。それについておる別紙に「保健所保健婦の市町村保健婦への身分移管を促進すること。」こういうことが書いてありますね。これと今度の市町村保健センターに保健婦さんを置くことについて、先ほど私が質問いたしましたように、保健所の保健婦さんと今度つくられる市町村保健センターの保健婦さんと、地区によっては重複する業務ができる。したがって、そういう実態に基づいて保健所の保健婦さんの市町村保健婦さんへの身分移管を促進するということと関連づけられておるのではないかというふうに思いますが、それはどうなんですか。
○松浦(十)政府委員 現在は保健所にも保健婦さんがおり、それから国民健康保険の保健婦さんがいる、こういう実態でございます。それから、来年度から私どもが予定いたしておりますのは、国民健康保険の保健婦さんを市町村のいわゆる衛生担当の部局の方へ配置がえをしていただく、いわゆる衛生サービスのルートの上に乗っていただく。で、いま先生最後にちょっとおっしゃいました、保健所の保健婦さんを市町村の保健婦さんに身分を変えるというようなことは、私ども申した覚えはございません。市町村の国保の保健婦さんを市町村の衛生担当の方へ移っていただく。保健所の保健婦さんは県の保健婦さんですから、そのまま保健所の保健婦さんとして働いていただく。従来も、そういう意味で保健所の保健婦さんと国民健康保険の保健婦さんとがダブっておったというのが実態でございます。その場合にいろいろございまして、大変相互に連携をとり合って、そうして、それぞれの受け持ち分担で足らざるを補っているという活動を従来もしておったわけでございます。今後、市町村の保健婦さんが市町村の衛生関係に移りますと、ある意味では衛生関係のルートということでさらにコミュニケーションもよくなるというふうに私ども考えております。
○村山(富)委員 いま市町村に、市町村保健婦さんと国民健康保険の保健婦さんとおるわけでしょう。それを全部市町村の保健婦さんに身分を一元化するということはわかりましたね。ところが、今度つくられる保健センターと保健所の保健婦さんとの業務との関係がちょっとあいまいだということが一つと、それから、これは厚生省の保険局が出した指針です。その中に「保健所保健婦の市町村保健婦への身分移管を促進すること。」こういう文書が明確にあるわけですよ。そうしますと公衆衛生局の考え方と保険局の考え方と全く違うじゃないですか。
○松浦(十)政府委員 まず、最初の市町村保健センターでございますが、これは先ほど申しましたように従来から市町村には保健婦さんがおられるわけで、その市町村保健センターというのは一種の、ちょっと説明がむずかしいのでございますが、行政機関ではなくて保健婦さんが活動するのに便利な場所、こういうふうに御理解いただくのが一番いいと思います。いままで保健婦さんは村役場におられまして単に事務机一つで仕事をしておられた。それよりも、こういう場があって、そこへ婦人の方が集まって健康相談をやるとか、あるいは老人の方が集まってお年寄りの健康の相談をやるとか、そういう場を提供するという意味での市町村保健センターでございます。ですから市町村保健センターというのは、何といいますか、建物だというふうにお考えいただくのが一番御理解が早いのではないかと思います。そこで何ら行政事務をやるのではなくて、保健婦さんがいろいろな活動をするのに便利な場所、そういう意味でございます。そういう意味合いからしまして、従来、国民健康保険の保健婦さんが活動しておった場合でも同じことでございまして、その場所があれば非常に御便利であろう、こういう考え方でございます。
 それから第二の、いわゆる保険局の方の考え方と先生いまおっしゃったのでございますが、実は私、公衆衛生局でございまして、そういうようなものが外部に出ておるというふうには、ちょっと、いままで存じておりませんでした。
○村山(富)委員 これはしかし、同じ厚生省の中だから、やはり混乱が起こっているのですよ。一体、保健所の保健婦さんはどうなるのだろうか、市町村保健婦さんとの関連はどうなるのだろうか、こういう不安や問題、混乱が起こっていますよ。保険局から出される方針と公衆衛生局から出る方針と違うじゃないですか。
○松浦(十)政府委員 私が、そういうのが外部に出ておるのを知りませんでしたというのは、外部に実際に出ておって私が知らないという意味で申し上げたのじゃなくて、そういうのが外部に出ておることはないと思います。
○村山(富)委員 外部に出てないですか。これは保険局はどうですか。
○八木政府委員 国保の保健婦活動につきましては従来、地域の保健活動に非常に大きな役割りを果たしておったわけでございます。しかし今回、国民健康づくりということから、この問題につきまして一貫的に行う必要があるというようなことから、公衆衛生局とも相談いたしまして、国保の保健婦につきましては市町村におきます保健婦と統一的に行うという意味で、公衆衛生局と同じような考え方で国保の保健婦を一般の市町村保健婦に移すというような措置をとったような次第でございます。
○村山(富)委員 いま市町村におる国保の保健婦さん、それを市町村保健婦さんに身分移管をして一元化するということはわかりましたよ。だけれども保健所の保健婦さんを市町村保健婦さんに身分の移管を促進をするという保険局の見解が出ておるじゃないですか。同時に、これはわざわざこう書いておりますよ。この「※の事項は、保険局側が公衆衛生局側に注文をつけた点である。」こういうふうに書いてあるのですよ。これはちょっと見解をまとめて、はっきりしてくださいよ。
○小沢国務大臣 私が金子委員の質問に対しましてお答えしましたように、私が厚生大臣として最高責任者として申し上げることをひとつ御理解をいただきたいわけでございまして、保健所の機能を落とすようなことは全く考えておりません。保健所の保健婦さんを市町村の今度の保健センターに回せというような指導は絶対にいたしません。保健所の保健婦さんは、それぞれ使命を持っておられるわけでございまして、ますます。でき得れば強化こそしたいと思いますが、これを他に回して保健所から保健婦さんをなくするような考えは毛頭持っておりませんから、ひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
○村山(富)委員 そういう点は、やはり文書か何かで明確にしてちゃんと指導しないと、それは混乱が起こりますよ。現に起こっていますよ。
○小沢国務大臣 こんなことは、もう改めて文書を出す問題でも何でもありません。むしろ文書を出すのはおかしな話でございまして、厚生省は保健所というものを第一線の公衆衛生の機関として大いにその活動に期待をしているのに、どうも、そういうような誤解があるから、決して、そういうことはしないぞなんということは、いま改まって出すようなことは、かえって私はおかしいのじゃないかと思うので、国会のこの場における私の方針をひとつ御了解をいただいた方がいいと思います。
○村山(富)委員 文書が出てなければいいけれども出ていますからね。出ていますから、やはり統一した見解をきちっと出す必要があるのではないか。
 それから、いま大臣は、保健所もこれから一層強化していく、こういうお話でございましたね。それは言葉だけでなくて、保健所再編成問題が起こっておるというのは、いまの保健所がやはり形骸化されて地域の住民のニーズにこたえない、対応し切れないというところに問題が起こっておるわけですからね。そのことは、保健所の充実強化に対して厚生省は、いままで何もしてないじゃないですか。そして対応し切れないから再編成した方がいいのではないかといって分解しようとしておるわけですよ。
 保健所法に基づいて十万人に一カ所保健所をつくる。その保健所が十分保健所の機能が発揮できるように、人員の面でも予算の面でも手を尽くして、なおかつ足りない。だからこうしたいというのなら話はわかりますけれども、全然手をつけてない、強化に対して手を下してなくて、そして形骸化を進めていって分解していく、こういう考え方では、これは市町村保健センターをつくってみても、場所はこしらえた、建物はつくった。保健婦さんが一人か二人おる。予算のめんどうは全然見ない。これを管理運営する職員もいない。同じようなことになっていくのじゃないですか。将来の展望はどうですか。
○松浦(十)政府委員 先ほど申し上げましたように、保健所というのは非常にいろいろな、特に公害問題等も出てまいりまして仕事がふえております。そういう意味で保健所がたくさんの仕事を抱えて、なかなか身動きならず困っておるということは実態でございます。私ども、この市町村保健センターというのは保健所を形骸化するのではなくて、市町村保健センターを中心にして市町村の衛生サービスの業務がどんどん進んでいくことによって、かえって、それがまた保健所の方にいい反映をして、両方ともども、しっかり活動ができるということを考えたわけでございます。
 なお、保健所の今後のあり方というのは、いま申し上げましたように時代とともに非常に社会の様相は変わっておりますので、そういうものを踏まえて、これから保健所のあり方というものを検討して、そして充実強化していきたいというふうに考えております。
○村山(富)委員 あとは同僚の田口委員から、また質問がございますから、これでやめますけれども、言葉だけでなくて実際に目に見えて充実されてきたというものを示してくれないと、幾ら言葉で説明したって現実はそうはなってないわけですからね。そのことを強く私は要望して終わります。
○木野委員長 次に、田口一男君。
○田口委員 いまの市町村保健センターの問題で、ちょっと突っ込んだところまでいっておるのですけれども、むしろ、さっき村山委員が申し上げたように、実は、いまある保健所と、それから昭和五十三年度からやっていこうとしておる市町村保健センター、この辺の絡みが、なお十分解明といいますか、すっきりされていない。そういう点で実は地方へ行きますと、保健所保健婦と、それから国民健康保険保健婦、略して国保保健婦と言いますが、この保健婦同士で一体どうなるんだろうかという不安を現在持っておる。ただ保健婦だけではなくて、検査技師であるとか、栄養士であるとか、そういったいわゆるパラメディカルの方が、保健所と市町村保健センターとの絡みの中で身分なり何なりに大きな変更があるんじゃないかという不安を持っておる。これは事実です。ですから私は、市町村保健センターの設置に反対であるとか、どうであるとかという、そういう前提でなしに、いま不安を持っておる状態に対して、もっと厚生省は一本で、もともと一本でしょうけれども、そういった指導というか考え方を徹底しないことには、この地域保健課が出したものは、さっきも村山委員が提示をしましたように市町村保健所と市町村保健センターとのかかわり合いなんかを明示しておるし、市町村保健センターの目的というものも書かれてはおるんですけれども、よりひとつ、すっきりした形で、きょう、ここで解明をしていただきたい、そういう立場で申し上げたいと思います。
 あと二つほど質問がありますので、ちょっとはしょって申し上げますが、この「市町村保健センター構想について」という、本年一月に出された地域保健課の文書、この前段のことは私どもも全く望むところですね。「総合的な対人保健サービスを充実することが要請されるようになったが、その反面現在の市町村の対人保健サービスの実施体制は、極めて不充分な面が少なくない。」だから、その保健センターを充実、整備する。私は、この限りでは、これは大変いいことだと思うのです。もっともっと整備をしてほしいし、遅きに失するぐらいだと思います。
 ところが、いまも村山さんから保健所との絡みで御意見がありましたように、私は、やはりその辺のところをすっきりしてもらいたいということで三つ四つ申し上げたいのですが、保健所との関係をどうするかということが、やはりはっきりされなきやならぬ。真空の状態の中で市町村保健センターを設置をするんだといえば、ぼくらはもろ手を挙げて賛成すると思うのですね。しかし、いま保健所があるじゃないか、この保健所と保健センターとの関係は一体どうなるのかということ、この点、私から言うならば公衆衛生局あたりはむしろ意識的に避けて通っておる。検討するんだ、検討しなきゃならぬと思うのですが、保健センターを打ち出すのならば、同時に保健所のあり方についても並行的に構想を打ち出すべきじゃないか。避けておるというところに、これはいろいろな疑惑が生じる。
 しかも、この予算を要求した際に、私はあえて言いますが、健康管理対策に関する官房の調整結果と、それに対する保険局の昨年八月にまとめ方ものなんかを見ると、やはりニュアンスの差ではなくて根本的に違うところがあると思うのです。
    〔委員長退席、羽生田委員長代理着席〕
保険局が言っておるのは、四十七年に出された保健所問題懇談会の基調報告に示されたのは、対人保健サービスは市町村に引き取るということを言っておるんだから、保健所の保健婦の扱いについては一元化の方向に持っていくべきだ。それを官房が調整したようなことにいけば、むしろ混乱をするのじゃないかと保険局ははっきり言っておる。こういったところから、やはり保健所とのかかわり合いについてはっきりしてもらいたい。
 さらに、これに関連をいたしまして、十月の初旬に自治労が公衆衛生局長といろいろと交渉といいますか、この問題で話し合いの機会を持ったそうでありますけれども、そのときに出されておる話では、いや、いまある保健所をふやす方向だと考えてもらっていい、ミニ保健所として考えてもらってもいいというふうな発言があるんですね。大臣、よけい混乱するでしょう、そういうふうな発言があれば。ミニ保健所という考えがあるのならば、保健センターに保健婦だけではなくて医師もおる、栄養士もおる、ときにはレントゲン技師もおる、そういった文字どおりミニ保健所のようなものをあまねくつくるということであれば、対人保健サービスは充実をするだろう。そうして保健所は、それを広域的に統括をするんだというふうな観点であるならば、これはいい悪いは別として、やはりそれなりに理解もあるだろうと思うけれども、保健所の問題を避けて通ってミニ保健所だと言ったら、一体どうなるんだということが一つあるんじゃないですか。
 それから二つ目は、ちょっと急いでなんですけれども、一体、市町村が保健センターを設置する。しかも十年計画、本年五十三年度百カ所、こういうことでありますけれども、対応できるのかという心配があるわけですね。市町村の能力がどうこうじゃありませんよ。市町村が果たして対人保健サービスというようなことに対して対応できるのか。現に保健センターは三分の一しか国が持たない。三分の二を一体、金の面でどうするのか。それは起債なり何なりでめんどうを見ましょうと言っておるようですけれども、現在でも国保保健婦は全市町村に設置をしておりませんね、そうでしょう。そうなってくると、この指とまれということですよ。三分の一金をやるから保健センターをつくりたいところはこの指とまれ。今日の地方財政の現状の中で、この指とまる市町村はどれだけあるのか。さらに超過負担の問題がある。
 それから、それに関連をいたしまして第三点目の問題は、一体、保健センターの業務ということ、これは大臣も十分御承知いただいておると思うのですが、私は先月、国保保健婦さんの集まりで涙ながらの訴えを聞いたんですが千差万別ですね。一つの郡の中で五つなら五つの町村がありますと、三つは保健婦を置いていない、二町村しか設置をしていない。つまり、あんまり出過ぎたことをやるとたたかれる。結局、市町村の衛生課の窓口で一般事務をとっておるというようなところが多いわけです。だから、その場所を提供して、そこで市町村保健婦さんがやりやすいようにするんだと、いま局長はおっしゃいましたけれども、この辺のところも、これはちょっと言い方は酷になるかと思うのですが、この保健センターの設置の構想から見て結局、市町村健康づくり推進協議会にゆだねられる。その中で地域の医師会の考え方に沿って今度は、その市町村保健婦というものが動いていくのじゃないか。いままでは市町村長の恣意的な考えで、あんまり出過ぎたことをするな、まあ衛生課の事務でもとっておれ。ところが今度は、地域医師会の意向によって動くと見なきゃなりませんから、そうすると保健婦さんが何でも屋ということになりますね。あれもこれもやらなきやならぬ、そういったことになっていくのではないのか。
 まだ、ほかにも問題があると思うのですが、私は時間が十分でないですけれども、ひとつ、この辺のところをすっきりすることが、厚生省の本年度の目玉と言われておる国民の健康づくり、それを増進することの、より力になっていくのじゃないか、こう思いますので、私は保健センターの問題については、これで終わりますが、ひとつ明快なお答えをいただきたいと思います。
○松浦(十)政府委員 まず、保健センターと保健所の関係でございますが、現時点において保健所のなすべきことというのは、現在もう決まっておるわけでございまして、それはそのとおりだと思います。
 それから、ミニ保健所ということを私が申したということでございますが、ちょっと私の記憶ではミニ保健所ということを申した覚えがないのでございますが、要するに市町村におきまして保健婦を中心としてのいわゆる対人保健サービスをする拠点、こういう意味合いで、その市町村保健センターをお考えいただきたいと思います。いわゆる行政事務までは一切入っていない、こういうふうな考え方でございます。ですから昔といいますか、いまでも国保の保健婦ステーションというのがありますが、そういったような要するに保健婦さんが活動できる場所、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
 それから第三に、対応できるか、こういうことでございますが、そういうことも含めまして、私ども初年度百カ所という考え方でございます。この指とまれ主義じゃないか、こういうようなお話でございますが、私どもとしては来年度から初めてやる事業でございますので、一応来年度百カ所ということで、さらに今後の対応を考えるという意味合いも含めまして百カ所ということを予定しているわけでございます。
