第084回国会 予算委員会 第21号
昭和五十三年三月六日(月曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
  理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君
   理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君
   理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君
   理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君
   理事 竹本 孫一君
      足立 篤郎君    伊東 正義君
      奥野 誠亮君    海部 俊樹君
      片岡 清一君    金子 一平君
      笹山茂太郎君    塩崎  潤君
      澁谷 直藏君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    田中 正巳君
      谷川 寛三君    根本龍太郎君
      原田昇左右君    藤田 義光君
      古井 喜實君    坊  秀男君
      松澤 雄藏君    松野 頼三君
      井上 普方君    石野 久男君
      石橋 政嗣君    大原  亨君
      岡田 利春君    岡田 春夫君
      川俣健二郎君    小林  進君
      兒玉 末男君    武部  文君
      横路 孝弘君    権藤 恒夫君
      坂井 弘一君    鳥居 一雄君
      広沢 直樹君    二見 伸明君
      大内 啓伍君    永末 英一君
      寺前  巖君    正森 成二君
      松本 善明君    大原 一三君
      小林 正巳君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        文 部 大 臣 砂田 重民君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        農 林 大 臣 中川 一郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        郵 政 大 臣 服部 安司君
        労 働 大 臣 藤井 勝志君
        建 設 大 臣
        国土庁長官   櫻内 義雄君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       加藤 武徳君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      安倍晋太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)     稻村左近四郎君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      荒舩清十郎君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 金丸  信君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      宮澤 喜一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      熊谷太三郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 山田 久就君
        国 務 大 臣 牛場 信彦君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        内閣総理大臣官
        房同和対策室長 黒川  弘君
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 長谷川 古君
        防衛庁参事官  番匠 敦彦君
        防衛庁長官官房
        長       竹岡 勝美君
        防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君
        防衛庁人事教育
        局長      渡邊 伊助君
        防衛庁衛生局長 野津  聖君
        防衛庁経理局長 原   徹君
        防衛庁装備局長 間淵 直三君
        防衛施設庁施設
        部長      高島 正一君
        経済企画庁調整
        局長      宮崎  勇君
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        経済企画庁総合
        計画局長    喜多村治雄君
        科学技術庁研究
        調整局長    園山 重道君
        沖繩開発庁総務
        局長      亀谷 禮次君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省訟務局長 蓑田 速夫君
        法務省人権擁護
        局長      鬼塚賢太郎君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省経済局長 手島れい志君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        大蔵省主計局長 長岡  實君
        大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
        大蔵省理財局次
        長       川崎 昭典君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        大蔵省国際金融
        局長      旦  弘昌君
        国税庁長官   磯邊 律男君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        厚生省公衆衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省医務局長 佐分利輝彦君
        厚生省薬務局長 中野 徹雄君
        厚生省保険局長 八木 哲夫君
        厚生省援護局長 河野 義男君
        農林省農林経済
        局長      今村 宣夫君
        農林省農蚕園芸
        局長      野崎 博之君
        水産庁長官   森  整治君
        通商産業大臣官
        房審議官    山口 和男君
        通商産業省貿易
        局長      西山敬次郎君
        通商産業省基礎
        産業局長    天谷 直弘君
        通商産業省機械
        情報産業局長  森山 信吾君
        通商産業省生活
        産業局長    藤原 一郎君
        資源エネルギー
        庁長官     橋本 利一君
        中小企業庁長官 岸田 文武君
        運輸省鉄道監督
        局長      住田 正二君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  江上 貞利君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  神保 健二君
        労働省労政局長 北川 俊夫君
        労働省職業安定
        局長      細野  正君
        建設省住宅局長 救仁郷 斉君
        自治大臣官房審
        議官      石原 信雄君
        自治省財政局長 山本  悟君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局第五局長  東島 駿治君
        日本国有鉄道常
        務理事     小林 正興君
        日本電信電話公
        社総裁     秋草 篤二君
        参  考  人
        (海外経済協力
        基金総裁)   石原 周夫君
        参  考  人
        (海外経済協力
        基金理事)   結城  茂君
        参  考  人
        (日本銀行総
        裁)      森永貞一郎君
        参  考  人
        (日本住宅公団
        総裁)     澤田  悌君
        参  考  人
        (国際協力事業
        団)      法眼 晋作君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  正示啓次郎君     片岡 清一君
  田中 龍夫君     原田昇左右君
  藤田 高敏君     武部  文君
  横路 孝弘君     大原  亨君
  浅井 美幸君     権藤 恒夫君
  矢野 絢也君     鳥居 一雄君
  河村  勝君     永末 英一君
  松本 善明君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  片岡 清一君     正示啓次郎君
  原田昇左右君     田中 龍夫君
  大原  亨君     横路 孝弘君
  武部  文君     藤田 高敏君
  権藤 恒夫君     浅井 美幸君
  鳥居 一雄君     矢野 絢也君
  永末 英一君     河村  勝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十三年度一般会計予算
 昭和五十三年度特別会計予算
 昭和五十三年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十三年度一般会計予算、昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、締めくくり総括質疑を行います。大出俊君。
○大出委員 締めくくりというわけでありますが、その締めくくりの最初に、これは何としても総理から明確な御答弁をいただかなければならない問題がございます。
 同和問題でございますけれども、これは私ども理事会等通じまして、総務長官が担当でございますが、この稻村総務長官の予算分科会における答弁がございまして、これは事もあろうに――――という表現をお使いになりました。そこだけちょっと取り上げておきますけれども、「この点についても、できるだけその古い傷と申しますか、そういう―――――と申しますか」というふうに述べておられるわけでありますが、ここに前後の議事録全部持っておりますが、私のかっての経験で、この法律は所管が総理府になるということで、私が内閣委員会理事のときに、各党全部の代表の方に内閣委員会にお集まりいただきまして、各党別に名札を並べて御発言をいただきまして、最終的に内閣委員会で結論を出して、総理府所管でこれから精力的にひとつ身分差別、部落差別というこれをなくしていこう、――――ではないのだということが当時明確になっているわけでございまして、紛れもなく皆さんは日本人である、異民族ではない、こういうことになっているわけであります。つまり、答申にはそのことをきちっと明確にした形で政府が受け取っているわけでありますから、――――ではない、基本的な問題であります。この点について所管のその総務長官が、いま私が読み上げましたような―――――という言葉を使うこと自体その資格がない。全国の身分差別、部落差別に泣いてこられている方々、自殺された方も大変たくさんいるわけでありますが、だから各党超党派的にこの問題を取り上げて懸命にやってきた。亡くなりましたが八木一男さん、奈良の御出身でございますけれども、ずいぶん苦労されたわけでありますが、いみじくも、彼の跡をおやりになっているわが党の川本委員の質問でございまして、大騒ぎになって、いま全国から私どものところへも抗議が来たり、何とか責任をより一層追及せいとか言っておりますけれども、問題は、大所高所に立って見まして、なお大きく残されている問題あるいは強化延長という問題、特に延長するに当たって強化をする、中身をもっとりっぱなものにしようという、こういう問題について解決を図り、あわせて罷免要求等云々ということになっております問題を片づけるということが私は一番いいのじゃないかという気がするのでございまして、そういう意味で、わが党の国対委員長田邊以下皆さんが安倍官房長官にお目にかかりまして、福田総理のお手元にも届く筋道の、実は話し合いをしたわけであります。大体意のあるところお互いわかっているわけでありますから、そういう意味で一つの結論が出た。
 ただ、どこかでこれ、質問をしてくれなければ政府、答えようがないというわけでありますから、いま私が申し上げました点をひとつしかとお踏まえをいただきまして、もし不満足な結論が出るとすれば、予算を私はとめるつもりでいますから。こればかりは金がどっち向いたとかそんな問題じゃない。これは基本的な人権の問題でございますから、そういう意味で後へ引けません。したがいまして、ひとつこの点についてどういうふうに総理がお考えなのかという点を、官房長官を通じてるるお話ししておりますので、はっきりひとつお答えをいただきたいのであります。いかがでございましょう。
○福田内閣総理大臣 ただいま御指摘のありました予算委員会分科会におきまする稻村総務長官の発言はまことに遺憾であり、政府といたしましては、今後こうした事態のないように万全を期してまいるつもりでございます。
 同和対策につきましては、なお相当多くの残事業があります。また、地方公共団体、関係者等の強い要望、同和対策協議会特別委員会の中間経過報告にかんがみまして、政府といたしましては、今後も、同和対策事業特別措置法の延長も含め、積極的に努力してまいる所存でございます。
 なお、同法の取り扱いにつきましては、早急に各党の協議を進めていただき、その結果を尊重して決断をいたす次第でございます。
○大出委員 前向きの御答弁をいただきまして、当問題の解決、並びに大変御苦労なさっている皆さんの将来へのよりよき問題の展開ができる、そんな気がいたします。
 ただ、いまのお答えの中に一、二点承っておきたいことがございますが、ここで、積極的に努力すると、こういう表現をお使いになられました。なおもう一つ何かすっきりしないところがございますので、この積極的に努力するという意味は、延長そして内容の改善、こういうことで積極的に努力をなさろう、こういう御趣旨だろう、こう思うのでありますが、そう理解してよろしゅうございましょうか。
○福田内閣総理大臣 そのように御理解願って結構でございます。
○大出委員 ちょっともう一点だけ、これ老婆心ながらつけ加えて承っておきたいのでありますが、早急に、という実は表現を使っておられるのでありますが、先般この席からわが党の委員が質問をいたしておりますけれども、時間的な制約がございまして、法律が切れるという問題がございますから、早急に、というのは、何とかこの国会、会期はまだ大分あるわけでありますけれども、この会期の終わりの方でもいいのですけれども、会期のあるうちにという切なるこれは念願がございます。これはもちろん強化延長という意味でありまして、強化延長、いまの御答弁の趣旨でございますけれども、含めて何とかこの国会に、私ども一生懸命努力するつもりでおりますけれども、せっかくの皆さんの気持ちがありますので、一言ひとつ、この点についても触れておいていただきたいのでございますが、いかがでございましょう。
○福田内閣総理大臣 この問題の最終結論、それに向けての政府それから国会との相談ですね、それをどういうタイミングでやるのか、こういうお話でございますが、そのタイミングも含めて政府、各党間において協議をしたらいかがであろうか、そのように考えております。
○大出委員 確かに、これ以上詰めるということは、総理の立場上困るのかもしれません。しかし、私が申し上げているその真意はおわかりいただけると思うのでありますが、切れるという法律上の制約がございます。その辺を御理解いただきたいのですが、いかがでございましょうか。
○福田内閣総理大臣 その辺は十分心得ております。
○大出委員 これ以上詰めることに多少の差しさわりもおありでございましょうから、私が申し上げている真意がおわかりいただけたということでございますので、この辺にさしていただきたい、こう思うわけであります。前向きの御答弁をいただきましたが、今後とも御努力をいただきますようにお願いを申し上げておきます。
 ところで、もう一点この際承っておきたい問題がございます。
 この四日に、日中両国間で佐藤・韓念竜会談が行われているわけであります。一言触れさせていただきたいのでありますが、第三回会談、もう一ラウンドあるのだという園田外務大臣のお話もございますが、外交問題でございますからそれほど突っ込んでという気はございませんけれども、土曜日、四日のことでございまして、けさの新聞を見ましても、その後余りそれに触れた報道もございません。かつ、私は新聞報道で見る限り、多少楽観的な雰囲気も考えられる報道がございます。確かにそれは、ああいう人民大会等のさなかに応答されておりますから、積極的な相手方の意思をおくみ取りの上で出てくるお言葉だと思うのでありますけれども、いままでの経緯、覇権問題等に照らしまして、そう楽観し得る問題でもない気がいたします。したがいまして、そこのところをもう一遍この席で、記者会見は新聞で見ておりますけれども、外務大臣みずからの御答弁をひとついただいておきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 土曜日に当委員会でお答えした後、大使からの会談の内容等も逐次電報が入ってまいりました。これから判断いたしますと、新聞ではいろいろ推察して書いてありますが、ほとんど推察記事でありまして、何か特別ひっかかったとか、あるいは重大な意見の対立があったというわけではございません。段取りの詰めでございまして、悲観でも楽観でもない、大体予定どおりに進んでいるという感じでございます。
 そこで、正直言って、ここで後はもう事務的な詰めをすればいいのか、もう一回会ってさらにやった方がうまくいくのか、まだ第三回目をやるという確たるあれはありませんけれども、これは大事な問題でありますから、念を押して、今後スムーズにいくのにはもう一回くらいやった方がいいのかなという程度で、これで一気にぱっと合意まで行くというわけではありませんが、大体予定どおりに、総理や私が推察したとおりに話し合いは進んでおる、こういうことでございます。
○大出委員 大変結構な御答弁をいただきまして、しかも悲観でも楽観でもないという非常に冷静な御答弁でございます。
 そこのところで問題は、相手国並びに国際環境が一つございます。大きな問題として。こういうことを言っては恐縮なんですけれども、皆さんの党の内部の事情もございましょうし、いろいろな要因がございます。しかも、大変積極的に訪中の意思をお持ちであったやに見受けられる外務大臣が、昨今の情勢の中では行くような行かぬようなことをちらっと述べられる。問題は、物が煮詰まれば慎重にならざるを得ぬという、そこらではないかという気がするのでありますが、内外、身内という問題もございましょうからなかなかむずかしいのだと思いますけれども、見方によれば少し足踏みという感じもする。そこらのところをどうお考えかという点と、もう一つ大変重要な問題は、第一回の佐藤・韓会談が二月十四日にございました。一つは「日中両国が覇権反対の解釈で意思統一する必要はない」、二番目に「ただ、日本が覇権反対について、何らかの意向を表明することは自由である」との見解を表明したというわけでありますが、ところが総理、これは後から総理に承らなければいけませんが、総理は「日本の意向表明に打開の道があると判断したものの、「覇権問題で日中間に一点の食い違いもあってはならない」」これは政府の立場から。こういう問題点がもう一つございます。
 いま私、大きく言えば二つ申し上げたのでありますが、まず園田さんの方から、この点は一体どういうふうに受け取ればいいか、話していただける限度で結構でございますから触れていただきたいのであります。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 まず第一に、私の訪中問題でありますが、新聞で私が後退したとか慎重になったとか書いてありますが、それはさようではございません。いささかも変わっておりません。私がいままでしばしば申しましたのは、自分のことではありますが、必要な時期に私が行くような場合になればいつでも出かけるように準備をしておる、こういうことで、ただ、いまの段階で行くか、こういう質問がありましたから、誤解を受けておるのは、私がいかにも訪中したがっておる、こういうふうにとられては困ることと、正直に言って、いよいよ交渉が始まるということになれば、中国は大国でありますから悠然と構えておればいいが、日本は現下の情勢では、外務大臣がぜひ行きたい、ぜひ行きたい、まだでしょうか、まだでしょうか、こういうことでは互角の交渉になりませんから、交渉再開になってから十分検討して、必要な時期に、総理の御命令があればいつでも行く、こういうので、絶対に後退したわけでもなければ、会談を見て慎重になったわけでもございません。
 それから、二番目の覇権問題でありますが、これは総理のおっしゃるとおりに、両方に食い違いがあって、条約締結後中国と日本と言い分が違うなどというぶざまなことはできませんので、これは詰めなければなりませんけれども、方針はまさに、しばしば総理から言われておりますとおり、共同声明の立場に立ってやる。どう取り扱うかは交渉再開されてから話し合うべきことであります。
○大出委員 最後に、総理にいまの点について触れていただきたいのでございますが、いま園田さんはああおっしゃいましたが、私は、ある時点ではエンジン全開という形の園田訪中を注目しておったわけでありますけれども、いまのお話のような事情であれば、当時何か総理と外務大臣との心情的食い違いみたいなものを感じておりまして心配しておりましたが、そうでないというので安心をしたわけでありますが、ただ、いまの一点の食い違いがあってもならない、そのとおりでございますけれども、あわせて、日中平和友好条約締結促進という問題は年来の課題でございますし、私はそこが非常にむずかしいという気もいたしておるわけであります。そういう意味で、いまの点について総理は、二月十四日の佐藤・韓会談で言う二つの問題、さっき取り上げましたが、あわせて、総理がおっしゃる、一点の食い違いも覇権問題について日中間にあってはならない、ここのところ、新聞には政府筋とありまして、総理と書いてないのですけれども、そこらのところを総理自身のお考えを述べておいていただきたいのです。
○福田内閣総理大臣 いま日中間で話し合っておりますのは、条約の内容についてではないのであります。条約交渉を始めるそのための手順、段取りをどういうふうにいたしますか、こういうことであります。その手順、段取りの問題といたしまして、まず条約交渉を始める最初の段階をどういうふうにするか、佐藤大使が北京政府と交渉するというようなことになるのか、あるいは園田外務大臣が向こうへ行くとかあるいは向こうからこっちへ来るとか、いろいろなケースが想像されると思うのです。そういう中で、もし園田外務大臣の訪中だ、こういうことになりますれば、外務大臣としては喜んで参ります、こういうことを常々一貫して申し上げている、そのように御理解を願います。
 それから、手順、段取りをただいま両国間で話しておる、そういうことでございまするけれども、外交の基本とも申すべき点につきまして意見の食い違いがあるままに話し合いが始められるということになりますと、この交渉、これは場合によると大変厄介なことになりかねない。そこで佐藤・韓会談におきまして、佐藤大使はわが国の基本的な外交姿勢ということを申し上げておるはずです。つまり、わが国は世界じゅうどこの国とも敵対関係というようなことを持つ、そういうようなことは考えておらぬ、どこの国とも仲よくしていくのだというわが日本の平和外交のたてまえ、これはとくと理解しておいてもらいたいということは申し上げておると思うのです。その辺につきまして何か意見の食い違いがありまして、交渉は始まりました、さあ基本的な点で、ということになりますと、交渉自体、不幸なことになりかねない。そこで、そのわが国の置かれておる立場並びにわが国の外交姿勢、この辺につきましては一点の紛れもないように理解してもらっておいた方がよかろう、こういうことで佐藤大使もそのような発言をしておる、このように御理解願います。
○大出委員 念を押したようで恐縮でございましたが、私どもの党としても、野党は野党なりに成田訪中、覇権問題に触れた発言等もありまして党内大論争が巻き起こるというような場面もあったわけであります。それなりの努力はしておりますので、そういう意味で、実は、大変むずかしい時期でありますから余り多くは聞きたくはないのでありますが、はっきり御答弁をいただきましたので、ぜひひとつ、これは大きな課題解決に向けて前向きで御努力をいただきたい、こう存じます。
 そこで、これまた締めくくりでございますが、日韓問題の中のソウル地下鉄の問題、先般質問をさせていただきましたが、さらに大きく、いま防衛問題がこの委員会の議論の一つの焦点でございますが、二つ触れたいのでありますが、時間の関係で地下鉄の方から入らせていただきたいわけであります。
 そこで、におい発言から始めて、いままでの経緯をこの間総理に少し静かに申し上げて、御理解をいただきながらと思って質疑を進めさせていただいたのでありますが、総理、その後この問題について、どうもあのときは議事録も読んでないというお話でございましたが、少し前回の質疑について御所見を承りたいと思うのです。
 前回はこの問題を、どうも私の立場ではということで全くはっきりしない御答弁でありますが、私は、やはり日本と隣国の韓国の国民の皆さんとの間ということを考えますと、商行為の中に金を必要とする場面がある、全く認めないわけじゃありません。ありませんけれども、それにしても国民の許容する限度はあろう、こういうことになると思うので、そこにアメリカ側の多国籍企業に対するいろいろな措置も動いてきているわけなので、国連でもそうでありますが、そういう意味で実は総理の御見解をと申し上げているので、一言冒頭に触れていただきませんと前回とつなぎになりませんので、御答弁いただきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 ソウル地下鉄問題、この問題につきまして、先般大出さんからいろいろ御質疑をいただいたわけであります。それに対して、まだ政府部内におきまして十分な御答弁もできなかったというような点もあるわけであります。そとで私は、あの後すぐ政府関係部局それぞれに対しまして、これは十分調査すべし、そして、またいずれ大出さんから御質問があろう、そういう際には時を移さず的確に答弁できるような体制をとってもらいたいという要請をしておるわけであります。
 この問題は、政府といたしましては強制調査の権限がありませんものですから、なかなか的確に事情を解明するというわけにいかぬ。そこで大出さんの御質問、それなんかを手がかりといたしまして調査をいたしておる、こういうわけでありますが、その大出さんの御質問につきましても、これを御満足のいくよくにお答えすることがなかなかむずかしい事情もあるようであります。しかし、いずれにいたしましても、政府は全機能を挙げましてこの問題の解明に当たるという方針でありまするし、特にお尋ねのありました件につきましては、御満足はいけないかもしれませんけれども、全力を挙げておる、このように御理解願います。
○大出委員 そこで、この間私が質問をいたしまして、資料その他お出しいただくようなことになっております問題は後半の時間で申し上げたいと思っているわけでありまして、その前に幾つか承っておきたいことがございます。
 この経済協力というものが、インドネシアにも当時、物に書かれたいろいろな問題がございましたし、隣国韓国との場合もいろいろなものが書かれているわけでありまして、協力の結果がどうもある意味でいわゆる腐敗につながるというようなことになるとすれば大変不幸なことだ、そうであってはならないわけでありまして、そういう意味で私は国税庁の皆さんに承りたいのでありますが、この二百五十万ドルという金、当初百二十万ドルが四十六年の四月に払われているのでありますけれども、この件につきまして、国税庁が、昨年秋でございますか、三人の方をアメリカに調査にお出しになった。調査官を派遣されている。三菱商事、つまりニューヨーク初め関係商社MICから始まりまして幾つかお調べになっている。これでチェース・マンハッタン銀行なり外換銀行なりに金がいろいろ流れておりますが、二百五十万ドルまたはチャソイル・エンタープライズからの金。チェース・マンハッタン銀行の中にはアメリカ三菱の口座がございます。つまり各商社は、チェース・マンハッタン銀行と言うけれども、それはアメリカ三菱の口座へ金を払い込んだわけです。その限りはアメリカ三菱の口座に金が入っているというだけなんですね。そこから先、一体この金がどこに行ったのかということが実は問題。また、この金の処理。たとえばある商社は、穀物部の部損で落としていたり交互計算をやっていなかったり、いろいろなことになっているのでありますが、これがある意味の脱税につながるということであるとすればそれなりの措置、流れた金の先が先だということになるとすれば単に国税庁だけの問題ではない、こういうことになるわけでありますが、ここのところ、国税庁は一体何を目的に、そしてどういう成果を得てお帰りになり、今後どう考えておられるのか。仮装隠蔽なら仮装隠蔽で、これはどうするということの結論が出なければなりませんし、流れている金の先が、いまアメリカのフレーザー委員会等々が調査をしているようなことにつながるなら、それなりの大きなこれは政治問題でございまして、別な角度からこれは調べなければならない。ただ一点だけ言えることは、いまこの種の金の流れ等をチェックできるのは、わが国各機関の中でまずもって国税庁しかない。やがてアメリカ側から表に出てきたときに、知らぬは日本国民ばかりなりということになっては国税庁の責任は果たせないことになると私は思っておりますから、そういう意味で、昨年の秋三人行った結果、一体何を目的に、そしてどういう結果になったのか、金の流れというものについてつかまなければ、実はこれは政治的な意味じゃなくて、つまり税務調査の結論は出ないわけでありまして、そこらのところを一遍、守秘義務だ守秘義務だと言うていたのではらちがあかない。お答えをいただきたいのであります。
○磯邊政府委員 国税庁が、昨年の十二月五日から二十二日までの間に、東京国税局の調査官ほか五名の者を現地へ派遣いたしまして調査いたしましたことは、御指摘のとおりであります。
 ただ、このときの調査と申しますのは、単に現在問題となっておりますソウルの地下鉄問題関連だけではなくて、ほぼ一年間におきましてそれぞれの調査官が担当しております事案について、それぞれの事案を持っていって調査したわけでございます。
 この調査の目的というのは、本邦において調査いたしまして疑問に思われたことの解明、あるいは当該法人が申し立てましたことについての事実の確認、そういったことの調査をするというわけでありますけれども、ただ、その場合には、調査の対象は、当該主権国との関係がございまして、あくまでも本邦法人の支店であるとか一〇〇%出資の子会社について限られるというのが慣例でございます。したがいまして、私たちの調査官が参りましても、本邦法人の課税問題に関連する限りにおきましては調査をする権限があるわけでありますけれども、わが国の法人税なり所得税の範囲の及ばない納税者に対して調査をする権限はもちろんないわけでございます。
 したがいまして、外国に参りましても、当該国にある外国法人である外国の銀行であるとか、あるいは外国人が課税対象になるであろうと思われる事実については調査権限が及ばないということで、今回、アメリカに参りましても、向こうの、いま御指摘がありました外国銀行についての調査というのはやっておりません。ただ、調査官が参りまして、それなりにいろいろな事実の確認なり調査の実績を上げてきたということは申し上げておきたいと思いますけれども、具体的な内容につきましては御容赦をお願いしたいと思うわけであります。
○大出委員 もう一遍承りたいのですが、磯邊さん、私が確認をしております中に、これはフリント委員会じゃなくてフレーザー委員会なのですが、フレーザー委員会からチェース・マンハッタン銀行並びにアメリカ三菱、MICに、二百五十万ドル相当の金について、たとえばチェース・マンハッタン銀行の中のアメリカ三菱の口座、ここに金を振り込んだ、納入した、入れた。つまり、その背景になっている、どういうわけで、どういう金を、どういうふうに入れたのだという、そこについての調査をしてきているわけですね。これははっきりいたしております。チェース・マンハッタン銀行に対してもフレーザー委員会から同様に、受け入れた三菱の口座、これはどういうふうな金なのだ、どこへ出ていったのだという調査をしております。これは私、確認ができておりますが、アメリカ三菱は本邦法人ですよ。そうすると、フレーザー委員会でも言ってきているわけですから、こちら側だって、一体どういう金がどこへ出ていったのだということを調べなければ意味がないでしょう。しかも、四つの商社ともどもに、交互計算をしていないのじゃないですか。交互計算ならば、その後金をいろいろやりとりをしながらどこかで決済をしなければいかぬわけですが、四商社ともそうなっているのじゃないかと思う。
 あわせて、この間の十二月十七日の私の質問のときに、つまり二百五十万ドルの自社負担分、商社が自分のところで負担した分、これを自社の利益に計上していると答えた商社もある。これはおかしな話であります。だから、そうなると、なぜそういうことになったのか。つまりその金はどういう金で、どこへ出ていったのか、交互計算もやってないのかやってあったのか、その辺のことを四商社承りたいのですが、ないとすれば、それは一体どういうわけなのだということを調べなければ税務調査は勤まらぬでしょう。そこのところはお調べになりましたか。
○磯邊政府委員 払い込み先の銀行に行って調査をするということはやっておりませんけれども、ただいま先生の御指摘になりました点については十分に調査いたしております。
○大出委員 フレーザー委員会等々から資料を出すように要求してきていることだって、あなた知っているのでしょう。いかがですか。
○磯邊政府委員 新聞紙上でそういう記事があったというふうなことを読んだ記憶はありますけれども、具体的には承知しておりません。
○大出委員 国税庁的答弁でございますけれども、実はここから先やっている時間がきょうはないのです。また私は、この間申し上げたように焦りませんし、時間のある限り幾らでもやっていくつもりでおりますから、急ぎませんので後にいたしてもよろしゅうございますが、私がさっき言い切りましたように、フレーザー委員会から、こうこうこういうものを出せと言って、アメリカ三菱にもチェース・マンハッタン銀行にもはっきりと要求をしてきている。私はそれを確認いたしております。そうすると、いまの御答弁というのはどうも少し国税庁的であり過ぎますが、新聞紙上でなんというようなことを言いながら、そういう意味で承知していると言うのなら、後でこのことが向こうから明らかになるような場合に、国税庁は一体何をやったのだ、こういうことにならぬようにひとつ十分お考えいただきたいのと、あわせてもう一点承っておきたいのは、この税務調査は結論が出ているのかいないのか、いないとすればいつ出すのか。いる商社、いない商社があると思うのでありますが、そこらは一体どうなっておりますか。
○磯邊政府委員 ただいま御質問の件でございますが、この前の当委員会におきまして私御答弁申し上げたのでありますけれども、関西の二社につきましては一応調査等は終了しておるわけでありますが、東京に本社を有する三菱商事並びに三井物産については現在まだ調査続行中でありまして、最終的な結論はまだ出すに至っておりません。なるべく早く結論を出すつもりで私たちも鋭意調査を続けております。
○大出委員 使途不明金なるべきものを利益金に計上しているということになると、それは一体なぜなのだということにもなりますので、もう少し突っ込んで物を言いたいのでありますが、まだ結論を出していないとおっしゃいますので、もう少しお待ちいたしましょう。仮装隠蔽云々という問題も含めまして、次の機会にいたします。
 次に、外務省に承りたいのでありますが、これは外務大臣に承りたいのです。
 昨年五月に、国際協力事業団、法眼さんがいま総裁でございますが、ここに委託してソウル地下鉄の第二次計画、これは二回目でございますが、この調査団を韓国へ派遣している。二月八日に私が取り上げましたときにちょっとお話が出ました一号線、いま問題になっておりますソウル地下鉄は一号線でありますが、この一号線建設のときのジャーツのソウル所長をおやりになっておりました河村四郎さんが団長さんでありまして、当時は国鉄外務部から派遣をされていたジャーツの所長さんでございます。この関係は私はいまだに釈然としませんけれども、どういう日韓間の話し合いがあって――これは私ども全然わからなかったのですね。三菱が車両の売り込みを韓国の大宇重工業にやっていることについては知っておりましたが、この調査団派遣は一体どこで決めてどうなったか知っていなかったわけでありますが、どうも一号線でこれだけのことになっている。政府がもっと協力的になって決着をつける努力をされてやることが正しいと私は思っておるのですが、昨年の五月といいますとこの問題は非常に大きな問題になっていた時期でありまして、釈然としません。外務省、一体これはどういうことでこういうことになっておるのですか、どこで決めたのですか。
○武藤政府委員 お答えします。
 一昨年の夏ごろ韓国の方から二号線についての技術的な調査をお願いしたいという要請がございまして、私どもがやっております技術協力の一環といたしまして二号線に関する技術的な調査を開始したということでございます。一昨年の九月に第一次調査団が参りまして、その結果を踏まえまして昨年の四月から五月にかけまして、ただいまお示しのとおり第二次調査団が行った、そういう経緯でございます。
○大出委員 これは普通なら閣僚会議で、第四回のときに調査を決めたわけでありますが、どこかそういうきちっとしたところで話がなければならぬはず。少なくとも政府関係機関でございます。国際協力事業団は海外協力事業団といったのを名前を変えただけでございますから。そうすると、これ国民の税金を使って調査をする。前回の分、私が取り上げたあの一号の件だけでも四百六、七十万かかっている。鳥山正光さんが起草した、この間私が取り上げたあの報告書であります。今度は河村さんがおいでになったのは非常に長いのでありますから、そういう意味で言いますと、これは相当な金がかかっていなければならぬことになる。そういうものを、何か向こうから言ってきたからというだけの話というのは、どうも私は、そうでございますかと言いかねる。しかも、前回の、つまり一号線に比べれば二倍から二倍半ぐらいになる。五年くらいかかりますから、決着してみなければわかりませんが、一千億にもなる金であります。そうだとすると、これは借款の話が一体どうなったのかという問題だってある。そういう性格のものを、いつの間にかこんな大きな報告書ができているのですね、びっくりしましてね。前回私が取り上げたのはこの半分まではありませんが、半分ぐらいですかね、こんな厚いものじゃない。紙も大変安上がりな紙です。これはまたえらいりっぱなものを、持っていてもちょっと非力な私には重いぐらいであります。こんなぜいたくなものを、中身はこの間みたいに七つも八つも間違いだらけで、玄人の私が逆算しなければ数字が合わぬようなことをしたりしているのだからね。それで何と答えるかと言えば、これは執務の参考だなんというようなことをこの前言っている。なぜこんな大変なことをなさるのかさっぱりわからぬのですけれども、外務大臣、これいかがでございますか。こんな妙な筋道で、これだけ国民の税金を使うということは、いかに日韓協力だ、国際協力だとは言いながら納得できないのですが、いかがですか。
○武藤政府委員 韓国は日本の電車に対します技術を非常に高く評価しているということで、二号線につきましてもぜひ日本のこの高い技術によって調査をしていただきたいという要請があったわけでございます。
 それから、ただいまちょっとお示しになりました資金協力の関係についてでございますけれども、これは資金協力の話とは全然切り離しまして、全くの技術的な調査ということで、技術協力の枠内でやってあげたということでございます。
○大出委員 これちょっと園田外務大臣、あなた聞いておいていただきたいのだけれども、切り離してと言ったって、日本は技術的に非常に高いから、しかも一号をやってもらったからという限りは、普通なら、国民の税金を使って調査させれば日本の商品を買わなければおかしいでしょう。日本の車両を買うことになるでしょう。あるいは日本の機材を導入して、また一号と同じことをやるということにならなければ、日本の国民の金を使って調査だけはさせておいたが、ほかの国から買う、欧州連合から買うなんというばかなことじゃ、これは話にならぬじゃないですか。そうでしょう。
 そこで、昨年三月にこの委員会で三菱商事の田部文一郎社長さんは、ソウル市に向けて車両六両、韓国国鉄向け九十両、これは一号線と同型の電車というわけです、生産、輸出を大宇重工業との契約で行っている。九十両もう行ってしまっているのでしょう。そして、この商談はLC、信用状による取引だと説明しているわけです。私が調べてみましたら、昨年末ですでに輸出を完了している。お認めになりますか。というと、この借款云々の件抜きに日本から車両は行っている。韓国は自力でおやりになろうというのか、借款は要らないということなのか。一体そこのところは、技術調査団が行って国民の金を使って一生懸命調査してあげていて、後から借款だなんというのじゃなくて自力でやるというのなら、そして日本の車両を買う、設備を買うというのなら、またそれなりに話はわかる。そこのところは一体どうなっているのか、はっきりしてくださいよ、これは。
○武藤政府委員 ただいまの御質問の前段の調査の性質に関する部分でございますが、これは韓国に限りません、世界じゅうの開発途上国からいろいろな計画づくりを日本の手でやってほしいという要請がございまして、私どもの開発協力の一環といたしまして、いろいろな計画づくりはお手伝いしているわけでございます。このような計画づくりと申しますのは、あくまでも相手国の政府が本来つくるべきもの、それが相手国側には必ずしも十分な技術がないということで、日本の技術を提供することによって協力する、そういう技術協力の一環としてやっているわけでございまして、その調査の結果を相手国政府がどういうふうに使うかということは、相手国政府の問題になるわけでございます。また、日本の技術協力で行いました調査の結果に基づきましてプロジェクトをつくったときに、そのプロジェクトに必要とする資材等をどこの国から買うかということも相手国政府の判断でございまして、私どもといたしましては、日本から買う計画でなければ技術協力はしないというふうには考えていないわけでございます。
