第084回国会 災害対策特別委員会 第12号
昭和五十三年四月二十一日(金曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 川崎 寛治君
   理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君
   理事 志賀  節君 理事 高鳥  修君
   理事 矢山 有作君 理事 湯山  勇君
   理事 広沢 直樹君
      稲垣 実男君    越智 伊平君
      小島 静馬君    後藤田正晴君
      佐藤  隆君    斉藤滋与史君
      谷  洋一君    谷川 寛三君
      中島  衛君    中村  直君
      渡辺 秀央君    石野 久男君
      岩垂寿喜男君    太田 一夫君
      渋沢 利久君    草野  威君
      瀬野栄次郎君    古川 雅司君
      山本悌二郎君    柴田 睦夫君
      瀬崎 博義君    津川 武一君
      菊池福治郎君    永原  稔君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        防衛庁長官官房
        防衛審議官   上野 隆史君
        国土庁長官官房
        長       河野 正三君
        国土庁長官官房
        審議官     四柳  修君
        消防庁次長   田中 和夫君
 委員外の出席者
        警察庁交通局交
        通規制課長   福島 静雄君
        警察庁警備局警
        備課長     若田 末人君
        科学技術庁長官
        官房参事官   佐伯 宗治君
        科学技術庁原子
        力安全局原子炉
        規制課長    早川 正彦君
        国土庁長官官房
        震災対策課長  城野 好樹君
        運輸大臣官房技
        術安全管理官  片岡 栄夫君
        運輸省鉄道監督
        局民営鉄道部財
        務課長     土坂 泰敏君
        運輸省鉄道監督
        局民営鉄道部土
        木電気課長   原   慧君
        気象庁観測部参
        事官      末広 重二君
        建設省道路局企
        画課長     渡辺 修自君
        日本国有鉄道運
        転局保安課長 山之内秀一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十一日
 辞任         補欠選任
  伊賀 定盛君     岩垂寿喜男君
  米田 東吾君     太田 一夫君
 平石磨作太郎君     草野  威君
  山原健二郎君     柴田 睦夫君
同日
 辞任         補欠選任
  岩垂寿喜男君     石野 久男君
  太田 一夫君     米田 東吾君
  草野  威君    平石磨作太郎君
  柴田 睦夫君     瀬崎 博義君
同日
 辞任         補欠選任
  石野 久男君     伊賀 定盛君
  瀬崎 博義君     山原健二郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 大規模地震対策特別措置法案(内閣提出第七三
 号)
     ――――◇―――――
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 大規模地震対策特別措置法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 最初に、これは皆さんお触れになっていらっしゃると思うのですけれども、今日、予知の科学的な可能性と言われるものがどの程度まで煮詰まっているのかということについてお尋ねをしておきたいと思うのです。
 言うまでもありませんけれども、予知というのは、地震の規模あるいは発生場所及び時期、これを指定するものだと私は考えておりますけれども、そういう観点から、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、最初にお伺いをしておきたいと思います。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、防災に結びつき得る有効な地震予知は、場所と大きさと時期を指定しなければ意味がございません。私ども、ただいまこの法案の中で考えておりますのは、歴史的な日本付近での地震の発生の状況と明治以来の観測を踏まえますと、数県にまたがって震度五ないしは六で揺れる、したがって被害も広域に発生する可能性のある大規模地震、すなわちマグニチュード八クラスのものは、次に起こるとすれば東海の地域であるというわけでございまして、予知の三要素である地震の大きさと場所についてはあらかじめ想定がついているわけでございます。したがいまして、この場所に、強力な多岐にわたる観測網を張って常時監視していれば防災に結びつき得る予知情報が得られるところまで、少なくともいま申し上げた東海地域のマグニチュード八については技術が達しつつあるということで、これを防災に結びつけるべきであるというのが予知技術側の考えと申しますか、基本的な事実でございます。
○岩垂委員 時期の問題は、ちょっといま私は聞き漏らしたのですけれども、どのくらいの精度で考えられるか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
○末広説明員 これは、いま申し上げた手法で常時監視をしておりますれば、私どもの現在の予想では、地震の発生いたします数時間前から数日前というくらいの時点で相当顕著な前兆現象がいろいろな種目にわたって、かつ、広域につかまえることができる、このように予測しております。
○岩垂委員 予知の可能性というのは、警戒警報というか、それが出される直前予報というのは、いわゆる第二種先行現象と言われるものを基準にして見ますか。それとも第一種先行現象という形で見ますか。
○末広説明員 第一種先行現象と申しますのは、いわゆる相当前の時期、年単位の時期であらわれる現象でございまして、これをもってすぐ直前の防災体制をとるというところには結びつきがたい。これはむしろ予知技術側で準備を進める。それで、いま御指摘の、直前にあらわれる第二種の先行現象を、この法案では地震予知情報の基礎にいたしたいと思っております。
○岩垂委員 いわゆるプレートテクトニクスの考え方に立ては、一八五四年の安政東海の地震、マグニチュード八・四以来のいわゆる巨大地震の再来の確率というのが八九%だという説がある。片一方で、関東の地震の確率というのは二〇%足らずだと言われているけれども、そのように判断してよろしゅうござがますか。
○末広説明員 関東の大地震でございますが、これは明治以来の観測がすでに始まりましてから後に起こった地震でございまして、地震の直後からも相当精密な観測が続行しておりまして、これはまだエネルギーが十分たまっていないということが断言できるかと存じます。しかしながら、東海につきましては、もうすでに一番最近に起こりました安政の地震が百二十年以上前でございまして、地震直後のことがわかりませんが、明治以来の観測では、相当すでにエネルギーがたまっているということが測地測量の面と地震活動の面から指摘されているわけでございます。
○岩垂委員 予知の実用的な意味というのは、損害状況といいましょうか、被害見積もりがなければ実は意味がないという立場がございますね。もちろん、それはこの法案を審議する場合ですよ。いわゆる南関東大地震に際しては、消防審議会が昭和四十五年の三月二十三日ですか、被害認定を行いまして、私もその資料を持っておりますが、いわゆる東海大地震についての被害想定というものをこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
○田中(和)政府委員 震災対策を立てます上で被害想定というものは大変大事な問題だと思います。消防庁でも地域防災計画を指導いたします際に、あわせてこの被害想定を行うよう指導いたしてきておりまして、現在全国で約十三都府県が震災の場合の被害想定といったようなことをいたしておりますし、また市町村でも、二十万以上の市の場合には、三十六都市がそういう被害想定をいたしております。静岡県でも、実は安政地震、これはマグニチュード八・四だったそうでありますが、その安政地震の際の震度とかあるいは風向とか時間とかというようなものに当てはめまして、現在の人口あるいは現在の建物の建っておる状況あるいは地盤調査等を加味して試算した結果を出しておりまして、大体建物の被害戸数としては、全半壊で十六万五千棟あるだろう、死者は九千五百人くらい出るだろう、重軽傷者は一万六千人くらいになるだろう、あるいは津波が二メーター以上の場合の浸水戸数が六万二千戸になるだろうというような被害想定をいたしておりますし、また神奈川県でも、同じように関東大震災時のことを考えまして、そういう想定をいたしまして試算した場合の建物の被害戸数としては、全半壊が六十八万九千棟それから死者が二万三千、罹災者数が五百八万人というような被害想定をいたしております。しかし、この被害想定というのもいろいろな手法があるそうでありまして、これはできるだけ統一的な手法で被害想定を行った方がいいということで、大震災時におきます被害想定の技法に関する調査研究といったようなものを五十一年度から消防庁としても始めておりまして、今後そういった技法に基づいてさらに指導をいたしてまいりたい、こう考えております。
○岩垂委員 それは特に静岡県の場合は公表されていますか、被害想定は。
○田中(和)政府委員 まだ被害想定の途上でございまして、現在引き続き火災件数とかあるいは延焼度とか、倒壊率、被害額というような想定を行うことになっておりまして、まだその結果、全体については公表されておりません。
○岩垂委員 きょう初めて静岡の被害見積もりというものが明らかにされたわけですけれども、当然のことながら、被害予測地図のようなものを全国一律に考えながら対応していかないと、いま予知というか警報だけが先行するという形で実はいろいろな問題が起きるわけであります。その点で、きょう公表された数字をどのように扱うかということの扱いについて消防庁で意見があれば、私たちはそれに対応しなければなりませんが、それはそれとして後ほど伺います。
 大臣に伺いたいのですけれども、実は私、川崎に住んでいるのです。四十九年の十二月の直下型地震のいわば予知連の発表がございました。率直に申し上げて、最初はそれほどではなかったのですけれども、だんだん市民の不安が強まってきました。いつ起こるのだ、それに対して対応が十分であるかどうか。特にこれについて言えば、建設省、国土庁はもちろんでありますが、川崎市当局でも、神奈川県当局に対して市民が、地震が起こったときにどうしてくれるのだという非常に強い要求が実は寄せられるわけでありまして、 つまり、今度の場合もそうですけれども、予知と対策のずれというものがかえって不安を増幅する条件になる可能性がある。これは、川崎で事実感じたわけであります。こういう点についてどんな手だてをお考えになっていらっしゃるか、これをぜひこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 今回の特別措置法が成立いたしますと、事前措置といたしまして、中央防災会議を中心に基本計画、地震防災強化計画の作成をいたします。それからまた県、市町村におきましては地震防災強化計画の作成をして、これをそれぞれ関係者に周知徹底をいたします。また、それらの計画につきましては、警戒宣言が出された後の地震災害警戒本部の設置が行われます。そこで総合調整、指示などを行いまして、東海大地震のおそれのある地域につきましては事前にそれらの計画に基づく十分な周知徹底をいたし、いざというときの混乱、不安のないようにいたしたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。
○岩垂委員 これは地域指定をするわけですが、いま東海、特に静岡を中心にしてということなんですけれども、これは神奈川県も入りますか。
○四柳政府委員 中央防災会議の専門家の委員から諮問に対する答申を得まして、県知事、市町村長の意見を聞いて決めることになりますけれども、現在の想定では、東海の場合に神奈川県の一部は入る可能性がございます。
○岩垂委員 これは川崎の地震の経験から見ても、先ほどちょっと申し上げましたけれども、たとえば石油やガスや放射性物質、あるいは可燃性原材料の貯蔵の状態だとか、あるいはそれに対する立入検査だとか、あるいはそれを撤去させるとか、操業を停止させるとか、あるいは安全基準を特別に強化するとか、こういう問題が当然必要になってくる。あるいは建造物の耐震や耐火構造というものを強めていく、あるいは避難地を確保していく、とりわけ避難広場というような問題、オープンスペースの問題を考えなければなりません。ところが、こういう問題についての予算的な配慮というものが実はどのように手配されているかということが不安でならないのであります。たとえば一つの例を言いましょう。これはちょっとお答えをいただきたいと思うのですが、川崎でコンビナート地域とそれから居住地域との間に防災遮断帯がどうしても必要だ、防災遮断帯の必要経費というのは建設省と共同でつくった案によれば九千億かかる、しかし、実際問題として国の補助率というのは三分の一であります。九千億の三分の一国から来たけれども、地域でそれでは六千億確保できるかと言えば、そんなことはできっこないのであります。つまり防災遮断帯計画というのは今日に至るも具体化を見ていない、こういう状態があるわけでありますけれども、こういう問題について、つまり、予算の配分、そういう問題についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか。大臣、防災遮断帯の補助率などというのは、特別の法律になるのかどうかは別として、引き上げていかなければ、実際問題として地域ではそれに対応できない、予知だけが先行する、対策がおくれる、予算措置がない、こういう状態に対してどのような対応をいまお考えになっていらっしゃるのか、お答えを願いたい。
○櫻内国務大臣 御心配は私も当然だと思うのですが、法律の上からいきますと、第二十九条におきまして、先ほど申し上げたような計画ができ、緊急に整備すべき施設等の事業が円滑に実施される上に、予算の範囲内で、「当該事業の実施に要する経費の一部を補助し、その他必要と認める措置を講ずることができる。」ということ、それから、第三十条で、「地震防災応急対策に要する費用その他この法律の施行に要する費用は、その実施の責めに任ずる者が負担する」という、この二条が財政問題に関係するわけでございますが、お話のように巨額な費用を要するものについて三分の一程度の補助ではそれはやれないじゃないかという問題が起きてくると思います。しかし、それにつきましては、予算の範囲内でやるということでございますが、問題が問題でありますから、具体的な計画ができますと、恐らく緊急性があっても年度計画になるでありましょうが、それについて具体的に関係省庁で折衝しなければならない、その場合に被害のおそれのある地域の方々の意見を体して私どもが強く要請をする必要がある、こう思うのであります。
 なお、従来三年ごとの年次計画で一次、二次と震災対策緊急事業計画をやってまいっておりまして、その事業計画が五十三年度からは第三次になるわけでございます。この第三次の緊急事業計画、これはこの法律に基づくと基づかざるとにかかわらず、そういうものが一方に中央防災会議中心にあるわけでございます。そのために予算措置が五十三年度では地震関係予算総額五千九百十億円ということになっておるわけでございますが、その中には東海地域のことは新たにここへ緊急を要するので取り上げるということで、一応の順序を踏んだことはやっておるわけですが、さらに今度の特別措置によってそれらの対策を強化してまいりたい、こう思う次第であります。
○岩垂委員 一つだけ、防災遮断帯の補助率などというのは引き上げる方向で、これは大臣が決意なされば建設と国土と両方担当しておられるわけですからできるわけでありますから、その方向で努力いただくということで理解してよろしうございますか。
○櫻内国務大臣 この措置法後の具体的な各施策に応じまして、緊急度合いの強いもので御指摘のような問題についてはわれわれ要求側としましては強く主張をいたしたいと思います。
○岩垂委員 私は余り専門家じゃないのですが、力武東工大教授の論文で、コロラド大学のJ・E・ハース教授のグループが、これはもう御存じだと思うのですけれども、地震の予知警報に際して社会で起こるであろう反応を実際に調査して、行政や立法などの責任者、さらには公共事業のトップや企業の経営者がとるべき対策を示唆するための研究を開発したということを承っています。私もその著書で拝見をしたのですけれども、こういうハース・グループの成果のようなものを日本で、とりわけ東海――東海もそうですけれども、特に私は東京が問題になろうと思うのですが、そういう調査というか手法を現実にやったことがあるかどうか、これからなさろうとされておられるかどうか、これは非常に貴重な経験だと思いますので、承っておきたいと思います。
○四柳政府委員 ただいま御指摘の問題だけに限定しますと、たとえば地震予知情報が出た場合にどういう対応があるか、こういう問題にも関係あろうかと思います。私ども国土庁の方でも五十二年度からやっておりますけれども、また、先般の伊豆の大島沖地震のときのいわゆる余震情報の点につきましても科学技術庁等でその後すぐアンケート調査をするとか、いろいろ政府としましても関係省庁で一応調査をしております。
○岩垂委員 防衛庁に伺いたいと思います。
 私が内閣委員会で資料要求をいたしました「大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画」ついていろいろな報道が行われているわけでござにいまして、それをはっきりさせておきたいと思うのです。私がいただいた昭和四十六年三月六日作成をし閣議で報告し了解されたものが公式な文書と理解してよろしいかどうか、防衛庁、御答弁をお願いします。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣の計画でございますが、これは過日の衆議院内閣委員会におきまして先生から御要求がありまして私どもがお出しをいたしましたものが正式のものでございます。
○岩垂委員 その後人員であるとか航空機の数であるとか車両などについて修正されたと言われているけれども、それはあくまでも防衛庁内局で調整したものであって、閣議はもちろんのこと防衛庁長官の決裁を受けたものではないと理解してようございますか。
○上野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○岩垂委員 だとすると、航空機による指揮、連絡のうち、たとえばVIPの緊急輸送の項、宮家であるとか総理大臣を初め政府要員等を要請によって所要の個所に輸送するという点は、防衛庁が勝手に削除したのではなくてそのまま生きている、このように判断してよろしゅうございますか。
○上野政府委員 四十六年の正式の書類の中に、要人を緊急輸送する必要性が生じてそれが自衛隊に要請されることを予想した計画がございまして、その中の要人の一例示として宮家が記載されておるということはおっしゃるとおりでございます。
 また、事務的に数字等の見直しは行っておりますけれども、これもいわば事務的に行っておる。と申しますのは、四十六年の計画でございますので、その後二年ほどたちまして四十八年に事務的見直しの検討をせよということが命令されまして、部内でもって数字等の見直しは行いました。そのとき事務担当者といたしましては字句等の修正もしたいという希望を持ちましてそういう案を持っておることは事実でございますけれども、防衛庁の正式の文書といたしましては、長官の決裁を得たものといたしましては四十六年のものが正式のものでございます。
