第084回国会 災害対策特別委員会 第10号
昭和五十三年四月十九日(水曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 川崎 寛治君
   理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君
   理事 矢山 有作君 理事 湯山  勇君
   理事 広沢 直樹君 理事 渡辺  朗君
      稲垣 実男君    越智 伊平君
      小島 静馬君    後藤田正晴君
      佐藤  隆君    谷  洋一君
      谷川 寛三君    中島  衛君
      中村  直君    原田昇左右君
      村上 茂利君    森   清君
      佐藤 敬治君    渋沢 利久君
      渡辺 芳男君    瀬野栄次郎君
      古川 雅司君    薮中 義彦君
      山本悌二郎君    津川 武一君
      永原  稔君
 出席政府委員
        国土庁長官官房
        審議官     四柳  修君
 委員外の出席者
        国土庁長官官房
        震災対策課長  城野 好樹君
        気象庁観測部参
        事官      末広 重二君
        参  考  人
        (東京大学理学
        部教授)    浅田  敏君
        参  考  人
        (東北大学理学
        部教授)    鈴木 次郎君
        参  考  人
        (静岡県知事) 山本敬三郎君
        参  考  人
        (日本放送協会
        報道局次長)  土屋 興三君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  平石磨作太郎君    薮中 義彦君
同日
 辞任         補欠選任
  薮中 義彦君    平石磨作太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 大規模地震対策特別措置法案(内閣提出第七三
 号)
     ――――◇―――――
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 大規模地震対策特別措置法案を議題とし、審査を進めます。
 本日は、法案について御意見をお述べいただくために、参考人として、東京大学理学部教授浅田敏君、東北大学理学部教授鈴木次郎君、静岡県知事山本敬三郎君、日本放送協会報道局次長土屋興三君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 参考人の方々に一言申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。
 本案審査の参考にいたしますので、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、議事の整理上、御意見の開陳はお一人十分程度に取りまとめていただき、その後委員の質疑にもお答えいただくようお願いいたします。
 それでは、浅田参考人。
○浅田参考人 本日は、主として地震の予知に関連したことについて申し上げたいと思います。その予知につきましても、東海地震のことが非常に典型的でございますので、東海地震について申し上げたいと思います。
 東海地震が学会で問題になりましたのは大体昭和四十四年ぐらいからでございまして、問題になってきた根拠は、測量の結果などが主な理由でございます。その後、次第にデータも蓄積され、昭和五十一年ごろ、主として古文書にもとを置いておるのでありますけれども、一八五四年の前の東海地震のときの地殻変動などが問題になりまして、東海地震というものが非常に危ないのではないかという感じが強くなってまいりました。
 その間、気象庁のボアホールの容積変化計と申す器械なども据えつけられまして、あるいは大学なども傾斜計あるいは地震計などを次第に据えつけてまいりまして、ボアホール容積変化計などの出力は気象庁までテレメーターされておるわけでございます。
 ここまで参りますと、たとえば気象庁にテレメーターされております計器の出力が急な変化を示す、つまり前兆でございますが、そういうことが起こったらどうすべきかということが当然学会で問題になったわけでございます。大きな地震には前兆というものがしばしばある、場合によっては肉眼でわかるような前兆も記載されておる地震が幾つもございますので、このような科学的な器械が前兆を描くということは当然期待されておるわけでございます。もしテレメーターされている器械の出力に非常に大きな異常が広い地域にわたって起こったとしたら、これはもう大変な事態であると言うべきでありまして、数時間後に地震が起こるという確率は非常に高いと思わなければならない。でありますから、そのような事態が起こったら、これは組織などが昔のままでございますと、テレメーターの出力を見ている人がびっくりいたしまして、せっかく地震が起こるかもしれないと思っておるのに、だれにどう言っていったらいいかわからないという恐るべき事態が生じる可能性がございます。
 それでありますので、昭和五十年と思いましたけれども、測地学審議会の第三次建議案の見直しで、テレメーターされた器械の出力の結果について判断する組織が必要である、そういう建議案を出したのであります。つまり、このときに学会といたしましては、東海地震の予知についてはもうしなければならないんだ、それから、する可能性もあるんだという決断をしたことになります。そういうことに基づいて判定会という組織ができたわけでございます。
 いま大変な異常と申し上げましたけれども、ある地震についてどういう異常が起こるかということは、これまでの経験から多少の推察をすることはできますけれども、地震というものは一回ずつ違うものでありますし、われわれの経験もありませんから、そう確実なことを予測するわけにはいきません。それで、大きな異常があれば、その予知の成功することの確率は非常に高いわけでございます。しかし、もし比較的小さな異常を何回も重ねて地震になるというような形式の場合は、そのたびごとに空振りをするという危険性もございます。しかし、空振りといいましても、本当の空振りではなくて、やはり事態が切迫しておりまして、何らかの前兆があらわれておりますために空振りをするんだ、こういうことでございます。もちろん、自然現象が相手でございますし、しかも、いままでかつて経験したことがないものでございますから、この小さな異常というものがもっと小さくて検測し損ねるという確率も否定することはできません。要するに、地震予知の確度というものは実に相手次第でありまして、地震予知の確度は何%というような言い方をすることはもちろん間違いでございます。そういう確度を向上しなければ、せっかくの判定会の組織があっても役には立ちません。それで、確度を向上するには経験を積まなければだめであります。そのためには、観測を前から続けていなければいけないのであります。観測の経験、つまり時系列と申しますけれども、時系列に関する知識を積むことが非常に大事であります。かつ空間的にも密度が高い必要があります。ことに問題の地域については、密度が高い必要があります。もう一つ大事なことは、経験を積むということは、前から観測をするとともに、問題の地域以外の地域でも同じような観測をする、つまり、全国でそういうことをするということが非常に大事なことでございます。そういうふうにすることによって、かつ地震学に関する基礎的な研究を進めることによって、前兆現象に対する解釈も的確になり、予知というものの確度は時々刻々上がっていくということになるのでございます。
 それから最後に一つ、地震予知の周辺といいましてはいけない、これこそ地震予知そのものかもしれませんけれども、申し上げたいと思いますが、地震予知というものは単なる自然科学だけの問題として考えるのは間違いであると思う方が正しい。たとえば、これだけ大きなことになると、組織の問題も非常に大事になっております。社会とのつながりもあります。こういうことは自然科学の範囲を出ておりまして、大き過ぎますので、私がいろいろ申し上げるのは実は適任ではございませんが、多少考えておることを申しますと、まず一元化ということが大事でありますが、ただ継ぎはぎの一元化は、つまり、一部分切り取ってつけ合わせるというような一元化は、害があって益は一つもございません。もしそのようなことが行われると、地震予知の実用化にはマイナスであります。具体的に申しますと、地震予知にとって大事なのは国土地理院と気象庁、ちょっと言い過ぎでございますけれども、この二つが非常に大事なんです。それとあとは研究機関ですが、研究機関の中では大学が非常に力を持っております。このようなわけで、研究というものも、まだ地震予知の中では非常に重大な役目を負っておるのであります。知らないことが多いのでありますから、重大な役目を負っております。ただ、研究というものは、法律で形をつくるのは非常になじまないという面があります。
 大体、以上で私の申し上げることは尽きるのでありますが、最後に一つつけ加えますと、たとえばあるところにある器械を置きたいと思います。置いた方がいいというのが学会の判断だとする場合、普通ですと概算要求を出して、予算が認められて、それから置くということになりますので、一年半はかかるのでございます。もちろん、科学研究費とか特調費とかいうものがありまして、機動的なことも可能でありますけれども、機動的に観測体制を整備していくということは非常に大事なことではないかと考えております。
 簡単でございますが、以上で私の申し上げることは終わりでございます。(拍手)
○川崎委員長 ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人。
○鈴木参考人 鈴木でございます。
 私は、実はいまお話しになった浅田参考人とほとんど同じような仕事をしておりますので、なるべく重複しないようなことをお話ししたいと思います。どこまで諸先生方の御参考になるかどうか、われながら多少疑問に思いますが。
 実は世界じゅうで現在かなり大きな体制で地震予知というものをやっておりますのは、御承知のように日本、アメリカ、ソ連、中国の四カ国でございます。このうちソ連とアメリカと日本は、わりあいに似通ったようなやり方をしておりますが、中国がちょっと独自のやり方をいたしております。したがいまして、中国との比較で少しいろいろ申し上げたいと思います。
 まず、予知という問題と、それから予報という問題がございますが、予知というのは、いわば学術的な意味で申しますと予知技術ということになります。それに基づきまして予報を出すか出さないか、警報を出すか出さないか、対策をどうするかという問題は、実は私ども地震学者のわからないところでございまして、行政なり政治なりの問題ではないかと考えております。ただ、もちろんその予報なり警報なりを出すために予知がどれくらい確実であるかとかいうことは、私どもがいろいろやらなければいけないことだと思います。
 その予知の精度と申しますか確度ということに関しましては、よく申されておりますように、場所と大きさと時間というものがございます。実はその場所と申しましても、場所をどのくらいの範囲に規定するかということで、非常にむずかしさ、やさしさは変わってまいります。例を申し上げますならば、日本じゅうのどこかというのと東京都のどこかというのでは、むずかしさが非常に違うということでございます。
 その精度をどのくらいにするか、それからさらに当たる確率というようなものを考えました場合に、いま空振りのお話が出ましたが、確率を低くとって、空振りをしてもいい、あるいは見逃してもいいという程度をどのくらいまでにしたらよろしいのかということを考えませんと、予知というものができるのかできないのかということを正確には申せないわけでございます。この点に関しまして、実は中国では最近マグニチュード七以上の地震が五回起こりまして、そのうち四回までは臨震予報、直前の予報でございますが、直前の予報を出しております。一度は御承知の唐山地震でございまして、これは直前予報を出さないで大変大きな被害を生じたものでございます。
 それでは、中国と日本とは何が一体違っているのかということになるかと思うのでございますが、純学術的な面で申しますと、中国と日本はそれほど本質的には違っていないというのが私の考えでございます。これは純学術上の問題としてでございます。もちろんその両者ともにそれぞれ特徴がございまして、日本の場合には、たとえばテレメーターであるとかそういったような器械的な観測と申しますか、そういう設備は中国よりはるかに進んでおります。しかし中国では、御承知かと思いますが、いわゆる大衆観測点というのがございまして、非常にたくさんの大衆がいろいろな地震予知事業の中に組み込まれております。一例を申し上げますと、雲南省と申しますのは、実は面積で申しますとちょうど日本とほとんど同じでございます。その雲南省の中に、器械を持って観測をいたしております大衆観測点というものは約七百五十ございます。器械を持ちませんで、水位をはかっていたりあるいは動物の挙動を見ていたりというようなチームまで加えますと、約二千のチームが動いております。でございますから、これは大変数の多いものでございまして、一つ一つの観測は確かに精度が悪いものでございますし、それから大衆観測点というのは、実は異常があったときだけ報告するわけで、いつも報告しているわけではございませんが、異常だと思ったときに報告する、あるいは異常だと思ったときに自分の意見を出すということがございます。つまり、自分の観測からして、自分はいつどこどこに地震が起こると思う、これは経験法則でそういうことをいろいろ言うわけでございますが、そういったようなことをやっておりまして、これはその後専門家がそれをいろいろ選別と申しますか、これは本当に地震に関係があるだろうとか、あるいはこれは単なる雑音であろうということを取捨選択しました後で取り上げているわけでございます。いずれにいたしましても、これだけ多数のものが入っておりますと、専門家の観測を助けるという意味ではかなり役に立っております。
 それからもう一つ申し上げたいことは、こういった大衆観測というのが実は別の意味で、と申しますのは地震観測事業に大衆ぐるみで取り組んでおりますので、ある意味で大衆の教育、地震に関する知識、地震対策に関する知識、あるいは地震予知というものが精度はいいものだとか悪いものだとか、間違うこともあるのだとか、そういったようなことの教育に非常に役に立っているのではないかと思います。しかし、そういった違いはございますが、純学術的には、レベルとしては日米中ソ四カ国、私はほとんど本質的に差はないと考えております。
 にもかかわらず、五回のうち四回そういうことができたのはなぜかという問題でありますが、これはいろいろな理由がございます。もちろん政治体制の違いというようなのも多少は影響しているかとも思いますが、私の考えによりますと、一番大きなものは社会状態の違いではないかと思います。と申しますのは、実はその五回のうち三回までは雲南省、四川省といったようなところに起きておりますが、ここは農村地帯でございます。山岳を除きますと高原の農村地帯で、私どもが参りましても、自動車で参りますと、とにかくぽつんぽつんと農家があって、あとはずっと農村である、農業もほとんど機械を使っておりませんで、昔の日本のようにたくさんの人が集まって、くわやすきを使ってやっているという状態でございます。工場があると申しましても、ずっと自動車で走っていきますと、たまにぽつんと日本からいえば小さい工場があるといったような状態でございます。そういう状態のもとでどういうことができるかと申しますと、たとえば学者がマグニチュード六・五ぐらいの地震があるであろうというようなことを言った場合に、中国の場合ではそれを一けた大きくとる傾向がございます。有名な海城地震では、六・五ぐらいだろうと考えていたのに、七以上のものに対しての対策をとっております。ということは、たとえば場所で申しますと、面積で申しますと十倍以上広い範囲を想定して物事をやっているということでございます。マグニチュード及び場所に関しましてはそういうふうに安全サイドに物を考えて対策を出す。それから、当たる当たらないでもそうでございますが、有名な海城地震でも一度空振りをしたということは確かでございます。つまり空振りを恐れないという態度でございます。これはなぜそういうことができるのかと申しますと、私の考えでは、たとえ空振りをしても空振りによる被害というものは日本ほど大きくない。たとえば日本では、もしも新幹線をとめたらどうなるか、何をしたらどうなるかという問題が恐らく必ず起きると思います。ところが中国ではそういう問題がございません。ああいったような社会状態のもとでは空振りを恐れず、あるいは安全サイドに場所を広くとって対策を立てる、あるいは警報を出すといったようなことが賢明な道なんだと私は考えております。したがいまして、そういうことは、当たったときだけを勘定いたしますと非常にたくさん当たったことになります。たとえば唐山地震で当たらなかった理由というのは、いろいろあると思います。いろいろなことがあるようでございます。しかし、唐山地震の場合に前兆がなかったかと申しますと、これは話を聞きますと、やはりいろいろな前兆現象を見つけております。にもかかわらず、やはり渋ったようでございます。これは幾つかの理由のうちの一つは、私の想像でございますが、一つは恐らく唐山が雲南等に比べますとかなり開発されている、工場その他鉱山等のある地域であったというようなことも、その原因の一つになるのではないかというふうに考えております。したがいまして、地震の予報あるいは警報といったようなものあるいは対策の問題というのは、実は半ば予知の正確度、私どものやっております地震学的な予知の技術、精度というものによっておりますが、あとの半分は社会状態あるいはそういった種類のものによっているのではないかというふうに私は考えております。
 私どもが直接にやっております研究面につきましては、ただいま浅田さんがお話しになりましたが、私も似たようなことを考えておりまして、研究というのは、ある金を出す、あるいはある人をつぎ込んだら翌日から階段的に進歩するというものではございません。やはり一歩一歩、毎日毎日進歩していきまして、それが何年かたってみると非常に画期的な進歩をしているということになると思います。たとえば、確率ということを申し上げましたが、確率にしても、ある時期に三〇%から八〇%にいきなりぽんと跳び上がるということは、恐らくあり得ないだろうと思います。三〇%が三一%になり三二%になり、いつしか七〇%、八〇%という段階に到達していくのではないかというふうに考えております。こういったような研究の性質というものを考えずにいろいろなことをいたしますと、ただ金をつければいい、ただ人をつければいいということをいたしますと、かえって混乱が起きるのではないか。もちろん、金があるにこしたことはございません。それから人はもちろん必要でございます。しかし、そういった場合に、研究というものの特性というものをよくお考えいただいていろいろ対策を講じていただかないと、かえってマイナスになるのではないかということを私は感じているわけでございます。
 こういうようなお話がどの程度御参考になるかどうかはわかりませんが、一応私の考えを申させていただきました。(拍手)
○川崎委員長 ありがとうございました。
 次に、山本参考人。
○山本参考人 五分ぐらい超過するかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 私は、長期、中期、短期、臨震、直前ということに考えるといたしますと、本年度中に強化地域に指定されるということは、長期予報が出されたことと受けとめなければならない、そういう立場にありまして、地域住民の生命、健康、生活、財産を守ることを第一義的な重要な任務としなければならぬ地方自治体の責任者として、実は法案につきましては、最初は非常に後退をしておったようでありますけれども、国会の先生方の御援助もありまして、私たちも、やや知事会案に近い、非常に前進したものとして評価いたしておりまして、その点で感謝を申し上げるわけであります。
 しかし、残念なことに、中央の役所の方々と現場の私たちとの間に大きな認識の違いがあるということをまず第一に申し上げなければならぬと思うわけであります。
 まず第一に、一時伝えられるところによりますと、地震の予知は確率百分の一しか当たらないというようなことが役所で言われておったようでありますけれども、昨日か一昨日の議会の答弁を伺いますと、マグニチュード八程度は現行でも予知できると、百八十度転換するという状況でもございます。こういった状況は、私たちの立場から見たら全く不本意千万でございます。なぜかと申しますと、私たちは地震大国に生きているわけであります。単位面積、単位住民当たりでいきましたら、恐らく世界最大の地震大国である。しかも百二十年間に十六回の地震が記録されております。その十六回の地震のうち、死者及び重傷者が三千名以上、あるいは家屋の焼失、流失、倒壊というものが合わせて一万戸以上というのが十一回ぐらいあるわけでありますから、日本じゅうのどこかに巨大な災害が起こっているということを実は忘れて戦後の工業化、戦後の都市化が進められたことでありまして、これに対して、いま重大な反省をしていただかなければならぬという点についての御反省がないということを第一に感ずるわけであります。
 前の災害対策委員会におきまして被害想定を申し上げました。被害想定をさらに加えますと、実は夕方で各家で火をたいておる時間で、しかも風速が五メートルぐらいあるいは十メートルぐらいということを考えてまいりますと、実は家屋の焼失は、何ら手をつけないでおったとしたら、二十五万戸ぐらい、あるいは風速十メートルとしたらもっと大きくなるという状況でございます。何ら予知することもなし、何ら防災対策もとらないでいきましたら、静岡県、神奈川県、愛知県、山梨県を含めて数万から十万に及ぶ死傷者が生ずるであろうというふうに考えざるを得ない。この事実に対する中央の認識は全く欠けているということを私はぜひ国会の先生方に御認識をいただきたいと思うわけであります。
 私たち自治体にとっては、住民の生命、財産、生活、健康を守るということが第一義的な使命でありますから、県独自でこれをやろうといたしましたら、実は防災対策には三千二百億くらいを要します。一部国の補助金もあります。県の予算でつぎ込まなければなりませんし、市町村の予算もありますが、三千二百億くらいを要するだろう、詳細については一時的な試算にすぎませんけれども、それだけの状況であります。私は、もし国から財政的な援助がないといたしましたら県民の合意を取りつけて、もし中期の予報でも出される事態になりましたら、他の事業をストップしても実はこれに挑戦しなければならぬというふうに考えているわけでありまして、そうなりますと二年半くらいその他の行政をほとんどストップするということでありましても、人命を重視したらやらなければならぬ仕事ではないか、実はそういう関心を持っているわけであります。
 予知の重大性についてでございますが、私はつい二、三日前、中国へ行ってまいりました。中国では六六年のケイ台地震の結果、周総理が地震の予知は国家事業として位置づけている。当時、布告といいますか指示といいますか、基本方針を出しました。日本と違って法治国ではありませんから法律ではないわけであります。そして周総理が国民に呼びかける、呼びかけていきますと国民の側からこれに対応してスローガンをつくる、そのスローガンを中心に大衆運動が起こってくる、こういう形で、ともあれ、先ほど五回の地震のお話がございましたが、私が学んだ限りにおいては、その前にもマグニチュード五・五ないし五・八の地震の予知に成功しているわけであります。こういった点についても実は国土庁の皆さん方は認識が不十分だ。確かに中国は震度は日本と格づけが違います。しかし、マグニチュードを非常にオーバーに言っているとは思いません。伊豆地震を的確に中国の地震計で把握しております。私が参りました地震台では、唐山の地震の数時間前にマグニチュード三の予震があったと的確に把握しているのです。