 それから、御質問の第二点についてでございますが、輸出を完了したというお話でございましたが、私どもは全然承知しておりません。少なくとも日本の円借款の資金が使われていないということだけははっきり申し上げられます。
○大出委員 この問題で余り時間をとりたくないので、また次の機会に申し上げますが、もう一点承りましょう。
 片一方で、韓国側の対日借款要求リストというのがある。この韓国側の対日借款要求リストには、二号線建設費として約百二億円ですか、まあ一説、ちょっと片一方の方には八千万ドルという話もあるのでありますが、入っているのですね。これは、四十八年に金大中事件がなければ正式に日韓定期閣僚会議で要求する予定になっておった。これは明らかな事実であります。ここのところは、外務大臣、いかがでございますか。
○武藤政府委員 二号線に関する資金協力につきまして、韓国側との間で一回だけ話が出ましたのは四十七年の閣僚会議でございます。その時点におきまして韓国側から、ちょうど一号線の話がついた翌年でございますが、引き続き二号線、三号線についても日本からの資金協力を要請したいという申し出があったわけでございますが、私どもといたしましては、何分この一号線がまだ始まったばかりの段階で二号線、三号線について資金協力の話をするのは早過ぎるということで、一号線の完了までその話は待とうということにしたのが四十七年の閣僚会議のときの経緯でございます。その後韓国側から、閣僚会議におきましても、それ以外の場所におきましても、二号線、三号線についての資金協力の申し出は出ておりません。
○大出委員 幾らですか、その四十七年のとき。だから、私の方には対日借款要求リストがあるのでありますが、一体、二号線、三号線、特に二号線でありますが、どのくらいの借款を要求したのですか、当時話が出たのは。
○武藤政府委員 四十七年の閣僚会議で二号線、三号線に対する資金協力を依頼したいという話が出たことは承知しておりますが、そのときに具体的な金額が明示されたかどうか、私ちょっと手元に資料がございませんので、お答えできません。
○大出委員 締めくくりですから、中野委員長、いまの点は額が幾らだったのか、手元にないというので、手元にはなければいますぐとは言いませんが、これは幾らだったかをお出しいただきたいのですがね、私の手元の資料と合わしてみたいので。
○武藤政府委員 当時の経緯につきましては、早速調査することにいたします。
○大出委員 いまなかなかおっしゃらぬわけでしたが、とうとう、四十七年に向こうから二号線、三号線の借款要求があったということをついにお認めになったわけであります。これはなかなかはっきりしませんでしたが。ということになると、まさに私が指摘したように、四十八年に金大中事件がなければこの話は進んでいたことになる。そこで、もしそれが、都合が悪い問題が起こったからというので延ばしているのだとなると、一つ間違うとこれは借款の先取りですよ。この席でほかの委員の方から、使わない金を経済協力で金を貸した、だからどんどん延ばして二年にもなってしまい、あるいは二年七カ月にもなってしまう。その間の利息は、みんな向こうに入っちゃうのですよ。そういう妙なことをやっている。全く逆で、今度は、商談は、技術調査は、どんどん進める、発注はする、売り込みはする。後から借款をと言うなら、まさにこれは借款の先取りであります。こういうばかげたことを認めるわけにまいらぬ。さらに、ほかの名目で借款を認めてなし崩すという方法だってやっている。そういうことになりかねない面だってなくはない。それが実際には自力でということになっていたということになると、ここに問題がある、話が出ているのですから。
 この二つの点を指摘いたしましたが、そういうことはないということを断言できますか。大臣、いかがでございますか。
○武藤政府委員 地下鉄の二号線につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、四十七年に一遍話が出たきり、すっかり立ち消えになっている。その後、韓国側から何ら資金要請がないということははっきり申し上げられます。
○園田国務大臣 この際、一言お答えを申し上げます。
 まず最初に、先般の大出さんの調査の御要求でございますが、私の方の関係は大出さんが発言されたとおりでありまして、原文もちゃんとおっしゃったところにございました。
 二番目に、いまの問題でありますが、いまの問題は技術協力でありますから、事務的に言うと、関係閣僚の了承を得る必要はないとはいうものの、このような政治的事態が発生している時期に、これは大変な問題でありますから、今後の問題については大臣が十分検討をし、慎重に事を運びます。
○大出委員 二号線計画というのは、金額にして一千八百九十八億ウォンもある。これは邦貨に換算しますというと一千百七億円なんですね。全線を三区分に分けて、ことしの夏ごろに着工しようというわけです。そんなに簡単な問題じゃない。だが、これも、時間の関係がございますから、ひとつ改めて申し上げたいと存じます。
 そこで、日立について少し承りたいのです。実はお手元に資料を差し上げたいのでありますが、委員長、御了解いただきましてお配りをさせていただきたいのですが、よろしゅうございましょうか。
○中野委員長 どうぞ。
○大出委員 実は数字がいろいろございますので、どうしてもこの資料をごらんいただきながらでないと立証できない、そういうことでございますので、お許しをいただきたいのです。
 そこで、日立が発表いたしました。ところで、四角い小さい方の三枚か四枚かございますが、こちらの方をごらんいただきたいのでありますが、一番上に表が出ておりますが、表を後にしていただきまして、表を一枚あけていただきますと、「日立の説明に疑惑あり、」以下は、「参考の為の資料」と書いてありますように、実は、私が質問をしようと思ってまとめてメモをつくったのですが、お渡ししておかぬと、中身が中身で、おわかりいただけないと思ったものですから、時間がありませんでしたから、そのままゼロックスをとったのでございまして、そういう意味でこれは私の質問のメモでございますから、そういうふうにお受け取りいただきたいのです。
 「日立の説明に疑惑あり、二月十六日異例の発表」これは日立開聞以来の発表をした。しかも、発表する、発表すると言ってなかなか、数字合わせをやっておって、対策委員会を日立さんおつくりになって、いつになったって出てこない。とうとうしようがなくて発表されたという事情がございます。専門用語や数字のつじつま合わせをおやりになっておりまして、むずかしいところは専門用語でみんなお話しになる。記者の方々は煙に巻かれるという場面まであったわけであります。危なっかしいところはまとめた数字にしてしまっているわけですね。単体ATS百四十五万円、列車無線四十万円、金額を明らかにしたのはこのくらいしかない。あとは幾らか言わない。一両について仕様アップ三百七十四万円、こう言っているのですが、これは電気回りであります。モーターの例を挙げている。モーターの例を挙げますと、これは日立が言っているのですが、地下鉄の地下部分は駅の間が短いから加速性能が欲しい。加速性能は、つまり牽引力、引っ張る力、トルクアップ二七%、こう言うのです。トルクというのは、引っ張る力、こう解釈していただけばいいと思うのです。これを二七%上げた。地上の部分は駅の間が長いので高速性能が必要である。最高回転数二七%アップした。これはモーターですよ。以上によって、モーターコストが一四%アップしたというのです。これは、金額は言わない。これはまた、私に言わせれば不納得であります。
 そこで、これからが問題です。モーターということを例に挙げたから、モーターを調べてみたら、これは会計検査院の方にも後で承りますが、実を言うと国鉄の四一五系とそう変わっていない。これは表をごらんいただきたいのです。「ソウル地下鉄と国鉄四一五糸電車の比較」ほとんど同一である。主電動機、こればモーターであります。ソウル地下鉄と四一五系に分けまして、方式、脈流直巻補極付、両方同じであります。極数が四で、これは同じであります。一時間定格、出力が百二十キロワット、これは同じであります。電圧が三百七十五ボルト、これも同じであります。電流が三百六十アンペア、これも同じであります。回転数が千六百五十rpm、千八百六十rpm、ここに数字の違いが出てまいります。界磁率というのがその後にありまして、八〇%、一〇〇%と、ここに違いが出てまいります。そこのところを一枚あけていただいたところをいま私が読んでまいりました。ここで説明を私、したつもりでございます。
 出どころを明らかにいたします。国鉄臨時車両設計事務所というのがございまして、ここの資料の中に主要諸元集というのがございます。その二ページに、四一五糸主要諸元というのがございます。原本を私ここに持っておりますが、ここに主要諸元というのがございます。原本から私は抜き書きをいたしました。この中に、きわめて詳細に、国鉄側の四一五系の諸元が説明をされております。日立はそれを引き合いに出して比較していますから、これを出したわけであります。
 ところで、もう一つ資料を申し上げます。
 ほかならぬ、この間申し上げました、これは国鉄の外務部から出向した方でありますが、河村四郎さんがジャーツのソウル支所長であります。国鉄の方がジャーツの支所長というのはいまだにわからぬわけでありますけれども、何遍も申し上げて恐縮なんですが、わからぬから申し上げる。御勘弁願いたいのですが、この河村さんと一緒におやりになっておられました、国鉄の方でありますが、川添雄司さん、この方が佐藤慎也さんという方と一緒に「ソウル首都圏用電車の計画」というのを詳細にお書きになっています。原典、指摘をいたしますが、「電気車の科学」六月号、こういう表紙のものであります。ここにジャーツの福崎直治さんが前書きを書きまして、後、河村さんと一緒にやっておられました川添雄司さん、佐藤さんという二人の方がここに書いています。この中に、NHKがやっておりましたが、試験なんというのはジャーツがやっていて、日立はやってないじゃないかというようなことをニュースで流しています。それだけもうけたのじゃないかと言っていますが、総合試験以下、試験のことも全部書いてあります。ジャーツがやったわけです。日立が、総合試験と言っているけれども、それは一体どの部分だったのか疑問になりますが、それは後から申し上げます。
 そこで、この六月号十五ページというところにきわめて詳細に、川添さんはなかなか練達の技術者でございますから、モーターの諸元を全部細かく書いてあります。その二つをこの表にして並べてみたわけであります。
 ところで、ここで一分間の回転数が、実はここで言っておりますrpmであります。この表の「主電動機」の下から二番目、千六百五十rpm、千八百六十rpm、一分間の回転数、こういうわけであります。この回転数は、国鉄の技術の専門家に確かめましたが、この回転数の違いでコストアップはしない、初めからそういうふうにつくるのであります。コストアップしない、はっきりしております。だから、これは変わりがない。回転数の相違だけであります。それから界磁率に八〇%、一〇〇%という、数字が二〇%違います。界磁率というのはどういうことかといいますと、つまり歯車を回して引っ張っていくわけでありますが、これを八〇にするというのは牽引力を強める、引っ張る力ですよ、これをここに書いておきましたが、二枚目の方を続けて読ましていただきますが、最初、説明だけしちやいますから。
 国鉄臨時車両設計事務所主要諸元集二ページ、四一五系主要諸元、主電動機――主電動機というのは、国鉄用語で言うとMT54Bであります。方式は直流及び脈流直巻補極付、一時間定格百二十キロワット、三百七十五ボルト、三百六十アンペア、千八百六十rpm、こうなっておりまして、回転数の違いだけであります。モーターのところは直流でございまして、変圧器で入ってまいります。回転数の違いは価格アップにならない、これは技術者の明確なお話でございます。四一五系は、国鉄の方でありますが、一〇〇界磁率で六千六百九十キログラムを引っ張れる。八〇界磁率だと七千八百九十キログラムを引っ張れる、牽引力がふえるということであります。出力、電圧、電流が同じならば、変圧器で直流で入れてまいりますから、界磁率が違いましても同じモーターでいいのでありまして、モーターに関係がありません。そういう意味で、界磁率の違いは価格には関係ない、同一のモーターですから。したがいまして、この差は差になりません。つまり同一のモーターでいいことになります。
 それから、ここで申し上げておきたいのでありますが、もう一枚あけていただきますと、常磐線、交直両用四一五系は受電電圧は交流二万ボルト、ソウルは二万五千ボルト、ボルトで五千ボルト違います。ソウルの方が高い。ところが、モーター電圧はいずれも千五百ボルトで一緒であります。変わりない。四一五系に比べ五千ボルト分アップというのは、受電電車線からトロリーを通じて変圧器の一次側巻き線を五千ボルト分よけい巻けばいいということになっている。絶縁階級を五千ボルト分上げただけで絶縁の方もいいわけであります。これは何ら技術的な問題はなく、もちろん価格上昇の理由にはならない。要するに線をそれだけ巻いた分しか変わらない。絶縁も階級を五千ボルト上げただけですから変わりがない。四一五系というのは常磐線等を走っている電車でありますが、四一五系の電気機器類は五十サイクル、六十サイクル両用だからそのまま韓国に当てはめることができる。だから電気方式も大して違いはない。電気機器類の性格、性能、規格も新しいものにする必要はない。五十サイクルというのは関東、六十サイクルは関西、もちろん両方使えるようにできている。両方の要求を満たすのは四一五系なのです。まさにソウルぴったりの電気回りなのです。
 説明だけしてから承りたいのでありますが、ここで問題は、四一五系というのはどういうふうに開発されたかという歴史があります。国鉄臨時車両設計事務所主要諸元集に出てまいります。この中を読んでみますと、昔から一つの系統として育ててきているわけでありますが、四十五年に第一次債務により四一五系は十二両計画された。ソウル地下鉄のこの時期とちょうどぴったり一致しているのですね。在来のような個々の周波数独自のものでなく、五十、六十のいま申し上げた両ヘルツ用の変圧器を搭載して両方使える、全国的に運用できる三電気方式の新しい四一五系という標準化された近郊型交直流電車として開発され、国鉄が製作した、実はこういう歴史がありまして、ソウルにぴったりだ。むしろソウルの百八十六両のために別な新しい規格のものにするなんということは必要ない。ぴったりだ。しかも同じ規格でそれだけふえれば開発費が下がる。だから、そういう意味で、新しい仕様規格を日立さんはどうしても出さない。
 この辺で一遍、協力基金に承りたいのですが、いま私はモーターを例に挙げましたが、全く相違がない。コストアップにならない。基金に何回も、基金を通じてお調べ願いたいということを、ジャーツにしても日立にしても三菱にしても申し上げてまいりましたが、日立発表以後お調べになりましたか。なったら、この例に挙げたモーターについては一体どうお考えになりますか。
○結城参考人 お答えいたします。
 地下鉄関係で特に日立から聞きましたポイントは、従来、交付材の問題ということで、交付材に焦点を当てていろいろ聞いておったわけでございます。その内容につきましては、先般の日立の新聞発表とほぼ同じような内容になっているわけでございまして、ただいま御指摘になりましたモーターの点、価格上昇の理由等については、その際、特に仕様アップに伴って増加する価格要因については、日立として企業機密に属するということで詳細は聞いておりません。
○大出委員 どうもこういう頼りない基金が国民の金を貸すなんという仕事をしてはいけませんですよ。これじゃ、どうごまかされてみたってどうしようもないじゃないですか。発表したのは二月の十六日ですよ。所管は政府なんだから、経済企画庁でしょう。会計検査院だってあるじゃないですか、国鉄だってあるじゃないですか、運輸大臣がいるのだから。そうでしょう。何で連絡をとって調べないのですか。四一五系というのは、ここに国鉄臨時車両設計事務所主要諸元の中できちっと書いておりますよ。しかも国鉄の職員の方がソウル地下鉄に出向いて、わざわざ一般の公開の「電氣車の科学」というのに全部詳細書いてあるじゃないですか。そんなむちゃくちゃな話がありますか。全く無責任きわまる。話にも何にもならぬ。ということでございますけれども、少し先に進めさせていただきます。
 かくて、モーターは、ここに書いてありますように全く同じで、コストアップの要因はない。にもかかわらず、日立さんはモーターコスト一四%アップだと言う。金額が幾らでどうなっているのだということは一切言わない。言わなければこれは話にならぬです。最後に書いておきましたが、百八十六両のためにそんなむだなことはやらない。常磐線でも韓国でも、この系統を使うことによってかえってコストは安くなっている。
 次に変圧器、これは小型のものになっていてかえって安いと書いてありますが、これはどういうことかと言いますと、この枠の中に入っている表で申しますと、両方を見ていただけばわかりますが、変圧器というのは一切合財、外鉄形密封シリコーン油入送油風冷式、両方同じであります。容量はソウルが千百七十キロボルトアンペア、四一五系は千二百三十五キロボルトアンペアあるのでありますから、主変圧器は実は四一五系の方が大きいのです。基金はいいかげんなことばかり、いままで言っている。千百七十キロボルトアンペアですから、小型である。ここにちゃんと書いておきましたが、そういうことです。だから、片一方で二万五千ボルトだから五千ボルト分巻き線を巻く、絶縁階級を上げる。これは全体から見ると、ほとんど価格換算ができないくらいなものなんです、片一方で変圧器は小さくなっているのですから。よしんば、それだけよけいに巻いたというふうなことを換算してみても、とんとん以上には出ない。つまり価格変動はない。むしろより低い。こういうことになるということなんです。これは表をごらんになればわかるとおりであります。
 それから主整流器――結線、容量、電圧、電流と書いてありまして、単相ブリッジ、容量、電圧、電流、全部一緒であります。
 ここで会計検査院の方に承りたいのでありますが、モーターとか主変圧器とか主整流器などでも結構だし、モーターだけに限っていただいても結構ですが、一体検査院はあの発表をながめて、どういう御感想とどういう論点をお持ちで、モーターについてはどうお考えか。細かいものは私がこの間詰めましたからもう触れません。いかがでございましょう。
○東島会計検査院説明員 お答えいたします。
 二月十六日の日立の発表を見まして、私どもわからなかった点が少しは解明されましたが、なお、先ほど先生がおっしゃった価格アップについてはどうしてもわからないわけでございます。それで、モーターその他車両の諸元につきましては、先ほど先生が挙げられました雑誌その他、われわれ十分調査しておりまして、ほとんど変わりないものと思って、先般御答弁いたしましたように、交付材料は千六百八十万円じゃないかということに自信を持っておりましたけれども、価格アップが三百七十四万円あるという発表がございまして、実は私どももちょっと、その辺の詳細について検討中でございます。
○大出委員 長年専門に国鉄を調べてきておられる会計検査院の東島局長さんが、いまわからぬ、モーターだって同じだ、こうおっしゃる。私が指摘したことと変わっていない。とすれば、私はこれはちょっと放任できない問題だと思っている。いまのを確認いただいただけで、後から申し上げます。
 次に、日立は取りまとめ経費等からは利益を取っていない、こう説明しているのですね。実は取りまとめ経費も、先般の私の八日の質問で、東島局長さんは私の質問をお認めになっている。国鉄がもし外部からソウルの地下鉄みたいなものを引き受けるとすればという割り掛けがございますが、それから見て日立の取りまとめ費は高過ぎる。この点は、その部分としてはお認めになっているわけであります。そうすると、利益を得ていないと言うが、これだっておかしい。以下幾つかここに説明をしておきましたが、時間の関係もございますからこの点は省略をいたします、お読みいただければわかるわけでありますから。
 そこで、もう一点だけ承っておきますが、たとえばモーターなんかも五百台から六百台一緒につくる。たとえば極数をふやすなんということは、二十極でつくってしまって後から二十五極に変えれば金がかかる。しかし、初めから二十五極でつくれば金は同じである。そこまで会計検査院の方方もお調べになっているのですね。だから私の質問にそういう答弁が出てくるわけでありまして、これは私どもからすると、理解に苦しむという以上に全くけしからぬことになると思っています。
 そこで、大きな問題が二つございます。大変大きな問題でありますが、その一つは、ちょっと口頭で申し上げますが、日立はこう言っているわけです。日立の言い分、車両取りまとめ費は七千七十万円である、内訳は試験に千百二十万かかる、基本設計費が四千八百万かかっている、動産保険、生産物保険に千百五十万かかっている、一車両当たり三十八万円である、これが一。二番目、車両外注費が五千七百五十九万。三番目、交付材取りまとめ費が九千六十万かかった、この内訳は、基本設計費八千七百万円、試験費三百六十万円。交付材外注費が三千三百二十八万円。五番目、全体取りまとめ費が一億八千九百二十万円、この中に総合性能テスト千六百二十万、技師派遣費が何と九千二百四十万、提出資料八千六十万。提出資料の中身は何だと言ったら、取扱説明書、和文、英文各三百部つくった、パーツリスト二百部、トレース代等で八千六十万かかった、こう言う。これは全くわかりませんね。
 そこで指摘をいたします。先ほど私が取り上げました川添雄司さん、時のジャーツの技術者の中心人物、この方が書いておられるものの中に大変はっきりしている。いまの「電気車の科学」六月号の十三ページに「総合試験」という項がございます。やらねばならぬこと、つまりジャーツと韓国調達庁の間に契約をした契約の中身としてやらなければならないと義務づけられておりますものの中に総合試験というのがある。ちょうど日立が取り上げているのと同じもの。「車両性能」、車両をジャーツがちゃんとやることになっている。「車体振動、乗心地」乗り心地までやる。「温度上昇」「交直切換および冒進保護のチェック」「規程類の作成」、検査、修繕云々というところからずっとありますが、大変微に入り細にわたりジャーツがやらなければならぬことになっている。だからNHKのニュースが、ジャーツとの契約の間で決まってジャーツがやっているのに、何で一体日立はそんなことまで全部取るんだ、それはまるもうけではないかということをお流しになっている一つの大きな理由はここにあります。
 そこで、もう一つつけ加えて承りたいのでありますが、実はここに「とうでんこう」という資料がございます。ここに「韓国、首都圏電化の総合試験に参加して」ということで、鎌原今朝雄さんという人が技術レポートをお書きになっている。「とうでんこう」とは何か。これは国鉄の東一電工局ということです。ここの技術次長であった河村四郎さんが発令されてソウルのジャーツの所長におなりになった。この方は大変まじめな方で、技術的にも卓越した方でございまして、大変良心的な方でございます。前回申し上げました。コンサルティング業務をここでおやりになった。ここで総合試験の一つが、立ち会った人が書かれており
○大出委員 調査しているわけでもありませんと言いながら答えているというのはどういうわけですか。調査したことがない人には答えられないはずで、それならば調査していませんというだけでいいんですよ。後の方だけはよけいだ。本当に困った人たちだ。こっちは調査して物を聞いているんだ。
 ところで、もう一つ大きな問題があります。日立の発表によりますと、何と、みずから得意とする技術の日立さん――私は日立の労働組合の皆さんとは本当に仲よくしておりますので、その意味で、皆働いている技術屋さんですから、技術の日立であることは十分認めます。何も社長さん以下が技術が優秀なんじゃなくて、働いている人たちが優秀なんです。その技術の日立さんらしく、自分たちの得意なところだけ大変な利益を出した形にしている。そこだけは自信がありますからどうでも言えるから、ここで私はきちっと例証をしておきたいのであります。
 お手元に大変幅の広い、二ペーシにわたります資料、三、四枚ございますが、差し上げてあります。一番最後をおあけいただきますと、この間、二月十六日に日立が記者発表なさってお述べになった利益率が一番下の段にございます。ちょっと汚くなっていて申しわけないのでありますが、ちょうど真ん中に「製作分担日立分」というのがございます。この中に「交付材区分」というのがございます。ここの利益が何と一六・七%、日立がつくっております電気回り、この分の利益が何と二八・七%で、べらぼうな利益を上げたことを日立さんは認めております。車両の方は大してもうかっていない。これはごらんになればわかりますように、計一〇・九ですけれども、「車輌区分」では「他社発注分」で〇・二%しか利益を上げていないのですね。だから自社の「車輌区分」で四・二%しか利益を上げていない。ところが電気部品関係で一六・七%の利益を上げている。これはどうしても理解に苦しみます。
 そこで、そのことを状況証拠によって例証したいのですが、一枚目の「わが国企業の経営分析五十一年度上半期」、これは通産省がおつくりになっている。産業政策局であります。この私が線を引っ張っております第一ページ、四十二ページのところでございますが、「収益性諸比率及び諸回転率等」というところに「売上高利益率」というのがございますが、これは五十一年上半期でありますけれども、一・六二、その次が三・二六、その次が二・一九、こういうわけでございまして、このくらいが通常の利益なんです。
 さらにこの二枚目をあけていただきまして、これが五十一年上半期であります。ずばり「日立製作所」がございますが、同じ百二十八ページの「収益性諸比率及び諸回転率等」というところに線を引いておきましたが、「売上高利益率」三・二六、五・三六、四・〇六、日立はいい方でありますけれども、それにしても四、五%であります。
 それからもう一枚あけていただきまして、「日銀統計主要企業経営分析四十八年下期」、地下鉄のこの問題の当期であります。この「日銀統計主要企業経営分析四十八年下期」、これをその後通産省の方で名前をくっつけて、中身は日銀だろうと思いますけれども、「わが国企業の経営分析」になったのでありまして、同じものです。四十八年当時は同じものを日銀がやっていた形になっておりました。ここに「発電・送電・配電・産業用電気機械製造業」こうあります。八十六、右の方のページであります。ここに利益率がございまして、私が括弧で包んでありますが、同じ種類の業界、業種の四十八年下期、地下鉄の問題のときに六・二四、狂乱物価で物価が上がってきておりましてここが六・二四、前期が四・八四。これは皆さんどこから考えても、一六・七などというばかなことはない。そこへもってきてモーターが十何%仕様アップしたなどということは、みんなアップして、その上で一六・七もうけたというわけでありますから、主変圧器もあるいはモーターも整流器も同じものだったということになると、一六・七どころじゃない。二〇%もうけたのか、あるいはそれを超えているのかわからぬ。それだけコストが上がっているということで一六・七なんですから、同じものだということになるとそれどころじゃない。あるいはここで倍以上の差が出てきかねない。大変に疑問の多いところでありまして、けさの新聞などでもそこを取り上げてお書きになっているものがございましたが、あそこの新聞等でお書きになっていることも、私が調べておりますことも、ほとんど一致する見解ということにならざるを得ない。これは金額の面においても不可解千万だということにならざるを得ません。
 そこで申し上げますが、このからくりについてお出しをいただきたいと申し上げた前回の二つの資料、まずお出しいただけますでしょうな。
○武藤政府委員 二月八日の本委員会におきまして大出先生から提出方御要求のありました書類は、あのとき席上配付になりました資料一の原本、それから資料一に言及されておりました七三年四月三十日付レター、それと同じく席上配付になりました資料二の原本、この三種類と理解いたしまして、外務省、海外経済協力基金、協力いたしまして調査したわけでございますが、その調査の結果について御報告申し上げます。
 まず、外務省自身の記録について調査したわけでございますけれども、外務省の記録には存在しておりませんでした。それから、基金にも同様調査をお願いしたわけでございますが、基金の記録にも存在していなかったと伺っております。
 そこで、提出方御要求のありました書類のうち、少なくとも資料一につきましては、当委員会におきまして大出先生から御指摘がございました川野ミッションの報告書の写しの部分でございますが、あそこに書いてあることと符節が合っているように認められましたので、報告書の執筆者の方に事情を照会したわけでございます。ただ、この報告書の執筆者という方は民間の方でございまして、外務省といたしまして民間人から正式に事情を聴取するという立場にはございません。したがいまして非公式に話を伺ったわけでございます。その結果判明したことでございますけれども、問題の資料一に対応すると認められるような書類はございました。ただ、その書類が二つございまして、一つは、二月八日の委員会の席上大出先生が申されましたとおり、三菱商事の名前が印刷された用紙に書かれたものでございました。ただ、この書類に書かれております内容は、前回席上配付の資料一と符節を合しているわけでございますけれども、数字が若干違っております。数字が違うといいましても、いわば計算違いのようなものでございまして、そこでもう一つ書類がございます。これは全くの白紙でございますが、この白紙の方にはその計算違いを訂正したものでございまして、その数字等は前回配付の資料一と全く同じものとなっている。こういう二つの書類があることを発見したわけでございます。資料一につきまして調査の結果は以上のとおりでございます。
 それから、資料一に言及されております。三年四月三十日付のレター、それから前回席上配付の資料二の原本についてでございますが、これら二つの書類につきましては、川野ミッション報告書執筆者の方も持っていないというお話でございました。そこで、調査方お約束しました書類のうち、少なくとも一つは所在が判明したわけでございますけれども、この書類を持っておられるのは先ほど申し上げましたとおり民間の方でございまして、外務省といたしましては、一民間人が個人的に持っておられる書類を徴しまして国会に提出するという立場にはございませんので、その点は御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
○大出委員 これは中身をお認めになりました。三菱の用紙に書いてあって、いまだから申し上げますが、林哲男さんという部長さんの判こがてっぺんに押してある。これは計算違いがございまして、鳥山正光さんがお直しになったのではないとは思いますけれども、別な紙に別に計算をして、その数字の誤りは直しております。二つ一緒にあると私申し上げましたが、直した方が正当でありまして、直って正当な方を私が要点筆記でここにお出しをした。いまその数字は四百十四万というジャーツ仕様換算、この四百十四万は一体積算の基礎はと言ったらどなたも御存じないから種明かしをした。その数字にぴったりだとおっしゃるのだから、お認めになっている。この四百十四万、ジャーツ仕様換算で上乗せしたそれだけで、実は七億四、五千万になるのですよ、百八十六両ですから。穏やかでない。これはお認めになった。
 ところで、民間の方とおっしゃるが、あなた方は国民の税金を四、五百万使って調査を依頼した。その金の範囲で資料を集めて鳥山さんは報告書を書いた。私は、集めた資料を含めて国民の税金だと思っている。あるのが確認されて、中身は私の数字に一致すると言っていて、それを何でリコピーでも何でもとって出せないのですか。
 それからもう一点、資料二というのは表題を消したと申し上げておりました。なぜかと言うと、人の名前等の関連が出てまいりますから。それで、表題を申し上げますと、「ジャーツ面談資料」と書いてあります。鳥山正光さんがジャーツの皆さんと片っ端から会って面談をして書いた資料です。記録であります。なくなることはないのだ。間違った三菱の用紙に書いたもの、それを訂正した普通の紙に書いた数字、それが私の出したものですけれども、それと一緒にとじてあってぱちんとなっているものがなくなることはない。ただ、私がここに説明をつけ加えておったという点だけは違います。「説明」として、私は二の方に書いているのです。皆さんがわからないと困ると思って私が書いた。原本のど真ん中に書いてある「KNR」云々というところから「エンド・ユーザー」云々というところまでは「ジャーツ面談資料」に間違いなくぴたり載っているものです。あるのがわかっていて、外してどこかへやったかどうか知りませんけれども、少なくとも数字の積算の基礎が明確になっているものをお認めであってだせないとは何ですか。しかも、前回の議事録「契約の修正につきましては」これはしAの修正、これは「基金の方のお仕事でございますが、外務省と基金と協力いたしまして提出することといたします。」と明確に答えているじゃないですか。中野委員長が「だれに要求していらっしゃるのですか、」と言うから「外務省と基金でございます。」その前に私は、この二つの資料を出しなさいと粘った。委員長から念を押されましたから申し上げた。そうしたら、皆さん相談をされた結果、大臣とも相談をされた結果、「外務省と基金と協力いたしまして提出することといたします。」と言い切ったじゃないですか。国会のこの席で言い切っておいて、おおむね見当がついたから言ったのでしょう、それを出さぬと言うなら私は審議はできませんよ。
○武藤政府委員 資料一、二についてでございますが、私どもがお願いいたしましたことは、調査を委託したということでございまして、調査の結果を報告していただいたということによりまして使命は完了したと考えておるわけでございます。その調査の過程におきまして、あるいはいろいろ非公式に資料をお集めになりましたり、話を聞かれたりしたということはあったかも存じませんけれども、それらにつきましてまで外務省の管轄が及ぶとは私どもは考えていない次第でございます。
 それから、二番目に話がございました「ジャーツ面談資料」ということでございますが、これにつきましては、私ども、鳥山さんからお話を伺いましたときに一切伺いませんでしたので、承知しておりません。先ほど申し上げましたとおり、外務省といたしましては、民間人の方について正式に調査をするというような権限はございません。あくまでも非公式な話だったわけでございまして、その非公式の話で伺った以上のことは申し上げられないわけでございます。
 それから三番目に、前回の委員会で提出いたしますと申し上げたという点についてでございますが、実はあの時点におきましては、私、この資料につきましては何も知りませんでしたので、大出先生持っておられますし、私どもも探せばあるのだろうと思って、若干簡単に考えてそう申し上げた点まことに軽率だったと思っておりますけれども、その後判明いたしましたところでは、そういうことで民間人の方が持っておられるものである、したがって、外務省としてはこれをとって国会に提出する立場にはないということが判明いたしましたので、そういうことで御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
○大出委員 それば委員長の声があって、私が念を押したら、提出する、こうなったので、私は不満足ですが、きょうは総括ですからとめるわけにもまいらぬと思いますから、それじゃ最後に、二つだけ答えてください。
 会計検査院の東島さんから、一六・七というのは高過ぎるので、どうお考えかという点と、それから伊藤榮樹さん、せっかくお見えいただきましたから、前回、「現在、この案件につきましては、先生の御質疑等がございまして、検察当局が深い関心を寄せておる問題でございます。」最後に、罪名等がはっきりしない、「よく勉強してみたいと思います。」こうあるのですが、その後の進展等を踏まえて、私は執念めいておりますが、これはお調べをいただかなければならない。資料の所在も明らかになった、しかも片一方、ないとおっしゃる方は一つ間違えば大変な証拠資料でございますから、私どもにはこれ以上国会議員の調査権の限界がございます。そういう意味で、御感触をひとつもう一遍伊藤さんにお述べいただいて、最後の総締めくくりでございますから、とめる云々じゃなくて、これで終わりたいと思うので、お答え願います。
○東島会計検査院説明員 お答えいたします。
 私どもは、現在原本を持ってきておりませんが、先ほど議場で配付されましたこの資料によりまして、資料と同じ数字ということは間違いございません。それと私どもの考えとしましては、通常物を買う場合に大体どのくらいの利益率をやるかということは、この日銀の資料で大体やっておりますので、それから比較しますとちょっと高いのじゃないか。ただ、その内容がちょっとわかりませんので、明確にどのくらい高いということはこの席では申し上げられないということでございます。
○伊藤(榮)政府委員 この問題に対します検察の考え方は、前回申し上げたとおりでございます。
 本日の御審議の経過、これを検察当局によく伝えることといたしたいと思います。
○中野委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。
 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩をいたします。
    午前十一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十二分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
○近江委員 まず私は、本日の東京地裁におきます副島氏の証言につきましてお伺いしたいと思います。
 さきの大久保被告証言を裏づける重要な内容を持った発言を副島氏は語っておるように思うわけでございます。いわゆる灰色高官と言われる人々に三十ユニットに関する三千万円をそれぞれに渡したという、こういう実行段階における具体的な証言がなされておる模様でございます。しかるに、その多くの人たちは金の授受を全面的に否定しておられるわけでございますが、のみならず、名誉のためにも、また人権上からも、その資料を国会に提出することを強く求めておられるわけでございます。
 ここで総理にお伺いしたいわけでございますが、この段階で国会が資料の提出を求めたならば、全面的に総理は協力すべきであると思いますかがでございます。
○瀬戸山国務大臣 私からまずお答えいたします。
 本日、ただいまちょうど、ロッキード事件の丸紅関係の証人調べが行われております。まだ全部ではありませんけれども、一部証人から、検察の起訴事実に関連して、関係者として体験したことをいま証言をいたしておるわけでございます。
 いま関係資料というお話でございますが、どういう範囲のことを言われておるのかわかりませんけれども、裁判資料は、御承知のとおり裁判所に所属しておるものでありますから、公判に係属しておる資料は裁判所の所管にかかっております。でありますから、これを国会に求められるかどうかということは、裁判所との関係でありまして、こちらからこれを出すとか出さないとか言う立場にございません。ただ、従来から言われておりますように、国会の政治的あるいは道義的追及の資料として、国政調査の資料として協力を求められておりますが、これも前々から申し上げておりますように、公判廷で明らかになりました分については、資料そのものを出すということはいま申し上げたような事情でございますが、その概況については詳細そういう証言等の事実関係を御報告する、これは今日まで申し上げておるとおりでございます。
○近江委員 わが党の矢野書記長が質問をいたしました際におきましても、総理は、国会が決められるならば協力をするという約束をされたわけでございます。いま法務大臣からもそういうお話があったわけでございますが、全面的に協力をされるべきであると思います。重ねて、総理からお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 国会の国政調査、これに対しまして政府はできる限り御協力をする、これはもう当然のことでありまして、そのとおりに心得ておりますが、いまロッキード問題についての資料ということになりますと、いまこの問題が裁判に係属中である、こういう関係もありまして、おのずからそういうことなどの制約があります。これは御承知願いたいのでありますが、支障のない限り、できる限りの御協力をするということは、私どもはそうかたく考えております。
○近江委員 それでは、この問題を終えまして次に進みたいと思います。
 日中問題につきましてお伺いしたいと思いますが、去る四日に行われました第二回の佐藤大使と韓念竜外務次官との会談の結果をどのように分析されておられるかということであります。いろいろ新聞紙上にも伝えられておるわけでございますが、政府としてはどのように分析をなさっておられるか、まずお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
○園田国務大臣 午前の御質問にもお答えしましたとおりでありまして、この会談の内容は報告した以上には申し上げられないわけでありますが、今後政府としては、この会談の結果を踏まえつつ、交渉が実際に再開できますよう、さらに全力を挙げたいと考えておるところでございます。
○近江委員 この前途に明るい展望というものが開けたということが言えるかということが一つ。第一回会談よりも前進したと受け取っておられるかどうか、これが二つであります。いかがでございましょう。
○園田国務大臣 この前の会談で、両国の間に特別難問題が出てきたりひっかかったりしたことはございません。だんだん前回よりも進んでいることは事実でございます。
○近江委員 これまで外相は、第二回会談でこのめどがつく、そういう見通しを述べておられたように思うわけでございます。これは、わが党の鈴切議員が内閣委員会で質問いたしましたときに、この第二回会談でめどがつくだろうという見通しをお述べになっておられるわけでございますが、今回のこういう会談結果を見ますと、情勢というものはそのとおりにならなかったわけでございますが、何がネックでこうなったかということが一つであります。また、この中国側の姿勢ですね、この姿勢につきまして厳しいという印象をお持ちであるのかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 先般内閣委員会で貴党の方に答弁いたしましたのは、あと一回で片がつくか二回で再開になるか、まあ一回ぐらいでうまくいくのではないかと思いますと、こう言ったわけでございますが、今度の会談で中国側が特に厳しいということもなければ、いままでの中国側の態度に変化はございません。もう一回ぐらい両方が話し合った方がいいのではないか、こう考えておるところでございます。
○近江委員 そうしますと、もう一回ぐらいということになりますと第三回の会談ということになるわけですが、その第三回の会談というのはいつごろに考えておられるわけですか。そう遠くない時期に開けるという見通しを持っておられるわけですか。この点についてお聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 これは今後のいろいろなことも検討しなければなりませんので、いつごろかということは言えませんが、そう遠からざる時期にやればやるべきであろうと考えております。
