第084回国会 決算委員会 第10号
昭和五十三年五月十日(水曜日)
    午後一時二十六分開議
 出席委員
   委員長 楯 兼次郎君
   理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君
   理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君
   理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君
   理事 林  孝矩君 理事 塚本 三郎君
      天野 光晴君    津島 雄二君
      西田  司君    野田 卯一君
      早川  崇君    村上  勇君
      高田 富之君    村山 喜一君
      春田 重昭君    安藤  巖君
      大原 一三君    麻生 良方君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房会計課長兼内
        閣参事官    京須  実君
        大蔵大臣官房審
        議官      福田 幸弘君
        大蔵大臣官房審
        議官      渡辺 喜一君
        大蔵省主計局次
        長       山口 光秀君
        大蔵省理財局次
        長       副島 有年君
        大蔵省理財局次
        長       川崎 昭典君
        国税庁間税部長 矢島錦一郎君
        国税庁徴収部長 西野 襄一君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局司
        計課長     石井 直一君
        厚生省社会局保
        護課長     高峯 一世君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   下村  健君
        農林省食品流通
        局砂糖類課長  馬場久萬男君
        建設省住宅局住
        宅建設課長   国吉  忠君
        会計検査院事務
        総局次長    柴崎 敏郎君
        会計検査院事務
        総局第一局長  前田 泰男君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十七日
 辞任         補欠選任
  春田 重昭君     竹内 勝彦君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内 勝彦君     春田 重昭君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  西田  司君     篠田 弘作君
五月十日
 辞任         補欠選任
  篠田 弘作君     西田  司君
  山口 敏夫君     大原 一三君
同日
 辞任         補欠選任
  西田  司君     篠田 弘作君
  大原 一三君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十一年度一般会計公共事業
 等予備費使用総調書及び各省各庁
 所管使用調書(その2)
 昭和五十一年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その2)
 昭和五十一年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その2)
 昭和五十一年度特別会計予算総則
 第十一条に基づく経費増額総調書
 及び各省各庁所管経費増額調書  (承諾を求
 (その2)           めるの件)
 昭和五十二年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その1)
 昭和五十二年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その1)
 昭和五十二年度特別会計予算総則
 第十一条に基づく経費増額総調書
 及び各省各庁所管経費増額調書 (承諾を求
 (その1)           めるの件)
 昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調
 書(その2)
     ――――◇―――――
○楯委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上四件の承諾を求めるの件、及び昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上三件の承諾を求めるの件、並びに昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)を一括して議題といたします。
 まず、大蔵大臣から各件について趣旨の説明を求めます。村山大蔵大臣。
○村山国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外六件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費につきましては、その予算額は、一千三百五十億円であり、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和五十一年十月八日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千二百四十二億九千六十九万円余であり、すでに第八十回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十二年三月四日から同年三月二十二日までの間において使用を決定いたしました金額は、二十五億九百五十万円余であります。
 その内訳は、災害対策費として、山林施設災害復旧事業に必要な経費等の四件、豪雪に伴う道路事業に必要な経費の二件であります。
 次に、昭和五十一年度一般会計予備費につきましては、その予算額は、一千五百五十億円であり、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和五十一年五月十四日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、百八十五億四千三百七十七万円余であり、すでに第八十回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十二年一月十八日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は、六百五十一億三千七百四十七万円余であります。
 その内訳は、災害対策費として、環境衛生施設災害復旧に必要な経費等の五件、その他の経費として、国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費等の十四件であります。
 次に、昭和五十一年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は、二兆三千二百四十五億四千百三十九万円余であり、このうち、昭和五十一年十一月十九日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千七百四十五億九千四百二十一万円余であり、すでに第八十回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十二年三月一日から同年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は、三百二十六億四千五百十万円余であります。
 その内訳は、国民年金特別会計業務勘定における印紙収入国民年金勘定への繰り入れに必要な経費、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費等八特別会計の十一件であります。
 次に、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和五十一年五月二十八日から同年十二月十四日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、六百九十五億九千六十三万円余であり、すでに第八十回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十二年三月一日から同年三月二十九日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、八百三十三億千二百二万円余であります。
 その内訳は、国民年金特別会計福祉年金勘定における福祉年金給付費の支払いに必要な経費の増額、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費の増額等六特別会計の六件であります。
 次に、昭和五十二年度一般会計予備費につきましては、その当初予算額は、二千八百六十五億六千四百七十三万円余でありましたが、補正予算(第1号)により、二百四十五億六千四百七十三万円余を修正減少いたしましたので、改予算額は、二千六百二十億円となっております。
 このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和五十二年四月二十八日から同年十二月十六日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千百二十八億四千八百二十三万円余であります。
 その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業に必要な経費等の七件、その他の経費として、北洋漁業の減船に伴う漁業者の救済に必要な経費等の二十一件であります。
 次に、昭和五十二年度各特別会計予備費につきましては、その当初予算総額は、二兆六千六百六十六億一千七十一万円余でありましたが、補正予算(特第1号)により、七十八億三千四百七十万円補正予算(特第2号)により、三十億二千四百四十四万円を修正減少いたしましたので、改予算額は、二兆六千五百五十七億五千百五十六万円余となっております。
 このうち、昭和五十二年九月二十日から同年十二月二十日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千六百九十五億四千九百七十一万円余であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米の買い入れに必要な経費等三特別会計の八件であります。
 次に、昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和五十二年五月二十七日から同年十二月十三日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、三百二十四億八千五百七十九万円であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計調整勘定における国債整理基金特別会計への繰り入れに必要な経費の増額等六特別会計の十件であります。
 以上が、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外六件の事後承諾を求める件の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
 次に、昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)の報告に関する件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 昭和五十一年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は、八百億円であり、このうち、昭和五十一年十一月十九日の閣議の決定を経て、総額五億四千三百万円の範囲内で債務を負担することとしたものについては、すでに第八十回国会に御報告したところでありますが、その後、昭和五十二年三月四日から同年三月十五日までの間において閣議の決定を経て、総額三百十六億千九百六十五万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。
 その内訳は、昭和五十一年発生河川等災害復旧事業費補助等の七件であります。
 以上が、昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)の報告に関する件の概要であります。
○楯委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○楯委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。村山喜一君。
○村山(喜)委員 初めに五十一年度の一般会計予備費の使用状況でございますが、その中に糖価安定対策費というのがございます。当初予算には百八十四億円計上されておりましたものが、第一次の予備費の支出で九十一億四千九百七十七万四千円を予備費から支払いをいたしております。なお、五十一年の十一月二十六日の閣議決定に基づきまして、第二次分といたしまして十五億一千一百八十三万四千円が同項において支出をされておる。そこで、これが五十年度はどういうような状況であったのだろうかというので調べてみましたところ、これについては、糖価安定事業団に対する交付金は、当初予算が糖価安定対策費で五十一億あったものに対して二十七億一千九百十六万六千円が予備費から支出をされておるわけでございます。
 そこで、糖価の安定価格のための措置が、その算定の方式等もございますのでそのときどきの状況によりまして予備費から支出をせざるを得ないという仕組みについてはわかるわけでございますが、五十一年度はなぜそういうように二回に分けて予備費から支出をせざるを得なかったのだろうかということについて、まず説明を承りたいのでございます。
 それと同時に、大臣、これをごらんをいただけばおわかりになりますように、こういうように毎年毎年予備費から支出をするというやり方は、一体どこまでが許容限度としてこのシステムは考えられるものであろうか。たとえば当初予算には百八十四億円組んであって、追加分が、予備費支出分が一次と二次と合わせてまいりますと百億を超える、こういうような予備費の支出というのは考え方によりましてはきわめて不安定であり、そして一般会計の中からこれだけしか支出はしないんですよということを前もって国会では説明をしながら、予備費の中でその当初予算と同じような金額のものを、それに近いようなものを支出をしていく、こういうような予算の執行のあり方というものが果たして妥当であろうかというふうに見ますと、それは余りにも政治的に揺れ動いている姿がこの中には出てきているのではないだろうかという気がするのでございますが、そこら辺については大臣の所見をお尋ねをいたしたいのでございます。
○山口(光)政府委員 糖価安定のための対策費の計上の仕方でございますが、村山委員非常によく御存じなので釈迦に説法になるわけでございますけれども、てん菜とか甘蔗につきましては国が糖価安定事業団を通じて価格支持を行っておりまして、その価格支持のやり方といたしましては、糖価安定事業団は、国が定めます最低生産者価格を下回らない価格で農家から購入されたてん菜、甘蔗を原料として製造された砂糖を買うわけでございます。それから企業に対しましては輸入糖の売り戻し価格に見合う水準で売り戻すことにしておるわけでございまして、その差額の中の、合理化目標価格を上回る部分と合理化目標価格を下回る部分に分けまして、上回る部分につきましては国が交付金で措置する、下回る部分につきましては輸入糖から徴収する調整金により賄うという仕掛けになっているわけでございます。これが原則でございまして、その国の交付金に見合う分をあらかじめ当初予算に計上してあるわけでございまして、これは価格なりあるいは出来高によりまして変動いたしますので、場合によりますと不用が出ることもあれば、それからまた予備費等で追加しなければいけないという事態になることもあるわけでございます。
 ところが、四十九年以降、最低生産者価格というだけでなしに、国内糖のメーカーが農家に対しまして農家手取りの確保と生産の安定ということを目的にいたしまして奨励金を最低生産者価格に加算して支払うということをやってきておるわけでございまして、この奨励金は国内産糖メーカーが原料集荷の段階で農民に支払っておりまして、それをどう負担するかというと、結局国と企業とが責任を持っておるわけでございますけれども、糖価の低迷等によって企業が負担できないような場合には国が負担する、できる場合には企業が負担するということになっているわけでございます。四十九年産糖につきましては、糖価が高かったものでございますので企業による負担が可能であったということから、国は負担を生じなかったのでございますけれども、その後は糖価の低迷によりまして企業負担が困難になっておりますので国が負担してまいった。したがって、それに対応するのは予備費の使用によらざるを得ないということなのでございます。この金は糖価水準によって非常に所要額が変動する、大幅に変動する種類のお金でございますので、あらかじめ見積もることが事実上できませんので、所要額が確定した段階で予備費により措置してまいっておるわけでございます。
 年二回使っているのはどういうことかというお尋ねでございますが、甘蔗糖につきましては事業団買い入れが六月に終わりますので、六月にその分を支出している。それから五十一年だけについて申しますれば、五十一年はてん菜糖のうち六月までに事業団売買が終わったものについても含めて支出いたしました。それから十一月の分は、てん菜糖の分につきまして事業団買い入れが終わるのが九月以降でございますので、その分をまとめて支出しているということでございます。五十一年度につきましては、先ほど申しましたように六月に一部出しておりますので、ビートの残りの部分を出したということなんでございます。
 こういうやり方は、いま申しましたように奨励金というやり方をとっていきますと、支出するしないということが糖価の状況にかかわってまいるものでございますから、やむを得ない面があろうかと思うのでございまして、問題はこういう奨励金という制度を今後どう考えていくか、あるいはその最低生産者価格に織り込んでいったらいいじゃないかという御議論もあろうかと思いますが、その辺もいろいろ検討しておりますが、糖価安定の全体の制度の仕組みとの関係で検討すべき問題がいろいろございますので、いま一概に申し上げる段階ではないかと思います。
○村山(喜)委員 五十二年度の一般会計の予備費の使用調書を調べてまいりますると、当初予算には二百四十九億糖価安定対策費が計上してあった、それが第一次の予備費支出は六月の二十八日に五十四億余りに達しております。九月の二十日には八十四億余りの支出が第二次分として出されておる。五十一年度はおっしゃるように六月二十九日と十一月二十六日の分でございますが、使用決定の時期が五十一年度と五十二年度が違っているのはどういうような理由なんですか。
○馬場説明員 お答えいたします。
 五十二年度においての支出の場合でございますが、先ほど大蔵省の方からお話がございましたように、二回に分けるわけでございますが、五十二年の場合は、サトウキビからつくりました甘蔗糖につきましては六月に全体を出す、てん菜糖の方は前年と異なりまして、六月の時点ではまだ変動要因が多いということもございましてこれを支給しないことにいたしまして、そのかわりと言ってはなんですが、九月において全体をまとめててん菜糖関係を出す、こういうことにしたわけでございます。
 御承知のように甘蔗糖の方は原料糖でございますので、大体前年の十二月くらいから四月くらいまで操業いたしました製品を原料として早急に販売するということがありまして、六月までに事業団売買が完了するということになりますので、実際にどういう価格で売れたかということがわかるわけでございますが、てん菜糖の方は精製糖でございますので、年間を通じて販売するという実態になっておるわけでございます。したがいまして、九月くらいまでかかりまして前の年にとれたてん菜からつくりました砂糖の販売が行われるということで、全体の状況を見た上で判断しよう、こういうことで九月に全体を見て出すというふうにしていただいたわけでございます。
○村山(喜)委員 大蔵大臣、私はこういうような予備費から支出をしなければならない要素があることは認めるのですよ。だけれども、当初予算の中でできるだけ消化ができるようなものを見込んでおかなければならないのではないだろうかと私は思うのですが、予備費から次から次に支出をしていくという方式の方が正しい、いまのシステムがベターなんだというふうにお考えになっているかどうか、その点について御所見を承りたいと思います。
○村山国務大臣 予備費につきましては、村山委員御承知のように、予見しがたい支出に充てるために設けられているわけでございます。したがいまして、見込まれるものにつきましては、当然のことでございますけれども、やはり予算の中にそれを織り込んでおくということが適当であろうと思うのでございます。
○村山(喜)委員 その問題は予見しがたかったのだろうと思うのですが、国際糖価の関係が非常に変動を続けていたときでございますだけに、なかなかむずかしい点もありますけれども、できるだけ明確に出しておかないと、生産者の側にとりましてもあるいは消費者の側にとりましても、安心してそういうような砂糖を生産をしたり消費したりすることができないような状態になる。今日でも世界一高い砂糖をなめさせられていると国民は思っているのですから、そういう意味では予備費から支出する変動を余り大きくしないように、当初予算の中で計上していただくように要請をしておきたいと思います。
 そこで次は、五十一年度の特別会計の予算総則第十一条に基づく経費増額調書でございますが、この中で国立学校の分がございます。医療費等に必要な経費の増額、大学附属病院六十億九千四十万八千円、五十二年三月一日閣議決定。それに対して五十二年度の増額調書を調べてみますと、これはないわけでございますが、これは十二月末までの分だということのようでございます。とするならば、五十二年の一月から三月までの分は次の国会に提出される、こういうことになるだろうと思うのですが、その見込み額は大体どういうことになるのでしょうか。
○山口(光)政府委員 おっしゃいましたように、五十二年度につきましても五十三年三月三日付の閣議決定をもちまして、いわゆる弾力条項を発動しております。所要総額は五十三億四千四百六十九万六千円でございます。
○村山(喜)委員 予算の弾力条項でだんだんにふえていくものだと思ったのですが、五十一年度よりも五十二年度は少なくなっているのは何か理由がございますか。
○山口(光)政府委員 もともと医療費の見込み方はかなりむずかしいわけでございまして、当初予算計上に当たりましても、過去の傾向、物価の動向等々を勘定いたしまして見積もるわけでございますが、年度末間近になりますとやはり実績が予算と合わないということがあるわけでございまして、その場合に備えて、病院経費でございますから片方で歳入があるということでございますので、歳入増加の範囲内で歳出権を付与していただくやり方を弾力条項としてお認めいただいているわけでございます。これはもうその年々の状況によりまして区々さまざまでございますので、もちろん全体の予算額はふえておるわけでございまして、たとえば五十一年度は弾力条項発動後でございますけれども、五百九億余りの医療費がかかったのに対しまして、五十二年度はこれも弾力条項発動後でございますが、六百二十億余りというふうに増額いたしておりますが、弾力条項を発動します額は変動するのはやむを得ないのではないかと思います。
○村山(喜)委員 予算の収入との関係でということでございますが、難病奇病の中に入らないようなむずかしい病気で、大学で研究というのですか学校患者費の中から支払いをしていくというような形のものが、従来とられております。収入がないからおまえのところはもう附属病院で見ることはできないというようなことで、どうにもならないというような事態がわれわれの耳にも聞こえておるのですが、そういうようなことはございませんか。
○山口(光)政府委員 文部省からお答えするのが適当ではないかと思うわけでございますが、お尋ねは学用患者のことであろうかと思います。学用患者の経費につきましては毎年増額しておりますし、それで足りているものだというふうに私どもは聞いております。
○村山(喜)委員 具体的な問題を持っておりますが、それは時間の関係できょうはやめておきます。
 実はこれは大蔵大臣にお答えをいただきたいのですが、けさの新聞あたりを見てまいりますと、国債の弾力的な発行といいますか、三年もので利付債みたいな形で発行するのだというような数字が大きく取り上げられております。
 そこで、財政と金融の問題の中から、最近の個人の貯蓄実績というものを調べてまいりますと、郵便局の貯金が二四・二%程度ふえておるのに対して、全国銀行が一一・六%、相互銀行が一三・八%、信用金庫一二・一%、その伸び率の割合は、大臣御承知のように一対二の関係で開きが大きくなっておるようでございます。そういうような姿の中からこれがずっと伸びてまいりますと、いま大体個人貯蓄の四分の一が郵便貯金になっている。この勢いでずっと進んでまいりますと、郵貯のシェアが大体半分ぐらいになる時代が必ず出てくるのではないだろうか、こういうふうに考えられるわけです。
 そして世界一の低金利政策を日本の国はとっている。そういう中から、プライムレートは公定歩合と連動しているわけでありますが、世界の金利水準から見てまいりますと、公定歩合が一番低いと言われるスイスのプライムレートの場合でも七・二五%である。それから西ドイツの場合でも六・二五%。それに対して日本の場合には公定歩合に直接追随するものですから三・七五%だ。ということになってまいりますと、わが国は世界で一番借入金利は安い。こういう姿の中でこれから国債の発行が続いていく。
 そこで、いまのような状態がずっと続いていくならば問題は起こらないかもしれないけれども、景気が回復をしてきますね。景気が回復をしていくと、民間の資金需要が出てくる。勢い金利が上昇をしていく傾向が生まれてくる。金利が一%上昇をすることになると国債価格は大体五円ぐらい下がる。いま、市中の金融機関、銀行あたりが抱いているので大体六千億から七千億。五円下がった場合には評価損が三百億から三百五十億ぐらい出るわけですね。
 そういうふうになっていきますと、超低金利時代の今日の国債の管理政策というのですか、銀行の経営状態もいま利ざやが非常に縮小しておりますから、経営的にはなかなか苦しくなってきている。そういうところでそういう評価損が生まれてくる状態が生まれた場合には、手持ちの国債を早く売りさばかなければならないという状態が出てまいりますね。結局、そうなったら、そういうような有価証券を引き受けてくれるところは、やはり日銀引き受けにならざるを得ないのじゃないかというような話も出てくる。
 そういうような状況の中で、国債の管理政策を――これから国債発行残高が大変巨額になっていく中で、今度そのような中期的な国債を自由価格の形成の中で販売をしていくという方向に入られていくのだろうと思うのです。そういうような一連の金利政策と財政政策との関連を、新聞に出ているような方向でいま大蔵大臣は進めていらっしゃるのかどうか、その点について御見解をお伺いしておきたいと思います。
○村山国務大臣 きょう新聞に中期債の話が出ておるのでございますが、誤解のないようにお願い申し上げたいのです。これは別に決定したわけではございませんので、目下検討中の段階なのが新聞に出ているわけでございます。しかし、それとは別に、いまの村山委員の問題について、非常にむずかしい問題でございますが、考えている点を率直にお話し申し上げたいと思います。
 私は二つあると思うのでございます。一つは、いま大量の国債を出しておる、これが民間の資金需要が出たときに果たして相変わらず国債の膨張を続けなければならぬような何らかの事情があるとすれば、日本の潜在成長力を超えまして資金需要をつけなければならぬという問題が起きてくるわけでございますので、これは非常に問題のある点でございまして、その点は国の力というものから言いまして、資金の供給量にはおのずから限度がなければならぬわけでございます。そういう問題にいかに対処するかというのが一つの問題でございます。
 もう一つは、いま村山委員が指摘されましたように、将来そういう場合には金利が上がるであろう、ということになれば、市場原理として当然国債その他の有価証券の価格が下がる。その場合、いまの保有者の評価損について一体どのように対処するのか。この二つの問題があるかと思うのでございます。
 前段の問題につきましては、私たちが特に心配しておりますのは、実は特例公債の方なのでございます。四条国債につきましては、これはもとより社会資本の充実という見地もございますけれども、民間の資金需要が出てまいりますれば、これはスローダウンしていいはずのものでございますから、私はこれはかなり政策的に当然そのときどきの情勢に合って整合性を持ってやっていけるのではなかろうかと思うのでございます。
 だから、そっちの方はそれほど心配しないのでございますけれども、赤字国債でございますと、何分にも、言ってみますと、それで人件費を払っておる、あるいは福祉もやっておる、やあ私学の振興もやっておるということでございますと、その裏づけはみんな法律を持っているわけでございまして、資金需要が出てきた、それ法律改正というわけにはなかなかまいりかねるのでございます。そういう意味で、私たちは早く特例公債から脱却しておくことが何よりも先決であろうと考えまして、先般予算委員会その他の関係委員会におきまして財政収支試算をお示しし、一種の試算をやってできるだけ早く脱却したいという願望を述べているのもその趣旨にほかならぬわけでございます。
 それから、第二の問題でございますけれども、金利が上がりました場合に、確定利付の有価証券が逆に下がってくる、これは市場原則でございますので、それを無理にとめることはむしろ金融の市場原則に合わないし、かえってひずみが生ずるであろう。ただ問題は、あらかじめそういう場合のことも――恐らく投資家の方は全部考えておられると思いますけれども、それにしても急激に出てきたときには企業成績に大きな変化があるわけでございますので、あらかじめそういう場合には、いろいろなやり方がありましょうけれども、たとえば有税でもって償却しておくとか何らかの対応策があってしかるべきではないか、これは保有者の立場での話でございます。実際にはなかなか利益が出なくて有税償却どころではないというのがあるいは現状であるかもしれませんが、できるだけそういう方向にわれわれが誘導していくことが第一であろう。
