第084回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第15号
昭和五十三年五月八日(月曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 久保  等君
   理事 池田 行彦君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君
   理事 水田  稔君 理事 中井  洽君
      萩原 幸雄君    橋本龍太郎君
      岩垂寿喜男君    大原  亨君
      土井たか子君    馬場  昇君
      森井 忠良君    坂口  力君
      竹内 勝彦君    東中 光雄君
      工藤  晃君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       金子 太郎君
        環境庁企画調整
        局長      信澤  清君
        環境庁水質保全
        局長      二瓶  博君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (瀬戸内海環境
        保全知事市長会
        議代表幹事)  長浜 彰雄君
        参  考  人
        (瀬戸内の環境
        を守る連絡会事
        務局長)    西村 忠行君
        参  考  人
        (全国漁業協同
        組合連合会副会
        長)      宮原 九一君
        参  考  人
        (三重大学水産
        学部教授)   岩崎 英雄君
        参  考  人
        (広島大学教育
        学部助教授)  城  雄二君
        参  考  人
        (東京都公害局
        規制部長)   田尻 宗昭君
        参  考  人
        (伊勢湾総合対
        策協議会委員) 野村 新爾君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     岩垂寿喜男君
  土井たか子君     森井 忠良君
同日
 辞任         補欠選任
  森井 忠良君     土井たか子君
    ―――――――――――――
五月一日
 西名阪高速道路の香芝高架橋周辺における交通
 公害問題に関する陳情書(奈良県北葛城郡香芝
 町議会議長岸為治)(第三五八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止
 法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五
 号)
     ――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 本日お招きいたしました参考人は、瀬戸内海環境保全知事市長会議代表幹事長浜彰雄君、瀬戸内の環境を守る連絡会事務局長西村忠行君、全国漁業協同組合連合会副会長宮原九一君、三重大学水産学部教授岩崎英雄君、広島大学教育学部助教授城雄二君、東京都公害局規制部長田尻宗昭君、伊勢湾総合対策協議会委員野村新爾君、以上七名の方々であります。
 なお、本日は議事の整理上、午前中は長浜参考人、西村参考人及び宮原参考人から御意見を承り、午後からは岩崎参考人、城参考人、田尻参考人及び野村参考人の御出席をいただき、意見を聴取することといたします。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとう存じます。ただいま議題といたしております本案につきましては、ここ数年来、関係府県及び各方面から多くの提言、要望等がなされているところであります。本日は、参考人の皆様にそれぞれのお立場から御意見を承り、もって本案審査の参考にいたしたいと存ずる次第であります。つきましては、どうか忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。
 なお、御意見の開陳はおのおの十五分以内に要約してお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、長浜参考人からお願いいたします。長浜参考人。
○長浜参考人 私は、ただいま御紹介いただきました瀬戸内海十一府県と三市で構成をしております。瀬戸内海環境保全知事・市長会議の代表幹事を仰せつかっております。兵庫県の生活部長の長浜でございます。
 瀬戸内海の環境保全につきまして、日ごろから先生方から一方ならぬ御指導なり御協力を賜っております。この機会に厚く厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 さて、瀬戸内海環境保全臨時措置法が本年十一月一日に期限切れとなりまして、その後継法及び水質の総量規制を制度化するための水質汚濁防止法の改正が政府提案の恒久法としまして、本委員会で御審議いただいておりますことは、この法案の制定を心から熱望してまいりました瀬戸内海関係府県、市といたしまして非常に感謝している次第でございます。
 私どもといたしましては、法律案につきまして、次に申し述べますように若干の意見、要望はございますけれども、せっかく成案を得ました限りにおきましては、十分に御審議をいただきまして、ぜひ今国会で成立をさせていただきますように心からお願いを申し上げたいと存じます。
 ただいまから両法案並びに瀬戸内海の環境保全につきまして、いろいろ要望を含めまして御意見を申し上げたい、そう存じます。
 まず第一に、現在の瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づきまして、先般国におきまして策定されました基本計画によりまして、その基本的な方向づけがされたわけでございます。今後新法によりまして、各府県におきまして、いわゆる実施計画と申しますか、府県計画を策定することになっておりますけれども、国においてこの計画の策定に当たりましてさらにバックアップを強くお願いをいたしたい、そう思っております。
 次に排水規制の問題でございますが、その方法といたしまして、現在行われております産業排水中心の濃度規制方式から生活排水、農業排水を含めましたすべての排水を対象とした総量規制方式の導入に踏み切っていただいておりますことは、かねがね知事・市長会議において要望いたしておりましたところでもございます。まことに結構なことだと存じますけれども、この制度の運用につきましては、これが今後の瀬戸内海浄化の非常に大きな決め手になる、そういうふうに考えられますので、積極的な運営なり、また地域の実情に応じました削減目標量の設定、こういったような形が実現できますように期待しているものでございます。
 生活排水に対します下水道の整備が緊急かつ重点であることはもちろんではございますけれども、産業排水につきましても、現在の濃度規制をさらに継続するとともに、総量規制基準の、いわゆる総理府令が設けられるように聞いておりますけれども、業種ごとにきめの細かい基準が必要であるのじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
 また、総量規制基準の適用外の発生源、これが若干ございます。こういったようなことにつきましても、その削減につきまして強力に推進していくことが必要ではなかろうかと感じております。
 なお、下水道の整備につきましては、生活排水の水質汚濁に占める割合が非常に大きい、近年とみに高まっていることにかんがみまして、非常に緊急不可欠な問題だと存じております。瀬戸内海地域の下水道の普及率は三〇・五%ということで、全国平均の普及率より若干上回ってはおりますけれども、現在のペースで進みましても瀬戸内海の水質改善の早期達成というのはなかなかむずかしいのではなかろうか、そう思われますので、瀬戸内海地域につきましては、やはり緊急に下水道の整備をする地域であるというふうに考えられますので、下水道の整備を促進するために、国におかれましても重点的に事業を実施されるよう特段の御配慮をお願いいたしたい、そういうふうに考えております。
 次に、現在瀬戸内海が直面しております最大の難問でございますいわゆる赤潮の問題でございます。
 赤潮の発生のメカニズムの解明が非常に緊急の課題でございます。この点につきまして、新法ではいわゆる努力規定として設定される、そういうふうに伺っておりますけれども、瀬戸内海の知事・市長会議でも長年にわたり強く要望してまいりましたとおり、国の総合研究機関を早急に設置するなど、赤潮発生機構の解明のための総合的な体制づくりを積極的に推進していただきたい、そういうふうに思います。知事・市長会議といたしましても、瀬戸内海の各府県、市のいわゆる公害問題の試験研究機関の合同会議を近く設置をすることにいたしております。そして府県、市におきます赤潮の研究の調整推進を図っていく方針でもございますので、国におきましても格別の御支援をお願い申し上げたいと存じます。
 また、富栄養化対策といたしましての窒素、燐の規制の問題でございますが、技術的なことから、とりあえず行政指導により燐の削減から取り組むということについては妥当であろうと考えておりますけれども、富栄養化に関する調査研究及び処理技術の開発に努めていただきまして、富栄養化の要因物質の一層の削減を実現していただきたい、そう思っております。
 また、洗剤に含まれております燐の削減の問題につきましても、国において早急にさらに積極的な対策を講じていただくように強くお願いしたいと存じます。
 なお、赤潮対策としての海底のヘドロの除去の問題これも非常に重要でございます。早急に国におきましてもろもろの、問題もあろうかと思いますが、調査研究を行っていただきまして、事業の実施を促進していただきたいとお願い申し上げたいと存じます。
 次に、水の浄化とともに、瀬戸内海の環境保全の非常に大きな柱でございます自然保護につきまして、今回自然海浜の保全条項が新たに入ってきたということは一歩前進であると考えておりますけれども、実施に当たりましては、国においても強力にバックアップをお願いを申し上げたい、そういうふうに存じております。
 次に、海上交通の問題でございますが、タンカーなど航行船舶の安全対策につきましては、かねてからお願いを申し上げてきたところでございますが、新しい法案では油濁防止、こういう面から努力規定が設定されることになっております。今後も航行安全の施策の一層の拡充強化を図っていただけるようにお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、二百海里時代を迎えまして、食糧供給の面から瀬戸内海が果たさなければならない使命は非常に大きゅうございます。漁業資源の増大を図りますことは、今後の瀬戸内海の環境保全対策の大きな目標でもございます。この面からも、国におきまして漁業資源の振興につきまして積極的に推進していただきたいと存じます。
 なお、埋め立ての問題でございますけれども、現在の臨時措置法及び埋め立てにつきましてのいわゆる十三条の規定の運用に関する基本方針によりまして、厳しく規制されております。私どもといたしましても、今後も環境保全を根幹として、この問題に対処してまいりたいと考えておりますけれども、その意味からも、埋め立て等に関します環境アセスメントの法制化ということをぜひ実施していただきたいと考えております。
 最後に申し上げたいことは、いわゆる財政上の特例措置の問題でございます。瀬戸内海の環境保全を行うというための各種の事業、特に先ほど申し述べましたような下水道の整備なり、海底のヘドロの除去、また漁業資源増大のための藻場だとか稚魚の育成場の造成、それから廃棄物処分施設の整備等々、その事業は非常に巨額の費用が必要でございます。現在の地方自治体の財政力から見まして、その負担には限界がございます。現在の法律、いわゆる瀬戸内海環境保全臨時措置法が超党派で、満場一致で成立していただきましたことは、わが国の全国民の意思として、瀬戸内海の環境保全に踏み切っていただいたものというふうに感じておりますので、施策の実施に当たりまして、ぜひ財政上の特例措置を御配慮いただきますように、特にお願いを申し上げたいと存じます。
 以上、いろいろ御要望を申し上げてまいりました次第でございますけれども、私ども瀬戸内海の関係府県市といたしましては、瀬戸内海は一つである、そういう基本認識のもとに、いままでも協力して環境保全に努めてまいっております。国の強い御指導、御協力を得まして、今後とも瀬戸内海の環境の保全のために全力を傾注してまいりたい、そういうふうに申し合わせをしておりますので、先生方におかれましても、よろしく御指導を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の意見の陳述を終わりたいと存じます。
 どうもありがとうございました。
○久保委員長 ありがとうございました。
 次に、西村参考人にお願いをいたします。
○西村参考人 御紹介いただきました西村でございます。
 私は、主に瀬戸内海の環境保全のために沿岸各地で住民運動をしている、それに参加している者の一人として、住民の立場から発言をさせていただきたいと思います。
 臨時措置法が昭和四十八年に制定された、そのとき、先生方の熱意と努力で全党一致で制定されたわけでありますけれども、その成果について私たちも大きな期待を持って見守ってまいりました。ところが、臨時措置法という法律上の制約もあることと、大方の施策が基本計画にゆだねられていたということもありまして、臨時措置法そのものによっては、全体としては瀬戸内の回復と、破壊を十分食いとめることができていないと私たちは感じている次第でございます。一部の水質改善等の成果はあったと思いますけれども、やはり後継法の中に抜本的な改正を盛り込んでいただく、そういうことが必要であろうと痛感している次第でございます。
 このたび後継法が提案されまして、私たちも住民の一人として拝見したわけでございますけれども、大きい問題点あるいは私たちの要望として七点ほどございます。申し上げさせていただきたいと思います。一つは、自然海浜の保全の問題。二つは、埋め立ての規制の強化の問題。三つ目は、赤潮対策の問題。四つ目は、総量規制の導入に関する問題。五点目は、船舶の航行と漁業における操業の安全の確保の問題。そして六番目は、財政問題。七番目は、瀬戸内海の基本的な位置づけと利用のあり方に関する問題。この点について私たちの要望をさしていただきたいと思います。
 第一点の自然海浜の保全についてでございますけれども、御承知のように、瀬戸内における海岸線というものは世界的にもすぐれた海岸線でございます。日本の自然美というものは、渓谷美と海岸美が典型的な日本の自然の美しさだと言われます。その中で、特に瀬戸内海における海岸線のすばらしさは、瀬戸内を支えるものとして今日世界的に高い評価を受けております。ところが、御承知のように、日本には海岸線を保護するという法律がございません。海岸法というのはありますけれども、あれはむしろ護岸工事が主でありまして、海岸そのものを保全していく、海岸の美しさを保護するという法律はまだ日本にできていない。諸外国では、たとえば八年前にアメリカのデラウェア州では、海岸地帯法というのがございまして、全海岸について二マイル幅においては重化学工業の建設を禁止する、そういう法律をつくっております。カリフォルニア州においても、海岸地帯における一定の区域については行政委員会の許可がなければ海岸地帯における工場の新設等ができないという規定を設けております。このようにすでに世界的に海岸線の保護というのは趨勢になっておりますけれども、日本ではまだ大変立ちおくれているというのが現状ではないかと思います。そういう点で特に瀬戸内海は美しい海岸線という点からすると、残された自然海岸はすでに五〇%を割っているという実情でございますので、ぜひともこの後継法の中では、海岸線の全域の残された自然海岸の保護を思い切ってうたっていただきたい。どうしても改変の必要な、海岸線の利用が必要な場合だけ利用を認めていく、それ以外は、原則として瀬戸内における海岸線の改変は禁止をするという方向で後継法の中で考えていただきたい。それが第一点の私たちの痛切な願いでございます。
 二点目は、埋め立ての規制の強化についてでございます。これはすでに臨時措置法の中で瀬戸内における特殊性を十分配慮して、それに合った規制をしていくということで、公有水面埋立法の免許の運用について環境庁の次官通達という形で一定の規制が行われております。ところが、この次官通達が出た後、昭和五十年一月現在ですでに十一府県で一千六十二件の埋め立て免許が与えられている。昭和五十年一月以降はさらに埋め立て免許も下付されている。そういう実情を見るときに、やはり臨時措置法を受けた次官通達では十分な埋め立ての規制ができていない、なお一層瀬戸内の海岸線の破壊は進んでいるということを指摘せざるを得ないと思います。そういう点で、この後継法の中で、やはり瀬戸内におけるこれ以上の埋め立ては原則として禁止していくということを明確に打ち出していただきたいと思います。
 三点目は、赤潮対策についてでございます。御承知のように、赤潮の発生はいまなお増加の一途をたどっているというのが実情でございます。昨年の八月末には播磨灘で大赤潮が発生して、沿岸の漁民は二十一億円以上という莫大な被害を受けました。ことしも赤潮が発生することは必至であり、被害が発生することもきわめて大きな可能性を残しております。こういうことを考えますと、赤潮に対する対策の緊急性、焦眉の課題であるということはもう言うまでもないことであろうと思います。どうか、ことしも来年も漁業者の新たな被害が発生しないように、早急な抜本的な対策を考えていただきたい。そのためには、この後継法の中で予想されている燐の規制だけではなくて、窒素並びにその他の赤潮発生の諸要因とされていることについて十分対策がとられるように、具体的な措置を盛り込んでいただきたいと思います。
 四点目は総量規制の導入についてでございます。
 総量規制が導入されるということは私たちも大変賛成でありますけれども、この総量規制の総量削減基本方針がいわば内閣総理大臣に委任をされている形になっています。そしてまた、総量削減基準が設定されても、その基準を守る手だてが設けられていないように見受けます。そういう意味では、中身のある総量削減の目標値と目標年度が明確にされて、なおかつその遵守については、一定の法律的な効果のある規制をしていただきたい、そのように思います。
 五点目の船舶の航行と操業の安全の確保についてでありますけれども、これも御承知のように、瀬戸内海における船舶の航行数は年々増加し、特に顕著なのは、大型船舶が増大しているということが顕著な状況でございます。その中でも、とりわけ瀬戸内における大型タンカーの航行が年々増大していっている。それだけではなくて、たとえば水中翼船であるとかあるいはホバークラフトなどの高速艇が大変多くなっている。また、観光用のモーターボートであるとかそういったものもふくそうしております。瀬戸内はそういう意味では非常に船舶が過密な海域であると思いますけれども、ここでやはり船舶の航行の規制を考えていただくことが必要な時期に来ていると思います。この規制の仕方についてですけれども、現在は他の法律で専用航路の指定等がなされておりますけれども、どちらかといえばそれは漁業者に、小型船舶に航路の回避を義務づける方向、つまり大型船舶の航行の安全を確保する方向で解決がなされようとしているように見受けられます。そうではなくて、むしろ瀬戸内における大型船舶の乗り入れそのものを是正をしていく、そして瀬戸内における漁業者の操業の安全をまず確保すること、そういったことを基本にしながら、航行の規制を全体的にしていただくことが必要ではないか、そのように考えます。
 六点目の財政問題についてでありますけれども、臨時措置法の中には、下水整備事業について必要な資金の融資のあっせんだとか、あるいは十六条における水質浄化のための事業計画についての必要な財政上の措置の規定がございます。そしてまた、公害対策基本法の中で財政措置がうたわれております。しかしながら、私はこれをその他の開発法規と比較したときに、保全の法制の中では財政問題がきわめて弱く規定されているのではないか、そんなふうに思えてなりません。開発関係の法規で見ますと、これは公共投資であるとか、政策増減税であるとかあるいは政策金融であるとかいろいろな角度から、手厚い財政上の保護がなされております。たとえば、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等を見ますと、地方債の利子補給であるとか、国の負担割合の特例であるとかあるいは固定資産税の減免措置、それに伴う地方の税収の減収に伴う是正措置だとか、いろいろな形で財政上の規定がありますけれども、保全法に関しては非常に財政上の手当てが弱いように思えてなりません。この点もぜひ後継法の中で、利用と自然とは一体ということから考えれば、大幅な財政上の措置をとっていただくことも不可欠ではないかと思います。
 最後に、瀬戸内海の基本的利用のあり方、利用の位置づけについてお願いをしたいと思います。
 これも御承知のように、瀬戸内海は船舶の航行あるいは臨海工業地帯あるいは国民にとってのレクリエーションの場、自然景観、漁業、いろいろな形で多面的な、複合的な利用がなされておりますけれども、こういう利用が一たび競合するとき、利用と利用が矛盾し合うとき、衝突するときにどういう利用を優先させるのか。国民の将来にとって、日本の未来にとって、瀬戸内海の基本的な利用がどうあるべきなのかという理念がなければ、利用が衝突し合うときに解決する手だてはないと思います。たとえば、今日では、臨海工業地帯が造成されるとき、そこが漁場である場合には漁業権が金銭によって補償されて工業地帯が造成されるという形で、要するに金銭的な解決で利用の優先順位が決められていっております。しかし、少くとも私たちは、瀬戸内海の特殊性と未来にわたる利用を考えるときには、そういう金銭による解決ではなくて理念による解決、国民の将来にわたる利用のあり方を基本にした利用の優先順位を明確にして規制をしていただく必要がありはしないか、そのためには、この後継法の中でも、環境保全に伴う諸施策がほかの施策よりも優先するということを明確にしていただく必要がありはしないかと思います。
 大変簡単でございますけれども、私の要望と意見を申し上げまして、先生方のこの後継法に対する一層の御配慮を賜りますようお願いしまして、私の意見陳述にかえたいと思います。
○久保委員長 ありがとうございました。
 次に、宮原参考人にお願いいたします。
○宮原参考人 ただいま御紹介をいただきました宮原でございます。
 私、全漁連の副会長でございますとともに三重県漁連の会長でもございまして、瀬戸内海と同じような閉鎖性水域ということで問題を起こしております伊勢湾の現状をつぶさに見ながら生活をしておるものでございます。また、瀬戸内海の環境保全審議会の委員といたしましても、瀬戸内海の環境保全に関していろいろ意見を申し述べてきたものでございますが、本日、本院におきまして、参考人として漁業関係者を代表して意見を開陳させていただく機会をいただきましたこと、大変ありがたく存じておりまして、御礼を申し上げる次第でございます。
 昭和四十八年に議員立法で制定されまして、ことしの十一月で期限切れになります瀬戸内海の環境保全臨時措置法を、環境保全特別措置法として、恒久法として制定していただきたいということでいろいろお願いもいたしておりますが、今回、その改正法案が水質汚濁防止法の一部改正とともに御審議をいただいておりますことにつきまして、私ども漁業者としては大変喜こんでおることでございます。われわれといたしましては、かねてから恒久法としてこの後継法を漁業者の立場からいろいろお願いを申し上げてまいっておる次第でございますが、特に先ごろ、御案内のような日ソの二百海里問題といった経過を見てまいりましても、いよいよ漁業者としては沿岸の海域の生産を増大する、そういうために環境を保全、整備するということが現在最大の問題である、こういうように考えておる次第でございまして、そういう意味からも、瀬戸内海の環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案という今回の問題は、環境保全政策の推進はこの瀬戸内海に関する漁業者だけのことではなしに、広域的に閉鎖的水域として同じ悩みを持っております東京湾、伊勢湾あるいはまた全国沿岸の漁業者すべてが待望いたしております今回の法律改正案である、このようなとらえ方をいたしておりますことを、まず最初に申し上げさせていただきたいと存ずる次第でございます。
 また、今回の瀬戸内法に対する改正につきましても、臨時措置法で言われておりますように、瀬戸内海を、世界に比類のない美しさを誇る景勝地であり、また、漁業資源の宝庫であるという形で位置づけていただいて、その環境を保全して、後世に継承しようとする従来の法律の精神がそのまま存続されておりますことにつきましては、今後の瀬戸内海の環境行政の姿勢としてまことに喜ばしい、このように考えておる次第でございます。
 先生方御案内のように、瀬戸内海はこの臨時措置法の施行の間いろいろな施策を通じて、特に産業系排水に係るCODの半減等の効果を上げてきていることは事実でございます。しかしながら、そういった施策の推進にかかわりませず、瀬戸内海の現状を見ます場合に、昭和五十二年の夏に発生いたしました播磨灘の大規模な赤潮に見られますように、富栄養化が急速に進んでおる。そして赤潮の多発化あるいは悪質化による漁業被害の増大、さらには大型タンカー、危険物積載等を含む船舶ふくそうに係る漁業操業の支障並びにその事故、また油汚染という問題、いろいろの問題が発生しておりますことは先生方も御案内のとおりでございまして、関係の漁業者としては非常に憂慮をいたしておるような次第でございます。
 このような瀬戸内海の現状を考えてきます場合に、私どもとしてこの後継法に期待いたしますことは、まず第一に、水質の汚濁対策でございます。次に、富栄養化の防止対策でございます。今回その対策といたしまして、水質汚濁防止法の一部改正によって、従来の濃度規制から総量規制の制度が図られようとしております。これによりまして、瀬戸内海、東京湾、伊勢湾を対象とする総量規制方式が実施されることになっておるわけでございますが、特に瀬戸内海は、この改正によって規制対象水域に指定をされるということになっております。そうして、指定項目としてCODによる総量規制が行われるようになっておりますけれども、反面東京湾、伊勢湾におきましては、法律が通っても政令の施行を待たねばならぬということになっておりまするので、ぜひともこの辺につきましては法律と同時に並行的に東京湾伊勢湾の政令指定がなされますことを心からまず第一にお願いする次第でございます。
 また富栄養化対策といたしましては、瀬戸内海の関係では当面、燐の削減を行政指導によって行うこととなっております。
 水質汚濁防止法の改正によります総量規制制度の導入につきましては、私ども漁業界が挙げて要望いたしてまいったことでございまして、大変うれしく存じております。しかしながら、総量規制による具体的な効果についてでございますけれども、これは総量規制基本方針あるいは総量削減計画といいますか、そういったような形で取り上げられることになっておりまするので、どの程度にきれいな海が、あるいはいつまでの目標年度で達成されるかということにつきましては、行政の判断にゆだねられておるわけでございまして、それらも改正法が施行される段階に逐次明らかになってくることと存じておりますけれども、現在の瀬戸内海あるいは汚染の進行の著しい東京湾、伊勢湾という水質の状態を考えますときには、総量規制の具体的施策につきまして、行政当局としては特に厳しい姿勢を打ち出していただきたいということを強くお願いを申し上げる次第でございます。
 また、実効を上げることのできる総量規制方策といたしまして、その前提となるのは、どうしても下水道の整備事業の推進が不可欠になってくることと存じておりますが、現在の第四次下水道整備計画の枠内にとどまることなく、積極的な整備計画の推進をお願いをするものでございます。また、しかし反面、下水道整備が逐次できてきましても、二次処理の段階でとめられるということになりますと、やはり富栄養化が進行するという懸念もございまするので、私どもとしては、そういった問題を避けるためにも、下水道の終末処理施設というものを逐次三次処理に強化する、あるいはその排水の管理を強化するといった方向について行政当局の指導の徹底をお願いいたしますとともに、財政援助ということにつきましても大幅な対策をお願いを申し上げたいと考えております。
