第084回国会 災害対策特別委員会 第4号
昭和五十三年二月十六日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 川崎 寛治君
   理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君
   理事 志賀  節君 理事 高鳥  修君
   理事 矢山 有作君 理事 湯山  勇君
   理事 広沢 直樹君 理事 渡辺  朗君
      越智 伊平君    小島 静馬君
      後藤田正晴君    斉藤滋与史君
      谷川 寛三君    津島 雄二君
      中島  衛君    中村  直君
      原田昇左右君    森   清君
      山崎武三郎君    渡辺 秀央君
      伊藤  茂君    池端 清一君
      佐藤 敬治君    渋沢 利久君
      渡辺 芳男君    瀬野栄次郎君
      古川 雅司君    山原健二郎君
      菊池福治郎君    永原  稔君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (東京大学名誉
        教授)     萩原 尊禮君
        参  考  人
        (東京大学助教
        授)      松田 時彦君
        参  考  人
        (静岡県知事) 山本敬三郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月六日
 辞任         補欠選任
  竹内 黎一君     原田昇左右君
    ―――――――――――――
二月七日
 桜島火山降灰対策の強化に関する請願(山原健
 二郎君紹介)(第八〇八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
二月六日
 有珠山噴火による災害防止対策確立に関する陳
 情書(北海道有珠郡壮瞥町議会議長古川良市)
 (第八九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 災害対策に関する件(地震対策)
     ――――◇―――――
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 災害対策に関する件、特に地震対策について調査を進めます。
 さきの委員会におきまして、地震対策について参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時等は委員長に御一任願っていたのでありますが、本日次の方々に御出席いただくことといたしました。
 御出席の参考人は、東京大学名誉教授、地震予知連絡会会長萩原尊禮君、東京大学助教授松田時彦君、静岡県知事山本敬三郎君、以上三名の方々であります。
 この際参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
 皆様すでに御承知のように、わが国は世界でも有数の地震国でありまして、古来からとうとい人命がその犠牲となっているのであります。
 去る一月十四日には、伊豆大島の近海で地震が発生し、静岡県伊豆半島を中心に甚大な被害をこうむったことは、まだ記憶に新しいところであります。
 地震に備えるため、官民が一体となって防災の準備をしなければならないことは申し上げるまでもありませんが、地震の予知や被害の実態、発生原因、防災事業の効用と限界等を正しく把握し、万全の防災体制を確立する必要がございます。
 政府においては、目下地震対策に関する法律案の検討を進めているようでありますが、本委員会といたしましても、この機会に、地震対策につきまして日ごろ研究を続けておられます学識者及び地方自治体の代表の方々の御意見を伺い、調査の参考にいたしたいと存じ、お招きした次第でございます。
 参考人におかれましては、こうした趣旨を踏まえ、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、議事の整理上、御意見の開陳はお一人十五分程度に取りまとめてお聞かせいただき、その後、委員の質疑にもお答えいただくようお願いいたします。質疑は午後まで続けて行いたいと思いますので、恐縮ですがさよう御了承願います。
 それでは、萩原参考人お願いいたします。
○萩原参考人 私は、現在地震予知というものがどの程度まで研究が進んでおるか、地震予知ということがどの程度可能であるかということについて申し述べたいと思います。
 日本の地震予知研究が計画的に、組織的に行われるようになりましたのは、いまから約十年ばかり前、昭和四十年からでございます。昭和四十年度から、地震予知という名のもとに何がしかの予算がつくようになったのでございます。それから今日までいろいろ地震予知に必要な観測が整備されてまいりまして、またそれに従って研究の方も進んでまいりました。
 一方、アメリカ、ソ連、中国等におきましても、地震予知の研究が非常に盛んになってまいっております。お互いの情報交換もかなり円滑にまいっております。
 私ども、地震予知を長期的な予知と短期的な予知と二つに分けております。長期と申しますのは、大体二、三年以内に大きい地震の起こる確率が大変大きいといったように、年を単位で予知をするということであります。それより長くなりますと、五十年、百年先ということになりますと、余り実用的でありませんので、年単位の予知を長期予知と申しております。それに対して、数日以内あるいは数時間以内に大きい地震の起こる確率が非常に大きくなったというような予知を短期的な予知と申しております。
 まず、地震の予知は、ある地域でどのくらいの大きさの地震がいつごろ起こるかということを申さねばならないわけでございますが、このうちまず起こる時を除きまして、ある地域で、その地域と申しますのは一つの県くらいの広さでございますが、そこでどのくらいの大きさで起こるかということをまず知ることが大事でございますが、それはどうして知るかと申しますと、それは大体過去の地震の歴史を調べればよろしいわけで、これは古文書に残されましたいろいろな地震の記事を拾い出しまして、日本の地震の歴史というものを調べ上げる。これは、いままで明治から大正にかけまして、われわれの先輩が非常にたくさんの資料を集めておいてくれておりますし、また最近でもそういう資料の発掘に非常に力が注がれております。そういたしまして、大体どの地域ではどういったような地震が起こったことがあるということがわかりますと、地震というものは同じ地域で同じような起こり方をして繰り返し起こるということが知られておりますので、まあこの地域ではこの程度の地震が将来起こる、それはいつかわからないが将来起こる可能性があるということが大体見当がつくわけでございます。
 ただし、古文書を集めるだけではこれは限りがございまして、そう完全に残っているわけではございませんし、また当時の政治、文化の中心地付近は非常に詳しいが、当時の僻地はほとんど記録がないというようなことがございます。そういうことを補うために、活断層などの調査が最近行われるようになったのでございます。
 これは、地震が起こりますと断層というものができます。そして、過去何万年、何十万年の間そういう地震が続けてたびたび起こりますと、その断層がだんだん変異が重なりまして、非常に大きな変異になる。そのために、航空写真あるいは現地の調査でそれがわかるわけでございます。そういった断層は、また将来もそこで地震が起こる可能性を示すのでございまして、これはいわば地球の岩石に刻まれた地震に関する古文書でございます。こういうことから、どの地域でどのくらいの地震が起こる可能性があるということだけはおよその見当がつきます。
 ただ、一番の問題は、それがいつ起こるかということでございます。このいつ起こるかにつきましては、現在は地殻のひずみの測定、これが主力になっております。つまり、物に力を与えますとひずみます。それで、そのひずみがある程度に達しますと壊れます。地殻の場合も同じでございまして、これはいろいろな原因で非常に大きな力が加わりつつあるわけですが、それがある限界に来ますと破壊が起こる。破壊がすなわち地震でございます。
 それで、このひずみをはかるのに最も確実な方法は測量でございます。現在国土地理院が行っておりますような三角測量あるいは水準測量、こういうものをしばしば繰り返して行いまして、前の測量と比べますと、どれだけ縮んだか、あるいはどれだけねじれたか、あるいはあるところの土地がどれだけ上昇したか、あるいは下がったか、そういうことがわかるわけでございます。そして地殻の場合は、過去の経験から見まして、大体ひずみが一万分の一程度になりますと破壊が起こるのであります。それとまた、破壊が近づきますと、見かけ上非常に地殻の弾性が弱くなりまして、変形速度が速くなります。そういうために測量を繰り返しておりまして、変形の速度がだんだん速くなってきたということがわかりますと、地震が近づいたのではないかということになるわけでございます。
 このほか、こういった長期的な予知に役立つものとしては、地震の観測がございます。物を、たとえば棒を折りますときに、いきなりぼきっと折れませんで、最初にめりめりといって、それからぽきっと折れるわけです。このめりめりというのが小さい地震でございまして、そしてぽきっというのが大地震でございます。そういうわけで、こういう小さな地震の活動状態を監視しておりますと、大地震の前に小さい地震がたくさん起こるということがございますので、こういった地震活動の監視ということも長期予知に重要なものになっております。
 こういうふうに測量による地殻変動の調査、それから地震活動の調査、こういうものを主力にいたしまして長期予知を行うということを行っております。大体現在長期予知につきましては、私どもかなりの見通しを持っておるわけでございます。つまり現在行っているようなことを行っていけば、必ずできるであろうという確信を持っておるわけでございます。
 ところが、長期予知だけでは実際には役に立ちませんで、二、三年以内に大きい地震が起こるであろう、しかしひょっとするともう少し早いかもしれないし、もう少し後になるかもしれないというのでは社会的不安を起こします。もちろんこれでも長期的な地震対策を立てるためには非常に大きな役割りをするわけでございますが、これだけでは不十分でございまして、もう少し差し迫ったらまたお知らせしますということがないと、どうしても人心は不安になってしまいます。
 そこで短期予知、数日前あるいは数時間前、こういうような予知がどうしたらできるかということでありますが、短期的予知は非常にむずかしいのでございまして、万能薬というものはございませんで、これだけのこういうことをやっていれば必ずこれで短期予知ができるというのがございませんで、いろいろな場所、日本の中でいろいろな地域で、あるいは外国のいろいろな地域で起こりました大地震の前にどのような前兆があらわれたかということがいろいろ調べられておりますが、どれもいろいろいう千差万別でございまして、一つの現象が必ずあらわれるというわけにはいかないのでございます。そういうわけで、いろいろな方法を講じまして、いろいろな現象を監視して、それによって短期的な予知をしようとしておるのが現状でございます。
 では、どういう現象が短期的な予知の対象になるかと申しますと、ただいま非常に有望と考えられているものを申し上げますと、これはやはり地殻の変動の急激な進行でございます。この地殻の変動は測量でとらえることができるということは前に申し上げましたが、測量は連続的ではございませんで、あるときに行って、また半年なり一年なり置いてまた測量をするということでその間の変形がわかるわけでございますので、連続的ではございません。それを補うものとして機械観測があるわけでございますが、たとえば土地の微小なこういう傾斜変動、あるいは土地の微小な伸び縮みの変動あるいは体積変化をはかる機械、体積ひずみ計と申しておりますが、こういったもので地殻の変動、これは一点だけの変動でございますが、連続的にはかることができるわけでございます。
 そのほか、また地震が非常に差し迫りますと、微小な地震が急激に増加することもございますし、またそういった小さな地震の伝わる速度をはかっておりますと、その速度が地震の前には変わるというような現象もございます。
 また、このほかにいろいろなことが考えられておりまして、たとえば地下水の水位あるいは水質というものが地震の起こるすぐ前に著しく変わるということも報告されております。
 このほか、また地磁気でございますが、こういうものも、地殻の中に異常が起こると変わる、そういうこともございます。
 結局、地震の起こる直前にどうしてそういういろいろな変化が起こるかと申しますと、岩石に非常に力を加えた場合を考えますと――岩石といっても、地球の表面を代表する岩石は花崗岩でございますので、御影石のようなものを御想像くださるとよろしいと思いますが、こういうものを実験室で力を加えて壊してみます。そういうことをいたしまして大きな破壊が近づきますと、非常に小さなクラックがいっぱい入るわけでございます。そういうわけで、圧縮、たとえばある方向に押したといたしますと、これは実験の試料は縮まるわけでございます。ところが破壊が近づきますと、そういうクラックがたくさんできてくるために、押されれば体積が縮まるはずでございますが、異常にクラックがたくさんできるためにむしろ体積が膨脹するのでございます。これをダイラタンシーと申しておりますが、このダイラタンシーの現象によりまして、あるところ、実際の地殻の場合にこれを当てはめますと、土地の隆起が起こるとか、あるいは非常に小さな地震が起こるとか、そこを伝わる地震の波の速度が大きな変化をするとか、いろいろな現象が起こってくるわけでございます。こういうものをつかまえまして短期的な予知をしようとしておるわけでございます。
 ところが、先ほど申しましたように、いろいろとどの現象が必ず出るというのではありませんで、あるときにはこういうものが出た、あるときにはこういうものが出たということになります。したがって、非常にたくさんの点でそういう観測をしないと、短期的な予知がむずかしいわけでございます。でありますから、まず長期的な予知に成功して、そしてそこに非常にたくさんの機械観測を集中いたしまして、そして短期的な予知に成功しよう、そういうのが現在われわれのとっている方策でございます。したがって、まず長期的の予知、そして長期的予知である場所が見つかったら、そこにできるだけのお金と人を集中して、短期的に予知を行うというのが大切なわけでございます。
 現在、日本の地震予知計画といいますのは、大筋におきましてこういう方策によって進んでいるわけでございます。
○川崎委員長 ありがとうございました。
 次に、松田参考人、お願いいたします。
○松田参考人 活断層と申しますのは、実はいまから半世紀以上も前からこういう言葉がありまして、サンフランシスコ地震に見舞われましたカリフォルニアの地質学者が、すでにこの活断層という考え方並びに言葉を発表しておりまして、日本においても昭和二年の北丹後地震のときにそれを活断層と訳して、こういう活断層という言葉と考え方を披露して、その研究を進めておくべきである、そういうふうに指摘されていたわけであります。しかし、それは研究者の中だけの話でありまして、実際にそれが社会に注目を浴びるようになりましたのは、ごく最近、しかも急激であったために、活断層という言葉が、言葉の持っている印象から多少正しく伝わっていない、そのための混乱みたいなものもあるかと思います。きょう、ここで活断層についての知識と問題を簡単に申し上げたいと思います。
 活断層といいましても、地質学者が言い出したように、本当に地質学的な意味で活断層の活という言葉があったわけでありますが、サンフランシスコ付近では、現在毎日毎日少しずつ食い違いを起こしている、本当に文字どおり活動している、そういう活断層もございます。それと同時に、そういうことはないけれども、地質学的に考えて今後必ず活動するはずである、そう思われる断層もございます。いま活断層と申しますのは、その二つがあるわけでありまして、その中間もあるわけですけれども、本当に現に動いているものと、それから今後必ず動くであろうと思われるものとの両方に対して活断層という言葉が使われているわけです。
 それじゃ、現に動いているものは問題ないとしても、将来必ず動くであろうとなぜ言えるのかということでありますけれども、それは結局、いままで過去に繰り返し繰り返し活動しているということが――過去といっても、数千年とか数万年とかいう昔にできた地形とか地質の中にその記録があるものですから、そういう過去に繰り返し同じような調子で活動しているということが確認できますと、これは当然その調子で将来も活動するであろうと考えるわけであります。ですから、いま材料にしましたのは、数千年、数万年という記録から将来もということになるわけです。
 それで、いま活断層には現に動いているものと動くであろうものと二種類あると申しました。日本にある活断層というのは、いまわかっている限り、すべて後の方のタイプ、現に断層がすれ違っているというのではなくて、現在は動いていない、真上に物を置いても特にそこでどうということはない、そういうものであります。そのかわりに活動するときには、地質学的な意味でときどき活動する、その活動というのはまとめて急に動くものですから、その活動というのが地震であろうというわけです。ですから、日本の活断層はいわば地震性の活断層ということになるわけです。だから、活断層であることは、日本では過去のことから知らなければならない。
 過去の活動はどういうふうに記録されているかと申しますと、それは食い違いということで、もともと一続きだったものがいまどれだけ食い違っているかということでわかるわけです。そうしますと、それを調べてみますと、その食い違いの程度というのが、食い違いの量というのが、断層によっていろいろあるということがわかりました。単位期間当たりの食い違いの量、つまり平均の食い違う速さですが、それがいろいろありまして、その食い違いの速さ、長期間の平均の食い違いの速さに応じてA級、B級、C級というようなランクをつけているわけであります。
 A級と申しますのは、そういう数千年、数万年の間の平均の食い違いの速さが、年当たりにしますとミリメーターのけたになるもの、そういうものをA級の活断層と呼んでいるわけです。これは年当たりにしたからミリメーターになるので、実際には毎年毎年ミリメーターで動いているということではなくて、数千年の平均がということであります。それからB級というのは、その十分の一、それからC級と言っているのは、またその十分の一、大ざっぱに活動度と呼んでおりますが、そういうふうに区別しているわけであります。
 これでわかりますように、同じ活断層と一口に言いましても、二けたも違う。活動的なものとそうでないものとで、われわれが活断層と呼んでいるものの中には、そんなに大きな差があるものをみんな一括しているわけであります。
 それで、A級の活断層というのは、B級、C級に比べて実際地震との関係ではどういう差があるかということになります。簡単に言いますと、A級の活断層ほど、つまり活動度の高い活断層ほど、大きな地震を問題にする場合には、その地震の頻度が大きい、そういうことが言えます。一けたのろいB級、さらに一けたのろいC級というのは、それだけ頻度が一けたずつ少なくなるものだ、そういうふうに理解してよろしいわけであります。
 A級の活断層かちマグニチュード七とか、それ以上の大きな被害地震を起こす、そういう地震の頻度は、発生間隔はどのくらいかと申しますと、A級からは、数百年から千年――いまけただけですから、余りはっきりは言えませんけれども、大体そんなけたに一度、それからB級は、一つの断層についての話ですが、数千年に一度、それからC級は、また一けた長くなりまして数万年に一度、その被害地震を起こすようにして、食い違いが進んだのだとしますと、しかもそれがレギューラーに起こしたのだとしますと、いま申しましたようにA級でも数百年から千年、C級なんというのは数万年に一度というような、そういうものであります。しかし、実際には、われわれが問題にするある地方、地域には、そういう活断層が一本だけではなくて、幾つかありますから、もうちょっと頻繁に起こる、そういう印象を持ちますし、実際そういうことになっているわけです。
