第084回国会 運輸委員会 第4号
昭和五十三年三月十日(金曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 増岡 博之君
  理事 石井  一君 理事 小此木彦三郎君
   理事 佐藤 守良君 理事 浜田 幸一君
   理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君
   理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君
      加藤 六月君    北川 石松君
      佐藤 文生君    関谷 勝嗣君
      田澤 吉郎君    原田昇左右君
      藤本 孝雄君    古屋  亨君
      堀内 光雄君    久保 三郎君
      佐野  進君    斉藤 正男君
      田畑政一郎君    藤田 高敏君
      草野  威君    宮井 泰良君
      薮仲 義彦君    米沢  隆君
      小林 政子君    中馬 弘毅君
 出席政府委員
        運輸政務次官  三塚  博君
        運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
 委員外の出席者
        運輸省船舶局関
        連工業課長   清水 正彦君
        参  考  人
        (日本造船工業
        会副会長)   南  景樹君
        参  考  人
        (日本中型造船
        工業会会長)  織田澤良一君
        参  考  人
        (日本小型船舶
        工業会副会長) 橋本 竹一君
        参  考  人
        (日本造船協力
        事業者団体連合
        会副会長)   西山元三郎君
        参  考  人
        (日本舶用工業
        会会長)    小曽根真造君
        運輸委員会調査
        室長      鎌瀬 正己君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二日
 辞任         補欠選任
  太田 一夫君     石野 久男君
  宮井 泰良君     林  孝矩君
同日
 辞任         補欠選任
  石野 久男君     太田 一夫君
  林  孝矩君     宮井 泰良君
同月七日
 辞任         補欠選任
  草野  威君     浅井 美幸君
同日
 辞任         補欠選任
  浅井 美幸君     草野  威君
同月十日
 辞任         補欠選任
  斉藤 正男君     藤田 高敏君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 高敏君     斉藤 正男君
    ―――――――――――――
三月六日
 国鉄青梅線等の快速電車増発に関する請願(石
 川要三君紹介)(第一七九三号)
 同(高田富之君紹介)(第一七九四号)
 台風常襲地帯における気象官署の拡充強化に関
 する請願(川崎寛治君紹介)(第一七九五号)
同月九日
 台風常襲地帯における気象官署の拡充強化に関
 する請願(飯田忠雄君紹介)(第一八三八号)
 同(草野威君紹介)(第一八三九号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第一八六五号)
 同(平石磨作太郎君紹介)(第一八八〇号)
 同(宮井泰良君紹介)(第一八八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海運に関する件(造船業の不況に関する問題)
     ――――◇―――――
○増岡委員長 これより会議を開きます。
 海運に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に造船業の不況に関する問題について、集中的に調査を進めてまいりたいと存じます。
 本日御出席いただきました参考人は、日本造船工業会副会長南景樹君、日本中型造船工業会会長織田澤良一君、日本小型船舶工業会副会長橋本竹一君、日本造船協力事業者団体連合会副会長西山元三郎君及び日本舶用工業会会長小曽根真造君、以上五名の方々であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 申すまでもなく、今日わが国の造船業の不況問題は、まことに憂慮にたえないものがあり、その対策の樹立が強く求められております。本問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、調査の参考にいたしたいと存じます。
 議事の順序について申し上げます。
 南参考人、織田澤参考人、橋本参考人、西山参考人、小曽根参考人の順序で、御意見をお一人十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。
 それでは、南参考人からお願いいたします。
○南参考人 すでに先生方御承知のとおり、今回の造船不況の引き金となりましたのは、昭和四十八年のオイルショックによるタンカーの船腹過剰でございます。現在でもタンカーの過剰は約七、八千万重量トンあるいはまた一億トンとも言われておりまして、その解消につきましては、昭和五十五年以降になるものと推測されております。
 また最近、鉄鋼業の不振から、バラ積み船の船腹過剰もきわめて顕在化してまいっておりまして、ここ数年間は解消が困難であるというふうに見られております。
 このような船腹過剰、したがいまして、海運界の不況に起因いたしました造船不況は、今後少なくとも五、六年間以上続くことを覚悟しなければならないと私どもは存じております。しかも不況後の回復も、きわめてスローテンポを予想されるのでございます。
 御承知のとおり、造船業は労働集約産業でございまして、優秀な人的資源の豊富にあるわが国においては、将来最も適した産業であり、かつ関連工業のすそ野も非常に広く約四百種ございます。そして、それがすべて国産品で賄うことができるのでございます。また地域経済の中心的役割りを果たしております造船所も多々ございますので、造船不況が地域に及ぼす社会的影響はきわめて大きいのでございます。
 不況の実情につきまして具体的に申し上げます。
 まず、受注量につきまして申し上げますと、オイルショックの起こりました四十八年に三千八百万総トンの新造船を受注することができましたが、翌年以降急激に減少いたしまして、昨五十二年度は六百三十万総トンに落ち込んでまいりました。ピーク時は年間千八百万総トン前後の進水実績を挙げておりますが、わずかにその三分の一程度の水準となったのでございます。
 また、手持ち工事もきわめて減っておりまして、四十八年末には五千二百六十万総トン、約三年分以上の手持ち工事がございました。しかるに五十二年末には八百六十万総トンに落ち込んでしまったのでございます。このように新規受注が少なく、一方、工事の進捗に伴って引き渡しが進んでまいりますし、また相当大量のキャンセルも出まして、そのために手持ち工事量が非常に減少いたしたわけでござます。
 操業度をマンパワーで申し上げますと、ピーク時の四十九年度を一〇〇といたしまして五十二年度は約六〇%でございます。さらに、現在の手持ち工事だけで今後を経過するといたしますれば、五十三年度は約三〇%、五十四年度はただいまの現状では約五%しかございません。
 このような現状を踏まえまして、業界は目下三重苦に苦しんでおります。すなわち、すでに申し上げましたように、工事量の減少、それに加えまして船価の暴落がございます。また円為替の御承知のような騰貴、この三つに責められておるわけでございます。
 造船各社は、低操業下における経営維持につきまして、すなわち、何とか仕事を確保するということ並びに企業内における自主的な合理化、そういうことに一生懸命努力をしてまいりましたが、操業度が四〇%を割るというふうな事態と相なりましては、自主的努力ではいかんともなしがたい現状でございます。
 この事態に対処いたしまして、政府としては、運輸大臣の諮問機関である海運造船合理化審議会で早急に造船業の構造改善案を検討することに相なりまして、夏ごろまでには一応の結論を出していただける見込みでございます。
 また、業界といたしましては、過剰な供給力を思い切って削減する、そして需給バランスの回復を図る必要があるということにつきまして、大方のコンセンサスを得ております。しかしながら、供給力を削減しただけで仕事が確保されなければ経営としては成り立ちません。
 そこで、最低限の仕事量を政府の御援助を得ましてつくり出すということを、業界としては切望いたしておるわけでございます。すなわち、供給力の削減と需要の創造、これは車の両輪のごときものでございます。
 需要創造の第一は、官公庁船の代替建造の促進でございます。海上保安庁の巡視艇あるいは防衛庁の艦艇を初め諸官公庁、地方自治体等が所有しておられる船には、建造後二十年以上の老齢船が少なくございません。この際、代替建造を行って、船質の近代化を図っていただきたいと存じます。これは造船業の工事量確保に役立つというばかりではございません。景気全般に対する波及効果も広く、かつ早いということを申し添えておきます。
 第二点は、スクラップ・アンド・ビルド方式による国内船建造の促進でございます。海運市況が悪化しております上に、日本の海運業は国際競争力を失っております。したがって、日本国籍の船の建造需要はきわめて減少いたしております。
 そこで、現在以上の船腹過剰をもたらすことなく、海運業の国際競争力の強化に貢献しながら、造船業の工事量を確保するためにスクラップ・アンド・ビルド方式によって、向こう三年間にわたって年間百五十万総トン程度の日本船を建造できるようにぜひお取り計らいをいただきたい。この制度には、開発銀行や船舶整備公団を活用することが考えられますが、船主に建造意欲を起こさせる制度とするために、融資条件等を大幅に緩和していただく。また船主経済が成り立たなくてはとうてう新造意欲が出てまいりませんので、そういう措置をしていただく。同時に、老齢船のスクラップ化を促進するために、スクラップ助成措置もお願い申し上げたいと存じます。
 第三のお願いは、発展途上国に対する経済協力の一環として、積極的に船舶の供与を行っていただきたい。発展途上国では、自国輸出入物資の安定輸送力を確保し、国際収支の改善を図るために、自国商船隊を拡充しようというニーズはきわめて高いのでございますが、外貨事情等から、コマーシャルベースでは新造船を発注できない状態でございます。これらのニーズにこたえてヨーロッパ造船国、特にノルウェー、西独等では、政府の積極的な経済協力によって船舶を供与いたしております。わが国でも、政府の手で積極的に発展途上国の需要を掘り起こしていただきたいと存じます。
 官公庁船の代替建造あるいはスクラップ・アンド・ビルドによる国内船の建造につきましては、できるだけ早くということを希望いたしております。五十三年度中に実施できるよう、まことに勝手なお願いでございますが、補正予算を組む等の措置を御考慮いただきたいと存じます。願わくは、五十五年度までの三カ年間に一兆五千億程度の需要を創出していただきたいと存じます。
 終わりに、中手造船対策につきまして、中手造船所の立場で一言申し上げたいと存じます。
 中手造船会社は、造船の専業度がきわめて高うございます。おおむね九五%以上が造船でございます。この際、大幅に供給力を削減されますと、企業経営の基盤が成り立たなくなるというおそれが十分ございます。そこで、供給力を削減すると同時に、企業基盤を強化し、経営が維持できるような方途を講じていただきたいと存じます。
 この問題につきましては、今後海造審で御検討をいただくことと考えておりますが、具体的には、現在御審議中の特定不況産業安定臨時措置法による債務保証基金制度を有効に活用することはもちろんでございますが、そのほかにも中小造船所に対する特別措置として、廃止設備、休業設備の政府買い上げ、超過債務の一時たな上げ、相当の据え置き期間を含む長期低利の運転資金の融資というような抜本的な措置を切にお願い申し上げたいと存じます。
 また、スクラップ・アンド・ビルドによる国内船建造あるいは官公庁船の建造等につきましては、特に優先的に中小造船所に配分をしていただきますように、あわせてお願いを申し上げておきます。
 以上で終わります。
○増岡委員長 ありがとうございました。
 次に、織田澤参考人にお願いいたします。
○織田澤参考人 私は、中型造船工業会の会長を務めております織田澤でございます。本日こういう機会に、私どもの業界の窮状をお聞き取りいただくチャンスを与えていただきまして、大変ありがたいと思っております。
 御報告を申し上げますに先立って、私どもの業界、中型造船工業会の構成について、御理解いただく前提といたしまして、簡単に御報告を申し上げたいと思います。
 私どもの会に属する造船業者は、数で百二社でございまして、昨年来倒産をいたしました十六社が全部当会のメンバーであります。それから、この百二社のほかに替助会員がございますけれども、これから申し上げますのは、百二社を中心といたしました普通会員の内容についての問題で申し上げたいと思います。
 まず、従業員並びに資本金から申しまして法定で言う中小企業に属する企業が、百二社のうち約八五%でございます。
 それから、当会全体の最近の売り上げを申し上げますと、五十一年で年間五千九百三十四億でございます。非常に肝要なことは、これらのメンバーが新潟鉄工所一社を除きまして、全部造船専業でございまして、専業率は、船舶の建造、修理が全売り上げの九五%以上になっております。
 それから、従業員の数でございますけれども、会員の全従業員の数は、五十二年一月ないし六月の平均で、直用の社員が二万二千人、それからいわゆる協力工が約二万七千人、合計いたしますと四万九千人前後でございます。
 そこで、つくっております船の大きさを申し上げますと、最低は総トン数五百トン程度から始まりまして、一番大きいので総トン数六万トン前後まででございますが、六万トン程度の大きい船をつくります造船所は、会員のうちわずかに二社でございまして、大部分は総トン数二万トン前後から以下でございます。
 なお、今日までにつくりました実績で申し上げますと、五十一年度に年間で百八十万グロストンつくっております。この時点で日本造船界全体では千四百三十万グロストンでございますから、比率で申しますと、ざっと一二%程度でございます。
 それから、能力でございますけれども、一昨年の海造審の算定の方式で申し上げますと、日本全体が年間に千九百万トンの供給力を持っておるわけでございますけれども、その同じ方式で私どものメンバーの能力が約二百二十万グロストン、この点でも大体一二%弱というシェアでございます。
 大体、以上のことを前提といたしまして、これから不況の実態について申し上げたいと思うのでありますが、先ほど造船工業会の南副会長から御報告を申し上げました不況の諸実情は、これは私どもも含めました造船業全体の実情としてお聞き取りをいただきたいと存ずるのでございますが、特に私どもの方として追加あるいは補足を申し上げたいことが二、三ございますので、その点について申し上げたいと存じます。
 不況の実態でございますけれども、いま申し上げましたように、五十一年度の竣工実績が百八十万グロストンに対しまして、五十二年度、これは実績見込みになりますが、実績見込みで現在のところ百四十万グロストンくらいかと思います。それから五十三年度でございますけれども、五十三年度になりますと、現在の手持ちから考えますと六十五、六万トンしかございません。今後、五十三年度引き渡しの受注がふえるといたしましても、十万トン以上の期待はできないと思いますので、今年度は大体そんな見当ということになります。それから五十四年度に至りますと、これはもうほとんど現在の受注はゼロに等しくて、わずかに十万トン弱ぐらいしかございません。五十年度ころには手持ち量が大体二年ないし二年半ぐらいあったのでございますが、今日の時点では、すでにただいま申し上げましたように、わずかに六十万グロストン、月数にいたしましても数カ月の分しかないということでありまして、大部分の造船所は今年内に手持ち工事がなくなるというのが実情であります。
 そういう窮状でございまして、先ほども申し上げましたが、昨年からことしにかけまして、実に十六社の倒産の事態が発生しておりまして、まことに遺憾にたえないのでございますけれども、これらの倒産の実情から考えまして、さらにこれから今年前半あるいは後半に向けまして倒産に追い込まれる造船所が相当に出るのではないかと危惧をいたしております。
 大手の造船所さんと比較いたしまして、私どもの最大の泣きどころは専業メーカーであるということでございまして、今日のような不況になりますと、率直に申し上げて逃げ場がございません。需要が減ってまいりますから企業が縮小するのはやむを得ないことでございますけれども、規模を小さくする場合に、たとえば従業員を配置転換するとかあるいは企業自体が転業をするとか、そういう余力が全くないのであります。減った分の余った従業員は、遺憾ながらこれをそのままの姿で置いておくことができません。それからまた、転業と申しましても、これは一口に転業と言うのでございますが、実際には技術力、営業力、資金力その他を含めますと、他業種に転換するためには最低限三年ぐらいはかかります。五年くらいかかってやっと採算のとれる転業ができるかということでありまして、今日のような急場の状態において転業するということはほとんど望みがありません。さような状態で不況の波をまともにかぶっております。
 先ほど造工からもお話がありましたが、同じ不況の実態に対して、その与えられる影響は比較にならぬほどの甚大な形で被害を受けるわけでございまして、その点がきょう私が皆様方に御報告申し上げます焦点になるわけでございます。
 それでは、どうすればいいかということになりますと、先ほどもお話が出ましたけれども、企業の合併をしますとかあるいはその他の考えられる方法は幾つかありますけれども、いずれも現実にこれを実現に持っていくことは非常に困難であります。
 その一つの例を申し上げますと、私どもの企業は北は北海道から南は鹿児島まで全国に散在しておりまして、それぞれの地区で当該地区の政治経済に少なからぬ貢献をいたしておると自負しておるのでございますけれども、これは企業そのものが従業員を含めまして当該地区に密着をいたしております。海運業のように資産が移動をいたしませんから、仮に合併をするとかそういうふうな問題になりますと、まず第一に個々の造船所の生態と申しますか、賃金、技術の内容それから地域的な諸問題、こういうものがみんな違います。したがって、一口にこれを合併と言いましても、そう簡単にまいりません。そこら辺がやはりなかなか思うように合理化のできない一つのポイントであろうかと思います。
 今回十六社の倒産を出しましたけれども、これの中身をざっと見ますと、その倒産の原因は幾つかございますが、そのうちで特に目立ちますのは、得意先である海運業者、海運業の倒産でございます。船主さんである海運業者が倒産をいたしますと、これは連鎖反応で当該船会社から受けております仕事がキャンセルになる、あるいは引き取っていただけないということで、直ちに資金的な窮境に陥りまして倒産をいたします。こういう例は幾つかございます。
 それからもう一つは、輸出船のキャンセルという問題がございます。この不景気で受注船のキャンセルが非常に出ておることは、先ほどの説明にもございましたけれども、特に昨今の不景気の状態になりますと、ささいな理由で、好況時代であれば問題にならないような理由でキャンセルか、または船価の値引きを船主から強要をされまして、こういう買い手市場でございますので、泣く泣く船価を値引きいたして引き渡すとか、あるいはキャンセルに応ぜざるを得ないというところに追い込まれます。そのための倒産がございます。
 それから一番多いのは、やはり何と申しましでも累積赤字その他によって、すでに各社の資金事情が非常に悪化をいたしております。したがいまして、何らかの突発的な事情によりましても資金がときに停滞をいたしまして、手形が落ちないという状態が起こりがちでございます。手形が割れないという事態が起きますと、即これが倒産につながるわけでございまして、現時点で私どもが一番望ましく考えておることは、何とか倒産に追い込まれないための資金の確保、さらにこれをもう少し敷衍いたしますと、今回の不況に対して対策を立てていくための運転資金の確保ということでございます。
 大体、いま申し上げましたようなことが実情の大部分でございまして、このような状態に立ちまして、それでは今後どうすればいいかということでございますが、先ほど造工からもお話がございましたけれども、不況の根本はやはり需要がなくなったということでございまして、何はともあれ需要を幾らかでもふやしていただくということが当面は最大の希望でございます。スクラップ・アンド・ビルドあるいは経済協力船、官公庁船の増強ということで過去においてもすでに再々お願いを申し上げまして、保安庁船等についてはすでに大幅な増強の段取りをいただいておりますけれども、でき得ますれば、さらに現在あります老朽船その他の建造がえとかいうことで需要を喚起していただければ大変ありがたいと思うわけであります。
 それからまた、片方で将来を展望いたしましても需要が相当大きく伸びる見通しはございません。したがいまして、われわれが自主的に減量体制をしくことは当然でございますけれども、悲しいかな専業でございますとおのずから限界がございます。その限界は、大体私どもの推定では五〇%まで企業規模を縮小いたしますと倒産につながるという心配が出てまいりますので、何とかその範囲内でこれをとめることを考えなければならぬということで、これは業界の各社が現在非常に悩んでおるところでございます。
 幸いに、このたび特定産業不況対策臨時措置法が御審議をいただきまして実現に近づいておりますけれども、これを使わせていただきましてわれわれのこれからの対策の一つにいたしたいのでございますけれども、これにつきましてまだ細かい実態がはっきり発表になっておりませんので、いまの段階で申し上げるのはどうかと思うのでございますが、仄聞をいたしますと、債務保証の保証金額の、たとえば三分の二程度については裏保証が必要であるかのような話が出ております。ところが、私どもの業界の造船所は、資金力あるいは設備力に対して膨大な金額の船をいままでもやっておりますし、現在もやっておるわけでございまして、担保力の余裕というものが全然ございません。したがいまして、担保を出せと言われますと、実際問題としてこれはなかなかそういうことはできないというのが実情でございますので、でき得ればそこら辺の事情を勘案いただきまして、裏保証というようなことがなくて使わせていただくことができれば大変ありがたいと思うわけでございます。
 また、いまの段階では五年償却ということにたしかなっておったと思いますけれども、不況で設備を減らしますために借りる金でございまして、当然売り上げその他が減ってまいりますし、利益も多く期待はできませんから、これを返済するということになりますと、五年ではやはり無理ではないかという意見が強うございます。この点についても、できますれば御配慮をいただきたいと思うわけであります。
 私からお願いを申し上げたいことは、大体以上のことでございます。どうもありがとうございました。
○増岡委員長 ありがとうございました。
 次に、橋本参考人にお願いいたします。
○橋本参考人 私は、財団法人日本小型船舶工業会副会長の橋本でございます。
 低経済成長時代の本格化定着に伴い、造船不況がその深刻さを増し、同業者の倒産の相次ぐ状況を目の当たりに見て日夜懸命の努力をしております。
 本日は、はからずも国会において、参考人といたしまして業界の概況を御報告申し上げまして、諸先生の格別の御指導とお力添えを得ます機会を得まして、非常に光栄に存じております。
 まず、私の所属しております団体につきまして紹介させていただきますと、財団法人日本小型船舶工業会は、昭和四十三年八月に運輸大臣の認可を得まして設立されました公益法人でありまして、主として五百総トンまでの小型船の造船所約千五百企業の中央団体でございます。地方にございます十社団法人と一事業協同組合が当会の賛助会員でありまして、その社団法人に約千百企業が所属しております。
 これら小型造船所は全国津々浦々に散在し、海運業に水産業にと地域社会に貢献しております。
 次に、これらの小型船造船所の実態について御説明申し上げます。
 千百社の規模別企業数について申し上げますと、従業員二十名以下の企業が七百五十六社で、全体の七〇%を占めております零細企業であります。百人以上の企業はわずかに六%にすぎません。従業員数について申し上げますと、全従業員三万三千人、うち本工は約二万六千人で八〇%を占めておりますし、構内下請は約七千人で二〇%となっております。
 次に、造船不況の実情について申し上げます。
 造船不況の影響として仕事量の激減がありますが、五十三年三月と前年同期における受注残の対比をしてみますと、隻数において五三%減、総トン数において五六%減、金額において同じく五〇%減となっております。仕事量を期間で見ますと、約三カ月分でございますので、手持ち工事量がこの六月以降には全然なくなるという現状でございます。
 また、倒産企業が相次いでおります。四十九年以降、すでに三十社が倒産いたしまして、その負債総額は四百二十九億円になっております。中でも五十二年は十一社、負債総額二百七十四億円が倒産しております。
 世界的傾向となった二百海里の漁業専管区域の設定、北洋からの日本漁船の締め出し、母川主義に基づく公海におけるサケ・マス漁業の大幅な縮小要求等、漁業を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした現状から、私たちは、次のような造船不況対策の実現をお願いしたいのでございます。
 先ほど造工の南副会長さんから、あるいは織田澤中造工会長さんからもいろいろ御発言がございましたように、われわれもSB方式による内航船の代替建造、老朽不経済船の早期代替建造を、大幅な予算の拡大によってわれわれ小型船舶工業会のメンバーに一日も早く御発注願えるようにお願い申したいのでございます。
 五十二年五月における船舶整備公団によるアンケート調査によりますと、不経済船は二千五百隻、百二十万総トンに達して、そのうち五百九十一隻、五十七万総トンが公団との共有船として代替建造を希望している、こういうアンケートが現在公団の方でまとめられております。
 また、先ほど造工の南副会長さんからもお話がございましたように、われわれ小型造船ではございますけれども、外国からの輸出船の引き合い、また輸出もさしてもらっておりますが、この小型船を発展途上国に、経済協力の一方法として無償供与もしくは長期低利の支払い条件のもとで輸出できるように国、政府による財政援助をお願いしたいと思うのでございます。これもできるだけ早くお願いしたいと思います。
