第084回国会 商工委員会 第6号
昭和五十三年三月一日(水曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 野呂 恭一君
   理事 中島源太郎君 理事 山崎  拓君
   理事 山下 徳夫君 理事 岡田 哲児君
   理事 渡辺 三郎君 理事 松本 忠助君
   理事 宮田 早苗君
      小川 平二君    藏内 修治君
      佐々木義武君    島村 宜伸君
      辻  英雄君    中西 啓介君
      西銘 順治君    橋口  隆君
      松永  光君    加藤 清二君
      上坂  昇君    渋沢 利久君
      清水  勇君    中村 重光君
      長田 武士君    玉城 栄一君
      西中  清君    安田 純治君
      大成 正雄君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      宮澤 喜一君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 妹尾  明君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 長谷川 古君
        経済企画庁調整
        局長      宮崎  勇君
        経済企画庁国民
        生活局長    井川  博君
        通商産業大臣官
        房長      宮本 四郎君
        通商産業大臣官
        房審議官    島田 春樹君
        通商産業大臣官
        房審議官    山口 和男君
        通商産業省立地
        公害局長    左近友三郎君
        通商産業省基礎
        産業局長    天谷 直弘君
        通商産業省機械
        情報産業局長  森山 信吾君
        資源エネルギー
        庁長官     橋本 利一君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       武田  康君
        資源エネルギー
        庁石油部長   古田 徳昌君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   宮本 二郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 服部 典徳君
        中小企業庁長官 岸田 文武君
 委員外の出席者
        農林省農林経済
        局国際部貿易関
        税課長     中島  達君
        水産庁漁政部沿
        岸漁業課長   鶴岡 俊彦君
        運輸省海運局監
        督課長     棚橋  泰君
        運輸省自動車局
        整備部車両課長 丹羽 一夫君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 白井晋太郎君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  安田 純治君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     安田 純治君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  清水  勇君     横路 孝弘君
  中村 重光君     藤田 高敏君
  長田 武士君     広沢 直樹君
  松本 忠助君     二見 伸明君
  大成 正雄君     大原 一三君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 高敏君     中村 重光君
  横路 孝弘君     清水  勇君
  広沢 直樹君     長田 武士君
  二見 伸明君     松本 忠助君
  大原 一三君     大成 正雄君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  武部  文君     井上 普方君
  中村 重光君     岡田 春夫君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     武部  文君
  岡田 春夫君     中村 重光君
三月一日
 辞任         補欠選任
  武部  文君     石橋 政嗣君
  中村 重光君     藤田 高敏君
  長田 武士君     貝沼 次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  石橋 政嗣君     武部  文君
  藤田 高敏君     中村 重光君
  貝沼 次郎君     長田 武士君
同日
 理事松本忠助君二月二十七日委員辞任につき、
 その補欠として松本忠助君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月二十一日
 量販店におけるしょうゆの廉売規制に関する請
 願(大村襄治君紹介)(第一三六二号)
 アルミニウム産業の再建等に関する請願(上坂
 昇君紹介)(第一三六三号)
 特許管理士法の制定に関する請願(中野寛成君
 紹介)(第一三九四号)
 流通法規緩和に関する請願(田中龍夫君紹介)
 (第一四二四号)
 同(服部安司君紹介)(第一四六二号)
 同(早川崇君紹介)(第一四六三号)
同月二十七日
 流通法規緩和に関する請願(小泉純一郎君紹
 介)(第一五二一号)
 同(片岡清一君紹介)(第一五五五号)
 同(北川石松君紹介)(第一六二一号)
 大型店の無制限進出規制に関する請願(只松祐
 治君紹介)(第一五九四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○野呂委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 理事松本忠助君去る二月二十七日の委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。つきましては、これよりその補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に松本忠助君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○野呂委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
○渋沢委員 通産大臣は、在庫調整の動向に触れてしばしば予算委員会等で見解を述べておられるわけですけれども、現在の生産水準が不況カルテルとか減産指導とか、非常に低い水準に抑えられている、こういう状態の中での在庫調整であるから、これをどう評価するか、どの程度に評価するかというのは別問題だ、現在の国全体の産業の操業率が非常に低い水準であるから、もう少し高い水準に上がっての在庫調整なら期待できるわけですけれども、現在はそこまで行っていませんというような、大変冷静な、厳しい在庫調整のとらえ方を表明されていると思うのであります。この際、改めてまず大臣の見解を伺いたいと思います。
○河本国務大臣 アウトラインは、いまお述べになったとおりのことを予算委員会等で何回か答弁をいたしました。
 もう少し具体的に申し上げますと、たとえば鉄鋼などは、不況カルテルこそ結成しておりませんけれども、四半期ごとのガイドラインを示しまして非常に低い水準に抑えておりまして、この一−三月などは年率に換算をいたしますと九千四百万トンという水準であります。一年三カ月前に比べますと二〇%以上も生産を落としておる、こういう生産水準でございます。なるほど在庫は、昨年の八百八十万トンからこの三月には六百八十万トンぐらいに二百万トンぐらい減ります。六百七、八十万トンといいますと大体適正在庫だと思いますが、何分にも一年三カ月前に比べて二割も生産を落としての在庫の調整でありますから、それだけで楽観することは早計ではないか。
 ほかの産業でも、やはり不況カルテルあるいはまた減産指導、こういうことによりまして生産が著しく低い水準に抑えられておる、そういうさなかでの在庫調整が進んでおる状態でございますので、必ずしも在庫調整が進んだということだけで楽観をするのはやや早計ではないか、もう少し生産全体の動きを見る必要があるのではないか、こういう趣旨のことを言ったわけであります。
○渋沢委員 そこのところをもう少し具体的に伺ってみたいと思うのですけれども、通産省が二十二日ですか明らかにいたしました昨年の鉱工業指数から見た五十二年度の主要産業及び中小企業の動向という資料によりますと、新聞の見出しになると在庫調整順調に進んでと、こういうことに相なるわけでありますけれども、多少細かく検討してみますと、むしろ大変厳しい内容を持っておるのではないだろうか。公共事業の影響を受けて、一部適正在庫と言われる水準の業種もあるわけですけれども、しかし、かなりの部分が、むしろ多くの部分が減産によって適正水準になっているというもの、いま大臣のおっしゃいましたような形、あるいは過剰在庫で一層減産を迫られている、あるいは減産をしても需要不振から適正在庫に回復のめどが立たない、こういうようなものに分かれているというふうに指摘をされているのですけれども、この辺の内容をできれば少し具体的に御報告を願いたいというふうに思うわけです。
○山口(和)政府委員 去る一月二十日時点で私どもで主要産業、中小企業等の動向調査を行いました結果によりますと、業種別の在庫調整の状況につきましては、先生御指摘のとおり、おおむね適正在庫の業種と、過剰在庫を依然抱えておる業種と、いろいろな業種に分かれております。
 適正在庫の業種と見られますものにつきまして、その原因として公共事業の効果がある程度あらわれておるというものは、たとえばセメントあるいは建設機械というようなものになろうと思われます。また、輸出が依然高水準に継続されております関係等もございまして適正在庫の状態にある業種としまして、乗用車、金属工作機械、フロート板ガラス、重電機、通信機械等がございます。さらに、内需の好調によりまして在庫が適正化しているものとしまして、クーラー、冷蔵庫等がございます。
 また、在庫はある程度適正でございますが、それは一方で生産の抑制を行いつつ適正化していっておるというようなものとしまして、鉄鋼平電炉関係、それから石油化学、石油精製等があるわけでございます。
 また、過剰在庫を抱えておりますものの中で徐々に適正在庫になりつつあるというように見込まれるものにつきましては、合成繊維のフィラメント、あるいは先ほど大臣からお話しございましたように鉄鋼の高炉関係、それから普通板ガラス、トラック等がございます。
 しかし、依然過剰在庫状態が続く可能性が強いと思われますものとしましては、アルミニウム、流毛糸の紡績、それから合成繊維の中のステープル等がございます。これらの業種は、いわゆる構造的不況業種と申しますか、構造的に需給関係、設備の著しい過剰状態にある業種と考えられるものでございます。
○渋沢委員 つまり、セメント、建設機械のようにいま公共事業の影響を受けて効果を上げているという一部のものを除いて、おおむねそれぞれ企業の減産努力で進められているそういう在庫調整、決して需要の動向によって動いているものではないという基調、こういう受けとめ方をしなければならないだろうというふうに思うわけです。
 さらにお尋ねをしておきたいと思いますのは、このデータを通して特に特徴的に指摘をしている分析をちょっとつまんで見ますと、たとえば「全般的な市況の低迷に加え、円高の影響等もあり企業収益は五十二年下期においては、引き続き、若干、低下するものと見込まれており、」「公共事業の効果は現在までのところ直接関連する業界にとどまっており、公定歩合の引下げも需給ギャップの大きい現状においては設備投資を喚起するにはいたらず、住宅金融公庫の貸付枠の拡大も民間資金分の落込みをカバーするにとどまると思われる。」価格、コストの動向は、「全体としては価格コストの関係は好転していない。」「雇用状勢は依然として」「好転する気配は見られない。」
 先般明らかになった通産省の資料をさらっと整理すると、こういう特徴づけになるというふうに思うわけです。こういう認識が外れているということではないと思うので、ちょっと念のために伺っておきますが、こういうことでよろしゅうございますか。
○山口(和)政府委員 おおむね仰せのとおりでございます。
○渋沢委員 大変手厳しい状況なわけです。
 さらに重要な点は、これからの動向について、「過去二年の経験にかんがみ、各企業とも慎重な態度であり、」これは、景気回復への期待、生産増加、ところが需要の伸び悩み、まさに意図せざる在庫の増加、こういう経験の中でどの企業も非常に慎重な態度で、在庫積み増しが行われるという場合にいたしましてもこれは非常に緩やかなものにとどまらざるを得ないだろう、こういう方向づけをしておるというふうに思うわけです。
 大臣、この在庫調整は相当におくれるというふうに見なければならない。いろいろな観測があるわけですけれども、三月、四月、年度が変わればその在庫調整は完了して上向く、浮くぞ浮くぞといういろいろな観測もあるわけですけれども、ひとつ通産大臣の見解を改めて伺いたいわけです。
○河本国務大臣 在庫調整につきましては、先般政府の方で統一見解を出しましてその見通しを発表いたしましたが、それによりますと、五十三年度の初めごろまでかかるであろう、こういうことであります。
 いまお述べになりましたことは、経済の現状は一進一退ではないか、こういう趣旨のことを具体的にお述べになったのだと思いますが、現状はそのとおりであります。しかしながら、私どもは、昨日も公共事業の五十三年度の促進につきまして閣議でも決定をいたしましたが、特にこの第一・四半期に公共事業の執行を集中いたしまして、そのことによって民間経済に刺激を与えていきたい、このように考えております。でありますから、五十三年度の前半は主として財政投資による経済の運営、後半は民間経済の回復に期待をする、そういう考え方で臨んでおるわけでございます。
○渋沢委員 しかし、七%達成という方向、景気回復への道筋については、大臣は必ずしも甘い判断をしておられないと思うわけでして、どの場所でしたか定かでありませんが、通産大臣は、夏ごろには景気対策の効果が実際にどうあらわれるか見当がつくので、その時点で追加的な需要喚起策も当然必要になってくるのではないだろうか、その辺まで見ないとなかなかわからぬというニュアンスでお考えを述べられておるように記憶をしているのであります。これは公共事業の促進、前倒し、いろいろ御工夫はおありでしょうけれども、その辺の見通しはなかなか立たない、こういうふうに大臣自身も実際は御判断なすっておられるのではないだろうか。夏ごろの時点に一定の見通しをつけるという、その根拠を改めて伺っておきたいと思うのです。
○河本国務大臣 いま申し上げましたように、上半期、特に第一・四半期、四月−六月に財政支出を集中的に行っていこう、公共投資を集中的に行っていこう、こういう考え方でありますので、第一・四半期が終わった段階で一体どの程度の効果が上がりつつあるのか、多分計画どおり行くであろうと私どもは考えておりますが、万一ということがございますので、その場合にはやはり適当な追加需要を喚起するような政策を臨機応変に打ち出していかなければならぬ、このように考えております。
○渋沢委員 日銀も夏ごろまではわからぬ、金融機関などは、もう年末までは浮かないというような言い方を資料として出しているところもありますし、民間の経済研究機関などでかなり代表的なところは、もっと冷ややかな見通しを明らかにしていることは大臣も御存じかと思うのですが、そうしますと、一部に私どもちらちら聞いておりました、一−三月期でこの在庫調整が終わって、四月、桜の花のつぼみのふくらむころには上向くというような甘い観測は、いま政府の中にはない。夏まで待とう、第一・四半期の状況を見てみないとわからぬ、その段階で次の手を考えましょう、こういうお考えだということでありますが、そういうことでしょうか。
○河本国務大臣 国際情勢の動き等も日本の経済に大きく影響をいたしますし、経済というものはなかなか計画どおりいかない場合もございます。そこで、やはり万一ということを当然考えておかなければなりません。万一の場合を想定をいたしまして、五十二年度は対策がややおくれましたので、五十三年度はそういうことのないように、やや早目に、万一の場合には必要な対策を考えていかなきゃいかぬ、こういう考え方でございます。
○渋沢委員 二十二日のある会合で通産大臣がいろいろ意見を述べられたことが新聞に報道されているわけですけれども、その際にも、いまお話のあったように、この四−六月の上半期の景気回復の動向が鈍ければ大胆な政策が必要だ、いまの経済運営には強い憂慮をしている旨の表明があったというのですが、いまおっしゃったような万一に備えるという厳しい感覚と受けとめ方が欠けているということが、このいわゆる強い憂慮を表明したと言われる部分ではなかろうかと推察をするわけです。そういう楽観的な見通しに対して、この状況を厳しく受けとめてまさに万一に備える、そしてこの時期にこういう動きをとらえて判断をしなきゃならないというような厳しい警告を明らかにしたという意味でのお話であったかどうか。いまの経済運営に強い憂慮を表明したというふうに伝えられておるのですが、それはそういう内容であったということでしょうか。
○河本国務大臣 私が話しました内容は、先ほど来御説明をしたとおりの内容であります。憂慮をしておるという言葉は使っておりませんが、私のいま話したような内容をどなたかがお聞きになって解説をされたのだと思います。私は、憂慮をしておるというそういう言葉は使っておりません。
○渋沢委員 そうですね。福田総理の経済運営に対して手厳しい批判、こういう解説がついて憂慮という表現につながっていくわけでありますが、解説はともかくとして、現状を大変憂慮されている通産大臣の心情はわかるような気がするのです。
 しかし、先ほど触れました民間の有力な経済研究団体では、在庫調整あるいは景気回復についてかなり手厳しい判断を出している。たとえば野村総合研究所、三菱総合研究所などでは、七−九月期まで在庫調整は終わらないで在庫投資はマイナスを続ける、生産も増産体制には転換できない、こういう調査結果、見通しを出している。民間のこれらの団体はおしなべてこういうかなり厳しい見方を出しているように思うのです。五十年の四−六月期からの回復というのは二カ年の短期で完全に頭打ちとなって、いま不況段階に移った、五十三年度は新しい下降局面を迎えた、こういう手厳しい言い方をしているわけであります。特に、政府は、在庫調整のおくれがこの不況の原因で、在庫調整が進めば景気回復疑いなし、こういう見方をしているけれども、これは景気循環の表面的な分析であって、なぜ在庫調整が進まないかという原因分析に欠ける、こういう指摘をいたしまして、この代表的な二研究所は、単なる在庫投資の循環によるというようなものではなくて、すでにわが国経済は山を過ぎたというような言い方、見方を出しておる。これは政府の分析と大変すれ違うといいますか、異なるところだと思うのですけれども、先ほど来お話しの大臣のお考えと照らして、大きな認識の違いをどうお受けとめになりましょうか。
○河本国務大臣 民間のいろんな経済見通し、大体平均いたしますと、五十三年度の経済成長四・五%前後に見ておるようであります。低いところは四%、高いところは五%を若干超えるというところの水準のようでありますが、その大半は、私は比較的早い段階で出された見通しではないかと思うのです。予算の数字が固まる前に出された数字ではないかと思います。なるほど一般会計だけの公共事業の規模をとりますと、四兆余りの五十二年度の予算が五兆数千億になったという程度でありますけれども、しかしながら、財政投融資、それから地方財政、全体を入れますと相当な規模になっております。二十五兆前後ぐらいになっておるのではないかと私は思います。でありますから、地方財政、財政投融資も含めたこの財政による景気浮揚というものは、相当大きなエネルギーを持っておると私は思うのです。民間の見通しがこういう点をどこまで考慮されておるのか、若干疑問な点もございます。
 それからもう一つは、とにかく政府が万難を排して七%成長を達成する、あらゆる政策手段を尽くすということを言っておるわけでありますが、民間の調査機関やそれから学者、評論家などの方々が、そういう政府の決意、そしてあらゆる政策手段を尽くすというその対応、こういうものは一つも評価されていないんじゃないかと私は思うのです。古いと言えば大変失礼でありますが、過去の数字をもとにして、いろいろ想定をされておるのではないかと思いますが、少し私は悲観的に過ぎると考えております。
 私は、七%成長を達成するということはさほど難事ではない、このように判断をしておりますが、むしろ問題は、経常収支を六十億ドルに持っていく問題の方がよほど工夫と努力が要るのではないか、六十億ドルの経常収支の目標もこれは工夫と努力を重ねれば必ず達成できると思いますが、むしろこの方が問題をはらんでおる、七%成長というものはさほどむずかしい課題であると私は思いません。
○渋沢委員 大変強気の解明があったわけで、それはそれで結構ですけれども、しかし、政府の言っておられるようなこととは違う流れも現実には出てきている。ですから、民間の研究団体と言わず、いろいろ心配が広がっているということもまた当然だと私は思うのです。
 いま大臣が言われましたこの経常収支についても、それを心配をしているとおっしゃったんだが、まさに御心配のとおりに、きのうの日銀の発表でも、新聞にけさも出ておりましたけれども、五年ぶりの黒字記録、黒字基調はもういささかの衰えも見せていない。一体この黒字累積の流れというものがいつ転換をするか、見通しが定かでないという思いを深くしていると思うのです。いまその六十億ドル黒字減らしも工夫と努力があればこれも可能だ、七%はもうたやすいことで、これはもう心配に及ばぬ、問題はその黒字減らし、貿易収支、しかしこれも工夫と努力じゃとおっしゃったが、けさのデータは、そう強気でおっしゃる政府の感覚とはちょっと違った方向でこのデータが出ているように思うのですけれども、さあ、では、どんな工夫と努力をされるお考えであるかを少し具体的にお教えをいただきたい。
○河本国務大臣 七%成長も、積極財政を組んだから、それではあとはほっておいても七%成長を達成するのかというと、私はそうは思えません。先ほど申し上げました一般会計、財政投融資、地方財政、全部を合わせましても、重複分を除けば国民経済全体の三割にも達しないという数字でありますから、少しぐらい財政を積極的に運営したからといって、それで経済の姿が計画どおり変わるかというと、そんな簡単なものではないと私は思います。やはり、こういう積極財政のほかに、金融政策とかあるいは産業政策、あるいは貿易政策、そういうすべての政策を景気浮揚のために集中するということがまず必要だと思います。
 それからもう一つは、先ほど来御指摘がございましたように、やはり景気の動向に即応いたしまして機敏にかつ大胆な対応策というものを打ち出していくということ、こういう政策運営が必要だと思います。そういう前提条件に立って七%成長というものの達成は可能である、こういうことを申し上げておるわけであります。
 それから、経常収支の問題でありますが、一般的に、景気がよくなりますと外国から物を買う力はだんだんと増加するわけでありますし、無理して外国へ物を売らなくてもよろしい、国内で物がさばける、こういうことになりますから、ある程度調整は進むわけでありますが、さて、そういう一般的な調整だけで経常収支が目標どおり達成されるかというと、これは私は、そうはいかない、そんな簡単なものではない、このように思います。だから、やはりそこには、たとえば製品輸入を拡大するためにいろんな工夫をするとか、たとえばあすアメリカに製品輸入拡大のための大型ミッションが出発をいたしますが、これなどの成果もある程度期待をいたしておりますし、さらにまた、資源エネルギーの備蓄とか、あるいはまた経済協力の拡大とか、やはりそこにはいろんな積極的な工夫が必要である、こういうことを申し上げたわけであります。
○渋沢委員 いろいろ言われますけれども、しかし、この七%成長へ向けても、政府がやろうとしているこの努力と工夫ということの中身に対して、どうも私ども十分理解ができない。
 幾つか尋ねていきたいと思うのですけれども、たとえば民間設備投資九・九%、これはこの前清水委員からも触れられた点だと思いますけれども、具体的にたとえばどの産業がどのように伸びていくのか。民間設備投資九・九%、これを少し具体的に示していただきたいですね。
○河本国務大臣 民間設備投資は、五十二年度から名目で九・九%伸びることに想定をしておりますが、金額にいたしますと二十五兆七千億前後を想定しておるわけであります。このうち製造業はまずごくわずかしか伸びないであろう。七兆弱、全体の二六、七%。それから非製造業、これは若干伸びるのではないか。それから個人と金融関係、これも少し伸びるのではないか。五十一年、五十二年の動向を見まして五十三年の伸びを想定をしておりますが、これは八兆弱、全体の設備投資の三〇%強の数字になっております。
 そこで、いまのお尋ねは、こんなに需給ギャップがあって生産が低い水準であるのに、製造業などで設備投資をするものがあるのか、こういう御質問でございますが、製造業の七兆弱の設備投資は、ほとんど全部昨年からの継続事業、それから省エネルギー投資、公害対策投資、こういうものが大部分でありまして、生産の増加につながる設備投資はきわめて少ない。自動車など若干の業種にはありますけれども、きわめて少ない。大部分はいま申し上げました内容になっております。
○渋沢委員 たとえば政府の資料などでも、電力業の設備投資と輸出に支えられて、重電機の生産、出荷とも順調に推移しているというような文章を拝見するわけですけれども、しかし、実際に重電機のたとえば海外受注の現況などは、そんなにいい状況になっておるのでしょうか。
○山口(和)政府委員 五十三年度の設備投資の見通しの中で、製造業につきましては非常に低い見通しになっておりますが、その中で特に電気機械関係につきましては約五千二百八十五億円を予定をいたしておりまして、五十二年度に比べますと一三・二%増という見通しになっております……(渋沢委員「質問は、重電機の輸出は伸びておるのか」と呼ぶ)ちょっとただいま手元に数字を持っておりませんので、後ほど御報告申し上げたいと存じます。
○渋沢委員 私のこの資料に間違いなければ、非常にいい、いいと言われるたとえば重電機なんかでも、つまり多いときは倍増、悪いときでも五割増というような好調な重電機でも、五十二年の十月は前年比三六%マイナス、十一月もかつてない低い数字が出ておるように思う。なかなかこの状況は浮かない状況の中にあるように思う。
 時間の関係もあって余り多くをただしませんけれども、一つだけ投資減税ということについての効果、これはぜひ伺っておきたいと思うわけで、これはほとんどその効果が期待されないのじゃないかという厳しい見方がある。減税は一年で、これで利益率を上げるという確かな見通しがない。先行き不安の中で単年度減税に刺激をされて設備投資をする、そういう意欲がわいてくるというようなことは考えられぬじゃないか。補助金でも出すというなら話は別ですけれども、世界的にも、投資減税で幾つかの国がやったという資料なんかを見たような気がいたしますけれども、投資減税で民間設備投資がふえたというような実績はないというふうに指摘をされておるように思うわけであります。対象も非常に限定をされておりますし、この点ではどういう効果を期待されておるのか、伺っておきたいと思う。
○山口(和)政府委員 投資促進税制につきましては、その対象設備を省エネルギー、公害防止関連設備等にいたしておるわけでございますが、これらはいずれも緊急に設置を促進すべき性格のものでございますし、また、この適用期間を一年間というように限定いたしておりますので、そういった点を考えますと、設備投資の面での効果が幾つか期待されると思われます。
 具体的には、たとえば歯どめの効果、これは、最近の続いております不況の局面で設備投資の実施時期を繰り延べるというような傾向が著しいわけでございますが、こういった繰り延べの点についてこの税制によりまして歯どめ効果が期待されるというような点が考えられます。
 また、従来の設備投資の低迷等で相当潜在的な投資需要というものが見込まれるわけでございますが、こういったものにつきまして、今度の税制措置がとられることによりまして前倒しの効果が期待されるというようなこと、また、採算性が向上していくということに伴う投資の効果というようなものも期待できるのではないかと思われます。
 それからまたもう一つは、この制度の導入によりまして、現在冷え切っております企業家心理への好影響というものが期待されるわけでございます。
 以上の効果によりまして、この制度の導入によって民間設備投資は約二千億円、国民総生産で約三千億円くらいの拡大が見込まれると考えております。
○渋沢委員 おっしゃるとおりにこの効果が上がれば大変結構なんですけれども、これはどうもそうはならないだろう。個人消費も伸びない、これも予算委員会あるいは商工委員会等を通して野党委員からひとしく指摘をされているところです。今度の予算で住宅についてかなり力を入れているわけだけれども、いま家を建てようという世代というのは三十代の後半から四十あるいは五十代にかけてという世代でしょうか。先の見通しが暗くて皆頭を抱えているこの層が、永大産業の倒産というこのニュースだけでも、とてもではないけれどもことしは住宅どころではあるまい。首の心配をしながら、減税もきわめて薄い、なきに等しい減税処置、あるいは春闘も手厳しい、こういうムードの中で、多少公庫の融資枠を広げるとしても、あの融資の制度自体が、もともと土地があり、金がある者がその力に応じて借りられるいうこの枠を、そんなに大きく出たものとは言えない矛盾があると思うのですが、そのことは別にいたしましても、多少の工夫をいたしましてもいま住宅を建てよう、こういう心理には走らないという見通しが常識ではないでしょうか。
 すべての期待を公共事業にかけるわけでありますが、実際に効果を上げているのは関連資材の値上がり、鋼材がトン当たり四千円くらい上がっておるのでしょうか。セメントも木材も上がる。鉄鋼業はこれでもう操業度を上げるとか設備の拡張をするとかいうことではなくて、生産調整を強めながら公共事業によって価格引き上げによる体質強化をやる、こういう基調じゃないでしょうか。ですから、公共事業はもちろん一定の効果を上げているという部分のあることは間違いありません。しかし、これが七%達成への決め手になるという根拠は非常に乏しいという感じを強くしているわけであります。
 こういう政府の対応の中で、私がぜひ伺っておきたいと思うのは、ことしは雇用の問題が大変重大な事態になるんじゃないだろうか。去年の状況と比べてことしもし特徴的な点があるとすれば、一つは雇用の問題、一つはやはりインフレの懸念に大きく道を開く、ことしどうということじゃありませんけれども、これは緩まれば同時にそれはインフレの始動、こういう危険な荷物をしようということだろうと思うのです。企業が減量経営で輸出が伸びない、内需の減った分を輸出でカバーすることがしにくいということになれば、結局採算のとれる体制をつくるために金利負担を軽くするという処置だけではなしに、雇用調整、人減らし、こういう方向に向かわざるを得ない、こういう体質があると思うのです。
 通産大臣、ことしは非常に雇用の問題がある、これは、予算委員会で経企庁長官も、七%達成すれば完全失業者は五万減るというようなお話をいろいろされておったようでありますけれども、要するに、ことしはこの失業問題については七%達成をしても変わりはないということを言っておられるに近いと思うわけです。私は、七%達成も非常にむずかしいと思っている一人ではありますけれども、ことしの雇用の問題というのは大変深刻に受けとめているわけなんです。
 そこで、このことについての通産大臣のお考えを伺いたい、資料も示していただきたいと思いますのは、今度提案されました特定不況産業安定臨時措置法、これは改めて議論されるところでありますけれども、こういう過剰設備の廃棄、休止、格納というような処置方針が進められることによって、関連下請中小企業労働者層へのスクラップ化、設備だけが廃棄されるということにはならぬわけでありましょうから、これはどういう量でお見通しをとらえておるのか、推定されておるのか、伺いたいと思います。
○河本国務大臣 いわゆる構造不況業種と称せられる幾つかの業種がございますが、そこで現在どれだけの数の人たちが働いておるか、その数字はございます。それから、ここ二、三年の間に不況業種でどの程度人員整理がもうすでに進んでおるか、この数、字もあります。
 ただ、それじゃ今後どれだけ減るかというお尋ねでございますが、これは各業種とも、最終的に設備をどの程度廃棄するのかということについての最終判断ができておりません。法律が通る前後には多分できるのではないかと思いますが、いま最終のそれぞれ固めに入っておるところではないかと思います。でありますから、現時点でどの程度新規に離職者が発生するかということは言えません。しかしながら、設備を相当廃棄すれば、幾らこれまで雇用調整が進んでおりましても、若干の離職者は出るのではないかと当然考えられますし、それからまた、下請中小企業にも雇用面でも若干の影響が出てくるであろう、このように想像されます。
 そこで、今度の構造不況業種に対する緊急対策の中で一番大事なことは、設備の共同廃棄、それに伴う離職者は一体どの程度出るのか、それに対する対応策はどうか、こういうことでございまして、国も県も企業もこれに対して万全の対策を考えていくということになっております。
○渋沢委員 若干と言われたけれども、実際は廃棄をすれば首切りが出るのは常識です。しかもそれに対しては十分な手厚い手だてを考えていると言うけれども、法律には具体的に何の歯どめも明らかになっておらない。労働大臣と協議をすると言ったって、何を協議するのですか。協議してまた何ができるのですか。これらのことは改めて法案の審議の際にお尋ねをしなければならぬことでしょうけれども、何もできない。やった形をとるだけでしょう。去年つくった離職者対策法、あれがりっぱにある、こういうことでしょう。
 あの法律にいたしましても、結局は失業手当の給付期間を延ばしたりあるいは業種転換、職業転換に必要な職業訓練の手当を少し補助をふやすというようなことでありまして、手当が切れたりあるいは訓練が終わってから、転換までは決まったけれども転換先の器がないわけですから、こんなものの手当ではどうにもならないということはもう自明の理です。ですから、そういう意味でも、いまの大臣の御答弁を聞いておるだけでも、これはやはり大変だなと思うのです。