 そういうように活断層については、一つ一つの断層について調査をしなければいけない。単に活断層だからといって、一括できないわけでありますが、いままでの資料によりますと、活断層のうちでA級というものは、中部地方と近畿地方の山岳地帯にだけ知られていると言ってよろしい。その数は、数えようによりますけれども、群として数えたときに十幾つかといった比較的数が少ないのでありますが、B級というのは、これはもうごく普通の、一番はっきりした、どこにでもあると言っていいのですが、いまわかっておりますのは、全国で二百以上が一応知られております。つまり、大抵の県に二つ、三つあるかというような感じであります。C級というのは、余り活発でないのですけれども、どうも数はたくさんあるらしい、B級よりももっとあるらしいのですけれども、余り活発でないために調べにくい、見つけにくいということで、多分もっとあるだろうという程度しかよくわかっておりません。
 それから、A級よりももっと活発な活断層があるか、つまりA級が数百年とか千年に一度なら、それよりもう一けた活発な活断層があるかという問題ですが、それは日本の陸上にはありません。知られておりません。陸上でわかっているのは、カリフォルニアのサンアンドレアス断層がその例ですけれども、年間にしてミリメートルのオーダーじゃなくて、センチメートルのオーダーになるわけですが、そういったものは、日本の近くで言いますと、日本の太平洋側の沖合いにありまして、南海道地震や関東地震あるいは東海沖地震などが起こるかもしれないと言われている海溝に沿った海の巨大地震を起こす断層、南海トラフの断層とか、相模トラフの断層あるいは日本海溝の断層、そういったものはりっぱな活断層でありまして、A級より上、ダブルA級、AA級の活断層だろうと思うのであります。
 いま陸上の、いわば直下で起こる地震を問題にする場合には、一応A、B、Cで、Cはちょっと後回しにしますと、AとBを頭に入れておく必要があるのではないかというわけであります。
 いままでの記録から、日本の陸上で起こりました大地震を見てみますと、マグニチュードが六・五以上の被害地震――被害地震と言いますと、もうちょっと小さいマグニチュードのものからありますけれども、わりに大きな被害地震六・五以上のものは明治以後に二十三ほどあります。そのうちの三割から五割が、その地震はこの活断層から活動したものらしいと、場所を特定できて、しかも、そこにそれらしい活断層があるというのであります。つまり三〇%から五〇%が活断層に関連づけることができます。このことから類推しますと、将来のマグニチュード五以上の被害地震は、いまわかっている活断層から起こる確率というか、割合は、三つに一つぐらいは――いままでの実績が三〇%くらいですから、三つのうち一つくらいはいまわかっている、つまりA級とかB級というところから起こるのじゃなかろうか。逆に言いますと、三つのうち二つくらいはいまの調査が不十分で、活断層のよくわかっていないところから不意を食らうおそれがある、そんなふうに予測してはおります。この点はもうちょっと調査の進行につれて成績がよくなっていくと思います。
 それから、いまは場所の予測の問題ですけれども、今度は地震の大きさも予測したい。せめて、幾ら大きくてもこのくらいまで考えておけばいいだろうという、アッパーリミットがわからないかということであります。その予測には、経験的に、大きな地震というのは大きな活断層から、逆に、大きな地震が起こるためには小さな断層からは起こらない、大きな断層が必要である、そういう経験則がございます。そのことから、大きな断層がありましたら、大きなというのは長いということですが、延々と何十キロも続いているような断層がありましたら、それは結構大きな地震を起こす能力があるというふうに考えております。具体的に、二十キロぐらいの長さがありましたら、これはマグニチュード七くらいの、われわれとしては大変な大地震を起こす能力があると考えておかなければいけない。だけれども、二十キロやそこらの活断層ではマグニチュード八は起こさない。マグニチュード八を起こすようなものは八十キロくらいの長さが必要だ。そんなふうにマグニチュード七とか八というくらいの区別はある程度、最大が起こった場合のことですけれども、区別がつくわけです。それから小さな方で申しますと、活断層があるということは、余り小さな地震ですと、その結果が地形に記録されません。ですから小さな地震は、活断層を見ていても目から逃げてしまうわけでして、活断層にひっかかるマグニチュードというのは大体六・五より上であります。六・五より小さな地震というのは、活断層調査の目から逃れてしまうわけであります。六・五以上であっても一〇〇%というのじゃなくて、先ほど申しましたように、六・五から七くらいの、小さいほどちょっと不意を食らうことがある。七以上ですと、まずいままでの経験では、もう十分わかっている活断層からしか出ないのではないかと思っております。
 それから今度は、問題は、いつ起こるか、どのくらい時期の予測ができるかということになります。先ほど申しましたように、A級、B級、C級という区別は、地形、地質の調査からつきます。ということは、先ほど言いましたように、数百年に一度起こるものか、数千年に一度起こるのか、数万年に一度起こるのかという見当はどうやらつくということであります。だけれども、逆に言いますと、そのくらいしかつかないのでありまして、数百年に一度といったところで、プラス・マイナス百年ではおさまらない。数千年、何千年と計算上出てきても、プラス・マイナス千年や二千年でおさまるかどうかというわけでありまして、実社会で問題にするスケールからいいますと、よくてもプラス・マイナス百年とか二百年以上であります。つまり、活断層の地形、地質的な研究では目盛りが非常に粗くて、数十年位とか数年単位で物を言うことはそれだけでは不可能でありまして、そういう活断層があるから、特により詳しい調査をして、先ほどお話がありました長期予報に結びつける、そういう場所なり、そろそろ要注意の活断層ではないかという指摘ができるところだと思うのです。
 要注意と申しましたが、たとえばそれは、平均的に千年に一度ぐらいずつ起こしてきた活断層があったとします。それで、日本の歴史を調べてみまして、平均千年で起こしてきたその活断層が、千年たった現在まだ地震を起こしていなければ、そろそろいつ起こってもおかしくないという、われわれのセンスから言えばそういうことになるわけです。ですから、平均の発生間隔と、それから現在までに何年地震を起こしていないかという、その二つの年数の比率が要注意の程度になるわけです。平均間隔が千年のもので、千年起こしていなければ、これはもう満期になっているわけですから要注意、われわれの精度からいって、ぴったり何年になったから危なくなったというふうに言えませんが、大体プラス・マイナス五〇%かそのくらいといたしますと、たとえば千年という断層について、千年たっていたら、プラス・マイナス数百年の間隔で起こるのじゃないかというわけで、先ほど言いましたように、地質学的な方向ではその程度で、活断層があったからすぐに対策をというふうに直結するのは必ずしも当たらないわけであります。いま申しましたように、数百年あるいは数千年ですから、たとえばあと一年間にそこから地震が起こる確率は、何もわからないとすると、数千分の一とか、場合によっては数万分の一、数百分の一と、平たく言うとそういうことになりますので、そういう確率に対してどういう対策を考えるか、また何をつくるかというのは、今度はその先の問題によって、あるものを注意したらいいし、あるものは実際にはないものと考えてもいい場合もあるわけです。
 いま申しましたのは、大体活断層が地震を起こすということについての問題ですけれども、もう一つの問題は、活断層というのは地震を起こすと同時に、その真上では本当に地面を食い違わせるわけです。ですから、地震の振動による被害のほかに、食い違いという被害を与えます。ですから、振動に対しては十分につくってあっても、地面そのものが食い違うために建物などが壊されるということがありますから、真上につくる場合には、さらにそういう食い違いということを考慮する必要があるわけであります。
 大体、活断層についての現状を申し上げました。
○川崎委員長 ありがとうございました。
 次に、山本参考人、お願いいたします。
○山本参考人 時間の関係もございますので、簡単にお礼を申し上げたいと思います。
 今回の伊豆大島近海の地震の被害者を代表いたしまして、被災県の知事として、政府並びに国会の先生方の調査、あるいはもろもろの対策を直ちに講じていただきましたことに対して心からお礼を申し上げる次第であります。
 さらにまた、全国知事会の地震対策特別委員長といたしましては、政府におきましても地震対策立法を考えられておられる、また国会の先生方も重大な関心を払っていただいておりますことに対して、心からお礼を申し上げる次第であります。
 まず最初に、今回の地震につきまして、その特殊性について御認識をいただきたいと思います。
 第一は、地すべり、山崩れ、落石等が多発いたしまして、そのために民家が埋没いたしましたり、道路、鉄道が寸断されたりしたという災害でございます。直接の地震動によります家屋の倒壊はほとんどございません。また、住民の努力によりまして、ちょうどお昼ころであったわけでありますけれども、火災は全くゼロであったということであります。後遺症といたしましては、災害で査定を受けられるかどうかわからないようなたくさんの浮き石あるいは亀裂、山崩れ等が残っておるのでありまして、これらの危険にどう対応をするかということが今後の問題でありまして、御理解をいただきたいと思うわけであります。
 それからもう一つは、先ほど先生からお話がございましたが、断層の延長線上に被害が大きいという問題でございます。
 東伊豆町の稲取の海岸付近の旅館は、外から見ると大した被害でないようでありますけれども、ちょうど断層の真上にあったようでありまして、非常な被害をこうむっております。
 さらに、その延長線上に伊豆急のトンネルのあの大災害があるわけでありまして、その延長線上に見高入谷の大きな山崩れがあり、ことによりますと、その延長線上で天城峠から河津町の梨本に至る六キロの間で二十数カ所の崩壊という問題と結びついたものかとも思う次第であります。
 第三の特徴は何かと申し上げますと、二十五名の人命を損傷し、重軽傷者二百五名を出し、全壊八十九棟、半壊五百三十七棟、一部損壊三千七百九十一棟ということでございますけれども、不幸中の幸せというべき点がございます。あと数分おくれたとしたら、伊豆急はトンネルの中に入っていたかもしれません。あの時点で七列車走っていたわけでありますから、全くの無事故であったということは非常にラッキーであったとも言えるわけであります。また、時間が零時二十四分でございましたから、あの梨本から天城峠に至ります六キロの間に二十数カ所の崩壊がありましたのに、自動車の人命の災害が少なくて済んだ。これがもし三時ころであったといたしますと、二日続きの連休の前日でありますから、恐らくあの間に数百台の車が入っていただろう、したがって、はかり知れざる災害につながったのではないか、こういう点で不幸の中でもラッキーな点があったということでございます。
 さらに次の問題は、実はこのたびの地震は、直接被害も公共土木で百四十三億、商工関係で八十四億、農地、林務関係で六十一億、合わせて二百八十八億、それを含めて被害総額が現時点で三百十二億に上っております。ところが、直接被害だけではなしに、実は間接被害という問題にぶつかっているわけであります。先ごろ連休がございましたけれども、その際、直接激甚な被害を受けました東伊豆町の伊豆熱川あるいは稲取温泉には観光客も見えてくだすっておるのでありますが、伊豆急が不通でありますためにバス連絡をやっております。そのために、直接の被害は少なかった下田、南伊豆町、西伊豆等は実は間接被害がはかり知れざるものがあり、伊豆急の開通が六月半ばをめどにいたしておるのでありますから、恐らくは五月の連休もその間接被害はさらに続くものと考えざるを得ない、こういう点があったわけであります。
 さらに、もう一つの問題は、この伊豆地域は四年間に、場所によってウエートの違いはありますけれども、三回の地震に見舞われておる地域であります。昭和四十九年の伊豆沖地震、それから昭和五十一年の河津地震、それに今回の地震でございまして、四年たたない間に三回の連続の災害を受けている、こういう点が非常な特徴と言えるかと思うわけであります。
 次は、持越鉱業所のシアン鉱滓の流出の問題でございます。もう先生方御承知のように、土石を含む約八万立米が実は持越川に流出をいたしまして、狩野川及び駿河湾の一部をも汚染したという事故でございます。
 幸いにして、上の土石の置き場は、第一扞止堤が五月末、第二扞止堤が四月二十五日に一応仮復旧ができる見込みでありますし、また、河川に堆積いたしましたスライムの四万立米は、おおむね二月二十日までに除去できる見込みでございます。
 ただ、この点につきまして、持越川から高度二百メートルの山頂に、住民の生活や経済に重大な影響を及ぼすおそれのある産業廃棄物が自治体とは全く無関係にあのような脆弱と思われる堰堤の中に処理されておったという事実でございます。私たちは、地方自治体の第一義的な使命は地域住民の生命や財産の安全を確保するということにあると思うのでありまして、この点まことに遺憾にたえないところであります。現実に町村が会社へ参りますと、鉱山保安法を盾にとって拒否いたします。県が産業廃棄物やあるいは公害の観点から立入調査をいたそうといたしましても、実は拒否されておったわけでありまして、これは国の縦割り行政と自治体の総合行政との間の矛盾という問題を、ぜひ先生方に認識していただきたいと思う点であります。
 ちなみに、天城湯ケ島町におきますところの家屋の一部損壊は、全体で二千七十一世帯ありますうちのわずかに百二十四むねにすぎなかった、こういう点から考えていきますと、脆弱と思われる堰堤の中でと申し上げることも、常識的には許される表現ではないかというふうに私は考えているところであります。ぜひ国の責任において堆積場の抜本対策をとっていただきますと同時に、縦割り行政と総合行政との矛盾についてぜひ国会で御議論の上、しかるべき結論を得ていただきたいことをお願い申し上げたいと思う次第であります。
 次には、余震情報の問題でございます。
 正直なところを申し上げますと、今回の地震におきます国の地震情報を受けまして、県としては対応策に全く困り果てた状況でございます。この点につきましては、私たちは国の災対本部の情報を得まして余震情報を出しまして、実は文章の表現上に問題もありましたし、また伝達方法が、情報処理に関する訓練等も不十分でありましたので一部に混乱を生じました。県民に迷惑をかけた点、まことに遺憾に存じているのであります。しかし、それにもかかわらず地震前におきましては、県民の八割近く、七九%は情報があったら積極的に教えてくれという世論調査の結果でもあったわけであります。あの混乱の後においても、あの余震情報を出した点には問題の点はあったけれども出すべきであったというのが、私たちがリサーチした結果における県民の世論であったという点でございます。したがって、私は東海大地震を想定した場合、今後も地震情報あるいは警報を出すべきである、こういう点を確信をいたしている次第でございます。
 それにつきまして、今回の場合、防災行政として管理された警報を行政の責任において出していただくというルールを確立されなかったということが、まことに実は遺憾なのでございます。この次々に出ました情報を分析いたしましても、まず第一に、この情報は静岡県には気象台から連絡をいただきました。東京都も連絡をいただいたということでございますが、東京都は何ら周知させることなしに終わりました。同じ情報は、神奈川県、山梨県、それから愛知県の気象台にも連絡されたということでございますが、その気象台で、これは自治体に連絡の必要を認めない、こういうことで実は連絡されなかったという事実も私たちはつかんでいるのであります。
 もう一つは、実はこの地震情報をいただきましても、私たちは判読に全く苦しんでしまうのです。ここらに非常に問題がございまして、後で御質問があれば経過をたどって申し上げますが、先生方に一点だけお聞き取りをいただきたい点がございます。
 それは何かと申しますと、最後の余震情報とも称すべきものでございますが、こういう情報でございます。国の災害対策本部から、「一月十四日の大島近海の地震の余震は順調に減少しているので、今後大きな余震が発生する公算は少なくなった。」これは安心していいという情報と受けとめられるわけであります。しかし、後段にはこう書いてございます。「しかし、伊豆半島は過去四年にわたり活発な地殻活動を続けてきた地域であるので、今後も監視を更に強化することが必要である。」この後段と前段とは全く違ったことでございまして、ことに地方自治体が、住民が何を監視するのかということで、判断に全く苦しむところでございます。私はこういった点から、ぜひ地震情報あるいは警報というものはあくまで行政の責任において出されるべきものだということを痛感をいたした次第であります。この点について、私たちは国の情報でかき回されたという感じを受けておりまして、県として責任ある対処の仕方ができないという実情にあったということを率直に申し上げ、御質問があったら詳しくお答えを申し上げたいと存じます。
 第三は、特別立法についてでございます。
 大地震の発生する可能性でございますけれども、先ほど先生方からもお話がございましたけれども、ここに全国知事会の出しました国に対する特別措置法制定の要望の付録の記録がございます。この中に、日本の主な地震災害年表というのが出ております。安政元年、一八五四年から今日までおよそ百二十年間であります。その間に十六回の地震があったと記録されております。その十六回のうち、死者三千名を超える激甚な災害が八回あります。一万戸以上が破壊され、全壊しあるいは焼失し、流失したという災害が八回あるわけであります。そのいずれかをとりますと、実は十六回のうち十一回を占めている。極端に言いますならば、一万戸以上か三千名以上の死者を出すというのが十年に一回あったということは、私は特筆大書さるべきことではないかというふうに考えるのでありまして、これは当時で三千人でございます。当時の三千人は今日ではあるいは三万人になるかもしれない。こういうふうに考えてまいりますと、私たちは全国至るところで、といいましては言い過ぎかもしれませんけれども、その危険な可能性は非常に強いわけであります。
 福田総理は、人命は地球より重いと言われたのでありますけれども、あれはハイジャック百名内外のことであります。地震国日本といたしましては、大地震の発生する可能性が非常に強いということと、また学者先生方の御意見によりますれば、東海大地震が近い将来発生する可能性が多い、公算が多いということも、ほぼ先生方のオーソライズされた意見として私たちは承るべきではないかと考えます。一たび大地震が起こりましたときに、その被害はきわめて広域にわたり、そして激甚なものであるという点でございます。今回も事後の各種データを解析の結果は、前兆現象と見らるべきものがあったと新聞等で伝えられているのでありますし、また中国においては予知が成功した事例もあるのでありますから、こういった問題について予知の可能性が非常に高まってきたというふうに私たちは理解をいたしているわけであります。
 さらに予知、警報、さらに直前の特別措置命令というような対応策をとれば、被害は数百分の一でとどまるという点は、特筆して御理解をいただきたい点でございます。
 次に、私たちが特別立法についてお願いを申し上げたいのは、現在国では、実は地震予知連絡会は、昭和四十四年、文部省の諮問機関でありますところの測地学審議会の建議により国土地理院に設置されたものであります。ところが、関東部会、東海部会は地震予知連絡会の中でございますけれども、東海地域判定会は、気象庁を事務局として地震予知連絡会の中に設置されているということでございます。さらに地震予知推進本部は、科学技術庁を事務局として内閣に設置されているという状況でございます。
 さらにまた、予知関係の国の機関を調べてまいりますと、通産省に地質調査所あり、建設省に国土地理院あり、運輸省に気象庁あり、そして科学技術庁に国立防災科学技術センターがあります。恐らく素人で考えましても、気象庁から地震の事務だけを外すということはきわめて非合理でありましょう。あるいは国土地理院から地震だけ外すということはきわめて不合理でありましょうけれども、今日考えてみますと、実は地質調査所が通産省になければならぬという理由は、私は必ずしもうなずけないのではないか。気象庁が運輸省の中になければならぬという必然性があるかどうか、先生方にぜひ御議論をいただきたいと思います。あわせて、国土地理院もまた建設省の中になければならぬか。防災科学技術センターも科学技術庁の中になければならぬかということを考えてまいりますと、観測体制の一元化あるいは国土防災庁というような形で国土庁にこれを一元化いたしましたならば、実は観測技術というものは非常に進んでくるのではないでしょうか。こういった点もぜひお願いを申し上げたいと思います。本年度予算でテレメーター化も可能であるようでありますが、さらに促進をしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