 それから、先ほどから私、お聞きしておりましたが、造工の南副会長さん、中造工の織田澤会長さんの御発言の中になかったので、一番小さい団体の代表の私でございますが、先生方に特にお願い申し上げたいのは、小さい業界が大きなことを言うなとお笑いいただくかもわかりませんが、たまたま私、神戸在住の造船所でございます。非常に夢のような話でございましても、どうか、関西国際空港がぜひ必要なれば、早期着工の運びに至るようお願いしたいのでございます。それはもう南副会長発案による浮体工法であろうと埋め立て工法であろうと私はいいと思います。小さい小型の造船所が何を大きなことを言うかと皆さん方思われるかもわかりませんが、その波及する影響は非常に大でございます。たとえば来年、再来年着工となりますと、まず一番最初に、測量船あるいは連絡艇、あらゆる小型の船の準備体制に空港公団は入られると思います。また、それに携わる業者関係は、準備作業として船の発注あるいはそれの作業船等のあらゆる準備体制に入ると思いますので、われわれ小型船業界に対する影響は非常に大きいものがございますので、この点もひとつよろしく委員の先生方に私、特にお願い申し上げたいと思います。
 また、本四三架橋を私は何とか同時に着工していただきたいと思います。こういうものもわれわれに波及するところ大でございます。一小型船舶を代表して申し上げるのでございませんが、先ほどからるる造工、中造工の会表さんあたりが申し上げた点を、委員の先生方が早急に取り上げて実行していただきますと、その影響が即小型船造船業に、われわれにも流れてくるわけでございますので、どうか皆さん方、小さい小型の造船所ではございますが、大中小の大が忙しくなれば必ず中に流れ、中の仕事がまた小のわれわれにも影響するわけでございますので、この三つの団体の先生方にお願いしたことをできるだけ早い時期に実現されるように、ぜひこの機会にお願い申し上げたいと存じます。
 それから最後に、皆さん方にお願い申し上げたいのは、最近、御承知のように金融業界、銀行筋で、俗に言われますこの種の業種に金貸すなというような指令が出ておるやに聞きますが、われわれ非常に小さい業界でございまして、この影響たるや甚大なものがございますので、この点等も先生方に私、特にこの席をかりましてお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いします。
 これで私の陳述を終わらせていただきます。
○増岡委員長 ありがとうございました。
 次に、西山参考人にお願いいたします。
○西山参考人 社団法人日本造船協力事業者団体連合会の副会長の西山でございます。見なければわからぬほど長い名前でございますので、略称日造協ということで話させていただきます。
 先ほど三団体の方がお話しなさいましたけれども、私たちは、またその一番下のいわゆる下請業者でございまして、私たちのようないわば底辺の者をこういうところへ呼んでいただいて実情を聞いていただくということに非常に感激しております。
 私どもの所属しております日造協は、昭和四十六年の八月に運輸大臣の許可を得ましたいわゆる造船下請業のための公益法人でございまして、会員が約六十団体ございます。所属企業が約二千、従業員が七万人、全国の主要な造船所のほとんどの協同組合、協力会がメンバーとなっております。
 造船業と下請の問題でございますが、御承知のように労働集約産業でございますし、また、いわゆる総合組み立て産業であり、これがストックのできないいわゆるオーダーメイドのものでございますから、勢い傍ら修繕業も兼ねております。そういうふうな関係で、修繕というものもかなり振幅が激しいものでございますから、下請に対する依存度がきわめて高かったわけでございます。かつて造船業が盛んなときには、これは構内だけでございますが、下請の依存度は四二%ございました。ところがこれが逆に、今度のような不況になりますと、たちまち下請を減らせということになってくるわけでございます。
 下請の実態を申し上げますと、まず構内で仕事をする、本工さんと一緒になって同じような作業をする構内下請と、それから、これは私どもがやっておりますが、外で工場を持ちまして造船所から材料をいただいて加工外注をするという加工外注業者、さらにもう一つは、エンジンとかプロペラとかいう製品を納入する業者というふうに分かれますけれども、日造協のメンバーは、いわゆる構内の業者と、それから構外で加工外注をするこの二つの業者で構成されております。
 それで、構内業者は四十九年のピーク町には約九万人おりました。それがいわゆる依存率四二・五%でございますが、これが五十年で、一年間で一万六千人減っております。五十一年には四千六百人減っております。昨年の五十二年になりますと、一万二千人減っております。恐らくこのまま推移していきますと、もうことしの夏には何がしかしか残らぬのではないだろうかというふうに言われております。
 一方の構外の加工外注業者でございますが、これも造船所の方がだんだんと暇になってきますと、いままで出ているものが全部内作に取り上げられますので、受注率は低下しております。
 そこへもってきまして、先ほど中造工の会長さんもお話しになりましたが、ずいぶんたくさん造船所が倒産いたしまして、これによりますいわゆる不渡り手形を、当会員の中でも百件ぐらい受けておりまして、その被害は四十億ぐらいでございます。これはほとんど加工賃でございまして、非常に大きな影響を受けております。
 私個人のことを申し上げて非常に恐縮でございますが、私どもの団地でも一年間で約七億円ぐらい被害を受けておる状況でございます。
 それともう一つ、地域社会に対する問題が先ほどからお話ございましたけれども、造船業の場合は、たんぼの中、山の中でする仕事と違いまして、やはり海の深い、いわゆる立地条件のいいところを選んでありまして、そこへどんどんと人が集まってきて一つの都邑が形成されるという非常に地場産業的な性格が強いわけでございます。ですから、造船界が不況になりますと、これはまた後ほど御質問があったらお答えいたしますが、もう非常に与える影響が大きいわけでございます。
 長崎あるいは佐世保あるいは瀬戸内海周辺、いまの函館と、全部造船を中心にいろいろな事業が発展したところでございますので、もう最近のようになりますと、非常に地域的に下安な状態が出ております。
 われわれとしましては、ただじっとしておるわけじゃございませんし、また先生方にいろいろ御苦心いただきましたいわゆる離職者法案あるいはその他のいろいろな制度の恩典に浴しておるわけでございますけれども、これはどう考えてみましても、大体後ろ向きのことでございまして、やはりわれわれとして一番欲しいものは仕事でございます。
 まあ、いままでいろいろやりました。沖へ行って仕事をする、あるいは解撤をやるとか、ありとあらゆることをやってみましたけれども、もともと下請でございますので、大きな財政規模でもございませんし、やはり先ほどお話がございましたいわゆる三団体の方に仕事を与えていただいて、そのおすそ分けをいただくしかないのじゃないかと思います。
 それで実は、この会合がございますので、その準備のために一昨日の午後全国から副会長、支部長が寄りまして、何を要望するかということについていろいろ協議いたしましたけれども、あれやこれやと言うてもしょうがないじゃないか、とにかく国会の先生方にお願いするのだから一つだけお願いしよう、それはスクラップ・アンド・ビルドという言葉が出ておりましたけれども、そんななまぬるいのじゃ困るんや、もうビルド・アンド・スクラップですぐ船をつくるような計画を立てていただきたい。船というものは一日でできませんので、その間にスクラップの方法はいろいろ考えていただいたらいいじゃないか。私どもの方でもいろいろ話しましたのですけれども、この六月、七月ごろになると、ほとんど全滅するのじゃないかと思うのです。
 それで、造船業界というのは、いま瀕死のような病人でございますので、ここで一本カンフル注射を打ってとりあえず命は取りとめて、それから外科手術をするなり内科療法をするなり、あるいは安楽死をさすなりと、いろいろ方法もございましょうが、とりあえずとにかく命だけちょっと取りとめてもらえるわけにはいかないだろうかというのがわれわれの考えたところでございます。
 御承知のように、いわゆる燃料革命で石炭が廃山になりましたときに、ずいぶんいろんな法律をおつくりになりまして、まあ雇用促進事業団なんかもありまして、私どももそういうふうなものを使わしてもらっておりますが、繊維につきましても、第三近促に至るまで繊維の構造改善等に長年ずいぶん国費を投じておられるわけです。造船も基幹産業としましていわゆる雇用の方面でも大きな役割りも果たしておりますし、かつて外貨のない時分には、いわゆる外貨獲得の花形産業でもあったわけでございますが、これが昨年からわずか一年間に二十何件倒産というような悲惨な状況で社会淘汰されるというのは、ちょっと問題があるのじゃないかとわれわれは思っております。
 まあ倒産する造船所にはそれぞれ原因があるかもしれませんけれども、これでわれわれのようなものが受ける被害というものは実に大きなものでございまして、先ほど中造工の会長は十六社倒産したと言われましたが、私の方の団地ではそのうちの十二社に被害を受けております。それで何か倒産というようなことでなく、善意の第三者に迷惑のかからぬ方法でひとつ治療をやっていただきたい。それにはまずカンフル注射を一本打っていただきたい。
 造工の副会長が一兆五千億を三年と言われましたけれども、できましたらこの際、財政投融資で五千億か六千億、これで船をつくれということを先生方にお願いしてこいと言われてきました。それについてはいろんな問題点があるだろうというような話も出ましたけれども、国政の最高権威の先生方にお願いするのだから、先生方が船をつくってやるとおっしゃれば、後のことはいわゆる業界、行政でいろんな細かい問題があるけれども、そういうごちゃごちゃしたことは言うな、とにかくこれ一本にしぼってこい、ただし条件があるぞ、と申しますのは、造船所だけにやりまして何にも条件がないと、われわれ何か大きな企業の手助けをやっているようなことになりますので、そのうち四〇%は絶対に下請と外注に回してもらえ、そうすると、その地域社会に金が及んでいくから、これは企業救済でなくて社会救済ということになるのだ、絶対にこの一つだけを言うてこいと言われましたので、幾多の要望事項、後ほどまた御質問があれば出しますが、一番お願いしたいことはこれなんです。
 これは非常に時間的な問題がございまして、もう秋まで待っていただきますと、とてもカンフルでも及びませんので、できましたら今月、来月の間にとにかく船はつくれと言うていただきますと、先ほど言いましたように銀行あたりもちょっと考えを変えてまいります。銀行さんというのは天気のいいときにかさ貸して雨が降ると取り上げるようなふうでございますので、最近の倒産の造船所を見てみますと、何百億というて出ておりますけれども、実質には何億かの不渡りが落とせぬでつぶれたわけでございまして、ああいうふうな書き方もちょっとおかしいと思うのです。ですからこの際、国が財政投融資で何千億か出して船をつくるということになりますと、先ほど小船工の副会長が言われましたように、銀行も、それなら何ぼか助けてやらなければいかぬじゃないかというようなことになると思いますので、私どもは早期に取り上げていただきたいと思います。
 それからもう一つは、非常な先生方のお骨折りでもって倒産関連に対してのいろいろの融資制度あるいは円高等につきましての融資制度、いろいろつくっていただきまして、政府系の金融機関も出してやろうと言うておられるわけです。ところが御承知のように、四十八年以降ほとんど設備をしておりませんので担保能力がございません。そこで結局、信用保証協会にかけるわけですが、信用保証協会も非常に代弁が多いものですから、このごろは金融機関よりもやかましく担保のことを言うわけでございます。そうすると、せっかくの制度融資ができない、受けられないということになるわけです。信用保証制度というものを乱用しますと問題がありますので、会社更生法の申請をした不渡り手形、あるいは和議申請をした不渡り手形の信用保証をつけるときには弾力的にその枠を伸ばしていただきたい。
 たとえば五千万円の信用保証協会の枠がございまして、二千五百万円返したといたしますと残りが二千五百万円ある、そこへ五千万円の不渡りを食った、そうすると二千五百万円だけは保証がつかないわけでございますから、そういういわゆる不渡り手形、特に会社更生法あるいは和議申請等による不渡り手形の分だけは担保の見直しをして、これは全然本人の知らぬところで起こった問題でございますので、この辺のところをひとつ指導していただきたい、何か方法を考えていただきたい、この二点でございます。
 はなはだ勝手なことを申し上げたのでございますが、非常に切実な問題で、昨日みんなと別れるときに、今度ひょっとしたら会えぬかもわからぬと言うて笑いながら帰っていった方もおりますので、どうかわれわれ一番底辺の者の窮状をお察しいただきまして、ひとつよろしくお願いいたします。
○増岡委員長 ありがとうございました。
 次に、小曽根参考人にお願いいたします。
○小曽根参考人 日本舶用工業会の小曽根でございます。
 まず、舶用工業の概要から申し上げます。
 舶用工業は船舶に搭載されるあらゆる機器を製造する工業で、多数の業種から成り立っております。したがって、舶用工業企業は、造船及び海運があって初めて、存立できる業種でございます。
 舶用工業の製造事業所は、全国で約八百社、従業員の数は約八万名と聞いております。全国における舶用工業関係の総生産高は、昭和五十一年におきましては約八千九百億円であります。当日本舶用工業会に所属しております会員の数は約三百社、このうちの約七〇%がいわゆる中小企業でございます。
 さて、世界経済の長期不況による造船の構造不況は、先ほど造船の方から、お話がありましたように、いよいよ深刻の度を加えてまいっております。これに伴いまして、最近における舶用工業企業の工事受注量は、全盛期の約五〇%以下にすぎず、このまま推移いたしますれば、昭和五十三年以降の企業経営に重大な危機を招くことが予想されるところでございます。
 加えて、昨年八月ごろから、中小造船所の倒産が相次いで起り、回収不能の売り掛け代金が急激に増加いたしまして、舶用工業業界内の危機感は一層急速に高まってまいっております。
 舶用工業企業は、その大半が船舶に搭載する機器類を製造しておりまして、その工事量は、船舶建造量に大きく左右され、企業の浮沈はすべて造船業及び海運業に依存するという特徴のある体質を持つものでございます。そのため昨今の造船不況は、近い将来における舶用工業企業の存立を危うくするものでございまして、きわめて深刻な事態に至るものと考えられます。
 このような非常事態に対処いたしまして、もちろん舶用工業業界はでき得る限り安定した企業経営を行うよう、自主的に不況克服のため、さらに一層努力を傾注する決意でございますが、前にも申し上げましたように、船舶建造工事量の増減が舶用工業業界の死命を制することにもなりますので、まず船舶需要の喚起に対する有効適切な御措置によりまして、まず造船業が確実に工事量を確保できますように希望いたす次第でございます。
 また、造船所に対する金融の円滑化など造船所の倒産防止措置の強化と、造船所が倒産した場合に、その企業から回収不能となった売り掛金に見合う長期低利の資金の融通などを希望いたす次第でございます。
 中小企業金融につきましては、かねてから何かと幅広い対策を実施していただいておりまして、深く感謝を申し上げておりますが、さらに中堅企業に対しましてもこの際十分な御配慮を希望申し上げる次第でございます。
 さて、繰り返し強調して申し上げたいことは、舶用工業企業の大部分は、舶用機器製造に従事するものでありまして、これらの製品は、すべて注文生産であり、慣習的に代金支払いが長期にわたり、特に債権確保に不安定な面を持つ企業体質の弱い業種でございますので、経済的救済策の推進方について強く要望いたすものでございます。
 以上をもちまして、はなはだ簡単ではございますが、私の説明を終わらせていただきたいと存じます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○増岡委員長 ありがとうございました。
 以上で、参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○増岡委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
○加藤(六)委員 参考人の先生方にはお忙しい中を大変貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。われわれも参考人の皆様方の公述していただいた内容と今後真剣に取り組みまして、それぞれの立場で実現していきたいという決意を強く持った次第でございます。
 時間の制約がございますので、余りきょうは多くのことを御質問できないのを申しわけなく思うわけでございますが、一通り御質問申し上げる中身を申し上げますので、後からそれぞれの立場でお教えいただければありがたい、こう思う次第でございます。
 まず、一番目にお伺いしたいのは、私たちも造船不況を国内船と輸出船という立場から見ておるわけでございますが、余りにもキャンセル量が多いということでございます。昭和四十九年九十一万総トンであったものが五十年、五十一年は六百九十六万総トン、七百五十九万総トンというように、五十二年二百八十万総トンとキャンセル量が増大しております。
 このキャンセルになった理由、先ほど三つあるいは四つの御理由を申されておりましたが、中造工あるいは造工の幹部の皆さん方は、このキャンセルになった理由をどういうようにおとりになっておられるかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。これが一番目です。
 二番目は、きょう皆さん方はほとんどお触れにならなかったわけでございますが、数年前から運輸省船舶局を中心として操業調整をやっておりますが、いままで運輸省が行ってきた操業調整についてどうお考えになっておられるか、これが適切であったかあるいは緩過ぎたか、ここら辺の問題について造工並びに中造工の方にお伺いしたいと思います。
 それから三番目は、船価指導制度でございます。これは一昨年のOECDのああいう問題から起こりまして、船価指導の制度あるいはチェックというのが相当厳しくなりました。
 具体的に申し上げますと、五%問題というのがありますが、あるいは私がいま一番冒頭に御質問申し上げましたキャンセルに関係があるのかないのかわかりませんが、この船価指導のために注文を取り逃がしたり、あるいは外国の造船所に注文をとられたりしたような具体的な事実があるのかないのか、ここら辺について三番目にお伺いしたいと思います。
 それから四番目には、わが党は昭和五十三年三月一日に「造船業下請企業救済について」という政調会長通達を運輸、通産、建設、自治、防衛の各省庁に出しております。参考人の皆さん方は、この通達されたこと、あるいは通達の中身を御存じであるかないか、お答えいただきたい、これが第四番目でございます。
 それから五番目は、これは参考人の方々も次々おっしゃったのですが、いままで私たちは造船業の将来を予測して構造改善事業をずいぶんお勧めし、また運輸省にはやりなさいということを、また皆さん方にはやってくださいということを申し上げてきております。しかしそれは、余りにも地域経済との密着が強過ぎるということ等、いろいろな理由が述べられておりまして、本日もそういう御意見が述べられたわけでございますが、今後、安定臨時措置法にも絡みが出てくるわけでございますが、皆さん方の構造改善に取り組む姿勢、あるいは言葉を変えて申し上げますと、果たして業界自身の力で再建対策が立てられるか建てられないか。もう簡単にお伺いしますと、後ろ向きと前向きの問題がありますが、業界自身で再建対策が立てられるのか立てられないのか、これを各参考人に承っておきたいと思います。これが五番目でございます。
 六番目は、参考人の中でもいろいろ申されましたが、数年前から造船不況、海運不況が始まった場合に、私たちが一番心配しましたのは、二番目に申し上げたと同じことになってくるわけでありますが、大手が苦しくなるから中手の仕事をとっていく、中手が苦しくなるから小型の方の仕事まで強引にとっていく、しかも先ほど申し上げました船価調整の問題がありますが、若干船価調整を、むちゃをしたようなかっこうででも大が中へ、中が小へ逆に殴り込みをかけていっている傾向はあるのかないのか。こういう席でありますから、余り多くのことをお聞きするのもどうかと思いますが、ここら辺でそういう傾向があるとかないとかで結構でございますから、ひとつお教えいただきたいと思います。これが六番目でございます。
 たくさんありますが、あとは造工と中造工と両方にお伺いしたいのですが、自社建造船の追跡調査というものを国内船並びに輸出船に対してされておられるかどうか。先ほど直ちに船をつくれとか、あるいはSBを単に内航、近海だけではなしに外航船にもやれとかいう貴重な御意見等もございましたが、それをやるにしてもどうするにしても、自社建造船というものの追跡調査をどの程度造船所の方はされておられるのかということでございます。ここら辺をお伺いしたいと思います。
 その次は、これは造工の両代表にお伺いしたいのでありますが、同じく老朽船、不経済船というものに対して、造船所は下取りをしてSBの推進をやるような方策をお考えになったことがあるでしょうかないでしょうか、これが七番目の質問でございます。
 それから八番目は、いろいろなことがありますが、一つは修理部門という問題が出てくるわけでございます。これは日造協の方にお伺いしたいと思いますが、わが国の造船業が海外に相当進出いたしております。それは修繕を中心にやっておる会社の数の方が多いと思いますが、日造協の関係から見ますと、先ほど四二%という本工に対する協力工の数字を申されましたが、修繕工のパーセンテージは、日造協からいただいている数字から見て五十数%になっておるぐらい多いわけでありますが、この修繕ドック、修繕が海外に出ていっておりますのと、国内に残っておる造船所の修繕との関係を、仕事量の面からどう考えられるかという点でございます。
 余りたくさん御質問申し上げてもどうかと思いますが、最後に、これは造工の方にお伺いしておきたいと思うのですが、一番付加価値の多いLNG船に今日まで着手しなかった根本の理由は一体何であろうか。われわれは五年前からこれに対して補助金をつけ、調査費をつけ、今日の事態に備えてのお願いを、逆に造船所の方にずいぶんしてきたはずであります。しかるに、世界の造船量の半分をつくる能力のあるわが国造船所が、なぜいままでLNG船をつくってこられなかったか。百万トンのタンカー一隻つくるよりも二万トンのLNG船をつくる方が数倍の売上高にもなるし、付加価値も多いということを私たちは聞いておりますが、そこら辺のLNG船に取り組まれなかった造工から見ての立場というものはどうであるのか。余りたくさんでも失礼でございますが、この程度お聞きしたいと思います。
 そして、こういうもろもろの問題を解決していくための一つの問題として、どの参考人もお触れにならなかったわけでありますけれども、船主協会との協議、あるいはこれを言葉を変えて言いますと全日海との話し合い、こういうものも単に船協に任すだけでなしに、皆さん方自身も船協あるいは全日海に対して真剣な話し合いをされる覚悟があるかないか、こういう点についてお聞きかせいただきたいと思います。――委員長、簡単で結構でございますから。
○増岡委員長 それでは、南参考人。
○南参考人 お答え申し上げます。
 まず第一の、大量の船舶がキャンセルされたではないか、その理由はどうであるかという御質問だと思いますが、その一番大きな理由は、先ほど申し上げましたように、四十八年のオイルショックによりまして、タンカーの船腹過剰が急激に顕在化してまいりました。それによりまして、手持ち受注済みのタンカーを、船主の要望によりまして急遽キャンセルした、そして一部は貨物船あるいはバラ積み船に船種変更をいたしました。一部は単純キャンセルということになりました。それが四十九年、五十年の大きな量でございます。最近に至りまして、輸出船で円為替の高騰という問題によりまして、円建て船価で契約しておりました輸出船に対しまして、船主の支払い困難という問題が起こってまいりました。これは外国船主でございます。したがって、いろいろな理由をつけましたマーケットクレームが生じてまいりまして、その一部の影響として値引きあるいはキャンセルという事態に入ってまいっております。主としてその二点が大きな問題であろうと思います。
 それから、船舶局による操業勧告について申し上げます。これは仕事がなくなりましたので、当然この程度の操業勧告はあってしかるべし、もしもこの操業勧告がございませんと、大手が自由に注文をどんどんとってこなしていくということになりますと、中手、小手が存在できなくなりますので、中小の保護という立場からもこの操業調整ということは当然であろうかと存じます。
 次に、船価指導でございますが、運輸省における船価指導はコスト主義から出ております。一方、実際に契約いたします船価と申しますのは、すべて市場主義と申しますか、マーケットプライスでございまして、コストワイズのものではございません。したがいまして、個々の引き合いにつきましては、この運輸省の指導されます船価と個々の造船所の引き合いをもってまいりました船価との間に多少の乖離はございました。しかしながら、はなはだしく低価格の受注をいたしますことは、造船所がみずからを破滅させる原因でございまして、運輸省の船価指導によりまして、そういう難を免れ得たという利点がございますことと存じます。
 なお、この船価指導によりまして、他国、ことに発展途上国におきます造船所に注文をとられたという例はございます。ございますけれども、これらも強いてそれを受注いたしましたならば、かえって毒のある食べ物を食べるというふうなことに相なりますので、私はこの船価指導はきわめて適切であったと考えております。
 次に、三月一日の政調会長の通達というのは私どもは存じておりません。
 次に、構造改善につきまして、業界で自主的に対策が立つのかどうかという御質問でございますが、構造改善と申しますのは、生産調整、すなわち設備の休廃止を伴ってくるものと考えております。設備の休廃止、生産調整につきましては、おおむね業界のコンセンサスを得ておる、すなわち総論においては賛成であるというふうに感じております。
 ただ、その行き方にいろいろな考え方がございますので、各論につきましては、現在業界の中で統一された見解、すなわち業界のコンセンサスを得たものはございません。これが果たして業界だけでできるか、あるいは業界ではどうしてもできないかということは、ただいまのところ私どもも全く推察がつかないわけでございますが、造船業界が英知のある人によって経営されておるとするならば、業界において当然そういう調整ができるものと考えております。
 次に、大手、中手あるいは小手、この間の分野において、それぞれ非常に激しい競争をして、大手は中手の仕事を、中手は小手の仕事をとっていくということはないかということでございますが、これは現実に個々の問題として全くなしとはいたしませんが、それによって大きな問題を生じるというふうなことはないと考えております。現在、船型が大体中小型船に集中いたしておりますので、勢い大手と中手、あるいは中手と小手がお互いに競争するということは十分あり得るのでございますが、力をもってこれを奪っていくということはないというふうに私は感じております。