 その中国はどうかといいますと、北京から空港へ至ります間の右側に――戦前中国にはたった一台しか地震台はなかった、専門家は三人しかいなかった。それが周恩来首相が呼びかけて以来、一九六六年からわずか十二年であります。すでに国家地震局ははっきりと国民の中にできているのであります。そこには分析予報室も備えられております。また科学院に地球物理研究所、地質研究所、地球科学研究所、工程力学研究所あるいは地震計器の工場等が国家地震局と全部結びついている。そして国の責務において、国の事業として予知に挑戦し、成功しつつある、こういう事実を私たちは謙虚に学んでいかなければならぬということを実は痛感をいたしたわけであります。日本のように理論的な分析なり解明が行われてからやるのではないのです。まず実際に挑戦していく、その中から理論をつくり上げていくという中国のきわめてプラクティカルな態度ということに、私は日本としても謙虚に学んでいくべきだと考えるものであります。
 今度の法律で、実は気象庁長官が直前予知については判断し、総理が警報を出すということになっております。しからば、現実において地震予知の責任官庁はどこにあるのでしょう。私たちが調べました限り、地震予知連絡会は国土地理院長の私的諮問機関にすぎないのです。ですから、事実上の機関であって法的な位置づけは全くないのです。学術的情報交換及び連絡をする組織にすぎないということであります。また、東海地域判定会はどうかといいますと、地震予知連絡会の一つの下部機関にすぎない。ただ事務局は気象庁であり一方は国土地理院であるということであります。また、科学技術庁は科学技術の基本政策を立案するということでございますから、これが実質的な地震予知の責任官庁とは考えられないのではないか。また地震予知推進本部も関係行政機関の連絡協議あるいは施策の推進機関にすぎないということになりますと、いまのままで一体この予知という重大な仕事に挑戦できる国家の組織になっているか、私は、当然国の責任において国の事業として予知に挑戦していただくべき問題だ、こういうふうに考えるわけであります。
 現在の状況におきましては、実は気象庁におきましても気象が九割以上でありましょう、地象という地震関係は単なるサブワークにすぎないという状況であります。国土地理院は地図をつくるのが専門でありまして、地震というのは数名にすぎない。私たちが調べました限り、日本の地震の専門家というのは三百数十名にすぎない。そのうち二百名が実は大学であります。ですからあと百五十名ぐらいにすぎないのです。間接の方は千数百名にすぎない。中国ではすでに地震の専門家が国家機関から地方に至りますまで合わせて一万名、そして大衆観測人員が十五万名ということでありますから、地震に対する挑戦の心組みが全く違う。それは周恩来総理の本当の先見性といいますか決断によって行われたということでございますので、これらの点を国会の先生方にぜひ御認識をいただきたいと思うわけでございます。
 第二は、高度成長時代と違って、いまや私たちが、政治や行政が取り組むべきプリンシプルが変わってきていることを国土庁では御認識がないのじゃないだろうか。かつてのように効率性や合理性を追求すべきときではない。便利さや快適さを追求すべきときではありません。その効率性や合理性も、部分的効率性や合理性にとどまりまして、トータルとしては全く非効率であったり不合理であったりした高度成長時代であります。いま国民が求めているもの、したがって政治なり行政が対応しなければなりませんものは最低限の必要性、ナショナルミニマムを満たすことであり、次には安全性を充足することだ、これが新しい時代における政治、行政のプリンシプルに変わりつつあるのではないか、国民の求めているのはそれではないか。これに対して国土庁と私たち現場の人間との全くの認識の違いがあるように考えます。
 第三は、行政の限界ということを私たちは考えなければなりません。何といいましても国家財政も非常に窮乏のときでありまして、こういうことをいつまでも続けていけるわけはありません。私たちが中国に学ばなければなりませんのは、社会体制が違いましても、事地震等につきましては国民の活力、国民のエネルギーというものと行政が結んで、そして初めて完璧に近いものに接近し得るのではないか。すべてを行政でやるという考え方でやるべきではない、住民の活力というものを十二分に利用する、ただに地震だけではありませんけれども、もうそういう時代に変化しつつある、こういうことについての認識が足りないのではないかというふうに考えます。国民はすでに減速経済に適応して生活の知恵も十分持っております。ポテンシャルエネルギーを持っている、それを吸い上げていくという考え方に徹すべきではないか。中国の大衆が観測し大衆が予報をみずからする運動ということに強く学ぶべきだという点を考えたわけであります。
 最後に、私は、役所のセクショナリズム、事なかれ主義、やすきについて困難を恐れる、むずかしい問題を避けて通る、こういうことは地震大国日本において許さるべき態度ではないというふうに考えます。国民とともに地震大国である日本はこの問題に積極的に挑戦していくべきではないか。よしんば空振りがあったとして、それは社会体制の違いで律すべき問題ではない、国民は必ずそれになれてきている、必ずそれに順応してくるというふうに考えるわけでありまして、まさしく政治が決断すべきときだ、こういうふうに考えます。国会の先生方のぜひ御決意のほどを申し上げまして、この法案が実効性を持ち、さらに改善され、附帯決議なり修正意見において前進させていただきたいことを心からお願いを申し上げたいと思います。(拍手)
○川崎委員長 ありがとうございました。
 次に、土屋参考人。
○土屋参考人 土屋でございます。御承知のように、NHKは報道機関としての立場と公共機関としての立場がございますが、私は報道機関としてのNHKの考え方という点を中心に申し上げたいと思います。
 昨年四月、東海地域判定会が発足するに当たりまして、私どもはいろいろな角度からこの問題をどう扱うべきかという点について検討を進めてまいりました。放送がこの地震予知情報を扱う場合に果たす役割りというものはきわめて大きいものがございますし、私どもはその責務は非常に大きいと思っておりますが、同時にまた、さまざまな問題もあるということが明らかになってまいりました。
 地震予知が可能になりますれば、多くの生命、財産を救うことに役立つということは自明の理でございます。したがいまして、地震予知が現実性を帯びてくるということはきわめて結構なことでございますけれども、反面、絶対確実な地震予知というものがないということも、また現在においては現実としてあるわけでございまして、その点でこの情報の取り扱いというものが非常に微妙なものを持っておりますし、また先ほども幾人かの参考人からお話がありましたように、空振りに終わるということもあります。したがいまして私どもは、この地震予知というものが社会的に非常に大きなインパクトを持っており、それが有効に働けば非常に効果はありますけれども、その扱いを誤れば地震の発生前に大きな混乱を起こすということも考えられるわけでございます。したがいまして、地震予知の伝え方、情報の伝達ということが実はきわめて大きな問題だと思うのでございます。
 私どもは、この予知情報というものの一番大事なことは、国民に十分理解され、一体それがどういう意味づけを持っておるのか、どういう位置づけであるかということが明確に受け取れるような形になることが一番望ましいことではないかと思っております。私どもは、これまで検討いたしまして一番むずかしいと考えたことは、こういう地震予知情報をどのように正確に、速やかに、かつ混乱を起こさないで伝え得るかということでございまして、その意味でいろいろな議論をいたしましたし、世論調査等もいたしました。基本的には、情報を出す側と伝える側、それからそれを受け取る側というものの間に、ある種の約束事ができる必要があるだろう。たとえば情報をどこが、どういう責任で、どういう形で出すのか、またどういうふうな形でもって具体的にどういう体をなして伝えられていくのか。それからいろいろな機関や伝達経路を経て伝えられる情報が整合性を持っているということが必要である。このような原則の上に立ちまして、できるだけ早く、できるだけ正確に、かつまた繰り返し伝えることが情報による混乱を防いで予知情報を防災に役立てる基本ではないかというふうに考えております。
 この点では、本法案を見ますと、情報に関連する部分が少ない点もありますし、また明確でない点もあるかと思います。今後実施の段階でこれらの点は明らかになると思いますけれども、以下その点を私どもの見方から具体的に申し上げたいと思います。
 地震予知情報について、法案の中で取り上げられていないものと取り上げられているものとございます。取り上げられていないものとして私どもが考えておりますものは、地震予知判定会招集以前の段階というのがございます。もともと、先ほども山本知事が御指摘になりましたが、判定会自体は本法案の中で全く触れられておりません。予知情報のもとの根であるところがあいまいである。この点は今後の予知体制の強化とともに明確になると思いますけれども、少なくとも報道機関にとりましては、この点は今後の問題としてはやはり残ることになります。地震の事前の異常値の観測等々は当然報道機関としては注意深く取材しなければならない点でございます。現段階では、報道機関はそれぞれ独自の判断でこれを報道するということになります。私としては、この種の情報なり報道については、情報による混乱を起こさないような慎重な配慮が必要だと思います。しかし逆に言いますと、そのために情報を隠すということはかえって無用な混乱を起こすのではないか。先ほど申し上げましたように、むしろ物事を正確に伝えるということを前提として考えていくべきではないかと思います。
 次に、これも法案の中の規定にはないのでございますけれども、判定会を招集した時点でどうすべきかという問題がございます。事の緊急性と重要性から、報道機関としては当然これは速やかに報道すべきであるというふうに考えます。防災サイドでは、判定結果が出る前に報道することは混乱を招くのではないかという懸念があると聞いております。これは、防災機関の末端まで情報が伝わらないうちに情報が流れるということとか、判定会の白黒が決まらないうちに情報が出るということに非常に心配をされていることかと思います。しかし、私どもは、この情報はできるだけ正確に伝えること、そして事態をできるだけ的確に国民大衆に理解してもらう、あるいは認識してもらうということが混乱を避ける要諦だというふうに考えております。したがいまして、この種の情報を報道機関に対して隠すべきではございませんし、また実際に隠しおおせるものでもないと思います。むしろ不正確な情報漏れとか不明確な伝わり方こそが混乱やデマを招くものというふうに考えております。その原則に立ちまして、今後どのような発表形式をとるのかなどについて、具体的なことについてはさらに綿密に詰めていくことが必要かとも考えております。
 次に、法案の中に取り決めてある部分といたしましての予知情報がございます。法案の中では、予知情報そのものは気象業務法の改正によって位置づけられておりますけれども、少なくとも法的に最初に公にされるというのは、総理大臣による警戒宣言であるというふうに理解されます。私は実は、失礼な言い方かもしれませんけれども、予知情報というものはかなり専門的かつ科学的なデータでございますので、緊急性の判断とかあるいは閣議を開いてこれを決めるというようなプロセスがどういうことになるのか、正直のところよくわからない部分もございますが、いずれにしましても私どもが一番重要だと考えておりますのは、警戒宣言や関連の情報が責任の所在を明らかにして遅滞なく出されるということであろうと思います。さらに、その警戒宣言や関連する予知情報等が具体的にどういう内容であり、どういう表現であり、さらに言いますと、どういう文章とかどういう用語を使うのかというようなところとか、さらに発表の時期とか方法等が問題になるのであります。もちろんこれらの点はさらに詰められると思いますけれども、こういうことが国民に十分理解されるような内容なり形になることが望ましいと思っております。われわれの経験でございましても、日常の天気予報についても長年気象庁等と話し合って、わかりやすい用語をどうするか、どういう言い回しがいいかということを積み重ねてまいっております。逆に言いますと、表現とかあるいは発表の形式、時期等が的確でありませんと、混乱を起こすという可能性があるということでございまして、これは先般静岡県で起こりました余震情報をめぐる混乱の例からも明らかな点ではないかと思います。
 それから次には、警戒宣言が発表された後でどのような情報が出てくるかという問題であります。警戒宣言というのは言うなれば非常宣言というふうに受け取れますし、一般の住民は引き続き的確な情報を早く知りたいというふうに考えます。警戒宣言を出して補足的な技術説明をするというだけでは満足しないであろうし、言いかえますと、情報の飢餓状態に置いておきますと、ちょっとしたデマや誤解等が引き金になりまして情報パニックというものを起こしかねません。これを防ぐためには、きめの細かい行動基準を含めた予知情報のマニュアルといいますか、手引きをつくっておく必要があると思います。現在、NHKの場合でございますと、暴風雨とかあるいは地震等の場合には、防災機関と十分に打ち合わせまして行動基準をつくって実際の防災報道に役立てております。地震予知の場合もこのようなマニュアルをつくることは、なかなか困難性もあろうかと思いますけれども、ぜひとも必要ではないかと思っておるわけでございます。
 次に、先ほども申し上げましたけれども、情報の整合性という問題がございます。報道機関と行政あるいは防災機関とがそれぞれの情報の流し方をするわけでございますし、また時間的なずれもあるかと思います。しかし、少なくとも情報そのものについてはずれがあったり食い違いがあったりしてはならないと思います。また時間的なずれにつきましても、私どもの考えでは、このような時間的なずれは、どういう形で行政なりあるいは防災機関が体制づくりをしておるのか、あるいはいまどういう手順で事が運んでいるかということが明確に伝われば、かなり混乱というものは避けられるのではないかというふうに考えております。その意味から、先ほど申し上げましたように、情報はむしろ積極的に出していって、理解を求めるという形にすべきだというふうに思っております。
 また、これと関連しまして、たとえば深夜に警戒宣言が出る場合等もございます。私ども、現在、放送終了後に、地震とか津波の場合には新しく放送の電波を発信しまして伝えるわけでございますけれども、これは地震が実際に起こっているという時点で放送を出すわけでございますから、一般の方々はその事態を承知の上でスイッチを入れてくださるわけでございます。しかしながら、真夜中でございますと、しかも事前に、まだ地震が起こっておらない時点で予知情報を出す、あるいは警戒宣言が出ても、これはなかなか一般に伝わり切れない部分がございます。この点は、防災機関の広報車なりあるいは有線放送等々のバックアップと申しますか、そういうものとの連携の中で情報を伝えていく必要があろうと思います。ただ、広報車等々が情報を伝える場合に、情報がとぎれがちになりまして、あるいは断片的になったりして誤解を招いて、逆に混乱の原因になるというようなことも、先般の静岡でもそういう例があったと聞いております。
 以上、私は報道機関という立場で意見を申し上げましたが、指定公共機関という立場もございますので一言触れておきたいと思いますのは、今度の法案が、指定公共機関への指示とか要請とかというものを災害対策基本法の準用というような形で行うという趣旨になっておりますが、当然のことではありますが、万が一にも法律の拡大解釈等によって運用を誤るというようなことのないようにということをお願いしたいと考えているわけでございます。
 地震予知につきましてはいろいろ問題がございますけれども、私ども放送をやる立場ではこの問題は避けて通れない問題であり、今後観測体制なり予知体制なり、全体的な体制の強化とあわせまして、これについては積極的に取り組みたいというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
○川崎委員長 ありがとうございました。
 以上で、参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○川崎委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島静馬君。
○小島委員 自由民主党の小島静馬でございます。
 参考人の先生方におかれましては、公私ともに大変お忙しい中を、本日は御苦労さまでございます。
 ただいまは貴重な御意見の開陳をいただきまして、大変勉強になりました。厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 つきましては、この機会に、われわれ全く素人でございますけれども、専門家の先生方に数点についてお伺いをしてみたいと思うのでございます。
 まず予知のレベルでございますけれども、ただいま鈴木先生から、中国との比較、あるいは米ソの似通った情報のお話がございました。日本のレベルというのは大体どのぐらいのところをいっているのでしょうか。
○鈴木参考人 どのぐらいというのは、一言では大変申し上げにくい言葉でございますが、少なくともアメリカ、ソ連、中国と比べまして、私は日本は劣っているとは思いません。非常にすぐれているかと申しますと、それほどでもない。まず、ほぼ同じ程度のレベルということが言えるのではないかというのが私の考えでございます。
○小島委員 片方におきましては、中国のように、個々の器械の充実ぶりは非常に劣っておっても、大衆を動員した確度の高い情報を提供することができるというふうなことが言われておりますが、マグニチュード八ぐらいは捕捉できるとか、七ぐらいは捕捉できるとか、それにはこういう条件が必要だとか、そういうことがあろうと思うのです。これはごく一般的な言い方で結構ですが、浅田参考人、鈴木参考人、両方からちょっと一言お聞かせいただきたいと思います。
○鈴木参考人 中国の場合、大体マグニチュード七以上でございますと、少なくとも何らかの前兆現象をつかまえております。これは、一つは大衆観測点が多いということもその原因でございます。しかし、もう一つの考え方としましては、非常に前向きと申しますか、空振りを恐れないということがございまして、たとえば千個の大衆観測点のうち三つか四つ異常な現象が起きても、それを前兆ではないかといって、すぐ地震に結びつけて考えるということをいたしております。したがいましてかなり小さなものに至るまで、七なら七ぐらいまでのものに対しても、前兆現象はいろいろ事前に見つけたりあるいは事後に見つけたりいたしております。
 それから大衆観測点というのは、ですから一つ一つのものは大変精度が悪うございまして、全部見たわけではございませんが、私どもが見せてもらった中でも、私どもの目からはどうも異常とは思えない、ほかにもそういうのがあるではないかというようなものがございます。しかし中国の場合には、とにかく怪しいものは全部疑ってかかろうということで、その怪しいものはまず疑ってかかって、怪しいものは全部地震に結びつけて考えよう、それで安全サイドに考えて、予報を出せるものなら出していこうという姿勢がございます。これは、日本でそれができるかどうかというのは、社会状態の違いがございますので、私はできるかどうかということはわかりませんが、そういうことでございます。
○浅田参考人 マグニチュード八という地震は非常に場所の大きさが大きい地震でございますので、簡単に申しますと、マグニチュード七よりは粗い観測でもつかまる見込みがある、こういうことでございます。でありますから、たとえばマグニチュード七の地震を将来的確に予報しようと思うのならば、いろいろな観測計器あるいは測量の繰り返しをそれにふさわしい密度でしなければならない。日本の計画におきましては、測量の繰り返しは、マグニチュード七までつかまえられるようにという立場から考えられておると思っております。ただ、それを実現するのはなかなか大変で、必ずしも、全国的規模で十分に行われるというところまではまだいっておりませんというのが現実でございます。
○小島委員 そこで、いま予知の問題に関連しました予算的な測面を、特にお三人の先生の御発言を承っておりまして、それぞれ微妙な変化があると思うのでございます。それは、浅田先生は、一年半もかかるというようなことでは困る、すぐに使えるような金があれば、機器の整備を充実させていくことが必要であるということを言われたわけであります。それから鈴木先生は、ただ金や人をつければいいというものでもない、かえって邪魔になる場合もあるというふうに言われたわけであります。山本先生は、とてもいまの状況ではしようがない、もっともっと思い切ったことをやれという非常に積極的な御発言でございましたように、お三人の先生、微妙な違いがあるわけでございます。
 そこでお伺いしたいわけでございますが、浅田先生いかがでしょうか、今日の東海地域程度の観測体制というものは十分でしょうか、足らないでしょうか。鈴木先生いかがでしょうか。山本先生いかがでしょうか。同じ問題でございます。
○浅田参考人 さっき申し上げましたように、地震予知というものは相手次第でございますので、そのことを考えていろいろ申しませんと間違えることになります。たとえばなぎさの水が何十メートルも引いてしまったというような記載もありますから、その場合には目で見ているだけで危ないと気がつくわけでございます。しかし、現在の発達した複雑な社会で的確な予報をしようと思えば、われわれの経験が足りないことも考えますと、ここまにで十分だということはあり得ない。あらゆる観測計器はでき得る限りの密度でなければならない。それからもう一つは、静岡県だけに密度を濃くしても、これはだめだろうということでございます。比較のために、それ以外の地域にも同じような経験を積まなければならない。
 いま申されました三人の微妙な違いというものは、同じものをいろいろな面から見ているのにすぎないのではないかと思います。私が急に使えるお金と申しましたのは、ごく一部分のことでございまして、たとえば伊豆半島に置きたいといったときには、そういう急いで使えるお金が要るというわけでございまして、日本全国を組織的にやるためには、もっと非常に巨額なお金が要るわけでございます。
 それから、人の領分まで踏み込みますが、鈴木さんがただお金だけではだめだと言われたのは、たとえば人間の問題がありまして、そのお金を使いこなすような組織とか人がきちっと組み立てられていなければだめだ、こういうことを言ったにすぎないのだと私は考えております。
 以上のごとくであります。
○鈴木参考人 まず、御質問の、東海地域で現在の状態で十分かという点について御返事申し上げます。
 現在、御承知のように、日本で一番観測密度を高くやっておりますのは東海地域でございます。しかし、私の考えではあれで十分だとは思っておりません。さらに観測の密度をふやし、あるいは海の方もいろいろやらなければいけないことがございます。その点につきましては、私どもの方もいろいろ計画を立てて、概算要求等をいたしているわけでございます。ですから、いわんや東海地域以外のところでは十分かと言われますと、ますます十分ではないわけでございます。