 それから、第二の問題はややむずかしい問題でございますけれども、日本の金融市場は御案内のように長短金利という分野が分かれていないことは御承知のとおりでございます。
 各国におきましては、それぞれ短期市場、中期市場、長期金融市場と分かれておりまして、長期金利は長期市場の中で一つの体系を持って動いているわけでございます。
 日本の場合は、残念ながらそういう意味の資本市場の発達が非常に遅いわけでございますので、いまの現先の問題であるとか、あるいは短期の外資が流入いたしますとたちまちそれが長期金利の方に影響してくるという関係にもございますので、長い目で考えました場合に、そういう意味の長短の金利市場をそれぞれができるだけ機能するように今後それぞれの分野にわたって育てていく方がいいのではなかろうか。そういう意味におきまして、今度の中期債という問題は、そういう問題に一石を投じていく手がかりにもなるのじゃないか。
 そういうことをあれこれ考えておるわけでございますが、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、なお今後私たちは鋭意この問題について検討を続けてまいりたい、実はこんな気持ちでおるわけでございます。
○村山(喜)委員 では大臣、まだ銀行での国債の窓口販売という問題は決められたわけじゃないのですか。今後の検討課題ですか。審議会にでも諮って近いうちに結論をお出しになりますか。
○村山国務大臣 きょう新聞に出ておりましたのは、中期債をいわば入札制度で出すというようなことが中心でございまして、窓口販売に触れておった新聞があったかどうかはわかりませんが、私の見ている限りでは、中心は中期債の入札制度というような形で出ておったように思いますが、それ自身は検討項目でございます。
 窓販の問題につきましては、もう委員御承知のとおり、いろいろな角度からこの問題は検討してまいらねばならぬ。つまり国債の発行者としての管理者の立場から、また金融機関対証券会社という業務分野からも、いろいろな問題から考えていかねばならぬ。単なる両業界の利害という問題だけではなくて、国債の今後の管理のあり方、その多様性、そういった問題と絡めてやはり慎重に考究すべき問題ではなかろうか、実はいまわれわれはそのように考えておる次第でございます。
○村山(喜)委員 この際、私は、政策金融のあり方という問題、これがいろいろ今後の大きな問題になってくるのじゃないだろうかと思いますので、政府関係金融機関のその現状、これをちょっと御説明をいただきたいのであります。
 というのは、いろいろ機関ごとにそれぞれの法律に基づいて目的を持って設置されておるわけでございますが、中には五十二年の十二月の十六日に、例の外貨準備の一部を輸銀から民間の企業に貸し付けて、そして輸入金融を年間四・七五%で六カ月から三カ年の間認めていこうとかというような関係のもの等も出ておりまするし、問題のとらえ方によりましては非常にアンバラな状態になっているのではないだろうかと思われるような内容のものも多く散見されるような状態でございますが、一体今日、こういうような制度金融といいますか、政策的に配慮した金融政策をとっていかなければならないということはわかりますけれども、それが全体の中でどういうようなウエートを占めて、そしてそれが、これは財政と金融との接点の問題でもありますし、金融政策というものが果たし得る役割りとその限界というものとの関係もございます。そういうような面から言いまして、どういうところまでこれを伸ばしていけばいいというようにお考えになっているのか、現状の説明と、それからその資本金と貸付残高と、それに標準金利、ちょっとこの説明を事務的に願いまして、その後大臣の御所見を賜りたい。
○渡辺(喜)政府委員 政府系の金融機関は、現在、日本輸出入銀行、日本開発銀行、北海道東北開発公庫、国民金融公庫、中小企業金融公庫、環境衛生金融公庫、医療金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、公営企業金融公庫等があるわけでございます。これらの各金融機関は、それぞれ法律に基づきまして設立をされておるわけでございます。
 業務内容につきましては、特にもう申し上げる必要もないかと思いますが、簡単に申し述べますと……(村山(喜)委員「業務内容はいいです」と呼ぶ)
 現在、これらの政府系の金融機関がわが国の金融市場において占めておりますウエートを見てみますと、貸し出しの残高ベースで見てみますと、五十一年度までの数字しかありませんが、五十一年度現在で全体の総貸し出しに対しまして一三・二%というウエートを占めておるわけでございます。過去の推移を見てみますと、昭和三十年ごろは一四・二ということでやや現在より高いウエートでございましたが、おおむね大体一一から一二、三%というふうなところで推移をしてまいっておるわけでございます。
 最近非常に安定成長期に入りまして、金融環境もかなり変わってきておるわけでございます。こういう金融緩和の時代に、一体こういう政策金融というのはどうあるべきかということが問題になるかと思いますが、これまでの推移等を見た限りにおきましては、こういう政策金融のウエートというものはそのときの経済情勢の影響をそう大きく受けていない、おおむね安定的なウエートで推移をしてまいっているわけでございます。
 この点、考えてみますと、一概に政策金融機関と申しましてもいろいろな機能があるわけでございます。各機関によりましてそれぞれ別個の機能というものを担っておるわけでございます。したがいまして、そのときどきの経済の実態あるいは社会的な要請、そういうものに応じて、各個別機関について見ますと、非常に貸し出しが伸びる時期あるいは逆に縮む時期というふうなものがあろうかと思いますが、全体の機関を総合いたしますと、先ほど申し上げましたように、おおむね安定的なウエートをもって推移してきておるのではないか、かように考えるわけでございます。たとえば高度成長期におきましては、当然のことではございますが、産業開発、こういうふうな面の機能を分担しております機関が伸びておる。それに対しまして、だんだん最近におきましては、ウエートがむしろ生活環境整備でございますとかあるいは中小企業、農林漁業、こういうものの育成強化、こういうふうなものにウエートがシフトしてきておるのではないか、かように考えるわけでございます。
 ちなみに数字を見てみますと、昭和四十四年度末現在でこの政府系の金融機関全体を一〇〇といたしまして各機関のウエートを見ました場合に、たとえば開発銀行につきましては、昭和四十四年度末は二三・五%のシェアを占めておったわけでございます。それが五十二年度末、これはまだ見込みでございますが、五十二年度末のシェアを見てみますと、一五・一%というふうにかなり急激に減少をいたしておるわけであります。それに対しまして、たとえば住宅公庫、これは四十四年度末は一三・八%のシェアでございましたが、五十二年度末には二三・八%というふうに、急激にそのシェアを伸ばしておるわけであります。それから国民公庫等も同様に、四十四年当時は八・六でございましたのが五十二年度末には一〇・二というふうに、かなり大きな伸びを示しておるわけでございます。
 そんなことで、各機関個別に見ますと消長はございますが、最初に申し上げましたように、全体としてはほぼ安定的な地位を占めてきておる。今後の安定成長期におきましても、当然のことながら、住宅でございますとか、生活環境、中小企業あるいは資源エネルギーの開発、こういうふうな幾多の重要な政策課題というものを抱えておるわけでございますから、そういう意味で政策金融の重要性というものはそう変わらないのではないか、かように考えておる次第でございます。
○村山(喜)委員 ちょっと事務的にお尋ねしますが、これは総預金量が幾らで、その政策金融のいまおっしゃった十一行ですか、これのトータル分が幾らになりますか。
○渡辺(喜)政府委員 五十三年度の計画ベースで見てみまして、全体の貸付額の各機関の合計が十兆四千億というオーダーになっております。(村山(喜)委員「分母は」と呼ぶ)
 民間金融機関の方につきましては、現在数字を持ち合わせておりませんが、全体の預金総量というのは、恐らく百三十兆くらいのオーダーだろうと思います。したがいまして、貸出規模というのはそれよりやや低い数字である、かようにお考えいただいて結構かと思います。
○村山(喜)委員 それはちょっと数字を整備をしておいてもらいたいのですが、金融機関の預金、貸し出しの一覧表を見てみますと、総預金量が二百九十一兆あるのです。これは全国銀行協会の調査です。五十三年一月末で総貸し出しは二百五十二兆なんです。私が聞いているのはそうではなくて、あなたがいまおっしゃった、五十一年度末の一三・二%のウエートを出してこられたその数字を聞いているのですよ。その分母と分子を聞いているのです。――いや、それは数字がなければ後でいいです。
○渡辺(喜)政府委員 先ほど申し上げました民間金融機関の預金、貸し出しの数字につきましては、後ほど確かめまして御返事をいたしたいと思います。
 ただいま申し上げました政府系金融機関のウエートのベースになりました数字は、五十一年度末現在で全金融機関総貸し出しが二百十一兆一千九百九十四億、それに対しまして政府系金融機関分が二十七兆七千七百二十八億円ということになっております。
○村山(喜)委員 そこで大臣、最近の金融機関における預金の推移の中から、また資産内容が出ておりますが、有価証券が五十五兆だ、そのうち全国銀行が二十八兆、約五〇%。それから資金運用部資金で十四兆、二五%。こういうような状態だというように聞いたのですが、それは間違いございませんか。
○渡辺(喜)政府委員 各業態別になって恐縮でございますが、都市銀行につきましては有価証券全体の保有高、五十二年の二月末現在で十一兆強という数字になっております。なお、その内訳といたしましては、国債が四兆、地方債が一兆三千億、その他は社債、株式等ということに相なっております。
○副島政府委員 資金運用部が保有しております有価証券の総額は、五十三年の一月現在で十三兆九千百七億円でございます。
○村山(喜)委員 ちょっと数字が合わないので恐縮なんですが、その資金運用部の方は大体数字が合っておりますが、全国銀行の国債、地方債の保有状況を見てまいりますと、五十二年の上期で九兆九千、これが国債です。地方債が三兆九千。合計いたしまして十三兆九千余り。そのほかに有価証券等があるわけですから、どうもさっきの渡辺審議官の数字は食い違っているのではないかと思います。そこら辺はまたあとで訂正を願いたいのです。
 本題は、さっき大蔵大臣にもお聞きをいたしましたが、五十二年十二月三十一日末の郵貯の貯蓄高が三十五兆八千三百九十八億になっておりますね。大変な伸び率でございまして、結局これが財投資金、資金運用部資金として活用されておるわけですが、ここら辺で、国債がこれからも大量発行がしばらくは続かざるを得ないわけです。その場合のいわゆる郵便貯金等が受け持たなければならない任務というものは、ことしの財投計画の中では原資が足らないということで削られまして、それで国債の手持ちを売却するという措置をとられたわけですが、資産として国債の値打ちというものを考えてまいりますと、この低金利の状態の中では非常に資産運用の妙味を発揮するわけです。そういうような意味からは、郵便貯金の性格というものをどういうふうに判断をするかということにも関係があると思うのですが、いまのような形でシンジケート団をつくりまして、預金量の伸びの約半分は国債や地方債に食われてしまうというような形で、民間の金融機関に余りにもおんぶし過ぎるようなやり方は、新しい資金需要等が出てきた場合には非常に問題が出ることになるわけでございますので、預貯金の伸び率の上から問題をもう一回再点検をして、郵便貯金のいわゆる運用の問題をどういうふうにするのか、国債や地方債を引き受ける、そういうような貯蓄的な一つの性格を持つようなものとして考えられないのかどうか。やはり低金利政策の時代でございますから、その中で大量の国債を発行しなければならない、国債の値崩れが出てくる可能性があるわけですから、そういうような場合に、どういうふうにしてこれからの財政運営はやっていくのか。私は、ここら辺でもう一回基本的にこういうような問題を洗ってみる必要があるのじゃないだろうかなと思っているのでございますが、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思うのです。
○村山国務大臣 これもまた非常にむずかしい問題でございまして、御承知のように、日本の政府系金融はあくまでも普通の金融の補完としてやっているのでございますが、しかし、普通の民間金融では賄えない、それじゃとうてい成り立たないという部分を補完いたしているわけでございます。原資の大部分は郵便貯金であり、あるいは年金の積立金、さらには簡保がその大宗をなしているわけでございます。現在、恐らく全体で五十兆を超えておるのではないかと思うのでございます。しかし、本当を言いますと、それでも実は所要資金に足りませんで、やりくりをいたしておることはもう委員御承知のとおりでございます。
 去年は国債を一兆持ってもらったわけでございますが、ことしは地方財政の方が火の車でございまして、御案内のように一兆五千五百億の交付税特会の借り入れのうち、実はその全額を運用部からの借り入れに仰いでいるのでございますので、昨年度一兆円という分は全部普通の金融の引き受けの方に回している状況でございます。
 で、確かに郵便貯金の方は伸びておりますけれども、全体としての財投原資という問題から申しますと、需要に比べまして非常に窮屈になっておりまして、その使い方は、先ほど渡辺君から申し上げましたように時代のニーズによりまして変遷をいたしておりまして、いまは生活関連の方に恐らく七〇%ぐらいやっておりますし、続いては地域開発分、国土の保全というようなことで、かつてのような産業に回している部分というのは一〇%を切っておる、恐らく六%か七%ぐらいじゃないか、こういう状況にございます。
 いま御指摘になりました、いまは低金利だからいいけれども高金利になると一体どうなるのだという問題は、これは民間の金融機関のみならず、やはり運用部においてもその問題についてはあらかじめ用意しておかなければならぬことは当然でございます。郵便貯金は、貯蓄する方の側から申しますれば何よりも安全、有利、それから確実、こういうことでわれわれは責任を持って運用させていただいているわけでございますので、できるだけその目的に沿った趣旨でこの原資を使わせていただいておるわけでございます。したがいまして、金融ベースに合わないところにつきましては、一般会計からの出資であるとかあるいは利子補給にしてやりまして、原資を提供していただいた方に迷惑はかからないようにいたしているのは御承知のとおりでございます。
 繰り返しになりますが、この低金利時代にいま運用しております有価証券その他の問題につきましては、これは運用部といえどもやはり当然考えていかねばならぬ。だから、それはいろいろなやり方があると思いますけれども、運用先というものをいろいろ多様化いたしまして、そして、全体として原資の提供者に迷惑はかからないようにやっていく、あるいはまた一般会計からの補強を強めるとか、その辺は総合的に運営してまいらなければならぬな、こういうふうにいま考えておるところでございます。
○村山(喜)委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、大臣、普通預金の金利が年間一%ですね。そういうような超低金利政策をとられて、そういう中で実効金利も民間の場合大分下がってまいりました。プライムレートの適用企業数もふえている。競争原理が働いているわけですから、それだけに制度金融、政策金融の方も公定歩合の引き下げ等に伴いまして少しずつは下がってはおります。下がってはおりますが、本当にいまのような体系で、今後一三%から一五%の間はそういうようなもので受け持っていかなければならないのかどうか。そしてまた、郵便貯金が果たさなければならないその役割りは一体何なのか。こういうような状態の中で過剰流動性の問題やらいろいろな問題が考えられますので、財政と金融との接点をどういうふうに構築をしていくのかというのは、いままでのシステムだけで考えないで、もう少し新しい今日の時代に適応したあり方をひとつ御検討をいただいて、そして、大量の国債発行がしばらくは続かざるを得ないわけですから、そういうような面から、あるいは外為会計からの過剰流動性の発生等も心配をされるような状況でございますし、いまのような調子がずっと続いていくとはどうも予測ができないような状況でございますので、そこら辺を十分検討していただきたいということを最後に要請申し上げまして、終わりたいと思います。
○楯委員長 原茂君。
○原(茂)委員 委員長席に見なれた方が今度は大臣席に座ったわけですが、決算委員会の立場でいろいろ、決算委員会に理解のある大蔵大臣から、この際、従来問題としてきました問題のある意味では最終的な答弁なども実はちょうだいしたいということも含めて、きょうは三点ぐらいお伺いをしたいと思います。
 最初に簡単な問題ですが、還付加算金のいわれと、特に五十年度、五十一年度を比較しますと、予備費の使用額が五十年度は非常に多い。五十一年度は非常に少ないのですが、この理由、この二つを先に当局から……。
○西野政府委員 お答えいたします。
 まず還付加算金の趣旨と申しますか、先生御質問のいわれという点でございますが、この還付加算金につきまして、やはり支払いまでの間に期間が経過いたしますので、その間の利子相当額と申しましょうか、そういったふうな趣旨で還付加算金が付されることになっております。
 それから、還付加算金の最近の推移でございますが、四十九年度は四十三億一千五百万円、五十年度は八十億九千八百万円、五十一年度は五十三億三千四百万円、こういうふうな推移になっております。それで当初予算額に見積もりましたものが、四十九年度は三十三億五千五百万円ということでございまして、予備費を九億六千万円使っております。それから五十年度につきましては、予算額が四十一億五千二百万円でございましたので、予備費の方は三十九億四千六百万円と予算額に近いような額になっております。それから五十一年度につきましては、予算額が五十億八千二百万円、予備費の使用額は二億五千二百万円、こういうふうな状況になっております。
 五十年度につきましてこの還付加算金額が予算額の倍近くになりましたのは、法人税の還付金が非常にふえたというようなことが主な原因でございまして、そういった従来の四十七年とか四十八年からの推移に比べまして、特にこの五十年度における法人税、それからまた法人が受け取ります配当とか利子にかかる源泉所得税、そういったものが、法人所得の大きな落ち込みによりまして所得金額が少なくなるとか、あるいは欠損が生じまして欠損の繰り戻し還付を受けるとか、そういったふうな原因によりまして大きくこの還付金がふえ、それに伴いまして還付加算金が大幅に増加した、こういうふうな状況でございます。
○原(茂)委員 この傾向は五十一年、五十二年は見通しとしてはどうですか。いまの法人税は、特に現在の状況からいくとやはり相当大幅に予算額を上回るような見通しになるのですか。
 それが一つと、もう一つは、常にこれは予備費の使用で賄うということに原則はなっているわけですか。
○西野政府委員 この還付加算金の見積もりを立てます場合には、過去の五年間くらいの推移でありますとか三年間くらいの推移でございますとか、そういったふうな実績をもとにいたしまして、その後の伸びの趨勢というものを勘案いたしまして見積もることにいたしているわけでございます。
 それで、たとえば五十一年度の還付加算金の見積もりという場合におきましては、先ほど先生御指摘がありましたように、五十年度につきましては予備費を非常に多く使うような事態になった。しかし、こういった五十年度の実態と申しますのは、例年の状態において発生するような背景で発生したものではなくて、景気が非常に大幅に落ち込んだというような事情によるものでございますし、四十九年度につきましても、そういった傾向のはしりといいますか実態が背景になっておると考えられますので、そういった異常な年度につきましてはこの趨勢値をとる場合には除きまして、それ以前の通常と見込まれる年度の数値をベースにいたしまして、その後の伸びといったものを勘案いたしまして積算をいたしております。
○原(茂)委員 そうすると、この種の計算は大体五年間を基礎にして組んでいくわけですが、五十年度のこのばかげた、多額な還付が起きたということは、見通しが甘かったといいますか、何か基礎がでたらめだったというか、ただ五年間の統計だけで何か発生したら仕方がない、それを予備費で賄うというようなことに安易にしていくようにこの数字を見ると見えるのですが、そういうやり方でいつもやるのかということを二つ目に聞いたわけです。
○西野政府委員 お答えいたします。
 積算につきましては、私ども長年の還付加算金の推移といったようなものを見きわめまして、それをもとに還付加算金を積算するということにいたしているわけでございます。確かに四十九年から五十一年につきましては予備費を使用いたしておりますけれども、それ以前の時期におきまして、四十七年度、四十八年度につきましては予備費を使用しないで済んだ、こういう時期がございます。
 したがいまして、この還付加算金の予算額の見積もりがどういうふうな状態であるかということでございますが、そういった過去の事跡を踏まえまして、この予算額の範囲内でおさまった時期、それからまた五十年度のように異常に予算額をオーバーして倍近くになったという時期、そういった各時期の経済情勢の変化というものをよく勘案いたしまして、予算額を見積もることにいたしているわけでございます。
 確かにこの五十年度におきまして還付加算金が予算額の倍近くになったということにつきましては、この五十年度の還付加算金額の予算を積算する段階におきましては予想できなかったような経済の激変があったということでございまして、今後におきましてはそういった点につきまして十分いろいろな情勢を勘案いたしまして、還付加算金の予算額の積算をいたしてまいりたい、このように考えております。
○原(茂)委員 そうすると、先ほど第一問にお伺いしたような五十二年度から本年度にかけてはこんな大幅な見込み違いはもうない、こう言えますか。経済の激変というのは四十九年、五十年にあった。だから、経済の激変とは言えないいまの状態だと思うのですが、これは相当程度見越しのできる経済の状況を、予算を組む当初から歳入の面でも見積っているわけですから、したがって、五十二年度、五十三年度にはこのような大幅ないわゆる予備費からの支出はない、こう見ていいわけですか。
○西野政府委員 五十二年度につきましては、一億九千万くらいの予備費の使用額になる見込みでございまして、そういう意味では予算額の見積もりというのはそれほど違いがない実態でございます。以上でございます。
○原(茂)委員 還付加算金に関してだけちょっとお伺いしましたが、次は、これは大臣に御答弁をいただきますが、きのうの本会議でも関連する答弁がありましたが、メキシコで開かれました暫定委員会に大臣はおいでになって帰りました羽田の記者会見で、きのうも問題になっておりました七・五%というウィッテフェーン専務理事の私案ですか何か知りませんが、そういうものに対して、とてもわが国では無理だ、したがって六%強くらいがいいところだ。きのう福田総理は本会議場で七%くらいだ、大蔵大臣は羽田の記者会見で六%と言う。一%というずいぶんでかい違いがあるのですが、大蔵大臣の方が堅実で、福田さんの方が強気なのでということになるのですか。
○村山国務大臣 総理が七%と言われたのは七九年、八〇年を言われたのか、ことしの分を言われたのじゃないかと思いますが、そうですか。――私が申し上げておりますのは、中期経済計画がもう経済企画庁を中心にして立てられておるところでございます。それによりますと、ことしは七%を目指して全力を挙げます。それから来年以降五十七年度までの中期経済計画のフォローアップができておりまして、それはいずれも六%強ということをめどにいたしておるわけでございまして、今度大蔵省の方で、これと整合性を持つかどうかという、いわゆる昭和五十七年度までの財政収支試算、試算でございますけれどもお示しいたしまして、そうして歳出をできるだけ効率的にしていく、同時に一般的な負担増加も避けられないという立場から、五十七年に特例債を脱却できるかできないか、その六%強という実質成長との整合性を求めて試算いたしたわけでございます。
 したがいまして、私たちは従来から、ことしは特別の年でございますので七%強ということで臨時異例の財政措置あるいは金融措置を講じているのでございますけれども、五十四年度以降は六%強というのが中期経済計画の基本になっております。
 そういう意味で、暫定委員会におきまして、七・五%、あれはウィッテフェーンによりますとこれはシナリオでございますということでございまして、そんな深い意味があるわけではございませんが、あの辺のことをひとつめどにインフレなき拡大をやってはいかがですか、こういう示唆でございましたが、私は、恐らく七・五%ということは、いま日本が考えております中期経済計画からいってやはり潜在成長力を超える成長目標であろう、こう思ったものでございますから、特にコメントしておいたわけでございます。もとより相手の提案も非常に軽い意味で言っておるわけでございますので、私が申し上げたのも、ただ、日本としてはこれは少し高きに過ぎる、理由は述べておきました。そういうことで申し上げたのでございます。
○原(茂)委員 ところが、アメリカは、大臣が帰朝をしてそういう談話を発表した以後も、この専務理事のシナリオを中心に、やはり日本には七・五%はやってもらわなければ困る、こういう意思表示がされているとマスコミは伝えているのですが、これはアメリカのこういった強い意思、どっちにしても国際的に首脳全体の意向から言うと日本とか西ドイツはやはり何とかしてこの枠でやれ、アメリカあるいはなにはこの枠でというようなことも一応そのシナリオにあるのだろうと思うのですが、アメリカの強い意思表示、大臣の帰国以後なおマスコミによって報道されているこの七・五%はぜひ必要だ、やってもらう、こう言っていることに対してはどう思いますか。
○村山国務大臣 いま原委員がおっしゃった、アメリカが七九年あるいは八〇年について七・五%日本にぜひやってもらいたいということを言っておるという事実は、実は私承知しておりません。承知しておりませんが、あの空気から申しまして、それはアメリカはいろいろの考えがあって、日本はそれぐらい伸びる可能性がある、こういう判断をあるいはしているかもしれません。しかし、この問題は先の問題でございますし、IMFにおける取り上げ方というものが、言ってみますれば一種のめどだということでございますので、そういう問題はやはりお互いに率直に話していけば、私は大体納得のできる問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。ドイツあたりも、IMFからいろいろの勧告を受けるのはありがたいけれども、自分の国の経済は自分が一番よく知っているんだから余り一律にやらないでくれという発言がございました。
 それからなお、IMF全体の最初の世界経済の見通しと国際収支の調整過程という主要なテーマにおきましても、各国はそれぞれの国の事情に応じて、そしてインフレなき拡大あるいは国際収支の均衡を図るべきであって、それぞれの国の実情に応じてというところにかなりアクセントがあるわけでございますので、アメリカがどう言ったかわかりませんけれども、もしその必要があれば、今後その問題についても十分話し合いをやっていきたい、かように思っておるところでございます。
○原(茂)委員 それから、暫定委員会の一つの問題として提起されました各国の国際収支の監視体制の強化という問題について、これも大臣帰って触れておられたようですが、これは今後の国際会議でも、大臣が羽田でおっしゃったような意向を、正式機関として発足なんかすべきではないといったことを主張なさいますか。
○村山国務大臣 これも実はIMFの第二次協定案、改正案がもうすでに各国の合意を見て、これは成立しているのでございます。その中でIMFが各国の経済政策について監視制度をとること、これは各国は合意しておるのでございます。監視というと言葉がきついわけでございますが、サーベーランスでございます。基本的な問題は、やはり国際収支の世界的な均衡という問題は、あくまでもやはり実体経済の方の均衡が先である。為替市場での政策、いわば介入のようなものでございますが、それはかなり技術的な問題であるから、せいぜい乱高下を抑えるということに意味はあるけれども、一定のところに目標を置いてそこで。ペッグするというようなことはかえってマイナスである、投機を招きやすいというようなことは、欧州といわずアメリカといわず日本といわずできているわけで、恐らく多くの人の合意を見たところであろうと思うのでございます。
 そこで、国際収支均衡という面のサーベーランスは、実体経済における基本的な政策と狭義の意味の為替政策、その両方をサーベーランスするという意味なのでございます。すでにサーベーランスすることについてはだれも反対を唱えているわけではございません。ただ、そのサーベーランスを実際どういうふうにしてやるかというところで、まだできたばかりでございますので、いろいろな意見があったわけでございます。
 アメリカは、たとえばという話で一つの提案をいたしたのでございますが、今度第二次協定でできます協議会というものがございまして、これは投票数の八五%の多数をもってしないとできないのでございますから今後の問題でございますけれども、これができますと、総務会にかわりましてある種の権限を総務会から受けて決議機関として機能いたすのでございます。その協議会でサーベーランスをやったらいかがか、こういうアメリカの提案があったわけでございます。それで私はごく常識的に疑問を出したわけでございまして、前文にも書いてあるように、経済という問題は各国のそれぞれの事情によってやることであるから、こんな決議機関がサーベーランスをやって、決議機関だからといって必ず決議するとは限らないでございましょうけれども、もし決議という形で何らかのことが決まるようなことは、他国の経済に対して穏当ではないであろう、こういうふうに考えたものでございますから、従来どおりIMFの事務当局がずっと見て、勧告とかあるいは注意を喚起するとかという方法の方がより適切ではないであろうか、こういうことだけを申し上げたわけでございます。
 したがって、サーベーランスについてはだれもやることを反対した者はございません。やり方についてアメリカが提案いたしましたので、私は、さあ、穏当を欠くのじゃなかろうかというような意味で申し上げたので、それが実情でございます。
○原(茂)委員 わかりました。なるほど正式な決議機関というものに対する疑問ですね。