 それから、一般事務云々ということでございますが、やはり保健婦さんは保健婦さんとしての仕事をやっていただかなければ、これはもったいないといいますか、保健婦さんにとっても好ましいことではありませんし、また住民にとっても非常にむだなことになろうかと思います。そういう意味では、保健婦さんは保健婦さん本来の仕事をやっていただくことを私どもは期待しておるわけでございますし、また、そういうことも改めて私どもの方から全国的にこれは通知を出しまして、指導をいたしたいと思っておるわけでございます。
 それから、先ほど先生のお話の中にもちょっとございましたが、保健所はいわゆる衛生系統であるし、国民健康保険はいわゆる民生系統でございまして、その間に意思の疎通がうまくいかないというようなこともあって、先ほど何か働くとどうのというお話、そういうような問題もあろうかと思いますが、そういう点、いわゆる衛生関係のルートとして一本になっておれば、保健所の指導も十分衛生関係に行き渡るだろうということを私ども期待しているわけでございます。
 それから市町村の推進協議会でございますが、この推進協議会というのは、その地域のいわゆる医療関係者の方、学校の方あるいは地区衛生組織、ボランティアの方、当然保健所の方も入っていただきまして、そういうところで、その地域ではどういうふうなところに衛生上の問題があるかというようなことを十分練っていただいて、そしてその方針で、その市町村におきまして、いわゆる衛生サービスをどういうふうにやっていくかということをいろいろ考えて、最も効率のいい、最もその時点に必要なものをやっていくということを御検討いただく協議会というふうに私、理解しておりますので、むしろ保健婦さんが働きやすい、こうやったら一番いいんだというようなことが、そこで十分検討されて、その結果いい結果が生まれるのではないかというふうに期待しております。
○田口委員 時間の関係で多く触れませんけれども、やはり第一点の保健所どのかかわり合いがすっきりしませんね。
 それと、いままでに局長言ったことがないとかどうとかという、こちらも水かけ論のようなことはやめたいと思うのですけれども、大体、該当する、たとえば自治労なり、そういった保健所の集まりの話し合いの席上で公衆衛生局長が、言った、言わぬということはなんですが、混乱の一因として大臣、知ってほしいのですが、日まで言いますと去年の十月七日に「保健センターは組織的行政機関ではない、任意の拠点地である。だから保健所をふやすためのワンステップと考えてほしい。」というふうなことも言っておるのですね。それなら、そんな保健センターに金を出すよりも、もっと保健所を充実したらいいじゃないかという気持ちの出るのは当然でしょう。
 ですから、私は強く要望しておきたいのですが、この保健センター、その構想は私も住民に近いところでやるべきだという気持ちはいいと思います。しかし、いまある昭和十二年から伝統を持っておる保健所、この保健所というものをもっと今日の情勢に対応して充実強化するということも考えていくべきじゃないか。いまの考えでは市町村にばかり、どんどん対人サービスを押しつけてふくらませていって、それと比例して保健所の方がだんだんしぼんでいく、こういう印象を与えておるということは、私はこれは否めないと思う。その辺の不安というものをぜひとも解消をしていただきたい。私は、これは要望だけにしておきます。
 それから二つ目、この前の本委員会で、ちょうど羽生田先生が栄養課の問題についてちょっと触れられて、私はその大臣の答弁を十分聞いていないのですが、またぞろ将来に栄養課はなくしてしまえとか、もう栄養課は昔の栄養失調時代の印象を与えるから栄養課なんという名前は取ってしまえとか、こういう話があるそうですか、大臣、栄養課の栄養という名前を取る気持ちなんですか。栄養課という名前について。
○松浦(十)政府委員 確かに栄養課という課の名前はどうかという議論は私どもの中でございます。と申しますのは、実は単に栄養にとどまらないで、もっと健康増進というようなことも含めて栄養課は仕事を広げるべきではないかということがございますので、そういうことを含めた名前にしたらいいのではないかということを、現在いろいろと検討しておるというような実情でございます。それは決して栄養という名前を取り去ってしまうということを意味するものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
○田口委員 これは後で大臣、はっきりした御答弁をいただきたいのですが、やはり栄養課は四十八年当時に一時騒ぎがありましたね。そして栄養課は存続されておるのですけれども、どうも栄養ということをひがんで見ておるのじゃないかという気がするのですね。その証拠に私はあと二つ三つ例を挙げますが、この二月一日から改定になりました診療報酬、そのうちで関係者から強く要望しておった栄養食事指導加算というものが五点ですけれども新設をされました。これは保険局の関係だと思うのですが、これは五点という点数の多い少ないはさておくとして、初めて芽を出したことは大変結構だ、むしろ前進と高く評価をいたします。ところが、同じように給食料のうちで医療食加算というものを十点、新設をいたしましたね。これで私は、いま高く評価をしたいという栄養食事指導加算が芽を出したことと帳消しどころかマイナスになってしまうのじゃないかという気がするのです。というのは、まあはっきり言ったら、この医療食加算というのはインスタントじゃないのですか。パックに詰めて病院に持ってきてレンジで温める、そしてそれをちょっと調理をして患者に与える。こうなってしまいますと現行の点数、一方は五点、医療食十点、一対二です。いわゆる手づくりの、栄養士が指導してそれを調理をしたものが五点で、それからでき合いのもの、パック、袋に詰めてきて、ぽんとやって食べたものが十点、栄養士の苦労というものが、そこには何ら認められていない、こういうことになると思うのですが、どうなんですか。
○八木政府委員 先生御指摘の問題でございますけれども、栄養士が病院等におきましてのいろいろな業務につきましての重要性は申すまでもないわけでございます。ただ、今回の医療食加算の問題と、それから栄養士の指導料の問題とは別個の問題でございまして、医療食の問題は、今回の診療報酬の改定の際に、やはり給食の内容の質の向上を図るということが一つの大きな目的であったわけでございして、そういうような意味で、給食の材料が一定の規格に合致したという場合に医療食加算というものを設けたわけでございまして、栄養士の業務の重要性というのとは別個の問題で、むしろ材料というような問題でございます。
 それから、栄養士の問題につきましては、従来からも一般的な点数の中で栄養士の問題につきまして評価しているわけでございまして、専門的な栄養士の業務という問題につきましては、基準給食等につきましても加算点数が行われているわけでございますが、特に今回、慢性疾患指導料につきまして、これは特に外来の関係でございますけれども、療養の指導のうち栄養指導の重要性ということに着目いたしまして、従来は栄養指導という形で具体的な点数設定がなかったわけでございますけれども、非常に厳しい全体の点数の上げ幅の中ではございますけれども、栄養指導の重要性ということに着目いたしまして、今回五点の加算というものを初めて新設したという点を御了解いただきたいと思います。
○田口委員 そうすると、これははっきり確かめておきたいのですが、栄養課の問題とも関連して、栄養は栄養学ばかりではない、病理、病態にもかかわると思うのですけれども、この医療食ということは、現場の特に国立病院や大学病院にいる栄養士さんが心配をしておるように、こういった医療食加算ということが将来、ノーキッチン、ノーワーク、ノー栄養士ということの第一歩でないかという危惧は当たらないのかどうか。現に都会地は地価がどんどん高くなる。だから土地の効率利用を図って、そんな調理室なんかつぶしてしまって病室に変えようという動きも間々あるわけです。そして、よそから調理したものを持ってきて、それを検査して、何が何カロリー、何が何グラムというふうに見て合格だ、それを患者に提供する。栄養士も要りませんね。そういうことの突破口を開くものじゃないかという危惧、これは全くないのかどうか、大臣いかがでしょう。
 栄養士を栄養指導という面で見なければならぬ、そう口で言っておきながら栄養課なんという名前は古くさいから変えようじゃないか。栄養加算はしたけれども医療食を加算して、その方が点数が倍だ。どうも整合していないと思うのです。だから、ここで大臣、そういう不安を解消するためには、私は現在の栄養課というものを存続せよというかたくなな考えではございませんけれども、言われているように栄養健康課であるとか、やはり栄養という名前が残るように、名は体をあらわすのですから、ひとつきっぱり、そこのところのお答えをいただいて、現場の不安を解消していただきたい。さらにノーキッチン、ノーワーク、ノー栄養士なんということは医療食加算では考えていないのだということをきっぱりお答えいただきたい。
○小沢国務大臣 保険の方であれしましたのは材料の質の向上を図るだけでございます。
 いま先生がおっしゃった栄養課の問題でございますが、私はちっともこだわっておりません。ただ、栄養士会の方から文書をもちまして、いろいろこちらの方の話を聞いた結果、栄養課ということよりは、健康管理や指導全般を担う栄養士の役割りという点から見て、栄養健康という文字を入れてもらっても大変結構だ、こういう意思表示等もございますので、いま検討しているという状況でございます。
 しかし、もし全国の栄養士さんが、そのために非常に不安を感ずるようなことになっては困ります。栄養士さんというものは、今度の私どもの考えている健康づくりにとっては非常に重要な役割りを果たしていただかなければいかぬわけでございますから、もし栄養士さん全体の意向が従来どおり栄養課でぜひそうしてくれ、そうでないと困る、こういうことであれば、これは私はよく傾聴いたしまして尊重していきたいと思います。また病院やその他のところの集団給食施設で栄養士に十分活躍をしていただくことは、やはり望ましいことでございますから、決してそういう不安を持っていただかないように、私どもとしてもできるだけ指導いたしたいと思います。
○田口委員 では、現場に栄養士会といった団体があるのですから、その意向を十分にくみ入れた方向で措置をしていただきますことを要望いたします。
 最後に、やや事務的なことかもしれませんが、実は結論から先に言いますと、いま国民健康保険に限らず医療保険全般にいろいろ問題があるのですが、それはきょうはさておくとしまして、国民健康保険の診療報酬の支払いに対する年度区分を改めてもらえないかという要望が、特に保険者である市町村から強いのです。
 その理由を長々と申し上げる必要はないと思うのですけれども、普通の一般会計では、大臣も御承知だと思うのですが入るを図って出るを制すと言いますね。ところが医療保険は出るを制すということは全くきかぬわけです。きかぬというか、予測がつかぬという状態が強いでしょう。保険税なり保険料なりは大体わかる。ところが幾ら出ていくかということがなかなか予測しがたい。しかし経験で、まあことしは何百万とか何億要るということはできます。ただ、ことしのようにソ連かぜが二月、三月にはやる。二月、三月にお医者さんに診てもらった、その請求が大体常識的に五月ですね。ことしのような場合には、ソ連かぜの患者がどっと出た、五月に幾ら診療報酬請求があるかわからぬ、こういうことで特に保健衛生課といいますか、国民健康保険課といったようなところでは頭を悩ましておるわけであります。
 それなら専決処分でやればいいじゃないか、地方自治法に言っておるのですから。ところが最近の地方議会の状態では、余り専決処分なんかやりますと、市町村長、特に担当者のかなえの軽重を問われる。そうしたら専決処分もやりにくい。予備費を三%組むようになっておるじゃないか。この予備費も医療保険については市町村議会ではなかなか問題にされる。もう年度末になると衛生課長なんか頭を抱えているわけですよ。
 したがって、この地方自治法施行令の百四十三条に、はっきりと「国民健康保険の療養の給付に関する診療報酬」は、給付の支払いの「原因である事実の存した期間の属する年度」ということになっておりますから、ことしで言いますと、これはどうしても五十二年度に入っていく。だからこれを二−一ベースといいますか、三−二ベースといいますか、二月、三月の診療報酬はことしで言うならば五十三年度にするとか、こういったように百四十三条の第五号に移しかえることができないのか。そうすると専決処分だとかなんとかということも必要なくなるのです。この辺、厚生省と自治省とどういうふうなお考えを持っておるのか。
○八木政府委員 確かに先生御指摘のように、診療報酬の支払いは現実に診療した翌月にお医者さんの方から請求し、支払いはその翌月に行われるということでございますので二カ月おくれになる。したがって二月診療部門は四月、三月診療部門は五月になりますので、現実問題としましては翌年度に支払われるわけでございますけれども、現在、地方自治法の施行令におきまして「支出の原因である事実の存した期間に属する年度」ということにはっきりされておりますので、御指摘のような特に自治体の出納関係等につきましては、そういうような問題はあろうかと思います。ただ現在、自治法の施行令で、これはすべてに通じまして、この原則ということになっておりますので、これは自治省の方とも十分御相談しなければいけない問題だと思いますけれども、この問題だけについて自治法の施行令で別な取り扱いができるかどうかということにつきましては、むしろ自治省の方とも十分御相談して御検討いただきたいというふうに考えております。
○鹿児島説明員 お尋ねの件につきましては、現在の地方自治法施行令の百四十三条の趣旨をまず前提として申し上げさせていただきたいと思います。
 現行の百四十三条の規定の基本的な趣旨といたしますところは、歳入、歳出の所属年度区分を定めるに当たりまして、事実関係に即しました決算上の取り扱いになりますけれども、できる限り、その事実に即しまして所属年度を決めたい、こういう考え方で現在の百四十三条が規定されておりますことは御承知のとおりでございます。したがって一号で、支払い期日が定まっております支出につきましては、その期日。それから、二号から四号まで、この中に国保の診療報酬も入っておりますけれども、この事実関係が明確なものにつきましては、その事実関係の属する所属年度ということで区分をいたしまして、以上の経理区分で明確にならない部分につきましては支出負担行為が行われた年度ということで所定の経理手続をとるという形にしておるわけであります。
 お尋ねの、たとえば二月に診療が行われたという場合は、ただいまも御答弁がございましたとおり、翌月に審査がございまして、さらにその翌月に払い込みが行われるという経過になることは御指摘のとおりでございます。したがって、二月に診療が行われます場合には、その二月分につきましては五十二年度の支出といたしまして決算上処理をするということになってまいるわけでございますけれども、現在の取り扱いにいたしましても、五十二年度に区分するという形で出納整理期間が五月までございますから、一応五十二年度として経理するということが適当ではないかというぐあいに私どもは考えております。
 いま一つ理由といたしましては、御案内のように国民健康保険税、これを課税いたします場合に、当該年度の初日におきまして、その年度分の見込み額ということを前提にいたしまして税を賦課いたしておるわけでございます。したがいまして、歳入と歳出とのバランスということを考えてまいりますと、当該年度分の税金によりまして当該年度分の支出を賄うということが、バランスの上から申しましても経理上適当ではなかろうかという考え方を持っておるわけでございます。
 なお、専決処分についてのお尋ねでございますけれども、専決処分につきましては、いずれにいたしましても、五十二年度分から払うにいたしましても、あるいは五十三年度分から払うにいたしましても、当該年度の概算の見込み額で歳入、歳出予算を立てておりますから、通常は専決処分の必要はないもの、かように考えているわけでございます。
○田口委員 歳入、歳出と自治省言うけれども、一般会計なら大体それでいいんですよね。入ることはわかる。出るのも大体わかる。ところが、医療保険の場合には、入ることはわかるけれども、出ることはなかなか制することはできぬわけですよ、そうでしょう。これはそういう実態なんですね。だから他の医療保険に類するものも全部そういうことになっておればしようがないということになるのですけれども、生活保護法の医療扶助、それから健康保険の高額療養費の医療費、そういったものは支出した日の属する年度ですね。第五号です。同じような種類でありながら。さらに、国民健康保険の審査手数料なんかも、これは支出した日の属する年度でしょう。それと同じ性格を持っておる診療報酬だけ、その原因が生じた日の属する年度になるのか。こういう矛盾もあると思うのです。
 それで、専決処分は簡単やと言っておるのですが、市町村なんかの予算編成の際に、決算の場合にも、まあことしはそろそろ決算の時期になってまいりますが、かつてのように大体不足だろうと思って見込んだら余剰金が出たとかで、その職員のかなえの軽重を問われるということになるのです。だから現場の職員が、市町村の保険者がやりやすいように、ことしの国家予算のように五十四年度に属する分まで収入を見ようというのじゃないのですから、初めは混乱があるでしょうけれども、二−一ベースなり三−二ベースということに変えていけば、やりやすいんじゃないかと思うのです。だから、この第三号の分を第五号に落とすだけでやりやすくなるのです。事は簡単だと思うのですが、簡単じゃないですか。
○鹿児島説明員 ただいまお話がございました、たとえば療養費の支給、これは支出負担行為が行われた年度の属する年度に所属するということで、五十三年度に所属する、こういう形になってくるわけでございますが、診療報酬の支払いにつきましては、これは先ほど申し上げました形で、現在の国民健康保険税と対応させるという形で年度区分を決めておるということでございます。
 先ほども申し上げましたとおり、確かに事務手続が二カ月おくれてくるということで、事務手続としましてはいろいろと忙しい思いをすることもあろうかと思いますけれども、やはり出納整理期間が五月までございますので、その五月までの間に出納整理ができる限りは五十二年度の所属として経理することも、実務上も可能であろうというぐあいに考えております。