 過剰設備の廃棄処理ということにだけ頭がいっておりまして、そして法律の内容も政府の姿勢も、そこの処理を円滑にやるための債務保証、これに国の金を使うことには大変十分な配慮を届かせるけれども、関連下請零細企業や労働者の転換先の器については何の政策も方針もお持ちでない。構造不況業種の労働者の数もわかっています。減っている数もわかっています。こうおっしゃるわけなんですけれども、改めて言うまでもないけれども、三十年代、例の石炭の山をつぶしたときの二十万の離職者は高度成長の波のまにまに吸収された、そういう部分があった、あれがなかったらこれは大変なことだと思うのです。
 いまはもう改めて申し上げるまでもない非常に厳しい状況の中で、しかも大変な失業者の数値が出ております中に、さらに過剰設備の廃棄、こういう政府の政策によって大量の失業者群が吐き出されていく、こういう状況にあるというふうに思うのです。時間がありませんからはしょりますけれども、その内容も、労働省などが出している最近の数字で見ましても、離職者中の高齢者比率というのが、たとえば四十年から五年後には倍になっていますけれども、十年後には三倍になっているというような状態で、離職者の中身も大変厳しい内容になっておりますね。
 結局、いま通産大臣にぜひお尋ねをしたいと思いますのは、政策としてこういう失業者を大きく吸収していくような産業というもの、そういう戦略ですよ。そういうものはない。実はそこにいま非常に大きな問題があるのじゃないか。ことしは雇用の問題が社会問題化せざるを得ないだろうというような言い方になりますのも、そこの部分なんです。離職者対策法はあるけれども、本当の意味で新たに吸収していくための器がない、それをつくろうともしていないというところが一番問題なんではないでしょうか。いかがでしょうか。
○河本国務大臣 ことし七%というやや高目の経済成長を目標にいたしておりますのは、国内的には雇用問題を何とか少しでもよくしたい、こういう考え方が一つと、それから国際的には国際収支をある程度改善をしていきたい、この二つの目標のために高目の経済成長をするわけでありまして、国内的には雇用問題が一番大事である、こういう理解でございます。
 そこで、それじゃ一体もう少し具体的にはどういうことかといいますと、やはり七%成長、高目の成長を達成しますと景気がよくなるわけでありまして、操業率も高まる、当然それだけ雇用がふえます。一般的にはそういうことが言えると思います。ただしかし、経済企画庁などでいろいろ試算をしておられますが、それじゃどの程度ふえるかといいますと、ふえる数字にもおのずから限度がございます。そのために、昨年十月からは雇用安定のための新しい制度、それからまた、十二月にはさらにそれを一歩進めた雇用対策の立法、こういうもので受けざらもある程度進められておるわけであります。だから、全体として雇用の機会をふやし、また、万やむを得ない人たちに対しては受けざらを強化することによって協力していこう、こういう二段構えの考え方でございまして、七%成長を達成いたしましてもすべての問題が解決する、そういうことでは決してございません。
○渋沢委員 しかし、受けざらの点でいえば、七%成長を達成すればようなるということにかけたお答えで、大変不満足ですけれども、時間がないので先へ行きます。
 経企庁の長官がお見えでありますので、一つだけ伺っておきたいのですが、世界的な景気後退期ということが言えるのじゃないだろうか、たとえばアメリカの貿易収支は去年に比べてことしがいいというような状況があるだろうか、悪いという見通しはあってもいいということにはなるまい。西ドイツやイタリアなんかも去年よりはずっと低い、こういうことになるのじゃないのか。ことしはやはり世界的に非常に冷えている、アメリカはどうか、長官の見通しを伺いたいのです。
○宮澤国務大臣 自分の国のこともなかなかわかりませんので、外国のことはより不確かでございますけれども、一般に聞いておりますところでは、アメリカの景気は一九七七年にまずまずよかったわけでございます。そこで七八年も、昨年ほどではないにしても、まず八年いっぱいは大丈夫ではないかというふうに一般に言われておるように承知しております。むしろ九年あたりはどうであろうかという議論はあるようでございますけれども、八年は大丈夫であろうというふうに多くの人が考えておるようでございます。アメリカの経常収支、貿易収支でございますけれども、昨年より幾らかよくなるかもしれないという程度で、やはりかなり大きな赤字があるということでありましょうと思います。昨年より悪くなるというふうには多くの人は考えていないように存じます。
 あと西ドイツでございますが、西ドイツは、御承知のように、いわゆる成長政策といいますかリフレートするということは拒否をしておりますので、昨年に比べて多少ぐらい成長度が高い、その程度ではなかろうかと存じております。
 イタリアは、国際収支がよくなってまいりましたので、動き得る余地は少しあるわけでございますけれども、政情不安というものがどういうことになりますか、その点は実はフランスも同じようなことが申せると存じます。
 かなりよくなってまいりましたのはイギリスの経済であろうと思いますけれども、全体のウエートはそう大きくございません。
 全体を大体そのように見ております。
○渋沢委員 しかし、決していい状態に向いているということではないと思うのです。
 そして、雇用の問題に返りますけれども、とにかく世界的にもよくない、心配が残っている。日本は、もちろん長期的に資源を外国に依存する。台湾、韓国などの追い上げで競合する事業については、これからもなかなかむずかしさが加わる。現に政府がこの法律案を出そうとしているように、高度成長を見込んだ過剰設備を抱えて頭を抱えておる、いろいろ悪い条件が重なっている、こういう成長の低いときに、具体的に吸収力を持たない政府のこの雇用政策あるいは七%成長につきましても、これは意見の違いになるかもしれませんけれども、設備投資にしても個人消費にしても、公共事業の民間投資への波及効果という認識においても心配が重なっているという状況の中で、残念ながら、ことしは雇用の問題が非常に大きくクローズアップされざるを得ないだろうと思うわけであります。
 こういう状況の中で私どもが心配をいたしますことは、これはこの委員会での審議の事項でもありますまいから指摘にとどめますけれども、すでに財界の一部では、こういう状況を見越してかどうか知りませんけれども、この種の労使問題、労働運動それ自体を治安対策の側面で見るという、この治安対策の強化という発想がそろそろ出かかっておるということも、やはりもしそういうものが芽が出てくるということであると、これは大変憂慮にたえないと思うわけであります。
 さらにいま一つ、こういうときに起こり得る危険な発想というのは、この不況克服のために防衛産業を本格的なものに軌道に乗せていく、こういう構想が強くなってくるということなんです。現に商工会議所の総会などでもこれがかなり積極的な形で打ち出されておる。永野会頭ですか、かなり強気の発言もされておる。新聞等で報道されているところでありますけれども、通産大臣、こういう傾向についてどうお考えになりますか。
○河本国務大臣 労働問題に関連して治安云々ということは、これは私は承知しませんので、コメントすることはできませんが、産業界の一部で防衛産業の強化とかあるいは一部の武器に準じたものを輸出する、こういう希望がごく一部の人たちの間で述べられたそうでありますが、それは私は、本当に公の議論としてそれが行われておるのかどうか、通産省にはまだ何らの連絡もございませんし、意思の表示もございませんから、私からそれに対して現時点では申し上げることはございません。
○渋沢委員 軽くかわした答弁でありますけれども、時間がありませんので、結論的に幾つかの点をお尋ねしたいと思うわけです。
 この一月の日米通商交渉で決められたこの共同声明、改めて言うまでもありませんけれども、この性格というのは、七%成長あるいはそのままの表現で参りますればドル減らしについての具体的な約束ごとが出ている。「一九七九年度以降においても均衡化を目ざして日本の経常収支黒字の一層の縮小をはかるためすべての合理的な努力が継続されるであろう」。来年のことまで含めて七%達成、それから黒字減らしについては来年の日本経済の運営にまでかかわっている。これはまさにアメリカの日本経済への介入に道を開いた歴史の始まりだと思うのです。これは約束ではないとかいろいろ総理も予算委員会で言いわけをしておりましたけれども、どういう言い方をされましょうとも、これは去年の五月のロンドン会議での取り決めというようなものとは程度が違う。この一月の共同声明はまさにその内容を協定化したものだ。事実上どういう言い方をしようと、内容としては両国の協定化にまで内容を高めたものになっている、こう言わざるを得ないと思うわけです。
 これは日米安保条約の二条で言うところの経済協力、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」まさに安保の基調にのっとって日米間の協定を結んだという性質のものだという意味で、私は非常に注意をせざるを得ないと思っているわけでありますけれども、しかし、このことは言いかえると、七%達成あるいは黒字減らしの国際公約に背反する事態が出てきたときには、一層日米間の経済上の大きな危機を招く、こういう側面を持っていることは、これは言うまでもありません。
 そういう内容のものだという私の受けとめ方について、これはひとつ大臣の御意見を伺っておきたい。
○宮澤国務大臣 わが国もアメリカも、いまや自由世界の経済運営について重い責任を負わざるを得ない、それだけの国になっておりますことは否定ができないところでございます。そういう意味で、もとより両国は友好関係にございますこともその土台にございますけれども、両国が世界経済に対する責任をお互いにどのように遂行するかという観点からこの日米間の協議が行われたわけでございまして、これがアメリカの日本の経済運営に対する介入であるというふうには、私どももとより考えておりません。
 ただいま御指摘の項では、わが国としては、これだけの経常収支の余剰がございますことはいかにも大き過ぎるということは、わが国自身が考えておることでございますが、さりとて、それを一年で全部減らしてしまうというようなわけにまいらないことももとよりでございますから、七八年以降もそれを小さくしていく努力をするということを申しておるわけであります。それに対しまして、米国としても、いかにも石油の輸入が大きい、先ほどもお話がございました経常収支の赤字も大きいということでございますから、エネルギー法案の成立等々できるだけ自分の方も急ぐということを、米国側の努力として申しておるわけでございます。
○渋沢委員 これは申し上げたとおり、この国際公約が果たされなかった場合には、この日米間の危機的な状況というものは火を噴くというふうに見ざるを得ない。
 同時に、国内でも、今回の予算の審議に見られますように、政府・自民党の姿勢は、この予算が最良のものである、みだりに手直しを許さざるものであるということで、これだけむずかしいときだから、各方面の知恵を結集して、立場にとらわれずメンツにこだわらずに不況打開のために知恵と力を結集するということではなしに、自分たちのつくったものについてはこれは最良のものである、野党が一致した要求に対してもなかなか受け入れようとしないという形で、ともかく微修正の上でこの予算の審議の結論が近づこうとしていると思うのですが、いわばこういう状況の中で、しかも七%達成の面でこれだけ議論があるという中で、先ほどの話に返りますが、五十三年度の第一・四半期の経済動向を見て何か大胆な政策を追加的に考えなければならない、それはその段階で判断をするという最初の政府見解、これに返るわけですけれども、それはそんななまやさしい問題ではないだろうと思うのであります。
 その段階ではまさに経済の福田内閣の景気政策の破綻が厳しく問われる。この五十三年度予算にこれだけの大きな国の借金を、あれこれ地方公共企業体を含めて百兆に近いような借金をしょい込んで、そしてこれだけ議論のある予算を通して、そうしてまたたく間にこれでは七%の見通しが立ちません、黒字減らしもなりません、手直しでございますというような話は簡単に通る話ではないと、これは政府ももちろんお考えであろうと思うわけであります。経済の福田と言われる内閣の経済施策に改めて大きな不信と批判がぶつけられなければならない、そういう時点だろう、夏まで待とう、まさにこの時点はそういうことではないだろうかというふうに思うわけであります。まさにそのときには政治責任が問われる、こういうふうに私は受けとめざるを得ない、通産大臣、どうでしょう。
○河本国務大臣 もう一回繰り返して申し上げますが、私どもは、当初に申し上げました計画どおり経済運営ができるものと期待をいたしております。しかしながら、国際情勢の変化ということもあり、予想せざる事態の発生も考えられます。そういう万一の事態にはやはり追加的な政策を考えることによって所期の目的を達成していこうということでありますから、これは一向差し支えないことであって、当然やらなければならぬことだと思います。国際情勢が変化したのに何も手を打たない、世の中が若干変わったのに何も手を打たない、そういうことはよくないことでありますから、万一の場合には何らかの対策を考えなければならぬ、こういうことを言っておるわけであります。
○渋沢委員 国際情勢にかまけてその政府の政治責任を転嫁するような姿勢は、その段階では国会も国民も許さないだろうと思うのでありますが、時間もありませんので、最後に一言、問題を変えまして一点だけ、大規模店舗法に関係する小売問題についてだけ伺って、私の質問を終わりたいというふうに思います。
 小売商業というのは、改めて言うまでもありませんけれども、その事業所百六十万、就業者五百六十万、これは大変国民経済の上で大きな比重を占めておる。しかも規模は零細で、経営基盤はきわめて弱い。小規模、小資本で起こせる仕事ですから、新規参入がきわめて高くて競争が激しい。特に最近のこの経済状況の中で非常に追い込まれておるわけであります。こういう中へ大資本の大店舗が手を出し足を出すということですから、大変な追い込まれ方になっているわけでありまして、それでなくても厳しいという状況の中でありますだけに、これは国の力で、法律の力でこの中小零細小売商の保護助成政策がとられて、昨年は関係する法案の改定が分野法の成立などとともに行われたわけであります。しかし、いまだにこの大店舗の進出と中小小売商業グループとの対立紛争が多くなっても少なくならない。
 これは質問というよりは、申し上げますが、大店舗の数というのは、昭和四十九年三月現在、大きなデパートを含めて千七百店舗あった、明治以来。それ以後現在まで四年間に届けのあったものが千二百店舗というのですから、明治以来四年前まで千七百店舗があって、この四年間に千二百店舗の届け出があるというのですから、いかに激しい切り込みが行われておるかということになるだろうと思うわけであります。
 この紛争の内容を見ておりますと、いまの大店舗法、商調法等において規制をいたしました規制面積を下回ったところでの争いがもう起きておる。逆に言うと、いまの法律で定めた基準面積自体が、甘過ぎるといいましょうか高過ぎるというのでしょうか、実情に合わないというようなことが言えるのではないか。もっと低いところで実際に小企業を守るという施策がないと、せっかくの法律が役に立たないということになっておるのではないだろうか。東京都とか横浜とか幾つかの自治体では、その辺を条例でカバーをして指導調整をやっておるのですけれども、これは条例の限界を出ることができないということであります。
 千五百平米という規定があれば千四百九十でつくるというような、規制を外すというようなことも多いようでありますけれども、そういうことを含めて、法の弱点に挑戦をしているという趨勢の中で、先般小売問題懇談会の報告等も出された機会に、これらの法律の一部改正を積極的に進めるべきだというふうに思うわけです。その中で、端的に申し上げて、近代化へ向けての自主的な小売商の努力、その努力の芽を摘むようなことのないように大型店の進出規制をさらに強化する、こういう方向で検討してもらいたい。もう申告制とか届け出制とかいうことじゃなしに、許可制にする。そして特に地域開発とのかかわりで地域の商店などというものは非常に発展をしていくわけですから、そういう権限は自治体におろすということも必要である。大型店舗と零細微小資本の小売業との調和を図る、こういう発想ですね、法律も。そういうことじゃなしに、こういう現状からいって、大型店の進出を一定の限られた条件のもとでだけ許可をする、こういう方向で厳しく規制することが必要なんじゃないだろうか、どうお考えかということをお尋ねしておきたいわけです。
 いろいろな法律ができましても、言葉の上では中小企業、小規模小売商を守ると言うけれども、現に、鹿島建設が中心になって、八重洲口に、八重洲ブックセンターなどという中央区全書籍店の売り場総面積トータルを一店舗ではるかに上回るというような超大型の書店を、鹿島守之助氏の遺言であると称して、その後継の企業責任者が全東京の書店業界の悲痛な陳情と反対を振り切ってやろうとしている。政府は、これに対して手が出せない。中小企業を守るという法律の前をぬけぬけと資本力のある企業が大型の店舗をつくっていくというような傾向を見逃しておっていいだろうか。私は、やはり規制強化という方向でこれはぜひ法改正に手を加えてほしいということを申し上げて、これについての見解をただしておきたい。
 もう一つだけ、恐縮ですが、さっきちょっと指摘し損なったのですが、中小企業の倒産件数や何かを問題にするときに、われわれの側も、それは昨年一万数千件、負債金額一千万円以上、こう言うわけです。負債金額一千万以下の中小零細企業の倒産件数というのはわかっていない。中小企業庁にもわかっていないのです。完全に握っていないのです。東京かどこか二、三調べてみる程度のことです。こういう細かいところを実際に調べるのは大変だということもわかるけれども、これはしかし、資本力の乏しい小規模企業がこの不況の中でばたばた倒れているということの実態を把握しないで小規模企業対策とか言ったって、そんな対策が出るわけがない。こういう点についてはひとつ要望を申し上げながら、考えがあったら聞いておきたい。
 以上で私の質問を終わりますが、ぜひひとつ最後のお答えをお願いしておきたい。
○河本国務大臣 大規模小売店舗法ができましてからおよそ四年を経過いたしておりますが、その当時予想しなかったような幾つかの新しい事態が次から次へ起こっております。そのうちの幾つかは御指摘になりましたが、そういうことがありますので、先般来、小売問題懇談会というものをつくりまして、いろいろ意見を聞いておりました。意見が大体まとまりましたので、今度は産業構造審議会の方に正式に諮問をいたしまして、この大店法を含めました小売問題全体を一体どうすべきか、ある程度法律の改正ということが必要ではないか、こういう問題も含めまして、いまいろいろこれから御審議をしていただこうと思っております。その結果をまちまして最終の対応策を判断したい、このようにいま考え、かつ進めておるところでございます。
 それから、一千万円以下の倒産件数を調査せよというお話でございますが、実は私もその点関心を持ちまして、国会でも前に御質問があったものですから、何とかできないかということでいろいろ検討をさせたのでありますが、現時点では一千万円以下のすべての倒産件数を正確につかむということはなかなかむずかしい、こういうことで実は中絶をいたしております。しかしながら、もう少し大体の傾向でもわからないものだろうか、こういうことがわかりますと中小企業政策ももう少し進んだことが考え得られますしいたしますので、私もこの点については関心を持っておるわけでございますので、なお、せっかくの御提案でございますから、関係者とよく相談をいたします。
○渋沢委員 終わります。
○野呂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五分開議
○山崎(拓)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松本忠助君。
○松本(忠)委員 まず最初に、通産大臣並びに経済企画庁長官にお尋ねをいたすわけでございますが、御承知のように、わが国の経済はオイルショック以来の長期不況、この深刻の度合いは深まる一方でございます。そうした中において、国民が先行きに非常に不安を持っていることはもうすでに御存じのとおりでございます。昨年、福田総理が経済の年と銘打ちまして景気の回復を目指したわけでございますけれども、春から秋にかけての物すごい円高ショック、そのためにいろいろと打たれた手が後手後手に回ったような気がするわけでございます。そうしたことで、景気回復の基調が全く見られなかったと私は思うわけでございます。政府も、ことしの予算はいわゆる十五カ月予算、大型予算を組みまして、何とか景気を回復しようということでございますけれども、果たして景気回復につながるかどうか、非常な疑問だと言わざるを得ないのでございます。
 そこで、お尋ねしたい点は、本年度の実質経済成長率五・三、これがほぼ可能と考えておられるのかどうか、これをまずお伺いをいたしたいと思うわけでございます。当初六・七、そしてまた下方修正して五・三ということでございますけれども、果たしてこれが可能かどうか、この点をお二人にお尋ねを申し上げるわけでございます。
○宮澤国務大臣 ほぼ可能だと考えております。
○松本(忠)委員 通産大臣は、この点についてどのようにお考えでございましょうか。
○河本国務大臣 私も同じ意見でございます。
○松本(忠)委員 当然、御両所とも福田内閣の経済担当の大臣としてその手腕を発揮されているところでございますから、この下方修正した五・三が達成できないというような発言はよもやあるまいと私も思ってはおりますけれども、いまお二人とも非常なる確信を持ってお述べになったわけでございまして、この点はしかと私も伺っておくわけでございます。
 そこで、それに関連いたしまして二、三伺いたい点は、これは二月十四日の日銀の政策委員会での報告でございますけれども、七八年の先進国経済見通しによりますと、こんなふうに書かれております。「先進六カ国平均の実質経済成長率は四・七%と七七年の三・五%を上回るが、各国政府の見通しは景気の実態より高く設定されており、実際には昨年並みの三%台成長に終わりそう」である。また、「四・七%成長を達成するためには七%成長を打ち出した日本の景気回復が最大のカギになる」というふうに書かれているわけでございまして、まさにこの五十三年度の七%成長というものは世界の焦点とも思われるわけでございますが、この日銀の報告についてお二人はどのように受けとめておられるか、伺いたいわけでございます。
○宮澤国務大臣 わが国が今日このような経済的な地位になりましたので、やはり七%程度の成長は、もとよりわが国自身のためでございますけれども、世界経済におけるわが国の役割りを果たすという意味でも大切だと考えております。
○河本国務大臣 やはりいまは雇用問題が非常に大きな問題でありますし、国際収支が非常に大きな問題になっております。この二つの問題をある程度調整するためには、やはりその前提として高目の成長が必要である、そういう意味で七%成長というものが設定されたと考えております。
○松本(忠)委員 それでは、もう一つ伺いたいことがございます。
 福田総理が七%成長というものを大きな目標とし、全閣僚一致してこの目標達成のために努力されているのはわかるわけでございますが、御本人の総理が、二月十五日の日本記者クラブにおける講演の中で日本経済の先行きに触れて、五十四年度は七%に近い六%台成長を考えざるを得ない、こういうふうに言われておる。七%に近い六%台というのは、二月十五日の発言が初めてでございます。もちろん、これは公式発言でないとかいろいろと言われるかとも思いますけれども、一国の総理が記者クラブにおいて講演なさったときに、いままでの七%というものを、前言を翻して、七%に近い六%台、こういう発言が初めてあったわけでございますが、この総理の初めて表明された七%に近い六%台ということについて、経済担当のお二人といたしましてはどのように受けとめていらっしゃいますか。
○宮澤国務大臣 五十年代前期経済計画の試算を先般いたしたわけでございますけれども、五十五年までの五年間の平均成長率は六。三%ぐらいいけるのではないかということでございまして、すでに五十一年度が五・七、五十二年度が五・三でございますので、五十三年度を七といたしましても、五十四年度は七%に近い六%台というのでございませんと、六・三という平均はなかなか出てまいりません。総理が近いと言われました意味は、恐らく六・五というようなことではない七%に近い六%台、こういうふうに言われたものと考えております。
○河本国務大臣 七%に近い六%台の成長という趣旨のことは、これは二月十五日の記者クラブでの発言が初めてではないのです。予算委員会でもそのようなことを明確に言っておられます。そのときは、五十三年度は七%の成長をしても、五十四年度以降の経済運営の目標がはっきりしなければ民間の設備投資なども起こってこないのではないか、経済運営が民間経済としてやりにくいのではないか、こういう質問に答えまして、七%に近い成長という趣旨のことを言われたわけであります。私もそれは大変結構なことだと思います。やはりことしだけではなく、来年の目標も明示することによって日本経済全体の方向が明らかになる、そういう意味で大変結構であったと思います。
○松本(忠)委員 お二人とも福田内閣の閣僚でございますから、弁護なさるのが当然のことと私は思うわけでございますけれども、要するに、七%に近い六%台というのは、六・五以上であるということが一つと、少なくとも常識的に考えるならば、六・七五以上、最も近いと言えば六・九あるいは六・九五、その辺を目指して御努力なさろうという気持ちだと思いますが、われわれは、是が非でも日本の景気回復をするならば、七%に近いとかそういう表現でなくて、いままで総理がしばしば言明されましたような、七%台を必ず達成するというような最初の御決意というものがいつの間にかどこかに行ってしまった、その問題を心配をするわけです。
 これからあらゆる発言の機会を通しまして、六%台あるいは六%と七%の中間とか、いろいろ発言を、先行き景気がよくならないと訂正をしてくるのじゃなかろうか、こういう気持ちがするものでございますから、そういう点をしかとお確かめしたわけでございますが、実際、財界、各方面といたしましても、五十三年度の実質経済成長率七%達成を危惧する声というものは非常に多うございます。私が申し上げましたような二つの事例によりましても、総理の発言というものがいつの間にか七%を割ってきたということを非常に残念に思っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この問題については雇用とも大きな関係もある問題でございますし、私どもも非常な関心を持って見ているわけでございますが、二月二十二日に開かれました産業労働懇話会の席上でも、総理は、七%経済成長達成は内外から期待されており、何が何でもあらゆる手段を動員して実現し、五十三年度はトンネルの出口の見える年にしたい、大変力強いお言葉でございます。
 どうもこのお話を伺いますと、いつの間にか、七%に近い六%台から、さらに今度は、七%の経済成長は何が何でもあらゆる手段を動員してやるのだというふうな決意、わかりますけれども、どうも来年度の予算を見ますと私どもは危惧せざるを得ません。前半が財政主導の大型公共事業一本やり、後半に民間需要を期待しているようでございますけれども、果たして筋書きどおり七%成長が達成できるかどうか、非常に私は疑問に思っているわけでございます。
 お二人はかたい決意をもって総理の言葉を裏書きされておるわけですが、そこで七%達成ができなかったとき、これは先の話になります。そのときにお二人が閣僚としていらっしゃるかどうかはわかりませんけれども、大変失礼な言葉でございますが、経済閣僚として責任をおとりになるのかどうか、この点をお伺いをいたしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 昨年の十一月に内閣改造がございまして、私にも手伝うようにという総理のお話でございました。私に与えられました職責は、したがいまして、この政府の経済見通し、経済運営をそのとおり実現することであるというふうに私は考えておりますので、これは自分の責任である、思い上がった意味ではなく、さように考えております。
○河本国務大臣 いまの御質問を聞いておりまして、少しどうも誤解があるのじゃないかと思いますのは、七%成長というのは五十三年度のことを総理も言い、内閣が方針を決めておるわけです。七%に近い六%台というのは五十四年度のことを言っておるわけでございまして、総理が先般産労懇で発言したのは、五十三年度の七%成長は何が何でも達成してみせます。そういう趣旨のことを言ったわけであります。
 この七%成長ということは、これによって雇用問題を解決し、国際収支を調整していかなければならぬということでありますから、いま内閣の最大の使命である、私はこう思っております。当然通産大臣としても責任がございます。
○松本(忠)委員 確かに、福田内閣としては、五十三年度の七%達成という問題は至上課題だと思います。また、それは福田総理あるいはまた経済担当大臣ばかりでなく、全内閣の責任であろうと私も思うわけでございますけれども、非常に私どもは危惧いたしております。そういうことがなくて、日本国のためにも本当に景気が回復してくれて、長い長いこの不況のトンネルから抜け出すことができれば、それはそれにこしたことはないと思うわけでございます。しかし、ことしの予算の編成を見ておりましても、果たしてこれでできるのだろうか、われわれの主張というものは全く入れられなかった、こういうところでございます。したがいまして、私はこの問題について時間をかけたわけでございますが、いままで当委員会におきましても、社会党の委員さん方からしばしば質問がありました。しかし、この七%問題は、どうもやはりいつもいつもすれ違いに終わっているようでございますけれども、これは確かに五十三年度、言うならば暦の上では五十四年三月三十一日までの問題でございますので、私としてもその達成ができますことを心から祈るわけでございます。
 それから次に、構造不況業種の問題に移りたいと思いますが、非常に過剰設備を抱えて構造不況業種というものが厳しい立場に置かれていることは、もう御承知のとおりでございます。通産省からも特定不況産業安定臨時措置法案、これが提案されました。明日本会議において趣旨説明が行われるという手順になっておるわけでございます。
 そこで、公取の委員長さんにお尋ねをいたしたいのですが、原案の段階で統制経済的な色彩が非常に濃いというところから、そうした意見が公取委員会あるいはまた一部の財界から出されております。こうしたことで、結局いろいろな調整がなされたわけでございますけれども、公取委員会として独禁法との関係で調整がどの程度行われたとお考えでございましょうか、この点をひとつお明かし願いたいと思います。
○橋口政府委員 特定不況産業安定臨時措置法案につきまして問題になりますのは、結局、産業政策と独占禁止政策とをどう調和させるかということであろうかと思います。もっと正確に申し上げますと、経済政策の中における産業政策と独占禁止政策の位置づけをどうするかということが問題の本質であるというように考えるわけでございまして、公正取引委員会の基本的な立場といたしましては、独占禁止政策と産業政策との調和を図りながら、その中において基本的な筋を通すということでございまして、設備の保有、拡張あるいは縮小、廃棄というような問題は、これは言うならば企業の基本的な生存権に属することでございますから、まず第一義的には、企業それ自体が判断すべきことでございますし、特定の一企業では問題の処理が困難であります場合に、共同して設備の処理を行う場合には、現在の独占禁止法で対応できるという考え方を持っておるわけでございまして、問題はそれから先でございます。
 それから先の問題といたしましては、主務大臣の御判断でカルテルの結成を指示するという行為の当否の問題でございまして、この点につきましては、現在の構造不況業種の実態等から見まして、その必要性については公正取引委員会も別に特に意見があるわけではないのでございます。したがいまして、問題は、そういう最後の手段としてカルテルに対する指示行為が行われます場合に、独占禁止政策との調和を図るために、公正取引委員会の同意ということについて御承諾をいただいたわけでございまして、そういう点から見まして、総体として通産省との関係における調整は満足すべき結果に終わった、かように考えておるのでございます。
○松本(忠)委員 要するに、協議でなくて合意ということになった点は公取としても高く評価なさっている、こういうように承りました。
 そこで、労働省からもお見えと思いますけれども、過剰設備廃棄、廃棄ばかりでありませんで、格納であるとかいろいろ考えられているようでございますが、そうした場合に、雇用面においてかなりの人員整理が行われるのではなかろうかと思っております。そうした場合に、中小下請企業の方々の中では大変な問題が起きてくる、そして、やがてはそれが中小下請企業の衰退につながっていくのではないか、こう思います。とにかく雇用の面においていろいろの危険性が出てくるのではなかろうかと思いますけれども、この点についての労働省としての御見解を承っておきたいわけでございます。どのように対処されるかを伺っておきたいと思います。
○白井説明員 この法律は、「目的」にございますように、特定不況産業につきまして産業政策上の施策を講ずることによって、不況の克服と経営の安定を図るものだというふうに理解いたしております。
 労働省としましては、この法律が実施される段階におきまして、これが労働者の雇用の安定に十分配慮して運用されるように、今後とも関係省と協議してまいりたいというふうに思っておりますが、さらに雇用に関する規定も挿入していただいておりますので、具体的には雇用安定事業や、それから先ごろ臨時国会で成立いたしました特定不況業種離職者臨時措置法等の活用によりまして、再就職の促進、失業の予防を図ってまいりたいというふうに思っております。
○松本(忠)委員 いずれにしましても、この特定不況産業安定臨時措置法案は当委員会にかかってくるわけでございまして、その時点においてまた慎重審議するわけでございますので、きょうはこの問題はその辺にとどめまして、次に移るわけでございます。
 そこで、次に伺いたい点は対米経済政策の問題でございますが、総理は十四日の閣議で、国際収支の大幅黒字減らしのための緊急輸入の年度内十億ドル達成ということを発言されて、強く求めたということでございますが、年度内、余すところあと三十日でございます。果たしてこの三十日間にどれだけのものができるのか。年度内十億ドルの達成は一体可能なのだろうかという点を考えるわけでございますが、この点について通産大臣、経済企画庁長官からお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 いわゆる緊急輸入という形で行われておるものもございますけれども、ほぼ年度内に十億ドル程度のものが完了するというふうに考えております。
○河本国務大臣 いまの御答弁のとおりであります。
○松本(忠)委員 それでは、あと残り三十日間に一体どのようなものをどれぐらいの量の緊急輸入をして、そうして十億ドルになるのか、その辺の具体的な数字をお示しいただきたいと思います。