 それから、おいでになってどうでしょう、アメリカのドル防衛という点で何か熱心さがない、危機感が薄いといいますか、日本が騒いでいるほど、アメリカではドル防衛意識上においてどうもわれわれが考えるより希薄だというような感じをここにいて持つのですが、大臣は、行って接触してそんな感じはありませんか。
○村山国務大臣 これは私の受けた感じでございますが、アメリカの政府当局は少なくとも真剣に考えているように受け取りました。そして、石油政策の問題、インフレ対策の問題、いろいろこのようにやりたい。それから、内容は言いませんでしたが、国会との関係が非常にむずかしいようでございます。だから、いま政府の意図しているとおり石油法案がうまくいくかどうか、一生懸命やっているけれども、その点はなかなかむずかしい。場合によれば、国会の承認が得られなければ、内容は言いませんでしたが、追加的な行政措置をも考えていると言っておりましたから、かなり強い決意を持っていると思いました。
 第二番目には、IMFの二十カ国蔵相会議の場におきまして、一国残らずすべての国が、基軸通貨国としてアメリカのドルがいま安いということに対しては非常に困ったことだ、われわれも非常に迷惑をこうむっているという趣旨のことを、一国として言わない国はございません。これは当然のことでございます。
 それに対しますアメリカ側の応対を見ますと、少なくとも政府筋は一つも弁解はいたしません。われわれもまさにその重要性はよくわかっております。このとおり一生懸命やっております。こういう応対でございました。アメリカ側から公開の席上で、日本とかドイツの黒字国についての話は一切出ませんでした。また、個別会談をやりましたときも、向こう側から進んでそのことを言ったことはありませんでした。
 そういうところを見ますと、ずいぶん長年たったわけでございますのでIMFも問題の焦点がわかってきて、そしてまた現実的になってきているなという感じを受けて帰ったのでございます。
○原(茂)委員 いま国際基軸通貨としてのドルのことに触れられたようですが、国際通貨の改革問題に対しては蔵相はどういうふうにお考えでしょうか。やがて七月、これもまた主要な議題になると思う。大蔵大臣として現在どうお考えになっているのですか。
○村山国務大臣 私は、現実的な問題としては、IMFが提案している線が最も現実的であると思っておるわけでございます。すなわち、基軸通貨、よかれあしかれ長年の伝統の上に、金から離脱したといっても、いまドル中心でやっているわけでございます。加うるに、SDRの問題あり、金の問題がありますけれども、金はどちらかと言えば廃貨の方向に向かっているわけでございますし、SDRをふやすと申しましてもおのずから限度があるわけでございます。SDRを幾らふやしてみても、ドルのたれ流しがあのように大量に続く限り、それだけ効果が減殺されるということは当然なことでございます。
 したがいまして、アメリカ自身が基軸通貨国という自覚に立ちまして、ドルの安定の線に強く進んでいくということが最も現実的な対応の仕方であろう、少なくともここ当分の将来はそのような形ではなかろうか、こう思っておるところでございます。
○原(茂)委員 この問題の最後に、もう一点ついでにお伺いしたがったのだが、いまの変動相場制、これはすでにマネジメントフロートといいますか管理相場制の様相を呈しているわけですね。日本なんかは日銀がちょいちょい手を出して、まあこれは別に悪い意味の介入ではないのだ、こう言っていますが、あれだってどんどん重なっていきますと、変動相場制というもののあり方を変えていく非常に重要な要素になるだろうと思う。国際的に見てもマネジメントフロートという感じがいま強くなっているのですが、この変動相場制に対して、スミソニアン体制がずっと今日まで続いてきたのだが、今後日本がどう対応するかは七月の大きな問題になるだろうと思うのです。この点どうお考えですか。
○村山国務大臣 固定為替相場がもしとれればそれにこしたことはないことは言うまでもございません。しかし、アメリカの世界における相対的、経済的地位の低落と申しますか、特に金準備がほとんどなくなりましたから金兌換を停止いたしまして、それがきっかけになってスミソニアン体制になり、やがて変動相場になったわけでございますので、いまの世界の条件から申しますと、変動為替相場以外には現実的な方法はないように私は思っているのでございます。
 もちろん、変動為替相場には変動為替相場の利点、功罪があるわけでございますし、固定為替相場には固定為替相場の長短がございますが、まあ、とれない話をいまやってみてもなかなかできませんので、変動為替相場というものについてどのように安定させていくかという問題が、やはり主要課題であると思っているのでございます。それには、各国がそれぞれの国に応じて為替相場を安定させる方向で、実体的な経済政策をそのように向けていくということがやはり基本であろうと思います。
 それから、第二の問題は、為替市場の問題でございますけれども、これも過剰介入をいたしますと、かえって変動為替相場のいいところが失われるということも当然のことでございます。何が過剰介入であるか、この辺が実際問題として各国の議論の分かれるところなのでございます。
 為替相場の移り変わりを見ておりましても、去年の年初、大体二百九十七円ぐらいからずっと下がってまいりまして、一ころ、ブルメンソールの発表まで一二%ぐらい下がったように思っております。それからブルメンソールの発表以来十二月までに一一%ぐらい下がっておる。あそこでちょうど二百四十円台が記録されたわけでございまして、このときの一カ月余りのあの二%の急落、円の急騰でございますが、これが日本にとっては一番大きな試練であったと思うのでございます。その後、二月の半ばまで大体二百四十円台で終始しましたから、あのときに日本はかなり対応力をつけてきたのではなかろうかと私は想像しているわけでございます。その後、二月半ば以降また円がどんどん急騰いたしまして、一ころは二月、三月、特に三月の駆け込み輸出の関係もございまして、二百十八円まで落ちたわけでございます。
    〔委員長退席、馬場(猪)委員長代理着席〕
その後、日本の為替相場に対するやり方もあり、またアメリカもインフレ防止等に非常な決意を示しまして、そしてまた市場におきましても、マルクとの間のスワップあるいは金売却というところまでやっていきましたので、まあ、きょうの相場は二百二十五円というところまで戻しているわけでございます。
 こういったことを考えますと、やはり世界はいろいろな経験を積んで、為替の安定のためには何が基本であるか、そして各国はどういうことをやらなくちゃならぬかということを、恐らくみんな実物教育で少しずつ学び取りつつあるのではなかろうか。そういったものの一種の結集として、今度のIMF暫定委員会の冒頭の、これは事務局がつくったわけでございますけれども、各国の自主性というものを尊重しながら共通の目標に向かっていく、こういうことができたと思うのでございます。
 そういった意味で、私たちもIMFのあの基本的な考え方については異論はございません。あの中でこれに異論を唱えた国は一カ国でございましたか、為替市場操作というものが基本的な政策と同じぐらい大事だと言ったのは一カ国ぐらいだったと思います。大体合意が得られたのではないか、そんなふうに考えております。
○原(茂)委員 大臣の見通しとしてはどうですか。七月の首脳会議の後は、日本の円高も恐らくまた二百二十円を割るんじゃないかということが言われているのですが、これは一部ですが、大臣としては、年内、現在の二百二十五円より高くなることはもうないという見通しですか。
○村山国務大臣 私は金融政策を担当いたしておる者でございますので、相場の見通しについて言うことはタブーとされておるわけでございます。また、事実非常にむずかしい問題でございまして、一国だけの問題で決まるわけではなくて、相互作用で決まる問題でございます。アメリカのインフレがもしとまらないとすれば、これはなかなか大変なことになることは当然なことでございます。
 ただ、私たちが一般の人たちの感触を聞いていきますと、やや小康状態に入っているのではなかろうかというような空気がいま日本の各界に広がりつつあるのではなかろうか。それはまた世界の空気でもありましょうけれども、いま二百二十四円とか五円とかいうあたりで安定している最大の理由は、やはりそういった心理的なもの、あるいは将来の見通しを含めての心理的なもの、そういったものが働いているのではなかろうかというのが一般の観測だということだけは申し上げてもいいのかな、こんなところでございます。
○原(茂)委員 見通しはそれ以上無理でしょう。
 次に、一般消費税についてちょっとお伺いしたい。
 何か大蔵省は最近、今月中かどうか知りませんが、税調の総会をお開きになる、そして一般消費税の創設を中心にした税制改正の審議を始めるんだというように聞いていますが、その目的で税調をお開きになる、しかも今月かどうかというのが一つですね。
 それから、一般消費税について、大蔵省としては本来五十三年度に導入しようと考えていろいろと努力もされた。しかしながら、諸般の状況からちょっと無理がある、せめて五十四年度には導入したいというふうにお考えになっているんじゃないかと憶測ができるわけですが、これが二つ目です。
 それから三つ目に、この一般消費税というのは商品やサービスの取引に課税するわけですが、特に欧州共同体、ECでは、EC型付加価値税としてすでに定着をしているわけです。一種の間接税ですが、これを導入すれば消費、流通のすべてに課税をされる。税率はたとえ低くても、一挙に年間数兆円という財源になる。赤字財政の立て直しの切り札としては、どうしてもこれに手を出さざるを得ないようなわが国の現状になっているんじゃないかというふうに言われていますし、各界ともある意味ではびくびくし、ある意味では賛成をし、ある意味では反対をするというようなことで、これを中心にして、国を挙げて大変神経がとがってきているのが現状でございます。
 税調はすでに昨年の十月、中期税制に関する答申の中で、一般消費税の基本的考えをまとめました。さらに、昨年末の五十三年度税制改正に関する答申では、財政についての将来の展望のもとで、税制上一般消費税にどう取り組んでいくのか、これはもう避けて通れない課題なんだ、できる限り早い機会にわが国の経済取引に即応した仕組みの具体案を取りまとめて、これを基礎として、広く各方面の検討を求めるように措置すべきだというようなことを発表されました。これを受けて大蔵省は、例年より早く税調を開いて、五十四年度税制改正を目指して一般消費税の具体案づくりを進めようとしているんだというふうにいま言われておりますが、この一般消費税の基本的考え方としては、すでに昨年十月の中期税制答申の際に、一つとしては原則としてすべての物品サービスを対象とする、二つ目に売上高を、輸入取引の場合は引き取り価額ですが、課税標準とする、三つ目に小規模零細業者は除外する、四つ目に輸出取引や基礎的食料品は非課税とする、などが固まっていると言われていますが、間違いありませんか。
○村山国務大臣 昨年の税制調査会におきまして、一般消費税について検討を進めるように、そして特に余り抽象的なことでなくて、できるだけ具体案をつくってそれを早く公表して、そして国民の方々あるいは国会の方からも御批判をいただいて、そしてそれらの批判をもとにして、いわばたたき台となった具体案のようなものをさらに練り上げて必要な場合に実施してはどうか、こういう趣旨であろうと思うのでございます。
 ただ、問題意識としまして、税制調査会がそう言っておりますのは、わが国の財政というものが、言ってみますれば、歳入の方は現実のいま不況の減速経済を反映して普通歳入は伸び方が少ない、にもかかわらず、歳出の方は国民の非常な需要があるためにどんどん伸びているわけでございまして、その結果としてのアンバラがまあいわば特例債という形でしわ寄せになって出ているわけでございまして、本年度も約五兆円ぐらい出ているわけでございます。
 これをこのままにしておきますれば、やがて、財政の本来持っております国民から期待されておりますいろんな資源配分であるとか、景気調整機能であるとか、あるいはまた所得再配分とか言ってみても、それはいずれはだめになってしまうだろう。それからまた第二には、いずれ民間の資金需要が出たときには下手をすればインフレになる、それを早く防止することは当然の努めではないか、こういう問題意識で言っていただいたと思っているわけでございまして、特に一般消費税だけを取り上げたわけではございませんで、不公平税制を早く直せとか、あるいは既存の税金についても十分考えるべきであるとか、あるいはその中の一つの大きな項目として一般消費税を取り上げたということは、恐らくは、日本の消費税というものは各国に比べまして大体三分の一程度の負担である、そしてEC諸国においては一般消費税、一般付加価値税、そういったものがすでに定着しているけれども、日本は特定の特別消費税に非常に偏っておって、言ってみますれば酒とたばことガソリンというようなものに集中しておる、これはどんなものであろうか、こういう問題意識で恐らく一般消費税の提言をされておるのであろうと思うのでございます。
 私は、それはそれなりの一種の合理性を持っておりますので、この国会が済みましたあたりから、一般消費税という問題について、今度は具体的な検討に入りまして、そして早くたたき台をつくって公表し、あの点はどうか、この点はどうかというような、国民的ないろんな問題があると思いますので、そういったものを受けながら、さらによりよきものに積み上げたいと思っているわけでございます。
 それから、個別の問題に入りますと、そうは言ってもどこの国でもそうでございますけれども、一挙に一般消費税を全部にわたって、言ってみますれば付加価値税の場合には総生産にかけるような話でございまするし、そういう形でいくのがいいのか。初めはどこの国でもある程度無理のないところからスタートいたしまして、漸次整備しておるのが実情でございます。そういう意味で、免税点を一体どの辺に置くのか。基礎物資はどうであるのか。それから零細企業は除いたらどうであろうか。量的な面あるいは質的に、米などをまさかやるというわけにはとてもいきかねるだろうと思いますが、そういった性質的に除くものはどうか。あるいは零細なものを除くのはどんなものであろうか。それから課税標準としては粗利益がいいのか売り上げがいいのか、これも税制調査会は二つの考え方があるからよく検討しなさい、それとの絡みで税率もおのずから決まってくるであろう、こういう示唆をいたしているわけでございまして、そういった点を論議の中心に据えましてこれから検討を進めていき、それを発表することによりまして、各界の意見を徴して、実施までには十分な準備をしなければならぬのではないだろうか、このように考えておるところでございます。
○原(茂)委員 要するに、いま大臣が中身を少しおっしゃったのですが、逆進税の問題もあります。いろいろな問題がありますが、仕入れに対してどうするかの問題があったり、細かいことは大変でしょう。税率もどうしたらいいか、いろいろあるでしょう。あるでしょうが、税調は、いまちょいちょいたたき台、たたき台とおっしゃいましたが、大蔵省がたたき台を具体的に案を税調に出す時期がもう来ているのでしょう。ということは、五十七年に特例公債、赤字公債をゼロにするなんということは、いまの状態ではとてもこれは神わざでもできないということになれば、一般消費税に頼る以外ないということが、すでに大蔵省の固まった方針として、しかもできれば五十四年度からやりたい、こういうふうにもうすでに固まっているし、できるならそうしたいとお考えになっているというのが大蔵省の本心じゃありませんか。
○村山国務大臣 この前の財政収支試算でお示ししているところは、可能であるかどうかということと、多分に願いを込めて出していることは事実でございます。そういう意味で、この一般消費税の問題については、税制調査会を中心にやるわけでございますが、そのときに大蔵省も、事務当局とでございますけれども当然いろんな資料を出しまして、そして各委員の方々、これは専門家がたくさんおりますから、財政の専門家、金融の専門家、それから経済の専門家、各界の方が入っておられますから、総合的に資料をお出しし、その意見の取りまとめに事務当局といたしましてできるだけの御援助を申し上げ、そしてできればいい案をつくっていただきたい、こういう構えでいまやっているところでございます。
 問題は、いろんなそのときの、来年度の経済状況がどうなっているかというのが実は一番心配な点でございまして、少しでも見通しがついてくるような、将来の展望が国民的にある程度見込まれるというような事態がわれわれは一番望ましいわけでございます。しかし、それとは別にいたしまして、いずれにいたしましても、少し中長期的に見ますれば、負担の増加ということは避けられないことは確かであろうと思っているわけでございます。
 歳出の方も、この前の試算でお示ししましたように、かなり思い切って優先順位を決めざるを得ない。それと同時に、歳入につきましても、一般に比べますれば、まあ英国のような特別高いところは別にいたしまして、大体普通の国の三分の二くらいの負担、特に消費税は三分の一というレベルであるわけでございますので、何とかして早く財政の健全化あるいは将来の起き得るであろう経済の変化にあらかじめ対応しておくことが大事ではないか、こんな気持ちでいまこれから取り組むつもりでおるわけでございます。
○原(茂)委員 したがって、できるなら一般消費税もせめて来年度あたりからはやりたいという考えですね。その点についてもう一遍お答えをいただいて、次の問題に移ります。
○村山国務大臣 そのように早く実施ができるような状態になることを、われわれは望んでおるわけでございます。
○原(茂)委員 次に、北富士の払い下げ以後の経過と現状についてお伺いをいたします。
 最後に大蔵大臣から御答弁いただきますので、そのつもりでひとつお聞きを願いたい。いままでの経過は御存じだろうと思います。
 私、これまでずいぶんしつこいほど執拗に、当委員会においてこの北富士の問題を取り上げてきました。ある意味では政治生命をかけるような決意で、そういう信念でこの問題を取り上げてきたことは事実でございます。しかし、この問題は決して華やかな問題ではありません。この北富士問題が提起する幾多の経済的、法律的、政治的諸問題、ずいぶん歴史がありますが、これはいわゆる法治主義、議会主義、国民主権を確固不動のものとして確立して、あるいは充実していく上で、この決算委員会で取り上げるに値する価値ある内容なんだ、このように信じているわけであります。私も二十六年の国会議員生活を通じまして最重要案件としていままでこの問題に取り組んでまいりました。中でも北富士返還国有地二百十四ヘクタール払い下げの問題はその主要問題の一つだったわけであります。
 私は、昨年九月五日の払い下げ契約締結まで、当委員会においてのたび重なる質問や意見を通じまして、特に大蔵当局の誠意のない対処の仕方がやがて紛争事態を起こしかねないという警告を表明し、問題解決のための協力などを誠心誠意訴えてきたことは事実であります。記録をごらんいただくとよくわかります。同時に、払い下げ契約の直前あるいは直後においても残念ながら大蔵当局の誠意ある処置や態度が全く見られないことを指摘いたしまして、一つには、山梨県に払い下げ手続をする前に法的責任と行政責任とを有していることを警告してまいりました。
 それだけでなく、私は、成田のような惨事は絶対に避けなければいけない。大蔵当局が県への払い下げをする前になすべき法的処理を違法不当にも行わないならば、それは現行法の地盤の上で行動し、法律の侵害に対して現行法を擁護する北富士農民を、大蔵当局自身があえていわゆる暴徒に変えてしまうことではないかと警告をしばしばいたしてまいりました。
 大蔵省は口を開きますと、山梨県が、山梨県がと繰り返している。それほどまでに信頼する山梨県は、円満に地元問題を解決するために万全の努力を払ったかどうか、大蔵省の期待どおりだったかどうか。県が万全の努力らしいことをやったとするなら、まず地元市村のレベルに、第三者の機関たり得ないものなんですが、処理委員会なるものを設置いたしまして地元利用権者の抹殺を図ろうとしたこと、これが一つ。次に、地元利用権者、なかんずく忍草入会組合の占有を違法に侵奪したことだけであります。
 四月十三日、県と組合が同地に植栽を強硬に開始したことで、以後現地ではトラブルが頻発いたしております。これは大蔵省もお調べになってわかっているはずであります。私はついこの間、五月二日に現地視察をいたしました。恩賜林組合議員が忍草入会組合の関係者に全治六週間の重傷を負わせました。まさに私が警告しましたような流血、傷害事件が起こっておりました。残念ながら私が心配した事態がすでに起こりつつあるわけですが、しかもその原因が、すでに指摘しておきましたように、大蔵当局が契約以前に当然処理しなければいけない法的、行政的手続を何もしない。ただ、山梨県が全力を挙げて解決を図ると申しておりますの一点張りで、問題解決の責任を回避してきた大蔵当局自身に原因があることは明白だと、私はきめつけたいと思います。しかし、理由はともあれ、このような小なりとも流血の惨事を見たトラブルを、これ以上引き起こしたり拡大したりすることは断じて避けなければいけないといま考えています。
 まず、大蔵当局は、現在の事態をどのように把握、理解し、また具体的にどのように対処しようとしているのか、これを簡単に明瞭にひとつお答えを願いたい。これは次長で結構です。
○川崎政府委員 植栽をするに当たりまして、先生御指摘のようなトラブルがあったということは逐一報告を受けておりまして、残念なことだと考えております。山梨県といたしましては、大蔵省と契約をいたす前あるいはいたす直後からずっと最善の努力を続けてまいったものと私ども考えておるわけでございますけれども、何分現地でのいろいろのトラブルと申しますか、意見の相違、そういったものは、やはり私ども大蔵省が直接云々というよりは現地で県が主体となって十分話し合いをしていただき、植栽をやっていただくということが適当であろうかということで、ずっと県の相談相手としていわば指導をするといったようなことをやってまいったわけでございます。
○原(茂)委員 それは、いままでの払い下げの中央審議会の書かれておりますあの条件なりあるいは国会においても当委員会あるいは本会議等で民生安定その他のための決議をしたりした、住民の意思を尊重する等の決議をした、そういうことに準じて大蔵省は責任を持って指導に当たる義務があったわけだ。その義務を、責任を果たすためにおやりになってきたのだ、こういう意味ですか。
○川崎政府委員 山梨県とよく相談しながら指導してまいるという意味で、逐一山梨県の相談を受けておったわけでございます。大蔵省としましては、植栽の事業が円満に遂行されることを現在も心から望んでおるわけでございます。
○原(茂)委員 抽象的に逃げないで、もう一遍もっと具体的に聞きますから言ってください。
 この二百十四ヘクタールの払い下げに関して中央審議会の、いわゆる大蔵省も十分山梨県を指導をして地元住民の意思を尊重、その他トラブルも解決していくようにという付帯条件がありました。国会の委員会においても、本会議においても、坊大蔵大臣なり福田総理みずから発言した本会議の答弁などにも、関係する住民の意思を尊重して問題の解決を図るということを言った、そのいわゆる国、すなわち大蔵省が、これを受けて山梨県を指導をする責任を果たす意味で今日まで山梨県と大蔵省が協議をした、責任を持って指導をしてきた、指導をしていきます。こういう意思表示ととってよろしいのですね。
○川崎政府委員 誠意を持って相談に当たっていきたい、指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
○原(茂)委員 もう一度、誠意を持ってやるということは、いままでの中央審議会の払い下げの条件なり国会の決議等に従って、誠意を持って山梨県と協議をしてこの問題の解決あるいは指導をしてきたということは、すなわち国も大蔵当局もやはり責任を感じてこれを行ってきたし、これからも責任を感じて指導を行っていくという、責任という言葉を私がわざわざ言っているのですが、それがなければいけないと私は思うのです。いわゆる法律とは違う、中央審議会の払い下げの一つに何があろうとそんなものは法律じゃない、国会の中における大蔵大臣の答弁がどんな答弁であろうとも、本会議における福田総理の答弁がどんな答弁であろうとも、それは行政的な意味はあるけれども法律とは違うんだから、何ら国すなわち大蔵省当局者は関係しない、そんな責任は負わない、そういうことではないと思う。もしそうであったら大変なんだ、したがって、そういった二点のいわゆる行政的な責任を負わざるを得ない国すなわち大蔵省は、山梨県にその責任を感じて、誠意を持って、責任とともに誠意をあらわしながら山梨県との協議をずっと続けてまいりました、今後も責任、誠意を持ってこの問題の解決に当ります。こういうように言えば問題は解決しますが、そういうふうに理解してよろしいのでしょうということをもう一度具体的に、そうでないならそうじゃないと言ってください。
○川崎政府委員 先生おっしゃいましたこと、大体そのとおりであろうかと思いますけれども、何分払い下げの契約といいますものが私契約でございますから、あらゆる事態が起こった場合にすべてに対して大蔵省が法律的責任を持つかという意味では、さようなことはないと思います。しかし、誠意を持って、また責任を感じてやってまいりたいということは常々申し上げておるとおりでございまして、どんな事態が起こってもその法律的な責任を大蔵省がかぶるということは、現在の制度あるいは私契約のたてまえということからはあり得ないというふうに考えております。
○原(茂)委員 要するに誠意を持って責任ある態度で相談には乗るけれども、現在起きているあるいはこれから起こるであろういろいろな問題に対する法的全責任を負う立場ではない、そういう言いわけですね。結構です。どんな問題が起きてもその法的な全責任を大蔵省が負うべきではないという見解は、大蔵省の見解として一応私は聞いておきます。私は、この問題に関する限り、全責任を大蔵省が負うべきだと考えます。
 次に、理由を言います。
 しかしながら、いま言われたように、やはり責任を持って誠意ある態度で山梨県を指導し、今後も責任、誠意を持って山梨県と事態解決に努力をすると言った前半の答弁、これはきょうの前半のつべこべ答弁をしているよりは一歩前進だと思うから、非常にいいと思います。
 そこで、次に進みますが、このトラブルがいま起きている、しかも全治六週間という重傷を負わせるような傷害事件まで起きた。そうして植林すればその植林は抜かれるということ、行ったりきたりずっとやっていて、その派生するところ、一体また成田を想像するような他の勢力、力による介入があって、われわれがかねてから心配したような事態になりかねないのではないかという心配を前から持っておりましたが、現在現実のものとして心配しているわけです。したがって、このトラブルの原因についてここで改めて申し上げてみたい。
 大蔵省当局の占有引き渡し義務の不履行、これが今日のトラブルの最大の理由だというふうに私は考える。要するに、法的責任論をいまここで展開してみたい。
 払い下げ直前の昨年八月二十二日、当委員会において、占有移転義務をどのように果たすつもりか、現に忍草、新屋の農民が事実上土地を支配占有している現実をどう処理するのかという質問を私はいたしました。
    〔馬場(猪)委員長代理退席、委員長着席〕
川崎理財局次長は、実際に耕作している農民のある事実は承知しておりますが、権利はないと考える、占有引き渡し義務の点、つまり土地の状況については現状のままで売り払いを行うということで国と山梨県とでいわゆる了解がなされており、山梨県の責任において円満に解決いたします。そういう答弁を次長はしている。要するに大蔵省はその権原については否定しているものの、忍草、新屋の農民が占有している事実ははっきりこれを認めたのだ。いまでも認めざるを得ないと思います。それを承知の上でその問題解決の責任を県に負わせている。当局は県の言うことをそのままうのみにして信頼してきたのでありますが、私は、法的、行政的問題の解決なしに払い下げるなら必ず自後に憂うべき事態の招来することを指摘いたしまして、誠心誠意大蔵当局が適正な措置を講ずるように忠告したにもかかわらず、問題解決なしで払い下げ契約を結んでしまったという事実が現実にございます。
 しかし、その県を信頼してきた結果は、いまのトラブルをもって報われているのが現実であります。すなわち、この国が信頼した県及び恩賜林組合の回答は、忍草農民の有する占有を何ら占有排除の法的手続を経ないで暴力的に実力排除することであったわけであります。
 この期に及んでもまだ県は、「完全な所有権を取得しており、入会権はない、また恩賜林組合は地上権を取得している、だから植林するには何の違法も存していない」と言っております。だが、たとえ所有権が県にあり地上権が組合にあろうとも、忍草農民がその生存をかけその体を張って、実に三十有余年にわたって支配、管理してきたり、現に占有を継続している事実は、否定できない厳然たる事実であることを認めてもおいでになる。
 それが、事もあろうに、県、組合、いずれも地方公共団体と言われているものであるのに、法治主義の原則をみずから破壊して忍草の入会権に基づく適法かつ平穏な占有を撹乱して侵奪を行ったのであり、それがいまの現実の紛争の事態であります。
 県の円満解決とはこのことであったのか。なるほど県と組合はこの五月一日、忍草入会組合を債務者として植林妨害禁止の仮処分を甲府地裁に申請しました。御存じのとおり。だが、この仮処分の申請はどうしてされるようになったか、またなぜ初めからこれをしないでいまの時期になって行うようになったのか。この申請は、今回行った実力による占有侵奪を合理化し、今後の植林強行の法的裏づけを得ようとするものにほかならないと思います。それも、忍草農民の入会地を守る、いわゆる自救行為による抵抗に遭って特に栽培牧草地に実力で植栽することが不可能だと判断されてから初めて行ったのであって、可能とあらば法的手続を経ない占有侵奪をも一向にいとわないことは紛れもない事実だと思います。
 では、かくまで問題を紛糾させ問題解決を困難にした真の原因はどこにあるのか、私ははっきりと断言する。それはかかって大蔵当局が払い下げ以前に当然処理すべき法的責任を回避してサボタージュしたこと、特に国の占有引き渡し義務の不履行にあると言わなければなりません。
 大蔵省は、忍草等の占有はそのままにして現状で売り払いを行うことで国と県で合意していると答弁をいたしてまいりました。それでいて、半月もたたない払い下げ契約では、その条項はどこにもない、一字も載ってない。かえって、同契約書第七条において、国は本件土地の所有権の移転する時点に売買物件の引き渡しをなすこと、つまり同地の占有を移転することを約束している。これは何たる無責任、何たる国会軽視か。法治主義の原則や行政の原理を大蔵省みずからじゅうりんしたものと考えるわけであります。