 次に、船舶の建造について直ちに対応できるような体制になっておるか、これに対しての構え方がどうかということのように拝察いたしました。これにつきましては、現在各社ともそれに対応できる体制ができておると考えております。
 次に、老朽船の下取り、スクラップ・アンド・ビルドの場合に造船所が老朽船、いわゆるスクラップ船を下取りするということは考えられないかというお話でございますが、これにつきましては、実は解撤という問題は造船所の仕事と申しますよりは、むしろ日造協の仕事というふうに考えておりますので、造船所は老朽船を下取りするというところまで手が伸びるかどうかということは未定でございます。
 次に、エネルギー船、ことにLNG船につきまして、先生の非常な御尽力にもかかわりませず、造船所が一向に動かないじゃないかということでございますが、仰せのとおりの実情でございまして、まことに申しわけないと感じております。ただ御承知のとおり、LNG船につきましては、実は船主の所有の形態、一社で所有するかあるいは数社でこれを所有するかという所有の形態、あるいは運航体制の整備等がなかなか進んでおりません。現在もまだ、LNG船につきましては、そういう船主サイドの体制が未整備でございます。造船所として直ちにこれに入っていくということは、多少困難でございますが、今後やるべき大きな仕事の一つであろうと考えております。
 次に船主協会、ことに全日海との話し合いを積極的にやる意思はないかというお話、これは私ども非常にございまして、スクラップ・アンド・ビルドで新しくビルドいたします船は、日本の優秀な船員をもって運航していただくということを考えております。
 現在、保険協会の調査によりましても、日本の船員が乗りました船の事故率は、仕組船で外国船員を乗せた船の事故率よりもはるかに少ないということで、日本の船員はまことに世界的に優秀であるというふうに私ども考えております。ただ、予備員の問題、定員の問題等国際競争を遂げるために多少のふぐあいな問題が現在起こりつつあるように感じておりますので、こういう問題につきまして、全日海と十分な話し合いをしていく必要がある、ことに今後、この資源の少ない日本におきまして、海運というものはもっともっと伸びていい、海運によって外貨を獲得していくという問題が世界的に最もトラブルの少ない行き方であろうと私は考えておりますので、その面におきましても、全日海あるいは船主協会との話し合いは今後とも十分進めていくべき問題であろうと考えております。ありがとうございました。
○織田澤参考人 お答えをいたします。
 第一の輸出のキャンセル問題でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、本当の理由は、海運界の不況に原因します船主サイドの都合だと思います。ただし、せっかく契約したものをそのままキャンセルということはやりにくいというような事情もありまして、時にクレームをつけられて、そのクレームがキャンセルの表向きの理由になったりする例は過去においても二、三ございます。船の場合は、御存じのとおりクレームをつけようと思うとどこへでもつくわけでございます。ペンキだとか溶接だとかということになると、もうつける気になれば幾らでもつくわけでございまして、今日のような買い手市場になりますと、そういう点は造船所は非常に弱うございます。いまのところは、残念だけれどもキャンセルを受けざるを得ないというようなことが過去において相当あったかと思っております。
 それから、操業問題でございます。私どもは、運輸省から二回操業勧告を受けておりますけれども、第一回につきましても、昨年につきましても、いずれもまことに時宜を得た御指導をいただいたと考えております。しかし割り振り、操業の程度につきましては、全部同意をいたしましたというわけではございません。特に中小の造船所と大手との間のバランスについては、私どもの立場に立ちますと、幾らか大手さんに甘いのではないかという受けとめ方をいたしておりました。
 それから、船価指導でございますけれども、御指導をいただきました時点においては、ああいうことをやらなければ輸出その他の市況環境がおさまらなかったであろうと思っております。しかし、今日の時点においては、すでにもう船価が、相場が世界的に非常に低落いたしておりまして、いまの指導船価については少し高いのではないかという感じを受けております。これは率直に申し上げるわけでございます。
 第四の先ほどの通達の問題は、はなはだ残念でございますけれども、存じておりません。
 五番の構造改善問題でございますけれども、ただいま南副会長からもお話がございましたが、総論としてやらなければならないことはわれわれもよく理解をいたしておりますし、そうだろうと考えております。おりますが、さて各論になりますと、個々に事情が非常にふくそうしておりまして、業界自身で自主的にこれをやることについては悲観的であります。できますれば政治的な大きな網の中で大きく取り上げてやっていただくということでありませんと、具体的にはまとまっていかないのではないかという感じでございます。
 これは、そのあとの大手と中手との競合ということとも関連をいたしますけれども、ちょっと時間をいただきたいのでございますが、海造審が千九百万トンという能力を出しておりますけれども、あのうちの約一千万トンは九万トン以上の大きな船を建造するための設備能力でありまして、今日、不況が来ました根本の理由は、スーパータンカーがゼロになった、そのために設備をつくりました主目的である大型船の受注がなくなりましたので、はっきり申し上げますと、その設備能力が一般船に向けて受注を行わざるを得なくなったという実情でございます。したがいまして、大手と中手との競合という問題は、きれいごとを申し上げればないというわけでございますけれども、率直に申し上げれば、ずいぶんあったと思います。しかし、そのために非常に不都合が起きたということを申し上げているのではございませんで、非常に激しい競合の中で双方で受注を分け合ってきたというのが実情であると思います。そういうことでございますので、やはり構造改善についても、そこら辺の事情が割り切れませんとうまくいかないのではないかというふうに考えております。
 それから、自社建造船の追跡でございますけれども、中造工のメンバーは、そういうものを合理的に追跡するだけの力はないところが多いと思いますので、これは各社でやったところとやってないところとあろうかと思います。
 それから、下取りの問題でございますけれども、私どものメンバーは、資力的にも非常にございませんし、キャパシティーもありませんので、下取り問題というようなことを過去において具体的に考えた例はないと思います。
 それから最後に、船主協会あるいは全日海と過去において話すことがあったか、あるいは今日においてどうかということでございますが、過去において中造工として船主協会あるいは全日海と会合を持って協議した例はごく二、三のケースしかありませんで、実際は今日の状態で見ますと、もっと積極的なアプローチをしましてディスカスをする必要があろうかと考えております。
 以上でございます。
○加藤(六)委員 あとの参考人の方々には、先ほど申し上げました修理部門の関係と海外進出造船所との関係を日造協の方でひとつお聞かせいただければよろしいと思います。
○西山参考人 その前に、政調会長御通達ということは存じておりません。しかし最近、私どもは非常に倒産等を受けましたのですが、出先の海運局その他で非常にきめ細かい救済方法を講じていただいたので、恐らく政調会長通達というものは生きていると存じております。
 次に、修繕船の問題でございますが、修繕船というのは一番下請工を使う業種でございます。ですが、これは先生、ほかの企業にも言えることでございますけれども、やはり造船業、人口の多い日本でこれをどれぐらいの基幹産業として持っていくかということです。いわゆるシンガポールが賃金が安いから、場所が便利だからということで修繕工場をたくさんつくりまして、日本で修繕部門がないという愚かなことをやっているわけでございます。では、これに日本で余った下請の修繕工を持っていきましても、賃金その他の問題でこれは話になりません。そうすると、いまとなってはどうするかと言えば、改造船によっていわゆる専用バラストタンクをつけるとか、あるいはその他の高度の改造工事をやる、あるいは公害防止的な工事をやる、こういう方面で修繕工を活用していただきたい、こういうふうな考え方を持っております。
 それと、現在かなり減りましたけれども、修繕部門だけは幾らか構内工が残っておるということでございます。そういうところでございます。
○加藤(六)委員 それでは、日造協の関係でもう一つ、これは造工と日造協にお伺いいたしますが、協力工の数の減り方と本工の数の減り方の問題でございます。これは一昨年ごろから私たちも指摘しておったわけでございますが、いろいろ御説明等はその間において承ってきておったわけでございます。ここに「日造協のあゆみ」という本がございます。この本を見さしていただいただけでも協力工は四万人以上減っております。本工の方は一万二千人ぐらいしか減ってない。先ほど参考人の中からも、そういった問題についての御説明がございましたが、これは運輸省船舶局からいただいております数字から見ましても、昭和四十九年十二月末、造船業は十八万四千人である、造船下請業は九万人、関連工業が八万七千、総合計従業員数三十六万一千。これが五十二年十二月末になりますと、造船業は十六万八千で約一万六千減っております。造船下請業は九万人が六万二千人になって二万八千人減っております。関連工業は八万人になって、総合計で三十一万になって、五万一千人の関係従業員数が減っておるわけでございます。ここら辺のこの減り方についてどうお考えになっておられるか、これを造工と日造協に簡単にお答えいただきたい、こう思います。
○南参考人 お答え申し上げます。
 先生のお示しいただきました数字でございますが、造船本工におきまして四十九年十二月末と五十二年とを推定いたしまして、下請あるいは関連工業と比較しての数字でございますが、この造船業の数字の中には新造船部門から修繕部門にシフトした数がございますので、それが一応減少の中に入っております。
 全般的な問題を少し申し上げさしていただきたいと思いますが、造船工業会会員の二十社の集計でございます。五十年三月に九万七千人でございました新造船部門の従業員、これが五十二年十月までに一万一千人ほど減少いたしました。この時点では、いま申し上げましたように修繕部門あるいは関連企業に対して配置転換を行い、あるいは出向を行ったということでございまして、希望退職等は行われておりません。今後につきましては、御承知のとおり、希望退職が出ておりまして、すでに約一千名が昨年末以来退職いたしておりますので、もし操業度が四〇%程度に落ち込むということになりますと、さらに約二万人の余剰人員が発生するものと見込まれております。しかし、これに対しましてすべてを配置転換や出向によって吸収することは困難でございます。ことに中手の場合には、関係会社が少のうございますので、その受け皿に非常に困っておるということが実情でございます。
 協力下請関係につきまして申し上げますと、五十年三月当時約三万三千人でございました。これが同じ五十二年の十月までに約一万二千人減少いたしました。協力工の職種は溶接、塗装あるいはとび、足場組み立てあるいは電気工事など他業種との流動性が高いために、仕事量の減少に応じて業者が他業種の仕事に振り向けるものが出てきた、あるいはほかの仕事を求めて自発的に離職した者等が相当含まれているものと考えております。従業員と協力工とを比較して考えてみますと、不況の初期において協力工の減員数の方が多いのでありますが、今後は従業員の余剰の方が多くなってくるという傾向にございます。
○西山参考人 先ほど先生の御質問のうち一つ答弁を忘れたので先にやらしていただきます。
 構造改善の件でございますけれども、これはかえってわれわれ下請の方が早くやっておりまして、私どもの因島鉄工団地あるいは能美金属工業団地あるいは石播呉協進会あるいは諌早の長崎金属団地、いずれも高度化事業の適用を受けまして構造改善をいたしまして、なおかつ下請振興法の適用を受けまして、いろいろ行政の御指導もいただいております。そういう点においても、われわれの方が苦しかったから早くにそれをやったのだ、親企業さんの方がお楽だったのだろう、こう思っております。
 それから、いまの協力工と本工、これをきのうもいろいろ言うてくれという話も出ました。しかし本当は、造船所さんでも安い協力工の方を残したいのだろうと思いますが、組織労働者を抱えておられるので、手っ取り早いところから協力工の御整理をなさったのではないか、それが協力工の減少が三万二千人に対して本工が一万人というような比率になってきたと思います。今後は本工の方が減ってくるのではないか、協力工がやっているのは、特殊な塗装とかそういうものばかりになりましたので、これはいままでのようにはいかないのじゃないかと思いますけれども、いままでは協力工が非常に減らされてきたというのが実情でございます。
○加藤(六)委員 どうも参考人の先生方には大変御貴重な意見、ありがとうございました。
 今後、皆様方から承りました御意見等を体し、私たちも真剣に早急に、そして思い切った政策を打ち出していくように政府を叱咤激励していきたいと思います。どうもありがとうございました。
○増岡委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十八分開議
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。原田昇左右君。
○原田(昇)委員 午前中、参考人の皆さんから、お忙しいところを大変深刻な事態をお聞きいたしまして憂慮にたえない次第でございます。
 まず第一に、世界一強かった日本の造船が世界の造船業不況ということで深刻な不況に見舞われているという中にあって、造船の場合、一般の不況産業などと違いまして、どうしても先行きの需要の確保ということが非常に大事だという気がいたしたわけです。一般の不況産業は、需要がないと言っても、繊維など一定の需要が確保できるわけでございますから、その辺が一番造船にとって問題ではないかという気がいたしました。
 そこで、御意見を聞きまして対策を考えてみますと、おおよそ次の四つぐらいにしぼられてくるのではないかと思うのです。
 まず第一は、能力の削減の問題、それから第二は、需要の創出の問題、それから第三は、信用の供与の問題、それから第四は雇用対策、こういったような項目につきまして、具体的な方策を樹立し、しかも、それを総合的に実施していかなければならないという感じを強くした次第でございます。
 そこで、こうした観点から対策を立案する上に必要と思われます事項について、若干の御質問をさせていただきたいと存じます。
 まず第一に、造船能力の削減の問題でございますけれども、これにつきまして造船工業会、中型造船工業会の代表の方々にお伺いしたいのでございますが、供給力の削減が必要だという御発言がございましたけれども、業界として思い切った供給力の削減を行う決意がついているのかどうか。総論では賛成だということであっても、各論においては相当問題が深刻であろうと思います。これについてぜひ決意のほどを、どういうふうに決心がついておるのか、それからどの程度の供給力削減を考えておられるか、また集約、合併などの措置も必要だと考えますけれども、これらについてどのように考えておられるのかお伺いしたいと存じます。
○南参考人 お答え申し上げます。
 業界の大多数の意見につきましては、先ほども申し上げましたが、この能力削減、供給力削減という問題につきまして、大幅な削減を行う必要があるという点で一致した見解を持っております。ただ、先生のお言葉のとおりに、具体的な実行方法ということになりますと、いろいろな紆余曲折があろうかと存じます。しかし、いかなる場合におきましても公正な方法で行われなければならないと存じておりますし、海運造船合理化審議会で御検討が進められつつございますので、業界としては、その御検討をいただいておりますことと並行しつつ、業界全体のコンセンサスづくりに進んでまいりたいと考えている次第でございます。
 なお、どの程度の供給力削減を考えているかというお言葉でございますが、削減目標につきましても、同じく海造審の場において御検討をいただいておりますので、私どもはその結果を待っておりますが、業界としては、おおむね業界が最高のピークでございました四十九年度の半分あるいはそれ以下という意見が大部分を占めております。
○織田澤参考人 お答えいたします。
 ただいまの御質問につきましては、先ほど申し上げましたように設備の削減をしなければならぬということにつきましては、業界挙げて同意をいたしておるわけでありますけれども、さて具体的にどうするかということについて、まだいろいろと意見がまとまっておりません。
 ただいま南さんからも御報告がございましたけれども、どの程度の需要予測をするかということについて、ただいま海造審で御検討中でございますので、その結論を待ちましてわれわれ自身が実際にどのくらいの量を削減せなければならぬということを決定する順序になろうかと思っております。具体的に量を決定する段階になりますと、これは個々にいろいろな事情で変化がありますけれども、やはり言うなれば公平な第三者のような方の御意見を参考にさせていただきまして、それぞれの企業の状態に応じた能力削減ということを考えさせていただくことを希望いたしておるわけでございます。
○原田(昇)委員 それでは、第二の需要の創出の点でございますが、業界の御提案は、日本船舶のスクラップ・アンド・ビルドというよりビルド・アンド・スクラップだというお話もございました。それと官公庁の船の代替建造ということを御提案しておられる由承りましたけれども、どの程度の需要を創出すれば一体業界としていいのかという点、また官公庁船の代替建造というふうなことになりますと、相当国家資金が要るわけでございますが、こういった点について何か具体的なお考えがございましたら、造船工業会の方に伺いたいと存じます。
○南参考人 お答え申し上げます。
 需要の創出につきましては、先ほどお願いを申し上げましたように、まず第一にスクラップ・アンド・ビルドということでございます。造船工業会として考えておりますのは、年間に大体約二百万総トンの中古船をスクラップする、それによりまして百五十万程度の新造船を建造するというふうに考えております。現在、日本国籍の船で船齢十年以上の船が約八百万総トンございます。このうち二百万総トン程度は小さな船でございまして、これはさておきまして、対象として一応六百万総トンを考えまして、この六百万総トンを三年間でスクラップする、そのかわりに四百五十万総トンの新鋭船をつくり上げていくというふうに考えております。おおむね三年間を通じましてスクラップ補助金並びに新造船の船価というものを予想いたしまして約一兆五千億ぐらいと考えております。
 次に、官公庁船の耐用年数と申しますかを超過したものにつきまして申し上げたいと思います。
 官公庁の老齢船につきまして申し上げますと、船齢が二十年以上という船でございますが、これは防衛庁で十隻ございます。護衛艦が六隻……(原田(昇)委員「簡単でけっこうです」と呼ぶ)十隻ございます。なお、海上保安庁におきましては、船齢二十年以上というのが十隻、二十五年以上に至っては二十一隻ございます。そのほか運輸省の航海訓練所、気象庁、水産庁、国鉄等々、並びに地方公共団体の保有する船が、かなりいずれも船齢を超過した古いものがございます。これらに対しまして、少なくとも三カ年ぐらいで順次この入れかえをやっていただいて代替建造をやらしていただきたいというお願いでございます。
○原田(昇)委員 輸出について、大分発展途上国に敗退するということを聞いておりますけれども、延べ払い条件等で日本が格別に現在供与しておるのを改善しなければいけないということはございますか。
○南参考人 きょうの新聞紙上でもごらんいただきましたかと思いますが、アフリカ向けに対してヨーロッパ筋が八〇%、十二カ年の延べ払いを出しております。
    〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
現在OECDの取り組みによりまして七〇%、七カ年ということでございますが、すでにヨーロッパ諸国並びに発展途上国の造船所におきましては、まだまだ長い特別な延べ払いというふうな条件で途上国の船を受注いたしておるのが実情でございます。したがいまして、日本におきましても、ケース・バイ・ケースによって特別な事情をお認めいただきたいと存じます。
○原田(昇)委員 海上空港について浮体工法を御提案しておられますけれども、これについて技術的に問題はございませんか。具体的にもうできるという確信をお持ちですか。
○南参考人 浮体式の海上空港につきましては、新しい技術は全くございません。造船業界におきます既知の技術を積み重ねて開発いたしましたものでございます。したがいまして、これに対して技術的な問題点はございません。
○原田(昇)委員 いまお伺いしましたところによりますれば、われわれが力を合わせて努力すればかなりの需要が開拓できるのではないかという気がいたすわけでございます。しかし、それにいたしましても、需要の創出には予算措置も必要ですし、いろいろ時間がかかる問題が多々あると思うのです。
 そこで、いやそれまで待っておられぬのだ、いますでに信用不安があるとかあるいは売掛金がこげついてしまってそれが信用不安につながるとか、いろいろお話を承りました。政府は、今度構造不況業種の対策法をつくって出そうとしておりますけれども、あれはむしろ長期的な能力削減という問題にはつながりますけれども、短期的な信用不安に対する措置にならないということになります。そこで、短期的な信用不安を解消して倒産防止の金融措置についての要望が先ほども具体的にございました。
 中造工、小船工の方にお伺いしたいのですが、こうした短期的な信用不安に対する具体的な措置を皆さんどのように考えておられるか。それからついでにお伺いしたいのですが、政府系の制度金融を通しまして、どのくらいの借金の残高があるのか、全体の残高の中でどのくらいを占めておるのか、それもあわせてお伺いしたいと思います。
○織田澤参考人 お答えいたします。
 緊急の需要資金といたしまして、先ほども倒産防止の緊急資金が足りないということを申し上げたのでございますが、現在中小企業倒産防止共済法でございますか、これはたしか千二百万円まで御融資をいただける措置が講じられておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、企業の資本金は小そうございますけれども、扱っている製品の金額が非常に大きゅうございますので、できますれば、この金額の範囲を億程度にまで引き上げていただきたい。さらに中小企業以外で、現在私どものメンバーになっておる程度の造船所にも適用できるような方法を講じていただけますと大変ありがたい次第でございます。
 それから、もう一つの問題は、緊急ということもそうでございますけれども、中小のわれわれのグループにおける資金調達というものは、いまの段階で非常に信用を失っておりますものですから困難でございます。できますれば、市中の金融機関に対しまして、われわれに対する金融措置をもっと緩和していただくというふうなことを講じていただけますと相当助かるのではないか、こう考えております。
 それから、いまの借入金の問題でございますけれども、私どもの会員だけについて申し上げますが、運転資金について申し上げますと、現在短期で五百四十億三千万、それから長期で六百十三億一千万、合わせまして千百五十三億四千万、これは運転資金でございます。なお、設備資金につきましては、市中金融機関からの設備資金が五百五十二億四千万余り、それから政府系の金融機関からの借り入れが二百五十三億九千万、ほかに船舶振興会から約四十三億ほど、合わせて約八百五十億ございます。政府系につきましては、開発銀行その他に支払いの猶予等のお願いをすでに申し上げておりまして、これは個々に相談に乗るという御便宜を図っていただいております。
○橋本参考人 お答え申し上げます。
 小型船舶工業会の方では、政府系の設備資金を八十社、七十一億円、それから高度化資金で十二グループで三十一億円お借りしております。それから運転資金の方は、中小公庫で五億三千三百万円、それから商工中金の方で十八億七千七百万円。以上でございます。
 金融の面について小船工ではどうすればいいと考えておるのかということにお答えさせていただきますが、先ほど中造工の会長さんも申し上げましたように、私どもの企業体は非常に弱小でございますから、ほとんど担保余力も底をついておりますので、もしお許しいただけるならば、いまの担保価値を倍額に各金融機関あるいは保証協会等で認めてほしい。そういうことを急遽やっていただかなければ非常に憂慮すべき事態に立ち至っております。それと一般の信用不安等が重なりまして、午前中申し上げましたように、何か銀行協会の方では、この種の業種には金を貸すなというような通達が回っておるやに私、聞いております。このムードを何とか運輸委員の先生方のお力で払っていただきたい、これが私のお願いでございます。よろしく……。
○原田(昇)委員 舶用工業会の方からも現下の信用対策について何か御発言があればお聞きしたいのですが……。
○小曽根参考人 お答え申し上げます。
 信用不安の対策につきましては、われわれの会におきましても非常に重大問題でございまして、先刻も小型の方でもお話しになりましたような、中小企業についての政府系の金融機関といたしましては国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、それぞれ企業倒産の対策といたしまして繋急の融資を受けることができるように相なっております。また信用力あるいは先刻お話しになりました担保力等が非常に弱い中小企業に対する民間の金融機関からの融資の円滑化を図るためには、信用保証協会の債務保証などがございますが、私どもの業界におきまして中小企業以外になお中堅企業というものがございまして、これは一定の法によって決められたものでなくて中堅企業というものがあるわけでございまして、これも大型とは違って小型よりはやや大きいという程度のものでございますので、ぜひとも中小企業への配意と同様にわれわれの方にもひとつそういう特典を与えていただけましたら非常に結構かと存じております。大体それでよろしゅうございますか。
○原田(昇)委員 最後に、雇用対策についてお伺いします。
 特に下請企業について雇用の面で非常なしわ寄せが起こっておるように承りましたのですが、下請関係の離職者の発生状況、それからまた現在の離職者対策法とか雇用安定資金の法律がありますが、こうした法律の適用が具体的にうまく行われておるのかどうか、日造協の代表の方にお伺いしておきたいと思います。
○西山参考人 お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと申し上げましたが、いわゆる構内下請工が、四十九年のピーク時には八万九千七百六人おりました。これが五十二年には七万五千八人となっておりまして、その後年々減りまして昨年の八月に六万二千九百十六人となりましたが、一月末現在で五万七千人、かように減っております。
 ただ、一番注目されますことは、最近新聞でも御承知のように、大手造船所がかなり希望退職というような形をとっておられますので、このままでいきますと、恐らくこの夏には半分以下になるのではないかということでございます。
