第084回国会 社会労働委員会 第16号
昭和五十三年四月二十五日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 木野 晴夫君
   理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 羽生田 進君
   理事 村山 富市君 理事 森井 忠良君
   理事 大橋 敏雄君 理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    井上  裕君
      石橋 一弥君    大坪健一郎君
      川田 正則君    小坂徳三郎君
      斉藤滋与史君    津島 雄二君
      戸沢 政方君    友納 武人君
      葉梨 信行君    橋本龍太郎君
      山口シヅエ君    湯川  宏君
      安島 友義君    枝村 要作君
      大原  亨君    川本 敏美君
      栗林 三郎君    田口 一男君
      矢山 有作君    草川 昭三君
      古寺  宏君    西田 八郎君
      浦井  洋君    田中美智子君
      工藤  晃君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 藤井 勝志君
 出席政府委員
        労働大臣官房審
        議官      関  英夫君
        労働省労政局長 北川 俊夫君
 委員外の出席者
        大蔵省証券局業
        務課長     金成 圭章君
        厚生省医務局指
        導助成課長   岸本 正裕君
        厚生省薬務局生
        物製剤課長   古市 圭治君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部財
        政課長     林  淳司君
        運輸省鉄道監督
        局民営鉄道部監
        理課長     中村  徹君
        労働省労政局労
        働法規課長   岡部 晃三君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 田淵 孝輔君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  石橋 一弥君     田中 六助君
  工藤  晃君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 六助君     石橋 一弥君
  山口 敏夫君     工藤  晃君
    ―――――――――――――
四月二十一日
 戦時災害援護法案(片山甚市君外四名提出、参
 法第九号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働組合法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三七号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
○木野委員長 これより会議を開きます。
 労働組合法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 きょうは、労働組合法の改正案の審議ですが、労働組合法の改正案は、中央労働委員、地方労働委員の定数をふやすというだけのものでございますので、別に問題はないと思うのですけれども、たまたま労働組合法と重要な関連のあるストライキがいま行われておる。いよいよ春闘の本番を迎えて九十六時間ストライキに、公労協を中心に私鉄も含めて入っているわけですが、これが本当に九十六時間ぶち抜かれますと相当大きな影響を及ぼしてくると思うのです。こういう事態に対処して労働大臣はどういう姿勢で臨んでおるのか、まず、その見解を聞きたいと思うのです。
○藤井国務大臣 ちょっと御質問の趣旨をもう一回、恐縮ですけれども。
○村山(富)委員 いよいよ春闘の本番を迎えまして、公労協を中心に私鉄も含めて九十六時間のストライキに突入した。これが九十六時間ぶち抜かれますと、国民生活全体に与える影響も相当大きいと思うのです。こういう事態に対処して労働大臣はどういう見解を持っておられるか、その見解をまず、お尋ねしたいと思うのです。
○藤井国務大臣 御指摘のように、このような大規模のストが実行されるということは、現在、不況にあえいでいる日本の産業のこうむる打撃はもちろんでありますが、国民生活全般に対して大変大きな悪影響をもたらすわけでございますから、一刻も速やかにストを中止してもらって、そして、ルールに従って事情聴取に公労協は参加してもらい、また私鉄関係は、自主交渉で労使がいま懸命の努力をしてもらっておりますから、これまた一刻も早く労使の決着がつくように期待したい、このように考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 私は先般この委員会で大臣に質問したのですけれども、現状の場面を見ますと、公労協は、まだ自主交渉の段階だ、だから自主交渉をやろうじゃないか、こう言っているわけでしょう。ところが相手方、当局の方は、逆に公労委に調停の申請をしている、こういう状況ですね。ことしの場合には予算にはっきりと五%と二・二%、七・二%を計上しておるわけです。財源措置をしておるわけです。したがって当事者は、予算措置をしてある範囲内で当事者能力はあるのではないか、その限度内で。それに三・八%という回答を出して、そして有額回答した、こう言って済ましておる。これは、先般も民社党の和田先生からも御質問があっておりましたように、逆に、組合の方を逆なでしておるのではないか。なぜ、もっと誠意ある回答を出さないのかということが問題であると私は思うのです。
 したがって、まず聞きたいことは、三・八%という有額回答の根拠は一体何なのかということが一つと、なぜ、もっと当事者能力を出して労使が自主的に交渉するという努力を積み上げていかないのか。この二つについて、どういう見解を持っているのか聞きたいと思うのです。
○関政府委員 先生の御質問のように、公労協は現在まだ自主交渉ということを主張しておりますが、この点につきましては、公労協から公労委に出しましたあっせん申請も、総会において、あっせんを行うことは適当でないという決定をいたしまして、公労協の方に通告いたしたところでございます。そういう意味で、公労委は現在、公労協に一刻も早く調停の場に乗ってもらいたい、こういう要請をしている段階でございます。
 次に、平均三・八%の有額回答の根拠についてでございますが、これは有額回答を早期に行うという政府の方針に基づきまして、各公企体において、それぞれ民間のことしの賃金の回答状況、そういったものを勘案いたしまして回答したものでございまして、私ども、その根拠をつまびらかにしておるわけではございませんが、民間のその当時の回答状況、こういったものを参考にして各公企体から回答したところだと承知しております。
○村山(富)委員 従来の公労協関係の労使の交渉を見ておりますと、第一、予算措置もないし当事者能力が全然ないというので非常に混乱しておったわけです。今回はちゃんと予算に措置してあるわけです。これだけの財源はありますよと予算措置をしました。ですから、その限界内では当事者能力があるのではないか。当事者能力があって、そして労使が自主的に誠意を持って交渉し合うというところに労働組合の方で言う労使関係の正常化というのがあるのであって、その限界内の誠意は、やはり精いっぱい示すべきではないか、その自主交渉の努力はすべきではないかと思うのです。そこで公労協の方は、まだ自主交渉の余地がある、だから自主交渉やろうじゃないか、こう言っておるわけでしょう。それに対して労働省としてはどう思いますか、こう言っておるわけです。
○関政府委員 予算措置として給与改善費が五%、定昇分を加えまして七・二%の予算措置が行われておりますのは、本年度だけでなく、ここ数年来ずっと行われております。その予算措置と、それから労使間で行われる賃金交渉、あるいはその結果として公労委において仲裁裁定が出されて、何%の賃上げが行われるかということは別問題でございまして、従来は予算措置以上のものが行われることもございました。ことしは、民間の非常に困難な経済情勢を反映した民間の賃金交渉の回答なり妥結の状況からいたしまして、あるいは予算措置の範囲内というような予想も報道機関等で数多くなされておりますが、そういう意味で、過去の例からいたしましても、七・二%の予算措置と、それから賃上げをどの程度どうするかといった問題は、おのずから別個の問題、こういうことになろうかと思います。
 賃上げ交渉につきまして、労使がそれぞれ、できるだけ自主的に交渉すべきであるということは、いままでもことしも変わりないわけでございます。そういうたてまえに従いまして労使交渉が行われ、そして民間の状況を見て先日ぎりぎりの有額回答がなされたものというふうに私どもは考えております。
○村山(富)委員 ことしの春闘の特色は、こういう景気変動の時代ですから、したがって、非常に利益率の高い企業と、そうでない特定不況業種もある。そこで春闘の回答の段階が相当開いている、こういうところに特色があるわけでしょう。ですから、民間に準拠するといっても、民間の春闘における賃金ベースがどの程度でおさまるのか、まだ推移を見なければわからぬところもあると思うのです。同時に、従来から言われておることは、仮に民間のベースが幾らであっても、当事者に対して財政的な裏づけがあるのかということが問題になってきたわけです。そこで今度の場合を、そういう従来の考え方から判断していきますと、そういう春闘の民間のベースアップの幅というのは、これからどう動いていくか、まだわからぬ。私鉄が一体どうなっていくか。同時に、財源的には、さっきから何回も言っておりますように、これだけの予算はありますよ、財源はありますよといって予算措置をしてあるわけですから、その範囲内で回答することは当事者の執行権に属する範囲内ではないか。ですから、そこらのところまで回答の中で誠意を示すのは当然の話ではないか。それはどうなんです。
○藤井国務大臣 御指摘のごとく、予算措置としてはトータル七・二%、こういう措置がしてございます。しかし、先ほどから政府委員が答えておりますように、これはいわゆる原資として一応予定されたものであって、別途、賃金交渉は、そのときの経済環境といったものを勘案して場合によって、過去において、すでに予算措置以上に出された場合もありますし、それは同時に、逆に言えば予算で一応目安をつけておるけれども、現在の思わない長い不況と、それから追い打ちの円高状況、こういったことを勘案して、同時に、三・八%の有額回答をした、あの当時、まだ民間の回答の状況というものが出そろっておらぬ。こういったことを考え、同時にまた高度経済成長のときとは全く事情が変わっておりますから、当局が一応有額回答として三・八%の回答をしたというのは、私は一応考えられる誠意の対応を示したものであるというふうに解釈をしているわけであります。私自身、労働大臣として、有額回答を早期に誠意ある回答を示してもらいたい。同時に、民間の状況を勘案して、ぎりぎりの線で考えてくれという抽象的な提案でございましたけれども、当局側に話をいたしました。それ以上、労働大臣としては金額をどうせいこうせいと言う立場でもないし、言うべきことではない。
 こういうことで、あの結果が出たわけでありまして、出た以上は、やはり一刻も早く調停申請をしてもらう、同時にまた事情聴取に応じてもらう、こういうことがあってしかるべきでありまして、労働協約に基づいて労使双方は事情聴取に応ずるということが、すでに大前提で決まっておる。片一方の当局側は調停に任せたい、こういうことになった以上は、また片一方の相手方が、これに応ずるということが当然のルールである。そして、平和的に問題を処理する、賃金紛争を処理する、こういったことに、どうしていかなかったかというふうに私は残念に思っておるわけでございまして、その事情はひとつよく御理解いただきたい、このように思っておるわけでございます。
○村山(富)委員 もう時間がありませんから長く言いませんけれども、当初から申し上げておりますように、労使関係というのは労使が自主的に誠意を持って話し合う、できるだけ紛争は回避していく、そのための努力は最大限していく、こういう立場を堅持していくことが必要なんで、そういう点から考えてみますと、今度の政府当局の対処の仕方というのは、予算でこれだけ財源措置をしてありますよというのは、もうはっきりしておるわけです。予算で措置してあるということは、これだけの財源はありますよということを裏づけてあるわけでしょう。あとは民間の賃金がどういう形で収拾されるかというところに問題点があるのであって、仮に七%民間の賃金が上がった、こうした場合に、この七%の財源はちゃんとあるわけですから実行できるじゃないか、実施できるじゃないか。そういう背景がありますから、有額回答すればいいというものではないと思うのですよ。
 有額回答する場合にも、その内容によって誠意ははかられるのであって、むしろ三・八%の回答、一体何の根拠でこんな回答が出たのか。むしろ逆に、腹を立ててストをやりなさいと言わんばかりの回答じゃないか。こんなものに誠意が見られるかと言って怒るのはあたりまえじゃないか。ですから形式的に、有額回答しろと言うから有額回答しましたよ、誠意を見せましたよというだけではだめなんで、むしろ国民生活に責任を持つ政府が、みずから積極的に誠意をもって収拾に当たっていく、努力をするという態度が必要ではないか。いまの態度は逆ではないかというように思われますから、そういう点はひとつ厳しく反省をしてもらいたいと思うのです。そして、いま私鉄がどうなるかわかりませんけれども、私鉄の収拾の仕方によっては、直ちに私鉄にリンクして公労協の関係も話し合いができるような条件を、しっかり労使はつくっていく、こういうことが労働省内部では仕事ではないかというふうに私は思いますから、そういう決意で、この春闘に対処していただきたいということを強く要望して、私の質問を終わります。
○木野委員長 次に、川本敏美君。