 行政に携わる者が、国会、国民を欺いて法をじゅうりんし、いわゆる権限を発動する、行政権が議会のコントロールに服さなくなったときには、その行きつくところファッショたることは歴史が証明いたしておりますけれども、さきに大蔵省当局は忍草等の占有の事実を知っていた。承知の上で、契約書第七条においては、占有引き渡し義務を約束した。にもかかわらず、昨年の払い下げ契約以降今日に至るまで占有引き渡し義務を果たしていない。かかる占有引き渡し義務は国がはっきりと払い下げ契約上約束しているものであって、山梨県が植林を適法に開始し得る法律状態をつくり出す責任は、いまでも国にある。買い主たる県は、国に対して、植林が完全にできるように忍草等の占有を排除せよとの請求権を持っているものであって、県や組合がみずから排除の法的手続をとる義務はさらさらなかったはずであります。
 大蔵省は、払い下げ契約書第七条の占有引き渡し義務をいまもって果たしていない。しかも、今回のトラブルを引き起こした真の原因は、かかる国の占有引き渡し義務の不履行にあることは間違いありません。それが今回の現地における県や組合の法治主義に外れた占有侵奪、重傷者を出す暴力行為となった原因であります。これらの法的責任は、挙げて国そのものが負うべきものであります。もはや県が円満に地元問題を解決するために万全の努力を払う等々の言辞を弄することをもっては、真の問題解決に一歩たりとも近づき得ないことは言うまでもありません。
 問題は、県ではなく国、大蔵省がこの法的責任をどうするか、真の問題解決のために具体的にどう対処するのかにかかっていると思います。
 なお、さらにトラブルの原因は、大蔵当局の、国会指摘事項、国有財産中央審議会答申の不履行、これにあるということは、先ほど申し上げたとおりであります。
 なるほどこの指摘事項や審議会答申というのは、法律そのものとして行政庁を拘束するものではないかもしれない。これも先ほど申し上げたとおりです。大蔵当局がこれらを尊重、遵守して行動すべきことは当然であって、不当にこれを軽視することは許されない行政責任を負っているものだと思います。
 しかもそれだけではなくて、これによって国、大蔵省は利用権者の意思を十分に尊重しつつ、県を指導して円満な解決を図るという、いわば法的な債務を負担させられていると言ってもいいのであります。大蔵当局はこの債務に対してどのように対処したか、利用者の意思はどのように尊重されたか、県に対してどのような指導がなされたか。残念なことに、大蔵省が誠実にこの債務を履行した跡はどこにも見当たりません。
 かつて大蔵当局からは、国と県が協議をしながらやるとの答弁はあったし、実際その協議も行われていたでございましょう。この点からすれば、国の指導はこの協議の形で行われてきただけと言えます。
 だが問題は、その協議の中身と、それが事態の進行の中にどんな具体的姿となって現象してきたかにあるのであります。その協議をしてきた結果はどうであったか。それは事態の推移としての現在の現地の紛争が物語っております。
 しかし、今日の事態をそのまま黙視することは許されません。以上の点を踏まえて、現在の事態に対する対処の仕方について、大蔵大臣の責任ある答弁をお伺いをしたいと思います。
 ここでつけ加えておきますが、自分自身をウジ虫にした者は、後になってたとえ足で踏みにじられても不平を訴えることはできません。三十有余年生活をかけ生存を守り抜いた土地から追い出されその生存を否定されんとしている北富士農民が、必死になって抵抗し生存の権利を主張するのは、人間としてみずからをウジ虫にしたくない以上、しない以上、当然の権利の主張なんだということを、私は確信をいたしております。どうかこれらを踏まえていままでの経緯をお考えの上で、中央審議会の付帯条件あるいは当委員会、本会議等における大蔵大臣、なお総理大臣の答弁等をよくお考えの上で、現在この事態になっておりますこの段階で一体今後どう対処されるのかを、責任ある大臣の側から答弁をお願いしたい。
○川崎政府委員 先生御指摘のいろいろの点は、以前から十分承っておったところでございますけれども、その法律的な見解、法律的な面という点につきましては、前々から私ども関係当局といろいろ相談して申し上げておりますように、先生の御見解とは違うわけでございます。
 しかしながら、こういった事態が起こりましたことにつきましては、山梨県も十分なお善処したいという気持ちもあるようでございますので、よく相談をいたしまして、一刻も早く円満に植栽が行われるようにというのが、私どもの偽らざる希望でございます。
○村山国務大臣 原委員からだんだんとお話がございました。私も、この問題につきましては事務当局からずっと経緯を聞いておるのでございます。法律的な問題あるいは事実的な問題、それからそういったいろんな問題が絡み合っているように思います。そしてまた、それは非常に長い、私の聞いたところではずいぶん長い歴史的経過の中でこういう問題に発展したということでございます。大蔵省は大蔵省としての法律的見解に立ちまして、そしてまた、それがベストであるという考えで処理したと聞いております。
 しかし、いま紛争の起きているのは事実でございます。このことは私はきわめて不幸なことであろうと思いますので、そういった事態の円満な解決につきましてどのようにしたらいいか、この点は私も篤と考えましてできるだけのことをいたしたい、こういういま感じでおるわけでございます。
○原(茂)委員 最後に申し上げておきますが、いま私がるる申し上げましたように、大臣も言う、確かに長い歴史があります。いろいろな問題が派生してきました。しかしながら、よくせんじ詰めますと、いま起きている紛争も一つのあだ花なんでありまして、もとは大蔵省の法的、行政的な責任がその前にあった。
 もう一度復習するようですが、二百十四ヘクタールの払い下げを行う前、当然占有権があるならその占有権の排除を法的にも行政的にも国が行ってから山梨県に払い下げを行うべきだということを、再三忠告をした。その占有権のあることを認めておきながら、その占有権に対して法的に排除することをしなかったから、しないままで山梨県におっつけたから、山梨県は気の毒にもこの占有権排除の問題に、いま現地の紛争としてあらわれるような、いわゆるかかわり合いを持たせられているのが現状です。この点をよく考えていただくとわかるんですが、いままで坊大蔵大臣のもとにおける次長なり理財局なりいわゆる幹部諸君が、つい行きがかりといいますか、ある種のイナーシアでやってきたと思います。
 しかしながら、どこかで問題のけじめというものをつけるために、中心的なものがどこにあるかはやはり反省をして、それに対して謝罪だ何だということを要求するのではありません。やはり国は国としての力をもって、みずからの反省でコントロールしながら方向転換を行い、その反省を現実の問題として何らかの形であらわしていくという、訂正なり是正を何らかの形でしていかない限り、真の問題の解決にはならない。
 誠意を持って山梨県を指導したり、責任を感じながらとにかく協議をしたりというような抽象的な答弁で、まあそれでもないよりはましですが、ただそのときそのときを糊塗していって何とかなるだろうと言っている問に、いまわずかと言っては気の毒ですが、どの人か知りませんが一人、六週間の重傷を負う、下あごの骨を折られるということが、ただ起きただけで済んでいるうちはいいんですが、私は警告をまたしておきますが、これ以上この種の問題の起きないように、これ以上成田に準ずるような、大きなほかの勢力の介入によって現地の紛争を拡大しないように、どうしたらいいかは、当局として当然考える必要があると思います。
 いま負傷をされました方は一人のようですが、この人が国を相手にして損害賠償請求の訴訟を起こしても、ある意味では私は至当だとすら考えている。当然そうすべきだ。そのくらいにして、大蔵省としっかりと取り組んでいかないと、ただけがをしました、県立病院へ入りました、治りました、これで過ごしてはいけないと思うのです。この種の問題に関する限りはそのもとを、イタイイタイ病その他の病気ではありませんが厚生省を相手にある種の目的を達した患者同盟のように、やはり傷害を受けた重傷者は、国を相手どって損害賠償請求訴訟を起こすというくらいのことをしても妥当だと考えるほど、私は信念を持って申し上げておりますので、大蔵大臣に、ぜひひとつもう一度これを見直して急速に現地の紛争の解決のできるような十分な配慮をお願いして、終わりたいと思います。
 大臣からもう一言、これに対してお答えをいただけば、それで結構です。
○村山国務大臣 原委員から本当に切々たる御意見を承りました。いろいろな法律的見解、そういったものにつきましては、あるいは大蔵省と申しますか国の方は違う見解を持っているかもしれません。しかし、問題は、いま紛争が起きて、そしてお互いに不幸な事態になっているということでございます。私にこれから何ができるか、こういうことを真剣に考えまして、県とも十分に相談いたしまして、最善を尽くしてまいりたい、かように思っているところでございます。
○原(茂)委員 終わります。
○楯委員長 馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 私は、最初に、予算の不用額についてお伺いいたしたいと思います。
 昭和五十年度の不用額の合計が千九百五十六億六千四百万余円、その前の年も大体千八百億、そして五十一年度は二千二百五億円というふうに、二千億前後の不用額を生じておりますが、各年度とも見てみますと、大体において退職金や給与等の関係のもの、あるいは交付対象が予定より下回ったものというふうに分けております。五十年度だけ見ても、退職手当等の合計が三百十五億ありますし、そして交付対象が予定より下回ったものの合計だけでも七百八十六億ほど数えられるのですが、退職手当などは、例年大体どれくらいやめていかれるのかというようなことについて統計的にもある程度とらえられると思うのですが、そういった点の予測はできないものなんでしょうか。
○山口(光)政府委員 一般会計の不用額の推移はただいまおっしゃったとおりでございますが、一般会計の規模に対しまして〇・九%程度でこのところ推移しているわけでございます。ただ、予備費不用額がかなりございますので、これを除いてみますと、五十年度は若干高くて〇・八%程度でございますが、四十九年度、五十一年度は〇・六%程度ということでございまして、全体として見ましてこの程度の不用額が出るのはやむを得ないではないかという感じがいたします。
 ただ、おっしゃるとおり予算の積算を注意して行いまして、なるたけ正確な見積もりを行うことは当然のことでございますので、そういう面については決算における不用額なども参考にいたしまして計上に当たっておるということでございます。
 退職手当でございますが、退職手当も過去の経験値などから所用額を計上しておるわけでございますけれども、やめる人が出るのは偶発的な要素がかなりございますので、ある役所では余る、ある役所では足りない、足らないところは予備費の使用がある、余る方はただいまお話のように不用額が出てくるということにならざるを得ないのではないかと思いますが、退職手当を故意にしぼって計上するということもいかがかという面がございますので、これもある意味ではやむを得ないところがあろうかと思うのでございます。
○馬場(猪)委員 一〇〇%使えるというのは考えられもしませんし、ある程度の率はやむを得ないと思うのですが、しかし大体において、いただいた資料によって見てみますと、毎年同じような傾向をたどっておるところがずいぶんございますね。たとえば国税庁の場合は五十年度で九十六億ですか、それから五十一年度は百十五億ですか、こういうふうに固定的にずっと非常に多くあるようなところはございますけれども、傾向としてそういうものはある程度つかまえられるのではないでしょうか。
○山口(光)政府委員 それはおっしゃるとおりでございまして、ある程度つかまえられるわけでございますが、さりとて過去の経験から外れて急に落とすというわけにもいきませんので、これは景気の情勢等にも関係があって、やめる人の数は相当変動するものでございますから、若干のゆとりを持ったところで計上するという場合もございます。
 いずれにいたしましても、不用額の出方も将来の予算編成の参考にすることは確かでございますから、今後におきましても、過去の傾向、それから決算状況等勘案いたしまして、適正な予算額を計上するように努めてまいりたいと思います。
○馬場(猪)委員 いま挙げました、たとえば国税庁あたりですね、私はいま二年しか資料をいただいておりませんので、五年間くらいとってみたらどうですか。やはり同じような傾向が出ておりますか、それとも非常に多かったり少なかったり、そういう例が出ておりますか。
○山口(光)政府委員 申しわけございませんが、ただいま五年間の資料は手元にございませんので、ちょっと答弁いたしかねます。
○馬場(猪)委員 恐らく固定的にずっと退職金の項なんか余っているのも相当あると思いますので、それはまた後ほどひとつお知らせいただきたいと思います。
 交付金の減額によるものというのも非常に多いわけです。たとえてみますと、建設省ですね。建設省が五十年度で二百四億ですか、そして五十一年度は百三十八億出ております。こういう建設省の住宅建設事業については、こういうものなんかは本当はある程度見通しがついているのじゃないでしょうか。
○山口(光)政府委員 ただいまのお尋ねは公営住宅の建設費の補助のお話かと思いますが、御承知のこととは思いますが、東京、大阪などのような大都市を中心といたしまして、地方団体が公営住宅の建設につきましていろいろと苦労しておるということはもう御案内のとおりかと思います。用地の問題、それから関連公共施設の整備について地元市町村との調整がなかなかつかない。それから近傍の住民との問題等々、いろいろむずかしい事情があることは御承知のとおりでございます。その結果、予定いたしました戸数の消化ができませんで不用額を毎年出してまいったわけでございまして、従来から消化を促進いたしますように、たとえば関連公共施設の整備に対する助成でありますとか、あるいは立てかえに対します助成でありますとか、あるいは工事費等々の単価を適正化するというような、いわば消化しやすいような施策を講ずるということをやってまいりましたが、五十年、五十一年あるいは五十二年におきましても予算で予定いたしました八万五千戸は消化できない、六万戸台という消化でございまして、五十三年度予算におきましては、大変残念でございますけれども思い切って一万戸減らした予算計上をいたしたのでございます。いわば、従来の予算の執行状況に顧みて、大変残念ではございますが、そういう予算措置を講じたということでございます。
○馬場(猪)委員 いまおっしゃったように、東京や大阪というような大都会はもうすでに四十八年当時から頭打ちで、土地の取得難であるとか、いま言われたような関連公共事業等々、住民との関係がいろいろありまして、当時からずっと少なくなっておったのはわかるのですね。ところが、予算を組むときにはどうしても前年度、前年度という形できたのがこういうふうに不用額をたくさん出してきた主な原因だと思うのですが、何か二、三年ずつずれておるような感じがするのです。そういうことが不用額を多く出しておる原因だと思うのですが、そのために今度五十三年度あたりは一万戸減の予算を組まれて、それで見通しはどうなのですか。
○国吉説明員 建設省の住宅建設課長でございます。
 本年度七万五千戸の予算を組みまして、当初配分を七万四千五百戸いたしました。五百戸を災害保留として現在保留してございますが、本年度は七万五千戸をすべて執行できる見込みでございます。
○馬場(猪)委員 いま一つの例だけ申し上げたんですが、目立った項目として、たとえば五十年度で精神衛生費の八十八億とか児童保護費の八十四億というようなものがありますし、また畜産事業団あたりについても四十三億、そして五十一年度も四十一億と同じように不用額がたくさん出ておりますが、ひとつこれについての御説明をいただきたいと思います。
○山口(光)政府委員 ただいま御指摘がございました精神衛生費でございますが、精神衛生費は五十年度におきまして八十八億余りの不用額が出たわけでございます。これは予算額に比べまして約一〇%に当たる不用額でございまして、大変大きな不用額であったと思います。原因は、精神衛生の措置入院患者の人数の減、それから一件単価の減によるものでございますが、この事情を予算に反映するということをどういうふうにしているかということでなかろうかと思いますが、五十年度決算が反映できますのは一年飛んだ五十二年度予算の編成に間に合うわけでございますので、五十二年度予算では前年度より予算額を大分減らしまして、五十一年度は八百五十七億でございましたのを、五十二年度は七百九十億というふうに減らしまして、その結果五十二年度は不用額がほとんど出ない見込みでございます。
○馬場(猪)委員 児童保護費、それから畜産事業団等は……。
○山口(光)政府委員 児童保護費につきましては、五十年度におきまして八十四億と金額的には多額の不用額が出ているわけでございますが、これは保育所の措置人員が予算に比べて若干の減少を見たというところからきておるわけでございまして、これは三・三%程度の不用額でございます。先ほどの一〇%というような極端な姿ではなかったかと思います。
○馬場(猪)委員 畜産事業団なんかは五十年も五十一年もずっとやはり同じように四十三億から四十億前後出ておりますね。
 例の畜産事業団というのは、御承知のとおり、いま調整金が余ってしようがないような団体なんでしょう。そういう見通しというものも立ててこういうものの予算を編成されたのかどうか。そういうこともどうも畜産事業団がまだ調整金が足りない時分、穴埋めをしておった時代と同じような感覚でやっておられた結果、こういうふうに出てきたんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○山口(光)政府委員 畜産振興事業団交付金は学校給食の関係の交付金でございまして、いまおっしゃっておられるのは牛肉の輸入差益が余っておるじゃないかというお尋ねであろうかと思いますが、牛肉の輸入差益は、この学校給食の財源にはならないわけでございまして、何でこれが余ってくるかと申しますと、結局学校給食事業の実績が計画よりずれたという点なのでございまして、これもたとえば五十一年度で申しますれば五%程度の誤差であったということが言えようかと思います。
○馬場(猪)委員 不用額について一、二の例を申し上げたんですが、一部措置はしていただいておるようですが、とかく惰性に流れて前年度実績、実績というような頼り方をするのでなしに、慎重に決算の結果を生かしていただけるように、参考にしていただけるように要望しておきたいと思います。
 次に、五十一年度の公共事業等予備費の項を見ますと、当初が千五百億ですか、減額があって千三百五十億、そして残ったのが約八十二億、実際に執行されたのが八五%、あるいはまた五十一年度の一般会計予算の調書を見ますと、当初が三千億、補正減額千四百五十億で結局千五百五十億に対して不用額が七〇%にも及ぶという非常に予備費の使い残しがありますが、こういう十分執行ができないような予備費を組んでおられることについて、財政法上「予備費として相当と認める金額」というふうに書いてありますけれども、その「相当」というのはどういう基準で「相当」というふうに見ていらっしゃるのか。
○山口(光)政府委員 財政法二十四条におきます。内閣が相当と認める金額がどの程度であるかという点につきましては、予備費は「予見し難い予算の不足に充てる」という性格でございますから大変むずかしい話なわけでございまして、特別の基準があるというわけではございませんが、従来からのやり方を申し上げますと、一般会計の規模に対する割合でございますとか、最近の使用実績でございますとかといったようなものを総合勘案いたしまして計上しているわけでございまして、当初予算における予備費計上額の一般会計予算規模に対する比率は大体一%台で推移しております。
 ただいまのお話で、補正で取り崩したりあるいは不用額が多いじゃないかというお話でございますが、補正予算を組みます場合には、その時点でそれから以降年度末までにどの程度予備費が要るだろうかということを再検討しているわけでございます。これもその時点におきまして過去の実績などから推算しているわけでございまして、そうして保留すべきものは保留いたしますが、その時点でそこまで保留しなくてもいいじゃないか。というのは、むしろ補正予算の財源に振りかえる方が適当ではないか。それからちょっとものぐさなやり方をいたしますれば、たとえば災害復旧事業が今後見込める、それはその予備費のまま残しておいてもいいじゃないか、それで予備費から災害復旧事業に使えばいいじゃないかという議論もあるわけでございますけれども、補正のチャンスがございますればできるだけ補正予算というかっこうで国会の御審議をいただいた方がいいじゃないかということで、そういうときには本費に計上して予備費の方を崩すということをやっているわけでございます。
 そういうわけで、補正で取り崩すということが不用のようにおとりいただくのはちょっといかがかと思うわけでございますけれども、それにしてもかなり最終的に不用額が出ているじゃないかというのは、またこれ御指摘のとおりでございまして、最近はかなり多額の不用が出ているわけでございます。しかし、これも先ほど申し上げましたように、補正の機会がありますればそのときに見直しを行いまして、それ以降年度末までにどの程度要るだろうか、これは過去の経験から推測するよりしようがないわけでございますが、この見直しをやって結果的に不用が出る。これも予備費の性格が予見しがたいという性格でございますので、やむを得ないのではなかろうかと思っております。
○馬場(猪)委員 何か一定の基準もなしに過去の実績とかいうことだけでいくとなると、つかみ金的な感じを受けますし、ある程度の基準を何か持つべきじゃないかと思うのです。もっともそれはむずかしい点はよくわかりますけれども、補正の減額にしても、半額も補正をしなければならぬということを当初予算で組むこと自体、何か不明朗なものを感じますし、つかみ金的な感じがいたしますが、今後ともできるだけそういうことを正確に――過去の決算を十分生かしていないところにそういう点があるのじゃないがと思うのです。特に実績主義で前年度、前年度ということで追っていくと、経済の運用がこのごろ非常に複雑でございますから、そういう傾向が多くなると思いますので、ひとつ留意をいただきたいと思います。
 次に、五十一年度の一般会計予算の使用の中で、大蔵省所管の公共土木施設等災害復旧事業費の現地査定の立会に必要な経費が六千八百三十二万三千円、農林省所管の愛知用水施設災害復旧事業に必要な経費が四千八百二万六千円、建設省所管の地方道路公社有料道路災害復旧事業に必要な経費一億二千三百九十一万五千円、水資源開発施設災害復旧事業に必要な経費八千八百六十三万四千円等を使用しておりますけれども、こういう事業内容の現況から見ると、一般会計の公共事業等予備費を使用する方が適当じゃないかと思うのですが、その点はいかがなものでしょうか。
○山口(光)政府委員 ただいまお話のございました各種の経費は五十一年度の一般会計の公共事業等予備費の対象になり得ないものであったわけでございます。五十一年度の一般会計公共事業等予備費の対象になります経費というのは、五十一年度当初予算におきまして、公共事業費、これは四条公債の対象になります公共事業費でございますけれども、それを対象経費にするんだということが予算総則で定められておったわけでございまして、その中にただいまお話のございました費目がなかったと申しますか、既定予算の公共事業の項でそういう事業を行うことが適当でなかったと申し上げた方がいいのかもしれませんが、そういうわけでございましたので、一般会計予備費を使用さしていただいたということでございます。
 それから、先ほどのお話でちょっと誤解があったような気がいたしますので補足さしていただきますが、予備費の計上の問題でございますけれども、前年度予算を見て訂正しているというような話ではございませんで、過去の使用実績を見て、たとえば補正の場合には訂正さしていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
○馬場(猪)委員 いま言われた公共事業等予備費に言う公共事業というのはどういう定義なんでしょうか。それからまた、公共事業の及ぶ範囲というのはどういうところなんでしょうか。
○山口(光)政府委員 公共事業等予備費の対象になります公共事業の定義は、五十一年度予算で申しますれば、一般会計予算の予算総則第十五条におきまして「第七条に掲げる経費以外には使用しないものとする。」という規定がございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、第七条には財政法第四条第三項の規定による公共事業費の範囲、つまり建設公債の対象になります公共事業費の範囲を定めているわけでございまして、普通に考えております公共事業費のほかに官庁営繕等の施設費が入っておるというふうに御理解いただいたらよかろうかと思います。しかし、限定的に費目を列挙してございますので、先ほど申し上げましたような新しい事態が生じますと対象になり得ないことがあり得るということでございます。
○馬場(猪)委員 次に、昭和五十一年度の一般会計公共事業費等予備費については、当時の大蔵大臣は、当初予算の段階で公共事業をもっとふやせというような議論がいろいろあって、今後の経済の推移を見るということで一部を予備費とした、非常に不確定的な要素の多い経済運営のためにその緩衝地帯として予備費を設けた、こう言われております。また公共事業費等の予備費を創設し、予備費全体約四千五百億の構成比を一・八五%に高めて、一般会計予算二十四兆二千九百六十億円で景気に機動的に対処しようというふうに言われたわけですが、その効果、機動的にうまく対処できたのかどうか。
○山口(光)政府委員 執行の状況を申し上げますと、公共事業等予備費のうち千二百四十八億円を災害等に使用したことになったわけでございまして、五十一年は災害被害が異例に大きな規模に達しておりまして、その復旧等は緊急に対処する必要があったわけでございましたが、公共事業等予備費の使用によりまして速やかに対処することができたということで、計上の意味が十分にあったのではないかと思います。
○馬場(猪)委員 五十一年度の一般会計公共事業等予備費使用総額の千二百六十八億のうちで災害復旧事業及び冷害に伴う河川事業費等に使用した額は約千百二十億となっていますけれども、このような使用の仕方は、わざわざ事新しく公共事業等の予備費に計上しなくても、災害復旧費として従前どおり一般会計予備費で計上すればいいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○山口(光)政府委員 二つの点から考えてみたいと思うわけでございますが、一つは、公共事業予備費ということでございましたので、一般公共事業を対象にしているというふうに理解する向きもあったのではなかろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、予算総則で災害復旧事業費にも充てられるということを予定していたわけでございますので、その点はそのように御理解いただいたらと思います。
 それから、一般の予備費でよかったのじゃないかという点でございますが、五十年度三千億という予備費を五十一年度で四千五百億に増額したわけでございます。これは機動的運用という意味で四千五百億円に増額したわけでございますけれども、そのうちの一部千五百億につきまして使途を公共事業等に限定するという制約を政府みずからが課したという意味におきまして、いわば国会の御議決をより厳しくいただくという点で適切なものではなかったかと思います。
○馬場(猪)委員 いずれにしましても、予備費の執行状況については残りが多いというようなこと、これはなかなかむずかしい点はわかりますけれども、予備費によるものでなしにできるだけ一般会計を充実して予備費を減らしていくということで今後とも対処していただきたいと思いますが、大蔵大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
○村山国務大臣 できるだけ本費に組み込むことにつきましては、委員と全く同感でございます。
 実際問題として一番大きなものは災害関係でございまして、災害関係を見積もって本費に入れておくというのはどんなものであろうかという問題がございます。すでに発生した災害につきましてはそれぞれ年度割りでやることになっておりますから、これは本費で出すのは当然でございますけれども、その年どんな災害が出てくるか、これをある程度見込み、つかみでやっておくのはどんなものであろうかというところが一つの問題点でございます。
 最近でございますと、ソ連関係のいろいろな漁業問題の補償等が出てまいっているのでございます。
 こういったところでございますので、私は、筋としては委員のおっしゃるとおりであろうと思っております。できるだけ的確に見積もって本費の方に出していきたいということは、同感でございます。
○馬場(猪)委員 最近は予測せざることが確かに多いと思いますし、一定の額はやむを得ないと思いますけれども、できるだけ筋どおり予備費を少なくして厳正な執行をしていただきたいということを一応御要望申し上げまして、次に移りたいと思います。
 酒税法が改正になりまして、すでに五月一日から値上げになりました。いまの税法で言えば税金を取ることだけに熱心になって、消費者側の対策については余り熱意が見られないような気がいたします。
 ウイスキーなんかを例にとってみましても、日本の酒税法というのは清酒を中心とされておりまして、ウイスキーというのはまだまだ歴史も新しいものですから、性格的にはっきりウイスキーというものについての規定もないし、品質規定もないし、消費者の立場から見れば非常に判断しにくい面もあると思うのです。会社ごとのブランドによって、宣伝の多い少ないによって判断するというようなことも多いだろうと思います。
 そういう意味では唯一の判断基準、たとえばウイスキーの場合だったらどれくらい原酒が含まれているのかということも一つの質のいい酒かどうかということなんですが、酒税の値上げに対応してウイスキーの原酒の率が上げられるような話を聞いておりましたが、すでにそういうことは実行されておるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○福田政府委員 お答えいたします。
 酒税法の改正に伴いまして政令はすでに公布になっております。その中に御指摘の原酒混和率の引き上げということを内容として盛り込んでおります。
 この際、内容について御説明いたします。
 ウイスキーの原酒混和率につきましては、政令でございますけれども、これまでの規定では特級が二三%以上、一級は一三%以上となっておるわけでございます。今回の改正ではこれに四%プラスいたしまして、特級が二七%以上、一級は同じく四%プラスいたしまして一七%以上ということにいたしております。その趣旨は、ウイスキーの御指摘になりましたような品質の向上、これは消費者サイドから見ても好ましいことでございますし、さらに商品がいろいろな多様なものがその範囲内でできるということも考え合わせたわけで、審議の過程においても御指摘ございました点を実際政令に盛り込んだわけでございます。