 それから、雇用調整給付金、まことにありがたい法律でございまして、十分活用さしていただいておるのでございますが、これからちょっと問題点がございます。と申しますのは、雇用調整給付金をとって休ませて、その後で仕事がありますと非常に生きてくるわけですが、雇用調整給付金をとって休んでその後仕事がない、やむを得ず離職をするという場合には、失業保険でちょっと不利な点が出てまいります。こういった問題が非常にわれわれの頭の痛いところでございます。
 それから、下請というのは人間が働くところでございますから、離職者法あるいは雇用調整給付金等もありがたいことでございますけれども、どちらにしましても、やはり離職者を出さないこと、これがわれわれの願いでございまして、特に中小企業の場合には人間即企業の力でございますので、この辺に非常に苦慮いたしております。
○原田(昇)委員 もう一つお伺いしたいのですが、先ほど日造協からのお話で、新しい発注をぜひ欲しい、その場合日造協に四〇%ぐらいひとつ入るようにというお話がございましたが、具体的に何かそういう方法が考えられますか。
○西山参考人 われわれかつて構内で四〇%ぐらいの協力をしてまいりました。これは平均的な話でございますが、恐らくここで皆様方のお力によって何がしかの船をつくろうということになりました場合には、恐らく造工、中造工、小船工、それぞれの配分があると存じます。これは恐らく行政指導によってそういう配分がなされましたときに、過去の実績を参考にしていただきまして発注あるいは下請をさせていただければ、それぐらいの数字になるのではないか。そうしませんと、私たち努力いたしましても、特別の企業のための努力ということになりますので、これは行政の方で十分御指導いただければ、そのくらいの線を出していただければ、何とかいけるのではないかと思っております。
○原田(昇)委員 どうもありがとうございました。大変参考になりました。
 いずれも非常に深刻な問題でございますので、造船不況対策について私ども十分な配慮をし、早急な対策を立案していかなければならないということの覚悟を新たにする次第でございます。ぜひともこの委員会におかれましてもひとつ早急に対策を推進されますように希望いたしまして、質問を終わります。
○佐藤(守)委員長代理 久保三郎君。
○久保(三)委員 本日は、大変ありがとうございました。ただ、日造工の代表の方にはお話を聞く機会がなかったので大変失礼しました。全部の方に御意見を聞きたいのですが、きょうは言うならば、皆さん造船という仕事の中におられる方だけであって、造船はひとりで動くのではない、きょうは資本主が来ていないので少し話がしにくいのでありますが、事情を大体お尋ねしたいと思うわけであります。
 先ほど来皆さんからもお尋ねがありまして、いろいろ御意見が出ましたから、なるべく重複するところはやめていきたいと思うのですが、一つは円高による輸出の低落というか、あるいは中にはキャンセルもあるというお話であります。円は最近高騰をたどっておりまして、二百三十五円、アメリカのある有力筋では、年末には二百二十円になるだろうというような声もあったが、年末を待たないで二百二十円になりはしないかという素人の考えもあるわけであります。いずれにしても、円高の情勢は引き続いてあるものと見なければならぬと思うのです。どの辺で安定するかというのもわからないと思うのです。そうだとするならば、二百二十円は別としても、相当円高が長期に続くという見通しで物事を判断していかなければならぬ、そういうことでありますが、長期にわたっての見通しは私は無理だろうと思うのです。
 そこで、政府でいま提案しております構造不況業種、それのスクラップを中心にした特別措置法が出ていますけれども、これは大体五年間の見通しのようでありますが、私は五年間の見通しがきく人がいれば神様だろうといま思っているのです。特に造船あるいはその裏側、裏側と言ってはおかしいが、不離一体になる海運の産業というのは国際的な仕事でありますから、単純に国内だけの問題としてとらえることは非常にむずかしいし、また、できるはずはないと思うのです。
 そこで、前置きは別として、円高がこのまま続くとして船価はどうあるべきかというのが一つ考えられなければならぬと思うのです。たしか、これは五十一年五月にOECDで、造船政策に関する一般的指導原則に日本も合意しましたが、その中ではやはり船価に触れているわけでありまして、これに基づいて政府が船価の指導をしているわけであります。現在はそのとおりになっていると思うのですが、先ほどどなたでありましたか、いまの船価の指導は高いというようなお話ですが、船価はどの程度までにすることがいま一番いいのか。これはもちろん出血というようなことは考えられないと思うのですが、どの程度まで考えていかなければ競争にならないのか、あるいは実情に合わないと思うのか、大変むずかしいことだと思うのですが、いかがでしょう。これは造工の代表の方からお聞きした方が一般的であるかもしれませんね。
○南参考人 少し御質問のなにからそれるかもしれませんが、造船各社はほとんど輸出船によって仕事をやっておりますので、過去の為替変動によって大きな差損をこうむりました。四十六年の通貨不安が起こった当時には、約五十五億ドルの外貨債権を保有しておりました。これによって大変な為替差損を生じまして、政府からいろいろな御援助をいただいたわけでございます。
 ただいまの円為替の高騰という問題は、裏返してみますと、注文をしております外国船主の立場で考えてみますと、円高相当分だけ船価が高くなったということに相なります。したがいまして、新規の輸出船の受注は非常に困難になってまいりました。また、すでに契約ができております船につきましても、円高を理由にして船主から値引きを要求される、あるいはこれに応じなければキャンセルに持ち込まれるといったようなケースが多々ございます。
 ただいまの円高の問題を具体的に一例申し上げますと、最近の引き合いでございますが、一万七千トンのセカンドデッキを持ちました貨物船でございます。これは定期船とまではいきませんが、いわゆるライパーといったような形の、定期船と不定期船の中間で、非常に用途の多い船でございます。これが結局船主と煮詰めました値段が九百万ドルでございます。造船所の見積もり船価のぎりぎりのコストは約二十七億でございます。現在の二百三十円レートでいきますと、これが円建てでまいりますならば二十億にしかならない。九百万ドルはすなわち二十億でございまして、一隻で六、七億の赤字を出すということで、とうてい受注は困難でございます。これが一昨年春の二百九十円台というレートですと大体二十六、七億ということで、外国の船価の相場と合うわけでございます。したがいまして、現在のような二百三十円、三十五円あるいはそれ以下にもなろうかというふうな状態におきましては、当分輸出船の受注はきわめて困難であるということを申し上げておきます。
○久保(三)委員 そうしますと、先ほどもお答えの中にありましたが、輸出船は当分あきらめざるを得ない、実情から言ってもだめだ。そこで、国内船のスクラップ・アンド・ビルドというもので計算した場合、先ほどの御計算でいくと、十年以上の船が八百万グロストン、これを大体三年間にSBしようというお話でありますが、そういうものを土台にした場合に、大手、中手、小手、小手というのは小型ですが、大中小でそれぞれ設備能力は、現状の昭和五十一年というか五十年というか、それを基準にした場合に、どの程度の設備過剰になるのでしょう。お話では設備過剰になることはお認めになっているのですが、総論は賛成だが、各論にはなかなかそう簡単には賛成しかねるだろうという、まことに私もそのとおり思っているのですが、大手では大体どの程度余りそうなのか、中手はどの程度、いま言ったような国内船のSBをやっても、あるいはこれからの新規製造品目の開拓をしても大体この程度は余るというのは見当をおつけになっているのでしょうか。それとも海造審の答申を待って、それを基準にして考えてみようかということなんでありましょうか。その辺のところはいかがでしょうか。
○南参考人 基本的には、先生のおっしゃるとおり海造審の答申を待ってということでございます。ただいま二百三十五円あるいは二百四十円のレートでどの程度の輸出船がとれるかという問題でございますが、ただいまの推測といたしましては、大体年間二百五十万総トンぐらいを期待いたしております。それに約百五十万トンのスクラップ・アンド・ビルドによる国内船が加わりまして四百万トン、それに官公庁船の代替船建造等々あるいは開発途上国向けの船舶等を加えますと、約四百五十万総トンが一応見込める数字でございます。
 それにつきまして、造船工業会内におきましては、大手造船所は大体設備超過と申しますか、その程度は約六〇%ぐらいと考えて、大体のコンセンサスを得ておる実情でございます。
 なお、造船工業会の中手におきましては、やはり造船専業でございますので、そこまでダウンするということは経営の基盤を揺るがすことになりますので、中手においては、逆に大体四〇%ないし四五%の設備切り捨て、操業度として六〇ないし五五%というのが一般的な通念でございます。
○織田澤参考人 私どもの場合も、いま南さんから御報告申し上げましたのに類似した数字でございまして、大体私どもの専業工場が成り立ちます最低の操業度というのは、やはり五〇ないし六〇ではないかと考えております。それに対して、いまお話の需要につきましては、輸出が全然とれないということになりますと、とてもこれでは現実問題としてはやっていけないと思います。ですから、為替で赤字が出ても、ある程度の輸出は目をつぶってもとらなければならないというような窮状に追い込まれておるのが実情であります。
○橋本参考人 お答え申し上げます。
 小さい小船工ではございますが、やはりわれわれも小型の輸出船をやらしてもらっています。そういう意味で直接であり、また大手さんの下請でやらしていただいてはおりますが、やはり円高による影響といいますか、被害を相当受けております。私たちは非常に小さい企業でございますから、この円高の差損は、何とか運輸委員の皆さん方でお考えいただいて、これを助成していただきたい、かように考えております。どうぞよろしくお願いします。
○久保(三)委員 そこで、別なことをお伺いするのですが、先ほど来からのお話で、これまでも操短をしてまいりましたが、実際は政府は勧告よりはもっと下回った操短をされてきたようだと思うのです。
 そこで、現況をお尋ねしたいと思うのですが、いわゆる社外工あるいは下請、たしか先ほど日造協の方からお話があったと思うのでありますが、この下請あるいは社外工の中でも、溶接工とか組立工とかあるいはとびとか、そういうような特殊な者は、いうならば転業というか転職というか、そういう先もあるというのですが、そうでない、いわゆる純然たる造船プロパーの仕事をやっていた本工以外の者の整理というか、もうそういうものは全部なくなってしまったのか、多少なりともいま残っているのか、この状態はどうなんでしょう。これは造工さんの方にお聞きしたい、あるいは中工さんの方にもありましょうから、そちらにもお願いしたいし、また日造協の方からも、ちょっとお答えいただきたい。
○南参考人 運輸省の指導によります大臣勧告による操業短縮と現況とはどの程度の違いがあるかという御質問かと思いますが、現況は勧告の線をはるかに下回っております。平均しまして大体五〇%ないし五五%の操業度でございます。
 なお、下請の造船固有の仕事をしておる下請工につきましては、現在まだかなりの数が残っております。
○織田澤参考人 お答えいたします。
 工事量のバランスでございますけれども、運輸省の勧告、私どもは主として七〇%という勧告を受けておりますけれども、現状では特殊の造船所を除きまして七〇%を切っておるところが多いという実情であります。六五とかというような数字になりましょうか。
 それから、下請につきましては、先ほども昨年の一−六月で二万九千人と申し上げましたけれども、先般の倒産いたしました十六社の下請は全部失業いたしておりますし、それから現状で正確な数字はわかりませんが、相当減ってはおると思います。数字は正確のところは、いまつかんでおりません。
○西山参考人 お答え申し上げます。
 下請の減少につきましては、大体溶接工、ガス配管工、そういった種類が一番減少いたしております。まだ若干の造船のプロパー工員も残っておりますが、実は最近非常に減っておりますので、調査が行き届いておりません。五十一年の調査によりますと、五八%が再就職いたしております。その就職先でございますが、陸上部門が三一・五%、建設現場三・九%、それから比較的下請の比重の高い中小造船所へ二二・六%、それから自家の農業、漁業等のいわゆる自宅で待機というのが一二・五%、その他の者が七・八%、不明が二一・七%というような数字が出ております。
○久保(三)委員 そこで、限られた時間でありますから日造工の南さんに伺いたいのですが、お話がありましたような、スクラップ・アンド・ビルド、これを造船というサイドばかりではなくて、もう少し日本海運というものとの関係で詰めてみたらどうだろうかという考えをわれわれも持っておるわけです。
 先般もこの委員会で、運輸大臣にお尋ねをしたのでありますが、運輸大臣はまだ何も考えておられないような御答弁でありましたが、最近は考えておるのだろうと思うのです。
 そこで、お伺いしたいのは、政府も業界も海造審にばかりお頼りになっておる。もちろん海造審の権威と識見に私どもも敬意を表しているのでありますが、造船対策あるいは海運対策、すべての産業対策はそうだと思うのでありますが、特に造船や海運に限定した場合、長期の計画はなかなか立ちにくいと思うのです。しかし長期の見通しというか、あるべき姿というのは、たとえばLNGをもう少し操り上げてやれとか、関西の空港をどうしろとか、いろいろありますね。そういう職域の拡大について考えることはいいことだと思うのですが、しかし、この秋になれば船台ががらがらあいてしまうというような状況の中では、直ちには役に立たない。そうだとするならば、いま何があるべきか。特に信用度が薄い、信用度が薄いのは、船台に対して受注がないということ、注文があとないですよということが、信用度が全然ゼロだということなんです。
 失礼な話ですが、船台は、あれだけではいわゆる担保の物件にはならないのじゃないかと私は思っているのです。受注があって初めて担保物件ということだと思うのです。
 そういうことから言うならば、お互いにいま取り急いでやることは、秋口から少なくとも受注が何がしでもいいからつなぎができることを考えようじゃないかというのが私の考え方なんです。それは一年半かせいぜい二年程度先を見越したものだけでいいのです。極端なことを言うならば、今年度、五十三年度いっぱい、はっきり言えば、来年の三月まででもいい、その間ひとつさらに努力すればいい。
 まあしかし、そう短い期間のものでは問題になりませんから、少なくとも一年半ないし二年の期間の中でスクラップ・アンド・ビルドをやったらどうか。それは一つは、海運の船腹の体質改善、海運の体質改善のためにひとつこの際やったらどうだろうか。これは船齢に達したものだけではなくて、言うなら最近の日本の外航海運の船腹保有構成は、御案内のとおり外国用船が多い。便宜置籍船、仕組船、そういうものが多くなっている。この多くなっていく反面、今度は海員の予備員率は七二%にもなっているということで悪循環を遂げているわけですから、ここで言うならば一挙にそういうものを解決はできないにしても、それのきっかけをつくることが私は一番いいというふうに思っているのです。こういうことについて、ひとつ当面の皆さんですから、専門家でありますから一遍考えてもらいたい。
 それからもう一つは、海造審を中心にしての答申を促進してもらうことも一つであります。一つでありますが、いま言ったようにSBを中心にする政策を考えるとするならば、海造審の答申をお待ちになることはこれは大変だ、遅くなるというふうに私は心配しておるので、政府も来ていますから政府、それからあなたたち、それから海運界、それから政府関係機関、こういうものが早急にやっぱりどうすべきか、SBはSBに焦点を合わせてどうすべきかを考えていくべきではないだろうか、こういうふうに思うので一言意見を申し上げるわけであります。
 それにしても、この間、これは造工の南さんにお聞きするのですが、新聞によりますと、おたくの方の会長さんと船主協会の会長さんがSBの問題で会見されたそうでありますが、合意に達したかどうかは別にして、話は進展しそうなんですか、それとも何かのアクションを起こさなければだめなんですか、これはいかがでしょう。
○南参考人 スクラップ・アンド・ビルドにつきましては、先ほども申し上げましたように船主の建造意欲を起こさせるような、また船主経済を成り立たせるような助成措置を伴っていただきまして、これを前向きに取り上げるということでは船主協会と造船工業会とはおおむね意見の一致を見ております。
○久保(三)委員 終わります。
○佐藤(守)委員長代理 渡辺芳男君。
○渡辺(芳)委員 参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。
 先ほど来大変造船業界が深刻な不況であって、何とかして現在の不況の対策を進めていきたいというふうなお話をるる承りました。また多くの委員の皆さんからもそれぞれお尋ねがありましたので、重複は避けまして御意見を伺いたいと存じます。
 造船業界の皆さんから私どもの手元にすでにいろいろと現在の不況対策、切り抜けについて御要望がいろいろ簡単な書面で出されて陳情されておりますが、主として官公庁関係についてもっと発注をふやしてくれぬか、こういうことが結論のように思います。その中では、船舶整備公団の予算を拡大して代替建造を促進してくれ、あるいは保安庁の巡視船艇の建造をひとつふやしてくれ、これから先になると思いますが、タンカーの二重底の実施とかあるいは石油備蓄タンクの設置、関西国際空港、いろんなことが言われていますが、当面の切り抜け策としてやるには、まだまだ先のこともありますし、検討しなければならぬことがあると思います。運輸省から操業短縮勧告もそれぞれ行われておりますが、先ほど来承っておりますと、実情はもっと深刻であると言われています。
 私は、巷間伝えられていることで、大手、中手、中小の造工の皆さんにお伺いをいたしますが、どうもこういうふうに発注が少なくなってきますと、極端な言葉で言えば奪い合いといいますか、取り合いというものが行われて、しかも船価の値引きをする、ダンピングが行われていく、こういうことがよく伝えられています。もちろん運輸省の船舶局にたとえば五百トン以上の船をつくるときには建造許可の申請書を出しますが、これで船価は適正価格でこれこれしかじか、しかし現実には、申請書で許可をされた以下の価格で建造をされていると言われています。それぞれ業界の皆さんがそうですということを言われるか、あるいはそうでないというふうに言われるかもしれませんが、ともかくそういうことが巷間非常に伝えられている。このことも実は経営上非常にむずかしい状態になっていると思います。これについて皆さん方からもしお話をいただけるとすれば、関係三つの団体の造工の皆さんからお話をいただきたいと思います。
 もう一つ、受注競争ということがどうしても行われることは、もう陸上のトラック輸送を見てもそうでございますから、私もこれは現実の問題としてあり得ると思いますが、たとえば五十二年の七月から本年の三月まで、中手の造船所でもできるような船が大手の皆さんによってつくられている。かつて好況時には、恐らく大きな船は大手でやって、小さい船は中手なり中小でやられるというふうにそれぞれの建造分野があったと思います。ところが、なかなかいまはそういう状態ではない。五十二年の七月から本年の三月まででも十八隻も大手でやられている。極端なのは百トンの船もつくられている。私も一部調査したのですが、そういうことも言われています。これは設備の過剰ということもありますが、全然仕事がないということになりますと、どうしても受注産業ですからだめになりますね。でありますから、まあ乏しきを分かち合うといいますか、業界同士で話をしろというのはなかなか大変だと思いますが、運輸省の指導も必要だと思いますけれども、ともかくこの建造分野についてもそれぞれ業界の皆さんでお考えがありますれば、これもお伺いをいたしたいと思います。
 以上二点についてひとつお伺いをいたします。
○南参考人 ただいま先生のお話にございましたような醜い競争、これは大手同士、大手と中手あるいは中手同士あるいは中小といったような間で、それぞれ実は壮烈な競争が行われておることは事実でございます。
    〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
と同時に、また全く仕事がなくなってアイドルが出るというところに直面しております工場は、思い切ってある程度のダンピングもやらざるを得ない羽目に落ち込んでおるのも事実だと存じます。
 御指摘のございました七月から本年三月までの間の大手の建造船の中には、従来ですと中手というよりはむしろ小手が、小造船がやっておりましたような船まで入っておるわけでございまして、あるいはエンジンをつけないはしけとかそういうものもやっております。これは事実でございまして、やはり生きていくために、やむを得ず大手もそれを受注しておるということでございます。
 次に、乏しきを分かつという問題でございますが、これは本来造船業として当然そういう調整があらねばならないのでございますが、御承知のとおり造船におきましては、大も中も、場合によりましては小も、建造する船が同じでございまして、これを分野によって調整することは非常に困難でございます。かつては大型船をやっておりましたドックで小さな船をやるということも大手としてやむを得ない状況でございます。中手におきましても、かつては大手のやっておりました大型船を指向して大型の設備をやってまいりました。それと同じじゃないかと考えております。したがって、私どもとしては分野の調整ということよりも全体の供給力を削減して、そして過当競争を回避していくという方向に進めるよりほかに適当な方法がないと考えております。
○織田澤参考人 お答えいたします。
 ただいまの第一の問題でございますけれども、御承知のとおりの不況でございますし、需給のバランスが極端にとれておりませんので、大手、中手あるいは中手、小手相互間の受注合戦は激烈をきわめております。
 ただいま南さんからも御報告申し上げましたけれども、中にはやはりせっぱ詰まって相当低い値で注文をとったケースもあるやに私どもも伺っております。おりますが、現在われわれが現実に運輸省に査定を受けますために出しておる船価は、はなはだしい場合には許可になりませんから、ある程度フレキシブルに考えていただいておりますけれども、大体許可をいただける程度の船価で注文をとっておるのが実態でございます。
 それから、第二の問題の分野調整でございますけれども、これは私どもの会員の間では、もう久しい前からぜひこうしてやる方法はないだろうかという意見が再々出ております。造工さんとも私どもはこの問題で何回か検討といいますか話し合いを持ちましたけれども、いろいろと立場の相違もあり意見も変わっておりまして、今日現在ではコンセンサスを得るところまではいっておりません。将来について、やはりこの問題は大きく検討しなければならない問題ではないかと現時点では考えております。
○橋本参考人 お答えします。
 私どもの業界も同じくダンピングの問題、相当激烈にやっておる現状でございます。
 それから、第二の問題の分野調整につきましては、私、非常に遺憾に感じておるのでございますが、しかし、それも大手さん、中手さんの信用力をもってとっていただきまして、それを各分野ごとに下請に回していただく、こういう方法をとっていただきますと、この分野調整が非常にうまくいくのではなかろうか、かように考えております。
○渡辺(芳)委員 時間が少ししかないものですから、恐縮でございますが端的にひとつ御意見を伺います。
 結局はもう設備過剰であるから、スクラップ・アンド、ビルドで当面を切り抜けなければならぬという御意見のようでございますが、この際、私どもいろいろ考えてまいりましたが、たとえば大手の皆さんは、ある大手の造船所でも兼業ですから五〇%ぐらいですね、普通造船の方は三〇%ぐらいですね、でありますから、いろいろこういう不況のときに、全般的な不況でございますから、あっちへ回す、こっちへ回すということもなかなかむずかしいこともわかります。ただしかし、中手以下になると専業ですから、そのものずばりこれは倒産に追い込められるという深刻な事態、命を失うという状態でありますから、たとえばの話ですが、大手の皆さんが船をつくるときに、受注する場合に二千トン以上は大手がやろう、あるいは千トン以下は中手以下に出したらどうだろうか、こういうふうなことも大変だと思いますが、話し合うようなことが必要ではないだろうかと思うのです。時間がございませんから、私の方だけ言わせていただいて進みますけれども、どうかひとつお考えをいただきたいと思うのです。
 船価の激しい競争もございまして、通称言われていますが、三〇%ぐらい値引きをしたのではなかなか困難だとも言われておりまして、これは深刻なんですね。運輸省に出す申請書と実態は違うということであれば、実態を私はお話しするのですが、大変なことだと思います。こういうことも調整をしなければお互いに足を引っ張ることになります。このことももっと時間があれば、私の方でいろいろお聞きしたいのですが、この船価の問題も積極的に監督官庁もやらなければなりませんが、これは運輸委員会でまたやりたいと思っています。
 それで、キャンセルが最近特に深刻になっています。造工関係の三つの団体の皆さんそれぞれ簡単にお伺いしますが、いま建造中のもの、あるいはもう完成をした、港に浮かんでいる、こういう船の引き取りをしない。輸出船で、円高が急速に最近響いてきまして、まだまだ円高は進行するというふうに言われていますから大変なことでありますが、すでに建造中のものや完成した船まで引き取りを拒否されている、こういうのは造工では何隻ぐらいございますか、中手では何隻ぐらいございますか、この点をひとつお伺いいたします。
○南参考人 引き取り拒否、いわゆるキャンセルでございますが、これは造船工業会メンバーといたしましては、輸出船で五隻、国内船で二隻、合計七隻でございます。
○織田澤参考人 私どもの会員の調査はできておりませんので、きょう御報告申し上げることはできません。
○渡辺(芳)委員 私も断片的には大分いろいろ聞いておりますが、中手の関係でも相当ありますね。そういうのを把握していただいて、特に商社が介在している輸出船の場合がありますから、どういうふうに値引きをして売るかというようなことも、それぞれ努力はされていると思いますが、業界でございますから、それなりの対策なども考えていただかないと大変なことになると思うのです。
 次に、お伺いをいたしますが、たとえば船舶整備公団で行う代替建造あるいは新造船、それから保安庁関係でやっている巡視船艇の建造、コンテナ船とか鉱石運搬船などという大手でやるものは別としまして、こういう関係で特に官公需をひとつふやしてくれという御要望がありまして、南さんからも最後に言われましたが、特にいまこういう関係については中小の造船所に回したいという、大変どうも温かい、中小から言えばそういうことになると思いますが、御発言が先ほどありました。