○川本委員 ただいま村山委員から春闘の問題についてお話がありました。いよいよ、きょう午前零時から七八春闘の決戦段階を迎えて労使が激突をしておるわけです。この及ぼすところ、国民生活に及ぼすところの影響は、やはりまことに甚大なものがある。ところが、私どもが新聞とかテレビ等でいろいろ、この経過を見ておりますと、一体政府は何をしておるのか。このストライキを早期に解決をして、そして国民生活を守り、あるいは、いまお話があった不況克服をしていく、そういうことを真剣に政府が考えておるのかどうかということについては私は大きく疑問を持たざるを得ないと思うわけです。
 きのうの朝日新聞の朝刊を見ますと「私鉄スト政治色が前面に」ということで、総連は政府介入に硬化しておる、こういう記事が大きく出ております。その内容を読んでみますと、いわゆる公労協の賃上げを五%以下に抑えていくためには、私鉄が第二次回答で九千円台に乗せることは困る、こういうようなことを考えた政府の道正官房副長官、それに福永運輸相や運輸官僚らの交渉に対する強い姿勢が反映して、八千八百円という数字が私鉄から出されたのだ。事実「二十二日夜の社長会のあと、運輸省と民営鉄道協会幹部らの接触で「九千円台」の話は消えたらしい。」「七月の国鉄に続き、秋には運賃を値上げしたい私鉄経営者は、政府の意向を配慮せざるを得ない」情勢にある。こういうことがこの新聞の中で報道されておるわけです。
 そういう観点から見ると、いわゆる公労協の賃上げをどのように抑えていくのかというために、あるいは私は、もうこんなことで七%成長というのはとてもできないと思うのですが、しかし、そういう状態の中で政府が早期解決のために介入をしておるのではなくて、逆に、このストを長引かせるために、労使間の話し合いが逆にこじれるように政府が介入をしておるのではないか、こういうふうに思われる節があるわけです。その点について、まず労働大臣の御意見をお聞きしたいのです。
○藤井国務大臣 お立場によって、いろいろ受けとめ方が異なってくるのは人の世の常と言うとおかしいですけれども、まあやむを得ない、残念なことだと思うのでございます。いま、きのうの新聞の情勢を踏まえて御意見をお聞かせ願ったのでありますけれども、労働省といたしましては、やはりあくまで賃金問題は労使の自主的解決という、この鉄則を踏まえて問題に対応してまいったわけでございます。そして特に十七日、有額回答をしたということについて、これはまさにストを誘発する回答ではないか、こういうふうな受けとめ方も私は承知いたしております。しかしこれは、今度は調停に入り、また、調停がうまくいかない場合は仲裁裁定ということになる制度のルールがあるわけでございまして、これは労使それから中立委員の三者構成による、まさに公正な第三者機関での紛争解決という、これによって平和な決着をつけてもらう、こういうことに、もうすでに労働協約において労使双方は確認をしておるのですから、その線に沿うて対応してもらわなければならない。たとえ、いかに示された額が低くても、今度は低いことを堂々とその場において述べてもらう、私はそれが民主主義のルールではないか、このように思うわけでございます。
 いま、いろいろ御意見を述べられた、お立場の見解としては私は理解できます。しかし問題の運び方は、この段階に来て依然として国民の足を奪うストが行われておるということは、もうこの辺で流れが変わっていくべきではないか。私は、何とかして、この流れを変えてもらいたいということで、労働大臣として微力でありますけれども全力を尽くしたつもりでございます。
 ただ、予算に七・二%が計上されておるということを一つの足場に、いろいろ主張されるということ、そのこと自体、私は真っ向から、けしからぬとは言いません。しかし、そういうことも第三者機関であり公正な決定をするということに制度的になっている場において大いに述べてもらうことで、何で国民の足を奪うようなストにスケジュールどおりに入られるかということについては、私はまことに残念である、このように思うわけであります。
○川本委員 ただいま労働大臣は、国民の足を奪うようなストに労働組合が入ることはまことに残念である、私は労働大臣として今日まで全力を尽くしてきたつもりだという趣旨の話がありました。これに対して、果たして全力を尽くしてきたのかどうかということについて、私どもは国民の立場からは疑問を持たざるを得ないと思うのです。
 きょうは運輸省にもお見えいただいていると思うのですが、運輸大臣でないから、まともな答弁はいただけないとは思うのですけれども、この新聞記事によると、いわゆる私鉄運賃の値上げを絡めて、私鉄の今度の春闘の経営者側の回答に対して運輸当局が圧力をかけた。あるいは運輸省は国鉄の今次のこのストの問題についても、いわゆる早期解決のために何ら努力をしていないのではないか。先ほどお話があったように三・八%というきわめて低額な有額回答に終始をして、本当に解決しようという意図が出ていない。私鉄が五・五%の回答が出れば、それに応じて国鉄の場合も三・八%がさらに五・五%の回答になってもいいのじゃなかろうか。予算が五%しかなければ五%までの回答をしてもいいのじゃないかというふうにわれわれは思うわけです。その点について運輸省当局は、私鉄に対して圧力をかけ、あるいは国鉄にも圧力をかけている。ストをいたずらに長引かせている責任は、すべて運輸省や政府当局にあるのではないかと私は思うわけです。その点、運輸省からまず経過の御報告を聞きたい。
○中村説明員 四月二十二日夜の経営者側回答につきまして運輸省が介入しているという事実は全くございませんで、先生御指摘の新聞報道につきましては、運輸省といたしましては全く関知していないわけでございます。運輸省といたしましては労使問題を所管しているわけではございませんけれども、賃金問題につきましては労使が良識を持って自主的に解決するということを強く期待いたしておるわけでございます。
 国鉄問題につきましては別途お答えいたします。
○林説明員 国鉄問題でございますけれども、これは先ほど労働大臣から御答弁がございましたように、私どもといたしましては、やはり労使の自主的な交渉というものを、まずスタートにいたしまして、労使間で円満に解決を図られるように期待しておったわけでございます。三・八%という回答も、現情勢においては国鉄当局としては恐らく精いっぱいの回答であっただろうというふうに想像しているわけでございますが、その現在の段階で、国鉄当局としましては、その交渉についてはもうこれ以上の進展は見られない、こういうことで調停申請をしているわけでございまして、そういう段階に至った以上、これは公正な第三者機関である公労委という制度があるわけでございますから、やはり早急に、その調停の場において解決を図って、このストを早期に収拾してもらいたいということを強く期待しているわけでございます。
○川本委員 労働大臣にもう一度お聞きしたいのですが、きょうから始まりましたストは九十六時間とも言われておるわけですけれども、この間、ただいまお話があったような状態の中で自主交渉あるいは調停作業というようなものが進められつつあると思うのですが、労働省は、労働大臣としては、これを拱手傍観をしておるということではいけないのではなかろうか。先ほどからのような、いわゆる訓示をたれておったのでは、このストは解決しないのではないか。少なくとも私鉄ストを、きょうの夕方までにでも早期に解決されるために、さらに労働大臣が努力をする。あるいは交通ゼネストがもう、きょうじゅうにでも終われるような、いわゆる労使間の正しい回答、正常な姿に戻せるような前向きの姿勢を経営者側からも引き出さない限り、この問題は解決しないと思うわけです。その点について労働大臣の決意のほどを、ひとつお聞きしたい。
○藤井国務大臣 御指摘の点、私は国民が労働大臣に寄せる気持ちというのは恐らく、いま御指摘のようなことではないかと思うのです。ただ問題は、私もこの問題に取り組んで何とか方法はないものだろうかと、いろいろ自分でも考えたのですよ。ところが、賃金問題はやはり労使で自主的に解決するということが基本原則である。どうしても、それが解決できない場合は、それぞれの機関において決着をつける、こういったこと以外こちらが介入するということは、それこそ誤解を招くということになるわけでございまして、ゆうべは公労協の諸君とお会いして、いろいろ話をしたわけでございます。民間は民間で、いま自主解決をやるということを民間労使が確認をし合っておる。不幸にしてストには入ったわけでございますけれども、私はやはり、その仕事の公共性を考えて、私鉄の労使が良識的な決着を一刻も早くつけていただくことを期待をしておるわけでございまして、それ以上、労働大臣があれこれ介入するということは、これは事をかえって混乱をさすというふうに認識をしておるわけでございます。
○川本委員 春闘の問題は、労働大臣のその決意をお聞きして次に移りたいと思う。労働大臣、国民が労働大臣健在やな、労働省あるなということを意識するのは春闘のときぐらいですよ。だから、やはりこの春闘のときぐらいは労働大臣に先頭に立って活躍をしていただかねばいかぬと思う。国民はそれを期待しておると思うわけです。ひとつ、がんばっていただきますようにお願いしておきます。
 そこで話を進めたいと思うのですが、実は、この間、四月十日に京都証券株式会社というのが解散をしておるわけです。
 ちょっと詳しく説明いたしますと、この京都証券株式会社というのは普通の証券会社ではなくて、京都証券取引所が大阪の証券取引所につなぐための、いわゆるつなぎ機関として、大手四大証券を含む京都の十八証券会社が共同して設立した証券会社です。ところが、これが四月十日に解散の認可が大蔵省から与えられて解散した。従業員は約五十名くらいのところです。
 そこで、一つ問題があると思うのは、この会社では去る三月一日に、労働組合との話し合い、団体交渉の中で一応解散の提案をしたわけですけれども、その団体交渉の席上で、桑山社長は解雇提案を白紙に返して、そして再建のために努力をするという確認書に調印をしておる。その後、三月二十二日に役員会を開いて解散を決定し、その後、二十二日の夜から行われた団体交渉で会社側が説明をしたけれども組合側は納得をしない。そういう中で桑山社長は、二十三日の午前になって、いわゆる三月一日の確認書の実現のために、もう一度折衝してみるということで、団体交渉を中断してもらいたいということで団体交渉を中断したまま、その後、団体交渉を再開することなくして、二十五日には大蔵省の京都財務部へ、いわゆる解散の内認可の申請を出し、あるいは四月の六日には臨時株主総会を開き、そして四月の十日に大蔵省の解散認可という経過で今日に至っておる。全く今度の解散に当たって労働者側、労働組合側の意見を無視し、団体交渉を中断したまま再開せずに一方的に、この解散を強行したというところに労働争議の発生しておる原因があるわけです。
 そこで、私はまず大蔵省にお聞きをしたい。これは証券取引法との関連があるんだろうと思うのですけれども、大蔵省が証取法によって証券会社の解散を認可をする場合に、雇用の問題について、いわゆる、そこで働いておる労働者の問題について全然配慮がなされていない。この点について私は、今日のような雇用・失業情勢の厳しい中で、全くおかしいのではなかろうかと思っておるわけです。そこで今度の京都証券株式会社の解散決議の認可について、大蔵省の今日までとってきた経過と、その方針について、まず御説明をいただきたいと思うのです。
○金成説明員 先生御案内のとおり、証券取引法は投資者の保護というのが法の目的、趣旨でございます。
 京都証券株式会社につきましては、いま先生御案内のとおり、大阪へのつなぎを目的とした証券会社でございまして、この証券会社の特徴は、一般の投資家を直接相手とすることなく、会員十八社が取引の相手方となっている証券会社でございます。したがいまして直接、投資家の保護と関係するところがない証券会社でございますので、大蔵省としましても、京都証券会社の収支が均衡しない点については、いろいろと配慮をし、この証券会社の性質上、これを構成する十八社と経営者の話し合いによって自主的に収支均衡の道を探るよう示唆してまいったのでございますが、また、その方向で経営者も努力してまいったと思うのでございますけれども、種々提案いたしました再建案がいずれも実現が困難となり、最終的には資金繰りも詰まり、破産に至る状態になりましたので、経営者としては、これを回避するために自主解散の方針を決め、株主総会を開き解散を決議したということでございます。
    〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
 それで四月十日に京都証券株式会社の解散を認可したわけでございますけれども、証券取引法上三十四条で、証券会社の解散決議は大蔵大臣の認可がなければ効力を生じないということになっておりますが、これは投資家保護の要請に基づくものでございまして、たとえば証券会社が解散をいたします際に、これまで取引のございました一般の投資家に対する債務の返済に滞りが生ずるというようなことがございますれば、これは投資家保護にもとるわけでございますので、解散決議が法律の手続に基づいて行われた場合に申請が提出されますと、私どもとしては、解散に伴って投資家保護上の問題が生じるか生じないかという点を検討いたしまして認可を与えるわけでございます。
 京都証券につきましては、いま申しましたような経緯がございまして、法律の手続に従って解散の決議が行われたわけでございますけれども、つなぎ機関としての特殊性上、一般の投資家と関係がございませんので、投資家保護上の問題が認められなかったわけでございます。したがいまして、解散決議の認可申請に対して認可を与えたということでございます。
○川本委員 大蔵省は、いわゆる現在の、全国に証券取引所が八ヵ所ほどありますね、東京、大阪、名古屋、新潟、札幌、広島、福岡、京都と。ところが、この地方証券取引所のうちで新潟とか札幌、広島、福岡、京都、こういう地方の五つの証券取引所の取引量といいますか、シェアは、五つ合わせて全体の一・一%ぐらいしかないというような観点から、一昨年十月に、全国証券取引所監理官会議において、前証券局長の安井局長が、いわゆる地方証券取引所の合理化、東京集中というようなことについて大蔵省の一つの意見を述べておる。さらには現在の山内証券局長が、地方取引所問題は三年以内に決着をつけるのだという発言をしておるわけです。だから大蔵省が、こういう全国の五つの地方証券取引所を閉鎖していこう、こういうような意図を持っておることは明らかではないかと私は思うのですけれども、そういう大蔵省の方針に従って、今度のこの京都証券株式会社の解散が、大蔵省と京都証券株式会社との間で、あるいは四大証券との間で、裏でいろいろ話し合いがなされて、全く労働組合の意見を無視した形で強行されたという、そういう問題が裏にはあるのではないかと思いますけれども、これに対して大蔵省はどのように考えておりますか。