○馬場(猪)委員 いま言われたように、すでにもう政令が出ておると言われたんですが、当初特級の場合は三〇%ぐらいにという消費者側の要望も非常に強かったと思いますし、そしてまた一級の場合も二〇%から三〇%ぐらいというふうに予想されておったのですが、そこが三%ずつ下がったような感じがしますし、そして二級の場合はいまどういうふうになっておるかについてお伺いしたい。
○福田政府委員 いろいろ御意見はございましたが、これはやはりそれに即応するような体制に業界があるかという問題、それはまたコストのアップという問題もはらむわけでざいますが、いずれにしろ、かつて三〇%以上という時代があったのは御承知かと思いますし、われわれも一度輸入の問題がございまして、輸入酒との対抗ということから三十七年にこれが二〇%に下がったわけでございまして、申し上げておるのは特級の話でございますが、その後四十二年にプラス三の二三%にいたしたわけです。今回これをまたさらにプラス四ということで、漸次この辺を、激変緩和もございますし、また先ほどのように業界の対応の問題もありますので二七ということにとどめたわけで、急激に高くするということそれ自体はなかなか直ちにはむずかしい問題であろうかと考えております。
○馬場(猪)委員 二級の場合。
○福田政府委員 二級につきましてはこれは特級とまた違った動きでございますが、二十八年から原酒混和率が政令化されておりまして、先ほどのように特級は三〇%以上ということで、一級は五%ということで相当開いておったのですが、これを三十七年にはむしろプラス五の一〇%にいたしております。あとは同じく四十三年にプラス三の一三、それから五十三年に今回プラス四の一七ということで、一級については漸次混和率を高めていく。ここで輸入酒に対する国内メーカーの多様な対応ができるということではないかとわれわれ解しておるのですが。
 以上です。
○馬場(猪)委員 いまおっしゃったように結局税も上がるんだし、それに伴って……。
○福田政府委員 いまのは一級をお答えしまして、二級の御質問にお答えしていなかったのは失礼いたしました。
 二級につきましては政令に規定がございません。これは二十八年以来ございません。これは実際の国税庁の方の通達によりまして、承認基準と申しますが、これは七%以上ということで、二級酒といえども原酒が七%入るということを承認基準としてやっております。
○馬場(猪)委員 いずれにしても、特級で二三%を二七%に上げる、一三%を一七%に上げる、下限を上げられたということは、やはり税のアップ及び価格のアップもある程度それについて行われるでしょうし、消費者に対するお返しという意味があるわけですか。
○福田政府委員 税法改正と原酒混和率の問題は直結しては考えておりません。従来から原酒混和率の問題は継続して国税庁で問題にいたしておりまして、それ自体やはり好ましい方向であろうということで、増税に伴う税率の関係でこれを取り上げたということではございませんで、先ほどから申し上げております原酒混和率の政令改正は、必ずしも税制改正と軌を一にしているわけじゃございません。
 今回は一緒でございますけれども、前回の五十年は政令の方は手をつけていませんし、三十三年、二十九年ともにこれは手をつけておりません。四十三年と三十七年、ここで改正と符合しておりますけれども、これは税率との絡みでという改正ではないのですが、しかし、改正の過程においてその種の議論があったということは、当然間接的な意味合いは持っておるかと思いますが、直結した問題ではないと思います。
○矢島政府委員 ちょっと補足してお答え申し上げたいと思いますが、御案内のように、ウイスキーにつきましては国際競争も非常に激しゅうございまして、輸入酒がたくさん入ってくるという状況でございまして、私どもといたしましても増税の問題が起こる前、昨年の初めごろから業界に対して酒質の向上を図るという見地から、少しそういう混和率を上げられないかというような諮問をしておりましたのでございますが、たまたまことしになりましてから、そういうものについても少しでも上げるべきだというような業界の総意が得られたわけでございます。さらに、私どもといたしましては業界に対してもう少し上げられないかということも含めましてお願いいたしまして、現在のような混和率ということで一応決まったわけでございます。
 しかしながら、いずれにいたしましてもこういう問題、輸入洋酒との競争というのは現在非常に熾烈でございまして、国産のウイスキーも少しでも品質をよくしていくという方向で懸命に努力しているわけでございまして、今後ともこういうところにつきましては私どもも十分な指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 当初予想されておったような特級の三〇%というのが二七%にとどまったというのは、どういうところに理由があるのですか。
○矢島政府委員 私どもといたしましては、なるべく高くということで実はお願いいたしましたわけでございますが、業界の中の事情でございますが、一つは三〇%に引き上げますと、一級の混和率はたとえば二九・九%ということになるわけでございますが、その場合にはやはり一つは原酒混和率の低い一、二級の外国製のウイスキーが輸入される可能性が考えられるということを業界は非常に懸念しておりました。
 それから、もう一つの問題といたしましては、従量税の適用の場合の税率比較は、一級一〇〇に対しまして特級になりますと二一六ということで非常に大きな差がございます。
 こういうような点、格差の点からいきましても、混和率の間におきましては、特級と一級との間にはある程度間隔を置くべきだというような業界の意見もあったわけでございます。そういうことによりまして、やはりある程度漸進的にこういう問題は進んでいくべきではないかというようなことも考えまして、以上のような結論になったわけでございます。
○馬場(猪)委員 そうしたら、昭和二十八年に大きな改正がありましたですね。酒税法の全面的な改正がありましたね。それ以前についてはウイスキーというのはわが国ではほとんどごくわずかの量しか生産されておりませんでしたね。その当時はクラスが特級、一級、二級じゃなしに、一級、二級、三級だったと思うのです。そしてその当時ウイスキーについては、ウイスキーという項目自体もありませんし、雑酒の中で扱ったと思うのですが、その当時は原酒が三〇%以上の混和率というふうに決められておったと思うのです。それが二十八年からだんだん率が下がってきたのですが、その沿革をひとつお知らせいただきたいと思います。
○福田政府委員 級別制度は昭和十八年に導入されたわけでございますが、その十八年以降昭和二十四年までの各酒類の級別、これは中央酒類委員会に諮問しまして大蔵大臣がこれを定めるということにされておりまして、個別銘柄ごとに級別を決定していたというふうに聞いております。昭和二十五年に告示による改正が行われまして、ウイスキー甲類の原酒混和率は三〇%以上に、それから乙類につきまして五%以上にという、これが現行制度の原型になったというふうに解しております。
○馬場(猪)委員 その当時の三〇%が二十八年になって変わりましたね。二十八年にどういうふうに変わりましたか。
○福田政府委員 二十八年までの告示による数字が、先ほどの甲類について三〇%以上、乙類は五%以上ということであったわけですが、これが二十八年に改正になりまして、これはもう全面改正でございまして、ここで特級、一級、二級という現行制度のような分け方になったわけです。これには原酒混和率の問題とアルコール度数の問題の二つがメルクマールになっておるわけで、これは「又は」という規定になっておるわけです。
 その際の原酒混和率が、先ほど申しましたように、二十八年に特級については三〇%、これはその告示の三〇%以上を引き継いでいるかと思うのですが、一級が五%以上、こうなっているところを見ますと、乙類は五%以上ということかと思いますが、ちょっとその辺の分類が変わってしまいましたのであれですけれども、二級につきましては、特級、一級以外ということで、もう混和率は全然消えてしまっているわけです。
 また一方において、アルコール度数による特級、一級、二級という判定の要素が入っておるということであります。
○馬場(猪)委員 その二十八年の改正までは、原酒も三年以上のものでなければいけないと言われておったのが、その改正で三年以上というのが消えましたね。極端に言えば、一年のものでも半年のものでもいいということが一つできましたね。なぜそういうふうになったのかということが一つ。
 それから、原酒がなくてもアルコール度数だけでウイスキー、極端な言い方をすれば、原酒全然なしに、アルコール度数だけで合成したものでもウイスキーだと言えるようにそのときになりましたね。なぜそういうふうになったのでしょうか。
○福田政府委員 原酒、さらに貯蔵期間という要件は、現行制度にないといいますか、貯蔵期間の規定は現行制度にございません。それと、原酒混和率は先ほど申し上げましたが、私たち、ここのところは当時の事情を詳しく知りませんが、後で間税部長が補足するかもしれませんけれども、原酒の保有量その他が需要との関係でどういう状態にあったかという問題も一つのあれかと思うのです。それから、その後においてはまた輸入酒との対抗の問題。それと、もう一つ基準にしておりますアルコール度数による級別、これはどういう考え方かという御質問かと思うのですが、アルコール度数によって特、一、二に分けるということは、アルコール度数の高いものについては、それなりの酔う効率といったら酔い方が早いという意味ではないのですが、やはりアルコール度数が高いということによって高く売れるわけですから、高く売れるということによる一つの級の考え方があり得ると思うのです。度数が高くて高く売れる。一方においての考え方は、原酒が多く入っているので高く売れる。
 それで、アメリカの考え方は、これは蒸留酒法によりまして、アルコール度数によるかけ方をやっています。級別ではないのですが、アルコール度数による税率の変更があるわけです。それから英国の場合は、これは原酒を非常に厳格に規定していまして、その原料面と貯蔵期間を限定した行き方をとっています。日本の場合はこの二つの考え方を並列させておるわけですが、いずれにしろ、ウイスキーに級別をどういうふうに考えるかというのは、今後とも検討すべき問題であろうと思います。清酒における級別の問題と考え合わせながら、日本におけるウイスキーがどういうふうに国民から受け取られておるか、日本独自のウイスキーの消費の態様、それに応じた級別というのは、現行制度はやはりそれなりの理由を持っておると考えます。
○馬場(猪)委員 私がお伺いしましたのは、いままでは原酒がなければウイスキーと言えなかったのですよね。それが二十八年以後は、原酒が一滴も入っておらなくてもウイスキーと呼べるような制度改正をやったのですね。一〇〇%アルコールで色をつけたものであってもウイスキーと呼ばせることができるようになってしまったのです。なぜそういうふうな改正になったのですかということなんです。
○矢島政府委員 法律改正の段階については私どももちょっと承知しておりませんが、現在、私どもといたしましては、承認基準によりまして、原酒を七%以上含んだものでないとウイスキーと認めておりません。したがいまして、法律のいかんにかかわらず、先生御指摘のようなアルコールだけといったようなウイスキーは、日本のウイスキーに関する限りは現実には存在しないというのが事実でございます。
 それから、貯蔵期間の問題でございますが、確かにイギリスのように、三年というような貯蔵期間を置いているところもございます。しかしながら、貯蔵期間につきましては、一概に古ければいいというものでもございませんし、やはりその置かれた場所の気象条件とか、あるいはたるの条件とか、そういうことによっても規定されるのでございまして、日本の場合には、そういうような条件も勘案いたしまして現在のような状況になったのではないかというふうに思っているわけでございます。
○馬場(猪)委員 現在、指導で、七%以下のモルトを含んでないものについてはウイスキーと言わせてないと言われるのですが、私は二十八年に改正になったときのことを言っているのですよ。原酒がゼロでもウイスキーと言わせるようになったわけでしょう。いま言われている七%以上というのは四十三年以後ですよね。四十三年以後が、指導によって最低七%入れなければウイスキーと言わせませんよとなっておるのです。
 そうすると、二十八年から四十三年までというのは、原酒ゼロでもウイスキーと言えるように法を改正したのでしょう、それはどういう意味でそういうふうになったのですかというのです。
○矢島政府委員 制度の問題でございますので、私どもの方でお答えするのが適当かどうかわかりませんが、聞くところによりますと、当時、輸入酒対策でどの程度のモルトなり原酒の入ったものが輸入されるかわからないというような問題がございまして、そこでそういうような改正を行ったやに聞いております。
○馬場(猪)委員 それでは、その当時の輸入はどれぐらいありましたか。
○福田政府委員 輸入の数字は自由化後の数字として伸びたので、その当時どうであったかということについては、それが決定的な理由であったかどうかはわかりませんが、モルトはやはり貯蔵期間を相当要しますので、絶対量が不足する一方において需要の方は戦後相当伸びてくる。それで、高いウイスキーを飲むというよりも、やはり安いウイスキーに対する需要が相当強かったということであろうと思うのです。
 それにウイスキーという名前を使わせたところに問題があるかとは思うのですが、混和率がどの程度であればウイスキーという名前はおかしいということも言えませんので、やはり当時のそういうような社会情勢に合った、大衆の要望するものに応ずる酒の考え方である、ウイスキーの対応の仕方であったと思うのです。それが当時の事情であろうと私は思います。
○馬場(猪)委員 二十八年当時、日本製のウイスキーで売り出したのはどことどこですか。
○福田政府委員 急にいま調べたことですのであれですが、当時の商標から推測いたしまして、寿屋、これはサントリーであります。それから大日本果汁、これはニッカ、それからあと、宝酒造がキングウイスキーというのをつくっています。それから東京醸造というのがトミーモルトウイスキー、それからブランデーの方ですが大黒葡萄酒。やはり、寿屋、ニッカ、宝酒造、それからもう一つのこの東京醸造、それくらいに非常に限定されておったのではないかと思います。
○馬場(猪)委員 いま言われた各社の中で、ウイスキーとして正式に売り出しておったのは一社しかないと思うのですよ。そうすると、先ほどはしなくも審議官が言われたように、いままで三年以上貯蔵しなければならないものが三年でなくてもいいようになり、そしてゼロでもウイスキーと言わせて売るようになったのは、そのとき売り出した会社に合わせたんだと言われてもしようがないんじゃないでしょうか。
○福田政府委員 当時の事情につまびらかでないのですが、先ほど申し上げました会社はそれぞれウイスキーを出していまして、サントリーウイスキー、ニッカウイスキー、トミーモルトウイスキー、キングウイスキーということで、この資料によりますと四社がウイスキーの名のもとにおいて出しておったということであります。
○馬場(猪)委員 私が言いましたのは日本製のウイスキーです。輸入をして混合をした会社はあるでしょう。日本で醸造して売り出した会社はどこですかというのです。
○福田政府委員 私も三十年ころ北海道の余市の税務署長をやっていましたから、少なくともニッカウイスキーはみずから醸造したやつを持っておったわけで、サントリーも当然持っておったと思うのです。あとの会社についてはつまびらかではないのですが、やはり貯蔵期間を長期に要しますし、相当の技術を要しますので、限られた会社であったというのは事実であろうと思うのです。
○馬場(猪)委員 そうしますと、その限られた会社の原酒の量が非常に少ないために合わした。いままでのウイスキーの原酒率を下げている。この前お知らせいただいたのによると、二十八年、特級はそのときは三〇%なんです。一級が五ないし三〇%、そして二級がゼロないし五%というふうな指導を決めておられるのですね。質をよくしなければならない二十七、八年ころから三十年ころにかけて、だんだん国力が回復してきたころでしょう。そして外国から入ってくるんだったらよけいそれに対抗するために質をよくしなければならないそのときに、わざわざゼロでもウイスキーだというふうに改正しているのですね。これはおかしいと思いませんか。
○福田政府委員 かつての問題ですから、いろんな御批判はあろうかと思うのですが、現状においてはそれは是正しつつあるし、是正したわけです。やはり輸入酒が入ってくるという事情と、国産の方の会社が限られており、しかも、昔から、戦争中から貯蔵していなければいけないわけですから、非常に限られたモルトであるという状況の国内各社が対抗するためには、やはり日本の需要に応じた、しかも価格は安く売れるわけですが、そういう需要に応じた製品を出すということによって対応せざるを得なかったその時期の状況であろうと思うのです。決して会社に利便を与えるということよりも、需要層に対応する酒の級別がその当時行われた。しかし、これはいつまでもそれではおかしいので、またモルトもふえてきますし、国際競争も本来は品質で勝負すべきであるというふうに考えて、累次の改正が行われつつあるというふうに考えます。
○馬場(猪)委員 さっき輸入のことを言われましたけれども、二十七、八年当時、高級なウイスキーを輸入するような能力というのはなかったと思うのですよ。しかも、国内で製造されたウイスキーというのは、モルトの製造は戦時中で、売れなかったのですよ。売れなかったことがたまたま十年とか八年とかいう長期のモルトをつくったわけです。そして二十八年ころから、その各社の全部出しておられるウイスキーの歴史を見られたら、ちょうどこのウイスキーの販売価格と税法改正とたまたま全部一致しているのですよ。ずっとほぼ税法の改正の時期とウイスキーの新しい製品をどんどん売り出されたときと全部一致しているのですよ。これはどういうことになるんでしょうね。
○福田政府委員 税法改正に伴って、それに即応して営業が行われるというのは当然だろうと思うのです。その税法改正当時の混和率の問題、これは先ほど申し上げたような国内事情であろうと思うのですが、それに応じた新製品が出るというのは、やはり考えられるのは当然で、それをいま、いろいろ批判があるのはよくわかりますけれども、当時としてはやむを得なかった。しかし、今後はまた別な考え方をとるというふうに思っておるわけです。
○馬場(猪)委員 時間がありませんので、これで大体終わりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、二十八年にゼロから五、五から三〇、三〇というふうに、こう三段階に分けられた。そしてその次の改正が三十七年ですね。そのときには、ゼロから一〇、一〇から二〇、そして特級が二〇というふうに、このときまた特級が下がっているのですね、わざわざ。下の方を充実していこうとしておるときに、また下がっているのですよ。これはどういうことでしょうね。一貫性がありませんね。これは国税庁がそういうふうに指導なさったのか。
 大体こういうモルト率というようなのをお決めになるのは、どこがお決めになるのですか。業界が決めるのですか、それとも国税庁がお決めになるのですか、大蔵省がお決めになるのですか。
○福田政府委員 税制を担当していますので私が答えしますが、もちろん業界のために税法ができるわけではないので、われわれが税収を上げるために税法をつくるわけですが、しかし、いずれにしろ業界の実態というのは踏まえなければいけないと思います。確かに二十八年の三〇が三十七年の二〇に落ちていますが、この辺がやはり輸入の数字が相当動いたころではないかと思うのです。ちょっとまだ数字がないのでお答えが正確には申し上げられないのですが。
 当時、特級二十八年三〇%以上というのが、実態がどうなっておったかということもやはりチェックする必要があろうと思うのです。だから、三〇を二〇に落としたのは、モルトがやはり絶対的に不足しておって三〇を守り切れないのか、それとも輸入酒がふえてくるので、二〇という数字で対応して国内の洋酒の数量をふやすということが必要であったのか、一度ここに下がっておりますが、しかし先ほどから申しましたように、二〇が現在、プラス三、プラス四ということで、二七まで回復しつつあるという点については御評価願いたいと思います。
○馬場(猪)委員 もう時間がありませんから余り申し上げませんけれども、きょうはこの程度におきますけれども、見ていますと、モルト率というものの上下は、全然消費者を相手にしておりませんね。業界ももちろん大事でしょう。つぶれるようなことがあったら困りますよ。今回でもそうでしょう。三〇%と予測されておった。この間の大蔵委員会の中でも只松委員からの質問の中で、ほぼ三〇%前後という示唆が出ておったのにもかかわらず、実際には二七%に下がっておる。モルト率自体もこれは業界ペースで変わっていっているのじゃないでしょうか。
 中小企業対策という名目のもとに、これは特級の売れる率、一級の売れておるシェア、こういうものを全部洗い出してみたら、どこが潤うかということは一目瞭然じゃないでしょうか。そういう経過をもっとやはり――それも大事でしょう、企業もやはり育てなければならぬと思いますよ。しかし、大蔵大臣、どうもこの経過を、二十八年からずっと今日まで、十二回改正しておられるのですよ。税法改正が十二回あるうちで三回、今回で四回、このモルト率なんか変えていらっしゃるのです。これは清酒だとかそういうことを抜きにして、ウイスキーの例だけで申し上げておるのですけれども、消費者の立場ということを全く考えずに酒税というものは改正されたり、中のモルト率なんか改正されておるのですね。ですから、やはり酒税も、もう少しいまの時代は消費者の立場も考えなきゃいけないと思うのですが、大蔵大臣としてどういうふうにお感じになっていらっしゃるか。
○村山国務大臣 酒税は、アルコール類は御承知のように財政物資でありますし、嗜好飲料であり、また致酔飲料であります。そういう点を十分に踏まえまして、しかしあんまり飲み過ぎますとこれは体に悪いことはもう当然でございます。品質のいいものをできるだけ安くやるということは当然なことであろうと思うわけでございます。
 先ほどから、私、委員の話を聞いておりまして、私もはっきりわかりませんが、当時のことを考えますと、恐らく国際収支関係は日本の大問題じゃなかっただろうかということを、いまひょっと考えておるのでございます。当時は恐らく日本は外貨準備がもう大変なところで、十億台とか十五億台とか、まあ池田さんが十五億になったというのでえらい喜んでおられたのを私思い出すのでございます。そういう日本の国際収支関係も大きく響いておる、ことによるとそういう面もあったのじゃないかなという感じがいまいたしておるのでございます。
 今日は御承知のように全然様相が違うわけでございまして、今度酒税を増税さしていただきましたけれども、少しでもこの赤字財政の中で財政の健全化を図り、そのために飲む方々に少し負担していただこう、こういうことでやっているわけでございます。それだけに、消費者に対してもできるだけメーカーがやはりサービスしていかなければならぬ、こういういま時代の流れでございますし、またそれに耐え得るという時代を迎えてきているのであろうと思っておるわけでございます。今後ともわれわれがこの財政物資を扱うに当たりましては、一方におきまして消費者の問題というのを十分考えてやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○馬場(猪)委員 最後に、これで終わりたいと思います。
 消費者の問題を十分考えたいと言われることについては、たとえば清酒と同じ程度に洋酒についても品質規定を入れるとか、そういったこともやはり今後考えていかなければならぬと思いますが、いまのところウイスキーについては全くそういう規定も何もないですね。たとえばこの中に入っている香味料などについても、酒の添加物についてはずいぶん細かく税法上載っておりますけれども、香味料なんかは全部載っておりませんね。そういうこともありますし、税法を改正するときに、ただ単に税率を上げるだけではなしに、消費者本位になるようなそういうことも、今後ひとつ考えていただけますか。
○村山国務大臣 その点はできるだけ考えてまいりたいと思っております。
 ただ、御承知でございましょうけれども、洋酒との関係がございまして、洋酒につきまして同じような表示を求めますと、いわゆる非関税障壁という問題にぶつかるのでございます。原産地証明あるいはその内容を書けというようなことになりますと、向こうはそうはとらないのでございまして、非関税障壁を張られた、こういう問題で各種の、別にウイスキーに限りませんけれども、現在ガットの場でいろいろな点で問題になっておるのでございます。われわれが権益の問題をやる、あるいはいろいろな問題をやりますと、それが大きな問題になっていることも御理解願いまして、その辺は程度問題でございます。
 しかし、一方におきまして、その中におきましてやはり消費者にできるだけ内容を知ってもらうということは、これはもう当然なことであろう、かように思っておるのでございます。
○馬場(猪)委員 終わります。
○楯委員長 春田重昭君。
○春田委員 最初に、本題に入る前に、昨日からいろいろ論議されております。%経済成長の問題と六十億ドルの経常収支黒字の問題でございますが、昨日の本会議でも大臣からるる御説明がございましたけれども、大臣は二十九、三十日IMF総会に出席されて、現地の外人記者と懇談をなされまして、その席上で七%経済成長は十分達成の可能性がある、六十億ドルの経常収支黒字の問題については非常にむずかしい、場合によっては百億ドルぐらいになるのではなかろうかというような話がございましたけれども、総理の発言からすれば、いわゆるアメリカにおきまして議会人との懇談会では、現時点では七%成長はいろいろな経済指標から見ていくであろう、しかしながら場合によっては補正予算も組まざるを得ないような、そういう微妙な発言もなさったと聞いておりますし、昨日の参議院の大蔵委員会におきましても、そういう補正を暗示するような御答弁があったと聞いておりますけれども、この点、大臣と総理のいわゆる若干の違いがあるように私は思えてならないわけでございますが、現時点におきましては補正を組まないで大臣としては七%いけると見ておられるのかどうか、お答え願いたいと思います。
○村山国務大臣 きのうも、これは経済企画庁の専管事項でございますが、経済企画庁長官からもるる申し述べたのでございますが、私も大体同じような認識を持っておるわけでございます。われわれが予算を編成しているときのいろいろな経済指標から見ますと、最近におきます経済指標はかなり明るさを増しておるように思うのでございます。特に製品在庫率の関係あるいは生産指数も、オイルショック前の最高のピークをこの三月に超したような状況でございまして、初めて超しました。出荷の状況もかなりよろしいようでございます。日本の産業構造から申しまして、いまのところ円高のメリットというものは価格面にあらわれておりますけれども、当然のことでございますけれども、日本のように加工工業を中心にしておりますと、生産面における円高のメリットというのは今後あらわれてくるとわれわれは思っておるわけでございます。
 また、今年度予算を中心にいたしまして、思い切った公共事業を中心にする内需拡大策、あるいは戦後最低の金利水準、あるいは思い切った市場開放政策、さらには構造不況業種に対する手当て、これらの問題が効果をあらわしてくるのは私はこれからだと思っておるのでございまして、この道を着実に実行してまいりますれば七%も不可能ではないんじゃないか。現に一ころ設備投資、名目で九・九%でございましたが、これはもうみんな、民間もどこもとてもだめだ、こういうことを言っておりましたが、最近の民間調査では九・九%を超える一〇%台という調査も大分出ているようでございます。こういったところを考えますと、これからのわれわれの努力いかん、それから効果がどのように出てくるかということにかかるわけでございますが、やさしいことではございませんけれども、七%は不可能ではない、かように考えておるところでございます。
 なお、先ほど御言及がございました経常収支の黒字の問題でございますが、成長は御案内のように実質でございますから、輸出で申しますと量で決まるわけでございます。しかし、経常収支の黒字の問題というのはドル建てでもって価格が決まるわけでございますので、必ずしもその成長と連動しないということはもう御承知のとおりでございます。現在アメリカのインフレが高進しておりまして、したがって為替レートは確かに日本は上がりましたけれども、実際の通関ベースのドル建ての単価を見ておりますと、競争力があると申しますのか、あるいは向こうのインフレがしからしめておるのか、円建ての単価は為替相場の円高の分をほとんど相殺するぐらい高くなっておるわけでございます。そういう点にわれわれは着目いたしまして、この国際収支の黒字幅を縮めるという問題はアメリカのインフレに大きくかかっているということを御理解願いたいということを強く申したのでございます。
 どれくらい一体縮まるか。これは外人記者の会見のときに、実はIMFとか二国間の話のときにはこの話は一切出ませんでした。外人記者の方で、どれくらい一体縮まるのかね、こう言うから、まあ思い切って縮めたいとは思っておりますが、こういう条件がございますと。目標はどれくらいですかと言うから、この前牛場さんが三分の一という努力目標を挙げておりましたから私もその努力目標を借用いたしまして、まあ三分の一ぐらいは縮めたい、日本の政府はそのように考えておりますということを申し上げたわけでございます。
○春田委員 追加補正の問題がちらほらと出てきているわけでございますが、この七%経済成長を設定したのが昨年の十一月。当時は対ドルレートは二百四十五円でございます。現在は二百二十円台ということで一〇%アップしているわけでございます。経済の専門家によれば、一〇%のいわゆる円高になれば経済成長に〇・五ぐらいは影響があるんじゃなかろうかという見方をしている人もありますので、そういう点から追加補正の問題が出てきているんじゃないかと私は思っているわけでございますが、この点はどうですか。
○村山国務大臣 事成長の問題に関して申しますれば、もちろんそれは既契約の分につきまして利潤が減少するという、円建ての手取りで申しますとそれだけ減るわけでございますから、利潤の面でやはりデフレ効果はございましょうし、また円高によりまして、一般的に申しますればそれだけ将来に向かって、まあ相当期間がかかりましょうけれども、輸出数量が減るわけでありますから、その面でデフレ効果が出てくるということは容易に想像できるわけでございます。しかし、先ほど申しましたようなことから、一方におきまして今度は円高の生産に与えるメリット、いまは価格に出ているわけでございますが、それとこの予算で組ましていただきましたもろもろの効果がこれから出てくると思っておりますので、一方においては確かにデフレ的な効果が懸念されるところでございますが、不可能であるというふうには見ていない、こういうことでございます。