○岩垂委員 宮家がどんな意味でここに入ったのかということ、そしてまた、これはどうもまことに変な形なんですけれども、こういうものは誤解を受けやすいということだけでなしに、VIPの優先順位というのは一体だれが決めるんだろうかというふうなことについても問題をはらんでおります。これらについて防衛庁は今日どのように考えていらっしゃるか、その御見解をただしたいと思います。
○上野政府委員 防衛庁といたしまして、その要人、これは政府要人も含みますし、立法、司法、行政の三権のそれぞれの要人の方も含みましょうし、その要人の解釈につきまして防衛庁がどうだこうだというふうに考えるという考えは実はないわけでございます。これは場合によっては民間の方も要人の中に入ることもあり得ましょうし、防衛庁として、そういう危急の際でございますから、こういう人をここからここまで輸送してほしいという要望がありましたときに、その要望に応ずべく必要なるヘリコプター等の機数を考えておるということでございます。
○岩垂委員 宮家がここへどうして入ったかということを私なりに実は承知をしておるわけですけれども、やはり不自然ですね。これはどこか参議院の委員会で天皇陛下をどうするとか皇族をどうするとかというような議論があったと思うのですけれども、それらの問題の扱いというのは当然慎重に配慮されなければいかぬ。そして同時に、もし内局で議論があるとすれば、まとまったものであるならば、やはり閣議で報告し、了解を得たという手続が最初の計画の中にはあるわけですから、それらを含めてはっきり、恐らくこれからそういうふうに対応をしたいというふうに思っていらっしゃると思うが、その点についての見解を承りたい。
○上野政府委員 お答え申し上げます。
 何分古い計画でもございます。それから今回こういう新しい立法ができるという事態も踏まえまして、総合的な見直しを行ってまいりたいと存じております。
○岩垂委員 時間がないので次に入らざるを得ないのですけれども、この資料要求に関連して実は私、大変不愉快な思いをさせられたわけでございまして、この点について防衛庁はどうお考えになっていらっしゃるか、この機会に答弁を煩わしておきたいと思います。
○上野政府委員 過日、衆議院内閣委員会で、先生から当計画の御提出の御要求がありまして、私ども御提出をするとその経緯の中で、全く私どもの不手際によりまして先生に大変な御迷惑をおかけしたと存じております。この点は申しわけなく存じております。
○岩垂委員 ここに「日本の戦略」という本のいわばリコピーがございまして、これは防衛庁の防衛研修所の第五研究室長をやっていらっしゃる桃井真さんという人が解説をした「日本にとっての軍備コントロールと危機管理」という本の写しがございます。ちょっと皆さん、これは実は聞いてほしいと思うのですが、前の方は略しますが、防空が本土防衛の基本になるが、それだけに基地が先制攻撃を受けやすいから、滞空能力、乗員救出、移動レーダー、艦船を基地とする防空システムおよびSTOL、VTOL能力など総合的な防空システムの開発とともに救急、救難、補給等、Bの破壊意図を拒否するための抵抗力回復に重点をおく民防体制に注目すべきであろう(民防という言葉に抵抗があるならば、災害対策あるはい防災でもよい)。いずれにしても、目標に到達されては拒否の第一義的効果はあがらない。あくまで広域(前進)、防御に重点をおき、“防災”は――第二義的でなく――抵抗力回復の主要要因として重視すべきかもれない。
  つまり、いかに防空、ASW兵力を増強しても“一〇〇パーセントの防御”はありえない。結局、撃破を免れて潜入した相手の武力に対しては漫然とした対策では対応しえない。あらかじめ方針を明確にし、何と何をどれだけ防護するかを決定して対策を講じ、他はこれを忍ぶというような方策が必要になるかもしれない。これは敗北主義ではなく、積極的な被害局限戦略あるいは限定反応戦略である。侵入するものは侵入する。たいせつなのは、綿密なORによって、(ア)“守るべきもので守れるもの”を選択し、限定的防御をはかり、(イ)“守りえないもの”には潜在的被害への対策をたてることである。
要はその後のところですが、
 今日、たとえば日本に与えられている制約と自制条件のもとでは、それ以外の選択はほとんどない。ここに救難・救助・災害対策の積極的な軍事政治的意義がある。
こういう文章があるわけです。防衛庁はこういう立場で防災対策というものをお考えになっていらっしゃるのか、わかりませんか。
○上野政府委員 私、恐縮でございますが、桃井さんのその論文、実は読んでおりません。
 それから、ただいま先生がお読み上げになりました個所で、防衛庁は防災の基本的対策を立てているのかという御質疑に対しましても、何分原文を読んでおりませんので、ちょっとここでお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○岩垂委員 その次に、
 したがって、災害対策のための人的、物的資源備蓄配分、情報分析、指揮コントロール機構の維持にあたる一元的な中央機関の常設が望ましい。事後対策でなくて、事前に〃守りえぬもの〃のOR研究を含めた〃災害ゲーム〃、現地訓練、とくに群衆のパニック対策と交通整理問題について、つけ焼刃でない事前研究が必要になろう。そのような準備体制は、天災を含むあらゆる損害限定に役だち〃抵抗力〃の復活に欠くことのできない機能を果たす。それが結局拒否戦略に寄与し、安全保障を高める。
こういう文章があるわけであります。
 たしか桃井さん、現職の防衛研修所の第五研究室長であられるわけでございますけれども、この方がこういう形で書いている文章の中に、防衛庁の災害に対するつまり災害ゲームという考え方、こういうものが生かされているというふうに私は思われてならぬのであります。これは、いま上野さんは読んでいないので防衛庁としての見解は示し得ないということでございますから、ぜひ防衛庁で調査をいたしましてその辺のところをすっきりさせていただきたい。だから、この点は質問としては留保をさせておいていただきたい、私はこのように思うのです。
 ですから、つまり防衛庁は、この法案の中で述べているたとえば部隊派遣という問題について積極的な態度で受けとめようとしていらっしゃるのかどうかということをこの機会に承っておきたいと思うのであります。この法案の成立経過を含めてもしお答えいただけたらお答えいただきたいと思います。
○上野政府委員 まず最初の桃井所員のことをちょっと言及させていただきたいと思いますが、ウォーゲームとかいう、こういう災害というものをゲームという言葉であらわすということが何か一般には誤解を与えやすい表現かと思います。しかし、桃井さんは有能なる戦略理論、戦術理論家でございますので、そういう国際法ないしは核戦略学者の間では、ゲームの理論、ウォーゲームというものが研究対象として大変重要なものを占めておりますので、そういうところで頻繁に容易に使われますゲームという言葉がそういうところに出てきたものかと推測いたします。
 それから第二の、本法案につきます防衛庁の態度ということでございますけれども、地震予知という分野が近来大変進歩してまいりまして、そういう事象を踏まえまして地震防災を図る、国、地方公共団体、いわば官民挙げて、国を挙げてこういう地震防災を図るという趨勢の中におきまして、防衛庁がどういう役割りを担ったらよろしかろうか、お手伝いすることはないだろうかということで、主務官庁の方から、防衛庁にできることは何かというお問い合わせがございまして、こういうようなことができるであろう、こういうようなことはややむずかしいということを申し上げたわけでございます。その議論の結果の集大成が本法案にありますような地震防災派遣という形で、防衛庁なりの応分の寄与を申し上げたいということでございます。
○岩垂委員 地震や災害というものをいわゆる特定の破壊意図を拒否するための抵抗力回復に重点を置く民防体制というふうにとらえているこの立場というものを無視して、自衛隊の出動問題というものをとらえることはできないのではないだろうか、私はこう思うのです。さっき私が求めた資料によっても、これは災害が起きてからの出動でございますけれども、それを見ても、指揮、連絡のための指揮通信網の確保、交通統制の警察支援、民生安定、流言飛語などによる混乱防止のための情報統制の伝達。これは、要人警護と連絡通信網と指揮通信網、それから交通統制、それから流言飛語による混乱の防止のための一種の情報統制的なあり方、あるいはそれの伝達のあり方。私は、言葉が強いかもしれませんけれども、一種の戒厳令的な要素というものを持たざるを得ない。われわれが常に心配している、つまり防災出動と治安出動との区別はなかなかむずかしいのではないか。この区別をどう明確にするんだ、そういう不安をどうなくすることができるのか、こういうことをやはり心配せざるを得ないと思うのであります。
 その点で大臣、この法律の運用に関連いたしまして、この法案をまとめる過程の中でこれまでどんな配慮をなさってこられたか、御答弁を煩わしたいと思います。
○櫻内国務大臣 大変御心配をちょうだいしておりまして、またそういう御心配のないように措置していかなければならないと思うのですが、先ほど御説明申し上げたように、この特別措置法ができますと、大事な点は事前の措置であると思うのです。計画を立てる、そして発災後に対応する、この事前計画をいたしますときに、自衛隊の派遣要請につきましても具体的に、こういう場合に要請しようということを関係各省庁及び県との間でよく話を取りまとめておきたい。そういうことによって、特に御懸念の点は発災後の本当の緊急事態に対しての問題ですから、発災後のあらゆる場合を想定する場合に、自衛隊自体が従来災害派遣の場合にいろいろ御検討願っておることは願っておることとして、これはまた別途の角度でいろいろお話をしなければならぬと思いますが、本日のこの特別措置法の内容としての自衛隊派遣要請というものは、従来の派遣要請はそれぞれの県がやるようになっておりますが、マグニチュード八程度の大規模のものであれば相当の範囲、数県にまたがるというようなことから本部長の要請ということにいた、またその要請についてはあらかじめ関係者の間でよく計画を立ててやる、こういうことで、事前派遣につきましてはいま御懸念のような問題はないし、またそういうことのないように、治安出動のような状態にならないように、たとえば火器等の持参はしないというようなことをはっきり申し上げておるような次第です。
○岩垂委員 この区別を明確にしない限り、私は、この法案の審議の過程で問題が残るだろうと思うのです。
 実はきょう各条の解釈をお伺いしようと思って来ましたけれども、時間がなくなってしまいました。
 ただ、ちょっと私時間をいただきたいと思うのですけれども、十三条の二項の部隊の派遣に際してはどんな任務、どんな体制をもって臨もうとしていらっしゃるかということについての防衛庁のいわば対応をこの際お尋ねしておきたいと思います。
○上野政府委員 本法案の十三条第二項におきます。出動する自衛隊の部隊の任務、体制、支援内容等でございますが、地震防災時に派遣される部隊等の権限について申し上げますと、これは自衛隊法の第八十三条の災害派遣のときと同様でございます。この範囲に限られます。すなわち警察官がその現場にいない限り、警察官職務執行法第四条、いわゆる「避難等の措置」、それから第六条他人の土地、家屋等への立ち入りでございますが、その一部の権限、それから海上保安庁法第十六条による「協力の要求」の規定が準用されます。
 また、部隊等の運用の効率性を踏まえましての支援活動の主な内容は、本法第二十一条の各号に規定する地震防災応急対策に即して申し上げますと、たとえば航空機による広報支援とか水防の応急措置あるいは艦艇、航空機等による緊急輸送、情報の収集、連絡員の関係機関等への派遣等でございます。
 また、治安出動との関係でございますけれども、先生から御心配の御懸念が表明されておりますけれども、これは無関係ということはただいま大臣も申し上げました。やや技術的なことを申し上げますと、治安出動と申しますのは、治安維持上重大な緊急事態の発生の場合に内閣総理大臣の命令あるいは都道府県知事の要請によるものがございますけれども、観念的に申し上げますれば、地震防災の期間あるいは地震が発生した後自衛隊が災害派遣として出ております間に治安維持上重大な事態が起こるということも、これはあり得るかとも思います。ただその場合に、災害派遣で出動しております部隊あるいは地震防災派遣で出ております自衛隊の部隊の装備、編成等はそのためのものでございまして、治安出動のときに出る部隊の装備、編成等とは相当異なっております。もちろん武器等も携行しておりませんし、また権限的にも違います。治安出動の場合には武器等の使用が警職法七条の準用でできますけれども、災害派遣あるいは防災派遣ではそういうことは全くできません。そういう点もございまして、実態上は全く違うものであると理解しております。
○岩垂委員 防衛庁が東海大震災についての災害派遣計画をおつくりになっていらっしゃるということも承りましたけれども、その点の詳細をお教えいただきたいと思うのです。
○上野政府委員 東海地震に関します災害派遣計画というものについてのお尋ねでございますけれども、現在防衛庁が持っております大震火災が発生した場合の正規の災害派遣計画と申しますのは、先ほど御説明申し上げました、昭和四十六年三月に作成したものでございます。その計画は、関東南部を一応想定しておりますが、これは東海地方を初め、全国各地で、他の地域で大震火災が発生した場合の自衛隊の派遣計画の準拠しておるものでございます。ただ、陸上自衛隊は、昨年の四月でございましたか、東海地方におきます災害派遣を担当する陸上自衛隊東部方面隊及び中部方面隊に対しまして、東海地震に関します災害派遣計画を部隊レベルでつくるようにという指示をいたしました。これらの計画は現在それら下級部隊におきまして検討作業中でございますので、正規の計画というものはございません。ただ、今般のこの大規模地震対策特別措置法案に基づきましてこれはあらかじめ作成されることになると存じますが、地震防災強化計画あるいは海空の自衛隊の救援活動等も加味して今後防衛庁としての計画を策定するという段取りになろうかと存じております。
○岩垂委員 何とも時間が少なくて、逐条審議ができなくて大変残念でございますが、この辺で終わらせていただきたいと思いますけれども、私最後に、実は昭和三十六年の十月二十日の衆議院の地方行政委員会で、災害対策基本法の改正案が審議されたときに、非常事態布告ということに関連をして政府委員藤井さんがこう答えているのです。「市町村長がいろいろ権限の行使をやるわけでございますが、これとても警察官なり海上保安官というものがその権限を行使するというのは原則としては認めておりません。市町村がどうしてもその権限の行使ができない、市町村の役場自体の機能が停止をしてしまっておるというようなとき、あるいは緊急措置を要すべき現場において役場吏員その他もおらないというようなときに、これにかわってやる、あるいは委任を受けてやる。そういうふうなことにいたしまして、まず一般的に原則的に警察官なり海上保安官が出ていくということは、やはり避けていくべきが建前であろうというふうに考えておるのであります。」災害対策基本法の際にもこういう大変慎重なやりとりがございました。いま自衛隊の出動に関連して私まだたくさん申し上げたいことがあったのですけれども、時間がございませんから申し上げませんが、これらの問題は、私は与野党の間で十分コンセンサスを詰めて、この種の法案というものは可能な限り満場一致で議論ができるような道筋をいまからでも検討すべきではないか、委員長がおられますのでそういう配慮をぜひお願いしておきたい。いっぱいいろいろな問題が出てきます。だから、そういう点で御配慮を願いたいということを申し添えまして終わりたいと思うのですが、最後に一つ、この法案と在日米軍との関係は一切ないというふうに考えてよろしゅうございますか。
○上野政府委員 在日米軍との関係は全くないと存じます。
○岩垂委員 どうも失礼しました。ありがとうございました。
○川崎委員長 草野威君。
○草野委員 この法案の柱は二つあるわけでございますけれども、大地震のおそれのある地域を地震防災対策強化地域に指定して、県、市町村ごとに防災強化計画をつくる、また地震発生が予知されたときに、総理大臣が警戒宣言を出して直ちに応急対策を発動するとなっているわけでございますけれども、ただいままでの数々の審議を見てみますと、この法案の基礎となる地震の予知体制それから防災強化計画の実態には何となく心もとないものがある、このように感じられるわけでございます。この法案が成立しても、現状で果たして有効に運用することができるかどうか、非常に不安な感じがするわけでございます。
 そこで、私はこの法案の基本的な問題につきまして何点かお伺いをしたいと思います。
 まず初めに予知体制でございますけれども、この法案につきまして、より効果的に運用するためには、何といっても全国的な地震予知観測体制を強化拡充すべきである、これはまず大前提になるのではないか、このように考えるわけでございます。また、各関係省庁にまたがる行政の一元化を徹底することであるとか、予知連絡会の権限の位置づけを明確にすべきである、このように思うわけでございますが、この点につきまして長官のお考えを伺いたいと思います。
○櫻内国務大臣 予知体制をより強化する、そしてより確実ならしめる、これは言うまでもないことでありますが、今回の特別措置法では、マグニチュード八の場合はまず予知ができる、その確率がある、こういうことから、実際上におきましてはその範囲の予知というものを前提にしておるわけでございます。
 ところで、いま御意見がございましたように、予知につきましては非常に広範囲に、研究所であるとか省庁がまたがっておるわけでありますが、それはそれなりに、いま予知技術の発達の上に非常に必要なことである、あらゆる角度から研究をしておく必要があるのだが、しかし、この研究の成果をより確実な予知に結びつける上においてどうするかということは、測地学審議会の三回の建議、それに一回それの補足があると思うのですね、それらに基づきまして、現状においては地震予知連絡会で情報の交換や専門的な判断をいたし、そしてしかもマグニチュード八のおそれのある東海地域におきましては特に東海地域判定会を設けて、気象庁に一切のデータを一元化しておる、こういうことでございますので、この立法措置に対しての、マグニチュード八、また予測される東海大地震につきましてはその裏づけができておると思うのでありますが、今後の予知体制の強化につきましては、さらに近く測地学審議会の建議もあるということでございますので、その建議に応じてわれわれが一層それに努力するということは言うまでもないことであります。
○草野委員 私は、各関係省庁の連携強化ということにつきまして非常に心配しているわけでございます。各機関におきましてそれぞれ研究なり観測が続けられているわけでございますけれども、ただいま私も行政の一元化ということにつきましてちょっと申し上げました。大臣からもいま御答弁ございましたけれども、たとえば地震のデータの集中化という問題ですね。こういう問題につきましてもこれからやっと始まるという段階でございます。
 通産省の地質調査所ですか、ここから気象庁に報告されるのは週に一回文書で送られてくるとか、また他の機関からの連絡は地震予知連絡会、これはたしか三カ月に一回開かれるというふうに私は聞いておりますけれども、そのときにデータを持参している、こういう内容であったわけですね。したがって、一番責任を持っておられる気象庁にワンクッション置いておるという形であったわけですね。これは今回から改善されるというふうに聞いたわけでありますけれども、こういうことを含めて、さらにもう一段この一元化ということを進めていかなければならないのではないか、このように考えるわけでございますけれども、長官の御意見はいかがでしょうか。