○金成説明員 第一に、いま先生からお話がございました地方取引所の問題でございますが、これは昭和四十二年の証券取引審議会の答申もございまして、地方取引所の問題は、画一的に国で処理をするのではなく、事柄の性質上、まず地元で自主的に解決すべき問題であるという方向が示されておりまして、証券局といたしましても、その方向で考えておるわけでございます。地方の取引所は、一つは地元の証券会社を通じまして地元の投資家と関係をいたしますし、それから地方取引所に上場されておる企業は、ここで資金調達を意図するわけでございますから、地元企業のことも考え、それぞれの地域において自主的に解決の方策を探っていくというのが地方取引所に対する正しいアプローチであろうと考えております。
 したがいまして大蔵省としても、各地方取引所における自主的な検討を見守っているということでございまして、昨年来すでに五回にわたって全国八取引所の理事長会議が開かれておりますが、この会議の場におきましても、地方取引所のあり方が論議されておりますので、大蔵省としては、その議論の推移を見守っておるということでございまして、五つの地方取引所のウエートが小さいから、これは必要がないから廃止すべきだという結論をあらかじめ持っているということではございません。
 それから第二の点でございますが、京都証券の解散を認可しましたのは、京都取引所が不必要になった、京都取引所をつぶすために認可したのではないかとの御質問かと存じますが、京都証券は、実は大阪での売買のために、京都で形式的に売買を行っている証券会社でございまして、これの存廃と京都の取引所の問題とは全く別問題であろうかと考えております。京都の取引所のあり方につきましては、先ほど申し上げましたように、地元企業、地元の投資家の立場を考慮して、地域において自主的に検討すべきであるというのが、われわれの立場でございますから、京都証券がなくなったことによって京都取引所に対する大蔵省の態度が変わったということではございません。
○川本委員 重ねて聞きますが、大蔵省は証券会社に対して統一経理基準というものを示して、いわゆる証券会社の経理を統一していく、そのための勘定科目その他についての統一基準を出しておると思う。ところが、そういう統一経理基準といいますか、そういうことに名をかりて、実際は、大蔵省証券局が証券会社の予算とか決算に著しく介入をしておるという疑念が持たれておるわけです。
 たとえて言いますと、証券会社が賞与等の支払いをする場合にでも、事前に財務局に賞与支払い計画書なるものをまず提出をさせる。そして、その賞与の金額が多ければ、これでは君のところの経理内容から見ていかぬから、もっと下げよ。そして下げてまた提出をしたら、これではいけないから、また下げよと、三回ぐらい賞与支払い計画というものを変更させられたという例があるやに私は聞いておる。そういうことのために、全国証券労働組合協議会、全証労協というのですけれども、そこが関東財務局の証券課長のところへ抗議に行ったら、たまたま机の上に中小証券会社の賞与支払い計画書なるものがあったというような事実から徴しても、大蔵省が不当に介入しておるのではないか。私はそういうようなことは即時中止すべきだと思うのですが、そういう事実はありますか。
○金成説明員 いわゆる統一経理基準と言われておりますのは二つございまして、一つは証券業協会において理事会決議で定めた経理基準でございますが、これは証券会社の経理内容を的確に表示するために、証券業の業態に即した経理処理の方法を決めたものでございまして、いわば勘定科目の整理の仕方でございます。これは人件費率その他について何ら水準を示しているものではございません。
 それからもう一つ、証券局長の通達で、証券会社の決算経理基準に関する通達がございます。これは証券会社の決算に際し、資産の償却の仕方、あるいは引当金、準備金の積み方、配当などの社外流出の水準などについて、証券会社の投資家保護上必要とされる健全性の基準を示す意味で、一つの基準を示したものでございまして、この決算経理基準においても、人件費の水準について何か証券局が介入するといったような趣旨のものはないわけでございます。
 先ほど賞与支払い計画書というお話がございましたが、現在、私どもは賞与支払い計画書というものは徴求しておりません。私どもの考え方といたしましては、あくまで証券行政は投資家保護の観点から、証券業務がきちんと行われるということを確認するところにあるわけでございまして、労使の問題、人件費水準の決定につきましては、これは全く労使が自主的に決定すべきものであると考えておりますし、証券局として介入したというようなことはございません。
○川本委員 重ねて聞きますが、そうすると財務局の証券課長その他から、中小証券会社に対して、いわゆる賞与支払い計画書とか、あるいは一年間の人件費の明細書の予算とか、そういうものを出せということを言われても、きょう、この社労委員会で大蔵省の課長が、そんなことは介入してないと言ったから、それは絶対出さなくてもいいんだと言って断ってもいいわけですね。
○金成説明員 証券会社は、法律によりまして営業報告書というものを提出するようになっております。したがいまして、証券会社の決算の内容は当局に提出されることになっておりますが、その中で、人件費について細かく資料を徴求するというようなことはいたしておりませんし、賞与支払い計画書というようなものは徴求いたしておりません。
○川本委員 そこで、労働省にお聞きしたいのですが、今度の京都の証券株式会社の争議については、不当労働行為ということで現在、京都地労委にかかっておりますけれども、それに出ておる答弁書その他を見ても、いわゆる上部団体が団体交渉に出てくるのは違法だとかどうだとかいうような、いろいろなことを言っておるわけです。私は、このような事態が起こってくる原因というのは、憲法第二十八条で定められた労働者の団結する権利あるいは団体交渉をする権利、さらに、それを受けて労組法第六条のいわゆる委任することができるという権利、こういうものを否定することにつながることではないかと思います。現在、わが国の労働組合法とか、あるいは憲法二十八条というものは、労働者が、その行動を通じて闘いとったものではなくて与えられたものだというような形の中で、労使ともに、あるいは未成熟のところがあるかもわからない。しかし、そういう労使間のトラブルを排除して、正常な労使関係を育成、指導するために労働省があるんじゃないかと私は思っておるわけです。こういう問題について雇用にも影響するし、五十人というのは少ないようですけれども、今後、労働者としては、全国の地方の取引所が全部閉鎖されるのではないか、そうなると大きな問題が起こってくる、そういうような危機感を持っておるわけです。
 そういう状態の中で、いわゆる証取法では雇用の問題については全然触れていない。だから解散決議が株主総会で有効でさえあれば、投資者保護の立場さえ貫ければ、雇用の問題はノータッチで大蔵省は放置をしていく、いわゆる、ほおかぶりをして認可を与えていく、こういうようなあり方については、やはり現在の制度の欠陥ではないかと思うわけです。少なくとも会社を解散する場合には、そこで働く労働者の雇用の問題について、そこで働く労働者の労働組合との間に事前に協議がなされて、そうして意見の一致が見られるという努力をすべきではないか。それをせずに、一方的に強行するというようなことが、どんどん、これから相次いで起こってくるということになりますと、正常な労使関係の発展上好ましくないのではないか、このように私は考えるわけです。それに対して労働省はどう考えていますか。
○関政府委員 一般的に申しまして、会社が解散するような場合、当然に、そこに働きます労働者の職の問題ということになってまいりますわけでございますので、そういった場合には事前に労使間で十分話し合いが行われることが好ましいことは申すまでもないと思います。特に、昨今のように非常な厳しい雇用情勢でございますので、その重要性はますます増しているかと思います。
 ただいま御質問の京都証券会社の件につきましては、現在、そういう案件が地労委に出ておりますので、これは地労委の判断を待つということでございますけれども、一般的に言えば、先生の御指摘のように、そういった労働者の雇用に影響する解散のような場合には、事前に十分労使間で話し合いが行われることが望ましい。そういう意味で私どもは、地方の労政事務所等を活用いたしまして、必要があれば個別の指導等も行ってまいりたい、こんなふうに考えております。
○川本委員 実は姫路の日赤の病院でも現在労働争議といいますか、労使間の紛争が多発をしておるわけです。私は昨年この姫路の日赤病院へ調査に行ってきたわけですが、ここでは現在係争中のものがたくさんあります。これについては労働省も御存じだと思うのですが、その前に、日赤病院というのは公的病院ですから、厚生省も、これについてはある程度、内容について御存じだと思うのですが、厚生省の方から、現在、姫路日赤病院がどういう状態にあるのか。そして、これが地域の医療に、どのような影響を及ぼしておるのか。こういう点について、まず御報告いただきたいと思うのです。
○岸本説明員 姫路日赤の問題につきましては、相当以前から、いろいろと労使の間でのトラブルがあるというふうに聞いているわけでございます。現在におきましても、数は詳細に存じませんけれども、地労委または地方裁判所に紛争を持ち込んでいるというものが幾つかあるようでございます。ただ現在におきましては通常の病院業務は平常どおり行われておりますので、特に地域医療の観点から見まして、住民に不安を与えるというような実態にはなっていないというふうに承知しております。
○川本委員 そこで私は、まず労働省にちょっとお聞きしたいのですが、一つは、団体交渉拒否の事件が起こっております。これについては、日赤の姫路病院が労働組合の団体交渉に対して、姫路にある姫路地区評といいますか、地区評議会、さらには兵庫県の総評の兵庫県評、これらの上部団体が団体交渉の委任を受けて出席をすることは認められないということで団体交渉を拒否した。そのために労働組合が兵庫地労委に対して、団交拒否はけしからぬ、直ちに団交は再開すべきであるという、いわゆる労働組合法の第七条第二号による救済申し立てをしで係争中であった。そして、これについては五十三年の二月十日に兵庫地労委から団交命令が出されて救済されたわけです。ところが、今日に至るも団交は再開されないで、その後さらに日赤の姫路病院は、神戸地裁の姫路支部に対して提訴して現在、訴訟中である、こういう状態にあるわけです。
 さらに、そのほかにも竜田看護婦という看護婦の懲戒免職に係る問題で、同じ神戸地裁の姫路支部で地位保全の仮処分の決定が去年の五月二十六日に出されておるけれども、六月八日には病院側が今度は地位確認の申し立てということで姫路支部にまた訴訟をいたしておる。その他、時間外の不払い賃金の支払い請求の訴訟も、現在これもまた同じ姫路支部の裁判所で行われておる。そのほか、岡村さんという看護婦長、これは労働組合の副執行委員長ですけれども、これに対する不利益取り扱いの事件が五十二年一月十一日に、これまた兵庫地労委に提訴をされておる。こういうことで、いわゆる労組法上の不当労働行為に類する問題がたくさん重なっておるわけです。
 そこで私は、ひとつ労働省の考え方をお聞きしたいのですが、先ほど京都証券のときも同じようなことが出ていますけれども、労組法第六条の団体交渉の委任については、今日まで労働省としては、どういう見解を持ってきておるのですか。
○岡部説明員 労働組合法第六条、交渉権限の問題でございますが、労働組合はその交渉権限を何人にも委任することができるわけでございます。したがいまして相手方は、その者との交渉を拒否し得ないことは当然でございます。
 なお付言いたしますと、先生、先ほど来、日赤姫路病院の団体交渉問題について言及をしておられるわけでありますが、もし、その上部団体というものが正式に労組法上の労働組合であるといたしますと、その上部団体は固有の団交権を持つのでございますので、その上部団体も当然のことながら団体交渉権を持つという結論になろうかと思います。
○川本委員 もう一つ、団体交渉というものは、これは労使間で行われるわけですけれども、姫路の日赤病院の場合は院長も団体交渉に出ない。副院長も出ない。そして事務部長以下の課長、係長、そういう人たちが、いわゆる病院側を代表して団体交渉に出ておるわけです。そうして、それで団体交渉なんだ、こう言うわけです。ところが労働組合側は、院長とかあるいは副院長とか、いわゆる執行権限を持った人が出ないで、事務部長が出てくるような形では、本当の団体交渉、法律で言う団体交渉、憲法二十八条で保障された団体交渉ではないのだという観点から、そんな団体交渉は認められない。院長も副院長も出てこい、こういうことを前から主張しておられるわけです。団体交渉というのはトップ――トップという必要はないとしても、いわゆる経営全般についての権限のない者が出て、それで団体交渉だと労働省は思いますか。
○岡部説明員 団体交渉は、当然のことながら団体交渉権限のある者の間で行われなければならないということが原則でございます。したがいまして、いま先生御指摘の場合に、当該事務長が団体交渉権限を全面的に委任されている者であれば、それは正規の団体交渉として成り立つと存じます。
○川本委員 そうすると団体交渉の席上で、いや、これは院長や副院長と相談しなければ私独断で決められないというような回答をするようであれば、それは法律上で言う正規の団体交渉権を持った者でないという解釈につながるわけですね。
○岡部説明員 いわゆる交渉三権という言葉がございます。つまり交渉権限、それから妥結権限、それから協定権限、この三つの権限が一応ございますが、それがどのように当事者の間で分配されるかというのは、これはそれぞれの側で決める事項であろうかと存じます。したがいまして、ただいま先生の御指摘のような事案にいたしましても、もし、その者が一々話を持って帰らなければならないというふうな状況でありますと、それは正規に交渉権限が委任されたというふうな状態ではないというふうに考えられるわけでございます。