 私は、特に運輸省関係のことだけを申し上げましたが、建造をする場合に、たとえば中手の皆さん、大手の皆さん、それぞれ御希望があると思います。先ほど申し上げたのですが、それぞれの分野で、中手にはどのくらい、大手にはどのくらい、どのくらいの船はどうだ、こういうふうなことをいままでおやりになりませんか。実際、中手の皆さんで、こういう運輸省関係のもので相当受注をしているということがございますか。これは大手、中手の皆さんにお伺いをいたします。
 時間がございませんから、最後にもう一つ、造船協力事業団の方にお伺いをいたしますが、端的に言えば労務提供です。下請の皆さんですから、先ほどのお話を聞くと、ピーク時には十万名いた、もう八月ごろになったら三万五千名ぐらいになるのじゃないかということでありましたが、これは深刻です。解撤で去年は一億四千六百万円ぐらい補助金がありましたが、これらも自分たちでは消化ができない、もちろん買船もできない、だからひとつ、こういうことについては考えてくれぬかというふうな要望もあるようでございますが、皆さんの方でどういうふうに御要望されるか、この点をお伺いいたします。以上です。
○南参考人 海上保安庁の巡視艇等につきましては、現在、ヘリ母艦等の特殊な船を除きまして、一般の巡視艇等は大手を通じて、実際には中手が建造をいたしております。
 なお、大手と中手あるいは中小との分野の協定という問題は非常にむずかしゅうございまして、過去何回か話には出ておりますが、現実問題として、現在引き合いに出ております船型が非常に限られておりまして、かつてのごとく超大型船から小型船までという広い範囲ではございませんので、その分野の調整ということは事実問題として非常に困難であろうかと存じます。
○織田澤参考人 運輸省から発注になっております巡視船等につきましては、従来から技術上の問題と現実の生産能力ということとはかみ合いまして、大手が設計並びに監督をやるという条件で中小が建造してまいりました。本件は将来も、やはり技術というものは中小だけでは御満足のいく実態ではございませんので、大手との話し合いの中でそういう方式をとらざるを得ないかと思っております。
 変わりました大きい船につきましては、これはやはり技術上の問題で大手にやっていただく以外にはないというふうにわれわれは考えております。
○西山参考人 昨年解撤の件で予算をつけていただきながら、それを十分消化できなかったということについて深くおわび申し上げます。その原因の一番大きなことは、スクラップの値段が非常に下がったということでございます。そのために、解撤の工法等につきましてはいろいろと新しい技術も習得いたしました。いろいろな経験があったので、これが全部失敗とは申しませんけれども、いろいろ御迷惑をかけたことについてはおわび申し上げます。
 買船の問題とかあるいは御承知のようにスペキュレーションの性格をスクラップというものは持っておりますので、下請自体でこれをやるということははなはだ困難なことだと思っております。先ほどから出ておりますスクラップ・アンド・ビルドの問題が出ますと、どうしてもまた解撤という問題も出てまいると思いますが、そういうふうなものの買い入れ機関とか、かなりの資金量を要しますので、何かそういった公的なものでやっていただく。それと価格の変動が非常に激しゅうございますので、ある程度は備蓄して価格を平均させるという方法をとっていただかぬと、これはわれわれ下請だけではちょっと無理ではないかというような結論に達しておるような次第でございます。
○増岡委員長 藤田高敏君。
○藤田(高)委員 参考人の皆様、御苦労さまです。私は素人ですからそのものずばりでお尋ねいたしますが、的外れのこともあるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。
 けさ方来、参考人からいろいろ貴重な意見を拝聴いたしました。まず第一に、業界人と申しますか経営人のモラルというものについて尋ねてみたいと思うのです。
 今日、これだけ造船界が不況に見舞われて、生きていくことができるかどうかということで、極端な言い方をしますと、なりふり構わずに生き残ることは何かということを考えているさなかに、のんびりしたモラルなんて何を言っておるのだ、こういう反論もあるかもわかりませんが、私の感覚から言いますと、今日、不況産業あるいは業種は幾つかあります。しかし、造船界の倒産の現状を見ていきますと非常にもろさがあるのではないか、ここには業界自身の政府機関に対する一つの甘えというものがあったのじゃなかろうか、もたれ過ぎというものがあったのじゃなかろうか、こういう素人ながらの感覚がするわけであります。
 けさ方からのやりとりを聞いておりましても、いわゆる五十一年六月の海造審の答申がありまして、その見直しとしていま作業がまた昨日来から始まっておるようでありますが、この見直しを受けて業界としてはどうするかということを決めよう、こういうふうに聞こえるわけであります。そうではなくて、造船界は造船界独自の立場で、今日の条件下でどのように生き残っていくのかという自主的な再建案を持つべきではなかろうか、このことに対する考え方が一つであります。
 それといま一つは、生き残るものはいいけれども、去るものはどうするのだ。私は、先ほどから、雇用がどんどん減少しておる、まあ親企業と中小造船とさらにその下請というふうに見れば、すそ野になればすそ野になるほど弱い層の人員の減少というものが多いということの説明を聞きました。これはどこの企業にもそういった傾向があると思うのですけれども、やはり生き残るものだけの施策を考えるのではなくて、造船業界としては、いままで一緒にやってきたものがここで業界から離れていかざるを得ない、倒産せざるを得ない、そのことによって失業者が出る、この失業者をどう抱えていくのか、その転換すべき業種は何であろうか、その対策は何であろうか、こういうことを造船業界全体としてこれまた考えるだけのモラルがあってもよろしいのじゃなかろうか、このように考えますが、それぞれの立場で簡単に所見を聞かしてもらいたい。
○南参考人 先生から造船業界人としてのモラルの問題につきお言葉をいただきました。まことに痛いところをつかれたような感じがいたします。
 造船の倒産のもろさと申しますのは、一つには造船業界の体質にございます。先ほどから申し上げておりますように、造船業界は受注産業でございますので、受注がとまるということは即仕事が全くないということでございます。一般の製造業の場合には、製造いたしました品物が仮に安くとも一応それは換金できる。市場へ出す、あるいは問屋へ押し込み販売をするといったようなことができます。造船の場合にはそういうことが一切できませんので、今日まで一生懸命大変にぎわしくやっておったところがその翌日に倒産した、はなはだしい表現をすれば、そういう事情が造船業界にはあるわけでございまして、それが業界のもろさをあらわしておるわけでございます。
 私どもの政策が政府に頼り過ぎているではないかというふうなおしかりをいただきましたが、当然業界内部においても、もっと早く、もっと適切な案を出して、自待的にやるべきであるというお話はまことにもっともだと私は存じます。
 ただ、とにかく注文があれば一応仕事は続けられるというふうな業界の体質から、なかなか思い切った施策に対して全体のコンセンサスを得ることができないということ、また中手以下におきましては、経営と資本が一体になっておりまして、オーナー経営でございますので、その点、経営を分離するというふうなことも非常にむずかしい真情にございます。
 なお、生き残ったものだけの施策でなくて倒れたものに対する施策というふうなお話もございました。これは先ほども申し上げましたように、大手におきましては数十あるいは百以上にも及ぶ子会社がございますので、そういうところへの人の配置転換、出向等ができるのでございますが、中小におきましてはそういうものを全く持っておりません。この人の受けざらにつきまして中小の社長は非常に苦しんで、各建設会社へお願いし、あるいは多少ともいんしんの産業の各方面に足をすり減らして人の採用をお願いに回っておりますが、なかなか現実問題としてはできません。したがいまして、私どもといたしましては、政府におきましてこの受けざらをつくっていただいて、これを公共事業関係に回していただく。造船の職種はおおむね建設関係に転用可能でございますので、ひとつそういう施策をあわせてお願いしたいと考えておる次第でございます。
○織田澤参考人 ただいま造船業界が甘えておるのではないかというお言葉をいただきまして、実は深く反省をしておる次第でございます。造船業界は終戦直後から運輸省の行政に多分に依存しまして今日まで来ておりますので、知らず知らず自主、自営という精神に欠けるところがあったかという反省は今日深くいたしておる次第でございます。今後はそういうことでなくて、本当に自分たち自身のこととしてやっていかなければならないということも考えておる次第でございます。
 それから、失業者に対する配慮の問題でございますけれども、先ほどから私、申し上げておるのでございますが、私どもの専業会社の場合には、経営の合理化を常々行っておるたてまえで、必要な業種だけしか社内、社外ともに抱えておりません。したがいまして、これが企業として転業いたすということが非常に困難であります。仕事が減ってまいりますと、もうそのまま直接に響いてまいりまして、従業員も抱え、資材も持っておりましても、船以外にこれを利用というとおかしゅうございますが、働いていただく方途がありませんのでして、たとえば系列会社その他を考えましても、中小の場合には系列会社などはほとんどございません。それから、先ほども申し上げましたが、他業種に転換をするのには最低三年ぐらいは企業としてかかりますので、急速にそういうふうなことをやると言っても、具体的には方法がないわけでございます。しかし社内、社外をあわせてやむを得ず整理をしなければならぬ状態になりますときは、経営者としては、これはもう実際血涙をしぼって行うわけでございまして、当然当該地区における所要の機関には全部お願いに回っておるのが普通でございます。その結果で、何とか職にありつける人たちはできる限りの努力をいたしましてあっせんをする、やむを得ず残った者だけが実際の意味の失業者になるというのが実情でございます。はなはだこれは残念なことでございますけれども、要らなくなった人たちを全部使うだけの力がございませんので、これはやむを得ない事情と御了解いただきたいと思います。
○藤田(高)委員 本来であれば、他の方からも御意見を拝聴したいところでありますが、持ち時間が二十分ですから、後の質問とも関連して御所見をいただきたいと思います。
 二つ目の問題は、残念なことですけれども、中小造船を中心としまして相当倒産が相次いでおります。そこで、企業倒産時における債権債務の問題について尋ねてみたいのでありますが、そういうことはないと信じたいのですけれども、私の現住所の周辺の企業倒産の中から聞こえてくる声を聞きましても、倒産したときには、銀行を中心とする金融機関の債権は何らかの形でほとんど押さえておる、そうして債権の残っておるものは、いわゆる下請関係の債権がほとんどだということで、泣き寝入りするのは下請関連、下請とは構内、構外含めてでありますが、そこで、なるほど倒産した会社にとっては、従業員の失業問題も起こっておるわけでありますが、そういう実態がややもするとどの企業にも普遍的にあるのじゃなかろうか。一口に言えば、企業が倒れても、そこで取るべき債権は銀行がほとんど押さえてしまう、押さえられないのは下請中小関連企業だけだ、そういう実態が普遍化しておるのじゃないかと思うのですが、その現状について聞かしてもらいたい。
 また、これは直接そのことに関係がありませんが、私ども国会で企業の倒産防止基金法を制定するに当たりまして、会社更生法の申請をする企業がある場合に、先ほどの企業倒産とももちろん関連するのでありますが、いわゆる下請関係が請求すべき債権、そういうものが手形の関係においても不渡りとして切り捨てられていく、これは下請企業にとって大変だということで、一つの基金制度をつくって救済する方法がないかどうか。
 一つの方策として、この四月から実施することになりました中小企業関連倒産共済法ができたわけですけれども、私どもとしては、会社更生法の適用を申請した企業の下請企業に対する未払い手形は、一時これを国が買い上げる、極端に言えば、国が一時これを立てかえ払いする、そうしてこの会社更生法の適用を受けた企業は、これを十五年あるいは二十年の長期で支払いをする、そういうような制度をつくって、中小企業の損害というものを守るべきじゃないかと考えておるのですが、そういう制度化に向けての業界人としての見解を聞かしてもらいたい。
 三つ目の問題は、これは高知県の今井造船ですでに実験済みでありますが、倒産時に一番困るのは、下請代金がほとんど未払いのまま企業が倒産する、下請の未払い代金というのはほとんど賃金だ、ですから、下請の未払い代金というのは、これは親企業の、倒産企業の社員の人件費と同じ資格で取り扱う、そういう慣行を業界相互間の中でつくり上げたらどうか。今井製作の場合には、今井製作とその下請企業との間にいま申し上げたような趣旨の協定を結びまして、裁判所がこれを認めた、こういうことになっております。そういうことを今日ただいま全造船業界におきましても下請関係との間にそういう自主的な協定を結んではどうか、こう思うわけでありますが、それに対するお考えを聞かしてもらいたい。
 いま一つの問題は、解撤事業の問題ですが、先ほども同僚委員から質問がありましたが、これは簡単に申しますと、世界的にも解撤事業の需要量というものはかなりあるというふうに聞いております。したがいまして、造船業界の一部として解撤事業というものを定着させていく、そういう方策を業界自体として考える時期に来ておるのじゃなかろうか。もし特別に造船業界の中にそういうものを位置づけることについて積極的な反対論があるとすれば、なぜ反対しなければならないかという見解を聞かしてもらいたい。
 昨年、せっかく国におきましても助成策を講じたにもかかわらず、この解撤事業というものは必ずしもまともに進んでいないようでありますが、そのネックはどこにあるのか、また、この問題に関連をして、買い取り機関の問題が提起されておりますが、これに対する業界の見解を聞かしてもらいたい。
 最後に、これは特に名指しをして恐縮でありますが、私もきょうこの参考人の名前を見て初めて知ったのですけれども、因島鉄鋼団地から西山さんがお見えであります。瀬戸内海沿岸は造船業の倒産が相次いで集中しておる地域でございますので、特に今治、波止浜地区を中心とする愛媛地域における造船業の例産が、地域経済にどのようにいま大きな影響を与えておるか、また今後の対策について、具体的な適切な対策があるとすれば、これまた業界人としての率直な意見を聞かしてもらいたい。
 以上でございます。
○西山参考人 それではお答えいたします。
 先ほどからいろいろと倒産の話が出ておりまして、また経営者のモラルの問題も論ぜられておりますが、私も倒産でたくさん被害を受けまして全く同感でございます。と申しますのは、いままでの倒産というのは、すべて財産を投げ出して裸一貫になってつぶれた。ところが最近、いわゆる会社更生法の適用を申請するのは、ほとんど黙って裁判所に申請いたしまして、財産保全命令が出るころになって発表いたします。言ってみると、完全にこれは裁判所と弁護士さんの管轄になっております。これにつきましては、地方の行政官庁も歯ぎしりしてくやしがっております。どうにもできないわけです。三権分立でございますから。ですから、私どもの方では、これを考えますと非常に頭にくることが多いわけでございますが、どこへ行きましても、会社更生法は悪い悪いと言われながら、一向にこの問題が論ぜられておりません。特に私は、会社更生法の申請をする過程におきまして手形を振り出している、これは完全に詐欺行為だと思っております。こういった面については、もうちょっと厳重に国政の場でも論じていただきたいと思っております。
 それから、私は藤田先生とちょっと考えが違いまして、いわゆる造船業界は甘えていると言いますが、倒産関連業界というのはもっと官庁に物事を相談したら解決できたのじゃないか、努力が足りなかったのじゃないかと思います。といいますのは、地方の海運局長あたりと話してみましても、本当に真剣に会社の再建を考え、自分のところはこういう問題点があるのだというような話を持っていきましたら、現在の行政機関は何とかして倒産を防ごうとしておりますから、いろいろ金融その他の手も打てたと思うわけです。ところが雇用調整給付金も一切使わない。景気のいいことばかり言っている。景気のいいことを言わないと銀行が金を貸しませんから、いろいろとそういうことをやっておりますが、それがある日突然更生法の適用を申請する。もっと実際の姿を監督官庁へ持っていって真剣に相談すれば道も開けたのじゃないかと思います。
 ですから、私どもの方では、倒産で被害を受けましたけれども、全部行政機関と相談いたしまして、いわゆる船舶振興会その他の金を出していただきまして連鎖倒産を防ぐことができたわけでございます。
 地域に対する影響でございますが、私どものおります因島市は人口四万二百人、隣接します豊田郡瀬戸田町が一万二千五十一人、同じく隣接します愛媛県の弓削町が六千三百二十八人、岩城村が三千二百八十二人、因島周辺で約六万一千八百六十一人の人口がおります。これが日立造船因島工場、私どもの因島鉄工業団地、それに内海造船株式会社、この三つの造船機関に依存しております。ですから、この三つがなくなった場合にはここらの人はもう全然やることがない。ミカンをつくっているじゃないかといいますが、ミカンは豊作貧乏でございますし、全部農業経営でございますから、主な現金収入は造船所でかせいでいる、こういうことであります。
 今治のお話も出ましたが、今治市は人口十一万ございますが、御承知のようにタオル産業もだめでございます。あの辺の一番の主力産業でございました造船所があれだけつぶれておりますので、若い人の失業保険がとれる七月ごろになったら、大変危険な事態になるのじゃないかと憂慮しております。
 余りよそのことは申せませんので、造船都市である因島のことをちょっと申し上げますと、尾道職業安定所因島出張所管内の雇用の状態ですが、雇用保険の適用を受ける事業者が四百七十八ございます。そのうち造船関連は二百十二でございます。被保険者数は一万五千二百七十人でございまして、造船関連の産業が一万二千百三十四人、七九%おります。いかに造船が主体であるかがわかります。これが五十三年一月末で千四百二十二人がすでに職を求めております。
 私どもの方を言いますと、ピーク時には約千七百人おりましたのが現在千人でございます。これは全部土地の方です。ですから私は、もう失業保険をとらしたくないのです。したがって、あえて造船所に仕事をやってわれわれに回してくれと言っているわけでございまして、失業保険をやるということは最も悪い必要悪だと思っております。
 御承知のように、あの辺の寒村が、造船所ができて人が集まってきて、それでそれに関連する仕事ができたわけでございます。特にこういう構内下請の経営者あるいは構外の加工会社の経営者というのは、その地域の中核的なものでございまして、こういう人が落ちていきますと、その影響は非常に多いわけでございます。これはおっしゃるとおり、瀬戸内海沿岸は全部同じだと思っております。まあ長崎、佐世保になるとさらに規模が大きゅうございますが。
 それから尾道、これはあの辺の造船関連の品物を売っているのはほとんど尾道周辺でございます。ここの税務署長に言わせますと、尾道の法人税の収入は日本でも下の方から何番目だと言っております。それからことしの正月、因島の警察署長に聞きましたら、ああいうサラリーマンの町ですから忘年会が盛んにあるわけですね、ところが昨年は忘年会もないし、酔っぱらいを保護検束したことも一人もないということでございます。ただし、スーパーあるいは生活協同組合において非常に金額の小さな万引が物すごかった。ああいうところは、そういうことをやればお客さんの信用にかかわりますから初めは黙っていたけれども、たまりかねて警察へ訴えてきた。これがいわゆる造船関連都市の実情でございます。
○藤田(高)委員 答弁の方がまだ残っておるわけですけれども、持ち時間がありませんから、何でしたら委員長の方でおさばきいただいて簡単に答弁いただくか、もしくは何かメモにでもして出していただいても結構だと思います。二、三分で答弁していただければ一番ありがたいのですが……。
○南参考人 最初の問題を申し上げます。
 倒産して、ふたをあけてみたら金融機関が全部押さえておったというのは事実でございます。金融機関は担保なしでは金を貸しませんので、工場としてあらゆる担保を金融機関に入れます。その上で倒産いたしました場合に担保は全部金融機関が持っていきまして、無担保権者の債権の保全という点についてはまことに遺憾な状態になっておるのが現状でございます。
 次に、倒産会社の債務の無担保につきまして、ことに更生会社については国家が肩がわりしたらどうかというお説は、私はまことに結構だと思います。これは当然そうしていただきませんと、造船関連事業の方々の物品納入という点に遺憾な問題が今後生じてくると思いますので、できましたら更生会社の無担保債権に対する債務の国家肩がわりをぜひお願い申し上げたいと思います。
 次に、下請の賃金に対して従業員の給与と同じような扱いをしてはいかがかというお申し出でございますが、これはまことにもっともでございます。下請はほとんど大部分が賃金でございまして、材料費はほとんどございませんので、当然そういうふうな方向へ持っていくべきだと考えております。
 次に、解撤につきまして、造船所が解撤をやったらどうかということでございますが、これはスペースの関係もございます。それから解撤事業というものは非常に繁閑がございまして、造船所が工場生産の仕事としてやりますにはやや仕事の性質が違うのではないかというふうに考えております。したがいまして、造船所がやるといたしましても、造船工場でない違った場所でやるべきだと思います。なお、解撤の技術は造船の技術とはかなり径庭がございまして、あれは非常に特殊な技術を要するものでございます。
 以上でございます。
○織田澤参考人 私の回答もただいま南参考人から申し上げましたことと全く同様でございます。
○藤田(高)委員 どうもありがとうございました。
○増岡委員長 薮仲義彦君。
○薮仲委員 参考人の皆様には大変長時間御苦労さまでございます。私からは今後のために何点かお伺いしますので、この場でお答えできる範囲内でよろしゅうございますので、要点だけお答えいただけば結構でございます。
 先ほど来お話がございましたように、造船不況を解決するには何といっても需要の増大が一切の根本である、このような御所見でございまして、私は全くそのとおりだと思います。
 では、さしあたってのその方途はというと、先ほど来御指摘のあったスクラップ・アンド・ビルドあるいは浮体構造物の建造というような構想があろうかと思うのでございますが、私が最初に伺いたいのは、この浮体構造物、いわゆる石油の備蓄、空港等ございますが、きょうはその空港に関して、現在大阪空港というのが運輸省の構想でもって四、五年先にはというような話でありますが、先ほど来お話しのように四、五年先であっては、現在の不況には間に合わないよというような意味もございますが、それより以前にはいま高松市が要望しております高松空港の問題もございます。これの方がむしろ実現の可能性は早いのじゃないかというような声すらございます。
 われわれがここで御専門のお立場の御意見を伺いたいのは、こういう浮体構造物の技術的な問題あるいは耐用年数の問題です。こういう半永久的な構造物に対しての技術というものは、すべて克服されて、いつでもどうぞというような状態におありになるのかどうか。特にこういうことが実現されますと、先ほどお話もございました瀬戸内の中小造船にとっては大きな福音になるのじゃないか、こうも考えられますので、この点は造工のお立場からごく簡単でけっこうでございますのでお考えを伺いたいと思います。
○南参考人 高松空港につきましては、お話のごとく最も実現性の高いものでございます。当初香川県が御計画なさいました埋め立て方式でまいりますと、漁業の生態系統に相当大きな影響があるやに承りましたが、浮体工法でまいりますれば、それが比較的少なく済むのじゃないかということで、過日県当局にも御説明申し上げておきました。
 高松空港、造船工業会で、ただいま詳細設計に入っておりますが、一応きわめて概括的な設計で鋼材が約七十五万トン要ります。この七十五万トンの鋼材を、大体二カ年でこれを完成するという計画でございますので、相当な量の鋼材加工が必要となってまいります。ところが、この鋼材加工は鉄板の四角い箱でございまして、むずかしいことは全くございませんし、同じものをたくさんつくっていけばいい。したがいまして、香川県、愛媛県はもちろん、広島県、岡山県、瀬戸内一帯の中小造船所において、この加工をやっていただくことが至当と考えます。
 ただ、これを大きなブロックに組みまして、所定の場所に曳航して洋上溶接を行うということは、やはり大型ドックを持っております大型造船所の仕事と考えます。したがいまして、大型造船所と中小造船所のコンビネーションをうまく組むことによりまして、経済的な波及効果が非常に大きいものと考えております。
○薮仲委員 ありがとうございました。
 もう一点、造工のお立場から前向きの方の話、この次には後ろ向きの話になって恐縮ですが、前向きの話でもう一点、先ほど来お話のありましたスクラップ・アンド・ビルドの件でもう少し具体的にお伺いしたいのですが、御指摘のように船主との問題、幾ら造工がつくろうと言っても、船主の方の意欲というものが大事だ、私の手元にある資料によりますと、十年以上の耐用年数を経たものが約八百万トンある、それを年間百三十万トンスクラップして百万トンビルドするのだ、それによって需要を創出するということですが、ここで問題になるのは、いわゆるスクラップに対する補助、これは六十億程度というようなことも伺っておりますけれども、さらには開銀の融資、金利、償還の延伸等を含めた対策があれば、これは十分可能であるということを仄聞しております。この辺の事情は、さしあたって目下の急務というか、非常に大事な問題でございますので、この点造工のお立場でどういう感触を持っておられるか、率直な御意見を伺いたいと思います。
○南参考人 ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、私どもとしては、年間百五十万トンの新造をする、そうして二百万トンの中古船をスクラップするということをぜひお願いしたいと考えております。
 それにつきまして、船主の建造意欲を起こしていただくという意味におきまして、また船主経済に悪影響を及ぼさない、要するに成り立つという計算の上においてこれをやっていただくように希望をしておるわけでございます。
○薮仲委員 同じく造工の方に、最初まとめて御質問いたしますが、今度は後ろ向きの話で恐縮でございますが、先ほどもお話がございましたように、特定不況産業安定臨時措置法というものが造船全体にかかわってくるわけでありますが、今後この運用がどのようになるか、これは業界の皆様にとっては心を痛める問題だと思うのでございます。しかしいずれにせよ、もしも今後さしあたっての需要の増ということが望めなければ、能力として千九百万総トン以上の造船能力を持っておる体質は、ある意味ではどうしても改善を要求されるだろう、このとき不安に思う点の一つは、造船業界で働く方の雇用問題でございます。雇用の安定という問題が、いわゆる解雇という形ではなくして十分確保できるかどうか、この辺の法案の運用に当たってのお考えを、今後の問題でございますが、いまおわかりになる程度で結構でございますから、お話しいただきたいと思います。
