第084回国会 社会労働委員会 第10号
昭和五十三年四月六日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 木野 晴夫君
   理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 羽生田 進君
   理事 村山 富市君 理事 森井 忠良君
   理事 大橋 敏雄君 理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    井上  裕君
      石橋 一弥君    宇野  亨君
      大坪健一郎君    大野  明君
      川田 正則君    斉藤滋与史君
      谷  洋一君    玉沢徳一郎君
      津島 雄二君    戸沢 政方君
      葉梨 信行君    橋本龍太郎君
      森  美秀君    湯川  宏君
      安島 友義君    枝村 要作君
      大原  亨君    金子 みつ君
      栗林 三郎君    田口 一男君
      矢山 有作君    草川 昭三君
      古寺  宏君   平石磨作太郎君
      浦井  洋君    工藤  晃君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
 出席政府委員
        社会保障制度審
        議会事務局長  竹内 嘉巳君
        厚生大臣官房会
        計課長     持永 和見君
        厚生省公衆衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省社会局長 上村  一君
        厚生省児童家庭
        局長      石野 清治君
        厚生省年金局長 木暮 保成君
        社会保険庁年金
        保険部長    大和田 潔君
 委員外の出席者
        総理府恩給局恩
        給問題審議室長 手塚 康夫君
        経済企画庁物価
        局物価調査課長 菊地 信雄君
        大蔵省主計局共
        済課長     山崎  登君
        大蔵省主税局総
        務課長     梅澤 節男君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 田淵 孝輔君
        参  考  人
        (年金福祉事業
        団理事)    中村 一成君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  井上  裕君     西銘 順治君
  大坪健一郎君     田中 六助君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 六助君     大坪健一郎君
  西銘 順治君     井上  裕君
同月六日
 辞任         補欠選任
  井上  裕君     谷  洋一君
  小坂徳三郎君     森  美秀君
  橋本龍太郎君     宇野  亨君
  山口シヅエ君     玉沢徳一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  宇野  亨君     橋本龍太郎君
  谷  洋一君     井上  裕君
  玉沢徳一郎君     山口シヅエ君
  森  美秀君     小坂徳三郎君
    ―――――――――――――
四月三日
 療術の制度化に関する請願外一件(阿部文男君
 紹介)(第二六四八号)
 同(稲富稜人君紹介)(第二六四九号)
 同外三件(川田正則君紹介)(第二六五〇号)
 同外二十件(鯨岡兵輔君紹介)(第二六五一
 号)
 同(篠田弘作君紹介)(第二六五二号)
 同(地崎宇三郎君紹介)(第二六五三号)
 同外二件(友納武人君紹介)(第二六五四号)
 同外二件(中川一郎君紹介)(第二六五五号)
 同外五件(灘尾弘吉君紹介)(第二六五六号)
 同外一件(長谷雄幸久君紹介)(第二六五七
 号)
 同外四件(浜田幸一君紹介)(第二六五八号)
 同外五件(林大幹君紹介)(第二六五九号)
 同外一件(船田中君紹介)(第二六六〇号)
 同外六件(増岡博之君紹介)(第二六六一号)
 同外二件(箕輪登君紹介)(第二六六二号)
 同(山崎拓君紹介)(第二六六三号)
 同(山本悌二郎君紹介)(第二六六四号)
 同(三原朝雄君紹介)(第二七二三号)
 同(山崎平八郎君紹介)(第二七二四号)
 同(大平正芳君紹介)(第二七五〇号)
 同外四件(片岡清一君紹介)(第二七五一号)
 同(田中昭二君紹介)(第二七五二号)
 同(江崎真澄君外一名紹介)(第二七五三
 号)
 同外五十六件(竹本孫一君紹介)(第二七八五
 号)
 同(辻英雄君紹介)(第二七八六号)
 同(森田欽二君紹介)(第二七八七号)
 消費生活協同組合の育成強化等に関する請願(
 伊藤公介君紹介)(第二六六五号)
 同外一件(板川正吾君紹介)(第二六六六号)
 同(鯨岡兵輔君紹介)(第二六六七号)
 同(沢田広君紹介)(第二六六八号)
 同(長谷雄幸久君紹介)(第二六六九号)
 同(田中美智子君紹介)(第二七二〇号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第二七二一号)
 同(山本政弘君紹介)(第二七二二号)
 同(武藤山治君紹介)(第二七五五号)
 同(村山喜一君紹介)(第二七五六号)
 同(山田耻目君紹介)(第二七五七号)
 同(山花貞夫君紹介)(第二七五八号)
 同(湯山勇君紹介)(第二七五九号)
 同(吉原米治君紹介)(第二七六〇号)
 社会保障、社会福祉の拡充等に関する請願(長
 谷雄幸久君紹介)(第二六七〇号)
 同(北側義一君紹介)(第二七一七号)
 同(長谷雄幸久君紹介)(第二七一八号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第二七八八号)
 医療保険制度の改正に関する請願(橋本龍太郎
 君紹介)(第二六七一号)
 水道事業の国庫補助等に関する請願(安藤巖君
 紹介)(第二七〇二号)
 視覚障害者の雇用促進に関する請願(伊東正義
 君紹介)(第二七〇三号)
 同(宇野亨君紹介)(第二七〇四号)
 同(田中龍夫君紹介)(第二七〇五号)
 同(谷洋一君紹介)(第二七〇六号)
 同(津島雄二君紹介)(第二七〇七号)
 同(戸沢政方君紹介)(第二七〇八号)
 同(登坂重次郎君紹介)(第二七〇九号)
 同外一件(友納武人君紹介)(第二七一〇号)
 同(濱野清吾君紹介)(第二七一一号)
 同(増岡博之君紹介)(第二七一二号)
 同(三塚博君紹介)(第二七一三号)
 同(武藤嘉文君紹介)(第二七一四号)
 医療保険制度の改悪反対等に関する請願(浦井
 洋君紹介)(第二七一五号)
 老人医療費の有料化反対及び現行制度の改善に
 関する請願(浦井洋君紹介)(第二七一六号)
 奄美大島旧医師介輔の身分喪失に伴う補償措置
 に関する請願(古寺宏君紹介)(第二七一九
 号)
 旧満州開拓団の行方不明者調査等に関する請願
 (瀬長亀次郎君紹介)(第二七五四号)
 日雇健康保険制度の改善に関する請願(瀬野栄
 次郎君紹介)(第二七八九号)
 失業対策事業就労者に通勤交通費支給に関する
 請願(瀬野栄次郎君紹介)(第二七九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月三日
 国民健康保険制度の改善等に関する陳情書(津
 市議会議長川辺富)(第二四八号)
 緊急医療体制の確立等に関する陳情書(奈良市
 六条緑町二の一五三七の一五四尾山香代外三千
 二百名)(第二四九号)
 筋拘縮症医療費の公費負担制度拡充に関する陳
 情書(十都道府県議会議長会代表広島県議会議
 長西田修一外九名)(第二五〇号)
 療術の単独立法化阻止に関する陳情書外二件(
 佐世保市三川内本町三五〇佐世保鍼灸マッサー
 ジ師会長藤本俊雄外二名)(第二五一号)
 療術行為の法制化促進に関する陳情書外一件(
 宇都宮市長小池嘉子外一名)(第二五二号)
 児童手当制度の拡充整備に関する陳情書外九件
 (宮崎県議会議長後藤基晴外十五名)(第二五
 三号)
 生活保護法による生活扶助基準の是正に関する
 陳情書(近畿二府六県議会議長会代表三重県議
 会議長倉田文治外七名)(第二五四号)
 老齢福祉年金の年齢段階別支給に関する陳情書
 (東京都新宿区百人町二の七の三日本百歳会理
 事長河野義)(第二五五号)
 雇用対策の確立に関する陳情書外一件(十都道
 府県議会議長会代表広島県議会議長西田修一外
 十九名)(第二五六号)
 母子家庭の母親の雇用促進法制定等に関する陳
 情書(十都道府県議会議長会代表広島県議会議
 長西田修一外九名)(第二五七号)
 水道用水供給事業の助成措置に関する陳情書(
 近畿二府六県議会議長会代表三重県議会議長倉
 田文治外七名)(第二五八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四〇号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
     ――――◇―――――
○木野委員長 これより会議を開きます。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安島友義君。
○安島委員 まず大臣にお伺いしたいのですが、昨年の十二月九日、これまで一年半にわたる審議の経過を中間意見として、年金制度基本構想懇談会から大臣の方に、その報告書が提出されたわけです。この中には、現状の八種類に分かれている年金制度全体について非常にきめ細かい分析が行われておるわけです。また、問題指摘として、制度間の格差が大きいことや年金額も十分ではない、それから人口構造の老齢化、これからの後代の負担増等を分析されているわけですが、中間報告ということから、ある程度やむを得ない面もありますが、問題点の指摘に多くを費やしておって、基本構想としての提言が不十分だと思うわけです。
 そこで、時間の関係もございますので、この基本懇の性格、どういう諮問をされて、どのような日程で、この作業を終わろうとするのか。そして今回の中間意見書というものはどういう位置づけになるのか。これらについて大臣の方から御見解をお伺いしたいと思います。
○木暮政府委員 経過を私から先に申し上げさせていただきたいと思います。
 日本の年金制度でございますが、四十八年度の大改正で、年金制度か目指す水準といたしましては欧米に比較して遜色のないところまで来たわけでございます。しかし現実には、いま先生お話ございましたように、いろいろな問題が残っておりまして、そういう問題を解決してまいりますためには、厚生年金だけ、あるいは国民年金だけで検討できるという問題はほとんどなくなったわけでございます。八つの制度を、それぞれ横断的に検討していかなければ対処できないという問題が残されておるわけでございます。一方、これも先生御指摘のように今後、老人人口がだんだんふえてまいりますと年金の給付費も非常にかさんでまいるわけでございます。そういう長期的な問題にも対処しなければならない。したがいまして、長期的な視野に立って八つの制度を横断的に検討する必要があるということで、一昨年の五月に、八つの制度を見渡していただける先生方にお集まりいただきまして懇談会を開いた次第でございます。
 その後、二年近くの歳月を費やしたわけでございますが、問題が非常に広範多岐にわたりますのと、それから、やはり国民の選択をお願いをするという点もございますので、最終的な結論を出すのに時間がかかるわけでございますが、中間意見を出して、各界の御意見をいただいて、さらに最終結論を出したい、こういう段取りを考えておるわけでございます。
○安島委員 この基本懇は厚生大臣の私的諮問機関ですか、この性格ですね。私は形式の問題を言っているのじゃないのです。基本懇に大臣の方から諮問をされた。基本懇というからには少なくとも基本構想、骨組みをまずしっかり立てて、それから現状のいろいろな問題を分析し、詰めの作業に入るという過程で、現在の諸制度のどこに問題があるかということを検討されるのは当然ですが、少なくとも、いま国民の最大の関心事である年金が幾つかに大きく分かれている。そして、それの持ついろいろな矛盾点。それから財政的にも、どの年金もかなり問題を持っているということになりますと、基本構想として、まず、どこにメスを入れるかという問題が主体になるべきではないのか、こう思うので、基本懇に諮問をする場合の厚生省、主務大臣としての考え方が一体、那辺にあったかということを実はお伺いしたいわけです。
○木暮政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように日本の年金制度は一定のところまでまいりましたけれども、今後、人口の老齢化に従って保険財政が非常に大きなものになっていくわけでございます。そういう長期的視野と、それから、いま八つの制度がばらばらになっておりますが、その八つの制度を横断的に検討をしなければならないという段階に来ておるわけでございますので、長期的視野に立って、なおかつ各制度を横断的に検討していただきたいということで諮問をいたしておるわけでございます。
 それで中間意見でございますが、文字どおり中間意見でございますので、必ずしも結論が出ておるわけではございませんけれども、一番大きな問題としては、八つの制度を一本にすることは、従来の沿革もあり、また年金制度の特質もございますので、それは無理であろう。しかしまた、八つの制度がそれぞれ、ばらばらにやっていくということでは老齢化の波に対処できないということで、部分的統合と申しますか、基礎年金の形でいくか、あるいは財政調整の形でいくか、どちらかで考えていかなければならないという方向は出していただいておるわけでございます。
 また、それに関連をいたしまして、基礎年金あるいは財政調整いずれも非常にむずかしい問題で、結論を出し、あるいは準備をするのに時間がかかるとすれば、その間にも、ゆるがせにできない問題として経過的年金の水準の問題、あるいは制度間の給付水準格差の問題単身と夫婦の給付水準の分化の問題、支給開始年齢の問題、年数加算制の問題、婦人の年金保障の問題、業務処理体制の整備、そういうことにつきましても方向を出していただいておるわけでございます。
○安島委員 いろいろな問題はございますけれども、要約しますと給付水準をできるだけ平準化する方向と、その財源をどこに求めるかというのが共通した最も基本的な課題で、この問題、特に財源問題に対して検討を進め、国民的な合意を得る、そういう段取りをどうつけるかということを抜きにして、どんなに、いまの制度間のいろいろな問題を議論したところで先に進むはずはない。ですから検討のあり方としては、いろいろな問題を事細かく検討するということは当然ですが、何か順序として、いまの八つの種類に分かれている年金制度の一つ一つの問題点を洗い直していくことも結構だけれども、そういう作業を進めている場合には、これは一体いつごろ結論が出るのですかという点にいささか疑問を持つわけなんです。まず骨組みをしっかりしておいて、むしろ、その基本的な問題に対して、いろいろ討議を起こすようなことから細部の作業に入るというのが順序ではないかと思いますが、これは基本懇の委員の方々は当然、厚生省の諮問内容について検討されているわけですから、私は委員会のことをどうこう言うわけじゃない。厚生省としての、この年金問題に対する基本的な姿勢についてお伺いしているわけなので、余り細かいことを聞いているわけじゃないのです。そういう点で、これは一体いつごろまでに答申というのか報告という形になるのか、まとめは終わるのですか。
○小沢国務大臣 老齢化社会の入口に立って、私どもは、いろいろな厚生行政全般にわたる問題について感慨を新たにしていかなければならぬということは厚生白書で指摘をしておるわけでございます。そういうような観点から、一番問題になる年金制度というものについて、いろいろ、われわれも、われわれとして研究をして進めていきますけれども、やはり学識経験者の意見もあらゆる角度からいただきたいというので基本構想懇談会というものを持ったわけでございますが、いま先生がおっしゃるように、確かに一体、年金制度はどうあるべきか、それから出てくる、いろいろな問題点を整理していく必要があるのじゃないか。問題点だけ指摘をして、ただそれだけでは困るじゃないかという御意見はごもっともだと思うのでございまして、私どもは、その基本的な構想、方向というものを、現在から考えますと一年いただいて、ぜひひとつ、そういうものをつくりたい。そういう意味で基本構想の懇談会の先生方にも、今後ともひとつ、いろいろ努力をしていただきたいと考えておるわけでございます。一年かけて、今年いっぱいかけて、それを決めたい、こう思っております。
○安島委員 今回の改正案の骨子というのは、この年金懇の中間報告とは直接的な関係はないわけですね。
○木暮政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○安島委員 一、二内容についてお伺いする前に、いま各方面でいろいろ関心が持たれている年金制度の問題点というのは、いま申し上げましたような、いろいろな制度間の格差の問題とか、あるいは給付水準の問題とか、いろいろありますけれども、まずやはり私が先ほどから申し上げておりますように、人口の老齢化というものと低成長時代の中で、これまでのように、ただ保険財政だけでは、現行のような形だけでは賄い切れないような問題が幾つかあるわけです。
 そこで、時間の関係もございますので、ごく簡潔に、いわゆる人口構造の推移、これは全部ですと長くなりますから、問題となるところのポイントだけ、比率で結構です。たとえば生産年齢人口というのは若干ながら減って、むしろ老齢者がどんどんふえていく、そういう傾向等についてどういう見通しなのか。それから当然その中からはっきりしてくるわけですけれども、どちらかというと、これからの方々、若い世代に負担が大きくかかってくる、そういう点をポイントだけ御説明いただきたい。
○木暮政府委員 老齢人口を六十五歳でとらえますと、現在、約九百四十六万人の方がいるわけでございます。それが昭和七十五年になりますと、倍の一千九百万人になり、さらに昭和九十五年ごろになりますと二千六百万人ということにふえていくわけでございます。それで仮に六十五歳以上の人口と全人口の比率を見ますと、現在六十五歳以上の方が全人口の八・二%でございますのが、昭和七十五年の時点では一四%、昭和九十五年の段階では一九%近くなるということでございます。また十五歳から六十四歳までの方を生産年齢というふうに仮に考えますと、六十五歳以上の方は現在一二%でございます。大体十人足らずで一人の老人のめんどうを見る、こういうことだと思いますが、昭和七十五年には二一・七%になりますので、五人で一人の老人をお世話する。さらに昭和九十五年になりますと三〇%でございますので、三人で一人の老人のお世話をする、こういう急な傾向をたどるというふうに見込んでおるわけでございます。
○安島委員 厚生年金と国民年金で年金加入者の大体九〇%を占めている。大体九〇%近いわけですが、前のあなたの方で出しているパンフレット、あれは新しいのを、ことしはまだ出していませんね。そういう計画はおありなんですか。
○木暮政府委員 先生のおっしゃいますのは、昭和五十一年の財政再計算のときに出しました非常に詳細なものだと思いますけれども、次回の再計算まではあれでいきたいというふうに考えておりますので、現在新しいものを出す準備はございません。
○安島委員 検討をする際に、当然のことながら厚生省から出されてくる資料は、その年度や月のとり方で全部違っているものだから、比較して、この前の時点から一番最近の近い時点で、どうなっているかというのを見るときに非常に困るわけです。そういう点で十分配慮してもらわないと、年金に対する関心が非常に高まっているときですから、やはりきめ細かなそういう配慮を特に要望しておきたいのです。
 ところで、一番近い状態で厚生年金、国民年金で結構です。この加入者の状況と受給者、これは全体の受給者と、それから無拠出の福祉年金の受給者ですね。それから老齢年金の受給者はどのくらいいるのか。それから、その中での老齢福祉年金はどうなっているのか。五十一年版で皆さんの方で出しました資料に沿って、そのまま御質問しているわけです。
○木暮政府委員 五十上年十月現在で申し上げまして、厚生年金の場合には加入者が二千三百八十四万人でございます。それで受給者が二百八十万人でございますが、そのうち老齢年金の受給者は百二十三万人でございます。それから国民年金は加入者が二千六百四十六万人でございます。受給者の総数が三百八十二万人でございますが、そのうち老齢年金の受給者が三百二十七万人でございます。福祉年金につきましては、受給者は四百五十万人でございますが、そのうち三百九十七万人が老齢福祉年金の受給者でございます。
○安島委員 この年金懇の中間報告の中でも問題指摘を通じて、年金保険を通じて所得の再配分を高めるべきだという提言をしております。たとえば加入期間五年、十年の経過的年金について、あるいは高齢者の生活実態を考慮をして、できる限り引き上げるべきだ。つまり将来の年金のあり方と、そのいわば経過的措置。そして、いままでにも、これだけじゃありません、いろいろな問題が指摘されておりますが、それを放置したままで、八つに分かれている制度の統合、一元化を目指すと言っても、これは無理な話であって、やはり段階的にメスを入れるということと基本的な問題について並行して討議を進めていくということが同時に行われるべきだろうと思うわけなんです。そういう点で、これまでと同じような考え方に今度の改正案は大体とどまっているように思われますが、これらの関連について今回の改正案というものはどういうふうにお考えになっているわけですか。
○木暮政府委員 先生の御指摘のように、厚生年金の水準あるいは国民年金が予定をしております水準は、国際的に見て遜色のないものでございますが、国民年金の経過年金と言われるものは現在余り高い水準にはないわけでございます。もちろん制度のデザインからいいますと、年月の経過につれまして高い年金が出るということにはなるわけでございますけれども、現状は必ずしも十分ではないわけでございます。その点につきまして国会でいつも御審議をいただいておるわけでございますが、基本懇の中間意見でも、この経過年金につきまして何らかの措置をとることが必要だという意見を出していただいておるわけでございます。
 その際、むずかしい点が二つございまして、一つは日本の年金が社会保険方式と申しますか、掛金比例方式をとっておりますので、短い拠出の方は長い拠出の方よりも多くの年金を出せないという問題があるわけでございます。逆に申しますと、経過年金を上げますと、よけい保険料をかけました年金も引き上げていかなければならないという、その体系の問題があるわけでございます。その点につきましては、基本懇の中間意見は、経過年金を引き上げることによって本来年金を底上げするようなことになる。そうでなくとも年金の財政が大変なので、そこを何とか切り離すような方法を考えたいという意見をいただいておるわけでございます。
 もう一つの問題は、当然ながら財政の問題でございまして、たとえば福祉年金で申し上げますと、月額千円上げるのに六百億円の財源が要るわけでございます。したがいまして、従来の一般会計方式では大きな財源を捻出することができないので、何か新しい財源を考えるべきであろう、こういう意見をいただいておりまして、この二点につきまして、さらに検討を続けていただく予定になっておるわけでございます。
○安島委員 具体的な問題で、障害福祉年金についてお伺いしますが、この給付額の算出根拠はどこに求めておられるのですか。
○木暮政府委員 障害福祉年金につきましては、老齢福祉年金とバランスをとっておりまして、昭和五十三年度は老齢福祉年金は一万六千五百円でございますけれども、障害福祉年金の場合には、この一万六千五百円にリンクをさせておるわけでございます。なお、障害の重い方に差し上げます一級障害年金につきましては、従来とも、その五割増しということにしてきているわけでございますので、今回も老齢福祉年金の五割増しの二万四千八百円というふうに考えておるわけでございます。
○安島委員 この八つに分かれている年金制度の、それぞれの歴史と生い立ちが違いますから、一概に批判はできませんが、発足当時は一応のそういう横にらみの関係で給付水準を決めたと思われるのですが、年金というものが根本的に一体、これまでのように単に加入期間といいますか、保険金を納めているいわゆる納入期間の長い、短いということだけで考えるべきものなのか。あるいは働きたくても働けないような状況に置かれている者の年金というものは、一体どういう考え方に立って、これを社会全体として、いわゆる救済というか、めんどうを見ようとするのか。これが問い直されているわけですね。
 そういう点で、発足当時の考え方を、そのままずっと延長したような形で考えているということに対して、財政的な問題があるから総花的に、どれも上げるというわけにいかないかもしれないけれども、たとえば、いまお話がありました一級障害というのは、もうほとんど仕事ができる状態ではありませんね。これが今回の改正案でも現行の二万二千五百円が二万四千八百円に上がっただけですよ。それで二級障害の場合、これは国民年金の関係で、ちょうど無拠出の老齢年金にベースを合わせている。無拠出という点では共通しているけれども、一方は年金制度の発足後、日が浅く、これはとうてい、ここで定めている加入期間に到達する見込みがないということでのこういう措置をとっている。一方は全く働けない状態。当初から、その出発点が異なっている。こういう最も気の毒なというか、社会全体で考えなければならない問題は、基本的に年金制度のあり方をこれから検討するにしても、現在でも将来でも同じ考え方から、この方々に対する救済措置、そして年金のあるべき姿をやはり考えなければならない問題だと思いますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○木暮政府委員 いま先生御指摘のとおりでございまして、日本の年金制度は掛金比例制ということになっておるわけでございます。この点につきましては基本懇の中間答申でも、掛金期間の短い方には非常に低い年金しか出ない。一方、掛金期間の長い方は場合によれば高過ぎる年金になる可能性もある。そういう点で、年数加算制度の功罪と申しますか、メリット、デメリットを見直すということか一つの課題になっておるわけでございます。基本懇でも、さらに、この点について詰めていただけるということになっておるわけでございます。現行制度はそういうふうに年数加算制というような形になっておりますので、障害福祉年金だけ特に引き上げをするということができませんけれども、経過年金一般の再検討問題ということの中で研究をさせていただきたいと思っております。
○小沢国務大臣 いま局長が申し上げたようなことでございますが、先生の主張されたいというお気持ちが、この障害年金というものについてお述べになりました御意見で私も想像つくわけでございますので、実は発足の当時そうした福祉年金というものと大体バランスをとってやってきたから、それだけで毎年の増額については従来と同じような考え方でずっと来ているわけでございますが、これがいいかどうかという点については、特に障害年金の受給者の性格等からかんがみまして、検討していかなければならぬ問題の一つじゃないかなと思っております。
 ただ遺憾ながら、まだ私が十分な検討をしておりませんので、ここで御満足のいくお答えができませんけれども、先生のお考えは何かわかるような気がいたしますので、私も大いに勉強させていただきたい、検討させていただきたいと思っておることだけを、特に私からお答えをしておきます。
○安島委員 年金懇の中間報告書の少し後に社会保障制度審議会が、これは昨年の十二月二十日、皆年金下の新年金体系について福田首相に建議書を提出しております。
 まず、これは建議書ということになりますと、大体、考え方それから、これからの問題についてまとめて提出しておりますから、さらに、これから作業が続くとは考えていないわけなので、私はそう思いませんので、結局これは政府として、この建議書について、どう取り扱うのかという問題になってくるというように思うのですが、厚生大臣は、これは非常に密接な関連を持っている内容ですから、これについては今後この建議書がどういうふうに扱われる段取りになるのか。あるいは厚生省、主務大臣の立場からは、これはどういうふうに受けとめられているのですか。
○小沢国務大臣 私は、非常に貴重な意見だと受けとめております。したがって、この御意見を、ことに基礎年金構想ということについては、私、大変同感の面もございますので、その他――ただ、いま五十五年までに実施しろという御提言がございますけれども、これはなかなか困難ではないかなと思っております。いろいろ、この組み合わせ等が、この御提言では基礎年金以外に各種年金をそこへ上積みしていくんだということでありますが、そうなりますと相当の負担増になってまいります。また、この構想は、いわば目的税的なものの創設の御提案をしておるわけでございまして、そうなりますと、われわれだけで、これを簡単に実行できるわけではありません。税体系全般の問題にも関連をいたしますし、御承知の国家財政全般の中で、やがて増税をしなければいかぬということについては必須な状態だと思いますが、そういうような点もいろいろ関連をしてまいりますものですから、五十五年までにという御提言は、ちょっと無理だと思いますし、また、その積み重ねをする各種の年金制度、まさに、その制度自体をわれわれは根本的にひとつ、いろいろ見直してみたいと思っておる最中でございますので、そのままというわけにいきませんけれども、非常に貴重なユニークな御意見だと思いますので、十分参考にしていきまして、検討をさせていただこう、こう思っております。
○安島委員 いま大臣も述べられているように、まず基本年金制度を五十五年に発足させて、そして以降十年間ぐらいを目安にして、現行の各公的年金制度を社会保険年金に切りかえて、この基本年金に上積みするような形で、六十五年には一応いろいろな問題処理の仕上げを終わろうという目安を立て、かなり具体的な思い切った提言をしているのですね。五十五年に基本年金制度が発足できるかどうかというのは、一にかかって、この取り扱いを政府部内でどういうふうに――政府として、この建議書を受けとめて、具体的には恐らく今度は厚生省、まあ大臣の方に、これから、いろんな法案も整理しなければならないのですから、そういう作業が順次出てくるはずだと思うのですが、私は、五十五年にこの基本年金制度が発足することがむずかしいか、むずかしくないかの問題よりも、この建議書の取り扱いはどうなるのかということを、大臣の立場でお伺いしているわけです。
○小沢国務大臣 私が最初に申し上げましたように、一年の歳月をかしていただいて、年金制度の根本的な考え方、方針をまとめたいと申し上げましたが、その際の非常に大きな、重要な参考意見である、かように受け取っておりますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
○安島委員 どうも質問していることとかみ合ってないのですよ。この社会保障制度審議会というのは内閣総理大臣の諮問機関です。私は、それぞれの審議会や懇談会だからというので軽重を言っているわけじゃない。内閣総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会としてまとめたものだ。これは、この具体化については、それぞれ、特に厚生省等が中心になって、これからどう煮詰めるのか。それから一方、厚生省は独自の立場から基本懇を発足させて検討中だ、これとどういうふうにこの建議書を結びつけるのか。いまの大臣の話でいくと、建議書は建議書として出っ放しということになるのですか。ですから、あなたの方に聞くのがどうかと思いますが、いまはまだ建議書として出された段階なので、本来は、ここの会長にでも出てもらって、いろいろお伺いしたがったが、それではちょっとまずいと思いまして、きょうはやはり大臣の方から、その辺、少なくとも内閣総理大臣に出されたものが、これから具体的に年金全体の問題を考える場合に、どういうふうにこの建議書というものが位置づけられるのかということをお伺いしているわけです。
○木暮政府委員 年金の改革案でございますが、ここ二年ぐらい、各政党から出していただきましたし、また、いろいろな研究団体からも、それぞれのビジョンが発表されておるわけでございます。それらの改革案につきましては基本懇でいろいろ検討させていただいておるわけでございますが、そこに昨年の暮れ、制度審議会からも御意見がいただけたわけでございます。で、その制度審議会の御意見も、当然のことながら基本懇の主な議題ということになるわけでございます。
 それで制度審議会の建議でございますが、もし、こういう言葉が許されるといたしますれば、年金制度の将来につきまして一つの理念を出していただいたということだと思うわけでございます。私ども、実施官庁でございますので、年金の改革案をつくります場合には、実施面につきまして、かなり重点を置いた検討をしていかなければならないわけでございますが、そういう観点から、先ほど大臣か申し上げました一年の間に制度審議会の御建議につきましても、いろいろ掘り下げをさせていただいて結論を出したい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○安島委員 そこで、社会保障制度審議会の事務局の方、来ておられますね。きょうは事務局の方を通してお伺いしたいと思うのですが、この検討の中で、やはり最も問題になるのは財源の問題でございますが、制度審では所得型の付加価値税、いわゆる年金税という目的税の創設について述べているわけですけれども、このいわゆる所得型付加価値税というものは、どういう内容の税なのか、簡単にひとつ御説明願いたいということと、この中で当面――当面というのは、いまの水準ということだと思いますが、いまの水準で計算した場合には、この年金税の場合も二%ぐらいの低い税率でさしあたっては賄える、こう言っておるわけですか、この二%というものの根拠をあわせて御説明いただきたいと思います。
○竹内政府委員 お答え申し上げます。
 付加価値税、特に建議の中では純粋な意味での付加価値税と申しております。これは、いま先生からもお話がございましたように、所得型の付加価値税と称しておりまして、簡単に申しますと、一つの企業を例にとって申しますと、一年間の総売上高に対しまして、その総売上高から原材料と固定資産の償却分を取り除いた残りの部分がすべて付加価値という考え方に立っておるわけであります。したがって、端的に申しますと、人件費といいますか給与も、それから利益も、あるいは、その利子も、配当も、これらがすべて付加価値になる。その付加価値全体に対して二%をかけるというのが年金税の基本的な考え方でございます。