○宮崎(勇)政府委員 緊急輸入につきましては昨年から進められているわけでございまして、ただいま大臣から申し上げました十億ドルの内訳は、原油の貯油量の積み増しが約四億ドル、非鉄金属の備蓄が約一億ドル、ウラン鉱石の前払い購入一億四千万ドル、ナフサ輸入の弾力的な拡大約一億四千万ドル、それから農産物の備蓄在庫の積み増しが約二千二百二十万ドル、それに農畜産物の前倒し輸入が約二千四百二十万ドル、残存輸入制限品目の輸入枠の拡大を逐次実施中でありまして約一億八千万ドル、それにホテル用牛肉、オレンジ及び果汁の輸入枠拡大で年度内に実施予定のものが七百五十万ドル、さらに造幣局のニッケル、銅の繰り上げ輸入約四百三十万ドルで、合計十億二千万ドル程度になります。
○松本(忠)委員 その細かい数字は、私はまた後で資料としてちょうだいいたしたいと思います。
 そこで、農産物関係の輸入についていろいろ問題があるように思われるわけでございますが、国内の農産物の関係者からいろいろと反対の声等も上がっているようでございますけれども、その点について農林省ではどのようにお考えでございましょうか。
○中島説明員 確かに先生御指摘のように、このたびいろいろ対外経済調整のための措置として講じました輸入の拡大等につきましては、生産者あるいは生産者団体の方からいろいろ反対の声も強く上がっていることは事実でございます。
 ただ、私どもといたしましては、対外経済関係の調整の重要性にかんがみまして、農業の分野におきましてもできる限りの協力の姿勢を示すことが必要であるということを考えまして、農家経営の安定あるいは総合食糧政策の推進に支障を与えないということを基本といたしまして対処をいたしたところでございます。
○松本(忠)委員 別に私は反対するわけではございません。十億ドルの達成ができることも結構なことではないかと思うわけでございますので、そういう主張を総理がされ、関係各大臣もその線に従って努力されることをお願いをしておくわけでございますが、問題は、農産物の中でいろいろな反対の意見があることはいまお答えがあったとおりでございますので、そうした反対を押し切ってまでやるのかどうか、これからは問題が非常に起きるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
 そうした点で、ぜひともあと三十日間でこの問題が解決でき、さらにまた五十三年度においてドル減らしが達成されなければならないと思いますので、その辺の見通しはいかがでございましょう。五十三年度としてのいわゆる緊急輸入的なものをどういうふうにこれから四月以降おやりになっていくお考えがあるのか、その辺をひとつお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 この点につきましては、近いうちに各省で少しずつもう御相談を始めていかなければならないと思っておるのでございますが、たとえば今度原油の備蓄をふやすというようなことがございますので、そのようなものを初め、できるだけ各省庁協力をいたしまして、これは主として民間にいろいろ考えてもらわなければならない部分が多いのでございますけれども、できるだけのことをやってみたいと思っております。まだはっきりこのくらいということを申し上げる段階に至っておりません。
○松本(忠)委員 経企庁長官、いまの御発言の中で石油備蓄というお話がございましたか。その石油は一体どこから輸入なさるお考えなんでしょうか。
○宮澤国務大臣 できますならば、例のタンカーを使いまして、そこへ備蓄したいということを目標としてのことでございますけれども、恐らくいわゆる産油国であろうと思います。
○松本(忠)委員 いま一番問題点は、やはり日本の経常収支というもので、この面についても予算委員会等でいろいろと質問がありましたけれども、ことしの目標というものは政府が再度改定して百億ドル、それをさらに上回って百三十億ドルというのがきょうの新聞報道にございます。そうした中で、これからいわゆるドル減らしといいますか、そうしたものをやっていかなければならぬと思うわけで、私も、その問題に関しましてタンカー備蓄の問題を後で取り上げたいと思っておるわけでございますが、タンカー備蓄をする場合にしてみても、原油の輸入先というものはやはり中近東であろうと思うわけであります。そうしたときに、ドル減らしにこれが果たしてつながるのかどうか、この点はいかがなんでございましょうか。
○宮澤国務大臣 わが国の経常収支が大き過ぎるということは、だれが申しませんでも私ども自身が感じておるわけでございますから、入り用なものはできるだけ輸入をしたらいい。米国との間にいわゆる日米間の貿易収支という問題が御承知のようにあるわけですが、グローバルな問題としてわが国の経常収支が大き過ぎるなということがございますから、仮に中近東でございましても、やはり買えるものは買っておいた方がいい、備蓄できるものは備蓄した方がいい、こう考えております。
○松本(忠)委員 そのドル減らしの問題が一番肝心なんじゃなかろうかと私は思うわけでありますので、あえて申し上げたわけでございますけれども、タンカー備蓄をする場合に五百万キロリッターの緊急輸入ということがいま考えられていることでございますが、一番問題になっているのは、日本全体として百三十億ドルかもしれないけれども、米国の対日貿易赤字というのがやはり一番問題じゃなかろうかと私は思うのです。
 そうした意味合いからいって、先般の日米通商交渉の中でも、米国側が石油の緊急輸入や濃縮ウランの前倒し輸入は日米貿易収支の不均衡是正策として評価しないというような発言があったように聞いておりますが、こうしたことにかんがみまして、中近東から原油を輸入することは、全体的に言えば額は減るかもしれませんけれども、いま一番問題点になり、しかも経済的に非常に緊密な状態にあるところの日本とアメリカの間、そういうことを考えてみたときに、ドル減らしの方法としての中近東からの原油の輸入というもの暦は解決しないのではなかろうかと私は思っておるわけでありますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 御承知のように、間もなくアメリカにいわゆる大型ミッションというのでございますか、九十人近い人々の、アメリカ市場からのわが国の買い付け、アメリカに対するわが国のそのような心構え、ひとつあなたの方も大いに対日輸出に関心を持ってもらいたいというようなミッションが出るところでございます。ですから、対米関係が一番大きな大切な関係であることはおっしゃるとおりでございますけれども、しかし、経常収支が大きいということ自身は、冒頭にもお尋ねがございましたように、わが国が世界経済に対して持っております責任の遂行ということからグローバルな問題でもございますので、米国以外からのものであっても、われわれが買う必要があるというものはなるべく買っておくことがよろしいのではないかと思っておるわけでございます。
○松本(忠)委員 この点については見解が相違しておりますので、席を改めてまたお伺いしたいと思います。
 次に、中小企業庁長官にお尋ねをいたしたいわけでございますが、われわれが中小企業の方々にお会いするときによく言われることは、われわれの意見を代表して閣議の席で十分に言っていただけるのには、通商産業大臣だけでなくて、やはり中小企業者を代表するところのいわゆる中小企業専任大臣だ、せめてこれが置けないかということを言われるわけであります。俗に言われていることは、通商産業省というのは、中には中小企業庁がございますけれども、やはり大企業の政策ばかりをやっているのでなかろうか、そして中小企業に対しては、その中にあるところの中小企業庁でやっていらっしゃるけれども、やはり通産大臣と一緒に並んで閣議の席で発言できるような中小企業専任大臣が設置されるべきではないかというような意見があるわけでございます。
 私もそのように思いますし、また、わが党といたしましても、中小企業省の設置ということはわが党の方針として考えているわけでございまして、本年度の党大会におきましても、この中小企業専任大臣の設置ということを決定を見ているわけでございますが、この点について、通産大臣並びに中小企業庁長官にお答えをいただきたいと思います。
○河本国務大臣 中小企業庁長官は来ておりませんから、私から答弁をいたしますが、中小企業という仕事は産業と全然別個に存在をしているものではございませんで、やはり現在の日本の産業の中の一部でございます。したがいまして、そこから離れたものではなく、産業行政全体の一環として中小企業政策を進めていくことの方が望ましいし、かつより効果的である、私どもはこのように考えております。
 中小企業省をつくって専任大臣を置く、あるいは中小企業庁に専任大臣を置く、こういう御意見があることは承知しておりますけれども、それにはにわかに賛成をいたしかねるというのが現在の考え方でございます。
○松本(忠)委員 企業庁長官をお呼びしてなかったので、お答えがいただけない点は残念でございますが、いま大臣からお答えがありましたので、一応私はその点お伺いをいたしておきます。なお、この問題については、われわれもこれから前向きに取り組んでいきたいと思っておるわけでございます。
 次に、この不況下における中小企業に対する仕事量の確保という問題でございます。
 これは非常に重要な問題ではなかろうかと思うわけでございますが、その中で特に、仕事をしても金がもらえないということになりますと困りますので、いわゆるお役所仕事というものの果たす役割りは非常に多いわけでございます。そうしたところで中小企業向けの官公需の拡大を図ることが必要と思うわけでございますが、われわれの調査によりますと、四十九年度が三〇・三、五十年度が三二・六、五十一年度三四、年々増加の傾向は見られます。けれども、まだまだ不十分でございます。
 五十二年度におきまして三五・二というものを目標としておるようでございますけれども、これは昨年の七月二十六日の閣議決定でございますけれども、この三五・二というものが、この三月三十一日でことしの年度が終わるわけでございますけれども、おおよその見込みとしてどれくらいのものが官公需、中小企業向けで行われたのか、果たして三五・二をオーバーしたのか、それともしなかったのか、その辺について御存じでございましたら、お答えをいただきたいと思います。
○河本国務大臣 中小企業政策にとりまして何が一番大事かといいますと、やはりいまお話がございました仕事の量をふやしていくということが一番大事な課題でございます。そこで、官公需をできるだけ中小企業に発注をしようということでここ数年来やってまいりました。いま具体的な数字を挙げて御説明がございましたが、数字はそのとおりでございます。毎年ほぼ目標の数字を達成しておりますし、五十二年度も、まだ一カ月残しておりますけれども、これまでの実績から考えまして、ほぼ達成できるものだと私どもは考えております。
 それからなお、中央の官公需のほかに地方関係もできるだけ発注するようにいたしまして、地方は現在七〇%を超えております。そこで、中央と地方の分を平均いたしますと五一%ぐらいになります。
 しかしながら、中小企業の現状を考えますと、なおこれでは不十分でありますので、五十三年度におきましても若干目標を引き上げるようにしたいということで、いまいろいろ工夫をしておるところでございます。
○松本(忠)委員 もちろん、あと一カ月でどのように伸びるかわかりませんし、三五・二という目標を突破してくれることが願わしいことでございますが、なおまた五十三年度の目標というものも、少なくともいままでのものよりも、この不景気を何とかして景気回復をするためにも、ぜひひとつ中小企業向けの官公需の目標をアップしていただいて、そしてその達成をしていただきたいということをお願いをしておくわけでございます。
 それからもう一点、中小企業に関しまして公取さんにも伺いたいわけでございますが、いわゆる下請中小企業におきまして、現在親企業からのしわ寄せを受けている状況というものが非常に厳しいわけでございます。けさの新聞報道でもございましたように、永大産業のあの倒産によりまして大変な影響が各所に出ておりますけれども、きょうも五十億云々という不渡りを出して倒産している下請企業があるようでございます。昨年の十一月二十四日付で、通産省も公正取引委員会も下請取引の適正化という通達を出されております。現在その効果がどれくらい出ているのか、この点を私はお伺いしたいわけでございます。
 私ども公明党といたしましても、中小企業を守るために、下請代金支払遅延等防止法の強化、改正を主張しております。近くこの法案も国会へ提出をいたす予定でございますけれども、私ども公明党としては、この中で、支払い代金の支払い期間を、六十日を少なくとも四十五日以内、あるいは下請代金の一部現金支払い、この法定化、これは百分の四十以上は現金で払ってもらわなければ――要すれば下請の方は材料費というよりもむしろ手間賃が多いわけであります。その手間賃を払うためにも現金で支払ってもらうということが一番好ましいわけでございますが、こうした点についての強化、改正の意思があるかないか、この点をお伺いをいたしたいわけでございます。
○橋口政府委員 下請代金支払遅延等防止法は、通産省と共管の法律でございます。中小企業庁と御相談しながらその運用に努めてまいってきておりますが、昨年の十一月二十四日に、通産大臣と連名で、親事業者及び親事業者団体に対しまして通達を出したのでございますが、この趣旨は、最近におきます下請事業者を取り巻く環境が大変厳しいということが第一点でございます。それから第二点としましては、年末にかけて金融繁忙期になるのでございますから、特にそういう情勢等も考慮した上通達を出したのでございます。
 ただ、この通達は、昭和三十二年から二十年間にわたって毎年出してきておるのでございまして、率直に申しまして、いささかマンネリ化しているという感じもございます。
 それから、親事業者あるいは親事業者の団体等から、この通達の来る時期が遅過ぎるという指摘もいただいております。十一月二十四日ということになりますと、実際に書面が到着をしていろいろ手配をいたしますと十二月に入るということで、どうも通達の来る時期が遅過ぎる。
 それから、内容につきましては、御承知のように、現在の下請代金支払遅延等防止法を思い出していただくというようなことが中心でございますので、通達の内容、時期等につきましても再考を要するのではないか。
 それから、いまお話がございましたが、どの程度効果が上がっておるかということでございますが、通達を受けました親事業者の本社、それから親事業者団体の団体から、それぞれ窓口の担当者あるいは個々の事業者、それから団体の場合でありましたら会員に対しましてもさらに通達を出して、趣旨の徹底を図っております。それから、どの程度趣旨の徹底を図ったかということにつきましての回答も一部もらっているのでございまして、そういう点から申しますと、一片の通達を出しっ放しということではないような感じが私はしておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、通達を出します時期なり内容について、もう少し改善、検討を加える必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 それから第二点の、現在の下請代金支払遅延等防止法に対して改善、強化を加える意思があるかという問題でございますが、この点につきましては問題意識として十分持っておるのでございまして、下請代金支払遅延等防止法は、法律の題名も支払い遅延を防止するということが掲げられております関係等もございまして、従来は、ともすると支払い状況について行政の重点が志向しておったのでございますが、どうもわれわれの行政体験で申しますと、実際の取引に伴ういろんな問題に対する解決がやや後手になっているのではないか、そういう感じも持っておりますので、今後は政策の重点をできるだけ実取引の面に力を注いでいきたいと思っておるのでございます。したがいまして、いまお示しがございました支払い時期の短縮あるいは現金化率の法定等につきましては、今後の問題としてさらによく検討いたしてみたいというふうに考えております。
○松本(忠)委員 それでは次に、石油対策の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 石油開発公団法を改正して業務の範囲に石油備蓄を加えること、及び石炭及び石油対策特別会計法の一部改正案というものが近日中に出てくることと思うわけでございます。いまもドル減らしの一環としての石油のタンカー備蓄というような問題、こういうことが話題になっておるわけでございますけれども、この問題について若干お尋ねいたしたいわけでございます。
 通産大臣にお尋ねをいたしますが、タンカー備蓄に関する住民対策、これはどのようにお考えでございましょうか。いわゆるタンカー備蓄することによっていろいろと波及するところができてくると思うのです。たとえばその港、どういうところを基地にするかとなれば、当然その基地周辺の住民がいろいろ対応があると思うわけでございますので、そうした点について通産省としてはどのようにお考えでございましょうか。
○河本国務大臣 この問題では、住民対策、地域対策が非常に大事な課題でございます。いろいろ配慮をいたしておりますが、詳細につきましてはエネルギー庁の長官から答弁をさせます。
○橋本(利)政府委員 タンカーの安全、防災につきましては、まず一般的に申し上げますと、海上交通安全法、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、港則法、海上衝突予防法、船舶安全法、いろんな現行法規がございますので、これを第一義的には厳正に適用していくということになろうかと思います。
 それから、二つ目の問題といたしましては、具体的にタンカー備蓄の実施の段階におきましては、それぞれの錨泊地点の実情に即して対応していく必要があろうかと思います。そういった問題意識を持ちまして、昨年の十一月ないしは十二月にかけまして、通産省、運輸省、水産庁、こういったところの職員をメンバーといたしましてタンカー備蓄合同委員会、あるいはその下部機構といたしまして実施委員会というのを設置いたしました。これには石油業界、タンカー業界あるいは石油開発公団の専門家を充てまして、合同委員会の下部機構といたしまして、御指摘の安全、防災等の問題を含めまして、管理システム等について検討をしてきておる、こういうことでございます。
○松本(忠)委員 要するに法律そのものが、まだ私も中身をよく伺っておりませんからどういうことになるかわかりませんが、ただ、タンカー備蓄という場合に、少なくとも二十五万トンタンカーというものが二十隻も一カ所に集結するということはちょっとむずかしいと思うわけで、何カ所かに分散されることと思うのでありますけれども、いずれにしても、停泊する港というものはかなり広くなければならない。あるいはまた、すぐ外洋に出ていけるというようなところが好ましいわけでございますし、それからまた、そうかといってほかの船舶が余り出入りされたのでは、接触事故等が起きてこれまた危険だ。また、風それから波、そうしたものが余り影響があるということも、二十五万トンタンカーがいわゆる危険物といいますか油を積んで停泊しているわけですから、よほどこういう面についても注意を払わなければならないと思うわけです。
 また、水深も少なくとも二十五メートルから四十メートルあるようなところ、こういうようなところを探していくと、鹿児島県の志布志湾とか長崎県の橘湾であるとか、こういうところが一つの目標になってくるわけでございますけれども、このタンカー備蓄の実施主体というもの、責任の所在――横の連携についてはいまお伺いしましたけれども、一体どこが本当の責任を負うのか。その本当の責任を負うところの役所は一体どこなのか。船の方は運輸省でございますし、また、中の品物は通産省の関係かと思うわけでございますが、いわゆるこの最終的な責任を負うのは一体どこなのか、この点をひとつお答えをいただきたいと思います。
○橋本(利)政府委員 先ほど御指摘になりましたように、石油開発公団法の改正を今国会に提案して御審議をお願いいたすことになっております。この公団法の改正が成立いたしますと、石油開発公団がみずから備蓄を行うことになるわけでございます。したがいまして、タンカー備蓄につきましても、その時点以降、石油開発公団が実施主体になり、責任主体になる、こういうことでございます。
○松本(忠)委員 要するに、災害、海洋汚染、こうしたものが起きた場合にも最終的な責任を負うのは石油開発公団だ、こうおっしゃるわけですね。
○橋本(利)政府委員 まず、海洋汚染が発生しないように未然に十分の対応をすることは当然でございますが、御指摘のように、万が一油濁事故が発生いたしました場合には、その被害者保護のために油濁損害賠償保障法というものがございます。この法律に基づきまして、事故を起こした船の所有者が無過失責任で油濁損害を賠償することになっておるわけでございますが、ただ、この法律で定めております賠償責任限度を超えるものにつきましては、これは国際的な保険機構でございますが、CRISTALという補償機構がございまして、民間の石油企業を主体として構成いたしておるわけでございますが、このCRISTALで追加補償が行われるということになっております。
 したがいまして、石油開発公団が原油の所有者、実施主体ということになってまいりますので、石油開発公団も追加補償を確保するために、このCRISTALに加入するように準備を進めておるというのが現状でございます。
○松本(忠)委員 問題は、その海洋汚染が起きた場合に、お金の補償で済ませてそれでいいものか。また、その海洋汚染が起きた場合の損害の及ぶ範囲というものが非常に広いわけでございますし、また、これの算定というものは非常にむずかしいと思う。しかも、これを金銭的に解決する、そうすればそれでいいのだと言うけれども、やはり私は、きれいな海を汚した責任というものは、あくまでも追及されなければならないと思うわけであります。そうした意味で、この問題は私どもも非常に関心を持っている問題でございますので、これはまたいずれ法案が提出された段階において十分詰めておかなければならないと思うわけでございます。
 次に、運輸省の方にお伺いをいたしますが、要するに、運輸省を代表するところの運輸大臣は、昨年の十一月に福田内閣の閣僚として御就任になりまして、総理からハッパをかけられてタンカー備蓄ができるようにしようというところから、この石油開発公団法の改正が国会に上るというようなことになったというふうにわれわれは伺っているわけでございますが、運輸当局としてもこのタンカー備蓄には賛成だったのかどうなのか、この点をひとつお伺いをいたしたいわけでございます。
○棚橋説明員 御承知のとおり、現在海運界は世界的に不況でございまして、なかんずく大型タンカーにつきましては、世界的に相当の船腹が過剰になっているわけでございます。こういうことに対処いたしますためには、何らかの形で現在フリーになっておりますタンカーを活用いたすということが景気対策としても大事なわけでございまして、そのような意味で通産省の方でこういう御構想をお持ちになりましたことにつきましては、海運のためにとりましても有益であるというふうに考えておりまして、積極的に御協力をしたいという立場でございます。
○松本(忠)委員 これはいわゆる海運救済策と言われても差し支えないのではなかろうかと思うわけでございますが、確かにタンカーを空っぽで遊ばせておくことは運賃にならないわけでございますから、そうしたことをお考えになることはあたりまえの話だとは思うのでありますけれども、一つ伺いたいのは、タンカーにしてもやはり定期検査というものがあろうと思いますが、その定期検査は何年目に来るわけですか。
○棚橋説明員 実はこれは船舶局の所掌でございまして、私、専門家でございませんが、大体二年、その間に中間検査が一回というふうに聞いております。
○松本(忠)委員 船舶局の担当で、棚橋さんの方の担当でないかもしれませんけれども、同じ役所の中でございますから御存じだろうと思って伺うわけでございますが、そのタンカーの検査の場合は、石油類を積載したままで検査を受けるのでしょうか、それとも空荷にしてから検査を受けるのでしょうか。
○棚橋説明員 私が聞いておりますところでは、中間検査につきましては、ケースによりましていろいろ簡便な対応策があるようでございますけれども、定期検査につきましては、ドックに入れて空にして検査をするのが原則であるというふうに聞いております。
○松本(忠)委員 要するに、ドックに入れて空にして検査をする。そうすると、ドックに入れる前に積んである石油というものを陸上のタンクに格納しなければならない、こう思うわけでございます。現在ですらそのタンクがなくて、石油備蓄という問題をタンカーを利用してやろうというようなことを考えておるわけでございますので、陸上のタンクに移すことがその時点において果たして可能なのかどうか。輸入はした、石油タンカーが港に停泊している、定期検査が来た、定期検査は延ばしてもいいというわけにはいかないと思いますから、そうなれば、当然その積んでいる石油というものを陸揚げしなければならないと思いますが、その辺はどういうふうにやりますか。
○棚橋説明員 まず第一には、私どもは、一応現在のタンカー備蓄というのは極力二年以内というふうに伺っておりまして、その間に陸上タンクの整備が進みました場合は、順次タンカーの原油を陸上に移しかえるということが予定されておるというふうに考えておりますが、若干それより延びました場合には、御指摘のように定期検査というものが参るわけでございます。その場合には、その石油をさらに別のタンカーに移しかえて、そしてタンカー自体を空にして検査を受けるという方法をとらざるを得ないと思います。
 その場合には、原油を購入いたします際には、一遍に全タンカーが原油を購入して備蓄に入るということにはならないと思いますので、若干の期日のずれがございます。それから、船舶によりまして定期検査の期日がそれぞれ違いますから、一時的に殺到するということは避けられるというふうに思っております。そうなりますと、順次検査時期が来るわけでございますので、そのような場合には、どこか陸上の中継タンクを活用いたしまして、別のタンカーにその原油を移して、その別のタンカーが備蓄態勢に入る、こういうような形で前のタンカーは検査を受けるというような、そのような方法をとらざるを得ないのではないかというふうに思っております。
○松本(忠)委員 確かにそうした移しかえというものが行われることは当然だろうと思います。陸上のタンクというものができ上がるまではそうせざるを得ないと思うわけであります。そのたびそのたびに、ただでやるわけでなく、費用がかさむわけでございます。結局そうなってくると、石油が割り高になるのではなかろうかと思いますけれども、そうした割り高になった石油を果たして石油精製業者が買うのかどうか、この辺はいかがでございましょうか。
 石油開発公団が損をしない限り、結局高い原油というものを精製業者が買わなければならない、それがひいては一般消費者が値上がりした石油を買わなければならないということになるおそれはないか、こういうことを私は危惧するものでございますからお尋ねするわけでございます。この点についていかがでございましょうか。
○橋本(利)政府委員 御指摘の点については、問題点が二つあろうかと思います。
 一つは、いわゆるタンカー備蓄コストがどの程度かかるだろうか、それからいま一つは、いわゆるOPECの石油価格に対応する姿勢がどうなってくるか、この二つがあろうかと思いますが、備蓄コストの計算というのは非常にむずかしいわけでございますが、タンカー備蓄につきましていろいろな前提を置いた上で計算いたしてみますと、陸上でやる場合、既存立地でやるよりはやや高く、新規立地でやるよりはやや安いのではなかろうかというような感じでございます。
 その点からいたしますと、いずれにしろ備蓄は進めていかなければいけないという立場から考えますと、タンカー備蓄にかかわらず、備蓄原油の払い出し価格というものを幾らに見るかという問題は、当然今後の問題として残ってくるだろうと思います。その間、いわゆる金利、倉敷料等を含めましての諸掛かりが、OPECでの原油価格の引き上げとどういう関連があるかということで、その時点で判断すべき問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
○松本(忠)委員 いずれにしましても、石油開発公団法がかかってくるわけでございますから、その時点までにわれわれも十分これらの点について検討いたしまして、また質問をいたしたいと思いますので、きょうは、一応タンカー備蓄の問題につきましてはその程度にとどめておきます。
 それから次に、大店法の問題に関しましてお尋ねをいたしたいと思っておったわけでございますが、時間がなくなりましたので、実際上、具体的な問題を取り上げまして、私、お尋ねをいたしたいと思うわけでございます。
 それは、鹿島建設が東京の八重洲口にブックセンターというものを出店しようという計画がございます。その問題につきまして少しくお尋ねをいたしていきたいわけでございますが、御承知のように、大手建設の中でも、鹿島建設と言えば名の知られた建設会社でございます。しかし、建設業者が事業の一環として、建設業と全く無関係の、いわゆる本屋さんを開業するということは、私どもも非常に大変な問題だなというふうに思っているわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、この八重洲ブックセンターというのは東京駅の八重洲口に出店されるわけでございますが、鹿島建設さん自体どういう会社かということについては、もうすでに皆さんも御存じと思うわけでございますけれども、東洋経済社発行の会社四季報の最近版によりますと、鹿島建設株式会社は建設業界トップの座を長年にわたり堅持して、五十二年度は五千六百億前後、五十三年度は六千二百億の受注が目標という、まことに健全経営の会社であるというふうに書いてあります。
 そしてまた、兼業としては、埼玉県の志木で高層住宅の大規模開発に着手し、五十四年度からはこれからも収益が上がってくるというような段階になった。これは建設業に全然関係なしと言えませんから、私も強いて言いませんけれども、現在改築中の旧本社ビル、これは建設業と全く無関係なブックセンター、いわゆる本屋さんを出店しよう、こういう計画のようでございます。また、鹿島自体としましても、ロサンゼルスでホテルの経営をしようというようなことも言っておるようでございまして、事業の拡大というものはますます発展の一途をたどっておりますし、四十九年以来、年一八%の配当を続けておる、こういう鹿島建設でございます。
 この大建設会社の鹿島が、事もあろうに書店経営に乗り出そうということは、まことに破天荒な計画であります。その場所も東京の中心部、しかも地上八階、地下二階、店舗面積が五千六百四十六平米という業界最大級の本屋さんであります。そしてわれわれとしましても初めてこういうことを聞くわけでございますが、これが万が一にも実現いたしますと、東京首都圏への影響はもとより、中小零細企業であるところの町の本屋さん全般に及ぼす影響というものは、はかり知れないものがあると思うわけでございます。
 われわれの調査によりましても、この八重洲ブックセンターを中心といたしまして、五百メートルの半径の中にある本屋さんが二十四軒、千メートルに延ばしますとその圏内にあるものが五十軒、合計七十四軒というものが千メートルの範囲内にあるわけでございます。こうしたものは、当然これらの本屋さんが大きな影響を受ける、収益の低下を来すということは当然あるのではなかろうかと思うわけでございます。
 特にまた、出版物の特異性というものはどういうことかと言えば、多品種少量生産、これがいわゆる出版物でございます。一般に書籍というものは、初版は一万冊が限度、そして出版社から小売店への配本は、注文によって配本した場合には支払いは一カ月以内、注文によらないで配本した場合にはその支払いは三カ月、こういうことになっております。しかし、売れなかった場合の返本は自由でございますので、勢い出版社といたしましては宣伝戦を繰り広げる。そうして、読みたいなあというふうにお客さんに呼びかけるわけです。お客さんの方は本屋さんに行って、ぜひこの本が読みたい、ところが、本屋さんへ行くと、なかなかない。売り切れてしまった、そういうふうに言われるとよけい欲しくなるわけでございます。そうなりますと、本屋さんといたしましても、常日ごろからお世話になるお得意さんでございますから、当然出版社の方へ注文して取り寄せる、こういうことになるわけでございます。そうなりますと、当然のこと、現金で売るわけですが、出版社側への支払いというものも、先ほど申し上げたように一カ月という日限が切られるわけでございます。これは出版社側のいわゆる販売作戦、現在常識化されているような問題でございます。
 こうした特異性のある出版物というものを、本ならば何でもそろうんだということで、都会の中心部、そしてまた知識人、読書人、こうした者がたくさん集まるところのこの中央区の中で、膨大な資本力によって、既存書店のお客さんを総ざらいしてしまえば、中小零細企業は生死に関する問題であろう。また、こうした大型店にのみ出版物の偏在を許すことは、多数の読者にとって決して利益になるものではないと私は思うわけでございます。
 そうしたところから考えてみましたときに、先ほど申し上げましたように、中央区内にあるところの本屋さん、これは中央区内だけで考えますと五十軒余りでございますけれども、この中央区の中にある小売店の売り場の総面積は四千九百五十平米、こういうふうに言われております。ところが、今回の出店計画のあるブックセンターの方は、これを一五%ほど上回るところの五千六百四十六平米、こういうことでございますし、しかも、その売り場面積が本という単一商品によってすべて占められる、こういうことは世界にも前例がないわけでございます。
 そこで、大店舗法というものがございます。御承知のとおり、小売業の事業活動を調整することによりまして周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保して小売業の正常な発達を図る、このように法律として定められているわけでございます。そうした点を考えてみましたときに、この営業を阻害されるところの小売の本屋さんとすると重大な問題でございます。
 そこで、この問題についてまず大臣に伺いたい点は、いわゆるこうした大店舗法の精神というものを生かした場合に、この出店というものについてどのように受けとめられるか、大臣のお考えをお伺いいたしたいわけでございます。
○河本国務大臣 いまお話しのように、何分大規模な店舗でありますから、周辺の書店小売商に対して非常に大きな影響が出てまいります。そこで、現段階は、鹿島側と周辺の小売業界の代表の方々に話し合いをしていただいておる、こういう段階でございます。
 私どもは、この話し合いがスムーズに進むことを強く期待をしておるわけでありますが、万一どうしても話し合いがつかないという場合には、商調協の場において相談をしていただこうと思っております。