 もう一点は、設備の廃止、休止、廃棄という問題が出てくると思いますが、そうなりますと、やはり体質的に弱いのは、先ほどもお話しございましたように、中小あるいは小船工の皆さん方というのは、体質的には非常に苦しいお立場の方も多くいらっしゃいますので、そうなったときに、一番大きな影響のある造工のお立場から、設備に対する縮小の決意は相当なものを要求されるのじゃなかろうか、こう思うのでございますが、この二点について造工のお立場からのお考えをお伺いしたいと思います。
○南参考人 特定不況産業安定臨時措置法という法律ができ上がりまして、造船がこの適用を受けるという時点におきまして、造船業の設備の削減ということと関連して一部失業者が出るということは否めない事実であります。ただ、それに対しまして、離職者の再教育という点を活用して、これらの方々いずれも腕に職を持った人々でございますので、これらの人々を公共事業の建設方面にうまく転職させていくという義務がわれわれにあるかと存じております。
 次の問題の設備の休廃止に関連しての中小造船所に対する措置でございますが、造船工業会の大手七社につきましては、大体におきまして、臨時安定措置法によって処理できるかと考えておりますが、造工中手十五社並びに中造工あるいは小船工の各造船所につきましては、これだけでは今後の経営が維持できなくなると考えております。大体造船業の比率が非常に高うございまして、一〇〇%造船一本でこれらの会社はやっております。したがいまして、その操業度が仮にいかほどでありましても、思い切った操業度の削減ということになりますと、経営基盤が危うくなるという問題がございますので、この救済につきまして、あるいは集約等々の方途を講じていただきまして、これが経営の維持できるような方向に持っていきたいというふうに考えております。
○薮仲委員 もう一問、造工の方に重ねてお伺いしますけれども、これは同じことで日造協のお立場からも御意見を伺いたいのでございますが、スクラップ・アンド・ビルドで二百万トンをスクラップいたしますと――このスクラップという問題は、先ほどの御答弁の中では、造船の本体の中ではやるべきことではないような意味合いのお話がございました。そうしますと、この二百万トンスクラップなさるこの仕事自体、どういうような形で処理されていくのか。それと、日造協でいま現におやりになっていらっしゃる解撤業との問題はどちらかに集約されていくのか、どういうふうな形になるのか、造工のお立場と日造協のお立場から御意見を伺いたいと思います。
○西山参考人 現在、日造協の会員の中で八組合ほど解撤協同組合ができております。しかしやはり、先ほども申し上げましたように、非常に大きな資金力を要しますし、それから買船、これが国際的ないろいろの入札等もございまして、いわゆる現在、中小企業である日造協の会員の協同組合だけではちょっとむずかしい問題があると思います。そうした場合に、いま造船関係の方で、ちょっと造船とは関連が違うというようなこともございましたが、もし造船の方でそういう遊休設備がございましたら、しかるべき機関がそれを使っていただきまして、日造協はそこで労務を提供したい、かように考えております。造船の規模縮小と言いましても、当然織機同様に壊してしまうわけにはいきませんし、ドックを埋めたら、つくったよりも倍ぐらい金もかかるわけですから、結局そのまま放置するということになると思います。そういうようなところを使ってしかるべき機関が買船もし、あるいはスクラップの処理もする、日造協はその下請をさせていただく、そういうふうな姿が一番安全で望ましいのではないか、これは私個人の考えですけれども、そのように申し上げておきます。
○薮仲委員 造工の御意見いかがですか。
○南参考人 造船工業会といたしましては、スクラップの問題は、先ほど申し上げましたように、大体日造協にやっていただくというふうに考えております。
 なお、場所につきまして遊休したものを活用したいというお言葉、まことにもっともだと思いますので、そういうものがございました場合には、提供することは決してやぶさかではございません。
○薮仲委員 次に、中造工の織田澤参考人にお伺いしたいのでございますけれども、中造工の規模から言いますと、さしあたって需要の増大という問題になりますと、一つは漁船の問題、官公庁船の問題でお伺いいたします。
 最初に、漁船の問題でございますが、やはりこれも大きな意味でのスクラップ・アンド・ビルド、特にカツオ・マグロとかああいう近海もの、特に二百海里の時代になっておりますので、いま近海あるいは沿岸漁業というものの再構築ということが、いろいろ漁業界においては非常に大きな課題になっております。こういうときに、やはり現在の耐用年数九年程度、こう私は聞いておりますけれども、こういうもののスクラップ・アンド・ビルドを定期的に行っていくならば、中造工あるいは小船工の皆さんにとっては非常に希望の持てる需要の増大につながるのじゃないか、こう思うわけでございます。
 こういう意味合いにおいて、やはりこういう中小の漁船の船主の方の建造意欲をわかせるために、中造工としては今後こういう誘い水があると相当需要増が望めるのだというようなお考えがございましたら、この際お聞かせいただきたいのであります。
○織田澤参考人 お答えいたします。
 ただいまの漁船についてのお話は、まことに結構な話でございまして、漁船については、従前も大体スクラップ・アンド・ビルド方式が適用されておるはずでございます。ですから、この機会にさらに、二百海里問題もございますので、漁船そのものの数量をふやしていただくような方向で考慮をしていただくということになろうかと思います。スクラップ・アンド・ビルドについては、すでに昔から漁船はそういう方法でやっておりますので、漁船の総量そのものをふやすという方向で考えていただくということでいままでも希望は申し述べておりますけれども、今日ではまだ具体的にこうなるというふうな話には進んでおりません。大体そういう事情でございます。
○薮仲委員 私も、その関係の業界の方何人かとお会いした中では、やはり船主の、先ほどと同じような形での融資の問題、金利負担の問題等が非常に問題になりますと、特に金融筋の本船担保の問題等も出てまいりまして、現実は確かにそのようなサイクルになっていらっしゃるようですが、いざやるかとなりますと、こういう事態ではちゅうちょしておりますというのが現状でございますので、そういう点は具体的な課題として業界でもお取り上げになっていくことでわれわれもまた相呼応できるのじゃないか、こう考えております。
 それからもう一点、中造工の御意見を伺いたいのでございますが、先ほども御指摘ございましたが、官公庁船の発注増、これは非常に大事だという御指摘がございました。
 いま私の手元にございます資料、これはごく簡単な資料でございますが、まあ防衛庁はこれはやむを得ません、過去十年間の実績等もございますので、大手にほとんど行ってしまうことは当然だと思いますが、ただやはり、海上保安庁の巡視艇、警備艇、こういう問題についてでございますけれども、これも過去五年ほどの実績がございますが、三百数億の建造実績を持っております。
 ただここで、私の手元の資料では、残念なことに、中造工あるいは小船工の方へのお仕事が、官公庁船の発注という段階になりますと、五十トン未満の非常に小船艇が中造工の方に行かれて、先ほど百トン前後の船もこうでしたというようなお話もございましたけれども、実際は大手の方へ行ってしまっております。先ほど中造工のお立場は、技術的に中造工では問題があるからというふうなお話がございましたし、まあ中には中造工でもできますよとおっしゃっておる方もいらっしゃることは、これは事実でございますが、ここではなかなか指摘しにくい問題でございましょうけれども、やはり官公庁船の受注等の実績に照らして、じゃ中造工としては、いまのような大手の下請というような体制で今後もいこうとなさるのか、それともやはりみずから研究、努力なさって、みずからの手で建造できます。技術も能力も十分です、中造工が受けて立ちますというようなお考えがおありなのか、それともまだ、現在の体制の中で改善すべき点があるならば、こういうような形で分離するとかあるいはこういうことはどうだろうかというような、直接的に中造工の皆さんのこの官公庁船の将来にわたっての設備の増強の中でとるべきお考え、参考までにお聞かせいただきたいと思います。
○織田澤参考人 漁船の件につきましては、大変ありがたいアドバイスをいただきまして、私ども、帰りましてさらに具体的に実情をよく調べました上で、またいろいろとお願いに上がりたいと存じます。
 それから、保安庁の問題でございますけれども、たまたま今回の保安庁の新造船は型が新しくなります。そういう事情もありまして、短期間に設計が間に合わないということもございます。そういう事情で、今回は大手に設計をお願いいたしまして、大手の監督下で建造するという形になりましたけれども、将来ということになりますと、これは当然私どもで、勉強いたしまして直接に御注文をいただけるようにならなければいけないと考えております。
 しかし、これは受注先の御信用ということもございますので、まず第一にいいものをつくって、保安庁さんから信用してもらうことが先決の条件だと考えております。将来としては、御承認をいただきました上で、われわれのグループでまとめてつくらしていただくということを、心から希望しておるわけでございます。
○薮仲委員 じゃ最後に、中造工と小船工の方の御意見を伺いたいのでございますが、先ほど中造工の織田澤参考人の方から、特定不況産業安定臨時措置法に対する金融面でのこういう点は考慮してほしいという御指摘がございました。はなはだ貴重な御意見でございました。
 さらには、そういう金融面のほかに、さっき造工の方にお伺いしましたけれども、設備の休廃棄というような問題になったときに、あるいはまた中造工の会員の中にはかつてのときに比べて四倍から十倍というような、この造船ブームに乗って急成長した企業がございます。中には堅実に二倍程度の規模の伸びでしかないものもございます。この中造工の抱えておる問題は多種多様でございまして、そういうものが一時に来た場合に、体質的な問題あるいはいろんな問題から簡単にはいきませんよという御意見もあろうかと思うのでございます。
 そういう意味で、この時点でお考えがまとまっていることだけで結構でございますから、金融面以外等で運用についてはこういう点は考慮してほしいという御意見がございましたら、中造工のお立場から、さらには小船工のお立場から、御意見を伺っておきたいと思います。
 以上でございます。
○織田澤参考人 今回の法律に関しましては、詳しいことが現時点ではわからない状況下でございますけれども、先ほどこういうふうなことということで返済の期間と担保の問題を取り上げて申し上げたのでございましたけれども、お答えになりますかどうですか……。
 中造工の場合には船台が一つしかない造船所がたくさんございます。さて、それでは船台を廃止するということを取り上げますと、船台一基の造船所はそのままの姿ではちょっとこれは適用はできない状態でございます。当然こういう船台一基の造船所に対しては、どういう考え方をするかというようなことがこれからの問題でございまして、私どもとしては、まだ結論を出しておりませんけれども、そういうところもやはり救済できるようなといいますか、設備の削減に前向きで持っていけるようなことを考えなければならないのではないかというふうに考えております。
 なお、御質問の件とちょっと離れますけれども、今回のあの法律で、第九条に資金を国が調達する件についての記載がございますが、われわれとしますと、できますれば、今回の法律に沿いまして資金のもう少し有効な運用ができないかというようなことも実は希望しておるわけでございますので、念のために申し上げておきたいと存じます。
○橋本参考人 お答えします。
 小型船舶の方では、御承知のように非常に規模が小そうございますので、われわれ業界ではあの法案についてのまだ打ち合わせも何もやっておりません。
 それから、この前の先生の御質問に対しましてちょっとお答えしますが、神戸の方で小型船の十社ほどが寄りまして、先ほど言うておられましたスクラップ、これをわれわれ業界でやっております。そして運輸省の御好意によりまして助成金もいただいております。神戸港のはしけが買い上げられまして、先ほどの先生がおっしゃられたような払い下げ制度にも通用するのでなかろうかと思いますが、約三万トンのデッド、これははしけでございますから、あくまでもデッドウェートでございますが、三万トン、約百二十隻のはしけを、われわれ業界の者が協同組合をつくりまして払い下げを受けて、現在も解撤事業をやっております。修繕船台の合間を縫うて、アイドル防止の一端としてやらしていただいております。
○薮仲委員 ありがとうございました。
○増岡委員長 草野威君。
○草野委員 本日は、長時間にわたりまして御苦労さまでございます。ただいままで各委員から数々の質問も出ましたし、忌憚のない参考人の御意見も承りました。私の方から、簡単に二、三の点についてお伺いをしたいと思います。
 初めに雇用問題でございますが、日造協の方にお伺いしたいと思います。先ほどのお話によりますと、この下請協力工の本工に対する依存度でございますが、かつて昭和四十九年には四二・五%と、こういうようなお話でございました。統計によりますと、昨年の八月の時点におきますと、これが三六・一%と非常に下がっております。元請が十一万一千百八十一人、下請工が六万二千九百十六人、このような状態まで下請工の数がかなり下がってきておる。
 このような状態の中で、果たしてこのまま推移いたしますと、ことしの夏ごろには、かなりもう大変なというよりも深刻な状態が出てくるということが想像されるわけでございますけれども、皆さんの方では、この夏ごろの見通し、一体どのようにこの下請工の状態を考えておられるのか、予測されておられるのか、そしてまた、その対策についてはどのようなことをお考えになっておるか、こういう点が一つでございます。
 それからもう一点は、過日陳情書をいただきましたが、あの陳情書の中には、いろいろな項目がございました。たとえばSBTの問題だとか洋上備蓄の問題だとかまた解撤事業の問題とかいろいろ重要な内容でございました。これらの陳情の内容で長期的なもの、中期的なもの、いろいろあると思いますけれども、皆さんの方で特に即効的といいますか、効果があるもの、こういうものについてはどういう種類の仕事について最も優先して実現してもらいたい、こういうようなお考えを持っておるか、あわせて伺いたいと思います。
○西山参考人 確かに御指摘のように、ことしの夏になりますと、現存五万数千名でございますが、これまた半減すると思われます。と申しますのは、先ほども申しましたように、各造船所、大手さんも苦しいからいろいろと人員削減計画を持っておられます。当然下請も削減されるだろうということから、実はこの会議に出るために一昨日、正副会長支部長会議を開きましたが、とにかく急いでいわゆるビルド・アンド・スクラップをやってくれ、スクラップ・アンド・ビルドでは遅い、とにかく緊急にいわゆるカンフル注射を打ってもらいたいということでした。われわれとしては、これほどまで急速に下降線をたどると思ってなかったのです。それが昨年の中小造船の倒産以来、どんどんと予想以上に下がってまいりましたので、むろん離職者法案とかいろいろな失業に関する構造不況産業策、これも十分会員を集めまして、その趣旨も納得させて、少しでも転業ができるようなことを考えてはおりますけれども、やはりこれは後ろ向きでございます。
 雇用の問題、地域産業との関係が非常に大きゅうございますので、どうしても船をつくっていただきたい、われわれ自体では何もできないわけですから、どうか造船所の方に国が金を出して船をつくらしていただきたい、そしてその四〇%はわれわれに回していただきたい、これがわれわれの偽らざる声でございます。われわれはあくまで下請でございますので、自分でどうこうというようなことはできません。われわれのできることは、会員の離職者をいかにして転換させるか、あるいは他の職につくような訓練をさせるかというような非常に消極的な問題でございまして、われわれの団体そのものが下請団体でございますから、どうしても元請の方に仕事をやっていただきたい。これが先ほどから申し上げておりますように、緊急に財投をして船をつくらしてくれ、それでわれわれに仕事を与えてくれ、これが私たちのお願いでございます。
○草野委員 ビルド・アンド・スクラップ、カンフル注射を打てというようなお話でございますが、具体的に解撤事業の問題につきまして若干伺いたいと思います。
 昨年は一億四千万という助成金がつきまして、トン当たり六百五十円ですか、こういうことで非常にスクラップ価格が下がっていたために赤字で、その仕事はほとんど進まなかった、そういう中で、本年に入りましてから鉄鋼価格また鉄くず価格が急騰いたしまして状況が変わってまいりましたので、幾分かはそういう事業も進んだのじゃないかと思いますけれども、もしいまお手元にそういうような資料がございましたら、どの程度の事業を消化されたのか、そしてまた、その収支については一体どのような状況であったのか、それからまた皆さんの方でそういう解撤事業をされまして、直接鉄鋼メーカーの方にそういう鉄くずを売却されたのか、また鉄くず業者の方にそういうものを処分されたのか、どういう形態でこういう事業を消化されたのか伺いたいと思います。
○西山参考人 当初計画いたしました二十二万五千トンのうちの約三分の一を消化したのみでございます。なお、スクラップの売却はまだいたしておりません。ですから、最近やっとスクラップも値上がりをしてきましたので、これを売却して何がしかの赤字の補てんにはなると思いますけれども、やはりトン六百円というものは船によって全部違いまして、細かい船をばらすときと大きな船をばらすときとではずいぶん時間も違いますし、それから今後恐らく、スクラップ価格が上昇するということは、買船価格も上がってくるのではないかというような問題もございます。
 ですから、どうしてもスクラップの場合は価格が非常に不安定でございますので、私たちのところへ出入りしているスクラップ業者は小さな業者でもすぐ三千万、四千万現金を持って買いに来るわけでございます。それほど値動きも激しく、資金も要るものでございますから、どうしても買船をする、あるいはそのスクラップをある程度儲備いたしまして安定した価格で製鉄会社へ納入する。これは私の個人的な考えですが、できれば製鉄会社とも協調してやっていかねばいかぬと思います。製鉄会社が安定した価格で資源を回収する何らかの公的な機関、日造協の会長は買船公団をつくってほしいということを申しておりますけれども、そういうことができますかできませんかわかりませんにいたしましても、かなり強力なもの、それも場合によりましては製鉄会社の援助というようなことも考えてもいいのじゃないかと思っております。
○草野委員 ただいま買船公団というお話がちょっと出ましたけれども、買船費それから買船の機関、こういう問題になると思いますけれども、この買船の機関の設置ということは、いろいろむずかしい問題があると思いますけれども、皆さんの方ではどのような形態のものを期待されておられるのか。
 それからもう一つは、この解撤した鉄くずについては鉄鋼メーカーと契約してと、こういうようなお話がございました。しかし、いま日本の鉄くず業界を見てみますと、船舶用の鉄くずを使用するところは高炉メーカーでは余りないのじゃないかと思います。また現在、高炉メーカーには鉄くずが千数百万トンストックされておる、市中くずはほとんど買わない、こういうような状況でございますので、そういう船舶用の鉄鋼を生産されているメーカーには恐らく向かない品物がほとんどじゃないか、そういう問題もございます。
 それから、買船機関をつくった場合、補助金という問題も当然出てくるわけでございますけれども、そういたしますと、今度既存の解体業者との関係も出てくるのじゃないか。さらにまた、こういう構想がこれから実現の方に向かっていきますと、かなりの量、先ほどのお話ですと年間二百万トン、こういうような数字が実際に出てまいりますと、現在、日本でアメリカ等から輸入している鉄くずの数量が昨年度でたしか百四十万トン、本年が百万トン内外、そういう数字を聞いておりますけれども、かなりのウエートを占めてくるわけですね。鉄くず業界に与えるいろんな影響も出てまいりますけれども、こういう点について日本鉄屑工業会とかそういう機関と話し合いをされていらっしゃるのか、こういう問題につきましてお伺いしたいと思います。
○西山参考人 実は、この解撤を始めるときに、鉄くず業者の方々も非常に脅威を感じられたわけでございます。そこで、いろいろと話し合いもいたしましたが、われわれ本来の目的は、労務提供が目的でございまして、何とか雇用を確保したい。実際自分が船を買ったり、スクラップを売ったりというようなことは、商社と違いましてなかなかできません。そういう意味で、とにかく雇用を確保したい、できれば元請にこれをやっていただいて、われわれはそれを使っていただきたいというのが最初の発想でございます。
 現実にやってみますと、やはり先生がおっしゃるようないろんなむずかしい問題が出てきております。特に大量のスクラップ・アンド・ビルドというと、船が廃船になりましても、それを全部解撤することは当然不可能だと思いますので、この辺のことはもう少し勉強してからでないと、今度やってみまして、予算をとっていただいて、それも使い切れずに御迷惑をかけて、まことに申しわけなく思っておりますが、われわれ全く仕事が欲しいばかりに不勉強の点がたくさんあったと思います。
 しかしやってみましたら、これは台湾等のいわゆる低い技術でやるのと違いまして、ある程度の高度の技術でやってスクラップの価格が安定すれば、一つの仕事としてはやっていけるのではないかというふうなことは考えております。
 ただ、解撤技術につきましても、いろいろと日造協あたりで器具等も作成いたしまして、思ったよりもうまくいけるのじゃないかという段階でございますが、御承知のようにわれわれ下請でございますので、なかなか大がかりな実験もできません。現在でもいろいろと親工場の援助のもとに細々とやっているというのが実情でございます。何かいい方法がございましたら教えていただきたい、そういうふうな考えでございます。
○草野委員 ともかく買船機関の設置をという構想でございますので、これは日造協の皆さんだけじゃなくて、造工さんを初め中小の業界の方もひとつ十分に協力し話し合って、いろいろな隘路はあると思いますけれども、その実現の方向に向かって、われわれも努力いたしますので、ぜひともがんばっていただきたいと思います。
 それから、造工さんの方に伺いたいと思いますが、いろいろな問題は出てしまったので、あとは洋上備蓄の問題とSBTの問題でございますけれども、この洋上備蓄につきまして、技術的な問題がいろいろあると思いますが、ともかくいま心配されておることの一つに公害問題、それから安全という問題、こういうことがいろいろと問題になっておるわけでございますが、この点につきましてのお考えをひとつ伺いたいと思います。
 それからもう一つは、SBTの問題でございますが、先月IMCOにおきまして決まったわけでございますが、このSBTまたはCOW、こういうものの改修費の総額は一体どのくらいになるものか、また、その波及効果というものはどの程度あるものか、こういう点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○南参考人 洋上備蓄につきましては、ただいま長崎県上五島におきまして、三菱重工を中心に設置をすべく努力をいたしております。あの方式でまいりますと、私どもは何ら危険がないものと考えておりますが、なお係留につきまして多少の御疑念が御当局にあるやに承っております。その問題を解明いたしますれば、タンク自体には問題がないというふうに考えております。
 それから、SBTの問題でございますが、現在わが国の七万トン以上のタンカーは約百九十隻ございます。これをSBT方式に改造いたしますと、仕事としては約九百億程度に相なります。と同時に、これは国内船だけでございますが、外国船の受注が見込めます。それは恐らく国内船の数倍を見込むことができると考えております。
 先生御承知と思いますが、本年二月に開催されましたIMCOの会議で、四万重量トン以上の既存タンカーに対しまして、COW、すなわち原油洗浄方式と申しますが、このCOW方式をとるか、あるいはSBT方式をとるか、船主の選択によって実施するということが合意されましたので、この問題は実現の第一歩を踏み出したと考えております。既存船についてCOW方式、すなわち原油洗浄方式を採用するケースの方が多いと考えられますけれども、これによっての造船業に対する仕事量としては、国内船並びに外国船合わせて、金額として約一千億程度を予想されております。
○西山参考人 先ほどのスクラップの輸入の件でございますが、昨年は鉄鋼生産が落ちましたので百四十四万トン入っております。それで二百万トンを解撤しまして得られるスクラップが約八十八万トンでございまして、この件については既存の解体船工業会と話し合いが進んでおるそうでございます。
 以上訂正させていただきます。
○草野委員 その数字は伺っておりましたけれども、ただ御存じのように、日本の伸鉄業界というのが非常に低調でございます。工場の数も非常に少なくなっているように伺っておりますので、皆さんの方の試算によりますと、たしか伸鉄材として六〇%を見込んでおるのではないかと思いますが、その計算はちょっともう一回検討された方がよろしいのじゃないかと思いますが、その点だけ申し上げて、以上で終わります。ありがとうございました。
○増岡委員長 米沢隆君。
○米沢委員 きょうは長時間大変御苦労さまです。時間もありませんので簡単に御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、今後の造船業界の問題でありますけれども、五十一年の六月に海造審の答申が出まして、その時点の内容におきましては、昭和五十五年における世界の新造船需要見通しが千二百万総トンから三百万総トン程度と見込まれる、そのうち日本が半分建造すると見て六百五十万総トンだ、こういうような需要の見通しが計算をされておりますが、五十五年以降の需給ギャップが一体どうなっていくのかという、そのことが今後の造船業界の構造改善等をやっていく場合に大変重大な問題ではないかと思います。そこで、五十五年以降の需給見通しをどういうふうに持っておられるのか。
 それから、国際競争力の問題でありますが、御案内のとおり、いままで日本の造船業界は世界の中で羽ばたいてきたわけでありますが、このごろ急激に発展途上国の国際競争力が強くなった、あるいはまた国によっては、国自体がいろいろな補助なり政府が援助することによって日本に負けまいとする努力がなされてくる。もともと造船というのは中進国に一番なじむのではないかという、そんな話まであるやに聞いておりますけれども、そういう意味では、今後の国際競争に本当に打ちかっていけるものなのかどうか、そのあたりの二点を南参考人に聞かしていただきたいと思います。