 それで、この純粋な意味での付加価値税ということを制度審議会が建議の中で取り上げました理由の一つには、老人夫婦世帯の標準的な生計費の五割程度は、この基本年金でカバーをしたいということが、まず前提にあるわけです。一方、純粋な意味の付加価値というものが、これを総計いたしますと国の国民所得全体に当たるわけで、国民所得の中から、いわば国民それぞれの生活費が賄われていくわけであります。そういう意味で、必ずしも国民所得の推移と標準的な老人夫婦世帯の生計費とが並行的にパラレルに動くとは思いませんけれども、いわば、ある程度の相関関係がおのずからあるということから、基本年金額を経済の変動に対して常にバランスを保って財源が確保できるように、そういう意味で国民所得をいわば課税対象とする。国民所得を課税対象にするという意味は、個々の企業なり自営業者が一年間の働いて得た付加価値全体に対して二%をかけるということで、目的税として、これを基本年金の財源にしたいということでございます。
 したがいまして、御質問の第二点の二%そのものというのは、いわば逆算的に出たものでございまして、約百五十兆の国民所得に対しまして、それの二%をかけますと約三兆になるわけです。基本年金の五十二年段階での計算で五万円なり、あるいは単身の場合三万円という計算で、六十五歳以上の国民全部に、これを給付するといたしますと、約三兆円余り必要になります。おおむね二%程度で賄える。もちろん毎年それぞれプラスマイナスか出てまいりましょうから、そういった意味では、これを目的税といいますか、と同時に、したがって、これを特別会計で数年間の出入りはその税の中で処理をするという形でいけるのではなかろうかというのか、制度審議会の考え方でございます。
 非常に簡単でございますが、以上でございます。
○安島委員 先ほども、ちょっとお伺いしました厚生省の年金局がまとめた五十一年版のパンフレットですね。この中で、わが国の年金は国際的に見ても遜色がないと自画自賛しておるわけです。その根拠として、年金給付水準というものをILOの百二号条約あるいは百二十八号条約との比較の上に立って、先進諸国の給付水準と比較しても低くない、こう言っておるわけです。
 そこでお伺いしたいのですが、社会保障制度審の建議書の中の最も中核部分である国民全体に基本年金として夫婦で五万円程度を目安として、だれでも同じように支給するということで、わが国では夫婦で基本年金部分として五万円を、これからどのくらい時間がかかるかわからぬか、いろいろ検討しながら、その方向に、いまから歩み出そうとしている。ところが賃金水準を比較しても最も日本に類似しているイギリスの場合、見てみますと、この基本年金に相当するイギリスの基礎年金は、昨年の十一月すでに日本円換算で五万五千八百円に引き上げられているということがあるわけです。したがって、必ずしも十分な水準と言えなくても、この五万円という目標、目安というのは、現在の生活水準等といろいろ比較して、最低生活保障というたてまえの上におおむね妥当ということが言えるわけです。
 ところが、ここで日本の場合、比較対照になっているのは厚生年金でございます。日本の場合は御承知のように、これは中小零細等の場合はちょっとまた別になりますが、厚生年金を比較にしておりますから、お伺いするのですか、日本には一時金という、年間四カ月ないし五カ月、これは諸外国に例を見ない賃金後払い的性格、これは主として労働側が言っていることですが、そういう性格を持つ一時的な、いわゆる一時所得とはいいながら、かなり生計に影響の大きい給与が給付されているということを考えますと、毎月の所定の賃金と比較をして一定率を出して、賃金に比較して給付水準は大体何%に相当しているから、諸外国と比較しても遜色がない、こう言っているわけですが、これは日本の年金の実態というものを正確にあらわしていないということと、日本の場合に最も問題になっているのが言うまでもなく国民年金であるということを考えると、少なくとも、いまの年金制度と現状というものを正しく国民に知らしているとも言えないし、国際比較の上においても問題かあるのではないかと思うのですが、この点いかがですか。
○木暮政府委員 厚生年金の場合には、私ども、いろいろな機会で説明させていただいておりますように、大体国際的な水準になっておるのじゃないか。確かにボーナスの問題がございますけれども、いまの年金水準は標準報酬に対しまして六〇%ということでございますが、ボーナスを入れましても四七%くらいになっておるというふうに思うわけでございまして、ILOの百二号条約で言っております四〇%あるいは百二十八号条約が言っております四五%の線には達しておるというふうに思うわけでございます。ただ、国民年金につきましては御指摘のとおり、まだ経過年金の段階でございまして十分ではございませんが、十年年金では五十三年二万四千円になりますので、夫婦でございますと四万八千円ということになりまして、かなりのところまでいくわけでございますが、五年年金の場合には夫婦を合わせましても三万五千円程度、それから老齢福祉年金の場合には夫婦で三万三千円ということでございまして、先ほど来、先生の御指摘のございます経過年金の問題というのは、私ども重要な課題として今後、取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
○安島委員 私は、厚生年金を中心にして比較するということは一面だけを伝えているのではないか。最も問題のある国民年金というものをどう考えるかという観点も含めて検討というか、比較対照すべきだという観点で申し上げているのですから、お間違えにならないようにしてください。年金そのものの比較だけでなくて、あなた方の方で出している資料が厚生年金で比較しているから、そこにも若干の問題点がありますよ、最も問題になっているのはやはり国民年金ではないかという観点で申し上げているわけですから。
 続けますが、この建議書の中で私が非常に評価しているのは、老人問題に対する基本的な考え方が、これは失礼かもしれませんが、どうも厚生省の考え方とはちょっと思想的に違っているといいますか、もっと広い分野にわたった物の考え方に立って、きちんと整理されている、こう私は思うのです。たとえば老齢者にとって仕事を持つことは生きがいにつながる。年金は老齢者に生きている誇りと意義を与える足場であるということが指摘されている。全く私は同感です。さらに、年金は単なる金だけの問題ではないということも強調されているわけですね。全体を通じて、この建議書は、老齢化社会の到来に備えて、できるだけ早い機会に新しい年金体系をつくる必要がある、これは皆さん方も同感だと思うのですが、この点を力説しているわけです。
 と同時に、やはり、この目標に到達するまでにはいろいろな問題があるわけですが、その中で最も重要なかかわりを持つ問題は、きょうは時間の関係から多くをこの問題に費やすことができませんけれども、やはり何といっても財源問題ですね。そうすると全国民の負担となる所得型付加価値税の制度というものを非常に安定的な財源としている。これは議論が多くあるところは承知していますが、私は非常に重要な問題提起だというような受けとめ方をしているわけです。
 このことは、きょうはおきまして、特にわが国の場合は高齢者の雇用を促進しつつということと、年金の支給開始年齢を、これはいまのところ国際比較の上において六十五歳程度が妥当だ。ですから年金の支給開始年齢を六十五歳にするということは、平均寿命がどんどん延びているというわが国の現状では、その方の面からだけすれば合理性もあり、もっともだと思うのだが、一方諸外国と最も異なっている点は、ほとんどの企業が現在五十五歳定年制であるということにかんがみまして、これはやはり雇用政策としても重要な問題か含まれているわけであって、このことを抜きにして六十五歳からと言っても、なかなかこれは国民的な合意は得られない。ですから財源問題が最も重要な問題であると同じように、雇用政策という面からも非常に問題があると思うのですけれども、労働省の方、来ておられると思いますので、労働省の立場から、年金と雇用というもののかかわり、それから労働省自身は、この定年制延長に対してどういう考え方で、これが延長されるような方向に努力されているのか、これを簡単に御説明いただきたい。
○田淵説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありました五十五歳定年の件でございますが、昭和五十一年の調査が労働省の調査では一番新しい調査でございますが、それでは五十五歳定年を決めている企業は四七・三%と、ようやく半数を割った状態でございます。この調査を始めた昭和四十三年には七割近くの企業が五十五歳でございました。そういう意味で、歩みは遅うございますが、かなり順調に定年延長は進んできております。
 ただ、この時期、非常に不況下で、定年延長が後退しないようにということで労働省としても行政指導に特に力を入れているわけでございますが、今後の問題としましては、六十歳までは少なくとも定年延長によって雇用を確保していく。それから六十歳から六十四歳につきましては定年後の再雇用とか勤務延長を含めて再就職を促進していく。さらに六十五歳以上の方々につきましては、それらの方々の能力に応じた社会参加の機会を確保するという観点から雇用の促進を図っていく、こういう基本的な考え方で進めておりますが、お尋ねの年金とのかかわり合いの件につきまして、六十五歳に支給開始年齢を引き上げる問題との関連につきましては、雇用の問題、雇用はまた賃金の問題とも大きなかかわり合いを持っておりますので、労働省としても深い関心を持って、この関係について検討を進めているところでございます。
○安島委員 いまの問題点の中で二つほど、いわゆる雇用政策とのかかわり、それから何度も申し上げております新財源をどこに求めるかという問題、それにもう一つ加えますと、制度の再編成によって既得権を侵害されることのないような経過措置をとるということが同時に非常に重要な課題である、こう思うのですが、時間も来ましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
 一番初めに御質問した趣旨と関連しますが、いろいろな審議会や懇談会、それぞれの性格を持って、いろいろな検討を依頼されているわけですから、そのことをどうこう言っているわけじゃないのですが、ここまで年金問題が全国民の非常に重要な関心事となってきている段階におきましては、具体的に、これから、この問題に一定の方向、結論を導き出すための検討としては、やはりある程度、政府部内において意思統一を図り、骨組みをしっかり立てて、そこから、いろいろなことにまたがる部分、これは、これまでの経過もございますから各省庁や何かに具体的ないろいろな問題の検討を諮問するとしても、少なくとも社会保障制度審議会から建議書が出ているということを踏まえて、これからの年金懇の作業の進め方、この辺、それぞれの委員会あるいは委員の方々あるいは諮問される側の考え方等がまちまちであったのでは、そういうものがこれからいろいろ答申書だとか、あるいは意見書とか建議書というような形で余り出てもらったのでは、こちらの方としても、やはり、この問題を検討する上において必ずしもプラスになるだけの面ばかりではない、マイナスの面も出てくると思うのです。
 特に厚生省は年金に加入している者の大部分、国民年金、厚生年金というものを中心にして所管されているというところからしましても、先ほどから言っておりますように、この建議書に対して政府部内でどう評価し、今後どういうふうに、これを生かす方向で具体的に、それぞれの審議会や懇談会というようなところで審議して、あるいは法案として提出するようにするのか。いわば当面の措置と、それから、かなり長い年月のかかるという部分の問題とを整理して、これから私どもにわかるような形で年金問題というものがおろされるようにすべきではないかと思うのですが、この点、主務大臣としての立場から御見解を伺いたいと思います。
○小沢国務大臣 安島先生おっしゃるとおりだと思うのです。私ども、先ほど言いましたように、一年かかって何とかひとつ基本的な方針を決めていきたい。その場合に、制度審の御意見は一つの非常に示唆に富んだ御意見として十分参考にさしていただきますし、同時にまた、年金基本構想懇談会で御指摘ありましたいろいろな問題点について十分よく検討をさしていただいて、何とか一年後には年金の改正についての基本的な方針だけは定めて、国民の皆様の前に御批判を得たい、御理解も得たい、かように考えておりますから、やってみたいと思います。
○安島委員 これは、おくれればおくれるほど問題がますますたくさん出てくるという性格を持っているわけですから、まず基本的な柱になるべきような――いま三つほど申し上げました。どこで審議しようが、財源をどこに求めるか、雇用政策をどう展開するか、既得権の侵害ということにならないような段階的経過措置をどう講じるか、この三点が何といっても避けて通れない問題だと思います。そして毎年毎年これまでと同じような形での年金の部分的な改正をしていれば、ますます。この制度間の格差が拡大し、老齢化社会の方に一歩一歩近づいて、受給者はますますふえていく、そして格差が拡大していく中で、今度は、それをできるだけ一元化する方向に持っていこうというのがむずかしくなる。こういう問題を抱えているわけですから、ぜひ政府部内で、特に小沢厚生大臣は閣議の場でも、この建議書の取り扱いについて厚生大臣としての立場から、やはり慎重に検討すると同時に、これからの年金の基本構想というものを、まず最初に骨組みになる部分だけでも意思統一を図り、それから、いろいろな細部の作業に入るというような形をつくっていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○木野委員長 次に、村山富市君。
○村山(富)委員 ただいま、わが党の安島委員から年金の当面する基本的な問題点等について御質疑がございました。いま日本にある八つの年金制度の中で、将来を展望してみて、どういうところに改善をしなければならぬ問題点があるのか、こういう問題については、ある意味では認識の一致はできているのじゃないかと私は思うのです。これからは具体的に、そういう問題点をどう改善していくのかというところに当面の課題があると思います。
 いまも、お話がございましたように、たとえば基本構想懇談会の中間報告を見ましても、いろいろ当面する年金の問題点が指摘されています。それから、そうした問題を踏まえて社会保障制度審議会からは相当抜本的な改革案が建議されておる、こういうことになっておると思うのです。これから厚生省は、大臣も先般わが党の大原委員の質問にお答えになりましたように、そうしたいろいろな意見も踏まえて、できれば、ことしじゅうに意見をまとめて一応の考え方をつくりたい、こういうお話がございましたが、その点に変わりはないかどうかということが第一点です。
 それから第二点は、私とも五十三年度予算を審議する際に、これは野党の共同要求として一兆二千億円の減税要求をいたしました。そのときに、減税要求に対して福田総理、大蔵大臣等が国会を通じて答弁されたのは、日本の場合には貯蓄性が相当高い。だから減税をやってみても貯蓄に回って消費に回らない。だから景気回復には効果がないのだ。こういう答弁を繰り返していたしておりました。
 なぜ、それでは消費に回らずに貯蓄に回るのかといえば、これはよく言われますように、たとえば病気をした場合に不安だから、あるいは住宅を何とか自分の代につくりたい、しかし、いまの所得ではなかなか賄えないので、そのために準備をする。あるいは教育費に金がかかる。あるいは老後が不安である。こういう事情によって日本の国民は大変貯蓄性が高い。
 ちなみに最近の貯蓄率を見ますと、国民所得の中で大体二五%ぐらい占めておるわけです。これを外国と比較してみましても、個人の貯蓄率は、日本の場合にはいま申しましたように二四・九%、米国の場合で七・九%、イギリスの場合が一一・二%、こういうふうに非常に高いわけです。高いのは、いま言ったような理由で高いのだ。これは言うならば、病気にしても住宅にしても老後の不安等にいたしましても、社会保障に関連をする部面が非常に多いわけです。これはある意味では社会保障が立ちおくれておるから先行きが不安である。だから何かあったときには自分で自分を守る以外にない。それが貯蓄をして備えるのだということにつながっておると思います。
 したがって、そういう点からしますと、やはり思い切って社会保障制度を何とか引き上げて充実をするということを考えていかなければならぬと思うのですけれども、こういう問題について大臣はどういうようにお考えでありますか。まず、その二点についてお伺いいたします。
○小沢国務大臣 第一点は、変わりはございません。
 それから第二点は、確かに日本の貯蓄性向の高いのは四つの不安があるからだという御説についても、私はそれだけとは思いませんが、それが大きな理由であることも否定できないと思います。したがいまして、そういう面で社会保障の充実は、より一層私どもとして真剣に取り組んでいかなければならない、かように考えます。
○村山(富)委員 そこで最近、新聞等で伝えられる情報を聞いていますと、思い切って五十三年度、公共事業を中心とした大型予算を組んでおるのだ。しかし景気の回復のめどがなかなか立ちにくい。依然として円高攻撃は加わっていく。したがって、これは内需を拡大、喚起する以外にない。秋には相当思い切った補正予算を組まざるを得ないのではないか、こういう話もあるわけです。これは、公定歩合も下げるだけ下げて、ほとんど打つ手は打った。しかし、いま申しましたように、依然として景気の回復のきざしはない。だから秋には大型補正予算を組んで、もう一遍予算でてこ入れをする必要があるのではないか、こういう話も伝わっているわけです。秋に補正予算をどの程度の規模で組むかはともかくとして、やはり一方では公共事業、一方では思い切った減税措置を講じて内需を喚起するという以外にはないと思うのです。
 その減税が、いま申しましたように貯蓄に回らずに消費に回るようにするためには、もし組まれるとすれば、補正予算の中における社会保障の年金、医療といった部面の位置づけはきわめて大事だと思うのですね。そうでないと依然として同じ傾向をたどっていくように思いますが、仮に補正予算を組まれる場合の社会保障の位置づけといったものについて、大臣はどういうふうにお考えですか、聞いておきたいと思うのです。
○小沢国務大臣 景気対策の一環として社会保障を考えるという基本的な考え方には、私は同調できないのです。社会保障というものは景気のいかんにかかわらず、基本的に必要なことは進めていかなければならぬわけでございます。ただしかし、現実に関連があることは事実だろうと思うのでありまして、そういう意味で私どもとしては疾病と老後の不安をなくするように、できるだけの充実を図っていく。その結果として景気対策に役立っていくものであろう。目的と結果というものは別に考えていかなければならぬだろう。厚生省としては目的を景気対策に置いて社会保障を臨時的に進めるという考えはない。しかし社会保障を進めることによって、それが結果的に景気対策になるということについては十分理解をしている。しかし補正予算を組むかどうかは、まだ私ども聞いておりません。それとは無関係に、少なくとも一年間に基本方針を何とかはっきり決めていきたいという場合には、作業はできるだけ進めていくようにいたしたい、かように考えております。
○村山(富)委員 社会保障を充実するのは、直接の景気対策をするために社会保障を充実するのだということにはならぬと思います。それはそのとおりだと思います。しかし日本のいまの現状から考えても、冒頭に申し上げましたように、仮に景気回復の手段として内需を喚起する必要があるとして、内需を喚起するためには国民の皆さんに物を買ってもらわなければならぬわけですね。物を買う力をつけるためには、減税をするか、所得をふやすか、安定した生活にするかしかないのですから、そういう基盤をつくっていくということが恒常的に日本の経済を回復していく、安定した基盤をつくっていく大事なことではないかという意味では、やはり社会保障というものを、しっかり位置づけていく必要があるのではないか、こういう意味で言っているのですから、その点は余り変わらないでしょう。
○小沢国務大臣 そのとおりだろうと思います。
○村山(富)委員 いずれ補正予算も組まれると思いますから、大臣の活躍を期待いたしておきます。
 そこで、次に質問を移しますか、今回の改正案の主要な柱は、無年金者を解消する対策を講じたということですね。これは、いままでの質疑の中でもたびたび議論がございましたように、特例納付の保険料が四千円、二カ年間で分割納付をするということになっておりますが、従来から二回ほど、やってこられて今度は三度目ですね。この三度目をもって無年金者対策の終わりにしたいという気持ちは同じだと思うのです。そのためには、せっかくやるのですから、効果が上がって無年金者がなくなるというような措置を講じていただかないと、依然として無年金者が残っていくということになったのでは余り効果がないと思うのです。仮に十年間納付する人を考えた場合に、特例納付の保険料は総額で五十万円くらいになるわけですね。五十万円を二年間で納付するということは現状から考えてみて、ちょっと荷が重いのではないかとも思われるわけですね。
 これは先般、大原委員から、四千円という特例納付の保険料を決めた根拠は何か、こういう質問がございましたね。その質問に対しては、二年間の分割納付で三年度にわたる。そうすると三年度目の保険料が三千六百五十円になる。それに物価関係のスライドを若干含めて四千円ぐらいが、まず妥当だろうと思いますというお話がございました。そこで、これはちょっとはかる尺度がないわけですけれども、仮に三千六百五十円になれば、その三千六百五十円ぐらいというものをめどに特例納付の保険料を決めてもよかったのではないかと思うのです。その意味で四千円という保険料を下げる考えはないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○木暮政府委員 ただいま先生からお話のございましたように、今回の特例納付の保険料の四千円というのは、三年度にわたります特例納付の最終年度の保険料三千六百五十円ということで御提案申し上げておるわけでございますが、三千六百五十円につきましては、五十三年四月からの保険料でしていただきましたように、前年度に物価スライドかあれば、その率を掛けさせていただく、こういうことでお願いをしておるわけでございます。それで恐らくは三千六百五十円というのは四千円近い保険料になるのではないかと思っておるわけでございます。
 今度の特例納付で私ども一番心配をいたしておりますのは、国民年金というのが世界に例のない変わった制度でございまして、二千六百万人の方々の自主的な保険料納付で支えられておるということでございます。この二千六百万人の方が保険料を積極的に納めていただけませんと制度の運営ができないわけでございます。それで一回、二回と繰り返しまして三回目の特例納付ということになりますと、この特例納付が今後一定期間を置いて繰り返されるのではないかという印象がどうしても出てくると思います。特例納付をやること自体、二千六百万人の方々の保険料納付に微妙な影響が出てくると思うわけでございますが、もし一般保険料よりも低いというようなことになりますと、一般の被保険者の方々の納付意欲に、かなり大きな影響が出るのではないか。そういうことで、いろいろペナルティーみたいなことも考えたわけでございますが、ただ一つの事柄としまして一般保険料より下回らないということだけは、ぜひ、やらしていただきたいということで御提案したのでございますので、三千六百五十円にすることはお許しいただきたいと思っております。
○村山(富)委員 経過や事情はわからぬことはないわけです。保険料はともかくとして二年間に分割納付する。そうすると、いま申しましたように五十万円ぐらいになる人もあるわけです。ですから、これをたとえば四年にするとか、五年にするとか分割納付の期間を延ばして、できるだけ納めやすいように配慮してあげるというような方法は考えられませんか。
○木暮政府委員 今度の特例納付は二年間窓口を開くということでお願いをいたしておりますが、過去二回も二年ということでやってまいりましたし、それから、やはり特例的な措置でございますので、余り長引くということではなく、PR等も一定期間に集中してやらしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。もし五年ということになりますと、三千六百五十円なり四千円なりの保険料の先の一般保険料とのバランスの問題がまた出てまいりまして、そこら辺を考えますと二年でやらしていただきたい、こういうふうに思っております。
○村山(富)委員 技術的な扱いで大変むずかしい点もあると思うのですけれども、冒頭に申し上げましたように、これはせっかく無年金者を解消するという目的で講ずる措置ですから、せっかくやったのに無年金者がなおかつ残っていた、こうなれば、またいずれ問題になる可能性もあるわけですから、できるだけ今回で解消できるような手だてを講じていくということが必要ではないかと思うのです。
 そこで、今度やった対策は過去の滞納分に対して一括納入を認める、こういう方式ですね。ところが、いま計算しますと、たとえば三十六歳から国民年金に入って、六十歳までですから二十四年しかかける期間がなかった。こうした者については、あと一年というところで期間が足りなかった、だから年金はもらえない、こういうことだって起こり得るわけでしょう。これは極端な例ですけれども、あと二年、三年かければ済むという人があるかもしれませんね。そういう方々にとっては、六十歳までで納入期間を切るのでなくて、将来分については任意に継続して保険料を納められる。たとえば六十一歳まで納めていいとか六十二歳まで納めていいとかいうことにして、できるだけ二十五年の期間を満たせるように手だてを講じてあげる、こういう方法は考えられないのですか。
○木暮政府委員 正直に申し上げまして、無年金者対策をやりますときに、前二回の特例納付と同じことは、できるだけ避けたいということで検討いたしたわけでございます。ほかの方法でやりたい。いま先生のおっしゃいました六十歳以降も足りない保険料を納めるということは有力な案ということで、私どもも検討をいたしたわけでございます。その案の一番私ども、つらいところは、いまの例でもございましたように、現在三十六歳の方がたとえば六十歳になって、一年足りないということで一年間延納しますのは二十五年先のことになってしまうわけであります。こういう特例措置を二十五年なり三十年なり、窓口を開いていくということは、非常にいろいろな不都合が出てくるのじゃないか。年金の制度もいろいろ改正しなければなりません事態に、そういう措置を長く続けていくのは、どうしてもやりにくいのではないかということで、その案をあきらめたわけでございます。
○村山(富)委員 これは特例措置としてではなくて、そういう制度をある程度弾力的に恒常的に認めていく。これは後でまた問題を出しますけれども、任意加入の制度もあるわけですから、したがって、そういうものに見合って任意で継続して加入できるような措置を講じれば、ある程度そうしたものの救済ができるわけですから、したがって私は、今後の問題として十分検討もしていただきたいと思うのですね。ここで、いま結論を求めるということではございませんから、十分ひとつ検討してもらいたい。
 ただ私は、くどくど申し上げますけれども、ある市の窓口でいろいろ聞いてみたわけです。その市の窓口の人が言うには、無年金者、主として住所は転々として変わる、こういう人を対象にずっと整理してみましたら、大体千二百九件あった。その千二百九件の方に、あなたは年金がありませんよ、一度おいでください、と言って葉書を出した。そうしたら大体五百五十人くらいが窓口に来られました。この五百五十人の方々を調べてみたら、一年かけておったり、二年かけておったり、あるいは五年かけておって時効になったりなんかしている人が多いのですね。これは所得も不特定だし、住居も不特定で転々と変わる、こういう人が多いから窓口は大変苦労するわけですね。
 こういう人をいろいろ調べてみますと、今度の特例納付で納め切れない人か大体十人くらい出てくるのではないか、こういう見方をしておりました。これは五百五十人来られた中で十人ですから、これがそのまま、ずっといくかどうかわかりませんけれども、推定しますと、やはりいま申しましたように依然として無年金者が相当残るのではないかというふうに考えられますから、いま幾つかの質問をしてみたわけですけれども、いろいろな方策を考えてみて、何とか効果の上がるような手だてを温かく講じてやる必要があるのではないかと思うので、ひとつ貸付金といったような制度を考えて、納入がしやすくなるような手だてを講じてやる方法はないだろうかと思うのですが、その点どうでしょうか。
○木暮政府委員 御指摘のように五十万という金額は非常に大きな額である場合があるだろうと思います。それで、そういう方々は大変御苦労されなければならないということだと思うのですけれども、実は一般の保険料を納めておる方々も、さまざまな生活条件の方がおられて、苦しい中を納めておられる方も数多くあるのじゃないかと思うわけでございます。そういう方々とのバランスを考えますと、特例納付の方に貸付制度をつくるということは、どうしてもまた、その面では公平を欠くのではないか。
 さらに私ども、三回目の特例納付をやることか非常に大きな影響が出ると思っておるわけでございますが、前二回と違って貸付制度もあるということでは、先にいけばいくほど、何かうまい救済措置をやってもらえるのじゃないかという感じが出てまいりまして、それはやはり国民年金全体の運営からいって非常に困る問題になろうかということで、私どもといたしましては貸付制度をつくらないでいきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 四千円という保険料を考えた場合に、さっき答弁の中にもございましたように、やはり若干のペナルティーの要素も入っておるというような意見もございましたし、一般の方もそういう受けとめ方をしているわけですよ。だから、これはこれで償いをするのだという気持ちもある。しかし、どうしても金の工面がつかないで納入ができないという人もあるかもしれませんよ。そこで私は、仮に保険料を下げるとか、あるいは分割納付の期間を延ばすとか、いろいろな措置を考えてみて、全体的にバランスやら技術的な面を考えて、そういうものは困難だとすれば、せめて貸付金制度くらいは何らか考えてあげて、そうして、できるだけ無年金者を解消しやすいような手だてを考える必要があるのではないか。
 これは、最近開かれました各市町村の議会でも、相当問題として提起をされて、市町村が独自にそんなものを考えたらどうか、こういう意見さえ出ております。恐らく私は、市町村で独自にそういう制度を考えていくところが出てくるのじゃないかと思いますよ。そのときに、国は一切知らぬ顔をしておって、やりなさいというかっこうでは、やはりこの制度を督励する意味では申しわけないのじゃないか。だから、それに合わして国も考えてもいいのではないか。そのことが無年金者を解消して、国民全体を救済していく一つの大きな要素になるとすれば、そのくらいのことは配慮してもいいのじゃないかと思うのですが、ひとつ大局的な見地に立って大臣の見解を聞きたいと思うのですが、どうですか。
○小沢国務大臣 私は、村山先生の御意見を聞いていますと、何か、ぎりぎりのところは、もっとものような気もしますが、また事務当局の説明をるる聞いてみますと、これももっともだというふうに思いまして、これはやはり何とか私が政治的に考えなければいかぬかなと思って質疑応答を聞いておりました。どうも理屈は、やはり厚生省の事務当局がいろいろ考えた方にあるのじゃないかなと思うのですけれども、政治的な配慮を加えつつ、国民の実態を考えて、せっかくつくったのだから何とかみんな入れたいという御趣旨を考えると、なるほど、これは検討しなければいかぬかなと思ったり、率直に実は感想を述べますと、そういうことでございます。
 したがって、たって先生から、何とか困った人には、恐らく低所得で困った人だと思うのですが、何とか貸し付けしてやる方法を考えろ、しかも最後の対策なんだからと言われますと、事務当局にはまだ相談もしておりませんが、御趣旨を体して、私は前向きにひとつ検討させていただきます。
 ただ、ちょっと実施の状況を、若干期間を見させていただきたいと思うのです。それで実態を見させていただきまして、やらしていただきたいと思いますが、ここの先生に対するお答えとして、まず最後の対策でもありますので、御趣旨を体して前向きに検討いたします。ただし、所得の低い本当に困る人で、しかも、この実施を若干――この法案の御審議をいただいて、御協賛をいただいた後に実施をしてまいりますか、その実施の状況を若干見さしていただきたいということをお願いをいたしたいと思います。
○村山(富)委員 私は経緯も事情もよく承知の上でお願いしているわけですから、ひとつ温かい措置を考慮していただいて、この措置を講じた目的が十分果たせるように手だてを講じていただきたいということを重ねてお願い申しておきたいと思います。
 次に、これはよく言われます妻の年金権の問題について若干お尋ねしたいと思うのです。
 いま、日本の年金の中には被用者年金と国民年金とがあるわけですけれども、被用者年金の場合には世帯単位に構成されておる。したがって、夫が被用者年金に加入しておれば、無業の妻の場合でも一応の年金権があるというふうになっておるわけですね。しかし、それはきわめて不安定な意味で年金権があると言われているだけであって、はっきり妻にも年金権がありますということは言えない状況になる場合がある。たとえば比較的高齢で離婚をした妻等については年金がなくなってしまうということだってありますからね。これは、たとえば昭和五年四月一日までに生まれた者については短縮措置がありますから、何も二十五年の加入期間にこだわらなくてもいいわけですけれども、しかし原則としてやはり二十五年かけなければないわけですから、したがって高齢で離婚したような場合には年金権に結びつかない、無年金者になる、こういう不安定な妻というものが存在するわけですね。こういう者に対しては何か救済するような措置というものは全然考えられていないわけですか。たとえば空期間になりますね。空期間で計算をされるけれども、しかし仮に結婚期間が二十年あった。そしてあと五年間だけ国民年金に入った。通算して二十五年ですから年金権はありますけれども、しかしきわめて低額な年金の額になりますね。したがって年金権のある場合だって額は低い。同時に全然年金権のない妻が出てくる。こういう者についての救済措置というのは何か考えていますか。