○近江委員 この遠からざる時期というのは、この三月じゅうということですか。いかがです。
○園田国務大臣 月日を言われると困るわけでありますけれども、総理がおっしゃるとおりに、両方の条件がそろったらなるべく速やかに、こう言っておられるわけでありますから、三月中にというとなるべく速やかでもない、手続きでそう引っかかっておっても困りますので、なるべく遠からざる時期にと、こういうことでございます。
○近江委員 その第三回会談では交渉再開の合意に持ち込みたいという目標を持っておられるわけですか。
○園田国務大臣 両方の相談でありますから、ここでどうこう言うわけにまいりませんけれども、大体そういうことになりそうだと思っております。
○近江委員 そうなりそうであるという見通しをお述べになったわけでございます。この交渉再開にこぎつけるには、どういう懸案が残されているかという問題であります。交渉再開の前提は事実上の合意、少なくとも大枠の双方の意見の一致を必要とすると考えておられるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 これはしばしば言っておりますとおりに、段取りについての交渉でございますから、条約の内容については交渉はしないわけでございますので、大体両方の見当がついて具体的な話がつけば再開ということになるようにしたいと考えております。
○近江委員 そうすると、若干の食い違いとかいろんなことがあるでしょうが、一致ができなくとも交渉に入るということもあるわけですか、問題を残しつつも。いかがですか。
○園田国務大臣 段取りについて食い違いがあると、これは再開するわけにはまいりません。条約の内容については、再開になってから交渉するわけであります。
○近江委員 この反覇権問題を中心としまして、日中条約の内容に対する双方の基本的な考え方というものは、すでに相互に伝達されていると理解してよろしいでしょうか。
○園田国務大臣 大体向こうの考え、こっちの考え方はお互いに通じておるものと考えます。
○近江委員 日中間で反覇権問題の取り扱いにつきまして、内容はともかくまだ隔たりがあるという認識なのかどうか、このことについてお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 これについて隔たりがあるかどうかということは、交渉の内容になりますから、それはここで申し上げるわけにはまいりません。
○近江委員 佐藤大使は記者会見で、「さらに会談を求める材料はいまのところなく、交渉の進展は、これを受けての東京の判断次第だ。今後の見通しについては、悲観も楽観もしない」このように言っておられるわけですが、佐藤大使の感触は余り甘いものではないように思うわけですが、また、事務レベルでの会談はもはや限界であることを言外ににおわせているのではないかと思うわけです。そういうことから考えまして、この事態を進展させるためにも、交渉再開後とかのそういう形式にこだわる必要はなく、外相の中国派遣ということも考える必要があるのではないかと思うわけですが、この点はいかがですか、総理。
○園田国務大臣 内容の問題が再開に影響することはないと考えております。段取りの話し合いでございますから、そこで特別対立しているとか、あるいは特別ひっかかっているとかいうことはございません。今後だんだん話を進めていく筋合いのものでございます。
○近江委員 この第二回会談の結果から見まして、打ち合わせのために佐藤大使の一時帰国ということも考えておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 今後検討する問題でございますが、いまのところ、わざわざ呼び返すほどの問題ではないように考えております。
○近江委員 日中平和友好条約交渉の再開はいつごろになるという見通しか、三月いっぱいには交渉再開をしたい、そういう希望を持っておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 いつごろかという見通しを申し上げることは危険でありますから申し上げませんが、なるべく速やかにということでございます。
○近江委員 遠からずということですか。遠からずという答弁になろうかと思いますが、いかがですか。
○園田国務大臣 なるべく早く……。
○近江委員 ニュアンスからいきますれば、桜の咲くころまで――これはいろいろ、なかなか進まないと思いますけれども……。
 そこで、交渉再開ということになりますれば外相が訪中するということを国会でも表明なさっているわけでございますが、中国側へそういう意向は外交ルートですでに伝えられているのかどうか、この佐藤・韓会談で再開が決定すれば直ちに通告をするということになるのか、この点についてはいかがですか。
○園田国務大臣 午前中総理が言われましたとおり、今後の合意についての段取りが決まった後、私が向こうへ行くのか、向こうから来てもらうのか、私が行くとすればいつ行ったらいいか、そのときの状況、総理の御命令で決まることでございます。
○近江委員 外相が訪中しまして中国側と交渉する、その性格、位置づけというものはどういうものであるかという問題であります。すなわち、条約案文をつくるのか、それとも案文はできておって、最後の詰めをやるということなのか。あるいは、政治的決着を必要とするような場合にのみ訪中して打開を図るという意味であるのか、この点についてはいかがですか。
○園田国務大臣 いま御指摘されたようなもろもろの状態を考えながら一番適当な時期に、総理からの御命令をいただけば参るつもりでございます。
○近江委員 なかなかひっくるめたような答弁でございますね。外相も常々、日中双方にそう大きな障害はないということをお述べになっておられるわけでございますが、交渉が再開されましたならば、そう交渉が長引くことはないと思われるわけでございますけれども、これは当然相手もあることでございますので、政府としてはどの程度かかると現段階では考えておられるわけですか。一週間であるとか一カ月であるとか、大体どのぐらいをお考えでございますか。
○園田国務大臣 交渉が再開されればいつごろまとまるかは、全く見当がつきません。
○近江委員 交渉再開ということになりますると、政府の日中平和友好条約に対する基本的な考え方というものは明確にされざるを得ないわけでございますが、日中条約の早期締結につきましては、わが党初め各党もかねてから要求してきておるわけでございます。積極的に協力をしてきたわけですが、交渉がうまくいって、日中条約を署名、調印するというような最終的な段階に至った場合、これはあくまでも私の私見でございますけれども、その前には、総理としては野党の党首と党首会談を開くとか、政府の基本的な立場を説明して理解を求めるというような場面もあっていいんじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○福田内閣総理大臣 この問題が、ある段階に来たその時点で各党にも経過を申し上げ御理解を求める、このことをいたすことは当然のことであるというふうに心得ております。
○近江委員 日中平和友好条約が締結されまして両国間の平和関係というものが確定をした段階で東南アジア諸国、特にASEAN諸国に対する影響というものは政府はどのように見ておりますか。これは総理、外相、どちらでも結構です。
○園田国務大臣 日中平和友好条約は、そもそもアジアの平和と繁栄のために両国間で約束をするものでございますから、ASEANの諸国においても好意を持って受け入れられるであろうと期待をいたしております。
○近江委員 この平和友好条約の交渉が行われておる間、途中におきましてその概要も発表できないかどうかということなんです。非常にこれは国民的な関心事でもございますし、国民としてはその概要を知りたいと思っているわけです。成文化したものをいきなり国民に突きつけるというやり方ではなく、あらかじめそういう概要でもいいから国民にあらましの内容を認識させるということが必要じゃないかと思うのですが、この点につきましてはどのようにお考えでございますか。
○園田国務大臣 日中友好条約については、各党の皆様それから国民の方々の意見も大体出尽くしたところでございまして、国民の大多数はこれを理解されておると思います。
 条約交渉に入りましてから両方が合意をして発表するまでは、その内容についてこれを発表することは、外交慣例上からいっても、よき条約をつくるという意味からいってもこれはしてはならぬことでありまして、条約締結は政府の全責任においてやって、その後でこれに対する御批判は受けるものと考えております。そのために批准というものがある、これは秘密外交とは違う、こういう考え方でございます。
○近江委員 それはわかるわけですが、まあ概要というものは、差しさわりのないその辺のところのものでも国民に知らすことができないかということなんですが、それもだめですか、いかがですか。
○園田国務大臣 御質問のお気持ちはよくわかります。芝居の幕をちょっとあけてのぞきたいという気持ちはわかりますけれども、これはいろいろ影響するところも大でございますから、どうか前の発言で御了承願いたいと思います。
○近江委員 この日中条約は大体何条くらいになるものですか。大体何条くらいのものですか。言えませんか。
○園田国務大臣 お顔を拝見して質問を受けておると何とか答えたいのですが、まだそういう発言の事態ではないと存じます。
○近江委員 そこで、総理、外相に重ねてお伺いするわけでございますが、今国会は五月十七日まであるわけでございますが、今国会中にこの日中平和友好条約の承認を求めるという決意で取り組んでいかれるかどうか、この点についてお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
○園田国務大臣 そのようにいけば非常にありがたいと思っております。
○近江委員 いけばありがたいということは、それは外相も非常に努力されていることはよく知っておるわけでございますが、ただ希望的なそういう流れに任すという感じでおっしゃったのではないと思うのですけれども、政府としてはやはりそのくらいの決意で臨んでおられるかどうか、いかがですか。
○園田国務大臣 そういう希望があるわけでありますが、しかし、一面にはまた、両方でよく納得しなければいけませんので、ここでいつごろとかあるいは見通しを申し上げることはやはり影響があると思いますので、お気持ちは十分わかりますが、そのお気持ちもくみながら努力をいたします。
○近江委員 総理はどういう決意でございますか。
○福田内閣総理大臣 私はもう前から申し上げておるわけですが、双方が満足し得る状態においてなるべく速やかに条約の締結をいたしたい、このように考えておるわけでありまして、今後とも鋭意努力してまいりたい、かように存じます。
○近江委員 総理もかなり強い決意で臨んでいきたい、非常に結構なことでございます。われわれとしても最大の協力をしたいと思っております。さらに努力をしていただきたいと思うのです。
 そこで、これはこれから先の話でございますが、いよいよ調印という段取りになったときに、調印は北京でなさるのか、東京でなさるのか、これはまだ非常に先の話ですけれども、その辺はまだお考えになっていませんか、どうですか。
○園田国務大臣 それも交渉の経過に従い、両国民の心情等も考えて相談してみたいと思います。
○近江委員 この日中問題、いよいよ機は熟したと総理もおっしゃっておりますし、その点は非常に進みつつあるように私も思うわけです。いずれにしましても、わが党も日中友好に今日まで非常に力を入れてまいりました。今度は近々に矢野書記長がまた訪中するわけでございますが、この平和友好条約の締結は一日も早くやらなければならない問題でございますし、政府としてはさらに腰を据えてがんばっていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。
 次に、防衛問題についてお伺いしたいと思います。
 初めに、念のために伺っておきたいと思うのですが、政府は核兵器の保持につきまして、自衛の正当な目的の限度で核兵器は持てるという見解のようでございますが、現在もその見解は変わっていないかどうか、まずこの点についてお答えいただきたいと思います。
○真田政府委員 かねがね申し上げておりますように、憲法第九条第二項の解釈といたしましては、同条同項が保持することを禁止しておるのは自衛のために必要な最小限度を超える自衛力である、だからそれに至らない自衛力は九条二項は禁止しておらない、その禁止しておらない範囲内の武器、兵器であれば、それは通常兵器であろうと核兵器であろうと、それは九条二項の問うところではない、こういう考え方には変更ありません。
○近江委員 そうすると、九十八条の問題についてはどういう解釈をなさっているわけですか。
○真田政府委員 憲法九十八条にお触れになりましたので、純粋に法理上の観点から御説明を申し上げます。
 九十八条は、御案内のとおり、わが国が締結した条約は誠実に遵守しなければならない、かように書いてあるわけでございまして、恐らく近江委員の御心配になるのは核防条約との関係だろうと思うのですが、わが国は核防条約の加盟国でございまして、同条約第二条によって、いわゆる非核兵器国としていかなる核兵器も保持してはならないということに相なっております。したがいまして、もしわが国が防衛的な、先ほどの定義で申しますと自衛のために必要な最小限度を超えない核兵器を持ったとした場合に、それは核防条約の第二条に違反する、そのことがまたひいては九十八条第二項に違反することになるのではないか、こういう御懸念だろうと思うわけでございますが、私が純法理的に御説明申し上げると言いました真意は、九十八条というのは、条約は守らなければならないということを書いているものでございまして、その九十八条第二項自身が具体的な規範的意味内容を持っているものではない。たとえば、憲法の規定の中にも、検閲をしてはならないとか、公務員による拷問をしてはならないとか、あるいは刑罰の遡及適用をしてはならないとかいうように、その規定自体の中身において具体的な規範を定めている、これが普通の規定なんですが、仮にこれを実体的規定と申しますと、九十八条第二項あるいは国内法で言いますと七十三条第一号、政府は法律を誠実に執行しなければならないと書いておりますが、こういう七十三条第一号とか九十八条第二項は、それ自身としては具体的な規範を定めているものではございません。そういう規定の性格といいますか、構造といいますか、非常に違いがある。これはおわかりになるだろうと思うわけでございまして、したがいまして、九十八条二項との関係で申しますと、先ほど申しましたように、九条二項においては禁止されておらないけれども、条約上持つことができないことになっておる、もしそれを持てば条約に違反したことになり、ひいては九十八条第二項にも触れることになる、こういう説明の仕方はできると思うのです。けれども、大事なことは、先ほど申しましたような規定の構造なり性格が違うのだということをよく御理解の上でそういう表現をお使いになることには、私は異存がございません。
○近江委員 外務委員会における委員の発言につきまして、そのときには、九十八条の立場からでも憲法的に持てないということを外務大臣も発言され、その後また国会でも訂正をされるということになってきておるわけですが、私は、この問題は後でまた論議の中で詰めていきたいと思っております。
 そこで、政府のこの間からの核に対するいろいろな答弁をずっと聞いておりますと、防衛的核兵器とは小型戦術的核兵器のことであり、攻撃的核兵器とは大型戦略核兵器というような分類をしておられるようでございますが、大型、小型あるいは防衛的、攻撃的というのはどこで区別なさるわけですか。これについてはいかがですか。
○伊藤(圭)政府委員 核兵器というものは、もともと戦略的、攻撃的な分野で開発されておりまして、三十数年前に日本に落ちました核爆弾というものは、まさにこの戦略的、攻撃的兵器の典型だと思っております。しかしながら、現在の時点におきましては、その後三十年間の開発の結果によりまして、大きく分けまして、軍事常識的に言いまして、いわゆる戦略核兵器というものは、破壊力というものはメガトン級の破壊力になっているのが実態でございます。さらにまた、軍事技術の進歩に伴いまして、戦術核兵器というものも、きわめて小型なものから、いわゆるキロトン級といいますから、破壊力といたしましては、まさに広島や長崎に落ちましたような破壊力を持った戦術兵器ということになるわけでございます。
 しかし、私どもが研究といいますか検討をしたということもございませんので、では概念的に、純粋に、防御的なものはどんなものかということにつきましても、実はどういうものかということを検討したこともないわけでございまして、はっきり申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、かつて久保防衛局長の時代に、もし仮に核地雷というようなものであれば、これはいわゆる防御的な兵器の一つのタイプであろうというふうな御答弁を申し上げたことがあるというふうに記憶いたしております。
○近江委員 いまの答弁を聞きましても、区分というものについては本当に基準がないわけですね。そういう中で、政府は憲法的に、憲法の九条二項を盾にしまして、一応持てることは持てるのだということを言っておりますが、しかし、核のこうした今日の開発ぶり等から考えてまいりますと、これは非常にそら恐ろしい感じがするわけです。
 政府は最近相対論というものを打ち出してきているわけですね。自衛力の限界を、そのときどきの国際情勢、軍事技術の水準、その他の諸条件によって変わり得る相対的なものである、こういう相対論を打ち出してきているわけです。こういう政府見解からいきますと、自衛力の限界というものはもうないのじゃないか、これは相対的に無制限に拡大できるということになるわけです。そういう点からいきますと、通常兵器におきましても、P3CあるいはF15以上の高性能の兵器も保有できるというようなことにも、政府の相対論からすればますます発展してくるわけです。そうなってきますと、この相対論に立つ限り、核兵器もまたその一環であるということは疑う余地はないと私は思うのです。ですから、政府が保有を認めるその防衛的小型戦術核兵器、この規模もだんだんと相対的に拡大していかざるを得ないと思うのです。戦術核兵器でもキロトン級とおっしゃっているわけですね。キロトン級というのは、広島、長崎よりもまだ大きいわけでしょう。そういう相対論で進んでいけば一体どうなるかということですね。
 防衛局長、もう一度確認しますが、今日の戦術核兵器、これはキロトン級とおっしゃったわけですが、広島、長崎に投下された原爆以上の戦術核兵器というものは、すでにもうかなり開発されているわけでしょう。状況はどうですか。
○伊藤(圭)政府委員 広島、長崎に落ちましたのは、二十キロトンと言われております。しかしながら、核兵器の破壊力というのは各国とも秘密にしておりますので、正確な情報をつかんでいるかどうかということになりますと、完全に自信を持ってお答えできない状況でございますけれども、あの戦術核兵器の中にも、広島、長崎に落ちました破壊力以上のものがあるというふうに承知いたしております。
○近江委員 だから、そういう政府の答弁を聞いておりますと、全然そういう区別なり、また歯どめというものがないわけです。
 そこで、日本国憲法が平和を希求しております世界に冠たる平和憲法であるということをわれわれは誇りにしておるわけですが、しかし、最近この憲法を空洞化しようとする政府の見解というものは、私は無視できないものがあると思うのです。
    〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
政府が述べました防衛力相対論というものは、この憲法前文の平和主義と第九条を真っ向から否定するものとして、これはもう無関心ではおれないわけです。この相対論というものは、かっての軍部が依拠しておりました勢力均衡論でありまして、このことは第一次、第二次世界戦争の歴史が証明するところでございます。今日の自民党政府は、この道はいつか来た道の政策をとろうとしておりますが、こういう危険な政策というものを私は強く指摘したいわけでございます。
 そこで、この憲法無視の政策の転換というものを強く要求したいわけです。私は、この政府の相対論の撤回を強く要求したいわけですが、この点について政府はどういう考えを持っておりますか。
○真田政府委員 近江委員のおっしゃいました相対論なるものですが、それは何も最近になって政府が言い出したわけじゃございませんで、昭和三十九年六月二十五日、当院内閣委員会において当時の池田総理が、やはり同じような、科学技術の進歩によってわが国の防衛上必要な兵器も、それは相対的なものとして内容が変わり得るということをおっしゃっております。また、昭和四十七年十一月十三日、当時の田中内閣総理大臣が参議院の予算委員会において、まさしく相対的なものだという言葉、表現を用いて御説明になっております。
 そこで、つらつら考えますると、日本の持てる自衛力はやはり日本を守るためのものでございますから、外国の一般的な軍事科学の水準が上がれば、それにふさわしい、日本を守るに足るだけの武器にならざるを得ないわけでございまして、ただ御心配になっているのは、歯どめがなくなるのではないかという点でございますが、その点につきましては、繰り返し申しておりますように、わが国の自衛のために必要な最小限度であるというふうに言っております。
 それからまた、核兵器につきましては非核三原則を堅持しておりますし、また国内法的には原子力基本法があり、国際条約としては先ほど引用いたしました核防条約の第二条によっても禁止されておりますので、おのずからそれが歯止めとしての役割りを果たすものである、かように御理解願いたいと思います。
○近江委員 この相対論ということは、限りない軍備の増強になると私は思うのです。こういう相対論というものは、このまま幾らでも政府の兵器の解釈というものが拡大していきまして、これは完全に憲法精神に反すると私は思うのです。この相対論というものを撤回されることを私は強く要求いたします。総理、いかがですか。
○福田内閣総理大臣 憲法第九条の解釈といたしましてはただいま法制局長官がお答えしたとおりであります。これはこの内閣ということじゃないのです。もうずっと前からこの考え方で政府はやってきておるわけでありまして、政府といたしましてはこの考え方は定着しているというくらいに考えてきておるわけでありまして、この考え方を変えるということは考え得ざることである。ただ、それが適用に当たりましては、御指摘のとおり幅広い、その中での選択の問題でありまするから、慎重な配慮を要するということはもちろんでありますから、慎重に配慮して、そうしてケース・バイ・ケースの選択を決めてまいりたい、このように考えます。
○近江委員 私は、この相対論は危険な論理であるということを重ねて申し上げておきます。今後、いろいろなケースにつきまして厳しく追及していくことを申し上げておきたいと思います。
 確認しておきますが、この核兵器拡散防止条約が有効であり、かつ、わが国がこの条約に加盟している限りは、小型戦術用核兵器といえどもわが国はこれを絶対に保有できないと理解しますけれども、この点についてはいかがですか。
○金丸国務大臣 ただいま法制局長官並びに総理からお話し申し上げましたから、御事情は十分承知されていると思うわけでありますが、私は防衛庁長官として、自衛隊は核兵器は、大きかろうが小さかろうが、全然持つ考え方は持っておりません。
○近江委員 防衛庁長官はそうのおゆに確約されたわけですが、法的にはどうですか。
○真田政府委員 御質問がございましたのでお答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、わが国は核防条約に入っております。でありまするから、核防条約に加盟している限りにおいては、これは法理上核兵器は、大であれ小であれ、大小を問わず持つことは禁止されております。
 また、核防条約だけを御引用になりましたけれども、国内法といたしましても原子力基本法がございますので、国内法的にも、その原子力基本法が有効である限りにおいては、それは原子力の利用は平和の目的に限ると書いてあるわけでございますから、大小を問わず核兵器を持つことば許されません。
○近江委員 日米安保条約第五条が発動した場合もこの非核三原則は厳守されるかどうか、念のためにお伺いしたいと思うわけです。いかなる事態におきましても核兵器は、大型、小型、戦略的、戦術的を問わず一切の核兵器は持たないということをここで確約していただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○福田内閣総理大臣 いかなる事態でありましても非核三原則は守り抜くという決意でございます。
○近江委員 これも念のために聞いておきますが、この非核三原則というものは、総理は憲法的国是ということをおっしゃっておられるわけでございますが、これは現行憲法が続く限り、また、だれが総理になってもこの非核三原則は必ず続く、守られるということであるかどうか、その点はいかがですか。
○福田内閣総理大臣 政府といたしましては、もちろん非核三原則を厳守する、こういうことを宣明しておるわけですから、これは私は問題ない、こういうふうに思いますが、なお、いかなる政府ができましても、国会が非核三原則を遵守すべしということを決議いたしておるわけでありまするから、この決議が健在である以上、その決議はいかなる政府によっても守らなければならないし、守られる、かように考えます。
○近江委員 これも確認でありますが、安保条約第五条が発動した場合も、非核三原則がある限り、アメリカから核兵器持ち込みの事前協議が提案されても常にノーでなければならないわけです。いわゆるイエスもありノーもあるというような二者択一はあり得ない、常にノーでなければならないと解するわけでございますが、念のためお伺いしておきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 安保条約に基づきまして核兵器の持ち込みについて了承を求める、こういう協議がありました場合に、わが国の回答はいかなる場合におきましてもノー、このように御理解願います。
○近江委員 いま確認したわけでございますが、政府はこの非核三原則を国是として尊重するということを先ほどもおっしゃっておるわけでございますが、しかし、考えてみますと、これは政策の一つであって、政府を法的に本当に拘束できるかということなんです。ですから、政府がもしこの核政策の変更をした場合、この非核三原則も絶対に変更がないのかということになってきますと、そういう点、非常に不安があるわけでございます。そういう点では不安定じゃないかと思うのです。政府は、この非核三原則は国際的にも認知されておるということを常々おっしゃっておるわけですが、しかし、アメリカやヨーロッパは、自衛隊の核武装に対する危惧というものを、不安感というものはやはり抱いておる。日本は将来持つのじゃないかというようなことがちょこちょこ報道されたりもしておるわけです。そこで、われわれは、日本が永久に核兵器との絶縁を実証するために、わが国が率先して非核三原則を立法化することが最も必要ではないかと思うわけでございますが、もちろん核拡散防止条約によってまた条約的に核兵器の保有を禁止する、これはもう当然でございまして、それとともに国内的に立法化することによって核兵器の不保持を鮮明にすべきだと思うわけです。そこで、総理として非核三原則の立法化に賛成かどうかということについてお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 立法の問題でございまするから、国会におきまして御立法なさるということにつきましては、国会においてお決め願えばいいことか、こう思いますが、政府といたしましては、国会において非核三原則についての御決議があるわけでありまするから、政府の立場といたしましてそれ以上にさらに立法を要する、立法の御提案を申し上げるというような必要はない、このように考えております。
○近江委員 私たちは、はっきりとするために、立法化するということについては強い希望を持っておるわけでございますが、総理自身も、そういう動きがありますれば、総理であり総裁でもあるわけでありますから、与党のそうしたまとめといいますか、そういう方向にさらに努力をされるべきだ、このように思うわけでございます。
 それから、核兵器の全面禁止を主張しておるわけでございますが、しかし現実は、核大国のエゴイズムというのは、合意しないばかりか、非常に拡大競争に歯どめがない状態が見られるわけです。そこで次善の方策として、核兵器の全面禁止は当然として、それに至るまで先制不使用条約、こういうものをわが国として提案すればどうか。先制不使用条約、先に使わない、そういう考えもあるわけでございますが、そういう提案をするという御意思がございますか。
○福田内閣総理大臣 わが国といたしましては、核が兵器としてこの地上から姿を消す、こういうことを念願をいたしておるわけです。ただ、現実の問題といたしまして、それを一挙に実現できるかというとそうはなかなかいかぬだろう、こういうふうに考えておりますので、これは段階的にそういう方向を目指していろいろな施策が進められるということが望ましいのではないか、それが現実的ではないか、そのように考えておるわけでありまして、私どもがそういう意味で一番重要視しておるといのは、核兵器の地か実験、これの全面的禁止、こういうことでございますが、その辺から逐次目標に向かって前進をする、その行動を国際社会で力強く推し進める、こういうことじゃなかろうか、かように考えております。
○近江委員 この五月末にも軍縮総会があるわけでございますが、こういう場におきましてわが国としましては、そうした平和に徹するという姿勢というものは大胆に示していかなければいけないと思うのです。この前の予算委員会におきましても、ちょうど原子炉衛星の問題もございまして、ぜひ総理に出られるようにというお話もしたわけでございます。総理は、日程上いろいろな問題もあろうかと思いますが、重ねてお聞きしますが、この軍縮総会に出られて、当然こうした問題を大胆に、核兵器の全面禁止等のこういうことを訴えるべきである、このように思うわけですが、いかがでございますか。
○福田内閣総理大臣 国連の軍縮総会、これに私が出席するかどうかということは、当方の政治日程の都合もあります。また、先方のいろいろ受け入れについてのプログラムもあるわけであります。そういうことで、いまここで出席するとかしないとか、そういうことを確定的に申し上げるわけにはいきませんけれども、だれが出席いたしまするにいたしましても、ただいま申し上げたようなわが国の核兵器についての考え方、これは強力に主張するということであります。
○近江委員 最近、財界におきまして防衛産業拡大を意図する発言が高まっておるわけですが、中でも武器輸出禁止の基準の緩和を求める動きがあるわけでございます。政府に対して財界からこういう正式な申し入れがあったのかどうか。また、もしもなかったとすれば、そういうことをマスコミ等を通じて十分御承知のはずでございますが、こういう動きに対して政府としてはいかなる対応をなさろうとしておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 武器輸出についての考え方は変わっておりません。
○近江委員 変わってないと、非常に簡単な御答弁でございますが、そうすると、財界のこういうような、いま不況のさなかであるからこういうものを拡大していきたいというような動き等に対して、また、そういう発言、要望等に対して、政府としては何のコメントもしないのですか。それじゃ、こういう動きに対してどのように思っていらっしゃるのですか。
○河本国務大臣 もし正式の要望等があればよく説明しようと思っておりますが、現在までには何ら、通産省に対しましても政府に対しましても、正式の意見とか要望はございません。
○近江委員 正式に要望がないといっても、これだけ新聞紙上にもいろいろ出ておるわけですね。公式にそういう財界の首脳が発言もしているわけですよ。やはり国民としては非常にその点は不安に思っているわけです、政府がどういう毅然とした姿勢をとるかと。そういう木で鼻をくくったような、原則は変わっておりません。確かにその原則は変わっておらない。しかし、それじゃ、こういう動きについてどのように思っておられるのですか。
○河本国務大臣 財界のあるいは産業界の一部の方の言っておられることを私は直接聞いたわけじゃありませんが、新聞に報道せられるところを見ますと、私はどうも一部誤解があるんじゃないかと思うのです。たとえば測量船とか砕氷船とか、そういうものを場合によっては武器として認めるべきであるとか、そういうことを言っておられますが、仮に外国からそういう引き合いがあれば、砕氷船とかあるいは測量船とか、海洋開発のためのいろいろな種類の船舶類等は、もともと武器でも何でもないわけです。たまたま、測量船等が将来艦隊と行動をともにするようなことがありましても、それはもともと本来的には武器でも何でもない、このように私どもは理解をしております。
 それから、戦後三十年の間世界の武器の流れを見ますと、それぞれ一定の流れというものが確立されておりまして、武器輸出に日本がいまの段階で出ていって果たしてどれだけの成果があるのか。私は、戦後三十年の流れを見た場合に、そういうことは不可能であろう、こう思います。そういうことを考えますと、二、三新聞で報道されておる記事は見ましたけれども、もし正式に御意見があれば、そこらあたりのことをよく御説明をいたしまして、そして、武器輸出等に力を入れるぐらいならば、むしろほかの分野にもっともっと力を入れればさらに数倍の成果があるであろう、こういう考え方でおるわけでございます。そういうことで、先ほど簡単な御答弁をしたわけでございます。
○近江委員 武器をストレートに輸出、そんなばかなことは、いまのところできるわけはないわけですよ。ただ、要するに財界が言っておるのは、非常にその辺区別がむずかしい、その辺のところを政府は厳密に解釈し過ぎている、これを緩めろ、解釈を幅を広げろという非常に微妙な主張をしているわけですよ。そこが問題なんですよ。そうでしょう。そういうことについて政府は毅然とした態度をとるべきだ、こう私は言っているのですよ。
○河本国務大臣 そこで、もし正式の御意見があれば、一番当初に申し上げましたように、政府としては武器輸出についての解釈は何ら変わっていない、従来の方針どおりである、こういうことを申し上げるつもりでございます。
○近江委員 この点、いろいろと総理も御承知のとおりです。原則は変わってないということをおっしゃっているわけですが、財界が言っておるのはこの運用の問題ですね。幅ですね。そういう微妙なところを広げていこうといたしておるわけですね。こういう点、今後非常に厳格な判断が必要だと思うのです。平和に徹してきたわが国です。不況だからということで、あやふやな、そういうようなタンカーの受注であるとかいろいろな、どうも紛らわしいような、そういうものもどうかできるだけやらしてもらいたいというような希望もあるわけですね。そういうことは、決して誤解を与えることのないように、今後政府としては厳しく対処していただきたいと思うのです。総理にひとつお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 こういう不況の際でありまするから、産業界で、兵器産業に対する政府の考え方、これが窮屈過ぎるではないかというような考え方を抱くという、その心情はわからないことはございませんけれども、いま御指摘がありましたように、兵器産業に対する政府の考え方というものは、わが国の平和国家、そういう立場から見まして大事な政策要素である、こういうふうに考えますので、この考え方を、こういう産業情勢だから変えるとかあるいは緩めるとか、そういうようなことは考えたくないのです。そういうことは断じて考えません。
○近江委員 経済の問題に入りたいと思いますが、その前にあと一つだけ、ちょっと外交問題でお伺いしておきます。
 これは日ソの漁業交渉の問題でございますが、マスコミの報道によりますると、去る三日、モスクワでの日ソ漁業交渉に臨んでおります日本政府代表団長の松原駐ソ公使に対して、ソ連政府代表団長のクドリャツェフ漁業省次官は、日本が三月一日から始めた日本海でのサケ・マス操業についてこれを即時中止してほしいと申し入れてきたとのことでありますが、これは事実であるかどうか、事実ならばその内容はいかなるものであるか、また、その内容はわが国の二百海里水域内におけるすべての沖取りもやめよということを意味するものであるのかということを含めて御説明をお願いしたいと思います。さらに、こうしたソ連の主張に対して政府はどう対処する考えなのか、所信をお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 現在モスクワで行われております日ソ協力協定におきましては、原則として海上での沖取りは差し控えよう、内容は全面的に沖取りはやめよう、こういうソ側主張があり、現在三つの部会を設けて話し合いを進めている最中でございます。したがいまして、今度、日本海における操業も海上でございますので、現在行われておる交渉に対し一方的に既成事実をつくり今次交渉に圧力をかけるものである、よってやめてもらいたい、こういう話がございました。政府といたしましては、日本海における三月出漁は交渉とは別に操業しておった過去の実績もありますし、沿岸零細漁民の実態を考えるときに、この水域での操業をやめるというような指導はできない、しかし、安全操業確保のために警備態勢は十分とって操業を続けていきたい、こういうことでございます。
○近江委員 従来までも、日ソ漁業交渉というものは非常に難航してきたわけですが、今回の交渉も非常に厳しいように思うわけです。農林大臣の地元もサケ・マス漁の基地があるのじゃないかと思うわけですが、今年のサケ・マス漁はどうなるかということはひとしお身にしみていることと思うわけです。交渉の見通しにつきましてどうか、また、ことしのサケ・マス漁に間に合うのかという問題であります。場合によっては農林大臣も訪ソすべきだと思うわけですが、その用意はあるかどうか、この点についてお伺いします。
○中川国務大臣 このたびのソビエトの厳しい姿勢につきましては、海洋法会議以来、遡河性のサケ・マスについては沖取りを差し控えよう、母川国がこの権利を有するという厳しい情勢がございましたので、ソビエトが今回このような態度に出るであろうことは全く予想されなかったわけではありませんが、予想以上の厳しい段階でございます。先ほど申し上げたように、海面での操業は差し控えようという基本的な態度を打ち出してまいりました。しかし、わが国といたしましては、長い伝統的な、しかも開発をしてまいりましたこの沖合いにおけるサケ・マス漁業をやめるということは、わが国資源にとっても大事であるばかりでなく、長い間伝統的操業を続けてまいりました漁家に与える影響も大きいという観点から、粘り強く交渉して、過去の実績だけはどうしても基本線を外さない範囲内において権益を確保したい、こういうことで、目下政府代表松原公使を代表として、民間の方々も含めて鋭意折衝中でございます。私自身としても、しかるべき時期にあるいはという気持ちはありますが、私が訪ソして直々ということについては、今後の推移等を判断いたしまして決定をいたしたい、こう思っておる次第でございます。何分にも非常に厳しい状況でございますので、朝野を挙げての御支援と御協力によってこの問題を解決したいと思う次第でございます。
○近江委員 次に、経済運営を中心とした質問をしたいと思います。
 まず初めに、経常収支の問題についてお伺いしたいと思いますが、さきの日米通商協議におきます牛場・ストラウス共同声明は、昭和五十三年度実質経済成長目標七%に触れ、かつ、日本の経常収支の大幅な縮小を予見するとともに、昭和五十四年度以降に均衡化を目指す努力をすることをうたっておるわけですが、昭和五十三年度の経済運営というものは昭和五十二年度の経済成長及び経常収支が基礎となるべきものである、こういう立場から、私は前回にも質問したわけでございますが、きょうはまた改めて確認したいと思うわけです。
 まず、経常収支の問題でございますが、前回、宮澤長官は、昨年四月から十二月の経常収支は、季節調整の結果八十五億ドルであり、昭和五十二年度政府見通し百億ドルにおさまるものという見解を表明されたわけです。しかしながら、その後の報道によりましても、昭和五十二年四月から今年一月までの経常収支は九十九億ドルを超えたとされているわけです。これは季節調整を加えますと幾らになるわけですか、確認したいと思います。
○宮澤国務大臣 季節調整済みで九十九億八千四百万、たまたま原数値と季節調整がこの場合はかなり近づいておりますけれども、九十九億ドルであります。
○近江委員 そうしますと、いま経企庁長官が明らかにされましたこの数値を前提としますと、昭和五十二年度の経常収支は、とうてい政府見通しの百億ドルにおさまるということにはならないわけですね。これは二月二十五日の日経の記事によりましても、本年度の経常収支は百二十五億ドルの黒字と予想する旨の報道がされているわけですが、政府としまして、これから二月、三月の貿易動向を考えまして、これは百億ドルにおさまらないことははっきりしておるわけですから、どのくらい見込んでおられるわけですか。
○宮澤国務大臣 二月、三月の経常収支、いろいろ事情があるようでございますけれども、確かにマイナスであるということは考えにくいことでございますので、そういたしますと政府見通しを上回るということは、そう考えざるを得ないと思います。ただ、いろいろ年度末等がありましていろいろなものを輸出に計上する、通関をするということもございますので、ちょっと、どの程度かということをただいま予測することが困難でございます。
○近江委員 政府が改定しました見通し百億ドルにはとうていおさまらない、誤りであったということは、いま宮澤長官、はっきりとお認めになったわけです。ただ、百億ドルからどれくらいふえるかということについてはまだ正確な計算はできないということをおっしゃっているわけですが、しかし、きょうはもうすでに三月の上旬に入っておるわけですね。だから、大体どのくらいになるか。これはいろいろマスコミでも報道されておるわけですが、百二十五億ドルあるいは百三十億ドルということを言われているわけです。ですから、私も先般の質問のときには、百二十五億ドルくらいになるでしょうと言ったわけです。だけれども、政府は、いや百億ドルにおさまりますと非常に強い自信を持ってお答えになった。だけれども、いま明らかに、とてもそれにはおさまらないということを宮澤さんははっきりとお認めになったわけです。大体推定でどのくらい百億ドルからふえるのですか。
○宮澤国務大臣 私が以前に申し上げましたことは誤りでございます。
 そこで、どの程度かということはなかなか、そのような三月という年度末の特殊事情もございますので、はっきりしたことがいまだに申し上げられません。しかし、いろいろ報道されておりますようなことは、恐らく当たらずといえども遠からずということではなかろうかと推測をしております。
○近江委員 大体その辺の線に行くんじゃないかということを示唆されたわけでございます。この経常収支の大幅な見込み違いを前提といたしましたときに、昭和五十三年度の経常収支六十億ドルの黒字の見込みは一体どうなるかという問題なんです。