○松本(忠)委員 きのう予算の分科会で大臣がわが党の池田克也君の質問に対してお答えになった要旨は、まさにいまの御答弁のとおりでございますが、私は、そこにいくまでの問題としていろいろ考えなければならない問題があると思うわけです。少なくともこうした問題は前例がなかったと私は伺っておりますが、その前例のなかったことを地方通産局として三条の申請を受けた、そうした時点から本省へ上げて何らかの相談があったのかなかったのか、その辺のことをさかのぼって私はまずお伺いをいたしたいと思います。
○山口(和)政府委員 八重洲ブックセンターにつきましては、昨年の九月の初めに新聞紙上で出店者側の計画が報道されまして、その後、十月の二十八日にデベロッパーといたしまして鹿島建設株式会社から大店法第三条の届け出が提出されております。これは東京通産局に提出されております。その内容は、核テナントとして八重洲ブックセンター、店舗面積は四千九百五十七平方メートル、一応開店の予定日として五十三年五月一日ということになっております。
 この届け出と前後いたしまして、東京書店組合等を中心に反対の運動がございまして、通常、この届け出が行われますと、大店法によれば、商工会議所において設けられております商調協の事前の懇談会方式の形での検討が行われるわけでございます。ただ、これにつきましても、やはり関係者が十分話し合うという土俵が必要でございますので、商工会議所なりあるいは状況によりまして東京通産局の担当者におきまして、できるだけ話し合いを進めていただくようにあっせんしてまいっております。そういったことにつきましては本省とも相談をしながらできるだけあっせんの場を設けていくということをやってきております。
○松本(忠)委員 三条の受け付けをなさってからやはり東京通産局としては本省に一応御相談があった、こう理解をするわけでございます。
 いまの御答弁の中で、売り場面積の点で私が申し上げました五千六百四十六平米と、いまの山口審議官の言われる四千九百五十七平米ですか、ちょっと食い違いがあるようなので、この点については私の方も調査をしてみますけれども、申請書というものを私も見たことがございませんので、後で一遍確認をいたしたいと思っております。
 いずれにしましても、私ども考えますのに、商品としての書籍の流通というものが偏るのではなかろうかというおそれ、流通に不均衡が起こるおそれがあるのではないかというような疑念があるわけでございます。たとえばよく売れる本、評判のいい本、こうしたものが大きな本屋さんに集まるという傾向は現在でも見られます。したがって、八重洲ブックセンターの出現によりましてこれが一層拍車がかかるおそれがあるのではなかろうか。そうした場合には、中小小売店の万は売れ行き良好書というものは全く来なくなってしまう、品切れになる、こういうおそれがあるのではなかろうかという危惧を私は持っておりますが、この点について審議官はどのようにお考えでございましょうか。
○山口(和)政府委員 大規模小売店舗の開店に伴う周辺の小売書店への影響につきましては、具体的にその場所等につきまして十分検討をして調査をすべきものと思いますが、その辺の問題につきましてもただいま関係者においていろいろ議論が行われておりますので、その議論の状況を見て私ども対処してまいりたいと考えております。
○松本(忠)委員 これは山口さん、本屋さんのことを御存じないと言っては失礼でございますけれども、そういうことについて細かく詳しく掘り下げて御調査になったことがなかろうと思うのです。大変失礼な言い分でありますけれども……。ちょっとお調べになってみると、私が言ったようなことが現実にあるんだということにお気づきになるだろうと私は思うのであります。したがいまして、審議官は、いまの私のおそれはありませんかという御質問に対して、おそれがあるとかないとかということの御判断はいかがでございましょうか。いまのお答えを再度訂正をしていただいて、おそれがあるかないか、その点をひとつ御判断をお願いしたい。
○山口(和)政府委員 お答え申し上げます。
 一般の大規模小売店舗法によります届け出の場合に、その店舗の規模によりまして周辺中小小売商業等への影響の度合いが変わってくるわけでございますので、それに応じまして、商調協等でおそれがあると見るか、あるいはおそれは余りないと見るかというようなことを区分けをしながら検討してまいっております。
 ただ、本件につきましては、書籍の専門店でございますので、そういった点につきましては一般の百貨店等の多種商品を扱う場合とは違うだろうと思います。具体的に書籍の場合にはどういうような問題点があるか、私も、先生おっしゃいましたように、余り専門的にその辺の知識は詳しくないのでございますが、いろいろと長い間の慣習等もあるように伺っております。したがいまして、そういう影響があるのじゃないかという前提で、商工会議所等におきまして十分関係者の話し合いを進めていくということになっておるのだろうと思います。
○松本(忠)委員 大変どうも失礼なことを申し上げましたけれども、そういったおそれが起こるということを危惧されていることは、いまの御答弁でわかるわけであります。実は私、この後持越鉱山の問題、電源開発の問題も予定された二時四十分までに終了したいと思いますので、お答えを簡潔にお願いしたいと思うわけでございます。
 そこで、もう一点お伺いしたい点は、いわゆる大店舗法は百貨店法にかわるものとして成立したのではなかろうか、こう思うわけでございます。ということは、きのうも池田君が取り上げた問題でございますけれども、私ども公明党の近江君の四十八年七月十一日の質問に対して、山下政府委員から、「これは今回、従来の百貨店法の企業単位の規制から、大型店舗の建物を規制対象にいたしまして、法律の立て方が大きく変わりました関係で、大きな店舗、建物を建て、その中で小売業を営む以上は、俗にいいます寄り合い百貨店、ただいま御指摘の中小小売業者が集まってやる大規模店舗も規制対象になります。」というお答えがありました。また、その日の板川正吾君の質問に対しましても、山下政府委員が、「おっしゃるとおりでございまして、大規模小売店舗という名前で、百貨店と、俗にいうスーパー等々が入ったこと、これが大きな一つの要素でありますのと、消費者の利益ということを明文化したこと、これが違いでございますが、中小小売商業との事業調整がやはり根本であると思います。」というふうに板川君の質問に対しても答えているわけでございまして、要するに、中小小売業者というものと消費者の利益を図りながら調整を図るということが大きな問題点であろうと思うわけでございます。
 そこで、端的に申しまして、きのうも池田君の質問に対しまして審議官がお答えになっております点を、もう一度私詰めてみたいのでありますけれども、中小企業の本屋さんの売り場面積というものの平均は一体どれくらいかという問題です。それから、最も大きな本屋さん、単一に本というものだけで売り場面積を全部占めているその最高の本屋さんというものが日本にあるわけでございますが、その売り場面積は一体どれくらいかということをお伺いいたします。
○山口(和)政府委員 書店の平均的な売り場面積は、約五十平方メートルだったと思います。それから、現在ございます一番大きな書店は、千九百八十平米というふうに言われております。
○松本(忠)委員 最も小さなもので五十平米、いわゆる中小本屋さんというものの売り場面積が五十平米、その程度だ。最も大きなものが千九百八十平米だ、こう言われるわけです。
 それでは、もう一つお尋ねしますが、百貨店と言われるものがいろいろございます。その百貨店と言われるものの売り場面積は、平均で一体どれくらいなんでしょう。
○山口(和)政府委員 いわゆる百貨店の場合は、平均で一万五千平方メートルくらいになっておると思います。
○松本(忠)委員 最も大きなものはどれくらいありますか。
○山口(和)政府委員 約五万平米程度のものが一番大きな方でございます。
○松本(忠)委員 そこで、この問題について、売り場面積というものが、このブックセンターの場合、いま最高と言われる千九百八十平米というものをさらに上回っている点はお認めになりますね。しかし、百貨店と言われるものは、平均的に見れば一万五千平米だ、最も大きなものは五万平米もあるのだ、こういうお話でございます。本屋さんという単一の商品を売る場合に、果たしていま申請になっておるところの八重洲ブックセンターの売り場面積というものが適当であるかどうかということを私どもは考えざるを得ないわけです。周辺の中小小売商業との事業調整というものが根本であるというところの、先ほど読みました四十八年七月十一日の山下政府委員の答弁というものの趣旨から考えてみました場合に、少しその当時のお考えと今日のお考えに食い違いがあるのではなかろうかと思うわけでございますが、その点、どうでしょうか。
○山口(和)政府委員 先生御案内のとおり、昭和四十八年に百貨店法を改正する形で現在の大規模小売店舗法になったわけでございますが、その改正目的がいろいろあったわけでございます。したがいまして、大体念頭に置かれておりましたのは、大部分は百貨店あるいは大型スーパーということでございますけれども、法律の解釈上の基準面積から見ますと、大都市の場合、いま三千平方メートル以上のものが調整の対象になる大型小売店ということになっておるわけでございますので、私どもは、それにつきましては、特に業種のいかんにかかわらず、大店舗として調整の対象になってくるというように考えておるわけでございます。
○松本(忠)委員 百貨店法というものが大店法というものに変わった、そして変わった機会に、売り場面積であるとかあるいはまた閉店の時間であるとか休日であるとか、そういった問題が主要な規制の対象になったわけでございますけれども、本来、単一の商品を売るものと、いろんな商品を売る場合と考えてみたときに、単一の商品を売るのに六百坪でも、千九百八十平米でも、本屋さんとしては相当のものだと思うのです。しかし、これは自分の努力によってここまで持ってきたわけですから、この本屋さんを私は別に云々するわけじゃございませんけれども、この千九百八十平米という、日本で最も大きな本屋さんの売り場面積をさらに数倍したところのものが今度出るわけですね。そうしたことを考えてみるときに、いわゆる百貨店の売り場面積というものは、いろんな商品が並んでいるわけです。影響するところというのは多種方面に影響するでしょうけれども、いわゆるブックセンターの場合、本屋さんにだけ影響があるわけです。この点を一つ私は考えなければならないのじゃないかと思うのです。
 そこで、時間の関係もございますので、私、いろいろと申し上げたいことがございます。
 三条の申請というものがなされる前に、いろいろ当事者間の話し合いがあったということも聞いております。いわゆる三条申請が五十二年十月二十八日でございますけれども、それに先立つ二カ月前の五十二年八月三十一日に、八重洲ブックセンターの社長さんから、東京都書店商業組合に対し、話し合いによって解決したいという要請があった。ところが、十月十一日になりまして、書店組合側は計画の白紙撤回を求めた。そうして、これはどうしてもやめてほしいという申し入れをした。これが三条申請に至るまでにこうした応酬が何回かあったようでございますけれども、昨年の十二月八日に出店反対の総決起大会をやりまして、自民党を初めとして、与野党の東京都選出の国会議員十数名がこれに出席をいたしまして、出店反対の意思表明を行いました。
 次いで、ことしの二月の八日に、東京都書店商業組合の幹部をお呼びしまして事情を聞きました。そうしてまた、これにも与野党の代議士十二名が出席をいたしました。参考のために申し上げておきますと、代理出席でなくて御本人がお出になった。そのお方のお名前は、自由民主党の鯨岡兵輔、粕谷茂、日本社会党の佐野進、渋沢利久、山花貞夫、公明党・国民会議の池田克也、私松本、民社党の和田耕作、日本共産党・革新共同の松本善明、工藤晃、新自由クラブの伊藤公介、無党派クラブの鳩山邦夫等の先生方がお出になって、この問題についてそれぞれ独自の立場から書店商業組合の幹部から意見も聞きましたし、その後また東京通産局からも事情を聴取したわけでございます。
 しかし、一方的にそれでやめてしまってはいけないということで、われわれといたしましても八重洲ブックセンター側からの意見の聴取も考えております。予算分科会が終了したならばやりたいということで、皆さん方と御相談ができているわけでございますけれども、要するに当事者間相互の話し合いというものがますます詰められなければならない段階でございます。
 先ほど大臣の御答弁の中にもありましたように、結局当事者間の話し合いができなければ、もう商調協の場に上げてしまうのだということであっては私はならないと思うのです。ブックセンターの側からも、当事者間で話し合いをしたいということで申し入れがあった。ただし、一方は、それは死活問題であるからということで応じられない、白紙撤回をしてほしいというようないきさつもあったわけでございますし、当事者間の話し合いというものが十分なされなければならないと私は思うわけでございます。
 私どもも、この問題には異常な関心を持っておりますので、各方面の識者の方々から御意見も伺ってみました。
 そうした中で、第一番目に、出店規模というものを縮小すべきであるという意見もあります。これは、最大でも七百五十坪、それ以下にしなさいという意見、その根拠というのはどこかというと、中央区の中小零細企業の本屋さんの総売り場面積が約千五百坪であるから、一店ならばその半分でよかろうという、これはこういう単純な意見でございます。
 第二に、販売する書籍について、月刊誌、週刊誌、その他雑誌類は取り扱いしない。いわゆるベストセラー物は避けて、専門書、学術書に限るべしという意見。これは鹿島建設の創立者であり、この計画を考えられていたところの故鹿島守之助博士の遺志だろうという意見です。その人の言うのに。確かに、この鹿島博士が生存していらっしゃったならば、いわゆるエロ・グロ雑誌というものを販売するなどと言ったら怒るだろう、その人はこういうふうにつけ加えております。
 第三に、販売する書籍についての数量制限をさせないと、売れ行き良好書が八重洲ブックセンターに偏ってしまうのではないかという疑問点、これは先ほど私述べました。
 第四に、周囲のビルの中には大会社がひしめいていますので、そうしたところからの注文によって配達するいわゆる外売、外売りはしない。
 また、休日日数も年間二十四日では少な過ぎるからもう少し多くしろ。そして売り場面積が縮小された部分は有料図書館にしてはどうかという御意見がございました。
 また、販売する学術書にいたしましても、一度に高価な書籍を何冊も求めるということはできないというような学者先生方もいらっしゃいます。そうしたところから、この有料図書館の一角にテーブルを置いて、求めようとする書籍の現物をそこまで運んでもらって、比較対照していずれかに決めてお買い求めを願う、こういうこともするべきではないか、その方が学者先生としても大変便利だ、こういう御意見を先生方から伺ったこともあります。
 また、八重洲口から近いところにブリヂストンの美術館がありますが、このブリヂストン美術館というのは、御承知のように石橋財閥がこの世に残したものでございます。そうした点から考えて、この鹿島の場合にしてみても、要するに、どういう経過をたどって本ができるのだ、原稿から印刷あるいはまた製本、こうした一連の工程というものを展示する場所、こういうものにしてはどうか。いわゆる本の博物館にしてはどうか、こういうことを言っておられました。その人は、東京都の北区の国電王子駅前に紙の博物館がある。これは王子製紙発祥の地を記念して、創立者の意向で古い建物が残されて紙博物館になっております。そして紙がどういうふうにやってつくられるかということが一目瞭然に展示できるようになっております。また、都心部で非常にいい場所でございますから、ここに、環境のいい、音響効果のすぐれた各種の会合ができる会場にしてはどうか、さらに書画あるいは美術品、こうしたものの展示会場にしてはどうか、いろいろと売り場面積の縮小をしてその活用の方法というものがあるのだということを言っております。
 まあいずれにしましても、当事者間の話し合いというものを煮詰めて、双方が納得するまで話し合いの時間を十分にとるようにしなければならないと私は思うわけでございますし、先ほど申し上げました自民党以下二月八日でしたか出席をされました先生方も全部、とにかく当事者間の話し合いをさせろ、それまでまず通産局としても余りタッチしないで、十分な話し合いをさせろ、その時間を十分とりなさい、それからいよいよそうしたものの話し合いがついた段階で五条の申請を受けるべきだ、こういうふうな意見がございます。
 そこで、もう時間もございませんので、この問題について大臣並びに山口審議官からお話を伺いたいと思うわけでございます。
○山口(和)政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、いろいろな問題点について話し合う必要があろうかと思います。従来から東京通産局あるいは商工会議所等におきまして、できるだけ話し合いのあっせんをするよう努めてきておるところでございます。十分お話し合いが行われるように期待いたしております。
○河本国務大臣 さらに両者間で十分な話し合いが行われるように、あっせん、指導したいと思います。
○松本(忠)委員 それでは、時間がなくなりましたけれども、私、一点だけお伺いしておきたいのは、持越鉱山の問題なんです。これは通産大臣にぜひ善処していただきたいと思うわけでございますけれども、残り時間がもうわずかでございますので、要点だけ申し上げておきます。
 問題は、鉱滓の仮置き場、ビニールを敷いてそこに鉱滓を川から揚げているわけです。一体このやり方というものは適法なのかどうかということをお伺いしたいわけであります。
○左近政府委員 現在、持越川の河床に流出いたしました鉱滓を急遽しゅんせついたしまして、仮置き場に積んでおります。これはまさに名のとおり仮置き場でございまして、ここに永久的に置いておくというつもりではございませんので、一時保管という形でございます。しかし、一時保管のときに当たっても、それによる二次公害というのが発生いたしますと大変でございますので、したがいまして、水が浸透しないようにビニールを敷き、必要な措置を講じておるわけでございますが、これはなるべく早い機会に本格的な処理をいたしたい。
 その処理の方法といたしましては、丸山坑と申しますかつて鉱山を稼行しておりました廃坑がございます。そこに入れる方法とか、あるいは別途安全な場所に積む方法とかいろいろ検討いたしまして、なるべく早く処理をしていきたいと思っておりますが、現在一時的に置くということについては、鉱山保安法に基づきます規則上も容認されておるところでございます。
○松本(忠)委員 少なくとも、仮置き場であろうとも、捨石鉱さいたい積場建築基準によらなければいけないと私は思うのです。しかも、この場所を設定するについて、県当局あるいは地元とも十分連絡があったと思うわけでございます。しかしながら、やはりいつ二次災害が起きるか予測できないわけです。
 一体、二次災害が起きた場合の責任は、だれがとるのですか。この持越鉱山の流出事故の直接的な原因は何かと言えば、あの地震です。しかし、その問題に対して責任の所在というものがはっきりしない。どうも通産省としては、当然責任を負わなければならないにもかかわらず、負っていない点を私は非常に残念に思うわけでございますが、いわゆるこの捨石鉱さいたい積場建築基準によってビニールの上に置かれているけれども、これは全くこの基準法によらないで仮置きされているものが再び雨が降って流出した場合に一体どういうことになるのか。この二次災害は、いまも言われましたけれども、本当に危険だと思うのです。
 そこで、きょうも農林省をお呼びしておりますので、最後に農林省の方にお答えをいただかなければならないのでありますけれども、私が先般調べましたところによりますと、少なくとも狩野川流域、天城山の方面に百ミリの雨が降ったならば、必ずこの水が狩野川に溢水する、当然、そうなれば今度は駿河湾の狩野川のいわゆるゲートを上げる、ゲートを上げれば当然シアンを含んだ川水というものが流出してくる。そうしたときにいろいろ被害が起きると思うのです。現にアユの問題についてもいろいろ地元かう話を聞いておりますが、きょうは話を詰めるだけの時間がございませんので、この問題について、農林省としてはこういう事態になったときに一体そのしりをどこへ持っていこうとなさるのか、この責任をどこに求めようとなさるのか、農林省側の御意見を聞いておきたいと思うのです。
○鶴岡説明員 私どもとしましては、直接の原因は、先ほど先生御指摘ありましたように、地震ではございますけれども、鉱滓を投棄しました業者がはっきりしておるわけでございますので、第一次的には、民事上の話としまして鉱山側と漁協側で話し合いをしてもらう、それにつきましては、私どもとしましても、通産省とも連携をとりながら県を通じて話し合いについては指導していきたい、そのように考えている次第でございます。
○松本(忠)委員 少なくとも私は、あの事故によりましてとうとい生命も失われたわけでございますし、なおこの問題の責任というものは、やはり鉱業法で規定する事故でなければ、現在法廷の場でいろいろ争われておりますケースがございますけれども、民法七百九条で言うところの不法行為、あるいは共同不法行為、こういうもので争われて、国の責任論というものも展開される可能性があると私は思っておるわけでございます。こうした立場に立ったときに、通産省として、監督官庁として、一体責任をどうおとりになるのか、この点をひとつ大臣にお伺いをいたしたいわけでございます。
 行政の責任というものは、仮に過失による災害もしくは無過失によるところの災害であろうとも、一企業に対して責任を追及するだけが行政の立場ではないだろう、こう思うわけでございます。しかも、この鉱山の持ち主、中外鉱業というものをいろいろ調べてみますと、これはもう非常に大変な会社でございまして、これらの損害を補てんできるだけの能力がないと私は思っているわけでございますので、そうした点を考えてみました場合に、この事故によりまして被害をこうむりました静岡県民に対し、万全な対策、不安の解消というものを全力を挙げてやるのが行政当局の責任ではないかと思います。そうした意味において、大臣の御見解を承って、質問を終りたいと思います。
○河本国務大臣 いまとりあえずやらなければならないことは、持越川に流れ込んだ鉱滓を取り除くということ、それから、堆積場をしっかりつくり直すということ、こういう緊急の問題でありますが、これはもう全力を尽くしまして二月末に何とかしたいと思っておりましたが、三月に少しずれ込んでまいりましたけれども、三月早々には大体終わると思います。
 それからもう一つは、鉱山保安法でこういう危険物の堆積の基準は一応決まっておりますが、そういう一定の基準で堆積場をつくるように義務づけておりましたにかかわらず、なぜ地震で今度のようなことが起こったのか、これはやはり徹底的に明らかにしなければなりません。そこで、この方面の権威者の方々に調査をお願いいたしまして、先般来鋭意調査に当たっていただいております。いずれ近くその結論が出ると思います。それによってすべての判断をしたいと思っております。
 それから、持越鉱山はやはりいろいろなことを緊急対策としてやらなければなりませんので、若干の資金も要りますので、その分に対しましては、金属事業団から必要な低利資金を貸し出すことにいたしております。資金の不足は来しておりません。
 通産省は決して責任を回避するものではありませんけれども、事実関係を明らかにするということがまず先決である、そういう観点に立っていま取り組んでおるところでございます。
○松本(忠)委員 時間が超過しておりますのでこれでやめますが、とにかく私、この問題はきょうで終わりにしたいとは思っておりませんし、持越鉱山の問題は、われわれも材料をいろいろ持っておりますので、これからも十分、この鉱山の監督責任であるところの通産大臣といろいろお話を伺いながら詰めてまいりたいと思っておるわけでございます。
 なお、電源開発の問題につきまして、カナダから導入されているところのCANDU炉の問題につきましてお伺いする予定でございましたが、残念ながら時間が参りましたので、きょうはこれでとどめておきます。また、次回機会を見まして質問をすることを述べまして、以上をもって終わります。
○山崎(拓)委員長代理 宮田早苗君。
○宮田委員 政府は去る二十一日に、特定不況産業安定臨時措置法案を閣議決定されたわけです。この法案はこれから本格的な審議に入るわけでございますが、永大産業倒産に見られますように、経済界を取り巻く環境は刻一刻悪化をしているときでもありますので、重要な問題点を若干質問したいと思います。
    〔山崎(拓)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕
 過去四年間の経済の実勢を振り返ってみますと、ちょうど二年前のいまごろ、各種の経済指標が若干上向いていたわけです。しかし、これも現状から見ますれば瞬間的な現象にすぎません。経済は悪化し、沈下の道をたどったのでございます。多発する失業者対策として、昨年末いわゆる離職者法案が成立いたしまして、施行されたわけでございますが、構造不況業種は、再建どころか、ますます深みにはまり込んでおると思います。
 そこで、大臣にまずお聞きいたしますのは、この法案の通産省原案がさまざまな議論を呼んだことは承知をしておるわけですが、不況打開策として打つ手に時を費やし過ぎたのじゃないかと、こう思うのですが、これに対してまず見解をお聞かせ願いたいと思います。
○河本国務大臣 構造不況業種の状態が非常に深刻であるということは、いまお述べになったとおりであります。私も同感でございます。
 そこで、これに対する緊急対策でございますが、幾つかの対策があります。それぞれの対策が完璧なものではございませんで、それぞれ問題がございまして、この法案作成の過程におきましてはいろんな議論が行われました。しかし、一番大事なことは、構造不況業種が深刻な状態になっておりますので、やはり急いでこれを成立させる、緊急の課題である、いつまでも議論をしておるわけにいかぬということが一番大事な点だと思います。そこで、いろいろな議論はございましたけれども、やはり適当なところで議論を打ち切って前進をしなければなりませんので、御承知のような法案に落ちついたわけでございます。
○宮田委員 大臣おっしゃるとおりと思いますが、やはり後手後手という感は否めないのじゃないか。悪化した後でいろいろ対策が立てられる。そこに早く解決しようとするそのことがさらにおくれる。私がお聞きしたいのは、何に原因しておるかということをお聞かせ願いたいということなんです。
○河本国務大臣 オイルショックが起こりましたのが昭和四十八年の秋でありますが、それ以降、世界経済全体が、また日本経済も大きな影響を受けました。いろいろ政府もその間対策を考えました結果、御案内のように、一昨年は年初からだんだんと経済は回復しておりました。私どもも、大分いい方向に行っておるから、まあまあこの調子であと一年進めば何とか目鼻がつくのではないかと、実はひそかに期待をしておったのでありますが、御案内のように、昨年はいい方向に向かわないで、逆に悪い方向にだんだん向かったのでございます。
 そこで、その間、構造不況業種対策といたしまして、昨年の春以降いろいろな対策を進めておりました。事実、現にある程度の対策は進んだと思うのです。しかし、やはり状態が非常に深刻でありますので、この際、緊急立法をつくりまして、それによって構造不況業種再建のスタートのお手伝いをしていくということが必要じゃないかと、こういう判断に立ちまして今回の立法をお願いすることになったわけであります。
 いまの御質問は、なぜもっと早くやらぬか、なぜもっと法律をつくらないかと、こういうことであったと思いますが、そういうことで、法律こそつくるのは若干おくれましたけれども、対策そのものは昨年の春以降進めておったわけであります。しかしながら、その対策は不十分ではないか、効果が十分上がっておらぬではないか、こういうおしかりに対しましては、それを甘受いたします。
○宮田委員 次に、まだ具体的にどうこうという段階ではございませんが、新しくできます法案の信用基金制度の創設の問題についてでございます。
 基金百億円について今後審議の焦点になるかと思いますが、主力取引銀行や主要な取引先の債務保証能力が問題、こう思います。今回の永大産業例産に見られますように、銀行の支援体制はある面では限度があるように感じます。また、ある面では撤退作戦が実に巧みになっておるのではないかというふうにも思われます。今日のような経済の実態から、市中金融機関の債務保証の保証があるのかどうかということであります。また、関係の深い親企業でございましても、自分のところの経営そのものが揺らいでいるときにとても能力はない、こう思うのですが、大臣、そこらをどう判断されておりますか、お聞きいたします。
○山口(和)政府委員 お答え申し上げます。
 過剰設備の処理と、また、これとあわせて行いますいろいろな関連の体質改善につきましては、何と申しましても関係金融機関なりあるいは関係事業者の協力というものが必要でございまして、そういった企業の自助努力というものが大前提になると思います。信用基金につきましては、そういった民間の自助努力を補完していくという役割りをこれによって果たしていくのだというように考えておるわけでございます。したがいまして、こういった関係者の協力が得られる企業につきまして信用基金が保証を行っていくということによりまして、限られた資金の効率的な運用を図っていきたいということでございます。再建の目途が立つというような企業である限りは、そういった関係者の協力が必ず得られるのではないかというように期待しておるわけでございます。
○宮田委員 もう一つは、離職者法との関連についてお伺いいたします。
 離職者法もこの次できます法案も、どちらも業種指定をすることになっておるのですが、この法案で指定されましたなら離職者法の業種指定も同時に受けることになるのかどうか、その点をお聞きします。
○山口(和)政府委員 特定不況業種離職者臨時措置法とは要件につきまして必ずしも同じ要件にはなってまいりませんけれども、この安定法案によりまして指定されました業種につきまして、もし状況によりまして離職者を生むというような場合には、離職者臨時措置法の方の業種指定になるように、われわれは労働省とも十分話し合いをいたしまして持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○宮田委員 その際に、関連する質問でございますが、この法律が離職者法を含めて施行前に、たとえば平電炉なら平電炉業界はすでに離職者を多数出しておりますし、また再建のためにいろいろ無理をしておるのが実態でございますが、それはこの法律施行後と法律施行前、これは離職者法にとりましても施行前とその後、後の方の対策は当然してもらわなければいけませんけれども、効果そのものは、法律のできる前に処置しておりましたときよりこの適用の方がより効果があるわけでございますから、その点はおわかりと思います。法律施行前に、相当平電炉業界あたりは無理をして、離職者を出しておるわけですから、この種の関係についてはどういうふうな措置をなさるものか、関連してお聞きいたします。
○山口(和)政府委員 平電炉等の構造的な不況業種につきまして、過去、長期の不況状態の中で雇用調整が行われてきておることは先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、離職者法のいろいろな対策の適用対象にしていくという点は、離職者法そのものの施行によって、政令その他で指定をいたしまして運用していくわけでございますが、今度の安定法案に関連いたしましては、その業種指定の段階で労働省の方とは十分打ち合わせをいたしますが、実際に適用されます解職、解雇労働者に対するいろいろな職業訓練等の手当等につきましては、大体同じ対策になっていくというように考えておるわけでございます。
○宮田委員 希望を言わせていただきますと、この法律ができて適用はされた、しかし事は、もう法律ができる前に離職者を多数出して、あとはもう離職者を出さなくて済むという企業が大変多いわけでございますので、その前段のことも十分に考えて、指導なりあるいはまた何らかの配慮をしていただきますようにまずお願いしておきます。
 それと、業種指定のあり方について、これも関連するわけですからお聞きいたします。
 いろいろ法律がたくさんできてまいりました。業種指定、こういうことになっております。しかし、考えてみますと、業種指定ということだけでこの不況問題が救われるものかどうかというところに非常に疑問を感じておるのです。といいますのは、その業種に付属するところの企業、特に下請といいますか中堅企業といいますか、しかし中小企業じゃなく、三百人以上、多いところは千人、三千人、五千人おる企業もあるわけでございますから、そういう企業は業種が多種多様になっております。しかし、親企業がこの指定業種という形で指定をされましても、それが業種という枠の中から、余りにも多種多様ではみ出るものですから、指定の対象にならぬわけでございますが、指定された業種より以上にその指定業種の下請をやっております方が深刻なのでございます。そういう点についてはどういうお考えを持っておられるか、お聞きいたします。
○山口(和)政府委員 業種の指定につきましては、確かに先生御指摘のように、下請の問題は直接業種の指定対象に入ってこないという問題があろうかと思いますが、当該業種となりました親会社あるいは中堅会社が設備の廃棄等によりましてこれを促進する、またその際の担保解除等に必要な資金についての債務保証を基金によって行っていくということによりまして、そういう業種の不況克服、安定を図っていくというのがこの法律の目的になっておりますので、そういった業種がこの法案によって有効に安定状態に入っていくことによって、結果的にはその関連下請会社にもその恩恵が受けられていくというようにわれわれは考えるわけでございまして、逆にこれを放置しておきますと、そういった親会社関係の倒産等によってかえって大きな被害が下請関係に起こってくるというようなことにもなりかねないわけでございますので、そういうことで、この法律によって下請中小企業にも安定の効果が出てくるというようにわれわれは期待しておるわけでございます。
○宮田委員 そういう見方もあると思います。しかし、考えてみますと、指定した業種、これが親企業といたします。それの下でいろいろ作業しております企業、どちらが先に不況の波をこうむるかということになりますと、逆に下の方に先に来るわけでございますから、そういう面から考えますと、親をこの法律で救済する、対策すると、その関連する下請企業なりは自然に救済することにつながるんだというふうにおっしゃいますけれども、その逆という面の方が大きいだけに、より関心が強いわけです。
 そこで、私がお聞きしたいのは、業種指定ともう一つ地域指定、あるいはまた漠然とした見方ですけれども、その企業に関連する企業ということで一くくりにできないかどうか。たとえば厚板製造業なら厚板製造業が業種指定になったといたします。その厚板の下をやっておりますきず取りの部分、これは下請でやっているわけでございますから、それも厚板製造業という形の中に含める、こういう方法もあるのじゃないかと思いますけれども、実は最近になりましてこれが非常に大きな問題になってきたわけでございますので、もう一遍その点についての解釈、考え方なりをお聞かせ願いたいと思います。