 第三番目は、警報の発令体制の一元的整備と、これを制度化いたすことであります。実は、新聞に出ました国土庁の原案というようなものを見ますと、総理大臣の指示により気象庁長官が地震情報を出すというような原案であるやに伺っております。私は、専門家、専門科学者、純粋に学問的立場から観測の結果をもとに客観的に判定される科学者の立場と、その判定の結果を受けとめてこれを警報として発表する行政の立場とは、その機能を明確に区分すべきものではないかというふうに実は考えるのであります。もし気象庁の専門家にその発表の権限をゆだねるという形をとって行政がこれを受けとめないということでありましたら、専門科学者の判断の自由を束縛することになるおそれがあると思います。あくまで科学者は科学者の良心に基づいて観測の結果を判定さるべきであり、それを警報なり各種の措置に結びつけるのは、当然行政の責任だというふうに峻別すべきものではないかと考えるものであります。
 さらに、警報は防災行政と直接結びついた管理された情報でなければならぬということは、今度も痛感をいたしているところであります。管理された情報とは何か。国、県、市町村それから企業、住民、それぞれの対応策を含めた管理された警報である。何らの対応策なしに実は警報が出されるということになりましたら、これは台風情報とは全く質が異なるということであります。台風情報であれば、国民はだれもビジブルであります。はだに感ずることができます。一般的には個人的な対応も可能でもあります。さらに加えて、群集心理で混乱が生ずるというようなおそれもまずないと考えられるわけであります。しかし、一たび地震となりますと、実は地震の災害が起こるまではインビジブルであります。さらに恐怖心、生命の危険に駆られるということでございます。そして個人的な対応は不可能であります。デマ等に基づいて群集心理が作用し、間接的な被害を拡幅するおそれがある。こういうことを考えますと、実は私は行政がこれを受けとめて、そして対応策を含めて警報は出さるべきであり、大地震に限って言いますならば、それは当然総理大臣が警報をお出しになるべきだというふうに私は考えるものであります。
 第四番目は、緊急防災措置は法令に基づきまして、国、県、市町村、住民、企業、一体となってそれぞれの責務を達成すべきものでありまして、緊急を要すると同時に総合行政でなければならぬということであります。大地震に備えますためには、国が総力を挙げてこれに取り組むべきものでございますから、当然国民に対して相当程度においてその行為または権利義務の規制等が必要になってくるということは当然のことであります。また、それをやってまいりますためには一元的な指揮、命令系統が確立されねばならぬというふうに考えるものであります。
 マニュアルによる自主規制であっては効果は上がらない。なぜかと申しますと、静岡県を例にとりますと、ガソリンスタンド等の危険物施設が一万八千二百五十カ所あります。高圧ガス施設が三千三百四十カ所ございます。火薬類施設が三百四十カ所ございます。現在の市町村職員の機能でこれを管理、チェックしていくだけでも実は不可能だろうというふうに考えます。各地で火事の起こりました雑居ビル等であってもチェックは十分に果たしていないわけでありますから、単なるマニュアルであったらチェックがきかない。したがって、最低限の法的規制、これは二次災害防止のためには必要ではないか、こういうふうに考えるものであります。
 さらにまた、総力戦、総力を挙げて取り組むべきであるということは、静岡県を例にとりますと、専門家の御意見を伺いますと、マグニチュード八ぐらい、安政の大地震を考えてマクロで私たちは被害想定をいたしたのでございますが、現状のままでなすところなしに終始いたしましたならば、県民人口の二割近い六十万人くらいが被害人口になる見込みでございます。倒壊家屋は十万戸を上回るおそれがあります。死者は一万人に近いおそれがあります。重傷者は一万六千人。マクロで推定すればこういう結果になるわけであります。
 ただ、ここでぜひ先生方に御理解いただきたいのは、この中には二次災害を含んでいないということであります。火災も含まなければ、津波の災害も含んでいない。まして新幹線、高速道路等全然含んでいないでこれだけをマクロで想定せざるを得ない。こういう状況でございますから、被害が広域であり、かつ甚大であるということをぜひひとつ脳裏にとどめていただきたいと思うのであります。
 東海大地震が起こりました際、震度五以上の災害を受ける県は十八都道府県に及ぶということでございますから、その混乱はもう果てしないものになるおそれがあるわけであります。そういった点を考えますと、単にマニュアル等の自己規制ではばらばらでありまして、統一的な、総合的な一本筋の通った指揮、命令系統による対処ができない、こういう結果になるかと思うのであります。
 まして、この高度成長以降において巨大地震の経験を経ていない施設、地下街、高層ビルあるいはコンビナート、原発、巨大ダム、幾多の巨大地震の経験を経ていないものがございます。また、高度成長期前と後と比較いたしますと、火災を起こすおそれのある危険物あるいは自動車の混乱等はもう量の差ではなしに質の差になってきているということでございます。こういった点もぜひひとつお気にとめていただきたいと思うわけであります。
 第五番目に、防災特別事業の実施でございますが、わが国は歴史的に地震国でありまして、日本国民である限り実は地震は避けることのできない宿命だとも言わなければならぬと思うのであります。したがって、これに対する対応策はまさしく国民的課題だと言って差し支えないと思うのであります。高度成長時代には効率という考え方を中心に、あるいは経済的合理性ということを追求してまいりました。その結果、実は地震やその他災害にまことにもろい国土をつくり出したという結果になってきているわけであります。今後は、効率や経済的合理性ではなしに、国民の生命、財産の安全とその必要性、安全性と必要性というものを中心とした考え方に発想の転換をしていくべきではないか、こういうふうに考えるのでございまして、防災特別事業等の実施について、たとえば静岡県山比の薩た峠のところでございますが、国道一号線、バイパス、国鉄東海道線、さらに東名高速道路もあります。あそこが地震に対応できるかどうか、私たちには大変な問題であります。そこには人家はございませんから直接の住民の問題はございません。しかし、そのために県を二分されますけれども、日本の経済そのものが二分されてくるということになるのでありまして、いまやまさしく安全性と必要性という考え方がかつての効率と経済的合理性にかわって追求さるべきときではないか、こういうふうに考える次第でございます。
 以上申し上げまして、私のお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○川崎委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○川崎委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
○原田(昇)委員 ただいまお三方から大変貴重な御意見を拝聴いたしまして、私も非常に勉強になったところでございますが、二、三の点につきまして御質問申し上げたいと存じます。
 まず、萩原会長にお尋ねしたいのでございますが、地震予知情報は、場所、規模、時間の三要素があると言われております。それぞれについてどの程度の域に達しているか、大変乱暴な表現で恐縮でございますが、御教示いただければ幸いでございます。
○萩原参考人 予知情報は、長期、短期と分けまして、長期予知の情報は大体一つの県あるいはそれに加えて何々県東部とか西部とかいった程度の地域で、大体マグニチュードは七程度であるとかあるいは六程度であるとかいうことで、大体二、三年以内に地震が起こる確率が非常に大きいというような形で出るものと思います。これにつきましては、現在行っておりますことが完全に整備されれば可能であると思っております。現在整備されているということは、日本全国にわたる三角測量、三角測量は一等、二等点を含めて約六千点の三角点についての測量でございますが、それと全国延べ二万キロにわたります精密水準測量、こういうものが予定どおりできれば、予定どおりと申しますのは五年に一回繰り返して行うということですが、なお、特別な地域につきましては、さらに詳しくやるという計画でございますが、これは現在まだ十分ではございません。金額の面では、大体予定どおりに進行しているはずでございますが、測量単価の値上がりによりまして、予定の半分にも達していないのが現状でございます。こういうものが実現いたしました暁にはこういった予知ができるものと私どもは考えております。
 短期予知につきましては、長期予知ほどのめどはないのでございますが、過去の地震を見まして非常にはっきりした前兆を伴うものもあるのでございまして、いろいろ現在必要とされている観測を長期的な予知の行われましたところに集中して行えば、この予知は必ずやできるものと思っておりますが、現在まだ、自信を持ってそれができますと言うだけの短期予知に対する観測体制というものの準備はできておりません。
○原田(昇)委員 ただいまのお話で、短期予知については観測網の整備というものが前提となるというお話でございましたが、防災上特に大事なのは短期予知だと思うのです。そのための手法といいますか、具体的にどのような観測網を整備していったらいけるのかという点、これは非常に緊急を要する問題だと思いますし、たとえばひずみ計を二十キロメッシュで、長期予知から見て非常に警戒すべき地点に張りめぐらせば、かなり確度の高い短期予知が可能だという話も聞いておるのでございますが、この点について萩原先生の御意見を伺いたいと存じます。
○萩原参考人 先ほどお答えいたしましたのは一般的なことでございまして、非常に不備であるということを申し上げましたが、御質問は恐らく東海地域のことをお考えではないかと思うのでございますが、ただいま問題になっております東海地域につきましては、これは観測強化地域になっております関係もございまして、それからまた、社会的に非常に大きな問題として取り上げられました結果もございまして、短期予知に対する観測はかなり整備されております。
 ただいま体積ひずみ計二十キロ置きというお話がございましたが、理想としてはその程度のものは欲しいのでございますが、現在東海地域にございます六カ所の体積ひずみ計、そのほか、これから傾斜計その他もろもろの観測もふえていくと思いますので、現時点におきましても最低限に必要な観測は整備されており、また、されつつあると申し上げてよろしいかと思っております。
○原田(昇)委員 東海地域ではかなり観測網が整備されておるというお話でございますけれども、東海地域以外の、たとえば関東で予知情報を出せる段階に達しておるのか。または東海地域以外で地震のおそれのあることが予想される地域はどこなのか。そこの観測網はどうなのかということについてお話しいただければ幸いだと思います。
○萩原参考人 東海地域以外に観測強化地域になっておりますのは南関東でございますが、これは東海地域に比べましてはなはだ不備でございまして、気象庁の体積ひずみ計が五カ所ございますが、それとあと鋸山とか油壷に大学の地殻変動観測所がございますが、その他の点につきましては、まだ南関東のいろいろの微小地震観測点のテレメータリングは行われておりませんし、はなはだ不備な状態にございます。
 なお、その他の地域ではどうかと申しますと、これは水準測量、三角測量等の測定結果が上がってまいりますごとに検討いたしまして、異常な地域はないかということを調べておりますが、現時点におきましては、観測強化にしなければいけないという地域が見つかっておりません。ただ、これは見つからないというだけで、いま張りめぐらしております私どもの長期予知のための観測網、つまり測量あるいは微小地震の観測、これは網と申しましても非常に穴だらけでございまして、見逃しているのではないかという心配が常にあるのでございます。
○原田(昇)委員 そうしますと、まだまだ各地において見逃されておる地域があるのではないかということ、あるいは関東等ではまだ観測網が不備であるというお話でございますが、そういった地域について、早急にその観測網の整備を必要とすると思うのです。その場合、まず観測網を整備する整備計画というものを総合的につくっていく必要があると私は思うのですが、いかがでございますか。
 それからもう一つ伺いたいのは、せっかく観測網を整備しても、それを一元的に観測し総合的な判断を下すことが必要だと思うのです。たとえば今度の新聞で見たのですが、東大でラドンの観測がされておって、伊豆地震の前兆現象をラドンの変化でとらえておったということでございますが、これがそれだけの話でして、総合判断のデータとして事前に活用されておらないということなんです。それから、今回いろいろ予算も組まれておりますが、たとえば科学技術庁の防災科学技術センター等でひずみ計などの予算もかなりついておりますけれども、これが総合的な観測網の一環として、そのデータが事前に生きてこないと何にもならない、こういうことがあると思うのです。その二点についてひとつ伺いたい。
○萩原参考人 観測体制がどうあるべきかということについては、もうすでにどうすればいいということはわかっております。ただ、それが現在のいろいろな事情でなかなか思うようにいかないのでございます。それは、現在の日本の地震予知計画というものは――いろいろな省に属するいろいろな機関で、どの機関も業務として地震予知をやるというところはまだございませんでした。そのために、本来の業務の形を崩さないで協力という形で進んでまいったのでございまして、その協力は皆さん方の努力によってかなりスムーズに行われてきたと思うのでございます。しかし、おのおのの機関、それぞれの本来の業務がある。そういうために、なかなか地震予知だけというわけにはいかない、そういうところでなかなか計画が思いどおりにいかないという点があったのでございます。
 なお、地震予知連絡会は、実は実戦部隊なのでございますが、各機関から出ておる委員によって構成されておるので、それ自体何もすることができないわけです。こういうことをしたいからという判断をして、各機関にひとつこういうことをやっていただけないだろうかということを相談するだけでございます。実際は、この連絡会自身が、あるいはほかでもよろしいのですが、自由に動かせる観測班というものを持って、ここの観測を強化しなければならなくなったというようなときは、すぐそこに行って観測を展開する、そういったものを持ちたいのでございますが、そういうものが実際ないので、ああすればいいということがわかっていながらすぐ対処できないのが現状でございます。
 なお、今回の伊豆大島近海の地震のときに、後から調べると、伊豆の中部で東大の理学部で行っておったラドンの観測に非常に明確な短期的な前兆が出ていた、それがどうして生かされなかったかというお話でございますが、このほか前兆といたしましては石廊崎、それから網代の気象庁のひずみ計、いろいろ短期的前兆が、微弱でございますが知られております。ところが、この伊豆のラドンの変化、これは現地で記録する方式をとっておりましたので、即座の役には立たなかったのでございますが、こういうものは将来東京へ持ってきて常時監視の体制にしなければならないものとは思いますが、今回の伊豆大島近海の地震の短期予報を明確に出せなかったということは他に理由がございます。これは十四日の十二時二十四分に地震が起こったわけでございますが、その日の十一時ごろ、気象庁から、大島付近で起こっておる群発地震は規模が大きいので、多少の被害を起こすかもしれないから御注意くださいという地震速報が出ております。実はあの時点において伊豆も大いに注意しなければいけないというような予知情報が出されるべきであったわけでございますが、あの伊豆大島付近に起こっておりました群発地震は明らかに短期的前兆だったのでございますが、私どもは、少し大きい地震が起こるとしても、伊豆大島近海だけに限って、大島には影響があるかもしれないが、伊豆の方にはそれほどの影響はないというふうに安直に考えておったわけです。これは私を初めだれもがそこまで考えが及ばなかったのでございます。後から考えますれば、もう二年半も前から伊豆半島の中では土地が非常に隆起したりあるいは微小群発地震がたくさん起こっておるという現象があったのでございますから、現象を大島近海だけに限らず伊豆、大島を含めての事件として考えるべきであったのでありますが、どうも知識の至らぬ点でこれを甘く見てしまったのでございます。そういう判断が至らなかったというところに大きな原因があるのでございまして、短期的な前兆が、たとえばこのラドンが東京で記録されておったといたしましても、伊豆地方にもっと大いに注意しなければいけないということは今回は出すことができなかったと思います。今回の経験で、私どもまた少し利口になっておりますので、この次からは何とかこのような短期的な予知情報を出すようになりたいと思っておる次第でございます。
○原田(昇)委員 松田助教授にお尋ねしたいのでございますが、先ほどのお話で、地震が三つ起こればそのうちの一つか二つは活断層によって起きると言っても過言ではないというお話がございましたけれども、もしそうだとすれば、特定の活断層が近い将来活動して地震を起こすということが予測できれば非常に役に立つわけですが、その具体的な観測ができるのかできないのか。千年に一回とか数千年に一回では、これは日本の歴史から考えてもそんなデータはないわけですね。したがって、もうちょっと具体的に実用化できるような観測ができないかという点をお尋ねしたいのです。
○松田参考人 確かに地震はある断層からある間隔で起こるということまでは見当がついたわけですけれども、それではその間隔がわかっても千年先なのか来年かがいまのところ一般的にはわからないわけです。たとえば歴史時代ですと、数十年前に起こったんだからまだ当分大丈夫だということが言えますけれども、最近のがいつ起こったかというのを調べるには歴史時代以前のデータが必要である。歴史時代以前にいつ起こったかを調べるには、その時代の地層があるところではその地層を調べることによって断層の食い違いがあるかないかを調べればいい。その地層を調べるのは天然の露出しているものだけでは不十分でして、ここぞというところで地層を人工的に露頭を露出させまして、それで何千年前の地層は切れているけれども、それ以後の何千年の地層は切れていない。したがって、最近の事件というのはその何千年と何千年の間にあるだろう。そういうことがわかりますと、先ほどの平均的な地震の発生間隔と比較することによってある程度の、危険が近いか、起こる可能性が大きいか小さいかの見当がつきますが、それでも、先ほど申しましたように、数年とか数十年で断定的なことは非常にむずかしいと思っております。
○原田(昇)委員 山本知事にお伺いしたいのでございますが、今回の経験でいわゆる余震情報に関しまして非常に問題があるというお話がございました。すべからく行政の責任で出すべし、まことにごもっともな御意見だと思うのです。そこで私は、この余震情報に関しまして、今回の経験に徴しまして知事としてどういうような地震予知情報の伝達を考えたらいいか、ひとつお伺いしたいと思います。
○山本参考人 お答えを申し上げます。
 地震情報は静岡の地方気象台から私たちに伝えられたものでありますけれども、先ほど申し上げましたように、気象庁の情報の伝達の問題でありますが、気象業務法によると、地震に関しては警報、予報を発表することにはなっていないということでございます。従来地震情報は一般住民から問い合わせがあった場合、それに対して意見を統一するための内部資料情報であるというお話を承っているわけであります。したがって、萩原先生のお話によりますと、大島にはかなりの被害があるかもしらぬと言われましたのに、東京都ではこれを流さなかったというまちまちな対応になっているわけであります。それから静岡県の場合には、従来からの地域防災計画にのっとって御連絡がありましたので、実はそのまま、第一回の地震情報は各市町村に流したわけであります。