○末広説明員 技術的な面のみお答えさしていただきます。
 何分地震予知の手法は、地下で起こりますさまざまな現象に対しまして非常に多種類の観測をいたしまして、それの総合の上に予知情報をつかもう、こういうことでございますので、観測を担当する省庁並びに研究を担当なさる大学等が五つ、六つという数になるのは、これはある意味では当然かと存じます。問題は、いま先生御指摘のとおり、そこの観測なすったデータが、ある一カ所に集まるのに時間がかかったり、あるいはどこかへいってしまうというようなことがあってはいけないわけでございまして、昨年のすでに発足いたしました判定会の設置ということを踏まえまして、二十四時間勤務をしております私ども気象庁へ、ただいま先生おっしゃいました地質調査所でおやりの観測も含めまして、ただいま二十六カ所近くから八種類のデータがこれは時々刻々、昼夜送られてくるところまでこぎつけたわけでございます。今後、この法律の制定というような日が来ればさらに責任が重くなるわけでございますから、この観測の度合いは当然強めていかなければならないと思っております。
○草野委員 先ほどもお話がございましたけれども、との法案ではマグニチュード八程度の大規模地震のみを対象にしている、こういうわけでございますけれども、それ以下の地震であるとか、特に小規模の地震であっても被害を大きくもたらす直下型地震の予知、こういうことは現在の予知技術では不可能ということになっているわけでございますけれども、どうですか、これはあと何年先くらいにはこういうものも予知できるようになるか、そういう見通しについてひとつ伺いたいと思うのです。国民の大ぜいの人たちは、この間の伊豆大島の地震、ああいう程度のものでもこれからは予知できるのではないか、こういう期待感を持っているわけでございますので、この点について御答弁をいただきたいと思います。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 ただいま私どもの技術水準は、マグニチュード八程度のものに対しまして防災に結びつき得る予知情報がつかめるというところでございまして、まだマグニチュード七の域に達しておりませんけれども、広く学界の皆様の御意見を伺っておりますと、やはり七までどうしても予知技術を達成させなければいけないということで、これは目標としてただいま努力しているわけでございます。ただ、何分相手が自然現象でございますので、起こります地震を踏まえて、それで一つ一つ学び取って技術を進めていくということでございますので、大変恐縮な例でございますけれども、たとえば橋をかけるとか建物を建てるのにどのくらい時間がかかるかといったような意味での時間の区切りは残念ながら申し上げられないわけでございますが、たとえばいまの御指摘の本年一月十四日の伊豆大島近海の地震におきましても、たまたま相当の観測点のある付近で起きましたために、私ども相当多くのことを学び取ったわけでございまして、皆様の御要望を体しまして、一日も早く予知技術を少なくとも七のレベルまでには引き下げると申しますか、技術をそこまで上げると申しますか、この努力をいたしたいと思っております。
○草野委員 どうかその点につきましては、これからも万全を期していただきたいと思います。
 そこで、たとえば現状の人員とか予算でこれからも万全の観測予知体制というものがとれるのかどうか、この点についてはいかがですか。
○佐伯説明員 先ほども大臣から御説明がございましたように、昭和三十九年以来、測地学審議会の三回にわたる建議がございまして、各省庁におきます観測強化あるいは地震予知の研究の推進、こういったことを進めておるところでございまして、今回の東海地域に関しましては、特に地震の予知ができるという判断のもとに、判定会の設置まで行ったわけでございます。
 なお、測地学審議会では五十四年度以降、第四次建議を現在審議中でございまして、今後の地震予知の研究なり観測なりデータの集中、そういったことを含めまして、体制も含めました第四次建議を現在審議中でございますので、それがまとまりますれば、将来のあり方がもっと明確になってくるのではなかろうかと考えております。
○草野委員 この地震関係に携わっている各関係省庁の本年度の予算を見ますと、昨年に比べますとかなり大幅に伸びているとはいえ、四十七億余円ということで計上されておるわけでございますが、これで所要の人員の配備だとか研究または観測の設備、こういうことをこれから完全に進めていくことができるかどうか、こういう点がちょっと心配でございますので、この点をひとつ伺いたいと思います。
 それからもう一点は、地震関係に携わっていらっしゃる専門の職員の方は現在何人いらっしゃいますか。
○佐伯説明員 お答えいたします。
 現在地震予知関係で直接携わっておりますのは約三百五十名、それから間接関係といたしまして千二百名、同じく行政関係が二十名余り、合計軸千六百名程度が携わっております。
 それから、先ほどの予算の関係でございますけれども、御指摘のとおり、昭和五十三年度につきましては、私どもの特別研究促進調整費約六億円を含めまして、対前年度二九%増の四十七億円ということで、一般財政から見ますと、厳しい折から大変増額になっているというふうに判断しております。
○草野委員 地震関係に携わっている職員の方が約千六百名ということでございますけれども、このうち、聞くところによりますと、気象庁関係の方が千三百人、こういう体制ですね。私は、こういう数字を聞いたときに、果たしてこれで大丈夫なのかというような気がしてならないわけなんですね。これは国家体制が違うとはいえ、中国の場合などは学者だけで約一万人、民間で地震関係に専門に携わっている人が約十五万人、これは全然比較にならないかもしれませんけれども、しかしどうもいまの研究だとか観測だとか、そういう体制に対して、もっと強化していくべきではないかな、こういう感じを受けるわけでございますけれども、長官いかがですか。
○櫻内国務大臣 おっしゃるように、体制を強化することは私どもも認めておるところでございますが、現在の予知体制は、まずいろいろな角度から研究開発をしておるわけでありますし、それからそれを集約した姿が予知連絡会や東海地域判定会になってきておるわけでございます。したがって、この法案をお願いする上において、その裏づけになるマグニチュード八程度の予知ができるかできないかの問題については、気象庁に一元的にデータを集中しておる現状、または二十四時間の観測体制をとっておる実情からいたしまして、まず御心配のことはないのではないか。われわれはそういう裏づけでお願いをしておる。しかし、今後のことにつきましては、おっしゃるようにさらに体制を強化していくことは当然必要だと思っております。
○草野委員 特に危険が迫ってきた場合、必要な地点の観測を機動的に実施できるように、体制の整備を早急に図っていかなければならない。長官のお話もあったわけでございますけれども、先ほどの地震予知連絡会、それから東海地域の判定会、こういう機関の緊急事態が発生した場合の体制だとか役割りだとか、これはどういうふうになっているのでしょうか。できるだけ具体的におっしゃってください。
○佐伯説明員 御指摘のとおり、地震予知連絡会というのは国土地理院長の私的な諮問機関でございまして、これは一年に四回ですか、三カ月に一回大学それから国立の試験研究機関の地震予知関係の学者が集まりまして、情報の研究会と申しますか、この地域はどうだというようなことを検討する会でございます。
 それから御指摘の東海地域判定会と申しますのは、昨年の四月、気象庁から大地震の情報を出すということが決まりまして、そのときに学者、先生方の御意見を徴する機関として、東海地域判定会というのを設けまして、これは大学の先生六名ばかりですが、地震予知連絡会の下部機構ということで、それの事務局としましては気象庁が担当するという形で設置いたしたわけでございます。東海地域判定会につきましては、都内居住の先生方ばかりでございまして、気象庁で異常事態発生という判断ができればすぐ招集いたしまして、緊急判定会議を開くというふうな制度になっております。
○草野委員 先ほどお話ございましたけれども、強化地域の中に神奈川県の一部も入るかもしれない、そういうお話があったわけでございますけれども、現在東海地震ということが想定されて、いろいろな準備が進められておるわけでございますけれども、全国の観測区域は現在九つに分かれているわけですね。その中でも特に観測強化地域が南関東地域、これが一番初めに定められて、その後東海地域、このようになっておるわけでございますけれども、なぜ南関東地域の場合、判定会を設置するということをやらないのか、こういう問題なんです。いろいろな事情もあると思いますけれども、川崎にしろ横浜にしろ、直下型の地震のおそれがあるということで、住民の間には大きな不安も残っておるわけでございますけれども、私は当然南関東地域にも判定会を設置すべきではないか、このように考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 防災に結びつき得る予知情報と申しますのは、ただいまのところマグニチュード八クラスの大規模地震に対してであるということでございまして、残念ながらマグニチュード七の地震に対しましては、もちろん被害の面から見ますとこれは大変なことになるということは十分認識しておりますが、何分自然現象という側から見ますと、マグニチュード八に比べますと、マグニチュードの段では一段下でございますが、エネルギーでは三十分の一になってしまいまして、これはまだ確実ということが言えるような予知の手法が見つかっていないわけでございます。しかしながら、御指摘の神奈川あるいは南関東は日本の心臓部のあるところでございまして、私どものいままでの観測によりますと関東地震級の大規模地震のおそれは当分ないということでございますが、御指摘の直下型等は、これは当然可能性があるわけでございまして、これは努力目標といたしまして、できるだけ早く防災に結びつき得る予知の技術をそこまで持っていきたいと思っておるわけでございます。したがいまして、いろいろ御諮問を受けた上で、予知の技術も南関東に対してはそこまで向上したという事実が出てまいりますれば、それを踏まえまして、当然対策強化地域ということも出てまいりましょうし、そうなれば判定会といったような組織の設置も考えられると存じます。
○草野委員 先ほど申し上げましたように、この全国九つの観測地域の中でも、観測強化地域に定められたのは南関東地域が一番初めですね。やはりそれだけの危険度ということが想定されたのでこのようになったのじゃないかと私は思うのですね。そこら辺のところを踏まえて、この点については今後も十分にひとつ御検討いただきたい、このように要望いたします。
 次に、民間の予知団体というものがいろいろあるようです。なまずの会とか、いろいろありますね。こういう民間の団体の数だとか人員、こういうものをどの程度掌握されていますか。
○佐伯説明員 お答え申し上げます。
 実は私どもも民間の団体の数がどのくらいあるか、現実には把握しておりません。ただ民間情報が地震予知にも非常に有効であるという中国などの例もございますので、昨年度あたりから、民間の機関に対します助成と申しますかを、文部省も含めまして行っておりまして、たとえば神奈川県温泉地学研究所という団体には特別研究促進調整費から助成をいたしまして、研究強化をお願いしております。全国的には相当あるようでございますけれども、現状は把握できておりません。
○草野委員 ただいまのお話のように、相当に有効なものもあるというふうなことでございますけれども、やはりこれは政府におかれましても、こういうまじめに取り組んでいる団体については掌握をし、そうしてさらにもっとその助成を進めるようにしたらどうか、このように思います。私も神奈川県の場合、いろいろ話は聞いておりますけれども、たとえば県ごとにこういうまじめに研究に取り組んでいらっしゃる民間の団体の方々にたまには集まってもらって、そしてお互いに成果を報告し合うとか、さらにまた研究を進めるとか激励をするとか、こういうようなこともあってしかるべきではないかと思うのですね。何の役にも立たないというように政府が考えているのなら別でございますけれども、助成まで出していらっしゃるのですから、どうですか、こういう面についてもう少し激励したり助成をふやしたりというようなことで、積極的に掌握していく考えはございませんか。
○佐伯説明員 御指摘のとおり、大変重要なことだと思いますけれども、私ども神奈川県の団体に研究費を出すというのが新聞記事に出ましたとかんに、非常にたくさんの申し込みがございまして、中には全く荒唐無稽、それにいろいろ圧力もかかる面もございまして、非常に選択に困るというような例もございます。
 それはさておきまして、神奈川県の場合、昨五十二年度から研究費を出しましたのですが、私ども研究促進調整費を使いました成果につきましては、いろいろな機会に発表あるいは研究会等をやっておりますので、そういう面で今後も取り上げていきたいと考えております。なお、非常に有効な機関と判断されるものが出てまいりますれば、当然こういった特別研究促進調整費の活用によりまして十分バックアップしてまいりたいと考えます。
○草野委員 どうぞひとつ十分な御配慮をお願いしたいと思います。
 次に、災害時の情報の伝達方法、こういう問題について伺いたいと思いますが、気象庁の長官からの予知情報に基づいて総理大臣から情報を公開される、このようになっているわけでございますけれども、伊豆大島の地震のとき静岡県下に流されたいわゆる余震情報、これが大きな混乱を生んだ例もございました。したがって、この情報というものは非常にむずかしいわけでございますが、外れることを決して恐れるわけではございませんけれども、パニック状態の中で誤った情報、デマ、これはさらに大混乱のもとになるわけでございます。このような情報の伝え方、これをより正確に、わかりやすく住民に伝えるために、政府はどのようなことをいま考えていらっしゃいますか。
○四柳政府委員 御指摘の点私どもも先般の伊豆の地震で非常に貴重な経験をさしていただいたと思います。
 現在考えておりますのは、法的には二つのルートがあろうかと思います。本部長から知事あるいは各省庁へ、知事から市町村長へ、それから住民へという一つのルートがございます。もう一つのルートは、現在の法律にございますように、公示という形で、東京で報道機関等の御協力をいただいて発表するという二つのルートがございます。いずれの場合におきましても、御指摘のように報道の内容がわかりやすく、しかも的確に、あるいは繰り返してとか、いろいろな点につきまして、現在、報道機関とも寄り寄り協議をしております。先般この委員会にお越しをいただきました参考人の方もそういう御意見でありまして、できれば事前にそういう問題についてマニュアルをつくりまして、各報道機関も各市町村も同じマニュアルによって間違いがないように伝えるといいますか、しかも繰り返して伝える、そういう点で検討しておるところでございます。
○草野委員 非常に結構だと思いますけれども、ひとつこれには各界の学者の方、特に社会心理学者だとかそういう方々を交えて、こういう問題についていまから十分に取り組んでいただきたい、このようにお願いするわけでございます。
 次に、先ほど長官からもお話がございました二十九条、三十条の財政の問題ですが、国庫の大幅な補助ということでございますが、都市の耐震だとか防災対策に本格的に取り組んでいかなければこの法案というものは砂上の楼閣になりかねない、このように思うわけでございます。そこで地方公共団体が地震防災強化計画に基づいてさまざまな事業を実施すると一体どのくらいの金がかかるだろうか、現実の問題として重大なことだと私は思うのですね。ちょっとこの間静岡県の例を聞いたわけでございますけれども、静岡県ではこのとおり実施するとしますと約三千二百億円金がかかるというのですよ。これは大変な金です。したがって、このような施設の整備等に必要な経費について政府はどのように考えているか。先ほどもお話がございましたように、高率の補助または負担をすべきであるということは当然でございますが、たとえば避難地であるとか避難路、消防用の施設など、こういう整備事業については高額の国庫補助、地方債の特別枠の確保、利子の補給、このような効果的な誘導策を講ずるべきである、このように思いますがいかがでしょうか。
○四柳政府委員 ただいま御指摘の点、私どもも基本的にはそういう方向だろうと思います。先ほど別の方に長官が御答弁申しましたように、地域の指定がありまして、関係地区で計画をつくりまして、そういう中で関係団体の負担等がだんだん確定いたしますと、いま幾つかお挙げになりました対策でどういう形が望ましいのか、それらも関係省庁と具体的な問題として協議してまいりたいと思います。
○草野委員 この問題をもう少し詰めてみたいのですが、時間がありませんので次に進みます。
 建設省の関係の方いらっしゃっていると思いますが、伊豆の地震の場合もそうですけれども、このような大地震が起こりますと、橋梁だとか隧道、それから横断歩道橋、こういうようなものが非常に心配になってくるわけですけれども、最近のデータでこれらの危険個所はどのくらいございますか。
○渡辺説明員 お答えいたします。
 五十一年度に震災対策の点検をいたしましたところ、全国で約三万カ所ほど点検をいたしましたが、そのうち七千六百カ所対策を要するものがあるという結果が出ております。
○草野委員 時間が参りましたので、最後の質問をさせていただいて終わりにしたいと思いますが、横断歩道橋の場合なんか、私全然わからなかったのですけれども、こういうものが古くなって、地震のときに道路の上に落ちてくる、こういうことがあり得るのだそうでございます。そんなことになりますと、道路がふさがれて混乱の上に大混乱を重ねるわけでございますけれども、こういう緊急対策をしなければならない場所は現在どのくらいあって、今後どのような計画でこれを進めていくのか、この点についてひとつ伺いたいと思います。
 それからもう一点ついでに伺います。
 消防庁いらしていますか。――現在消防用のヘリコプター、これは消防庁に関係したものが全国へどのくらい配置されておりますか。そしてこのヘリコプターの役割りはいまどのように決められていますか。
○渡辺説明員 横断歩道橋につきましては確かに落橋等がございますと大変危険なことになるわけでございますが、実は横断歩道橋の場合の荷重は、人の荷重でございますので大変軽いわけでございます。そこで設計をいたしますときに、横方向からの風の力を考えております。これが垂直の荷重が少なくて風が大きいということなので、実は横方向に対しましてはかなり強いものになっております。したがいまして、地震に対しても十分対応できるということでございますが、ただ外れて落橋するというようなことがありますと大変危険でございまして、先ほど申し上げましたように七千六百の中で百五十九カ所、横断歩道橋で対策を要するものがあるという結果が出ております。そこで五十一、五十二年度から鋭意やっておるわけでございますが、今年度から第八次道路整備五カ年計画を実行いたしますので、この期間内にそういう危険なものはほぼ片づけてしまいたいというふうに考えております。
○田中(和)政府委員 いま全国で消防機関が持っておりますヘリコプターは十機程度だと承知いたしております。この役割りは、大体上空からの火災現場等についての情報伝達あるいは救急救助活動、離島等におきます救急医療業務といったようなことに従事いたしております。