 次は富栄養化対策でございますけれども、当面、燐の削減を指導することとされておりますが、赤潮発生の原因の一つとされております窒素につきましても、その除去技術の早期開発といったものを図っていただきまして、また、私ども漁業者が、国じゅう挙げて、合成洗剤の追放運動を実施しておるわけでありまするが、そういう運動の意味するものも御高承いただきまして、指定物質の追加等につきましては今後特段の御配慮をお願い申し上げたい、このように考えております。
 さらに、伊勢湾、東京湾における富栄養化対策につきましては、今回は見送られておりますけれども、私どもとしては、瀬戸内海における実施状況というものを見合わせながら、なるべく早く科学的知見を確立されて、その防止対策を逐次東京湾、伊勢湾にも導入していただきますことをこの機会にお願い申し上げたいと思います。
 次に、漁業者が要望いたしておりますもう一つの柱でございます自然海浜の保全についてでございます。瀬戸内海法では、自然海浜の保全につきまして、県条例によってその海浜の保全地区の指定をし、また、指定した自然海浜保全地区の保全、利用のための勧告、助言を行うことにされております。瀬戸内海の沿岸海域は、各種の埋め立てによって、魚類の産卵、生育の場として重要な干がた、藻場が年々減少しております現在、これらの保全のための施策の推進に当たりましても、行政の強力な指導をお願いいたしますとともに、人工藻場あるいは人工干がたあるいは魚の保護林、魚つき林と申しますか、そういうようなものの積極的な造成につきましても特段の御配慮をいただきたいと存じます。
 次いで、瀬戸内海を油の汚染から守るために、私ども漁業界が挙げて要望しておりました大型タンカー、危険物積載船の航行規制、船舶交通の安全対策、船舶からの油の排出規制といったことにつきまして一言申し上げたいと存じます。
 瀬戸内海法では「海難等による大量の油の排出の防止及び排出された油の防除に関し、指導及び取締りの強化、排出油防除体制の整備等必要な措置を講ずるように努めるものとする。」このような努力規定が盛られております。このことは、船舶交通の安全対策あるいは船舶からの油の排出規制といった諸施策は、これを海上交通安全法、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律といったような、現在の法体系の中で処理されようとしているものと考えております。しかしながら、瀬戸内海の閉鎖的海域としての特性あるいは船舶のふくそうしておる現状、あるいは過去の油汚染、特に昭和四十九年の水島の油事故、また最近では本年の三月、フランスの西部のブルターニュ半島沖で発生したタンカーの重油流出事故といったように、いろいろな問題が発生しております現状にかんがみまして、ただいまございます。先ほど申しましたような海上交通安全法であるとか、海洋汚染防止法といったような現行法律がさらに厳しく改正されて、汚染防止に威力を発揮していただきますように、特にお願いを申し上げる次第でございます。
 また近年、瀬戸内海では赤潮の発生、油濁事故、原因者不明の漁具損壊といったようなものが頻発をいたしております。
 原因者不明の油濁事故につきましては、幸いにして先般、財団法人の漁場油濁被害救済基金というものが設立をされまして、そのため油による漁業被害の救済ということが図られるようになっておりますけれども、赤潮による漁業被害、原因者不明の漁具損壊事故というものにつきましては、まだ効果的な救済制度が確立をしておりません。したがいまして、この瀬戸内海の恒久化法案というものが確立した時点で、いま申しましたような点につきましても逐次各般の法体系の整備についてお願いを申し上げたいと思います。
 以上、瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案につきまして、漁業者を代表して意見を申し述べた次第でございますけれども、御案内のように現在の法律は十一月で期限切れになる。本委員会では連日御審議をいただいておりまして、大変先生方の御努力に厚くお礼を申し上げる次第でございまするが、どうかこの法律が期限切れになった後、空白状態が生じないように、この改正案の早期成立を心からお願いを申し上げる次第でございます。
 重ねて申し上げたいのは、今回の法改正に関連します諸般の政令の指定に当たりましては、現状に妥協しないような形で、厳しい姿勢を特に行政当局が打ち出していただきますことをお願い申し上げ、最後に、この法案に盛られております環境庁の精神が広くわが国沿岸海域の環境保全行政に広がってまいりますように心からお願いを申し上げまして、私の意見の開陳を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○久保委員長 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
○久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田行彦君。
○池田(行)委員 参考人の皆様には本当にお忙しい中をお運びいただきまして恐縮に存じます。ただいま貴重な御意見の開陳をちょうだいしたわけでございますが、各参考人に二、三御質問申し上げたいと存じます。
 まず最初に長浜参考人にお伺いしたいのでありますけれども、まず水質汚濁防止対策の関係でございますが、産業排水についてもまださらにきめの細かい配慮をというお話がございましたが、臨時措置法のもとで二分の一カットという措置をとりまして、現実には三分の一近いところまでカットされたという姿になっておるわけでございます。これが主として産業排水の方に対する規制という手段でとられたことは御承知のとおりでございますが、こういった状態を考えますと、産業排水について、これからさらに大幅な削減を期待するということはなかなかむずかしいのではないか、こういう感じがするわけでございますが、その点についてどうかというのが第一点。
 そうしますと、どうしても生活排水対策について重点的にやっていかなければいけない、これは参考人のお話の中にもいろいろとございまして、特に下水道の整備等について国の特段の措置を、配慮をというお話があったわけでございます。もとより国としても積極的な推進を図らなければならないのでございますが、どうしても実際の施行に当たるのは地方公共団体の皆様方でございますので、そちらの方でどのように自助努力をなされるおつもりなのか、その辺をお伺いしたい。
 それから、国の方の話で、財政上の特例措置、これは特に下水道、さらにヘドロ、藻場等の関連でお話があったわけでございますけれども、財政上の特例措置というのも、気持ちは非常によくわかる。私どもも瀬戸内に関係の深い者として、そういう配慮ができればという気持ちはございます。しかし、こういった財政上の特例措置を考えます場合には、どうしても環境保全の観点から言えばそうだけれども、しかし国の財政の上なり政治の上においていろいろな視点があるわけでございますので、なかなかむずかしい面もあろうかと思うのでございます。特に瀬戸内地域は、全体としてとらえるならば、日本の国の中で比較的先進的な地域である。こういう地域に対して、そういった特段の財政上の配慮をするということが全国民的な同意を得られるかどうか。参考人の地元の話を持ち出しては恐縮なんでございますが、たとえば相生の海をきれいにするためには特別のかさ上げをした補助金を出すけれども、香住の海はこれは通常のものでやれという、そういったことが、これは一例でございますけれども全国民的に納得が得られるだろうか、非常にむずかしいという感じもするのでございますが、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
○長浜参考人 三点ほどのお尋ねがございました。
 産業排水がこれ以上規制できるだろうかという点でございます。このCODの二分の一カットの実態をいろいろ私ども調べてみますと、いろいろ業種によってその削減している率は違うわけでございます。非常にもう四分の一から五分の一近い削減をしているところもあるし、まだやっと二分の一に達したところ、まだ達してないところ、そういったような点もございます。そういうことで、まだまだ業種によりましては業界の努力をいただいて削減できるものがあるのではなかろうか、そういうふうに感じております。ぎりぎりいっぱいのところもあろうかと思いますけれども、業種によってはあるのではなかろうかというふうに見ております。
 それから、下水道の問題がございましたけれども、現在の第四次下水道整備計画なんかで私の方でちょっと調べてみますと、大体年に二%くらいの普及率の伸びになっていくのじゃなかろうかと思っておりますけれども、御承知のように下水道が二%程度の伸びですと、やはり人口の伸びというような問題もございます。下水道を通さないで直接川に出てくる場合は、聞いてみますと、大体七〇%くらいが流域で自然に浄化されて、実際に汚水として出てくるのは三〇%くらいになっている、下水道の場合は九〇%くらいが浄化されて一〇%がそのまま出てくるというようなことで、その差でやってみますと、約二〇%くらいの差ということですと、人口がどんどん伸びていきますので、現在のようなペースではなかなか困難ではなかろうか、現在のペースの少なくとも倍くらいのペースに瀬戸内はしていただかないと、なかなか追いつかないのではなかろうかという形が計算上は出るわけでございます。そういったような面で、施行しますには、私ども、先生おっしゃいましたように自治体側も大いに努力をいたしますが、国としてもお願いをいたしたい、そう思っております。
 それから三番目の財政上の特例措置の問題でございますが、やはり環境保全の問題、一つ考えられておりますのが、いつも私の方の知事や何か申すわけですけれども、琵琶湖総合開発特別措置法というのがございます。これも中身は、琵琶湖の水資源を確保すると同時に、琵琶湖の環境保全を図るのだというのが目的になっております。そこにおきますと、やはり国庫負担の特例措置といったような形で、下水道の問題にしろいろいろな面においてそういう特例措置が認められております。そういったような例もあることでもあるし、瀬戸内海全体を全国民的な意思として、何とかきれいな形にして子孫に残そうということで、皆さん方が一緒になってやっていただいた全国民的な意思であろうという面におきましては、その辺の財政的な措置をお考えいただきたいというのが私どもの十一府県三市の共通した強いお願いでございます。
○池田(行)委員 お気持ちはよくわかりました。
 それからもう一つお伺いしたいのです。瀬戸内は一つだというお話が御陳述の中にもあったわけでございますけれども、本当にそういった一体感を持って関係地方公共団体、もちろん国も協力しながらやってまいらなくちゃいかぬと思うのでございます。ところが、瀬戸内の中にも南北問題と申しましょうか、要するに先進地域と、またこれからさらにいろいろ努力をしていかなくちゃいかぬ地域があることも否定できないわけでございます。そういった意味で、埋め立ての規制なりあるいは水質の保全の関係の問題につきましても、いろいろ配慮してほしいといった声が出ておることも否定できません。特にこれまでの臨時措置法のもとにおけるいろいろな運用を見てみますと、たとえば埋め立てでも、全体としては許可件数はほぼ半減しておりますし、面積で見ましても大体四分の一ぐらいになっておる。ところが最も先進地域である、具体的に言っては申しわけございませんけれども、たとえば大阪府は、件数はむしろ増加傾向でございますし、面積もせいぜい三分の一ぐらいカットされたにとどまっておるという状態でございます。また水質の方で見ましても、全体としては目標値を三十数多超過して負荷量を削減しておるという姿になっておりますが、兵庫県、大阪府の方はせいぜい九%前後でございましたか、それぐらいのカットにとどまっておるという姿になっておる、こういった現状にある。また、この現状を前提にして、さらにここからきれいにしていくのだということで、平均的に一律にかけていきますと、後進といいましょうか、瀬戸内海の南部の地域は、どうもわれわれに厳し過ぎるのじゃなかろうかという声もあることは否定できないわけでございますので、その点について全体の調整をとっておられるお立場から、どういうふうに対処していかれようとしているか、お伺いしておきたいと思います。
○長浜参考人 瀬戸内の環境保全の基本的な考え方につきましては、当然十一府県三市共通の認識のもとに立って、国に対してもいろいろお願いしているような次第でございます。
 確かにおっしゃいますように、府県によってもいろいろ実情の違いもございます。しかし、私先ほど申し上げましたように、総量規制の目標量の設定などについても、地域の事情に沿った設定をお願いしたいということを申し上げましたのも、そういうところにあるわけでございます。
 しかしながら、確かに埋め立てばぐっと減ってきてはおります。また今後も、場合によったらぜひしなければいかぬ、たとえば海底のヘドロを除去してそれを埋め込むというふうな場合にどうしてもやらなければいかぬといったようなところも出てこようかと思いますけれども、やはり一応環境保全に資するといったような点での埋め立て、仮にやるとして、やむを得ず埋め立てするとしても、そういう形が前提になってくるのではなかろうか。その辺については、環境保全に資するための産業の誘導ということもあるわけでございますので、そう大きな食い違いは各府県においてはない、そういうふうに考えております。
○池田(行)委員 ありがとうございました。
 次に、宮原参考人に二点お伺いしたいのでございますが、まず一つは干がたや藻場の保全とかあるいは人工藻場の造成等について、国の格段の配慮をというお話でございました。私、これは非常に大切だと思います。とりわけ瀬戸内海はこの二百海里時代で、これから裁培漁業なり何なりの面で非常に期待される地域でございますので、これは国としても十分配慮してまいらなくてはいかぬと思うのでございますが、その前に、漁業に携っておられる皆様方の方での自発的ないろいろな御努力をお願いしなくてはならぬのではないかと思うのでございます。
 そういった意味で、最近瀬戸内海沿岸地域でも漁業者の方々が金を出し合って、稚魚の放流事業であるとか魚礁あるいは藻場の造成を手がけていこうといった試みも次第に出ておるようでございますが、こういったものを全漁連自体として、もう少し組織立って進めていかれるようなことは考えられないかどうかということが一つ。
 それから、赤潮の問題にいたしましても、いろいろこれを防止するための御要望がございました。それも、産業のサイドにおいても、国あるいは地方公共団体においてもいろいろ努力しなければならぬと思うのでございますが、漁業者の方々御自身もこの原因をつくっておられるのではないかという面もあるわけでございますね。いわゆる養殖漁業における自家汚染の問題でございますが、こういった問題についてどういうように考えておられるか。瀬戸内の漁業のあり方として、この養殖漁業というものを、今後ともハマチの養殖なんかをどんどん進めるのか、あるいは先ほど申しました、いわゆる藻場の造成なんかを通ずる新しい裁培漁業の方向を指向されるのか、その辺についての御意見をお伺いしたいと思います。
○宮原参考人 まず最初の点でございますが、私どもといたしましては、なるべく早い時期に、瀬戸内に限らず、全国を対象といたしまして、沿岸漁場の整備、開発に関する組織をつくって強力にこの問題を推し進めてまいりたい。そのためには、人づくり、場づくり、金づくりという三つの要素をかみ合わせていく必要がございますので、そのそれぞれについて基本的に方向を打ち出しながら、水産庁当局にも意見を具申してそういう体制を固めてまいりたい。特に、瀬戸内海の魚の宝庫としての重要性が将来も変わることがないという認識の上で力点を置きますことはもちろんでございます。
 第二番目の養殖漁業における自家汚染等を通じての問題でございますけれども、率直に申し上げまして、漁業者も汚染に対する加害者の一員であるという認識は痛切に持っております。しかしながら、特にハマチ養殖等におきましては、すでに一千数百億という単品における生産額を上げるものは沿岸でほかに類がないという、日本の水産の基本的な柱にのし上がっておりまするので、やはりハマチを中心とする養殖漁業の健全なる発展ということについては今後も十分な努力をしていく必要がございます。そこで、水産庁当局の御指導等もいただきながら、特に漁場行使の適正化、密殖防止、さらには餌料投餌の方法とかあるいはえさの処理方法といったようなものの改善をする。それから堆積物の除去、ヘドロ除去といったようなことで漁場の環境を改善する、その他諸般の対策を積極的に講じまして、漁業内部からの自家汚染の削減ということにつきましては特段の配慮をしてまいる決意でございます。
○池田(行)委員 ありがとうございました。
 西村参考人に二、三お伺いしてまいりたいと思うのでございますけれども、瀬戸内の環境保全を推し進める立場から、特に住民運動に実際に参画しておられる立場から、いろいろ貴重な御意見を賜ったわけでございます。
 お伺いしておりまして、それは確かに環境保全は非常に大切ではございますけれども、一方において、瀬戸内の地域に住んでおります住民の方々の本当の幸せというものは何だろうかと考えてみたのでございます。もとより美しい自然環境を守っていく、それは必要でございます。しかし、それと同時に、こういった方々のたつき、生活が維持できるような手当てもしていかなくてはいけないのではないかという感じがいたします。これは当然の話でございますが、そういった観点で、たとえば埋め立て規制を原則禁止していこうというようなお話、あるいは水質の関係についても、法的な遵守を確保するようなもっともっと厳しい規制をやっていけというような、いろいろな御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、そういったような、たとえば埋め立ての原則禁止であるとか、あるいは産業排水等の負荷のさらに大きな削減を求めていくといったような場合に、一体どういうことになるのだろうか。御承知のとおり、いま瀬戸内地域に日本人口の大体四分の一が住んでおりますし、製造品の出荷額で申しますと、三割ぐらいのものを出しているわけでございますね。こういったものはパーセンテージはどうなるか別として、今後とも相当数の人口を養っていかなければならない地域でございます。それを維持していくといった場合に、本当にいまおっしゃったような強い規制をさらに強化しろというかっこうでうまくいくのかどうか、ちょっと疑問に感じたのでございますけれども、そういった環境保全はもちろん大切でございますが、瀬戸内の住民の暮らし全体という観点から、どういうふうにバランスをとっていこうとお考えになっておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○西村参考人 二点ほど申し上げたいと思います。
 いまのは国政の基本にかかわるような問題でございますけれども、やはり衣食住の問題と環境保護の問題とは、両方とも大切である。むしろ国民の衣食住の確保のあり方が、いまの時点ではさらに検討される必要があるんではないか。従来は、われわれが生存する基盤である、人間性の器になっている環境という問題が全く無視されて、いわば軽視されて、衣食住の問題、とりわけ生産性の向上ということだけが強調されてきた、そこに一つは大きな問題があるんではないかと思っております。
 それからもう一点は、現在の瀬戸内の危機的な状況というものを踏まえた場合に、どうあるべきかという問題があると思うのです。先生の御指摘の点に対しては、そういう点で私は、環境保全というのが現代の社会できわめて重要な課題である、そしてそれは、国民の衣食住を確保することと矛盾しないということを一点申し上げたい。
 それからもう一点は、現在の瀬戸内の危機的な状況の中で、どうなすべきかということを考える必要がある。そういう点から、一定の既設の工場地帯をなくせと言っているわけじゃなくて、現状を踏まえてどうあるべきかということを申し上げておる次第でございます。
○池田(行)委員 わかりました。既設の産業施設をなくせとまでは言っておられない。ただ、いろいろおっしゃいますような大型タンカーの航行の規制を強化していくとかやった場合に、一体いまの瀬戸内地域の既設のいろんな産業施設というものを十分稼動できるのかどうかという、そういった疑念も若干持たれるようなわけでございます。また、そういった工場だ何だということは抜きにいたしましても、たとえば瀬戸内の島々、多くの島嶼部がございます。こういった島の暮らしというものを考えました場合に、何かやる場合に、どうしても埋め立てが必要だということもあるわけでございますね。瀬戸内の島嶼部の自然というのは非常にすぐれたものと言われておりますけれども、これは本当に天然の自然である。かってはそれこそ自然の松原だったものを、戦時中はいわゆる食糧増産という中で、島嶼部においても何か食糧はできないか、米は無理だからイモをやってまいった。それが戦後は除虫菊にかわり、また柑橘にかわりというふうに、いろいろ人間の生活との関連において変化してきている自然なんです。今後においても、そういった関連において、いろいろ現状に対する改変というものも加えざるを得ないような場合も出てくると思うのでございます。
 たとえば埋め立ての問題につきましても、原則禁止で、どうしても必要な場合だけはこれは認めていくというお話がございましたが、どうしても必要な場合という範囲をどういうふうに考えておられるか。廃棄物処理に限るとかそういうことじゃなくて、そういった生活関連においても、ある程度生活の手段としても必要なものについては、これは認めていくという御態度なのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○西村参考人 それも二点あると思います。
 一つは、いわば必要性の点、一つは、自然の持っている特性というのですか、許容性の問題だと思うのですね。瀬戸内海の全体の自然の持っている特殊性、つまりこの全体の生態系がどういう部分は人間が利用することが許されて、どういうところは許されないのかという、そういうものがもっと総合的に明らかにされる必要があると思います。ただ部分的な瀬戸内の全体像がある中で、とにかくやむを得ず開発を進めていくということであれば、やはり取り返しのつかない状況がくるのではないか。よく言われますけれども、生態系が持っているものには元本と利息の関係があると。人間は利息の部分には手をつけていいけれども、元本には手をつけてはいけないのだということが、よくたとえて言われますけれども、そういう自然の全体の仕組み、人間が利用していい部分と、決して手を触れてはならない部分とがあるのではないか。そこいらを総合的に解明をして、その中で許される部分を明らかにすることが必要だと思います。
 もう一点は、仮にそういう自然の一部、ここは利用しても構わないという部分があったとした場合にも、やはり必要性の点から、高度の必要性がある場合、しかも国民的な必要性が高い場合に許されていく面があるのではないか、そんなふうに私は考えます。
○池田(行)委員 もう大体時間が来たようでございますけれども、最後に一点、自然海浜の話でアメリカの法規制の話をちょっとなさったのですけれども、その他、ちょっと補足していただけませんですか。おっしゃったのはデラウェア州でございましょうか、デラウェア州の海岸地帯は原則禁止だというお話がございましたね、それと加州の話。この辺について、日本の場合、全面禁止というのはなかなかむずかしいかと思うのでございますけれども、許可制にした場合にこれはどうなるのだろうか。許可制にしましても、現実にはある程度の基準をつくりまして、それに該当する場合にはこれを規制していくしという話になると思うのですが、そうなりますと、今回この法律でやろうとしております。地域を指定して指導だ、勧告だといった姿のものと、現実的にはそんなに変わってこないのじゃないか、同様な効果を上げられるのじゃないかという感じもするのでございますが、その辺、何か特に有意の差が出てくるようなものなのかどうなのか。例に挙げられました点につきまして、若干詳細を話していただきたいと思います。
○西村参考人 デラウェア州では、二マイル幅で重化学工業地帯の立地制限、これに完全に重化学工業の立地を禁止しているということだそうです。それから、カリフォルニアの沿岸地帯保全法では、海上三マイル、内陸百ヤードの開発についてはすべて開発委員会の許可制にする。そういう形をとっているそうでございます。
 今度の後継法の中で海岸線の改変についても届け出制と、実際にそれをもう少し厳しい許可制にした場合とどうかということですけれども、法律上、届け出と許可というのは、当然その規制の程度が質的に違うものがあると思うのです。
 それから、当初案では損失補償の規定がございましたけれども、それが現在の案では消えているように見受けられます。やはり私有財産に対する一定の制約を伴うことになると思いますので、損失補償の規定も復活していただくことが必要ではないか。実際に海岸線に土地を所有している人たちが納得をして海岸を守っていくという、そういう手当ても必要ではないかと思います。
○池田(行)委員 ありがとうございました。終わります。
○久保委員長 次に、島本虎三君。
○島本委員 参考人の皆さん、御苦労さんでございます。
 私が社会党の本番ではないのであります。私の次に控えておる人が本番でありますので、私の場合は五分ぐらいに限って、各参考人の意見供述に対して、ちょっと私としては疑義を感じた点がありますので、その点を三つだけただしておきたい、こう思うのであります。これは三人の参考人に対してございます。
 まず、後継法。臨時措置法から今度は特別措置法になるわけでございましょう。しかし、全体にこれをながめてみて、手ぬるいと思う、もっときちっとやればいいと思うか、まずこれが大きいところでしょう。三人ともまずそれをかちっとひとつお答え願いたい。
 それから長浜参考人。生活排水、下水道の措置、これを重点的に、こういうような御高見がございました。これはいままでいろいろやってみますと、屎尿の場合、全水域で下水道計画にのっとって二次処理をやると、現在一日に四十八トンのものが五十三トンになるという厚生省の発表があるのでございます。そうすると、三次処理をきちっとやらない限りにおいては、これをやっても逆に窒素、燐が出てしまって赤潮発生の原因にもなるんじゃないか、こういうおそれもあるのでありますけれども、これは知事・市長会議の中でも重大な問題ではないかと思いますので、この点に対してひとつ簡単にお答え願いたいのであります。
 次に、西村参考人に伺います。
 確かに中に目標年次というのが入ってないのはおかしい、遵守については法的に義務を課するのがいい、これは御高見だと思います。そういうような点で多大なる敬意を表するのであります。しかし、危機的にある瀬戸内海の情勢の中に、言葉はいいのでありますけれども、埋め立てについては原則禁止にしてもらいたいというのがあったのですが、臨時措置法は精神は原則禁止なんです。それであるから、結局次官通達以後千六十二件ものその目的に沿った決定がなされているのでありますが、危機的な状態にある瀬戸内海の回生のために、これは言葉のあやじゃないかと思いますが、いままでと同じように原則禁止だけでいいのでしょうか。もっと強い意思がおありじゃないですか。この点、ひとつ明確にお願いしたいと思います。
 それと宮原参考人。瀬戸内海の場合は大型タンカーの規制については、漁業家の立場として、一たんこれが被害を与えた場合には大きいと思いますので、他にも例がありますが、どう考えておるのか、法案の中にどうしたらいいと考えておりますか。この三つだけを手短にわかりやすく、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○長浜参考人 第一点の、現在の後継法をどういうふうに考えているかということでございますが、私の立場は、十一府県三市の最大公約数的なことでお話しせざるを得ない立場にございますけれども、私ども先ほど申し上げましたような意見とか要望がいろいろございますが、総量規制の導入なり富栄養化に取り組んでいただく、自然海浜保全地区を指定していただくというような、内容的には現行より一歩前進した内容になっているという意味で、何とか皆さん方の慎重な御審議を得て成立さしていただきたいという形を私は希望しているというのが一点でございます。