 なお、再度お答えいたしますけれども、専決処分の場合には、これは歳入、歳出の見積もりということでございますから、よほど大きな見通しの違いがございません限り、一般的には専決処分の必要がないものというぐあいに私どもは考えております。
○田口委員 これはどうなんですか、自治省はそういう態度なんですが、厚生省、特に保険局あたりで、現場の市町村保険者が大変処理に困っておる、だから検討を要するという、さっきのやや柔軟なお答えがあるんですけれども、全国の収入役会議なんかでもそういった意見が出ておるのです。衛生課長会議なんかでも当然にそういう改正要望が出ておるのですが、自治省どうですか。一たん決めたものは未来永劫に変わらないんだというんじゃなくて、他の、さっきも言った生活保護なり高額療養費の場合、審査手数料の場合、現にそういう例があるんですから、診療報酬についても二月−一月ベースに変えていく、これは検討しなければならぬということになりませんか。これだけお尋ねして終わりたいと思います。
○鹿児島説明員 実は現在の施行令の百四十三条の規定は、昭和三十八年の地方財務会計制度の全面的改正の際に、この規定が新しく規定されたわけでございます。当時のいきさつからいたしますと当時は地方団体からの強い要望もございまして、現在のような書き方をしたといういきさつがございます。その理由は、先ほど来申し上げております税金と支出との対応関係を明らかにしたい、こういう要請が非常に強くございまして、現在のような書き方になっている。したがいまして、私どもも決してこれを変えないということを申し上げるわけではございませんけれども、片方でそういう歳入、歳出のバランスをとるという強い要請がある。片方でまた御指摘のような実務上の問題があるといたしますならば、そういった要望も十分踏まえました上で検討させていただきたい、かように考えます。
○田口委員 では、終わります。
○羽生田委員長代理 この際、休憩いたします。
 なお、本会議散会後直ちに再開することといたします。
    午前十一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十一分開議
○木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。森井忠良君。
○森井委員 お聞きをしたいことは山ほどありますが、三十分しか時間がありませんので、一、二点しぼってお伺いをいたします。
 まず最初は保育所の問題であります。お尋ねをいたしたいのは、いま五十三年度予算審議中でありますが、原案どおり通過をいたしますと、新年度では新しい保育所は幾つ建ちますか。
○石野政府委員 現在、都道府県の方からヒヤリングを行っておりまして、都道府県の計画に基づきまして幾つぐらい新築をするか、幾つぐらいの改築の希望があるかを聞いております。施設整備費全体四百九十億という予算でございますが、その枠の中で保育所を整備することになるわけでございますけれども、従来のペースでまいりますと、五十年度が実際上整備しましたのが八百八十でございまして、五十一年度も大体それぐらい行っておりますので、それぐらいの数字が大体の考え方でございますけれども、なお都道府県の要望等も聞きながら決めていきたい、こう考えております。
○森井委員 予算書を見ますと、社会福祉施設整備費でぶっ込めで計上してあるわけですね。これは五百四億じゃありませんか。――四百九十億、まあいずれにいたしましても、そう大差はないわけでありますが、問題は、この中で保育所が幾つ、あるいは障害児・者の施設が幾つ、お年寄りに関するものが幾つというふうに分けてありますか。
○上村政府委員 特に分けておりません。保育所あるいは老人福祉施設、身体障害者福祉施設含めまして施設整備費が四百九十億円でございます。さっき五百億とおっしゃいましたが、そのほかに設備の整備費が入りますと五百億を若干オーバーする予算になるわけでございます。
○森井委員 予算を組むのに一体、施設ごとに幾つ建てるという算出の根拠はないのですか。
○上村政府委員 一般的な公共事業の場合には個所づけを先にいたしまして、それで積み上げて予算を要求するわけでございますが、社会福祉施設の場合には、福祉施設の種類だけで四十幾つあるわけでございますので、これまでの傾向を考えながら単価アップ等を考慮して予算を要求する、こういう要求方式をとっておるわけでございます。
○森井委員 私はずさんだと思うのですよ。いいですか。都道府県から上がってきたものが、先ほど申し上げましたように、保育所は保育所、身体障害児・者の施設は施設、老人ホームは老人ホーム、それぞれ県から上がってきて、その上で国は必要なものを何カ所、しかも県から上がってきておるということになれば、どこに建てるかということも含めて、私は積算の根拠があってしかるべきだと思う。社会福祉施設整備費という形で一括をして四百九十億というふうな、つまみの金でやられるというのはどうしても理解ができないわけですよ。予算が通った後で、それから山分けをするわけですか。何のために、それでは分けるのですか。
○上村政府委員 お話の趣旨、わからぬでもないわけでございますけれども、一つは、一括して計上することによりまして、予算を執行いたします場合に、四十幾つの種類の施設の需要に応じまして弾力的な執行ができるという執行面の便宜と、もう一つは、実際問題といたしまして都道府県自身がその具体的な整備計画を立てますのは、それぞれの年度の初めでございまして、たとえば五十三年度なら五十三年度の予算を組む時点では、各都道府県の計画というものはまだ全然上がってこない。そういう段階で予算を組むわけでございますので、お話の趣旨はわからぬでもございませんけれども、そういう組み方をせざるを得ないという事情にあるわけでございます。
○森井委員 こんなことで時間とりたくありませんけれども、そうしますと、これから四月に予算が通って、それから、どこの県に何カ所建てるということを決めて、それから設計をさせて、物によっては、これは土地の整備もしなければならぬでしょうし、用地の買収の交渉もしなければなりませんけれども、そういったことはこれからやるわけですか。
 福田内閣の経済政策は御案内のとおり、いま景気が悪いから、できれば前倒し、前倒しで、十五カ月の予算も組んでいるじゃないですか。少なくとも上半期で公共事業に関するものは七割以上消化したいという方針があるじゃないですか。いまから決めるというばかなことがありますか。しかも保育所は住宅と並んで、保育所だけではありませんけれども、私はやはり景気の波及効果というのはかなりあるしろものだと思うし、これはそれなりに保母さんその他ある意味で雇用にもつながるわけですし、そんな後退をした態度では私は納得できないと思うのですよ。
○上村政府委員 福祉施設の補助金の場合には、私立を含めまして都道府県が予算措置を講じなければいけないわけでございます。都道府県が予算措置を講じますのは、いま始まっております各県会ということになるわけでございますので、そこで実際に、どこに、どういう施設をつくるかということが具体化されるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、こういった関係の経費というものは特に来年度は早目に執行しなければならないというふうな時代の要請もございますので、内々に各県には、どういうふうな計画を持っておるかということを私どもの方で聞いておるわけでございます。したがいまして、予算が成立をいたしまして、そうして予算が執行できる段階になりましたら、速やかに補助金を交付することによって社会福祉施設の整備が早く行われるように、来年度も努力するつもりでございます。
○森井委員 いずれにいたしましても、いま時間の関係もありますから、これ以上申し上げませんけれども、少なくとも保育所に限って、きょうはお伺いするわけですが、実際には、もう去年もおととしも、ばっさばっさ切られて保育所が建たなかったという例は御承知のように幾つもあると思うのですよ。だから、つまみで、私はあえてつまみと申し上げたいのでありますが、四百九十億の金をこれから各局が分捕り合戦をするわけでしょう。それ以外に考えられません。それぞれ厚生省の中の各局には、都道府県や、あるいは、みずからのものもあるかもしれませんけれども、それを通じて、これから施設整備をしていくというわけでしょう。そうしますと、どうしてもこれから分捕り合戦が始まる。こんなきわめて非科学的な、根拠に基づかない、予算を組むにしても何カ所どれを建てるということが決まらないような予算ということがありますか。私は厳重にこれは反省を求めておきたいし、来年度からは具体的に示していただくように、この際、強く要求をしておきます。
 そこで、具体的にお伺いいたしますが、いま都道府県とヒヤリングをしているとおっしゃいましたけれども、一体何カ所ぐらい新しく建て、あるいは増改築するというふうな計画が上がってきておりますか。
○石野政府委員 実は、そのヒヤリングを始めましたのが今週の初めでございまして、各県それぞれ担当者を呼びまして聞いておりますので、まだ三分の一ぐらいしか聞いていないわけでございますので、その数字はまだつかんでおりません。
 しかし、いままで聞いた範囲で申しますと、全体の数はわかりませんけれども、新築と改築の割合は、従来の大体のベースの、たとえば去年で申しますと、約五百八十ぐらいが新築で、改増築が大体三百前後でございましたけれども、大体同じような比率になっているようでございますが、全体の数字は、全部ヒヤリングを聞いた上で申し上げたいと思います。
○森井委員 いま大体聞いた範囲では、そうすると、まだ四、五百しか出ていないことになりますね。
 いままで行ってこられた中身をざっと見てまいりますと、新築、改築、増築、あるいは増改築というふうなものもあるのですね。大体九百弱、八百数十というふうなところで推移をしておるわけですね。具体的には、保育所の新築あるいは増改築をしたいという要求は、私はこんな少ないものじゃないと思うのです。いま全国で大体幾つぐらい保育所を建てたいという要求が出ているか、厚生省は把握しておりますか。
○石野政府委員 全体の数字から申しますと、御案内のとおり五十一年に保育の需要の実態調査を行いまして、その数字から見ますと、全体で二百二十六万人の整備が必要だ、こういう数字が出ております。現在の段階で整備を終わっておりますので百九十万人でございまして、児童館でございますとか、その他のいろいろな施設、その辺を整理いたしますと約二十五万人ぐらいの整備が必要だ。これを私の万は、できれば三カ年計画ぐらいで解消していきたい、こういう考え方でおりますが、今年度、そのうちで各県から来ますのは、大体千を超えるのじゃなかろうかというふうに考えてはおります。
○森井委員 じゃ具体的に申し上げますけれども、仮に、わかりませんけれども五十三年度で新築、増改築等を含めまして九百の保育所を何とか手がけたいということになった場合に、都道府県や市町村からの要求というのは、それで満たされるとお考えですか。
○石野政府委員 数の面から申しますと、協議の数に対して一〇〇%やるというわけにはいかないと思います。ただ問題は、各県の保育率と申しますか、現在、学齢前児童がおりまして実際に保育所に入っております児童の率を保育率と申しておりますが、その保育率の高いものをやるというわけにはいかない。したがいまして、本当に保育の需要の高いものについて優先的にやるということになりますと、現在の、いままでやってまいりました数で、十分と申しませんけれども、おおむね満足できるんじゃないかなというふうに考えております。
○森井委員 そうしますと、大体二十数万人分がまだ足りないから、三カ年計画を立ててきっちりやるということですが、この点については確認してよろしゅうございますね。
○石野政府委員 先ほど社会局長が申しましたように、各県の計画に基づいてやりますので、私の方はそれに対して助成するわけでございますが、各県の希望を聞いてみますと、大体その線で考えておりますので、現在の予算でいけば賄える、こういうふうに考えております。
○森井委員 これは厚生大臣にお聞きをいただきたいのですけれども、いま全国の市町村が三千二百五十六あるのですよ、大臣。これは大都市も中小都市も、いわゆる村と言われるところも含めてですけれども、三千二百五十六あって、毎年保育所を手がけてきたのがせいぜい八百から九百の間なんです。私のおります広島県だけではないと思うのでありますけれども、とにかく、保育所を建てることで目の色を変えるわけです。
 たとえば広島という大きな市がありますが、九十万近い市でありますけれども、ここでも一カ所か二カ所でがまんしなさい。私は呉でありますが、これが二十四万人の中都市でありますが、これも一カ所でがまんしなさい。とにかく大きなところでも小さなところでも、一カ所ずつ行き渡らないのですから、やってみますと。これは私は大変なことだと思うのですよ。先ほど局長はああいうふうな答弁をいたしましたが、潜在的に保育所を建てたいという数は山ほどあると私は思うのです。また、それだけ子供もふえておる。まだ市町村によって、まあ市はありませんが、町村によっては公立の保育所が一つもないところもあるぐらいですからね。ここいらから考えていただくと、いかにこの数が少ないか。
 あなたは、ああいうふうな答弁をなさいましたけれども、実は厚生省と都道府県とでヒヤリングをやる段階は、もう県で全部ふるいにかけているのですよ、ふるいに。だから、わんさ出てきたものを県がふるいにかけて、あなたのところ、言ってもだめですよ。たとえばぼくのところの呉で言えば、せめて二カ所建てたいと言えば、県で一カ所落とされるのです。二つ出したってだめですよ、一カ所が無理なんだからといって抑えられて、その上で厚生省と初めてヒヤリングになるという形になっている。との現実をぜひひとつ御理解をいただいておきたいと思うのです。
 そこで大臣、もう時間がありませんから私、結論に入りたいと思うわけでありますが、実は今年度、調べてみましたら、厚生省が認めてくれないので、これは単独町費、単独村費でやらざるを得ぬ、こうなるわけです。そこで自治省へ走っていくわけです。そして起債をもらって、そして厚生省に頼らずに保育所を建てたい。これは調べてみましたら、何と全国で百四十九カ所、今年度起債の申請を自治省に対して出しているじゃありませんか。いかに狭き門かということがおわかりだと思うのでありますけれども、こういった現実を大臣、どのようにお考えになるのか。まず基本的な考え方を、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
○小沢国務大臣 保育所の需要が非常に多いことは、私も自分で体験をしておりますので、よく存じております。したがって、保育所の増設につきましては、できるだけ毎年努力しなければいかぬと思っておりますので、今年も、社会福祉施設整備費の中の分け方を決定いたしますときに、できるだけ保育所に重点的にいたしたいと思いますので、逐次要望に沿うように何とか改善していきたいと思います。
 ただ、保育所は本来、御承知のように「保育に欠ける」児童ということになっておるのですけれども、実はもうそういうような時代でなくて、幼稚園ができないところは、やはりもう全児童の保育所ということを考えざるを得ないような、幼児教育の場になっておるんじゃないかと思うのでございまして、そういう現実を見ますと、後でいわゆる措置費の経常費の負担がどんどんふえるようなことが一つの制約になっておるというふうにも思われますので、この辺どうしたらいいのか。いろいろ私どもも、保育所のあり方について、本来の意味の保育所と、それからその地域の実情に応じて、どうしても幼児教育の場として「保育に欠ける」という観念ではないけれども全部入れなければならない、教育をしなければいけないような保育所、こういうものをどうしても分けていかないと、本当の意味での需要に応じ切れないんじゃないかという気がするわけでございます。
 しかし、やはり保育所を社会福祉施設では重点的にしましてやっていきまして、当面の需要に、まずこたえていこう、こう思っておりますが、将来よく検討をしてみたいと思います。
○森井委員 将来の問題につきましては、きょうは時間がありませんので、また別の機会にじっくり議論をさせていただきたいと思います。
 自治省、百四十九カ所、これはあなたの方からとりあえず聞いた数字でありますけれども、今年度保育所を建てて、そして起債を申請をしているわけでありますけれども、これは全部認可をいたしますか。
○津田説明員 お答えいたします。
 本年度、単独で申請が出ておりますのが、先生御指摘のとおり百四十九カ所でございます。最終的には国の方の二次補正の補助金の配分等もありまして若干変わるかと存じますが、現在は先生のおっしゃった数字でございます。
 自治省の考え方でございますが、保育所の整備事業につきましては、御承知のとおり地方財政法の十条の二で、国と地方とで負担し合ってやるというような負担事業という考え方になっておるわけでございます。そういうような意味におきまして、このような単独事業が非常に多く発生するということは財政秩序の点でも問題があるわけでございます。しかし、こういうような事態が現実に発生しておりますことは、児童福祉法施行令の十五条の第二項でございますが、厚生省が承認する際の基準となります「整備計画に適合する場合」という規定があるわけでございますが、この整備計画が不明確である。これによって市町村の方が、自分のところでやっておる事業が補助対象になるのかならないのか、そこらがわけのわからないまま事業執行がなされる、こういう点にあるのではないか、私どもはかように考えておる次第でございます。したがいまして、今後におきます財政秩序の確保あるいは国費自体の必要額の確保というような点を考えますと、先ほど申しました整備計画あるいは合理的な国庫補助採択基準というものが明確化されなければならないのではないか、かように考えておりまして、現在、厚生省の方にその旨を申し入れておるわけでございます。厚生省においても検討中でございますので、その意見の調整を待ちまして、この単独事業の扱いを処理したい、かように考えております。