○山口(和)政府委員 法律の構成といたしまして、業種は、法律に例示されました業種のほか、政令で一年以内に定められまして、その業種に属する事業者の数及びシェアの大部分の事業者から今度は申し出がございました際に、主務大臣の発議によりまして政令で業種としてまた指定していくという、二段構えの業種指定になるわけでございます。したがいまして、そうした業種が指定されますと、安定基本計画を主務大臣が作成いたしまして、そして設備の処理についての対策を講じていくということになるわけでございますが、その業種の指定の段階では、ただいま申し上げましたような数及びシェアの方で大部分の業者の申し出があるということを要件にいたしておりますので、そのとらえ方については十分考えておく必要があろうかと思います。その中でいま先生の御指摘の点も含めて考える必要があるのじゃないかと思っております。
○宮田委員 いま申し上げましたようなことでの陳情なり要請というものがこれから出てくるのじゃないかと予測いたしますので、そのときにはひとつ柔軟な対処をしていただきたいということをお願いしておきます。
 次に、鉄鋼業の現状と将来について質問をいたします。
 鉄鋼製品の適正在庫量についてはいろいろな見方がございますが、かなり在庫調整が進んできたというふうにも見えるわけです。しかし、生産水準が依然低うございます。過去の減産によるコスト増で経営環境は史上最悪の事態を迎えておるわけですが、業界は不況の底を打ったという見方、いやまだ下降しておるという見方、こういう見方について、大臣としては現在の景況をどう判断されておられますか、所見をお聞かせ願いたいと思います。
○河本国務大臣 鉄鋼の現在の生産水準は、ここ数年間で一番低い状態になっております。したがって、操業率もやはりここ数年間で一番低い。言葉をかえて言えば、惨たんたる状態である、こう言っても過言ではないと思います。在庫は若干減りましたけれども、それはそれだけ抑え込んだ低い生産水準の中での在庫の減少でありますから、これだけでは私は将来直ちに楽観することはできないと思いますが、ただ、諸般の情勢を総合いたしますと、まず、現在一番の悪い状態は脱しつつあるのではないか、こういう判断でございます。
○宮田委員 五十二年度の生産量は、粗鋼ベースで一億トンすれすれという予測のようでございますが、新年度上期あるいは年度を通してのガイドポストの設定も、景気全般との絡みからむずかしいとは思いますけれども、予測する必要があるんじゃないかと思います。もしその点についてされておりましたならば、御説明願いたいと思います。
○天谷政府委員 鉄鋼のガイドポストにつきましては、四半期ごとにやっておりますので、年間を通じてのガイドポストなりあるいは通産省としての見通しというものは現在持ち合わせておりません。第一・四半期につきましては、目下作業中でございますけれども、本年度第四・四半期と比べましてそう大きな変化はないのではなかろうかと思っております。
○宮田委員 政府の目標でございます。%の成長率、是が非でも達成をしなければならぬ、これは当然なことと思いますが、やはり鉄鋼という立場を考えますと、基幹産業中の核ということからも、七%に対するある程度の考え方というものを持たれてしかるべきじゃないか、こう思うのです。これは予測でございますので、正確に云々ということを私言っているわけじゃないわけですが、七%成長ということになると、どの程度の粗鋼の量にならなければならぬかということぐらいは考えられてしかるべきじゃないかと思いますが、その点についてどうですか。
○天谷政府委員 GNPの七%成長とそれから鉄鋼の生産の伸び率との関連の問題は、結局、GNPに対す鉄鋼の生産の弾性値はどうであるかという問題に帰するかと存じます。ところが、この弾性値なるものが非常に動揺いたしておりまして、年によるばらつきがきわめて多いわけでございます。これはGNPの構成要素、GNPを構成する需要項目の構成あるいはその伸び率がどういうような変化をするかによりまして著しく変わってくるわけでございます。もし七%成長が民間設備投資を主導といたしまして伸びていくというような形をとりますならば、鉄鋼業の生産は相当強く伸びるでございましょうし、逆にこれが民間消費等を中心とする伸びでございますならば、弾性値は著しく落ちるであろうというふうに思われます。その辺、鉄鋼業の年間の生産見通しをどの程度立てるかということにつきましては、いまのところまだ自信がございませんので、数字は持っていないような次第でございます。
○宮田委員 極端に申し上げますと、鉄鋼の生産が伸びればこの成長も自然高くなってくる、これは私は、わが国だけでなしに世界の趨勢だ、こう思うのです。何としても七%の成長を実現するために――これは非常に通産大臣にも妙な質問、妙なというわけではありませんけれども、とっぴな質問になるかもしれませんけれども、七%成長するかどうかというところに非常に大きな不安、あるいはまた疑心暗鬼というものがなきにしもあらず、こう思う。そのためには、これだけの大きな公共投資の活動が予定されておりますだけに、下期を上期に前倒しをする、すでに手当てをしておくという方法もやってしかるべきだ、あるいはまた、来年度すでに本四架橋あたりは計画の中にあるわけでございますし、新幹線もそういうことになっておるわけでございますが、その分までも当面手当てをしておく、そういう方法というものを実行することによって七%の成長を確実にする、景気を自然上げていくということになるじゃないかと思いますが、そういう問題について何か考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○河本国務大臣 この七%成長問題につきましては、予算委員会の審議等を通じまして総理もしばしば言明をしておりますが、これを達成するためにあらゆる政策手段を尽くす、万難を排してこれを実行する、こういうことを言っております。
 そこで、いま一刻も早く予算を通していただきたいということを熱望しておるわけでございますが、これを上半期、特に四−六に集中をいたしまして、その様子を見てあらゆる政策手段を尽くす、こういう判断が必要かと思います。私どもは、計画どおり進むものと期待しておりますけれども、やはり物事には万が一ということがございますから、そういう場合には遅滞なくあらゆる政策手段を尽くしていく、これはぜひ必要である、このように私どもは考えておりまして、特にこの七%成長ということの目的が、国内の雇用問題とそれから国際的な国際収支の調整、こういう非常に大きな課題を抱えておりますので、そういう意味からも、これはぜひことしは達成をしなければならぬ、こう思っております。
○宮田委員 鉄の国内需要は、みずからの設備投資熱が冷え切っておるわけです。また、他産業の意欲も出てこないわけです。見通しは、私どもの判断ではまだまだ暗いと思います。一方、輸出はどうかといいますと、御存じのアメリカのトリガープライスの設定、ECのベーシックプライス制等々で、これまた大変暗いわけでございます。アメリカやECの措置によります影響とこれからの見通し、この問題について通産省の方でわかっておりましたならば、御説明願いたいと思います。
○天谷政府委員 対米及び対ヨーロッパ向けの鉄鋼輸出の見通しでございますけれども、一言にして申し上げますと、数量的には横ばいもしくは減少するでございましょうが、価格的には増大する、こういうふうに見ております。
 アメリカに関しましては、トリガープライスの制定によりまして、輸出数量は、数字では申し上げられませんが、低下することを免れないのではなかろうかと思います。しかしながら、価格面の上昇が見られますので、金額ベースで見れば減少することはないのではなかろうかという感じでございます。
 次に、ヨーロッパのベーシックプライスでございますが、ベーシックプライスにつきましては、EC当局が、この制度の採用によって日本からヨーロッパ向けへの輸出を数量的に減らすということは意図していないというふうに言っております。ヨーロッパ域内における鉄の価格が余りにも下がり過ぎておるために、EC当局としては、ヨーロッパ域内の鉄鋼価格を引き上げたい、その引き上げに当たっては、ヨーロッパへ入ってくる鉄の値段が安過ぎては引き上げがうまくいかないので、そこのところに協力をしてくれというのが先方の趣旨でございます。したがいまして、ヨーロッパ向けに関しましては、数量的には横ばい、それから価格的には伸びるというふうに考えてよろしいのではなかろうかと思います。
 中国等につきましては、やや明るい見通しがあるのではなかろうか。全体をひっくるめまして、量的には微減、価格的には若干伸びるというような見通しではなかろうかと考えております。
○宮田委員 輸出に関連をいたしますが、いまもちょっとお触れになりましたわが国と中国との経済関係について、日中の長期貿易取り決めで一層緊密になってまいったわけであります。そこで、中国の製鉄所建設計画が非常に具体化してきたわけでございます。そういう意味から、今後の鉄鋼製品の中国に対する輸出の展望、この点について見解をお承りいたします。
○天谷政府委員 御承知のとおり、昨年の中国向けの鉄鋼輸出は四百五十三万トンで、全鉄鋼輸出に占める割合が一三%でございまして、これから中国の経済建設が伸展していくに従いまして中国の鉄鋼需要は伸びるはずでございますし、その鉄鋼需要が、中国に一番近接しており、品質的にも価格的にもすぐれている日本の鉄鋼に向けられるであろうということは、十分期待できるところでございます。しかしながら、数字でもってそれではどれくらいになるかということにつきましては、いまのところそういう数字を持っておりませんので、御了承いただきたいと思います。
○宮田委員 数字をお聞きしようとは思いませんが、製鉄だけでなしに、プラントの輸出などが非常に活発になってくるんじゃないかと思います。その場合、政府の態度いかんというものが非常に大きな要素を占めると思いますので、その際の政府の態度ということについて、もう一度お伺いいたします。
○天谷政府委員 政府の鉄鋼輸出に対する態度としましては、特定の地域に向けての鉄の輸出に対して特別のフェーバーを与えたり、あるいは特別の制限を加えたりするというようなことはございませんので、市場の動きに従って中国向けにも鉄の輸出が出ていくのではなかろうかと考えております。
○宮田委員 次に、特定不況産業安定法との関連をいたします平電炉業界の問題について質問をいたします。
 棒鋼と鉄くずの市中価格の推移を示すグラフを持っておるわけですが、棒鋼価格は石油ショック時から乱高下を繰り返していたわけです。五十年の春にトン当たり六万円、これは市中価格です。六万円が今日までの最高の価格でございました。いろんな要素がありますが、最近になりまして五万二千円から五万八千円台に上昇しておるわけです。三月末まで団体法に基づきますカルテルを実施中なのでございますが、通産省としては、現在の需給状況から見て、最近の価格水準をどう分析評価をされておりますか、その点をまずお聞きいたします。
○天谷政府委員 棒鋼の価格は、昨年の十二月から騰勢を見せ始めまして、ことしの二月に入りましてから、特に二月上旬にかなり速いスピードで上がりまして、五万八千円の水準に到達したわけでございます。しかしながら、この五万八千円という価格の実態でございますけれども、実際の取引の大部分はこの値段で行われているわけではございません。メーカーネットで申し上げますと、二月積みの小棒の大部分はメーカーネット五万二千円という値段で取引をされておるわけでございます。ところが、昨年の十二月ごろ、小棒の市況に関しまして弱気になった特約店等がございまして、こういう特約店の中には空売りをしておったものがございます。ところが、一月、二月ごろになりまして、小棒の市況が先行き高くなるのではないかという機運がだんだん強くなってきました結果、空売りをした特約店等がこの空売り分を埋めるために買いに出てきた。しかしながら、これは突然買いに出てきてもそこに玉がないわけでございますから、名目の値段で買いどなえの値段が五万五千、六千、七千、八千というふうに上がっていっているわけでございますが、必ずしもそれは実需を伴った価格ではないというふうに私は考えております。したがいまして、五万八千円という価格は、市場の実態を反映している価格とは考えられないというふうに考えております。
 それから、この値段が今後とも騰貴を続けるのであろうかどうかということでございますが、大体五万八千円で二月の十二、三日くらいまで上がったわけでございますが、以後ずっと横ばいに推移しておりまして、価格の騰貴は鎮静化しておるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
 それから、メーカーの方の生産能力でございますけれども、これは平電炉の鋼塊ベースでは二千万トンの生産能力があるのに対しまして、現在の生産のレベルは千三百万トン程度でございますから、十分な供給力がございます。それからまた、圧延の方で見ますと、圧延能力は月間九十八万トンの能力があるのに対しまして、生産のレベルは六十万ないし六十五万トンということでございますから、ここにおきましても十二分ともいうべき生産余力があるわけでございます。したがいまして、価格が異常に騰貴するような場合には、いつでも生産枠を増大することによって市場を冷却することは可能であるというふうに思います。
 ただ、問題は、鉄くずに若干問題がございまして、特に冬場、鉄くずの供給が円滑にいかない、そのために若干品薄になりまして、それとその思惑とが絡んで、鉄くず価格が昨年の末から現在にかけましてかなりな速度で高騰した。昨年十一月ごろには一万六千円ないし七千円であった鉄くず価格が、現在二万四千五百円くらいまで上がっておる。これは若干速過ぎる上がり方であるかとも存じますけれども、しかし、この鉄くずの価格というのは全く完全自由市場で行われるわけでございますから、これにつきましてこの市場価格を操作するというようなことはなかなかむずかしいわけでございます。結果的には鉄くずの価格が上昇し、他方それと並行して小棒の価格も上がっているわけでございます。したがいまして、いままで非常に困っておりました鉄くず業者のふところぐあいはよくなったと思いますけれども、平電炉、小棒業者の経営状況は何ら改善をしていないというのが実情でございます。
○宮田委員 おっしゃるとおりと思います。私ども、業界の労使からの話を聞きましても、お答えのとおりでございますが、五万八千円というと、カルテルの下限五万二千円に比べればかなり回復感はあるわけでございますが、メーカーの出し値はいまおっしゃったように五万二千円をちょっと上回っておるというだけと思います。こういう状態にもかかわらず、公正取引委員会の委員長は、先週の予算委員会で、カルテルの継続に問題がある、こういった趣旨の御意見を述べられたようでございますが、委員長の御意見を改めてお聞きしたいと思います。
○橋口政府委員 二月十七日の衆議院の予算委員会で井上委員に対する御質問にお答えをしたのでございますけれども、井上委員の御質問は、公共事業の前倒し効果等によりまして建設関係の資材価格が高騰している問題についてのお尋ねでございました。
 内容といたしましては、セメント、生コン、小棒等があったのでございますが、実は私どもの行政体験と申しますか、行政体験に基づく反省と申しますか、そういう面から申しまして、不況カルテル、それから中小企業団体法に基づく調整事業等を実施いたしておりました場合に、ともすると対応のおくれることがございます。たとえばセメントにつきましても、十二月におきましては大変な需要が出てまいり、大変な生産数量になったのでございますが、その結果、十二月末の在庫量というものが大変大きく減ったのでございます。そういうことも反映しまして、セメント価格が高騰するという問題もあったのでございまして、今日の時点で考えますと、十二月二十日現在くらいでセメントの不況カルテルは打ち切りをした方がよかったのではないか、こういう感じも持っておるのでございます。
 それからまた、生コンクリートにつきましても、関東中央生コンクリート工業組合というのが、これは関東一円ではございませんが、関東の一部の地区につきまして生コンの調整事業をやっておったのでございますけれども、これも価格が上がってまいりまして、ことしに入りましてから通産御当局と御相談もし、また、公正取引委員会として独自の調査もいたした結果、通産省の御判断として、昨日現在で関東中央生コンクリートの調整事業が打ち切りになったのでございます。
 そういう一連の出来事と申しますか、そういう不況カルテルとかあるいは調整規程に基づく安定事業を行っております場合には、ともすると現実の推移に対応できないという心配があるのでございまして、二月十七日の井上委員の御質問に対して私がお答えいたしました趣旨も、小形棒鋼につきましては全体として市況が改善されている、ただ、それが名目価格であるか、実取引価格であるかという問題はもちろんございますけれども、しかし、人気的に名目的な価格の上昇がある、そういう事態に即応いたしまして、調整規程の内容にはいろいろなものがございます。御承知のように、生産数量の制限もございますし、価格の下支えもございますし、アウトサイダー規制命令もございます。いわば三本の柱でできておるわけでございまして、そういういまの調整規程全体についてそろそろ再検討すべき時期ではないかということを申し上げたのでございまして、再検討したからと申しまして、直ちにこれを打ち切るとか廃止するとか、そういうあらかじめの成心をもって申し上げておるのではないわけでございまして、この点は通産御当局とも篤と相談したい、そういう趣旨を申し上げたのでございます。そういう二月十七日に申し上げました私どもの考え方は、今日においても変わってはおりません。
○宮田委員 委員長のおっしゃっておることについてはわかるわけですが、何しろ、市中価格は確かに上昇はしておりますけれども、通産省の方でただいま説明がございましたように、中身に大きな問題があるわけでございまして、さっきもおっしゃった原料のスクラップの値上がり、トン当たり二万四千円ということになっておるものですから、メーカーの収支はちっとも好転をしていない、これが実情でございます。公取委員長がいまおっしゃったことについて理解はいたしますが、外すというような段階ではないんじゃないか、業界もその点については毛頭考えていないんじゃないかというふうに私は思っておるわけですが、その点についての見解をまずお聞かせ願いたいということと、せっかく軌道に乗ろうとしておる構造改善の状態でございますが、これがもし委員長のおっしゃるようにカルテルはやめるということになりますと、構造改善どころじゃなくなるじゃないかというような危惧の念も業界にはあるわけでございますので、こういう点も十分にひとつ御理解をしていただきたいということであります。
 さらに、通産省といたしましてもやはりこの問題については十分公取との連携を密にされまして、業界が納得のいくように、また、この構造改善がスムーズに進められるようにしていただかなければならぬわけでございますから、そういう問題についてのお考え、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○橋口政府委員 市場販売価格も上がっておりますが、先ほど来通産省から御説明ございましたように、原材料としてのくず鉄の価格も上がっておるのでございまして、一体どっちが先に上がったかという因果関係の問題もあろうかと思います。小棒の市場価格が上がって、それにつれてくず鉄価格が上がったのか、その逆であるか、それから操業率も改善されているというふうに思うわけでございまして、そういう点につきましてよく御相談をしてみたい。
 それから、さっきもちょっと触れたのでございますが、いまの調整規程はいろんな内容を持っておるわけでございますし、現に最低価格ははるかにオーバーをいたしております。それからまた、生産限度数量も突破をいたしておるわけでございます。また、アウトサイダー規制命令も出ておるわけでございますから、そういう組み合わせの中で何か一つの考え方というものを打ち出せないかということも考えつつあるわけでございまして、これは通産当局とよく相談して決心をしたいというふうに考えております。
○天谷政府委員 平電炉業界の実情は、たとえば自己資本比率で申し上げますならば、五十九社ベースの昭和五十一年度の決算におきまして、自己資本比率は一・一ということでございましたが、それから現在までに約一年を経過しておりますので、多分、本年三月末の決算では、五十九社ベースで債務超過に陥っているのではなかろうかというふうに考えております。そういうふうに五十九社総倒れになってもおかしくないほどの経営体質の悪化ということを来しておりますので、私は、この平電炉業界の病状は、依然として入院加療を続けることを要するというふうに考えなければいけないのではなかろうかというふうに思っております。もしこれを現在やっておりますような各種の調整措置その他を全面的に解除いたしますならば、倒産が続発するというような事態が起こるのではないかというふうに心配をいたしておるところでございます。
 しかしながら、二月の上旬に見られましたような価格の急激な上がり方、たとえ名目価格でありましょうとも、ああいうふうな価格の急激な上がり方ということは、これまた一般の経済界に与える心理的影響、あるいは公共事業遂行に与える影響その他等々から考えまして好ましくない現象であるというふうに考えておりますので、ああいうことが起こるようであれば、これはまたカルテルその他の運用の仕方について十分な検討を加えなければならないのではなかろうかというような気がいたしております。
 基本的には、現在のこの平電炉業の体質を考えますと、依然としてある程度の支援を続けながら、逐次構造改善を進めていくということが必要ではなかろうかと思いますけれども、しかし、その間におきまして、いま公取委員長が御指摘になりましたようなカルテルのあり方、これは柱が三本ございますが、どういうふうな組み合わせでいったらいいのか、どういう微調整が必要であるか、この辺のところは公正取引委員会ともよく御相談をしながら進めていきたいというふうに考えております。
○宮田委員 それでは次に、石油を中心にしてエネルギー問題について御質問をいたします。
 民間によります九十日備蓄、さらに石油開発公団によります一千万キロリットルの備蓄は、国のエネルギー確保の観点から、また、備蓄設備の増強が不況対策になるということからも強力に推進すべきでございましょう。私は、一千万キロリットルの規模の備蓄を石油公団でやる計画ですが、公団備蓄とした理由と百二十日備蓄に向けての政府の方針、これを御説明願いたいと思います。
○橋本(利)政府委員 石油の備蓄につきましては、現在、石油備蓄法に基づきまして、民間が主体となって、五十四年度末までに九十日備蓄を達成したいということで努力いたしておるわけでございますが、国もこれに対して必要な助成措置をとっておるということでございます。ただ、御承知のように、原油代金が大幅に上がってまいっておりますので、その面から金利負担が上昇しておる、あるいは消防法の改正等によりましてタンク施設等の建設費が増大してきておる、かようなことから民間における負担がきわめて過大になってきておるわけでございます。いままでのところは順調に来ておりますが、今後八十五日、九十日に持っていくためには特段の努力が必要ではなかろうか、さような現状に加えまして、フランス、ドイツ、スウェーデン、あるいは昨年の七月からはアメリカにおきましてもいわゆる戦略備蓄を開始いたしておる、かような情勢からいたしまして、石油開発公団法の改正をお願いいたしまして、公団みずからが備蓄ができるようにということにいたした次第でございます。
 それから、百二十日備蓄との関係でございますが、ただいまの公団備蓄の一千万キロリッター、大体十日分に当たるわけでございます。したがいまして、民間備蓄と合わせますと、当面百日の備蓄を達成いたしたい。将来備蓄量が多くなればなるほど、それだけ安全保障の効果を持ってくるわけでございますが、一方でコストとの兼ね合いもあるということもございまして、当面百日の備蓄、官民合わせまして百日備蓄を目標に掲げたと、こういうことでございます。
○宮田委員 長官は、さきに問題のアラビア、石油の輸入量を倍増する発言、これが伝えられておるわけですが、公団備蓄用の油は自主開発原油を優先するという考えでもあるのかどうか、この点をお聞きいたします。――公取委員長はもう結構です。
○橋本(利)政府委員 国家備蓄の対象としてどのような油を取り上げるかというのは、最終的には決めてはおりません。ただ、御指摘のように、いわゆる政策原油の引き取りというものが難航しておる。これは国内における産業の不振ということもあるわけでございますが、現実の問題といたしまして、いわゆる政策原油なるものの引き取りというものは困難になっておるということも事実でございます。一方、備蓄原油といいましても、いつまでも備蓄しておくままではございませんので、やはり国内の需要構造に適合した油ということも必要かと思うわけでございます。そういったところから、現段階においてどのような油を国家備蓄の対象とするかということは決めてはおりませんが、いま申し上げたようなことをしんしゃくしながら、やはり政策原油の引き取りの円滑化にも役立つようにこの制度を活用していきたいと考えております。
○宮田委員 日中の長期貿易取り決めによります五十三年度からの中国原油の引き取りが始まるわけです。五十七年度までに四千七百十万トンですか、達すると思います。民間ベースでの交渉といいましても、中国原油の位置づけ、つまり国家備蓄の対象に考えておられるものかどうか、お聞きします。
○橋本(利)政府委員 二月十六日に調印されました日中の長期貿易取り決めでは、五年後には千五百万トンという数字になっておりますが、ただ、初年度が七百万トン、以降漸増していくという見通しになっております。五十二年度におきましては約六百五十万トン程度の輸入が実現するものと見ております。と申しますことは、日本の石油企業あるいは電力業界の需要動向に即応して積み上げられたそれを基礎として積算された輸入量ということで、特に当面のところは問題ないと思います。
 今後とも安定的に増量していく、あるいは世界的に重質油化していく中で中国原油をどう取り上げていくかということになりますと、いわゆる重質油分解装置の導入といったような対応も必要になってくるかと思いますが、当面のところは、その受け入れには問題はまずないというふうに判断いたしております。
○宮田委員 中国原油が重質油であるということから、重質油分解装置が問題にされております。現に政府は分解装置の研究費を約一億円計上しておられるわけですが、片方では、新聞報道によるわけですけれども、民間製油所で建設中とも言われております。また、最近、電力業界から調査団を訪中させよう、こういうことになっておるようですが、技術問題を中心にお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。
○橋本(利)政府委員 現在わが国で分解設備が全くないというわけではございません。ただ、その規模が小さいとか、あるいは熱分解方式をとっておるために特定の油にしか使えない、副次的な機能といたしまして重質油の分解にも使えるという程度のものでございます。ところが、将来のことを考えますと、重質油のウエートが非常に高くなってくる、格段に重質油のシェアが高まってくるということを前提といたしまして、大量に重質油を処理できる設備を導入いたしたいというのが、私たちが現在調査委員会を設置いたしましてそれに対する経済的、技術的対応を検討しておる、こういう趣旨でございます。
○宮田委員 もう一つは備蓄方式でございますが、公団による三カ所の立地着工の見通しですね。それと研究中の洋上、それとか地下備蓄、こういう構想をひとつまとめて御説明願いたいと思います。
○橋本(利)政府委員 御承知のように、現在の備蓄の主体は陸上タンクでございますが、ただ、これにもいろいろと問題もありますので、二、三年前から、経済的にも技術的にも陸上タンクにかわり得るような備蓄方式はないものかということで検討を続けてきたわけでございまして、その間、地下備蓄、タンカー備蓄、洋上備蓄といったようなものも検討してきておるわけでございます。御指摘の地下備蓄につきましても、ここ二、三年来検討を続けております。ただ、西欧諸国のような岩塩坑といったような便利なものもないというわが国のことでございますので、安全性にも十分留意しながらやらなくちゃいけないということで、五十四年度にはパイロットプラントをつくりまして、そのプラントを前提にしていろいろと技術的な面も検討してみたい、かように考えておるわけでございます。
○宮田委員 タンカー備蓄の問題について、早くからこの問題が話題になっておるわけですけれども、私どもから見ますとすぐでもできそうな気もするわけですけれども、どこにネックがあるか、それもあわせてお答え願いたいと思います。
○橋本(利)政府委員 先ほど洋上備蓄についてお答え漏れがございましたので、先にお答えいたします。
 洋上備蓄につきましては、現在二、三の企業グループで検討いたしておりまして、技術的にはもう実用化できる見通しになっております。ただ、これは洋上に浮かべるということもございまして、漁協との調整といったような問題が残っておりますが、この問題が解決すれば現実のものとして活用できると思っております。
 それから、タンカー備蓄につきましても、先ほど申し上げましたように、ここ二、三年来検討しておりまして、昨年の春ごろにはある程度まとまった報告なども出ておるわけでございます。タンカー備蓄につきましては、まずどこに錨泊するか、仮にVLCC型でございますと、二十五万トンということは東京駅の大きさがあるわけでございます。したがいまして、錨泊地を選定する場合にも、海象、気象条件、あるいは水深、あるいは港湾の広狭、広い狭いという問題、あるいはその地点における漁業活動、さらには海上交通の程度といったようなものも十分検討してかからなければならないというようなことがございまして、実は昨年の秋以来、私たちといたしましては、候補地点二十カ地点くらいを選びまして、ただいま申し上げたような観点に立って、まず図上作戦と申しますか、資料に基づいて調査してきたわけでございます。
 ことしの二月の十日に日本タンカー備蓄協会が発足いたしましたので、この備蓄協会によりまして、後に残してございます三ないし四カ地点の候補地点につきまして、現地でその実情を調査する、あるいは状況によっては地元と折衝に入るといったような段階に来ておるわけでございます。
○宮田委員 備蓄の重要性からいまいろいろ計画されておられるわけですが、実現となりますとなかなかむずかしいようでございますが、政府を挙げて、これができますように、これは不況対策の大きな原動力になるかと思いますので、早急にひとつ実行に移されるように努力をお願いをしておきます。
 次に、電力の設備投資の問題でございますが、今度投資額三兆二千億円、これは景気対策としてあらゆる分野から注目をされておるわけですが、特に約一兆円の機材、資材の繰り上げ発注、この構想の実施が待たれておるわけでございますが、政府は具体的にどうこの問題に対処なさっておるか、その点をお聞きします。
○橋本(利)政府委員 五十三年度の電力関係の設備投資は、総額で三兆二千億と見込んでおるわけでございます。このうち一兆一千億が電源関係、残りの二兆一千億が電源以外のいわゆる非電源関係の工事ということでございます。これがいわゆる民間設備投資として出てくるものでございますが、ただいま御指摘のございましたように、一つには景気浮揚、本質的にはやはり電力の安定供給の確保といったような観点からいたしまして、この三兆二千億のほかに、五十四年度ないしは五十五年度に予定しておる工事の中からできるだけ多くのもの、一兆あるいはできれば二兆近くも繰り上げ発注をしてもらいたいということで、要請と申しますか行政指導を続けておる、こういうことでございます。
 ただ、この繰り上げ発注そのものにつきましては、五十三年度において資金的な効果は出てこないと思いますが、そういった仮発注を受けることによって生産のための準備に入る、あるいは部分的にも一部の下請企業に内示をするといったようなことが、景気浮揚に大きく寄与してくるものというふうに私たちは期待いたしておるわけでございます。
○宮田委員 次に、流通問題について質問をいたします。
 最近大型店の各地域進出についていろいろ問題が起きておるケースが非常に多いわけでございます。これの原因は地元の商業者と進出する大型店の利害関係と思いますが、結果として利用者が、消費者ですが、利害対立の渦中に巻き込まれまして、肝心の利用者の声が正確に反映されない状況が出てきておるのじゃないか。この問題について通産省としてこれまでとられた指導のあり方、この点についてまずお聞きをいたします。
○山口(和)政府委員 大規模小売店舗法によります調整につきましては、地元の商工会議所において編成をいたします商調協におきまして、関係者の調整が必要かどうかについて検討をしてもらうことになっておりますが、その商調協の編成につきましては、私ども、大型店の代表、中小小売商業の代表のほかに、消費者の代表あるいはまた学識経験者等、適切なバランスをとった人員構成になるように、従来から指導をしてきておるところでございます。
○宮田委員 通産省は、正式届け出前に地元が十分審議をする、事前調整を指導されておるわけですが、これの対象が商調協のみに限られておるわけでございます。せっかくのその方法というのが商調協だけでなしに、せっかくおやりになるならば、地元民主主義という考え方から、商調協のみではなくして、他の関係業者といいますか、商店組合の役員とか、あるいはまた労働組合の役員とか、利用者の中の商調協以外のいろいろな有志といいますか、そういう人々、こういう意見もあわせて聴取するということが、地元民主主義ということからは特に必要じゃないかと思いますが、その点はどうですか。
○山口(和)政府委員 商調協の編成につきましては、ただいま申し上げましたように、関係者それぞれの適切なバランスをとって構成をするようにということで、通常二十名程度の商調協の委員を構成してやっておりますが、運用につきましては、もっとさらに広く関係者からの意見を十分徴して、調整についての検討を進めるようにという指導をいたしておるところでございます。
○宮田委員 そういう意味からも、事前にいろいろ意見を聴取されるならば、限定された範囲だけでなしに、範囲外の関係者の御意見をお聞きになる、こういう御指導というものをいま特にお願いしたわけです。
 私がここに取り上げましたのは、熊本において長い間問題になっております大型店の進出と地元との関係です。全く対立したまま、もうすでに紛争という状況になっておるやに思います。個々の例を引いて、通産省として格段の善処をしてほしい、こう思うのであります。事前調整ということで、昭和五十年三月ごろから指導されているわけですが、商調協としては、五十年七月に検討の結果、ゼロ回答、こういう結論を出しております。さらに五十二年十月ですか、再度ゼロ回答ということになっておるわけです。しかも、ゼロ回答という結論を出しましたこの商調協としては、特別な理由でやめた人は除いて、以外は全部留任です。同じ委員で二回審議をして同じ結論を出したという、こういうことについて考え方を聞かしてほしいと思うのです。
 私が前段に、商調協以外の関係者からの意見も取り上げたらどうかということを質問いたしましたのは、熊本におきます例をとりますと、商調協自体のあり方に問題があるのじゃないか、こういう気持ちになったものですから、あえて前段に質問したわけですが、この事実についてどう掌握されておりますか、また、判断をされておりますか、お聞きをいたします。