 それから生活排水の問題。いま先生がおっししゃいました燐の問題は、私は残念ながらつまびらかにいたしておりませんけれども、確かに下水道をいたしますと、下水道を置いたところに集中的に汚濁水が出ていくというような現象はあろうかと思いますけれども、先ほどちょっと申し上げましたが、河川の自然浄化でいく場合には七〇%ぐらいが自然浄化になってくる。下水道の場合だと、その下水道のところで九〇%ぐらい浄化をして、一〇%ぐらいの汚濁物が出てくる。それをトータルしてやってみますと、その差というのは大体六・七%ぐらいになるんじゃなかろうかと思います。それですから、現在のようなペースでは、現在の人口増との関連からいきますとなかなか追いつかないという問題が一つあろうかと思います。
 それから、下水道をそういった面で整備をしていただかなければいかぬと同時に、先ほどもお話がありましたけれども、やはり洗剤の問題もあろうかと思います。この辺は人工的に燐の規制ができる面でもございます。これは兵庫県としても、ことしはこの問題に大いに取り組んでいただきたいと思っておりますけれども、その辺もあわせて富栄養化の防止に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
○西村参考人 なまぬるいと考えております。ぜひもっといいものをつくっていただきたいと思います。
 それから埋め立ての点でございますけれども、現在の公有水面埋立法そのものも、四十八年にここで改正されましたときに、改正それ自体がなまぬるいのではないかという批判も相当あったと思います。現在、公有水面埋立法の運用という形で次官通達がなされておりますけれども、これが実際問題としてはなかなかチェックする方向で機能していないというのが実情じゃないか。どうしてかと申し上げますと、たとえば具体的な例ですけれども、兵庫県で埋め立てがありますと、いま生活部長さんもいらっしゃいますけれども、県が埋め立ての許可申請をする、県知事が許可をするという、つまり埋め立ての申請をする人が影響評価をして、それでかつ、申請をする人と同格に等しい人が許可をするという仕組みになっています。つまり、われわれは俗にどろぼうに手錠を渡しているような仕組みではないかという批判をしているわけですけれども、公有水面埋立地はいわばこういう手続法でございますので、手続の不備が運用を非常に悪くしてしまっている。したがって、手続上の不備をカバーできるだけの埋め立ての規制は入れていただきたいというのが私のお願いでございます。
○宮原参考人 手ぬるいと考えておりますが、多くを望んですべてが延びることについて危惧がございます。
 第二番目は、大型タンカーの規制につきましては漁業者の悲願でございます。ただし東京湾、伊勢湾に同じ影響がございますので、海上交通安全法の中で私どもは強くその点を主張いたしております。
○島本委員 どうもありがとうございました。
○久保委員長 次に、大原亨君。
○大原(亨)委員 政府案についての御意見を聞いておるわけですが、私、社会党ですけれども、社会党の方では後継法についての法律案の要綱を決めまして、いま立法作業中ですけれども、政府案をもとにいたしまして手直ししよう、こういう考え方でやっておるわけです。
 そこでお二人の方からは、それぞれ目標年度、目標をきちっと決めて計画的にやってもらいたいという話があったわけですね。しかし、政府の今度の後継法によりますとそれがないわけですね。私どもの法律案の要綱での作業、これはほとんど完了いたしておりますが、それは昭和三十年現在を目標にいたす。ただし、これにはいろいろな議論がございまして、三十年当時の客観的な科学的なデータがないという議論があります。しかし、昭和三十年、つまり高度成長の始まる以前の状況を目標といたしまして、そして二十年間で五年刻みの計画をつくっていく、こういうことを基本方針と基本計画で法律で決めるというふうにいたしました。政府の案の方は、この後継法を提案する直前に、基本計画についてようやく閣議決定で出してきておるわけです。閣議決定でも具体的な内容があればいいわけですけれども、これが非常に抽象的であるのではないか、大切な問題については行政上の措置に任されておるのではないか、こういう点でいまいろいろ議論があるというふうに私どもは理解をしてきておるわけですね。そこで具体的に目標年度を決めて、そして法律の構成を、あるいは閣議決定の中身というものについて、政府案についてもう少し具体性を、私が申し上げたような点を考慮して具体性を盛るべきではないかというふうに思うことが一つであります。それについて、その内容につきましてひとつ皆さん方の御意見をお聞かせいただきたい、これが一つ。
 それから、知事・市長会議の参考人の長浜さんにお聞きしたいんですが、たとえば埋め立ての問題工場立地の問題にいたしましても、規制は総論賛成で各論についてはなかなか自治体の方は意見がまとまらぬのではないかという意見を聞いたわけです。きょうはしかし、あなたの御意見はかなり明快なものだったというふうに私は理解をいたしております。南北問題でございますね。それから池田委員の発言の問題であります。先般通産省やあるいは国土庁等からここへ出席を願いまして議論いたしましたときには、やはりもうこれ以上は重化学工業の工場立地は、瀬戸内海全体には原則として余地はない。これを昭和四十八年につくりましたときに、田中総理大臣で三木環境庁長官でしたが、田中角さんは非常に雑駁な人ですが、瀬戸内海、もうこれ以上工場なんかだめです。それをつくらないようにするのが列島改造だというふうな答弁をいたしたことがあります。田中総理大臣が。あれは調子が非常にいい答弁だった。私は、全体として見ますと、環境容量あるいは全体の総合政策から言うなれば、やはりそういう点についてはきちっとした、知事会においても市長会においても、環境市長会議の意識統一が必要だろうと思うのですが、そういう点については、各論について異議があるというふうな部内の情勢ではないのかあるのかという点について、実情を含めてお答えをいただきたいと思います。
 あとちょっと項目がございますが、ひとつそれだけを御質問いたしておきます。
○長浜参考人 第一の質問でございますけれども、先ほど閣議で基本計画ができまして、これから府県計画と申しますか、実施計画をつくっていくわけでございます。その中身などにつきましても、やはり瀬戸内海は一つというような点もございます。十分に関係府県とも相談をして計画をつくっていきたいと思っておりますけれども、その中で、できるだけやはり府県において実施できるような具体的な計画を盛り込むように努力をしてみたい、そういうふうに考えております。
 それから総論賛成、各論反対の問題もございますけれども、それより若干――若干と申しますか、今後の府県の所得水準を上げるといった面においてのいろいろ考え方はあろうかと思いますが、私、瀬戸内海地域の埋め立てなんかをする場合におきましては、やはり環境保全を第一義に置いて、環境保全に役立つような企業の誘導という形をそれぞれの関係府県考えておられる、そういうふうに考えております。
○西村参考人 CODの総量規制についてですけれども、生活排水も考慮して総量規制する場合に、何年当時の目標値に近づけるかということをやはり明確に書いていただきたいと思います。
 臨時措置法は四十七年当時ということでかなり明確な数値が出ていました。工場排水だけであれば、かなり三十年当時に近い数字に出ているんではないかと思われますけれども、生活排水を含めて三十年当時の目標値というのは大変私も結構なことだと思いますし、具体的なそういう目標を掲げた努力がなされるような規定の仕方が欲しいと思います。
○宮原参考人 目標を決めてやっていただくということについては、私どももお願いしたいところでございます。
○大原(亨)委員 いま池田委員からも話があったのですが、あの高度成長時代、三十五年以降、池田委員のお父さんのとき、そのころ以降ですが、これはいい悪いじゃありません、客観的な事実を言っておるんですが、つまりあそこへコンビナートが殺到しまして、そうして浅いところで、瀬戸内海は波静かですし、非常に浅瀬がたくさんございますから、そこへ殺到しまして、いま話がありましたように、数字は申し上げませんが、工場ができたわけです。国内においても四分の一程度の生産が集中していた、こういうことになります。そこで問題は、それによって浅瀬がなくなったわけです。それからもう一つは、その工場から出すヘドロが蓄積をしているわけですね。だから暴風雨その他がございましたら、これがぐっと回って非常な赤潮の原因、それだけじゃありませんが、気象条件その他いろいろ全部入れて出ておることは間違いないと思うのですね。もちろん生活排水の問題もありますけれども。ですからこの浅瀬の問題を、一応目標年次を決める場合には私どもは基本計画の中で、自然の体系、循環を阻害しない科学的な根拠に基づいてひとつ人工的に浅瀬をつくってはどうか。これは藻場との関係もございます。漁業との関係もありますね。
 それからヘドロのしゅんせつについては二次汚染の問題でいろいろな意見があるけれども、ヘドロのしゅんせつについてもやっぱり計画的にやるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけですよ。そういうことをも含めて、何年を目標に返していくということをやらないと、自然の自浄作用というものを回復することはできないのではないかということです。ヘドロのしゅんせつについては非常にたくさんの意見があることは私も知っておりますが、ヘドロのしゅんせつについては西村参考人の御意見を特にお聞かせをいただきます。それから人工海浜の問題等につきましては、自治体と漁業組合、藻場との関係等ございますが、そういう問題についての御意見があればお聞かせいただきたい。
○西村参考人 底質の問題だと思いますけれども、基本計画の中では、底質の基準を設定して必要な施策を実施していくということになっておりますけれども、ヘドロのしゅんせつ、これも二次公害、兵庫県の場合には高砂等でヘドロのしゅんせつがなされているわけですけれども、あそこでも、しゅんせつすることによって大変大きな濃度のPCBがかえって出てきたというような問題もございましたけれども、そういう二次汚染を防ぎながらしゅんせつをしていただくということは、瀬戸内にとって大変大事なことであると思います。その他の底質の基準もぜひいいものをつくっていただきたいと思います。
○長浜参考人 人工養浜のお話だったと思いますが、こういう形は、現在の残されたところ、また今後仮に埋め立てをしたその地先、こういったようなところにはやはり積極的に持っていくべきではないか、またそういうふうな形で兵庫県内においても人工養浜をやっているところもございます。
○宮原参考人 ヘドロしゅんせつにつきましては、私どもとしては、まずヘドロを固定して、それを速やかに除去するということにおける年次計画を立てていただければ大変ありがたい、このように思っております。
 それと人工海浜につきましては、浅瀬の持つ自浄能力というものが意外に大きいという事実がございますので、やはり積極的に藻場の造成を含めた浅瀬の計画というものも何かの形で盛り込んでいただければ、漁業者としては大変幸いでございます。
○大原(亨)委員 いままでのいろいろな意見を集約しましても、赤潮のメカニズムが十分にわからない、科学的に解明されていない、それをどのような体制で解明するかということについていろいろな議論がございます。これは、漁業関係でしたら水産庁の研究所があるわけですけれども、あれだけでは少し力不足だろうということであります。独自の研究機関を置くべきではないか。環境庁が環境保全の研究予算を約三十億円というようにこの間答弁いたしましたが、これを計上して、そしてそれを各関係の研究機関に流すという仕組みですが、しかしそうではなしに、そういうことを研究しておりますということでなしに、研究体制が継続的、包括的でない、ここ四、五年余り進んでいないということを克服するのには一体どうしたらよろしいかということです。私どもは、独自の研究機関を置いて、それをセンターとして予算を組んでそして各大学あるいは水産庁や県の試験場あるいは通産省の瀬戸内海模型というふうなもの等ももう少し有機的、組織的に、瀬戸内海の環境保全を中心とし、赤潮のメカニズムを研究すべきではないか、こういう考え方を持っておるわけです。政府案が出されておりますが、そういう点について、あるいはいままでの措置についてひとつ御意見をお三方から簡単に伺わせていただきたい。
○長浜参考人 瀬戸内の赤潮のメカニズム解明のための措置という形は、今度の法案では一応努力規定が設けられたわけでございますが、私の方の知事・市長会議におきましても、この問題は総合的に研究してもらう機関が必要なのではないか、そういうことでかねがねお願いをいたしております。総合研究機関のようなものの設置が望ましいという形でお願いをいたしております。それと同時に、府県側におきましてもいろいろ試験研究機関を持っておりますので、この問題もいわゆる赤潮の解明の一つの方法として、各府県、市で持っております試験研究機関の調整を進めまして、このメカニズムの研究をするといったような組織を現在知事会議内部でも考えておりますので、国においても格別の御支援をお願いしたい、そういうふうに思っております。
○西村参考人 瀬戸内海の水質関係では、現在、富栄養化といいますか、いわばだぶだぶに肥え太った肥満児が赤潮であると言われておりますけれども、それを防ぐということは非常に重大なことで、そのためにはやはり特別なプロジェクトチームでもつくって早急に解明をしていただきたいと思います。これは、以前ここでお述べになった村上参考人であるとか、あるいは布施参考人等からも聞いたのですけれども、現在では予算規模も非常に小規模で、かつそれぞればらばらにやられている。一挙に、かなり大がかりに研究ができるようなそういう体制、そういう予算措置を組んでいただきたいという声が非常に強かったと思いますが、私もそのとおりだと思います。
○宮原参考人 赤潮は漁業者の最大の敵でございます。したがいまして、その辺に関して総合的な研究機構というものをぜひとも実現していただきたいと思いますとともに、なかなか時間もかかるという懸念もありますので、赤潮の救済対策も同時並行的に御検討いただくようにしていただければ大変幸いだと存じております。
○大原(亨)委員 まだたくさんあるのですけれども、時間が来ましたので、あとはまた午後もあることですから協力いたしまして、終わりたいと思います。
○久保委員長 次に、竹内勝彦君。
○竹内(勝)委員 参考人の皆さんには大変ありがとうございます。公明党の竹内勝彦でございます。若干参考人の皆さんの御意見を伺わしていただきたいと思います。
 まず最初に、臨時措置法から特別措置法というところで発展的に拡大をしていく、この前進というものは一つの面で評価があるわけでございますけれども、臨時措置法と比較した場合に余り大差のないようなもので、見かけ倒しに終わるというようなものであってはなりませんし、そういった面で今後相当な努力が必要ではないか、こう考えているわけですが、最初に長浜参考人にお伺いしたいと思います。
 まず、臨時措置法にもあったのですが、瀬戸内海環境保全計画、こういったものの中に、特に国が策定する基本計画に加え、新たに関係府県が策定する府県計画が加わったわけでございます。そこで、瀬戸内海に幾つかの環境保護団体あるいは漁民の組織というものもございますし、あるいは特に入浜運動に代表される住民の要望、こういったもの等も幾つもあるわけでございます。今回の特別措置法に発展した中で、特に住民等にこういった問題を公表して、批判や意見あるいはアイデアといったものを検討する、最終的計画をそういったものによってつくっていくというようなものが必要になってくるのじゃないか、こういった面で特に住民のコンセンサスというものをどう考えていくのか、住民参加という面で、今回の特別措置法自体にどういう見解を持っておるか、その点からまずお伺いしたいと思います。
○長浜参考人 基本計画に基づきます府県計画の作成に当たって、住民コンセンサスを得るのをどうするかというようなお話だったと思いますけれども、環境の保全といいますのは、行政の努力なりまた企業の努力と同時に、住民の皆さん方の参加なり協力というのがあって初めて効果が上がってくるというふうに私は考えております。府県計画を策定する、どういう段階においてどういうことにするかにつきましては、まだいろいろ関係府県とも御相談申し上げなければならないと思いますけれども、何とかそういったような皆さん方の御意向が反映できるような計画になるような努力は続けてみたい、そういうふうに考えております。
○竹内(勝)委員 もう一点、同じく長浜参考人にお伺いしておきたいのですけれども、今回の目玉の一つとして言われておる自然海浜の保全、こういった面も原案から後退し、骨抜きの感があるように私は考えております。そういう中で、たとえば自然海浜保全地区の指定に伴う地区内の開発、こういったものに対して、規制が単なる勧告あるいは助言というようなものに変わった点ですね、原案では規制だったものが勧告だとか助言だとか、こういったものになっている。そういうものであったならば、今回、過去の例から考えてみましても、たとえば開発志向が強ければ、そういったところはどうしてもそういったものが後退してくるのではないか、こういう自然海浜の保全が重要であるという面から考えて、国がみずからその責任を感じてその対策というものを考えていかなければならない。そういった面で、この面に関してどのようなお考えを持っておるか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○長浜参考人 今度の新しい法案で自然海浜岸の保全地区が設けられたわけでございますけれども、この地区、この制度につきましては、届け出で、それであと勧告、助言ということになっております。この規制等の効果といえばやはり片っ方は、規制であれば法律的な効果はあろうかと思いますけれども、現実に仕事をしていく面におきましては、こういう制度が一方できますと、私の方としては非常に仕事がやりやすくなる、そういうことは言えようかと思います。やはり府県が勧告をする、それに基づいて、それの言うことを聞かないといったような形が法律的にはできるかもしれませんけれども、現実の問題としては十分協力していただけるもの、そういうふうに考えておりますので、いたずらに規制するということだけでなくて、やはり協力を得ながら海浜の保全をやっていくということも考えられるのではなかろうか。
 たまたま私の淡路島で土取りの問題がございまして、非常に自然環境を破壊するといったようなことがございました。これにつきましては、現在法律的には何も規制もございませんけれども、私どもの方、業界の方々ともよくお話しをいたしまして、この土取りの協定を結んで、土取りの仕方、その後始末の方法、そういったものについていろいろ相談をしてやっている、こういったようなこともございますし、こういったような条項が今度の新しい法律に盛り込まれますと、それに基づいて私ども積極的な仕事は進められていくものだ、そういうふうに考えております。
○竹内(勝)委員 続きまして西村参考人にお伺いしたいと思いますが、特に西村さん言われた中で、大型タンカー等の海難事故等によって油が流れ出したり、大型船舶の排出油の汚染、こういった面に対してのウエートというものはかなり大きいと私ども考えております。先ほど若干の意見もございましたけれども、私は、やはりいろいろな障害はあるとは思いますけれども、こういった面を守っていくという面から、この大型タンカー等の規制というものにぜひ具体的に取り組んでいかなければならないのじゃないか、こう考えております。ましてや本四架橋等の問題も含めて、その交通体系等は今後いろいろ検討されていく問題だ、こう思っていますけれども、現在の法律の枠内で一体規制は可能なのか、あるいはその面をもっと越えた何らかの規制を考えて新たな法律を制定してやっていった方がよいのか、その辺の西村さんのお考えはどのようなものを持っているか、その辺からお伺いしたいと思います。
○西村参考人 海上交通法等、特に私、研究しておりませんので、それでどの程度のことができるかというのはちょっと定かにわかりません。ただ、夜、漁業者の操業率が非常に高いということが一つ言えます。そのために、昼間の危険性と夜の危険性と比較すると、比較にならないぐらい夜間の操業の安全の確保というのが大事だということであります。そういう点で、一定のそういう規制をすべきではないか、それが海上交通法だとかあるいは衡突予防法というのがございますけれども、現行法をうまく運用すればできるのかどうかということは、私よく知りません。
○竹内(勝)委員 もう一点、西村さんにお伺いしたいと思います。
 こういった瀬戸内海等を含めて閉鎖性水域、その他湖沼等も関連してくると私は考えておりますけれども、この下水道の整備というもので、特に公共事業の予算が五十三年度の予算では大幅に増加されました。しかし、地方公共団体が実施するに際しては財政的にいろいろと問題が出てくるのではないか、そういった面で財政上の特別な措置、こういった面の具体的な考えがもしあったらお聞かせ願いたいと思います。
○西村参考人 これも先ほど他の開発関係の法律と財政措置に対する法の規定の比較を若干したわけですけれども、具体的にどういう内容の援助なり措置がふさわしいのかということは申し上げられませんが、ただ法律上の措置として、現在公害対策基本法の中には努力規定、それから臨時措置法の中には財政援助の規定がありますけれども、もっと、たとえば起債を設けることができることだとか、あるいは援助に対する大幅な特例措置を設けるとか、そういう具体的な規定の仕方がほかの法律と比較した場合にはできるのではないか、そんなふうに法律上の問題としては考えております。
○竹内(勝)委員 それから総量規制の問題で同じく西村さんにお伺いしておきます。
 この委員会においても、総量規制の対象地域として第一段階は湾等の閉鎖性水域、第二段階として湖沼等、こういった面で言われておりますけれども、特に湖沼等の面で考えても、御存じのように瀬戸内海とかあるいは東京湾とか伊勢湾とかいうようなものは、確かに汚染等において大変な問題がクローズアップされてきておりますけれども、私も本委員会で質問をしたのです。たとえば琵琶湖などは京阪神の一千三百万の人たちが飲んでいる重要な飲み水ですが、そういったものが昨年でも数回にわたって赤潮が発生してきておる。こういった面は御存じのとおりだと思いますけれども、そういう意味から考えて琵琶湖等の重要な湖沼、そういったものにも早急にこの総量規制という問題を検討していってはどうか、こういう考えもあるわけですけれども、どのようなお考えを持っておるか、そういった面に関してもお聞かせください。
○西村参考人 私もその点全く同感でございます。湖沼等日本の閉鎖性水域については、将来全域的に総量規制を導入していただきたいと思います。
○竹内(勝)委員 それから、余り時間がないのですけれども、宮原参考人にお伺いしておきます。
 先ほども話がございましたが、赤潮、富栄養化対策という面に関して特に燐を行政指導によって削減していく、こういった問題は前々から論議になっておるものでございますけれども、この赤潮、富栄養化の発生メカニズム自体の調査研究というものが非常におくれておるように感じられます。窒素だとか燐だとかこういったものをどの程度にするのが正常と考えておるのか、あるいは赤潮の発生をどのようにしたならば抑えられるのか、燐とか窒素のほかに発生要因をどのように考えておるのか、あるいは今後の研究として、こういうように持っていった方がいいのだということでお考えがあれば、その意見をお伺いしておきたいと思います。
○宮原参考人 その道の専門でございませんのでなかなかむずかしゅうございますが、昔から赤潮はあったわけでございまして、富栄養化要因というもののほかに海況、天候が大きく作用をいたしておるようでございます。したがいまして、どういう方法でと言われても、私どもちょっと返答に困りますが、ただ漁業者としてはだで感じておりますのは、基本的には窒素と燐を減少させるということでございまして、そういう意味で、先ほどもちょっと申しましたが、合成洗剤の追放運動ということで、燐の海中への流入を極力防ぎたいというような運動をしておるわけでございます。何割程度ということにつきましてはちょっとお答えできませんが、極力少なくしていただきたいということでございます。
○竹内(勝)委員 続いて宮原参考人に、いまの件で関連してお伺いしておきたいと思います。
 いま洗剤の話が出ましたけれども、私も、洗剤に関して琵琶湖の問題を取り上げたときに、本委員会で相当論議したわけでございますが、洗剤が果たしてよいのか悪いのか、粉末石けん等に切りかえていった方がいいのかということ自体、結論が出ておりません。だから、いま住民運動として、洗剤等をなくしていかなければならない、あるいはそれを切りかえて、湖沼や閉鎖性水域を守っていかなければならないという意見が確かに多くございます。また、いま滋賀県においてもその他のところにおいても、洗剤を持っていけばそれを粉末石けんにかえてやるという措置をとっておるところが幾つも出てきておりますね。これは製造段階で規制していくのか、何らかの措置をとっていくのか、あるいはいま出回っているのは仕方がないのだ、それは使う方の側に理解してもらって切りかえていかなければならぬのだとか、いろいろな意見があるわけでございますけれども、これは重要な問題だと私は考えております。したがって、そう簡単に結論の出るものではないと思いますけれども、合成洗剤について、メーカー側に対してどうするのか、あるいは使っている住民の側に対してどのような対策をとっていかなければならないのか、お考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
○宮原参考人 まず、洗剤の効果を申し上げますと、二、三日前の私どもの地方の新聞に、伊勢湾の入り口に神島という島がございますが、そこが一昨年から洗剤追放に乗り出して、アメリカからも取材に来ておりますけれども、十数年前に戻って、ことしから湾内でワカメがとれ始めたということが出ております。したがいまして、洗剤に含まれております燐の成分がやはり赤潮発生、いわゆるプランクトンに対する栄養源となるということを私どもとしては基本的に信じて疑いません。だから、漁業界といたしましては洗剤の製造を中止してほしいというきわめて強い願望を持っておりますけれども、厚生行政ではなかなか認めてもらえないという点で苦慮いたしておるのが事実でございます。
○竹内(勝)委員 ありがとうございました。
○久保委員長 次に、中井洽君。
○中井委員 参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。私、民社党の中井洽でございます。すでにいろいろな問題点が出尽くしたとも思いますが、二、三、それぞれ御質問をさせていただいて、御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
 まず、長浜参考人にお尋ねをいたしますが、瀬戸内海環境保全知事・市長会議という形でいろいろと各府県、市町村が連絡をとり合って、意見調整をしていただいていると思うのでありますが、私は選挙区が三重県でございます。三重県におきましても、伊勢湾の総量規制をめぐりまして関係県、上流県と下流県でいろいろ意見の相違等がございます。瀬戸内海地区につきましても、南北問題等いろいろとあるようでございます。先ほどから、瀬戸内海は一つである、そう大した相違はないからやっていけるのだ、こういう明確なお答えをいただいているわけでありますが、今後、この法案が国会を通過する、そして皆さん方が府県計画等をおつくりになっていく、その府県計画等につきましては、内閣あるいは環境庁という形でまあまあ直接的にやられるから、そう大した府県ごとのばらつきはないというふうに私は判断をしておるわけでありますが、たとえば、その後に、先ほどから出ています自然海浜等、府県がそれぞれ条例で定めていく問題がございます。こういったときに瀬戸内海の府県の方々は、やはり知事・市長会議の場で統一的な条例をつくっていこうというふうにお考えになっているのか、それとも府県ばらばらでやっていこうというふうにお考えになっているのか、その点はいかがでございますか。
○長浜参考人 具体的にどう取り扱うかにつきましては、実はまだ協議はいたしておりません。ただ、こういう制度が必要であるということは、私の方でみんなと話し合いをいたしまして、昨年末来、国にも要望しておったわけでございますが、具体的にどういうふうに取り扱っていくかにつきましては、法律ができました段階でよく相談してまいりたいと思いますけれども、余りばらばらな行政にはならないような形をとりたい、そういうふうに考えております。