○春田委員 続きまして、これも本題に入る前にもう一点だけお尋ねいたしますが、今月の初めに、新聞で報道されましたように日本銀行の決算が発表になったわけでございます。御存じのとおり赤字決算という形で五十二年度下期が出されましたけれども、これによる国の法人税、地方の法人事業税、住民税、これはどうなるか。
○渡辺(喜)政府委員 日銀の五十二年度下期決算につきましては、まだ最終的に大蔵大臣の認可手続まで終わってはおりませんが、一応数字としては固まっておるという段階でございます。その数字によりますと、御案内のように外貨資産につきまして相当額の損失を発生いたしましたために当期の課税所得はない、こういう状況になりましたため、固定資産税等は別にいたしまして、法人税、地方税は納税がゼロになる、こういう状況でございます。
○春田委員 それでは、国庫納付金はどれぐらいになるのですか。
○渡辺(喜)政府委員 納付金につきましては、当初予算で積算しましたほぼ同額の交付を予定しております。下期につきましては二千百五十四億円という数字を予定いたしております。
○春田委員 この国庫納付金制度は、当然その純利益がありまして、それにあと配当分や内部留保金を引いて、残りが国庫納付金という形になるわけでございますが、いま御説明のあったように、いわゆる法人税がゼロ、地方の事業税、住民税もゼロ、しかもそういう状態でありながら国庫納付金が二千百五十四億もあるというこの矛盾、これはどう考えたらいいんですか。
○渡辺(喜)政府委員 今回ほぼ予算額どおりの国庫納付が可能になりましたのは、発生しました為替差損につきまして、主としてすでに積み立てておりました償却準備金等を取り崩して対処をした、こういうことによって納付が可能になったわけでございます。この準備金等の取り崩し分は、これはすでに過去において納税済みの積立金でございますから、そういう意味で企業の経理上は一応剰余金に入りますけれども、課税上は課税所得に入ってこない、損金になる、こういうことでございます。その結果、課税所得としては発生しないという結果に相なったわけでございます。
○春田委員 この問題は四十九年当時からも盛んに言われているわけでございまして、いわゆる国庫納付金は日銀の特権事項であるといっても、大蔵省の強い要請といいますか、それがあるがゆえに国庫納付金というのは年々高くなっていっているわけです。この表を見ても、四十九年の上期に、それまでは大体二、三百億の国庫納付金が一挙に九百九十億になって、それが四千億ないし三千億、一千億、こういう形でずっと上がってきておるわけです。四十九年当時というのは当然石油ショックによって非常に国の財源が厳しい状態になってきたがゆえにこういう国庫納付金がふえたんじゃなかろうかと私思いますけれども、そのいわゆる反動として、地方にはそういう事業税が入ってこないし、法人税がゼロということはその交付金、三二%に当たる交付金も当たらないわけです。そういう面で、いわゆる全国知事会なんかから相当苦情が出ているわけでございますけれども、今期、また来期の五十三年度上期もどうも何か赤字になるように新聞なんかでは書いてありますけれども、そういう点からして地方に対する厳しい状況、国も厳しいけれども、国だって地方だって三兆何がしの赤字が出ているわけでしょう。そういう手厚い保護といいますか、カバーというのは考えているわけですか。
○村山国務大臣 ちょっと誤解があるといかぬので私から申し上げたいと思いますが、法人税、法人事業税、これは当然企業会計原則によってその利益を計算し、利益がなければ納めない、これが当然であるわけでございます。納付金というのは実はそういう性質のものではございませんので、いわば発券銀行でございます。まあ言ってみますれば一種の特権を持っておるわけでございまして、その発券に伴ってそれをいわば無利子で、日銀で申しますればそれを運用することによりまして利益が出るわけでございます。これはまさに国が日本銀行に授権しておりますいわば中央銀行としての発券に伴うものでございます。それがいわば特権としての納付税として納めていただいているわけでございます。
 ただいま渡辺審議官から申しましたように、実は納付金の関係は国家財政との関係でございまして、過去の課税済みの積立金、これを取り崩しまして、国の財政が苦しいわけでございますから、まあ言ってみれば積立金と申しますか、そういうもの、もう課税済みの分でございます。これを取り崩して納付金に国家財政が苦しいから充てていただいているというものでございます。税という立場に立ちますれば、法人税であろうが、あるいは事業税であろうが、これは平等の立場でございますから、企業会計原制に従って計算する、これもきわめて当然なことなのでございまして、そのように御理解願いたいのでございます。
○春田委員 それはわかっているのですよ。現実としてそのように地方税が零になるということは、いわゆる四十九年当時から盛んに論議されてきたことでありまして、それは交付税をやるとか減収補てん債でカバーするとか、これは自治省の方になるかもしれませんけれども、そういう保護があったけれども、私ども現況がこういうことになってきたという点で、やはり大蔵省としても考えていただきたい、こういうことなんですよ。それはもう時間がありませんので結構です。
 さて、本題に入りますけれども、五十二年度一般会計の予備費の中で、総理の海外訪問、いわゆる東南アジア訪問と首脳会議出席の経費が出されておりますけれども、この金額と行かれた時期を御説明いただきたいと思います。
○京須政府委員 昭和五十二年度におきましては、福田総理大臣の海外訪問は二回ございました。最初が主要国首脳会議の出席のために五月四日から五月十日までの間、連合王国及びスイス国を訪問いたしまして、その必要な経費といたしましては六千八百四十五万六千円でございます。また二回目は八月六日から八月十八日までの間、東南アジアの諸国を訪問されますために必要な経費としまして九千五百九十万円を予備費から支出しております。
○春田委員 この経費は、いわゆる内閣官房の所管経費として出されておるわけでございますが、五十年度のこの予備費を見てみましても、一億四百一万四千円が出ております。五十一年度は八千十八万円が予備費から流用されておるわけでございます。
 そこで、過去の総理の海外訪問を調べてみますと、昭和三十六年、当時の池田総理が二回、三十七年に一回、三十八年に二回、四十年になりますと佐藤総理が二回、四十二年には五回、それから四十四年に一回、四十五年に一回、四十六年に一回、四十七年には佐藤総理と田中総理が行かれて合計三回、四十八年には田中総理が二回、四十九年には四回、五十年に二回、五十一年に一回、五十二年に二回と、このように総理の海外訪問というものは例年行事みたいになってきておるわけでございますけれども、それにもかかわらず、この予備費が流用されておるわけでございます。
 これは先ほどから何回も論議されておるように、予備費の性格というものは、憲法八十七条にある「豫見し難い豫算の不足」に対するものであるという点からすれば、少なくともこの総理の海外訪問の予備費流用というものはこの精神に反しているのではないだろうか、私はこのように思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
○京須政府委員 総理大臣が海外訪問する際の経費でございますが、これは相手の国、さらには具体的な日程等が予算編成当時におきましてはまだ決まっておりません。そのために、必要とする経費につきましては予見しがたいという点がございますので、財政法二十四条の「予見し難い予算」に該当するものと理解しております。
○春田委員 それは予見しがたいけれども、このように毎年行っておるわけでしょう。ある程度予見できるのじゃないですか。それは、相手国はあります。相手国はありますけれども、その折衝というのは大体一年くらい前からやっているのじゃないですか。
    〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
○京須政府委員 お話しのように、確かに一年あるいはそれよりさらに短い間でございましても事前にいろいろな折衝はあろうかと存じます。しかしながら、相手国の方の了解と申しますかそれがまだ得られない段階、あるいは日程、訪問の日数等が決まらない段階におきましては、やはり財政的あるいは予算的に申し上げますと予見しがたい、こういうことになろうかと考えております。
○春田委員 その細かい数字はわからなくとも、毎年毎年行っておるのであって、ことしも福田総理が七千数百万使っておりますね。この一覧表を見ましたら、大体五千万ないし六千万、福田総理が七千万というふうになっていますよ。一年前じゃなくても、予算というのは大体夏ごろ出てきて、十一月か十二月の初めに復活折衝があるわけでしょう。したがって、その四カ月ないし五カ月前にわかったら大体組めるわけですよ。したがって、これはいわゆる予見しがたいものじゃないと思いますよ。従来から慣習で総理の海外訪問というものはとっているから安易にとっているように感じてならないのですけれども、十分その細かい数字までできなくても、予見できるのじゃないですか。
○京須政府委員 やはり予算編成時でございますと、相当細かい数字を詰める必要があろうかと思います。
 また、さらに翻って見ますと、相手国の正式な了承と申しますかお話がつかない前にその国を訪問するような予算を組むことが果たして国際儀礼上もいかがなものか、こういった点も考えられるかと思います。
○春田委員 しかし、どの予算を見ても、細かい正確な数字が出てないじゃないですか。大体ある程度のめどを出して予算折衝をするのであって、過去の例から見てもこれくらい予見できないことはないと私は思いますよ。十分今後検討してください。
 この中で、それぞれ予備費を使ったりその他、中には予備費を使ってない費用もあるわけですよ。昭和四十六年、当時の佐藤総理が大韓民国へ行かれました。このときは予備費を流用しないで内閣の庁費として利用してますね。この額が七十六万九千円と出ております。それから四十九年、当時の田中総理がフランスへ行かれました。これはポンピドー大統領の葬儀に参列されております。このときも予備費を流用しないで外務省の庁費から出ております。それから一昨年、三木総理がアメリカへ訪問されたわけでございますけれども、このときは内閣の退職手当金から流用して五千六百十二万三千円が出ているわけですね。このように、何か予備費を流用したり、また外務省や内閣官房の庁費を利用したり、また退職手当金を流用したり、何か一貫しないような感じがするわけですよ。この辺はどうお考えになっているのですか。
○京須政府委員 先ほど申し上げましたように、総理大臣の海外訪問に要する経費につきましては、通常は財政法の二十四条の規定によりまして「予見し難い予算」ということから予備費をもって支出しておりますが、ただいま先生御指摘のように例外的にはその他の経費をもって支出する場合がございます。
 これは大きく分けますと二つございまして、一つは、その総理の訪問の時期が年度末に当たりまして、すでに既定経費の中で不用額が確定している場合、そういう場合にはそれを流用をお願いしております。
 それから二番目の例といたしましては、日程等が非常に短期でございまして、あるいはまた相手国の元首の葬儀とかそういう緊急の場合でございまして予備費等のお願いが間に合わない場合、あるいは経費が非常に軽微であるといったような場合に、既定経費からの流用をお願いしております。
 ただいま御指摘がありました二つの点、最初の佐藤総理の大韓民国訪問、あるいは田中総理のフランスへの訪問、これはただいま申し上げました二番目に該当するかと存じます。日程等が非常に短期でございまして、緊急な場合ということでございました。
 それからまた、福田総理の五十二年のアメリカ合衆国への訪問は三月でございまして、すでに他の既定経費におきまして不用額が確定しておりましたので、それを使わしていただきました。
 そういうわけでございます。
○春田委員 また、一番最近の卑近な例からすれば、福田総理がアメリカへ行かれました。この費用が予備費から七千五百九十六万七千円出ております。ところが、同じ時期に通産省の方から通産大臣が四月三十日から五月六日まで七日間ASEAN諸国を訪問されておりますね。このときの旅費は三百八十五万円と、総理のあれに比べれば非常に安いわけでございますけれども、これは通産省の当初予算で最初から組んでいるわけですよ。通産省の方は当初予算で組みながら、内閣の方は予備費で組む、同じ海外訪問でありながら全然違うでしょう。この辺はどうお考えになっているのですか。
○京須政府委員 私、通産省のことは存じませんが、一つ例がございまして、たとえば総理府総務長官が先般ブラジルへ参りました。この分もやはり既定予算の中で賄っております。やはり額が少ない、軽微と申しますか、そういう点から既定予算の範囲内でそれを活用いたしまして賄っておると想像されます。
○春田委員 要するに、憲法八十七条というのは予見しがたいもの、これは額の多い、少ないじゃないでしょう。そういう点からすれば、通産省の方はちゃんと当初予算から組んでいるわけですよ。ところが内閣の方は予備費から流用している。どうも納得できないですね。額が多い、少ないの問題じゃないじゃないですか。大蔵大臣はどのようなお考えでございましょうか。
○山口(光)政府委員 予備費は、おっしゃいますように「豫見し難い豫算の不足に充てるため」に使用することを認められている制度でございますが、この場合「豫見し難い豫算の不足」というのは、事項、金額ともに全く予見しがたいという場合もございますけれども、事項は予見し得るが金額は予見しがたいという場合も含まれるというのが従来からの解釈でございます。
 総理の海外訪問経費は、先ほど来内閣の方から御説明申し上げておりますように、通常の場合予見しがたい経費に当たるので、予備費使用の要件に該当すると思います。
 ただ、当然のことでございますが、既定経費を使い得るならばそれによるべきであるということでありまして、額が少ない場合でありますとか、あるいは年度末近くになって既定経費に不用が見込まれる場合がある、そういう場合に流用措置でまずそれを充てるというのは当然のことであろうかと思います。
 通産省の例は、恐らく、実はただいまお伺いしたばかりでございますので恐らくということを申し上げざるを得ないのでございますが、額が少額でございますので既定経費の外国旅費を使った、通産省には国際会議等のために相当額の外国旅費が計上してございますので、それをまず使ったのではなかろうかと思います。
○春田委員 主計局次長がおいでになりましたが、先ほどから内閣の方とやりとりをやっていますけれども、総理の海外訪問というのは毎年一回ないし二回やっておるわけですね。これは時期的に大体わかっておるわけです。金額の点でわからないという点がございますけれども、金額だって大体五千万ないし六千万、多くて八千万ですよ。この辺ずっと一覧表を見たらわかるのですよ。私としては、予見しがたいじゃなく予見できる予算である、当初予算で当然見るべきである、こういう考え方なんですよ。どうですか。
○山口(光)政府委員 ただいまおっしゃっておられますのは、普通の経費でございますと、まさにそういうことで予算計上するわけでございまして、事業の規模をあらかじめ予定して、その範囲で事業を執行してもらうというのが、逆に言いますと予算による仕事の統制ということになるわけでございまして、そういう計上の仕方というのが普通の経費の場合には多いわけでございますけれども、事が一国の総理の海外訪問でございますので、予算規模をあらかじめ決めておいてその中でいわば泳ぐという性格の経費ではないんじゃないか。これは必要があれば予備費を使わしていただくので、従来のやり方でいいのではなかろうかというふうに思います。
○春田委員 この論議は何回やっても平行線だと思うのですけれども、つまり私が言いたいのは、いままでの予備費の扱い方、考え方というものが非常にあいまいである。たとえば先ほどの質問であったように、主計局次長は、予備費の大枠というのはどれくらい考えておるのかという質問に対して、その辺のところは定かでありませんし、正確なものは出せないけれども、当初予算の大体一%前後を立てておる、こういう話でありますけれども、私から言わせれば、先ほどからもいろいろ話があったように、予備費は、四十九年では当初予算が十七兆で二千六百億組みました。確かに一・五%になっております。五十年が二十一兆円の当初予算で三千億ですから一・四%、五十一年度が二十四兆二千九百六十億で三千億ですから一・二五%、五十二年が二十八兆五千百四十二億円の当初予算に対して予備費は二千八百六十五億、一%、こういう形で、率としては年々下がってきております。
 しかしながら、最初に二千六百億組んだ四十九年も、補正減で一千百九十億やっておるわけであって、予算現額としては千四百十億円となっておるわけです。五十年にしても、三千億組みましたけれども、一千億減額して二千億になっております。五十一年度にしても、予備費として三千億組んだけれども、一千四百五十億減額して一千五百五十億。五十二年に至っては、二千八百六十五億予備費を組んで、二百四十五億減額して二千六百二十億という形になりました。
 このように、一%という大枠で決めておりますけれども、当初年度に補正予算の方に持ち出して、いわゆる予備費の現額というのは最終的に非常に少なくいっておる。それもかなりの使用残がある。こういう点からすれば、その予備費の考え方は、一%という点、確かにこれは設定するのはむずかしいですよ。しかしながら、この一%という考え方はある程度改めるときが来たのじゃないかと思います。この点どうお考えになりますか。
○山口(光)政府委員 まず、予備費の計上の仕方、どういうめどで予備費を計上するかということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、何しろ予見しがたい経費に充てるためのものでございますから、的確に何%とかあるいはどういう基準とかいうのは、そもそも性格的にそういうことになじまないということは御理解いただきたいと思うわけでございます。いわば過去の経験、一般会計予算に占めます比率でございますとか、あるいは追加財政需要がどの程度生じてまいったかという点、こういった点を総合勘案いたしまして、それからその当初予算を組みますときのいわば財政に対する機動性の与え方というような点もあろうかと思うのです。たとえば四十三年度は補正なし予算、総合予算主義を標榜いたしまして、そのときには一般会計予算規模に対する予備費の率でございますが、二・〇六%、二%を上回ったわけでございます。それから、たとえば五十一年度は、いろいろ御批判はあったわけでございますけれども、公共事業予備費というかっこうで、それを合わせますと四千五百億でございますから、一・八五%という予備費を組ましていただいたわけでございます。そういうふうに、当初予算を組みましたときのいわば政策態度も反映しておるということも言えようかと思うわけでございます。
 それならば予備費の使用残額が多いのはどうかとか、あるいは補正予算で減額しているのはどうかという御議論でございますけれども、補正のときは補正のときでもう一遍その時点に立って、これもまた過去の経験等々から見て今後予想される予備費の所要額はどうであるかということを検討しているわけでございまして、それで必要がない分につきましては削減いたしまして補正の財源に充てるということが財政運営としては適切ではないかということなのでございます。
 結論的に、そうやりました、補正の段階で見直しました予備費の使用残額がかなり出るということ、これも予備費の性格から見ましてやむを得ない点でございます。ただ、そういう過去の執行状況等は今後の予算の作成に当たりましては当然参考にしなければいかぬ点であろうかと思いますので、御指摘の点も含めまして今後の予備費計上を考えてまいりたいと思います。
○春田委員 予備費というのは算定、積算が非常にむずかしいのは当然わかりますけれども、やはり少な目にして、それを機動的、機能的、効果的に使っていく、この姿勢が大事じゃなかろうかと思うのですね。予備費があるからそれを使っていくというような感じ、山があるから山に登るのだというような人がいますけれども、本当にいろいろ調べてみれば、十分予見できるような、予知できるようなものまで予備費を使っているという点は、やはり予備費の大枠がそれだけあるから、従来から使っているからそれを使おうというような、いわゆる安易な考えがあるのではなかろうか。こういう点から、予備費の精神はあくまでも、いわゆる「豫見し難い豫算の不足」というのが憲法八十七条にうたってあるわけですから、それを受けて財政法二十四条で見ているわけですからね。その点は今後十分御努力をなさって、予備費を当初予算で組んだ以上、補正で途中持っていったり、また使用残額がかなり残ったり、そういうことをしないようにひとつ努力していただきたい、このことを要望しておきます。
 同じような趣旨になりますけれども、厚生省の方にもそれがあるわけでございまして、若干指摘したいと思うのです。
 厚生省所管の中で生活保護費というのがございます。これは五十一年度の一般会計予備費の中では四十九億九千二百九十九万二千円が使われているわけでございますけれども、まず厚生省の方にお尋ねいたしますけれども、この理由はどういう理由なのか、御説明いただきたいと思います。
○高峯説明員 お答えいたします。
 生活保護の行政は、必要即応の原則によりまして保護の必要の生じた場合常にこれに対応するということになっておりますので、その扶助人員というのは正確に予知することがむずかしゅうございます。そういったこともございまして、いま御指摘のありました五十一年度につきましては、扶助人員の数等に予算で考えましたよりも若干の増がございましたので、それに伴う不足額を予備費におきまして補ったところでございます。
○春田委員 その生活扶助人員の増加の件ですね、その正確な数字、出ませんか。
○高峯説明員 五十一年度について申しますと、五十一年度の当初におきまして生活扶助の人員が百十六万四千四百人、このように計上しておりまして、それが結果的には百十七万二千三百五十四人ということになりまして、差し引き七千九百五十四人の増となったわけでございます。
 それから、単価の方につきましては、当初一万七千八百七十六円と計上してございましたが、これが結果的には一万八千五百四円、差し引き六百二十八円の増となったわけでございます。この結果、御指摘の四十九億という数字になったわけでございます。
○春田委員 当初予算で見込んだ生活扶助人員よりもそれだけ増加した、七千九百五十四名増加したということで予備費から出ておるわけでございますけれども、この問題も、私、先ほどと同じような論調でいくわけでございますが、いわゆる過去五年間の予備費支出を見ますと、四十七年度に二十八億円出ておりますね。四十八年度に十五億円、四十九年度に十九億円、五十年度に百三十七億円、五十一年度に四十九億九千二百九十九万という形で出ております。
 このように毎年多額のものが出ているということはある程度読めるのではなかろうかという私の考え方でございますけれども、確かにその正確な数字というものは出ないでしょう。しかし、この人数、額からすれば相当な開きがあるように私は思うのです。その点のところはどうなんですかね。いわゆる全国の市町村三千三百、それを都道府県に集めて、国へ統計して集めるのだと思いますけれども、過去の経験からしてその辺はどうなんですか。読めないですかね。かなりの額でしょう、これ。
○高峯説明員 できるだけ生活扶助人員を正確に把握いたすということにいたしまして、予算編成の際にも直近の実績を使う。さらにこれは、八月の概算要求のときにまず直近のを使いますが、予算編成の際にもさらに新しいデータを使ってやるという方法をとっておるわけでございます。しかしながら、流動するような変動の多い要素でございますので、どうしても食い違いが出てくるということでございます。
 しかしながら、その金額は、四十九億というのは絶対額とすればかなり大きいという感じはいたしますけれども、当初予算額が六千三百億でございますので、それに対する比率から申しますと〇・七九%ということでございますので、この程度の誤差である。しかしながら、私どもとしてはできるだけ正確な数字を把握するように今後とも努力をいたしたいと考えております。
○春田委員 さらに、この生活保護扶助金というのは当初予算で組んで、最初大体二月ぐらいに予備費で出して、また足らない分を翌年度の補正で組んで補てんしておりますね。五十一年度におきましてはこの補正額と人員というのは大体どれぐらいか、つかんでおりますか。
○高峯説明員 生活保護の予算につきましては、予備費使用を認められた後におきましても、この予備費の使用の承認がございますのがまだ年度が終わっていない三月の初めでございますので、その時点におきましては、二月、三月分につきましてはまだ見込みということで予備費の承認を得るということになるわけでございます。しかしながら、二月、三月の実績と見込みとはぴたり一致するわけでもございませんので、その問の差につきまして、翌年度補正において精算不足額を処理するということにいたしておるわけでございます。これは生活保護の実態から見てどうしても出てくるやむを得ない数字ではないかと考えられますが、その数字につきましては、五十一年度の精算不足額の金額は七億二千四百四十二万九千四百三円でございます。
○春田委員 五十二年の補正で組んだやつですよ、補てん額ですよ。
○高峯説明員 大変失礼いたしました。ちょっと数字を間違えまして、九千百四十九万二千円でございます。
○春田委員 これは、私の調査によりますと一億四千七百二十二万二千円という額で、員数で一千六百六十三名が出ておるわけですけれども、五十二年の十月三日ですか、補正予算が出ていますね。
○高峯説明員 大変失礼いたしました。再三間違えまして申しわけございませんが、精算不足分は一億四千七百二十二万二千円でございます。
○春田委員 それでいいんです。人数は千六百六十三名のはずです。したがって、その予備費で組んだ人員が七千九百五十四名ですから、九千六百十七名で当初予算よりふえている、こういう感じなんですよね。このように生活保護の補助人員というのは毎月毎月非常にふえるわけでございまして、正確にはつかめない非常にむずかしい点もあると思いますけれども、私はこのように多くの額、多くの人員が当初見込みよりふえているということは、その当初予算の積算といいますか組み方というのは、ある程度問題があるんではなかろうかというように考えるわけでございますけれども、たとえば五十一年度の予算を組むとき、どういう形でどういうものを根拠として組んでいるんですか。
○高峯説明員 五十一年度の予算を編成いたします際には、まず五十年の四月から八月までの実績の人員、それに年度の人員の伸び率を掛けまして推計いたすわけでございます。このような形をとりまして、直近の実績と直近の平均の伸び率を使って推計しているところでございます。
○春田委員 四十九年度の実績と五十年度の実績ですけれども、五十年度の実績というのは大体何月ぐらいまでの実績を見ているわけですか。
○高峯説明員 予算編成時点では八月までの実績でございます。
○春田委員 予備費を出すのは、これは何月ぐらいですか。
○高峯説明員 二月に計数をはじきまして、三月に予備費の承認を得るということになっております。
○春田委員 わかりました。
 そこで、八月までの当該前年度の実績しかわからない。したがって、ほとんどの当初予算の組み方は二年前の実績をもとに立てているわけですよ。そういう点で、このように多額の予備費を流用せざるを得ないというような形になってきているんではなかろうかと私は思いますし、この点前年度の四月から八月までの実績というものが少なくとも正確につかめれば、こういう予備費だってこういうように出ないし、また多額の費用も要らないと思うのですけれども、その辺検討する余地はございませんか。
○高峯説明員 その推計をいたしますのはいろいろ技術的にむずかしい問題がございまして、現在のところ実績主義によらざるを得ないということで直近の実績によっているわけでございますが、できるだけ正確な数字を出すということは非常に重要なことでございますので、より正確な把握方法があるかにつきましては研究をいたしたいと思います。
○春田委員 いずれにしましても、予備費というのは予見しがたい予算であって、毎年毎年先ほど言ったようにこれほど多額の金を出すということは、やはりもうちょっと努力をしていただきたいということなんですよ。
 それで、もう一点だけお尋ねいたしますけれども、五十一年度の予備費の決定が五十二年の三月八日、大蔵大臣によって決定しているわけです。ところが、その同じ時期、補正予算が出ております。一月前でございますけれども、五十二年の二月三日、補正予算が出ているわけですよ。この一カ月のずれがございますけれども、少なくとも一カ月前の補正予算が出される段階で、この予備費を使わないで補正予算の中に載せることができないかということなんですけれども、補正を組む前は一月くらい前いろいろ組んでいるから、一カ月前という形ではいけないかもしれませんけれども、少なくとも二カ月前であれば、積算が出ていれば補正予算でも十分組むことができるわけですね。こういう点、どのように考えますか。
○山口(光)政府委員 補正予算が成立いたしましたのは二月の何日でございましたか、であったかと思うわけでございますが、補正予算の補正をいたしましたのは、ちょっといま正確な日にちを調べておりますけれども大分前でございまして、多分十二月段階であったかと思うわけでございます。十二月段階でそのときわかっておりましたデータに基づいてやるわけでございますから、三月の時点におきます積算とは相当の開きができてくるのではなかろうかと思うわけでございます。
 生活保護費は義務的な経費でございますので、補充費と申しますか、政策的な評価を必要としないという意味で大蔵大臣に任されておる。閣議の決定を省略しているわけでございまして、そういう意味からも、これは計数的な締めくくりでございますから、できるだけ最新のデータで最終的な締めくくりをつけるのが適当ではないか。もし、そういうことでやりませんと結局精算がふえるわけでございまして、精算がふえるとそれは地方団体の立てかえということになりますから、地方団体に御迷惑をかけることにもなりますので、なるべく精算がふえないようなやり方で処理するのが適当ではなかろうかと思うわけでございます。
 なお、先ほど来の御議論で多少誤解があってはいかぬかと思いますのでつけ加えさせていただきますが、四十八年、四十九年に予備費を一応いたしましたのは、いわば人員等の見積もりの食い違いを補正する意味ではございませんで、当時の物価事情に顧みまして特別一時金を年度末に出しておりまして、その分が予備費で出ておるわけでございます。