 しかし、私が申しました真意は、それでは金を何百億なり何十億なりぽんと出す、それで物事が済むかといったら済まないということを申し上げたのでありまして、浅田参考人が多少かわりに返事をしてくれましたけれども、人間の問題というのがまずございます。それから器械は確かにお金で買えます。しかし、その器械を動かしていき、その器械を保持し、そしてその観測結果をきちんとした目で見ていくためには、少なくともある程度のレベル以上の方が要るわけでございます。アルバイトを雇ってきてただやらせればいいというものではございません。それだけの数の地震学者あるいはレベルを持った人が日本にいるかということになりますと、これはなかなか大変でございます。いわんや、現在の地震予知というのは研究段階にある。つまり、こうやってこうやれば事務的にできるということをはっきり言える人はだれもいないわけであります。したがいまして、研究である以上、その都度いろいろな高度の判断その他をして、物事を進めていかなければならないということはございます。そういったためには、その人間というものはもちろんブレーンを持った人間というのが必要であろうということを申し上げたのです。
 それからもう一つは、やはり研究である以上、そのときどきに応じて変えてみたり、やり直してみたり、いろいろなことが必要でございます。これは現在の日本のお役所のお金の使い方といいますか、会計法その他いろいろな問題がございまして、なかなかむずかしい問題ではございますが、そういった点のフリーダムを保障されないで、ある枠にはめたお金をぽんといただいても困るという面がある。もちろんそれでできる面もございますが、それでは困る面があるということを申し上げたにすぎないわけでございまして、決してお金が要らないとか、人が要らないということを申し上げたわけではございません。
○山本参考人 私も非公式に学者、専門家の方々から御意見を伺っておりますけれども、先生方が国会で意見を述べられます場合には、科学者としての精度ということが必要になってまいりますから、九九%では科学者としては通らないということも言われるようであります。しかし、中国の例を見ましても、それを受けとめて対策をとるのは実は政治の責任であるという立場から考えまして、非公式に先生方の御意見を伺いますと、まず五つの条件が必要ではないだろうか。
 と申しますことは、何といっても予知観測体制は一元化すべきである。国土地理院と気象庁を一緒にいたしまして、その中へ各省庁の地震部門を入れてくる。私の想像では、その中に地震局のようなものができました場合、この地震局は絶対に文官ではいけない。やはり地震の専門家でなければならない。ですから、気象庁長官にかわって専門家の意見が総理の警戒宣言に連動しなければならない。これが第一であります。
 第二は、マンパワーの充実だと思います。先生方の御意見では、地震を専門に研究している職員を五十名くらい、そしてアシスタントを百五十名くらい、とりあえず二百名くらいを充実することが第二の条件であると思います。
 第三の条件は何かといいますと、昭和五十三年度で、実は地震予知のための各政府機関の予算が、学校を除きまして四十二億円のはずであります。これを五十三年度ベースで百億ぐらいというところから出発をしていっていただきたい。そして五年たってこれは六百億にも七百億にもなるわけであります。ロケットの観測に千数百億をかけていることを考えますればこれは当然のことではないだろうか。こういうことをやっていただくということが一つであります。
 もう一つは、学者先生方が判定会なり予知連なりで臨機にどこででも観測をしたいというときに、その場で、その状況も調べたい、この状況も調べたいということのできるような調査調整費のようなものが必要ではないか、こういうことでございます。これらにつきまして国会の先生方がぜひ御判断をいただきたい。いまの日本の財政の規模からいって、もう何でもないことだと言い得ると思うのであります。
 もう一つの問題は、東海地方につきましては、専門家の方々からは、ことしの七月、御前崎の異常の結果が測量されてくるわけであります。その状況によりましては、容積ひずみ計あるいは傾斜計等を実は二十キロ間隔ぐらいに精密に設置してもらうと、予知に対して非常に役立つというお話も承っておりまして、十億か二十億程度のことでございます。これは予備費でも使って実はやっていただきたいのですけれども、国でやらなければ県でやるのもやむを得ぬというくらいの決意を静岡の知事としては持つべきだ。同時に、井戸等もまだ数カ所欲しい。それらをみんなテレメーター化で、実は気象庁なりあるいは新しくできるかもしれない地震局なりに集中していくということが必要だ、こう思います。
 ちなみに、私が伺っております限りにおいては、大学の施設と気象庁の施設とをテレメーター化するときに、その費用はどっちが分担するかというような次元の低い話をやっている。こういうようなことで一体地震国日本の現状はいいのかということを考えていきますと、政治が決断をしていただきたいということを切にお願い申し上げたいと思います。
○小島委員 今度の大規模地震対策特別措置法をそれぞれ御評価なさっておられると思うのでございます。この仕組みとして見てまいりますと、当面は東海大地震に備えたものであることは明らかであるわけでございますが、強化地域という形で具体的に指定をするわけですね。その強化地域を探し出すということが必要だろうと思うのです。日本列島はまさに地震列島だと言われておりますが、その強化地域を探し出すような観測体制というものは現在でき上がっているでしょうか。でき上がっていないとすれば、これからどの程度のことをすればでき上がるでしょうか。
 この間東北地震も起こりましたし、案外、東海地震を一生懸命観測しておったらマグニチュード七ぐらいのものが東北で起こったり、九州で起こったりということにもなりかねないわけでございますが、日本列島全体としての強化地域を決める基準、そしてその基準をしぼり出す観測体制というもの、これは現状はどうなっておりましょうか、またさらにどうしなければならないか、先にそのことを承りたいと思います。浅田先生、鈴木先生、お二人からお願いいたします。
○浅田参考人 まず私がお答えいたします。
 東海地震が起こる前にほかで被害を伴う地震が起こるということは、日本の地震の起こる数のことを考えますと非常にありそうなことでございます。前々から、地震学に携わる者はみんなそのことを非常に気にしているわけでございます。その強化地域を見つけ出すということが一番大事なことでありますが、その根本になるのは測量の繰り返しでございます。それがいまの考え方です。でありますから、測量の繰り返しが計画どおり必ず実行されるということが一番大事なことだと思います。ただ、このようなことは非常に大きな事業でありまして、大きな組織でありまして、具体的にどういうところに問題があるとおくれるのか、どういうところに問題があって、その問題を取り除くと加速されるのかということは、非常に、正直に申しまして私どもにはちょっとわかりかねる面がございます。
 それから測量以外には、たとえば地震観測を微小地震まで含めまして、全国を非常にいい精度でするということがもう一つのやり方でございます。これは大きい方の地震は気象庁の役目で、小さい方はまだ研究段階にあるというので大学がやっておりますが、この方は技術が非常に進歩しつつありますので、つまりコンピューターによる整理などが進歩しておりますので、お金をかければかけただけ新式のものになるというのが現状でございます。
 それからもう一つは、たとえば歴史を調べることも大事でございますので、このごろ古文書を捜し出すというようなことも行われておりますが、これはどうも組織的に何十人でやるというのにはなじまない仕事らしくて、古文書の好きな方が二、三人でやっておるのが現状でございます。
 もう一つ最後に、地質学的な調査により活断層を見つけて歩く、そういうことでございます。
 この中で、やはり何といっても一番根本になりますことは測量の繰り返し、その次に大事なことが地震の空間的分布を非常に精密に調べること、そういうことでございます。
○鈴木参考人 浅田参考人の言われたこととほぼ同じでございますが、測量を全国的に五年に一回繰り返すということをうたっております。これがそのとおり実施されますとかなりよくなると思いますが、現在はそれより少しおくれているのが実情ではないかと思います。
 それから地震でございますが、地震は全国的なネットは気象庁がマグニチュード三までということになっております。これも厳密に申しますと三までまだいっていないと思いますが、ほぼその近くまでいっております。あと、三以下の微小地震でございますが、これは日本全国の網を張っておりません。たとえば私のおります東北大学で申しますと、東北地方のほぼ北半分に当たるところに関しましては漏れなく十分キャッチしていると思いますが、南半分あるいは北海道との境目ぐらいになりますと少し穴があく、日本全体から見ますとまだそういう穴が幾らもございます。
 それから浅田参考人言われなかったですが、地殻変動の連続観測、つまり傾斜とか伸び縮みを連続的にはかっております。これもやはり微小地震と同じようでございまして、日本全国をカバーするまでにはまだ至っておりません。したがいまして、そういったものがカバーされるようになれば、強化地域の発見というものには非常に大きな力になることは間違いないと思います。
 ただ、この場合にやはり問題になりますのは、それだけのマンパワーがあるかという問題と、それからそのマンパワーを補うためには、やはりテレメーターその他、いろいろな面での補充というものをやっていかないとできないのではないかというふうに考えております。
○小島委員 ただいまの御意見を承っておりまして、やはり相当程度の金をかけて体制をつくれば強化地域も発見できるし、今度強化地域として指定したものは、さらに充実した観測体制をしけばM七ぐらいは捕捉できる、全体の結論として、素人ながらこんな理解ができたのですが、よろしゅうございますか。
○鈴木参考人 ほぼ、趣旨としてはいまおっしゃいましたとおりだと思います。
 私、先ほど一つ申し落としましたことは、海のことでございますが、日本の周りの海というものは、実は現在、気象庁が東海沖に観測点をつくろうといたしておりますし、それから臨時的な観測は大学等で行っておりますが、海に関しましては陸上よりさらに落ちると思います。この点はどうしても、たとえば三陸沖のような大きな地震の起きるところに関しては、今後とも考えていかなければいけない問題であろうというふうに思っております。
○小島委員 海底地震計等の設置もよく当委員会でも問題になっておりまして、そういうものをまた充足さしていけば、そういう面も補えるんじゃないかと思うのですね。
 今度は、当面の東海地震についてお伺いいたします。これは浅田先生は判定会のメンバーでもございますので、お伺いしたいのですが、予想される東海地震というのは何年ぐらいの範囲の中に想像できるだろうか、あしたかと言われるかもしれませんし、いや二十年ぐらいの範囲の中だとか、あるいはもっと百年以内と言われるかもしれませんが、その辺は素人の聞き方でございますから、余り責任があるとか、そういうことはございませんので、もう御専門の勉強でございますので、ざっくばらんにおっしゃっていただきたいと思うのです。
 それから、起こるとするとどの程度の範囲で、規模はマグニチュードどのぐらいであるか、ざっくばらんなお話で結構でございますので、東海地域についてちょっと実情をお知らせいただきたいと思います。
○浅田参考人 もちろん考えがないわけではございません。ただ、昔はいまほど進歩しておりませんでしたので、もしかしたらあしたにも起こるかもしれない、これは昭和四十四年に言われた言葉でございます。ただ、こういうことを申しますとすぐ新聞が書く、それで思わぬ誤解を生じることもあるというのが一番困ることでございますが、現在では、恐らくあしたはまだ起こらないだろう、あるいは一月ぐらいまでは見ても起こらないだろう、そういうことは言っていいのではないか、そういう感じを持っております。ということは、逆に言いますと、やはり適切な前兆が起こるのではないか、それはある程度キャッチできるんではないか。もちろん見逃しとか空振りとかいうことは非常にあり得ることでありますけれども、そういうふうにだんだん近づいているのではないかと考えております。
 さて、じゃ何年後に、何年後までが危ないかと言われると、これはもう非常に困るのであります。でありますので、一般的な考え方を申し上げて勘弁していただきたいと思うのでありますけれども、そもそも東海地震が危ないのではないかという一番その刺激を与えた考え方は、一代前の一八五四年の地震は明らかに駿河湾の中、沼津まで震源域であった。これは当時の海の水の、つまり水位の変動の記録ですね。昔でも一メートルとか二メートルとか変わればもう一見してわかることでございますから、そういう記録があります。それを見ればそういうところまであったんだという結論が出まして、古文書が見つかるにつれてそういうことが定説となったわけです。ところが、一九四四年の東南海地震では御前崎は変動をしなかった。というのは、国土地理院の測量の結果そうだと、国土地理院の権威者の方が言っておられるわけです。でありますと、東海地震はもうちょっと御前崎より西の方までしか領域がない、すると、その差額の場所はやはりまだゆがみが開放されてないんではないかというのが東海地震の一番の根拠です。
 さて、ではいつ起こるかということでありますが、考え方に二つありまして、駿河湾の中だけでは地震は起こらないんだ、そうだとすると、次の東南海地震の起こるときに、大型東南海地震すなわち安政型東海地震となって起こるんだ、こういう考え方もございます。この場合は、前の東海地震、東南海地震が起こってから三十年ちょっとでございますので、まあ幾ら早く見てもあと五、六十年は間があるのではないかということになります。これが一つの考え方です。いや、昔の歴史を見て、昔の歴史にすでに記載されていることばかりを信用してそういうことを言ってはいけない、御前崎を含めて、その付近から駿河湾の中だけでひずみが開放されることもあり得る、こういう考え方も否定できません。この場合は、まあ言いにくいことでありますけれども、これは非常に大ざっぱな、あと数年後から二十年ぐらいまでの間ではないかという、これは科学というよりは直感でございますので、そういうふうにおとり願いたい。そういう二つの考え方があると思っております。
○小島委員 時間の関係もありますので、次へ進みます。
 山本参考人にお伺いをしたいと思います。
 山本先生は、この問題につきましては非常に原動力となりまして知事会を動かし、また実際の被災地の県知事としていろんな御体験もお持ちになっておられるわけであります。その御熱意というものがこの立法に結びついたと言っても言い過ぎではないと思うわけでありますが、ただいまは、またさらに手厳しいと言ってもいいくらいの御意見の開陳がございました。国土庁あるいはその他中央当局といたしましても、ようやく認識を持ちまして、非常に一生懸命がんばって、今度の立法に結びついたと思うのでございますが、ざっくばらんに言って、昔から百点満点で幾らと採点するということがありますが、今度の立法の案を採点をしたら、何点だとお思いになりますか。
○山本参考人 少なくとも八十点くらいというふうには考えます。それはなぜかと申しますと、気象庁長官ではなしに総理の警戒宣言にしてくれた。これは中国を見ましても実は革命委員会がやるんです。行政側がやっているんです。当然警戒宣言というものは実は行政側がやるべきでありまして、科学者にそこまで責任を負わせるということは筋違いだ、これが是正されたということであります。
 それから、先ほどの土屋参考人とは私は意見を異にいたしますけれども、情報の伝達は管理された情報でなければならぬ。私は余震情報を出してパニックを招いた張本人であります。これは気象情報とは全く違うのです。気象情報の場合には生命の危険なんてだれも考えないのです。それからビジブルなのです。目に見えるのです。地震の場合には本当に生命の危険を感ずる。そして、昼間であればすぐに流言飛語のもとになっていくおそれがありますから、行政側としては管理された情報でなければ絶対にいけないというわけで、土屋参考人とは私は意見を異にいたします。そうでなければパニックを生ずる。なぜかと言いますと、情報を出しますときには、常に議論のあるところではございましょうけれども、自衛隊が事前出動していてくれるということは住民にとってはどれだけの安心感になるかということで、自衛隊がすでにどこを出発してどうなっています。あるいは警察の機動隊もどういうふうに出動されて、県としてはどういう対策をとっているということがともに伝わっていかないで、そして――日本のマスコミの場合、記者の一人一人の方は、私は地震の体験を通じて猟犬と同じだと思う。上からの命令がなくても飛び出していく。何でもつかまえればはっぱっと出してくる。これでは実はパニックを助長するにすぎない。何万人の生死にかかわる問題でありますから、この場合は異常事態として、情報は管理された情報でなければならぬ。対応策が伴っていく情報でなければならぬ。
 したがって、判定会等が集まります。当然内閣も集まって待機しているに違いない。県でも待機しているに違いないと思います。その結果はどう出るかわからぬのに、どんどん情報が出ていくということは、パニックを生ずるにすぎない。その点はやはり、マスコミとの間に、パニックを最小限に抑えていくためのマニュアルというものが合意できなければならぬという点を考えます。
 それから自衛隊の事前派遣でございます。これが治安出動とは絶対連動するものであってはなりませんし、またあるはずはありませんけれども、こういった非常事態でございますから、伊豆災害の事態を見ましても、自衛隊の持っている機能というものは地域住民への安心感が非常に強いということでございますから、歯どめをつけるというのは――警戒宣言を出すということは総理にとっても重大な決意なんですし、そういう場合に限定して、自衛隊の事前派遣ということはぜひお願いを申し上げたいというふうに考えるわけであります。
 これらについて、ある程度進んではきていると私は思いますけれども、何といっても、この対策にとりましては、予知情報がなるべく的確に流れるような、その前提条件がなければならぬ。その前提条件があれば、実は警戒宣言等もかなりの自信を持って出し得るということにつながってくるわけでありますから、まず第一に、予知観測体制の一元化、計画化ということについて、これはまだ不十分な点があると思います。
 それから、できれば実は国鉄、新幹線、電電公社等発火点に連なるもの、そういった問題については規制が必要ではないか。これは社会体制が違うからではないのです。地震で数万名の命にかかわる問題は、国民は必ずそれになれてきて、適応してきて、合意してくれるというふうに私は考えております。地震国日本としては、国民全体がこの試練を避けて通ってはならない、積極的に挑戦して被害を最小限度にとどめるべきだ、こういうふうに考えておるところであります。
○小島委員 山本先生の御意見で大体八十点と言われましたが、あと二十点がどの辺にあるかということもわかりました。
 さらに予知の問題に関連しまして、これは浅田先生にお伺いしますが、警戒宣言が発せられる前に警戒情報を送りますね、そして空振りに終わった、これを解除をする、再び安全になったというふうな期間がございますね。この期間というのは一週間で済むものでしょうか、十日で済むものでしょうか、あるいは一年もかかるものでしょうか。この期間をちょっと、ずばりで結構です。
 それからもう一つは、鈴木先生にお伺いしますが、起こった場合の避難の場所、どういうところが安全か。これも簡単でいいです。海岸にいれば津波が来るし、山の下にいればがけ崩れが来るしということになるわけでして、広っぱにでも行っていれば一番安全なのかどうか。それならば避難場所という問題もわれわれ考えるわけでございますので、どこが安全か、そのことを、時間もありませんのでごく簡単に御答弁願いたいと思います。
○浅田参考人 さっきのことと関係いたしますけれども、前兆のあり方でございますね、つまり小さい前兆が何回も起これば、一回ごとにもしかしたら出さなければならない。ですから、解除したからといって安全になったというわけではございません。ですから、そのことを考えれば、一年も警戒期間に入れておくべきだと思います。しかし、地震が起こらなかったのなら解除する、恐らく数日でわかるのではないかと思います。
○鈴木参考人 避難と申しますのは、実は地震が起きた途端に逃げ出すという避難は、なかなかこれは、場所をつくっておいても、そこまで行けないと思います。いきなり机の下へもぐり込むとか、そういうことをまずやる。そういたしますと、避難場所というのは、一たん地震がおさまってから避難するということになるだろうと思います。その場合には、ごく一般的に申しますと、広っぱみたいな広い場所の方がよろしいということは間違いなかろうと思います。
○小島委員 それから、東海地域については大体概括的にわかったわけですが、次に危険だと言われている南関東地域、これはこういう点が心配だというもの、これは強化地域に指定されるかどうかわかりませんけれども、指定した方がいいんじゃないかなんというところまで来ているのかどうか。なかなかいろいろ言いにくい面もあると思いますが、ごくかいつまんだお話で結構でございますので、これはやはり浅田先生にお願いいたします。
○浅田参考人 南関東には、関東地震の型の地震と東京の下町の方に起こる地震と、二つタイプがございます。関東地震の型の地震は当分の間起こらないだろうというのが学会の今日の考え方でございます。それから下町の方の地震はよくわからないのでございます。要するに予知をするためにはかなりお金もかかりますし、要するに六キロものどろの下に全部隠れているものですから非常にわかりにくいのです。ですから、それに対する予知のための準備、あるいは関東地震型の地震に対しても、あと百年とか二百年で起こるのですから、いまから観測を始めても決して早いことはないのであります。そういう意味で、ことに首都圏でございますから特別扱いをするのが適当ではないかと私は考えております。ことに下町の地震でございますけれども、被害の範囲は下町の範囲を出ないだろうと思いますが、やはり相当な被害を伴うものでありますから、これに対する予知的な意味での観測その他、非常にまじめに考えて進めるべきだと考えております。
○小島委員 関連質問もございますので、最後にお伺いしたいと思います。
 土屋先生にお伺いしたいわけでありますが、情報を出す側、伝える側、受け取る側のそれぞれの受けとめ方あるいは事前の準備、よくわかります。それから情報の整合性、非常に必要だろうと思うのです。
 いま山本先生と土屋先生の御意見を承っておりますと、土屋先生は、より積極的に情報を抑えるわけにはいかないのだから、自主的な取材活動等もあるわけで、それはそれなりのルールが必要だろうと思うのでございます。山本先生のおっしゃり方というのは、やはり情報も一元化すべきである、管理された情報を出すことがパニックを防ぐゆえんである、こういうふうに言われております。それぞれ非常に有益な御意見であるわけでありまして、地震そのものよりもこういうふうな情報によるところの混乱、そのパニックによって起こるところの被害、こういうものを考えますと、やはり事前に十分な準備をなされなければならない、しておかなければいけない、そういう意味で非常に参考になったわけでございます。