○中井委員 先ほどからの御要望の中で財政的な援助ということがございます。もちろん大きな柱は下水道ということになろうかと思うのでありますが、その下水道の普及につきましては、私どもももちろん努力をしてまいるつもりであります。私自身、地方行政の委員もやっておりますが、この法律が施行されることによって、下水道の普及以外に各地方自治体に特別財政的に負担がかかる、あるいはこういった点で財政的に非常に圧迫するかもしれぬ、こういうような点がございます。たとえば、これの計画をつくるのに人員がたくさん要るとか、あるいは後で工場を指導していく場合に大変な人員が要るとか、財政的に負担がかかりそうな問題点というのがあると思いますが、あったらお聞かせをいただきたいと思います。
○長浜参考人 もちろん、財政の特例措置の一番の柱になるのはやはり下水道の問題だと思いますけれども、それに関連いたしまして河川の問題、砂防の問題自然公園の整備の問題こういったような面につきましても何とかそういう特例措置が望ましいと考えております。また具体的な仕事としては、先ほど来お話がありましたヘドロの除去にしましても養浜の問題にしましても、やはり多額の経費を要します。府県独自ではなかなか困難だというような点もございますので、十分な御配慮がいただけたら非常に幸いだと思っておりますし、知事会議でいつも問題になってお願いをしている柱でございます。
○中井委員 もう一つだけ長浜参考人にお尋ねをいたします。
 今度の法律案の中で、総量削減計画を達成するために、指定地域内事業場から排出水を排出する者以外の者で、汚水その他を排出するものに対して、都道府県知事は助言、勧告ができるというふうになっているわけでございます。過日、委員会で質問いたしまして、一般の生活排水にも助言、勧告をするのかと言ったら、そういうふうにできるのだ、具体策はどうかといえば、知事がチラシをまいたりなんかをすることも考えているんだ、こういう答えであったわけであります。そのときに、たとえば先ほどの宮原参考人のお話の中にありました、都道府県の知事が洗剤を使わないでくれというようなことも出てこようかと思うのです。そういったときに、思い切って各家庭にチラシをまいて、合成洗剤を使うのを少しやめようじゃないかというような運動をしていく、そこまでのことをお考えでございますか、どうでございますか。
○長浜参考人 洗剤の問題につきましては、まだ具体的には各府県とは相談をいたしておりませんけれども、私の方、兵庫県としては今後十分取り組んでみたいと思っております。議長県でもあるという立場もございます。それと同時に、先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、環境の保全というのは行政の指導、企業の努力と同時に、やはり住民の協力があって初めてできるわけでございます。そういった面で、公害、環境保全のために住民が協力できることということの一つとしてこの問題を取り上げて、あらゆる機会を通じて大いにアピールしていきたい、そう思っておりますので、よろしく……。
○中井委員 西村参考人にお尋ねいたします。
 先ほどから出ております自然海浜、アメリカ等で規制がもっときついということでございましたけれども、この法案の中に自然海浜については勧告、助言、ここでとどまっているわけであります。海水浴、潮干狩り等に利用されている自然海浜、これは大変残り少ないわけであります。瀬戸内海も少ないけれども、伊勢湾、東京湾なんかもっと少ないわけであります。ここまで自然海浜という発想を持ってくるならば、助言、勧告じゃなしに、建てるのやら砂利をとるのをあっさりと禁止してしまえばいいと私は考えているわけであります。その点についての西村さんの御意見はどうでございましょうか。
○西村参考人 御意見のとおり、全く私もそのように思います。
 特に瀬戸内海での自然海岸線の実情、それは日本全国的に海岸線の保護が非常に弱いという点もありまして、この点については後継法の中ではっきりとした法的な規制を具体的に盛り込んでいただきたいと思います。それを先駆的なものにして、日本の全体の海岸線の保護が図られていくような努力をお願いしたいと思います。
○中井委員 西村さんにもう一つお尋ねいたします。
 先ほど瀬戸内海の自然利用についてお述べになった中で、基本的な利用の順位を決めて総合的に判断をしていく、こういうすばらしい、大変理想的な御意見をお述べになったわけでありますが、西村さんのいま事務局長をおやりになっておられる連絡会自体として、そういった利用順位を、まあまあこういうふうであった方がいいというお考えを持っておられるのか、あるいはその会ではなかなかまとまってなくても、西村さん自身がおありだということであればお聞かせを願いたいと思います。
○西村参考人 環境を守る連絡会で、若干ですけれどもディスカッションをやりまして一つの試案のようなものを考えたことはございます。第一には、瀬戸内の自然景観あるいは文化的な遺産、そういったものを残していくことがまず第一に重要な利用の優先度ではないか。二つ目には、瀬戸内における一次産業、特に漁業ですけれども、そういったものの利用を優先さしていく。そして三点目に国民的な公共施設の整備のための利用を第三順位の利用として考えていく。四番目がその他の利用という、大体そういうことを検討したことがございます。
○中井委員 最後にもう一つ、西村参考人にお尋ねをいたします。
 東京湾、伊勢湾あるいは瀬戸内海あるいは日本全国の海にいたしましても、きれいにしていこうという限り、先ほどから話に出ている生活排水に対する規制、あるいは下水道を普及し、完備していく、こういうことでなければならないと思うわけであります。その場合にどうしてもやはり二次処理それから三次処理というものをやっていかなければならない。財政的な面が一つ大きく問題がございます。それと同時に、そういった処理施設をつくろうとしたときに、その地域の人たちが、その終末処理施設をここへつくってもらったら困るんだという、いわゆるエゴがある。こういった調整を皆さん方の運動の中でどのようにお考えになっているのか。その点について簡単にお聞かせいただければありがたいと思います。
○西村参考人 下水処理場等による埋め立にて対して、埋め立てがされる地域の住民が反対をするという場合がございます。この場合には、一つは、それがその場所でないと回避できないのかどうか、つまり代替性がないのかどうかという問題だとか、あるいはそれをつくるいわば必要性の高さといいますか、諸外国では、たとえばスイス等では、すべて内陸部で下水等の処理をせざるを得ない、そういう地形上のあれもございますけれども、みんな内陸で処理をする。ところが日本の場合は海で処理すると便利だからということで、安上がりに海に持ってくるという面もあるわけでございます。しかし、そこも安易に考えるのではなくて、どうしてもそうせざるを得ないかどうかという問題もあると思います。それでもなおかつ国民的にやらざるを得ない場合には住民は十分納得できる、場合によっては、損害がある場合には損害の補償、回復等、そういう代替的な措置のもとに、必要な場合は認められるのではないか、多くの住民もそういう点では良識を持っているものと私は思います。
○中井委員 宮原参考人にお尋ねをいたします。
 本日は漁連の組合の代表という形で御意見をいただいたわけであります。私と同じく三重県漁連の会長ということでもございます。私は、過日の委員会で、瀬戸内海に対してこういう特別法をつくる、それはそれで結構だ、しかし、瀬戸内海の法案の中には燐規制というものを含んでおるじゃないか、瀬戸内海よりかもっと汚れている、もっと早くきれいにしていかなければならない東京湾、伊勢湾について、燐の規制あるいは自然海浜の発想がないのはどうだというような質問をしたことがございます。それに対して環境庁は、燐規制というのは、やっても余りそう大して効果あるかどうかわからぬけれども、技術的にはできるから盛り込んだんだ、こういう答弁であったわけでありますが、漁連の代表、漁民の代表としては、この燐規制、東京湾、伊勢湾に対して当然やるべきだとお考えかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
○宮原参考人 もうその件については法案作成の段階から環境庁に私が直接何度も、伊勢湾、東京湾に対する富栄養化対策を強力に実施すべきだという要望を続けておる一員でございますので、先生と同じ考えでございます。
○中井委員 最後にもう一つ、先ほどの池田委員の御質疑の中にありました、漁業、漁民自体がやっておる養殖漁業等による海の汚れ、こういったものについて、漁民の理解あるいは漁民の反省あるいはこれからの対策というものがどの程度のものか。これは現状の漁業者の人たちは、おれらも汚しているけれども、ほかのやつがうんと汚しているじゃないか、それの規制が先だとお考えになっているのか、それとも、海はぼくらが昔から使ってきたんだから、漁業が使っている分には構わないんだ、こういうエゴで動いているのか。大変変な質問であります。そこの点についての漁民の皆さんのお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。
○宮原参考人 最近では、私、先ほども申しましたように、漁業者自身も加害者であるという自覚を非常に深めております。したがいまして、養殖漁業における環境汚染をどう防止するかという点につきましては、実は本日は、夕方からまたその辺の問題で、別の協議会でいろいろ議論するといったような場を持っておりまして、真剣にかつ熱心に取り組んでまいりたいという意思は漁業者全体にございますので、どうぞその点御了承いただきたいと思います。
○中井委員 ありがとうございました。
○久保委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 参考人の皆さん、どうも御苦労さまです。共産党の東中でございます。
 最初に宮原参考人にお伺いしたいのでありますが、瀬戸内海での漁獲量は年々ふえているように聞いておりますが、この中でいわゆる高級魚の方はどんどん減っているというふうに伺っております。これは環境の悪化とどういう関係であるのか、どういうようにお考えか、ひとつお伺いしたいと思います。
○宮原参考人 高級魚が減っているというのは、われわれ自身としては、藻場で卵を生んでそれが育って大きくなっていく、そういう基本的に一番大事なところが非常に少なくなっていったということが最大の原因である、このように理解をいたしております。したがいまして、その辺の対策を自然海浜の保護育成という面で強く主張いたしておるようなところでございます。
○東中委員 長浜参考人にお伺いしたいのでありますが、窒素、燐対策として下水整備が重要でありますが、どうしても三次処理が必要だと思うのであります。この点、今回の法案では、特別の措置等は考えられていない状態でありますが、自治体の立場から見られて、こういう点についていかがお考えでございましょうか。
○長浜参考人 確かに燐を完全に除去しようとしますと、やはり三次処理という形になろうかと思います。ただ、二次処理で除去できる量というのが大体四〇%くらいの量だ、三次処理になって九〇%くらいが除去できるだろう、そういうふうに私は聞いておるわけですけれども、まだ二次処理までも現実の問題としては進んでいないのが実情でございます。瀬戸内海地域で大体三〇%の普及率ということでございますので、まず当面は、二次処理ということも必要でございますけれども、近き将来、また地域によっては三次処理に進むべき地域というのが当然出てくるのではなかろうか、そう思っております。
○東中委員 西村参考人にお伺いします。
 自然海浜保全は、その対象地区が今度の法案では海水浴場等に利用され、その利用が将来とも適当であるものというふうに限られておるわけでありますが、こういうことで一体実効があるかどうか、現在との環境から見てどのように瀬戸内海についてお考えか、お伺いしたいと思います。
○西村参考人 一つは、もう瀬戸内においては自然海岸は少なくとも全域を保護すべきである。むしろ部分的に、たとえば環境の保全に役立つ海浜について許すとか、逆にすべきではないかと思います。したがって、海水浴場に現に利用されているあるいは将来も利用する見込みがある、そういう限定ではなくて、思い切って、残された瀬戸内沿岸の自然海岸は全域を保護の対象にして、場合によっては部分的に許可制で認めていく、そういう形にしていただきたいと思います。
○東中委員 現在すでに自然海浜というのがずいぶん損なわれておるわけでありますから、そういう現状から見まして、いま西村さんの言われましたように、私たちも、残っておるところの全域を原則として保全するというふうにすべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 次に、総量規制でありますけれども、今度の法案で、産業の動向あるいは技術の水準等を勘案しというふうになっております。しかも、実施可能な限度で行うという条件がついておるわけでありますが、これは法律家の立場から見られまして、こういう規定の仕方についてどのようにお考えでしょうか、御見解を承りたいと思います。
○西村参考人 水質汚濁防止法の改正案の中に、そういう産業との調和条項を入れたような規定が確かにありまして、私も、それが本来公害対策基本法の中で調和条項を削除した精神に反しているのではないかという気もいたします。
 ただ、実際にそういう規定が、公害対策基本法の産業との調和条項を復活させるような趣旨であるとすれば、これは後退した法案であろう。むしろそこが大変私たちも心配な点で、十分その点、従来の方向に復活しないような形に御配慮いただきたいと思います。
 非常に抽象的な規定になっていましても、もともとCODの総量規制についてはもっと具体的な規制項目を入れていただいて、さらには、たとえば手続的にも中央公害対策審議会の議を経て内閣総理大臣が定めるということになっておりますけれども、もう少し第三者機関といいますか、審議会等で諮るというようなことも考えていいのではないか。あるいは規制基準の遵守についても、もう少し厳しい遵守の規定を置くべきではないか、そんなふうに考えます。
○東中委員 また、今回の法案で、埋め立ての規制強化は行われないことになっておりますけれども、埋め立てというのは、特に瀬戸内海の現状から見て、環境保全にとって非常に大きな意味を持つと思うのでありますが、現状を踏まえて、これは先ほど来御意見をお聞かせ願っておりますが、改めてどのようなお考えか、あわせてお伺いをしたいと思います。
○西村参考人 御承知のように、埋め立てがされるところは沿岸の浅い海で、浅い海はほとんどが藻場というところ、大体十メートル以内というところにいろんな藻が生育すると言われております。藻が生育するところは当然プランクトンがたくさん発生するところで、プランクトンは海を浄化する王様と言われていますけれども、そういう瀬戸内沿岸の藻場が育成する浅い海が埋め立てによって破壊されていくということは、これ以上許されないのではないか。それと海岸線、これは埋め立てがされるところはもちろん海岸線がほとんどありますので、そこでの波による浄化力、そういったものも奪われていく。そういう点から考えますと、これ以上の瀬戸内沿岸での埋め立てはどうしても禁止をしていただく。そうして、特殊な場合、必要不可欠なものに限って認める、そういう方向を後継法の中では打ち出していただきたい、それを切にお願いする次第でございます。
○東中委員 もう一点、タンカー規制でありますけれども、環境保全上、また災害防止上、瀬戸内はもちろん、瀬戸内以外でも非常に重要な問題だと思っておりますが、現在の実態、規制のあり方について法律的な問題、現行法の問題とは別に、環境保全と災害防止という点から見て、現状を踏まえてどうお考えか、改めてお聞かせ願いたいと思います。
○西村参考人 瀬戸内で十万トン以上の船舶の増加が非常に激しいということが数量上指摘されていますけれども、特にいろいろな種類の船舶の航行が多い瀬戸内で、十万トン以上という大型船舶が年々増加しているということはやはり憂慮すべき事態である。したがって、それの規制については、いろいろ技術的な問題はあると思いますけれども、一定の方向を明確に打ち出して、後継法の中へ盛り込んでいただく必要があるのではないかと考えます。
○東中委員 もう時間がございませんので……。どうもありがとうございました。
○久保委員長 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) 最初に、三人の参考人の方に御足労をかけてまことにありがとうございました。新自由クラブの工藤晃でございます。
 瀬戸内の環境保全に関連いたしましてまず第一番にお伺いをしたいことは、水質汚濁あるいは有機汚染、特に赤潮発生などと関係のありますCODに関連しまして、参考資料の瀬戸内のCODの「主要産業別負荷」というところのデータなどを見ますと、瀬戸内の場合、産業別に見ますとパルプ工業の負荷が非常に高くて、四三・五%というふうな大きな負荷を持っているわけです。そういうふうにパルプ工業が瀬戸内の環境汚染に影響する問題は、このデータから見ると非常に大きなウエートを占めているのじゃなかろうかと思いますが、特にこういうパルプ工業の工業排水に関連して、現在どのような改善を逐次なされてきているのか、あるいはそういう点について今後重点的に、たとえば工業排水の改善を期待する場合には、瀬戸内においてはパルプ工業関係の改善なくしては効果的な水質の改善にはつながらないと考えるわけですが、その点について、まず第一番に長浜参考人から、現況と今後の対策あるいはいままでの経過などについて御説明をいただきたいと思います。
○長浜参考人 私、瀬戸内全体としてはパルプの関係は詳しく承知しておらないわけでございますけれども、兵庫県におきますパルプは確かに四十七年当時ウエートは非常に高かったわけでございます。それで、瀬戸内での規制として、COD二分の一カットするについて、当時の技術として二分の一カットはちょっとむずかしい業種ではなかろうかということでございましたけれども、その後パルプに関します活性汚泥法による除去という形が具体化をいたしまして、本県の場合は四十七年当時の半分以下といったような形の負荷量になっておるということでございますので、パルプ関係につきましても、そういった技術が最近においてぐっと進歩いたしましたので、全体としてのウエートは下がってくるのではなかろうかと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) 次に西村参考人に、これについてもし知識をお持ちでしたら、そのお考えなどをお述べ願いたいと思います。
○西村参考人 特に意見はございません。
○工藤(晃)委員(新自) 宮原参考人いかがでしょうか。
○宮原参考人 CODだけでなしに、SSの負荷量も非常に多い業種でございますので、私どもとしては、基本的には閉鎖性水域でのパルプ工場の立地は反対でございます。
○工藤(晃)委員(新自) もちろん、この占めるパーセントとCODが常にパラレルに平行するというふうにも断言はできないと思いますけれども、やはり相当大きなCODに対する影響力を持っている、極端に言えば、工業排水の半分近い影響力はそこにあると思いますので、もしこれからまたこういうところに対する対策なり、あるいはまた今後の状況改善のために情報がありました場合にはお知らせいただきたい、かように思って、この問題は一応これでやめます。
 それから二番目に、やはりCODに関係いたしますけれども、私の持っている資料によりますと、「瀬戸内海における赤潮の発生確認件数の推移」というところで、一九七二年が百六十四、七三年が二百十、七四年が二百九十三、七五年が三百、七六年が三百二十六と、片一方でCODその他では瀬戸内の環境は改善されつつあるといいながら、赤潮の発生件数は逆に非常にふえてきているという現象があるわけでございます。もちろん、これは具体的にはその発生原因が不明でございますから、それについての追及はできないわけでございますけれども、もう一つ、「瀬戸内海におけるCOD分布面積比率」というのを見ますと、一九七二年、三年、四年、五年とあるわけですが、濃度の高い三・一PPm以上の分布比率は七五年には五・三で、大体一〇以上一四までありました分布比率がぐっと下がって半分以下になっている。しかしながら片一方で一PPm以下はそう大きな動きがない。ところが一・一から二・〇PPmの間は逆に非常にふえているわけでございまして、七二年四三・七、七三年三九・九、七四年四五・三、七五年五一・〇となっている。これはどういう理由によるのか、あるいは潮流による拡散、あるいは片一方の三・一PPmあたりのところを抑制することだけに夢中になっているために、逆にこういう部分の濃度が全般的に広がっているのか、私は専門家でございませんからその点についてはわかりませんけれども、何となくもう一つの赤潮の発生件数とそれから一・一から二・〇PPmのところの範囲の拡大とがパラレルになっていることだけは確かでございますので、こういう意味においても、今後、単に非常に濃度の高いところの部分の除去というか、改善というだけに目標を置くべきではなくて、総体的にCODの改善をしていかなければならないのじゃないかという感じがいたしているわけでございます。その点について、三参考人から何か参考意見をちょうだいできればありがたいと思います。
○長浜参考人 的確なお答えになるかどうか存じませんけれども、いろいろな発生源から出てくるものと、それから海中のヘドロでたまっておったものが自然にまた上がってくるというものもございます。そういった面で、河川の流域あたりでは環境容量というものが大体できるわけです。まだこれだけ環境容量があるからこれだけのことはできるということはできるわけですけれども、海岸の場合は流入してくる量はわかりますけれども、中で発生する問題また空気中に溶けているものが落ちてくる状況、そういった点での非常に複雑な要素がございますので、なかなか環境容量というものはつかみにくいような状況でございますけれども、よくその辺努力をしてまいりたいと思います。
 CODのカットと同時に赤潮の問題につきましては、先ほど来お話のありました燐、窒素という問題が一つの大きな要素になってこようかと思います。
 それで、やはり人為的にある程度技術的に解明できる燐を除去することによって何とかこういったバランスを崩してみるという形も、赤潮対策、メカニズムははっきりと解明はいたしておりませんけれども、そういうことは十分に考えられるのではなかろうかということで、今度の法案についても燐の削減ということをお考えになっているようでございますけれども、私どもの方も真剣にこの問題に取り組んでみたい、そういうふうに考えております。
○西村参考人 ただいまの点、御指摘のように私たちも、瀬戸内全域における一PPm以上二PPmまでのところの海域がむしろ年々増加をしているという点は、非常に問題があるのではないかというふうに見ているわけです。だから、局地的にはCODの濃度は下がったけれども、全体としては広がっていっている。これは一体何だろうというところが私たちも非常に疑問なところでございます。それだけに、ぜひ総量規制をしっかりしたものにしていただきたいというのが一つのお願いでございまして、四十七年当時の二分の一カットを超過達成しておるので、かなりその点ではいいんじゃないかという議論もあるわけですけれども、むしろ全体としてCODの分布面積で非常に汚れは広がっていっておる面があることを考慮に入れて、総量規制をぜひりっぱなものにしていただきたい、そんなふうに思います。
○宮原参考人 CODの濃度と赤潮発生の相関というものについては不明確でございます。私どもは、やはり従来のPPm規制というのが不備なんだ、だからグラム規制に変えなければいかぬという主張はそこから出ておるわけでございまして、そういう意味で、今回の総量規制という点につきまして、漁業団体としては非常に喜んでおるという状況でございます。
○工藤(晃)委員(新自) 最後に、簡単で結構ですが、瀬戸内の下水整備のことに関連しまして、もちろんすべての下水を完備していくことが一番いいことでございますけれども、予算その他の点もございますから、瀬戸内における下水処理の中で環境汚染防止上まず第一番にやらなければいけない点と、こういう効果的な方法、一番有効であろうということがございましたら、一言ずつお答えをいただきたい、こう思います。
○長浜参考人 非常にむずかしい御質問でございますけれども、まず、現在、下水道工事にかかっているところがございます。それは非常な長期の計画になっておりますが、ただ、私の方の兵庫県あたりでも流域下水道で何カ所かやっておりますけれども、完成目標が七十年とかいうような非常に長期にわたる計画になっておりますけれども、かかりました以上、できるだけ早期にできますことが、やはり一つ一つを浄化していく上において非常に大きなウエートがかかるのではなかろうか、そういうことで、この問題の緊急性につきまして何分の御支援をお願いしたい、そう思っております。
○西村参考人 混合方式の流域下水道については、住民の間からよく問題になります。そういう点が一点と、それから下水道事業が世界的にも非常におくれておるという点もありますけれども、特にこういう危機的な地域については、格段の配慮と措置をいただきたいと思います。
○宮原参考人 これから新設する下水処理の終末施設はすべて三次処理を義務づけるということ以外にはないと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) ありがとうございました。これで私の質問を終わります。
○久保委員長 以上で午前中の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四分開議
○久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題とし、午前中に引き続き参考人から御意見を聴取いたします。
 ただいま御出席をいただいております参考人は、三重大学水産学部教授岩崎英雄君、広島大学教育学部助教授城雄二君、東京都公害局規制部長田尻宗昭君及び伊勢湾総合対策協議会委員野村新爾君、以上四名の方々であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとう存じます。
 ただいま議題といたしております本案につきましては、ここ数年来、関係府県を初め各方面から多くの提言、要望等がなされているところであります。
 本日は、参考人の皆様にそれぞれのお立場から御意見を承り、もって本案審査の参考にいたしたいと存ずる次第であります。つきましては、どうか忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。
 なお、御意見の開陳はおのおの十五分以内に要約してお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは岩崎参考人からお願いいたします。
○岩崎参考人 私は三重大学の岩崎でございます。
 私は、主に赤潮の発生の立場から水質保全についての意見を述べさせていただきます。
 赤潮と呼ばれます現象は、顕微鏡的な微小な生物の大増殖に伴います海水の変色現象であります。この現象はかなり古くから、記録によりますと、奈良朝時代から散発的に起こっていることが知られております。瀬戸内海では昭和三十五年ころから赤潮の発生が目立ち始めまして、発生件数は年々増加し、発生の範囲も広くなりまして、水産増養殖業に大きな被害を与えてきております。
 この赤潮現象は複雑でございまして、気象条件や地形、それから潮汐流に関連します水理学的な条件も介在しておりますので、しさいについてはまだ不明の点もございますが、近年わが国の沿岸や内湾で見られるような赤潮は、明らかに人間活動の結果と言えます。海域の有機富栄養化に密接に関係しているということは明らかでございます。
 水産庁の瀬戸内海漁業調整事務局で作成されました瀬戸内海における赤潮の発生海域図並びに環境庁によります瀬戸内海調査の結果を対照してみますと、赤潮の発生海域は、いずれも化学的酸素要求量一PPm以上の水域になっております。伊勢湾、三河湾でもほぼ同様なことが観察されております。伊勢湾の調査資料を見ますと、各観側点におきますCOD、化学的酸素要求量は、平均二・〇PPmを超えておりまして、環境基準が達成されていないばかりでなく、赤潮の発生からも憂慮されるような状態でございます。また、実際に赤潮の発生時期も三月から十二月というように、ほとんど一年にわたりまして発生の持続日数も長期間にわたる傾向が見られます。
 私は、昭和四十一年から国の研究補助を受けまして、赤潮を構成する生物の生理要求の面から、赤潮の発生機構に関する研究を進めてまいりました。この一連の研究によって得られました知見をもとに、簡単に赤潮問題についての意見を述べさせていただきます。
 改めて申し上げるまでもなく、赤潮は特定の生物によります突発的な大増殖現象でありますので、日射量、水温、海水の塩分濃度、各種栄養塩などの多くの物理、化学的条件が関与しております。