 昨年の国際論調からいたしますと、昭和五十二年度政府見通しにおきまして、当初七億ドルの赤字見込みが昨年十月には六十五億ドルの黒字、そして十二月には百億ドルの黒字とたび重なる改定が行われまして、非常に対日不信を招いたわけでございます。そういうことを考えますと、政府はできるだけ早く見通しの修正を行って国際信用の回復を図るべきであると思うわけですが、昭和五十三年度の経常収支見通しを改定されるつもりはないかどうか承っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 そこで、五十三年度の経常収支黒字の見込みでございますが、第一、円高というものが実際上輸出市場に効いてまいりますのは、近江委員も御承知のようにこれからのことでございますし、また、こうやって御審議願っております予算が成立、執行いたしますと、前々から申し上げておりますような、公共事業等を中心にしたかなりの経済の動きになってまいる、それが民間にも波及するということで、主として年度後半には輸出入関係にかなりの大きな変化が生じてくるであろう。いずれにしましても、原材料の輸入というものに及びますのにはなかなか時間がかかることでございます。これは近江委員よく御承知の事情でございますから、この点は当初から、経常収支のああいうトレンドは年度後半の方に強くあらわれるであろうと考えておりました。それらのことについては、ただいま改めなければならないというほどの新しいファクターはないように思いますので、このままでやってまいりたいと考えております。
○近江委員 この昭和五十二年度の経常収支見通しの見込み違い、こういうものは当然五十三年度の経常収支見込みにも影響してくるわけです。当面、昭和五十三年度経常収支六十億ドルの黒字、非常に心配ですね、これはもう全然変更される意思はないわけですか。
○宮澤国務大臣 ただいま申し上げましたようないろいろな要素、さらに政府としても民間にも呼びかけまして、先般御承知のように対米ミッションが出たとか、いろいろ努力も続けてまいらなければならないことはもとよりでございますが、それらを前提の上に、ただいまとしてはこの見通しを変える必要はないと考えております。
○近江委員 昭和五十二年度におきまして緊急輸入を十億ドル果たすということを私の質問に答えられたわけでございますが、こういうような措置を五十三年度におきましても強力に進められる必要があるのじゃないかと思うのです。いま改定するつもりはないということをおっしゃっておるわけですが、この六十億ドルの黒字の実現を図るということになってまいりますと、昭和五十二年度の傾向から見ましても、もっと大幅な緊急輸入策が講じられなければならないのじゃないかと思うわけでございます。
 そこで、この前も、何を輸入するかというようなこと、たとえばウランの問題等にしましても、相手のこともあるし、非常に苦慮しておるというような総理の答弁もございましたが、いろんな難問題があろうかと思いますけれども、今後の緊急輸入策をお考えになる場合、どういう内容をお考えになっておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 御承知のように、われわれにその意欲がございましても、政府が自身で輸入するものは少のうございますので、民間経済活動の反映ということになります。また、相手国側の事情というものによることもございまして、いろいろむずかしい点はございますけれども、まさに、五十三年度の予算を執行する時期になりますと、とにかくむずかしいのはむずかしけれども、いろいろ考えていかなければならないということは御指摘のとおりでございますから、各省庁よく連絡をし合いまして、そのような線に沿って最大限の努力をいたしたいと考えております。
○近江委員 最大限の努力をなさるということはたびたび表明されているわけです。総理、総理の頭にはそういう具体的な、これをひとつ目玉でいきたい、そういうものはないのですか。
○福田内閣総理大臣 輸出につきましては円高の影響、これはもう相当深刻に響いてくると思うのです。それから船舶輸出、これが頭打ちというどころじゃないです、もうかなり減ってくるのではあるまいか。またテレビ輸出にいたしましても、これはアメリカとの間に数量調整、これをすることになった。その影響がフルに五十三年度は出てくる。あるいはアメリカのいわゆるトリガープライス方式ですね、これが新たに鉄鋼輸出に適用になる。その影響も出てくるというので、輸出につきましてはかなりの変化が出てくるだろう、このように思います。同時に、輸入につきましても、景気政策の影響、私はこれも出てくるだろうと思いまするが、いま御指摘の緊急輸入、これにつきましても、この際特別の配慮をすべきだ、私はこういうふうに考えております。いま考えておりますのは原油のタンカー備蓄、これができるということになりますればかなりできますので、いま鋭意その準備作業を進めております。それから、輸入の面でありますが、航空機輸入というようなことができるか、できないか。これなんかもいま相談をいたしておりますが、とにかくあらゆる努力をいたしまして、輸出、輸入の面、両面におきまして黒字是正、これが目標実現ができるようにということを念願しております。
○近江委員 これという、余り中身のある答弁がなかったように思うわけですが、どうも経常収支の見通し等につきまして、政府の対応というのは甘過ぎるんじゃないかと私は心配しておるわけです。こういう政府の見通し、この誤りというものが、今日国際不信を招いておるわけですが、その結果として一層の円高を迫られておる。きょうも東京市場等で、いまちょっとメモを入れてもらいましたが、一時は二百三十五円六十銭、これは史上最高ですね。一体どうなるかということですよ。昭和五十三年度の七%の達成につきましても、本当にできるかどうかという心配もございますし、総理御自身、昨年秋以来の円高は全く見通すことができなかったということで、この前私の質問に対してそういう誤りを認められたわけでありますが、同じような結果が起きるのじゃないかという心配はあるわけですね。
 そういうことで、私は、前車の轍を踏むことのないように、でき得る限り早い段階でこういう政府見通し等も変えるならば変えるということをなさって、また予算案等につきましても、修正すべきは修正する、また早期に手を打たなければならないことはやるという政府の姿勢があってもいいのじゃないか、このように思うわけです。
 総理、政府のこういう見通し等は間違いなくそのとおりいくのですか、どうですか。いま宮澤長官からいろいろ話もあったのですが、総理として……。
○福田内閣総理大臣 国際社会で一番関心を持っておりますのは、経常収支の問題であると思うのです。それから、成長率につきましては内外ともに七%成長というものに大きな期待を持っておる、そのように考えます。そういう内外の期待と関心にこたえなければならぬ。これは私ども政府としては当然の責務である、そのように考えておりますが、先ほど申し上げましたような国際収支、特に経常収支の展望、その上に立ちまして全力を尽くしまして、大体五十二年度の経常黒の半分程度、六十億、その程度のものに黒字幅をぜひとどめたい、また努力すればとどめ得る、そのように考えております。
 また、その他の経済指標、特に成長率、これにつきましても相当幅広い関心を集めておる、期待も集めておるわけでありまするから、これはいろいろ手段を尽くしてもこれが実現をぜひ図りたい、そのように考えております。
○近江委員 次に、経済外交の問題についてお伺いしたいと思いますが、対外経済政策につきましてお伺いしたいと思います。
 第一は、日米通商協議におきまして、アメリカは輸入石油の依存度を低下させ、輸出を増大する等の措置により国際収支ポジションを改善し、ドルの価値を改善する意向ということを示しておるわけでございますが、現実には、日米通商協議後におきましてもドル安の傾向が続いておるわけです。
 私たちは相互主義、こういう立場に立った場合、わが国の約束履行ばかりではなく、米国にもその約束の履行を迫るべきであると思うわけです。その点につきまして今日までどういう措置を政府はおとりになったのか、また、アメリカはど対処しようとしておるのか、その点、事情をつかんでおられるならば的確にお答えいただきたいと思います。
○牛場国務大臣 確かに、現状におきましてドルの価値の不安定ということが、これはわが国に対する影響だけでなくて、国際的に非常な不安をもたらしていることは否定できないところでございまして、これにつきましては、先般来、主として大蔵省松川財務官その他いろいろ国際会議にも出られまして、そのたびごとにわが方の主張を強く印象づけるように努力しておられることと思います。
 また、石油の輸入につきましては、昨年来アメリカは、ことしはとにかく去年よりはふやさないということをはっきり申しておる次第でございまして、一月の統計を見ますと去年よりちょっとまだふえているということのようでございますけれども、これはことし冬が非常に寒かったせいもあると思います。この点につきましては、今後あらゆる機会にアメリカ側に注意を喚起してまいるという所存でございます。
○近江委員 これは言うべきは言う、また、お互いに約束を守ることは守っていく、やはりこういう点は、きちっと主張すべきは主張し、措置をとらしていく、こういう毅然たる態度で進んでいただきたいと思うのです。
 それから、近く対EC交渉が行われるようでございますが、報道等を見ますと、対米交渉のような緊迫感がないように伝えられておるわけです。
 そこで、ちょっと対EC交渉に臨むわが国の基本的な方針、交渉の見通し、また、牛場・ストラウス共同声明のような決着の可能性があるのかどうか、差しさわりのない範囲でお聞きしたいと思うわけです。
○牛場国務大臣 ECとの間におきましては、いまちょうど話が進行中でございまして、今月の半ば過ぎに向こうから総局長のデンマンという人が参りまして、その結果によって副委員長のハフェルカンプという人が来て、できたらひとつ日本との間で日米間のような共同声明みたいなものを出して局を結びたいということを向こうも希望しておりますし、私どももぜひそういうようにしたいと思っております。
 現在世界の先進国、つまり日本、アメリカ、ヨーロッパ、この三者の関係の中で、日本とヨーロッパとの関係が一番弱いことは、これはどうも否定できないところです。ぜひこれを強めてまいりたいということは私どもの念願しているところでございます。
○近江委員 経済成長率にちょっと触れてみたいと思うのです。
 五十三年度の成長率七%の目標につきましては、もうすでにいろいろ論議が行われてきたわけでございますが、昭和五十二年度五・三%の政府見通しについて、これは五十三年度の成長目標の基礎になるということは、もう当然のことでありまして、そういう立場からお聞きしたいと思うのです。
 昭和五十二年七−九のGNPは〇・五という実績が出ておるわけですが、昭和五十二年十月から十二月のGNPはどのぐらいになるのか。もうすでに三月に入っておるのです。当然企画庁はその数字を把握されておられると思うのですけれども、お示していただきたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 五十二年度の成長率の見通しを五・三というふうに申し上げておるわけでございます。そこで、近江委員の言われましたように、七−九の〇・五というのが非常に低うございまして、これを契機にして六・七を改定いたしたわけでございます。十−十二の速報がやがてわかってくるはずでございますけれども、ただいまのところわかっておりません。
 そこで、考えてみますと、十−十二というのはまだまだ経済活動が沈滞している時期でございますから、そう大きなものは期待できないのではないであろうかと思っておりますけれども、また〇・五ということもあるまい。いずれにしても数字が出ればわかってくることでございますが、おっつかっつのところが出ましたら、一−三というのはかなり経済に動きが始まりそうでございますので、五・三というのはほぼいいところに行くのではないだろうか。いずれにしても、これは十−十二の速報値を見ませんとはっきりいたしませんが、私はいまそのような感じを持っておるわけでございます。
○近江委員 十−十二の悪いということは長官もおっしゃったわけですね。個人消費にしましても、すでに御承知のように非常に悪いですね。いまだかってないような悪い数字ですね。こういう点からいきますと、私は十−十二が非常に悪いと思うのです。まだ数字が出ていないとおっしゃっていますが、もう三月なんですね。しかし、長官がおっしゃるのをそのままとったとして、推定でどのぐらいになりますか。十−十二、推定値はいかがですか。
○宮澤国務大臣 大体三月ぐらいはかかっておるわけでございます。したがって、推定を言えとおっしゃいましても、大変に複雑な計算でございますので、推定ができるぐらいでございますとよろしいのでございますが、できません。私の申し上げておりますことは、余り大きなものは期待できないとは思いますものの、七−九のように〇・五というようなことでございますと、これは一−三に非常に重いものがかぶさることになりますので、そういうこともなかろうと思っておるのでございますけれども、いずれにいたしましても、ちょっと推定値で申し上げるわけにはまいりません。
○近江委員 十−十二というのは、個人消費にしましても非常に落ち込んでおりますし、そういう条件からいきますと私は非常に落ち込みがあるのじゃないかと思います。そうなってきますと、昭和五十二年度の改定した五・三、これも達成できない、下回るおそれが十分出てくるのじゃないかと私は思うわけです。これは長官、本当に自信ありますか、いかがですか。長官と総理にお伺いします。
○宮澤国務大臣 この点の感じは、さっきも七%の話がございましたが、私は、わりかた強気と言ってはどうも自分でおかしゅうございますけれども、まあまあ、たとえば五・三というのはそんなに外れることはあるまいという見方をいたしております。
○福田内閣総理大臣 全く企画庁長官と同じ見通しを持っております。
○近江委員 これは後でわかるのですけれども、恐らく下回るのじゃないかと私は思うのですよ。そうできるということをおっしゃっているのですから、これは平行線になりますから次に進みますが、私は若干下回る、こう見ておるのですが、これを基礎として五十三年度七%達成に力を入れるということを総理はおっしゃっているわけですね。しかし、七%を達成していくということは、本当によほど機敏な、あらゆる適切な措置をとらないとできないと私は思います。
 そこで、総理としては、五十二年度もそういう基礎値になる数字が悪い、こういうことを土台としての五十三年度でございますから、いろいろな悪条件が重なっておりますが、そういう中で七%を達成するためのどういう努力をなさるか、この点について重ねてお聞きしておきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 何はさておきましても六十億ドル黒字、これは国際社会に対して非常に大きな責任のあることでありますから、これはいろいろな角度から実現のための工夫を急ぐ。それから成長率七%、これにつきましては、とにかく予算を早期に着実に執行する、これがかなめである、こういうふうに考えておりますが、同時に、予算と並行いたしまして予算外の、つまり財政外のいろいろな施策がありますから、この施策につきましても、情勢の推移に対応いたしまして弾力的にかつ果敢に進めていきたい、このように考えております。
○近江委員 金融政策の問題でございますが、政府は一つの手段として公定歩合のことをお考えになっておられるということがいろいろと報道もされておるわけでございますが、この公定歩合の変更につきましては間際まではうそをついてもいい、こういう話がまことしやかに流されておるわけでございますが、こういう国際経済の流動化の中におきまして日銀の金融政策というものは、非常に密室性といいますか、そういう面やむを得ない点もあろうかとは思いますけれども、国民の目にガラス張りにしていく必要もあるのじゃないかと私は思うわけです。たとえば、公定歩合の変更の客観条件というようなことを基準にして明示するとか、何らかの工夫があってもいいのじゃないかと思うのですけれども、日銀総裁はどのようにお考えでございますか。
○森永参考人 公定歩合の操作は、そのときどきの経済情勢全般を総合的に判断いたしまして決定すべきものと考えておる次第でございまして、ある特定の指標がこうなったからこうするというような客観的基準はなかなか立てにくいわけでございます。それは公定歩合の性質から申しまして当然そういうことになるのではないかという点を御了承いただきたいのでございまして、私どもといたしましては、日々経済情勢の推移を注意深く見守っておる次第でございまして、その上の判断に立って遺憾なきを期しておる次第でございます。
○近江委員 公共事業の問題でございますが、総理は、減税よりも公共事業、乗数効果が高いのだ。しかし、最近の経企庁のいろいろな研究発表等を見ておりましても、SP18等の計算例を見てまいりましても、乗数効果というのは非常に下がってきておるわけですね。そういう点で、減税か公共事業かということでわれわれいろいろな論議も展開してきたわけでございますが、今年度の予算、私は各省のそういうことも聞いてみましたけれども、五十二年の夏に各省が概算要求を出しますね。そして今年度予算が今回決定になってきたわけでございますが、当然、年末には最後の大詰めということになるわけでございますが、当初の要求額そして査定額を見ますと、非常な上積みがあるわけです。建設省だけでも道路、住宅等で三千八百九十九億、農林省で九百二十六億、運輸省で四百四十八億、厚生省で九十億、私がちょっととってみただけで約五千三百五十二億、要求額よりも大きい。それだけの大きな予算を組んでいるのです。これを水ぶくれと言ってもいいでしょう。実際にそういう消化能力があるかという不安が依然としてわれわれ消えないわけです。こういう公共事業が本当にできるのですか、政府は。各省がやはりこういう要求を出したというのは、それだけこなせるというめどがあってこれだけの要求をしたわけでしょう。それをさらに上積みをして、ちょっと出ただけでも五千三百五十二億。本当にできるのですか、これ。不安があるなら、こういうのは実際に要求どおりにして、その分を減税に回すとかいろいろあるじゃありませんか。自信あるのですか、これ。いかがですか。
○村山国務大臣 五十三年度の概算要求の数字は、大体五十三年度の予算の性質を中立型に持っていこうということで概算要求を組んだわけでございます。しかし、近江委員御承知のように、その後経済成長が思わしくなく、さらに円高の問題が出てまいったわけでございますので、日本経済の急速な回復を図るためにはやはり思い切った措置を講じなければならぬということで第一次補正、次いで第二次補正、それからさらに十五カ月予算の構想のもとで五十三年度予算を組んだわけでございます。そのときの各関係省庁にお願いいたしましたことは、完全消化できる範囲で最大限のものをひとつ出していただきたいということをお願いしておりますので、関係省庁でその点は十分吟味して御提出願っているわけでございます。
 そのほか、予算の早期成立も二次補正でいただいておりますし、またこの予算が早く成立いたしますれば、毎々申し上げてありますように、完全消化につきまして地方財政をも含め、また各関係省庁の間で予算の配賦手続が速やかにいくように、さらにまた、途中の段階で物価高あるいは雇用の問題が出ないように、当委員会においていただいた御注意などを十分考慮いたしまして実施に移す予定でございますので、完全消化は大丈夫いける、かように思っているわけでございます。
○近江委員 この点については、わが党の委員がそれぞれいろいろな角度から質問しましたので、次に進みたいと思いますが、相当消化できない分が将来出るのじゃないか、私はこのように思います。しかし、政府としては全力を挙げて消化に努力をされるべきであると思います。
 それから、民間設備投資の問題等を見てまいりますと、たとえば河本通産大臣は、電力会社の設備等は五兆円の投資を実現させたいということを述べておられるわけですが、電力会社の社長会が検討したのが報道されておりますが、昭和六十年度において原発二千九百十万キロワット、三百万キロワットも政府見通しを下がっておりますね。それは政府としては、できるだけ見通しを実現せよということでいろいろなそういう働きかけがなされるかと思いますが、無理をさしたって、これはできないものはできないという事情があるわけですからね。そういう点で、民間設備投資等の見通し、こういう点におきましても大きなネックがあるのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
○河本国務大臣 原子力発電は、いま稼働しておりますものは約八百万キロでございます。それから現に建設中のものが約一千四百万キロございます。このまま努力をしないでほっておきますと、大体昭和六十年度、二千六百万キロ程度ではないかと思います。そこで、やはり三千三百万キロという目標を実現するためには相当な努力が必要である、このように考えまして、現時点では若干不足するものを鋭意努力をしておるところでございます。
 それから電力投資につきましては、この席で何回かお話をいたしましたが、現在電力会社から正式に報告を受けております工事量は、五十三年度三兆二千億でございます。それから五十四年度以降の電力の投資計画の中で、五十三年度に繰り上げて機械類の発注をすることになっておりますが、この分が約一兆円強でございます。しかしながら、立地問題等につきましていま電力会社と政府の方で協力いたしまして促進をいたしておりますので、その促進の過程におきましてなお繰り上げ発注を若干増額をしたい、このようにいま努力をしておるところでございまして、その増額の努力が実現をいたしますと五兆円になる、こういうことでございます。現在は確定しておりますのは四兆二、三千億、こういう数字でございます。
○近江委員 いま大臣はそういう見通しをおっしゃったわけでございますが、これは地域のそうしたいろいろな問題もあるわけでございますし、こうしたことを実際にやっていくとなかなかむずかしいものがあろうかと私は思うのです。
 そこで、きょうは時間もありませんので、簡潔にお答いただきたいと思いますが、長期エネルギー需給暫定見通し、いろいろと政府は出しておられますが、こういう見直しということは、今日これだけ非常に情勢も変わってきておるわけでございますので、見直す必要があるのじゃないかということが一つ。それから、省エネルギー法案についてはいつお出しになるつもりか。この二点についてお伺いしておきたいと思います。
○河本国務大臣 昭和五十年代のエネルギー計画全体につきましては、昨年の夏一応の見直しをいたしております。いまその最後の仕上げをしておるところでございます。
 それから、省エネルギー法案は目下最終段階でございまして、関係方面と調整中でございます。できるだけ早くまとめたいと考えております。
○近江委員 今国会にお出しになるわけですか。
○河本国務大臣 そのつもりで準備をいたしております。
○近江委員 それから、円高差益と流通問題でございますが、経企庁は二月の二十三日発表されたわけですね。経企庁のこれを見ますと四つのグループに分類されているわけですが、輸入価格が落ちながら小売価格は上昇または横ばい、こういう品目もあるわけですね。これは調査は調査としていいのですけれども、こういうことを調査されて、こういう明らかに矛盾しているような品目につきましては、政府としては当然努力されて国民のために還元に努力をする、こういう姿勢がなければ、これは調査ばかりしておったって何にもならぬわけでしょう。その点、国民還元に対してそのためにどういう努力をなさっているか、今後どうなさろうとなさっておるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 御説のとおりだと思います。ただいま御指摘になりましたような物の中には、すなわち輸入価格は下がっておるけれども、小売価格が上がっておる。マグロでありますとかエビでありますとかそういう魚に実は相当ございまして、ああいう結果を発表いたしましたことによりまして、恐らく何となくこの二百海里だからというふうに考えておられた消費者も、実は輸入価格が下がっておるのだということを知ってもらったに違いございません。このことは、やはり消費者に対して一つ正確な情報を与えるという役割りを果たしておると思いますが、同時に、しかし行政としてほうっておけない問題でございますから、これはすぐに農林省、水産庁にも、お願いするまでもございませんがなおお願いもしまして、一体どこに問題があるのかということは、ただいま行政の面で詰めてもらっております。
○近江委員 総理、こうした国民に一番密着した問題ですから、こういう問題は政府挙げてがんばってもらわなければいかぬと思うのです。総理もがんばっていただきたい。ちょっと決意をお聞きします。
○福田内閣総理大臣 わが国の輸入構造が、八割までが原材料なんです。二割は既製品である、こういうことでございますので、諸外国のように、為替の上がり下がりがすぐ日常生活にぴんと響くというような状態ではわが国の方はないわけなんです。しかし、とにかく二割といえども完成品でありまするから、それが日常生活にも為替相場の変動が反映されまするようにこの上とも鋭意努力をしたい、このように考えております。
 それから、原材料八割でございまするけれども、これはもうかなり影響が出ておる。卸売物価の水準があのような落ちついた状態にある、これはあの為替の影響が強く出ておる、こういうふうに見ておりますが、この方面もこの上とも注意してまいりたい、このように考えます。
○近江委員 それでは経企庁長官、あと一つお聞きしておきたいと思うのですが、五十年代の前期経済計画の問題でございますが、これは長官も御承知のように、いろいろな点におきましてこの見直しをしなくちゃならぬところが随所に出てきていますね。こういう点、毎年推進に関する年度報告というものが出されて、この一月末には「昭和五十五年度経済の暫定試算について」と題する資料が企画委員会から出されているわけですけれども、経済計画は低成長下という新しい環境下におきます指標としての意義を持つものである以上、こういうような情勢の変化に対応しまして、こういう暫定試算にとどまらず、こういう時代に即した正式な計画改定ということをなさる必要があるのではないかと私は思うのです。きょうは時間がありませんから、きょうはもう締めくくりの最後ですから、いろいろな項目がどんどん入っておりますけれども、要点はわかっていただけると思うのです。いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 試算をいたしました結果、確かに御説のように、設備投資でございますとか、財政でございますとか、雇用まで、いろいろ当初の予測と違った結果があらわれておりましてそのために試算を公にいたしたわけでございますけれども、この計画の持っております目標年次における雇用あるいは物価、社会保障等々のもろもろの目標は、今後なお五十三年、四年、五年と努力することによって達成は不可能ではない。問題は財政にあることは先般来御承知のとおりでございますけれども、一応そういう目標そのものは動かす必要はない。ただ、ここまで歩んでまいりました道にあらわれている数字は思ったとおりでなかった、こういう結果でございますので、ただいまとしては終局の目標を変える必要はないし、その到達は今年、明年、明後年の努力で可能だということでございますので、一応このままにしておく方がいいのではないかと思っておるのでございますけれども、どっちみち、このように経済が大きく動きます時代には、数字の方はいわゆるバックデータとしての意味合いが深うございまして、政策目標の方がやはり表へ出る。どうもいまのような時代ですと、中長期計画はそれ以上のものは立てにくいのではないかと思ったりも実はいたしておりますので、その辺のことはもう少し考えさせていただきたいと思っております。御指摘の御趣旨はよくわかっております。
○近江委員 ひとつ時代をよく見通していただきまして、政府として、本当に国民が納得のできるそうした経済計画というものをつくっていただきたいと思うのです。いずれにしても、しかし方向としてはやはりその即したものにつくっていかなければならないというお気持ちは強いわけでしょう、長官。
○宮澤国務大臣 本来から言えばそうすべきものであろうと思っているのでございますけれども、いかにもいま立っておりますこの経済の現状というものが、いろいろ御議論がありますように不確定要素が多過ぎまして、これをベースに長い計画をもう一遍きちんと計数的にはじきますことが、いまがいい時期かどうかなということに私、実はちょっと迷いを持っておりますものですから。御趣旨はよくわかっております。
○近江委員 次に私は、当ぜん金附証票法の問題について入っていきたいと思います。
 すなわち、宝くじの問題でございますが、昨年十月十七日の八十二国会の当委員会におきまして、最近とみに国民の関心が高まっておりますこの宝くじの問題について、さまざまな角度からその問題点を私は指摘したわけであります。これに対しまして、当時の小川自治大臣は「非常に適切な御注意をいただいたと存じます。」「近年に至って発売の金額が著増しておることでございますから、この機会に経費の見直しを行いまして、御指摘のありましたように経費率を圧縮する、反面賞金の率あるいは地方公共団体の収益率を高める、こういう方向で検討をいたすこととします。」と答弁されたわけです。さらに福田総理も「こういう話はごもっともだと思います。そのように努力します。」と述べられたのでありますが、自治省としてその後どういうような検討を加えられたのか、この点についてお伺いしたいと思います。また、結論に至ったのかどうか。
○加藤国務大臣 ただいま、昨年秋の予算委員会におきます質問の御趣旨もお述べになったのでございますけれども、その中心は、経費をもっと見直して、そして当せん者に渡る金がもっと多くなるように考えていかなければならぬではないか、また反面、地方団体の収益金もふえるような分別をしなさい、かような御趣旨でございました。
 そこで自治省といたしましては、実態を調査いたしますと同時に、発売団体である都道府県ともよく相談をいたし、かつまた受託銀行と協議を行いまして、結論といたしましては、受託等の経費を下げることによって次のような改善を行う、かようなことにいたしました。
 その第一は、宝くじの購入者からより多くの当せん者が出ますように、当せん金の率が従来は四二%でありましたものを、通常宝くじの場合には四三・五%と一・五%引き上げる、二百円の特別宝くじの場合は四四・五%と二・五%引き上げる、かような処置をとることにいたしました。そこで、五十三年度で計画どおり宝くじが消化されるといたしますと、従来の基準の場合よりも通常宝くじにおいて約十億円、すなわち、これを一等の一千万円の当たりくじに換算いたしますと百本ふえる、特別宝くじの場合には約十二億円、すなわち、一等二千万円とすれば六十本、一千万円とすれば百二十本増加いたす、かような処置をとりまして宝くじを買った人に還元をいたす、かような処置をとりました。
 第二は、地方公共団体の収益金が多くなるようにいたさなければならぬのでございまして、収益金の率は、従来の基準三八%でございましたものを、通常くじの場合には一%上げまして三九%といたす、二百円の特別くじの場合には二%上げまして四〇%といたす、かような引き上げをいたすことにいたしたのでございます。その結果、これまた五十三年度計画どおり消化されるといたしますと、旧来の基準の場合よりも、通常くじにおきまして七億円の収益金の増、特別くじは約十億円でありますから、合計いたしまして、地方公共団体の収益金の増は十七億円に相なる、かようなことでございます。
 他面、経費につきましては、売りさばき手数料なんかの、第一線でやってくださる方々の経費はさておきまして、従来の基準の一一%から、通常くじの場合は八・五%に二・五%引き下げ、また二百円くじの場合は七・五%に引き下げる、かような節減の処置をとることにいたしまして御指摘の両点について対処いたす、かようなことに相なった次第であります。
○近江委員 私が前回指摘をいたしました線に沿ってこういう改善をされてきた点については評価をいたします。
 しかし、先ほども自治大臣がお答えになりましたが、第一線の実際に販売している売り子たち、そうした人たちの給料なりそういうものについての影響は絶対ありませんね。第一線の人たちでございますから重ねてお聞きしておきますが、そちらにしわ寄せすることはありませんね。
○加藤国務大臣 御承知の第一線で売りさばいておられる方々は、大変な御苦労があるわけでありますから、その経費を節減することはいたさない考え方で、百円くじの場合は従来どおり九%で九円、二百円くじについては、八%とダウンはいたしますけれども、額面が大きゅうございますから十六円、かようなことにいたしたいと考えておる次第であります。
○近江委員 いずれにしましても、こうしたことも私が指摘するまでもなく、政府の皆さんがそういういろいろな行政に真剣に目を通しておられれば、私が言わなくてもこういう改正もできるわけなんです。いろいろな機構が非常に巨大になり過ぎて目が届かない点もありますけれども、少なくとも法律に基づいて政府が監督するという点におきまして、今後こういう問題だけに限らず、あらゆる面に対して十分国民の立場に立った運営をひとつやっていただきたい、このように思うわけです。総理、よろしゅうございますか。
 次に、これも私が本予算委員会で一年前、沖繩の飛行場の問題で質疑をいたしました。
 読谷飛行場用地を国有地としたことにつきまして、物的証拠もないのに土地代金は支払い済みだとして今日に至っておることは言語道断であるということで、私は総理の所信を問いました。そのときに総理は、よく調べて国有財産台帳から消すべきものは消すという基本方針を表明されたわけであります。
 その後、私は臨時国会におきましても、その調査の結果はどうなったかについて質疑をいたしてまいりましたが、今日までその報告はないわけであります。これはまことに遺憾であります。政府はいつごろ、いかなる形で調査の結果の報告をされるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○川崎政府委員 大蔵省におきまして調査の結果の取りまとめを大体終わりましたので、あと一カ月程度いただきますれば、関係省庁との調整を終えまして、予算委員会に資料提出ということで提出いたしたいと考えております。
○近江委員 いま事務当局からありましたが、大蔵大臣、よろしいですか。――では、いまそういう答弁がありましたから、委員長、資料をよろしくお願いしたいと思います。
 それから建設大臣、住宅公団の家賃値上げがいよいよ決められたわけでございますが、国会におきましても建設省に対していろいろ要求もし注意もいたしておるわけです。問題になっております点は多々あるわけでございますが、特に今後この点については十分改善をしていきたいという点を言っていただきたいと思います。特に国会決議等もございますし、そういうことを踏まえて、時間の関係もございますから簡潔にポイントをお答えいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 衆議院の建設委員長要望事項につきましては、承認に当たりその申請書の一部内容を変更するとともに、実施に当たって配意すべき事項を指示したところでございます。
 なお、その内容を具体的に申し上げますと、申請の内容を変更した事項は、実施期日は二カ月延期して昭和五十二年九月一日とすること、敷金の追加徴収は行わないことでございます。
 配意するよう指示した事項は、老人世帯、母子世帯、心身障害者世帯のうち生活に困窮する世帯について生活保護世帯に対する特別措置に準じた措置を講ずること、二つ、今回の増収分は、昭和五十四年度以降に管理開始する住宅の家賃の抑制に要する費用に充てないこと、三つ、入居者に対し引き続き家賃の変更の趣旨の周知に努めること、四つ、未入居住宅等及び長期未利用地についても別途その解決に全力を挙げて当たることでございます。
 また、申し入れの二の住宅家賃につきましては、昭和五十一年五月に住宅宅地審議会に対し、現行家賃制度をいかに改善すべきかとの諮問をしており、同審議会の答申を待って家賃体系の考え方を確立してまいりたいと存ずる次第であります。
 以上でございます。
○近江委員 もう時間がありませんからそろそろ終わりたいと思いますが、こうした建設省の決定によりまして、それでもしかし、公団の値上げに該当する方々は納得なさっていないわけですよ。特に地域ごとの説明会を開いてもらいたいという強い要望がある。にもかかわらず放置しておる。これについては建設省としては今後どういう努力をなさるのか。公団の総裁にもお聞きしたいと思います。一方的なことでは進みませんよ。その点だけお伺いしておきたいと思います。
○澤田参考人 家賃の改定等のやり方につきましてはいろいろなやり方があると思いますが、今回の一斉値上げは法令の定める手続によりまして、しかもいわゆる公営住宅の方式に従いまして建設省さらに建設大臣の承認を得て一斉に実施するものでございまして、その及ぶところは七百団地、三十数万戸に当たるわけでございます。
 そのためのこの趣旨の周知徹底につきましては、書面によりまして、あるいは自治協等の団体に対する、随時の本社または支社における説明、あるいは個々の入居者の方々に対する応待等を通じて極力周知方に努めてまいっておるのでございまして、近く個々の方々に具体的な家賃の値上げの額が通知されるわけでございまして、きょうあたりからお手元に届き始めていると存じますが、そういうことになりますと問題がきわめてはっきりしてまいりますということで、私どもの各支社には応待の窓口、係員の増員等をいたしまして、今後とも各種の方法を通じて周知徹底に努め、御理解を得たいと存じておる次第でございます。
○近江委員 では、もう時間がございませんから終わります。
○中野委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。
 次に、武部文君。
○武部委員 私がこれから取り上げる問題は、国際問題とか防衛問題とかとはいささか次元が違うのであります。しかし現実には、具体的に今日ただいまも起きておる問題、すなわち、深刻な不況下において中小企業の倒産問題が頻発をしておる、こういう問題について、その対策のための財政、金融、そういう問題についてお伺いをいたしたいのであります。したがって、仮定の問題であるとかあるいは舞台装置の裏がどうなっておるとか、そういうような答弁ではなくて、私も具体的に聞きますから、具体的にひとつお答えをいただきたいのであります。
 さて、政府が現在まで景気回復のためにいろいろと政策をとってこられたことは、よく承知をいたしておりますが、しかし、現実には一向に景気の回復の兆しは見られないのであります。なぜならば、一千万円以上の倒産件数を見ますと一万八千四百七十一件、これが去年一年間の倒産件数であって、負債総額は三兆円を超すのであります。こういう事態でありまして、特に五カ年にわたる長期の不況あるいは構造不況、そういう業種に見られるような倒産がありますし、また円高による影響、あるいは、ついこの間は永大産業のような大型倒産が起きましたが、こういう中で先月二月の倒産を見ますと、一カ月間だけで負債総額が史上最高の四千億円に上っておるのであります。一週間ほど前の三月一日の倒産を見ますと、一日だけで中型倒産十四件であります。今日まで、一日の平均中型倒産というのは大体三件程度であったことを考えますと、一日に十四件も倒産が起きるということは、全く異常な数字だというふうに思わなければならぬと思うのであります。したがって、この三月、四月、この時期が最も危険と予想されておるのでありますが、そういう中で、すでに発表されましたように、一月の完全失業者の数は百二十六万人、三月になれば百五十万人に達するのではないか、こういうふうに言われております。先ほど申し上げましたように、倒産件数の九九・六%は中小企業であります。こういう実態を考えたときに、いま何をさておいても、政府は真剣にこの倒産防止に全力を挙げていかなければならぬ、このように私は思うのであります。
 今日まで中小企業がわが国の経済に貢献をしてきた度合いというのは非常に大きい。事業者数において九九・四%、そこに働く従業員の数にして七九・五%、生産額はわが国総生産額の半分であります。こういう基幹産業とも言うべき中小企業に対して、一体今日まで政府は何をしてきただろうか、そういう重要な認識の上に立って、当面何をおいてもこの倒産防止に全力を挙げていかなければならぬ、こう私は思うのであります。すでに先日も新聞に報じられましたように、倒産によって一家四人心中、こういう暗いニュースが報じられております。私はこのままではきわめて大きな社会不安を巻き起こすのではなかろうかと大変懸念をするわけであります。
 福田内閣はとかく大企業中心、大企業本位だと言われておりますが、もしそうでないと総理がおっしゃるならば、一体この深刻な不況下において中小企業の現状というものをどのようにあなたは認識をしておられるか、そして今後どのような決意と対策で臨まれようとしておるのか、これを総理大臣からお伺いいたしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 福田内閣は大企業本位だというような御認識のようですが、決してそういうふうには私どもは考えておりませんです。私どもというのはそれなりの力を持っておるわけです。ですから、それなりに何とか不況を切り抜けるだけの力を持っておるわけですが、中小企業はそうはいかない。私は後で具体的な話をいたしますが、そういう中で倒産をしておる中小企業を何としても救わなければならぬ。そのためにいろいろ法律もできたし、あるいは、これからお伺いいたしますが、対策も立てておられるけれども、現実には倒産は減っていない。むしろどんどんふえておるわけです。そのふえておる中で職場を失った人たちが一体どういう生活をしておるかということを、私はきのうこの新聞を見て、こういうものがあるかということを初めて知ったわけです。きのうの毎日新聞の一面に大変大きなスペースを割いて「ふえる〃背広の浮浪者〃」というのがございました。総理、お読みになったかどうか知りませんが、私はこれを読んでみて、こういうものがあるのかということを初めて知ったのであります。これを見ますと、「一杯のカレーライスを求めて救世軍の慈善給食車に群がる〃背広の浮浪者〃」、これをこの新聞は二回にわたって追跡しておるのであります。戦後の飢餓状態のときならばいざ知らず、今日こういう事態が東京のど真ん中、新宿で起きておる。背広を着ていた、倒産で職場を失ったサラリーマンがこういうものに群がっておるという記事が具体的に載っておるのであります。そうしてこの人たちは口々に、政治に対して非常に厳しい不信の言葉を吐いておることがここに載っておるのであります。現実はわれわれが考えておるよりもさらに深刻だということを私は感じ取ったのであります。
 中小企業というものに対して、確かに大企業も大切でしょう、中小企業ももちろんそれ以上に大切だと私は思うのです。そういう面で果たして福田内閣が、今日この社会不安にもつながり、後で具体的な数字を申し上げますが、大変な失業者が出ておる、こういうときに、本当に真剣にこの事実を踏まえて対策を立てておられるだろうか、私はちょっと疑問に思わざるを得ないのであります。
 私ども社会党は、かねがね中小企業をもっと重要視しなければいかぬ、そこで専任の担当大臣ぐらい置くべきではないかということを主張してきたわけですが、これも一向に進展を見ておりません。いま提案されておる五十三年度の予算を見ましても、一般会計三十四兆二千九百五十億円の中で、中小企業庁の対策費というのは約千五百二十五億円。どのぐらいのパーセントになるか、〇・四四%です。一%にもならぬのであります。もちろん、金や機構だけをいじくって、それで中小企業対策が完全だと私は申し上げません。しかし、現実にこの中小企業庁の予算等の伸びを見てみても、むしろ相対的に減っておるのであります。こういうことで、あなたがいまおっしゃったように、中小企業も大事にするんだとかいうことを言われても、現実にこういう事態が今日ただいま起きておる。このことについて、もう一回ひとつ総理の決意を述べていただきたいのであります。