○木暮政府委員 高齢で離婚をしました場合には、年金に全然結びつかない場合、あるいは結びついても非常に低い年金しか出ないということが起こり得るということは御指摘のとおりでございます。日本の年金の場合には、それなりにこういうことについて配慮をしておるわけで、被用者の妻は国民年金の空期間になるとか、あるいは国民年金そのものに任意加入ができるというふうな工夫はしてあるわけでございますが、それでも、いまのようなことが出てくることは事実でございます。
 これは基本懇でも一つの問題として取り上げられまして、いろいろ議論をしていただいておって、まだ最終的な結論は出ておりませんけれども、あの報告書には二つの方向が出されておるわけでございます。一つは、やはり夫婦が別れるときの共同財産の分配の問題ではないだろうか。したがって民法的に何か手当てをするということは考えられるのではないかということが提案されておるわけでございます。もう一つは、高齢で離婚する場合、余り多くないわけでございますので、いろいろな弊害が出ないような条件をつけて、夫の年金の一部を年金法上出すというようなことを工夫すべきじゃないか。そのどちらか、場合によれば併用ということで懇談会で今後詰めていこうということになっております。今後とも検討をしてまいりたいと思っています。
○村山(富)委員 それから、私が冒頭に申し上げましたように、被用者年金というのは世帯単位ですから、その妻にも年金権があるという前提でつくられているわけですね。そのあると言われる妻の年金権というものはきわめて不安定である。その一つの要素としていま例を挙げたわけですね。
 それから、もう一つ考えられることは、たとえば被用者年金に加入をしている本人が何か傷害があって廃疾になったという場合には障害年金がありますね。ところが、その奥さんが障害者になった、あるいは廃疾になった、こうした場合には全然その手当てがないわけです。年金というものは、その世帯の所得の減少を償うというものであるとすれば、それは奥さんは無業ですから所得はない。しかし障害なり廃疾になれば支出はふえていくわけですから、実質的には所得の減につながっていくわけですね。ですから年金権があるわけですから、その妻に何かそういう事故があった場合、廃疾になった場合に、やはり何らか考えてしかるべきではないかと思うのですけれども、何もないのでしょうか、その点どうですか。
○木暮政府委員 これも先生お話しの中にございますので、重ねて申し上げるのもなにでございますけれども、年金制度は老齢とかあるいは障害につきまして所得の中断なりあるいは減少があった場合の対策ということでございますので、妻の障害ということは、それ自体、所得の減少とか中断がないわけでございますので、保険のサイドで特に考えなくてもいいという割り切り方もできると思います。しかし、実際問題といたしましては、実は被用者の妻だけが障害の場合に何の手当てもないということになろうかと思うのでございますが、たとえば未成年の子供であれば特別児童扶養手当とか障害福祉年金につながっていく。被用者の妻だけが、この点では何の手当てもないということでございます。いまの世帯単位の立て方からいたしまして、妻の障害の扱いというのは先ほどの離婚の妻の場合よりもむずかしい問題だと思いますけれども、これも確かに婦人の年金権の一つの大きな問題だと思いますので、実は中間意見、障害の問題にはまだ検討が進んでいないのでございますけれども、今後検討いただけるというふうに思っております。
○村山(富)委員 そこで、いまの被用者年金の場合に、たとえば厚生年金の場合、加給年金として妻の場合には六千円加給されるわけですね。妻のものとして六千円加給される。この妻の場合に加給年金六千円というのは、どういう性格のものかということがよくわからないのですね。この金額の六千円というのを公務員の妻帯者の分だというふうに言われている向きもあるようですけれども、一体この厚生年金における妻の加給金というのはどういう性格を持ったものなのか、どういう意味を持ったものなのか。あるいは六千円という金額の根拠は一体何なのか。ちょっと聞かしてくれませんか。
○木暮政府委員 妻の加給金は、従来は再計算の都度、直近の私ども公務員がもらっております扶養手当の額を持ってきておるわけでございます。それで単身受給者と夫婦受給者とのバランスをとるということでございますが、実は、この点も日本の年金制度で今後詰めなければならない問題点でございまして、日本の制度の場合には世帯単位とはいいながらも、世帯単位の生活実態、それから単身の場合の生活実態に即した水準になっておるかどうかといいますと、かなり疑問な点があるわけでございます。
 今度の中間意見でも、やはり年金の中には世帯の概念をもう少し取り入れて、現在夫婦で受給しておりまして夫が死ぬと、二分の一、妻に出るわけでございますけれども、しかし、生活実態からいって二分の一で済むはずがないので、そういう観念から見まして単身受給の場合と夫婦受給の場合、もう少し掘り下げていくべきであるということにはなっておるわけでございますが、その一環といたしまして、この加給年金のあり方につきましても検討を進めさせていただきたいと思っております。
○村山(富)委員 はっきりしない答弁ですが、これはなかなか位置づけとか性格というのはむずかしいと私自身も思うのです。やはりつけた経緯が経緯ですから、いまから考えた場合に、どうなのかということを問われますと、ちょっとむずかいしと思うのですよ。ただ、もし公務員の扶養家族の手当を基準にした、こういうことであるとすれば、昨年人事院勧告があって七千円から八千円に上がっているわけですよ。だから、この六千円という額も、八千円でいいとは私は思いませんけれども、据え置く必要はなかったのではないか、同じように上げてしかるべきではなかったかというように思うのですが、どうですか。
○木暮政府委員 厚生年金の場合には少なくとも五年以内に再計算をいたしまして年金の水準の見直しをするわけでございます。それで年金水準を考えますときに、もちろん加給年金ということも頭に入れまして、どういう水準がいいか設定をしていくということでございますので、従来、再計算の都度、その時点の扶養手当をとってきておるわけでございまして、現在のやり方からいたしますれば再計算の都度、見直していく、あわせて年金水準を考えていくということで、いいのではないかというふうに考えております。
○村山(富)委員 これは再計算をするときに考えなければならぬほど年金の基本的な問題ではないと私は思います。これはあくまでも公務員の手当をそのまま持ってきたようなものです。ですから、そんなものにかかわりなく、公務員の手当が上がったら、この妻の加給年金も、それと同じように上げるというのが筋であって、再計算の時期でないといじれないというほどのものではないと私は思います。ですから、そういう点はひとつ十分これからも考えてやっていただきたいというように思います。
 それから、あわせて遺族年金の問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、現行は遺族年金は二分の一支給ですね。これは先ほどから申し上げておりますように、夫が死亡した場合に妻にも同じように年金権があるということを前提にして、遺族年金を出すということになっていると思うのです。しかし、その二分の一という計算の根拠は、たとえば夫が亡くなったから家賃が二分の一になるというわけではないでしょう。夫婦生活をしている世帯の経費の共通部分というのは、二人でも一人でも同じようにかかっていくわけです。そうしますと二分の一というのは、ちょっと低いのではないか。これは、さっきからお話が出ていますけれども、たとえば年金というものが持つ役割りというものを考えた場合に、失われた所得を保障する。あるいは老後の生活のニードにこたえる。こういう両面から考えてみても、この二分の一という遺族年金の給付水準は低いのではないかというように思うのですね。
 それからILO百二十八号条約の基準から考えてみても、二分の一というのはちょっと低いのではないか。これはILOの場合は四五%ですけれども、しかし、総報酬を対象にした額と、それから標準報酬を対象にした額と違うから、大体四五%から六〇%ぐらいになるのではないかという計算をしている向きもありますね。ですから、それから考えますと、この百二十八号条約の基準に照らしても、二分の一というのは低いのではないかというように思うのですが、この点はどうですか。
○木暮政府委員 遺族年金が夫の老齢年金の二分の一ということは、私どもも改善しなければならないというふうに考えております。従来も、そういう形で検討してまいったわけでございますが、これには幾つかの前提条件がございます。
 一つは、日本の遺族年金の場合には非常に条件が緩やかなところもございます。いわゆる子なし若妻というような場合にも遺族年金が出るということがあるわけでございます。今後、年金財政というものが非常にきつくなっていくということを考えれば、財源を一番必要なところに振り向ける。必要なところの一つには遺族年金の水準を上げるのが入ると思いますけれども、それにはやはり、わりあい緩い条件で出ていくというところの見直しもしなければならない、かように思っておるわけでございます。
 それから、これも先生のお話の中にあるわけでございますが、遺族年金を七割なりにするときには世帯経費というものの見直しをしなければならない。それは場合によれば、配偶者のない男子の受給がいままでより減るというような形にもなりかねないわけでございますが、そこら辺の整理もきちっとしたいと思うわけでございます。
    〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
 それから、もう一つは被用者の妻が国民年金に任意加入をしておるわけでございますが、この数が六百万をはるかに超えるというようなところまでまいっております。遺族年金の水準を上げると同時に、妻の任意加入による国民年金からも自分の年金が出るということになりますと、先の問題ではございますけれども、やはり年金水準としては高くなり過ぎる、国民負担が高くなり過ぎるということになろうかと思いますので、国民年金に対する妻の任意加入の問題も見通しをつけなければならない。
 そういうような点を含めまして、この遺族年金の水準の改善の問題につきましては積極的に取り組んでいきたいと思っております。
○村山(富)委員 いま答弁の中にもございましたように、遺族年金を受ける対象を考えた場合に、比較的年齢が若くてひとり妻、それから子供さんの若い奥さん、あるいは高齢の奥さん、対象か違うと思います。いまは、これに一律に同じような年金を出すという制度ですね。そういうものは私はやっぱり問題があると思います。ですから、子供さんのない奥さんに対しては、それに必要な手だてを考えるとか、あるいは子供さんのある若い奥さんには、むしろ子供の扶養というものに重点を置いた対策を考えるとか、それから高齢の奥さんには生活を重点に考えるとか、こういう細かな配慮をした遺族に対する給付というものを考えていく必要があるのではないかという意見がありますね。確かにあります。これは私はある意味では、もっともな意見だと思いますから、そういう点も含めて今後、遺族年金については十分に検討していただきたいというふうに思います。
 それから、いまお話もございました被用者の奥さんは国民年金には任意に入れるわけですね。国民年金というのは御存じのように個人単位でつくられていますから、したがって、奥さんは入ってもいい、入らなくてもいいということになっているわけですけれども、こういう奥さんの妻の年金権というのは、やっぱり任意ですから、ある意味では不安定ですね。国民年金の場合、被用者の奥さんを任意制度にしたというのは、何か積極的な理由や根拠があるわけですか。
○木暮政府委員 サラリーマンにつきましては厚生年金制度が先にございまして、その厚生年金の中にサラリーマンの妻の位置づけがすでにあったわけでございます。その後から国民年金ができたわけでございますが、国民年金に全然加入の道をつくらないということも当然あり得たわけでございますが、先ほど来お話のございますような離婚の問題とか障害の問題もございましたし、それからやはり当時、年金水準が必ずしも高くなかったという現実もありまして、もちろん被用者保険のかさの下に入っておりますので強制加入は考える必要はないのだろうけれども、任意加入の道は開いておこう、こういうことであったように聞いております。
○村山(富)委員 もし本当に、たとえば任意加入で将来の安定した財源とか妻の年金権とかいうものを考えていくのなら、今回とられた無年金者対策の措置に、奥さんの未加入者に対する任意加入ができる道も開いてよかったのではないか。そうしますと、いま大体七百万人ぐらい入っているらしいですけれども、まだまだ入っていない方がたくさんあるわけですから、そういう人も、それじゃこの際、私も入りましょうかといって入る方があるかもしれませんね。それは何か措置がとれなかったわけですか。
○木暮政府委員 今度の無年金者対策でございますが、これは前二回と同様に強制加入の方で滞納期間がある人について認めるというような形になっているわけでございますが、そもそもの考え方は、何らかの形で年金に結びつくという方を除きまして、どうしても年金に結びつかないという方だけを対象にしてやらせていただきたい、こういうことでございますので、サラリーマンの任意加入につきましては無年金対策を考えなかったということでございます。
○村山(富)委員 私は最初、任意加入の制度をどうしてつくったのかという理由を聞きましたけれども、これは、ある意味からしますと将来の非常に大きな不安定要素になると思います。最近、私が年金問題で奥さん方に、あなた国民年金に入っていますかと聞きますと、入っている方が比較的多くなってきました。しかし任意ですから、まだ入っていない人がおります。なぜ入らないのですかと聞きましたら、やはり保険料が高過ぎる、こういう方が多いのです。だけれども、そういう方も、いろいろ説明して計算をしますと、やっぱりスライド制というものに魅力があって、そして貯蓄をするよりも国民年金に入っていた方が分がいい、こういう計算を、みんな細かくしているのですよ。それで国民年金に入った方がいいか入らない方がいいかという判断をして、それなら入りましようかと言って入っている方が多い。いまのように経済が非常に不安定で変動か激しいときには比較的メリットが表立って見えますけれども、しかし、ある程度、物価が安定してまいりましてスライドも余り効果がない。余り期待が持てない。一般の貯蓄やら、年金よりもっと歩がいい、利回りのいいものがある。こうなってまいりますと、そっちの方に回って任意加入は脱退するという方がふえてくる可能性かありますよ。そうしますと、国民年金財源の中で七百万人というのは大変な財源の層になっています。これが非常に不安定で脱退する可能性も出てくる、こうなってまいりますると、将来の国民年金財政のあり方の中では大変大きな問題になっていくのではないか。だから私は、そういう面から考えてみましても、任意加入制度というものはもっと深刻に真剣に考えて、もっと安定したものに変えていく必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、その点はどうですか。
○木暮政府委員 サラリーマンの妻が任意加入する、その数が六百万をかなり超えておるわけでございますが、これは当面見ますと、年金に結びつくのは先でございますので、国民年金財政を若干緩和するというような事情になっておるわけでございます。しかし、この方々の拠出が年金に結びついていくことになりますと、もちろん給付の財源が要るわけでございますが、その際、いまお話しのように国民年金の保険料をだんだん上げていかなければなりませんので、任意加入の方が減ってくるということになりますと、六百万人、七百万人近い方の年金を、その後入りましたわずかの方が支えていく、あるいはまた保険料でございますから、任意加入の妻以外の農民や自営業者の方が支えていくということになりますと、被用者の妻の年金を国民年金グループが担がなければならないというようなことで、負担の不公平の問題も出てくるわけでございます。
 やはり、この問題というのは将来非常に大きな問題になりかねないわけでございまして、制度審議会の今度の建議では、基本年金をやるときに廃止したらどうだろうかというような提案がなされておるわけでございます。
 私どもの方の懇談会の中間意見でも、これは絶対メスを入れなければいけないということで二つの方法が述べられておるわけでございます。一つは、国民年金に強制加入にしてしまう。それで被用者年金から外してしまいまして、被用者年金の方は夫なりあるいは被保険者だけの年金にするということを考えたらどうだろうか。もう一つの方法は、被用者の妻でございますので、事業主と被保険者の保険料で、その老後も見ていくべきではないか。これは経過措置が非常にむずかしい問題になるかと思いますけれども、被用者保険の方で引き取るべきである。その二案、今後メリット、デメリットを比べながら、あるいは事務にどっちが乗りやすいかというようなことを考えて詰めていくべきで、これは先ほどの遺族年金の水準の引き上げの問題にも絡みますけれども、どうしても避けて通れない問題だということで中間意見をいただいておるわけでございます。
○村山(富)委員 これはやはり、よほど深刻に真剣に受けとめて考えておく必要があるのじゃないかと思います。どうせ将来、保険料というのは高くなっていくわけですから、したがって負担の問題もありますし、メリットの問題もありますし、いろいろ考えますと、任意加入制度というものはきわめて不安定要素が増していくというふうに思われますから、その点はひとつ十分検討してもらいたいと思います。
 以上、妻の年金権の問題について当面考えられる問題点について若干の指摘をしたわけですが、被用者年金の場合の妻の地位あるいは国民年金の場合の妻の位置づけ等々についても、ざっと考えても、そうした問題が考えられますから、今後の抜本改正の中では十分そういう点を配慮して盛り込んでいく必要があると思うのですけれども、大臣の考えをお聞きしたいと思うのです。
○小沢国務大臣 実は抜本改正を考えますときに一番大きな問題の一つだろうと思っておりますので、十分各界の意見も聞き、また先生方の今回の御議論の経過等を踏まえまして、私は、いま局長が言いましたような整理の問題、どちらがいいのかメリット、デメリット等をよく考え、年金制度全体の中で、これをどう扱うべきかということの結論を、ぜひこの方針を決めるまでにつけたいと思っております。
○村山(富)委員 次に、国民年金の付加年金の問題について若干お尋ねをしたいと思うのです。
 この付加年金は、いま四百円になっていますね。これは任意ですね。任意でかけてもいいが、かけなくてもいい。この年金の計算をされる場合に、四百円の付加年金をかけたものが二百円で、二分の一で計算をされておる。また、これは二十五年かけてみて、わずかに五千円しかもらえない。窓口では、この付加年金の扱い、説明に非常に困っているのです。どう説明したらメリットを感じて入ってくれるだろうか。長い二十五年間ずっとかけ続けていって、そしてわずか五千円しかもらえない。しかも四百円かけて二百円で計算をされる。説明のしようがないと困っているのです。せめて三分の二ぐらいの給付にしてくれると説明がしやすくなるとか、もっと入る人がふえるのじゃなかろうかという話もありますし、それから、やはり付加保険料を任意加入制にしていることについては、完全積み立てをやっているという前提に立って考えた場合に、やはり限界があるのではないか。ですから、むしろ強制加入にして、そして所得比例の保険料をいただくということを考えた方が、もっと安定的になるし、給付も引き上げられるというふうに思うのですけれども、そういう点は考えられないわけですか。
○木暮政府委員 国民年金に所得比例の要素を入れるかどうかというのは一つの大きな課題であるわけでございます。率直に言いまして、国民年金財政がかなり窮屈でございますので、私どもといたしますれば、所得のある方からは、もっと保険料をいただきたいという気持ちがございますし、また被保険者の方にすれば、所得比例の保険料、若干よけい納めてもいいから給付水準の高い年金をもらいたいという希望があるわけでございます。そこで所得比例を入れるということが、かねてからの課題であるわけでございます。
 その一つの試みとしまして付加年金ということが任意制度で、できたわけでございますけれども、これは任意加入でございますので、スライドができないとか完全積み立てをしなければならないということで、ほかの基礎部分が後代負担に送って多少とも充実した年金を出せるというのと事情が違いまして、中途半端な形になっておるわけでございます。
 それで今後の問題、所得比例をどう入れていくかということでございますか、一つは引き続き任意でいくということも考えられるわけでございますが、任意でいく場合には、いまと同じように保険料も平準保険料を取らなければならないとか、あるいはまたスライド制ができないとか、そういう問題がございますし、また年金制度に所得再分配効果を入れたいということもあるわけでございますが、そういう点が任意制度では導入できないわけでございます。
 一方、強制加入ということでやる場合でございますが、二千六百万人の方々の、しかも、ほとんどが自営業者あるいは農業の方でございますので、その所得を正確に把握するということは非常にむずかしい問題ではないかと思うわけでございます。そういうことをやりますためには、現在の制度が二千六百万人の大ぜいの人に適用するということで、定額制ということで事務的にもやりやすいという形にしておりますのを根本的に変えていかなければならないということがございまして、これもむずかしい問題でございます。これはいわば保険者の立場でございますけれども、仮にそういう事務体制か整備できて、所得比例制度を強制的にやる場合、たとえば所得税の申告納税をしている方が意外に国民年金の被保険者の中に少のうございまして、財政健全化の見地から、どの程度の効果かあろうかというような問題もございまして、なかなか困る問題でございます。それで制度審議会等でも、基本年金をつくります場合に国民年金は所得比例制度として残せというような御提案もあるわけでございますが、そこら辺は私ども一番苦慮しているところであるわけでございます。
○村山(富)委員 所得比例の保険料制を導入するということは、制度を変えることになりますから大変大きな問題で、簡単にはいかぬと思いますが、それにしても、いま、できておる四百円の付加年金というのは全く中途半端で、何のためにつくったのか余り意味をなさぬようなものになっていると思うのです。したがって、窓口あたりでも第一線では扱いに困る、こういう問題も出ているわけですから、これはやはり、やるのならもっと積極的に歓迎されるような仕組みを考えるとかなんとか検討していく必要があるんではないかと思いますから、その点はひとつ十分、今後の課題として検討していただきたいと思うのです。
 それから次に、寡婦年金ですね。この寡婦年金は、年金権を持っている夫が給付を受けないで死亡した際、十年以上継続して戸籍上結婚関係のある夫に扶養されていた六十歳から六十五歳までの妻に二分の一支給される、こうなっているわけでしょう。母子年金なんかの場合は法律的な婚姻関係というものは問われずに、事実上生計を一にしているという妻に対しては母子年金は出るわけですね。この寡婦年金だけは、いま申し上げましたように戸籍上婚姻関係が十年間ないとだめなんですね。
 これはたとえば、いろいろな事例が考えられると思いまするけれども、仮に再婚をした。子供さんの関係があって、もう事実上一緒になって生活しているんだけれども戸籍上の手続はおくれた。そのために戸籍上の婚姻関係は九年しかなかったとか、あるいは八年しかなかったとか、こういう人は寡婦年金はもらえないわけですね。これは私は、やはりいろいろ事情があると思いますから、ちょっと妥当性を欠くのではないか。母子年金やら、その他の年金の場合に、そうしたものが認められておって、この寡婦年金だけは、これだけ厳しく法律上婚姻関係がなければだめなんだというふうに規定している意味というのは、私には、それほどよく理解できないのですけれども、いま言ったようないろいろな事情があって、実際は法律的な手続はとれなくて、おくれたという方もあると思いますね。寡婦年金の場合に、ここまで厳しくする必要があったのかどうなのか。これはやはり、もう少し配慮する必要があるんではないかというように思いますが、どうですか。
○木暮政府委員 社会保障体系で法律婚でなければいけないと言っているものは、ほとんどございませんで、事実婚を認めておるというのが通例だろうと思います。この点だけ事実婚ではいけなくて法律婚というふうにいたしておりますのは、結局、国民年金の場合は個人加入でございますので、夫も妻も、それぞれ年金がもらえる。そういうことで本来は、夫が死にましても夫の保険料で妻に給付を考えるということはしなくてもいいというふうにも考えられるわけでございます。しかし、国民年金に入りまして夫が保険料をかけて一銭も給付に結びつかないで亡くなったということであれば、そういう感情を無視しては国民年金の健全な発達もないであろうということで、特例的に長年の拠出かある場合には夫の保険料の一部を妻に回そう、こういうことで制度ができているんだろうと思います。それもやはり国民年金の特質から考えますれば、夫婦が協力して苦労して保険料を納めてきたという場合に、夫の保険料の一部を妻の給付に回すということになるんだろうと思います。
 したがって、ほかの社会保障立法の場合には事故が起きた時点に事実婚かどうかということを判定すればいいわけでございますので、現在時点の問題になるわけでございますが、この場合には過去十年間ということでございますので、事実婚ということにいたしておきますと、なかなか認定がむずかしいということで、現在のように法律婚ということになっているんだろうと思います。事実婚の認定が非常にしにくい場合も一方ではございますし、また一方では、健康保険の被保険者証等がとってあれば戸籍には入れてなかったけれども被扶養者になっておったとか、あるいはまた住民登録上やはり事実婚にあったというようなことがわかる場合もあろうかと思います。それで本来的には、ほかの社会保障立法と違いまして継続的な婚姻関係を条件としますので法律婚としたのも当然ではないかと思いますけれども、事実婚であることがわかる事例も多かろうと思いますので、この点につきましては十年間の期間を事実婚としても事務的にやれるかどうか、少し掘り下げて検討させていただきたいと思います。
○村山(富)委員 これは、いまお話がありましたように、ほかの社会保障立法の場合には事実婚を前提として認めているわけでしょう。これは要するに国民年金ですから個人単位になっている。しかし夫婦は共同で生活しておるわけですね。ですから夫かかける掛金、生計、妻がかける掛金、生計、それぞれやはり両方で貢献し合っている。こういう貢献度をやはり見て、そして年金権があるにもかかわらず年金給付を一銭も受けずに亡くなったというのでは、やはりちょっと公平を欠くから、その寡婦に対して寡婦年金を上げましょうということになっておるとぼくは思うのです。そうしますと、仮に過去十年間という実績を見るにしても、法律上婚姻関係がなければならないなんということは、やはりちょっと妥当性を欠き、厳し過ぎるのではないか。これは本当に貢献度だけを考えて、そういう配慮をされたなら、事実上の結婚をしていれば当然やはり認めるべきではないか。これは、これから先の問題にしても過去の問題にしても私は違わないと思いますよ。ただ、いまお話がございましたように、この仕組み制度を考える場合に、本来、国民年金は個人単位だからということが前提になっておったと思いますけれども、しかし個人単位になっておったという前提を踏まえて、いま申しましたように年金権があって、しかも一銭も年金給付を受けずに亡くなった。それじゃ余りにもひどいから、その夫婦生活における貢献度というものを見て寡婦に対して、その年金の二分の一を差し上げましょう、こういう制度になっておるわけですね。
 ですから過去十年間の婚姻関係というものが、いまお話がありましたように事実上認定できれば実際問題としていいわけです。それは形式的に法律だけのことを問うよりも、むしろ法律的には結婚しているけれども実際には別居しておったということだってあり得るわけですから、事実論から言えば、むしろ事実関係をもっと重視して考えるべきではないかと思いますが、これは大臣そこで聞いておってどうですか。
○木暮政府委員 社会保障はやはり国民の生活の問題でございますから、当然、事実婚でいければいくというのが正しいと思うわけでございます。ほかの制度の場合には、たとえば厚生年金の遺族年金であれば、夫が死んだときに婚姻関係にあったかどうか、ワンポイントを調べればいいわけでございます。しかも現在時点でございますので、事実婚にあるかどうかということはすぐ認定できると思うわけでございます。この場合には、やはり特例的に夫婦が協力して国民年金の保険料を納めていたということが条件でございますので、過去にさかのぼって、しかも十年間ということでございますので、事実婚なのかどうか、なかなかわかりにくい場合もあろうかと思うわけでございます。しかし、まあ十年間ということであれば、べらぼうな昔のことでもございませんし、事実認定ができないということも、すべての場合には言えないだろうと思うわけでございますが、そこら辺、法律改正をして法律婚じゃなくて事実婚でもいいとした場合に、かえって不公平が起こるようなことがないかどうか。あるいは出先の方で認定に苦しむようなことがないかどうか。そこら辺も確かめた上で検討してみたいと思います。
○村山(富)委員 この問題は、もうこれで終わりますけれども、いま、ちょっと触れましたように、法律的には婚姻関係にあったけれども実際には別居しておったということだってあるわけです。ところが、法律的には婚姻関係になかったけれども、実際には同居して夫婦生活しておったという者だってあるわけですから、こういう事例を考えれば逆の意味で不公平になるわけです。したがって、これはやはり、もっと考えていただいた方がいいのではないか。もし公平の原則とか妥当性とかいうことを考える場合は、いまの日本の社会における実態というものを踏まえた場合、むしろ、この点はやはり早急に改善をしてやる必要があるのではないか。
 これは窓口で衝突しているところは大分問題が起こるわけですよ。そうすると地域ですから、市町村ですから、この夫婦は十年間くらい一緒におったとかなんとかいうのはわかるのです。あなた、東京におって全国を見ることはないのだから。だから、法律的なことを強調するよりも、むしろ事実婚をちゃんと踏まえた方が公平で妥当性を持つのではないかと思いますが、大臣どうですか。これはもう具体的な問題だから。
○小沢国務大臣 本当にごもっともだと思いますね。ですから十分検討させてください。
○村山(富)委員 これは十分ひとつ検討して、早急に手直しできるのなら、した方がいいと思いますね。
 それからもう一つは、国民年金における死亡一時金です。この死亡一時金というのは葬祭料の補助といったようなもので見ておるのか、それとも弔慰金的なものなのか、ちょっと性格がよくわからないのですがね。
 重ねて聞いておきますけれども、死亡一時金を五十一年度に改正されていますね。改正をされる前は三年以上十五年未満が一万七千円、十五年以上二十年未満が二万一千円、二十年以上二十五年未満が二万八千円、こういう刻みになって、最高は三十五年以上、こうなっているわけです。ところが五十一年の改正を見ますと、三年以上二十年未満にくくったわけですね。そして二万三千円に上げているわけです。それから、二十年から二十五年が二万八千円。国民年金ができて、いま、たとえば死亡一時金の対象になって一時金の給付を受ける人は最高は十七年ですね。そうすると皆この二十年以内にくくられるわけですよ。だから悪く勘ぐりますと、三年以上十五年未満、十五年以上二十年未満、こうして刻むと二つにわたって、額をよけい出さなければならない者が出てくるから、二十年までにくくれば、いまおる対象者は全部それでくくれるわけですから、それの方がいいのじゃないか、こういうふうに考えて、こうしたのではないかという勘ぐりもできるくらいだと思うのだけれども、それはどうして、こういうふうにくくったのか。それが一つ。
 それからもう一つは、二十年かけて、そして亡くなったときに二万三千円という額は、ちょっと安過ぎるのではないかというので、これはどういう性格のものですかということを聞きたいわけです。
○木暮政府委員 五十一年度の改正で三年以上二十年までの方の額を変えたわけでございますが、これは余り深い意味はございませんで、現実に死亡一時金をもらいます場合に、制度の発足後ただいま十七年でございますか、その範囲内に入りますので、現実に受給される方の一時金の額を上げたということでございます。だんだん、また二十年、二十一年の方が出てくるときには、それに間に合うように次の改正をしたいと思っておるわけでございます。
 それで死亡一時金の性格でございますが、これは厳しく考えれば、こういうものはなくてもいいという考え方もあると思うわけでございます。やはり老齢年金とか障害年金というのが本来的な給付でございまして、不幸にして亡くなられた方の分は、そちらに回させていただいて年金を充実していくということが本来であろうかと思います。しかし一方では、国民年金を健全に運営していくためには、せっかく納めた保険料がまるっきりかけ捨てになったということでは納付意欲にも影響のあることが考えられますので、そういう国民感情を考えまして若干でも保険料の一部を戻すということでございますので、率直に申し上げまして死亡一時金、年限の長い人か出てくるに応じた手直しはしなければいけないと思いますけれども、財源があれば本来的な給付の方に向けていきたい、こういうふうに思っております。
○村山(富)委員 この国民年金の本質から考えた場合、それは年金の給付水準を上げる方がいい、あるいは障害給付を上げる方がいい、これはわかっていますよ。だけれども死亡一時金制度というものをつくったのは、いまお話があったような配慮があって、つくられたわけですから、これは本来的なものではないんだから、それほど重く扱う必要もなければ、それほど配慮する必要もない。ただ国民感情に沿うように年金の健全な育成を図るためにも、こういう点を考えた方かいいのではないかというので、刺身のつまにもならぬけれども、まあちょっと考えてみましたということであるにしても、二十年間かけ続けて死んだときの一時金が二万三千円というこの額は説明のしようがないのです。たとえば、これは弔慰金です。あるいは葬祭料の補助ですというかっこうで出すのなら、それはそれでいいですよ。そこらはやはり、はっきりした方がいいとぼくは思うのですよ。何のために出すのか。気休めにというようなかっこうでなく、やはり制度ですから、制度をつくる以上は納得でき、ある程度説明できるようなものでないといかぬのじゃないかと思うのですね。どうですか、これは。