○草野委員 最後にちょっと長官に伺いますけれども、いま消防庁の方からお話がございましたように、ヘリコプターが全国に消防用として配置されているのが約十機、こういう現状ですね。しかもその役割りは情報の伝達ということが大体主のようでございますけれども、私はこれからの大地震、大災害ということを考えた場合に ヘリコプターの体制を一段と強化すべきじゃないか、このように考えるわけです。恐らくいまの消防用のヘリコプターは、その能力においても数人乗りの能力しかない小型のものじゃないかと思うのですけれども、やはり大型のヘリコプターを配置して、少なくとも二十人以上乗れるヘリコプターを配置する、それからこれを消火作業に当たらせるということにぜひとも政府として真剣に取り組んでいただけないか。確かにアメリカ、カナダ等におきましては、森林なんかの災害の場合、火災の場合には飛行機やヘリコプターは使われております。しかしまた、ヘリコプターによる消火についての研究はこれからまださらに進めなければならない点が多々あると思いますけれども、そういう大混乱に陥った場合には地上を自動車が走れない状態になることが想像されるわけでございますので、大型ヘリコプターによる対策、特に消火活動、こういう面についてぜひ早急に研究に取り組んでいただきたい、このように私は要望するわけでございますけれども、もし御答弁いただけましたらお願いいたします。
○櫻内国務大臣 草野委員の御意見、これからの対策としてはまことに必要なことだと思います。なお、事前に自衛隊の出動をお願いする中には自衛隊のヘリコプターによる活動にも大いに期待しておる次第でございますし、またこれは消防庁にお答え願う方がよかったのですが、私かわって申し上げますと、ヘリコプターというよりも空中よりの消防用の特殊飛行機は現に用意されておると思うのです。それの強化も図るべきだと思います。
○田中(和)政府委員 いま長官からお話がございましたように、大震災時においては陸上が混乱する、残されたのは空だということで、実は防衛庁の飛行艇を改装いたしまして空中消火実験というものを現在いたしておりまして、まだ実験の段階でございますけれども、将来その実験の結果も踏まえまして十分検討してまいりたい、こう考えております。
○草野委員 以上で終わりたいと思いますが、いまお話がありましたが、たとえばいま消防庁が実験しておられる飛行艇、ああいう場合も大して効果がないというような話を聞いております。また、神奈川県の場合には、自衛隊と連携をとりまして、現在ではそういう災害時に一・八トンの消火液を積んで、自衛隊のヘリによって消火作業に当たらせるということも聞いておりますけれども、これもどうも効果がそう大きくは期待できないということを聞いております。したがって、私が先ほど申し上げたのは、大型ヘリの消防専門に使用できるような、そういうものをぜひともこれから開発研究していただきたい、こういうことをお願いしたわけでございますので、よろしくお願いします。
 以上で終わります。
○川崎委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 今回の大規模地震対策特別措置法案の中身を見ますと、これは、実用化が確立されていない地震予知を前提にして自衛隊の事前の災害出動を認めるというものでありまして、世論の中でも自衛隊の治安出動につながるものであるという強い疑念が出されております。
 そこで、まずお聞きしたいのですが、自衛隊の治安出動にはならないという歯どめがこの法案にはあるのか、どうして歯どめをするのか、長官にこの点の御見解を伺いたいと思います。
○櫻内国務大臣 たびたびお答えを申し上げておりますように、この措置法成立後には防災強化計画の作成も行われまして災害派遣を要請する場合に、その計画の作成の場合に関係省庁、県で事前にこういう場合に要請するのだということを十分はっきりしておきたい、こういうことでございます。また、災害派遣の場合は災害派遣の場合としての自衛隊の装備などがございますから、治安出動の場合とは全く違う形で要請に対する派遣が行われる、そういうことで、御心配の点はないということを申し上げておきたいと思います。
○柴田(睦)委員 自衛隊法八十三条の災害派遣は「人命又は財産の保護のため必要があると認める場合」この場合の出動ということになっておりますけれども、この法案の十三条では支援を求める場合の出動ということになっております。この「支援」と「救援」というのは違いがあるわけで、今回の法案の特徴の一つとして、この「支援」を加えたということは重要な意味があるというように考えております。これは、自衛隊が被災地や被災民を救助するだけにとどまらないで、治安の確保も含めた全般的な支援を実施するということに道を開くものであるというように見るわけです。
 防衛庁にお伺いしますけれども、大災害が発生した場合は自衛隊法の七十八条の治安出動の要件になるというように考えておられるかどうか、お伺いします。
○上野政府委員 まず最初のお尋ねの「支援」とか「救援」という言葉でございますが、自衛隊法八十三条の第二項は災害派遣の現行法の規定でございます。ここでは「救援」と書いてございます。これは災害に際して行います人命または財産の保護のための活動そのものでございますが、新たに設けられようとしております自衛隊法八十三条の二、地震防災派遣で使っております「支援」という言葉は、大規模地震対策特別措置法案、現在御審議いただいておりますこの法案の十三条二項で書いております「支援」そのままを受けたものでございます。地震発生前に措置せられる地震防災応急対策を適確かつ迅速に援助する活動というふうに理解をしております。そういう意味で、この法案十三条二項の「支援」という言葉そのままを使ったわけでございます。
 また、次の御質問の治安出動等の関連でございますが、大震災が起きる、あるいはその前の段階でそれが治安出動自体であるというふうに直ちになるということは考えておりません。
○柴田(睦)委員 災害時にはパニックが起こるというのは常識的でもあるわけです。最近の伊豆沖地震もそういう状況があらわれておりました。とりわけこのマグニチュード八というクラスの地震災害が起こりますと、これは大混乱が予想されるわけです。関東大震災のときもそういう状況があったわけですけれども、このことからいたしまして、自衛隊法八十三条による災害出動、これは七十八条の治安出動とダブって下令されるということになるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○上野政府委員 八十三条に規定しております災害派遣は、これは過去何回もこの規定を発動いたしまして自衛隊が出動しております。御承知のとおり、たとえば昭和三十九年でございましたか、例の新潟大地震の場合にも、自衛隊はこの災害派遣の条項で出動いたしましたし、その前にも大雪、これも新潟でございましたがありました。多々あります。伊勢湾台風というのもございます。その都度一応治安状態というものが混乱状態に陥ったことは事実でございますけれども、治安出動というものは一度も下令されませんでした。そういうことで、この災害派遣とそれから治安出動の条項というものは、先ほど大臣も御説明申し上げましたが、権限も違いますし、装備も違いますし、また法律の考え方そのものも違いますし、全く区別して考えるべきものというふうに理解をしておりますし、またそのような運用が過去なされてまいったというふうに理解をしております。
○柴田(睦)委員 だから、マグニチュード八というような場合は過去の自衛隊の災害出動というものとは質が違うといいますか、そういう面から見ましても、あるいは「支援」というような表現をとっていることから考えてみましても、災害出動と治安出動とがダブって下令されるおそれというものを感じるわけです。地震災害の場合の事前出動、それから事後の出動の際、自衛隊は武器は持っていきますか。
○上野政府委員 まず地震防災派遣でございますが、これは武器を持っていく必要は全くないと考えております。それから地震が仮に起こりました場合の後の災害派遣、現行法によります災害派遣におきましても、地震による災害派遣ということでありますれば武器を持っていく必要はないと考えております。ただ一般的に、災害派遣一般を申し上げますれば、過去武器を持って出ていったことはございますけれども、殺傷とか強制の手段という武器本来の使用目的をもって持っていったものではございませんで、例外的に武器を使用する必要が生じたから持っていったということでございまして、たとえば第十雄洋丸の撃沈処分といったような場合、あるいは谷川岳におきまして遭難をした方が宙づりになっておるロープを撃ち切るために銃を使ったという例はございます。ただ、地震の場合には、繰り返しになりますが、火器を持っていく必要は全くないと考えております。
○柴田(睦)委員 いまの点ですけれども、自衛隊の災害派遣に関する訓令の十四条のただし書きを見ても、救援活動のため必要がある場合は武器の携行ができるという規定もあるわけです。法律を見てみますと、武器は携行しないということは書いていないわけで、武器の携行の問題についてはこの訓令があるだけです。救助活動には一般的には武器は必要でないと思うのですけれども、武器の問題についての歯どめがない限りは、パニック状態を予想した場合、そういうところに武器を持っていくということになるのじゃないかという疑念を当然持つわけですが、この歯どめというものについてどう考えていらっしゃいますか。
○上野政府委員 災害派遣の場合に武器を持っていく必要性というものについてはただいま御説明申し上げたとおりでございます。
 ただ、そういうパニック状態が起こった場合に武器を持っていく必要があるかどうかという問題につきましては、そういうパニック状態、自衛隊法に即して申し上げますならば、治安出動を下令するような条件が整った場合で治安出動が下令された場合には必要な武器は持っていくことに相なろうかと思います。ただ、災害派遣をしております部隊がそのまま治安出動に切りかわるということは、先ほども申し上げたと存じますけれども、装備あるいは編成といった点からこれはなかなかむずかしい、困難なことではないか。もし仮に治安出動が災害時に発令されるといたしますならば、全く別の部隊がその目的のための編成、装備をもって現地に赴くことに相なろうかと存じます。
 ただ、これはもう先生御承知のことと存じますけれども、治安出動は、一般の警察力を持ってしては治安の維持ができないという場合に、内閣総理大臣の命令による場合あるいは都道府県知事の要請によって出動する場合というふうにすでに自衛隊法に規定されておるとおりでございまして、こういう要件が整う場合が仮にありとすれば、その条項が別途発令されるものと考えます。ただ、これも繰り返しになりますけれども、過去二十数年の自衛隊の災害派遣の歴史におきまして、災害派遣をしております最中にそういう治安出動の事態になった、あるいはそういうおそれのある事態になったということすらも全くございませんでした。
○柴田(睦)委員 過去にはなかったけれども、大地震というものを想定するとそういうことも十分に考えられるわけです。
 次に、自衛隊の出動時の指揮系統の問題ですが、静岡県知事がこの委員会で自衛隊が派遣されても知事、災害警戒本部の指示に従ってもらうということを述べていらっしゃいましたけれども、自衛隊は先ほどの訓令を見てみましても指揮はすべて方面総監、師団長がとるとなっていて、事前出動した自衛隊は警戒本部の指揮に従わなければならないという明記はないようですけれども、これはそれでいいのでしょうか。
○上野政府委員 地震防災派遣におきます場合の指揮系統でございますが、これはそもそも地震防災派遣に出動いたします自衛隊の仕事そのものが、こういう仕事をせよ、ああいうことで支援をせよという御依頼を受けて、その要請のもとに自衛隊が出るわけでございます。したがって、自衛隊の活動範囲はその御要請のあった範囲に限られるわけでございますので、そういう要請を受けて、こういう活動をせよという指揮自体は防衛庁長官の命令によって行われます。その要請をはみ出した命令が出るというわけでは全くございません。
 それから災害派遣の場合でございますが、これも考え方は地震防災派遣の場合と同じでございまして、都道府県知事のこういう範囲でこういうことを助けてほしいという御要請を受けまして、防衛庁「長官又はその指定する者」これは駐とん地司令、基地司令あるいは方面総監、師団長といったものでございますが、そういう者たちがその御要請の範囲に応じて、その範囲内で命令を出して支援を申し上げるということでございます。
 両者の指揮系統は、片や地震防災派遣の場合には長官の命令一本でございます。災害派遣の場合には「長官又はその指定する者」の命令ということでございます。その違いはありますけれども、いずれにいたしましても、その命令の淵源は防衛庁長官にあるということで全く同様に考えております。
 そこで、知事さん、要請をなさる方の指揮下に入るということにつきましては、これはやはりこういう部隊組織でありまして、その部隊の運用等に熟達をしておる者にお任せをいただいた方がうまくいくのではないかと思われます。全国的な部隊の配備もございますし、どういう部隊をどういうふうに持っていったら最も御要請のあった支援内容に合うかという判断も、防衛庁長官あるいはその系列下にある自衛隊の各級の指揮官にその命令はお任せいただいた方がうまくいくのではないかと存じます。
○柴田(睦)委員 それは災害が発生した後ならば自衛隊が何を分担する、消防が何を分担すると決められるわけですけれども、事前の問題で、どういう事態が起きるかわからないわけですから、状況を想定した上での行動ということになるわけで、ここに問題があるわけです。出動した自衛隊がやはり自分たちの想定に基づいて行動をする、そしてその指揮は方面総監や師団長がとる、こういうことになるわけです。
 そこで、法二十一条では地震防災応急対策を実施することになっておりますけれども、これはすべてについて自衛隊が全般的支援をするということに解釈できると思うのですけれども、いかがでしょうか。
○四柳政府委員 地震防災派遣におきまして要請をいたす側から自衛隊に期待いたしますところは、強化地域で防災の各関係機関がそれぞれ各種の地震防災応急対策を実施なさいます場合に、これを支援していただくことでございまして、たとえば正確な情報の収集あるいは車両、航空機、船舶等による広報活動、その他物資の輸送等の支援、あるいは緊急物資なり応援人員の輸送等が考えられますが、いずれにいたしましても、これらについては関係地方公共団体等の地震防災計画においてあらかじめ定めまして、その中において期待するところ、支援を要請するところを十分調整しておき、自衛隊の方も県の防災会議の委員でもございますし、そういったことを支援の内容として御理解なさって出動いただけると期待しております。
○柴田(睦)委員 第二十一条一項五号では「犯罪の予防、交通の規制その他当該大規模な地震により地震災害を受けるおそれのある地域における社会秩序の維持に関する事項」というのがあるわけですけれども、これも自衛隊としては支援するということになるわけですか。
○上野政府委員 ただいま先生御例示の第二十一条の各条項に即して自衛隊が御支援申し上げることができるであろうと予想されますものを申し上げますと、ただいま先生の御指摘になりました「犯罪の予防、交通の規制その他当該大規模な地震により地震災害を受けるおそれのある地域における社会秩序の維持に関する事項」というものにつきましては、私どもはお手伝いをすることはないのではないか、そういうことは考えておりません。
 私どもがお手伝いできることと申しますのは、当該条項の第一号にございます「地震予知情報の伝達及び避難の勧告又は指示に関する事項」についてであります。その中で、たとえば私どもの持っております車両とか航空機によります広報支援業務、それから、第二号に例示されております「消防、水防その他の応急措置に関する事項」に関しましては、水防の応急措置が私どもではできるのではないか。それから、第三号に例示しております「応急の救護を要すると認められる者の救護その他保護に関する事項」というのがございますが、この事項につきましては医療手段を御提供申し上げるための体制の準備を整えるといったようなこと。それから、第六号に「緊急輸送の確保に関する事項」というのがございますが、これにつきましては艦艇、航空機による緊急輸送の確保ができるであろう。それから、情報の収集でありますとか連絡員の関係機関への派遣といったようなことは当然のことながら私どものお手伝いできる範囲に含まれると存じております。
○柴田(睦)委員 わざわざ第五号だけ除く支援ということを言われますけれども、そこがやはり法律上問題があるということです。
 それから二十二条では、災害対策基本法から一歩進んで住民の責務が新たに強化されているわけです。いままでは精神規定の趣旨であったのですが、今度は「協力しなければならない。」ということになりました。この二十二条の「市町村長、警察官、海上保安官その他の者」、この「その他の者」の中に自衛隊員は入るのかどうかお伺いいたします。
○上野政府委員 この「その他の者」という立法の趣旨は、私どもの了解しておりますところではもちろん自衛隊も含まれますし、また指定行政機関に属します方々等、非常に広範の者が含まれる。たとえば民間でもってこの防災計画にのっとりまして計画を立て、またその遂行に当たる方々でも皆この「その他の者」の中に含まれるというふうに聞いております。
 自衛隊がこれに含まれるということにつきましては私ども承知しておりますが、「その他の者」につきましては、自衛隊以外の方でどういう者がこの「その他の者」に含まれるかということにつきましては、私どもお答え申し上げるのはあるいは不適当かと存じますけれども、御質問の自衛隊が含まれるかということに対しましてはそのとおりでございます。
○柴田(睦)委員 ということになりますと、この条項によって自衛隊員が国民に命令を下すということもあり得る、国民の意思を拘束するということもあり得る、こういう結果になっていくわけです。しかも事前出動の段階でそういうことがあり得るというように考えられるわけです。災害対策基本法では、災害発生後の出動ということで自衛隊の出動を明記しております。しかし今回の法案によりますと、この警戒宣言、いわゆるおそれの段階から自衛隊を出動させる、どんな事態が起こるかわからない時点で自衛隊が全般的支援をやるということになっております。そのためには国民の意思を事前に拘束することもあり得るわけであって、それを自衛隊がやらないという保証が、いろいろ説明はありますけれども、この法律上はないということになります。
 すでに防衛庁では、この南関東に「大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画について」というのを持っておられて、相当詳細な計画が練られております。この計画を見てみますと治安出動的要素が非常に強いわけで、たとえば要人の警備だとか情報収集活動、指揮連絡網の確立など、そうした任務がうたわれているわけです。また、情報収集活動ということを言われましたけれども、被災地の状況をテレビ映画に電送するという項では、桧町、市谷、対策本部、皇居といったところにしか電送しないという電波通信の独占的状況もつくり上げられているわけで、大地震あるいは大火災という大災害を想定した場合には、国民には事態が全く知らされずに、事態を知らせるということは後回しにされるということも考えられるわけです。
 この計画の中で、被災者の救護活動の項で、陸上自衛隊は十個駐とん地に八千名収容するということになっているわけです。私この前、立川の基地に行きまして駐とん地に行ってきたのですけれども、そこで駐とん司令から話を聞きますと、立川基地はヘリコプターの全国的な拠点になるわけで、そういう中で民間人を収容する計画はないということを司令が言っておられたわけです。そういう意味で見ますと、この計画自体のずさんさもありますが、被災者の救護ということに余り重きを置いてはいないということを感じたわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
○上野政府委員 まず、要人を警護するということが計画の中にあるという御指摘でございましたが、ただいまの先生の御指摘の、昭和四十六年の三月に私どもが作成いたしました大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画、これが現在あります長官が決裁しましたものでございますが、この中にはそういう要人の警護ということは書いてないと存じます。要請をいただいてその要人等を所要の個所にお送り申し上げるということは規定してございます。