○川本委員 厚生省薬務局の方もおいでいただいておりますが、この病院には血液センターがあるわけです。血液センターというのは、血液事業というのは日赤が全国的に取り扱っておる事業だと思うのです。これは非常に公共的な性格の強い事業ですから、国も、これに対して財政的な補助、援助をしておるのではないかと思うのですけれども、厚生省がやっておる血液事業に対する補助金その他について、まずお聞きしたいと思います。
○古市説明員 日赤の血液事業に対しましては、公共性が非常に高いということから、国の補助金といたしましては、保存血液供給事業費の補助金ということで、昭和五十三年度には約七億三千万円計上いたしております。しかし、そのうちの約六億二千万円というものは、血液代金についての自己負担のあった者に対する給付費の償還という形になりますので、先生御指摘の補助金的なものといたしましては、約一億一千万ということになろうかと思います。
○川本委員 そうすると、血液事業については約一億一千万の純然たる補助が出されておる、これは主として赤字補てんというふうに解釈していいのですか。
○古市説明員 血液の保管のための機器のたぐい、それから本社の人件費ということ、それから一部には赤字補てんのための財政調整というのがございましたが、五十二年度までで、それは薬価基準の中に積むという形になりまして、本社経費と血液保管のための機器の金、こういうぐあいに御理解願いたいと思います。
○川本委員 ところが、この血液事業についても、兵庫県姫路の血液センターでは、従業員に対する五十一年の夏期の一時金が、全国の血液センターの夏期一時金より、姫路だけが労働組合に加入しておるということを理由に約一カ月分ほど少ない回答が出されて、これも不当労働行為だということで中労委に提訴されたり、いろいろ問題になってきておるわけです。こういう状態の中で、中労委もいろいろ日赤本社と話し合いをした結果、日赤の本社では、血液事業は全国一つの事業であり、国からの補助もあることだから、これについては病院の独立採算の会計の中には入れていないのだ、こういう答弁をしておるわけです。だから私は、そういう場合にでも、労働組合に入っておるからという理由だけで、独立採算になっていない部門を、姫路の独立採算部門と同じように、一律に全国より引き下げて夏期手当を支払うというのは不当労働行為だと私どもは思うわけです。
 これもいろいろ係争中でございますので問題はなんですけれども、大体こういう一つの姫路の病院で、たくさんの訴訟あるいは不当労働行為あるいはその他労働基準法違反の問題等、たくさん何十項目という労使間の紛争が現在続いており、そのために病棟閉鎖をやらざるを得ない状態になってきておる。病棟の閉鎖というのはないけれども、現実には看護婦さんの数が五十一年に比べて今日で約四十名余り減っておる、欠員の補充をしてない。あるいは看護学校を卒業した人を故意に採用しない。採用する場合には労働組合に入らぬという契約をした人だけ採用するということですから、例年二十名ないし三十名卒業した場合に、ほとんど八〇%まで姫路の病院に採用されておった看護婦さんは、五十二年四月には、たった二名しか採用しない。それも労働組合には入らない。こういうようないろいろな問題が起こって、これが病棟閉鎖につながり、あるいは地域の医療にまで影響を及ぼすという状態が出てきて、決して好ましいことではない。
 私は調べますと、労働省のもとの官僚の方が日赤本社の人事部長をしておられるわけです。労働省で長い間、労働行政に携わられた、その経験と知識、それを持って、労働省を退職された後、そういう公的病院といいますか、公的医療機関の中で労使関係を安定させるために御努力をいただくということは意味のあることだと私は思う。ところが、労働省のOBが人事部長をしておって、そうして、このような事態を二年も三年も放置しておるというのは、これは労働省で習い覚えた方式を、そのまま日赤で適用しておると思いますかどうですか、その点、ひとつ労働省の見解を伺いたい。
○関政府委員 この姫路の赤十字病院の問題につきましては、先生、調査にも行かれまして非常にお詳しいわけでございます。そういう意味では私もまだ不勉強でございますが、どうも、この病院の労使問題には、いろいろ複雑な長い間の紛争がございますようで、そういうものを解決する基本は、何といっても労使の信頼関係、そういうものが大事であろうかと思います。そういう意味で、中労委の勧告もあったことでございますし、労使交渉のルールづくりをやりまして、そういうルールに従って労使関係が正常に動くように関係者が努力を続けるべきであろうと思いますし、日赤の管理者の方々も、そういう気持ちで取り組んでおるというふうに私ども思っておりますし、また必要に応じて、日赤本社の方には私ども、これからも指導を行ってまいりたいと考えております。
○川本委員 私は、かなりこじれておることは事実だと思う。先ほども申し上げたように、日本の労働組合運動というのは戦後三十年の歴史ですから、これは労使ともまだまだ未成熟。そういう中で戦後、労働省の皆さんが健全なる労使関係の育成を目指して今日までいろいろ御努力をいただいた、その功績は多とするところですけれども、そういう労使間の問題あるいは法律の問題のベテランが、あるいは公的な機関、あるいは民間の会社の労使関係を今後うまく健全に育成させるというために、退職後、天下りとよく言いますけれども、私は仮に天下りであっても、行って努力をされるということは、それなりに意味があると思っておるのです。そういう形であれば、これは歓迎すべきことだと思っておる。ところが逆に、今度は役人をしておられた間の経験で、いや、こういう問題については地労委から救済命令が出ても、また裁判さえすれば、裁判は三年も四年もかかりますから、その間、時間を引き延ばすことができますとかいう、そういう面の指導をするようであっては、これは逆に日本の正常な労使関係の発展を阻害することにしかつながらない。
 そういう意味において、労働省の官僚が後でいろんなところへ行かれて、天下りをされて仕事をされる場合に、やはり一つのモラルを持ってもらわなければいかぬ。私は労働省出身だ、労働省出身である限りは、やはり法律に従って健全な労使関係をつくるために私が役に立たねばいかぬ、その意見が入れられなかったら私は辞職してもいいんや。また労働省も、OBですから、労働省の方針と反するような指導をしておる場合には、労働大臣、私は首をすげかえてもいいと思う。やはり、そのぐらいのことがなければ、本来の日本のようなおくれた労使関係を健全に育成させることはできない。
 この団体交渉拒否事件なんかは救済命令が出ておる、これに従ったらいいのですよ。ところが、それをまた地裁に申請をして何の利益があります。労使双方とも。病院側に何の利益があります。それを拒否することによって何年かの後に、どれだけの利益があるのか。そんなことにむだな経費を使って、むだな労力を使ってやる、それを労働省出身の人事部長がおりながら、あえてしておるというところに、この問題のこじれる原因があると思うのです。私は少なくとも、こういう問題をなくするためには、これだけ、こじれにこじれたものですけれども、幸い日赤の人事部長は労働省出身ですから、労働大臣、労働省がひとつ積極的に強力な行政指導をして、早期に解決することによって地域の医療もよくなっていくというようなことで、強力な御指導をいただきたいと考えておるのですが、ひとつ労働大臣の御意見を最後に。
○藤井国務大臣 御指摘の点、至極ごもっともな御意見と思います。公的医療――医療機関そのものが公共性が非常に強いわけでありますけれども、この日赤という、わけても公的性格の強い病院が長期の紛争をしておるということは一刻も早く解決の道を探究しなければなりません。いわんや、いま具体的な人事担当の人が労働省から出ておるという、こういうことにおいてをやでありまして、やはりわれわれとしては、厚生省あるいは兵庫県、そういったところと十分連絡をとりながら早期にこれが解決するように助言、指導をいたしたい、このように考えております。
○川本委員 もう一つだけ最後にちょっと。職安局おいでいただいていますか。これは労働大臣、こういう問題があるのです。最近、地域最賃がたくさん出ておる。労組法の十七条、十八条では、いわゆる労働協約の一般的拘束力あるいは地域拡張適用、こういう問題が規定されておるわけです。ところが最近、こういう事例は非常に少ないと思うのですが、最賃との関連が出てきておるわけです。そこで最終的に一つだけお聞きしておきたいのですが、地域最賃を下回った求人申し込みが職業安定所へ出されて、それを職業安定所が地域最賃とのかかわり合いを知らずに職業紹介しておるというような事実が全国で一、二、例として出てきておるわけです。こういう点について、それは好ましいことですか、どうですか。
○田淵説明員 先生御指摘のように、一、二そういう事例が見つかりまして、私どもといたしましては、安定所におきましては求人の申し込みの受理に際しまして、もちろん最低賃金法という法令に違反するような求人は受理しないように指導しているところでございますが、高齢者の職業相談室というようなところで、うっかりといいますか、そういう事例が発見されましたので、速やかに是正するように指導いたしますとともに、全国的にも、そういう誤りを犯さないように重ねて先ほど指示したところでございます。
○川本委員 審議官、これは十七条、十八条のいわゆる拡張適用とも関連がある。そういう拡張適用された場合にも、それを下回る求人申し込みというものについては職業安定局が注意をして、そういう下回ったいわゆる求人申し込みには紹介をしないという、やっぱり労働省全体としての統一した見解をはっきりしておく必要があるんじゃなかろうか、この点だけ強く要望しておきたいと思います。
○越智(伊)委員長代理 次に、草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川でございます。
 労働組合法の一部を改正する法律案の審議をさしていただくわけでございますが、原則的に私どもも賛成の立場でございますが、この内容を審議する場合に、どうしても、ただいま行われております春闘の問題に関係をするわけでございますので、まず、その点から大臣の見解をお伺いしていきたいというように思います。
 こういうことを質問をして大変恐縮でございますけれども、藤井労働大臣は労働問題については基本的には、いわゆるハト派だというふうに私どもはお伺いをしておるわけであります。スト権問題についても早期に解決をしたいというようなお立場と聞いておりますし、あるいはまた去る四月十七日の公労協への有額回答についても、大臣としてかなり努力をされたというように聞いております。しかし、その後、新聞等でも、十八、十九日の公労協のストライキ突入から藤井労働大臣の心境というのは、かなり後退をしてきておるのではないかと伝えられておるわけでありますが、その後退をしておること自身が、今日のストライキに対する労働省の対応の仕方が非常にノータッチ的というんでしょうか、対応策が官房に比べて、きわめておくれをとっておるような気がしてならない、こう思うのですが、まず藤井労働大臣の、このストライキに対する考え方について、お伺いをしたいと思います。
○藤井国務大臣 結論を先に申し上げますけれども、私は十七日以前と現在と、労働問題に取り組む姿勢において何ら変わっておりません。むしろ進歩はしているけれども後退はしておらない、このように、みずから確信をしておるわけでございまして、いま御案内のような段階に来ておりまして、やはり、この公労協関係の問題処理は、有額回答をした後、公労協側がいわゆる自主交渉、団体交渉をやりたいから、あっせんをしろという、こういう提案でございました。ところが当局側は、もう幾ら自主交渉に応じても、どうにもならないという、こういう判断の上に立って、いわゆる調停申請をしたわけでございます。この両当事者の片一方が調停申請をするならば、やはり労働協約に基づいて相手方も当然この土俵に上らなければならぬという取り決めが基本的にあるわけでありますから、私は、そういうルールに従って公労協の組合の諸君が一刻も早く事情聴取に応じてもらう。そして、このストは一刻も早くやめてもらって、そして平和裏に問題の解決をしてもらいたい。これが民主的ルールの労使関係の賃金紛争を解決する一つの基本的なルールではないか、このように考えているわけでございまして、その方向に行くべく全力を尽くしておるということでありまして、決して私は、この問題に対して無関心であるわけではない。
 昨晩も公労協関係の代表者の諸君に私は自分の心境をるる訴えて、そして高度成長の時分から時代が変わってきておる、新しい時代の対応をひとつしてもらいたい。そして従来のようなスト、処分、ストという悪循環を断ち切って、この不況に悩み円高の追い打ちを食っておる一般国民全体を考え、特にまた現在問題になっているのは国民の足に直結するようなストになるわけでございますから、何とかひとつ、この点、理解ある態度で臨んでほしい。いわんやストを禁ぜられておる現在の公労協のスケジュールストにおいてをやという、こういうことを訴えたわけでございまして、また私鉄関係の場合は、これは労使双方が自主的に問題解決に当たりますというので、せっかく現在、努力をしているわけでございます。残念ながらストに入る前に問題解決ができなかったことは遺憾でありますけれども、これまた労使の自主的な解決によって賃金問題を片づけるというのが一つのたてまえでございますから、たてまえを混乱さすということは、かえって問題をこんがらかす、こういうことで、決して私は十七日以後えらい後退し傍観している、こういったことは全く私の心境と違っておりますから、この点はひとつ篤と御理解いただきたい、このように思います。