○木暮政府委員 国民年金の将来を考えますと、老齢人口がだんだんふえていき、それからまた老齢年金の受給者もふえていくわけでございまして、やはり、その財源というものを効率的に重点的に考えていかなければならないと思うわけでございます。したがいまして、この死亡一時金だけを取り上げますと、いろいろな問題もあろうかと思いますけれども、基本的には本来給付の方に財源を回していきたい、こういうふうに思っておるわけでございまして、死亡一時金はやはり、そういう国民感情におこたえをするという最低限度の形で続けさせていただきたい、こういうふうに思います。
○村山(富)委員 それほど財源、財源と言うほどの額には私はならぬと思いますよ。一時金、わずかに二万三千円ですからね。
 たとえば大臣、生活保護法によって生活保護を受けておる方が亡くなった場合の葬祭の扶助料、扶助基準というのは、大人の場合は七万四千円ですよ。子供の場合は五万九千二百円でしょう。せめてこれくらいは見てやらぬと、これは本当に説明のしようがないのです。これは私は早急に見直しをして改善をする必要があるのじゃないかと思うのです。たびたび聞きますけれども、どうですか大臣。
○小沢国務大臣 これは余り私、賛成できないのですが、やはり年金の本来の使命というものを果たすために、できるだけ財源は使うべきで、いま局長が言いましたように、本当に国民感情を考えた最低の気持ちをあらわすという程度でございますので、私自身は余りこの制度をつくることに賛成ではなかった一人でございますので、どうも、これはいま増額を検討することのお答えは、ここでちょっと勘弁していただきたいと思います。むしろ、どうするかを検討させていただきたい。
○村山(富)委員 制度全体を見直して、こういう説明のつかないようなものは、この際やめるとかいうのなら私はそれでいいと思うのです。だけれども、制度があってやる限りは、やはりある程度説明ができ、納得されるようなものにしないと、まことに中途半端で、これは失礼だと私は思いますよ。二十年もかけた人に死亡一時金として二万三千円気持ちだけ上げておきますなんと言ったって、何の気持ちですかと聞かれたらどう言いますか。ほんのお慰めですと言いますか。ですから制度として残すのなら、やはり私はもう少し見直しをして考える必要があるのではないか。いま大臣が言われるように、こんなものは私は反対なんですと言うのなら、制度をなくして、もっと別な面で考える、こうすればいいと思うんですよ。そこらの点はひとつ十分検討してくださいよね。残すなら、幾らか説明のつくようなものにしないと、やはりいかぬのじゃないかと思うのです。もうこれ以上申しませんから、ひとつ十分検討していただきたいと思うのです。
 それから、児童手当の問題について、次にお尋ねしたいと思います。
 児童手当制度がつくられたのは、一つは所得保障をする。もう一つは、児童の健全な育成を期待するという二つの面があったと思うのですけれども、今度の改正で住民税の所得割の非課税者を対象に、五千円にプラス千円の六千円にした。この二つの、いま申しました児童手当がつくられた目的から考えて、千円を上げたというのはどういう根拠なのかということが一つと、それから、もう時間がありませんから、まとめて聞きますが、住民税の所得割の非課税者だけを対象にするのではなくて、もう少し、やはり対象の枠を、同じやるなら広げてもよかったのではないかというふうに思いますが、その点はどうですか。
○石野政府委員 今回、児童手当制度の改正を考えたわけでございますが、その趣旨は、児童手当制度の目的でございます児童の健全育成と、それから同時に所得保障的な機能、それを両方持っておりますけれども、今回の改正では、主として所得保障の機能をより強化する、こういうふうに踏み切ることによって、児童手当制度を今後、発展的にいろいろ考えられる、こういう考え方で整理いたしたわけでございます。
 そういたしますと、先生のおっしゃるように二つの点がございまして、一体その五千円を低所得に限って六千円にするという千円というのは低過ぎるではないか、ごもっともな御意見だと思います。それから同時に第二点の、所得階層を市町村民税の所得割非課税世帯以下にするというのは、いかにもみみっちいではないか、この御意見、まことにごもっともだと思うわけでございます。
 ただ問題は、第一の千円の根拠になりますと、これは御存じのとおり五千円に上げましたのは五十年十月の改正でございまして、それから二年間の物価の上昇を考えますと、約五千八百円ぐらいになると思いますが、それを切り上げまして六千円にする、こういうことで、一応五千円の実質価値を維持したという点がございます。問題は、さらに、その千円を上げるべきではないかという御意見もごもっともでございますけれども、やはり現在の児童手当制度全体をどうするか、こういう基本的な問題がございますので、そこまで踏み切れなかったという点で御了承願いたいと思うわけでございます。
 それから第二点の、市町村民税非課税世帯をさらに拡大すべきではないかという御意見、これもごもっともな御意見でございまして、私どもも所得の低い、低所得という概念をどこに決めるべきか、いろいろ実は検討いたしました。検討いたしまして、一つの考え方としては、確かに所得税非課税世帯まで引き上げるべきではないかという御意見もございましたけれども、考えてみますと税制の扶養控除制度との調整の問題もございまして、税制の児童扶養控除との合理的な調整を図るという考え方をしますと、今後、減税されました場合に所得税なり地方税というものを通じまして全く恩恵をこうむらないという階層は市町村民税の所得税非課税世帯、したがって所得者として一番最低のラインは市町村民税非課税世帯というふうに考えざるを得ないわけでございますので、そこに重点的に五千円を六千円に上げるという形で整理をいたしたわけでございます。
 なお、国庫負担の面で考えましても、市町村民税の非課税世帯から、さらに所得税非課税世帯にまで上げますと、国庫負担の面におきましても満年度で約三十億程度の財源が必要でございます。そういう現行制度の枠の中で、できるだけ合理的な制度にするという考え方の中で整理いたしますと、どうしても、この辺が限度ではないか、こういうことで実は整理をいたしたわけでございますので、御了承願いたいと思うわけでございます。
○村山(富)委員 局長の答弁を聞いてみると、意見はごもっともですがと受けたようなかっこうで、じんわり切り返してくるから、あれですけれども、ただ、こういう声が非常に強いんですね。これは三子以上から出すわけでしょう。いまの家族構成を見ますと、大体子供の構成というのは一・八ぐらいだというんですね。そうすると三人以上の子供さんというのは、いまの標準家庭の中にはないわけですよ。それは子供さんが多い方が、やはり、それだけ金も要るだろうというつもりで計算をされているのだと思いますけれども、しかし、せっかくつくって対象者が少なくなっていくなら、むしろ第二子から差し上げるとかいうようなことも考えていいのではないかというふうに思いますし、児童手当がもらえるから、それなら、もう一人子供をつくりますかなんということにはならぬと思います。しかし、そういう意味で健全な子供の育成を図り、家計の補助にしようという気持ちがあるのなら、やはり、それに沿うようなことを考えていく必要があるのじゃないかという意味で、第二子以上ぐらいに拡大をする必要があるのじゃないかと思うんですね。
 それからもう一つは、さっき局長のお話の中にもございましたように、児童手当制度というものがつくられた意味というものは、やはり、もっと多面的な角度から検討し直してみる必要があるのではないか。たとえば所得を保障するとか、あるいは健全な子供の育成に資するとかいう場合に、それは賃金の問題とか、あるいは税金の問題とか、それからまた、その他社会的ないろいろな子供を取り巻く環境上の問題とか、そういうものを総合的に考えた中で、児童手当というものをどういうふうに位置づけるのかといったようなことも、やはり考えてみる必要があるのではないかと思いますが、そういう点はどうですか。
○石野政府委員 これまた大変ごもっともな御意見でございますが、二子拡大あるいは一子拡大というのは、児童手当制度を所管しています局長としては、これは当然考えている点でございます。しかし、社会的なコンセンサスが得られるかどうかという問題は別問題でございますけれども、しかし三子をやっている趣旨は、御存じのとおり養育費負担が非常に高い階層をねらいとしてやっているわけでございます。人口動態統計の数字を見ましても、一世帯当たりの平均の児童数なり三子の数というものは大体安定しているわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃられるような意味で、だんだん縮小ということはまずないと思うわけであります。ただ問題は、三子を二子なり一子に拡大をするということになりますと、これはおっしゃられるとおり賃金制度との絡みの問題それから税の扶養控除の問題、さらには、いろいろな児童に関します健全育成施策との調整の問題そういうもろもろのものを考え合わせて一体、児童手当制度というのはどう位置づけるかということを基本的に決めてまいりませんと、二子拡大あるいは一子拡大という問題は、なかなかコンセンサスが得られないと思うわけでございます。そういう意味で、私どもはいま検討いたしておりますけれども、同時に、中央児童福祉審議会にも御意見をお願いいたしまして、いま真剣に検討いたしておるところでございます。
○村山(富)委員 ひとつ、そういった問題も含めて、今後十分御検討いただきたいと思うのです。
 それから最後に、総理府の恩給局の方、見えておりますね。これは先般も質問がございましたけれども、これはたびたび議論になっておりますように、軍歴のあった者と厚生年金、国民年金との通算の問題ですね。これはいずれ国会の中に超党派的に、これを促進する組織がつくられようという話もあるように聞いておりますが、ある意味では、やはり全体的な国民の声になりつつあるというふうに理解してもいいのじゃないかと思うんですよね。
 これはどういうことかと申しますと、意味はわかっていると思いますが、軍歴にあって、そして帰ってきて共済に入ったという場合には、これは通算をされるわけですね。軍人恩給との関係があって通算される。ところが厚生年金に入った、あるいは国民年金に入っておるという方は全然通算の対象にならない。それはやはり、ちょっと不公平、不当ではないか、こういう率直な意見ですね。今度恩給法が改正になって、そして通算して三年あれば一時金がもらえるわけですね。そういう改善策もとられておりますから、この際、軍歴はあったのだけれども、どのような年金とか恩給とか一時金にもかかわりを持てない、こういう人もやはり何人か残ってくるわけですから、せめて、そういう人を対象に厚生年金や国民年金と通算をする仕組みというものは考えてもいいのではないか。しかし、これは厚生年金におっかぶせていったり、あるいは国民年金にかぶせていったりすることは無理ですから、その間の財源は恩給の方で見る、こういう体系にしなければいかぬと思いますけれども、そういう点はどういうふうに考えていますか。
○手塚説明員 共済の方で確かに通算などしておるために、いわゆる官民格差というふうにとられている面かございます。ただ、各国の制度を見ましても、軍人恩給と公務員年金というものは共通なものとして通算する、しかし一般年金には通算しないというケースも多々あるわけでございます。共済の方の問題は私の方からお答えできないわけなんですが、先生もお話ございましたように、年功給付というのは、やはり相当年数というのが前提になっているのではないかと私ども考えているわけでございます。したがって、兵、下士官であれば、たとえば十二年以上なければ年金たる恩給は出せない。それ未満の方について、三年以上であればということで一時恩給ないしは今度措置しようとしている一時金といったものをとっておりますが、一年、二年ということになりますと一きわめて短期間というふうに考えます。はっきり申して、当時、陸軍ですと兵役で二年ございました。大体二年間義務になっていたわけです。それについて、いま、どうこうするというのは、いろいろな観点があるかと思いますが、恩給につきましては、そういう短期の方は、何か処遇するということは、ちょっと考えられないというふうに考えております。
○村山(富)委員 これはさっき言いましたように、財源を厚生年金や国民年金に回すことは不都合があるから、その分を見るとすれば当然恩給財源で見る、恩給局で見るということにならなければいかぬと思いますが、ただ、いろいろなケースがあるわけですね。たとえば現役で入ったという場合と召集で軍歴に入ったという場合とは違うのですよ。召集された場合なんかは、民間会社に入っておっても雇用関係は継続して留守家族に給与の一部を払っておる、こういうものもあるわけでしょう。ケース、ケースが違うのですよ。だから普通の恩給と共済とのつながり、恩給と厚年、国民年金のつながりは一切ありません、こういう理解と解釈だけでは、やはりいかない面があるのではないか。そういうものを総合的に検討してみて、その軍歴期間については恩給の方で見ます。だから厚年と国民年金と通算する制度は考えてみます。こういうことになっていかないと、この問題は解決しないと思います。これは、いずれ超党派的に国会の中でも大きな議論になりますよ。そして国民的な声になってくると私は思います。ですから今後の検討課題として、そうなってどうしようか考えても手おくれになりますから、いまから、そういう方向で十分準備しておくということも大事だと思いますから、そういう点をひとつ強く要望しておきたいと思うのです。
 時間が参りましたので、これでやめますけれども、冒頭にも申し上げましたように、年金の問題については、いろいろな角度から、いろいろな議論がいま、されております。これは、ある意味ではいい機会だと思うのですよ。できるだけ、いろいろな声が反映されて、そしてコンセンサスを形成していく。その上で、十分将来を展望した中で安定した年金制度をつくっていく。しかも、いま言われているようないろいろな年金間の問題点なんかも解消して、公平で、しかも年金の本来の持つ役割りに十分沿えるような年金をつくっていく絶好の機会だと思いますから、冒頭に大臣もお話がございましたように、この一年間は検討期間にして、来年の初めごろは、ある程度、基本的な考え方が出せるように、ひとつ積極的に、精力的に努力をしていただきたい。
 同時に、秋あたり恐らく補正予算が組まれると思いますが、その補正予算が組まれる中でも、全体の日本の経済の中における社会保障の位置づけというものは、やはり外国に比べておくれている面もあるわけですから、そういう点は十分手直しをして、そして諸外国には立ちおくれない、円高攻勢をはぬ返していくだけの基盤というものをつくっていく、こういう一環もあるわけですから、そういうものを含めて、この一年間の大臣の精力的な活躍を心から期待して終わります。
○越智(伊)委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋委員 この委員会で先週に引き続き、きょうも年金関係の質疑を通しまして、現在の年金制度の不備、欠陥あるいは整合性を欠いた問題等々、相当に問題が浮き彫りされてきたわけでございますが、私も国民年金法の改正案の審議に当たり、初めに厚生大臣にお気持ちを伺っておきたいと思います。と申しますのは、小沢厚生大臣が就任なさるに当たりまして、自分は今日の医療保険制度の欠陥あるいは年金制度のこうした問題点を抜本的に改善していかねばならない使命感に燃えて就任しております。このような趣旨のお気持ちを述べられたと思うのです。いまも話しますように、医療保険制度にしろ、あるいは年金制度にしろ、本当に言葉の上だけでの問題ではなくて現実の問題として、ぎりぎりの線まで追い込まれていると私は思うのです。あの厚生大臣の決意、使命感を聞いたとき、国民は甚大なる期待を寄せたと思うのです。私もその一人です。と同時に、正直に言いまして、これまでの政府の公約はことごとく破られてきたことにかんがみまして、国民は少なくとも不信感に近いものを根強く持っております。小沢厚生大臣、この機会に、その不信感をぜひ払拭してもらいたい。
 御承知のとおりに、皆保険、皆年金体制がしかれて、もう十六年、七年になるわけでございますが、国民のすべてに大きな網がかぶさってしまっているわけです。国民は好むと好まざるとにかかわらず、いずれかの制度に加入させられ、そして保険料を強制的に徴収されているわけです。そして、この両制度のあり方次第では大変な影響が出てくるわけです。言うならば、この両制度は国民の台所に直結しているという、私はきわめて政治的な重大課題だと思うわけでございます。そういう立場から、厚生大臣のお気持ちをまず聞いておきたいと思います。
○小沢国務大臣 大橋先生おっしゃるように、この二つの問題は本当に国民生活に密接に関連する内政の一番大きな問題だと私は思います。したがって現在、厚生省予算の六兆七千八百億の中で医療保険の、すべての医療保障の点については四割五分、年金を中心にする所得保障関係では三割五分、合計この二つの問題で八割の予算を使っているわけでございますが、私は先生方とひとつ本当に虚心に話し合って、ことに老後保障になります。国民の老後の不安を解消するために最もいい年金制度をつくり上げ、しかも、その中では負担の不公平あるいは給付の不公平というものがなくて、全般的に国民がみんなで所得に応じて保険料を払いつつ公平な給付を受けるという、しかも、その内容がまあまあ老後の所得保障としては一応不安のないような線を求めていくべきじゃないかと考えておるわけでございます。
 しかも最近、御承知のように経済情勢から来る国庫財政というものの非常な危機も一方において、あるわけでございますから、その運営並びに方針を決めるに当たりましては、やはり合理的、効率的な制度の立て方というものを考えていかなければならぬのじゃないか、こう思いますし、また国民の負担を求める場合には、国民の理解を十分得ていかなければならぬわけでございますので、特に年金につきましては、各党の御意見あるいは各界の御意見等も聞きまして、根本的に制度全体を見直して将来の方針を、この際、決めていきたいという情熱に燃えているわけでございますから、何分の御理解と御支援を賜りたいと思うわけでございます。
○大橋委員 医療保険制度の方は十数項目の柱が一応示されて、抜本改正へのスケジュールといいますか、そういうものが示されて、いま、その肉づけに全力を挙げていらっしゃるところだろうと思うわけです。私はきょうは医療保険の問題を論議する気持ちはございませんけれども、それと同じように年金制度の抜本改善にいたしましても、やはり、もう少し具体的にスケジュールを示される必要があろうかと思うのです。先ほどの論議を聞いておりましても、来年度は何とか抜本改善を示していきたいというようなお話でございましたが、当然これは、いま言いますように国民の前に明らかにスケジュールを示した上で一歩一歩と進んでいくという姿を示していただきたいということです。
 時間にも限りがありますので具体的な問題に入りますが、年金制度の財政方式、これはよく積立方式だとか賦課方式だとか言われておりますけれども、ことさら、ここで聞くまでもないわけでございますが念のために、わが国の公的年金制度の財政方式は何かということを確認したい気持ちも含めて、お尋ねします。
○木暮政府委員 厚生年金は修正積立主義でございます。それから国民年金につきましては修正積立方式ということで、やってまいったわけでございますが、現状は、その年度の保険料で給付を賄うという苦境にございまして、若干の積立金は擁しておりますけれども、修正積立方式と必ずしも言えないという実態になってきております。
○大橋委員 たてまえからいけば積立方式である。しかし、国民年金の場合は財政収支の実態から積立方式と言えないような状況になった、こういう話でございますが、これも将来のためにという気持ちも含めて、五十三年度予算収支と年金の年度末の積立金見込み額、厚生年金保険の方と、それから国民年金の方とを説明していただきたいと思います。
○大和田政府委員 年金財政につきまして、五十三年度の収支見込みにつきましてお答え申し上げます。
 まず厚生年金でございますけれども、歳入につきましては保険料収入と、その他の歳入を入れまして五兆五千二百八十四億円ということになっております。また、歳出につきましては、保険給付費等の歳出は二兆八千七百八十四億円、差し引き二兆六千五百億円の剰余というものが見込まれております。
 それから一方、国民年金でございますが、国民年金の歳入につきましては、保険料収入が八千四百五十八億円でございますか、その他一般会計からの受け入れ等を含めました歳入総額が一兆四千四百二十五億円。それから歳出につきましては、給付費が一兆二千二百九十一億円であり、その他を含めました歳出合計が一兆四千四百二十五億円、つまり歳入歳出とんとんということで予算を組んでおります。
 それから積立金の状況でございますが、厚生年金保険、五十一年度末の積立金が十四兆九千百五十七億円、五十二年度見込みというのが十七兆七千九百九十一億円。国民年金がこれに対しまして五十一年度末一兆八千四百六十七億円の積立金、それから五十二年度見込みが一兆八千百二十八億円の見込み、かようでございます。
○大橋委員 いまの御説明によりますと、厚生年金の方では五十三年度の収支を見てみますと、差し引き額が二兆六千五百億、これが要するに新しく積立金として残っていくわけですね。それを加えて五十三年度末の積立見込み額が二十兆四千四百九十二億円である、こういうことになるわけです。問題は国民年金の方でございますが、収支とんとんというわけですね。一兆四千四百二十五億ですか、差し引き額がゼロだということでございますが、御承知のとおり国民年金というのは、まだ成熟期とは言われないわけで、本当の成熟期がいまから三十年先だと言われておるわけですね。にもかかわらず、もうすでに収支とんとん、否とんとんどころか、五十一年度には七百五十四億円が不足して、また五十二年度も三百三十九億円不足するであろうと見込まれていて、すでにもう積立金から取り崩しが始まっておるわけですね。ということは、このような状態では、先ほども言ったように、もう積立方式などと言えるものでもないし、また保険料の水準から申し上げますと賦課方式以下であると言われても仕方がないと私は思うのです。
    〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
こういう状況から見てまいりまして、私は厚生省の資料を見たわけでございますが、国民年金の場合は、昭和八十五年の成熟期には保険料が五十一年度価格で八千六百五十円だということになっておりますね。国民年金の対象者というのは大体低所得層の方が多いわけでありますが、こんな高負担を負担できるはずがないと私は思うのでございます。いずれにしましても、国民年金はどうにもこうにもならぬ状態にあるのですけれども、国民皆年金体制をつくった以上、後退させるわけにはいかない。ですから、ここで何が何でも先ほど申しました抜本的な改善、どうあるべきかということを考え出さなければならぬはずですね。
 各政党とも、いろいろと政策を打ち出しております。わが党も福祉トータルプランの中に、いわゆる国民基本年金構想というものを打ち出しました。あるいは政府関係の審議会や懇談会等も、それぞれの構想を打ち出しております。基礎年金構想いわゆる二階建て年金構想というものが大体定着してきたという感じがあるわけでございますか、今後、現在の年金制度を事実上統合していこう、そして国民の要望にこたえていこうとすれば、八種類の各制度の基本的な部分を統合せしめていく、それを基礎とし基本として、そこにナショナルミニマムを求め、その水準をどうするかは問題ですけれども、そういう点において厚生省が中心になって国民のコンセンサスを得るための全力投球をやらなければいかぬと思うのです。そういうことについて厚生大臣のお考えを聞きたいと思います。
○小沢国務大臣 私は、大橋先生のいまの御意見まことに同感でございます。ただ、基本年金毅談会等の御意見の中には、必ずしも基礎年金構想というものが年金制度のあり方としていいというところまで、まだ御意見がいってないようでございます。ところが一方、御承知の制度審議会では、そういう意見が出ております。それから大橋先生の公明党の方のお考えのトータルプランでも、そういう構想が出ております。いろいろ今後検討させていただきまして、どういうようなあり方が一番いいか、これについて一年かかって、ひとつ十分検討した上で方針を決めたいと思いますので、いま、この場で私が、こういう方針だと言うことは、まだ、そこまで成熟しておりませんので、お許しをいただきたいと思うのでございますが、有力な示唆に富む御意見として、私どももひとつ参考にさせていただきまして、検討を進めていきたい、かように考えます。
○大橋委員 私は、いま言いたいことは、意見というのは大体出尽くした状況にありますよ。だから、厚生省が中心となって積極的にその考えを打ち出し、国民のコンセンサスを得るための努力をしてくださいということです。ここ一年間そういうことで検討した上で打ち出すということですから、大いに期待をいたしておきます。
 次に、国民年金の保険料に関してお尋ねをいたしますが、五十一年の法改正のときに、千四百円の保険料が一挙に八百円も引き上げられて、二千二百円に改定されたわけでございますが、このときの法改正の背景あるいは物の考え方はどういうことであったのか、御説明願いたいと思います。
○木暮政府委員 五十一年改正は、御承知のように財政再計算をいたしまして、収支の見直しをし、給付水準を定め、また保険料水準を決めたわけでございます。その結果は先ほど先生からお話のございましたものでございまして、昭和五十一年度の価格で昭和八十五年には八千円を超える額になるという見通しのもとに設定をしたものでございます。考え方といたしましては、先ほど、お話のございましたような財政状況でございますので、単年度赤字は出さないというのを主眼といたしまして、五十一年価格で毎年三百円程度ずつ引き上げさせていただくという長期見通しのもとに立った計画でございます。
○大橋委員 いまの御説明では、五十一年度の法改正のときは、いわゆる財政再計算のときに当たって国年の基礎づくり的なものをやったのだ。つまり、国年の将来計画を立てて、そして、いわゆる健全性を見通したものであって、二千二百円を基礎として、それから毎年三百円ずつ上げていくのが基本的な保険料のあり方である。その後は物価上昇率に従って年金額もスライドされるので、その保険料も、それに応じて上げさせてもらいますよというのが考えではなかろうか、こう思うのですが、これは間違いないのですね。
○木暮政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○大橋委員 そうしてまいりますと今回の改正案には、ちょっと疑問点が起こるのですが、その前に、五十一年度の物価上昇率は九・四%であったわけです。そういうことから年金額もスライドされまして、保険料もことしの四月から二千七百三十円になるわけですね。これを確認しておきます。どうですか。
○木暮政府委員 昭和五十一年度の物価が九・四%でございました。それに基づきまして五十二年度から給付をスライドさせていただき、保険料は五十三年の四月から、その率を掛けさせていただいて二千七百三十円、こういうことでございます。
○大橋委員 この五十三年度の保険料につきましては、すでに五十一年六月公布された改正法の附則第八条で規定されているのが法的根拠だと思います。以上の内容については私も理論的にも理解できるわけでございますが、先ほど申しました疑問点というのは、今回の改正案中五十四年度の保険料が三千三百円になっていることでございます。そこで経企庁の方いらっしゃっていますね。まず議論に入る前に経企庁の方にお尋ねをしますが、昭和五十二年度の物価上昇率の見通しを述べていただきたいのです。
○菊地説明員 三月の全国の物価上昇率はまだ発表になっておりません。しかし、東京都区部速報が出ております。そこで、全国の三月の上昇率を東京都区部速報の上昇率と同じと仮定して計算いたしますと、前年度比六・八%の上昇になります。
○大橋委員 経企庁の方帰って結構です。
 大体、決定的じゃないけれども六・八%程度だということですね。これは非常に重要な事柄ですから、きちっと記憶しておいていただきたいのです。問題はここです。この昭和五十四年度の保険料を三千三百円に決めた、その試算内容といいますか、それを示してください。
○木暮政府委員 今度、御提案申し上げております五十四年度の保険料でございますが、それは、先ほどの五十一年度の再計算時点で五十一年価格で二千八百円という予定をいたしておったわけでございます。この二千八百円に、給付の改善率と申しますか、物価の上昇率と申しますか、それを掛けたわけでございまして、二千八百円に昭和五十一年度の物価上昇率の九・四%を掛け、さらに予算編成時におきます政府の五十二年度の物価上昇率が七・六%と推定されておりましたので、その七・六%を掛けまして、三千二百九十六円という数値が出てまいります。この三千二百九十六円を切り上げて三千三百円という形で提案さしていただいております。
○大橋委員 大臣、いまお聞きのとおり、基本的な二千八百円に五十一年度の九・四%を掛けたことについては私は問題はないと思うのですが、その後の五十二年度、政府が一応七・六%と見込んでいたということで、それをもうすでに掛けたというわけです。現実には六・八%程度しかいかないわけですね。そうしてくると年金額の方は六・八%で決められるわけです。保険料の方は七・六%で決められるということになると、私は、こういう法律の書き方は問題だと思うのです。すなわち二千八百円掛ける一・〇九四、九・四%掛けたその額を示し、それに今度五十二年度の物価上昇率をまた掛けて保険料を決めますよという、第八条のあの条文を持ってこなければならぬのです。それならば筋論としてわかるのですけれども、今度の法律案を見ると、ばちっと、もう三千三百円と決定して書かれているわけです。これは私は保険料の先取りだと思う。どうですか。
○木暮政府委員 先ほど申し上げましたように、三千三百円を御提案しました基礎は、昭和五十二年度の消費者物価の見込み七・六%を使ったわけでございます。それで三千二百九十六円ということが出てまいりますか、仮に六・八%を使いますと三千二百七十一円ということでございます。そこで先ほど来、先生のおっしゃるような財政状況でございますので、やはり三千三百円にまとめさせていただきたい、こういうことでございます。
 それから、いま、おっしゃいました保険料の先取りではないかということでございますが、それはいろいろな見方ができると思いますけれども、六・八%の物価は五十二年度でございまして、給付は五十三年度から上げる。それで保険料を三千三百円にしていただくのは五十四年四月でございますので、私どもの数理技官に言わせますと、九カ月分損をしておる、こういう見方もできるのではないかと思いますので、三千三百円で、ぜひお願いをしたいと思います。
○大橋委員 私がいま言いたいことは、区切りが悪いから引き上げた。いずれ国民年金の財政は苦しいのだから二、三十円はいいじゃないか、こういう考え方。それは財政状況からいけば、そんな考え方が生まれてくることも私は理解できないことはない。しかし、私がいま言わんとするのは筋論なんですよ。筋論から言えば、この考え方は間違いでしょう、こう言っているわけです。ですから、いま言ったように財政事情が悪い。ですから、こういうふうになりますけれども保険料はこの額にさせていただきます。こういうふうに来るのならば、まだ私は理解できるというわけです。だから私の筋論の方は一応認めますか。
○木暮政府委員 先ほども申し上げましたように、先生のおっしゃるとおりの考え方で積算をしておるわけでございます。ただ、暮れの段階では見通しでございまして、実績は変わったわけでございます。それはやはり見込みの段階でございますので、若干の上下は出てくるわけでございますが、そういうことで、六・八の計算でも三千二百七十一円なりますので三千三百円でお願いをいたしたいと思います。
○大橋委員 それでは、仮に物価が七・六%でなくて一〇%上昇したとしますよ。その場合には年金額は一〇%上がります。法律には三千三百円、こう書かれているのですよ。そのときはどうしますか。
○木暮政府委員 暮れの消費者物価の見込みでございますが、暮れまでの実績が入っておるわけでございますので、変動要素としては年明けの一月、二月、三月の消費者物価の動向でございます。そういう意味で大きく狂うということはないわけでございまして、どちらに動いても、この範囲におさまるのではないか、こういう感じで御提案を申し上げておったわけでございます。
○大橋委員 どうも局長は財源不足の立場から苦しい答弁をしていますけれども、私の主張していることを認めれば修正させられるのじゃないかという不安があるので、一生懸命答弁しているのだろうと思いますけれども、これは第三者的に聞いていれば明らかにわかるはずです。したがいまして私は、五十五年度の保険料を三千六百五十円と決定されていること自体も、やはり同じ論理で問題がある、こう見るわけです。私は、むしろ五十五年の保険料はまた来年決めればいいわけであって、こういう条項は本当は削除してもいい、そのくらいに思っています。
 ただ五十五年度の保険料を示してき、そして、それにまた物価上昇率を掛けて最終的に保険料を決めますよと持ってきたのは、特例納付の額を幾らにしようかということのためだろうと私は思うわけです。ですから、今度の法律案の内容には私は非常にたくさん疑問を感じるわけです。そういうことで、私は五十五年の保険料を三千六百五十円としていることも、先ほど言った九・四%と七・六%を掛けると、その基礎になっているのは三千百円ですから三千六百四十九円、丸めて三千六百五十円としていると思うのです。これは間違いないと思います。しかし、これを正確に言えば、三千四百円としておいて、それに五十二年度と五十三年度の物価上昇率を乗じて五十五年度の保険料を決めるというのが筋論だと私は思うのです。
 局長は、わずか二十円か三十円の違いだからいいじゃないかというような顔をしていますけれども、十円違えば三十億から三十五億違ってくるというのでしょう。二十円違えば七十億違うじゃないですか。これはやはり簡単なものじゃないわけです。だから私は、まやかし的に持ってくるのではなくて、もっと正々堂々と、国民年金は将来抜本改正をやるけれども、今日はこれだけの苦しい状況にあるのだ。だから、こうしてほしいというふうに正論を持ってこられた方が、われわれも協力しやすいということを申し上げておきます。
 これはこれ以上、論議しても尽きないと思いますから、特例納付の四千円の根拠を示してください。