 それから、米価改定等、補正のときにすでにわかっております補正要因と申しますか追加財政需要につきましては、補正で処理しているわけでございます。いまのような米価改定とかあるいは特別一時金というようなものを除きますと、四十年以降十三年間に予備費を使いましたのは五年間でございまして、逆に不用額を出しましたのは二年間でございますから、多少予備費を使った方が多いかと思うわけでございますけれども、やはり多少大ざっぱになりますけれども、予見しがたい部類に入るのではなかろうか。最近二年引き続いて予備費使用をやりましたので、ただいまのような御議論が出ようかと思うわけでございますけれども、そういう感じがいたしているわけでございます。
 先ほど厚生省からも御答弁申し上げましたように、今後とも当初予算の計上方法につきましては工夫をこらしてまいりたいと思います。
 先ほどちょっと日付がはっきりしないと申し上げました五十一年の補正予算は、十二月二十一日に閣議了解をいたしております。
○春田委員 同じ福祉関係でこれは四十八年度の実績でございますけれども、老人医療費というのが出ているのですよ。老人医療費も算定が非常にむずかしい。そういうことで一時予備費を使用していたわけでございますけれども、この四十八年度の実績を見ますとほとんど補正で組んでいるのですね。四十七年度の不足額を精算するとともに、四十八年度の不足見込み額を補てんして補正予算で出しているわけですよ。したがって、予備費は全然使用してない、そういう実績が上がっております。同じ年の児童扶養手当、国民健康保険助成費も予備費を使ってないわけです。
 だから、私は、努力次第によっては必ずしも予備費をすべて使う必要もないと思うのですよ、こういう事例があるわけですから。そういう点で、これは先ほどからの論議でございますけれども、もうちょっと工夫すれば予備費を使わないで、当初予算で組んだり、また補正予算で組んだりできるのではなかろうか、こういうことでございますので、それなりの努力はしていただきたいと思います。
 せっかく厚生省の方が見えておりますので一点だけお尋ねいたします。
 生活保護の精算が非常に遅いと聞いておりますけれども、たとえば五十一年度の生活扶助の補助金、これは大体いつごろ精算されるのですか。
○高峯説明員 五十一年度につきましては五十二年度の終わりのころに確定をするということになっております。
○春田委員 私が聞いているのは、五十一年度のものは五十三年の二月に決算上では精算されると聞いておりますけれども、違いますか。
○高峯説明員 五十三年の二月ということで五十二年度末に近いところということでございます。これは精算不足額が正確に確定するのを待つためには、年度末近くまで待った方が正確になるという事情がございまして、このように遅くなっているわけでございます。
○春田委員 したがって、その分だけ地方自治体が負担しているわけですよ、国からの精算がない間は。そういう点ではもうちょっとこの精算を早くする必要があるのではないですか。少なくとも秋ぐらいまでに精算して地方団体へ返すべきじゃないですか。
○高峯説明員 精算不足額の確定を早くするためにはいろいろ地方公共団体にも御協力いただかなければなりませんが、漫然と年度末近くまで待つよりは早く確定した方がベターであることは確かでございますので、その点についてはいろいろ努力いたしたいと思います。
○春田委員 五十一年度のものが五十三年の二月くらいになるということは相当遅くなるわけであって、もうちょっと作業を進めていただきたい、このように要望しておきます。
 続きまして、生活保護の細かい問題になりますけれども、いま生活保護は級地が定まっております。一級、二級、三級という形で、この級地は所在地域によって違うわけですよ。これは私の大阪の例を言いますと、隣の市が一級地で道路一つ隔てて二級地、こういう形で二級地になっている市町村からずいぶん苦情がある。同一経済圏じゃないか。そういう道路一つ隔てて一級、二級下がるなんてけしからぬ、こういう地方自治体からの怒りに燃えた要望があるわけでございますけれども、これは何を根拠にして一級、二級、三級と級地を決めているわけですか。
○高峯説明員 生活保護の基準につきましては、できるだけ地域の実態に即して決めるということが、地域の保護を受けていない住民との均衡ということで必要でございます。そういったことを勘案いたしまして、消費水準なりその地方の実態に応じまして一級地から三級地までに区分しているわけでございます。
 ただ、この区分の仕方でございますが、行政の関係上やはり市町村を単位として級地を決めざるを得ないということでございまして、その際にはある市町村の境界部分ではどうしても若干の不合理な点が残る場合もあるかと思います。
 しかしながら、私どもとしてはできるだけ実態に即するように常に考えていきたいと考えております。しかし、地域住民の生活水準なり地域の実態と申しますのは非常に流動的でございまして、変動が激しゅうございます。ですから、画一的にそれを決めるということがむずかしゅうございまして、それを常に正確にフォローすることも技術的に非常にむずかしい面がございますので、御指摘のような苦情が出てまいっておるわけでございます。
 私どもとしては、できるだけそういった苦情がないように、地域の実態などを常に十分把握いたしまして、適正な級地制度の運用をいたしてまいりたいと考えております。
○春田委員 たとえば標準世帯で見ますれば、一級地は十万五千五百七十七円、二級地は九万六千七十四円なんですよ。したがって、一級と二級では九千五百三円の差がある。二級と三級では九千四百九十七円、これだけの差がございます。したがって、一級と三級の差は実に一万九千円くらいあるわけです。
 厚生省としては、五十三年度に一級から四級であったものをさらに縮めて三級までとされました。その努力は認めますけれども、私から言わせれば、同一経済圏にありながら道路一つ隔ててこちらは一級、こちらは二級、一人当たり何と九千五百円の差があるわけです。そういう点からすれば、この二級地になっているところは、同じところじゃないか、なぜそんな差をつけるんだという苦情が相次いで起こっているわけです。確かに生活水準は都市と田舎なんか違うかもしれませんけれども、同じ都市、同じ経済圏であれば級地は同じでなかったら理屈が合わないと思うのですよ。
 そういう面で、一級から四級をさらに縮めて一級から三級にされましたけれども、大まかに都市と田舎くらいに分けて――田舎と言ったら怒られますけれども、一級と二級くらいに分けるべきじゃないですか。そうしなかったら、道路一つ隔ててそういう問題が相次いで起こっているわけですよ。そういう思い切った見直しをやる必要があると私は思いますけれども、どのようにお考えになっていますか。
    〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
○高峯説明員 級地の格差をできるだけなくすということで、いま御指摘ございましたように、四段階制でございましたのを今年度から三段階制に改めたわけでございます。従来四段階制の場合ですと、四級地は一級地に対して七三%、格差にいたしまして二七%の格差があったわけでございますが、これが三段階制になりまして八二%、差は一八%というふうに縮まったわけでございます。
 しかしながら、いまこれをもっと縮めたらどうかというお話もございますが、私どもとしては、今年度四段階制から三段階制に切りかえたばかりでございますので、その結果の推移を見て今後ともいろいろ考えてまいりたいと考えております。
 都市と農村というお話がございましたけれども、現在一級地が大体大都市でございまして、二級地、三級地がそれ以外ということで、その意味では都市と農村という観点からは御指摘に近いような区分けになっているかと思いますけれども、これは非常にむずかしい問題でございますので、今後とも研究をいたしたいと思います。(発言する者あり)
○春田委員 誤解されては困りますから言っておきますけれども、たとえ二つに分けても、私はその差を大きくつけるべきではない、これだけ言っておきます。田舎の方の方から声が出ておりますので、後で苦情を言われたらかないませんので、それだけ言っておきます。
 老人世帯の場合、特に単身世帯の場合、生活扶助額が相当問題になっているわけでございますけれども、生活扶助額も第一類と第二類とございますね。この第一類と第二類というのはどういうことなんですか。説明していただきたいと思います。
○高峯説明員 第一類は主に個人の直接の生活に必要な経費でございまして、第二類と申しますのが世帯に伴う経費、大まかに言って以上のような違いがございます。
○春田委員 第一類で七十歳の単身世帯の場合、金額はどれくらいになりますか。
○高峯説明員 一級地の場合でございますと、七十歳の単身の男子の場合、一類の経費は二万三千二百八十円でございます。
○春田委員 第一類が飲食を中心とした費用ですね。七十歳二万三千二百八十円でございますけれども、これを三十で割った場合一日八百円になりますけれども、一日八百円を三食で分けた場合二百七十円くらいになってしまうわけです。これで生活できるとお考えになっているのですか。何を根拠として、何を基準としてこの金額は定まっているのですか。
○高峯説明員 現在の生活扶助基準の決め方は、具体的にこういったものを食べて、こういったものを買ってという積み上げ方式、いわゆるマーケットバスケット方式ではございませんで、一般世帯との格差を縮めていくという方針をとっておるわけでございます。したがいまして、一般世帯の消費水準の伸び、これを上回る伸びで改善をしていくという方法をとっておりまして、その結果、この一類の二万三千二百八十円というものはすべて飲食物に必ず充てなければならないという性格のものではございませんで、一類なり二類なり全部総合しまして決まりました金額、その範囲内でそれぞれの世帯に応じていろいろ生活費に充てるという考え方をとっておるわけでございまして、私どもとしてはこの二万三千二百八十円を割って、これだけで生活ができますという考え方はとっておらないわけでございます。
○春田委員 しかし、第二類は、ガス代や水道料金やいろいろそういう経費が要るわけであって、それをそこの世帯できちっと払っていかなければならないわけでしょう。加算金が一万円くらいありますけれども、それにしても非常に安いわけです。実感として、机上の計算ではなくして、実際の生活の上でそういう二万円や三万円で一カ月生活できるということは、だれが考えても、できないと思うのです。
 確かに標準世帯、四人家族におきましては、相当金額的にもフォローされましてよくなってきております。家賃等を入れたら十五万くらいあるわけですね。これはそれだけに評価いたしますけれども、いま問題になっているのは単身世帯です。また老人の二人世帯、これは非常に安いという苦情が上がっております。実際に生活できない、こういう点からして、単身世帯の額は、そういう計算上ではなくして、実感として、実態的に生活できるような額に上げるべきである、このように主張しておきます。
 さらに、これは参議院の方でも論議がありましたけれども、第一類で男性と女性の差があるわけですよ。そちらから言わせれば、カロリーによって分けているということでございますけれども、女性の方でも肥えている方だってあるわけであって、男性だってやせている方があるわけでしょう。この辺で差をつけるというのはおかしいんじゃないですか。大体三十代で三千円ないし四千円の差がついていますね。これは差をつけるべきではないと私は思いますけれども、どうでしょうか。
○高峯説明員 一類の基準につきましては男女差がございますが、これは先ほどお触れになりましたように、栄養審議会の出しました性別、年齢別のカロリー所要量に基づいておるわけでございます。最低生活を維持するために、飲食のためにどれだけ必要かという最低線を考えます際には、ある程度科学的なものを根拠にせざるを得ない。そういったことで、現在ございます栄養審議会の数字をよりどころにしておるわけでございますが、その栄養審議会の数字が、性別でカロリーの所要量に格差がございますので、それが結果的に反映しているわけでございまして、それではどういう形でこの格差はなくてもよいと考えるのかという点、いろいろ技術的にもう少し検討しなければならない点がございますので、この点につきましてはなお研究をいたしたいと考えております。
○春田委員 課長も御存じだと思いますけれども、特に高齢世帯、七十歳代では男女差はないと思うのです。しかし現実には、男性が二万三千二百八十円、女性が一万九千八百四十円で三千四百四十円の差が出ているわけです。若いときはある程度の差があるかもしれませんけれども、七十歳になったら男女差はないんじゃないですか。それは要するに机上で差をつけている。こういう点では、憲法二十五条においては、文化的な最低生活を保障するという形で載っておりますけれども、実際の中身はそれに達していない。こういう点も十分今後検討の材料にしていただきたい、このように要望しておきます。
 それから同じく五十一年度の予備費の中で、児童扶養手当というのが予備費から三十億円出ております。この中身について若干お尋ねいたしますけれども、児童扶養手当というのはいわゆる母子家庭に与えられます。いわゆる父親が遺棄した場合、また離婚した場合もらえるわけでございますけれども、その認定条件というものが、父親が蒸発、遺棄した場合は一年となっております。この一年というのは非常に長いように私は思うのですが、この点どうお考えになっておりますか。
○下村説明員 児童扶養手当は、ただいまお触れになりましたように、福祉年金等が死別の母子世帯を対象とするのに対しまして、生別の母子世帯を対象にしているわけでございます。したがって、事実上の関係に着目してやっているわけでございまして、父が児童を遺棄している場合、実際問題としてどの時点で遺棄したかというふうな認定をするのは技術的な問題としてはきわめてむずかしいわけでございます。離婚のように法律的な関係ではっきり事実が確認できるというふうな場合と違ってくるわけでございますので、その確定に不確実性を排除するという意味で、一年程度の期間が経過した時点でやるのが妥当ではないかということで、現在の制度ができているわけでございます。他の類似のものといっても余りないわけでございますけれども、たとえば民法等で失踪宣告の要件等が決められておるわけでございますが、その場合でも、たとえば生死の危難が去った後一年間生死不明というふうな状態が続いた場合に失踪宣告するとかというふうな例もございまして、大体一年程度は見なければ、事実関係として蒸発というふうな事態を確認することはむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○春田委員 この点も相当いろいろな相談がございまして、長いという点が指摘されております。それは一月や二月ぐらいでは蒸発したかどうかわからない点があると思いますけれども、少なくとも三カ月ないし半年たてば大体遺棄したかどうか、蒸発したかどうかわかると思うのですよ。いわゆる遺棄することによって、いままである程度蓄えがあるからもつでしょうというけれども、それは精神的な面で相当の打撃ですから、この一年というのは、それまでもたないですよ。そのために民生委員やケースワーカーがいるわけですから、ちゃんと証明者がいるわけですから、その点は私は事務的にはきちっとできると思うのですよ。何のためのケースワーカーか、何のための民生委員かと言うのです。ちゃんと地域にはいるわけですから、その証明さえあれば、いわゆる一年といわず、三カ月ないし半年たったら認定してあげる。こういう母子家庭に対しては手厚い保護が必要じゃないですか。どうでしょうか。
○下村説明員 実際問題としてお困りになる家庭が出てくるというふうな事情が生ずる場合も理解できないわけではないのですが、蒸発という場合には、そのままの状態が続く場合もあれば、いろいろな家庭があるわけでございますから、ちょっと出てまた帰ってくる、また出ていくというふうな例もいろいろあるわけでございます。児童扶養手当は、先ほど申し上げましたように、離婚のようなある程度の継続的な状態にバランスをとるという意味で生別の母子世帯を対象にして考えられた制度でございますので、その辺は、一年が絶対的にいいのかどうかという点については、確かにいろいろな議論はあり得ると思います。私どもとしてもその辺を、事実関係の認定についていろいろ工夫を要する面もあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げました他の民法等の取り扱いから考えますと、やはり事実関係を中心にしてやっていくということになると、ある程度の継続した状態ということになると、これをにわかに縮めるということもなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考える次第でございます。
○春田委員 それでは時間が参りましたので終わますけれども、保育所の問題もやる予定でございましたけれども、相当長時間になっておりますので、保育所の問題は次の機会にやりたいと思っております。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○楯委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は予備費制度についてお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、予備費の事後承諾の問題について大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、御承知のように、予備費は内閣の責任において支出をいたしまして、支出した事後において国会の承諾を得なければならない。これは憲法の規定でございます。
 ところで、予備費を支出した後で国会が承諾をしない、不承諾だという場合は、どういうふうに措置をされることになりますか。
○山口(光)政府委員 法律的な解釈を申し上げたいと思うわけでございますが、憲法八十七条によりまして、予備費を使用したときは後日国会の承諾を求めなければならないということになっております。予備費は予算に計上いたしまして、国会の御議決をいただいて使うものでございますけれども、国会ではその金額が全体として適当であるかどうかということを御審議して、授権していただくにとどまりまして、具体的な経費を特定して議決していただくものではないわけでございますので、したがって、予備費を使用いたしまして経費をつくる場合には、事後において内閣は国会の承諾を得る必要があるという制度になっておるわけでございまして、国会の御承諾を得ました場合には、これによりまして予備費使用についての内閣の責任が解除されるというふうに考えております。
○安藤委員 だから、不承諾ということになったときは、その具体的な予備費の支出は国会は承認しないということになるわけですから、それに対してはどういうような責任をおとりになるということになるのかということを聞いているのです。
○山口(光)政府委員 もしも国会が予備費の使用につきまして承諾を与えない、不承諾だということになりました場合に、過去において予備費を使用いたしまして行いました支出等の法律上の効果にまで影響を及ぼすものではないと思いますが、不承諾になった場合の内閣の責任は政治的な責任であるというふうに考えます。
○安藤委員 政治的な責任になるわけですけれども、国会が不承諾ということを意思表示すれば、責任を問うということになると思うのですね。しかし、使った後でそれは無効だから後から返せというわけにはまいらぬと思います。だから、これは結局現在も五十年度決算――これは予備費の関係ですからあれですが、使った後で審査をして、しかしこれはやはり次の予備費の使用について国会の意思を反映していくという形で政治責任を果たしていくという形がとられるべきではないかというふうに思います。
 そういうことでなければならぬと思うのですが、そこでそれとの関連で、これも御承知のように財政法の三十六条二項、三項によりますと、予備費の使用総調書は次の常会に提出するということになっております。そこでいろいろ定見的な解釈としては、財政法の三十六条はこういう規定がしてあるのですね。予備費をもって支弁した金額の総調書を作製して、これを国会に提出して承諾を求めなければならない。しかし支弁した金額というのは、これも御承知のとおり実務上予備費使用決定額というふうに解されておりまして、そのように実際は扱われている。だから支弁した金額というふうに文言はなっているけれども、実際に支出された金額ではない。これは大蔵大臣の責任において決定した金額ですね。だから、その使用総調書が次の常会である国会に提出されるころ、そして国会で審議が行われているころ、その段階においてはまだその予備費が使用されていない、いわゆる未執行の段階で国会の意思表示をするということもあり得ると思うのです。だからそういう場合に、まだ使用されていない予備費に対して国会の方が不承諾という意思表示をした場合はどういうようなことになりますか。それは執行するのかしないのかということでございますが……。
○山口(光)政府委員 仰せのようなことがあり得るわけでございまして、そのような場合には、政府としては極力支出を差し控えるのが適当であろうかと思います。
○安藤委員 極力差し控えるのが適当とおっしゃるのですが、だから執行しない、支出をしないということだと思いますが、これは国会の意思を尊重するというたてまえからすれば、執行しないのではなくて、執行できないということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○山口(光)政府委員 国会の御意思を尊重するということになりますと、まさにその御意思に従って支出しないように努めるべきであろうかと思いますが、すでに予備費使用による債務負担を行って、つまりたとえば民間との間で契約を行っており、それを執行せざるを得ない、そうでないと民間に被害を与えるというような場合も全くないとは言えないと思いますので、そういう点に留保をつけさせていただく意味で、極力支出を差し控えるのが適当ではないかというふうに申し上げておるわけでございますが、趣旨としてはおっしゃるとおりであろうかと思います。
○安藤委員 だから、民間と契約して云々という場合は、まさにそれは政治的な責任として背負わなければならない問題だというふうに思います。やはりこれは支出すべきではないという方向で考えておられるというふうに理解をいたします。
 そこで、予備費の検査の問題について、検査院の方に若干お尋ねをしたいと思うのです。
 財政法の三十六条によりますと、先ほど申し上げた予備費の使用総調書、これはそれを決定した段階で検査院に送付をするということになっております。この送付をされた段階で、いわゆる使用決定に対して検査院がその適否について物を言うことができるとお考えになっておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
○前田会計検査院説明員 予備費の使用を閣議が決定をいたしますと、まずその個々の分について会計検査院に書類が参ります。それから、先生御指摘のとおり、予備費の使用総調書ができますとまた送ってまいるわけでございまして、われわれそこの段階で一応計数的なチェックはするわけでございますが、先生も先ほどちょっとおっしゃいましたとおり、結局その段階では、こういうものに対してこれだけの金を支出する、計画はかくかくであると書いてあるだけでございまして、われわれが一応それについておかしいではないかと物を言います場合は、やはりそれに基づいた債務負担なりあるいは支出という行為が行われてからでないとはっきり物が言えない場合が多い。無論予備費の使用決定につきまして検査をしないと申し上げているのではございませんが、やはりその段階でがっちりしたものをつかみましてからさかのぼっていく、こういうことであろうかと考えております。
○安藤委員 そうしますと、総調書が検査院に送付された段階で、検査院が調査をして、その適否について物を言うことはできるけれども、実際問題として適確な調査もできないしということで、していない、こういうことになろうかと思うのですね。違っておったらまたすぐ言ってくださいね。
 そこで、たとえば先ほどちょっと議論がありましたけれども、こういうようなことでこういうことにこれだけを使うということが書いてあるだけだということですが、まさに予見しがたいことなのかどうかという点などは、使用項目が書いてあればチェックできるのじゃないかと思うのですね。だから、そういうようなことでできるのではないか。実際はやっていないのだけれども、本当はしようと思えばできるのかどうか、その点をお聞きしたいのです。
○前田会計検査院説明員 一応やろうという心構えはあるわけでございます。
 それで、たとえば過去におきましてどんなケースがあったかと申しますと、終戦直後は、予備費の使用決定の請求をいたします場合には、必要以上に水増しをいたします。そして予備費の使用決定を受けた。実際問題、使用に当たりましては大半流用してしまったとか、全然別の用途に使った、こういったようなことがありまして、これは歳出予算の執行そのものとしてもけしからぬことでございますけれども、予備費の使用決定を請求いたしますときに、相当いいかげんであったというようなことで、検査報告に載せたケースはあるわけでございます。
 ただ、最近はそういうケースはちょっと見当たりませんので、結局先生が先ほどおっしゃいましたような予見しがたいことにこれが当たるか当たらないか、こういった非常に微妙な問題になってこようかと思います。
 こういった問題について、これが予見しがたかったか予見し得たか、これは実際問題といたしまして、決算は歳入歳出決算、これを通じて検査してさかのぼるわけでございますが、それを検査しておりますうちに、予備費使用総調書の(その1)でございますが、(その1)は十二月中にはもう国会に出てしまうわけでございまして、そしてその通常国会におきまして、お早くなされば、まだ会計年度が終わらないうちに使用承諾がおりてしまう、こういう関係になろうかと思うわけでございます。そういった点もございまして、やろうという意欲は無論あるわけでございますが、国会がもうすでに御承諾をお与えになりましたものにつきまして、これは予見しがたかったかどうか、こういうようなことを申し上げるのもどうか、こういう点はあろうかと存じます。
○安藤委員 そこで、いまは使用総調書が送付された段階での話ですけれども、それが使用された結果、いま普通会計検査院のやっておられることなんですが、検査をして、その結果まさにこれは予見しがたいものではなかった、予備費として計上すべきものではなかったというようなことも指摘はされる用意はあるわけなんですか。
○前田会計検査院説明員 ある意味で、予見し得たかし得なかったかということは、後から見るというのはかなりむずかしい問題であるとは思いますけれども、しかし確かに憲法の規定には「豫見し難い」こうはっきり書いてあるわけでございますから、そのことがはっきりわれわれが認識でさましたら、それは指摘することになろうかと思います。
○安藤委員 そこで、ちょっと観点を変えてお尋ねしたいのですが、予備費の使用そのものについて、これは予備費が決定されると各省庁に割り振られて、項に入れられて、予算が配分されたと同じようなことになるということはわかっておりますが、その予備費だけについてチェックをして、そしてそれをたとえば会計検査報告に載せるとか、そういうことはできると思うのですけれども、いまはそういうようなことをやろうというようなことはお考えになっておられませんか。
○前田会計検査院説明員 予備費の使用決定について検査をしようとする意思はあると申し上げたわけでございますが、それを一体どのように検査報告上掲記するか、これにつきましては特に話し合ったことはないわけでございます。
 ただ、昭和二十二年におきましては、非常にけしからぬ例がかなりございまして、これははっきりと検査報告の総論に書きまして国会に御報告申し上げております。
○安藤委員 いま御答弁がありましたように、過去においてそういうことも行われておるわけですね。二十二年度の決算検査報告には、ちゃんと「予備費の支出」ということを項目を挙げてやっておられるわけです。そしてこれは院法の施行規則の十五条にも、その他必要と認めることを掲記することができるということがあるわけですが、これは昭和二十二年当時やっておられたのをどうしてやめてしまったのか。そして、先ほどもお尋ねしたのですが、これからそれをやろうということは考えておられないのか、いかがですか。
○前田会計検査院説明員 昭和二十二年度ころは、予備費だけではございませんで、一般的に戦後の混乱で乱れ切っていた時代だと私は考えます。したがいまして、予備費の使用決定まで含めまして、けしからぬということを言ったわけでございますが、私がその後聞いております限りにおきましては、それ以来予備費の使用決定につきましては大蔵省の審査がきわめて厳重になりまして、水増し請求をしてくるなどということは余りなくなった。
 と申しますのは、予算の場合とは違いまして、予備費の使用決定をいたします場合は、かなり近い事態になってから予備費の使用決定をいたしますわけで、請求もそれから計算もかなり正確なものになり得るはずでございますので、こういう極端なケースはなかった、こういうことであると私は聞いております。
○安藤委員 何か天下太平になってきたようなお話なんですけれども、そこで過去においては、いまの検査院の検査の問題もさることながら、当決算委員会において予備費の検査結果について検査院もきちっと報告をしておられるわけです。予備費について大蔵大臣の方から概要説明があった後に、会計検査院の立場からの検査報告をしておられるわけです。そういう機会があったわけです。
 そこで、委員長にお願いしたいのですけれども、当決算委員会においても、これはたとえばちょっと前の話なんですが、第五回の国会の衆議院決算委員会議事録を見ますと、予備費について審議を進めます。大蔵大臣から提案理由の説明があったのですが、本日は会計検査院の方から意見を聞きまして、と、それから予備費の審査に入っているわけなんです。そういうようなこともあります。
 それから、予備費というのは、先ほどから議論をしておりますように、総額の金額が決まってそれを国会が承認するわけですけれども、具体的な使い方は皆すべて事後承諾になっておるわけですね。だから、これは国民の税金を使うわけですから、きちっと会計検査院の方にもチェックをしていただいて、その結果をきちっと報告をしていただくという場を設けるべきではないかというふうに思うのです。
 だから、これはそういう方向で委員会の運営をしていただきたいということを委員長にお願いしたいのですが、いかがですか。
○楯委員長 安藤君のいまの申し入れについては、理事会で相談をして実行いたしたい、こう思います。
○安藤委員 そこで、今度は会計検査院の検査権限の問題について大蔵大臣と検査院にお尋ねしたいのですけれども、四月十三日の本会議におきまして私が代表質問をしたのですけれども、このときに、輸銀、開銀等の融資の問題について、「融資を受けているものの会計についても、会計検査院の検査が行えるよう法的措置を講ずべきであります。」というふうにお尋ねをしたわけです。ところが、大蔵大臣は全く私の質問に答えておられないで、「輸開銀に対する会計検査の問題でございますが、これは必要があればできるのは当然でございます。」という御答弁なんです。私がお尋ねをしているのは、輸銀、開銀から融資を受けている先の会計について会計検査院が検査をするようにすべきではないかということをお尋ねしたわけです。だから、ここで改めてその点をお尋ねしたいのです。いかがですか。