○森井委員 大臣お聞きのように、厚生省で認めてもらえないものですから、先ほど申し上げましたような実情で起債の許可を受けて建てる。その裏には住民からの保育所を早く建ててほしいという要求がくっついて、市町村長はやむにやまれず、そういう態度に出られるわけでありますが、いま全部ではありませんが、起債がまだ認めてもらえないので、建物は建ったわ、まだ保育所は宙に浮いたままになっておるわけなんです。
 いまお聞きのように厚生省と自治省で考え方が違っておりまして、確かに自治省の言い分もわかるわけですね。児童福祉法の五十二条で、ちゃんとこれは国庫の負担が明記してある。二分の一ないし三分の一負担をする、こうなっているものですから、やはり無秩序に保育所のために起債を認めるということについてはいかがなものかという自治省の主張も私はわかるわけでありますが、はっきり申し上げまして厚生省と自治省の考え方が対立をしているわけです。その飛ばっちりは市町村にいっておりまして、いま起債を認めてもらえないという情報が入って顔色を変えている町長さん、村長さんは多いのです。ぜひひとつ、これは両省で話し合っていただきまして、とりあえずこれは緊急避難として、来年度以降については、きちっとしたことを考えるとして、当面は両省話し合っていただいて百四十九カ所、二次補正との関係が出れば数は少し減るかと思いますけれども、いずれにいたしましても責任を持ってこの問題を解決する、こういう立場で進めていただく御用意があるのかどうなのか、これは大臣から、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
○小沢国務大臣 おっしゃるように必ず実現できる方向で善処いたしたいと思います。
○森井委員 時間があとわずかになりましたが、それでは次に、私は慢性腎炎、いわゆる腎機能不全の患者の皆さんに対する問題についてお伺いをしたいと思うのです。
 去年のたしか六月一日から、社団法人の腎臓移植普及会が音頭を取りましていわゆる腎臓バンクを発足させました。これは大変喜ばれているわけでありますし、これに対して厚生省は委託費という名目で一定の補助金を出すというところまで認識を新たにされまして、これは私も評価を申し上げているわけであります。
 ただ心配な点が一、二点ありまして、一つは、アメリカでは、もうかなり古くからで、最近では年に大体五千例ぐらいの腎臓移植をやっていて、かなりな経験があるわけでありますが、私が聞きます範囲では、日本では三十九年ごろから始めて、まだそれぞれの臨床例というのが少ない。六百か七百ぐらいじゃないかと思うわけでありますが、一体どの程度成功するものだろうかという危惧の念が一つございます。その点についてはいかがですか。
○佐分利政府委員 腎移植手術の成功率でございますが、アメリカあたりでは、もう九〇%に近くなっております。しかし日本の場合は、まだ歴史も浅いということでございまして、たとえば親兄弟の生きた腎臓を使う場合と、それから死体の腎臓を使う場合で若干成績が違いますけれども、日本では八四%の成功率になっております。
○森井委員 そういった点もあって、腎臓の移植ということになりますと当然、希望者ということになるのだろうと思うのですけれども、大体どれくらい移植を希望している人があるのですか。
○佐分利政府委員 腎臓移植普及会で腎提供者の登録をすると同時に、腎移植希望者の登録もしておりますけれども、その数はまだそれほど多くございません。五百七十五例程度でございます。しかし、そのほかに腎移植を希望する方もあると思うのでございまして、理論的には腎透析をやっていらっしゃる患者さんの二割くらいは将来、腎臓移植が必要になるであろうと言われております。ちなみに、いま腎透析をやっていらっしゃる方は、昨年六月末現在でございますが、二万一千人余りでございます。
○森井委員 そうすると、ざっと四千人余りの人が腎臓移植を希望していると見なければなりませんね。ただ私、心配なのは、これはまだ、いま関東地方に一カ所しかできていないわけですね。将来やはりこれは全国に広げる必要があると思うのでありますけれども、一体これから全国にお広げになるつもりはあるのかどうなのか。あるとすれば、これは計画的に進めらるべきだと思うのでありますが、その計画があれば明らかにしていただきたいと思うのです。
○佐分利政府委員 厚生省といたしましては、当面、まず全国を八ブロックに分けまして、各ブロックに一カ所の腎センターは持ちたいと考えております。すでに国立佐倉療養所をナショナルセンターにする計画で五十年度から整備を始めておりまして、一部の事務はすでに五十二年度からやっておりますが、これも来年は本格的に活動を開始いたします。また御審議をいただいております来年度の予算案では地方腎センター一カ所の予算を計上いたしております。できるだけ早く、まず八ブロックにセンターを持ちたいと考えております。
○森井委員 時間が来ましたから、この一問でやめますけれども人工透析の問題です。これは数は患者の数に比べて透析施設もある程度整っておるようでありますけれども、問題は、その地域が偏っていまして、言うなれば私のところのように離島が多いとか、あるいはまた山の奥の辺地だとか、そういったところで思うように透析治療が受けられないという患者からの非常に切実な要求が出ております。もう一回、分析をしてみますと、たとえば公的医療機関等でもまだ透析施設を持っていないというふうなところもあったりいたしまして、かなり問題であります。
 それから、患者さん方は一日も早い社会復帰を願っていますし、人によりましては勤めていらっしゃる方もあるわけなんです。そのためにはやはり夜間の人工透析をぜひやってもらいたい。夜間につきましては、何といいましても、これは受け入れ機関の方では率直に申し上げまして迷惑な話だということになるものですから、いろいろと問題が出てくる。そういった点から考えますと、やはりこれは何らかの国の手当てが必要である。たとえば診療報酬等についても、今後の改定で少し色がついたようですけれども、わずか百五十点ぐらいではまだまだ足りない、こういった問題もありますし、話が戻るわけでありますが、何といいましても、たとえば自治体病院等の公的医療機関に、もっと透析設備があれば、もっと夜間等もやっていただけるのではないかという期待もあります。ところが、これはもう透析設備をしようとしても、すでに五十年から補助が打ち切られておりまして、自治体病院等にやってくれということになりますと、これは補助がつかないというのでなかなか実現に運ばない。したがって、補助をもう一回復活をさせてもらいたいという要求も出ておるわけであります。こういった問題についてお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐分利政府委員 これも昨年六月末の状況でございますが、現在九千四百四十八台の装置が全国にあるわけでございまして、その患者の処理能力は約二万八千人余りとされております。したがって、まだかなりの余力があるわけでございます。もちろん辺地、離島の問題がございますが、辺地、離島でまで、こういった腎透析ができるという国はないと思うのでございます。日本はよく整備されている方でございまして、私どもは、いわゆる自治省の広域市町村圏に少なくとも一カ所は透析センターを持ちたいという計画で進んでおります。特に、御指摘のございました補助金の問題でございますけれども、確かに五十年以降は補助金は差し上げておりませんけれども、融資でいろいろとお世話をしているわけでございます。
 また、もう一つ御指摘のございました夜間透析でございますが、これも現在は約六千九百人ぐらいの方が夜間透析を受けていらっしゃいます。これもやはり地域によっては、もっと夜間透析をふやしていかなければなりませんが、まず医学的に見て夜間透析というのは無理があるという患者さんも少なくないわけでございます。また、もう一方においては国公立、公的では定員の関係から職員の確保がなかなかむずかしいというような問題がございまして、思うように進んでおりませんけれども、これも各県にお願いして各地域の実情を調査して計画をつくっていただくことになっておりますので、そういったものを見ながら融資などで助成をして普及をしてまいりたいと考えております。
○木野委員長 次に、竹内勝彦君。
○竹内(勝)委員 私は、まず最初にスモン訴訟の問題についてお伺いいたします。
 一万人以上の患者を出したスモン問題に関して、金沢地裁において法の裁きが下った。そこで、国、製薬会社に、その責任として最高度の注意義務を要求し、さらに原告の要求を全面的に認めた、こういった面に関して厚生省は、まずどう対処するのか、その辺からお伺いしたいと思います。
○小沢国務大臣 この判決は国の責任につきまして非常に厳しい態度で判断をしているわけでございますが、これらの点は、現行薬事法上の国の責任のあり方という点を法律的にも十分私ども検討いたしまして、その結果どういうような態度を持っていくかということを結論づけたいと思います。現在はまだ検討中でございますので、ここでどちらにするということについてのお答えを申しかねる状況でございますから御猶予をいただきたいと思います。
○竹内(勝)委員 この問題は全国の人たちが注目しておる重要な問題でございます。特に大臣は、このスモンの民事上の責任について、いままで法的義務はないという態度に終始されてきた。今回の判決では、医薬品の安全性確保といった面に対する国の法的義務について、厚生大臣は、製薬会社から新薬の製造許可の申請があった場合、その時代における最高の学問的水準によって安全性や有効性を審査する義務が薬事法上存在するとしております。さらにまた、薬事法の規定は国の安全確認義務の根拠規定と解し得ないものではない。これらの前提に立って国側の過失責任を認定した。いま検討中と言っておりますが、この判決に対して、それではいままでのような考え方から改めて控訴するのか、あるいはこの判決を受諾するのか、この辺を明快にお伺いしたいと思います。
○小沢国務大臣 ただいま申し上げましたように、控訴するのか受諾するのかということについての検討をいたしている最中でございますので、しばらく、ひとつ御猶予をいただきたいと思うのです。
○竹内(勝)委員 このキノホルムの危険性の予見は、すでに昭和二十八年の段階で可能であった、こういった判断を示しております。ところが厚生省として、それから十数年、四十五年にキノホルムの販売中止に踏み切るまで、こういった問題を放置しておった。こういうような事実から考えて一体このことをどう考えますか。
○小沢国務大臣 この判決の中の予見可能性についての判断、これも私どもとしては一つの非常に大きな論争点ではないかと思います。ただいま当時の状況、薬事法の性格等を含めまして、いろいろと検討中でございますので、この点もひとつお許しをいただきたいわけでございます。
○竹内(勝)委員 こういった患者の人たちには次次に亡くなっていっておる人が数多くあるわけなんです。そして、すでに長い間このような形で争われておる。大臣はぜひひとつ、こういった判決が出たこの時点におきまして、速やかに、その点の御判断を願わなければならない、この点を要望しておきます。
 そこで、特に金沢地裁の判決と、それから、昨年十月に東京、ことし一月に岡山といったところが和解調印しておりますが、こういったものとの兼ね合いを考えて、今後どう対処するつもりですか。
○小沢国務大臣 先生が最初におっしゃいました患者の救済ということは、私どもは金沢についても東京、岡山と同じように和解の道を選んでいただければということで和解の申し込みもいたしたわけでございますが、原告側でこれを拒否されたわけでございます。したがいまして、昨日判決をいただいて私どもが検討をしていることが、患者に対する救済の問題について非常に冷淡だということは私は言えないと思うのです。これはひとつ御理解いただきたい。民事上の責任は私どもはないという主張、立場をとりつつも、東京においても岡山においても患者救済の立場から和解に応じているわけでございますから、したがって、この点はひとつよく御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○竹内(勝)委員 それでは、薬事法の見直しというものが指摘されておりますが、この薬事法改正という面に関して、どう考えますか。
○中野(徹)政府委員 薬事法の改正問題でございますが、御承知のように、現行薬事法は昭和三十五年に制定をされたものでございまして、その直後に、先生御承知のようにサリドマイド事件に関するレンツ警告が出るといったような、現行薬事法の制定された直後あたりから、薬の安全性問題がいわば全世界的に関心が高まってきたわけでございます。
 厚生省といたしましては、このサリドマイド事件等の経緯にかんがみまして、昭和四十二年以降、新薬の製造承認に非常に厳しい基準を定めまして、また既存の医薬品についての安全性、有効性についての再評価も行い、さらに副作用に関するモニタリングシステムを設けまして、行政上の措置といたしましては、できる限りの努力をしてまいったつもりでございます。しかしながら、可部所見等にも指摘されておりますように、それらは行政措置でございまして、法規上の根拠を欠いていることもまた事実でございます。そういう問題を含めまして薬事法について主要な柱について現在検討中でございまして、なるたけ大幅に現下の状況に適合する薬事法の改正を検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○竹内(勝)委員 今回の判決が国と企業の責任を明確にした点は評価できます。
 そこで残念なことは、賠償金額があの東京地裁の和解よりも下回った、非常に残念なことです。私はここであえて申し上げておきたいのですが、このスモン患者が毎日苦痛、苦悩のうちにおるということをよく理解していただいて、血の通った行政をぜひお願いしたいと思うものでございます。こういった意味から薬害救済制度、これを一体いつ出しますか。
○中野(徹)政府委員 厚生省の方針といたしましては、薬害救済制度を五十四年度から発足させるということで昨年中、検討を進めてまいったわけでございます。昨年スモンの和解調印直後に、それについての試案を公表し、各界の意見を承るという手続をとったわけでございますが、その中に薬事法の基本的な問題の改正をもあわせ行うべきだという意見が非常に強く、したがいまして厚生省といたしましては現在、薬事法の主要な改正点についての検討を精力的に進めているところでございます。したがいまして、この薬事法改正と薬害救済法案を、現在の作業日程からいたしますと次国会に提出をいたし、救済制度そのものの発足は当初予定どおりに五十四年度中にはこれを開始いたしたい、かように考えております。
○竹内(勝)委員 次国会ということですと、ことしの九月ごろ、あるいは、それより早くなるか、その点はわかりませんが、そのように解釈しますが、それでいいですね。
○中野(徹)政府委員 そのとおりでございます。
○竹内(勝)委員 本来ならば人の病というものを治すはずの薬が実は人をむしばんでしまった。こういったものを認めた国にも大きな問題を投げかけた。こういった形でございますが、私はここで論議を進めまして、実は化粧品という問題で、最近いろいろ黒皮病であるとか、しみができたとか、はだがおかしくなったとかいうようなことで、また訴訟が出てきておりますし、いろいろと全国各地において問題が出ておる。
 その中で、まず本来ならば、はだを守り、そのはだを少しでもよくしていく、美しいものにしていかなければならない、そういった立場でいかなければならない化粧品が、実はその中に変な不純物がまじっていたり、あるいは、それが今度はしみだとか黒皮病だとか、いろいろなものを生んでいって、そして最終的にはもう本当に取り返しのつかない事態になってしまう。これは全国にいろいろなものが出ておる点は御承知のとおりです。この化粧品に使用される成分というものを、厚生省としてはどんなものがまじってはならないという規制と、それから不純物として禁止しているものは、どういうところに基準を置いておるか。化粧品の原料をこういうふうにして選んでおる、こういった面を簡単にお答え下さい。
○中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 化粧品に関しましては、わが国は世界にただ一つの例でございますが、事前の許可制度をしいておりまして、この制度については厳重な規制をいたしております。非常に多種類にわたる化粧品の原料品質につきましては、繁用されており、かつ安全であると考えられるものを化粧品品質基準あるいは化粧品の原料基準等の定めをいたしまして、これに照らして許可を与えているというのが現状でございます。なお、新規の成分を使用いたします化粧品につきましては、特に中央薬事審議会に、その新規成分の使用についてお諮りをいたしまして、その上で許可を行っているところでございます。
 なお、不純物等の混入いたしませんように、現在の化粧品の製造工程におきまして事前に厳重な品質のチェックを行わしめておるところでございます。
○竹内(勝)委員 それでは私ここで提起したいのは、この化粧品の中に発がん物質であるとか、あるいは重金属とかいうものは当然含んではならない、こう考えますが、それでよろしいですか。
○中野(徹)政府委員 そのとおりでございます。
○竹内(勝)委員 それでは、ニトロソアミンという物質が最近、食品等に含まれて話題になりました。これは御存じのとおりです。このニトロソアミンというのは一体どういうものと承知していますか。
○中野(徹)政府委員 御指摘の化粧品に、いわゆるニトロソアミンが含有されているのではないかという問題が、アメリカの……(竹内(勝)委員「ニトロソアミンはどういうものか」と呼ぶ)ニトロソアミンは発がん性の物質でございます。発がん性の物質で、化粧品との関係から申しますれば、現在二つのことが考えられるわけでございますが、界面活性剤から転化したのではないかという説と、それから不純物として含まれているのではないかという両方の説があるようでございますが、現在アメリカにおいて検討されているというふうに承知をいたしております。