○山口(和)政府委員 商調協の委員につきましては、先ほど申し上げましたように、商業者、消費者、学識経験者の三者構成と申しますか、そういったバランスをとって、相互に均衡のとれるように配慮をして決めていくという指導をいたしております。
 その商調協の委員の任命につきましては、商工会議所の会頭が委嘱するということになっておるわけでございまして、その委嘱に際しましては、先ほどのような考え方に立って十分適切な委員の任命をやるようにという趣旨を踏まえまして、通産局とも十分連絡をとって行うようにということにいたしております。委員の改選の際にも、そういう意味で、事前に通産局に相談があったような場合には、そういう地元の意見を公正に反映できるような指導をするようにということを、通産局を通じましてやっておるわけでございます。熊本につきましても、そういった関係で通産局とも相談をしながら改選を進めたものと考えております。
○宮田委員 ところが、熊本の商調協の運営についてちょっと疑問があるのじゃないかというふうに判断しますので、さらにお聞きいたしますが、事前調整であったとしても、商調協としては、商調協の持つ役割り、さらには運営の民主化、こういうことからより公平を期さなければならない、これは当然なことと思いますが、熊本での実例として、商調協の結論を待たずに、商調協開催中に商工会として反対というものを先に決議をしておる。この点については、運営ということを考えますと、これは疑義があるのじゃないかと思いますが、その点についてはどうですか。
○山口(和)政府委員 通常、大規模店舗法の三条に基づく届け出が行われますと、本来、正式には五条の届け出によって正式の商調協の検討をするわけでございますが、事前にできるだけ関係者の間での話し合いを十分詰めるという意味で、三条届け出が行われました段階から、商調協が事前に検討に入っていくというようなやり方をいま指導してやっておるわけでございます。
 熊本の本件につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、昭和五十年の三月から出てまいりました件につきまして、商調協のゼロ回答というのがございまして、しばらく出店者側は見合わせておったわけでございますが、昨年の三月に、当初の計画を三五%程度減らしまして、もう少し小さな店舗面積によって三条の届け出を改めて出してきたわけでございます。そして四月から、再開の商調協を、事前商調協と申しますか、これを開催してきているというように報告を受けております。それ以後、何回かにわたりまして事前商調協での検討の会合が開かれているというように承っておりますが、その会合は、商業者の集まり、あるいは消費者の集まり、あるいは学識経験者等、各グループのセクション別に検討するというようなことを含めまして、延べ十数回そういった集まりを持ったというように報告を受けております。その中で部分的に出ました意見というものの中に、ただいま先生がお話しになりましたような点が含まれておったのじゃないかというように考えるわけでございます。
○宮田委員 商調協の委員の選出について先ほどもちょっと触れられたわけでございますが、大店法では、委員は原則として再任しないということになっているのに、二度もゼロ回答の結論を出した委員がいずれも重任の委員であったということについて、通産省としてはどういう見解を持たれておるか、この点をお聞きいたします。
○山口(和)政府委員 確かに、公正を期すという意味等もございまして、できるだけ再任、重任をしないようにという方向でいろいろ指導してきておるわけでございます。ただ、委員の人選につきましては、地元の事情によって商工会議所の会頭の判断で決めていくわけでございますが、人選の問題で人選難といった場合もございますし、いろいろ地元での事情に対応して人選が行われるものと考えられるわけでございます。
○宮田委員 考えてみますと、この人選の問題について、三万、五万の都市ならばある程度理解できないこともないわけですけれども、五十万ですか、あるいは周辺を含めますとそれ以上になると思いますが、これだけの大都市であるならば、やはり公平を期するところの委員の選出というのが全く不可能じゃない、こう私どもは思うわけですので、その点については行政的に十分御指導をしていただきたいと思います。
 第一回目のゼロ回答のときに、出店賛成の消費者の声が正しく反映されていないということを理由に、商調協の会長が辞任をしたと言われております。その後の運営を聞いてみましても、先ほど申し上げましたように、改善されたとは思えない状態と思うわけです。大店法は消費者利益の保護をうたっておりますが、運営面で、詳細な消費者調査をするとか、あるいはまた、商調協委員の任命権を、逆に言いますと、会頭でなしに自治体に移すとかという方法もこれから検討しなければならないのではないかというふうにも思われるわけでございますので、その点についての考え方がありましたら、まずお聞かせ願いたいと思います。
○山口(和)政府委員 商調協の委員の任命に当たりましては、商工会議所の会頭が指名するわけでございますけれども、商工会議所の中で評議員会その他にも諮るということも行われるのが通常だと考えるわけでございます。したがいまして、そういったことで一人だけの判断でということには必ずしもならないのだろうと思います。
 ただいま先生のお話のございました地方自治体につきましては、現在では商調協の中に参与という形で参加をしていただいておりまして、いろいろと地方自治体の側から見た意見について商調協の会議の中で御意見を盛り込んでいくということになっておるわけでございますが、さらに自治体の関与をもう少し強化するべきじゃないかというような御意見もございます。ただいま、御案内のとおり、昨年の夏から大店法あるいは商調法等を含めまして、小売商業の規制のあり方につきまして通産省の中で懇談会等を設け、検討を進めてきておるわけであります。ただいまは審議会にいろいろ御意見を承っておる段階でございますが、そういった法の見直しの中で、この問題につきましても十分検討して取り上げていきたいと考えておる次第でございます。
○宮田委員 熊本のこの問題について、局からいろいろ御連絡もあったのではないかと思います。私どもが見る範囲では、熊本自体での解決ということはとてもむずかしい。対立がさらに紛争になり、紛争がまた熊本自体の社会的な問題になったら大変でございますので、この問題について本省としての何らかの指導といいますか、アドバイスといいますか、一つの方針といいますか、そういうものを出すときに来ておるのではないかと思いますが、その点についてはどうですか。
○山口(和)政府委員 本件につきましては、福岡通産局からも詳細な報告を受けております。
 法律の手続的に申し上げますと、第三条の届け出は建物についての届け出でございますが、さらに法律の第五条によって出店についての届け出を行うということになっております。出店の第五条届け出がございますと、もし周辺の中小小売商業等に与える影響について問題があるような場合には、通産大臣は大規模小売店舗審議会の意見を聞きまして、状況によりましては勧告を行うことができる。これは届け出後三カ月以内に行うというような規定になっております。したがいまして、仮に何らかの調整についての勧告を通産大臣がするという場合には、審議会の意見を徴して行っていくということになるわけでございます。私どもといたしましては、そういった手続の面も含めまして本件についての取り扱いについては十分慎重に対処してまいりたいと考えております。
○宮田委員 今年三月末が、これは熊本だけじゃないと思いますが、各地域の商調協の委員改選期になっておるのじゃないかと思うのです。せっかくそういう時期を迎えてきておるものですから、この委員の選出に当たって商工会議所の会頭としては意見を局長に求めるということになっておるものですから、原則というたてまえであったといたしましても、できるだけそれを踏襲するような御指導、あるいはまた選出については公平な選出の方法ということが特に必要じゃないかと思っておるところでございます。
 この種の関係についてこれから本省の方にも問い合わせ等があると思いますけれども、局の方に対しまして適宜指導してほしい、こういう問題について当面お考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○山口(和)政府委員 商調協の委員の改選につきましては、先ほど申し上げましたように、公正な意見が反映できますように、局におきましても相談を受けた際に意見を申し述べていくということにいたしたいと考えております。
 それから、本件は長い間いろいろ問題になってきた案件でございますので、私ども対処するに際しましては、いろいろな実態的な面での問題点を十分詰めたいと考えております。
    〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
たとえば大型店ができた場合の影響はどういうようになってくるのか、昨年の春から実は大規模小売店舗審議会の中に審査部会を設けまして、一つのガイドラインの研究を進めたりいたしておりますが、そういった研究の成果等も活用できれば活用するということで、十分その影響等を見きわめた形で対処してまいりたいと考えております。
○宮田委員 最後に、大臣にひとつお聞きしたいわけです。
 鉄鋼の原料問題についてであります。
 これはもう御承知のように長期契約でございますし、その理由については大臣十分御存じと思うわけです。いま各企業が現地でいろいろ交渉をしておると承っております。できるだけ円満にその妥結ができるように願うわけでございますが、その点について政府としても十分配慮をしていただかなければならぬじゃないか、その時期が当然来るんじゃないかというふうな予測もするわけであります。
 さらに、中国との長期貿易の取り決めによって入ります炭の問題あたりにつきましても、いやおうなしに決められた数量がどんどん入ってくる。同時に、最近のことでございますが、ブラジル、チリ、インドのペレット工場あたりをつくったわけでございますが、これをつくるときのいろいろな約束事がありますし、引き取ることになるわけでございますが、それでなくてもこの不況でございますから、この原料問題については、御存じの貯蔵ということで大変なときと思っておるわけでありまして、こういう問題について業界だけに任しておけばというお気持ちもあるかもしれませんが、やはり問題が対外的な問題だけに、政府としてこれをほっておくということはできないんじゃないかと思いますが、一連のこの原料問題について、どういうふうな措置、お考えを持って対処されようとしておいでになるか、最後ですが、大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。
○河本国務大臣 鉄鋼の原料問題で、政府として一番関心を持っております点は、一つは、海外からの原料の輸入が大幅に減ったという場合には、やはりわが国の貿易収支の上に大きな影響が出てくるということであります。貿易のバランスを何とか回復しなければならぬということでいろいろ工夫もし、努力もしておりますときに、輸入が大幅に減るということは非常に大きな影響が出てまいります。それにどう対応したらいいのかという問題が一つございます。
 それからもう一つは、鉄鉱石にいたしましても、石炭にいたしましても、いずれもほとんどが開発輸入になっておりまして、長期契約に基づいて一定の数量を開発輸入するという相手国との契約になっております。その契約が実行できない、しかもそれが日本の代表的な産業である、こういう場合には、相手国に大きな経済上の影響を及ぼすだけではなく、日本全体の信用にもかかわる、こういう問題もございます。
 もちろん、基幹産業である鉄鋼がいまのような状態であれば、国内で非常に深刻な影響を及ぼしておりますが、そういうこともさることながら、やはり国際的な信用問題、相手国に対する影響、それから国際収支の問題、こういう基本的な問題についていろいろ考えていかなければならぬと思います。そこで、鉄鋼業界の御意見もよく聞かなければなりませんが、必要とあらば政府としても何らかのお手伝いをしなければならぬ、こう思っております。さて、しからばどういうお手伝いができるかということにつきましては、業界の意見等も聞きながら、十分慎重に配慮してまいりたいと思います。
○宮田委員 最後に、要望を一つ申し上げて終わらしていただきます。
 何しろ今日の状況でございますから、特に民間の企業、中でも製造業、労使ともにでございますが、通産省に期待をすること非常に大きいわけでございます。いままでの質問の中にも、打ち出される政策が非常に結構な政策ではありましても、後手後手ということになりがち、どうしても先手ということになかなかなり切らぬきらいもあるわけでございましたので、こういう点については思い切って手を打っていただく、こういうことが非常に期待をされておるわけでございます。その点、置かれておる立場を十分認識なさいまして、特に通産大臣、民間企業全体から非常に期待をされておるわけでございますので、この期待に沿って、大変お忙しいとは思いますけれども、格段の努力をしていただきますよう最後に要望いたしまして、終わります。ありがとうございました。
○野呂委員長 安田純治君。
○安田委員 私は、最初に、八重洲ブックセンターといいますか、鹿島建設がいま建てておる大きな書店の問題について、本委員会でも同僚議員がいろいろお伺いいたしましたし、予算委員会の集中審議でも問題として取り上げられたわけでございますが、こうした議論を前提にして端的に伺いたいと思うのです。
 まず、この八重洲ブックセンターができることによって中小書店に影響があると考えておるのかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
○山口(和)政府委員 影響につきましては、地元の商調協で十分検討するというたてまえになっておるわけでございますが、ただいま三条の届け出が行われて事前の検討と申しますか、商工会議所あるいは通産局等のあっせんによりまして話し合いを進めておる段階でございますので、影響につきましては、その中でどういう問題があるかというような検討が行われるものと考えております。
○安田委員 行政当局としては影響があると考えているかどうかを伺ったわけです。商調協がどういう結論を出すかは、また別としましてね。
○河本国務大臣 大きな影響があると思います。
○安田委員 ところで、大店法の改正を検討しているというふうに聞いておるわけですが、この改正を検討した理由というのは、現行法において実態にそぐわない不備があると判断したからこの検討をしていると考えてよろしいかどうか、伺いたいと思います。
○河本国務大臣 現在の大規模小売店舗法が成立いたしましてからもう四年を経過しております。この四年間に当時想定していなかった幾つかの事態が発生をしております。そういうこともございますので、今回小売問題懇談会の意見を聞きまして、いまはさらにそれを基礎といたしまして、産業構造審議会の方に御相談をいたしまして、何らかの手直しが必要である、どういう手直しが必要なのかということについて御相談をしておるところでございます。
○安田委員 このように大店法の改正を検討せざるを得ない、実態にそぐわないことになってきたということですので、八重洲ブックセンターの場合も、この法律で処理するということは、結局こうした立法の不備といいますか、当時はそうは思わなかったかもしれないけれども、現実の実態にそぐわなくなった、こうした不備に対して、この現行法で八重洲ブックセンターを処理するということが上塗りをすることになるのではないか、こういう批判も起こりかねないと思うわけです。ですから、まず慎重に処理するよう、仮にも強行出店はさせないというような指導をしていただきたいと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
○山口(和)政府委員 八重洲ブックセンターにつきましては、書籍の専門小売店でございますが、大規模小売店舗法に言います三千平米以上の大規模店ということに該当いたしますので、法の手続によりまして所定の手続を踏んで調整を進めていくということになろうかと思います。ただいま第三条の届け出以後の段階でできるだけ関係者が話し合いをしていただいておるという段階でございます。その状況を踏まえまして対処してまいりたいと思います。
○安田委員 ぜひ強行出店などしないように、ひとつ御指導願いたいと思います。
 ところで、通産大臣にお伺いしたいのでございますが、今日の円相場、きょうはニュースによると一ドル二百三十七円くらいまでいったような話でございますけれども、二百四十円前後というこのレートは、わが国の経済力を正当に反映した価格だと考えるかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 昨年の年末に通産省で、二百四十円の円レートの水準でどのような影響が日本の産業界それから中小企業に及んでおるかということについて調査をいたしましたが、二、三の業種を除きまして、ほとんど全部の業種が、この二百四十円前後の水準ではとてもやっていけない、こういう調査が出ております。それからまた、輸出を中心とする中小企業の地域産業、これもずいぶんたくさんの地域を調査いたしましたが、わずかの例外を除きまして、とてもこの水準ではやっていけない、こういう調査が出ております。そういう調査から判断をいたしますと、何分にも昨年の秋口からわずかの間に非常に大幅な円高に急激になったものですから、衝撃的な影響が日本の産業、特に中小企業に出ておるのだと思います。
 そういう角度から判断をいたしまして、現在の日本の経済、産業の実力以上の評価にどうもなっておるのではないか、このように判断をいたしております。
○安田委員 新聞報道によりますと、通産大臣は、どうも実力以上に高過ぎるとある会合で述べられたような新聞報道もございますし、二月十四日の日本経済新聞の政府広報欄で、座談会が通産大臣と慶応義塾大学の教授でされておりますが、その中でも大臣は、「円は実力に相応した評価でないといけない。」ということを言っておられるようであります。
 そこで、実力より高過ぎるというふうに言われる以上は、一応実力とはこのぐらいだという認識がおありになるから、それに比較して高い安いが言えるのだろうと思うわけですが、そうなりますと、実力としてはどの辺が妥当なのか、それがはっきりしなければ実力より高いとか安いとか言えないわけですから、通産大臣がどういうふうに円の値打ちといいますか実力をお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 この点は、先ほども申し上げましたように、昨年の年末に重立った業種とそれから中小企業について調査をいたしました結果、ほとんど大部分のものが二百四十円ではとてもきつい、やっていけない、こういう報告をよこしておりますので、それを基礎にして、いま実力以上の評価になっておるということを言ったわけであります。
 しからばどの程度が妥当な水準かということについては、これは調査をいたしておりませんし、また、いろいろな問題がありますから、私の意見を言うべき材料もございませんし、仮に材料があっても、これは申し述べない方がいいと思います。
○安田委員 少なくとも実力よりは高過ぎるという御認識はお持ちのようでございますけれども、そうなりますと、円レートをどの程度に持っていこうと考えておるのか伺いたいわけなんですけれども、これまた、いろいろな影響があってこういう席上では言えないとおっしゃるのか、あるいは全くその点についてどの程度という認識はお持ちになっていらっしゃらないのか、言うのを差し控えるというのか、どちらなんでしょうか。
○河本国務大臣 両方であります。
○安田委員 両方というお答えですと、認識をお持ちになっているような、お持ちになっていないような、非常に微妙なお答えでございますけれども、とにかく現在のレートは高過ぎる、そうなりますと、これを実力に合わせていくためには、具体策としてはどのようなことをお考えなのか、伺いたいと思います。
○河本国務大臣 円が昨年の秋以来急激に高くなりました背景の一番大きなものは、やはり日本の国際収支だと思います。貿易の大幅な黒字、これがやはり一番大きな原因になっておると思うのです。もちろん、アメリカの赤字ということも大きな原因ではありましょう。しかしながら、それ以上に一番大きな原因はわが国の大幅な黒字、しかもそれが予想が次から次へ大きく狂ってくる、こういうことが背景になっておるわけでありますから、経常収支、その背景にある貿易収支、これを妥当な水準に一刻も早く調整することが一番大事な課題ではないかと思います。
○安田委員 現在の円レートが実勢に合わないということで、実力がどの辺かということが定まらないと、なかなか具体策についての当否を議論するのに困難を来すわけでございまして、多分通産大臣としては認識はお持ちなんでしょうけれども、言うといろいろ弊害があるといいますか、影響が大きいということで言えないということの方が真意じゃないかと私は推察するのですが、そういう点で、具体策を煮詰める場合に、通産当局が一体どの程度の円のレートになったら一番いいのかということを認識していなければ話にならぬと思うので、その点、何らかの方法で、われわれ国政を審議する者に対しても通産当局の考えがわかるような方法をとっていただきたいというふうに思うわけです。この委員会で幾ら詰めても、大臣の方ではいま言ったように両方ですというようなお答えではちょっと困るのでございますけれども、ぜひそういう点で、円レートをどの程度に持っていくかということについてのお考えを何らかの方法で議員に知らせていただきたいということを強く要望しておきます。
 次に、今度の国会の予算委員会におきましても共産党・革新共同を代表して不破哲三議員が取り上げたトヨタ自動車グループの下請中小企業に対する放置できない数々の違法行為について、重ねて私は問題にしてみたいというふうに思うわけです。というのは、日本の低コストを支えておるいわば暗い部分といいますか、下請あるいは社外工、そして婦人労働者の労働条件の差別、こうした問題があろうかと思います。その中でも中小企業に対する親企業の下請いじめといいますか、これは非常に日本の低コストを支えている暗い部分に当たっている。国としてもどうしてもそれは放置できないんじゃないかというふうに考えざるを得ないからであります。
 そこで、トヨタの下請問題でまず最初に取り上げたいのは、加工賃の決め方なわけです。中小企業庁の調査でも、四十九年度の中小企業白書では、約五〇%が一方的に決められていることが明らかにされております。すべての下請業者が低加工賃に苦しめられていることは、政府もこういう状態を調べれは承知されているわけだと思います。トヨタの場合、これに加えてひどい問題がございます。
 それは、スクラップを加工賃から差し引いているという問題であります。鋼材を削ったり穴あけたりをしますと、スクラップが当然発生します。このスクラップは売ることができるものであります。下請業者にとって、昔からこの点が妙味であったわけでして、トヨタの場合、スクラップの価格を四十八年に一キログラム三十五円と査定して、一トンの鋼材から一定数のスクラップが出る、それは下請業者は売れるんだから、加工賃を決める場合に、出たスクラップを売れる分だけ差し引くわけであります。一キログラム三十五円という決め方、これがこの五年間変わっていないわけです。実際のスクラップ価格を見てみますと、ことしの一月では、キログラム当たり十六円から十八円、結局その差額は加工賃の値引きに実質上当たるわけであります。
 たとえばある業者の場合に、月に約四十トンの材料を使う、そうしますと十二トンのスクラップが出るわけですが、トヨタは、十二トンは千二百キログラムですから、四十二万円と計算して加工賃を決める。つまり、四十二万円スクラップでもうかるはずだということで、それを差し引いた計算で加工賃を決めるわけであります。しかし、実際には、いま申し上げましたように、一キロ当たり十六円ですから一カ月に十九万二千円にしかならないわけです。そうしますと、毎月二十二万八千円損をさせられているということになるわけです。
 もちろん、スクラップにも種類がございますから、私どもの調査でも、査定価格は二十三円から三十五円と幅がございました。また、四十八年には、数カ月間スクラップの市中価格は四十五円から五十円近いこともございました。このときには、むしろトヨタの査定よりも幾らか高かったわけですから、もうかったわけですが、しかし、四十九年以降は、七月と十月の間だけが三十五円以上で、それ以降、四十九年十月二十日ごろからことしの二月までずっと調べてみますと、三年四カ月の間十一円五十銭から高いので二十五円くらいの間でこのスクラップの値段が低迷しているわけです。したがって、業者によっては年百万を超える損失をこうむっていることになります。
 しかも、材料を下請業者が調達している場合も同じことをやっている。これはとんでもないことだと思うのです。それに比べまして、トヨタ以外のメーカーで見ますと、材料支給の場合もスクラップは下請のものとして、加工賃に計算しないというようなことが行われているわけであります。だから、親会社の方で材料を提供してもそのスクラップは下請業者のもうけということで、加工賃は加工賃で別に決めておる。トヨタだけがこういう形で、下請業者が自分で調達した材料のスクラップのお金も差し引く、こういうことになっているわけです。トヨタグループのひどさが一層浮き彫りにされるわけであります。
 これは明らかに下請代金支払遅延等防止法に違反すると思うのですが、少なくともこの点では、親企業が支給した材料の場合でもこれはスライド制にするとか、もちろん下請業者が調達した材料のスクラップ代まで引くというのはおかしい話ですから、これは当然直させなければならないのですが、下代法に違反すると思うわけです。いますぐ改善させるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○橋口政府委員 トヨタグループに属する業者と下請業者との間の下請取引の内容について詳細に御質問があったのでございますが、お話を伺った限りでこの席で断定的な判断をお示しすることはあるいは適当でないかと思いますので、よく実情を調査いたしてみたいと思います。
 いまお話を伺った限りでの印象で申し上げますと、仮にそういうことが現実に相当期間行われているということであれば、確かに下請代金支払遅延等防止法に触れる場合もあろうかと思いますし、また、場合によりましては独占禁止法の不公正取引にも該当する場合もあるかと思います。しかし、いずれにいたしましても、実情をよく調査をいたしまして善処いたしたいというふうに考えます。
○安田委員 それでは、私どもの方でこういう数字をつかんでおりますので、もちろん公取の方でお調べになれば実態は明らかになると思いますから、ぜひ善処していただきたいというふうに思うわけです。
 次に、契約の問題でございますけれども、トヨタの数々の不法不当行為を見ますと、その優越的地位を利用した契約書によって結局この行為が支えられておるというわけであります。その内容のすべてを明らかにする必要はないと思います。もちろん公取の方でお調べになる権限もございますし、やっていただきたいわけですが、私どもの方の不破議員も問題にしましたように、その内容は実に恐るべきものであるわけです。
 たとえば豊田自動織機の「部品取引基本契約書」というのがございますけれども、その第三条を見ますと、豊田織機が判断すれば何の予告することもなくて契約を解除することができる、こういうふうになっているわけでございます。
 「部品取引基本契約書」ということになっておりますが、「甲は次の各号のいずれかに該当する事由が生じたときは、この契約または個別契約の一部または全部を何らの催告することなく解除することができる。」こういうふうになっております。そして、「乙がこの契約または個別契約の各条項の一にでも違反したとき」などといろいろありますけれども、「その他取引を継続することができないような経営上重大な事項が生じたとき」というような非常にばく然とした条項もございます。そのほかにまた、「前号に掲げる事項が発生するおそれがあり、かつ取引関係を継続することが困難であると甲が判断したとき」、甲は豊田自動織機ですが、こういうことになっておるわけです。
 こういうふうに取引の一方的な打ち切りが自由にできるとしていることは優越的地位を利用した不公正取引であり、かつ政府が定めた下請振興基準からも大きく逸脱したものであると考えますが、公正取引委員長及び中小企業庁長官に改善措置を講ずるように要求したいわけです。まず、公取委員長からお答えいただきたいと思います。
○橋口政府委員 親事業者と下請事業者との契約条項の問題でございますが、国際的な約款につきましては事前に公正取引委員会が審査をするチャンスがございますけれども、国内取引になりますと、御承知のように、公正取引委員会が事前に内容を審査するわけにまいりませんので、いまお話を伺った限りでにわかに判断を下すことはむずかしいかと思いますが、よく実情を調査させていただきたいと思います。
○岸田政府委員 親企業が何らの予告なしに発注を打ち切るということになりますと、下請企業にとっては経営の安定上非常に大きな問題になろうかと思います。したがいまして、いまお話の中にも出ておりましたように、下請振興基準におきましては、こういうような場合には「相当の猶予期間をもつて予告する」ことを定めておるところでございます。私どももこういう振興基準を少しでも多くの人に利用していただけるようにということでPRその他に努めておるところでございます。
 いまお話を承っておりまして、私自身もなおよく勉強いたしてみたいと思いますが、御指摘の中で、下請業者に責めがある場合、これはやむを得ない場合もあろうかと思いますが、一生懸命まじめに仕事をしていたという場合に一方的に仕事を打ち切るということは振興基準に合致しない面もございますし、この辺はなお改善の余地があるのではないかという感じがいたします。
○安田委員 繰り返すようですが、先ほど読みましたように、何らの催告なく解除できるというところ、それからあと、一番目は「乙がこの契約または個別契約の各条項の一にでも違反したとき」というのですから、これは責めに帰する事由ということになるのでしょうが、「その他取引を継続することができないような経営上重大な事項が生じたとき」というのは一体だれが判断するのかという問題がございます。それに加えて、「前号に掲げる事項が発生するおそれがあり、かつ取引関係を継続することが困難であると甲が判断したとき」と、全く一方的なものでございますので、ぜひこの実情を調査していただいて、こういう契約書であればまさに下請振興基準に違反すると思いますので、改善措置を講ずるように強く要望しておきます。
 次に、このような下請中小企業問題に対する政府の政治姿勢に関して、幾つかお伺いしたいと思います。
 すでに広く知られておりますように、わが国の下請構造は外国に例のないものでございます。下請関係の法律のある国は、少なくとも先進資本主義国では日本だけだと聞いております。この点からも国際的に注目されざるを得ないと思うわけです。この下請構造が外国に知られるのが恥ずかしいような実態であること、そしてそのことが国際競争力に強い日本商品の大きな要因であるとするならば、遅かれ早かれ国際的批判の対象にされるおそれも十分にあると私は考えるわけであります。河本通産大臣も強調されますように、貿易立国日本がまさに貿易立国として繁栄していく上からも放置できない問題があるとすれば、そこに思い切ったメスを入れることはまさに国民経済的に必要なことではないかと考えるわけであります。
 この点で、まず今日の下請中小企業の実態が、どこに出しても恥ずかしくない状態にあると考えておられるのかどうか、また、もし好ましくない面もあるとすれば、いま私が申し上げました立場についてどう考えられるか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 親企業と下請との関係がすべて理想的にいっておるかと言われますと、こういう非常な深刻な不況のときでありますから、なかなか理想的にいっていないと私は思うのです。やはり相当無理な契約等もあろうと思います。しかし、下請あるいは中小企業をできるだけ経営が楽になるように政府の方もいろいろ指導していく義務がございますから、そういう契約の内容等につきましては、やはり指導していかなければならぬと考えております。
○安田委員 もちろん中小企業関係者は、国民の大部分、非常に多い部分を占めておりますから、国民の生活を守るという面でも重要なことはおっしゃるとおりだと思うのですが、同時に、私が申し上げますのは、こうした下請が国際競争力に強い日本商品の大きな要因であるということで、外圧の原因にも遅かれ早かれなるのではないかという心配もするわけです。そういう立場から見ても、やはり下請問題、下請の公正化といいますか、どこへ出しても恥ずかしくない状態にしていただかなければならないのじゃないかと思うわけでして、大臣にもぜひ下請問題について断固たる姿勢で公正化を図っていくように臨んでいただきたいということを、強く要望申し上げておきます。
 さて、公取委員長にお伺いしますけれども、予算委員会での御答弁によりますと、すでにトヨタ自工のいわゆるかんばん方式を調査して、五十二年の七月に問題の解決を見たというようにお答えになっているようであります。トヨタに対して注意、指摘されたことが改善されたことを公取委員会としてどのように確認されたのか、お伺いいたします。
○橋口政府委員 詳細は取引部長からお答えを申し上げさせたいと思いますが、二月三日の衆議院の予算委員会で、不破委員に対して私がお答えいたしました趣旨をもう一回整理して申し上げますと、昨年の三月七日に口頭で行政指導をいたしたのでございます。
 その指導の内容は四点ございまして、注文書の記載事項を整備すること、それから納入内示数量とかんばんによる納時指示数量との差を極力少なくすること、それからかんばん納入方式を強制しないこと等でございます。
 この第一点は、御承知のように、下請代金支払遅延等防止法に決められておりますように書面ではっきりした内容で注文する、こういう要件を満たすようにということでございます。
 それから、納入内示数量とかんばん数量との一致というのは、実際に納入の内示を受けまして製品を持ってトヨタ自工に参りましたときに、内示数量とかんばん数量が違いますと、ことにかんばん数量の方が少ないということになりますと、そこに下請事業者としては納品に余りが生ずる、したがって、その差額をできるだけ小さくすべきだというのが第二点でございます。
 それから第三点は、かんばん納入方式という新しい方式を下請事業者に強制しない。本来の発注方式は、もっと詳細なことを書面にして発注すべき性格のものというように法律で決められておりますから、下請事業者の方でかんばん納入方式は困るという場合にはこれを強制しない。
 こういうのが指導の主要項目でございまして、これに対しまして、七月に先方からお受けいたしますということの正式の申し出があり、九月に書面で請書が出ておるわけでございまして、トヨタ自工の社長から当委員会の取引部長にあてての正式な文書でございます。日にちはちょっと忘れましたが、九月にそういう正式な請書が出ております。その後もいろいろ情報を集めておりますが、少なくとも当委員会の承知しておりますところでは、トヨタ自工に関してはさしたる不都合はないというふうに承知をいたしておるのでございます。