 ここで私たちが甘く考えましたのは何かといいますと、情報の中に「今回の群発地震は規模がやや大きく、昭和三十九年一月以来のもので、その時は小被害が有りました。」――地震対策課が当時はございませんけれども、昭和三十九年一月、伊豆地域には見るべき被害はなかったということでありますから、三十九年以来ということでありますと、私たち油断が生じたということであります。しかも加えて、「今回の地震も」であります。「三十九年」を受けて「今回の地震も多少被害を伴なう恐れが有りますので一応ご注意下さい。」いつ、どこで、どの程度の規模ということには全く触れられておりません。念のため県庁の職員は待機し、市町村にそれをそのまま流した。市町村によっては、もう十二時になってそのまま退庁しちゃったということで、実は初動態勢に非常におくれをとったという点が出てきているわけであります。
 しかし、マスコミはこれを許しませんで、「遅過ぎる県の対応」というような大きな記事で実は批判を受けなければならぬということになったわけでございます。その批判の状況は、県の対応に対する批判、「地震情報生かされず」「具体的防災措置なく、文面を棒読みしただけだ。」「対応らしい姿勢は何にもない。」「東海地震に対処しようとする県の思想がこれでよいのか。」「一住民は、知らせてくれればそれなりの心構えの面だけでもプラスになったはずだ。」こういうことで実はたたかれたわけであります。
 そこで、第一回に私たちは失敗をいたしたと反省をいたしたのでありますが、第二回に気象台から同じ連絡がございました。一月十五日十九時三十分であります。私たちの受けましたのが二十時二十分でございます。これは「去る一月十四日十二時二十四分の地震は伊豆大島西方約十キロメートルの地点に起りました。気象庁の観測によれば、およそマグニチュード七で、この地域としては最大級の浅い地震でした。初動分布によると右横ズレ断層であり、」云々、最後に「いずれにせよ、今後なお活動は継続するものと思われるので、伊豆地方では」これはもう気象台に対する連絡ではないのです。伊豆地方だけだということは、住民にかかわりのあることと受けとめざるを得ない。「伊豆地方では引き続き警戒して下さい。(ひん発するのは半月位続き、最大マグニチュード六・〇位)」こういう情報であったわけであります。
 ところが、一月の十七日の二十時半ごろであります。私たちに、実は国の方から非公式に連絡がございました。それは、非常災害対策本部の会合の際、気象庁から説明があった。それは「地震予知連絡会関東部会の統一見解を紹介すると次のとおりである」と書いてあります。「〔予知連の見解〕余震はその最大の場合、本震の十分の一程度のエネルギーが放出されるといわれているが、今回の地震にかかる余震については、現在四十分の一程度であり、可能性としては、最悪の場合は、マグニチュード六程度(昭和四十三年エビノ地震程度)」私たちにはエビノ地震の災害はかなりひどかったという記憶があります。「(昭和四十三年エビノ地震程度)の発生もあり得る。そして、当地域の震源が浅いので、その場合はマグニチュード六の地震としては被害が大きくなることもある。」そうすると、マグニチュード六・五かあるいは七に近いのだ、エビノ地震程度と、こう判断しなければならないわけでありますから、非公式な連絡でありますけれども、災対本部から間接に連絡がありましたから、私たちは災対本部に直接連絡してもらいたいということを実は何回もお願い申し上げたわけであります。
 そこで、私といたしましては、なぜ地震情報を余震情報という形で踏み切ったかということであります。先ほどの対応の不十分もございましたけれども、何よりもこういう環境に置かれたということを御理解いただきたいと思うのです。
 一月十四日、第一に、気象台連絡を私たちは棒読みにした失敗があったと謙虚な反省をいたしたわけであります。第二は、少なくとも国の非常災害対策本部で発表されて、それがマスコミの新聞に出ている。出ているものである限り、あすでは遅過ぎる、十八日中に私たちは市町村に連絡しなければならぬ。しかもそれが、何らかのパニックを生じた場合、夜にかかったら大変だ、十二時までに出したい、こういう限定された条件に置かれたわけであります。
 もう一つは何かといいますと、先ほどもお話し申し上げましたように、本震があと数分おくれたら、あと二、三時間おくれたら、実は大災害につながるおそれがあったという気持ちが私を支配しておったわけであります。不幸な出来事ではありましたけれどもラッキーだったという判断であります。
 もう一つは、県民の七九%は、たとえ外れることはあっても積極的な情報提供を望んでいるというアンケート調査の結果であります。
 もう一つ問題がありますのは、十五日の余震の被害が、伊豆の西海岸においては本震の三倍以上の被害を生じているという事実を私たちはつかんでおったわけであります。そして、東海岸の道路もとまっている、天城道路もとまっている、そしてもし西海岸の道路がやられたとしたら、西海岸の百三十六号線が損壊したとすれば、伊豆南部は完全に孤島となってしまう、物資の輸送もできないという状況に陥るわけであります。私もあの地域の生まれでありますけれども、いまは季節的には西風が強いときでありまして、正常であれば三日に二日は西風が吹き続けている、こういう状況でありますから、孤島になることは当然になってくる、こういうおびえがあったわけであります。
 そこで、私たちは、この情報を伝えるからには、県としてとるべき策は何かと、全部検討したわけであります。同時に、災害対策本部には正式に私たちに連絡してほしいということを何回も交渉いたしましたが、結果は、連絡があったものと私が判断し、すべては私の責任で出しますという形で出さなければならなかったのであります。
 私が常々考えておりますのは、地震情報を出すからには対応策なしに出してはいけない、それはいたずらに混乱を生ずるだけだ、ですから、対応策も何をやるということを全部出しまして実は情報として伝えたわけでありますけれども、私を初め職員は不眠不休だったのです。もう文章を考えるような思考能力も本当に不十分なとき、こういうときでありますから、やはり地震の場合は台風とは違うので、国の方で行政の責任において出していただくべきだという考え方になっているような次第であります。
○原田(昇)委員 時間でございますので終わります。
○川崎委員長 小島君。
○小島委員 関連して。
 ただいまの原田委員の質問で、私のお伺いしたいと思っておりました点も相当明らかにされました。時間の関係もありますので、山本参考人にお伺いをいたします。
 被災県の知事として毎日の御心労、大変御苦労さまでございます。心から御慰労申し上げる次第でございます。
    〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕
 地震の予知情報に伴いまして、どうしても企業活動等に相当の損害を与えるということが予想されるわけですが、これに対して山本先生はどういうふうにその措置を考えていったらいいとお考えでしょうか、御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、震災対策の根本は何といっても災害に強い街づくりであろうというふうに思われます。いまも必死になってやっておられるわけでありますが、これを推進していく上での一番の問題点は何でしょうか、なるべく具体的にお答えいただきたいと思います。
○山本参考人 先ほどもお話し申し上げましたとおり、私たちは、経済的な問題よりも人命を絶対に重視すべきだと思います。しかも、もしも予知に先生方が成功してくださり、適切な措置をそれぞれがそれぞれの責任においてとりまして、総理が非常措置命令等を発動することができますれば、被害を数百分の一で済ませるということに私たちは接近しつつあるわけであります。私たちは、多少の経済的な損失よりも、人命ということを重視していただくという考え方をとっていただきたいということを切望いたす次第でございます。
 また、今回の場合、私たちは、国の責任におきまして、伊豆の地質上の問題、地殻上の問題、活断層の問題等、徹底的な御調査もぜひお願い申し上げたいというふうに考えているのでありますが、とりあえず主要地方道、修善寺−下田線につきましては、もうあそこへいままでの考え方で道路をつくりましても、あれだけ断層がいっぱい来ている、百メートル以上上から崩れてくるのには対応できません。したがって、陸橋で持ってきましてトンネルで抜く、そのトンネルも一心円でいく、また陸橋でもってトンネルで抜く、こういうことでやっていきませんと、実はどうしても勾配がとれないわけであります。そこでいま建設省に御協議申し上げておりますのは、実はループ式にして、ループによって三十五メートル下げて陸橋でつないでいく、そこのところは七百メートルぐらいのトンネルになります。
    〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕
そして、そのまま真っすぐにトンネルをつくったら浅いのでかえって危いだろう、奥へ掘らなければならぬ、そして一心円でがんじょうにやるということになれば、そう金額的には違いがないと思いますので、災害に強い伊豆のイメージというものを定着させていただきますためにも、実は原形復旧でなしに改良復旧で、いまのところ七十五億くらいかけまして一年間でこれをやらせていただきたいというふうに考えておりますので、ぜひお力添えをお願いいたしたいと思います。
○小島委員 山本知事は、今日の対策を進めていかれる上で、いろいろな、現在の法制とか行政の不備をお感じになったと思うのです。たとえば激甚災の指定の問題。河津町それから東伊豆町いずれの方が激しいかということはなかなか判定できない。同一の地域でございます。ところが、公共災害の激甚指定という問題を考えますと、河津の方はまあ大丈夫だろう、しかし東伊豆町の方はどうも損害の規模が、標準税収の一〇〇%でございましたか、それ以上の被害はない、四億程度だろうというふうなことで、隣接していながら激甚指定がむずかしい、これはどういうふうに解決していったらいいのだろうかと感じております。一例でございますが、そういうものが恐らくたくさんあると思うのですが、この機会にお聞かせいただきたいと思います。
○山本参考人 お答え申し上げます。
 現在、査定前でございますけれども、つかんでおります数字でいきますと、河津町は公共土木災害、それから商工関係、農林関係いずれも実は局地激甚災の指定になる見込みでございます。東伊豆町の場合には、公共土木関係においては激甚災の指定の対象になりにくいという状況でありますが、この程度のことでありましたら、私は県の責任において町村を援助していく、同じような扱いをしてまいるという考え方を持っております。
○小島委員 ありがとうございました。
 終わります。
○川崎委員長 湯山勇君。
○湯山委員 私は全部の質問を申し上げて、そして順次御答弁をいただくようにいたしたいと思いますので、そのようにお願いいたしたいと思います。
 まず、萩原参考人にお尋ねいたします。
 先ほどの御答弁の中で、今度の場合判断の誤りというわけでもございますまいが、とにかく当時の状態ではあるいは伊豆半島を含めてやるべきであったかと思うけれども、そこまで判断がいかなかったというような御答弁でございましたが、マスコミによりますと肩透かしを食ったというような表現もございました。現状においてはこの予知連絡会というのが最高の判断の機関でございますので、これらの点はもう少し明確にしていただく必要があるのではないか。と申しますのは、いまのように何か肩透かしを食ったというようなことは、これは非常に俗なことでございますけれども、判断になお至らない点があったのかどうか、あるいは現在の機能としてはこれがもう限度である、限界であったということなのか、この辺はひとつはっきり、しかも率直にお示しいただくのがわれわれが今後いろいろ審議、検討していくのに非常に重要な問題だと思いますので、その辺をひとつはっきりお示しをいただければというように考えます。
 それから、特に私は松田参考人に活断層について、どなたかから御参考になる御意見をお聞きしたいということをお願いしたいきさつもございますので、お尋ねいたしたいのです。
 今回の地震の被害というものが、いま知事の方からもございましたように活断層に沿って起こっているということでございました。そうすると、一カ所は伊豆半島の沖の活断層が原因となっている。いま一つは、いまのように伊豆半島の南伊豆の活断層の動きによって起こったということですが、これらの断層というものは、先ほど先生のおっしゃったA、B、そういう位置づけをすれば一体どれになっていたのか、あるいはそれらがはっきりしておれば、予知の場合にそういうことが要素に入れられてもっと的確なものが出たのではないかという感じもいたします。と申しますのは、これも山本参考人の方からありましたように、七四年でございましたか石廊崎断層、これによって相当な被害が出たという事実もございますので、そういう活断層というものをもっと考慮に入れたならば、あるいは予知の結果にも若干変化があったのじゃないか、素人考えですが御説明を聞いておって感じましたのでこれらの点、予知の問題は別として、それらの断層というものがどうであったかということを松田参考人から承りたいと思います。
 それから第二は、いまの伊豆急行ですか、トンネルがまさに断層線上にあって、トンネルというのは本来、少々地震があってもまず大丈夫なように設計されるのが私どもとしては常識だと思っていたのですけれども、しかし、逆に言えば地震というもののこわさあるいは活断層というもののこわさというものを、まざまざ見せられたような感じがいたします。トンネルなどをつくる場合に、いま先生の方で御研究になっておる活断層というものを一体どの程度配慮すべきものか、あるいはそういうことを今日、日本の政治の中で配慮しておるかどうか、こういうことについてお気づきの点があればお教えをいただきたい。
 それから第三番目は、人によれば日本列島というのはもう断層ばっかりで、たとえば非常に悪いかもしれませんが瓦れきの上に立っているようなものだというような言い方をする人もあるし、それから砂浜の上のような日本列島だというような極端なのもありますけれども、それは別として、相当たくさんの断層があるかと思います。その中にはまたきょうお話しいただいた活断層もずいぶんあると思うのですが、それがきょう、A、B、Cとそれぞれ分けられているということを初めて承ったわけですけれども、おおよそ日本列島にある主な活断層については、いま数を、A、Bをお示しになられましたが、日本全国、活断層についておおよそそういうふうに調査ができ上がっているのかどうか、そういうことが一つ。
 それからトンネルのことを申し上げましたが、原子力発電所等の建設の場合もそういった問題がずいぶんございます。そこで、この間、NHKの放送の中にも出ておりましたが、活断層がすぐそばを通っているかどうかで――愛媛県の伊方という原子力発電所があります。これが中央構造線のすぐそばにつくられているという意見と、そうじゃないのだというような意見がございますが、あれだけ大きい中央構造線というのは一体活断層で、それは部分的に違うかもしれませんが、A、Bというような先生のランクで言われればどういうふうになっておるのか。それから瀬戸内海と九州にわたるところあたり、その辺は調査ができておるのかどうか。それらの問題もあわせて承りたいと思います。
 それから最後に山本参考人に、今度のこと等を通して、これはどこまで本当か存じませんけれども、アメリカあたりでは活断層の上には住宅を建てることを禁止しているということを聞いております。特に伊豆半島とかあるいは今度の観測の強化地域、そういうところではそういった配慮が要るとお考えになられますか。いまの状態ではそれは配慮しても無理だろうから、その配慮はとうていできないことだというふうにお考えなのか。
 以上、お尋ねいたしたいと思います。
○萩原参考人 ああいう短期的な予知情報を出す体制と申しますか、地震予知連絡会がそういう予知を出す体制は、まだ全くできておらないのでございまして、ただ一つ、東海地域だけを臨機的な特例といたしまして、東海地域判定会というものができておりますが、その他については全くできておらないのでございます。ただ、有感地震を伴うような現象が起こりましてとっさに情報を伝える必要があった場合は従来どおり気象庁が独自で行うという前からの申し合わせがございまして、あの状況を率直に申しますと、群発地震が午前中に頻繁に起こったわけですが、テレビなどで知るだけで、予知連の事務局からも気象庁からも何らの報告を受けておりません。ただ、十一時半ごろでしたか、気象庁から、こういう地震情報を出したからという事後通達を受けました。私はその気象庁のとりました処置につきましては非常に評価しております。ただ、あのとき気象庁は、少し大きい地震が起こるかもしれないけれども、大島近海に限られると判断したものと思います。そのときたとえば私が事前に相談を受けたといたしましてもやはりそう判断したと思っております。つまり、私を含めまして、恐らく予知連絡会のメンバーの諸君全員が、あの時点におきまして、つまり地震というのはひびが入って断層ができて壊れる、その破壊は恐らく大島近海からびしびしと壊れて伊豆の方に割れていったのだと思いますが、これは氷にひびが入って割れていくのを御想像くださればよろしいかと思いますが、それが伊豆半島付近まで及ぶとは考えなかったわけでございますが、その割れ目が伊豆半島に上陸して、恐らく割れ目の先端でありますからそれほど大規模なものではないが、びしびしと割れて伊豆の中部辺までいってしまったのではないかと考えられるわけですが、あの時点におきまして、そういうふうになるというふうには全く考えなかった。これは判断を誤ったというよりもむしろ全くそこまで考えが及ばなかった。それは私どもの未熟から来たものだと思います。私どもはこういった一つの大きな事件があるごとに利口になっておるのでございますが、今回の事件でもう少し利口になったと思いますので、今回の経験を生かして次の場合に備えたいと思っております。したがって、そういうふうに考えたということは大変遺憾というか、残念で、だれもが思っているのでございます。
○松田参考人 最初の御質問の、あの地域で活断層の知識をもう少し考慮してあるいは調査してあったらもうちょっと的確な予知に役立ったのではないかという御質問ですが、あの地域に関しましては幸いというか調査の方は進んでおったわけであります。七四年の地震とか、それから最近の伊東南方の異常隆起地域で研究者の注目を浴びて実際に調査をしておりましたので、活断層についても全国平均から比べたらはるかに特にその地域の調査をしておったので、どこにあるかという分布に関しては最高にわかっていた地域だと言ってよろしいと思います。ただ、その結果、予測としては、異常隆起地域というのは今度の地震よりちょっと北ですけれども、その地域には目ぼしい活断層がございませんでしたので、私個人としては、地震が起こるとしたら、その異常隆起の中心ではなくて、どこに多いかといいますと、湯ケ島から天城峠を経て稲取に達する天城山の西から南のゾーンに活断層がわりに多くありましたので、むしろ起こるとしたらそちらの方の可能性は何となく考えてはおったのでありますが、実際に起こりましたのはそれではなくてもっと海の方で起こったわけです。海の方を予測しておったかと言われますと、それは予測しておりませんでした。私たちの調査は空中写真によってやっておるのが主でありまして、海の下のことはちょっと別の方法が必要ですし、いい調査方法も大学は持ち合わせておりませんので、いままでの海底地形の知識からでは、あそこにマグニチュード七が起こるような海底地形がある、しかもああいう東西方向に近いような断層があるという予想は持っておりませんでした。ただ、陸上の活断層の多いゾーンの延長にあったという点では、後から多少そういう意味があったのかなという程度でございます。今度陸上で稲取の付近にちょっと活断層が動きましたけれども、それはその海底の見過ごしていた断層の動きの一部だと思いますが、それはいままで調べられていた線の上の一部が動いております。
 問題は予知にもう少し的確に役立ったかということですが、そういった意味で、場所に関してはいまお話しした程度であります。いつかということについては、先ほどお話ししたように、とてもはっきり予知に役立つようなことは材料を持っておりませんでした。地震の規模の方については、いままで陸上で見た活断層はそれほどりっぱな長い活断層はございませんで、起こるとしても、丹那断層のようなマグニチュード七というような断層は、いま申しました天城山の周辺にはないものですから、予想しておらなかったわけであります。その点では、場所が外れたと同時に、規模も、そんな海の方は知らなかったもので、ということで外れたわけであります。ただ、伊豆周辺では、火山地帯でありながら、いままで六・五を超える地震というのが火山地帯としては例外的に二つ三つ起こっている。日本全国であれだけ活火山のある地域で六・五以上の被害地震が起こっているところは伊豆半島周辺だということはわかっておりましたので、そういう意味で必ずしも例外ではございません。