 赤潮の発生には、まずこれらの諸要因が当該生物の増殖に好都合に組み合わさるということが不可欠の条件であります。そして、その増殖を支えるには、窒素、燐などの基本的な栄養塩は当然必要でありますが、赤潮になるほど増殖するには、さらにその増殖を速めるような増殖促進物質が必要であります。
 この観点から、赤潮生物を類型分類してみますと、現在まで三つの型に分けることができます。
 その一つは、無機体の窒素、燐、ビタミンB12といった栄養塩だけで増殖する生物群でございます。第二の類型は、鉄、マンガンなどの微量な金属に反応する生物群でございまして、鉄、マンガンが多量に存在しますと増殖が著しく促進されます。第三の類型は、有機性の生物活性物質たとえば生物の細胞内で重要な役割りを果たしております核酸の構成分でありますプリン、ピリミジン及び有機物の分解産物のようなものの補給によって増殖が刺激される生物群でございます。現在まで研究を行いました十三種類の赤潮生物について見ますと、この第三の類型に入る生物が過半、七種類を占めております。
 一方、赤潮生物を生活様式の面から見ますと、いわゆる有害、有毒と言われております赤潮生物はほとんど植物と動物の中間の性質、言いかえますと、半有機栄養性の生物でございます。
 このように有機物は、多くの赤潮生物にとって直接栄養源として作用しておりますばかりでなく、増殖を促進する作用も兼ね備えております。さらに、多くの有機物は金属とキレート結合をする性質を持っております。キレート結合をしますと、金属はイオンとしての特性を失いまして水に溶けやすくなります。したがいまして、有機物は鉄、マンガンなどの増殖刺激物質の溶解性を高め、さらに水銀、銅といった有害金属の毒性を緩和することによって間接的に赤潮生物の繁殖を助長するのに役立っているというふうに考えられます。
 御参考までに外国での研究例を御紹介いたしますと、アメリカ合衆国のフロリダ半島のメキシコ湾側では、しばしば大規模な赤潮が発生しておりまして、大きな関心が寄せられております。そこでは、その赤潮発生の予報の一つの手段としまして、流入する河川によって運ばれる腐植酸とキレート結合をしました鉄の量、ザ・アイアン・インデックスと呼ばれておりますが、この量が用いられております。それは三カ月間の川から運ばれた有機鉄の量が二十三万五千ポンド、キログラムに換算いたしますと百七トン以上になれば赤潮が発生するというような予報をいたしております。そして、報告によりますと、それはほとんど的確に予報可能であると見られております。
 さらに、アメリカ、カナダの大西洋北西岸の有毒赤潮の発生は、河川によって運ばれます有機腐植質と密接な関連のあることが指摘されております。一方、無機体の窒素と燐は赤潮生物の基本的な栄養源でありまして、赤潮を維持するのに役立つ因子でございます。一般には珪藻を主体とする植物プランクトンの生産を通しまして、間接的に有機物の負荷に寄与しております。したがいまして、水質汚濁の防止の立場からは窒素、燐に対する配慮も必要かと思われます。
 環境庁の昭和四十七年度の資料によりますと、瀬戸内海における窒素と燐の流入の負荷比率は約一五対一となっております。また、伊勢湾の海水中の比率は約二〇対一となっております。プランクトンの体内の窒素と燐の比率は約七対一と言われておりますので、窒素に比べて燐の方がより増殖制限因子として作用しているというふうに考えられます。したがいまして、窒素、燐についての規制措置を考慮される場合には、燐の方がより効果的であると考えられます。
 行政的には、昭和四十二年に公害対策基本法が制定されまして、次いで昭和四十五年に同法律の一部改正、それから水質汚濁防止法を初めとする公害関係の法律の法的整備が行われまして、さらに昭和四十八年には瀬戸内海環境保全臨時措置法が制定されております。これらの一連の措置によりまして、海域の汚濁の進行には歯どめがかけられ、総体的には環境改善の傾向にあることは喜ばしいことでございます。しかしながら、昭和五十二年八月には、瀬戸内海の播磨灘で大規模な赤潮が発生しておりますし、伊勢湾では、昭和五十年から、いままでに見られなかったような有毒な赤潮が発生するようになっておりまして、まだ楽観できないような状態にあるのではないかと考えられます。したがいまして、瀬戸内海を初めとする伊勢湾、三河湾東京湾などのように閉鎖性の強い水域に対しましては、一層の水質保全の対策を講ぜられることが必要でないかというふうに考えられます。
 なお自然海浜の砂浜の保全は、地域住民の憩いの場としてだけではなく、天然における自然の浄化槽的な役割りをも果たしております。したがいまして、この観点からもその砂浜の確保と保全が望まれる次第でございます。
 簡単でございますが、これで終わります。
○久保委員長 ありがとうございました。
 次に、城参考人にお願いいたします。
○城参考人 私は、広島大学の城でございます。
 きょうは、特に、瀬戸内海臨時措置法が四年半どのような役割りを県レベルでしてきたかということにつきまして、具体的な例を挙げながら、特に埋め立て問題についてお話をさせていただき、参考にしていただければと思います。
 その例と申しますのは、広島県などが計画しております広島の海田湾埋め立て計画でございます。これにつきましては、この特別委員会の先生方も昨年十月にわざわざ御視察くださいましたのですが、参議院でも特別委員会が五十一年二月に御視察いただいております。
 この計画といいますのは、約十年以上前につくられたもので、五十四企業団の流通業務団地が百五十万平方メートル、それに下水道の浄化センターが三十万平方メートル、それの埋め立て計画でございます。この問題が起きましたのは、ちょうど瀬戸内海臨時措置法が施行されました四十八年の八月に県が住民に説明会を開いたことから住民に知れ渡りまして、現在までいろいろな問題が起きておりますけれども、現在百八十万平米の埋め立ての審査が環境庁で行われております。そういう点から言いますと、海田湾の埋め立て問題というのは、瀬戸内海臨時措置法と一緒に進んできて現在に至っているということで、一つの典型的な例になるのではないかと思って、私も科学者の立場からいろいろな調査をやってきておりますので、お話し申し上げるわけです。
 県はその埋め立てについて、大きな埋め立て理由というものを主に二つ挙げております。一つはこれは公共的な事業であるということ、それからもう一つは海田湾は汚れているから埋め立てるのだ、その二つを挙げております。
 一つの公共性につきましてですけれども、 これは詳しく申し上げる時間がありませんが、五十四企業団というのは、主に自動車、造船関係の産業資材の荷揚げとか運搬をする企業でありまして、それについて三井不動産が埋め立てを請け負って、それの漁業補償も三井不動産が支払うというふうに、公共性というのは名ばかりで、実際は私企業の用地に使われるわけです。
 さらに、土地の需要が逼迫しているから埋め立てが必要なんだということも言っておりますけれども、実際には広島市の周辺では埋立地が二つもありますが、その埋立地に入ってくる企業が非常に少なくて、多いところでは五〇%近くも売れないで困っているというのが現在でございます。そういう意味から、実際にそういう埋め立てを行って、果たして百五十万平米の用地が企業に必要なのかどうなのか、それを埋め立てるのに必要な資金が現在あるのかどうなのかということについては、地元では非常に否定的な考えが常識であります。そういう意味からすると、県の言い分の公共性というのは非常に疑わしいということです。
 さらに、海が汚れたから埋め立てるということでございますけれども、その県の言い分は、海にはヘドロが三メートルも、それ以上もたまっているということを申しております。それから魚がとれるようになるには四、五十年かかるということも言っております。ところが、ここに持ってまいりました、これはつい最近、ことしの五月四日、五日、そのときに海底にもぐって撮った写真でございます。後で回して見ていただきますが、底に大きな材木が沈んでいます。これは海田湾がここ数年材木置き場に使われていて、その材木が沈んだものでございますけれども、全然材木が埋まっておりません。実際に底に入ってみますと、足を地につけても埋まりません。だから、県が言っていたヘドロが数メートルというのは、全くこれは根拠がない。そのほかにいろいろな写真がありますけれども、底にあるものは材木とかカキの鉄線とかそういうもので、そうでないところには、これは小さくてわかりにくいのですけれども、ナマコとかヒトデとかいろいろな動植物が存在しているのがわかります。こういうことからすると、まだ海田湾は十分生きているということがごらんいただけるかと思います。
 それから、ここに写真がございますけれども、この海はすでに漁業権を放棄しているわけですけれども、実際にはカキの養殖が行われております。ということは、海田湾というのは内湾のまた内湾でございまして、カキの養殖には非常に適している、種つけに非常にいいといいことで、一度放棄したものの、最近海田湾が非常にきれいになったことで、また養殖が、現実には権利がないのに始まっている。環境庁にも漁業者の幹部が埋め立て促進をお願いして上がっているそうでございますけれども、それはほんの一部の人でございまして、ほとんどの漁業者はやはり海が戻ってほしい、あるいは審査は長引いてほしい、その方が養殖ができるということを言っているわけでございます。
 それから、いろいろな写真がございますけれども、潮干狩りというのもこのようにたくさんの人が出て現在楽しんでおりまして、ちょうどこの日は潮は小潮で余り引かない日でしたけれども、それでも数百人の人が出て貝をとっていて、一平方メートルに三百ぐらいのアサリが出てくるというぐらい、まだまだ生物が住んでいる。人々の役に立つ浜でございます。
 私たちは、そのほかに、微生物の調査とかそれから魚の調査とか、そういうことをやっておりますけれども、この二、三年、特に海は浄化の方向にありまして、しかも最近、木材団地に使われていた海田湾が、木材がよその方に持っていかれることによってさらに海はきれいになる方向にあります。そういう意味からすると、海田湾は汚れているから埋め立てる、ヘドロがあるから埋め立てるということを言っている県の埋め立て理由というのは根本的に崩れるわけでございます。
 石原前環境庁長官は、文芸春秋のことしの五月号に海田湾について引用しておりますけれども、そこで埋め立て促進派が、それは多くの漁民がという言葉にしておりますが、多くの漁民の埋め立て促進派は、生活排水で濁った湾をヘドロをしゅんせつして漁場を取り戻そうとして、埋め立て賛成に熱心に参加しているということを書いております。ところが、私たち科学者もそうですし、住民の人に聞いても、埋め立て促進に熱心な漁業者というのはほんの数人しかいなくて、ほとんどの漁業者は黙っておられるか反対をされているわけで、全く事実無根なわけです。さらにその中で、流通センターというのは市民のためになる、市の流通センターだということを書いておられるのですけれども、これは事実をよく知っておられないわけで、先ほど申しましたように、五十四企業団の生産資材の荷揚げ場なわけです。石原前長官は、その論文の結論として、日本人は実在せぬ事柄をさながら実在するがごとく確信して事を行うというふうに書いておられますけれども、まさに御自分がそういうことをやっておられるわけでございます。
 海田湾につきましてはアセスメントというのが二つできておりますけれども、その中身については、もう時間がないので十分申し上げられませんが、一つは科学性について非常に問題がある。たとえば四カ月でつくっておりまして、その中身は、ほとんど県がすでに発表したデータを使っているだけで、みずからは調査をしていない。それから中身は、東海大学の前田教授といって全然瀬戸内海と関係ないところに頼んでいるわけですけれども、その文章の中では、海水交換は埋め立てると悪くなるということをはっきり書いているわけです。それから底質は、これはカキの養殖と材木の汚染によるものだということも書いているわけです。それからCODは幾らかということを書いているわけですが、その内容をすべて削除しまして、広島県の発表したアセスメントは、海水交換は埋め立てても問題はない、底質は全然触れてないわけです。そういうふうにした広島県版みたいなアセスメントができ上がっているわけです。それが堂々と発表されていまして、しかもその審査はだれがやっているかといいますと、広島県が審査しているわけです。だから広島県がみずから手を加え、それを広島県が審査する。第三者の科学者には一切それを見せてないわけです。住民が二十一項目とか五十九項目の質問状というものを出しましても、しどろもどろの答えで全く答えてくれないという状況です。そういう意味で、瀬戸内海臨時措置法というのが、実際には県レベルでは非常にいいかげんに運用されてきている。その原因というのは、やはり瀬戸内海臨時措置法そのものが、埋め立てについて非常にあいまいだ、どっちでもとれる、都合のいいようにとれるようになっているからではなかろうかと思うわけです。それは海田湾の埋め立てに限らず、瀬戸内海全般の埋め立てについて言えることでありまして、これから、たとえば瀬戸内海保全法を検討していただく上に次のような点に考えをめぐらせていただきたいと思います。
 一つは、瀬戸内海の土地利用をどうすべきかということを全体的に調査して、今後瀬戸内海はどういうふうに利用していったらいいのか、日本人の生活を守るためにはどうしたらいいのかという面から、総合調査が必要なのではないかということ。それから埋め立てば原則として禁止すべきである。もう現状で自然の浜というのは非常に少なくなっているわけで、原則として禁止する。公共のもの、しかも環境保全上重要なものだけに限る。それから、アセスメントというのは現状では県のあるいは企業の言い逃れにすぎなくなっている。科学的に公正なものをつくるということは、やはり審査を非常に厳しくしないと、みずからつくってみずから審査するというようなアセスメントでは、瀬戸内海は決してきれいにはならないだろうということです。
 そのほかいろいろございますけれども、瀬戸内海の自然を生かして保全するということは、単に自然を守るということのためではないと私たちは考えています。自然を守ることじゃなくて、生活を守るためには、もう瀬戸内海は埋め立てを禁止したりいろいろな規制を厳しくするしかない。瀬戸内海というのは産業の集積度とか、人口の密度とかいった意味では世界一だと思います。そういう世界的な価値を持っている瀬戸内海が、これから本当にそこの住民あるいは日本人の生活のためになっていくためには、自然を守るというレベルで瀬戸内海の保全を考えるのではなくて、生活を守るという意味で、いまのような臨時措置法ではとてもだめなんだ。私は、瀬戸内海がどうなるかというのは、世界の歴史の中で今後いつかは評価されるときが来ると思うのですけれども、日本人の英知が後世の人から高く評価されるような、そういうような瀬戸内海臨時措置法の抜本的な改正をお願いして終わりたいと思います。
 どうも失礼しました。
○久保委員長 ありがとうございました。
 次に、田尻参考人にお願いいたします。
○田尻参考人 東京都公害局規制部長の田尻でございます。時間の都合がございますので、要約をいたして申し述べてみたいと思います。
 本日は、この瀬戸内海保全措置法第十七条にも取り上げられておりますけれども、瀬戸内海の水質保全にとって最大の公害源となり得る巨大タンカー対策というものについて申し述べてみたいと思います。これなくしては、真に瀬戸内海を守ることにはならないと思うからであります。
 日本は、国連統計でも世界第一位の出入港船舶隻数を有しておりまして、また複雑で非常に狭い海岸線や霧が多発する、あるいは漁船が多いというようなことを考えましても、船舶にとっては世界最高の危険な海域であります。その中でも瀬戸内海は長さ二百四十キロという世界で最も長い狭水道でありまして、最高の難所であります。しかも、巨大タンカーの海難で大量の油が流れますと、有数の漁場でもあり、その打撃は致命的でありまして、閉鎖性の水域で油が滞留します。そういう点からも、一昨々年の水島事件の油も非常に教訓的であります。
 ところが、今年の三月十六日、フランスのブルターニュ海岸に座礁いたしましたリベリアの便宜置籍船、二十三万トンタンカーのアモコ・カジス号が二十三万トン、ほとんど全量の油を流しました。いまもって沿岸二百数十キロにわたって油が流れており、数千人の軍隊と二十四隻の軍艦が動員されておりますけれども、ほとんど有効な手が打てないという現状であります。
 この距離を当てはめてみますと、瀬戸内海全部がすっぽりと入るスケールでありまして、もし瀬戸内海で二十万トンタンカーがこのように油を流しますと、真っ黒の油でほとんど瀬戸内海全域が覆われてしまって、もはやCODとか水質汚濁、決してこれは軽視するわけではございませんけれども、というようななまやさしいものではないということは御案内のとおりであります。しかもこの油は原油でありますから、場合によっては大火災も引き起こす。海岸の近くであれば住民災害も引き起こすというようなことで、それは、昭和四十年のテキサスシティーの船舶事故で、三千メートル以内の住宅二千五百戸が全焼した事件、あるいは室蘭港の二十八日続いた港の大火災等で実証されておるのであります。二十万トンタンカーが海難を起こしますと一時間で三万トンの油が流れ、また、全量二十万トンの油が流れますと、水島事故の二十倍、ジュリアナ号事件の三十倍の油が流れるのであります。
 いまこの法律の十七条で船舶からの大量の油流出に対する対策と体制の整備条項が取り入れられたことは、まことに時宜を得たものと私は考えます。しかしながら、それでいいかというと、問題はその具体策であります。巨大タンカーから一たび大量の油が流れますと、残念ながら真に有効な手はほとんどありません。事故後の処理体制を強化することだけではほとんど効果がない。私自身、前職の海上保安庁、四日市時代、幾多の油事故からそのことを痛切に体験をいたしました。
 一九六七年のトリー・キャニオン号事件では、万策尽きた英空軍がこの船を爆撃をいたしました。それから、一九七五年の水島事件、あるいは一九七一年の新潟のジュリアナ号事件の大量油では、結局最後はひしゃくとむしろというような状況でありました。それもほんの一部であります。オイルフェンスは三十センチの波や二ノットの潮があると役に立ちません。吸着剤に至ってはほとんど効果がなかったのであります。真に有効な油回収船もまだ十分開発されていないという現状であります。
 要は、事故を何とかして起こさせない対策が肝心でありまして、そのために現在、海上交通安全法が設けられております。しかしながら、これは限られた全国十一の指定航路の中の衝突防止が主な目的であります。わが国の海難でも、衝突より乗り上げが一番多くて、第一位であります。瀬戸内海でも、昭和五十一年、衝突が百三十六件に対しまして、航路外の座礁がこれに匹敵する百二十八件発生をしております。つまり、従来の交通規制や一般法だけでは防止し切れない瀬戸内海の巨大タンカーの総合対策を、この保全法の中に確立すべきであります。その内容は、すべてスケールの大きな政策的課題を内包しておるのであります。
 もともとタンカーのための立法はきわめてばらばらでありまして、非常に不備であります。たとえば、タンカー安全法がない。乗組員に危険物の免状も制定していない。巨大タンカーのための総合立法がないというのが実態であります。もちろん立法技術上いろんな問題があることは承知しておりますけれども、このように海上交通安全法、あるいは故意に排出せられる油や、油排出の事後対策を主な目的とした海岸汚染防止法のような一般法では、それぞれに大きな限界がありまして、この瀬戸内海のように非常に特殊な海域では、大胆な発想の転換によりまして、有効な総合的具体策をこの保全措置法のような特別法の中にモデルとして確立すべきだと考えます。
 ここで、瀬戸内海の現状を五十一年の統計からちょっと述べてみたいと思います。
 わが国の狭水道の通航隻数は、一日平均、最高が瀬戸内海の明石海峡の千二百三十四隻、東京湾は浦賀の六百四十二隻、伊勢湾は伊良湖の二百六十六隻、また、タンカーも、瀬戸内海の明石海峡で一日平均二百九隻、東京湾は百五十二隻、伊勢湾は四十九隻となっておりまして、瀬戸内海が最も過密であります。海難も、全国の年間七百九十六件のうちに瀬戸内海六百二十二件、つまり七八%でありまして、また、瀬戸内海の入り口の明石海峡と備讃瀬戸が全国の狭水道のうち最高であります。また、海洋汚染の発生件数はどのぐらいでありましょうか。全国で五十一年度一千六十六件のうち、瀬戸内海で五百二十九件という件数が起こっているのであります。過去において瀬戸内海の大きな流出事件は、備讃瀬戸や来島海峡のタンカーによる重油流出、いろいろな事件がございました。こういうときには幸いにして数百トンの油流出でとどまったのであります。徳山ではタンカーの衝突火災で七人死亡しております。
 では、瀬戸内海で巨大船の海難による油排出を防止する最も重要な根本策は何であろうかと考えますと、第一に、巨大船航行のトン数規制であります。端的に言いますと、もはや現在の巨大タンカーは瀬戸内海という入れ物には無理だということが言えます。かつて瀬戸内海では一万トンが最大でございました。ところが、わが国のタンカーは、コストダウンのために猛烈なスピードで巨大化への道を突っ走りました。昭和四十一年に五万トン以上が五隻だったのが十年後に十倍にもなり、いま五十万トンタンカーがつくられております。その結果 小さな港や狭い水道に巨大タンカーを安全性を無視して無理やり割り込んで入港させる。特に瀬戸内海の備讃瀬戸はもとより、特に水島航路、水島港は、本来二十万トンというようなタンカーが入れるような水域ではないのであります。
 二十万トンに例をとりますと、そのデッキが後楽園球場の長さの三倍、東京駅が三つも入り、エンジンをとめてブレーキをかけても四千メートルはとまらないというようなしろものであります。
 巨大船の長さが二倍になりますと衝突の危険性は六倍にふえるというデータがございます。ところが、瀬戸内海を通る巨大タンカーの大半、つまり昭和五十二年に二百十八隻が水島に入港しておりまして、このうち二十万トンクラスが五十七隻を数えております。水島では受け入れる企業は三菱石油と日本鉱業であります。たったこの二つの企業のために、二十万トンクラスの巨大タンカーが危険を冒して瀬戸内海を航行しているというのが実態でございます。
 岡山県が発行した「水島の歩み」によりますと、これは昭和四十六年のものでございますけれども、ちょっと引用してみます。
  港湾計画は、会社の要望を入れて次々に大型化されて行った。三菱石油の誘致は、長い期間を要した。水島が完全ならば、こんな期間はかからなかった。いや完全ではなかった。それは、何よりも港湾条件にあった。昭和二十六年には、水深三メートル位の小さな港を、七メートル半にしゅんせつする計画であった。そのうちに、タンカーは二万八千トンから四万トン、六万五千トン、八万五千トンから十万トンへと大型化して行った。水深もこれに伴って十メートル、十二メートル、十三メートル、十六メートルと必要になってきた。
  昭和三十二年十月頃タイドウォーターの副社長が十五万トンを入れたいが吃水が十五・五メートルあるのでと言ったところ、知事が十六メートルに掘りましょうと即答した。ところが、当時その技術はなく、将来可能になるだろうという事になった。
こういうぐあいに述べております。つまり、もともと千トンくらいの船が精いっぱいだったこの港に、水深だけを次々につじつまを合わせて受け入れて、船の巨大化が行われていったわけでございます。四十六年当時の資料によりましても、十三万トンタンカーが限界であると書いてあるのに、水深はそのまま、トン数だけが現在二十万トンにふえたのでございます。
 まず、この水島港に二十万トンを入れる能力がないという理由を具体的に申し上げてみます。
 第一に、水島航路、水島港、ともに水深は浅いところでは十六メートルであります。ところが、二十万トンのタンカーは船足、喫水が十九メートルあるのであります。三メートル足りない。
 第二に、その幅が四百メートルでありまして、運輸省令に定める航路幅、つまり船の長さの一・五倍である五百四十メートルに大幅に不足しております。
 第三に、運輸省令に言う十分な泊地、つまり駐車場がない。
 第四に、備讃瀬戸から水島航路に入るところが九十度航路が曲がっていて、運輸省令の航路は三十度以上曲がっていてはならないという規制を超えている。巨大タンカーは施回するのに十二分かかります。幅千メートルの水面が必要であります。こういう腰が重いタンカーが備讃瀬戸の航路のど真ん中でこの施回をするわけでありますから、ちょうど高速道路の真ん中でダンプが横倒しになっているようなもので、他船と衝突の危険が非常に高い。しかも付近は潮流が速く、三・四ノットも流れていますから、施回中に風や潮で流されると座礁の危険もある。巨大タンカーは、経済性のためにスクリューも一つで動きが悪いし、しかも船の底が二重底になっていないというので座礁に弱いということで、機関故障でもしたらなおのことであります。
 また、港の入り口でも、航路幅がマラッカ海峡の半分の四百メートル、両方に浅瀬、潮が速いというようなことで、航路がしかも三十度曲がっていますので、四十六年から四十八年の間に四隻の巨大タンカーが座礁しているのであります。しかもこの場所に本四架橋がかかるということで、さらに巨大船航行の影響が懸念されるのであります。
 こう考えてきますと、現在の二十万トンタンカーの入港は離れわざでありまして、航路幅や水深などから具体的にそのトン数の限界を算出してみますと、五万トンクラスが精いっぱいと言わざるを得ません。それ以上の巨大タンカー、特に二十万トンクラスの水島入港、つまり瀬戸内海航行を禁止すべきであります。
 その二は、外国船対策であります。アモコ・カジス号事件以来、先月EC八カ国は、リベリア等の便宜置籍船、つまり税金や賃金を安くするために、規制の緩いリベリア、パナマなどに船の籍だけを移す、こういう制度でありますが、この入港禁止を打ち出しました。また、フランスはその上に沿岸六マイル以内の巨大船の航行を禁止いたしました。わが国に入港する外船の隻数は、五十一年五万六千隻で、前年に比べて五千隻の増加、わが国海難の千トン以上の五二%、一万トン以上七二%が外国船でありまして、また明石海峡を航行する巨大タンカー五百六十六隻のうち、二百二隻が外国船であります。このうちリベリアが横浜では第一位であるということであります。このうち、特にリベリア等の便宜置籍船は欠陥船とも言えるのでありまして、安全基準の緩いことで定評がありまして、世界の海難でも第一位を占めております。私の体験でも、このようなタンカーでコンパスが十度狂っている、いかりの片方がさびついて落ちなかったという例を知っております。また、持っている海図の中に、千葉県が安房の国と書いてあったということは有名な話であります。もはや、わが国のせめて瀬戸内海ではこういう便宜置籍船の入港を禁止するような英断が必要なときであります。こんな世界の厄介船が瀬戸内海を水先人も乗せずに走っていると思うとはだ寒い思いであります。
 ところが、さらに驚くべきことは、この便宜置籍船を持っている世界の三大国はギリシャ、米国とともにわが日本であります。日本が三百隻もこのようなリベリアの便宜置籍船を持っている。税金対策、低賃金雇用対策等のためにリベリアに籍を移し、欠陥船を運航させている主役がわが国であることを思うとき、全く人ごとではないのであります。このことを解決することが大前提であり、国内船の便宜置籍の規制をみずから行うべきであります。いま皮肉にも、リベリアという名の日本船がEC八カ国へ入港を禁止されるという事態が起こってきているのであります。
 第三に水先人であります。
 東京湾ではすでに行っていますように、全部強制水先制度にすべきであります。また、瀬戸内海でも八十歳以上の老水先人がおりますけれども、このような水先人にはもはや定年制を決めるべきである。戦前には定年制があったのであります。
 第四にアセスメントであります。
 水島に三菱石油が立地しましたときに、和歌山の御坊もその立候補をしていたわけでありますけれども、そのとき、少しでも海の安全ということを考えていたならば、そうして水島をとらなかったならば、瀬戸内海の巨大タンカーの航行は今日ほとんどなかったということであります。企業立地に当たってアセスメントが盛んに言われますけれども、私たち非常に残念なのは、その評価項目は公害では主に大気と水質、つまり煙突と排水口が主で、この欠陥港や巨大タンカーの安全性、つまり最大の公害源が抜け落ちておるということはきわめて不可解であります。たとえば本四架橋でも、船舶のレーダーや無線への影響、あるいは橋脚と航行の安全性、潮流の変化など、タンカーアセスメントが必要であります。
 最後に、LNGタンカーと姫路港の問題であります。