○草川委員 いま大臣が非常に強い決意を表明されておるので、近く私は争議も解決すると思うのですけれども、しかし問題は、現実に伝えられているところは、公労協の問題についても私鉄の問題についても、実は官房側の非常に強い圧力があるということが言われておるわけであります。特に、これはことしの春闘についてのテレビ対談なんかでも、日経連の松崎さんは、某高官という名前で、昨年は民間より公労協の相場が上がったと公に発言をされていますし、また逆に、ことしは、そのような某高官を中心とする官房の方々の力によって、私鉄にしても、あるいは公労協についても、予想外に問題がこじれておるということが言われておるわけであります。だから、いま大臣が言われておるような、そういう精神で本当にいま臨むならば、もっと早く私鉄でも争議を解決することができるわけでありますし、あるいはまた、それに連動をする公労協の方々も、少なくとも、とりあえずは、この予算の枠内だけでは当事者能力が当局側にあってしかるべきだし、当局側の方々も、その範囲内では、もっと柔軟な配慮をしてもいいのではないだろうか。こういうことをしませんと、将来のスト権問題に対する対応についても私は禍根を残すような気がしてなりません。そういう展望について、もう一度大臣の御答弁を願いたいと思います。
○藤井国務大臣 いろいろ新聞情報そのほかを踏まえて御質問でございますが、あの十七日有額回答をされる前、労働省といたしましては、やはり民間の現在の状況、特に民間準拠ということが原則になっておること御承知のとおりでございまして、民間の現在の情勢を踏まえて、ひとつ誠意あるぎりぎりの回答をしてもらいたい、こういったことを一応われわれとしては申し入れをしておったわけでございます。そしてこの三・八%ということが提案をされた。これについては出す方と受け取る方との関係でありますから、少ない、適当であると、こういうふうな意見の分かれるのは私は世の常だと思うのであります。ただ問題は、その場合、私はやはり有額回答を出したのですから、やはり十八、九日のストライキは、違法であるストにおいておや、一刻も早くこれはやめてもらいたい、こういうことを切々と訴えたのでございます。残念ながらスケジュールどおりのストが十八日、十九日決行されて今日来ておる、こういう状態でございまして、この段階にまいりますと、やはりルールに従って、第三者の公正な機関として定められておる公労委に対して、その調停に応じ、事情聴取に応ずるという、これ以外には問題を平和に解決する方法はないのでありますから、私はこの線が一刻も早く軌道に乗るように、現在許される立場において労働省は関係当局挙げて全力で努力しておる、こういう状況でございます。
○草川委員 いま大臣が答弁をなされたわけでございますが、その官房あたりの政治介入はないのではないだろうか、それは新聞報道ではないだろうか、こう言われたのですが、私はそうではないと思うのです。ここ最近来、労使関係の妥結の内容が外部に正確に発表をされていないという例が非常にたくさんあるのです。たとえば、これも私鉄総連の二十二日の団体交渉の中でも明らかになったと言われておるわけでありますが、どうしても他の産業の妥結内容というものを、それぞれの労使関係は基盤にすることは間違いはないわけです。公労協の方々でも民間の相場というものを常に頭に浮かべながら交渉される。たまたま、そういう金額が低いので、いろんなアクションをとっているわけでありますけれども、たとえば、一つの企業で支払い能力は十分あるけれども、他の企業あるいは公労協だとか私鉄に影響するので、それを伏せて妥結をしようという例が随所にございます。
    〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
これは、すでに具体的には日曜日の読売新聞の中にも凸版入りで労働組合の内容が発表されておるわけですね。あるいは二十二日の私鉄総連の団体交渉の中では、具体的な電力関係の労働組合の妥結内容というものがプラスアルファがあるではないだろうか、だから、せめてそういうようなものを参考に交渉をしていきたい、こういうことを言っておるわけでございますが、こういう隠し金、いわゆる妥結内容というものは、決して好ましいことではないと私は思うんです。正式に労使関係で妥結したものは堂々と世間に発表されてもいいわけでございますが、それを隠さなければならないところに今日の非常に強い政治的な圧力があると思うんです。きょうは労政局長もお見えになりますので、こういうふうな風潮が高まることはいいことか悪いことか。あるいは、こういう内容については、たとえ、これが定期昇給の内容についても、あるいは是正給という名前についても、あるいは諸手当だという名前についても、賃金の統計上これは出てくるものかどうなのか、そこもあわせて専門の立場からお聞かせ願いたいと思います。
○北川政府委員 先生御指摘のような新聞記事あるいは労働組合側の主張については、私も読んだりあるいは聞いたりしておるところでございます。それで、このように実際の妥結の中身を一部裏金で出すというようなことが労使の将来の方向としていいか悪いかという点につきましては、これは労使の判断で、私が申し上げることではないのですが、正常な労使関係として決して好ましいとは私は考えておりません。
 それから、そういうものについての把握でございますけれども、いろいろ、うわさがございますけれども、実態のところは、なかなか把握がしがたいということでございますので、明確に、こういうものを、たとえば昇給昇格原資として出したというようなことを労使が確認し、公にされておる場合には当然、私たちの方でも集計の対象といたしておりますけれども、単なるうわさで、そういうものが流れておるものにつきまして、そういうものは把握をいたしておらないという現状でございます。
○草川委員 いまの局長の答弁を聞いても、それが実態だと思うのでございますけれども、私が先ほど主張したのは、なぜこうならざるを得なかったのかというところに今日的な問題がある。だから、それをまず、とめないと、将来にわたって日本の労使関係というのは禍根を残すと思うのです。あそこはこういうものが出たんではないか、経営側は違うと言う。労政事務所だとか、あるいは県の労働部に聞いてみても、そういうものは聞いてないと言う。しかし現実にもらっているのではないかという話になりますと、そこで他の産業の労使関係というものが壊れていくということにもなる。不信感が助長するということにもなる。
 私は、ここからひとつ、この労組法の改正の中にも入っていきたいと思うのでございますけれども、いま、たとえば地方労働委員会についても、中央の労働委員会でもそうでございますけれども、本来の労働委員会のあり方は、どちらかというならば調整件数が多くなっていかなければいかぬと思うんです。特に経済的な調整件数というのは。しかし逆に不当労働行為事件の方が急増してきておる。これはそもそも日本の労働省的な、あるいは労働省が管轄をするところの労働委員会制度というものも非常に重大な曲り角、危機が来ておるのではないだろうか、こう私は思うんですけれども、その点についての御答弁を願いたいと思います。
○北川政府委員 好況の時期には調整件数がかなり増加をしておって、不況に入りましてから調整件数はむしろ減少ぎみ、そしてなおかつ不当労働行為事案は好、不況にかかわらず増加の傾向にあるということは事実でございます。調整件数がふえることが先生、本来、労働委員会のあり方と関連して、いいのではないかという御指摘でございますが、私たちは、やはり労使が自主解決をするということが労使関係の正道といいますか、正しい道だ、こう考えておりますので、必ずしも、その点については私同意をいたしかねるわけでございます。ただ、不当労働行為事案につきまして、最近これは大都会中心あるいは中労委中心という形で非常にふえておることが決して労使関係のあり方として望ましくないという点については、私も同感でございます。
○草川委員 いま、この不当労働行為が増加するということは、労使関係がそれだけ、いがみ合うということになるわけですから、これは当然ふえることは避けるべきだと私も思うのです。ところが、調整件数が少なくなったというのは、必ずしも自主交渉だけがウエートが多くなったから、この経済的な調整が少なくなったとは実は私、思っていないのです。早く言うならば、どちらかというと大きな企業あるいはまた大きな産業、そういうところは自立できるわけですから、一々、労働委員会にあっせんを頼まなくても自主交渉ができるという面は確かにあると思うのですけれども、逆に、私が先ほど触れたように、そういうところに限って、自分のところでは世間に公表しないようなフリンジベネフィットというのですか、付加給付というものを取っていく余裕がある。そういう面を考えますと、日本の労働事情に格差というものが今後ますますふえていくのではないだろうか。大きいところは安定をしていく。そして、この労働委員会等を利用するところは、どうしても中小、弱小、零細なところがふえていく。好ましいことではないだろうというつもりで、いまのような質問をしたわけであります。
 そこで続いて、この不当労働行為事件の内容でございますけれども、解雇だとか不当配転だとか賃金差別というのが大体不当労働行為の主な内容になると思うのですが、その他もあると思うのですが、どういう事件の内容が一番多いのでしょうか。パーセントで結構でございますから、細かい数字でなくて大体の傾向だけで結構ですから、どういう傾向になっているのか質問したいと思います。
○北川政府委員 初審の関係でございますけれども、労働組合法の七条一号事案、結局、労働組合員であるがゆえに差別待遇をする、こういう事案が五十一年で六九%、件数にしまして五百一件ということでございます。二号事案のいわゆる団交拒否事件が四〇%の二百九十件、こういうことになっております。三号事案の支配介入の事案が件数にしまして五百四件、六九%。四号事案、いわゆる労働委員会で証言をした、あるいは申し立てをしたがゆえに不利益扱いを受けたというのが二十件の三%。いずれも一つの事件が一号事件と三号事件と重複するというようなことでございますので、件数、パーセントが単純集計はできませんが、そういうことでございます。
○草川委員 いま、おっしゃられましたように重複をしておりますので、単純にどれが一番か二番かということがわからぬわけでございますけれども、いずれにしても差別あるいは支配介入というところが一番多いわけですから、初歩的な労使関係のトラブルということが言えると思うのですね。ところが最近、この提案の趣旨の中にもございますように、非常に複雑な案件というのがふえてきたということが言われております。たとえば地方裁判所が配転の無効判決をした、これは並行審理だと思いますけれども。ところが、無効判決をしたので、会社はそれに対して従えばいいのですけれども、従わずに自宅待機命令というのを出す。この自宅待機命令を出すので、また当該の方から調整申請が出る。これになりますと堂々めぐりになるわけでございますね。こんなような案件がどんどんふえていきますと、これはもう、また定員を一名ぐらいふやしただけでは基本的な解決にならぬと私は思うのですけれども、不当労働行為の審理のあり方だとか、あるいは裁判所と同時審査をした場合に、どちらかを優先的にするとか、一方の決定には、もう絶対に従うとか、あるいは打ち切るとか、何かもう少し知恵を出す不当労働行為の処理方法というものはないのでしょうか、お伺いします。
○北川政府委員 件数が累増しておるほかに、不当労働行為につきましては内容が非常に複雑になっておる。いま先生もちょっと御指摘になりましたけれども、一つの企業の中に二つ組合があって、それの差別というような問題になりますと、なかなか単純でなくて、その判定も大変むずかしいわけでございます。それに加えまして、いわゆる労働委員会も初審と再審、さらに裁判所が一審、二審、それから時によっては最高裁、こういうようなことで、非常に長期に、かつ、いろいろの手段で争われる。そういうことになりますと本来、この不当労働行為制度が、労働者が簡易に、かつ迅速に救済を受けられるという制度の目的から徐々に離反をしておるという実態にあるわけでございます。
 したがいまして、われわれとしましては、まず審査の迅速な審理ということで、従来から労働委員会で規則の改正あるいは運営の仕方、そういうことについての御検討あるいは改善策をお立ていただいておると同時に、今回は委員定数をふやしていただくわけでございますが、先生の御指摘に私、全く同感なのは、それだけで、いまの不当労働行為事案の迅速しかも簡易な救済というものが一〇〇%得られるとは思っておりません。たとえば、いまの制度につきまして裁判所の関係で言えば、審級の省略がもっとできないか、初審を飛ばして高裁にすぐ持っていけるというような道を考えるとか、さらには、先生いまお示しのように、法律上どこまでも争うというのは、もう初審から全部裁判所へ行く、事件を最終的に解決するものについてのみ中労委で再審をやって、中労委の決定には労使とも仲裁と同じように従うのだというようなことも一つの方法としてあり得るのではないか、こういうことを考えておるわけでございます。
 ただ、この問題につきましては三十年間の経緯もございますので、実は労使関係法研究会が従来、労組法あるいは公労法につきまして非常に緻密な御報告をいただきましたけれども、先般、委員の増員も行いまして、当面この不当労働行為の本来の趣旨に従った迅速な処理のために御検討をしていただいて、一年以内に何らかの御結論を出していただくように、先般、大臣から直接お願いをしたところでございますので、私たちは、その先生方の御結論を待って、制度の改正についても、ぜひ一つの成案を得たい、こう考えております。
○草川委員 いま、労使関係法の研究会で一年以内に何らかの結論が出るようにという呼びかけをされたと言う。これも一つの方法だと思いますが、ここで現在、中労委でもいいし、あるいは地労委でもいいですけれども、平均的な数字で結構でございますが、同一事件について年に何回ぐらい――月何回かと聞くと、まず月何回かというわけにはいかぬと思いますので、年何回ぐらい実際上は審査されてみえるのか、お伺いします。
○北川政府委員 平均でございますけれども、調査は、始める前に大体一、二回、それから審問につきましては年に五回ないし六回というのが平均でございます。
○草川委員 それでは、非常に滞留というのですか、長くずっと繰り越し、繰り越しで来ておる事件が多いと思うのですが、一番古い事件は、たとえば昭和何年ぐらいからのがあるのでしょう。昭和二十年とか三十年とかという案件があるのでしょう。それは一番古いのは、どの程度の事件からあるのですか。
○北川政府委員 一番長いのは、昭和四十二年から係属をしておる事件があるそうでございます。したがいまして、十年間以上係属をしておるということでございます。