○竹内(勝)委員 概略はそういうことでございますが、このニトロソアミンというものは、私がちょっと調べたのでも亜硝酸塩とアミンとの化学反応により生成される。これはごく微量なものでも発がん性があり、強力なものです。体内に吸収されると内臓のがんになる可能性が非常に高い。世界的においてもWHO初め注目され、研究しておる。いま答弁のあったとおりです。またこれは変異原性を持つ遺伝毒物でもあります。したがって生物に突然変異をもたらし、人間の遺伝子にも作用して、遺伝に悪影響を及ぼすおそれがある、こういうものです。もちろん、こういうものは化粧品、医薬品等に含まれてはならないと思いますけれども、もう一度確認しておきます。
○中野(徹)政府委員 もちろん原則として先生のおっしゃるとおりであると思います。ただ、化粧品と申しましても、きわめて微量に、たとえば自然界の素材を使います場合に、非常に微量の、極微量の重金属等の混入するという場合もございまして、その際におきましては、やはりどの程度の量であるかということで、絶無であることが望ましいわけでございますけれども、その量という要素は一つあるかと存じます。
○竹内(勝)委員 私は先ほど発がん物質とか重金属は、こういったものには含まれてはならないということを確認しました。いま局長はそのとおりだと答えました。これはごく微量であろうとも、ごく微量のものが実は発がん物質なんですよ。微量のものでも強力な発がんの可能性がある、こういうように言われておるものです。あなたが調査したのもそのとおりです。
 では、昨年三月二十四日付のボストン・ヘラルド・アメリカン紙、これによりますと、米国で市販されておるローションあるいはシャンプーそのほかの化粧品中に、いま私が説明した強力な発がん性と変異性を持ったニトロソアミンが多量に含まれている、これが検出されたと報じております。この情報をキャッチしていますか。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の事実が、特にFDA関連でアメリカで問題化をしているという事実は承知いたしております。
○竹内(勝)委員 これはアメリカン・ケミカル・ソサエティーの総会で発表されたものです。ですから承知しておるのは当然でしょう。いまヘアシャンプーだとか、あるいはハンドローション、フェースクリーム、こういったものの化粧品二十九品目をテストしたところ、何とぞの中の十六品目にニトロソアミンが含有されていることがわかった。しかも、最高四万八〇〇〇PPbのニトロソアミンが検出されている。これについて資料を取り寄せるとか、あるいは調査するとかの措置をとりましたか。
○中野(徹)政府委員 この件につきましては、薬事審議会の専門家の方々と御相談をしているところでございますが、役所の対応としましては、当然このアメリカにおける――現在アメリカは、まだ行政的な措置としては何らとっておらない。問題を現在アメリカにおいて検討中という段階でございますけれども、わが国におきましても薬事審議会を中心に、この問題についての検討を進めてまいりたい。現在、資料も収集中という段階でございます。
○竹内(勝)委員 もうちょっと早く、収集中なんということじゃなくて、これをどういう措置をとらなければならないか。これはアメリカでそういう問題になったということから、私は指摘しているわけですが、では日本の化粧品に関して、こういう危険性がまずないと思いますが、もしも、これはあったら大変ですから、日本の化粧品に関して、こういった面で調査しましたか。
○中野(徹)政府委員 現在このニトロソアミンの含有量についての直接の分析は、なおまだ着手いたしておりませんが、アメリカの資料等もあわせ考えて、必要があれば、たとえば衛生試験所等において化粧品におけるニトロソアミンの含有量を、薬事審議会の御意見も聞いた上で、必要に応じ分析を進めるというたてまえでございます。
○竹内(勝)委員 先ほどのスモンの論議と一緒で、これは後になって取り返しがつかないといったんでは、どうしようもないのです。ましてやアメリカで、もうすでに問題になって長い月日がたっておるにもかかわらず、そういったことでは、これは怠慢じゃないですか、どうですか。
○中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 アメリカにおけるFDAを中心とした動きにおきましても、量との関連で、危険性につきまして、いろいろな考え方があるようでございます。アメリカにおけるこのニトロソアミンの含有量に関連した危険性の判断もあわせ考えまして、先生の御指摘のような分析をとるか否かを速やかに態度を決めたい、かように考えております。
○竹内(勝)委員 化粧品に関しては危険があるということで、アメリカでいま大騒ぎしてやっておる。それをどうだかまだわからぬと言っているが、だからこそ調査しなければいかぬのです。だから検討しなければいかぬのですよ。それがわかってからでは、また後になって二の舞、こういうことになってはならないから私は言っているのです。
 たとえば、これと同じ例が、工場等で金属を切るときに使われる水溶性の切削油にニトロソアミンが含まれている、これは御存じのとおりだと思います。これがアメリカで検出されたときは、即座に財団法人機械振興協会、これが早速日本の切削油についても分析を行いました。そうしたならば、同様にニトロソ化合物が検出された結果、今後は、こういった発がん物質を含まない製品を開発したわけなんです。どうして化粧品について、そういった面でやらないのですか。
○中野(徹)政府委員 現在、ただいま申し上げましたような考え方で対処しているところでございますけれども、先生の御趣旨も踏まえまして、速やかに善処いたしたい、かように考えます。
○竹内(勝)委員 ここで私、ちょっと資料を見ていただきたいと思いますが、当然あってはならないことです。残念なことではございますが、実は日本の化粧品の中からニトロソアミンが検出されたんです。委員長、ちょっとお許しいただいて、この資料、お渡しします。
 そこで、この調査をしたのは、実は私は京都の人間でございますが、その京都に住んでおる同志社大学の工学部の教授で、医学博士でございますが、この方が、ガスクロマトグラフ・TEA、これはどういう薬品が、変な物が入ってないか、どういう物質が含まれておるかということのテストをする、そういった機械です。及び微生物テスト計、これによる化粧品中のニトロソアミンの検出という実験で、この表題に書いてあるとおりです。その実験で、アメリカで報道されたのと同一の分析方法、分析機械によって、この西岡教授が分析した結果、日本の化粧品、スキンローションだとか、あるいはヘアリンス、シャンプー、私はこれはあえてメーカーの名前は申し上げません。その中の八品目のうち三品目からニトロソアミンが検出されたんです。そこに書いてあるとおりです。つまり、一番のところにあるとおり三二〇〇ppb、スキンローション、それから三番のところにあるヘアリンス、同じく四番のところにあるヘアリンス、八品日中、この三品目から検出された。
 厚生省では、いままで日本のものは基準を設けているから安全だ、こういうように言ってきたわけですけれども、一体この事実をどう思いますか。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の資料の八品目中三品目、まあ微量検出が二例に三二〇〇ppbが一例ということは、このことについて行政的に直ちにこの追試検定を行うべき問題であろうと考えます。
○竹内(勝)委員 だから私は、これで一つ問題を提起しておるのです。この一種類が三二〇〇ppbです。他の二種類にも相当なものが含まれておる。先ほどの答弁で、そういった発がん物質であるとか重金属、こういうものは含まれていない、あたりまえだ、含まれているのはおかしいのだ、こういう回答をしておったわけですが、外国でも問題になったのです。ましてや日本でも、これはもう考えなければならない問題であり、早急に調査すべき問題です。にもかかわらず、相当の月日がたっていながら、現在に至っても厚生省がこれをいま初めて知るようであっては、これは怠慢じゃないですか、どうですか。
○小沢国務大臣 危害を与えたり、あるいは不安を与えたりしてはいけませんから、衛生試験所で早速ひとつ検査をいたします。
○竹内(勝)委員 厚生省では、こういうものを検査をする機能はあるのですか。
○中野(徹)政府委員 衛生試験所において分析機能を十分保有いたしております。
○竹内(勝)委員 あったら、なぜいままでやらないのですか。この西岡教授が、たまたまそういったアメリカ等において問題になっているから、日本において、そういうような黒皮病だとか、しみがどうだとか、顔が台なしになったとかといって大騒ぎになっているから、もしもということから調べたのです。それを、そういった設備がありながらやらないというのは、これはどういうことなんですか、国民にわかるように答えてください。
○中野(徹)政府委員 薬務局所属の衛生試験所におきます毒性試験部は、先生御指摘のように、たとえば化粧品等につきましても、年間たとえば何十種類というふうな形で次々に、ちょうど薬におきます再評価と同じような仕組みにおきまして、安全性の確認作業をローテーションを組んでやっておるわけでございます。その作業そのものも非常に膨大な作業ではございますが、先生御指摘のこの問題につきましては、大臣の御答弁どおりに早急にこれを分析、検定をいたしたい、かように考えます。
○竹内(勝)委員 ぜひそうしてもらいたい。それで、この化粧品というのは毎日同じところに定期的に、かなり長時間塗り込むわけです。そういうものが、もしも変なものが入っておって、そして後になって大変でしたというようなことであったなら、これはもういわばモルモットです。動物実験されていると言っても過言ではない。ほかのものならば、同じところに長時間使用する、こういうものはそう考えられないですよ。だが化粧品というものは、いわば必需品と言っても過言でないほどのものです。したがって三二〇〇ppb、これはもう重大なことです。厚生省として、いままで、そういったいろいろな判断のもとから研究を進めてきておる、こう言いましたが、厚生省として、どの程度なら皮膚に塗っても危険はないのか、そういったものの研究をしておりますか、あるいは、その根拠を示してください。
○中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 この化粧品中の含有量がたとえば極微量――微量と申しましても、それよりもさらに高い数字のものと、その化粧品について、たとえばニトロソアミンの含有量がどの程度であれば危険であるか、また有害であるかということにつきまして、現在、先ほど申しましたように薬事審議会におきまして、その御検討を願っているわけでございまして、その点につきましては、その判断基準を早急に線を引きたい、かように考えておるわけでございます。
○竹内(勝)委員 ですから、これは皮膚に塗られた化粧品が、塗られたその場所がどういう状態ならば危険だとか、こういう問題とまた別に、実はその化粧品が皮膚から体内に浸透していって、どういう経路をたどって内臓に達していく、こういったものによってニトロソアミンというものが生成されていく、こういうような形になったならば、たとえば三二〇〇ppbで、ppbということですから見方によっては微量じゃないか、こういった考えもあるかもしれませんが、常に同じところへ長時間にわたって塗っていく、そういったものであるがゆえに、どうか積極的に、いま発言のあったように調査していただきたいと思います。
 そこで、その調査した結果、もしも、この西岡教授の分析と同様に、このニトロソアミンが検出されたならば、これはもう重大なことです。どう措置しますか。
○中野(徹)政府委員 先ほど申し上げましたように、お示しいただきました資料と同様の検定結果が出るかどうかという問題が一つございますが、出た場合におきまして、先生御指摘のこのローションのたぐいにおきましての、たとえば皮膚の吸収性との関係におきまして、ニトロソアミンの含有のいわば許容限界を、一方で専門家の御判断によって決め、もしも、それを超えるものであるという判断がありました場合には、直ちに、この化粧品の製造を停止すべきものと考えます。
○竹内(勝)委員 このニトロソアミンが検出された原因というものは、西岡教授は、まあ厚生省の方は御存じだと思いますが、遺伝毒物あるいはいろいろな薬品であるとか食料品であるとか、そういったものへの公害問題について長い間研究を重ねてきた教授でございます。今度海外へも行って、さらに研究を重ねよう、こうしておる方でございますけれども、この人のこういった調査結果が出てきた。これは、ただ単に偶発的に出したものではございません。長い調査の結果こういったものが出た。
 今度は二枚目を見ていてくださいね、次は二枚目です。このニトロソアミンが検出されるというのは、実はこのニトロソアミンがどういう経路でできてくるかというと、こういうことなんです。乳化剤あるいは浸透剤、いわゆるなめらかにする、そういったものが化粧品の中に含まれておる、そういうものとして使用されているトリエタノールアミンというものがあるのです。その成分中に実は含有されているのがジエタノールアミンです。このジエタノールアミンが、今度は製造工程中に混入したのではないかと考えられる亜硝酸塩と化学反応を起こすのです。化学反応を起こしてニトロソアミンが生成される、こういうことになるわけです。だからこの乳化剤、中和剤としてのトリエタノールアミンの使用というものをまず中止しなければならぬ、もしも、こういった結果になってきたならば。それの代替品として何かを用いなければ、ニトロソアミンというものができてきてしまう。ところが、このトリエタノールアミンというものは、コスト安あるいは経済的理由、こういったものから使用されている、こういうように言われていますが、安全性を重んじるならば、この危険と思われる成分を使用禁止等の措置を当然とらなければならない。いま、それは中止しなければならない、こう言いましたが、私は、何も化粧品全部をみんな悪いんだ、こういうようなことを言っているのではなくて、実は、その経路としては、こういう乳化剤、浸透剤、湿潤剤として用いられるトリエタノールアミンというものに元凶があるということを指摘しておるわけです。ですから、そういった結果になったならば、これは使用禁止等の措置を行うべきだと、私はこう主張しますが、どうでしょうか。
○中野(徹)政府委員 先ほど申し上げましたように、試験結果に基づき、また一方におきまして、この含有量についてのいわば基準というようなものの判断も一方で絡まるわけでございますが、これにより判断をしました場合におきまして、その対策としては、先生のおっしゃる界面活性剤の使用を他の代替物に求めるということも一つの対策として十分考えられるところだと思います。
○竹内(勝)委員 そこで、いまのこの二枚目、西岡教授の実験によると、今度は現在日本で市販されておるローション、クリーム、シャンプー等十七品目、ナンバーが一から十七まで打ってございますね。この十七品目についてごく微量の――私は、いまその経路に関して説明しましたけれども、つまり亜硝酸塩というものは、実はいろいろな食品等をとることによって体内にでき上がるものなのです。その亜硝酸塩と化合することによって、発がん物質であるニトロソアミンに変わるわけです。したがって、この西岡教授の実験というものは実は化粧品にこの亜硝酸塩を加えておるわけです。そうしてPHを三にしました。これは一応体内の胃の中の状況というものに合わせました。そうしたところ、微生物にニトロソアミンに対する強いプラス反応が出たのです。その一番右の横にプラスと書いてあるのがその反応でございます。その反応が出たのが、なんと十七品目の中八品目というかなり高い率で出ておるのです。ですから、これは化粧品中にトリエタノールアミンが使われておる限り、何らかの要因で微量の亜硝酸塩が加わればニトロソアミンが生成される可能性が高いということになるわけですから、その点を御認識いただきたい。
 こういった点を考えると、厚生省の認可それ自体に問題があるのではないか、こう考えられるわけです。どういうような基準を設けて、どんな方法をとって許可、認可をしておるのか説明してください。
○中野(徹)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、厚生省といたしましては事前許可制を採用しておるわけでございますが、これは事前に定められております二つの基準、これは繁用されておる安全な材質というふうに御理解いただきたいと思いますが、これによりまして原則的に許可を行うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、新規の成分については、その物質そのものの使用についての薬事審議会の御意見を聞くというたてまえをとっております。なお、先ほど御説明しましたように衛生試験所におきましては、すでに繁用されておる色素その他の化粧品の含有物について、その危険性、安全性についてのチェックをいわばルーチンの仕事といたしまして、次々にその物質のチェックを行っており、その結果、危険が発見されれば直ちにそれを取り除くという、こういう仕組みになっております。
○竹内(勝)委員 だが、いまの最初の答弁のように、そういったものは含まれていないのですというような非常に安易な考えでおって果たして――アメリカでもそういうふうに大問題になっておるのを、即座に調査していこう、こういうような立場にまだなっていない、こういう中で、これは大きな問題提起ではないかと私は考えますけれども、西岡教授がこれを提起したということは、これはもちろん化粧品がみんな悪い、こういうようなことであったならば大変です。そうではないのです。そういう含まれてはならないものが実は含まれておるから、それを調査しなければならない、こういった立場でございますから、したがいまして、この化粧品に有害な物質が含まれているかどうか総点検すべきではないか、こう私は提起しますが、どうでしょうか。