 今日は民主主義の体制の世の中でございますから、むしろ情報ははんらんし過ぎるくらいはんらんしておるわけでありますが、山本先生の言われるような管理された情報という意味とは違うかもしれませんけれども、戦前、戦中の日本のこういうふうな問題に対する報道管制というものは非常に徹底しておったと思うのであります。地震の予報などというものは、流言飛語は許さぬというようなことで抑えつけておって、これは絶対出さなかったというふうに聞いておりますし、あるいは終戦直前でございますか、昭和新山が爆発を起こしましたときに、そしてあそこに一つの隆起が起きて山ができた、これは非常に不吉な前兆だということで、これもひた隠しにしたというようなことも聞いております。今日はそういうふうな情報管制というものはもちろんとりようもございませんけれども、山本参考人の言われたような管理された情報、せめてその域まではこういった問題についての報道のルールというものをつくるべきではなかろうか、そんな感じもするわけでございます。そういう面につきまして、ごく簡単で結構でございますけれども、さらに御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○土屋参考人 管理された情報という言葉が出たのでございますが、私どもは基本的に情報管理ということには反対でございます。
 それから管理された情報という山本知事のお話は、むしろ情報を出す側がきちっとした情報管理がしてあるかどうか、整合性のある情報を出すか出さないかという問題でございまして、先般の静岡県の場合でも、余震情報という気象業務法にもないきわめてあいまいな形のものが流れた。しかも三日前の、言うなれば判定会ではすでに公にされているデータが出た。その情報の伝わり方とか、どういうふうにそれを扱うかというマニュアルもはっきりしない形で出た。したがって、そこには基本的に、行政の側にもルールがなかったでありましょうし、まして伝達の方法についても非常に混乱があった。それから報道機関としては、ましてルールもございませんから、普通のニュース判断でこれは報道しております。私どもは、基本的には報道については管理されるべきではありませんし、また報道管制というのはもってのほかだというふうに考えております。
 ただ、この種の問題について、先ほど申し上げましたように、実際に情報が公に、公的な機関を通じまして責任が明確になって出される場合と、それ以前とはやはり違うであろう。その以前の場合につきましても、これは私の個人的な見解でもありますけれども、いわゆる特ダネ競争の中でこの問題を処理するということはやはり問題があろうかと思う。したがいまして、報道機関としては、その情報による影響とそれに対する責任というものを十分に踏まえた上で報道に当たるというのが基本的な姿勢だと思っております。山本知事のおっしゃったような、お気持ちとしてはわかるのでございますが、管理された情報というのは、十分その整合性を持った情報を出していただきたいということをわれわれは希望するのでございます。それから、先ほど申しましたように、防災なりの伝え方のルートなり、仕組みなりというものが報道機関でわかっておりませんと、いま一体どういう状況になっているのかということをわれわれも十分承知した上で、報道の活動を進めていきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、ある程度法的に責任がはっきりして発表の段階等が決まりますと、たとえば放送の場合でございますと、気象業務法の規定によりまして、自動的に津波警報とか地震情報というものが流れることになります。やがてこれが具体化する場合には、そういうマニュアルというものは当然必要になってくるであろうというふうに考えております。
○小島委員 参考人の先生方、どうもありがとうございました。関連質問にかわります。
○有馬委員 関連して、二、三点お尋ねしたいと思います。
 第一は、予知連といいますか判定会の位置づけでございますが、山本参考人からは、はっきりと法的な位置づけがなされていないという御指摘がありました。私は全く同感でございますが、この地震の予知についても、またさきに当委員会を通過した火山立法の場合の予知にいたしましても、非常にいろいろな角度から検討したのでございますが、これが法的な位置づけまでなかなか至らなかったわけなんです。そこで、その理由はいろいろあるのでございますが、浅田先生と鈴木先生の御意見を聞いておりますと、空振りは恐れない、それからまた、この予知の問題は純学問的なサイドだけではないんだ、社会的な事情ということを十分考慮に入れて考えなければいかぬという御意見がございました反面、浅田先生は、研究部門は法律になじまないんだ、こういう御意見もありました。私どもは率直に言いまして、この位置づけが火山においてもあるいは地震においてもできなかったのは、政府部内の気象庁を通じて、それは困る、その困る理由は何かというと、背後におられる地震学者、火山学者の先生たちが、それは法律で仕組んでもらったら困るという強い御意見があったと思うのです。私どもも、この判定会なり予知連を行政上仕組むとした場合でも、現在の行政組織法に考えられておる審議機関のようながんじがらめの性格を考えておるのじゃなくて、学者の先生たちが活動しやすいように、研究の妨げにならないような仕組み、運営を考えつつ法的な位置づけをしようと思ったのです。にもかかわらずできなかったという今回の経緯があるのですけれども、私は山本先生の御意見を聞いて、これはもう一遍考え直してみなければいかぬのじゃないかという感じが強いのですけれども、浅田先生と鈴木先生の御意見を再度お聞かせ願いたいと思います。
○浅田参考人 非常にむずかしい問題の一つでございまして、私たちは、つまり地震の専門家は、地震、ことに東海地震の予知はぜひ成功させようと思っておりますし、そのための社会的責任は果たしたいと思っております。
 そこで、法律と研究はなじまないというのは、いわば本能的な発言でございまして、あるいは天才的な法律ができると研究はすごく進む、こういうこともまた一方には否定できないことだと思います。こういうことはすべて社会とのつながり、あるいは国とのつながり、非常に複雑なものでございますので、私個人としてはそう断定的な発言をするほどの自信はございません、というのが現在の考え方でございます。
○鈴木参考人 私も、法的に位置づけられると一体どういうことがよくなって、どういうことが悪くなるのか、正確にはわからないのでございますけれども、純学問的に申しますと、たとえば現在の予知連というものは、予算が少ないとかなんとかということは別といたしまして、各省庁、大学等に分かれております研究者が、それぞれのデータを持ち寄って、非常に自由に議論をし、いろいろな見解を自由に述べて、それで、その中からコンセンサスを探していくということは、わりあいうまくいっているのではないかというふうに思います。ですから、学問的な情報交換並びに議論という面では、現在のことで非常に困るということはないというふうに考えております。
 しかし、これが法律化されたら一体どうなるかということなんですが、あるいはそのままの性格が維持された上で、そして法律的にも保護され、予算もふえるというようなことになるのであれば、これはもちろん異議を申し立てる筋はないと思います。
 ただ、私ども多少憶病でございまして、いままで、大学もお役所でございますから、文部省の中でございますから、いろいろな法律とかそういったものに絡まってまいりますと、いわゆる研究の自由さあるいはいろいろな発言の自由さ、そういったものが、その目的であるとか、行政のいろいろな機構であるとか、そういった仕組みのために抑えられた経験がございます。そういうようなものになってしまうと、かえって魂がなくなってしまうのではないかということを心配するわけでございまして、その辺が、どういうふうに自由が保障され得るのかという具体的なことを伺いますれば、あるいは賛成もいたすかもしれませんし、あるいは反対いたすかもしれないというのが現在の考えでございます。
○有馬委員 学問的な面で予知が確立されていないということもわかりますし、憶病な一面もわかりますけれども、憶病だけでは済まされない仕組みになってくるわけです。この地震特別措置法ができ、火山措置法ができてくると。
 そこで、われわれは、法律で仕組むときには、そういう研究の自由を妨げたり、発言を抑制したり、そういうことは考えていないのです。しかし、やはりこの措置の出発点が予知にある、そうしてまた、今日では空振りを恐れない、われわれ素人が空振りするのではなくて、いわばジャイアンツの王選手が空振りするようなものですから、それを恐れないという気持ちがあるならば、いま一度学界内部においてももう少しフランクに御検討、考え直していただいていいんじゃないかという感じが私はいたします。これは非常に大事な問題でして、火山も地震もそこは踏み切れなかったわけなんです。それは、先生方が非常に良心的だから踏み切れなかったのかもしれません。ただ、政治はやはり責任の転嫁はできませんから、私どもとしてはここはいまだに非常に悩み続けている問題でございますので、ひとつこれからも御検討願いたいと思います。
 時間がありませんから、一点だけお尋ねします。
 火山に伴う地震とそうでない地震とは違うわけで、それはよくわかるのですけれども、たとえばえびの地震というようなときに、これは火山サイドから測定するのか、あるいは一般地震としてとらえたのか、私も素人でよくわからないのですけれども、要するに地震現象が起きておる。これからの対策上ブランクになると困るものですから、その辺の競合なり調整なりというものはどういうふうに考えたらいいのか。これは浅田先生でも、鈴木先生でも、お二人からでも結構ですが、承りたいと思います。
○浅田参考人 まだよくわからない面もございますが、えびの地震はやはり火山に関係の深い地震ではないかと考えております。ただ具体的には、たとえば火山学者の方が人数が少ないとかなんとか、そういう問題もございますが、やはり火山の方が主導権をとって取り扱った方がいいのではないかというのが私の現在の考えでございます。
 それから、さっき申されました、法律にすることでございますね。要するに、正直に申しますと、私たちも非常に戸惑いがありまして、おっしゃることは非常にもっともなことだと思いますので、これから大いに勉強したいと思っております。
○鈴木参考人 火山性の地震というのはいろいろな種類がございまして、浅くて、噴火に伴っているのは明らかに火山性と言ってよろしいわけですが、だんだん深くなってまいりますと、どこからが本当に火山が原因で、どこからがいわゆる構造性地震と申しますか、そういったものなのかという区別は、なかなかつきにくくなります。したがいまして、どちらが火山で、どちらが地震かというのは議論の分かれるところでございます。
 ただ、私どもとしましては、火山の専門家と地震の専門家ははっきり分かれているわけではございません。ある大学におきましては、たとえば私どもの大学におきましては、火山の噴火予知連絡会関係の火山関係の人も、地震予知連絡会関係の地震関係の人も、実は同じ人がやっております。いろいろ手分けをしてやっているということでございます。したがいまして、両方がお互いに押しつけ合って、そこがブランクになってしまうということは、これは極力警戒すべきことで、お説のとおりだと思いますが、なるべくそういうふうにならないようにすることは、必ずしも火山地震であるか、構造性地震であるかという定義をはっきりしなければできないというものではなかろうと思いますし、極力そういうふうにしていきたいと考えております。
○有馬委員 どうもありがとうございました。
○川崎委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。
    午前十一時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡辺芳男君。
○渡辺(芳)委員 参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。時間の関係もございますので、簡単に御意見を伺いたいと存じます。
 まず、浅田参考人にお伺いをいたしますが、これは静岡の山本知事さんも強く要望していることでございますが、お話のとおり地震予知の一元化がまず必要だ。短期予知は気象庁を中心にして行われていますが、長期の観測では国土地理院などが重要視されています。今度の法案によりますと、観測体制の一元化ということは、率直に言ってできておりません。ただ、気象庁の任務といいますか、これが非常に重要になっていることは事実であります。いろいろ地震問題で取り組んでいる省庁がございますが、その中で、特に地震予知について連絡機関などを置くというよりも、もう少し一元化を図った方がいいではないか、こういうことを私どもも強く要請をいたしております。このことについて先生の御意見をお伺いをいたします。
○浅田参考人 観測情報自体は、テレメーターその他によって事実上一元的に取り扱うことはできます。問題の一元化でございますが、私は、そういう組織について、果たして十分言う資格といいますか、能力といいますか、そういうものがあるかないか、自分では疑わしいと思っておりますが、たとえば気象庁と国土地理院というものは、両方地震予知の柱のようなものでございますので、そういうものが一カ所にいた方があるいはいいのではないかという程度のことは考えております。ただ、そういうことをした場合、技術的にどういうことがあるかとか、あるいはその結果どういうことがいろいろ発生するかとか、そういうことについては、必ずしも私たちが考えることが適切かどうかわかっておりません。そんなところでございます。
○渡辺(芳)委員 このことについて、山本参考人から御意見がございましたら、お伺いします。
○山本参考人 先生方、なかなか制約がありますから、自由な御発言ができにくい点があろうかと思うわけでございます。私が先生方と非公式に会って伺っております限り、やはり国土地理院と気象庁とを一つにしてもらう。そして日本の官庁の弊害でございますが、事務官が支配してしまう。これでは死んでしまうということでございまして、少なくとも地震の担当の局のようなものをつくっていただく。それは国家的な重大な事業でございますから、そこの技術的な方が長になっていただいて、相当権威づけられて、総理とどしどし直結していけるという形がとれたら、先生方は決して反対をされるわけはない。現実に先生方に伺いますと、たとえば大学の地震を専門にやっている職員が気象庁なり国土地理院に勤めようといたしましても、国家公務員である限り試験を受けなければならぬというようなことでございますが、これは総理が決断すれば、実は特別任用という制度もあるわけなのです。事務屋に支配されてしまって、自由がきかなくなるような組織の一元化だったら、先生方は反対されるということでございますから、ちょうど建設省のように、技術屋が中心になる、専門家が中心になるという組織にしていただくことが必要ではないでしょうか。それと同時に、国の行政機関とは別に、大学は研究機関でございますから、これの方も予算を増額していただくと同時に、こちらは自由な立場をとっていただく。こちらにつきましても専門家の意見が重視されるようなシステムをとっていく。あえて一元化に対して先生方が非常に不安に駆られるというのは、かつての体験を通じて、事務方に支配されたという非常に苦々しい体験を通じての御発言だと、私は非公式にそう理解いたしております。
 中国の状況を見ますと、実にうまくいっているという感じでございます。ことに地球物理研究所をもう一つつくるということもありますけれども、生物物理研究所などで、たとえばハトが前兆現象と見られるものを超感能力で把握している。それは何か足のところにある神経か何かのようで、三半規管とかなんとか、私には素人でわかりませんが、それを科学技術的にどう把握するかというところにすでに入っているのです。それからトラの皮のオウムというので、現物を見たらわかりましたが、インコでしたが、インコが非常に異常な行動をする。それは他のノイズを隔絶した形でインコの把握できる超感能力を科学技術的にどう把握するか、こういうところまで、実は国家地震局とその研究所とがタイアップしてやっている。こういう事実を見ますと、日本の従来の行政に新しい分野をつくっていくという決意さえすれば、私は、先生方が不安にならない形での一元化はできるのではないか、こういうふうに考えるわけです。
○渡辺(芳)委員 鈴木参考人にお伺いいたしますが、先ほど御意見の中で、中国の地震予知問題を中心にお話しになりました。私ども本委員会でいろいろ地震対策について議論をしてまいりましたが、その過程で予想される東海沖地震、マグニチュード八という最大の巨大地震と言われていますが、この程度のものは予知可能だと言われています。東海沖で大体長さ百キロ、幅が五十キロ、しかも海底から二、三十キロの下が震源地ではないか、そういうことも言われています。そうしますと、大変な巨大地震になるわけでございます。私ども、専門家の先生方が東海沖は危ないよ、こういうことから急遽立法に踏み切ったと思いますが、いずれにいたしましても、せっかくの世界で初めての地震立法でございますから、でき得る限り――観測体制というのが、推進本部ができてからまだ十年ぐらいでございますから、まだ時日が非常に短い、短時日ということもありますが、それでも東海沖とか南関東地域は比較的体制が整っておる。しかしほかの方は余り、まだまだ地震計があるぐらいの程度でございます。でございますが、特に太平洋岸は非常に巨大地震が多いところでございますので、こういう関係で私が一番心配をしているといいますか、懸念をするのは、空振りを恐れてちゅうちょをしておって、その間にどかんと大きな地震が来たという場合のことを非常に心配をいたしております。こういう点について御意見がございましたら、お伺いします。
○鈴木参考人 観測体制の面はおっしゃるとおりでございまして、日本じゅう非常にいいとは申しかねます。ことに東海、関東以外のところでも、大学が担当しておりますところはわりあいに密にやっておりまして、東海ほどではございませんが、かなりいろいろな観測が行われておりますが、担当していない部分はかなりすき間があいているということは事実でございます。
 それから第二番目の点かと思いますが、空振りを恐れないということでございますが、これは私どもといたしましては、恐れるべきなのか恐れなくてもいいのかということはなかなかわからないのでございます。というのは、地震学上の問題ではございませんので。問題は、空振りの予報を出したときにどういう影響があって、どれだけの社会的、経済的その他もろもろの損失があるかということを考えませんと、恐らく空振りというものが非常にマイナスになるのではないか。たとえばそういうことを二回なり三回なりやった場合に、その後の問題についてますますマイナスになるのではないかという気がいたします。したがいまして、中国の場合に空振りを恐れないというのは大変賢明なやり方だと思いますが、日本の場合に果たして同じ程度に空振りを恐れないでいいのかということになると、やはり問題があろうかと思います。やはり日本の場合には、空振りというのは少なくとも中国よりは恐れるべきではないだろうかというふうに考えております。
 それでは、空振りを完全に、絶対になくすということは、これは恐らくできないことかもしれませんし、見逃しを絶対になくすということもできないと思いますが、それがどの程度までならいいのかという問題は、これは恐らく社会科学の問題ではないのかというふうに私は考えておるわけでございます。
○渡辺(芳)委員 山本参考人にお伺いをします。東海沖地震説が大変な議論になっておりますが、マグニチュード八の大地震が起きた場合に、先ほどのお話によりますと、静岡県を中心にして愛知なり山梨なり神奈川県の一部で、マグニチュード八ですともっと揺れるかもしれませんが、十万人以上の人たちが死傷するという、これも大変恐ろしい予想といいますか、従来の地震の災害の経過からすればそういうことも想定されます。
 そこで、私ども法案でも強く主張をしておるのですが、防災関係の事業を積極的に進めろ、進めてくれ、法案が成立をして法律になって有名無実になっておったのでは困る。先ほどのお話によりますと、防災事業が静岡県でも三千億円ぐらい必要だと言われました。ことしの予算、各省庁の防災事業の関係を見てみますると、五千億円程度なんです。これは櫻内大臣も少ないとは言っております。急速にふやすということが来年できるかどうかわかりませんが、ともかくせっかく地震立法ができたのなら、大都市なりあるいは東海地域なりについてはひとつ重点的に防災事業に取り組んでくれと言っておりますが、この関係で私も一番心配しているのは二次災害、火災防止のことを心配しています。金のかからないやり方も−やり方といいますか、それぞれ監督官庁が防災計画を指示をして、地方自治体がそれをチェックをしていくということになりました。防災事業費を飛躍的にふやすということは当然努力をいたさなければなりませんが、二次災害の問題を含めてお話をいただければ幸いです。
○山本参考人 私たちの方でまだ厳密に詰めたわけではございませんけれども、緊急の、たとえば中期情報が出されたという場合にどう対応するかということを考えますと、危険地域の防災事業、第一に津波を考えなければなりませんから、防波堤、防潮堤等の整備に四百億くらいかかる。また河川を遡上してくる津波の被害ということを想定しますと、それに二百億くらいかかる。貯木場や急傾斜地その他のみで約七百億を要するのではないかと考えております。次は建築物や施設の耐震、不燃化でありますけれども、避難場所になるべき学校、これは高校を初め小中学校等でありますが、病人を事前にそこへ避難させたり、あるいは福祉施設の人たちを避難させたりということが当然必要になりますので、その耐震と不燃化ということを徹底してやろうということになりますと、それで千二百億近くかかる。それから緊急的な輸送、巨大地震の場合に橋梁が落ちてしまうというような問題も当然あるわけでありますので、それらを推定すると四百億以上でありまして、これに全体の五〇%、千七百億くらいを要するのではないか。それから市街地におきまして避難路や避難地を整備する、これに約五百億を要するだろう。消防、給水、無線通信設備等の整備、これに二百五十億くらいかかるだろう。防災の各種機材等の整備、これに百三十億くらい。合わせて三千三百億弱くらいを要するのではないか。これはもっと厳密に詰めてまいるわけであります。
 これに対して、私たちはこれに対応しなければならぬ。県民の合意も得られるということになりますれば、県、市町村で既存の事業を二年間くらいは場合によればストップして、それでもかかっていくべき問題だと思うわけでありますけれども、しかしこれは、やはり国において中期的な情報が出されるというような時点においては、財政的な措置はやっていただくべき問題ではないだろうか。その点が、先ほど申しました今度の法案に実は欠けている第三の点であったわけでありますが、予算関連法案にいたしますと、この法律自体が国会上程もむずかしくなるということで、今回は除いたわけでありますけれども、これはどうしても予算の範囲内ということではなしに、国の事業としてこういった問題を取り上げるということを、ひとつぜひ国会の先生方に御尽力をいただきたいというふうに考えるわけであります。
○渡辺(芳)委員 時間がございませんので、恐縮でございますが、簡単にもう一度山本参考人にお伺いしますが、自衛隊法の八十三条の二に、今度追加をされました防災派遣、これはこの地震法案の附則の九条に出ております。マスコミにも報道されておりますけれども、たとえば四十六年ごろ策定をした派遣計画というのが、南関東、陸海空合わせて五万七千人ぐらい配置をしたい、これは災害救援の場合ですね。昨年の三月でしたか、たしか東海沖地震が起きた場合にも一万六千人ぐらい災害派遣をするというふうな策定計画がマスコミにも報じられたことがあります。今度事前派遣といいますか、防災派遣をするということができるようになりました。いままでは知事が要請をして災害派遣をするということでしたが、今度は内閣総理大臣、つまり本部長が法案上は直接的に防災派遣をする。そうはいっても現地の関係の知事さんから要請をするということにはなると思うのですね。事前派遣をする場合に、一体現地へ行って何をするか、このことについてお伺いをしたいのです。