 それから、この要人等の中には、これは政府の要員それから場合によっては民間の方々、あるいは立法府、司法府の方々、いろいろな方をひっくるめましていろいろなところから御要請があるだろうからそういう要請にこたえられるように、輸送する要請がありました場合にその要請にこたえられるようにしておこうという考えでそういう条項はございます。
 それから、立川基地に先生御一行が御視察をいただいた際の件でございますけれども、私どもが現在持っておりますこの計画の中におきましては、立川基地を含みますところの十基地でございますが、そこに約八千人の避難者を収容するという計画はございます。ただ、先生と立川の部隊長とのやりとりの詳細につきましては、あるいは先生方との認識の差異が私どもあるかもしれませんけれども、どういう言い方を立川基地の部隊長が先生方にいたしたか存じませんが、立川が非常の場合に避難者のための収容の基地の中の計画に含まれておるということは間違いのない事実でございます。
○柴田(睦)委員 要するに立川の基地は、大震災害時にはヘリコプターが全国から集まってくる、人数も五百人以上ふえる、そういうことで民間人を収容する余地はないということであったわけです。それはまたお調べいただきたいと思いますが、いずれにしろ立川の駐とん地は自衛隊が暫定使用ということで居座っているわけで、立川市民が米軍にとられておりました土地の全面返還ということを要求しているわけです。あの広大な土地は被災を受けたときの防災拠点に十分なり得るものであって、ヘリの拠点にして民間人の収容もしないということになれば、これは二重にも三重にも立川市民を裏切るということになるわけです。そういう意味で、自衛隊は暫定使用による居座りというのをやめて基地を明け渡すべきである、いままでの歴史的経過から見てもそういうように考えるのですけれども、この点に対して何か対策を考えておられるかどうかお聞きします。
○上野政府委員 立川基地に自衛隊のヘリコプターが配置されましたのはたしか四十七、八年のころだったと存じます。そのときにも国会を初め大変な御議論がございまして、自衛隊のヘリコプターを主とした部隊をあの基地に派遣することがいいかどうかという点について御議論がございました。結局、自衛隊の航空機があそこの基地を使わしていただくことは、これは非常の場合の災害派遣等に大変有利である、これは風向きとかいうようなこともございますし、関東南部におきます航空基地の配置状況等もございまして、霞ケ浦とか木更津にあります航空基地のほかに立川というもの、これは関東南部の西の方に位置しておりますが、そこに一カ所航空基地を置くということが災害派遣の場合にも大変有効であるという御判定をいただいたと私どもは理解をしております。そういう限りにおきましては、やはりあの立川の基地は、なるほど市民の方々からあそこは全面的に自衛隊は立ち退いた方がよろしいという御意見もございましょうけれども、こういう防災という面だけを考えましてもやはりあそこに何らかの航空機を主体とする部隊が置かれておる方がよろしいのではないかというふうに私どもは現在も考えております。
○柴田(睦)委員 最後ですが、この法案全体を見てみますと、結局地震防災ということが前提になって自衛隊の災害出動、災害時にはまた治安出動、そういう疑念が一層深まるわけです。私たちは自衛隊の事前の出動というのを容認することができないと考えております。事前対策では、消防力を強化するとか、あるいは国民の自主的な防災体制を確立する、そのための準備をするということで可能であるというように考えております。そうした本来やらなければならない対策の方を怠って、突然ここで自衛隊の事前出動をやらせるということは、これは私は認めるわけにはいきません。そういう意味で、この法案から自衛隊の出動を削除すべきであるという考え方を持っておりますが、最後に国土庁長官の見解を伺って終わりたいと思います。
○櫻内国務大臣 柴田委員の先ほどからの御質問を聞いておりますと、何か治安出動的なことをするのではないかという、そういうお考えから御懸念を披瀝してのことでございますが、マグニチュード八という大規模の地震が起きたときに、その際当然関係県の知事さんが自衛隊の災害出動を要請するといっても、その場合、ちょっとお考え願うと、交通機関はどうなっておるのか、道路がどうなっておるのかというようなことからいきますと、せっかく要請しても十分な活動の可能性が非常に少なくなってきますね。それで、今度の警戒宣言後というものは数時間もしくは数日ということでありますから、事前の派遣をできればしてそういう災害に対処する、また事前の準備の上においても自衛隊にお願いすることが相当あるのじゃないかということから出動の要請ということが出てきた、そのことを十分お考えをいただきたいと思うのです。
 それから、この活動の範囲、支援の範囲はどうか。これも、繰り返し申し上げておるように、国において基本計画を立てますし、県、市町村で防災強化計画を立てる、その計画の中におきまして自衛隊についてはどういう支援をお願いするのかということを関係省庁及び県で事前によく話し合おう、こういうことでございます。
 それから、言うまでもないことですが、自衛隊法によりまして、自衛隊の行動としては、防衛、治安、災害というように各条項によって行動がはっきりされておるわけでございまして、この場合の災害派遣が、自衛隊の任務として要請があって必要があればそれを行う、それを事前にもやってもらおうというようなことでございますので、いろいろ御懸念をお持ちでございますが、われわれがあらかじめ治安出動のために要請するということは一つも考えておらぬということをはっきり申し上げておきたいと思います。
○川崎委員長 太田一夫君。
○太田委員 国土庁にお尋ねをいたしますが、法三条に関係をいたしまして地震防災対策強化地域の指定というのがございますね。地震防災対策強化地域として指定される予定地域はどこからどこまでかというようなことをこの際お聞きしたいと思います。
○四柳政府委員 強化地域の指定につきましては、大規模な地震の発生のおそれが特に大きくて、その地震の発生によりまして著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、事前に防災に関する対策を強化する必要がある地域というたてまえでございまして、具体的にこの地域に該当する地域としましては、現在までのところ、地震予知連絡会が地震観測強化地域として指定している二地域、これは東海と南関東でございます。同じように予知連が指定しております特定観測地域、これは七地域ございます。これらが対象として考えられますけれども、当面は、前段に申し上げました観測強化地域の方が危険性が多いということで、特にその中の東海地区を対象とするということを考えております。また、南関東につきましては、いずれ中央防災会議の専門家の方々の御判断によりますが、やはり検討の対象にはなろうと考えております。
○太田委員 そうしますと、具体的に言いますと、新幹線で言うなら東京駅から名古屋駅までぐらいの間を考えていらっしゃるのでありますか。
○四柳政府委員 具体的な設例でお尋ねでございますが、東海地域として指定いたしますと、静岡県を中心としまして東の神奈川県と西の愛知県につながるわけでございますから、東京まではまいりません。具体的に新横浜になるのかあるいは小田原からになるのか、これは県の御要望等も聞かなくちゃなりませんけれども、そこら辺から始まりまして、西の方は豊橋にいくのかあるいは名古屋までいくのかという感じだろうと思います。
○太田委員 豊橋でとまるか名古屋まで行くかという六十キロ、七十キロはそう大して大きな問題はないかもしれませんけれども、小田原からか横浜からか、そこから西方面ということになりますと、東の大事な、いま最も人々の恐怖しておる地域が抜けますね。南関東は後刻また検討される宿題のようにおっしゃったのですが、千葉から岐阜までくらいの間というのは、新幹線で言うと羽島までぐらいの間というのは、この強化地域に当然指定されるべきだと思いますが、どうも駿河湾地震だけを対象にされて、これは言うならば静岡県地域対策法でございますか。
○四柳政府委員 この特別措置法の仕組みが地震予知情報というものをスタートにいたしまして、その予知情報が出されることによりまして事前に計画どおり定めた応急対策を講ずるという仕組みでございますから、予知情報がとらえ得る範囲というものがある程度ございます。現在具体的には詰まっておりませんけれども、学者の方々の御判断等によりますと、駿河湾の湾央におきましてマグニチュード八程度の地震が発生した場合の震度分布を検討しております。いま御指摘の神奈川県の東部ですとか、あるいは東京ですとか、そこら辺のところが震度五になるのか四になるのか、追ってここら辺の点につきましては中央防災会議の先生方の御意見等を聞きまして、その諮問答申を受けて具体的に関係県の知事に意見を聞いてその範囲が決まると思います。念のためでございますけれども、決して静岡県のためということではございませんで、東海地域につきましてはいま申し上げました予知ということ、それから防災ということがセットで一応現在とり得るという前提でございます。
○太田委員 これは櫻内長官、あなたから答えていただきたいのですが、そんなにわが国の予知体制というのはおくれておるのでしょうかね。しかも東京都を中心とする関東大震災の恐怖というものはもう言い古されておる。しかし、これが強化地域の対象にならないなんというのは非常識な法案だと思うのですが、それはどうなんですか。
○櫻内国務大臣 予知技術、予知体制というものにつきましておくれておるとは私は思わないのです。南関東の場合は、観測強化地域としてデータをずっととっておるわけですが、専門家の皆さん方から言うと、観測強化はしておるが、この南関東においてはマグニチュード七ぐらいの直下型の地震の可能性はあるが八は考えられない、こう言っておるのですね。
    〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕
同じ強化地域の東海地域につきましては、マグニチュード八程度を予想する、しかも現在の予知技術からいたしますとマグニチュード八についてはまず確実に予測ができるのだ、こういうことでありますので、今回の特別措置法におきましては予知ということが重要事項になっておりまして、予知に対しての確率を持っておるマグニチュード八関係、しかも現在東海地域判定会まで設けられており、二十四時間の観測体制をとって気象庁にデータを集中しておる、こういうことから、この措置法についてまず指定をするところはこの東海地域である。しかし、この南関東地域については、太田委員のおっしゃるとおり人口が密集しておるところで、また関東大地震の経験も持っておって、ここでもし地震があればどうなるかということで皆さん御心配でありますから、中央防災会議は予知については、あるいはマグニチュード七程度のことで、それには関係がないかもしれぬが、しかし、この法案による事前措置としての防災強化計画をやったりして地震に対して万全を尽くすことがよろしい、こういうことになればもちろんわれわれは強化地域の指定をするにやぶさかでない、中央防災会議の御意見に沿おう、こう思っておるわけです。
 それからもう一つつけ加えて申し上げますと、中央防災会議におきましては大都市震災対策推進要綱というものをつくっております。また大都市震災対策連絡会議もございまして、この大都市における震災についてはすでに震災対策緊急事業計画を一次、二次、三次とやってきております。そこでそういう計画もあり、加えて特別措置法で見るのがいいかどうか、これはひとつ防災会議の御意見に従おう、こういうことなのであります。
○太田委員 最初御提案なさいました趣旨が、いま明らかになっておる分で言いますと静岡県中心だということになりますから、何か静岡県議会で議論すればよさそうな気がいたしますが、わが国の国会で議論する大規模の地震対策といたしますならば、当然常識的な東京地区が入らなければならぬと思います。これは防災会議の結論にまつとおっしゃればそれでよろしい。それ以上の議論はきょうはいたしませんが、ある程度国民の常識にこたえていただきたいと思います。
 そこで、今度は交通関係の問題にしぼってお尋ねいたしますが、最初に運輸省にお尋ねをいたします。
 この法案から見ますと国鉄は法六条の指定公共機関になっておりますね。したがって、その場合、国鉄といたしましては当然法の規定によりまして地震防災強化計画をつくり、地震防災応急対策を講じなければならぬことに相なります。そこでお尋ねいたしますが、いよいよ警戒宣言が発せられたとしたならば、新幹線の列車運行というのはどうなるのか。それからその強化対策の中に一つあるような気がいたしますが、それほど大きな地震が考えられるとするならば、そこで警戒宣言が発せられるとすると電気は停電すると見なければいけません。そうすると電車は動かないということになりますと全部とまってしまいます。地震が発生すれば。その後の交通機関というのは、いまSLがなくなってしまった、蒸気機関車がないとすれば鉄道というのは完全に麻痺してしまうわけですが、どこかからガソリンカーを持ってくるといえばそれまでのことですが、間に合いませんね。これはガソリンでも大量に常備しておく必要があろうかと思います。それはそれとして、警戒宣言が発せられた、その瞬間において新幹線の列車運行はどうなるのか。
○山之内説明員 お答えいたします。
 今回の法案にかんがみまして国鉄はどう対処するかにつきましては、現在国鉄の中に専門の委員会をつくりまして防災に対する設備の強化の問題、それからただいま御指摘のございました警戒宣言が発せられたときに、直ちにどういうかっこうで情報を伝達いたしまして列車運行をどうするかという問題並びに多数のお客様方をどういうふうに御案内申し上げるかという問題等多角的な検討をいたしております。
 新幹線につきましては、先生御承知と思いますが、現在でも地震が起きますとすぐに列車がとまるような設備は設けてございます。ただ、現在この法案で御審議なされておりますように、大規模地震に対します予報が出た場合につきましては安全を旨といたしました対策を立てなければいけませんので、新幹線につきまして、もちろん一番安全な方法はとめることでありますが、いろいろな情報の内容等を想定しつつ具体的な対処方を現在検討を進めておる段階でございます。
○太田委員 地震が起きたらば新幹線はとまるといっても、二百十キロのスピードで走っておる新幹線がその瞬間においてとまるわけじゃありませんから、非常に危険でありますからね。一個列車平均千四百人も乗っておるといたしますならば安全の上にも安全を期する計画が立てられなければなりませんね。したがって、強化計画それから応急対策をひとつ十分やっていただきたいことを望んでおきます。現在検討中であるということについてそれ以上のお答えを求めませんが、新幹線対策は特に安全第一に考えていただきたい。
 それからもう一つ。いま国鉄からお答えがあったんですが、運輸省にお尋ねいたしますが、国鉄は指定公共機関で、強化計画と応急対策をつくるようにぴたっとなっていますね。ところが民鉄の場合にはそれは法七条に別扱いでありまして、応急計画をつくれば足りるとして強化計画の対象から外されておる。なぜ民鉄は、同じ公共鉄道輸送機関であるにかかわらず強化計画の対象から外されておるのでありますか。これは運輸省がお答えできなければ、立案と立法の作成責任者である国土庁からお答えいただいてもいいのですが、なぜ民鉄を強化計画の対象から外したか。
○土坂説明員 ただいま御指摘のありました強化計画の内容に応ずることにつきましては、私鉄関係につきましては地方鉄道法等の鉄道関係の法体系がございまして、そこで所要の規制措置も講じておりますし、また一定の投資に対しましては補助もするという道も講じておりますので、それらの制度を十分に活用いたしまして私鉄の個々の実情に合った地震対策が進むように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○太田委員 国土庁の方から答えてもらった方がいいんじゃないですかね。法の上において六条と七条となぜ区別したか。国鉄は六条で強化計画を立てなさい、地方鉄道いわゆる民鉄は七条で必要なしというのはどういうわけですか。それは旅館とか劇場とか百貨店並みに扱われておるわけですね。それはどういうわけなんですか。
○四柳政府委員 民鉄の場合におきましても数府県にまたがるような大きな企業につきましては、各県によって実情は違いますけれども、指定地方公共機関に御指定のところがございます。そのようなものにつきましては第六条の対象になります地震防災強化計画とありますが、現にそういったところは指定公共機関としまして防災業務計画をおつくりでございますから、その業務計画の中でつくっていただく。そこに至らないものにつきましては、いま運輸省の方からお答えのような第七条の方で一般的に措置をするという形になろうと思います。
○太田委員 運輸省のお話は現行法で防災対策がやれるんだから現行法結構、こういう話なんです。現行法で事足りるというなら、国鉄だって現行法で結構十分防災対策をやっている。でも、現行法で事足りるならば、伊豆急が過般の南伊豆地震においてトンネル崩壊というような事故が起きるはずがない。でございますし、現行法で足りるなら国鉄がこの間の仙台地方、宮城地方の地震において新幹線工事の橋脚がずれるとか、破壊されるというようなことになるはずがない。だから国鉄の方は強化計画をつくる。いいと言うんだ。それは悪い、やり過ぎだ、二重だからいけないなんて言わない。民鉄も同じようにしたらどうかと言うのです。多数の人命を運んでおるのだから同じようにしたらどうか。六条で多くを指定するとおっしゃれば一応は筋は通りますが、いかがですか。
○四柳政府委員 大変失礼いたしました。私先ほど間違った答弁をしたようでございますけれども、国鉄は御案内のように指定公共機関でございますから、当然災害対策基本法上防災業務計画の作成が義務づけられております。先ほど指定地方公共機関の計画云々と申し上げましたけれども、その点私間違えましたものですから、訂正させていただきます。
 そういう意味で、いわば各県の情勢によりまして指定地方公共機関としてある程度指定いたしまして、地域防災会議等に御参加いただいて、いろいろ御協力いただかなくちゃならないところは各県の実情によって判断しているということがありますものですから、計画ベースではそこは国鉄とやはり一線を画さざるを得ない形で、第六条の方には国鉄は書きましたけれども、第七条の方に民鉄の方をお願いしたわけでございます。
○太田委員 東京が強化地域になりますと、帝都高速度交通営団の地下鉄は強化計画はつくらぬでもいいのですね。だから東京都営の地下鉄線は強化計画をつくらなければならぬというアンバランスが起きますよ。それを考えておいてください。宿題でいいですよ、もう法律がそういうふうにできちゃったんだからね。民鉄はいわゆる劇場並みなりとした。不特定多数の出入りする場所なり、こう書いてある。そんなようなものですね。これはいざといったときの交通の動脈でございますから、私は心配する。現行法で十分やれる、できるだけのことを、これ以上のことをやるとおっしゃる運輸省のお気持ちは了解します。
 そこで、地下鉄の話になりましたからちょっと聞きますが、東京が強化地域になる。応急計画を立てる。もしも東京の地下鉄が運転中に警戒宣言が出される、そうなったときに地下鉄の電車の運転はどういうことになるでしょうね。都市の下をくぐっておる地下鉄に対してはもう相当具体的なことを決めておかなければいけないと思いますが、何かお考えありますか。
○原説明員 ただいま先生御指摘の営団の問題でございますけれども、地下鉄は一般に構造物は耐震設計でつくっております。したがって、構造物は壊れるわけではございません。ただ、列車が通常の運行をしているときに地震が発生すれば、構造物が安全でも運行に支障を来すということが考えられますので、警戒宣言が出ました場合には応急対策に基づきまして非常警戒態勢をとりまして、通信施設あるいは避難体制の点検を行いますとともに、予知情報の内容によりまして警戒本部と協議をいたしまして、運行の停止等の対策をとることが必要と考えております。なお、現在地下鉄につきましては、地震計、列車無線を設置しまして、おおむね震度四以上の地震では運転規制を行うことになっております。