○木暮政府委員 今回お願いをしております特例納付でございますが、今度の法律がお認めいただければ、ことしの七月一日から二年間窓口を開きたい、こういうことでございます。それで足かけ三年度になるわけでございますが、最終年度の保険料は、ただいまお話のございました三千六百五十円というのを予定させていただいておるわけでございますが、三千六百五十円につきましては、前年度、給付のスライドがあれば、その率をさらに掛けさせていただくという形でお願いをいたしておるわけでございます。したがいまして、三千六百五十円は四千円近くになるであろうということを考えまして四千円といたしたわけでございます。
 最終年度の一般保険料を下回らないように決めさせていただきたいと考えますのは、今度、特例納付は三回目を迎えるわけでございますが、一回目、二回目も今回限りということでやったわけでございますが、三回目になりますと、やはり特例納付というのは一定期間を置いて必ず繰り返されるのではないかという印象はどうしても強く出るのではないだろうか。そういうことになりますと若いときから苦しい収入の中から保険料をかけるよりも、年金をもらえる時期が近づいてからの特例納付に乗っかればいいのだということになりますと、二千六百万人の方々の自主的な保険料納付ということで支えられておる国民年金の運営ができなくなるということでございまして、一般の被保険者とのバランスあるいは一般の被保険者の方々の保険料納入意欲を阻害しないようにという観点から、せめて一般保険料の額を下回らない額に決めさせていただきたいということで四千円を決めた次第でございます。
○大橋委員 ちょっと先ほど言い忘れましたから、それをつけ加えておきますが、筋論からいきますと、この法律の「第八十七条第三項中「二千二百円」を「三千三百円」に改める。」というところは、三千七十円にならなければならぬということをつけ加えておきます。
 いま、特例納付の四千円の根拠をお尋ねしたわけですが、結局デフレート後の保険料、五十五年度は三千百円になるわけでございますが、それに五十一年度の九・四%の物価上昇、そして未確定ではあるけれども五十二年度の七・六%、五十三年度の六・八%、これを掛けて三千八百九十八円、丸めて三千九百円程度の保険料になるであろう、五十五年度は。それを下回っては申しわけないから四千円にした、こういうことだと思うわけですね。ところが、いま申しましたように、五十二年度、五十三年度の物価上昇率はあくまでも予想であって、事実とは違うわけですね。現実は、いま言ったように下がってきているわけですから、私は、この特例納付の四千円というのも、もう少し考え直していいのではないかという考えが一つと、それから納付の最高額というのが、たとえば四千円だとしますと、先ほども話が出ましたように五十万円以上になるわけですね。厳密に申しますと、十一年分が最高納付期間になるそうですから五十二万八千円になるわけです。それで二カ年分の遡及問題がありまして九万六千円を合わせますと六十二万四千円という大金を納入しなければならぬということなんですね。これは大変なことでございます。ですから、やはり特例納付の保険料というものは納付する時点の保険料、五十三年ならば五十三年度に徴収される国民年金の保険料で徴収し、五十四年度は五十四年度の保険料で徴収していく、こういうことでいいのじゃないか、こう考えるのですね。だから幾らに下げろとは言いませんが、そういう考えでいった方が間違いもなく妥当ではないか、こう考えます。これはいかがですか。
○木暮政府委員 今度の特例納付は前回と同様に、強制被保険者期間で保険料の滞納があった場合には追納を認めるということでございまして、過去の保険料を納めてもらうということでございます。したがいまして、納付時の保険料等はそういう意味では関係がないわけでございます。また特例納付をいたします際に、早ければ安くて済み、遅ければ高くなるというのも、特例納付をする方々の間の公平といいますかバランスがとれませんので、これはやはり一定額ということにならざるを得ないと思うわけでございます。一定額ということでございますれば、先ほど申し上げましたように、二千六百万人の国民の自主的な納付に支えられているという非常に特殊な制度でございますので、せめて一般保険料を下回らないという線で決めさせていただきたい、こういうことでございます。
○大橋委員 まじめに早くから保険料を払い込まれている方との問題があるので、ということは理解できます。しかし、先ほど言ったように五十一年度に財政再計算したわけでしょう。そこで保険料をぐっと改めて将来見通しを立てたわけですから、従来に比べると保険料は大変高くなってきているわけですね。ですからペナルティー云々とおっしゃいますけれども、ある意味では、ずっと以前の割り安的な保険料のときに加入した人と、そうでない人との間にも、やはり何か問題がありそうな感じがしますので、これでペナルティーを払ったことにも通ずるのじゃないか、こう私は思うのですね。いま言ったように四千円の算出根拠も多少、不合理性もあるので、五十三年度は五十三年度、五十四年度は五十四年度に徴収する保険料、それでよろしいのではないか。そうすれば従来より下回ることはまずないし、こういう考え方であることを強く主張しておきます。
 大臣、先ほど、特例納付の方に対して、大変なお金が必要になってくる、それで納入金の貸し付けの問題が議論されておりましたが、私はこれは重大な問題だと思うのですよ。加入したいという意思があっても、その保険料を納入するお金がなければ加入できないわけで、意思に反して、また無年金者になる可能性がありますね。だから、ここでは何としても加入したいという人に対して、その保険料がないばかりに、できないということではみじめですから、何とか、それを補うものをつくっていただきたいというのは、私も同じ気持ちでございます。先ほどの答弁を聞いておりましたけれども、前向きの検討をしますが、実施時期は、ちょっとまあ、将来のことでございます。何となく、まだあいまいな答弁でございましたので、もう一度この点を、もう少し明らかに答弁していただきたいと思います。
○小沢国務大臣 先生方のたっての御要望でございますので、事務当局はいろいろ意見があるかもしれませんが、責任ある大臣として、特に前向きに検討して何らかの措置を考えていきます。
○大橋委員 時期はとおっしゃいましたけれども、特例納付の納入開始というのは時期が決まっているわけですから、それまでには何らかの姿で、どういう内容になるか知りませんけれども、それに対応できるようなものを考え出していこうということなんですね。
○小沢国務大臣 大橋先生のおっしゃる意味が、これが七月から実施ということになった場合に、いまから七月までの間に何らかの方途をはっきり決めて、そして施行と同時に、こういう方法がありますよ、こうやりなさい、こういう御意見だとしますと、私かさっき申し上げたのはちょっと違いますので、これは七月に施行になって、ちょっと状況を見させていただいて、それからやります。こう言っておりますので、その辺のところは事務当局は相当こだわっておりますけれども、前向きに検討いたしますからということで、余り詰めないでいただきたいと思います。
○大橋委員 詰めないわけにいかないものですから。というのは、七月までに何とか、それをつくりなさいという気持ちは十分あったのですけれども、少なくとも七月実施ということになれば、それまでには大体こういう考えで、そういうことのために将来は、こういうことをしてあげていきたいと思いますよという程度の方向性ぐらい、はっきりすると、そういう方々も何らかの姿で当面お金を準備して、将来その制度が発足すれば、それに切りかえるという自信のようなものがつきますので、そういう意味で言ったわけです。しかし、いずれにしましても非常に重要な問題のようでございますし、皆さんの善意を期待して、私は、これはこれ以上、詰めないことにいたします。
 では次にまいります。国民年金の積立金の利回りは、昭和三十六年制度発足以来、平均何%ぐらいかということと、厚年の方についても昭和三十六年以降の利回りについて、どの程度であったかを述べていただきたいと思います。
○大和田政府委員 国民年金の積立金、これが累積されまして、五十一年度中における平均運用利回りが幾らか、私、累積の計算を……。
○大橋委員 ずっと今日までの利回りは大体。
○木暮政府委員 手元に三十六年以降のがございます。
 厚生年金で申し上げますと、三十六年が六・四%、三十七年が六・四%、三十八年、三十九年が六・五%、四十年、四十一年が六・四%、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年か六・五%、四十八年が六・四%、四十九年が六・六%、五十年が六・九%、五十一年が七%、五十二年は見込みでございますが、七・二%でございます。
 それから国民年金でございますが、これは三十七年からでございます。三十七年が五・八%、三十八年が六・一%、三十九年も同じく六・一%、四十年、四十一年、四十二年、四十三年が六・二%、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年が六・三%、五十年が六・二%、五十一年が六・一%、五十二年が六・二%の見込みでございます。
○大橋委員 では国年の場合は六・二%が一応最高ですね。厚年の場合も、いまずっと聞いたのですけれども、私が調べた内容によりますと、昭和三十六年四月の資金運用部預託金利率は、四月の分か六・五%、それが四十七年九月には六・二%、四十八年六月には六・五%に戻り、同年十一月には六・七五%に上がり、四十九年二月には七・五%にまた上がって、同年十月には八・〇%と最高になって、五十二年十二月には七・五%に下がるなど、現在は昨年十月以降六・五%になっておるわけですから、いままでの最低が六・二%ということですね。国民年金の利回りが、平均というよりも最高で六・二%というのは、これはどういうわけだろうかと、非常に私は疑問を感ずるわけです。
 時間がないので、私の思いが違っていれば反論してください。保険料の納付のおくれがひどいのじゃないか、こう見るのですが、どうですか。
○大和田政府委員 お答え申し上げます。
 実は、これの特に厚生年金と比べまして低くなっております理由といたしまして、端的に申し上げますと、保険料の納期の問題、それから積立金の額が少ないというようなことでございますが、もう少し詳しく申しますと、たとえば国民年金につきましては、保険料の納期が七月末、つまり、現年度四月から六月分が七月末ということです。七月末に初めて当該年度の保険料が入ってくる。一方、給付費は第一回目の支給が六月、つまり、保険料が入ってくる前に給付が行われるということになるわけでございます。そういたしますと、その間、年度前半のいわゆる資金繰りの問題がございます。そういたしますと、七年以上の預託というのが一番利率が高くなるわけでございますけれども、国民年金につきましては、それができなくなってくる。利率が七年以上のものにつきましてかなりの比率を占めた積立金になっておるわけでございますが、しかし、それ以下のもっと低い利率の短期預託金というものに頼らざるを得なくなってくるというようなかっこうから、厚生年金とは違いまして利率の運用がどうしても低くなってくる、こういうようなことなんでございます。
 先生のおっしゃいました保険料の収納率云々ということにつきましては、また、お尋ねがございますればお答えいたしますけれども、決して、そういうようなことではございませんということでございます。
○大橋委員 時間がもう迫ってきたので、これ以上論議する気はないですけれども、私は、保険料の収納率もかなり重要な影響を与えていると見ているのです。これは後日の委員会でまた論議しましょう。厚年の場合は源泉徴収といいますか、源泉控除で事業主が使用者負担分も加えて所定月までにちゃんと払い込むわけで、行政経費も比較的かからないし効率もいい。ところが国民年金の場合は世帯単位で徴収するわけでしょう。だから行政経費もかかる割りには効率も悪い、このように私は思うわけでございますが、これは放置していいとは私は思いません。だから、もっともっと国年の保険料の徴収に当たって工夫する、あるいは努力を重ねる必要はないかどうかということなんです。どうですか、これは。
○大和田政府委員 お答えいたします。
 実は、この点につきましては、市町村が保険料の収納に当たっております。非常に市町村か努力をしてくれておりまして、現在、国民年金の収納率が九六・四%と、かようになっております。この九六・四%という徴収率は、先ほど先生かおっしゃいましたように、確かに厚生年金に比べますと落ちます。これは事業所というものを単位にいたしまして保険料を収納するというような厚生年金の制度に比べれば落ちますけれども、実は、その他の公租公課に比べますと、かなりいい線をいっております。
○大橋委員 では、これはまた後日論議します。
 最後に、もう一つお尋ねします。加給年金についてでございますけれども、厚年の加給年金は、公務員の扶養手当の改正を追って改正されているはずでございますけれども、そのルールと申しますか、やり方が、どうも私は、はっきりしていないように感じられてなりません。
 というのは昭和四十一年に公務員の妻に対する扶養手当が千円になりましたけれども、厚年は三年おくれで四十四年に千円に改正しております。同じ年に公務員は千七百円になっているわけです。しかし厚年は、この公務員の改正を見送り、次の四十七年の公務員の改正二千四百円を四十八年に取り入れております。しかし、すぐにまた公務員は四十八年に三千五百円に、さらに四十九年にも五千円に改正しましたが、厚年はこれをいずれも見送り改正いたしておりません。そして五十年に公務員が六千円になりましたが、厚年は、その翌年の五十一年に、これを取り入れて現在に至っているわけでございますが、その後、公務員は五十一年に七千円に、五十二年には八千円にと、二度にわたって改正が行われております。すでに配偶者については二千円の差が生じておりますし、子供二人までの分についても三百円の差ができており、年額数万円の差となるわけでございます。今回遺族年金の子供を有する寡婦などの加算金が各千円引き上げられているわけでございますけれども、ただでさえ少ない遺族年金でもありますから、加給年金も公務員の扶養手当に完全に追従するわけにはいかないものかどうか。このルールを明確にする必要がある、こう思うわけでございますか、いかがなものでございましょうかということです。
○木暮政府委員 従来のやり方は、ルールというほどではございませんで、慣例と申し上げた方がいいのかもしれませんけれども、財政再計算のときに年金水準を加給金を合わせて考えておりまして、その当時、確定をしておりまする国家公務員給与の扶養手当を借りてきておるわけでございます。これは勧告が四月にさかのぼるというようなことがございまして、そういう意味で予算編成時の、確定時の扶養手当の額をかりてきておるということでございまして、先生の御指摘のとおりだろうと思います。
 今後の問題につきましては、年金水準を世帯単位で考えるということ、あるいは世帯の場合と単身の場合とを、それぞれのニードに応じた額にしなければならないと思いますので、この加給年金のあり方は根本的に掘り下げたいと思っております。その一環として検討させていただきたいと思います。
○大橋委員 では最後に一言。公務員の扶養手当の額というものは、御承知のとおりに人事院の勧告を受けて変わっていくと思うのですね。非常に意味があるわけですから、やはりそれにならって厚年の場合も、それに追従して改善されていくようなルールをつくり上げていただきたいことを強く要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○木野委員長 この際、午後三時まで休憩いたします。
    午後一時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四分開議
○木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣小沢辰男君。
    ―――――――――――――
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○小沢国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により特別手当、健康管理手当、保健手当その他の手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持向上と生活の安定を図ってまいったところであります。
 今回、被爆者の福祉の一層の増進を図るため、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものであります。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 改正の第一点は特別手当の改善であります。特別手当は、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者に対して支給されるものでありますが、この特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を現行の月額三万円から三万三千円に引き上げ、その状態にない者に支給する特別手当の額を現行の月額一万五千円から一万六千五百円に引き上げるものであります。
 改正の第二点は健康管理手当の改善であります。健康管理手当は、原子爆弾の放射能の影響に関連があると思われる造血機能障害等の特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者で特別手当の支給を受けていない者に対して支給されるものでありますが、この健康管理手当の額を現行の月額一万五千円から一万六千五百円に引き上げるものであります。
 改正の第三点は保健手当の改善であります。保健手当は、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者で特別手当または健康管理手当の支給を受けていない者に対して支給されるものでありますが、この保健手当の額を現行の月額七千五百円から八千三百円に引き上げるものであります。
 また、これらの改正の実施時期は、昭和五十三年八月といたしております。
 以上がこの法律案を提出する理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○木野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○木野委員長 国民年金法等の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。和田耕作君。
○和田(耕)委員 私ども民社党は、この法案につきましては、非常に不十分な点もありますけれども、一歩前進という意味で賛成をしていきたいと思っております。そしてまた、問題点の重要な点につきましては、今朝来、村山委員あるいは大橋委員、同僚委員からの質疑がありましたので、余りくどくどと重ねて御質問をすることは避けたいと思います。それでも、なお念を押しておかなければならない問題が幾つかありますので、そういう問題を含めて質疑をいたしたいと思います。
 まず大臣、昨年の暮れ、十二月の下旬に社会保障制度審議会とか、あなたの諮問機関である基本問題懇談会等から幾つかの年金の将来のあり方あるいは問題点についての重要な指摘が行われているわけですね。そしてまた民間の幾つかの重要な関係機関からも、この一、二年のうちに、いろいろ大事な提案が行われてきておるわけでございまして、こういうことも政府としても、年金関係は特に重要な問題ですけれども、このような社会保障制度の諸関係について、ある見通しをつけて、そして総合的に、しかも均衡のとれた形で推進していく必要があると私どもは考えておりまして、早くから五カ年計画的な構想で政府にいろいろと要望しておるのでございますけれども、これは五カ年計画という形にするかどうかは別としまして、もうここのあたりで年金問題についての重要な問題点をカバーできる計画的な一つの見通しを立てる必要があるとお思いになりませんかどうか、お伺いしたい。
○小沢国務大臣 和田先生おっしゃるとおり、私も、その必要性を痛感いたしております。
○和田(耕)委員 これは、たとえば基礎年金等について五十五年までにというあれとか、あるいは十カ年間に、いろいろな年金、違った年金間の調整をするとかいう考えがあるのですけれども、こういう考え方は、いま大臣のお考えになっている点と著しい差異があるかどうか、大体のお考えとして。
○小沢国務大臣 私、実はかつて厚生省におりましたときの経験からして、私の知識と経験は比較的、衛生行政並びに疾病保健行政については持っておるつもりでございますが、実は当時、年金ということについて私が在職中には、どうも余り大きな問題でもなかったものですから、そういう面では全く素人と言っていいわけでございまして、その後、社会労働委員会で和田先生その他皆さん方のいろいろ御講義をいただいて勉強も若干いたしておりますが、どっちかといいますと年金には弱い方でございます。
 したがって、どうも私の構想といま言われますと、まだ私が自分の構想を述べるような一家言を持っておるわけでもありませんし、恐縮なんでございますが、ただ私は、やはり国民の一人として考えてみますと、老後、自分たちが六十五過ぎた場合に、年金の制度はいろいろあるだろうけれども、一体、国民は公平に一応どれぐらいの所得保障というものが、いろいろな制度の結果、与えられるのだろうかという期待と同時に、その必要性を痛感していると思うのでございまして、そういう意味からいいますと、この種の年金ではこうだ、この種の年金ではこうなるのだということをいろいろ説明いたしましても、やはりこれは一億一千万の国民が老後になりましたら、これぐらいの保障が所得保障として得られるのだ。それがまた年限がたつに従って、どういうふうに、まあ少なくとも物価のスライドぐらいはいくのだという、そういう意味での年金のミニマムというのが、やはり提示をされた方がいいと考えているに違いないと思うのでございまして、そういう意味では、それを基礎年金構想と言うのか、あるいは、いわゆる定額部分としての、政府がいままで考えてきました年金の給付額と見るのか、これは別問題にいたしまして、一応、年金としての老後の目標というものは、何らかの形で平等な給付が行われるという一定の、少なくとも最小限度のものだけは保障されるという体制をつくることは、ぜひとも必要じゃないだろうか。
 しかもいまの年金の諸制度の中の格差が余りないように、やはり国民は平等を望むわけでございますので、いろんな格差はできるだけ早く是正をしていかなければならぬだろう。そうして保険財政というのは何といっても財源をしっかりしていかなければいけませんので、そういう意味で一体、国民の負担の限度というものを政府はどの程度に考えていくべきなのか。これらのようなことで私なりに実は希望といいますか、望んでいるわけでございますが、方向を求めていきたいと思いますけれども、ただ当面、経過年金の方々については、それとは別個にやはり検討していかなければいかぬだろう。したがって、福祉年金を含め、五年年金等の経過的な年金については、一定必要な最小限度の所得保障になるような金額まで、負担をどこに求めるかを含めまして、目標をきちっと決めて改正といいますか、制度を立てていく必要があるんじゃないか。この辺のところまでしか、まだ私の頭の中にありませんで、これから勉強しまして、少なくとも今年内には根本的な方向を決めさせてもらいたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 最近、大臣は、大臣になってまだ日が浅いにもかかわらず、健康保険制度の問題を中心にしまして、かなり抜本的なと思われる、少なくとも、そういういままでの議論の基礎になり得る方向を打ち出しておるということは、私、非常に敬意を表したいと思っておるのです。これは細目の問題は今後の重要な問題ですけれども、ああいうふうに健康保険制度の問題についても大臣はかなり思い切った方向を打ち出しておるということと並んで、年金制度の問題も同じような問題があるわけですね。年金制度の基本的なつまり基礎年金等の考え方、そして各制度間の平等の給付というような問題、大体同じような問題が年金にもあるわけですね。しかも、これは保険制度と違って関係の団体が著しくこれに反対するという性質のものではないわけで、保険よりももっと国民の合意を得る可能性は強いわけでございまして、大臣が少し態度を決めて、そして積極的なイニシアチブをとってやっていけば、この段階で大きな成果が上げられるのじゃないかというふうに私は思えてならないわけでございまして、ぜひとも今年いっぱいには、名実ともに先進国の最高レベルの問題に余り遜色のないような年金制度の体制を整えてほしいと思うのです。
 いまの御答弁あるいは先ほどからの御答弁を聞いておりまして、多分そういう決意を固めておると思いますけれども、特にこの問題は現在、不況下のいろいろな問題になっている、つまり安心して消費ができるようになんということを考えましても、いま、おっしゃったような将来の生活の規模についての国民の安心感というものがないことが、いろいろ政府がやろうと思った施策か効果を上げてない大きな理由でもありますので、ひとつ年金の問題について、どのような計画になるか、それは今後いろいろ検討されるでしょうけれども、国民の合意できる目標を目指して、ひとつ計画的に努力をなさる、そういう一つの方向をぜひとも出していただきたい。これは強くお願いをいたしておきたいと思います。
 第二の問題は、今回の国会の予算委員会のいろいろなやりとりがありました。減税とか社会福祉関係の野党共同歩調の要求がありましたが、私どもは特に、この年金問題には力を入れまして、減税よりは、むしろ、この問題が大事だということでウェートを置いて、いろいろ要望してきたのですけれども、残念ながら年金、特に福祉年金の二万円までアップしろという、この要求は全然聞いてもらえなかったわけで、一時金として何ぼか出すということになったわけです。やはり福祉年金を少なくとも二万円レベルにまでは早く到達させなければならないということについては、これは片一方の拠出制の年金とのバランスがありますから、技術的に考えれば非常にむずかしいことですけれども、しかし、この問題は厚生大臣がイニシアチブをとって、そして拠出しておる人に対しても説得をしながら、ある方法をもってすれば、財源等も調えて、とにかく現在の常識的に見て、二万円程度ということは、これは合意が得られると思うのですね。そこまでいくことがぜひとも大事だと私ども考えておるのです。
 そこで端的に申し上げますけれども、二万円まで持っていくために、その必要な経費の三分の二ぐらいは政府が持つ。三分の一は年金の基金から借用する形で、これは事務的に言えばむずかしいのですが、そういうような構想で福祉年金を引き上げる基金制度ですね。名前は何とでもつくのですが、私ども社会連帯基金という名前を使っているのですけれども、そういう基金を設けて、福祉年金を少なくとも二万円レベルまで早く持っていくという考え方が大事ではないかと思うのですけれども、こういう問題について、いかがでしょう。
○木暮政府委員 福祉年金の水準を上げる問題につきましては、私どもの懇談会の中間意見でも意見を出していただいておりまして、やはり将来の年金制度のために基礎年金みたいなことを考える、あるいは財政調整みたいなことを考える必要があるけれども、それが決まる前にも経過年金のことについては改善の措置を講じるべきだという意見をいただいておるわけでございます。
 その際のネックが二つございまして、一つは御指摘のございますように拠出年金との関連があるわけでございます。福祉年金を上げるために拠出年金も上がっていくということでございますと、いまの年金の財政状況、将来を見通しますと老齢化が進みまして、とても財政的に負担し切れませんので、経過年金を引き上げる際に、拠出年金あるいは水準に達した年金に波及効果が及ばない方法を考えることか大事であるという指摘をしていただいております。
 それから、もう一つの点は、やはり財源問題でございまして、現在の福祉年金も非常に多額の国庫負担を要しておりまして、この財源が一つのネックになって水準をなかなか思うように引き上げられないということがあるわけでございます。それにつきましては、やはり一般会計でやるのは無理であろう。各年金制度の保険料の繰り入れをしていただくとか、あるいは目的税をつくるとか、そういう特別の財源措置を考えなければならない。
 その二点を指摘していただいておりまして、今後とも詰めていただくことになっておりますが、いまお話しの積立金を借りるという問題につきましては、福祉年金はだんだん少なくなっていくわけでございますが、国民年金や厚生年金の国庫負担は福祉年金が減る以上の速度でふえてまいりますので、将来に借りるという形で問題を残すのはどうであろうかというような気がしておるわけでございますが、そういう中間意見の指摘の線に沿いまして懇談会にも詰めていただきますし、私どもも研究してみたいと思っております。
○小沢国務大臣 和田先生が御提案の、三分の二程度は国庫でやって三分の一ぐらいは何らかの意味で若い者に負担を求める。その負担を求める場合に、すでに積み立てをしているものもあるから、そこから引っ張り出すということは、新たにいまの保険料にプラス一定の額を上乗せするのと同じことになるのだから、恐らく、そういうつもりで御提案をされているんだろうと思うのでございますが、私も、まずこの福祉年金を考える場合には、一体二万円がいいのか、あるいは福祉年金そのもののの性格というものをもう一遍見直してみて、いわば国民の基礎年金的なものにこれを引き上げていく。前の田中大臣が、せめて有料の老人ホームに入れる程度の福祉年金をという構想を一回述べられたことがございます。これは一つのめどとしての考え方ではないか。例の制度審議会では、一人三万円、夫婦で五万円という基礎年金構想を出しておられるわけでございますが、こういう基礎年金的なものに考えていくといたしますと、あるいは、いまの生活保護の最低生活保障費と考えられる一人の老人の福祉手当を入れたものかほぼ五万円見当になっておりますので、それを所得保障として大体六割程度を考えるということになれば三万円という線が出てくるわけでございます。
 そこで、それは将来とも物価の上昇によっては、また変わってこなければいかぬとは思いますが、一体幾らにするのがいいんだろうかという点で、この前、予算委員会で私は軽々にいま賛成できないと申し上げたのは、やはりその辺のところのめどを早くつけた方がいいんじゃないか。そうして、その財源として現在、国庫の情勢か国民から借金をしている。その借金は現在の国民よりも十年後の国民の肩にかかってきている、後代の負担になるわけでございます。そう考えますと、国庫負担を出して三分の二賄うということがいいのか、六割がいいのか七割がいいのかということについて、これもやはり現在の国民と後代の国民との負担の均衡等も考えて、いずれかの線を決めなければいかぬだろう。そうして残りを現在の若い者が、ある場合には自分の両親の分でもあるかもしらぬし、ある場合には自分の親戚の老人の分かもしれませんが、とにかく、いまの現実に生活をしている若い者がこれを負担をしていきまして、そして、必要な所得保障のぎりぎりの額を、先ほど言ったように、どこの線で決めるかは、いろいろ検討すべき事項だと思いますが、それを一挙に解決をすべきではないか。
 そこで、とりあえず二万円ぐらいまでにしたらどうだという御意見でありますけれども、やはりその辺のところを固めて、少なくとも来年は、その方針を出したいとも考えますので、いま軽々に二万円にするか、あるいはどうかということについて、私どもは自信を持ってお答えできないわけでございます。いま申し上げましたような考え方を当面、経過年金の中で、この福祉年金というものを、基礎年金構想等も参考にさせていただいて決定をし、その負担のあり方を決めまして御意見を承りたい、こういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 よくわかります。私どもも三万円という線を出しておりますけれども、なかなか一挙に三万円というのはむずかしいということで二万円という線を出したわけなんです。これはおっしゃるとおり基礎年金との関連で、いろいろ考え方もあると思いますし、ひとつ大臣、今年じゅうにいろいろな構想をまとめられるときに、ぜひとも、この福祉年金の問題も解決できるような方向で御検討をいただきたいと思います。
 それと関連しまして、このごろ、こういう主張をなさる人がおる。私も、もっともだと思うのですけれども、高齢者を七十歳から八十、八十から九十、九十から百、百以上と分けて、年金の幅を上になるに従って大きく伸ばしていくような、少なくとも百以上になれば十五万円以上は出すようにというのです。この考えは、ちょっと聞きますと何かとっぴなように思いますけれども、あれは私は非常におもしろい考えだと思うのです。確かに高齢になるに従って介護等のことを考えますと費用がかかるということもありますけれども、数は大したことはないわけです。そういうことで特に高齢者の年金について、年金がつくから長く生きてやろうなんということは直接は出ないのでしょうけれども、いろいろな意味の励みみたいなものが出てくるという効果もありますので、七十代は別として、八十以上は、そういう考え方をひとつ具体的に検討なすっていただいたらどうだろうかと思うのです。百歳以上は何ぼにするか、十五万円にするか二十万円にするか、何ぼにしたところで、なかなかそこまでいく人は少ないわけですけれども、このごろ八十の人で元気な人か多いですよ。九十の前半でもまだ元気な人もおる。こういうことで八十代、九十代、百以上というふうに分けて、七十代はいまのあれでいいですが、そういうふうな考え方ができないかどうか、お願いします。
○木暮政府委員 今後の年金の改善の際に検討さしていただきたいと思いますが、老人の生活というものは年金だけではなくて、厚生省所管だけでいいましても老人医療の問題とか、いろいろあるわけでございます。仮に老人医療というものか充実すれば、恐らく年齢が高齢化するに従いまして生活の必要というのは減るという傾向もあろうかと思うわけでございます。結局かなり老人の個人差もあろうかと思いますけれども、ほかの医療の問題、福祉の問題、それから年金が分担する分野というようなものを考え合わせながら、ただいまのサゼスチョンにつきまして検討さしていただきたいと思っております。