 それから二番目のトンネルをつくるときにどう配慮しているか、そういう例があるかという点でございますが、今度の場合、確かにあのトンネルの被害は、いま申しました今度動いた断層の影響でひどい被害があったと思います。活断層といいますのは、断層があるために地形的に弱くて浸食を受けておりまして、大体谷に低くなっております。ですから、普通でしたら山の高いところを断層が通る例は少ないわけです。したがって、トンネルが活断層にぶつかる例は少ないのですが、ただ、どうしても必要だというので無理に、無理にというか、大規模なトンネルの場合は、そういう山を長距離にわたって通りますから、どうしても横断せざるを得なくなる場合があります。そのいい例が伊豆の丹那断層であります。これは新幹線やいままでの東海道、国鉄のトンネルがまさに横断しておりますが、それは昭和五年に丹那断層は北伊豆地震を起こして食い違っております。幸いにそれはまだ鉄道が通る前でしたから、そういう意味では被害はなかったわけですけれども、新幹線をつくるときに問題になったわけです。しかし、その当時もうすでにわかっていたのですが、丹那断層というのは千年に一度ぐらい活動するものであろう、それが昭和五年に起こったばかりであるから新幹線をつくってもまず大丈夫であろうということで、知っておったにもかかわらずそこを横断してつくった例であります。そんなものが思い出されます。そういう意味で、明瞭に活断層をトンネルとして越えているところは近畿の六甲山付近がそうかと思いますが、それについてはそれほどはっきり、たとえば丹那断層のように当分起こらないであろう、起こったばかりだとか、そろそろ起こるころだとか、そういう評価がはっきりできるほどの材料はありません。ただ、われわれが知っている、名前もついている活断層を横断しているということは確かであります。
 それから三番目の活断層にA、Bとかいうランクをつけた調査が全国どのくらいでき上がっているかという点でありますけれども、いまも急いで調査中でありますけれども、いま公にされておりますのは、一九七六年までの学会において発表されている資料に基づいて総合したものがあります。それに多少その後のものが加わっていますけれども、大体その時点での公にされているものが一まとめになっておりますが、それは残念ながら北海道が抜けております。北海道以外の全国についてはそういう地図ができているわけです。まだAであるかBであるかCであるかはっきりしないものもありますけれども、地図にある断層の大部分はB級であります。A級は先ほど言いました十幾つかでありまして、その地図には、数えようにもよるのですけれども二百幾つかがカタログに載っております。二百幾つかのうちの十幾つかがAで、あとは大部分Bだと思います。条件のいい場合にCも登録されているわけであります。
 それから、四番目の伊方発電所のあります中央構造線はどういうものかということですが、中央構造線というのは四国、九州から中部地方まで延びておりますけれども、そのうち活断層として活発なものは四国の東部から紀伊半島の真ん中ぐらいまで、ちょうどいま申しました中央構造線の、全長九百キロぐらいありますが、大体そのうちの真ん中ぐらいが非常に活発な活断層であることがわかっております。それはいまのランクでいいますとA級であります。少なくともその部分は材料がありまして、四国東部と紀伊半島西部ではA級と言ってよろしいと思います。伊方はそれから西の方にありまして、しかも中央構造線はあの付近では海の中に入っておりますので、直接の、A級であるかB級であるかの資料は困難でありますけれども、同じ断層の続きでありますので、断層も末端にいけばだんだん衰えていって消えてしまうわけです。ですから、A級の活断層の端の方にある。だからA級であろうか、あるいはうんと衰えてしまえばB級に入るかもしれませんけれども、そういうものであります。
 瀬戸内海、九州の調査はできているかという御質問でしたけれども、それは特にそこだけどうという注目はしておりません。
 以上であります。
○山本参考人 活断層上の住宅や公共施設についての問題でございますが、先ほども申し上げましたとおり、国土庁の調査調整費でまず伊豆半島を徹底的にお調べをいただきたいということをお願いを申し上げているわけでありますし、また東海地震も私たちは対処しなければならぬわけでありますから、さらに警戒地域においてはそういった調査をやっていただくべきだというふうに考えております。調査の結果どう対応すべきか等も国の御指導を仰ぎながら対処していきたいと考えております。
○川崎委員長 渡辺芳男君。
○渡辺(芳)委員 ほんの少しの時間しかございませんので大変恐縮でございますが、御意見をお伺いします。
 まず、萩原先生にお伺いしますが、先ほど来言われておりますけれども、地震に関する観測が統一できていないということはたびたび指摘をされておりますし、気象庁、文部省、国土地理院、科学技術庁、地質調査所などに分散して行われておりまして、データを集中して分析することができない。観測機器には短期的なものもあれば長期的なものもございますが、そういうわけで、政府がいま大震災災害対策特別立法を考えられておるようでありますが、効果的に予報なりを出すということになればどうしても統一機関が必要ではないだろうか、専門的なお立場から萩原先生の御意見をお伺いします。
 あと二つございますが、実際問題として、十八日に私も現地のあの山津波といいますか河津町見高入谷の現地におりましたが、午後四時ごろマグニチュード六ぐらいの地震が二時間以内に来るという話を現地の町役場の職員から耳打ちをされました。また来るかなという感じは率直に言ってしました。幸いにして来ませんでした。中国ではいろいろと地震に見舞われておりますが、また大変多くの人たちが人命を落としておりますけれども、予報なり警報なりを出して空振りの場合が非常に多かった。それでも社会体制の違う国であるからあれはあれでいいだろうというふうに巷間伝えられ、言われておるところでありますが、このことが震災立法に当たって、空振りの場合における責任体制というものがなかなか頭が痛いと言われています。私は、先ほど山本知事も言われましたが、地震は実際来ない方がいいわけでありますから、空振りでも勇気を持ってやらなければいけない。萩原先生、会長で東海地域の判定会をされて御苦労されておりますが、こういう問題について多くの国民の立場からすれば、地域住民の立場からすれば勇気を持ってやる、発表する、こういうことが必要ではないだろうかというふうに私も意見を持っています。このことについてお伺いします。
 もう一つですが、観測体制の充実のことについて私も昨年災害対策特別委員会で取り上げたわけでありますが、測地学審議会からたびたび地震予知体制の充実について建議がされておることは御存じのとおりであります。これによりますと、もう大変大規模な予知対策を進めろ、各省庁にわたって観測機器を設置をしろということが言われています。率直に申し上げますが、いま観測強化地域になっているのは南関東と東海地域でございますが、そのほかに地震が来そうだというのは、これは気象庁からのお話でありますが、北海道の東部、秋田、山形の西部、長野県の北部と新潟県の南西部、琵琶湖周辺、阪神地域、島根県の東部、伊予灘と安芸灘、これらが地震が来る可能性があると言われています。それで観測機器の設置状況を見ますると、まことにお粗末であります。東海地域、南関東地域は比較的整備をされているといっても、今回の地震の予測が、あれほどの地震が来るということはどうも予測できなかったというのが率直なようでございますが、昨年の予算で予知対策の費用が関係省庁集めて三十五億程度でございます。ことしは約五十億ぐらいになると言われていますが、ことしで第三次予知計画が終わることになっておるわけですね。これからまた第四次の計画をどういうふうにしていくかということが関係者の中でそれぞれ相談をされなければならない、いまの状態で終わったというわけにはいきませんから。予知計画の第三次計画が終わることになっていますが、これについて先生の立場から観測体制の充実――研究費なども非常に少ないと思っているわけであります。事が地震のことでございますから、東海沖地震のような大きな地震が実際に来た場合には、山本知事も先ほど言われましたが、私もちょっとショッキングでありますけれども、マクロ的に見て、二次災害を除いても一万人ぐらいの犠牲者が出るだろうという話になりますと、これは大変なことでございます。ましてや東京周辺、横浜周辺が襲われたなどということになれば大変なことになりますね。そういうことも考えまして、この観測体制の充実なり研究費というものについても先生方もずいぶん御不満があると思いますが、御意見をいただきたいと思っているわけであります。
 それから、山本知事にお伺いをしますが、政府がいま準備をしている大地震災害特別法案、これは予知体制、それから地震警報と緊急措置、それから空振りの場合の補償などの免責条項、こういうものが考えられていると言われています。そういうことになりますと、たとえば二次災害、防災体制というものはせっかく大騒ぎをしている地震対策立法において抜けているわけであります。二次災害の防止対策というのは災害基本法でやられるというふうにも言われていますが、たとえば消防庁に防災診断委員会がある。地域防災計画を立ててそれぞれ自治体にやらせる。あるいは通産省にガス事業大都市対策調査会がある。これは大都市のことですね。中小都市には関係がないと言えばない、あると言えばあるわけでありますが、そういう調査会があって取り組んでいるというふうなことが言われています。言えばたくさんございますが、新幹線なりあるいは東名高速道路の問題などもございます。
 時間もございませんので省略させてもらいますが、静岡県でも当面火災防止のために、五十一年から五十四年度にわたって整備計画をしている。耐震性の貯水槽をつくる。百トンの貯水槽を四百基、四十トンの貯水槽を二千七十七基、可搬式の動力ポンプが千四百四十六台、これをせっかく知事さんが進められていますが、政府の補助金も少ない。だから上げてくれという要望もあるようであります。しかし、これも聞くところによると二十万都市、五つの都市に限ってやっているようなことも聞いておりますが、そういうことになりますと防災体制、二次災害をいかにして最小限度に食いとめるかということは、まだいわばようやく取り組みつつあるというのが国の姿勢でございましょう。そういうこともございますので、これら二次災害の防止についてもいろいろと御見解があると思いますからお伺いをいたしたいと思います。
 以上です。
○萩原参考人 最初の御質問の一元化のことでございますが、現在地震予知連絡会は一応うまくいっていると思います。また東海地域判定会ができまして、これは東海地域だけでございますが、これにならったようなものを他の地域に必要な場合はつくるといたしましても、現在の行き方でそれほど支障はないかと思います。
 いろいろな機関がばらばらにやっておって、その間の協力ということで成り立っておるこの地震予知の一番の欠陥は、やはり十分な予算がとれないということで、したがって十分な観測体制がとれないということでございます。それは、ある機関が地震予知だけをやっているわけでございませんで、業務として地震予知をやらなければいけないというところはどこもないわけでございまして、本来の業務があるわけでございますので、つまり大蔵省で予算をカットされるというのじゃなしに、その前に、もう大蔵省まで行かないわけですね。自分で切っちゃうわけです。それからまた予算の途中で第一次、第二次とありますね、それに対して復活要求をおりちゃうのですから、これはもうどうにもしようがないですね。そこに大きな原因があると思います。そういう意味で、どうしても一つの機関にまとまらなければ、どうにもこれから先だめだと私は思っております。
 第二は、警報の空振りの問題でございますが、これは中国と日本とはやはり違いまして、ああいう高度に文明の発達した日本とかアメリカは空振りの影響というものが非常に恐ろしい。影響が大きいもので、私どもは空振りをしてはいけないということが絶えず頭にございます。先ほど山本知事さんは、学者はそんなことを考えないでやれというけれども、やはりどうしても頭のどこかにこびりついてくるというのが実情でございます。たとえば今度の大島近海沖の地震、これがもし仮に中国だったらば、恐らく静岡県の半分ぐらいから房総半島を全部含めるような非常に広い地域に対しても警戒を出して、全部そこから強制退避をさせるというような処置をとったと思います。警戒をとらせる範囲が非常に広いのですね。ですから何といいますか、非常に用心をとって、思い切って大きくとって、早目に警報を出す。それで一日でも二日でも外に置いておく、中国ではそういうことがやすやすと行えるわけです。それでまた、地震予知というのは住民と官庁あるいは学者が一体になってやるというたてまえになっておりますので、連帯感が非常に強いために、空振りして外れても文句を言う者が出ない。文句を言っても始まらないから、文句を言わないのかもわかりませんけれども。そういうわけで、非常にお国柄が違うために、中国のようにはいかないのでございますけれども、やはり今回の経験で、用心をする区域はもう少し広くとって情報を出すべきではないかということは痛感しておるのでございます。空振りの問題、これはどうしても空振りということはある。余り空振りを恐れますと、今度は見送りで三振になってしまいますので、これはやはりどうしても国民全体の理解ということが必要だろうと思っております。
 次に、第四次の、測地学審議会でただいまいろいろ立案計画をやっておるようでございます。かなり大きいものが出ると思いますが、やはり問題は、さっき申し上げましたように、現在のばらばらな状態では、測地学審議会が幾ら計画を立てましょうとも、ある機関から予算が出ていかないんですから、もうどうにもしようがないと思っております。
○山本参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど私は、現在のまま安政大地震を類推してマクロで被害想定を机上でやりますとああいう数字になるということは申し上げたわけですけれども、私たちは座してそのままで過ごす気はございません。耐震性貯水槽は昨年から本年、来年と三年間、場合によりますと四年目に多少かかるかもしれませんけれども、県下で九十九億かけてやろう。都市部におきましては五百メートルメッシュぐらいに切っていく、農村部において千メートルメッシュで切っていく、二次災害を防ぐために耐震性貯水槽、可搬式ポンプ等は全部整備してまいる、こういうつもりでございます。
 県は現実にいままでに地震対策課をつくりまして、緊急物資の調達の計画あるいは給水の対策、医療救護対策、避難対策、交通対策、建築物の耐震性を調査したり補強する対策、危険物対策、学校対策、津波対策、自衛隊派遣計画等の基本方針は定めているわけであります。五十三年度これを市町村の現場へおろして具体的な計画にしていこう、こう考えておったところでございます。それを私たちは、自治体みずからはやりますけれども、しかし広範囲にわたり激甚な被害を生ずるそういう大震災に対しましては、やはり行政の責任で内閣総理大臣が緊急措置命令等を発しまして、自衛隊あるいは警察官、医師等の派遣をいたしましたり、その準備をいたしましたり、あるいは総理大臣が食糧、医薬品その他災害救助に必要な物資、応急復旧資材等を輸送し、また準備をする、こういう形をとっていくべきだ。それを単に国にお願いするだけではない。私たちは県同士でお互いのデータを出し合って全部国へ差し上げます。国の方で、どこで災害が起こったらどこの県からどう出してくれという御指示をしていただきたいということを実は知事会でも申し上げているくらいでございます。そういう状況でありますから、私たちとしてはこの法律の考え方のように、総理大臣の緊急措置命令とか、あるいは緊急整備事業の内容等というような規定によって法的に裏づけて地震対策をとっていくべきではないか、こういうように考えているものでございます。
 それから、余分なことでございますが、萩原先生の御質問の中でありましたが、昨年も本年も私たちが一生懸命に大蔵省へ予知観測の予算が欲しいということでお願い申し上げている状況でございます。本年の体験を考えますと、経常経費と投資的経費とに分けまして、片方はサウナぶろだ、片方は冷蔵庫だ、地震対策はどっちだと言ったら、どうやら冷蔵庫であったようであります。地震国日本がこんなことでとどまるべきではない。私たちに避けることのできない宿命だとしたら積極的にこれに挑戦していくべきだ。そのためには先生方に、安心して情報を出す前の判定をしていただけるように観測網をぜひ整備していただきたいし、機関の一元化も図っていただきたいことをお願い申し上げたいわけであります。
○川崎委員長 この際、一時四十分まで休憩いたします。
    午後一時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十分開議
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質議を続行いたします。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 各参考人には貴重な御意見を陳述いただきまして大変ありがとうございました。
 最初に萩原参考人にお伺いいたします。
 御承知のように、伊豆大島近海地震の被害をきっかけに、福田総理は十七日の閣議で、将来予想される大地震に備えまして、予知に基づいて非常体制をとるような特別立法をつくるよう指示されております。その後、国土庁を中心にいろいろ検討されておるわけでございますが、この特別立法について地震予知連絡会として、また地震予知連絡会の会長としてどういうふうにお考えであるか、また特に強く要望される点はどういう点であるか、改めてひとつお伺いしておきたいと思います。
○萩原参考人 地震予知連絡会は地震予知に必要ないろいろな観測資料を集めまして、それに基づいて学問的な判断をするところでございますので、地震予知に関する情報を提供するのが役目でございます。これを実際に受けて行動に移すというのが行政側の立場で、これがつまり地震警報でございます。したがって、警報の段階には予知連絡会はタッチいたさないのでございまして、この情報に基づいて行政側でこういうような警報を出すという決断を下されるわけでございますので、予知連絡会が今回のそういう特別立法について行政側でどうあるべきかという細かい点についていろいろと言う立場ではないのでございます。
 この地震予知というのは、これも大きく見れば地震防災の一環でございまして、災害を少なくする、人命、財産を保護しようというのが究極の目的でございます。予知が出ましたときに、つまり地震情報が公表されましたときに、防災対策が十分とられておりませんと、いたずらに社会的不安を起こすだけで、場合によってはむしろマイナスの効果があることにもなるかと思います。予知情報が有効に生かされるためには、その受け皿である防災の方の対策が十分とれていなければいけないわけでございます。したがいまして防災側、つまり国、地方公共団体、それから住民に至るまで、予知情報が出たらすぐそれに落ちついて対応できるようにふだんから訓練もせられて、また予知情報というものに対して十分な理解もされているということが大切でございますので、そういう点を十分にお考えいただきたいと思います。
 なお、ただいまいろいろと検討されつつあると聞きます特別立法でございますが、これは非常に重大なことでありまして、非常に大がかりな警戒体制がとられるようになると聞いております。そういうことに対して大事な情報を提供する側にあります地震予知連絡会といたしましては、それに十分こたえられるだけの観測体制がとれるように、何らかの点で御配慮をいただくようにお願いする次第であります。
○瀬野委員 山本参考人にお伺いいたしますが、ただいまの特別立法について、国土庁を中心に関係省庁の調整を図っておるわけですけれども、御承知のように予知技術に問題が残ることはもう明らかであります。先ほど山本参考人も申されておったように、地震の予知情報については行政の責任において出さるべきだということが陳述されましたが、非常時に備えて首相とか自治体の首長の権限をどう規定するかというふうなことが一つの問題になっております。また予知によって派生するところのいろいろな補償措置をどうするかということも問題になります。そういったことからも、予知体制の一元化を山本参考人はおっしゃっておりますけれども、政府のいまのこの詰めの段階で、この一元化については見送るということであるようでございます。もうすでに地震立法の骨格もだんだん固まりつつある段階でございますが、近く災害対策特別委員会を開いて政府の見解をただして、皆さんの要望実現に向かって努力したいと考えておるわけであります。いずれにしても、国民の理解や協力がどこまで得られるかという問題もあるわけでございます。こういったことを踏まえて、今回の伊豆大島地震を経験された山本知事として、特別立法に対する要望なり現段階における政府の考え方に対して、ぜひとも声を大にして強く要求したいということについて、ここで明らかにしていただければ幸いでございます。