○福田内閣総理大臣 いま日本の経済はなかなか容易な状態じゃございませんけれども、これでも世界の中ではかなりいいところを行っておる日本経済である、このように私は考えておるわけであります。そういう状態でございまするけれども、過去の高度成長期、ああいう経済発展時期を経過してきたわが日本の経済社会といたしますると、これは大変な状態だ、こういうふうに考えておるのです。そういう中で、とにかく五年越しの低成長ですから、大企業でもそうでございまするけれども、力の弱い、また抵抗力の小さいこういう中小企業、これの困窮というものはその中でも特に深刻である、こういうふうに考えておる。しかし、これは中小企業問題だけの角度で解決することはできない。日本経済全体をかさ上げをする、そういう中で中小企業という弱い立場のそういう階層に対して特段の配慮をしながらという、そういう姿勢で初めて解決される問題である、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、この考え方に間違いはない、私はこのように考えております。
○武部委員 そういたしますと、私はいまさっき一年間の倒産件数を申し上げましたが、通産省は倒産の実態をどのように認識して、どのような対策を立てるお考えなのか、これを所管官庁である通産大臣から承りたい。
    〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
○河本国務大臣 まず、中小企業に対する基本的な考え方でございますが、いま御説明がございましたように企業の数、それから従業員、生産の総額、お述べになりましたとおりでございまして、日本の産業に非常に大きな役割りを果たしております。もちろんアメリカ、ヨーロッパにも中小企業がございますけれども、日本の中小企業ほど大きな役割りを果たしていない、こういう角度に立ちまして、政府といたしましては、産業政策の中でも中小企業政策を一つの大きな柱だと考えて、これまでも取り組んでまいりました。ところが、残念ながら、なお現時点では非常に事態は深刻でございまして、倒産の数などは一向に減ってまいりません。
 そこで、中小企業の現状をもう少し具体的に申し上げますと、一つは、やはり仕事がないということが一番の大きな課題でございます。日本の産業の現在の操業率、必ずしも満足にいっておりませんので、そこで仕事全体が不足しておる。したがって、働いて借入金を返す、こういうことがなかなかできない。そこに一番のガンがあるわけでございますので、そこでどうしても経済に活力を取り戻しまして、その中で中小企業の仕事をふやしていく、これが私は一番の課題であろうと考えております。
 それから、いま中小企業についての政策費が少ないではないかというお話でございますが、中小企業対策の中心は金融でございまして、補助金よりも金融、融資、このように理解をいたしております。そういうことで、補助金等を中心とする一般会計の資金量は比較的少額でございますが、融資の分野では政府系の三機関だけで四兆円という金額を計上しておりまして、この面で非常に大きな力をいたしておるわけでございます。
 それからなお、一般的な対策だけを進めましても不十分でございますので、倒産防止のための幾つかの対策を考えておりますが、その一つは、従来の政策を強化していくということでございます。それからもう一つは、昨年の年末にも緊急に、倒産防止のための共済制度という新しい制度を法律でつくっていただきましたが、これもこの四月からスタートすることになっております。それからまたこの一月には、国会再開壁頭に特にお願いをたしまして、円高に伴う中小企業の緊急救済を実行いたしますために緊急立法を決定をしていただきました。これはすでに実行に移しております。
 そのほか幾つかの特別の対策を用意をいたしまして倒産防止の工夫をしておるわけでございますが、繰り返して恐縮でございますが、やはり何と申しましても経済に活力を取り戻して中小企業の仕事の量をふやしていく、ここが一番のキーポイントであろうと考えております。
○武部委員 三機関の四兆円の問題は後で触れます。
 倒産の九八%というのは、不渡り手形を出して銀行の取引を停止されて企業が消滅をしておる、こういう数字が出ております。日本銀行の経済統計月報によりますと、去年一年間の銀行取引停止処分の数は、個人、個人企業五万二千三百七十三件を含めてこれまた史上最高、実に七万三千五百七十件という銀行取引の停止処分数が発表されておるのであります。私は、これは表面には出ておらないけれども、このことこそが本当の倒産ではないかというふうに思うのです。確かに銀行取引停止処分というのは企業にとっては倒産と同じことでしょう。こういう具体的な数字があるわけです。したがって、ここ当分はこういう基調が続くものと思わなければなりませんが、政府が考えておるような倒産対策緊急融資制度、こういうものをもっと機動的に最大限に活用して被害を最小限度に食いとめなければならぬ、このように思うわけです。したがって、この倒産対策緊急融資制度をもっと機動的に実効ある対策を立てながら、最も国民の不安である倒産、この問題について具体的にどういう政策をとろうとしておるのか、これをひとつ述べていただきたいと思います。
○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、現在中小企業対策といたしましてはまず考えられる政策を全部採用して実行しておる、こう申しても過言ではないと思うのです。特に最近の経済状態非常に深刻でございまして、倒産という不幸な事態が起こりましたときには、先ほども申し上げましたように既往の制度を強化しておりますので、相当臨機応変に行動できるようになっております。それから、先ほど申し上げました新しい制度等も今度幾つかスタートしておりますので、まずやれる対策は全部やっておるつもりでございますが、やはり何と申しましても事態を正確かつ迅速に認識する必要がございますので、地方の通産局が九カ所ございますので、その地方の通産局を中心といたしまして、関係の金融機関、関係の政府機関等と十分連絡をとりまして、事前にそういう深刻な事態の動きを正確に掌握をする、こういう情報の収集が大変必要だと考えております。
 そういうこともいま努力をしておるところでございますが、なお、具体的な倒産防止対策のための数字等につきましては、必要とあらば政府委員から答弁をさせます。
○岸田政府委員 中小企業庁といたしましても、倒産対策には全力をふるっておるところでございます。
 具体的に御説明を申し上げますと、まず信用保険法に基づきまして特例措置を講じております。これは親企業が倒産したときに、その企業を指定しまして取引先の中小企業が普通の信用保険の倍額まで保険が受けられるという制度でございます。同じく、同制度を活用いたしまして、不況業種の指定という措置を講じております。これまた、その指定を受けた業種については保険が倍額受けられるという制度でございますが、現在製造業の約五〇%に当たる企業がこれの適用を受け得るというところまで来ております。
 それから第二番目には、倒産対策緊急融資制度というものをやっておりますが、これは一応三月末で期限が切れることになっておりますものの、いまの情勢でございますと延長せざるを得ないのではないかというふうに感じておるところでございます。
 さらに、一般的には、政府系金融機関につきまして貸出条件の改善、それから返済猶予等を弾力的に行う措置を講じておるところでございます。
 それに加えまして、大臣から御答弁を申し上げましたように、先般法律を御可決いただきました円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法の活用、さらに四月一日からスタートを予定しております中小企業倒産防止共済制度の活用、これらが倒産防止のために大きな戦力になるものと期待をいたしておるところでございます。
 それに加えまして、五十三年度の予算におきまして、新たに国と府県とが金を出しまして地方地方の実情に即したような資金的な応援を図る、こういう意味合いから中小企業経営安定資金助成制度、これは資金規模で約四百億円を予定いたしております。
 以上のような措置をもちましてできるだけのことをやっていきたいと思っております。なお、これらの制度を中小企業の方々に万全に活用していただくために、PR等にも特に力を入れてやっておるところでございます。
○武部委員 先ほど通産大臣は、この倒産の実態把握等について通産省の出先機関等を通じて調べるというふうなことをおっしゃっておったわけですが、今日まで、倒産件数あるいは倒産の実態の把握等は東京商工リサーチとかいうような民間の資料を大体取り寄せて、それを中心にして対策を立てておるようであります。そうではなくて、通産省自体が出先機関を督励し、本当の倒産件数というのはどういうことになっておるか、倒産の実態はどうだということをつかまなければその対策が立てられないと私は思うのです。そういう意味で、ぜひいまおっしゃったように出先機関を十分督励をして、この銀行取引停止の処分を受けたそういう七万三千件に上る企業は一体どういう状態なのか、こういう点もぜひ調査をしてもらいたい、このように思うわけです。
 先ほど大企業の話が出ましたが、倒産は中型あるいは小型もございますが、大型倒産も確かにあります。しかし、大型倒産については各方面に対する影響が非常に大きいわけですから、この点について政府や日銀が非常に温かい行政措置をやっておる、これは間違いない事実だろうと思います。たとえば金融機関が利子をたな上げしてみたり、あるいは倒産防止のために貸し出しの最優遇金利を適用したり、そういう方法をとるわけです。あるいはまた会社更生法の適用をやるというようなことをやって、大型倒産についてはそれなりの対策を立てておる。それも、会社更生法というのは大型倒産による下請中小企業の連鎖倒産を防止するためだとか、そういうような非常に大義名分というか、にしきの御旗というか、そういうものがあって大型倒産は手厚い保護をされるわけです。しかし実際には、この会社更生法というものは親企業を救済するためであって、下請中小企業には厳しいところの犠牲を強いておるというのが現実に起きておる、そして会社更生法を適用した現実の姿であることは間違いない、このように私どもは思っております。
 この反面、中小企業に対する政府並びに金融機関の対応というのは、いまの大企業とは違ってきわめて不公正で、冷たい仕打ちをしておるというふうに言わざるを得ないのであります。政府が助成をするとかいろいろなことを言われておりますけれども、金融機関というものが自分の地位を最大限に利用して中小の経営者を冷たくあしらっておる。それは何かと言えば、いわゆる貸し出しの面を見てもおわかりだろうと思いますが、貸出要件が非常に厳しい。また審査期間に二カ月か三カ月もかかる。あるいは担保が非常に厳しい。そういうことをやっておるのでありまして、こういう点について大蔵省は、金融の貸し出し等について、貸出要件の緩和であるとかあるいは審査期間の短縮だとか、そういうものをもっとやりやすいように金融機関を指導し、中小企業を救う、そういうような対策を立てる意思があるかどうか、それを大蔵大臣から聞きたい。
○村山国務大臣 いまの金融情勢から申しまして、資金は非常に緩和しているわけでございまして、むしろ民間の金融機関の資金は中小企業の方に多く流れていることは御承知のとおりでございます。しかし、中小企業は、ただいま武部さんがお述べになったように、現在いろいろ苦しい状況にございます。そういうことを考えまして、民間の金融機関にはかねて苦情相談所をつくらしておりまして、ここに参りますと、返済条件なりあるいは貸付条件の改定に応じているところでございます。なお、それだけでは足りませんので、財務局財務部の方もいま苦情相談所をつくっておりまして、全国紙あるいは地方紙などでそのことをPRしております。その結果、相談に参る件数が大分出ているわけでございまして、この上とも、われわれはこの中小企業の苦しい立場を考えまして全力を挙げて応援したい、このように思っているわけでございます。
○武部委員 倒産をする中小企業にとって金融の措置は大変重要な問題であります。したがって、私は時間の関係ではしょりまして、金利、すなわち中小企業の死活にかかわるこの問題について二、三お伺いをいたしたいのであります。
 まず最初は、いわゆる中小企業向け政府系金融機関、三機関ありますね、中小企業金融公庫、国民金融公庫並びに商工中金、この三機関の一般貸付金利、それと民間金融機関の長期プライムレートの五十一年度の引き下げ金利と幅について、ひとつ説明していただきたい。
○徳田政府委員 先生御指摘の国民公庫、中小公庫等の基準金利の推移と長期信用銀行の長期プライムレートの推移でございますが、まず、国民公庫、中小公庫等の基準金利は、五十二年一月現在が八・九%でございまして、それ以後四回にわたりまして合計一・三%引き下げられまして、昨年の九月には七・六%になっております。
 一方、長期信用銀行の長期プライムレートでございますが、五十二年の一月現在は九・二%でございまして、それから四回にわたり丁六%の引き下げが行われまして、現在七・六%になっております。
○武部委員 いまお述べになったいずれの金利も、即公定歩合と直ちに連動するということはないと思いますが、しかし、非常に影響が大きいのであります。
 そこでお伺いしたいのは、いま二つのことをお述べになりましたが、いま述べられた四回の引き下げによって、最終的にはこの政府三機関とそれから民間金融機関との差はゼロになっておるのであります。同じ七・六%になった。これは政策的に意図してあなた方はおやりになったものか、これまでの金利差〇・三というものがなぜゼロになったのか、その理由をひとつ納得のできるように説明していただきたい。
○徳田政府委員 先生御指摘の中小金融機関と長期信用銀行のプライムレートとの差でございますが、実は昭和四十一年以前には、民間のプライムレートよりも中小機関の金利の方が高かったわけでございます。それを四十二年になりまして、その長期プライムレート、つまり最優遇金利に合わせることにいたしまして、それ以来、長期プライムレートと政府関係中小金融機関の金利は同じ水準で動いていたわけでございます。ところが昭和四十八年になりまして、急激な引き締めの過程におきまして民間のプライムレートが非常に急速に上昇いたしましたので、この間におきましては中小企業に対する配慮もございまして、若干これに対しまして格差をつけてまいったわけでございますが、その後再び長期プライムレートは非常に低下してまいりまして、現在は戦後の最も低い水準にあるわけでございます。したがいまして、現在はもとの原則に戻りまして、政府関係中小金融機関の金利は長期プライムレートと同一、このようになっているわけでございます。
 なお、昨年四月以来政府関係機関の貸付原資である運用部金利の引き下げ幅は一%でございますが、この間の政府関係機関の引き下げ幅は一・三%でございまして、この点でも可能な限りの配慮が行われているわけでございます。
○武部委員 私はいま金利についていろいろ述べたのでありますが、この二つの金利が差がなくなって同一の七・六%になった。後でも一つ具体的に申し上げますが、そのために政府系の三機関の貸し出しがどういうことになっただろうか。これは非常に重要な問題であります。
 去る二月二十五日の日経によりますと、中小商業の資金需要と資金の調達方法に構造的な変化が見え、公庫離れが目立ち始めているというふうに報道されておるわけです。これは中小企業金融公庫の最も低利を売り物にしておるところの特別融資、流通近代化資金年利七・五%、小売商業高度化資金年利七%、結局これが相対的に魅力がなくなってしまった。昨年四回も金利が下がってしまった。そのためにその資金需要が市中の金融機関に移行してしまった。売り物のこの特別融資制度さえ公庫離れの状態だということが指摘をされておるわけです。さらに、この限度額が非常に低い。したがって、これを借りただけでは資金需要が満たされないから、さらに民間の資金の調達を図る必要がある。このことは要するにどういうことかというならば、政府の中小企業に対する現状認識が非常に甘い、実態に即さないような状態になっておるではないかというふうに私は思うのであります。したがって、このまま現状維持が続くということになるならば、この政府系の金融三機関の融資制度のあり方、あり方だけではなくてむしろこの政府機関そのものの存在意義が問われるような事態が来るじゃないかということを考えるわけですが、大蔵大臣の責任ある答弁をひとつ求めたい。
 同時に、きのうの新聞によりますと「長期金利 全面引き下げへ〇・五%程度「公定歩合」と歩調」、こういう記事がきのう出ました。これを見ますと「政府・日銀は公定歩合の引き下げに合わせて国債利回り、長期プライムレートなど長期金利も全面的に引き下げる方針である。」「下げ幅は公定歩合次第だが、〇・五%程度の大幅なものにしたい考え。」「四月または五月から実施する。」こう書いてあります。そうなってくると、長期プライムレートは七・六%、これからあなた方がおっしゃっておる構想でいくと〇・五%下がって七・一%になる。政府系の三機関は七・六%。このままですと、まさに逆転をするわけであります。少なくとも政府系の三機関というものはこれよりもさらに利幅を下げていかなければならぬ、このように思うのですが、どのようにお考えでしょう。
○村山国務大臣 先ほど中小企業向けの融資残高の比率から考えて、政府機関の三金融機関から一般の中小企業がいわば公庫離れをしているというお話でございますが、われわれの手元の資料では全く逆の傾向を示しておりまして、これは統計の関係で全部そろえてございますが、四十八年の三月ごろでございますと大体三金融機関のウエートが九%でございます。しかし、五十二年の三月ではこれが一二・七%でございまして、そのほかの全国銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合、これらを通じまして最もウエートの高くなっているのは政府の金融機関でございます。
 それから、いま武部さんおっしゃった中で、いま七・六%というのは基準金利でございまして、先ほど中小企業庁長官から申し上げましたように、特利がいろいろございますことはもう御承知のとおりでございまして、五・五%、物によりましてそういう金利をやっているわけでございます。
 それから最後にお尋ねになりました公定歩合の関係でございますが、先ほど日銀総裁からお話がありましたように、その問題は非常に慎重に考慮せねばならぬという御発言でございました。しかし仮に公定歩合が下がった場合を考えますと、恐らく預貯金金利につきましても連動せざるを得ないであろうと思うわけでございまして、その結果としてプライムレート、この方も変更があることは当然でございましょうが、政府関係機関の基準金利もやはり当然連動することになりますので、おっしゃるような御心配はそのような場合においても要らないもの、かように思っているわけでございます。
○武部委員 私は公庫離れのことを具体的に言ったわけですが、あなたの答弁はそれとは全く逆の資料だというふうにおっしゃっておるわけで、私は納得できないです。しかし、ここではあなたとやりとりしておってもしようがありませんから、具体的な数を明らかにしてさらに質疑してみたいと思います。
 七・六%が仮にどう下がるかわかりませんが、長期金利を全面的に公定歩合と連動して引き下げた場合に、政府三機関の基準金利も当然下がるだろうとあなたはおっしゃっているわけですが、先ほど銀行局長ですかおっしゃった、この四回の利下げによって〇・三%の差があり、その差は明らかに民間の金融機関よりも政府の三機関の方が有利だ。政府系が中小企業を保護しておるのだ、そういう立場でわれわれは三機関というものを評価し、今日までそれが利用されてきた、このように理解をしておった。これが四回の利下げによって一緒になっちゃった。今度あなたの方は、いま申し上げたように〇・五%程度基準金利を下げる。少なくともいま私が申し上げたような公庫離れの状態というものは具体的に当たればあると思っておりますが、この際政府三機関の利幅を前のように〇・三%以上いわゆる長期のプライムレートよりも引き下げ、中小企業が金融の面でもっと優遇されるような措置をとる必要があると思うのですが、あなたはどうお考えでしょうか。
○村山国務大臣 この問題は先ほど銀行局長からちょうど説明がありましたけれども、従来はむしろプライムレートよりも少し高かった、それをその後大体プライムレートと同じことにしよう、ただ石油ショック直後だけ例外を設けた、こういうお話をしたわけでございまして、現在は原則に返りまして基準金利と同じになっているわけでございます。しかし実効金利から申しますれば、当然五・五%のものもございますから、実効金利全体としては現在でも公庫の方が低いことは御想像がつくだろうと思います。先ほども銀行局長申しましたように、財投の借入原資は一%しか下がってないのに、こちらは一・三下げましたということなのでございます。したがいまして、今後どのようにやるかという御質問でございますけれども、基本的にはやはりプライムレートももちろん下がるわけでございましょうし、そのときになりますれば運用部の方の借入原資の利率も下がるわけでございます。われわれはそういうものを勘案しながらやはり適当な水準に決めなくちゃならぬと思いますが、いまプライムレートより下げるということをお約束するにはまだ早過ぎる、十分その辺を見ながら勘案して決めてまいりたい、かように思っております。
○武部委員 中小企業は民間の窓口で冷遇される。したがって、それを政府系の三機関を通じて救済するためのもので、中小零細企業にとっては、低利で、しかも貸出条件というものが非常にいいというところから、魅力のある機関だというふうに思っておったのですが、いま話を聞いてみると、全く同じで、何の魅力もなければ何の恩典もない、これじゃ何にもならぬと思うのです。したがって、政府はこの際、通産省が中小企業の所管庁ですが、このような中小企業向けの金利は当然一般の金利よりも引き下げるべきだ、このように思うわけですが、通産大臣、どうお思いでしょうか。
○河本国務大臣 中小企業向けの金利はできるだけ低い方がいいわけでございまして、これまでも大蔵省と打ち合わせをいたしまして、その方向に努力をいたしておりますが、なお引き続きましてその方向に持っていきたいと思います。
○武部委員 先ほどこの実績が逆だということをおっしゃったのですが、ここに一つまた別な問題が出ておりますが、これもきのうの新聞ですね。
 これは基準金利ではありませんけれども、小企業経営改善融資、こういうものがありますね。これは五十二年度の枠が四千七百億円、そういう枠がある。
    〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
これは利子は六・八%ですから、さっきの七・六四よりも安い。にもかかわらず、この利用はせいぜい年度中では七〇%どまりだ、三割は残ると言っているのですよ。こういう実態なんですよ。
 ですから、先ほどの公庫の金利よりも低い金利でさえも、こういうふうに借りられないのですよ。借りたって、これはただで借りるわけじゃない、利子を払うのですから。こんな不景気のときに、貸せる枠があるのだから何ぼでも借りろと言ったって、借りたって、ただで貸してくれるわけじゃなし、金利を払わなければいかぬでしょう。したがって、何ぼあなた方が枠をとったって、こんなに残っているのですよ。とても三割消化できそうもないというのですよ、年度末までに。これ一つとってみても、あなたの方の資料が間違いだと私は指摘したい、こう思うのです。まあこれはこれでいいでしょう。
 通産大臣はそういう努力をしたいということですから、ぜひ大蔵大臣と協議をしていただいて、少なくとも、政府系の三機関の金利が一般長期のプライムレートよりも低くあるべきだ。前がそうだったのですから、それを近づけたのがおかしいのであって、これは何ぼ福田総理大臣が中小企業は――まあ農民を愛すとまでは言われませんが、中小企業を愛すとは言われませんが、やはりそういう態度で対処してもらわなければ、大企業中心だと言われたって仕方がないと思うのです。そういう意味で、この金利問題というのは、中小にとっては死活問題ですから、ぜひひとつそういう前向きの対処をしていただきたい、このことを要請しておきたいと思います。
 時間がありませんから、もう一つ、最後ににらみ拘束預金について質問をしておきたいと思います。
 この問題というのは非常に古くて新しい問題であって、毎国会各委員会でこの問題が取り上げられて、早期解決というものが政府に求められてきたところです。これはもう御承知のとおりでしょう。しかし、行政指導による改善というのは、一向に効果が上がっていない。しかも、最高裁は五十二年六月二十日、この判決を下しましたね。そして具体的に、超過分については無効だということの判例、これはもう具体的に言いませんが、そういう判例が出たわけです。したがって、この拘束預金による被害の重大性というものを認識して、国会から司法界から、みんなこの問題点をどんどん指摘をして、政府にこの姿勢を改めるようにしてきたわけです。
 これについて一体大蔵省は何をやったかというと、十回ほど銀行局長の通達が出ていますね。しかし、一向にこの拘束預金というものは是正されていない。しかも近ごろは、にらみ拘束預金という名前が出ておるほど、功妙に悪質にこの問題が浸透し始めています。あなたの方は、このことについていろいろ苦情の窓口を設けたり、さっきも苦情の相談口を設けたとおっしゃったが、この設け方が私はおかしいと思うのです。銀行に対する苦情、にらみ拘束をやられて、その借り受け人が、あなた方の指導するように、銀行の窓口及び銀行協会の窓口に苦情を申し出なさい、こういうことを言っていますね。銀行の苦情を銀行に持ち込む、こういうばかがおるでしょうか。それは借り入れにとっては、これはまた自殺行為に等しいことですよ。そんなことだから、調べてみたら、銀行の窓口でこの苦情がどのくらいあったかというと、全然ないですよ、これは。あるはずがないのです。そんなことをもって対策を立てたと言うようなことは、これはお話にならぬ。
 そこで、大蔵省がどういうことをやっておるか。大蔵省はまあ銀行と違って、もうちょっといいと思ったでしょうか、ここに若干の苦情を申出ていますね。それを見ますと、件数が五十年度でたったの三十六件、五十一年度では三十七件、五十二年度になったら、八カ月間で二百六十三件にはね上がっておる。これは大蔵省がどんなにりっぱな対策をしたと言ったって、この事実が物語っておる。対策とは逆に、どんどんにらみ拘束に対する苦情がふえておるという事実がここに出ておるのですね。これは氷山の一角でしょう。
 こういうことを考えると、いま直ちににらみ拘束に対して、はっきりとこれに対しては制裁を加えるというぐらいなきちんとした態度であなた方は臨むべきだと思うのですが、いかがでしょう。
○村山国務大臣 いわゆる拘束預金につきましては、いまお話しのように、いわば預金通帳を担保に取る狭義のものと、それから、取らないでにらんでおるというにらみ預金があることは御承知のとおりでございます。その中で、狭義のものにつきましては、これは厳重に監督いたしまして、少なくともその分については、そのいわば拘束した預金については、その貸出金利は預金金利の〇.二五%しか上乗せできない、こういうことを決めたわけでございます。したがいまして、銀行側から申しますとメリットが全然なくなるわけでございますから、これは急速に減っていることは御承知のとおりで、いま三%ぐらいに落ちたのじゃないかと思います。しかし、なお、これは厳重に監督しているところでございます。
 問題はいまやにらみ預金にいっていることは、もう御承知のとおりでございます。この前もたしかお話ししたと思うのでございますが、なぜにらみ預金というものが出てくるか、ここが一番問題なのでございまして、金融機関の利益のためにもし拘束預金としてのにらみ預金があったとすれば、これはけしからぬ話でございますから、徹底的に取り締まらなければなりません。しかし、もう一つ考えられますのは、やはり債務者が主力銀行を自分は抱えていきたいということで任意にやる場合も考えられるのでございます。それからまた、両方の都合がちょうど合致いたしまして、普通でありますと信用関係からして金利を高くしなくてはならぬ。しかしそれは方々に響きますから、金利を高くされるよりはある程度拘束されてもやむを得ない、こういういろいろな原因があるわけでございます。私たちが一番問題にしておりますのは、金融機関の利益のためにやっておるもの、これをできるだけ絶滅せねばならぬということで、最高裁の判決等もございまして、数次にわた。まして銀行局長名で厳しい通達を出しているわけでございます。それは、抜き打ち検査をやりますとか、あるいはもしわかったときには最高責任者を含めて刑事責任を問うということをしばしば言っているわけでございます。そしてまた、そういうにらみ預金については、これはいつでも相殺ができるというようなこと、これを全部契約書の中で明示するように指導しておるのでございます。先ほど苦情相談所というお話がございましたが、銀行協会のほかに、いま武部さんが言われたうに、財務局財務部においてやりまして、件数の御発表がありましたけれども、この五十二年になりまして非常にふえているわけでございます。その中でいろいろの態様がございまして、自分の名前を言ってきている、あるいは金融機関名を言ってきているのがございます。そういうものにつきましては、すでに処置いたしまして、円満な解決を見ているところでございます。しかし、おっしゃるように名前を挙げてもらっては困る、相手は金融機関だから、こういうのもあるわけでございます。これは特別検査のときの貴重な資料にいたしまして、そしてその金融機関に対して抜き打ち検査をやる、そしていま取り締まっているところでございます。今後といえとも――いまだんだん少なくなりまして、三%強ぐらい、だんだん低下しておりまして、最近では大体九%ぐらいでございます。このうち、金融機関の利益に基づくものがどれぐらいあるかわかりませんけれども、なお従来の方針を一層強化いたしまして、この組成を期しているところでございます。
○武部委員 いまあなたのお述べになった何のためにやっておるかということは、銀行の利益を図るためが一〇〇%です。これは間違いないですよ。そのほかの理由なんてあるはずがないのです。ですから、ここへ出てきた苦情の中も大体三つに分けられるのですが、定期預金の中途解約に応じてくれない、借入金の際預金を差し押さえられたとか、あるいは拘束されていない定期預金の満期支払いに際し継続か既存借り入れの返済を要請された、こういう内容になっておるのですよ。ですから、一向にこの効果が上がっていない。刑事責任をとるとかとおっしゃっておるが、刑事責任をとられたと一遍も聞いたこともなければ、抜き打ち検査でそんなことが起きたということも私どもは聞いていない。ですから、むしろこのにらみ拘束預金は、あなた方の通達の裏をかいて巧妙にやられておるというふうに理解できるのです。ですから、この調査ももっと厳正にしてもらいたい。ただ単に文書を出しておるということではなしに、おっしゃるように抜き打ち検査をやってその結果を公表するとか、そういうような法的な規制をやらなければこの問題は直らないと思うのです。ですから、そういう問題について、大蔵省としてはぜひひとつ厳しい措置をとってもらいたい、これを特に要請しておきます。
 最後になりました。もうあと時間がございません。
 公正取引委員長にお伺いいたしますが、公正取引委員会は、三十九年三月以来毎年二回、にらみ拘束預金について実態調査をしておりますね。二十七回調査をされておる。二十七回目の報告書がここにございます。最高裁の判決というのはもう明白であります。そういうことになっておるわけですが、この最高裁の判決というものは、不公正取引の排除措置をとるべきかどうか、こういう点について公取に対して判断をゆだねたというふうにわれわれは理解しなければならぬと思うのです。したがって、下公正な取引というその判断をあなた方にゆだねたということになるならば、公正取引委員会は一体今日まで何をしてきたのか。小田原評定をやっておるうちに最高裁に先を越されてしまったじゃないかということすら言われるのでありまして、この最高裁の判決と、それから公正取引委員会の今後の措置、これは一体どうですか。
○橋口政府委員 拘束性預金につきましての行政上の措置でございますが、これは大蔵大臣からるる御説明があったのでございますし、また武部委員の御質問の中にも御指摘がございましたように、何回かの積み重ねの結果といたしまして、昭和三十九年から今日まで、公正取引委員会といたしましては約八千の中小企業者に対して実態の調査をいたしております。
 いまお話がございました昨年六月の最高裁の判断でございますが、これは先生よく御承知のように昭和三十五年の事件でございまして、今日とは事態が相当大幅に変わっておる時代の事件でございまして、それに対する判断でございます。したがいまして、よく御承知のように、内容を見ますといわゆる即時両建てでございます。貸し出しをすると同時に両建てをとるという極端な内容でございます。それから、いわゆる両建て率と申しますか、比率も五二%という大変高率のものでございます。また、取引の実態は、人的物的担保が十分あるにもかかわらずそういう措置をとったということに対しまして、最高裁として、違法である、独占禁止法違反であるという判断が出たのでございまして、この判断は、そういう点から申しまして大変高い価値を持つと思うのでございますが、いま申し上げましたように、昭和三十五年当時と今日とでは金融環境も変わっておりますし、また、中小企業と金融機関との力の関係にもかなり変わった面があると思われますのは、われわれの調査によりましても、計数上は日進月歩でございまして、両建ての割合というものは漸次改善を見ているわけでございます。
 また、最高裁の下された判断をそのまま公正取引委員会の判断の基準にするということは、いま申し上げましたように、ちょっと適当ではないというふうに思うわけでございます。われわれといたしましては、十分問題意識を持っておるのでございますが、判断基準を作成する、あるいは特殊指定を行うということになりますと、内容の限定も必要になってまいりますし、問題は、結局、何%までよくて何%超えたらいけないかということが最終的な問題点になるわけでございまして、仮に何%という基準をつくるということにいたしますと、これを一律に適用するということにせざるを得ないわけでございます。また、そのパーセントまではよろしいということになってもこれはまた困るわけでございますから、事柄の性質から申しまして、やはり積み重ねで問題を解決していく以外にないのではないか。つまり、一律に判断基準を作成するということは困難でもございますし、また、適当でもないというふうに考えております。
 ただ、武部先生から御指摘もございましたから、大変むずかしい問題ではございますけれども、十分検討はいたしてまいりたいというふうに考えております。
○武部委員 終わります。
○中野委員長 これにて武部君の質疑は終了いたしました。
 大原亨君。
○大原(亨)委員 私は、史上最大といいますか、世界最大の薬害問題でありますスモンの訴訟が新しい段階にまいりましたことに対しましてスポットを当てて、日本の医療の改革について、限られた時間で議論をいたしたい、こう思います。
 スモンの患者が発生いたしましたのは昭和二十八年当時でありますが、そのスモンの患者が発生いたしましてから若干の年数を経まして、昭和三十五年ごろから昭和四十五年に至るまで、爆発的に患者が増大いたしました。末端神経が麻痺する、あるいは針の上に座っておるようにきりきり痛む、上半身が麻痺する、失明する、あるいは色の識別ができない、死ぬる、こういうふうな悲惨な事態が次から次へと発生いたしました。当初は、御承知のように伝染病である、ビールス説、あるいは遺伝説、そういうものがかなりいろいろうわさを支配いたしまして、離婚はする、一家が離散をする、自殺をする、そういう事件が続出をいたしたことは御承知のとおりです。
 和解が二次にわたる提言をもちまして、三者がテーブルに着いて調書に捺印いたしました。そして今度は、判決がありました。
 私は、この問題は、日本の非常に大きな社会問題であり、政治課題である医療の改革と密接不可分の関係にあると思うのであります。したがって、このことを集中的に質問をいたしまして、政府全体がこれにどう取り組むか、こういうことについてその所信を明らかにしてもらいたいと思うのです。
 質問の第一に、欧米の各国においてスモン患者が発生いたしているのはどのような状況であるか、その実態について簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 わが国のスモン患者は、研究会の推計によりますと、その数としては一万一千とも言われ、あるいは現在訴訟として提起されております患者の実数は約三千六百という、二種類の数字がございますが、国外におけるキノホルムに起因するものと認められるスモン患者数の調査といたしましては、最大の数のものといたしまして、田辺製薬の労働組合がチバガイギーと接触して調査した結果の百七十六というのが日本国外における全数。この中身といたしましては、北米が十四、ヨーロッパ諸国が九十五、中東地域が十七、東南アジア十二、オーストラリア二十九、ニュージーランド二、その他南米四、ナイジェリア三、こういう数字になっております。
○大原(亨)委員 いまの御答弁でわかるように、欧米各国あるいは日本以外の国におきましては、スモンの患者は大体一けたか二けたなんであります。しかるに日本におきましては一万一千とも二万とも言われておるわけですが、その対策に取り組む際には、国の財政問題にも、あるいは医療産業にも大きな致命的な影響を与えるわけですけれども、なぜ一体日本においてはこのような世界最大のスモンの被害者が発生したのか。薬害列島日本、つまり水俣病を公害列島の代表といたしますと、薬害列島日本というふうな汚名が世界各国で流布されておるわけであります。私は、日本のこれからの経済構造や、あるいは世界の中において日本の進むべき方向の中におきましても、これは省資源産業でもあるし、あるいは省エネルギー産業でもあるし、知識集約型の産業でもあるわけですけれども、きわめて重要な問題だと思うのです。一体どういう原因でこのような薬害が発生したのか、この点について政府はどのような考え方を持っておるか、これを簡単にお答えいただきたい。
○小沢国務大臣 スモン研究班の先生方の見解でも、なぜ日本がこのような数字を、非常に多量に発生するようになったかということについては、科学的な明確な答えは出ておりません。ただ一部には、外国の例と比較してみまして、日本人の体質的な問題あるいは投与の量並びに期間の問題等の影響ということを言われておりますが、的確な科学的な原因というものは、日本だけなぜこのように多発したかということについての正式な見解は、まだなかなか的確に把握できないわけでございます。
○大原(亨)委員 総理大臣、そういう小沢厚生大臣のような、人ごとのような考え方を持っているからこういう問題が根絶できないのです。この原因と責任を明確にして、こういうことを絶対に起こさないというきちっとした保障のある政策を立てるということは、日本の医療の根本的な課題です。これは原因もわからないし的確な答弁もできないというふうなことは、私はおかしいと思うのですよ。(「体質というのは取り消させろよ、日本人の体質とは何だ」と呼ぶ者あり)いまも発言がありましたが、日本人の体質がスモン病にかかりやすい体質になっているのですか、そういう体質なんですか。それでは東南アジア、アジア一般についてはどうですか。戦争中、軍はキノホルムを非常に乱用したわけです。熱帯地帯における下痢とか腹痛とか、あるいは腹のぐあいが悪いとかという者について、全部これを使ったわけです。これが一つの大きな発火点になりまして戦後ずっと続いておるわけです。日本人の体質というのは、一体どういう体質をしているのですか、お聞きをいたします。
○小沢国務大臣 私、体質によると断定してここで答弁したわけじゃありません。そういうふうに言われる向きもあったり、あるいは投与が多量であったり、あるいは期間が長かったり、いろいろなことを言われておりますが、まだスモン調査研究班でも学者の見解がまとまっておりませんで、科学的に正確に、なぜ日本にこれだけ多発したかということについてはわかりませんと申し上げる以外にはいまのところはないと申し上げているわけでございまして、決して体質が原因だなんて申し上げているわけじゃありません。
○大原(亨)委員 そういうことを、つまらぬことをあなたと議論しておって時間をつぶしてもだめですから、前に進んでまいります。
 東京裁判に引き継いで本月一日に金沢裁判があったわけですね。その長い訴訟の中を通じましてこの原因と責任の分野がきわめて明確になってきたのが特色であると私は思っております。
 そこで、その法理論、法律論争についてここでやりますと、政府側が法廷で主張した問題を一々取り上げなければなりません。これは時間がありませんから、また別の機会に各論で論争を発展させていきたいと思いますが、私は結論的に言うならば、和解裁判を受けて、そして損害金という一時金とそれから恒久対策について和解案が出された。今度は金沢地裁におきましては、賠償金につきまして一つの結論が出た。これら全体を受けて、全部の長い間苦しんできたスモンの被害者に対しまして、政府全体として一時金の対策と恒久対策について統一のあるスモン患者対策を確立いたしまして、そして国民の立場、被害者の立場で、公平の原則に基づいて政府が率先してこの事態収拾に当たるべきであると私は考えるのでありますが、控訴であるとか、判決の法律的な論争だけに明け暮れるのではなしに、そういう立場に立った対策を進めるべきであると考えます。この点に対する政府の見解を明らかにしてもらいたいと私は思います。
○小沢国務大臣 全体についての公平な救済を統一的基準のもとに推進する必要があるという御所見は、私どもも同感でございます。ただ、一体統一的にどういうふうな基準で救済に当たるべきかということについては、御承知のように裁判上の和解について、私どもは和解に応じまして、その和解の条項の第五項に「治療方法の科学的研究、そう他原告らの福祉の向上に必要な措置を講ずることにつき今後も裁判所を通じ協議検討を重ねるものとする。」こうなっておるわけでございますので、やはりこのような問題については和解による解決というものが一番妥当だろうと私どもは思っております。したがって、この条項に基づきまして、裁判所を通じて協議検討を重ねた結果、救済の全体についての方針が決まりましたときには、これを他の一切の方々に適用すべきものと思っておりまして、いまこれらの協議の方を裁判所を中に立てて進めるということに全力を注いでいるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○大原(亨)委員 現在の和解調書で、国もあるいは企業も、一部の患者の方も原告もテーブルに着いたわけですが、その調書は普通の裁判所の判決とは違って、言うなれば一種の特別の契約であると思いますね。しかし、これは強制執行力もあるわけですから、この進行状況というものは、いま御答弁がございましたように、これからの政策にはきわめて重要な影響を及ぼすと思うのです。その進行状況はいかがですか。