○南参考人 日本造船工業会で一応需要見通しをいたしました。それによりますと、世界の需要、日本の需要ともに、五十五年以降なだらかな上昇を描いていくであろうというふうな見通しでございますが、なお、この見通しにつきまして、ただいま造船工業会で再度見直しをやっております。大体四月いっぱいぐらいかかりまして見通しの修正をやることにいたしております。
 国際競争力につきましては、御承知のとおりEC造船各国はすべて国家助成を行っております。また第三国の造船所におきましても、相当なる国家助成を行っておりますので、日本の造船所はただいま新造船の受注につきましては何らの助成も受けておりませんので、裸の日本の造船業界はまことに苦しい立場に立って努力しておる次第でございます。
○米沢委員 五十五年以降の需給見通しが大体なだらかに上昇するという御判断のようでありますが、しかし、いま世界の建造能力、日本の建造能力を見たときに目いっぱいですね。逆にそれ以上にふえることは決してあり得ないであろう。そういう意味から設備の廃棄等が問題になっておるわけでありますが、いま海造審等の答申を得て、業界でいまからまた話し合うという、そういう段階にあると聞いておりますけれども、最終的には業界そのものも、簡単におれだけやめるというわけになれませんでしょうから、資金的にも大変大きな問題をはらんでおりますから、そう簡単に進まない。そうなった場合に、いま国会に提案されております法律の指示カルテルという段階まで私は造船業界の場合には進んでいくのではないかと、そう思います。
 その際、業界内部の一つの感覚の問題でありますけれども、指示カルテルまでいって、結局自浄作用、そういう方向に本当にまとまるのかどうか、感覚だけでもいいですからちょっと聞かせてほしいと思います。
○南参考人 これは私個人の見解でございますが、私はその点先生と全く同意見でございます。指示カルテルまで進まなければどうにもならないのではないかという感じがいたしております。
○米沢委員 それから、先ほど米スクラップ・アンド・ビルドの問題がいろいろと論議をされておりますけれども、話を聞いておりまして、スクラップ・アンド・ビルドのビルドの方は欲しいけれども、スクラップについてはみんな横に置いて責任を余り負いたくないという話なんですね。先ほど南参考人の話にありましたように、大きな造船所等は余り仕事になじまない、結果的にはどこかでやれという感じですね。日造協の方も、できればどこかで第三者機関をつくってうまくやってくれたらいい、ビルドは欲しいがスクラップには余り責任を持たないと言う。
 しかし、造船業界のこの不況、やはり本当に厳しい現況から立ち直るためには、そんなことを言わずに、全部がある程度の責任を負いながらやっていくという合意がない限り私は無理だと思います。政府がみんな金を出せばそれは一番いいのでありましょうけれども、そう簡単に何もかもめんどう見ますということにはなり得ないはずです。そうなったときに、スクラップについてはみんなが横に置いてだれかうまいことやろうと言うだけであって、実際の具体策は、口は悪いかもしれませんが、虫がいい話ばっかりだ、こうなって一向進まない。そうなりますと、造船業界のこの不況もいつまでたってもよくならない、こういうことですから、スクラップについて、もう少し徹底的に皆さん方のグループで討議されて、それなりの相応の責任を果たすべきことが本当に必要ではないかという感じがするのです。そういう意味で、ぜひ南さんと西山さんにその点御質問をしたいのであります。
 そういうものに対する御見解と、実際スクラップする船もだれが買うかが問題なんですね。みんな人が買えというわけで、なくなったやつは新しくわれわれがつくりますということですから、そういうことでは物事は進みませんので、スクラップする船をだれが一体買ったらいいのか、皆さんの御意見を聞かせてほしいと思います。
○南参考人 先ほどスクラップにつきまして、大手としてはやや不向きであるということを申し上げたのは解撤の実際の作業を申し上げたのでございまして、スクラップをどこが引き受けてやるかというところまで現在まだ話は詰めてございませんが、当然当該造船所がその処理について大きな責任を持つべきであろうと考えております。
○西山参考人 昨年、いわゆる仕事の確保のために解撤ということを申し上げまして、先生方にお世話願ったわけですが、やはりこれには相当の資力も要りますし、それからまた設備も要ります。設備は、幸い先ほど造船工業会の南副会長さんの方から遊休設備を使ったらどうかという話でございますが、当然スクラップの場合に、私個人でかねて解撤について考えていたことは、その売却の価格の問題でございます。非常に変動が激しいものでございますので、その辺は何らかある程度の資金で儲備をしなければならぬだろうというふうな考え方を持っております。そうしますと、これは私たちだけでもできず、また造船業界としても問題もあるし、この辺のことは関係機関でいわゆるスクラップ・アンド・ビルドということが取り上げられましたら、新しい観点から十分協議をして、また先先方の教えもいただいて真剣に取り組みたい。昨年言い出したときとはちょっと状況が変わっておりますし、扱い量もまたふえております。そこで現実には、解撤協同組合というものは八組合ほどできておりますので、緊急にこの研究はいたしたいと思っております。
○米沢委員 それから、先ほど出ましたSBTとCOWの件ですが、造工会の要望の中にはSBTとCOWが全然書いてないですね。意図して書かれなかったのか、船主協会との関係でいろいろ問題があるというふうに判断されておるのか、あるいはまた、当然そうなるであろうというふうに見越しておられるのか、実際は既存タンカーについては五十六年六月からですから、その一年ぐらい前から仕事が出たとしても五十五年ですね、そういう意味では先の話だから急ぐまいという判断なのか、そのあたり南参考人から聞かしてほしいと思います。
○南参考人 ただいまのSBT及びCOWにつきましては、造船工業会としては一応環境問題としてこれを取り上げました。すなわち不況対策でもございますけれども、先生の仰せのとおり、時期的にかなり先になりますので、環境問題として一応これを取り上げるということで取り上げましたので、不況対策案の中にはこれを記載してございません。
○米沢委員 それから、同じく五十一年の六月の海造審の答申に「特に企業体質の弱い中小造船、造船関連工業、造船下請業は事業転換を図る必要がある。」そういう総論が載っていわるけですね。
 それで、先ほど来話を聞かしていただきますと、小さければ小さいほど逆に造船専業だということでしたが、大手はいろいろな部門を持っておりますから、逆に配転などもスムーズに行く面があります。しかし、専業でありますと、結局やめろという以外にないわけでありまして、そういう意味で大変御苦労なさっていると思うのでありますが、事業転換を図るべきであるという答申を得た後、行政サイドから何か行政指導みたいなものが具体的にあったのかないのか、ちょっと四人の方に聞かしてほしいと思います。
○織田澤参考人 特別に決まった行政指導は受けておりません。
○橋本参考人 小船工の方もそういう御指導はいただいておりませんが、先ほどの関連でちょっと申し上げさしてもらいます。
 われわれ実際にスクラップをやらしていただいておりますので、われわれの業界では何万トンの船でもやれますとは、大きいことは私、よう言いませんが、われわれ業界で五千トンぐらいまでのスクラップは十分やらしていただける。現在スクラップを、先ほど御質問がございましたが、製鋼メーカーに直接売っておりません。間の業者に渡しております。その方が輸送等の関係がスムーズに行きます。そして現在トン当たり一万八千円で売りまして、この間のでこぼこをなくすために六月までの契約をいたしております。そしてわれわれ神戸の方では、この解体費を実際にやる皆さん方にはトン九千円でやってもらっておりますので、何とかアイドル防止にはなるのでございますが、結局クレーンとかドック料まで計算しますと赤字になるのでございますが、アイドル防止の一端には十分なります。そしてそのために、グロストン六百五十円の補助金をいただいておりますので、われわれ業界にもしやらしていただけるならば、小船工挙げてスクラップを不況対策としてやってみたい、私はかように考えております。
 というのは、場所を持っております。小といえどもドックを持っております。クレーンがありますし、設備全部そのまま応用できますので、われわれ五万トンでも十万トンでも解体いたします。そういう大きなことは言いませんが、五千トンから優に一万トンくらいまでの船は小船工メンバーで十分やれますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○西山参考人 私の方は実は、昨年の運輸委員会で転換業種としてスクラップを認めていただき、解撤作業を認めていただきまして御指導いただいたわけでございますが、スクラップの急激な価格暴落によりまして御迷惑をかけたわけですけれども、いま橋本さんのお話も伺いまして、私どももよく勉強しまして、御指導どおりにひとつ目的に向かって進みたいと思っております。
○米沢委員 最後に、会社更生法との関連の話をちょっと聞かしてほしいのであります。
 日造協の要請の中に「会社更生法の更生計画等に基づくたな上げ債権について特別の融資措置の実施」というのがあります。この御説明の文書を読ましていただきますと、なるほど大変だという感じがするのであります。
 この会社更生法については、いろいろ異論がありまして、たとえば不況で倒産をする、倒産した結果、更生法にお世話になる。その結果、債務たな上げ、金利たな上げで結果的には逆に企業体質を強くする、だから、ぎりぎりの段階でいま生き延びている連中との競争力においては、逆に会社更生法にかかった方が得だという、逆に力があると言う者がありまして、特に繊維産業なんかでよく見られるのでありますが、実際会社更生法にかかるぐらいだから、助けてくださいと言って仕事は持っていく、ダンピングはやる、それで結果的には、ぎりぎりでいま生きている連中の方が逆に損をして一、二の三でまたつぶれてしまう。お互いに会社更生法を適用して良識的な活動をされるならばいざ知らず、それを理由にダンピング攻勢に出たり、助けてくださいという議論があって、同種類の業界にとっては逆に足を引っ張られて、また新しい更生会社をつくる、話によっては、もう逆にいまのうちに会社更生法の適用を受けてうまくやりたい、そしてまた、そういう申請をされるところも実際あるんですね。
 そういう話を聞くたびに、何か矛盾を感ずるのでありますけれども、造船業界の中で、現に更生法を受けられて実際迷惑を受けておるというような例があるのかないのか、織田澤さん、橋本さん、西山さんに聞かせていただいて質問を終わりたいと思います。
○織田澤参考人 お答えいたします。
 会社更生法を申請いたしましてこの手続をとった会社がいま現在大部分でございますけれども、お話しのように、そのあおりを食って、逆に言うと、支払いがとまりましたりいろいろして被害を受けているという苦情はずいぶん来ております。できるならば、会社更生法の適用をもっと慎重に決めていただけないか、少なくとも関連事業がそれによって倒産に追い込まれたり、経営が困難になるような状態にならぬ姿で運用してもらわなければ困るという意見が再々ございまして、要路のところへも、そういう旨の善処についてお願いに上がったこともございます。
 ただし、一言申し上げたいのでございますが、造船の場合は普通の製鉄あるいはその他不特定顧客を相手にする企業と違いまして、注文を受けて仕事をいたしますので、取引の関係というのは基本的に相互の信用状態に基づいております。したがいまして、会社更生法の適用を受けるという事態そのものが、企業に対して極端に信用を失うという姿でありますので、注文をします船主サイドから見ますと、危なくて注文ができないという心配が非常にあります。したがいまして、会社更生法の適用を受けまして、現在その実施をしておる造船所の中でも、現実には注文がとれないで困っておる。逆に結局、受注がありませんと計画が立ちませんから、再建計画が立たないということで、更生法の適用は結果的にはまとまらないで終わったという例もございます。
 そこら辺が問題でございまして、造船の場合には必ずしも会社更生法を受けることが有利だということは私はないと思います。造船の場合むしろ会社更生法に追い込まれることがかえっていけないのだ、そうなったら注文がとれないぞということが偽りのない実情だと思います。
○橋本参考人 お答えします。
 これは現実の問題でございますので、どこともだれとも申し上げませんが、会社更生法による被害で非常に困っておる問題がございます。御承知のように、まだ更生開始になっておりません会社でございますが、それが保全管理人と言われるそうですが、この管理人さんたるや絶大なる権限を持っておられて、自分のところの払うものは一切払わない、押さえるものは全部押さえる、これはむちゃくちゃな法律でございます。たとえばある商社でそういう問題が起きまして、商社でございますから売りと買いが発生しておる、売りの方は全部ゼロだ、不渡りだ、買いの方の支払い手形、これにこれだけの担保を押さえる、こういうことで因っておる問題がございます。もしなんでしたら、別の会合の席で具体的なことを報告させていただきます。
 そういう面では更生法の管理人さんといいますか、管財人さんといいますか、これは恐らくいまの裁判長でもこれほどきつい方はなかろうと思います。
 報告を終わります。
○西山参考人 先ほども申し上げましたけれども、これほど悪法はないと思います。私は最近の会社更生法適用申請は合法的な詐欺だと思っております。かわいげがないやり方でございますね。
 私どもの例を言いますと、日造協の会員で昨年倒産によるいわゆる債権たな上げになった相手先が十七造船所ございます。その被害が現在表に出ているのが三十九億五千万、約四十億でございますが、実質はもっとございます。ところが、いまどこどこで不渡りを受けたといううわさが立ちますと、ものすごく信用がございませんので、たちまち取引の停止になります。また、それを言ってもだれも助けてくれませんから、いろいろと銀行と話しまして、それを長期借入金に転換したりして伏せているというのが大部分でございます。そこで、このうち更生法の手続を行ったのが十一造船所、六五%でございまして、被害の下請企業が七十七社、約百社被害を受けましたうちの七七%でございます。それから見まして、会社更生法ともう一つ和議申請とございますが、どちらも同じでございますが、特に松山地方裁判所今治支部へは五つぐらい適用の申請が出ておりますので、そういった鑑定人とかあるいは管財人とかいうものが非常におくれております。全くおっしゃるとおり、おれもあれをやりたいなと冗談に言うような人もかなりおりますけれども、これは行政ではどうもできませんので、やはり法律をつくっていただく先生方の手で一遍、この会社更生法というものがこんなに乱用されてもいいのだろうかという点は、ひとつ十分御検討願いたいと思います。私は地上最大の悪法だと思っております。
○米沢委員 ありがとうございました。
○増岡委員長 河村勝君。
○河村委員 どうも長い時間御苦労さまです。
 私どもも、いまの造船不況を乗り切るためには、一方で当然設備廃棄その他の構造改善を進めていかなければなりませんけれども、その間三年くらいのつなぎの需要創出をやらないことには、とてもやっていけないということをよく承知しておりますから、きょうこうして皆様方にお話を伺っているのも、これから緊急に何か対策を講じていかなければならない、そのための御意見を伺っているわけであります。
 そこで第一番目に、先ほどから話の出ております四百五十万トンの需要の創出をしてほしいという話でございますが、時期的な問題が一番大きいと思いますが、先ほどから六月ないし七月が危機であるという話でありますが、この輸出船の二百五十万トンは別として、あとのスクラップ・アンド・ビルドにいたしましても、特に官公庁の場合は予算を必要といたしますので、そのために手を打つべき時期はいつが一体ぎりぎりであるかというのを見当つけませんと、補正予算を考えるのにも、そのための臨時国会を持つのにも非常に重大な影響があるわけです。大体六、七月というようなお話がございましたが、ぎりぎりのところ、一体何月ごろまでにこの需要創出についての計画というものができ上がればよろしいのか、その辺の感じを、どなたからでもよろしいですから伺わせていただきたい。
○織田澤参考人 大変ありがたい質問をいただきましてなんでございますが、現実には、先ほど申し上げましたように、ことしの秋口にはもう仕事の絶える造船所がたくさんありまして、スクラップ・アンド・ビルドを例にとりますと、とても間に合わないと思います。一番間に合うとすれば保安庁の船ではないかと思います。これは設計その他は現在できておりますので、予算が決まって方針さえ決まれば、すぐにでも発注の手続がとれるということで、緊急に間に合わせていただくとすれば保安庁の船を、現在の分をもっと増枠していただく、あるいは繰り上げ発注をしていただくということがお願いできれば一番即効になると思います。
 いまいろいろ希望を申し上げております中で、当面すぐにということになりますと、具体的には保安庁の船くらいではないかと考えておりますけれども、他の関係の方もございますので……。
○橋本参考人 小船工としてお答えいたします。
 小船工の方は本年六月にはぜひ船の御発注がいただきたい。そのためには、いま中型の織田澤会長がおっしゃられたように、巡視艇が一番早いだろうと思います。あらゆる業界とすり合わせとかそういう問題がございませんので、もしできれば政府で補正予算を組んでいただいて巡視艇を、二百海里もございますので、油のフェンスを張ったように百隻でも二百隻でも即刻御発注いただきたい、かように考えますので、どうぞよろしくお願いします。
○河村委員 六月補正予算というのは、これは事実上ちょっとむずかしいわけですね。問題は、後でこの中身のことはお尋ねしたいと思っておりますが、こういうものは、具体的に予算がつかなくても事実上決定すれば、それで緊急的な措置がとられるというようなこともあるだろうと思うのです。だから、大体計画というものが確実なものになりさえすれば、本決まりになるまでの間は金融でつなげるというふうに考えてよろしいのかどうか。
○織田澤参考人 大変むずかしい問題でございまして、特に官公庁に関する仕事につきましては、正式契約ができます以前に着工してはならぬことになっております。ただし、資材の購入その他業者の自己の責任でやる分については、検査の問題だけを除きまして、いいということではございませんけれども、特別な制約がないかと思いますので、その辺のところは大変デリケートでございますけれども、正式にはやはり着工はできません。
○河村委員 先ほど南さんの方から発言があったわけですが、四百五十万トンということですが、輸出は自分で努力をすることでしょうが、このスクラップ・アンド・ビルド百五十万トン、官公庁の特需で五十万トン、合計四百五十万トン、これで当面つないでいこうというのは、これは造船工業会だけではなくて、各業界の統一した合意があってこの四百五十万トンというものができ上がっておるのですか、その辺はいかがでございますか。
○南参考人 別に特に合意があってというわけではございませんが、現在期待し得るものはその程度しかない、こういうことでございます。
○河村委員 そうすると、業界の統一要求としてこれだけあれば何とかつないでいける、そういう意味での共通の理解、そうしたものはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○南参考人 特にございません。
○河村委員 そうすると、一番問題の織田澤さんの方では、これではとても足らぬということかもしれないわけですね。
○織田澤参考人 実現の可能な数字ということで六百万トンをスクラップにして四百五十万トン、年当たり百五十万トンという数字が造工の方で検討の結果出てきた数字でございまして、私どもとしては、多々ますます弁ずでございますけれども、現実にその程度しか合理化できないとすれば、やはりその線でまとめていくことがわれわれとしては最大の問題である、欲に切りはございませんけれども、造工の考え方に基本的には大分同意いたしております。
○河村委員 運輸省の予測では、五十三年度は大体六百五十万トンは何とかなるであろう、現在大体二百六十万トンくらいは工事量として確保しておるから、あと三十万トンくらいずつは業界で仕事を見つけてくるであろうから、大体六百五十万トンはいけるのだというような予測をしているようでありますが、業界としてはとてもとてもそんなわけにはまいらぬ、こういう手当てをしてもらっても四百五十万トンくらいしかいかないのだ、こういうことなんでしょうか。
○南参考人 業界といたしましても、従来は運輸省の見通しを考えておりまして、そこへ努力をすべきであるというふうに解釈しておりました。しかし、最近の円高というのは異常な状況になりまして、この状況ではとてもそこまではむずかしいのではないのか。現在の円高の状況をながめておりますと、まず相当努力をいたしましても、月間平均二十万総トン程度ではないかということで、ほぼ二百五十万トンということに解釈をいたしております。
○河村委員 そうすると、運輸省はどうも輸出船を五百万トンくらい考えているようですが、これはとてもだめだということでありそうですね。これはきょうはお役所に聞くのはやめておきましょう。
 そこで、大体この四百五十万トンという前提に立って、先ほど南さんのお話では、これだけ実現をすれば大手では操業度で大体六〇%くらい、中手の場合には専業が大部分であるから、四〇%から四五%くらいの設備廃棄を前提として六〇%から六五%くらいの操業度になる、こういうような御説明であったのですが、ちょっとこれはあんまり違い過ぎてわれわれにはよくわからないのですが、その御説明の中身はそういうことなんでございますか。
○南参考人 私が申し上げましたのは、大手は六〇%ないし六五%の制限をする、ですから、三五%ないし四〇%の操業度ということでございます。
 なお、中手並びに小手につきましては、とうていその操業度では困難でございますので、一応五五%程度の操業度、すなわち設備廃棄として四五%程度というふうな数字が一般的な考え方でございます。しかしまだ、これで完全なコンセンサスができておるというたぐいのものではございません。
○河村委員 そうしますと、大手の場合には、浩船部門だけで言えば三五%から四五%の操業度にしかならないけれども、ほかが大きいからとにかくこれでも何とかやっていける。中手以下の場合には、これだけの手当てをしても、どうしても四〇%から四五%ぐらいの設備廃棄をしなければ、何とかぎりぎりやっていけるというラインの六〇ないし六五%の操業度には到達をしない、こういうことなんですね。
○織田澤参考人 中造工の会員の場合には、先ほども申し上げましたけれども、勧告が大体七〇%でございまして、あの時点でも一般の業者は七〇がもうぎりぎりだという意見が強いのでございます。しかし、今日の実勢から見ますと、七〇という数字でとてもそれだけの需要は賄えそうもありません。やむを得ずやはり六〇%から六五%ぐらいで何とか食っていくことを考えなければならないのじゃないかというのが私の申し上げた線でありまして、これも会員全体のコンセンサスを得た数字ではございません。
○橋本参考人 ついほかの大手さん、中造工さんの問題取り紛れまして、本筋を忘れかけておりましたが、われわれ小型の方では、SB方式で要望申し上げましたように、内航船のSB方式、これも本年度四十二隻、この数字は多少資料が不足しておりますので、間違っておりましたら御勘弁いただきたいと思いますが、いま内航総連の方の建造認可がまだいただけてないそうでございますが、これがもう大体つくらせていただける船の数だそうでございますので、できるだけ早く内航総連の方の御認可をいただき、そして運輸省のお許しをいただいて、早く着工させていただくようにぜひお願いいたします。
○河村委員 これは四百五十万トンとは別枠に内航船の在来のSB方式、船舶整備公団で扱う分でございますね。
○橋本参考人 そうでございます。四百五十万トンと全然別個でございます。どうぞこの点よろしくお願いします。
○河村委員 そうしますと、いま操業度についてお伺いをいたしましたが、四〇%、四五%の設備廃棄をしなければならないということになりますと、この四百五十万トンを仮に確保いたしましても、現在よりもさらに従業員の離職者はこれから先当然発生をしてくる、そう考えなければなりませんね。そうすると、これは中手の場合で言いますと、どのぐらいの数になるのでしょうか。
○織田澤参考人 私どもの業界だけで申しますと、先ほど申し上げましたように四万九千人の現有でございます。これは五十一年の六月でございますから、あの時点から今日さらに減るという数字は、いまの六五%で勘定いたしましても、概略三〇%ぐらい減るのじゃないかと思います。しかとした数字は算定いたしておりませんので、後日細かく計算いたしまして、改めて御報告申し上げたいと存じます。
○河村委員 時間がなくなったようですから終わりたいと思いますが、先ほど米沢君の質問で、特定不況産業安定臨時措置法を適用した場合に、指示カルテルまでいかなければならないであろうという南さんの御意見がありましたが、指示カルテルをつくりましても、アウトサイダー規制が今度出てきている法案にはないわけですね。ですから、アウトサイダーが出てきますと、設備廃案をやろうとしても、反対者があると崩れるという関係になっております。いま中手が主体と考えていいと思いますが、中手の場合に、アウトサイダーに立ってしまって、とても話には応じまいというような企業がありそうですか、なさそうですか。
○織田澤参考人 現時点で、全会員の意見を伺っておりませんので、そういう希望者がないとははっきり申し上げられませんけれども、基本的には今回の指示カルテルに従わざるを得ない趨勢ではないかと考えております。
○河村委員 西山さんに一つだけ伺いますが、さっき雇用調整給付金との関係で、雇用調整給付金をもらってそのまま離職すると、失業給付との関係で何か問題があるというお話をちょっとされましたが、そんなはずはないので、雇用調整給付金でまず企業内で一年抱えて、それからあと三年ぐらい離職者対策とそれから失業給付でつないで、その間に立て直しをやっていこうというのがわれわれの構想なので、もしそれが相互に矛盾するとなったら、全然われわれの考えたのとは違うのです。そういうことはないはずですが、本当にそんなことがあるのですか、ちょっとそれだけ、あったら伺っておきたいと思います。
○西山参考人 実は私どもの方では、最近やっと雇用調整給付金を使い出したわけでございます。ただ造船業では、四十年以前はかなり仕事が忙しいときとひまなときとの乱高下がございまして、忙しいときの数カ月間の平均でもらうわけでございますね、その辺のことを受給者の方が恐れるわけなんで、金額的にそういった点で恐れるわけでございます。
○河村委員 わかりました。終わります。
○増岡委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 参考人の皆さん、大変長時間にわたって御苦労さまでございます。各委員の方からそれぞれ御質疑がございまして、私、できるだけ重複を避けまして二、三お伺いをいたしたいというふうに思っております。
 いままでのお話を聞いておりますと、つまるところが、この深刻な不況のもとでどう仕事を確保していくか、そしてまた当面する倒産防止という観点からもどのような対策をとっていかなければならないか、大きく分けましてこのように承ったわけでございます。