○山本参考人 私たちは、事前派遣をお願い申し上げておりますのは、実は三、四時間後とかいう形で予知警報が出されました場合、民心の不安というのは大変なことになるだろうというふうに考えるわけです。そこで本部としては、自衛隊が静岡へどれだけ、各地にどれだけ来ている、これがいざ災害が起こった場合には全部挑戦しますよという形をやってくれるだけであっても民心の不安というのはかなり解消できるのではないか。また現実に災害が起こった後において――いまの建設業者は機械だけを使っております。かつてのような人夫が少ないのです。ところが機械を持っていくことができないという場合に、土のうを積む仕事にしても何にしても、自衛隊のマンパワーというのが一番有効だということが言えるわけであります。機械が持っていけないという状況が当然考えられるわけであります。そこで、全体の状況を把握するのは知事でございます。各地からの情報は全部入るわけです。したがって、私の要請によって、自衛隊はどこへどう配置してください、どの仕事に挑戦してください、こういうことをお願い申し上げるわけでありますから、これは治安出動では全くない。しかもこれは事前に来てくだすっておるということが、実はパニックを防ぐ上においても非常に有効な効果を果たすだろうというふうに考えているわけであります。
 そういう意味で、実は治安出動などとは全く異質のものでございますし、しかもまた総理が警戒宣言を出すということも非常な決意を要することでございます。学者は社会的な経済的な政治的な影響をお考えになるべきではないのです。それは政治及び行政が判断すべきことでございます。それは異常な決意でございます。たびたびあり得ることではないわけであります。非常な一点に集中して防災あるいは災害直後の措置をしなければならぬというときに、自衛隊というものがどれほど実は有力であるかということについての御認識をぜひしていただきまして、こういう非常事態においては事前の派遣をお願い申し上げたい。それは治安出動とは全く異質のものであり、歯どめの当然あるものである、こういう御理解をぜひともお願い申し上げたい。しかも知事の要請によって発動していただく、自衛隊が勝手に動き回るということはあり得ないというふうに私たちは考えております。
○渡辺(芳)委員 じゃ、交代します。
○川崎委員長 渋沢利久君。
○渋沢委員 引き続きまして、幾つかの点でお尋ねをさしていただきます。
 最初に、浅田参考人の御意見を伺いたいのですけれども、現在の観側体制でどの程度までの予知ができるのか、できる体制になっておるのかということをお尋ねしたい。
○浅田参考人 東海地方に関して申しますと、これもその相手次第なんでございます。ですから、たまたま十分広い範囲に十分大きな前兆が起こってくれれば、あと十時間で起こるだろうと言うと非常によく当たるということになると思います。しかし、何しろ初めての経験でありますし、相手がどう出てくるかまだ十分にわかっておりませんので、そのためにあらゆる準備をしておかなければならないし、東海地方以外にも観測網をつくりましてあらゆる経験を積んでおく必要があると思っております。東海地方以外は、やはり国土地理院による繰り返し測量というものが根本で、それで強化地域を見つけるわけでございますが、その強化地域を見つけた場合、遅滞なくいろいろな観測設備をする、こういうふうに理屈が理屈どおりうまく働いてくれれば予知をする見込みはあると思いますが、これもやはりあらゆる努力をしてやってみないとわからないという面も非常に強くございます。
○渋沢委員 マグニチュード八前後とか七以上とか、この程度の大規模なものについては現状の観測体制の中で十分押さえられる、予知できるという言い方、考え方があるように思うのですが、そういう受けとめ方の中で、その規模の線の引き方といいましょうか、現状の観測体制でどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
○浅田参考人 その現状で十分できるというのは、ある仮定が入っていると思います。つまりある密度で国土地理院が繰り返し観測をする、そこにある密度でいろいろな器械を置く、こういう仮定のもとに七以上なら見込みがあるということを言っておりまして、たとえばそれより小さいのはなぜそれじゃ見込みがないのかといいますと、要するに、地震の前兆現象の起こる地域、その他の広がりは地震のマグニチュードと関係があるということがわかっております。ですから、大きい地震はもう十分広い地域にそういう前兆現象が起こるけれども、マグニチュード六とか五とかになりますと非常に小さくなりますし、そういう前兆の続く期間も非常に短くなります。極端なことを言いますと、マグニチュード八なら三十年続くかもしれない現象が、マグニチュード三だと一日である、こういうふうに小さくなってしまいますので、これは当然取りこぼしの機会は非常に多くなる、こういうわけでございます。マグニチュード七以上なら見込みがあるというのは、むしろこれは理論的に見込みがある、現実的に見込みがある、こういうふうに解釈していただくのがよろしいかと思います。
○渋沢委員 そういう中で、先ほど来の先生方のお話の中でも、比較的東海地方については観測体制も密度の高いといいますか、わりあい進んだ体制がとられておるが、全国的に見た場合に必ずしも十分でないということも鈴木先生から御指摘がございましたようでございます。しかも静岡のことを考えても、静岡だけ観測が十分できておればいいということでは全くないということであるとすれば、まさに全体の、これは観測器械の数で考えるということだけじゃなしに、歴史的なあらゆる研究、観測、それからいまの機動的な観測のいろいろな機能とか行政のかかわりもあろうと思いますけれども、そういうものが総合的に整って初めて大規模な地震の予知体制というものができ上がるというふうに考えるわけですけれども、そういう意味から申しまして、専門の先生方から見て、そういう理想図といいますか、最も望ましい状況、いまの状況の中で一番望ましい状況、観測体制を中心にしてここをここまで持っていきたいというようなお考えがありましたら、具体的な点で御意見があれば鈴木先生と浅田先生から伺いたいと思うわけなんです。
○鈴木参考人 将来の理想像といたしましては、たとえばマグニチュード七なら七以上のものが陸上に起きたら何とかキャッチできるような体制をつくる、これは理想的なものだと思います。現在そうなっていないわけでございます。
 それから、さらにもっと理想的に参りましたら、大学の研究というものが進んで、もう研究ではなくなって事業になる。つまり大学ではもうやらなくても、こういうことはこういうふうにしてこういうふうにすればわかりますよ、適当な現業官庁でそれを全部おやりなさいということになるのが恐らく理想像だと思います。ただ、これが一年や二年でそういう状態になり得るかということになりますと、これは一、二年というようなスケールでは非常に悲観的だと申し上げざるを得ないと思います。
○渋沢委員 浅田参考人の先ほどのお話の中で、南関東と下町というふうに言われました。この地域で、特に南関東の関東大震災型の地震についてはわりあいに長い目で見られるといいますか、しばらく来るという状況ではなかろうが、下町はむずかしい、わからないとおっしゃいましたでしょうか。特に下町と南関東というふうにお分けになって、下町はわからない、むずかしいと言われた意味をいま少しく具体的に伺いたいと思います。
○浅田参考人 東京付近は数キロの堆積層があるのでございます。ですから、たとえば水準測量を繰り返せば隆起がわかる、隆起があると地震を疑うべきであるというような問題のときに、その数キロを通して基盤の隆起をとることは非常にむずかしいわけでございますね。たとえば気象庁の容積変化計でも非常に威力を発揮しておりますけれども、そういうどろの中に容積変化計を置いても本当のことはわからない。では五キロ穴を掘ってそこに入れる、これはよろしいのですけれども、温度が高くなりますし、そういうところに据えつけるノーハウもまだ開発されていない。こういういろいろぐあいの悪いことがあります。
 それから、さらにぐあいの悪い――これはぐあいが悪いと言うべきか喜ぶべきかわかりませんけれども、たとえば一種の内陸型の地震だとすると、非常に間隔が開いておりますので、南海地震やなんかのように経験を――南海地震は歴史上すでに九回も記録されております。ところが東京で大きな地震は一八五五年にあったの一つでございます。でありますから、内陸型の地震の特徴をもって、あと数百年たたないと起こらないのではないかというような考え方もありますけれども、もうちょっと小さいので、たとえば明治二十七年に起こったようなのがいま起これば、被害はあのときのようでは済まないだろうと、こういうわけです。ですから、決して軽視してはいけないのですけれども、何しろ規模が小さいから、予知するには器械の密度も高くなければならない。それから、何しろ六キロもあるものですから、それを突き抜けて器械を設置するノーハウもほとんどできていない。そういうことが主な原因でございます。
 ただ、一八五五年の地震のときには前震があった。井戸に入っている人が地鳴りを聞いたという話があるので、もしそういうことが起こってくれれば、防災センターの深井戸には当然キャッチされるはずでありますから、運がよければ直前の前兆もとらえることができるかもしれないという可能性は否定できない、こういうのが現状であります。
○渋沢委員 観測自体も大変そういう困難がある。しかも地震が起きた場合の被害の影響を考えますと、関東大震災のときの状況と比べましても、ダイナマイトを背中にしょってたき火をしているような構造だというようなことをよく言われるのですけれども、東京の超過密性というかいろいろな困難があるわけです。
 そこで、東京のようなところを想定して地震対策を考える場合の考え方で、ぜひ浅田先生と鈴木先生にお尋ねしたいと思うのです。
 予知の体制を進めるということは、東京に限らず一番基本的に大事なことだと思いますが、東京のような場合、大都市特有の都市構造を時間をかけて変えていくという作業、これはそれ自体地震対策というよりはもっと違った意味で大都市対策と言われるもので、前から議論のあったところですけれども、都市機能の分散化とか地盤対策のようなものに至るまで、都市自体を地震に強い都市に変えていくという作業と並行してやっていかないと、仮に予知体制は整いましても、予知できた大きな地震に対して何の手も打てないということも起こり得るわけです。そういう意味で、先ほど山本参考人から積年のそういう無計画な都市政策に対して指弾をされた発言がございましたけれども、東京の場合大変よくわかるわけです。東京という物差しで地震対策を考える場合に、そういう時間をかけた都市の改造という政策とあわせていかない限り、本当の対策にならぬのではないだろうかというような点についての先生方の御意見を伺いたいと思います。
○浅田参考人 実は、予知というものはある意味でお金がかからない仕事ではないかと思います。そういうことでありますので、予知にばかり頼り過ぎるのは、やはり安易につくことでありまして、たとえばある程度以上過密なところに人が住んでいなければならないとしたら、幾ら予知しても人命の損失は避けられないと思いますので、いま先生が申されたように、同時にするということは非常に大事なことだと私は思っております。
 ただ、これもまたさっきの組織の問題と同じように、都市の問題は非常に複雑でございますので、地震学者が論ずるのにどれだけ適切かわからないのですけれども、一番簡単なことは、たとえば幅百メートルの道路が走っていれば火事も移らないだろう、それからここのような建物ならどんな大きな地震が来ても壊れることは絶対にない、そういうふうになるわけでございますから、都市の改造ということは、やはり一番最良の方策の一つだと考えております。
○渋沢委員 この法案については、先ほど来予知体制の一元化という意見や議論もございまして、これも一つの問題ですが、同時に、大都市での地震対策で、いま申し上げたような点が必ずしも明確になっておらないところに都市の議員としては大変不安を持つ法案の中身でございます。
 そこで、知事として御活躍の山本参考人にとりわけその点での御意見を伺っておきたいのですが、地震に強い都市構造などと言いましても、時間と金をかけなければできることではない、これは先ほど来山本参考人も強く御指摘のとおりでありまして、そこが欠落しているという意味では、実際の地震対策を住民と密着した形でやっている立場から、法案でここの一番大事な部分が欠けているというふうに知事自身もお感じになってああいう発言があったと思いますが、私どももそう感じます。そこで国が特枠で耐震事業に対しては特別な財政措置を講ずることを明確にされることを求めていらっしゃると思うわけです。東京の場合など特にそうですけれども、先ほど来出ているような避難地、オープンスペースを確保するということも、この土地の高いときになかなか困難である。住宅の面でも、いろいろ計画を立てましても非常に長い時間がかかる。町全体が地震に強くなるためには時間、金がかかる。これはこの法案の中で一番問題になる点だなというふうに私どもは考えておりますので、山本参考人にその点を重ねてですけれどもお答えをいただきたい。
 あわせて、これも知事として一番痛感していらっしゃることだと思いますし、中国の話も先ほど来聞きましたが、やはり国民の理解と協力なしには地震対策は成り立たないと思うのですね。中国はそれを非常に組織的にやっているということだと思いますが、国民の、県民の、都民のというような場合に、要するに具体的に言うと、その地域内の、公共団体はもちろんですけれども、企業からあるいは市民組織から、さまざまなあらゆる方々との事前の地震対策での協力関係、これは自衛隊の話もありましたけれども、自衛隊が来てくれれば安心だと言います前に、むしろ、十年先かもしれない地震に対して、自治体を中心にした地域内の各層との日常的な綿密な理解と打ち合わせと協力関係、これこそが最大の防災の力じゃないだろうかというふうに感じるわけでして、本当は法律の中で、国はこういうことを責任を持つ、自治体にこういうことをやってもらいたい、必要な金は出す、こういう形になれば一番理想的だなと思うのですけれども、それらの二点について、どうもちょっとこの法律ではさびしい感じがしておりますが、御意見を伺いたいと思います。
○山本参考人 私は就任以来実は五回の災害に際会したわけであります。三回が水害でありまして、地震が二回であります。
 しみじみ反省いたしましたことは、一体日本の都市、こんな都市をつくっていていいんだろうかということでございます。無際限に都市を広げてまいりますと、実は、地震に対応できない、地耐力の弱いところへどんどん家を建てていくということで、地震に対応できない欠陥があります。
 第二番目には、本来、水害を考えますと、たんぼであれば十五センチぐらいの水をためておいてくれるわけです。そこを全部コンクリートとアスファルトで埋めてしまうわけですから、これはもう日本全国の中小の都市河川の九割は、五十ミリ雨が降れば全部オーバーフローしてしまうということで、これが一体私たちの望む都市であろうかという問題であります。
 第三は、木造家屋だけつくっていく。そこに火災に対する防壁はないということになるのではないか。
 第四番目には、都市を広げれば広げるほどマイカーに対応して道路をつくらなければならぬ。ロンドンに参りましたときに、テムズ川にかかっている橋は九本にすぎません。安倍川に五本、天竜川に六本でありますが、さらに二本ずつふやしてほしい。朝、通勤のためだけにやっていくということを考えますと、個人の交通から再び公共交通機関に変わっていくべきではないだろうか。
 と同時に、都市というものは、もっとコンパクトにつくるべきじゃないか。ヨーロッパを見ましても、飛行機から見れば、パリやロンドンがあればあとはすぱっと切れて田園があって、また町がある。東京から大阪までマッチ箱みたいな家がのべつ幕なしに続いている。こんなあほな都市を実は私たちはつくってしまったということを考えていきますと、実は都市の問題につきましては、あらゆる災害を考えました場合、やはりいままで各党とも触れ得なかった、聖域であった地価という問題にいまや挑戦せざるを得ないときではないだろうか。地価に挑戦していく、それは相当大きな非難、あるいは既得権益の侵害にもなるかもしれません。しかし、日本のようなこういう国で将来に対応できるような都市をつくるためには、いままではタブーにしておりました地価の問題に積極的に挑戦していかざるを得ないんじゃないか。
 そして、日本だけが日照権が必要なのだろうか。個人的に日照権が必要でなしに、パブリックに、都市の中に至るところに公園あり、スポーツするところがあるという形のものをつくっていくべきであるし、それこそは実は本当の意味での内需の拡大になるんじゃないか。社会資本がこんなにおくれている日本で、GNPがダウンしていく、輸出ばかりがふえていく、こんなばかなことはないんではないだろうかというふうに実は考えているわけであります。
 そこで静岡でも、先ほど申し上げましたように、応急に対応するとすれば三千二、三百億、個人の耐震住宅の補強のために七百億ぐらいかかるだろう、合わせて、ごく大づかみでございまして、細かい試算はまだ私も点検してございませんが、四千億を要するという状況でありますから、東京の場合には大変な問題だ。そしてそれは一にかかってタブーとしておった地価の問題を政治は避けて通れないときが来たんではないだろうか、こういう考え方でございます。
 もう一つの問題は、国民的な理解と協力は絶対必要だ。東京都の場合には、実はそれが不可能だというところに問題があるんではないでしょうか。まるで砂のように、隣に住んでいる人とも口もきいたことがないというところに自主的な防災組織はできにくい。静岡県の場合には、実は起震車では震度六でもうこわがっちゃって動けなかった人たちが四十四名です。それが、過ぐる伊豆大島近海地震のときに、やけどをしてまで火をとめている。十二時二十何分かでありましたけれども、火災がついに一件も出なかったということは、国民の対応はすばらしい、末端の国民が時代の変化に対応しつつあるということを政治はまさしく信頼していくべきではないだろうか。私たちの方は、中国にも学びまして、各高等学校とかその他でそれぞれの体制をつくっていき、住民組織というものをこれからやっていこう、一年間机の上で検討いたしましたので、五十三年度からは、実は現場へおろしていって、自主防災組織というものをできるだけりっぱなものにつくり上げていきたい、住民の活力に期待できるというふうに考えている次第であります。
○渋沢委員 どうもありがとうございました。
○川崎委員長 広沢直樹君。
○広沢委員 参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。時間の関係もありますが、参考人の皆さんに二、三質問をいたしたいと思います。
 まず、浅田参考人にお伺いいたしたいと思いますが、過般も当委員会に萩原予知連絡会会長さんがお見えになりましていろいろ意見を承りました。その中で、予知については長期的と短期的に分けて、長期的には、どの地域でどの程度の地震が起きるかということについては、いろいろ過去の経験に照らしまして、同じ地域で同じような起こり方を繰り返してきているということから、この地域でこの程度の地震が将来起こり得るという可能性については大体見当がつくんだというお話をなさったやに記憶をいたしております。過去の例は、東海地方のみならずほとんど全国的に大体マグニチュード七以上の地震が起こっておりますね。したがって、大地震の可能性については、予知連としては、将来どの地域にどの程度の地震が起こり得るか、こういったことについては一応把握されていらっしゃるのかどうか、その点からお願いいたしたいと思います。
○浅田参考人 一番長期的なことは、いま萩原先生の言われた御意見でもはっきりすることは、たとえば南海地震とか東南海地震とかいうようなもので、これは歴史上何回も記録されております。それからもっと具体的に言えば、東南海地震が起これば、その次に三年以内に南海地震が起こるということも非常にはっきりわかっております。そういう意味で、太平洋岸の大地震はかなりよく把握されていると思います。ですから、たとえば東海地震が起これば、これが最後であろう、当分、当分と言っても百年とか二百年でございますけれども、もうほかにはないだろうというふうに考えられているわけです。ただし、詳しく言えば、たとえば房総沖で津波を起こす余震とか東北地方で大津波を起こす地震については別でございます。このものについては歴史上の記録も少ないし、観測設備などというものはほとんどゼロでございますから、そう把握できるというようなわけにはいきません。ただ、空白地帯などの起こりぐあいから何となく憶測をする程度にとどまっております。
 それから、内陸で大被害を生じるマグニチュード七以上の地震については、数百年に一遍とか千年に一遍とかの間隔、再帰時間と申しますけれども、起こるものですから、余り歴史に頼ることはできないわけです。ただし、新潟地震の起こったその場所には後もう数百年は起こらない、福井市には後数百年は地震は起こらない、そういうことは言うことはできますけれども、もういまから数百年前といいますと歴史を頼るわけにいきませんから、歴史に基づいてここに起こるということはちょっと言えないわけです。でありますから、くどいようでございますけれども、国土地理院の繰り返しの測量ということが内陸の地震については非常な頼みになるわけでございます。
○広沢委員 そこで、今度の法案の中にも強化地域の指定が行われ、その指定が行われた地域においては、強化計画だとかあるいは応急計画だとかいうのが順次立てられていく。その地域には万全の、一応可能な処置をとるという事前処置が具体化されると思うのですが、長期的な予知というものが全国的なところで確立されておりませんと、当該地域において強化地域指定をするにつきましても、これはやはり知事ないし市町村長の意見を聞いて申請して、それが行われるというかっこうになりますから、頼るところは予知連の長期的な予報、この地域がどうもこうだということになれば、その地域としては十分考えて、地域指定の申請といいますか、そういう関係も起こってくるのではないか、こう思われるわけですね。そういう意味におきましては、予知連として、なお全国的にどうしてもこれだけのことはやってもらわなければ、そういう上からも不足であると言われるような面がございましたら、ひとつ御指摘をいただけたらと思います。
○浅田参考人 ある程度の密度の測量の繰り返しということが、これはもう絶対に必要でございますので、完全に行われるようにしなければなりません。
 それから、地震観測は気象庁と大学関係でいたしておりますが、地震観測というものは非常に進んでおりますので、お金をかければどんどん新式になるというのが現状でございますので、これはなるべく新式のものにしたい。その二つはどうしても必要だと思います。
 あといろいろなことが必要でございますけれども……。
○広沢委員 それから鈴木参考人にも二、三お伺いしたいのですが、先ほど参考人の御意見では、技術的にはわが国と中国、ソ連、アメリカ、それとは大差ない、ほとんど同じ水準である、こうおっしゃっておられました。ところが、中国の状況を見ますと、予知に関しては、マグニチュード四とか五とか非常に低いところでも一応予知をしている、こういう状況が報道されております。中国に行かれた方はよく御存じでございましょう。ところが、今度の法案でも一応マグニチュード八程度を一つの基準として立てられているのでございまして、予知は、それ以下ということになると、まだまだ今後検討しなければならない、こういうふうに論議がなされております。