 現在、姫路でLNGタンカーの基地建設が行われておりますけれども、このLNGタンカーは十二万五千トンの大型で、わが国ではまだ建造されておりません。すでにこの安全性については、アメリカのニューズウイーク等の雑誌で、専門家からも大きな不安が指摘されていますけれども、このタンカーがわが国で最も通航量が多くて、備讃瀬戸と並んで難所と呼ばれる明石海峡を通ることであります。明石では五十年に二十二回、五十一年に十七回と、わが国の狭水道では最高の衝突事故が起きております。また、この海峡は入り口、出口ともに各方面の航路が交差しており、潮も速い難所である。また、多くの漁船が操業しております。
 LNGはマイナス百六十二度という超低温の液化ガスでありまして、一万五千トンのタンカー、船舶が五ノットで衝突すると、破口が生じまして、この全量のLNG、液化ガスが二・二分から六・八分の間に流出をいたします。このガスは他のガスよりきわめて爆発性の強いガスでありまして、比重が重いので、この爆発性のガスが一万二千五百メーターに広がります。この中にはかの船が入りますと、このエンジンのスパークなどは全部着火源になります。強烈な大爆発が起こり、炎の高さは九百メーターに達するというのであります。厄介なことに、このLNGは鉄を、脆性破壊といって瞬時に破壊させますから、巡視船が近寄れない、オイルフェンスがぼろぼろになる。つまり、打つ手がないのである。これより爆発性の弱いLPGでも、東京湾で第十雄洋丸の事件が起こりました。明石海峡でこのような事故が起こりますと、この一万数千メーターの中に数十隻の船が入ります。それがすべて着火源となり爆発が起こり、この海峡は幅四千メーターでありますから、一万二千メーターといいますと、沿岸の住宅地までこのガスの範囲に入りまして、大火災となるおそれは十分であります。明石海峡は六ノットの潮の流れの反流を利用して小型船が逆に走りますので、海峡全部を右側通航というわけにまいりません。衝突の危険は決して軽視できません。
 一九七二年にアメリカのスターテンアイランドでLNGの爆発があり、四十三名死亡、一九四四年、クリーブランドでLNGタンク爆発、死者百三十六名、住宅八十二戸全壊という災害がありました。おまけにこの船は、タンクがデッキの上に盛り上がっていて、千百メーター前までは見えないのであります。またロールオーバーと言いまして、ある時間タンクの中にじっと静置いたしますと、逆転現象ができて突然爆発をするというのも、まだ世界的に原因がわかっていないのであります。スターテンアイランドもこれが原因だと言われております。このようなタンカーを明石海峡に航行させることはきわめて危険と言わざるを得ませんので、この際、徹底的な安全調査、タンカーアセスメント実施して、この計画を再考すべきであります。
 これを簡単にまとめますと、瀬戸内海には第一は、五万トン以上の、特に二十万トンのタンカー航行規制をすべきであります。第二番目に、外国船対策、特に便宜置籍船の入港を禁止すべきであります。第三に、水先人を義務づけ、定年制を実施することであります。第四番目、アセスメントにタンカーアセスメントを入れるべきである。第五に、姫路のLNG受け入れ計画を再検討すべきであります。
 昨年米国のカーターが、タンカーを二重底にするというような厳しい構造規制を打ち出し、わが国より先駆けて、諸外国も海事国際会議等で次々に厳しい対策を打ち出しました。外国から提案されたタンカー二重底の提案に反対したのは、ほかならぬ日本であります。日本の海洋政策の貧しさが、海洋国と言われながら痛感させられるのであります。
 もはや安全も公害も一体であるということが言えるのであります。特にわが国の海の財産とも言うべき瀬戸内海を守るため、巨大タンカーは最大の公害源であり、その画期的対策を心から熱望するものであります。
○久保委員長 ありがとうございました。
 次に、野村参考人にお願いいたします。
○野村参考人 私ども、三重県、愛知県、岐阜県そして名古屋市でもって伊勢湾総合対策協議会というものをつくっておりますが、私はその委員の一員として発言をさせていただきます。
 最近におきます伊勢湾の水質汚濁の問題につきましては、総体的には改善の傾向にあります。しかし、一つの汚染指標であります化学的酸素要求量、この指標でもって伊勢湾の環境基準の達成の度合い、これをながめてまいりますと、いろいろな規制等諸対策を行っておりますけれども、依然として十分とは言えないというような状況になっております。
 また、伊勢湾におきます窒素あるいは燐によります富栄養化問題、これは全般的に進行をしておりまして、赤潮発生の件数も年々増加の傾向にあります。このような閉鎖的な伊勢湾の水質汚濁は、このまま推移をいたしますと、産業排水、特に生活系排水の増加によりまして汚濁がさらに進行することが懸念される状態になっております。したがいまして、閉鎖性水域の総合的な水質保全対策、このような観点からすれば、現行法の排出規制は当水域の水質保全を図る上で必ずしも効果的に対応し得ない、このような実情でございます。
 すなわち、まず一点は、大きな負荷量を持つ生活排水への配慮が十分でないこと。二つ目には、今後の開発等に伴う負荷量の増大に有効に対応できないこと。三つ目には、上流の内陸からの負荷を効果的に規制できないこと。このような理由から、現行規制では、伊勢湾のような閉鎖性水域の広域的な水質汚濁の進行に対しましては、制度的にも限界があるというような現状でございます。このため、今後伊勢湾の水質浄化を図るためには、新たな観点に立った法制度の仕組みを導入する必要があるんじゃないか、このように考えます。このために、伊勢湾全域を対象とした、広域的でかつ統一的な手法による総量規制制度の早期の実現が望まれるところでございます。
 この法制化に当たりまして、伊勢湾におきます汚濁の機構及び適正な許容負荷量が科学的にも十分解明されていないというような問題点はあるにしても、現在までいろいろな調査が行われておりまして、このような知見をもとにして、伊勢湾の水質浄化に対する総量規制制度の法制化は可能であると考えております。このため、現状の伊勢湾を浄化し、汚濁負荷を制御するため、実施可能な範囲で水質改善を一歩一歩着実に進めることが必要であろうかと思います。
 次に、実施につきましての具体的な要望でございますが、まず法制度といたしましては、伊勢湾等の閉鎖性の水域を対象とした総量規制の法制化は、現行法の水質汚濁防止法の一部改正でもって水質総量規制の趣旨を十分に反映して、そして効果を期待することが適当であろうと考えます。
 また、規制項目につきましては、伊勢湾の水質汚濁の現状、それから実施可能な排水処理技術のレベル並びに当水域に係る環境基準との関係、このような観点から、化学的酸素要求量、CODを規制項目として、そして産業排水及び生活系排水等のCOD負荷を総体的に削減する措置を講じることが適切であろうと考えます。
 さらにまた、伊勢湾の富栄養化対策でございますけれども、富栄養化の要因と思われます窒素及び燐の規制が、これは赤潮発生のメカニズムが現在科学的な解明が十分ではない、このような段階にあって、CODの総量規制制度と並行して今後さらに調査、検討を進める、これによりまして科学的な知見が得られた上で、可能な範囲で、しかも段階的に燐の削減対策を推進することが望ましいものと考えられます。
 また、指定水域及び区域についてでございますけれども、伊勢湾等の閉鎖性水域の水質浄化を図るためには、広域的にかつ総合的な水質保全対策の確立が必要であろうかと考えます。このため、伊勢湾の全域、と申しますと、三重県の大王崎から愛知県の伊良湖岬を結んだ閉鎖性の内湾でございますけれども、この伊勢湾全域を指定の水域とし、これに接続する公共用水域から流入する内陸部、これは背後地を含めて汚濁負荷の規制対象の区域とすることが適当であろうかと考えられます。
 最後に、総量規制達成の目標等のめどについてでございますけれども、当水域の水質目標は、環境基準達成を目指しながら、当面は、昭和五十五年、次の時点におきます技術的にもあるいは経済的にも実施可能な排水処理技術レベル、それから下水道等の進捗状況を勘案して、暫定目標として、法施行後五年ほどをめどに目標達成を図る。その後のことにつきましては、その時点におきます改善の状況なり、あるいは排水処理技術及び下水道の進捗状況等を勘案しながら、可及的速やかに環境基準が達成されるように、段階的に本制度の実施が妥当かと考えられます。
 以上が総量規制に対する意見でございますけれども、本制度の施策の推進につきましては、地方におきまして財政負担が予想されますので、国の財政上の十分の措置を要望いたしますとともに、本制度の法案が今国会で成立が図られますようお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○久保委員長 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
○久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田行彦君。
○池田(行)委員 参考人の皆様には本当に御苦労さまでございます。
 まず最初に、田尻参考人にちょっとお伺いしたいのでございますが、ただいまタンカー対策につきまして、これまでの内外のいろいろな災害の状況なり、それを踏まえてとるべき措置についての御意見及び貴重な御意見を拝聴させていただきまして感謝しております。いろいろお話をお伺いしてみますと、この瀬戸内海の今回の法律で取り組めるものというのがあるかどうかなど、ちょっと疑問に思われる点もあるのでございます。むしろ瀬戸内法だけじゃなくて、もっと広く、海上交通の安全の問題であるとかあるいは海運対策全般との関連で取り組んでいかなくちゃいけないような、そういった広い見地からのお話だったと思うのです。
 私、一点お伺いしたいのは、瀬戸内への二十万トンタンカーはともかくもう入れないんだ、トン数規制をというお話がございましたのですが、そうなった場合に、どうなのですか、既存のいろいろな産業設備でございますね、石油コンビナートであるとか、あるいは火発であるとか、そういったものの存立といいましょうか、継続した運転とかいうものは可能なのかどうか。そういったものは廃棄も含めて考えていけという御意見なのかということが一点。
 それからもう一つは、仮にトン数規制をやりました場合に、しかし、そういった既存のコンビナート等は今後とも存続していくんだということになりますと、より小型のタンカーにはなりましょうが、かえって交通量がふえてくるという状態になるんじゃないか。その場合に交通安全上どういうふうに考えたらよろしいんだろうか。
 その二点についてお伺いしたいと思います。
○田尻参考人 お答えいたします。
 第一点の、ただいま先生御指摘になりました海上交通法とか海洋汚染防止法という既存の法律で本来は処理すべきことがかなり多うございますけれども、私、前職海上保安庁におりましても痛感しましたのは、どうも一般法でこういうような政策的課題といいますか、タンカーの非常にスケールの大きい総合的な問題が処理し切れないという感じがしてならないわけなんです。こういう一般法では、たとえば海洋汚染防止法では、故意に油を排出するのを禁止する、それから、出た後の油の対策を一般的に取り締まるということが趣旨でございます。海上交通法におきましても、やはり大きな限界は、全国の特別に狭いところの航路の中の衝突防止だけでございまして、座礁には及ばないということでございます。特に瀬戸内海というのが、こういう一般法で規定しております対策とは格段に――世界最高の難所でございますから、瀬戸内海独特の対策が必要であるということに着目をしたいわけでございます。特に瀬戸内海の航路の外の座礁を考えますと、やはりタンカーの大きさを問題にしないと、もう海上交通法とか海洋汚染防止法では処理し切れないという感じがします。そういう意味で瀬戸内海の特別タンカー対策というのは、せっかく十七条でこの条項ができましたから、その条項を基本にして、これから政令、省令あるいは告示等で、その内容の中に十分こういうものを考えていただければまことにいいんじゃないか。そういう点で、私は、立法技術の上ではまだいろいろ問題があることはよく承知しておりますけれども、こういう機会に、あるいはこういう契機をとらえてこういう問題が議論されなければ、もういつになっても解決しないという矛盾を非常に強く現場で感じたわけであります。
 それから第二点の企業の操業の問題でございます。これはおっしゃるとおりだと思います。しかしながら、考えてみますと、わが国のエネルギー対策あるいはタンカー対策というものも大きな転換期に差しかかっておると思います。たとえば、現在五十万トンタンカーというようなものが建造されまして、もう五十万トンあるいは三十万トンはどんどん就航しておりますけれども、いままでこのタンカーに対する配慮が企業の立地の際足りなかったために、企業自身がもうこういう大きなタンカーを受け入れられないという限界を痛感しておりまして、すでにCTSとかパイプでこれを持っていくとかというようなことで、全国的に考えましても、これからの産業がやはりこの巨大タンカー対策と真剣に取り組まないとやっていけなくなっていく。二十万トンですらもいまはすでにやや時代おくれになっておるわけです。しかしながら、もう三十万トン、五十万トンはとても日本の港では受け入れる余地はございません。わずかにあるのは、鹿児島の喜入と沖繩の金武湾だけでございます。そういうことも考えますと、もともとこれは根本的な対策として日本の石油産業にかかってきている問題だということを私たちは痛感しておるのでございます。
 それから次に、小型にすれば隻数がふえるのではないかというお話でございますけれども、いま水島港に入港しておりますタンカーの中で五十七隻が二十万トンタンカーでありますけれども、百六十隻ですか、これは実はそれより小さい五万トンクラスのタンカーでございます。これは最近、東南アジアでミナス原油が非常に売れ始めまして、ミナス原油を買いに行くタンカーといいますのは、ボルネオ、スマトラが非常に浅い港でございますので、大きなタンカーは入れないんですね。そういう状況から、また逆に小型タンカーの需要がふえつつあるということもあるわけでございます。そういう点も考えますと、やはりこの瀬戸内海では、私が五万トンと申しましたのは航路の幅が四百メーターでございますと、ちょうど五万トンのタンカーが旋回をするのが四百メーターの幅が要るわけでございます。相手を避ける場合にはどうしても旋回をいたします。これは四百メーター絶対だ。それから水深も十六メーターというのは、余裕水深が要りますから、五万トンタンカーにちょうど適用されるわけです。この二十万トンですと、いま非常にややこしいことをしておりまして、足が足りないものですから、わざわざ沖繩や川崎で半分油を揚げて、そしてもう一同入り直すというような不経済なことをしているわけなんです。そういうことを考えますと、やはりこの際、瀬戸内海のような非常に特殊な狭いところでは、数字ではっきり出てくるわけでございますから、このトン数や水深や航路幅というものをきちっと計算して、それに合わないものは入れない。そして今度は、そのための対策を産業側において全国的なスケールででももう考えていかないといけないんじゃないか、そういう時期に来ているということであります。
 それから次に、私がどうしても強調いたしたいのは、先生に反論するわけじゃございませんけれども、一たん巨大タンカーが事故を起こしますと、もうこれは取り返しのつかない、企業にとって立ち上がれないぐらいの損害を受けるわけでございますので、やはりこれも企業にとっては十分運営面の配慮をすべき要素だということを考えるわけであります。
 最後に、小型タンカーになると隻数がふえるから海難もふえるんじゃないかというお話でございます。そういう点も否定はいたしませんけれども、何と申しましても大型タンカーというのは足が深うございますので、通る幅が非常に限界、帯のような形になる。小型になりますとぐっとこれは広がりますから、そういう点では、隻数はふえるけれども、航行できる水面が広がるので、必ずしもそうではない。私どもが商船学校を出るころは一万トンクラスのタンカーが一番多うございましたけれども、その当時はこんなにみみっちくなくて、非常にのんびりした航海をしておりましたので、そういう点をつけ加えておきたいと思います。
○池田(行)委員 わかりました。そういたしますと、瀬戸内海については、そういった大型タンカーの規制という措置をやっていくが、一方においては、先ほどおっしゃいました喜入であるとかあるいは沖繩とかああいったCTS等については、今後とも、そういう企業もさることながら、全国民的にもまた立地問題なんかも考えていくべきものだというふうに考えておられると了解してよろしゅうございましょうか。それが一つ。
 それから、そういった海難防止なんかの観点から申しますと、瀬戸内はもとよりでございますけども、伊勢湾あるいは東京湾といったようなああいう狭いところについても、これは同様に考えていくというふうなお感じなんだろうかどうだろうか、その点について。
○田尻参考人 非常にむずかしい表現になりますけれども、CTS構想というのは、私は一つの例として申し上げましたけれども、私、個人的には現在の巨大タンカーの方向には批判的でございます。したがって、三十万トン、五十万トンというようなタンカーはもうすでに――具体的に申しますと、たとえば鉄板の厚さなんかも五万トンと二十万トンは同じ二十二ミリの厚さなんです。こういうタンカーの安全性も確認をされていないのに、三十万トン、五十万トンを、しかもマラッカ海峡のようなところを通すということが私自身は非常に批判的でございますので、お言葉を返すようでございますが、CTSを必ずしも全面的に容認して、喜入と金武湾とはCTSは絶対つくるべきだということではございません。たとえばCTSというようなことも一つの考え方としてあり得るけれども、しかしながら、CTSをつくるということになれば、またそれなりにタンカー対策あるいは安全対策についての根本的な検討をしませんと、現在のCTSでは私は非常に批判を持っております。その意味では、具体的にこの二つのCTSについての議論になりますと若干保留をさせていただきたいと思います。
 それから、ほかの内湾でございますけれども、東京湾とかあるいは伊勢湾につきましては、瀬戸内海のような二百四十キロなんという狭水道ではございませんで、端的に言いますと、東京湾の入り口の浦賀水道、伊勢湾の入り口の伊良湖水道が難所でございますけれども、距離は短いわけでございますので、瀬戸内海はもうスケールが違うという点で、備讃瀬戸なんか、私、巡視船に乗っておりましても、通るのは本当にいやな狭水道でございます。これを二十万ンで通るなんというのは私、自信ございません。そういう意味では、まず瀬戸内をモデルにして、瀬戸内海でこの対策を確立するならば、東京湾、伊勢湾については瀬戸内海に比べると若干楽な点もある。しかしながら、東京湾につきましてはまた別な要素もございます。これは時間の関係上省きますが、東京湾は東京湾の特殊事情がございますので、これは東京湾の特殊対策をやっております。しかし、正直に言いますと、航路管制とかそういうものを見ますと東京湾に比べて瀬戸内海は非常に落ちる。航路管制をやっていない、水先人も強制でないという点がありますので、東京湾よりも瀬戸内海はさらに落ちるということははっきり言えると思います。
○池田(行)委員 ありがとうございました。
 岩崎参考人にお伺いしたいのでございますが、赤潮関係の発生に関しての研究を四十一年以来鋭意やっておられるという話をお聞かせいただいたんでございますが、そういった先生方のいろいろな御研究にもかかわらず、どういう発生の機構であるのか、まだ十分に解明されていないというようなお話でございます。そういった絡みで、今回の改正案でも富栄養化対策につきましては行政指導にとどめるというふうな形になっておるわけでございますが、先生の方のこれまでの御経験を踏まえて、十分な科学的知見が得られ、自信を持ってこの対策を進められる、一体そういった時期は、めどは大体いつごろ立つんだろうか。そのために、いろいろこれまでの研究体制のあり方についてもまた改善をしなくちゃいかぬところがあるかと思うのでございます。国の諸機関、あるいはそこの地方団体、あるいは民間のいろいろな機構の間での連携の強化であるとか、いろいろその工夫もあろうかと思うのでございますが、その辺についての御意見をお伺いしたいと思います。
○岩崎参考人 ただいまの御質問につきまして、日本では赤潮の研究が組織的に行われ始めましたのは昭和四十一年でございます。それは農林水産技術会議からの研究補助金によりまして、元の九大の花岡教授を首班にしまして六名の研究員で構成されて始めたわけでございます。長年鋭意私どもとしてはやってきたつもりでございますが、わからない点もございますけれども、かなりのことがわかってきております。それは、やはり生物が非常に多いということと、水域によって環境特性が違う、ですから一元的に説明はむずかしいということでございまして、しかし根本的な問題は、先ほど申し上げましたように富栄養化、特に有機栄養化に根源があるというふうに考えております。
 研究の方向につきましては、これも外国でも指摘されていることでございますが、赤潮が出ますと、それは大変だということで研究を始めるわけですが、なくなるともうそれでおしまいというようなわけでもないのでしょうけれども、そういう傾向が見られます。したがいまして、赤潮の研究といいますのは、生物現象で、先ほども申し上げましたように、非常にたくさんの要因が絡んでおります。やはりそれぞれの分野の方が協力して、総合的にそれぞれの専門分野から検討を進めていく必要があるのじゃないか、特にこういう問題は、短期間ではなくて長期間にわたって研究を進める必要があるのではないかというふうに考えられます。
 それから、研究体制組織の問題でございますが、実は、私ども四十一年に赤潮の研究を始めましたときは、研究員は大学関係が六人でございますが、そのときは農林水産技術会議の研究補助金で六十万いただいたわけでございます。それからその後、文部省関係の科学研究費補助金をいただいているわけでございますが、そういう研究費の期間は一応三年がめどということになっておりまして、研究の途中でありましても切られてしまうわけでございます。そういう点が一つございます。
 それから赤潮のような問題は、文部省関係、環境庁関係、農林省関係、いろいろな分野にわたっているわけでございますが、それぞれの省庁の間での意見の交換あるいは統合的な研究という点は、日本の実情からしますと必ずしも容易な状態にはないと思います。これからはやはりそういう面でそれぞれの立場から、総合的に研究、検討が進められる必要があるのじゃないか、またそうあってほしいと私は念願しております。
○池田(行)委員 ありがうございます。
 野村参考人にちょっとお伺いしたいのでございますが、富栄養化の問題につきましては、ただいま岩崎参考人の方からもお話があったわけでございますが、先ほどやはりメカニズムの解明が十分でないので、そういった科学的な解明の現状というものを踏まえながら、可能な範囲内で段階的に進めていけ、こういうようなお話があったと思うのでございます。そういった観点から申しますと、今回ともかくまだこれでは不十分だという御意見もあるようではございますが、行政指導というかっこうで燐対策に取り組もうとしている、こういうふうな点について、実際にそういった行政に当たられた人の立場からどういうふうに評価しておられるか、あるいはそういった対策を進める上で、地方公共団体の立場でどういうふうに取り組もうとしておられるか、そういう点について若干お伺いしたいと思います。
○野村参考人 富栄養化に関連する燐なり窒素なりという問題いま私の立場でございます三県一市の連絡協議会の立場におきましても、一昨年から研究を進めております。また、国の段階におきましてもこういう研究が進められておりまして、先ほど申し上げましたようにそれがかなり根拠を持って、そして対策というところまで発展すれば政策として取り入れてほしいと思うのでございますけれども、現段階におきましてはやはり研究ということで進めていっていただく必要があるのじゃないか、このように考えます。
 以上でございます。
○池田(行)委員 これも野村参考人にお伺いしたいのですが、最後のところで、下水道対策等について国の方からの財政措置の強化をというお話がございました。これは関係各地方公共団体からひとしく出ている要望でございます。この点、午前中もあったのでございますけれども、確かにこういった閉鎖水域についての環境保全を進めていく、そのために財政面からの措置をということは肝心なのでございますけれども、ただ財政措置ということになりますと、これは環境保全と同時に、いろいろな配慮がまた加わっていかなくちゃならない。こういった地域についてのみの、たとえば御要望の中にもございますような特別の補助率なんということになりますと、果たして全国民的な納得、合意というものが得られるかどうか、いろいろ問題もあると思うのでございます。
 まあそういったことはともかくとして、私どもとしましても、鋭意そういった重点的な配分なり何なりの努力はしてまいらなくちゃならぬと思っておりますが、関係地方公共団体のサイドにおいても、行政の運営の面において環境保全対策、こういった下水道対策についても、高いプライオリティーを置いて取り組んでいかれるお覚悟といいましょうか、取り組み方が必要だと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○野村参考人 下水道対策につきましては、私どもの方では実は土木部の関係でございますけれども、御案内かと思いますが、現在の下水道法による第四次の整備計画、これでもって国全体として四〇%というところを目途にして計画を進めつつある。この第四次計画の目的といたしますのは、公害防止なりあるいは水質の環境保全を達成する、この目的を最重点にしてこの整備計画を進めていく、このような形になっていると思います。私どもの方におきましても、土木部といたしましてやはりこの線に沿って鋭意努力をいたしておるわけでございます。
 ただ、先ほど私申し上げましたように、いわゆる産業排水と生活系の排水、伊勢湾にかかっている負荷のおおよそ半々くらいじゃないか。そのような意味におきまして、今後伊勢湾の総量規制ということが実施されれば、下水道対策の方もいままでとは違った意味で生活系排水の負荷の削減、そういうことも加わってより促進されていくのじゃないか、このような意味で期待をいたしているわけでございます。
 以上でございます。
○池田(行)委員 ありがとうございました。
 最後になりましたが、城参考人にお伺いしたいのでございます。
 海田湾の問題についていろいろお話がございましたが、いまは個別の問題についてあれこれ細かいところを議論するのもいかがかと思いますので、この問題は差し控えさせていただきます。瀬戸内の土地利用の方法をいかにするか、総合的に考えていかなくちゃならぬじゃないかというお話がございまして、その中で特に埋め立てにつきまして、瀬戸内については原則禁止にしなくちゃいけない、例外的に認められるのは公共的に利用されるものであり、しかも環境保全上重要なものに限定していくべきである、こういった御意見がございました。それと同時に、一方において自然を守るということは単に自然を守るということじゃないんだ、人口もまた産業面でも非常に集積の高いこの地域の住民あるいは日本人全体の生活のためにも保全を考えていくんだ、こういうお話があったと思うのでございます。たてまえとしてはそれはそうなんでございますけれども、さてこれを具体的にやってまいるとなると非常にむずかしくなってまいると思います。瀬戸内沿岸の地域におきましても、島嶼部などを筆頭としまして、環境保全だけでなくて、生活を維持していくためにどうしても埋め立てせざるを得ない、こういった場合もあるのでございます。もとより瀬戸の花嫁も美しい自然は保全したいのでございましょうが、それと同時に、瀬戸の島々において豊かな暮らしもやっていきたい、こういう希望もあると思うのでございます。そういった面にも御配慮いただきまして、公共利用、しかも環境保全上重要なものに限定するというのはいささか私は厳し過ぎるのではないかという感じもするのでございますが、いかがでございましょうか。