○和田(耕)委員 これは形の検討でなくて、ぜひとも具体的に、これができるかどうか検討を願いたい。できると思うのですけれども、これをやりますと大変励みになりますよ。いま、それを一生懸命やっている代表者が一月に三回くらい来られることがあります。恐らく大臣のところにも行かれておると思うのですが、いま百まで働こうとか、森戸辰男さんがやっている会とか、百なんとかというのがたくさんあります。百歳も大体射程距離に入っているみたいな感じで、そういうことでありますから、こういう制度もぜひとも考えていただきたい。老人の生活が明るくなりますよ、こういうことを国の制度として考えるということも。これは大臣、ひとつ本気に考えましょうというようなことになりませんか。
○小沢国務大臣 和田先生、事務当局に質問すれば恐らく余り賛成しないと思うのです。というのは、やはり所得保障ですから、生活についての一定の割合、こういうことになってきますと、百歳の方と七十二、三の方とでは、栄養の面からカロリー計算をやりましても七十二の方がよけいかかる。百歳以上の人になったら、あるいは九十以上になったら、カロリー計算からいうと、生活保護の男女の格差じゃありませんけれども、相当理論的に言って違うとかどうだとかいう議論があると思うのですね。
 和田先生のおっしゃっているのは、全く別の面から、一つの政治論として、いまおっしゃっておる。もっと世の中を明るくする、あるいはみんなの励みがつくという非常に別の面の効果、目的というか、あるいは、そういう政治的な、いろいろ政治の中には理論で割り切れないものもありますから、そういう意味でおっしゃっているのだろうと思うのでございまして、私は政治家としては、おもしろい構想だなとして承ったのですが、事務当局が聞きますと、それはとても、いま年金の守備範囲の問題でもないし、そう簡単にはいきませんということになるわけでございまして、それは一つのユニークな構想として私もよく検討さしていただきますが、やはり全く年金の制度というものと離れて、もちろん一部おっしゃるように関係はありますが、別の意味からの何か要素を加味しませんと、なかなか年金制度の中で、これをずばり実現するというわけにはいかぬだろうと思うのですが、私も、ただ事務的な年金の思想といいますか考え方にとらわれないで、よく検討さしていただきたいと思います。
○和田(耕)委員 大臣のおっしゃる、事務的には、なかなか考えにくいということがありますけれども、たとえば無拠出年金つまり老齢福祉年金そのものが年金の概念から少し外れている問題でありまして、しかも、それは数が限られておるということと、だんだん少なくなるということがある。福祉年金という範疇で考えれば、そういうことですから、八十、九十ということになると金持ちがどうのこうのということはまた離れてくる。そういう所得制限なんというものは、その場合にはなくするようになるかもわかりませんけれども、所得制限の問題ともまた違った目的で、この制度を置くわけですから、まあいろいろ問題はありますけれども、ぜひともひとつ検討してみていただきたいと思います。
 一つ一つ項目を後からまとめて確認したいと思うのですが、次は年金の課税の問題です。これは各党からも出ておる意見だと思いますけれども、この年金というものは、やめるときに出る一時金に対しては税金をかけることがあっても、年金とか恩給とかになってしまったものに税金をかけるということは、私はたてまえとして、ちょっとおかしいみたいな感じがするのですけれども、大蔵省関係の方お見えになっておりますか。年金でも同じ所得だから平等にかけなければならぬということがいいのか、あるいは年金、恩給というものは税金をかけないようにした方がいいとお思いになるのか、そこら辺の考えを、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○梅澤説明員 年金に対する税制の問題でございますけれども、御案内のとおり現在、障害年金、恩給の場合でございますと増加恩給等の系統でございますが、その障害年金の系統、それから遺族年金の系統、恩給でございますとそれぐらいでございますが、それともう一つ、福祉年金の系統を課税の対象から外しておるわけでございますが、これの考え方は、どちらかといいますと、これらの年金を受給しておられる方々の稼得能力と申しますか、税負担能力というものに着目いたしまして、いわば、いわゆる福祉的な観点からの課税除外というふうな考え方に立っておるわけでございまして、基本的には、ただいま御指摘のとおり年金は日本の税制のもとでは給与所得として課税の対象にしておるわけでございます。
 ただ、日本の年金の現状等から見まして、一定の高齢者の場合、これは六十五歳以上でございますが、その人方には特別の年金控除を認めまして、現在その課税最低限の水準が幾らになっているかと申しますと、夫婦二人の世帯の場合に二百十九万でございますから、年間の年金受給額が二百十九万までの人は税金かかからない。それを若年労働者と申しますか、現役の労働者でございますと、同じ夫婦二人の所帯で百十三万以上は税金がかかっておるわけでございますね。そういう点からいたしますと、私どもは現在の年金に対する税制というのは、かなりそういう年金受給者の観点から見ますと妥当な、むしろいい水準にあるのではないか。
 付言いたしますと、たとえば年金制度が非常に成熟化しておりますヨーロッパの年金の税制を私ども、ずっと一わたり勉強しておるわけでございますけれども、これらの国におきましては、そのほとんどの国が年金を課税の対象にいたしております。つまり一般の所得と区別はしていない。それがやはり被保険者の二割くらいが年金を受給するという世の中になってまいりますと、日本の場合でも、むしろそういう方向で今後考えるべき問題じゃないのだろうか。ヨーロッパの場合でございますと、現役労働者の年金の保険料は所得控除の対象にいたしまして、年金を受給する人の所得は一般の所得と区別せずに課税の対象にしておる。日本の場合は、現役労働者の保険料拠出は、これはもちろん社会保険料控除で所得控除の対象にいたしておりますし、受給者につきましても、ただいま申しましたような年金の種類によって、あるいは一定の年齢によって、かなり税制面で恩典を与えていると申しますか、そういう配慮が払われているわけでございまして、むしろ、そういう観点から申しますと、将来の問題としてはむしろヨーロッパを指向するようなかっこうで私どもは検討していかなければならないのではないか、そういうふうな性質の問題であると受けとめております。
○和田(耕)委員 現在のいわゆる恩給あるいは年金等の最高の人は、どれぐらいもらっておるのでしょうかね。恩給局の人お見えになっておりますか。最高と年金の平均の数字がわかっていたら、お教えをいただきたいと思う。
○手塚説明員 最高額と申しますと、普通恩給で申しますと、文官のケースで六百二十九万というケースがございます。ただ、これはちょっと特殊なケースでございまして、元高等裁判所の長官をやっておられた方ですが、裁判官につきましては三割加給という大正時代のちょっと古い制度ですが、そういったものもございまして、特に高いケースでございます。軍人の方で申しますと二百八十万くらいになるわけでございます。
 それから、全体の平均年額という御質問でございますが、種類としては文官、軍人ございますし、また恩給の種類としても年功による普通恩給もあれば遺族に対するものもありますし、それから傷病恩給もあるのですが、それをすべてひっくるめて平均年額、現在求めますと約四十五万五千円ということになっております。
○大和田政府委員 厚生年金の最高額でございますが、五十二年九月現在で百六十二万三千円、それから同じく五十二年九月末現在の老齢年金の平均年金額、これが九十万六千五百二十七円、かようになっております。
○和田(耕)委員 厚生年金の最高額はどういうような人がもらっていますか。それと数はどれくらいおるか、最高レベルの人で。
○大和田政府委員 最高でございますと、これはこれが一番、一人ということでございますが、被保険者期間が四百十月、それから加給年金額対象者として妻それから子供二人、こういう状況でございます。
○和田(耕)委員 共済年金の方は。
○山崎説明員 共済年金につきましては、実は裁定とか支払いの事務が各共済組合でやっているわけでございまして、先生御質問のような最高額ということを特に調べておりません。しかしながら、新法の共済年金の場合は俸給の七割が限度になっております。その俸給の限度額は現在三十六万円でございますので、理論的に計算いたしますと、組合員期間が四十年で基礎俸給が三十六万円の場合は年金額三百二万四千円、これが理論的な最高限度でございます。それからまた、五十二年の三月末の平均の年金額は百二十二万八千円でございます。
○和田(耕)委員 そうすると、課税の対象になる人というのは数はわりあい少ないですか。
○梅澤説明員 いま手元に計数を持ち合わせておりませんけれども、私の記憶にあります感じなんですが、数字で申しますと、パーセントで、もちろん一〇%にいくような数字ではございません。
○和田(耕)委員 ラウンドナンバーでいいのですが、金額にしてどれくらいの税収になりますか。
○梅澤説明員 年金受給者だけの税収額というのは、私ども税務統計として経理いたしておりませんので、税収額を幾らかと言われますと、ちょっとお答えができないのが実情でございます。
○和田(耕)委員 後から知らせていただきたいと思いますけれども、これはいろいろ考え方があると思いますが、一般の所得とバランスのとれるというのも、りっぱな考え方だし、しかし年金という性質からいって、年金まで税金をかけなくてもいいじゃないかという、これは一般の退職手当なんかでも、一般の働く人は、せっかくもらった退職手当をもらってみると税金がかかる。われわれがよくボーナスをもらう。ボーナスに税金がかかるときまで、何かボーナスまでかけないでもいいじゃないかという感じが、ほっと起こることがあるのですけれども、退職手当とか年金というふうなものには、特に退職手当は、しかし、まとまったもう賃金化している、賃金の中に入っている面もありますから多少あれですけれども、年金と名前がつけば、これは私は税金の対象から外した方が感じがいいじゃないかというふうに思うのだけれども、それはやはりだめですか。
○梅澤説明員 御説明するまでもございませんけれども、所得税の基本的な考え方は、所得に応じて累進構造を持っているというところに税制としての公正と申しますか、適正さが指摘されているところでございまして、したがいまして、日本の税制におきましても先ほど申し上げましたように、それが年金であるか、あるいは退職所得であるかによって、それぞれ所得計算の方法は違えておりますけれども、やはり所得の発生ということに着目いたしまして、これは負担をしていただくというのか全体として税負担の公平という観点からは望ましいのじゃないか。ただ先ほど申しましたように、そういう年金の受給者の特殊な地位あるいは負担能力に着目いたしまして、いわゆる税負担の公平というものを犠牲にしつつ、福祉という観点から、いろいろ税制面での配慮をしているというのが現状でございます。
○和田(耕)委員 公平ということは大事な考え方ですけれども、物によって公平という考え方を機械的に出すことが逆に不公平であるという印象の問題もあるわけですから、この年金、恩給等については、課税対象から外すというような問題も何回か検討されたと思いますけれども、なお一度よく検討してほしいと思います。検討されなきゃ、それで仕方がないのですけれども……。
 もう一つの問題は、厚生大臣、このごろ厚生年金の基金も国民年金の基金も相当の額になっておりますけれども、この運用について、特に労働組合とか人がたくさん、かたまっているところでは、何とかもっと自分たち、積み立てをしている人の方に何か還元されるような使い方を何割かしてもらいたいという非常に強い要望があるわけなんですけれども、この積立金の運用については、厚生大臣は何か発言権は持っておりますか。
○木暮政府委員 厚生年金と国民年金の剰余金は、全部資金運用部に預託をすることにいたしておりますけれども、昭和三十六年に国民皆保険になったわけでございますが、その際に大蔵省に申し入れをいたしまして、従来、資金運用部の審議会が役人が大半を占めておるというような構成でございましたのを、大事な年金を預かっていただくという観点から、その組織を、役人を外して七人の学識経験者だけの委員会に変えていただいたわけでございます。その際、さらに私ども御注文申し上げまして、その七人の中に厚生年金と国民年金の立場をよく理解していただける方を必ず含ましていただく、そういう要望をいたしまして、昭和三十六年以来、現実にそういうふうになっておるわけでございます。
 なお、さらに積立金の額が多くなるにつれまして、事業主と被保険者の方の意向を反映しなければいけないということで、昭和四十九年でございましたか、厚生大臣の私的諮問機関のような形で年金問題懇談会というのをこしらえまして、これに事業主と被保険者の代表の方、国民年金の代表の方、学者の先生も入っていただきまして、資金運用計画をつくりますときには、そこの意見をいただいて、私どもの範囲内でできることはいたしますし、大蔵省に要望することは要望するということで、意見の反映に努めてきておるわけでございます。
○和田(耕)委員 いまの年金問題懇談会と資金運用部の審議会とは、機構的に関係がありますか、それはどうですか。
○木暮政府委員 機構的にはございませんが、先ほど申し上げました資金運用審議会の七人の委員の中には、この懇談会の座長をしていただいておる先生に参加をしていただいておるというようなことであります。
○和田(耕)委員 その七人の学識経験者で厚生省関係と言われる人の名前を、よろしかったらお知らせいただきたい。
○木暮政府委員 現在は、社会保険審議会の副会長をやっておられます小山路男先生と、国民年金審議会の委員をしていただいております大阪大学名誉教授の木下和夫先生に入っていただいております。
○和田(耕)委員 それでよくわかりましたが、それにしても、こういう審議会というものは、特に専門家、学者でもそうですけれども、審議を委嘱されておる役所の影響力を強く受けるものです。私、お二人ともよく存じ上げている人ですけれども、なかなかりっぱな方で公正にやる人だと思いますが、やはり、そういう委嘱されておる役所からの影響力というのは否定できないことだと思いますね。したがって、いろいろこれを出している人の代表ということになると、なかなかめんどうなことになりますが、学者ということになるのか、何かもう少しそういう範囲を広げるとか、いま厚生省にあるのは、その下の諮問委員会ですか、年金問題懇談会というような各お金の線に沿った生の声をすぐ吸い上げられるような二段組くらいの審議会とか、そういう意見を聞く会を設ける。そういうところに労働組合の代表とか、そういう金を出している方のしかるべき代表を入れて、できるだけ意見を聞いてあげるような仕組みができないものでしょうか。
○小沢国務大臣 私も、この問題については、できるだけ拠出者の福祉に還元できるような方途を強く出していかなければいかぬと思っておりますので、実は年金問題懇談会の委員の先生方は、先ほど言いました小山先生や木下先生以外に、たとえば同盟の小寺さんとかあるいは総評の福田さんとか、それから生命保険労働組合連合会の中央執行委員長の堀江さんとか、海員組合の田中さんとか、そういう四人のいわば被保険者側の代表等に入っていただいております。そうして、その意見をまとめまして、小山先生と木下先生が大蔵省の審議会の委員に入って、そこで懇談会の意見をまとめたものを資金運用審議会でひとつ述べていただきまして、意見を十分反映していただくということに考えておりますし、また一方、厚生省は独自の考え方から、年金財政を預かるものとして、被保険者や事業主の意見等も、今度、事務的には行政ベースで大蔵省とよく折衝してやるということで、最近は、私がおったときと比べますと非常に改善をされてきておるわけでございますが、なお中身といいますか内容について、またいろいろ意見を承りまして、ひとつ強く反映するように私も十分努力をいたしていきたいと思います。
○和田(耕)委員 これは一般の被保険者にとってみると、やはり何か自分たちの代表がじかに発言をしているという感じが欲しいということだと思うのですね。いまの仕組みの御説明を受けてみますと、なるほどと思う点がありますし、それ以上にどういうふうなことがあるか、ちょっと考えつかないのですけれども、何か自分たちの積み立てた金を、わからぬところで使っている、そういうことのないように、たとえば一遍決めたものを説明する会なんかもひとつ工夫してみるとか、そういうことも必要じゃないかと思いますね。こういう理由で今年度はこういうふうに使うのだというふうなことを、もっと一般の関係の被保険者の人たちにわかるように説明をするとか、そういう努力が必要じゃないだろうかと思うのですね。とにかく、これは毎年毎年出てくる要求でございまして、いまの制度はこれでりっぱなものだから、そう言えばそういうふうに聞こえるのですけれども、たくさんの人のそういう御希望をできるだけかなえてあげるような、あれは丁寧に説明するだけでも、こういう問題は大分違うのです。ぜひともそういう配慮をしてほしいと思います。
 それから在日韓国人、永住権を持って税金はちゃんと払っておる人たちの強い要望なのですけれども、これは二つありまして、一つは、社会福祉関係の適用を日本国民とは非常に差別する形でしか受けられないという問題と、もう一つは、ある県、ある市にはやられているけれども、他の市では行われてないという問題とがあるのです。たとえば年金の問題は、これはやっていないのですね。年金問題でやっている市とか県がありますか。
○木暮政府委員 年金は国がやっておるわけでございますので、市によってやっている、やってないということはないかと思います。
○和田(耕)委員 児童手当なんかはどうなっているのでしょう。
○石野政府委員 児童手当そのものの制度はございませんけれども、類似制度で、国籍要件を課してない市町村か一都五十一市町村ございます。
○和田(耕)委員 児童手当を出しておる市町村と出してないところがあるのじゃないですか。
○石野政府委員 児童手当そのものについては全部一律でございますので、全部外国人は適用しておりませんけれども、市町村の実情によりましては、児童手当制度類似の形で外国人にも同じ金額を出しているところはございます。
○和田(耕)委員 そういう問題については厚生省が調整をするといっても、出しているところに出すなというのではなくて、出せる方法かあったら出してあげなさいという指導はできないのですか。
○石野政府委員 市町村で実際上、児童手当まがいの制度で助成をしているところがございますけれども、これは恐らく市町村の独自の社会情勢、そういうものを判断をして、社会連帯の趣旨というのを損なわない範囲だという判断でやっておると思うわけでございますけれども、これについて、おかしいとか、あるいは、これを推進をすべきだということはなかなか言えないと思うわけでございます。
 私ども基本的な考え方は、少なくとも所得保障の最後のとりででございます生活保護制度というのがございまして、これによって実は救われているわけでございますので、こういう児童手当そのものにつきまして、全国的な見地から画一的に、これを指導するということの必要性が果たしてあるのかどうか、私どもは実は否定的に考えているわけでございます。
○和田(耕)委員 もう一つは、これは大臣にお伺いしたいのですが、税金を同じように払って、特殊な立場で戦前からの歴史的な経過のある永住権を持っておるという場合に、これは医療保険とか、そういうものはもらっておるようですけれども、年金とか、いまのものは、どうしてこれが適用できないのか。法律の立場からできないであれば、法律改正をするということが不可能であるのかどうか、こういう問題をひとつお願いします。
○木暮政府委員 在日韓国人の社会保障上の取り扱いの問題でございますが、いわゆる日韓法的地位協定を結びますときに、韓国と日本とかなり折衝をいたしたわけでございます。その結論は、生活保護とか、国民健康保険とか、義務教育とか、生活上の緊急性のある問題は適用する。しかし年金のように、いろいろな資格期間があるという問題につきましては適用しないということで地位協定が結ばれたわけでございまして、その方針を現在も引き継いできておるということでございます。
○和田(耕)委員 それについて何とか日本人と同じような扱いをしてほしいという要望が強く出ておりまして、法律のたてまえとして日本国民という言葉があるから、ぐあいが悪いということはわかるけれども、それなら法改正というものができないかどうかということにもなるわけですね。
○木暮政府委員 年金の場合には非常にややこしい問題がございまして、国民年金は二十五年の資格期間が要るわけでございます。二十五年の資格期間を満たしませんと、今度の審議で無年金問題をずいぶんやっていただいておりますが、保険料のかけ捨てということになりかねないわけでございます。また、外国人の扱いを考えますときには、在日韓国人だけじゃなく外国人一般の問題として考えなければなりませんので、そういう点で単純に法律を改正するということがなじまないというような性格があるわけでございます。外国の例を見ましても、たとえば社会保障が行き過ぎていると言われるくらいのスウェーデンでも、これははっきり外国人を一般的には入れないという形をとっておるわけでございまして、年金の技術的な制約がございまして、簡単に法律改正をするということができないわけでございます。
○和田(耕)委員 それはよくわかります。わかりますが、これは韓国人だけでなくて南北の人たちが特殊な日本との関係を持っておったわけで、しかも、永住権というものを他の一般の外国人とは違った立場を持っておるということもあって、そういう問題について、ぜひとも考えてほしいという要望がありますので、ひとつ、そういう要望として頭に入れておいていただきたいと思います。
 それで最後になりましたか、これは先ほど来、同僚委員が強く問題にしたことばかりでございまして、いまの無年金の人たちに対する四千円の徴収ですね。これは低所得者に対しては何とか実施の状況を見ながら検討しようという大臣のお考えの御答弁だったのですけれども、これはぜひとも御考慮していただきたいし、今回の措置が最後だということも、これだけで、もう本当に最後だというようにお考えになっておりますか。
○小沢国務大臣 これはもう三回目ですから、仏の顔も三度で、ぜひひとつ、これだけにしていただきたいと思っておるわけでございます。
○和田(耕)委員 しかし、実行しながら低所得者等については考えるというお考えもありますから、ここで線を引くというお考えでもないようですけれども、実際そうでないと、実施の状況を見ながら考えるということも生きてきませんから、そういう問題はぜひともカバーしていただきたいと思います。
 ペナルティーという話もありましたけれども、これは反面では、やはり行政の方のPRの不足という面もありますので、このごろ厚生省関係、労働省関係の非常に手の込んだいろんな法律があって、国民生活をカバーしようとしておるのですけれども、これを知らない人が意外に多いのですよ。これは労働省関係の労働組合の専従者、関係の深い人が最近、矢継ぎ早に出ていきますから、いろいろなこういう新しい制度を知らない人が非常に多いということになれば、やはりこれは宣伝が足りなかったという面からも見る必要がありまして、ひとつ、そういう問題を含めて同僚委員かいろいろ問題にした点を、同じような考えで御質問しているわけでございまして、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから妻の座の問題にしても、同僚諸君も、これは特に前から問題にしておりまして、妻の年金権の問題、その実際の処理の仕方の問題ですね。これも繰り返して質問することはいたしません。
 それから、児童手当の問題もそうですし、在職老齢年金の支給の年齢の問題等を、他の同僚委員の主張と全く同じでございますので、ぜひ、そういう点を御検討をいただきたいと思います。
 私のきょうの質問は、これで終わります。
    ―――――――――――――
○木野委員長 この際、お諮りいたします。
 ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案審査のため、本日、年金福祉事業団理事中村一成君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○木野委員長 質疑を続行いたします。浦井洋君。
○浦井委員 まず最初にお尋ねをしたいのは、積立金の還元融資の問題であります。被保険者住宅の融資について質問をしたいわけですが、最近これは被保険者の住宅融資の場合、事業主を通じてということになっておりますので、事業主などを通じて年金の転貸貸し付けが不可能なというか、困難な人たち、言うたら中小零細企業に勤めておる勤労者でありますけれども、この方たちが財団であるとか社団であるとか公益法人であるとか、あるいは厚生大臣の承認を受けたものというような、いわゆる民法法人を通じて融資の申請をするケースがふえておるというふうに聞いておるわけなんです。そこで、まず年金福祉事業団の理事の中村さんにお伺いをしたいのですけれども、こういうような転貸貸し付けを受けるのが困難で、どうしようということで年金福祉事業団に相談に来られた人に対して、事業団としては、どういうふうに対応しておられるのか、聞いておきたいと思うわけです。
○中村参考人 御相談がございますと私どもは、年金事業団の転貸融資は事業主の方を通じてお貸しすることにしていますから、事業主の方によくお話をして便宜を図ってもらいなさい、その方かよろしいと思います。こういうように事業主を説得して借りられるような方法を、まずお話しいたします。それで、実は、それをやってみたのだけれども、なかなかむずかしいのだというようなお話がございましたときには、その方の住んでおられる都道府県にございます。さっき先生のおっしゃった財団または社団の法人を、こういうのがあるから、そこへ行って相談してごらんなさいというようなお話をいたしております。
○浦井委員 さしあたって事業主とよく相談をして、そちらから。そうでなければ、いろいろなできておる法人に相談に行きなさいということなんですが、それでは、こういう法人が融資の代行をする際に、一体どの程度の手数料などを取っておるのか。事業団か、あるいは厚生省の方は、どの程度つかんでおられるのか、ひとつ教えていただきたい。
○中村参考人 具体的な例で申し上げたいと思います。
 東京にございます社団法人で関東年金住宅福祉協会という法人がございます。この法人は昨年度取り扱っている件数も相当多いものでございますから御参考に申し上げますが、この団体で、実際に申し込んだ方々の中で二通りございまして、一つは事業主の方がこの法人の社員として入っておられる方と、事業主か社員になっていないところ、つまり員外の会員と申しますか、分けて申しますと、申し込みますと、まず員内の会員の場合でございますと、当初に、木造の建築の場合、これは普通でございますけれども、大体十六万円くらいの手数料並びにそれに相当するものをお払いになっているわけであります。それから員外利用の会員でございますと、木造の場合で二十八万円程度の御負担を願う、こういうことでございます。
○浦井委員 大臣、いまお聞きになられたと思うのですが、手数料などで、かなり高く取っており過ぎるのではないかという感じがするわけです。その点について私も実情を少し調べてみましたので、大臣にひとつ、お聞きを願いたいと思うわけですが、財団の年金住宅福祉協会、これは大臣も御承知のように、理事長は大山正さん、ここで、いま木造で十八年という話でしたが、たとえばマンションを購入するので四百五十万円を二十五年返済で借りた場合、手数料が四万円、それから、この協会は連帯保証人制を実質的には認めておらないので、住宅ローン保証保険料という形で八万九千二百三十五円、そして保証金を二%ということで九万円取られる。だから合計でいくと、いま関東年金福祉協会で二十六万円ですか、言われたわけでありますが、それに対応するような額か二十一万九千二百三十五円、ほぼ二十二万円。だから四百五十万円を借りるのに二十二万円必要だし、二十二万円差し引いて、その残りを借りるというような解釈もできるわけであります。
 さらに、毎月これを返済していくわけでありますけれども、この返済金に管理手数料というものが月々六百円加わるわけであります。二十五年返済でありますから、計算をすると、これも二十五年間で十八万円になる。保証金の二%九万円は返済時に返ってくるけれども、この定款の中には、定款というか財団ですから寄付行為ですか、これは無利子であるというふうに、はっきり書いてあるわけです。二十五年たって返ってきても、九万円ぽっきりしか返ってこない、こういうような状態であります。
 それから、もう一つ、いま事業団の方からお話がありました関東年金福祉協会の場合にも、四百五十万円を二十五年返済で借りた場合、これはいまの話の繰り返しになりますが、員外利用の場合に審査事務費が一万円、まず申し込めば一万円。それから交付が決定した後に加入金として一万円取られる。会費が、管理費という名前だそうでありますが、月五百円で二十五年間分を前払いする、これが十五万円であります。それで、保証預かり金が二%で九万円、これで二十六万円。こういうことですね。だから、これも四百五十万円借りるのに二十六万円必要だ、こういうことになるわけであります。そうして保証金二%というのは、これまた無利子である。二十五年後九万円が返ってくるだけだ。
 もう一つ申し上げたいのです。これも財団法人社会保険福祉協会、ここで四百五十万円、二十五年返済で借りると、申込金が三万円、事務取扱手数料か三万円、それから連帯保証人制度がないので、住宅ローン保証保険料が九万六千百二十円、合計十五万六千百二十円。このほかに償還事務費、いろいろな名前を、いろいろなところがつけておるわけでありますが、これが月五百円で二十五年間、だから十五万円であります。こういう状態。大体皆こういうレベルであります。
 そうしたら、この中で一番額の高い分を、民間の公的住宅の大宗でありますところの住宅金融公庫の場合を調べてみますと、これは安いわけです。住宅ローンの保証保険料が四百五十万円で二十五年返済で一万四千八百円であるわけなんです。社会保険福祉協会は、それが九万六千百二十円、年金住宅福祉協会が八万九千二百三十五円、これは大臣も御承知のように、公庫住宅融資保証協会が住宅金融公庫の場合に代行して保証しておるということになるわけでありますが、住宅金融公庫の場合、非常に安いわけであります。それで連帯保証人も認めておるということであります。
 もう一つ、これは大臣に見ていただきたいのです。ある方が、私がいま申し上げたような財団あるいは社団の法人に申し込みに行ったところが、これは小さなことかもわかりませんが、申込案内とか用紙などを一括してくれるわけであります。これは無料ではなしに、たとえば年金住宅福祉協会、申込書を一括して、こういうふうに五百円で分けてもらうわけです。ここに五百円と書いてあるわけです。それから関東年金福祉協会もやはり五百円を取っておるようであります。住宅金融公庫の場合は、こういうものがあります。これはマンションでありますが高層住宅購入資金借入申込書、これは正価が二百円であります。こういうことを一つとってみましても、かなり高い料金を手数料などという形で取り過ぎておるのではないかというふうに思うわけであります。
 一番初めに私も申し上げましたように、こういうような財団や社団の法人に相談に来られる方は、事業主の方でいろいろな事情で転貸貸し付けがやれないということで、もう仕方なしに来られる中小企業の労働者の方が多いわけであります。だから、そういうことになりますと、せっかく低利で六%で年金の還元融資をやるというふうにいっておるけれども、実際上そう低利ではないということ、これでは一体だれのため何のための還元融資かわからぬというふうなことを、申し込みに行った人から不平不満を私も聞いたわけであります。
 こういう事態、大臣はよくおわかりだと思うのですけれども、ひとつ厚生省として被保険者の、特に中小零細企業に働いておる勤労者の立場に立って実態を調べて、これが不適切な場合には、きちっと指導していかなければならぬのではないかと私は思うわけでございますが、大臣の御意見を聞いておきたい。
○木暮政府委員 いま年金の積立金福利還元ということで住宅、非常に御希望が多うございまして、私どもも、この点を充実させていかなければならないと考えておるわけでございます。
    〔委員長退席、羽生田委員長代理着席〕
 事業主の方に転貸をしてもらうということでございますが、これは厚生年金の性格からいいまして、保険料を納めた事業主、被保険者仁直接借りていただくということが一番資金の生きる道でございますし、また、そういう形でやりますと厚生年金の運営に御協力もいただけるということで、これが本則だろうと思うわけでございます。
 事業主が転貸をしますときには、ほとんど条件をつけていないと申し上げてよろしいと思うのでございます。事業規模も問いませんし、納めている保険料とのバランスも問わないということで、そういう意味では、どの事業主の方にも転貸をやっていただけるという制度にはなっていると思うのでございます。ところが現実には、木造の場合でも十八年というような長期の返還義務を事業主が背負うことになりまして、中小企業の場合には従業員の方が十八年おらないというようなことも間々あろうかと思いますので、そういうような観点あるいは事務能力からいって、事業主が転貸できないということもあろうかと思うわけでございます。ただ、私どもも事業団の方も、本来の事業主転貸を推奨しておりますので、ここにきて事業主が直接おやりになる場合がふえてきつつございますけれども、しかし、そういう長期の貸借関係でございますので、中小企業が踏み切れないという場合もあるわけでございます。
 その際には個々の事業主ができないにしろ、事業主が団体をこしらえまして、やるということが次に考えられるわけでございまして、現実に、その転貸団体の中でも事業主が集まってやる場合には、事業主もそれ相当の会費を負担いたしまして手数料も安目になるということ。しかし、それも利用していただけない場合には、その財団法人等を利用していただくということにならざるを得ないし、また、その需要がかなりあるわけでございます。
 一方、その団体も長期の転貸の仲立ちをしていただくわけでございますから、その財務基盤が安定していてもらわなければ困るわけでございまして、そういう関連から必ずしも安くない手数料になっておるという面があることも事実だと思いますけれども、私どもといたしましては、団体が、その取扱事業量がふえれば手数料も安くなると思いますので、そういう関連を注意しながら指導してまいりたいと思っております。
○小沢国務大臣 私は、そういう制度があることは知っておりましたが、手数料がそんなに高いというのはいま初めて承りました。やはり自分たちの貯金ですから、これを利用する場合に、できるだけ便利に安く利用できるということが主だと思いますので、どういう方法をやったら一番いいか、白紙の状態でよく検討してみます。