○中野(徹)政府委員 先生の御指摘の総点検と申しますか、従前、安全だと思われておるものを、いわばその安全性を全体的にチェックすべきだという御指摘は、まことにごもっともな御指摘だと考えます。その意味におきまして現在、衛生試験所の毒性試験部におきまして、化粧品中に含まれております物質の安全性チェックをローテーションでやってきておるわけでございますが、非常に数の多い化粧品全体に一挙にこれを全部カバーするということが、現状の仕組みではなかなかむずかしいという点も御理解いただきたいと思います。
○竹内(勝)委員 それはわかっておるのです。ですから、こういうような大きな問題が提起されたわけでございますから、ひとつ前向きな調査をしていただいて、その調査の結果、ニトロソアミン等の有害物質が含まれているのが判明した場合は、そのものがなぜ含有されているのか、その原因究明、こういったものはぜひやってもらわなければならないし、またどの程度の含有ならば人体に影響があるのかないのか、この点を調べてもらわなければなりません。
 また今度は、私が先ほどその経路について申し上げましたが、皮膚から発がん物質等の有害物質がどのように体内に吸収され影響を与えるか。しかも変異原性という形で子孫にまで今度は影響してくるというようなことになっては大変でございますから、そういったものまで調査をしていただきたいと思います。どうですか。
○中野(徹)政府委員 御指摘のとおりに善処いたしたいと思います。
○竹内(勝)委員 そこで、この化粧品の許可に関してお伺いしたいのですけれども、聞くところによると、年間三万品目もの化粧品を許可していると伺っています。これだけ大量の許可をするのに一つ一つ分析していたのでは、これはもう物理的にも無理です。それは書類審査だけで許可しておるのですか、どうなんですか、そこは。
○中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 化粧品をめぐりますところの許可につきましては、先生御指摘のとおり、品目数といたしますと約二万件でございます。しかしながら、これらの大部分は化粧品の性格上、たとえば名前を変えるとか、あるいは色調、色でございますね。色を変えるとか、あるいは香料を変えるといったような、いわば端的に申しますと、流行の変遷に沿うような種類の変更の許可が大多数でございまして、そういう要素もあわせ考えますと、現在では審査体制というのは一応円滑に作動しているものというふうに考えておるわけでございます。
○竹内(勝)委員 そんな甘い考えをもっていたのでは、またスモンの二の舞ですよ。この市販されている商品について、どのような安全チェックをしておるか、まず、これを説明してください。同時に昨年度どれだけの検査をし何件薬事法違反があったか報告してください。
○中野(徹)政府委員 御質問の前段でございますが、この審査、許可の手続につきましての、先ほど申し上げました従前から確立されております安全かつ繁用されておる物質についての基準に照合いたしまして、その安全性を確認をいたすわけでございます。新規の物質につきましては、これを一品ごとに薬事審議会の御意見を承るという形で審査をいたします。
 薬事法違反で化粧品について摘発しました件数は、ごく最近の数字を申し上げますと、五十二年につきましては、一月から九月までの数字が手元にあるわけでございますけれども、これは全体といたしまして無許可業一件、無許可品目八件、不良品三件、不正表示品二十件、虚偽誇大広告二十六件、製造に絡まる構造設備の不備が三件、かような事故件数がございます。それからなお、使用されております化粧品についてのいわば被害状況、発生いたしました被害状況につきましては、これはいわゆる薬の副作用に相当するものでございます。これは昭和五十年度におきましては二十件、五十一年度に十二件、五十二年の十二月末日までに十一件、都道府県から当方に報告されておるところでございます。
○竹内(勝)委員 五十二年一月から九月のを先ほど最初に言いましたが、どれだけの検査をして、検査をしたうちどれだけの違反があったか、そのパーセンテージでもわかったら、あるいは数でもいいです。それを教えてもらいたいのです。
○中野(徹)政府委員 これにつきましては、地方の衛生研究所及び中央の衛生試験所の分析が絡まりますために、先生の御指摘について、ただいま資料がございませんので、改めて資料を作成いたしまして先生に御報告をいたしたい、かように考えます。
○竹内(勝)委員 ぜひ早急にその資料を提出していただきたいと思います。では、この問題は私、留保しておきます。
 いろいろと化粧品の問題が言われておる中で、メーカーが厚生省の許可があるのだと、先ほどの薬品も一緒です。厚生省の許可があるからこれは大丈夫なんだという言い方をしている。いまの調査の内容に関しても非常にいろいろ問題が出てきておるのを例にとってもわかるように、じゃ、それが本当に発がん性の問題にしても、あるいは変異原性、将来子孫にまで影響が出てくる、こういった面までの深い調査をした上での厚生省の許可なのか。それならばいいのですけれども、しかし、いま厚生省の方は二万品目と言いましたから、二万品目に訂正しますが、二万品目もの中には、それを調査するといっても、これはなかなか大変なものでございます。そういう中で、いわば厚生省の許可が隠れみのになって、それを盾にとってメーカーが責任の転嫁をしている、こういった形になってしまうのです。こういった製品を製造しているメーカーが、厚生省の許可というその隠れみので、こういった事態になっておるわけです。こういうものから考えれば、現在のこの二万品目もの許可をされておるその許可方法で、果たして市販されている商品が安全かどうか、こういったものが言えるかどうか非常に問題があるのではないか。そこでメーカーとしては、そういうものを許可した厚生省が悪いという理屈になってくるわけです。こういった点を考えると、許可自体に問題が出てくるのじゃないか。今後、この許可というものに関していろいろな方法を考えていかなければならない。新たにこの問題に関しても一つの問題提起として掲げておきたいと私は思いますけれども、この件に関してはどういう見解を持っておりますか。
○中野(徹)政府委員 先生御指摘のような問題は確かにあると思います。たとえば御承知のように、先ほど申しましたように事前許可制をとっているものは実は日本だけでございまして、この許可が、先生がおっしゃるような形で悪用されるおそれがあるという疑念は確かにそのとおりであろうかと思います。
 この事態に対しましては、たとえば医薬品に関しましてもデータそのものの作成と申しますか、安全性そのものの立証等は、国の機関みずからがそれを全面的にやるのではなくて、いわば業界側の立証データの審査という形を、どこの国でもとっておるわけでございます。したがって、化粧品についての品質の保全問題につきましては、たとえばその成分表示であるとか、その使用上の注意あるいはその安全性についてのメーカー側の十分なる立証と申しますか分析結果、そういうようなものについて、薬事法の今後の改正を行う際に、それをどの程度のものを要求するかということも含めて検討すべきものであろうか、かように考えます。
○竹内(勝)委員 それでは、化粧品というものにごく微量の何らかの不純物が入ってきたならば、いま言ったような発がん物質に変わっていく、ニトロソアミンというようなものが生成されていく。すでに許可になったものでも製造過程の中において何らかの不純物が入っていく。そうすると、そのニトロソアミンというものを生成していく、そういった物質ができていくというようなことになったならば、これは大きな問題でございます。したがって、こういうものは定期的に検査する必要があるのではないか、こういうように考えますが、どうですか。
○中野(徹)政府委員 その必要性については先生の御指摘のとおりであると考えます。
○竹内(勝)委員 それから同じく被害というものを的確につかむために、黒皮病の問題でもそうです。しみができたとか皮膚がおかしくなってきたということで訴訟を起こす、あるいは示談で解決したとか、いろいろなことがあるわけでございますけれども、この被害を的確につかむためにもモニター制度というものを発足させる必要がありますし、消費者を守るための施策が必要だと考えますが、見解はどうですか。
○中野(徹)政府委員 モニター制度につきましては、先生御承知のとおりに、現在すでに医科向けの医薬品についてのモニター制度を発足させておりますし、また明年度からは、いわゆる薬局において販売しますところの一般用医薬品についてのモニター制度も発足させる予算上の手はずができておるわけでございます。同様に、化粧品についてこれを考えます場合に、主として皮膚障害の問題が出てくるわけでございまして、この皮膚障害についての、いわば化粧品を扱っているモニターをだれにするかという問題があるわけですが、一番端的には、恐らく売り主に対するクレームという形で上がってくるというふうなシステムが考えられましょうが、そこのところの判断も、副作用についての判断も特にアレルギーとの関連問題がございまして、なかなかむずかしい問題がそこに含まれていると思います。しかし、モニター制度も含めまして十分検討させていただきたいと思います。
○竹内(勝)委員 化粧品の被害の際に問題になるのは、先ほど私が言った因果関係、経路、つまり非常に立ちおくれておると言われる疫学調査、実は塗っただけで、その皮膚に問題があるのではなく、それに体内のいろいろなものが化合することによって新たにほかの物質が生成されていく、こういうようなものであっては非常に大変なものになるわけでございますから、こういった調査もぜひお願いすると同時に、化粧品の成分というものを容器に表示する等の措置が必要ではないか、こう考えます。厚生省では現在、先ほどの私の質問のとおりでございますが、薬事法の改正作業をしておるようでございますが、この化粧品の規制というものをここに盛り込む考えはないかどうか。それから、いま言った容器に表示する等の措置、こういった面の見解をお伺いします。
○中野(徹)政府委員 化粧品に関する規制につきましては、薬事法の大幅な見直しの際に一つの重要な項目として十分検討いたしたい、かように考えます。
 また成分表示につきましては、すでにアメリカにおきまして、非常に長い期間にわたりまして試案の発表以降これが最近実施に移されたということでございまして、この成分表示問題についても、いろいろな問題がございますが、前向きな姿勢で考えてまいりたい、かように考えております。
○竹内(勝)委員 いま私はニトロソの問題に関して論議を進めましたけれども、これはいろいろな調査の中から実はこれだけじゃないのです。あなたは、そういうものは含まれちゃいけない、こう言っていますが、カドミだとか鉛だとかいろいろなものが含まれている事実があるのです。被害者の人たちの訴えをいろいろとつかんでおりますけれども、この化粧品品質基準というものを見直すべきであると私は考えます。これが取り返しのつかないことになってはなりませんので、その点をぜひ前向きに検討していただきたい。大臣のお考えはどうですか。
○小沢国務大臣 化粧品の品質基準並びに原料基準等については十分検討いたしまして、今後おっしゃるような不安を与えないないように検討をいたしたいと思います。
○竹内(勝)委員 それでは時間でございますので、先ほど私が申し上げました入ってはならないものが入って、そうして本来ならば病気を治すための薬が反対に、スモン訴訟に見られるような、そのほかいろいろなものがございますが、それらに見られるような、目が悪くなっていったり、足が悪くなっていったり、体にいろいろと支障を来してくる、こういうようなものであってはならないし、同時にまた黒皮症等の訴訟もあるわけです。大きな騒ぎになっております。これはやはりどうしても定期点検あるいは調査を厳しくする、こういった面の必要がどうしても大事になってくるわけでございますので、先ほどの西岡教授が提起した問題と同時に、これ以外の黒皮症であるとか、しみの問題であるとか、はだが荒れてくるという問題であるとか、ぜひそういった面の調査に、ここで意欲的に厚生省として取り組んでいただきたい、その決意を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○中野(徹)政府委員 先生御指摘の趣旨によりまして善処をいたしたいと思います。
○竹内(勝)委員 どうもありがとうございました。
○木野委員長 次に、和田耕作君。
○和田(耕)委員 厚生大臣にお伺いいたします。
 昨日、金沢地裁がスモンについての判決を示したわけでございますけれども、前に東京地裁が示した判断と、方向においてはかなり似通った判断を裁判所が二回にわたって示したということになると思います。その一番大事な点は、国と製薬会社あるいはそれを販売した人たちの責任を厳しく追及した点にあると思うのですけれども、この問題について、まだ国の方は、はっきりした法律的な責任はない、道義的な責任はあるというような答弁をしておられると思いますけれども、これはいかがでしょう厚生大臣、このような判断は間違っておるというよりも、いろいろ問題があるというふうに、まだお考えになっておられるのか、そういう点からお伺いいたしたい。
○小沢国務大臣 御承知のように国は医薬品の安全性、有効性を確保しなければならない立場にありますから、こうした観点から見ますと行政的責任は本事件について前から痛感をいたしております。しかし、国が個々の品目についての製造承認を行うというこの薬事法上の製造承認というものが、その結果について直ちに民事責任を負うまでのものであるかどうかにつきましては、今日までは、そういうようなものではないという立場に立ってきたわけでございます。一般的に禁止されておる行為を特定の場合に解除する製造承認行為というものが、今度の裁判で裁判官が断定をされているような法的な性格のものでないという立場に立ってきたわけでございますが、あれだけ詳しい判決、判断というものが出ましたので、さらにもう一度よく検討してみまして、行政責任というものについて、私どもはこの見解にどうしてもくみし得ない場合は控訴ということになりますし、いろいろ法務当局、専門家とも相談の上で、さらによく改めて検討し直して態度を決めたい、こういう考えでございます。
○和田(耕)委員 よくわかりました。
 そこで、この国会に厚生省として予定されておった法案として、薬害に対する処理の内容を含めた法案を出すという御予定を持っておったのですが、最近、厚生大臣の言明として、この国会には間に合わないという御方針を決められたようですけれども、このような方針の変化には、国の責任という問題について、いま申されたようなデリケートな問題についての検討がまだできていないということが重要な背景だというふうに理解してよろしゅうございますか。
○小沢国務大臣 時代の進展に応じまして、いわゆる行政上の許認可というものの解釈といいますか、考え方といいますか、これが変わってきつつあることは認識いたしておるわけでございますけれども、やはりあるべき法律論と、現行法の立場、解釈というものと当然これは分けて考えなければなりませんので、そういう点について、さらに詳しく検討したいという意味でございます。
 薬害救済制度を一つの法律の形で今国会に出したいという意欲を持ちまして準備をしてきたわけでございますが、その過程で当然、現在行政措置でいろいろ厳しくやっている薬務行政を法律の形でやはり持っていきませんと、薬事法の改正ということで考えていきませんと、この薬害制度をつくります場合にも、やはりいろいろ法律的、行政的な支障が起きてくるのではないかというような観点に立って薬事法の大改正をあわせてやらなければならないだろう、またやりたいという気持ちに変わってまいりました。
 したがって、この薬害救済制度の新しい立法と薬事法の大改正と一緒に準備するにはこの一、二カ月というものでちょっと間に合いかねるのではないか。しかし、今国会に間に合わないからといって、作業中止をしているわけでございませんで、また今回の判決等もございましたものですから、より一層促進をして、もし間に合えば、もちろん提案をしたいと思いますけれども、いまのところ、いろいろ手順等を考えてみますと、なかなか現実には、四月中でないと、国会に御協賛を願うという時間的な関係から考えても余り非常識な時期に提案をするというわけにいきません。それまでに間に合うかどうか、いまのところ私ども自信がありませんけれども、できるだけ急いでやりたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 許可という行政行為全体についての責任は、云々するといろいろ問題が出ると思うのですけれども、許可という行政行為の中にもいろいろ種類があるわけですね。許可をしても本人の気持ち、本人の動作の仕方によって害が出てくる場合と、そうでない場合とがある。したがって薬の場合、これは政府もその当時の水準でできるだけのことをして許可をしたと思うわけですけれども、この許可をしなければ、その後の医療行為も出てこなければ販売生産の行為も出てこないという面とがあるわけです。しかも、このキノホルムのような場合、多量投与をしたからということが大方の一つの原因でもあるようですけれども、多量投与をしたということになると、許可した者だけでなくて、それを投与した医者に責任があるということにもなるわけですね、この行為そのものということにすれば。そういうようないろいろなめんどうな問題がありますけれども、医者の責任を追及するということになると、他の医療行為そのものの意欲を阻害するという非常に重要な問題も出てくるわけでございますから、よっぽどでないと医者の責任は追及しない方がいいという判断もできると思うのですね。
 そうなりますと、許可をしたということで薬が販売され、これが投薬されるということの国の責任は免れないのではないかと私は思うのです。責任のとり方はいろいろありますよ。あるけれども、薬の行政的な許可行為とそれに伴う責任という問題は、二つの裁判が、両方判決じゃないんですけれども、とにかく裁判長の判断が下された。その方向は、やはり許可という行政行為をした国、厚生省の責任をかなりはっきりと、厳しく追及している。害が予見できたではないか、それをなぜやらなかったのか、いろいろな理由を挙げて法律判断をしているわけですね。そういうことですから、許可全体の問題、他のいろいろな影響を及ぼすということを余り考えないで、この薬そのものについての責任という問題を、もっと厳しく国の責任を判断していくというふうに考えるのが本当だと私は思うのです。