○城参考人 海田湾の問題はさておいてということでございますけれども、こういう問題は、四年半どういうふうに瀬戸内臨時措置法が運用されてきたかということを具体的に検討することしか答えは出てこないのではないかと思うのです。確かに島嶼部などはまだ生活を向上しなければならないという考えの方はおられるでしょうし、そういう計画もたくさんありますけれども、実際に、そういう埋め立てが果たして生活を向上することになるのかどうなのか、そこのところは具体的に検討してみないと、ただ頭の先だけで、あるいはいままでの高度成長の考えだけではもう通用しなくなってきているのではないか。そういう具体的な例があれば別ですけれども、私たちがいろいろな埋め立て問題を考えてみましても、どうもそういう観点からではなくて、何らかの利権とか、そういう点が非常に絡んで埋め立てが行われているので、本当の意味の、生活を守る、瀬戸内海の環境を守ることが住民の生活をよくするとか、埋め立てをした方が住民の生活をよくするのかという議論がまじめになされているような埋め立てというのは、ほとんど聞いたことがないわけです。そういう意味から、基本的には、瀬戸内海はもう限界に来ているという認識を、なかなか地方自治体ではできない。やはりもっと国レベルで、現実的な具体的な例を参考にされながらお考えいただければということで発言したわけです。
○池田(行)委員 時間が参りましたので終わりますが、そういう例を知らないというお話がございましたが、さらにつぶさにその実情を見ていただきたいと思います。私が承知しておりますのでも、本当に同じ公共利用であっても、環境保全上ではないが、たとえば学校用地、あるいは道路、何をつくるにしても島では海を埋めるしかないのだ、そういう実情もあるということも、よく御事情を調べていただきたいということを御要望申し上げまして、時間が来ましたので質問を終わります。
○久保委員長 次に、島本虎三君。
○島本委員 私の後に本番が二名おりますので、これも五分くらいに限定して、基本的な問題また意見を違えた問題だけを二点にしぼってお伺いいたします。
 四人の参考人の皆さん、本当に御苦労さんでございます。いま言った事情でお二人方だけにさせていただいて、その他はそれぞれにやっていただきます。
 城先生に伺いますが、いまちょうど話し合ったその問題なんですが、瀬戸内海はもうすでに限界に来ている。これはわれわれはそのためにやったんだ。同時に、いま先生の場合は、原則として埋め立てば禁止する。これも最後に強調なさいました。いろいろな質問がありましたけれども、それでもなお私は心配なのであります。環境庁ができて、次官通達ができて、そしてそれ以来千六十二件埋め立ての許可があって、それは前からの引き継ぎのものであったり、あるいは影響が軽微だ、こういうような環境上の安全性ということでみなやってしまった。臨時措置法も原則禁止が基本になってできているのです。今度は恒久法、特別措置法になるのでありますが、埋め立ては原則として禁止する方向というのは前と同じであって、影響がわりあいに少ないからということで、環境庁の価値判断によってどんどん許可されることが懸念されるのであります。そうじゃないと思うのでありますが、公共上、環境上重要なものに限るということでも、これは影響が少ないということでやられるのであります。いままでそれで千六十二件というのが出ているのでありますが、こういう事情を十分御理解の上で、原則として禁止するのが正しいとおっしゃったのでしょうか。私は、学者としての立場で、こういうような問題に対してはきちっと禁止すべきだ、こういうのが立場じゃなかろうか。私の言い過ぎであるならばおわびしながら真意を伺いたい、こう思うのであります。
 それともう一つは、田尻参考人にお伺いしたいのですが、瀬戸内海は本当に事故が多過ぎると思います。そして以前からの事故の対策に追われていたと思います。いつもお世話を願いましてありがとうございました。しかし、再びいろいろな事象を述べてもらいましたが、瀬戸内海の事故が多過ぎる。したがって瀬戸内海の安全について、大型タンカー航行の安全は、現行の海上衝突予防法または海上交通安全法ですか、または海洋汚染防止法、これで完全であるという考え方がこの特別措置法の立法の基礎になっているわけであります。完全であるとは言えませんけれども、これで可能だと言っているのであります。いまいろいろ聞いてみたら可能ではない、このようなことに受け取られているのでありますが、これを専門的に可能かどうか。たとえば、水先案内人を義務化すべきである、こういうようなことをおっしゃいました。確かにそれが必要だと思うのでありますが、水先案内人を義務化した程度で、二十万トンタンカーに必ずこれを乗せるこにとよって安全の確保になりましょうかどうか、その点をあわせてちょっと真意をお聞かせ願いたいのであります。
 なお、二十万トン以上、これは規制すべきである。それからトン数や幅、状況に合わないのは出入させないようにすべきである、タンカーアセスメントはやるべきだ、これはまことに結構だと思うのでありますが、以上の点について聞いたほか、お二人はこの後継法は、この程度では手ぬるいと感じますか、これでよろしいと感じますか、それをあわせて御答弁願いたいのであります。
○城参考人 原則的に埋め立て禁止と申しましたのは、学問的な非常に厳密な意味での原則でありまして、政治的に言えば全面禁止と言っていいわけですけれども、条件が公共のものあるいは環境保全上どうしても必要だ、そういう意味で非常に厳しいアセスメントを行われた上で行われることもあるのではないかという意味でございます。そういう意味で、現在出されております瀬戸内海保全法案は、私たちから見れば非常になまぬるいというか、これではとても瀬戸内海の環境保全は行われないのではないかというふうに考えております。
○田尻参考人 ただいま、従来の既存法律で何とか賄えるんじゃないかということが前提になっているというお話でございましたけれども、この保全臨時措置法の第十七条も「海難等による大量の油の排出の防止及び排出された油の防除に関し、指導及び取締りの強化、排出油防除体制の整備等必要な措置を講ずるように努めるものとする。」こういうぐあいに書いてあるわけでありますけれども、どうも、私かつて海洋人の一人であったものとして率直に申しますと、本当に日本の海洋政策はおくれているという一語に尽きると思います。それははっきり言いますと、従来のいろいろな海の法律の手に負えない問題ばかりが残っているという感じがします。一つ申し上げますと、たとえば大型タンカーの安全規制、あるいは大型タンカーに対する歯どめが全くない。こういうものは船舶安全法ではできないのです。船舶安全法というのは、機帆船から漁船まで全部入っているのです。タンカー条項なんか何もない。タンカー条項もないような船舶安全法で、私らが商船学校を出るころは想像もしなかった五十万トンタンカーなんという規制ができるわけないのですね。これはまさに海洋政策と密接に絡んでいる政策的課題であります。こういう非常に古めかしい、コケの生えたような海の法律ではもうとてもできない。
 それから、たとえば海洋汚染防止法にしましても、それは故意に出す油については、何とか取り締まりはこれによってねらっておりますし、出た油についての一応の手当ては考えておるけれども、私はもう端的に申しますと、一たん百トン以上の油が流れるともう手がつけられません。私は下津で七十トンの重油が流れて、延べ千五百人を三日徹夜をさせて半分しか処理できなかった。それが現場の実態です。そうなれば、二十万トンなんて流れた途端に私ならお手上げです。だから、そういう流れた油をどうするかというような法律ではどうしようもない。現に水島で油が流れたときは二メーターの厚さです。奔流となって流れたわけです。オイルフェンスは二十五センチです。こんなものはもう乗り越えてしまった。オイルフェンスというのは、いかりで張っておくと、引き潮のときに張ったオイルフェンスは満潮になるといかりが引っ張るものだから沈んじゃうのですよ。三十センチの波があるとどんどんくぐり抜けてしまう。三十センチなんというのは海の上では普通ざらです。そういう状態だから新潟でも水島でもむしろとひしゃくだったのです。これが、今日の石油産業の発展にかかわらず現場の実態です。これは、私が現場で体験をした実感から申し上げている。どんなにきれいに飾っても中身はこれしかないのです。そうなると、既存のそういう一般的な法令ではなくて、たとえばもう大型タンカーに歯どめをかけるとか、瀬戸内海ではきちっと寸法を調べて、そうして港ごとにトン数規制をやるとか、これは実はすぐれて日本の海洋政策あるいは海運政策にかかわっているだけに、はっきり言いましてなかなかこれができないですよ。
 海運界というのは残念ながら大家族主義でありまして、いまここで私がしゃべっておるようなことをもし中におってしゃべったら村八分であります。だから、そういう特殊な海運界の中でそういうような規制がなかなかできない。その限界を私は身にしみて感じております。
 もちろん海上交通法でもそうであります。私たちが巡視船であの海上交通法の規制を――現場の航路であの二十万トンタンカーの前につきましたらものすごく無力感を感じますね。巡視船の方が遅いのですから。後からくっついていくような船が、とにかく一日一千隻も通るような狭水道でどうしようもないです。これは高速道路でお巡りさんが自動車をとめるのとはわけが違います。そういうことで、私はもうそろそろ日本も大型タンカーの問題、トン数の問題そうして明治以来の小さな港にタンカーだけをふくらませて、ただいたずらに大きくなった船を無理やり入港させる――そこで一番犠牲になっているのがタンカーの乗組員であります。本当に命を削るような思いで船を運航しているのであります。水深も足りないような港で運航している。簡単にやりますけれども、たとえば四百メートルの中で三百六十メートルの船を旋回させておる。そうしますと前後に二十メートルしかない。十八階建てのビルのような二十万トンの船橋から見たら、二十メーターでは水はもう見えないのですね。岸壁にぶつかっているかどうかもわからない。だから水島なんかで操船をしますと、一晩じゅう死んだようになって眠るというのが私の同級生の船長の実感であります。
 そういうことを考えますと、やはりこの瀬戸内海の海を守ろうとするならば、この巨大タンカーの問題を非常に大きなレベルで政策的課題としてとらえるという発想の転換をしないと、従来のような個別法、一般法ではもうとうてい処理できない。瀬戸内海は特別だという立場に立って、立法技術上はいろいろ問題があるでしょうけれども、やはり積年の日本の海運、海洋政策の貧困さをここでひとつ破っていただきたい、こう思うわけです。
 たとえば、さっきの便宜置籍船の問題日本が三百隻も実はリベリア籍の船を持っていて海洋国だなんて全くひどい話でありまして、こういうものも一単独法でできることではない。アメリカでは大統領声明という形でこれを出したわけであります。そういう意味で、やはり瀬戸内海に便宜置籍船は入れない、日本が海洋国であるならば、便宜置籍そのものをやらせないというようなことを、ひとつ瀬戸内海に焦点を合わせてやったならば、これは非常に特別立法としては具体的な内容ができるであろう。残念ながら十七条のこの条文では、この内容が問題でありまして、内容が整わなければ、この程度の表現ならば、いままでの表現ではざらにあるわけであります。海上保安庁の通達にはこの程度のことはいっぱい書いてあるわけであります。ですから、問題は内容であります。問題は、一番日本の石油産業の象徴と言われる巨大タンカー対策が問題であるということで、ひとつこの立法の際にこれをお考え願えれば、本当に瀬戸内海を守るためには、これを除いたらだめだということをどうしても申し上げたいと思います。
○島本委員 質問は終わったのでありますが、本当にはだえにアワを生ずるような恐ろしさにおびえながら、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○久保委員長 次に、水田稔君。
○水田委員 どうも参考人の皆さん御苦労さんでございます。時間がありませんので、お二人だけにちょっとお伺いしたいのですが、一つは、三重大学の岩崎参考人に、私どもも、赤潮の研究というのが赤潮が発生したときに、その部分についての委託をしてやっておるという感じがして仕方がないわけです。先ほどお伺いしまして、この前、村上先生にもお伺いしたのですが、いままでにそれぞれが研究しておるものを総合的に集めて、そしてそれがある程度恒久的にやられれば、相当赤潮研究は進むんじゃないか、そういう気がして仕方がないわけです。環境庁の方はそれをやっております。こう言うのですが、参考人に聞くたびにそれができていないというお話なんですが、そういう点はどうなんでしょうか。それをやれば、いわゆる金とシステムですね、ですから研究所をつくるということよりは、いまそれぞれの研究機関を総合してやれる体制と、それに対する財政的な裏づけがあれば、相当赤潮のメカニズムの解明あるいは防除技術等については進むのではないか、こういうぐあいに私どもは理解しておるのですが、その点いかがでしょうか。
○岩崎参考人 ただいま御質問のありましたように、いままでの赤潮関係で研究されました資料もかなり蓄積していると思います。したがいまして、それを統合整理すれば、かなりのものがはっきりしてくるんじゃないかというふうに考えます。
 それから赤潮のために私は、特別に研究機関を、あるに越したことはないんでしょうけれども、つくらなくても、現在の研究スタッフを有機的に動員し、編成してやれば、かなり研究が進展するんじゃないかというふうに考えております。
 御参考までに申しますと、たとえばアメリカ合衆国では、有毒赤潮のシンポジウムというのが一九七四年に第一回がございましたが、日本からは、国際会議でございますが、一名も出席しておりません。今年の十一月からやはりフロリダでございますが、恐らく日本から参加される人は招聘を受けた二名だけだと思います。そういう実情なので、やはり赤潮問題も世界的な問題でございますし、そういう機会にはお互いに国際的な立場で検討し、議論し、意見をまとめていくという配慮も必要ではないかというふうに考えます。ちょっとよけいなことまで申し上げましたけれども……。
○水田委員 ありがとうございました。
 田尻参考人にちょっとお伺いしたいのですが、いま島本委員から基本的なことをお伺いして、私も三菱石油のある目の前に住んでおるものですから、恐ろしさというものは山ほど知っておりますし、また大型タンカーの航行の問題というのが、瀬戸内海の環境保全上きわめて重要なことだということは理解しておったつもりですが、田尻さんのお話を聞きまして、それ以上に大変だなという感を深くしたわけです。新しい別の法律で対応しなければ、いまの法律では不十分だというお話ですが、たとえば現在の海上交通安全法、海上衝突予防法あるいは海洋汚染防止法、そして船舶安全法等もあるわけですが、それらの中で、いまたとえば水島のあの九十度旋回が違法だということなり、それから、現在航路指定されておるのが明石海峡と備讃瀬戸、宇高航路等である。それ以外にも危険なところがあるわけですが、もちろん全体的には先ほどのお話のようなことを考えなければならぬとしても、当面現行法上やれることというのはあるのかないのか、航行の安全を図るために少しでも改善という意味で。
 それから、時間がありませんから一緒にお伺いしますが、もう一つは水先案内人のことを聞きますと、先ほど田尻さんの方からも、八十歳の方々がおられる、船に上がるのがもう精いっぱいという、危なっかしくて見ておれないという方がおられるということも聞いております。それから、一つの港に三回入れば、もちろん港でまだ指定してないところがあるようですが、三回入るとその船長は水先案内人なしで入れる。そして先ほどもお話がありましたように、一万トンというのが一番大きい時代の船長さん、そういう方々が二十万トンの水先案内ですから、その操船のやり方が全然違うと思うのですね。そういう水先案内人の問題点というのがあれば、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
 以上、二点をお願いします。
○田尻参考人 お答えいたします。第一点の現行法でやれることはないのかというお話でございますけれども、率直に申しまして、まず瀬戸内海で海上交通安全法で夜間の航行規制が抜けておりますのが、明石海峡であります。明石海峡の夜間の航行規制をやるということは可能だと思います。海洋汚染防止法でも、たとえば油回収船というものが一番大きな決め手になるわけでございますけれども、残念ながら油回収船というものは非常に幼稚な状況でありまして、海上保安庁がアメリカから輸入した二億円もかかった油回収船も、ほとんどごみが詰まったその他で有効に使えなかったというようなこともありまして、こういう油回収船の技術をもっともっと根本的に研究をして、早く開発をするということが現行法の中でも一つの対策にはなり得ると思います。しかしながら、たとえば交通法規は交通法規の限界がございます。あるいは海洋汚染防止法は、もともと条約から発しました船舶の油による海水汚濁防止法を受けた法律でありまして、これもやはり条約的な性格、つまり国際的な一つの束縛があるわけでございますね。あるいは海上衝突予防法に至っては、これは国際海上衝突予防法でございますから、日本だけの独特なものというものではあり得ないわけです。そういうことを考えますと、ただいま現行法でやれることというのは、そういうことを申し上げましたけれども、最近大胆に、外国、むしろEC八カ国で、沿岸を巨大船を航行させないとかあるいは便宜置籍船を入港させない、あるいはタンカーを二重底にするというような政策がどんどん打ち出されるのを見ますと、どうも日本はそういう点では、そういう重要な政策的課題についておくれをとっているということが考えられてなりません。しかしながら、やはり立法には立法の必要な根拠あるいは実態あるいはデータが必要でございましょうから、いたずらにそういうことを、アメリカの大統領のように声明をぱっと出すようなお国柄と違って、法律をきちっと積み重ねてつくるからには、今度の瀬戸内海保全措置法のような特別立法の中に、幸い十七条にそういうものを取り込まれておりますから、個々の具体的内容、つまり政省令、告示等の中で十分こういうものを画期的に取り入れたらどうだろうということが私の提案でございます。
 それから第二番目に、水先人でございますが、いまの日本の海洋政策を考えるときに、一番象徴的にこんなにおくれているという物差しの一つが水先人であります。もう一つはタンカーの乗組員に危険物の免状がないということであります。この二つが実に日本の海洋法、安全規制のおくれている象徴であります。その一つの水先人が、奇妙なことに戦前には定年制があったのでありますが、戦後なくなりました。いまおっしゃるように瀬戸内海で八十歳以上、下津でもやはり八十歳以上がおりました。関門にもおりました。階段を本当に上がれない、押して上げてもらわなければならぬ、余り耳も聞こえないというような、そういう人はかつては一万トンの操船もしていなかったですね。三千トンか四千トンの操船しかしていなかった人が、東京駅が三つも入るような二十万トンを操船している。前が数百メートルも見えないような船を操船しているということは、おっしゃるように大変な問題であります。まして定年制がないということは、こういう非常に公共性の高い危険な、私たち若い者でも自信がありませんけれども、こういうタンカーの水先人に定年制がない、これは近代国と言えないのじゃないか。定年制を設けないことの方が私は不思議であります。平均年齢は六十何歳と言いますね。東京湾は実は定年制をしいたんです。去年ですか。
 それから、つい二、三年前までは全国で強制水先港が五つでございました。この五つは占領軍が使っていた港なんです。それを戦後三十年にわたって、たった五つの港しか水先を強制していなかった。あとは自由でございました。
 それからただいま三回とおっしゃいましたけれども、それは現実に三回程度でもうとらなくなるということでございまして、そういう法規制ではなくて、現実の実態はそういう状態のようでございますけれども、何せ水先人を強制しておる港が少ない。特に水島なんかも規制していないのですね。だから、外国船なんかで古い海図を持って航行している船が、水先人なしでも入れるというところに問題がある。特に私たちが一番問題にしますのは、海図は、いろいろな工事をやったり変更がありまして、しょっちゅう訂正をしなければいけない。それで現場というのはもうどんどん変わるのです。その情報を何も知らないで、古い海図で走ってくる巨大船の船長が外国人で、水先人をとらないで水島港や瀬戸内海を走っているという事実そのものに私は非常に大きな問題がある、おっしゃるとおりでございます。
○水田委員 時間がありませんので、終わります。
○久保委員長 次に、森井忠良君。
○森井委員 参考人の皆さん御苦労さまです。早速ですが、時間がありませんから質問も簡単にいたしますけれども、答弁もひとつできるだけ切り詰めていただきたいと存じます。勝手なお願いですけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、城参考人にお伺いをしたいわけでありますが、先ほど、埋め立てば原則禁止ということで御答弁をいただいたわけでありますが、瀬戸内海で将来考えられる埋め立てとしては、たとえばヘドロをしゅんせつしたものを、その置き場として埋め立てるというふうなものあるいは廃棄物、これは山に捨てるわけにはいきませんから、アセスメントを十分にした上で埋め立てるというふうなもの、私が考えますと、この二つぐらいしかちょっと考えられない気持ちがするのですね。城参考人としてそれ以外のものをお考えかどうか、お伺いをしたい。それが第一。
 それから第二は、具体的に海田湾という地名をお挙げになりまして御説明があったわけでありますけれども、アセスメントのことにつきまして、一つは、はるか遠くの東海大学でアセスメントをしたという形でありますけれども、地元に広島大学、先生がいらっしゃるわけでありますけれども、そこがあるわけですね。一体広島大学として、まことに失礼でありますが、アセスメントをする用意がおありなのか、そして、やる場合どれぐらいの日時が必要なのか、その点についてお伺いしたい。
 それから第三点は、公有水面埋立法の改正は今度行われないわけでありますが、一定の手続を経て今日に至っておりますので、特に住民に三週間の縦覧期間がございます。これは恐らく意見をお出しになったんだろうと思うのですけれども、出しっ放しできわめて問題があるというふうに私ども聞いておりますけれども、そういった縦覧の問題について、具体的にはどのように規制をしていけばいいか、この点についてお伺いをしたいと思います。
 それから田尻参考人にお伺いをしたいわけでありますが、先ほど来、船舶、特に大型タンカーの航行について危険性を強調なさいました。私が聞いておりますのは、本四架橋との関係であります。橋ができますと、特に船の神経とでも申しますか、レーダーの混乱が非常に起きてくる、二重映像その他。先ほど来、たとえば海峡の広さだとか船の大きさだとかとの関係で御説明がございましたけれども、具体的にレーダーの映像等から見て、瀬戸内海というあれだけ入り組んだ海峡でありますからどうなのか、その点について承っておきたいと思います。
 それから岩崎参考人にお伺いいたしますけれども、えてして埋め立てをしようとする側は、大体三次処理ぐらいまで汚水の処理ができるのだという説明をするわけであります。あるいは御専門でないかとも思うのでありますけれども、現在の技術の水準で、一体三次処理というふうなものが可能なのかどうなのか。私どもが聞いております範囲では、大体まだ実験室の段階であって、三次処理というのはほとんど不可能だろうと思うわけであります。もし御専門でなければ他の参考人の方からでも御意見を承りたい。
 以上です。
○城参考人 お答えします。
 埋め立てがどういう場合に許されるだろうかということですが、第一には土地利用計画というのをやはりきちんと立てないと、無原則に、ただ下の方ばかり、出てくるから処理しようというのではいけないと思うのです。たとえば廃棄物の問題でも、廃棄物を本当に出さなければならないのかどうなのか、そういうことも含めてアセスメントする。回収の使用法は、再利用することができないのかどうなのか。ヘドロの問題でもそうだと思うのですけれども。そういう非常に厳密な意味でのアセスメントが必要だと思います。
 二番目は、アセスメントが可能かどうかということですけれども、瀬戸内の審議会のメンバーであります津田先生に私たちが会って御相談したところでは、広島大学でも、少なくとも東海大学よりはいいアセスメントができるであろう、ただ、私たちだって完全なアセスメントというのは現状ではでき得ないのだ、だからどういうことがわからない、どういうことがわかるという意見の併記になるだろうけれども、期間は少なくとも一年は必要だということをおっしゃっておられます。かなり全学的な研突が必要だと思います。
 それから、私たちは意見書というのをいろいろな数十項目にわたって出しております。質問状も出しておりますけれども、広島県からは回答を文書でいただいたことは一切ありません。それから、口頭で尋ねましても一、二項目答えをいただいただけで、全く返事をいただいておりません。
 以上です。
○田尻参考人 本四架橋の問題は、私も具体的に検討したわけでございませんので正確なお答えはできかねると思いますが、いま一般的に考えられることを若干申し上げておきたいと思います。
 まず、本四架橋がどのような形でつくられるかは別といたしまして、やはり御指摘のようなレーダーの妨害それから無線の妨害、そういうようなものは非常に懸念をされる。あるいは潮流がやはり変わるだろうということですね。それからもう一つは、そういう橋脚ができまして、その付近を航行いたしますところの船舶と、それから近くの障害物との間に吸引流と申しまして、吸い寄せられるという作用がございます。それからどうしても無視できませんのは幅の設定でございますね。何が一体安全な幅なのかというときに、非常に恣意的なものが入ってくるわけでございます。これはもう船舶の安全サイドにとりますといろいろな説がございます。そういうときにやはり最大の幅をとるべきだと思います。現在の運輸省令なんかで定められておる幅も私は十分とは思いません。これは小型タンカーなら別として、巨大船の場合には十分とは思いません。それから最後に、どうしても操船者は人間でありますから、心理的な影響をやはり考えなくてはいけない。従来、島と島との間に水があったというのに、巨大な橋脚が建つことによって、その中に入っていくわけですから、船から見ると自分の幅よりも狭く見えるわけです。その狭く見える中に入っていくときに、その橋脚が非常に心理的な妨害を受けまして、そして操船に非常に大きな影響を与えるということをやはり重視しなければ、その点、巨大船といえども、積んでいる航海計器は一万トンクラスと全く同じ航海計器しか積んでおりませんし、有効な距離計だってないという実態でございますから。実際に積んでおる安全計器というのは実にお粗末でございます。これははっきり言えます。そういう点では安全テストというものは、どうも船舶運航者の意見が取り入れられないといううらみがあって、私たちは非常にひがんでおりますけれども、実際に船舶を運航する者の意見というものを取り入れなければ、土木的な発想だけでは本当の安全アセスメントにはならないということ、現地の体験から申し上げておきたいと思います。
○岩崎参考人 先ほどの第三次処理のことでございますが私は直接研究はいたしておりません。したがいまして、正確なお答えはできませんが、私が関係する範囲で、聞いている範囲では、おっしゃるように、現在は実験室的段階で、不可能ではないにしても非常にむずかしいというふうに聞いております。
 以上でございます。
○森井委員 最後に。海田湾につきましてはヘドロが多くて、もう埋め立てて封じ込めなければどうにもならないというのがいままで私どもが受けた説明でございましたが、じかにもぐってみられた先ほどの写真を見ますと、ヘドロというのはほとんどないということでありました。
 城参考人にお伺いをするわけでありますが、そういう海底の状況の場合、あるいはまた貝を掘っている写真がありましたけれども、瓦れきをちょっとのければもとの海に返るという感じを私は受けたわけでありますが、そのとおりなのかどうなのか、最後にお答えをいただきます。
○城参考人 お答えします。
 このことについては、私たちが調査する以前から住民の方がずっと言い続けられてきたことなんで、結局私たちは、住民の人たちが生活の経験の中で感じておられる、知っておられることをこういう調査を通して確かめたということでありまして、やはり海は生きている、漁民の方もそれをずっと言い続けておられるわけで、漁業権を放棄したのは、単に県がもう埋め立てるから放棄せよということで放棄したんだということを言われておりますけれども、海は生きていると思っております。
○森井委員 終わります。
○久保委員長 次に、坂口力君。
○坂口委員 各参考人、大変お忙しい中をきょうは御出席をいただきましてありがとうございます。