○浦井委員 局長の方は財政基盤といいますか、財務基盤と言われましたかか安定する必要がある。私も安定しなければならぬと思いますよ。しかし、といって、ある程度、量が集まらなければ安定しないんだから仕方がないというようなニュアンスでは、ぐあいが悪いというふうに思うわけで、大臣は白紙の立場で検討したいということですから、これは具体的にやっていただきたいと思うわけであります。
 そこで財務基盤が安定しておるのか、おらないのかという一つの例証でありますけれども、先ほど申し上げた年金住宅福祉協会、この財団法人の場合には、厚生省からいただいた資料なんかを参考にして整理をしてみますと、五十一年十一月五日に設立をされて、同じく五十一年十二月二十日に大臣承認を受けておる。だから承認されてから、まだ一年四カ月しかたっておらないわけでありますけれども、すでに設立以来の実績というのが二千六百二十五戸、金額にして九十六億三千五百五十万円の貸付決定を受けておるわけです。五十三年の二月末現在で。これで寄付行為という定款に相当するもののやり方から計算をしてみますと、手数料が四万円掛ける二千六百二十五戸で一億五百万円になるわけであります。保証金二%にすると一億九千二百九十一万円、約二億円であります。これはかなり大きな手数料などの収入があって、これを運用すれば、かなりのことができるというふうに勘ぐられるわけであります。そこへもってきて先ほど申し上げたように管理手数料が六百円あるわけですから、それの二千六百二十五戸分で月に百五十七万五千円、年間に直すと千八百九十万円のそういう収入もあるというようなことになるわけであります。だから、これは私は財務基盤はかなり安定しておるのではないかというふうに思うわけでありまして、徹底した実態の調査と指導を、ひとつ大臣にお願いしたいと思うのです。
○小沢国務大臣 事業主にかわって代行サービスをしてやろうというところは、事務所も必要だし事務費も必要だ、人件費も必要ですから、もうけているわけではないので、そういうようなことから手数料は相当多くなっているのだろうと思うのですよ。ですから結局、被保険者のために、どうしようもなくなって、そういう人がやってくださっておるわけですから、この全体の負担が二十何万になっても、十八年間で割ってみますと、これは他の金融機関でローンを借りてやるよりは、自分たちの金の方が計算上安いと思うのです。
 そういう便宜のためにやっておられるわけですから、そこのやり方が悪いとか何とかということじゃないと思うのですけれども、しかし結論として、結果的にはせっかく自分たちの金を使うのに、そういうよけいな経費もかけなければいかぬというのも、これもどうかと思いますから、何かいい方法はないのか。公的機関をつくるというのはなかなか容易でないと思うのです。かえって能率が悪くなってしまいますから。都道府県なり市町村なりとよく相談をしてみたり、それから厚生年金の事業主は、中小企業の場合には同時に健康保険の事業主でもあって、これには社会保険委員という制度等もありますし、先ほど局長から答弁しましたように、事業主が集まって一つのあれをつくっているところもございます。そうしておけば事務費のそういう一端を事業主が、不安定だから事業主が代行はできないけれども、事務費の補助くらいはという意味で、おつくりになっていけば恐らく非常に手数料も安くなるんだろうと思いますし、あれやこれや、ひとつ検討してみまして、被保険者の負担がないように、できるだけ少ないように工夫をしてみますから、私もいままで、こういう団体があって、どういう手数料になって、どうだということを余り詳しくなかったものですから、大変恐縮でございますが、みんなで真剣に検討してみます。
○浦井委員 さらに私、続けて申し上げたいのですが、その財団法人の住宅福祉協会というのは、いろいろな資料や雑誌を見てみますと、これは長谷川工務店とかミサワホームとか西武不動産、こういうようなものが中心になって、いわゆる大手の住宅産業であるとか、不動産業であるとか、あるいは建設業者、こういうものがバックアップして設立されたというふうに書かれておるわけなんです。そして大臣御存じの大山正氏、元厚生事務次官であります。そして長谷川工務店の社長も理事になっておられる。
 だから、そこでは法的に大臣の承認を受けておるようでありますけれども、この年金住宅福祉協会の定款によりますと、分譲住宅の建設もやれるようになっておるわけだ。これは問題ですね。現に五十二年十月以降十九件百五十七戸、この分譲の実績があって、そのために事業団から九億二千六百五十万円の融資を受けておるわけなんです。それは、大臣は善意で言われたかもわかりませんが、しかし、現実に設立以来一年四カ月の間に手数料、保証金合わすと約三億五千万円の金が入る。現にそういうキャッシュが入ってきておるわけであります。
 そういうことでありますから、私は、こういう業態から考えると、大手のデベロッパーが低利の年金の還元融資を受けて分譲住宅を建てて、それと年金の転貸融資をセットすると、かなりうまみのある商売ができるんではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。これは財団にしろ社団にしろ、もちろん公益法人であります。公益法人であるとして認可をされておる財団が、こういうような仕事をやってよいのかどうかという本源的な疑問が私はあるわけであります。言うたら、こういう私企業的な事業活動が公益法人に許されるのかどうかというような問題になってくるわけなんです。
 これは大臣も御承知のように、民法の三十四条ですか「公益法人の設立」のところでは「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益二関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」こうなっているわけなんで、その辺、大臣、一体どう思われますか。
○小沢国務大臣 これは営利を目的とするような事業じゃないと思うのですね。やはり被保険者が事業主を通じて転貸かなかなか受けられないような方々のためにやるわけですから、これはもう、りっぱな公益法人としての性格を持つだろうと思うのです。ただ、よくそれじゃ検討しまして、そこで過分な手数料を取ったり、そのために法人が何か別途の営利事業的な性格を強く出しておるとか、そういう点があったら、監督官庁としては、これは相済まぬことですから十分監督しますけれども、しかし、現実に被保険者かなかなか方法がない、借りたいということで、その人たちのために、こういう団体をつくって、いろいろめんどうな手数も、かわりにやってやろうという団体は、これは公益法人としていいんじゃないかと思います。内容等は、よく私、調査をいたしてみます。
○浦井委員 やはり公益法人であれば公益法人として、本来の活動をやらなければならぬということは大臣も言われておるわけでありますから、ひとつぜひ、この点はお願いをしたいと思うわけであります。
 そこで、いま大臣は、いろいろなことを、これからの方法について言われたわけでありますけれども、まとめて言えば、やはり冒頭に申し上げたように、中小企業なんかに勤めておられる方が、事業主が転貸の手続が困難でやれないために仕方なしに、そういう法人のところへ行くという実態であります。そこへ行けば高い手数料を取られるということでありますから、一つの提案でありますけれども、大臣はなかなか困難だと言われたわけでありますが、準公的な、こういう機関をつくる、これは必要だと私は思うのですが、こういう気かないのかどうかということと、それはそれとして、安心して借りられるような仕組みを早急に大臣、検討してやっていただきたい、こういうように思うわけでありますが、もう一遍ひとつ大臣の御意見をお伺いたい。
○小沢国務大臣 公的な機関をつくって必ずしも能率が上がるかどうか、これもありますし、検討はしてみます。もちろんいい方法があれば。
 それから、できるだけ経費が少なく、こういう道をどうしたらいいか、どうしてやったら被保険者のための福祉に役立つか、これは真剣にひとつ検討をいたしまして、いずれまた、いい知恵が出れば、この委員会の皆様にも、浦井先生だけじゃなくて各先生方からも、この年金の還元融資については、いろいろな御希望等もございますので、これはひとつ報告させていただきます。
○浦井委員 いずれということでなしに、ある程度時間を決めて、ぜひやっていただきたいと思うわけです。
 そこで、これと同じように、いま問題になっておりますのは厚生年金基金の問題だろうと思うのです。この問題についてお伺いをしたいわけでありますけれども、厚生年金基金というのはプラスアルファが三〇%以上あるという指導があって、それがなければならぬということで設立されておるわけなんです。現在、退職者が実際に受け取る年金のプラスアルファというのは一体、実質的に何%くらいになっておるのか、ひとつ厚生省から明らかにしていただきたいと思います。
○木暮政府委員 企業年金をつくります場合には、報酬比例部分の年金現価にいたしまして三〇%を上回る付加給付をするということを条件にして発足をいたしておるわけでございます。発足当時、先生御承知のように標準報酬の見直しということが行われておりませんでした。それからまた、年金額のスライドということもなかったわけでございます。それで企業年金自体、標準報酬を見直さず、なおスライドもしないという土台でもって三〇%の付加給付をするということであったわけでございます。
 昭和四十八年の改正で標準報酬の再評価を行うことにいたしましたし、また年金額もスライド制を取り込んだわけでございますけれども、その際、企業年金で代行していただいております標準報酬比例部分につきましては、発足と同様に標準報酬の見直し以前、スライド以前の部分をやっていただくということにいたしましたたわけでございますが、その限りにおきまして従来の三〇%のプラスアルファをするということは維持されてきております。
○浦井委員 その限りでは三〇%のプラスアルファが維持されておるというのはどういうことですか。
○木暮政府委員 同じお答えの繰り返しになりますけれども、企業年金が発足いたしましたときには標準報酬の再評価ということがなかった時代でございます。それからまた年金額の物価スライドも導入をされていなかったわけでございます。したがいまして、そういう状態で標準報酬の比例部分を代行していただく。その際には標準報酬の比例部分の三〇%増しを最低限としてやっていただこう、こういうことであったわけでございます。四十八年の改正で標準報酬の再評価制度を導入し、かつ年金額につきましても物価スライドを入れたわけでございますが、企業年金につきましては、その標準報酬の見直し部分それから年金額のスライド部分は政府の方で引き継ぐということにいたしまして、企業年金の方には従来どおり報酬見直し前それから物価スライド前の報酬比例部分を担当していただくということにいたしたわけでございまして、ですから、制度発足と同様に報酬比例部分の三〇%増の水準をやってもらっておるということでございます。
○浦井委員 本体の方に再評価の部分あるいはスライドの部分を任したわけでしょう。だから当然、基金の方は、これは三〇%プラス増をやるとすれば、かなりな言い方が悪いかもわかりませんが経営努力をしなければ、これは当然三〇%を割るどころか、かなり厳しい、シビアな条件になっておるはずなんです。だから、それか現在のところ実質何%以上のところの線にあるかということを私は聞いているわけなんです。
○木暮政府委員 先ほど申し上げました前提でございますけれども、三〇%以上四〇%未満のプラスをいたしておりますのが九百四十四基金のうち四百二十四基金でございます。それから四〇%から五〇%のプラスアルファをしておりますのは百四十五基金、五〇%以上六〇%は四十四基金、それから六〇%から七〇%は二十七基金、七〇%から八〇%は三十三基金、八〇%から九〇%が同じく三十三基金、九〇%以上一〇〇%未満が二十七基金、一〇〇%以上二〇〇%未満が百五十基金、二〇〇%以上三〇〇%が四十四基金、三〇〇%以上が十七基金、こういうことでございます。
○浦井委員 私も、もう一遍繰り返しますけれども、実際に現在、退職者が受け取る年金のプラスアルファが実質何%くらい以上になっておるのかということを明らかにしてほしいわけです。
○木暮政府委員 いまのお話の数字は、各基金の創設以降の年限が違っておりましたり、加入者の経歴等がいろいろ違っておりますので、一概に申すことができませんし、現実にそういう統計をとっておりません。
○浦井委員 それは、なかなかそういう数字は出されないだろうと思うわけなんですが、実際には、いろいろな雑誌であるとか、あるいは機関誌などで見られるように、三〇%以上プラスアルファを維持していくことが厚生年金基金ではかなり困難になっておる、こういうように理解してよろしいですか。
○木暮政府委員 三〇%の分母の考え方でございますが、やはり制度発足のときには標準報酬の見直しということはないたてまえになっておりますし、それから年金額のスライドはしないというたてまえで発足をしておりまして、そのたてまえどおりで来ておるということなんでございます。一方、その後、報酬の見直しとかスライドが導入されたわけでございますが、これはこれで年金の一大事業でございまして、再評価しスライドさせていくということは、かなり後代負担にもなることでございますので、やはりこれは基金よりも政府がやっていく方が安全確実ではないかということで政府でやることにいたしたわけでございまして、ですから制度発足の姿そのままのプラスアルファの比率はちゃんと保たれておる、こういうことでございます。
○浦井委員 私、言うのは、再評価であるとかスライドが分母に加わって、分母が大きくなっているわけでしょう。だから当然プラスアルファのパーセントが低くなっておるわけなんでしょう。私、言いたいのは、だから、そういう実態を、こういうわかりにくいことを言わずに、被保険者の方々に、こういうふうになっておりますよということを、わかりやすく知らせるべきではないか、そう私は思うわけなんですが、何か年金局長ありますか。
○木暮政府委員 報酬見直し部分それからスライド部分は政府が引き受けておるということは、四十八年の法律改正で明らかにしておる事実でございまして、これはそれなりに被保険者の方なり基金の関係者の方がよく御存じのことでございます。それに基づきまして、その後の基金の運営をしていただいておるわけでございます。
 それで先生御承知のようにいこの基金は事業主代表と、それから従業員の代表の方々が代議員会をつくってやっておるわけでございますので、それなりに周知徹底が図られておると思いますが、なお先生のお話もございますのでPRには、よく努めるようにいたしたいと思います。
○浦井委員 大臣に、これは厚生年金基金のことは大臣もよく御承知だと思うのですが、政府管掌の厚生年金よりも企業で比例報酬部分の代行をやるような形でやった方が、実際にあなたが退職をされたときには三〇%以上のプラスアルファがついて有利ですよというようなうたい文句で、言うたら働いておる人をつったようなところが、かなりあるわけなんです。だから、そういうことを、いまの実態がどういうかっこうになっておるかということを被保険者、加入者の方々にきちんと知らせるような、まじめな努力をしていただきたいと私は思うわけなんですが、大臣どうですか。
○小沢国務大臣 企業年金は労働者にとっても非常にいい制度だと思いますので、いま先生御指摘の、やり方、PRいかんによっては、何か自分の方の加入者をふやすために、いいぞいいぞと言ってつって歩くような印象を与える、こういうことは当然気をつけていかなければいけませんけれども、実態を正しく認識していただく努力は当然しなければいかぬと思いますので、おっしゃるとおり、それらについては年金局においても十分ひとつやっていただくように、私からも足りない点があれば注意をいたしましてやらせます。
○浦井委員 これは局長いろいろなことを言われますけれども、基金のプラスアルファの給付というものが、物価上昇というような経済変動によって、かなり実質的な値打ちを維持していくことが困難になっておるというのは、これはもう周知の事実なんです。だから皆さん方が厚生省と基金連合会が共同の研究委員会を設けて検討しておられるわけなんでしょう。こういうことを前提にして共同研究委員会を持って検討をしておるわけなんです。だから、かなり基金連合会はシビアな感じを持っておるはずなんです。
 そこで私、時間が十一分までなので先へ進みますけれども、その共同研究委員会の中で六項目、検討事項にした。その六項目のうちで一つは有期年金の導入、もう一つはスライド給付の導入について、ある程度意見の一致を見たというふうに私は読んだわけでありますけれども、その中の有期年金の導入についてお尋ねをしたいわけなんですが、この有期年金の導入というのは、厚生年金基金にとっては社会保障の原則として、有期年金を導入するということは、その原則を踏み外すことになるのではないかというふうに私は思うわけです。いま新聞や報道機関あるいは雑誌などが言っておるように、厚生年金基金が、これからますます企業でやっておるところの企業年金化しやすいような地ならしになるのではないかという危険性を持っておるわけなんでありますけれども、その点はどうですか。
○木暮政府委員 企業年金をつくります際には、報酬比例部分を代行していただくということでございます。報酬比例部分はもちろん定額部分とリンクしておる問題でございますし、また報酬比例部分の中で報酬の見直し、あるいはスライドの部分は政府で引き受けておるわけでございますが、それと一貫した問題でございますので、当然私どもの担当しております部分と同様に終身年金でなければいけないわけでございます。それは私ども、企業年金を認可しますときにも一つの条件ということで、やっておるわけでございます。ただ検討委員会が勉強されましたのは、終身年金とは別に、企業なり、あるいは従業者の実態に即しまして、あるいは御要求に即しまして、さらに上積みをしていくべきところはどこであろうかという研究をされたのだろうと思うわけでございまして、政府で預かっております厚生年金とリンクして終身年金でやる部分のほかに、有期年金というようなことも考えてもいいのじゃないかということを検討されたのだろうというふうに考えております。
○浦井委員 さらに上積みする部分のところで有期年金の導入を検討する、そのことをいろいろと相談をしたのだというお話でありますけれども、私は非常にその辺について危惧を持つわけであります。たとえば定年制との関係がある。現在、日本の企業の大体約半数が五十五歳定年制である。厚生年金の支給開始が六十歳で、空白期間が五年間あるということで、この空白期間を埋めるために、むしろ定年延長は現在非常に大きな国の施策としても重要視されておる。社労委員会の関係で言えば、労働省も一定の努力をしておるわけなんです。そのときに軽々に厚生省が入ったところで有期年金の導入について検討をして、資料を読むと支給期間が五年から十年というようなことになると、厚生年金の支給開始年齢を逆に六十五歳に後退させようというような動きと全く符節が一致するわけでありまして、私は、これはやはり厚生省としても定年延長のために、もっと側面的な努力をすべきであって、定年延長に水を差すような、そういう動きはすべきではない。こういうことは直ちにやめるべきだというふうに思うわけでありますけれども、ひとつ厚生省側の御意見をちょっと聞いておきたいと思う。
○木暮政府委員 年金と定年制の問題と非常に深い関係があるわけでございますが、私どもの考えといたしましては、将来、老齢人口が非常にふえてまいりますので、あした、あさって、すぐどうこうということではございませんけれども、やはり年金の支給開始年齢は六十五歳ぐらいを一つのめどとして考えていかなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。その際には労働省の方で御努力いただきまして、雇用の条件も、それに合ったものにしていただくということが必要であろうかと思うわけでございます。
 それで有期年金の問題でございますが、これは企業年金の中で厚生年金とリンクする部分はルールどおりにやっていただかなければならないわけでございますが、さらに、どこにプラスアルファの重点を置こうかということでございますれば、これはせっかく企業年金をつくったわけでございますので、労使の意見の一致した線でやっていただくということであっていいと思うわけでございます。
 それで退職後の生活を考えますと、先ほど高齢者になればなるほど年金額を上げてやってもいいのではないかという御意見がございましたけれども、逆に退職したては住宅ローンの払いがまだ残っておるとか、あるいは子弟の教育費の負担がまだ終わらないというようなことで、退職後の前半にウエートをつけてほしいというような希望もあるわけでございまして、そういう希望に対応して、いろいろ御研究いただくこと自体は非常に結構なことじゃないかというふうに思っているわけでございます。
○浦井委員 とにもかくにも軽々に有期年金というような形で、いまできておる年金制度の大もとをひん曲げるような検討はすべきではないというふうに私は思うわけです。
 私なぜ、こういうふうにしつこく言うかというと、たとえば「基金連合会だより」の昨年の十二月号を見てみますと、厚生年金連合会の伊部英男理事長が、東京地方協議会の基金役員懇談会で、こういうことを言っておられる。要するに基金の一層の企業年金化の方向を主張しておられるわけでありますけれども、社会保障では公平が原則であって、社長が百万円、守衛が一万円というような給付はいけないけれども、企業年金では、それであってもよいのではないか。あるいは、社企保障を言うなら終身年金がよいけれども、企業のニードにこたえるものであるなら有期年金でもよいというようなことを言っておられるわけなんです。だからこれは、いま局長がるる弁解をされたわけでありますけれども、肝心の基金の指導を行うような立場にあって、そこでは厚生年金基金の原則をきちんと守ってやっていかなければならぬ理事長が、こういうような乱暴な発言をするというのは、私はやはり軽率であり、許せないと思うわけであります。ひとつ大臣にこの点について、基金連合会に適切な指導をしていただきたいということを私はお願いをしたいわけなんですが、どうですか。
○木暮政府委員 企業年金ができましてから十年ばかりたつわけでございますが、社会的な状況も非常に変化してきておるわけでございます。俗に言われますように、企業の退職金負担というものが非常に重くなりまして、それを企業年金の形で合理化しようというような動きもございますし、また官民格差という問題から共済組合と厚生年金とのバランス問題が論じられておりますけれども、だんだん明らかになってきておりますのは、企業年金部分が共済組合部分に乗っかっているんじゃないかというようなこともあり、また一方、公的年金の将来像を考えますと、厚生年金なり国民年金なりの一般制度がやっぱり費用負担の限界がございますので、年金水準の引き上げには限界があろうというようなことがございまして、企業年金の役割りというものが新しく問い直されておる。基金連合会自体も従来の考え方にとらわれず、いろいろ勉強してみようということでおるわけでございまして、そのこと自体は非常に結構だと思うわけでございます。もちろん、その議論の成り行きが厚生年金なりあるいは年金体系全体を崩すようなものであれば、私ども、それは是正も指導いたしますけれども、現在の段階で、いままでの経過にとらわれずに、いろいろ議論をし元気を出してみようということで基金連合会が取り組んでおりますので、そのこと自体は奨励こそすれ、いまの段階で一定の制約をつけるということはどうであろうかというふうに考えております。
○小沢国務大臣 伊部理事長は、私が終戦直後、厚生省官房総務課の事務官以来、一緒にずっとやってきた二年後輩の実に頭にいい優秀な男でございますので、また非常に年金あるいは健康保険関係に精通した男でございますから、私は全幅の信頼を置いているわけでございます。発言の内容のたまたま一部をお取り上げになって言われたわけでございますが、やっぱり企業者の方々というものは、こういう年金制度について、そう詳しい人はおりませんものですから、極端な例を引いて、わかりやすく話をしたというんじゃないかと思いますが、企業年金制度については、やはりこれは非常に大きなニーズか高まってきておりますから、これはむしろ、ぜひ伸ばしていくべきじゃないかと思うのです。
 しかし局長の言いましたように、社会保障の本体である私どもの、この政府がやっている年金制度に支障を来すようなことになってはいかぬし、また、いまの有期年金化の構想について研究をしておりますけれども、これはまあ定年といろいろな関係がある問題でございますので、おっしゃるように考え方として一方においては、それを足を引っ張るんじゃないかというようなお考えもあろうかと思いますけれども、われわれは遠い将来を、考えた場合に、いろんな負担状況を考えてみますと、遠い将来ではありますが、六十五歳、各国並みの支給開始年齢というものを考えていかなければいかぬかなという危惧を持っているわけでございます。いろんな計算上から。その場合に、世の中一般が六十五まで定年が延長されまして、そして働いている雇用が終わったら年金にスムーズに移っていけるということが一番望ましいので、そういう政治、行政の方向に持っていきたいとは思いますけれども、しかし、それが全企業にわたって、全労働者にわたって全部一律に実行できるかどうかとなると、それはそうはなかなか簡単にいかぬと思うのですね。そういたしますと、その間のつなぎをどこでやっていくかという問題等もございますから、一概に、その研究はいかぬというわけにいかないので、先ほど局長からも答弁しましたように年金制度というものは、やっぱり終身年金が本体でございますから、ただそれに何といいますか、補足する意味における、そういう一つの制度のあり方等について、いろいろ検討していくということは、これはちっとも差し支えないことだと思うのです。
 まあ、そういうようなことでございまして、企業年金の理事長以下と十分よく懇談をしながら、あれは報酬比例部分の代行をやらしているんだし、まあ、それぞれ適当にやっておけというような態度じゃいかぬと思いますから、これはもう十分われわれと一体になって国民の所得保障というものを遺憾なく充実していくような、われわれの方と一体になって、やっぱりやっていかなければいかぬわけでございますから、何回かひとつ会って、よく話し合いをして、そういう先生の御指摘の御心配のないような指導を十分徹底していきます。
○浦井委員 私たちは厚生年金基金制度そのものに反対であるわけなんです。やはり公的年金制度というものを、もっと拡充強化をしていくということのために最大の努力をしなければならぬ。ところが、どうも最近の論調を見ておりますと、厚生年金基金を一つのてこにいたしまして、何か公的年金はそのままにしでおいて、あるいは、その中に、さらにまた企業年金がもっと大きなかっこうで入ってくるというような危惧を持たざるを得ないわけで、私はその点を強調しておきたいと思うわけです。そういう点で。
 そこで、もうおしまいなんですけれども、最後に、これはすでに同僚議員も指摘をされた点とよく似ておるわけでありますけれども、今回の改正案を見てみますと、いろんな問題点があるわけなんです。たとえば国民年金の保険料の引き上げの問題にしても、いろんな人たちに意見を聞いてみますと、やっぱり厚生年金に比べると現在でも高い、特に低所得者では高いわけです。
 だから、これは時間がないので、ずっと私、列挙して質問をいたしますので、ひとつ後で厚生省並びに大臣の方から、お答えを願いたいと思うのですけれども、現在でも、すでに低所得者層の中では国民年金の保険料の負担率の方が厚生年金の被保険者の保険料の負担率よりも高くなっておる。これが、さらに国年の保険料を引き上げていくことによって低所得層の生活を圧迫するんではないかということを私は恐れておるわけなんで、すでに、いろいろ議論がありましたように、保険料というものを被保険者の所得に比例をしたようなかっこうで、そういう方式に変えるべきではないかというのが第一点であります。
 それから第二点は、国年の被保険者の場合には農業者が非常に多いわけでありますけれども、これが減ってきておる。一九六〇年に千四百五十二万二千人であったのが、一九七六年、七百四十八万八千人というふうに半減をしておるわけなんです。ということは、この国年に入るべき農村の若い労働力が町、都会に集中をして二次産業、三次産業に従事しておる。そうして厚年の被保険者になってきておる。これは決して天然自然の現象ではなしに、やはり大臣よく御承知のように、高度成長政策というような形での政策誘導が私はあったと思うわけであります。だから、これから国年の財政問題というのが非常に困難をきわめるというお話がありましたけれども、国年の被保険者からだけ保険料を取るだけでなしに、やはり、そういう農業人口を大量に都会に集めて、そこで、その人たちを雇用をして、かなりな利潤を上げた大きな企業からも私どもは年金特別税というようなかっこうで財源を調達すべきではないかということが第二点であります。
 それから妻の年金権の問題でありますが、これも簡単に申し上げますと、やはり一つは、根本的には夫の加入しておる厚生年金あるいは共済年金などで妻の年金権を確立するように、そういう方向でなければならぬのではないか。当面は、遺族年金が老齢年金の五〇%でありますから、このパーセントを上げるということが必要でありますし、離婚や、あるいは傷害を受けたというような方に、そういう主婦も安心して年金給付を受けられるように改善をしなければならぬのではないかということであります。
 それから特例納付については、これは見ていかなければならぬのは高年齢層の低所得者ではないかというふうに思うわけであります。ところが今回は月額四千円ということになって、先ほどからも出ておりますように、十年あるいは十三年さかのぼると夫婦で百万円というような保険料を取って、これは低所得者には負担にたえられないわけでありますから、このままでいけば、せっかく大臣はこれで最後だと言われているけれども、無年金者の解消策にはならぬのではないかというふうに私は危惧するわけであります。だから保険料を特例納付の実施時点の額にすべきではないか。前二回はそうであったし、今回で言えば月額二千七百三十円でありますが、この額にしていかなければならぬのではないかと思うわけです。
 それから、これは大臣が先ほどから、かなり決断をふるわれたようでありますけれども、保険料納付に対する貸し付けの融資であります。これはぜひ私は断行しなければならぬのではないかというふうに考えるわけです。それが第四点。
 それから児童手当についてですが、これは額が低い。しかも低所得者に限られておるということでありまして非常に不満であります。だから、さしあたって私が要望したいのは、今回の改正案によりますと月六千円で実施時期が十月からとなっておる。前二回の金額の改定のときにも十月実施であったけれども、当時は児童扶養手当であるとか特別児童扶養手当、福祉年金、これは全部十月であった。ところが、今回の場合には昨年末、八月実施に、こういうものはなっておるわけですから、やはり少なくとも児童手当を八月実施にすべきではないか、この点であります。
 もう一つは、いろいろな児童手当制度の中で出てきた原資を使って、福祉施設を創設するというようなことが言われておるわけでありますけれども、制度審の答申を見てみましても、児童手当制度に福祉施設を創設することには疑問があるというふうに指摘をしておるわけでありますから、財政上の余分があるならば、やはり給付の改善を優先させるというような方向に進むべきではないか。
 こういう問題点があるだろうと思うので、ひとつ一括をしてお答えを願って、大臣の御意見もお聞きをして、質問を終わりたいと思うわけです。
○小沢国務大臣 所得に比例して保険料を取れという御主張は、一般的に社会保険では当然のことだと私は思うのですね、健康保険でも、それから年金でも。ただ、所得に比例して取る場合に、国民年金の対象者の所得の把握ということについて非常な事務能力が必要でございますので、現実問題として、なかなか困難だという実態があるわけであります。この点は、御承知を願いたいと思うわけでございますが、なお、制度として、どういうふうにあるべきかを、この思想から検討をさしていただきたい。
 それから、特別税の問題ですが、第一次産業から二次産業、三次産業にどんどん移っていったことは事実でございます。むしろ第二次産業の方の一応、限界点に到達してから、第三次産業に非常な移動が行われて、人口構成の中の五割五分、第三次産業というような状況になっておる。その場合に、農村から移動した労働力によって企業が繁栄し、あるいはまた第三次産業が行われていくとすれば、特別税を徴収して国民年金の保険料の足し前にして、そうして一方、国民年金の被保険者の負担の増高というものを抑えていくべきじゃないかという御説でございますが、これは、昔おまえさんは農村出身だからというと、われわれだってみんな、そうなんでございますけれども、それを今日、現在のところの事業所で全部負担を特別税で出せということも、これは言うべくしてなかなか行われがたいわけでございますので、この点はそう軽々にはおっしゃるとおりですと申し上げるわけにいかないと思います。
 妻の年金権については、遺族年金について検討を進めてまいります。今日の現状でいいかどうかは、いろいろ議論のあるところでございます。ただ、これには関連する問題が、先ほど来、審議の過程で局長からるる話をしておりますような問題点が多々ございますので、十分私どもとしても検討さしていただきたいと思います。
 無年金者対策の中で、私は今度はもう最後にしていただきたいと思っております。これは、この次またやりますなんと言ったら政策にならぬわけでございまして、絶対にこれが最後にしていただきたい、これは強くお願いをいたしますが、同時に、PRを十分やりまして、それから保険料を下げるというわけにいきませんが、この点はるる申し上げましたように、できませんけれども、貸付金の問題等の処置によって、入りたいと思う人が入れないというようなことのないような検討を先ほど来、村山先生あるいは大橋先生あるいは和田先生にも申し上げましたが、これはひとつ、ぜひ前向きに検討さしていただきます。
 児童手当制度については、これは私、制度全般で再検討すべき点が多々あると思うのでございますが、なお、現実の制度の中におけるいろいろな御質疑については局長からお答えいたします。
○石野政府委員 最後の、児童手当の点について御説明申し上げますが、この十月実施にいたしましたのは、従来十月からということ以外に、低所得階層について手当額を引き上げるという方式をとりましたのは初めてでございますので、その準備期間も必要だということが一つと、それから、かたがた手当額を上げるにつきましても、仮に八月実施ということになりますと約十億ほどの財源が必要になってまいります。そういう意味で困難である、こういうことでございます。