○中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 大臣からの御答弁にありましたように、東京地裁におきまして原告側及び被告側がすでに数回にわたりまして会合を重ねまして、原告側の御要望それから被告側に、国としての立場におきまして一般施策としてどのようなものがあるか、その御要望と現行施策の総点検を現在やっておるところでございます。この総点検が終わりました段階におきまして、原告側の御要望に対し国の施策としてどのようなことができるかという具体論の話し合いに早急に入る、そういう段階でございます。
○大原(亨)委員 どのくらい進んでいますか。
○中野(徹)政府委員 現在まで、いま申し上げました総点検が大体終了した段階でございますので、本月中旬からの段階で具体的な要望に対する行政側の対応についての具体的なお話し合いに入れる、かように考えております。
○大原(亨)委員 総理大臣、昭和二十八年にスモン病の患者が発生し出したわけです。三十五年から、申し上げたように、爆発的に増大したわけです。外国では一けたか、せいぜい二けたですよ。日本ではその当時から何十人というふうになって、四十五年当時のピーク時には莫大な数に上ったわけです。そして、当時から数えてみまして二十数年間いまたっているわけです。いまだにこんなにちびりちびり小出し小出しに出しまして、そして被害者に対する立場を十分尊重した対策が進んでいない。そういうことは、私は日本の国際的な立場から言いましても、これは恥辱であると思うのですよ。総理大臣、所感をひとつ述べてください。
○福田内閣総理大臣 スモン病がわが国においてこのように大規模に問題化する、これは非常に残念なことだ、このように私は考えておるわけですが、しかし、和解を中心にしてこの問題を収拾する、これは政府の考え方でございまするが、やはりこの段階まで来ますと、この考え方を強力に進めて、早く救済問題の決着をつけるというほかないのじゃないか、このように考えます。いずれにいたしましても、これは世界的に非常に大きな不幸な出来事でございますので、なるべく早く決着に導きたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 このスモンの患者は一万一千名とも二万名とも言われておるわけです。その中で、和解派あるいは判決派を含めまして三千七百名、約四千名というふうに言われておりますね。問題は、六千名あるいは一万数千名と言われている疎外患者ですね。わかりますか。つまり、医療機関の証明がないために訴訟に参加できない、ただしスモンの症状、病状をはっきり持っている、こういうことですね。そういう人々に対する対策というのは一体どうするのですか。
○小沢国務大臣 先ほど私がお答え申し上げましたように、和解案の第五項に基づく裁判所を通じての患者のためのあらゆる方策につきまして協議検討を行う。まだ進行中でございまして、これをやはりきちんとしまして一つの救済の統一的見解がまとまりましたら、これは全体の患者さんにも適用していくべきものだと思うのですが、現在はとにかく四千名近くに上ります訴訟の方々の問題の処理というものに全力を傾けていきませんと、いまのところそれをまず解決する方が先だということでございますので、決して私どもは、永久にこれをなおざりにするような考えはないわけでございますが、いまそういう状況であることだけは御認識をいただきたいと思うわけでございます。
○大原(亨)委員 和解案の場合には損害金、判決の場合には賠償金、そういう一時金と、医療とかあるいは介護手当とか年金とかあるいは施設とかというふうな全体の恒久対策、こういう二つの面においても、やはりいま指摘をいたしました疎外患者についても公平な対策を立てる、そういうように理解してよろしいか。
○小沢国務大臣 疎外患者の中には投楽の証明が全然つかないといいますか、そういう方々もございますので、いま先生は、全部に通じて年金等も含めて対策をとるか、こうおっしゃいますと、そう全部に通じて同じような取り扱いができるかどうかは、それぞれの態様によってやはり違いますから、したがって、私は先ほど申し上げましたように、裁判所を通じての救済に対する統一的な処置をまず決定をいたしまして、それについて徐々に及ぼしていくということを考えなければいかぬと思うのです。
 それともう一つはあの和解あるいは今度の裁判の結果を見ましても、年金等の問題につきましては全然触れておりませんので、まず裁判上の和解によって解決を図ることが一番いいと思いますが、そういうようないま当面の解決を急ぐべきものをやりまして、それからひとつ徐々に及ぼしていくようにいたしませんと、私ども、どうも裁判所の和解に応じた国の立場から見ますと、統一的な基準が、裁判所を通じての協議が進んでいきませんとその内容が出てこないものでございますから、この点はひとつ御了解を得たいと思うのです。
 ただ、医療の問題につきましては、あるいは病院の整備、医療施設の整備につきましては、これは難病の指定を受けておるものでございますし、もう当然私どもはその面は同じように進めてまいる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
○大原(亨)委員 この疎外患者と言われているのは、日本独特の現象なんですね。つまり投薬証明がない、カルテがない、そういうことですね。外国の場合は、やはり医師や薬剤師や歯科医師の技術を尊重する、それから物と技術は分離する、そういう原則が制度上確立しております。ですから、医者が処方箋を書く、薬剤師が調剤する、そういうことを通じまして明確に足跡が残るわけです。ですから、カルテがないとか投薬証明がないということはないわけです。日本は経過的に、全体として低医療費に抑えて技術を非常に軽視をいたしました。そういうことが災いいたしまして、逆に言うならば売薬医療、薬づけ医療になったわけですね。これがスモン病の大きな原因になっておる。潜在患者がいわゆる疎外患者として最後まで取り残されるという現象を呈しておる老けてすね。日本の医療の恥部というか一番欠陥が端的にあらわれたのが、私は疎外患者であると思うのです。ですから、このスモン病に対する原因と結果、因果関係については、政府がスモン病研究会を設けて一つの提言をしておる、結論を出しておるわけですから、原因と結果はキノホルムによってスモン病が起きていると。ですから、スモン病という病気の現象がある限りは、その因果関係を推定いたしましてそして全体の力でこれを守っていく、こういう政策を遅滞なくしかも公平に立てるということは私は当然だと思うわけですね。厚生大臣の御答弁がありましたが、総理もそういうように思うでしょう。いかがですか。
○小沢国務大臣 大原委員の立論は、疎外患者であってもスモン病であるという事実があれば、スモン病の原因はキノホルムだと一方において認定をされておるのだから、たとえカルテやその他投薬証明がなくとも当然そういうふうに推定をして同じような救済をすべきだ、こういう立論でございます。あるいはそれが当該の患者さんにとってば事実であるかもしれません。しかし、私が先ほど申し上げましたのは、治療費やあるいはまたベッドの使用のためのいろいろな病院の整備等については同じようにやっていきますが、補償という問題になってまいりますと、やはり裁判所においても、和解のときも判決のときも、それぞれそういう何らかの裏づけの証明がなければ事実問題としてできないということでございますので、それらの点についてのいろいろな対策を同じようにとれ、こういまおっしゃっても、まず私どもは裁判上の問題、和解上の問題を早くけりをつけまして、特にその和解の面では裁判所を通じましていろいろ協議検討しているわけでございますから、その面の対策の確立をまず急いで、それができましたところで、全体に及ぼしていく際にどうすべきかということを政府として、患者さんの実態等を踏まえてよく考えていきたい、こういうことでございますので、いま直ちに大原委員のおっしゃるようにごもっともですと言う段階でないので、お断りを申し上げているわけでございます。決してお考えがわからぬわけではありませんけれどど、現在の段階で全部そうしろといま直ちにおっしゃっても、私どもは了承する、こう言えない立場にありますものですから、御了解を得たい。
○大原(亨)委員 当面の緊急の医療対策等について重点的にやっていくということはわかるのですよ。わかるのですが、カルテがないからといって、医療機関の投薬証明がないからといってもスモン病という事実が何よりの証拠なんですから、だから、それに対しまして国としては患者の立場に立って公平な政策を迅速に進めるべきである、こういうふうに私は思うのです。
 そこで大蔵大臣、和解調書の場合には一時金として出ました損害金、これは最高五千万円でした。判決の場合はその約七割と、こう言われていますね。それにつきまして患者側に大きな意見が出ております。それは、それぞれ患者のこれからの法廷やあるいは選択に任すということにいたしまして、そしてそれらを含んで、いまや政府は緊急の措置といたしまして、財政上も国の負担については和解については三分の一、判決においては十分の四、国に責任があり負担をすべきだという提案があるわけですから、たとえば一時金が一人三千万円といたしますね、そういたしますと一万人で三千億円ですか、二万人といたしますと六千億円ですね、これは一時金だけですよ。介護手当やその他の施設医療等については別ですよ。これは一つの数字の例を私は申し上げたわけですね。そういうことについては政府としては当然に本年度中に起きた場合には財政上の措置をとるというふうに理解をするが、そのとおりに理解をしてよろしいか。
○村山国務大臣 いまスモン病につきましていろいろな和解あるいは判決が進んでいるところでございます。患者の早期救済という意味から申しましても、いずれにせよ和解であるいは裁判で国が支払うべきものと確定した金額につきましては、早期にこれの予算的な対処をしているところでございまして、すでに東京の和解の問題その他岡山の問題等についてはそれぞれ措置済みでございます。
○大原(亨)委員 つまり、解決についての施策が進んでいき、必要な予算措置については遅滞なくやる、こういうふうに理解してよろしいですね。
 そこで、私どもはこの問題を、もちろん法律的な問題について細かく詰めていく必要もあるわけですけれども、このような大きな世界最大のスモン患者が日本に発生したのはどういうことかといいますと、これは私の意見を言いながら見解を聞きたいわけですが、総理もよく聞いておいてください。つまりキノホルムを、アメリカでしたら対象疾病をアミーバ赤痢に限定したわけです。イギリスも病気を限定しているのです。日本は戦争中の状況というものが頭にありまして、むちゃくちゃに使ったわけです。下痢をするのに使うし、おなかがちょっと悪いと言えば使うし、昭和二十八年ごろから生産が始まって昭和四十五年がピークですが、キノホルムの生産がふえるに従ってスモン病の患者が並行して爆発的にふえているのですよ。そういう統計が出ておるわけです。驚くべき統計です。判決文の中には、大量生産、大量消費、高度成長型の医療であった、こういうふうに言っている。つまり、対象疾病というものを非常に無原則に拡大をして何にでも使ったわけです。これが一つ。
 それから、使用量については、これは劇薬に指定した時代があるわけですから、最小限度使用の法則に従って、薬というものは作用と副作用が背中合わせになっているわけですから、最小限度使用の法則を立てる。そういうことで、一日一グラムを超えてはならぬというルールがあったにもかかわらず、日本ではその量を超えてどんどんどんどん使っておる。メーカーもどんどん宣伝して売り込んでおる。国もそれを認めておる。使用についての承認基準を置かない。何ら規制しない野放しの状況。
 もう一つは、期間についても、たとえばアミーバ赤痢のような場合でも、十日間なら十日間の分量を決める。しかし、日本は期間についても制限がない。言うなれば、そういう薬の使い方をしているその一つとしてこのスモン病が異常な発生をしたということ。そして、それを途中でわかってから速やかに是正するという措置について非常におくれている。これは和解の提言の中にも裁判長が言っているが、判決の中にも明確に言っているように、日本のこの薬害の問題については、メーカーももちろん大きな責任があるが、政府に最大の責任があるということを言っておる。そういう点について、その原因について明確にしながらこれからの対策を立てなければ、このような薬害を根絶することはできないというように私は思う。私の考え方に対しまして、政府から明快な答弁を求めます。
○小沢国務大臣 詳しいことは薬務局長がお答え申し上げますが、先ほど言われました使用量の問題あるいはいろいろな症例に応ずる使用の基準の問題等については、私ども専門家の意見を十分聞いて、一般的な用法の場合、あるいは特別のいま例に挙げられましたようなひどい伝染性疾患の下痢の場合、こういうような場合場合に応じた用量を決めておりますので、必ずしもあの当時、しかもそれは専門家の御意見によって決めたわけでございますので、厚生省の方で先生の言われますような不注意があったとは考えませんけれども、しかし、いずれにしても結果的にはこれだけ多発をしておる、しかも、それがキノホルム剤にどうも因果関係があるという研究調査班の結論でございますので、したがって、この点については今後の薬務行政をやるに当たりまして、もう現在のように非常に厳しく対処していくという方針をとっているわけでございます。
 詳しいそれらの点については事務当局がお答えをいたしますが、御承知のように昭和二十八年あるいは三十年のころにすでに予見できたという裁判所の立論につきましては、いろいろ当時の実情から見、御承知のとおりずっと以前から使っておるこのキノホルム剤でございますので、果たして当時の状況で、当時の科学水準から見て予見できたかどうかという点については一番の問題点でございますので、なお私どもよくいまつぶさに検討中でございますから、ここでいろいろせっかくのお尋ねでございますけれども、責任あるお答えをするのはもうしばらく待っていただきたいと思うわけでございます。
○大原(亨)委員 それは判決に対する態度を政府は決めていないわけです、法務大臣やみんなが協議しましてね。決めていないからああいうふうな答弁になるわけですね。事実を指摘をいたしましても、それに対してはっきりした責任と原因について答弁ができない。それは、ここで答弁いたしますと裁判で負けるというふうなつまらぬ考え方があると私は思います。
 それらの議論はまた別にいたしまして、ともかくもこれから日本の医療産業、医薬品産業ですが、通産大臣、日本には約二千あるわけです。西ドイツとかイギリス等を調べてみますと、せいぜい四、五百ですね。それで十分、独占化の問題もありますが、競争いたしておりますね。日本の特色は、工場等を入れましたら三千もあるわけですけれども、これはつまり日本の保険制度の中に入り組んでまいりまして、調べてみますと薬価基準は一万三千ですが、保険薬として採用しているのは、これは類例のないくらい大きくて、実際上の医療機関の能力の限界を超えておるわけです。問題は、俗に言われるが、ぞろぞろメーカーとかいろいろなのがありまして、たくさんこの薬価基準の中に政治的に、あるいはいままでの経過的に入り込んでおって、そして副作用の追跡ができない。いまの被告は三つの会社ですが、実際には十四あるわけでしょう。さらにほかの問題になりますとたくさんのメーカーがある。しかし、これは損害の賠償能力がないのがたくさんある。逆に言うならば、技術の開発能力のないのがある。そういうのでもどんどん製造を許可している。それから他の、帝人も今度もうかるから薬をやるというのですが、不景気になってくるとどんどんこの中に参入してくる。そういう状況で、日本の医薬品の製造の生産量は世界で第二ですけれども、ほとんど輸出はされない。輸入が全体の三五%でたくさんの薬を使っているということ、これが薬害の一つの大きな背景になっておるということですね。だから薬づけ医療とか言う。あるいは医療機関に行きますと、件数でかせぐということになって三時間待って三分ということになる、それが重複診療、重複投与ということになる。そうすると、今度は薬害問題を潜在させるということの原因にもなる。そういう全体の問題を、医療制度から保険制度まで全部洗い直してみて、本当に一人一人の国民の命と健康を大切にする薬務行政や薬のあり方は古井 喜實どうかということを考えながら、そして真に技術を尊重する、そういう日本の制度を確立することが何よりも大切です。これがずっと十数年来続いてまいりました日本の健康保険の改正の一つの問題であります。
 時間もありませんから結論を急ぐわけですが、薬事法の改正はぜひともしなければならぬ。これがいまだにできないということは、判決にこだわっておるのかもしれません。しかしそういうことであってはならない。薬事法の改正は一体いつするのか。時間がないから項目だけを挙げてもらいたいが、どういう内容、項目について改正するのか、その点を明確にしてもらいたい。
○小沢国務大臣 薬事法の改正は、目下鋭意作業を進めている段階でございまして、できましたら今国会にと思っておりますが、ただ御承知のとおり、今度は、現在やっておるような非常に厳しいものを法律的な権限と責任の裏づけをしたいということでございまして、いろいろな問題点がございます。したがって、それらの調整、ただ薬事法の改正だけではいけませんので、もし不幸にして起こった場合の副作用による薬害というものの救済制度も当然あわせて考えていかなければならぬものですから、ちょっと四月、五月までに間に合うかどうかという気がいたしますけれども、できるだけ急いでやるつもりでございます。その方向は、おっしゃるような方向で私どもも厳格に考えて進めてまいりたい、かように考えております。
○大原(亨)委員 時間がもうなくなりましたが、文部大臣、教育の荒廃ということが言われるのです。それから医療の荒廃ということが言われるのです。それは薬害に端的に出ておりますね。私はその接点は医学教育だと思っているのです。教育と医療の荒廃の接点は医学教育である。たとえば入学に五千万円も払っている、五千万円もかかる。これはずいぶん議論になりましたから、時間もないので言いませんが、私が指摘をしたいのは、そういう社会保障や医療問題と文部省の教育が関係なしに進んでおるのではないかと思われるのは、たとえば基礎医学とか公衆衛生を勉強する学生がいない、臨床医学中心のそういう教育になっておるのではないか。そういう教育の面からもこの問題を改革しなければ、こういう真に国民の命と健康を守るような医療を確立することはできないと私どもは思いますが、これは最後にひとつ文部大臣の見解を伺います。
○砂田国務大臣 基礎医学にもっと力を尽くすべきだという先生の御意見には私も同感でございます。
 勉強機会を提供するという観点から申しますと、文部省といたしましては、昭和五十年、大学の設置の基準を改正をいたしましたときに、特に臨床医学とともに基礎医学の講座数をふやしてまいりました。特に授業時間の総数につきましては、従来、基礎学問の時間が少なくて臨床学問の時間が多かった、これらの点の改善をすでにやったわけでございます。大学院におきましても、講座の壁を越えて、基礎医学と臨床医学との間の一体となった教育を行えるような、そういう編成にするべきこととして、今日の医科大等の設置はその基準の範囲の中で認可を許されていっているわけでございます。御指摘のように、基礎医学に進みます学生の数は臨床系の学生の数と比べますと依然と低うございます。しかし、実数そのものは年々だんだんふえてまいりまして、昭和四十七、八年ごろに二百五十名に足りなかったところが三百二十名まではふえてまいっております。
 なお、東大に生命薬学でありますとか、富山の医科薬大に臨床薬科学、このような臨床学と薬学の交流を図る新しい分野の学問、そういう教育機会を与えることもやってまいりました。基礎医学研究者の養成というのはきわめて重要なことでございますので、その確保を図りつつ、今後とも社会的要請にこたえていくべく努力を続けてまいります。
○大原(亨)委員 終わりますが、総医療費が昭和五十三年は十兆四千億円です。厚生省の見通しによりますと、五年間で二十兆二千億円を超えるというふうに言われておるわけですね。だからGNP、国民所得の中で占めるウエートは非常に高いわけです。これが真に国民の医療になるようにするためには、日本の医療問題は単に保険財政だけの問題で健康保険をいじくってはならぬ。そういうことを繰り返しておるから、自由民主党の政府においては医療の荒廃が進んでおるという点をかたく肝に銘じてこれからの対策を立てていただくように心から期待をいたしまして、私の質問を終わります。
○中野委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。
 次に永末英一君。
○永末委員 まず、総理にお伺いをいたしたいと思います。
 本日、ロッキード公判で丸紅の副島証人が、その当時の四人の自民党代議士に場所と金額を明示して金銭を渡したという証言をいたしました。これらの件につきましては、本院に設置せられておるロッキード委員会やあるいはまたこの予算委員会において、それぞれの質疑を通じて事態を明らかにしようとしてまいりましたが、一人の方を除いては金銭の授受すら明らかになっておりません。
 そこで、きょうの証言という新しい事実をもとにして、総理は同時に自民党総裁でございますから、裁判の中では事実が明らかになっていくが、国会では全くそういう事実の認否すら明らかでないということは、議会政治に対する大きな疑いを国民に持たすものだとわれわれは思います。したがって、きょうの証言を契機にして、これら四人の人々に対し、自民党総裁として、証人喚問に応ずるようすすめられるべきだと思います。聞くところによれば、そのうちの一人の方は、自発的に証人喚問に応じてよろしいという意思をすら持っておられると聞いております。したがって、国民全部が注視しておるこの事件でございますから、あなたの御決意のほどを伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 お話しの証人喚問問題は、これは国会の運営の問題なんです。でありますので、当該委員会におきましてよく御相談を願いたい。その御相談の結果によってこれは処置すべきものである、このように考えるわけであります。まだ各党間の当該委員会における相談、まだ決着に至っておらぬ、こういうふうに承知しております。
○永末委員 国会のことは、各党の国会の運営の焦点でございますから、いろいろございましょう。ただ、いままでの国会におけるこの点の問題に焦点をしぼるならば、自民党の方がこの証人喚問に対してきわめてかたい態度をとっておる。したがって私は、総裁であるあなたに、特に福田政治の筋道を正そうという御決意に燃えておるあなたに決意を伺っておる。国会に任せておるのではいけませんよ。総裁でしょう。お答え願いたい。
○福田内閣総理大臣 わが自由民主党の関係の当局といいますか、ロッキード委員会における理事、その他の委員、その人たちから相談がまだないのですよ。相談がありますれば、私は総裁としてそれは裁断をしなければならぬ。まだ各党でいろいろ相談をしておるという段階でありまして、まだ党総裁の見解を求める、こういうところまで来ていない。そういう段階になりますれば、私は総裁としての所信を述べます。
○永末委員 しかと承りました。
 総理、あなたは五月三日に訪米をされてカーター大統領と御会談に相なる。この中で、いろいろな問題がございましょうが、訪米の目的は何でございますか。
○福田内閣総理大臣 世界の中で日米関係、これはとにかくわが日本の外交のかなめでございます。そのかなめであるアメリカの大統領、この方と年に一回くらいは会談いたしまして、世界じゅうの経済の問題また政治の問題、あらゆる問題について意見の交換をしておく、これは絶対必要である、そのように考えておるのでありまして、ちょうど五月初旬は連休に当たりますので、国会等もお許しが出るのではないか、そのように考えまして、この時期を選んで、国会の御了承を得た上会談をいたしたい、こういうふうに考えているのでありまして、特定の何一つについてという考え方はありませんです。世界の政治、経済の諸問題、あらゆる問題について、時間の許す限り精力的に話し合ってみたい、そのように考えております。
○永末委員 カーター大統領は、この一月に出しました一般教書の中で、自分の外交政策として第一の主要な関心事は、言うまでもなくアメリカの安全保障である、第二は世界の平和である、第三が世界経済の成長と安定である、こういう位置づけをしたわけですね。したがって、あなたに会うアメリカの大統領は、そういう角度からあなたに会いに来る。先ほどあなたは世界すべての問題と言われたが、最初に経済の問題と言われた。あなたの頭の中には経済が山ほどあるようでございますが、相手方はやはりアメリカの国の安全保障、次いで世界の平和、こういう角度で来るわけであります。昨年、あなたが主要国の首脳会議にロンドンに参加せられた場合、なるほど経済の問題が大きかったのでありますが、あの首脳会議が終わりますと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの各代表は、ベルリン問題について会議をし、引き続いてNATOの首脳会議に出席をいたしました。すなわち、これらの首脳の頭の中には、世界の安全保障ということが非常に大きく比重を持ってのしかかっておる問題だと私は判断をいたしました。したがって、今度あなたが行かれる場合に、一年に一遍くらいは世界万般の問題についてということではなくて、その中にはやはり北東アジアの安全保障の問題ということについて、あなたがある気構えを持ち、心構えを持って臨まれるべきだと私どもは考えておりますが、いかがですか。
○福田内閣総理大臣 これはひとりもう北東アジアの問題ばかりじゃありません。東南アジアの問題につきましても、あるいは南太平洋の問題につきましても、あるいは中近東の問題につきましても、アフリカ、南米等の問題につきましても、ヨーロッパの問題につきましても、これは世界じゅうのあらゆる地域の問題が、わが国の安全と繁栄にかかわりある問題なんです。ですから、北東アジアばかりではありませんが、その平和、繁栄をどうするか、こういう問題につきましては、私は私なりにいろいろな考えを持っております。そういう考え方をひっ提げまして、隔意のない懇談をしてみたい、そういう考えでございます。
○永末委員 もちろん日本の安全は、狭い地球でございますから、地球上のあらゆる現象がわが国の安全に関係のあることは言うまでもございません。しかしながら、たとえばヨーロッパの安全保障問題にわが日本国がなし得るところはきわめてわずかである、あり得るとしてもきわめてわずかである。アフリカにおけるいろいろな問題に対しましてわれわれのなし得るところもまたわずかである。しかし、われわれが位置しておりますこのアジア、しかも北東アジアにつきましては、わが国の果たすべき役割りというものはきわめて大であると私ども思っております。したがって、その点についてカーター大統領はあなたと話し合いたいと思っていると私は思うのですね。あなたとヨーロッパの問題についてじっくり話をしたいなんて思っているとはちょっと推測できません。
 そういう意味合いで、アジア、北東アジアと申したのでございますが、このごろアメリカの世界政策がだんだんとアジアから離れていって、そうしてヨーロッパに重点を移しつつあるという見方があります。あなたはどう思われますか。
○福田内閣総理大臣 アメリカがアジアに対しましてどういう態度をとるか、これはアジアに住むわが国といたしましても重大な関心事であり、また同時に、われわれの隣組であるアジア諸国の重大関心事でもあるのです。そこで私は、昨年三月にカーター大統領と会談をした、その際にもこの点を一つ提起しておるわけです。アメリカがベトナム戦を終結をする、そしてインドシナ半島から全兵力を引き揚げていく、その後このアジア情勢というものが一体どうなっていくのであろうかということが、アジアの国々ひとしくこれは重大関心を持っておったところでございます。そういう時期でございますので、特に私はこの問題を提起したわけでございましたが、アメリカは、特にカーター大統領は、ベトナムはああいう事態にはなりましたものの、アジアに対するアメリカの関心、プレゼンス、それからまた条約締結国に対するコミットメント、それらにつきましては、いささかの変わるところはない、そのような理解であってほしい、こういうことを話しておりましたが、恐らくことしまたそういう話が出ましても、態度はそういう態度に終始するのではないか、そのように私はいま想像をいたしております。私自身も、アメリカがいまアジアからだんだん手を引くというようなお話がありましたけれども、そうじゃない、アメリカは引き続いて重大な関心をアジアに持ち続けるであろう、そのように信じております。
○永末委員 アメリカは本年度の予算でヨーロッパに対する援助を実質三%増加し、同時にまたNATO諸国に対しましても三%の防衛努力のアップを打ち合わせをし、協議が整ったわけでございます。それに比べますと、われわれアジア正面を考えますと、ことしは韓国からアメリカ地上軍が六千人撤退をしていく年である、こういうことになるのでございます。しかし、あなたは昨年カーター大統領との間で、カーター大統領から、朝鮮半島から米地上軍は撤退をしていくが、しかしそのやり方については朝鮮半島の平和を損なわないような仕方でこれをやっていきたいし、日本とも協議をいたします、こういうお話があったということは共同声明で承知をいたしました。それから約一年でございますから、いろいろな協議があったと思います。この間アメリカの中では、たとえばアメリカの議会予算局であるとかあるいはブルッキングス研究所であるとか、いろいろなアメリカの太平洋地域からの撤収削減案が練られて発表せられておるわけでございます。あなたは全部御存じかどうかわかりませんが、ことしの一月十八日にも日米双方の安全保障の事務レベルの会議が行われ、防衛庁の幹部も来ましていろいろの打ち合わせがございました。したがって、いま政府とされましては、一体アジア地域において在韓米地上軍の撤退以外には兵力削減のことはないのかどうか。
 第二点は、第一次の六千人のアメリカ地上軍が韓国から撤退した以後は何も決まっていないのかどうか、この辺について政府の見解を伺いたい。
○園田国務大臣 先ほど総理から答弁されましたが、アメリカがアジア地域からの撤退またはアジア地域のアメリカの軍備を縮小するとは考えておりません。もともとから、御承知のとおり、アメリカの戦略体制はNATOが重点であり、アジアの方はこれに対する助勢点でございます。そこでいろいろの研究所では、その間いろいろ発表されました。しかし、その後アジアからば、アジアの兵力は削減するものではない、むしろ五年間以内に強化するということを正式に発表しておりまするし、その後の状態、韓国の撤退も六千人の撤退をいたしますが、その後の撤退についてはバランスを壊さないように慎重にやる、こういうことでありますから、アジアから引き揚げてこれを手薄にするということはないと考えております。
○永末委員 いま外務大臣からお答えございましたが、韓国からの地上軍の撤退は、これは実施をする、その他については増強する、こうなりますと、韓国の隣におるわれわれ日本国としましては、そういうアメリカのやり方にどういう対処の変化が起こるかということがわれわれの問題になります。したがって、そういう角度から私は伺っておるのでありますが、わが国の対処の仕方に変化が生じますか。
○園田国務大臣 すぐお隣でありますから、この韓国の防衛については重大な関心があるわけであります。わが国としては、この朝鮮半島における緊張緩和をする、この外交の方針を持っていく必要があると考え、北朝鮮に対しても逐次積み重ね方式で相互理解を深めるようにしたい。その他の対応の処置は防衛庁の方からお答え願います。
○永末委員 いま外務大臣から、北朝鮮等に対する外交的な緊張緩和の方策について伺った。私の伺っておりますのは、地上軍は撤退していくが、全体としては増強する。そうなりますと、ほかの条件が同じだとするならば、わが日本の国の対処の仕方に変化が生ずればこそ増強という言葉は使えるのではなかろうか。また、そういうことを政府が知っておるから増強という言葉を使ったのではないかと思われる節がある。その点を聞いておるのです。お答え願いたい。
○金丸国務大臣 外務大臣からただいまお話があったわけでありますが、撤退の問題につきましては、アメリカも慎重に四、五年の間に、なおそれについては補完措置も講ずるということでありますし、きょうの現状、米中ソの三極構造の中でアジアの平和というものはいままでと変わりなく変動がない、こういうふうに私は承知いたしておるわけであります。
○永末委員 防衛庁長官、わが国周辺、特に韓国朝鮮半島と関連をさせた場合に、いままでどおりでやって何ら変化は起こらない、こういうお見通しですか。
○金丸国務大臣 そのとおりに承知いたしております。
○永末委員 あすからチームスピリット78と称する米国軍と韓国軍との合同演習が十一日間にわたって実施をされます。アメリカ軍からは三万名以上、韓国軍は六万名以上がこれに参加をするというのでございまして、すでに二十一日にアメリカ下院の国際関係委員会でブラウン国防長官がその輪郭を説明をいたしました。
 それによりますと、これは朝鮮半島に緊急事態が起こったときにどうするかということが課題のようでございますが、事態発生と同時に西太平洋地域に配属せられておる飛行中隊を追加投入をするとか、沖繩の海兵隊を数日中もしくは二日中に韓国に急派するとか、あるいは海軍機動部隊を韓国隣接海域に五日以内に派遣をするとかというような、いろいろなことが発表せられたようでございます。したがって、このチームスピリット78演習というのは、演習ではございますけれども、朝鮮戦争以来いろいろな演習がございますけれども、韓国と米軍との合同演習は最も大きな合同演習でございまして、これについて政府はどういうことを御存じですか。
○金丸国務大臣 ただいま先生がお話しになりましたように、この七日から十一日間、いわゆる米韓合同演習が行われるようでありますが、この演習の目的は、指揮官、幕僚、部隊の演練にあるということは当然だと思うわけでありますが、問題は、アジア離れというような問題もあることでございますから、これは私の推測でございますが、そういう意味も含めての演習だろうと思うわけであります。また、各地から三万人に及ぶ兵力というものが、陸海空というものが集まりまして合同演習をするということでございますが、この問題につきましては、私は、先生がいまおっしゃられたような状況の中で緊急事態、有事の際というようなことでアメリカが韓国と合同演習をするということでございますが、韓国の参加人員というものは私は承知はいたしておりません。
 また、日本の基地から参加演習するということでございますが、それは従来からのことでございますから、何ら問題はないと思うわけでございます。
○永末委員 日本の基地からのことも従来からのことでございますから問題ないと言われましたが、一体在日米軍基地をアメリカはどのように使ってこの演習を実施をしようとしているか、御説明を願いたい。
○伊藤(圭)政府委員 この演習の目的、いま大臣の方から御説明いたしましたが、御承知のように、米本土からも来るわけでございます。それから、在日米軍の中からもこれに参加するわけでございますが、在日米軍の基地の使用ということにつきましては、在日米軍がこれに参加するということは聞いておりますけれども、基地の使用ということにつきましては、この演習では直接使用することはないというふうに考えております。
○永末委員 新聞記事によりますと、横田基地は中継基地としてアメリカから参ったものが一時横田基地に寄って、それから韓国に参る、それは物も人も参るということでありますし、先ほども申し上げましたように、沖繩からは海兵隊が韓国へ急派されるわけであります。機動部隊等もまた横須賀を発進してまいっておる、すでにそのことは実施をされておる。これからではなくて、あしたから始まるのでございますから、ある状況まですでに発動されておると伝えられております。そのことを御説明願いたい。
○中島政府委員 お尋ねの点につきましては、わが方は東京にありますところのアメリカの大使館から本件合同演習についての一般的な説明を受けております。その説明によれば、先ほど御答弁が防衛庁側からございましたように、米本土の米軍のみならず、日本にありますところの米軍の一部がこれに参加するということでございまして、日本の施設、区域にあります米軍がそれぞれ韓国に赴いてこの演習に参加することと、それから米軍機の一部が主として横田基地に立ち寄って補給を受けていくということを聞いております。
○永末委員 防衛庁長官、演習というのは何のためにやるのですか。つまり演習は、いま具体的に取り上げているこの演習は、十一日間、動かす兵力もこれこれ、こういうことになっておりますから、そういう状況が起こるという想定のもとにこの演習が行われますね。だから起こり得る可能性のある状況というものが演習の前提だと思いますが、演習は何のためにやりますか。
○金丸国務大臣 部隊の演習をする目的は、わが自衛隊の演習するという目的については私は十分承知をいたしておるわけでありますが、米韓の演習目的というものは、私は当然目的もあると思います。しかし、その目的は、先ほど申し上げましたように、指揮官、幕僚、部隊、そういうものの技術向上とか、演練とか、そういうことになるのではないか、こう思うわけであります。
○永末委員 たとえばわが自衛隊が根室、釧路地域で演習を行うという場合には、そこで戦闘が発生した場合にどう対処するかということで演習するわけですね。戦闘を前提にしなければその場所で演習しませんね。いかがですか。
○金丸国務大臣 相手方が日本に侵略してくるということで、たとえて言えば稚内へ上陸してきた、そういうような考えも、当然目的というものもあるだろうと私は思うわけでありますが、それに対してどう対処するか、これが演習だろうと私は思っています。
○永末委員 恐らくはこの演習は韓国内において戦闘状態が発生をしたという場合にアメリカ軍がどのように対処するか、どのように兵力移動が行われるか、どういう武器、兵器を集中し得るか、こういうことが目的だろうと思うのでありますが、私はぜひ伺いたいと思うのは、これは演習でございますから何ら問題は私はないと思います。しかし、もしこれが現実に、その想定が現実化した場合に一体どういうことが起こるだろうかということを思いますので、あらかじめそれに対する政府の対処の仕方を伺っておきたい。たとえば、報道によりますと、横田基地には四日の朝にランス部隊が入って、そしてこれがすでに五日には烏山基地に到着し始めている、ランスミサイルの本隊部隊は五日に運び込まれる予定、こういう記事も見受けられます。私は昨年の三月NATOへ参りましてランスを実地視察したのでございますが、そのときのランスは核弾頭のみを装着するものでございました。だといたしますと、この新聞記事では明らかではございませんが、ランスがどういう経路で烏山基地に行くのかわかりません。しかし、もしこれが横田基地経由で行くとするならば、そこに問題が生ずる。一体もし実戦、有事の場合にランスという核弾頭が横田基地を中継として韓国へ行くというならば事前協議の問題が発生するはずでありまして、どうお考えですか。
○中島政府委員 ランスは核用及び非核両用というふうに伺っております。実戦の場合にどうなるかということになりますが、まさに実戦の場合に核兵器を持ち込んで横田基地に立ち寄るということをアメリカ側が考えるということになれば、これは当然に事前協議の対象になるわけでございます。
○永末委員 韓国におります戦術戦闘機の司令部は第五空軍でございまして、第五空軍の司令部はわが日本国にございます。したがって、この韓国におきます戦闘機部隊がアメリカから送られたりして統一行動をとる場合のその司令部は日本でございまして、だといたしますと、在日空軍の指揮下に入り、そしてその編成下に入った場合、機数はわかりませんけれども、多くのものが来れば、これは配置の変更ということで事前協議になりますね。
○伊藤(圭)政府委員 事前協議の問題は外務省の方から御答弁いただきたいと思いますが、いま先生がおっしゃいました中で、第五空軍の司令部は日本にあるから日本の隷下に入って行動することになるだろうというお話でございますが、有事の際には第五空軍の隷下にある航空機部隊も在韓米司令官の指揮下に入るようになっております。したがいまして、韓国に派遣されます米軍というものは一括して在韓米軍司令官の指揮下に入って作戦をするようになるということになっております。
○永末委員 在韓米軍の指揮下に入る前に、わが方の基地を中継基地として韓国へ参る場合に一体どういう指揮下になるか。私、アメリカでございませんから知りませんけれども、そういう問題もあり得るはずだと思います。
 もう一つ伺いたいのは、横田基地から、あるいは日本のその他の米軍基地から韓国へ空軍が参りますが、普通の移動ならば事前協議でも何でもない。しかし、韓国全体が戦地と化しておる、戦場になっておる、そうしてその韓国周辺の東部、南部一帯がもし公海上であっても戦場となっておるという場合には、たとえ中継であっても飛び立つ場合には直接作戦行動でございますから、これは事前協議の対象になりますね。
○中島政府委員 事前協議の対象となります戦闘作戦行動は、直接戦闘を目的とする作戦行動でございます。いまお尋ねの場合に、わが国にありますところの施設、区域を米軍が使用して戦闘作戦行動を発進させるということであれば当然事前協議になりますが、そのような事態でない場合には、単にその地域全体が異常事態であるからということによって事前協議の対象になるということにはならないというふうに考えます。
○永末委員 韓国のような狭いところでございまして、これが一たん戦場になるならば、たとえば横田基地から烏山基地への移動と言うても、戦備を整えて、そうしていつでも敵に遭うならば戦闘に参加するという態勢で移動するのが当然であります。そう見るのが常識ですね。だといたしますと、一たん有事の場合には、そういう支援部隊がアメリカから来ようと、グアムから来ようと、どこから来ようと、日本を中継基地として韓国へ行く場合には、当然われわれとしてはそれは事前協議の対象になるべきものだと考えるのが筋道だと思いますが、いかがですか。
○中島政府委員 まさにいま先生もお触れになりましたように、朝鮮半島において異常な事態が発生したときに韓国で戦闘態勢を整える、そのために近隣にあります米軍をその地域に展開するということ自体は必ずしも戦闘作戦行動を発進させるという事態とは異なるのではないか、それはまさに、むしろその地域に米軍の兵力を移動させるということではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。ただ、いずれにせよ事前協議の対象となるかどうかは、具体的な事態に、具体的な状況に応じて判断されるべきことで、あらかじめ抽象的に論ずるのはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
○永末委員 この戦闘作戦行動かどうかの議論というのは、主としてベトナム戦争時代にいろいろな議論がございました。ベトナム戦争のときには、明らかにわが国とベトナム戦地との間には、戦闘地域でなかった多くの区域、広い区域があったわけでございます。しかし、いまわれわれがこの演習を前にして考えなければならぬのは、すぐわが国に隣接した地域が戦地になっているというところでございまして、そのときに、いまのお話のように、あちらで戦闘編成をしてやるのではなくて、こちらから戦闘編成をして飛んでいくわけだ。これが常識ですよ。何分で行きますかね。そういう場合にも、なおその状況にならなければわからぬと言って黙って見ておるわけですか、いかがですか。