 御承知のとおり、中小造船の倒産がここのところ一段と相次いでおりますけれども、造船所が倒産をするということは、経営者はもちろんのことでございますけれども、お話の中にも出ておりますように、労働者や下請など雇用面での影響とか、また地域社会への影響の大きさという点から考えまして、倒産防止対策をいかにとっていくかということが当面の緊急の課題ではないだろうか、私はこのように考えております。
    〔委員長退席、石井委員長代理着席〕
 そのためには、いろいろと総合的な対策が必要でございますけれども、特に私が現地に調査にも入りまして二、三お話をずっと伺ってまいりましたところによりますと、現在手持ちの仕事は持っている、しかし、仕事を続けているのですけれども倒産に追い込まれる、この直接のきっかけとなっているその一つに、先ほど来のお話のような資金繰りの悪化ということかあるのではないか。この点については、いままで海運業の取引先の倒産の問題だとか、あるいはまた債権の回収が不能であるとか、いろいろな事情がございますけれども、ともかくこの資金繰りがつかない、これが一つの大きな理由になっているということを、私は調査の結果痛感をいたしてまいったわけでございます。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、現在、建造船の代金の支払い条件というものが非常に窮屈というか、悪化していると聞いておりますけれども、これは従来に比べてどのような決済条件になっておりますのか、そしてまた、その結果が経営上どのような影響を与えているのか、この点につきまして中造工の方にお伺いをいたしたいというふうに思います。
○織田澤参考人 お話しのとおりでございまして、倒産の最大の理由は資金ラックでございます。
 代金の支払い条件について申し上げますと、輸出船につきましては、原則で大体三〇%、竣工まで七〇%、七年延べ払いという形が原則としてとられておりまして、そのバランスで金が入ってまいります。ただし、契約時の入金は最近では五%というのが大部分でございます。これはできれば一〇%くらいに持っていきたいのですけれども、現状ではそういうことができないで五%というのが大部分でございます。
 それから、国内船その他につきましては、個々に状況が違いまして、契約条件がフリーでございますので、どの程度に支払い条件が悪くなったという具体的な数字は統計としてはとっておりませんのでわかりませんが、少なくとも好況のときに比べますと極端に支払いは悪くなっていると思います。それがやはり運転資金の手詰まりに大きく影響してきておることは紛れもない事実であります。
 それで、先ほどもお願いの際に申し上げたのですが、まず第一に、例の倒産防止救済法の資金の枠を千二百万というようなことではなくて、二億とか三億とかいう大きなけたのものに何とかひとつ増強をしていただきたいということと、それから、これは倒産に直接つながる問題でございますけれども、間接的にはいま中小は資金が非常に詰まっております。それで、何とか中小に運転資金を貸していただく、そういう組織を何とか考えていただけないだろうかということがございます。
 先ほどもお話がございましたので申し上げるまでもありませんが、大体工場財団その他をつくって協調融資で金を借りるのが原則でございますけれども、すべて第一担保を取ります。第一担保を取りませんとお金を借してくれません。したがいまして、中小の造船所というのは、原則的にはもう銀行さんに全部担保を押さえられておって、それ以外の金融は、第二担保以下の悪条件でなければ借りられないというのが実態でございます。
○小林(政)委員 私は、特に資金手当ての問題というのが一つの最大の問題だろうというふうにいろいろとお話を伺ってまいったわけでございますけれども、ただいま運転資金の問題等について強い御要望がございましたが、特にその中で、中小造船の場合に、資材を購入いたしますに当たって、これは舶用工業さんとのかかわりがあるのかもしれませんけれども、現金決済を要求される、これはやはり同じように舶用工業さんの方でも、いま深刻な不況のもとで苦しんでいるのですが、当然これは、ある条件のもとでは資材の購入は現金決済、そういうことになるのだろうというふうなことが私も想定されるわけでございますけれども、そういう場合、いろいろなかかわりが出てまいりまして、そのために実際に完成間近の船が、その部品がキャッシュでなければ入手できない、こういった事態なども起こりまして、結局船を納めることができないという例もございましたし、保証基金制度、こういった措置というものは、やはり運転資金と同じような性格を持つのだろうと思いますけれども、こういうものが当然ここでは必要になってくるのではないか、私はこのように考えております。この点について皆さんのお考えをひとつお伺いいたしたいということと、それから設備投資などの負担が、最近の受注の減少の中で固定費の負担が非常に増加してきている中で、これに対して、借りた金の返済猶予というような要求も出ております。これらの現状について、皆さんは国に具体的にどのような措置を望んでいらっしゃるのか、この点についてそれぞれお伺いをいたしたいというふうに思います。
○織田澤参考人 私から最初に申し上げます。
 ただいまの支払いの現金問題でございますけれども、これは従来の取引ではほとんど手形でお願いをいたしておるのが実情でございます。昨今、こういう非常に造船不況ということが新聞紙上等で喧伝をされまして、メーカー筋は、中小の造船所は支払いが危ないのじゃないかというようなことが喧伝をされまして、そのために支払いを危惧する向きがかなり出ております。
    〔石井委員長代理退席、委員長着席〕
出ておりますが、これは個々の造船所によって違いますので、何でも現金でなければ売らないよという極端なことまでは言っておらないだろうと私は信じております。後ほど舶用工の方からお話があるだろうと思いますが、しかし、そういう不安があることは事実でございます。
 それから、お話の関連しました信用不安ということは、いま申し上げたようなことでございます。
 それから、設備問題に対しては格段に御返事を申し上げる状態ではなかろうかと思うのでございますけれども、もう少し具体的な御質問があれば御返答を申し上げたいと思います。
○小曽根参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの手形の問題でございますが、われわれも同様にそれを感じておるわけでございます。
 それで、ただいまもお話のありましたような現金払いはもちろん望むところでございますけれども、われわれももうずいぶん長く会社で関係しておりますが、ほとんど現金払いというものは戦後はお目にかかったことございません。大抵手形で、しかも相当長い手形をいただいておるので非常に困っておるようなわけでございます。そういう意味合いにおきまして、われわれといたしましても、それを現金でなければ納めませんとかなんとかということも言いたいのですけれども、長年のおつき合いもあり、また、われわれの舶用工というものは、造船所さんの方から御注文をいただいて初めてそこで仕事になるわけでございまして、そうきついことも言えませんし、どうかよろしくお願いしますと言って、値段もできるだけ赤字にならないようにひとつお願いしますというお願いを申し上げて御注文をいただいておるという弱い業種ばかりでございますので、その点、舶用工といたしましては、しかも、その業種が非常に多いので、ちょっと細かく言いますと四十近くもございまして、それを七部分化といいますか、できるだけ集めまして、そういうふうにつくっておるわけでございまして、いろいろの業種がございますので、個々にどういうふうだということを的確に申し上げることは、ちょっとむずかしいと思いますけれども、大体私どもの関連しておりますディーゼルエンジンとかなんとかという点でも、そういうことは最近ではもうほとんどなれっこになって、値段は相当たたかれて困っておる次第でございます。
 したがいまして、銀行からもよくおしかりを受けまして、例の救済の限度も、さっきお話ございましたが、千二百万円というものは、もっともっとこれを拡大していただきたいということを希望しておる次第でございます。大体そういうところでございます。
○小林(政)委員 これは私、具体的な事実でございますので、日本舶用工業会の会員の方であるかどうかは存じませんけれども、事実倒産をいたしました船会社から直接聞いてまいったものでございますから、後ほどまた、それらの点については政府との間で詰めてまいりたい、このように考えております。
 時間がなくなってまいりましたが、先ほど来のお話の中でも、新規需要がある程度回復するには五年ないし六年程度の期間が必要であろう、そしてその間、経営基盤の弱い中小造船はこのままでは持ちこたえられるのかどうなのかということが、非常に大きな社会的、地域的な問題にも広がっております。そして、このような経営を維持していく場合に、やはり経営者の本当に経営を維持していくという強い意欲と申しますか、こういうものが何と言っても一番大事な問題であろう。意欲だけでこれはできるものではございませんので、先ほど来から官公庁船の代がえ建造の促進とかあるいは公共聖業の分離発注の問題だとか国内船への手だてなど、いろいろやはり総合的な仕事を確保していくという問題が非常に重要になってきているというこの点は私もよくわかりました。当然のことだと思っております。
 そこで私、一つだけお伺いをいたしたいと思いますが、最近大手造船が、従来中小造船の分野であった小型船の方にも、仕事がなくなってくるというようなことで、どうしてもその進出の傾向が強まってくる、こういった事態が起こっておりますけれども、これに対して行政指導等で具体的にどのようなことをしてもらいたいと望んでいらっしゃるのか、この点についてそれぞれお伺いをいたしたいというふうに考えております。
○南参考人 先生のおっしゃるとおり、大手造船所が、従来は中小の造船所がやっておりました船型に進出いたしまして、これを受注しているというのが現状でございます。これも御承知のとおり、大手にはやはり中小の船台がございまして、たとえば個々の例を挙げて恐縮でございますが、三菱重工にも下関造船所という、言うなれば中手あるいは中小の部類に属する工場もございます。したがいまして、本来ならそこでやるべき仕事がもっと大きな、先ほどの先生のお言葉ですと、百万トンドックの中で建造されておるという実情にはなっておるわけでございますが、これをお役所の方針として一つの生産分野をつくっていくということは、私は非常にむずかしい仕事ではないかというふうに考えております。
○織田澤参考人 お答えいたします前に、先ほどの御質問の中の固定費の問題をお答えし忘れましたので失礼いたしました。
 造船における固定費のバランスと申しますか、これはやはり設備をたくさんやったところは当然高くなります。それで私どもの中小では、そう他の業種に比べて特に多いという実情ではございません。これは申し上げておきます。
 それから、ただいまの件でございますが、今回の造船不況が始まりました直後に運輸省から、大手の造船所を含めまして、同一船台で同時に一隻半以上つくってはならぬというような行政の御指導がございまして、そのために大手の生産力は相当ブレーキがかかりまして今日に来ております。しかし今日の状態では、その程度ではとても大手とのバランスがとれるという状態ではございません。したがって、何らかの行政指導で片づくことができるだろうかという問題がありますけれども、私どもとしては、いまの段階では、私どもから特にこういうことをやっていただいてはどうだろうかという具体的な名案がございませんので、抽象的なお願いは申し上げておりますけれども、特別に具体的なお願いは申し上げておりません。実情はそういう実情でございます。
○橋本参考人 分野の調整についてお答えいたします。
 お答えになるかどうかわかりませんが、多少、分野といいますか、交通区分が乱れておるようにも聞きます。しかし、今日の日本の大中小の造船のある姿は、先生も御承知であろうと思いますが、われわれ特に小型船造船所は、二十年あるいは二十五年になるかもわかりませんが、それまでは木造船業者でございました。その木造船業者を五百トンまでの鋼船がつくれるように指導育成していただいたのは、運輸省の御指導もありましたけれども、大中の造船所の皆さん方が今日の小型造船を御指導いただいたのでございますので、多少の乱れはありましても、われわれとして公の席でその点、御恩になった皆さん方でございますので、ちょっと言いにくいのですが、われわれが今日あるのは全部大手造船さん、中手の造船所の皆さん方の手にとるような技術の御指導をいただいて今日の小型造船があるのでございます。
 お答えになったかどうかわかりませんが、そういうことでございます。
○小林(政)委員 日造協の方にお伺いをいたしたいと思います。
 造船受注が非常に激減をしているという中で、各造船関係の船価競争というものが非常に広がっている、こういうことを私どもも耳にいたしているわけでございますけれども、そういった船価競争の結果というものが関連下請の単価などに具体的にどのような形であらわれてきているのか、こういう点を御自身の経験からでも結構でございますけれども、お伺いをいたしたいということ。
 それから、時間がございませんので、日造協の皆さんは船舶買い取り機関の設置というものを大変熱心に御要望されているやにお伺いをいたしておりますけれども、この点についても、具体的な今後の構想とか、あるいは計画とか展望とか、そういったようなものなどももし御検討されたことがございますれば、どの程度のことをお考えになっていらっしゃるのか、その点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 それから、いよいよ時間がございませんので、もう一点だけ。これは中小の関係の方にお伺いいたしますけれども、何と言っても造船所で働いております労働者の雇用を守るということは、社会的に要請されている非常に重大な課題であるというふうに考えております。経営者として解雇というようなことをできるだけ避けながら、万全の努力を傾けてやられるということは当然のことでございますけれども、特に離職者対策臨時措置法の適用の場合、失業を防止して離職者の再就職を促進するためのこれは法律でございますけれども、これを適用する場合にどこに障害が出てくるのかという点が、どうも私どもよくわからないのでございます。そこで、これらの障害について、どういうところに障害があるのかという点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
○西山参考人 確かに非常に船価の競争が激しいということは承っております。ところが、この船価というものがほとんど運賃で決められるわけです。運賃を基準にされた船価であって、コスト船価ではないという専門家のお話でございます。現在、世界の運賃市場が非常に落ち込んでおりますので、それに見合った船価を造船所が押しつけられる、そこで当然、造船所は恐らく出血して受注しているのではないかと私は思っております。そうすると、私どもの方へも当然それは来るわけでございます。
 それで、こういうことを言っていいかどうかわかりませんが、四当三落というような言葉もあるそうでございますけれども、当然下請単価の切り下げということは出てくると思います。これは造船所も私どもの立場も同じでございまして、従業員を維持するためには、出血してでも出さなくちゃならぬというような点では同じだと思います。
 ただ、われわれの場合には、いわゆる工賃だけでございますから、企業の経営者がある程度かぶれば済む問題ですが、造船所の場合は、資材まで買っていかなければならぬものですから、そういう点を考えますと、造船所の言うことも無理ないなとわれわれは思っております。
 結局、私ども今度、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドあるいはビルド・アンド・スクラップで国が財政投融資をして船倉を埋めてくれれば船価も持ち直すのではないかというようなことで、こういうふうな要求を出したわけでございます。
 それから、解撤の件でございますけれども、先ほどから申し上げておるように、雇用の問題あるいは資源エネルギーの問題等々いろいろ解撤というものはメリットはあるわけでございますけれども、スクラップというものは非常に変動性の激しいものでございます。そのために、われわれとしてこれに取り組んだのでございますけれども、いわゆる買船等の問題は、やはり台湾等いろいろなところでも買船をやっておりますので、非常に専門的な知識も要りますし、また膨大な資金も要るわけでございます。われわれがやっているスクラップ・アンド・ビルドの問題で、船主が船を払い下げた場合には、その差額を国が負担していただいてわれわれに払い下げていただく、そして、それを一定期間われわれとしてはそのスクラップを解撤しました場合には儲備して価格の変動の損失のないようにやっていただくような機関が欲しい。これは余りにも膨大な資金を要しますので、われわれの資金力ではとてもできないことではないか、何か便法を考えていただきたいというのが日造協の願いでございます。
○織田澤参考人 ただいまの臨時措置法その他の実施に当たりまして、特にここが不部合だというような情報を会員の皆さんから具体的に受けておりません。ですから、これは実際倒産した造船所が一番切実に問題にぶつかっておると思うのでございますけれども、必要があればその点だけについて調べまして御返事を申し上げたいと思います。
○小林(政)委員 もう一問だけ、いよいよ時間がなくなってまいりましたけれども、これは日造工の方にお伺いをいたしたいと思います。
 造船業界の設備の休廃止ということがいま大きな問題になっておりますけれども、これについては、大手造船の場合は陸上部門への伸びが大変最近顕著に増加をいたしているわけでございますし、陸上部門と船の部門の比率というものを私も調べてみましたところが、陸上への努力といいますか、そういうこともあって、非常に比重が伸びているわけでございます。しかも大型タンカーが船腹過剰というようなことも大きく打ち出されておりますし、この場合に、やはり大手の場合は陸上に相当数の力を持っておりますので、これにいろいろな転換をある程度していっても、食べていく、つなぎをしていく体力というものは十分あると思いますけれども、小型の場合は、先ほど来伺っておりましても、ほとんど専業であるというようなお話でもございますので、これらの問題について、具体的に総合産業とも言われております大手が設備休廃止の上でも大きくやはり比重を占めていくべきではないだろうか、このように私は考えておりますけれども、この点について一点お伺いをして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
○南参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。やはり日本全部で大手の占める割合が七〇%でございます。したがいまして、大手が大きく設備を削減することによりまして全体の設備が縮小いたしますので、当然大手の縮小比率は大きくあってしかるべきと考えております。
 なお、恐れ入りますが、先ほど申し上げました五十三年度の四百五十万総トンという点につきまして、少し訂正をさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたとおり、大体五十三年度の輸出船の受注の見通しといたしましては、毎月約二十万総トン程度、したがいまして年間二百五、六十万トン、まあ二百五十万トン程度と考えております。しかし、そのときに申しおくれましたが、すでに現在受注しております船が約二百六十万総トンございます。したがいまして、これを合わせますと五百十万トンの工事というふうに予想いたされます。これに百五十万総トンのスクラップ・アンド・ビルドをお願いしたい。なお官公庁船として、トン数は未定でございますが、一応三十万ないし五十万程度お願いを申し上げたい。それによりまして、大体平均いたしまして四〇%ぐらいの操業度が維持できるのではないかと考えております。
○小林(政)委員 終わります。
○増岡委員長 中馬弘毅君。
○中馬(弘)委員 長時間どうもお疲れさまでございます。
 最後でございますので、短期的な問題、すなわち、つなぎ需要の問題、あるいは倒産防止の問題、離職者対策等は、御要望も含めまして御意見も聞かしていただきましたので、今後いろいろ日本の造船業の長期的な問題を考えていく上に一つの参考にしたいということで、中長期の問題を御質問させていただきたいと思います。
 造船業をそれこそ石炭産業や繊維産業のような形で構造的な不況産業にしたくないと思っております。その意味から、いま船台が空っぽで、いろいろ人的な余力もあるときにこそ、また別の一つの新しい道が開けるのではないか、このように考えている次第です。そういうことから、資金にしましても、倒産した後からのつなぎ資金とか、あるいは後ろ向きの資金よりも前向きの資金の方に大きなウエートをかけていくべきではないかと思っております。
 その意味からちょっとお尋ねいたしますが、まず南さんにお願いいたします。
 先ほど出ましたLNG船の問題、それからいろいろな特殊船の問題もありましょうけれども、このLNG船について、われわれはエネルギーの多様化といったことから、たとえば日本の船団十隻ぐらいのものを国家資金でつくったらどうかということも考えております。これは三千億ぐらいあったらできるのではないかと思います。それからクイーン・エリザベスを上回るようなすばらしい客船をつくって国家威容に資するとか、あるいは造船技術者の中には、いままでどんがらばかりつくっておって、われわれの力を発揮する場がないのだ、自分たちのアイデアとしては非常にすばらしい高速コンテナ船あるいは専用船といったものも考えておるのだという話も聞いております。試験研究的な意味で、それをいま造船技術者に思い切り技術を生かしてつくってもらうといったことも考えてみたいと思うのですが、そういった点について、そんな話は無理だと言うのか、あるいは前向きに取り組んでもらったらとおっしゃるのか、そのあたりを南さんからお答え願いたいと思います。
○南参考人 新しい造船技術を駆使した新しい船型、新しい船というお話のように承りましたが、今後、海上輸送の貨物の形態が、従来の油あるいはバラ積みの荷物のほかにいろいろな形態が予想できます。目下、定期船におきましてはほとんどコンテナに集約されておりますが、その他の貨物におきましても貨物の変動が非常にございます。したがいまして、今後の新しい船、新しい時代にマッチした船の検討、研究ということは、われわれに課せられた大きな問題と考えております。
 なお、操船におきましても、先ほども申し上げましたとおり、非常に優秀な日本の船員の皆さんに乗っていただいて、そしてこれを操船していただくということになりますと、コンピューターライズしていくことが必要になってくると思います。そしてこのコンピューターの技術も刻々進歩いたしておりますので、早晩そういうものを取り入れた新しい船型の開発ということは十分にあり得ると考えております。
○中馬(弘)委員 そういうことであれば、それに対する試験研究的な意味での国家資金の投入ということを私たちも考えていきたいというふうに考えております。
 また、中小造船所でございますが、これの転廃業といいますか、いまの形のままでいっても無理だという気がいたします。その場合に、これは大変失礼な話でございますが、本当に造船に命をかけてこられた方々にそういうことをお勧めするのがいいのかどうか、私も戸惑いがあるのでございますけれども、大体造船所というのは風光明媚な場所にございます。そこで、たとえばヨットハーバーだとかあるいはフィッシングセンターだとかそういったものにある程度の国家的な助成があれば、またそういうような援助があれば、そちらにも移ってもいいぞというようなお声が業者の中にあるのか。先ほどのお話でございますと、たとえば千百企業も小型船舶工業会だけでも所属しておられるようでございます。そうしますと、そういうような御意向があるのか、いや、やはりいまの造船という形でいきたいのだとすべての方がおっしゃっておるのか、そのことをちょっと橋本さんにお願いしたいと思います。
○橋本参考人 お答えします。
 小船工の方でも千百企業ございまして、その中の一〇%ぐらいが転廃業を希望しております。そして転廃業といいましても、やはり船には違いございませんが、FRPの船を建造する、あるいはいま先生がおっしゃいましたヨットハーバーのような業界に転向したいというような業者も一部ございますので、全然転廃業なんかは考えていないというようなことはございません。
○中馬(弘)委員 日本の造船業界のこの不況の中で、さらに発展途上国の追い上げが大きな問題になっております。大手が直ちに競争ということではないかもしれませんで、むしろ中型造船所が大きな競争相手かもしれませんが、こういった発展途上国との分野調整だとか話し合いといったようなこと、この必要性並びにそういったことが可能なのか、あるいは実際にそういうお話し合いでもされているのか、そのことを織田澤さんにお願いいたします。
○織田澤参考人 発展途上国に対する営業活動につきましては、大体いまの輸出に対する輸銀の手当てがききませんで、経済援助ということが主たる議題になります。したがいまして、大手、中手で極端に競合をしてやるということは、経済援助に関する限りはございません。しかし、発展途上国でも輸銀ベースで行う場合には、時に大手と中小が競合いたしまして、外国で日本人同士が入札なり何なりにしのぎを削るという場面も過去においては何回かございました。そういう事情はございます。
○中馬(弘)委員 ちょっと質問の意味が違ったのですが、韓国だとか香港だとかあるいはスペインだとかが安い船をつくっていま追い上げてきております。これと日本の中小造船所との競合の問題でございます。
○織田澤参考人 韓国あるいは台湾のような中進国は、御承知のとおり手間が非常に安うございます。したがいまして、現時点では非常に強烈な競争相手であります。しかし承りますと、韓国の場合は年々インフレが非常に高度でございまして、賃金も大きな比率で上がってきております。したがいまして、現在は非常な強敵でございますけれども、五年あるいは六、七年後におきましては、大体ちょうどいいような状況になるのではないかという楽観的な観測もございます。しかし現時点では、非常に強烈な競争相手でございます。
○中馬(弘)委員 その競争相手に対して、国としてあるいは造船工業会として何らかの対策を打つ必要があるのかないのか、その点でございますが……。
○南参考人 特に激しくコンピートいたしておりますのは韓国でございます。韓国に対しましては、造船工業会としては一応話し合いをする準備をいたしております。まだいたしておりませんが、今後どうしても話し合いをしなければいけないという考え方になってまいっております。
○中馬(弘)委員 何か後の御予定もおありと聞いておりますので、このあたりで質問を終わらしていただきます。どうも本当にお疲れさまでございました。
○増岡委員長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ長時間にわたり当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 次回は、来る十七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十三分散会