 それから、拠出金の財源で充てます福祉施設につきまして御意見がございましたけれども、私どもは、中央児童福祉審議会の御意見もございますし、それから同時に、国民の意識調査の結果によりましても、手当を出すことよりも、むしろ、そういう環境整備の方に重点を置いてほしいという意見もかなり多うございます。そういうことを踏まえて、実は福祉施設の設置に踏み切ったわけでございます。
○木暮政府委員 大臣から、みんな申し上げてしまいまして、申し上げることはないのでございますけれども、一つだけつけ加えさせていただきたいと思いますのは、農業人口が減りまして、国民年金の被保険者がそれだけ減るというようなことになるわけでございますが、一方、三次産業の方、自営業者の方が余り減るというような傾向はございませんで、いまの見通しでは大体、現在規模の被保険者は将来、国民年金が続いていくだろう、こういうふうに思っておるわけでございます。しかし、将来の社会変動はどうなるかはなかなか予測できませんし、現実には、現役の被保険者が少なくなって大ぜいの年金受給者を抱えている共済組合等も出てきているわけでございます。
 それで、各方面で御論議をいただいております基礎年金なり財政調整案というのは、一つは、そういう将来の人口変動、人口移動に備えて、各年金が協力していこうという側面を持っておるわけでございますので、直接的に税金を取るということは別といたしましても、各年金制度が協力していこうという体制は、私どもも懇談会で検討していただいておりますし、各方面の案も、そういう点を考慮されておるのではないかというふうに考えております。
○浦井委員 終わります。
○羽生田委員長代理 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) 最後の質問をいたします。どうぞお気軽にお答えをいただきたいと思います。きょうは決して言質をとって云々するつもりで質問をいたしません。と申しますのも、高齢化社会を急速に迎えようとしております日本の現在、生命の保障それから生活の保障、生きがい、こういう三つのものは、二十一世紀へかけての重要な政治課題でございますと同時に、日本の一つの理想を掲げた政策を論じなければならない問題だと思いますので、どうかひとつ、そういう意味において大臣も、しゃべったから、それが言質をとられたという形を、どうぞお忘れいただいて、私も、きょう、そういう長期的展望の上に立った問題点について質問をしたいと思いますので、夢物語でも結構ですから、こういうふうにあってほしいということかございましたら遠慮なしに言っていただきたい、かように思います。
 日本人の貯蓄性向は非常に高いということも、裏返せば老後の生活の不安あるいは病気あるいは住宅あるいは教育、こういう問題が非常に内因しているというふうに伺っております。同時に年金の問題も、その中の歳をとってからの生活の保障という大きな一つの柱を、これに求めていこうという世論が逆に非常に強いだろうと思います。しかし現在のところは、まだそういう問題が満たされていないために貯蓄性向は逆に非常に高い、こういうふうなことも考えられますので、年金が誕生しましてから歴史も浅うございますし、過渡期にあろうと思いますので、短期的展望に立ったいろいろな問題点もございましょうし、また、矛盾点もございましょうけれども、本日は、主に長期的展望に立って日本の年金のあり方について、どのように考えておられるのか。あるいはまた、先ほど申し上げましたような三つの二十一世紀へかけての政治的展望の上に立った年金制度かくあるべしというビジョンをお答えいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 その中で、まず第一番に、昨年の暮れに福田総理に、社会保障制度審議会から「皆年金下の新年金体系」という建議かなされております。非常に斬新な発想であり、特に負担と給付のアンバランスな八つの制度の中で横断的に、そういうものを展望して、かくあるべしというようなビジョンが述べられておりますが、その中の重要な骨子は基本年金と申しますか、そういうものと、それから社会保険年金を合わせたものを日本の将来の年金制度のあり方として持つべきではなかろうか、こういうふうに述べておられると思いますが、それについて大臣は、これをどのようにお受け取りになっておられるのか、ひとつお考えを承りたいと思います。
○小沢国務大臣 制度審議会の基礎年金構想については、実は率直に言いまして私個人としては非常に賛成でございます。
 ただ、その負担のあり方は、あの構想によりますと、目的税によって、いわば間接税から取るという考え方のようでございますが、それが果たして合理的なのかどうか。これはやはり相当検討をしなければいかぬだろう。それから、基礎年金にプラス現行の各社会保険年金の仕組みを上乗せしていくという場合に、これはやはり、やり方については相当考えていきませんと、どうも全体の整合性がとれないのじゃないかなというような感じがいたしますけれども、私よりは専門家の皆さんが集まった御意見でございますので、省内で参考にして、よく検討いたしまして、五十三年度中には何とかひとつ結論を得たいと思っているところでございます。
○工藤(晃)委員(新自) いま大臣は目的税の導入について、いろいろ問題点があるというふうに御指摘になったわけでございますけれども、しからば、そういう基礎年金という発想と、それから保険をたてまえとする社会保険年金という二つの考え方について、それじゃ基礎年金の方は、この建議の中では「付加価値税の導入なくしては基本年金の創設はあり得ない」こういうふうに書いてあるのですけれども、そうしますと大臣としては、この構想に対して何か別なお考えをお持ちでしょうか。
○小沢国務大臣 私は、付加価値税ということになりますと、基礎年金の保険、いわば保険料といいますか財源を国庫負担でやれ。したがって、保険料でない国庫負担でやれ。その財源を間接税で取ってこいということになりますと、必ずしも所得の高い人がよけい負担するという思想ではないわけでございますね。これはもう必要やむを得ず消費に向かった人たちが、その際に一定の額を出す、こういうことになります。そういうことが果たして所得再配分の思想につながるのかどうかという点、これは一定の保険料として所得の高い人から低い人まで全体について一定率で、その率は非常に低くていいのだろうと思いますけれども、そういうやり方をした場合には、この国民平等の基礎年金を、所得の高い人がある程度よけい負担し、低い人は少なく負担しながら全部が公平な基礎年金の支給を受けるという点と比較してみますと、社会保障的な感覚から見てどうかなという感じを持ったということでございます。しかし、恐らく、それは上積み分の社会保険料の中で、その思想か入っているから、基礎年金部分はこれでいいのだ。やはり全額国が出すべきなんだ。国庫負担でやるべきだという割り切り方をしておられるので、そういう面では私は一つの意見だと思います。決して批判を申し上げているわけじゃないのですが、何かその辺にちょっと引っかかるなという感じを受けたというふうに受け取っておいていただきたいと思うのです。
 ですから、その辺のところを一体、年金の保険料の中にも所得再配分の機能というものをどうやって入れていくか。これは恐らく財政調整の問題として、医療保険と違いまして、やはり生活の態様がみんなそれぞれ違った人の老後の所得保障でございますから、医療保険と同じようには考えられないと思います。したがって、所得再配分の機能というものは財政調整の考え方でいかざるを得ないのじゃないかと思いますけれども、その辺のところの考え方を、上積み部分についてどういうように考えるのか、基礎年金部分との関連をどうやって考えたらいいのか、いろいろ検討すべき余地、余地といいますか、われわれの方でいろいろ検討しなければいかぬなという感想を持ったということを申し上げたわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、最初に大臣か、個人的には、この発想は私は非常に賛成なんだとおっしゃられた、そのところはどういうところでございますか。
○小沢国務大臣 一定の基礎的な年金を、みんなが公平に同じように給付を受ける。この点が、やはり基礎年金としてはそうあるべきだと思いますので、私としては、個人的には非常に同感だと申し上げたわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと大臣は、基礎年金構想については賛成だけれども、それの財源をつくり出す方法として目的税を導入することについては多少疑義がある、こういうお考えを述べられたように思いますけれども、しからば、大臣としては、その目的税を導入しないで何か基礎年金の財源をつくり出すようなお考えを私案としてお持ちでしょうか。
○木暮政府委員 将来の年金制度を考えます場合に、どこに財源を求めるかというのが非常に大きな問題であるわけでございます。それで現在は社会保険システムでやってまいりまして、保険料を中心にしておるわけでございます。保険料を中心といたします利点と申しますのは、一般の税金と違いまして、自分のかけた保険料が返ってくる。日本は保険料比例制が非常に強いものでございますから、それが非常にはっきりと出ておるわけでございます。そういう意味では、保険料でございますと費用の負担がしやすいという面があるわけでございまして、日本の年金がここまで来れたのには、一つは、そういう点があろうかと思うのでございます。
 しかし、保険料だけではございませんで、国民年金の場合には三分の一の国庫負担がございますし、また厚生年金についても二割の国庫負担があるわけでございます。その保険料も今後、相当引き上げていかなければならない見通しでございますけれども、現在の厚生年金の二割、国民年金の三分の一の国庫負担、これも将来大変な額に上がっていくわけでございます。
    〔羽生田委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで私どもの懇談会の中間意見でも、保険料のよさを生かしながらも年金を安定して発展させるためには、何か新しい財源を考えなければならぬのじゃないかという問題提起まではしていただいておるわけでございますが、中間意見の段階では一長一短で結論が出ていないということでございます。今後、制度のあり方と関連をいたしまして、費用負担をどうするか、一番中心的な問題の一つになろうかというふうに考えております。
○小沢国務大臣 私が目的税を全部否定したと誤解しないようにしていただきたいのです。社会保障の財源として目的税というものを私個人として全く考えていないということではないんです。たとえば経過年金の部分についてどうするかの問題とか、あるいは、いろいろな年金制度全般の中の財源の一つに、そういう構想が出てくることは大変ありがたいなと思いますけれども、いま基礎年金部分についてだけの御意見でございますから、そこで若干そういう点で気になる部分があるなというだけの意味でございますから。
○工藤(晃)委員(新自) 私の質問は、すべて長期的展望の、ある意味では理想を論じ合うことになりますので、まあすかっとした、いいものは、あらゆるシステムをとっても恐らく出てまいらないと思います。いい面と悪い面が必ずついて回るものだろうと思うのですけれども、いま大臣か指摘されたようなところは当然懸念しなければならない点だけれども、所得保障という考え方を導入し、社会保障の一環として年金を考える場合には、どうしても基本的なそういう年金制度というものがなければ、格差はより拡大するでしょうし、また生活の保障にもつながりにくいという面がある。
 そうすると、あくまでも年金というものが、高齢化社会を迎える非常にむずかしい社会の中で、所得保障という役目を果たしていくためには、どうしても、それに対する財源的措置としては十分なてこ入れをしていかなければならない。そうすると、所得再配分の問題として目的税がいいか悪いかという問題も、これから大いに論じなければなりませんが、そういう意味において積立方式あるいは賦課方式、いろいろいままでも議論が出ておりましたけれども、やはりそういうようなことも含めて十分検討していただかなければならない問題だし、また、こういう年金制度というのは、一たんつくりますと途中でなかなか変更はしにくいだろうと思います。また、いまここで、そういう問題について十分な国民的コンセンサスを得ながら長期展望に立った制度を考えておかなければ、年金の性質からいって、そのときになってからでは問題の解決には、とうてい間に合わない。だから、きょうの課題として、やはり重要な問題だというふうに私はとらえているわけなんです。
 そういう立場から、私は、これは一つの考え方としまして、基礎年金を目的税から取るという、こういう発想に立って、ところが所得の再配分と申しますか、年金のあり方としては、より富める人に、よりたくさんの年金を差し上げるということは、やはり社会保障のたてまえからいうと、どうも納得しがたい。それよりも逆に生活の保障をしてあげるために、必要な層に対して手厚く支給しなければならないという使命もあろうかと思いますので、そういうことから考えて、たとえば基礎年金プラス社会保険年金、しかし、その社会保険年金の方で、その上限を決めておいて、非常に高額な年金をお取りになる方は、よりぜいたくをするために年金を差し上げるというんでなくて、やはり生活の保障という一つのたてまえを通すための制度でございますから、余りにも高額な年金を、一人で使い切れないほどの年金をお取りになるような方々には、やはり上限を決めて、それで年金を、かけた年月あるいは所得から天引きされますであろう、その額によって無制限に差かできてしまうようなことにならないような方法によって、それで上限でカットした部分について、それを今度最下位の、何というんですか、生活保障を、それによって支えなければならぬようなところへ、そういうものを配分していくという形をとれば、ある意味において所得の再配分という形にも通じるんじゃないかという考え方を持っているわけでございまして、そういうことについて、そういう複合的な年金システムを取り入れた場合に、年金の上限の設定をする意思かおありかどうか。それはいま、ここで聞いても正確な答えはないにしても、考え方として、そういう考え方が持ち得るものかどうかをひとつお聞きしたいと思います。
○木暮政府委員 ただいまの先生の御提案でございますが、私ども、そういう考え方で今後の年金を設計していかなければならないというふうに思っております。実は共済組合は現行法でも、はっきりそういう考え方を出しておりまして、従前報酬の七割というのを上限にするということになっておるわけでございます。一方、厚生年金の方も、はっきりそうした形では上限が設定されておらないのでございますけれども、標準報酬に基づきまして年金をはじいております。その標準報酬は御承知のとおり頭打ちをしておるわけでございまして、そういう意味では無制限に年金が出るという形にはなっていないわけでございます。また、定額部分をこしらえておりますので、低所得者の方に資源が流れるようにというような工夫もできておるわけでございます。
 いま、おっしゃられましたことは、個々の制度についても当然考えていかなければならない問題だと思いますし、問題は八つに保険が分かれておりますので、幾つかの保険から年金をもらうという場合が出てくるわけでございます。そういう場合も、いろいろの制度からもらう年金がまとまって幾ら以上になるというようなことは、何かやはり適当な天井ができるようなことも将来は考えていかなければならないというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(新自) 私がお願いしたいのは、給料の何割を上限とするというふうな発想も一つですけれども、お一人の年寄りが生活をするに足りる、十分な生活ができるというものをもって上限として、それ以上、たとえばより高い年金を受けるような場合には、所得の七割にしても、それが非常に高いものであれば、やはり、そういう分け方だけじゃなくて、もちろん現在の物価にスライドしなければならぬでしょうけれども、十分過ぎるほどの年金をお取りになっておられる方には、やはりそういうものの基準ではなくてカットしていく方法も何か考えられたらいかがかということを提案しているわけなんです。
 それからもう一つは、いま、おっしゃったように八つの制度が各個ばらばらにできてしまっている。それはもちろん歴史的な背景もありましょうし、その生まれてきた性格も違いましょうから、これをどういうふうに調整するかということは大きなむずかしい問題でしょうけれども、やはり、そういう所得の再配分機能というものを年金の構想の中にどうしても生かすためには、そういう八つの制度そのものを全くそのままの形で存続させながら、そういう配分をしていくという方法は実際には、なかなかむずかしいんじゃないか。そうすると結局、目的税という形じゃなく、その基礎年金の部分で所得再配分機能を持たせるか、あるいは保険年金の方で再配分機能を持たせるか、二つに一つしかないと思うんですね。だから、そういうことについても、いまから十分御検討なさるだけじゃなくて、国民にどういうものを選ばせるかという問題提起をしていかれないと、なかなかむずかしい問題だろうというふうに、ひとつ考えるわけです。
 それから、それに関連しまして、この制度審議会の建議の中にも、そのかわりにという形でありますけれども、逆に、いままでの八つの制度に対しては国庫補助を全部なくしてしまう。これもいろいろ考えますと、むずかしい問題があると思うんですよ。ということは、共済年金の場合には一五%の国庫補助をなくす。それから厚生年金の場合には二〇%だ。国民年金の場合には三分の一国庫補助している。それをすべて同じようになくしてしまった場合に、やはりいろいろ問題が起きてくると思うんですね。たとえば共済年金の場合には、労使という使の方は国でございますから、当然これは国民の税金で、その半分を持っているわけです。それから厚生年金の場合には企業が半分持っているわけですね。ところが国民年金の場合には、三分の一の国庫補助を除いてしまったら被保険者が全額負担をしなければならぬ。そうすると、片一方は保険料の半分を負担すればいい、ところが片一方は全額負担していかなければならないという制度上の大きな矛盾がそこに出てまいろうかと思うんですね。そういうことについては政府としては、どのようにお考えになっていらっしゃるか、ひとつお聞きしたいと思います。
○木暮政府委員 制度審議会からいただきました建議、私ども非常に重要な御提案をいただいたということで、今後、掘り下げていかなければならないと思っておるわけでございますが、ただいま御指摘をいただいた点が一番頭の痛い問題でございます。
 それで基本年金をつくる。これは夫婦で五万円、単身で三万円ということでございますが、それを五十五年に実施し、六十五年までに、それの二階に乗っかる社会保険年金の組みかえをしなさいということになっておるわけでございます。この組みかえ自体は、年金制度は当然のことながら過去の沿革を持っておりますので、従来のいきさつというものを全く考えないで組みかえることはできないわけでございます。一つ国民年金だけを考えましても三分の一国庫負担、三分の二は保険料でやっているんだから、三分の一の部分は基本年金でやればいい。三分の二の分は、もともと保険料だけでやっているんだから、できるじゃないかということに一応はなるわけでございますけれども、しかし国庫負担が金目以外の要素を持っておるということも否めないわけでございますし、国民年金の場合、そういう大きな部分が基本年金に吸収された場合に魅力ある国民年金の二階建てができるかどうかは、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。また共済や厚生年金につきましても、確かに二割の国庫負担あるいは一五%の国庫負担を取るけれども、それ以上の基本年金をつくるということであれば、それはそれで合うわけでございますけれども、従来どおりの厚生年金なり共済年金を残すということになりますと、目的税で取った費用も国民所得から出ていることには変わりないわけでございまして、将来を考えますと、現行のままでいきましても国民所得の一三%にもなってしまおうかという推測をしておるわけでございますか、もっと大きな国民所得のシェアを食うということにもなりかねないわけでございます。ですから、いままでの沿革を考え、既得権なり期待権というものを損なわないようにしながら、将来の国民所得で賄えるように従来の社会保険を改編するということは、私どもに課せられた一つの大きな課題であろうかと思います。
○工藤(晃)委員(新自) そういうことを考えますと、今度の社会保障制度審議会の建議も、いろいろむずかしい実行するにはなかなか困難な問題をたくさん抱えているような感じがするわけですね。
 それからまた、先ほども出ましたから私は質疑は省略いたしますけれども、すべて六十五歳という給付年齢の上限の年齢を挙げているようですが、こういう低成長、安定成長下で雇用の促進を図ろうと片一方で言いながらも、失業はどんどんふえていって百三十六万人にもふえていっているという状態、その中で定年制の延長どころか失業対策すら十分行えない、こういう状態の中で定年制を延長しよう、それも十年間も延長するということは、なかなか言うはやすく困難だ。そうすると、その間に起きてくるであろうギャップをどう穴埋めするのかということも大きな問題になってまいります。そういうことから含めて、なかなか理想として、ひとつ形づけられても、現在の制度とどう整合性を持たせるかということについては、実際の問題としては、もう不可能に近い問題も含まれてくるのじゃないかという感じがします。ですから、そういう問題を含めて、ひとつ政府で、もっとすっきりするようなものを考えていただかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うので、きょうはこの問題を質問したわけでございます。
 あと残された時間、これに関連しまして、一つの制度をおつくりになるときの具体的な案として提言したいと思うのですけれども、日本の国民の一つの風習といいますか風土といいますか。現在、核家族化したとはいいながら、やはり非常に家族制度の風潮というのは残っていると思いますし、この家族制度も非常にいい部分をたくさん持っているわけです。だから、そういう家族制度のなじみやすい部分を活用した今後の年金制度というものを考えてみる必要があるのじゃないか。高齢化社会の御老人に対する制度的な処置も必要でしょうけれども、やはり個人個人の親子関係の中で、親を子供がめんどうを見ていくといういい風習をより促進さす、こういう考え方がもっと日本の年金制度の中には取り込まれていっていいのじゃないかと思うんですね。
 そういう意味から、実は私は昨年、五十二年四月二十日の社会労働委員会で一つ提案しているわけですね。その提案の要点は、年金福祉事業団の行う住宅関係融資の中に親と同居を推進するような貸付制度を積極的に設けたらどうか。要するに三世帯が生活できるような住宅構成を推進していってはどうだろうかという意見を述べたわけで、これについて厚生大臣から、老人と一緒に住めるような家をつくる人には、よけいに貸すことなどを考えてみようということであったが、現在でも、そういう問題については御検討いただいているのか。あるいはまた、私がもっと申し上げたいのは、ただ融資制度だけではなくて、やはり日本の住宅政策の一環として、いままでのようなマッチ箱にただ夫婦二人が住めばいいのだというような発想から、三世帯が一緒に住んでも十分平和に暮らせるようなスペースの提供あるいは、その構造上の勘案をした、そういう住宅政策をもっともっと強力に推進してみたらどうだろうというふうな考えを持って、きょう改めて大臣にもお願いをしてみたい、こう思うわけです。
○木暮政府委員 家族制度と申しますか、現在、核家族がふえておるわけでございますが、それでもまだ七割のお年寄りの方が子供と同居しておるという事実がございまして、これは欧米諸国に比べると非常に高い率でございます。また、アンケートみたいなものをとってみますと、お年寄りの方が子供と暮らしていきたいというのは、これはまあ想像できるわけでございますが非常に多いと同時に、若い人も案外と言ったらおかしいのですけれども、両親を養っていきたい、あるいはまた両親が元気なうちは別として、病弱になったら、めんどう見てやりたいというのが、かなり高率でございます。こういういい意味の家族制度というものを社会保障がどういうふうに生かしていくか。また逆に言えば、社会保障がそういういい意味の家族制度を促進するのに、どういう役割りを果たすかということは非常にむずかしい問題でございまして、見方によれば、年金が充実すれば核家族を促進するという意見もございますし、逆に、年金が充実しますと経済的な問題が親子の間に入らないで、むしろ家族が同居できることを促進するんだという見方もあるようでございます。ここら辺につきましては、今後の年金設計に当たりまして十分研究をしてまいりたいと思います。
 それから、去年の社労委員会で先生の御提案のございました点につきましては、早速、五十三年度の予算に要求をいたしまして、おかげさまで、これは実現を見たわけでございます。現在、厚生年金の場合には最高五百万円の貸付限度ということで住宅資金をお貸ししておるわけでございますが、六十五歳以上の老人と同居する場合には、それにさらに六十万円の上積みをするということが実現をいたしたわけでございます。面積につきましても、年金の貸付対象にいたしますのは百二十平米以下のものでございますけれども、やはり老人と同居される場合には百五十平米までそれを広げるというような形で、ことしの予算が計上されておる次第でございます。
○工藤(晃)委員(新自) 私の提案に対して早速、方針を具体化していただきまして大変ありがとうございました。
 ただ、いま承っておりますと、それも非常に現実の問題としては、それを実現するには金額的には大変ほど遠いような感じがいたしますので、できるだけ、そういう施策は一歩前進あるいはまた二歩前進するように強力に推し進めていただきたい。
 それからまた、こういう積み立てられた年金の利用の問題もありますけれども、そういうことはやはり積み立てておられる方々、受給者に、それがまた、できるだけ還元されるような方法を、枠として、より大きくとっていただきたい。特に、そういう住宅政策なんかは枠を大きくとっていただいて、そして親子一緒に住めるような環境づくりをして差し上げると、逆に言えば老後の年金額そのものは、それほど大きく差し上げなくても、お年寄りの生活の保障が十分できるんじゃないか。そういう利点もありますので、年金制度と言えば、すぐお金だけで給付していくという考え方から、たとえば住宅政策に対して積極的な融資をし、そういう融資を受けた御老人は、逆に言って年金額を減らしてもらって、そういう部分を住宅の融資の返還に充当していくとか、何かそこに、そういう住宅政策の促進が何らかの形で、また、そういう受給者そのものにも活用されていくような制度も、あわせて考えていただければいいんじゃないか。
 それからまた、いま局長おっしゃったように、お年寄りの希望としては子供と一緒に住みたいという希望が非常に強いということをおっしゃいました。私の見た資料の中にも、そういうことが書いてございますが、しかし、その中で別居は生活水準の特に高いところと低いところに一種の両極分解をしている、こういうふうに書いてございます。こういうふうに所得の非常に高いところと非常に低いところが別居してしまうのだという形から考えても、やはり、そういうものに対応できるように、逆に言えば、そういう中間層の人たちが多く同居を求めておるわけでございますし、そういう意味から、ぜひ、この問題の促進のために、ただ年金を差し上げるという考え方だけにとどまらずに、ひとつそういう問題も含めた日本の年金制度を活用願いたい。
 こういうことをお願いをしながら、逆にまた非常に所得の低い層は、やむを得ず別居しなければならない、そして一方あるいは両方が生活保護を受けていくという、こういう層に対しては特別な配慮をしなければならぬじゃないか。単に決められた制度の中に乗せるだけじゃなくて、やはり、そういう好まずして別居しなければならない、風呂もない一部屋で生活をしなければならぬような方々には、また新たに、そういう方々を収容するような施設にも十分配慮を願わなければならないのじゃないか。そういうことについても十分御配慮願っていると思いますけれども、そういう方法をきめ細かにおとり願うということが望ましいと思いますので、そういうことについて、ひとつお考えを伺いたいと思います。
○木暮政府委員 将来の年金設計の上で先生おっしゃったことを、できるだけ生かしていかなければならないと思いますが、一方では年金は小回りのきかない面がございまして、また小回りのきかないところか、国民が将来の生活設計の場合に頼りがいがあるというような面もあるわけでございますが、そこら辺を勘案しながら将来の年金のあり方について十分研究させていただきたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) 最後に大臣から、こういう質疑を通しまして一つの発想をもう少し横断的にしていただきたいということと、それから横断的にやるだけじゃなくて、いろんなものを組み合わせる。たとえば、これもまた一つの発想になってしまいますけれども、一方では保養基地というようなものも盛んにつくっておられるようですが、やはり親子が同居するようになりますと、たとえ部屋はそういうふうなお互いのプライバシーを侵害しないようにでき上がったとしても、年じゅう顔合わせているということは、お互いにやはり苦痛な部分もございます。ですから、そういう保養基地に一年に何日かあるいは何週間か行って、そういう同居している親子関係をもっと豊かに平和にさせてあげるために息抜きをさせてあげるような、そういうものと連動させた老後保障というもの。年金というものは、一つは老後のパラダイスをつくってあげるための一つの手段ですから、どうかひとつ、そういう面においても年金の資金というものか活用されていって、親子ともども一緒に生活していらっしゃる方にも、そういう部分で、お年寄りがその基地に保養に行けるような、そういうこともあわせて考えていただきたい。こういうことを含めて、大臣から最後に一言、将来のビジョンをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○小沢国務大臣 大変いい御意見で、同居を誘導していくような老人年金を含めた対策であるべきだということは本当におっしゃるとおりだと思いますので、その場合の住宅融資の問題を、さらに一歩でも二歩でも進めて、その需要にこたえていく、考え方にこたえていくようにいたしますと同時に、やはり、おっしゃるように朝から晩まで一年じゅう一緒にいるということもなかなか大変で、お年寄りの方か年に何回か、あるいは月に何回か、それぞれ保養基地あるいは福祉施設を求めて行けるような誘導策をやることも非常に大事だと思いますので、年金全体の中で福祉施設のあり方と同時に、社会や児童や社会福祉施設全体の中で、そういうものを総合的に考えていきたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) ぜひお願いをして、私の質問を終わります。
○木野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○木野委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、国民年金法等の一部を改正する法律案の採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○木野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○木野委員長 この際、住栄作君、村山富市君、大橋敏雄君、和田耕作君及び工藤晃君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 その趣旨の説明を聴取いたします。村山富市君。
○村山(富)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一 公的年金制度全体を通じ、各制度間の関連と将来にわたる人口の老齢化の動向を勘案しつつ、その基本的なあり方について検討を急ぎ、年金制度の抜本的な改善を図ること。
 一 遺族年金については、妻の年金権のあり方の問題を含め、総合的な見地からその改善に努めること。
 一 在職老齢年金制度の支給制限、公的年金等の併給調整については、そのあり方を検討すること。
 一 国民年金財政の健全化のために、所得比例制保険料について検討すること。
 一 いわゆる経過年金については、その水準のあり方を早急に明らかにするとともに、その一環として福祉年金の充実を図ること。
 一 無年金者の救済は、今回の措置の特殊事情にかんがみ、実施状況を見つつ、福祉的観点から低所得者に対する方策を別途検討すること。
 一 本格的な年金時代を迎えるに当たり、受給者、被保険者に個別的かつ具体的に対応できる年金相談体制の早急な整備を図るとともに、業務処理体制の強化を図り、もつて国民に対するサービスの向上に一層努めること。
 一 すべての年金は、非課税とするよう努めること。
 一 五人未満事業所の従業員に対する厚生年金の適用の問題について、具体的方策を樹立し、その適用の促進に努めること。
 一 積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、被保険者住宅資金の転貸制度の普及になお一層努力するとともに、積立金の民主的運用に努めること。
 一 児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の支給額を一層増額する等支給内容の改善充実を図ること。
 一 児童手当については、長期的展望に立つて基本的検討を進めるとともに、当面、低所得層を重点として給付の一層の改善充実を図ること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○木野委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○木野委員長 起立総員。よって、本案については住栄作君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢厚生大臣。
○小沢国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして検討を重ね、努力をいたす所存でございます。
    ―――――――――――――
○木野委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○木野委員長 次回は、来たる十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五分散会
     ――――◇―――――