○太田委員 地下鉄に恐ろしいのは漏水ですね、溢水ですね。水があふれてくる、鉄砲水が出まして一挙にトンネルが満水になるということが考えられます。たくさんの人が乗っておる地下鉄電車が途中で水中に埋没するというようなことになっては大変だとも思いますし、防災というよりは、宣言が発せられた後の事前の避難体制というのは、慎重の上にも慎重を期せらるべきであると思います。今後十分御研究なさることですし、いまの着想の中に大体認められる点もあるように思いますから、十分御検討いただくように願います。
 それから建設省はどういうことになりますか、高速自動車道の安全確保は。いまの大型地震の場合においては、ハイウエーというのは高いですから、寸断されるという危険を皆持つわけですね、構築物が高うございますから。そういう場合を想定いたしまして安全確保ということはどのように考えられておるのでしょうか。それから、警戒宣言が出された場合というのは応急対策になりますね。この警戒宣言が発せられたとき、高速自動車道というのはたくさんの自動車が走っておりますね。インターから出てくるのはいいし、またそのときに入るのには入り口においてスピードダウンとかあるいは停止とか指示ができますが、走行中の自動車がたくさんあるのをどうするか。何かそういうことについて、規制の方法等について御見解がありましたらお答えいただきたい。
○渡辺説明員 お答えいたします。
 高速道路の橋とかトンネル等の構造物につきましては、耐震設計にのっとりまして設計をしておりまして、関東大震災クラスのものに対しましても大丈夫かと思っております。ただ、古いものにつきましては落橋防止等の点で若干欠ける点がございましたので、けた場を広くするとかあるいは橋のけたをつなぐとかというような落橋防止措置をやっておるところでございます。
 そこで、警報が発せられました場合でございますが、もちろん後で申し上げますような方法でなるべく高速道路に入っていただかない、あるいは早く出ていただくというような方法をとりたいと考えております。通行車に対する連絡でございますが、無線を全部常備いたしておりますので、各管理事務所、サービスエリアそれから巡回中の道路パトロールカー、これに一斉指令で情報を流すことが可能になっております。その上で料金所とかサービスエリア、そういうところでドライバーに伝達をすることがまず第一点でございます。それから、走っている人に対してどうするかということでございますが、可変情報板と言いましていろいろな情報を出すものを道路上に設置しておるわけでございますが、これに警告及び注意情報を出すということを考えております。ただ、現在ございますのが渋滞とか事故とかというような案内しかまだ入っておりませんので、地震の関係の情報を入れるべくいまやっておるところでございます。それからまた、道路交通情報センターを通じましてラジオ放送で徹底することも考えております。
○太田委員 いまの高速道路上を百キロ近くで走っている自動車に対する警戒宣言が出された後の対処の仕方というのは、お聞きになっていて警察庁ではどうお考えになりますか。
○福島説明員 現在まだ十分に検討し尽くしたわけではございませんが、道路管理者と協力いたしまして、たとえばインターの閉鎖をする、それから建設省からも御説明がございましたような措置によって、できるだけ車に対して情報を流して適正な走行をしていただくということとともに、本線のうまい規制、閉鎖方法ができるかどうか、こういう問題もございますので、十分よく検討してまいりたいというふうに思っております。
○太田委員 情報板をつくり直すということがあればそれによって警報は伝達できますが、具体的には何を指示する。いま警戒宣言が出ましたから気をつけてくださいであるのか、そういう場合にとるべき交通安全上の対策から見た措置というのは、具体的には何であるか。これは警察庁どうですか。スピードを落とせ、単なるそれだけのことでなく何キロ以下にすべきだということも御検討なさるべきだと思いますが、御用意ありますか。
○福島説明員 御指摘のとおり、やはり本線走行の場合にも大震災が起こるという可能性が非常に高いということになりますと、車の走行につきましてはかなりの規制をしなければならないという必要が当然生ずると思います。まだ具体的には十分検討が進んでおりませんが、御指摘の点については、今後災害が発生した事態を想定いたしまして具体策を十分検討するよう進めてまいりたいというふうに存じます。
○太田委員 重ねて警察庁にお尋ねをいたしますが、しからば一般道路上における警戒宣言を出された後の通行車両に対する規制の仕方、それから実際に大地震が襲来をして大混乱となり、火災等までも発生したようなときの規制の仕方、ドライバーに対して何を指示するかというようなことも決めておかなければならぬことだと思いますが、実際上いま警察庁においてはそういう場合の市中の混乱、道路上の混乱を防いで、一応公共交通と言っては何ですが、消防車が飛んでいくとか救急車が飛んでいくとか、そういうようなものを優先通行させて、避難民が安全に避難ができるような措置、信号がなくなるわけですから自動車のはんらんと無謀運転があると思いますから、そういうものに対して対策がとり得られる自信はあるのですか。
○福島説明員 まず警戒宣言後の対策につきましてでございますが、警戒宣言が発せられました場合には、状況に応じまして住民の避難あるいは緊急輸送その他の防災活動が逐次開始されるという状況になると思われます。これらにつきましては、必要な道路の確保が必須の要件であると考えております。したがいまして、警察といたしましては、あらかじめ定めた計画に従いまして必要な地点に警察官を配置し、これらの状況の推移を把握していくとともに、事態に応じまして必要な道路について車両の通行禁止をかけ、あるいは車を他の道路に迂回させていくということによりまして、避難路あるいは防災のための緊急輸送路等を確保していきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、実際に震災が発生いたしました場合でございますが、この場合は当然走行車両による交通の混雑、危険あるいは住民避難、防災従事車両等のふくそう、さらにまた道路に損壊等の障害が生ずるという事態も起ころうと存じます。いずれにしても非常に異常な交通渋滞になるということを想定しなければならないわけでございます。したがいまして、これらの事態に対応でき、かつ被害の拡大防止を図るという観点から、迅速な交通規制を行うということ、これが非常に重要なことであることは御指摘のとおりであると思います。したがいまして、災害の発生直後には、これら交通の混乱が予想されます道路については、とにかく走行車両については道路の左側に寄せて停止させるということを基本といたしまして、可能な限り一般車両の全面的な通行禁止の措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、今後具体的な計画をつくっていくわけでございますが、計画の中におきまして住民の避難路に利用される道路あるいは防災従事車両の通行路を定めますとともに、さらにその上でどういう地点で規制を行うか、規制地点等も十分に定めまして、その上で実際に地震が発生した場合の体制といたしましては、できるだけ多数の警察官をこれら規制地点に重点的に動員配置するということによりまして、一般通行車両の規制を行い避難あるいは緊急輸送路の円滑な確保を図るとともに、交通の混乱による被害の拡大防止に全力を挙げてまいりたいというように考えておるところでございます。
○太田委員 大規模地震の襲来した際には、交通事故というのは実に大きなウエートを占めるそうですね。交通事故多発という傾向がある。これはロスアンゼルスの地震の教訓にもあったと思いますし、国内にも幾多ございます。
 そういうことから、交通安全の立場から本法はどのような義務と責任を課しておるかということについては、相当細かい配慮が行われておらなければならなかったと思いますが、これは国土庁に伺いますが、本案を作成される段階において交通安全上の御協議というものをなされたことがあるのでありますか。
○四柳政府委員 本案の二十四条におきまして、強化地域につきまして警戒宣言が出された場合に、都道府県あるいは隣接する都道府県の公安委員会が規制措置ができる規定がございます。これらの点につきまして、十分警察庁等と協議しております。
○太田委員 これで終わりますけれども、総理府にも交通安全対策室というのがあるはずですね。この組織は忘れていらっしゃったわけではないと思いますけれども、少し交通安全の立場というものを考えていただかないと、具体的な対策を発動する場合に非常に画竜点睛を欠くことになりますよね。今後の運用や、さらに政令等の制定の際において御配慮あるように希望しておきます。
 終わります。
○湯山委員長代理 石野久男君。
○石野委員 気象庁に最初にお尋ねしますが、気象庁は地震予知をなさいますが、そしてそのことによって警戒宣言が出ていくということに段取りがいくわけですけれども、いわゆる地震予知をする限界といいますか、それはどういうところに置いているか。最初に、その地震予知をする段階はどういうときであるか。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 本法案の引き金と申しますか、もとになります短期的地震予知の情報は恐らく東海地域がまず第一の対象となると存じますが、そこに張りめぐらしてございます非常に多岐にわたります観測網から上がってまいりますデータが現在気象庁へ相当集中いたしております。これはもちろん今後強化されると思いますが、これを昼夜の別なく常時見張っておりまして、あらかじめ設定いたしました一定の異常の基準に達しますと判定会の会長に御報告いたします。これは、異変が果たして大規模地震につながるかどうかという判断は、現在の技術水準では相当の学識と高度の経験を持った方でないとできない、その方がずっと確実であるという判断がございますためにこういう手法といいますか手続をとるわけでございます。そして判定会の会長さんが、これは判定会を開くべきであるという御判断が下りますとさらに他の五人の先生方に直ちに気象庁に参集していただきまして、それで私どもが整えておりますデータを見ていただいて、これはやはり大規模地震の前兆である、しかも数時間から数日といったような程度で逼迫しておるという判断が下りました場合に、気象庁長官から内閣総理大臣にその旨を御報告するということになるわけでございます。
○石野委員 内閣総理大臣はそれを中央防災会議へかける、こういうことになりますか。
○四柳政府委員 ただいま気象庁の方から御説明申し上げました、気象庁長官の報告を受けました内閣総理大臣は、法律の第九条にございますように、予知情報の報告を受けました場合には、地震防災応急対策を実施する緊急の必要があると認めますときは、閣議にかけまして、いわゆる警戒宣言を発するという形になります。
○石野委員 大体、判定会がこれは大変だと思う。この法律ができますと、いわゆる予知を報告しようとするときには震度の問題とかあるいは範囲の問題とかいろいろあると思いますが、およそどういうところがその判定をする目安になっておりますか。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 先ほど御説明申し上げました手順を踏みまして、予知情報が出せるというところは、現在の技術水準では、非常に広域を震度五ないし六で揺するようなマグニチュード八クラスの大地震でございます。したがいまして、被害の発生する範囲も数県にわたることが想定されております。
○石野委員 数県にわたるという限度は、ただ一県にわたる場合にはそういうことは余り考えないという意味ですか。
○末広説明員 私ども、もちろんできるだけ小さい地震まで予知に関する情報をつかみたいとは思っておりますが、現在の技術のレベルと観測網の配備等を考えますと、いわゆる直下型というようなものはある種の徴候はつかみ得たといたしましても、これが相当の確度を持って地震に結びつくという判断が下しかねるという状況でございますので、地震予知情報というのはやはり数県にまたがる大規模地震が対象になるわけでございます。
○石野委員 その場合に、予知連絡会がすでに観測強化地域あるいは特定観測地域というようなものを設定しておりますが、その関係とこの地震予知という問題とは通常どういうような関係になると皆さんの方ではお考えになっておりますか。
○末広説明員 実は、地震予知の手法といいますのは非常に多岐にわたります観測が基本になりますために、これに従事しております私ども技術者あるいは御研究をなさっておられる大学の先生も非常に大ぜいの方になるわけでございます。したがいまして、その間の情報を交換し、日本全国を見渡して、どこが危ないかといったような相談を行います場といたしまして地震予知連絡会というのがございます。ここの場におきまして、もう十年以上になりますが、いろいろ相談を重ねてまいりました結果、純技術的な立場に立って、観測強化地域すなわち地震のおそれがある地域ということで、現在東海地域と南関東が挙げられているわけでございます。しかし、その起こります地震ということになりますと、マグニチュードの面では、東海地域に起こりますものがマグニチュード八クラス、これに対しては予知情報が出せる段階に現在達しつつあるというのが判断でございます。
○石野委員 予知連絡会の指定しております観測強化地域及び特定観測地域というのは全国に九カ所ありますね。この地域からの連絡、情報の関係というのは、東海地区、特に観測強化地域と比較いたしましてやや同等なものになっているのでしょうか。それとも、その連絡の網といいますか通信網なり何なりはどういうような強弱があるか、その点について聞かせていただきたい。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 全国を対象といたしまして、測地測量の繰り返しであるとか地震活動の監視といったことを基本にいたしまして、ただいま申し上げましたような検討をいたしますのは、特に毎日やる必要のあるものではございませんので、これは二カ月置き、あるいは緊急に何か問題がある場合には臨時に集まりますが、この程度の時間的間隔で検討を繰り返しております。しかし、問題になっております東海地域のように、一時はいつ起こるかわからないということも言われたわけでございますけれども、とにかくそう遠くない将来に大規模地震が発生する可能性があるということが指摘されております地域に対しましては、いま申し上げましたように連続観測網が張ってございまして、そこから上がるデータの集中と、それが常時監視体制につながるという体制へ一種のレベルアップが行われているわけでございまして、当然、将来またそういう地域が他に認められればそういった体制がとられる対象となるということであろうと思っております。
○石野委員 お聞きしますが、指定地域のうちで関東南部及び東海はすでに観測強化地域として指定しておりますけれども、北海道東部あるいは秋田・山形西部、長野県北部及び新潟県の南西部、琵琶湖周辺、阪神、島根県東部、伊予灘及び安芸灘、こういうふうにすでに特定観測地域として指定している地域に対しては、いま東海並びに関東南部で感じているほど緊急性を持っているというふうに予想しないでこの法案はできているのですかどうですか。
○四柳政府委員 ただいまの先生お挙げいただきました観測強化地域あるいは特定観測地域の中で、いわゆるマグニチュード八程度の大規模な地震発生のおそれが特に大きく、その地震の発生により著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、事前の措置が必要という、いろいろ縛りがございますが、現実の問題としましては予知体制は可能であろうということを考えました。
 もう一つは、大規模な地震ということを考えますと、東海地域が第一候補であるということでございまして、観測強化地域の中の南関東につきましてもその可能性がございます。あるいはその他の地域につきましても、予知等が整うあるいは危険性が高まってくればそういった候補地になり得ると思います。
○石野委員 この防災計画をつくるに当たっては、前段に予知の問題が非常に重要だということがもうはっきりしているわけですが、関東南部、東海については一定程度皆さんが自信を持てる体制はできている。しかし、その他の地域については必ずしもまだ十分に完備しているとは思えません。それでこの防災計画の前に、この法案ができる前に予知に対する体制をもっと全国的に網を張らないとこの法案の成果は期待できないだろうというふうに私は思うのです。
 そういう意味で、これは長官にちょっとお聞きしますが、予知に対する全国的な体制整備ということについては現在の情勢で十分だとお思いになるのですか、それともこの法案を設定するについては、先ほど申し上げましたようないわゆる各地域に対する情報、連絡の体制づくり、あるいは機構整備、そういうようなものが必要になるのではないかと思いますけれども、その点はどういうようにお考えになっておりますか。
○櫻内国務大臣 この地震予知の過去をずっと御検討願うとおわかりだと思うのですが、文部省の測地学審議会が三回の建議を行っておるのであります。また補足的に二回ほどされておりますが、そのことによりまして地震予知というものが次第に体制が整えられてきておると思います。それで、現在は七省庁にまたがって地震予知のいろいろな研究機関があると思うのであります。私としてはそういういろいろな角度から研究をしてもらっておる、その中から予知に関するものを集めて体制を整えてきて、地震予知についての推進本部が五十一年十月に閣議決定で科学技術庁長官がそれに当たられて、現在ではそこが予知についての推進を総合的にやっておられると思うのであります。しかし、この現在の観測強化地域あるいは特定観測地域の状況からいたしまして、マグニチュード八程度のものは予知ができ得る、こういう判断の上に立って今回の法律の中で取り上げておるようなわけでございますが、予知体制をもっと強化する、これはもう石野委員おっしゃるとおりでございます。近く測地学審議会からさらに改めて建議が行われることが予想されておりますので、それを受けて体制をいかに強化していくか、それはそれとして考えていきたいと思います。
○石野委員 防災計画をつくられる、これは私は非常に大事なことだと思いますけれども、それ以前に予知の問題の方がもっと大事だろう、こう思いますから、そういう意味では予算の措置なりあるいは全体としての予知の体制を全国的に、特定の地域、関東とかあるいは東海という地域だけではないと私は思うのです。思わざるところへもっと大きいものが出てくるかもしれないという私たちの憶測がある。そういう的外れの対策をしておったのでは大変なことになってしまいますので、そういう意味で、特にこれだけの法案をつくるのでしたら、予知に対してもっと予算措置、体制づくりへの行政措置というものが必要になってくるだろう、こういうふうに思いますので、その点は私は大臣から特に閣議等においてその線をはっきりと主張されるように重ねて希望いたしますが、いかがですか。
○櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、閣議で取り上げて、地震予知推進本部が現にあるわけでございます。また地震予知につきましては年々予算措置も強化してまいっておるわけでございますが、しかしそれで足れりということを言っておるわけではないのでありまして、建議が行われれば、それをもとにどういうふうに強化すべきかということについては、石野委員のおっしゃるとおり、今後の体制強化に努めてまいりたい。
 また、この九地区でそれぞれ観測も行われておりまして、ときにはある地区においては地殻の隆起が認められるというような報告も受けております。したがって今度の法律の対象としては東海地域が予知もできるということで第一に考えておりますが、関東南部はまた大事な地域でありますので、中央防災会議の意見を聞いて強化地域にするかしないか、他の地域につきましてはそれはデータによりまして問題があればまた考えなければならないと思っております。