 まず岩崎参考人からお聞きをさせていただきたいと思いますが、先生の伊勢湾における赤潮のいろいろの御研究の結果を先ほど細かく聞かせていただいたわけでございます。先生のお話を聞きまして、赤潮に対する原因と申しますか、その要因というものがかなり明らかになっているということを私どももわからせていただいたわけでございますけれども、さてこれを防いでいきますためにどの程度これを抑えていけばいいのか、それはもちろん窒素にいたしましても燐にいたしましても、ゼロ近くに持っていけばいいんでしょうけれども、それにも限度があると思います。先生は伊勢湾でおやりになったわけでございますから伊勢湾のデータで結構でございますが、現在の窒素、燐を大体どの程度の、何分の一とかその辺の数字で結構でございますが、どの辺のところまで濃度を下げていけばいいのか、それに対して、それが現在の科学水準からいきまして技術的に可能だというふうにお考えになるかどうか、これをまず一つお聞きをしたい。
 それから、もう一問続けて申しますので続けてお答えをいただきたいと思いますが、それを防ぎますためには、工場排水もございますし、それから生活排水もあるわけでございます。特に伊勢湾の場合には四五%、約半分近くが生活排水ということでございます。そういたしますと、下水道等の完備がこれから非常に重要になってくると思うわけでございます。これは非常に専門的におやりになっている先生に少し幅の広がった聞き方をしてあるいは失礼かと思いますが、下水道なるものをどのぐらいなところまで完備していけば、いまの赤潮をこのぐらいは抑えることができるんだがなというような、先生の実感でも結構でございますが、その辺のところもあわせてお聞かせいただければと思います。
○岩崎参考人 ただいまの御質問は大変むずかしい質問でございまして、私が研究をやりましたのは主に瀬戸内海の赤潮についてやってまいりました。それだけ訂正させていただきます。
 瀬戸内海でもそれから伊勢湾でもそれほど事情は変わらないと思いますが、私どもが赤潮関係の問題を取り扱っておりまして一番問題になりますのは、実験室的な結果と、それから現場との対応というような突き合わせと申しましょうか、両面の裏づけが困難な点でございます。それで、どのくらいの目標にということでございますが、実験室的な立場からとそれから現場での立場からと、やはりそういう二つの面の考え方があると思いますが、私どもは、いままでの瀬戸内海の例から申しますと、目標としましては、海域のCODの量が一PPm以下が望ましいというふうに考えております。それから、窒素と燐につきましてもやはり規制措置は必要じゃないかとも考えられますが、おっしゃるように、三次処理ということになれば大変むずかしい問題もあると思います。したがいまして、私は、現段階では、さしあたり化学的酸素要求量に焦点を当ててその総量規制を考えていただけたらというふうに考えております。
 下水道とそれからいわゆる生活排水の処理の問題でございますが、何%達成すればよろしいかということでございますが、私には何%ということは申し上げられませんけれども、できるだけ可能な限り、そういう排水処理がなされることが望ましいというふうに考えております。
○坂口委員 もう一度聞かせていただきたいと思いますが、先ほど先生のお話の中で、プランクトンの体内の窒素と燐の比が七対一というふうに先生おっしゃいまして、瀬戸内海等における海水におけるものは、大体十五対一ないし二十対一というふうなお話があったわけでございます。そういたしますと、これは燐が非常に大事だということを先生おっしゃったわけでございますが、ちょっともう一つだけつけ加えていただけませんか。
○岩崎参考人 ただいまのようにプランクトンの生活、増殖には、やはり窒素も燐も基本的な栄養塩として必要だと思います。それは、それがなければ増殖できないという立場からはっきりしておると思います。ただ、赤潮と関連する場合は、赤潮の場合は先ほども申し上げましたようにいろんな要素がございます。窒素も燐も、それからそのほかに金属あるいは有機物等ございますが、窒素、燐によって発生する赤潮も、いままでの研究結果では三件ほど知られております。しかし、全体的な立場から見ますと、やはり先ほど申し上げましたような生物の分解過程の有機物が大きく作用しているように感じられます。したがいまして、どちらが大事ということについては一概にお答えできないと思いますけれども、私は、私並びに私どもの研究グループの考えでは、やはり有機物の方がより大きく作用しているというふうに考えております。
○坂口委員 ありがとうございました。
 それから、次に野村参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほど下水道の問題を取り上げられまして、最後に少し触れられたわけでございますけれども、野村参考人はきょうは生活環境部長さんとしてではなしに、東海三県のまとめ役としての立場で御出席をいただいているわけでありますけれども、実際問題として、県におきましては環境部長さんとしてのお仕事をなさっているわけでございますので、そういった実際のお立場も踏まえてお答えをいただければというふうに思います。
 特に下水道の問題が伊勢湾の汚染に非常に大きく関係していることは私どももよくわかるわけでございますが、そういうことがわかっていながら、現実問題といたしましてはなかなか完備していないのが実情でございます。そういった意味で、下水道を整備していきますためにはかなりの補助金等も出ておりますけれども、なおかつ現状では非常にむずかしい。地方自治体が受け持ちますパーセントとしてはかなり低いパーセントではありますけれども、全体の額が非常に大きいためになかなか達成できないというのが現実ではないかと思います。これは労務部長さんだとかあるいは総務部長さん等の立場でありませんから、環境部長さんとしての立場からで結構でございますけれども、その辺のできにくさみたいなものをはだで直に感じておみえになると思うわけでございます。たとえば四〇%の達成というのが一応一つの当面の目標になっておりますけれども、先ほどもおっしゃったように五カ年間ぐらいでこれを達成していくということが、果たして現在の地方財政からいって可能かどうかということをわれわれ非常に危惧するわけでございます。その辺についてのお考えがありましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。それが一つでございます。
 それから続けてお聞きをしたいと思いますが、先ほど野村参考人は、ぜひこの法案を今国会で成立をということを言われたわけでございますけれども、この今回出ております法律案につきましては、先ほどからもいろいろ御議論のありますように、いろいろ不備なところもある、こういうふうな意見も多いわけでございます。もう少し議論を重ねてからゆっくりやろうじゃないかという意見も実はあるわけであります。また、いま野村参考人のように、これ以上捨てておけばもう大変なことになる、とにもかくにも、総量規制だけをまず導入して、それから次のことは考えようという意見もあるわけでございます。現実にいろいろの立場から対応しておみえになりまして、このままの状態で、と申しますのは、いまの立法だけの状態で時間が経過していけば一体どういうことになっていくのか、とにもかくにも、総量規制を導入しなければどうなっていくのかというところをどう感じておみえになるか、ひとつお聞きをしたい。
 それからもう一つ、伊勢湾総合対策協議会の委員としての御出席でございますけれども、たとえば、これは瀬戸内海におきましても、瀬戸内海の関係する府県あるいは市町村いろいろの立場がございまして、意見調整というのがむずかしいと思うわけであります。これは東京湾におきましても伊勢湾におきましても同じことが言えると思うわけでございますが、意見調整上どういうことを政府に対して要望なさるか、これだけはぜひ今後気をつけてやってほしいとか、あるいは法律上こういったことを盛り込んでもらえばさらにいいとか、その辺の何かお感じになっていることがありましたら、つけ加えていただきたいと思います。
 以上、大まかに申しまして、二点、最後の方は二つにまた分けましたけれども、お聞かせいただきたいと思います。
○野村参考人 四点御質問いただいたわけでございますが、最初の下水道問題でございますけれども、まず最初にちょっと訂正させていただきたいのは、先ほど私申し上げましたのは、国の第四次下水道の整備計画、これが二二・八を四〇%に持っていきたい、このような中身になっております。これを本県に当てはめてみますと、非常に残念ながら本県はこれより低くあって、五十年度の数字は三・八、これを五年間で八%に持っていきたい、このような形になっております。
 そこで、これの隘路と申しますか、なぜいままで進まないのか。もちろん、一つは財政上の問題もあろうかと思いますが、一般論的に、いま県で北部沿岸の流域下水道を進めておりますけれども、それの終末処理場を設置するについての用地買収等、そのような問題もいま一つの要因になっております。したがいまして、両者絡み合って、いままで下水道計画は遅々として進まない。ただ、先ほども申し上げましたように、この際、伊勢湾の総量規制をやるんだというようなそういう運びになってまいりますと、これがまた大きく下水道整備を前進させる契機になるんじゃないか、このように考えておるわけでございます。
 それから、この総量規制の問題でゆっくりやろうという考えもあるが、ともかく早くやれという考えもある。私は、先ほど申し上げましたように、なるべく早く今国会の成立をお願いいたしたいと思います。
 それから、三番目の、伊勢湾対策のいわゆる協議会としてそれぞれ意見調整もあるわけでございますけれども、まず、この機会に何か要望する事項があるかないか。私は、せんだって見せていただきました環境庁の原案で結構だと思います。これを推し進めていただきたいと思います。
 なお、地域におきまして、三県一市の間でそれぞれ調整をしなければならぬ面もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういう細部の問題につきましては、今後環境庁の応援も得て、地元の調整を進めてまいりたい、このように考えます。
 以上でございます。
○坂口委員 ありがとうございます。まだお聞かせいただきたい問題もございますが、時間がございませんので、田尻参考人にもう一つお聞きをしたいと思います。
 先ほど十七条の問題を中心にしまして、いろいろ具体的なお話をお伺いさせていただきました。参考人のいままでの経験から、非常に説得力のあるお話をちょうだいしたわけでございますが、先ほどのお話でございますと、この十七条ができたけれども、ここに書いてあるこの内容ぐらいは、もうすでにいままでにもいろいろ通達等で出ている、これではもうだめだというお話でございますが、具体例をいろいろお聞かせいただいたわけでございますけれども、この辺のところを参考人としては、少なくともこれだけはここに入れたらというようなお気持ちがございましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○田尻参考人 先ほど申し上げましたのは、こういうような条項が設けられたこと自体の意義を私は非常に高く評価したいと思いますけれども、こういうような抽象的な字句ではもうどうにもならないところまで来ている。こういうような字句は、やはり海洋汚染防止法全体にもあるわけでございます。そういう意味で、瀬戸内海保全措置法の中にこれが設けられたことの意義は、むしろこの内容によって明らかにしなければ、何らこの条項を設けたことすら意義がなくなるんじゃないか。ある意味では海洋汚染防止法で同じことが書いてあるじゃないかという反論にこたえられないのではないか、こう思うわけであります。そういう意味で、この特別立法、瀬戸内海に焦点を当てた特別立法であれば、いろいろな具体策が盛り込めるんじゃないかということを期待いたしまして、具体的な内容を提案したわけでございます。
 その中で、先生、特に何をやるべきかということを御指摘ございましたけれども、先ほど申しました、とにかくいま総量規制という言葉がはやっておりますので、やはり瀬戸内海のタンカーの総量規制でございますね、それもやはりひとつ考えてみたらどうかということが考えられるわけなんです。
 それで、私は非常に端的に、巨大船のトン数規制だけを申し上げましたけれども、やはりそれを契機に船舶の総量規制。それを具体的に申しますと、瀬戸内海には非常に悪い港が多うございまして、単に水島だけではなくて、福山もやはり非常に悪い港なんです。そういう狭い水道を通って、しかもカーフェリーが縦横に横切りますね。漁船がいっぱいいる。あそこを二十四時間通りますと本当に命が縮むわけですが、そういう中に、大きな船が入る港がまた小さい。となりますと、瀬戸内海の中の港の個々のトン数アセスメントですね、この港にはこれだけのトン数が精いっぱいだという、そのことはきちっと物差しで出てまいりますから。航路幅とそれから水深とそれから泊地の面積で出てまいります。これは非常に明らかに出てまいりますので、そういうものを適用した瀬戸内海の中の各港のいわゆる入港船舶のトン数規制、これを考えたらどうか、そういうことによって、瀬戸内海に入る船舶の総量規制への展望が開けるということを一つだけつけ加えさしていただきたいと思います。
○坂口委員 もう一つだけ、先生、簡単で結構でございますので、お答えをいただきたいと思いますが、十八条に「船舶内における油の処理技術」というのがここの法案に出ているわけでございますが、この「船舶内における油の処理技術」というものは最近もうかなり発達しているのでございますか、この辺のところを簡単で結構でございますので、お触れいただきたいと思います。
○田尻参考人 現在、海洋汚染防止法でビルジ排出防止装置というものを、具体的な規格を定めて設けておりますので、このビルジに関しては、それは可能でございます。つまり、船底にたまったエンジンルームなんかのいわゆる油を含んだ汚水でございますね、これは処理できるということでございますけれども、これとても、規制がやはり一〇〇PPmというような、工場排水に比べれば非常に甘い数値でございますので、これはやはり、もっともっと改良して、そうしてもっといい、きれいな水が出せるような設備にしなければならない。そういう意味では十分なものとは考えません。しかしながら、一応規制上は備えつけは義務づけられているということでございます。
○坂口委員 城参考人に一つだけ最後にお聞きをして、終わりにさせていただきたいと思います。
 先ほど海田湾でございますか、あのお話をされましたときに、最近だんだんきれいになってきているということをおっしゃったと私はちょっと記憶しているのですが、これは臨時措置法の効果がある程度出ているというふうに先生がおっしゃったのでしょうか、それとも、あれは現在のような景気の停滞等も影響して一時的によくなっているというふうな意味でおっしゃったのでしょうか、その辺をちょっとお聞かせをいただきたい。
○城参考人 私たちもそれをしょっちゅう議論しているわけですけれども、結論としては両方だろうというふうに考えております。だから、負荷量も減ったし、それから景気の停滞によって汚染も減ったというふうに考えております。
○坂口委員 ありがとうございます。
 時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○久保委員長 次に、中井洽君。
○中井委員 参考人の皆さん、きょうは大変ありがとうございます。
 私が最後のようでございます。もうすでに質問等も出尽くしたと思います。重なる部分もあるかもしれませんが、簡単にそれぞれの参考人の皆さんにお尋ねしたいと思います。
 最初に岩崎先生にお尋ねするわけでありますが、大変素人っぽい質問で恐縮でありますが、赤潮の原因究明というのは、いまのような研究ペースで行けば大体何年ぐらい先にほぼわかる、このようにお考えでございますか。
○岩崎参考人 先ほど申し上げましたように、日本で組織的に赤潮研究が始められましたのは昭和四十一年からでございます。それから十数年経過しているわけでございますが、かなりのものが明らかになってきていると思います。さようでございますからして、どこまで解明するかという問題が一つ問題だと思いますが、現在のような状態で推移しますれば、さらに十年かかればかなり明らかになるのではないかというふうに思われます。と申しますのは、アメリカの先ほど御紹介しましたフロリダの研究でございましても二十数年かかっておりますが、おおよそのことは明らかにされてきているようでございますが、やはり二、三不明の問題が残されているというような状態でございます。
○中井委員 もう一つ先生にお尋ねを思し上げますが、先ほどの坂口委員の質問と同じようなことになるかとも思いますが、先生のお話の中でございました燐の対策でございます。
 今度瀬戸内海の特別法で、環境庁長官が必要と思えば燐についての規制ができる、こういうことになっているわけであります。伊勢湾、東京湾についてはこれが書かれていない。国会の答弁の中で、先ほどの先生のお話と同じく、主たる原因ではないけれども、技術的にはやれるから、伊勢湾、東京湾等もやろうと思えば各府県がおやりになっていただいても結構だ、こんな程度の話であったわけでありますが、実際、燐対策を進めるということが燐規制をするということが、現実に幾つかの種類の赤潮に対して十分な効果を持つ、あるいは赤潮を減らしていく大きな力になるとお考えでございますか。
○岩崎参考人 先ほど申し上げましたように、有機物と同様、燐の規制もやはり必要じゃないかというように思われます。ただ、その規制の量につきましては、その海域の特性もございましょうし、いま私どれぐらいということは申し上げることはできません。
○中井委員 城参考人にお尋ねを申し上げます。
 お話を聞かせていただいて、大変私は聞き方が悪いかと思うのですが、先生の御専攻が、学問の御専門がわからないのでありますが、ちょっとお聞かせ願えますでしょうか。
○城参考人 化学です。
○中井委員 そうですか。そうしますと、先ほどの瀬戸内海の埋め立て――私自体は伊勢湾沿いに選挙区がございます。瀬戸内海よりも伊勢湾や東京湾の方がもっと汚れている。汚れている順番から言えば東京湾、伊勢湾、瀬戸内海である。逆に、瀬戸内海でこういうことができれば、もっと汚れているところはもっとがんばってやらなければ戻らない、こういうふうに考えるわけです。そうしますと、先生自体が原則的に瀬戸内海の埋め立てを禁止する――これは瀬戸内海という大変景色のきれいなところということもございます。私らに言わせれば伊勢湾ももっときれいだと、郷土ばかでございますから思っているわけでございますが、やはり全国的にどういうところまで海がいったらもう埋め立てを禁止してしまうべきだ、こういうような一定の基準というものがなければ私はいかぬと思うのです。そういった基準を先生はどこにお置きになっておられるか、いわゆる化学的な海の汚れの基準というものをどこにお置きになっておられるか、お聞かせを願いたいと思います。
○城参考人 先ほどから総量規制という問題がありますけれども、埋め立て問題についても、やはり非常にわかりやすい言葉で言えば総量規制というのですか、特に集中、都市化した湾ではほとんど自然海岸というのはなくなっているわけですけれども、そういう自然海岸の喪失ということは、単なる景観の喪失ということだけではなくて、海の浄化能力の喪失ということでもありますし、それが海の汚染につながっているわけでそういう意味でやはり湾々に限って総量規制というのですか、埋め立てばここまでしか許さないんだというふうに考えるべきだろうと思います。
 そういう意味で瀬戸内海を見てみますと、公害問題の起きているところはもう総量規制の基準を超えているのではないか。では、どこにその基準を置くかという問題ですけれども、やはりそれはかなり学問的な議論をしないといけないと思いますが、理想論を言えば、五割というようなところに置かない限り、恐らく浄化能力を上げていくということはできないだろうと思います。そういう意味で、自然の浜をまたつくろうという運動も最近はありますけれども、そういうことは注目すべきだと思います。ただ大阪湾、広島湾などを調べてみますと、もう自然の浜というのは一〇%、そのくらいしかないわけですね。それではとても浄化能力は望めないし、生活を守ることはできない。そういう総量規制というのですか、浜の埋め立ての限界を考えて、もうそれを超えている湾では埋め立ては全面禁止、その中で現在の埋立地の再利用を考えていく、再配置を考えていくということしかないのではないかと思っています。
○中井委員 田尻参考人にお尋ねをいたします。
 大変本当にぞっとするようなすばらしい御意見をいただきました。それと同時に、何か公害の問題では、公害のあるいは環境保全の委員会ではとうてい対処し得ないような御意見をお出しいただいた。おっしゃるように大きな政策として、委員会とか各省とかいうのを除いて横断的にやらなければ、そういったことはなくならないと思うのでありますが、この法案に関して幾つかお教えをいただければありがたいと思います。
 まず、明石海峡でずいぶん座礁あるいは衝突の事故がある、こういうことでありますが、その中でタンカー、いわゆる二十万トン以上のタンカーによるそういった事故というのはどのくらいの率で発生しているのか。それから瀬戸内海は五万トン以上はもう通してしまうな、こういう御意見でございましたけれども、たとえばその瀬戸内海において東京湾と同じく水先案内人の方の定年制、あるいは航路のきちっとした設定、あるいは水先案内人の強制義務、こういうものをつければ、まあまあトン数に関しては、その港々の能力もありましょうが、五万トンじゃなくてもいいのだ、このようにお考えなのかという点が二点。それから伊勢湾、東京湾においては、先ほどのお話でちょっとぼくは聞き漏らしたかもしれぬのでありますが、瀬戸内海のような厳しい規制というもの、トン数規制というものをしなくても大丈夫かということが一つ。それから先ほどお話のございましたタンカーの二重底の問題、私ども民社党もこれをやれということで非常に言うているわけでありますが、これをやれば、たとえば座礁、衝突のときにかなり油の流出というものが、まあ事故のぐあいにもよるでしょうけれども防げるのか、その点についてどうか。この四つを簡単にお答えいただきたいと思います。
○田尻参考人 第一点でございますが、明石海峡は先ほど全国の狭水道の中でも最も海難の発生件数も多く、また通航隻数も多いということを申し上げました。ただ、幸いにして二十万トンクラスの事故はまだ起こっておりません。その点は幸いなことでございますけれども、この明石海峡、備讃瀬戸というのは、通航隻数あるいは海難隻数から見ても多いということから見まして、そのうちで一番操船しにくい二十万トンにやはり危険が一番多いということは当然言えると思います。
 それから二番目に水先人でございますけれども、水先人を乗せるということはきわめて限定した効果しかございません。同じ人間のやることでございまして、多少その地域に詳しい人が操船をするというだけでございまして、その点は巨大タンカーなんかになりますと、水先人が乗ったからといって、もともと抱えている巨大タンカーの危険性などというものは根本的に防げるものではないと思います。特に外国船の場合には、全然事情を知らない外国人よりは、現場に詳しい水先人の方が格段と非常に効果があるということは言えますけれども、それとても、やはり巨大タンカーの場合には、水先人の限界というものは非常にあるわけです。特に、昭和四十年に室蘭港で起こりました事故は水先人が起こした事故でございまして、ヘイムバルド号事件という、二万トンがあの岩壁に衝突した、これは水先人が操船中に起こした事故です。したがって、水先人といえどもやはり万全でない。
 それから三番目に、他の湾でございます。もちろん伊良湖水道も千メーターの幅しかございませんので、私はやはり、あそこを二十万トンが通るのは無理だと思います。数字から言いますと、旋回圏というのが十万トンが七百メーター、二十万トンで千メーターちょうど要るわけです。ぎりぎりですね。だから、二十万トンといいましても、いまは二十七万トンというようなタンカーが多うございますから、これはやはり非常に問題があると思います。東京湾においては、さらにその危険性は無視できない。したがって、瀬戸内海と同じようなトン数規制が必要なことは論を待たないところであります。しかしながら、やはり何といいましても、まず、これらを上回る一番スケールの大きい瀬戸内海から、しかも、一番漁場の多い、漁船も多い瀬戸内海から実施していかないと、どうしてもやはり突破口が開けない。まず瀬戸内海でモデルをつくってみるということが、この東京湾や伊良湖水道、伊勢湾を考える場合の大きな布石になるのではないか、私はそう思います。
 それから四番目に、船底の二重底の問題でございますが、座礁についてはやはり効果がございます。これははっきり言えると思います。したがって、間もなく、ことし恐らくIMCOという国際海事会議が行われますが、ここで提案が出てくると思います。カーターもすでに提案しておりますし、日本も反対ばかりしないで、やはり当然これは賛成を他の国に先駆けてやるべきだと私は思っております。
○中井委員 野村参考人にお尋ねをいたします。
 伊勢湾の三県一市の協議体をつくっておられる中で、赤潮対策、赤潮研究について、独自の研究というものを国とは別におやりになっておるか、また、おやりになっているとしたら、それに年間大体どのくらいの費用をおかけになっておられるのか。おおよそで結構です。わからなかったら三重県だけで結構です。お聞かせをいただきたいと思います。
○野村参考人 三重県だけで、この赤潮研究に五十三年度予算として三百三万計上いたしております。なお、その三県一市でもやっておりますが、正確な数字をいまちょっと持ち合わせておりません。
○中井委員 先ほど岩崎先生にお尋ねをいたしますと、十年ぐらいまだいまのままでいってもわからないんじゃないかというようなことでございます。そういったことを、各地の赤潮が出ているところの県がそれぞれやる、国もやるということじゃなしに、どうでございますか、全部国でやっていただくというような方向について、伊勢湾の事務局をお預かりの身としてはどんなふうにお考えでございますか。
○野村参考人 この赤潮研究でございますけれども、もちろん国は国の立場として従来からもやっておりますし、また、今後も続けていくのだろうと思います。いま私、申し上げましたのは、県が将来総量規制に入った場合に、それに備えて県独自の立場でやっている予算が先ほどの予算でございます。
 以上でございます。
○中井委員 もう一つお尋ねをいたします。
 午前中にも参考人の方にお尋ねをしたのでありますが、先ほども岩崎先生にお尋ねしたと同じく、伊勢湾でも燐のいわゆる規制というものをおやりになるというお考えがあるかどうかということが一つ。
 それから、それと同時に、自然海浜ですね。瀬戸内海の中に盛られております自然海浜の発想というのは、私はすばらしい発想だと思うのです。特に自然海岸率というものが、先ほどの城参考人のお話じゃありませんが、伊勢湾、東京湾というものは、もうすでに瀬戸内海よりかはるかに少ないわけであります。そういったことを考えると、ぜひ伊勢湾の沿岸でもおやりをいただきたいと思うのでありますが、そういった点についてお考えがございますか。
○野村参考人 まず、燐の規制の問題でございますが、私、こちらの方の専門家ではございませんが、話を伺っておりますと、例の赤潮対策として考えた場合に、燐か窒素かあるいは有機物なのか、あるいはまた、それを三者とも規制しなければならないのか、あるいはその中の一方のみを規制すれば赤潮が減っていくのか、そのようなことは恐らく今後の問題じゃないかと思います。したがいまして、今後研究が積み重なっていく過程で、そのわかった知見で段階的に実施していく必要があろう、このように考えます。ただ、技術的に、たとえば水処理の段階等からいきますと、窒素よりも燐の方が技術的には制御しやすいというような現況のようでございます。それから、自然景観等、自然海岸ですか、このような問題もございます。
 ただ、現時点で議論いたしておりますのは、いわゆる伊勢湾の環境基準、先ほど申し上げましたように、B海域、C海域ではかなり達成されておりますけれども、A海域ではほとんど達成されていない。こういったようなことから、いわゆるきれいな水という基準を、現在の環境基準が一〇〇%合致する、そのような時点でいま議論をいたしておりまして、もし伊勢湾がきれいになって、あるいはまた、その過程におきましても、いま申し上げました自然景観等、こういう要因も今後の問題として考えなければならないのじゃないか、このように考えます。
 以上です。
○中井委員 ありがとうございました。
○久保委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 次回は、明九日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十六分散会