○草川委員 いま、十年というお話がありましたが、実際は、地方の労働委員会なんかに行きますと、たとえば、いま言いましたように同じ人が同一企業に対して繰り返し、やっておるのがあるわけですから、たまたま同一案件では十年ぐらいというのもあるわけです。例を言いますと二十年ぐらいかかるという場合も実際はあるわけです。それほど労使関係が非常に冷え込んでしまっておるという例もあるわけです。その一つの原因に労働委員会の代理人制度というものがあるわけですけれども、代理人に弁護士さんを委任するということにあるのじゃないか。これは一つの原因でございますけれども、弁護士を片一方が委任をすれば、相手側もやむを得ず弁護士を立てないと当然、審理はうまくいかないわけです。ということになりますと、全く労働委員会というものがミニ法廷になってしまうということになります。このミニ法廷がいいか悪いかということは、いろいろな議論があることですから簡単には言い得ませんけれども、余りにも代理人に弁護士が入り過ぎると、かえって事件というものの審理が長くなる。だから、これは労働委員を選んでみえる労働側にも働きかけをして、なるべく弁護人をやめなさい。あるいは使用者側にも経営者代表の方を通じて、なるべく代理人を労働委員会で採用するのはミニ法廷になるんだから、やめた方がいいのではないだろうか。それよりは大胆率直に、いわゆる常識的な線で労使関係のトラブルのジャッジをする、そのために地方労働委員会は中立側の委員も学者あり、マスコミの代表あり、あるいは弁護士代表おり、いわゆる世の中の常識的な方々を委任されてみえるわけでありますから、そのような手段を並行的に採用して、労使関係ですからトラブルがあるのはあたりまえだと私は思うのですよ。だけれども、トラブルがあるのならば客観的な常識で早くそれを解決して、それぞれ現職に復帰だとか差別をやめるとか、あるいは労働組合側に、もしも行き過ぎがあるのならば、それを中立側の方からいさめていただくというのが、日本のこれからの本来の労使関係の道だと私は思うのですが、そのようなことが、いままで論議になっておるのかどうか。あるいは全国労働委員会の総会なんかでも、その種のことが討議されておるのか。このことについて意見を聞かさしていただきたいと思います。
○北川政府委員 不当労働行為制度の簡易迅速な救済という本来の趣旨から言いますと、いま先生おっしゃったように裁判所のまねをして、そして手続が煩瑣になりかつ時間がかかるということは、なるべく避けたいというのは労働委員会関係者、労使ともにあるわけでございます。したがいまして、全労委総会、これは全国一の労働委員の人たちが年に一回お集まりになる中で、いまの審査制度の改革案の一つとして弁護士を代理人にお願いをすることをやめる、あるいは禁止する、そういうことの提案はたびたびあったわけでございますけれども、なるほど代理人に弁護士の方をお願いすることは、たとえば日にちを合わすのに一カ月も二カ月も先の日にちでないと合わない、双方の弁護士の方と。あるいは手続が非常に煩瑣になって証拠書類とか何とかが大変大部なもので時間がかかるという難点があります反面、弁護士の方が中へ入られることによって、たとえば和解を進める場合に非常に適確な和解を助言をされるというようなメリットもございます。いまのところ、そういう意見はございますけれども、代理人に弁護士の方が就任をすることについて禁止をしようとか、あるいはそれを制約しようというような論はございましても、そういう方向には労働委員会全体として、むしろ否定的な空気でございます。
○草川委員 確かに、これは弁護士の方から言わしてみれば職業の問題もあるでしょうし、いろいろな問題もあると思うのですが、これはもうざっくばらんに、やはり労働省として、労働側なり経営側にお願いをして、さっき局長も言われたように、次の審理が一カ月先とか二カ月先になるようなことでは、全く訴えた申請側も、労働委員会というのが、それこそ闘う場になるわけですよ。本来の解決をする場ということからほど遠くなるわけでありますから、早く無料で訴えをすることができ、聞いていただきたいところが、この労働委員会制度だと私は思うので、本来の労働委員会制度に早く戻るように労働省がリードをすべきではないだろうか、こういうように思います。これは強く要望を申し上げておきたいと思うのです。
 そこで、次にいくわけでございますけれども、実は今度の新しい中労委の推薦要望に当たりまして日経連は、四月十三日の日経連タイムスでございますけれども、この日経連タイムスには、今度中労委が一名増員になる、その委員の推薦に当たっては不当労働行為問題について深い識見を持つ人を希望するという要望があるのです。これは当然だと思うのです。悪いことじゃないと思うのです。これは最近、調整関係より不当労働行為関係が多いという理由があるからだ。会社業務が多忙で十分参与できないので専門で取り組めるような人を推薦してもらいたいという要望がこの中に出ておるわけですが、私は、経営側は経営側で一つの方法だと思うのです。結論的に言うと、今度出てくる増員の先生方というのは、お互いに不当労働行為のプロだ。早く言えば弁護士のような資格を持った人が出てくるということになりますと、それぞれ、この労働委員会というものが闘う場になっていくのじゃないだろうか。これは、本来の増員の趣旨である、先ほども少しあったのですけれども、労使のトラブルを少なくする、不当労働行為というものを早く解決するということからほど遠い専門家同士の争いになる可能性になっていくわけでございますが、その点について一体どういうようにお考えになるのか聞かせていただきたいというように思います。
○北川政府委員 私は、その日経連タイムスの記事を読んでおりませんので推測しかできないわけでございますが、私も中央労働委員会の事務局におりましての経験からしますと、恐らく日経連、あるいは、これは組合の場合も同じでございますけれども、かつて弁護士をやられた、あるいは法律的知識が非常にある方を、この際、増員しようというよりも、労働委員会でフルタイムで不当労働行為の参与ができるような人、そういうことを望んでおられるのではないかと思います。現に中労委にしましても公労委にしましても、たとえば組合側で言いますならば、組合の現役でなくて組合のOBの方で労働経験も豊富であり、かつ労使関係の機微を非常に存じておられる方、それが労働側の参与として参画される場合に事件のスムーズな解決に大変役立っておる。経営の側も、恐らく日経連が言っておりますのは、中労委のたとえば委員を名誉職のごとく考えて何とか会社の社長とか、あるいは専務取締役というような大変お忙しい方がおいでいただいても、なかなか不当労働行為に専心していただけない。むしろ労働側でいいます。そういう関係のOBみたいな方で、使用者側にも、それに対応するような人があればという趣旨ではないかと考えております。
○草川委員 これは同じように労働側の委員の推薦にも、いろいろとあると思うのですけれども、現在の場合は、どうしても総評、同盟、中立という形の三者構成というのが一般論になります。ときどき新産別の方なんかが中立系の方々と一体になって出られるという場合がありますけれども、ときには、たとえば一名増員というような場合になってまいりますと、これが総評側から出られるのか同盟から出られるのか中立側から出られるのかということで、各地域によっては実は大変な問題になることが多いわけですよ。労働側の推薦についても、日本の組織労働者というのは全くの純中立の方々もたくさんおみえになるわけであります。あるいは全く純中立の代表の方も、それぞれ識見豊かな方、あるいは本当に不当労働行為の問題等についても純中立的な立場から真剣な取り組みをなされる方も多いと思うのです。そういう意味では、委員の推薦についても従来の考え方を少し変えたらどうだろうか、私はこんなように思うのですが、その点についての考え方はどうでしょうか。
○北川政府委員 労働側委員につきまして、いま大変厳しい御指摘がございましたが、いま使用者側に申し上げたと同様に、労働側の委員の方が、たとえば任期の二年とか、あるいは極端な場合には、その任期の半分の一年で、たらい回し的に交代をするような事例を間々見受けるわけでございまして、そのことが労働組合の不当労働行為審査のためにも私は決していいことではないと思っております。したがいまして、いま草川先生御指摘のようなことにつきましては私も非常に共感を覚えるわけでございます。いずれにしましても労働側あるいは使用者側というのは労使それぞれの団体からの御推薦をいただくということで、こちらがいろいろ口をはさんで介入をいたす筋合いのものではないと思いますので、その辺のことは労使各側の良識ある御推薦を待って、不当労働行為にふさわしい方が労使それぞその委員に御就任されるよう私たちは心から期待をしておる、こう考えるわけでございます。
○草川委員 これは最後になりますけれども、いま私は七、八点、問題提起をしたわけでございますが、結論的には、労働省も従来の一つの実績というのですか、経過の延長だと思うのです。ですから私が先ほど言ったように、日本の労使関係というのは、かなり質的に変わってきて、安定をしておるところは安定してきた。しかし相変わらず憎しみ合わなければいけないところは、どんどんふえてくるのじゃないだろうか。だから、そういう苦情、トラブルというものが労働委員会に寄せられてくるわけでありますから、労働省も従来の惰性というのですか、考え方から一歩前に出て、そして早いアクションを起こして、そういう問題点を解決するように努力をしていただきたい。そうしないと、本来の、これからのあるべき労働行政は達成できないのではないだろうか、こう思うので、その点を要望して、私の時間が来ましたので、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○木野委員長 次に、大橋敏雄君。
○大橋委員 公共企業体関係の労働者の賃金決定が民間に準拠するという、いわば慣行的なものがあることから、現在行われているストに複雑微妙に関係していると私は思うのです。実は先ほどのニュース速報でございますが、私鉄スト収拾へ十一時三十分妥結交渉開始というニュースが入っているわけでございますが、私鉄の賃金問題が妥結すれば、当然それに連動して公労協の問題も、それにならっていく方向をたどると私は思うわけでございます。従来、政府は公労協に対しては、違法ストだからやめろ、やめろと圧力的な指示ばかりしているような気がしてならないのですが、そういうことではなくて、もっと労働者の立場に立って、温かい、そうして適切な手を打っていただきたい。まず、これを先に聞いておきたいと思います。
○北川政府委員 まず私鉄の争議につきましては私まだ的確な情報は得ておりませんけれども、昨夜来の断続的な労使の非公式交渉の中で、この昼ごろには正式の団体交渉を再開するというような方向に動きつつあるようでございます。表向きの団体交渉が開かれるということは、これも全く推測でございますけれども、ある程度、労使の意見の幅が狭まった。そういうことを私たちも期待をいたしておりますし、ぜひ私鉄労使が自主的に早期に解決をして、いまのこの交通ストの事態を一刻も早く回避できるように祈念をいたしておるわけでございます。
 なお、先生御指摘のように、この私鉄の争議が解決いたしますれば、公労委におきます公共企業体等職員の賃金の紛争の一つの解決への促進剤となることは疑いのないところでございますので、いまのところ公労協系の組合は公労委の調停の事情聴取に応じないというような事態でございますけれども、今後は早急に公労委の事情聴取に応じていただいて、公労委の迅速かつ公正な調停の決定によりまして、事態を平和裏に解決していただくように、私たちも労働大臣が先頭に立って、それなりの側面的な環境づくりをいたしたいと考えます。
○大橋委員 この速報の中に、力徳委員長は、この交渉が終了したときが妥結の時期で、改めて労使交渉の場は設けないと、決着まで交渉を継続する決意を明らかにした。私鉄労使交渉は最終の山場で力徳委員長が乗り出してきたことにより、午前中のストは打ち抜かれるものの、ラッシュ時までには中止される見通しとなった、こういうニュースが入っております。こういう事態になってきておりますので、労働大臣も一段と公労協の問題に対処してもらいたいということを強く要望しておきます。もう時間がございませんので、これは後でまとめて答弁してもらいたい。
 実は、きょうは法改正の問題点を質問したかったわけでございますが、今回の労働委員会の定数増加に伴う法律改正につきまして、われわれは基本的には賛成でございますが、人数を多少ふやしただけで、いま公労委が抱えておる多くの問題が解決されるとは思いません。したがいまして、実は現場の声といいますか、大阪地労委事務局の森本弥之介という方が「労働法学会誌」ナンバー49に「労働委員会における不当労働行為事件審査の運用から見た問題点」として、かなり長文の論文を出していらっしゃいます。私は、非常に貴重な意見だと思いまして、これを参考にしながら、幾つか質問し、労働省の見解をただしたいと思ったわけでございますが、時間が非常に限られておりますので、きょうは、とりあえず私が質問したいと思った内容を項目別に挙げておきまして、質問は留保して、後日の委員会に譲りたいと思います。聞いておっていただきたいと思います。
 まず第一に、現在の労働委員会の運営状態は、制度本来の趣旨とはほど遠い状態にある。この際、理念的原点に戻って根本的改革を断行すべきだと思う。これが大臣にお尋ねしたかった第一の問題であります。
 次に、地労委の事件数というものが各地労委によって著しい格差があるわけでございます。特に事件数の多い東京、大阪等は、今回の委員の増員だけで対処し得るのかどうかという問題です。
 三番目に、不当労働行為事件の発生を防止するには、何よりも事前の啓蒙、指導が重要である。そのために労政事務所は積極的な役割りを果たすべきだと思うが、どうかという問題であったわけです。これはもう法律改正の事前の問題なんですね。
 四番目には、公益委員のあり方によって労働委員会の活動は決定的な影響を受けるが、現在の公益委員の中には、使用者の立場にあるような人、県の幹部からの天下りの人などもいるようであるし、任命に当たっては労働問題の専門家が入るように配慮すべきではないか。これは、先ほど言った論文の中に詳しく出ておりましたので、これを質問したかったわけでございます。