○石野委員 法案を見まするといろいろな方面に気を配っていることはよくわかるのですが、たとえば六条の防災強化計画の中にずっといろいろと施設等の問題が出ております。全体を見まして、原子力、放射能関係に対しての指摘といいますか、それに対応する文言をほとんど見ることができないのです。
 この防災計画の中では、いわゆる原子力施設、そしてそれに伴う放射性物質が大地震のときにどのように民生に影響するかという問題をこの法案はどういうふうにとらえているのか、そしてまたどういう条項でそれを処理なさろうとしているか、その点についてひとつ伺いたい。
○田中(和)政府委員 原子力施設関係につきましては、大震災時に住民が不安を抱かないよう従来から都道府県の地域防災計画あるいは市町村の防災計画の中に規定するように指導いたしておりまして、たとえば原子力施設の周辺の、もし万が一の場合の被害予想の地域とかあるいは危険地区とか立入禁止処置とかあるいは避難をどうするかとかあるいは情報伝達をどうするかといったようなことについて地域防災計画の中に規定されておるわけでございます。今度の予知の段階の強化計画の場合にも当然その予知の段階でどう対処するかということがその計画の中に書かれることになると思いますし、またそのような指導をいたしたい、こう考えております。
○石野委員 私は不勉強なんですが、この法案のどの条項がそれにひっかかっていくのですか、そこのところをひとつ……。
○田中(和)政府委員 「地震防災強化計画」というのがございますが、その中に「地域防災計画」というのがございます。この地域防災計画といいますのは都道府県の地域防災計画あるいは市町村の地域防災計画の二つがございますが、その地域防災計画の中で予知の段階でどう対処するかということを規定するということになると思います。それはあらゆる危険物、原子力に限りません、その他すべてのそういった住民が不安を抱きますものについてどう対処するかということは防災計画の中に書かれることになります。
○石野委員 防災計画の中に書かれることになると言って、ここには電気事業法の問題までも出ているのですよ。石油コンビナート等の災害防止法だとかあるいは電気事業法等にかかわるものとか出ておるのだけれども、原子力についてはどこにも一つも触れていないのですけれども、これは全然別扱いですか。
○田中(和)政府委員 原子力施設関係につきましては、科学技術庁なりあるいは電力会社なりの強化計画なり従来の業務計画というようなものの中で、応急計画も含めて規定しております。
○石野委員 私は、大地震が起きたときに一番大きい問題は、そしてどうにも手のつけられぬのは火事だと思うのです。いままでは火事だったと思うのです。しかし、私は火事よりも放射能が散ったらもっと手がつけられないのじゃないかと思うのです。皆さんは、原子力施設について地震には完全無欠であるというふうにお考えなんでしょうか。どうなんですか。
○早川説明員 原子力発電所の場合には、現在災害対策基本法というのがございまして、この中で防災業務計画を各社がつくることになっております。これは先ほどの各地方公共団体がおつくりになる計画と対になる計画でございますが、新しく予知の問題をとらえた防災業務計画を、現在ございます防災業務計画の中に拡充をするというふうに考えているわけでございます。
○石野委員 いま考えているんだけれども全然条文も何もできていない、用意されていないということですね。
○早川説明員 現在ございます災害対策基本法の条文の中にこれを盛り込むということでございまして、新しい法案の中で防災業務計画の内容を実態的に取り込むということでございます。
○四柳政府委員 ただいまお尋ねの原子力発電所関係でございますけれども、この法案の第六条で、指定公共機関等が地震防災強化計画をつくるという規定になっております。御案内のように、電力会社あるいは原子力研究所等がこの指定公共機関に指定されております。したがいまして、関係の企業におきましては、現在ございます各会社の防災業務計画の中に、特に今回追加しました地震防災強化計画の部分だけをさらに追加するような形で、その際必要な応急措置等を規定する仕組みになります。
○石野委員 関係法案の中には電事法の一部改正の項目が出ておるのに、原子炉等規制法等に関連しては何も触れていませんが、それはどういうふうになるのですか。
○早川説明員 原子力発電所は電気事業法の適用を受けるわけでございまして、先ほど申しましたように、現在あります災害対策基本法の中の一環として防災業務計画が拡充されるというふうに考えております。したがいまして、指定公共機関その他の原子炉設置者の場合には、今後この新しい法律の一環としまして応急計画というものをつくることになっておりまして、ここで拡充を図りたいというふうに考えております。
○四柳政府委員 ちょっと補足します。
 いま電力会社以外のものをどうこうというお話でございますが、第七条第一項第二号に「石油類、火薬類、高圧ガスその他政令で定めるもの」云々という規定がございます。そこの政令でいま御懸念のような個所を指定することを関係省庁と検討いたしたいと思います。それによって両方措置されると思います。
○石野委員 多分そういう答弁をするだろうと思ったんですよ。だけれども、あなた方は原子力について、石油コンビナートや何かよりもまだ軽く思っているのですか。長官、大地震が起きたときに、原子力問題、特に放射性物質等の問題というのがどんなに重大であるかということについての認識は全然政府にはないのですか。
○櫻内国務大臣 石野委員の御質問からいたしまして、この法文をずっと読んでまいりますと、確かにそういう政府側の姿勢が文言の上からいうと足らないように見られますが、先ほどから担当官から御説明のように、第六条あるいは第七条において対応する考えでおる、こういうことでございます。しかし、石野委員のきょうの御論議につきましては、私もさらによく検討する要素を持っておる、こういう所見は述べておきます。
○石野委員 電気に関しては電気事業法の五十二条に、「通商産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、」云々ということが書かれておるのですが、原子力に関しての問題はここではだめなんでしょう。原子炉については、今度新しく法が改正されて通産大臣のもとにいろいろなことが行けばまた別ですけれども、そうでない限りはまだ原子炉は規制法の規制を受けておるところがずいぶん多いはずです。この通産省令の保安規程云々というのは、これはほとんど原子力発電所を除くものでしょう。そうすると、原子力発電の問題はどこでどういうふうに保安規程を取り出していくのですか。
○早川説明員 原子力発電所を設置するような電気事業者は、先ほど申しましたように指定公共機関ということになっておりまして、現在の災害対策基本法の一環とします防災計画の中に予知問題を十分織り込むということに考えておるわけでございます。そこで、保安規程でカバーする対象事業者としましてはその他の指定公共機関というふうに私ども了解しておりまして、地震防災応急計画をつくる対象事業者というふうに考えている次第でございます。
○石野委員 時間がございませんから私はこの問題を追及するのに余りそうかかっておるわけにはいきませんけれども、少なくともこの法案では原子力に関係しては余りにも関心がなさ過ぎるようです。その考え方は恐らく、原子力はマグニチュード八あるいはその何倍かに相当するような施設を持っておるからということが前提になっておるのだと思いますけれども、放射性物質は単に原子力施設だけではございません。
 運輸省に承りまするけれども、運輸省は、もし地震が起きたときに、先ほど交通の問題がありましたが、放射性物質を運搬している車両等があった場合にはどういうような処置をなさいますか。
○片岡説明員 お答えいたします。
    〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕
 運輸省といたしましては、放射性物質を含めました危険物の輸送につきましては、安全輸送体制を従来から十二分に講じておりますので、地震等につきましても特に問題はないというふうに考えております。また、放射性物質を運びます容器につきましては、事故時をも想定いたしました安全基準を適用いたしておりますので、特に放射能漏れによる事故等はまずないというふうに考えております。また、万一事故が発生するような場合には、警察庁、科学技術庁とも協力の上、十二分に安全対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○石野委員 私は、もう時間が来たようですから最後に一問だけお尋ねしますが、この放射性物質を運搬中に地震があった、あるいは亀裂が生じてその中に運搬車がはまり込んでしまった。そしてキャスクに何かの事故があって放射能が出るというようなときの対処の仕方、これは警察はどういうふうにそれに当たるのか、自治体はどういうふうに当たるのか、そして科学技術庁はそれをどういうふうに指導するのか、防災会議はどういうふうにこれに対応するのか。これは火災どころではないと思うのですよ。仮に火事があっても、非常に高レベルの放射能が出ておったら人を近づけることだってできないはずです。火災防災のいわゆる業務もできないはずです。そんなことをやっておったらみんな人間がだめになってしまうのだが、そういうことに対応する対策はどういうふうにできておるのか。これは交通だけではありません。施設の中においても、炉は確かにしっかりしておるかもしれませんけれども、たとえば再処理工場などに入りますと、もう地球を何回りも回るような配管があるのです。その配管にもし事故があって放射能が出たときにどうするのだ、そういう対策はどのようになっておるか、この点について恐らく何の対応もないように思います。そういうふうな問題はこの法案の中には全然関心が払われていないようですが、私は非常に不備だと思います。一応私がいま尋ねたことについて、科学技術庁あるいは運輸省、警察庁、消防庁、これらの皆さんの方で、そういう事故が起こったときにどういう対処をするのだ、そして人員の整理はどうするのだ、交通整理はどうするのだ、他の関係はどうするのだということについての御説明をいただきたい。
○田中(和)政府委員 現在、科学技術庁を中心にいたしまして、この核燃料物質の輸送安全対策連絡会という会を持ちまして、そこでいろいろとそういう核燃料物質あるいは廃棄物、そういったものの安全輸送についての対策を連絡調整をとりながら検討している段階でございます。
○若田説明員 お尋ねの件に対します警察の対応でございますが、御指摘のとおりに、核燃料にまつわります事故については大変大きな問題でございますので、平素の輸送中から大変厚い防護体制をしきまして、そしてそれぞれ関係省庁あるいは会社から輸送につきましては事前に連絡をいただくことになっておりまして、これは法律上の義務ではございませんが、警察といたしましてはパトカーを事実上つけまして、輸送の安全を図っておるところでございます。これは単にそういう大規模地震等のためのみならず、最近うわさされておりますように、核ジャックというようなこともございますので、核防護の立場からもなお今日強化をしておるところでございます。
 お尋ねの大地震等に遭いまして実際にそういう運搬中に事故が起きた場合にはどうするのかということでございますが、輸送中にはこの方面の専門家が乗っていただくことにもなっておりますので、そういう方々のいろいろな御指示もいただきながら、警察といたしましては現場への立ち入り制限あるいは広域にわたります交通制限そういうものを中心といたしまして措置するところでございますが、先ほども御説明がございましたように、原子力委員会核燃料安全専門審査会というのと関係五省庁で構成をされております核燃料物質輸送安全対策連絡会というようなところで検討を現在もやっておるところでございます。
○早川説明員 原子炉施設につきましては、御承知のように建築基準法に定めます震度の三倍の地震力で原子炉そのものを設計しているわけでございまして、同時にその地域の状況、立地条件を加味いたしましてそこに起こります最大の地震を想定し、その地震力によります動的な解析をして、その両者を合わせて原子炉施設が十分耐えられるように設計をしておる。それからさらに原子炉を停止する機能あるいは格納容器等につきましてはさらにその五割増しの設計において機能を果たすようにチェックをしておるということから、原子力発電所あるいは原子炉施設からそういう大地震の場合に放射能が漏れて周辺に対するいろいろな放射線の障害が出るというふうには考えていないわけでございます。
 ただ、原子力発電所もそういう地震に対しましては、現場のいろいろな作業あるいは原子炉におきましていろいろな実験をしておる、こういう場合には、その作業を中止する、あるいは実験を中止するということで、十分その警戒体制を組みたい、あるいはその現場における保安体制も十分準備をするということで備えていきたいというふうに考えております。
 それから原子力発電所あるいはその他の施設につきましても同様の考え方でケース・バイ・ケースに対応いたしたいと思っておりますが、各省とも十分連絡、協議をさしていただきまして万全を期したいというふうに考えている次第でございます。
○石野委員 最後に一つ。長官、原子力は施設の面では震度に対応するような設備などをしておるということは、ある程度の時点までは理解はいたします。それでも地震はそれ以上に、やはり部分的には接触点等についての危害を与えたりひび割れを生じたりしますから、これも非常に大事ですが、一番大事なのは、放射性物質を運搬中にこういう事故があったときの対応です。したがって、私どもは放射性物質を運搬するということについて、常時やはり一定の制限なり、陸路を運搬することについて制限を加えるとか、あるいは一定の道路に規定するとか何かしないと、どこでも常時そういうものが運搬されていることは非常に危険だと思うのです。仮に科学技術庁やあるいは原子力委員会が警備を十分にしておったとしても、地震はいつ何どき起きるかわからないのだから、そういう意味からも、これは内閣においてやはり放射性物質の運搬について道路規制をするとか何とかというような、この防災計画自体よりもそれ以前の問題としての問題があるのではないか、こういうふうに思います。そういう点で、この法案はそういうことに対してはほとんど触れていないし、地方計画とかあるいは別な計画に任せているようでございますけれども、全く不備でないかというふうに思います。長官の最後の所見だけを聞いておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 従来、災害対策基本法にのっとってあらゆる災害に対処しておる。また、中央防災会議も設けられておるわけでありますが、予知のある程度の進歩、特にマグニチュード八程度以上に対する予知の可能性ということから、そこでこの特別措置法をお願いするということになったわけでありますから、そこでこの措置法だけから見てまいりますと、法文の表現あるいは扱いの上におきまして何か御不審をお抱きになったと私は思うのでございますが、しかしもともとは災害対策基本法で措置がとられておって、そしてこの震災対策につきましてもすでに一次、二次、三次というふうに計画がずっと進行しておるわけでございます。きょうも各担当官からそれぞれ御説明を申し上げたわけでありますが、しかしその中でも放射性物質の輸送に対する石野委員からの御指摘につきましては、もっと専門的によく検討さしていただきまして、こういう問題については万全の上にも万全の対策の必要があるということを認めますので、今後一層細心の注意を払ってまいりたいと思います。
○川崎委員長 瀬崎博義君。
○瀬崎委員 私は、本法案の科学技術庁とかかわり合いのある部分、つまり地震予知の問題について質問をいたしたいと思います。
 特別措置法第九条の気象庁長官が出す地震予知情報は東海地震判定会の検討結果に基づくと聞いておるわけでありますが、そもそもこの判定会そのものの設置の制度上の根拠といいましょうか、いわゆる法律あるいは政令上の根拠はどこにあるのかお聞きします。
○佐伯説明員 お答え申し上げます。
 一昨年、東海地域に対しまして大地震発生の可能性があるということが学者の間から盛んに言われまして、あす起こっても不思議ではないというような言葉もできましたのですが、それを受けまして、当然社会的要請も受けまして、一昨年の十月でございますか、地震予知推進本部というのを設けまして、これは閣議決定によりまして科学技術庁長官を本部長として設置をいたしました。そこに対しまして測地学審議会から、特定地域に観測網を整備すれば大規模な地震の予知は可能であるということで、ただいまの東海地域に対しまして観測の強化あるいはデータの集中並びに判定組織をつくりなさいという建議がございました。これを受けまして、推進本部におきまして東海地域判定会というのを設けていただきました。これは特殊な法規制によるものではございませんで、たまたまございます地震予知連絡会の中の先生方六名を判定会のメンバーとしてお願いをいたしまして、その判定会の事務局を気象庁にお願いすると同時に、気象庁に観測のデータの集中を行いまして現在の予知情報を出すという段階に踏み切ってきたわけでございます。
○瀬崎委員 判定会の人数はいま六人というお話でありますが、これで十分だという考えなのか、あるいはまた将来これを増員していくような方向等は考えておられるのですか。簡単にお願いします。
○末広説明員 判定会のお世話は気象庁でやらしていただいておりますので、御説明いたします。
 非常に高度の学識経験のある先生方の御判断を必要とするわけでございまして、地震予知連絡会の方から六名の先生の御推薦を受けたわけでございます。昨年の六月に発足をいたしましてやっと一年たったところでございますが、果たして六名でいいかどうか。また、もしこの法律が制定になれば責任も重くなるわけでございまして、そういった人数、運営の方法等は、当然いままでの経験を踏まえまして再検討ということはあり得ると存じます。
○瀬崎委員 こういう法案も準備されていることもあって、先般、科学技術特別委員会の方に浅田先生や力武先生のおいでを願って、私どももいろいろ所見を伺ったことがあるわけです。そこで判定会のメンバーのお一人でもあります力武教授が、このようにおっしゃっておるわけですね。「判定の方も、その法律の精神に沿うためには組織を当然強化しなければいけないんだろうと思います。現在はわれわれのような大学の教授をパートタイムで動員しているわけでございますから、ある意味では責任が軽いと言えば軽いわけでございます。しかし、それではいけないんで、やはりちゃんとしたものにしなければいかぬというふうに考えるわけでございますが、果たしてそうなったときになり手があるかどうかという問題が一つ出てくるおそれがございます。つまり、非常な責任を負う元気はないという人が多いんではないかと思います。というようなわけで、その辺にいろいろジレンマがございまして、非常にきちんとした議論をして、次元の高い議論をして、そういう判定組織というようなものをきちんとしていくというふうにしないと、うやむやで済んでしまうようなおそれがあるというのが印象でございます。」これが力武先生の御発言そのままなんです。こういうことからすれば、判定会の位置づけ、性格、役割り等についてまさにきちんとした論議が政府部内で詰められていないのではないか、むしろ詰められないまま法案化されてきたというのが実態ではないかと思うのですが、いかがですか。
○佐伯説明員 確かに力武先生そのようにおっしゃっておられますが、ほかの先生方にはまた考え方が違う場合もございまして、当時はとにかく気象庁長官の責任において出すということは決まっておりませんので、判定会のお力をおかりするというのが実情でございました。最近に至りまして、これが法案の中で気象庁長官から出るというふうに責任主体が明確になりました。したがいまして、判定会の先生方からは本当に頭脳をおかりするということを考えておりますので、特に法制化して先生方を縛るということは現在考えておりません。