○中島政府委員 私が先ほどお答え申し上げましたことも、戦闘作戦行動の発進基地としてわが国の施設、区域を使用するということが全くあり得ないということを申し上げているわけではないのでございます。ただ、たとえば先ほど先生もお触れになりました二月二十二日のブラウン国防長官の下院国際関係委員会公聴会における証言も、これまた正式の議事録が入手しておりませんので正確には存じないのでございますけれども、伝えられるところによりますと、ブラウン長官自身が、その状況によってその具体的内容が決まってくるのだろうと思うけれどもということを言いなから、その状況によって、また米国の決定に応じて、たとえば沖繩にある海兵師団を二、三日中に韓国地域に移動することができるだろうというようなことを述べているわけでございまして、これも、この証言そのものがいわゆる戦闘作戦行動を発進させる事態を当然に予想しているとは必ずしもとれない、そのときの状況に応じまして戦闘作戦行動を発進させることもあるだろうし、そうでないこともあるだろう、そういう意味で、具体的な事態に応じて判断せざるを得ないのではないかということを申し上げた次第でございます。
○永末委員 アメリカで作戦命令を受けて、そうしてそれが日本の米軍基地を中継にして飛んでいくという場合には、当然事前協議の対象になると思いますが、いかがですか。
○中島政府委員 お尋ねのアメリカでというお話でございますが、私も軍事的なことが十分理解し得るとは限らないのでございますけれども、アメリカから朝鮮半島に向けて戦闘作戦行動を発進させるというようなことが軍事的に果たしてあり得るのか否か、必ずしも私は自信を持ちませんが、理論的な問題として、すでに戦闘作戦行動を発進させられた米軍機が日本に立ち寄ることがあっても、これは戦闘作戦行動がわが国の施設、区域を使って行われるわけでございますから、その意味におきまして事前協議の対象になるというふうに考えます。
○永末委員 福田さんが外務大臣時代に二つのことを言われておるわけです。すなわち、わが国の米軍基地において作戦命令を受けたときには、いまのお話のようにこれは事前協議の対象になる、もう一つは、作戦命令の方はしかとわからなくても、実態として戦備を整え、戦闘に参加するための出動なら、なる。問題は、いずれか一つが満たされれば事前協議の対象になるのか、二つが満たされなければ事前協議の対象にならないのか、その辺が福田外務大臣時代によくわからなかったわけですね。これはどうお考えですか。
○中島政府委員 たしかその当時の御論議のときに主観的条件と客観的要件というような言葉で論じられていたというふうに記憶いたしておりますが、いずれにせよ戦闘作戦行動として事前協議の対象になるかどうかは、その任務とか態様とかいう具体的な事態に即して判断せざるを得ないだろうと思います。そういう意味で、たとえば任務というものは、向こう側の内部での意思の伝達の問題でございますから、それだけでもってその事前協議の対象か否かということを判断することは必ずしも容易でないこともあり得るであろう、その装備とかいうような客観的な条件をも含めて全体として事前協議の対象になり得るべきことかどうかということを判断するほか仕方がないのではないかというふうに考えます。
○永末委員 ただいまの御答弁は主観的要件、客観的要件、二つが備わらなければ事前協議の対象にならぬというのではなくて、その行為を全体として見た場合に判断すべき問題である、こういうふうに解釈してよろしいか。
○中島政府委員 大体先生のおっしゃられるとおりだと思います。
○永末委員 防衛庁長官は、過日わが党の大内委員の質問に答えて、沖繩の海兵隊がこのような状況のときに沖繩から発進する、緊急発進することは事前協議の対象になると言われましたが、間違いございませんね。
○金丸国務大臣 その後、防衛局長が補足をいたしたわけでありますが、私はそのとおりに承知いたしております。
○永末委員 昭和四十七年の五月十一日に似たような質問がございました。そのときに当時のアメリカ局長は、海兵隊というのは船に乗って行くのだから船の上で発進命令を受けるので、沖繩から出るときには事前協議の対象でないと、こういう奇妙な答弁をいたしておりますが、これを改められますね。
○伊藤(圭)政府委員 その答弁を全部否定する必要はないと思います。と言いますのは、先ほど来御説明申し上げておりましたように、いろいろな態様があるわけでございまして、防衛庁長官が過日お答えした中にもそういうこともあるでしょうし、またきわめて早い時期に移動するような場合には移動して、在韓米軍司令官の指揮下に入って作戦行動をするという場合もあろうと思いますので、否定をすることはないと思います。それぞれの場合によって判断すべきものと考えております。
○永末委員 逆に、この前のアメリカ局長の答弁は、沖繩から発進するときにはないというところに重点があったわけです。しかし、防衛庁長官のいまの御発言は、沖繩から発進するときにも作戦命令が出るわけですから、そのときに事前協議にかけなくちゃならぬことがあると、こういう意味でしょう。
○伊藤(圭)政府委員 外務省の御答弁の中にも、上陸作戦を遂行するような場合というのが、いわゆるその作戦行動の一つの型として御説明になっております。したがいまして、まあ仮に韓国が全域非常に紛争があって、上陸作戦といいますかそういうものを命ぜられて出ていくというときには事前協議の対象になると思いますけれども、どこかの港に上がってそれから作戦するという場合には必ずしもそのまま当たるかどうかということは、そのときの状況によって判断すべきものだというふうに考えております。
○永末委員 政府は答弁の整合性が必要でしょうが、この演習が遂行するにつれてどういうことが起こるか、また事実がわかりますので……。しかし私が申し上げましたように、四十七年の答弁というのは持って回ったようなことであって、むしろ金丸長官が率直に認められた事態が現実に起こり得る事態だと思います。
 さて、昭和五十年のマヤグエス号事件のときに、これは海兵隊の移動であって、行く先もわからぬし任務もわからぬ、だから事前協議の対象でないという話がございました。しかし、これらの問題は、わが国の安全についてはきわめて重要な問題でございますから、そういうような事態については随時協議をすべきではないか、しますという政府の答弁がございました。いま韓国があるいは朝鮮半島が一たん有事になれば、わが国に非常に大きな問題が起こります。随時協議をあらかじめされる御用意がございますか。
○中島政府委員 御承知のように安保条約第四条は、極東における国際の平和安全に脅威が生じたときにはいつでも協議を行うということになっております。まさに先生の御指摘の随時協議でございます。したがいまして、いまのような脅威と称すべきような事態が生ずれば当然にその随時協議が行われるべき事態になる、こういうことでございます。
○永末委員 先ほどから一つ一つの事態について御質問申し上げましたが、一たん有事の場合には一斉にいろいろなことが起こるわけでございまして、政府はそれぞれ一つ一つの問題について事前協議にかける姿勢にあるのか、それとも一括やる姿勢にあるのか、御答弁願いたい。
○中島政府委員 この点も従来いろいろ御論議があったところでございますが、従来政府から明らかにしておりますことは、事前協議をあらかじめ全く包括的に予約的に行うということはあり得ないということを言っております。他方、事前協議は一機一艦について一つ一つやるべきかという点については、これは必ずしもそのとおりとは限らない。要は、戦闘作戦行動を発進させる場合に事前協議を行うわけでございます。具体的な事態に応じて判断するよりいたし方がないというふうに考えております。
○永末委員 この事前協議の問題につきましては、わが国が戦闘に引き込まれるかどうかという非常に重要な問題でございまして、したがって、一外務省と相手方、ないしは防衛庁はどういう関係になるかわかりませんが、外務省と相手方だけの問題ではなくて、もしこの演習でいろいろなケースが想定せられるならば、やはり国防会議でこれをよく練って、そうしてアメリカとの事前協議関係を整理をいたしておくことが、わが国の安全保障上きわめて重要だと思いますが、そういう御用意はありますか。
○中島政府委員 事前協議が起こりました場合にいかなる態度をとるかということは、これは政府の重要な政治的な責任の問題でございまして、当然に政府レベルでの問題になると思いますが、果たしてその場合に国防会議に付議すべきかどうかは、必ずしも必要ではないのではないかというふうに従来から御答弁しているところでございます。
○永末委員 私どもは、問題を整理して、やはり国防会議で方針を決めて対処する姿勢をとっておくべき問題だと思います。御検討願いたい。
 さて、今回の予算でF15並びにP3Cが出ておりますが、この場合にF15について少し伺いたいのです。
 現在、わが方の航空自衛隊は六個地域に展開されておりますが、その一つの地域におきまして大体二隊が展開しておりますけれども、二隊の機数と可動機数は平均幾らですか。
○伊藤(圭)政府委員 F104J以降、一個飛行隊は十八機の編成でございます。したがいまして、二個飛行隊でございますから三十六機でございますが、この可動率につきましては九〇%近くを保っております。といいますのは、そのほかに整備のための予備機等をそれぞれ持っておりまして、二十機以上の機数というものをそれぞれの基地に配備いたしておりますので、十八機の可動というものを確保する努力をいたしているわけでございます。
○永末委員 その可動機数でもって何目標くらいいに当たれるという計算ですか。
○伊藤(圭)政府委員 平時におきますスクランブルの態勢におきましては、二機五分待機、それからさらに二機一時間待機という態勢をとっております。これは御承知のように、防空作戦をやる場合には、整備員、それからレーダーの監視態勢を強化いたしまして、できるだけ多くの機数というものを即時発信できるような態勢をとるわけでございます。何目標に対処できるかということになりますと、これはレーダーでつかまえまして、そしていわゆる警戒管制の能力との関係があるわけでございます。また同時に、ナイキ、ホークにつきましては一分間の発射能力ということになってまいります。したがいまして、一概に何目標までということは言えないわけでございますけれども、バッジシステムの管制によりまして目標数というものはかなり多くなっているはずでございます。その目標の数字そのものにつきましては、ちょっといま私、記憶いたしておりません。
○永末委員 もしわが方が攻撃の対象になった場合には、一遍だけばらばらと来てやめるということはあり得ない。何波か来るわけでございまして、太平洋戦争のハワイ攻撃隊も第一波が百八十三機、第二波が百六十七機、これは航空母艦機だけでございますが、一時間経由してそうやっております。わが方でも当然そういうことを考えなくてはならぬ。だといたしますと、F15をこれから百機、全部で十二隊ですが、ある地域に集中をして、そうして要撃戦闘を行おうとする場合にどれくらいの滞空時間が必要だとお考えですか。
○伊藤(圭)政府委員 滞空時間というのは、要撃戦闘をやる場合にもこれは長い方がいいわけでございます。現在のF15の滞空時間の能力ということになりますが、要撃の仕方に長距離要撃の場合あるいは短距離要撃の場合という二つの場合を私ども一応想定いたしておりますが、長距離要撃というのは、燃料を比較的経済的に使って高度をとりながら目標に向かって飛ぶ要撃の仕方でございます。これでまいりますと三時間程度の滞空時間がございます。また、短距離要撃という場合にはきわめて短い距離の間に急激に上昇してまいります。このためにはアフターバーナーを全部使って行動しなければなりませんので、飛行時間は一時間程度になろうかと思います。望ましいというのは長い方がいいわけでございますが、F15の性能からいたしましてこの程度のものと考えておるわけてございます。
○永末委員 短距離の一時間といいますと、相手が第一波、第二波あるいは第三波とかけてくれば、第二波以降はもう対抗力なし、こういうことになりますね。
○伊藤(圭)政府委員 その第一波、第二波の来る間隔にもよるわけでございますが、きわめて短い間隔をもって第二波以降が続いてまいりますと、これは着陸をいたしまして燃料補給をして上がるという場合には、やはりどうしても一時間程度の時間が必要でございますから間に合わないということになります。したがいまして、そういう短距離の要撃という場合にもなるべく滞空時間を延長するというような努力は必要であろうというふうに考えております。
○永末委員 滞空時間を延長する努力といったって油がなければ飛べないのだから、それで給油装置をつけているのですか。
○伊藤(圭)政府委員 先ほども申し上げましたように、防空作戦をやるようなときには、いわゆる整備態勢も十分整えておりますから、そこは交代をして上がっていくというような形でできるだけやるわけでございます。しかしながら、さらにこの飛行機の数が損害を受けて少なくなってきたようなとき、あるいは遠距離から要撃作戦をしなければならないというようなときには、やはり米軍の協力を得てその給油ということも考えなければならないかというふうに思っております。
○永末委員 海上自衛隊との協力作戦を考える場合には、対地支援、対艦支援ということを考えざるを得ない。そういうために私どもはF15がいわゆる爆撃装置というものを持っているのは当然だと考えておりますが、あなた方はどう考えていますか。
○伊藤(圭)政府委員 海上自衛隊に対します作戦協力の面の主たる任務を持ったものとして、私どもはF1の飛行隊を三個飛行隊整備する計画を持っております。しかしながら、F1の飛行隊も一飛行隊十八機でございますので、F15もそういった任務も果たし得るものは持っていてもらいたいということは考えているわけでございます。しかし御承知のように、F15というものは空中戦闘というものを重視して開発された飛行機でございます。したがって、その能力というものは現在の水準から見ると、あるいはF1には及ばないというような点もあるかと思いますけれども、そういった機能というものは付随的に持っておりますので、これを活用する必要もあるかと考えております。
○永末委員 P3Cは、これは五十六年から六十三年まで四十五機を購入しようというのでありますが、四十五機を購入して、後は要らぬのですか。
○伊藤(圭)政府委員 御承知のように、P3Cは、現在持っておりますP2J、これが全体で約八十機の勢力でございますが、これが寿命が参りまして除籍になっていくものにかわるものとしてP3C四十五機の御決定をいただいているわけでございます。したがいまして、この八十機のP2Jがなくなるまでにはさらに対潜哨戒機というものが必要でございますが、一応見通し得る十一年という期間において、その期間に落ちていくP2JにかわるものとしてP3Cの装備を御決定いただいたわけでございますから、その先のことにつきましては、あるいは十年以降になりますとまた違った対潜機というものが出現するかもしれませんし、またこれがそのまま続いていく場合にも、その決定をもう少し先の時点でしていただいても間に合うという考え方のもとに四十五機の御決定をいただいたわけでございます。
○永末委員 P3C以後のものはいつごろ決めなければいかぬのですか。
○間淵政府委員 P3C以降どういう飛行機をどういう形で購入するかということによるわけでございますが、もし現在考えておると同じような形で購入するということを前提といたしますれば、六十四年以降購入する分でございますが、まあ三年か四年前に決めればよろしいということになりますし、また国内開発というようなことを考えるといたしますれば、八年ぐらい前に決めなければいかぬ、そういうことになると思います。
○永末委員 八年前だというと、もうぼちぼち考えなければいかぬ問題でございますが、さて、園田外務大臣は先日、自民党の外交調査会で、日中平和友好条約は米国の世界戦略の一環と考えておる、こう申されました。思い出しますと、一九七五年に前のアメリカ大統領フォードが新太平洋ドクトリンなるものを持ち出して、そして第一が対ソ軍事力強化、第二が日米安保条約の維持、重要性の強調、第三が米中関係の正常化でございましたが、そんなことを頭に置いて言われたのですか。
○園田国務大臣 これはしばしば各委員会で御説明をし、了解を得たところでありますが、私が申しましたのは、軍事戦略的な世界戦略と申したわけではございません。今度の日中平和条約は、アジアの平和と繁栄を願って交渉を進めているわけでありますが、アメリカとしてもアジアの平和と繁栄を強く願っておりまするので、そういうアメリカの世界的な考え方から、アメリカも今度の日中友好条約の交渉については歓迎しておるところである、こういう趣旨のことを言ったわけでございます。
○永末委員 戦略というと、やはり軍事力を中心にしたある仕掛けになりますね。これは世界政略ですか。
○園田国務大臣 近ごろ商業的な問題などでもよく戦略と言われるものですから、つい、質問がそういう質問だったものでありますから、戦略という言葉を使ったのは誤解を受けますので、これはおわびをしておきます。方略という意味でございます。
○永末委員 過半、きのうまで続きました中国の全国人民代表大会で華国鋒主席の報告の中に、反覇権の国際的統一戦線の結成を目指すという報告がございました。これが、いまわが国との間のいわゆる反覇権問題に対する中国の統一的な見解だと思いますが、これはわが方の見解と一致しておりますか、一致しておりませんか。
○園田国務大臣 反覇権というのが世界的になることはわれわれも希望するところであります。しかし、いまの日本と中国の平和条約交渉の中でもある反覇権については、田中日中共同声明の立場に従ってわれわれはこれをやるつもりでございます。
○永末委員 この平和友好条約の締結は、われわれは間近いし、また間近くしなければならぬと思いますが、そのときに中ソ友好同盟条約について政府はどうするおつもりか。第一は、その時点でこれの廃棄を求めるのかどうか。ないしはこれらに対する中国の何らかの意思表示を求めるのかどうか。それとも、第三点としては、何もしなくても障害はないと考えていくのかどうか。お答え願いたい。
○園田国務大臣 中ソ同盟条約については、先般モスクワに参りましたときにもこれを話題にしたわけでありますが、中国ではすでに中ソ同盟条約は名存実亡である、こういうことも言っておりまするし、その後の両国の関係は御承知のとおりであります。しかしながら、この中に日本を敵とするという敵視条項があるわけであります。われわれは日中友好条約を結ぶにつきましても、他の国国ともそれぞれ日本の立場から平和条約なりその他の条約を進めていくわけでありますから、わが方も、中ソ同盟条約についてこれを破棄されたいとかあるいは続けられては困るとか言うことは内政干渉にわたりますから、それは言わないつもりでございます。しかし、日本国民が納得されるよう、中ソ同盟条約について何らかの向こうの意見を伺い、これを明らかにしたいと考えております。
○永末委員 この点は、日本を敵視する条項をそのままに置いて、そして日中平和友好条約をつくっておるということは、日本人にとりましてはきわめて奇妙な関係に映りますから、これはきちりと解決すべき問題だとわれわれは考えております。
 園田さんはいずれ訪中されると思いますが、そのときに、中国の方の首脳の訪日を招請されますか。
○園田国務大臣 これは、向こうに参りまして、もし参りましたら、そのときの状況によりますが、参りましたなら、招請するのが当然の礼儀であると考えます。
○永末委員 過般、ソ連のポリャンスキー大使が福田首相に会いまして、そのときに福田さんに、どうぞ訪ソしてください、こういうことを申したようでございますが、福田総理は訪ソされますか。
○園田国務大臣 御承知のとおりに、ソ連のブレジネフ書記長外ソ連の首脳の方々にはぜひ日本においで願いたい、こういう正式の招請状を出しまして、向こうからは謝意を表明せられ、その後、折あるごとに、あのとき謝意を表明されたがおいでにならぬが、ぜひおいで願いたい、こういうことをしばしば言っているわけでありまして、福田総理に対する訪ソの招請は、この前ポリャンスキー大使が来たときに初めて出たものでありますから、これは当然、礼儀上からもソ連の方からおいでになって、日本の実情もよく理解され、国民の声も聞かれて、その上で福田総理の訪ソは検討すべきことであると考えておりますが、総理もそのように返答されたようでございます。
○永末委員 そのときのブレジネフ親書に、日ソ間の善隣協力条約を締結したいということが書いてあり、またポリャンスキー大使が福田総理に対して、ぜひこの善隣協力条約の中身を読んで判断してもらいたいと語ったと伝えられております。しかしわれわれは、この善隣協力条約というのはわが政府は受け取ったのじゃないと聞いておる。にもかかわらず相手方がこう言っておるというのは、相手方は受け取っておると思っておるのでしょうか。
○園田国務大臣 正式に受領し、外交文書としてこれを検討するために取ったのじゃない。ただ向こうから書類を持ってきたから、これを突っ返すと失礼だから突っ返さないが、これは受け取りませんということは明瞭にしてあり、会談録にも載っておりますから、向こうはそういう誤解はしておりません。
○永末委員 園田外務大臣は二月二十七日、関西の経済界の人々と会われたときに、この善隣条約の内容に触れて批判をされたと伝えられております。受け取っておらぬものを何で批判するのですか。
○園田国務大臣 新聞で拝見をすると、どうもこの内容というものは、われわれを東欧諸国のようにお考えになっているのではなかろうかということを、懇談会の席上で言ったわけであります。
○永末委員 私どももソ連側の公表したというものを新聞紙上で拝見をいたしました。しかし、あなたは日本国の外務大臣、政府の代表ですね。だから、新聞紙上で読んだものをというつもりかもしれぬけれども、どうも先ほどからのブレジネフ親書やポリャンスキー大使の表現を聞くと、日本政府に受け取っておるものを念頭に置きつつ物を言っているように思う。したがって、あなたが、いや、おれはそれを見たのじゃないのだ、自分は新聞を見たのだ、こう言われるかもしれないけれども、外交関係の中でこの中身について云々するということは、やはり受け取ったのだなと思われかねまじいことではないかと思います。あの金庫にあるやつを返しませんか。
○園田国務大臣 こちらからはソ連の方に平和条約案なるものを届けてありますが、向こうも私と同様、これは正式に受領しない、したがって検討しないと同様の言葉を言っておるわけであります。そしてまた、すでに発表された今日でありますから、向こうからもらったものを向こうに返すなどということは、いまさらになってから失礼でありますから、そのままにいたしておきます。
○永末委員 福田さん、わが方も日ソ平和条約の案を持っていったはずでございまして、先ほど外務大臣のお話なら、順序としては、わが方の招請を受けてソ連首脳がまず訪日すべきである、その後で福田総理の訪ソを考えるべきである、私もそうだと思います。しかし、相手方だけのものを一方的に発表されておるのでございますから、わが政府の方も、総理大臣としてこれをちゃんと天下に公表した方が、日本人のためにも、あるいはソ連人民のためにも公平ではございませんか。どうお考えでしょうか。
○園田国務大臣 わが方の平和条約案なるものは、四島一括返還をして、未解決の問題を解決して、平和条約を締結しようという趣旨のものでありまして、向こうで発表されたからといって、こちらも発表する意思はございません。向こうが何されようとこれは勝手でありまして、だから、向こうがやったからこっちもやる、こういうことはいかにも対決的にやっているような感じであります。こちらは発表する意思はございません。むしろこちらは、日本国民の不動の信念である平和条約締結、そして四島一括返還、こういう不動の信念をわれわれ堅持すればいいわけでありますから、条約案なるものはその後出てくる問題でありますから、これは十分今後検討すべき必要もあります。発表する意思はございません。
○永末委員 質問を終わります。
○中野委員長 これにて永末君の質疑は終了いたしました。
 次に、正森成二君。
○正森委員 私は、ソウル物地下鉄の借款をめぐる問題について、御質問を申し上げたいと思います。
 私ども日本共産党は、私を含めてアメリカに訪米調査団を送りまして、この問題を含めて日韓関係を調査してまいりました。そして、KCIAがアメリカで工作に使いました資金の入りは大体わかったということを承知してまいりました。そして、その入りの重要な一部分が日本商社から結局流れていることになるということもつかんでまいりました。そうだといたしますと、わが国が国際謀略の拠点になり、日本も、あるいは対韓援助がその一つの一環をなしておるということにもなってくるわけであります。これは非常にゆゆしい問題だと思うわけです。
 また、いままでの予算委員会の審議の中で、ソウル地下鉄については二百五十万ドルが送られましたが、その第二回目、第三回目の外換銀行に送られました口座名はS・K・キムであるということが広く報道されております。これは金成坤氏を指すものである、こういうように報道されておりますが、この金成坤氏は、昭和四十六年の十月に失脚いたしましてアメリカに参り、四十七年の十月ごろまでボストンに滞在いたしました。私どもは、今度アメリカへ行ってまいりまして、この金成坤氏がアメリカに滞在していた間に在米韓国人にみずからお話しになったことを聞いてまいりました。金成坤氏は、このソウルの地下鉄の問題についても日本と韓国との間でリベートは折半されておるということを、アメリカにおられたころ明言されておったそうであります。また、金炯旭氏も同様に、日韓をめぐるリベートは折半方式になっていたと証言している事実を私どもは確認してまいりました。そうだといたしますと、この問題はきわめて重大であると言わなければなりませ
 ん。
 そこで、私は、この間二月十六日に日立が価格構成表を発表いたしましたけれども、この問題から取り上げて、順次、この疑惑があるのかないのかについて迫っていきたいと考えているものでございます。
 そこで、会計検査院に伺いますが、日立が二月十六日に発表いたしました車両についての車両区分、この額の総計は五十三億円と何がしになっておりますが、これを百八十六両で割りました一両平均の価格は結局幾らになりますか、お答え願いたいと思います。
○東島会計検査院説明員 お答えいたします。
 先ほど先生おっしゃいました日立の発表の車両区分の五十三億六千百二十万五千円を百八十六両で割りますと、一両当たり二千八百八十二万になる、このように思っております。
○正森委員 つまり、日立は、いままで車体部分は二千七百五十万円であると言っておりましたが、みずからの資料の中でそれは平均すると二千八百八十二万円であり、百三十二万円食い違いがあるということを示しているわけであります。
 そして日立は、一方では、東急だとかあるいは近畿車輌には車体部分について二千六百五十万円で仕事をさしております。あるいは川崎重工には二千六百七十五万円、それから日本車軸には二千七百五十万円ということになっております。そうしますと、日立は自分自身の六十両について、一体、結局幾らで請け負ったことになるのか、発注に伴う経費と称している部分も含めて、六十両で割った数字をお答えください。
○東島会計検査院説明員 お答えいたします。
 車両の外注経費として五千七百五十九万二千円というものがございますが、これは当然日立の計算の中に入るわけでございますから、これを加えて六十両で割りますと、一両当たり三千二百八十九万円という計算になります。
○正森委員 つまり、いままで二千七百五十万円だと言っておりましたが、ほかの会社には非常に安い価格で仕事をさして、自分は一両当たり三千二百八十九万円、つまり近畿車輌などに比べると六百万円以上も高い価格で仕事をしておったということが非常にはっきりしてきたわけであります。ここに日立が莫大な利益を得た大きな秘密があるわけであります。日立はこの部分を隠さなければならないために、車両取りまとめ分、車両外注費、交付材取りまとめ分、交付材外注費、おまけにまた、全体の取りまとめ費というように、五つのわけのわからない項目を並べて、つじつまを合わそうとしているわけでございますけれども、それでは決してもうけが多かったということをごまかすことができないということが非常にはっきりしてまいると思うわけであります。
 そこで、私は、さらに進めて個々の部品の価格について、これから質問をいたしたいと思います。
 先ほど同僚の大出委員が質問をなさいまして、主として仕様アップ分についての疑惑を追求になりました。その中で同僚委員は、ATSと列車無線につきましては、個々の価格をそれぞれ、ATSは百四十五万円、列車無線は四十万円というように発表をしているということで、そのままになりましたので、この問題が果たして本当なのかどうかということをこれから明らかにしたいと思うのです。
 そこで、海外経済協力基金なり、あるいは協力基金から事情を開いたに違いがない会計検査院に伺いますが、列車無線やATSは、一体どこのメーカーがおつくりになったものか調べておられますか。
○結城参考人 お答えいたします。
 列車無線装置は、日立が新聞発表しました他社発注内訳というところに、三菱電機あるいは東洋電機というふうに会社の名前が出ておりますが、その限りにおいて承知しております。
 それから、ATSにつきましては、どこで製作されたかということは承知しておりません。
○正森委員 つまり、どこの会社でつくられたかということを承知していないわけですから、一体価格が妥当であったかどうかということがわかろうはずがないわけであります。しかも、列車無線については、いま二つの名前をお挙げになりましたが、それは本当に調べたのですか。ずうっと四つ、五つ会社が並べてあるから、その中からピックアップしただけでしょう。
○結城参考人 日立の新聞発表の資料に基づいて述べたことでございます。
○正森委員 大体こういうようなありさまであります。事が起こってから一年一カ月以上たりのに、こんなありさまなんです。実はそうではないんです。列車無線というのはアメリカの会社でつくられているのです。私はアメリカに参りまして、シカゴのシャウンブルグに行ってまいりました。そこにモトローラという通信機器の、従業員が五万七千人もいる世界で一流のメーカーがあります。このモトローラという会社で、列車無線の国鉄分四十二ユニットがつくられているわけであります。このことがなぜわかったかといいますと、日本車輌の社内報である「にっしゃ」というのに書いてあるわけです。そこで、私はアメリカまで参りまして、モトローラ社の本社へ参りまして、そこで担当者に会いましたところ、担当者は、自分のところの製品が非常に高い、そのことで価格が高いというところで国会で疑惑になっている、しかも、その金の一部がKCIAの資金に使われておるというようなことば非常に心外である、できるだけ協力しましょうということで、協力をしてくれたわけであります。
 そこで、その御好意によりまして、私が提出しました資料の二枚目をあけていただきたいと思います。これは、アメリカのモトローラ社の御好意によりまして、モトローラ社が当時日本で使っておりました代理店である光和株式会社、これは二年前に倒産をしたのでございますけれども、それの引き継ぎの書類が残っておりましたので、私はちょうだいをしてまいりました。これを見ていただきますと、見積書で四十八年十一月十二日、「Hitachi Ltd。殿」と書いてあります。そして、その英語のところを見ていただきますと、「モトローラ FM レーディオフォーン コリアン ナショナル レールロード レーディオ システム」と書いてあります。明白に韓国のもあであります。そしてこれに、タイプが、「R43RTE−1120A」と書いてありますが、こういうモデルナンバーのものを使ったわけであります。ここに詳細に価格が出ております。
 二枚目をあけていただきます。そうしますと、上の方にCIFの価格が出ておりますから、運賃も保険も全部入っておるわけであります。
 そして、二枚目の終わりの方を見ていただきますと、「インストレーション・チャージ」というのがあります。これは「トヨカワ」だとか「コーべ」、「オーサカ」、「ヨコハマ」になっておりますが、結局この列車無線を据えつける作業費までモトローラが持ったという計算になっておるわけであります。それで、締めて幾らになるかと言いますと、四十二ユニットで四千十六万一千七百七十四円であります。円の単位まできっちり出ているわけです。
 そこで、これに基づいて最初の資料に返っていただきますと、私が計算をしてみました。そうすると、一ユニット当たりの値段が九十六万円であります。ところが、列車無線というのは、六両編成の一番前と後ろについておりますから、三で割ったものが一両当たりの価格になります。三で割りますと、結局約三十二万円であります。ところが日立は、これを四十万円かかったと主張しているわけであります。ここで明白に八万円余り違ってまいります。つまり、三割近くが違うわけであります。事は三割だというわけにはまいりません。
 私は、モトローラに参りまして、次のような驚くべき事実を聞いてまいりました。モトローラでは、初め全部について列車無線を引き受けるということになっていたのだ。全部といいますと六十二ユニットであります。ところが、直前になって三菱から日立に圧力がかかり、日立と相談をして、地下鉄分の二十ユニットだけは三菱電機がつくることになった。そこで四十二ユニットしかつくれなかったのだということを言っているわけであります。三菱電機が二十ユニットつくりました。その二十ユニットの価格は、日立が取りまとめたわけでありますが、幾らになっているか。この図を見ていただきますと、簡単な一次方程式でございますけれども、分子が二十Xプラス三十二万円掛ける四十二、これを六十二で割ったものが四十万円だというのが日立の主張ですから、この計算を解きますと、Xは五十七万円になります。これが車両一両当たり、日立が取りまとめたと称する列車無線の価格であります。何とモトローラの価格よりも八割も高い、こういうことになっているわけであります。こんなばかなことがありますか。こういうでたらめをやっているから、日立がぽろもうけをしておるということになるわけであります。しかも日立はこのもうけを隠しておる。なぜなら、列車無線は四十万円、ATSは百四十五万円と言って発表しているけれども、それが実際にはそうでなかったということになれば、その部分だけ利益は隠していたということにならざるを得ないのです。こんなこと、あなた方調べてないでしょうが。
 ATSについて言いましょうか。ATSは、国鉄納入タイプのATSというのがあります。これは韓国のものよりも若干型式が古いといいますか、それほど複雑でないわけであります。これの四十八年度の価格を、私は確実に、国鉄に納入しておるメーカーから聞いてまいりました。この価格は、一両当たり約四十万円であります。
 そこで、ソウルの地下鉄用のATSは幾らかといいますと、ATSには論理部分というのと速度照査部分という、大きく言って二つの部分があります。速度照査部分は信号メーカーがつくっております。論理部分というのは、これは重電機メーカーがつくっております。そこで、論理部分を除く価格は幾らかというと、韓国向けの場合は約九十四万円であります。これは絶対に私どもの調査で間違いのない価格です。そこで、論理部分を含む全体価格は幾らかというと、約三百十万円であります。ところが、このATSも、六両編成の前と後ろについておりますから、一両当たりを出すためには三で割らなければなりません。三で割りますと約百三万円になります。ですから、日立が百四十五万円と言っている場合には、四十二万円の差が出てくるわけであります。これだけを日立がごまかしているわけであります。それに加えて、もともと国鉄には型式がやや低級なものだとはいえ、ATSがついており、その価格が四十万円だったわけですから、自動列車停止装置ATSについて、日立が車両全体の価格からごまかしている値段は、四十万円足す四十二万円、八十二万円になるわけであります。つまり、これだけ日立はみずから公表した価格の中でも説明のつかない疑惑の金があるということが私どもの調査でわかってきたわけであります。なぜ日立はこういうようなごまかしをするのか、私はここで指摘しなければならないのですけれども、日立に圧力をかけてモトローラでつくるものをわざわざ自分のところでとって八割も高い列車無線装置に仕立てた三菱電機の相談役が、この事件が起こったときに海外経済協力基金の総裁であった高杉晋一氏だということであります。だから、海外経済協力基金はぐるじゃないか、その事実をあなた方は知っていますか。
○結城参考人 ただいまの列車無線装置とそれからATSの価格につきましては、私ども日立から列車の無線装置については四十万、ATSについては百四十五万、そういう説明を受けております。そのよってきた価格構成ということにつきましては、日立として申し上げられないということで説明を受けておりません。
○正森委員 どうですか、この答弁は。私がアメリカまで行って調べてきてやっても、しゃあしゃあとして日立から説明を聞いておりませんの一言で済ましているのです。こんなふざけたところがありますか。
 私は、最後に総理に、関係閣僚に、こんなことでいいのかという制度上の改革について御提案を申し上げたいと思いますけれども、私は、こういう海外経済協力基金なら答弁などしてもらわない方がよほどよくて、日立の社長を連れてきた方がよいというように私どもは考えるわけであります。(発言する者あり)言語道断だ。
 そして、日立の価格のごまかしはこれだけではなしに、取りまとめ費用についてはさきに大出委員から非常に疑惑があるということが指摘されました。仕様アップ分についても非常に疑惑があるということが指摘をされました。私は、時間がございませんから重複はいたしません。日立が自信を持って個々の価格を出してきた唯一のものであるATSと列車無線装置についてさえこういうようにごまかしがあるというならば、ほかのアバウトで出しておるものについてはどれだけごまかしがあるかわからないということはきわめて見やすい道理であります。なぜ日立はこういうようにごまかしてまで利益を隠すのか、それは隠さなければならないところへお金を送ったからにほかなりません。
 つい最近、私のところに日立の関係者から内部告発がありました。なぜ日立がこういうことをしなければならなかったのかについて内部告発があったわけであります。中央商事という会社があります。この中央商事という会社は、東京都千代田区内神田にある会社であります。資本金は八千万円で、全額を日立製作所が持っております。会社の目的は土地建物管理、売買、賃貸借及び仲介ということになっております。ところが、この中央商事というのは役員のすべてが日立の出身者であり、主として経理担当部門者から成っております。そして、内部告発はこの中央商事が日立製作所といろいろ話し合いをして、そして裏金のつくり出しを行っておるということを言っているわけであります。
 国税庁に聞きたい。こういう事実を国税庁はつかんでおりますか。
○磯邊政府委員 裏金云々の件はつかんでおりません。
○正森委員 それでは、私はさらに申し上げたいと思います。
 このようにして浮かした裏金はどこかにためなければなりません。それを一括して蓄えているところがあるのです。それが同じく日立関係者の内部告発によりますと、関東銀行の宇都宮支店に秘密の口座があります。その口座の名義人は日立の経理担当者であり、現在もなお重役として名前を連ねている人であります。これも国税庁は御存じないと思います。私は、ここにその秘密口座を持っている人の名前も持っております。けれども、私はこういうことをやるからには、このお金が政治献金として国内の政治家に流れた疑いが非常に濃い。内部告発者もそう言っております。そこでこの席では明らかにせずに、この質問が終わりましてから法務省にお渡しをして、法務省の強制捜査権を含む適正な手段によってお調べ願いたいと思いますが、資料を提供した場合に調べていただけますか。
○伊藤(榮)政府委員 資料を検察当局に渡しまして、慎重に検討してもらおうと思います。
○正森委員 私は、わざわざここでその秘密口座名の名前を申し上げずに言うわけですから、それを入手された後、早急にお調べ願いたいと思います。
 次に伺いたいと思いますが、すでに同僚委員から質問がございましたけれども、ジャーツの職員というのは国鉄の職員であります。たとえば、韓国鉄道近代化協力ということで何名かの人の名前が載っております。この人たちは国鉄の職員でありますから、刑法上は公務員ということになるのではありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 国鉄法にみなす公務員の規定がございますから、公務所または公務員のつくるべき文書をどうこうしたとか、あるいは公務に関して金をどうこうしたということになると、刑法上の問題が起こり得ると思います。
○正森委員 そこで、私は申し上げたいわけですが、二月十三日に新聞報道もされておりますように、大出委員が追及になった、韓国側に対して見積もり価格を出さなければならないという仕事をジャーツは請け負っていたわけであります。ジャーツというのは韓国側のコンサルタントであります。お金は結局日本側の借款から出ておりますけれども、それは一たん韓国側に渡って、韓国側からお金を受け取るわけでありますから、韓国側のコンサルタントであるということは間違いのないところであります。ところが、三菱レターと言われる圧力がかかったために、本来見積もり価格というのは出さなければならないのに、それを出さないでその部分は空白にしたまま出してしまったということになっておるわけであります。
 そうだといたしますと、私はここに半夜を持っておりますけれども、大正二年の判例ですけれども、事案はぴったりではありませんけれども、ある議会で実際と違う、書かなければならないことをわざと書かない文書を作成したという場合にもまた虚偽公文書作成罪が成立しております。当然書かなければならないことを何らかの圧力によって書かなかったということになれば、背任罪もしくは虚偽公文書作成罪が成立する可能性があり、そういう圧力をかけた者は共犯もしくは幇助犯の可能性があるのではありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘の判例もおぼろげながら存じておりますが、ただいまお尋ねの件には適切でないように思います。
 要は、その韓国のコンサルタントをいたしました法人の業務が公務所あるいは公務員のなすべき業務であるということになるかどうかということが問題でございまして、その辺は、事実関係をもっと精査してみないと何とも申し上げられません。
○正森委員 ちょっと待ってください。しかし、事実関係を精査してそうなる可能性もあるわけでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 私の感じでは可能性は余りないと思いますが、なお精査してみなければ確定的なことは申し上げられません。
○正森委員 私は、いやしくも国鉄職員が事実上自分ではこれが妥当な価格だと思いながら、何らかの圧力によってそれと違うようなことをやる、あるいはその欄を空白にするというようなことは、国際信義上からも許されないことであるというように考える次第でございます。
 時間がございませんので、この問題は一番後でもう一度取り上げるとして、次に進みたいと思います。
 御承知のように、二百五十万ドルについて四つの商社からそれぞれのアメリカの子会社にお金が送られたということになっております。これは通常の場合には、商社と支店との間の交互計算というものがございまして、六カ月なら六カ月を周期として、その間に全体を相殺決算して、足りないところがあれば日本側から外貨を送るということになっているはずであります。これを商社、支店間の交互計算の貸し記、借り記の記載ということで済ましておるようであります。この四つの商社の場合には、この二百五十万ドルについて実際上アメリカの子会社が支払ったわけですが、本社側から外貨を送り、したがって商社、支店間の交互計算という手続をとっておりますか。