 それはいろいろの法理論で言うよりは、もっとお医者さんの部分まで国が責任を持つという面もなきにしもあらずなんです。つまり、お医者さんの行為の責任を追及する、やかましく言えばこれは当然やるべきですよ、こういうキノホルムの問題については多量投与ということが重要な要素だというあれがあるのですから。しかし、お医者さんの責任を余り過度に、過度というか普通に追及するということが果たして医療行為そのものの全体の判断に立っていいことか悪いことかという問題があるので、そういうものも含めて国が責任を持つということは全く正しい判断だと私は思うのです。また、その点について明確な判断をお持ちにならないと、薬害の処理の問題は出てこないんじゃないかと私は思うのですね。いまの大臣の御答弁の中に、そういうふうな問題を含めた新しい考え方の芽があるように私は思うのですけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。
○小沢国務大臣 私は、今後のことを考えてみますと、当時の最高の医学的水準、薬学的な水準というものは、当然私ども今日では、それを頭に置いてやっておるわけでございますし、また長い間のいろいろな実験のデータ、副作用に関するデータ、さらに製造承認後においても現在さらに三年間のその後の経過、投薬の経果起こったいろいろな事象についての報告義務等も課しながら製造承認をやっているわけでございます。これから薬事法の大改正で、それに法律的な一つの根拠も与えつつ、さらに一層念を押していきたいと思いますけれども、この判決を見ますと、善良なる行政庁の立場として、一体どこまでやったら免責というものがあるのか、これをいろいろ検討してみませんと、今後、製造承認ということについて、薬のいろいろな事象が起こったときに、どういうふうに判断をしていいのか、そういう点等もあわせて考えてみますと、なかなかめんどうな問題だと私、率直に言って感じているわけでございます。したがって、法律の当局者の見解とも十分調整をして、最終的に態度を決めさせてもらいたい、こう思っているわけでございます。
 しかも、あの判決の中に、当時予見できた――二十八年に輸入品を許可し、三十年にたしか田辺のあれを許可しておったわけでございますが、一方、戦前からキノホルム剤は使われてきておって、二十八年、三十年のときには重要な成分の変更ではなかった、私、技術的なことはよくわかりませんけれども……。そういうような点が、しかも国は、諸外国でいまだに使われておる、それを、椿教授の見解が行われましたので、直ちに製造販売の停止の処分をしました、そういういろいろなやり方さえ違法行為と断じておられるこの判決でございますので、しからば今後、薬務行政をやるに当たって、一体果たしてわれわれがどこまでやれば免責ということになるのか。何も責任を逃れることだけが能じゃありませんけれども、国民に対して安全性を保証していかなければいかぬわれわれでございますので、そうすると、薬務行政に対する国民の信頼感等々いろいろ考えてみますと、私は、これは非常に重要な決断をするといいますか、検討して結論を出す重要な一つの転機を与えられたと思いますので、慎重に検討していかなければいかぬのじゃないかと思っております。本日のところはまだ明確にお答えできないことを大変残念に思います。
○和田(耕)委員 よく理解できます。
 それで一つの提案なんですけれども、いま、たとえば厚生省がそういうむずかしい薬の判断をする場合に、いろいろ調べてみる、試験をする、そういう国立の試験研究の機関が非常に手薄だと私は思うのです。これがかなり権威のある機関、だれが見ても権威のある機関だということになりますと、このところで判断をする。仮にこれが間違っておっても、その判断に基づいた行政行為は違法ではない、責任を問われないというような権威のある研究機関というものをお考えになる時期じゃないだろうかと思うのですが、そういうことはいかがでしょうか。
○中野(徹)政府委員 先生御指摘のような機関といたしまして、たとえば薬務局の所属では国立衛生試験所がございますし、また特殊なものの検定を行う機関といたしまして予研もございます。先ほども述べたところでございますけれども、確かにそこの業務がルーチンの仕事で非常に手いっぱいになっているということも事実でございます。その意味におきまして、これらの研究機関、試験機関を拡充する必要があるという点につきましては、先生の御指摘のとおりであろう、かように考えます。
○和田(耕)委員 衛生試験所、いろいろ研究機関がありますけれども、いままでたとえば食品添加物の問題、AF2とかいろいろなたくさん問題が出てきました。こういう問題についての厚生省の行政的な処理の仕方はネコの目のように変わるというふうに見られた場合が多いですね。
    〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
たとえば、ある学者がこれは発がん物質だ、こう言うと、その問題が調べられてないうちに、これをすぐ処分するとか、アメリカでこういうことが書かれたというと、これをやるとか、これが一番いけないのじゃないかと私は思うのですよ。少し時間はかかっても厚生省自身として、国の研究機関として、そういう重要な課題が判断ができるような権威のあるものをつくるためにはどうしたらいいだろうかというふうに考えてみる必要がありはしないのでしょうか。そして、いま申し上げたこの機関が、これは絶対大丈夫という判断のもとで厚生省が行政処理をした、そのことについての法律責任は免れる。ただ、いまの患者の救済という問題は残りますよ、国が見ていくことは残りますけれども、法律上の責任はないというように、もっと権威的なものをつくらないと、アメリカでこういうことが発見されたからこうだというようなことでネコの目のように変わるということが一番いけないんじゃないか、私はそういうような感じがするのですけれども、いかがでしょう、そういう考え方として。
○小沢国務大臣 実は私も着任をいたしまして、食品、化粧品、薬品を含めて、それから御承知の環境庁におりまして、いろいろ有害物質等のことを考えてみまして、どうしてもそういうおっしゃるような体制をとっていかなければ、相当組織、人員、設備等についても充実し、また全部が協力できるような大きな総合的なものにしていかないと、なかなかこれは非常に複雑多岐になってまいります近代社会の中にあって国民の安全を守るということが困難になってくるんじゃないかなと思いますので、この点はまことに同感でございまして、どうやったらいいか、私自身今後十分ひとつ検討させていただきたい。省内全体の局の編成にとらわれないで考えていきたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 私この食品添加物の問題、薬害等について、もうずいぶん前からいろいろ質疑をしてまいったのですけれども、そういうふうな一つのその段階における権威のある判断というものをする機関がどうもないという感じを持っておりましたので、何とかひとつ、これをつくり上げるための努力をぜひともしてほしいと思います。
 それと関連しまして、難病の問題なんです。このスモンも難病の一つで、今度の金沢判決でも、キノホルムが主犯だけれどもビールス説もまだあながち根拠のないものではないのだというような道を開いておるという、あの判決だと思うのですけれども、難病関係に対する厚生省の助成の仕方、これは重点というものが明らかにならないで、少ない金を各大学その他の研究機関にばらまいておるというようなことで余り効果が上がらないのじゃないかという見解を私は持っておるのですけれども、実際の状態はいかがでしょう。
○松浦(十)政府委員 ただいま御指摘いただいた点、まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、余りばらばら細かくばらまいても全く効果が上がらない、こう思います。先生がおっしゃるとおり、できるだけまとめて重点的な研究費の配分ということで私ども考えておるわけでございまして、現在三十一疾患別、それから十二テーマ別ということでございまして、テーマに大きくまとめていくということを考えておりまして、特に、たとえば自己免疫関係の疾患でございますと現在合わせまして三億円程度、それから神経系の疾患に対しましては二億円程度ということで、そういうふうな形をおっしゃるとおりに進めていきたいと思っております。
○和田(耕)委員 これはぜひともプロジェクトチームというような、これは問題によって緩急の度はあると思いますけれども、何とかそういう考え方で対処して効果を上げてもらいたい。余り大した金じゃないのを、しかもばらばらにすると、ほとんどこれは単なる学問研究の助成、極端に言えばお茶飲み費用にというようなことにもなりかねないので、もっと重点的な使用の仕方というものについて御研究をいただきたい。
 もう一つの問題は、私も一昨々年にベーチェット病の「太陽は泣かない」という映画の制作に協力したのですけれども、これの制作は大体五千万円近いお金がかかったのです。これはある映画会社とか、いろんな機関の協力を得てつくったのですけれども、つまり、こういう難病について国民の理解が乏しい。最近、あれは脳性麻痺のあれですか、モスクワで亡くなった人が中心になってつくった映画があったり、またいろいろ出ておりますけれども、こういうふうな難病を国民の多くに理解をしてもらうためのつまり援助というものをお考えになれないかどうか。実は私も「太陽は泣かない」というあの映画をつくるのに大変苦労したことがありました。これは役所の方で仮に一千万とか一千五百万円ぐらいの援助をしてくれると、これが呼び水になって、各重要な難病関係の人たちも非常に喜ぶと思うのです。国民に理解してもらうための映画をつくるとか、あるいは放送に乗せるとかいうようなことがありますが、これはしかし役所として、こういうことができるかどうかよくわかりませんけれども、厚生省として難病対策の一つの重要な翼として、国民に理解していただくための宣伝費を助成をするということはできませんか。
○松浦(十)政府委員 映画の話を伺って、映画をつくるのに助成できないかというのですが、ちょっと映画ストレートにというと、厚生省が出しますと大変厚生省臭の映画ができて、それじゃ何をやっているのだかわからないというようなことも実際あろうかと思います。私、先生のそういう御意思を体しまして、いろいろ民間でも助成をしてくれるようなそういう団体があるわけでございますから、そういうところともいろいろ話し合いながら、ぜひ何とかできる方法はないかということを検討してみたいと思います。
○和田(耕)委員 これはやりたくても、また国民に理解してもらいたくても理解してもらえないという非常に歯がゆさというものがありまして、マスコミの皆さん方もずいぶんいろいろとやってくだすっておるようですけれども、ひとつ厚生省としても、この問題について何かむずかしい処理の仕方だと思いますけれども、できないことはないと思うのです。何とかひとつ大臣、この問題でぜひお考え、御検討いただきたいと思うのですが。
○小沢国務大臣 私、初めて承ったので、厚生行政全般については、ことにおっしゃるように国民の理解が大事でございますから、どういう形でそういうものを推進し得るか、御援助できるか、協力できるかということを早急に検討いたします。
○和田(耕)委員 時間も来ました。
 きょうは短い時間で、まだ盛りだくさんの通告をしておりますけれども、通告しました点で最後に、看護職員のILOの問題とか、医薬分業あるいは診療報酬等の問題について立ち入った質問をしたいと思ったのですが、時間がありませんから次の機会にいたしたいと思います。
 ただ一つ、九・六%の診療報酬の引き上げに伴って、差額ベッド、付添看護婦、これは解決できるはずだということで通達をなさった。しかし、地方の病院関係の人たちは、とてもそれじゃできるものじゃないという反対の動きをしている。これに対して、厚生大臣、一言で結構ですが、どういうふうな態度をおとりになりますか。
○小沢国務大臣 私どもは、病院関係者の協力なくしては、これはできないと思うのですね。ただ私どもがやめろ、やめろと言うだけではなかなかいきません。医療費の改定によって、入院料その他については相当な配慮をしましたけれども、それで十分かと言われますと、まだ十分ではないと思うのです。しかし、一方において、この保険制度全体を健全に運営していくために、被保険者や事業主の方に相当の負担を願わなければいかぬわけでございますので、せめて保険外負担は、本当にできるだけ解消する努力はしていかなければならぬことは事実でございますから、病院の方々にも十分協力を得て、私ども何とか指導の徹底を期して、患者負担の解消をやっていきたいと思いますが、ただ保険制度だけでこれを解決するということは、病院経営全体というものは、ただ保険の点数だけですべてを賄っているわけじゃありませんし、そういたしますと医療行政全般の面でいろいろ検討しまして、いま保険では建物の償却費まで見るような点数になっておりませんから、いろいろ衛生行政全般の面からできるだけ配慮をしまして、病院側においての差額ベッドは少なくとも解消していくような御協力も得たい、私はこう思いまして、いろいろ今後万般の政策を広くとらえて協力を得て、負担の解消を果たしていきたいと思います。できるだけ努力をいたしたいと思います。
○和田(耕)委員 これで終わります。病院は非常に重要な役割りを持っていると思いますから、なおこの問題は、厚生省としても昨年来、解決すると言明している問題でもありますので、ひとつできるだけ、いろんな障害を乗り越えて解決していっていただきたいと思います。
 終わります。
○越智(伊)委員長代理 田中美智子君。
○田中(美)委員 いま厚生省が老人のための明るい町推進事業というのをやっておられる。いわゆるシルバーシティーというのをやっておられるわけですけれども、これは大変にわずかですが、一部分で非常に評判がいいわけですね。たとえば愛知県の一宮市などは一定の成果も上げています。非常に金額も少ないし、そういう点ではいろいろありますけれども、こういうやり方というのは今後ともうんと進めていっていただきたいわけですけれども、残念ながら五十三年度の計画を入れても三十三、四しかできないわけですね。それで私としては、これだけでは日本じゅうに、こうしたものができていくのは一体何年先になるのかということを考えるわけです。
 厚生省のなさった中のいろいろのことを見てみますと、その中で非常に評判がいいのはお年寄りの入浴の問題です。おふろのバスバスというので巡回したり、地域によっては施設にお年寄りを運んできて、おふろに入れてあげるということが、思いもかけず、やっている人自身が驚くほどのお年寄りの喜び様だという声が上がっているわけです。
 それで、厚生省は十分御存じだと思いますが、老人介護の実態調査というのが、中間報告ですけれども出ております。これを見てみますと、寝たきり老人の中で四七%、大きく見れば半分ぐらいの人がおふろにほとんど入っていないという実態が出ておりますし、また介護の人たち、これはパーセンテージで非常に女性が多くなっていますけれども、介護している人が一番困るのは、おふろに入れてあげられないということで、ほとんどトップに近い数字で出てきている。五二・一%が、おふろに入れるのが大変困るということを言っているわけです。こういうことを見ますと、介護の人と、それからお年寄りの要求と両方を見ても、福祉の中でのお年寄りの入浴の問題というのに、厚生省は今後全力を入れていただきたい。厚生省はたびたび在宅のお年寄りに対して力を尽くすということを言っておられますので、こういう言い方は私はいいというふうに思うわけです。
 それで、お願いをしたいことは、シルバーシティーに決められたところというのは、三年間、毎年一千万の金を地方自治体が持たなければ国から金が来ないことになりますので、いまのように地方財政がいろいろな点で圧迫されているときですので、地方自治体が一千万に満たなくても、積極的にやろうというものに対しては、モデル都市でなくても、これに対して補助金を出していただきたいというのがお願いなんですけれども、いかがでしょうか。
○上村政府委員 シルバーシティープランの私どもの考え方としましては、一つの県でまず最初一つぐらいの市を選んでやっていただきたい。一つのモデルのつもりであるわけでございます。全部の市町村に国が金を出してシルバーシティープランを実施するのはなかなか手が及ばない。そこで、いまお話しになりましたように、寝たきり老人に対して入浴サービスが非常に評判がいいということでございまして、現に幾つかの市町村で実施しておるわけでございますし、それから、民間団体で入浴サービス車を整備しまして、これを市町村の社会福祉協議会に貸すというふうな仕事もしているわけでございます。この入浴サービス車を民間団体で整備するというのは、自転車振興会からの補助金等を仰いでいるわけでございますので、シルバープランから漏れたような市町村については、そういう面の配慮をしていけばいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。
○田中(美)委員 私は、それではなかなか進まないというように思うのです。地方自治体が、いまボランティア運動も盛んになっておりますので、ボランティアなどの力もかりて積極的にやろう、そういう意欲を見せているところには、ぜひ補助金を出していただきたいというふうに思うのです。私はその額を幾らというふうにはいま言いません。しかし、名古屋市が五十三年度にバスバスを購入しまして、九百万の予算でもってこれをやり始めるわけです。これに対して民間の人たちがボランティアも含めて協力しようとしているわけですけれども、これに対して、九百万というと一千万にも足らないし、また一つの県で一つの市しか指定されないといえば、一千万円を超しても、これはモデル都市にならないということになると補助金が出ないわけですね。それで、ぜひ名古屋市のバスバスに対して何らかの援助をしていただきたい。そうしますと、それがきっかけになりまして来年度も、その次も、バス一台ではとても名古屋市全体のお年寄り、寝たきり老人を全部というふうにいかないわけですから、来年度はもう一台、その次にはもう一台というふうにするためにも、やはりこの五十三年度の名古屋市に対する補助金というものをぜひ出していただきたい、そういうふうに思いますが、検討していただけませんでしょうか。大臣、お答え願いたいのですが。