 五番目には、委員の出局日数の実態はどうかということです。常勤並みになっているのではないか、このような状態に対して労働省はどう考えているかということです。
 六つ目に、再審査の申し立てがなされた場合、初審命令の履行確保の実がほとんど上がっていません。中労委の履行勧告制度も十分効果が上がっていないわけでございます。もっと実効が上がるような方法を検討すべきだと思うけれどもどうかということです。
 七番目に、労委規則四十条第五項によれば、審問の継続、集中の原則が定められておりますけれども、これが守られておりません。審問は長期にわたって行われております。審査期日の原則を労働委員会規則に明記して、迅速に処理していくようにすべきだと思うがどうかということでございます。
 それから第八番目には、労使関係法研究会で不当労働行為事件の審査促進の問題を研究するとのことでございますが、どのような点について論議がなされているのか。
 それから九番目に、今回委員を増員する地労委は、法律以外のもので、どこを考えているかということです。この法律の提案理由の説明を読んでまいりますと、中央労働委員会そして東京、大阪は明記してありますけれども、その他は政令で定めるとあるわけでございますが、まずこの点どこが予想されているのか、地労委の中で増員を政令で決めるところはどこかということですね。
 それで、先ほど言いました、労政局長の答弁になると思いますけれども、事前の申し立てを起こす前にもっと打つべき手はあるはずだ、こういう観点からの質問に対して、まず答弁を願いたいと思います。
○北川政府委員 まず、東京、大阪以外に、政令で九名の地労委を決めることができますけれども、当面この法律が公布され、施行されました段階では、事件数その他を勘案いたしまして、北海道と福岡を各側九名の労働委員会として政令指定をいたしたい、こう考えております。
 それから、労働委員会にかかります前に、不当労働行為が起こらないように労政事務所等を通じまして使用者側に啓蒙、労働教育、そういうことを積極的にやるべきではないかという点につきましては、全く私たちも同感でございまして、かつて不当労働行為防止に関しまして、昭和四十六年でございますが局長通達、さらには四十八年には法規課長通達を出しておりますし、各県の労政職員、労政課長等の会議におきまして、不当労働行為の防止、あるいはそういうことの回避、それについての使用者教育を十分に行うように徹底をいたしておるところでございますけれども、なお、御質問の趣旨を体しまして今後、労政事務所におきまして、そのような指導が十分行われるように配慮いたしてまいりたいと考えます。
○大橋委員 では最後に、先ほど申し上げましたように、参議院の審議の中でも答弁がなされていると思うのですが、労使関係法研究会で、この一年くらいをめどに、いま労働委員会で抱えている諸問題を整理して結論を出したい、こういうことのようでございますが、どのような点について論議がなされているのか、これを答えていただきたいことと、最後に労働大臣に、冒頭に申し上げたことを答弁していただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○北川政府委員 四月の十五日に労使関係法研究会が再発足をいたしまして、その際に私の方からお願いをいたしました研究課題としましては、不当労働行為事件の審査促進に関する諸問題ということで、検討項目としまして、事務局案としましては、不当労働行為の実情と問題点、不当労働行為事件審査促進に関する諸見解、諸外国における不当労働行為制度、さらに不当労働行為事件審査促進のための方策としまして、審査手続の改善、審査体制の拡充、それから行政訴訟の改善、それと命令履行確保制度の改善、それから、あわせて組合の資格審査制度の是非等をも含めて、御検討をいただくようにお願いをしておる次第でございます。
○藤井国務大臣 労働委員会が発足いたしました当時と、日本の経済社会の実態というのが変わってきておるわけでございますから、御指摘のように時代に対応できる、そして、この労働委員会本来の使命に十分機能が発揮できるように、まさに原点に返って見直す、そういう意味において、先ほど局長から御答弁をいたしましたように、労使関係法研究会において、大体一年を目安に先日、私からお願いをいたしました。そして御趣旨のような点を踏まえて、ひとつ成果を得て、また御相談をいたしたい、このように考えております。
○大橋委員 時間が来ましたので、あとの質問は後の委員会に譲りたいと思います。
○木野委員長 次に、浦井洋君。
○浦井委員 労働組合法の一部改正案に関連をいたしまして、主として公労協のスト問題について、まず最初に大臣に二点ほど意見を聞いておきたいと思うわけです。
 先ほどからのやりとりを聞いておりますと大臣は、日本の経済情勢は、高度成長の時代は終わったんだ。減速経済なんだ、低成長の時代なんだ。そこへもってきて不況が深刻なんだから、民間の回答状況なども見ながら、われわれとしては三・八%の回答をしたんだ。これは誠意を持ってやったんだ。だから公労協の諸君も誠意を持って調停の場に臨んでほしい、ルールを守ってほしい。こういうようなことを言われておるようでありますが、しかし大臣も御承知のように、福田内閣の不況克服の経済政策というのは、もう後手後手を踏んでおります。だから、いまの世論の中では、むしろ不況であるからこそ、一つは生活基盤優先の公共投資を積極的にやれ。あるいは、そういうときだからこそ社会保障、社会福祉を充実させよということとともに、勤労者の大幅なベースアップを、この際やらなければならぬという意見が、学者あるいは国民の中から、いま大きな世論になって、かなりのコンセンサスを得てきておるわけなんです。こういうことをやってこそ、国民の購買力が向上するし、特にいま闘われておる春闘の場合、勤労者が大幅な賃金アップを獲得することによって、そういう大きな不況克服の手がかりになるというふうに私は考えておるわけであります。だから政府は、そういうような考え方に基づいて率先して今度の事態にも対処をすべきではないか。いたずらに民間のいわゆる支払い能力論というようなものにくみすることなく――これは、そういうことをやっておれば、結局は政府の方針としては誤っていくのではないか、このことを恐れておるわけなんで、第一点として、その点について大臣の御意見を聞いておきたい。
 それから、時間がないので引き続いて大臣に第二点をお尋ねいたしますけれども、そういう状態であるのに、先ほどからの議論を聞いておりますと、七・二%の予算を組んでおるのに三・八%の低額回答をやる。そして、それをてこにして調停の場に臨んでこいと、その場に引きずり込もうとしておる。こういう態度は、大臣が誠意のある態度だと言われることとうらはらに、私は誠意のない態度だと思うわけです。と同時に、私、先ほど申し上げたように経済政策として誤った方向だというふうに思うわけです。だから大臣としては、その当事者にいたずらに圧力をかけるのではなしに、当面、双方が自主交渉ができるような、そういう環境づくりのために労働大臣として努力すべきではないか。このことを二つ、まずお尋ねをしておきたい。
○藤井国務大臣 第一の点に、まずお答えをいたしますが、確かに浦井委員の御主張のような意見があることも私は承知いたしております。ただ、われわれ政府といたしましては、この厳しい経済環境のもとで、何よりも不況を脱出をしていく、そのためには思い切った財政政策をやって、公共事業を中心にした財政政策の運用によって不況から脱出していくという、こういったことによって雇用の確保と同時に、大切な物価の安定ということを環境整備として政府は全力を尽くす。労働大臣としても、そのようなことについて十分配慮していく。物価の安定、雇用の確保、こういったことを考慮いたして今日にまいっておるわけでございます。
 そのような考え方を前提として、賃金決定という問題は労使の自主的な交渉によって解決をつけてもらう。そして、この公労協関係の場合には、どうしても当事者間で解決がつかない場合には、公労委の調停、あっせんによって、この話し合いをつけてもらう。どうしてもいけない場合は仲裁裁定、これがルールではないか。これ以外に方法はないではないか。平和裏に問題を解決する場合には、これ以外に方法はない、こういう前提で取り組んでまいりまして、そうして、この十七日に有額回答を出してもらったわけでございます。この有額回答の中身について、余りにも低過ぎるではないか、余りにも低位ではないか、確かに、そういう御意見があることも私は承知いたしておりますけれども、そのことが低位であるならば、それを堂々と調停の場において述べてもらう、ルールに従って事情聴取に応じてもらう、これ以外に解決の方法はないではないか、こう私は考えるわけでございますから、その点はひとつ御理解をいただきたい。
 同時にまた、七・二%予算計上しておる。その中において余りにも低過ぎるということは誠意のない回答ではないか、これに対して労働大臣はどう思うか、こういうことでございます。
 これも私は先ほどから御回答申し上げておりますように、あの当時、民間の回答の推移ということを考えた時分に、私は民間準拠によって誠意のある、ぎりぎりの線をひとつ回答として出してもらいたいということを提起しておきました。一応の回答が出たわけでございまして、あの回答は、政府としては、あの時点において誠意のある回答であるというふうに理解いたしておるわけでございまして、ここまで来ましたきょう今日、一刻も早く戦争状態をやめてもらって、そうして、公労委の調停の場に上ってもらって、そしてストをやめてもらうということ、これを私は国民の名において、ぜひお願いしたい、このように考えるわけでございます。
○浦井委員 大臣、繰り返しませんけれども、やはり経済政策の方向が私は間違っておると思うわけであります。
 それから当面の問題としては、政府の側として、当事者によけいな圧力をかけずに、自主交渉ができるような場を、労働大臣として、その環境をつくっていくという方向で努力をすべきだということを主張しておきたいと思うわけです。
 そこで労働組合法の一部改正の問題に入るわけでありますけれども、五十一年度の不当労働行為事件の、中労委と東京、大阪の地労委の処理件数並びに処理日数について、ちょっと数字を教えていただきたいと思います。
○北川政府委員 まず五十一年の係属不当労働行為件数ですが、中労委が三百二件でございます。東京地方労働委員会が四百十六件、大阪地労委が三百十九件となっております。これに対しまして処理日数でございますが、これも平均でございますが、中労委の場合には六百三十七日、それから都労委の場合には六百十日、大阪地労委の場合は三百七十七日、以上でございます。
○浦井委員 処理日数の数字の提示があったわけでありますが、中労委にしても地労委にしても一年から二年近くかかっておる。不当労働行為があった、そこで労働組合の方がその申し立てをやる。ところが長い間、一年なり二年なり放置をされておるということは、これは当然救済の効果も少なくなるわけでありまして、やはり、これは是正しなければならぬと思うわけでありますけれども、一体こういうふうに事件処理が長期化するような特別な理由はどこにあるかということですね。また今回の改正のように、委員の増員をすることによって、どれだけ処理が促進をされるのか、この辺の見通しについて、お尋ねをしておきたいと思います。
○北川政府委員 事件の処理が非常に長期にわたっておる原因はいろいろあろうかと思いますが、その代表的なことを申し上げますと、やはり件数が非常にふえておる。そのために、なかなか公益委員として処理がし切れないという点が第一点かと思います。
 それから第二の原因としましては、事件の内容が大変複雑化してきておる。たとえば一つの企業の中に二つの組合が併存しておりまして、その差別待遇、昇進差別とか、あるいは、そういう待遇の差別について争いが多くて、これの立証が大変むずかしくなっておる。
 それから第三点としましては、審査の手続が、本来、行政的救済ということで簡易にということが制度の目的でございましたのが、民事訴訟的に大変複雑、手数のかかるものになっておるというようなこと、これは先ほど草川先生の御指摘にもございましたように、そのほかに代理人が参加をいたしますので、日程等の調整がなかなかつかずに、次の審査の日程を入れるのが一カ月とか二カ月も先になるというようなこともあろうかと思います。
 それからなお、これは見逃してはならないことば、処理日数が非常にかかることの原因の中に、和解による解決のための日数が多い。一件和解で落ちますと、その和解にかかるのに三年ないし四年かかっておるというようなものが落ちて、おのずと処理日数がふえるというような場合もございますが、このことは、和解によって解決することは、それ以上の紛争がない、最終的な解決であるという意味では、私たちは、ある程度時間がかかっても和解の意義は認めたいと考えておりますので、その点につきまして処理日数がふえることがあったとしても、その点を割り引いて考えるべきではないかと思います。
 なお、これに対する対応として、委員を今回の場合のようにふやしていただければ、どのくらい促進するかということにつきましては、これは制度の抜本的な改善を待たずして、委員の改善のみでは、やはりこれは遅々たるものであるということは私も否定ができない、こう考えております。
○浦井委員 きのう労働省の方のお話によれば頓服的な効果だ、委員の定数増はそういうことだということであったわけでありますが、この内容をもう少し細かく見ていきますと、先ほども労政局長言われたんですが、都労委の五十一年度の四百十六件、この不当労働行為事件を見てみますと、その内訳は、前年度繰り越し二百八十七件で新規の申し立てが百二十九件、こういうことになっているわけですね。そして一番分類して多いのは、やはり地公労関係六十四件であるわけでありますけれども、その残り三百五十二件のうちで、ずっと一覧をしてみると、かなり特定の企業に集中をしておるように思えるわけであります。
 たとえば日本航空十二件、学研十二件、芝信用金庫八件、北辰電機七件、日産自動車四件、慶応病院四件、石川島播磨四件というようなかっこうで、これは七つ挙げましたわけでありますが、大体、特定のこれで一五%か一六%に当るわけであります。特に先ほどもお話がありましたように、日本航空の場合には四十二年の五月に申し立てがあって、いまだに処理ができておらないというような状況であるわけなんです。局長は果して増員だけではというお話であったわけでありますけれども、どういう形で労働委員会の改善をすれば、こういうような長引いた案件の処理が早くなるのかどうか、一遍意見を聞いておきたいと思います。