 詳細は取引部長から申し上げたいと思います。
○長谷川政府委員 お答えいたします。
 トヨタ自動車のいわゆるかんばん方式につきまして、かねてからいろいろ下請業者等から苦情がございまして、昨年三月ごろから、改善したらどうかということでいろいろ指導を始めまして、われわれとしましては、ただいま委員長から申し上げたような点を中心として改善するようにということを申し入れまして、大体七月いっぱいに改善するということで、その結果は報告してくれということでございましたので、九月十二日に書面によりまして一応報告が来ております。
 その結果どうなったかにつきましては、特にトヨタだけにつきまして追跡調査はいたしておりませんけれども、定期的な調査を年間四期に分けてやっておりますので、当然その中にはトヨタ関係下請業者が含まれております。その点から、いまのところでは、少なくともトヨタ自動車については余り苦情はないとわれわれは思っております。
○安田委員 ところで、もしその九月の請書のように改善されているということが実情に合わなくて、改善されていないことが明らかになれば、どうしますか。
○長谷川政府委員 もちろん、改善するといって約束した事項が改善されてないことが明らかになりましたら、必要な処置をとります。
○安田委員 私どもが調査したのは、トヨタが改善したという報告といいますか請書を出したそれ以後であります。何ら変化がないと言わざるを得ないわけです。
 たとえばかんばん方式を強制しないという約束をしたということですけれども、それ以後も下請業者を集めて、トヨタの生産方式と題する講習会が頻繁に行われております。それにはトヨタ自工の大野副社長らが二次以下の下請業者に対しまして直接講義をしている、レクチュアをしているわけであります。そればかりではありません。大野副社長も含めてトヨタ自工の幹部が直接下請工場の現場にやってきて、細かい指示をするわけです。ときには、下請企業で働いている労働者の腕をつかまえて、この人は要らないんだと叫んだり、あるいは五十人、百人の人減らし計画の提出を指示する、こういうことも行われているわけであります。また、毎月毎月決算書を提出させまして、銀行預金が多過ぎるとか借り入れを減らせとか、労働者の賃金はトヨタ自工と同じではいけない、低くせよとか、実にきめ細かく管理指導をするわけです。そして、それらの指示の目的は、かんばん方式にたえられる下請づくりである、かんばん方式の強制であると結局は下請は受けとめざるを得ない。だれの目から見てもそのことは明白であります。
 ただ参考意見としてレクチュアをするというだけではございません。これは講義をする、それから現場へ行って、この人は要らない人だというのは、トヨタ自工の側から見て、たとえばいろいろな工程、あるいは運搬なんかで荷物の積みおろしとかいろいろありますけれども、そういう過程において、最初からこういう積み方をしていればこの人は要らないというようなことで、現実に働いている人の手をつかんで、この人は要らない人だ、こういうことまで言った事実をわれわれはつかんでおります。
 公取に約束したことは全くのうそ偽りとしか思えない。この点はどうされるか、お伺いしたいと思います。どうも書面で請書をとるというだけでは指導が行き届かないのではないかというふうに思うわけなんで、この点、お伺いしたいと思います。
○長谷川政府委員 お答えします。
 いまこの場で具体的に今後どういうことをするかということを、もちろんこれは調査でございますけれども、言うのはいささかどうかと思いますので、具体的な計画につきましては述べかねますけれども、少なくとも早急に実態を把握するべく努力したいと思っております。
○安田委員 ぜひやっていただきたいと思います。
 それで、トヨタトヨタと大分トヨタをしつこくつつくわけですけれども、われわれの調べたところによると、トヨタの合理化指導はまさにすさまじい。そればかりでなくて、政府の指導は全く無視していると言わざるを得ない。ですから、どうしてもトヨタ問題に触れざるを得ないわけであります。
 政府は、昨年十一月二十四日、中小企業庁長官と公取委員長の連名で、全国の親事業者に対して、下請取引の改善、適正化に努めるよう通達を出したと聞いておりますが、その一週間後の十二月一日以後、トヨタグループは、三〇%のコストダウンを達成する方針を精力的に徹底し始めているわけであります。具体的には単価の切り下げ、発注量の減少など、三次、四次ではそのあらわれ方がさまざまでございますけれども、政府の通達の直後に全くこれを無視した形で展開されていることが一つの問題であるわけです。
 こういうことが明らかになった以上、行政当局としてもそのまま見過ごすことはできないのではないでしょうか。そう言わざるを得ないと思うのですよ。書面で回答をした。それ以後は下請から余り苦情がないようだというような程度では、われわれが下に入ってみればたちまちこういう銀行預金の中身までいろいろ指導するというような状態がすぐわかるわけですから、いま言いましたように、トヨタばかりをいじめるわけではありませんけれども、どうもトヨタの合理化というのはまさにすさまじいし、政府の指導について馬耳東風であるというふうに考えられますので、ぜひその点を、このまま見過ごすことができないというふうにわれわれ思うので、中小企業長官、それから公取委員長にこの点を念を押して決意のほどを伺いたいというふうに思います。
○橋口政府委員 下請代金支払遅延等防止法は通産省との共管の法律でございますが、午前中の委員会でも松本委員にお答えをしたのでございますが、従来は親事業者の下請事業者に対する支払い条件あるいは手形期間等決済条件等につきまして行政の重点を置いておったのでございますが、四年続きの日本経済の長期停滞に伴いまして、ことに最近の円高不況等に伴いまして、親事業者と下請事業者との間の取引の問題についての苦情が当委員会にも相当程度参ってきております。また、当委員会といたしましても、下請取引改善協力委員、あるいは下請法運用協力団体という公正取引委員会の外郭団体と申しますか、協力団体と申しますか、そういう方々の会合も開きましていろいろ実情を伺っておるところでございまして、われわれの問題意識としましては、従来の支払い条件よりは実際の取引の内容にもっと行政の重点というものを志向しなければいけないのじゃないか、こういう感触を持っておるやさきでございますし、トヨタの問題につきましては、さっきお答えをいたしたところは、トヨタ自工と第一次の下請事業者との間には問題が少なくなってきている、こういうふうに承知をいたしておるわけでございまして、実は二次以下あるいはトヨタグループ全体として、いわゆるかんばん方式の広範な適用について、いろいろ下請事業者から苦情も当委員会に参っておるわけでございますし、また、先生からも詳細に御指摘をいただきましたから、これはぜひ調査をいたしてみたいと思いますし、また、不都合なところがございましたならば厳正な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
○岸田政府委員 御承知のとおりの不況であり、また円高であるという状況の中で、各企業とも、いかに経営を合理化するかということで必死の努力をしている状況でございます。私どもは、そういう状況の中で、親企業と下請企業との関係を、何とか円満にお互いに力を合わせていくというような関係に育てていきたいと思って、いろいろ努力をしておるところでございます。
 トヨタのやっております方式は、ある意味では徹底的に合理化を追求しようという方式であろうかとも思いますが、しかし、具体的な適用においてなお改善の余地があるという場合には、私どもも、中小企業庁の立場から改善の指導を行っていきたいと思っておるところでございます。合理化を進めていこうということ自体は基本的な方向として是認されても、やり方が問題であるという場合もいろいろあろうかと思いますので、私どもなりに勉強させていただきたいと思います。
○安田委員 先ほど申し上げましたように、下請問題全般についていろいろ問題がございますけれども、われわれの調べたところ、トヨタ自工とそのグループの問題が非常に目に余るものがあると言わざるを得ないので、特に強く言っておるわけであります。
 公取委員長、トヨタと一次下請の間はそうだと先ほどの御答弁だった、それ以下の二次、三次の場合はこれからだというお話なので、これこそまさに――トヨタ自工の場合に一次下請それ自体が案外巨大企業なんですね。ですから、二次、三次以下が問題なんでして、そこをひとつメスを入れていただきたいということをお願いしておきます。
 トヨタ自動車とそのグループの五十三年度方針である七〇%操業率でも、もうかる体制というのがあるそうで、それを具体化した三〇%の作業工程の削減、こういう方式がもう一つ大きな問題をはらんでいると思うわけです。つまりこれは、これまで十時間かかった作業を七時間でやれ、十分かかったことは七分間でやれ、一分間かかったことは四十二秒でということになるわけです。この方針は、一面でむだを省くということそれ自体は否定できない面ももちろんあるわけです。中小企業庁長官は、合理化それ自体はそれなりとして理由があるとおっしゃいますけれども、むだを省くというそれ自体は否定できない面もあるわけです。それは私どもも認めます。しかし、突き詰めていきますと、手抜き作業という危険を生むと私どもは言わざるを得ないのです。
 十二月とことしの一月に各下請を集めて講習会を開いて、三〇%コストダウンの計画を提出させる方式がとられています。その際、こういうことはできないかという例を示してヒントを与えている。サゼスチョンを与えておるわけです。一例を挙げますと、素材寸法はもっと小さくできないかとか、ボルトの数を減らせないかとか、もっと低級な材料を使えないかとか、強度の弱いものにできないかとか、ドリルの穴あけは必要かなどという項目を挙げまして、これはチェックポイントを幾つか挙げたと思うのですが、私が挙げたのは一つの例なんです。こういう方向をサゼストして、そして作業工程の三〇%削減、コストダウンの指導がやられておるのですよ。ここで私は思うわけですけれども、要するに全く安全性が無視されている、そういうことでございます。
 河本通産大臣は、かつて石油化学工業の問題について、企業秘密よりも安全性が優先するということを明言されたことがあると思います。当然のことです。自動車工業においても当然企業秘密とか企業合理化よりも安全性が優先さるべきであると考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○河本国務大臣 やはり安全性を第一に考えるべきだと思います。
○安田委員 もちろんそうあらねばならないと思うわけであります。先ほど申し上げましたように、このような形で尽きることのない合理化、コストダウンの追求は放任していてよいものだろうかというふうに思わざるを得ないわけです。
 アイシン精機というトヨタの一次下請がございますが、ここが下請を集めていろいろ講習会などをやっております。そこに、材料はもっと安くならないかとか、いま申し上げたようなことが全部書いてございます。運輸省所管の道路運送車両法で保安基準が定められておりますけれども、道路運送車両法に定める保安基準に適合しない部品や製品がつくられてくるおそれがあるのではないかということを危惧するわけであります。同法の七十五条の四項には、運輸大臣は、型式の指定を受けたものでも、保安基準に適合しないものまたはそのおそれがあるものは指定を取り消すことができるという規定がございます。しかし、製造工程に立ち入った検査の体制は十分でしょうか。運輸省にお聞きしたいと思います。
○丹羽説明員 お答えいたします。
 自動車のメーカーに対する立入検査でございますが、私どもは、型式指定規則によってその車の型式を指定しました場合には、現在のところ、大体隔年といいますか一年置きにはおおむね立入検査をやるということで、メーカーに立ち入ります場合は、いわゆるメーカー、トヨタの場合ですとトヨタ自工には参ります。また、大きな下請といいますか協力工場、組み立て工場というものにも立ち入りいたしますが、先生の御質問のように、全部の下請、また部品について十分かと言われますと、多少十分でない面はあるかと思いますけれども、何分にも自動車というのは一万数千点というような部品で構成されておりますので、個々の部品、また材料につきましてすべてを国でチェックするというようなわけには現実にまいりませんので、実際には、重立った部品につきましては、その強度、材質が十分であるかどうかということは十分チェックいたしますが、全体的な組み立ててまいります過程でいろいろそごが出てくるということもございますので、型式指定に当たりましてはメーカーに検査主任者を選任する義務を課しておりまして、総合的なチェックというものは最終的に検査主任者の責任に帰するようになっております。
 また、立入検査いたしましたときには、実際に部品の抜き取り検査というものが十分なされているかどうか、また、形式的にされているということだけじゃなしに、その記録がはっきりしているかどうかということも十分チェックして、いやしくも合理化によって材質を落としていくというようなことのないように監督、指導しているというのが現状でございます。
○安田委員 ところが、いま申し上げましたように、より低級な材料を使えないかとか、ボルトは減らせないかというようなことまでセザスチョンを与えているということになりますと、確かに一万数千の部品で構成されているもので、全部を一々というのは物理的に不可能かどうかわかりませんけれども、的をしぼっては相当監督できるのじゃないか、監視できるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 特に安全性が要求される自動車産業でのこうした合理化に対しまして、通産省、運輸省は、行き過ぎがないかどうか、これを指導する必要があると考えますが、いかがですか。
○丹羽説明員 運輸省といたしましては、道路運送車両法に基づきまして安全な車が世の中に出てくるということが第一義でございますし、それから、私たちの自動車の車検制度というものも、安全な車が運行できるようにということを第一の基本目的にしておりますので、合理化によって安全が損なわれる、損なわれるおそれがあるということのないように十分指導してまいりたいと思いますし、それから、いろいろ取りざたされております欠陥車問題につきましても、その監視体制と監督指導体制を強化してまいりまして、結果においてもそういうものが世の中に出てくる、またそういうものを発生するおそれの少ないように今後とも指導してまいりたいと思っております。
○森山(信)政府委員 自動車の生産に当たりましては、先ほど大臣から答弁申し上げましたとおり、まず安全性を図るということが先決問題でございます。したがいまして、合理化の目標はそれなりの評価をすべきであると思いますが、安全性を損なうような形での合理化は確かに行き過ぎだと思いますので、そういうことのないように厳重に指導してまいりたいと存じます。
○安田委員 ぜひ厳重に指導していただきたいと思います。
 ところで、公取委員長にお聞きしますが、先ほど申し上げました関連会社の企業秘密を一切認めないような形で経営内容に介入する方式ですね。つまり預金のあり方とか借入金の中身まで一々調べて介入する、これは優越的地位の乱用の疑いがあると思いますが、いかがでしょうか。
○橋口政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、それだけお話を伺いましてにわかに判断を示すということは大変むずかしいと思いますし、それから企業秘密と申しますか、企業の経営実態に触れるようなことを許すような基礎契約みたいなものがあるかどうか、そういう場合には、契約自由の原則と独占禁止法が守ろうとしている法益との調和の問題が出てくると思うわけでございまして、大変むずかしい問題でございますから、ひとつよく考えてみたいと思います。
○安田委員 この点についてちょっと問答している時間がございませんが、ぜひ検討してください。預金や借入金の中身まで一々介入するということは非常に問題だと思うのですよ。
 ところで、現時点ではただ一つの好況産業と言っていい自動車でさえいままでるる申し上げてきたようなことですから、他の業種における下請への犠牲の強制は推して知るべしであります。先ほど河本通産大臣も不況の時期であるのでということをおっしゃいましたけれども、まことに好況産業のただ一つと言っていい自動車産業でさえこういう状態です。ですから、法律を守らせる体制の強化を重ねて強調するものでありますけれども、この点で、予算委員会で福田総理は調査して相談する、こういうふうに答弁されたわけであります。河本大臣それから中小企業庁長官、公取委員長、総理と相談されたかどうか、総理にどういう進言をするつもりか、伺いたいと思います。
○橋口政府委員 よく相談すると総理が言われましたのは、私の記憶が違っておるかもしれませんが、たしか下請関係の取り締まりの要員が少ないということに関連して総理がおっしゃったように私は覚えておるわけでございます。これは主として公正取引委員会と中小企業庁の定員の問題であろうかと思います。
 不破委員の質問にも私お答えしたところでございますが、大変定員管理のやかましい中に、公正取引委員会といたしましては十五名の増員が認められたのでございます。ただ、この十五名は主として改正独禁法の施行のために認められた定員増でございまして、下請関係の取り締まりの要員は当委員会全体で二十六名程度でございます。この人員はここ数年ほとんど異動がございません。来年以降の問題として私が個人的にいろいろ考えておりますのは、流通問題に対して公正取引委員会はもう少し積極的に関与する必要があるのではないか、流通問題というのは広い意味で取引問題でございますので、そういう角度から要員の充実等につきましてもさらに努力をいたしてみたいというように考えております。
○岸田政府委員 下請関係の仕事をしております中小企業庁の職員及び地方の通産局の職員につきましては、このところ毎年定員の増加を図ってきておるところでございます。私どもは、与えられた定員をいかにうまく使いまして実効のあるような仕事をしていくかということで努力をいたしておるところでございます。
 実は、先般御質問がございました後に行政管理庁から連絡がございまして、実情はどうなっているかというようなお問い合わせがございましたので、私どもの実情を御報告してございます。
○安田委員 総理はまさに法律を守らせる体制の強化について調査して相談するというお答えだったわけですけれども、総理以下は相談を受けるのを待つのではなくて、もっと積極的に進言すべきではないかと思うわけです。
 河本通産大臣にお伺いしたいのですが、公取の人員増の問題だけじゃなくて、下請が大変厳しい状態に置かれているし、今後ますます厳しい状態に置かれる環境にあるということを踏まえますと、総理から相談を受けるのじゃなくて、むしろぜひ積極的に進言をしていただきたいと思うわけであります。その点についていかがでしょうか。
○河本国務大臣 下請問題は非常に大きな課題でありますから、積極的に取り組んでまいります。必要とあらば総理とも相談をいたしますが、相談を待つまでもなく、関係者の間でできるだけ早く解決をするように努力をいたします。
○安田委員 下請を守るといいますか、そういうための人員の増強とあわせて、現体制で不十分ではあっても、いまの法律の厳格な運営に万全を期すということも当然必要なわけです。人が足りないからといって、現在の法律、制度を守らないということを容認することはできない、こういうことで、私もきょう重ねて問題を提起したわけです。
 改めて、トヨタグループのまかり通っているこうした下請いじめの行為といいますか、下請に犠牲をしょわせる、しかも一応好況産業であると言われている自動車におけるこうしたトヨタグループの行為を放任するようになるのか、人が足りない、だからいまはとても手が出ないということになるのか、それとも、人は足りなくても、この委員会でこういうことを私ども問題提起をいたしますから、これを受けて、運輸省も当然お調べになって、断固とした措置をおとりになるのか。ただ人手が足りないというだけでは、現在の法律、制度を破るような行為を放任する理由にならぬと思うのですが、ここを明確にお答えいただきたいと思います。
○橋口政府委員 お答え申し上げます前に、さっき人員のことを申し上げましたが、間違っておりましたので、訂正をさせていただきたいと思います。
 本局が十六名でございまして、地方事務所を入れますと二十六名でございます。
 それから、トヨタグループのいわゆるかんばん方式の問題につきましては、先ほど来お答えをいたしておるところでございますが、当委員会といたしましても十分な問題意識を持っておりますので、人員の問題につきましては最善の配慮を加えまして差し繰った上で十分な調査もし、また必要な措置をとりたいというふうに考えております。
○丹羽説明員 自動車メーカーの立入監査につきましては、先ほども申し上げましたように、おおむね二年をめどにして隔年で実施しておりまして、特に五十二年では、メーカー数にしますと十八メーカー、工場数にして四十三カ所実際に監査しております。そういうことで、その一環としてトヨタについても別に監査を省略しているということはございませんので、今後とも計画的な監査を精力的に実施いたしまして、十分に部品の安全性だとか組み立て時におけるいわゆる手抜きというようなことがないように、強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
○安田委員 先ほど申し上げましたように、いわゆるトヨタグループの合理化案については的がしぼれるわけですね。「材料はもっと安くならないか」という項目を見ますと、「もっと小さくできないか」、「もっと安い材料はないか」、「下級材でトライしてみたか」、こんなようなことが載っているのですから、ひとつそういう点で的をしぼることができる以上、ちゃんとした検査をやっていただきたいというふうに思うわけです。「ボルトの数は減らせないか」、「ボルトの長さはもっと短くできないか」、「ボルトナットはもっと強度の弱いものにできないか」というようなことも入っておりますから、これはお調べになればわかることでございますので、的をしぼってやれるはずですから、運輸省の方でも厳重にこの点やっていただきたいと思います。
 特に申し上げておきたいのですけれども、五十三年度は自動車業界は国内市場を激しく奪い合うことになるということで、すでに新車の発表が相次いでいることは御案内のとおりだと思います。これで最も激しく影響を受けるのは三次、四次の下請です。このクラスはどんな部品でもつくれるとか加工できる、そういう状況ではないわけです。車種変更のたびに受注量が大きく変わってくる。十分の事前予告なしにこれがやられますと、受注量の急激な大幅ダウンということになるわけです。さらにトヨタは、部品の発注方式を従来の枠を打ち破って、一つ一つの部品について数十社、数百社から見積もりをとるという方針であるようです。つまり競争原理を利用した低コスト方式をとる、こういうことのようです。この面からも単価の買いたたきが十分予測されるわけであります。そういう点で、トヨタに限らず自動車、家電関係は、五十三年度は特に下請にきつい年になるのではないか、輸出ということの隘路を考えまして、国内市場の奪い合いになる。そこで、新型の発表といいますかモデルチェンジがどんどん行われるということになりますと、三次、四次の下請は特定の部品しかつくれませんから、モデルチェンジになるたびに右往左往、しかもそれが数十社、数百社からの見積もりをとるということになると、単価の買いたたきが十分行われるというふうに思います。
 そういう意味も含めて、現時点で業界代表を呼んで事情も聞いて、その場で口頭で取引適正化を一層強めるよう指導要請をするとか、あるいは通達指導とは別に何らかの措置をとるべきではないかと思うわけであります。どうも一片の書面で通達を出すということは、先ほど例に挙げましたトヨタの例を見ましても、下請の適正化という通達が発送されて一週間たって十二月一日になると、そんなことは馬耳東風で下請に対するひどい合理化が押しつけられる、こういう状態でございますので、通達指導とは別に何らかの措置をとるべきではないかと思います。その用意があるかどうか、これが第一点であります。
 時間がございませんのでまとめて伺いますが、第二に、トヨタ関連について言えば、トヨタ自工、豊田自動織機、日本電装、アイシン精機、この四社に対する調査を特に要望したいわけであります。一般的に必要があればやるということではなしに、もう少し具体的に実行する姿勢を示していただきたいということです。
 第三番目に、お行儀の悪いこうした企業に対して公表をもっとやるべきであるというふうに思います。
 この三点について伺いたいと思います。第一点の通達指導とは別に何らかの措置をとるべきではないか、業界代表を呼んで、そこで口頭で事情も聞き、取引適正化を一層強めるように指導するというような点についてはどうでしょうか。
○橋口政府委員 昨年十一月に出しました通産大臣との連名の通達、これはいわば恒例的な措置でございまして、いまお話がございましたように、一片の通達ですべての問題が解消するとは毛頭考えておりませんので、業界の代表を呼んでさらに一段と注意をするとか、さらにもっときめの細かい措置をとることにつきましては十分検討させていただきたいと思います。
 それから第二の問題は、不当な値引きとかあるいは不当買いたたき、不当返品等についての措置でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げたところでございますが、行政の重点を、漸次支払い条件からそういう親事業者と下請事業者の間の実際の取引面に移していきたいというふうに考えておるのでございます。これも不破委員の御質問にお答えしたところでございますけれども、昭和五十三年度の予算におきましても、百三十四万四千円程度の些少の金額でございますが、そういう不当値引きとか不当買いたたきに対する措置を推進し得るような経費も与えられておるわけでございまして、この予算が成立をいたしましたならば、そういう予算の運用によってさらに一段と前進をしてみたいというふうに考えております。
 それから、第三点におっしゃいました特定の社名を挙げての御趣旨でございますが、これにつきましては十分検討させていただきたいと思います。
○安田委員 時間が参りましたので、これで質問を終わりますけれども、ここで議論されましたトヨタグループの目に余るこうした下請に対する圧迫ということがございますので、中小企業、ことに下請問題を、通産大臣のおっしゃる貿易立国日本ということから考えましても、どこへ出しても恥ずかしくない下請構造にしていかなければならないという点で、ひとつ通産大臣力こぶを入れていただきたいし、それから公取委員長、中小企業庁長官も、ぜひこの点で厳格に法律の運用をすると同時に、下請を保護するようにやっていただきたい。もちろんまた運輸省もぜひお願いしたいということを最後に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○野呂委員長 大成正雄君。
○大成委員 私の質問の内容につきましてはその柱としてすでに幾つか挙げてございますが、時間の関係等もありますので、小売商業調整問題、構造不況産業の安定基本計画の問題等につきましては次の機会に譲ることといたしまして、以下、通告順に質問をさせていただきたいと存じます。
 まず第一に、石油の需給計画とその問題点についてただしたいと存じます。
 今年度政府が七%経済成長の達成のためにあらゆる努力をするということが、いままで本会議あるいは予算委員会等の論議の中で言い尽くされてきておるわけでありますが、今年度の予算の背景となる経済計画と近く決定される石油需給計画の問題点について、若干御意見を承りたいと存じます。
 昭和五十二年度の供給計画の実績を見ますと、これは通産省が発表いたしました石油製品需給統計速報によるわけでありますが、内需は前年実績の五・九%増、こういうことで計画がなされたわけでありますが、御承知のとおりの不況と需要の減退、あるいはこれに加えての暖冬異変、こういったことによりまして政府の当初の計画というものは大きくずれ込んできておることがこの速報によって明らかにされております。
 この速報によりますと、燃料油の生産量は二%のアップで二億三千五百十万キロリッター、特にB重油の場合には一一・六%減の八百六十万キロリッター、ナフサが一・〇%増、横ばいでありまして三千五百二十一万キロリッター、こういうことであります。特に昨年末の在庫を見ますと、一二%増の千八百三十六万キロリッターもふえておる、こういうことでありまして、灯油に至っては、この暖冬異変のたたりで三一・五%も積み残しておる、こういう状況でございます。したがいまして、燃料油全体の販売量としては、前年比わずかに三%強の二億二千九百八十一万キロリッターである、こういうふうに言われておるわけであります。
 このことがすなわち製品価格の低下をもたらしまして、大ざっぱに言いますと、キロリッター平均三万一千円のものが二千四百円くらいの値下がり、こういった市況になっておるようでございます。しかしながら、各製油会社といたしましても、この通産省の方針が実績主義でありますから、この実績は確保したいということ、これに加えてあり余っておるドル減らし、こういったことで輸入の促進ということも加わってますます市況は悪化して、この製品のだぶつくことは承知の上で稼働をしておる、こういった関係業界の状態であると承っております。
 さらに、末端市況を見ますと、全石連の市場正常化運動の要望内容等を見ましても、末端の石油スタンドのガソリンの販売等についてはきわめて混乱した状態にあるわけであります。すなわち、この混乱を正常化するためにいろいろなことを政府に向かって要望をいたしておるわけであります。時間の関係でその内容は省略をいたしますけれども、ともかく業転玉の大量の放出であるとか、あるいは末端流通市場の大混乱、あるいは全国五万七千の給油所の乱売競争、こういったことで、小売価格リッター百円としてもスタンドの粗利益は十円程度だ、こういった統計まで発表して、政府にその正常化を訴えておるといった状態であります。
 そこで、まず第一に通産大臣に承りたいと思いますが、石油業法第十条第二項によって石油生産計画の変更を勧告すべきではないかと考えますが、この点について大臣の所見を承りたいと存じます。
 第二には、昭和五十三年度、すなわち新年度の石油供給計画は、今年度、当年度の現況と実績に照らして前年対比伸び率を幾らぐらいとする考えであるか、この経済計画とのにらみにおいて、すなわち七%成長とのにらみにおいてこれを承りたいと存じます。
 次に、いま問題は、七%の成長目標を達成すると同時に、保有外貨をいかにして減らしていくかといったことがきわめて重要な問題であります。特に、通産大臣は後者の方に比重を置いたいろいろな所見を発表されておられることは国民のひとしく知るところでありますが、この一環として石油の輸入計画というものもある程度ボリュームがかかってくるというふうに私は考えますが、この点についてはどのように考えておられるか、承りたいと存じます。
 それから次に、先ほどの同僚議員の質問の中にも備蓄の問題があったわけでありますが、五十四年度を目標にしておる九十日備蓄は、わが国の石油業界の現況からいたしますと、もうすでに達成しておるというふうに見ていいのではないか。むしろ百二十日備蓄体制の繰り上げを行うべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、所信を承りたいと存じます。
 また、先刻来申し上げておりますような石油の需給の実態、市況の実態等からいたしまして、省エネルギーの重要性ということに変わりはありませんけれども、近くまた省エネルギー立法も政府としては考えておられるようでございますが、まさに現状は憂慮にたえない、このように考えるわけであります。政府のエネルギー政策やあるいは国民的な理解を深めるために、理想と実際の矛盾を克服するためにいかなる指導体制を持っていこうとするか、承りたいわけであります。
 以上、幾つかの質問点に対してまとめて御答弁をそれぞれ承りたいと存じます。
○河本国務大臣 御質問の中には幾つかの数字がございましたから、先にエネ庁の長官から答弁をいたしまして、その後で私の意見を申し上げます。
○橋本(利)政府委員 幾つか御指摘ございましたが、要点を申し述べたいと思います。
 初めに、供給計画の変更はどうかというお話でございます。御指摘のとおりに、昨年度も産業活動が停滞しておった上に、下期暖冬の関係から灯油の需要が減退したというようなこともございまして、需給が非常に緩慢になっております。一月末現在での在庫を昨年同期に比べますと、二百八十三万キロリッター、一七%の増になっております。かようなところから、当面市況にも軟調の傾向が出てきておるわけでございますが、私たちといたしましては、現在精製各社につきまして自主減産の可能性について調査をいたしておりまして、いま直ちに供給計画を変更するというところまでの考えを固めておりません。
 それから二番目に、五十三年度の石油の供給計画と申しますか、需要の伸びをどう見るかというお尋ねでございますが、これにつきましては、現在五十三ないし五十七年に至る五カ年間の供給計画の作業を進めておるわけでございますが、このためには、やはり五十二年度の実績を確認する、あるいはある程度確定的な見通しができるという段階になってからでないと、分母と分子との関係で何%の伸びということは申し上げかねるわけでございます。しかし、七%の経済成長に即応するように各油種ごとの積み上げあるいはマクロチェックを併用いたしまして供給計画を策定いたしたい、かようなことで準備を進めておるということでございます。
 それから三番目に、外貨との関係で来年の輸入計画をどう見るかというお尋ねでございますが、これもただいまお答えいたしましたようなことで、供給計画を策定する過程において輸入計画も出てくるわけでございますので、その段階であわせて確定してまいりたい、かように考えております。
 それから四番目に、九十日備蓄はすでに達成できたのではないか、百二十日備蓄に増強したらどうかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、現在九十日分ぐらいの石油製品並びに原油の備蓄がございます。しかし、これは先ほど来の御指摘のように、需給が非常に緩慢になってきておるところからの増分と、それから冬場はどうしても在庫がふえてくるわけでございます。いわゆる経常ベースにおけるタンク能力に対しましては、従来は大体五割で回転しておったわけでございます。ただ、備蓄分については八割稼働を前提として指導いたしておりますので、現在九十日備蓄と申しますか、在庫が九十日分あるから九十日備蓄を達成したということにはならない。むしろ、この三月末では八十日という当初目標を実現するのがやっとではなかろうかと私は思います。これから八十五日、九十日と、あと二カ年の間に十日分の能力増を実現しなくてはいけませんので、そういった意味では、やはり第一次的には九十日備蓄を一〇〇%達成するための努力が当面必要であるということになろうかと思います。