○山本参考人 お答えを申し上げます。
 静岡県の県民の意識を私たちの方で調べたわけであります。その意識調査の結果は、過去一年くらいの間にお宅では地震が起きたらどうしたらよいか御家族で話し合ったことがありますかという設問に対しまして、話し合ったことがあるというのが七七%であります。そして、その中でどんな内容の話し合いをされましたかという問いに対して、火の始末の仕方八五・三%、避難の仕方六五・五、貴重品の持ち出し四二・二、お互いの連絡方法三二・九という状況でございます。
 次に、数時間以内に地震が起きそうだという予報が出されたとき、あなたならまず第一にどうなさいますかという設問に対しまして、火の始末、水の用意をして家の付近で待機し、役所や警察や消防署などの公的機関の指示を待つというのが七七・一%であります。これに対しまして、安全と思われる公園、学校等に家族を連れて避難するというのが一四%という状況でございます。
 それから予報が出されても実際に起こらない場合も考えられます。あなたはその場合、予報を出した方がいいと思いますか、それとも出さない方がいいと思いますかという設問に対しまして、不安や社会的混乱があるので予報は出さない方がいいというのは一一・三%にすぎませんで、たとえ外れることがあっても積極的に予報を出すべきだというのが、先ほどもお答え申し上げましたように、七九・二%であります。また、損失補償の必要性につきまして、補償すべきだというお答えは九・九%、補償する必要はない四三・六%、どちらとも言えない三五・四%、こういう状況でございます。
 私たちは、県の防災の訓練がよかったからとは考えません。あれだけテレビ、新聞等で東海地震説が伝えられますと、国民の一人一人、県民の一人一人はきわめて健全な期待をし、また行政に非常に期待をしているという事実を私たちはつかんでおるわけであります。したがって、私たちの考え方で申し上げますならば、先ほど先生からもお話のございましたように、警報のみであって対策なくんば混乱のみを生ずるということでございますから、警報は気象庁長官が総理大臣の指示によって出す。気象庁長官も専門職だと思うわけであります。やはり大地震の際には総理の責任において、行政の最高責任者としてお出しになるべきであり、そしてそのときに行うべき緊急措置についてはマニュアルで決めていくということではなしに、法的裏づけを持ったものでなければならぬ。しかし空振りがないように、見逃しの三振がないようにということでありますれば、予知体制の一元化ということも必要でありますと同時に、この地震国日本で、中国やソビエトでもすでに予知に成功しつつある段階でありますから、予算をつけて、先生方に大いに観測機器を充実していただければ、多種類の観測機器によって、それを総合すれば予知へ接近できるのではないか。行政側とそれから観測に基づいて判定をされる学問的な専門研究者とは、おのずから機能を峻別すべきではないだろうか。行政がこれは逃げてはいけない。国民は、行政が受け皿として受けとめて、対応策を含めて管理された情報として出すということを、私は、少なくとも静岡県民は過去一年半余りの駿河湾沖地震から東海地震説を通じてそういうことを期待しているというふうに理解しておりますので、これは静岡県民だけではない、他の地域でも必ずそういう結果になっていくのではないか、こう考えている次第であります。
○瀬野委員 ありがとうございました。
 萩原参考人にさらにお伺いしておきますが、先ほど萩原参考人は、予知連としては各省庁に相談するだけの機関で、自由に動かせる能力がない、こういった陳述をなさいましたが、今回の地震で特に国に対して、国の対応の中で不十分という点、適切でない、こういうふうに感じておられる点、こういったことについて簡潔に御指摘いただければ幸いでございます。
○萩原参考人 今回の地震と申しますと、伊豆の地震でごさいましょうか。――これはやはり観測がばらばらであったということ、伊豆では二年半ほど前から土地の隆起あるいは群発微小地震などの現象がありまして、少しずつ観測を強化してきておったわけでございますが、やはり各機関ばらばらでございまして、これを一個所に集めて記録をとり、即座にそれを解析するということに欠けておりました。伊豆は非常にたくさんの行楽客の行くところでございますので、そういう最中に少し大きい地震が起こるということがありますと、また大きな損害を出すことにもなりますので、一応今回の地震の余震は順調におさまっているとは申しながら、これから先のことを考えますと、今後もやはり常時ある程度の監視を続けていって、もし仮に何かあるところで少し小さな地震が、人の体には感じないけれども、ふえ出したというときには注意をするというようなことをやるべきだと思います。要するにテレメータリングでございます。東京に集めて一カ所で記録してこれを常時監視する、こういう体制を一刻も早くとりたいと思うわけでございます。
○瀬野委員 さらに萩原参考人にお伺いしておきますが、この地震予知情報の問題で、今回の伊豆大島地震の後でわかったことでございますが、私は今後の地震予知の手がかりにもなる、こう思うのであえて申し上げるわけでございますけれども、東大が行ったところの中伊豆町のラドンの観測地点で、十月から次第に下がってきて急激に沈んだと思うとまた高くなってきたという観測によって十分地震の予知がうなづけたということでありますし、また伊東と油壷の潮位が地震の三時間ぐらい前から乱れてきたということも後ほどわかったわけであります。さらには石廊崎の近くのひずみが、縮んでまた後ほど伸びてきたというようなことも言われておりますし、こういったことがいろいろ後でわかったわけでありますけれども、これは貴重なデータであるので、こういったことも大いに検討すべきではないかと思うのですが、こういったことにつきましてはどう考えておられるかということと、もう一つは、伊豆大島近海地震の直前に動物の異常があったことが話題になりましたが、中国では、まあ大衆動員によるところの地震予知の問題がかねがね報道されております。地震と動物の異常との関係をわかりやすくまとめたパンフレットも中国から出されております。これによると、地震前にはっきり異常反応を示す動物は合計八十種類ある、こういうふうに記されておりますが、過去のマグニチュード七以上の地震の中で、五回のうち四回まで中国では予知に成功した、こういうふうに述べられております。わが国における動物の地震予知機能の問題について、今回もいろいろと言われております。一つには、笑い話にもなりませんがナマズが大変売れてずいぶん値段が上がったということで、いろいろ話題を呼んでおりますし、ネズミの問題とかいろいろありますね。そういったことで、これも私は決して放置できない問題である、こういうふうに考えているのですけれども、こういった問題を踏まえて、予知連としてはどういうふうに検討しておられるのか、その辺も、今後の審議の参考にいろいろとまた検討させていただきたいと思いますので、この際御意見をいただければ幸いでございます。
○萩原参考人 今回の地震で、東大で理学部が中伊豆で行っておりましたラドンの観測、これが非常に顕著な短期的前兆を示しましたし、それから気象庁の体積ひずみ計、これが石廊崎と網代にございましたが、これも石廊崎は非常に顕著な短期的な前兆を示し、網代は短期的な前兆は出ませんでしたが、何日か前から異常な変化が見えておりました。潮位の方はそれほどはっきりしておりませんで、伊東と油壷の潮位を比較しまして多少の差が見えるという程度でございました。とにかくこういうように前兆が出まして、特にラドンなどはソ連で非常にはっきり出たという報告がありましたが、アメリカなどでは同じことをやってみまして、まだ出たという報告がありません。だから、日本で果たしてこういうようなことがあるかどうか、半ば疑問を持ちながらもいろいろと観測を行っておったのですが、初めてこういうはっきりした結果が出まして、ラドンの観測が場合によっては非常に短期予知に役に立つということがわかったわけでございまして、こういう観測はできるだけたくさんの地点で行っていきたいと思っております。
 なお、動物の異常でございますが、これは中国では非常に動物異常を取り上げております。日本でも、昔からいろいろ地震の前に動物が妙な挙動を示したということは断片的に伝えられております。今回も伊豆でもネズミが二、三日前に逃げ出したとかカラスがいなくなったとかいろいろございます。ただ、この動物の異常に対します研究、これは魚でございますが、魚は末広恭雄先生が非常に昔から熱心に研究しておられるわけでございますが、末広先生の言葉を借りて申しますと、確かに魚は地震の前に異常を示すことがある。しかし困ることには、地震がなくても異常を示すことが地震と無関係に非常に多いんだ、それが困るので、魚だけで地震の予知をするわけにはいかない。これが一般の動物にも当てはまるのだろうと思いますが、中国では、民間の一般住民の無料奉仕で、その数は十数万と言っておりますが、それによってこういう異常があったということは、刻々にその地区のセンターに報告するのだそうでございますが、そのいろいろなところから集まった資料をセンターで地図の上にプロットするわけでございます。そうしますと、この辺で起こったとか、この辺から報告が来ないとかいうので、最初はある広い面積でばらばらなんだそうでございますが、地震の起こる前になると、非常に狭い地区に異常が集中してきて、そこで地震が起こる、そういうことがあるのだと言われております。そういうふうに一カ所や二カ所で異常を観察していても、これは予知には役に立たないと思いますが、非常にたくさんの点で組織的にそういう異常なりを観測して、それを統計的に見るという方法をすれば役に立つかと思いますが、こういうことはどうも日本人は器用過ぎてはなはだ不向きでございまして、そういうことをたとえばある方に頼むと、そういう方は一人で、自分で予報を出してしまうという、少し日本人は器用過ぎるので非常に不向きなんでございますが、といって、これはやはり何らかの方法でやらなければならないのではないかと思っております。
 ただし、動物だけで地震予知ができるというふうには私決して思っておりませんで、いろいろな機械観測をやって、その補助として、機械観測からこういういろいろな前兆現象が出て、そこへ持ってきて動物の異常が来て、やはりそうかという、そういう程度の補助の役には大いに立つのではないかと思っております。
○瀬野委員 松田参考人と山本参考人にお伺いいたします。
 先ほどの陳述の中で、活断層のことについて松田参考人からるるお話をいただきました。端的に申しまして、活断層の上には住宅等建造物の建築ということについては当然規制すべきである、こういうふうに私は先ほど承ったわけですけれども、こういった問題についてどういうふうに松田参考人はおっしゃるのか、改めてお伺いしたいと思います。
 それから山本参考人には、今回の伊豆大島地震で体験をされました中からいろいろ先ほど述べていただきましたが、活断層の真上に物をつくるということは危険である、考え直すべきだというようなことと関連して、今回の伊豆大島地震も活断層の延長線上に被害が大きく出たということの陳述がございました。私は現地に調査に参りまして、知事さんにもお目にかかっていろいろ申し入れをしたわけですが、その後地元からの連絡を受けますと、この危険地域、すなわち活断層の延長線上におられる皆さん方は、住むことを大変憂慮して移転の意思表示をしている人が実際におられるし、また今後も当然移転をしたいという方も出てくるということが考えられるわけでございます。安全地帯への移転に対して特別融資対策とかいろいろなことが考えられるわけですけれども、これらについては、地元知事としてどういうふうにお考えであるか、その点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、二人の参考人からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○松田参考人 断層の真上の建物をどうすべきかということですが、その建物の使用期間の間に起こるということがはっきり言えればもちろんそうなんですが、現状では、一つの活断層が、一般的に言えることは、一年間に起こる確率は一番活発な場合でも、特別の資料がない限り数百分の一とか数千分の一、数万分の一という確率であるわけです。そういう低い確率に対して、それだからどうしろというのは、それはその真上につくる物の性質などによって決まるので、数百分の一あるいは数千分の一のものをすべて考慮すべきかどうかということは一概には言えないのじゃないかと思います。ただ、活断層の上は、それ以外の場所に比べて――上というのは本当に真上ですが、数十メートル以内の真上では、それ以外のところよりもほかの地震のときにも揺れやすいという性質はあるようには思います。それからまた、断層ですから、地盤が砕けている程度がひどいということもあると思うので、なるべくなら、そういう意味でも好ましいところではありませんけれども、一般にそういうふうには思っております。
○山本参考人 お答えを申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、活断層の上に家屋がありました。そして住民が非常に危険感に駆られているというような場合がありますれば、現在の急傾斜地の対策と同じように、国にもお諮りをいたしまして、条件をもしのんでいただければ、国と県とでこういった場合にも補助、助成をやってまいりたいというふうに考えております。
○瀬野委員 以上で終わります。
 各参考人の方々、大変ありがとうございました。
○川崎委員長 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 諸先生方に大変御教示をいただきましてきょうはありがとうございます。私も多くのことをお聞きしたいと思っておりましたが、時間の関係と、また重複を避けるために諸先生に数問ずつお聞かせをいただきたいと思います。
 まず、萩原先生にお尋ねをいたしたいと思います。
 先生は今日まで日本の予知体制を進めるために大変に御努力をしてこられました。そしてまた、かなりの前進を見たわけでございます。私、素人でございますので、先ほど言われました諸点につきまして大変に感銘を深くしたのでありますが、同時に疑問も出ております。それは、確かに研究機関なりあるいは政府の調査機関なりというものがばらばらであるということは、やはり予知体制を阻んでいる大きな障害であろうと私は思います。
 同時に、ここら辺も教えていただきたいのですが、地震の予知ということは、地震学者あるいは地球物理学者という分野の方々のみならず、火山学の人であるとか海洋学とか気象学とかいう非常に多くの学問の分野、これの学際的な成果の上に成り立つものであろうというふうに素人ながら考えます。そうした観点から見た場合に、先生、いかがでございましょう、現在の日本の予知体制というものは、そういう諸分野における学者の方々、こういうものを結集させているようなシステム、体制になっておりますでしょうか、まずお伺いをさせていただきます。
○萩原参考人 学問の分野の問題でございますが、ただいまの地震予知はいろいろな分野から研究されております。まず地震学者、これは地震の波動とか、要するに地震を観測することが主体になっております。そのほか地質学者、地理学者、これは、例の活断層とか活褶曲、こういうもののために一緒に協力しております。それからあとは地磁気、地球電磁気学、こういう学者も参加しております。それから最近は地球化学者、こういう方も非常に熱心に参加されて、ラドンの観測等を行っております。ただ、先ほど気象学とか、そういうお話が出ましたが、気象学は一応大気の物理学でございますので、気象学者としての参加はしていただいておりません。それからなお、海底の問題に対しては、海底の地質学、海底地形学、これは海上保安庁水路部の協力を受けております。こういうわけで地球物理学それから地球化学、それから地質学、地形学、そういう広い分野からの協力によって成り立っていると申し上げてよろしいと思います。
○渡辺(朗)委員 重ねて萩原先生にお伺いいたします。
 先生がごらんになりまして、予知体制でそのような学際的な協力というものが恐らく頭の中におありであろうと思いますが、そういう理想図からごらんになりまして、現状はどのような状態でございましょうか。先生の理想にかなったような体制ができておりますか。
○萩原参考人 学界から離れまして、地震予知連絡会と申しますか、日本の地震予知計画、これはそういった各分野の十分な連絡がとれていると私は思っております。
○渡辺(朗)委員 ぜひとも萩原先生にその推進役になっていただき、私ども国民が安心のできるような予知体制を大いに前進させていただきたい、これをお願いしたいと思います。
 次に、松田先生にお尋ねをいたしたいと思います。
 先般、大島沖地震の直後でございましたけれども、通産省工業技術院で発表されました南伊豆の活断層の分布図を見まして驚きました。大変にたくさんに縦横の線が走っているということで大変に驚き、またショックも受けたわけでございます。その中で、いまも御指摘がございましたように、活断層の分布が予知に非常に役に立つという問題がございます。そこで私技術的なこともお聞きしたいのですけれども、工業技術院の発表された南伊豆の活断層分布図、そこで確実断層それから準確実断層あるいは推定断層というような形で区分けして、線の色が違うような形で、点線であったり、あるいは棒線であったりというふうに書いてございました。私ども素人でございましてちょっと混乱をいたしました。いま先生の方でやっておられる活断層の調査はこのいずれを取り扱っておられるわけでしょうか。何か推定であると言われますと、あるのかないのかわからぬというふうにも受け取れるし、逆に、線の数が大変多いものですから、それがまた推定活断層であるなんて言われますと、私どもよけいに不安感の方が大きくなります。ですから、そこら辺の技術的なことをちょっと教えていただきたいと思います。
○松田参考人 南伊豆には、特にあれは特別な地域ではありますけれども、とにかく活断層が多いことは確かであります。その調査の方法ですけれども、それは一般には空中写真、地形から見るというのが、広い範囲の地域を見るのにそういう方法を用いておりますけれども、地形から活断層かどうかを決めるのには決定打に欠けることがしばしばあります。空中写真の観察、それだけからでもこれは間違いなしの活断層であるというものと、それから大いにその可能性があるけれども、まだ確定はできないという場合もありますし、それから可能性があるという程度で、その指摘をしておくという程度のものもある。大体その三段階くらいで、先ほどの、確実断層、準確実断層というのもそういった考え方であって、つまり確実なものだけを発表すべきであるか、それから多分活断層であろうが、注意したらいいだろうという意味で、不確実というか、準確実なものまで発表すべきであるか、さらに疑いがある、今後現地調査をしてちゃんと調べたらいいという推定断層まで発表すべきであるか、それは場合によってだと思うのです。受け取る側では、そんな不確実なものまで発表しない方がいいという考え方もあるし、それから今後調査するために、慎重を期するためには怪しいものも発表してくれた方がいいという、場合場合があるものですから、先生の場合にはかえって不安の効果を与えたようですけれども、調査の方から言いますと、いま早急に全国の様子を調べろといいますと、確実なものだけ、それから中ぐらいに確実なもの、そういうランクをつけてとにかくリストをつくっておるわけであります。
○渡辺(朗)委員 松田先生に重ねてお伺いをいたします。
 いま確実なもの、それから不確定なもの、こういうお話がございましたが、確実なものは至急に確実なものとして知らせていただいた方がいいし、不確定なものをいつまでも放置しておくというのは逆に心理的にも不安感をもたらすことになる。そういう意味で、後ほどお聞きしたいと思っているパニックの防止の問題がございますが、そういうことの遠因にもなってくる。やはり確実なものはきちっと発表しておく方がいいように思うのです。