○西山政府委員 御指摘の点につきまして、各商社から事情を聴取いたしましたが、本支店間においてそういった支払いは一切ないと聞き及んでおります。
○正森委員 いまお聞きになったとおりであります。つまり、これらの商社はそれぞれの子会社から払わせながら自分たちはそれに対して補てんをしていないということになるわけであります。そうすると、どういうことになりますか。日本側では実際は金を使っておるのに、それをあらわしていないから利益になるわけです。アメリカでの法人である米国三菱や米国三井は結局金を支払ってしまっておるわけであります。しかも、その理由づけができないから、それぞれ穀物の売買損であるとか、いろいろなことを言ってごまかして損金にしておるわけであります。そうだとすると、米国法上、税法の不正を行ったという問題が生じてくるわけであります。国税庁はお調べになったと思いますが、そういう問題についてもお調べになりましたか。
○磯邊政府委員 現在調査中でありまして、まだ最終的な真相というものはつかんでおりません。
○正森委員 私はアメリカに参りまして、米国三菱と米国三井に行って聞いてまいりました。たとえば米国三井には五十二年の現地時間十二月十五日と十六日に国税庁の職員が行って調べておるということを確認してきております。ですから、あなた方は調べているに違いない。そして、この問題は非常に国会で問題になり、法務省も深い関心を持って見守っているということですから、当然この国税庁の調査資料というものは入手して御検討になっているはずであると思いますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 事柄の性質上、この深い関心の内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○正森委員 事柄の性質上、深い関心の内容は申し上げることを差し控えさせていただきたいと言いますけれども、しかし深い関心があるならば、同じ国家機関が調べたそういう経理的な問題について目を通すというのでなければ浅い関心しかないということになるわけでありますから、言葉を返せば、深い関心を持っておると言った以上、その資料は入手しておるということを認めたものにほかならないというように私は思います。そういう点について、国税庁がもし渡していないと言うなら、非常に任務怠慢であるというようにもなると思います。
 そこで、次の問題に移りたいと思います。
 三菱や三井は二百五十万ドルを契約を得るために韓国の有力者にリベートとして渡したということは、本委員会の参考人質問で認めました。それ以外にチャソイルという正体不明のところに二億二千万円のお金を渡しておるということを言っているわけであります。ところが、この二億二千万円というものを受け取ったチャソイルというのは、従業員が四人ぐらいだと言われておりますが、その居場所がどこにあるのかもわからないということになっています。そして、その責任者は文義龍という人物であるということになっておりますが、文義龍について国税庁あるいは海外経済協力基金はお調べになりましたか。
○磯邊政府委員 私たちは当該商社の契約書の内容等を調査いたしましたけれども、いま御指摘になりました当該韓国人についての調査はやっておりません。
○正森委員 調査中、調査中と言うからどれぐらいのことをやっているのかといえば、そんなことも調べてないわけであります。
 しかし、チャソイルというのが会社としての必要な手続もしていない。そうなると、その個人が果たして二億二千万円も受け取るだけの仕事をする人物であったかどうか、どういう仕事をしたかということを少しでも見てみなければ、これが正当な経理であったのか、あるいはこれまたリベートであったのかわからないではありませんか。そんなことで、国民の税金で国税庁だ、こういって税金を食っておるというようなことは、これは国民に対しても許されないことであるというように私は思います。
 そこで御参考のために、私どもが調べたことを申し上げたいと思います。
 文義龍には妹の同じく文という人がおります。この文という人の夫に申泳植という人がおります。この人は慶応大学の経済学部を昭和二十七年に出ました。そして長い間有楽町の三信ビルというところに事務所を開いておりましたが、日本におりますときに李厚洛大使の腹臣でありまして、李厚洛大使の家に入りびたっていた人物であります。ですから、この文義龍というのは義理の兄に当たるわけでありますから、同様李厚洛の密接な協力者であったということが明らかになっております。そうだとすれば、このチャソイルに払われた二億二千万円というのは、経費どころか実際はKCIAに対する協力金という性質を持っておるにほかなりません。こういう点を国税庁はもっと調べてみる必要があるというように私は思います。(「当然だ」と呼ぶ者あり)当然のことであります。同僚委員がおっしゃいました。
 そうだとすると、金成坤というのは昭和四十六年の十月に失脚しておる、そしてソウル地下鉄が実際に進み始めたのは四十七年、四十八年、四十九年ですから、金成坤だけがこの二百五十万ドルなり二億二千万円を自分のものにしたというのではなしに、李厚洛氏が当時の韓国の中央情報部長でありますが、それが大いに関与したという疑いがきわめて濃厚なんです。
 だがしかし季厚洛氏だけではないのですね。ここに私は自治研究というものの切り抜きを持ってまいりました。ここには「韓国ソウル特別市の地下鉄建設をめぐる政策決定過程」ということで延世大学大学院の崔虎俊という人が書いております。これを見ますと、この地下鉄というのは朴大統領がまさに決定したんだということがはっきりと書いてあるわけであります。たとえば、交流の電車でいいということを日本からの調査団は言っていたのですが、それを交直両用にしろというのは「一九七一年二月一五日、朴大統領の裁決によって決定を見るにいたった。」と書いてあります。あるいはまた、工事を始めましたのは一九七一年四月十二日ということになっておりますが、これが大統領選挙の直前であったことは明らかであります。こういう時期に工事が始まったことについて、この論文はこう書いておる。「地下鉄着工当時(一九七〇年四月一二日)」ミスプリントで一が〇になっていますが、「には、都心における五地域の道路工事が一カ月後に完成する予定となっていた。経済企画院の地下車道、恵化洞立体交差路、西大門立体交差路、広橋三・一路拡張工事などは、五月末に竣工の予定であり、三・一路入口地下車道は六月末に完成予定であったため、これらの工事終了前の地下鉄着工は、交通の混雑をいっそう深刻にした。大統領選挙(一九七一年四月二七日)と国会議員選挙(一九七一年五月二五日)の重要性を強く意識した政策決定者が、政策決定に必要な情報を収集し、これを基礎として状況判断を行ない決定をくだしたというよりは、むしろ、時間的な制約(間近かな選挙)によって決定をくだし、これに適切な情報を収集した、と考えられる。」こういうぐあいにはっきりと書いてあるわけであります。そしてその前には、「地下鉄建設決定をめぐる大統領の指導的機能は絶大なものであった、」と書いてあります。ですから、大統領を除いてソウルの地下鉄の問題は絶対に考えられないということは、私は断言してはばからないものであります。
 そこで、私は国際協力事業団体に伺いたいのですが、ソウルの二号線について調査団をお出しになりました。大出委員が午前中にこの文書をお示しになって追及されましたから、時間がございませんからその部分は全部省略をしたいと思います。
 外務省に、ソウルの二号線については韓国が行います第四次経済開発五カ年計画の一つになっておりますかどうかということを伺いたいと思います。
○武藤政府委員 お答えいたします。
 第四次五カ年計画におきましては、地下鉄二号線の一部として十六キロメートルを計画しているようでございます。片や、先ほどのお話のございました第二号線調査団の調査対象区域になりましたのは、いわゆる環状線のうちの北側の部分、二十四キロメートルでございます。それで、第四次五カ年計画に示されております十六キロメートルと今般調査いたしました二十四キロメートルの相互関係につきましては、韓国側の考え方が随時変わっているということもございまして、どの部分に対応するのか必ずしもはっきりはいたしません。
○正森委員 いろいろと逃げるような答弁をしましたけれども、それは非常にはっきりしているのです。ソウル地下鉄の二号線というのは通常環状線でしたけれども、この調査では北側の部分を調査した。それが南側になるかどうかわからないけれども、二号線全体が第四次経済開発五カ年計画の重要な部門をなしておるということは疑いがないのです。それば認めるでしょう。あなたも最初それを認めましたね。二号線が第四次経済開発五カ年計画の一部をなしておるということは認めたでしょう。そこで、それを認めたということを前提にして、私は次に進みたいと思います。
 ここに日韓定期閣僚会議の共同コミュニケがあります。大出委員がお示しになりましたが、一九七二年の第六回日韓定期閣僚会議の中で、一号線の完成をした後で日本側は協力を検討する、こう言っておりますね。ですから、協力を検討しなければいかぬ立場にあるわけです。そこで、一九七七年九月五、六日に東京で行われた会議のコミュニケではどうなっているかといいますと、その八ページにこう書いてある。「両国の閣僚は、韓国の第四次経済開発五カ年計画の事業のうち、政府ペースの協力を必要とする案件については、農業開発を含む経済、社会基盤施設の整備拡充等、均衡ある経済発展のため開発が必要とされる分野を中心に、政府間実務者レベルの協議を通じ検討の上適切な案件につき具体化していくことに意見の一致をみた。」こう書いてあるじゃありませんか。ですから、第四次経済開発五カ年計画の中に入っているソウルの二号線については政府レベルで協力をするということを言っているじゃありませんか。その一環として国際協力事業団が調査団を出したのでしょう。そして、ことしの秋に行われる第十回の会議では、これがさらに借款ということに具体化される可能性がきわめて大きいのでしょう。それが証拠に、例の四つの商社、メーカーを含む二十七の会社で日本連合をつくってそれの受け入れ体制をもうとっておるのです。非常にはっきりしているじゃありませんか。
○武藤政府委員 四十七年の第六回日韓定期閣僚会議におきまして、ただいま先生がおっしゃいましたような記載があることはお示しのとおりでございますが、この点につきましては、けさほど大出先生の御質問にお答えいたしましたとおり、その後韓国側の方からは、わが方に対しまして二号線に関する円借款の要請は一切出ていないということでございまして、片や、第四次五カ年計画に対してわが方といたしまして適切な案件については協力をするということも、先生お示しのとおりではございますけれども、従来、第四次五カ年計画絡みでも、第二号線につきましては韓国側から円借款の要請は出ておらないというのが実情でございます。
○正森委員 現段階で出ておらないということで、この秋の日韓定期閣僚会議で出ないという保証はどこにもありません。大体国内でも、調査費がつけば、実際上はいろいろな工事が行われるという場合が多いわけであります。
 そこで、あなた方のお出しになりました調査報告の切り抜きを私の資料の中にお示ししておきました。この中で注目しなければならないのは、車両部分について主として外貨に頼るということになっておることであります。その総額は四百九十九億二千八百万ウォンになっております。
 そこで、国鉄に伺いたいと思いますが、これは今回は、交直両用ではなしに直流だということになっておりますが、直流の車両である一〇三型の五十二年度購入価格、それがなければ、五十一年度購入平均価格は幾らですか。
○小林説明員 ただいまお尋ねの、国鉄が五十一年度に購入いたしました一〇三型の車両の平均購入価格は五千九百二十四万四千円となっております。
○正森委員 お聞きのように六千万円を切っているわけであります。その後一年間の価格上昇を見ましても七千万円を超えることはないはずであります。ところが国際協力事業団が出しました価格では、二百四十両ですから二百四十で割りますと、一両当たりの単価が一億二千百四十万円になっているわけであります。実に二倍近いではありませんか。私たちはこういうような点を考えますと、いよいよもって今回の一号線についての疑惑というものを完全に晴らしてからでなければ借款などを与えることは絶対に許されない、こういうぐあいに考えるわけであります。
 そこで、総理に伺いたいと思います。私はいままでいろいろ聞いてまいりましたけれども、同僚の大出委員や私どものささやかな調査によりましてある程度の価格が出てまいりましたが、海外経済協力基金も会計検査院も、努力はなさったでありましょうけれども無力でありました。その無力の点はどこにあるかという点を私は会計検査院を呼びまして聞きましたら、結局、実際につくったメーカーを調べる権限を持っていないからである、こういうことを言うわけであります。そこで、会計検査院法の二十二条と二十三条に会計検査院が検査できる事項が書いてありますが、その二十三条一項七号には、「国又は公社の工事の請負人及び国又は公社に対する物品の納入者のその契約に関する会計」というのは調べられることになっているのです。ところが、借款の場合には一たん外国政府に渡しますから――外国政府から事実上注文を受けるわけですけれども、それは一たん外国政府を通しているからということで、出どころは日本の国なんですけれども調べられないことになっているというわけであります。私は、外国の、たとえば韓国の調達庁などを調べるなどということば外交上問題がありますから、これは軽軽にやるべきではないと思いますけれども、国内でつくったメーカーや商社に対して会計検査院が検査権限を持つということは、ある意味では当然ではないでしょうか。そういうように改正をしてこそこういう不正が少しでもなくなっていくと思います。本年の決算委員会でも、ソウル地下鉄問題に絡んで、この問題については国会で考えるべきであるということになっております。
 もう一点伺いたいと思います。アメリカでは、海外不正支払い防止法と通常呼ばれておりますけれども、外国に対する不正なお金の支払いというものもまた禁止されているわけであります。そしてカーター大統領は、これを今般公布いたしました。それにはどういうようになっているかといいますと、――委員長、申しわけございません。最後でございますからお許しを願いたいと思いますが、こうなっているのですね。腐敗行為の対象となる客体としては、外国政府公務員だけではなしに、外国の政党もしくは党員も含まれるわけです。「政治的役職への候補者、のみならず何人であっても、渡される金品の一部乃至全部がこれらの客体に渡ることを知って、或いは知るに足る理由があって、なおかつ当該行為が行なわれる場合には、これに含まれる。行為の目的は、商談の獲得もしくは維持のために政党もしくは政府の決定ないし行為に影響を及ぼすことである。」こうなっておると、日本の今回の商社の行為はどんぴしゃりこれに引っかかるわけであります。罰則は、個人に対しては、一万ドル以下の罰金もしくは五年以下の懲役、会社に対しては百万ドル以下の罰金であります。カーター大統領は、これを公布するに当たり、諸外国政府に、できたら条約を締結したい、それに対する協力をお願いしたいと言っております。
 私は、わが国が発展途上国に対して援助、協力をするに当たっては、すでにこういう問題を考えるべき時期に来ておるというように思いますが、会計検査院法の改正による会計検査院の権限の拡充及び海外不正支払い防止法についての御所見を承りたいと思います。
○福田内閣総理大臣 会計検査院の権限の強化につきましては、事会計検査院の問題です。これは独立機関たる会計検査院の立場ということも考えなければなりませんので、これは会計検査院において検討していただくということが妥当である、このように考えます。
 それから、カーター大統領というか、アメリカの政府で立法いたしました外国政府に対する腐敗防止、この立法につきましては、これはわが国の立法体系と非常に違うわけですね。これは申し上げるまでもございませんけれども、わが国は、わが国の公務員を中心とする行為についての腐敗防止法体系をとっておる。今度できましたアメリカの立法は、外国の政府または公務員、こういうようなものに対する腐敗行為というので、わが国の法体系から言いますと、法体系の枠をずいぶん超えた立法構成になるわけです。しかし、いろいろな国際的な腐敗行為というようなことが問題になっているこの際であり、それから国連やあるいはOECD等においてもいろいろ検討が進んでおるということでありますので、わが国も積極的にこれらの検討に参加いたしまして、何か有効な防止体制ができるかどうか、これを模索すべきである、このように考えます。
○正森委員 これで質問を終わらしていただきますが、最後に私は、以上のことについて証人の喚問を要求したいと思います。
 本委員会はこれで予算を成立させるようになると思いますが、予算委員会は、予算が成立しても任務は続けなければならないと思いますので、証人の要求をこれから読み上げます。
 日立製作所社長の吉山博吉氏、同常務の嶋井澄氏、ただいま私が申しました中央商事の当時の社長の渡辺柳治氏、現社長の林文二氏、三菱社長の田部文一郎氏、会長の藤野忠次郎氏、ジャーツ常務理事の福崎直治氏、鉄建公団電気部長、元ジャーツソウル事務所長の河村四郎氏、海外技術協力事業団第二次調査団長の石原達也氏、元海外経済協力基金総裁の高杉晋一氏、関東銀行頭取の渡辺幸男氏、以上の人々を証人として採用され、本委員会でお取り調べといいますか、質問を願って、真相を明らかにされることを心から期待いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○中野委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。
 次に、小林正巳君
○小林(正)委員 一カ月余にわたる予算審議もいよいよ大詰めに来たわけでございますが、私どもの締めくくり総括質問に当たって、以下何点かお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。
 まず初めに、この予算についての修正問題をめぐって与野党間に折衝が行われてまいった、その経緯は総理もお聞き及びであろうかと思うわけでございます。最終的に、与党自民党の大平幹事長から野党に対するこの問題についての回答が示されたわけでございます。
 その内容は、大ざっぱに申しますと、予算修正をめぐる与野党折衝の経緯の中で自民党幹事長からの回答、つまり所得減税三千億円及びこれに見合う低所得者対策として、社会労働委員会の決議があればおよそ四百億の一時金の支給を政府に措置せしめること、また同時に、私学に対する父兄の軽減負担、教育費の軽減負担、あるいは住宅ローン減税、雇用対策の強化については、その可及的な実現を目指して引き続き野党側と協議する、こういう趣旨の提案でございます。
 これに対する各党のそれぞれの対応はばらばらでございますけれども、私たち新自由クラブは、この提案に一定の評価を与えております。そして自民党との幹事長レベルの合意に達したわけでございすが、それについて、私どもはその実現方を確信しつつ合意に達したわけでございますが、政府の見解をお尋ねをいたしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 今回の予算の審議の最終段階で、物価調整減税、それからまた、それに見合うところの低所得者に対する社会保障上の配慮、この二つの点が問題になったという報告を大平幹事長から受けております。
 それに対しまして、政府といたしましては、なかなかこれは弱ったなという感触のことを申し上げたのであります。しかし、大平幹事長は、これは各党とも誠心誠意話した結果であるというようなお話でもあり、私どももそのとおりに処置しなければならぬかな、このように考えております。
 そこで、いま特に教育減税等につきましてのお話でございますが、特に教育問題につきましては新自由クラブ、非常に御熱心である。かねがね私もよく承知をいたしておるところでございます。それでありますので、大平幹事長と新自由クラブの西岡さんとの間の話の経緯等も踏まえまして、そこで、その可及的実現を目指し引き続き協議するという申し合わせといいますか了解になっておりますので、そのように心得ながら対処いたしたい、そのように考えております。
○小林(正)委員 幹事長レベルの合意について政府もそれを尊重して対応される、こういうふうに承っておきます。
 次に、今日の経済状況、大変な長期的構造不況的な様相を呈しておるわけでございます。倒産も相変わらず相次いでおりますし、失業者も累増をしておるこういうときに、やはり経済の各分野に活力を投入をしていかなくてはいけない、注入をしなくてはいけない。その内容についてはいまさらここで議論は申し上げませんが、政府としては、切れ目のない予算の執行というものが今日至上命題であろうかと思うわけでございます。そうした点は、私ども責任ある野党にとっても国民に対する責任として同様でございます。この予算に賛成をする政党も、あるいは反対する政党も含めて、仮にも暫定予算を組むような事態になって、心理的に、実質的に悪影響を与えてはならない、こういう点ではみんな同様でございます。でありますから、この予算委員会でも、明日衆議院で採決を行う、それによって実質的に暫定予算を編成するような事態は避けられる、こういうことで与野党ともこの運営に合意をいたしておるわけでございまして、この予算にそれぞれの党が全面的に賛成しているわけでもなく、むしろ反対をしておる政党が多いわけでございます。
 そうした中で総理は、この長い予算審議の過程を通じて何度も言われておることは、七%成長は必ず実現をいたします、公共事業についてもこれは一〇〇%必ず消化をいたします、万全の予算でございますと、こういうふうに言われてこられたわけでございます。昨年来の政府の経済政策に対する対応については、総理はすでに、見通しが誤っておった、円高という突発的事項によって大変見通しが狂ってしまったんだ、こういうふうに自認をされておりますから、いまさらそれをあげつらう気持ちはございません。しかし、いままではいままでとして、またまた見通しが狂った、こういうことでは通らないわけでございます。この七%成長、これは決して対外的な公約ではない、こうおっしゃっておりますが、客観的には実質的に公約であることは間違いありません。そうしたこの七%成長に対しては、福田内閣としても内外に責任を負う立場であるわけでございます。私たちはその達成を期待をいたしておりますが、もしこの七%成長の達成ができなかった場合に、総理としてどのような責任を負われるおつもりであるか、その御決意を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 七%と申しますが、七%ゼロゼロ、こういうわけでもないので、七%程度の成長を実現をするということを申し上げておるわけです。この程度の成長は、私は責任を持ってこれを実現をするためにあらゆる努力をする、こういうことをしばしば申し上げておるわけであります。大体私どもはその辺を目指した経済政策をやってまいります。そのための主軸をなすものは、これは何といっても五十三年度予算でございますが、万一それとどうも違った方向だ、それが実現できそうもないというような徴候がありますれば、そのときはそのときで、これはあらゆる手段を尽くしまして、内外の期待するところの七%程度の成長は実現しなければならぬ、このように考えております。
○小林(正)委員 それほど自信がおありになるのならば、もし七%とほど遠い状態になるような場合は、自分はピッチャーズマウンドをおりますよというぐらいのことをおっしゃれば、そうした意味での心理的好影響があるのではないか、こう思うわけでございますが、それ以上のお答えを期待することは無理だろうと思います。
 そこで、過般の予算委員会で、いまに関連しておりますが、今後の経済の成り行き次第で補正をどういうふうに考えるか、こういう質問に対して総理は、経済の動きに異変のある場合は、与野党論議のいきさつを踏まえ、大胆かつ適切な措置をとる、こういうふうにおっしゃっておられるわけでございます。この大胆かつ適切な措置、まあ言葉のはずみとしてはわかりますが、具体的に大幅なる減税を含めてそうした場合に措置をおとりになるおつもりであるかどうか、その辺をお尋ねをいたしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 景気対策といたしましてはいろいろな手法が考えられるわけであります。その手法のいずれをその時点においてとるかという問題は、まさにその時点における諸般の客観情勢、これを見なければならぬ、こういうふうに思います。いろいろな手法がある、その手法をその時点の情勢に応じて大胆に果敢にとっていく、こういうことを申し上げておるわけであります。
○小林(正)委員 次に、農林大臣に伺いますが、水田利用再編対策という名の新生産調整でございます。過去八年間、全国の農民の協力で相当な生産調整をやってきておるわけでございますが、なおかつ百七十万トン、転作によって農業の体質を改善しなくちゃならない、こういう仕儀に相なった。それ自体、農林省の見通しの悪さの点は責められるところでございますが、この計画策定に当たって、潜在生産量を非常に大きく評価しているのではないか。あるいは国民の総需要を小さく見過ぎている、つまり一人当たりの個人消費のカーブが非常に下がっていくように見ておられるわけですね。この間の予算委員会の答弁で農林大臣は、いや、自分はもっと下がるのじゃないかと心配しておるのだ、こういうふうにおっしゃっておられましたね。これは三年後に一遍見直しをするということになっておるわけでございますが、三年後にどういう状況になるだろうかという、その見通しをお聞きしたいわけでございます。
○中川国務大臣 小林委員御指摘のように、昭和四十五、六年ごろから過剰米ができて、七百万トンを処理する、単年二百万。三十万トンの生産調整から始まって、五十二年度では九十万トン生産調整ということであったわけでございます。ところが、在庫が四百万トンから約五百万トンということになると同時に、いまの生産の見通しは、力は年間千三百四十万トンある、それに対して消費が千百七十万トンしか見込まれない。そこで、単年百七十万トンの生産調整をしなければならぬ。
 消費の見通しでございますが、現在八十六キロのものを昭和六十年に八十一キロと見込んでおるわけでございますが、カーブをかいてみますと、下がり方にしてみては五キロは下がっておるけれども、カーブとしては少し緩やかになっておる。でありますから、いままでのカーブをそのまま延ばせばもっと減るのかなという心配もないわけではありません。しかし、消費の拡大等を図って、これに何とか百七十万トン程度の生産調整で需給のバランスをとりたいと思っておりますが、三年たちましてまた見直して、もうちょっと強化しなければならぬのか、あるいは若干緩めていいようになるのか。相願わくは、これから消費の拡大に最善の努力を払って、計画変更して強化をするようなことはないように、少しでも緩く生産調整ができるように持っていきたい、こういうことで努力をいたしておるところでございます。
○小林(正)委員 この減反問題についても当委員会で再々論議が重ねられてきたわけでございますが、農林大臣、これはペナルティーではない、罰則ではないとおっしゃるけれども、実際問題、農林大臣もこのペナルティーにしがみついておるとここでおっしゃったように、もう罰則であることは間違いないわけですね。しかも、それは法律によらぬわけですから、言うならば、村八分的雰囲気を期待しつつ、その実効を待つ、実態はこういうことになっておるわけですね。農林省は一片の紙を都道府県に送ればいい、都道府県はまた一枚の割り当ての紙切れを市町村長に送ればいいわけでございます。そこで、その後どうなるか。その後、その末端地域社会の農会長がその仕切りをする、こういうことになるわけでございますが、実際には農会長一人ではどうにも手に負えない。これは農林大臣の選挙区でもそうだろうと思いますが、実際には区長とか村の役員が寄って、そしてこの話をつける、こういうことになるわけですね。その苦労が大変なんです。実際に、今日でも恐らく末端の農家にその分担率をまだ割り当てるに至っていない状況ではないかと思います。しかもそうした人たちは全く無給で、区長さんなんかもほとんど無給である。そういう状態でこの村の中の調整のために大変苦しんでおるわけでございます。そういった実態というものを農林大臣はよく御存じであろうかと思いますけれども、農林省のデスクプランだけでこういうものを生きた人間社会の中に押し込んでいくというところに、かなり無理があるように私は思うわけでございます。
 実際問題として一つ例を申し上げますと、私の郷里である兵庫県の小野市、ここではかなり圃場整備が進んでおる。ところが転作をした場合に、指定作物、麦なり大豆なりあるいは飼料作物をつくれば転作補助金として五万五千円出す、あるいは集団計画加算、既往集団転作に対しては一万円出す、こういうことになっておる。ところが、政府としてはできるだけこの転作を定着させたい。いままで過去八年に一兆円から使って、転作したたんぼというのはわずか二万数千ヘクタールにすぎないわけでございます。そこで、何とかこの転作を定着させたいということで一律に押しつけておるわけでございますけれども、たとえば圃場整備のたんぼというのは大変困るわけですね一麦をつくろうといっても土質が変わっていますから、排水が悪くてなかなか麦作には向かない。あるいは大豆の場合には、これまた土質の関係から、昔のようにあぜに植えればいいわけですが、たんぼに植えたのでは大豆はできても実がならない、こういうことになるわけでございます。結局どうしようもない。どうしようもないということになりますと、クローバーあたりを植えてやっていかなければいかぬ。クローバーを植えて飼料作物をやるにしても、これは酪農家と契約するということになっていますね。ところが、酪農家も酪農家で減反をするわけですよ。そうすると、減反をして飼料作物をつくったよそのたんぼのものを買ってまで牛に食わせようという必要はないわけです、自分のところでやっておりますからね。結局は、牛が食うか食わぬかは別にして、また土の中に還元をしていく、こういうふうな形になってしまうわけであります。これが圃場整備をしていないたんぼならば転作というのはまだ可能な部分もあるわけですね。
 そうした地域の実情というものを抜きにして、一律に何でもかんでも、何とか県は何%、あるいは何とか市は十何%とかぶっかけていく。それを消化しないとどうにもならぬ。農家は大変協力的というか、普通、農家以外を相手にこんなむちゃなことをしたらだれもおさまりませんよ。農家だから、これはまあ協力しなければしようがないなという気分になっておるわけですね。実際に私は相当なひどいやり方であろうかと思うわけでございます。しかし農家も理解をしておる。つまり、やはり食管会計を守らなければならない、あるいは政府の言う需給関係というものにもやはり配慮をしなくちゃいかぬということで、協力体制はできつつあることは事実でございます。
 そこで、政府の集団計画加算ですが、一ヘクタール集まらなくちゃだめだ、計画面積の二分の一は一ヘクタールの集団転作でなければ計画加算金はっけないということになっておるわけでございます。こんなことはかえって休耕田をふやすようなことになる、本来の目的に沿わないことになるわけでございますから、そういうやり方はやめて、目標達成地域は一ヘクタールまとまらなくても転作奨励金を上乗せするということが、公平かつ実効を伴うことになる、こういうふうに思うわけでございます。これは丸めて予算化していますから、予算修正をしなくても済むわけですね。国会の議決項目でない、要するに政府のやる気の問題である。金は用意しておるのですから、二千百億、これをいま私が御提案申し上げたような形にする気はございませんか。
○中川国務大臣 このたびの転作は、政府の責任もありますけれども、私たちの見るところでは、農業団体も、こういう異常な事態には生産調整には応じなければいかぬなという空気が大勢だろうと思います。
 また、ペナルティーと言われる例の未達成の部分についても、これは政府が強要したのではなくて、過去の実績に照らしても、やるところはやるし、やらないところはやらないというので、やったものだけがたくさんやるようになり、やらない県はやらないというアンバランスがある。今度やる生産調整についてはそういったアンバランスがないように、やらない人の分がやった人に翌年から換算されるようなことがあっては困るという、むしろ心ある農業団体や心ある農家の方々の意思がこういうことになったのであって、決して政府が権力をもって押しつけたものではない。まさに理解と協力の姿であろう、こう思うわけでございます。
 そこで、御指摘の、集団転作という厳しいものではなくて、ばらばらであっても加算金がつくような仕組みを考えたらどうか、こういうことでございます。実は集団転作というのは、部落ごとに転作をしていくという仕組みをつくることが転作をやりやすくするし、また効果も上がるというので、そういう仕組みにはなっておりますけれども、一町歩以上ないしは二分の一の面積が一枚の水田でなければならぬとか、つながっていなければならぬということではなくて、作業でもってトラクターで移動できるような、一つの機械で移動できるような仕組みで若干離れておってもいいし、その程度のものが半分あれば、あとはばらばらになっておっても対象となるということでございます。実質そういった形で県や農林省と連絡をとってやれば、大部分のものが集団転作という仕組みになるということでございますので、われわれが見ても、実際これじゃ集団転作と言えるかなあと思うぐらいまで弾力的な仕組みになっており、運用においても十分配慮してまいりたい、こう思うわけでございます。
○小林(正)委員 つまり、相当弾力的に条件というものにある程度幅を持たして、その認定は市町村長に任せる、こういうことでございますね。
○中川国務大臣 大体いま言ったように、作業上の何らかの連絡があるという常識的なことであれば、極端に部落の端と端でもってということでは困りますけれども、道路とか用排水で連絡があるかなということであればそう厳しくは追及しないでいきたい、こう思っております。
○小林(正)委員 まあ相当幅を持って考えておられるということは一応わかりましたが、しかしこの農林省のデスクプランでございますと、集団転作をする、補助金がそれに加算される、こういうことで、いままで米をつくっておった場合と大体見合った収入になる、こういう全国平均のトータルで、平均値でそれをはじき出しておる。あるいは転作補助金にしても加算金にしても、そういったはじき出し方をしておるわけですね。ところが実際には、そういう地域もあるでしょう。その方がプラスだという地域もあるかもしれない。しかしそうでない地域も一緒にそれをかぶっておるわけですね。実際問題、十アール当たり二、三万円は減収になる、こういうことは間違いないわけでございます。こういうことを押しつけていくわけでございますから、これはもう押しつけるのじゃない、現地からの要望だ、こうおっしゃっても、それは事実上押しつけることにほかならないわけでございまして、せめてそうした弾力的運用によってそれぞれの地域ができるだけ減反に協力しやすいような条件をつくっていかれるということが必要であろうと思うわけでございます。
 しかし、この米の問題は、究極は消費の拡大しかないということですね。それで、ことしこの消費拡大のための五十七億円予算をつけておられますけれども、これをどういうふうに推進をして、どういう効果を期待されていらっしゃるのか、その辺どうですか。
○中川国務大臣 米の消費拡大については従来からもかなりやってまいりましたが、一番典型的な国民からの要望の強いのは、学校給食でまず米飯をやるべきでないか、このことが消費の拡大になるし、また米になじむということで学校で消費される以上の効果があるではないかということもございますので、学校給食会あるいはPTAその他の方々とも相談をして、昭和五十六年までに、週五回給食のうち二回は全国で実行をしたい。しかし、これもいまのところ計画よりはわりあい前倒しで早目にできておりますので、さらに二回のものを三回、四回というふうに文部大臣等とも相談をして学校給食に米を積極的に取り入れるということをやりたいと思いますし、御承知のように玄米パンであるとかあるいは米粉のうどんであるとかいうような、あるいはライスワインといったような新規品目の開発というようなこともやっておりますし、またあらゆる機会を通じて米の消費拡大ということについて宣伝等もやっておりますし、農業団体にも私からもお願いして、農業団体も積極的に消費拡大に取り組もう、こういうようなこと、極端に言えば、農協でラーメンやあるいはインスタント何々というようなことは慎もうというような空気も出てきておりますので、これは積極的にあらゆる機会をとらえて進めていきたい、国民的運動ぐらいにしていきたい、こう思う次第でございます。
○小林(正)委員 学校給食などは可能な限り米飯に切りかえるということは必要であろうと思うわけでございますが、この消費の拡大のために、いまや食管の財政圧力も弱まりつつあるわけでございますから、ことしは消費者米価は据え置きぐらいにしなくちゃいかぬのではないか、そういうふうに思うわけでございますが、総理いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 まだことしの消費者米価については考えたことがございませんが、なおこれは米の需給の状態等をよく見、またその時点の物価の情勢、そういうこともよく検討いたしまして、まあ常識的に処理したい、こういうふうに考えております。
○小林(正)委員 この消費拡大について農林大臣もいろいろPRされていますけれども、同じPRでも農林大臣がされると、ためにするPRのように聞こえてどうも説得力が弱くなってしまうのですよ。むしろ、そういったPRは農林大臣ではなくて、総理府総務長官か厚生大臣か文部大臣あたりが、その辺が大いにPRされた方が説得力があるのではないかと思うわけでございます。
 まあしかし時間がございませんので最後に伺っておきたいのですが、ニュージーランドの二百海里問題、いよいよ四月一日から実施をされることになっておりますね。鈴木前農林大臣が過般ニュージーランドを訪れられましたが、このままではどうにもならぬ、トップ会談を開かなければ問題が解決しない、こういうふうに言われておるわけでございます。もしニュージーランドがこの二百海里を実施して日本にもう出ていってくれ、こういうことになりますと、その国の言い分を聞かないために二百海里から日本が締め出されるという新しい事例をつくるということになるわけでございます。そういう事例をつくりますと、またほかの国が同じような論理で自分のところの言い分を聞かないのならば二百海里から出ていけよ、こういうことに連鎖的な反応を起こしかねないわけでございます。日本の水産一千万トンのうち、ニュージーランドは大体十六万トンぐらいと伺っておりますが、そうした波及というものを考えると、これはできるだけ早く解決をしなければならない。そういう見地から、総理はニュージーランドめ首相ないし副首相を日本に招請をするか、あるいは総理自身が行かれるか、あるいは総理が行かれないならば、当事者能力を持った閣僚をニュージーランドに派遣するか、いずれにしてもこの四月を目前に控えて、早く解決をしないと、大変波及的に悪い影響が出てくるわけでございます。ニュージーランド周辺だけではありません。その周辺もございますし、北方もあるわけでございます。その辺を総理に承りたいと思います。
○福田内閣総理大臣 ニュージーランドとわが国との間の最近の経済関係、これは鈴木前農林大臣がこの間ニュージーランドへ参りまして、ニュージーランドの首相や副首相と懇談をいたしたわけです。その会談がどうも思わしくない。私もつぶさにその会談の状態を話を聞きましたけれども、なかなかこれはうまくいっておらないのです。
 いま早くこの間の調整をすべし、こういうような御所見でございますが、それはもう早くこの問題、決着をつけなければなりませんけれども、しかしニュージーランド政府側が言いますのは、これば漁業問題とわが国への輸出問題とを絡めて話をするわけなんです。その絡めた話し合い、これに応ずる、こういうことになりますると、これがまた他の国、わが国と他の国ですね、ニュージーランド以外の国とのその話し合いにまた非常に重要な影響を持つわけであります。そういうようなことを考えますと、向こうの二百海里漁業問題と対日輸出問題を絡めるという立場をとって、そうして話し合いを進める、こういうわけには私はいかぬと思うのです。鈴木さんが向こうへ行くに際しましても、わが国としてできるだけのいろいろな話し合いのための準備をして行ってもらったのです。それについての理解が届かない、こういうことであのような結末になっておりますが、しかし私は、ニュージーランドに対しましてわが国はとにかくあれだけのことをしておる、またニュージーランドとの間の漁業以外のいろいろな経済関係をさらに積極的に進めたい、こういう真意を披瀝いたしまして、そうして相手側の理解と納得を得る、こういう考え方でいくほかはない、こういうふうに考えまして、いま首相に、また副首相においでくださいというような呼びかけをこちらから積極的にする考えは持っておりませんけれども、向こうの方でおいでくださる、こういうようなことがありますれば、これは大変私どもは結構なことであり歓迎したい、こういうふうに思いまするし、またわが方といたしましても、進んでわが方の立場について理解と納得を得るというためのいろいろな努力はしてみたい、このように考えております。
○小林(正)委員 総理がおっしゃるような点は私もよくわかっておるわけでございまして、それに対する対案をお示しするというわけにいきませんから、もっぱら、ただ結果について大変影響の多い問題でございますから、これは鋭意努力をいただいて速やかなる解決を図っていただきたい、これはお願いをいたしておきます。
 そうした新しい二百海里時代というものが到来をしておる、新しい海洋法の秩序が事実上形成されてきておるわけでございます。日本も、そうした時代に即応した長期展望に立った海洋開発計画というものに取り組んでいかなければならないわけでございます。ところが、海洋行政ということになりますと、大体十三の省庁が関連をしておるわけです。また海洋開発審議会など十一の審議会が関与しておる。こういう質問も一体どの大臣にしたらいいのか私もわからないくらいいろいろ広がっておるわけでございます。こういうふうなことですと、新しいそういう海洋時代に取り組んでいくということができないわけでございます。そうした意味で、たとえば海洋基本法というふうなもので大きな枠組みをして、あるいは各省間のなわ張り争いみたいなことが起こらないように海洋担当相といったようなものを置くということで、百年の大計に取り組んでいくことが必要ではないか、こう考えるわけでございます。結局、どの閣僚にお尋ねしていいかわからぬから総理にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。
○園田国務大臣 海洋法会議のわが国に及ぼす甚大な影響、及び将来にわたる影響というのは御指摘のとおりでございます。十三の各省にわたっておりますけれども、主なるものは農林省と私の方でございます。そこで、海洋法会議参加に当たっては、すべての関係省庁の代表から成る代表団を構成して、万全の体制をつくっておるつもりでございます。なおまた、関係省庁の密接な連絡のもとに海洋法に係る問題点、対策等を総合的に検討していきたいと考えております。
○中野委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明七日午前十一時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十五分散会