 ただ、マグニチュード八であろうとあるいはマグニチュード七であろうと、防災の上から言う、被害を未然に防除していかなければならないということになりますと、より確度の高い、そして、また八ではなくて、七とかあるいは六とか、その数字を下げていっていただかなくてはならない、こう思うわけでありますけれども、その点、一応マグニチュード八ならば予知は可能で、それ以下ではちょっといまのところはむずかしいと言われるところの説明をひとつお願いしたいと思います。
○鈴木参考人 マグニチュード八なら必ずできるかどうかという点に関しては、私は問題があると思います。ただ、現在東海沖でマグニチュード八の地震が起きるとしたら、恐らくは何らかの前兆現象が現在の体制ですらもつかまえられるであろうということは考えております。しかし、たとえば三陸沖にマグニチュード八が起きて、いまの体制でつかまるかというと、これはやはりつかまらないと思います。というのは、海の中はやっておりませんから。
 それと、前に浅田参考人が申しましたように、地震の予知の出方というのは、中国の例を見ましても、決して一定法則で一定のものが出てくるわけではございません。ある場合は非常に遠いところに妙なものが起きたり、近くても出なかったりということもございます。これは中国の科学者自身が地震一つ一つでみんな違っておるんだということを言っております。ですから、私どもがいま申し上げられることは、恐らく東海地方でマグニチュード八の地震が起きる場合、現在の観測体制が維持されている、そしてその異常のあらわれ方が、前兆のあらわれ方が非常に突拍子もないあらわれ方をしない限り、何とかなるのではないかということを申し上げているわけでございます。
 それでは、それと同じように、ほかの地域で七というのができるかというと、少なくとも現状では、非常に運がよければできます。しかし、運が悪ければできないというのが実情ではないか。小さい地震であっても、非常に運がよくて、たとえば観測がたまたまそこら辺に集まっていて、異常のあらわれ方が非常に典型的なあらわれ方をしたということがございますればつかまると思います。ただ、それは一つつかまったからと言って、決してほかを保証するわけにはまいりません。
 中国の話がございましたが、確かにマグニチュードの小さいのを予報した例がございますけれども、これはいつでもそのぐらいの地震をみんな予報しているのかというと、決してそうではございません。ですから、中国の場合でも、たまたま小さいのでうまく当たった例もあるということになると思います。日本でも、ある地域でかなり小さい地震を、たまたまかどうか知りませんが、ある程度予測した例はございます。
 ですから、これは一般論として申しますと、七がむずかしいということは事実でございますが、非常に運のいい場所で運のいいようなことがあれば、それは七でもつかまる可能性はなくはない、こういう状態が実情だと思います。
○広沢委員 そうしますと、技術面では、観測体制が充実しておれば、八じゃなくても、マグニチュード七でも一応予知できる、こういうことになるわけでございますね。それとも、技術的にこういう面がまだわからないから、予知することはむずかしい、こういうことになるのか、その点はいかがでございましょうか。
○鈴木参考人 純技術面だけから申しますと、陸上に七が起きれば、かなり観測点がたくさんあって、それから午前中から申し上げておりますように、ブレーンを持った人間、つまりマンパワーのことまで考えに入れた上で体制がきちんとしているということならば、将来可能であるというふうに私は思います。ただ、一つ一つ違いますので、運の悪い場合は見逃したり空振りをしたりすることは絶対ないとは申し上げませんけれども、平均的な意味で将来可能になり得るということだと思います。要するに、予知技術の面から申しますれば、そういうことであります。
○広沢委員 それから、これは浅田参考人か鈴木参考人のどちらかにお答えいただきたいと思うのですが、警戒態勢をしく場合でございますね、そういう場合には、マグニチュード幾らがどういう影響を与えてくるのかということは、国民は理解するのに苦しむのじゃないか。通常的に、報道等でもマグニチュード幾らというものに加えて震度幾らというようなことが言われておりますね。震度というのは、われわれ常識的に考えて、これだけの揺れだったら大変であろうとは個人的に判断がきくから、それに対する対応ができるんではないか。しかし、マグニチュードと言っても、マグニチュード八という大きなものがあったとしても、それが震源地との距離の関係だとか、いろいろな関係がありますから、震度は幾らであるとすぐ割り出すということは非常にむずかしいんじゃないか。震源地をつかまえる、あるいはその状況をつかまえなければむずかしいんじゃないか。その点の技術的な関係といいますか、予知連においてそういったことまで含めてお考えいただくような体制にはならぬのだろうかということでございますね。それは一応いま調査をしていただいている、あるいは観測地点を置いている、この中で起こった場合は、マグニチュード八についてはこれくらいの振れが起こってくるだろうということは一応おわかりになるんではなかろうかということでございます。その点、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木参考人 おっしゃるとおり、マグニチュードがわかりまして、それで震源からの距離がわかりますと、そこの平均震度は当然わかります。これはある統計式がございまして、たとえばマグニチュード幾つの場合には、震源からどれだけの距離では震度五とか震度六とか、そういうものは一応統計的に出てまいります。ただ、震度といいますのは、非常に微細な構造と申しますか、たとえば同じ町の中でも、もと川が流れていた旧川床の上であるとか、そういうことによって違いますから、ある種の幅はございますけれども、それはできます。そういたしますと、起こるべき地震の震源の位置はどこか、それの精度にかかわってくると思います。
 それで、現在東海地方などでは、たとえば起こるとしたらこの辺であろうというのをかなり細かく想定をしている人がございます。その想定が正しければ、いまおっしゃいましたように、それではどこどこの町では、どこどこの市では平均震度幾らぐらいであろうと言うことは、これは十分可能でございます。
○広沢委員 時間の関係で、山本参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどから、行政の長として非常に並々ならぬ御決意を含めての御意見を聞かせていただきました。
 そこで、御意見の中で中国の例をおとりになりまして、いわゆるマンパワーといいますか、国民の活力というものと結びつけていかなければならない、それは理解できるわけでありますが、なかなかいまの状況では、その点がわが国ではおくれているのではないか。そこで、行政の長として先頭に立っていらっしゃるところでは、小さなところでは、そのマンパワーといいますか、国民の活力といいますか、大衆のそういう力を具体的に行政にマッチさせていく上において、どういう手段をおとりになっているのか、これはやはり一つのモデルとなり、そしてまた、それがどんどん多く具体的に行われていかなければならない問題だと思われますので、その点が一つ。
 それから、自衛隊の出動の問題につきまして、決して治安出動の問題ではなくて、あくまでも災害的な意味を持った活動であるというお話がございました。災害が起こりそうだ、あるいは起こったというときに、要請があって出動していく場合には、それは任務が限定されて出ていくと思われるのでありますが、しかし、今回の場合の法案によりますと、事前出動になっておりますので、これは起こる以前の問題で、準備態勢ということになりますね。しかし、それも警戒宣言が出てから、総理から出動要請をして行く、こういう、いわゆる警戒宣言が出るというところはぎりぎりのところで出されていると思います。それ以前にやはり、そうなってから行って直ちに十分な活動ができるかというと、なかなかそうはいかない、日ごろからやはり訓練というものは行っていかなければならぬ、その度合いがどうなるかということは一つ問題があろうかと思うのですが、そういう意味においては、やはり治安出動的な意味にとられやしないかという疑念が起こってくるわけです。先ほどのお話では、知事さんの指示に従って動くということが明確になっておるからと、こういうことでございますが、日ごろの訓練と兼ね合わせて、その点の懸念をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、二点、お伺いしたいと思います。
○山本参考人 私たちは昨年の五月、地震対策課をつくりまして、現在までに情報、消防、物資、給水、医療、避難、交通体系あるいは建築物、危険物、学校等、これらについて細かい検討をしてまいったわけであります。そして、一応マクロでの被害想定ということも行ってきているわけです。これらを五十三年度からは各町村へおろしていきまして、具体的な対策というものに練り上げていこうというふうに考えているわけでございます。
 そういう中で、やはり地震の場合には、何よりも日本の場合、中国と違いまして、二次災害としての火災の問題が一番大きい。したがって、火災は、これは消防に依存しているわけにはいかない、地域住民がみずから消火をするというようなことも当然やっていかなければならぬわけです。
 そこで、中国に行って学びましたことは、県下の高等学校、義務教育等で、これは学者先生方に委員会をつくっていただいて顧問になっていただきますけれども、専門の高校や義務教育の先生方に十分に教育をしていただきまして、生徒みずからが実は簡単な観測器で観測してくる、それを全部報告してもらうというようなことも考えられる一つではないだろうか。それから第二に、たとえば、一番問題になりますのは、けが人が相当多いだろう、とても看護婦さんでは足りないだろうということでありますれば、いまの高校生の女子生徒に簡単な看護法というものを徹底的に訓練をしていく、こういうことをやりますと、それが父兄にもうつっていくということにもなってくるわけです。あらゆる知恵を出していけば、私は、住民は、ただ行政に依存するだけではなしに、自分たちのことは自分たちで守ろうということは、中国だからできて日本でできないということはないはずだというふうに考えまして、実はそういつか面についてはこれから徹底的に努力を重ねていってみたいと考えているわけであります。
 それから、第二に自衛隊の問題でございますけれども、伊豆地震の際に重大な問題になりましたのは、孤立部落の問題であります。こういったところを実は警戒をして、ともかく車が入れるようにだけしようということをやりましても、排土をいたしましてどこかへ落とすといっても、海の水を汚すとか下の住家をつぶしていく、そういうときに、まず応急で土のうを積まなければならぬのですが、これは建設業者にできないのです。自衛隊ですと、マンパワーでこれは一日か二日でたあっとつくってくれる、そこへ道路からどんどん機械で落としていく、それで警戒が早くできる。こういうような問題がございますので、私たちの方は、実は自衛隊が来ていただいたら、しかるべき県の運動場とかなんとかそういうところで待機しておいていただく、各地にも分散して待機しておいていただく。ところが、被害は全部私のもとへ集中してくるわけです。そこでその被害に基づいて、こうやっていただけませんかということをお願い申し上げようということでございます。
 この間の伊豆地震の余震情報の際にも、実は自衛隊に頼みまして飛行機で飛んでいただいて、そして伊豆が孤島になるおそれがありましたから、西海岸の道路の警戒を一番考えたのです。そこで、どこが傷んでいるかということをすぐに写真で県庁の上へ落っことしてくださいということと同時に、実は横須賀の上陸用舟艇を八そうスタンバイしていただきまして、そして神奈川の知事さんにお願い申し上げて、道路警戒に特に必要な機械はそちらで全部積んでもらう、静岡まで来て清水で積むなんという時間の余裕はないのですから。それで、二カ所つぶされればすぐ真ん中の仕事ができなくなる、それでどこへでも上陸用舟艇で上がれる、こういう態勢をとっていただかなければならぬ。
 ことに、実は情報が一番重要な問題でございますけれども、不幸にして無線の中継地点やその他がつぶれたという場合に、十時間上空を飛んでいる飛行機がありますが、これを通じて情報の伝達をやる、あるいは海上自衛隊の船に出ていただいて、それを中継基地にしていくというような対応もできるわけであります。
 自衛隊が事前に出ていただく、それは兵器なんかもちろん全く必要ないことで、実は建設その他の機械を持ってきていただかなければならぬことであります。そういう意味で、事前に派遣していただいたからといって、やたらに交通規制を自衛隊がやるというようなことはあり得ない、これは警察が当然やっていただく、そういうことに考えておりますので、それが治安出動になるというようなことは万あり得ないことだ、私の要請によって動いていただくべきものだ、こういうふうに考えております。
○広沢委員 それでは土屋参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどのお話では、今度の法案に予知情報のことで欠落しているのは、判定会が判定を下す以前にいろいろな問題の報道がいろいろ制約されていくようでは困るというお話でございまして、もっとそれがスムーズにというか、フランクに出ていける体制が必要ではないかという意味のお話をなさったと思いますが、やはりこういう緊迫した中で出される情報というのは、ある程度あいまいといいますか、一般的に、受けた情報をそのまま出すということがいいのか悪いのか、つまり、とりようによってはいかようにもとれるという情報が出ていきますと、かえって混乱を起こすのではないか、ある程度やはり事態を正確に伝えるというのがこれは報道の常識でございますから、その点がどうこうというわけではございませんけれども、その情報を信頼されるように一応整理して出すということは、これはぜひ必要なことではないか、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいのと、それから、やはりこういう情報化時代ですから、いろいろな情報が入ってくるのですが、こういう非常時の情報というものは一つのルートから決めて入って、そしてその一つのルートを通じて流すという形、これも整理されていないとまずいのでございましょうが、その点がどういうふうになっておるのか。風水害のときには電気が切れてしまう、ですからテレビとか電源につないだラジオとかいうものは使えなくなってしまう。したがってトランジスタラジオを用意しろ、特に台風常襲地帯なんかではそういうことが常識化されてきておりますが、やはりこういう混乱の中では、いわゆる報道機関を使って流れていく情報というのは、いわばそういった系統の方に重きが置かれざるを得ないのではないか、こう思われるわけです。その点、テレビ、ラジオ、こういうふうにございますけれども、先ほどのお話もありましたように、広報車ではとぎれとぎれになって混乱するおそれもある、ですから、やはり報道の任務というものは重大だというお話がございましたけれども、その点どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、御意見をお聞かせいただいて終わりにいたしたいと思います。
○土屋参考人 先ほども申し上げました東海沖についての判定会の発足前の状態というものについては、具体的な形としては、発表の仕方とか、どういうふうにやるかということが決まっているわけではございません。したがって、基本的にはこれはニュースの自由な取材の範疇に入るという形に、形の上ではなるわけでございます。しかしながら、もちろんこういう情報がその影響を考えないでただ出ていくというふうにはならないであろう、それから各報道機関はその出す報道の内容とその影響というものを、事の重大性から考えまして非常に慎重に考えていくことになるだろうと思います。
 現にこの問題が昨年、つまり四月の判定会発足の話が出てまいりましたころから、報道機関の中でも新聞協会の社会部長会等で、一体これをわれわれとしては、どういう扱いで、どういう形で報道していったらいいのだろうかというような議論もしてございます。その法案が出ましたので、今後どういう形でその情報がしかるべきところから出てくるのかということがわれわれの一つの判断の材料になるかと思いますけれども、私どもが先ほど申し上げましたのは、そういう判断をするためにも情報を秘匿されたのではわれわれとしては判断のしようもないわけでございますから、まずそういう状態について報道機関に対してはしっかり説明していただきたいということを私は申し上げたいわけであります。したがいまして、その後報道機関がそれをどう受けとめて、どういうふうにやっていくかということは、報道機関の責任とその判断の中で当然処理していくべきものだというふうに考えております。
 したがいまして、先ほども申し上げましたように、この種の情報というものが、いまの社会ですと情報漏れということがプラスの形でもあり得るわけでございまして、逆に間違った情報とかデマとかいうものが混乱を招くという心配もありますから、われわれとしてはできるだけ、先ほど先生がおっしゃったような正確な情報を的確に伝えたいというふうに考えておるところでございます。
 それからテレビとかラジオ等の使命につきましても、これは実際に、たとえば警戒宣言等が出ました場合には、具体的にはその発表後にどういう情報をどこで出しているか、いまの法案、それだけでございますと、総理大臣の責任で発表されるということになりますと、技術的な説明を含めて、具体的にいえば、官邸で発表されるのか、どなたが発表されるのかということによってやはり情報の流れがかなり変わってくると思います。私どもの考え方では、やはり情報が出どころによって違ったものであったり、あるいは違った解釈が生まれるようなことは避けなければならない、その情報は、やはりきちっとした位置づけと責任とを明確にしたものが一元的に出てくるということが望ましいと思っております。今後実際にこの法律が実施される段階で、先ほど申し上げましたような発表の形とか内容とかについては十分な詰めが必要であろうというふうに考えております。
○広沢委員 ありがとうございました。
○川崎委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 きょうは参考人の皆様方、ありがとうございます。御苦労さまです。早速諸先生方に幾つかお尋ねをさしていただきたいと思います。
 先に土屋参考人にお尋ねをいたします。
 いまもいろいろお話がございました。そして情報というものを、情報収集ということは、これは自由なものでないといけないし、同時にそれが自由に流れていくということはまた大変な心理的不安を引き起こすということにもなる、そういうわけで、管理された情報という構想、考え方も出てくるわけでございます。私の解釈では、管理された情報というのは、対策を同時に示した情報というものでなければならぬだろうし、そういう意味ならば大変重要だ、そうあってほしいというふうに思います。ただ、これは一般論で悪いのですけれども、関東大震災みたいな大災害が起こったというような事態を想定しますと、大震災のときには戒厳令だとかあるいは治安維持法の一部施行であるとか、いろいろな方法も講じられる。しかし今日の事態でそういうことが日本でできるかというと、できないのではなかろうか。それだけに情報というものが大変重要になってくる。そこでもし起こったらという想定で、中規模の災害、大規模の災害というようなことで、すでに何らかの想定された事態というものに対処するマスメディアム、報道機関のそういう責任というようなものをいままで検討してきておられますでしょうか、いかがでございましょう。ありましたら教えていただきたいと思います。
○土屋参考人 私どもとしては、この点については検討してまいりました。従来すでにあるものといたしましては、先ほども申し上げましたけれども、実際に地震が発生した時点で地震についての情報を気象庁からの情報によって流す。これを可及的速やかに流します。これも規模によって、放送中でありましても放送をすべて中断して流す場合、これは音声、映像ともに出す場合でございます。それからその規模によって、私どもテロップと申しておりますけれども、スーパーという形で画面の下に流すという場合とか、それから当然その後の情報は――放送というものは一過性でございますから、その後番組の切れ目とか、ふだんそこでニュース等々の出ていない時間にもう一度まとめて全体を出すとかというようなことを、いろいろな形で繰り返しやるということをやっております。それから津波警報につきましては、これは津波警報が出ますと、臨時ニュースと同じような扱いになります。同じように真夜中においても、そのときにどういうふうに対応するかということは、すべてこれは、どういう内容か、どういうやり方かということを含めてきちんと決めてございまして、いつでも対応できるという体制をとっております。
 今回の地震予知情報につきましては、そういうものが実はないわけでございます。したがって、これはこれからつくらなければならない。それだけにわれわれとしてはどういう形のものを――先ほども何遍も申し上げましたけれども、どういう発表のされ方をするのか、どういう内容になるのか、どういうルートになるかということをきちっと整理しませんと、この情報がきちっと伝わらないということになろうかと思います。それから、そのことは同時に行政なり防災を通ずる情報とも合ったものでなければならない。そこがばらばらであっては困る。そういう点がきちっとレベル合わせをされた上で情報というものは流れていくべきであろう。それから、先ほどもおっしゃっておられましたように、やはり行動基準とかマニュアルというようなものを含んだ情報でなければならない。単に一片の情報とそれから技術的な説明だけでは、なかなか聞いた方の国民大衆は満足しないでありましょうし、そのためにはやはりその補足的な行動基準を含めた情報というものを出していかなければならない。これは、いま私どもが考えておりますのは、幾つかの考え方を持っておりますけれども、基本的にはやはり早く正確に、そして繰り返し伝えるということだと思いますし、それからやはり情報を受け取る側の理解というものがきちっとしておりませんと、情報が理解されなければどんな情報を出してもだめだということがありますので、事前にその情報の内容とか情報の仕組みとか流れとかいうものを十分に受け取る側の住民なり国民に知らせておく必要があるだろうと考えております。
○渡辺(朗)委員 土屋参考人に重ねてお尋ねいたしますが、こう言っては大変失礼ですけれども、マスコミ界には情報の抜け駆けということもあろうと私は思います。それが自己規制的にいろいろマニュアルもつくられてコントロールされているとしても、たとえばこういうことがあり得るわけですね。予知情報が出された、次いでその地域の活断層の分布図はこうであるという補足的な説明が行われる。そうしますと、一般の市民層というのは活断層の分布図なんか余り見たことがありません。よくよく見たら自分の地域では家の下の方にそれがあるというようなことになりますと、それだけで不安感が大きくなる。こういうことを思いますと、マニュアルのつくり方というものは、政府とそれから放送界の双方で、何か協議してつくられるべきものなのか、あるいはマスコミ界の方が自分たちでいろいろ情報を持っていて、それで自主的に判断してつくられるべきものなのか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○土屋参考人 私が先ほどマニュアルと申し上げましたのは、NHKが放送機関として、気象業務法等もございますし、日常的につくり上げてきたものでございまして、これをつくる過程においては、当然気象庁とも十分な検討と協議をして決めております。