○瀬崎委員 私はいま直ちに法制化しろとか、する方がよいのではないかなどというような議論をしているのではなくて、判定会というものが基礎になって一定の予知の判断が出されるとするならば、十分な論議を尽くして、きちんとした判定組織でなければならないのじゃないか、こう先生がおっしゃる、このことに政府は十分こたえてこの法案を出したかどうかを聞いているのですね。逆に言いますと、判定会そのものを構成している先生方がこういう御意見をお持ちである、十分きちんとした論議を詰めないまま法案が出る、出たら、気象庁長官は判定会の結果に基づいて行政責任を負わなければならないわけでしょう。大規模地震のおそれがあるかないか、これの判断は法律上は長官にかかっていく、長官自身がこういう状況では本当に自信を持って判断ができるのかどうか、その点伺っておきたいと思うのです。
○末広説明員 ただいま科学技術庁からも御説明申し上げましたが、確かに判定会の位置づけということには問題があろうかと思います。しかし、この法案の中では、判定会の先生によりよい判定をしていただくためのすべてのデータの収集とかお世話、常時監視等々は気象庁が行政的に処理しなければならないわけでございますので、判定会の先生には純粋に学問的な良心に従った判断のみしていただきまして、自後は行政側の責任として気象庁長官が総理に御報告をするということに相なったわけでございます。
○瀬崎委員 相なったわけだということを聞いているのじゃなくて、そういう判定会の中の先生自身の御意見がこういう形で出ているときに、判定会の結論を受けて結果的には責任は長官が負うわけなんだけれども、こういうことに長官が自信を持てますか、こういうことを聞いているわけなんですね。私は、もし科学的良心のある方なら不安を感じて当然ではないか、そういう意味のことを力武先生もおっしゃっているのじゃないかと思うのですね。私はこれは櫻内国土庁長官には、不十分な論議の上に予知判定が行政責任を長官にかぶせて出されるのではないかという危倶のあることを申し上げておきたいと思うのです。
 と同時に、マグニチュード八程度以上の地震について予知情報が出されるわけでありますが、実際土地震の発生場所とか条件等の組み合わせ等によりましては、八以下の地震であっても、場所により条件によってはマグニチュード八の地震以上の相当大きな被害が起きることだってあり得るのじゃないですか。
○末広説明員 確かに被害の面ということが重なりますと、自然現象の大きさとは並行しないというのは御指摘のとおりでございます。ただ、被害の広がる範囲ということも防災上から非常に大事だと私思うのでございますが、ただいま想定しております大規模地震マグニチュード八と申しますのは、被害の発生する範囲が数県に及ぶということが予想されるわけでございまして、やはり範囲という点から申しますと、マグニチュード八とマグニチュード七ということは相当の開きがあると考えております。
○瀬崎委員 マグニチュード七と八とでは相当開きはあるでしょうが、その間にも七・幾らというふうな線も出てくると思うのです。そのあたりの区切りが果たして科学的にきちっとつけられているのか、あるいは政治的判断を伴っているのか、その点の不安を若干感じるわけです。率直に言って、政府の地震予知が出なかった場合でも、国民としては相当な被害の出る地震を受ける可能性はあると見ておかなければならぬのではないですか。
○末広説明員 御説明申し上げます。
 残念ながら、現在の予知技術では、マグニチュード七というものに対しましては防災に結びつく予知情報が出せる段階に来ておりませんので、先生のおっしゃるとおり、日本のどこか思いがけないところでマグニチュード七程度の直下型が発生する可能性と申しますか、おそれはなしとしないわけでございます。ただ私たち、参考人の先生も御陳述になりましたように、マグニチュード七までは将来何とか予知情報へ結びつけたいと努力しているわけでございます。
○瀬崎委員 これは大臣にお伺いしたいのですが、こういう法案を準備した政府としては、大規模な被害が予想される地震はすべてこれで政府が責任を持って予知を出すのではない、きわめて限られた予知しか出せないのだ、このこと自身は明確にされておかなければいけないのではないですか。
○櫻内国務大臣 それはそのとおりなんです。マグニチュード八程度は予知ができるということでこの法案に予知を盛り込む、それから観測強化地域は南関東とかあるいは東海地域とか言われておるので、それらの地域指定をやれば、事前措置をとりますからそれはそれなりに効果がありますので、それは指定について中央防災会議の結論が出ればしたい。それから、その他一般的には、御承知のように、災害対策基本法による中央防災会議中心でそれぞれの措置をいままででもずっととっておるわけですから、それこれあわせての災害対策となると思います。
○瀬崎委員 これは力武先生だったと思うのですが、こういう法案が考えられるようになったこと自身は進歩であるとおっしゃっておるわけです。だけれども、法律の欠陥は欠陥で明らかにしておかなければいけない。こういう法律が出るとなった以上、国民の側からしてみれば、相当大きな被害を受けるような地震はまず政府が事前に予知してくれるものだと期待するでしょう。しかし、いろいろな制約から、圧倒的にと言ってもいいくらい政府が予知しなくても大きな被害を受ける地震は起こり得る、こういうことがこの法律そのものの中に含まれている。こういう点はもっと慎重に検討をしなければならない問題ではないかと思うのです。
 そこで問題は、このように予知の実用化ということが法律構成の一必要部分となってまいりますと、この予知のためにどれだけ政府が本腰を入れるか、ここに真価が問われてくると思うのです。国土庁に伺うのですが、第四条では、国は「計画的に、地象、水象等の常時観測を実施し、地震に関する土地及び水域の測量の密度を高める等観測及び測量の実施の強化を図らなければならない。」こう義務づけられているのですが、具体的な計画として、本法案に伴って新しいものは用意しておりますか。
○四柳政府委員 御質問が具体的な計画についてということでございますから、この法律の条文を設けた趣旨とは別にいたしまして、予知の強化につきましては、御案内のように測地学審議会の第四次の建議がことしの夏ごろまでの間に出ると思います。その中で、いま先生御指摘の予知体制あるいは観測計画の強化とか、そういうものが出てまいりますから、それを受けました段階でそれらの後追いといいますか、予算措置その他も含めましてそういった後になると理解しております。
○瀬崎委員 それでは科学技術庁の方に尋ねますが、第三十三条に「国は、地震の発生を予知するため、地震に関する観測及び測量のための施設及び設備の整備に努めるとともに、地震の発生の予知に資する科学技術の振興を図るため、研究体制の整備、研究の推進及びその成果の普及に努めなければならない。」こういう規定があるわけです。では、これに基づいて新たな予算、新たな施設、それから設備、研究計画はこの法律の裏づけとして具体的に持たれておるのですか。
○佐伯説明員 先ほど国土庁から御説明ございましたように、わが国の地震予知計画全体の長期計画につきましては、測地学審議会が五年間ごとに、現在第三次の最終年度でございますが、計画を推進してまいっておりまして、各省庁、大学、すべてこの計画に基づいて実施してまいっておるわけでございます。この法案が出てまいりますことにつきましても測地学審議会は熟知しておりまして、当然第四次建議で計画の中に盛り込んでまいるというふうに私ども考えております。
○瀬崎委員 ところが、測地学審議会の建議というのはすでに第一次、第二次、第三次と、別にこの法案がないときだって行われてきたわけですね。ところが、いま申し上げました第四条とかあるいは三十三条が、一応条文の上では国に義務づけられておるはずなのに、そこにうたわれている文言については全部測地学審議会の今後出るであろう第四次建議にまつというのですね。そうしますと、この四条とか三十三条とは一体何ぞや、結局精神的規定にすぎない、こういうことなんですか。
○佐伯説明員 測地学審議会が、一昨年にも、先ほど申し上げましたように東海地域の判定会の設置とか観測の強化ということを国の業務として建議されてきました例がございますように、一次から三次までが全然そういうことを考慮せずに行われてきたということではございませんで、第四次の場合は当然この法案を踏まえながら、それを含めた計画になっていくというふうに思っております。
○瀬崎委員 それでは大臣に伺いますが、この法律ができる以上は、しかも第四条とか第三十三条に盛られている予知技術、研究の促進のための国が負っている義務は測地学審議会の建議にまつというのであれば、この測地学審議会の位置づけといいますか、あるいはそこが出してくる建議についてくらいは少なくとも法律の中でちゃんと受けとめておくべきではないか。その建議を必ず国は実行しなければならないとか、何かなくては意味がないと思いますが、いかがですか。
○櫻内国務大臣 お話しの御趣旨は、御指摘になった三十三条、また四条によりまして、当然明年度の予算措置の際は――測地学審議会は文部省の所管ではございますが、予知推進本部は科学技術庁の長官が長となって設けられておりますので、また災害に対して担当する国土庁としても、これらの法律に基づきまして予算措置については全力を傾注して折衝する、これは言うまでもないと思うのであります。御指摘になった従来の一次、二次、三次と測地学審議会の建議に基づきまして、御承知のように予算措置は五十一年から五十二年へ、五十二年から五十三年へと相当な伸びをしてまいってきておるわけでありますが、今度の法案の審議を通じましても、大幅な予算措置の必要のあることが参考人からも言われておりますので、これから概算要求、予算折衝におきましては、それらをまた法文にのっとって反映せしめていきたい、こう思います。
○瀬崎委員 では、そこまで考えておられるならば、今後の予知がちゃんと法律的な裏づけをもって進められるという意味からも、私が言いましたように、測地学審議会の地位とかあるいはその出してくる結論についてこれを法文の中で明記する、こういうことがあってしかるべきではないかと思うのですが、そのお考えはないのですか。
○櫻内国務大臣 それは訓示規定のごとく測地学審議会の建議は尊重しなければならぬというような、あるいは御意見を踏まえて言えば表現ができるかもしれませんが、建議そのものが一次、二次、三次、四次というふうにいろいろ御検討願って、その進歩と申し上げるのか、予知体制の拡充について建議をしてまいるのでありますから、今後においてもそれは恐らく相当御研究の結果が反映してくると思うのです。だからこの建議は十分尊重していくのですから、だから念には念を入れて何か法文の上に書けとおっしゃることもわかりますが、しかしこの四条、三十三条があれば、われわれ予算要求する立場から言えば相当なことだと思っておりますので、ひとつ私の方の努力にまっていただきたいと思います。
○瀬崎委員 政府が今後予知を出す場合の判定を仰ごうと思っている最高レベルの先生方のおっしゃることにはもう少し耳を傾けてほしいと思うのです。
 力武先生は、現在の地震予知技術の発展段階から言って、予知の実用化ということを考えるならどうしてもやはり現在行われている観測網、観測体制、これの拡充強化が一つ必要だ。地震観測網の整備とかあるいは地殻変動連続観測網の整備とかあるいは地下水位、ラドン濃度の測定をする深井戸の設置とか、それから測地測量調査あるいは地電流とか地殻中の電気伝導の測定、こういうものをできるだけ綿密に密度高くやるということと同時に、観測できる項目をふやしていくということが絶対必要である。やはりこういうことが、一次、二次、三次と測地学審議会でやってきたけれども、まだ十分じゃないということをおっしゃっているのですね。こういうことを政府としてははっきり認めているのかどうかというのが一つ。
 それから同じく、今後は気象庁に各種のデータがずいぶん集中されるようですが、人の問題についても浅田参考人が指摘されました。「たとえば気象庁にいる、あえて高級技術者という言葉を使いますと、そういう人たちの人数も余り多くはありませんし、国土地理院でも事情は同様でありますので、そういう人たちを急速にふやすことはなかなかむずかしいので、そこに問題は一つある」「東海地震、いまのところ何年後に起こるかということははっきりしたことは申せませんけれども、絶えず監視をして、直前の現象は間違いなく把握するようにすることは見込みもあるし、そういう努力は絶対にすべきだ、」見逃すようなことがあってはならない、しかしそのためにも人の問題が大事だ、こういう点では非常に弱体だという指摘なんですね。この二点はお認めになっておるかどうか。
○佐伯説明員 先ほどの測地学審議会でございますが、これは文部省設置法に規定されておりまして、測地学及び政府機関の測地事業計画に関する事項を審議して、しかも文部大臣ほか関係各大臣に建議をするという規定が明白にされておりますので、これでいまのところ十分ではなかろうかと思います。
 それからただいま御指摘の点でございますが、関係行政機関におきましては、第一次から始まりました測地学審議会の建議を受けまして着々と観測網の整備を進めてまいっております。先ほど申し上げましたように第四次計画が出てまいりますと、それに基づきまして当然進めてまいるわけでございます。また、この測地学審議会のメンバーといたしまして関係行政機関の責任者あるいは各大学の先生、先ほど御指摘になりました力武先生、浅田先生、皆さんお入りになっておりますので、当然その場で御進言いただくものと私ども考えております。
 それから今後につきましても、先ほど大臣のお言葉にございましたように一層拡充してまいるというのが各機関とも一致した見解でございます。
 それから地震予知に関係いたしております人数でございますが、現在、全員で約千六百名、そのうち直接地震予知に関係いたします技術者が約三百五十名でございまして、これも毎年度予算の中で、少しずつではございますけれども予算と同時に人員の増強を図ってまいっておるところでございます。
○瀬崎委員 従来ともそれは増加を図られているでしょうが、しかし、いよいよこういう法律に基づいて長官が責任を負って予知を出さなければならないような事態になってきた。これはいま東海地域に限られますけれども、いずれこれは全国的にその必要性は要求されるに決まっていると思いますね。そういうときに、やはりこの浅田先生が指摘されているような、現在の気象庁あるいは国土地理院の人員、技術者の範囲で果たしてそういう予知の求められている実用化がどうかな、こうおっしゃっているのですが、そういう懸念に対しては気象庁、国土地理院はどういう判断をしているわけですか。
○末広説明員 先生御指摘のとおりでございまして、やはりこういった高度の技術的責任を負いますためにはそれなりの人員が必要なことは当然でございます。私ども現在までも相当の人員の強化を図らしていただいてきておるわけでございますが、今後さらに重大な責任を負うことになりますので、この人員の点も予算とともに十分御説明して、それなりの御判断、御査定をいただくように、これは十分の努力を傾けたいと思っております。
○瀬崎委員 何を提案しても、測地学審議会の第四次建議をまつと言われるので、質問する方は非常に心もとないわけでありますが、すでに実際の観測について、先ほど力武先生の御意見を伝えましたが、同時に、現在あるたくさんなデータからこれを地震予知に結びつけていくためには、この時期に改めてこの基礎理論の研究も必要だというふうなこともそれぞれ強調されているわけです。そういうふうな研究部門についても特に日本の弱い点を四点、力武先生は指摘されております。
 「弱い面が日本の地震予知計画にございまして、もっぱら地震観測と地殻変動というハイライトの部分」はあるけれども、一つは地球電磁気学という部門、これは研究者が数名いるかいないかだ。それから第二に、地球化学の方も、これも何人というような程度だ。それから第三に、地震予知の総合理論というような問題、つまり予知情報をこういう手順を踏んで出すのだというふうな部門、それから四つ目に、予知を警報に結びつける部門、こういう部門は非常に弱いわけでございまして、第四次ではぜひこの辺をもう少しちゃんと見ないとバランスのとれた計画にならない、こういう指摘なんですね。
 こういう指摘が出ておれば、何も四次建議をまたなくたって、これは科技庁が中心になるのか、国土庁が中心になるのか知りませんが、政府自身もみずから予算措置でやれると大臣おっしゃるんだから、やっていかれたらどうかと思うのですが、こういう点について、まずその必要性を政府は感じているのかいないのか、もし感じているとするならば速急にやる意思を持っているのかどうか、この点をお尋ねしたいのです。
○佐伯説明員 確かに御指摘の学問分野では弱体な面もあると存じます。ただ、先ほど申し上げました測地学審議会には、行政官庁の専門家を含めまして全国の各大学の先生方、全部合わせますと委員と臨時委員約数十名、まず日本の地震学の権威者を全部集めていると言っても言い過ぎではないと思いますが、こういったところで十分審議していただいた建議でございますので、政府も当然これにのっとっていくのが最善の方法であろうと現在考えて進めているところでございます。確かに、御指摘のとおり、一部の専門分野につきましては特定の専門学者が足りないという面はあると思います。これをいまのところ、各大学におきます研究、またたとえば国立防災科学技術センターにおきます研究部門の強化ということで今後補っていきたいと考えております。
○瀬崎委員 この場合、これも力武先生のお話ですけれども、その測地学審議会などの中の論議の中でも、日本で新しく検討した理論とかあるいは技術などは比較的評価されにくくて、そういう会議で「非常に支配的になりますのがよその国の話なんですね。」こういうこともおっしゃっているわけです。私はそういう会議の中身を直接知っているわけじゃありませんから、こういう先生のお話からうかがい知る以外にないのでありますが、そういう点でも、せっかくこういう先生方のお知恵を国がかりようという限りは、こういう先生方がこういう研究やこういう技術はぜひ採用してほしいと言われるものについては、積極的に国が、政府が取り上げていく、こういう方向を要望したいと思うのです。
 時間が来ておりますので、最後に大臣に申し上げておきたいと思うのです。
 とにもかくにも大規模地震に対して政府の責任ある対策が求められていることは事実だと思うのです。そのために地震予知の技術の実用化が緊急の課題になっていることも事実だと私たちは思うのです。ところが、今度の法案を見ますと予知の部分は余りにも軽く扱われている。これもこの間の先生方のお言葉なんですが、「重点はやはり防災にしぼられているのではないかと思います。予知の方はわりあいにあっさりと書いてあると思います。」こういうことなんですね。対策が大事であればあるだけに、また対策を正しくとるためにはどうしても急いで予知の科学的な実用化を図らなければならない段階にあるだけに、どちらかと言えば、地震予知研究強化法というものが別にあってもいい、あるいはまたこの法案の中でこの面にもっと力点が置かれてしかるべきではないか、このように思うのですが、大臣の所見を伺って終わりたいと思います。
○櫻内国務大臣 予知体制を確立していくということはもう瀬崎委員のおっしゃっておるとおりだと思います。そこで政府としては、累年測地学審議会の建議を受けて予知についての予算措置をも講じてまいったわけであります。まあ先ほどからすぐ測地学審議会と言うがと言われますが、また近々第四次の建議も行われるのでありますから、それを尊重するのは言うまでもありません。特に測地学審議会は地震予知特別委員会を設けて非常な御努力を願っておるわけですから、それなりに私どもはこれは尊重しなければならぬということでまいっておりますので、今後の予知体制強化の上にその建議を反映せしめてまいりたいと思います。
○川崎委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、十時二十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十三分散会