 ところで、先ほど先生からお聞きしましたときに、日本全国の活断層の分布図、これが大体わかっている、学会で発表されたものがあるというふうなことをおっしゃいましたけれども、その学会での発表というのは、たとえば官庁で言いますとどこに行っているわけでしょう。所管官庁はどこに行きますか。質問の形がちょっとおかしいかもわかりませんが、通産省の工業技術院がこれを全部管轄しているものになるのでしょうか。それとも他のところがそれを管轄してやっているのでしょうか。そういう官庁における管轄の問題でございますけれども、先生の御意見をお伺いをさせていただきたいと思います。
○松田参考人 先ほど申しました学会でというのは、学会の雑誌に出したということであって、学会が責任を持ってこれとこれが活断層であると言ったわけではありません。学会の雑誌を利用して出されたグループの仕事であります。ですから、どれが活断層であるかというのはいま研究者の研究論文の一部でありまして、そういう管轄というレベルには入っていないと思います。
○萩原参考人 私からちょっと補足させていただきます。
 先ほどから申し上げておりますように、地震予知を業務としている官庁はいまどこにもございません。そのために、地震予知の立場からの活断層というものも義務づけられている官庁はどこにもないわけでございます。ただ、大学以外にこういう活断層の調査をしておりますところは工業技術院地質調査所と科学技術庁の防災科学技術センター、それと国土地理院でも地形学の立場からいろいろと活断層の調査をしております。
○渡辺(朗)委員 萩原先生にもう一度お伺いいたしますが、そういった場合にやはりどこか統一した方がいいように私ども思うのですけれども、先生の御意見はいかがでございましょう。活断層の調査、またそういうものを作成されて発表されるというような仕事をどこか一個所で集中した方がいいと私どもは思いますが、先生の御意見はいかがでございましょう。
○萩原参考人 一般の方々の立場を考えますと、どこか一つ、この役所が責任を持って活断層を総括している、つまりそこへ聞きに行けば活断層のことはちゃんとわかるというところがあるべきだと思います。ただ、ただいまこの活断層というのは非常に研究の歴史も浅うございますので、いままでそういうものがございませんでしたが、これからはやはりそういうものが必要だろうと思います。もしそういう機関を求めるといたしますと、やはり工業技術院地質調査所あるいは防災科学技術センターのいずれかだと思っております。
○渡辺(朗)委員 ありがとうございました。
 それでは山本知事にお伺いをいたします。
 知事は、昨年末、首相に全国知事会といたしまして要請をされた提案がございました。それがもとになって今回検討中の特別立法、今国会にも提出されるのではあるまいかという形になってきておりますが、先ほど来お話のございましたように、私は法的措置を伴った警報の発令あるいは防災の施策、こういうことは重要だと思いますが、何としてもやはり予知の一元化ということが重要だと思います。重ねてお伺いする形になりますが、山本知事のお考え、御要望の点を聞かせていただきたいと思います。
○山本参考人 先ほど先生からも御指があったかと思いますけれども、法的な警報でありますとか緊急措置命令というような対策も一面では必要でございますけれども、それと相まって予知観測を充実していかなければならない。そのためには、私は素人でございますけれども、何とか一元化して、世界一の地震国であります限り、地震庁というようなもの、あるいは国土庁にそういったものを集結して、よりたくさん予算を取り、より学際的な、インターディシプリナリーな検討ができる形になって、両々相まって初めて地震に対処できるのではないか、こういうふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 さらに山本知事にお伺いをいたします。
 先ほど、静岡県下において先般の地震の後、十八日の時点でございましたが、情報を出された。そのときにかなり混乱も起こったということがございました。と同時に、市民の側といたしましては、外れてもいい、あるいはときにはそういうような小さなパニック的なものが起こる危険性もあるけれども情報がほしい、こういう気持ちが非常に強く存在していると私は思います。また、事実そのような世論調査の結果も出ていると聞いております。これに関しまして山本知事が先ほどのお話の中で、管理された情報を出さなければならない、こういうふうにおっしゃいましたが、その管理された情報の中身、そこら辺についてお触れいただければありがたいと思います。どのようなお考えを持っていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
○山本参考人 先ほどお答えいたしましたが、私が決意をいたしまして出させていただきました。ある意味では失敗であったかもしれません。余震情報につきましてしみじみ考えることがございます。それは、やはり国は国で、地方自治体は地方自治体で、それぞれとマスコミの間に情報の流し方についてルールがなければならぬということを実は痛感いたしたわけであります。
 あの際にも、結果を見ますと、一つは地方のテレビにテロップで出た、これは一過性でございますし、テロップで出るということは異常事態だというような受け取り方をされたという点もございます。あるいは特殊の業界が非常に早のみ込みをして、これが過って次々にお客さんへのサービスという形で流されたというような点もあったわけであります。そういう点を考えていきますと、生のまま何らの対応策もなしに情報は出されるべきではない。したがって、行政の責任において行政側が、国、地方自治体がそれぞれ防災等のとるべき措置をとって、こういうようにやりますよということを周知徹底しながら、それから住民もこうしてください、こういう形になっていかなければならぬのではなかろうか、こういうふうに考えておりまして、そういう意味で、実は管理された情報、管理された警報ということを申し上げたわけであります。対応策なしの警報というのは非常に危険だということを前々から考えておりましたけれども、今度の体験を通じて痛感をいたしている次第でございます。
○渡辺(朗)委員 山本知事に重ねてその問題でお尋ねをいたしたいと思います。むしろ経験から私どもに教えていただきたいと思うのであります。
 いまの余震情報というものにいたしましても、一過性という言葉をお使いになりましたが、もう一度確認しようと思いましても、実を言うと大変に線も混んでいるし、コミュニケーションのとりようがなかったというようなことがございます。やはり確認ができるような――特に静岡県の場合などは、あるいは東海地方というものは住民も非常に過敏になっております。それだけに、確認に次ぐ確認というものをやはり必要としているのではあるまいかと思いますので、たとえば東海地域、静岡県、こういうところにおきましては、たとえば広報無線のシステムを全国に優先して完備させる、あるいはまた地震一一〇番みたいなものでございますね、そういうようなお考えはございませんでしょうか。
○山本参考人 実はこのたびの失敗にこりまして、県の出先機関及び市町村との間に無線で文字を送るテレタイプですか、そういう形のものにして、相手側に文章となって残るという形をまず確立したいと考えております。しかし、何よりもテレビその他ラジオ等との間に繰り返し繰り返し情報を流していただくということが実は非常に必要ではないかということも考えております。県としては、とりあえず町村との間に、非常に過って伝えられたという点がございますので、無線で文字を送れるという装置を実は本年中に考えてまいりたいということで、その手順をいま踏みつつあるようなところでございます。
○渡辺(朗)委員 さらに山本知事にお尋ねをいたします。
 いまのパニックの防止の問題でありますが、私も特に心配をいたしますのは、前の関東大震災の場合でも地震そのもので亡くなられた方はわずか三%、あとは火事であるとかあるいは騒乱のようなものの中で亡くなられておられる。九七%がそういう数字である。火事などというのも大変動転したときに起こりやすいし、そういう面ではパニックの防止ということのために一層のいろいろな施策をひとつ進めていただきたいと思います。
 もう一つ、関連してですけれども、私は、危険個所が大変に多いところに住んでいる場合には、人間の心理状態としてやはり常時不安感があると思います。伊豆半島の場合でも、建設省の方にお聞きしたら危険個所、急傾斜地で危険だといわれるようなところが五百二十個所もある。その中で数十カ所が指定地域になっている。したがいましてがけっ縁のようなところであるとか危険であるというようなところに人間が住んでおりますと、いろいろな情報を与えられても、心理的に逃げ場をどこにということで、逃げ場もないというような不安感の中からパニック状況がいわば加速度的に大きくなっていくのではあるまいかという心配もいたします。その意味で、危険地域の再点検をやってもらう、そして少なくともその危険地域からどう脱出するのかという脱出場所や何かをあらかじめ周知徹底さしておく、私はそういうことが必要だと思いますが、県の方といたしましては危険個所の総点検というようなことはお考えでございましょうか、どうでしょうか。
○山本参考人 危険個所の総点検はやってございますけれども、今度の事態にかんがみまして、さらにこれを強化してまいりたいと考えております。
 それから昭和五十三年度の仕事といたしまして、先ほど申し上げました地震に関する十ほどの基本的な方針、こういったものを市町村段階へおろしまして、具体的な計画にしていこうと考えております。
 その際には隣組単位とかそういう単位で第一次集合場所はどこ、第一次避難地はどこ、第二次避難地はどこということを全部決めていただきまして、その間における危険なものは何だろう、その危険なものはどうしたらいいか、こういうようなものをメッシュで切りまして、対応策を全部町村段階で準備してまいる、こういうふうに考えておるところであります。
○渡辺(朗)委員 もう一問山本知事にお尋ねをいたします。
 私は、特に地震の多発地、そして連年災害を受けてきたようなところでは、都市、町村が、異常事態というようなことを想定し、あるいはそれをかがみにして都市づくりの方向を決めていくべきであろうと思います。その意味で、都市の安全基準というようなもの、市町村の安全基準というようなもの、別の言葉で言えばセーフティーミニマムとでもいいましょうか、そういうものを、東海地震が取りざたされているときでもございますのでひとつつくっていただき、その施策を前進させていただく。と同時に、市民と市町村、都道府県、国、関係機関、こういった各レベルでの任務を明確にしておくというような体制を至急につくる必要があろうと思いますが、県知事としてはどのようにお考えでございましょうか。
○山本参考人 渡辺委員のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、それをマニュアル方式でルールとして決めておいて守っていただくという形では不十分ではないか、どうしても法的裏づけによって、措置命令としてやらなければならぬという形に義務づけておくべきではないだろうかというふうに私は考えまして、その点については全く御意見と同じでございます。
○渡辺(朗)委員 時間も参りましたので終わりたいと思いますけれども、いまこういうような大地震を経験いたしまして、市民の一人として必要なものというと、安心のできる学者の方々の予知体制をひとつつくっていただくこと、安心のできる行政をひとつ進めていただくこと、同じように安心のできる政治ということにもなろうと思いますが、そういう点を諸先生方にお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○川崎委員長 山原健二郎君。
○山原委員 三人の参考人の方には大変遅くまでありがとうございます。いろいろな意味で問題点が浮き彫りになってきたのでありまして、大変勉強さしていただいておるわけであります。
 最初に萩原先生にお伺いしたいのですが、今度の伊豆大島近海の地震の観測データにつきまして、今後これを予知のためにどのように生かしていくかということについて御検討されておりましたらお答えをいただきたいのです。
○萩原参考人 今回の伊豆大島近海沖地震に際しましては、伊豆半島におきまして二年半ほど前から土地の隆起あるいは微小群発地震等が起こっておりましたので、いろいろな観測が行われております。従来、この程度の地震、つまりマグニチュード七程度の地震でこれだけ密に観測が行われているところで起こった地震はございません。そういうことがあるために今後この観測資料をいろいろと解析、検討いたしますれば、全くいままでになかった、世界のどこにもなかった貴重な研究結果が出るものと思っております。
○山原委員 四十九年にやはり伊豆地震の問題で本委員会でも論議をされておりますが、そのときにたしか浅田教授でございましたか、参考人として出られまして、たとえばひずみ計あるいは勾配率地震計などについては数十の個所に欲しいんだというお話があったように記憶をいたしておるわけであります。
 ところで、いまも先生がおっしゃいましたように、この東海地区、また伊豆の地域においては、全国でも一番そういう体制が進んでおるところであるわけですが、しかし同時に、やはりまだ万全なものではないというふうに聞こえるお話もあったように思います。たとえばひずみ計による地殻の伸び縮みの問題でありますけれども、ひずみ計というのが果たして伊豆に幾つあるのだろうか。あるいは勾配率地震計が幾つあるのだろうか。こう考えてみますと、私のお聞きしておるところでは、ひずみ計は鎌田とそれから石廊崎、それから勾配率地震計は三島、鎌田、網代、石廊崎というふうな話を承っておりますが、この程度のものでいいのかどうかということなんです。その点はいかがでしょうか。
○萩原参考人 ただいまのお話は主に気象庁の観測でございまして、そのほかに東京大学地震研究所、それから名古屋大学、国立防災科学技術センター等の施設がございます。たとえば地震研究所では河津、中伊豆、それから西伊豆、その他数カ所に微小地震観測点がございます。それから防災科学技術センターでは、地蔵堂というところに微小地震と傾斜計の観測点がございます。それから、名古屋大学も伊豆半島の西側に一カ所観測点を持っております。それから、東京大学理学部では中伊豆でラドンの観測をしておりますし、地質調査所では数カ所で井戸及び温泉の水位、水質の観測をしております。このように、十分とは言えないわけですが、従来に比べまして相当密な観測が行われておったわけでございます。
○山原委員 それで、たとえば気象庁、それから東大地震研、あるいは名古屋大学、あるいは東大理学部、こういうものから、今度の地震などの場合に、その前兆は予知連絡会の方には総合されて出てくるわけですか。たとえば、萩原先生のところには気象庁のものもさっと出てきて前兆を把握する、こういう形態になっているわけでしょうか。
○萩原参考人 これらの観測は全部地震予知連絡会に資料が持ち寄られるわけでございますが、これは定期的に開かれる連絡会の話でございまして、即座の役には立たないわけでございます。短期的な前兆をとらえるためには即刻わからなければいけないのでありますが、そういう体制は東海地域だけに限られております。東海地域判定会というものがいま臨時的に設けられておるのでありますが、伊豆半島は東海地域ではなく南関東ということで判定会の対象外になっておりますので、即刻には間に合わないわけでございます。ただ、気象庁関係で奥野というところにある高感度の微小地震計、それと石廊崎と網代にあります体積ひずみ計、これは気象庁に直接テレメータリングで送られておりますので、気象庁の地震課員によっては常時監視されているわけでございます。
○山原委員 大体わかりますが、少し体制として、いわゆる常時観測体制並びに当面する緊急の事態に対応する体制としては、いまのお話を聞きましても、恐らく先生自身不十分とお感じになっておられるのではないかと思うのです。たとえば気象庁の石廊崎の勾配率地震計、私のお聞きしたところでは、確かにこれは勾配率地震計の配線はなされておりますが、この石廊崎という非常に重要な地点において記録計がない、それから専任の人も配置されていないということで、実際は動いていない。役に立っていない。これは私の申し上げていることが事実であれば大変残念なことでありますけれども、結局は予算の面からも締め上げられてしまって、人の配置もできなければ記録計もない。配線だけは来ているけれども、それが実際の役に立っていないということをお聞きするわけでございます。
 これは当然気象庁にお聞きすべきことでありますけれども、きょうは参考人の先生方にお伺いすることになっておりますので、こういう事実は先生の方ではおつかみになっていないでしょうか、お伺いいたします。
○萩原参考人 石廊崎の問題、具体的には聞いておりませんけれども、気象庁に限らずほかの機関におきましても、ただいま先生のおっしゃったようなことは非常にあり得ることでございまして、実際にいろいろと実例がございます。
○山原委員 いまの石廊崎の問題につきましては、これは気象庁の方で御点検をいただきたいと思いますし、きょうは質問すべき段階ではありませんのでこれで置きますけれども、そういう意味で本当に基礎部分の観測体制に対する十分な手だてが、国がやろうとすればできるものができていない点があるんじゃないかということを私は感じているのですが、これはこれで置きまして、次の質問に入ります。
 今回、いわゆる地震情報を一月十四日の朝十時五十分に気象庁が発表いたしております。これは、地震が起こりました十二時二十四分に比較しますと、さかのぼって約二時間近い前に予報がなされているわけですが、この予報も確かに問題があると思います。「多少被害を伴う恐れが有りますので一応ご注意下さい。」という発表ですが、こういう発表は、私のお聞きするところではいままで余りなかったのではないかと思うのですけれども、こういうことが一応発表されたということの意義、これを受け取る側がどう受け取ったかということは別にしまして、これについては萩原先生などはどういうふうな評価をされておるか伺いたいのであります。
○萩原参考人 私はいままでいろいろな機会にこのことにつきまして申し上げておるのでございますが、当時気象庁が発表しましたこの地震情報は私は適宜な処置であったと評価しております。
○山原委員 引き続いて津波警報がこの地震発生後七分後に出されておるわけでありますけれども、津波警報というのは地震のたびに――私は四国の高知県ですから、例のチリ津波あるいは南海震災というのを自分も経験しているわけでございますが、地震の場合の予知というのはほとんどなかったように思うのですが、津波の場合は、地震があれば比較的出てまいります。しかし、それに対応するような体制が果たして自治体に――静岡県のことを言っておるわけじゃありません。実際に全国的に構成されておるかというと、その辺はかなり不十分な状態ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○萩原参考人 津波警報はもうすでに気象庁の業務の中に取り入れられておりまして、大きい地震がありましたときに地震課員によって全く機械的に、ある公式に従って即座に出される仕組みになっております。ただ、その津波警報が出て、それを受ける側の準備がどのくらいできておるかという点でございますが、これは私の見ましたところでは、非常に大きな津波の経験を二回にわたって受けた三陸地方、それから北海道の太平洋岸、これは非常によく対策をとられ、また時折訓練もしておるのでございますが、それより南の方に来ますと、特に房総半島、これも歴史時代からたびたびいろいろな津波を受けているのですが、房総半島の太平洋岸、それからいま問題の東海方面に至りましてはまだ余りそういう準備はないように思っております。
○山原委員 次に、震度の問題についてお伺いしますが、これは萩原先生、松田先生になるかもしれませんが、本当に綿密な正確な震度分布図というものをつくるという意味では、国民、住民の協力体制が必要なのではないかと思うのですけれども、それが最近逆になっているような感じがするわけです。たとえば気象庁の方では二十年前から委託観測所というのを全国約一千カ所つくっておられるようですが、これは雨とか台風を中心としたものですが、地震についてはそういうものはないんではないか。あるいは昔はたとえば区内通報所というものなどがつくられておりまして、気象とともに震度についても報告が集められておったというふうにお聞きしているわけですが、それも最近ではなくなってしまって、そういう点では本当に住民あるいは国民の協力体制というものが断ち切られているんじゃないか。だから精密な地震分布図というのはできない状態になっているのではないかというふうに考えておるわけですが、この点は、私のこういう言い方は間違いなのか。いや、そうじゃない、もう十年来もっともっとそういう体制はできておるんだというふうにお考えでしょうか。要するに、地震分布図の正確なものができる体制にあるのかどうかということですが、この点はいかがでしょうか。