 それから、そういうものを報道界、たとえば新聞を含めてつくるかどうかということにつきましては、これは全く別の問題でございまして、本来報道機関というものは、それぞれ独自の判断と独自の編集方針に従って報道をすべきものでございますから、それに対してどうこうということを私が申し上げる立場にございません。ただ、そういう報道機関が事の重要性あるいは生命、財産に対する安全という配慮から独自に判断をして報道を差し控えるという例は、たとえば誘拐犯の事件についての取り決めというものもございますけれども、これとても基本は、捜査段階における詳しい状況を十分に説明をしてもらった上で、私ども報道機関が、これはやはり被害者の生命を守るために必要であると独自に判断をして取り決めていくという性質のものでございまして、いわゆる情報管理とかそういう統制的なものとは全く質の違うものであるということを申し上げておきます。
 管理された情報という言葉が先ほどから大分出ておるのでございますけれども、その意味はよくわかりませんが、私は、少なくとも情報というものは、そういう意味できちっと伝えられて、きちっと理解されることが何よりも必要であるということを前提に申し上げておきます。
○渡辺(朗)委員 この問題については、いまの御意見も踏まえまして、また災害対策特別委員会でいろいろ突っ込んで論議をしていきたいところだといま思っております。
 時間の関係で先に進ましていただきますが、浅田先生、鈴木先生、両先生にもう一言ずつで結構でございますから教えていただきたいと思うのです。
 専門家の両先生でございます。私どもは素人でございます。いま地震立法が行われており、この地震立法はマグニチュード八程度以上のものが対象になる、こういうふうに言われますと、たとえば直下型の地震であれば、しかも東京のように人口稠密の大都市、そういうところにマグニチュード八以下のものでも襲ってきたら大変な災害になるだろう。しかも東京なんかにしても、あるいは東海道メガロポリスの東海道沿線でもしかりでございますけれども、日本の動脈みたいな位置づけを持っている地域だと思うのです。金融機関にしろ産業にしろあるいは行政機関にしろ、全部集まっている。そこが大変な壊滅状態になってしまったら、日本が麻律するのじゃあるまいかというようなことの心配から、素人の感じとしては、いま一生懸命研究体制を整備しておられると思いますけれども、予知体制はあと何年ぐらいたったら、六とか七とか、そういうものまで間に合うのだろうか、それができるようになるだろうか。たとえばいまはできません、こう言われるとやはり不安なんで、いつごろになったらできるという、それこそ対案を、同時に見込みみたいなものも出していただかないと大変不安になりますので、そこら辺、一言でいいですから教えていただきたいと思います。
○浅田参考人 東京は首都圏として特別扱いになっておりますから、日本のほかのところよりはよいわけでございます。しかし東京の下町の地震については、たとえば東京都なども一生懸命になっていろいろな人を集めましていろいろやっておりますが、何年たったら予知ができるとはあえて申しません。見当がつくようになるかという問題、それは程度の問題でございまして、いまでも少しは見当がついているわけでございますね。ですから、私の個人の心証では、あれは内陸の地震であるから間遠であろう、そういう心証を持っているわけでございます。しかしそれでは心細いので、ただ何年ぐらいたったらちゃんとなるかということは難問中の難問でございまして、相手のあるものでございますからやはり――でも問題を遠く設定をしますと責任の範囲から出てしまいますので、二十年もたつと、よほどいまより進歩しているのではございませんでしょうか。
○鈴木参考人 これは将来のことでございまして、いろいろ条件がございます。それで、たとえばお金がどういうふうにふえていくのかというのも一番わかりやすい条件の一つでございます。これはいろいろ問題がございますが、人間の方はそう途端にふえるものではございませんので、ある程度予測がつくと思います。それで、たとえばお金は、仮に人間に応じたお金が出るということを仮定いたしまして、それからさらにいま日本でいろいろ抜けているところがございますが、その抜けているところをどこかの大学なり何なりが担当することができて、かつそれをやるような人間なりポストなりができたということを考えます。その上で、かつ有効なお金の出方がどんどんふえていったというふうに考えてまいりますと、恐らく私も十年とか二十年とかそのぐらいのけたはやはり見ていただかないと、これはお金を幾らふやしても、ポストを幾らふやしても、来年からできるということはあり得ないと思います。やはり十年、二十年といった単位でお考えいただかないとむずかしいのではなかろうかというのが感じでございます。
○渡辺(朗)委員 ちょっと心配になってまいりましたので、重ねてお聞きいたします。
 やはり地震学者はうんとふやして、専門家の方々にうんとたくさん出ていただかないと困ると思うのですが、概算でいいのですけれども、いま地震を専門にやっていらっしゃる学者の方々というのは、日本に何人ぐらいいらっしゃいますでしょう。そしてどうやったらそのような方々をふやしていけるのでしょうか。そういうようなところを本当に一言で結構ですから教えてください。
○浅田参考人 地震学会の会員は千人おりますけれども、専門にやっている人は二百人、三百人だと思います。地震をやる学生は、名古屋大学、京都大学、東京大学、東北大学、北大、大体ここだけにしかおりませんが、地震工学ではございません、地震学でございますね。東大の地球物理は二十人卒業生がおりますけれども、たとえば気象学も海洋学もありますので、恐らく地震の方は、固体地球物理というものの一つですが、その中でも毎年二、三人あるいは一人、二人という感じでございます。よその大学も大体そんなものではないかと思います。
○渡辺(朗)委員 じゃその問題はそこで終わらしていただいて、どうやったらそういう専門家がたくさんできるかは、あるいは行政の方の責任、政治の方の責任にもなってこようと思いますので……。
 次に、山本知事にお尋ねをいたします。
 最近中国へ行っていらっしゃいまして、大変精力的に中国の地震対策も調査研究してこられたわけでございますが、関連してお尋ねいたしますけれども、中国では、いつごろからそういう予知体制の整備を図って、どこが中心になってきたのでございましょうか。中国でもかなり整備された体制をとっていると私は聞いておりますけれども、最初から中心があったり何かしたのではあるまいと思いますが、組織のつくり方というようなプロセスも踏まえまして、そこら辺御存じのところがあったら教えていただきたいと思います。
○山本参考人 私よりも、浅田先生、鈴木先生ともに中国に行ってこられた方でありますから、専門家の方がお答えするのが本当だと思いますが、ただ、私が勉強してまいりました限りにおいては、一九六六年ケイ台の地震の直後に、周恩来総理が、地震は必ず前兆現象があり、努力すればその前兆現象は把握できるものである、したがって、予知して防災措置をとれば人命の損失は極度に軽減できる、国が挑戦すべき仕事であるということで、国家的な仕事として位置づけたということでございます。第一に、歴史的な文書二千六百巻を実は徹底的に検討した。さらに地方史五千六百種類を検討いたしまして、過去にありました千五百件の地震記録をまずつくったというようなことを聞いております。
 それと同時に、一九六六年から地震への挑戦が始まったようでございますが、国家地震局ができましたのが一九七一年だということでございます。そして、私たちの勉強した限りでは、七二年、圻多塘というところで、マグニチュード五・五、五・八の地震の予知にすでに成功いたしまして、一人の死傷者もなかったという実績を上げております。小さなあれでございますけれども。
 専門家の程度は違うかもしれませんが、現在国家地震局に約二千名くらい、そのうちの六割くらいは地震の専門家だというお話でありますし、あるいは地区、省、市全部で約一万名ということであります。それからアマチュアの観測隊が十五万名。これをたった十二年間でやっている。
 ともかくも、マグニチュード七程度の巨大地震については五つございますけれども、御承知の海城は、本震の十時間前、夜中の十二時ごろに技術者、科学者の結論が出まして、革命委員会は朝の七時か八時にこれを公表した。そして、夜の八時に地震に襲われたわけでありますが、被害、人命の損失は最小限度にとどめたということであります。唐山は失敗いたしましたけれども、その前の雲南省の竜陵では二十分前ということですから、空の大砲を撃つとか、いろいろ伝達手段に苦労されたようでありますけれども、これは成功した。それから四川省の松潘、雲南省の寧ランでも、四日前にそれぞれ予知に成功したということでございます。
 専門家というのはどの程度を専門家と言うのか私にはわかりませんけれども、しかし、政治が油断をして、そして専門家がフルに国の仕事としてこれに挑戦する、学者や専門家の意見を十分反映したそういう組織をつくれば、中国でできることが日本でできないはずはないと考えることは、そう不当ではないのではないだろうか。もちろん、地質構造がむずかしいとかいろいろな事情がございましょうけれども、観測機器やそういったものではこっちの方が進んでいることも間違いないわけでありますし、これに国家的に挑戦していただくべきものだと思います。
 私が先ほど来、ことしの予算四十二億を百億くらいにして、五年間で六、七百億ということを申し上げましたのは、これは東海地震というだけじゃないのです。全国にそういうものを張っていただければ、実は予知という可能性と接近できるのではないか。予知は当たる当たらないではない、予知は当てるべき最善の努力をしなければならぬ、こういう考え方を持つべきだというのが私の考え方でございます。
○渡辺(朗)委員 そういう観点から、非常に情熱を込めて予知体制の一元化を知事が唱えていらっしゃるお気持ちは、よくわかります。
 ただ、そこでお聞きしたいのですが、各官庁に分かれているいまの予知体制は、日本の場合一本化というものとはまだまだほど遠い。あるいは自動観測機器を山の上の方に設置しようと思っても、環境庁の方に持っていけば六カ月かかるなんという事態もあるやに聞いております。ただし、そういうことを一元化に持っていくプロセスとして、コーディネーション、横の連絡調整をやるということで何とか間に合うものでしょうか。知事が一元化ということを非常に強く言われるのは、やはりコーディネートではない何かが必要だからだと思うのですけれども、それは何でしょうか。
○山本参考人 先生方の非公式な御意見を伺いますと、一元化は絶対に必要であるというお考えを持っておられるように私は聞いております。ただ、先生方が一番恐れられるのは、事務官僚で支配されてしまって動きがつかないようになる、これでは死んでしまうということを恐れるわけでありますから、こういう国家的な事業に挑戦するわけですから、その先生方の意見を十分反映するようなフレキシブルな、そして相当権威づけたものにして、しかも大学は研究機関でありますから、これの方も予算を増額すると同時に、これを横に結びつけていくという形をとっていくべきだ、こういうように判断をいたしておったわけでありますが、中国へ参りますと、中国は、幾つにも分かれておったものを国家地震局に統合してしまって、国務院に直属している。そして、科学院に結びつきますところの各試験研究機関と国家地震局と、横の連絡がぴしゃっととれている。地震予知工学といいますか、そういう形で集中して取り組んでいくべきものだというふうに、中国を見てその考え方を強くいたしましたし、同行の先生もそういったお考えでございました。
○渡辺(朗)委員 時間が参りましたので、まだまだお聞きしたいと思いますが、これにてやめさせていただきます。ありがとうございました。
○川崎委員長 津川武一君。
○津川委員 大規模の地震に対して、このままでいいとは私たちも思っていない、どうにかしなければならないと思っております。この中で、観測、研究、予知、こういう体制が何よりも必要になってまいると思います。今度提出された法案を見てみましても、第三十三条で「(科学技術の振興等)」「国は、地震の発生を予知するため、地震に関する観測及び測量のための施設及び設備の整備に努めるとともに、地震の発生の予知に資する科学技術の振興を図るため、研究体制の整備、研究の推進及びその成果の普及に努めなければならない。」と書いておりますが、この点で、きょうは予知だけにしぼってお伺いいたします。
 浅田先生は東京においでになるので、これからわからなくなれば直接お邪魔して教えていただくとして、鈴木先生はきょう仙台からおいでになって、なかなかお目にかかる機会もないので、鈴木先生に少ししぼってお伺いしてみたいと思っておるのです。
 第一の問題は、昭和五十一年十二月十七日に、測地学審議会会長永田武さんの名前で「第三次地震予知計画の再度一部見直しについて」というのが建議されております。お持ちになっておればちょうどよかったのですが、八十ページです。そこの真ん中あたりから「上記の計画の実施に伴い、地震予知研究は着実に進展し、長期的予知、短期的予知の手法についてもかなりの見通しが得られるに至りましたが、」、その次が問題なんです。「目標とする実用化達成のためには、必要な観測・研究を更に強化するとともに、これを推進する体制をより積極的に整備することが急務であります。」こういうことでございますが、予知の手法はかなり見通しが得られたが、実用化達成のためにはまだ無理だというのでございましょうか。そこいらの御見解。
○鈴木参考人 この時点で建議を出しましたけれども、実用化という言葉の内容がいろいろむずかしいわけでございます。実用化というのは先ほどの場所とか時間とか大きさの問題でございますが、恐らくそれが常識に一致したような、たとえば日本じゅうのどこかでは絶対困るというわけでございましょう、恐らく何々県の東部とか西部とか、その程度のことを言ってもらわないと困るということになると思います。それから、時間でも、向こう三十年の間のいつかというのでは余り実用的でなかろうと思います。そういったことを私どもなりの常識で考えますと、現在のところ、実用的なものは無理であるというふうに判断したわけでございます。
○津川委員 建議されてから一年四カ月ぐらいたっておりますが、その実用化のところはかなり進んだのでございますか。大体同じところにあるのですか。進まなければならぬはずですが。
○鈴木参考人 進んだことは間違いございません。しかし、先ほど申し上げましたような意味での実用化、たとえば何々県の東部とか西部とかで、たとえば向こう三カ月以内というようなことを言ったといたしますと、その点でできるかと申しますと、現在のところ、地震予知技術としてはまだそこまではいっていないというのが私の考えでございます。
○津川委員 もう一つ、その点で私も多少心配なのは、今度は八十五ページでございます。「短期的予知のための観測の推進」、ここでは「短期的予知は、社会的にも極めて強く要請されているところであり、これにこたえるためにも、諸観測のデータを一カ所に集中して総合的に監視し得る業務観測データ処理システムを早急に確立することが望まれる。」、ここでございますが、「早急に確立することが望まれる。」とあり、私は字句をとらえるわけではないのですが、この時点ではまだ確立されていないと解釈してよろしいのではないでしょうか。というのは、今度のこの法案が、本当ならば、観測予知体制の整備特別措置法とでも言うべきものになったならば非常によかったのじゃないかなというような考え方で、これを早急に専門の先生方に解決していただいていかなければならぬということが私たちの気持ちなんで、ここで「早急に確立することが望まれる。」という、言葉じりはとらえませんが、この時点ではまだ確立されていないと解釈してよろしいのでございましょうか。
○鈴木参考人 この時点では確立されておりません。これは事実でございます。
○津川委員 一年四カ月後のいまの体制は。
○鈴木参考人 ただ、確立されていないと申しますが、たとえば長期的なものでございますと、測量は計画どおりやりましても五年に一回でございます。ですから、同じ区域を限りますと、五年に一回出てまいりますから、これは常時集めてみても本来しようのないもので、その後一年何カ月たちまして、たとえば現在判定会あるいは気象庁に、大学とかあるいはそういったような種類のところから、テレメーターで短期的なものに必要と思われるデータを集めるということが、まだ完全ではございませんが、かなり行われてきつつあります。
○津川委員 先ほど静岡県の知事の山本さんが、中期でも三千億円ぐらい欲しいというお話があったのですが、短期になりますと、私たちは、そのとき予知されたのでは意味がない。それで一時間前、二時間前、三時間前でもそれぞれの意味はあるでしょうけれども、やはりある程度まで、予報のために行うとすれば、二日とか三日前に欲しい。そこらあたりの予知の時間が前もって欲しい。ところが、今度は十日になってくると、その間の負担が大変なのでこれも困るのです。そこで的確な予知の情報というのを、これはお願いする方が無理なんだけれども、そこいらのところがかなり際立ってきたわけです。空振りの話が出たわけですが、空振りでもある程度まであればいいのですが、空振りよりも見逃しの方がこわいんで、見逃しがないように。そうでないと、行政としてはやっぱり実用化に役立たない。長くてもだめだし、余り直前でも困るし、見逃しも困るしということなので、そこで「確立することが望まれる。」と書いたのを聞いたわけです。
 その次。「しかしながら、地震予知研究は、急速な進展を見せている」、これはいいです。非常に助かります。「見せているとはいえ、現段階においては、まだ単に諸データを一カ所に集中して計器板を監視していれば予知ができるような定量的法則が確立しているわけではなく、」、定量的法則、ここいらのことを、「確立しているわけではなく、」このとおりそのときは思っておられたのでしょうが、いまはどうなっているか、これの内容を少し教えていただきたいのでございます。
○鈴木参考人 定量的法則は現在でも確立したとは言えないと思います。と申しますのは、たとえばある異常が起きた場合に、果たして何時間後にあるいは何日後に地震が起きるのか、定量的な法則というのはつまりそういうことだと思います。ですから、そういったものは現在でも確立しているわけではございません。このためには、やはりいろいろな地域におけるいろいろな経験を積み重ねていかなければいけないと思います。私ども、もちろん、日本だけではなくてアメリカの例、ソ連の例、中国の例、全部事前のことをいろいろ勉強いたしております。しかし、現在のところ、どこでもいつでも当てはまるような法則性というのはなかなかむずかしいようでございます。したがいまして、ある場合から次の場合にまたかなり違ってくる、ある場所から次の場所にいくとまた違ってくるというような傾向もございます。日本の場合には特に経験がわりあい少のうございます。
 先ほど中国のお話がございましたが、雲南省では一九六六年にかなり早く大衆観測等の整備をいたしましたけれども、それ以来マグニチュード六以上の地震を十回経験しております。この経験というのはわれわれよりかなりすぐれているわけでございます。そういうことがあってもなおかつ一般的法則というのは確立していないという状態でございますので、私どもとしても、これから先いろいろ経験を積んでいけばおいおいにそういったものができてくると思いますが、ある時期にぽこんとできるものではなかろうというふうに考えております。ですから、この時点と現在と比べますとやや進歩したことは間違いございませんが、それでは常識的な意味における定量的判断ができるかというと、現在のところはまだできない。特に、ここにも書いてございますように、だれでもいいですからアルバイトの人を雇って、メーターを置いておいて、このメーターがこういうふうに振れたらさあ出しなさいということには、全然まだ至っていないというのが実情だと思います。
○津川委員 その次が、また続いていきますが、「これに到達するためには、」、つまり定量的法則確立に到達するためには「更に高度の研究を積み重ねなければならない。」、「高度」という言葉に私も心配になってきたわけなんです。というのは、この法律で、前提として警戒宣言が発動されるそういう学的根拠があるならば国民は安心できるが、もし学的根拠がないのを、行政が先になって、警戒の方の防災が先だといって、国民にもう防災の予知ができるのだという感じを与えると、その方が被害が大きいのじゃないか。そこで、国民にいまの学的、予知的現状をお知らせ願うという形で質問を繰り返しているわけですが、ここで、普通の研究でなく高度の研究を積み重ねなければならない、こういう意味合いというのは、中身を少しお話しいただいて、私たちまた、行政として、政府にこれを要求する立場の材料にもさせていただきたいと思っているわけであります。
○鈴木参考人 まず、いま予知ができるかできないかということで、予知がまるっきりできもしないのに、こういう法律をつくってもしようがないという意見があるいはどこかにあるのかもしれませんけれども、私どもの感じでは、少なくとも東海地域でマグニチュード八ぐらいのものが起きるであろうという場合には、何ら前兆現象があるであろうと考えているわけであります。これはもちろん、非常に運の悪い場合には、観測に前兆が余りうまくひっかからなかったり何かして、見逃すということもあるかもしれません。しかし、恐らく常識的に考えれば、多くの場合、その程度のものであったら、現在の東海のもの、あるいはこれから計画しております東海の観測というようなものを続けていくならば、そういうものはひっかかる確率が相当大きいだろうと思っているわけです。そういたしますと、そういうものがもしもひっかかった場合に、だれが見てもこれはおかしいということが起きた場合に、対策なり何なりが何も準備されておりませんと、これは大変なことになります。ある方のお説に、全然対策がなしに予知をするということは予知をしないより悪い、ということを言われた方がございますが、まさにそういうことになると思います。そういたしますと、やはり予知が可能であろう、あるいは可能になった場合のことを考えて、いろいろ対策というものを考えておく必要は十分あるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから第二番目の「高度」という言葉の内容でございますが、これは多少抽象的な意味なんでございますが、いままでの研究が高度でなかったわけではないのでございますけれども、要するに、たとえば地震の前兆現象のあらわれ方というのは、いろいろケース・バイ・ケース、違ったりしておりますので、やはりそういったものに対してのもっときめの細かい観測なり、きめの細かい研究というのは必要だろうと思いますし、それから、われわれ地震予知理論と言っておりますが、あることが起きたらどういう前兆が理論的には期待されるのか、それはどのぐらいの大きさのものが期待されるのか、そういったような種類のことをやりますためには、たとえば室内実験、直接観測とかなんとかということじゃなくて、室内実験であるとかそういった種類のものも積み重ねてまいりませんと、出てこないわけでございます。一時有名になりましたショルツ理論なんというのは、それへの試みの一つとお考えいただいてよろしいと思います。そういう意味で、高度というのはさらにきめが細かく、しかも直接、あるいは素人の方がごらんになって、地震の観測もしないで実験室で何かやっておる、あれは一体どういうことになるのだというようなことであっても、やはり進めていく必要があるのではないか、そういうような意味合いを含めてここでは言っていると思います。特にこの見直し建議あるいは再度見直し建議等では、基礎研究の重要性ということをうたっておりますが、それと関連いたしまして「高度」というふうな言葉を使ったというふうに記憶いたしております。