○村山国務大臣 それは本当に失礼いたしました。私が聞き違えまして、輸銀、開銀に対する検査だと思ってお答えしましたので、その点はおわび申し上げておきます。
 輸銀、開銀の取引先の問題でございますが、これは財政資金を使っているという意味で非常に違っているのでございますけれども、しかし、あくまでも輸銀、開銀とその融資先の関係は私契約になっているわけでございますので、私契約の取引先について会計検査院に検査権を与えるべきかどうかということについてはやはり慎重に考えなければならぬ、私はそのように思っているのでございます。
 しかし、国会の決議でもありますように、会計検査院の要求があった場合には、可能な限り会計検査院の検査の使命を全うする意味でできるだけの協力をいたしまして、輸銀、開銀を通じまして必要な資料はできるだけ提出させたい、かような心構えでいまおるわけでございます。
○安藤委員 輸銀、開銀からの融資先の会計の問題についていま私契約ということをおっしゃったのですが、それは融資を受けている個人なり団体なりが事業を行うについてはいろいろ私契約をなさるだろうと思うのです。ところが、輸銀、開銀からの融資、貸し付けそのものについては、私契約ということではないのではないかと思うのです。これは財政資金の使用なんですから。だから、その点についてきちっと会計検査ができるようにすべきではないか。
 たとえば住宅金融公庫法、この三十七条によりますと、「会計検査院は、必要があると認めるときは、貸付を受けた者の会計を検査することができる。」だから住宅金融公庫から貸し付けを受けた者の会計検査をすることができるという規定がちゃんとあるわけなんです。私は、輸銀、開銀から貸し付けを受けたその融資先の会計について会計検査院が検査をすることができるように、その根拠法令の中にこの住宅金融公庫法のような規定を設けるべきではないかというふうに思っているのです。そういう方向で検討をされる用意はないか、あるいはそういう方向で考えておられることはないかということをお尋ねします。
○渡辺(喜)政府委員 ただいま住宅公庫の例をお挙げになりましたが、おっしゃるとおり住宅公庫法においては三十七条にそういう規定がございます。この住宅公庫法の規定がいかなる経緯で盛り込まれたかということについてはどうも事情がつまびらかではございませんが、恐らく制定当時、これはまだ戦後の混乱期でございまして住宅が著しく不足しておった状況にあったわけでございます。そういうときに利子補給をつけた非常に低利の金を融資する、こういうことでもございますし、また、現実に住宅公庫の金を借りてそれを実際の住宅に使わないで流用するというふうなケースも相当頻発した、こういうような事情が背景にあったのだろうと思います。恐らくそういう特異な当時の事情というものを背景にそういう法律ができ上がったのだろうと思いますが、そうだからといって、これを直ちに一般的に財政資金を使う政府系金融機関の融資先全般に及ぼす、こういうことについてはやはり相当慎重な配慮が要るのではないか。
 政府の検査の権限というものを民間の私企業なりあるいは個人なりそういうものに強制的に及ぼしていくということについては、やはりそれによって得られる政策効果といいますか、そういうものと、それからそれを受ける方の民間一般のデメリットといいますか、そういうものを十分比較考量して、それでもなおかつやるのがベターである、こういうことなら踏み切るということも考えられましょうけれども、そこに踏み切るに至るまでにはやはり相当慎重な検討、配慮というものが要るのではないか、かように考えるわけでございます。
○安藤委員 いまのところ私は一般的にすべてそういうふうにやれとは、できたら一番いいのじゃないかと本当は思いますけれども、さしあたって輸銀、開銀についていろいろ問題もちょいちょい聞いております。だから、これは会計検査院の検査が行われるように融資先についてやるべきじゃないかというふうに思います。よりベターならやることも考えるという趣旨のことをいまおっしゃったのですが、そういう前向きの方向でこれをやっていただきたいと思うのです。
 そこで、会計検査院のことにまさにかかわることなんですが、そういうことで会計検査院が輸銀、開銀の融資先の会計についても検査をすることができるということになったら、非常にこれは検査がやりよくて効果が上がるというふうに思っておられるのか、それを待望しておられるのか、そんなものは要らぬと思っておられるのか、どちらですか。
○柴崎会計検査院説明員 この問題につきましては、ただいま大蔵省の方からも御説明がありましたようにいろいろと問題もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、いままでのところも事実上御協力をいただいて貸付先についても検査をさせてもらっている、しかし権限上はこれは明記されていない、こういうのが実態でございます。そういうところから見まして、権限としてもこれを明らかにしていただければ私どもの検査がさらにすっきりとする、こういう点で現在私ども部内でも院法の改正といったことで検討をいたしているところでございます。
○安藤委員 いま御答弁をいただいたのですが、会計検査院の権限の強化についてはということで、総理もことしの三月六日の予算委員会で、「事会計検査院の問題です。これは独立機関たる会計検査院の立場ということも考えなければなりませんので、これは会計検査院において検討していただくということが妥当である、」というふうに答弁しておられるわけですよ。そうしますと、これは会計検査院の方でいまおっしゃったようにしっかりと検討して、権限としてその融資先についても検査することができるという案をしっかりつくって、物を申していただきたいと思います。いま相当前向きの御答弁をいただいたのですが……。
 それから、もう一つそれとの関連で申し上げたいのは、時間が来ましたのでもう一つだけお尋ねしますが、政府援助によって外国に借款を与える、いま具体的な問題としてすぐれてソウルの地下鉄の問題について出ておるわけなのですけれども、この借款を受けた外国から受注した商社あるいはメーカーに対する検査、これも会計検査院が権限としてすることができるというふうにした方がいいと私は思うのです。
 その点について、検査院としてはそうした方がベターだ、調子がいいと思っておられると思うのですが、いかがでしょうか。
○柴崎会計検査院説明員 先ほど御答弁申し上げましたのは、直接の貸付先についての検査権限の問題でございますが、ただいまのお話は、外国政府等に対する借款、その政府がさらに契約の相手先として本邦の国内業者を選んだ場合、その国内業者の契約の会計について会計検査院が検査をするのがよいのではないかというお話と理解いたします。これにつきましても私ども現在検討はいたしておりますけれども、何せ外国政府という主権の違うところの相手、さらにそこの契約の相手先ということでございますので、これが法的にどういうことになるかというところは慎重に検討いたさなければならない、こういう意味合いにおきまして現在鋭意検討中でございます。
 そういうことで、それについて私どもが検査をすることの是非、当否といったことについては、いまにわかにここで御答弁申し上げることができないのは残念でございますが、事情を御了察いただきたいと思います。
○安藤委員 大臣はどうなんですか。いま私が会計検査院にお尋ねしたような、借款を受けた――それは直接大臣の関係することではないとおっしゃるかもしれませんが、とにかく国の金を使う部分については間違いないのですが、借款を受けた外国から注文を受けたその商社、メーカーに対する検査を会計検査院がすることができるという方向で法律的な問題を考えるという点については、いかがでしょうか。
○村山国務大臣 いまの外国の問題もそうでございますし、それから融資先の問題もそうでございますが、やはり金利を払って、それは財政資金には違いございませんけれども、それ自体の契約は私は私契約だと思っております。そういう意味で言いますと、なかなかこの問題はむずかしい接点の問題であろうと思うのでございまして、私は、会計検査院がその必要な分野におきましてできるだけやるということはそれはよろしゅうございますけれども、どの辺が一体かきねであるのか、この点については慎重な配慮が必要ではないか そのように考えておるものでございます。
○安藤委員 終わります。
○楯委員長 麻生良方君。
○麻生委員 質問の通告をしていないで突然お願いをして恐縮なんでございますけれども、これは採決ということになりますので私もこの態度を決めなければならぬのですが、いまも安藤議員から質問がありましたけれども、これは否決した場合に、いまの大臣の答弁では、政治的にということと憲法でそう書いてあるから一応は求めるんだと言うのですけれども、しかし政治的にと言われましても、否決した場合一体どういう手続がとられ、どういうような効果が出てくるのかということがわかりませんと――自民党がいつも多数ですから否決されることは絶対にないという前提のもとに、惰性でこういう採決の仕方をいままでやってきておりますが、新自由クラブさんと私とが反対したらこれは否決になるでしょう。しかも、参議院の決算のとり方もまた衆議院とは違うのですね。これは大蔵大臣としては、否決になった場合どういう御処置をとられますか。この点だけひとつはっきりさせていただかないと、私も賛否を決しかねるのですよ。
○村山国務大臣 先ほど法律的な解釈は山口次長から述べたとおりでございますが、これは政治的責任の問題になろうかと思うわけでございます。そういうことはわれわれは望まないのでございますが、不幸にして否決になりますということになると、やはり内閣の責任でございますから、少なくともどういう理由でどういう点が否決になったのか、その理由を問いただしまして、再びそのようなことがないように心がけるのは最小限度の政治的の責任であろう、かように思っておるところでございます。
○麻生委員 それは答弁にならぬので、最小限度はそれで済むかもしれませんが、それでは最大限度はどうなんですか。これはここで否決したら、その内容いかんによって、予備費の流用について大きな不正なり疑点なりがあるということが指摘された場合には、内閣はその責任をとって総辞職されるということになるのですか、あるいは大蔵大臣の首だけが飛べば済んじゃうのですか。
○村山国務大臣 恐らく、形式的に予備費支出が否認された一般の問題ではなくて、その内容による問題ではなかろうかと私は思っているのでございます。
○麻生委員 それではもう一つ。
 これはきょうは予備費だからいいようなものですが、委員長、決算全体について明後日採決がございますね。これは委員会としての議決案も採択されると思いますけれども、参議院は御承知のように決算報告は決算報告として賛否を問うておるわけです。しかしここは、何かよくわからぬけれども、何となく一括でやっておるような形になっておるのですな。しかし、これもやはりいままで反対者が出ておるのですね。これを否決した場合には今度はどうなるのですか。きょうはいいが、予備費の場合は一応予備費ですから額は少額だと言えばそれっきりだが、これはどうなるのですか。
○山口(光)政府委員 最初に法律的な問題を申し上げたいと思います。
 決算につきましては憲法九十条で「これを國會に提出しなければならない。」という規定になっておりまして、憲法八十七条が、予備費について「内閣は、事後に國會の承諾を得なければならない。」と規定しておるのに比べまして、規定の仕方が違うわけであります。つまり予備費につきましては、事後ではございますが、国会の意思を聞かなければいかぬということになっておる。決算については「提出しなければならない。」とのみ書いてありまして、国会の意思を明らかにすべきだというふうにはなっていないわけでございます。したがって、国会がどういうお取り扱いをなさるか、それは院によってそれぞれ取り扱いがあるいは違うのではなかろうかと思うわけでございます。
 なぜ決算がそういうふうになっているかということは、すでに収入、支出が終わっておる、実績の集積であって、確定しているものを出すものでございますので、そういう取り扱いになっているのではないかと思います。
 ただ、これに対して国会が、それではこういう点はけしからぬじゃないかというようなことを言うこともあり得るわけでございまして、これは憲法上の問題ではなくてあり得るわけでございます。
 ただ、そういうような場合には、やはりそういう予算を執行した内閣の政治的責任の問題は残るというふうに考えます。
○麻生委員 これを否決した場合、つまり、この予備費だけではなくて、関連して明後日、あるいは参議院においても決算の原案が否決される、また本院においても、手続の採決のとり方は参議院とは違うと思いますけれども、否決された場合は、内閣総辞職になると見てよろしいということですか。そうすると、決算委員会というのは大変な権限を持つということになりますが、それでよろしいのですか、そういう解釈をして。
○山口(光)政府委員 否決とか可決とかという案件ではないということを申し上げたつもりでございます。
○麻生委員 じゃ、それはなぜ採決するのですか。
○山口(光)政府委員 憲法の上における取り扱いが予備費とは違っておる。つまり事後承諾という制度にはなっていない。したがって、否決とか可決とかということはないんではなかろうか。しかし、国会が決算を御審査になっていろいろ御意見をお述べになるということはあると思います。そういうことについて、これはけしからぬじゃないかというようなことをおっしゃることはあるわけでございますが、それはもうすでに終わっていることでございますから、その終わっている事態をひっくり返すわけにはいかない、残るのはやはりそういう予算を執行した内閣の責任が残るのではないか、こういうふうに申し上げているわけです。
○麻生委員 だから、そうすると、内閣の責任が残るということは、大蔵大臣、それは予算執行上重大な欠陥があったということになりますから、やはり内閣は総辞職する責任を持たざるを得ないということになるのですか。(発言する者あり)いや、あり得るから聞いているのです。
○村山国務大臣 いま山口次長から申し上げておりますように、決算につきましては否決とか可決とかそういう国会の意思表明が行われるわけではないのでございます。決算全体として、いや否決だとか可決だとか、そういう対象になるものではなくて、やはり決算委員会においていろいろな意見が述べられることはあり得るだろう、あるいは批判が加えられることはあり得るだろうと思うのでございます。したがいまして、その批判の内容、事の重大性、それによりましておのずから内閣の責任の程度は違ってくるのでありましょう。その責任の軽重に応じましてやはりそれぞれの対応をとるべきであろう、かように思うのでございます。
○麻生委員 ちょっと角度を変えて、参議院は決算は決算で別案として採決しているんじゃないですか。衆議院もやはり包括して、全部入れて採決しておるのでしょう。しているんでしょう。そうでしょう。採決とっておるんでしょう。
○山口(光)政府委員 おっしゃるとおりの取り扱いになっておりますが、参議院のことでございますので申し上げるのは差し控えたいと思うのでございます。しかし、法律上の効果と申しますと、承認するとかあるいは否決するとか、可決するとかという行為ではなくて、院のいろいろな御意見を集約してお述べになっているというふうに考えていいんではなかろうかと思います。
○麻生委員 そうすると、参議院でやっていることは、あなたの法解釈とは違った方法をやっているということになりますな。参議院で採決していますよ、現実には。また、衆議院だって切り離してはいないけれども、いろいろの決議案みたいなもの、と同時に、本案について賛成か反対かの採決をして、反対者も出ておるんじゃないですか、いままでの前例では。あなたの解釈とは違った運営がされているということになりますよ。どうなんですか。
 そういうことをはっきりしないで、惰性で、ただ賛否を問えばいいということじゃないんですよ。やはりわれわれは一人の国会議員として、国民の意思を反映して出てきておるんですからね。惰性だけで賛否を、立ったり座ったりする人形じゃありませんからね。否決された場合はどういうことになるかということをはっきり前提とした上で、反対する者も反対するんでしょうし、賛成する者も賛成するわけだ。
○山口(光)政府委員 国会のお取り扱いの点でございますので、私が申し上げるのもいかがかと思いますが、本院におきますお取り扱いは、決算の審議が終わりますと、議決をなさって、こういう点については問題があるから遺憾であるというようなことで、個別にいろいろな御意見をお述べになっておられるわけでございまして、そのほかについては異議がないというふうに締めくくっておられるわけでございます。
 参議院の方は、まず最初に、本件決算はこれを是認するという言い方でお述べになって、それからいろいろ個別の事項について御意見を言われるというやり方でございます。それはそういう形でいっておられますが、法律的な性格としましては、憲法上の性格といたしましては、予備費の事後承諾と同じではない、先ほどるる申し上げましたように同じではないというふうに御理解いただきたいと思います。
○麻生委員 さっぱりようわからぬです。わからぬけれども、これは私は委員長にちょっと御注文しておくんですけれども、私は、この予備費の問題にしても採決で決めるべき問題ではないと思っているんですよ。
 つまり、反対して否決されたところで、出した金を戻してくるということができないとおっしゃった。それを賛否を問うていくという委員会の運営方式に私は疑義を持っているわけです。むしろクレームがあるならクレームをはっきりつけた上で、次の予算執行と政府に対して発言権を決算委員会が確保していくという運営の仕方の方が妥当なんであって、ただ賛否を問うて、それで賛成多数とかいうような形で済ましていかれる問題ではない。だから、結果的に言えば、反対してみたところで、仮に否決してみたところで、いま大臣が御答弁になったように、その否決の内容というのは――否決される方には否決されるそれぞれの理由がおありなんでございましょう。その理由はやはり相当しんしゃくしなければならないということになる。そういう意味で提出されておるとするならば、これは重要な採決になるわけです。内閣の命運をかけた採決ということになるわけです。しかし、いまお話ししたように、あなたの御答弁では、まあ否決されても適当に中身を検討してしかるべき――しかるべきというのでは、われわれもこれは立っていいか座っていいか、どうしていいかよくわからない。
 そういう点で、委員長、私は、本格的にこの決算委員会の基本的なあり方と運営についてこの機会に十分にひとつ委員長を中心として御検討いただいて、決算委員会の発言というものが次の予算編成と執行に当たってどれだけの権限を持つかという点の方がむしろ重要なんである、つまり使ったものが不当であるというなら、そこを具体的に指摘することによって、次の予算編成について発言権を決算委員会が確保していくという方向の方が妥当であって、賛成を問うて片づける問題ではないと私は個人的な意見だけを申し上げまして、きょうはもう時間もございませんし、早く採決してくれというお顔を皆さんしていらっしゃいますから、私はこれで終わりますけれども、これは政府においても検討していただきたいし、委員長においても運営上の御検討として御留意を願いたい。これだけお願いいたします。
○楯委員長 これにて質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○楯委員長 これより昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外三件及び昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件について討論に入ります。
 討論の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
○森下委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりましだ予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求めるの件について、賛成の意を表したいと存じます。
 予算は歳入、歳出の見積もりであるから、いかに正確になされても、実際に予算を実行するに当たっては、過不足の生ずることはやむを得ないと思われます。
 歳出に見積もった経費に不足を生じた場合、または、全然見積もられなかった経費を必要とするに至った場合には、その金額が大きくかつ重要なものであれば補正予算を提出して措置すべきであるが、国会の会期中ならともかく、国会を召集してまでもする必要のないようなものについてその不足を補うために、憲法、財政法上、予備費を予算に計上し、内閣の責任において支出できる制度が定められていることは申すまでもありません。
 すなわち、昭和五十一年度(その2)の予備費使用額は、一般会計公共事業等予備費の豪雪に伴う道路事業に必要な経費等二十五億九百五十万四千円、一般会計予備費で、国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費等六百五十一億三千七百四十七万六千円、各特別会計予備費では、国民年金特別会計等三百二十六億四千五百十万二千円、また、特別会計予算総則第十一条に基づくものは、郵便貯金特別会計等八百三十三億千二百二万六千円となっております。
 昭和五十二年度(その1)の予備費使用額は、一般会計予備費の北洋漁業の減船に伴う漁業者の救済に必要な経費等千百二十八億四千八百二十三万八千円、各特別会計予備費では、食糧管理特別会計等千六百九十五億四千九百七十一万一千円、また、特別会計予算総則第十一条に基づくものは、道路設備事業特別会計等三百二十四億八千五百七十九万円となっております。
 これら予備費の使用は、いずれも予見しがたい予算の不足を補うための経費と認められます。
 ただし、予備費使用額に対し多額の不用額を生じている事例が見受けられますので、使用決定の際なお一層適切な配慮を望みます。
 以上、一言希望を申し添え、賛成討論を終わります。
○楯委員長 次に、馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求めるの件について、反対の意を表したいと思います。
 わが党は、予備費の当初予算額の計上、補正減額、各省各庁の長の要求額に対する使用額の決定及び調整、使用未済額等について検討いたしますと、次の諸点について今後明確にすべき事項または改善すべき事項が散見されるのは、まことに遺憾であります。
 以下、その主な事例を申し上げます。
 昭和五十二年度一般会計予備費(その1)の使用額は千百二十八億四千八百二十三万八千円、支出済み額一千九十四億八千六百十六万七千円、不用額三十三億六千二百七万一千円となっている。このように使用額に対し多額の不用額を生じている事例にかんがみ、今後、使用決定の際、審査を厳格にして、予算執行の効率的運用に努めるべきであると思われます。
 昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費(その2)の使用は、山林施設災害復旧事業、豪雪に伴う道路事業に必要な経費、二十五億九百五十万円余となっている。このような経費は、公共事業等予備費に計上するよりも、従前どおり一般会計予備費に計上すべきと思われます。
 また、公共事業等予備費を創設して予備費全体の構成比を一・八五%に高め、景気に機動的に対処しようとしたわけだが、政府の思惑どおりの効果が上がったようには思われません。
 財政法第三十五条の規定によると、大蔵大臣は、各省各庁の長の要求を調査し、これに所要の調整を加えて使用額を決定しているが、いずれも不明確である。今後、各省各庁の要求額及び所要の調整方法と調整額を明示すべきと思われます。
 申すまでもなく、予備費の使用は、財政民主主義の原則の例外として政府の裁量に任せられた権限でありまして、その行使は、国の財政は国会の議決に基づいて行使するという憲法の本旨に沿って厳正を期する必要があります。
 政府は、予備費の歳出予算に計上及び使用等については、このような指摘を受けないよう、注意されたいのであります。
 以上、反対討論といたします。
○楯委員長 次に、春田重昭君。
○春田委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました予備費案件につきまして、不承認の意思を表明するものであります。
 その理由として、さきの八十通常国会に提出されました予備費案件の審議の折、予備費使用について、財政の国会議決主義の原則からかんがみ、予備費の新項設定と国会の予算修正権の関連や、予備費使用の分の不当事項等の有無の明確化など、予備費使用の基本的かつ重大な問題を数点指摘したのでありますが、政府は依然として従来の姿勢を牢固として保持していることは、まことに遺憾と言わざるを得ません。
 さらに、予備費の設定に関しての基本的な問題があります。
 その事例を申し述べるならば、昭和五十一年度一般会計予備費使用総調書(その2)における生活保護費補助金使用は四十九億九千二百九十九万二千円計上されております。また、過去五年間の推移を見ても、四十七年度二十八億五千八百五万円、四十八年度十五億四千三万円、四十九年度十九億八千四百二十七万円、五十年度百三十七億八千九百二万円となっております。このような多くの額を要しております。
 予備費設定の原則は、憲法八十七条を踏まえ、財政法二十四条に規定された「予見し難い予算の不足に充てる」との基本認識となっているのでありますが、これまで申し述べたいわば恒常的な性格を帯びるこれらの費用は、当然当初予算に計上されるよう努力すべきであると思うのであります。
 また、総理の海外訪問に要する費用は、昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書(その1)によれば、一億六千四百三十五万円となっております。また、五十年度には一億四百一万円、五十一年度には八千十八万円と、それぞれ予備費が使用されております。
 このように、これまでの歴代総理の海外訪問の頻度また国際交流の必要性が叫ばれる今日を考えるならば、海外訪問に要する費用として当初予算に計上し得るものと考えるのであります。もちろん一国の代表として訪問する以上、予算審議を仰がなければならないことは論をまちません。
 以上の理由から、予備費使用等の承諾を求めるの案件につきましては、不承諾の意を表明いたしまして、私の反対討論といたします。
○楯委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、予備費承諾案件のうち、昭和五十一年度特別会計予備費を除く六件について、不承諾の意を表明いたします。
 これらの予備費使用の多くは、社会保障関係費、災害関係費、漁船減船対策費、国内米買い入れ費等承諾できるものでありますが、同時に、わが党が認めることのできない幾つかの予備費使用が含まれております。
 一つは、公共事業等予備費であります。
 予備費制度を乱用し、大企業向けの景気対策を政府が勝手に行おうとする公共事業等予備費の設置が、財政民主主義の原則を踏み外すものであることは、わが党が再三指摘してきたところであります。にもかかわらず、政府が五十三年度予算において、再び公共事業等予備費を計上していることはきわめて不当であります。五十一年度の同予備費使用は災害関係等ではありますが、政府がこのような姿勢を続けている限り、これを認めることはできません。
 なお、この際、本年度公共事業等予備費は凍結し、必要なものは一般の予備費の使用あるいは補正予算で措置するよう強く求めるものであります。
 その他の予備費使用についても、たとえば、日韓大陸棚協定の自然成立をねらった八十国会の延長、八十二国会で廃案となった健保、国鉄の改悪法の取引による成立を図った八十三国会経費、あるいは国民生活を犠牲にして大企業本位の従来型景気対策の推進を国際的に約束してきたロンドン会議の経費などは、認めることができないものであります。
 経費増額調書についても、再三指摘してきたとおり、国土総合開発事業調整費などというつかみ金を設け、大規模工業開発に勝手に使うというやり方は、絶対に承認することはできません。
 言うまでもなく、予備費制度は、財政の国会議決主義の例外として設けられているものであり、その使用は真に予見しがたい必要最小限に限定すべきものであり、また国論を二分するようなものは、当然補正予算として国会の審議、議決を経るべきであります。にもかかわらず、野党の同意を得られない予備費の使用を毎年同じように繰り返し、少しも反省が見られないのは、まことに遺憾であります。
 政府は、予備費案件の国会審議内容を尊重し、予備費使用の態度を改めるべきであることを強く要求して、私の討論を終わります。
○楯委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○楯委員長 これより採決に入ります。
 まず、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上三件について採決いたします。
 三件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○楯委員長 起立多数。よって、三件は承諾を与えるべきものと決しました。
 次に、昭和五十一年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)について採決いたします。
 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○楯委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。
 次に、昭和五十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上三件について採決いたします。
 三件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○楯委員長 起立多数。よって、三件は承諾を与えるべきものと決しました。
 次に、昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。
 本件は異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○楯委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました各件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○楯委員長 次回は、明後十二日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三十五分散会