 それから五番目の問題として、省エネルギーの推進について御示唆をいただいたわけでございますが、昭和六十年度における一〇・八%、八千万キロリッターの省エネルギー目標はぜひとも達成いたしたい、また、いたすべきであるということを前提といたしまして現在法案を準備いたしておりまして、成案を得次第御審議を賜りたいと考えております。
 以上でございます。
○河本国務大臣 石油は日本のエネルギーの一番中心をなしておるわけでありますので、現時点では、エネルギー政策は何ぞやというと、やはり石油政策になると思います。
 そこで、どういう問題があるかといいますと、一つは、どうすれば石油を安定的に確保できるかという問題であります。輸入ソースを分散するという問題、あるいは開発の問題、それから備蓄の問題等もまたあろうと思います。それから石油業界の経営の安定の問題がございます。それからさらに、石油を節約をしていくという課題ももちろんございます。
 そういう幾つかの課題がございますが、その中で備蓄問題についてお話がございました。最近アメリカもヨーロッパも戦略備蓄を始めておりますが、特にアメリカは、一九八五年を目標といたしまして、その時点における輸入石油の半年分を戦略備蓄をしようということで、国内の岩塩を掘り出しましたその跡の洞窟にすでにもう備蓄を始めておるわけでございます。御案内のように、アメリカはなお国内にも埋蔵量は相当豊富にございますし、五億キロ近い生産を毎年上げている国でございますが、さらにまたその他のエネルギーの分野でも非常に有力な国でありますけれども、そのアメリカが一九八五年を目標とする半年分の国家による戦略備蓄、こういうことを始めておるということは、これは日本といたしましてもよほど注意をしなければならぬ課題だと思います。現在は一応百日備蓄を目標といたしておりますが、さらに情勢いかんによりましては、この備蓄を将来拡大する方向に検討することも、わが国にとりまして一つの課題であろうと思います。
 それから、当面の問題といたしましては、外貨減らし対策ということがいま大きな問題になっておりますが、外貨減らし対策を特別に工夫をしていくということになりますと、結局、一つは資源エネルギーの備蓄であります。もう一つは製品輸入の拡大であります。さらに第三は経済協力の拡大、こういうことが課題になろうかと思いますが、そういう意味におきましても、石油の備蓄ということは当面の課題としても大きな問題だと思います。
○大成委員 次に、重質油の受け入れ処理体制の整備の問題点について承りたいと存じます。
 この点についても同僚議員から一、二質疑がなされたわけでありますが、この自主開発原油の現況は、政府からの説明にもありましたように、アラビア石油の赤字の転落に象徴されるように、自主開発原油が非常に苦境に陥っておることは説明のとおりでございます。現在海外石油開発会社が約五十社の中で、生産に従事しておるのが十三社と聞いておるわけであります。インドネシア、サウジアラビア、クウェートあるいはアラブ首長国連邦であるとかイラク、その他アフリカ、南米と各方面にわたっておるわけでありますが、これらの自主開発原油の年間輸入量が、昭和五十一年の実績で見まして年間二千三百九十九万キロリットル、全輸入量の八・七%、こういうことでありまして、政府が将来の目標としておる三〇%ということのためには相当の努力が必要とされると思います。
 その理由としては、もうすでに御承知のとおり、高くて質が悪いとか、あるいは産油国の経営参加あるいは国有化が強化されたとか、開発利益が圧迫されて低下しておるとか、いろんな理由があろうと思うわけでありますが、この自主開発原油の重要性には変わりはない、このように考えております。先般の社会党の同僚議員からの質問にありますように、アラビア石油だけでもせっかく掘り出した自主開発原油の七百四十万キロリットルを第三国に輸出しておる、こういった状況は早く改められなければならないと思います。
 これに加えまして、中国との長期貿易取り決めによって中国原油の受け入れ、この処理体制が迫られております。この中国の原油が重質でパラフィン、アスファルト分が非常に多い、こういうことはすでに報道されているとおりでございますが、一九八二年の時点で四千七百十万トンの受け入れ体制を整備する。すでに通産大臣は、ナショナルプロジェクトとして北海道の苫小牧東部工業基地にこの重質油の分解設備の建設に踏み切って、その具体的な調査に入った、こういう段階であるわけであります。このことは中国原油だけの問題でなく、他の自主開発原油の重質油も含めて処理していこうという計画だと承っておるわけでありますが、わが国の石油需給計画の長期的な展望の中でそのような重質油というものの位置づけに変わりはないのか、また、その受け入れ体制に対してどのように考えるか、まず基本的な考え方を承りたいと存じます。
 次に、ナショナルプロジェクトとして日量五十万バレルの処理能力を持つということは、一部民間の石油精製会社に、さなきだにいま精製能力が過剰である、こういったことに対して拍車をかけることにならないか、こういった危惧がなされておりますが、この点について政府はいかに考えるか。
 次に、現在日量五十五万七千バレルくらいが新たに精製設備としての申請が凍結をされておるというふうに承っておるわけでありますが、現在民間の精製会社の設備計画の凍結をこのナショナルプロジェクトで肩がわりするというふうに理解してよろしいのかどうか、この点を二番目として承りたいと存じます。
 三番目に、自主開発原油の優先割り当てについて政府の対策はどうか。先般も同僚議員から具体的な質疑がなされておりましたが、重ねて承りたいと存じます。
 次に、重質油を処理した結果というものは、言うならば高コストの製品ということになるわけでありますが、ただいま承りました優先割り当ての問題に関連して、この高コストの製品をどのように引き取らせていくのかといったことも含めて承りたいと存じます。
 最後に、中国原油の引き取り計画の中で、三百七十万トンといういわゆる政治加算分というものの引き取り計画が明らかにされておりませんが、これをひとつ承りたいと存じます。
○河本国務大臣 開発原油等の問題につきましては、長官が後で答弁をいたします。ナショナルプロジェクトの問題について私から答弁をいたします。
 いま世界全体が重質油の傾向にあることはすでに御案内のとおりであります。わが国といたしましては、やはりそれに対応する方向に石油政策というものを持っていかなければならぬということが第一点だと思います。
 それからもう一つは、日本の石油の輸入は中近東に偏重しておりまして、ウエートが非常に高いわけであります。やはりアジア地区からの輸入を将来拡大していくということ、これはやはりわが国の経済の安全保障上どうしても必要な課題だと思います。幸いに、アジア地区では中国が今後大きく増産の傾向にありますし、インドネシアなども、二、三年前の輸入量に比べまして現在減っておりますので、もう少し数量をふやしてもらいたい、少なくとも二、三年前の数量には戻してもらいたい、こういう強い要請がございます。こういうことを考慮いたしまして、アジア地区からの石油の輸入量というものを将来ある程度、他とバランスをとりながら増量するということも非常に大きな課題だと思います。
 たまたま、御案内のように、二月中旬にわが国と中国との間の八年間にわたる長期の経済協定が成立をいたしました。この協定は、八年間にわが国が中国から石油と石炭約百億ドルを輸入するという内容でありますが、中国側は、それに見合って、ここ二、三年の間におよそ百億ドル前後のプラント類、製鉄プラント初め十数種類のプラントをわが国に発注する、こういう内容になっております。しかも、一九八一年、昭和五十六年にはこの契約の後半部分を見直しまして、第六年から第八年までの石油と石炭の数量につきまして、特に石油の数量につきましてはプラスアルファを加えていこう、こういう内容になっております。
 そういう世界全体の大勢、それからアジアにおけるわが国としての対石油政策の対応、こういうことを考えまして、この際、ナショナルプロジェクトとして相当規模の重質油の分解装置をつくるべきではないか、こういうことをいま研究を始めたところでございます。ことしの夏ごろまでには結論を出していただきまして、そうして遅くとも来年からナショナルプロジェクトとしての精製工場の建設にスタートを切りたい、こういうことでございます。
 いま苫小牧というお話がございましたが、まだ苫小牧には決定をいたしておりません。最有力の候補地ではありますけれども、地元との話し合い等もございますので、最終決定には若干の時間がかかろうかと思います。
 それから、ナショナルプロジェクトでありますから、この経営が民間の石油業界を圧迫しないように考えなければならぬことは当然でございます。現在のところ、昭和五十五年、五十六年には民間の石油業界百五十万バレルないし百六十万バレルの新しい精製設備を新規に増強するという計画になっておりますが、立地問題等もございますし、資金事情もありまして、大体百万バレルくらいしかできないであろう、こういう見込みでございます。そういう動き等も十分勘案しながら、民間の業界を圧迫しないということを十分配慮しながら、ナショナルプロジェクトとしての幾つかの問題点を整理しながら、解決しながら取り組んでまいりたいというのがいまの態勢でございまして、そのことによって三年後に中国の油の輸入を見直し得る、拡大し得るような体制というものをつくり上げておきたい、また、将来それを大幅に増量し得るような体制というものをつくり上げておきたい、こういう考え方でいま取り組んでおるところでございます。
○橋本(利)政府委員 私からは、いわゆる自主開発原油の引き取り問題についてお答え申し上げたいと思います。
 御承知のように、自主開発原油の多くが重質油であるあるいはハイサルファの油であるといった油の性状からくる原因が一つあります。またそれ以上に、国内の産業活動が停滞して需要が伸び悩んでいるといったこともその原因になっているかと思いますが、もう一つはやはり価格問題があるかと思います。性状に即応した価格ということになれば、その面からの可能性ということも考えられるわけでございますが、御承知のように、プライスディファレンシャルなるものが必ずしも実態を反映していないといった点もございます。そういったところから現在国会にお願いいたしておるわけでございますが、一部の自主開発原油につきまして関税を安くするということでお願いをいたしておりますが、こういったことによりましても引き取りが進んでくるのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、一現在、自主開発の生産能力は一日当たり七十万バレルございます。年間にいたしまして約四千二百万キロリットル、それに対しまして、先ほど御指摘になりましたように二分の一程度しか輸入されておらないというのが現実でございますが、今後とも重質原油のウエートというのはだんだん高くなってまいります。ましてや自主開発原油の政策性というものを考えますと、これの優先引き取りについて格段の努力をしていく必要がある、かように考えておるわけでございます。
○大成委員 次に、輸入ナフサの配分の問題と来年度の輸入計画等について承りたいと存じます。時間の関係で一括して御質問を申し上げます。
 このナフサの問題については、さきの予算委員会の一般質問で私も大臣並びにエネルギー庁長官の所信をただしたところでありますが、その後の推移を見ますと、二月二十三日に、企業者間の自主的な交渉の第一陣として、そのプライスリーダーともいうべきものとして出光と住友化学の三千円、二千円プラス千円輸入ナフサ分を加算して込みにして三千円というものが発表になりました。これは昨年の十−十二月分、こういうことでございますが、このことによりましてこのナフサ価格の交渉の透明度というものが非常に濁ってきたような気がいたします。と申しますのは、この輸入ナフサの多少によって企業者間交渉力に変化がある、また同時に、みなし輸入ナフサといった、国産であるけれども輸入とみなしていく、そういったことも業者間の情報として伝えられておるわけであります。したがいまして、私は、要するに不透明な値下げ交渉になりつつあるということを指摘しておるわけであります。
 これが政府の言ういわゆる二段階値下げ交渉の中の第一段階、こういうことであるとするならば、この問題はきわめて重要だと思うのでございます。政府は、七百五十万トンに対して今年度百五十万トンの輸入の積み増しをして業界の苦境を多少なりとも緩和しよう、こういうことでありますが、この九百万トンの配分というものがすなわち非常に大きな問題になってくると思うのでありますが、これは答弁としてどこにどうとか、あるいは商社の輸入を追跡してどこにどう行ったということを明らかにするためには、時間も、またある程度の資料も必要だと思います。ですから、この点は御答弁は概括的なことで結構ですから、詳細な御答弁は資料として要求をさせていただきます。
 次に、従来、石油化学業界が直接ナフサの輸入権を持っておったならばという強い要望もあります。これらについての考え方に変わりはないのかどうか、あわせてつけ加えさせていただきたいと存じます。
 それから、予算委員会の質疑の中で、私、もう時間がないので指摘できなかったわけでありますが、政府は、来年度百億、コンビナートリファイナリーの構造改造対策としてこの予算をつけてどういう使い道をするのだということの説明がなされたわけでありますが、問題なのは、このコンビナートリファイナリーのガソリンの得率を上げてやる、このことがすなわちコンビナートリファイナリーの経営累積赤字を多少なりとも解消するという方向の一番いい方法だ、単に政府がお金を何とかばらまいてやるといったことだけで問題の解決にはならない、このように考えるわけであります。その点について承りたいと存じます。
○橋本(利)政府委員 まず、輸入ナフサの使途でございますが、当初の予定では、本年度は七百五十万キロリットルといたしておったわけでございますが、その段階におきましては石油化学用が五百八十万キロリットル、それからガス用が七十万キロリットルというふうになっておったわけでございますが、御指摘のように、さらに百五十万キロリットルを石油化学用ナフサとして輸入をすることにいたしましたので、それが五百八十万にプラスされる、こういうことになるわけでございます。
 それから、いま輸入量の多少で変化があるといったようなお話もございましたが、これはそれぞれの企業が持っておるシーバースだとかタンクとの関係、あるいは一般リファイナリーとコンビナートリファイナリーによりまして、控除のあり方というのは異なってきておるわけでございます。そういったところから、輸入能力というか、輸入のゆとりがあるかないかといったような問題も関連してまいりまして、当然企業によって差が出てくる。私たちといたしまして、こういう価格交渉は当事者間でやってもらいたいというような指導をしておったのも、そういったところに原因があるわけでございます。
 それから、資料についての御要求がございましたが、これは割り当て制というか輸入割り当てではございませんので、各社別にお出しすることは困難でございますが、使途別に集計してみたい、かように思うわけでございます。
 それから、二つ目に百億円の使い方についてでございますが、これにつきましては現在われわれも検討をまだ進めておるわけでございますが、たとえばコンビナートリファイナリーにおける生産の合理化措置といたしまして、たとえばナフサの分解設備をつけましてLPGを生産するとか、あるいはアスファルトの分解設備をつけまして中間留分を生産する、あるいは小規模の設備を統合し集約化していくといったような生産段階における合理化の余地が残っております。また、流通面におきましても、ただいま申し上げたような製品タンクが必ずしも十分でない、もっと輸入したくてもタンクの関係から輸入できないといったようなものにつきましては、ナフサなりC重油といったコンビナートリファイナリーが他のリファイナリーよりも得率を高く生産いたしております製品のためのタンクを増強する必要があるのではなかろうか、こういった生産なり流通過程における合理化余地というものがございますので、そういった点に着目いたしまして百億円の使途を考えたい、かように思っておるわけでございます。
 それから、ガソリンの得率を上げて対処すればどうかというお話でございますが、おっしゃるとおり最も採算性の高い石油製品でございますので、ガソリンの得率を上げるということは、当該企業にとっては経営の改善に直につながるわけでございます。ところが、御承知のように、ガソリン自体が非常に需給が緩慢になっておる、一部では値崩れがしておるといったような実態の中において、いままでのコンビナートリファイナリーが生産しておりました以上にガソリンの得率を上げるということは、一層の混乱を招くおそれもあるということでもございますので、いずれにいたしましても、コンビナートリファイナリーが非常に弱体化しておる、経営が悪化しておるということを前提といたしましてこれにいかに対応するかということは、私たちとして緊急に解決すべき問題だ、かように考えております。
○大成委員 再質問で恐縮でございますが、これは大臣に承りたいと思います。
 ともかく企業者間のそういうプライスリーダーが出てきたということは結構なことだと思います。第二段階、いよいよ政府が乗り出して、何とか決着をつけなければならぬといったことでありますが、業界の情勢は、一月以降の価格交渉もそう簡単なものではないように私ども承っておるわけです。大臣として、いわば第二段階の調整をどうされるのか、その点ひとつ、ここで言えることと言えないことがあると思うのですが、御所信をおっしゃれる範囲内で結構ですから、承りたいと思います。
○河本国務大臣 第二段階にどう持っていくかということでありますが、第二段階とは何ぞやというと、これは国際価格に近づけるということだと思うのです。国際価格に近づけるということのためには、現在の仕組みではこれは無理です。仕組みそのものを変えてしまわないことには、これは不可能だと思います。そこで、これは非常に大きなむずかしい問題でございますから、関係方面と十分意見を調整しませんと軽々には前進させられない。各方面の理解を得た上で解決の方向に進みたい、こう思います。
○大成委員 次に、電源立地の対策の現状と見通しについて承りたいと存じます。
 政府がさきに申し上げたとおり来年度の経済成長七%を達成させる、このボリュームの中に民間の設備投資の大型プロジェクトの一環として電源開発の関連投資規模をどのくらい期待できるかということが、大きな課題になっておるわけであります。政府は、去る一月の二十三日に第四回総合エネルギー対策推進閣僚会議を開催をして、電源立地の促進、石油備蓄の推進に積極的に取り組む方針を固めまして、その具体策を決定したはずでございます。
 その内容は、政府御自身御承知のとおりでありますが、ともかくすでに決定しておる十五電源の推進を引き続き行うとともに、新たに七電源を要対策重要電源に追加をして推進を図る。二番目には、電源立地促進対策交付金の特別助成措置として、本年度着工電源については現行基準単価を一〇〇%増しとする。倍額にする。それから、関連許認可の運用の円滑化、迅速化に努める。こういった内容になっておるわけであります。それによってこの対応策別の開発規模を二十二地点といたしまして、原子力十一地点で千三百三十五万キロワット、火力十地点で千八十万キロワット、水力一地点百三十万キロワット、合わせて二千五百四十五万キロワットの開発を推進する、こういうことでございますが、当面立地手続が難航しているところが三地点ある、このように言われておるわけであります。
 そこで、伺いたいわけでありますが、五十二年度の電源開発促進対策特別会計の総計は三百七十五億円でございますけれども、五十三年度のわれわれに示された特別会計を見ますと、百五十六億円が剰余金として前年度の繰越金として計上をされておるということであります。ということは、五十二年度は約半分近くが未消化であったということを示しておるわけでありますが、その理由、内容等を明らかにしていただきたい。
 二番目に、昨年末現在で電調審の通過地点中未着工地点が四十地点、千三百六十五万キロワットに達しておる、このように言われております。また、五十二年度から三年度にまたがる電調審の決定希望地点が六十三地点、二千五百十万キロワット、こうなっておるわけでありますが、この実現の可能性について承りたいと存じます。
 三番目に、原発の推進が非常に困難である、また、稼働率もけさの新聞にも発表になっておりましたように五〇%を割っておる、こういった状況、あるいは中国炭の受け入れ、こういうことで今後のわが国のエネルギー計画の中における石炭火力の比重というものはさらに高まってくるというふうに私たちは理解をするわけでありますが、そうなってまいりますと、コールセンターの構想であるとかあるいはその灰の処理の問題であるとか、そういったことがこの石炭火力の実現のためには重要な問題になってくると思います。原発の稼働率についても諸外国に比べてわが国の場合は非常に低い。法制的な問題等については省略をいたしますけれども、ともかく関係者の話を聞きますと、国の検査そのもののあり方にも問題があるし、また、故障の原因、理由等の技術的な解決が不可能であるということではないようだというふうにも聞いております。原発の稼働率を上げるためにどうしたらいいのか、そこのところを承りたいと存じます。
○橋本(利)政府委員 まず、五十二年度における立地促進交付金の実績の見通しでございますが、これはまだ年度途中でございますので集計ができておりません。ただ、御指摘のように計画どおりになかなか進んでおらない。特にその原因といたしましては、いわゆる立地手当てが順調に進んでないケースがふえてきているといったようなところに主たる原因があろうかと思いますので、電源にかかわらず、石油の備蓄基地等につきましても立地対策を強力に進めていきたい、かように考えております。
 それから二番目に、現在電調審を通過しながら未着工のものあるいは五十二、五十三年度中に電調審を通過することを希望している地点についてどうかというお尋ねでございますが、私たちといたしましては、全力をもってこれが実現するように努力いたしたい。一つには、当然のことながら、近い将来地域によっては電力の供給の不安定化が現実のものとなる可能性があるわけでございます。一方、景気浮揚のためにも民間設備投資のリーダーシップを電力にとらせるといった趣旨からも、強力に推進していきたいと考えておるわけでございます。
 それから、石炭火力の関連でのお尋ねでございますが、昨年の八月に策定されました長期需給見通し、暫定見通しでございますが、六十年度におきましては約一千万キロワット、六十五年度において二千万キロワットまで石炭火力を増強いたしたいと考えておるわけでございます。全体のエネルギー量がふえてまいりますので、絶対量がふえましても構成比率はさほど上がりませんが、試みに申し上げますと、六十年度においては五・六%、六十五年度においては九・一%まで石炭火力のウエートを高めていきたい、かように考えております。
 それから、コールセンターについてのお尋ねでございますが、現在、石炭利用を拡大していくためには、どうしてもストックヤードの整備だとか、輸送の合理化のためのコールセンターが必要であるという認識に立っておりまして、五十一年度以降いろいろと調査を進めておりますが、五十三年度におきましても引き続き基本設計等を続けたい。現在の構想は、全国二カ所つくりまして、一カ所年間七百五十万トンの炭繰りができるような施設にいたしたいと考えておるわけでございます。
 それから、原発の稼働率の上昇についてどうかというお尋ねでございますが、私たち、原子力開発を進めるに当たりましては、やはり安全性ということを非常に重視しております。これは当然のことでございます。したがって、定期検査をやる時点において、ささやかなトラブルであっても、それが完全に点検、補修されるまで運転させないといったようなことで対処いたしております。そういったことも含めまして、御指摘のように稼働率が五〇%を下回るような状況にあるわけでございますが、だんだんそういったことから設備に対する補修、点検も進んでまいります。それから、新しい原子炉につきましてはほとんどそういった故障もございませんので、いまを底としてだんだんと稼働率も上昇していくものと考えております。
○大成委員 円高対策については経過報告みたいなことでございますので、時間の関係で次の質問を先にやらしていただきたいと思います。
 自転車を消費生活用製品安全法の特定製品に指定をしてもらいたいということについて御質問を申し上げたいと思います。
 自転車が通勤、通学、買い物、レクリェーション、スポーツ、体力づくりといった面から身近な私たちの足である、国民生活上必要不可欠な工業製品である、また生活必需品であるという認識に異論のある方はおらないと思います。同時にまた、自転車そのものがピーク時は千五百万台ぐらいの生産でありましたが、後ほど正確に承りますけれども、現在は約半分、七百万台程度にダウンしておる。すなわち内需、輸出ともに過当競争というか、設備が余ってきておる、特に部品メーカーのこの能力は非常に余っておるという状況であります。正確な数字はわかりませんが、大体わが国の自転車の保有台数は四千五百万台、このように言われております。
 同時にまた、自転車そのものは約二千個からの部品のアセンブル製品である、こういった特異性。また、自転車は自動車と違いまして、交通安全対策上からの法規の規制はありますけれども、運転免許は要らない。だれでも乗れる。子供から年寄りまでだれでも乗れる、こういったことである。同時にまた、その軽便さや利用の便利さ、こういったこととあわせて、これに対する道路環境、自転車専用道路等の環境づくりがまだ進んでおらないといった状態において、自転車をめぐる交通事故が激発しておる。あるいはまた、御承知のとおり、首都近郊ベッドタウンの地区の駅前に無造作に放置されておる無数の自転車、この問題対策については、地域対策としてもあるいは盗難防止対策としても新たな問題が提起されてきておる、こういった状態であります。
 以下、幾つかの問題点がありますが、この概況だけまず御説明申し上げます。
 そこで、御質問の方から先に申し上げたいと思うのですが、昭和五十一年十月四日付で、全国自転車商協同組合連合会の理事長関口清治さんの名前で通産大臣あてに、消費生活用製品安全法の特定製品、すなわちSマークとして指定してもらいたいという請願がなされたはずでありますが、承知しておられますかどうですか、承りたいと思います。
○森山(信)政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり承知いたしております。
○大成委員 自来、その請願を受けて、通産省としてはこの請願の趣旨に沿ってどのような検討がなされ、どのような調査がなされ、どのような対応策を持ってこられたかを承りたいと思います。
○森山(信)政府委員 自転車を製品安全法の特定製品とすることにつきましては、私どもといたしましては、自転車の安全対策の一環ということでとらまえておりまして、安全対策上Sマークを指定することがどうかという観点で検討をいたしておるところでございます。
 現在まで検討いたしました結果、三つほど問題点があるのではないかということでございます。
 その第一点は、先生御承知のとおり、製品安全法におきましては、特定製品の製造業者が一定の設備基準を持たなくちゃいかぬということが規定されておるわけでございますが、自転車の場合はほとんどが小売の段階でアセンブルされるということでございまして、いわゆる特定の設備を持っていないという点に問題があるのではないか。これは自転車としては当然そういう状態でアセンブルをしておるわけでございますけれども、現在の製品安全法の趣旨から見まして、法律に果たして適合するものかどうか、これは法律解釈上の問題といたしまして問題点があるということが第一点でございます。
 それから第二点につきましては、自転車は、御承知のとおり、乗り方あるいはその管理の仕方次第によりまして、短期間に緩みが出たりあるいはがたが生ずるということでございまして、アセンブルの段階あるいは小売をされた段階におきまして安全だと思われたものが、乗る方の管理あるいは補修の状況いかんによっては必ずしも安全性が確保されないんではないか。したがいまして、小売の段階で安全が確保されたということの証明がなかなかむずかしいのではなかろうかという問題が第二点でございます。
 それから第三点といたしまして、先生御承知のとおり、自転車の小売の段階におきまして、いわゆる中古自転車の販売というものが相当行われているわけでございますので、この中古自転車との関係をどうするかというのが第三番目の問題ということでございまして、現在まで私どもが検討いたしました結果、こういう三つの問題点に逢着しているということでございます。
 ただし、冒頭に申し上げましたとおり、自転車の安全対策と申しますものは国民生活上大変重要な問題でございますので、いま申し上げましたような問題点が果たして解決できるかどうか、さらに検討を加えてみたい、こういう段階でございます。
○大成委員 いまの局長の御答弁に対して私どもの考え方もありますので、これは後ほど触れさしていただきます。
 その前に、経済企画庁からどなたか……。
 この自転車の事故、死亡、負傷といった自転車の事故につながる故障に関する調査結果について自転車産業振興協会も発表しておりますし、また、全国の小売業者も、全国四十七都道府県で昨年の六月に詳細な調査をして発表しておりますが、自転車の整備が不良のために死亡事故、負傷事故につながった、そういった調査結果は経済企画庁としては把握しておられるかどうか、承りたいと思います。
○井川政府委員 私の手元にございますのは、国といたしまして国民生活センターというのがございまして、消費者のいろいろな苦情その他相談の案件が持ち込まれます。それから、各府県、大きい市に地方の生活情報センターというのがございます。そういうところで商品の欠陥その他のためにこういうことがあったがというような情報が入ってくるわけでございまして、あくまで全数的なものじゃなくて、そういうふうなかっかうでもたらされた情報しかないわけでございますが、五十二年四月から十二月、したがって九カ月でございます。現在国民生活センターでは、危害発生速報といたしましてそういうふうな情報をとっているわけでございます。全国百七十二カ所の地方生活センター及び中央の国民生活センターに集まりました情報が全部で千百七十四件、要するに危害について発生したあるいは発生する可能性が大きかったというふうな情報でございますが、そのうち二十二件が自転車関係の危害情報であったというふうな実績がございます。
○大成委員 ただいまの局長の御答弁は、統計としては、全国的な状況を把握するには非常に不正確だと思います。私どもが承知しておるこの調査からしますと、警察庁の事故統計、五十一年一月から十二月までの自転車乗用中の事故というもので、死者が千百三十二名、負傷者が七万九千二百八十一名、こういった統計になっております。年齢別の内容は別といたしまして。ともかくそういった事故の中で、調査対象件数の中の四三%が整備が不良のため事故に結びついておる、また六六%は修理を必要とする、こういった内容でございます。特に重要なブレーキの不備が三五%という最高を示しておりますし、ベル、ブザー、警報器の不備二八%、ライトが二一・三%とか、後部の反射器が一七・一%とか、そういった二けた台を占めている、そういったファクターが非常に注目をされるところであります。
 同時にまた、通産省の局長の方からのお話にもありましたように、小売段階の末端のアセンブリー販売業者が一定の設備基準を持っているかどうかということでありますが、これは局長さんひとつ十分検討していただきたいことは、普通の工場と違いまして、自転車屋さんの場合にはある一定の資格を持っておる人――このある一定の人というのを申し上げますと、自転車技術検定制度のもとで第二種の検定資格を取得しておる者は昨年末現在で四万五千七百五十三名おりますけれども、そういった技術検定に合格をした者が、たとえば局長さんの体重なり身長なり、その体をよく見て、それに見合った自転車として売る、あるいはまた七分、八分ぐらい組み立てしたものを送ってきて、輸送中にネジが緩んだりいろいろなことがあります。またその他の部品もそこで調整したり点検するわけですが、そういったことが安全の上においては非常に大事なことであって、自転車屋にどういう設備があるとかどうとかいうことよりは、安全に関して責任のある資格者が売るのかどうかといったことだと思うのであります。
 そこで、承りたいわけでありますが、デパートやスーパーマーケットで全国の部品を集めて、いいかげんにという言葉は失礼かもしれませんが、何ら安全に対する責任を負わないで組み立てたものがバーゲンされておるといった実態を知っているかどうか、経済企画庁に承りたいと思います。
○井川政府委員 特にそういう実態につきましては、私は、残念ながら、承知をいたしておりません。
○大成委員 通産省の局長さん、その辺のスーパー、百貨店へ行って、自転車を売っているか売ってないか、どういう状態で売られているか、ただ値段だけで売られているといったそういう安全性を無視した自転車の販売の実態について、千百何名も年間それがために生命を失っているという実態からして、まずその把握をぜひお願いを申し上げたい、このように存じます。
 同時に、小さな子供の自転車については政府としてもある程度のマークを適用しておるわけでありますが、今日の自転車の普及の実態からして、時間がありませんので詳しくさらに質問ができないのですけれども、ともかく今日の実態は、この自転車を特定製品に指定をして、ある一定の安全なものとして、あるいはまた先ほど通産省の局長がおっしゃったように、途中の点検整備――自動車には定期的な点検整備があります。何百キロ整備とか何千キロ整備とかというようなものがありますが、自転車にはそういうものがありません。途中でネジが緩んだとかなんとかということも、要するに地域に密着した末端の小売業者ならば責任を持って整備もできるはずであります。国民の生命や交通事故に対する保障ができるはずでありますから、どうかそういう角度からもこの問題を取り上げていただきたい。
 特に通産省の局長さんに申し上げたいことは、昨年六月三十日に自転車安全対策総合企画推進会議というものが持たれて、一回持たれたきりで何にもやってない。そうして去る二月十六日に初めて第五回目の安全部会というものが持たれた、このように聞いております。特にそういったバッタ物みたいな、そういう無責任な自転車をただ安いからどんどん売れというようなことだけで売っている。自転車の部品を製造しておる。部品部会には特定製品としての指定には時期尚早論があるようでありますが、そういったことよりは、国民の生命を重視するといった経済企画庁の所管しているところの消費者保護基本法、この第七条の危害の防止規定の精神の方を、あるいはまた製品そのものに対してメーカーが責任を負う、そういった時代の趨勢、こういった方向でぜひこの問題を検討していただくことをお願い申し上げます。
 中小企業庁長官、まことに申しわけございませんでしたが、円高対策に対する質問はさらに後日質問をさせていただくことといたしまして、私の質問を終わります。
○野呂委員長 次回は、来る三日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時二十八分散会