○萩原参考人 気象庁のことに関しまして、私責任あるお答えはできないのでございますが、確かに今回の地震でも、気象庁で即座に発表いたしましたのは石廊崎とそれから網代だけでございまして、大変目の粗いと申しますか、河津とか稲取は震度五あるいはそれより大きかったかもしれませんが、それが漏れてしまう、そのために県当局その他で情報をつかみにくい、そういうきらいはあるのでございます。従来もう少し参考震度としていろいろなところから気象庁は報告を受けてそれを発表していたようでございますが、いろいろの事情があって最近はそういうことを中止したやに聞いております。ただし、今回のような地震がありますと、大学、特に地震研究所では通信調査というのを行いまして非常にたくさんの手紙を出しまして回答を出してもらいますので、実に綿密な震度分布図が後からでございますがつくられております。
○山原委員 何か気象庁の話が出過ぎて、きょうは参考人の皆さんには答弁がしにくい面があると思いますが、気象庁という重要な役割りを果たしておる機関としては、情勢に逆行するような状態が――予算の面とかそういう面もあると思うのですけれども、しかし、国民の地震に対する関心のこれだけ強い状況の中では、もう一回検討してみなければならぬじゃないかという感じを私は持っているわけです。
 だから学者の方にお聞きしましても、学者が学問的に調査することの重要性、それに対して、その基礎部分に対して本当にゆとりを持って研究ができるような体制を国がつくっていくということが一つ。同時に、その科学に対応するような住民や国民の協力体制、たとえば地震があった、体に感じた、ひどかった、おれのところはひどくなかった、いや感じなかった、こういう一つ一つが非常に役に立つものだということを聞いているわけです。日ごろから、同じ町であっても強く感じるところと弱く感じるところがある。その強く感じるところは、大きな地震が来たときにはやはりこれが強い地震となってあらわれてくる。そうすればそこに対しては、たとえば石油ストーブはどうしたらいいかとかいうような対応が出てくる。そういう無数の協力体制を確立していくべきであると思う。中国の場合は、まさに先ほどのお話でそういう体制をとろうとされておるように聞きますけれども、国の違いもまたありますから、一概によその国のことを言うわけではありませんけれども、そういう点では、科学に対する協力体制を構成していくという、そういう国の行政的な考え方が本当に必要だと私は思うのです。そして、それは何もむずかしいことじゃなくて、素人が体に感じたとか感じなかったとか、あるいはたなのコップが落ちたとか落ちなかったとかいうようなことも必要でありましょうし、また同時に、初歩的な訓練を行えば、震度の分布図をずいぶん正確に構成していくことができるんじゃないか。たとえば、気象庁の震度階などという基準を見ましても、これは果たして基準となっているかどうか知りませんが、そういう点から見ても、この程度のことなら相当の素人でも情報を提供していくことができるというふうに思うのです。そういう点の弱点といいますか、そんなことをお感じになっておいでになるのではないかと思いますが、この点、松田先生などはどういうふうにお感じになっているか、お伺いしたいのです。
○松田参考人 いまおっしゃられた、地域によって地震の揺れ方が違うというのは、一つには、地盤が場所によって違うわけで、それはあらかじめ地質調査、マイクロゾーニングと言っておりますけれども、そういう地質調査が必要だと思います。それは、地震が起こらなくても、地盤の状態を調べることによって大体予想がつくわけです。地震が起こってからのことは、大学、研究者がアンケートを出しているのが現状です。
○山原委員 活断層のことにつきましても、たとえば今回、活断層の地図ができたというふうに言われております。そうしますと、では活断層の上にあるところの家屋であるとか、あるいはさまざまな建築物とか、あるいは道路とかいうようなものはどうしたらいいのか。たとえば移転をした方がいいのか、あるいは建築物をもっと強化するかとかいうような方法が出てくると思うのですけれども、しかし、先ほどのお話を伺うと、活断層と一口に言いましても、たとえば周期が千年であるとか万年であるとか、百年段階というような非常に長い見通しを持たなければならぬというお話があります。そうしますと、活断層がここにある、そこの地図もできた、では、これが地上で生活をする上でどんな影響が出てくるか、それに対してどう対応するかというところまでになってくると、たとえば地質調査とでも申しましょうか、そういうものが相当綿密に調査をされて、その上に対応策が出てくるというふうに私は思うのですけれども、これは素人の考え方でしょうか。その辺は、防災上の問題としてどういうつながりを考えたらいいのでしょう。
○松田参考人 活断層の調査は大変時間がかかる。一つの断層に対して十分な調査をしないと、いまの千年であるか万年であるかがなかなか決まらない。そういうわけですから、調査をするということが一つ。
 それから、活断層であることがわかった場合にどうするかという問題ですが、いずれにしても活断層というのはまれに起こることですから、そのまれに起こるものに対して、それがもし起こった場合の被害というか損害と、起こらない場合とのかね合いになると思うので、万が一でも起こったら非常に困るというものはあらかじめ避けるべきですが、一般の住家に対してはちょっとはっきり――場合によると思うのですが……。
○山原委員 わかりました。
 予知の問題と防災の問題ですが、いままでお話を伺いまして、予知ということについて地震予知計画というのがありますが、最初は地震予知研究計画であったと思うのです。それがたしか新潟地震等から、閣議決定で予知計画というふうに変化していく、研究の段階よりも予知の段階へ進んでいくという状態が生まれてきたと思うのですね。その意味では、この十年間に予知問題についての研究体制もずいぶん進んだと思いますし、そういう点では前進をしておるということは認めるわけですし、その意味で、学者の方々の大変な御努力に対しても、その成果は大きいものがあるということを感じております。
 しかしながら、果たして予知ということが、いま国民の納得できるような状態にあるかというと、私はそうでもないというふうに思うのです。そうしますと、たとえば予知の問題にばかり目を奪われるのでなくて、むしろ防災ということに全力を注いでいかなかったら、予知問題が前面に出る中で、ああ一日、二日前に予知が出るんだから大丈夫だということでなくて、マグニチュード七というようなものが来ても耐え得る防災体制をつくっていくということが先行しなければならぬ、そういうふうに思うわけでございますが、その点が忘れられるとぐあいが悪いんじゃないかと思います。もちろんそんなことをお考えになっていないと思いますが、この私の考え方はいかがでしょうか。これは萩原先生にお伺いしたいのです。
○萩原参考人 おっしゃるとおりだと思います。とにかく防災ということは、もう何よりも大事でございまして、防災を鬼とすれば、地震予知は金棒のようなものでございまして、とにかく防災が主体であることは間違いございません。
○山原委員 この防災の問題については、耐震診断とでも言いましょうか、たとえば高層建物など、物を建築する場合に、本体についての建築基準などというものはあるわけでございますけれども、付属物その他にはまだないというような状態があります。それから、実際にたとえば東京都内なんかを見ましても、この建物は本当に大丈夫だというような耐震診断といいますか、そういったものが実際になされておるのかどうかという点なんかについて、学者の先生方はお考えになっていると思いますが、その点はいま東京都などを考えてみまして、どんな状態になっているのでしょうか。
○萩原参考人 私は、ただいままでは地震予知の方に専念しておりまして、防災の方の仕事は余りしてきておりませんので、どうも私から余り明確なお答えを申し上げられないかと思いますが、ビルの診断等につきましてはいろいろと検討もされ、計画もされているようでございます。ビルの診断というのは非常に大事な仕事であるから、そういうビルの診断を専門にやる会社のようなものができてもいいんじゃないかということを盛んに私も言っておりますが、官庁関係のそういう診断はいろいろ進んでおると聞いておりますけれども、どうも民間のものがよく行われているということもまだ余り聞いておりません。
○山原委員 知事さんがせっかくお見えになっていますが、いまの問題は、たとえば静岡などにおきましては耐震診断等をやれるような状態にあるのか、あるいはされておるのか。現在、官庁はやるというのですが、いまやっておるのは建設省だけなのですね。こういう状態では本当に防災の問題についても不備なまま残されていくと思います。私は、耐震診断をやって、この建物は大丈夫だとか、表示をしていくとかいうようなことは、今日の段階ではぜひ必要になってきたと思うのですが、そんな点では、知事さんの立場から見ましてどんな状態でしょうか。
○山本参考人 私たちの県では、木質構造につきまして、静岡県出身の東大の専門家がおられまして、その方の御指導を得て古い建物を一つ二つ検査をいたしまして、耐震診断の要領をつくっていただきました。それを目下、設計士あるいは建築士そのほかの方々に専門家から教えていただきまして、個人個人のお宅から御要望があったら耐震診断をやってあげられるようにという体制をつくりつつありまして、もう五十三年度から市町村へおろしていく体制をとっております。
 それから、鉄筋構造等の問題につきましては、これまた建築研究所やその他の専門家にお願いをいたしまして、来年度以降――公共建築物はまず第一に避難場所になります。避難の拠点になるわけですから、その耐震性が一番重大でございます。公共建築物等について来年度百カ所以上耐震診断をやってまいる、こういうつもりでございます。
○山原委員 どうもありがとうございました。
○川崎委員長 永原稔君。
○永原委員 長時間にわたりまして参考人の皆様方御苦労さまでございます。なるべく簡単にお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、松田先生にお伺いしたいのですけれども、私は全く素人でございますので初歩的な質問になると思いますが、静岡県にはフォッサマグナがずっと通っております。糸魚川からずっとあの地帯にかけまして、特に静岡の西部には大崩れというような、少し雨が降ると崩れるような地帯もございます。そういう中で地すべり現象が非常にたくさん起こっております。先ほど山本知事からお話のありました由比の地すべり、本当に静岡と言いますか、日本の産業動脈を切断するようなおそれのある、ああいう地帯を控えているわけです。これは活断層とは違うかもしれませんけれども、ああいう地帯が存在している県として、何かこれに対応した対策を講ずる必要があるのではないかと思いますが、そういう点についてはいかがでしょうか。
○松田参考人 静岡県は、陸上には活断層はむしろ少ない県でありまして、確かに考慮すべきは急斜面だと思います。それは静岡県に限りませんけれども、急斜面はもう至るところにありまして、活断層は探さなければわからないくらいしかない。特に人工でつくった急斜面に注意すべきであるというのは全く御説のとおりだと思います。
○永原委員 続けてもう一つお願いしたいのですが、静岡県は水力発電所が非常にたくさんあるのです。大きなダムがございますので、こういうものを控えているだけに非常に心配になるのですが、活断層が少ないということで安心していられるかどうか、そういう点はいかがでしょうか。
○松田参考人 活断層がちょうどそのダムなりを通っているかどうか、それは具体的に調べないと言えないと思いますが、しばしば断層は川を通りますので、特にダムに対しては注意が必要かと思います。
○永原委員 山本知事に伺いますけれども、先ほど来非常に情熱あふれる特別立法についての措置をお話しになっておりました。萩原先生のお話を承りまして、予報、予知その他について少し水をかけられたような感じがしないでもないのですけれども、ほかの法律との整合性を考えながらあの案文をおつくりになっていると思いますが、政府との交渉過程において、いまどういう点が一番懸案になっているのか、その点を承りたいと思います。
○山本参考人 私は、萩原先生のお話を聞いて決して失望はしていない。もっと観測の機械類を総合して、多種類の機械による観測を集合してくれば、少なくとも大地震等については当てていただける可能性は十分あるというふうに、実は私自体は考えているわけであります。
 予知、警報等の問題につきましていま国土庁がどういうふうに考えておられるかということは、私はまだ存じておりません。ただ、私の考えといたしましては、これは行政の責任において出すべきものだ。専門科学者は専門的、科学的な良心の命ずるままに判定をしていただいて、その判定を行政側が受けざらとして受けとめて、みずからの責任において出すべきものだ。そしてその警報は必ず対策を伴って出ていかなければならぬ。単なる警報であっては混乱を起こすにすぎない。したがって管理された警報であることが望ましい。こういうような点は国土庁のお考えなどと違うと思います。
 私は、少なくとも大地震に関しましては総理大臣が責任を負っていくべきではないだろうかと思います。何万人あるいはそれ以上という問題にかかわってくるわけでありますから、その破壊、混乱あるいは社会的不安という問題ははかり知れないものであります。それだけに行政の最高責任者である総理の意思決定によって行われるべきだ。助言者は当然でありますけれども、総理の名において行われるべきだ、こういうふうに考えております。
○永原委員 続いてお願いします。
 情緒的にいろいろお話しになっても、現実的に対策が確立していないということになると、行政責任を追及される立場にある総理大臣として布告まで出すというのはなかなか踏み切れないのではないかという気がするのです。そういう点についても、せっかくこれだけ熱を入れてやっていらっしゃる山本知事ですからがんばっていただきたいとは思いますけれども、そういう点はやはり考える筋もあるのではないかという気がいたしますので、意見として申し上げておきます。
 それから、総合調整権を持つ知事ですけれども、そういう観点からいまの制度で非常に欠陥のある面があるのではないかということをお感じになっているだろうと思うのです。特に鉱滓堆積場認可の場合に、知事には何も話がなくて、一方的に鉱山保安法によって決定されていく、そういう点に私も矛盾を感じまして、過日政府にも質問したわけですが、産業廃棄物は知事がやっているけれども、これは一般法だ、鉱山保安法は特別法なのだ、だから非常に高度の知識、技術を必要とするので、知事の分野から外してあるようなお話がございました。その意味はわかるのですけれども、現実に総合調整権を持って、知事は避けて通ることのできないこういう災害の問題について、ただ行政指導だけでいいだろうか、そこに疑問を持つのです。鉱山保安監督部の方では、自治体との連携を密にするとか、あるいは鉱業権者に地元との接触を保って情報を提供させるとか、こういうような指導をしますということをお話しになっていますけれども、それで果たして知事としての責任が果たせるだろうか。こういう点について知事はどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
○山本参考人 鉱山保安法等の問題につきましては、本当に戦後地方自治体に対する民主化は行われたわけでありますけれども、その現実は、高度成長下に中央の縦割り行政が進んでしまいまして、私たちの手の触れることのできない聖域ができている、その一つが鉱山保安法であろうと思うわけであります。しかし、その鉱山保安法のもとに私たちが立入調査をしてもお断りをされる、その結果今日のような事態が来たわけであります。
 静岡県といたしましては、地震の問題には真剣に取り組んでおりまして、実は農業用のため池まで百くらい、地震という観点に立って徹底的な再点検をやっていくというくらいのところでありますから、もしも私たちが立入調査をいたしましたならば、不安感を持ったに違いないと思うわけであります。こういう点で、縦割り行政と地方自治体の総合行政と、この間の矛盾というのはひとつ国会で大いに議論していただいて、できるだけ総合調整が果たせて、何よりも政治、行政にとって第一義的使命である住民の生命、財産を守るという点を貫徹できるように、御尽力のほどをお願い申し上げたいと存じます。
○永原委員 私、静岡出身なものですから、何か質問が誘導的になっているような気がしてしようがないのですけれども、御勘弁いただいて、次に有料道路のことについて伺いたいと思います。
 百三十五号線というのは、有料道路になっております。これは国道なんです。本来ならば無料であるべきものが、建設費の関係で有料道路ということで建設された百三十五号線、これは地元とすれば無料化を一日も早く促進してほしいということなんですけれども、過日、このことについて質問いたしましたときに、やはりこういう災害復旧については損害補てん金で充てるんだというようなお話がございました。何か制度として欠けているような気がしてしようがないのですけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。
○山本参考人 私どもでお話し申し上げるのは非常におかしいかとも思いますけれども、県政を預かる立場で考えますと、これから予定された道路をやらなければならぬものが一兆数千億あるわけであります。すでに手をつけてあるわけであります。それは、とても現在の状況では百年河清を待つような状況でありますから、国道バイパス等は、地域住民の納得が得られる限り、道路公団にどんどんやってもらうという考え方を持っておりますので、無料化を図るとかそういうことまで私はいま申し上げられる自由を持っていないわけでありまして、一般の税金でやるものでとてもできないものは、有料道路で道路公団にやっていただきたいというくらいな考えを私は持っている状況であります。もちろん、税金でやるものは安全性の確保ということに重点を置いてやってまいりたいという考え方でございます。
○永原委員 言葉が足りませんでしたので補足しますけれども、災害復旧のことなんです。制度としては損害補てん金でやるんだというようなことですけれども、静岡県の知事として考えた場合に、国道のああいう災害、しかも本来ならば無料で通るべきものを有料道路にしてあるああいうものについて、制度を直せという意見がないかどうか、災害復旧について国道の復旧制度にのせるというような意見はないかどうか、承っておきたい。
○山本参考人 むしろ私は、いま県で所管しております天城の道路につきましては、七十五億くらいかけても安全性というものを確保していきたい。伊豆にとっては安全性のイメージをつくり上げることが非常に重大だと考えますので、むしろ道路公団等、異例の措置ではありますけれども、この際私たちと同じように、安全性のために十分な投資をしていただきたいということを逆に考えているくらいでございます。
○永原委員 大分市町村が痛めつけられて、先ほどがけ下の近接危険住宅の移転についてはお話が出ましたけれども、これも地元としては非常に重大な要求だと思うのです。と同時に、二回、三回続けて災害を受けておる人たちの住宅金融公庫の融資の問題についても非常に希望が強いと思います。さらに、緊急避難客のいろいろな経費の問題とかあるいは組合営の水道の問題とか、いろいろ町村には重なる負担があるんですけれども、これに知事はどういうように対処なさろうとしておるのか、その意見を伺いたいと思うのです。
○山本参考人 いま県の方では十億円を年度内において地震災害対策として充てておるのでありますけれども、まだ二億数千万ゆとりもございます。来年度も、実は予備費の中に上乗せして二億を計上しております。したがって、それらについてはきめ細かい対策を、連年災の地域でございますので、市町村の要望を伺いながら、県としてできるだけのことをしてまいらなければならぬ、こういう考え方を持っております。
○永原委員 何か国の措置に期待するというものを私は求めたんですけれども、細かいお話がございまして、ちょっと意が通じなかったようですけれども、気持ちは受け取れますので、これで質問は終わります。
○川崎委員長 これにて質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十六分散会