○北川政府委員 いま先生御指摘のように、特定の事業所の労使関係に関連して不当労働行為が集中的に発生しておるという事案も見られます。したがいまして私たちは、まず不当労働行為事案が発生しないように、その予防、防止、そのための労働教育を、労使、特に使用者に重点を置いて徹底をする、こういうことが不当労働行為事案の制度そのものと取り組むよりも、まず第一に取り組むべきことであろうと思います。
 さらに、それでもかつ不当労働行為の絶滅を期することができませんので、出てきました場合に私たちとしましては、今回のような委員定数の増員のほかに、労働委員会でかねがねお願いをしておりますが、いままでの審査手続についての再検討あるいは運営のやり方についての改善等をお願いをいたしますとともに、やはり不当労働行為制度そのものについて、この際もう三十年もたちましたので御検討をいただいて、いまの時代に合ったような制度の見直しをやることが必要だ、こう考えておりまして、先ほど大橋先生の御質問にお答えしましたように、労使関係法研究会で、私たちが考えております問題点をほとんど網羅して挙げまして、でき得れば、この一年以内ぐらいの間に何らかの御示唆をいただくようにお願いをいたしておりますので、その結論がまとまり次第、われわれとして、これの成案を急ぎたい、こう考えております。
○浦井委員 この点について大臣にお伺いをしたいわけですが、こういうような特定企業に集中しておる問題、いま局長が言われたように労働委員会の機能の改善ということは必要でありますけれども、それだけでは解決ができない、もっと基礎的な問題、不当労働行為が頻発をしやすいというような点にメスを入れなければならぬというふうに私は思うわけなんですが、大臣として、これはもう労働行政全般にかかわる問題でありますので、そういうような特定の企業に対する指導をもっと強化すべきではないかと思うのですが、大臣どうですか。
○藤井国務大臣 これは私から申し上げるまでもないのですけれども、やはり労使関係というのは基本的には信頼関係というものが前提でなければならぬ。それがなかなか実際はむずかしいわけでございますけれども、特にまた不当労働行為の頻発しているというのは、関係法規に対する認識が十分でないという、こういう点もありますから、特に不当労働行為の頻発をしているような事業場に対しては、労働関係法規の周知徹底をひとつ図りたい、このように考えているわけでございまして、法律の改正も、もちろん先ほどお答えをいたしましたように準備を進めておりますけれども、幾ら法律ができても、それを知らないと、また過ちを繰り返すことになりますから、現在の法規は法規としての周知徹底を図る、こういったことに努めてまいりたい、こう思います。
○浦井委員 法規の周知徹底だけでは私は労働省としては物足らぬと思うわけでありまして、これはもう大体、札つきの企業というのは、おのずから専門家の方ではわかっておるわけでありますから、そこはひとつ、もっと強力な指導を私は労働大臣に要望しておきたいと思うわけです。
 それから、もう一つの問題は、これも先ほどから議論になっておることに関連をするわけでありますけれども、不利益な取り扱い事案の大半は、そのもとは、やはり労働基準法に関連をしたような問題であるわけです。一つ例を申しあげてみますと、先日の当委員会で革新共同の田中美智子議員が質問をしたわけでありますけれども、先ほども多発企業の一つに挙げております北辰電機、ここで最近、労災職業病に認定されておる人を首を切る、基準法十九条の違反であります。そういうことで基準監督署が事前に指導をしたにもかかわらず、なお解雇を強行しておるというような事態があるわけであります。だから、これは先ほども言われておったように、会社が、企業の方が法に違反をしておるということを承知の上で、あえて解雇をして、それで労働委員会に持ちこむ。さらには裁判所にも持ちこむというようなかっこうになると、だれが何と言おうとも、これは長期にわたって労働者いじめをしておるということになるわけでありまして、だから私は、ひとつ大臣と局長に最後にお尋ねをしたいのでありますけれども、こういうような労働者に不利益になるような不当なやり方を起こさせないような、そういう指導を強く要望したいと思うのですが、どうですか。
○北川政府委員 北辰電機の事案につきましては、労働基準局の方で基準法十九条違反の疑いが強いということで強い指導を現にやっておるようでございます。まだ、それ以外の例につきましても、法を正面から無視をして不当に労働者の利益を侵害するというようなおそれがあるときには、われわれとしましても十分なる行政指導をして、そういうことが防止できるように下部行政機関にも、その点の趣旨の徹底をいたし、労働者が、そういう不明な使用者のために不幸な事態に遭わないように最大限の努力をいたしたいと考えます。
○藤井国務大臣 局長のお答えしたとおりであります。
○浦井委員 時間が来たようでありますからやめますけれども、最後に、公益委員の方々が中労委あるいは東京、大阪などの地労委なんかでは特にひどい労働強化に陥っておられるというふうに私、聞くわけでありますけれども、その実情と、それに対する改善策を聞いておきたいと思います。
○北川政府委員 労働委員会の特に公益委員の先生方は、ほかに、たとえば大学教授だとか弁護士さんとか、そういう非常に多忙な職務を持ちながら、労働委員会に週二回、多いときには週に三回も御出勤いただいて、しかも内容が大変むずかしい事案を取り扱っていただいておるわけでありますから、その処遇改善については最大限の努力をいたしておるところであります。現状で申し上げますと、中労委の会長さんにつきましては日額一万九千六百円。普通の委員さん方につきましては一万七千七百円。東京の場合、例を挙げますと、会長の場合には月額二十六万円、公益委員月額二十三万円、労使委員は月額二十万円、こういう報酬を差し上げておるわけであります。しかし、職務の内容からいたしまして、このような報酬で十分とは決して考えておりませんので、私たちは、非常勤の国家公務員の最高限の処遇ということで従来の慣行をいたしておりますが、さらに、その改善につきましては十分大臣にもお願いをいたしまして、予算折衝上、成果が上がるように努力をいたしたいと思います。
○浦井委員 これで終わりますが、最後に大臣に、冒頭の要望を、もう一度繰り返しておきたいと思うのです。いまの公労協の人たちの生活実態から見て、私は、むしろささやか過ぎるぐらいの要求だと思うわけでありまして、労働大臣として、そういう人たちのために最大の努力をしていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
○木野委員長 次に、和田耕作君。
○和田(耕)委員 私は、この法案、労働委員会を増員して拡充するということについては賛成でありますので、質問を差し控えようと思っておりましたけれども、現在の公労協のストの事態に対しまして民社党の考え方を申し上げて、そして労働大臣のお答えをいただきたいと思いまして、五分間の時間をいただきまして御質問申し上げます。
 昨夜、民社党は東京、札幌、仙台、大阪、福岡、金沢と、全国各地で公労協の違法ストに対する強い抗議の集会を持ったのでございます。
 第一点は、違法のストを一月も前から公然と公表して、そして現に実行に移っているわけですけれども、こういう事態を政府は、現在の成田事件等に見られる重大な違法の事犯等に照らしまして、もっと重大な関心を持ってもらわなければならないということが一点です。
 第二点は、労働組合は、自分の主張を貫徹するために、労働者の生活を守るために、万やむを得ないときには、仮に違法であってもストライキをやらざるを得ないというのは、古今東西どこの国でもやっていることでありまして、もし、そういうことであれば、あえて私どもは反対はしないつもりでございます。しかし、現在の公労協の立場を考えますと、十分その力を持ち、十分自分の意思を発表し、そして、これを貫徹できるような力を持ち、機会を持っておるにもかかわらず、いまのような違法ストをするということについては、がまんならない。この問題をぜひとも公労協の諸君は深く反省をしてもらいたいと強く願っておるわけです。しかも、違法と知りながら、あえてやっておるわけですから、処分を恐れるということではないと思います。そういうことは男らしくないことだし、みみっちい。そういう態度はないと思っておりますけれども、違法の事実に対して、政府は厳重な処分をする必要があると考えておるわけです。
 この三点を特に、全国各地で国民大衆に向かって、委員長以下、私も出ましたが、訴えたわけなんです。こういうふうな主張に対して労働大臣はどういうふうにお考えになるのか、一言お答えいただきたいと思います。
○藤井国務大臣 時節柄、大変重大な問題に対して、きわめて筋の通った適切な御意見を承ったと承知いたしております。
 私は、この機会に申し上げますが、いま、お尋ねの公共企業体職員の職務の特殊性と公共性に立脚をして、ひとつこの際、法律で禁じられた違法なストライキはたちどころに中止してもらいたいと、再三要請をしたのでございます。ところが有額回答の金額が少な過ぎるということ、あるいはまた七・二%予算で一応計上してあるではないかということ、そういったことをたてまえに、あくまでも、われわれの要請にこたえていただけない。同時にまた、ここまで来て、やはり制度のたてまえ上、公労委があるわけですから、やはり公正な第三者機関である公労委において主張すべきものは主張してもらうということ、そして最終決着を平和裏に片づけてもらって、国民の足を奪うこともなく、不況の長続き、そして雇用の不安に悩んでいるこの現状を十二分に認識をして、私は、良識ある対応をしてもらいたいということで努力をしてまいりました。(「労働大臣も良識を持って対処しなきゃいかぬよ」と呼び、その他発言する者多し)高度成長から、われわれの経済社会はすっかり、さま変わりしておるというこの現状認識に立てば、おのずから共通の土俵があるはずだ、見つけてもらいたい、こういうふうに私は話したわけでございまして、私はこの際、いろいろ御意見が不規則発言で出ておりますから、もう一遍、念のために、きのう労働大臣談話で発表いたしました要点だけを、ちょっと中身をひとつ繰り返してお聞き取りを願いたいと思います。
  公共企業体等の職員は、その地位の特殊性と
 職務の公共性にかんがみ、法律により一切の争
 議行為が禁止され、その代りに公労委による調
 停・仲裁の制度が設けられており、現に公労委
 において調停手続が進められているところであ
 る。このような段階において法の定めるルール
 を無視して調停に応ぜず、あらかじめ一方的に
 定めたスケジュールのままに、再び違法なスト
 ライキを強行して自己の要求の貫徹を図ろうと
 することは、労働組合運動の本来のあり方を逸
 脱するもはなはだしいものである。
  予定されているような大規模かつ違法なスト
 ライキが行われることになれば、国民生活、国
 民経済に大きな混乱をひきおこすことは必至で
 あり、特に現下の厳しい経済及び雇用の情勢の
 下においては、国民世論を完全に無視した独善
 であるといわれてもやむを得ない。
  関係組合及び組合員諸君が良識をもって直ち
 に違法なストライキの計画を中止するよう重ね
 て強く要請するとともに厳重に警告する。厳重に警告するということは、そういう違法なストをしたら厳重に処分せざるを得ない。このようなことに対して、労働大臣は、労働者の福祉の向上と生活を守るという労働大臣としては、まことに遺憾きわまりない事態である、私は心では泣いておる、こういうことであります。
○和田(耕)委員 その御答弁は、私も賛成をいたします。必ず実行していただきたいと思います。
 終わります。
○木野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○木野委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 労働組合法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○木野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○木野委員長 この際、越智伊平君、森井忠良君、大橋敏雄君、和田耕作君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 その趣旨の説明を聴取いたします。越智伊平君。
○越智(伊)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。
    労働組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、最近の労働委員会における不当労働行為事件の増加、事案の内容の複雑化等にかんがみ、次の事項を実現するよう、なお一層努力すべきである。
 一 労働委員会の機能の十全な発揮を期するため、審査手続のあり方の検討、円滑な労使慣行の醸成等事件処理の促進について十分配慮すること。
 一 労働委員会委員の処遇の改善及び各労働委員会の管轄区域の実情に応じた事務局の整備、拡充に努めること。
 一 不当労働行為等事件数の減少を図るため、行政指導及び啓蒙に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○木野委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○木野委員長 起立総員。よって、本案については越智伊平君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。藤井労働大臣。
○藤井国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○木野委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○木野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十三分休憩
     ――――◇―――――