○津川委員 そこで、私たちがまた政府に要求をしなければならぬ、たださなければならぬ問題は八十二ページです。
 地震予知観測の強化及びその体制の整備に対して、皆さんがかなりの建議をされておられます。この中の「全国の基本的観測の推進」「特定地域の観測の拡充強化」、この二項目の中の(ア)で「東京及びその周辺地域における微小地活動検知のための観測用深井戸は、既に埼玉県岩槻市に設置され、現在連続観測が行なわれているが、千葉県西部及び東京都西部についても既定計画通り早急に設置を進め、」などとなってくると、計画があるけれども進めていないんじゃないか。「テレメーター化とデータの自動処理化を行うことが必要である。各井とも地下数千メートルの苛酷な条件下に観測装置が設置されていることにかんがみ、その維持運営と設備の更新に、特別な配慮を行うこと。」ここいらがどうなっておるか。実態がどうなっておられるか。あるいは仙台においでになってわからなかったら、これを浅田先生でも結構ですが、ひとつ二項目のところで……。
 それから今度は、(イ)として「地殻活構造の調査研究」、その次3として「観測強化地域」、この中で「特に東海地域については、地震予知の実用化への基盤を築く重要な観測の場として、次の要領により観測の拡充強化に努めるものとする。」、以下、(1)「長期的予知のため拡充強化すべき観測」、それから幾つかある中で、(2)先ほど話した「短期的予知のための観測の推進」などということがたくさんありますが、この東京都のこと、それから東海のまだやられてないことに対して先生方の建議があったわけです。これに対して、先ほど先生は、技術と予報は別問題だという話をされて、人をふやしても急にというわけにもいきませんが、これはやはり整備することがいま当面必要になっておりますので、この東海地域と関東についての実情を、ここに盛られていることを話していただいて、これに対する先生方の研究陣営の人とか施設だとか、お金なんかに対する気持ち、要求などあったら聞かしていただいて、私、質問を終わりたいと思っております。お願いします。
○鈴木参考人 まず関東地方のことでございますが、これは御指摘のように科学技術庁防災センターが担当しておりますが、一応私の知っております事情を申し上げます。
 この時点では、確かに岩槻の一つの井戸しか掘られておりません。その後この建議が出た後で、さらにもう一本掘られまして、たしかあと一本を残すのみだと思います。ですから、一応そういうものが着々として行われつつありますし、テレメーター化も行われつつあります。それから自動処理のための計算機等も考慮されているようでございます。
 それから東海地域でございますが、これもやはり、この時点から比べますと相当拡充されております。これは大学も含めましていろいろと施設設備等が拡充されております。ただ、それで十分であるかというと、まだ不十分なところがございますので、やはり依然として概算要求等を続けておりますし、恐らく今後また新たな建議が出ると思いますけれども、その場合にもいろいろなことが盛られると思います。ですから、一応その建議でうたわれましたことが全然ほうり出されているわけでは決してございません。それが果たして十分であるかどうかということになると、一部はいいかもしれませんが、一部は十分でないような面もございますし、それから人間の面は、先ほどから申し上げておりますが、こういう一朝一夕にできることではございませんので、人間のマンパワーと見比べながらいろいろなことをやっていくということで、一応前進をしていることは事実でございます。
○津川委員 あと、学問的なことを今度浅田先生のところへお伺いにいきますから、ひとつよろしくお願いします。
 最後に、非常に失礼なことですが、先生方学者にお伺いするのはどうかと思ったのですが、例の関東震災のときのデマです。それからいろいろな警察や軍隊の発動で大変な状態ができまして、今度も自衛隊の、治安出動じゃないのですが、出動が出てきたりしますので、自衛隊のこういうことに対する出動などということ、関東大震災の御経験でどうお考えになっているか。自衛隊の出動はいいと思いますか。そこいらあたり、主として関東大震災に対する先生方のお気持ちなんかあられたら、ひとつ話していただければありがたいと思っております。
○鈴木参考人 関東大震災のことは私は本で読んだだけで、私ちょうど生まれたばかりでございますので、あと、うちが東京にございましたので、父親、母親から聞いたこと等を取りまぜての感じでございます。
 当時確かにデマ騒ぎがいろいろありまして、いろいろな悲惨な状態があったことは事実でございますが、ただ、これは一つは情報というものが非常に、それこそきちんとしたルートを通っていなかったように思われます。私の両親なんか言っておりましたところでは、たとえば警察その他を通じてそういう話が来た。それはどこから出て、どうなったのかわかりませんが、もしもそういうようなことが今後も行われるとしたら、これは大変なことになると思います。つまり、公共の機関を通じてデマが流れるのじゃこれはどだい処置ないと思うのでございます。ですから、管理という言葉は強過ぎるのかもしれませんが、情報の流し方、内容というものに関してはよほど気をつけないと、これは不測の事態が起こり得るというふうに思われます。
 それから次に自衛隊問題でございますが、私はよくわかりませんけれども、現在災害等のあれを見ますと、やはり災害の復旧であるとかあるいは事前の問題で、日本でそういう点で一番強力にやれるのは何かというと、やはりこれはよかれあしかれ自衛隊だという事実は認めざるを得ないのだろうと思います。ですから問題は、それがその他の地震以外の治安出動とかなんとかというようなお話がございますけれども、そういったものの歯どめがどういうふうにされて、これがいかなる政府ができましても、相当乱暴な政府ができても、そういうことが起きないというようなことをきちんとする必要が恐らくあるのかもしれませんけれども、そうかといって、先ほど県知事さんがおっしゃいましたように、自衛隊が災害対策面である種の効果を持っているということは、やはり現状では否めない事実なんじゃないかと思うのでございます。自衛隊、本来御反対の党もあるように伺っておりますけれども、現状では、少なくともいますぐということになると、そういった歯どめをかけた上で対策の面で活用していくというのがいいのではないかというのが個人的な見解でございます。
○津川委員 どうもありがとうございました。見当外れなことまでお尋ねして済みませんでした。
 終わります。
○川崎委員長 永原稔君。
○永原委員 参考人の方にはお疲れですが、あと二十分ほどですので、御勘弁いただきたいと思います。
 浅田先生、鈴木先生に伺いますが、いま、予知の器具の整備、施設の整備状況は非常に進展してきているようなお話がございました。ここに提案されています法案は、まさに世界的に画期的な法案だと思うのです。ここで、強化地域を指定して防災対策を強化するようなことが書かれていますけれども、今年度の予算はもう固まってしまった。これからの問題として五十四年度の概算要求でこなしていくというような考えが当局から述べられておりますけれども、これだけの法案を用意して新たな措置を講じようとするときに、学者の皆様方がごらんになって、予備費を補充してでも緊急に整備しなければならない、こう思われるような施設があるでしょうか。
○浅田参考人 予備費を使うというようなことの意義について私は何も存じません。どれぐらい大変なことなのか、あるいはそうでないのかということも存じませんが、たとえば非常に具体的に言えば、気象庁なら気象庁で容積変化計を何本か植えつけようと思っていると思います。役所としてその数は常識的な数なんだろうと思うのです。そういうことに多少の非常識が行われても、これは不思議はない、あるいはもう少しその数はふやしてもいいのではないかと思うのです。これまた私は役所の組織についてよく存じませんが、ちゃんと概算要求というものを出して、幾つ入れる、こうやっておるわけですね。それはこれまでの習慣に従って常識的な伸びを示しているわけですが、もしそういうことが何か奇想天外な方法で、いや、もう大事だからあと三割ふやすとか倍にするとか、もしそういうことができるのなら、私たちはそれに反対する気は毛頭ございません。非常に望ましいことだと思うのです。ただ、私がそういうことを言うことについて、いろいろな機構について何も知らないものですから、どういうことがどういうふうになるかということはわかりません。
○永原委員 私も当局の積極的な姿勢を求めてそういうことを言ったのですけれども、こういうようなものについて不足するものがあったならば、本当に早急に整備しなければならないと思います。そういう点について御意見があればということで伺ったのですが、いまのお話で、また次に移ります。
 先ほどPRのことについてお話が出ました。もっぱら土屋参考人の方に集中したわけですけれども、これはいまお話が出ましたように、起これば不測の事態に立ち至るわけですね。そういうようなときに、平常の状態のPRの仕方をしていたならば非常に大きな混乱が起こると思うのです。これは強化地域の指定についても公表していかなければなりませんし、強化地域になったということになると、それで産業的に、あるいは住民に心理的に影響するところがかなり大きい、また警戒宣言をするとなると、これまた影響するところが大きいので、こういうものについて当局はどういうように考えるかということに対して、マニュアルをつくる、そして統一を図るというようなお答えがきのうあったのです。しかし、そういうことだけで解決するかなということを懸念されまして、知事は管理情報というようなことをおっしゃいました。本当にあのマグニチュード七ぐらいの地震で混乱に陥った伊豆の災害を体験していらっしゃいますので、こういう点について体験された知事の立場でもう一度どうお考えになるかお聞かせいただきたいと思います。
○山本参考人 土屋参考人には大変申しわけないのでございますけれども、伊豆地震のときの体験を通じて申し上げます。
 被災地でありました東伊豆町、河津町の町長さんは、県から各種の新聞、テレビ、そして中央からもまた新聞、その応接にいとまがない、本来の災害対策ができない、こういう実情であったということも事実なんです。それから県の場合にも、災害対策本部をつくりますと、ひっきりなしに新聞社の方が来られる。それに応接しておって、一体何を考えるのだというような体制ができない、こういう状況でございます。それは、何といっても新聞社は、何よりも早くということが最大の条件になっておりますから、そこで私たちの方では、管理された情報でなければいけない。東海地震等を考えますと、実は県といたしましては、情報をそれぞれの出先から受けるチーム、班、それから今度は、それをそしゃくして、参謀部のように、そういうチームを一つつくる、それから記者クラブに対して発表するチームをつくる。それは常に同じ情報が伝わっているという形でありませんと、実際上まいってしまうという問題があるわけであります。
 それから、実は余震情報を出したためにパニックを起こしましたけれども、その体験を通じて言いますと、何といっても、対応策なしに情報を出すということについては、地域住民の不安感というものを考えますと、私は疑問を呈せざるを得ない。自衛隊の事前派遣まで考えるという状況でございますから、情報の自由というのは憲法で保障されていることかもしれませんし、また新聞はそういった立場で考えられるのも無理からぬことでございますけれども、その住民の不安感、不安感に基づく災害ということを考えますと、ある程度管理された情報でなければならぬという点を私は考えるわけであります。
 具体的な例を申し上げますと、狩野川にシアンが流れました。かなりよくなってきたのです。それで、県の方にあるテレビ会社が来て、写したいというわけです。シアンのよくなったところを見せると、こんなものではテレビにならないといって悪いところだけ写す、こういうことが事実現場ではあるのです。ですから、そういったことがかえって不安感を生ずるということにもなってくるわけであります。私たちは自分たちの失敗を隠そうとは思いません。たとえば狩野川の際に、沼津市で海のシアンの調査をやっておりまして、これは法的にはネグレクトしていいような、許容基準以下なんです。しかし検出されたことは事実なんです。しかし法的には基準以下ですから、シアンは検出されずと言っていいことでありますが、それをたまたま新聞社が書いた。もう神戸では、伊豆の魚はお断り、こうこられてしまうのです。こういう状況でございますから、私はそういった点を考えても、実は管理された情報でなければならぬ。私の方は、そういった調査の発表はやめてほしいということを沼津市に申しましたが、同時に県といたしましては、シアンが一体どの程度ふえてくれば魚が死ぬか、溶出試験と生物試験と、SSでどう死ぬかというのは、新聞社が気がつかないような別な個所で徹底的な調査をやっておる。そういうことを実はやっておったわけでありますけれども、こういった点でも、私は体験を通じて、私たちは、マスコミによる批判を受けて立たなければならぬ立場ではございますけれども、非常な非常な事態でございますし、その与える影響の大きさということ、一遍取り上げられると魚が売れないという事態も当分の間当然あり得るのです。そういったことを考えましても、私たちの体験を通じては、ある程度管理された情報という形でなければならぬ。これは地域住民の生命なり、産業なりというものをあずかる立場においては、そう申し上げる以外にない、こういうように考えております。
○永原委員 知事がおっしゃるように、やはりこの情報の流れ方というのが非常にたくさんあります。たとえばマスコミにしても、テレビあるいはラジオ、NHKさんだけではなくて、民放もたくさんありますし、そういう人たちが集中してきている状況、私も拝見しました。週刊誌なども非常に興味を持って書く、そういう取材が非常に多い。それが口コミで今度は変なふうに伝わっていくという実態がありますので、やはりこういう不測の事態に対応したPRのあり方というのは、知事の言われたように、ある程度管理されたと言うと言葉が強いと土屋先生おっしゃいましたけれども、そういう事態ですからやむを得ないのじゃないかなという気がしてお聞きしたわけです。実際に体験された知事ですので、こういうような情勢にあるということを私もよくわきまえて、また当局に迫りたいと思います。
 それから、知事は行政を担当していらっしゃいますので、行政的にこの法律案でどうだろうかと感ずる点を一、二伺いますが、先ほど法案が大体八十点ぐらい、こういうようにおっしゃいました。知事会でおつくりになった法案の要綱、これと比較してみて少し退歩しているところが私も感ぜられるのです。というのは、たとえば強化地域で、防災を強化する地域、そういうように書かれておりますけれども、それでは一体どういう事業をやるのか。防災について特別に財政措置をするのか、あるいはこれは市町村のいろいろな了解工作などについてもそうですけれども、そういうようなものについて非常に緩やかになってきているし、また規定も抜けてしまっている、こういうようなところについて、知事はどういうようにお考えになりますか。
○山本参考人 先ほど申し上げました、私たちが試算しただけでございますから、責任ある数字としてはもっと詰めるつもりでございますが、三千二百八十億の事業を国に特別に認めていただくといたしましても、国の負担すべきものは二百三十七億、県の負担すべきものが千二百億、市町村の負担すべきものが千六百億、こういうことになるわけでありますから、これは市町村がとうてい対応できるわけがないということでございます。したがって、通常の業務を全部ストップしても、実はできないような状況でございますから、これに対しましては、今回はこの立法が予算関連法案ということになりますとできないということがございますけれども、予算の範囲内ではなしに、国が直接果たすべき役割りということをお考えになっていただきましたら、次の国会におきましては、あるいは附帯条件をつけていただいたり、修正条項をつけていただいたりすることによって、国の責任、役割り、そうして国の負担ということを明確にしていただきたいということが、実は重大な問題になるというふうに考えております。
○永原委員 財政に通じている知事でいらっしゃるのであれでしょうけれども、たとえば激甚災、激特というような事業があります。こういうものは集中的な投資が行われる。地方負担については、起債の充当率が九五%までいく、こういうような措置が別になされていますので、やはりこういう対策として道をお考えになるということは、これは各省と折衝の中で解決するかもしれませんので、そういう点もお含みになった方がいいのではないかと思います。
 強化地域の指定を受けた場合に、先ほど言いましたように、産業的にもあるいは住民の心理的にも影響するところが大きい。そういう中で、建築基準法の改正などは考えられていないようですけれども、あるいはこれは建築基準法だけではなくて、老朽小中学校も、これは減点制四千五百点ということで改築予算がつくというようなところですが、あの南海地震のときに小学校がつぶれて、三人ぐらい子供が死んだ、こういうような状況を見ますと、強化地域について、やはりこういう点相当めんどうを見てもらう必要があるのではないかという気がするのですが、何かそういうことについて対策をお考えになっていらっしゃるかどうか。
○山本参考人 たとえば、学校の耐震不燃化という問題をとりましただけでも千七十四億でありますが、そのうち国の負担すべきものは六十六億、県が九十七億、市町村が七百六十六億になる、こういう状況でございますから、それは同時に、児童だけではなしに、そこが避難場所にもなってくるわけです。福祉施設や病人を収容しておくというところにもなるということを考えますと、単に起債ではなしに、そういった強化地域に指定されて、もう数年後には確保しなければならぬという事態においては、特別な国の助成というものが当然なさるべきものだ、ぜひ国会の先生方のお力でそういった対応策を講じていただきたいというようにお願い申し上げたい次第であります。
○永原委員 東海地区と一言で覆いますけれども、県別にすると五県くらいにわたるのではないか、こういうように昨日も伺いました。いろいろ強化計画あるいは応急計画、地震防災訓練、こういうものも県境を越えて整合性を持ったものがつくられなければならないと思います。そういう点について欠けるような気がするのですけれども、知事はどういうようにお考えでしょうか、よく連絡がとれているでしょうか。
○山本参考人 これは私たち知事会といたしましては、静岡県がモデルになりまして一つのものをつくりましたら、他の県とお互いに提携してやっていこう。ですから、今度の中国の視察団にも愛知県、神奈川県にも加入していただいているわけであります。
 いずれにいたしましても、非常に激甚な災害が一定時点に集中して出てくるわけでありますから、これは広範な範囲にわたっての配慮というのは国において当然なさるべきだというふうに考えます。被害は極端に言えば十数都府県にまたがるということにもなってくるわけでありますから、これについては、この法律の成立を前提にさらに前進させていただくべきものだ。私は八十点と申し上げましたけれども、さらに二十点どころかもっともっと点をふやしていただいて、百二十点なり百三十点にしていただくべきものだ、こういうふうにお願い申し上げたいと思います。
○永原委員 鈴木先生、実は昨日質問しまして、たとえばガス事業法で、保安規程に沿っていろいろ応急計画をつくるというようなことになっておりますけれども、現実に警戒宣言がなされてすぐ都市ガスをとめると、これは再供給するのに長時間かかるということですぐはとめられない、こういうようなお話があった。やはり警戒宣言をされて、それから実際に起こるかどうか、また数時間前に本当に予知が確度の高いものが出るかどうか、それがないと恐らく都市ガスなども流れっ放しにしてしまうのではないかという気がするのですけれども、こういう点についてはいかがでしょうか。
○鈴木参考人 ごく一般論といたしましては、数時間前に相当確度の高いものを出すということは、東海地域に関してでも確実ではないと思います。できるとは恐らく言い切れないと思います。ただこれは、もちろん毎日毎日進歩してまいりますから、だんだんそういうふうになっていくだろうと思います。ただ、その前兆のあらわれ方が非常にはっきりいたしまして、そして非常にたくさんのところに出るというようなことがありますと、これはある程度もうすぐだぞということも言えるのではなかろうかというふうに考えております。
 中国などでも、先ほど山本県知事さんからもお話ございましたが、臨震予報といっても、空振りの場合は除きまして、数日前から、短かいのは二十分前とかなんでございますが、そのときにいつ起きるということは言っていないわけでございます。三日前のときに、あと三日後に起きるということは言っていない。二十分前のときには、起きるぞと言って鐘を鳴らす、あるいは鉄砲を撃つのがやっとということなんでございまして、その時間を非常に正確に詰めるという問題は、恐らく予知の中で一番最後まで残るなかなかむずかしい問題ではなかろうかと思います。
 ですから、これから先は、私素人でよくわかりませんが、そういう場合に、たとえば三日後か五日後かわからない場合に、新幹線をとめるべきかとめるべきでないか、ガスをどうするか、電気をどうするかという問題、これは国民生活そのものに関係してまいりますので、恐らく電気を三日とめられたら相当大変なことになって、場合によると、今度は地震のかわりに暴動が起きたりすることだって考えられなくはないと思うのです。ですから、その点はやはり地震予知の確度というものを横目でにらみながら一応対策をお立ていただくようにお願いしたいと思うのでございます。
○永原委員 時間が来ましたので、最後に、「この法律の施行に要する費用は、その実施の責めに任ずる者が負担する」ように規定されております。応急対策をやる場合に、実施者が負担をするわけですけれども、こういう法律でそう決めているからというので、知事はそれで現実に突っぱねることができるであろうか。やはりいろいろ応急対策というのは経費がかかる面が出てまいります。現場にいらっしゃる知事として、産業的にあるいは物資のいろいろな面で準備をしたり動かしたり、そういうものについて十分な手当てもなくして果たしてできるかという心配がありますけれども、御自信がおありでしょうか。
○山本参考人 先ほども申し上げましたように、実は、この法律をお願い申し上げるときに、予算関連法案にしてしまうと日切れになってしまうことをおそれましたから、財政的な問題は実はやむを得ないという前提に立ったわけであります。次は財政的な問題について真剣に対応していただきませんと、静岡県で木造建築で耐震補強をやっていただこうとすると七百億ぐらいかかるのではないだろうか。これに対しては、長期低利の融資という道が開かれなければならぬ。あるいは危険物施設についても、民間では相当の対応をしていただかなければならぬ。それに対しても、ある程度の融資は当然必要だ。
 それから、県も市町村も他の行政を犠性にしなければできないわけでありますから、それについてはある程度の補助率のかさ上げあるいは新しい補助、それから同時に特別な起債というものは当然お願い申し上げるべきものだ、こう考えておる次第であります。
○永原委員 どうもありがとうございました。
○川崎委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、明二十日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十三分散会