○小沢国務大臣 せっかくの御質問ですが、愛知県では、一宮市をモデルの実施都市にいたしまして、そこへやっておりますから、これ一つの市はモデル的に三年間継続するということになっておるようですね。
 そこで、いまお話を承っておりまして、そういう一つの県に一市だけを選んでモデル的にやってみよう、こういうことで始まった予算だろうと思うのですが、熱心な市があって、ぜひやりたい、これは非常に寝たきり老人の福祉対策としてはいいじゃないかというお説ももっともなんでございますから、私は、ことしの予算編成は、いわば据えぜんを食って、それを何とかみんな消化するようにという努力をしたわけでございますので、来年度の予算編成で、いまおっしゃったように他のいろいろな福祉対策もありますから、どれが一番有効かということを考えてやらなければいかぬと思いますが、今年すぐやれと言われましても、いままでのそういうことでスタートしたこの予算でございますものでございますから、ちょっと無理だと思いますが、来年度といいますか、五十四年からの予算編成に当たって十分御意見を踏まえて検討さしていただきます。
○田中(美)委員 お年寄りはおふろに入りますと、一年ぶりに入ったお年寄りに聞きますと天国に行ったようだ、われわれにとっては毎日入っておりますと、おふろというのは空気のような感じで、それほどありがたいという感じもつい思わないのでありますけれども、これは想像以上のものです。そういうことがあらゆるところから出てきておりますので、特にお年寄りに対して私としては、おふろの問題というものをもう少し大きく厚生省として考えていただきたい、そういう意味で、地方自治体が積極的にやろうというものに対しては、やはり厚生省がこれをほめるというのはおかしいのですが、これを積極的に援助するという形で、ぜひこれを五十三年度検討していただきたいし、いま五十四年度はというお話がありましたので、ぜひそういうモデル部市以外にも、そうしたものに対しての補助金ということを今後考えていただきたいということをお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 これは、薬務局長来ていらっしゃいますね。きのうスモンの方たちの患者二、三百人いらしたというふうに思いますが、そこでお話を伺いまして、そのときに薬務局長が、裁判を聞いた時点でも、いままでもやってきたけれども、これからも変わらないのだ、こういう変わらないという言葉に非常に患者は不安を抱いた。裁判で国の責任が明らかになったわけですから、その時点で、やはり変わっていただきたいということを、きのう申し上げたら、そういうかたくなに変わらないというのではない、言葉足らずであったというように言われて、これは訂正をしていただいたわけですけれども、きのう薬務局長がごらんになったあの患者の姿というのを見ますと、この判決文の中のどの部分が気に入らない、この部分が気に入らないということは、それはいろいろあるかもしれません。見解の相違もあるかもしれません。しかし、いま一応裁判所で、国に責任があるということを言っているのだし、また、厚生省も痛切に責任は感じているのだ、こう言っているわけですので、私としては、あの悲惨な状態に置かれている、きのうごらんになったあの患者さんたちの姿を見れば、やはりこれを救済しなければならないということだけは、思想、信条を越えて、いますぐやらなければならないことだというふうに思います。
 あの人たちが本当に自殺一歩手前という、何回も自殺を経験した人もあり、死にたいと思わなかった人は一人もいないというような悲痛な立場で、いま辛うじて生きていられるわけですので、私としては、ぜひこれは控訴しないでほしい。素直に裁判所の言うことに、部分的に小さいことにはいろいろ不満があるかもしれないけれども、その全部を追及していきますと、先ほど大臣がほかの議員に言っていられましたように、どこまでやったら責任があるのか、こういうふうに言って、詰めていきますとめんどうなものが出てくる、これが解決できない。こういうふうな、先ほど、めんどうなという言葉も大臣使っていらっしゃいましたけれども、こういうことを机上で言っている間に、あの患者さんたちというものは日に日に死にたい気持ちで生きているわけです。ですから私は、この裁判の、国の責任だということをどう受けとめられようと、責任ということを感じて控訴をしていただきたくない。ぜひ控訴しないでほしいということを強く要求します。
 薬務局長は、きょうは大変血色のいい顔をしていらしゃいますけれども、きのうは本当に真っ青な顔をしていられたわけです。私は、言葉はどうであろうとも、あなたも人間ですから、あの人たちの悲痛な言葉を聞いて、やはり胸痛んだのだと思います。私は、もう涙を抑えるのにどうしていいか、本当にがまんできなかったわけです。そういう点からしましても、ぜひ大臣が、一人でも多くの患者さんに、控訴するかしないか、いま検討中と言っていますので、いまこれをすぐ控訴しないと言えと私は言いません。しかし、その返事は一週間、二週間以内には結論を出さなければならないわけですから、その間にぜひ大臣みずからが、一人でも多くの患者さんに会い、患者さんの声を聞いてほしい。そうすれば思想、信条を超えて、いま同じ日本人が、あの薬のために自分の罪ではなく、ああした病気になったということに対して胸痛むのはあたりまえだと思います。この金沢の判決が出たのをきっかけに、ここで大きく勇気を持って大臣が控訴しないというふうにしていただきたいというふうに私は思います。
 この二点、控訴しないでほしいということ、一人でも多くの患者に会って話を聞いて、それを大きな検討材料にしていただきたい。私はこの二つをお願いしたい。大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○小沢国務大臣 私どもは、先生御存じのように、患者の救済について非常な配慮をいたしまして、いろいろ意見もありましたけれども、法的な責任論は別にして、とにかく患者救済を主眼に置いて和解ということで可部裁判長の提案に応じたわけでございます。今度、金沢のグループにつきましても、私どもの方は和解でどうですかという呼びかけまでしたわけでございます。しかるに、それについては原告の皆さんは、あくまでも裁判で決着をつける、こういう御意思であったわけでございます。したがって、私どもははなはだ残念だとは思っております。
 この裁判の判決の結果を見まして、一部和解の条件よりも悪いじゃないかというようなことを、いろいろと論評されている向きもございますが、われわれとしては、午前中局長が答弁しましたように、患者さんが和解の道を選ぶ場合には、いつでも私どもは応ずるつもりでおります。
 また、ただいま控訴をしないでほしいという御意見でございますが、患者さんの立場をお考えになった御意見だろうと思いますけれども、私どもは、もちろんそれらを含めまして、患者さんの立場に対する私どもの気持ち等も含めまして、また今後の薬務行政のことも考え、あるいはこの判決に言われている法律論等を厳密によく検討しまして、もうしばらく時をかしていただいて総合的に判断をいたしたい、かように考えているわけでございますので、きょう直ちに、いまここで御返答申し上げるわけにはいかないわけでございます。
 なお、患者さんにお会いすることは、明日おいでになることを承っております。明日は予算分科会等もございますので、私が時間があれば、もちろん代表の方にお目にかかってお話を承ることについてはやぶさかではございません。
○田中(美)委員 代表の方というのではなくて、一人でも多くの方たちの声を聞いていただきたいということを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。
○越智(伊)委員長代理 浦井洋君。
○浦井委員 引き続いて、私もスモンの質問をしてみたいと思うわけであります。
 きのう判決が金沢でありました。けさ方来、同僚議員の方からいろいろスモンの問題について質問があったわけでありますが、それをまとめてみますと、大臣並びに薬務局長は、控訴をするか、あるいは判決を受け入れるか慎重に考慮したい、時間をかしてほしい、こういうことです。しかし一方では、いままで民事上の責任はないと思っておった、しかし患者さんのことも考えて和解の道をとったということを言っておられる。しかし大臣は、きのうの判決で薬事行政の上で一大転機がやってきたというような趣旨のことを言われたと思うわけです。こういうような時期に、いまもネコの目行政というような話も出ましたけれども、やるべきことは早くやらなければならぬ。下手にじんぜん日を過ごしておると、主観的な意図はどうあれ、厚生省は開き直っているのではないかというふうに、特に非常に長年苦しんでこられた原告、患者さん方にとっては、そういうような形に受け取られざるを得ないわけなんで、繰り返しになりますけれども、まず何をおいても、患者さん方が要望しておられる恒久救済対策、一定の機構をつくって、そこで治療法も開発をし、治療を進めながら生活保障もし、損害も賠償する。そして、いままでの誤った行政を改善をしていくという恒久救済対策をとるべきだと私は思うわけであります。
 そのためにも、いまも田中議員が言いましたように、患者の代表に会って短時間、形式的に話を聞くということではなしに、私はこの間から予算委員会の分科会などで、あるいは予算委員会などで大臣とお会いしておるわけでありますが、いまその疾患薬害に苦しめられておる人たちの実際の体の状況であるとか、あるいはその人たちの置かれておる生活の窮乏の状態であるとか、そういうことを大臣の目ではっきりと見ること、大臣の耳ではっきりと聞くこと、このことが一日も早くなされなければならぬし、そのことが大臣、厚生省の最高責任者としての、厚生行政を国民の立場にぐっと近づけていく、いま与えられた唯一の道だというふうに私は思うわけでありますけれども、その二点について改めて大臣にちょっとお答えを願いたいと思う。
○小沢国務大臣 御承知のとおり、明日は予算委員会分科会の最後の日でございまして、私どもの厚生省所管の分科会が一日じゅう開かれるわけでございますので、私にその時間的な余裕がないと思います。しかし、国会で昼食休憩その他の若干の余裕が、いままでなかったわけですが、もしあるとすれば、お会いする時間がとれると思いますので、そういうことを想像いたしますと、数百人に及ぶ患者さんにお会いするということはとうてい無理でございますから、私は代表の方と申し上げたわけでございます。
    〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
また、私と局長は、局長と大臣という形式上の違いはありますが、全く一体的に責任を持って運営をしている、私のまさに分身でございますから、そういう意味で、局長が会うことは私が会うこととまさに同じように受けとっておっていただいて結構でございますし、私は自分の友人にも患者を持っております。高等学校以来の親友がそういう病気にかかっておりまして、もう何回か、実情等も知っておりますし、また私、大臣になる前にも患者さんにもお目にかかっております。そういう意味で、認識は十分持っているつもりでございますから、この点で認識不足で私の判断を誤るようなことは一切いたしません。患者さんの救済については、今後とも全力を注いでまいりたい、かように考えております。
○浦井委員 大臣と局長とは一身同体だと言われたわけでありますが、私もきのう厚生省の講堂で、二、三百人の患者さんたちと一緒に局長が出席をしておられたのを聞いておったわけでありますが、肝心の場面になると局長は、その点についてはひとつ上司にも相談をし、また関係官庁ともよく相談をした上でなければというようなかっこうで、どうしても出てきておられる原告、患者さんの方々に、くつの上からかゆいところをかいておるような感じを与えるわけであります。認識不足ではないという大臣のお話でありますけれども、いつ会われたのかわかりませんけれども、全体としてスモンの患者にできるだけ大臣が直接会うということは、やはり行政的にも非常に教えられるところが多いというふうに思いますので、十分認識を持っておるというような、少々強い言葉で言いますならば思い上がった考え方ではなしに、もっと患者さんに対して謙虚に、できるだけたくさんの人に会うという心がけで大臣は臨んでいただきたい、このことを私は要望をしておきたいと思うわけです。
 それからもう一点は、これは薬務局長も御存じだと思いますけれども、きのう金沢の判決があってすぐに、大阪の道修町の武田薬品あるいは田辺薬品の本社の前で、原告やらあるいは患者さんの方々が、きのうは大阪は雪が降っておりましたが、その中で企業の側の責任ある当事者に会わせろというふうに要求をしておったにもかかわらず、とうとう会わなかったようであります。先ほど私が大阪へ連絡をとって聞いてみましても、きょうもなお武田薬品も田辺もやはり会っておらない、こういうことであります。きょうは雪が降っていないそうでありますけれども、やはり寒空であります。そういう中で、きょうは三百五十人余りの原告、患者の方々が、何とか交渉したいということで、くちびるを青ざめながらがんばっておられるわけであります。
 私、大臣にお尋ねしたいのですけれども、こういうようなことを社会通念上といいますか社会的に放置しておいてよいのか、そういうことについて大臣、どう思われますか。
○小沢国務大臣 先生の御要望によりまして、私どもは私どもの講堂を開放いたしまして、患者さんの皆さんにいろいろ集団的な面会なりあるいは陳情なりの場を用意してあげておるわけでございますが、その態度を見ていただければ、いまのお答えになるのじゃないかと思うわけでございます。
○浦井委員 いや、私がいま尋ねておるのは、もっとはっきり言いますならば、そういう寒空で、裁判所が責任ありというふうに判決を下した企業と患者、原告の方が直接話し合う。それをバリケードを築いてみたり、あるいはシャッターをおろしてみたり、あたかも暴徒を扱うがごとく取り扱いをしておる。連絡をして、そういうことを知っておる。それでいまも、この瞬間もそうなんだ。だから大臣並びに薬務局長に要望したいのでありますけれども、一刻も早く、少なくとも責任のある回答のできる企業の者が応待をして、そして患者さんたちに納得をしてもらうように、薬務行政という点でつながりもあるわけなんだから、大臣が、行政指導という大仰なものではない、電話一本かければ済むわけですから、ぜひそれをやっていただきたいと思うわけでありますが、どうでしょう。
○小沢国務大臣 どうも、この種の件は、私どもが製薬行政を扱っているからといって民間の会社に行政指導をするという、行政上の特別権力関係にあるわけでもありませんので、そう言われましても、どうも私、困るわけでございます。昨日は、そういうお話があって私どもの方から電話で各社に呼びかけをいたしまして、ひとつできるだけ丁重に扱うようにということを申し上げさせたわけでございますが、その結果を私、まだ聞いておりませんけれども、なお必要があればいたしたいと思います。
○浦井委員 行政上のたてまえはたてまえといたしまして、先ほどから私が申し上げておるように、これは二日間にわたって、そういうようなことになるということは人道上の問題にもかかわってくるわけでありますから、厚生省としても、すぐに向こうでの情報をキャッチをしていただいて、ひとつ大臣に善処方を要望しておきたい、このことを申し上げておきたいと思うわけです。
 それから最後に、これは社会労働委員長に要望をしたいわけでありますけれども、きょうは一日スモン問題が取り上げられた。これまでもかなり国会、特に社労委員会を中心にして、しばしばスモン問題が取り上げられてきておるわけであります。しかし、きのう委員長もよく御存じのように金沢地裁で判決があって、国にも企業にも責任があるんだということになってきて、この問題をめぐる国会の対応の仕方が新しい次元に来たというふうに私は思うわけであります。だから、ひとつ党派を超えて、われわれ特に社労委員会としては、この患者さんたちの要求あるいは要望を国や企業に早く認めさせて実行をさせていくという必要があると思うわけであります。
 そこで私は、いろいろ考えてみますのに、最も効果的な方法は、金沢地裁の判決があった二カ月後には、ほぼ東京地裁の判決もあるというふうに予想されておるわけでありますから、この時点で改めて、というのは数年前に少し集中審議的なことが衆議院の社労委員会でもやられたようでありますけれども、改めてこの時点で、この社労委員会で各製薬企業の責任者であるとか、あるいは患者さんたちや、それを支援してこられた弁護士さんなどを参考人として呼んで、定例日以外でも結構でありますから徹底した集中審議をやることが、いま最も効果的な国民から求められている方法ではないかというふうに思うわけであります。委員長、すぐにやりますというお答えをいただくつもりはございませんが、ひとつ理事会ででも、この集中審議の問題についてぜひ実現をさせていただくように取り計らっていただきたいということを要望したいのであります。
○木野委員長 浦井君に申し上げます。浦井委員の御意見につきましては、委員長として十分に承っておきます。
○浦井委員 承って、ひとつぜひ実現をさせていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 保健センターの問題をやる時間がなくなったわけでありますけれども、大臣並びに薬務局長にもう一度申し上げたいわけでありますが、国と企業に責任ありという判定が下された以上、やはりその判定に素直に従う、そして過去の過ちを改めて、気を新たにして国民の命と健康を守っていただく、このことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○木野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十七分散会